衆議院

メインへスキップ



第12号 平成18年4月21日(金曜日)

会議録本文へ
平成十八年四月二十一日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 小野 晋也君

   理事 江崎洋一郎君 理事 七条  明君

   理事 宮下 一郎君 理事 山本 明彦君

   理事 渡辺 喜美君 理事 小沢 鋭仁君

   理事 古本伸一郎君 理事 石井 啓一君

      井澤 京子君    伊藤 達也君

      石原 宏高君    小川 友一君

      小野 次郎君    越智 隆雄君

      大野 功統君    河井 克行君

      木原  稔君    鈴木 俊一君

      関  芳弘君  とかしきなおみ君

      土井 真樹君    中根 一幸君

      萩山 教嚴君    広津 素子君

      藤野真紀子君    松本 洋平君

      小川 淳也君    鈴木 克昌君

      田村 謙治君    長安  豊君

      平岡 秀夫君    三谷 光男君

      吉田  泉君    鷲尾英一郎君

      谷口 隆義君    佐々木憲昭君

      中村喜四郎君

    …………………………………

   議員           鈴木 克昌君

   議員           田村 謙治君

   議員           古本伸一郎君

   議員           三谷 光男君

   議員           吉田  泉君

   国務大臣

   (金融担当)       与謝野 馨君

   内閣府副大臣       櫻田 義孝君

   内閣府大臣政務官     後藤田正純君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  三國谷勝範君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局総括審議官)          中江 公人君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    佐藤 隆文君

   政府参考人

   (金融庁証券取引等監視委員会事務局長)      長尾 和彦君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局消費経済部長)     谷 みどり君

   財務金融委員会専門員   鈴木健次郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十一日

 辞任         補欠選任

  佐藤ゆかり君     小野 次郎君

同日

 辞任         補欠選任

  小野 次郎君     佐藤ゆかり君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 証券取引法等の一部を改正する法律案(内閣提出第八一号)

 証券取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第八二号)

 証券取引委員会設置法案(古本伸一郎君外六名提出、衆法第四号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

小野委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、証券取引法等の一部を改正する法律案及び証券取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案並びに古本伸一郎君外六名提出、証券取引委員会設置法案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局長三國谷勝範君、金融庁総務企画局総括審議官中江公人君、金融庁監督局長佐藤隆文君、金融庁証券取引等監視委員会事務局長長尾和彦君、経済産業省商務情報政策局消費経済部長谷みどり君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小野委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がございますので、順次これを許します。中根一幸君。

中根委員 自由民主党の中根一幸です。証券取引法等の一部を改正する法律案等について質問させていただきます。よろしくお願いいたします。

 金融はお金の流れに関するものであり、資金の出し手と取り手を結びつけ、家計の資産運用ニーズを満たすとともに、個人、企業の経済活動に必要な資金を供給する重要な役割を担っております。その意味において、金融が円滑に機能することは、我が国経済の持続的な成長、また国民生活の安定向上に必要不可欠なものでございます。

 こうした資金を仲介する機能は、大きく分けて、銀行などの金融機関を通じた間接金融、そして市場を通じた直接金融がございます。また、投資信託などのような市場を通じた間接金融、市場型間接金融がございます。

 我が国では、主要国と比べて、金融機関を通じた間接金融の比重が高いと指摘されております。例えば、我が国の平成十七年十二月末の家計の金融資産の構成を見ますと、現金と預貯金の割合が五一・七%である一方、株式、債券、投資信託などの投資資産の割合は、最近かなり増加したとはいえ、約一七・六%でございます。これに対して、アメリカでは投資資産の割合が五三・三%、ドイツでは投資資産の割合が三三%になっております。

 我が国では間接金融の比重が大きいため、不良債権問題が深刻になる等、実体経済に影響を及ぼされることになります。また、少子高齢化が進む中で、家計における資産運用の重要性が高まるとともに、資産形成ニーズも多様化してきております。実際に、いわゆる団塊の世代の人たちがもうじき退職の時期を迎えるわけで、まさにこの資産形成への関心が高まっているところでございます。

 今後の経済の持続的な成長を支え、国民の多様な資産運用ニーズにこたえるためにも、貯蓄から投資への流れを促進し、お金の流れを多様かつバランスのとれたものにすること、これが重要な課題と考えられますが、この点について、まずは大臣のお考えをお伺いいたします。

与謝野国務大臣 議員御指摘のとおり、少子高齢化の急速な進展等によりまして家計における資産形成の重要性が増しており、資産運用ニーズも多様化しております。

 こうした中、利用者保護の拡充を通じて、利用者が安心して金融商品を利用できるようにするとともに、規制の柔軟化を進めて金融イノベーションを促進し、多様化するニーズに応じた金融商品・サービスの提供を可能とすることが重要な課題と考えております。

 今般の法案は、まさにそうした問題意識にこたえるものであり、さらに、これにより、家計の資産運用手段が多様化、効率化し、貯蓄から投資への流れが加速することで、銀行にリスクが過度に集中する構造が是正され、リスクに柔軟に対応できる、バランスのとれた経済構造の構築にもつながるものと考えております。

中根委員 今回の法案による金融商品取引法は、先ほど言いました、貯蓄から投資への流れを促進する上で重要な役割を果たすものでございます。

 私は、基本的な視点として、三つの視点が必要であると考えております。第一の視点は利用者の視点、そして第二の視点は市場の視点、そして第三の視点は国際的な視点でございます。

 具体的に申しますと、第一の利用者の視点でございますが、貯蓄から投資への流れ、これを促進するためには、これは当たり前でございますが、国民が安心して投資のできる環境を整備してあげることでございます。

 そしてまた、第二の市場の視点でございますが、これはライブドア事件を契機に自由民主党の方で取りまとめました「公正で透明な市場の構築に向けて」にも示されておりますが、我が国市場の公正性、透明性の一層の向上が必要であるというものでございます。

 そして第三の国際的な視点でございますが、世界的に市場がグローバル化しております。内外の市場参加者が我が国市場に参加している中で、国際的な動向を考慮に入れながら、国際的にも信用され、そしてまた競争力のある市場を構築する必要があると思っております。

 以上の、利用者、市場、国際性、この三つの視点から、今回の法案には全体としてどのような施策が盛り込まれているか、大臣にお伺いいたします。

与謝野国務大臣 本法律案は、金融資本市場を取り巻く環境の変化に対応し、金融商品についての横断的な制度の整備を図ること等により、まず第一に利用者保護ルールの徹底と利用者利便の向上、第二に貯蓄から投資へ向けての市場機能の確保、及び第三に金融資本市場の国際化への対応を図るものであり、まさに議員御指摘の問題意識にこたえるものと考えております。

 具体的には、与党の御提言も踏まえ、例えば次のような施策を盛り込んでおります。

 まず第一に、利用者が安心して投資を行える環境を整備するため、集団投資スキーム、いわゆるファンドですが、この持ち分を包括的に規制対象商品に追加するとともに、幅広い原資産、指標を対象とするデリバティブ取引を規制対象とするなど、規制の横断化を図っております。

 第二に、市場の公正性、透明性の一層の向上のため、公開買い付け制度や大量保有報告制度の見直しを図り、また、四半期報告制度や財務報告に係る内部統制制度の整備により、企業情報の適切な開示を図ることとしております。

 第三に、さらに、金融資本市場の国際化に対応し、我が国市場の魅力をさらに高めていく観点から、利用者保護を前提としつつ、利用者利便が向上するよう、業務規制の横断化を通じた業務範囲の拡大等を図ることとしております。

 また、国際的に共通の課題となっております株式会社形態の取引所の自主規制業務のあり方について、その適正確保のために所要の制度を整備しております。

中根委員 ありがとうございます。

 次に、より具体的な質問に移らさせていただきます。

 先ほど私が言った第一の利用者の視点でございますが、現状を見ますと、金融技術の進展を背景に新しい金融商品が次々と開発され、縦割り規制のすき間で、詐欺的な業者によって利用者が被害を受けるという事案が起きております。外為証拠金取引がその典型でございましたが、平成十六年の臨時国会における金融先物取引法の改正によって、業者に対して本年一月から新たに登録制が導入されたことによって、この被害もかなり減ってきていると伺っております。

 このように、規制のすき間を埋めることによって、しっかりとした利用者保護の枠組みを構築し、利用者が多様な金融商品を、みずからに合った金融商品を安心して選ぶことができるように、その環境を整備することが重要でございます。

 ライブドア事件では、御承知のように投資事業組合が問題となったわけでございますが、自由民主党の提言に盛り込まれておりますいわゆるファンドの問題でありますが、これは、投資事業組合に限らず、さまざまなファンドが今出現しておると聞いております。今回の法案では、利用者保護の観点からこのファンドに対してどのような対応をしているのか、お伺いいたします。

三國谷政府参考人 お答えいたします。

 今般の法案におきましては、組合などいわゆるファンドにつきまして、利用者保護ルールの徹底を図ります観点から、一つは、新たにファンドにつきまして包括的な定義規定を設けまして、ファンド全般を法の対象とすることとしております。

 次に、このファンドの自己募集、これはファンド設定者自身によります販売、勧誘でございますが、これには、新たに業者としての登録または届け出の対象業務とすることとしております。

 三点目といたしまして、ファンド形態による、主として有価証券またはデリバティブ取引に対する投資、運用につきまして、業者としての登録または届け出の対象業務であることを明確にするといった措置を講ずることとしているところでございます。

 こういった措置を通じまして、ファンドの透明性の向上などが図られるものと考えているところでございます。

中根委員 ありがとうございます。

 ファンドについては、一方で、例えばベンチャーファンドのような、健全な運営を通じて新興企業に対して必要な資金を供給しているように、いわゆる健全にやっているファンドもございます。また、国の重要な政策課題でございます企業の貢献に対して、こういう面では非常に貢献しているものであると思うんですね。先ほど言ったように、利用者の保護のためには確かに規制は必要なんですが、その一方で、不必要な、過剰な規制によって健全なファンドまで発展を阻害してはならないと考えます。この法案はこの点についてどのように配慮しているか、お伺いいたします。

三國谷政府参考人 御指摘のとおり、利用者の保護の徹底と金融の活性化の両面に配慮してこの法案を作成していると考えております。

 まず、一般投資家を対象とするファンドの販売、勧誘、運用を行う業者でございますが、これにつきましては、一般投資家を対象とする者に必要な規制をしっかり整備いたします一方で、プロ投資家を対象とするファンドの販売、勧誘、運用を行う業者につきましては、過剰な規制とならないよう、規制の簡素化も図っているところでございます。

 具体的には、一般投資家を対象とするファンドを取り扱う業者につきましては、登録を義務づけました上で、書面交付義務等の規制を運用する一方、一般投資家の場合には情報の非対称性というのが非常に大きいわけでございますが、これに対しまして、いわゆるプロ向けファンドのみを取り扱う業者につきましては、登録ではなく届け出制、あるいは取引の公正を確保するための虚偽告知の禁止、あるいは損失補てんの禁止といった必要最低限の規制ということにしているところでございます。

中根委員 それでは次に、先ほど出ましたデリバティブ取引の問題でございます。

 このデリバティブ取引、もう次々にいろいろなものが開発される一方で、その取引内容が複雑で、一般投資家の皆様方にとっては非常にわかりづらい。そしてまた、金融機関が中小企業に対して金利スワップをめぐる不公正な取引をした非常に残念な事例も最近見られております。デリバティブ取引についても、しっかりとした利用者保護の枠組みも必要だと思います。今回のこの法案は、利用者保護のため、デリバティブ取引についてどのような対応をしているのか、お伺いいたします。

三國谷政府参考人 デリバティブ取引でございますが、ちょっと長くなることをお許しいただきたいと思いますが、現行法におけますデリバティブ、これにつきましては、現物などいわゆる物、原資産を対象とする取引と、もう一つはいろいろな数値を参照指標とする、二つの類型がございます。これは、それぞれにつきまして、現行証券取引法では、有価証券につきまして、原資産を対象とするものと参照指標を対象とするもの、金融先物取引法におきましては、通貨、預金、債券等につきまして、原資産を対象とするものと参照指標を対象とするものに分類されているわけでございます。

 今般の法案につきましては、この原資産、参照指標の両面から対象を拡大することとしているところでございます。

 具体的には、原資産につきましても、これまでの範疇にはとらわれないクレジットデリバティブあるいはその他の政令で定める取引類型でございます。

 原資産につきましては、有価証券、預金保険契約に基づく債券、通貨を規定しますほか、同一種類のものが多数存在し、価格の変動が著しい資産、こういったものも政令指定できることとしております。

 また、参照指標の方につきましても、事業者の事業活動に重大な影響を与える指標等を政令指定できることとしているところでございます。

 こういったことによりまして、本法案におきましては、現行法では対象となっていない通貨、金利スワップ、天候デリバティブ、クレジットデリバティブも含めまして、幅広い取引を対象とすることとしているところでございます。

 このように対象範囲の拡大したデリバティブ取引を行う業者でございますが、これは金融商品取引業の登録を受けなければならない。また、そのような業者は、顧客との契約締結前に書面を交付いたしまして一定の事項を説明しなければならないなどの販売、勧誘規制の適用も受けることになっているわけでございます。こういった形によりまして、利用者保護の徹底を図ることとしているところでございます。

中根委員 ありがとうございます。

 一方で、このデリバティブ取引についても、利用者がいわゆるプロの投資家の場合は、取引内容が十分理解でき、また自己責任で投資できる場合、先ほどのような、逆にいろいろな過剰な規制、これは必要ないわけでございます。

 今回、この法案では、利用者が一般投資家とプロの投資家、この場合とで規制の度合いを区別しているのは私も承知しておりますが、どのような枠組みとされているのか、特に、プロの範囲はどのようなものであるのか、お伺いいたします。

三國谷政府参考人 今回の法案におきましては、利用者の顧客の属性に応じまして規制の適用を区別することとしているところでございます。

 原則といたしまして、金融商品取引業者が一般投資家との間で取引を行う場合には、投資者保護の観点から十分な行為規制を整備しているところでございます。一方、一定の者につきましては、いわゆるプロ、特定投資家と位置づけまして、この特定投資家との取引におきましては、契約締結前の書面交付義務等、顧客と業者との間の情報格差の是正を目的とする規制の適用を除外することとしているところでございます。

 次に、この特定投資家の範囲でございますけれども、これは、適格機関投資家、国、日本銀行のほか、投資者保護基金その他の内閣府令で定める法人とする旨を規定しているところでございます。これ以外に、特定投資家以外の法人及び知識、経験、財産の状況に照らしまして、特定投資家に相当する者として一定の要件を満たす個人、これにつきましては、原則として特定投資家には当たりませんが、本人の申し出及び慎重な手続を経た上で業者の側で特定投資家として取り扱うことが可能な仕組みとしているところでございます。

中根委員 ありがとうございます。

 次に、利用者保護の観点ということで、未公開株の売買、これが問題になっておりますので、幾つか質問させていただきたいと思います。

 これは、一般の投資家に証券業の無登録業者から上場間近とか値上がり確実などと称して未公開株の購入を勧められ、購入したものの、実際には上場の予定がなかったり、また株券が手元に届かず被害に遭うというものでございます。ことしの二月には、一部の業者に強制捜査が入ったと報じられております。

 金融庁として、この未公開株の問題にどのような取り組みをしているのか、お伺いします。また、今回の法案には、未公開株の問題に関連して何らかの対応策が盛り込まれているのかどうか、あわせてお伺いいたします。

