衆議院

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第11号 平成19年5月8日(火曜日)

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平成十九年五月八日(火曜日)

    午前九時三十八分開議

 出席委員

   委員長 伊藤 達也君

   理事 井上 信治君 理事 竹本 直一君

   理事 林田  彪君 理事 宮下 一郎君

   理事 山本 明彦君 理事 池田 元久君

   理事 古本伸一郎君 理事 石井 啓一君

      あかま二郎君    安次富 修君

      伊藤信太郎君    石原 宏高君

      江崎洋一郎君    小川 友一君

      小野 次郎君    小野 晋也君

      越智 隆雄君    大野 功統君

      亀井善太郎君    木原  稔君

      関  芳弘君  とかしきなおみ君

      中根 一幸君    萩山 教嚴君

      原田 憲治君    広津 素子君

      松本 洋平君    御法川信英君

      小川 淳也君    小沢 鋭仁君

      川内 博史君    楠田 大蔵君

      鈴木 克昌君    田名部匡代君

      田村 謙治君    高山 智司君

      馬淵 澄夫君    三谷 光男君

      吉田  泉君    谷口 隆義君

      佐々木憲昭君    野呂田芳成君

      中村喜四郎君

    …………………………………

   財務大臣         尾身 幸次君

   財務副大臣        田中 和徳君

   財務大臣政務官      江崎洋一郎君

   政府参考人

   (財務省大臣官房総括審議官)           勝 栄二郎君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   松元  崇君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    丹呉 泰健君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           立岡 恒良君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           川本正一郎君

   政府参考人

   (日本政策投資銀行総裁) 小村  武君

   政府参考人

   (日本政策投資銀行理事) 多賀 啓二君

   財務金融委員会専門員   鈴木健次郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月八日

 辞任         補欠選任

  佐藤ゆかり君     安次富 修君

  土井 真樹君     あかま二郎君

  小沢 鋭仁君     小川 淳也君

同日

 辞任         補欠選任

  あかま二郎君     小野 次郎君

  安次富 修君     佐藤ゆかり君

  小川 淳也君     田名部匡代君

同日

 辞任         補欠選任

  小野 次郎君     土井 真樹君

  田名部匡代君     高山 智司君

同日

 辞任         補欠選任

  高山 智司君     小沢 鋭仁君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 株式会社日本政策投資銀行法案(内閣提出第三五号)


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     ――――◇―――――

伊藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、株式会社日本政策投資銀行法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として財務省大臣官房総括審議官勝栄二郎君、財務省主計局次長松元崇君、財務省理財局長丹呉泰健君、経済産業省大臣官房審議官立岡恒良君、国土交通省大臣官房審議官川本正一郎君、日本政策投資銀行総裁小村武君、日本政策投資銀行理事多賀啓二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上信治君。

井上(信)委員 自由民主党の井上信治でございます。

 本日、株式会社日本政策投資銀行法案の質疑に入る前に、連休明け初めての財務金融委員会でありますから、冒頭、一言申し上げたいと思います。

 この連休中におきましても、尾身財務大臣におかれましては、大変精力的に御活動いただきまして、欧州三カ国の歴訪でありますとか、あるいはADBの年次総会、そういった活動をされましたこと、心より敬意を表したいと思います。

 その中でも、私、特に、京都でASEANプラス3の財務大臣会議が行われて、そして、その共同声明の中で、いわゆるチェンマイ・イニシアチブのマルチ化に関する議論、著しい進展があったということ、これを高く評価させていただきたいと思います。

 アジア地域の金融に関する連携というものを強化していく、そして通貨危機などに備えていくということは、日本の国にとっても大変重要な国際金融政策だと思っておりますので、ぜひ、より一層の進展にこれからも御尽力をいただきたいというふうに思っております。

 さて、本番の、日本政策投資銀行法案の話でございます。

 今回の法案というものは、御承知のように、とにかく日本の政策金融全体について、昨年の行革推進法のときに我々もけんけんがくがくの議論を行って、そして、さまざまな意見がある中で行革推進法を制定し、そしてまた、それを基本的に踏まえて、今回の株式会社日本政策投資銀行法案に至ったという経緯であります。

 私は、いろいろな意見がある中でも、法案としては大変よいものが、合理的なものができたのではないかなというふうに思っておりますけれども、基本に立ち戻って、まず、なぜ数ある政策金融の中でも日本政策投資銀行については単独で完全民営化をしていくということになったのか、その意義について尾身大臣に問いたいと思います。

尾身国務大臣 政策投資銀行につきましては、行政改革推進法におきまして完全民営化をするということが決められたわけでございます。これは、行政改革の重要方針、平成十七年十二月二十四日閣議決定でございますが、この方針における、政策金融は、中小零細企業、個人の資金調達支援、二つ目が、国策上重要な海外資源確保、国際競争力確保に不可欠な金融、三つ目が円借款、この三つの機能に限定をして、それ以外の業務につきましては撤退するという方針を決めた、その方針に沿ったところでございます。

 具体的に申し上げますと、この方針におきまして、日本政策投資銀行の分野について、これは大企業、中堅企業向けの融資であり、国全体として資金不足であった高度成長期とは異なり、民間市場から貸し付けのみならず社債や株式等さまざまな形態で資金の取り入れが可能であるということから、政策金融として行う必要がなくなってきているために撤退をする。その一方で、新金融技術開発機能を維持するためには多くの機能がそろっていることが望ましいということなどから、一体として完全民営化するということにされたところでございます。

 このような日本政策投資銀行の完全民営化は、資金の流れを官から民へというふうに変える、そのことによりまして、国の大切な資産が民間部門で活用され経済の活性化につながるという一貫した考え方のもとに、資金の入り口であります郵政民営化に続く、資金の出口としての政策金融の一環として位置づけられたものでありまして、極めて意義深いものであると考えております。

井上(信)委員 ありがとうございました。

 確かに、現在の社会情勢あるいは郵政民営化を初めとした官から民への流れの中で、今回の政策投資銀行の完全民営化ということは、合理的な判断、方針であると私も思っております。

 しかし、他方で、今まで政策投資銀行が果たしてきた役割、ノウハウといったもの、特にエネルギーやインフラ融資、あるいは地域再生や新事業育成など、こういった分野に対してのエクスパティーズ、これは非常に貴重な財産だというふうに思っております。こういったことを評価して、そして移行期間中に関しては、少なくともこの法案の一条に定めるように、長期の事業資金に係る投融資機能の根幹を維持する、こういったことを目的として定め、そして、そのためには具体的にさまざまな措置をとっていくということが定められております。

 例えば、資金調達の方法でありますけれども、財政投融資の借り入れあるいは政府保証債の発行、これについても、移行期間中、引き続き認められている。このことによって政府による信用補完が行われ、そして長期の事業資金に係る投融資機能の根幹を維持できる、こういった理解でよろしいかどうか、改めて確認をさせていただきたいと思います。

田中副大臣 お答えをいたします。

 今お尋ねになった点は非常に重要なところだと私どもも考えております。行革推進法にも規定してありますが、移行期間中の新会社に対しては、長期の事業資金に係る投融資機能の根幹を維持しつつ、完全民営化に向けて民間金融機関として持続的に自立することができるように本法律において所要の措置を講じているというところでございます。

 具体的には、新会社がこれまで培ってきた事業評価能力等のノウハウを生かして、同行の強みである出資と融資による長期の資金等にも、ややリスクがありそうな資金等にも引き続き供給できるよう必要な業務を規定するとともに、自力での安定した資金調達体制への円滑な移行を図るまでの間、激変緩和措置として政府保証債の発行や財政融資資金借り入れ等を認めるなど、所要の措置をしているところであります。

 例えば電力だとか鉄道関係等の長期に今までも活用していただいたことが引き続きしっかりとできるようにもいたしてまいりたいと思います。

 以上でございます。

井上(信)委員 そういう意味では、移行期間中の資金調達ということで、従来型の資金調達を行いながら、しかし、五年から七年後の完全民営化を見据えて民間からの借り入れなども導入をしていく、そういった意味では、この移行期間中の資金調達、大変重要な局面になってくると思っております。

 続きまして、その資金調達と同様に非常に重要であり、また、ある意味心配もいたしておりますのが株式の処分でございます。

 この株式の処分でありますけれども、日本政策投資銀行、先ほど申しましたように、長期の事業資金の貸し手としてさまざまな分野で重要な機能を果たしているわけであります。このような機能にかんがみますと、やはり、政府保有株式の処分に際して、これまで日本政策投資銀行が培ってきた中立性あるいは信頼性そして公平性、こういったものを生かしていく、そして、先ほど申し上げた地域再生などの分野において長期の事業資金に係る投融資機能を維持するためには安定的な株主構成とすべきといったような要請もあるというふうに考えております。

 特に典型的な例といたしましては、短期の株式売却を目的とした外資に代表されるような買収に対しては、やはり一定の予防策、こういったものも講じる必要があるのではないか、そういったような議論もあります。

 しかし他方で、株式会社日本政策投資銀行、この株式というものは国民共通の貴重な国有財産である、そういうことにかんがみれば、できる限りの株式処分の制限というものを設けないで、売却に当たっては公正な価格、方法によって行っていくことが必要だ、こういったような、いわば両極端と思われるような要請もある、そういうふうに認識をいたしております。

 そうした中で、法案の中におきましては、附則の第二条第二項、会社の有する長期の事業資金に係る投融資機能の根幹が維持されるように政府保有株式の処分方法に関する事項その他の事項については随時検討を行い、そしてその結果に基づいて必要な措置を講ずるものとするというふうにされております。

 ですから、この条項に基づきまして、具体的には、株式処分の方法あるいは株式の処分の相手方の選定、発行する株式の種類などについてどのようにお考えか、御見解を伺いたいと思います。

勝政府参考人 お答えいたします。

 先生おっしゃいましたように、政府が保有します新会社の株式の処分に当たりましては、一方では、財政当局としましてはできるだけ高く売る、貴重な国民の財産でありますので、できるだけ高く売るという要請が一方であります。ただし、他方では、先生もおっしゃいましたように、行革推進法または行革推進本部が決定しました制度設計、また行革推進法を審議した際の参議院の附帯決議、そこでは、安定性のある株主構成、そういうものをうたっております。

 したがいまして、そういうことを踏まえて今後検討する必要があると考えておりまして、その旨は、先生もおっしゃいましたような、現在提出させていただいています法律案にも規定されております。

 では具体的にどうするかということなんですけれども、できるだけ速やかに専門家や有識者から成る検討会を開催しまして、専門的な見地からいろいろな問題を検討していくことになるのではないかと考えております。

井上(信)委員 ぜひできるだけ速やかに、かつ精緻な議論をしていただいて検討を進めてもらいたいというふうに思っております。

 実際、この株式処分については、ふたをあけてみなければわからないところもあると思うんですけれども、本当に適正な価格で、しかも十分な価格できちんと株式の処分ができるのかどうか、その株式を引き受ける者がいるのかどうかといったような心配もしておりますので、この点についてはぜひよろしくお願いをしたいと思っております。

 続きまして、今度、政策投資銀行側に、小村総裁の方に御質問をしたいと思っております。

 今まで質問してまいりましたように、移行期間中に関しましては、資金調達方法として財政融資資金の借り入れあるいは政府保証債の発行が認められるなど、政府の関与というものも残っている。第一条に定められているように、出資と融資を一体的に行う手法その他高度な金融上の手法を用いた業務を営むことにより政投銀の長期の事業資金に係る投融資機能の根幹を維持されて、そして従来のようなビジネスを行うこともできるわけであります。

 ただ、他方で、そういった民営化後ということになりますと、附則の三条には、「会社の有する投融資機能に相応する機能の担い手」ということが定められておりますから、こういった条件についてはクリアする必要があるんだと思います。しかし、それ以外はいわば確定的ではないというのが現在の状況であります。

