衆議院

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第6号 平成20年2月26日(火曜日)

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平成二十年二月二十六日(火曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 原田 義昭君

   理事 大野 功統君 理事 奥野 信亮君

   理事 後藤田正純君 理事 田中 和徳君

   理事 野田 聖子君 理事 中川 正春君

   理事 松野 頼久君 理事 石井 啓一君

      石原 宏高君    小川 友一君

      越智 隆雄君    木原  稔君

      佐藤ゆかり君    篠田 陽介君

      鈴木 馨祐君    関  芳弘君

      谷本 龍哉君    土井 真樹君

      中根 一幸君    萩山 教嚴君

      林田  彪君    原田 憲治君

      広津 素子君    松本 洋平君

      宮下 一郎君    盛山 正仁君

      山本 有二君    池田 元久君

      小沢 鋭仁君    大畠 章宏君

      階   猛君    下条 みつ君

      鈴木 克昌君    西村智奈美君

      平岡 秀夫君    古本伸一郎君

      大口 善徳君    佐々木憲昭君

      中村喜四郎君

    …………………………………

   財務大臣         額賀福志郎君

   財務副大臣        森山  裕君

   財務大臣政務官      宮下 一郎君

   参考人

   (東京大学法学部教授)  中里  実君

   参考人

   (跡見学園女子大学マネジメント学部准教授)    中林美恵子君

   参考人

   (明治大学政治経済学部教授)           高木  勝君

   参考人

   (静岡大学名誉教授)   安藤  實君

   財務金融委員会専門員   首藤 忠則君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十六日

 辞任         補欠選任

  とかしきなおみ君   篠田 陽介君

  平岡 秀夫君     西村智奈美君

同日

 辞任         補欠選任

  篠田 陽介君     とかしきなおみ君

  西村智奈美君     平岡 秀夫君

    ―――――――――――――

二月二十六日

 庶民増税反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一四四号)

 同(石井郁子君紹介)(第一四五号)

 同(笠井亮君紹介)(第一四六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一四七号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一四八号)

 消費税大増税の反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一四九号)

 同(石井郁子君紹介)(第一五〇号)

 保険業法の適用除外に関する請願(牧義夫君紹介)(第一五一号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一七〇号)

 保険業法の適用除外等に関する請願(市村浩一郎君紹介)(第一六九号)

 自主共済の健全な発展と運営に関する請願(太田和美君紹介)(第一九七号)

 消費税増税反対、住民税をもとに戻すことに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二一三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二一四号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二二四号)

 同(石井郁子君紹介)(第二二五号)

 同(笠井亮君紹介)(第二二六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二二七号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二二八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二七一号)

 保険業法の見直しを求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二一五号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二二九号)

 同(石井郁子君紹介)(第二三〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第二三一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二三二号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二三三号)

 同(志位和夫君紹介)(第二三四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二三五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二三六号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二三七号)

 消費税の大増税反対に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第二七〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 参考人出頭要求に関する件

 平成二十年度における公債の発行の特例に関する法律案(内閣提出第二号)

 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)


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     ――――◇―――――

原田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、平成二十年度における公債の発行の特例に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、参考人として東京大学法学部教授中里実君、跡見学園女子大学マネジメント学部准教授中林美恵子君、明治大学政治経済学部教授高木勝君、静岡大学名誉教授安藤實君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

原田委員長 ただいま参考人として、東京大学法学部教授中里実君、跡見学園女子大学マネジメント学部准教授中林美恵子君、明治大学政治経済学部教授高木勝君、以上お三方に御出席をいただいております。

 安藤實君は後でまた御紹介したいと思います。

 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。

 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からお一人十分御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願いいたします。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御了承いただきたいと思います。

 それでは、まず中里参考人、お願いいたします。

中里参考人 御紹介いただきました中里でございます。きょうは、このような場にお招きいただきまして、ありがとうございます。

 平成二十年度税制改革案に関する意見の陳述を行わせていただきます。簡単な配付資料を用意いたしました。

 それで、その配付資料に入る前に、簡単な前置きでございますけれども、財政改革とか税制改革、この種のものに魔法というのはないということでございます。これをすればみんなが満足で何もかもうまくいくというようなものは多分ないのではないかというふうに思っています。財政赤字が非常に厳しい状態でございますけれども、ある種の方策をとれば一挙に何もかもすべてがうまくいくというような対応策というのは考えられない、細い道を通っていって、何らかの可能なものをその都度その都度常識的に考えていくという以外に方法はないのだろうと思っています。

 そこで、財政赤字に対応する方法というのは、増税をするか、歳出をカットするか、あるいは、経済を刺激してGDP等をふやしてそこから結果的に税収を上げるかという、三つの方策があるわけですが、この中のたった一つで物事がすべてうまくいくというわけではございません。要はバランスの問題で、三つをうまく組み合わせながらやっていくということでございます。総体的に見ていきませんと問題が解決つかないものですから、部分的に一つの局面にだけフォーカスして、それだけに集中して、それで物事がすべてうまくいくかのように考えるということは、政治的にはわかりませんが、論理的には誤りなのではないかというふうに思います。

 改正案全体に対する所見でございますけれども、その配付資料にございますとおり、日本は、少子高齢化の進行やグローバル化の進展、それから経済社会の大きな構造変化、こういうものに直面しているわけでございまして、私どものこの国の税制を考える際にも、そうした変化の実態を現実的に踏まえながら適切な対応を図っていく必要がございます。

 その際には、経済社会の活力の向上を図るとともに、日本の財政が、先進国の中で、恐らくではなくて確実に最悪の水準にあるということをよく念頭に置いて、将来に向けた持続可能性を考えていかなければならないというふうに思います。

 今回、この委員会において審議が行われておりますところの平成二十年度の税制改革案の中では、研究開発税制の拡充、それからエンジェル税制における寄附金控除制度の適用など、限られた財政資源を有効かつ効率的に活用して、財政事情に配慮しながら経済社会の活性化を目指す、そういう方向のさまざまな案が盛り込まれております。

 さらに、公益法人制度改革に対応するための税制改革や、かなり専門的にはなりますが、非常に重要な意味を持つものとして、国際課税についての所要の措置等もついておりまして、経済社会の実態の変化に適切に対応するための必要な措置が多く盛り込まれておるということです。

 この中で、公益法人改革への対応と国際課税に関する対応について意見を述べさせていただきます。

 まず、公益法人改革への税制上の対応でございますけれども、これは、この改革の目的が民間による公益活動の促進にあることを考えれば、その税制につきましても、公益活動を支援するものとなっているということが必要でございます。

 この観点から、この二十年度税制改革案の中の公益法人改革に関する部分を考えますと、公益目的事業から生ずる所得については非課税としている、それから、第三者委員会、公益認定等委員会等ですが、の関与のもとで、公益認定を受けた法人であればすべて特定公益増進法人ということで寄附金の優遇を受けられるようになっている等、公益法人制度改革の趣旨に沿った税制の改正となっているというふうに評価できるのではないかと思っております。もちろん今後の執行にもよりますが、法律そのものとしては適正な方向を目指しているというふうに考えます。

 それから、かなり専門的にはなりますが、国際課税に関する改正が実は非常に重要な意味を持っているというふうに考えております。

 御承知のとおり、経済のグローバル化を背景にクロスボーダーの経済取引が活発化、多様化している中で、円滑な経済活動を支えるインフラとして、また国際的な租税回避行為の防止策として、この国際租税制度の重要性は高まっているということでございます。

 経済的なインフラとしての国際課税としては、いわゆる東京オフショア市場や、海外の金融機関と行ういわゆるレポ取引、現先取引ですけれども、レポ取引という国際的に定着した金融市場、金融取引の円滑な運営を支える税制が挙げられます。

 関連する海外への利払いに対する非課税措置の適用期限を撤廃し、安定的な取引環境を整備すること、これは、日本の金融市場にとっては望ましい対応であると考えます。日切れにならないように対応が必要だということです。

 このような重要な国際的取引を支える税制とあわせて、国際的な租税回避行為への対応というのも非常に重要な意味を持っております。これは、背景となる経済情勢の変化や取引の多様化に応じて、継続的に、不断に見直しをしていくことが必要な分野でございまして、毎年の税制改革においてそれぞれその都度の対応が必要で、それがまた現実になされてきております。

 この法案においても、現行国内法上の規定と租税条約上の規定の違いを利用した非常に複雑な租税回避のスキームについて、日本の課税や条約や国際原則、そういうのを考えた上で租税回避の機会をなくす改正の方向が示されており、これは非常にすぐれた方向ではないかというふうに評価しております。

 それから、揮発油税等の暫定税率についてほんのちょっと申し上げますが、ガソリンに対する課税、これは、暫定税率を含めて考えても、主要先進国の間ではむしろ低い。これは事実でございます。主要先進国では地球温暖化対策のための税率引き上げが行われているわけでございまして、燃料課税以外の自動車関係諸税についても、税率水準を引き下げれば地球温暖化対策に逆行しかねないというふうに考えております。

 それから、今は原油高の状況でございますけれども、この問題に対しては、真に支援を必要とする世帯に税制の外等で必要な支援を行うということが適切な対応なのではないかということが言えます。揮発油税等を一般的に引き上げることで対応することは、必ずしも妥当なのではないというふうに考えております。

 税制改正の法案の年度内成立の必要性についてちょっと触れておきます。

 税制改正の法案は、歳出予算とあわせて年度内に法律として成立し施行されなければならないわけでございまして、先ほど申しました東京オフショア市場におけるレポの利子の非課税等、期限到来が我が国の金融市場全体の信頼性を損ないかねないおそれがあるなど、各種の特別措置について適用期限が自動的に到来することによって生じる混乱、これはぜひとも回避しなければならないというふうに思っております。政治的に難しい状況ではあるとは思いますけれども、国際的な金融制度の秩序を破壊するというようなことはないようにすべきではないかというふうに思います。

 それから、道路特定財源ですけれども、本来は、暫定税率上乗せ分だけで二・六兆円もの財源の調達にかかわるものであり、予算との一体性を有する歳入法案の性格を踏まえれば、歳入法案の根幹と言うべきものでございますので、これを年度内に成立させて、予算の円滑な執行を図るということが不可欠なのではないかというふうに思っております。

 以上で終わりにさせていただきます。(拍手)

原田委員長 ありがとうございました。

 ここで、ただいま静岡大学名誉教授安藤實君が御出席されましたので、御紹介をさせていただきます。安藤先生、どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、中林参考人、お願いいたします。

中林参考人 本日はこのような場にお招きいただきまして、大変光栄に存じます。ありがとうございます。

 ここにいらっしゃる皆様、先生方は、日本国家にとって非常に大事な、そしてまた将来世代にとっても重要な決断をなさる先生方でいらっしゃいます。その上で、恐らく、さまざまな立場から違った経験を持った人間の意見などを多く収集なさって、その御判断の材料になさろうとしていらっしゃるというふうに私は理解しております。

 その中で、私の場合は、やはり日々若い女性に触れている、そして、エリートを目指す人たちではないかもしれませんが、ごく平均的な日本の家庭で妻になり母になり、そして、有権者として、また社会人として働いていく人たちに日々接しているといったところから、この二十年度の税制改正について、そういった環境にいる私がどう感じるのか。

 そしてさらには、個人的には、アメリカの大学院を卒業後、私は、十年ほど、上院の予算委員会というところで財政規律についての仕事を実務面から行ってまいりました。

 ですから、日本の外から見た財政規律、日本はどう見えるのか、そして常識感覚、これも含めたバランスについての方向性からお話ができるのではないかというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、平成二十年度予算編成の厳しい状況から触れていきたいと思います。

 財政規律といった面をやはり私の場合重視させていただきたいと思うんですが、予算編成の基本というのは、どの国でも、歳出と歳入の両面で財政規律をどうやって保っていくかということが基本になるものだというふうに考えています。

 そして、二十年度の予算では、十九年度予算よりも税収の伸びが小さいといった現実があります。その中で新規国債発行額を減少させるというふうな方向性をとっており、財政健全化という努力の中ではかなり評価ができるのではないか、方向性としては最大限の努力をしているというふうに感じられます。

 ただし、中央政府とそして地方政府の両方の債務残高の対GDP比といったものを見ますと、二十年度末で一四八%というとんでもない数字が予想されております。依然として、先進国の中では突出して高い水準です。

 それから、欧米諸国を振り返ってみますと、大体六〇%から七〇%くらいのGDP比における債務残高ということになるわけですけれども、こういった世界的なレベルから日本を考えてみても、今後の経済とか財政の運営上で、日本は大変大きなリスクを抱えたままであるということには変わりがないということを指摘しておかなければいけないと思います。

 それから財政です。政策税制における経済活性化の視点とそれから財政規律についてのことなんですが、二十年度の財政そして税制、この改革案では、特にこちらで審議されている税制の改革案なんですけれども、経済活性化といった観点からは、法人税、その関係の諸措置がいろいろとられておるところです。

 今後の日本経済にとっての成長のエンジンとなるように、企業の研究開発活動に関する税制を拡充しているというところが特徴として見ることができるというふうに思います。

 そして、教育訓練費にかかわる税額控除制度などについても目が配られているところです。同時に、大企業向けの措置を廃止していく一方で、中小企業にいろいろな教育訓練などに関して利用しやすい仕組みにしていこうではないかということも改組されるというふうに私は理解しております。

 特に、この中で、スクラップ・アンド・ビルドと言われますが、二年間でゼロベースにして、もう一回見直してその内容を組み立てていくといった考え方がとられているという意味では、これはもう日本だけに限らず、アメリカでもいろいろそういった考えは財政規律に大変貢献するというふうに見られております。

 そういった意味でも、財政規律の観点から見ますと、評価できる点が含まれているというふうに考えます。

 それから、金融・証券税制の方向性ですけれども、今般の税制の改正案では、上場株式等の配当や譲渡益について、平成十五年度に当時の経済や市場情勢を踏まえた暫定的対策として導入されておりました軽減税率を廃止するということが含まれております。

 これは、金融商品に対する課税をできる限り中立的なものにするという意味で、金融所得課税の一体化ということに方向性として大きな貢献を示すものであろうというふうに思いますし、それから、時限的な措置、とにかく時限的なものを持ち込むことによって常に見直しをしていこう、そういった基本姿勢は財政規律にとっても非常に重要であると言えるのではないかというふうに思います。

 また、軽減税率の廃止に際しては、二年間の経過措置というものがありまして、突然いきなりこれがぱったりなくなるということではありませんので、個人の投資家ですとか市場への影響ということにつきましても、経済活性化のバランスにも配慮がされているというふうに指摘できると思います。

 それから、道路特定財源なんですけれども、道路特定財源につきましては、現行の税率、この水準を維持するということにしている上で、道路の歳出を上回る部分は一般の財源として活用できる、ここは非常に画期的ではないかと思います。財政健全化という意味では、道路歳出を上回る部分というのをなるべくたくさんつくっていただいて、それをどんどん一般財源に回していただきたいというふうに思うわけですけれども、必ずしも道路を一遍になくすわけにはいきませんので、可能な限りでの一般の財源化、こういったことが重要であるというふうに考えられます。

 私もドライバーなんですけれども、自動車をいつも運転していて思うんです。私はまだ事故を起こしていませんけれども、事故を起こしたり渋滞があったり、あるいは環境面でCO2をたくさん出したり、世の中にたくさんの迷惑をかけているというふうに思います。ですから、こういった面でも、より大きな額を一般財源に回すというのは、非常に妥当ですし、国民の理解も得られることなのではないかというふうに思っております。

 少々時間がなくなってまいりましたので、この後のことは少し後の方に回させていただいて、今後の財政運営についてなんです。

 日本は非常に大きな課題を抱えていると思います。けさの新聞を見ますと、八百三十八兆円の中央政府の借金の額になるだろうというふうな数字が出ておりました。一人当たり六百五十六万円の借金ということになります。このあたりはしっかりと認識して、そして、財政の基本である歳入と歳出のバランスを考えてこそ国家の責任を果たすというものであるということを肝に銘じながらの歳出歳入の改革であってほしいというふうに思います。

 特に日本は、今後、人口の減少それから高齢化の進展というものが問われております。急速な勢いで、これは世界にまれに見られる急速な勢いです。ですから、よく英語で言われますペイ・アズ・ユー・ゴー、アメリカで最初にこのシステムを導入しましたけれども、ペイ・アズ・ユー・ゴー、つまり、たくさんの歳出をするならば、それに見合う財源を探してきて、そこで初めて新しい施策なり政策、こういったものを導入するべきだという考え方です。

 日本にとっては、これだけの財政赤字を抱えているわけですし、将来、たくさんの不安があるわけですしリスクもありますので、このペイ・アズ・ユー・ゴーは最低限の考え方であるというふうに思われます。

 そして、消費税を含む税体系の抜本的改革なども、実際に政府から方針が示されておりますけれども、これをもっともっと具体的な取り組みにしていく必要があろうかと思います。

 私はアメリカが長かったわけなんですけれども、予算編成をしておりまして、やはり政策議論の中で大事なのは、定量的、つまりどれにどれぐらいお金がかかってどうするべきなのかということをテーブルの上に出して、そして議論をしていくというプロセスが当然のように行われておりました。日本にも野党があり与党がありますけれども、やはり、こういった調整をする、話し合いをする中で定量的な数字を出して話し合うというそういった試みは、これから日本にとっても非常に重要になっていくのではないかというふうに考えております。

 プライマリーバランスの黒字化、こういったことも非常に重要ですし、そのためにも、政治と行政が国民の信頼を得るということが国民の理解を得るために最も必要なことだと思いますので、その点も踏まえて、具体的な目標のあり方を御議論いただきたいというふうに切に願う次第です。

 ちょっと時間が過ぎてしまいまして申しわけありませんでした。ありがとうございました。(拍手)

原田委員長 ありがとうございました。

 続いて、高木参考人、お願いいたします。

高木参考人 ただいま御紹介いただきました明治大学の高木でございます。

 本日は、このような発言をさせていただく機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 本来ですと、平成二十年度の税制改正ということで広範囲に申し上げたいところではございますが、十分間ということなので、今大問題になっております道路特定財源、暫定税率に話を絞って私の見方を陳述させていただければ、こう思っております。そもそもこの問題は与野党で議論が大分白熱してきておりますし、どうなるか、非常に私にも先行きがよく読めないんですが、私、個人的な見方を発表させていただきたい、こう思います。

 今回の道路特定財源、暫定税率の問題ですけれども、これを経済学的あるいは財政学的な視点から切っていきますと、まず結論から申し上げると、私個人は、もう道路特定財源の使命というのは終わったのではないか、結果的には暫定税率は廃止をし、一般財源化していくべきではないか、結論的には今の民主党さんのお考えにかなり近いのでございますが、そういうふうに考えております。

 まず租税特別措置の問題ですけれども、これは御案内のとおりですけれども、簡素、公平、中立といういわゆる租税原則から、絶えず見直しをしていくべきなんですね。永久に続くものではない。だからこそ、特別の措置なんですね。したがって、一定の政策目標が実現しているならば、思い切って、サンセットルールといいますか、やめていくというのも、これは当然の動きではないか、これが第一点の問題点であります。

