衆議院

メインへスキップ



第4号 平成19年11月7日(水曜日)

会議録本文へ
平成十九年十一月七日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 原田 義昭君

   理事 大野 功統君 理事 奥野 信亮君

   理事 後藤田正純君 理事 田中 和徳君

   理事 野田 聖子君 理事 中川 正春君

   理事 松野 頼久君 理事 石井 啓一君

      赤池 誠章君    石原 宏高君

      小川 友一君    越智 隆雄君

      木原  稔君    佐藤ゆかり君

      鈴木 馨祐君    関  芳弘君

      平  将明君    谷本 龍哉君

      とかしきなおみ君    土井 真樹君

      中根 一幸君    林田  彪君

      原田 憲治君    広津 素子君

      松本 洋平君    宮下 一郎君

      盛山 正仁君    山本 有二君

      若宮 健嗣君    池田 元久君

      岩國 哲人君    小川 淳也君

      小沢 鋭仁君    後藤  斎君

      階   猛君    鈴木 克昌君

      田村 謙治君    高山 智司君

      古本伸一郎君    大口 善徳君

      佐々木憲昭君    野呂田芳成君

      中村喜四郎君

    …………………………………

   財務大臣         額賀福志郎君

   国務大臣

   (金融担当)       渡辺 喜美君

   内閣府副大臣       山本 明彦君

   財務副大臣        森山  裕君

   財務大臣政務官      宮下 一郎君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  三國谷勝範君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    西原 政雄君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 高橋 正樹君

   政府参考人

   (財務省大臣官房総括審議官)           鈴木 正規君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   真砂  靖君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   香川 俊介君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   木下 康司君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    加藤 治彦君

   政府参考人

   (財務省国際局長)    玉木林太郎君

   参考人

   (日本銀行理事)     稲葉 延雄君

   財務金融委員会専門員   首藤 忠則君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月七日

 辞任         補欠選任

  石原 宏高君     若宮 健嗣君

  越智 隆雄君     平  将明君

  松本 洋平君     赤池 誠章君

  下条 みつ君     後藤  斎君

  平岡 秀夫君     田村 謙治君

  古本伸一郎君     岩國 哲人君

同日

 辞任         補欠選任

  赤池 誠章君     松本 洋平君

  平  将明君     越智 隆雄君

  若宮 健嗣君     石原 宏高君

  岩國 哲人君     古本伸一郎君

  後藤  斎君     下条 みつ君

  田村 謙治君     小川 淳也君

同日

 辞任         補欠選任

  小川 淳也君     高山 智司君

同日

 辞任         補欠選任

  高山 智司君     平岡 秀夫君

    ―――――――――――――

十一月五日

 消費税率の引き上げ・大衆増税反対に関する請願(内山晃君紹介)(第五〇一号)

 保険業法の見直しを求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五〇二号)

 同(石井郁子君紹介)(第五〇三号)

 同(笠井亮君紹介)(第五〇四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第五〇五号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第五〇六号)

 同(志位和夫君紹介)(第五〇七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五〇八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五〇九号)

 同(吉井英勝君紹介)(第五一〇号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第五五八号)

 同(金田誠一君紹介)(第五五九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第五六〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第五六一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五六二号)

 同(西村智奈美君紹介)(第五六三号)

 同(下条みつ君紹介)(第六一一号)

 同(松本龍君紹介)(第六一二号)

 同(三谷光男君紹介)(第六一三号)

 保険業法の適用除外に関する請願(内山晃君紹介)(第五一一号)

 同(田嶋要君紹介)(第五六四号)

 同(野田佳彦君紹介)(第五六五号)

 同(下条みつ君紹介)(第六一四号)

 中小自営業の家族従業者等のための所得税法の改正等に関する請願(内山晃君紹介)(第五一二号)

 同(吉良州司君紹介)(第五一三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第五一四号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第五一五号)

 同(志位和夫君紹介)(第五一六号)

 同(渡辺周君紹介)(第五一七号)

 同(安住淳君紹介)(第五七四号)

 同(西村智奈美君紹介)(第五七五号)

 同(逢坂誠二君紹介)(第六一七号)

 同(柚木道義君紹介)(第六一八号)

 株式公開会社の株式に関して会社法第四百六十九条等(反対株主の株式買取請求)に基づき売却する場合の課税方法に関する請願(中川正春君紹介)(第五一八号)

 自主共済の健全な発展と運営に関する請願(内山晃君紹介)(第五一九号)

 同(野田佳彦君紹介)(第五七六号)

 消費税増税反対、住民税をもとに戻すことに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五六六号)

 同(石井郁子君紹介)(第五六七号)

 同(笠井亮君紹介)(第五六八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第五六九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第五七〇号)

 同(松本龍君紹介)(第六一五号)

 庶民大増税反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五七一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第五七二号)

 同(志位和夫君紹介)(第五七三号)

 同(松本龍君紹介)(第六一六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 財政及び金融に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

原田委員長 これより会議を開きます。

 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として日本銀行理事稲葉延雄君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として金融庁総務企画局長三國谷勝範君、監督局長西原政雄君、総務省大臣官房審議官高橋正樹君、財務省大臣官房総括審議官鈴木正規君、主計局次長真砂靖君、同香川俊介君、同木下康司君、主税局長加藤治彦君、国際局長玉木林太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

原田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。越智隆雄君。

越智委員 おはようございます。自由民主党の越智隆雄でございます。

 本日は、質問の時間をちょうだいいたしましてありがとうございます。きょうは二十分の時間でございますので、要領よく質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず最初に、額賀大臣に、財政健全化の取り組みについて、またお考えについて、基本的なところをお伺いしたいというふうに思います。

 財政の健全化につきましては、具体的な目標が設定されましたのが昨年の七月の七日、骨太の方針二〇〇六でございますので、きょうが十一月の七日ですから、一年と四カ月がたったということでございます。その間にさまざまな議論が出てきて、また新たな課題も明らかになってきたというふうに思いますので、その点について何点か質問をしてまいります。

 一つ目の議論は、骨太の方針二〇〇六の堅持についてであります。一番真っ当な質問なんでございますが、骨太の方針二〇〇六で決められた歳出歳入一体改革に向けた取り組みを、ぶれることなく、しっかりと堅持して実行していくのかということであります。

 この点については、先日の大臣所信の中でも、経済成長を維持しながら財政再建を図っていく、そのためには、骨太の方針二〇〇七等において示された方針に沿って分野別の歳出改革を徹底して、一体改革に向けて最大限の努力をするというふうに大臣は発言されておりますけれども、ただ、一方で、実際の議論として、この骨太の方針二〇〇六で決められたことを実現する必要はないという議論も、例えば、骨太の方針二〇〇七が決められる前の段階、五月、六月の段階では、実際には議員の間で出てきたことも事実でありますし、また、今国会でも、経済財政諮問会議の必要性に疑問を投げかけるという議論も出てきているのも事実でございます。

 そこでまず、この骨太の方針二〇〇六の基本的な考え方を堅持するということについて、改めて大臣の御意見を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

額賀国務大臣 今、日本の置かれた経済状況とか財政状況というのはもう越智委員御承知のとおりでございまして、せっかく、長期の不況トンネルを抜け出して経済が回復軌道をとっているわけでありますから、きちっとこれを、持続的な成長を安定させると同時に、GDP比一四八%の史上最悪の長期債務を改善していくことは至上命題であるというふうに思っております。これは内外でも、日本の財政再建がどういうふうに進展していくかということは注目されていることでございます。

 その上に少子高齢化を急速に迎えていくわけでございますから、今後の若い世代の負担、それからお年寄りの安定した形、そういう負担と給付をどうしていくのか、そういうことを考えていったときは、きっちりと歳出歳入の一体改革を図って財政の健全化をしていかなければならない。

 それから、対外的にも、二〇一一年度には基礎的財政収支を着実に黒字化していくということもお約束をしている。そのためにも、二〇〇六年度の各分野別の歳出削減、これは断じて行っていかなければならないということだと思っておりますので、そういう方向で、昨年度もそうしたし、今年度もそうしたし、来年度も予算編成に当たってしっかりと歳出改革を行い、と同時に、めり張りのきいた予算をつくっていくことにしたいというふうに思っておりますので、各先生方の御理解をいただければありがたいというふうに思っております。

越智委員 ありがとうございました。

 二つ目の出てきている議論でございますけれども、財政健全化の道筋についての議論であります。具体的には、成長路線と増税路線の議論についてであります。

 きょう、ここで、そのどちらがいいというような議論をするつもりはないんですけれども、この議論は、去年の初めに、日銀の金融政策をめぐって、上げ潮派の議論から始まったように思いますけれども、その後の日銀の量的緩和政策の解除、骨太二〇〇六の策定を経て、ここ一年ぐらいは議論が収束していたというふうに思っておりますが、また最近になって改めて浮上してきた、活発になってきたというふうに思います。

 ただ、去年の議論とことしの議論では、内容といいますか、観点が全然違っていて、今の議論は、成長派と増税派では、考えていることはかなり近いのではないかというふうに思っています。

 というのは、財政の健全化という目標は変わらずに、そのための手段としては、いずれにしても歳出削減を頑張る、そして経済成長による税収増も図る、それに加えて、必要に応じて増税をする、この三つのミックスだという点では変わらないんじゃないかというふうに思います。

 そこで、本質的に、今行われている政策議論、成長路線と増税路線というのはどこが違うのか。政策判断という観点で見たときに、どこが違って、何が争点なのか。その辺、どうお感じになっていらっしゃるのかということについて大臣の御所見を伺えれば大変ありがたいと思います。

森山副大臣 越智委員にお答えをいたします。

 路線の話でありますが、経済成長なくして財政再建はあり得ませんし、また、財政再建がなければ将来に不安感を残すことになります。経済成長か財政再建かといった二者択一は、必ずしも正しい整理ではないのではないかというふうに考えております。

 財政再建に当たりましては、持続的な経済成長を図りつつ、まずは徹底した歳出削減を行い、それでもなお対応し切れない社会保障等に伴う負担増につきましては、安定財源を確保し、将来世代へ負担を先送りしない取り組みが必要であろうというふうに考えているところであります。

 以上であります。

越智委員 ありがとうございました。

 今副大臣からも御答弁ございましたけれども、私も、これは実際には僅差じゃないかというふうに思っております。やらなきゃいけないことは決まっておりますが、ただ、あとは時間軸の問題で、どの政策手段をいつとるかという議論がこれから本格的になされなければならないんじゃないかというふうに思っているところであります。

 その次に、質問の通告では消費税について話をするつもりでありましたが、ちょっと時間の関係もありますので、それは後回しにしまして、財政健全化の進捗管理という点についてお話をしたいというふうに思います。

 これは、今回の財政健全化についての新しく明らかになってきた課題の部分だというふうに思います。

 これから二〇一一年の黒字化の実現に向けて、その間いろいろな政策判断を重ねていかなければいけないわけです。歳出削減であったり成長政策であったり、あるいは税制改正ということでありますけれども、その選択に当たって、その時々の健全化の進捗状況がどうなっているのかということを的確に把握していないと、なかなか政策判断ができないのではないかというふうに思っております。

 五年間あるわけですけれども、その時々の進捗状況について、例えば、平成十八年度の実績を反映した形でのプライマリーバランスのシミュレーション等は作成されておりますけれども、ここでちょっとお伺いしたいことは、骨太二〇〇六の財政改革の概要の試算のところで出されていた数字等はマクロベースの数字でありまして、SNAベースであるわけですけれども、実際の収支というのは積み上げベースでありまして、最終的に一致するのかどうかというのがなかなか見えにくいわけであります。

 また、骨太の二〇〇六では、二〇一一年の目標ということは掲げられておりますけれども、年次ごとの歳出歳入の進捗管理、進捗目標というのは掲げられていないという状況の中で、この進捗状況の具体的なイメージ、ちゃんと進んでいるのかというところがなかなかイメージが持ちにくいわけであります。この辺について、政策選択において国民にもわかりやすい説明が必要だと思うんですけれども、お考えを聞かせていただきたいというふうに思います。

森山副大臣 お答えをいたします。

 基本方針二〇〇六で、各分野において五年間に取り組む歳出改革の内容が明示されております。平成十九年度予算から、各分野の改革を着実に実施しているところであります。

 具体的には、平成十九年度予算におきましては、社会保障については、雇用保険の国庫負担の縮減等により歳出の伸びを二千二百三十億円抑制ができましたし、また、公共事業につきましては、前年度当初予算、三%を上回る削減などの取り組みが行われてきたところであります。

 また、本年八月にお示しをした平成二十年度予算の概算要求基準においては、社会保障に関する経費は、制度等の見直しによりまして二千二百億円の合理化を図り、公共事業関係費は三%削減するなど、基本方針二〇〇六等に沿って、歳出改革を徹底して取り組んでいるところであります。

 なお、地方につきましても、平成十九年度地財計画におきまして投資単独事業を三%減とするなど、基本方針二〇〇六で示された歳出改革を着実に実施したものとなっております。

 今、越智委員御指摘のとおり、今後とも、財政健全化の取り組みにつきましては、国民の皆さんの御理解が最も大事なことでございますので、国民の皆様にわかりやすくお示しをしてまいりたいというふうに考えております。

越智委員 ありがとうございました。歳出削減について、骨太二〇〇六に即して懸命な努力をされている、実現されているということはよくわかりました。

 ただ、これから二〇一一年、最終的に何らかの手段を講じなきゃいけない。骨太二〇〇六でも、うまくいっても二兆円あるいは五兆円の要対応額の不足が出るわけでございます。そういう意味では、去年の段階でもう既に、消費税で換算すると一%から二%の引き上げが必要だという議論が出ていたわけでありますけれども、これからこの議論がもっと現実化していく中で、やはりその時々に応じて、今どういう状況になっているのか、歳出削減努力をここまでしたというだけじゃなくて、歳入も含めてその進捗管理が必要なんじゃないか、この辺、何か御検討いただけないかというお願いでございます。

 それでは次に、二つ目の課題として、去年の骨太の二〇〇六を決めたその後にさまざまな政策課題が発生してきた。このことについては、予算がありません、財政出動しませんという話ではないというふうに思います。新たな政策課題が発生した場合にどうするかということについてもしっかりと議論をしていかなきゃいけないんじゃないかというふうに思います。ですので、新たな政策課題が発生した場合に、その財政負担分をどうするのか。骨太の二〇〇六で示された歳出改革の概要の枠内で考えるのか、あるいは枠外とするのか、この辺の議論をしっかりしていかなきゃいけないんじゃないかというふうに思っております。

