衆議院

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第2号 平成19年2月21日(水曜日)

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平成十九年二月二十一日(水曜日)

    午前九時三十二分開議

 出席委員

   委員長 伊藤 達也君

   理事 井上 信治君 理事 竹本 直一君

   理事 林田  彪君 理事 宮下 一郎君

   理事 山本 明彦君 理事 池田 元久君

   理事 古本伸一郎君 理事 石井 啓一君

      井澤 京子君    伊藤信太郎君

      石原 宏高君    江崎洋一郎君

      小川 友一君    小野 晋也君

      越智 隆雄君    大塚  拓君

      大野 功統君    亀井善太郎君

      木原  稔君    鈴木 淳司君

      関  芳弘君  とかしきなおみ君

      土井 真樹君    中根 一幸君

      長崎幸太郎君    萩山 教嚴君

      原田 憲治君    広津 素子君

      松本 洋平君    川内 博史君

      北神 圭朗君    楠田 大蔵君

      鈴木 克昌君    田村 謙治君

      西村智奈美君    馬淵 澄夫君

      三谷 光男君    吉田  泉君

      鷲尾英一郎君    谷口 隆義君

      佐々木憲昭君    中村喜四郎君

    …………………………………

   財務大臣         尾身 幸次君

   国務大臣

   (金融担当)       山本 有二君

   内閣府副大臣       大村 秀章君

   財務副大臣        富田 茂之君

   内閣府大臣政務官     田村耕太郎君

   財務大臣政務官      江崎洋一郎君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    佐藤 隆文君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 岡崎 浩巳君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    石井 道遠君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           白石 順一君

   財務金融委員会専門員   鈴木健次郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十一日

 辞任         補欠選任

  小野 晋也君     鈴木 淳司君

  松本 洋平君     大塚  拓君

  小沢 鋭仁君     北神 圭朗君

同日

 辞任         補欠選任

  大塚  拓君     松本 洋平君

  鈴木 淳司君     小野 晋也君

  北神 圭朗君     鷲尾英一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  鷲尾英一郎君     西村智奈美君

同日

 辞任         補欠選任

  西村智奈美君     小沢 鋭仁君

    ―――――――――――――

二月二十日

 平成十九年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案(内閣提出第三号)

 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)

同日

 消費税の大増税反対に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一九号)

 庶民大増税の中止を求めることに関する請願(笠井亮君紹介)(第二〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二一号)

 事業主報酬制度の創設に関する請願(中森ふくよ君紹介)(第三二号)

 同(岸田文雄君紹介)(第九八号)

 保険業法の適用除外に関する請願(森本哲生君紹介)(第三九号)

 同(池田元久君紹介)(第七三号)

 同(中川正春君紹介)(第七四号)

 同(馬淵澄夫君紹介)(第七五号)

 同(牧義夫君紹介)(第七六号)

 同(松本剛明君紹介)(第七七号)

 同(重野安正君紹介)(第八七号)

 同(広津素子君紹介)(第八八号)

 同(吉良州司君紹介)(第九九号)

 同(横光克彦君紹介)(第一〇〇号)

 同(山口壯君紹介)(第一〇六号)

 同(吉田泉君紹介)(第一〇七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 財政及び金融に関する件


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     ――――◇―――――

伊藤委員長 これより会議を開きます。

 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として金融庁監督局長佐藤隆文君、総務省大臣官房審議官岡崎浩巳君、財務省主税局長石井道遠君、厚生労働省大臣官房審議官白石順一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。亀井善太郎君。

亀井(善)委員 自由民主党の亀井善太郎でございます。

 私は、昨年の十月二十二日の補欠選挙で当選をさせていただきまして、初めての質問でございます。いろいろとなれない点もございまして、相当緊張しておりますが、ぜひ若い力をこうした場でぶつけていきたい、このように考えております。(発言する者あり)しっかり頑張ります。

 私は、日本興業銀行におきまして金融と産業、そしてその後、ボストンコンサルティンググループという外資系の経営コンサルティング会社で事業と経営を見てまいりました。借り手と貸し手、こうした両面に立った経験があるわけでございます。そうしたことも踏まえまして、金融の問題を中心に幾つかお話をお伺いできれば、このように考えております。

 まず最初にお伺いをさせていただきたいのが、公的資金による資本増強についてのお話でございます。

 公的資金による資本増強、これは平成十年から平成十四年まで、そして平成十五年には、りそな銀行に対して公的資金による資本増強がされました。当時、新聞各紙でも大変話題になりまして、これは政治としてもさまざまな議論をされた、このように記憶させていただいております。こうした点につきまして少しお話をお伺いさせていただければ、このように考えております。

 まず、金融庁の佐藤監督局長にお伺いをさせていただきたいわけでございますけれども、銀行等に対する公的資金による資本増強、これは、どのぐらいの規模で、どのぐらいの形で、どのぐらいの銀行にされたということになっておるんでしょうか。こちらの方を教えていただければ、このように存じます。

佐藤政府参考人 公的資金による銀行への資本注入でございますけれども、まず、平成十年の三月期に、旧安定化法に基づきまして、合わせて二十一行に対して約一・八兆円。また、平成十一年三月期以降でございますが、早期健全化法に基づきまして、合計三十二行に対して約八・六兆円の注入が行われております。また、平成十五年六月には、りそな銀行に対しまして、預金保険法に基づいて一・九六兆円の資本増強を行ったということで、これらを合計いたしますと、合わせて三十四行、現在では再編によりまして二十二行になっていますが、これに対しまして、合計約十二・三兆円の資本増強を行ったということでございます。

亀井(善)委員 ありがとうございます。

 十二・三兆円というのは大変大きな金額でございまして、この金額がどうなったのか。新聞紙上では、個別行が返済をしたとか、こういったお話がいろいろとあるわけでございますけれども、こうして出したお金というのは、しっかりその後をきちんと見ていかなければいけない、このように考えております。

 この十二・三兆円について、現状どういった形になっているのか。返済された状況、また、現在残された金額がどれぐらいあるのか。恐らく、今残された金額につきましても、市場評価という形で時価換算ができるか、このように考えております。この簿価と時価についてもお伺いをさせていただきたいと思います。佐藤局長、よろしくお願いします。

佐藤政府参考人 先ほど申しました十二・三兆円という合計額に対しまして、本年の一月末時点でございますけれども、注入額面ベースで約八・七兆円が返済をされております。したがいまして、残額は、注入額面ベースで約三・六兆円、こういう状況でございます。

 なお、今申しました八・七兆円の返済に対しまして、約一・二兆円の利益、これはキャピタルゲインでございますけれども、これが実現をしているということでございます。

 なお、残る部分につきましては、その相当部分が優先株式という形でございまして、これについての評価額というのはあり得ようかと思いますけれども、簡単にすべてを今の時点で具体的な数字として申し上げるのはちょっと難しいということを御理解いただきたいと思います。

伊藤委員長 亀井君、質問されるときは挙手をお願いします。

亀井(善)委員 済みません。

 今のお話をお伺いしまして、全体で十二・三兆円のうち八・七兆円が既に返済をされている、これに対して一・二兆円の利益が出ている。これは国民の税金を入れたわけですから、こういったところについてはしっかりと見ていかなければいけない、このように考えています。

 ただ、ここについては政策的な目的があったわけでございまして、もちろんこれはキャピタルゲインを当初からねらって投下したものではない、このように理解をしておるわけでございます。キャピタルゲインをねらうわけではなかったわけですから、そもそもの政策上の目的があったのではないかな、私はこのように考えています。

 銀行に対する公的資金による資本増強のそもそもの政策目的について、何だったのかを教えていただけますでしょうか。

佐藤政府参考人 平成十年の三月期とそれから十一年の三月に行われました、ある程度まとまった規模の資本注入というものが一番典型であろうかと思いますけれども、これらの時期におきましては、例えば、大型の銀行破綻等があって金融システムが不安定化していた、不良債権問題が深刻化している、こういった状況のもとで、銀行自身が市場で資本調達をするということについてもなかなか困難な状況となっていた。

 こういう環境のもとで、銀行の自己資本不足の是正が緊急の課題となっていたということでございまして、これを是正するために、公的資金による銀行への資本注入が行われたということでございます。これによりまして、銀行の自己資本不足が解消され、いわば金融システムの安定を回復させる、こういうことが一番大きな目的だったというふうに思います。

 また、平成十五年六月には、りそな銀行に対して預金保険法に基づく資本注入が行われましたけれども、これは、同様に、債務超過ではないけれども自己資本不足の状況にあったということで、預金保険法に基づく危機対応として行われたというものでございます。

亀井(善)委員 ありがとうございます。こうした、今の、金融システム不安を初めとしたさまざまな目的があった、このように承知をしております。

 私は、金融というのは経済における血液である、このように考えています。この血液をしっかりと回さなければ経済をなかなか活性化させることができない、どんなにさまざまな形で、ケインズ的にいえば財政投資をしたとしても、しっかりお金が回らなければ経済を活性化させることができない、このように考えておるわけでございます。

 今お話がありました、金融のいわゆるシステミックリスク、こうしたものに対してそれなりの成果があったのではないかな、このように考えておるわけでございますけれども、国民から見て、政策の評価としては、例えば、しっかりと貸出残高をふやすことができたのかとか、あるいは、後でまたお話をさせていただきますけれども、経済の九九%以上を支える中小企業に対してしっかりお金を回すことができたのかであるとか、こうした具体的な成果についてはどのようにお考えでしょうか。こちらについてお答えをいただければ、このように思います。