佐藤政府参考人 御指摘のいわゆる未公開株等に係る無登録業者の問題でございますけれども、現在金融庁にも多数の情報あるいは相談等が寄せられているところでございます。金融庁といたしましては、こうした情報、相談等も参考にしながら、全国の財務局を通じて可能な範囲で業者の実態把握に努めているということでございます。

 無登録営業を行っている場合または行っているおそれがあるというふうに判断される場合には、必要に応じて当該業者に対して警告書を発するということを行ったり、あるいは警察当局へ情報提供する、こういった取り扱いを行うことといたしております。

 また、金融庁のホームページにおきまして、特に未公開株購入の勧誘に係る無登録営業について、昨年と本年、二度にわたりまして注意喚起情報を掲載したということでございます。

 法案の中身につきましては、総務企画局長の方からお答えいたします。

三國谷政府参考人 本法案におきましては、金融商品取引業者に対しまして、営業所等における標識の掲示、広告及び契約締結前の交付書面における金融商品取引業者である旨の表示を義務づけることとしております。また、金融商品取引業者でない者に対しましては、金融商品取引業者であると誤認させるような名称使用や標識の掲示を禁止することによりまして、顧客にとって、その取引の相手方が登録を受けた金融商品取引業者であるかどうかが明らかになるようにすることとしているところでございます。

 なお、無登録営業につきましては、現行法と同様、罰則を科すといった措置を講じているところでございます。

 私どもといたしましては、今後とも苦情等の動向を注視しますとともに、関係機関とも連携を図りながら、適切に対処してまいりたいと考えているところでございます。

中根委員 適切な利用者保護のためには規制のすき間を埋めるとともに、既に規制の対象となっている場合であっても、同じ性格の金融商品には同じ販売、勧誘ルールを適用する必要がございます。今回の法案では、例えば、銀行預金、保険、不動産特定共同事業、商品先物取引について、どのように取り扱われているか、お伺いをいたします。

三國谷政府参考人 今回の法案におきましては、同じ経済的性質を有する金融商品には同じルールを適用するという基本的考え方のもとで、投資性の強い金融商品を幅広く対象として規制の横断化を図ることとしているところでございます。

 御指摘の銀行預金や保険につきましては、外貨建て商品や変額商品など、投資性の強いものにつきまして、銀行法及び保険業法等におきまして、金融商品取引法の販売、勧誘ルールを準用し、規制の同等性を確保することとしているところでございます。

 また、商品先物取引につきましては、農産物や鉱物など現物の生産、流通と関連し、また不動産特定共同事業は不動産取引というように、その対象事業そのものに係る政策と切り離すことができないところがございますため、これらの取引を金融商品取引法の直接の対象とはしておりませんが、これらの業法におきまして、金融商品取引法と同等の利用者保護規制を新たに設けることによりまして、規制の横断化を図ることとしているところでございます。

中根委員 今少しおっしゃっていただきましたが、この点に関連してなんですが、例えば、不動産特定共同事業、また金融の先物取引ですか、これについて、今回の法案のように別の法律のまま残すのではなくて、金融商品取引法に統合するべきではないかとの指摘があると伺っております。

 不動産特定共同事業、商品先物取引を統合しなくても、先ほどからずっと言っています利用者保護の観点から問題があるかどうか、問題がないのか、お伺いいたします。

櫻田副大臣 御指摘の不動産特定共同事業につきましては、不動産特定共同事業法において、利用者保護の観点から、書面交付義務等に加えて、不動産固有の規制が多く課されていることから、こうした不動産固有の規制を維持するためには、引き続き不動産特定共同事業法において規制を行うことが必要であると考えております。

 また、商品先物取引は、農産物や鉱物の生産や流通において発生する価格変動リスクに対する補償機能を担うなどの役割を果たしています。したがって、現物取引の生産、流通をめぐる政策と密接に関係するものとして、引き続き商品取引法において規制することとしたものでございます。

 こうした理由から、今般の法案では、不動産特定事業や商品先物取引を金融商品取引法の直接の対象とはしていないものの、これらの業法において基本的には金融商品取引法と同様の利用者保護ルールを適用することとしていることから、利用者保護のための横断的な法制が整備されているものと考えております。

中根委員 ありがとうございます。

 今回の法案では、同じ性格の金融商品に同じ販売、勧誘ルールを適用または準用されると考えますが、商品先物取引について不招請勧誘が禁止されていないことを問題視する指摘がございます。その理由をお伺いいたします。

三國谷政府参考人 顧客からの明示的な要請がない限り、電話訪問による勧誘を行ってはならないとする、これが不招請勧誘の禁止でございますが、これにつきましては、一方で、新たな金融商品・サービスにつきまして、顧客への説明機会が極めて限られてしまいますなど、業者の営業の自由を制限する面もございます。したがいまして、今般の法案におきましても、当該規定を一律に適用するのではなく、取引の性質や利用者被害の実態等を勘案いたしまして、その対象範囲を定めることとしているものでございます。

 商品先物取引に関しましては、これは、昨年五月に施行されました商品取引所法の改正法、ここにおきまして、再勧誘の禁止規定の導入など、利用者保護の観点からの規制強化が図られているところでございます。取引に関する苦情も引き続きあるものの、現時点では、改正法施行前に比べますと減少傾向にあるものと承知しているところでございます。

 いずれにいたしましても、商品先物取引に関します利用者保護の徹底を図るため、引き続き、所管官庁におきまして検査監督体制の充実を図るなど、商品取引所法における再勧誘の禁止規定等の厳格な運用を図っていくことが必要であると考えているところでございます。

中根委員 ありがとうございます。

 次に、グローバル化の進展により、世界各国の市場において内外投資家による投資が活発に行われていますが、ニューヨークやロンドンはもとよりアジア近隣諸国の取引所においても、こうした状況を踏まえた市場のインフラ整備が進められており、いわば国際的な市場間競争が起きております。特に、最近では、ニューヨーク証券取引所の電子証券取引所との統合また株式会社化、そしてみずからの市場への上場、またロンドン証券取引所の買収をめぐる動きなど、取引所については国際的に活発な動きがございます。

 言うまでもなく、市場は我が国の非常に大事な公共財でございます。グローバル化が進む中で我が国市場が国際競争力を持つためにも、内外の投資家やまた発行会社が我が国市場に一層参加するようインフラ整備を整えていく、推進していく必要がございます。

 今回の法案では、取引所の自主規制機能の独立性を確保するために、取引所が別法人である自主規制法人を設立すること、また自主規制委員会を設置することができるようになっております。私はこうした方策を高く評価しますが、一番大事なことは、何といっても、取引所自身がみずからの重い責務を自覚して、みずからの市場の高い品質を維持向上させようとする、そのために全力を尽くそうとすることが一番大事だと考えております。この点について大臣の御所見をお伺いいたします。

与謝野国務大臣 全く委員の御指摘のとおりであると思っております。

 証券取引所は、証券市場における重要なインフラの一つとして国際的にも高い評価を得られるようにしていくことは必要であると考えております。また、我が国の証券取引所をめぐっては、昨年来、複数回にわたりシステム障害が発生し、東証においても全銘柄の売買を停止せざるを得ない事態にも至ったことは極めて遺憾でございます。証券取引所は、証券市場における重要な基盤の一つとして安定的かつ円滑な運営が確保されることが重要であり、各取引所においては、システム整備を初め早急に対応し、国際的にも信頼される市場の実現に取り組んでいく必要があると考えております。

中根委員 ありがとうございます。

 市場が健全に発展していくためには、今大臣がおっしゃっていました市場に対する信頼の確保が不可欠であり、そのためには、投資家、上場企業などと市場をつなぐ役割を担う証券会社の信頼性向上が不可欠と考えます。

 一方、最近、証券会社におきましては、例えば誤発注の問題などさまざまな課題があると考えます。この点、当局として、市場仲介者である証券会社にはどのような課題があり、そしてこの課題についてどのように取り組みを行っているのか、あわせてお伺いいたします。

佐藤政府参考人 御指摘のとおり、個人投資家あるいは機関投資家などの投資家サイド、それと発行体である上場会社双方が市場にアクセスをする場合にはほぼ必ず証券会社がその仲介を行う、こういうことになります。したがいまして、御指摘のとおり、市場全体の信頼性を向上させるためには、市場仲介者としての証券会社の業務の信頼性を向上させるということが極めて重要であるというふうに思っております。また、証券会社自身も、主要な市場プレーヤーとして、自己規律に基づく業務運営を行う必要があるというふうに思っております。

 こういった問題意識から、現状におきます実態の把握であるとかあるいは問題点の整理、あるいは証券業界におきまして形成されるべき自主的なルールの検討、こういったことを行う目的で、本年三月、私ども監督局の中に証券会社の市場仲介機能等に関する懇談会というのを設置したところでございます。この懇談会におきましては、大きく四つぐらいの課題を設定いたしております。

 最初の三つは、市場仲介者としての証券会社に係る課題ということでございますが、第一に、売買受発注業務やあるいはシステム運用といった証券会社のオペレーションの信頼性の向上、第二に、発行会社の不適正あるいは不公正な取引行為等に対するチェック機能の発揮の問題、第三に、今度は投資家サイドの不適切な取引、不公正取引等に対するチェック機能の発揮、そして第四に、今度は証券会社自身のプレーヤーとしての役割に係る話ですけれども、利益相反の防止等を初めとする自己規律の維持、こういった四つの課題でございます。

 有識者の委員の方々に精力的に御議論をいただいておるところでございまして、今後、六月中を目途に議論を取りまとめていただいて、市場仲介者としての証券会社が踏まえるべき行為規範の形成を促していく、また形成された行為規範の実効性を確保していくということを考えているところでございます。

 こうした規範にのっとって、各証券会社がその業務の公共性を強く意識し、オペレーションの信頼性を向上させ、行為規範を持って業務を行っていただくということによりまして、証券取引法等の法令によって直接カバーできない部分も含めまして、投資家の利益、市場の全体の利益が増進される、あるいは市場全体の信頼性、公正性の向上に寄与するということではないかというふうに思っております。

中根委員 市場の透明性、公正性を確保するためには、自由民主党の提言においても取り上げられております不公正取引に対して厳正に対応する必要がございます。

 今週発売されている週刊誌、週刊の経済誌において、市場で横行する怪しい取引、にせ注文でだます見せ玉に注意との記事が掲載されております。特にネット取引で見せ玉がふえているとの指摘でございました。今回の法案ではこの見せ玉に対してどのように対応されているのか、お伺いいたします。

三國谷政府参考人 見せ玉でございますけれども、これは、市場の株価を誘導するために、約定させる意思がないにもかかわらず市場に注文を出して売買を申し込み、約定する前に取り消す行為、これを称しているわけでございますが、これにつきまして、現行の相場操縦行為に関します規定上、刑事罰、課徴金の対象とされていないものにつきまして手当てを行っているところでございます。

 具体的には、一つは、顧客による見せ玉等売買の申し込み行為につきまして、これを課徴金の対象とすることとしております。次に、証券会社の自己の計算による見せ玉等売買の申し込み行為につきまして、刑事罰及び課徴金の対象とすることとしているところでございます。

中根委員 ネットの取引の割合が御承知のように非常に大きくなっている現状で、見せ玉というのを効果的に摘発するためには、証券取引等監視委員会、市場監視機能を強化すること、そしてまた取引所の売買審査機能の強化が必要であると思います。この点について、自由民主党も提言しているところでございますが、今後どのように取り組みがなされていくか、大臣にお伺いいたします。

与謝野国務大臣 御指摘のとおり、見せ玉の効果的な摘発のためには、証券取引等監視委員会の市場監視機能や取引所の売買審査機能の強化が必要であると考えております。

 監視委員会につきましては、厳しい定員事情のもと、金融庁が発足した十二年度に比べ、定員を六年間で約三倍に増強し、機構面でも本年七月以降これまでの二課体制を新たに五課体制に再編して、体制強化を図ったところでございます。その強化は着実に進んでおります。監視委員会については、歴史、ノウハウの蓄積、優秀な人材の集積など、引き続きその強化に向けて検討を続けてまいりたいと考えております。

 また、証券取引所における不正行為の未然防止に向けた売買審査につきましては、例えば、東証においては、三月に不正取引の未然防止に向けた監視体制の強化などを項目とする上場制度の改善に向けたディスカッションペーパーを公表するなど、その強化に向けた取り組みがなされているところでございます。

 金融庁としても、引き続き、取引所との連携の強化を推進するとともに、取引所においても市場監視、売買管理体制の強化に向けて取り組んでいく必要があると考えております。

中根委員 時間が近づいてきましたので、最後の質問でございますが、市場の公正性を害する違法行為を抑止するために、ルール違反行為に対しては厳しい制裁を科す必要がございます。

 自由民主党は、現行の懲役五年を十年に引き上げることを検討することと提言しておりますが、今回のこの法案、この提言をどのように反映されているか、お伺いいたします。

三國谷政府参考人 本法案におきましては、御提言も踏まえまして、証券取引法におきまして、現在最も高い法定刑が定められております有価証券届出書等の虚偽記載や風説の流布、偽計や相場操縦等の犯罪行為につきまして、現行法上、個人について五年以下の懲役または五百万円以下の罰金、法人については五億円以下の罰金とされております法定刑を、それぞれ十年以下の懲役または一千万円以下の罰金あるいは七億円以下の罰金に引き上げることとしておるところでございます。

 これに合わせまして、個人について三年以下の懲役または三百万円以下の罰金、あるいは法人につきましては三億円以下の罰金の法定刑が定められておりますインサイダー取引等の犯罪行為につきましても、それぞれ法定刑を五年以下、または五百万円以下の罰金、法人につきましては五億円以下の罰金に引き上げることとしているところでございます。

中根委員 ライブドア事件は、利用者が安心して投資できるようにすること、そしてまた市場の公正性、透明性の一層の向上を図ること、そして国際的にも信頼される市場の構築を図るためには市場関係者が一丸となって不断の努力を尽くすことが必要であるということを明らかにするものでありました。今回の法案は、このための取り組みの重要な柱となるものであると評価いたします。

 金融庁と証券取引等監視委員会におかれましては、今後とも、市場の状況に常に目を光らせ、問題が生じた場合は迅速かつ厳正な対応をされることを期待して、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小野委員長 以上で中根君の質疑を終了いたします。

 引き続きまして、石原宏高君。

石原(宏)委員 自民党の石原宏高でございます。ワールド・ベースボール・クラシックの日本代表の西岡選手ではありませんが、二番バッターとして、本日は政府提出の証券取引法の一部を改正する法律案並びに証券取引法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案について御質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 まず初めに、今回政府より提出されました証券取引法等の一部を改正する法律案について、ちょっと私の所見を述べさせていただきたいと思います。

 昨今、急速に進むグローバライゼーションの流れの中で、欧米の金融手法が次々と日本の国内に取り入れられまして、株式交換による企業買収、また株式分割による株主のすそ野の拡大、また事業再生を目的としたファンドの創設等々、今まで日本で行われなかった金融取引が広がってまいりました。私は、このこと自体は、企業の選択肢また行動範囲を広げて、企業の拡大、再生のために大変役立ってきたと思います。

 しかし、その一方で、現行の法制のすき間をつくような形で、ライブドア事件のような不法な手段にこれらの新たな金融手法が利用されてしまいました。また、不法ではないものの、一般の方々が何となくこれは不公平なんじゃないかと思われるような金融取引というものが散見されるようになりました。例えばドン・キホーテのオリジン株のTOBであるとか、また、これは私がそう感じているだけかもしれませんが、例えば村上ファンドの阪神電鉄の株式の買収等、何となく不公平じゃないかと一般の人が感じるような取引が散見されるようになったわけであります。

