衆議院

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第14号 平成19年5月22日(火曜日)

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平成十九年五月二十二日(火曜日)

    午後二時十分開議

 出席委員

   委員長 伊藤 達也君

   理事 井上 信治君 理事 竹本 直一君

   理事 林田  彪君 理事 宮下 一郎君

   理事 山本 明彦君 理事 池田 元久君

   理事 古本伸一郎君 理事 石井 啓一君

      伊藤信太郎君    石原 宏高君

      江崎洋一郎君    小川 友一君

      小野 晋也君    越智 隆雄君

      大塚  拓君    大野 功統君

      亀井善太郎君    木原  稔君

      佐藤ゆかり君    関  芳弘君

      とかしきなおみ君    土井 真樹君

      中根 一幸君    西本 勝子君

      萩山 教嚴君    原田 憲治君

      広津 素子君    御法川信英君

      山内 康一君    若宮 健嗣君

      小沢 鋭仁君    川内 博史君

      楠田 大蔵君    鈴木 克昌君

      田村 謙治君    三谷 光男君

      横光 克彦君    吉田  泉君

      谷口 隆義君    佐々木憲昭君

      野呂田芳成君    中村喜四郎君

    …………………………………

   財務大臣         尾身 幸次君

   国務大臣

   (金融担当)       山本 有二君

   財務副大臣        田中 和徳君

   財務大臣政務官      江崎洋一郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  大藤 俊行君

   政府参考人

   (内閣官房都市再生本部事務局次長)        松葉 佳文君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 齋藤  潤君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  清水  治君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        山田  務君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  三國谷勝範君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    佐藤 隆文君

   政府参考人

   (財務省大臣官房総括審議官)           勝 栄二郎君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   松元  崇君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    石井 道遠君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    丹呉 泰健君

   政府参考人

   (国税庁次長)      加藤 治彦君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           加藤 利男君

   政府参考人

   (日本政策投資銀行総裁) 小村  武君

   政府参考人

   (日本政策投資銀行理事) 多賀 啓二君

   参考人

   (独立行政法人都市再生機構理事)         松野  仁君

   財務金融委員会専門員   鈴木健次郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十二日

 辞任         補欠選任

  亀井善太郎君     山内 康一君

  広津 素子君     西本 勝子君

  松本 洋平君     大塚  拓君

  馬淵 澄夫君     横光 克彦君

同日

 辞任         補欠選任

  大塚  拓君     若宮 健嗣君

  西本 勝子君     広津 素子君

  山内 康一君     亀井善太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  若宮 健嗣君     松本 洋平君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 株式会社日本政策投資銀行法案(内閣提出第三五号)


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     ――――◇―――――

伊藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、株式会社日本政策投資銀行法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として独立行政法人都市再生機構理事松野仁君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官大藤俊行君、内閣官房都市再生本部事務局次長松葉佳文君、内閣府大臣官房審議官齋藤潤君、内閣府沖縄振興局長清水治君、公正取引委員会事務総局審査局長山田務君、金融庁総務企画局長三國谷勝範君、金融庁監督局長佐藤隆文君、財務省大臣官房総括審議官勝栄二郎君、財務省主計局次長松元崇君、財務省主税局長石井道遠君、財務省理財局長丹呉泰健君、国税庁次長加藤治彦君、国土交通省大臣官房審議官加藤利男君、日本政策投資銀行総裁小村武君、日本政策投資銀行理事多賀啓二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古本伸一郎君。

古本委員 民主党の古本伸一郎でございます。

 きょうは午前中、現地の状況をもう少しつぶさに見てまいろうということで、政投銀の本社屋の中で働いておられる皆様の雰囲気も見せていただきました。そしてまた、先日話題になっておりました国有地の売買の問題、あるいはそれにまつわる大手町地区の再開発の問題等々も御当局から御説明をいただきました。冒頭、感謝を申し上げる次第であります。

 その上で少しお尋ねしたいと思いますが、総裁におかれましては、たしか先回の委員会質疑の際に、政投銀にとっての財産は若い人材であるという趣旨の御説明をいただいたかと承知をいたしております。きょう、そのオフィスのフロアの中に本当に若い方々が大勢いらっしゃって、恐らく、今後のさまざまな業務に向けた、民営化を控えた上での改革におつき合いをしなきゃいけないという気持ちを押し隠すかのような雰囲気の中で、何とかおつき合いしますという雰囲気が満ち満ちてございました。残念ながら、若い人たちとの意見交流という場はありませんでしたものですから、ずばり総裁にお尋ねを一点申し上げたいと思います。

 これまでの労働条件で採用された方々におかれましては、新生、新しく生まれるこの政投銀の民営化後に、労働条件としては今のままで継続をするのか。あるいは、民間の金融機関、どこと比較するかにもよりますが、その民間に伍していくだけの源泉である処遇なり対価なりという意味で今の労働条件を見直していく、つまり上の方に、上方に修正をしていくというおつもりがあるかどうか、まずお尋ねをしたいと思います。

小村政府参考人 これからの金融界は大きな変化があると思います。その対応力を持っているかどうかがその金融機関の力になってくると思います。

 幸い、私どもの銀行には、先般申し上げました、二十代、三十代の優秀な人材を抱えております。この者たちがこの銀行を去ってしまうと、私どもの将来もございません。ただ、幸いなことに、この職員たちは私どもの銀行で働くことを誇りと考えております。彼らの実力を最大限に発揮させること、これが私どもの任務であると思います。

 ただ、給与の点においては民間金融機関よりも劣ります。その分、プライドでどれだけ彼らが辛抱してくれるかということでありますが、行く行く、先生御指摘のとおり、将来は私どもの銀行が成功いたしますれば、ほかに例もございますが、社長よりも高い、そういう技能を持った職員というのも出てまいると思います。そういう給与体系も考えていかなければならない、こう考えております。

古本委員 委員長のお許しもいただきまして、資料も配付しながら少し議論を進めていきたいと思いますが、今、民間より劣るというお話がありましたが、大体平均をしますと、役職員の方だとどのくらい、一般職員の方であるとどのくらい、例えば年収という概念で今その処遇は決めておられるんでしょうか。

小村政府参考人 私どもの職員の平均給与は、十七年度実績で八百九十六万円でございます。メガバンク等の持ち株会社でございますと、一千万から一千百万強でございます。

古本委員 役員はどんな感じになっているんでしょうか。

小村政府参考人 役員は、これは問題なく低いと思います。ただ、今、金融機関で、いろいろな関係で自粛されているところもございますが、私どもの水準よりもはるかに高いことは確かであります。

古本委員 はるかに高い彼らと、完全民営化後はイコールフッティングの名のもとに、さまざまな競争原理が働いてやっていくわけですね。もちろん、今総裁がおっしゃったような、誇りを持っている、政投銀に勤めているということ、そこで、ある意味で日本の公的な機能である政策投資の一翼といいますか、ほとんどを担っておられるということに対する責任感あるいはやりがい、そういったものから生まれる恐らくプライドという言い方をなさったんだと思いますが、そういったものは、今の枠組みでは恐らく醸成されるんだと思います。

 ところが、完全に民営化された以降は、まさに民間企業としてやっていかれるわけですね。では、そういった働く人たちの給与や、あるいは年収といったものに、得がたいダイナミックな仕事をしているとか、中身が非常に充実しているとかいった部分を、今後ともいかにして担保していくかということが次の話題になると思うんです。その意味で、前回少しお尋ねした部分をきょう深掘りさせていただきたいと思っています。

 お配りした資料の一をまずごらんいただきたいと思います。これはおさらいでありますが、平成十七年の閣議決定で、政策投資銀行関連部分ということで紙をおつけいたしておりますが、アのマジックで引いたところで、「政策金融として行う必要がなくなっているため、撤退する。」というふうになっているんですね。他方、行革推進法、資料の二でありますが、これによれば、「日本政策投資銀行の有する長期の事業資金に係る投融資機能の根幹が維持されることとなるよう、必要な措置を講ずる」ということでありますが、これは前回指摘申し上げたとおり、矛盾していると思うんですね。

 これは、政策投資の機能を我が国の金融市場においていずれかの機関が担っていくということの必要性は私どもも承知をいたしております。ところが、閣議決定では、それは少なくとも政投銀ではないよなということを決めているんですね。にもかかわらず、その後の行革推進法では、いや、政投銀だと書いてあるんですよ。これはどちらが正しいんでしょうか。

勝政府参考人 お答えいたします。

 まず、先生おっしゃいました行政改革の重要方針、これは平成十七年十二月に閣議決定されましたけれども、そこには、ここに書いてありますように、大企業向け、中小企業向け融資であり、国全体として資金不足であった高度成長期とは異なり、さまざまな形態で資金の取り入れが可能であり、政策金融として行う必要がなくなっているため撤退するということで、現行の日本政策投資銀行は一体として民営化するということになっております。その意味ですけれども、現行の日本政策投資銀行が行ってきています長期資金の供給、これは国による政策金融としてはやめます、民間の金融機関や民営化された日本政策投資銀行によって今後担うということでございます。

 このために、行革推進法及び本法案におきまして、民営化されます日本政策投資銀行の目的等に関して、長期の事業資金に係る投融資機能の根幹を維持との規定を置いていますけれども、これは政策金融としての業務を規定したものではございません。あくまでも、民間金融機関においても対応が可能である長期の事業資金の供給等につきまして、民営化された日本政策投資銀行においてもその機能を持つという趣旨でございます。

 以上でございます。

古本委員 つまり、長期での事業用の資金のニーズがある人というのは、先日例として挙げました例えば鉄道の高架事業であったり、あるいは電力会社であったり、いろいろな、長期で多額の事業資金を求められるいわゆるユーザー、これは想定されます。この人たちのニーズは今後なくなりますかという問いかけには、これは恐らくなくならないんだろう。これは、この委員室におる皆さんも皆同じだと思うんですね。ただし、高度成長期のようないわゆる箱物的なニーズから、今後は地域再生やあるいは環境対策などなど、新たな事業分野における資金需要が広がっていくだろう。資料の四にもおつけをいたしておりますが、現在の政投銀の年度別の残高で見てもこれは明らかであります。

 ところが、こういうニーズに対して、今の御説明ですと、民間の金融機関がこぞってどうぞ参加してください、募集をかけます、それでこの指とまれと。では、おれもやりたい、私もやりたいという民間がお互いに話でもして、それで決めていけばいいやというお話を言っておられるのか。あくまでも政投銀が幹事社となって、民営化後の話をしておりますが、何か取りまとめていくのか。これはふたをあけてみなきゃわからないという御提案をなさっているのか。広く民間のいろいろなところに参加してもらえばいいんだと言っておられるのか。これはどちらを想定されて今回の法律をつくっておられるのかということを教えていただきたいと思います。

勝政府参考人 お答えいたします。

 現在の日本政策投資銀行が行っています政策金融、これは長期、固定、低利でございます。そして、そのうち、長期、固定、この二つにつきましては、現在の社債市場の充実とか金利スワップ等の金融技術の発達により民間で対応が可能だと考えられます。低利の政策金融につきましては、政策投資銀行が民営化されますと、全く民間金融機関と同じ次元で、個別契約ごとにリスク相応の収益性を確保するということでございます。したがって、低利による対応というのは困難だと考えています。

 他方、政策的に低利で対応するのが必要な分野はあると思っています。そういう分野におきましては、例えば危機対応、これは今度の日本政策金融公庫法で危機対応の措置が行われています。また、現在、政策投資銀行を活用しています関係法律は六本ございますけれども、そういうものについては、今後民間金融機関とのイコールフッティングの観点も含めて措置することになると思っています。また、新しい分野で新しい政策課題に対応して、必要なものについては立法が行われるかと思っています。また、二十年度予算編成過程におきまして、低利による対応のために必要な予算措置そのものについても議論されると思っています。

 ただし、いずれにせよ、今まで政策投資銀行が長年培ってきました事業の評価能力とかいろいろなノウハウですけれども、そういうものは活用していくと思っていますので、民間金融機関とはイコールフッティングの立場ではありますけれども、一つの有力な機関になると思っています。

古本委員 議論を少し整理したいと思いますが、政投銀が今やっておられる事業の売りは、長期で固定で低利だ、このうち長期と固定は何も政投銀に頼らなくても、実際に資金ニーズのある民間が、ユーザーの方で起債したり社債発行して資金を調達したりいろいろなことが多分できるんだろうということを言われました。しかしながら、低利での融資という部分については、政投銀の単独ではできない、こういうお話だったと思うんです。

 そうすると、低利での融資の魅力がなくなった長期での事業資金への融通というのは、低利だからこそ鉄道会社が高架事業の資金を確保する、あるいは電力会社が原発の建設費のコストを調達できる、こういうことだと思うんですが、その低利の部分が今の政投銀なら確保されているのに、民営化されると実はこの低利の部分が危うくなるんだ、こういうことを言っておられるんですね。そういうことでいいですか、大臣。

尾身国務大臣 今までの政策投資銀行が行ってきた長期、固定、低利の資金供給の機能のうち、長期、固定という面につきましては、社債市場の充実やあるいは金利スワップ等の金融技術の発達により民間金融による対応が可能であるというふうに考えております。したがいまして、こうした状況を踏まえますと、日本政策投資銀行が政策金融から撤退しても、長期、固定の分野への資金供給は民間金融機関や市場からの資金調達により対応が可能であるというふうに考えております。

 ただ、これまで行ってまいりました政策的要請に基づいた低利の融資につきましては、今後は、他の民間金融機関と同様に、個別の契約ごとにリスク相応の収益性が確保される貸し出し条件を設定することが前提になるわけでございますので、政策投資銀行としての対応は困難になるというふうに考えております。