佐藤政府参考人 先ほど申し上げました、平成十年の三月、平成十一年の三月に行われた資本注入というものを念頭に置いてまずお答えさせていただきますと、これらの自己資本不足の是正ということを通じまして、一つには、当時問題となっておりました、短期金融市場におけるいわゆるジャパン・プレミアム、これが鎮静化したといったこと、不良債権処理が促進をされたといったこと、それから、今御指摘もございました、金融機関の貸し出し態度に改善が見られたといったこと、また、その後の経過をたどりまして、金融機関の格付の向上といったようなことが起きたということかと思います。

 こうした中で、先ほども申し上げましたけれども、経営の健全性を維持しながら各行が返済に取り組んでいるということで、その結果、国に利益が得られる形で返済が実現している、こういう状況になっているかと思います。

亀井(善)委員 ありがとうございます。

 そうした意味では、ここまでのところは、公的資金による資本増強というのは、政策としてそもそもの政策目的をしっかりと果たすことができて、その上で、国民の大事な税金、こうしたものに対してしっかりと配慮をすることができた、このように考えております。

 しかしながら、先ほどのお話ですと、まだ三・六兆円。これも大きな金額でございます。この三・六兆円が残っているわけでございまして、この残りの資金については、これもまたきちんと対応していかなければいけないのかな、このように考えております。

 三・六兆円というのは、当初言われておりましたいわゆる金融のシステミックリスク、こうした観点からすると、そうした政策目的というよりは、私は、国民の、納税者の視点というものをしっかりと考えた対応というのも図らなければいけないのかな、このように考えておるわけでございますけれども、当局のお考えはいかがでございましょうか。

佐藤政府参考人 今後の公的資金の回収についての基本的な考え方でございますけれども、これは、従来から、いわゆる預金保険機構の三原則というものがございます。銀行の方から返済の申し出があった場合に、三つの視点からそれを判断するということでございます。

 第一は、返済をしようとする金融機関の経営の健全性が保たれるかどうか、第二は、国民負担の回避を確実にできるかどうか、第三点は、市場への悪影響を回避できるかどうか、こういったことでございます。こういった点について検討を行った上で、問題がなければ回収を受け入れる、こういう対応をしてきたところでございまして、この基本方針は今後も変わらないということだと思います。

 ただし、最近の状況の変化を踏まえまして、一昨年の十月に、今後の公的資金の回収の方針について、新たに、「公的資金の処分の考え方について」、こういうものを公表させていただいたところでございます。そこでは、先ほどちょっと御指摘もいただきましたように、これまでより以上に納税者の利益の立場に重点を置くということで、いわば金融システム安定化の果実として公的資金から生じる利益を確実に回収する、こういった点も重視していこうということで打ち出したものでございます。

 なお、処分に当たりましては、従来と同様、公的資金による資本注入を受けました銀行の経営の健全性の維持、そして市場への悪影響の回避、これに十分留意するということは当然でございますし、また、資本増強行の資本政策等をできるだけ尊重するという点も変わりはございません。

 金融庁といたしましては、こうした考え方に沿って、今後とも適切な対応に心がけてまいりたいと思っておるところでございます。

亀井(善)委員 ありがとうございました。

 今まさにお話がございました三つの基本方針、この基本方針にしっかり沿った形で、当初の政策目的、さらには、国民の大事なお金でございます納税したお金を、しっかりと損がない形で運用できるような形で進めていきたい、このように考えております。

 さて、先ほど少しお話をさせていただきましたが、この次に、中小企業に対する金融について少し山本大臣にお話をお伺いさせていただければ、このように考えております。

 先ほど申し上げましたとおり、中小企業というのは、我が国の経済を支える、もうほとんどを支えている、九九%を支える大切な担い手でございます。ただ、今、景気回復局面の中で、なかなか中小企業は、その景気回復の波を実感することができない、こうした指摘もさまざまなところで聞いているわけでございます。

 こうした中で、中小企業に対する金融というのは、私は大変重要なものではないかな、このように考えています。一般に、上場企業であれば資本市場での資金調達ということが可能になるわけでございますが、中小企業の場合はなかなかそういったところがままならない。こうした中で、中小企業金融の重要性というところについて山本大臣の御認識をぜひお伺いしたいと思います。

山本国務大臣 まず、中小企業に対する円滑な金融は、地域金融機関を含めまして、金融機関の最も重要な役割であるというように認識しております。また、不良債権問題への取り組みが成果を上げてきました金融機関におきましては、適切なリスク管理のもとで、みずからの責任と判断で、リスクをとって金融仲介機能を発揮していくことが重要だと考えております。

 こうした観点から、金融庁といたしましても、地域の中小零細企業を主たる貸出先とする中小地域金融機関を対象に、地域密着型金融の機能強化を推進していっているところでございます。

 各中小地域金融機関におきましては、一つは、創業・新事業支援機能等の強化、二つには、取引先企業に対する経営相談、支援機能の強化、三つ目に、事業再生に向けた積極的取り組み、四つ目に、不動産担保、個人保証に過度に依存しない融資の推進等の取り組みを推進しております。

 今後とも、我が国経済の基盤を支える中小企業に対する資金供給の円滑化に向けまして努力してまいりたいと考えております。

 以上です。

亀井(善)委員 ありがとうございます。

 ちょっと事務方にお伺いをしたいんですが、具体的に、そうはいっても中小企業の融資残高がしっかりふえているのか、ここら辺のところはしっかり見ておかなければいけないと思っています。かつて貸し渋りという問題もございました。今もそういった声も聞こえてきます。そういった中で、現行、数字として、中小企業向けの融資残高はどういった動きになっているのか、事務方の方から教えていただければ、このように考えています。

佐藤政府参考人 中小企業向けの貸出残高でございますけれども、日本銀行の統計によりますと、中小企業向け貸出残高は昨年三月から前年同月比で増加に転じているということでございまして、直近のデータでは、平成十八年十二月、年末の残高でございますけれども、前年同月比プラス三・一%、こういう状況になっております。

亀井(善)委員 ありがとうございます。

 プラス三・一%という形で増加に転じてきている、これは大変結構なことではないかな、このように考えております。中小企業向けの融資はしっかりと拡大をさせていかなければいけない、このように考えています。

 そうした中で、私も、さまざまなところで中小企業の経営者の皆さんとお話をさせていただきます、あるいは資金調達についてのお話をさせていただきます。そうした中でよくお伺いするのが、個人保証あるいは第三者保証に対する問題でございます。

 第三者保証については、これはもう先生方も皆さんよく御存じかと思いますけれども、企業にお金を貸すときに、その親族縁者にまで保証を求める、こうしたようなお話でございます。第三者保証というのは、実は親族縁者からすると、ちょっとこれ、一筆書いてくれよ、そういうふうに言われたときに、親戚づき合いがありますから断るに断れない、こういう大変困った制度でございます。

 また、個人保証については、社長さんが融資を受けている、この個人保証がないと融資を受けられない、そろそろ年になったので社長も身を引こうか、ついては番頭さんに今後任せるよ、こうしたお話を言うときに、事業をなかなか継承することができない。番頭さんが、待ってください、私はそんな保証までして社長をやりたいとは思いません、そうしたようなお話があって、なかなか事業承継がうまくいかない、こうしたお話も伺います。

 もちろん、保証という制度が金融の円滑化に一定の役割がある、これは重々承知はしておるわけでございますけれども、そうした第三者保証、あるいは、企業に対して融資をしているのに個人保証をしている、こうした問題が金融の円滑化に大きな障害になっているのではないかな、私はこのように認識をしておるわけでございますけれども、政府の認識と、また、こうした課題について、もし課題に対する対応があればぜひお伺いをしたい、このように考えております。

山本国務大臣 おっしゃるとおり、融資の際の個人保証につきましては、経営者等の再チャレンジを阻害するといった要因がございます。

 金融庁といたしましては、地域密着型金融、リレーションシップバンキングの機能強化を促しておりまして、その中で、金融機関に対し、個人保証に過度に依存しない融資の推進を要請しているところでございます。

 また、このたびの新しい施策といたしまして、中小企業庁で、信用保証協会についてはことしの四月から第三者保証を原則求めないことを徹底するという考え方のもとに、新たな制度を構築しようとしております。

 実際に地域金融機関におきましても、例えば、コベナンツを活用した融資やスコアリングモデルを活用した融資、在庫等を活用した動産譲渡担保融資、あるいはCLO等を活用した市場型間接金融等の取り組み等が進められております。

 また、金融庁では、金融機関に対し、保証契約に関する説明体制の整備、特に、経営に実質的に関与していない第三者との間での保証契約については、当該契約を締結する合理的理由の説明を求めております。

 金融庁といたしましても、今後とも、個人保証に過度に依存しない融資手法の多様化等に取り組みますとともに、金融機関が保証の徴求について適切な業務運営を行っているか等を厳正に検査監督してまいりたいと考えております。

亀井(善)委員 大臣、ありがとうございます。

 山本大臣は、金融担当大臣でいらっしゃると同時に、再チャレンジの担当大臣でもいらっしゃいます。冒頭、大臣からお話もいただきましたとおり、再チャレンジをする上で、この金融の保証に関する問題は極めて大きな問題である、このように承知をしております。ぜひ金融庁におかれましても、ちょうどまさに、公的資金を入れて銀行が健全化してきている中で、さまざまな融資形態を商品としてしっかりと開発していく、これがまさに今の民間金融機関の責務ではないかな、私はこのように考えておる次第でございます。ぜひそういった形でのまた監督指導という形で進めていただければ、このように考えておる次第でございます。

 最後に一点、今度は尾身大臣にぜひお伺いをしたい、このように考えております。税金について、税務の行政についてお話をお伺いしたい、このように考えております。

 税金というのは、国民一人一人にとって公平公正でなければいけない、このように考えています。そのために、税の設計については、今まさに国会で議論されておるわけでございますけれども、国民にとって広く公正な形でなければいけないという形で、毎年毎年、さまざまな改正を通じて税の設計がされている。