 移行期間中に限っては、先ほど申し上げたように、政府保証債の発行あるいは財政融資資金の借り入れというのが認められる。しかし、完全民営化後は、当然のことながらこうした優遇措置というものがなくなるので、資金調達コストの上昇が予想をされる、大変厳しい資金調達を強いられるわけであります。あるいはまた、当然のことながら、一般の民間金融機関として、他の金融機関と対等な条件のもと厳しい競争にさらされ、そしてそれに勝ち残っていかなければならないということで、実際には、完全民営化後どのようなビジネスモデルを構築して、そして経営を行っていくかということ、これは本当に我々も心配をいたしております。

 現時点で、五年から七年後の、完全民営化後の新しい業務の形をデザインし、そしてお答えいただくというのは大変難しいことかもしれませんけれども、しかし、他方で、移行期間中の株式処分であるとか、あるいは特に民間からの資金調達、こういったことを考えると、今の時点でやはり五年から七年後の、民営化後のビジネスモデルというものをちゃんと提示して、これだから株式の処分あるいは資金調達というものに協力をしてくれ、そういったことを提示しないとうまく進まないといったような側面もあるわけであります。

 ですから、そういう意味で、完全民営化後のビジネスモデルについてどのようなことを考えているかということを、政策投資銀行小村総裁にぜひお答えいただきたいと思います。

小村政府参考人 私どもの日本政策投資銀行の民営化は、かつて多くの政府系機関が民営化をなされましたが、それとは全く違うものになると思います。

 と申し上げますのは、一つは、これまでの民営化の際には、例えば国鉄にしろ日本たばこにしろ、同じ業務をやり、同じレールの上を走って、株式会社という形式をもって経営の効率化を図るものでありました。私どもの場合には、同じレールを走っておりますと、これは経営が成り立ちません。そういう意味におきまして、全く新しいビジネスモデルが必要であることは先生御指摘のとおりであると思います。

 ただ、その際、今私どもは、為替の機能も預金の機能も決済機能も、普通銀行として必須であるそういう機能は持ち合わせておりません。今からコンピューターシステムを導入し、多くの行員を雇い入れ、そういうものを導入していくということには大変な困難を伴うと思います。また、これまで地域再生、環境、技術、こういった政策目的の実現のために経営をしてまいりました。それは収支相償の原則で経営をしてまいりました。ただ、これからはやはり収益性を重んじて経営をしていかざるを得ない、こうしたものとの兼ね合いから政策性との調整をどうしていくかという問題を抱えております。

 幸い、私どもの銀行は過去五十年間培ってきた伝統があります。先ほど先生が御指摘になられました長期性を重視する、短期の利益を追っかけるようなことはしない、どこかのファンドのように株を買い占めて売り飛ばす、これはお金もうけになりますが、そういうビジネスモデルはとりません。やはり志のある職員がパブリックマインドを持ってお客様と接する、これが大きなセールスポイントの一つであろうと思います。

 それから、何よりも審査能力あるいは新しい金融手法、こういったものにたけております。金融機関の中で多くの優秀な職員を抱えている銀行の一つであります。私は、これからの金融機関は、二十代、三十代の職員でどれだけ優秀な職員を抱えているかということで勝負が決まってくると思います。単なる量的な職員数ではないと思っております。

 それから、私どもは、これまで培ってまいりました多くの顧客の皆さんあるいは地方公共団体の皆さん、各種ネットワークを持っております。こういうネットワークを使いまして、新たなビジネス展開をしていきたいと思っております。

 たった千三百五十七名の職員であります。メガバンクでは私どもの職員の倍ぐらいの新入行員を採用しております。私どもは、総数千三百五十人で、小さいけれどもぴりっとした、存在価値のあるそういう金融機関にしてまいりたいと考えております。

井上(信)委員 確かに総裁がおっしゃるように、金融機関でありますから、他の産業と比しても特に、とりわけ政策投資銀行にとっては優秀な人材あるいはネットワーク、ノウハウ、そういったことが最も大切な財産だというふうに思っております。そういったものをしっかり生かしながら、そして勝ち残っていけるようなビジネスモデルの構築というもの、これをぜひお願いしたいと思います。

 五から七年後に完全民営化ということでありますけれども、移行期間中になるべく早くそういったことをどんどん提示していただきたい。そうすることによって、先ほども申し上げたように、資金調達あるいは株式処分というものがより公正に適正に、そして十分な対応ができるというふうに私は思っているところであります。

 そして、民営化後のビジネスモデルということでありますと、やはり基本的には、完全民営化の金融機関になりますから、これは政投銀側の経営判断ということになるんだと思います。しかし、他方で、今まで政投銀が培ってきたそういった貴重な財産というもの、そして政投銀が関与してきたさまざまな事業ということを考えると、これはやはり国としても、国策として必要な措置ということがあると思います。これは当然、完全民営化ですから、何か法的な措置を要求するとかそういった話ではなくて、国としてどういうふうに考えていくのか、そういったようなイメージといいますか思いというものも当然のことながらあるのではないかと私は思っております。

 特に、例えば今回の法案の中でいえば、附則六十六条によりますと、これは政投銀自体といいますか、政投銀の長期の事業資金に係る投融資機能を活用されているさまざまな事業がございます。そのような事業に関して、「当該制度の利用者の利便にも配慮しつつ、他の事業者との対等な競争条件を確保するための措置を検討し、その検討の結果を踏まえ、所要の措置を講ずる」というふうにされております。

 具体的には、この「所要の措置」というものはどういうことを指しているのか、そして、政投銀に対しては、このような事業に対してどのような役割というものを期待しているかということについて、お答えをいただきたいと思います。

勝政府参考人 お答えいたします。

 各省庁が所管しております分野、例えばエネルギー産業等につきまして、これまで日本政策投資銀行を活用して融資等を行う際の根拠となっております関係法律の取り扱いにつきましては、現段階においては、他の民間金融機関とのイコールフッティング等にも配慮した上で、今後も日本政策投資銀行を活用することを想定して、今の提出させていただいています法律案の中で、名称変更を行っております。

 今後の関係法律の具体的な取り扱いにつきましては、政策金融改革に係る制度設計を踏まえまして、本法律案で、他の事業者との対等な競争条件を確保するための措置を検討し、その検討の結果を踏まえまして必要な措置を講ずる旨を規定しておりまして、今後、関係法律を所管する各省庁におきまして、当該事項において具体的な検討が進められるとともに、物によっては予算上の措置が必要な場合もありますので、平成二十年度予算の中で検討が行われるものと承知しております。

 以上でございます。

井上(信)委員 今お答えをいただきましたように、これまで政投銀が関与してきた、エネルギー、インフラ融資、地域再生あるいは新事業の育成など、こういった事業というものは、事業自体に関していえば、これは本当に国策としても必要な事業だというふうに思っております。政投銀の完全民営化が行われることによって、これらの事業の進捗に支障が生じないように、当然のことながら、完全民営化ですから、ほかの民間金融機関との対等な競争条件という制約はあるかもしれませんけれども、そういう中で、この事業の進捗というものに関して、やはり政府としても必要な措置をとっていただきたい。そういう中で、政投銀に対しても、一定の役割というもの、今まで培ってきたものがあるわけですから、それをぜひ果たしていただきたい。それが国益にかなうというふうに私は思っております。

 そして、最後になりますけれども、とにかくこの法案、これが成立をすることができれば、日本政策投資銀行を株式化、民営化するということで、方向性そしてスケジュールというものが決まってくるわけであります。しかし、そうはいっても本当にうまくいくんだろうか、そして、うまくいかなければそれは多大なる損失である、そういうような心配を私もいたしております。

 そもそも、民間の金融機関が巨大な合併をしていって、そしてオーバーバンキングだと言われている世界であります。あるいは、そういった中で、メガバンクに比べれば規模も非常に小さいという中で、本当にうまくいくのだろうか。そして、この法案の中でも、これからさまざまな必要な措置をとっていく、そういう意味では、詳細な制度設計というのは、いわばこれからであります。ですから、法案が成立したとしても、これから政投銀をどのように完全民営化を実現していくかということ、これは非常に大切なことでありますし、残された課題も大きいわけであります。ですから、ぜひしっかりやっていただきたいという思いでありますけれども、最後に、尾身財務大臣の完全民営化に対する意気込みというものをお教えいただきたいと思います。

尾身国務大臣 政府といたしまして、この法律に基づいて、移行期間中の新会社が、長期の事業資金に係る投融資機能の根幹を維持しつつ、完全民営化の実現に向けて、民間金融機関として持続的に自立することができるよう、必要な措置を講じているところでございます。

 また、完全民営化の後も、長期の事業資金に係る投融資機能の根幹が維持されるように、政府保有株式の処分の方法等につきましては今後検討する必要がございますし、また、この法律におきましても、その旨を規定しているところでございます。

 いずれにいたしましても、政府保有株式を円滑に処分して完全民営化を実現するためには、今後、日本政策投資銀行及び新会社の経営陣において、安定的な資金調達体制の確立あるいは収益性の確保等企業価値の向上に努め、完全民営化後のビジネスモデルにつきまして、早急に明確にしていただく必要があると考えております。

井上(信)委員 どうもありがとうございました。

 本当に、この政投銀の民営化、課題はまだまだたくさんありますので、ぜひ今後とも、この完全民営化に向けて御尽力をお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、石井啓一君。

石井(啓)委員 おはようございます。公明党の石井啓一です。

 早速質問に入らせていただきます。

 まず、政投銀の小村総裁にお尋ねをいたしますけれども、新しい政策投資銀行の資金調達は、社債、銀行借り入れが中心になりますけれども、移行期間中に限り、財投資金の借り入れ、政府保証債の発行が可能になります。ただ、完全民営化に備えて、財投借り入れ、政府保証債の発行を徐々に少なくして、社債や銀行借り入れや預金の受け入れ等を徐々に多くしていく必要があると思いますけれども、どういうシナリオで考えていらっしゃるのか、まず確認をさせていただきたいと思います。

小村政府参考人 現在、先生御案内のように、財投借入金それから政府保証債、それに加えまして政府の保証のない債券、こういう三つの方法によって私どもは資金を調達しております。

 民営化するに当たりまして、資金調達というのは最大の課題であります。今回の法案におきまして、金融債の発行、大口預金の借り入れあるいは銀行借り入れ、種々の方策も盛り込んでいただきました。何がフィットするか、これは、移行期間中、最もフィットするものを探していくということであろうと思います。

 ただ、私は、先生御指摘のように、財投からの借り入れあるいは政府保証債、そういったものが、そう多くを望んではいけない、そういう体質であってはいけないということで努力をしてまいります。しかし、マーケット相手ですから、いついかなることが起こるかもしれません。ぜひ、移行期間中は、財投の借り入れあるいは政府保証債の運用につきましても、弾力的にお願いいたしたいと思います。

 それから、一つの調達手段ではだめだと思います。私どもの債券、社債だけでやりますと、マーケットのいい標的になります。今回、銀行借入金も認めていただきました。あらゆる手段をもって最も有利な資金調達をしていく、そういう基本方針のもとに臨んでまいりたいと考えております。

石井(啓)委員 それでは、引き続き総裁にお尋ねいたします。

 移行期間中は政府が株を保有する特殊会社ということでございますので、社債や銀行借り入れも低金利での調達が可能だというふうに思われますけれども、完全民営化後は政府の後ろ盾がなくなりますので、低金利で資金調達をするためには、収益力を向上させ、自力で信用力を高める必要が出てまいります。この収益力向上のためにどういう方策をお考えになっているのか、確認させていただきたいと思います。

小村政府参考人 先ほど井上先生の質問にもお答えいたしましたが、私どもは、これまでは、地域再生とか環境、防災あるいは科学技術、技術革新、こういった面を中心に御融資してまいりました。必ずしも収益の上がる分野ではありません。