 今回政府より提出されました本法案は、有価証券にとどまらず、ファンドの持ち分やデリバティブにも対象範囲を広げ、それらを取り扱う事業者を対象に登録制を導入し、情報開示の厳格化、罰則の強化を図ることで、新たな金融手法を不法な手段に用いないように抑制するとともに、先ほど言った、何となく不平等だなと感じるようなTOBの問題、TOB規制や大量保有報告制度の特例措置を見直すことで、この不平等感を解消する内容になっているのではないかと私は思います。そして、それが金融市場の公平性、透明性の確保、信頼の回復のために大変評価できるものであるというふうに、今回の法案を自分自身評価しております。

 そのことを、まず最初に皆さんの方にお話をさせていただきました。

 私、実は、政治家になる前に銀行マンとして投資部門におりましたので、こういう法律が出ると結構マニアックに細部を聞きたくなってしまうんですが、まず初めに、広い視点から与謝野金融大臣に御質問させていただきたいと思います。

 既に本法案の趣旨の御説明をいただいているんですけれども、再度、本法案の意義と、そして何よりも二十一世紀の日本の金融市場、また証券市場でも構いませんが、そのあり方について、与謝野大臣の御所見をまず最初にお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

与謝野国務大臣 本法律案は、金融資本市場を取り巻く環境の変化に対応し、金融商品についての横断的な制度の整備を図ること等により、利用者保護ルールの徹底と利用者利便の向上、貯蓄から投資に向けての市場機能の確保及び金融資本市場の国際化への対応を図るものでございます。

 本法案に盛り込んだ内容を初めとする改革努力を通じて、市場の公正性、透明性を確保し、国際的にも信用される魅力ある市場を構築することを目指しております。

 今後の金融資本市場のあり方としては、有価証券の発行や金融商品等の取引が公正に行われ、有価証券が円滑に流通するとともに、市場機能の十全な発揮により公正な価格形成が図られることが重要であると考えております。

 これによりまして、国民に多様で良質な金融商品・サービスの選択肢が提供され、家計の資産運用手段が多様化、効率化することで貯蓄から投資への流れが加速するとともに、企業の資金調達の円滑が図られ、ひいては銀行にリスクが過度に集中する構造が是正され、市場機能を中核とする金融システムの構築につながるものと考えております。

石原(宏)委員 金融大臣、ありがとうございます。

 私も、二十一世紀の日本の金融市場というのは、公正性、透明性、そして国内はもとより世界から信頼されつつ、そして原則自由であらゆる取引が可能になって、企業の資金調達また家計の投資というものが自由に行われるような市場であるべきだと思います。そのためには、ルールを明確化して、金融取引の監視を徹底して、不法な行為というものをしっかりと厳しく罰していく、そういう市場であるべきではないかというふうに思っております。

 それでは、金融庁から提出されています法案の要綱に沿って、少し細部について御質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、証券取引法第百五十九条、第百七十四条関連で、先ほど中根委員も質問されましたけれども、相場操縦行為に関する規定の整備というのが挙げられております。新たに相場操縦行為として禁止するとともに刑事罰、課徴金の対象となる行為について、先ほど見せ玉の御説明がありましたが、そのほかにあるのかどうか。また、そのような取引が、例えば年間どの程度、どのぐらいの金額で行われているか。推定でも結構でございます、金融庁の方でその推定があれば、そのことを教えていただけますでしょうか。

三國谷政府参考人 まず見せ玉でございますけれども、これにつきましては、市場の株価を誘導するために、約定させる意思がないにもかかわりませず市場に注文を出して売買を申し込み、約定する前に取り消す行為ということでございます。これは、現行の相場操縦行為に関する規定上、一部分、一部分と申しますか、必ずしも全体が規制の対象となっていないということでございます。

 具体的に、今現在このような場合につきまして、顧客につきましては刑事罰の対象になっておりますが、ここについては課徴金がまだ導入されておりません。それから証券会社でございますが、自己売買につきまして、これは刑事罰、課徴金の制度が整備されておりませんので、ここにも拡大させていただくということでございます。

 なお、この相場操縦の話でございますけれども、これまで直接売買ということが基本になっておりまして、申し込みということにつきましてはこのように一部の規定にとどまっております関係から、ここのところにつきまして規定を整備させていただくという形で、実質的にこの問題に対処しようというものでございます。

 なお、件数等につきましては、数量的な推定はなかなか困難であることは御理解賜りたいと存じます。

石原(宏)委員 次に、証券取引法の二十七条の関連で、公開買い付け制度の整備について、ちょっと質問をさせていただきたいと思います。

 今回の法改正で、公開買い付けに際して意見表明報告書の提出義務、また、意見表明報告書に公開買い付け者に対する質問が記載された場合は、公開買い付け者に対して対質問回答報告書の提出の義務をつけておりますが、その趣旨を御説明ください。

 また、この意見表明報告書や対質問回答報告書の提出を他国でも実施しているのであれば、その例を教えていただけますでしょうか。

三國谷政府参考人 公開買い付けにつきましては、やはり、投資者がそれぞれの公開買い付けに対しましてどのような判断を行うか、その投資情報が大変大事だと考えているところでございます。したがいまして、対象会社につきましても、いかなる意見を有しているか、これが重要な情報でございまして、特に敵対的な公開買い付けの場面などにおきましては、公開買い付け者と対象会社との間で、主張と反論が投資者、株主に見える形で展開されまして、両者の意見の対立点等が鮮明になることによりまして投資判断の的確性を高めることが期待できるというぐあいに考えている次第でございます。

 このようなことから、本法案におきましては、現行制度上任意とされております対象会社によります意見表明につきまして、これを義務化するとともに、対象会社による意見表明に際しまして、公開買い付け者に対しまして質問をする機会を付与し、公開買い付け者に対して対質問回答報告書の提出を義務づけることとしているところでございます。

 なお、アメリカやイギリス等の場合でございますけれども、対象会社による意見表明は義務づけられている一方、質問機会の付与につきましては、必ずしも制度上明確に位置づけられているものではございませんけれども、アメリカにおきましては実質的に相当程度活発なやりとりが行われていると承知しております。

 敵対的買収の場面におきましては、公開買い付け者も対象会社も、投資者及び株主に対しまして積極的な情報を自発的に提供するインセンティブはある程度は存在すると考えておりますが、一方で、両者のやりとりにつきまして一定の法制上の枠組みを与えることは、投資者への適切な情報提供を徹底する上で重要なことと考えた次第でございます。

石原(宏)委員 公開買い付けに関して、もう一問質問させていただきたいと思います。

 きのうの日経新聞にも出ていたと思うんですけれども、三分の二以上買い付けを行うようなときに、全部、一〇〇%買わなきゃいけないというような報道がされておりました。そういうのに関連していると思うんですが、要綱の中で、本改正において、公開買い付け後における株券等保有割合が政令で定める割合を下回らない場合は、公開買い付け者に応募株券等の全部の買い付けを義務化することとするというような法律の内容になっていると思いますけれども、この御趣旨をちょっと御説明いただけますでしょうか。

三國谷政府参考人 公開買い付けでございますが、現行制度上、原則といたしまして、公開買い付け者が、応募株券等の数の合計が買い付け予定数を超えるときは、案分比例の方法によりまして、その買い付け予定数を超えた部分につきまして一部を買い付けする、逆に言えばしないことが認められているところでございます。

 しかしながら、相当の規模で公開買い付けが行われますと、一定の者に株券が集中する結果、浮動株との関係で、上場廃止基準に抵触して流通しなくなる、その領域に近づく状態になるわけでございます。そういたしますと、公開買い付けの局面において買ってもらえなかった方は手残り株を抱えることになりまして、これにつきまして、零細な株主が著しく不安定な地位に置かれる、そういった場合が想定される次第でございます。

 したがいまして、投資者保護の観点から、買い付け後の株券等所有割合、これが一定割合以上となる場合、この場合につきましては、全部買い付け義務を課すこととこの法案では考えた次第でございます。

石原(宏)委員 どうもありがとうございます。

 次に、金融商品取引業の区分について質問をさせていただきたいと思います。

 本改正で、金融商品取引業を、第一種金融商品取引業、第二種金融商品取引業、投資助言・代理業、投資運用業、また有価証券等管理業務といった区分で分けております。まずその趣旨をお聞かせください。

 また、第一種金融商品取引業は証券会社、投資運用業は投資信託委託業者、有価証券等管理業務は株式の保護預かりをしている証券会社であり、また国債や登録債の保護預かりを行っている銀行と、具体的な会社のイメージがわくんですけれども、第二種金融商品取引業また投資助言・代理業について、具体的な会社のイメージが、ちょっと私、思いつかないものですから。例えば第二種金融商品取引業であれば、オリックスのような、リースだけではなくて他の金融商品を取り扱っている会社のような気がいたしますが、この第二種金融商品取引業また投資助言・代理業について、対象となる会社のイメージ、また可能であれば具体的な会社名でも結構ですので、御説明をいただけますでしょうか。

三國谷政府参考人 本法案におきましては、規制の横断化という観点から、一つには、各業法ごとの縦割りとなっておりましたものを、これを金融商品取引業ということで横断的に今回の業の対象としている一方で、いろいろなやはり種類もございますので、それとともに規制の柔構造化も図ることとしているところでございます。

 したがいまして、参入規制等につきましても、これも一律ということではございませんでして、金融商品取引業のうち、現に行う予定のある業務の内容に応じまして必要な参入規制を課すこととする等、そういった規制の柔構造化を図っているところでございます。このため、金融商品取引業の中におきまして、第一種金融商品取引業、第二種金融商品取引業、投資助言・代理業、投資運用業といった区分を設けることとしているところでございます。

 次に、第二種金融商品取引業の業者のイメージでございますが、これは例えば、現行の信託業法に基づきます信託受益権の販売業者がございまして、これは数の上では、具体的には不動産信託受益権の販売を行っている不動産会社等がこれに当たるケースが非常に多いと承知をしております。

 次に、投資助言・代理業を行っている業者というのは、顧客に対して投資判断に関する助言を行いますが、投資判断そのものにつきましては顧客から委任を受けていない者でございまして、現行の投資顧問業法に基づく投資顧問業者が当たるというぐあいに考えているところでございます。

石原(宏)委員 イメージがつかめました。ありがとうございます。

 次に、企業内容等開示制度の整備についてお伺いをしたいと思います。

 これは要綱の中に書いてある文章そのままでありますが、「組織再編成による新株発行等に係る企業内容等開示制度の整備」という項目がありまして、これは株式交換等を行って吸収合併や完全子会社化を行うケースについての開示義務だというふうに思いますけれども、要綱の中の説明の中で「当該組織再編成対象会社の株主等が多数であって、」という部分があるんですが、この多数の定義がちょっと不明瞭なので、教えていただきたいと思います。

 また、その後に「当該組織再編成対象会社が発行者である株券等に関して開示が行われ、かつ、当該新たに発行され、又は既に発行された有価証券に関して開示が行われていない場合には、当該有価証券の発行又は交付に関し届出を行わなければならないこととする。」という説明があるんですが、ちょっとここのところの説明がわからなくて。一回説明を受けたときに、例えば、未公開会社が公開会社を買収したときに、それで存続会社が未公開会社になったときに、今までの吸収合併された公開会社の投資家のために有価証券報告書を引き続き、未公開会社であるにもかかわらず、提出し続けてもらうことを義務化するというようなケースがある、ここはそのことを説明しているという御説明を受けたんですが、そういう理解でいいのか、もう一度詳しく御説明をいただけますでしょうか。

三國谷政府参考人 法律用語がやや難解なところになっておりまして恐縮でございますが、ややラフに申し上げますと、最近、企業の合併、買収等の組織再編成の件数が大変増加している状況にあるわけでございます。この中で、開示会社が非開示会社に吸収されるような場合、そうすると、これまで開示会社の方から公衆縦覧等の情報提供を受けていた者が、今度は、形の上ではそういった情報がなくなりますので、その場合に非開示会社に有価証券届出書並びの開示を求める、こういうことで全体の趣旨が成り立っているということで御説明させていただきたいと思います。

 したがいまして、御指摘の、多数である場合につきましては、現行、従来の有価証券の募集、売り出しの場合、これは株主等の数が五十名以上である場合ということになっておりますので、これは政令事項でございますが、基本的にこの考え方を踏襲していくことになると考えております。

石原(宏)委員 どうもありがとうございます。

 続きまして、同じ、企業内容等開示制度の対象範囲の整備という部分で、有価証券とみなされる集団投資スキーム持ち分または信託受益権等のうち、集団投資スキーム持ち分であって、主として有価証券に対する投資を行う事業を行うものを企業内容等開示制度の適用対象とするとありますけれども、この部分の趣旨と、開示の方法、どういうふうに開示をするのか。要するに、上場企業とか公開企業であれば有価証券報告書という形で開示をするわけでありますが、集団投資スキームを行っている、例えば任意組合とか匿名組合の形でやっているところであれば、その運用会社が未公開会社であれば、どういう形でその内容を開示していくのか、その方法について御説明をください。

三國谷政府参考人 これも規制のコストとの兼ね合いでございますけれども、投資事業組合等の組合契約に基づきます権利、こういった集団投資スキームの持ち分につきましては、これは券面が発行されないことなどから、一般的には大変流動性が乏しいところもあるわけでございます。したがいまして、こういったものにつきましては、公衆縦覧という形ではなく、直接の説明義務を課すことを基本としているところでございますが、一方で、有価証券に対する投資を主たる事業とするもので相当な広がりを持つものにつきましては、やはり、集団スキーム持ち分の直接の出資者はもとより、他の投資者の投資判断にとっても重要な情報ということになりますので、その投資運用の状況等を定期的に開示させる必要が高いものと考えているところでございます。

 このため、一定の開示規制、集団投資スキームの持ち分のうち、有価証券に対する投資を主たる事業とする集団投資スキームで一定規模以上のものにつきましては開示規制の対象といたしまして、他の有価証券と同様、当該集団投資スキーム持ち分の募集または売り出しを行う場合には、有価証券届出書等の提出を義務づけるとともに、その後も定期的に有価証券報告書の提出を求めるものでございます。

 なお、この方法でございますが、有価証券届出書あるいは有価証券報告書等を原則、電子開示システム、いわゆるEDINETでございますが、これを通じて提出することが義務づけられます。さらに、提出されましたこれらの開示書類は、インターネット等を通じて広く一般に提供しているところでございます。

石原(宏)委員 ありがとうございます。有価証券報告書をつくるということと、EDINET等を通じて開示をしていくということで、よくわかりました。

 次に、四半期報告書の報告制度の整備についてお伺いをしたいと思います。

 本改正により、今まで証券取引所のルールに基づいて行われていた四半期報告が法律で義務化されますが、四半期報告の開示内容は今後どのような形で定められるのか、まずお教えください。

 また、現行、半期の報告書、通期の有価証券報告書が提出される前に決算短信というものが取引所のルールで開示をされますが、引き続き同様に、四半期ごとに決算短信が開示され、その後、法律に基づく四半期報告書、有価証券報告書が開示されるとの理解でよろしいのか。そのことを二番目にお伺いしたいと思います。

 そしてもう一つ、当該会社が一定の事業を行う場合には、四半期報告書記載事項のほか、当該会社の経理の状況その他の事項を記載し、四半期報告書を提出するというふうになっておりますけれども、この一定の事業を行う場合というのは、どのようなケースでしょうか。また、この一定の事業というのは、法律、政令、省令、ガイドライン、何で定められているのか、お教えいただけますでしょうか。