 この一方で、私は、税の行政というものも極めて大事なのではないかなというふうに考えています。納税者の立場から見て公正で公平な税制というものが実感されるためには、もちろん、設計という意味では公平公正な設計がされている、さらには運用面、実際の行政の運用面で公平公正な形で税が運用されなければいけない、このように考えています。

 実は私、いろいろと経営者の方とお話をさせていただくときに、いや、この前、税務調査が入っちゃったんだよね、運が悪かったんだよ、こういうようなお話を伺います。そもそも、税務調査を、運が悪かった、このようにとらえること自体、私は、税を公平に考える、公平に受けとめるという点で、これは非常に厳しい現実なのかな、このように考えております。ほかは入っていないのに自分だけ当たってしまった、そういうふうに受けとめられてしまう。こうしたところについて私は一つ課題があるのかな、このように考えております。

 また一方で、今経済が大変複雑化しておる、このように認識をしております。一つには、例えば、今ネットで簡単に起業ができる。ネットで起業することによって簡単にお金もうけができる。このお金もうけに対して、しっかりと税として網をかけていかなければいけない。これは、私は大変な、もちろん量もそうですけれども、ちゃんとそういうことがわかっている人がやらなければいけない、このように考えています。あるいは、グローバル化する中で、なかなか税の捕捉が難しい、このような形で認識をしておるわけでございます。

 量、質ともに、まさに税の運用。税をしっかりと取りにいく税の捕捉体制が問われている、私はこのように考えておるわけでございますけれども、こういった点について尾身大臣の御認識と、また、これに対する対応についてぜひ最後にお伺いをさせていただきたい、このように考えています。

尾身国務大臣 税務行政を取り巻く環境は高度化、複雑化しておりまして、国税の当局といたしましても、例えば所得税の申告の件数について見ますと、平成七年に約千九百万件でありましたものが、十七年には約二千三百万件と増加をしているわけでございます。

 また、滞納の残高でございますが、国税全体として見て、毎年九千億円が新規に発生をする一方、年度内に約一兆円の処理を行っております。平成十七年度末におきまして約一兆七千八百億円と、滞納の残高は高水準で推移しているわけであります。

 また、経済取引の広域化とか国際化あるいはインターネット取引の拡大等により、不正手口が巧妙化するなど、量、質ともに厳しさが増しているという状況であると考えております。

 こういう中で、国税当局といたしましては、相談や広報等、各般の施策を実施することによりまして納税者意識の高揚に努めるとともに、有効な資料情報を収集して、課税上問題があると認められる場合には税務調査を実施するなどして、適正、公平な課税の実現に努めていると承知をしております。

亀井(善)委員 ありがとうございます。

 今大臣から御指摘があったとおり、税をなかなか納めない人がいる。これは大変難しい、一つ一つ手間がかかる、このように承知をしております。私も不良債権処理をしてきたわけでございますが、不良債権処理というのは、金額が大きいからとか小さいからということではなくて、一件一件ごとに大変手間がかかる、この督促等々については大変御負担がかかるのではないかな、このように認識をしておるわけでございます。

 ぜひ、高度化あるいは複雑化する、さらには規模がふえている、こうした中で、国民の皆さんから公平公正に感じていただく税務行政というものにしっかり努めていただきたい、このように考えております。

 以上をもちまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

伊藤委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前九時五十八分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時五十三分開議

伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 理事会を再開して、民主党・無所属クラブ及び日本共産党の質疑者等の協議を要請いたしましたが、御出席が得られません。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

    〔委員長退席、井上(信)委員長代理着席〕

    〔井上(信)委員長代理退席、委員長着席〕

伊藤委員長 速記を起こしてください。

 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時三十二分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時四十五分開議

伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 理事会を再開して、民主党・無所属クラブ及び日本共産党の質疑者等の協議を要請いたしましたが、御出席が得られません。

 したがって、質疑者等が理事会で決定できませんので、やむを得ず、民主党・無所属クラブ及び日本共産党に割り当てられた二時間三十分の質疑時間は、後日に回すことといたします。

 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時四十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十一分開議

伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 財務大臣の所信を聴取いたします。財務大臣尾身幸次君。

尾身国務大臣 今後の財政政策等につきましては、先般の財政演説において所信を申し述べたところでありますが、本委員会において、重ねて所信の一端として、今後取り組むべき課題等について申し述べます。

 我が国経済は、長期停滞のトンネルを抜け出し、民間需要に支えられた景気回復を続けており、政府としては、イノベーションによる成長力強化とオープンな姿勢で、引き続き、物価安定のもとでの民間需要中心の持続的な成長を図ってまいります。

 目を外に転じますと、経済がグローバル化する中で、その活性化を図っていくためには、アジアを中心とする世界の成長と活力を取り込んでいくことが必要であり、アジアを含めた世界経済に貢献し、互いに発展していく関係を築いていくことが求められます。このため、G7、アジア諸国、国際機関等と協力を進めていくとともに、多角的自由貿易体制の強化及び経済連携協定の積極的な推進や平成十九年度関税改正における通関制度の改革、租税条約の改定等を行い、我が国の経済社会をオープンなものにしてまいります。

 平成十九年度予算編成に当たっては、財政の健全化をさらに進めるとの考え方のもと、徹底した歳出の削減、見直しに取り組み、一般会計全体の予算規模を八十二兆九千八十八億円といたしました。

 税収については、五十三兆四千六百七十億円と、平成十八年度当初予算に比べ七兆五千八百九十億円の増加を見込んでおります。その一方で、一般歳出について、徹底した歳出削減方針を貫き、四十六兆九千七百八十四億円にとどめております。これは、電源開発特別会計の仕組みの変更に伴う三千百七十九億円の歳出増加を除けば、平成十八年度当初予算に比べ、二千九百四十五億円の増加にとどまっております。

 この結果、新規国債発行額は、平成十八年度当初予算に比べ、四兆五千四百十億円減の二十五兆四千三百二十億円となり、過去最大の減額を実現いたしました。これに加え、交付税特別会計における国負担分の借入金を一般会計に承継した上で、その償還を開始することにより、実質的に平成十八年度当初予算を上回る約六兆三千億円の財政健全化を図りました。

 また、この交付税特別会計借入金の一般会計への承継や電源開発特別会計における仕組みの変更は、透明性の向上や財政資金の効果的な活用にも資するものであり、質的な面に留意した改革となっております。

 特別会計については、行政改革推進法で定められた特別会計の統廃合などを実施に移すため、本国会において、特別会計に関する法律案を提出しており、本委員会におきましても御審議をお願いいたします。

 簡素で効率的な政府を実現する観点から、資産・債務改革に取り組む一環として、財政投融資については、対象事業の重点化、効率化等を図り、総額の抑制に努めた結果、平成十九年度財政投融資計画の規模は、対前年度五・六%減の十四兆一千六百二十二億円となりました。一般庁舎、宿舎などの国有財産については、民間の知見を活用した有効活用をさらに推進してまいります。

 国債発行総額は、百四十三兆八千三百八十億円と、平成十八年度と比べ二十一兆五千九百七十一億円減少し、過去最大の減額となりました。しかし、国債残高は依然として多額に上り、引き続き、国債管理政策を財政運営と一体として適切に運営していく必要があります。このため、国債発行に当たっては、安定消化とともに、中長期的な調達コストの抑制に努めることを基本とし、市場のニーズ、動向等を踏まえた発行に取り組んでまいります。

 税制については、現下の経済財政状況等を踏まえ、持続的な経済社会の活性化を実現するためのあるべき税制を構築してまいります。

 企業が国を選ぶ時代となる中で、税制も国際的なイコールフッティングを確保する必要があり、平成十九年度において、我が国経済の成長基盤を整備する観点から、減価償却制度について償却可能限度額を廃止するなど、国際的に遜色のない制度とするよう見直しを行います。また、我が国中小企業の資本蓄積を促進するため、留保金課税制度の適用対象から中小企業を除外することや、税源移譲後も中低所得者の減税額を確保するため、住宅ローン減税の特例を創設するなど、国民生活等に配慮した中小企業関係税制や住宅・土地税制等の改正を行います。

 次に、我が国財政の現状と財政運営の基本的な考え方について申し述べます。

 平成十九年度予算では、税収の増加を見込む一方で、歳出削減を徹底することにより、財政健全化に向けて確実な一歩を踏み出しました。しかし、我が国財政の現状を見れば、国、地方を合わせた長期債務残高が主要先進国の中で最高の水準にある一方、所得の中で、租税及び医療保険等の保険料の支払いの比率をあらわす我が国の国民負担率は、主要先進国の中で実質的に最低の水準であるなど、決して楽観視できるような状態ではありません。

 こうした状況を踏まえれば、子供や孫の世代に負担を先送りしないためにも、財政健全化に向けた取り組みを着実に進めていかなければなりません。したがって、二〇一〇年代半ばに向け、債務残高対GDP比を安定的に引き下げることを目指し、まずは、二〇一一年度までにプライマリーバランスを確実に黒字化することを目標に、歳出歳入一体改革に取り組んでまいります。

 しかしながら、歳出歳入一体改革を進めるに当たり、非効率的な歳出を放置したまま負担増を求めることになれば、国民の理解を得ることは困難であり、国民負担の最小化を目標に、歳出削減を引き続き徹底していく必要があります。それとともに、今後とも増加する社会保障給付や少子化への対応等について、国民が広く公平に負担を分かち合う観点に留意しつつ、基礎年金国庫負担割合の引き上げのための財源を含め、安定的な財源を確保するため、抜本的、一体的な税制改革を推進いたします。