 それから二番目には、道路特定財源、暫定税率を今後もずっと維持しますと、いわゆる経済学的に言う資源の最適配分を阻害するんじゃないかという大問題があると思います。

 一九五四年の道路特定財源のスタート、それから七四年の暫定税率、当時を振り返りますと、確かに道路の建設というのは最優先課題だったと私も思います。当時のいろいろな統計を調べてみますと、一九六〇年で見ますと、高速道路のいわゆる延長キロメートル、ほとんどゼロなんですね。それから、道路の舗装率もたかだか二・八%。いわゆる総延長の分についても、これは九十六万キロメートルなんですね。しかし、現実、今どうなっているかというふうに申し上げますと、道路の舗装率は約八〇%、それから、高速自動車国道といいますけれども、ほとんど〇キロから現在は七千三百八十三キロというようなことになっておりますし、道路の総延長も、一九六〇年のときの九十六万キロメートルから現在は百二十万キロメートルになっている。いずれも大幅に拡充強化されてきている。

 したがって、私の個人的判断でいきますと、道路の整備というのは、どこが最終的なゴールかはよくわかりませんけれども、ほぼ八割はもう実現しているのではないか。もちろん一〇〇%ではないわけで、今後も必要な道路が二〇%はあるわけなので、これから道路の建設は一切不要、そんな暴論は申し上げるつもりはありませんが、八割はどうやら目標としている全体の中で達成されているのではないかと私は思っております。

 そういう中で、いつまでも道路特定財源あるいは暫定税率を維持するということは、資源の最適配分を損なうんですね。現時点では、道路建設というのはもう最優先課題ではない。

 一方で、財政再建が大変厳しい状況下においては、やるべきことはいっぱいあると思うんですね。社会保障関係、大変な資金不足に陥っている。それから教育再生、これも金のかかる話だと思います。環境の保全、こういった問題に対して資金を有効に振り向けていく時期に来ているのではないか。だからこそ、それが資源の最適配分になるわけで、いつまでも暫定税率を続けるというのは、そういった経済学上の資源最適配分の論理からずれてくるのではないかという感じがいたします。

 それから三番目には、似た話ではございますが、租税特別措置は財政構造を一段と硬直化させるんですね。例えばこの道路特定財源、それにべったり資金を張りつけるわけですから、財政支出、財政構造、この辺の硬直化を、これは今までもそうですけれども、今後も続けるとなれば、そういった状況がさらに出現してくるわけです。

 それからもう一点は、最近いろいろマスコミでも騒がれておりますけれども、こういった道路特定財源、暫定税率を維持しますと、とかく無駄な道路をつくりやすい。金がいっぱいあるわけですから、それで、それ以外に使わないということですから、無駄な道路の建設というのは起こり得るわけで、今、現にそういう代表事例がいっぱいあるわけですね。費用対効果という必要な分析も必ずしもなされていない。それから、目的外使用ですね。今もさんざん騒がれておりますが、これはもうこれ以上申し上げません。三番目にはコスト高。もっともっと安く効率的に建設できるところを、こういった抱え込みで、安易な形でコストの増大につながっているのではないか。

 というようなことで、やや経済学的な視点からこの問題を切りましたけれども、やはりもうそろそろ見直しをすべき時期に来ているのではないか、こう思います。

 そういう意味で、今、政府と自民党の方では暫定税率十年と言うんですけれども、私の今申し上げた点からいうと、こんなに長くこれからもというのが率直な感想ですし、それから民主党さんも、結論的には似ているんですけれども、ガソリン価格を引き下げたい、それが最初に来ちゃうと、やはり論理が間違うんじゃないか。本来あってはならない、最適配分を失っている以上はそれはやめるんだ、結果的にガソリン価格が一リットル当たり二十五円十銭下がるというのはいいんですけれども、先にガソリン隊というふうに来ちゃうと、論理は狂ってくるのではないか。

 それから、地方道路の整備というのも、相変わらず引き続き続けると言っているんですけれども、私の見方からすると、それも必ずしもどうかなというふうに思います。百歩譲って続けるとしても、やはり財源ですね。いろいろおっしゃっていますけれども、いま一つ国民には明示的に頭に入ってこない。やはりその辺がないと空理空論になる可能性もあるんじゃないか。

 というようなことで、私自身の見方は、与野党さんの見方ともちょっと違う考えを持っております。

 最後に、この問題は今大問題になっているんですけれども、どうか政争の具にしないでいただきたい。やはり、国民の目線に立って真に必要なことは何なのかということを今与野党を問わず考えるべきであって、党利党略の視点からこの議論をし、時間だけを空費するというのは、国民にとって、国民生活にとっては最大のロスではないかというようなことで、どうかこれから建設的な御意見をぜひ賜りたい、こう思っております。

 どうもありがとうございました。(拍手)

    〔委員長退席、田中(和)委員長代理着席〕

田中(和)委員長代理 ありがとうございました。

 次に、安藤参考人、お願いいたします。

安藤参考人 安藤です。私は、道路特定財源の問題について意見を申し述べたいと思います。

 御承知のとおり、税金は、本来どの経費にも使われる一般財源という性質を持っております。したがって、使い道を特定した税金というものは例外であって、特別の事情がなければならないと思います。

 揮発油税を今は例にとって話したいと思います。

 揮発油税は、一九四九年に国税として実施されました。この揮発油税も一般財源として制定されました。その揮発油税の税収を専ら道路整備に振り向ける、つまり道路特定財源にしてから、既に半世紀を超えております。この間、道路は格段に整備され、特別扱いする必要はなくなりました。一方、国の財政状況はますます悪化しており、特定財源を抱える余裕はないと思われます。それなのに、それが一般財源化しない、それはなぜであるか、それが私の問題意識であります。

 シャウプ勧告を見ますと、当時、この揮発油税からの税収を道路の改修に割り当てることを企てる幾つかのグループがあった、これは、予算上の制約から特定の歳入源を特定財源とすることは不可能であるという理由により退けられたというふうに書かれております。これは当時、いわゆるドッジ・ラインによる緊縮財政の時期であったということもあり、予算上の制約、つまり財政事情、これが一般的に特定財源を認めなかった理由になった、そういうことを示しております。つまり、一般的な財政事情、それが特定財源を拒否する理由になったということであります。今日の財政事情を考えますと、やはりこの予算上の制約というものが、道路特定財源を廃止し、一般財源化する大きな理由になると思われます。

 道路特定財源の始まりは、道路整備費の財源等に関する臨時措置法、一九五三年なわけですが、この臨時措置法では揮発油税を目的税にすることはできなかった。揮発油税は一般税のままで、その税収相当額を道路財源にしたということであります。このときも大蔵省が、やはり予算上の制約ということを理由に揮発油税の目的税化に反対したということになっています。

 この臨時措置法の提案者の田中角栄議員は、五カ年と区切っておることにひとつ御留意願いたい、五カ年たって相当道路が整備でき、その費用は別に回すべきだというならば、この法案は自然消滅すればいい、それをなお目的税として縛らなければならぬということはない、そういうふうに弁明しております。つまり、提案者は、目的税に対する大蔵省などの反対を迂回する作戦に出て、五年間の臨時措置法という形で実をとったということであります。

 ここまでを見ますと、当時の大蔵省はそれなりの姿勢を示していた、田中角栄議員も道路整備の時間的な限度といいますか、そういうことを意識していたというふうに思えます。

 一九五八年に、道路整備緊急措置法のもとで、第二次道路整備五カ年計画が新しくつくられた道路整備特別会計により実施されるということになります。この第二次道路整備計画、それからこの道路整備緊急措置法、道路整備特別会計、そういうことによって道路事業優先の仕組みができ上がった、そういうふうに思います。これから後、一九七〇年からの第六次まで、ほぼ三年ごとに倍増のテンポで進行しました。

 一九七一年に自動車重量税を導入したとき、当時の福田大蔵大臣は、今度の五カ年計画で国道はほとんど整備されるというふうに言明しましたが、結局その第六次で終わらず、それからさらに前の計画を上回る計画が次々とつくられ、十三次まで及んだということになります。こういう臨時措置であるとか緊急措置というものが繰り返される、そしてその結果どこまでも続く、そういう長期計画と特定財源に守られて、道路事業というものはいわゆる政官財癒着の典型となり、強力な圧力団体をつくり出したと思います。

 繰り返しということになれば、暫定税率も同じようなことになっています。一九七四年に差し当たり二年間の措置ということで始められたものが、長期計画の更新と連動して延長され、今日に至っております。税率も引き上げられ、今や揮発油税が本則の二倍、自動車重量税が二・五倍などに引き上げられました。こういうふうに、臨時とか暫定というようなものがずるずると常態化する、そういうパターンが自民党政府のもとで財政運営上見られる。こういうようなことは、きょうは発言できませんが、公債についても同じようなパターンが見られると思っております。

 今、この道路特定財源について、日本の税制に責任を負っている機関である政府税制調査会の立場というものを歴史的に見てみたいと思います。

 一九五〇年代は、道路整備の緊急性を理由に、道路特定財源たる揮発油税等の増徴を当然だということでありました。一九六一年の答申でも、第三次道路整備計画はぜひとも遂行されることが望ましい、負担は妥当なものだ、そういう見解であります。一九六四年の答申から、やや反省的な論調が出てまいります。目的税の比重が余り大きなものとなる場合には一般に財政の硬直性を招く傾向がある。それから、六八年の答申にもこの懸念が引き継がれております。そこでも、こういう特定財源が財政硬直化を招くということであります。そういういわば反省的な論調はあるわけですが、具体的な提言は出てきておりません。こういうような特定財源の合理性について今後再検討していく、そういうような意見が出ているわけであります。

 それから、税制調査会の答申が道路特定財源の一般財源化に触れたのは、一九八六年の答申であります。そこでは、一般国道の改良率、舗装率がともに八〇%を超えていることを指摘し、「最近における道路整備の状況、厳しい財政事情等を考慮すれば、一般財源化の方向で検討すべきである」、そういうような意見があったというふうに書かれております。

 そして、その後二〇〇〇年の政府税調答申では、やはり、こういう一般財源化について多数の意見があった、そういうようなことが出てまいります。しかし、政府税調として意見を統一できない。今後、一般財源化の方向で検討すべきであるという提言にとどまっております。

 どうして政府税調がそういう程度の提言にとどまっているのか、その背景を考えてみますと、もとの政府税制調査会長であった加藤寛氏の回顧談というものが参考になります。加藤氏は、道路族によって二度おどされたということを申しております。旧国鉄長期債務の返済にガソリン税と自動車重量税を充てようと主張したときは、自民党から都内のホテルに呼び出され、どなられ、あげくに灰皿まで飛ぶ様相だった。二〇〇〇年四月に政府税調で見直し論を打ち上げたときも、自民党本部に一人呼び出され、道路族議員は撤回しろの大合唱だった、全国の自治体や業者からも反対の手紙が相次いだ、そういうようなことであります。加藤さんは非常に怖かったんだろう、そういうふうに思います。(拍手)

田中(和)委員長代理 ありがとうございました。

 以上で四人の方々による参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

田中(和)委員長代理 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。盛山正仁君。

盛山委員 自由民主党の盛山正仁でございます。

 きょうは、四人の参考人の先生方、お忙しい中お越しいただきまして、ありがとうございました。先生方、皆様ともに十分という制約だったものですから、多分思いのたけの十分の一も話せなかったんじゃないか、各先生方、多分一時間ずつぐらいお話しになりたかったんじゃないのかな、そういうふうに感じながら伺っていたわけでございます。

 四人の先生方から共通して出ましたのは、今回の特措法の関係でも一番大事なイシューの一つでございます道路の部分でございました。

 今お伺いしておりますと、中里先生、中林先生は、今の政府の案について、適切であるし国民の理解が得られるのではないか、また、高木先生、安藤先生のお二方は、どちらかというと見直すべきではないか、こんなふうに伺ったわけでございますが、四人の先生方共通してお話しになられたことは、道路の財源は大事であり、また国民の理解を得るようにしっかりと議論をすべきである、そんなふうに感じて伺ったわけでございます。

 まず、高木先生にお伺いしたいと思うわけでございますけれども、先生の御発言の中で、道路の財源についていろいろあるけれども、国民にわかりやすく、政争の具にならないように、真に必要なやり方というのはどういうことであるのか、党利党略ではなく建設的な議論をすべきである、こういうふうにおっしゃっていただいたんじゃないかと思います。もう少しそのあたりについてお伺いをしたいと思います。

高木参考人 お答えいたします。

 最近の国会情勢を見ていますと、やはり総選挙が近いということもあるのかもしれませんが、非常に政争がいろいろなところで目立つ。例えば新テロ特別措置法もそうでしたけれども、今回もそうでして、事態がちっとも前に進んでいないという感じを持っているんですね。ねじれ国会になっているからやむを得ないということはあるのかもしれませんが、やはり大事なのは国民の生活を守ることなんですね。

 福田首相もこの間の施政方針演説で、国民生活第一ということをおっしゃっている。ところが、現実を見ると、国民生活というのは置き去りになっていて、さっきも言いましたが、この道路特定財源の問題についても、それぞれが自分たちの主張をただ繰り返し、意見のまとまる方向にもない。ところが、事態は、時間はどんどん過ぎていっているわけですよね。おまけに経済状況も今大変厳しい局面に入ってきていると私は思っておりますが、そういう中で単に政争を繰り返しているのでは、これは国民はもう本当にマイナスのイメージだけを受け続けるんじゃないか。だから、道路の特定財源についても、やはりもっと政策論争を国民の前に示してほしいんですね。

 全然それぞれが右左を向いているのではなくて、何とか共通点あるいは一致点、あるいは修正案というようなことも含めて政策論争で国民の考え方に影響を与えて、最終的には国民の判断を仰ぐ、これがやはり筋なので、どうか国民が存在していることを名実ともにお忘れなく。口では国民第一とか生活者第一とおっしゃるんだけれども、実際はそうなっていないんじゃないかということを最近痛感しております。

 以上でございます。

盛山委員 高木参考人、まことにありがとうございました。

 私も参考人の御発言に全く同感でございまして、やはり議論というのは、こういう議論があったら、それに対してどういうふうな問題があり、それをどういうふうにすべきであるのか、やはりそこを明示的にしませんと、なかなか進まないと思います。そのとおり、建設的な議論を国会で闘わせることこそが、国民の皆様から我々議員に対しての信頼を、なるほどなというふうに思っていただけることでもあろうかと思いますし、また政党間の議論というのも、なるほど、国会の意義、政党の意義というのをしっかりと御理解いただける基本ではないかな、そんなふうに感じているわけでございます。

 この関係で中林参考人にお伺いしたいんですけれども、中林参考人からは、道路の関係につきまして、今の政府の原案あるいは一般財源化を含めたこの内容について、国民の理解を得られるのではないか、こういうふうな御発言があったかと思いますが、そのあたりにつきましてもう少し御説明をいただければと思います。

中林参考人 ありがとうございます。

 もし、現在の財政収支、ましてこの日本の大きな借金、これがこんなになかったならば、一リッター二十五円といったものを国民のポケットにすぐにお返しするということも可能なのかもしれません。しかし、どう考えましても、主要先進諸国の中で断トツに借金を抱えている日本がそのような余裕を持っているのだろうかということは、私が日々、日本の財政というクラスで教えております女子学生にもわかることでございます。彼女たちにいろいろな問いかけをしておりますけれども、やはり今の日本の歳入と歳出のバランスは余りにもおかしいのではないかということを素直に学生たちが言ってくるんですね。やはり、これはとても純粋な反応なのではないか、非常に真っ当な反応なのではないかというふうに私は日ごろの経験から感じている次第でございます。

 それから、さらに世界的な視点から見ましても、今現在、地球温暖化の問題にどういうふうに対処するのか。環境税という言葉も飛び交っておりますけれども、世界的には、揮発油ですとかそういったものにかける税金そのものを環境税というふうな名前に変えてカウントするということも実際には行われております。OECDなどでは、ガソリン税などの燃料課税ですとかあるいは車体課税、こういったものを含めて環境関連の税制として数えているわけですね。

 ですから、こういった意味合いも含めて、環境対策という意味で、国民の理解に対する説得力というのはかなりあるのではないかというふうに感じております。

 以上です。

盛山委員 中林参考人、ありがとうございました。

 議論はいろいろなところへ広がりつつあるわけでございますけれども、環境税というお話も今中林先生から出たわけでございますが、国によって税金の名前も違えば使途も違い、いろいろ、なかなか簡単に比較することはできないわけでございます。

 環境問題につきましては、ことしの七月の七夕から始まります北海道洞爺湖サミットでも、温暖化を中心とします環境問題が最大の課題になるということでもありまして、地球温暖化防止のために環境対策をどうするのか、そしてその税源、裏づけをどうするのかということで、環境税というのも大きな課題になっていると思います。

 国際的には、炭素課税というような形でということがある程度大きな流れになっているんじゃないかとは思うんですけれども、炭素課税と一口に言っても、国によっても取り扱い、取り組みが大分違っているわけでございます。それをガソリンやこういう揮発油の部分に求めていくのか、もっと広く求めていくのか、あるいはそれをどういう使途に使っていくのか、あるいは国際的な競争力との観点で、どういうふうな形で税収を取って、それを歳出にどういう形で戻していくのか、なかなか難しいと思うわけでございますが、環境関係のことが出ましたので、そのあたり、中林先生の御意見をもう少し伺いたいと思います。

中林参考人 環境に関しましては、本当に今世界で最も注目される政策の一つになっておりまして、日本の場合は、OECDの統計の中におきましても比較的、こういった揮発油税などが環境に配慮した税金ということで実は既にカウントされております。ですから、例えばこの税金を具体的に、急に四月からカットということになりますと、世界的なパーセプション、どうやって見えるのかというところから見ますと、ああ、日本は環境に関して少し後退したのではないか。必ずしもそういうことでは実際はないんですけれども、日本国内で見ますとほかにいろいろな議論があって、道路全部に使うのはおかしい、道路ばかりつくっていてどうなんだ、まさに御指摘のところは正しい部分がたくさんあると私は個人的には思います。

 ただ、今必要な道路もありますし、一方で、これが国際的に見て環境的に配慮した税金の一つであるというふうに既にカウントされている以上、これを全くなくしたといったときに、日本の議論を知らない外国から見ましたときに、これは日本に対して非常にネガティブな印象を持たざるを得ない。これを日本が外に出て行きましていろいろな国際会議で逐一細かく説明すれば、そういったことも理解していただける機会もあるかと思いますが、なかなかそういった場面をかち取ることは日本国家にとりまして非常に難しいことです。

 それからまた、実際、国内のことだけとして考えましても、これは外国からどう見えるかだけではなくて、実は、先ほども触れましたけれども、私自身が車を使って通勤しておりますが、やはり相当CO2を出しているというのを日々感じております。こういった非常に社会の負担になるものを私自身排出している以上、ましてや、財政状況が赤字ではなくて黒字だったらすぐ私のポケットに返してちょうだいというふうに思うんですけれども、これだけの負担を、財政赤字を実は持っていて、そしてその財政赤字というものを補てんするためにたくさんの借金をしていてということを考えますと、この揮発油税、特に暫定税率ということで議論の対象になっておりますものに関して引っ込めてしまったところで、一般財源からいろいろなものが必要になってくるという状況には全く変わりがないというふうに思います。