 ただ、これまで政策投資銀行が政策金融を行っていた分野につきまして、引き続き政策金利、つまり低利融資を行うというようなことが必要だと判断される場合には、この法案とは別に、各政策の所管省庁におきまして、完全民営化後の政策投資銀行を含めた民間金融機関を政策的に活用していく、こういうふうに考えているわけでございます。

古本委員 今、大臣が大事な部分をおっしゃっていただいたと思うんですが、政策的に、ある個別の事業ごとに、これは優遇金利、低利での金利を適用しようということの判断は、今現在のメカニズムでは政投銀が担っておられます。

 今後民営化された以降は、ではこれは、先日総裁が小田急の高架の事業の例を言われたものですからその例を引き続き使わせていただきますけれども、小田急の高架事業に今回低利、前回ですと政策金利の2を適用されているという話でありましたが、これを適用するかしないかというのは、今後小田急さんがさらに第二期の高架をやりたい、第三期をやりたい、こう資金ニーズがあったときに、どなたにまず相談に行くんですか。

勝政府参考人 お答えいたします。

 まず、具体的な話としましてそういうニーズがあった場合に、その鉄道事業者が、所管である国土交通省にまずは話を持っていくということだと思っています。

 あわせて、ただし、民間ベースでの融資も可能な部分もあると思いますので、民間金融機関とも、政策投資銀行も含みますけれども、並行し話はされると思っております。

古本委員 そうしますと、その際、国土交通省の恐らく鉄道局に相談に行った小田急さんと、その鉄道局が話し合って、これはあまねく公益性が高いし、渋滞の、あかずの踏切対策にもなるし、鉄道局としてもぜひ後押しするからと、こういう話が調ったとしましょう。そうすると、その財源は補助金になるんですか、何になるんですか。

勝政府参考人 所管官庁におきまして、そういう政策誘導が必要な分野であるということになれば、そういう政策を支援するような制度、枠組みをまず策定すると思います。その中には、規制もあるかもしれませんし、財政措置もあるかもしれませんし、いろいろなことが考えられますけれども、財政措置としては、一つは、例えばそういう場合には保証とか、もう一つは利子補給が考えられると思っています。

古本委員 しかし、その鉄道の高架事業の政策金利の、今でいうところの2を適用しようと思いますと、必要な原資というのは相当な額になると思いますね。これを財政として出動するということになれば、個々の鉄道局だけの局長判断というわけには多分いかなくなりますよね。ということは、これは、すぐれて何か法的な立法措置を行うということを言っておられますか。

勝政府参考人 お答えいたします。

 二つあり得ると思います。一つは、単なる予算措置だけじゃなくて、やはり制度的ないろいろな枠組みが必要な場合があると思っています。もう一つは、おっしゃいましたように、単なる予算措置で足りる場合もあり得ると思っています。

古本委員 予算の措置ということになれば、これは当然毎年のシーリング段階を含め、最終的には財務省主計が判断する、こういうことだと思うんですが、法的な措置ができた場合には、これは国土交通省が新たに補助金枠あるいは何やらそういう利子補給的な枠を持って、各省各庁で今後は決裁できるようになるんですか。それとも、いずれの場合も引き続き財務省が関与するんですか。

勝政府参考人 お答えいたします。

 基本的には、各省がそれぞれの政策分野におきまして、責任を持って所管し、策定するものだと思っています。

 予算措置の必要なものにつきましては、当然財政当局との協議があると思っています。

古本委員 今の話、大事ですよ。今現在は、総裁、政投銀の年間での資金調達は、約一兆円平均で大体調達されているというお話でありました。その一兆円をではどういう事業に割り振っているかというと、資料の四におつけいたしましたが、こういった地域再生、環境あるいは技術・経済活力創造等々、いろいろな分野に使っておられる、こういうことであります。この一兆円というのは、個々のプロジェクト、資料の七、項目別での融資事業数を少し洗っていただきましたが、約十一の省庁にまたがっておるという資料をちょうだいしました。

 今現在九十六の案件があるそうですが、この九十六の案件ごとに財務省は判こを押していますか。それとも、一兆円全体を来年度の予算として政策融資するということに対し政府として判こを押していますか。どちらですか。

小村政府参考人 個別の予算の場合には、各プロジェクトに一つずつ積み上げて、政府の予算の場合は予算を組みます。

 私どもの場合には、その年に恐らく一兆円の需要があるだろう、関係省庁や、あるいは先ほどお話のあった鉄道会社等々の事業の進捗状況を見て、この程度の資金需要があるだろうという見積もりを全体として把握しまして、一兆円のうち、例えば地域再生にはそれでは半分、環境、防災には四分の一、その他については四分の一と大枠の見積もりを立てまして財務省に要求をするという関係にございまして、個々の積み上げではございません。

古本委員 つまり、民営化後には、例えば鉄道の高架事業、あかずの踏切を何とか対策を打ちたいということを鉄道事業者が相談に来た。それに対し、国交省が相談に乗った。これはなるほど、対応してやらなければいかぬということになった場合は、今後は国交省で完結できるんだということを言っておられる。

 他方、今現在は、最終的に総額において、いわば財務省がトータルで判こを押している。つまり、民営化後は、実は各省に、これは十一の省庁にいろいろ、今はまだ十一省庁ですが、今後さらにいろいろな事業分野にも融資の可能性が広がれば省庁はさらに広がるんだと思われますが、この十一の省庁に対し、これは見方によってはそれぞれが財布を持つことになりますね。したがって、これは新たな利権が生まれる、こういう理解でよろしいですか、財務大臣。

尾身国務大臣 今、政策上活用するための法的な整備ができていない分野につきまして、政策的誘導が必要な分野を所管する各省庁が、必要に応じて、新たな立法措置等により、新会社を含めた民間金融機関を政策的に活用することが考えられるわけでございます。

 立法措置を伴うもの以外につきましては、政策的な必要性に応じて予算措置等を所管省庁が手当てすることが考えられるわけであります。

古本委員 では、さらにその部分を深めますけれども、附則の六十六条に記載しております六事業ですか、これは恐らく鉄道事業は入っていませんね。この六事業に絞ってのみ、平成二十年十月の民営化に着手するまでの間に、個別に、立法的な措置も含めて整備すると書いてある。

 他方、私たちの国民生活に直結しております、例えば鉄道の高架事業、あかずの踏切を何とかしていこうとか、あるいは地域再生でいろいろな町づくりを見直していこうとかそういったものについては、この附則六十六条には含まれていないんです。

 したがってこれは、大臣の今のお話を裏づけるためには、前回、総裁をもってして、規範による裏づけが必要である、でなければこんな政策融通、政策金利なんていうことは、長期、固定、低利というこの三つ目の低利ですね、まさに政策融資というものは規範による裏づけがないとできないという御答弁であったわけであります。

 したがって、十一省庁にまたがりますさまざまな、立体交差やら空港整備やら放送デジタル化対応やら原発対応やら、国民生活に直結していますこういったものに対して、いつまでに立法措置を整えて、各省各局の判断で財政を出動できるような裏づけ、これは予算でやります、要求ベースでやりますというのは非常に危なっかしいですね。これはそれぞれに根拠法が要りますよ。一億、二億の話じゃないと思うんですね。いつまでにその法整備を整える御予定でいらっしゃいますか、大臣。

勝政府参考人 お答えいたします。技術的な話でございますので。

 まず、先生おっしゃいました附則六十六条ですけれども、六関係法律につきましては二十年十月までに整備するということになっております。

 もう一つ、六十七条がございまして、そこは、今申し上げました六分野以外に、他の分野においても政策的な支援が必要なものについては、二十年十月以降の枠組みについて今後策定するということでございます。それで、その場合には、通常は予算の裏づけ以外に制度的な枠組み等が考えられますので、立法による場合も多々あると思いますけれども、単に予算措置でできる場合もあり得るとは考えております。

古本委員 片や、附則の六十六条に基づいて、六事業分野に限ってのみ、民営化をなさる二十年の十月までに立法措置を整えますと書いているんです。他方、その他の鉄道事業や港湾や空港や、まさに国民生活に直結しているような話の方がその他で、民営化後においおいやっていきます、こういうことを言っているんですよ。

 今現在、ストックベースでの貸出残高で、附則六十六条に規定している六事業と、それ以外、今申し上げた鉄道や空港や港湾や原発、比率は大体何対何ぐらいですか。えいやあでいいですよ。何割ぐらいですか。

多賀政府参考人 お答えいたします。

 私どもの現在の残高が約十三兆ということでございますが、先ほど先生の御指摘の附則六十六条関連の法律に伴う制度による残高ということで申しますと、三千億強ということでございますので、十三兆の三千億、こういうことでございます。

古本委員 大臣、十三兆円にならんとする貸出残高のうち、法律をもってして二十年の十月までに総裁の言われるところの規範による裏づけが措置されるのは、わずかに三千億円分です。残りの十二兆円強は、まあ民営化後、その都度おいおいやっていきます、こう答弁しているんです。こんないいかげんな話はないですよ。

 この十二兆円にならんとする事業の分野の内訳は、まさに私たちの生活に直結しているさまざまな社会インフラ整備、あるいは、いわゆる公共政策を実現してきた政投銀が、それを担ってきてくだすっていた、そのまさに具現化した結果が十二兆円のストックですよ。その重みは大変あります。

 しかしながら、それが今後、ストックベースとはいえ、小田急への貸し出しは、民営化されて、はいストップしますとは、そういうわけにはまいらないと総裁も先日の当委員会で公約されていますので、したがって、過去のストック分に対する引き続きの継続融資分と、フローベースで新規に毎年発生する分を合わせますと相当な額になると思いますが、そういった附則六十六条で措置されない部分についての今後の資金需要に対しては、規範による裏づけは実はないんです。違いますか、大臣。いや、大臣にお答えいただきたいと思います。

 では、事務局の後、大臣、答えてください。

勝政府参考人 お答えいたします。

 政策金融による対応が必要な分野、これは、六関係法律の分野、プラス新たに立法などで対応する分野があると思います。

 そのほか、新しいビジネスモデルをつくりまして、長期、固定でありますけれども、収益性の高いモデルをつくる必要があると思っています。それは、新しいビジネスとしまして、出資業務とか、いわゆるリスクは高いですけれども、利幅の、利ざやの大きいメザニン融資とかそういうもの、もう一つは、ビジネスフィーを中心とした業務というのが必要だと思っています。そのほか、今までの顧客基盤がありますので、低利とかそういうのじゃなくて、顧客基盤の維持という観点からは、やはりインフラ整備等についても恐らく続けられるんじゃないかと思っております。

古本委員 大臣、また後で答えていただきます。

 今、資金需要のあるユーザー側がどういう事業分野かといえば、この資料におつけしているとおりです。この七に出ているような身近なことばかりですね。こういった実需が、では民営化後に、政投銀が民営化されたからといって、おつき合いして、いや、こういう資金ニーズはもうないんですと言うんですか、この人たちは。言うと思いませんね。今後ともこういった資金ニーズはあるわけですね。

 これに対し、長期で固定で低利だという三拍子のうち、低利については、法的な規範による裏づけがないと危なっかしくてできないし、しかも、先ほど、二十代、三十代の若い人たちが働く源泉として、やる気を持ってやっていっていただこうと思うとの、民間が、千何百万円の平均給与をメガバンクがもらっているのに対し、政投銀は八百数十万であるというお話があったわけですよ。何とかして利益を出していこう、そして若い人たちにやる気も出していってもらおう、そういう議論だったと思うんですが、どうやってそんな利益を出してくるんでしょうか。つまり、低利での融資という、事業の根幹であり、かつ、うまみ、政投銀から借りるといううまみが、今後は法的な裏づけがないとないわけです。それを一体いつまでにやるんですかと、非常に単純な質問をしているんです。

 郵政の民営化で、二〇〇五年のあの思い出したくもない郵政解散がありましたね。それで、入り口の改革だということで、財投資金、郵貯、簡保に集めておられた二百兆円を超える資金を、いや、これは公的な機関がずぶずぶざくざく使っているからだ、悪の権化はこの八公庫だ、ついてはこれを民営化してしまえばいわゆる財投改革の出口の改革であると言って、小泉さんは勇退されましたね。残されたその話に呪縛のように皆さんはつき合わされて、もう泣きながらこの法案をつくっているわけですよ。もういいかげん素直に本音を吐露した方がいいと思うんですね。

 今の政投銀であれば、累計で七千億円にならんとする国庫への貢献を既にしておられます。親孝行です。今後、民営化されたら法人税の課税対象になります、消費税の対象にもなります、事業税の対象にもなりますが、それはすべて、黒字会社になったらの、たらればであります。そして、政投銀の今十三兆円にならんとする貸出残高の大方の内訳は、今回法律では裏打ちがされていない、まあそのうち各省各庁がやってくれるだろうと言っておられるような、非常にいいかげんな附則六十七条によって船出をせよと言っておられるんです。

 そして、その事業分野といえば何となれば、資料の七でおつけしたような国民生活に直結している事業分野ばかりです。発電所、鉄道、港湾、空港、これらは長期で固定で低利で初めて事業の資金を調達できたはずであります。いやそれは、小田急さんも立派な会社だから勝手にやればいい、低利は知らぬというなら別ですよ。総裁は、それを引き続きやらざるを得ないだろうと先日の委員会で答弁されています。その際に、規範による裏づけが要ると明快に言っておられます。

 さて、尾身大臣、規範による裏づけでありますが、いつまでに、十三兆円のうちの専らである、法律で裏打ちがされない、附則六十七条で想定されます、資料の七にお配りしたさまざまな政投銀の飯の種であるこの事業分野、同時に国民生活に直結するこの事業分野について、いつまでに法的根拠を裏づけとする財政の出動をもくろんでおられるか、御答弁願います。