 具体的には、十月の十七日の経済財政諮問会議、ここで議論されたプライマリーバランスの試算の中に、第三のケースとして、毎年度歳出を一兆円ずつ積み増したケースというものが掲載をされました。

 このことについて、大田大臣が記者会見で、少子化対策やあるいは医師不足による妊婦の死亡の事例を挙げて、緊急課題に対処するということで、骨太二〇〇六に書かれていない別の要因ということでこういった一兆円を積み増したケースを考えたという説明をされておりますので、この一兆円については、そのような新たな政策課題に対する対応ということだと理解をしております。

 ただ、こういう場合には、その一兆円についてはまた新たに財政負担が出るわけですから、新たな歳入も手当てをしなきゃいけないということでありまして、この辺について今どうお考えになっているのか。

 まず一点目は、新たな政策課題が枠内か枠外かということをどう議論していくのかということと、二点目は、枠外がふえていったときに、要対応額がふえるわけですけれども、このことについてどう考えるのか。この二点、現状でのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

森山副大臣 お答えを申し上げます。

 各年度の予算編成において、新たな政策課題に対応していく必要はあるというふうに思いますけれども、我が国の財政事情は、先生御承知のとおり大変厳しい状況にございますので、今後とも、基本方針二〇〇六等に示された方針に沿って歳入歳出一体改革を進めていくことが重要であると考えております。

 具体的には、基本方針二〇〇六等において示された方針に沿って各分野別の歳出改革を徹底するとともに、新たな政策課題に対応すべく、真に重要な分野への重点化を図って、めり張りのきいた予算編成を行ってまいりたいと考えます。

 また、国民生活に関係が深く、歳出改革だけでは対応し切れない社会保障等に伴う負担増に対しましては、安定的な財源を確保するため、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させるべく、本格的な議論を進めてまいるべきではないかというふうに考えているところであります。

越智委員 ありがとうございました。

 骨太の二〇〇六というのは、それまでつくられてきた骨太の方針とは違って、初めて、政府だけじゃなくて与党が一緒になって政府・与党一体の財政・経済一体改革会議というのを立ち上げて、それで決めたものであります。小泉改革の総仕上げというようなものだったというふうに思います。

 この二〇〇六の基本的な枠組みをどうするのかということについては、これからその実現に向けてさまざまな政策選択をしていく上で、真剣に考えなきゃいけないというふうに思います。その一つが進捗管理でありますし、あとは、枠内か枠外かという議論。ここがいいかげんになってしまいますと、何のために骨太の二〇〇六をつくったのかということになりますので、ここについてはこれからも議論を続けさせていただきたいというふうに思います。

 それでは、最後になりますけれども、渡辺大臣がいらっしゃっているので、ぜひ一問だけ聞かせていただきたいと思います。

 サブプライムローンの問題につきましては、この委員会でも、先般来、委員の皆様が質問されているところでありますが、その点で一問だけ質問させていただきたいと思います。

 米国のサブプライムローンの関連商品、この投資家としての日本じゃなくて、日本のローン市場を見たときに、同種の問題が発生する可能性をどう考えているのかというところであります。

 米国のサブプライムローンについては、ある資料によりますと、七五%が証券化されている、二五%が原債権のまま金融機関に持たれているということであります。原債権の貸し倒れによって銀行経営が悪くなったというニュースは今のところ余り聞かないわけでありまして、この問題は、原債権よりは、むしろといいますか、主に証券化を多重にしているということによって起こったというふうに考えておるわけでありますけれども、その認識でよろしいのかどうかというのが一点目でございます。

 二点目は、日本においてこのような問題が起こり得るかという話なんですけれども、一点目の原債権といいますかローンの貸し出しについては、恐らく米国よりも日本の方が審査基準がかなり厳しいというふうに思いますので、そういった意味ではより安全であろうということであります。証券化については、日本でも大分証券化が進展してリスクの所在がわかりにくくなっているとはいえ、日本の証券化というのは、米国に比べたら一周おくれか二周おくれだというふうに思っておりますので、そういった意味では、まだそのリスクというのは小さいんじゃないかというふうに考えておりまして、同種の問題が発生する可能性はかなり小さいんじゃないかというふうに認識をしておるんですけれども、この辺についての大臣のお考えを聞かせていただけたらありがたいと思います。

渡辺国務大臣 越智先生御指摘のように、サブプライムローンの原債権のエクスポージャーによって金融機関の経営が悪化しているというニュースは余り聞こえてこないんですね。

 一方、原債権の入ったさまざまな金融商品がどうもいろいろなところで疑心暗鬼に陥って、中には値段のつかないものも出てきてしまっているということでございます。例えてみれば、ちょっと例えは悪いかもしれませんが、偽装牛肉の混入した商品が出回って、消費者にそっぽを向かれてしまっているというのと構造的には似たようなものがあろうかと思います。

 サブプライムローン自身の不良債権比率は、確かにこの一年の間に三%強上昇しているわけであります。また、住宅価格の値下がりが今後どれぐらい続くかということも非常に大きな問題の本質ではないかと思います。

 いずれにしても、こうした疑心暗鬼がおさまるということが非常に大事なことでございまして、住宅価格の値下がりは我々としてはいかんともしがたい問題でございますが、やはり、適切なリスク管理と適切なディスクロージャーというのが疑心暗鬼を回避する最もよき手段ではないかと思っております。

 一方、日本においてこうした問題が起こり得るかということに対しては、越智先生御指摘のように、非常にその可能性は少ないものと思います。日本の住宅ローンの不良債権比率というのは大体一%未満でございますから、これの証券化を進めていったとしても、早い話が、トレーサビリティーが日本だったら恐らく確立できるわけでございまして、そうした問題は日本においては少ないと思います。

 いずれにしても、この問題において、現時点におきましては、金融システムに大打撃を与えるという状況にはなっていないものと考えております。

越智委員 わかりやすい例えで御説明いただきまして、ありがとうございました。

 とはいえ、グローバリゼーションが進んでいく中で、各国でいろいろな問題がこれから生じてくると思いますので、金融庁におかれまして、何か調査チームを今後立ち上げるというようなお考えもあるようでございますので、ぜひ強化をしていただければというふうに思います。

 それでは、時間が来ましたので、これで質問を終わります。ありがとうございました。

原田委員長 次に、広津素子君。

広津委員 質問の時間をいただきまして、本当にありがとうございます。

 私の地元佐賀県はまだ景気が浮揚しておりませんので、典型的な地方ということで、そのイメージでお話をさせていただきます。

 地域金融機関は不良債権比率を高どまりさせながら地場産業を支えておりまして、財務諸表における不良債権比率と自己資本比率のみで機械的に評価されますと、地域の中小企業、ひいては地場産業を支えている金融機関の方が、お構いなく不良債権処理を進めている金融機関よりも金融庁の評価が悪くなるというような声を聞きました。

 そのため、金融監督上、金融機関に地場産業や地域への貢献度という評価の尺度も加えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

渡辺国務大臣 地域の金融機関にとって、地域の産業に対して金融仲介機能を発揮するというのは最も本質的な仕事であろうかと思っております。したがって、こうした地域の金融仲介機能を担っていく場合に、いわゆる地域密着型金融、リレーションシップバンキングの考え方に基づいて、長期の視点で、例えば中小企業の再生などにおいて役割を果たしていくというアプローチは非常に大事かと思います。

 また、不良債権比率と自己資本の問題でございますが、確かに、地域の金融機関において、不良債権比率が主要行などに比べれば高いのも事実でございますが、自己資本比率において、経営に問題を生ずるほど低いという状況にはなっておりません。

 したがって、地域の金融機関の金融仲介機能において、例えば、ライフサイクルに応じた支援を一層強化していくこととか、あるいは、事業価値を見きわめる融資手法を初め中小企業に適した資金供給の方法を徹底するとか、地域の情報収集を活用した持続可能な地域経済への貢献をするとか、そういった観点から、金融庁としても、自主的な取り組みを適切にフォローアップしてまいりたいと考えております。

広津委員 ありがとうございます。

 さらに、例えば佐賀県の場合は地域の金融機関というのは二つしかありませんので、せっかく郵政民営化でゆうちょ銀行というのが生まれましたが、二〇〇一年、財政投融資への預託義務が廃止され、二〇一七年には完全民営化されます。この間の十年間は移行期間であり、政府がゆうちょ銀行の市場での役割を変えられる調整期間ということです。

 そのため、まず、ゆうちょ銀行は、現在どのような資金の使い方をされており、将来どう変えていく予定かをお伺いしたいと思います。つまり、ゆうちょ銀行の現在の投資先、貸付先、将来の資金の使い道についてお伺いします。

渡辺国務大臣 ゆうちょ銀行の資金運用でございますが、日本郵政グループの策定した実施計画、本年十月時点でございます。ゆうちょ銀行のバランスシートでは、二百二十二兆円の総資産に対し、有価証券が約百六十八兆円を占めております。そのうち国債が約百五十兆円、九割を占めているという状況でございます。国債運用だけでこれからやっていけるかというと、非常に厳しいものがあろうかと思います。

 そこで、将来の資金の使い方について事業計画がどうなっているかというお尋ねでございます。

 日本郵政の策定した実施計画においては、まず第一に、運用ビジネスモデルの実現、ALMの高度化、第二に、リテールビジネスモデルの実現が挙げられております。

 ゆうちょ銀行の経営の健全性確保の観点から、金利リスクを適切にコントロールしながら、運用手段の多様化を図っていただくことが大事であります。リスクの分散、収益源の多様化を図る運用ビジネスモデルを実現することであろうかと思います。

 また、リテールビジネスモデルの実現に関しては、全国展開の郵便局ネットワークを通じて、幅広いお客様に総合的な金融サービスを提供する「最も身近で信頼される銀行」モデルを実現するとされています。

 具体的には、ゆうちょ銀行の顧客である個人の生活設計、資産形成ニーズに多面的、積極的にこたえるための柱として、個人向け与信ビジネスなどへの参入を掲げているものと考えております。

広津委員 丁寧な御説明、どうもありがとうございました。現在、ゆうちょ銀行の経営戦略としては、運用ビジネスモデルの実現やALMの高度化、リテールビジネスモデルの実現などが挙げられているとのことです。

 そこで、それに加えまして、社会貢献となる資金の使い方である地場産業の育成をするというモデルをその中にぜひ加えていただけないかと思います。地域の産業の発展のために、そのふんだんな資金力を使わせていただくよう検討をお願いしたいのですが、いかがでしょうか。

渡辺国務大臣 ゆうちょ銀行は、今現在、地方債や社債を相当お持ちでございます。たしか、地方債が八兆円、社債を七兆円ぐらい持っているかと思います。

 金融機関がどのような経営戦略に基づいて業務を進めるかは、まさに経営判断にゆだねられる問題でございます。先ほど申し上げました実施計画において、地場産業を含めた企業向け貸し付けについての記載はございません。地域金融に関して、「証券化等のスキームを活用して、地域金融機関と協働することにより、地域金融の円滑化にも貢献できる取組を進めていくこととします。」とされていますので、地場産業向けの貸し付けについての記載はないものの、こうした取り組みが行われるものと考えております。

広津委員 将来の実施計画の中に現在記載がないのはわかっておりまして、他の民間銀行との競争の制限ということもあるというのも承知しておりますが、でも、どこの銀行でもそれはやっていることですから、法人や中小企業に対する貸し付けというのはやっていいはずなので、新たに記載をしてやっていくということが可能ではないかなというふうに思います。

 それから、次に、地元佐賀県を初め地方では、景気が悪い中、資産を切り売りしながら何とか持ちこたえてきた地域の企業や地場産業が、もう耐え切れないという状況になっております。例えば、陶器の町有田では、有田焼の窯元が次々と倒産し、自殺者も相次いでおります。また、現在継続しているある窯元も、五十人いた従業員を五人まで減らしたというような状況です。

 有田焼と申しますのは、皆様御存じのとおり、酒井田柿右衛門とか今泉今右衛門とか源右衛門とか、日本史の教科書に載っておりまして、日本が鎖国をしていた江戸時代からヨーロッパに輸出されていた、あっぱれな焼き物なんです。

 現在悪くなった理由と申しますのは、今まで料亭に卸していた焼き物というのが非常に減りまして、新たな販売先というか、現代に合った販売先がいま一つ開拓できていないというのが状況でございます。技術は、何でもできる、やればできるというような状況だと思います。

 例えば、ロイヤル・コペンハーゲンとかウエッジウッドとか、海外の焼き物は有田焼と比べてそれほどすぐれているとは思わないんですが、高い値段でじゃんじゃん売れているという状況ですので、販売力というか、マーケティングの仕方にも問題はあるだろうと思います。ただし、今までこつこつと絵をかいてやってきた技術者に新たなそういう課題を与えるというのもなかなか難しいものがあります。

 そのために、地域金融機関だけではなく、ゆうちょ銀行なども、ぜひ、地場産業である民間の中小企業をバックアップする貸し出し方を検討して、貸し出しを実践していただきたいと思います。

 それは、つまり、旧来型の担保主義ではなくて、企業の立場に立って、経営に合理性を持たせるように企業を育成しつつ、例えば、公認会計士が監査した信頼度の高い財務諸表を持っていれば、そのリスクに応じて資金を貸し付けるなどの本当のバンカー機能を持っていただきたいということです。

 そのためには、会計士、税理士、中小企業診断士、経営コンサルタントなどと協力しつつ、地域の中小企業に合理的な経営管理の仕方を教えながら、社会的責任を果たしつつ、利益を出す企業へと育てていける体制をつくっていただきたいと思います。今まだできていないのでこういうことを申し上げるんですが、いかがでしょうか。

渡辺国務大臣 先ほども申し上げましたように、日本郵政グループの策定しました実施計画においては、ゆうちょ銀行の中小企業向け融資は、今のところ予定はございません。

 一方、中小企業に対する円滑な金融というのは、非常に大事な金融機関のコアビジネスの一つでございます。したがって、例えば、事業価値を見きわめる融資手法を、地域密着型金融の一層の推進を図る過程で行っていただくことや、あるいは、担保、個人保証に過度に依存しない融資を推進することなどが求められるわけでございます。

 仮に、ゆうちょ銀行が中小企業向け貸し付け業務を行うことになった場合には、中小企業に対する金融の円滑化のための各般の施策に取り組む中で、他の民間金融機関と同様の対応を行うことになります。

