衆議院

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第7号 平成20年2月27日(水曜日)

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平成二十年二月二十七日(水曜日)

    午前九時四分開議

 出席委員

   委員長 原田 義昭君

   理事 大野 功統君 理事 奥野 信亮君

   理事 後藤田正純君 理事 田中 和徳君

   理事 野田 聖子君 理事 石井 啓一君

      安次富 修君    石原 宏高君

      小川 友一君    越智 隆雄君

      鍵田忠兵衛君    金子 恭之君

      木原  稔君    佐藤ゆかり君

      篠田 陽介君    鈴木 馨祐君

      関  芳弘君    谷本 龍哉君

      とかしきなおみ君    土井 真樹君

      中根 一幸君    西本 勝子君

      萩山 教嚴君    林田  彪君

      原田 憲治君    広津 素子君

      松本 文明君    松本 洋平君

      宮下 一郎君    盛山 正仁君

      山内 康一君    山本 有二君

      大口 善徳君    佐々木憲昭君

      中村喜四郎君

    …………………………………

   財務大臣         額賀福志郎君

   国務大臣

   (金融担当)       渡辺 喜美君

   内閣府副大臣       山本 明彦君

   財務副大臣        森山  裕君

   財務大臣政務官      宮下 一郎君

   政府参考人

   (内閣府公益認定等委員会事務局長)        戸塚  誠君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   香川 俊介君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   木下 康司君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    加藤 治彦君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 原田 保夫君

   財務金融委員会専門員   首藤 忠則君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十七日

 辞任         補欠選任

  小川 友一君     鍵田忠兵衛君

  越智 隆雄君     山内 康一君

  佐藤ゆかり君     篠田 陽介君

  谷本 龍哉君     金子 恭之君

  広津 素子君     安次富 修君

  松本 洋平君     松本 文明君

  山本 有二君     西本 勝子君

同日

 辞任         補欠選任

  安次富 修君     広津 素子君

  鍵田忠兵衛君     小川 友一君

  金子 恭之君     谷本 龍哉君

  篠田 陽介君     佐藤ゆかり君

  西本 勝子君     山本 有二君

  松本 文明君     松本 洋平君

  山内 康一君     越智 隆雄君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十年度における公債の発行の特例に関する法律案(内閣提出第二号)

 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)


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     ――――◇―――――

原田委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ちまして、民主党・無所属クラブ及び国民新党・そうぞう・無所属の会所属委員に対し、御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。

 再度理事をして御出席を要請いたしますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

原田委員長 それでは、速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請いたさせましたが、民主党・無所属クラブ及び国民新党・そうぞう・無所属の会所属委員の御出席が得られませんでした。やむを得ず議事を進めたいと思います。

 内閣提出、平成二十年度における公債の発行の特例に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣府公益認定等委員会事務局長戸塚誠君、財務省主計局次長香川俊介君、主計局次長木下康司君、主税局長加藤治彦君、国土交通省道路局次長原田保夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

原田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川友一君。

小川(友)委員 おはようございます。自由民主党の小川友一でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、早速質問に入らせていただきたいというふうに思います。

 まず最初に、予算の繰り越しに関連して、明許繰り越し、財政法で規定されておりますいわゆる明繰りに関して以前からいろいろ疑問がありましたので、質問をさせていただきたいというふうに思います。

 それは、いわゆる明許繰り越しは、一般会計においては、いろいろな手続を経た中で明繰りができるわけでありますけれども、特別会計においては、財政法とあわせて特別会計法、両方でノーチェックで繰り越しができる仕組みになっているというふうに思います。

 そこで、何点かお伺いをさせていただきたいというふうに思うんですけれども、いわゆるこの明繰りをできないために、今、単年度予算の中で、その年度内で予算を執行してしまう。不用額を戻すと翌年度の予算の査定に多少響くのではないかというふうな、公務員の慣行、慣習があるように感じています。

 そういった意味で、そのことを裏返せば、年度末になりますといろいろなところで工事が急ピッチで進められたり、今問題になりました、いろいろ健康器具を買ってしまったとか、予算を執行するべく、単年度の予算の中で、その年度内で予算を使い切ってしまうというふうなことが、国民の大切な血税が、野方図というんですか、無駄に支出されているようなことを感じるところであります。

 まず最初に、一般会計の明許繰り越しが、もう少し簡素化をして明繰りができる、明繰りまでいかなくても、明許繰り越しに近い形で繰り越しができる方策を検討することができないのかが一点と、あわせて、今、特別会計の方は、前段でお話しさせていただいたとおり、ノーチェックの中で繰り越しができることによって、予算がどのようになっているのか明確に整理ができない部分を一定のチェック機能をそこに働かせることも求められるのではないかなというふうに感じます。

 まず、あわせてその二点に関して、政府参考人の方から御答弁いただければと思います。

木下政府参考人 お答えいたします。

 繰り越しに関する幾つか御質問をいただきました。

 まず、繰り越しにつきましては、もともと憲法におきまして予算の単年度主義というものが定められておりまして、予算に対する毎会計年度の国会の審議を確保することにより、予算に対する国会のコントロールを保障するという観点から重要な意義を有するものと考えておりますが、一方で、その例外として、現在、予算の効率的な執行の観点から、一定の条件のもとに、年度内に使用し終わらなかった歳出予算の経費の金額を翌年度に繰り越して使用することを認める繰越明許費あるいは事故繰り越しの制度というものが存在しているのは、今、委員御指摘のとおりでございます。

 それで、予算の執行につきましては各省各庁の責任において行われているものでございますが、例えば繰り越し手続につきましても、財政当局としても、従来から迅速化と簡素化というものに努めておりまして、今後とも、現行法令の枠内で適切な運営に努めていくということを考えておるわけでございます。

 それから、次の御質問の特別会計でございますけれども、昨年、特別会計に関する法律というものを国会で成立させていただきまして、そこにつきましては、簡単に申し上げれば、逓次繰り越しを順次していくもの以外にはやはり明許ということでやるように、現在、法律改正をして定めているところでございます。

小川(友)委員 ただいまの答弁ですと、特別会計においては、一定の方策を講じた中で整理をしていくという答弁でよろしいのかどうか。再度お伺いします。

木下政府参考人 お答えいたします。

 例えば国債整理基金におきますものにおけるように、逓次繰り越しといいまして、特に手続なく繰り越していくという非常に例外的なものはありますが、それ以外については、一般会計同様のルールに服するということで法改正を行っているところでございます。

小川(友)委員 基本的に一般会計の場合、いろいろな事務手続が順次必要になってくると思うんです。その事務を簡素化することとあわせて、単年度予算の中で執行しなくてはいけないことはよくわかるんですけれども、繰り越しを不用額として予算の査定が甘かったのではないかという指摘をされてしまうから、もしくは、その予算の中で年度内に執行してしまわないと次年度の査定に影響が出るから、なるべく受けた予算は執行してしまう、使い切ってしまうということが、地方自治体も含めて非常に無駄な部分があるのではないかなというふうなことをずっと感じてきた。やはり、特別会計で認めておいて、一般会計はいろいろな手続でだめだということであると、非常におかしな話ではないかなということも感じていたんです。

 地方自治体の場合は、特別会計といっても、企業会計、いわゆる病院会計とか下水道事業とか、そういうふうな企業だからよくわかるんですけれども、一般会計の場合も、もう少し簡素化して繰り越しをできるような制度設計を考えていくことも必要ではないかなというふうに感じていますので、御検討をお願いしたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いをします。

 それでは、本題の道路財源の問題に質問を移らせていただきたいというふうに思います。

 昨日、参考人質疑のやりとりをお伺いさせていただいておりました。たしか中里先生のお話の中に、だれでも、税金はなるべく安い方がいいというふうな考えがあることは人の世の常ではないかというふうな発言がありました。私もそのように思います。

 そのとき私はふと浮かんだことが、昨年の敬老大会で老人会の会長さんがこんなことを発言したことを思い出しました。今の若い者は権利は主張するけれども、国民の最大の義務である納税の意識が不足している、おれたちは、早く税金が払えるように、そしてまた国家に貢献できるようになりたいと思いながら頑張ってきたんだよという話を思い出しました。

 今、暫定税率を撤廃すればガソリンが安くなりますよと言って政争の具にして、そのことによって世論調査が道路特定財源を一般財源化して暫定税率を廃止することが民意だと断定してしまうことは、私はいかがかなというふうに考えます。野党、きょうは民主党の方が出席していないので残念ですけれども、真に一般財源化として暫定税率を撤廃するのであれば、政治の責任として、もっと早い時期に対案を出すか、あるいは、それにかわる財源を示すべきであると考えるところであります。

 なぜならば、今、知事会そしてまた市長会等から、道路特定財源そしてまた暫定税率を堅持するよう声が上がっているように、いわゆる自主財源比率の乏しい地方自治体は、もう昨年の十二月には、国からの交付金や負担金等が入ることを前提として予算編成をして、そしてまた、まちづくりを進めようとしているからです。

 数年前、所得税減税に伴って自治体の減収分を減税補てん債として補てんしたように、もし特定財源、暫定税率を廃止するのであれば、自治体の受ける影響額、たまたま、私の住んでいる日野の町はおおむね八十四億四千万ぐらい影響額が出るというふうに承っております。その影響に資するものを、財政調整基金ではまさに自治体はもう支えられない状況にあるというふうに私も感じています。