尾身国務大臣 基本的には、完全民営化された後は、長期、固定という条件は満たしますけれども、政策的に低利でやらなければならないというときは、個別の立法によってこれに対応するという基本的な考え方でございまして、これは関係の各省庁がその判断をして、必要な立法措置等をとる、こういう考え方でございます。

古本委員 ですから、それはいつまでかと聞いているんです。都度、各省各庁が判断するということであれば、この融資の資金は血流として流れているわけでありますから、立法措置が滞れば、たちまち、新規での鉄道高架事業に対する低利での融資は今後なくなるということを言っておられるんですよ。立法措置が整わないとそれはできませんよね。これは、いつまでにその立法措置を整えるということを言わないと、今現在資金ニーズが発生している中で、これは大臣、大事な話なんですよ。

 ちなみに、私たち民主党の立場も明確にしなきゃいけないと思っていますが、結構ですよ、考える時間を差し上げますので。私たちは民営化には賛成なんです。こういった分野を民営化していくということは、多分大きな流れなんだろうなと思います。しかしながら、長期での事業資金を低利で貸し付けるというメカニズムは我が国の金融市場でだれが担うべきかという議論は、まだ慎重な議論があっていいと思うんです。それを、なぜかしら民営化される政投銀に丸投げだ、しかし、民営化するんだけれども、あなた方がやりなさい、規範による裏づけは各省各庁がその都度考えるだろう、こんないいかげんな話はないんですよ。

 小泉改革の出口の改革につき合わなきゃならないと皆さんも渋々思っておられるんでしょうけれども、それはそこまでお利口さんにならなくていいと思いますよ。いや、そうじゃないんだというんだったら、本当にここに小泉さんが来て、一度話を聞きたいぐらいですね。

 これは、民営化を今回議論した際に、長期での事業融資機能を今後とも政投銀の根幹とするんだという一文が行革推進法に入っていないならいいですよ。入っているんです。それで野に放たれて、しかしながら丸腰で出ていけと言われているんです。こんなひどい話はないですよ。今七千億円貢献している、こんな孝行息子を、一体何の不都合があるんですか。

 よくよく聞きましたら、ちなみに、十一省庁がそれぞれ新たに利権を持たれるようですね。だって、そうですよ、局長裁量で今後は判断できる、これは正しいですね。これは議事録に残りますよ。局長の裁量で今後は財政が出動できるように、規範による裏づけも含め今後別途やっていく、こういうことでいいですか。

 さっきそう答えているから。違うことを言ったら、また議事録訂正になりますよ。

勝政府参考人 お答えいたします。

 まず一つは、六関係法律についての法律改正の分野がございます。これは立法作業でございますので、ある意味では国会との関係の作業になると思っています。もう一つは、新たな政策分野で制度的な枠組みをつくらなければならない場合、これはやはり立法によるものが中心になると思っていますので、これも、必ずしも局長じゃなくて、やはり法律による統制が必要になってくると思っています。三つ目は、単なる予算措置で足りる場合もございます。そういうものは速やかにしなければならないと思っていますけれども、これにつきましても、関係省庁が財政当局との協議を通じまして策定されることだと思っています。

古本委員 いやいや、幾つかお話を同時にまとめられましたけれども、丁寧にやった方がいいと思いますよ。

 予算申請ベースで、予算の措置で対応できるということであれば、各省各局長でしょう、局長が規範の責任者なんですから。自分のところの法律にぶら下がっているあるいは所管に、監督官庁たる鉄道局が高架事業の判断を、これは鉄道局長ですよ。

 それから、個別の法律で整備ということでありましたが、これは大臣に言わせると、そのうちやるでしょう、ただし二十年の十月とは限りません、こういう話ですね。しかしながら、それは新たに役所が法律をつくるわけでありますから、これはまた新たに役所が一本法律を持つということですよ。これを利権と言わずして何と言うんですか。

 それから、その補助金なり利子補給なり、いいですよ、そういう何かで措置していく。今は、政投銀は一円たりとも国庫からお世話になっていませんからね。皆さん、公金は一円も入っていませんからね。その孝行息子の政投銀を民営化せよと言われた小泉改革につき合って民営化するんですよ。結果、例えば、これから何年か先、事業を進めていく上で、一体どのくらい新規での国庫の持ち出しを想定されていますか。尾身大臣、大体幾らぐらい補助金が出るんだろうかなと想定されていますか。

尾身国務大臣 移行期間中及び完全民営化後におきまして、これまで日本政策投資銀行が政策金融を行っていた分野につきまして、引き続き政策金利への低利融資などの政策誘導が必要であると判断される場合には、幾つかの対応が考えられるわけでございます。

 この危機対応分野については、移行期間中の新会社がこれまでと同様の役割を果たすべきであるとの観点から、必要なリスク補完措置を設けた上で、みなし指定金融機関とされております。したがいまして、この新会社がこのスキームに基づく危機対応を行うことが可能であり、完全民営化後も一般の民融機関として指定金融機関となり得るというふうに考えております。

 これまで政策投資銀行を政策上活用していた関係法律につきましては、民間金融機関も含めて引き続き新会社を活用することとしております。今後、この各法を所管する各省におきまして、平成二十年十月までに、新会社と他の民間金融機関とのイコールフッティングについて具体的な検討が進められるわけでございます。また、その際、予算措置が必要な場合には、平成二十年度予算編成の中で検討が行われることになっております。このように、完全民営化後も新会社は一般の民間金融機関として活用され得るというふうに考えております。

 政策上活用するための法的な整備ができていない分野につきましては、政策誘導が必要な各分野を所管する各省庁が新たな立法措置等によりまして、平成二十年十月以降、新会社を含めた民間金融機関を政策的に活用することも考えられるわけであります。立法措置を伴うもの以外につきましては、政策的な必要に応じまして、予算措置等を各省庁が手当てすることが考えられるわけであります。

古本委員 いや、ここで私たちが審議して、賛否を決めれば、これは新しい政投銀の船出が決まっちゃうんですよ。大変大事な議論をしているんです。大臣、もっと真剣に答えていただきたいですね。私は、補助金に多分なるんだろう、利子補給になるんだろう、金額を想定されていますかと聞いたんですよ。だったら、計算していないならしていませんと言えばいいじゃないですか。非常に不親切ですね、不誠実です。

 私の方で計算しておきました。資料の八です、ごらんをいただきたいと思います。私の方で資料要求し、政投銀が計算してくれましたよ。

 毎年一兆円で今事業をやっておられますね。これを二十年継続したとしましょう、前提条件として。それから、金利の優遇、今政策金利の1、2というのがありますが、大体〇・一%から〇・五%で運用しているという前提に立って、間の〇・三%で前提を置いていただいています。それから、長期での固定ですから二十年間。そういう前提で計算しますと、民営化後に、毎年、新規でフローベースでふえていって、ストック、最終的に二十年後、累計で四千三百億円の利子補給なり補助金なりを財政として出動させないと、政投銀はいわゆる政策融資はできないんです。

 今は一円も国庫から持ち出していないのに、委員の皆さん、これは新規で四千三百億円発生するんですよ。民営化におつき合いするための代償としては、国民の財布がこれだけ痛むんですよ。それでも民営化すると言うならどうぞやってくださいよ。そのかわり、皆さん、四千三百億円耳をそろえて国庫に返してもらいたい。そのぐらいいいかげんな議論をなさっているんです。

 いや、鉄道の高架事業はもう今後やらないんです、原発、そんなの東電が勝手にやってくれ、港湾の整備、もう勝手にやってくれと言うならいいですよ。こういう資金需要はあるんでしょう。これはナショナルインフラですよ。みんな、先生方のお地元もそういうニーズがあるでしょう。何でもかんでも、小泉改革に賛成だといったって、そこまでつき合わなくたっていいですよ、皆さんも。

 四千三百億円、新規で国庫の補助金が発生します。国庫負担が発生するんです。こういう想定をなさった上でこういった議論をしておられるのかと思いきや、大臣はお答えくださらなかった。

 時間が来ましたので、この点を強く、具体的に言っておきたいと思います。これは、審議がさらに深まっていくだろうという想定で、きょうは問題提起にとどめておきたいと思いますが、それぞれ、総裁と大臣、大臣は言いわけでしょうね。総裁は、だから言わぬこっちゃないということであれば、どうぞ心の内を吐露していただければよかろうかと思います。どうぞ順番に、では最後にお願いします。

尾身国務大臣 新しい、完全民営化された場合には、長期、固定は民間のいろいろな工夫で資金獲得ができる。しかし、特別に低利をするということについては、これは政策的要請でありますから、その分は必要な財源手当てをしていかなければ、純粋民間機関になった政策投資銀行はできない、こういうことになると思います。

 それについては、それに対応している関係の省庁においてそういう手当てをする、必要な場合には立法措置もする、こういうことになると思います。

小村政府参考人 私ども政策投資銀行が民営化をしたときには、民間金融機関とイコールフッティング、むしろ預金をとっていない分だけハンディを背負って出発をいたします。その分、私どもが今までやってきたものをそのままやれというのはやはり困難であるということを私は申し上げました。やるとしたら制度的担保をいただきたいということであります。

 その制度的担保はやはり二つの面があると思います。一つは、単に利子補給で解決するんだろうかという問題があります。一つは、私どもが個々の事業について、その事業性なり、果たしてこのプロジェクトは採算が合うんだろうかどうか、そこを専門的に審査するものが必要であろうということと、それから、やはり長期というもの、特に原子力や鉄道の場合には超長期であります。最近においては、十年以上の社債を出すというところは、ほとんどの企業では特定のもの以外は無理であります。この超長期のものをどう解決するかというものも一つございます。

 いずれにしても、制度的担保は各省庁において考えていただかなければならない。それがどういう内容であるかということ、あるいはどういうタイミングでやるかということだろうと思いますが、タイミングについては、私は、各事業者が先の投資計画を立てるためには、できるだけ速やかに各省庁において制度的な設計をきちんとやっていただきたい、こう思っております。

古本委員 終わります。ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 私は、前回の法案の審議の際に、大手町開発について質問をいたしました。その際、政投銀の小村総裁に、この大手町開発に政投銀が出資をしているかとお聞きをしたわけであります。これに対して総裁は、即座に否定をされました。

 議事録を見ますと、出資、参加しておりません、出資をいたしておりません、私どもは参加しておりません、全く別の案件でございますと、これは何度も繰り返し否定をされたわけであります。実際はどうだったんでしょうか。

小村政府参考人 先生からただいま御指摘いただきましたとおり、五月九日の先生の御質問に対する私の答弁に一部誤りがございました。ここにおわびして、訂正させていただきます。

 先生からの御質問は、有限会社大手町開発に私どもが出資をしているかというお尋ねでございました。私は、出資しておりませんというお答えをいたしましたが、このこと自体は誤りはございません。

 先生の続いての御質問は、私どもの業務報告書に出資先として記載されております都市再生ファンド(大手町開発)が有限会社大手町開発への出資に当たるのではないかというお尋ねでございました。これに対し私は、このファンドは旧富士銀行跡地の開発に係るものでありまして、先生のお尋ねの件とは全く別の案件であるとお答えいたしました。まことに遺憾ながら、これは私の記憶違いによる誤りでございました。旧富士銀行跡地の開発に関しても、別の都市再生ファンドを組成しておりますために、突然のお尋ねでございましたので、取り間違えてしまいました。

 先生の御指摘された都市再生ファンド(大手町開発)は、旧富士銀行跡地ではなく、合同庁舎跡地を含む大手町地区の連鎖型再開発事業の支援を目的として組成されたものでございます。ここに謹んでおわびして、訂正させていただきます。

 具体的に申し上げますと、私どもの出資二百億円と民間金融機関の融資によって都市再生ファンド(大手町開発)を組成し、このファンドから有限会社大手町開発に対して融資を行っております。私どもがファンドに対して出資を行っているのは、民間金融機関よりも返済条件を劣後にすることによって民間資金の呼び水となることを意図したものでございます。

 すなわち、私どもは有限会社大手町開発の出資者ではなく、ファンドを経由して同社に融資を行っている立場でございます。なお、このファンドは、同社から受け取るのは元本返済と利息支払い及び融資手数料だけであり、土地価格の上昇、下落による受取額の変動はございません。

 国会における政府参考人の答弁が正確でなければならないことは申すまでもありません。私の記憶違いにより誤った答弁をいたしましたことを改めておわび申し上げます。

佐々木(憲)委員 総裁は事実と違う答弁をされたわけであります。

 都市再生ファンドに出資をして、その都市再生ファンドをベースにして、民間金融機関からの融資も合わせて大手町開発に融資をしていく、こういう仕掛けになっていたわけでありますから、当然、大手町開発に対する出資という形での参加をされているわけであります。結果として融資になるわけでありますね。

 事実と違う答弁をされると、これだけ、私も議事録を見ましたけれども、一ページにわたるぐらいの、あちこちにそういう答弁になってしまいますと、これは削除しても、何の議論をしているのか全くわからなくなるわけであります。

 政投銀は、都市再生ファンドに二百億円、この二百億円というのは、業務報告書でも明らかなように、新むつ小川原株式会社の二百八十四億円、株式会社苫東の二百七億円と並ぶ、いわば三大出資事業であります。それを別の案件と勘違いしたというのでは、やはりこれは経営者としての資格が問われると思うので、なぜこういう間違いをしたのか、これは責任を十分自覚していただかなければならないというふうに思っております。

 この大手町の再開発というのは、前回も私、指摘をいたしましたが、二〇〇三年の一月に、政府の第五次都市再生プロジェクトとして決定されたもので、その直後、二〇〇三年三月に大手町まちづくり推進会議というのが発足しております。その推進役となっているのがこの会議なんですね。