三國谷政府参考人 三点お尋ねがございました。

 一つは、四半期報告書制度の具体的な開示内容ということでございますが、これは原則、連結ベースで求めることと考えているところでございます。具体的な開示内容につきましては、現在企業会計基準委員会で検討が行われております四半期財務諸表の会計基準の整備等を踏まえまして定まっていくことになると思いますが、内閣府令におきまして、企業集団の概況、あるいは提出会社の株主、役員の状況、四半期財務諸表等を定めることが検討されているところでございます。

 二点目でございますけれども、決算短信との関係でございます。取引所におきましても決算短信制度がございますが、四半期報告書は、原則といたしまして、四半期終了後四十五日以内の政令で定める期間内に提出されることになるわけでございます。法律に基づく四半期報告書制度が導入されました場合には、取引所におきましては、このことも踏まえた上で、今後の適時開示のニーズを踏まえながら、適切な開示ルールの整備、運用を行っていくものと承知しているところでございます。

 三点目でございますけれども、会社の経理の状況というのは、これはラフに申し上げますと、いわゆる単体ベースの開示も求める会社ということでございます。これにつきましては銀行、保険会社などでございまして、これは、単体でかつ半期ベースで自己資本比率に係ります情報、これも大変重要でございますので、こういったところにつきまして、現行と同じように半期ごとに、単体ベースの財務諸表につきましてもあわせて開示するということを考えているところでございます。

 こうした点を踏まえまして、現在いろいろな検討も、内閣府令で、またこの御議論も踏まえながら定めていくことになると思いますけれども、内閣府令におきましては、こういった趣旨から、銀行、保険会社等を規定することを検討しているところでございます。

石原(宏)委員 どうもありがとうございます。

 次に、金融商品取引業者等に関する規定の整備、登録金融機関に関する規定の整備におきまして、銀行は有価証券関連及び投資運用業務は行ってはいけない、いわゆる現行の六十五条の規定がされているわけですけれども、一方で、集団投資スキームの持ち分等の募集または私募は、銀行も登録制に基づいて登録を行えば行えるという理解かと思います。

 その場合、私も昔、銀行でレバレッジドリースという、節税ではなくて税の繰り延べの金融商品を扱っていたことがあるんですが、そのときに注意しなければいけなかったのは、融資との抱き合わせ販売であります。要するに、税の繰り延べ商品を買うわけですけれども、持ち分を投資をするわけですけれども、それを銀行がお金を貸して買うというのは、これはいかぬということで行っていなかったんですけれども、この抱き合わせ販売は、銀行が集団投資スキームの持ち分の募集、私募ができるようになるということですから、どのようなルールに基づいて引き続き規制していくのか、その点をお教えいただけますでしょうか。

三國谷政府参考人 集団投資スキーム持ち分等の募集または私募でございますが、これは本法案三十三条第一項の対象とはなっておりませんで、三十三条の二第四号というところで、登録をすれば行うことができることになっているところでございます。

 そこで、御指摘の抱き合わせ販売でございますが、現行証券取引法におきましては、銀行が証券業務とそれ以外の業務を行う場合の弊害防止措置が規定されているところでございます。御指摘のとおり、銀行が、融資を行う条件として顧客に対し証券取引を勧誘するような抱き合わせ販売は禁止されているところでございます。

 本法におきましても、銀行が登録をして、集団投資スキーム持ち分等の募集または私募を行う場合における融資との抱き合わせ販売等に係る弊害防止措置につきましては、法に基づきまして適正に規定する方向で検討してまいりたいと考えているところでございます。

石原(宏)委員 十五問ほど用意していたんですが、時間がないのでちょっと飛ばさせていただきます。

 銀行マン時代、不動産信託のREITですね、J―REITと呼ばれていますけれども、投資信託委託業及び投資法人の資産運用業の認可をとるのに大変苦労をいたしました。書類を持っていっても金融庁に突き返されて、ここは間違っているという、大変苦労をしたんですが、認可の場合は、事前説明を除いて最低一カ月程度が必要であると思いますけれども、今回、法改正によって、投資信託委託業及び投資法人資産運用業の認可というものが投資信託及び投資法人に関する法律の一部改正によって廃止されるわけであります。そして認可がなくなって登録になるということですけれども、登録の場合、事前説明を除いて、登録に要する期間というのはどのぐらいの期間になるのか、ちょっと御説明をいただけますでしょうか。

三國谷政府参考人 投資信託委託業につきましては、現行の認可制から登録制に移行することとなりますが、引き続き、投資者保護の観点から、登録拒否要件を設けることとしているところでございます。業務を的確に遂行するに足りる人的構成を有しているか等を審査する必要がございます。このため、登録の審査に当たりましては、所要の事務処理期間が必要になりますが、私どもといたしましては、事務処理の効率化等に努めることによりまして、可能な限り速やかに登録事務を行ってまいりたいと考えております。

 現行の業態別標準処理期間でございますが、例えば、投信業者認可であれば一カ月以内とか、あるいは証券業登録であれば二カ月以内とかというところになっているところでございますが、事務処理の効率化に努めながら、できるだけ対応してまいりたいと考えております。

石原(宏)委員 一カ月待つのでは心配だったものですから、なるべく短い期間で、内容はしっかり確認していただきながら登録を行っていただきたいと思います。

 続きまして、金融商品取引業者の検査についてお伺いをしたいと思います。

 例えば、現行、大手銀行であれば、毎年もしくは一年半程度に一度、金融庁の検査が行われていると思いますけれども、金融商品取引業者への証券取引等監視委員会の検査がどのように行われるのか。先ほどの金融商品取引業者の区分がありましたから、区分ごとに、もしくは、区分とさらに企業規模等を考慮して、どのような頻度でどのような体制、例えば人数とか、で行われるのか、イメージで結構ですので、金融庁の現行の考え方をお聞かせ願いたいと思います。

 また、オリックスのような、リースだけではなくて幅広く金融商品を売っている会社がありますけれども、証券会社の資格をとっていたかちょっとあれなんですが、そういうかなりの大きな規模で金融商品取引をやっている会社が、もし第二種金融商品取引業の範疇であれば、第二種金融商品取引業だとしても、やはりある程度の検査の必要性があると思うんですけれども、区分だけではなく、取引実態を踏まえて検査を行うという考えが証券取引等監視委員会に今おありになるのか、御意向をお聞かせください。

長尾政府参考人 今回の法案におきまして、金融商品取引業者に対する検査というものは私どもの証券取引等監視委員会が行うとされているわけでございますけれども、この法律の施行後は、検査対象先あるいは範囲が拡大することとなりますので、どの程度の数の業者が新たに登録するのか、こういった状況などを見きわめながら、今後の検査の進め方などについて検討してまいりたいと考えております。

 現状の証券会社等検査のやり方でございますけれども、私ども、検査対象先の選定あるいは実施の頻度につきましては、御指摘のような区分とか規模、あるいはそれ以外にも取引量等々を含めまして、検査対象先等に関するさまざまな資料や情報、あるいはさらに前回の検査の結果、それから検査周期といったもの、こういったものを総合的に勘案して弾力的に選定する。そして、限られた人員でございますので有効に活用するということで、効率的かつ効果的な実施、検査というものをするように努力しているところでございます。法施行後におきましても、基本的にはこういった考え方でやっていくことになろうかと思います。

 それからもう一つ、第二種金融商品取引業者、こちらにつきましても、今先生御指摘のように、取引実態とか取引量など、こういうものも踏まえまして、同様に、やはりさまざまな情報を総合的に勘案して、効率的かつ効果的な検査を実施してまいりたい、こういうふうに考えております。

石原(宏)委員 残り五分となりましたので、二問ほど御質問をさせていただきたいと思います。

 ちょっとテクニカルなところでありますけれども、株式会社形態の金融商品取引所及び金融商品取引所持ち株会社の主要株主規制に関して質問をいたします。

 認可金融商品取引業協会、金融商品取引所または金融商品取引所持ち株会社を除き、二〇%を超える議決権の取得、保有を禁止するというふうにありますけれども、その中で、一定の場合は一五%という記載がございます。この一定の場合は一五%というのはどのような場合なのか、御説明をしてください。

三國谷政府参考人 取引所の主要株主規制におきましては、取引所の議決権を保有しようとする者と取引所との間におきまして、取引所の財務及び営業の方針の決定に対して重要な影響を与えることが推測される事実がある場合につきましては、原則二〇%の保有禁止をより厳格化し、一五%としているところでございます。

 なお、例えば会計基準等におきましても、持ち株会社の適用につきましては、二〇を原則としつつ、一定の場合には一五というようなことが設けられているような例もあるところでございます。

 具体的な中身でございますけれども、保有しようとする法人の役員等または役員等であった者で、取引所の財務及び営業または事業の方針の決定に関して影響を与えることができる者が、取引所の代表取締役、取締役またはこれらに準ずる役職に就任していること、あるいは、保有しようとする者が、取引所に対しまして重要な融資技術の提供または重要な事業上の取引を行っていること、あるいは、その他保有しようとする者が、取引所の財務及び営業または事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができることが推測される事実が存在することなどを規定しているところでございます。

 これは現行の扱いでございますが、今回の法案におきましても、これと基本的に同じ内容のものを規定することを考えているところでございます。

石原(宏)委員 最後の質問をさせていただきたいと思います。

 金融商品取引業者の登録について、どのように今後周知徹底していくのか。本法律が通過した場合、施行まで最長一年半の余裕はあるものの、金融庁のお考えを教えてください。

 また、先ほど中根委員からも質問がありましたけれども、登録をせずに取引を行った場合罰則があるわけですが、その罰則の中身について、またその摘発の方法について御説明をください。

櫻田副大臣 本法案では、金融商品取引業を行う者に対して、あらかじめ内閣総理大臣の登録を受ける義務を課すこととしているところであります。

 現行の証券取引法に基づき既に登録を受けている業者は、施行日において金融商品取引法上の登録を受けた者とみなすこととしており、新たに登録する必要はないが、役員名や業務の種別等について記載した書類を施行日以後三カ月以内に提出する必要があります。

 他方で、規制対象業務の拡大により、これまで登録等が必要なかった業者については、施行日以後六カ月以内に登録を申請する必要がございます。

 規制の実効性の確保の観点からは、このような届け出や登録を確実に行っていただくことが重要であり、法案成立後は、御指摘のとおり、当庁としても積極的に周知、広報に努めてまいりたいと思っております。

 無登録業者の問題につきましては、現在金融庁にも、例えば未公開株にかかわる無登録業者に関する多数の情報、相談が寄せられております。こうした情報、相談等も参考にしつつ、全国の財務局を通じて、可能な範囲で業者の実態把握に努め、無登録業者が行っている場合、または行っているおそれがあると判断される場合においては、必要に応じて当該業者に対して警告書を発するほか、警察当局へ情報提供することとしております。

 金融取引業者におきましては、営業所における標識の掲示、広告及び契約締結前の交付書面における金融商品取引業者である旨の表示を義務づけるとともに、金融商品取引業者でない者に対して金融商品取引業者であると誤認させるような名称使用や標識掲示を禁止することにより、顧客にとってその取引の相手方が登録を受けた金融商品取引業者であるかどうかが明らかになるようにしております。

 無登録業者につきましては、現行と同様、罰則を科すといった措置を講じているところでありまして、当庁としましては、今後とも、苦情等の動向を注視するとともに、関係機関との連携を図りつつ適切に対処してまいります。

石原(宏)委員 時間が参りました。最後に一言だけ。

 私は、現行の金融市場を考えた場合、本法案は可及的速やかに承認されるべきだと考えております。あとは市場参加者への周知徹底と監視体制の強化であると考えます。ぜひともよろしくお願いします。

 また、政府の公正で透明性のある市場づくりを努力するこの姿勢というものをぜひとも海外にもしっかりと発信していただき、日本の金融市場というものは公正で、そして透明性があるということをしっかりと海外にも発信していただきたい。そのことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小野委員長 以上で石原宏高君の質疑は終了いたします。

 次に、石井啓一君。

石井(啓)委員 おはようございます。公明党の石井啓一でございます。

 まず冒頭、今回の金融商品取引法の対象範囲、法的な枠組みについて質問をさせていただきたいと思います。

 今回の金融商品取引法においては、銀行法ですとか保険業法などの販売、勧誘規制の存在を前提にしまして、投資性のある金融商品の販売、勧誘について横断的な規制枠組みが設けられたわけでございますけれども、一方で、預金あるいは保険につきましては、投資性のある外貨預金や変額保険のみならず、預金、保険全般も対象にした包括的な規制の枠組みを設けることが必要であるというふうな意見も金融審議会であったというふうに承知をしておりますけれども、今回の法的枠組みにいたしました背景あるいは理由等、確認をさせていただきたいと思います。大臣、よろしくお願いします。

与謝野国務大臣 委員御指摘のとおり、金融審議会第一部会においては、昨年末の報告書の取りまとめに向けて、預金、保険全般を対象に含む、より包括的な法制に関する議論がなされてまいりましたけれども、意見が分かれているのが現状でございます。他方、我が国の金融資本市場をめぐっては、現行法では実効的な対応が困難なものを含め、種々の利用者被害事例が生じております。

 このため、法規制のすき間を埋め、利用者保護ルールの拡充により、さらなる利用者被害の拡大を防止することが喫緊の課題と考えられます。こうした観点から、金融審議会第一部会報告においても、まずは投資性のある金融商品について早期の法制化に取り組むことが必要との指摘をいただいたところでございます。

 これを受けまして、今般の法案においては、同じ経済的性質を有する金融商品には同じルールを適用するとの基本的考え方のもと、預金、保険のうち、外貨建て商品や変額商品など投資性の強いものについては、銀行法及び保険業法において金融商品取引法の販売、勧誘ルールを準用し、規制の同等性を確保することとしたものでございます。

石井(啓)委員 金融審議会では意見が分かれていたけれども、とりあえず急ぐべきところをやる、こういう御説明でございました。

 金融審の報告の中でもそういったことを踏まえて、「金融商品全般を対象とする、より包括的な規制の枠組みの検討については、投資サービス法の法制化とその実施状況、各種金融商品の性格、中長期的な金融制度のあり方なども踏まえ、当部会において引き続き精力的な検討を続けていくこととしたい。」、こういうふうにされておりまして、今回、投資サービス法といいますか金融商品取引法というふうになったわけでありますけれども、この法律の施行の状況等を踏まえ、預金、保険を対象に含む、より包括的な法制の検討は、これは引き続きやはり必要だというふうに思いますが、大臣の御見解をいただきたいと思います。

与謝野国務大臣 金融庁としては、まず、今般の法律に盛り込んだ利用者保護ルールの徹底を図ることが求められていると考えますが、その上で、金融審議会における検討状況を踏まえつつ、金融商品に係る規制の枠組みについて引き続き検討を続けていくことになると考えております。

石井(啓)委員 金融商品販売法をつくったのがホップ、ステップ、ジャンプで言うとホップに当たる、今回、金融商品取引法はステップに当たるんだ、将来的にもう一段包括的な法制としてジャンプをやっていくんだと。ホップ、ステップ、ジャンプとよく言われておりますけれども、今回はまずはステップをきちんとやるということでありますが、それはそれとして、しっかりとやっていただきまして、また将来的にはジャンプもぜひ目指していただきたいと思っております。

 それで、今回、投資性のある商品について横断的な枠組みをつくったということでありますけれども、先ほどの質問にもございましたが、投資性の高い不動産特定共同事業やあるいは商品先物について、それぞれ、国土交通省、金融庁所管の不動産特定事業法ですね、それから商品先物については経産省、農水省所管の商品取引所法を存続させて、監督検査はそれぞれの所管官庁で引き続き行うということになっております。