 したがいまして、こういった施策がどういうふうに続けられるかというのは一つの課題でありますが、収益向上のためには、より新しい金融手法を駆使したプロジェクトファイナンスなり、あるいは私どもが持っております金融技術を駆使して、投資銀行的な業務、こういったものの比重が増してくる、そういうようにしながら、やはり株を買っていただけるような立派な銀行にならなきゃいけない。それから、債券あるいは銀行の借り入れにいたしましても、それだけの信用力を増していかなければ調達は困難であります。先生の御指摘のとおりであります。

 したがいまして、私どもは決して収益だけに走るわけではございません。社会的価値の創造もありますが、やはり、これまで以上に収益構造の向上ということに重点を置いて経営してまいりたいと考えております。

石井(啓)委員 それでは、先ほどの質問にもございましたけれども、完全民営化した後のビジネスモデルについて、今度は大臣と総裁にそれぞれ伺いたいと思います。

 完全民営化時に、銀行免許を取得して普通銀行になるのか、あるいはノンバンク形態の投資会社になるのか、また、銀行とノンバンクなどのグループ形態になるのか。グループ形態についてもいろいろな形態のあり方があると思いますが、こういう将来のビジネスモデルを確立することが大きな課題でございます。

 法案の附則の第三条には、会社の有する投融資機能に相応する機能の担い手として構築される組織に継承させる、こういうふうにしておりますけれども、どういうイメージを持っていらっしゃるのか。また、今後、いつごろまでをめどとして、どこでどのような検討を行うのか、確認させていただきたいと思います。大臣と総裁にそれぞれ伺いたいと思います。

尾身国務大臣 完全民営化後のビジネスモデルにつきましては、平成二十年十月以降から完全民営化までの移行期間中の業務の運営、あるいは、民間株主の意向等も踏まえまして移行期間中に新会社の経営陣が検討して、これを的確に判断すべきものであるというふうに考えております。

 また、このビジネスモデルを提示していくスケジュールにつきましては、株式処分のタイミング等を考えますと、平成二十年十月の新会社の設立後、できるだけ早期に完全民営化後のビジネスモデルを明確にしていく必要があるというふうに考えております。

 政府といたしましては確たることを申し上げる立場にはございませんが、完全民営化後の新会社におきましても、行革推進法やあるいは行革推進本部において決定された政策金融改革に係る制度設計を踏まえまして、これまで培ってきた事業評価能力やあるいは新しい金融技術開発能力等のノウハウを生かして、長期の事業資金に係る投融資機能の根幹を維持していくことを期待しているということでございます。

小村政府参考人 完全民営化後のビジネスモデルにつきましては、私どもは、基本的には、長期的な視点に立った、新金融技術を駆使した、そういう金融機関になりたい。先ほど申しました、小さいけれども存在感のあるものにしたい、こう考えております。

 その際に、今、普通銀行業務として必須の預金機能、決済機能、為替機能というのは持っておりません。先生御質問の普通銀行になるのかということでございますが、そういう道も決して閉ざしてはおりません。ただ、すぐにこうした機能を持ち得るかというと、膨大なコストがかかります。コンピューターシステムあるいは多くの行員を抱えていかなければならない。そういうものに直ちに挑戦できるかというと、やや無理があるかなという感じがいたしております。

 ただ、本法案においては、あらゆる挑戦を可能にしていただいております。後の経営者がそうしたことに挑戦をするに十分な法体系になっております。

 それから、グループ経営の問題でございますが、恐らくこうしたものがフィットするのではないかと思います。

 今、私どもの金融機関としての機能を正確に日本の金融法制度が反映したものはございません。これは、外国におきましては、マーチャントバンク法とかいろいろな法制度がございます。日本では普通銀行あるいは長期信用銀行、そういった型にはまったものにぴったりと私どものビジネスモデルが合うかというと、恐らく合わない。そうすると、やはりグループ経営というのが一つの大きな手段であろうと思います。

 長期の投融資機能を重視したビジネスモデルを確立する、これが私どもに課せられた課題ではありますが、こういうビジネスモデルを理解してくれる株主構成にならなければ、幾ら私がここで御答弁申し上げても、新たな株主が、そういうことではだめだ、もっと利益を上げろ、こういうふうになりますと、私どもの目指すところとは違ってくるかな。

 したがいまして、政府におきましても、株式の売却に当たっては十分そういった観点も踏まえてやっていただきたい。これが私どもの希望であります。

石井(啓)委員 今、総裁から株主の話が出てまいりましたので、続いて質問をいたします。

 附則第二条で、政府は、完全民営化までの間、会社の有する長期の事業資金に係る投融資機能の根幹が維持されるように政府保有株式の処分方法について検討を行い、必要な措置を講ずるというふうにされておりますけれども、これはどこでどのように検討が行われるのか、確認をしたいと思います。

 また、この附則第二条の趣旨からいたしますと、当然、安定株主が望ましい。短期の収益を求める外資や投資ファンドに対しては、株式の譲渡規制というか保有規制というか、そういったことが必要になるのではないかというふうに思いますけれども、そこら辺どうなっているのか、財務省の方から説明をいただきたいと思います。

勝政府参考人 お答えいたします。

 新会社の株式処分につきまして、先ほど申し上げましたように、財政当局としましては、国民の貴重なる財産でございますので、できるだけ高く売りたいということがございます。また、株式処分はできるだけ円滑に行いたいということもございます。

 他方、行革推進法また制度設計において、長期の事業資金の資金供給の根幹を維持するということがうたわれています。

 また、参議院の附帯決議で、安定性のある株主構成ということも要請をいただいております。

 したがって、そういうもろもろの要因を踏まえまして、今後、具体的には、専門家や有識者から成る検討会で専門的な見地から検討していただくことが必要であると考えております。

石井(啓)委員 今後の検討ということでございますから、恐らく次の問いも具体的な答えは出てこないんだと思うんですけれども、仮に株式の譲渡規制、保有規制をかけるとすると、株の売却方法をどうするんだろうかということがございます。

 一つは、上場しないで商工中金のように売却をするということがございます。一方で、上場したとしても議決権のない株式で売る、こういうことも考えられると思いますけれども、株式売却方法については今どういうお考えでいらっしゃるのか、現時点でのお考えを確認いたしたいと思います。

勝政府参考人 お答えいたします。

 株式処分の方法の具体的な検討に当たりましては、先ほど申し上げましたように、専門家や有識者から成る検討会で専門的な見地から検討していただくことが必要であると考えております。

 また、検討会のあり方につきましては、法案成立後の速やかな検討に向けて、検討をお願いする事項、人選について詰めさせていただきたいと思っております。

 例えば具体的な検討事項でございますけれども、先生おっしゃいましたように、株式の処分の手法、上場するか非上場にするか、または発行する株式の数やその種類、処分のタイミング、こういうことについて検討される必要があるのではないかと考えております。

 以上でございます。

石井(啓)委員 それでは、続いて、完全民営化した後の政投銀の姿について、今度は大臣と総裁にお尋ねいたします。

 先ほど申し上げました法案の附則の第二条によりますと、完全民営化までの間、長期の事業資金に係る投融資機能の根幹が維持されるように政府保有株式の処分方法について検討云々、こういうふうになっておりますから、完全民営化がスタートするときまでは長期の投融資機能の根幹は維持されるということになりますけれども、では、今度は完全民営化された後、この新しい会社の経営方針というのは、当然これは新しい経営陣やあるいは株主の判断にゆだねられるということになりますから、必ずしも長期の投融資機能が維持されるというふうには担保はされておりません。ただ、私は、政投銀の存在意義だとか、これまでのノウハウの活用等を踏まえれば、完全民営化した後も長期の投融資機能の根幹が維持されることが望ましいというふうに考えております。

 したがいまして、完全民営化するときは、これは廃止法を措置するわけですけれども、廃止法を措置する際に、例えば短期の収益を求めるものに簡単に買収されない、そういった完全民営化後の長期投融資機能の維持を制度的に担保する、そういうことを考えるべきではないかというふうに思います。

 また、政府としては、完全民営化後の政投銀にどのような役割を期待されるのかも確認させていただきたいと思います。

尾身国務大臣 平成二十年十月以降、完全民営化までの移行期間中の会社につきましては、株式会社日本政策投資銀行法上、会社の目的として、長期の事業資金に係る投融資機能の根幹を維持することが規定され、会社は当該目的を達成するために業務を営むものとされているところでございます。

 したがいまして、長期の事業資金に係る投融資機能の根幹の維持という目的を達成するために会社が適切に業務を行うよう、事業計画等の認可を通じまして、主務大臣として監督をしていくということにしております。

 他方、完全民営化後の新会社につきましては、特殊会社ではなくなり、民間株主の意向を踏まえた経営が行われることから、長期の事業資金に係る投融資機能の根幹の維持について、必ずしも法律上担保されているわけではございません。しかし、政府といたしましては、完全民営化後におきましても同機能が引き続き維持されるよう期待をしているというところでございます。

 そのために、この法律案におきまして、同行の強みである出資と融資を組み合わせた長期のリスクマネーを引き続き供給できるように、必要な業務の規定や資金調達における政府保証等の激変緩和措置等所要の措置を講ずるとともに、さらに、長期の事業資金に係る投融資機能の根幹が維持されるよう政府保有株式の処分の方法に関する事項について検討の上、必要な措置を講ずることとしております。また、会社の業務や機能等が完全民営化後の新組織に円滑に承継されるために必要な措置を講ずるということにしているところでございます。

小村政府参考人 私どもの完全民営化後のビジネスにつきましても、やはり、この五十年間培ってきた得意な分野を生かしていくことではないかと思います。そういった面でできるだけ収益を上げていくということであろうと思うんですが、ただ、私どもがやっております、例えば地域再生、環境、防災あるいは科学技術の分野、こうしたものは必ずしも収益性の高い分野ではございません。原子力の問題にいたしましても、長期の、なかなか収益の上がらない分野であります。あるいは、あかずの踏切対策、こういったものもやはり民間金融機関ではなかなか対応はできない。ただ、政策的に必要なものもあろうと思います。

 しかしながら、私どもも、民営化した後は、民間金融機関ができないことを私どもがいわゆる腹切り融資をしてそれを続ける、これもまた無理な話であります。先生おっしゃるように、こうした分野について私どもにそういう期待があるとすれば、やはり制度的担保をいただかないとできないという関係ではないかと思います。何もやらないというわけではございません。我々の得意な分野について、社会的貢献、社会的価値の創造、こういった分野は収益性とともに必要だという認識は、職員一同持っております。

石井(啓)委員 私どもは政投銀さんに対して非常に難しい要求をしていると思うんですね。私も、質問しながら、非常に難しいことをお願いしているなと。収益力を上げよ、長期の投融資機能を維持しろ、どうすればいいんだというふうにお思いになるかもしれませんけれども。

 だから、完全民営化した後、民間の金融機関として生き延びていかなければいけない。ただ、それは、たくさん民間金融機関がある中で、政投銀の存在意義というのは従来のいろいろなノウハウをしっかり活用してということになりますから、政投銀さんがそういう生き方ができるように、やはり政治の側もきちんと配慮しなければいけないと思うんですね。

 そういう意味で、先ほど申し上げたように、廃止法を措置する際には、長期の投融資機能が維持されるように制度的な措置は私はきちんとやらなければいけないというふうに考えております。

 引き続いて、危機対応について大臣に確認します。

 今の話ともちょっと重なるところがあるんですが、政策金融による制度設計によりますと、新しい政投銀は、移行期間はもちろんのこと、完全民営化の後も原則として指定金融機関として危機対応の一翼を担うというふうにされておりますけれども、私は、新しい政投銀に対しては、やはり、これまで政策金融機関として培ってきた危機対応のノウハウを完全民営化後も発揮していただきたいというふうに思っておりますが、大臣の見解を伺いたいと思います。