 政投銀は、当初からこの推進会議のメンバーとして参加をしております。このことは前回私も質問で確認をいたしました。したがいまして、連鎖型都市再生という新しい手法による大手町再開発、これは、全体の構想について当然熟知する立場にあったと思います。そう言えますよね。

小村政府参考人 大手町まちづくり推進会議につきましては、これは地権者を中心にした集まりでございまして、かなり早い時期からこういう集まりはございました。私どもは地権者の一人としてそこに参加をいたしておりました。

佐々木(憲)委員 そこで、この大手町再開発というのは何かという点を確認していきたいと思うんです。

 まず、この連鎖型再開発の最初の種地となるのが、けさ我々が視察に行きました大手町合同庁舎の跡地ですね。もう今、大規模な工事が進んでおります。これはもとは国有地であります。

 都市再生機構にお聞きしますけれども、機構は、平成十七年、二〇〇五年三月にこれを国から買い入れていますよね。このときの買い入れ価格の総額は幾らでしょうか。また、一平米当たりの価格は幾らになりますか。

松野参考人 お答えいたします。

 都市再生機構が国から大手町合同庁舎一、二号館跡地を取得したときの総額と単価でございますが、総額は一千三百億円、単価は一平方メートル当たり九百七十万円でございます。

佐々木(憲)委員 この国有地を都市再生機構が買うということになった理由は何でしょうか。

松野参考人 お答えいたします。

 これは、先ほども委員が御指摘になりましたとおり、都市再生プロジェクト第五次決定、「国有地の戦略的な活用による都市拠点形成」というのがなされまして、大手町合同庁舎跡地取得を契機とした、段階的かつ連続的な建てかえを図るということとされております。そのためには種地としての合同庁舎跡地の確保が必要不可欠となったわけでございます。

 都市再生機構に対しましては、東京都、千代田区あるいは地権者等で構成されます大手町まちづくり推進会議等の関係者から強い事業参画要請があったところでございます。

 短期間での投下資金回収を基本とする民間投資、これだけではなかなか長期間の土地保有には限界があるということがございましたので、都市再生に民間再開発を誘導するという私どもの独立行政法人としての方針、これに沿いまして、都市再生機構が土地取得を行って一定のリスク負担を行うことでこの地区におきます民間都市再生を誘導するということにしたものでございます。

佐々木(憲)委員 推進会議から要請があった、それで一定のリスク負担をするんだ、こういうことでありますが、都市再生機構は、平成十七年、二〇〇五年の十一月に、買い入れた土地の三分の二を、民間企業である有限会社大手町開発に対して売っておりますね。総額は幾らですか。一平米当たりの価格は幾らですか。

松野参考人 お答えいたします。

 都市再生機構が国から取得いたしました大手町合同庁舎跡地の持ち分三分の二を有限会社大手町開発に売却したときの総額と単価は、総額九百十五億円、単価一千二十四万円、平方メートル当たりですが、になっております。

 これは、もともと私どもが取得した原価に、建物の解体費あるいは公租公課、金利等の諸経費を乗せたものでございます。

佐々木(憲)委員 この価格は路線価とほとんど変わらない価格でありますが、この計算のベースになっている容積率、これは幾らでしょうか。

松野参考人 当時は、この土地の容積率は七〇〇%でございますが、私どもは、その時点での鑑定評価をとりまして、その七〇〇%を前提に、総合設計等の、通常、容積率の上乗せというのがあり得ることを念頭に入れながら、鑑定評価を受けたものを参考として決めたものでございます。

佐々木(憲)委員 七〇〇%を前提にして若干の係数を掛けた、こういう話をされたわけであります。

 この容積率というものは、上がりますと、ふえますと、地価も当然上がることになると思いますが、これは国土交通省、答えていただきたいんですが。

加藤(利)政府参考人 お尋ねでございますが、一般的に申し上げますと、容積率と収益価格との関係の分析については、ほかにもいろいろな要素はございますけれども、例えば賃料水準でありますとか標準的な建築コスト等をもとに、それぞれその収益価格が算定されるということになります。

 一般論とすれば、容積率が高まれば、先ほど申し上げました、相場の賃料ですとか建築コストとかそういうことで、個別にはいろいろ差はございますけれども、容積率の高さが、大きさが収益価格には反映するというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 容積率が上がると、収益価格、つまり地価も上がっていくということであります。

 そこで、具体的に、大手町開発のこの場所、つまり大手町合同庁舎跡地、これがどうなるのかということであります。

 国土交通省の都市・地域整備局が、平成十七年、二〇〇五年三月に出した報告書があります。ここにありますけれども、それは大手町合同庁舎跡地を活用した国際ビジネス拠点形成推進方策調査報告書、長い題名ですけれども、こういう報告書であります。

 この目的は、大手町合同庁舎跡地を活用した段階的かつ連続的な建てかえに向けて、土地区画整理事業を活用した新たな土地評価方法による連鎖型都市再生事業の構築について検討した、こういうふうになっております。

 その一部がここにありますけれども、そこでは、路線価式評価方法というのは、客観的評価であるために、市場に照応した価格とは言えないという指摘がありまして、そのため、土地区画整理事業を活用した新たな土地評価方式を採用して連鎖型都市再生事業を進めるべきだ、こういうふうに言っているわけです。そして、今言われたように、一般に土地の価格は、容積率が高いほどより高い価格となる、はっきりこういうふうに書いてあります、容積率が上がれば地価も上がると。

 今皆さんのお手元にお配りした資料を見ていただきたいのですが、この二枚目にあるのが、今私が紹介をいたしました国土交通省の報告書の一部でございます。ここで明らかなように、容積率が七〇〇%、一番下ですね、左下ですけれども、その場合の収益価格は一平米当たり八百四十万円。容積率が、右の方に行きますと上がっていきます。一二〇〇%になると一千三百三万円、一五〇〇%になると千五百十六万円、一六〇〇%になると千六百一万円。これは大手町地区の場合を具体的に想定して出された数字でありますが、これはこのとおりですね。

加藤(利)政府参考人 ただいま先生御指摘いただきました調査でございますが、これは平成十六年度の調査として、都市再生プロジェクト第五次決定の「国有地の戦略的な活用による都市拠点形成」において、大手町合同庁舎跡地を契機とした段階的かつ連続的な建てかえを図るということとされていることを踏まえまして、大手町地区における段階的かつ連続的な建てかえによる国際ビジネス拠点の形成を実現する方策について検討したものでございます。

 先ほど先生から御質問がございましたが、この中で、今お話もございましたように、容積率と収益価格との関係分析については、先ほど申し上げましたが、大手町地区における賃料水準ですとか標準的な建築コスト等をもとに、各容積率に応じた収益価格を試算している、そういう性格のものでございます。

 したがって、具体の開発事例をもとにして分析したものではございませんけれども、当該分析結果によれば、先生が先ほどお示しされましたように、他の条件が一定の場合には、容積率が上がれば収益価格も上昇する、そういう結果になっておるわけでございます。

 なお、再三申し上げますように、個別の土地の価格というものは、収益価格でありますとか近傍の取引実例を踏まえつつ、個々の敷地の形状でございますとか接道状況ですとか、個別の状況にかんがみまして、鑑定評価により決定されるというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 こういう形で容積率がふえますと、収益価格、つまり土地の価格が上昇をする、これは当たり前のことであります。

 これは、もちろん、具体的事実は今進行中であります。しかし、この報告書は、その前の、今おっしゃったように、二〇〇四年に調査をしたものであります。そうなりますと、問題は、容積率が七〇〇%で計算をした価格、これをベースにして都市再生機構は土地を国から入手した。そしてその価格をほぼそのまま、つまり一定の費用をプラスして大手町開発という民間会社に売った。ということは、七〇〇%の容積率で計算をしたその収益価格、つまり市場価格とほぼ一致する、その収益価格で売った、こういうことであります。

 しかし、問題は、次の大手町都市再生地区の容積率を見ていただきたいんです。資料の三の一であります。ここでは、一カ月前の十月二十六日に東京都の都市計画審議会、都計審、容積率の変更を審議、採決していたんじゃありませんか。

加藤(利)政府参考人 お答えいたします。

 容積率の経緯について御説明をさせていただきたいと思います。

 用途地域の変更、合同庁舎の一、二号館の跡地をAゾーンと言っておりますが、Aゾーンについては四十八年の十一月二十日に容積率七〇〇%と決定されております。その後、用途地域の変更によりまして、平成十七年の十一月二十五日にAゾーンとCゾーンについては容積率一二〇〇%が指定されたところでございます。その後、十八年一月二十三日に都市再生特別地区が定められまして、Aゾーンについては容積率が一五九〇%、こういうことで指定をされております。

佐々木(憲)委員 それは、十一月二十五日は、用途地域の変更のため大手町地区の容積率を変更した、これを告示した日であります。その前に、東京都の都計審が容積率の変更を審議、採決をしている、これは十月二十六日であります。つまり、この七〇〇%の計算をして売った、それをベースにして売ったその七〇〇%というのは既に変わっていたわけであります。一二〇〇%になっていたんです。しかも、重大なのは、そのたった二カ月後ですよ、次の年の一月二十三日に、都市再生特別地区の決定のため、さらに容積率を一五九〇%に上げているんです。今答弁されたとおりであります。

 平成十七年、二〇〇五年三月三日に国から買い入れたときの一平米当たりは、先ほど答弁ありました九百七十万円、単価ですね。十一月二十八日にそれを売った、三分の二を。その価格は千二十四万円。約五十万円ほどしか違わない、ほとんど同じ値段。つまり、容積率七〇〇%で購入し、七〇〇%のベースの価格で民間会社に売ったわけです。いわばトンネルですね、都市再生機構は。

 十一月まで七〇〇%だった容積率が、たった二カ月で一五九〇%に上がっているわけです。倍以上です。膨大な利益が懐に転がり込むことになるわけであります。財務省は、売却直後に容積率が上がることを知っていながら、低価格で売ったんじゃありませんか。

丹呉政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、一般論でございますが、国有地の売却は財政法に基づきまして適正な価格で行う。具体的には、不動産鑑定士が評価した時価で行うことになっております。不動産鑑定士の評価でございますが、法令上、公平妥当な態度を保持すべきことが求められておりまして、容積率などの重要な構成要素については客観的なものを用いるということになっております。

 それで、今先生御指摘の容積率の変化でございますが、また国土交通省の通達では、価格形成要因のうち地域要因または個別的要因について想定上の条件を付加する場合には、想定上の条件が実現性、合法性等の観点から妥当でなければならないとされております。

 本件について申し上げますと、今御指摘のように、国の売却時点では容積率は七〇〇%でございました。鑑定評価におきましては、先ほども国土交通省の方から御説明ございましたように、総合設計制度というもので三〇〇%までの引き上げを前提として鑑定することは制度上認められておりますが、今先生御指摘のように、それを上回る引き上げ、例えば一二〇〇%ということについては、その後、東京都が容積率引き上げの都市計画決定をいたしたわけでございますので、三月の時点では、都市計画決定、引き上げは決まっておりませんでした。

 したがいまして、一般的に、鑑定といたしましては、その時点で制度的に許される範囲内で評価するということで、七〇〇%に総合設計制度に基づきます二五〇%を上乗せして九五〇%にしたと承知しておりまして、三月の時点での時価というふうに私どもは理解しております。

佐々木(憲)委員 そうしますと、都市再生機構は、この三分の二を転売したときは明確に容積率が上がった後であります、上がった後なのに前の七〇〇%で売った、こういうことになりますね。

松野参考人 お答えいたします。

 民間と役割分担をするということで、都市再生機構が三分の一保有する、民間が三分の二保有するという、これをほぼ十年間保有し続けなければいけないということですから、買った時点の時価に諸経費を上乗せするということをベースにして処分するということがやはり前提でございます。そういうことで、その考え方で処分したものでございます。

佐々木(憲)委員 容積率が十月二十六日には既に審議、採決をされているわけです。告示が行われたのは十一月二十五日です。都市再生機構が大手町開発に土地を売ったのは十一月二十八日、明らかに後じゃありませんか。

松野参考人 確かにその当時、容積率の変更がございましたが、少なくとも私どもが、国有地を随意契約で処分していただいて、それを容積率が上がったからといって直ちに高く売りつけるということは、やはりこの最初のスキーム、当時の鑑定価格でこれを買収して、三分の二は民間がホールドする、保有するというスキームに従って処分しなければいけないということでございますので、そういう、上がったからすぐにそれを高く売りつけるということはできないということでございます。

佐々木(憲)委員 全く理解できない答弁ですね。だれが一体要請したんですか。民間ですか。

 大手町開発が設立されたのは二〇〇四年の六月ですが、一年前、二〇〇三年八月、企画調査会社であります大手町まちづくり株式会社というのが発足しております。その設立発起人は、三菱地所、日本経団連などであります。

 私が聞いている情報によりますと、二〇〇三年の夏、当時の都市基盤整備公団、今の都市再生機構ですけれども、都市再生機構に対して大手町都市再生に向けた要望事項というのが出されております。その要望内容は、再開発地での建物等の整備は民間が行うことを基本とする、合同庁舎跡地の取得に当たっては現行容積率七〇〇%を前提とした評価をもとに交渉を行う、開発メリットは事業施行者や参画地権者の貢献度に配慮し適正に配分する、こういうことが盛り込まれていたと思います。こういう要望書が大手町まちづくり株式会社の構成メンバーから要請されていませんでしたか。

松野参考人 今お話しになりました文書につきましては、これは当時のまちづくり推進会議のワーキンググループの資料として一部の関係者から提出されましたが、これは一部にそういう考え方があったということでございまして、正式な要請文書ではございません。