 これにつきましては、大手新聞の社説では一斉に所轄省庁の縦割り構造が残ったという批判をされておりますし、また、経済同友会の意見書でも、経済的に見ても深刻な問題だというふうな批判がされております。

 ちょっと御紹介をいたしますと、例えば、これは三月十三日付の日経新聞の社説では、「盛りだくさんの金融基本法だが、消費者保護法としても資本市場法としても中途半端な感が否めない。 まず、銀行預金や保険商品の大半が規制対象から外れ、元本保証がなく投資リスクの高い商品である商品先物取引や一部の不動産ファンドなども漏れている問題だ。経済産業省や農林水産省、国土交通省が所管する金融商品の漏れは、金融商品取引法を所管する金融庁と各省の縄張り争いの結果ともいわれる。そうだとすれば言語道断だ。消費者保護の趣旨からは少なくともリスク商品を網羅する必要があり、」こんな指摘があります。

 また、経済同友会の金融商品取引法に関する意見書ではどんなふうに言われているかといいますと、「利用者の立場から見て、商品先物や不動産ファンドも、リターンを目的としてリスク資金を投じていることに変わりなく、金融商品取引法が部分的にしか適用されず、他の投資商品とは監督官庁が異なるままになるということは行政の都合に過ぎない。 監督官庁の縦割りが残ることで、規制・監督の効率性も低下する。」ちょっと省略いたしますが、「経済界の立場から見ても、問題は深刻である。」「伝統的な金融業務と商品取引業務、あるいは不動産取引業務との境界が融合しつつあるのである。 また、米国では、一つの取引所において、証券・金融商品の先物取引と商品先物取引の両方が行われている。欧州やアジア諸国の主要取引所では、証券の現物取引と、証券、金融、商品の先物取引が一体として行われている。グローバルな取引所間の競争において、投資家の利便性を追求し、多様な商品に関して包括的な取引サービスを提供することが、重要な戦略となっているのである。」。

 こんな意見書も出されておりまして、これらの社説とか意見書が必ずしも正しいとは思いませんし、また、ちょっと誤解をしているところもあると思うんですけれども、なかなか評判がもう一つ芳しくないということもございますので、今回、不動産特定共同事業あるいは商品先物について、金融商品取引法で一括で規制をせずに別法を残した理由について、この際確認をしておきたいと思います。大臣、よろしくお願いします。

与謝野国務大臣 まず御指摘の不動産特定共同事業につきましては、不動産特定共同事業法において、利用者保護の観点から、書面交付義務等に加えまして、不動産固有の規制が多く課されているところでございまして、こうした不動産固有の規制を維持するためには、引き続き不動産特定共同事業法において規制を行うことが必要であると考えております。また、商品先物取引は、農産物や鉱物の生産や流通において発生する価格変動リスクに対する保障機能を担うなどの役割を果たしております。したがいまして、現物取引の生産、流通をめぐる政策と密接に関係するものとして、引き続き商品取引所法において規制することとしたものでございます。

 このような観点から、今般の法案では、不動産特定共同事業や商品先物取引を金融商品取引法の直接の対象とはしておりませんものの、これらの業法において基本的に金融商品取引法と同様の利用者保護ルールを適用することとしており、これにより利用者保護のための横断的な法制が整備されているものと考えております。

 また、各省庁との関係が論説等に書かれておりますけれども、今回の法律案につきましては、関係省庁とも協力して、投資性の強い金融商品等について、それぞれの業法において規制の内容を同等にし、基本的に金融商品取引法と同様の利用者保護ルールを適用したところでございまして、今後とも関係省庁とも連携を密接に図ってまいりたいと考えております。

石井(啓)委員 この金融商品取引法をつくるに当たって、私は、金融庁は相当頑張ったと思っているんですよね。やはり、所管の省庁の壁を乗り越えるというのは、これは大変なことでございますから、その中であっても同様の規制を盛り込むところまで頑張ったというのは私は金融庁さんは頑張ったと思うんですけれども、これは金融庁に対する応援の意味で申し上げるんですけれども、本来であれば、融資とか保険というのはさておいて、少なくとも投資性のある商品については同じ法律で包括的に規制するのが望ましいんじゃないかな、そこまでやれれば本当はよかったのではないかなというふうに思うんですね。

 これも今回の金融商品取引法の施行の状況等を踏まえ、今後、引き続き検討する必要があるのではないかというふうに思っておりますが、いかがでございましょうか。

与謝野国務大臣 いずれにいたしましても、商品先物取引や不動産特定事業に関する利用者保護の徹底を図るためには、まずは所管官庁において、今般の法案において措置された利用者保護ルールを含め、各業法の運用の厳格化を図ることが必要であると考えております。

 その上で、今後、今般の法案の実施状況等も踏まえつつ、金融審議会における金融商品全般を対象とする、より包括的な規制の枠組みの検討が行われる際に、これらの金融商品の取り扱いについても引き続き検討を行っていくことになると考えております。

石井(啓)委員 では、引き続き検討の方をよろしくお願い申し上げます。

 続いて、不招請勧誘について、それから再勧誘について、それぞれ禁止の規定が盛り込まれておりますので確認をいたしたいと思いますが、まず、不招請勧誘につきましては、金融商品取引法第三十八条第三号で、「当該金融商品取引契約の内容その他の事情を勘案し、投資者の保護を図ることが特に必要なものとして政令で定めるもの」、こういうふうにされておりますけれども、この政令で定める要件がどういう要件になるのかということを確認したいと思います。

 それから、今回、この政令で定める商品については、外国為替証拠金取引を予定しているというふうに承知をしておりますが、どういう理由づけで定めることになるのか、この点についても確認をいたしたいと思います。

三國谷政府参考人 御指摘のとおり、不招請勧誘の禁止対象につきましては、「当該金融商品取引契約の内容その他の事情を勘案し、投資者の保護を図ることが特に必要なものとして政令で定めるもの」とされているところでございます。

 政令の具体的な内容は、今後、具体的な検討を進めていくことになりますが、当面の適用対象ということにつきましては、御指摘のとおり、外国為替証拠金取引等の店頭金融先物取引を定めることが適当と考えております。

 その理由は、レバレッジが高いなどの商品性、それから、執拗な勧誘や利用者の被害の発生という実態、これを考慮することが必要と考えているところでございます。

石井(啓)委員 外国為替証拠金取引はわかりましたけれども、一般的に政令で定める要件というのはどういうふうなことになりますでしょうか。

三國谷政府参考人 不招請禁止規定の対象範囲につきましては、昨年十二月の金融審の報告におきまして、適合性原則の遵守をおよそ期待できないような場合とする旨の考え方が示されているところでございます。

 そういったことを踏まえまして、私どもとしては、レバレッジあるいは執拗な勧誘の実態等を考慮して定めていきたいと考えているところでございます。

石井(啓)委員 その商品性ということと被害の実態、この二つが要件になるということでございましたが、では、続いて、再勧誘の方ですね。再勧誘の方につきましては、これも、これは金融商品取引法三十八条の五号ですが、「当該金融商品取引契約の内容その他の事情を勘案し、投資者の保護を図ることが必要なものとして政令で定めるもの」、こういうふうにされておりますけれども、この再勧誘の政令の指定の要件はどういうことになるのか。再勧誘禁止ですね。

 それから、不招請勧誘の禁止と再勧誘の禁止というのは、その要件にどういう差が出てくるのか、この点を確認いたしたいと思います。

三國谷政府参考人 不招請勧誘の禁止と再勧誘の禁止でございますが、御指摘のとおり、この定めは、不招請勧誘の場合には、金融商品取引契約の締結の勧誘の要請をしていない顧客に対しまして、訪問し、または電話をかけて金融商品取引契約の締結の勧誘をする行為という位置づけでございます。

 再勧誘の禁止の方でございますけれども、金融商品取引契約の締結の勧誘を受けた顧客が当該金融商品取引契約を締結しない旨の意思を表示したにもかかわらず、当該勧誘を継続する行為、そういう位置づけでございます。

 したがいまして、不招請の勧誘の方が一段きつい規制になっておるわけでございますが、これにつきましては、先ほど申しましたように、商品性あるいは勧誘等の実態に応じまして、金融先物取引の店頭取引、こういったものを対象とすることを考えているところでございます。

 もう一方、再勧誘の禁止につきましては、そういったものの中で、例えば、外国為替証拠金取引のうち取引所で取引するもの、こういったものを考えているところでございます。

石井(啓)委員 もう一度、ちょっと丁寧に説明していただきたいと思うんですけれども、その不招請勧誘禁止にする商品と再勧誘禁止にする商品との差はどういうところに設けるのか、そこをもう少し丁寧に説明していただけますでしょうか。

三國谷政府参考人 趣旨でございます。再勧誘の禁止の方は、不招請勧誘の禁止を課すには至りませんが、利用者の意思に反する再勧誘を認めることが適当でないと認められる商品取引に対して適用するというようなことが部会で報告されているところでございます。

 一方、不招請勧誘の禁止につきましては、適合性原則の遵守をおよそ期待できないような場合ということでございまして、それぞれ具体的な適用範囲は政令において定めることとされているところでございます。

 なお、再勧誘の禁止でございますが、先ほど申し上げましたように、取引所における金融先物取引、これを含めまして金融先物取引につきまして、このような考え方に基づきまして適用することを考えているところでございます。

石井(啓)委員 そうすると、不招請勧誘の禁止の方は、適合性原則の遵守がおよそ期待できないということですと、では再勧誘の場合は期待でき得るということになるかと思いますが、では、もう少し聞きますけれども、適合性原則がおよそ期待できないというのはどういうことになるんでしょうか。

三國谷政府参考人 およそ期待できないような場合ということで、報告書ではそのような報告がなされているところでございます。

 これにつきましては、御説明申し上げましたように、金融商品のレバレッジの程度、あるいはこれまでのいろいろな実態におきまして、店頭の外為証拠金取引、こういったものが該当するということで、具体的な定めはそれぞれ政令において定めることとしているところでございます。

 一方、取引所におけます金融先物取引でございますけれども、これは外国為替証拠金取引を規制する金融先物取引法改正後に導入されたものでございまして、その商品性につきまして、一つ、業者は顧客の証拠金を取引所に預託する義務がある、あるいは取引所は証拠金を分別管理している。次に、公開市場で価格が決定されますことから、価格が透明、公正であり、業者が約定価格等からさや抜きできない仕組みとなっている。それから、取引相手方は取引所、これは清算機関でございまして、業者が破綻いたしましても、証拠金、債務履行に影響はないこと、こういったこと等から店頭金融先物取引に比べまして、取引制度が整備されていることから不招請勧誘の禁止の対象とはしない一方で、新たに導入されます再勧誘の禁止の対象とすることを考えているということでございます。

石井(啓)委員 ちょっともう一度繰り返しますけれども、再勧誘の方は、商品性については、適合性原則の遵守というのが期待でき得ると。ところが、不招請勧誘の禁止の方は、およそそもそも期待できないんだ、ということは、この不招請勧誘禁止の方の商品というのは、まあそもそも勧誘してはいけないような、社会悪的な商品なんだ、簡単に言ってしまえばそういうものだというふうに考えればよろしいでしょうか。

三國谷政府参考人 これは、一つの考え方として、そのような整理がされている一方で、やはり実態ということが非常に大きいと思います。

 これまで外国為替証拠金取引がどのような被害状態があったか。このような実態というものをそういった形で評価した場合に、それについてはそのようなことが言えるのではないかというような観点から定められていくものかと思っております。

 したがいまして、これからもいろいろな取引類型が仮に生じた場合におきまして、その実態というものが生じました場合には、その実態に応じて適切に対応していくということが基本になろうかと考えております。

石井(啓)委員 それでは、今回は、先ほど御説明ありましたように、外国為替証拠金取引のうち店頭取引を政令で指定する予定であるけれども、今後いろいろな取引の実態等を踏まえて適宜政令で指定をしていく、こういうことでよろしいですね。

三國谷政府参考人 御指摘のとおりでございまして、利用者被害の実態等にかんがみまして、金融商品取引法の不招請勧誘の禁止規定対象に追加すべき金融商品・サービスが出てきたような場合には政令において機動的に指定していくことができるような、そういう制度として提案させていただいているところでございます。

石井(啓)委員 はい、わかりました。

 それで、イギリスでは、原則として不招請勧誘を禁止し、例外として認めるという規制の体系になっているようでございますが、その内容について御説明をいただきたいと思います。

 あわせて、金融審議会の議論の中でも、我が国においても原則としてすべての商品に不招請勧誘の禁止を適用し、商品性に着目して適用の除外の規定を設けるべきではないかという意見があったというふうに承知をしておりますけれども、これについてはどういう見解か、伺いたいと思います。

三國谷政府参考人 御指摘のとおり、イギリスの金融法令におきましては、原則として、業者は顧客からの要請に基づかない戸別訪問、電話その他の対話による勧誘等、いわゆる不招請勧誘と言われますが、これを行ってはならないとされているところでございます。一つには、業者と顧客との間に以前からそのような勧誘を受けることを予見し得るような関係が確立している場合、あるいは二つには、取引を行うことによって生じる損失等が大きくない場合、例えば、認可業者等が国債、上場株式、投信等、一般向けに通常販売されるものを勧誘する場合などはこの対象から除外されているものと承知しております。

 次に、我が国の議論でございますけれども、不招請勧誘の禁止につきましては、原則としてすべての商品に適用し、商品性に着目して適用除外規定を設けるべきとの意見があることは承知しているところでございますが、その場合には、例えば、新たな金融商品・サービスにつきまして顧客への説明機会が極めて限られてしまいますなど、業者の営業の自由を制限する面もございます。

 このため、不招請勧誘の禁止の対象範囲につきましては、昨年の金融審議会報告におきまして、「適合性原則の遵守をおよそ期待できないような場合」、こういうことになっているわけでございまして、これを踏まえまして、取引の性質や利用者被害の実態等を勘案して定めることが適当というぐあいに考えている次第でございます。

 先ほど申し上げましたとおり、いずれにいたしましても、利用者被害の実態等にかんがみまして、金融商品取引法の不招請勧誘の禁止規定対象に追加すべき金融商品・サービスが出てきた場合には政令において機動的に指定できるような、そういう法案として御提案申し上げているところでございます。

石井(啓)委員 商品先物に関する苦情とか被害が多いということで、いろいろなところで指摘をされておりますので、ちょっとこの際、経済産業省さんに伺いたいと思います。

 商品取引所法につきまして、平成十六年に法改正が行われているわけでありますけれども、ここでの投資家保護、どういう内容になっているのか、確認をしたいと思います。この改正法が昨年の五月に施行になっておりますが、その施行後、商品先物に関する苦情や被害の件数はどういうふうに変化をしたのか、これについても確認をいたしたいと思います。

谷政府参考人 平成十六年の通常国会において成立した改正商品取引所法では、まず、商品取引員が勧誘等を行うに際して、勧誘に先立って、自己の商号及び商品先物取引の勧誘を行うことを告げた上で、勧誘を受ける意思を確認することの義務づけ、一度勧誘を断った者に対する勧誘を禁止するいわゆる再勧誘の禁止、顧客の知識、経験及び財産の状況に照らして不適切な勧誘を行ってはならないとする適合性原則の導入等の抜本的な勧誘規制の強化を行っております。なお、強化した勧誘規制を実効あるものとするため、主務省において、勧誘規制の内容を具体化した商品先物取引における委託者の保護に関するガイドラインを制定しております。

