衆議院

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第19号 平成18年6月16日(金曜日)

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平成十八年六月十六日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 小野 晋也君

   理事 江崎洋一郎君 理事 七条  明君

   理事 宮下 一郎君 理事 山本 明彦君

   理事 渡辺 喜美君 理事 小沢 鋭仁君

   理事 古本伸一郎君 理事 石井 啓一君

      井澤 京子君    伊藤 達也君

      石原 宏高君    小川 友一君

      越智 隆雄君    大野 功統君

      河井 克行君    木原  稔君

      鈴木 俊一君    関  芳弘君

      とかしきなおみ君    土井 真樹君

      中根 一幸君    萩山 教嚴君

      橋本  岳君    広津 素子君

      藤野真紀子君    松本 洋平君

      小川 淳也君    近藤 洋介君

      鈴木 克昌君    田村 謙治君

      津村 啓介君    長安  豊君

      平岡 秀夫君    三谷 光男君

      吉田  泉君    鷲尾英一郎君

      谷口 隆義君    佐々木憲昭君

      野呂田芳成君    中村喜四郎君

    …………………………………

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  三國谷勝範君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   浜田 恵造君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    竹田 正樹君

   参考人

   (日本銀行総裁)     福井 俊彦君

   参考人

   (日本銀行副総裁)    岩田 一政君

   参考人

   (日本銀行理事)     白川 方明君

   参考人

   (日本銀行理事)     山口 廣秀君

   参考人

   (日本銀行理事)     水野  創君

   財務金融委員会専門員   鈴木健次郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十六日

 辞任         補欠選任

  佐藤ゆかり君     橋本  岳君

  平岡 秀夫君     津村 啓介君

  三谷 光男君     近藤 洋介君

同日

 辞任         補欠選任

  橋本  岳君     佐藤ゆかり君

  近藤 洋介君     三谷 光男君

  津村 啓介君     平岡 秀夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 閉会中審査に関する件

 金融に関する件(通貨及び金融の調節に関する報告書)


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     ――――◇―――――

小野委員長 これより会議を開きます。

 金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁福井俊彦君、日本銀行副総裁岩田一政君、日本銀行理事白川方明君、日本銀行理事山口廣秀君、日本銀行理事水野創君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として財務省理財局次長浜田恵造君、国税庁課税部長竹田正樹君、金融庁総務企画局長三國谷勝範君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小野委員長 去る九日、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づき、国会に提出されました通貨及び金融の調節に関する報告書につきまして、概要の説明を求めます。日本銀行総裁福井俊彦君。

福井参考人 おはようございます。日本銀行の福井でございます。

 御報告を申し上げます前に、お許しを得まして、一言最初に、私の村上ファンドに対する資金拠出の件で、皆様方初め国民の皆様、広く御迷惑をおかけしております。この場をかりまして深くおわびを申し上げます。

 この件は、九〇年代、特に後半、社会全体に閉塞感が漂っておりましたときに、村上氏がみずからの職をなげうって、日本のコーポレートガバナンスを変革したいと強い意欲を示されまして、その志を激励する意味で、当時の私の職場の同僚、有志の方々とともに資金を拠出し、激励の意味を込めたものでございます。

 結果として、この資金をめぐり、世の中をお騒がせすると申しますか、大変御迷惑をおかけする結果になりまして、この点、本当に申しわけなく思っております。私といたしましては、各方面からの厳しい御批判をしっかりと受けとめて、それを胸におさめながら、日本銀行総裁としての職責を全うすることで国民の皆様からの御信頼を得ていきたい、そういうふうに努めてまいりたいというふうに考えております。

 それでは、委員長からお指図がございました通貨、金融の調節に関する報告書の概要説明をさせていただきます。

 日本銀行は、先般、平成十七年度下期の通貨及び金融の調節に関する報告書を国会に提出いたしました。本日、日本銀行の金融政策運営について詳しく御説明申し上げる機会をこの場でちょうだいし、厚く御礼を申し上げます。

 最初に、最近の経済金融情勢について御説明を申し上げます。

 我が国の景気は着実に回復を続けております。この点をやや詳しく申し上げますと、輸出や生産は増加を続けております。また、企業収益は高水準で推移しておりまして、設備投資は引き続き増加をしております。こうした企業部門の好調の影響が家計部門にも波及しております。すなわち、企業の人手不足感が強まるもとで、雇用者数は着実に増加しておりまして、賃金も緩やかな上昇基調をたどっております。その結果、雇用者所得は緩やかに増加をしております。このように、雇用所得環境が着実に改善するもとで、個人消費は増加基調にあります。

 先行きについて見ますと、海外経済の拡大を背景に、輸出は増加を続けていくと見られます。また、国内民間需要も、高水準の企業収益や雇用者所得の緩やかな増加を背景に、引き続き増加していく可能性が高いと考えられます。このように、我が国経済は、生産、所得、支出の前向きの好循環が作用するもとで、内需、外需、企業部門、家計部門がバランスのとれた形で息の長い成長を続けると予想しております。

 もとより、景気の先行きにはさまざまなリスク要因が存在しております。原油価格などの国際商品市況は引き続き高値圏で推移しています。こうしたもとで、米国などを中心に、世界経済がインフレのリスクを適切に抑制しつつ持続的な成長を続けていくことができるか、そういった点について注視していきたいと考えております。

 物価の面では、国内企業物価は、国際商品市況高などを背景に上昇を続けておりまして、先行きも当面は上昇を続けると見られます。消費者物価指数、これは生鮮食品を除く全国の指数でありますが、その前年比については、昨年十一月から小幅のプラスとなり、本年一月以降は比較的はっきりとしたプラスで推移しております。経済全体の需給ギャップは、長く続いた供給超過状態が解消し、現在はゼロ近傍にあると考えられます。今後、需給ギャップが緩やかに需要超過方向に向かっていくと見られる中で、消費者物価指数の前年比はプラス基調を続けていくというふうに予想されます。

 金融面では、企業金融をめぐる環境は引き続き緩和的な状況にございます。民間銀行が積極的な貸し出し姿勢を続け、民間の資金需要が下げどまるもとで、民間銀行貸し出しの増加幅は拡大しております。CPや社債といった資本市場を通じた資金調達環境も良好な状況が続いております。

 この間、金融市場では、このところ世界的に振れの大きな展開となっております。金融市場の動向については、これが実体経済に与える影響を含め、注意深く見てまいりたいと思います。

 次に、金融政策運営について申し述べさせていただきます。

 当委員会における前回の通貨及び金融の調節に関する報告書に関する質疑においても御説明申し上げましたとおり、日本銀行は、三月八日、九日の金融政策決定会合において、量的緩和政策を解除し、無担保コールレートオーバーナイト物を金融市場調節の操作目標とする金利政策に移行いたしました。それ以降、無担保コールレートオーバーナイト物をおおむねゼロ%で推移するよう促すという金融市場調節方針を継続しておりまして、一昨日、昨日の金融政策決定会合におきましても、こうした金融市場調節方針の維持を決定したところでございます。

 日本銀行は、このような金融市場調節方針のもとで、短期金融市場の安定に配慮しながら、日本銀行当座預金残高の削減を進めてまいりました。この過程で、オーバーナイト物の金利は、一時的にわずかながら上昇する局面を挟みつつも、ゼロ%近傍で安定的に推移しております。また、コール市場における金融機関同士の取引も徐々に増加してきております。

 この先の金融政策運営につきましては、四月末の経済・物価情勢の展望、いわゆる展望レポートにおきまして、経済、物価情勢の見通しとあわせて基本的な考え方をお示ししたところでございます。すなわち、我が国経済が内需と外需、企業部門と家計部門のバランスがとれた形で息の長い拡大を続けるのであれば、無担保コールレートをおおむねゼロ%とする期間の後も、極めて低い金利水準により緩和的な金融環境が当面維持される可能性が高いと判断いたしております。そうしたプロセスを経ながら、経済、物価情勢の変化に応じて徐々に金利水準の調整を行うことになると考えております。もとより、具体的な政策変更のタイミングや金利水準については、あくまでも今後の経済、物価情勢次第でございまして、現時点では何らの予断も持って臨んでおりません。

 日本銀行としては、今後とも、経済、物価情勢の変化に応じて金融政策を適切に運営し、物価安定のもとでの持続的成長の実現に貢献してまいる所存でございます。

 ありがとうございました。

小野委員長 これにて概要の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

小野委員長 質疑の申し出がございますので、順次これを許します。松本洋平君。

松本(洋)委員 自由民主党の松本洋平でございます。

 私に与えられた時間は十五分でございますから、基本的なことをお伺いしてまいりたいと思っておるところでございますが、その本題に入る前に、ただいまも福井総裁から、今回の村上ファンドの件に関しましての御報告及び陳謝があったところでございます。また、連日、マスコミ各社におきましても、この問題に関しましてはさまざま報道がされているところでございますので、この点に関しまして少しお伺いをしたいというふうに思っております。

 その経過につきましてはもうさまざま報道されていますから、時間もありませんので特に申し上げるつもりはございませんけれども、私が一つ申し上げたいのは、福井総裁の前の総裁でございました速水総裁、速水総裁は、総裁に就任される前に日商岩井の役員を務められておりました。その際に保有していた株式というものを、総裁になるときに寄附で手放すというようなことをされてから総裁になられた、そんな経緯があるわけでございます。

 そうした速水前総裁の対応というものをごらんになられた上で、今回の件、福井総裁といたしましてどのようにお考えになられているかを、もう一度改めてお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

福井参考人 日本銀行で職責を仰せつかっております立場からは、職務の公正性の確保という点は極めて重要だというふうに常々認識しております。そういうふうに行動してきているつもりでございますが、今後一層、みずから規律を強めるという方向で努力してまいりたい。

 速水総裁がどういうふうに具体的に対処されましたかは私は存じておりませんが、私は私なりに、今回のファンドの最終決算が終わった後の処理を中心に、きちっとこれは処理をさせていただくというふうにお約束をいたします。

松本(洋)委員 しっかりと、信頼を得られるように対応を御自身されていくということでございますけれども、今回の件を通しまして、国民の皆さんからは大変な不信の声がやはり上がっている、そういう現実はあるわけでございまして、総裁といたしましてその点をしっかりと受けとめていただきまして、国民の皆さんからきちんとした信頼が得られるようにしていただきたい、そのように強く希望を申し上げます。

 また、今回の件を考える上で、これからの日銀のあり方といいますか、日本銀行のあり方として、本当に国民の信頼をきちんと取り戻していくためには、今後、こうした疑念といいますか、そういう不信が起きるようなことというのは避けていかなければならないというふうに思うわけでございます。

 そうした中におきまして、日本銀行といたしまして、今回の件の再発防止といいますか、こうしたことが起きないように今後どのような取り組みをされようとしているのかを教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。

福井参考人 現在でも、職務の公正性確保のための内部規律があり、役員、職員はそれを踏まえて行動いたしておりますけれども、時代の流れとともに新しい金融商品もどんどん出てくる、その性格の変化ということもございます。そうしたことも正しく理解しながら、時代の要請に即した規律正しいルールというものを常に探し求め、かつ、それを打ち立て、かつ、役員、職員の一人一人が厳正にそれを守っていく、特に総裁においてはそうでございますが、そういう姿をきちんとお示ししていきたいというふうに考えております。

松本(洋)委員 余り具体的な御回答というのは今回いただけなかったわけですけれども、ぜひとも具体的な対策というものを日本銀行としてもしっかり考えていただきたい。そして、その対策がしっかりと実行されて、こうしたことが起きないということが国民の皆さんにもきちんと理解されるように、やはり日本銀行としても対応していただく必要というのがあるんじゃないか、そんなことを思っているわけでございます。特に、これからの日本銀行が果たす役割というのは非常に大きなものがあると思っておりまして、そうした職務を実行していく上におきましては、やはり国民の信頼をどれほどいただけるのかというのは恐らく極めて重要な問題だと思っております。

 そうした観点からも、ぜひともそうした対応策をしっかりとしていただきまして、今後、本職とは関係のない部分でこういった問題が起きましてさまざまな批判にさらされるようなことだけはぜひともないように、厳正なる対応というものをよろしくお願いいたしたいというふうに思っております。

 時間がありませんから、本題に移らせていただきたいと思います。

 六月十三日の内閣府発表の月例経済報告では、景気が回復している、また、今御説明がありましたけれども、日本銀行の現状認識におきましても、我が国の景気は着実に回復を続けているということでございます。また、御報告の中にもありましたけれども、そんな中、景気の回復による需給ギャップが回復して、需要超過の方向に今後向かっていくというような話がなされているわけでございます。