 すなわち、その財源は国がしっかりと明確化をして、地方自治体がまちづくりを進められるように政治の責任を果たすことが国会の大きな役割であるというふうに私は思っております。そしてまた、地方が発展することが国家の繁栄につながるというふうに感じています。

 そこで、具体的に質問をさせていただきたいと思いますけれども、昨年の三月に、私たちの町に八十九年ぶりに国道の二十号バイパスという道路が開通をしました。この道路が開通することによって、いわゆる住宅地に車が入らなくなったりして、前年対比で半年間で交通事故が五十七件も減少したという警察からの報告もいただきました。そしてまた、沿道整備の改善にもその道路が大きな役割を担ってきた。

 国交省の調べですから正確なものだと思いますけれども、CO2、二酸化炭素はおおむね八百トン、いわゆる排出量を減少することができた。これは森林七百五十ヘクタールに相当する量だということであります。そしてまた窒素酸化物、これも、大型トラック七百五十台分に相当する八十五・九トンが減少された。いろいろと沿道環境にも大きな役割を担っている。

 まさに、多くの地域の人たちは、一刻も早くこの二十号バイパスの延伸部分も進めてもらいたいということで、今、国の方から公共施設管理者負担金を受けながら区画整理事業を進めている最中であります。きのうたまたま私の町の市長が私を訪ねてきて、どうにか道路財源を堅持していただいて、まちづくりを進めるように頑張っていただきたいというふうな要請もいただいたところであります。

 そこで、私が今述べさせていただいたような状況の中で道路特定財源制度は、私も今お話しさせていただいたとおり、維持する必要があると考えておるところであります。他方で、特定財源制度による硬直的な予算配分は避けなければならないわけでありますけれども、道路特定財源の見直しと言うからには、そのような悪い点を改めるものとなっていなければならないと考えるところであります。

 そこでお伺いをさせていただきますが、今回の見直しによって特定財源制度の悪い点が改められることになると考えていらっしゃるのか、まず財務大臣にお伺いをいたします。

額賀国務大臣 小川委員は自治体の経験者でありますから現場のことはもうよく御存じで、いろいろな御見識のあるそういうお話を伺いまして、大変うれしく思っております。

 今御指摘の特定財源制度は、もう御承知のとおり、受益者に直接負担を求めている、それによって道路をつくらせていただいてきたということで、これは明快であり、また合理性があるものと思っております。また、これについては、ユーザー、道路によって恩恵を受ける人たちが負担をしているということでありますから、国民の理解を得られやすいものでもあると思っております。

 ただ、一方で、先生がおっしゃるように、財政が硬直的になるというか、柔軟性を失うという欠点もあるわけでございます。

 今回は、その意味で、本当に必要な道路というのはどういう程度なのか、あるいはまたどういうことが要求されているのか、そういうことをしっかりと見た上で、現下の財政事情の厳しい中でユーザーに負担をお願いしてつくる道路を、そういうふうに真に必要な道路に限るという形にして、道路整備を上回る予算については一般財源化をするということで方向転換をさせていただいたわけでございます。それによって、直接道路には振り向けなくてもいい財源をつくらせていただいたという意味では、これは従来とは違った形になっているわけでございまして、その意味で、柔軟性を持たせることができているのではないかというふうに思っております。

 これによって、特定財源制度の受益者負担という従来の、本来の意義を維持しながら、一方で、一般財源化をして予算配分に弾力性が持たされているという意味では、大いに今までとは違った転換がなされているというふうに思っております。

小川(友)委員 ただいまの財務大臣の御答弁をいただいた中で、特定財源制度の悪い点が解消されるというふうなことは理解をしたところであります。

 また、一部には、道路は、特定財源制度があることから聖域化している、こんな指摘も耳にするところであります。

 そこで再度お伺いしたいんですけれども、特定財源があるから道路予算が聖域化している、その意見に対して、具体的に聖域化と言えるような実態があるのかどうか、私もちょっと疑問を感じているんですけれども、過去の道路予算のピーク時との比較等も踏まえて、財務大臣の御所見があればお伺いをさせていただきたいと思います。

額賀国務大臣 最近の道路財源については、ピーク時から比べますともう半減しているような状況であるということは、よくこの委員会でも議論をされてきたわけであります。

 国の道路整備費は、平成十年のころは四・八兆円だったけれども、今は二・九兆円というふうに四割近く減っているわけでございまして、今後も、基本方針二〇〇六に従って、公共事業等については一%から三%削減をしていく、そういう中で歳出削減を図って財政再建を図っていく、そしてまた一方で、増大する社会保障の財源は、これは道路財源とは違って逆に大幅にふえているわけでありまして、そういうように、時代の流れに沿って有効にその財源が配分されていくように我々も考えていかなければならないと思っているし、道路財源についても、そういうふうに聖域化されている状況ではないということを御理解いただきたいと思います。

小川(友)委員 今、この特定財源の議論をしている中でよく耳にすることが、無駄な道路がいっぱいあるというふうなことをよく耳にするんですけれども、私は、いわゆる道路建設に当たっては、ある程度しっかりと調査をして、財務省も査定をして、そして国会が議決をして、工事に着手して、国家の繁栄そしてまた地域の発展のために道路が築造されているというふうに認識しておりますので、どういうふうな部分が無駄なのかよく理解ができないところでありますけれども、違った観点から改めて質問させていただきたいというふうに思います。

 道路特定財源については政府・与党の合意があるというふうに承っておりますけれども、今、国際競争力の強化をしなくてはいけない、そしてまた、地域の活性化、繁栄をしっかりと政策課題として対応しなくてはいけない。真に必要な道路は計画的に進める必要があるということはもう論をまたないというふうに私は思います。厳しい財政状況や環境面への影響を考えれば、暫定税率を維持する必要がある、このように思うところであります。

 他方で、納税者の理解を得つつ、できる限り一般財源化を確保していくこと、そのこともまた重要であるというふうに私も思います。

 そこで、質問させていただきたいと思いますけれども、一般財源を確保していく上で、道路整備を目的として暫定税率の負担をお願いしている納税者の理解を得ることとの調和をどのように図っていくのかも考慮しなくてはいけないというふうに思います。いわゆる制度的、法律的に調和がとれたものとなっているのか、この点について財務大臣はどのような見識をお持ちなのか、お伺いをさせていただきます。

額賀国務大臣 おっしゃるように、道路特定財源ですから、今までは、道路をつくることによって恩恵をこうむる方々に多くを負担していただいて道路を建設してきた。しかし、真に必要な道路を今後つくっていくということとあわせて、道路整備を上回る分については一般財源化を図る。一般財源化を図った分についても、やはりユーザーの皆さん方に、つまり納税者の皆さん方に理解を得ていかなければならないということでございます。この二つを、やはり矛盾しないような形でしていかなければならないということでございます。

 そこで、一般財源化について、二十年度では一千九百億円余りになっておりますけれども、これは、暫定税率を維持し、あるいはまた、今後の道路の建設に当たっては中期計画をつくるという形にしたときに、政府・与党の考え方としては、財政事情とか、あるいはまた環境の問題だとか、あるいはまた道路の整備、そういう視点から考えていかなければならないという基本的な理念があったわけであります。

 したがって、一般財源化を図った場合でも、その使用の範囲は、ひもつきではないけれども、これは、既に一般会計から歳出されている環境だとかあるいは自動車関連だとか、そういう予算が今既に二千億円以上あるわけでございますから、そういう意味で、一千九百億円台の一般財源化をしても理解をしていただけるのではないかというような考え方をしているわけでございます。

小川(友)委員 ただいまの財務大臣の御答弁をいただいた中で、制度的に、一般財源と納税者等の理解という二つの要請にこたえるものになっているんだという部分に関しては理解をさせていただきました。しかし、毎年度の予算においても、納税者の理解を得つつ可能な限り一般財源化するという二つの要請にこたえていく必要があるのではないかなというふうに思います。

 そこでお伺いをさせていただきますけれども、平成二十年度においては、それを考慮した中でどのような予算措置を行っているのか、とっているのか、あわせてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

額賀国務大臣 二十年度予算においては一千九百億円余り一般財源として確保しているわけでございますけれども、これは、自動車に関連する歳出、先ほど申し上げたように、環境だとか信号機だとか、一般会計から出ている二千億円内の範囲内であって、納税者の理解を得られるのではないかというような考え方のもとで一般財源を確保したということで御理解をいただきたいというふうに思っております。

 これは、毎年毎年、真に必要な道路整備の予算をつくり、そして、その整備を上回った分については一般財源化を図っていくという形にして、可能な限りの一般財源化の確保に当たってまいりたいというふうに思っているわけでございます。

小川(友)委員 一般的に、一般財源化をしても、いわゆる地方が求めているものは、やはり自分の自主財源だけでは、まちづくりも道路整備も、そしてまたいろいろな福祉のバリアフリーも関連して、この財源が地方にゆだねられてまちづくりが進んでいるわけでありまして、しっかりとその辺も踏まえた中で予算を配分していっていただければありがたいなというふうに感じたところであります。