 こうした考え方のもと、さきに述べましたとおり、平成十九年度予算では徹底した歳出削減を行ったところでありますが、さらに、七月ごろに判明する平成十八年度決算の状況や医療制度改革を受けた社会保障給付の実績等を踏まえ、本年秋以降、税制改革の本格的、具体的な議論を行い、平成十九年度を目途に、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させるべく、取り組んでまいります。

 最後に、本国会に提出しております財務省の法律案について御説明いたします。

 第一に、先ほど御説明いたしました、特別会計に関する法律案でございます。

 第二に、平成十九年度における公債の発行の特例措置及び年金事業等の事務費に係る負担の特例措置を定める、平成十九年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案でございます。

 第三に、先ほど御説明いたしました平成十九年度税制改正における諸措置を盛り込んだ、所得税法等の一部を改正する法律案でございます。

 第四に、暫定税率の適用期限の延長のほか、国際競争力の強化、利便性向上のための通関制度の改革等を内容とする、関税定率法等の一部を改正する法律案でございます。

 第五に、行政改革推進法等に基づき、株式会社日本政策投資銀行を設立するとともに、その業務内容等を定める、株式会社日本政策投資銀行法案でございます。

 今後、御審議のほどよろしくお願い申し上げます。

 以上、財政政策等に関する私の所信の一端を申し述べました。今後とも、皆様のお力添えを得て政策運営に最善を尽くしてまいる所存であります。伊藤委員長を初め委員各位におかれましては、御審議のほどよろしくお願い申し上げます。

伊藤委員長 次に、金融担当大臣の所信を聴取いたします。金融担当大臣山本有二君。

山本国務大臣 大臣所信を申し上げます。

 我が国の金融システムをめぐる局面は、不良債権問題の正常化を達成し、活力ある金融システムの構築に向けた時代へと本格的に移行しつつあります。こうした中で、金融機関がみずからの責任と判断で適切にリスクをとって金融仲介を行い、資源の適正配分機能を果たしていくことが重要となっております。また、幅広い金融サービスの利用者の安全、安心を確保することも、活力ある金融システムを実現する上で不可欠であります。

 金融庁は、これまで地域密着型金融の機能強化を推進してまいりましたが、今後とも、金融仲介機能のさらなる充実を図る観点から、不動産担保、個人保証に過度に依存しない融資や融資手法の多様化を促すことが重要であると考えております。また、事業者の資金調達環境を整備するため、電子的な手段による債権譲渡等を可能とする電子登録債権制度の導入を進めてまいります。

 利用者の安全、安心の確保の観点からは、多重債務者対策をさらに推進してまいります。深刻化した多重債務問題を解決するため、昨年の臨時国会で成立した改正貸金業法の円滑な施行を図るとともに、内閣に設置された多重債務者対策本部において、カウンセリング体制やセーフティーネットの充実、金融経済教育の強化、やみ金融の徹底した取り締まりを含む執行体制の強化に政府を挙げて取り組んでまいります。

 続いて、金融資本市場の構造改革と活性化について御説明いたします。

 少子高齢化、グローバル化が進み、人口減少時代の到来を迎える中、一人当たりの所得の向上を目指すことが重要と考えております。これに伴い、我が国経済の基礎インフラである金融資本市場の利用者利便をさらに高めるとともに、金融サービス業を経済の一層の発展を支える中核的な産業として位置づけていくことが求められております。

 そのためには、貯蓄から投資へという流れをより一層確かなものとし、我が国金融資本市場の国際金融センターとしての魅力をさらに向上させていくことが重要であります。このような問題意識のもと、今般、金融審議会に我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループを設置いたしました。今後、我が国市場の国際競争力の強化に向けた方策を、本スタディグループでも御議論いただきながら検討してまいります。

 活力ある金融資本市場の形成や、公正、透明な市場の確保に向け、制度インフラの整備も重要な課題であります。こうした観点から、監査法人のガバナンス等の強化、監査人の独立性、地位の強化、監査法人等に対する監督責任の見直し等を内容とする公認会計士、監査法人制度の充実強化を進めるほか、金融商品取引法制の適切かつ円滑な施行に努めてまいります。

 本国会には、ただいま申し上げました公認会計士、監査法人制度の充実強化を図るため、公認会計士法等の一部を改正する法律案の提出を予定しております。当委員会の伊藤委員長、理事及び委員の皆様におかれましては、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 以上でございます。

伊藤委員長 以上で両大臣の所信聴取は終わりました。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

伊藤委員長 速記を起こしてください。

 民主党・無所属クラブ、日本共産党、国民新党・無所属の会所属委員の御出席を理事をして要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

伊藤委員長 速記を起こしてください。

 理事をして御出席を要請いたさせましたが、民主党・無所属クラブ、日本共産党、国民新党・無所属の会所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川友一君。

小川(友)委員 自由民主党の小川友一でございます。

 ただいまは、尾身財務大臣、そしてまた山本金融大臣より、それぞれの所管の所信をお伺いさせていただきました。本日は、その所信に関連して数点質問をさせていただきたいというふうに思います。

 私ごとで大変恐縮でございますけれども、私たちの住む町には、日野自動車、そしてまたコニカ、東芝、富士電機、まさに日本を代表するというよりも世界を代表すると言っても過言でない大企業がたくさんあって、そしてまた、その企業に密接に関係した中小零細企業が元気に活動している町でありまして、私は、その町で数年間地方行政にかかわってきた一人であります。

 そのような状況で、今回は、中小企業税制、そしてまた中小企業金融に関連をした質問をさせていただきたいというふうに考えます。

 それでは、早速質問に入らせていただきたいというふうに思います。

 今回の十九年度の税制改正法案には、中小企業規制の見直しに関する措置が多々盛り込まれているように存じています。そのような中で、十九年度税制改正において、どのような中小企業関連の税制改正を行おうとしていらっしゃるのか、御説明をいただければありがたいというふうに思います。よろしくお願いします。

尾身国務大臣 我が国の発展のためにも、経済活力の源泉であります中小企業が健全に活動し、発展をしていくことが大変大事でありまして、私ども、そのような観点から政策に力を入れているところでございます。

 こうした観点から、十九年度税制改正におきましては、幾つかの点について改正を行うことといたしました。

 一つは、減価償却制度についてでありますが、ほかの先進諸国はすべて一〇〇%まで償却できる制度になっておりましたが、日本だけが今まで九五%までしか償却できない、そういう仕組みになっておりました。企業が国を選ぶ時代になったことに伴いまして、国際的に遜色のないイコールフッティングの税制を確立する必要があるというふうに考えまして、今度の税制改正では、新規取得資産について、耐用年数経過時点に一〇〇%償却できるように改正をすることとしております。これは、中小企業を含めました日本企業全体の競争力の強化に役立つものと考えております。

 それから、同族会社の留保金課税制度というのがございますが、これは、同族会社が利益を配当せずに内部留保をした場合に、配当したときと比べて、通常の法人税に加えて追加的に課税する制度でございます。このたび、この適用対象から中小企業を除外する、こういうことになりまして、中小企業の資本蓄積を促進するということにしたわけでございます。

 さらに、第三番目には、実質的な一人会社のオーナーに対する役員給与の損金算入を一部制限する制度がございますが、これにつきまして、会社の利益とオーナーへの給料の合計額が八百万円以下となる場合には適用除外ということにしておりました。しかし、これを、中小企業活性化の観点から、八百万円から千六百万円まで引き上げるということでございまして、千六百万円以下となる場合には適用除外とするというふうに直した次第でございます。

 さらに、四番目に、生前贈与を行う際に贈与税の負担が大幅に軽減されるという相続時精算課税制度がございますが、これにつきまして、中小の同族会社の事業承継をさらに円滑にするということを目指しまして、自社株の贈与の場合に、親の年齢要件を六十五歳から六十歳に引き下げ、さらに非課税枠を、五百万円上乗せいたしまして三千万円にすることにいたしました。

 こうした改正によりまして、中小企業については、平年度ベースで約千八百億円程度の減収を見込んでおりまして、法人と個人事業者を合わせて約二百七十万の中小企業に効果があるものと考えております。

小川(友)委員 ただいま御説明をいただいたわけでありますけれども、ことしの税制改正が、中小企業関連税制に抜本的に見直しを行っている、このように受けとめさせていただきました。そのような内容を私としては高く評価したいというふうに思います。

 しかし、その中でも、今御説明がありました一人会社のオーナーへの役員報酬の損金不算入の件でありますけれども、この件に関しては、昨年来、その是非についてさまざまな議論がありました。私も、当財務金融委員会において、新制度創設に当たって留意すべき点があるのではないかという観点に立って質問をさせていただいた経過があります。

 十九年度改正では、この措置の対象となる企業を絞り込むというお話を承っているところでありますけれども、そこで、そもそもなぜこの制度ができたのかという、制度の措置について改めてお伺いをさせていただきたいのと同時に、そのことによって今後どのような効果があるといった点について、改めて財務大臣からお伺いをしたいというふうに思います。

尾身国務大臣 個人事業者が、いわゆる法人成り、つまり法人事業化するということを行うことによりまして、法人段階で、オーナーの給与が損金算入される一方で、そのオーナー給与にさらに給与所得控除が適用される、いわゆる経費の二重控除という問題が発生するわけでございます。御質問の、オーナー役員給与の損金算入制限措置は、これに対応して、個人事業主の負担の公平を図るための課税の適正化措置として、十八年度税制改正において導入されたものでございます。

 今般の改正におきましては、従来、会社の利益とオーナーへの給与の合計額が八百万円以下となる場合にこの損金算入制限制度の措置の適用除外としていたわけでございますが、中小企業活性化に重点を置いた平成十九年度税制改正の一環といたしまして、この八百万円を千六百万円に引き上げることにしたものでございます。

 今般の改正によりまして、税負担の公平の確保という制度本来の趣旨を維持しつつ、起業のさらなる促進や活力ある中小企業の負担軽減といった活性化の観点をより重視した制度になるものと考えております。