 なお、ゆうちょ銀行においては、いわゆるリレーションシップバンキングを行う予定はなく、ゆうちょ銀行は、主要行等の総合的な監督指針に基づいて監督されていくことになります。

広津委員 ゆうちょ銀行にそういう機能が現在のところないというのはわかりました。今後、ふんだんな資金力があることでありますし、新たなビジネスモデルとしてつけ加えていただければと思っております。

 次の質問なんですが、有田焼の例では、伝統や文化は十分なものの、未来に向かって販路を拡大するためには、新しい芸術性やデザインの開発、新製品や新技術の開発、設備の更新などが必要になります。また、マーケティングや販売戦略も重要になるでしょう。

 さらに、中国の景徳鎮の場合には国家プロジェクトとして陶磁器産業を育成しており、これに対抗していけるためには、日本でも、国及び地域がビジョンのあるプロジェクトを行うことが必要だと思います。相手が国家であるときに、こっちが民間の努力だけでは、なかなか限度があると思います。

 そのための金融につきましても、政策金融としてどのような対応があるのか、また、ゆうちょ銀行でそのようなビジネスモデルがつくれないのかについても教えていただければありがたいと思います。

額賀国務大臣 今委員がおっしゃるように、地域活性化のために、技術力とかデザイン力とか企画力とか、そういうことを活用して、これまでの地場産業に付加価値をつけて地域の活性化を図るということは極めて大事なことであるというふうに思っております。そのためにも、今、福田政権になってから、地域の再生、地域の活性化ということで新たなチャレンジをしようということでございます。

 これまでにも、中小企業地域資源活用促進法というものがあって、金融面等で特段の配慮をしているところもあるわけでございますから、しっかりとそういうところを活用して、地域の再生に向かって頑張っていっていただきたいというふうに思っております。

 これは、やはり、国家が主導するというよりも、地域の個性とか地域の独自性だとか、その地域ならではの特性をどういうふうに生かしていくのか、あるいは伝統とか文化をどういうふうに商品化していくかということでありますから、そこの地域の皆さん方がみずからの発想でチャレンジをしていく、そのチャレンジしていくところを、政府系金融機関とか地場の銀行と手を結んで対応していくことが大事である。

 そういう企画力とか、あるいはまたデザイン力とか、今まではハードなところにお金を出すことが多かったわけだけれども、そうじゃなくて、ソフトというか、知的な分野にお金を出して一定の弾みをつける、そして企業に対する促進力をつけるということがこれからの大きな課題ではないかなというふうに思います。

広津委員 時間がなくなりましたので終わりますが、いろいろな側面からの御支援をお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。

原田委員長 次に、石井啓一君。

石井(啓)委員 おはようございます。公明党の石井啓一です。

 まず、補正予算の関連についてお尋ねいたします。今の時点で補正予算云々というのは財務省としてはお答えができないと思いますけれども、事実関係をまず確認したいと思うのです。

 十八年度は決算剰余金がございますけれども、財政法上、補正予算に回し得る財源の額がどうなっているのか確認したいと思います。それから、今年度の法人税収、この動向について、当初予算に比べてその増減をどういうふうに判断されているのか、まずここのあたりをお伺いしたいと思います。

木下政府参考人 お答えいたします。

 第一点目でございますけれども、各会計年度におきまして歳入歳出の決算上の剰余金を生じた場合には、財政法第六条におきまして、その二分の一を下らない金額を、剰余金の生じた翌々年度までに公債または借入金の償還財源に充てることが定められております。

 十八年度の歳入歳出の決算上の剰余金は八千二百八十六億円でございますので、少なくとも二分の一である四千百四十三億円は公債または借入金の償還財源に充てなければなりませんので、補正予算で国債償還以外に回し得る金額の限度は、残余の四千百四十三億円でございます。

加藤政府参考人 税収についてお答え申し上げます。

 十九年度の法人税収でございますが、まず一点目、昨年末、十八年度税収の実績見込みをもとに、各種経済指標や十九年度の税制改正による影響等を織り込みまして見積もりました補正予算額、十五・八兆円でございますが、実際の十八年度の決算額は十四・九兆円と、約九千億、〇・九兆円ほど下回っておりまして、これがまず十九年度の法人税収の土台減として存在しております。

 現在の進行している状況でございますが、先般、九月分までの税収の状況を公表しております。九月末までの法人税収の累計ベースの状況について申し上げますと、去年の同時期に比べまして一〇四・二%、四・二%増という状況でございます。

 一方、十九年度の法人税収の全体の予算額は、決算額に比べて一〇九・七、九・七%増で見込んでおりますので、若干それを下回っておりますが、現在、進捗割合が、法人税収のグロスで見ますと、まだその九・二%分しか入っていないという状況でございまして、今の時点ではまだ具体的な見込みを申し上げる状況ではないということでございます。

 今後、十一月中下旬にかけまして出そろってくる三月期決算法人の中間決算の状況など、これからの経済動向等も踏まえつつ、その見込みについては鋭意作業を行ってまいりたいと思っております。

石井(啓)委員 それでは、続いて、道路特定財源に関しまして大臣にお伺いしたいと思いますけれども、私ども公明党のもともとの主張は、一般財源化するのであれば、その分、税率を引き下げよ、減税をしようというのが我々の本来の主張でございます。

 これは、御承知のとおり、道路特定財源、ガソリン税等は本則税率に対しまして二倍以上の暫定税率が課せられているわけでありますけれども、これは道路整備に活用するということで納税者に御理解をいただいて課している税金でありますから、これを道路整備以外に使うのであれば、本来、それは減税すべきではないのかということが私どものもともとの主張でございます。

 ただ、これは政府・与党の調整の中で、一昨年、昨年と政府・与党の合意を取り交わしましたけれども、納税者の理解の得られる範囲で使い道を決めるという前提で、暫定税率の維持と一部一般財源化を私どもも認めたという経緯がございます。

 福田総理は、私どもと同様の御主張をされておりまして、これはやはり道路整備に近いところで使途を考えるべきじゃないかという趣旨の御発言をされておりますから、私どもも心強いのでございますけれども、年末、この道路特定財源の扱いは決まるわけでありますけれども、道路整備関係以外に使うとしたら、その使途についてはどういうふうにお考えになっているのか、御見解を伺いたいと思います。

額賀国務大臣 今、石井委員がおっしゃるように、御党の考え方はよく承知をしております。ただ、政府・与党の間でいろいろと調整をしていただきまして、我々と共通の考え方に立ってきていただいているということでございます。

 道路特定財源については、もう御承知のとおり、さまざまな御議論をいただいてきておりまして、当面、道路特定財源に関する具体策をどういうふうに決めていくかということについての原則は、真に必要な道路をまず計画的に進めていかなければならない、そのために中期計画を作成していくということ、この中期政策というものが間もなく国交省でつくられていくものと思います。

 そういう中で、二〇〇八年度、二十年度以降も現行の税率を維持していきたいということ、それから、道路歳出を上回る税収は一般財源化をするという前提もあります。と同時に、高速道路の料金を下げるなどのサービスも充実をしていく。そういうことを前提にして、今、これから議論をしていかなければならない。

 道路の必要性、厳しい財政事情、それから環境面の配慮、それから石井委員がおっしゃるように、納税者の理解を得られるということを前提にして、しかもなおかつ、国民の皆さん方から、改革の姿勢が後退することがないように、そういう考え方、そういう政策をこれから年末にかけて政府・与党の間できっちりと御議論をし、と同時に、これはやはりねじれ国会の中で理解を得ていく、そういう算段をしなければならないということであります。

石井(啓)委員 納税者の理解が得られるということでありますから、道路に全く関係のない分野に使うというのは、私はやはりなかなか理解が得られないと思うんですね。

 今、大臣も御答弁いただいたように、例えば高速道路料金の引き下げに使う等々、納税者の理解が得られるという前提で、ぜひこれは、今後私どもも検討していきたいというふうに思っております。

 続いて、来年の通常国会の歳入法案についてお尋ねします。

 歳入法案というのは、特例公債法あるいは税法関係、また地方税法関係を一般的に歳入法案というふうにいうと思いますけれども、これは、今までは予算案とほぼ同時に成立をしておりました。歳入を確定する法案ということで、支出を定める予算とほぼ同時の成立ということになっておりました。

 今、参議院で与野党逆転している、こういうねじれ状況下では、予算案は、御承知のとおり、衆議院を通過すれば三十日以内に自然成立ということでございますけれども、法案の方は、衆議院から参議院に送っても、最大六十日までは採決が延びるということがあり得るわけですね。そういたしますと、予算は年度内に成立するけれども、この歳入法案は次年度に採決が大幅にずれ込むということがあり得ます。

 そういった場合、どういう影響が生じるのか確認をしたいと思いますけれども、まず特例公債法、この成立が次年度に大幅にずれ込んだ場合はどのような影響が生じるのか、伺いたいと思います。

 それから、仮に、現行の年度末の日切れの租税特別措置をそのまま継続しようとしたけれども、それが切れてしまった場合はどういう影響が生じるのか。具体的に四つの例を挙げますけれども、道路特定財源の暫定税率、二つ目には登録免許税の軽減税率、三つ目にはオフショア市場における源泉所得税の免除措置、四つ目には清酒やしょうちゅう等の中小の酒造事業者に対する酒税の特例措置ですね。こういった日切れが切れた場合、それぞれどういう影響を生じるというふうにお考えになっているのか、伺いたいと思います。

木下政府参考人 お答えいたします。

 一点目の特例公債法の成立の件でございます。

 現在、歳入に占める特例公債の割合が、平成十九年度予算におきましては約四分の一に達しておりまして、特例公債法は予算と一体不可分のものと考えております。

 また、特例公債法が成立しないということになりますと、そういう意味で予算の前提が崩れまして、増税措置あるいは歳出カットの手だてをつける必要が生じますとともに、市場での日本政府、日本国債の信認は大きく低下いたしまして、株式、債券等の各市場に悪影響を生じるおそれがあるのではないかということを懸念しております。

 このような予算の前提となる特例公債法案につきましては、年度内に法案を成立させていただくべく、国会においても何とぞ速やかに御賛同いただくようお願いしたいと考えているところでございます。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の四点でございます。

 まず、道路特定財源諸税の暫定税率につきましては、税率が本則に戻るということで、国だけでなく地方においても大幅な歳入減となり、道路整備に重大な影響が生じるとともに、これはガソリン価格に大きく影響を与えますので、その需給の関係で、商品流通面にも混乱を生じるおそれがあるということを懸念いたしております。

 それから、登録免許税の各種の減免措置につきましては、これはまさにその都度の登記の段階で負担をするということなので、個々の取引によって、その時期によって大きな負担増が生じるおそれがございます。

 それから、オフショア市場の問題、これもまさに預金の利子の非課税によってオフショア市場が存立しているわけですが、その期限切れで失効いたしますと、オフショア勘定を持つ国内の金融機関の資金調達が不可能になりますので、この点での金融への影響が懸念されるところであります。

 それから、酒税の中小特例につきましても、これも庫出税の関係で、期限後直ちに出荷される酒についての価格の変動が行われまして、想定外の負担が生じるということで流通価格にも影響して混乱のおそれがあるということで、いずれにいたしましても、単なる歳入面という問題のみならず、経済活動、取引の面での影響が懸念されるところでございます。

 いずれにいたしましても、今後、具体的な税制改正の中身は、税制改正プロセスを通じて政府・与党等で決定されていくわけでございますが、何とぞ、適用期限の存立する項目も含めた税制改正法案につきましては、期限内の成立をお願いしたいと思っております。

石井(啓)委員 この臨時国会においては新しいテロ対策法の扱いが最大の焦点でありますけれども、来年の通常国会においては、特に前半は、この歳入法案の扱いというのが国会の最大の焦点になろうかと思います。

 今、答弁がありましたように、予算と一体となっている特例公債法あるいは税法等、これの成立がずれ込むということになりますと国民生活にも大きな影響が生じてくるということでございますので、私は、大連立みたいなことが起きればこれは話は別ですけれども、ねじれ国会の状況が続く限りは、こういった歳入法案こそ与野党の政策協議を行う重要なテーマの一つではないかというふうに考えておりますけれども、財務大臣の御見解を伺いたいと思います。

額賀国務大臣 石井委員のおっしゃるとおりですね。国民生活に直結する問題というのは、政治家として、あるいはまた政党として責任を持たなければならないと思います。なおかつ、衆議院では我々が、自由民主党、公明党が多数を持っておりますけれども、参議院では民主党を初め野党の皆さん方が多数を持っているわけでありますから、これはお互いに国家運営に責任を果たさなければならないという使命を持っている。そういうことは共通の思いがあると私は思っております。

 したがって、こういう予算の問題等についても与野党の間でしっかりと協議ができるようにして、予算及びその特例法案等の、一体化する租税特別措置等の関連法案は速やかに通してもらうように、環境づくりをぜひしていかなければならないというふうに思っております。

石井(啓)委員 それでは、時間的に最後の質問になりますけれども、金融・証券税制について伺います。

 今、上場株式の配当及び譲渡益にかかる税率は、一〇%軽減税率を適用しているわけでありますけれども、これはもともと株式市場対策として、時限の特例措置として実施した軽減税率でありますから、株式市場もこの導入した当時の状況と比べれば、日経平均で一万六千円前後という状況に戻っておりますし、私は、これを戻したときの売り急ぎを生じるような、そういうことは対策として市場の特例措置は検討した上で、本則の二〇%に戻した方がいいのではないかというふうに考えておりますけれども、財務大臣の御見解を伺いたいと思います。

 また、そもそも株やあるいは株式投資信託を新たに購入または買い増す際に、この軽減税率がどの程度寄与しているというふうにお考えになっているのか、これは金融担当大臣に伺いたいと思います。

額賀国務大臣 今委員おっしゃるように、この譲渡益課税それから配当課税については、二〇〇三年の株式市場が停滞しているときにとられた措置でございまして、臨時的に五年間の限定的な形で導入されたわけであります。

 二〇〇七年度の税制改正においては、一年限りに延長するというふうになされたわけであります。与党においては、一年延長して廃止をする、その際に、金融所得の損益通算を拡大して、市場にまた新たな混乱が起こることがないように配慮をしながら対応していく、検討していくということが決められておりますので、そういうことを前提にしながら、今後の金融所得の世界的な一体化の流れを見ながら、あるいは経済の状況を見ながらよく相談をして、年末までに結論を出したいというふうに思います。