佐々木(憲)委員 正式な要請文書というのは何で、正式でないのは何かというのは、何を基準に言うんですか。要請があったことは事実ですね、今認めたように。ワーキンググループの資料として関係者から提出された、つまり、関係者というのは大手町まちづくり株式会社、この中心メンバーは今十一社でありますけれども、この中にまさにこの大手町開発という民間会社を構成しているメンバーが入っていたんじゃありませんか。民間の要望で都市再生機構をトンネルに国有地を安く手に入れる、民間が再開発を行う、開発利益は事業の貢献度に応じて民間が山分けする。この要望書を資料として当委員会に提出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

松野参考人 これは正式に承認された文書とは考えておりませんので、それにはふさわしくないと考えております。

佐々木(憲)委員 委員長、これは重要な資料ですので、理事会で資料提出を検討していただきたい。

伊藤委員長 ただいまの佐々木委員の要望につきましては、後刻理事会で協議をさせていただきたいと思います。

佐々木(憲)委員 この中で一番もうけ頭は何かといえば、この土地を低価格で手に入れた民間会社である大手町開発であります。この大手町開発に出資をしているのはどこですか。

松葉政府参考人 先般の委員会でも、大手町開発の匿名出資者についてお尋ねがございました。その際申し上げましたけれども、一般に私どもの本部では、都市再生プロジェクトが着実に実施されていることについてフォローすることということが役割だと認識しておりまして、その限りで進捗の状況について把握するよう努めておりますけれども、個別の事業者に関する情報については必ずしも把握しておらないということでございます。

 今回、さらにお尋ねがございましたので、私ども、直接当該会社について指導監督する権限等はございませんけれども、有限会社大手町開発に確認をいたしましたところ、匿名出資に関するものについては、契約上の守秘義務でお答えができないということでございました。

佐々木(憲)委員 では、事業パートナーはどこでしょうか。

加藤(利)政府参考人 事業パートナーについてのお尋ねでございますが、私ども国土交通省で把握している限りで申し上げますと、有限会社大手町開発の出資者及び出資金額については、申請書類により、出資者オー・エム・ケー有限責任中間法人、出資金額三百万。

 それで、事業パートナーという制度をこの有限会社大手町開発が事業をする際にはとっておりまして、その事業パートナーについては、申請書類の内容ではございませんけれども、申請者より説明を受けておりまして、事業パートナーとしては四社挙がっております。三菱地所株式会社、NTT都市開発株式会社、東京建物株式会社、株式会社サンケイビル、この四社になってございます。

佐々木(憲)委員 事業パートナーは、匿名組合への出資、これが条件となっているんじゃありませんか。

松野参考人 事業パートナーの応募に当たりましては、大手町地区の町づくりへの貢献を求めるという観点がございます。したがいまして、大手町開発が行う土地保有事業への匿名組合出資が応募条件として義務づけられておりまして、匿名組合出資を条件に選定されているものと考えております。

佐々木(憲)委員 結局、匿名組合への出資を条件として、匿名組合への出資を義務づけられているから事業パートナーになれるんですよ。

 つまり、この匿名組合と言われている大手町開発というのは、三菱地所、NTT都市開発、東京建物、サンケイビル、この四社を含んだ出資者によって構成されている、これでよろしいですね。

松野参考人 匿名出資組合につきましては契約の守秘義務がございます。その出資者を公表できない旨、大手町開発より回答を得ておりますので、機構としてはこれ以上お話しすることができないということでございます。

佐々木(憲)委員 これは、言わなくても、もう名前が出ちゃっているわけです。匿名組合への出資を義務づけられているわけです、事業パートナーは。したがいまして、事業パートナーである先ほど言った四つの会社は、匿名組合に対して出資をしているんですよ。

 この四社以外に大手町開発に参加している会社はありますか。

松野参考人 ただいま申し上げましたとおり、契約上の守秘義務がございますので、出資者を特定する、把握するということは不可能でございますので、それ以上お答えすることはできません。

佐々木(憲)委員 言わなくても、もうわかっているからいいですけれども、この四社なんですね。

 国有地を低価格で手に入れて、ぼろもうけしている民間会社、これは、この四社を中心とする大手町開発、さらに、それに関連をして、ここに地権者として参加するそれらの会社であります。

 この再開発は官民共同で行うということでありますが、官は専ら民間大企業に奉仕するだけなんですよ。財務省は一番低い七〇〇%という容積率を前提とした一単位一千万円前後で売って、都市再生機構はトンネル機関としてそういう役割を果たし、結局は民間会社に低価格でこの土地が渡されている。それを再開発事業によって、そこから何倍も、場合によっては、何十倍とは言いませんけれども、巨大な利益が上がる。こういう仕掛けになっているわけです。

 だれが被害者なんですか。国民じゃないですか。結局、一定の市場価格で売れば財政的に貢献するのに、わざわざ一番低い価格で売っているんですよ。こんなでたらめなやり方はない。しかも、やり方は随意契約。

 ここに、皆さんにお配りしてありますけれども、第二百十八回国有財産関東地方審議会の議事録があります。これは二〇〇四年六月十八日に行われた議事録の一部でありますが、四の三のところを見ていただきたいんです。

 これは財務省の理財局国有財産業務課長が発言しているものでありますが、上から五行目ぐらいのところを見ていただきますと、「このスキームでは、一たん機構が国から合同庁舎跡地を購入して、その後に民間の事業会社に対して持分の一部、三分の二を譲渡するという形をとるわけでございます。」二〇〇四年の段階で、もう既にこういう構想を明らかにしておる。「その際、この民間の事業会社が、国が直接随意契約で売却するのと同等の適格性を得ることを条件としております。要は、入札をせずに、今回機構に随意契約で売るわけですけれども、それがこの民間の事業会社に対しての随契のトンネルにならないように、」と言いながら、「「民間都市再生事業計画の認定事業者」と書いてございますけれども、認定事業者になったら譲渡してもいいという条件をつけるつもりでございます。」初めに随契ありきなんですね。

 この大手町開発という民間会社に直接国が随契で売るわけにはいかない。随契で売るわけにいかないから、まずはトンネル機関として都市再生機構を使う。都市再生機構から、今度は、国から認定事業者というお墨つきをもらった民間会社が、認定事業者なんだから随契でもいいんです、こういうことでやるつもりでございますと、最初から随契ありきになっているわけです。

 「この認定事業者になりますと、直接国がこの事業会社に随意契約で売ることもできます。」「国が特定の民間に国有地を売却したという社会的批判を招かないように、ここで担保し、」と。ごまかしですよ、これは。最初から、民間会社に入札によらず随契で売るためにどうしたらいいか、これを考えているわけですよ。民間会社に売れないからトンネル機関も使う。

 しかも、容積率も、容積率が上がったのに前の容積率で計算をしている。わざわざ低い価格で、いわば二束三文で売り払う。しかも、都市再生機構から買う民間会社は、一般の民間会社だと入札に付さなければならないから、そうではなくて、これは認定事業者なんですよと国から認定事業者というお墨つきをつけてやって、そうすれば自動的に随契ができると。

 本当にこれは、本末転倒といいますか、余りにもひどいやり方をしていると言わざるを得ないんですよ。これは余りにもひどいというふうに私は思います。財務大臣、こんなやり方を認めていいんですか。

尾身国務大臣 私も、この点について、今お話を伺いながらいろいろ考えておりましたが、説明自体は、こういうルールでやるという説明であるなというふうには聞いております。

佐々木(憲)委員 こういうルールでやるなというのはどういう意味ですか。こういうルールでやって当然だ、あるいは、こういうルールでやるというのはおかしいな、どちらなんですか。

尾身国務大臣 二〇〇三年十一月、内閣の都市再生本部におきまして、大手町合同庁舎旧一、二号館跡地を売却し、段階的かつ連続的な建てかえ事業に活用することにより、大手町を国際ビジネス拠点として再生させる事業が第五次都市再生プロジェクトとして採択されたところでございます。

 これを受けまして、財務省としても、本プロジェクトの実施主体である都市再生機構への当該跡地の売却が公益事業の用に供するため必要と認め、会計法令に基づき、同機構に対し、当該跡地を随意契約で売却することとしたものでございます。

佐々木(憲)委員 質問にまともに答えずに、はぐらかすというのはやめていただきたい。

 私が指摘したのは、国有財産、国の財産、つまり国民の財産ですよ。この国民の財産を一部の民間企業に不当に安く払い下げて、入札もせず随意契約で、しかも、随意契約は後からつけたようなものですよ。その仕掛けを勝手につくって、しかも、容積率を、もう既に上げることが決まっているにもかかわらず、上げた後に、前の容積率で計算して二束三文で国有地を売り払う、こういうことが当たり前だということなんですか。

丹呉政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返して恐縮でございますが、国有財産は時価で売却する、その場合には、その時点で判断される材料をもとに不動産鑑定士の鑑定によるということになっておりますので、私どもは、そういった法令、手続に従って売却したところでございます。

佐々木(憲)委員 だから、その手続が全然ルール違反だと言っているわけです。容積率が上がることが決まっているのに、その容積率に基づいて計算をせず、前の七〇〇%、これで計算した。そのときには既に容積率は一二〇〇%に上がっているんです。さらに、一五九〇%に二カ月後に上がるんです。それをわかっていながら、何で七〇〇%で計算して二束三文で売ったのかと聞いているんですよ。どうなんですか、大臣、こんなやり方は当たり前なんですか。

 大臣の見解を聞いているんですよ。だめだよ、そんなの。

丹呉政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますが、私ども、国有地を売却したのは十七年三月時点でございます。その時点で、先ほど申し上げましたように容積率は七〇〇%でございましたが、総合設計のもとで引き上げ可能な二五〇%を上乗せして売却したところでございます。

 一方、一二〇〇%といったような事例は、私どもが売却した後、決定されたものでございまして、国土交通省の通達で、不動産鑑定におきましては、売却の時点で見込まれる材料を織り込んで鑑定をするということになっておりまして、そういった手続に基づいて売却額を決定し、それに基づいて売却したところでございます。

尾身国務大臣 国有地の売却は、財政法に基づきまして適正な価格で行うこととされており、具体的には、原則として、不動産鑑定士の評価した時価で行うこととしております。

 本件土地の売却に当たりましても、この原則に従い、複数の不動産鑑定士に鑑定を依頼し、当該不動産鑑定士の評価した契約時点、すなわち平成十七年三月三日の時価で当該跡地を売却したところでございます。

佐々木(憲)委員 都市再生機構が販売したこの価格は適正な価格だったということなんですか。

松野参考人 先ほども申し上げましたが、このスキームは、私どもと民間とで、三分の一と三分の二ということで、ほぼ十年間にわたって保有し続けなければいけないという大変リスクの大きいものでございます。

 したがいまして、三月時点で、買いましたそれを前提として処分するというそのスキームを崩して、容積率が上がったからといって高く処分するということになりますと、これは当初からのスキームと違うということで崩壊するというおそれがあるわけでございまして、予定どおり、当初の三月の、私どもの原価に多少経費を上乗せして処分するという方法でいかざるを得ないということでございます。

佐々木(憲)委員 当初からのスキームと違っては困ると。当初からのスキームとは何ですか。客観的な状況が変わっても、容積率が変わっても、最初の、昔の七〇〇%という容積率で計算をする、それが当初からのスキーム。

 これはだれの要請でこんなことをやろうとしたんですか。

松野参考人 これは、今申し上げましたように、当初からというのは、当然、私どもが途中で、それを容積率に左右されて高く売ったり安く売ったりというスキームでいけるわけではございません。これは、その当初の国有地を私どもが買った原価をベースとした、それを一対二、三分の一と三分の二という割合で保有し続けるというスキームだったわけでございますから、それを前提にするということでございます。

佐々木(憲)委員 全然話にならないね。安くなったり高くなったりと言うけれども、容積率は既に上がっていたわけですよ。当然、その容積率に基づいて計算をし直すのは当たり前じゃないですか。何でそれをやらないんですか。

 要するに、最初からいわば七〇〇%という、これは要望も出ていたわけだから、そういう財界、大企業の要求にこたえて、こういうスキームでやってくれ、容積率はその次に上げてくれ、そうすれば我々は大もうけできると。買うときは七〇〇%、買った後は一五九〇%、これでやってくれ、こういうスキームだったんでしょう。

 だから、最初からこういうことをもくろんで、容積率が上がるということはもう初めからわかっていたわけです。いわば裏でそのことをもくろんでいた、たまたま表に出てきた期日を見ると前後してしまった、そういうことじゃないんですか。

 これは明らかに、だれのための再開発かというのがはっきりしているじゃないですか。国が損害を受け、国民が損害を受けて、あの地域の巨大資本、巨大大手企業がぼろもうけできる、そういう仕掛けに最初から組まれていたということじゃないんですか。どうなんですか、財務大臣。そう思いませんか。

尾身国務大臣 先ほどお答えしたとおりでございまして、国有地の売却は、財政法に基づき適正な価格で行うこととされており、具体的には、原則として、不動産鑑定士の評価した時価で行うこととしているわけでございます。

 この土地の売却に当たりましても、この原則に従い、複数の不動産鑑定士に鑑定を依頼して、当該不動産鑑定士の評価した契約時点、これは平成十七年三月三日でございますが、そのときの時価で当該跡地を売却したところでございます。

佐々木(憲)委員 国土交通省がつくった、先ほど御紹介しました平成十七年三月の報告書、大手町合同庁舎跡地を活用した国際ビジネス拠点形成推進方策調査報告書というものであります。これは、このAゾーンというところの容積率が上がるということを想定して、各社がどれだけここでもうけを上げることができるかという試算までしているんじゃないんですか。これがスキームだったんじゃないんですか。