 これによりまして、適用対象となる企業の数は、従前の五万ないし六万から約半数の二万ないし三万社となりまして、その結果として、中小零細企業に対する減収額を百三十億円と見込んでいるわけでございます。

小川(友)委員 ただいま財務大臣より御答弁いただきました。

 昨年、十八年度での税制改正の中では、適用除外金額、所得金額を八百万として法整備をした。しかしながら、中小企業の育成のためには、しっかりと中小企業の育成に国としても方向性を見出していくんだという観点に立って、十九年度、ことしの四月一日から、その適用除外金額を千六百万に上げた。このことは、やはり責任政党自由民主党として、この日本の国の中小企業の育成にいかにしっかりとこたえているかという観点に立ちまして、高く私は評価をしたいというふうに思います。

 いろいろな質問を用意させていただいておりますけれども、特に今般、電子申告、いわゆる納税環境の整備をしていこうという観点に立ちまして、個人が電子申告をした場合に税金控除を認める制度が創設されると承っております。そこで、この点について何点か質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、創設される制度の概要及びそのことによって減収見込み額がどの程度想定されているのか、この二点について御質問させていただきます。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 今御質問がございました、電子証明を有する個人の電子申告に係る税額控除制度の創設に関して、その趣旨でございますが、まず、電子政府を推進いたしまして、国民の方々の利便性を向上させますとともに行政効率の向上を図ることは、政府全体として取り組むべき重要な課題であると考えております。

 このために、政府におきましては、IT新改革戦略というものを定めまして、オンライン利用促進対象手続につきまして、二〇一〇年度までにオンライン利用率五〇%以上を達成するという全体の目標を掲げております。しかしながら、今、国全体のオンライン利用率は低迷している状況にございます。

 このような状況を踏まえまして、行政手続のオンライン利用を一層進めるために、国税のオンライン手続の利用を推進させる必要があるという観点から、十九年度税制改正におきまして、個人が電子申告を利用する際に必要となる電子証明書など、これは主として住基カード及びICカードリーダーライターという機械でございますが、これの取得を税制上支援するという措置を講じているところでございます。

 具体的に申し上げますと、個人が電子申告によりまして平成十九年分または平成二十年分の所得税の確定申告を提出されます際に、あわせて本人の電子署名と電子証明書を送信する必要がございますけれども、その場合に、電子証明書等の取得費に相当する五千円の税額控除を認めることとしております。ただし、その適用は一回限りとしているところでございます。

 本制度の創設によります減収額でございますが、国税庁が設定しております利用目標件数等を前提にいたしまして計算いたしますと、平年度で約十億円と見込んでいるところでございます。

小川(友)委員 ただいま説明をいただいたわけでありますけれども、主たる目的はIT化、いわゆる電子政府、それぞれ自治体でも電子自治体を目指してペーパーレスの時代をこれから築いていこう、そしてまた事務事業や書類の効率化を図っていこう、こんな機運が今あるわけでありますけれども、納税者の利便性が向上するという観点に立っては理解をするところでありますが、このことによって、行政側においてもさまざまなコスト削減ができるのではないかというふうに考えました。

 その一つには、入力作業といった事務手続が効率化されることによっての人員削減ができるのではないかな、そしてまた、申告書の保管コストそしてまた保管スペースを削減できるのではないかな、こんなことも感じました。そしてまた、大切な個人情報でありますので、この保護の観点に立って、将来的には、一定の期間保存した中でこれを廃棄しなくてはいけないわけでありまして、廃棄コスト等も削減できるのではないかなというふうに感じたところであります。

 一般的に、予算は入りをはかって出るを制すというのが基本でありますけれども、今回、今お話をいただいたところによりますと、減収見込み額は十億円というふうに承りました。今、安倍総理の歳入歳出一体改革という観点に立って、減収はするけれども、これによって生み出される行政コストの削減ができるのであれば、今回は、十九年、二十年度、二年間の中で一回だけ、電子申告、住基カードを使っての申告をした場合、五千円の減税ができるということであります。

 私は、将来的には納税の専門家、税理士さんが電子申告をしても、それから住基カードをもう少し広範的に整備をして、なるべく電子申告が市民、国民の中に普及できるような啓発活動をすることによって、このような行政コストが削減できるのであれば、これからもこういうふうな制度をしっかりと制度設計していく。このことは、今の行財政改革の中で大変求められることではないかなというふうに感じるわけでありますけれども、その辺、財務大臣としてはどのようにお考えか、所見があれば承りたいというふうに思います。

尾身国務大臣 行政オンライン申請、申告の利用を加速させ、そして利便性、サービス向上が実感できるような電子行政の実現を図ることは、政府全体として取り組むべき重要な課題であるというふうに考えておりまして、まさに委員おっしゃるとおりだと思っております。

 今回の税額控除制度によりまして、住基カード、ICカードリーダーライター等の取得が広がり、電子政府構築のためのインフラの整備が進むことで、電子申告を初めとする各省庁のオンライン手続の利用が増加し、納税者の利便性や行政の効率性が一層向上することが期待されるわけでございます。

 御指摘の点につきましては、今後とも、政府として、オンライン手続の利用促進を図ることの重要性を踏まえまして、オンライン手続の利用状況、今後の税額控除制度の効果等を踏まえて検討してまいりたいと考えております。

小川(友)委員 財務大臣からは心地よい御答弁をいただきました。所管は多分総務省にかかってくるのかなというふうに思います。ぜひ、私が先ほど述べさせていただいたように、行政側のコストが削減できるのであれば、この制度をもう少し広げた中で制度設計を構築していく。このことは、まさにこれからの行財政改革の中に求められる、この件だけではなくて、すべてこのような形での行政改革が今の時代は求められるというふうに思います。

 今、国民の中にも、いわゆるこれからいずれ来るであろう増税も、しっかりと国も地方も改革をした中での国民に負担を求めるのであれば、国民の皆さんは理解をしていただけるものと私は確信をしております。そのような意味で、これからの、財務大臣、そしてまた関係する所管の皆様に心よりお願いをさせていただきたいということも申し述べさせていただきたいというふうに思います。

 あわせまして、さきの予算委員会で、地方自治体と国との関係の質疑がありました。その質疑の内容を聞いておりまして、財務大臣に所見をお伺いしたいんですけれども、国は、地方に向けて五年ごとの行財政改革大綱を策定しろというふうに通達を出します。そして、五年間たって、新たな向こう五年間の改革大綱を策定しろという通達を出すのでありますけれども、基本的に、その五年間、どのように改革が進んだのかの精査、そしてまた国の指導等も何もないわけでありまして、行政の長が、国から大綱をつくれと言うから大綱をつくっただけで、現実的に、地方自治体のその長の判断でどうにも方向が見出していかない状況があるわけであります。

 私は、これからはやはり国の制度設計の中で、改革大綱を策定したら、年次計画もその中に策定し、数字目標も織り込んで、どの程度改革が進んでいるのか国がチェックをする、そしてまた、そのチェックを行って、その自治体の改革の内容を把握していく、こういうふうな制度を構築していかなければ、なかなか地方は、改革に取り組まない自治体もあるというふうに思います。

 それはなぜかといいますと、私も地方自治体で長く議員活動をしていたわけでありますけれども、いろいろな考えがあります。いわゆる地方交付税は、総務大臣が、財政需要額が収入額を上回った場合は地方税法の中でしっかりと補てんをしていくということが明記されています。ある議員は、そんなに改革しなくても国が地方交付税で担保するわけですから、何もそこまで市民に負担を強いることはおかしいではないかという議員もいるわけであります。

 私は、そのような状況の中で、これからの国、地方合わせて七百八十兆とも言われる後年度負担を整備していく、また、これに向けてプライマリーバランスをある程度黒字化していくというお話もありましたけれども、国、地方あわせて改革に取り組まなくてはいけないこの時代に、ぜひそんな改革の方策を財務大臣としておとりいただきたいし、財務大臣としてどんなお考えをお持ちなのか、御答弁をいただければ幸いに思います。

尾身国務大臣 魅力ある地方に生まれ変わるために独自の取り組みによって頑張っている地方を応援するということは、安倍内閣の方針でございます。

 具体的に言いますと、頑張る地方応援プログラムといたしまして、地方交付税を個々の自治体に配分する際に、行政改革に関する費用、あるいは製造品出荷額、出生率、若年者の就業率などの地方の頑張りがあらわれる成果指標を普通交付税の算定に反映させるなどの取り組みを行うこととしているわけでございます。

 行政改革等で努力している団体の中でも、地方交付税の不交付団体である場合にはこのような支援の対象にならないわけでございますけれども、国、地方の厳しい財政事情にかんがみれば、交付団体、不交付団体を問わず、地方団体にも国と同様に厳しい行財政改革を行っていただく必要があると考えております。

小川(友)委員 大変恐縮でございますけれども、今、地方も財政的には厳しいということで、非常に行財政改革に真っ向から取り組んでいる自治体もあります。

 私も以前、地方議会の中で、行財政改革大綱を策定し、年次計画を持って、数字目標も入れながら、六年間で、地方交付税をいただかなくても運営ができる自治体に財政再建をした経過があります。そのことによって、経常経費、いわゆる義務的経費の人件費とか扶助費、公債費、物件費等の経常経費をある程度削減しながら、財政力指数一をベースに、一よりプラスであれば不交付団体、一より下回っていれば交付団体という、一つの数字の中での選別をするわけであります。

 では、行財政改革を一生懸命やって不交付団体になった場合、国の方からどんなメリットがあるのか、どんな形で財政支援があるのかといいますと、都道府県から総合交付金が多少来る程度で、何ら財源措置もないわけであります。