尾身国務大臣 この政策投資銀行、これまで、地震とかあるいはBSE等の危機時におきまして、被災企業の復興のための設備資金等の供給を行ってきたところでございます。こうした政策投資銀行の業務は、平成二十年九月三十日まで、現在のままで継続をされます。平成二十年十月一日以降につきましては、現在別途御審議中の日本政策金融公庫法案におきまして、災害時の危機時に資金の貸し付け等を実施する業務を危機対応業務として定め、その業務を行う金融機関として指定することとしております。政策投資銀行につきましては、平成二十年十月一日以降、この危機対応業務を行う指定金融機関として、切れ目なく危機への対応が可能となるよう措置しているところでございます。

 日本政策投資銀行が、移行期のみならず、完全民営化後も、そのノウハウを生かして、指定金融機関として引き続き危機対応業務を適切に実施していくことを期待しているところでございます。

石井(啓)委員 政投銀には、そういう期待にこたえられるような条件整備というのを私どもも考えていかなければいけないと思っております。

 続いて、エネルギーですとかあるいは民間都市開発、こういう各種法律で規定されています政策金融が今後どうなるかということでございます。

 法案の附則の第六十六条あるいは第六十七条で、各種法律で規定されています利子補給や無利子貸し付けなどの政策金融については、政投銀と他の民間金融機関とのイコールフッティング、それを検討した上で所要の措置を講ずるというふうにされております。

 このイコールフッティング、これはやらなければいけないことでありますが、これに重点を置くばかりに、結局、どこも政策金融をやる機関がなくなってしまうというようなことがあっては困るわけでございまして、やはり必要な政策金融機能というのは私は完全民営化後も政投銀に担っていただきたい、こういうふうに考えております。これは、法律を所管する国土交通省それから経済産業省の方に確認をしたいと思います。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のように、政策投資銀行は、これまで国土交通省の関連分野でも、都市開発あるいは鉄道や航空といいました公共性の高い各分野におきまして、長期安定的な資金の供給を通じまして、それぞれの施策事業の推進に寄与してきたというふうに認識をいたしております。

 政策投資銀行の民営化に当たりましても、こうした各分野の施策の推進に当たりまして、今後、具体的な措置、どんな措置が必要かということについて十分に検討していく必要があるというふうに認識をいたしております。

 附則六十六条に定められております民間都市開発について言いますと、現在、日本政策投資銀行に資金を寄託いたしまして、長期、低利資金の融通という政策金融を実施しているところでございます。都市再生という政策課題に取り組むために、例えば、資金調達の円滑化のための不動産の証券化でありますとか事業リスク軽減のための公的機関の事業への参画でありますとか規制の緩和、あるいは公共施設整備の支援を含めました事業推進のための税財政措置、こういった幅広い政策手法全体の中で長期安定的な資金供給のあり方についても検討していかなきゃいかぬ、このように考えておるところでございます。

立岡政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省の関係でも、これまで政投銀は、エネルギー、研究開発、事業再生、こういった分野におきまして、安定的な資金供給を通じて施策の推進に寄与してきていただいたと思っております。

 今後、一定期間のうちに完全民営化がされるわけでございますけれども、他方、例えばエネルギー分野におきましては、資源制約でございますとか環境制約が今後強まっていくということから、長期、固定、低利の資金調達が、政策上、これからも必要になるということが考えられます。このため、完全民営化後におきまして、他の民間金融機関と同様の条件のもと、エネルギー政策などの遂行の観点から、政投銀がこれまで培ってきた経験、能力、アセットをどのように活用していけるか、検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

石井(啓)委員 くれぐれも、政策金融自体が機能しなくなるような、そういうことは避けるようにしっかりと御検討いただきたいと思います。

 時間的に最後の質問、これは大臣にお聞きしたいと思いますけれども、新しい政策投資銀行のトップ人事について伺いたいと思います。

 先ほど質問いたしましたビジネスモデルにも関係いたしますけれども、完全民営化後のビジネスモデルの構築というのは、トップにだれを据えるかによって大きく左右されるというふうに考えます。今後の新政投銀の行く末を決めるということになるわけでございますけれども、どのような人物をトップに据える方針なのか、大臣に確認をさせていただきたいと思います。

尾身国務大臣 株式会社におきましては、その経営責任者は、会社法に基づきまして、株主総会及び取締役会において選任されるものでございまして、移行期間中の新会社につきましても、会社法等の手続に沿って、適材適所で選任されるものと承知をしております。

 移行期間中の新会社の代表取締役等につきましては、他の特殊会社の例にも倣いまして、その選任の決議について財務大臣の認可対象としたところでございますが、これは、本法律に沿って、業務の適切な執行や兼職制限違反等の観点から、選任された代表取締役について問題がないか判断するものでございます。

 なお、新会社の代表取締役等の選任に関する国の議決権の行使に当たりましては、政策金融に係る制度設計における経営責任者については、新政策金融機関と同様に、必要と認められる識見及び能力を有する者のうちから適材適所で選任されるものとし、特定の公務の経歴を有する者が固定的に選任されることのないよう十分に配慮するとの方針に沿ってこれを行ってまいりたいと考えております。

石井(啓)委員 時間が参りましたので、以上で終わります。

伊藤委員長 次に、楠田大蔵君。

楠田委員 民主党の楠田大蔵でございます。

 本日は、大変お忙しい中、小村総裁にも出席をいただきまして、質問に当たらせていただきますことをまず御礼申し上げたいと思います。

 政投銀の今回の株式会社化、新会社になります法案、これを詳しく調べるに当たりまして、まず、政投銀の前身の旧開銀、この開銀が昭和二十六年の四月二十日に設立をされておりますが、実は誕生日が私と一緒でございまして、そうした特別な思いも持って、この質問に当たらせていただきたいと思います。

 そもそもの話から入らせていただきたいと思います。

 今回、この政策投資銀行法案が財務金融委員会に付託されております。この財務金融委員会で所管をし、法案をつくるという形になっておるわけでありますが、私といたしましては、郵政の民営化の問題と比較いたしましても、完全民営化を決定したわけでありますから、当然、より専門的な見地で、内閣の準備室のようなものをつくってもこうした法案をつくるべきではなかったのかという思いがあるわけでございます。

 この点に関して、まず財務大臣からお伺いしたいと思います。

尾身国務大臣 国会法上、議案が発議または提出されたときは、議長は、これを適当の委員会に付託するというふうに規定をされておりまして、この法案の付託委員会は衆議院の方で決められたものと承知をしております。

楠田委員 もちろん、国会法の手続に関しては私も認識をいたしておりますけれども、かつて、平成十七年にさかのぼりますが、十一月二十九日の経済財政諮問会議におきまして、そこの政策金融改革の基本方針というものを決定された際、「新組織移行への工程、関連法案の提出等」という項目におきまして、今後の政策金融改革を内閣主導で行うために、内閣に政策金融改革本部を設置し、その事務は、行革担当大臣のもとで行革推進事務局が行う、このため、同事務局の体制を整備すると決めておられました。

 その一つとして、当然、郵政民営化は、準備室が内閣のもとにつくられて、法案もそうした専門的なものになっていったと私は認識をしていますが、こうした取り決めがありながら、今回、この法律自体は古い所管であります財務省がつくることになったわけでありますから、この点に関して、改めて、こうした過去の決定と、今回またもとに戻って所管の方でつくることになったその経緯について、もう一度感想を、思いを教えてください。

尾身国務大臣 政策金融改革の関連法案につきましては、行革推進法及び行革推進本部において決定された政策金融改革に係る制度設計に沿いまして忠実に作業を進められるよう、行政改革担当大臣の総合調整のもと、関係大臣が十分に連絡をとって進めてきたところでございます。

 日本政策金融公庫に係る法案につきましては、関係省庁が多数にわたり、調整作業が膨大になること等を勘案いたしまして、行政改革担当大臣が関係大臣と連絡して作成することとされました。

 一方、この日本政策投資銀行を含む完全民営化・廃止機関に係る法律案につきましては、行政改革担当大臣の総合調整のもと、各主務大臣が行政改革担当大臣と共同して作成されることとされました。その際にも、行政改革推進本部事務局に完全民営化・廃止機関に係る法案の総合調整のためのチームを置くとともに、各主務省の法案作成担当課長をこの行政改革推進本部事務局に併任させるなどの連携のための措置をとりまして、体制の整備を行ってこの作成に当たったところでございます。

楠田委員 長くお答えをいただきましたけれども、私としましては、これからの質疑においてその詳細をお聞きしてまいりたいと思います。

 今回、そうしたさまざまな理由はあるとは思いますが、この財務金融委員会、財務省でこの法案をつくったために具体性がやはりなくなってしまったのではないか、さまざまな担保が不十分なものになってしまったのではないか、そういう認識を持っておるものですから、こうした質問を初めにさせていただいたところであります。

 今回、民主党としては初めての質問でありますので、全体的に大まかなところから聞いてまいりたいと思いますが、まず、本日、総裁にもお越しをいただいております。

 先ほど石井委員の方から人事の話も最後されたところでありますが、まず総裁人事につきまして、今の小村総裁がことし九月末でまず一たん任期を迎えられる、そうお聞きをしておりますけれども、この後ちょうど民営化、新会社設立まで一年というところでありますが、留任の可能性というものはまず残り一年あるのかどうか、これをお聞きしたいと思います。まず財務大臣から。

    〔委員長退席、宮下委員長代理着席〕

尾身国務大臣 特殊法人等の役員につきましては、法人の業務内容を踏まえつつ、必要と認められる識見、能力を有する者のうちから適材適所の考え方に基づいて任命しているところでございます。

 十九年九月末で任期を迎えます日本政策投資銀行総裁人事につきましても、同様な考え方に基づき、適材適所で任命すべきものと考えております。

楠田委員 まあ、いつも同じ答えでありますので、もうお聞きしないようにしますが。

 総裁の方から、そうした、今大臣から通り一遍のお答えがありましたが、総裁といたしましては、大変思い入れがあるこの組織であると思いますし、これからまさに荒波に出ていくわけでありますから、御自身として今後もやはり自分の手でやってみたいという意欲があられるかどうか、そうした思いも含めてお答えをいただきたいと思います。

小村政府参考人 私はまないたのコイですから、申し上げる立場にはございませんが、私の人生のこれまでにおいて、特定のポストを希望したりあるいは特定のポストを拒否したことは一度もありません。私に適格性がないということでありましたら、直ちに首にしていただいても私は結構でございます。

楠田委員 私としましては、もう一歩踏み込んで、民間のトップであれば、自分には自信がある、これからの荒波に自分の手で乗り込んでいきたいというそのところまで私は踏み込んでいただきたいと思いましたが、まないたの上のコイということでありますので、そこは求めず、次に進んでまいりたいと思います。

 今回、こうした新たな組織に改編をする、そうしたことが今議論をされつつあるわけでありますが、今までのビジネスモデル、既にもうお話があったと思いますが、ごく簡単に、その強みの部分そしてまた弱みの部分も含めて、総裁からお答えいただければと思います。

小村政府参考人 私どもの銀行は政策金融を担当する銀行ということで、まず財務大臣から中期の政策方針というものを示されます。それに基づいて、私どもの銀行はどういう分野に重点的に行っていくかということを挑戦してまいりました。

 かつては、開銀時代、重厚長大を中心にした産業金融でありました。今日では、地域の再生、環境、防災あるいは科学技術、こういったところに重点を移しております。

 こうした政策性の高い分野において我が銀行が貢献をしていこうということで、これまでも運営をいたしてまいった次第であります。

    〔宮下委員長代理退席、委員長着席〕

楠田委員 まさにそうした長期的な投融資を、特に地域に密着した、また簡単に利益が出ないという分野こそやってこられた、また民間と協調をして進んでリスクをとってこられた、そうしたことに関しては私も率直に認めているところであります。しかし、今後そうした後ろ盾でありました低利、長期の調達自体が失われていくわけでありますから、新たなビジネスモデルをつくらなければならないということはもう既にお二人、委員から質問もあったところでありますが、改めて今後のビジネスモデルについて総裁からお答えいただきたいと思います。