 さらに、これらの勧誘規制の強化に加えまして、商品先物取引の仕組み、リスクを顧客に事前説明することを義務づけるとともに、これに違反した場合の民事上の損害賠償責任を課す民事ルールを新たに導入したところです。また、委託者資産の保全を徹底するため、委託者が取引の担保として預託する証拠金の全額を、全商品取引所共通の商品取引清算機関において完全に分離して保管する制度を導入するとともに、商品取引員の破綻等によって、万一、委託者資産が毀損した場合におけるセーフティーネットとして、委託者保護基金の制度を整備しております。

 本改正法は、御指摘のとおり、平成十七年五月に施行されたところですが、平成十七年度に国民生活センターに寄せられた商品先物取引に係る苦情件数は、現在、同センターから聞いておりますところでは四千二百十二件となっております。なお、平成十五年度及び平成十六年度に国民生活センターに寄せられた苦情件数は七千件を超えておりますところ、これと比較いたしますと、改正法施行後における苦情件数は大幅に減少しております。

石井(啓)委員 今御説明ありましたとおり、確かに苦情、被害件数は減っているようでありますけれども、まだまだ多いと思うんですね。私は、商品先物については、今説明があったような再勧誘の禁止ですとか適合性の原則というのをきちんと守れば、苦情、被害件数はもっともっと大幅に減少させることができるというふうに思っております。

 商品取引所法につきましては、法改正のみならずガイドラインというのも設けているようですけれども、そういった運用をやはり厳しく適用すべきだと思うんですね。商品先物業者等を厳しく監督すべきであるというふうに思いますけれども、どのようにお考えなのか、確認をいたしたいと思います。また、それでも被害が多く残る場合には、この際、不招請勧誘の禁止対象としても検討すべきではないかというふうに考えますが、その点についてもあわせて確認をいたしたいと思います。

谷政府参考人 先生御指摘のとおり、商品先物につきましては、既に勧誘規制としては厳格な再勧誘の禁止を導入するなど、抜本的な投資家保護措置を講じたところでございます。また、御指摘のとおり、法令上どのような類型の行為が違反となるかを明確にすることにより、商品取引員における法令遵守体制の適切な強化が期待できるということから、勧誘規制の内容について具体化いたしました商品先物取引の委託者の保護に関するガイドラインを制定いたしました。また、その厳格な運用を図っているところでございます。さらに、今般の証券取引法改正法案におきまして、金融商品取引法等と同等の利用者保護規制の整備を図り、その内容を充実することとしております。

 経済産業省といたしましては、引き続き農林水産省との連携のもとに、厳正かつ的確な立ち入り検査を行ってまいります。

 また、違法行為に対しましては、法に基づいて厳正に処分するということによりまして、委託者保護の徹底を図ってまいりたいと思います。これが一番重要なことと考えております。

石井(啓)委員 後半の質問の方はどうでしょうか。それでもなお被害が残る場合は、不招請勧誘の禁止の対象も視野に入れるべきじゃないかということですが。

谷政府参考人 現在、業界にもこのガイドラインを徹底いたしまして、検査監督体制の強化、一層の連携の強化も図り、改正法の執行に鋭意努めているところでございます。これによりまして、苦情件数も、まだ四千件は超えておりますけれども、大幅に減少するなど、その効果が発揮されているところでございます。

 したがいまして、経済産業省といたしましては、引き続き規制が強化された商品取引所法を厳格に執行していくということによりまして、委託者保護に全力を尽くしてまいりたいと考えております。

石井(啓)委員 先ほど言いましたように、まだ四千件というのは、その前から比べると減ったことは確かなんだけれども、まだまだ数としては多いですよね。いろいろな社会的な事件の背景にもこの商品先物による被害があるというふうに言われておりますので、ここはやはり相当厳しくやっていただかなければならないと思います。

 その上で、今後の状況を見ては、この不招請勧誘の禁止というのも私はやはり視野に入れて考えなければいけないと思っておりますので、そういう緊張感もぜひこの商品先物の業者の方には持っていただかなければならないと思っておりますので、経産省さんの方は、検査監督、しっかりとやっていただきたいと思っております。

 それから、今回、金融商品取引法で融資の規制がどうなっているかということについて、ちょっと確認をしたいんです。

 信用取引で、融資が組み込まれるなど、投資商品の中に融資が商品の仕組みとして入っているケースがございますね。そういったものはきちんと説明されるのかどうかというのを確認いたしたいと思います。

 あわせて、かつての変額保険の被害では、例えば、相続対策になるというような口車に乗せられて、過剰な融資を受けて、それで変額保険を購入した、そのために被害が膨らんだということがございますので、投資性の商品と融資がセットになった場合、こういう場合の融資の規制というのはどうなるのか、確認をいたしたいと思います。

三國谷政府参考人 本法案におきまして、融資そのものは規制の対象とはなっておりませんが、信用取引のように、金融商品に融資が組み込まれている場合につきましては本法案の規制の対象となりまして、例えば、金融商品の商品性に応じまして、契約締結前の書面交付による仕組みの説明が義務づけられるほか、適合性の原則は適用されることになっております。

 また、投資性商品と融資を組み合わせて取り扱う場合につきましては、本法案において、例えば、金融商品取引を行うことを希望する顧客に対し融資を受けることを強要する行為を禁止するなど、抱き合わせ販売の防止措置を講じているところでございます。

 なお、御指摘のありました変額保険と融資を組み合わせて取り扱う場合につきましては、抱き合わせ販売の防止措置のほか、これは保険業法それからその施行規則の方になりますけれども、信用供与を受けて当該保険契約に基づく保険料の支払いに充てる場合は、当該保険契約に基づく将来における保険金の額及び保険契約の解約による返戻金の額が資産の運用実績に基づいて変動することにより、その額が信用供与を受けた額及び当該信用供与の額に係る利子の合計額を下回り、信用供与を受けた額の返済に困窮するおそれがある旨の説明を義務づけるなど、そういった弊害防止措置を講じているところでございます。

石井(啓)委員 かつての変額保険の場合でも、必ずしも強要しているわけじゃないんですよね。強要はしていないんだけれども、うまく話を持っていかれて、ああそうかと。特に、バブルのときですから、地価が高いこともあって、相続税で大変な方に、いや、これは相続の対策になるということで、うまく乗せられてやってしまったということですけれども。

 今の説明だと、そういうケースでも、過剰融資を受けて、将来それが返せなくなるようなケースについてはきちんと説明しろということですが、ここはやはり投資家の方も誤解のないようにやっていただかなければ、同じような被害が将来生じないとも限りませんので、そういった過剰融資とセットになったものはやはり厳しく見ていくということでよろしゅうございますね。ちょっと確認をいたしたいと思います。

三國谷政府参考人 いずれにいたしましても、取引行為が適正に行われることが肝要でございまして、先ほど申し上げましたように、保険業法あるいは施行規則等におきましてもそのような説明義務を定めているところでございます。

 こういったことに基づきまして、適切な行為が行われることが必要でございますし、私どもとしても適切に対応していくことが求められていると考えております。

石井(啓)委員 それでは、適切にこれは運用していただきたいと思います。

 それから、今回の法改正によりまして、商品先物取引に新たに損失補てんの禁止が適用される、こういうことになりますが、商品先物の被害を扱っている弁護士等の実務家からは、商品先物で損失補てんが禁止をされると、示談による被害の救済ができなくなると。業者側から、損失補てんの禁止が適用されているので示談の解決はできませんと、こういう示談解決を断る理由にされるというふうな懸念が示されていますけれども、これについてはいかがでありましょうか。

三國谷政府参考人 損失の補てんでございますけれども、現行の証券取引法と同様に、本法案におきまして、商品先物取引について損失補てんを禁止しております。

 これは、損失補てんが、市場における正常な価格形成機能をゆがめ、市場仲介者として保持すべき中立性、公正性に反し、投資家の市場に対する信頼を大きく損なう行為であるということであり、この趣旨は商品先物取引についても当てはまるものであると考えているところでございます。

 なお、商品先物取引業者が違法行為等により顧客に損害を与えた場合につきましても、現行の証券取引法と同様に、損失が事故に起因するものであることにつき、主務大臣の確認を受けている場合や主務省令で定める場合には、損失補てんの禁止規定は適用されず、当該顧客がこうむった損害の賠償を行うことが可能であるなど、投資家保護と市場の信頼性、透明性の向上の双方に資する制度ということで提案させていただいているところでございます。

石井(啓)委員 では、今の説明ですと、商品先物業者等が違法行為を行って投資家に損害を与えたケース等では損失補てんの禁止は適用されない、すなわち示談は従来どおりできる、こういうことでよろしいですね。ちょっと確認をいたします。

三國谷政府参考人 そういうことでございます。

石井(啓)委員 わかりました。この点については、大分御心配されている向きもあるようでございますので、よく御説明をいただきたいと思います。

 続いて、金融商品取引法では、今回、一般の投資家とプロの投資家を区別して規制を柔軟化、柔構造化するということになっています。一般投資家に対しては投資家保護の規制を強める一方で、プロ投資家に対しては規制を緩めるということなんでありますが、個人の場合は、原則として一般投資家の扱いをいたしますけれども、知識、経験、財産の状況によっては、投資家の方が金融商品取引業者に申し出をいたしまして、業者の方が確認をすればプロ扱いになることができる、こういうふうにされています。

 この場合、業者の方が個人の方に、うまい口車に乗せて個人にプロ扱いの申し出をさせておいて、プロが扱うような投機性の高い商品を売りつけるんではないかという懸念もあります。したがって、個人がプロ投資家へ転換できる要件というのは厳格にすべきであるというふうに考えますけれども、これについての見解を伺いたいと思います。

 あわせて、知識、経験、財産等の要件、これはそれぞれ具体的な基準がどうなるのか、確認をいたしたいと思います。

三國谷政府参考人 御指摘のとおり、特定投資家制度を導入する際には、個人投資家の保護、これも図る必要がありますことから、原則として個人投資家はすべて一般投資家ということを基本とした上で、知識、経験、財産の状況が特定投資家に相当する者として一定の要件に該当する者に限り、その選択によりまして特定投資家への移行を申し出ることができることとしております。手続面でもそのような規制を適正に踏むことが必要でございますが、実質面におきましても、御指摘ございましたように、知識、経験、財産の状況、こういったものを勘案することとしているところでございます。

 この詳細につきましては、これから各方面の御意見も伺いながら検討していくことになりますが、現時点では、知識、経験、財産の状況を総合的に勘案した要件といたしまして、例えば、その資産の合計額から負債の合計額を控除した額が一定以上であり、かつ、その資産のうち有価証券等の合計額が一定以上である者等の要件を定めることを考えているところでございます。

 さらに、特定投資家にふさわしくない個人が選択による特定投資家への移行を行うことがないよう、業者に対しましては、特定投資家に係る特例の内容や当該移行に伴うリスクを記載した書面の事前交付義務、次に申し出者が選択により特定投資家に移行可能な一般投資家の要件に該当していることの確認義務、あるいは申し出者が特定投資家に係る特例の内容や当該移行に伴うリスクを理解している旨につき書面により同意を取得する義務を課すなど、所要の規制を整備しているところでございます。

石井(啓)委員 具体的な要件についてはこれからということでありますけれども、先ほど申し上げましたように、これは個人が申し出て、それを確認するのは、別に公的機関じゃなくて、金融商品取引業者の方なんですね。だから、この業者の方がいいかげんな確認をすると、本来ふさわしくない個人までもなってしまうようなことにもなりかねませんので、ここの扱いは厳格にやっていただきたいと思います。

 それから、財産の要件はこれから決めるようでありますけれども、知識経験で、例えば大学を出ているとか会社で経理を扱っている、だから知識経験があるんだというような単純なことではなくて、プロ扱いするからには、やはりこれまで相当の投資性のある商品を扱ってきた、こういうことはやはりきちんと確認をする必要があると思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。

三國谷政府参考人 まさしくそういったことをやはり総合的にあるいは客観的に位置づけるようなことも必要なわけでございまして、その意味で、先ほど申し上げましたとおり、その資産の状況、それも、資産の合計額から負債の合計額を控除した額、あるいはその資産のうち相当規模を有価証券等で保有している、こういった経験等があるということを実質的な要件として定めることを考えているところでございます。

石井(啓)委員 続きまして、裁判外紛争処理制度について伺いたいと思いますけれども、これまでも金融審の報告書でこの充実が指摘をされております。

 法案では、自主規制機関である金融商品取引業協会以外の民間団体に紛争あっせん機関としての認定を行う仕組み、すなわち認定投資者保護団体というんでしょうか、この認定を行う仕組みを設けておりますけれども、その認定の基準がどうなっているのか確認をいたしたいと思います。

 また、どういう団体を認定機関として想定されているのか、あわせて確認をいたします。

三國谷政府参考人 御指摘のとおり、苦情解決あっせん業務の業態横断的な取り組みをさらに推進するために、本法案におきましては、金融商品取引法上の自主規制機関以外の民間団体が苦情解決あっせん業務を行う場合に、当該団体の自発的な申請に基づきまして、行政がこれを認定することにより、当該民間団体の業務の信頼性を確保する観点から、この認定制度を設けることとしているところでございます。

 認定投資者保護団体として認定されるための基準につきましては、認定を取り消されて二年を経過しない者等の一定の欠格事項に該当しないかといった点のほか、一つには、その団体が団体業務を適正かつ確実に行うに必要な業務の実施の方法を定めていること、次に、その団体が業務を適正かつ確実に行うに足りる知識、能力、経理的基礎を有するものであること、認定投資者保護団体業務以外の業務を行っている場合には、その業務を行うことによってその団体の業務が不公正になるおそれがないことといった要件を満たす必要があると考えております。

 また、認定投資者保護団体制度につきましては、このような趣旨から、例えば認可金融商品取引業協会とか公益法人金融商品取引業協会といった金融商品取引法上の自主規制機関に該当しない民間の団体で、苦情解決あっせん業務を行う者等を活用することが考えられているところでございます。

石井(啓)委員 そういたしますと、金融商品取引被害を扱っている消費者団体やNPO等も、この認可の基準に該当すれば認可され得るということですね。ちょっと確認をします。

三國谷政府参考人 御指摘のとおりでございます。

石井(啓)委員 わかりました。

 そうしますと、従来に比べて、裁判外紛争処理制度というのはいろいろな団体で行われ得るということでありますから、この充実が図られているというふうに確認をさせていただきました。

 それから、これは大臣にお伺いしますけれども、金融経済教育の充実ということでございます。これは、今政府も預金から投資へということで進めておりますし、ますます投資家教育というのは非常に重要になってくるというふうに思っております。

 一方では、先ほど申しましたように、いろいろな金融に関する被害等もありますので、そういった点についてのやはり啓蒙、教育というのが必要だと思いますが、法案では、自主規制機関や今申し上げた認定投資者保護団体に金融経済教育への取り組みの規定を設けておりますけれども、政府自身も、より積極的にこの金融経済教育の充実に取り組んでいただきたいと思っています。大臣の御見解を伺いたいと思います。

与謝野国務大臣 議員御指摘のとおり、政府自身も金融経済教育に積極的に取り組む必要があることは強く認識をしております。

 こうした問題意識から、昨年三月から金融経済教育懇談会において金融経済教育について精力的に御議論をいただいた結果、六月に金融経済教育に関する論点整理がまとめられ、金融庁としては、直ちに実施すべき事項について御提言をいただいたところでございます。

 金融庁としては、政府関係機関や金融関係団体との連携等を通じて、御提言いただいた点を含めて、金融経済教育の一層の推進、充実が図られるよう、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

石井(啓)委員 ありがとうございます。積極的なお取り組みを期待いたしたいと思います。

 続いて、今回の法案では、いわゆるファンド、組合について、集団投資スキームとして活用される場合に、組合持ち分の投資家への販売、勧誘業務や資産運用業務について登録、届け出制を設けたということは評価できると思います。その上で、組合への出資者について開示対象としなかった理由を確認しておきたいと思います。