 したがいまして、今現在、環境というものは世界から見て非常に注目を集めている議題である、そしてこの税金自体が世界のスタンダードからすると環境に配慮したものとして既に計算上カウントされてしまっている、そして国内的にも、たくさんのCO2、渋滞、いろいろな形で社会に迷惑をかけるようなことが実際にある。では、そのお金はどこから来るのかということでございまして、これを財政規律の中から見ますと、国家の責任というのは、歳入があって、そしてそれに見合った歳出をするといったことは本当に国家の運営を担う者の最も基本的な責任だと思いますので、これを、環境への配慮ということも含めますと、日本の場合、どう考えてもそういうものはなしにしましょうというふうな余裕がない。余裕さえあったらどんなにいいことかと思いますが、余裕がないというのが現実なのではないかというふうに思っております。

盛山委員 中林参考人、ありがとうございました。

 参考人の御発言にもありましたが、我々の日々の生活、車が典型かもしれませんが、それがCO2を排出していて地球環境に負荷を与えているんだ、我々自身がその加害者であるということをなかなか一般的な国民がまだまだ理解できていないんじゃないかと思うわけですね。ごみの話もそうなんですけれども、今まではごみを出すのはただだったというところから、少しずつ、一部ずつではございますけれども、ごみの排出についても有料化にしていくということに今やっとなりつつあったわけでございます。日常の生活での、我々の生活から温暖化、外部不経済を起こしているというところへの理解を国民に求めていくのは、まだまだこれからハードルが高いんじゃないかなと思いながら伺っておりました。

 この話、まだまだしたいわけでございますが、こればかりやっているわけにはいきませんので、もう一点、中林参考人に伺いたいのは、中林参考人のお話の中で、プライマリーバランスの話というんでしょうか財政の規律の話、これにつきまして、学校で教えておられる学生さんということかと思いますが、一四八%の長期債務残高、これはだれが見ても健全な状態とは言えないという御発言がありました。

 先生の授業を受けておられる意識の高い学生さんはわかっていただけるのかもしれませんが、一般の国民の皆さんには、国の借金は多い、あるいは地方も多いということは一般論としては頭に入っているのかなと思うわけですけれども、なかなかそれが実感として、ここまで危険な水準になっているんだというところがまだまだ御理解を賜っていないんじゃないかと思うんです。そのあたりについて、参考人はどういうふうにお考えになるのか、あるいはどうすれば国民の皆様に危機感というんでしょうか、現状、課題、問題意識を持っていただけると思うかをちょっと御発言いただきたいと思います。

中林参考人 大変重要な御質問をありがとうございます。

 私もこれには日々頭を痛めております。実はこれは日本だけの問題ではありませんで、実務の面でアメリカで十年ずっと財政の話をしておりますときにも、なかなか国民もわかってくださらない。ましてや政治家の先生方も、私のアメリカでの上司などもそうでしたけれども、地元への優遇というのはどうしても必要なものですから、なかなかこれは理想どおりにはいかない。これは一体どうしたらいいんだろう。

 最終的に考えますと、やはり国民に理解していただくしかないということなんですね。国民に理解していただくことによって、その国民の代表者でいらっしゃる政治家の先生方もそれを反映したよい政策を打ち出し、よい議論をすることができるということがあるわけです。私の先輩、上院で予算編成をしていた実務家などは、三十年仕事をして、その後、何と草の根運動をやろうということで、公務員を退職してNPOを始めたというくらいの人もおります。それほど煮詰まって、国民の意識を高めていただくことがいかに重要かということを痛感する日々だったわけですけれども、これは日本においても非常に似た環境にあるんじゃないかというふうに思います。

 ここにいらっしゃる先生方もそういったことを有権者の皆様に御説明するのにどんなに苦心して、苦労していらっしゃるだろうかということを実は私もひしひしと感じるわけなんですけれども、理論的には、これだけの財政赤字を抱えているんだ、将来的にこれが、何か起こったときに、自然災害ですとか世界のいろいろな経済的な変動ですとかが起こったときに、とんでもないことになるリスクを抱えているんだ、日本国家はそのときにどうしたらいいんだということを、頭では、理屈ではいろいろわかっておりましても、これを説明するのが非常に難しい。

 これはやはり、丹念な説明と教育、そして、こうした国会の皆様方が議論を、それも定量的な、数字や政策の具体的な議論をぶつかり合わせて、けんけんがくがくのことを国民の前でなさってくださる。実際に国民がそれを、どのような政策決定プロセスで行われているのかということを日々聞いたり見たりするといったことが、実は教育そのものになってしまうわけなんですね。こういったことを皆様に日々行っていただくことによって、財政規律に対する国民意識の高まり、こういったものも時間をかけながら徐々に徐々に向上していくのではないか。遠い道のりのようですけれども、急がば回れということしか実はないのではないかというふうに感じている次第でございます。

盛山委員 中林参考人、ありがとうございました。

 中林参考人はアメリカに長くおられたということで、アメリカは長らく双子の赤字に苦しんでいたわけでございますけれども、クリントン政権のもとで本当に急激な回復を見せて、またブッシュ政権で、イラク戦争ということもありまして、今大分悪くなっておりますけれども、そのアメリカの、米国債の利回りというのも、そういう影響を明らかに受けていると思います。ただ、アメリカの場合にはほかの国の国債と違いまして、アメリカはドルが世界の基軸通貨であるということもありまして、なかなか違うのかなと思うわけでございます。

 ちょっとその辺で中里参考人にお尋ねをしたいと思うわけでございますが、日本の国債、これについての評価というのも一時大変悪い時期がありまして、また少し回復もしておりますけれども、長期債務のあり方というのでしょうか、日本の、我が国の財政、これについて国際的にやはり厳しい目で見られているのではないかと思うんですね。またそれが、我が国の国債の評価によってスプレッドが変わってまいりまして、結局最後は税金で負担をすることになるわけでございますけれども、国債の償還のところに影響が出てくるわけでございます。

 その辺は、一般的な予算やそういう議論をしているときには、今の金利の状態が大体こういうところであるからということ以外にはなかなか出てこないと思うわけなんですけれども、やはり、長期的な国の収支、そういうことを考えますと、日本の長期債務をどういうふうに変えていくのか。

 先生が今お話しの中では、増税、歳出カット、そして景気の回復によっての自然増収、こういうことも全部ミックスしながら、日本の財政をどういうふうにしていくのか、こういうことを考えなければならないというようなお話があったかと思います。日本の国債の評価、つまり日本の財政の評価、これについて世界的にどういうふうな目で日本が評価されているのか、そしてそれとの関係で、日本の長期債務残高をどういう方向で何年ぐらいで持っていくんだといったようなことを、我が国として対外的にアピールできるようにしなければならないとお考えか、そのあたりを伺いたいと思います。

中里参考人 財政規律がきちっと存在するということは、やはり国家の存立において最も基本的なことの一つではないかというふうに思います。

 もちろん、経済学の理論とかいろいろな考え方はあるんでしょうけれども、国債といえども、国債を買ってくださる方がいらっしゃる以上出せばいいじゃないかというお考えも当然あるんだろうと思いますけれども、しかし、そうであったとしても、やはり一定の財政規律、ディシプリンがなければ、いつかは買ってくれる人がいなくなります。

 国債は無限に、買う方の気持ちを考えずに幾らでも発行できるということにはなりませんので、常識的には、そういう段階に、だれも買ってくれなくなるような段階に行く前にきちっと対応していくということが必要だろうと思います。それができない限り、また日本の国債の格付が、国債だけではなくて社債等の格付にも影響し、あるいは日本の経済そのものに対する信任というものにもつながってくるわけですね。

 今、人口構成がどんどん変わっていますからそういうことも、将来的に若い労働者人口が減っていくという前提のもとでどんどん国債をふやしていくというのは、余り常識的な財政運営ということにはなりにくいのではないかと先生御心配のように思っております。

 ただ、今までの日本の経済発展とかを明治以降ずっと見ていきますと、必要な時期には必要な知恵が出てきて、しかるべく、ここで、この国会の場で問題の解決が図られてきて、絶望的な状況のもとでも何とかしのいできておりますので、そういうところは楽観的なんですが、何もしないで楽観的にはなりませんということですね。

 以上でございます。

盛山委員 中里参考人、ありがとうございました。

 各企業が債券を発行する場合であれば、IRですね。投資家に対して、その企業は今どういうようなバランスシートを持っていて、どういうことをしていて、どういうような収支予想であるのか、だからこの債券を買ってください、こういうような利回りで我々はこれだけ発行しているということを言うのが通例だと思うんですね。国債の場合であっても、私はやはりそういうようなことが必要じゃないかと思うんです。

 今、中里先生がおっしゃったように、財政規律ということに国債の場合にはなるのかもしれませんけれども、日本政府が全体でどっちの方向へどういうふうな形で向かっていくのか。財政の質、あるいは人口の構成ですとか経済のこれからの成長率ですとか、いろいろ絡んでくるわけでしょうけれども、どういう方向へ向かっていくのか、だから日本政府は安泰なんだ、あるいは、だからこういう形の利率でこれだけの国債発行をしていきたいんだ、また、それについて信頼してもらって大丈夫なんだ、そういうところをやはり、投資家への説明というのをもっと日本政府はこれまで以上に丁寧にやっていきませんと、日本の国内の投資家もそうでございますし、海外の投資家に対しても、魅力のある条件で国債、こういったものの債券発行をすることができないんじゃないかと思うんですね。

 そういう点で、先生は、国会での議論で困ったときにはいろいろ知恵も出てきて、何とかこれまでもやってきたし、うまくいくのではないか、そういうようなありがたい、楽観的に考えている、信頼しているよというようなお話かとは思うんです。しかしながら、財政の規律、どこまでが限界であるのか、やはりそこら辺をよく考えながら、財政、金融という政策をしていかなければならない、そういうふうに私は考えているんですけれども、中里先生、もう少し御意見があればお尋ねしたいと思います。

中里参考人 国際的な比較というのが、やはり国債の発行についても大きな意味を持ってくるのではないかというふうに思います。

 どこの国も、例えばGDP比で六〇%とか一〇〇%とかいろいろあるんでしょうけれども、日本は一五〇近いんでしょうか、余りにも突出して多い。それでも日本の国債を買ってくださる方が国内、国外にいらっしゃるうちはまだよろしいんでしょうけれども、いずれそれは、平時にはよろしいんでしょうが、何かがあったときにはたちどころにばたっとなって、日本がばたっとなるということは、日本だけの問題ではございませんので、世界経済全体に対して重大な影響があるわけです。

 アジアの通貨危機のときに、韓国とかタイとかは大変なことになりましたが、その当時のそれらの国々の経済規模でさえかなり深刻な影響があったわけです。日本についてもし仮に何かあった、例えば地震が一発来るとか何かあったとしたら、それは取り返しのつかないことになってしまう。そういうことのないように対応策を少しずつ考えていくというのは、日本国の国民の福祉、福利のために必要であるのみならず、世界に対する日本の責任なのではないかというふうに思っています。

 多くの国民は、これはまずいだろうということは、当然それはどなたもわかっているのではないかと思います。ただ、自分の懐からお金が出ていくとなると、これは人間ですからだれでもなかなか厳しいお考えをお持ちでしょうけれども、状況が厳しいということに関しては、どなたもしかるべく認識はなさっているんじゃないかというふうに信じております。

盛山委員 中里参考人、ありがとうございました。

 やはり、余り悲観的に心配ばかりしていちゃいけない、少し希望を持ちながら明るく頑張らぬといかぬな、そういうような気持ちでということも含まれているのかなと思いながら、中里参考人のお話を伺わせていただきました。

 時間も大分押し詰まってまいりました。最後の質問になりますけれども、今、中里参考人のお話の中でも出ましたけれども、日本の財政、経済を含めましてそうですけれども、やはり世界の中の一員として組み込まれているというのでしょうか、昨年来、サブプライムローンもそうでございましたけれども、世界のどこかで起こったことが、あっという間に、もう翌日には日本の市場にも反映されていく、そういうような状況でもございます。そういう点では、日本一国だけで考えているわけにもいかない、こういう状況ではないかなと思うわけなのでございます。

 中里参考人の先ほどのお話の中で、年度内にこの法案その他、予算もそうでしょうけれども、予算に関係するこういう税制その他についても公債についてもはっきりとさせないといけない、特に金融市場の混乱の回避あるいは国際的な影響その他を考えると年度内の成立は必須である、これは必ず必要である、こういうような御発言があったと思います。私もそこら辺は同様に思います。

 やはり日本全体として、財政の規律もそうでございますし、税制のシステムその他について、先生が評価をしていただきました国際租税、国際課税、こういうシステムについてもそうでございますが、安定した制度を日本は設けていて、それをある程度時間の余裕を持って世界に対してアピールする、それが日本政府として、日本として大事なことかな、そういうふうに私自身考えるわけでございますけれども、年度内の成立について、いつごろまでにどういうような形で我々国会で議論を進めて対外的に出していくことが望ましいと思われるのか、そこについてお尋ねしたいと思います。

中里参考人 憲法の定めによりまして、予算その他は、これは長い歴史があることでございますが、単年度の議決、要するに国会のコントロールを財政制度に対して、毎年度毎年度洗いかえという形で行っていくということで単年度主義がとられているわけですが、そうであるといたしましても、国家自体は継続的な存在ですから、ことしの日本と来年の日本が違うということではございません。その両者のバランスというのが非常に重要になってくるわけですね。

 毎年毎年単年度で予算を議決するということは、国会が財政をコントロールし、政府の活動をうまくウオッチする、そういう憲法上の仕組みからできていることです。しかし、その国会がウオッチの権限からちょっと離れてストップしてしまうというのは、一定の継続が前提ですから、やはりそれは望ましくないだろうというふうに思うわけです。

 暫定税率云々については、これは政治的な問題ですから、いろいろなお立場があるんだろうと思いますが、先ほどの東京オフショア市場の話で、レポ取引に係る利子の源泉徴収等の問題につきまして、これは三月末までに法律案が通りませんと世界的に金融危機を引き起こすような話でございまして、日本が、しかも国会の決断として、レポ市場に関して延長云々ということについて何もしなくて金融危機を招いたということになれば、国際的に相手にされないだけではなくて、あちこちに大損害をこうむらせるということになるわけです。ですから、物によっても多少は違うのでしょうけれども、基本的に三月末までに何とかなるようにしていただくというのが国民にとっては非常に望ましいことではないかというふうに存じます。

盛山委員 四人の参考人の先生方、まことにありがとうございました。

 時間が参りましたので、これで私の質問を終了させていただきます。ありがとうございました。

田中(和)委員長代理 次に、大口善徳君。

大口委員 公明党の大口でございます。

 きょうは、中里参考人、中林参考人、高木参考人、安藤参考人、本当にお忙しいところ、急なお話だったと思うのですが、来ていただきまして本当にありがとうございます。今、先生方から大変示唆に富むお話を聞かせていただいたわけでございます。

 まず、中林参考人にお伺いをしたいと思いますが、今、財政再建ということで政府を挙げて努力をしておるという状況で、二〇一一年度にプライマリーバランスの黒字化を目指している、こういうことでございます。

 昨年の一月は、この二〇一一年のプライマリーバランスの黒字化の見通しとして、もちろん高い成長シナリオで、十四・三兆円の歳出削減を最大限行えば黒字化の見通しが立つと。ところが、ことしの一月の内閣府の発表では、この成長シナリオで十四・三兆円の削減でやってもマイナス〇・一、七千億ぐらい足りない、こういう状況にあるわけでございます。そういう点で、プライマリーバランスの黒字化、これは本当に全力を挙げてやっていかなきゃいけない大事な目標であるということで、これは確実に実現しなければならない目標だと思います。

 さらにその次に、二〇一一年の半ばにかけて債務残高のGDP比、先生一四八%とおっしゃいましたけれども、この発散をとめていかなければならないということで、これについて一つの方向性を出していかなければいけない、そう思います。

 そしてさらに、先生はアメリカの予算委員会で補佐官をやっておられたということで、そういう点ではいろいろと世界の状況を御存じのことと思いますけれども、主要先進国では政府等が長期の財政推計を発表しております。アメリカですと七十五年、イギリスですと三十年、財政見通しの発表をしておりますね。そういう点で、日本のは二〇一一年度ということでありますが、二〇一二年から団塊の世代が基礎年金を受給するというようなことでございますので、長期の財政推計、こういうこともこれから大事になってくるのではないかと思います。

 そういう点で、これから本当の財政再建について一つ一つ、節目節目を確実にやっていかなければいけないわけでございますけれども、そういうことのために数字が大事だとおっしゃいました。そこら辺のことにつきまして、アメリカのことも含めて御意見をいただければと思います。

中林参考人 大変ありがとうございます。

 日本の場合、七十年どころか三十年、こういった長期の推計というのがなかなか出てこないのが、やはり議論を行う上でも非常に大きな足かせといいますか難しさにつながっているということは、大口先生の御指摘のとおりではないかというふうに私自身思っております。

 特に、ワシントンにおりましたときに、目先の、毎年毎年の予算決議というものは、大体はほぼ五年先を見通して、全体の歳入と歳出のバランスについて毎年毎年決議をするというプロセスを通ります。そして、年によっては十年先で、議員の先生方の間で交渉して決議をとり行うということになるわけですけれども、そのベースになるのが七十年以上の長期の推計であったり、あるいはイギリスなどでは三十年ということですけれども、やはりある程度の長い目で見た将来像というのが描けなければ、これは議論自体が非常に政争の具になったり不毛の議論になったりしてしまうことは、やはり人間の行うものですので、いたし方のない部分も一部あるのではないかというふうに思うわけです。

 ただ、そのためにはどうしても避けて通れない議論が出てきます。長期の推計を行うということは、歳入と歳出、両方の面から気を配って考えていかなければいけないということになるわけですから、当然ながら、税率をどうするのか、日本でもちらほら声が聞こえておりますけれども、消費税などを含めた議論、どうやって勤労世帯に過度な負担をせずに広く歳入に関して負担をしていただくのか、こういったこともどうしても議論の俎上にのせていかなければならなくなってきます。これが長期の推計にどうしても必要なことになるんですね。

 これは、どうするのがいいということではなくて、最終的には国民の皆さんの判断になるわけですから、国民に判断をしていただくために、それこそドアの後ろで議論をしたり調整をするのではなくて、国民の前でこれを実際に議論していただくということが本当の意味での広報ですし、市民教育でしょうしということになってくるわけです。ですから、やはり根本にはそういった長期的な推計が日本も必要であろうということは、まさに御指摘のとおりであるというふうに考える次第です。

 そして、消費税なども含めて抜本的な税体系といったものを、もうそろそろどころか、もうちょっと早く日本も議論していかないと、とてもとても、これは世界的なスタンダードから見ましても、一体先々を日本は何をビジョンとして、何を考えているのかということが全くわからない状況です。少なくとも五年先、十年先でも結構ですから、一たんこれをどうするのかということを考え、そしてその先には一体何があるのかということをアバウトでもいいですから示した上で、国民に対する選択肢を提示する。

 そのときに、必ず経済的な成長見通しも、見通したものがその年に本当にそのとおりになるということはないんですね。アメリカの場合も、必ず見通して政策決定をいたします。その年度ごとにいろいろなことを決議していきます。しかし、その次の年には、推計見通しのとおりにはなっていません。ですから、そのときにその都度見直しながら決議をしていく、これがやはり必要になってきますので、その年々にアベーラブルな、自分の手の中にある可能な指標をすべて集めた上で、最大限の、最善の決断をその都度していくということが必要になってくるのではないか。