 改めて、再度お伺いをしたいと思うんですけれども、今、中期計画の事業費が五十九兆円について政府・与党合意に至っているというふうにお伺いしているんですけれども、至る過程において、コスト削減などについて財務省の意見もある程度反映されたものとなっているというふうに考えているところであります。財務大臣として、どのように財務省の意見が反映されているものになっているのか、財務大臣の御見解をお伺いさせていただきたいと思います。

額賀国務大臣 これは、国交省で中期計画をつくる際も、国交省側の説明によると、国民に対してさまざまなアンケート調査をしたり要望を聞いたりして、この計画をつくられたということでございます。

 その結果、十六の政策課題と整備目標を策定したということでございましたので、これをよく見た結果、この政策課題と整備目標については、我々も理解を示した上で、従来の五カ年計画というのは大体三十八兆円ぐらいでありましたけれども、これを一割ぐらい削減する方法を考えて、六十五兆円にしたということを聞いております。

 その上で我々は、さらなるコスト縮減、それから、先ほど委員もおっしゃっておりましたまちづくり交付金などを活用した街路とか道路の整備、さらには渋滞解消政策、そういうことを勘案して、六十五兆円から五十九兆円に約一割の縮減をした。それも、五十九兆円を上回らない範囲でこの中期目標計画を実現していくという形にしたという意味で、財務省との厳しい話し合いの結果、そういうことがまとめられたものであるというふうに思っております。

小川(友)委員 基本的に、地方自治体は自主課税権というものがある程度制限されております。以前、私は、もう十数年前になりますけれども、共産党市政だったときに、中央道が自分の行政区を走っている、本来この道路は、将来は無料化するということを前提として自治体の行政部分の固定資産税はかけなかった、しかしながら、いつまでも有料であるのであれば、高速道路に固定資産税をかけますよと国に物を言った市長がいたことを思い出しております。

 私は、それほど自治体は、道路整備、いわゆる財源が不足しているということの裏返しではないかなというふうに感じています。

 そこで、最後にお伺いしたいんですけれども、いわゆる中期計画の事業費を決める際には、財務大臣の意見が反映されているという部分に関しては、中期計画だけではなくて、毎年度の予算においても財務省がきちんと査定をする体制となっていることが私は求められるというふうに思います。

 そこで、今回、毎年度の予算プロセスにおいては財務省がしっかりと査定していくという理解でいいのかどうか、財務大臣に確認をさせていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

額賀国務大臣 これはもう小川委員がおっしゃるとおり、単年度主義でありますから、毎年毎年きちっと、それまでの整備計画がどうなっているのか、そしてコスト縮減がどうなっているのか、効率化はどうなっているのか、そういうことをよく見きわめた上で予算がつくられていくということは当然のことであると思います。

小川(友)委員 どうもありがとうございました。時間が参りましたので、これで質問を終わらせていただきます。

原田委員長 次に、石原宏高君。

石原(宏)委員 どうもおはようございます。自由民主党の石原宏高でございます。

 先般に続きまして、公債の特例法、また所得税法の一部を改正する法案のこの審議で質問をさせていただきたいと思います。

 先般は、道路特定財源の関係を中心に質問させていただきましたので、きょうは、それ以外のところで質問をさせていただきたいと思います。

 今回の平成二十年度の所得税法の一部を改正する法案の中には含まれていないんですが、与党の税制大綱、そして野党第一党の民主党の税制大綱にも載せられました、取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度、いわゆる事業承継税制について、一部税理士会の方もしくはオーナー企業の方が大変興味を持っておりますので、質問をさせていただきたいと思います。詳細はこれからまた来年の平成二十一年度の税制改正で議論されていきますので、与党の税制大綱に書かれた部分についてのみ、ちょっとお伺いをしたいと思います。

 まず第一に、この納税猶予でありますけれども、発行済み株式等の三分の二以下に限られて行われるということであります。例えば、今一〇〇%相続をされた方が、その六六・六六六%の部分しか八割減にならないということで、トータルで考えると五三%ぐらいしか実は納税猶予にはならないということで、八割全部、一〇〇%相続してもというような誤解をしている方もいらっしゃると思うんですが、これは、現行の未公開株式の相続のときの一〇%の軽減のときも同じように三分の二のルールがついているんですが、この趣旨と、あともう一つお伺いしたいのは、今の一〇%の軽減というのは課税の減額だと思うんですけれども、今、この与党の大綱に書かれているのは納税猶予になったということではないかと思うんですが、それはなぜ納税猶予に今回大綱ではなったのか、財務省としてどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、お答えいただけますでしょうか。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず一点目のお尋ねで、いわゆる発行済み株式の三分の二以下に対象を限定した趣旨でございます。

 今回の取引相場のない株式に係る相続税の納税猶予制度は、財産としての非上場株式を優遇するものではなく、課税の公平にも留意しつつ、後継者が事業を承継し安定的に継続していくために必要な措置として、その必要な範囲で税制上の支援を行うという趣旨で創設するものでございます。

 法人の総株主の議決権の三分の二を有していれば会社法の特別決議を単独で行うことができることから、相続人が事業を承継し安定的に継続していくための保有議決権割合としては十分な水準であると考えております。

 このため、本制度では、後継者が相続により取得した議決権株式のうち、相続開始前から既に保有していた議決権株式を含めて、その会社の発行済み議決権株式の総数三分の二に達するまでの部分を特例措置の対象とすることといたしました。それ以外の部分につきましては、通常の相続税の対象として納税をお願いしたいと思っております。

 第二に、従来の、いわゆる取引相場のない株式の配慮措置として一〇%の軽減がございました。これは、評価額の一〇%減ということで行っていたわけでございますが、今回は、納税猶予制度、一たんきちっとした納税額を算出した上で、その八割を猶予するという形にしております。

 これは、今回の措置が、経産省で事業承継の円滑化のための法律を出していただくことになり、その要件として、事業継続要件という新たな要件が加わりました。この事業継続の要件をチェックしていくためにも、そのシステムを一定期間の納税猶予制度という形にして、条件が外れれば、課税の公平を確保する観点から、適切な課税を行うという仕組みをとることが課税の公平にも資する。事業継続という社会的な要請と課税の公平という両者の要請を調和するために、今回のこういう制度にさせていただきました。

    〔委員長退席、田中(和)委員長代理着席〕

石原(宏)委員 ありがとうございます。

 これも税制大綱に書いてあるんですけれども、あと、税理士会の方なんかも心配をされているんですが、五年間の事業継続期間がたてば株式は売却できるのかなというふうに勘違いをされている方もいらっしゃるんですが、実は、経過した後も株式の保有を、死ぬまでその株式を保有することを納税猶予を継続する要件に、大綱の中にもそういうふうに書いてありまして、例えば農地の場合は、二十年間農業をやっていれば、二十一年目に土地を売却してもその税金はかからないわけですが、結局、この未公開株式は死ぬまで株を持っていないと要するにかかってしまうというふうに考えるに至ったその理由についてお聞かせをいただけますでしょうか。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、中小企業の事業活動の継続ということに対して税制上の配慮をした最も重要な要件は、やはり、中小企業の円滑な事業の承継が、社会的に極めて必要である地域の雇用の確保、また地域の活性化等に必要なことであって、公的な色彩が非常に強いということを踏まえ、いわゆる相続税の世界における課税の公平を凌駕する形で特例措置を設けることとしたものであります。

 したがいまして、実際には事業継続の要件をきちっとかける必要があるわけですが、ただ、中小企業の経営、いろいろな環境の変化等もございますので、今回の条件としては、まず五年間の事業継続というものをお願いする。それで、五年たった後、どういう形でその株式が処理されるか、保有されるかにつきましては、所有者の方の御判断がいろいろあるわけでございますが、一方で、相続税を適正に確保するという観点からは、その五年後、相続を受けた方が株式を処分して例えば現金を手に入れる、こういうふうな場合には、社会的な要請による事業継続という機能がその少なくとも相続された方には働いておりませんので、もはやこれは、課税の適正化という観点から、一定の現金資産を手に入れれば、猶予していた納税部分についてはお支払いをいただくというのがやはり適切ではないかと考えました。

 農地の納税猶予制度を例に出されました。確かに、一般的な農地の納税猶予制度、これは昭和五十年にできた制度でございます。二十年の経過後、納税が免除される形になっておりますが、近年の改正によりまして、都市近郊の市街化農地につきましては、これはもう一生保有ということにしておりますので、やはり、課税の適正化の要請も近年高まっておりますので、そうした点を両者を調和させていただいたということでございます。

石原(宏)委員 このいわゆる事業承継税制は大変画期的な提案でありまして、野党第一党の民主党も税制大綱に記載されているということで、これは来年の税制改正の議論でありますけれども、与野党ともに賛成をしているということですが、細かな点、よくわからないし心配だという税理士会の話なんかもあります。

 きょうは質問いたしませんけれども、例えば八割の雇用維持をどういうふうに毎年毎年チェックしていくのか、五年後にチェックするのか、もしくは事業の継続というものをどうやって判断していくのか、そして、例えば五年たって株式を売却するというふうになったときに、その売却価格が実際に納税したときの価格よりも評価が低かったときに、より多く相続税を払わなきゃいけないんじゃないかとか、そういういろいろな疑問を関係者の方々は持たれていらっしゃるので、そういうことをしっかりと周知徹底をして、理解できるような説明をして、来年度の税制改正の中で議論をしてまいりたいというふうに考えております。