 私が手にしているのは、要旨とそれから報告書のごく一部しかいただいておりません。全容を明らかにするために、これは国土交通省がつくった報告書ですから、委員長、当委員会にこの報告書の全文を提供していただきたい。いかがですか。

加藤(利)政府参考人 この調査でございますが、今先生からお話がございましたように、土地区画整理事業の導入の可能性を検討する観点から、一定の仮定を置きまして、それぞれの地権者の土地の評価額について試算をしている、土地区画整理事業として成り立つかどうかのための作業として行っているということでございます。

 したがって、各地権者の土地に係ります評価額ですとか試算の前提となっております容積率等の諸条件につきましては、当該情報を公にすることにより、地権者である各企業が事業活動を営む上で権利等を害するおそれのある情報であるというふうに考えておりまして、行政機関の保有する情報の公開に関する法律においても不開示に相当する情報であると考えられることから、公表することは差し控えさせていただきたい、このように考えております。

佐々木(憲)委員 だめだね、そんなのは。

 これは、国土交通省が、この地域の開発可能性、各企業が成り立つかどうかの可能性を評価したわけでしょう、調査したわけでしょう。それがどんなものであるかというのは、当然、国会、議会に出してそのチェックを受けるというのは当たり前じゃないですか。必ずこれは出してください。

 委員長、これは理事会で必ず出すように検討していただきたい。

伊藤委員長 ただいまの件につきましては、後刻理事会で協議をさせていただきたいと思います。

佐々木(憲)委員 こういう形でこの大手町開発というのは、国有地を利用して、極めてごく一部の巨大資本がここでぼろもうけを上げる仕掛けをつくっているということなんですよ。財政が被害を受けているんですよ。国民が被害を受けているんですよ。そういう状況になっているということなんです。

 そこで、政投銀の総裁にお聞きしますけれども、けさ見てまいりました駐車場ですけれども、これを購入するために十九年度資金計画を組んでおられますね。民営化された後は、民間企業になってしまえば、国有地を入手しようとすれば入札ということになります。しかし、現在は政投銀ですから、政府系金融機関ですので、随意契約で入手できるわけです。非常にいわば特権的な地位にあるわけです。だから、資金計画を組んで手に入れようとしているというふうに思います。その資格のあるうちに入手したいと。

 問題は、これは連鎖的な再開発になりますから、一次事業には参加しないということですけれども、しかし、二次事業になりますと、当然、政投銀の地域がその範囲に入るわけであります。報道によりますと、政投銀等々がそれに参加をする意向である、こういうふうに報道されておりますが、政投銀はまだはっきりと決めたわけじゃないというのはわかっております。しかし、この連続的な再開発の一部を担うことになる、このことは事実だと思いますが、いかがでしょうか。

小村政府参考人 二次につきましては、まだ私どもが参加するという意図を表明いたしておりませんし、これからの課題だと思います。お隣の公庫ビルについても全くの白紙であります。

 ただ、この計画が進められていく過程において、将来、私どもの態度を決めたいと思っております。

佐々木(憲)委員 その可能性を否定されなかったわけであります。

 今、二次事業に参画する予定をされているというふうに報道されております。これは業界紙ですけれども、日本政策投資銀行、国民生活金融公庫、中小企業金融公庫、農林漁業金融公庫、住友信託銀行、財務省、この六者である。もちろん、これはまだ予定でありますけれども、こういうことが現実に建設業界のニュースによって報道されております。

 そうなりますと、あの駐車場、今工事中でございました。しかし、それを手に入れるということが実現をすれば、しかも、その上でこの再開発のスキームに乗っていく。政投銀は建てかえの方向ですから、あそこの土地を利用して、駐車場の土地も含まれれば、当然、それを自分の土地として、換地のための条件として使っていく、こういうことが可能になっていくわけでございます。そういう意味で、この国有地の売却というのはさまざまな問題を含んでいるというふうに私は思います。

 今、わずかな時間ですけれども、私が資料によってここで明らかにしてきたその実態というのは、これは余りにも、国の財政を預かる財務省あるいは政府として、こういうやり方は、財政に損害を与え、かつ国民に負担を広げるものだというふうに言わざるを得ません。ごく一部の巨大資本のためにそういうことまでやるのかということになりますと、これはやはり責任が問われるということを最後に指摘いたしまして、時間が参りましたので、質問を終わります。

伊藤委員長 次に、川内博史君。

川内委員 川内でございます。

 早速質問をさせていただきますが、株式会社日本政策投資銀行法ということで、政策金融改革の一環として政府の方からお出しになられている法律でございますけれども、ちょっと金融ということで、法案とは直接の関係はないわけでございますが、消費者金融の件に関して何点かまずお伺いをし、法案の質問をさせていただきたいというふうに思います。

 最近、新聞やテレビ等で、消費者金融の各社やあるいは信販会社の各社が、利息制限法と出資法の上限金利の間のグレーゾーンの部分については支払い義務がないということを消費者が知り、その過払い金の返還請求がたくさん起きている。それに基づいて、過払い金返還請求の引き当てを決算書上で多額にわたって行う必要がある。したがって、決算が赤字で大変だ大変だ、効率化しなければならない、合理化しなければならないというような報道が新聞、テレビでされているわけでございます。

 消費者金融大手五社に限ってで結構ですから、決算の状況をまず教えていただきたいと思います。

佐藤政府参考人 消費者金融大手五社の決算でございますけれども、これまでに、本年三月期の決算が発表されております。五社合計で見てみますと、経常損益で約六千五百億円の赤字、特別損益で一兆七百億円の赤字、そして当期純損益といたしましては約一兆八千億円の赤字という数字になっております。

 その要因といたしましては、足元における過払い金返還請求の急増、それと利息返還損失引当金を多額に計上したということが大きな要因となっているというふうに承知をいたしております。

川内委員 五社合計で一兆八千億の赤字というと、わあ、すごいなと思うわけでございますが、しかし、実際の企業活動としての、最終じりと呼んでもいいと思いますが、税務上の申告というのはどうなっているのかということについて、国税庁の方から大手五社について御答弁をいただきたいと思います。

加藤(治)政府参考人 お答え申し上げます。

 大変恐縮でございますが、個別の民間企業の納税額等につきましては、私ども、守秘義務の関係で、お答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

川内委員 個別についてはお答えいただけないということでございますが、それでは、過払い金返還請求に備えて消費者金融各社が引き当てている引き当て額は、税法上は損金に算入をされますか。

石井政府参考人 個別の具体的なことについてはお答えは差し控えさせていただきますけれども、現行の法人税法におきましては、損金算入される引当金というものは特定されております。貸倒引当金と返品調整引当金という二種類でございます。

 これは、引当金というものが、具体的に債務が確定していない費用または損失の見積もりであるということから、課税の公平性あるいは明確性という課税上の要請からは不確実な損失あるいは費用の見積もりを極力抑制するという観点から、その二つに現在限定をいたしておるわけでございます。

 したがいまして、具体的な内容がどのようなものになるか、それは個別に判断が必要でございますが、一般的に、利息制限法の上限金利を超える金利の返還請求に備えた引当金というものは今ございませんので、税務上は損金算入されないということに一般論としてはなろうかと思います。

川内委員 一般論としておっしゃったんですけれども、過払い金返還請求に備えて引き当てるのは損金算入されないということでいいんですよね。

石井政府参考人 利息制限法の上限金利を超える金利の返還請求に備えた引当金というものはございませんので、それは損金算入されないという考え方でございます。

川内委員 私、某大手消費者金融の会社の決算短信を持ってきたんですけれども、利息返還損失引当金繰入額というものを全部合計すると、四千億ぐらい引き当てているんです。これは、結局、損金算入されない。会計法上、何か損したように見せているわけですけれども、実際には利益が出ている。その証拠に、法人税あるいは法人税等調整額のところにはしっかり支払い額が記載をされているわけでございまして、赤字だ赤字だと騒ぐのは、ちょっと消費者金融の各社は騒ぎ過ぎではないかなというふうに思うわけでございます。

 では、なぜこんなことになったのかということをちょっと御説明いただきたいわけでございます。

 お聞きしましたらば、会計法上のガイドラインというのは、最近は公認会計士協会の方が策定をされるというふうに聞いておりますが、この公認会計士協会がおつくりになられたガイドラインで、過払い金返還請求に備えて引き当てをしてもよろしいということをどのような経緯で決定されたのかということについて御説明をいただきたいと思います。

三國谷政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の消費者金融会社等の利息返還請求による損失に係る引当金の計上に関する監査上の取り扱いにつきましては、日本公認会計士協会におきまして、常任委員会の一つであります特定業者に係ります監査上の問題について議論を行います業種別委員会、このもとに消費者金融等監査対応検討専門部会、これを設置いたしまして、そこでの専門的な検討を踏まえ、この上位機関であります業種別委員会あるいは協会の理事会の承認を経て取りまとめられたものでございます。

川内委員 わかりやすく言うと、消費者金融検討専門部会、ちょっと略しましたが、消費者金融検討専門部会で検討されたものが公認会計士協会のガイドラインになったということでございました。

 それでは、消費者金融検討専門部会を構成する会計士の先生方というのはどのような先生方でございますか。

三國谷政府参考人 この専門部会でございますけれども、これは、過払い返還請求に係ります引当金の計上に関します消費者金融会社等に特有の監査上の問題を専門的に検討するために、当該業種の問題に精通いたしました消費者金融会社等の監査を担当する公認会計士により構成されていると聞いているところでございます。

 なお、この専門部会の検討を踏まえまして、先ほど申し上げましたように、業種別委員会それから理事会の承認を経て、その上で、取りまとめに当たりましては、公開草案を公表し、広く市場関係者の意見を聞く手続をとったものと承知しております。

川内委員 実際に消費者金融の監査を担当する会計士の先生がこのガイドラインをつくった、わかりやすく言うとそういう御答弁だったわけでございまして、要するに、消費者金融の会社から監査料をもらって仕事をしている会計士の先生方がこのガイドラインをつくった。それで赤字だ赤字だと騒いでいるということであるわけでございます。

 実際に、例えば私が先ほど申し上げた消費者金融大手の会社の平成十八年度の過払い金、利息返還金は百五十二億です。四千億引き当てて百五十二億しか実際には外に出ていないということで、このガイドラインは実態を逆に誤らせるものではないかというふうに私は思います。

 要するに、いわばお手盛りでつくられたガイドラインじゃないですか。その会社の監査をする会計士が、こういうふうにしておいた方が、二年半後に法律の見直しもあるし、大変だ大変だと、決算をちょっと大変にしておいた方がいいだろうということでつくったのではないかというふうに勘ぐられても仕方がないというふうに思いますが、金融担当大臣はこのガイドラインについてどのような御所見をお持ちになりますか。まあ、聞いても適切だとしか言わないでしょうが、要するに、取り調べる側が取り調べるものの基準を決めているということですよ。どうですか。

    〔委員長退席、宮下委員長代理着席〕

山本国務大臣 個別企業の会計処理についてコメントすることはできませんけれども、一般論として申し上げれば、企業の財務諸表については、関係する各種法令や会計ルール等にのっとって適切に作成されなければなりません。

 また、これも一般論として申し上げれば、企業会計上、引当金につきましては、将来の費用または損失として発生の可能性が高く、その金額を合理的に見積もることができる場合には当期の費用または損失等に適切に計上することとされているわけでございます。こうした引当金の計上を先送りすることは、かえって、利害関係者による、企業の財政状態、経営成績についての判断を誤らせることにもつながるものであろうというように考えております。

 なお、過払い金返還に関する引当金につきましては、税法上、先ほど国税当局または主税局が申し上げましたように損金算入が認められないと承知しておりまして、この点は、公平性、明確性という課税上の要請から企業会計の原則とは別途の扱いというように理解しておりまして、いわば、より正確に企業の財務状況を把握するには、過払い金引き当てというのは必要なものであろうというように私は考えております。

川内委員 より企業の実態を明らかにするという観点でいえば、外に出ないお金をあたかも外に出るかのように決算書上反映をさせるということが果たして適切なことなのかどうか、私は議論の余地があるのではないかというふうに思います。

 さらに、この過払い金返還というのは請求されて初めて出すものであって、政府が多重債務者対策本部などで、消費者金融各社に対して、あなたはもしかしたら払い過ぎているかもしれないから、しっかりとそういう手続をとった方がいいですよというようなことを周知されているならまだしも、そういうことも多重債務者対策本部で決定はされていないというふうに思いますし、そういう御努力を政府としてなされていない中で、消費者金融の監査をしている公認会計士が決めたガイドラインを、はい、そうですか、実態をより正確にあらわしていますねということでうんうんとうなずくことは、庶民感情としてはちょっとできないかなというふうに思います。これは私の意見です。

 では、次に、今、多重債務者対策本部のことを申し上げましたけれども、私は、先日、対策本部で決定された事柄の中に、一番大事な、契約書の中に、今後は利息制限法を超える金利については支払う義務はありません、支払わなくていいんですよ、そういう趣旨の文言を入れるということをさきの貸金業規制法の審議の中で政府として御答弁いただいているわけでありますが、このことが多重債務者対策本部の決定事項の中に入っていないのはなぜか。これは一番大事なことだと思います。また、この文言の契約書への挿入について、いかなる取り運びになっているのかということについて御説明をいただきたいと思います。

    〔宮下委員長代理退席、委員長着席〕

山本国務大臣 多重債務者対策本部は、多重債務問題の解決のために、改正貸金業法の内容に加えたさらなる取り組みとして位置づけられております。特に、カウンセリング体制の充実、セーフティーネットの充実、金融経済教育の強化、やみ金融の徹底した取り締まりを含む執行体制の強化、こうしたことについて議論するために設置をいたしました。