渡辺国務大臣 確かに、この税制は緊急的な意味合いを持って行われてきたわけでございます。しかし、我々の日本の構造改革を考えてみるときに、貯蓄から投資へという流れを確実なものにする必要がございます。残念ながら、リスクマネーが個人の金融資産において占める割合は一割程度でございまして、アメリカ、ヨーロッパ諸国に比べて極めて低い水準にございます。いかにリスクマネーを大きくすることによって経済を活性化し、同時に個人個人が豊かさを実感できる社会をつくっていくかということもあわせて考える必要があろうかと思います。

 お尋ねの軽減税率が証券投資に与える影響について、定量的に把握をするのはなかなか難しいものがございます。しかし、いろいろなアンケート調査をやってみますと、もし軽減税率が廃止をされたらどうなさいますかという問いに対しては、例えばこれは証券業協会のつい最近の調査でございますが、二割の投資家が株式や投信への投資をやめるあるいは減らすと答えております。約四割の投資家がその後の株式や公募投信への新たな投資は控えると答えております。

 こうしたことを考えれば、昨今の世界的なマネーの非常に不安定な状況も考えれば、引き続きこの軽減措置は継続をしていただくのが妥当でありますし、配当課税においては配当の三重課税、つまり法人税を払い、配当課税を払い、そのお金を使えば消費税を払うという三重課税の問題もあるわけでございますから、ぜひこれは恒久化をしていただきたいと考えております。

石井(啓)委員 時間が参りましたので、以上で終わります。

原田委員長 次に、岩國哲人君。

岩國委員 岩國哲人でございます。

 本日は、財務大臣また金融大臣に、日本の金融行政を中心にして質問させていただきたいと思います。

 質問の順番を変えまして、今、石井委員がお取り上げになったキャピタルゲインタックス一〇%をめぐって、最初に質問させていただきたいと思います。

 この一〇%のキャピタルゲインタックスを二〇%に返した場合に、市場の売買規模はどれぐらいの影響を受けるのか。世論調査を先ほど御紹介されました。計数的なシミュレーションは非常に難しいということはよくわかりますが、ある程度、こういう税率の変更が起きた場合には経済にどういう影響を与えるかということは、幾つかの前提を置きながらも、内部的に作業はしておられるはずです。

 一〇%を二〇%にした場合の取引規模に与える影響と株価水準に与える影響、それから三番目、キャピタルゲインタックスの税収、現在は幾らなのか。二〇%にすればその金額は倍になるのか、五割増しになるのか。この三点について、まずお答えいただきたいと思います。

渡辺国務大臣 先ほども申し上げましたように、定量的な把握というのはなかなか困難なものがございます。しかし、いろいろなアンケート調査において、半分以上の方々が新たな投資を控えるとかあるいは投資の額を減らすとか、そういった方向でのお答えをしておられます。証券業協会の調査では、約二割の投資家が株式投信の投資をやめるあるいは減らすと答えておりますし、約四割の投資家がその後の株式投信への新たな投資を控えると答えておられるわけでございます。

 そうしたことを考えると、これは影響なしとは言えないのではないでしょうか。また、先ほど来議論のございますサブプライムローン問題において世界の市場が何がしかの影響を受けているという状況を考えれば、ここで軽減税率をもとに戻す、二〇%に戻すという措置は余り妥当ではなかろうと思います。

 いずれにしても、リスクマネーにおいて、利子税率よりも軽減税率を適用している国は、日本だけではなくてたくさんあるわけでございますから、日本においてはなおさらリスクマネーを経済活性化のために使う、個人の豊かさを実感できるために使うということが大事なことでございますので、私としてはぜひ軽減税率を維持していただきたいと考えております。(岩國委員「キャピタルゲインタックスの金額。三番目の質問」と呼ぶ)

 キャピタルゲイン課税というのは、配当所得と基本的に同じ源泉であろうかと思っております。つまり、企業価値がその根本にあるわけでございまして、配当をしない、配当性向が非常に低いけれどもたくさんキャッシュを持っているという企業は株価は高くなるわけですね。一方、配当をたくさんするというところはキャッシュが出ていくわけでございますから……(岩國委員「結局、去年の税収は幾らだったか」と呼ぶ)

 それは、ちょっと今手元に資料がございませんので、後ほどお答えをさせていただきます。

岩國委員 今、キャピタルゲインタックスを上げるか下げるか。私は一〇%をさらに下げるべきだと思っていますけれども。〇%にしてキャピタルゲインタックスの税収をゼロにしてでも、おっしゃるような経済活性効果があって、おつりが来るようなゼロレートであれば、私はやるべきだと思うんです。

 今現在一〇%の税率になって、二〇%のときは税収は幾らだったのか。一〇%になって税収は幾らになっているのか。端的に数字ぐらいは挙げられないんですか。数字も頭の中になくて、一〇%を上げちゃいけない、このまま維持するべきだ、そういう議論をしていらっしゃるんですか。

 証券業を代表する協会の代表者たちは、株価水準に対するインパクトはどういうふうな数字を挙げて言っておられるのか。何らかのカンバセーションというのはあるわけでしょう。世論調査だけこっちは読んでいる、協会の人も世論調査だけ読んでいる。そんな対話というのはあり得ないわけであって、大体どれぐらいのインパクトがありそうだ、市場規模はどれぐらい減りそうだ、株価水準としてはどれぐらい下がりそうだ、そういう大ざっぱなめどというものもなしに我々委員に議論しろと言われても、そういうデータさえも、会話の片りんさえもない。一〇%が正しいのか、二〇%がいいのか、どういう影響があるのか、そういうことを、情報というものを共有しながら議論しなきゃならないんじゃないですか。

 まず、公表されているキャピタルゲインタックスの税収そのものは幾らだったんですか、二年前は、一年前は。二〇%のときと一〇%のときとでは、キャピタルゲインタックスの税収はどのように変わったんですか。そして、その税収は、一〇%を二〇%にした場合に、今の金額の倍になるのか、倍にはならなくて五割増しぐらいになるのか、それもお答えください。

渡辺国務大臣 税収の方は主税局に聞いていただきたいと思いますけれども、主税局的なスタティックな発想で、減収がどれくらいか、増収が二〇%にしたらどれくらいかという計算は可能であろうかと思います。

 しかし、先ほど来私が申し上げていますように、リスクマネーがふえることによる経済活性化効果というのはあるわけでございます。また、リスクマネーを運用することによって、例えば、百万円を銀行に預けていても二千円か三千円しか利子はつきません。しかし、分配型の投資信託をお買いになっていれば、百万円で四万円とかあるいは八万円とか、そういう何がしかのお金が戻ってくるわけでございますから、そういったことを考えれば、ダイナミックな経済効果は相当大きいものがあるのではないかということを申し上げているわけでございます。

岩國委員 こういった一〇%、二〇%、先ほどの石井委員との議論を伺っていて、これは相当渡辺大臣も、本腰を入れて一〇%を守っていかなければならない、日本経済の今の状況から見ればと私は理解しておりましたけれども、残念ながら、キャピタルゲインタックスからどれだけ税収が上がっているかという基礎的なデータを、私は昨日からそれは質問するということを既に通告してあります。

 以前、年間四千億円といったような数字を見たことはあるけれども、四千億が八千億になるのか六千億になるのか、四千億は、税率を上げても、結局は売買額が少なくなるから税収そのものは全然ふえないんだ、しかし、それにかわって別の効果があるのか、こういったことについて、政治家としての政策的な判断なり予測をどうしておられるか。これが今、今国会で税率一〇%にするか二〇%にするか、その主務官庁である人たちが、大体その税収の額さえも知らないで議論をしているのはおかしいんじゃないかと思います。

 私は、一〇%を仮に半減して五%にさらに下げていく。反対論もあるでしょう。公明党さんも恐らく反対されるかもしれません。しかし、日本経済の今の現状で、活性化する活性化ボタンの一つとしては、証券市場の取引を大きくする、外国のお金ももっと入りやすくする。お金が動くから日本経済の血液が流れていく、おつりのことを考えていけば、四千億が二千億に減って二千億円の税収減をもたらしても、二兆円の税収増がもたらされるのであれば、それも私は大きな政治ではないかと思うんです。

 こういうことをきのうから予告しておきながら、大臣は、どうもそれに対して今までお考えになったこともないような形跡もあります。もう時間が無駄ですから、キャピタルゲインタックスの問題はこの辺でやめます。

 そこで、質問に改めて返りますけれども、今度、郵政民営化の結果として世界で一番大きな銀行が、アメリカでもなく、イギリスでもなく、日本に誕生することになったんです。我々日本国民は世界最大の銀行を持つことになります。そして、世界最大の銀行を監督する金融庁となるんです。今までは、アメリカがどうすれば、イギリスがどうすれば、それを適当にまねをして参考にする。もうその時代は、ことしをもって終わりました。十月一日をもって終わったんです。十月一日から、世界最大の金融機関を監督するのは日本の金融庁、それだけの意識と責任を持って仕事をしていただきたい、そういったことを皆さん担当の方にも申し上げました。

 さて、この世界最大の銀行の名前がどういう名前になっているのか、これを、監督局の七人の方に、我々の勉強会に来ていただいたときにお伺いしました。上場されるゆうちょ銀行の親会社はニホン郵政株式会社と私はそのとき聞きました。なぜニホンと言うんですか。このゆうちょ銀行が扱うお金は、ニッポン銀行と我々の一万円札には書いてあるわけです。日本でニッポン銀行という中央銀行があって、民間で一番大きな銀行はニホンと読ませている。ちょっとおかしいじゃないか、どっちかが間違っているんじゃないですか、どっちかに統一した方がいい、こういうことを伺いました。中央銀行、セントラルバンクがニッポンと発音させているときに、民間で一番大きな銀行はなぜニホンと読ませるのか。七人の方からは、これという御返事はありませんでした。要するに、ニホンと読ませるということがその勉強会では確認されただけなんです。

 ニホンなんですか、ニッポンなんですか、どっちなんですか。

渡辺国務大臣 ニッポン郵政だと承知しております。

岩國委員 私もそのように聞いたことがあります。しかし、監督局のそうそうたる七人の方たちが全部ニホンと言い、ニホンと決めたはずと。いや、ニッポンが正しいという人は、この七人の中に一人もおられなかったんです。つまり、ニホンと言うのがごく普通だ、そういう常識、感覚を持っておられたんでしょう。私はそれはあえて批判しません。私はニホンが正しいと思うからです。なぜか。

 天皇陛下が昨年六月シンガポールへいらっしゃったときに記者会見を開かれました。天皇陛下は、二十二回、ニホン、ニホン、ニホン。ニッポンと一回もおっしゃらなかったんです。ニホン、ニホン国、ニホン人、ニホンの伝統、ニホンの歴史、ニホンの文化、二十二回、ニホンですよ。ニッポンは一遍もありませんでした。皇后陛下は、三回、ニホンとお使いになりました。ニッポンは一度もありませんでした。

 なぜ、国民統合の象徴の天皇陛下がニホンとおっしゃっているときに、日本で一番大きな銀行にニッポンという名前をつけなければならないのか。どうお考えになりますか。

渡辺国務大臣 ちょっとお札を持ってくればよかったのでございますが、たしかお札にはニッポン銀行券と書いてあったような気がいたします。ローマ字でどこかにNIPPONと書いてあろうかと思います。

 いずれにしても、正しくは、ニッポン銀行であり、ニッポン郵政だと思います。ただ、一般的に、両陛下がニホンとおっしゃるがごとく、そのような発音の仕方も一般には通用しているということではないでしょうか。

岩國委員 一般的にはとおっしゃいますけれども、教育。私は教育こそ日本の未来への一番大切な投資であり、国の根幹をつくるものだと思います。

 日本の子供たちにどう教えているのか。教科書をごらんになったことはありますか。

 まず、音楽の時間。音楽の時間で、小学校へ入ったかわいい一年生たちが最初にどちらを使っているのか。美しい国を敬う歌があります。自民党の皆さんの好きな、美しい国を敬う「日のまる」という中では、「ああ うつくしい にほんの はたは」と書いてあるんです。「にっぽんのはたは」と書いていないんです。子供たちに、歌いながらニホンと教えているんです、私たちの国は。

 音楽の時間が終わって、次に国語の時間が始まりました。国語の教科書を開くとどう書いてあるか。国語の教科書には、漢字で日本と書いてニホンと振り仮名が振ってあります。

 音楽の時間で、国語の教科書でニホンと教えておきながら、ニッポンの中央銀行、それで、日本で一番大きな銀行はニッポンと読ませる。これが一般ということなんでしょうか。

 大臣のお好きな世論調査。ニホンがいいか、ニッポンがいいか。世論調査では、ニホンがいい、それが毎年じりじりとふえています。一番大切なことは、二十代、三十代の人たちは八〇%がニホンを支持しているんです。ということは、あと四十年たって、その人たちが六十歳、七十歳になれば、八〇%の国民がニホンというものを求めている、使っているということなんです。

 こういう長い先を見越して、四十年たてばニホンと言う人はほとんどいなくなるんだというならば別です、世論調査で若い人ほどニホンが多いということを考えれば、私は、日本最大、世界最大の銀行の名前を考えるときにはもう少しそういうことも考慮すべきではないかと思います。所感をお願いします。

    〔委員長退席、奥野委員長代理着席〕

渡辺国務大臣 世の中には正式名称と通称というものもあるでしょう。ニッポンというのが正式な発音だということが決められていても、一般にはニホンと発音される場合もございますでしょう。

 したがって、いろいろな文脈あるいはシチュエーションにおいて、ニッポンがいいか、ニホンの方がごろがいいかという判断もあろうかと思います。先ほど委員が御指摘になられました「にほんのはたは」という歌を「にっぽんのはたは」と言うと、ちょっとごろがおかしくなっちゃうのかもしれませんね。

 したがって、そういうシチュエーションの違いによって、ニホン、ニッポンというのが使い分けられることもあろうかと存じます。

岩國委員 一般的に商標として、会社名としてニッポンが好きなとき、あるいはオリンピックの応援のときはニホンよりニッポンの方が元気が出る、そういう場合もあるでしょう。しかし、外国の人に正式な日本の呼び方はどうなんですかと聞かれたときに、いや、どっちでもいいんですよという答えをするのは、世界で私たちの国だけなんです。それが美しい国なのかどうか。

 小学校一年生でニホンと教えておいて、小学校三年生になると「ふじはニッポン一の山」と書いてある。一年生で教えたことはニホンで、三年生になるとニッポンになる。これもまたいいかげんな国だと思うんですね。