 それでは、今年度の平成二十年度の税制改正の関連で、証券税制について質問をさせていただきたいと思います。

 与党は、今回、さきに導入をされました配当または譲渡益の、本来は二〇%のところを一〇%の軽減税率をもとに戻すということで、ただ、暫定的に二年間、例えば配当であれば百万円以下は一〇%、そして、譲渡益であれば五百万円以下は一〇%を継続するというふうに税制改正大綱に書いてあるわけでありますけれども、野党の民主党は、配当は一〇%のままにして、譲渡益はすべて二〇%ということを税制大綱の中で主張されているわけであります。

 今回の税制改正、どのような考え方に基づいて証券税制の改正を行うのか、そしてまた、増税額というか、本来は本則に戻るわけでありますけれども、これによって税収がどのぐらいふえるのか、その点をちょっとお聞かせいただけますでしょうか。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の証券関係税制、平成十五年度税制改正におきまして大きく方向を転換いたしまして、金融資産性所得の一体課税を目指すということで、利子、配当、キャピタルゲインその他、いわゆる金融資産性所得の税率をそろえ、一体的に課税していくという大きな基本的な考え方のもとに成り立っておるわけでございます。

 ただ、平成十五年の当時、低迷した景気、市場の状況等にかんがみ、暫定的な市場対策として、本則二〇%を暫定的に一〇%に軽減するという措置を導入いたしました。今、先生御指摘のように、今回、その暫定的な市場対策である軽減税率をもとに戻して二〇%にするというのがまず基本的な考え方でございます。

 これは、現在の景気や市場の状況が導入時と比べれば大幅に改善している。最近の状況もございますが、しかし、依然として水準としては全く前回の状況とは異なっておる。それから、これは本質的な話でございますが、金融商品からのキャッシュフロー、今、さまざまな所得分類に加工できます。金融工学が発展したり、それから、投資信託のスキームを使うことにより、キャピタルゲインを配当化したり利子化したりするということも容易でございます。

 したがって、もともとの考え方であります、金融所得の種類間で税率をそろえる、これが課税の中立の確保の観点からも非常に望まれている、早急に必要であるということで、今回、本則に戻すということにさせていただきました。

 それは、我々としては、適正に税率をそろえるということによって、いわゆる損益通算も拡大できるということでございます。配当につきましては、株式のキャピタルロスと損益通算をできるようにするということも、今回、あわせて盛り込んでおります。

 増収につきまして今お尋ねがございましたが、配当につきましては、現行の一〇%から二〇%に戻ることにより、私ども、国税分として約三千億円の増収を見込んでおります。

 こうした増収はもちろんありますが、今申し上げましたように、損益通算の拡大ということ、それから、二年間の経過措置ではございますが、一定額以上、先生御指摘のように、一般の個人の普通の投資家におかれましては、一〇%の税率が基本的には適用されるという経過措置を設けております。こういった全体的な配慮もしているということを御理解いただきたいと思います。

石原(宏)委員 ありがとうございました。

 今、配当についての平年度の増収見込み約三千億という話があったんですが、これは、暫定二年間の、さらに段階的にもとに戻していくときの緩和措置の百万円というそのバーの部分が含まれていないという認識をしております。

 また、譲渡益については、どれだけ増収するかというのは、この税制の変更によって株式の売買がどうなるかということもわかりませんし、マーケットの状況でも変わりますし、また、そもそも、特定口座で取引をしていて、特定口座にかかわる源泉税という形でしか数字を国税庁も把握をしていないということで、譲渡益で幾らかということが、特定口座の中では投信の配当とかも含まれますので、もしくは社債の金利なんかも含まれますので、推定が難しいということだと思いますけれども、そういうことでよろしいでしょうか。そういうことであります。

 では続きまして、エンジェル税制の改正の基本的な考え方についてお伺いしたいと思います。

 今回、エンジェル税制、ベンチャー企業に投資をされて、今までは、投資をしたものが実現益として利益が上がったときに、その利益の二分の一の評価にするということで軽減をされていたわけでありますが、全く考え方を改めて、寄附控除のような形に変わったというふうに認識しております。

 例えば、具体的な税負担の軽減効果として、このエンジェル税制に基づいてベンチャーキャピタルに一千万円、それしか出資をしていないという方は、例えば、三千万円ぐらいの要するに所得のある方だとすると、一千万円が三千万円の課税所得から控除をされて、国税分は最高税率五〇%ですが、地方税が一〇%で四〇%ということで、要するに、一千万円を投資しても四百万円相当は軽減をされる。ですから、一千万円を投資しても、税金が返ってきますから、実は、六百万円の投資で一千万円分の未公開株式を持つことができるというような理解でよろしいか、お聞かせをいただけますでしょうか。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 税額の計算といたしましては、今先生御指摘のような形になると思います。いわゆる所得控除ですので、その方の適用されている税率帯の部分が最終的には税額として軽減されるということでございます。

石原(宏)委員 済みません、その改正の基本的な考え方、今までは実際に発生したときに二分の一だったんですけれども、今回は寄附控除のような形にしたんです。この辺は与党の税制大綱に書いてあるということなんですけれども、思想的にはどういう考え方からこういう形に変えたというのでしょうか。教えていただけますでしょうか。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 従来のエンジェル税制につきましては、いわゆる投資という側面に着目して、投資を優遇していく、これによって間接的にいわゆる起業を援助していくという形を考えておりました。

 今回、もう一段考え方を整理いたしまして、ベンチャーの設立、いわゆる業を起こす起業というものが社会的にどういう意味があるのか、やはり、これからの日本の成長、いろいろなことを考えた場合、日本における起業面が若干弱いのではないか、もう少し起業を盛んにして、新しい技術の芽とか、そういうのを将来の発展のためにすることが国家としての非常に大きな基本的な方針であろうと。そのために、要するに起業というものを社会的な目でとらえる。

 一方で、起業するときのいろいろな問題として、一つは資金の調達がある。投資として見た場合、私どもも税制当局ですので必ずしも十分把握しておるわけではございませんが、関係省庁等からのヒアリングによりますと、やはり起業というものは非常に難しくて、その確率も、投資として成り立つ以前の問題として、ほとんどの場合はなかなか物にならない。ただ、多くの中で一つ、二つでも成功することが非常に大事だということで、逆に言えば、投資する立場からすると、これは計算の立つ投資というよりは、一種のチャリティー的なもので、たまたまそれが成功する。だから、一つ、投資の段階では、むしろチャリティー的な考え方でいく。

 ただ、将来、もしそれが本当に花開けば、当然それは根っこから課税をさせていただくけれども、まず投資の段階は、投資という側面よりは社会貢献という側面を重視して、これは一種の社会に対する寄附であるということでまず整理をする。その後、将来のことについてはまた改めて適正な課税ということでやりますけれども、当初の段階はそういうことで寄附税制を適用することが、この税制の持つ意味という点から適当ではないかと判断したものでございます。

石原(宏)委員 よくわかりました。インベスターからインキュベーターということではないかというふうに思います。

 それでは、エンジェル税制の拡充以外にも、今回、中小企業に配慮した措置が講じられていると思いますけれども、その辺の具体的な内容と、その背景というか、思想についてちょっと御説明をいただけますでしょうか。

加藤政府参考人 中小企業、我が国経済の原動力でございます。その経営基盤の強化や成長力の底上げを図る観点から、今回の税制改正では、中小企業に関する税制について、中小企業に配慮して、より使いやすい仕組みとなるような見直しをいろいろな面で行っております。

 具体的には、いわゆる情報基盤強化税制につきましては、大企業については対象となる投資額の上限を設ける一方で、中小企業の情報基盤への投資を促進する観点から、中小企業については投資下限額を大幅に引き下げました。三百万円を七十万円にしております。これによって、中小企業が投資する小口の情報基盤関係の投資にもこの優遇税制が適用になるということになります。

 それから、教育訓練費に係る税額控除制度、これは、従来、大企業も含めて適用をされておったわけでございますが、今回は大企業分は廃止しました。

 一方で、中小企業分につきましては、これまで教育訓練費の増加を要件としておったわけでございますが、なかなかそれは使いにくいという部分もございますので、労務費に占める教育訓練費の割合が中小企業の平均的な水準を超える場合には税額控除が可能になるという、いわゆるフローの増加ではなくて、残高ベースで判断をする、使うことができるようにするという制度に切りかえております。

 また、農林水産業と商工業の連携を図るための、地域の活力を引き出す事業活動を行う者の取り組みを支援するための税制上の措置、これは立法とあわせて行うことにしております。

 それからあと、これは、従来からあります中小企業投資促進税制や交際費の損金不算入の中小企業に対する特例等については、適用期限の延長も行っておるところでございます。

石原(宏)委員 ありがとうございました。

 今回の、特に平成二十年度の所得税等の一部を改正する法案でありますが、与野党の税制大綱を見ると、道路特定財源の部分は大きく異なるわけであります。そのほか、証券税制も多少違いますけれども、証券税制、実は違うんですが、減税額とかを民主党案だったらトータルで幾らなのか、与党案ですら譲渡益のところがわからないですから、どうなのか。そういうことを実は国民の方も比較がなかなかできないということで、やはりある程度の軽減措置というのが、時期を迎えてもとの本則に戻すという方向性は、ある意味、与野党ともに似ているのではないかと思います。そういう意味で、やはり大きな違いというのは道路特定財源の議論だと思うんです。