 しかしながら、需給環境の改善による物価上昇の圧力と同時に、現在、原油高というものがございまして、これもまた物価上昇の大きな圧力というふうに私自身は考えているわけでございます。現在、その原油高の上昇圧力というものは、企業の努力によりまして、なかなか消費者物価には直接的にははね返っていないというような現状があるわけでございますけれども、これから中長期的に見れば、恐らくこれが大きくきいてくる可能性というのは決して否めないんだろうなというふうに私自身思っているところでございます。

 日銀としては、当面ゼロ金利政策を続けるということも政策決定会合で決められたわけでございますけれども、そのためには、当然、物価の上昇圧力というものに対しましてどういうふうに対応していくのかということは、日銀といたしましても極めて重要かつ根本的な命題じゃないかというふうに私自身は思っているところでございます。

 そんな中、物価動向の今後の見通しと、あと、先ほど申し上げました原油価格の高騰の影響というものを日本銀行がどのように見ているのかを教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。

岩田参考人 それでは、お答えいたします。

 物価の動向ということでありますが、まず、私ども重視しておりますのは、生鮮食品を除きます消費者物価指数の動きでございます。これを見ますと、このところプラス基調で推移しておりまして、四月の前年比、一―三月期も〇・五%上昇でありましたが、引き続き〇・五%の上昇ということになっております。

 今御指摘のございました石油製品の価格、引き続きこの消費者物価指数を押し上げる要因となっておりますが、その寄与度は幾分低下しております。その一方で、年度が変わりまして、サービス関係の価格というものが引き上げの動きが見られるということで、上昇品目が徐々に広がっている段階にあると考えております。特に、企業物価指数におきましては、五月に三・三%の上昇となりまして、これは今御指摘のございました原油価格を初めといたします国際商品市況が高値圏で推移しているということなどが指摘できようかと思います。

 また、経済全体をマクロ的に見てみますと、今御指摘がございましたように、需給ギャップ、総需要と総供給の関係が現在ほぼゼロに近いところに来ております。また、もう一つ物価上昇を規定します重要な要因と私ども考えておりますのは、賃金と生産性の比率、これは単位労働費用、ユニット・レーバー・コストというように呼んでおりますが、このマイナス幅が基調として次第に縮まってきている。また、アンケート調査なども見ますと、企業あるいは家計の物価見通しについても徐々に上方修正がされている、こういう状況かと思います。

 今後、先行きはどうかということでございますが、マクロ的な需給ギャップが緩やかに需要超過方向に向かっていくということを基本的に考えますと、プラス基調を今後も続けていくということであります。

 日本銀行といたしましては、先般、三月初めに、新しい政策枠組みというものを発表いたしまして、中長期的な物価安定の理解ということで、政策委員会のメンバーの間では、ゼロから二%程度というものを中長期的な物価の安定の理解、こういう理解のもとで物価の安定を図りながら、同時に持続的な成長を実現するという目的のために努力をいたしたいというふうに考えております。

松本(洋)委員 ありがとうございます。

 私も、地元とかいろいろ回っていまして、石油関係の方々のお話なんか聞きますけれども、彼らは自分のところでやはりいきなり価格を上げるわけにはいかないですから、価格転嫁することができずに、それを自分のところでためている人たちというのが極めて多いというのが私の印象でございます。

 こうした観点からも、日本銀行におきましては、とにかく物価の安定というものは日銀の最大の命題でございますし、これなくしてゼロ金利政策、金利の安定的な推移というものもあり得ないわけでございますので、ぜひ今まで以上に注視をしていただきまして、しっかりと対応していただきたいと思います。

 もう時間がありませんけれども、もう一問させていただきます。

 やはり気になりますのは株価の動向でございます。一時、ピーク時は一万七千円を超える値をつけていたわけでございますけれども、その後、株価が下落を続けておりまして、きのうの終わり値が、日経平均一万四千四百七十円ということでございます。

 日本銀行が政策を決定する上でも、株価の動向というのは極めて重要であるというふうに考えております。世界的にも株価が下落し、ここに来てアメリカ株がまたちょっと上昇に転じたなんということもニュースとしては流れているわけですけれども、そうした株価下落傾向の中で、金融市場が世界的に不安定化しているんじゃないかというような見方があるわけでございます。

 そうした観点を踏まえまして、日本銀行といたしまして、最近の株価の下落というものをどのように見ているのかを教えていただければと思います。お願いいたします。

白川参考人 お答えいたします。

 株価は、五月の中旬以降、弱含みで推移しております。このところの株価の下落でございますけれども、これは我が国だけでなく、他の主要国、あるいはエマージング諸国においても幅広く見られておりまして、その意味では、最近の株価の下落というのはグローバルな現象であるということが大きな特徴だというふうに考えております。

 その背景でございます。いろいろな要因が指摘されておりますけれども、一番大きい要因としましては、世界的に金融緩和度合いの調整が行われます中で、アメリカを初めとする世界経済が、引き続きインフレリスクを適切に抑制しつつ成長を持続できるかどうかといった点につきまして、不確実性が改めて意識されるというふうになってきていることが要因ではないかというふうに考えております。

 その世界経済の状況でございますけれども、私どもとしましては、世界経済の状況は、これはもちろん引き続き注意深く見ていく必要があるというふうに考えておりますけれども、現時点の判断としましては、今後とも拡大が続いていく可能性が高いというふうに考えております。また、我が国経済でございますけれども、内需と外需、それから企業部門と家計部門のバランスがとれた形で息の長い成長が続くというのが現在の標準的な見方でございます。

 こうした経済情勢のもとで、株式市場を含めまして、市場は、新しい材料を次々と消化しながら、市場相互間で牽制を働かせつつ、今新しい均衡点を求めて動いているということだというふうに考えております。

 いずれにしましても、株価は、先生御指摘のとおり、経済や物価の先行きについての重要な情報を含む指標でございますので、また、その動向が企業や家計のマインド面も含めまして影響を与えますものでございますので、私どもとしましては、引き続き注意深くその動きについて見てまいりたいというふうに考えております。

松本(洋)委員 ありがとうございます。

 この株価の問題に関しましては、本当に重要な問題ですけれども、日本だけでどうすることもできないということもありますから、世界のほかの方々ともいろいろ連絡をとりながら、ぜひやっていただきたいというふうに思います。

 もう時間もありませんから、最後にちょっと一言だけ申し上げさせていただきたいと思います。

 本当に、今、日銀が置かれている立場というのは大変だと思います。それは何かといえば、今申し上げましたような、景気の回復局面、また原油の問題などで物価上昇がある反面、やはり財政規律等も考えると、安定的な金利を何としてでも確保していかなければいけないという、いわばもう本当にバランスをとった、かつ微妙な、そういう政策というものを実施していかなければいけない、そういう立場なんだろうなというふうに思っているわけでございます。

 そんな中で、今回の村上ファンドの事件のような形で何かしらの不信感というようなものが生まれてきてしまう、そうしたことは何としてでもやはり避けていただかないといけないのではないかというふうに私自身考えているわけでございまして、ぜひとも総裁におかれましては、総裁におかれましてはといいますか、日銀といたしまして、今後ともしっかりと対応していただきたいということをお願い申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小野委員長 以上で松本君の質問を終わります。

 引き続きまして、谷口隆義君。

谷口(隆)委員 おはようございます。公明党の谷口隆義でございます。

 本日は、日銀報告の質疑ということでありますけれども、先ほど福井総裁御自身が冒頭おっしゃった、今回の、村上ファンドに対しまして一千万の資金拠出が行われたわけであります、このことについて、まず初めにお伺いをいたしたいと思うわけであります。

 今回のこの案件につきましては、法令また内規上も問題がないということでありますが、やはり国民の皆様も、どうしてなんだろうという疑惑を持っていらっしゃるところがあるわけでございます。

 福井総裁は、国内、また国際的にも非常に評価が高いわけであります。一生懸命、今まで我が国の金融政策に取り組んでこられて、私自身も、副大臣のときに二年近く決定会合に出させていただきましたけれども、金融政策の運営は大変評価の高いものだということを私も思っておるわけであります。

 今回のこの問題の前に、私一つ申し上げたことがあって、これは、木村剛氏が主宰をしている雑誌の創刊号に、総裁が表紙に出られて対談をやられた。これはやはりちょっと緊張感に欠けるところがあるのではないかということを担当の方に申し上げまして、総裁にお伝えいただきたいと言ったことがあるわけです。

 今度のことも含めまして、ファンドというのは確かに資金運用の一つの手段ではあるわけでありますが、一般の人は余りファンドで運用するということはないんですね。一つは、ロットが結構大きなものでありますし、リスクが高いということもございますので、そういうようなものには余り運用しない。また、欧米の中央銀行のトップの方は、資産公開をやり、そのようなことに対しては大変緊張感を持った対応を求められているというような状況があるわけであります。

 先ほども申し上げました雑誌の問題にしても、木村剛氏が日銀の昔の後輩であったとか、また今回も、先ほどお伺いをいたしておったら、志に対して激励の意味であったと。これは、私は総裁をよく知っておりますが、やはり総裁の熱い思いがこのような少々行き過ぎたことになっておるんだろうと思うんですね。また、先ほども申し上げましたように、国内外で非常に評価が高いものですから、やはり人間というのは、ちょっと緊張感の欠けるようなところも出てくるんだろうと思うんです。ですから、ぜひそういう観点で、おのれをむなしゅうして目の前にある業務を全うしていただきたいと思うんです。

 日銀の内規の中で、どうも資産公開について言及されておらないというようなことで、今、行内では、資産管理についてのルールを考えようじゃないか、こういうような動きのようであります。

 私は、まず考えておるのは、ボードメンバーですね、このボードメンバーというのは、日銀の総裁、副総裁お二人、また審議委員が六名、この方は金融政策の決定に非常にかかわっておられるわけであります。ですから、少なくともこのボードメンバーについては資産公開をしていく必要があるというように思っておりますし、日本銀行の行員としても、やはり市中の銀行の模範たるべき行為をやっていただかなきゃいかぬわけでありますから、そういう観点での資産管理ルールを考えていただいて、これを実行していただきたいと思っておるわけでありますけれども、福井総裁にお考えをお伺いいたしたいと思います。

福井参考人 まず最初に、谷口委員から私個人に御忠告をちょうだいいたしました。心にしっかりと受けとめて、より緊張感をみずから課するように身を処してまいりたいと思っております。

 それから、役員の資産について、これを公開するのがいいかどうか、具体的な御提案もちょうだいいたしました。

 現在も、内部的には、資産公開ではありませんが厳格なルールがあります。これで十分かどうか。それから、資産公開ということを考えます場合に、今の実情に即して、中央銀行としての職務の公正性確保、この大原則、一方で、個人の財産権、プライバシーの保護、その両方の関係をもう一度きちんと点検して検討したい、こういうふうに考えております。

谷口(隆)委員 その際に、私が申し上げましたように、金融政策に深くかかわっていらっしゃる方については資産公開をやっていただくようにお願いをいたしたいと思います。政府の方は、大臣も副大臣も全部資産公開をやっておりまして、そういう非常に緊張感のある中で業務をやっておるわけでございますから、公人としていわば当然であるんだろうと思います。ぜひそのようにお願いをいたしたいと思います。

 それで、三月九日の日に量的緩和政策が解除をされました。これは大変大きなことであります。長年続いておりました量的緩和政策が解除されたわけでありますが、解除をされた後、残るはゼロ金利が解除されるのかどうか、時系列的な動きでいくとなるわけでありますが、従来、報道の範囲の中でありますけれども、大体七月か八月ごろにはゼロ金利解除なのかというような表現が出ておりましたが、今回のことも政策に影響しないのかというようなことがあるわけであります。今回のことがゼロ金利解除を先に延ばすといったことにならないのかと。

 私、個人的には、量的緩和の解除も若干早過ぎたと思っておりますし、ゼロ金利解除も慎重に慎重にやっていかなきゃいかぬと思っています。もう少し先におやりになるならば、先にやっていく必要があると思っておりますが、どうも日銀当局が持っておられた想定の中では、かなり早い段階でゼロ金利を解除するというようなことを言われておりましたが、このようなことに対して今回のことが影響するのかどうかという考えもありますけれども、総裁にお伺いをいたしたいと思います。