小村政府参考人 先ほども申し上げましたが、私どもが五十年間培ってきたこのノウハウあるいは志、こういうものを無にして民営化というものは成り立たないと思います。

 多くのお客様が私どもを信頼してくれているのは、あそこで審査してもらえば大丈夫だ、あるいは、私どもが例えば神戸の大震災のときに、神戸製鋼の高炉がつぶれたとき、こういったときに都市型の発電所をつくろうということで、新しいプロジェクトファイナンスの方式でそういったものを達成いたしました。こういったものをやはり重点的に拡大していく、そういう技術を生かしていくべきものと思います。

 それから、これまでは、例えば短期の資金を貸してはならない、銀行から借り入れをしてはならない。ならない、ならないの規制が相当ありました。そういう面から解放されて、より自由度が増す、白地に絵をかくところがある、これはまた民営化のメリットであろうと思います。

 こうした新たなメリットを私どもの優秀な職員の頭脳をもって開拓していけば、必ずやいいビジネスができるものと考えております。

楠田委員 過去のそうした経験、メリットはもちろん認識をしておりますが、まず一つ具体的にお聞きをいたしますと、今回預金というものが新たに新会社になりますと認められてくるとなっておりますが、この預金を許されるとすれば、基本的には銀行という形になっていくと思います。

 しかし、銀行法の十六条の三にもありますように、銀行であれば議決権保有の制限というものが出てきまして、五%以上の部分の投融資ができなくなるという形になると思いますので、純粋に銀行になるのも難しいのではないかと思っておりますし、また、政府保証債や財投借り入れというものがなくなってくれば、預金で安く調達をできないとすれば、これまた業務としては厳しいのではないか、私はそういう認識をいたしております。

 こうした二つのものを両立するということはこれからのモデルとしても難しいのではないかと思いますが、この点に関しては、総裁、どのようにお考えですか。

小村政府参考人 さすが専門家で、いい御指摘だろうと思います。

 私ども、この法律で許されているのは大口の預金でありまして、普通銀行が一般の方々から受け入れる、そうした普通預金というものは、先ほど申し上げましたように、膨大なコンピューターシステムを駆使しながら、たくさんの行員を雇って集める。これは、今さら私どもの銀行が、新たなそういう金融機関の仲間入りをするということは無理であろうと思います。ただ、大口預金にしても、五%ルールとか、銀行法上の規制がかかることも確かであります。そうした、どちらの道を選ぶのがメリットがあるかどうか。これは、移行段階において経営者が冷静に判断すべきことだろうと思います。

 私どもは、あらゆる可能性を残していただいているということは大変ありがたいことだと思っておりますが、どちらかと申し上げますと、やはり投資銀行的な業務の拡大によって、この銀行のよさ、リスクマネーを提供できる。日本経済に必要な、存在価値のある金融機関になるためには、やはり余り制約のない世界での活動ができるようにしたい、こう考えております。

楠田委員 どちらかといえば、投資機能に特化をした形の方がいいのではないかという見通しはいただきました。であるとすれば、今回の大口預金の部分が認められるようになってきたということも、私は、一応踏み込んでみて確かめてみようというぐらいのレベルなのかなという認識でございます。

 また、移行期間中に明確にするということが改めて言われました。先日、私が四月十一日に一般質問でさせていただいたときも、尾身大臣は、移行期間中に明確にする、新経営陣が判断するとしきりに言われておりましたけれども、この点は、尾身大臣、今でもそのように思っておられますか。

尾身国務大臣 完全民営化後のビジネスモデルにつきましては、新会社設立後において、そこでいろいろと御検討いただきまして、そのビジネスモデルの詳細についての考え方を整理していただきたいというふうに考えているところでございます。

楠田委員 重ね重ねそうした答弁でありますけれども、私が改めてここで思っておりますのが、まず、今回、平成十八年の五月の行革推進法で、こうした完全民営化の方針が法律でも決定をしてから、もう既に一年がたつところであります。

 また、新経営陣に任すということをたびたび言われておりますけれども、少なくとも、新会社に移行したときは一〇〇%政府が株式を保有するという形でありますから、株主の責任というのが当然、国、そして所管の財務省にあるのではないか、あるのは間違いない。そして、それをまさに、国民の税金でこの株式を一〇〇%保有しているわけでありますから、そうした国民の財産を委託して、どのように運用するか。それこそ財務省自身が、政府自身が責任を持って考えていく、そうした責任があると私は思っておりますが、財務大臣からお願いします。

尾身国務大臣 完全民営化後のビジネスモデルにつきましては、移行期間中の業務の運営やあるいは民間株主の意向等を踏まえまして、移行期間中に新会社の経営陣が検討して、的確に判断をすべきものであると考えております。

 政府としては、確たることを申し上げる立場にないわけでございますが、行革推進法やあるいは行革推進本部において決定された政策金融改革に係る制度設計の考え方を踏まえまして、これまで培ってきた事業評価能力やあるいは新金融技術開発等のノウハウを生かして、長期の事業資金に係る投融資機能の根幹を維持していくことを期待しているわけでございます。

楠田委員 先ほどからも、期待をしていると人ごとのような表現をたびたびされておりますが、先ほど申しましたように、民間の株主が、仮に新会社設立後、売却の中で出てきたとしても、一気に多数になるわけではないわけであります。また、少なくとも五〇%超の株を持っていれば、その議決権の行使で取締役の選任もできるわけであります。そうした中で、本当に民間株主、しかも最初のうちは特に少数である、そうした株主に任せるのか。そして、そうした新経営者にすべて期待をするだけでいいのか。こうした疑問を強く持っております。

 また、今回、例えば郵政の民営化と比べますと、一年九カ月前に準備企画会社を設立し、その会社に西川さんというトップがつかれた。そして、この四月二十七日でありますが、民営化の半年前に承継会社の概要というものを、大変分厚い資料で出された、私も見させていただきましたが。そして、その承継会社の概要に対して民営化委員会の意見がつく。こうした二重、三重に、非常に綿密な計画を積み重ねて民営化に当たっていく。そうしたことが郵政の方では実行されたわけであります。

 それに比べまして、残り一年余りで民営化をする際において、まだまだその計画が出てきていないのではないか。我が古本理事の方からも出された資料請求に関しましても、株主の見込みについても、現時点で答えることが非常に困難であるというような答えしか出てきておりません。

 そうしたほかと比較いたしまして、それでもなお先ほどのようなお答えを続けるおつもりなのか、財務大臣に改めてお願いします。

勝政府参考人 お答えいたします。

 まず、御指摘の郵便貯金銀行との比較でございますけれども、郵便貯金銀行は、完全民営化後は銀行法上の銀行として活動するということでございましたので、特段の支障はなかったものと承っております。

 他方、政投銀につきましては、行革推進法におきまして、長期の事業資金に係る投融資機能の根幹を維持するということが定められておりまして、そのため、現在業務として行っております出資と融資、これを一体として行う必要があるというふうに考えております。すなわち、新会社の業務は、銀行、貸金業等の機能をあわせ持つ面がありまして、現行の一般金融法令のもとでは適切な業態がないということでございますので、完全民営化するまでの移行期間中に、新会社の経営陣が業務運営を見きわめるかも含めまして、業態を確定していく必要があると考えております。

 また、ビジネスモデルについて申し上げますと、二つの課題が今後大きく生じると思っていまして、一つは資金調達面でございますけれども、現在の政投銀は、政府信用を背景に大半の資金調達を行っています。今後は、ある意味では自力で、安定した資金調達を行っていかないといけないというものが一つございます。

 他方、資金運用面でございますけれども、現在は長期、固定、低利の資金供与を行っておりますけれども、今後は、そういうことも踏まえまして、新しい出資と融資を一体とした業務をどういう形でやっていくかということも大きな課題でございます。しかも、それは収益を上げないといけないということもありますので、こういうことを踏まえつつ、やはり新しい経営陣がそういうビジネスモデルをつくっていくということが必要になってくるのではないかと考えております。

楠田委員 大変長く事務方の方からお答えいただきましたが、そうした、すべて新経営陣、新経営陣と言われておりますけれども、五から七年のめどで株式を全額売却すると言われているわけであります。郵政ですら十年で売却をすると言っている中で、これだけ前倒し、前倒しで、三年から四年で上場をし、その後五年間で全額売却をするという計画を出しておられますが、それに比べまして、今の時点でこれだけすべて新経営陣というのは、まさに株主責任の上からも私は全く責任を果たしていないのではないかと言っているわけでありますが、財務大臣は改めてどのように思われますか。

尾身国務大臣 二十年十月以降、株式会社日本政策投資銀行として活動をする期間、これはまだ完全に民営化されていないわけでございます。それから五年ないし七年までの間に株を全部売却いたしまして、株主は政府ではなく民間になる、民間の方に一〇〇%株式を持っていただく、こういうことになるわけでございます。

 したがいまして、完全民営化した後の新しい民間法人につきましては、長期の事業資金に係る投融資機能の根幹の維持ということが法律上担保されているわけではございませんが、私どもとしては、この機能が引き続き維持されるよう期待をするということでございます。

 このタイミングが短過ぎるではないかという御意見のように承りましたが、何十万人もいる機関と、政策投資銀行は千人台の人数でございますから、いわば大きさというか、そういうものも実質的に違うということも考えますと、このくらいの期間を見ておけば、その間に必要な検討をし、必要な対応をすることはそう難しくないものと考えております。

楠田委員 私が申しておりますのは、先ほども完全民営化すれば一〇〇%民間が持つと言われましたけれども、民間が、株式を仮に上場いたしまして、買うということになるためのビジネスモデルを早くつくらなければだれも買わないということを言っているわけであります。その後の、買った後のことを今話しても全く絵にかいたもちでありまして、その準備は今のうちからしなければならないのではないかというのが一点。

 あともう一つ。五から七年ほどをとっておけば小さな規模なので大丈夫ではないかという、これまた短絡的な話もありましたけれども、そうであるなら、なぜめどという表現がついているのか。今回、めどということで、郵政は当然十年間で売却をする義務というものを明記したわけでありますから、めどということは、もしやこの後、五から七年過ぎても許されると思っておられるのか。

 この二点をお聞きしたいと思います。もう最後ですから、大臣から。

尾身国務大臣 これは、株式を売却するわけでございますから、いつまでにきちっと売却すると決めると、俗に言う、足元を見られる危険性もある。そういうことを考えて、マーケットの状況等を考えながら、今の時期をめどとしてやるという考え方でございます。

楠田委員 最初の質問にお答えいただいておりませんが、時間も参っておりますから。

 そういたしますと、やはり私は、先ほども石井委員も言われましたが、この後の人事がいかになるか、これが非常に重要ではないかと思っております。

 私は住友銀行出身でもありまして、今の郵政の西川社長が頭取のときに入行いたしました。非常にカリスマがある方でありましたし、この方が郵政の社長につくことで、非常に物事が鮮明に、そして速く、スピーディーに進んでいるのではないかと思っておりますが、そうした観点からぜひ選んでいただきたいと思いますが、この点、改めて最後に、財務大臣、人事について。

尾身国務大臣 トップの人事等につきましては、法律にのっとりまして、適材適所の観点から考えてまいりたいと考えております。

楠田委員 そうしたお答えでありますので、次に譲りたいと思います。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、三谷光男君。

三谷委員 民主党の三谷光男です。

 きょうは、株式会社日本政策投資銀行法案について質問をさせていただきます。

 法案の内容についてお尋ねをする前に、この連休中の五月二日にも業績予想の修正が出されて、経営再建に向けて大変大きな注目を集めているJALグループ、そのJALグループへの融資について日本政策投資銀行にお尋ねをいたします。

 まず、日本政策投資銀行のJALグループ向け融資残高は現在幾らなんでしょうか。公表できる分で結構であります。あわせて残高の推移についても、何年幾らというふうにお答えをいただきたい。新規融資分についてはここでは問いません。お答えください。