 一つ例を申しますと、たしか平成六年だったと思いますけれども、国の、政府の政策減税がありまして、所得税減税がありました。そのことによって、地方に対して減収分が当然生じるわけで、これの担保として減税補てん債を国の方から発行していただくことになりました。不交付団体は、この減税補てん債の元利償還含めて償還を求められました。いわゆる五%の金利を含めて年次計画の中で償還をしろ、不交付団体はその減税補てん債に関しては償還を見送る、こういうふうな制度になっていたというふうに私は記憶しています。

 今私がお話をさせていただいたとおり、今、新しい地方交付税の制度設計が安倍政権の中で構築されたというお話を聞いて少し安心しているわけでありますけれども、やはり地方も国も、今この時代を乗り切るためには、しっかりと行財政改革、まさに改革に取り組まなくては、後年度負担、私たちの子供や孫にそのツケを残す、こんなことはできないわけでありますから、しっかりと取り組んでいただきたい、こんなこともお願いをさせていただきたいというふうに思います。

 引き続き、山本金融大臣にお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 山本金融大臣におかれましては、私が国政に上がらせていただいて、その年、明許繰り越しの件で財政局とのやりとりがありました。そのときには、財政当局、いわゆる財務省主計局の皆様に、私の方に御説明に来ていただくように御配慮賜りまして、心より、この場をおかりしてお礼を申し上げたいなというふうに思うところであります。

 先ほど申しましたとおり、私も地方の中小の中での今までの活動があったわけであります。そのような意味で、中小企業金融の現状と地域金融機関に対する取り組みについてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 最近でこそ主要機関が不良債権処理ができて正常化をしてきたわけでありますけれども、今、中小零細は、ある程度資本率もいい、事業の内容もいい、担保もある、連帯保証人もある、そういうふうな人は大体大手の金融機関が融資をしてくれるわけでありますけれども、いわゆる、今金融再編によって、地元の信用金庫や、そしてまた都市銀行等の窓口も、それぞれの銀行が、自分たちの、みずからの銀行の経営を圧迫しないということで統廃合が進んで、地元でなかなか借り入れの相談ができない、そんな状況も多々耳にするわけであります。

 そのような意味で、これからの中小企業育成に関して、国の方としての方策を何らかの形で、今、経済が少し上向きになってきたわけでありますけれども、まだ消費はいまいちだということでありまして、同じように、大企業は景気がよくても中小零細はまだ景気のよさを肌で感じていないのも実感であります。そのような状況の中で、やはり国として中小企業をしっかりとバックアップできるような仕組み、セーフティーネットを張りながらの仕組みをつくっていく、そんな時期ではないかなというふうに思います。

 山本金融大臣の御所見を承れればというふうに思います。どうぞよろしくお願いします。

山本国務大臣 まず、金融の現状をどう見るかという点でございます。

 二〇〇六年十二月の国内銀行の貸し出し態度でございますが、大企業に対しては七十七兆八千億の貸し出しに対して、中小企業向けには百八十一兆九千、大企業よりはるかに、中小企業、倍以上貸し出しております。また、最近の中小企業向け貸し出しについては、一九九六年、つまり十年ぐらい前から、対前年度比、ずっとほぼマイナスが続いてきたわけでございますが、二〇〇六年三月からプラスに転じております。このプラスに入ってからは、マイナスが一度もございません。つまり、改善傾向にあるというように見ることができようと思っております。

 中小企業に対する円滑な金融は、地域金融機関を初めとして、金融機関の最も重要な役割であると認識しております。また、不良債権問題への取り組みが成果を上げた金融機関におきましては、みずからの責任と判断で適切にリスクをとって金融仲介機能を発揮していくことが重要と考えております。

 このような観点から、金融庁としては、中小地域金融機関に対して、融資審査における目ききの向上、融資手法の多様化等を促すなど、地域密着型金融の一層の推進を行っております。また、中小企業の実態に即した検査の推進もしておりますし、与信取引に関する顧客への説明体制を整備いただくよう促進を図っております。

 今後とも、我が国経済の基盤を支える中小企業に対する金融の円滑化に向けまして、引き続き積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

小川(友)委員 先ほど、亀井委員からもお話がありましたとおり、リレーションシップバンキングの機能強化等も含めながら中小育成に御尽力賜れればありがたいなというふうに思います。

 今お話がありましたけれども、ある程度、中小企業には十二分に貸し出しが充足されているというお話でありましたけれども、現実的にそのはざまにいる、いわゆる、これだけそろえば、すべてがそろえばどこでも貸していただけるわけでありますけれども、そのはざま海域にいる中小の皆さんは、非常にやりくりに奔走している。そしてまた、つなぎ資金も十二分に持てない、こういうふうなこともよく耳にするわけであります。今この時期に中小企業をしっかりと育成されれば、日本の経済はまさに上昇していくというふうに私も今思います。

 そこで、再度一点だけお伺いしたいんですけれども、平成十年の当時、いわゆる不良債権を処理していく時期でありましたけれども、未曾有の金融システムの不安の中で閣議決定がされて、中小企業に対する安定化資金の創設がされたというふうに思います。私は、こういうような制度ではなくて、いわゆるセーフティーネットの中で、株式会社が健全に、金融機関も、運営ができて、国の制度としてこういうふうな制度設計をこの中に織り込んでいく、そんな制度を今創設していただけたら、中小の企業の皆さんは非常に助かるのではないかなというふうなことも感じているところであります。

 御答弁をいただく時間がなくなりました。先ほど、日銀の方で、金利が〇・二五から〇・五に上がるというふうな情報もいただいたところであります。これから、国の経済、しっかりと見守っていただければありがたい、こんなことを申し上げ、質問を終わります。

 答弁いただけますか。

伊藤委員長 山本金融担当大臣、手短にお願いします。

山本国務大臣 アクションプログラムもことし三月末で終了します。小川委員おっしゃるとおり、これからさらに、地域事業会社と金融機関が一体となって成長を遂げる共生の思想で頑張っていきたいと思いますので、どうぞ御指導をよろしくお願いします。

小川(友)委員 どうもありがとうございました。

伊藤委員長 次に、石井啓一君。

石井(啓)委員 公明党の石井啓一でございます。

 質問に入ります前に、この委員会におきまして、野党の会派の皆様が出席されていないということは非常に残念なことでございまして、一日も早く出席されることを期待いたしたいと存じます。

 まず冒頭、財務大臣、ちょっと質問通告をしておりませんで恐縮でございますけれども、日銀の金融政策を伺います。

 お昼のニュースで、本日の日銀の政策決定会合において、福井総裁から金利引き上げの提案があったというふうな報道がございましたけれども、これについて御感想があればお伺いをいたしたいと思います。

尾身国務大臣 数分前に、日銀政策委員会が、政策金利を〇・二五%引き上げて〇・五%とすることを決定したという報告がございました。

 私自身は、金融政策については、現在の景気回復を持続的なものとするために経済を金融面から支えていただきたいというふうに申し上げてきておりますが、具体的な金利水準等の金融政策の運営については日銀にゆだねられているところでございます。

 本日の決定は、日銀自身が経済、物価情勢を十分に分析して、金融政策決定会合において論議を尽くした上で決定されたものでございますので、私どもとしては、その決定を尊重していきたいと考えております。

石井(啓)委員 これについては、改めてまた日銀の方から説明を求めたいと思っております。

 ただ、ちょっと私の感想を申し上げると、日銀にはやはり静かな環境のもとで、しっかりと決定していただきたいと思うんですけれども、政治の側からいろいろ、圧力といいますか、発言があるときには上げずに、ないと上げるというふうに受け取られると、これは日銀の方も政府の方も決して好ましいことではないんではないかなというふうに思っております。

 それでは、本題に入らせていただきますが、まず財政健全化の目標でございますけれども、内閣府の「日本経済の進路と戦略」の参考試算におきましては、二〇一一年度に国、地方を合わせた基礎的財政収支を確実に黒字化させるとの財政健全化目標に対しまして、四つのパターンの試算をされております。

 一つは、マクロ経済について、新成長経済に移行するシナリオ、五年間平均三%成長ですね、それと成長制約シナリオの二つのシナリオを想定いたしまして、また一方で、歳出歳入一体改革については、五年間で十四・三兆円削減するケースと十一・四兆円削減するケース、この二ケースを想定いたしまして、合計四つのパターンを提示しているわけでございますけれども、この試算に対する評価をまず財務大臣に伺いたいと思います。

 特に、この試算と、今後検討しなければいけない増収策、税制改革の必要性についてどういうふうに御見解をお持ちなのか、伺いたいと思います。

尾身国務大臣 ただいま石井委員のおっしゃいますとおり、「進路と戦略」の参考試算におきまして、四つのシナリオを描いております。

 成長について、新成長経済移行シナリオを移行シナリオと略して呼ばせていただきますし、また、成長制約シナリオを制約シナリオと呼ばせていただきますが、移行シナリオは、名目成長率が二〇一一年に三・九%まで上がるであろうというシナリオでございまして、これは、我が国の潜在成長力を高めるための政策の効果が十分に発揮され、かつ世界経済も良好な環境が続くという条件がそろった場合、こういうことでございます。

 それから、成長制約シナリオ、略して制約シナリオと言わせていただきますが、政策の効果が十分に発揮されず、世界経済の状況が必ずしも良好でない状況のもとで、今後も二〇〇七年度の見通しの名目経済成長率二・二%と同程度の成長が続く場合。

 つまり、高い成長率と低い成長率が、一つは移行シナリオ、一つは制約シナリオというふうに、二つあるわけでございます。

 それから、もう一つは、歳出削減の努力についてのシナリオが二つございまして、今後、資材価格や人件費の状況、内外の経済社会情勢等によって、ある程度の幅を持って歳出削減を考える必要があるということで、二つのケースが設定されております。