 そのことによって初めて、その年々に修正はするけれども、大体どっちの方向性を日本は長期的に向いているのかということを国民に示していく、そして世界に示していくということが必要になってくるという時期に、もうとっくに日本は来ているのではないかというふうに思います。

大口委員 ありがとうございました。これは政治家の責任でもございまして、きょうのお話をしっかり肝に銘じてまいりたいと思います。

 そういう中で、税制、税体系の抜本的な改革、これをしていかなきゃいけない、喫緊の課題になっておるわけでございます。財政再建派あるいは成長路線派、こういう議論があったり、あるいは公平、簡素、中立と公正、簡素、成長、こういう租税原則、そういう議論もございます。私は、両側面、非常に大事じゃないかなと思っております。

 そういう中で、税体系の抜本的な改革をしていく場合、やはり国民の理解を得なきゃいけません。抜本的な税制の改革をやるには、国民の理解を得なきゃいけません、納税者の理解を得なきゃいけません。そのためには、やはり歳出削減、これは本当にしっかりやっていかなきゃいけない。とにかくもう、道路の財源の問題もそうでありますが、無駄な道路はつくらない。本当に納税者が理解していただける説明責任を果たしていかなきゃいけない、こう思うわけです。そういう点で、徹底的な歳出の削減というのをやっていくことが前提である。

 その上で、やはり社会保障給付あるいは少子化対策ということでは、本当にこれはもうかなり、二千二百億を削減する等々を含めまして、限界に来ておるわけでございますので、やはり社会保障給付とか少子化対策について、負担と給付というんですか、こういうことをしっかりと国民に理解していただきながら、この点については安定財源ということを本当に考えていかなきゃいけない、こう思うわけであります。

 歳出削減、そして成長、増税のバランスを考えていかなきゃいけない、一つでもってすべてやれるわけではないという中里先生のお話でございますけれども、ただ、今の借金を返すがために増税するということ、これはまた理解が得られないんじゃないか。やはり社会保障給付とかあるいは少子化対策というようなもの、負担と給付が明確になっているというようなことが大事じゃないか。

 それと、抜本的税制改正は、消費税だけじゃなくて、やはり所得税、特に所得税の最高税率の問題とかあるいはそれぞれの課税ベースを広げるとか、いろいろな議論があります。あるいは、税額控除ということもしっかり考えていくべきではないか、こういうこともあります。

 そういう点で、中里先生には政府税調で本当に大きな仕事をしていただいておりますので、中里先生に税体系の抜本改革の方向性について、ドイツはうまくやっておる、こういうこともお書きになっておるようでございますけれども、そういうものも引用していただきながら、お話ししていただければと思います。

中里参考人 税制というのは、これを変えたら世の中が格段に、飛躍的に、みんなが幸せによくなる、そういうものではないところがちょっとつらいところでございますね。税金を払うのをお好きな方というのは、まれにはいらっしゃるかもしれませんけれども、余りお会いしたことはないわけでして、これはもう非常に厳しい状況ですね。

 その中で、皆さんが嫌がるものを少しずついただくということですから、国民の納得がいくように、使い道も含め、負担のあり方も含め考えるということ、これしかない。地道な努力ですね。その時々、可能な限り現実的に、国税の執行の制度等の体制も含めてやっていく、もうこれしかないと思うんですね。こういうふうに税制改革をすると世の中がこんなによくなるというような夢を語ってしまいますとちょっと、そんな結構な話ならば飛びつきたいですが、どうもそういうことではなさそうです。

 最終的に、税制の一番の根本は、必要なだけのお金を余り無理のないように集める、これが基本でして、税収の上がらない租税制度は租税制度ではございませんので、まあ上げればいいというものじゃないんですが、必要な分を謙虚に少しずつ何とか集める。税収が集まってこその租税制度でございます。ここを忘れてしまいますと、減税するために租税制度があるわけでもございませんので、基本はそれだということを認識した上で、あとは、国民の理解を高め、経済活動に余り大きな支障を及ぼさないようにしながら、粛々と歳出削減の努力もしながらやっていくという、本当にバランスだけの問題ということになってまいります。

 余り税制で夢を語る方は信じない方がいいというふうに私は思っていますけれども、一度夢を語ってみたいとは思うんですが、ちょっと難しそうです。

 以上でございます。

大口委員 これにつきましても、政治家がしっかり議論してまいりたい、こういうふうに思っております。

 道路特定財源の議論に入りたいと思うんですが、これは中林参考人、アメリカの事情をよく御存じなわけでございます。確かに、税は一般財源であるというようなことについては、いろいろ議論があると思うんですね。その中で、例えば、ジョージ・メイソン大学のブキャナン教授は、目的税の経済学、こういう著書を出されてノーベル経済学賞を受賞された方でございますけれども、この中で目的税のメリットということも主張されておるわけですね。

 また、連邦政府の歳出の半分以上が特定財源によっている、例えば年金とかあるいはメディケアとか道路、こういうことでございまして、特定財源が悪である、こういう議論もちょっと極端ではないかなと。やはり納税者にとって本当に理解をしていただけるかどうかということが税の根本だと私は思うんですね。

 そういう点で、一般財源か特定財源か、大いに議論すればいいと思うんですが、この歳出についてはどういう税でいけばいいのかということをやはりもっといろいろ議論していかなきゃいけない。日本の場合はその議論が、一般財源というのが正しくて特定財源が誤りだというような、そういう感覚があるんじゃないかと思うんですね。

 そういう点で、アメリカにおけるそのあたりの議論について御紹介いただければありがたいと思います。

    〔田中(和)委員長代理退席、委員長着席〕

中林参考人 アメリカにおける議論ということなんですけれども、実は特定財源が必ずしも悪いということでは全くないと思います。

 ただ、問題は、その特定財源を決めたときは、非常に理屈に合っていて、そしてとても必要で、どうしても必要なものであるという場合がほとんどです。アメリカでも議論されていたものなんですけれども、その中で残る問題というのは、やはり時代が二十年、三十年、四十年と過ぎていきますと、時代背景も変わりますし、世の中が必要としているものが変わっていくわけです。そのときに、もう古臭くなってしまったものがいまだに特定財源で残っているというものに関しては、やはりアメリカでも議論があります。

 そういったものはできる限り縮小していくという努力が必要なんですけれども、これは政治的にも、あるいは国民の皆さんに説明する上でも、非常にエネルギーを必要といたします。ですから、このエネルギーというのはアメリカでも非常に大きくて、なかなか抜本的な改革に至っていないという点も多々ございます。

 特に、アメリカでは、日本と同じようにやはり高齢化が進んでいく、そして社会保障費、特にメディケア、メディケードといったような医療関係の費用がウナギ登りに上がっていくという現実が実はあります。この中で、特定財源といったものが余りにも確固としてありますと、必要なものにお金を振り向けることがだんだんできなくなっていくという財政的な硬直化がもたらされるわけです。一般財源の中にありますと、時代時代、あるいはその年々に必要になったものにお金を充てることができるわけですけれども、それができなくなる。国家の柔軟性、そして国民のニーズというものにこたえられないというマイナス面が非常に出てきます。

 ただ、社会的に、長期的にどうしても必要になるであろう日本の社会保障費とか、高齢化社会に向かっていく中で、ましてや子供の数が少なくなっていくこの社会の中で、どうしても必要なものに対して特定財源といった形で消費税などを充てていく、これからのものとしてそれを考えていくという意味では、大変必要な措置ではあろうかと思います。

 ただ、私たちがもうこの世に存在していないころにもその特定財源の縛りがかかっていることに関しては、恐らく、将来の人たちは違った形で物事を決めていきたいかもしれません。そのときに、やはりある程度の時限立法にしておきますとか暫定にしておくという形で、その人たちが選択肢の権限を行使できる、見直すことができるような状況にある程度の幅を残しておくことも、もしかしたら検討の一つ、材料となるのではないかというふうに思います。

 特定財源は、その分野分野の方にはどうしても必要な、死活問題になります。ただ、どうしても長期的に、そして私たちがいなくなってしまった後の日本をも考える上では、長期的な視野といったものも考えながら、本当に必要なのかということを厳しく見ていく必要があろうかというふうに思っております。

大口委員 大変示唆に富む御意見だと思います。やはり絶えず見直しをしていくことが大事ですし、国民に対して説明責任を果たしていくことが本当に大事である、こういうふうに思います。

 そこで、高木参考人、全国を回られて、全国の状況というのを講演等でつぶさに見ておられると思うんですね。現場のことをよく御存じではないかなと私は思っているんですね。

 今回、この特定財源につきましては、今度は道路整備費の財源の特例法の三条一項で、要するに道路の整備の費用はシーリングがかかっているんですね。毎年三%のシーリングがかかっていますので、平成十年から比べると大体四割ぐらい、道路整備費自体が減じております。そしてさらに、真に必要な道路ということで、これから毎年毎年もっと厳しい査定をしていきます。そして、そういう場合に、毎年毎年一般財源もきちっとこの中に、予算の段階で一般財源化もしていく。

 そして、決算の段階で、道路整備費と決算の収入の差額を繰り越ししていく。繰り越した額は必ずその翌年に使わなきゃいけないというものじゃなくて、最終的には平成三十年以降の中で、しかも期限を決めないで、繰越額について使っていく。それによって、この道路特定財源としての負担と給付といいますか、納税者の理解を得るということのためにそういう仕組みをつくったわけでありますね。ただ、災害復旧等でそういう部分が災害復旧補正ということで出てまいりますと、その繰り越す額もゼロになる場合も結構ある、こういう仕組みになっております。

 揮発油税あるいは軽油引取税等の法律上の特定財源、そして自動車重量税という運用上の特定財源、なぜこれが納税者の理解を得るかということについて、要するに、揮発油税だとか石油ガス税にほかの油種に比べれば高い税率がかかる、また自動車のユーザーにだけかかる、そして、日常生活において自動車を使わなきゃ生活できない、こういう方々の方がかなり、そうでない方の何倍も税金を払っておられる。こういう方々に理解していただくためには、やはり、皆さんが車を運転するに当たってはこういう形で道路を整備しますということが、御理解が一つの大きな理由になっている。受益者負担ということであるわけですね。

 そういう点で、これからもしっかりこの議論をしていかなきゃいけませんが、本当に真に必要な道路というものはどういうものなのかということをしっかり見て、そして中期計画の中でそれを反映させていくということが大事だと思うんです。

 高木参考人は、道路については八割方はもう整備されたということでございますけれども、例えば埼玉県知事の上田さんあたりがおっしゃっているのは、やはり幹線道路ができていないと、地方の道路を整備してもつながらないと意味がないんだ、こういうこともおっしゃっています。それから、首長さんたちが今一番悩んでいることは、企業誘致をしないとどんどん空洞化して、人口が都会へ行ってしまって、自分たちの地域が活性化しない、だから企業誘致をするためにどうしても道路を整備しないと、自分たちの市や県が将来成り立っていかないんだと。あるいは、首都圏でいきますと、ソウルは環状を二本、しっかりとしています。あるいは、北京はもう六本環状道路がある。ところが、東京の場合、そうではない。

 そして、地方は今、予算をこの暫定税率含みで発表しています。三月議会でこれを議論するわけであります。これが三月三十一日に通りませんと、全部またやり直しということになります。国もそうですし、地方もそうです。そういう点で、地方の混乱もございます。

 ですから、先生がおっしゃったように、これを政争の具にしますと、そして三月三十一日に切れてしまいますとこれは大変なことになってしまいますので、やはりある程度この改革にはプロセスが必要ではないかな、そういうことも考えておるわけですけれども、御意見を賜れればと思います。

高木参考人 道路整備の現況でございますけれども、私も立場上全国にいろいろと行っておりますけれども、十年、二十年前と比べて大変立派な道路が本当によくできているなというのを痛感するんです。その一方で、費用対効果という大事な問題があると思うんですけれども、これが置き去りになった形で、ただつくられているという感じがして、いわゆる無駄な道路と言うと言葉はよくないんですが、そういう道路も結構多いというのを実感しているんですね。

 一例で申し上げると、これはいろいろなところで言われておりますけれども、本四連絡橋、三本も橋があるわけですね。つくる前から、そんなものは無駄であるというようなことをさんざん言われてきて、私も言った覚えがあるんですが、結果的には非常に効率性のない橋になってきているのではないか。

 先般も、九州に一番近いところの今治―尾道ルート、しまなみ海道というところがありますが、大変立派な、島をつないでいますよね。夕日なんかを浴びて、これは一体日本なのかと思うほどに本当にすばらしい光景でしたが、立場上、腕時計を出しまして、一分間で往復ベースで何台車が走るのかと。小型のトラックがたった一台走っただけなんですね。いろいろ案内してくれた方に、たまたま変なときに見たんじゃないかと私は言ったんですね。そうしたら、大体いつもこんなものです、こういうことを言っていたわけで、明らかに、費用対効果、どう考えても三本の橋は要らなかった。その結果が大幅な赤字なんですね。

 それから、アクアラインについてもいろいろ言われておりますけれども、でも私は非常に重要なアクアラインだと思うんですが、やはり費用との問題で、利用者がいないとか等々、こういう話は幾らでも具体的にはあるんです。

 先ほども言いましたように、そろそろもう道路整備も、八割方はできているので、もちろんその二割方は、さっきおっしゃるようにまだ幹線の高速道路ができていない県もあります。それから、生活道路、歩道なんかの整備もきちっとないとか、あるいはそれ以外の生活道路を含めた形での、あるいは渋滞緩和もそうですね。やるべきことがあることは認めます。ですが、それが多分二割だろうというふうに私は思うんです。

 要するに、全体の八割が終わっている以上は、あとは少しスローダウンをしたペースで、一切つくっちゃいけないなんと言っているわけじゃなくて、これからも道路整備というのは必要不可欠だと思いますが、そろそろペースを今までと違って落として、そして時間をかけてやったら、今のいわゆる道路特定財源でも十分やっていけるんじゃないか。何も暫定税率をわざわざ組み込んでまで、ないとできないというのではないという感じがするんですね。

 ですから、道路をつくるのは結構なんですけれども、少しペースを落としていくというようなことであれば、先ほど冒頭に申し上げた結論に多分つながることになるのではないか、こう思っております。

 以上でございます。

大口委員 ありがとうございます。

 ただ、十年でとにかくしっかり整備して人口減少社会に備えよう、こういう声もあること、そして命の道路ということ、第三次救急医療施設に三十分以内で入っても五割の救命率だ、こういう緊急性もやはりありますので、そこら辺についてはまた議論をさせていただきたいと思います。

 あと、最後に中里参考人に、今、オフショア市場、オフショア勘定の問題、そしてレポ取引の問題、これがありました。これが三月三十一日に切れますと本当に大変なことになるということを、もう少しわかりやすくお話ししていただければと思います。

中里参考人 国際的な金融取引というのは、動く元本は大きいんですけれども、利は薄いものなんですね。その薄い利のところに源泉徴収が乗ってきますと、正直ストップしてしまうんですね、税引き後のリターンを念頭に置いて取引が行われますから。

 あるところに市場が存在して、そこで取引が行われることを前提として世の中全体、世界全体の経済が動いていますから、何らかの事情でそれがストップということになったときに、その波及効果というのは大変なものじゃないかと思うんです。もちろん、ある程度の時間があれば回復は可能かもしれないんですが、そのことによって、ストップさせたことによって日本の信頼というんですか、それが失われるという点はかなり深刻じゃないかというふうに思っています。

 お金というのは税の軽い方に流れていくという本質性がございますので、ちょっとした税制の変化でたちどころに金融取引というのは多大な影響を受けるということなんですね。その影響を過小評価しますと、私、実はよくわかりませんが、これは恐らくとんでもないことになるんだろうということは何となく想像がつくわけです。

 以上です。

大口委員 時間が参りましたので、以上で終わりにします。安藤先生、済みませんでした、一度も御質問できませんで。

 ありがとうございました。

原田委員長 次に、松野頼久君。

松野(頼)委員 民主党の松野頼久と申します。

 きょうは、参考人の先生方、大変お忙しいときに当委員会にお越しをいただきまして、まことにありがとうございます。

 早速幾つか質問に入りたいと思うんですが、まず中里先生にお伺いをしたいと思うんです。

 中里先生、私も先生の今までの御発言とかをいろいろ調べさせていただきましたら、固定資産税について非常に専門家であるというふうに拝見をいたしまして、実は私も国会で随分、これは地方税で、分野はちょっと別なのかもしれませんが、固定資産税の問題点というのを過去に何回も指摘をしてございます。特に平成六年のときの七割評価の導入にかかわる問題とか、先生の中でも、「償却資産に対する固定資産税」という本を出されていらっしゃるんですが、特に不動産の、建物にかかわる固定資産税の算定方法というものを私も国会で何度も何度も実はやらせていただいておるんです。

 例えば、国税であれば、鉄筋コンクリートを四十七年で償却させていくわけです。ただ、固定資産税の場合は、再建築費評価方式というわけのわからない評価方式を持ち出して、今この建物を建てたら幾らなんだと、それも、課税当局が勝手に、壁紙はこの材質だったら何点、この材質だったら何点、その理論が全くない状態なんですね。

 ある例を私も一つ委員会で持ち出したんですけれども、地方税法の中で「適正な時価」という文言によって運用されているわけですが、例えば、ビルを建てた価格、要は実際にゼネコンに支払ったお金、これ以上適正な時価はないと思うんですけれども、それじゃなくて、課税当局が、今建てたらこの値段なんですよといって、勝手な価格を想定して、ゼネコンにお金を払った金額と違う金額を課税標準として出して課税をしているというわけのわからない状態にあるんです。

 今回、福田総理の二百年住宅というものがこの税法の中にも、今回かかっている法案の中にも入っていて、私は、そのコンセプトは非常にすばらしいと。今、日本の建築を見ていると、二十年、三十年、四十年で壊さなければいけないようなちゃちなものをつくってぼんぼん壊すよりも、どっしりとした、欧米諸国のように二百年、三百年というものをつくって、それを長く使っていこうというそのコンセプトは非常にすばらしいんですけれども、では、この二百年住宅に対して、固定資産税は二百分の一にするんですか、国税の償却は二百分の一にするんですかと言うと、税制の誘導が全くないんですよね、若干、固定資産税を毎年少しまけますとか言っているぐらいで。

 では、その償却資産に関して、二百分の一の償却はさせるわけではないというような問題点もはらんでいると思いますので、その辺、ぜひ先生の御意見を、固定資産税の問題点を含めてお聞かせいただければ大変ありがたいというふうに思っております。

中里参考人 市町村の基幹税ですから、なかなか、政治的なことまで考えてしまいますと、発言というのは非常に難しいわけですね。私は学者ですから、理屈だけなら幾らでも、だけと言っちゃいけませんが、理屈の話であれば何とかなりますが、だから、そういう意味では、理屈だけで割り切れないものがあるということは重々承知の上で申し上げさせていただきますと、もともと固定資産税というのは、地租とか家屋税とか電柱税とか鉄道用の軌道税とか、よくわからない雑税を固定資産税という名前で一本にして、無理やりつくったものなんですね。ですから、その課税範囲が諸外国と比べるとかなり広いんじゃないかというふうに思っています。