福井参考人 まず、量的緩和の政策枠組みの変更後、現在までに生じております二つのことを御報告したいと思います。

 一つは、量的緩和が終了いたしまして、大量の当座預金残高の削減過程を進めてまいりました。市場の状況を見ながら慎重に進めてまいりましたけれども、ごく最近に至りまして、金融市場調節面で、当座預金残高がなお多過ぎるということから金利コントロールに支障が生じるというふうな状況ではほぼなくなってきた、そういうことが言えるところまで当座預金残高の水準が削減し終えたということでありまして、とりあえず当座預金残高の削減プロセスはほぼ終了した、これが一つでございます。

 もう一つは、量的緩和政策終了後の経済、物価の状況でございますけれども、現在までのところ、四月の展望レポートでお示ししました、今年度、来年度の経済、物価見通しの標準的な見通しの線に、ほぼ過不足なくそれに沿って経済が動いてきている、こういうことでございます。したがいまして、展望レポートの中でお示ししましたような金融政策の今後の方向性については、ああいう大枠のもとで慎重に判断していけばいい、こういうことになっております。

 したがいまして、あの大枠を変えなきゃいかぬというふうなことがありませんので、今後とも経済、物価の情勢を慎重に判断しながら適切なタイミングを探っていくということになりますが、今の段階で前もっていつごろというふうに予断を持って臨んでいるわけでは、正真正銘そういうことはないということでございます。

 最後にお尋ねがありました、今回の件で日本銀行の政策判断が影響を受けることがあるかどうかということでありますが、政策委員会のメンバーは、私の今回のことに関しましてすべて御理解済みでございます。引き続き、従来の経済、物価情勢に対する厳密な取り組み方を今後とも維持するということをかたく心の中に秘めていただいている、私自身もそうでございまして、金融政策そのものは経済、物価情勢にあくまで忠実に判断をしていくということをお許しいただきたいというふうに思っています。

谷口(隆)委員 おっしゃったように、量的緩和が解除された段階の時点では、当預残高が大体三十兆円余りあったわけです。それで、徐々にこれを減らしてまいりまして、最近では十兆円前後というようなところまで行って、ほぼ当預残高は通常のところまで行ったというようなことのようであります。

 一方で、市中では、長いこと量的緩和をやっておりましたので、どうも市中の銀行は余裕資金を持たないと心配だというようなことがあって、短期金利が急激に上がったりしている。まだ、そういう意味では平常な状態に戻っていないのではないかなと、心理的な面でいいますとそういうふうに思うわけでありますが、しかし一方で、申し上げましたように、当預残高が十兆円前後ということは、当初日銀がおっしゃっておられた、次のステップへの環境がほぼ整ったというような考えが出てくるんだろうと思うんです。

 それで、昨日の夕刻に行われた総裁の記者会見を後で拝見いたしますと、量的緩和政策の解除、当預残高の減少のプロセスは、将来の金利の引き上げを前提としたものではなくて、ゼロ金利終了とは全く別のものだと。要するに、ゼロ金利の解除と当預残高の減少とは全く別のものだ、こういうふうにおっしゃっているんですが、私は全く別のものではないんだろうと思うんですね。ですから、その全く別のものだというところにやはり今回のことがちょっと影響しているのかなと、その御発言ぶりに私は感じたわけであります。

 いずれにいたしましても、当預残高が減ってほぼ平常な状態になった、次はゼロ金利解除だ、こういうようなステップになるんだろうと思いますが、これは全く別のものではないですよね。どうですか。

福井参考人 谷口委員御指摘のとおり、金融政策はあらゆるプロセスが一連のものであって、どこかで途切れがあるとかそういうものではないということはおっしゃるとおりでございます。

 ただ、私が別のものと申し上げましたのは、当座預金残高削減の過程が終わるとすぐゼロ金利解除か、こういう思惑がやはり市場で抜け切れないところがあるように私は思っておりまして、そうした考え方に対して、一応そこは遮断して考えてくださいという意味で強目に申し上げている。私自身の頭の中でも、金融政策はあくまで連続線上で考えていかなきゃいけないというのは谷口委員のおっしゃるとおりでございます。

谷口(隆)委員 そういうことになりますと、ゼロ金利を解除するというような議論も決定会合でこれから出てくるんだろうと思いますが、先日、春審議委員が講演会の中で、油の問題、先ほども出ておりましたが、油価が高騰しておりますので、ゼロ金利解除は慎重にやらなきゃいかぬというような御発言もあります。また、アメリカの経済も大変不透明になりつつあるというような見方もあります。

 今、今後の流れ、先ほど申し上げましたゼロ金利解除に向かう流れの懸念材料として、一体どういうものがあって、どのようにそれを考えておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。

小野委員長 福井日本銀行総裁。

 なお、質疑時間が終了していますので、簡明にお願いいたします。

福井参考人 個別にたくさん項目を申し上げますよりも、やはり一連の流れがあると思います。

 原油高が、アメリカを中心に、やはりインフレ圧力をじわじわと強めつつある。連銀が既にかなり金利の引き上げを行ってきておりますけれども、追加的金利の引き上げがあるかどうか。それらが、今度は米国経済の減速というものをどれぐらい進めるか。そういったことについて、不確実性が幾ばくか市場の中で認識されている、それを映じて株価が下がっている。世界的に下がっている。しかし、よく経済を点検すると、世界経済も日本経済も、現状においては非常に底がたい要素を持っている。

 こういう組み合わせでございますので、リスク要因としては、原油を出発点として、インフレ方向と経済の減速をどれぐらい強く促すか、この両面を有機的に判断していかなければならない、こういうふうに考えております。

谷口(隆)委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、ぜひ、先ほど、冒頭申し上げましたように、大変今までのお仕事は評価されておられるわけでありますから、緊張感を持って頑張っていただきたいと思います。

 以上でございます。

小野委員長 続きまして、古本伸一郎君。

古本委員 民主党の古本伸一郎でございます。

 私からは、先日来議論になっております福井総裁をめぐる問題につきましてお伺いをしてまいりたいと思います。

 その前に、前提となります日銀の使命について少し確認をしたいと思うんですが、日本銀行は中央銀行として物価の安定を行うことが最大の使命であるというふうに理解いたしておりますが、物価を安定さすために一番有効的なツールとして金利誘導があると思いますが、そういう理解で正しいでしょうか。

福井参考人 日本銀行法でも明記されておりますし、ただいま委員御指摘のとおり、物価の安定を通じて日本経済の健全な発展に寄与する、こういうことでございます。

 そして、日本銀行のツールとして、これは市場経済の時代でありますので、市場の中で最も機能を発揮する金利の操作が中心的なツールになる、おっしゃるとおりでございます。

古本委員 金利を動かすことをツールとして持っておられるという話でありました。

 次に、マーケットあるいは国民、さまざまな利害関係人があると思うんですが、それぞれ、日銀にとっての利害関係人について確認をとらせていただきたいと思います。

 マーケットとの関係はどういう関係にあるんでしょうか。つまり、金利が上がれば株価は下がる、これは教科書にも書いてありますし、マーケットと対話を続ける上において金利というツールは大変大事な項目になると思いますが、そういう理解でよろしいでしょうか。

福井参考人 日本銀行が政策上、操作目標とする金利、金利はたくさんございますけれども、コール市場の金利でございます。つまり、一番期間の短い金利、イールドカーブが一番ショートエンドのところの金利を操作する。あとは、経済、物価の先行き見通しをすべての市場の市場参加者が判断し、日本銀行がセットする短期金利の水準を眺めながら市場のコンディションズをつくっていく、こういうふうな構図でございます。

古本委員 つまり、今後とも総裁はマーケットと対話ができる関係にあるというふうに理解していますでしょうか。

福井参考人 日本銀行の行います対話と申しますのは、日本銀行の持っている経済情勢判断あるいは先行き見通しというふうなことを正確に市場にお伝えする、そして、日本銀行が日々、短期金融市場で行います金融操作、委員のおっしゃるツールを使っての金利操作、我々の発するメッセージと我々の短期金融市場におけるアクション、この二つが市場で理解をされる、その理解を通じてコミュニケーションが及んでいく、こういうことでございます。

古本委員 昨日も政策決定会合がありました。そして、当分はゼロ金利維持と決まりました。

 その際、直近の東証の動きあるいは株価、日経平均等々、これは考慮していますか。

福井参考人 一番大切なことは、日本経済がどう動いているか、そして物価がどう動いているか。今は、世界経済と日本……(古本委員「考慮しているかと聞いているんです」と呼ぶ)済みません、すぐ申し上げます。

 世界経済と日本経済は緊密な関係を持って動いておりますので、世界経済全体を見ている。そして、それらの動きを反映して海外のマーケットも日本のマーケットも動いておりますので、市場の動向は十分注視してやっているということであります。

古本委員 市場の動向は注視している、つまり考慮している、こういう理解、確認をとらせていただきました。

 その上で、では次に、国民的な理解でありますが、ちょうど昨年の衆議院の予算委員会で答弁されていますが、実に、九三年から〇三年の十年間、ゼロ金利の副作用的に、一体どのくらい国民の預金金利がロスしたというふうに理解しているでしょうか。これは既に答弁されています、百五十四兆円です。これは総裁が当時、答弁されています。

 九三年から〇三年の十年間というのは、まさに今回の事案に言われている、総裁が利殖をした期間ではないでしょうか。低金利で国民に副作用が発生し、その額、実に百五十四兆円で、国民の財布が痛んでいる、そのときにあなたは利殖に励んだ、正しいでしょうか。

福井参考人 金融政策運営の観点からは、私は、あくまで経済、物価情勢、それに忠実な政策判断をしてきたつもりでございます。つまり、日本経済がデフレスパイラルに陥って立ち直りが不可能になるというふうな状況を防ぐために必要な判断をしてきたというつもりでございます。

古本委員 必要な判断をしてきた、それは結構です。

 違うんです。その時期に、総裁はある特定のファンドに出資をし、そして利益を得ていたんです、確定申告までされたんですから。そのことが国民感情的に尊敬される行為ですかと聞いているんです。そして、マーケット的に、引き続き、総裁の発言が、今後とも対話できる関係にあるんですかと聞いているんです。いかがですか。

福井参考人 私自身の行動について、いろいろ御批判があるということはよく承知しております。そういうことは私は真摯に受けとめて対処させていただく、そういうことで御理解を求めていきたいというふうに思っております。

古本委員 では、政府、これも利害関係人だと思います。金利が上がれば国の借金の利払いがふえますので、これも利害関係人という理解でいいでしょうか。

福井参考人 利害関係人というお言葉をどう理解するかですけれども、日本銀行が短期の金融市場を中心に金融政策を行いました場合に、それは債券市場にも波及する。長期金利がどう反応するかは前もって読めるところではありませんが、結果的にはある反応を示す。それは当然、政府の利払い負担の大きさ、少なさに響いていく。それは、マーケット経済である以上、当然そういうことは起こります。

古本委員 つまり、整理すると、日銀の使命は物価の安定。物価を安定さすために、金利を動かすということをツールとして持っている。そして、日銀にとって、考慮したり、あるいは対話したり、あるいは参考にしたりする対象として市場がある。そして政府もある。さらには、国民の、いわゆる金利が上がれば住宅ローンも上がる、あるいは、金利が低ければ預金金利が下がる。これはすべて国民生活に関係しますから、直結をいたしますから、これはすべて利害関係人ですね。

 そういう整理をさせていただきたいと思うんですが、よろしいでしょうか。

福井参考人 金利が変動すれば、何らかの形ですべての皆様に影響があります。金利が上がってプラスになられる方とマイナスになられる方と、常にそれは存在いたします。

古本委員 では、前提が今申し上げた整理のもとに、一つずつ掘り下げたいと思います。

 まず、マーケットについてでありますが、総裁は就任後もプレーヤーとしてマーケットに参加した、こういう理解でいいでしょうか。

福井参考人 マーケットにプレーヤーとしては参加いたしておりません、個人的にはですね。

古本委員 では、巷間言われておりますこの一千万を出資したファンドでありますが、このファンドの目的は何なんでしょうか。

福井参考人 ファンドそのものの目的と私自身の行動とは、これは一任勘定でありますので切断されていると思います。

 ファンドそのものは九九年にたしか始まったものでありまして、これは当時の村上氏が、当時の彼の志は、日本のコーポレートガバナンスを刷新する、新しいものにしていく、そのための一つの市場のツールとしてそれを使っていく、こういうふうな発想であったというふうに理解しております。

古本委員 先日の答弁ですが、一千万出資したんですかという問いかけに対し、出資というか株式、ファンドですから拠出と言えばいいのか、こういう言い方をされています。そして、このファンドの運用利回り等々、具体的な数値を求めておられました、参議院で。そして、総裁は留保されています。