 したがいまして、御指摘の、利息制限法の上限金利を超える利息についての支払い義務がない旨を契約書に記載させること、これについては、本部決定でございます多重債務問題改善プログラムの中には盛り込んでおりません。けれども、川内委員御指摘のように、記載の義務づけについては、これは改正貸金業法の要請でもあろうというように考えておりまして、内閣府令で規定することを現在検討しておりまして、その策定作業を進めているところでございます。御理解をちょうだいしたいと思います。

川内委員 何回か、この件はどうなっていますかとお聞きしているわけでございますが、そのたびに、現在、内閣府令の改正を目がけて作業中でございますと、いつ聞いても作業中なんですが、ずっと作業中でないように、いつやる、いつごろをめどにしてやるというふうに御答弁をいただきたいと思います。

山本国務大臣 本規定の施行日は、公布、すなわち昨年の十二月二十日でございますから、この一年以内に定めることとしておりまして、遅くもことしの暮れまでにはしっかりやらせていただきます。

川内委員 それでは、今回の株式会社日本政策投資銀行法案についてお尋ねをさせていただきます。

 今回のこの日本政策投資銀行法案は、平成十四年十月七日の経済財政諮問会議で決定をされた政策金融の抜本的改革に関する基本方針に沿って起案をされてきたという理解でよろしいでしょうか。

尾身国務大臣 政策金融改革の経緯を振り返りますと、今のお話のとおり、経済財政諮問会議が平成十四年の十月七日に取りまとめました政策金融の抜本的改革に関する基本方針を踏まえて、政府として政策金融のあり方を検討してきたものでございます。

川内委員 当然、経済財政諮問会議には財務大臣も議員の一人として御出席でありますから、この平成十四年十月七日に決定をされた政策金融の抜本的改革に関する基本方針は財務省も同意をしているという理解でよろしいでしょうか。

尾身国務大臣 経済財政諮問会議では、財務大臣も議員として出席しているわけでございまして、財務省といたしましても、この基本方針に示された改革の考え方に基づきまして政策金融改革の検討を行ってきたところでございます。

川内委員 これを読みますと、まず冒頭、「わが国の政策金融は諸外国に比べ規模が大きく、かつ時系列的に増大傾向にある。このことが、金融資本市場の資源配分機能をゆがめてきた。」というふうに書いてあります。「時系列的に増大傾向にある。」というのは、私はこれは間違った認識だとまず思いますが、それはそれとして、「金融資本市場の資源配分機能をゆがめてきた。」というのは、一体いかなる趣旨で書かれているのかということを経済財政諮問会議の御担当からお答えいただきたいと思います。

齋藤政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十四年の経済財政諮問会議での議論では、民間金融機関に対するアンケート結果が紹介されておりますけれども、それによりますと、政策金融の存在が、例えば次のような点で弊害をもたらしているという指摘がなされております。

 一つ目は、民間金融機関が十分対応可能な対象への資金供給等により民業を圧迫し、民間金融機関の収益機会を奪っているという点。それから二つ目は、本来民間金融や資本市場が担うことが期待される長期資金の供給やリスクの負担・分散機能を代替してきたために民間の金融機能の発達を阻害する要因になっているという点。それから三つ目は、金融市場の価格メカニズムをゆがめ、非効率プロジェクトが実施されたり、退出すべき企業が存続したりするということを通じて経済全体の成長力を低下させているという点。こういった点が弊害を招いているという指摘がされております。

 また、別の指摘といたしましては、政府系金融機関による低利での長期、固定貸し出しが金利形成に影響を与えることを通じて社債市場等の発展を阻害している面があるということも指摘されております。

川内委員 それはいつの会議ですか。

齋藤政府参考人 これは平成十四年の八月でございます。

川内委員 八月何日か、教えてください。

齋藤政府参考人 八月の二日でございます。

川内委員 それはちょっと私が不勉強でした。知りませんでした。後で見て精査をさせていただきます。

 そういうアンケート調査があり、資源配分機能をゆがめてきたというふうに、政府としてというか経済財政諮問会議として認識をした。

 それで、政策金融のあるべき姿として、「政策金融の存在意義が明確に認められるのは、政策の必要性が明らかであると同時に金融機能をもって対処することが必要な場合である。」というふうにこのペーパーに書かれておりまして、「具体的には1、2の条件が共に当てはまるものである。」として、一番として公益性、二番として金融リスク評価等の困難性という二つの条件を挙げております。公益性というのは「政府の介入によって明らかに国民経済的な便益が向上する場合」、金融リスク評価等の困難性とは「情報が乏しいこと、あるいは不確実性や危険性が著しく大きいことによって、リスクの適切な評価等が極めて困難なため、民間金融による信用供与が適切に行われない場合」というふうに、この公益性と金融リスク評価等の困難性、両方が同時に存在する場合に政策金融の存在意義が明確になるというふうに言っております。

 それではお尋ねをいたします。

 日本政策投資銀行の業務の中で、公益性あるいは金融リスク評価等の困難性、この二つの側面を両方同時にあわせ持つ業務というのはどのくらいの割合であるんでしょうか。

小村政府参考人 私ども、今、政策金融機関でございますが、まず私どもの融資につきましては、財務大臣から中期の経営計画、融資方針を示されます。それに基づきまして、私どもは投融資指針というもので、すべての政策項目について、綿密な条件とそれから対象範囲を決めております。したがいまして、私どもは年間約一千件の案件を取り扱いますが、そのすべてについて、公益性なり政策性、融資項目に合致するかどうか、私自身もすべて目を通します。

 そういった観点から申し上げますと、現在行っているのは公益性があるということであります。

 もう一つ、リスクの問題でございますが、これは金融でございますから、リスクは存在いたします。ただ、私どもは政策金融機関でございますから、民間にとり得ない例えば長期の期間リスクだとか信用リスクについても、私どもとして最大知恵を出してカバーできるものがあるというものについて、リスク等々を審査いたしまして政策金融を行っている、これが現状でございます。

川内委員 いや、私が聞いたのは、日本政策投資銀行の業務の中で、経済財政諮問会議が示している公益性、金融リスク評価等の困難性、これは両方それぞれ定義されていますね。この両方の条件に同時に当てはまる業務というのは割合としてどのくらいあるんですかということをお聞きしております。

小村政府参考人 ただいま御説明いたしましたとおり、私どもとしては、すべてこういう条件についてクリアできるようにということでやってまいりました。

 ただ、公権的な解釈というものについては、ここで私どもの方からコメントすべき問題ではないだろうと思います。

川内委員 では、だれが政府としてこれをコメントするんですか。

勝政府参考人 お答えいたします。

 まず、具体的な数量の割合ですけれども、それにつきましてはちょっと今数字を持ち合わせませんけれども、考え方としましては、これまで日本政策投資銀行は、政策金融機関としてその公益性を確保していた、しかも、民間金融機関のみでは適切な対応が困難な分野に対しては長期資金の供給等を行ってきたわけでございます。

 また、今後につきましては、先生がおっしゃいました二つの基準について申し上げますと、金融市場の高度化等によりまして、まずは、リスクの適切な評価等が極めて困難であるという状況が今や解消されまして、民間金融による信用供与が行われるような状況となってきておること、また、社債市場の充実や金利スワップ等の金融技術の発達等により民間金融による対応が可能となってきたものと考えております。

 以上でございます。

川内委員 いや、今後のことなんかだれも聞いていないですよ。

 今現在、日本政策投資銀行が行っている業務の中で、この経済財政諮問会議が定義をしている公益性あるいは金融リスク評価等の困難性の二つの条件、同時に当てはまる業務の割合というものはどのくらいありますかということをお聞きしています。

 総裁はすべて当てはまると言っています。それは、総裁のお答えは私はそのとおりだと思いますよ。二〇〇六年のディスクロージャー誌には政策金融の必要性という政策評価をしっかりしていらっしゃって、「五事業において政策金融による関与の必要性が高まっており、一事業で関与の必要性が減少あるいは関与を要する対象が変化しているが、他の百四事業では関与の必要性が継続している。」というふうに、すべての事業において政策金融が必要であるということをディスクロージャー誌でおっしゃっています。

 だから、政府として、日本政策投資銀行がディスクロージャー誌で言っていることはうそだ、政策金融の必要性などは全くないのだというふうにおっしゃるのかどうなのか。ここは立法事実にかかわることなので、明確にお答えいただきたいと思います。

勝政府参考人 お答えいたします。

 現在、政策投資銀行は、個別案件ごとに評価を行いまして、それにつきまして一定の評価結果を公表しています。

 先生がおっしゃいました公益性と金融によるリスクの負担の問題でございますけれども、公益性につきまして、あるかないか、白か黒だけじゃなくて、政策金利につきましても例えば政策金利1、政策金利2がございますので、程度もいろいろあると思っています。

川内委員 何を言っているんですか。全然答弁になっていないじゃないですか。

 委員長、答弁になっていると思いますか。

伊藤委員長 いや、私は答える立場じゃないですから。

川内委員 日本政策投資銀行法第二十一条「業務の条件」に「日本政策投資銀行は、一般の金融機関から通常の条件により貸付け若しくは債務の保証を受け、日本政策投資銀行以外の者が応募その他の方法により取得する社債の発行により資金の調達を行い、又は日本政策投資銀行以外の者から出資を受けるのみでは事業の遂行が困難である場合に限り、貸付け等を行うことができる。」と書いてあります。

 ほかの民間の銀行だけでは事業の遂行が困難である場合に限って、そういう場合に限って貸し付けなりなんなりをすることができると書いてあって、これは法律ですから、日本政策投資銀行さんはそのとおりにおやりになっていらっしゃるわけです。公益性やあるいはリスク評価等の困難性、両方同時にあわせ持っていますというのは、日本政策投資銀行さんは、すべての業務についてそうだと思っていますと言っている。

 では、ちょっとお尋ねしますが、日本政策投資銀行の政策評価なり、あるいは中期経営計画に基づく主務大臣への報告というのはどうなっているんでしょうか。

小村政府参考人 私どもの政策評価は毎年行っております。この政策評価につきましては、東京大学の政策評価の権威である教授を長といたします評価委員会というのを別途外部の先生方にお願いいたしております。この政策評価に基づきまして、もはや継続すべきでないというものについては廃止していくということで見直しをしております。

 それで、その結果を私どもの外部から成る運営評議員会の先生方に報告し、その報告に基づきまして財務大臣にその結果を報告いたしております。これはもう膨大な報告書になっておりますが、きちっと各項目について報告をいたしております。

川内委員 その報告を財務大臣が受け取っているということは、日本政策投資銀行が行っている業務は、公益性あるいは金融リスク評価等の困難性、両方同時にあわせ持っているのだということの業務の妥当性についての報告を受け取っているわけですから、政府としても、今現在、日本政策投資銀行が行っている業務は、公益性あるいは金融リスク評価等の困難性、両方同時に備え持っているということを政府見解として言わなければならないのではないでしょうか。

勝政府参考人 お答えいたします。

 政策投資銀行は、現在、政策金融を担っておりますので、その意味では、当然、先生がおっしゃいましたような法律の条文にのっとって業務を行っております。

 先ほど申し上げましたのは、こういう公益性及びリスク評価機能にかんがみまして、今後、平成二十年十月以降、この二つを一体として民営化するということだと思っています。

川内委員 委員長、今の答弁の意味がわかりますか。

伊藤委員長 私は答弁する立場ではありませんので、質問を続けていただきたいと思います。

川内委員 委員長も、もうちょっと誠実に議事を仕切ってくださいよ。だって、全然答えてないじゃないですか。

 日本政策投資銀行さんが、政策評価をし、主務大臣に報告をしている。その中には、政策金融の必要性、公益性も金融リスク評価等の困難性も両方同時に備え持っているのだと、今現在の業務についてそういう報告をしているわけです。財務大臣はそれを受け取っているわけです、そうかと。ということは、政府としては、今現在、日本政策投資銀行が行っている業務というのは、この経済財政諮問会議が定義づけている、公益性、金融リスク評価等の困難性、両方同時にあわせ持っている仕事を、今現在、日本政策投資銀行はやっているということを政府見解として言わなければおかしいでしょう。違いますか。

伊藤委員長 いや、それは、私に御質問になられているようでありますけれども、誠実に議事の進行をするしないではなくて、委員から政府側に御質問いただきたいと思います。

川内委員 では、誠実に答えさせてください、誠実に。僕は無理を言っているつもりはないですよ。

勝政府参考人 お答えいたします。

 現在、政策投資銀行は政策金融の機能を担っておりますので、先生がおっしゃいましたように、法律の条文に沿って業務を行っていると理解しております。

川内委員 いや、法律の条文に沿ってというのは、さっき私も申し上げた。さまざまな法律の条文に沿って日本政策投資銀行は仕事をしている。その結果として、経済財政諮問会議が指摘をしている、政策金融の必要性が明確に是認をされる公益性と金融リスク評価等の困難性を両方同時にあわせ持つ業務を日本政策投資銀行はやっていますということを総裁は御答弁になられ、その報告も毎年していますということを御答弁になられているわけです。

 政府見解として、今現在、この経済財政諮問会議が条件づけている二つの条件、ともに当てはまる仕事を日本政策投資銀行はやっているということを政府見解として言わなければおかしいということですよ。法律にのっとって仕事をしているでしょうとか、ずらして答えずに、両方とも満たしていますとちゃんと言ってくださいよ。

尾身国務大臣 政策金融の抜本的改革に関する基本方針、平成十四年十月の経済財政諮問会議におきましての方針でございますが、これは、政策金融のあり方として、今お話しの、公益性と金融リスクの評価等の困難性の二つの基準によって政策金融の活動領域を整理しております。

 具体的には、いずれの基準も満たす場合については政策金融固有の領域としておりますが、いずれかの基準に該当しない場合や、いずれの基準も満たさない場合については政策金融で行う必要はないと整理しているわけでございます。