 といいますのは、ライブドア事件で悪用された投資事業組合については、ライブドアが実質的に支配をしていたということでありますけれども、その実態はほとんどつかみようがなかったということがございまして、私は、投資資金が減って経済活動に支障が生じるような過剰な規制は設けるべきではないと思いますけれども、組合の目的とか規模とか支配関係によっては、出資者を開示することを今後検討してもいいんではないかというような問題意識を持っております。これについてはいかがでございましょうか。

三國谷政府参考人 組合への出資者につきまして、これを開示対象とすべきではないかとの御指摘があることは承知しておりますが、組合に対します出資者の開示を求めることににつきましては、諸外国の制度にも例がなく、過度な情報開示が強制されることにより我が国における円滑な投資活動に支障が生じないように留意する必要があると考えているところでございます。

 一方で、投資者保護等の観点から、組合に係る規制を適切に整備することは重要でございまして、このため、御指摘のとおり、組合持ち分の販売、勧誘業務等につきまして登録、届け出制を導入することとしているところでございます。

 なお、一方、上場会社等が組合を実質的に支配している、これはまた会計基準の問題もございますが、そういったことが認められる場合には、当該組合は上場会社等の連結対象となり、その当該組合の財務内容が上場会社等の連結財務諸表に反映されることになる次第でございます。こういった上場会社等の有価証券報告書の中で、組合名称や組合の主要な事業内容等が開示されることもあるということになっております。

 いずれにいたしましても、私どもといたしましては、こういった取り組みを通じまして、組合を活用しました投資活動の健全性、適正性が確保されていくように努めてまいりたいと考えております。

石井(啓)委員 今答弁がありましたように、実質的に上場会社が組合を支配している場合、それが連結対象になるかどうか、その基準が明らかになっていればそんなに心配することはないんです。まあ、悪用しようとする人間をそうさせまいというのはなかなか難しいわけですけれども、ライブドア事件では投資事業組合を悪用して粉飾決算が行われましたし、アメリカでのエンロン等の事件ではSPCが悪用されたということで、この投資事業組合とかSPCとか、あるいはLLP、LLC、こういったものを連結対象とするかどうかの基準は、やはり明確化する必要があると思います。

 これは民間の企業会計基準委員会で検討されているというふうに承知をしておりますが、金融庁としてはどのように要請をされているのか、そして、企業会計基準委員会での検討状況はどうなっているのか、確認をいたしたいと思います。

三國谷政府参考人 御指摘のとおり、組合等につきましても実質支配力基準が適用されることになるわけでございますが、これもまた御指摘のとおり、投資事業組合あるいは有限責任事業組合等につきましては、実質支配があるか否かを判断することが会社の場合に比べましてなかなか難しいとの指摘もあるところでございます。

 先般、公明党の御提言も踏まえまして、投資事業組合、LLP、LLC等会社に準ずる事業体の連結に係ります会計基準につきまして、SPC等とあわせまして速やかに明確化に向けた検討を進めるよう私どもも企業会計基準委員会に対し要請したところでございます。

 なお、企業会計基準委員会におきましては、この投資事業組合等の連結に係る基準の明確化につきまして、現在、鋭意検討を進めていると承知しております。市場関係者の意見を踏まえながら、可能な限り早期に適切な結論を出していただくことを期待しているところでございます。

石井(啓)委員 では、可能な限り早期によろしくお願いしたいと思います。

 では、最後の質問ですが、証券取引等監視委員会の機能強化の件ですが、ライブドア事件を契機に、この監視委員会の機能、体制の強化という声が出ました。企業統治や不正取引に対する監視機能の強化とか職員の資質の向上にどのように取り組まれるのか、監視委員会の方から答弁をお願いします。

長尾政府参考人 監視委員会におきましては、近年、課徴金制度の導入に伴う調査権限の付与等の権限強化、あるいは六年間で約三倍といった定員の増強ということで、機能、体制の強化が着実に進められてきたところでございます。また、十八年度におきましても、厳しい定員事情のもとでの所要の増員や、二課体制を五課体制に再編するといった体制の強化を図っております。

 そしてまた、能力、人材面、今先生御指摘のようにさまざまな課題がございます。そういったことでは、裁判官、検事、あるいは弁護士という法曹関係者、公認会計士、それからデリバティブ等の専門家を含めた証券会社等の勤務経験のある民間の者、こういった者を積極的に登用しております。そのほか、広く証券市場の動向、取引検査実務に即したノウハウの取得等、こういった等のためのさまざまな専門的研修というものも日ごろより実施しておりまして、高度化、専門化する各種取引に対する検査、調査能力の向上に努めているところでございます。

 今後とも、こういった新しい権限の的確な行使や人材の確保、育成も含めまして、また、創意工夫も重ねながら、公正な市場の確保と投資者保護に最善を尽くしてまいりたいと考えております。

石井(啓)委員 時間が参りましたので、以上で終わります。ありがとうございました。

小野委員長 以上で石井君の質疑を終了いたします。

 続きまして、土井真樹君。

土井(真)委員 自由民主党の土井真樹でございます。

 本日は、証券取引法の改正について御質問させていただきます。

 我が国の金融行政が約十年ほど前に金融の自由化がされて、間接金融から直接金融へ大きくかじを切って約十年たちまして、その間非常に多くの金融商品が新たに誕生し、我が国の経済を活性化してきたわけなんです。その中で、今お話がありました各種投資ファンド等による資金調達の多様化、あるいはベンチャー企業の育成など、非常にプラスの面、メリットの面も多くありますが、反面、今話題になっているような違法行為とかあるいは脱法行為による被害が非常に多く発生しており、特に金融市場が混乱しているという状況がございます。

 その中で、今までの法律というのはなかなか金融の自由化に実態が追いついていない、法整備が追いついていないという状況の中で、今回このように投資家保護のための横断的な法整備ができたことは、我が国の経済にとってみても、あるいは国民にとっても非常に意義の深いことであり、金融大臣及び金融庁の皆様方にはまずもって敬意を表するわけでございます。本日は、この法律の中でも特に国民生活に密着した、あるいは関連した部分のところを中心に御質問させていただきたいと思います。

 まず、いわゆる投資サービス規制についてお伺いします。

 今回、規制の対象となる範囲が非常に大きく横断的に広がったということで、特にその中に集団投資スキーム、いわゆるファンドが対象に含まれているわけなんですけれども、この集団投資スキームに該当するもの、あるいはしないもの、区別というのを明確にしないと、国民経済のあらゆるものに規制が、網がかかってしまうということで、その区分をどのように今法律では取り扱われているのか、お伺いしたいと思います。

三國谷政府参考人 本法案におきましては、既存の利用者保護法制の対象となっておりませんそういういろいろなすき間を埋める観点から、有価証券の定義につきまして、いわゆる集団投資スキーム持ち分といたしまして、包括定義を設けているところでございます。

 一方、御指摘のとおり、集団投資スキーム持ち分の定義は、すき間を埋めるために広範な権利が含まれ得る内容となっておりまして、その中には、金融商品取引法によります保護を及ぼす必要が必ずしもないと考えられるような権利も、形式的には該当をし得ることになるわけでございます。そこで、金融商品取引法では、類型的に保護の必要性が低いと考えられます権利を、法律上、集団投資スキーム持ち分の定義から除外することによりまして、適用範囲の明確化を図っているところでございます。

 具体的には、一つは、出資者全員がみずから事業に関与しており、出資者を投資者として保護する必要性が低い権利、それから、出資または拠出した額を超えた収益等の配当がなされず、投資としての性格を有しない権利、それから、金融商品取引法の規制を準用している他の法令により出資者の保護が図られている権利、これを集団投資スキーム持ち分の定義から除外しているところでございます。

 なお、多種多様な権利があり、新しい種類の権利が将来的に生じる可能性もありますことから、政令においても適用除外を追加できることとしておりまして、他の法令に基づく行政上の監督がなされているかどうかなどの実態を総合勘案した上で、公益または出資者保護の観点から、法の規定を適用しなくても問題がないと考えられる権利を集団投資スキームから除外することも可能としているところでございます。

土井(真)委員 今、集団投資スキームについての定義はお伺いしたんですけれども、今その定義の中に、非常に普通の人の身近にあるようないろいろな、例えば組合ですね、民法上の組合、例えばマンションの管理組合とか、そういう民法上の組合がどの程度入るのか。その辺についてお答え願えますでしょうか。

三國谷政府参考人 御指摘のマンション管理組合でございますが、マンション管理組合の場合には、マンションの所有者を組合員として構成されまして、管理費等として組合員が拠出した金銭がマンションの建物、敷地等の管理に用いられておりまして、通常でございますと、組合員が拠出した金額を超えて収益の配当や財産の分配は行われていないものと見られるわけでございます。法におきましては、出資または拠出された額を超えて収益の配当や財産の分配がなされることのない権利、これを、法律上、集団投資スキーム持ち分の定義から除外しているところでございます。

 個別の事案に即しまして、実態に即して判断すべきものではございますが、マンション管理組合の場合には、一般的には、このような収益の配当や財産の分配が行われないようなケースが多いのではないかというぐあいに考えております。

土井(真)委員 それでは、もうちょっと収益を生むような集団投資スキームの方をお尋ねします。

 例えば、非常に少人数で、従来、商売をやろうといって三人とか五人が話し合って資金を拠出して、例えばたこ焼き屋さんだとか小さな、小さなと言っては失礼ですけれども、そういう商売を始めたときに、そういう少人数で資金を拠出して、特に民法上、匿名組合というような形でやる場合、それも今言った定義だと対象になってしまうということであると、非常に小さな投資についても、今言ったような法の規制がかかってしまって、そういう一種の直接金融を自由にできなくなるような、阻害する方向になるのではないかという心配が考えられるのですけれども、その点についてはいかがでしょうか。

与謝野国務大臣 利用者の保護ということも大事ですけれども、先生御指摘のように、プロの投資家との間で、例えば小規模で自由に行われる直接金融を阻害しないよう配慮することも必要と考えております。

 こうした観点から、今般の法案においては、基本的には、プロ投資家を対象とするファンドの運営を行う業者については、一般投資家を念頭に置いた規制を相当程度簡素化することとしておりまして、業者としての登録義務を求めずに届け出制とするなど、ファンドの健全な発展にも配慮した制度設計にしているところでございます。

土井(真)委員 プロ投資家ということで、規制が非常に緩やかになっているのはわかるんですけれども、特に、一種の金融商品としてこういう集団投資スキームを考えていなかったような、一般の国民で商売をやっている人たち、そういう人たちは、今までそういう形で資金を拠出して商売をしていたということについて、この法律が適用されるというのに全く気づかないケースだって間々あるかと思うんですけれども、届け出ないしは登録をしないで、今言ったようなファンドで運営をしていた場合、そういうような場合、どのようになるのでしょうか。

三國谷政府参考人 登録を行わずファンドの運営を行った場合でございますけれども、業者としての登録を行うことなくこれらの業務を行う者につきましては、無登録営業の場合には罰則の対象となるところでございます。

 なお、先ほど御説明申し上げましたとおり、このファンドにつきましては、ある程度の適用除外といったところも制度としては設けているところでございまして、プロを相手とした少人数の場合、それも今ほど大臣から御説明申し上げさせていただいたところでございますが、例えば出資者全員がみずから事業に関与しているような場合、こういった場合には、これは出資者を投資者として保護する必要性が低いということで、除外するような方途も講じているところでございます。

土井(真)委員 それでは次に、新しく金融商品取引業者という形で登録する業者についてお伺いします。

 今まで、例えば証券会社あるいは金融先物取引業者または例えば証券投資顧問業者という、いろいろな業者が登録して今業務を行っています。それも一括して横断して金融商品取引業者として登録することになっているんですけれども、今現在でも、例えば証券会社と投資顧問会社では、登録要件というか、提出する書類の量と種類が随分違うんですけれども、この法律においてもそのような区別というのはあるのでしょうか。

三國谷政府参考人 本法案におきましては、横断的な仕組みとする一方で、それぞれの実際に行います業の区分に応じた要件ということも設けることによりまして、規制の柔構造化も図ることとしているところでございます。

 こういった観点から、金融商品取引業につきまして四つの区分に分けておりまして、一つは、第一種金融商品取引業、次に投資運用業、次に第二種金融商品取引業、それから投資助言・代理業でございます。それぞれにつきましては、例えば、純財産規制でございますとか自己資本比率規制につきまして、それぞれについて、その実態に応じまして要件の違いも設けているところでございます。

土井(真)委員 それでは、そういう横断的な登録と同時に、今度は、投資する方、投資家の側の方として、今回、特定投資家と一般投資家という形で分けて規制をしているわけなんですけれども、いわゆるプロ、アマの区分を設けた目的とか理由及び基準について、先ほどもちょっと質問ありましたけれども、もう一度お聞かせ願えますでしょうか。

三國谷政府参考人 いわゆる特定投資家と一般投資家の区分を設ける趣旨、目的でございますが、これは、昨年末の金融審議会第一部会報告では、一つは、特定投資家と一般投資家の区分によりまして、適切な利用者保護とリスクキャピタルの供給の円滑化を両立させる必要がある、次に、二点目といたしまして、特定投資家は、その知識、経験、財産の状況などから適合性原則のもとで保護に欠けることにならず、かつ当事者も必ずしも行政規制による保護を望んでいないと考えられること、三点目は、特定投資家については、行政規制ではなく市場規律にゆだねることにより、過剰規制による取引コストを削減し、グローバルな競争環境に置かれている我が国金融資本市場における取引の円滑を促進することなどが挙げられているところでございます。

 こうした考え方から、今回の法案におきましては、業者が一般投資家との間で取引を行います場合には、投資者保護の観点から十分な行為規制を整備する一方で、その知識、経験、財産等の状況から金融取引に係る適正なリスク管理を行うことが考えられる者、これを特定投資家と位置づけました上で、特定投資家との間で行う取引につきましては、規制の簡素化を図ることとしているところでございます。

 さらに、諸外国の事例も踏まえまして、一定の場合には、顧客の選択によりまして、一般投資家から特定投資家への移行、あるいは逆に特定投資家から一般投資家への移行を認めることとしておりまして、こういったことによりまして規制の適用の柔軟化を図るものとして提案させていただいているものでございます。

土井(真)委員 プロ、アマ区分というか、特定投資家と一般投資家という区分を設けるということなんですけれども、例えば諸外国、アメリカ等ではヘッジファンドとかいろいろなファンドがございます。その中で、アメリカは既に適格投資家というか、こちらで言うプロ側ですね、特定投資家向けにいろいろな商品があって、実際は、一般投資家向けと特定投資家向け、まあ保護の観点もあるんですけれども、運用商品からいうと、むしろプロ向けの商品の方が非常にいい商品、リスク、リターンがいい商品が数多くございます。それが大体、今、アメリカ等こういう金融先進国の実態でありまして、こういう区分をして日本の金融業者が新しい商品を開発していくときも、恐らくプロ向けの方が、いい商品あるいはリターンの高い商品が多く開発されてくるということが想定されるんです。

 そうなると、一般の我々庶民も、なるべくいい商品、簡単に言うともうかる商品に投資したいというふうに考えるわけなんですけれども、普通の個人の一般の投資家がそういう特定投資家しか投資できないような商品に投資するには、やはりそこで特定投資家へ移行していかなきゃいけないということなんですけれども、そこの基準なんかは今どのように考えていらっしゃるのか、あるいは予定しているのか、教えていただけますでしょうか。