 当委員会に、今ここに、どれだけの利益を上げ、そしてどれだけの税を納めたのか、お示しをいただきたいと思います。

福井参考人 国会の御要請がありますので、今急いで整理しておりまして、可及的速やかに御報告を申し上げる、こういうことでございます。

古本委員 それはいつ出してくれますか。

福井参考人 なるべく早く出させていただきます。

古本委員 きょうで国会は閉じます。別途国会に出すということでいいでしょうか。

福井参考人 済みません。ちょっと聞き損ないました。

 可及的速やかに国会にお出しする、そういう意味でございます。

古本委員 それは、この当委員会に提出ということでいいでしょうか。

福井参考人 当初は、参議院の財金委員会から御要請がありました。したがって、そこにまずお出しするというのが筋かと思いますけれども、当委員会から御要請があれば、もちろんそれはそういうふうにさせていただきます。

古本委員 これは大変重要な事案です。必ず閉中審査を開いていただきたい事案と思いますが、いかがでしょうか。

小野委員長 この件につきましては、理事会で諮らせていただきます。

古本委員 それで、投資かどうかということなんですが、幾つかお尋ねしたい観点があります。

 まず、きょうは国税も来ていただいているんですが、国税庁、いいでしょうか。

 こういうケースはどうなんでしょうか。あるファンドに出資というか株式投資ですね、出資者が、投資家が資金を投資し、それを元手にファンドが運用し、収益が出た場合、しかしながらキャッシュアウトはせずに、帳簿上の利益だけ確定する、その際、確定申告は行いますと。こういうケースというのはどういうケースなんでしょうか。

竹田政府参考人 一般論で申し上げますと、先生お話しのような個人の出資先がある、それが確定申告されるということは、つまりパススルーの課税が行われるというお話ではないかと思いますが、出資先が民法上の組合等である場合には、こうしたいわゆるパススルー課税、すなわち組合事業に係る利益が分配割合に応じて個々の組合に直接帰属することとなって、投資事業組合の事業内容に応じて個々の組合員に所得税が課税されるという格好になっております。

古本委員 もうちょっと大きな声でしゃべってください。よく聞こえなかった。パススルー課税とおっしゃったのでいいんでしょうか。はい、そうですね。

 これは、パススルー課税する大前提として、間に法人格を有しない組合を介してある方が投資した場合のケースだと思いますが、そういう理解でよろしいでしょうか。

竹田政府参考人 一般に、そういう御指摘のようなファンド、投資事業組合というのは民法上の任意組合または投資事業有限責任組合の形態で営まれているのが一般的と私ども承知しておりますので、おおよそそのようにお考えいただいて結構であろうかと思います。

古本委員 今一般論で国税は答えてくださいましたが、今私が申し上げたケース、投資ケースというのは、まさに福井総裁がせんだって答弁されたケースであります。

 個別の事案に入りたいと思いますが、利益確定をしていない、売却益、キャピタルゲインが確定しないのに確定申告をした。これはどういう契約になっているんでしょうか、そのファンドは。

福井参考人 ファンドの詳細な仕組みまでは承知しておりませんけれども、今の国税の専門家の方の御意見を拝聴していますと、そのような仕組みに恐らくなっているんだろうというふうに思います。

古本委員 仕組みもわからず、サラリーマンにとって負担の重い一千万を出したんでしょうか。

 それでは、お尋ねします。その一千万の出どころを教えてください。

福井参考人 出どころは私以外にありません。私のような者にお金を貸してくださる方はいらっしゃらないんです。

 仕組みがわからないで出したということはもう確かでございます。ただ、そういう納税の手引のようなものが参りますので、それに従って計算はしたということで、今のお話を聞いておりますと、確かに私も、利益を受け取っていないのになぜ税金を納めるのかなということは何か不思議には思っていましたけれども、今のような御説明だと理解がつくということであります。

古本委員 今国税からも答弁ありましたが、間に投資組合のようなもの、民法六百六十七条組合でしょうが、それを介在しているケースである、こういう理解でいいですか、総裁。あなたが投資したケースです。

福井参考人 恐らくそういうものだろうというふうに思います。

古本委員 そうしますと、その投資組合の目的、資金を集めた目的、そして運用方法等々を書いてあるその募集要項、これをこの委員会に提出いただけますか。投資契約書です。

福井参考人 契約のようなものでございますね。これは何か累次、修正が加えられたり、改正が加えられたり、再編成が行われたりして非常に複雑なものになっています。私の手元に全部そろっているかどうかわかりません。

 もう一つは、もし仮にこれが組合契約だとしますと、恐らく他の民間の出資者の利害関係もあると思いますが、単純に私は、恐らく守秘義務に縛られている可能性もあると思います。その辺は検討しなきゃいけないと思います。

古本委員 あなたは中央銀行総裁です。国民はこの件は注視しています。毎日時給数百円で働いて汗している人が、山ほどいます。そのときにあなたは利殖に走っていたんです。国民の声が聞こえないんでしょうか。

 そして、今ちょうどいいことを総裁はおっしゃっていただきました。ほかの人のこともあるからという趣旨のことをおっしゃった。しかしながら、組合の募集要項はそれぞれ、福井さん用あるいはだれだれさん用という、何か特別なものが組まれているんでしょうか。それとも、富士通総研の、志を支えたいという数名の方で独自に組んだ組合なんでしょうか。

福井参考人 恐らく、そういうふうに幾つかの小さな単位から出発して、これが統合されて進んできているというふうに思います。

古本委員 ということは、富士通総研の皆さんの志ある仲間で最初スタートしたときは、一つのクラスターのような固まりで組合があったんでしょうか。

福井参考人 そこまでは、ちょっと、よく確認しないとわかりません。

古本委員 これは大事な観点です。もしそうならば、これは仮に五人としましょう、何人の御有志で、お仲間で集めたか、よく存じ上げませんので。仮に五人で富士通総研の仲間の方と出資したならば、総裁お一人が、これは利殖じゃないとおっしゃっている。生み出された利益はすべて世のため人のために使うという趣旨のことをおっしゃっておられる。私が別にポケットに入れるわけじゃありません、それはスタートのときから決めていましたと言っておられる。ファンドに投資を始めたときからです。ということは、あと何人おるか知りませんが、この残りの方々も、ひとしくポケットには入れないんですね、利益分を。そういうことを言われていますよ。

福井参考人 当時の村上氏の志を支援するという意味では共通でございます。しかし、財産の使い方については、これは他は全く純粋に民間の方でございますので、そこまで私は知りません。それは、その部分は、私自身の心根の問題でございます。

古本委員 心の中を問うているんじゃないんです。契約上のことを聞いているんです。契約上、投資行為だ、利殖だ、投資家の皆様に年利幾らでお返ししますと、何か書いているわけですよ。見せてください。それを見ないことには議論は進みません。当委員会へのその契約書の提出を求めますが、いかがでしょうか。

福井参考人 契約書をお出しするということが守秘義務に反しないかどうかという点も含めて、検討させていただきたいというふうに思います。

古本委員 では、当時富士通総研の皆さんと、その一千万というのはどういうところから決まった金額なんでしょうか。別にローンで手当てしたわけじゃない、要するに自分の蓄財の中から回した、こういうことでありますが、一千万という金額はどのように決まったんですか。

福井参考人 村上氏がビジネスといいますか新しい事業として立ち上げるためのファンドの実際上の最初の単位というのはもっと大きかったと思いますけれども、これはしかし、形式上、最小単位が一千万ということでありました。これ以上小さな単位はなかったということであります。

古本委員 その際に、村上さんの志を支えたい、こういう思いで出資した。残りの方々もそうであった。ただし、ファンドで運用し、結果得られた利益の扱いについては、その契約書には書いていない。そして、心の中で私はそれを、私というのは総裁は、自分のポケットに入れるつもりはないとかたく誓ったと。それは、富士通総研の理事長である、私人であるにもかかわらずそう誓った、こういう理解でいいですか。

福井参考人 私はそういうふうに思いました。一定のリターンが保証されているわけでもありませんし、全く海のものとも山のものともわからない、利益が出るのか、全く元本までなくなるか、そういうことを一切予想できないような状況であったと思います。

古本委員 今大事なことをおっしゃいました。海のものとも山のものとも、利益が出るかどうかもわからないとおっしゃいました。先日の答弁で、そうも答えていますね、確かに。利息という概念はない、ファンドが株を売ったり買ったりし、売買のネット益が、幾らかネットで益が出て、毎期フローで決まる、非常に変動するものでございます、固定的な利息運用ということではないわけですと、まさにそのことを言われている。にもかかわらず、どうして毎年確定申告されたんですか。利益が出ているじゃないですか。

福井参考人 事前には、その一定のリターンが確定しない。事後的には、当然決算が行われますから、ある期のフローとしての利益は確定していくわけであります。

古本委員 そこは大事ですよ。

 では、確定利付的に、いわゆる的にですよ、確定的な利付を、この契約は総裁に対し、つまりこのファンド出資者に対し、ある一定の運用利回りは約束していないわけですね。間違いないですか。

福井参考人 確定利回りの保証というものはないわけでございます。したがいまして、ある期、例えば十という単位の利益が出ても、ずっと継続投資が行われていますので、翌期の投資がまずければ、この前期の十の利益も目減りしていく、そういう仕組み、御理解いただけますか、そんな感じです。

古本委員 そうしますと、この確定申告のときの納税原資はどこから持ってこられましたか。

福井参考人 元本は一千万と、私にとっては負担感のあるものと申し上げておりますが、それによる年間のフローの利益、そして税額、この税額になりますと、それはそんなに大きな額じゃないんです。したがいまして、普通の私の収入の中から出しているわけです。

古本委員 一体どのくらい利益が出たんでしょうか。全く判断がつかないんです。どのくらいでしょうか。

福井参考人 それは、今急いでお出しする数字によって明らかになると思います。毎期毎期の利益と、それから、利益というのはふえたり減ったりいたします、したがって、最終的な残高と、こういうふうな感じで把握していただかないと正確なことがわからないわけでございます。そこを今きちんと整理いたします。

古本委員 毎期毎期、何千、何百円利益が出たかまで問うているんじゃないんです。

 では、いいです。もうかったなと思う年の期末の締めで、大体このぐらいの運用益が出たなというイメージで、大体何%ぐらいでしたか。あなたの問題なんですよ。

福井参考人 非常に幅がありまして、数字は明確に覚えておりませんが……(古本委員「もうかったときです。特にもうかったときで何%ぐらいですか」と呼ぶ)非常に少ないときは数十万円単位、多いときは数百万単位、こんなに振れがございます。

古本委員 重要な事実を伺いました。数百万円年間で出るといったら、運用利回り五〇%超えていますよ。そういう年もあったわけですね。庶民はゼロ金利で財布の中がすっからかんになっているときに、あなたは運用利回り五〇%以上で回した年もあった、こういう理解でいいですか。

福井参考人 しかし、まだ確定したものではございません。それは再投資が行われていますので、どういう帰趨をたどるかわかりません。それと、そんなに期間利益が大きい年ばかりではないということであります。

古本委員 これは、キャッシュアウトして、現金化して口座に運用利益が入ったわけじゃないんです。にもかかわらず、あなたは自分のポケットの中から納税したとおっしゃっているじゃないですか。これは限りなく利益は出たんですよ。そして、元本が積み上がっているんですよ。一千万が、では今幾らかになっているわけでしょう。その数字が出せないと言うものだから、もどかしい議論をしているんですが。

 元手は一千万、それに対し数百万の運用益が出た年もあるとおっしゃった。これは、単純に計算して運用利回りはどのくらいになるか。どのくらいになった年があるというふうに理解されていますか。この年は調子よかったなという年です。

福井参考人 これはやはり、資料をお出しして、正確に御判断いただいた方がいいと思います。もし間違って、そうでなかったとなりますと、また改めて御迷惑をおかけすると思います。

古本委員 必ず出してください。

 しかしながら、きょうのこの時点で、きょうメディアも来られている、皆さんも、国民周知のこの議論ですよ。年によっては一千万の元本に対し数百万円の利益が出た年もあった、こういう理解でいいですか。

福井参考人 そのとおりですけれども、継続投資ですので、次の期に目減りしているかもしれない……(古本委員「でも確定申告したんでしょう、納税しているじゃないですか」と呼ぶ)確定しても、翌期はまた違った結果が出るわけです。

 したがって、最終的に明確に出ますのは六月末に、私はもう解約したわけですから、最初から六月末までの通期、通年でどうなったかというパフォーマンスが出ます。恐らく私の勘では、委員がおっしゃるような、そんな感じになっていないんじゃないかと想像しているんです。