 しかし、いいかげんな国だからこういう銀行の名前もいいかげんでいいんだとはならないと私は思います。世界一の銀行を誕生させるときにはそれぐらいの配慮をして、ニッポンなのかニホンなのか。お金にNIPPONと書いてあるから、世界一の銀行もニッポンと発音させるのが正しいと判断されたのか、何らかのわかりやすい説明というのが必要じゃありませんか。あるいは、後世の人にきちっと説明するものが。いや、どっちでもいいんだ、ごろのよさで決める。そんな、国会というのは、ごろごろ、ごろだけで決めているわけじゃありませんから、もう少し根拠らしいものが私は欲しかった。そのことを申し上げて、次の質問に移ります。

 私は、ニューヨーク、ロンドン、パリ、いろいろなマーケットで仕事もしてきました、住んでもきました。今、ディレギュレーションそしてグローバリゼーション、これが金融の世界では二つのキーワードになっています。どんどんどんどん自由化させて、いろいろな仕事を兼務させる。そして、国境を越えたグローバリゼーション。この結果、金融サービスを受けているお客さんたちは、十年、二十年の間に幸せになったかどうか。この検証が必要じゃないでしょうか。

 私は、結論を言いますと、ディレギュレーションの時代はもう終わって、リレギュレーション、再び規制を強化する時代にもう既に入っているんじゃないかと思うんです。日本は一周、二周おくれて、まだディレギュレーションの方向を走っている。しかし、いろいろな問題が起きて、今、リレギュレーションを検討するときに来ているんじゃないかと思います。

 まず最初に、いろいろな銀行に兼業が許されました。次々と、以前の銀行のイメージとは違うような仕事が始まりました。保険もそうです。証券もそうです。そして、トラベラーズチェックを発行したり、そういったことも行われています。大銀行は次々と兼業していく。この兼業させていくことのメリットというよりも、兼業させていくことによって顧客の側から見たデメリットは何だと考えられますか。お答えください。

渡辺国務大臣 銀行が兼業をすることによってどういうデメリットがあるかというのは、以前から随分議論をされてきた問題だと思います。

 例えば、資金の貸し付け以外の業務を行うということは、他業を営むリスクを抱えることである。そうすると、財務の健全性が確保できなくなったり、預金者保護に支障を来したり、信用秩序の維持に問題が出たりする場合があるではないかとか、あるいは、銀行は優越的地位を持っている場合がたくさんございますので、その優越的地位の濫用をして他業取引の方を顧客に強いることになりはせぬかとか、あるいは利益相反行為を惹起しないかとか、そういった弊害は、一般にずっと長い間議論をされてきた問題であろうかと思います。

岩國委員 一つお答えいただきたいと思いますのは、こうした兼業によって、保険業務、生命保険も扱うようになってから、銀行の貸出業務において、生命保険と抱き合わせとあからさまには言われないまでも、生命保険を買っていただければ貸し出しも前向きに、あるいは有利な条件で、あるいはもっと早くお貸ししますよといったことが営業活動の中で行われていることは容易に想像できるわけですけれども、これを計数的に、生命保険を購入した人がどれだけの中小企業貸し出しローンを受けることに成功しておるのか。これについて調査はしておられますか、おられませんか。

 貸し出しの依頼を受けたときに、中小企業の社長さんに対して、やはり保険も売りたいという銀行の立場から見れば、どうですか、うちの銀行で生命保険も扱っています、ちょっとお顔色が悪いようですけれども生命保険は御必要ありませんかと。つまり、顔色の悪い人には生命保険が必要だとはっきりわからせるような営業行為もできるわけであって、ああ、これは生命保険を買えばそれだけ融資を、ちゃんと前向きの返事がもらえるんだなと思わせるような営業行為、セールストークというのは可能でしょう。

 ことしに入ってから、貸し出しの中で、保険つきのローンというのはどれぐらいの比率を占めているのか、保険なしのローンはどれぐらいあるのか。これについて調査をしておられるかどうか、結果はどうなのか。お答えください。

西原政府参考人 お答え申し上げます。

 保険つきのローンあるいは保険つきでないローン、それの区別をした統計等についてはとっておりません。

岩國委員 それでは、質問の仕方を変えます。

 貸出先に対して販売された生命保険の件数、実績というのはちゃんと数字は持っておられますか、それが事後的になされたものも含めて。今現在のアウトスタンディングの貸出残高、貸出件数の中で、生命保険の販売がどれだけそういうところに対して行われたかという調査をしておられるか。そういう関心を持って調査しておられるかどうか。どうぞ。

西原政府参考人 そういう形での調査もいたしておりません。

岩國委員 先ほど渡辺大臣がいいことをおっしゃいました。強者の立場を利用する、そういうふうなことがあってはならない。私も全く同感であり、そう思うからこそ、そういう調査をしておかなければならないと思うんです。いつの間にか、貸出先には、もうほとんどと言っていいほど生命保険が銀行から売られているという現象が起きる前に何らかの規制も必要ではないか、私はそのように思うんです。

 保険以外にトラベラーズチェックもあります。トラベラーズチェックというのは、日本円を外国のお金にかえて、そして外国で買い物もできる、そういう点で非常に信用されている。

 日本の銀行でトラベラーズチェックも販売しておる、付随業務として。その中で、販売したトラベラーズチェックが、外国の、外国といってもアフリカのどこかの小さな国というんじゃなくて、パリのど真ん中で、ニューヨークのど真ん中で、そのトラベラーズチェックが換金できないという事態が起きている。そういう報告はきちっと来ていますか。

 同じ番号が二度販売されている。これもあってはならないことです。ちょうど、日本銀行の同じ番号のお札が二つも三つも出回っている、こういうことはまずあり得ないはずだと思うんです。トラベラーズチェックにおいて、なぜ同じ番号が二度売り、三度売りされているのか。政治家のレシートのように、二重三重のトラベラーズチェックが出回っている。そういう不祥事故はどういう報告が来ているのか、お答えください。

西原政府参考人 お答え申し上げます。

 トラベラーズチェックに関する業務は、委員御指摘のとおり、外貨両替業務ということで付随業務に相当するわけですが、御指摘のようなトラベラーズチェックの二度売り、三度売りといった換金のできないケースという状況でございますが、私どもの方には、例えば、苦情ですとか相談あるいは不祥事報告といった形での報告はございません。

 したがいまして、実態は直接は把握していないのが現状でございますが、昨今、トラベラーズチェックに関しまして、偽造という形で摘発されているケースがあるというふうに報道等で見ております。

 この点については、トラベラーズチェックと申しますのは、海外旅行者にとりましては非常に有用な手段の一つでありますし、健全な利用が確保されていくということが重要と考えておりますので、もしそういう所与の情報がありましたら、私どももそれに基づいて適切な対応をとっていきたいというふうに考えております。

岩國委員 これは、はっきり言って、私自身が七枚のトラベラーズチェックを買いました、東京三菱銀行の京橋支店で。しかし、その七枚のうち一枚は、もう既にだれかに販売した数字だったんです。パリのオペラ座のところで現金にかえようとしたときに、当然、それはダブりトラベラーズチェックだということで拒否されました。恥ずかしい思いをしました。しかし、幸い、ほかのお金も持っていましたから、金銭的に不便をするということではありませんでしたけれども。

 私がそのとき思ったのは、トラベラーズチェックの専門のところがきちっとした金融機関としてやっていればこういうシステムの間違いというものはまずなかっただろう。それが、いろいろな大きな銀行が付随業務を次々にそういう形でもって広げていく。そういう管理体制もだんだん薄くなっていくでしょう。それがお客さんに迷惑をかけている。

 皆さんのやっていらっしゃる金融行政は、金融機関が大きくなればいい、強くなればいい、お客さんは困ればいいとおっしゃっているわけじゃありませんけれども、結果としてお客さんが困るような金融行政は困るんです。

 金融庁はだれのために働いているのか。金融機関を大きくするため、強くするため、そこでおしまいですか。そうではなくて、その金融機関を使うお客さんが、本当に幸せで、本当にいい金融機関だと信頼できて、そして、こういうトラブルもない、そこまでいかなければ、仕事をしていることにはならないんです。

 生命保険の売り方にしてもそうです。買いたくないと思う生命保険を買わされる、これもよくないことでしょう。そこまで皆さんの関心や調査がいっているかどうか。

 巨大化についても同じことです。大きくなればいい。日本の銀行は、この二十年間に、十年間に、規模において、平均してどれぐらい大きくなりましたか。お答えください。

西原政府参考人 お答え申し上げます。

 日本の銀行におきましては、二十年前、これは昭和六十二年の三月末と比較いたしましたが、直近の預金量で見ますと、上位三行で見ますと、合計で二・六倍というスケールになっております。

岩國委員 ありがとうございました。

 さて、日本の銀行は、押しなべて次々と規模が大きくなりました。これも皆さんの金融行政の結果でしょう。その結果として、手数料、お客さんが払ういろいろな手数料がありますね、送金手数料だとか振り込み手数料だとか何とか。

 一番よく使われる手数料をとって、この二十年間、十年間、五年間にどういう変化が起きているか。銀行が大きくなったおかげとして手数料はどんどんどんどん低くなった、銀行が大きくなったおかげで今まで有料だったものが無料になった、そういう例を御説明ください。

西原政府参考人 お答え申し上げます。

 代表的な例として、ふだんよく使われます手数料としましては、例えば、ATMの引き出しの手数料あるいは振り込みの手数料というものがあるわけですが、それらについて若干見てまいりますと、その動向自身はまちまちなものですからなかなか一概に申し上げるのは難しいんですが、あえて具体例として、例えば三メガバンクについて見てまいりますと、ATMの引き出し手数料というのは、一九九〇年当時と比べまして大きく変化しておりません。これは基本的に同じでございます。

 ところが、一方で、ATMによる他行あての振り込み手数料、これについて見てまいりますと、半分程度に下がっております。例えば三万円以上の振り込みにつきましては、かつては八百二十四円かかっていたものが、現在ですと四百二十円というような形になっていると承知しております。

 また、最近免許を付与しておりますネットの専業銀行でございますが、こういったところでは、より安い手数料ということで、例えば百六十円とか、そういうような形でのサービス提供という例もあるというふうに承知しております。

岩國委員 あったものが下がったという例を幾つか紹介されましたけれども、今までなかったものがあるようになった例というのはないんですか。

西原政府参考人 なかなか思い当たらないんですが、例えば、融資をする際に、融資の金利とは別に、融資の取扱手数料とか、そういったケースがあり得るかもしれません。

岩國委員 一般に、私の家内も含めてですけれども、今までなかった手数料が最近あれこれ取られるようになった、郵便局の場合もそうですけれども。そういうことを私は耳にしておりますから、あったものがどうなったかだけではなくて、なかったものがあるようになったかどうか、そちらの方の調査もしないとおかしいのではないかと思います。

 次に、手数料だけじゃなくて、預金金利。二十年前、十年前と比較して、銀行が大きくなったおかげとして、お客さんへの預金金利がどれだけ上げてもらえたのか、御説明いただけますか。

西原政府参考人 お答え申し上げます。

 金利につきましては、基本的に、金利自由化以後の預金金利の設定につきましては、各金融機関が自主的に判断をしていくというような事柄でございます。

 そうした中で、一般的に、預金金利の動向につきましては、各行とも日本銀行の政策金利等の影響を受けるということから、この政策金利の変動に沿って推移しているというふうに承知しております。

 しかしながら、一方で、先ほども御指摘しましたが、インターネット専業銀行、こういったものが新たに参入をいたしまして、他の銀行よりは少し高い預金金利を付しているという事例も間々見られているところでございます。

岩國委員 それから支払い利子。利子所得が家計の中に、要するに、一般国民の奥さんたちの財布の中にどれだけ入っていっているか。家計全体に対する利子所得、今お手元に配付した資料がございますけれども、資料の一をごらんいただきたいと思います。

 家計所得そのものは、小泉内閣以来、二〇〇一年からほとんどふえてはおりませんけれども、激減しているのは利子所得なんですね。この利子所得の激減というのは十年ぐらい前から始まっております。二十兆円ぐらいあったものが、今はもう四兆円、三兆円程度の話。明らかに、メガ銀行が次々とできて、銀行は大きくなったけれども、銀行が払っている利子は激減しているんです。

 なぜ、銀行が大きくなるとお客さんは利子を減らされるのか。これについて、大臣、いろいろと金融界の責任者の方を御指導していらっしゃると思いますけれども、大きくなればなるほど利子は小さくなる。銀行の規模と利子はなぜ反比例するのか、お答えください。

渡辺国務大臣 これは、銀行の規模の問題というよりは、日本経済の置かれたデフレ状況が大変大きな影響を持っていると考えます。

 先生がお配りになられた資料を見ましても、一番利子所得が高いのが一九九一年の三十八兆九千億円、ここをピークとしてだんだん下がってきております。二〇〇五年においては三兆五千億円程度ということでございまして、まさに、この間の金利低下というのが最大の影響があるのではなかろうかと思います。

岩國委員 金利低下は結果だったのか。金利低下は、銀行を強くし、大きくするための原因ではなかったのか。

 今の大臣の答弁は、金利低下は結果であって、政策の結果として金利が低くなった、したがって、利子が少ない。逆に考えれば、預金者の収入となるべき所得を銀行に移転させることによって銀行を健全化した。経済用語でいえばこれは所得移転といいますけれども、一般用語では泥棒というんですね。一般の人の所得になるものを銀行の所得につけかえて、つけかえすることによって健全化し、そして巨大化を図っている。ですから、銀行が健全になり、巨大化すればするほど一般家計の利子収入が減っていくというのは、そこに政策のねらいがあり、その政策は見事に効果を上げたわけです。

 こういう巨大化、グローバリゼーション、ディレギュレーションの政策は、一般の人の生活にもサービスにも本当は役に立っていないということを私は指摘しておきたいと思います。

 さて、今、東京と地方の格差の問題が出ています。地方の県、さっき広津委員も佐賀県の実情を踏まえて御質問されましたけれども、私も島根県の数字を見ています。島根県人というのは貯金が好きなんです。所得は大してないけれども、とにかく保険は払う、貯金はする、そういう県民性があります。

 しかし、そういうところで、預けたお金が地元の島根県や佐賀県に貸し出しとしてちゃんと還流しているか。これがまたお粗末なんですね。預けたお金は中央へ貸し出しとなって出ていくんです。育てた子供も中央へ出ていくんです。金と子供が手と手を携えて地方から東京へ東京へと行って、これが、もう一つの資料としてお配りした預貸率。