多賀政府参考人 お答えいたします。

 先生御案内のとおり、JALは上場企業でございますので、御質問の中にもございましたように、公表できる資料からということでお許しいただきたいと思います。

 公表できる資料といいますと有価証券報告書ということになろうかと思いますが、JALに対する私どもの残高ということで申し上げますと、十八年三月末で三千三百七十二億円ということでございます。

 それから、もう一つお尋ねの最近の推移はどうかということで、これも公表資料から拾ったところで、今私の手持ちにあるもので申し上げますと、その一年前の十七年三月の残高が三千六百二十四億円ということでございまして、その前の十六年三月が三千五百九十四億円、こんなところでございます。

三谷委員 今のお答えで、平成十八年、〇六年三月で三千三百七十二億円。これはJALから公表されている分でありますけれども、同じような残高でありますけれども、各主力行のJAL向けの融資残高、〇六年九月時点で見ますと、日本政策投資銀行三千百八十六億円、もちろん償還額がございますので下がっております。みずほコーポレート銀行九百二十三億円、東京三菱UFJ九百十九億円。日本政策投資銀行の融資残高は、他の主力行、みずほコーポレート、三菱東京UFJが約九百億円強と比べまして、突出をしています。

 なぜJAL向け融資残高がここまでふえることになったのか、この理由を、小村総裁、教えていただきたい。

小村政府参考人 私どもの銀行がJALと本格的におつき合いをし出したのは、そう歴史は深いものではございません。平成十三年の九月十一日、御存じの米国同時多発テロが起きました。その後、引き続いて中国でSARSの発生があり、イラク戦争とか、航空界におきまして、未曾有の大変な事態に陥ったわけであります。

 こういったところにおきまして、私どもは危機対応の一つとしてJALに対して融資をしたという経緯で、今日、その残高があるということでございます。

三谷委員 今の小村総裁のお話しになられたことというのは、一般的によく言われていることであります。まさに危機対応で融資をしたその額が、もちろん旧JAS分もございます、だけれども、〇一年九・一一テロ、あるいはイラク戦争、未曾有の航空業界の事態だということで、ここまで、三千億円を超える融資額に膨らんだ。

 そこで、ここまでの融資のことをお尋ねいたしますけれども、JALの状態、JALは、〇一年度以降、実質的には一度も経常利益を出していません。〇二年度連結決算の損益の最終黒字、最終黒字になっていますけれども、これもよく問題にされております機材関連報奨額四百二十億円、営業外収益でありますけれども、これを計上したことによるものであります。この機材関連報奨額、〇二年度で四百二十億円、〇三年度で三百六億円、〇四年度で四百八十三億円、この三年間で約千二百億円にも上っています。

 機材関連報奨額というのは、もう御承知のとおり、航空機購入時の、言ってみれば値引き、バックリベートそのものであります。当然のことですけれども、本来、当期利益に計上されるべきものではありません。ANAもやっていたということではありますけれども、ANAもけしからぬ話だというふうに思っています。

 実際上は、例えば、百億で買った航空機を八十億に値引きしてもらう、航空会社は航空機をリース会社がつくった匿名組合に、よくやっていることですが、定価の百億で転売する、そこからリースを受けて使う。リース料は転売額の百億円がもとになっているわけですから、要は二十億円分の利益の先食いをしているということが言えます。

 〇四年度の最終損益の黒字も、こうした機材関連報奨額四百八十三億円に加えて、ここでは、退職給付制度改定による費用減五百二十九億円を捻出したことによって黒字にしています。

 この機材関連報奨額は〇六年三月期決算ではやめたものの、問題はまだあります。この報奨額を利益計上していったことによって、現在計上されている自己資本に利益剰余金の過剰計上が見受けられます。これは公認会計士さんに見てもらいますと、同じようにおっしゃいます。JALの自己資本の利益剰余金の過剰計上額は八百四十億円程度にも上るというふうに指摘をされています。

 ほかにも問題は数え上げたら切りがありません。燃料調達において、これもよく指摘されていることです、原油価格の高騰に伴う燃油ヘッジに失敗して年間人件費に相当する大幅な損失をこうむった問題、退職金の積み立て不足二千七百三十一億円、〇六年決算。もちろん、ほかにも組合の問題とか経営上の問題はあります。財務内容だけ見ても、問題になることは多いし、大変深刻だと思っています。

 融資残高が三千三百億円程度までふえた、これは、今、危機対応によるものだとおっしゃいました。危機対応による融資なんでしょう。だけれども、ANAも同じ環境の中でやっているんですね。ANAの融資残高、幾らかはふえていますけれども、JALほどふえていませんよ。

 融資に至るまでの、今指摘をいたしました財務内容の審査や、あるいはその融資の決定において、決算内容あるいは財務内容を本当に厳正に審査して融資の決定が行われてきたんでしょうか。例えば、先ほども申し上げた機材関連報奨額の問題、燃油ヘッジの失敗による損失の問題、こういうことを知った上で融資を行ってきたのでしょうか。あるいは、知らないままに、言われるままの融資を行ってきたのでしょうか。どちらなんでしょうか、説明をお願いします。

小村政府参考人 私どもは、金融機関である以上、危機対応ということで何でも融資をする、そういうものではございません。御指摘の点についても、十分私どもは審査をいたしております。

 機材関連報奨金の関係は、これは当時の税制上、リースに関して航空機だけ特別な状況でありました。そういう税制上の関連から、ANAもJALもそういう経理をいたしたわけでありますが、いずれにしても、監査法人から、適正であるという監査をいただいております。

 そういう意味におきまして、私どもは、自分自身のことでありますから、債権の回収性等について厳密に専門家が審査し、御融資をしているということでございます。

三谷委員 今、小村総裁からは、いずれも監査法人から適正であるというお答えがありました。日興コーディアルでも問題になったところは、その当時には、監査法人から、中央青山ですけれども、適正であるというふうに言われたんですよ。

 私が申し上げているのは、当たり前のことですけれども、今言われた税制上の問題とかいう話ではなくて、いわばバックリベートみたいなものですから、当期利益に計上するというのはおかしな話ではないですか。もちろんこの問題だけではありません。退職金の積立金不足あるいは資本への過剰計上の問題、こうしたことも今までにも見えてきた話なんです。だけれども、それを指摘することなしに、あるいは、後で新規融資の話もさせていただきますけれども、なぜ早く指摘がなされなかったのか。

 昔からの問題ですよ。少なくとも、私が知る限り、〇一年当時からの問題なんですよ。政投銀が危機対応で融資をしたというのは、その多くは〇二年、〇三年のものです。それは本当に厳正な審査、財務内容をきちんと見たということが言えるんでしょうか。説得力のあるお答えをください。

小村政府参考人 個別の融資についてここで先生と論争をするわけにはまいりませんが、私どもは、金融機関として最大の注意を払いながら、かつ、一般的に御融資先について問題があれば、きちっとその対応策を求めてきております。

 今回も、中期計画におきまして人件費五百億円以上の削減をしてほしいとか、いろいろなところで私どもは注文をつけました。社長としては組合交渉等々で大変でありましょうけれども、そういったものを乗り越えて金融団からの信頼を得ないとやはり融資というものは受けられない、そういう意味におきまして、今回も厳しい御意見を申し上げました。

 ANAについても、過去、たしか七期連続赤字でありましたが、その間も、私どもは経営者に対して厳しい注文をつけてまいりました。今日、ANAが見事立ち直っておりますが、ただ、この業界におきまして、経営のあり方、旧来の陋習に縛られることなしに新しく脱皮をしてもらいたいということで日々私どもも意見を申し上げ、私どもだけではございません、他のメガバンクにおいてもJALに対して意見を申し上げている、こういう段階でございます。

三谷委員 今、小村総裁からお話がありましたその五百億の削減の話というのは、まさに今回の、主力行ともどもではありますけれども、新規融資約六百億円の問題、その前に出された中期再建計画のことを言われているんだろうと思います。厳しい意見を申し上げたということをおっしゃられました。

 先ほど来申し上げている話というのは、間違えないでいただきたいのは、日本政策投資銀行は政策金融機関、何度も今までのお話の中で総裁もおっしゃっておられました。危機対応を含めて政策目的に沿った融資が使命とはいうものの、使われている資金は政府保証のついた投融資資金です。きちんと貸した金は返してもらわなければいけないんです。だから、もともとの目的、産業育成を目的とした長期資金の供給がまさに一番の開銀当時からの政投銀の目的、使命でありますけれども、そこにも健全なという文字がつきます。危機対応といっても、投資する企業は基本的に健全な企業であって、一時的な危機が去ると立ち直ることが前提の話なんです。だから、それをよく見ていただいたのかということをお尋ねしておるんです。

 今、新規融資に係ることが出ました。まさに今、JALは、過去の放漫経営とあえて申し上げますけれども、中期再建計画を立てて再建に取り組んでいます。思いますのは、もちろんJAL自体のこの放漫経営は問題ですけれども、私は、あえて安易にと申し上げますけれども、安易に金を貸した、政投銀だけに限りませんけれども、金融機関にも責任の一端はあるんじゃないかというふうに思います。

 そこで、新規融資の問題ですけれども、三月二十八日付で、JALは、日本政策投資銀行初め、みずほコーポレート、東京三菱UFJ、三井住友各行と総額五百九十五億円の融資契約を締結したと発表しています。もちろん、幾ら貸しましたかなんということは聞きません、お答えいただけないことはわかっておりますから。そして、三月二十九日付、最初にホームページに出ました。四月二日付の週刊ダイヤモンドあるいは三月三十日付の日本経済新聞の記事におきまして、三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行において、金融庁検査でJAL向け債権を破綻懸念先に格下げするよう指摘がなされた。当時検査中であるみずほコーポレート銀行も追随せざるを得ないのではないか。あるいは、こうした主力行が引き下げをするということになると、日本政策投資銀行も引き下げをせざるを得ないではないかという報道がありました。もちろんこれも、金融庁に尋ねても、そのとおりですというふうにはおっしゃらないと思います。多分そのとおりなんでしょう。

 そこでお伺いをいたしますけれども、破綻懸念先債権、日本政策投資銀行の貸倒引当金の引き当て率は何%なんでしょうか。もちろん、債権内容によるものですので、概算で結構です。お答えください。

小村政府参考人 数字の面は後ほど理事から説明をさせます。

 今御質問のあった事項について、こうした週刊誌等々の記事をもとに、あたかもそれが事実であるかのような印象を与えるということは大変残念であります。金融機関において、どこの取引先がどういう格付になっているか、あるいは分類をされているか、そういうものは言うことは全くありません。私どももありませんし、他の金融機関も同様だと思います。そういう金融機関があれば、それは失格であります。金融業というのはやれません。

 それから、我々の危機対応におきましても、例えば、かつては日産について緊急融資をいたしました。そのときも、日産がつぶれるんじゃないかというような状況でありました。ただ、私どもは、冷静な審査を行いまして、日産に対して御融資をした。そういうことによって日産が見事立ち直ってくれました。

 私どもは、金融機関である以上、一定のリスクはそれは当然負わなければならない。そのために金利をいただいているわけであります。ただ、私どもがそういう不良債権をつくり出して、それで国に対して、お借りしたお金の返済を滞ったり、あるいは赤字の穴埋めのために税金をいただいたり、そういうことはございません。開発銀行以来、今日に至るまで、約七千億円の国庫納付もいたしております。それから、メガバンク等が今日まで大変な不良債権の処理で税金を納められない状況のもとでも、私どもは、一昨年、国庫納付金を百億円以上やりました。

 そういうことで、経営については私どもなりにきちんと対応をいたしているということであります。

 数字の点については理事から説明させます。

多賀政府参考人 それでは、先生の御質問の数字の方のお答えをさせていただきます。

 これは各金融機関において取り扱いは多少異なっておるかもしれませんけれども、破綻懸念先債権というものについての引き当てのやり方、これは一般的なやり方といたしましては、一定の期間将来を見込みまして、その将来の回収可能性、キャッシュフローを現在価値に引き直しまして、それと元本との関係で、将来どのくらいその元本が毀損しそうかということを前提にして計算するというやり方でございます。そういうことでございますので、A社、B社、C社、会社によりまして、同じ破綻懸念先でも当然その引き当て率というのは変わってくる、これは事実でございます。