古本委員 いずれにしても、海のものとも山のものともつかないファンドに投資をし、利益が出るか出ないかわからないファンドに投資をし、年によっては数百万の運用益が出、これは世の中では投資といいませんか。利殖といいませんか。御答弁願います。

福井参考人 利殖の意図でこのファンドにお金を出しておられる方は圧倒的に多いんだろうというふうに思います。しかし、私はそうでない。心に誓ってそうではありませんので、最終的な処分もそうでない形できちんとやらせていただく、繰り返し申し上げているところであります。

古本委員 次のやりたいことがあるので行きますが、国民が見ていますよ、総裁。そういうことが通用するとなると、小学生もみんな悲しくなっちゃいます。大人が信用できなくなりますね。

 マーケットの参加のところで言います。

 総裁は、前回の答弁の中で、志に共鳴し、そしてお金を集める自信がないという村上さんを支えたいという思いで用立てをし、皆さんで恐らく特定組合をつくったということですね、さっきの確認でいくと。つくって、それで始めた。そして、そのつくった組合の目的は、恐らく一般的には利殖だろうと言われましたが私だけは利殖じゃないんだ、こういう摩訶不思議な答弁をされた。国民的には全く理解のできない答弁をされた。村上さんに対しての恩義があるということを再三言っておられました、富士通総研として。恩義があったので、その数人で組んだと。

 逆に、その後、フレンドリーアドバイザーという言葉を使われていますが、このフレンドリーアドバイザーというのはどういうものなんですか。要するに、無償で、ただちょっと御意見番的に何かコメントを出してあげる、こういう感じでいいんでしょうか。もしそうならば、報酬ももらっていませんね、もらっていません。引き続き、村上ファンドに対するフレンドリーアドバイザーもお受けになりましたね、なっているんです。これも無償でお受けをしている、こういう理解でいいんでしょうか。要するに、お互いに相談をし合い、そして答え合う間柄にあった、こういうことでいいでしょうか。

福井参考人 ちょっと聞き違えておればお許しいただきたいんですが、日本銀行総裁になる前の民間時代の話でございます、アドバイスの話は。しかも、それはコーポレートガバナンスに関する大所高所のアドバイスであって、ファンドの運用とかマネジメントというふうなことは、私のキャパシティーからはできることではありませんので、そういうことは一切いたしておりません。

古本委員 要するに、お互いに恩義を感じ合っていた仲であれば、そこで一千万を拠出する相当な根拠がないと出さなかったと思うんですね。これは総裁の心の中に入りますから。これは、明らかに利殖行為で、もうけ話だからそれに乗っかったんですよと国民が誤解しても、弁明できません。

 したがって、委員長、やはりこれは、どれだけの利益を出してどれだけの運用成績を上げ、そしてどうなっているか、総裁だけの問題じゃありません。今、横に座っておられる理事の皆さん、副総裁の皆さん、さらには審議委員の皆さん、我が国の金利政策を決めておられる皆様がどういう出資状況であるのか、株式に。これは資産公開をぜひやっていかなきゃいけないと思うんですが、このことについて、まず総裁、何か、逃げもしない隠れもしないとおっしゃったんですが、逃げ隠れする男ではないと昨日おっしゃった、おっしゃいましたね、きのう会見で。ぜひ、逃げ隠れせず、御自分の部下の分も全部出してください。この委員会に出してください。

福井参考人 資産公開の問題については、先ほど谷口委員からの御質問に対して私は正確にお答えいたしました。職務の公正性を確保する観点とプライバシー、財産権の保護の観点、両方の尺度でこれをきちんと考えていかなきゃいけない問題だというふうに考えています。

古本委員 今、現行法、日銀法あるいは内規、心得等々すべてに照らし、日銀の幹部職員があるいは審議委員の皆さんが、みずから、どこに投資し、どの株を買い、どの株を売っているかということについては……。もといです。そもそも、買ったり売ったりしていいんですか。

山口参考人 株の取引につきましては、保有すること自体については、制限はもちろんございません。(古本委員「売買は、報告の」と呼ぶ)売買は、報告の義務があります、という実情でございます。

古本委員 委員長、これもびっくりなんですよ。実は、日銀の内規則を精査すると、売買もできるんです、報告すれば。悩んだときには上司に相談すると書いてあるんです。これは正しいですね。はい、正しいんです。

 総裁の場合、上司というのはだれなんですか。総裁が新規で株を買ったり売ったりできるんですよ、内規上は。そうですよね。実はできるんです。日銀法というのはそうなっているんです。あごが外れた。そして、売ったり買ったりするときに上司に相談せよと職員には言っているんだけれども、トップ、頂の総裁が悩んだときは、だれに相談するんですか。

山口参考人 お答えいたします。

 私どもコンプライアンス委員会というのを設置しております。委員会は副総裁によってつかさどられておるわけでありますが、総裁の株の売買について、仮にあったとすれば、その場に報告するということになっております。

古本委員 これは日銀法の改正も視野に入れた大変な改革をしないと、この後同僚議員がやってくれますが。総裁、これは二回目ですよ。九八年の大疑獄が起きたときのまさに二回目なんです。日銀法の改正がいかに必要かということは胸に手を当てて考えていただきたいと思います。

 そして、利殖のところなんですが、総裁、さっきはっきり答えておられない。これは利殖でしたか。あなたが投資した行為は、利殖でしたか。

福井参考人 村上ファンドがそんなにもうかるファンドだということは初めから意識しておりませんでした。途中から利益が上がっているというのを認識したのは、私にとっては当惑事項、したがって、最終処分はきちんとやらせていただきます、こういうことであります。

古本委員 では、最後に、解約のタイミングをお尋ねいたします。当惑したのはいつごろからですか。

福井参考人 日本銀行に参りましてからは、村上ファンドに限らず、個別の投資家の行動を一々チェックすべきでない立場になりましたので、その具体的なきっかけがあったわけではありません。

 しかし、一般報道ベース等で村上氏の行動を見ている限り、当初の彼の志どおり彼は行動しているかどうか、時の経過とともに私の心の中に疑念が蓄積してきたということは事実です。したがいまして、それがある臨界点に来たときに、もう私の彼の志に対する激励は終わったというふうに思ったわけです。

古本委員 では、総裁がこの投資組合を介してファンドに投資した、この契約に基づけば、何カ月前までに申し出れば解約できるんですか。

福井参考人 正確に覚えていませんが、大体三カ月前ぐらいだというふうに思います、最終期限は、決算期の。

古本委員 ということは、六末が決算期ですよね、締め月ですね、六末と十二末。そこから三カ月前というと、三月末でもよかったんですね。それをなぜ二月末に解約されたんですか。

福井参考人 先ほど申し上げましたとおり、格別具体的なきっかけはございません。私の心の中でそういう違和感の蓄積が臨界点に来たのがそのときだというふうに、これは心に素直に従ってやっております。

古本委員 心の中と伺ったんですが、具体的な判断ポイントは幾つもありました。

 まず、二〇〇三年三月の総裁就任時です。この時点で利益は出ていましたか。

福井参考人 毎期毎期、幾ばくか出ていたと思います。

古本委員 では、なぜこのとき解約しなかったんですか。なぜ解約しなかったんですか。

福井参考人 まだ彼の志を疑うに足りるほど心境が熟していませんでした。

古本委員 では、もう一つ。

 〇五年九月、阪神株、村上さんが支配し出した、大株主に躍り出たと第一報が打たれました。そして、先回の委員会で、参議院の方で、阪神ファンの総裁は非常に思いが錯綜した、志に疑念を感じたという文脈がありました。だったら、二〇〇五年の九月、ここも第二のポイントだったんじゃないですか。なぜ解約しなかったんですか。そんなことをする男じゃないと思っていたんでしょう。おれの愛する阪神をどうしてくれるんだと思ったんでしょう。

福井参考人 おっしゃるとおりです。それが私の心の中でのいわゆる不信感の累積を加速したと、おっしゃるとおりだと思います。

古本委員 では、二〇〇四年の十二末の運用益はどのくらい出たんですか。これは個別の話になるから今わからないとおっしゃるんですけれども、まさに、もうかっていたからもうちょっと置いておこうかなと思ったんじゃないんですか。

福井参考人 それだったらいつまででも解約しなかっただろうというふうに思います。

古本委員 さらに二〇〇五年の十二月末、阪神株、四〇%超えました。議決権の三分の一を超えたときですよ。これはさすがにコーポレートガバナンスを目指すために出資した、集まった志としてはかけ離れてきた、こんなことだったのかなと思うならば、ここもあったはずです。二〇〇五年の十二月、なぜ解約しなかったんですか。

福井参考人 そうした事実を具体的にとらえてということではなくて、そういった事実一つ一つが私の心の中での不信感を累積させた。今おっしゃったようなことは、累積度合いを非常に加速したということは、もうおっしゃるとおりだと思います。

古本委員 二〇〇六年の三月九日に量的緩和解除になったわけですよ。そのときに、総裁は私は独裁者じゃないという趣旨のことを答弁されていたが、これの提出者はだれだったんですか。量的緩和の解除の提出者はだれでしたか。

小野委員長 福井日本銀行総裁。

 なお、質問時間が終了していますので、簡単にお願いします。

福井参考人 日本銀行政策委員会の議決は多数意見で決める……(古本委員「提出者です」と呼ぶ)多数意見を踏まえて議長が提案する、こういうことでございます。(古本委員「だれですか」と呼ぶ)私です。

小野委員長 古本伸一郎君。

 時間ですので、簡単にお願いします。

古本委員 委員長、最後にまとめだけさせてください。恐れ入ります。

 もうけた額、それからマーケットの参加状況、これは、今指摘した日銀の関係者、幹部です。それから参加の目的、ファンドはどういう目的の募集要項で募集したか等々、同僚議員がこの後やってくれると思いますが。

 これはコーポレートガバナンスを、日本のコーポレートガバナンスを変えたいんだという高潔な目的に共鳴し出資したと、総裁は累次にわたり答えておられます。まさに日本銀行そのもののコーポレートガバナンスが問われているんですよ。違いますか。これは、関係する書類、すべて出していただかないと議論の与件が組めません。ぜひ当委員会への、福井さんによる、本当に逃げない男とおっしゃるならば、ここはひとつ出していただきたい。そして、当委員会での閉会中審査開催を強く求め、終わります。

 ありがとうございました。

小野委員長 以上で古本伸一郎君の質問を終了いたします。

 続きまして、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介でございます。

 私も、古本議員に引き続きまして、日本銀行の福井俊彦総裁の村上ファンドへの拠出金、出資金問題について、我が国の中央銀行の独立性の確保と、そして自己規律ある市場を我が国につくるという観点から質問してまいりたいと思います。

 まず冒頭、総裁、私は、かつて新聞記者として、当時は福井総裁は副総裁でございましたが、日本銀行を取材させていただいた経験がございます。その意味では、総裁の実績なり見識を知る一人として、また個人としても御縁をいただいた一人として、きょう、このような質問をしなければいけないこと、非常に残念であります。だからこそ、ぜひ総裁におかれましては、我が国の中央銀行の総裁としてこの国会の場でしっかりとした説明責任を果たすべく明瞭な御答弁をいただきたい、このことをまず冒頭申し上げたいと思います。

 さて、同僚議員からも、古本議員からも指摘をされておりましたが、話を聞いておりまして、そもそもこのファンドへの、お金を出した契約書、その仕組み、総裁自体はわかっているのかわかっていないのか、非常に疑念を抱かざるを得ないんですね。そもそも、このファンドへの出資がどういう契約になっているのか、契約書がそもそも存在するのか、どういう仕組みなのか、総裁は、半分わかっているように御答弁されながら、半分わかっていないような御答弁をされております。

 昨日、日本銀行に対して資料要求をいたしました。ファンドとの契約書、この契約書はあるのかないのか、あるならば出してくださいということを申し上げたところ、見つかりませんというお答えだったんですが、総裁、そもそもこの契約書というのはあるんですか。ちゃんとしたものがあるんですか。総裁はもう見てお手元にあるんじゃないんですか。見つからないというお答えだったんですが、どうなんでしょうか。

福井参考人 先ほどもお答えいたしましたけれども、契約書が存在しないなんということはありません。存在するわけですが、幾つも組み合わせ、再編が続けられてきておりまして、全体まとめてどういうことになっているのかというのは、率直に言って、私自身も十分わかりません。それは、例えばほかの保険契約の場合とか、投資信託の契約の場合でも、あの細かい契約を全部理解してやらないのが普通であるのと同じ程度に、この件についても理解が隅々まで行き届いていないということは事実でございます。