 地方への格差というのは、結果的には、地方からのお金が地方に還流しないで、東京その他のところでお金が働かされて、そして、そこの税収となっていく。お金も子供も、みんな地方では働かなくて、東京で働く。この構造をどこかで改めなければならない。

 私は、山本金融大臣のときにもそういう御質問をさせていただいたことがあります。こういうことを根本的に変えないで、ふるさと納税とかそういうみみっちい話ばかりしている。もっと、根幹を絶つような、変えるような、そういうお金の流れを変えること。金の流れが変われば子供の流れも変わるでしょう、車の流れも変わっていくでしょう。

 そういう点からいうと、この預貸比率が依然として構造的、固定的に低い地方に対して、例えば、店舗の配置数についてお伺いいたします。

 銀行の店舗配置数は、二十年、十年前に比べて、こうした地方でどれぐらい減っているのか、ふえているのか、お答えください。

西原政府参考人 お答え申し上げます。

 店舗の数の変化でございますが、業態別に見てまいりますと、二十年前、一九八七年と比較してでございますが、昨年度、すなわち二〇〇六年度を見てまいりますと、都銀では、三千二百十三店舗から二千三百四十六店舗に減っております。それから地域銀行の方では、同じく一万一千三百五十三店舗から一万六百九十五店舗に減っております。それから信金、信組の協同組織金融機関ですが、これにつきましては、一万二百五十七店舗から九千五百九十二店舗に減少。すなわち、全体ベースでは二千百九十店舗減少しているという状況でございます。

 それで、地域別にはどうなっているかという点につきましては、私どもの方では集計しておりませんので、その辺の傾向についてはちょっとつかみかねますが、いずれにしましても、金融機関の減少といった問題あるいは合併といった問題、そういったことで重複店舗等が統合されていったことが一つの原因というふうに考えられると思います。

岩國委員 今答弁をいただいたとおり、銀行が大きくなれば、合併を重ねていけば、地方の支店の数は減っていくんですね。

 手数料は上がる、利子は減る、場所は遠くなる、そしてお金は県の外へ出て行く。これが、グローバリゼーション、ディレギュレーションの結果として、今、日本で起きていることなんです。お客さん、ユーザーから見れば、預金者から見れば、だんだん高齢化しているおじいさん、おばあさんから見れば、銀行の支店は遠くなる、中にはなくなる、受け取る利子は減る、払う手数料はふえていく。

 私は、金利収入というのは第二の社会保障だと思っているんです。それぐらい大きなウエートを占めている。今の金融行政、全部グローバリゼーション、全部ディレギュレーションとは言いません、もうそろそろ、それの反省を込めて、ディレギュレーションからリレギュレーションへ方向転換すべきときが来ているんじゃないかと思います。

 預貸比率を見ても、金の出方を見ても、利子収入を見ても、銀行が大きくなって健全になっても、それは全くお客さんに対してお返しがない。銀行の頭取は、いつも、自分たちの努力によってとおっしゃるけれども、銀行員の努力以上にお客さんの努力があってこうなっているんじゃないですか、健全になってきたのは。皆さんの御努力もある。しかし、皆さんの御努力以上に、泣かされ、汗をかいてきたのはお客さんですよ。それがこういう結果になってきているということについて、私はぜひ今後は方向転換が必要だということを指摘します。

 次に、銀行の店舗について。閉鎖するためには事後届け出制となりましたね。事後届け出制になってから、銀行の店舗の移転、閉鎖というのはどれぐらいの件数があったのか。事後届け出というのは何日ぐらいまで事後届け出でいいのか。一カ月かかってもいいのか、一週間以内なのか。この事後届け出のルールと、そして閉鎖、移転の件数について端的にお答えください。

西原政府参考人 お答え申し上げます。

 銀行法におきましては、我が国の国内の支店の設置あるいは位置の変更、廃止、それから、国内の有人出張所の設置、位置の変更、これにつきましては事前の届け出が必要でございます。一方で、国内の有人出張所の廃止につきましては事後の届け出ということになっております。

 そういうことでございますが、実際にどの程度の件数の届け出が行われているか、それについてはちょっと現在承知いたしておりませんが、いつまでにやらなければいけないのかという点、銀行法におきましては、特にこの部分について期限を定めておりません。

 ということで、通常は、実際に行われてから二、三週間のうちには行われているというふうに思っております。

岩國委員 今まであった銀行が急になくなるということは、使っていらっしゃる利用者から見たら大変なことじゃないかと思います。それが、こういうディレギュレーション、自由化とか規制緩和という結果によってやりやすくなったのは銀行の方でしょう、お客さんじゃなくて。そして、お客さんに何の通知もなしに、入り口の玄関に紙を一枚張ればどこかへ移転もできる、閉鎖もできる。そして、地域の金融機関として果たしてこられた役割が喪失されても、それを埋め合わせる手段が金融庁、金融行政から出てこない。

 私は、こういった業界本位のディレギュレーション、規制緩和、自由化というものは、もっと見直すべきじゃないかと思います。利用者はだれなのか。すべての金融機関は、釈迦に説法ですけれども、利用されるお客様あっての金融機関だという根本的な認識が私は少し薄いと思うんです。

 そういう地域の金融機関を閉めるときには事前届け出制ぐらいが必要じゃないですか。勝手に、いつの間にか閉めてしまって、あれ、いつの間にかあの銀行なくなっちゃったよ。そんなことを認める金融行政はおかしいんじゃないですか。

 もう時間がなくなりましたので、最後に渡辺大臣に申し上げます。

 私は、本当の改革というのは、お客様にどれだけ多くの安心と公平さと便利さと信用を提供できるかということが、金融改革であり行政改革だと思うんです。今金融庁がやっていらっしゃることが全部悪いとは言いません。しかし、余りにも業界の立場からの自由化や規制緩和が多過ぎて、結果的には、利子は減るわ、銀行は遠くなるわ、そして手数料は上がるわ。

 こういうふうな、利用者を余りにも無視したような金融行政は直ちに転換すべきだということを申し上げて、私の質問を終わります。

奥野委員長代理 次に、階猛君。

階委員 私は、七月二十九日、参議院選挙と同じ日に行われました衆議院補欠選挙で当選してまいりました一回生でございます。それまでは金融機関の社内弁護士をしておりましたので、まず金融の問題を中心にお聞きするとともに、後段の方では財政の問題についてお聞きしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 まず、破綻金融機関の一時国有化の処理についてちょっと渡辺大臣にお聞きしたいんですけれども、私が以前勤務していた日本長期信用銀行は、一時国有化によって、最終的には外資系ファンドによって買収された。そして、その後の経過を見ておりますと、上場はしたものの、その後、やや経営が不振といいますか、最近では株価が低迷している、こういった状況があるわけでございます。

 そもそもファンドというものは、なるべく早く利益を上げて、そしてこれを投資家に分配する、つまりは、一時的には経営はよくなっても、売却した後は知ったことではない、言うなれば、そういうようなものかなと思っております。

 そこで、そういうようなファンドによって金融機関が買収されるということ、この点について、まず大臣の所見を伺いたいと思います。

渡辺国務大臣 ファンドが金融機関を買収することについていろいろな御意見が出ているのは承知をいたしております。ファンドが長期的利益よりは短期的な利益を優先しがちであるとか、そのゆえに長期的関係を構築すべき金融仲介機能が発揮しにくくなる場面があるのではないかとか、そういった御批判も聞いたことがございます。

 御指摘の旧長銀の譲渡先の選定については、当時の金融再生委員会において、公的負担の極小化、金融システムの安定等の視点に立って、条件提示が最適であると判断したパートナーズ社に譲渡先が選定されたものと聞いております。その結果がどういう歴史的評価を受けるかということについては、これからの話ではなかろうかと思います。

階委員 それから、このファンドという中でも外資系のファンドによる買収であったということについてですが、例えば、アメリカなんかの例を見ますと、アメリカは、基本的に自由の国と、自由競争で、資本市場を自由化するということをうたっておるわけでございますけれども、自国に対する対外投資についてはエクソン・フロリオ条項なるものがあって、外国人が米国の企業を買収、合併等をする場合、大統領の判断でこれを規制できるというようなものがあるようでございますけれども、日本においてもそのような規制が必要ではないか、そのようにも思うんですが、その点についてはどのようなお考えでございましょうか。

    〔奥野委員長代理退席、委員長着席〕

三國谷政府参考人 御指摘のエクソン・フロリオ条項につきましては、アメリカにおきまして、国家安全保障上の観点から、すべての業種を網羅的に対象といたしまして、外国企業による投資規制を講じるものであると承知しております。

 我が国の場合に、米国におけるこの条項のように国家安全保障上の観点から外国企業による投資規制を導入することは困難ではないかと考えておるところでございます。

階委員 しかしながら、金融は、先ほど渡辺大臣もおっしゃったとおり、日本の国益にとって重要な影響が及ぶ。また、先ほど、アメリカの国家安全保障に脅威を与えるという要件、御答弁がありましたけれども、そういったことも拡大解釈されて、広く、アメリカの国益にとってマイナスであるものについては規制するというような運用がなされていると聞いております。

 そういったことを踏まえて、大臣としましては、こういったもの、金融機関、日本の国益を害するような買収に対して一定程度の歯どめをかけるという意味で、エクソン・フロリオ条項のような規制が必要ではないかと思うのですが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。

渡辺国務大臣 我々が今目指しておりますのは、日本市場が国際競争力を持ってこのグローバル資本主義の時代に太刀打ちできる、そういう体制をつくっていこうということでございます。一方において、グローバリズム、グローバルスタンダードを排除することなく受け入れつつ、いかにナショナルエコノミーの安定を図るか、国民の利便性を高めていくか、そういった戦略的発想が必要であろうかと思います。そうした発想の中でナショナルエコノミーの安定、国益を守るにはどのようなベターレギュレーションが必要であるかを検討することになろうかと思います。

階委員 そうしますと、今足利銀行も同じように国有化されていまして、これから受け皿が決まるという中で、今おっしゃったような国益ですね、そういうことを配慮するのか、あるいは自由な資本主義というのを重視するのか、その辺について何かお考えがあればお聞きしたいのですけれども。

渡辺国務大臣 足利銀行の受け皿選定につきましては、かねて申し上げておりますように、内外無差別という観点から、厳正公平に行ってきております。与謝野金融大臣の当時から、三つの原則、すなわち、持続的な金融仲介機能を発揮していただくこと、そして、栃木県を中心とする地域の中でお客様の信頼を得て金融ビジネスができること、そして、第三点目には、国民負担の極小化という原則でございます。この三つの原則にのっとって、受け皿候補の審査、選定が行われているわけでございまして、それ以上でもそれ以下でもございません。

階委員 そうしますと、今回、足利銀行の場合もそうだと思うのですが、今現在、上場廃止されていまして、今後、受け皿に譲渡された後にまた再上場を目指すということで、新生銀行の場合と同様かと思うのですが、そういった上場が廃止されたところで売却して、上場をした後のキャピタルゲイン、これが国に入ってこないということになるわけでございますけれども、こういったことで、破綻銀行に対してはいろいろな公的資金が投入されていて、その回収を極大化するという意味では、この点はマイナスではないかと思うのですが、ここについてはどのようなお考えでしょうか。

渡辺国務大臣 足利銀行は、預金保険法百二条の三号措置で特別危機管理銀行になっております。預金保険法においては、できる限り早期に特別危機管理を終えるという規定がございます。また、特別危機管理の終了に当たっては、債務超過を解消するための金銭贈与が同時に規定をされております。こうした枠組みを考えるならば、やはり金融機関としてみずからリスクをとって、いろいろなビジネスモデルを構築していく、そういった発想が求められるわけでございますから、いたずらに特別危機管理の期間を長引かせることは適切ではなかろうと思います。

階委員 そうやって上場した後も、新生銀行もそうですけれども、政府がなお保有株を持ち続けているケースもあります。また、破綻しない金融機関に対しても、早期健全化法などによって資本注入をしているケースがあります。そういった政府が投入した資本、株式の含み損益についてはどのような状況になっているか、直近の数字を教えていただけますか。

西原政府参考人 お答え申し上げます。

 公的資本の増強、これに係る株式についての現在の含み損益の状況ということですが、この優先株の含み損益につきましては、一般的に申し上げまして、毎年転換価格の修正がなされるということ、それから、一方で、時価の算定の基礎となります普通株の株価というのが毎日変動する、こういうようなことでございますので、この含み損益につきましても毎日変動する、こういう性格のものでございます。

 その上で、例えば、前提を置かせていただきますと、一つの前提として、未返済の公的優先株のうち、既に転換期が到来している優先株を普通株に転換すると仮定する、これが第一条件。その上で、一番直近の時点で、昨日十一月六日の株価、これを前提として算出しましたところ、これは機械的に算出をすればということですが、その額、株式の時価総額と、それから実際の資本増強注入ベースの額、その差額につきましては七千七十六億円ということでございます。

階委員 今、七千七十六億円、トータルで含み益ということを伺いました。それで、普通株と優先株と両方あるということだと思います。そして、その普通株については、当然のことながら議決権というものがあるわけでございます。

 例えば新生銀行の場合、今政府が、普通株、かなりの議決権比率を持っているかと思うのですが、その数字を教えていただきたいのと、また、その議決権、多分、私の推測では筆頭株主になるかと思うのですが、先ほど渡辺大臣は、民間の経営を尊重する、経営にゆだねるというような趣旨の御発言だったと思うのですが、その辺について、経営権を政府として行使する必要性をどのようにお考えになっているのか、ちょっとお聞きしたいと思います。

西原政府参考人 私の方からは、現在どれだけ普通株、パーセンテージ持っているか、それをお答えさせていただきたいと思います。

 新生銀行につきましては、議決権を持った普通株、これは一二・六八%保有しているのが現状でございます。

渡辺国務大臣 今、西原局長が答えましたように、一二・六八%の議決権比率を持っております。

 一般的に、資本増強行におきましては経営健全化計画の策定が義務づけられております。これがきちんと履行されているかどうかをチェックいたします。三割ルールというのがございまして、例えば、当期利益が計画を三割以上下回った場合、抜本的収益改善策の策定、履行を求めるための業務改善命令の発出を検討するということがございます。また、業務改善命令の対象となった年度の翌年度において、再度当期利益が計画を三割以上下回るというような場合には、経営責任の明確化を含む新たな業務改善命令の策定、履行を求める業務改善命令の発出を検討する、そういう枠組みが設けられております。