 それで、先生の御指摘の数字でございますけれども、これも私どもの公表資料に数字がございますので、それから平均値ということでとらせていただいておりますけれども、すなわち、私どもの貸倒引当金の総額を破綻懸念先債権の総額で割った数字、これは、大体でございますけれども、八二%ということでございます。

 以上でございます。

三谷委員 今八二%というお答えがございました。また、小村総裁からも、先ほどの記事の内容を申し上げるようなことは金融機関としては残念だというお話がございましたけれども、ちなみに、週刊誌ではありません。日本経済新聞の記事であり、また、きっとごらんになっているだろうと思いますけれども、外資系あるいは国内の証券会社等々のアナリストの中にも同じようなことが記載をされています。もちろん、私も尋ねなかったのは、公表されるべきことではないというふうに思ったからであります。

 先に進めます。

 今、引き当て率のことを聞きましたのは、民間銀行の場合は、もし仮に破綻懸念先企業ということになった場合に、新規融資に応じるのは大変難しい話になります。つまり、申し上げたいのは、このJALの再建計画の内容は、先ほども小村総裁がみずからおっしゃいました、私どもの方からも言ったんだ、五百億の人件費の削減のことも含めて厳しいことを言い立てたと。まさに、おっしゃるように政投銀が踏み出さなければ、この新規融資というのはできなかったんですよ。できなかったと私は思います。

 そして、JALの、先ほども小村総裁がその一端をお話しになられました五百億の人件費の削減、まさにJALが先般二月につくり上げました再生中期計画の内容の一端であります。四千三百人の削減、五百億円の人件費の削減、不採算路線の縮小あるいはJALUXの株やホテル資産等々の売却など広範なリストラ策は、確かに、今までの甘い甘いJALのやってきたことからすると踏み込んだ内容かもしれません。だけれども、一言で言えば不十分であり、切り込み不足と断じざるを得ません。

 時間がありませんので、要約してお話をします。

 特に何点かあります。パイロットの給料、三千万円以上がざらにいるのが、そこは全然切り込めていない話であるとか、一番はまさに資金の話です。設備投資、社債償還など今後発生する巨額資金需要に対して、具体的に調達の道筋は示されていません。はっきりしていることは、この中にも書かれていますけれども、二〇一一年三月期までに、四年間で設備投資、社債償還に一兆二千八百七十億円が必要だ。そして、みずから生み出すキャッシュフローや資産売却、多く見積もっても約八千億円。四千八百五十億円は外部調達、借り入れで賄わなければならないとそこの中でも示されていますけれども、その道筋は何も示されていないんです。政投銀がこれを担うんでしょうか。新規融資分の六百億円、この三月、年度末までに必要な一千億円の社債償還のための急場しのぎの資金というふうに受けとめざるを得ません。

 逆に、私は時期尚早だったというふうに思います。このように急場をしのいだ形にはなりましたけれども、こうした場当たり的な対応が傷口を広げることになったんじゃないでしょうか。

 そして、これは救済の資金です。先ほど、融資額がふえたのは危機対応と。危機対応ではありません。あるいは、長期の視点で見据えた資金供給ではありません。こんなことが政投銀の使命、目的の中にあるんですか。それを、他行が、メーンバンクじゃないということは政投銀の方々がおっしゃっておられることです、メーンバンクではありませんと。メーンバンクの方々が、主力行の方々がしり込みをする中で、逆に、先ほどの小村総裁のお話がまさにそうでありました、イニシアチブをとって六百億円の融資に応じられたんです。

 私は本当に疑問に思います。納得のいく、融資に応じる決定をされた説明をお願いします。

小村政府参考人 まず誤解があってはいけませんのは、我々が、先ほど理事が御説明しました残高に追い貸しをして今回御融資をした、そういうことではございません。金融の世界は刻々お金が流れております。残高的に申し上げますと、残高はふえておりません。そういう意味におきまして、企業は生き物であります。毎日毎日、多くの資金が流れている、こういうことであります。

 それから、先生のお話は御意見として私どもは受けとめ、それは先生の御意見として我々もきちっと頭の中に置いておきます。ただ、質問でありますならば、今申し上げた、追加融資をし、さらに残高をふやしていく、そういった関係ではございません。

 それから、私どもだけがやっているわけではなしに、金融団がすべて相談の上で対応している。こういう大きな案件は、どこか一行だけでどうこうする、そういうものではございません。

三谷委員 時間が参りました。最後に申し上げます。

 意見と言われましたけれども、まさに私の意見です。追い貸しでないというふうにおっしゃいましたけれども、私には追い貸しにしか受けとめられません。ほかにも、参議院でも衆議院でも聞かれても、幾ら貸したのか、他行もあることですと今総裁はおっしゃいましたけれども、きっとその中身はお明かしにはなられないですけれども、政投銀がその一番大きな部分を占めていることだけは間違いないというふうに思っています。

 最後に申し上げます。

 再三申し上げることですけれども、これから民営化をされる、あるいは完全民営化をされるということですけれども、今使われている資金は政府保証のついた投融資資金であるわけですから、健全な使い方をぜひともしていただきたい。そのためにも、破綻懸念先と公表されたわけではありませんけれども、そのように報道をされている、あるいは目されている企業に向けての新たな融資については厳格かつ慎重な姿勢で臨んでもらいたいということを最後に申し上げまして、法案審議ができませんでしたけれども、また明日時間をいただけるそうでありますので、明日に回しまして、きょうはこれで終了とさせていただきます。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 提案された法案は、昨年採択された行革推進法に従って、完全民営化に向けた日本政策投資銀行のあり方を定めたものであります。法案によりますと、二〇〇八年、来年十月に今の日本政策投資銀行を解散して新たに株式会社を設立する、そして、おおむね五年から七年をめどに政府保有株式のすべてを処分するとしております。

 この法案は、完全に民営化されるまでの中間の期間、これをどのようにするかを定めたもので、完全に民営化されればこの法案そのものも廃止される、こういうふうになっていると理解をしておりますが、それでよろしいですか。

尾身国務大臣 基本的にはそのとおりであると考えております。

佐々木(憲)委員 そこで、前提として確認をしておきたいのですが、エネルギー関連事業、鉄道整備事業、環境整備事業、これらは将来に向けて資金需要があると見ているのか、それとも需要はだんだんなくなっていくと見ているのか、どちらでしょうか。

勝政府参考人 お答えいたします。

 これまでの日本政策投資銀行は、その前身であります日本開発銀行また北東公庫時代を含めまして、政策金融機関としましては、民間金融機関のみでは対応困難な政策金融の分野において長期資金の供給等を行ってきたところでございます。具体的には、先生おっしゃいましたように、エネルギーとかインフラ分野だと思っています。

 今までと同様、日本政策投資銀行のこうした役割につきましては、我が国の経済社会の活力の向上及び持続的発展、豊かな国民生活の実現並びに地域経済の自立的発展に資するものであったと考えております。

 今後につきましては、行革推進法及び制度設計、またいろいろな附帯決議においても、やはり新会社または完全民営化後の会社についても、今申し上げましたような長期の事業資金を供給するという役割は期待されていると思っております。

佐々木(憲)委員 質問に全然答えていないですよ。そんなことを聞いているんじゃないんですよ、私は。

 一般的に、エネルギーだとか鉄道とか環境とか、そういう資金需要はこれからふえるのか、減るのかと聞いているんですよ。全然かみ合っていないんですよ、委員長。

勝政府参考人 今提出いたしております法案の附則におきまして、各省が、エネルギー等を初めインフラの分野において、それぞれの法律のもとで政策的な要請に基づきまして諸措置を講じることになっておりまして、今のこの法律では、それが続くということを前提に、ただし、イコールフッティングを踏まえつつ、名称変更を行っております。

 今後の見通しにつきましては、そういう資金需要に対して政策的に対応すべきかどうかということにつきましては各省庁において検討することになっておりまして、また、イコールフッティングの観点から、具体的には二十年度予算等も含めまして、検討することになっております。

佐々木(憲)委員 答弁になっていない。何でまともに答えないんだ。

小村政府参考人 現場を預かる目から見てまいりますと、エネルギー問題、これは、CO2問題はこれから大変大きな問題としてクローズアップされてまいります。このCO2対策で、エネルギー全体について政策的にどういう対応をすべきか。原子力の問題もあります。あるいは、他のエネルギー源の問題もあります。こういったところにおける資金需要というのはふえてまいります。

 それから、鉄道も、あかずの踏切というのは全国でまだまだあります。こういった問題については、やはり一定の政策誘導がないと、事業者は積極的に投資を行わない場合がございます。そういう意味におきまして、政策誘導の価値がある。

 それから、エネルギーの分野で申し上げますと、もう一つは、電線の地中化とかこういった環境問題、これも電力会社にとってはもうからない仕事でありますが、我々の生活において欠かせない、そういう政策的な必要というものもやはり根強いものがあろうか、こう思っております。

佐々木(憲)委員 今の答弁で、資金需要はこれからもある、一定の伸びがあり得る、こういう答えだったわけです。先ほどの答弁、全然かみ合っていないじゃないですか。聞いていることにちゃんと答えてください。通告しているんですからね。

 もちろん、我々はこの事業内容を全面的に容認しているわけではありません。例えば、原発建設を最優先させたようなエネルギー政策、これは我々は極めて批判的な立場をとっております。あるいは、採算のとれない巨大開発に大量に資金を投入するというようなこと、こういうことにはさまざまな問題点があるというふうに思っております。しかし、一般的に、エネルギーですとか鉄道ですとか環境、今総裁がお答えになったように、長期的な資金を供給するという役割は今後とも必要である、そしてまた、需要は一定の需要が存在する、こういうことだと思うんですね。

 そこで、聞きたいんですけれども、この分野に対して長期、低利、固定の資金供給、これがこれまで民間銀行が十分できなかった部分、先ほどの答弁では民間が対応困難な分野というふうにおっしゃいました。なぜ民間銀行が対応できないのか、そして政投銀がなぜこれまで対応できたのか、この違いを説明していただけませんか。

小村政府参考人 例えば、原子力の問題にいたしましても、鉄道の問題にいたしましても、非常に期間が長いものであります。民間金融機関は、そういう長い資金は持ち合わす量が非常に少のうございます。しかも、鉄道ですと、利用者に対して運賃がはね上がっていく、それを防ぐためにできるだけコストを低く抑えなきゃいかぬ、あるいはマーケットの金利もそんなに高いものじゃございませんから、民間金融機関はもうかる分野ではございません。

 したがいまして、そういうところに対する資金というのはなかなか回っていかない。関連の周辺地域の開発とか、そういうところは鉄道会社に対しても民間からの資金調達は可能でありましょうが、あかずの踏切対策とか、そういったところについてはやはり政策金融というものが必要であろう、こう考えております。

 私どもが可能であるのは、財投借入金あるいは政府保証債、あるいはみずから発行する債券そのものも格付が高くて、比較的低利で資金が調達できる、こういうことで可能であったわけであります。

佐々木(憲)委員 つまり、民間と違って国の支えがあるから、資金調達、低コストで長期のものが可能になる、したがって、そういう長期的な事業に対して融資が安定的に可能になる、それが民間銀行はできなかったから今まで政投銀がそれを担ってきた、こういうことだろうと思うんですね。

 そこで、尾身財務大臣にお聞きをしたいんですが、これまで政投銀が担ってきたこういう機能、長期の事業資金を提供する機能というのは、今後必要だ、これは残すということが政策的に重要だと私は思いますが、尾身大臣はどのようにお考えでしょうか。