 一つは、私ども、徹底削減ケースと言っておりますけれども、合計で五年間で十四・三兆円の歳出削減を行う。例えば、公共事業については、一%から三%の縮減とありますのを、三%の方をとる、ODAの伸び率もマイナス四%、科学技術振興費は、プラスでございますが、プラス一・一%というぐあいに、徹底した削減をするケース、こういうことでございます。

 もう一つは、五年間で十一・四兆円の歳出削減を行う場合でありますが、例えば、公共事業の減は、三%ではなくてマイナス一%にする、ODAの減は、マイナス四%ではなくてマイナス二%にする、それから科学技術振興費の伸びは経済成長率にするというようなことでございまして、どちらかというと削減幅を小さくするということでございます。

 つまり、高い成長と低い成長、削減幅が大きいか小さいかということで、四つのシナリオがあるわけでございます。

 最初に、移行シナリオ、高い成長率で徹底削減のケースで見ると、国、地方のプライマリーバランスは一・四兆円の黒字ということになります。二〇一一年度です。

 それから、移行シナリオで、つまり、高い成長率のシナリオで削減幅が低い場合においては、プライマリーバランスは〇・六兆円のマイナスということでございます。

 それから、成長が低いシナリオで徹底的に歳出削減した徹底削減ケースの場合の組み合わせは、プライマリーバランスが二・二兆円の赤字、こういうことになります。

 そして、制約シナリオ、低い成長率で歳出削減が少ない場合においてのプライマリーバランスの赤字が四・四兆円という試算結果になるわけであります。

 つまり、申し上げますと、四つのケースの財政に関する試算のうちの一番条件のいい二つの組み合わせ以外の三つのケースにおいては、二〇一一年度の国、地方の合計のプライマリーバランスはいずれも赤字になるということでございます。

 私どもとしては、どういうシナリオをとっても二〇一一年にはプライマリーバランスを黒字化する、財政健全化ができるようなことを考えていかなければならないと考えているわけでございます。

 そして、この四つのシナリオのいずれも、高齢化の進展によります社会保障支出の増加、それから基礎年金の国庫負担割合を三分の一から二分の一に上げることによる約二・五兆円の支出の増というのは織り込んでおりますけれども、いわゆる少子化対策による追加的必要費用というのは全く織り込まれていないということでございまして、この点を留意する必要があると考えております。

 こういうことを全体として考えますと、我が国の財政状況は決して楽観できる状況にはないということがこれで示されていると思います。

 したがいまして、こういう状況を踏まえて、子供や孫の世代に負担を先送りしないためにも、成長なくして財政再建なしとの理念のもとに、安定的な経済成長を維持しつつ、財政健全化に向けた取り組みを着実に進めていかなければならないと考えている次第でございます。

 したがいまして、二〇一〇年代半ばに向け、債務残高対GDP比を安定的に引き下げることを目標に、まずは、二〇一一年までに国、地方をあわせた総合的プライマリーバランスを確実に黒字化することを目標に、歳出歳入一体改革に取り組んでいく必要があると考えております。

 それからまた、国、地方合計ではなしに、国だけのプライマリーバランスを見ますと、いずれの四つのケースの場合でも、大幅な赤字が続く見通しでございます。国家として必要な公共サービスを将来に向けて安定的に提供していくためには、国、地方合計だけではなく、財政状況の悪い、国のプライマリーバランスについても黒字化を目指していく必要があると考えております。

 さはさりながら、非効率な歳出を放置したまま負担増を求めるということになりますと、国民の理解を得ることは困難でございまして、国民負担の最小化を目標に、歳出削減に引き続き取り組んでいく必要があります。

 また、今後とも増大する社会保障給付や少子化への対応等については、国民が広く公平に負担を分かち合う観点に留意しつつ、基礎年金国庫負担割合の引き上げのための財源も含め、安定的な財源を確保し、将来世代への負担の先送りを行わないようにする必要があると考えております。

 このような考え方のもとに、本年七月ごろに判明する二〇〇六年度決算の状況や医療制度改革に向けた社会保障給付の実績等を踏まえ、本年秋以降、税制改革の本格的、具体的な議論を行いまして、与党税制改正大綱に沿って、二〇〇七年度を目途に、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させるべく取り組んでまいりたいと考えている次第でございます。

石井(啓)委員 大変御丁寧に答弁いただきまして、ありがとうございました。

 今の御答弁の中で私が非常に重要な点だというふうに受けとめましたのは、四つのシナリオがある、どのシナリオでもプライマリーバランス黒字化が達成されることが重要だというふうにおっしゃったところが私は非常に重要な点ではないかなというふうに受けとめました。

 といいますのは、今後、歳入改革を考えるに当たってどのシナリオで考えていくかということですけれども、最悪のケースでもプライマリーバランスは確保される。最悪のケースといいますと、成長が制約して歳出が十一・四兆円の削減にとどまるというケースですとプライマリーバランスの赤字が四・四兆円ある、さらに、少子化については追加費用があるというふうにおっしゃっておりましたが、それらも含めて、少なくともこれぐらいの増収策は考えなければいけないというお考えでいらっしゃいますでしょうか。

尾身国務大臣 ただいま申しましたように、これから経済の状況がどうなるかわかりませんが、いずれの場合にも財政健全化が実現できるような対応をしていかなければならないというふうに考えております。もとより、経済を活性化するということは大変大事でございますが、どの程度のものになるか、今は確たることは申し上げられないわけでございます。

 そして、この四つのシナリオの中には、少子化対策による、我々がこれから力を入れるべき経費の見積もりは含まれていないということでございまして、この点も考えていかなければなりません。

 それから、同時に、国、地方合計だけではなしに、国だけで見てもプライマリーバランスが黒字化をして、GDP対比の債務残高が縮減していく方向をどうしても目指していかなければならない、このように考えているわけでございまして、この点につきましてどのような具体的な数字が出てくるのかということは、十八年度の決算の状況やあるいは医療制度改革に伴う現実の支出の状況等をよく見きわめた上で、本年秋以降、本格的、抜本的な検討を行ってまいりたいと考えている次第でございます。

石井(啓)委員 歳出削減の方は、ある意味でどれだけ努力するかということですから、政府なり与党なりの方で相当コントロールできる部分だと思うんですね。本当に十四・三兆円までやるのかそうでないのかというのは、ある意味で、どれだけやるかという、意気込みといいますか努力という問題になると思いますけれども、経済成長がどれだけ行くかというのは、それは今の新経済成長路線が本当に効果を発揮できるかどうかということであって、なかなかコントロールしにくいところでございますね。そうなると、この四つのシナリオのうち、蓋然性が高いのがどれかというのはなかなか判じにくいというのが正直ございます。

 その中で、今後、歳出歳入一体改革のうちの歳入改革を検討しなきゃいけないというのはなかなか難しいという面がございまして、ちょっと次の問いに移りますけれども、二〇一一年度のプライマリーバランスを確実に達成する、これは当然やらなきゃいけませんけれども、やはりそのもう一つ先の目標、二〇一〇年代半ばに向けて債務残高の対GDP比の発散をとめ、安定的に引き下げる、この目標をもう少し詳細化、具体化することが私は必要なのではないかというふうに思うんです。

 例えば昨年の経済財政諮問会議では、幾つかシミュレーションをしながら、債務残高の対GDP比を安定的に引き下げるためにはどのようにしたらいいかということを検討していました。残念ながら、最終的な結論が出ないままに終わってしまいましたけれども、そのときのいろいろな議論の中では、基礎的財政収支の黒字幅の対GDP比をどれぐらいにするか、例えば、プラス一%とかプラス二%とか、そういう目標を設定するのか。あるいは債務残高自体の対GDP比を設定するのか。こういうふうにより具体化、詳細化して二〇一〇年代の財政健全化目標をつくって、それに向かっての議論をすべきではないかというふうに思っております。

 この目標の具体化についてどのようにお取り組みになるのか、内閣府それから財務大臣、それぞれお伺いしたいと思います。

大村副大臣 今委員御指摘のように、今回の「日本経済の進路と戦略」におきましては、二〇一一年度までに国、地方合わせた基礎的財政収支を黒字化した場合においても、利払いを含む財政収支は依然として大幅な赤字が見込まれるということで、財政健全化はまだ道半ばでございます。その後も確実に財政健全化を進めていく必要があるということになっております。

 これを決めていく途中の段階の議論で、今委員御指摘のように、いろいろな議論があったのは御指摘のとおりでございます。そして私どもも、この「進路と戦略」の中で、さらにその先、二〇一〇年代半ばに向けましてさらに一定の基礎的財政収支の黒字幅を確保するということにしておりますし、債務残高のGDP比の発散をとめて安定的に引き下げることも確保するということもここにまとめさせていただいているわけでございます。

 委員御指摘のように、このことにつきましては、いずれ具体化、詳細化をしていく必要があるというふうには私ども思っておりますが、まずは、当面、二〇一一年度に国、地方合わせた基礎的財政収支を確実に黒字化させていくということが必要でございますし、それに向けましてしっかり取り組んでいきたいというふうに思います。

 また、引き続きその先も、私どもは、成長なくして財政再建なしという理念のもとで、経済成長を維持しつつ、国民負担の最小化を第一の目標にいたしまして、歳出歳入一体改革に真正面から取り組んでまいりたいというふうに思っておりますので、また御指導いただきますようにお願い申し上げます。

尾身国務大臣 大変にポイントをついた問題提起をしていただいて、本当に感謝にたえないと思っております。

 要は、今の財政状況は、雪だるまがどんどん膨らんでくる、大きくなってくるという状況でございまして、国、地方合わせたプライマリーバランスを黒字にするということと、対GDP比の債務残高を縮小の方向に持っていくということが非常に大事であるというふうに考えております。