 それがいいのか悪いのか、いろいろ問題はありますが、日本の固定資産税というのは課税対象がかなり広いんじゃないか。牛とかにも、忘れちゃいましたけれども、何かいろいろなものがあるみたいですね。ただ、資産税というのは致命的な、欠陥じゃないですが難しさを抱えていまして、評価ですよね、この評価というのが、みんなに公平に、これは幾ら、これは幾らというのがなかなかしにくいというところがございますので、余り極端な裁量が課税当局に働かないように一定の、このくらいでという基準が示せればいいんですが、なかなかそうはいかない。

 東京大学も東京都によって固定資産税をかけると。それは、周りの住宅地の方々のところに余りに電柱を立てるのはみっともないというので、大学の構内に電柱を立ててさしあげたら、これを、電柱一本につき一年間に千円とか取っているからここは宅地だということで、年間一千万円とか何か課税された。もちろん御協力はいたしますが、しかし、そういうことでいいのかということは確かにあるわけですね。

 ただ、御当局の方も、それを踏まえながらだんだん改正というのか見直しの動きがあるんだろうと思います。にもかかわらず、市町村の基幹税ということなのでなかなか見直しが、ストップさせられてしまうということも起こると思いますので、国会の場その他で、こういう問題点がある、こういう問題点があるということをその都度その都度取り上げながら発言していただくことによって、だんだん制度もよくなってくると思いますし、それから裁判を通じて是正されるというようなことも起こってくるかもしれませんね。

 駅中課税なんかについては、評価基準を見直すということで対応がされまして、ああいうのは非常に大人の解決で、東京都も納税者側も、それから国会も総務省も、明確な、非常にいい解決法でよかったんじゃないかと思いますので、だんだんああいう方式が広まってくるといいなと思っております。

松野(頼)委員 ありがとうございます。

 特に、先ほど政治的なというふうにおっしゃいました。市町村税の六五%を都市計画税と固定資産税で占めているわけなんです。ですから、減税ができないという、まず徴税の立場ありきという形の解決が図られているのではないかということが私は非常に問題点だと思っているんです。一つの税目で六割以上、それに偏るという税負担の重みというのも大きな問題だというふうに思うんですけれども、その辺。

 あと、さっきの二百年住宅、今のと含めて二百年住宅に対する税制誘導というところでもし御意見があれば伺えればというふうに思います。

中里参考人 これも、総理が強く主導なさっている。日本の住宅というのは確かになかなか建てかえの頻度が高いですから、資源の効率的な利用とか環境その他を考えて、総理のお考えというのは、先生もおっしゃるとおり非常にすばらしいものだというふうに思います。

 ただ、これに対してどういうふうに税制の優遇を与えるかというのは、また非常に高度な、政策的な、政治的な問題になってくるんだろうと思います。二百分の一にするかどうかはちょっと難しいですが、しかるべく、要するにそういう方向に国民の行動が自然に誘導されるような形でということは、当然考え方としてはあり得るし、国会も含めてお考えになってくださるんじゃないかとは思いますね。

松野(頼)委員 どうもありがとうございます。

 次に中林先生にお伺いをしたいと思うんですが、これも中林先生のおっしゃっている中に、財政改革における要素としては、政府と国民と、あとそれを結ぶ専門家、この三要素が非常に必要であるというふうに論じていらっしゃる部分があるんです。

 まさに今回の、今議論をしています道路特定財源、十年間で五十九兆円という枠、予算の枠取りは実はできているんですけれども、先ほどから幾つか出ています、では真に必要な道路、その道路はどこで、幾らかかるんですかというふうに私どもが委員会で聞いても、それはこれからなんですと返ってくるんです。

 ですから、今予算なり歳入の方の税の議論をしている中で、五十九兆の内訳というものが決まっていないんです。多分、それは御存じか御存じじゃないかわかりませんけれども、そういう状況の中で、わずか十六項目、例えば高規格幹線道路の整備二十四兆、何々、踏切一兆幾ら、それぐらいを十六項目に切り分けただけで国会に予算審議をしてくれ、それに伴う歳入の十年分の暫定税率の議論をしてくれということなんですね。

 それで当委員会も随分紛糾をして、少しずつ、五十九兆の根拠を出すというふうにきのうぐらいから動きができているんです。ただ、きのうといっても予算委員会は今ずっと進行している中で、例えば諸外国でこういう形の予算審議を要求する、そして真に必要な道路を一体だれが選定するのかわからない、また、今審議をしている最中で、どこにどういう道路をつくるのかが明快になっていない状態の審議ということに対して、先生の御意見をいただければと思っています。

中林参考人 大変難しい御質問だと思います。

 私が見てまいりましたアメリカですけれども、日本の政治の制度と比べましてやはり相当違います。どちらかというと、日本は、議院内閣制の、同じ制度をとっているイギリスと比べた方が近いのではないかという声もよく聞かれます。ただし、イギリスと比べたところで似て非なるもの、非常に日本とは違う議院内閣制があちらではとられています。

 ですから、ほかの国と比べて、では日本はそれをまねしてこうすればよくなるという非常に明快なお答えというのは、やはりどうしてもない。ということは、日本の制度に合わせた、そして最適な方法を我々で編み出していくしかないというのが最終的な結論ではないかと思います。

 ただし、世界にはいろいろな失敗例もありますし、試行錯誤がされています。ですから、そういったものから成功も失敗も含めて学んでいくということは可能なのではないかというふうに思う次第です。そこでアメリカの例などがよく出てくるわけですし、それから、日本の先生方、議員の先生方も、アメリカの制度についてはかなりお詳しい方がたくさんいらっしゃいます。ただ、問題は、全体像としてとらえた中での一つの制度であり、一つの規制であったりルールであったりするわけなんですね。

 アメリカの全体像そのものは、やはり大統領制度ということにあります。最終的には議会が予算を決める権限を持っております。日本の場合は、内閣が予算の提出権を持っているわけです。アメリカでは、これはすべて議員立法ですし、すべて議会が最終的に判断をするということになっておりますが、実際には、大統領府から送られてくる予算教書、そして、その予算教書だけではなくて、実はジャスティフィケーションマテリアルというのがありまして、予算教書の中に入っていないたくさんの資料が行政府から寄せられます。その見積もりを全部、実は議会の方で精査します。

 アメリカの場合は、本当に日本とは制度が違いまして、議院内閣制ではありませんから、大統領府の政党と議会の中の与党が食い違うということが往々にしてあります。その場合には、やはり野党側になる議会の主導側の政党が、例えばもし食い違った大統領府の政党である場合は、そこから出してきたものを精査するわけです。ただ、その数字というのは、実はある程度大統領府に都合のいい数字が入ってきます。そこで、では本当にこれが必要な予算なのかそうでないものなのかということを精査しなければいけませんけれども、それは議会の責任ということになります。

 そのためには、アメリカの議会の場合は、委員会スタッフという専門のスタッフを個人事務所以外の場所に置くことができる。そして、実はそれ以外に附属機関がたくさんありまして、日本語でいうところの会計検査院ですね、アメリカではガバメント・アカウンタビリティー・オフィス、GAOというところが議会附属になっています。それからCBO、コングレショナル・バジェット・オフィスというところが議会附属になっています。ですから、委員会のスタッフが実はそういったところを自分の手足のように使って、さまざまな数字の検証をします。

 きょうここに来させていただいた冒頭のところで、定量的な議論が必要になってくるということを話させていただいたんですが、ではその定量的な数字はどこから来るのか、実際だれがその数字を一生懸命集めてきてくれているのか、かき集める縁の下の力持ちをしてくれているのかといいますと、やはり専門家が実は非常に豊富な資源として存在しているということなんですね。

 ただ、皆様御案内のように、アメリカと日本は本当に制度が違いますので、これを日本に取り入れるとなりますと、日本の制度を変える、日本を大統領制にするというぐらいまで覚悟を決めなければならないことになってしまいますので、これはそのままには取り入れられないというふうに思います。

 そのときに、やはりいかにして日本の制度の中で、バックドア、つまりドアの裏側ではなくて、国民に見える形で議論をしていくということは、本当に、納税者である皆さんの、ごくごく一般的な国民の皆様の御理解を得るという上では、これは日米問わず、イギリスと日本も問わず、必須であるわけです。その必須のことにこたえる最低限のものが必要だということで、かなりの専門家の手をやはり国会の中に、特に野党の皆様が手に入れていく何らかの手段が必要になってくるだろうというふうに思います。

 日本の議会の中にも、衆議院の中には調査局があり、参議院の中には調査室があり、実は人数などを見ますと、私がおりました予算委員会は与野党両方合わせて大体五十人ぐらいおりました。与党と野党に委員会スタッフが分かれてしまうわけですけれども、三十人ぐらい、時には二十五人ぐらいといった形で与党側におりまして、野党側には十五人から二十人ぐらいといったような予算委員会のスタッフ構成だったわけです。それを考えますと、今の衆議院の調査局ですとか参議院の調査室などは大変な、三百人近い規模ですか、前後の規模ぐらいいらっしゃるということもありますので、相当のヒューマンパワーになっているということも実は考えられますので、そんな、大統領制に日本がする必要は全くなくて、実はまだまだ活用の余地のあるすばらしい有能な人材がたくさんいらっしゃるというような気もいたします。

 私もまだまだもっと詳しく見ていかなければ断言はできませんけれども、そういった部分もあると思いますので、そういった専門家を育てていく、そして使っていく、そして、その数字を国民の前にも提示しながら、本当に真っ当な議論をしていくことによって、国民が最終的には選挙で判断するときの材料にしてもらう。

 あるいは、民主主義というのは最終的には国民の認識といいますか意識のレベルで決まってしまうものだと思います。もし意識レベルがまだまだ未熟であったり達していない場合は、それなりの選挙結果にならざるを得ないということだと思いますので、いかにして、日々研さんしながら、国民の方々に多少ややこしい、ましてや財政のバランスといったような生活実感にはとてもとても身につかないような、感じられないようなものを理解していただくには、やはりそういった、毎日絶えず国民の前で議論をする、そして説明をするというようなことがどうしても必要となりますので、ここだけはどうしても、これから日本の国会で、特に野党の皆様にも頑張っていただいて、しっかりとした政策議論のための専門的な数字なり定量的なものが提示できるようになっていただきたいというふうに切に願っております。

松野(頼)委員 どうもありがとうございます。

 例えば予算書の中には、ではミュージカルをやりますという、ミュージカルのミュの字も出てこない、例えば千八百億も外郭団体に投げてその調査をするということも出てこない、ほとんど人に使われていないような駐車場をつくるということも予算書の中にはあらわれていないんですね。こうして一つずつこつこつこつこつ探して、まだまだたくさんあると思うんですけれども、こつこつこつこつ探してようやくそういうものが出てくる。予算書の中にはそんな項目は何一つ書いていないという状態の中で国会で審議しているということを、ぜひ御理解いただければありがたいなというふうに思っております。

 続きまして、高木先生にお伺いをしたいと思うんですが、先生は、暫定税率で三十四年間続いているのはおかしいという、まさにごもっともな御指摘をいただいていると思います。道路以外の部分でも、この間私も質問させていただきましたけれども、要は、今回の租税特別措置法で約二百九十五項目、長いものは五十年以上続いているものがごろごろございます。やはり時代に合った、その時代その時代、税で優遇するということがすべて悪いというわけではありませんけれども、公平、中立、簡素という税の原理から、やはり税以外の方法を模索するのが本来は筋なのではないかというふうに思っております。

 シャウプ勧告以来、この租税特別措置法というのがどんどん広がって、また、これは多過ぎるのではないかということで減らされた時期等々、この戦後の長い歴史の中で何度かあるわけですけれども、ただ、また今膨張傾向にあるのではないかというふうに私は思っております。

 先生、ちょっと大くくりな質問で恐縮なんですけれども、この特別措置法のあり方みたいなものについてちょっと言及をいただければありがたいというふうに思います。

高木参考人 この点につきましては、冒頭にも私申し上げたと思うんですけれども、そもそも初めから租税特別措置法自体がおかしい、特別措置自体おかしいというのではないと思うんですね。やはりそのときそのときで、本当に優先課題でこういうことをやりたい、そのためには一般財源としてやるのではちょっと不都合があるし、むしろ財源を一定のところに集中をして、そしてもう一気呵成にその政策目標を実現する、これはあっていいと思うんですね。

 ところが、一回そういうものができちゃうと、既得権益という妙なものがあって、一たんつくっちゃったらもう壊せないというのがこれまでの日本の姿ではないかと思うんですね。もう役割が終わったもの、あるいは政策課題も、一〇〇%とは言えないまでも八割ぐらいが実現しているのであれば、依然として今後もさらに特別措置を続けるというのはやはり間違いではないか、時代おくれをいつまでも引きずっていいのかという問題もあると思うんですね。まさにスクラップ・アンド・ビルドというのはこの点であって、日没、サンセットというのもこういう議論なんですね。

 ですから、一たんつくっちゃったらもうそれは半永久的に続くということ自体を変えていかないと、財政状況が大変厳しき折、回らない議論だろう、こう思っております。もっとやはり財政全体をフレキシビリティーを持って行っていく必要があるんじゃないか。

 この租税特別措置の問題は、実は特別会計も同じなんですね。そういうものができたときは一定の意義があったわけですけれども、十年、二十年、三十年たつと意味がなくなってきている。だからこそ、今、特別会計の方も、抜本的に見直して数を減らしていこう、こういう動きになっていますけれども、むしろそういうことは臨機応変に弾力的にやっていくというのが国会に求められる姿ではないか、私はこう思っております。

 それから、最後に道路特定財源についてもう一度申し上げますと、特定財源ができてからもう本当に五十年以上、五十四年ぐらいたっているんですね。暫定税率ができてからももう三十四年もたっている。それでいて、まだ道路の整備が十分じゃないというんだったら、逆に言わせていただくと、五十何年もかけて道路行政は一体何をやっていたのか、国会議員は何をやっていたのか、こういう議論にもなっちゃうんですね。

 ですから、それは永久にやるんだという答えなのかもしれませんけれども、通常は二十年、三十年あたりで道路行政というか道路のいわゆる建設目標というのを本来実現させるべきであって、五十年たって、いまだにまだできていません、足りません、不十分ですというのは、これはみずからの今までの政治、あるいは行政でもいいんですけれども、それが失敗だったということを意味しているような気もいたします。

 以上でございます。

松野(頼)委員 どうもありがとうございます。

 最後に、安藤先生にお伺いをしたいと思います。

 安藤先生の書かれた論文を拝見いたしまして、非常に共鳴するところ、たくさんございました。その中でというわけではないんですけれども、先生にちょっと一つ、ずばりとお聞きしたいのは、今回のガソリン税の暫定税率、要は、揮発油税または軽油引取税の税の上に実は消費税が二重課税されております。この二重課税の問題、今までの国会の答弁を見ると、諸外国ではそんなに珍しいことではないんだ等々の答弁が行われているんですけれども、ただ、私はやはりどう考えても、この二重課税の問題は、きちっと消費税導入のときに整理するべきだったものが整理し切れずに今もなお残っているというふうに思うんですけれども、この消費税の二つの税に関する二重課税について、先生、御意見をお聞かせいただければと思います。

安藤参考人 消費税の二重課税の問題については、消費税の導入のときにやはり議論になったわけですね。それで、政府税調あたりの説明を見ますと、要するに、ガソリン税そのもの、揮発油税そのものは、いわば受益者負担、そういう意味合いというか性格がある、ところが消費税というのはまた違う性格のものだ、したがって税の根拠としては違うので併課しても差し支えないんだ、そういう議論なわけです。果たしてそれで納得できるかどうかというのは別の問題ですが、理屈としてはそういう理屈で併課になっているというふうに思います。

松野(頼)委員 先生としては、この二重課税はしようがないというふうな御意見でいらっしゃいますでしょうか。それとも、やはりある程度の時期に見直すべきではないかという御意見でいらっしゃいますでしょうか。

安藤参考人 暫定税率をやめれば、消費税分も下がるなというふうに私は思っております。そんな程度ですね、申しわけないですけれども。

松野(頼)委員 あと、先生は特定財源の問題について、やはり特別な事情があるということがまず大前提である、その特別な事情は、まさに半世紀前の道路整備状況と比べて今はもう状況が違っているんだから、この特定財源制度というのはやめるのではないかというような趣旨だというふうに思っておるんです。私も全くそのとおりだというふうに思っているんですが、現状の中で、今まさに当委員会で審議をされている状況、これから十年間、暫定税率を続けながら約二十六兆というお金の歳入を決めていくということに対して、一言御意見をいただければと思います。

安藤参考人 私は、今までは五年計画だったわけですよね、なぜ今回十年なのか、それはまず疑問に思っております。これは、ある意味で、こういうことはもう最後だ、そういうような意味合いがあって、五年じゃなくて十年この際やってしまおう、そういう政治的な意図があるのかな、そういうことを感じております。それから何でしたか。(松野(頼)委員「先生の御意見は」と呼ぶ)

 それから、揮発油税にしても自動車重量税にしても、一般財源なんですね、法的には。そのことはやはり重視すべきだ。要するに、これはあくまでも暫定措置として道路特定財源になっているので、本来一般税だということがちゃんと残っている。ですから、特定財源をやめるということは本来の姿に戻ることだ、そういう理解でおります。

松野(頼)委員 四人の参考人の先生方、本当にきょうはお忙しいところ、どうもありがとうございました。貴重な御意見を伺わせていただきましたことに感謝を申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

原田委員長 次に、古本伸一郎君。

古本委員 民主党の古本伸一郎と申します。きょうは、諸先生方におかれましては、大変お忙しい中、当委員会にお越しいただきましたことを私からもお礼を申し上げます。

 最初に、せっかく四人いらっしゃっておられますので、御教授を請う側が勝手を申して大変恐縮ですが、私も質問を小気味よくいきたいと思いますので、できれば一人一分ぐらいでぜひよろしくお願いをいたしたいと思います。

 まず、四方にお尋ねをしたいと思うんです。最初のお二人、中里先生と中林先生に共通していたと思うんですが、我が国は財政が今厳しい、今は台所事情が火の車である、そういう状況にあって暫定税率を廃止することはできない、つまり、財政の立場から暫定税率を継続すべきだ、このように聞こえました。

 実は、今や自動車というのは、一家に一台どころか、家族の人数分ぐらいある地域も多くございます。特に東京都中野区では、一家に〇・三台です。他方、地方に行けば、一家に二台、三台ございます。すぐれて、地方に行くほど偏差のある、偏りのある税を財源に我が国の財政を支えるんだというのは極めて違和感を感じたんですが、この点に関しましてそれぞれ御意見をいただきたいと思います。

中里参考人 酒とたばことガソリンと自動車というのは、どこの国でも、一般の消費税以外の個別の消費税で相応の負担をしているという状況があるのではないかというふうに思います。賛成、反対はともかく、事実の問題ですね。

 それで、車について確かにいろいろございますけれども、しかし、道路と車というのはある程度結びついているものですから、一定程度受益者負担的なものをというのは正当化できないわけではない。

 ただし、道路の必要性についての査定等は厳しく行った上で、その上で一般財源にできるだけ回していくとか、今度そういう方向の改正がなされるわけですが、そういう方向でだんだん見直していくということは、これは当然必要だというふうに思っております。