 これまでの政策投資銀行につきましては、政策金融機関として、公益性を確保しつつ、民間金融機関のみでは適切な対応が困難な分野に対しまして長期資金の供給等を行ってきたものでございます。

 しかしながら、政策投資銀行が行ってきた長期の事業資金の供給につきましては、金融市場の高度化等に伴いまして、一つは、リスクの適切な評価等が極めて困難であるとの状況が解消され、民間金融による信用供与が行われ得る状況になりましたということ、二つ目が、社債市場の充実や金利スワップ等の金融技術の発達によりまして民間金融による対応が可能になったものと考えられること、この二つの理由から、日本政策投資銀行が政策金融から撤退しても、当該分野への民間金融機関や市場からの資金調達により対応可能であるということに整理したものでございます。

川内委員 いや、今の財務大臣の御答弁は、私はそうですかと言うわけにはいきませんで、なぜかならば、公益性さらには金融リスク評価等の困難性が両方同時に存在をする場合においては金融資本市場というものがしっかりと機能しにくい、だからこそ政策金融の役割というものがあるのだというのが政策金融の定義であるというふうに思います。

 そうすると、金融資本市場の資源配分機能をゆがめてきた政策金融機関も、もしかしたらあったのかもしれないし、あるのかもしれない。しかし、日本政策投資銀行の場合には、私は、今、日本政策投資銀行のことを議論しているわけでございますけれども、日本政策投資銀行の場合には、政策金融の必要性が認められる公益性さらに金融リスク評価等の困難性、両方同時にあわせ持つ仕事、業務をやってきたし、その政策についての評価もしているし、財務大臣もその報告を毎年受け取っていらっしゃる。すなわち、政策投資銀行の仕事は、公益性、金融リスク評価等の困難性、両方同時にあるんだねということを毎年報告を聞いたということですよ。

 違うなら、違う、報告を受け取らない、書き直させるという指摘をしなければならないわけですよ、財務大臣としては。法令にのっとっていない仕事をしているじゃないかと。もともと、法律にのっとってやっているというのは、公益性も金融リスク評価等の困難性もあるんだ、両方同時にあるんだということだと思いますよ。

 総裁は、両方同時にある仕事しかやっていません、自分たちはそのつもりだと。その報告を上げていると言っているわけですから、政府としては、日本政策投資銀行はそのような公益性も金融リスク評価等の困難性も両方同時にある業務しかしていないということを政府見解としても言わなければ、報告を受け取っていることにならないでしょう。御答弁ください。

勝政府参考人 お答えいたします。

 日本政策投資銀行は、現在、政策金融の分野を担っておりますので、先生がおっしゃいましたように、法律にのっとりまして、公益性と、リスク負担といいますか、評価能力を両方備えて業務を遂行していると思っています。

川内委員 そうすると、政策金融、本来あるべき政策金融として日本政策投資銀行は仕事をしているというふうに、政府としても政府見解としてそのように認めるという今御答弁でした。財務大臣も、今の御答弁をそのとおりだと確認していただけますか。

尾身国務大臣 日本政策投資銀行のこれまでの役割といいますか活動につきましては、先ほどのお話のとおり、公益性あるいは金融リスクの評価の困難性等の基準によって活動領域を整理しております。

 それに対して、今までの政策投資銀行の資金供給の業務につきましてはそのとおりであると思っておりますが、しかし、金融情勢、金融市場の高度化等の状況によりまして、リスク評価が困難であるというような状況は解消されて、民間金融による信用供与が行われ得るような状況になったということ、さらには社債市場の充実や金利スワップ等の金融技術の発達により民間金融による対応が可能になったということから、政策投資銀行が政策金融から撤退しても、当該分野への民間金融機関や市場からの資金調達によって対応が可能であるという考え方のもとに金融改革をしよう、こういうことでございます。

川内委員 そうすると、今、公益性、金融リスク評価等の困難性、両方同時にあわせ持つ業務を日本政策投資銀行はやっていると、政府としても見解としてお認めいただいたわけでございますが、しかし、状況が変わったのだ、だから撤退してもいいのだという御見解が示されたわけでございます。

 それでは、状況が変わったのであれば、なぜ、行革推進法の中で、完全民営化に当たってはその根幹を維持するとか、あるいは今回の株式会社日本政策投資銀行法の附則においても、投融資機能は維持をするとか株式の処分方法について工夫をするとか、さまざまなそういうことをしなければならないのか。状況が変わったのであれば、ただ単に民営化するだけでいいではないかということになるわけですが、しかし、政策金融という分野で日本政策投資銀行が果たしてきた仕事の大事さというのは私は依然として続いているのであろうというふうに思います。

 そこで、完全民営化後のビジネスモデル、この委員会でもさんざん議論になったわけでございますが、公益性もあり、リスク評価の困難な部分の仕事というものを、完全民営化された政策投資銀行さんがどうやっておやりになられようとするのか、ちょっとその辺を具体的に御説明いただきたいというふうに思います。

小村政府参考人 基本的には、完全民営化をした場合には民間金融機関と全く同じ立場になります。したがいまして、民間金融機関が対応可能なもの、あるいは対応不可能なもの、それは、同時に私どもも同じ立場になろうかと思います。

 そういう意味におきまして、現在やっておりますこうした機能をそのまま私どもが引き継いで、腹切りの融資をしろと言っても、それはなかなか難しいだろう。そのためには、もし政策上真に必要なものがありますれば、関係各省庁において制度的な担保をきちんとやっていただきたい。これは、民間金融機関とのイコールフッティングで、当然、なされて結構であります。

川内委員 しっかり担保をしていただきたいという御発言があったわけでございますが、政策投資銀行あるいは商工中金の話にしてもそうですが、前半の部分で、要するに立法事実はないんですよ。民営化しなければならない立法事実はないにもかかわらず、無理やり民営化するわけですね。(発言する者あり)今、萩山先生からもそのとおりだよと大変お褒めをいただいて、私も恐縮至極でございます。

 小泉総理が、経済財政諮問会議、平成十七年第二十三回でございますが、これは議事要旨ですけれども、

  今日の谷垣議員、中川議員の話を聞いても、財務省、経済産業省がいかに抵抗しているかというのがわかる。政府系金融機関を改革するというときに、自民党の幹部がいる席に私が行ったら、とんでもない、一指も触れさせないと言ったのだから、いかに抵抗が強いのかがわかるだろう。郵政民営化もそう、特殊法人もそうだ。最初のヒアリングのときには、すべて必要だから存在していると言っていた。今もそうだ。存在しているのが全部必要だと。だから、発想を変えて、官しかできないことがあると言うのなら、どうすれば民ができるかということを考えてやってほしい。民でやることは民にというのは賛成だと、しかし官しかできないことがあるのだったら、なぜ今まで民でできなかったのか、どうやったら民ができるか、財務省も経済産業省もそういう発想で案を出してほしい。それからまた始めてくれ。これは全部公開しているのだからわかるはずだ。もともと一指も触れさせないと言われていたことをやるという覚悟でやっているのだから、財務省と経済産業省の大臣も余り役所に引きずられないようお願いする。

というふうに経済財政諮問会議で、この一言で流れが決まったわけです。

 前総理のために民営化する。立法事実はないわけですよ。それは政府もきょう認めたわけですから。政策金融として立派に仕事をしている、しかし、その政策金融をなくして民営化するんだと。総裁は、完全民営化後は我々は一般の金融機関でございますというふうにお述べになられていらっしゃる。それは当然ですよ。政策金融をやるから収支相償原則で立派なお仕事ができるわけでございまして、民間金融機関になったら株主のために利益を出さなければならない、これは当然のことでございます。

 私たちは、財務金融委員会でこのような法律を通すことが、果たして日本の経済のためになるのかどうか、よく考えなきゃいかぬと思いますよ、与党の先生方も。萩山先生なんか、そのとおりだと言ってどこかへ出ていっちゃったけれども、私は、財務大臣、政策投資銀行さんのディスクロージャー誌も読ませていただいたし、あるいは日本政策投資銀行の民営化についてという資料なども読ませていただいて、ああ、さまざまな御努力をされていらっしゃるんだなと改めて思いました。

 別に、政策投資銀行の肩を持ったところで私は何の得もないんですけれども、しかし、地域の金融機関やあるいは地域の事業者の皆さんというのは、やはり政策投資銀行が前に出てきてくれるからほかの金融機関もついてきてくれる、あるいはしっかりとした融資がしていただけるということを口々に皆さんおっしゃるわけでございまして、この法律を、はい、そうですかと通すことは私にはとてもとてもできないというふうに思うわけでございます。

 財務大臣、今までの御議論をお聞きになられて、いや、それでもやはり民営化するんだ、状況が変わったんだと。景気なんというのは、幾らでもまた悪くなるんですよ。そのときに、バブル崩壊後の経済界を支えた日本政策投資銀行はもうないんですよ。そのようなことになったときに、政府として経済の運営に責任をとれるのかどうか、ちょっと御見解を、もうこの法案は撤回するぐらい言っていただきたいんですけれども。

尾身国務大臣 日本政策投資銀行につきましては、行政改革推進法におきまして、完全民営化をすると定められているわけでございます。

 これは、平成十七年十二月二十四日の閣議決定、行政改革の重要方針におきまして、政策金融は三つの機能に限定する。すなわち、一つは中小零細企業、個人の資金調達支援、二つ目は国策上重要な海外資源確保、国際競争力確保に不可欠な金融、さらに三つ目は円借款に限定をいたしまして、それ以外の業務につきましては撤退するという方針に沿ったものでございます。すなわち、民間でできることは民間に任せて、簡素で効率的な政府を実現するという考え方に立って政策金融改革を行うものでございます。

 政策投資銀行の完全民営化につきましてもこうした考え方によるものでありまして、公的部門の縮小と政府信用の圧縮により、簡素で効率的な政府を実現し、ひいては我が国経済の効率化、活性化に資するものと考えておりまして、そういう意味におきまして、この政策投資銀行の改革は我が国の将来にとって必要なものであると考えております。

川内委員 民間でできることは民間にというのは、それはそのとおりだと私も思います。

 しかし、今現在、日本政策投資銀行がやっている仕事は、民間ではできない仕事をやっている。それは、要するに、公益性が高く、金融リスク評価等の困難性が両方同時に存在する業務をやっているんだと総裁もそのようにお述べになられたし、政府見解としてもそれはそうだということを財務大臣はおっしゃっていらっしゃるわけでございまして、民間でできないことを今現在やっている日本政策投資銀行を民営化するというのは、私は余りに乱暴な議論ではないかというふうに思います。

 しかし、法律の中に、株式を完全に処分した後に法律を制定しと、廃止法をつくるということが書いてあるわけですから、そのときにもう一度しっかりとした国会での議論というものがなければならないというふうに私は思いますし、少なくとも、与野党の理事の先生方は附帯決議をおつくりになられるのかどうかわかりませんが、日本政策投資銀行は民間でできないことをやっているんだということを踏まえて附帯決議をおつくりになられるのであれば附帯決議をつくって、政府の行動をしっかりと縛っていただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。

 最後に、時間が余ったので、沖縄の大学院大学のことについてちょっとだけ聞かせていただきます。

 これなども実は政策投資銀行がやった方がいいんじゃないかという案件なんですが、沖縄の科学技術大学院大学、旧白雲荘改修工事について、工事その1、その2、その3と分けられているが、おのおのの契約形態、予定価格、落札率、契約金額を教えていただきたいというふうに思います。

清水政府参考人 今御指摘の、おのおのの工事の契約形態、予定価格、契約金額の予定価格に占める割合等でございますが、工事その1につきましては、契約形態は公募型指名競争入札、予定価格は三億二百十九万円、契約金額二億四千百五十万円、契約金額の予定価格に占める割合七九・九%でございます。

 工事その2、契約形態は随意契約、予定価格は六千百八十四万五千円、契約金額は六千百六十七万七千円、契約金額の予定価格に占める割合九九・七%。

 工事その3ですが、契約形態は随意契約、予定価格七千五十六万円、契約金額五千六百三十八万五千円、契約金額の予定価格に占める割合は七九・九%というふうに聞いております。

川内委員 工事その1、その2、その3はすべて同じ業者さんがやっていらっしゃって、その1とその3は落札率が七九・九%である。しかし、その2は九九・七%。これだけ一つ高いわけでございます。

 一般的には、入札で落札をした業者さんにその次の追加工事を随契で発注する場合には、その一回目の落札率で仕事ができるということが前提ですから、その2も七九・九%でなければならないのではないかなというふうに思うんですが、なぜ落札率がその2だけが一に近いのか、九九・七%であったのかということについて御説明をいただきたいと存じます。

清水政府参考人 工事その1、その2、その3でございますが、旧白雲荘の改修工事につきまして、予算の制約から、一方、年度内竣工の必要性等にかんがみて、公募型指名競争入札、対象を限定してその1が行われたわけですが、今、その予定価格と契約金額についてお尋ねでございます。

 旧白雲荘改修工事の予定価格につきましては、いずれの工事につきましても、沖縄科学技術研究基盤整備機構において、公共建築工事積算基準に基づきまして算出されたものと聞いております。

 工事その2、工事その3の予定価格は、現に工事その1の施工中の業者に発注することから、機構におきまして、公共建築工事積算基準に基づきまして、共通仮設費、現場管理費等の共通費を減額して算出されたものであると聞いております。

 工事その2、その3につきまして、適正に算出された予定価格を下回る見積額が業者から提示されたため、提示金額により契約を行ったと承知しております。

川内委員 時間が来ましたので、これで終わります。

伊藤委員長 次回は、明二十三日水曜日午後一時二十分理事会、午後一時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時六分散会


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