 その上で、公的優先株などに係る議決権がある場合には、預金保険機構や整理回収機構において、株主としての利益確保の観点から、適切に議決権を行使していくということになろうかと思います。

階委員 済みません、先ほど聞き忘れましたが、十一月六日時点での新生銀行に限っての含み損益の状況をちょっとお聞かせいただけますか。

西原政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどと同じ条件で機械的に算出した場合ですが、新生銀行につきましては、十一月六日現在の時価では、これはマイナスの九百五十二億円という形になります。

階委員 今、一千億近く含み損になっている、そういう政府の保有株の状況だということですが、経営に介入するに当たって、含み損とかそういうことは考慮されないのかと。

 先ほどの話に戻りますと、そもそもファンドなどは、そういう株式の価値というものを最重点課題に置いて経営を行います。政府としましては、そういうことを考えて金融機関の経営に関与していかないのかということについて、御所見を伺えればと思います。

西原政府参考人 お答え申し上げます。

 この新生銀行につきましては、たまたま十九年三月期におきましては、管轄下にあります貸金業関係、こういったものが非常に問題を抱えていたということで、それの処理におきましてかなりの大きな赤字を抱えたということがございます。そういう特殊要因がございまして、それ以前の実際の経営の数字を見てまいりますと、これは計画をほぼ達成するような形で経営健全化計画をおおむね着実に達成してきている、こういう経緯がございます。

 しかしながら、今御指摘のとおり、株価については今非常に低下状況にございますので、これにつきましては、私どもとしましては、やはり、今後の収益力の向上あるいは企業価値を増大していくための取り組み、これが必要だというふうに考えておりまして、我々としても、そこについてはしっかりと見ていきたいというふうに考えております。

階委員 それでは、話題をかえまして、金融商品の販売関係についてちょっとお伺いします。

 御案内のとおり、九月三十日から金融商品取引法が施行されました。これによって、利用者等からの金融商品販売に対するクレームなどはどのように変化しているのか。特に、適合性原則といいまして、お客様に金融商品を販売するときは、その商品がお客様のニーズとか投資能力に合ったものかどうか、これを適切に判断した上で販売しなさいというようなルールが、今までもあったんですけれども、より厳格になったという理解でおりますが、そのルール変更によって何かクレームの内容等について変化があったのかどうか、その点についてお聞かせ願えればと思います。

西原政府参考人 お答え申し上げます。

 金融商品取引法の全面施行というのが九月の三十日にあったわけですが、それ以降、非常に多くの問い合わせあるいは苦情といったものも参っております。特に、ピーク時は一日二百件というような問い合わせ等がございましたが、現在は減少いたしまして、一日大体十数件というようなオーダーになってきております。

 その内容としましては、いわゆる広告というものについての規制がかかったものですから、それについて交換コストが非常にかかってしまうということの苦情、あるいは何が広告に当たるのかとして依然としてあいまいであるというようなこととか、それから、口座数の多い証券会社につきましては、一般投資家と特定投資家の意思確認が非常に困難であるとか、あるいは、社員の教育コストあるいは法定帳簿等に係るシステムのコスト、これが膨大になっているというような問題。それから、今委員御指摘の、特に適合性の関係に関連しますが、投資家へのリスク説明に非常に時間がかかるということで、その結果、非常に長い行列ができてしまったというようなケース、逆に、顧客の側からは、なぜそんなに長い時間かけて、自分はもっとよくわかっておるというような逆の苦情、そういったものが出ております。

 私どもといたしましては、まず、この法律の趣旨、これをしっかり理解していただくために、こういった問い合わせにお答えするだけではなくて、理解の促進を図るために、いろいろなところに講演に行ったり、あるいはいろいろな書物にも寄稿するというような手だてを講じておるところでございます。

 しかしながら、やはり、何といっても、この金融商品取引法の一番の趣旨である利用者保護の徹底という趣旨からは、この適合原則を含めまして、販売、勧誘規制等を大幅に今回見直したものでございますので、それをできるだけ現場で徹底してもらいたい、相応の取り組みが必要だというふうに考えております。そういったことで、今回、私どもも、そういった点を中心にしっかりと浸透させていきたいというふうに考えております。

階委員 その利用者保護という観点から、ちょっと格付のことについてお聞きしたいんですが、我々一般の投資家というのは、格付が高ければ高いほど、その金融商品は安心、安全だろうと思って購入する意思決定をすると思うんですが、昨今のサブプライムローンを組み込んだ証券化の金融商品などを見ていますと、必ずしも高格付イコール安全というわけではないということが明らかになっているかと思います。

 そういったことで、業者が商品を販売するときも、格付が必ずしもそういった安全を保証するものではないということをきっちりとリスクの説明として入れるべきではないかと思うのでございますが、その点について御見解をお聞かせ願えればと思います。

西原政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のとおりでございます。やはり、販売、勧誘に際しまして、金融商品に係る格付情報、これを利用するということがあるというふうに考えられます。その際にも、やはり金商法の各種の行為規制というのがかかってまいりますので、それに基づいた適切な説明というものがやはり必要だと思っております。

 特に、格付情報が提供するのは信用リスクの観点ということになりますが、実際に、商品につきましては、それ以外のリスク、すなわち金利による変動、為替による変動あるいはそれ以外の指標に基づく変動といったことがいろいろございます。そういったことが元本の毀損につながってくる等々のおそれがあるものについては、そこをしっかりと説明しなければいけない。それも、広告においてもあるいは契約締結前の交付書面においても、そういったことについてしっかりと対応されなければいけないというふうに思っております。

 そういった観点から、いわゆる格付情報を利用する際にも、そういったきちっとした説明がなされているかどうか、我々としても、チェックポイントの一つだと思っておりますので、今後もしっかりとモニタリングをしていきたいというふうに思っております。

階委員 利用者保護の観点からもう一つ言いますと、金融商品取引法ができましたけれども、なお金融商品の定義から漏れている商品、保険とか通常の預金とかあるわけでございますが、こういったものに対して、横断的規制の網をかけて、すべての金融商品について業者ルールをつくるということも考えられてしかるべきだと思っております。

 これに関しまして、今、銀行と証券というのは、銀証分離といいまして、銀行は証券業に参入できない、そういった規制もあるわけでございますけれども、その点について見直しの必要性があるかどうか、御見解を伺いたいと思います。

渡辺国務大臣 御指摘の金融商品取引法以外の商品、例えば商品先物とか預金とか保険などの取引につきましては、金商法の対象外でございます。これらの商品のうち、投資性の強い預金や保険や商品先物取引につきましては、同じ経済的性質を有する金融商品には同じルールを適用するとの考えのもとに、各業法において、金商法と同等の販売、勧誘ルールを整備しております。

 また、横断的規制の導入につきましては、一昨年の金融審議会報告においても述べられております。投資サービス法の法制化とその実施状況、各種金融商品の性格、中長期的な金融制度のあり方も踏まえ、精力的な検討を続けていくということでございます。

 いずれにしても、投資性の強い金融商品・サービスを幅広く投資者保護ルールの網をかぶせて定着を図っていくことは、必要であろうかと存じます。

階委員 銀行と証券の規制の問題、銀証分離についてはどのようにお考えでしょうか。

渡辺国務大臣 これは古くて新しい課題でございますが、金商法三十三条において、銀行の証券業務が原則として禁止をされております。この条項の見直しの議論の中で、例えば、銀行本体が有価証券の引き受けリスクなどのある証券業を併営することを銀行の財務の健全性確保や預金者保護の観点からどう考えていくか、また、銀行による利益相反の弊害や銀行の優越的地位の濫用の可能性についても指摘がございますので、こうした問題をどう考えるかという観点から検討をする必要があろうかと思います。

階委員 それから、中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針、これが八月に改正されたということで、例えばリレーションシップバンキング、これについては、ライフサイクルに応じた取引先企業の支援強化、事業価値を見きわめる融資手法を初め中小企業に適した資金供給手法の徹底、地域の情報集積を活用した持続可能な地域経済への貢献、こういったことを監督の上での着眼点にするということなのですが、その具体的な取り組みについては金融機関の自主判断にゆだねる、また、積極的に取り組みを行っているか検証ということで、極めて抽象的な監督方法になっていますけれども、どのようにその実効性を担保するか、どのようにして今言った三項目についてちゃんと取り組んでいるか評価していくのか、この点について御見解をお聞かせいただければと思います。

渡辺国務大臣 委員御指摘の、例えばライフサイクルに応じたリレバン体制がどうなっているのかということを考えてみますと、今、創業・新事業支援のための融資は、政府系金融機関との協調融資としては若干伸び悩んでおります。しかし、自前の創業支援商品などは順調に増加を見ているところであります。また、経営改善支援により支援を行った債務者の改善実績においては、困難な事例が多うございますけれども、ビジネスマッチングの取り組みは大幅に増加をしております。事業再生につきましては、再生手法の中で、例えば、デット・エクイティー・スワップとかDIPファイナンスが活用されております。

 こうした取り組みを通じまして、リレバン体制の着実な進捗を我々としては望んでいるわけであります。金融機関との定期的な意見交換や、事業者、利用者へのアンケートの実施を通じて適切にフォローアップをしてまいります。

階委員 金融の関係、最後に、ゆうちょ銀行のコンプライアンスの問題についてお聞きします。

 総務省の行った評価によると、コンプライアンスについては非常に低い評価がつけられた、また、具体的に現金過不足の事件が多く発生していると。その実態をお聞かせ願いたいのと、改善のための指導方法といいますか、そういったことについてお聞かせください。

西原政府参考人 お答え申し上げます。

 通常、民間金融機関の場合でございますが、こうした現金過不足を含む不祥事件等の公表につきましては、基本的にその個社の経営判断によるものでございますので、それについて当方がコメントするということは差し控えているというのが現状でございます。

 しかしながら、郵政公社の段階における現金過不足につきましては、十八年度ということで見ますと、総務省の業績評価の中でこれは指摘されておりまして、二十六万件という現金過不足の件数が記載をされているところでございます。

 こういう実態にあるということで、我々といたしましては、やはり、こういったことが起きているということは非常に問題があるというふうに考えております。

 一般論として申し上げますと、私ども、こういった現金過不足を含めまして、不祥事件が上がってまいりますと、それに対しては、組織的な関与がなかったのかあったのか、あるいは当該事件が経営に与える影響、それから、内部牽制機能が適切に発揮されていたのかどうか、改善策の策定や自浄機能があるかどうか、発生後の対応が適切になされているかどうか等々の検証を含めまして、厳正に監督をしているところでございます。

 私どもといたしましては、ゆうちょ銀行に対しましても、民間金融機関と同等の目線で、しっかりとした適切な監督をしていきたいというふうに考えております。

階委員 それでは次に、財政の問題についてちょっとお聞きします。

 額賀大臣、今、民主党では、税金の無駄遣いを削れということで、独法の見直しなどについて取り組んでおりますけれども、きのうの参議院の財政金融委員会、独法を通じて、大臣が事務総長を務められた団体にトンネルで二千万円流れていた、そういうようなことが取りざたされていたようでございますが、まず、その二千万円の資金の移動の事実があるのかどうか、その点についてお聞かせください。

額賀国務大臣 きのうの質疑の中で私がお答えしましたのは、社団法人、公益法人の日米文化交流協会か何かだったと思いますけれども、この事業展開の中で、日米同盟とか安全保障の問題について、我々は会費を負担いたしまして参加させていただいたということでございまして、その中身についてはよく承知をしておりません。

階委員 事務総長ということで、そういった資金の流入、使途については通常把握されているのではないでしょうか。それは一切御存じないということでしょうか。

額賀国務大臣 私が事務総長的な役割を果たしていたのは国会議員の議員協議会であったと思うし、それから、公益法人の役員になったのは最近のことで、余り詳しく、よく承知しておりません。

 それから、そういう事業の中で、我々国会議員はそういう目的に賛同をして会費を払って参加をさせていただいているということが私の基本的な姿勢なのであります。

階委員 それでは、今後仮に、資金の、二千万の流入が明らかになった場合、この点について何か大臣として取り組みをするというか、問題を認識して調査とかそういうことをするということはお考えでしょうか。

額賀国務大臣 これは外務省のかかわり合いだったと思いますけれども、今の時点で私はその役職をやめております。

階委員 この問題についてはちょっときのう出た話で、まだこちらの方でもこれから鋭意調査を進めて、またこの委員会でも御答弁をお願いするかと思いますが、ひとまずここではおいておきます。

 財政の問題についてお聞かせ願いたいと思います。

 先般、経済財政諮問委員会で、二〇二五年に最大三十兆円以上の要増税額が生じるやの民間議員の試算が出されました。そもそも、二〇一一年度までにプライマリーバランスを黒字化するということすら今めどが必ずしも立っていない状況の中で、二〇二五年という長期的なことについてこういった莫大な数字を示して、国民の不安をあおるといいますか、そういうことをすることについて財務大臣としてはどのようにお考えなのか、お聞かせいただければと思います。

額賀国務大臣 今、ここ十数年の日本の経済とか全体的に見ますと、やはり国民の皆さん方は将来について幾ばくかの不安を持っている。例えば、少子高齢化社会に突入する、労働力が削減されていく中で、日本の経済はどうなっていくんだろう。そして、若い人たちは、自分たちの負担はどうなっていくんだろう。あるいはまた、高齢者の皆さん方がどんどんふえていくことはうれしいことだけれども、これもまた負担が増大をしていく、そういう中で、日本の経済力、成長力、そういったものはどうなんだろう。そういうことは多くの国民が、漠然とした展望を描いてくれないかなということを考えているんじゃないかというふうに思います。

 そういう給付と負担の問題一つをとっても、将来に一つの制約要因というか前提を置いた上で一つの試算を出しておくことは、国民の皆さん方とともに日本の将来を考えていく上での一つの方法論ではなかろうか。それがいかにも国民の皆さん方に不安感を与えるようなことであってはならないけれども、国民の皆さん方がみずからの問題として、自分たちの将来、それは老いも若きも考えていく手段としてそういうことが提起されたということは、むしろそれを有効に活用して、我々が健全に安定した日本経済、日本の社会をつくっていくためにはどうしたらいいかということを考えていくきっかけになればいいのではないかと思っております。