 それから、提出の件については、全部まとまっているかどうか自信ありませんけれども、守秘義務との関係は、やはりちょっと検証させていただきたいというふうに思っています。

近藤(洋)委員 総裁、守秘義務とおっしゃいますが、総裁は、我が国日本銀行の総裁なんですね。日本銀行券を発行している、我々が使っているお札のここに「日本銀行券」と書いてある。そのトップの方の信用が疑われているんですよ。通貨の信用が疑われているのです。これだけゆゆしき問題ですから、総裁の守秘義務云々というのは、説明責任を果たしていただきたいと思うんです。ここで出せないのは非常に疑問です。

 重ねて、総裁、お約束ください。そういったものをいつまでに出すのか。期限を切ってお約束できませんか。いつまでに出されますか。

福井参考人 他の多くの民間の投資家がいらっしゃると思います。その人たちが、契約の中身を他人が勝手に出していいという問題ではないという別の問題があるんではないかということを申し上げているわけであります。(近藤(洋)委員「ですから、いつまでに」と呼ぶ)

小野委員長 ちゃんと委員長の許可を得て発言ください。

 近藤君。

近藤(洋)委員 失礼いたしました。

 ぜひ、同僚議員からもまた理事会からも提出を要求している資料を、総裁、いつまでに出していただけますか。期限をここで明確に、ある程度目標というのを言っていただきたいということと、あわせて、その際には当委員会に総裁が来られて御自身の言葉できちんと説明責任を果たす、ペーパーではなくて、御自身の言葉で国会に対して説明責任を果たすということをこの場でお約束いただけますでしょうか。

福井参考人 契約は、他の民間の方々の秘密を明らかにしていいかどうかという問題については、これはクリアしなければならない、その点がありますので、いつまでにというふうに今お約束できないのは非常に残念です。努力はいたします。

近藤(洋)委員 お答えいただけませんでしたが、御自身がこの国会に来られて説明をされるという御理解でよろしゅうございますね。御自身が、総裁御自身が説明責任を果たされるということでよろしゅうございますね。

福井参考人 必要ならばということでございます。

小野委員長 近藤君、なお、この件は委員会としてお呼びするかどうかの問題がございますので、そのあたりは理事会で諮らせていただくことになると思います。

近藤(洋)委員 ぜひお取り計らいをよろしくお願い申し上げたいと思います。

 さて、これまでの御答弁でも、福井総裁が村上ファンドに投資した理由、志への支援という御答弁でございました。総裁のお気持ちが変化されてきたという御答弁の御説明でございましたが、総裁、問題にされているのは福井総裁の個人の気持ちではないと思うんですね。要するに、日本銀行総裁が、市場から、世間からどう見られてしまうのか、どう見られるかという信任の問題だと思うんです。

 ここは、やはり個人のお気持ちがどうであれ、結果として市場からないしは世間から信任が揺らぐな、少なくともこういう形で大きく連日新聞でも報道されておりますが、こういった状況に至ったというこの責任は改めて感じなければいけないと思うわけであります。個人の気持ちがこういうことだからというので許されるものでは決してないと思いますが、総裁、いかがでしょうか。

福井参考人 個人の純粋な気持ちが最終的にここまで落差の大きい結果に至ったということは、全くの、私としては遺憾なことだ、こういうこともあるんだということをよく踏まえて、厳しい御批判は十分受けとめながら真摯に対処をさせていただく、そういうふうなことでございます。

近藤(洋)委員 御自身の責任についてはまた改めてお伺いしますが、その上で、ちょっと一点確認をさせていただきたいと思うんですが、総裁、論点になっています、二月に解約を申し入れた、なぜなんだろうかということの指摘を受けてまいりました。

 総裁は、仲間意識である、さらには世代への応援という気持ち、そういうことから、そこから違和感を感じて、心の蓄積で変わったというお話でございましたが、さまざまな指摘を受けているとおり、この二月という時期について、量的緩和の解除の前の時期であり、さらに村上さんが逮捕される直前の時期であり、こういった非常に微妙な時期の行動で、意思決定であった。さまざまな憶測を生んでいるというのは、これは事実であります。憶測を生んでいるというのは事実であります。

 そういう微妙な時期の判断について、総裁、コンプライアンス会議なりにまさに諮ったのか、ないしはしかるべき方に、総裁自身は、売却をする、したいということを、売却といいますか引き揚げたい、投資を引き揚げたいということの御相談をどなたかにされたのでしょうか、二月の時点で。

福井参考人 私自身の心の集積に従って自然に判断いたしました。

近藤(洋)委員 したがいますと、だれにも相談せずに決めたということですね。それは、総裁、服務規程に広い意味で、果たして正しいのかと思うんです。さまざまな規程には、もちろん株式等の売却についてはしかるべき手続をとるようにという服務規程になっておりますが、その等の中には、やはりファンドへの投資というのも当然含まれてしかるべきだと思うんですね。

 そういう中で、なぜ総裁はだれにも相談しなかったのか、これは広い意味で服務規程違反じゃありませんか。そうお考えになりませんか。総裁にお答えいただきたいと聞いております。

福井参考人 私も内部ルールはきちんと承知の上で判断いたしました。問題ないということで判断いたしました。

近藤(洋)委員 「日本銀行員の心得」には、世間からいささかなりとも疑念を抱かれることが予想される場合にはそうした行為は慎まなければならない、そして、疑念を抱かれる利殖行為に該当するか否かを判断し得ない場合にはあらかじめ相談するものとすると書いてあるんですね。そして、結果として、総裁、これは結果としてそういう疑念を今世間に生んでいるんです。その判断はやはり不適切だったと反省をされませんか。

福井参考人 そのことに限らず、結果的に見て私に反省事項が全くないかというと、人間でございますので、振り返ってみればさまざまな反省事項がある。しかし、それぞれの時点にさかのぼって考えれば、そういう判断というものは私はきちんとしたつもりでございます。

近藤(洋)委員 ぜひ総裁、そこまで反省されるのであれば、やはり十二月末時点の利益がどれだったのかという数字を出していただきたいと思うんですね。この場で出せませんか。この場で出せないとやはり議論ができないんです。どうでしょうか。

福井参考人 それはきちんとした数字を可及的速やかに提出させていただきます。

近藤(洋)委員 いや、ですから、議論を我々は真摯にやらせていただきたいと思いますし、私は、日本銀行の、日本銀行券の総裁がこのようなことで不信を生むことは非常に悲しいんです、残念なんです、だから出していただきたいんです。出して議論させてもらいたい。この場で出してください、出せないと議論できないんです。出してください。本当はお持ちなんじゃないんですか、昨年の数字だけでも。どうでしょうか。

福井参考人 今持っておりません。それは少なくとも速やかに出させていただきます。

近藤(洋)委員 既にこの議論が出てもう数日間がたっているんです。我が日本銀行の総裁の権威が、数日間こういう形で落ちているんですよ。一刻も早く出すのが、総裁、あなたの仕事なんじゃないんですか。そうでないと、我々国会も議論できない。我々国会は総裁を信任したわけですから、国会として信任したわけですから、承認したわけですから、総裁になられるときに、国会として。出せなければ議論できません。どうですか、出してください、お願いですから。持ってきていただきたい。

福井参考人 数字は必ず早く出させていただきます。

近藤(洋)委員 委員長、これを今すぐ出していただかないと議論が進められないんですが、どうでしょうか。お取り計らいをこの場でいただけませんでしょうか。議論ができないんです。

小野委員長 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

小野委員長 それでは、速記を起こしてください。

 それでは、質問を続けてください。近藤洋介君。

近藤(洋)委員 再開させていただきますが、私が申し上げてきた、さまざまなその資料の提出等につきまして、もう一度整理をしていただけますでしょうか。

小野委員長 この点につきましては、それでは、委員長から質問の形で問わせていただきますけれども、いつまでにどういう資料を出していただけるのか、これを御答弁いただきたいと思います。

 では、福井日本銀行総裁。

福井参考人 手元に残っております資料を全部整理いたしまして、さかのぼっていきたいと思いますけれども、恐らく、さかのぼっても、私の総裁就任時以降あるいは少し前まで、多分二〇〇一年ぐらいまでなら何とかさかのぼれるかなと思っていますので、二〇〇一年度以降のフローの収益、それから、二〇〇五年末といいますか昨年末の残高というふうに言っていいのかわかりませんが、残高、そういうふうなことを、年度と申し上げましたけれども、年になりますね、二〇〇一年ぐらいまではさかのぼって、毎年のフローの収益と二〇〇五年末の残高というふうな感じの数字をできるだけ整える努力をしまして、来週の火曜日というのを期限として出させていただきたいと思います。

近藤(洋)委員 委員長、ちょっと不明確なので、済みません、もう一度、何のために議論を今中断したのか、ちょっとわからないので。

小野委員長 それでは、改めて速記をとめてください。

    〔速記中止〕

小野委員長 それでは、速記を起こしてください。

 質疑を再開いたします。近藤洋介君。

近藤(洋)委員 改めて、情報開示していただきたい項目を申し上げたいと思います。

 一九九九年、ファンドへの、当初参加されてからの毎年年末の残高、昨年末までの毎年の残高が一点。二点目、村上ファンドにかかわる契約書、どのような契約書類があるのかという、この契約書類でございます。三点目、総裁、このファンドに参加されてからの確定申告書であります。四点目、日銀総裁に就任をされてから株式をどのように保有されているのか、その銘柄と株数の状況、総裁に就任をされたときの状況と、そして現在の状況、個別の銘柄と株数。

 以上、四項目でございます。

 ぜひこの資料を出していただきたいと思います。また、その上で、可及的速やかに、いつまでに出していただけるのかということを明確にしていただきたいということでございます。

小野委員長 この点につきましては、では、総裁から御答弁をお願いします。

 福井日本銀行総裁。

福井参考人 毎年の収益、これは私の手元の資料をもう一回きちんと調べますけれども、二〇〇一年ぐらいまでさかのぼって出せるかな、収益が出せるということは税額も出せるということでございます。

 それから、残高というのがどこまでさかのぼれるか、これはちょっと附属資料の範囲に入ってまいりますから、資料は恐らく余り残っておりませんので、少なくとも最終年ははっきりわかります、だから、それをどこまでさかのぼれるかはちょっと留保させていただきます。それらについては来週の火曜日までということでございます。

 それから、契約書につきましては、先ほど申し上げましたとおり、守秘義務との関係は少し検討させていただいて、検討が終われば、それは速やかに出させていただく、私の手元に全部そろっているかどうかだけはちょっと留保させていただきますけれども、あるものは出させていただきます。

 それから、株式については、特に私の総裁就任後移動しておりませんから、前も後も同じであります。必要があれば、銘柄、株式、わずかですけれども提出させていただきますけれども、これは余りにも個人資産の中身ですから、できたら国会の中の御審議の材料として使っていただければありがたい。余り一般に公開するような性格のものじゃないかなというふうにも思います。これはいつでも出せます。

近藤(洋)委員 火曜日にということでございました。ぜひ、委員長、当委員会をそのときに開催していただきたいと要望したいと思いますが。

小野委員長 この点につきましては、理事会を速やかに開催させていただいた上で、その状況の中で可及的速やかな開催を諮っていきたいと思います。

近藤(洋)委員 お取り計らいのほど、よろしくお願い申し上げます。

 いずれにしろ、総裁、日本銀行の運営は当然透明性が求められるわけでありますし、その頂点に立つ総裁の立場、そしてその資産の状況というのは、これは極めて重要なんですね。公人中の公人であるということだと思っております。法令に違反している違反していない、内規に違反している違反していないという以前の問題として、透明性は求められる。

 総裁御案内のとおり、市場原理主義、マーケット主義の米国でも、いや、だからこそと言ってもいいのかもしれませんが、FRBの幹部、中央銀行の幹部の資産というのはしっかりと信託される、管理されているわけですね。財務長官も同様であります。オニール財務長官という方がいましたが、大変な株を持たれていて問題になった。そして議会でも問題になりました。

 こういった経緯を、少なくとも福井総裁は御存じのはず。御存じの福井総裁が、なぜ、就任三年もたって、こうした個人の資産の透明性の規程をつくってこなかったのか、この不作為の理由をお伺いしたいんですが、総裁、お答えいただけますか。

福井参考人 米国のオニール長官の事例につきましては、当時の新聞報道等は見かけた覚えがございますけれども、詳しく内容は承知しておりません。

 日本銀行では、役員の個人の資産について公開を求める扱いにはなっておりませんけれども、個人の利殖行為などについては内部に厳格なルールがあると繰り返し申し上げております。こうした制度を通じ、私自身についても職務の公正性は確保されていると考えています。