 少し時間が余ってしまったので額賀大臣にちょっとお伺いしたいんです。この前の質問のとき質疑させていただきましたが、十年という形でこの法案には載っておりますけれども、五十九兆円、中身はあれですけれども、私は、無駄な道路はない、BバイCをやって、これでしっかりチェックしていただくしかないんだと思います。

 要は、道路を十年間でつくるのか、十五年でつくるのか、二十年でつくるとか、まさに時期の優先順位ではないかと思うんです。社会保障の議論もこれから大きく盛り上がっていこうとしている中で、道路にお金を優先的に回すのか、社会保障に回すのか、そういう時期の議論ではないかと思うんですけれども、本当に大臣の個人的な政治家の御意見として、提案は提案でありますけれども、幅広くそういうことを検討していくという、私はそういう考え方なんですが、その考え方について、大臣として、一政治家としてどのように感じられているか、ちょっと御意見をいただいてもよろしいでしょうか。

額賀国務大臣 私も、やはり時代の流れによって、予算の配分というのは何が一番大事なのかということを考えていかなければならないことは基本だと思います。

 だから、道路特定財源についても、戦後間もないときから、こういう受益と負担に基づいて道路建設に重点的にやってきたわけだけれども、その意味では、今回、道路整備を上回る財源については一般財源化をするというのは大きな方向転換であると思っております。したがって、向こう十年間ということが中期計画として決められているわけでありますが、この中で、渋滞の問題だとか、それから生活環境の交通の安全のことだとか、そういうことは相当進んでいくことになるんだろう、こう思うんですね。

 そういう中で、やはり今おっしゃるように、何に一番財政が重点的に配分していかなければならないのかということは、おのずと変わってくるというふうに思っております。

 その意味で、日本の成長とか、あるいはまた科学技術の進歩だとか、あるいはまた社会保障をどういうふうに安心させていくのかとか、あるいはまた財政再建をきっちりとどういうふうに組み上げていくのか、そういうことを視点に置きながら、やはりその道路の問題も考えていく必要があるというふうに思っております。

    〔田中(和)委員長代理退席、委員長着席〕

石原(宏)委員 時間が参りましたのでこれで質問を終わらせていただきますけれども、地元でも、ガソリンスタンド業界の方々が、この暫定税率が撤廃されるにせよされないにせよ、早く決めてほしいと。予算委員会の議論なんかもありますけれども、駆け込み需要とか、もしくは買い控えとか、そういうことがあると、サービスを提供しているガソリンスタンドとしては大変困るという声をガソリンスタンドの組合の方々からも聞いておりますので、与党としても努力していかなければいけませんし、財務省としても、与野党の合意が得られるように、ぜひともよろしくお願い申し上げます。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

原田委員長 次に、関芳弘君。

関委員 私は、自由民主党の関芳弘でございます。

 本日、ここで質問をさせていただきます前に一言申し上げたいのは、民主党の皆様が今回欠席ということでございますが、本当に、非常に残念でございます。こちらに御参会していただいております委員の皆様は、私の質問を一言一句絶対に聞き漏らさないぞということで来てくださっているかもしれないと思いますが、やはり、国会というのは言論の府でございますので、賛成するにしろ反対するにしろ、必ずいつも出席をして意見をしっかりと述べるというふうな態度というのが大事じゃないかなということを、私はまず先に一言申し上げておきたいと思います。

 それで、今回の質問なんですけれども、今回質問させていただきますことは、民主党の皆様が休んでいらっしゃるそのガソリン税のことではなくて、所得税法の一部改正ということでございますから、いろいろな項目があるわけでございます。私は、きょうは、公益法人税制の寄附税制について質問させていただきたいと思うところでございますので、何とか出ていただいて聞いていただきたかったなと思うのが本音でございます。

 さて、質問に入らせていただきますけれども、今回のこの公益法人税制と寄附税制の改正のところでございます。今回、この公益法人制度の改革というのは、本当に、非常にいい内容だと私は思っておる次第でございます。

 日本におきましては、個人の価値や社会のニーズが非常に今多様化してきておるところでございますが、このような中におきまして、行政側といいますのは、画一的に本当に平等で公正でないといけないという観点から、画一的な点が重視されます。画一的な対応をとろう、それはもう役所として仕方がないことだと思います。

 また一方、企業の方としましては、資本主義社会の株式会社といいますのは、利益の極大化というのが最大の目的でございますので、企業としても、そういうふうな利益の極大化を求める中におきましては、役所も企業も、社会にはその多様なニーズがある中に十分にこたえられていかないというのが実態ではないでしょうか。

 加えまして、今、少子高齢化で税金を納める人口比率がどんどんと減ってきておりますし、また、資源のない国で、一生懸命働かないといけない、働き続けないと食べていけない、世界との競争に勝っていけない、このような日本の中におきましてニート、フリーターの問題なんかが今クローズアップされてきておりますけれども、もっともっと日本がこれからしっかりと世界の中で頑張っていきます中におきましては、もうオール・ジャパンで考えていかないといけないな、制度も、本当にオール・ジャパンで成り立っていくようなそういう制度をつくっていかないといけないなというところだと思います。

 私は、選挙区は神戸市の須磨区、垂水区というところでございますが、神戸は、皆様御存じのとおり、十四年前に、阪神大震災という大きな大きな地震で物すごい痛手を受けました。

 そのときに、瓦れきの下から自分の娘に向かってお父さんが、僕はもう逃げられない、みんな逃げろ、火がもうここまで迫ってきている、逃げるんだと言って、じゃお父さん、先に逃げさせてもらいますよと言って子供が瓦れきの下からはい上がってきて、お父さんを見捨てて出ていって、地震が終わった後、私たちも手伝って亡くなった方々を引きずり出してくるとか、そんな対応までやってきた地域でございます。

 こういう中におきましては、大規模災害とかが起こりますと、一挙に行政だけでは本当に対応できない項目というのは多々ございまして、民間の力を本当に一生懸命みんなで結集するというようなことがあって、初めて世の中が成り立っていくんだなというのを物すごく私も実感したようなところでございます。

 また、今、税収が減ってきておりまして、地方自治が苦しい中におきまして、市立の図書館なんかは、企業を退職されてOBとなった方が、自分たちがボランティアで新しい本と古い本の入れかえをやって行政を応援しようとかいうことで、本当に地方行政の負担を減していこうとか、人材の有効活用というか、今、眠れる資源の有効活用というのが本当に大事な時期になってきていると思うところでございます。

 このような中におきまして、民間の非営利部門における活動というのは、柔軟で機動的な活動が展開できるわけでございますので、役所や企業が満たすことのできない社会のニーズに対応した多様なサービスを提供していこう。その意味におきまして、民間の非営利活動というのは非常にこれから注目され、また充実をしていかないといけないところだと思うところでございます。

 したがいまして、民間の非営利活動を国家として社会経済システムの中に積極的に位置づけまして、その活動を促進するための方策を講ずる必要がございますが、今回の所得税法の一部改正ということで、公益法人税制の変更と寄附税制の変更というところが、非常にいい内容に項目がまとまってきておると思います。

 この公益法人制度改革については、当初は、平成十八年度に公益法人制度改革三法案というのが出されて、ことしの十二月にその改正案がなされるわけでございますけれども、今このように新しく運用が改正されるときにおきまして、この新制度のもとで公益認定等の委員会がどのように公益認定を行っていくのか、その活動、活動の公益性はどこにあるのかというところにおきましては、非常に公平かつ公正に、しかも明確に認定制度が成り立っていくことが前提だと思います。

 この現行の公益法人を初めとして、今、もしかしたら漠然としたその認定制度に対して不安があるといけませんので、公益認定等の委員会がどういうふうな考え方を持って公益認定をしていくのかという点を、考え方を持っていらっしゃるのかということを聞きたいと思います。

戸塚政府参考人 それではお答えいたします。

 公益法人制度改革関係の三法律につきましては、委員御説明のとおり、一昨年成立いたしまして、本年十二月に施行ということになっております。

 昨年の四月には内閣府に公益認定等委員会が設置されましたが、この委員会というのは、委員御案内のとおりと思いますが、政令、内閣府令の制定や改正あるいは国の所管する法人の認定、審査に当たりまして、所要の答申を行います、この制度の中核機関でございます。

 委員会の活動でございますが、委員の御指摘のとおり、これから、基準の明確化ということで具体的な明確化の仕事をずっとやってきておりますが、発足後直ちに関係の政令、内閣府令の検討に着手いたしまして、答申をし、パブリックコメントを経て、昨年の九月には政令、内閣府令の制定を行っております。

 引き続き、九月から、公益認定の運用のガイドライン、これも基準の明確化の一環でございますが、検討を開始いたしまして、現在、ガイドラインの内容がおおむね固まっております。近々にパブリックコメントを行いまして、法人の関係者の御意見も伺いながら、このガイドラインを決定したいというふうに考えております。

 これまでも、ホームページにおきまして委員会の資料とか審議の議事録の公開をしておりまして、また、最近でございますと、ホームページでも質問の募集を行いまして、さまざまな疑問にできる限りお答えしていくということをやっているわけでございます。