中林参考人 私も、中里先生と同じように、何がだれに一番負担があって、必要であるか必要でないかということに関しましては、やはり、その立場立場でさまざまな主張があってしかるべきだと思います。

 それが酒なのかたばこなのかガソリンなのかということになりますけれども、そういった議論をする場合に、やはり、国民に選択肢を示すということも一つの手段かもしれません。といいますのは、ガソリンに対する税金はいいとか悪いとかということで、絶対いいとか悪いというのは、例えば私がそういったことを勉強してきたとしても、決定づけることは難しいと思うんです。これはやはり、国民の選択ということになってきます。そのときに、財政面で非常に苦しいから、では、財政赤字はもっとふえていいんですかということも国民の選択かもしれません。

 あるいは、ここまでひどい状況だと将来は不安である、国家を運営する者としての運転手としての責任もあるということで先生方があるのであれば、では、対案としては、どこだったらもう要らないのか、どこだったら要るのかということで、英語で言えばペイ・アズ・ユー・ゴーという考え方になりますけれども、そういった、単に必要なものだけを引き出しておしまいにしてしまうということではなくて、その責任のとり方も示しながら、財源を示しながら議論をしていくということも一つの手段なのではないかというふうに考えております。

 それでこそ、私は一人の人間として、ではどっちがいいんだろうということを考えることはできる。あれもいい、これもいいというのはやはり難しいので、比較的どちらが納得できるのかというところに落ち着かざるを得ないと考えておりますので、できる限り政府の無駄を省いてほしい、これは本当に切なる願いです。

 そこを示しながら、無駄はもしかしたら探せるかもしれませんから、ぜひそこを持っていきながら、ではどっちなんだということを示していただけたら、こんなになおさらいいことはないというふうに考えます。

高木参考人 いわゆるぜいたく品ですね、自動車もかつてはそうだったわけですが、あるいは嗜好品、こういったものについては、通常の税とは別な形で日本も取ってきたわけです。それが酒税であり、たばこ税であり、ガソリンでいえば揮発油税だし、自動車重量税あるいは取得税だったと思います。

 しかし、この車に関して言うと、確かに、当初は金持ちだけしか車を持てなかった時代だったわけです。あるいは高速道路なんかを利用する、まあ当時なかった面もあるんですが、特別にそういう道路をつくる以上は、利用者、ユーザーが負担をすべきだと。その論理は正しかったと思うんですけれども、現時点においては、自動車というのは別にぜいたく品じゃなくて、もう一億みんな国民が持ってきているわけです。同時に、先ほどもお話しいただきましたように、特に地方においては一家に対して二台、三台、東京だって、まあ一台はもちろん切っていますけれども、というようなことで、もういわゆるぜいたく品ではなくなってきている。

 となると、税体系からいっても、相変わらず通常のいわゆる財・サービスに対しての課税と違う形で続けていいかという点でも、どうも時代は大きく変わって、そうは言えなくなってきているんではないか。そういった税体系からいっても、見直しをすべき時期に来ているんではないか、こう私は考えております。

安藤参考人 本当に、大衆消費品に対する課税になっていると私は思います。

 ただ、この道路特定財源の問題は、単なる財源問題ではないんじゃないか。私は、これは財政姿勢が問われている、そういう問題だと思っております。

 日本財政がこれほど大きな借金を抱えたその一番の原因、それは、日本の公共事業に対して余りにも優先的な政策をとってきた、その具体的なあらわれが道路特定財源制度であり、国債の建設国債主義であった。この二つを何とかしなければ、とても日本財政の健全化はできないだろう。

 そういう意味で、今回、道路特定財源問題が大きな政治問題になったということは、やはり、財政を真の意味で健全化の方向に進めていく非常に重要な一歩である、そういうふうに高く評価しております。

古本委員 続きまして、冒頭に中里先生から興味深い意見陳述を賜ったんですが、少子高齢社会、グローバル社会になってきている、要するに、国の前提が変わってきている、変化している、税もそれを踏まえた対応が必要である、そういうふうに私は承りました。

 これも同じく四方にお尋ねしたいと思うんですが、この制度ができましたのは今から半世紀前です。当時の昭和二十八年、九年は、人々は、道路が欲しいなんという人はめったにいなくて、まずはおなかいっぱいの御飯が食べたい、あるいは夜露をしのぐ家が欲しい、みんな焼け出されていたわけですから。そういう時代に、財源を取り込まないと道路に使えなかったわけですね。したがって、田中角栄氏が考え出した、すぐれて、国民が求めていることとは違うことに特定的に囲い込んで使うことができるという、ある意味すぐれた、戦後復興型、一点集中型の資源配分の仕組みだったと思うんです。

 これが、今先生の御認識では、今は少子高齢社会です。道路をつくっても、残念ながら運転する人の数が減っていきます。そういう時代にあって、引き続きこの仕組みを続けていくことの必然性をどのように見出されておられるのか、四方からお伺いします。

中里参考人 必要な道路についての予算上の査定をきちっとしていただいて、どこまで必要か、もちろん国会の承認も要るわけですが、明らかになった段階で、それにかかるお金はここまでである、それを超える部分についてはという制度を今のところは維持していくのは、現実的ではないかというふうに思います。

 ガラガラポンでなくしてしまうと、必要な道路に使うお金をどうするのかという問題が別途出てまいりまして、それはそれで知恵を絞れば出てくるのかもしれませんが、今の環境税的な制度を生かしながら、必要なところまでは必要なだけの道路に使うお金にして、余った部分を次に繰り越し繰り越して、繰り越しといっても、別に銀行に預金してキャッシュをためておくわけじゃありませんので、単なる、単なると言ってはいけないですが、お約束の話ですからね。

 そうやって毎年毎年の道路の査定をきちっとやっていけば、とりあえず、しばらくの間はこれはこれで機能するのではないかというふうに思っております。

中林参考人 私も、実は道路に関しては、この時代に、もう新しい世代の人たちが交代していく中で、ましてや人口も減っていきますし、それこそ、特に田舎に道路が必要という声をよく聞きますけれども、運転できる人が少なくなる。それならば、もっと例えば公共の乗り物に費やすとかということの方が、時代の要請に合っているのではないかというふうに思います。

 したがいまして、道路建設に関しては、もっともっと厳しい査定が必要だというふうに思いますし、そういう意味では、まだまだ日本は甘かったなと。これからは、もう国民の目もそんなに甘くはないぞというふうになってほしいと思います。

 そして、政府にも、そして、そういった道路を必要として発言していらっしゃる先生方もおありと思いますけれども、もちろん根拠はいろいろあると思いますが、実際にそれがどの程度必要なのかということの厳しい査定ですね、そして、査定に関するシステムですとか、なぜこういう査定になったのかということが説明できるくらいまできちんとしたベースをつくる、それによって、査定で非常に厳しい結果を得たけれども、ルール自体が一応確立されたものであるのだからこれは仕方がないということを地元の皆さんにもやはり御理解いただけるようなそういった査定、そして厳しさというものがますます必要になってきているんだと思います。

 そうすることによって、必要でないお金というのはどんどん一般財源に回していただきたい。もう一般財源はとてもとても足りません。本当に足らない状況です。ですから、そちらに回すことによって、私たち国民に必要な資源を確保してもらうようにしていきたいというのが実際のところでございます。

高木参考人 冒頭に申し上げたような理由から、継続するその根拠はないんじゃないかというふうに思います。

 それで、ここでちょっと申し上げたい点は、最近の世論調査をどう皆さん見ていらっしゃるか。もちろん、これは世論調査ですからいろいろ数字は変わりますけれども、言えることは、国民の過半は、もう暫定税率は要らない、それから道路特定財源も一般財源化にすべきだ、こう言っているわけですね。

 これについてどう国会議員の先生方はこの問題を御判断なさるのか。単なる一世論調査として軽視をするのか、あるいは軽く見るのか無視するのか、こういう問題ですけれども、もし自民党の方の御意見ということであれば、逆に言うと、国民へのPRができていないということ、国民への理解を徹底させていないということにもなるし、というようなこともありますので、国民の声、見方というのはやはり最大限重視した方がいいんじゃないかというふうに思うんです。国民の理解が不十分ならば、それを変えるような努力をもっとしていかないと、国民が不安を持ったまま、結論は違った方向に行っちゃう。

 したがって、この世論調査、これは福田首相の支持率なんかの問題も実は同じだろうと思うんですけれども、余り軽く扱わないでいただいた方がいいんじゃないかという感じは持っております。

 以上でございます。

安藤参考人 私は、道路については、これからは維持管理というところに重点を移すべきであろう。新しくつくるというのではなくて、現にある道路の維持管理をきちんとしていく。そういう意味では、地方の生活道路というものをやはり優先的に取り上げて、本当の意味で生活に役に立つ道路というふうにしていくべきだ、そういうふうに思います。

 それで、現在の特定財源制度を地方の市長や議員が一生懸命になって擁護しているのは、なぜかよくわかりませんね。なぜならば、これは、国と地方の財源の配分からいけば、地方にはほとんど六分の一しか行っていない制度なわけです。ですから、地方にとってはむしろ不利な制度なのに、なぜ一生懸命維持する動きをしているのかよくわかりません。むしろ、これを改善する方が地方にとっては有利なのではないか、そういうふうに思っています。

古本委員 ありがとうございます。

 今お話が出ましたように、本当に、地方六団体を中心に今大変な暫定税率維持という御要望を承っているわけなんですけれども、いわば市長さんや知事さんというのは、民意を背負っておられる方々ですから、その民意を背負っておられる方々が迷いなく道路だとおっしゃるのであれば、何も財源は特定に取り込まなくても、一般会計で堂々とやればいいのじゃないか、こういうふうに私は思っております。

 その上で、中林参考人が興味深い御教示をしてくださいました。道路に使わなかった分は一般財源に今回される部分がある仕組みになっているんですね。それはどんどん一般財源にしてもらうと助かるんだ、こういうことでありました。

 実は、確かに自動車というものは社会に何らかの負担を与えるものであるのは事実です。そういう意味では、担税力があるという意味での応能負担という概念よりも、むしろ、それだけサービス、便益を受けているんだということでの応益負担という概念からいえば、税の本則部分はこれは当然残すという私どもの提案でございますし、その本則部分については、それをどう使うかは、地方分権、むしろ地方の皆様が求めておられるわけですから、お渡しをしていくのが今後の姿なんだろうと思っているんです。

 その際に、道路をつくらないのなら一般財源に入るとありがたい、こういう話だったんですが、暫定分を乗っけている理由は何か。これは歴史的経緯もあると思うんです。これは、昭和四十九年に、道路建設を推進していく、と同時に、オイルショックでございましたので燃料消費を抑制していく、この二つの意味から暫定税率というのは二年を限りに制度導入され、今や三十四年続いているんです。

 したがいまして、お尋ねしたいポイントは、暫定税率を維持しながら、しかも道路をつくるんだという御旗のもとに、地方ほど負担のある、大変偏差のある税である自動車諸税の暫定税率を維持しながらそれを道路以外にというのは理解が得られないと思うんですが、この点はいかがでしょうか。

 同じく、四方からいただきたいと思います。

中里参考人 立法者がその時々にどのようなお気持ちでそういう措置を入れたかというのは、そのときの立法事実というのか、お気持ちでございまして、そういう説明でそういう措置が入れられたから経済的効果がそうであるとかということには必ずしもならないのだと思うんです。

 それで、暫定税率という言葉、これは法律の中にはたしかなかったと思うんですが、暫定というふうに呼ばれているから暫定であるというふうに必ずしも受け取る必要はそこはないわけでございまして、要は、今見てそれが必要かということなんだろうと思うんです。

 中林先生がおっしゃいましたように、環境の視点というのがどうしてもひっかかってくるんです。エネルギー関係のものについて、やはりある程度の負担を国際的に他国と同じような水準でかけることによって京都議定書その他の精神も生きてくるんだろうと思いますから、それを急に廃止するということがどのようなメッセージを外国に対して送るのか、あるいは国民に対して送るのかということが実は今一番心配なことでございまして、暫定という名前に過度にこだわらずに、今どうしたらいいのかというふうにお考えになった方がいいのかなというふうに、いろいろな事情もあるんでしょうけれども、思っております。

中林参考人 暫定という言葉が本当にひっかかってしまうのは、私も一般人間として本当に感じます。どうして、暫定なのにずっと続くのだろうと。

 ただ、そのときに暫定ということで導入された方はそう思われたのだろうと思うんですね。もし、現段階で、今の世の中で、そしてこの暫定税率の額そのもの、名前はともかくとして、必要であるというふうな今のこの時代でそれを考えるのであれば、恐らく暫定にしなかったのかもしれません。

 これはただ、過去の政策決定者の方々のその当時のやはり時代背景もおありでしょうし、議論の背景もおありでしょうから、そこを責めるわけにはいかないのですけれども、それを現代にやはり置きかえて考えてみますと、暫定とはいえ、非常に大事な、環境問題もそうですし、それから道路の補修関係もそうでしょうけれども、さまざまな形で必要な財源というものが足らなくなっているという状況から考えますと、これを暫定だからなくしてしまうということに逆に考えてしまいますと、なくすことによってのマイナス面というのがやはり出てきてしまう。

 では、これから、将来私たちが必要としている環境問題に対する対応はどこからそのお金を出してくるのか。新しく課税ということで、環境税という名前を新しくつけてするのも一案かもしれませんけれども、では、ガソリンにかけている税金と環境税という名前、名前を変えただけじゃありませんかということにもなりかねない。これ、単なる負担感が出てくるだけではなくて、いろいろなまた議論も起こって、非常なエネルギーや時間がかかってしまいます。

 外から見ても、そうしたことをしている日本というのは環境に対してどういう考え方を持っているのかということでも、もし間違ったサインを出してしまうようなことになりますと大変不安を感じますし、そういった意味でも、暫定という言葉は確かにおかしいけれども、内容自体の方をとって、そして、ある程度納税者の方の理解というのはもちろん必要でしょうけれども、外部不経済ということがかなり出ていますので、そこを議論の中に入れて柔軟に考えていく必要が、理論上はいろいろあるかと思いますけれども、実際上は、実務上は必要なのではないかというふうに考えます。

高木参考人 道路特定財源から暫定税率を維持しながら一般財源化というのは、私は論理としてはおかしいと思うんです。あくまでも道路建設のために集めたお金ですから、余ったらどうこうという前に、この際もう暫定税率を廃止し、特定財源を一般財源化した上で必要な道路はつくっていく。それから、環境税の話も今出ていましたけれども、流用するというような考え方じゃなくて、環境税については、堂々と、必要ならば環境税を新たに設置したらいいんですね。

 一切増税はだめと言っているわけじゃないので、中で余ったから一般財源化するとか、あるいはまた、一部環境の改善に使っていくなんていうことは非常にあいまいになっちゃうわけで、やるなら堂々と新規に新しい税をつくるべきであって、とりあえず道路の方については、もう暫定をなくし一般財源化していく。やはり、すっきりさせた方がいいと思うんです。中で流用していくなんていう考え方は私はとるべきではない、こう思っております。

安藤参考人 私も、暫定税率は廃止というふうに考えています。

 それで、今、暫定税率を廃止すればガソリンが安くなる、これは経済的には非常に大きなプラスの面があります。財政収入からいくとマイナス面だと思いますが、経済生活からいえば非常に大きなプラスの面がある。そのプラスマイナスどちらが大きいかとなると、これはむしろ経済生活に与える影響の方が大きいのではないか、そういうふうに私は考えております。

古本委員 それでは、残念ですけれども、時間が迫ってまいりましたので最後の質問にいたしたいと思うんです。

 勢い、諸外国に比べますと日本のガソリン税は安いんだという論調が一つあるのと、同時に、ガソリン税が下がれば環境に優しくない、つまり地球温室効果ガスである排気ガスがふえる、燃料消費がふえる、こういうお話があるんです。

 まず一点目の、日本のガソリン税、これは、すなわち車庫に置いているだけで課税されます自動車重量税ですとか、さらに自動車税もありますので、それから、買ったときには消費税とは別に取得税までありますから、ガソリン税にはさらに消費税までかかっていますから、全部で九つあります。これを全部合わせますと、実は、取得段階、それから保有段階、走行段階の三段階を合計しますと、安いどころか高いぐらいというのが、実感というよりも実態であります。これは事実として申し上げます。

 その上で、実は世界にはなくて日本にあるもの、これは有料道路なんですね。一部、ロードプライシングということで、諸外国にも渋滞対策目的的なロードプライシングはありますが、ちょっと行っただけで何千円なんていうことは、海外の経験の多い先生方だと承知いたしておりますので、私が申し上げるまでもありません。これを、実は車平均で年間三万円負担しています。これをリッター換算しますと、リッター三十円ぐらいになるんです。ですから、こういったことも考えますと、いろいろ財務省の方も一生懸命言っておられますけれども、そんなに言うほど安くはないという事実について、コメントがあればそれぞれお願いしたいのが一点目。

 もう一つの、環境に優しくないんじゃないかということでいえば、どうですか、先生方、実感として、ガソリンが下がったからドライブ行こうかというほどみんな暇じゃないと思うんですね。だからそういう意味では、では、暫定税率が入ったときに過去の消費が減ったかといいますと、我が国の消費量は絶対量ではふえ続けています。これも、台数がふえるのと同時にふえてきているという背景があります。

 事実としてぜひ承知をいただいた上でコメントいただきたいのが、実は、京都議定書で確認をいたしました二〇一〇年度目標、これの達成状況でいきますと、〇八年から一二年の平均で、運輸部門、これはその過半が、自家用乗用車あるいは自家用貨物、営業貨物ということになりますが、残り、バス、タクシー、船舶、鉄道、航空、この運輸部門の目標達成はほぼ達成されています。される見込みです。むしろ達成されざるはどこかというと、御家庭なんです。あるいはビルなんです。ヒートアイランド現象なんです。

 したがって、先生方はオピニオンリーダーとお見受けしますので、むしろおっしゃるのであれば、ビル税でも課税したらどうですか。こういう議論も他方ではあると思うんですね。

 ですから、今申し上げたような話から、それぞれについて御所見を賜りたいと思います。

中里参考人 負担が高いか安いかという話と、それから環境についての影響の話でございますけれども、どちらも、効果の問題もそうなんですが、日本国がどのような志というのか、メッセージを外国に対して発していくのかということがなかなか大きな意味を持ってくるんじゃないかと思うんです。アメリカと比較するのは、アメリカは随分安いですからなかなかあれですが、ヨーロッパが随分お高いものにしていまして、それに対して日本がアメリカ流の道を行くのかということですよね。

 いろいろな計算の方法はもちろんあると思うんですが、そういうことも考えますと、サミットの前にそう簡単にそのようなことをなさるべきかどうかというのは、これは理論ではないのかもしれませんが、現実的にかなり疑問に思うわけです。

中林参考人 私はアメリカに長くいたので、高速道路などを走っておりますと、確かにおっしゃるとおり、どうして毎回毎回こんなに取られるんだろうというのは思いますけれども、ただ、何を高いと感じるか安いと感じるかというのはある意味相対的なものがありまして、余りアメリカに長くい過ぎますと何でも高く感じたりします。ただ、イギリスなどに行っている知り合い、友人などに聞きますと、イギリスの方が何でも高いというようなことをよく聞きます。ガソリン価格にしても、アメリカは九十四円ぐらいだとしても、日本が百五十五円、イギリスなんかになりますと二百三十三円ということになるんですね。