 なお、これからの新しい公開を含めルールの設定については、先ほどからも繰り返し申し上げておりますとおり、より明確なものにするような努力をしたいということでございます。

近藤(洋)委員 ぜひ、今後の対応は、これは議論しなければいけないと思いますが、いずれにしろ、このような事態に陥ったこの三年間、総裁が就任されて三年間、なぜこのような状況を放置したのかという、この不作為の責任というのはあるのだろうと指摘をさせていただきたいと思います。

 また、総裁、これは非常に言いにくいのでありますが、九八年三月に、いわゆる日銀不祥事の責任をとられて、福井総裁は当時の松下総裁とともに任期半ばで辞任をされております。あのとき、総裁、振り返りますと、日銀の歴史上過去になかった強制捜査を日本銀行がされて、また幹部職員が逮捕され、もちろん、日銀だけではありませんでした、財務省も同様でありました。皮肉なことに、当時処分をされた武藤官房長は、今、日本銀行の副総裁であられますけれども、そういった方々が今、日本銀行の幹部であられるわけであります。

 総裁、ぜひお伺いしたいのですが、ああいった、たしか日本銀行については四百数十万円の数年間にわたる接待が贈収賄とみなされたということでございますが、そのときのあの金融不祥事というのは、まさに金融行政にかかわる方々の常識と世間とのずれがあったということが背景の一つにあったと私は思うのですが、副総裁当時の責任をとられたお立場として、世間とのずれがあったということについては、どのようにお考えになりますか。

福井参考人 その点については大変複雑な思いがいたします。複雑という意味は、当時は、日本銀行の内部体制が世間の感覚の前進に間に合っていなかった、そういうおくれのギャップでございます。

 今度の場合はもっと複雑でございます。これは九九年のころ、日本はこのままでは完全におくれる、こんなに閉塞感に全員が閉じ込められていた中で、だれも前向きの仕事にチャレンジしないという状況では日本がおくれる、その中で先端を切り開いていく若者、これに希望を託すという気持ちがあったわけでありまして、しかし、それも結果は非常に大きく裏切られた。つまり、おくれのギャップを防ぐために私は激励をした、しかしそれを裏切られた。

 いずれも、そういう意味では、時間的尺度のずれの中でいつも私は苦しんでいるということは事実でございます。

近藤(洋)委員 総裁の御本意はともかく、今回の投資をめぐって、総裁の信用を疑われかねない、また総裁のお考えが市場にさまざまな憶測を生んでいるという結果はあるわけでございます。その複雑なお気持ちというのは、これを話すと私も長くなりますので割愛をいたしますが、いずれにしろ、九八年当時は、やはり世間とのずれが結果としてあったということは、これは一部の事実であろうと思うわけですね。

 ですから総裁、総裁は、当時副総裁をおやめになって、まさに民間に移られて、民間の感覚というかそこの中に入られて、さまざまな御苦労もされたと思うんです、さまざまな御経験も積まれて。私は、当時、富士通総研に入られたときに、福井副総裁が総裁を約束されたとは毛頭思いません。いやむしろ、ほとんどその可能性がなかった。にもかかわらず、そういう立場の中で御苦労をされてこられた。その福井総裁にして、何でこのようなことを、また、世間とのずれが起きるようなことをしてしまったのかというのは非常に残念なんですね。

 イエローカード二回なんですよ、イエローカード二回。二回イエローカードを出されたらば、九八年と今回、やはり総裁、退場を命じられても仕方がないのではないか、こう思います。総裁、いかがでしょうか。イエローカード二回なんです。

 その上で、そういった思いの上でぜひお伺いしたいのですが、今回の事態を受けて、小泉首相、安倍官房長官らが総裁を大変擁護されている発言が相次ぎました。こうした発言を受けて、いわゆる政治的な圧力が高まるのではないかという懸念に対して、福井総裁は昨晩の記者会見で、大変深く感謝申し上げる、だからこそ、政策判断をゆるがせにすればかえって恩返しができないというお答えをされています。

 私は、これは正直言って、総裁、驚きました。恩返しというのはどういう意味でしょうか。何に対する恩返しなんでしょうか。こうした、我が日本国の中央銀行の総裁が時の政府の首脳に対して恩返しという言葉を使うという構図自体が、総裁、私は、日本銀行の独立性、そして政策の中立性の上から極めて健全でないと考えるんです。

 総裁御自身が、九八年当時、まさにおつくりになられた改正日本銀行法であります。あの改正日本銀行法の精神にも反すると思いますが、総裁、いかがでございますでしょうか。

福井参考人 私が繰り返し申し上げております趣旨は、厳しい批判はすべて私は胸に受けとめる、それを胸に、金融政策を誤りなきを期して、今後とも職責を全うさせていただく、それを、私が置かれている現在の立場を正しく理解していただいている方々に対しても、そういう形で私は自分の責任を果たしていきたい、そういうふうに申し上げている趣旨でございます。

近藤(洋)委員 福井総裁、お言葉を返すようでありますが、この件で首相が総裁を擁護する、そして日銀総裁が、いかなる本意であろうとも御恩返しという言葉を使ってしまった。この構図は、まさに市場から政策決定がゆがむのではないかという懸念を生んでしまうんですね。総裁が、いや日銀が、合議制の中でどのような判断を下されるにしろ、ゼロ金利の解除をどのようにするにしろ、もうこういう言葉が出てしまった以上、何らかのことがあったのではないかという懸念を生んでしまっている結果があるんです。これは総裁の個人的な内面とは全く別の話なんですよ。この事実の重さというのは、私は大変重いのではないかと思うんですね。

 総裁、要するに日本銀行総裁という立場は、改正日本銀行法ではだれも首にできないんです。政策的な、すごくわかりやすく言えば、極めて解任の要件が限定されました。病気をされたとか、そういった特別の場合を除いて、一度任命をされたら、だれもその首を、その立場を失わせることはできません。圧倒的な違いなんですね。それだけの権威のあるものであります。

 我々政治家は、選挙で選ばれる。政策決定者は、我々は選挙で選ばれて、それで閣僚になり、国会の中で議論をする。選挙という洗礼を受けるけれども、日本銀行総裁は、一度任命されたら五年間、だれとして手を触れることはできない、それだけの立場なんですよね。そして、独立性を担保してきたわけですよね。総裁が、福井さんがおつくりになられた。

 その公人中の公人である日本銀行総裁が恩返しという言葉を使ってしまったという、この重みは総裁御自身だったら一番わかるんじゃないですか。いかがですか。もう一度お答えいただけませんか。

福井参考人 私は、私情にとらわれて金融政策の運営の場面で私の力を出すというふうな考えは全くありません。今後の日本銀行の政策の軌跡がそれを証明してくれる、そういうふうに私は考えております。

近藤(洋)委員 どうも答えになっていない部分があるのですが、総裁のお気持ちはよくわかるんですが、それは総裁のお気持ちであって、日本銀行という組織としては、もはやいかがなものかということを提起させていただいているんです。

 総裁、最後の質問です。

 福井総裁は、四月の新聞社のインタビューで、自己規律ある市場原理が必要だということを、私がおった新聞社でありますが、その新聞社に答えていますね。自己規律ある市場原理が必要だと答えている、四月です。非常に、一つの見識だと思っておりますが、総裁、今回はこの場でも陳謝をされています、その陳謝を形で示すお気持ちはありませんか。

 すなわち、何らかの処分をみずから、例えばペナルティーを科す、総裁という立場を辞職する、これも一つの選択肢だと思います。でなければ、来週に数字が明らかになった時点で、ないしはしかるべき時点で、御自身のところでペナルティーを科す。日本銀行総裁にペナルティーを科せるのは福井総裁しかいらっしゃらないんですよ。御自身で自己規律を働かせる必要はございませんか。この市場からの不信を払拭するために、厳しい自己規律を働かせて、何らかの処分を御自身で御検討するお考えはないか、最後にお伺いしたいと思います。お答えください。

小野委員長 福井日本銀行総裁。なお、時間が過ぎていますので、簡略にお願いします。

福井参考人 今後の私の行動について、自己規律を一層厳しく持つことにより、そして政策運営正しきを得ることにより、私は責任を全うしていきたい、そういうふうに考えております。

近藤(洋)委員 形で示していただきたいということなんです。言葉ではなくて形で示すこと、これがやはり一つの自己規律のあり方であろう。福井総裁が日本銀行にいる意味があるとすれば、総裁の立場にあるとすれば、そのことを形で示すことが、今の局面で、我が国の日本銀行の信頼を、日銀券の信頼を維持する唯一の道だということを指摘して、質問を終えたいと思います。

小野委員長 近藤君の質問をこれで終了いたします。

 続きまして、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 私も、村上ファンドの問題に関連をして質問させていただきたいと思うんです。

 福井総裁は、村上氏の志を激励する意味で富士通総研の有志数人で資金を拠出したというふうに言われました。総裁、私が聞いているところでは、当初、富士通総研として出資をしようということで、最初稟議書を回された、しかし、シンクタンクとしては事業活動をするわけにはいかないということで、これが却下されまして、やむなく有志で出資をする、こういうことになったと聞いておりますが、これが真相ではありませんか。

福井参考人 私は、富士通総研理事長、富士通総研はコンサルティングファームでありますが、その中のシンクタンク、リサーチの部分の研究活動をレベルアップする責任を負っておりまして、富士通総研の経営と申しますか、マネジメントそのものには責任を負っておりませんでした。したがいまして、今おっしゃいました事項については、私は全く承知していない事項でございます。

佐々木(憲)委員 この村上ファンドへの出資の話というのは、自然に持ち上がったのではなくて、福井さんが有志に持ちかけた、こういう経過ではないんでしょうか。

福井参考人 そういう事実は全くございません。

 村上氏は、私が富士通総研に行きます前から富士通総研には出入りしていた人であります。一度国会でも経緯を御説明申し上げたかと思いますが、私の参ります三年前からこのシンクタンクが設けられ、初めてそのシンクタンクを設けるときに、私が参ります前の当時の富士通総研の幹部が、多くの方々から知見をかりて、シンクタンクを創設する仕事を始められた、そのときに村上氏からもいろいろアドバイスをいただいた、そういうことが始まっておりますので、流れからいきまして、私がそういう融資についてイニシアチブをとるという立場には全くございませんでした。

佐々木(憲)委員 総裁就任時に私だけがあの時点で抜け出すということは適当でないというふうに答弁でおっしゃっていましたが、自分自身が相当思い入れを持ってこの一千万円を出資した、そういう経過があったから抜けることができなかったということだと思うんですが、いかがでしょうか。

福井参考人 拠出について私がイニシアチブをとったわけではありません。

 ただ、村上氏のコーポレートガバナンス改革、これについての志については、私は高く評価しておりました。そして、二〇〇三年三月の時点でも、村上氏の志を疑うに足りるだけの材料は私の頭の中にはございませんでした。

佐々木(憲)委員 それでは、経済同友会の幹部もされていたわけですが、同友会の中に、初日会というインナーサークルがあると聞きましたが、御存じですか。

福井参考人 同友会のインナーサークルに、初日会とおっしゃいましたが、そういうサークルは私は承知しておりませんし、少なくとも、あったとしても私は入っておりません。

佐々木(憲)委員 その会のメンバーの中にオリックスの宮内会長なども参加をしていたということを聞いておりまして、その中に福井総裁もいたというふうに聞いておるんですが。今そういうふうに否定されたわけですけれども、この宮内会長と福井総裁というのは、同友会の中では相当親しい関係にあったと聞いておりますが、どういう関係ですか。

福井参考人 同友会の中に初日会というのはないというふうに申し上げましたけれども、恐らく委員のおっしゃったのは初亥会のことではないか、恐れながら。

 なぜ初の亥かというと、昭和十年のえとが昭和になって初めてのいのしし。その昭和十年生まれの民間の人たちの会があります。その会の中では、オリックスの宮内さん、私、ともに同じ昭和十年生まれですから、属しておりまして、そういうつながりでは大変親しい関係にございます。

佐々木(憲)委員 この宮内会長は村上ファンドの生みの親と言われておりまして、村上氏が投資会社を立ち上げるときに、創業資金三十八億円のうち、オリックスが約三十億円を拠出していると言われております。

 その会のメンバーの多くがこの村上ファンドの出資者になっているということですが、今おっしゃったその会のメンバーというのは村上ファンドに相当出資をしていると思うんですが、どのような状況なんでしょうか。