 今後、法人の関係者の中には、いろいろ制度につきましての不安を感じていらっしゃる方もあるようではございますが、さらにガイドライン等において運用の細部を決めながら、パンフレットや利用者のためのわかりやすい手引を作成、配布するなどしまして、広く制度の周知を図ってまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

関委員 その内容の広報につきましては、皆様が本当に納得できるような感じで、よくわかったという形でスタートができるような感じで準備を十二分に行っていただきたいと思うところでございます。

 続きまして、二つ目の質問でございますが、公益法人制度の改革の所期の目的を達成してまいりますには、税制面の手当ても重要ではないかと思うところでございます。やはり、このような我々立法府の立場としましては、この公益法人制度改革法の附帯決議でも、民間の行う公益活動の促進を図るという観点から、公益認定を受けた法人につきましては適切な税制の優遇措置を講ずると注文をさせていただいておるところでございます。

 今般の税制改正では、民間の公益活動を支えるとの観点からいろいろな措置がとられていると思うんですけれども、何倍にもその利益が戻ってくるであろう、こういうふうな公益活動、我々はしっかりと税制面で優遇とか推進するための体制をとっていくために、いろいろな方策をとっていただいている点につきまして御説明をいただきたいと思います。

額賀国務大臣 関委員の御指摘のとおり、阪神・淡路大震災のときの民間人のボランティアとか、本当に世界から高く評価をされました。これからは、政府というか、の仕事はだんだんと減らして地方に移譲していく、あるいは民間に移譲していく、そのすき間は、やはりこういうボランティアとかNPOとか公益法人の活動が広がっていくんだろう。そういう支援をしていくために今度の改革がなされているもの、こう思っております。

 おっしゃるように、我々も、公益活動を支援するための税制面でも一定の措置を講ずることにしたということでございまして、その中身は、公益目的事業から生じた所得については非課税とするということ、二つ目は、収益事業から公益目的事業の実施のために支出した金額について損金算入を図るということ、つまり、みなし寄附金制度の大幅な拡充ということでございます。また、すべて特定公益増進法人として扱って寄附優遇の対象とするということでございますので、これまでとは違った、画期的なものになるというふうに思っております。

関委員 今の大臣のお話をお伺いしておりまして、公益目的事業の実施がスムーズに行われていくようなすばらしい税制がとられておるものと私は高く評価いたしたいと思います。この税制優遇につきましては、きっと何倍もの効果になって社会にメリットが出てくると私も信じております。

 また、一方、これらの活動を推進していきますためには、社会全体としても支援を行いやすい環境をつくっていくこともまた大事だと思うところでございます。特に、民間が担います公益活動に対して寄附を行っていくんだ、そういう環境をつくっていくことというのは、一つの大きなかぎになるのではないかなと思うところでございます。

 やはり、このような公益性に対して、これはもう本当に社会にとって大切なことだと思う方は非常に多くいらっしゃいます。私のところも、阪神・淡路大震災のその経験から、寄附を行っていきたいんだ、そういうふうな企業というのはありませんかという問い合わせも多々あるところでございますので、まさに、この寄附税制というのをしっかりと今拡充していくところというのは大事だと思います。

 このかぎとなります寄附税制のところ、環境をどのように税制改正案で盛られておりますか。その点につきまして説明をお願いいたします。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の税制改正におきましては、公益法人制度の改正とあわせまして、いわゆる寄附する側の立場に配慮した寄附税制の見直しも行っておるところでございます。

 まず一点目といたしましては、先ほど大臣からも御説明がありましたが、第三者委員会の関与のもとで公益認定を受けたすべての公益社団、公益財団の法人が、寄附優遇の対象となります特定公益法人となるわけでございます。これによりまして、従来の手続もなくなりますし、税制上の制約もなくなるということでございます。

 そして、これから申し上げますのはいわゆる寄附する側でございますが、寄附のしやすい税制を目指すということは、近年、既に税制改正で行ってきておりまして、昨年、個人につきましての寄附金の枠を広げる改正をさせていただいております。

 今回お願いしておりますのは法人の寄附の関係でございまして、法人が特定公益増進法人等に対して寄附を行った場合の損金算入限度額につきましては、従来のいわゆる基準で、資本金の額と所得の額をミックスした形で寄附金の限度額の枠を設けておったわけですが、その拡充を行っております。具体的には、従来の、所得金額の二・五%を基準にしておったものを所得金額の五%を基準にするということで、所得金額についての基準は二倍に膨らんでおるわけでございます。

 これらの措置によりまして、公益活動を行う法人が寄附を通じて資金を調達するための環境整備が一層図られる、寄附のしやすい環境になるというふうに期待しております。

関委員 この寄附税制の点につきましては、成功していくいい内容になっていると思いますので、ぜひとも、私も本当に地域の方々にしっかりと説明をしてまいりたいと思います。

 そして、次の質問に移らせていただきます。

 このような公益法人の税制優遇のところの制度並びに税制優遇をいろいろ行っていこうというときに、この担い手としまして、NPO法人による活動は一層その重要性を増してくるものだと考えられるところでございます。

 こうした状況に対応しまして、NPO法人が活動していくための環境整備というのは、いろいろな税制優遇が今までも既に行われてきていると伺っております。今回の改正におきましてもさらなる措置が行われていることと承知しておりますけれども、その具体的な環境整備につきまして御説明をいただきたいと思います。

加藤政府参考人 御指摘のように、官から民へという大きな流れの中で、NPO法人による活動も一層その重要性を増していくものと考えております。

 現在、NPO法人の税制上の措置といたしまして、いわゆる認定NPO法人制度がございます。これは、一定の要件を満たしたNPO法人については寄附金の優遇税制の適用を図るという措置でございます。

 今般、特に公益法人改正とは直接関係がないわけでございますが、やはり、寄附のしやすい環境、NPO法人の活動の改善ということを図る見地から、今申し上げました認定NPO法人の適用のルールにつきまして、若干の改正を行っております。

 一番大きな点は、一つの基準として、パブリック・サポート・テストというものがございます。これは、NPO法人の総収入金額のうち寄附金等の収入金額の占める割合が一定以上あるという、寄附にかなりの依存をしているということを要件にしておるわけですが、これは、本則、寄附が三分の一以上というのを原則にしておるわけですが、今、特例で五分の一以上に緩和しております。この特例期間を三年間延長をいたします。

 さらに、この認定につきましては、有効期間が従来二年間で、二年ごとにチェックを受ける必要がございましたが、その事務負担に配慮して、この認定の有効期間を五年に延長いたしました。これによって、法人がこうした事務的な負担を軽減して、本来の業務に専念する状況をつくるということでございます。

 というようなことで、一定の要件を緩和するということをいたしております。

関委員 ありがとうございます。この環境整備がうまく機能していきますように、しっかりとよろしくお願いしたいと思うところでございます。

 それでは、最後の質問に入ります。

 私は、議員になります前に、ある金融機関で十七年ほど働いておりまして、その間に、ある支店が、私がおった支店なんですけれども、六十周年を迎えたということでいろいろ周年行事をやったんです。そのときに、その六十周年の間で企業として取引をやっていた顔ぶれが何と七割変わった、七割の企業が六十年間の間で取引が変わっていったということを当時の支店長から聞いたんです。なぜそのようにいろいろ取引が変わっていくのかなといろいろ聞きますと、企業が、いわゆる時間とともに社会も構造が変わっていきますし、それに合わせて事業内容も変わっていきますしということで、それに対してどう金融機関側として判断するかということで、いろいろなことがいろいろいきさつとしてあったようでございます。

 今回も、このようにいわゆる公益性を認定する形にして、その認定制度をもって一たんは公益性企業として認めたところが、時間とともにやはりいろいろな変化が社会の変化に合わせて行われていくと思いますが、そのときに、一番初めに導入した認定のときと異なる企業体制とか性質に変わっていきますことというのは、認定をしていく側は常にしっかりと見張っていかないと、変な話なんですけれども、反社会的なことが行われるようになってしまっていたり、公益性というよりは収益性の方に実は重点が置かれたような企業に移り変わっていったり、時間とともに変わっていく企業の実態をよくよく見ていくことも、今回のその認定制度のポイントとして大事な点だと思うところでございますが、時間とともに変わっていくであろう法人の管理体制ということにつきまして、どのようにチェックを入れていくのかという点につきまして御説明をいただきたいと思います。

戸塚政府参考人 お答えいたします。

 新たな公益法人制度における監督につきましては、国所管の法人でございますと、公益認定等の委員会が中心となって監督してまいります。こういった監督につきまして、大変重要な課題であるというふうに認識をしております。

 新たな公益法人制度の認定基準につきましては、認定時のみならず、認定後も引き続き遵守する義務がございます。このようなことから、公益法人が毎年度提出していただきます事業報告書、貸借対照表、損益計算書等の計算書類などでこれらのチェックをやってまいります。このほか、立入検査を通じて、これらの遵守状況を確認するということをやってまいることにしております。

 公益認定基準等の法定の遵守事項が守られていないおそれがある場合には、事案に応じまして、当該法人に対します報告の徴収や臨時の立入検査を実施するほか、勧告や命令を行ったり、改善命令を行っても従わない場合には、公益認定を取り消すということも法律の中で法定されてございます。