三國谷政府参考人 いわゆる一般投資家が特定投資家に移行しようとする場合でございますけれども、この場合には、取引の相手方となる業者に対しまして、契約の種類ごとにその移行を申し出ることとしております。その上で、移行の申し出を受けました業者がこれを承諾する際には、申し出者に対しまして、所要の事項を記載した書面を交付しなければならない旨を定めているところでございます。

 なお、投資者保護の観点も一方で必要でございまして、一般投資家が選択により特定投資家に移行しようとする場合には厳格な手続を定めさせていただきまして、特に個人が特定投資家に移行する場合には、やはり投資者保護の観点から、そういった厳格な手続を定めているところでございます。具体的には、移行しようとする場合には、業者の方では、承諾時において、本法の規定の特例の内容や当該移行に伴うリスクを理解していることなどにつきまして、申し出者の書面による同意を得なければならない旨を定めているところでございます。

 これに加えまして、個人投資家が選択により特定投資家に移行しようとする場合には、申し出を受けた業者は、移行に伴うリスク等を記載した書面を事前に交付しなければならず、また、申し出者が選択により特定投資家に移行可能な一般投資家の要件に該当していることを確認しなければならないこととしているところでございます。

 なお、一般投資家が選択により特定投資家に移行する場合の有効期間は一年間としておりまして、その更新手続についても所要の規定を整備させていただいているところでございます。

土井(真)委員 今の所定の基準というものの中身が、もう少し具体的に教えていただけるなら教えていただきたいと思うんですけれども。

三國谷政府参考人 選択により特定投資家に移行可能な一般投資家として、一つには特定投資家以外の法人が該当いたしますが、今般の法案では、個人につきましては、個人投資家の保護を徹底する観点から、個人はすべてまず一般投資家と位置づけることとした上で、知識、経験、財産の状況が特定投資家に相当する、こういうものとして定める要件に該当する者に限りまして、その選択により特定投資家への移行を申し出ることができる、これが基本的な考え方でございます。

 そういった具体的な要件の内容につきましては、今後各方面の意見も伺いながら検討してまいりたいと考えておりますが、先ほども御答弁申し上げましたが、現時点では、その資産の合計額から負債の合計額を控除した額が一定額以上であり、かつ、その資産のうちの有価証券等の合計額が一定額以上であることなどの要件を定めることを考えているところでございます。

土井(真)委員 それでは次に、こういう投資商品については、これからディスクローズ、内容の開示というのが非常に重要になってくるかというふうに思います。金融商品だけでなくて、今現在においても有価証券報告書等でいろいろ会社の内容というのはディスクローズされているわけなんですけれども、これから、今改正の法律では、今までなかった部分で、特に財務諸表、財務報告に関する内部統制の強化ということで、有価証券報告書等の適正性について経営者の確認を義務づけることとしております。

 経営者の確認を義務づけるというこの経営者というのは具体的にはどういう方になるのか、それを教えていただけますでしょうか。

三國谷政府参考人 経営者の確認の義務づけでございますが、この確認書の様式あるいは記載事項につきましてはこれから内閣府令で定めることになるわけでございますけれども、確認書では、現在のところ、有価証券報告書等を提出する会社の代表者、それから最高財務責任者を置いている場合には最高財務責任者の署名、これを求めることを検討しているところでございます。

土井(真)委員 それは両名あわせてということでしょうか。

三國谷政府参考人 御指摘のとおりでございます。

土井(真)委員 それでは今度は、そういうディスクロージャー及び不公正取引等について、今回かなり罰則規定を見直して強化したわけなんですけれども、それについてお伺いします。

 罰則規定がほぼ倍とかかなり強化されているわけなんですけれども、それと同時に、行政上の課徴金制度というのが数年前に導入されているかと思いますけれども、この課徴金制度という行政上の処分の性格はいかなるものか。まずそれをお伺いできますでしょうか。

与謝野国務大臣 課徴金の性格はどういうものかというお尋ねでございますが、現行の証券取引法上の課徴金制度は、利得相当額の金額の課徴金を科することにより違反行為の抑止を図る制度として導入されたものでございます。

 課徴金の金額水準について御議論があることは承知をしておりますけれども、証券取引法上の課徴金制度は昨年四月に導入され、継続開示違反に対する課徴金が昨年十二月に追加されたばかりでございます。当面は、現行制度の効果的な運用、違反の摘発を通じまして、課徴金納付命令の事案の積み重ねに努めてまいりたいと考えております。

 なお、課徴金制度については、継続開示義務違反を新たに追加した際、おおむね二年を目途として課徴金に係る制度のあり方等について検討を加える旨が規定されており、市場の公正性、透明性を確保する観点から、課徴金制度のあり方について検討してまいりたいと考えております。

土井(真)委員 今、課徴金制度について、不公正取引による利益を没収するということで抑止させようという趣旨とお伺いしたんですけれども、実際には、もうかったものだけ出せばいい、利得だけを課徴金で取られればいいということであれば、ある意味、やった者勝ちというようなイメージで、こういう法を犯すような人たちにとって抑止力が十分働いていないのではないかというふうに考えるんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。

三國谷政府参考人 課徴金は、これは近年まさしく導入されたものでございます。この課徴金制度を現行の証券取引上に初めて導入する際でございますが、これは全く初めて導入する制度であるということもございまして、利得相当額の金額を賦課する制度として初めに導入したものでございます。

 いずれにいたしましても、今後の課徴金制度のあり方につきましていろいろな検討を行う中で、利得相当額を超える金額を賦課することも含め、どのような制度設計があり得るかにつきましては十分検討を行ってまいりたいと考えております。

土井(真)委員 それでは次に、その課徴金制度に新たに加えられました、見せ玉というものに対して今回規定の範囲を拡大しているわけなんですけれども、そもそも見せ玉を相場操縦行為として禁止した、その見せ玉の定義はいかなるものか、教えていただけますでしょうか。

三國谷政府参考人 いわゆる見せ玉と言われる行為でございますが、これは他の買い付け注文や売りつけ注文を誘引することによりまして株価を変動させる目的をもって、約定する意思のない大量の買い付け注文や売りつけ注文を発注する行為でございまして、株価が変動した後、みずからが約定する前に取り消してしまうことから、見せ玉と呼ばれているものでございます。

 見せ玉に該当するかどうかの判断は、それぞれ個別のケースに即して行う必要がございますけれども、行為者の認識のほか、外形的には発注数量や取り消しの状況、それから見せ玉の前後の取引状況等を勘案して判断することになるものでございます。

土井(真)委員 今定義をちょっと御説明いただいたんですけれども、非常にわかりにくい定義でございまして。仮の注文を入れたということなんですけれども、そもそもそれだけで相場操縦になるのかどうか。また、それで本当に相場を意図的に動かせるものなのか。その辺についてはいかがでしょうか。

三國谷政府参考人 いわゆる見せ玉につきましては、今ほど申し上げましたとおり、大量の買い付け注文の発注などを行いまして、投資家に買い付けの意向が旺盛な銘柄であると誤解させるなどの効果があると言われております。現行の証券取引法第百五十九条第二項におきましては、取引を誘引する目的をもって相場を変動させるべき一連の有価証券売買等またはその委託等をする行為を相場操縦行為として禁止しているわけでございます。

 いわゆる見せ玉につきましては、他の買い付け注文や売りつけ注文を誘引する目的をもって、相場を変動させるために行うというようなケースに該当する場合であれば、相場操縦行為に該当する可能性が高くなってくるものと承知しております。

土井(真)委員 それでは、見せ玉はそういう定義として、今相場操縦と言われるものは、例えばいろいろな、新株を発行するとか、あるいは、風説の流布であればそういう風説が流布された銘柄を監視していけば、それでそれが相場操縦になるかどうか監視できると思うんですけれども、現在のようにネット取引で大量に株式売買が多くの銘柄で行われているような状況において、実際に見せ玉かどうか、すべてを判断して、一種の摘発というんですか告発というんですか、見つけることは実態的に可能かどうか、そこについてお伺いできますでしょうか。

長尾政府参考人 私どもの証券取引等監視委員会は、常日ごろから非常に幅広く証券市場に関するさまざまな資料、情報を収集、分析しておりまして、そうした中で法令違反に該当する事案、事実があると疑われる場合には、必要な調査を行うということをやっているわけでございます。

 そうしたことをやっているわけですが、そうした中で、今先生おっしゃいましたように、インターネット取引の普及、拡大に伴いまして、個人投資家による株式の取引が増大する。そうするとともに、また、いわゆる見せ玉のような行為が増加していると推測されるわけでございます。

 監視委員会としては、従来より、そういった点についての問題意識を持ちまして、調査の具体的なやり方についての詳細はちょっと控えさせていただきたいと思いますけれども、東京証券取引所等、現場、そことの連携やあるいは調査手法の向上、こういったものに努めて一生懸命やっているところでございます。

 今後とも、これらの取り組みに努めまして、いわゆる見せ玉による相場操縦等の法令違反行為に対しては、厳正に対処してまいりたいと考えております。

土井(真)委員 今監視委員会のお話を聞かせていただいたんですけれども、そもそも相場操縦という形で過去に監視委員会さんが告発した事例というか件数は何件あるか。とりあえず、まず教えていただけますでしょうか。

長尾政府参考人 監視委員会が発足しましたのは平成四年七月、今ほぼ十四年になりますけれども、この四月二十一日現在までで証券取引法上の相場操縦について告発した事案は十件でございます。

土井(真)委員 今十件ということなんですけれども、マスコミとか週刊誌とか、いろいろなものを見るともっといろいろあるような感じがするんですけれども。

 監視委員会の告発は、金融取引に対する一罰百戒的な意味での告発なのか、それとも、そういう相場操縦は網羅的に調査して告発するんだという告発の仕方なのか、そこについての方針をお聞かせ願えますでしょうか。

長尾政府参考人 一罰百戒か網羅的かという御質問でございますけれども、先ほど十件と申し上げましたけれども、私ども、姿勢としては、平素より非常に幅広く、先ほど言いましたが、特異な値動きをする銘柄、あるいは取引形態に不自然さの見られる事例、こういったものについて、また一般から寄せられた情報も活用しつつ、幅広く取引の日常的な監視を行うということでやっております。さらに、もちろん取引所等との自主規制機関との間でも、定期的あるいは随時に個別についても照会したりという連携を行っている。こういうふうに幅広い網をかぶせております。

 こうした中で、法令違反に該当する事実があると疑われる場合には、必要に応じましてさらに詳細な調査を行って、その結果、事実解明を詰めまして、悪質な法令違反行為が認められる場合には告発を行うなど、厳正に対処しているということでございます。

 私ども、証券会社の検査を幅広くやりましたり、あるいは新規の課徴金等々いろいろございますけれども、告発については、やはり刑事事件でございますので、公判維持に向けての厳密な事実解明ということも求められますから、そういった面では一生懸命やっているところですけれども、相場操縦の十件というものをどうかというのはあるかと思いますが、そういう努力の中でやっているというふうに御理解いただければありがたいと思います。

土井(真)委員 では、一生懸命努力されているということで結構だと思います。

 それに関連して、あと、ちょっとわかりにくいそういう相場操縦の一つで、風説の流布という相場操縦があるんですけれども、それについての内容と、過去に告発した内容等がありましたら教えていただけますでしょうか。

長尾政府参考人 風説の流布につきましては、やはり発足以来で告発した事件は六件ありまして、最近では、一昨年、平成十六年十一月に告発しましたメディア・リンクス株式に係る風説の流布及び偽計の事件、あるいは本年二月に告発しましたライブドアマーケティング株式に係る風説の流布及び偽計事件がございます。いずれの事案も、相場の変動を図る目的で虚偽の事実を公表等したものだ、こういうものでございます。

土井(真)委員 あと一点、例えば不公正取引の禁止規定の証券取引法の百五十七条という条文があるんですけれども、それに百五十七条のように詳細な要件が規定されていない、一般的規定というんですか、一般的規定が置かれているんですけれども、なぜそのような規定が行われているのか教えていただけますでしょうか。

三國谷政府参考人 御指摘のとおり、証券取引法第百五十七条におきまして、有価証券の売買等について、不正の手段、計画または技巧をすることなどを違法な行為として禁止しているところでございます。このような一般的な百五十七条の規定でございますが、これは、複雑で変化が激しい証券取引等の特性に対しまして、例えば立法時に予想をし得なかったような新たな不正行為などが生じた場合にも対応できるようにするために、不公正取引を包括的に禁止する一般的な規定として設けられているものと承知しているところでございます。

 証券取引等に関します不公正取引の抑止の中には、例えばインサイダー取引規制のように詳細な構成要件を定めたもの等、ある程度新たな不正行為等にも対応できるような、不公正取引を包括的に禁止する規定がともに必要と考えられるところでございまして、こういった規定が相まって、ルールの明確性とその先達的な新たな不正行為の抑止のバランスを図ることによりまして、公正で透明な市場の確立を図っているものであると承知をしております。

土井(真)委員 あともう一点、今回の改正は非常に網羅的ということですね、規制の対象が非常に広がる。証券市場だけでなく、非常に多くの規制の対象範囲が拡大するわけなんですけれども、監視委員会の方は、今までの体制でそれだけ広い対象範囲を監視していくことができるのかどうか、そのための体制強化はしているのかどうか、それについてお伺いできませんか。

中江政府参考人 証券取引等監視委員会につきましては、これまでも市場監視体制の強化に努めてきているところでございまして、具体的には、定員につきましては、厳しい定員事情のもとではございますけれども、この六年間で定員を約三倍に増強するとともに、この十八年度におきましては、現在の二課体制を五課体制に再編するなど、体制の強化を図ることとしております。

 また、こういった量的な面のみならず、質的な面におきましても、検事、弁護士といった法曹関係者、それから公認会計士、デリバティブなどの民間専門家を積極的に登用しておりまして、こうした専門家が現在監視委員会全体の約三割を占めるに至るなど、人材面での充実も図ってきているところでございます。

 委員御指摘のとおり、今回の法改正によりまして、集団投資スキームを取り扱う業者を検査の対象に加え、また見せ玉による相場操縦を課徴金調査の対象に加えるなど、監視委員会の所掌事務も拡大をいたしますので、こうしたことを踏まえまして、市場監視体制の一層の強化に向けて今後とも必要な体制整備を図ってまいりたいと考えております。

土井(真)委員 それでは最後に、今お話がありましたように、今回規制対象が広がったということで、特に集団投資スキームについては、今まで証券業とかに関係ない人たちまでかなり多く規制対象になるわけですので、この法律がそこまで規制対象ですよ、皆さん、例えばそういうことをやる場合は登録してくださいよという、国民に対する周知徹底をすることが非常に重要になると思うんですけれども、公布から施行までの間にどのようにそれを国民に広く周知させていくのかどうか。

 この間の何か中古電気製品のように、直前になって知らないよということがあったら非常に混乱するかと思いますので、その辺の周知徹底についてどのように取り組むのかお答え願えますでしょうか。

与謝野国務大臣 本法案では、金融商品取引を行う者に対して、あらかじめ内閣総理大臣の登録等を受ける義務を課すこととしております。特に、ファンドの販売勧誘業者や運用業者は、これまで証券取引法等の既存の各業法における登録や届け出を行っていない者が多数に上ると考えられ、規制の実効性の確保の観点からは、このような登録や届け出を確実に行っていただくことが重要でございます。

 法案成立後は、御指摘のとおり、当庁としても積極的に周知、広報に努めてまいりたいと考えております。

土井(真)委員 以上で終わります。

 ありがとうございました。

小野委員長 以上で本日の質疑を終了いたします。

    ―――――――――――――

小野委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 各案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る二十五日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.