 そうしますと、すべては相対的なことになりますし、だからといって、日本はどうするべきかということについては、ほかのものの価格、そして、私たちはどこにどういうふうに負担をしたいのかということをやはり国民選択ということでしていく以外には、もうどうしようもないんだろうというふうに思います。

 車を持っている方がたくさんいらして、そこを減らして、では、レストランで食べるお金を物すごくふやそうとか、そこに税金をかけようとかということもありかもしれませんけれども、それにはそれなりのまた反対理由というのがたくさんいろいろなところから出てくるんじゃないかというふうに思うんです。

 ですから、国際的に見てどうかということを一つのはかりにかけるというのは非常に重要だと思いますし、そのときに、アメリカと比べるというよりも、ヨーロッパの国々と比べてみるということがまずよろしいのではないかと思いますし、それから、環境に配慮する日本の姿勢という意味では、一つの理由が、外から見て、私の場合、先週もアメリカに行っておりましたので外から見る機会が非常に多いんですけれども、外から見てのメッセージとしての効力というのは、実は否めないものがあるというふうに実感しております。

高木参考人 日本のこのガソリン価格が高いかどうか、これは税との関係で言っているんですけれども、確かに、ヨーロッパと比べるとまだまだ低いというようなことは言えるとは思うんですけれども、一方、アメリカは、私も五年おりましたけれども、高速道路は原則ただです。渋滞対策等で大都市の近くでは取られる場合もありますが、原則ただ。それからガソリン価格も、今は大分上がってきているとはいっても、一リッター当たりにするとまだ百円いっていないわけですよ。

 というようなことを考えると、それは海外と比較すれば高い、低いということはありますけれども、それぞれの国の風土、歴史、文化、その他はみんな違いますので、一概に日本のことをどうこうと言うのは間違いだろうというふうに思います。

 それから二番目の、ガソリン価格が安くなるとまたぼんぼん自動車に乗って環境に悪影響、こういう話が一時確かに出ましたけれども、これは全く論理的にはおかしいのではないかと。ついちょっと前、我々は百円時代があったわけです。では、そのときにぼんぼん使っていたか。使っていませんね。今、たまたま百五十円を突破しているわけですけれども、昔に戻るだけであって、もし暫定税率をなくした場合ですけれども、だからといって急にガソリン需要がふえるというのは、これは、過去ではどうだったのという問題にもなるので、全く論理的ではないと私は思っております。

安藤参考人 今はドライバーは七千万人というふうに言われております。ですから、ガソリンにかかる税というのは、本当の意味で大衆課税になっているというふうに思います。やはり私は、暫定税率を廃止するのが筋だと。

 どうしても収入その他で税率を上げたいのであれば、揮発油税の本則税率を上げる、そういうことを堂々と国民に問うべきだ、そういうふうに思います。

古本委員 きょうは大変勉強になりました。ありがとうございました。

原田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 四人の参考人の先生方、私が最後でございますので、本当にお疲れさまでございます。

 まず、道路特定財源問題でお聞きをしたいと思います。安藤先生と高木先生からお伺いしたいと思います。

 物事を歴史的に見るというのは非常に大切なことだと思いまして、先ほど、安藤先生の方から、戦後のガソリン税あるいは特定財源化の問題についてお話がありました。ガソリン税以後、特定財源として、地方道路税ですとか軽油引取税、石油ガス税、自動車取得税等々が追加されてきたわけです。当然、税収が非常にふえましたし、また、それぞれの税率が引き上げられるということでますます財源が豊かになったわけです。それに支えられて五カ年計画で道路整備が行われた。五カ年たたずに、三カ年ぐらいでどんどん次々と新しい計画が更新されてきた。

 こういうことを振り返りますと、税収が上がれば、当然すべて道路に注ぎ込まれるわけですから、道路が整備される、道路が整備されますと今度は自動車がふえていく、自動車がふえるとますます税収が上がる、こういういわばモータリゼーションというのが、高度成長過程だけではなくて、それ以後も非常に続いてきたというふうに思います。

 これはそろそろ限界、もう限界を超えていると思いますけれども、道路整備の状況からいってもかなりの目標はもう達成されている。したがって、これだけの税収を道路に特定していくという方式はもう限界に来ていると私は思うんですが、その点についての、最初に基本的な認識ですけれども、まずお二人の先生方にお伺いしたいと思います。

安藤参考人 同じ理解です。

高木参考人 冒頭に申し上げましたとおり、私自身は、くどいんですが、全体の八割はもうでき上がっている、むしろ、これからはやはり維持補修という問題に入ってくるんだろうと思うんです。アメリカなんかはもう典型的なそういう状況に今来ていると思うんですが、そういった点からいきますと、もうおっしゃるとおりの結論になるのではないか、こう思っております。

佐々木(憲)委員 それから、九〇年代に入りまして公共投資基本計画というものがつくられました。これは、日米構造協議でアメリカから内需拡大策ということで、最初は四百三十兆だったんですが、その後六百三十兆ということで、大変な公共投資を拡大する、こういう政策が九〇年代に実行されまして、大変な建設国債の増発ですとかさまざまな財源を投じてそれを行ったわけです。

 この道路財源との関連でいいますと、当時は十六の長期計画というものがありまして、その一つは道路だったわけであります。しかし、現在はこの公共投資基本計画そのものはもう廃止されましたし、それから、その他の公共投資の長期計画、五カ年計画はどんどん統合される、あるいは廃止されるという形で、最終的に、最初に事業総額を決めて計画を推進するというやり方は道路だけに残ったわけです。

 この道路だけに残ってしまった理由、これを中里参考人それから安藤参考人、それぞれ理由をどうお考えになっているか、お聞かせいただきたい。

中里参考人 私、そのことについては知識を持っておりません。さまざまな理由はあるんだろうと思いますが、推測以外に何もございませんので。

安藤参考人 やはり、道路特定財源を持っているということが大きな理由ではないかと思います。

佐々木(憲)委員 それでは、国際的な比較で、この道路特定財源というものが、例えばアメリカにも一度導入されたことがある、イギリスあるいはドイツもそうだという話を聞きましたが、例えばアメリカの場合、中林参考人にお聞きしますけれども、一時導入された道路特定財源、これはいろいろな議論があったと思うんですが、今はどうなっているんでしょうか。それから、イギリスあるいはドイツ等ヨーロッパの場合、特定財源というそういうやり方というのはどうなっているか、お聞かせいただきたいと思います。

中林参考人 これは残っております。議論は非常にありまして、特にアメリカの議会では、与党と野党の交代が激しいものですから、そのたびに、これをなくそうとか、いろいろな法案が出てまいります。しかしながら、やはり道路といったものはアメリカの議員さんたちにも非常に大事な有権者サービスになっておりまして、そういった特定財源を持つことによって、少なくとも最低限の道路費用を確保する、できればそれを自分の地元に持っていきたいというような意向はあるわけですけれども、こういったものというのは存続しております。

 ただ、これに対する議会内での反対の声、それから、市民からの無駄ではないかという反対の声というのも、同時に根強く存在しています。

佐々木(憲)委員 それからもう一つ、最近の議論で、ユーザーの理解を得てという言葉が随分使われるわけです。つまり、自動車ユーザーのですね。このユーザーの理解という場合のそのユーザーとは何かというのが問われるわけであります。

 これは、小泉内閣、安倍内閣の時代にも与党の中で議論があったそうですが、一般財源化というのは、一時これらの内閣で提唱されたことがありました。そのときに、ユーザーというのはもう限定されるものではないんだ、すべての国民がユーザーではないのか、こういう議論がありました。

 今、一般財源化という問題を我々が提起しますと、いや、道路特定財源のうち一般財源化する部分もあるんだ、つくったんだ、しかしそれは、ユーザーの理解を得て、道路に関連するあるいは自動車に関連するところに使うんです、こういう説明になっているわけです。

 この場合のユーザーというものを一体どのように考えるか。これは、今後の政策を展開していく上で大変重要なポイントになるものでございますので、それぞれの先生方の、ユーザーとは何かという考え方をお聞きしたいと思います。

中里参考人 佐々木先生の理論的な御質問は、いつもレベルが高水準なものですから答えに窮するわけですけれども、個別的に直接目に見える範囲でこうだというふうに定義することもできると思いますし、さらにその波及効果、第一段階、第二段階というふうに広げていくこともできると思うんです。

 そのユーザーの定義をどのようにするかというところからもう政策判断が始まってしまうわけで、その認識の差によって意見が分かれてしまうものですから、一義的にこれだけしかないというようなことには多分ならないんじゃないかというふうに思います。

中林参考人 大変難しい御質問ですけれども、やはり今の時代は、本当にいろいろな人が車に乗りますし、自家用車を持っていなくてもタクシーに乗ったりしますので、車のユーザーという意味では広い範囲を考えられると思いますが、ただし、ヘビーユーザーという分け方もあるかもしれません。それにはやはりさまざまな、車を使わなければ仕事にならない方でしたりですとか、濃淡があるというふうに感じます。

 その濃淡をどこまでをユーザーと呼ぶかということに関しましては、まだその線引きというのを私もじっくり考えたことはございませんので、これから考えていきたいと思いますが、非常に難しい問題ではないかというふうに思います。

高木参考人 私の理解では、ユーザーというのは、やはり特別の、特定の利益を受ける層が私はユーザーだろうというふうに思うんですね。その場合には、特別の利益を受けるわけですから、当然負担もしなきゃいけない。受益と負担、こういう概念だろうと思います。

 ところが、今回のこの自動車関連の問題について言うと、まさに国民全体なんですね。乗用車を持っている方も非常にふえているし、それから同時に、持っていないという方もタクシーに乗る。そのタクシー料金の中に結局は揮発油税も入っているという理解なんです。あるいは高速道路代も入っているという理解で、高速道路は別途払うわけですけれども、バスもそうですね。となると、全国民がいわゆる生活をしていく上で必要なものになってきているので、そのときにはもう特別の利益ではないので、もうこれはユーザーとは言えないんじゃないかと私は理解しております。

安藤参考人 私は、やはりユーザーは受益者という概念が当てはまるのだろうと思います。ただ、これだけ全国民的にドライバーがふえていますので、そこにユーザー論を持ち込むというのは、何かためにする議論かなというふうに疑いを持っております。

 ただ、私もJAFの会員なんですが、JAFは、小泉内閣が一般財源化を提唱したときにユーザーの意見という形でキャンペーンを張って、一般財源化反対というようなことを機関誌に発表しておりました。ところが、このJAF、最近見ていますと、一般財源化すべきだというような議論がJAFに登場したので、何かやはり時代というか、風潮が変わってきたのかな、そういう感想を持っています。

佐々木(憲)委員 それで、一般財源化という議論が政府の側から出されたのが小泉内閣の時代でありました。その小泉内閣のときに、もう道路に特定して使うという時代ではないということで、一般財源化という提唱をしたわけであります。

 ところが、この一般財源化の議論がどうも途中で挫折をしたのではないか。つまり、ごく一部は確かに一般財源的な利用の仕方をしたようでありますけれども、しかし、本来の一般財源化とは全く私は違うと思っておりまして、一般財源化というのは、特定の目的に使うという道路整備のための法律というのがありますが、これがなくなれば全部一般財源になるわけですけれども、それがまだ依然として続いている、こういう状況なんですね。

 そこで、小泉内閣もそうでしたが、安倍内閣の一番最初のときにも、一般財源化をするんだと、小泉総理よりも安倍総理の方がより歯切れよく最初提唱したわけです。ところが、その後、全くこれが通らずに、所期の目的は達成できなかった。したがって、ごく一部の、法定された部分の一部、余ったらこれを道路以外に使えますよとか、あるいは、自動車重量税の一部を自動車関係のところに使えますよとか、そういう、形は一般財源化のようではありますが、実質的には非常に制約のある、一般財源ではない形をとってしまった。こういう結果にしかならなかったわけですね。

 その理由ですけれども、これはさまざまな問題があると思いますが、四人の先生方はこの理由についてどのように考えておられるか、あるいはどう感じておられるか、その点をお聞かせいただきたい。

中里参考人 歳入の問題と歳出の問題を切り分けて、他方は租税制度として、他方は予算の問題として切り分けて議論をして、両者の間の直接の連絡はできるだけつけないようにするというのが、憲法及び財政法の建前なのではないかというふうに思います。したがって、一般財源というのが本来あるべき姿であるということ、これはもう多くの方がそう思っていらっしゃるんだろうと思いますね。

 ただ、この分担については、さまざまな方のさまざまな生活がかかっておりますので、いろいろ一緒くたに変えることができるような問題でもない。その問題に一般財源化という標語を掲げて内閣がやってきて、税調でもそういう話が出たと思いますけれども、その最初のステップとして、余った部分について道路以外の方にも使うというような方向に来ているわけですよね。これは小さなことのように見えますけれども、実は大変大きなことではないか。

 どういう査定をするかによりますが、必要なだけの道路はそれとしてつくって、余った部分がもし出たとしたらそちらにという、ここからスタートしていくということではないかというふうに思っております。

中林参考人 一般財源化ということで理想を掲げたけれども、実際にそれを突然行うということになると、やはり大変な混乱と負担が生じる、国民の方にもいろいろなふぐあいが生じるということが現実上露呈してしまったからではないかと私は想像いたします。

 もちろん、政権の方々の議論とかということには全く親しみがない限りですけれども、想像として、理論でこれがよかろうと思うことと、そして、実生活をできるだけ傷つけることなくスムーズにトランスファーしていく、移行していくということを考えた場合に、やはり、きのうときょうから急に変えてしまうということの現実の壁にぶつかったのではないでしょうか。

高木参考人 御質問に対するお答えは、まさに昔の自民党に戻っちゃったんじゃないか、先祖返りをした、それにほかならない、こう思っております。

安藤参考人 私は、もとの政府税調会長の加藤寛さんの回顧談というのを紹介しましたけれども、あれと似たようなことが小泉首相や安倍首相にも生じたのだろうと。これは新聞報道なので、別に私が確かめたわけじゃありませんが、小泉さんの場合は、特にトヨタの奥田碩さんの意向が影響を及ぼしたんだ、そういう記事を見たことがあります。

佐々木(憲)委員 ありがとうございました。

 それでは次に、緊急性とかあるいは当面の暫定措置とか、こういう議論がこの間続いておりますが、一体、いつまでが緊急で、いつまでが暫定なのかという議論があります。

 そこで、自動車あるいは道路に関連のあるところの緊急という話はずっとやってきました。しかし問題は、例えば社会保障、あるいは医療、介護、年金、福祉、こういう分野ですね。これは、それぞれのやはり緊急性というものがとりわけ最近強まっているのではないか。そうなりますと、道路の緊急性というのは、もう五十年、三十年といろいろなことをやってきて、大体いいじゃないか、問題は、社会保障の方が緊急性が今問われているのではないか、そういう議論になっている、あるいはなりつつあると思っているわけです。

 そこで、四人の先生方に最後にお伺いしたいのは、社会保障と道路と、今現時点でどちらに緊急性があると思われるか。

 それからもう一つ、道路の場合も、今のテンポで、つまり十年間で五十九兆円というテンポでやっていく必要があるのか、あるいはそうではなくて、例えば、テンポを落として年間当たりの事業費を抑えるというやり方もあると思いますし、それから、内容的に言いますと、高規格高速道路をどんどんつくるというところに重点を置くのか、それとも身の回りの生活道路に重点を置くのか、こういう問題もあると思うんです。

 いずれにしましても、そういうこれまでの道路のあり方を根本的に見直すということ、その中身を見直すということが今また問われているというふうに思いますので、この二点について、つまり、緊急性の問題と、それから道路そのものの内容の見直し、これをどういうふうに考えたらいいか、それぞれの先生方の御意見を伺いたいと思います。

中里参考人 地域によって、またその方々のお立場によって、緊急性については随分と考え方が違うんじゃないか、場合によってはつかみ合いになるくらい立場が違うんじゃないかというふうに思います。それについて理論的にどうこうという答えができるかといったら、これは相当難しいんじゃないかというふうに思います。あともう一つは何でしたか。(佐々木(憲)委員「社会保障と道路」と呼ぶ)

 それは社会保障の方が重要じゃないかというふうに、これは、私の個人的な、母の介護の関係でそう思っているということでございます。

中林参考人 どうしてもどちらかを明確に選ぶということであれば、当然、社会保障の方が緊急性、重要性というものは高くなりつつあるという時代に私たちは生きているというふうに思います。

 ただ、道路関係がそれでは全くゼロで、必要ないかというと、そうではなくて、つい先日もアメリカで大きな橋が落ちてしまいました。ああいったいろいろな、設計ミスという話もあるかもしれませんけれども、日本におきましてもさまざまなインフラがそろそろ古くなりつつある時代を迎えております。これは、安全だと思っていた橋が急に落ちるということですから、とてつもない大問題だと思います。

 ですから、そういったものをなるべく事前に防ぐということも一つのパブリックサービスだと思いますので、必ずしも全くゼロでよいとはまるで思いません。

 ただ、医療費あるいは社会保障といったものの重要さというのは、これから確かに大きな割合で増していくというふうに考えます。

高木参考人 第一の質問の、緊急性というのは最優先課題かどうかという話だろうと思うんですが、現時点におきましては、冒頭申しましたように、もはや道路建設ではなくて、やはり、年金、医療、介護を中心とした社会保障、そして教育再生、あるいは環境対策、この辺にあるんではないかという感じがいたします。

 それから、政府の中期十カ年のこの道路計画の話ですけれども、五十九兆円と先に総額が来ているという感じがしてしようがないんです。まだ公表されていない面もあるんですけれども、中身がよくわからない。全体の予算を抑制した上でのこれからの道路行政のあり方というのは、高規格道路とか高速道路を中心に相変わらずつくっていくという時代から、生活関連道路その他、それからあと維持補修、それからもう一つは、やはり耐震性の問題があると思うんです。

 これがやはり福田首相がおっしゃる安心、安全につながるので、どんどん量、規模を拡大していくという前に、今までの分のもう一回見直しというのも必要なわけで、やはり生活道路というようなこともポイントになるので、従来のように高速道路中心にという時代は、そろそろ、まだ全部とは言いませんが、大体でき上がってきたんではないか、こう思っております。

安藤参考人 緊急性という点では、特定財源制度をやめるというのが緊急の政治的な課題だと思います。

 それから、社会保障と道路との関係ですが、社会保障の場合に自然増のカットというのが行われています。自然増というのは、現在の生活が必要としているということをあらわしています。それをカットするということは、非常に不自然だというふうに思います。

 それに対して道路の場合は、主たる対象は、新しい道路、つまり現在ない道路に向けているわけですから、これはカットする余裕がある。つまり、余裕のない社会保障を削って余裕のあるものを生かしていくというのは、やはりあべこべではないか、そういうふうに思います。

佐々木(憲)委員 あと四分ありますので、最後に高木先生と安藤先生に。

 暫定税率がなくなったら地方が大変だ大変だというお話が聞こえてくるわけです。地方財政が大変悪化したその理由というのは一体どこにあるのか、それをまず一つお伺いしたいのと、それから、暫定税率がなくなった場合の対応策です。これは我々が別な案を持ってはおりますが、なくなった場合の対応策としてどういうことを考えておられるか。