 そういう中で、今、一般会計のプライマリーバランスで見ますと、国は赤字でございますが、地方は黒字、こういうことになっているわけでございまして、私どもとしては、国のプライマリーバランスを黒字化するということもどうしても視野に入れて考えていかなければならないと考えております。

 それからもう一つ、先ほども申し上げましたが、いわゆる高齢化に伴います社会福祉費用の増加ということがもう目に見えているわけでございまして、そういう問題を考えますと、これは当然今の「進路と戦略」の中に入っておりますけれども、同時に、今後さらに、公明党の皆様も非常に強く提言をしておられますように、少子化対策にもっと力を入れていかなければならない、そのためのお金もかかっていく。これを今やっておかないと、五十年後、百年後には人口が大幅に減るというようなこともございます。

 そういう点も含めて考えますと、私ども、財政の状況は非常に厳しい、これを何としても、そんなに遠くない将来に、コントロールできる、つまり拡散型ではない体制に持っていかなければならないと考えている次第でございます。

石井(啓)委員 大村副大臣から、二〇一〇年代の目標の具体化はいずれ必要だというお話でありましたけれども、私は、なるべく早くこれは御検討いただいた方がいいのではないかと思っております。

 といいますのは、この秋以降の抜本的な税制改革の議論では、二〇一一年のプライマリーバランスの黒字化だけでは、先ほど申し上げましたように、四つのシナリオのうちどれが蓋然性が高いか、なかなか判じにくいというところもありますし、ある意味では、新経済成長路線なのかあるいは増収路線なのかなんという路線問題にもかかわってくるようなところがありまして、なかなかこれは議論がしにくいところがあります。

 それともう一つは、少し目標年次が近過ぎるというのがありまして、抜本的な税制改革というからには、十年に一遍ぐらいの大きな税制改革でありましょうから、やはり、二〇一〇年代半ばの経済財政の状況、目標というのは決めておかないと、なかなか税制改革の議論がしにくいのではないかというような問題意識を持っております。そこで申し上げたわけでありますけれども、これは、また改めてどこかで議論をいたしたいと思います。

 そこで、ちょっと質問を飛ばさせていただいて、税源移譲に関する件で質問いたします。

 昨日の本会議で私どもの谷口委員からも同様の指摘がございましたが、所得税から住民税へ三兆円の税源移譲が行われるわけでございますけれども、この制度変更の適用は、所得税が本年の一月分からで、住民税が本年の六月分からになります。したがって、多くの納税者で減税が先行になるわけでございますけれども、所得税は天引きされているために、先行して減税されたという意識が低いといいますか、そういう感覚になかなかなりにくいのに対して、住民税の方は六月に一年分の納税通知がされるんですね。したがって、それを受け取った方は、何か住民税だけ大幅に増税されるような認識が高まる可能性がある。

 税源移譲は増税と違いますよ、住民税は上がっているけれども、その分、所得税は下がっているんですよ、定率減税の廃止というのがありますからちょっと複雑な要素はありますけれども、事税源移譲に関しては増税ということはないんだ、違うんだということを納税者に丁寧に周知すべきだと思いますが、対応を、それぞれ財務省、総務省からお伺いいたしたいと思います。

尾身国務大臣 税源移譲につきましては、地方分権を推進するために、三位一体改革として実施をされたものでございます。個々の納税者の立場から見ますと、所得税と住民税を合計いたしますと、税負担は基本的に変わらないわけであります。

 ただ、現実には、今おっしゃいましたように、所得税については源泉徴収で取られるのが大部分でございます。それから住民税については、納税の通知が来て、所得税の方は一月から減税になりますが、住民税の方は六月から同じ額だけ増税になる、こういうことで時期的なずれがあるわけでございまして、これを除くと、全く増減税イコールということでございます。

 こういう点について、私どもも、国民の皆様の理解をしっかりといただかなければならないという、今先生がおっしゃったことは大変大事だと思っておりまして、新聞広告、雑誌広告などの政府広報によりましてこれを周知していただくようにお願いしておりますと同時に、ホームページによる周知とか、あるいは給与所得者の方々向けのチラシなどによりまして企業に周知を依頼するというようなこともやっているわけでございます。

 今後とも積極的な広報を実施していきまして、納税者の皆様に十分理解をしていただくようにしっかり頑張っていきたいと考えております。

岡崎政府参考人 税源移譲が増税とは異なること、あるいはそのことを周知する必要性につきましては財務大臣から御答弁ございましたので、私からは、現在取り組んでおります広報活動の内容につきまして若干御説明を申し上げます。

 現在、国と地方が相協力いたしまして、効果的な周知活動に取り組んでおります。まず、政府におきましては、内閣府、総務省、財務省等関係府省が連携いたしまして広報を実施しております。

 例えば、総務大臣も出演いたしましたテレビの政府広報番組、あるいは全国紙を含む七十一紙での新聞広告、雑誌の広告、それから、先ほどの御答弁にありましたが、関係府省のホームページに税源移譲のコーナーを設置するなどの取り組みを行っております。また、給与所得者へのリーフレットの配布等による周知につきまして、全国の税務署から源泉徴収義務者に対してお願いをいたしているところでございます。

 次に、各地方団体に対しましては、都道府県の担当課長会議の開催等によりまして、たびたび広報活動の取り組みを要請いたしております。これを受けまして、各地方団体では、住民向けの広報紙の活用あるいは説明会の開催など、きめ細かい周知広報活動に努めていただいているところでございます。

 さらに、五月以降に個人住民税の税額の通知を行う際に、すべての納税義務者のお手元に市町村からのリーフレットが届くようにするという方向で努力をしていただいております。

 なお、地方団体で構成します全国地方税務協議会で、ポスター七万枚、リーフレット百八十万枚を作成しまして、既に各団体に配布済みでございます。

 以上のような取り組みを今後ともさらに深めまして、関係府省と地方団体で連携いたしまして、周知広報に万全を期してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

石井(啓)委員 これはぜひ真剣にお取り組みいただきたいと思いますが、昨年六月に同様の事例がございました。同様といいますか、年金受給者の方が、年金をもらっている額が変わらないにもかかわらず住民税が何倍にもなった、あるいは、今まで払っていなかったのに払うようになったということで、大変な問い合わせが各自治体にあった。これは、老年者控除を廃止いたしまして、公的年金控除を縮減したわけですね。その結果、課税最低限が下がりましたから、そういう現象が起きたんですけれども。

 ただ、所得税の方はもう平成十七年から先行して実施していたんですよ。所得税のときにはそういう反応はなかったんですね。それは、ある意味で、年金ですから二カ月に一遍ですけれども、天引きされているから余り実感がなかった。ところが、住民税は昨年の六月からそれが実施されたわけですけれども、一年分の通知が来るでしょう。それで、それをごらんになった方は、あら、去年の納税額より随分ふえているから、これは何かの間違いじゃないかということで、大変な問い合わせが各自治体にあった。これは新聞にも報じられましたし、いろいろなそういうことがございましたので、同じようなことがことしも起こる可能性があるわけです。

 特に、今回、住民税をフラットにしました。今まで五%、一〇%、一三%を一律に一〇%にしたわけですね。だから、五%の住民税の方は一〇%になるわけです、二倍になっちゃうわけですよ。だから、これを見ましたら、住民税が二倍なんて、これはどうしたことかということで大変な驚きを招く可能性がございます。この点については、六月という時期もよくお考えいただいて、ぜひ真剣な対応をお願いいたしたいと思います。

 それから、金融担当大臣にお伺いいたしますけれども、多重債務者対策本部でございます。昨年の貸金業法改正に伴って内閣に設置されたわけですけれども、その検討課題、スケジュールについて確認をしておきたいと思います。

 特に、消費者金融業者が大規模なリストラを始めたり、あるいは貸出先を絞り始めたりということがございますから、債務者へのカウンセリング体制の整備やセーフティーネットの整備はぜひ急いでいただきたいと思います。この点についてお伺いしたいと思います。

山本国務大臣 今回の貸金業法改正におきまして、上限金利の引き下げを初めとするさまざまな措置が講じられております。

 多重債務問題の解決のためには、御指摘のとおり、これから、カウンセリング体制、セーフティーネットの充実、喫緊の課題であると考えております。

 このため、昨年末、十二月二十二日の閣議決定によりまして、多重債務者対策本部を設置いたしました。また、専門的な知見を生かしつつ、これらの課題について議論するため、昨年十二月二十六日に、多重債務者対策本部有識者会議を設置して議論を行っております。

 この有識者会議での議論を踏まえまして、春ごろをめどに、多重債務者問題改善プログラム、仮称でございますが、これを多重債務者対策本部において策定いたしまして、これらの施策を政府及び関係者が一体となって実行していくこと等考えております。

石井(啓)委員 時間が参りましたので、以上で終わります。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 民主党・無所属クラブ、日本共産党、国民新党・無所属の会所属委員が御出席されておりませんので、理事をして再度御出席を要請いたさせます。しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

    〔委員長退席、竹本委員長代理着席〕

    〔竹本委員長代理退席、委員長着席〕

    〔委員長退席、宮下委員長代理着席〕

    〔宮下委員長代理退席、委員長着席〕

伊藤委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請いたさせましたが、民主党・無所属クラブ、日本共産党、国民新党・無所属の会所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 これより民主党・無所属クラブ及び日本共産党の質疑時間に入ります。

    〔委員長退席、宮下委員長代理着席〕

    〔宮下委員長代理退席、委員長着席〕

伊藤委員長 これにて民主党・無所属クラブ及び日本共産党の質疑時間は終了いたしました。

 以上で両大臣の所信に対する質疑は終了いたしました。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

伊藤委員長 速記を起こしてください。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十四分散会


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