福井参考人 初亥会というのは、もう本当に昭和十年生まれの財界人が中心ですけれども、これは仕事を離れての懇親の会でございます。したがいまして、そういう村上ファンドへの出資というふうな話が、少なくとも私が参加しております会合の中で出た覚えは一度もございません。そして、初亥会のメンバーがどういうふうに出資しているかという事実も、私は全く承知しておりません。

佐々木(憲)委員 ここに村上ファンドの「募集要項」というのがありまして、これは投資者に対して説明をする文書であります、皆さんにはその一部をお配りしてありますけれども。

 この「募集要項」によりますと、「報告」というのがあります。これは資料の中には入っておりませんが、「四半期毎に運用報告書、年度毎に監査済決算報告書を送付」する、つまり、投資をした方にこの書類を送付するというふうに書かれております。これは二〇〇一年七月につくられた「御案内」という文書ですけれども、その中にあります。

 福井総裁は、四半期ごとに運用報告書あるいは年度ごとの監査済み決算報告書というのを送付されているはずですが、当然手元にありますよね。

福井参考人 途中の期のレポートについては、私はよく見ておりません。決算報告書については、納税と関係がありますので、納税関連部分は毎年見ております。

佐々木(憲)委員 この報告書も含めて、資料として提出していただけますか。

福井参考人 私は、そこまで厳密にそういうものは保管していないというふうに思います。

佐々木(憲)委員 保管をしていなくても、これは投資をした方には必ず送付をされるということになっておりますので、その所在を検討していただいて、可能であれば火曜日の理事会までに提出をしていただきたいと思います。

福井参考人 探してみますけれども、恐らく、そういう中間段階のレポートについて私はほとんど見ておりませんので、すべて散逸している、処分しているという可能性の方が強いと思います。

佐々木(憲)委員 これは、各個人に対する運用報告書の資産残高、あるいはその期その期の利益、それから先ほど確定申告ということで資料の提出をお約束いただいたわけですけれども、それと同時に、この運用報告書がもしあれば、今何かなくなったみたいな話をしていますけれども、当然、探して、あった場合には提出していただくということで約束いただきたい。

福井参考人 探してみたいと思います。しかし、私の記憶では、そういうものは残っていない可能性の方が強いと思います。

佐々木(憲)委員 ともかく探していただくということですね。

 日銀法の三十二条には、職務に専念する義務、私企業からの隔離その他の服務に関する準則を定めるとされているわけです。準則によりますと、外部との接触に当たっては疑惑を招くような行為は厳に慎まなければならないとされています。また、「日本銀行員の心得」の中には、現担当職務と個人的利殖行為との間に直接的な関係がなくとも、過去の職歴や現在の職務上の立場等に照らし、世間からいささかなりとも疑念を抱かれることが予想される場合にはそうした個人的利殖行為は慎まなければならない、こういうふうに定められていますね。

 日銀の総裁が、私的利益を目的とする私募ファンドへの出資を継続し、毎年そこから利得を得ていたということになりますと、明らかにこの規程に違反すると思いますが、いかがでしょうか。

福井参考人 そもそも利殖を意図しておりませんし、一任勘定でございますので、私の指図で投資行為が左右されるものではございません。そういう意味では、切断されたものでございます。

佐々木(憲)委員 それはおかしいですね。意図する、しないにかかわらず、利得を得ているわけですよ。それで、毎期ごとにその報告があるわけです。利得があるからこそ申告所得を明確にされているわけでしょう。税金を払っているわけですから、所得の。したがって、所得があるわけですから、これは明らかに利得なんですよ。その意識がないというのは、私は非常に重大だというふうに思います。

 いささかも国民に疑念を抱かせるようなことをしてはならない、個人的利殖行為は慎まなければならない、こうなっているわけですね。これに全く触れない、そういうふうに解釈すること自体、世間の常識からずれていると思いますよ。どのようにお感じですか。

福井参考人 私は、一任勘定として、そのまま全くの操作なく持っていたということでありまして、所得申告は、これは結果として出てくる利益に対して正直に申告を申し上げている、そういう事実でございます。

佐々木(憲)委員 そういう理屈は世間には通用いたしません。

 昨日の参議院予算委員会で、株式を保有しているとおっしゃった。それは社外重役をなさっていた幾つかの会社の株の保有であると。それ以外の金融資産というのはありませんか。

福井参考人 委員はどういう概念で金融資産とおっしゃったかですが、普通、それ以外のものというのは大部分、現金、預貯金でございます。恐らく端数で何かあるかもしれませんが、大部分、現金と預貯金でございます。

佐々木(憲)委員 元日銀審議委員の中原伸之氏は、僕らが日銀に入ったときは、つまり審議委員として入ったときは、保有株式などは信託銀行に預けろと言われた、そしてそうしたと。ところが、福井総裁はなぜ信託銀行にこれを預けなかったんでしょうか。

福井参考人 内部の規律では、保有していた有価証券等をその後売買して運用するというふうなことが原則として難しい規制になっているわけです。したがいまして、信託で寄託するというのは確かに一つの方法ですが、あるいは保有したまま全然動かさない、それも一つの方法であります。

佐々木(憲)委員 保有していて動かさない動かすということは、保有そのものがあるかどうかというか、まず報告をした上で、それで、それが動かして一体どういう利益になったか、こういうことになって初めて全容がわかるわけであります。日銀の服務ルールが、その点、私は非常に問題があると思う。

 保有そのものをしていても、または保有したまま株が上がっても、つまり何の規制もない。これは国際的にいっても全く甘い、抜け穴のようなルールでありまして、当然、今後、この服務規律を検討していく場合には、保有そのものについて報告義務を課す、あるいはその資産公開については閣僚並みに行う、それから株の保有資産については年一回の公表を義務づける、こういうことを検討すべきだと思いますが、総裁、いかがですか。

福井参考人 まず、株式等の保有の内部ルールにつきましては、公務員のルール等を参照しながら現行規制ができております。より明確にする必要があるかどうか、委員の御指摘のとおり恐らくあるんでしょう、そこはきちんと検討させていただきまして、改善の余地があれば改善をいたします。

 公開につきましては、先ほどからも幾たびかお答えしておりますけれども、職務の公正さの担保ということと、プライバシー、財産権の保護という法理の兼ね合いをよく考えながら検討させていただきます。

佐々木(憲)委員 私は、しっかりとした、こういう規律を改善していくということが大事だということを指摘しておきたいと思います。

 それから、私の手元にある資料によりますと、村上ファンドの投資方針として、こういうことを書いているんですね。対象となる会社の株式を購入後、対象企業の経営者または大株主に積極的に働きかける。それで、投資回収として、株価が上昇したときはこれを市場で売却する、第三者から公開買い付けが行われた場合には最も高い価格を提示した者に対して売却すると。つまり、株の保有は売却益を得るためのものであるということを明確にここに書いているわけであります。

 それから、こうも書いているんですね。大株主上位十位になることを目標とする、十位以内に入ることを目標とする、しかし、一〇%以上の大株主にはならない、なぜならば、証券取引法上の主要株主は六カ月以内の利益実現が制限されるからだと。つまり、いつでも売り抜けるように法の網をくぐるということをここで書いてあるわけです。

 このような手法については、MアンドAをやると見せかけて会社にかなり強引な要求を出す、そして株が上がる、それを売却して売り抜ける、これをファンドの主要な目標にしている。つまり、企業のあり方を改善していくとか、そういう問題じゃないんです。自己の利益、株価の上昇、これのみを目的としたやり方をしている。

 しかも、こういう手法というのは、従来グリーンメーラーとか株価操作に近いとも言われていまして、この資料にありますように、そういう形でどんどんどんどん資産を、運用残高を膨らませていった。〇一年には百三十九億円、これが〇六年には四千四百四十四億円。莫大な、大きなファンドになっているわけであります。

 しかも、その稼いだお金が総裁の懐に入っている。しかも、それを可能にしたのは福井総裁が進めてきた超金融緩和政策。じゃぶじゃぶお金を市場に出して、こういうやり方を大いに促進するような政策をみずから行ってきたということになるわけです。

 総裁、そういう関係についての、自分がそこから利益を得ていたこと、それから金融緩和政策がこのような、株の利得だけ、これを目標にしたやり方を可能にしたという自覚はありますか。

福井参考人 今お読みになった文書を私は読んだことはないんですけれども、恐らく、ファンドの運営の方針、つまり財務の面を書いたものだと思います。

 村上氏の当初の、そういうファンドを使ってのコーポレートガバナンスへの働きかけというのは、いわゆる物言う株主として、経営の近代化のために株主の立場から積極的に物を言っていく、こういうことであったと思います。両々相まってうまく運営されれば、当初の志のとおり物事が進む、市場からの評価も得られるということであったと思いますが、恐らく、お金がたくさん集まり過ぎますと、委員がおっしゃったとおり、財務の面のルールというものが知らぬうちに優先されるようになった可能性はある、私はよくわかりませんが。

 私が遠目に見ていて、私の心の中に彼の行動が当初の志のとおりであるのかどうか次第に疑念が募ったというのは、恐らく、背景としては、おっしゃるような財務の面の行動がだんだんより強く前面になるようになったということと裏腹の関係である可能性があるというふうに思います。

 金融政策は全く別の観点で、やはり日本経済全体として、デフレスパイラルのリスクに陥っては経済はもとに戻る可能性すらなくなる、この危機的な状態に対する対応ということでやってきたわけでありまして、全く別の問題だという認識でございます。

佐々木(憲)委員 財務のルールというのは、二〇〇一年からずっとこのルールを使っているわけです、ここに私が資料を持っているのは二〇〇一年の段階のものですから。それをずっとやっているわけです。何も、なかったものがここで出てきたんじゃありませんので。したがって、そこで得た利得が総裁の懐に入っている。しかも、その一部が、村上ファンドのインサイダー取引で得た不当利得も入っているわけです。

 一方で、今国民は、額に汗して働いて、預金に対して利子が全くつかないという状況にある、増税が押し寄せている、あるいは営業も大変な状況にある。そういう中で、ぬれ手でアワのぼろもうけを奨励し、その利益を自分の懐に還流させてきた、そういう自覚がほとんどないというのは、私は問題だと思うんですね。

 日銀総裁がこれを受け取るということをやってきたことは、日本の中央銀行が世界の中での信用を失墜するということにもつながっているわけであります。私は、総裁就任時にこれをきっぱりと清算しなかった、そのことがこういう事態にまで発展しているというふうに思います。

 したがって、このことを、反省の言葉はほとんど聞かれない、持っていて当たり前、そういう状況で、インサイダー取引の利益が懐に還流しても、これは自覚がほとんど見られない。そういう意味で、私は総裁を辞任すべきだと思いますが、いかがですか。

小野委員長 福井日本銀行総裁。

 なお、時間が大きく過ぎておりますので、簡単にお願いします。

福井参考人 当初の時点と最終的に起こった結果との間の非常に大きな落差、そういう大きな落差が起こるということ自身は、私は全く予見できませんでした。予見できなかったということを含めて、もちろんそれは私の重要な反省事項だということは申し上げさせていただきます。

 なお、一貫して、私は利殖のためにやっているわけではない。最終的に利益が出た場合には、これは今までは利益は一度も現金として受け取っていないわけですので、決算の終了後、利益として固まったものが出れば、それは、繰り返し申し上げておりますが、私自身の利益のために使うものではない、どなたがごらんになっても納得のいく使途にすべて振り向けさせていただきます、こういうことでございます。

佐々木(憲)委員 資料が出た段階で、またやらせていただきます。

小野委員長 以上で質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

小野委員長 この際、御報告いたします。

 本会期中、当委員会に付託されました請願は二十九種二百七十四件であります。各請願の取り扱いにつきましては、理事会におきまして慎重に検討いたしましたが、委員会での採否の決定は保留することになりましたので、御了承願います。

 なお、お手元に配付いたしましたとおり、本会期中、当委員会に参考送付されました陳情書は、出資法の上限金利の引き下げ等に関する陳情書外十七件、また、地方自治法第九十九条の規定に基づく意見書は、個人所得課税における各種控除の安易な縮小を行わないことを求める意見書外五百二件であります。

     ――――◇―――――

小野委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。

 財政に関する件

 税制に関する件

 関税に関する件

 外国為替に関する件

 国有財産に関する件

 たばこ事業及び塩事業に関する件

 印刷事業に関する件

 造幣事業に関する件

 金融に関する件

 証券取引に関する件

以上の各件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、閉会中審査案件が付託になりました場合の諸件についてお諮りいたします。

 まず、閉会中審査のため、参考人から意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人の出席を求めることとし、その人選及び日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、閉会中審査のため、委員派遣を行う必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣承認申請を行うこととし、派遣委員、派遣期間、派遣地その他所要の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十五分散会


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