尾身国務大臣 この法案におきましては、新しい会社の目的といたしまして、長期の事業資金に係る投融資機能の根幹を維持するということを規定されておりまして、引き続き、長期資金の需要があるエネルギーあるいは鉄道等に関する長期の貸し付け等を行うことは可能であると考えております。

 しかしながら、これまで日本政策投資銀行が行ってまいりました柱であります長期、固定、低利の融資を行うということでは必ずしもなく、実際の貸し出し条件の決定に際しましては、これまでのように低利の政策金利ではなく、企業価値の最大化の観点から新会社の収益性を確保していく条件で個別の契約を行っていくことになろうと考えているわけでございます。全体としての官から民への大きな流れの中で、そういう方向に行くのではないかというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 この長期、低利の資金を政投銀を民営化することによって提供できるのかという問題であります。

 確かに、法案では、長期の事業資金に係る投融資機能の根幹が維持されるよう、株式の処分法等について検討し、必要な措置を講ずる、こう規定されていますね。

 長期事業資金の根幹が維持される、根幹ですから、一番真ん中のところですよね。それ以外のところは後退する、こういうことも考えられるわけですが、そういう理解でよろしいですか。

勝政府参考人 お答えいたします。

 先生が御指摘のとおり、まさに新会社のビジネスモデルの話だと思っております。

 法案等では、長期の事業資金の機能を維持するということを根幹にしますけれども、そのために今後安定的な資金調達をどうするか、また、資金運用につきまして、先ほどおっしゃいましたような長期の事業資金を供給しつつ、しかも、もうかるようにするためにはどういうビジネスモデルが必要なのかということが今後の検討課題であると思っております。

佐々木(憲)委員 ということは、従来のような長期、低利、固定の資金供給というものは後退する、こういうふうに理解していいですね。

勝政府参考人 長期、固定、低利ということにつきまして申し上げますと、長期の事業資金の供給の根幹は維持するということでございますけれども、低利かどうかということにつきましては、これは、実際の貸し出し条件の決定に際しましては、やはり企業価値の最大化の観点から、新会社の収益性を確保していくということが重要であると考えておりまして、今後は個別の契約で条件を詰めていくということになると思っています。

佐々木(憲)委員 後退するんですか。

勝政府参考人 完全民営化後は、株式会社政策投資銀行、仮称ですけれども、これは政策金融の世界から撤退するということでございます。完全なる民間会社として活動するということでございます。

佐々木(憲)委員 要するに後退するわけですね。今説明があったように、低利ということは保証されないというわけです。

 完全民営化後は国の支えがなくなる、そして、新たな民間銀行をつくって完全民営化する。そうなりますと、長期の事業資金に係る投融資機能の根幹が維持されると言われても、この法律そのものを廃止されるわけですから、幾ら法律に書いたって、それは縛りはないんです。

 大臣、そうなりますと、結局、根幹が維持される保証はないんじゃありませんか。

尾身国務大臣 この一連の政策金融改革につきましては、経済財政諮問会議等での議論を踏まえまして、政策金融につきましては、一つは中小零細企業あるいは個人の資金調達、二つ目は国策上重要な海外資源確保、国際競争力確保に不可欠な金融、三つ目が円借款の三つの機能に限定をして、それ以外の業務については撤退するとの方針が、行革の重要方針として、平成十七年十二月二十四日の閣議において決定されているところでございます。したがいまして、長期、固定、低利の融資については、政策金融としては行わないという方向になっているところでございます。

佐々木(憲)委員 要するに、行革方針に基づいて撤退するということですね。

 そうすると、根幹が維持される保証もないんじゃありませんか。

勝政府参考人 お答えいたします。

 今提出いたしております法案、また行革推進法案附帯決議等に基づきまして、長期の事業資金の供給の根幹を維持するという要請がございます。また、株主の安定構成も図るということも、参議院の附帯決議でそういう要請を受けております。

 したがいまして、そういうことも含めまして、いろいろな今申し上げました要請を踏まえまして、株式の処分のあり方について、今後、専門家、有識者を入れまして検討していくということになっております。それが一つでございます。

 もう一つは、政策投資銀行の長期の事業資金に係る投融資機能を二十年十月以降も政策的に活用する場合には、各省におきまして、それぞれ所管する分野におきまして、政策投資銀行またはそれと同じように民間金融機関を政策的に使うべきかどうか、また、そのための所要の措置はどういうものが考えられるかどうか、それも検討することになっております。

佐々木(憲)委員 要するに今後の検討課題だというだけであって、何の保証もないわけですよ。明確にこういう保証があるという答弁がなかったわけであります。今後のあり方について検討したいとか、株式の処分方法についても、これはこれからの検討課題であると。つまり、根幹が維持される保証もないわけですよ。

 例えば、株式を売却する、株式を売却する相手をいろいろ検討すると言いますけれども、例えばそれが外資の投機的な資本に売却される可能性、これを全く拒否できるのかどうか、それはどうなっているんですか。

勝政府参考人 お答えいたします。

 株式の処分のあり方につきましては、例えば、株式の処分、すなわち、上場するか非上場にするかどうか、また、その株式の種類、数等、またそのタイミングにつきまして、今後専門家、有識者を入れました検討会で検討することになっております。

佐々木(憲)委員 要するに何も決まっていないということですよね。どういうふうな処分の仕方をするのかについて、上場するのか非上場でやるのか、まだこれも何も決まっていない、しかし、売却するということだけは決まっていると。だれが買うかというのは、これは全くわからぬわけですよ。ハゲタカファンドが買うかもしれない。これは私は、将来、極めて不明確な展望しかここからは見えてこないですよ。

 国の支えを取り払って完全に民営化する、新たな民間銀行をつくるわけですけれども、その民間銀行というのがどういうものになるかさえまだ明確ではない、ビジネスモデルもそのときの経営者が決めることでありますと。売り出される株式をだれが買うのか、どういう基準でどういうふうに売るのか、これも何も決まっていない。株価が上がる保証はないと私は思います。そんな将来展望がはっきりしない会社の株を売りに出されたからといって、それを買う人はいませんよ。買ってまた暴落するかもしれない。この銀行は一体どうなるかわからない。

 そういうことになるんじゃありませんか、財務大臣、どうですか。

尾身国務大臣 本法案におきましては、政府が保有する株式のすべてを処分した後は、この法律を廃止するための措置をとる旨を規定しております。したがいまして、完全民営化後は特殊会社ではなくなって、民間株主の意向を踏まえて経営が行われるということになります。

 したがって、長期の事業資金に係る投融資機能の根幹の維持につきましては、必ずしも法律上担保されているものではありませんが、政府といたしましては、完全民営化後においてもこの機能が引き続き維持されるよう期待をしているわけでございます。

 そのため、この法律におきまして、この銀行の強みであります出資と融資を組み合わせた長期のリスクマネーを引き続き供給できるよう、必要な業務の規定や、あるいは資金調達における政府保証等の激変緩和措置等所要の措置を講ずるとともに、長期の事業資金に係る投融資機能の根幹が維持されるよう、政府保有株式の処分の方法に関する事項について検討の上、必要な措置を講ずることといたしまして、会社の業務や機能等を完全民営化後の新組織に円滑に承継するために必要な措置を講ずることとしたところでございます。

佐々木(憲)委員 必要な措置をとるとか言いますが、全く何の保証もないんですよ。確定的な答弁が出ないでしょう。法律自体がそうなっているからですよ。

 財投などの国の保証がなくなる、支えがなくなる。資金調達コストは当然、市中から調達しなきゃならぬ、上昇する。しかし、これまでのように長期、低利、固定の資金提供というのは不可能になる。そのままやろうとしたら、それは採算割れになる。金利を上げようとしたら、これは相手との関係で非常にまずい事態になる。では、そういうことで長期資金が提供されていくのかどうかとなりますと、完全民営化後ですから、それは期待するだけです、政府としては期待するだけなんだと。期待は幾らでもして結構ですけれども、何の保証もないじゃないですか。

 エネルギー関連とか鉄道、環境整備というのは、先ほどもお答えになりましたように、将来も需要がある。にもかかわらず、この資金提供の手段を失うことになる。一体、この政投銀の民営化というのは、だれがこんなことを要求しているんでしょうか。だれの利益になるんでしょうか。

 例えば、銀行は、民業圧迫するから民営化せよ、こういうふうに民間銀行が言ってきたのか。どうですか、小村総裁にお聞きしたい。民間銀行から、あなたのところは我々の事業を圧迫している、もうやめなさい、こういう話はありましたか。

小村政府参考人 私どもの銀行は、民間金融機関とバッティングをする、こういうことは私が総裁になってからはほとんどありません。あれば直ちに撤退をすると民間金融機関の方にも申し上げております。今、私どもの銀行に最も理解のあるのはメガバンクであり地方銀行である、こういうふうに感じております。

佐々木(憲)委員 そうすると、銀行は全く望んでいないわけです、別に我々は圧迫されているわけではない。政投銀の説明も、これまで中立性を生かし民間金融機関との協調融資や保証行為を通じた連携を強めてきましたと言っているわけですから、何も民間銀行の邪魔になっていないんですよ。

 では、融資を受ける鉄道とか電力、こういう会社は民営化を要求してきたんでしょうか。政投銀じゃだめだ、民営化された銀行になっていただきたい、そうなると我々は有利になりますと、こういう話はありましたか、総裁。

小村政府参考人 どの企業も私どもから金を借りなきゃいかぬ、そういう義務はございません。私どものビジネス、あるいはその知見を大変尊重してくれております。エネルギー政策にしてもそうですし、鉄道政策にしてもそうです。環境政策においても、環境格付融資というものをやっているのは世界で私どもの銀行だけです。そういう意味で、私どものお客様は大変評価をしていただいている。何も、私どもが他を排除して自分から乗り出していっている、そういうことではございません。

佐々木(憲)委員 そうすると、資金を供給される側の事業者の側からは何も文句はない。

 では、財界総本山、経団連、これは何を言っているんですか。二〇〇五年十一月に、政策金融機能のあり方についてという提言で、現状においては、国内における資源エネルギー開発、産業、国民生活基盤の維持強化のための超長期のファイナンス機能などについては、民間金融機関でそのすべてを代替することは難しい、したがって、これらの機能について、維持に配慮するよう求めたい、こう言っているわけです。経団連からも要請されてはいない。

 民間の銀行からも要請されない、需要者である事業者からも要請されない、経団連も要請していない。もちろん国民なんかは要請していませんよ。だれの要請でこんなことをやっているんですか。これは何のための法律なんですか。大臣、だれの利益になるんですか、これは。

尾身国務大臣 一連の官から民へという流れの中で、政策金融改革につきましては、経済財政諮問会議等での議論を踏まえまして、政策金融は、一つは中小零細企業、個人の資金調達の支援、二つ目は国策上重要な海外資源の確保や国際競争力確保に不可欠な金融、三つ目が円借款、この三つの機能に限定をし、それ以外の業務については撤退するとの方針が平成十七年十二月二十四日の閣議で定められたところでございます。したがいまして、長期、固定、低利の融資につきましては、政策金融としては行わないということにされたところでございます。

佐々木(憲)委員 要するに、閣議で決めただけだ、閣議で決めたからやるんだと。しかし、だれも望んでいないんですよ、だれもこれで利益を受ける人はいませんよ。何でそんなことをやるんですか。官から民へと言いますが、これはあした私は質問したいと思っておりますけれども、資金の流れは、こんなことをやったって官から民へは行きません。民から官に流れる資金の方がふえていきます。これはあした議論したいと思いますけれども。

 ですから、これは全然理屈がないんですよ。何の目的のためにやっているのか、さっぱりわからない。だれも利益を受けない。国民の財産をこういう形で民営化して売り払って、それで事業が行き詰まって、どこかの外国の資本のもとに入るか銀行のもとに入るか、あるいはこの銀行は破綻する。政投銀行を破綻するためにつくった法律じゃないんですかと言わざるを得ないんです。

 時間が来ましたから、またあした続きをやります。

伊藤委員長 次回は、明九日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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