 新たな公益法人の監督につきましては、以上のような手段を的確に運用いたしまして、公益法人の適正な運用を確保してまいりたいというふうに考えています。

関委員 ありがとうございました。

 これから、このような公益性を持った企業というものの設立につきましては大いに期待されるところでございますので、一方、その認定制度や事後のチェックというところにつきましては、本当に手間がかかるかもしれませんけれども、厳正なる運営をお願いしたいと思います。

 私の選挙区の話になるんですが、神戸市の須磨区に板宿市場というのがございまして、五つの市場が集まっていて連合会をつくっているところがございます。二年前から売り上げがどんどん減っていきまして、商店街とか市場とかのいわゆる活性化というのが今よくうたわれているところでございますが、私も、その市場の連合会のところからいろいろ質問を受けて、何か活性化はないかということで話を受けたりしているところでございます。

 なぜそれだけ市場に来る人が減ってきているんですかと言いますと、今、買い物をする若い人たちというのは、市場で物を売っている売り手の人と声のかけ合いをするのが嫌なんだと。若い人に聞くと、スーパーとかに買い物に行くと、売っている人と一言もしゃべらずに買い物ができていくので、それが便利なんだと。人と人とのつながりをなくすこと自身が便利と思っているような若い人たちがたくさんいて、今、人の消費性向は変わっていっているんだな、そういう点も活性化のところで何か考えないといけないのかなとかも思ったりしているわけなんです。

 人と人とのつながりがどんどん減っていっているようなこのような世の中にございまして、今回のこの公益企業、公益ということを本当に主体に置いて考える企業、法人というのをしっかりと育てていくことというのは、人と人とのつながりが、人が社会を考えることとか、社会に自分がいかに貢献できるのかということを考える手だてにも本当につながっていくなというところでございますので、いわゆる国家の機関として応援できない部分を民間の人たちがしっかり助けようというのを、国家の税制面だけでなく、人と人とのつながりというその精神面のところからの寄与の部分にもこの税制改正というのは本当にいい法案だと私は思いますので、ぜひとも早くこの法案が成立していただきまして、いい社会になっていただきますように心から祈念申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

原田委員長 次に、奥野信亮君。

奥野委員 自由民主党の奥野信亮でございます。

 きょうは、歳入に関係するところを質問させていただきたいと思います。

 私は、四十年間産業界で仕事をしてまいりまして、最初のうちは物づくり、それから西暦二〇〇〇年ごろには、マーケットに先んじて、他社に先んじてマネジメント・バイアウトというのを実行しまして、金融・資本市場の近代化に貢献したと自負をしているわけであります。

 そして、その四十年ぐらいの日本の産業界を少し振り返ってみますと、質の高い労働力とか、あるいは国際的に相対的に安かった労働力、そういったものを使いながら質のよいものを安くつくり上げるという時代が昭和四十年代の初めだったかな、こう思います。そして、高い技術力、あるいは高度な頭脳、若い人たちの力を使いながら、バイタリティーに富む市場開拓力を背景として、よいものを海外マーケットへ売っていった時代が五十年前後だったと思います。そして、その後、少子高齢化社会に突入し、相対的に労働コストが高くなってきた。そういった意味合いで、中国とか韓国の安い品物にマーケットを奪われてしまった、こういう時代が昨今だろうと思います。

 こういったことを振り返ってみますと、これまで物づくり中心であった日本、それが、これからは、物づくりだけじゃなくて、我が国の経済の持続的成長のためには、金融・資本市場の活性化とか、あるいは内外企業への成長資金の供給、そういったものを考えつつ産業構造を改めていく必要性があるのではないかな、こう思います。

 特に国内資金について見れば、家計部門の金融資産に投資機会を提供するということも大事だろうと思いますし、それから海外資金については、我が国金融・資本市場の競争力強化というものを背景として、魅力的な市場を通じて外国人にも投資機会を提供していく、こんなことを考えながら、金融サービス業が高い付加価値を生み出す産業へ育成されて、そして我が国経済の底上げ、そういったものを考えていくのがこれから日本の目指す方向ではないかな、こう感じているわけであります。

 まず、最近の市場動向についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 日本の株式市場、今、大変な苦労といいますか、停滞気味でありまして、今後さらに株価が下がる懸念もたくさんあるわけであります。そうした原因というのは、原油高、物価高、あるいは、アメリカで発生したサブプライムローンの問題などが重なったわけであります。こうした動きがやがて実体経済にも悪影響を及ぼす可能性があるんじゃないか、そうしたことを考えつつ、いろいろな手をタイムリーに打っていく必要性があるんだろうと私は思います。

 こうしたときに、財務大臣としてどんなことを対策として考えられているかを御回答をお願いしたいな、こう思います。

額賀国務大臣 奥野委員の、最近の内外の経済、あるいはまたこれまでの日本経済の発展の段階、御賢察について拝聴しておりました。まことに共通する分野があるわけでございます。

 大いなる転換期を迎えて、今後新たなる発展をしていくために、おっしゃるように、我々は、開放して外の力を活用しながら日本の成長を図っていく、あるいはまた、バブル経済崩壊後停滞していた金融市場を活性化させていく、魅力あるものにしていく、これは渡辺金融大臣もしっかりと取り組んでいることでありますけれども、私どもも共通の認識を持っているところであります。

 株式市場、市場の問題でございますが、これはさまざまな経済要因によって動いていくわけでございますので、日々の変動要因あるいはまた今後の見通しについては、私からのコメントは差し控えた方がいいのではないかというふうに思っております。

 ただ、奥野委員がおっしゃるように、原油高が、我が国経済だけではなくて世界の経済にどういう影響を与えるのか、アメリカの経済、サブプライム問題を中心とする金融不安がどういうふうに実体経済に影響を及ぼしていくのか、そういうことについては極めて大きな注視をしていかなければならないというふうに思っております。

 我々は今、原油高等については、補正予算、それから、今審議をしていただいている来年度予算についてもそういう政策を打ち出しておるところでございます。あるいはまた、政府としては、原油高等による影響が中小企業に及ぼしていることを最小限にするために、年度末金融等々に対してきちっと対応策を今打ち出させていただいているところでございます。

奥野委員 最近の金融市場の状況を見てみますと、海外投資家の日本株離れが大変鋭く起きているように見られます。これからは、先ほど申し上げたように、物づくりで経済を支えるだけじゃなくて、金融を発展させて経済を支えていく必要がある。そんなような観点からは、規制緩和などによって我が国市場の魅力を一層高めて、海外投資家を含め多様な投資家に我が国市場に投資してもらいたい、そういう必要性があるのではないかと思います。

 そういった観点から、金融担当大臣に、海外の投資家にアピールできる施策も含めてお考えを拝聴させていただきたいな、こう思います。

渡辺国務大臣 御指摘のように、金融セクターがこれからうんと頑張ってくれれば、日本のGDPも相当伸びていくと思うんですね。今現在、金融セクターはGDPに占める割合が七%であります。三十五兆円ぐらいでございます。しかし、これはずっとここのところ横ばいなんですね。余り伸びていないわけであります。

 一方、世界経済は一体化して、エマージング諸国の成長率は二けたなんという国も珍しくございません。先週、私は、東京証券取引所の北京事務所開設で北京に行ってまいりました。胡同という昔ながらの地域のすぐ隣に金融街ができちゃったんですね。大変な建築ラッシュですよ。いや、これはすごいなと、半ばどぎもを抜かれた驚きを感じました。

 日本の国内には一千五百五十兆円の金融資産もございます。こういう内外のお金が、魅力ある市場であればどんどん流入をしてくるのではないでしょうか。三十五兆円が仮に倍に膨らむだけで、これは経済成長に大変な貢献をするわけでございます。昨年の暮れに金融資本市場の競争力強化プランというのをつくりました。今国会では、それらの措置を実現すべく、法案を提出してまいります。

 こうしたことを実現することによって、まさに多様なニーズにこたえられる、内外からの資金、情報、人材、こういうものが厚く集積をしていく金融資本市場の構築ができるのではないでしょうか。そういう方向を目指したいと思います。

奥野委員 金融資本市場を強化していくということについては、今法律が用意されているわけでありまして、私も期待するところが大であります。ぜひ積極的に改革を進めていただきたい、こう思います。

 次に、証券税制の見直しについて少しお尋ねをしたいと思います。

 今、私の理解では、お年寄りは結構お金をためておられる。ですから、こういった方の相続税をもっと強化したらいいじゃないかという短絡的な発想をする人もいるわけでありますが、その前に、お年寄りにお金をもっともっと蓄積していただいて、最終的に、相続するときに相続税でぴしゃっと払ってもらえばいい、こういう感覚を持っているんです。今、渡辺大臣がおっしゃったような、金融市場強化、活性化の取り組みとあわせて、貯蓄から投資への流れというものを一層促進しなくてはいけない。そして、個人投資家の方々がもっともっと投資しやすい環境を整えていくということが、今、金融セクターを強化するということと相まって、日本の金融というのが市場として活性化していくんだろうと思います。

 こうした観点から、今回の税制改正法案では、これまでの証券税制を改めて新しい制度へ移行することとしているわけであります。

 私は、金融・証券税制については、利子、配当、株式譲渡益といったさまざまな金融所得に対する課税の取り扱いは、できる限り中立的であるべきだと考えております。また、株式投資にはリスクがつきものでありますから、貯蓄から投資へを進め、また、より多くの方々が投資活動を行うことができるよう、投資リスクを軽減する損益通算を拡大していくべきだということも一つの方向ではないかと思います。