階委員 次に、格差是正のために税制度はどうあるべきかということをちょっと御議論させていただければと思います。

 まず、今取りざたされています法人二税の配分方法の見直しということでございますけれども、これは地方と都会の格差是正につながるのかどうか、この点について御所見を伺えればと思います。

額賀国務大臣 これは、おっしゃるように、今、さまざまな格差の問題が議論をされておりますけれども、地方の、あるいは都市部の財政力、各県の財政力格差というものも一つの議論になっておるわけでございます。

 その中で、特に法人二税の場合は、最近は企業の運営形態というか経営形態も、やはり、地方に主な支店を置いたりとか工場があっても、本社機能に全部集中していくということは大企業においてもう大きく進んでいるわけでありますから、どうしても大都市部に集中していくようになっていることがはっきり見えております。東京都と長崎県では六・何倍かの差が起こっているということでございますから、そういうものを、やはりどういうふうに格差を縮めていくかということについて考えた場合、法人二税をどうするかということは一つの考え方であると。

 財務省としては、これをどういうふうに水平的にというか地方の中で配分ができるかということについては考えてもいいのではないか、考えるべきではないかというふうに思っているところであります。

階委員 この点につきまして、法人二税の配分の見直しの結果、税収入がふえた自治体においてはその分地方交付税が減らされるから、トータルでは何の財政改善にもならないというような議論も目にするんですけれども、交付税はその場合減らされるのでしょうか。

額賀国務大臣 これは、地方税の総額としては変わらないわけですから、仮にその法人二税を配分ができた場合は、交付税を減らしていくようなことは考えておりません。

階委員 交付税を減らさないという御答弁でございましたが、逆に、今、地方の歳出削減が限界に来ている中で、むしろ今までより手厚い交付税を配分すべきではないかということも考えられるわけでございますけれども、この点についてはどのような御所見でしょうか。

額賀国務大臣 これは、どういうふうにその配分をしていくかのことが一つあります。

 それから、やはり、地域の財政力でございますから、今我々が考えていることは、その格差を是正していくと同時に、今までの地方に配分されたお金をどういうふうに効率的に使っていくか、あるいはまた、縦割り的に使われたものを有効に使っていくことができるのかどうか、あるいは、将来の地域の再生、成長に結びつくような分野に重点的に配分をしていくとか、私は、そういう企画力とか地域再生のために必要なものは、これまでの使い方、効率化を図ることによってでき上がっていくのではないかというふうに思います。

階委員 話題をかえます。政府が持っている外国為替の保有状況についてお聞きしたいと思います。

 まず、現在の政府が持っているアメリカ・ドルの保有額は九千四百五十六億ドルと伺っております、約百兆。この水準について、多過ぎるのではないかと思うんですが、この点についてはどうお考えでしょうか。

額賀国務大臣 階委員がおっしゃるように、九千五百億ドル、約百十兆円の外貨準備でございますけれども、これは日本の為替を安定するために、やはり一定のものをきちっと保っていかなければならないというふうに思っております。

 どの程度の水準がいいかということにはさまざまな議論がありますけれども、これを一気に少なくしていくとかいうようなことを考えれば、逆に市場に不安を、混乱を与えるというおそれもあるし、そこはやはり為替の安定を図りながら一定の利益を図っていくという形で、今減らすというようなことを考えているわけではありません。

階委員 今、九千四百五十六億ドルの保有額に対して、含み損益というのはどういう状況になっていますでしょうか。

玉木政府参考人 含み損でございますが、平成十七年度末決算における保有外貨資産の評価損は八・四兆円となっております。

 なお、現在、会計検査院を経ております平成十八年度末決算における保有外貨資産の評価損は、四・六兆円となる見込みでございます。

階委員 それでは、その八・四兆とか四・六兆という含み損は、仮に一円、為替相場が動いた場合、どのようにふえていくのか、そこをお聞かせください。

玉木政府参考人 お尋ねのドル・円相場が仮に一円、円高になった場合の影響について試算してみますと、外為特会の保有する外貨資産の評価損は約〇・八兆円増加することになると考えております。

階委員 そういったリスクを抱えている外貨の保有なのでございますが、そのリスクを減らすという観点から見て、もう少し保有額を減らすべきではないかと思うのでございますけれども、その点について、大臣の御見解はいかがでしょうか。

額賀国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、仮に外貨準備を減らすようなことになれば、外貨を売却して円貨にかえるということになるわけでありますから、この場合に為替相場に影響を与えるということになるわけでございますので、今、外貨準備をかえていくことがいいのかどうか判断を迫られれば、それは今はかえる考えはないというふうに……。

階委員 時間が参りましたので、これで終わりますけれども、また今後とも金融、財政の問題についていろいろお聞かせいただければと思います。

 どうもきょうはありがとうございました。

原田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 生保、損保の不払い問題についてお聞きをしたいと思います。この問題は、この間、大変大きな衝撃を与えておりまして、ある意味では底なしのような状況もあります。

 そこで、まず確認をしておきたいんですが、現時点での支払い漏れの総件数、合計金額、生保、損保、それぞれについてお答えいただきたいと思います。

西原政府参考人 お答え申し上げます。

 生保につきましては、この支払い漏れの調査、四月の十三日を期限としていたわけですが、結局、そこまでに完了せずに、この九月末までに出てきたもの、これが三十八社中二十三社ございます。その件数でございますが、実を言いますと、そこまで完了していなくても途中まで出してきているというものもございますので、それを合計したところでは、件数で百二十万件、金額にいたしますと九百十億円となってございます。

 損保につきましては、ちょっと今手持ちがございませんので、調べまして、すぐお答えいたします。

佐々木(憲)委員 損保は、事前にいただいた資料を見ますと、四十八社中二十六社で十八万件、八十四億円と聞いておりますが、それでよろしいですか。

西原政府参考人 十九年六月末の公表ベースで集計したものでございますが、これによりますと、付随的な保険金の支払い漏れの件数と金額、これについて二十六社合計で、件数では四十九万五千五百五十八件、金額でございますが、三百八十一億五千九百万円となってございます。

佐々木(憲)委員 そうしますと、これはかなり膨大な金額、件数でありまして、金額にしても一千億円を超えまして、一千二百九十一億円ということになろうかと思います。

 渡辺大臣は、保険会社が保険金を払わないでどうするというふうにおっしゃったようでありますが、こんな保険金を払わない事態は極めて重大であると思うんです。なぜこういう事態が発生したか、どのような見解をお持ちでしょうか。

渡辺国務大臣 この原因について、今いろいろな角度から精査をしておるところでございます。

 まず、生保各社から支払い漏れの調査報告の内容をもらっておりますので、これを分析しております。精査、分析に当たっては、単に支払い漏れの件数、金額の多い少ないだけではなくて、業務執行体制の改善がなされていたのかいなかったのか、そういう観点も含まれております。

 いずれにしても、こうした支払い漏れが広範にわたって行われたということを我々は重大視しているわけでございまして、再発予防措置とともに、今、精査、分析を進めているところであります。

佐々木(憲)委員 この執行体制の問題もあろうかと思いますが、その裏に、金融自由化のもとで外国資本がどんどん入ってくる、そういう状況下で競争が非常に激化する、次々と金融商品が開発されて、非常にその中身が複雑になる。一方、競争の中でコストダウンのためにリストラが行われて、保険の販売員が商品を余りよく理解できないまま販売に走る。そういうようなことがこの間あったのではないかと私は思っております。

 やはり、そういう保険業界をめぐる構造的な問題、それから、それに対する政府の対応が果たして適切だったか、その辺は全体として検証する必要があると思いますが、大臣、どうでしょうか。

渡辺国務大臣 金融ビッグバン以来、保険業界の競争が激化し、さまざまな商品の開発が行われてまいりました。業務執行体制において、その開発された商品の支払いを適切に行う例えばITシステムの整備などが行われていなかったという状況も報告をされてきております。

 いずれにしましても、こうした支払い漏れが、業務体制の改善の結果として厳しい調査が行われて把握されたものであるか、はたまた、業務執行体制の改善がいまだに行われずに改めて把握されたものか、こういった観点から、今、精査、分析を進めているところであります。

佐々木(憲)委員 この生保の調査でありますけれども、先ほども御説明があった中でも、ことしの二月に、過去五年間にさかのぼって支払い漏れを調査し、四月十三日を期限として報告徴求命令を発出している。ところが、十三日には、完了したのは四社だけなんですね。完了しなかった会社が三十四社あった。そこで、今度は九月末に期限を延長して、それでも十五社が調査を完了していない。完了したのは二十三社。なかなか、これはいつまでたっても終わらないわけであります。それで、現在もまだ完全にこの調査は完了していないわけですね。

 なぜこんなにいつまでも、報告徴求命令が出されているにもかかわらず完了しないのか、その理由は一体どこにあるのか、それを説明していただきたいと思います。

西原政府参考人 お答え申し上げます。

 実際にずれ込んでいる理由は何かということでございますが、例えば契約者への請求案内、これを行ったケースにつきまして、契約者等から回答がなかなか来ないということでその時間を要しているケースですとか、それから、住所が不明であるというようなことでその所在確認に時間を要しているというケースなど、いろいろなケースがあろうかと思います。

 しかしながら、いずれにいたしましても、この調査を完了していない生保会社につきましては、責任を持ってみずからいついつまでにやりますということを公表してございますので、その期限までには実態解明をしっかりやっていただき、それに対して適切な顧客対応をしていただいて、さらに実効性のある再発防止策を練っていただくということを期待しているわけでございます。

佐々木(憲)委員 それにしても、百六十九万件、千二百九十一億円というこの金額というのは余りにも膨大でありまして、本来、保険会社が契約者に払って当たり前のものなんです。払うべきものが払われていなかったわけであります。

 この金額の中で、実際に支払われた金額、これは一体どのぐらいあるんですか。

西原政府参考人 お答え申し上げます。

 九月末時点で調査を完了している生保につきまして、実際の支払いの進捗状況でございます。

 完了しております二十三社について見てまいりますと、支払い進捗状況は全体で七三・七%の支払い状況、こういうことでございます。

佐々木(憲)委員 損保の支払い漏れについてもお聞きしますけれども、火災保険など取り過ぎの問題もありますが、基本的な調査は完了したというふうに聞いております。

 問題は、今、生保は七十何%とおっしゃいましたが、損保の場合、これは申請してくるのを待ってというやり方ではなくて、私は保険会社の側が積極的に払うというのは当たり前だと思うんですけれども、この支払いのやり方というのは一体どのように行われているのか、お答えいただきたいと思います。

西原政府参考人 お答え申し上げます。

 支払い漏れの問題につきましては、それを調査する、それから分析をする、再発防止策を練るというだけではなくて、契約者に対して速やかな支払いということも私ども求めております。

 そうした中で、追加的な支払いを要する案件につきましては、請求を必要としないケース、これは、既に請求書はもらっているものの、重要な点について見落としていた結果、支払いをしていなかった、こういうものはわざわざ改めて請求をしていただく必要はございませんので、それについては速やかに支払うということだと思います。

 一方で、実際には必要な請求書とか診断書がなかったというケースについては、改めてそれを要求するということで、できるだけ早く必要なものの提出を求めるということで、それを受けた結果、速やかな支払いに向けた対応がとられるというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 渡辺大臣にお聞きしますけれども、この責任のとり方の問題。この調査の結果を受けて、当然その後、適切な処分というのがやられて当たり前だと私は思っております。この金融庁の処分とは別に、保険会社が自主的に社内処分をやる、これは保険会社の内部の責任のとり方でありますが、関連役職員の減俸ですとか、あるいは会長、社長の退任とか、契約者の信頼を回復するために会社として行う、これは当然のことだと思いますけれども、この件についてどういう感想をお持ちか、お聞かせいただきたいと思います。

渡辺国務大臣 社内処分というのは、各社が自主的に判断をされる問題であろうと思います。

 金融庁としては、社内処分に限らず、生保各社においてしっかりとした原因分析をまず行ってもらうこと、それにのっとった再発防止策を策定してもらうこと、そして迅速なお客様対応を行ってもらうことが大事であると考えております。

 各社の取り組み状況については、引き続き適切にフォローしてまいりますし、日常の検査監督を通じて着実な業務改善を促してまいります。

佐々木(憲)委員 この社内処分で私はいろいろ問題があると思っておりますのは、責任をとった形になっているようで実はそうなっていないというのがありまして、例えば三井住友海上火災の場合、昨年六月に金融庁から不払い問題で業務停止命令を受けたわけです。それで、七月に金融庁に対して業務改善計画書というのを出しました。そのとき、同時に社内処分も発表して、取締役、執行役員四十三人、監査役四人、合わせて四十七人の処分を行う。一般社員を加えると総勢六百三人の大量処分を行ったということです。それから、コンプライアンス担当や損害サービス担当など一連の不祥事に深くかかわっていた役員三人は退職をした。

 昨年の六月の株主総会で、会長と社長は退任し、完全に会社から離れるということになっていたわけですが、実はおかしな事態が発生しておりまして、ことし七月になりますと、責任をとってやめたはずの前会長と前社長が常任顧問として復活をしている。常任顧問というのは、有給で社内に専用の顧問室を持っているんですね。そういう待遇を受けて、いわばほとぼりが冷めないうちに戻ってきているわけでありまして、これは非常に、私は、契約者に対して責任をとったような形をとりながら、実は表向きだけで、まあ、一年たったから戻りましょうということでは示しがつかないんじゃないか、そういう点も踏まえて、当然、この生保、損保の調査完了後、適切な金融庁としての処分というものを考える必要があると思いますが、大臣、最後にその点についてお伺いしたいと思います。

渡辺国務大臣 金融庁の行う処分に関しましては、本年の三月に公表をいたしております。

 第一に、当該行為の重大性、悪質性、第二に、行為の背景となった経営管理体制及び業務運営体制の適切性、第三に、その他行政による対応に先行して、しっかりとした原因究明に即した再発防止策を策定するなど自主的な対応に取り組んでいるかどうか、こういった観点から吟味をし、検討を行い、最終的な判断をしたいと考えております。

佐々木(憲)委員 最後に、これらの関連する不払いを起こした生損保の会社の社長、それから関連業界の団体の責任者、すべてとは言いませんけれども、特に金額あるいは件数の多いところを中心にして、後で理事会で協議をしていただいて、ぜひ参考人として招致をしていただき、考え方をただしたいと思いますが、ぜひ協議をお願いしたいと思います。

原田委員長 ただいまの件につきましては、後刻理事会で協議をしたいと思っております。

佐々木(憲)委員 終わります。

原田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.