 私どもは、税という点からいいますと、担税力のあるところ、例えば大手企業は、今史上空前の利益が上がってきているわけです。しかし法人税は、とうとう税負担が逆に下がっているわけです。そういうところに応分の負担というものが必要ではないのかというふうに思っておりますが、お二人の先生方に最後にその点をお伺いしたいと思います。

高木参考人 地方の税収が大変厳しい状況に来ているというのは、もう事実だろうと思います。そもそも景気自体がデフレ経済にあるということで、国自体もそうですけれども、地方も当然その影響を受けているわけで、税収が思ったほど伸びなかったというのがまずあると思いますが、同時に、国と地方との配分の問題、三位一体改革によって、結果的には地方にそういったしわ寄せが起きているということもあるというふうに思います。

 それからもう一点は、そういう中で、地方としてはやはり地方分権ということを盛んに強調してくるわけですから、いわゆる独自財源ということも、それは住民の理解を得ながらということがもう大前提ですけれども、考えていかないと、地方財政は回らないんじゃないかという感じがいたします。

 それから、暫定税率をなくすと地方は大変なことになる、こういうことですが、その辺は、そういう見方もよく理解できるんですけれども、地方の道路計画その他ももう一回地方の段階で見直していくというようなことを考えていけば、それほど大きな問題にならないんじゃないか、私はこう考えております。

安藤参考人 地方財政の悪化については、高木先生と同じ理解です。

 それから、道路特定財源の問題は、先ほども申しましたが、地方にとっては配分は不利である、したがって、特定財源制度を維持していくのは必ずしも地方にとって有利とは言えないというふうに思っています。

 それから税制の問題ですが、この間の税制の流れというのを見ますと、所得税の場合に、人的控除の縮小、廃止、特に高齢者に対して非常な縮小、廃止が進んでおります。私は、所得税の人的控除の縮小、廃止ということは、これは課税最低限の切り下げであるというふうに思います。日本の所得税の歴史を見ても、所得税の課税最低限が切り下げられたのは、かつて戦時中、つまり一九三六年から四五年の間、それがあっただけです。戦後、平和な日本でなぜこういう所得税の課税最低限引き下げみたいなことが横行しているのか、そういうことについて非常に不安と疑問を持っております。

佐々木(憲)委員 時間が参りましたので、終わります。どうもありがとうございました。

原田委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。

 参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。

    ―――――――――――――

原田委員長 引き続き、両案について質疑を続行いたします。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。中川正春君。

中川(正)委員 お昼休みの慌ただしい時期にあえてこうした形で質疑をさせていただくこと、感謝申し上げたいと思います。

 これまで、私だけではなくて、それぞれここで質問に立った議員が、答弁について十分でなかったということで理事会の方に付託をしまして、それをどう決着をつけていくかということがございました。その上で、改めて、懸案になっていた問題についてきょうは大臣に答弁をいただいて、それをまたもとにしてさらなる議論に進めていきたいということで、特に、入り口といいますか基本的な部分にかかわるところでありましたので、あえてこの時間に入れて質問をするということになりました。

 まず最初の整理なんですが、この道路特定財源の制度の維持にしても、あるいは、この委員会には暫定税率を継続していくということが出ているわけですが、これに至る基本的なその根拠、これを財務省としてはあるいは大臣としてはどのように査定をし、評価をし、その上で今の継続をしようとしているのかということであります。特に、中期道路計画については、当然、財務省としては、その査定あるいは政策評価ということをやって、その上で今回の法案を出してきたんだろうという想定で尋ねたわけであります。

 その中で、これまではっきりしてきている答弁は、この六十五兆円、もともとその額であったものが五十九兆円にカットされていく過程で財務省がこれに関与をしてきたということ、このことが答弁としてありましたが、これを聞く限り、約一〇%、六兆円の歳出削減というのは、それぞれの中身を評価するというよりも、キャップですね、上からこれだけ削減しなさいという財務省の判断があって、それを国交省が受ける形でカットをしていくということにした。

 その中身についてはどうかというので、きのうですか、報告書のような形で中身が出てきたということでありますが、ここで言えるのは、やはり財務省というのは一つ一つこの計画を見ていたというわけではなくて、これはキャップなんですよ。上から総額を削ったということだけだったということ、ここがはっきりしたんだろうと思うんです。

 それについてそういう解釈でいいのかどうかということと同時に、改めて聞きますが、この五十九兆円にしても、あるいは六十五兆円にしても、財務省としてこれを過去の政策の中からどう評価してきたのか。いわゆる過去の道路政策をどう評価したか。そしてまた、それに基づいてこの中期道路計画をどう評価したのかということ。査定をしてこなかったということだったらその返事でいいんですが、もう一回ここの部分について答弁をいただきたいというふうに思います。

額賀国務大臣 議長裁定で、徹底審議をする、昼夜を分かたず審議をするということでありますから、私も昼飯抜きで今やっているわけでありますが、今の中川委員の御質問でございます。

 一つは、戦後立ちおくれていた我が国の道路整備は、道路特定財源の活用等により、道路延長、舗装率、高速道路の整備等、全国的に見れば整備状態は着実に上昇してきていると思っております。

 他方、各地域の状況等を見ますと、整備が道半ばにあるために地域の活性化や住民生活に支障を来しているという問題、あるいは都市部における渋滞の問題、耐震化などの安全、安心対策等々、種々の問題が残されているということも事実であると思います。

 このような状況下のもとで長年続いてきた道路特定財源制度につきましても、道路の整備状況や厳しい財政事情を踏まえ、そのあり方を見直していく必要が生じてきていると思います。

 また、この間、個別路線の事業化に際し事業評価が十分でなかったとの指摘や、予算の執行面で、談合の問題、さらに随意契約や福利厚生経費の問題など、国民に疑念を抱かせるような不適切な事例が指摘をされてまいりました。

 このため、財務省といたしましても、道路特定財源のあり方の見直しを行いながら、予算編成過程等を通じまして、整備水準の上昇等を踏まえて予算額の縮減を図るとともに、費用便益分析の厳格化を図り、真に必要な道路への重点化を図る、入札改革、随意契約の適正化、コスト構造改革を推進するなどの取り組みを求め、執行環境を含め、政府全体として改革を図ってきたのであります。

 今後とも、国民の批判を招かないよう、予算執行の適正化を図りながら、予算の重点化、効率化を徹底するとともに、残された道路財源の課題を早期に解消できるように努めてまいりたいというふうに思っております。

中川(正)委員 時間が限られておりますので、私は指摘だけをこの際はしておきたいと思うんですが、やはり答弁を聞いていると、これから先十年間暫定税率を継続していくということに対しての論拠ということじゃなくて、財務省としては、毎年毎年の予算査定で中身を見ていきますよ、こういう答弁なんですよ。これは、これから十年先の基本的な税率を規制していく、そういう法案を議論する根拠にはなっていないんですよ、毎年毎年の査定でこれからやっていきますということであるとすれば。

 だから、そこの部分は基本的には財務省として何もやっていなかったんだ、この法案を出してくる前提としては、その根拠を議論するに当たって何もやってこなかったんだというふうに思わざるを得ない。ただやったのは、キャップだ。キャップで総額を一〇%抑えたということですべての仕事をしたと言っているんだということ、こういうことを断じざるを得ないという印象を持ちました。

 さらにこの問題については、基本的な部分でありますので、これから先のところで詰めていかなければならないというふうに思っています。

 次に課題としてありますのは、道路特定財源の見直し、さっきもここで、答弁の中で道路特定財源のあり方の見直しを行いつつと出ましたけれども、その見直しについての財務省の関与とそれから考え方、これについて、整理をした形でまず答弁をしてください。

額賀国務大臣 お答えをいたします。

 道路特定財源につきましては、平成十七年、小泉総理の指示のもとで見直しの検討が開始されましたけれども、財務省といたしましては、厳しい財政事情や環境面への影響を踏まえると、現行の税率を維持すべきであるという考え方であり、また、特定財源制度については、負担につき国民の理解が得られやすいなどの意義がある一方で、財政の硬直化などの弊害があること、道路の整備水準が上昇する中で、近年の公共投資の抑制等により特定財源税収が道路歳出を上回る状況が生じていること、こういうことを踏まえて、引き続き道路歳出を抑制するとともに、基礎的財政収支の回復に資するよう一般財源として活用を図るべきであり、そのためには、納税者の理解を得て特定財源制度の見直しを図っていく必要があると考えまして、その旨主張してまいったところであります。

 こうした検討を経まして小泉内閣で決定された基本方針では、現行の税率水準を維持する、一般財源化を図ることを前提とし、納税者の理解を得つつ具体案を作成することとされ、この内容を盛り込んだ行革推進法が制定されたわけでございます。

 安倍内閣のもとで、政府・与党で具体案の検討が行われましたが、財務省としては、上記の考え方のもとで、暫定税率の維持と特定財源制度の仕組みそのものを見直すこと等を主張いたしました。

 十八年十二月に取りまとめられた具体策においては、暫定税率の維持とともに、税収の全額を道路整備に充てることを義務づけている仕組みを改め、法改正を行うこと、道路歳出を上回る税収は一般財源とすることが決定されました。

 その後、福田内閣のもとで、この具体策に基づいて講ずべき措置の検討を行い、今国会に法案を提出しました。これによって、税率を維持しながら、税収と予算のリンクを切断し、道路歳出を上回る税収は一般財源とできることとなり、特定財源制度の受益者負担という意義を維持しながら、財政の硬直化の弊害を解消できることとなったわけであります。

 この新たな仕組みのもとで、歳出改革を継続する中で道路歳出の縮減を図り、できる限りの一般財源の確保に努めてまいる考え方であります。

中川(正)委員 これとあわせて、一般財源化した場合の繰越額について、これも整理した考え方を答弁してください。

額賀国務大臣 ただいまの御質問でございますけれども、今国会に提出されている改正財源特例法案第三条第一項の規定に基づいて十年間に一般財源化される額は、今後十年間の揮発油税等の収入額の実績、今後十年間の予算編成及び国会審議を経て決められる予算額に、災害復旧等のための補正予算が編成される場合には補正予算額、さらに、予備費等による道路整備を含めた十年間の道路整備費等の実績の差額として生じてくるものでありまして、現時点であらかじめその金額を見込むことはなかなか困難であります。

 財務省としては、歳出改革を継続する中で道路整備費の縮減を図り、一般財源の確保に努めてまいりたいというふうに思っております。

中川(正)委員 先ほどの理論でいくと、財務省としては一般財源化の必要は認めているというふうに理解をしました。それはそこでいいんですね。

 その上で、ユーザーの理解を得るためには道路特定財源の形態を残す必要があるので、それで現状のような法案の組み立てにしてきたということ、これもいいんですね。答えてください。

額賀国務大臣 そのとおりです。

中川(正)委員 国民世論、先ほどの専門家の先生方の議論も出ていましたけれども、世論としては、一般財源化は正しいことじゃないかという形で容認論がしっかりと今出ているわけです。これについて、なぜまだ財務省としては、世論のあるいはユーザーの理解を得るためにはというところにこだわらなければならないのか。私から見ると、これは世論の思いというよりも、抵抗勢力等の中にある、あるいはその周辺にある抵抗勢力がなかなか折り合ってこないので、財務省としてもその真ん中に入ってこうした中途半端な形態をつくったということではないのかというふうに思えるんですが、大臣、そこのところはどのように整理されますか。

額賀国務大臣 一般論としては、非常に中長期的な話からすれば、中川委員のおっしゃることはよく理解できるわけでございます。

 財務省としては、従来から、受益と負担の関係に基づいて、暫定税率を御負担いただく納税者の理解を得ながら一般財源化を図るということが必要であるということを申してきました。

 一方で、道路との関係を完全に遮断して完全に一般財源化をすれば、これまでの暫定税率の根拠が失われていくという問題もありまして、財務省としては、今回の改正案が一般財源化を図っていく最善の考え方という政策判断をさせていただいたということでございます。

中川(正)委員 その結果できた法案というのが、いわゆる一般財源化したものの同額を道路財源の枠組みとして残していく、累計をしていく、こういうスキームを発明してというか持ち出してきて、それを翌年に繰り越していきながら、十年後には丸々道路財源として温存をしていくということ、これですよね。ここが不可解なんです。

 他の委員会でもこの指摘はあったと思うんですが、片方で一般財源化するとこう言いながら、もう片方で道路財源として特定財源は残すということ、これは二枚舌であるし、もう一方で、やはりユーザーを欺いている、あるいは国民を欺いているということになるということです。

 ここのところはどうしても私も納得ができないところなんですが、これを整理するつもりはありませんか。

額賀国務大臣 道路特定財源制度の見直しにおいて、先ほども言いましたけれども、受益と負担との関係に基づいて、納税者の理解を得ながら一般財源化を行うことは、我々が、政府・財務省が一貫して言ってきたことでございます。

 この規定は、受益と負担の関係に基づいて自動車ユーザーに御負担をいただきながら、真に必要な道路整備を上回る税収を一般財源として活用することは可能とする、他方、納税者にとっては、いずれ税収相当額の道路整備が進められて、その理解にプラスになることができるという内容が必要であり、すなわち、一般財源化と納税者の理解という二つの要請に同時にこたえていかなければならない、そのための規定をつくらせていただいたわけであります。

 この規定によって、十年の間も十年目以降も、税収の額によって毎年の道路整備が決まるという制約は一切生まれてこないわけでございまして、毎年の予算編成において、税収にかかわらず、真に必要な道路を整備することが可能になっていくというふうに思います。

 これによって、また、特定財源制度による財政の硬直化ということについても、その弊害が除去され解消されていくということを考えておるわけでありまして、この規定によって一般財源化が損なわれていくということはないというふうに考えております。

中川(正)委員 いや、一般財源化が損なわれていくという議論をしているんじゃなくて、これは二枚舌だと言っているんですよ。だから、こういうような組み立てというのは、これは国民を欺くことになる。それだけに、断じてこれは許せないということだと思います。

 そして、さらに質問を続けていきたいと思うんですが、小沢委員がこれは提起をした問題なんですけれども、五十九兆円の財源の内訳の中で、税で賄っていく部分と、それから借り入れといいますか、民間で公団がやっていく部分と、どのような割合で具体的にどういう額になっているのかというところを示しなさい、こういう質問であったんですが、これについて答えていただきたいと思います。

額賀国務大臣 中期計画の事業量の対象は、地方公共団体が単独で行う事業を除いて、国が負担または補助する事業と借入金等によって行われる有料道路事業であり、したがって、財源には、国費のほか、地方費や借入金等が含まれるわけであります。

 事業量五十九兆円の財源割合は、十年間に実際に整備を行う路線や整備手法によって変動いたしますけれども、十九年度の実績で見れば、国費がおおむね半分、約五割。地方費は約三割。将来、料金収入により償還する借入金等は約二割となっており、この実績を前提とすれば、国費は二十九・五兆円、地方費十七・一兆円、借入金十二・四兆円という計算になるわけです。

中川(正)委員 先ほど数字が出ましたが、こういうのは私にももう少ししっかり説明していただきたいと思うんです。国費が二十九・五兆円、それから地方費が十七・一兆円、この二つは税で、いわゆる特定財源で賄われる、こういう前提だと思うんです。これ、二つ足すと四十六・六兆円なんです。それで、その特定財源、これをことしの歳入で計算すると、三十三兆円、これが国費、それから地方費が二十一兆円だと思うんですが、両方合わせて約五十四兆円になるんです。その五十四兆円と、それから四十六・六兆円、さらに事業量全体が五十九兆円、こういう数字になってくるわけでありますが、それから考えていくと、この特定財源そのものが五十四兆円ですから、それから税金だけが必要だという四十六・六兆円を引くと七・四兆円、これはこの分が必要でなくなってくるんですよね、この数字の計算でいくと。今の計算、わかってもらえますか。そこのところはどのように整理をしているんですか。

額賀国務大臣 先ほど御説明いたしたときに、中期計画の事業量の対象は、地方公共団体が単独で行う事業を除いてという形で言っておりまして、国の予算も入れて地方の道路予算というのはどれくらいになっているか、余り詳細に今は承知しておりませんけれども、恐らく、そこの分が抜けていると思います。

中川(正)委員 ちょっと事務方の説明と違いますよ。そこが抜けているということじゃなくて、私が解釈したのは、五十四兆円から四十六・六兆円引くとこれは七・四兆円ですが、ここの部分が一般財源化できるというような想定なんじゃないですか。もともと、その五十九兆円の中には地方単独で行う事業を除いているわけですから、この中にはないんですよね。だから、もともと除いているわけだから、この数字の十七・一兆円の中には入っていないんですよ、地方単独は。

額賀国務大臣 私どもが言っているのは、国だけの関係している分野についてお話を申し上げているわけでございまして、国費、それから地方に交付しているお金、それから借入しているお金という形で申し上げているわけでございます。

中川(正)委員 事ごとさように、恐らくこの数字も、しっかり整理をして、組み立てて、将来の見込みを立てながら財務省として主体的に取り組んだ数字ではないんだろう、だから大臣はちぐはぐな答弁を出してこられるんだろうというふうに思います。

 さらに言えば、借入金等という形でさっき言われましたが、これは料金収入ということだと思うんですが、料金収入でもないんですね。料金収入は過去の債務の返済に充てられるということですね。新しい道路というのはすべて借入金でやるわけですから、これはその都度、BバイCで経済的に乗っていくという道路については民間でやりますよ、こういう前提の中の借り入れという意味なんでしょう。これが十二・四という形で仮置きしてありますけれども、これは本当に十二・四でいいのかどうか。どこまで民間でやれて、どこまでが新直轄とか、あるいは税を入れていかなければいけないのかという整理がまだできていないんだと思うんです。その中で仮置きでこれが出てきた。この数字によって、また将来必要であろう税額も変わってくるということなんです。

 だから、そこのところを根拠を持って、例えば、十二・四兆円というのがそうした意味で民間でやるんだとすれば、一万四千キロのうち、あるいは新しい見直した部分のうちどれだけが民間でやるのかというのをはっきり提起をしないと、これは、将来の暫定税率も十年間続けるという前提であるとすれば、それが必要なんだというその根拠になっていくわけですね。これもできていないということですね。

 それから、さらに言えば、その地方費の中も、道路財源でやる部分と、地方が一般財源を使う部分と、それから地方もまた借り入れでする部分と、三種類あるんですよ。それがトータルで地方分で十七・一兆円であるとすれば、その中の道路財源で国から持っていく部分、あるいは、もともと地方税としてある部分を使っていく中でどれぐらいの金額になっていくのかというのも、これは確定する必要があるんだろうというふうに思うんです。

 だから、そういう意味では、きょうはもう時間がありませんから指摘しておきますけれども、そうした根拠をしっかり出してこないと、一応、数字はトータルで出てきたんですけれども、その中身をしっかり出してこないと、本当にこの数字がこれから生きてくるものかどうかわからない。そうなると、暫定税率、これから十年先、延ばしてくださいよということであっても、その根拠が示せないとなれば、これもまた議論が進まないということになるんですね。

 ということをきょうは指摘をさせていただいて、これからの議論にまた移っていきたいというふうに思います。

 以上です。

原田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五十一分散会


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