 今回の金融・証券税制の見直しは、こうした私の考えと共通する点も多いと思いますが、まず、その趣旨及び内容について財務大臣から御意見を拝聴したい、こういうふうに考えます。

額賀国務大臣 今、奥野先生がおっしゃるように、証券税制については、金融商品選択における課税の中立性というのは、確保していくことが大事だというふうに思っております。だから、投資リスクを軽減できる、簡素でわかりやすい金融所得課税の一体化というのが基本的な考え方であることが大事であるというふうに思っております。

 今回、国会に提出させていただいた法案というのは、金融所得課税の一体化の方向に沿って、一つは、暫定的な市場対策として、二〇〇三年に導入した証券税制の軽減税率一〇%について、税率を本則の二〇%に戻すということにしたわけでございます。それは、平成十五年のころに導入した軽減税率の当時と比べれば市場の環境が改善をしているということを踏まえて、そういう本則に戻させていただいたということであります。

 ただ、平成二十一、二十二年の二年間、円滑に新制度へ移行する観点から、一定額以下の譲渡益配当については税率を一〇%に維持をするという特例措置を設けさせていただいた、それから、奥野先生が御指摘のように、リスク軽減の立場から、譲渡損失と配当との間の損益通算の仕組みを導入するということにいたしたということでございます。

 今後も、金融所得課税の一体化の方向に沿った形で、個人投資家や市場の活性化の方向で考えてまいりたいというふうに思っております。

奥野委員 これは通告をしていないんでありますが、私は、この証券税制の改正の過程で、財務省あるいは金融庁の方といろいろお話をさせてもらいました。しかしながら、お役人の方は投資をしたことがほとんどない、これが実態じゃないかなと思います。なぜならば、公務員の倫理規程が災いしている。それにオーバーリアクトしていて手が出せない。こういうことではいい法律がこれからもつくれないと私は思うんです。

 ですから、公務員倫理規程をよく見て、個人もそういうことを勉強し、あるいは周りもよく勉強した上で、役人の方でも、投資してみようじゃないか、投資して何が問題があるかということを把握していただけるようなことも考えていただいた方がいいんではないかと思いますが、財務大臣の御見解をいただけたらと思います。

額賀国務大臣 やはり、人生というのは百聞は一見にしかずでございますから、私も、新聞記者時代に兜倶楽部に二年間いたので何となく感覚はわかるのでありますけれども、財務省でも民間と交流を、各役所でもしているわけでありますから、そういう証券とか銀行とか金融関係の仕事に携わる人は、あるいは銀行とか証券とか市場のところに出向いていって勉強してくるとか、感覚を学んでくるとか、あるいは民間の人を役所に数年間置いて行政の形を学んでもらうとか、そういうことが大事であるというふうに思っております。そして、現場の動き、感覚、状況をよく把握した上で政策をつくっていくことが大事だというふうに思います。

奥野委員 まさに今、額賀大臣がおっしゃったことが必要だと思いますから、我々もそういうことをできるような環境づくりをしていかなくてはいけないと思うし、お役所の方はそれなりのガバナンスをしっかりしていただくということで、ぜひそういう経験を積んでいただけるようなことを期待したいと思います。

 最後になりますが、オフショア市場のことについて少しお話を伺いたいと思います。

 きのうも参考人の方が申されておりました。金融市場に与える影響という観点からは、金融・証券税制のほかにも、オフショア市場のインフラとして、その受け入れ預金等の利子非課税措置は極めて重要であります。

 特に、税制改正法案が年度内に成立しなかった場合、利子非課税措置が失効してしまうというようなことが起こるわけでありますが、具体的にどんな事態が発生するのか、国民にわかりやすく説明をしていただきたいな、こう思います。

加藤政府参考人 御指摘の、オフショア市場の非課税措置でございます。

 これは、いわゆる市場を通じた資金調達に係る利子を非課税とする、つまり、外国から直接資金を調達するときに、その外国の銀行に利子を支払う。その利子について、本来でありますれば、我が国の国内源泉所得課税のルールが適用になって、一定の利子課税を行って源泉徴収するわけでございますが、それを免除する。それによって、預金を預ける外資の側の利回り採算性をよくする、主として二重課税も防止されるということで、これがあることによって現実のオフショア市場が成り立つということでございます。

 したがいまして、この非課税措置の期限が切れれば、課税ということを避けるために、当然海外からのオフショア市場への資金流入が減少する、むしろ海外の金融機関というのはそういうところへ預金をしないということで、今度は逆に、資金調達する日本の銀行の問題、いわゆる資金調達や金融市場の混乱ということが懸念されるわけでございます。

 まさに、このオフショア市場、これはもう世界的に、国際金融市場の各国の共通する重要な機能の品ぞろえの一つでございますので、我が国がこうしたオフショア市場の基本的な条件を損なうようなことをすれば、やはり、金融資本市場の競争力強化を目指す我が国の国際的信任の失墜にもつながりかねないと考えております。

奥野委員 大変な事態が起こる、金融市場から海外のマネーが逃げるということになるわけですから、きょうは野党の方がおられませんが、できるだけ三月末までに予算が通ることを祈念して、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

原田委員長 次に、後藤田正純君。

後藤田委員 まず、これは意見として聞いていただきたいので、回答は不要でございます。

 今回、議長あっせんで慎重審議ということで今まで皆さんで委員会を運営してまいりましたけれども、こういう状態で野党が出てこられない。イギリスは、選挙前にマニフェスト、政策を示してそれが評価をされれば、あとはもうその政策をその任期中にしっかり実行する。野党は、それを見ながら、国会を物理的に邪魔する、妨害するではなくて、次の選挙に備える。これが本当に民主主義のあり方だなというふうに私は思うわけでございます。

 一方で、与党も、国会審議の進め方は謙虚であることはもちろんでございますし、いろいろな修正議論または譲歩、そういうこともやるべき、これは当たり前でございますが、これは今までも大野筆頭を初め、しっかりとそのことは謙虚に、丁寧にやってきたわけでございます。しかし一方で、政策の中身を野党に言われて修正するということじゃなくて、やはり政府・与党として、国民に理解されるような修正だとかまたは譲歩というんですか、そういうことをやっていかなければ、いわゆる民主主義という、数で法案を通しても、次の選挙は大変だと思うんですね、与党として。

 そういうことをしっかり考えた上で、政府として、特に大臣、財務大臣の発言を今後期待したい。与党の幹部がちょろちょろ言ったり総理大臣がちょこちょこ話をして、そういう空気、そして国対ということではなくて、やはり財務大臣という立場は、世界や日本に日本の財政をどうするんだといういわゆる発信力、このまさに一番のトップなわけですから、そのことを、私はこれから存在感を発揮していただきたい。

 この財源の議論をこうやってここでしているんだけれども、実際使っているのは国交省というような、こんなばからしい話は実際ないんですね、我々も委員として。そういうことについても、私はこれは意見でございますので、もし御発言があれば。

額賀国務大臣 後藤田委員の見識ある発言、そのとおりだと思います。我々は、政権として、国家国民のために仕事をするということであります。

 財務省は国民から貴重な税金を預からせていただいて、国民生活、経済発展、あるいは世界の中で日本の存在感をどういうふうにキープしていくか、そういうことに予算を配分していくことが我々の仕事でございます。

 今焦点となっている道路特定財源につきましても、我々は、戦後日本の発展を築いてきた道路とかのインフラ整備に当たっては、特定財源の役割は非常に大きいものがあったと思います。したがって、今後も、そういう交通、通学路をきちっとするとか渋滞を解消するとか、あるいは主要幹線道路をきちっとするとか、切実な要望がたくさんあるわけでありますから、そういうものの必要なことはきちっとしていく。

 だけれども、今回は、道路整備を上回るものは一般財源化を図るということで、方向転換をさせていただいた法律を出させていただいているのでございますから、そこでいろいろと野党との間で議論をしているわけでありますけれども、私は、野党も、責任ある対応をしていただくとすれば、対案を出していただいて、どこが論点なのかということをお互いに煮詰め合って、そして我々は、野党のいろいろな主張に対して、きちっと土俵の上に乗ってしっかりと対応していく気持ちはやぶさかではない。

 それについては、議長のあっせんもあるから、年度末までには一定の結論を得るというのは予算と法律を通過していただくというふうに認識をしておりますので、今後、積極的にそういう話し合いはしていきたいというふうに思っております。

後藤田委員 今大臣がおっしゃったことが、恐らく議長あっせんの本意といいますか真意なんだと思います。ぜひ、野党の方々にも御出席いただいて、慎重審議をしていただきたいと思います。

 それともう一つ、財務大臣にさらに活躍していただきたいことは、今回の道路財源の一般財源化の議論にも大いに関係するわけでございますが、やはり日本は今財政が大変不健全である。こういった中から、道路特定財源をほかに活用してはどうかとか、そういう議論になっているわけでございますが、そもそも、GDP比債務残高が一・五倍、一五〇%ということに対して、国民そして政治家も見て見ぬふりをしている、これが今の状況だと思います。

 これについて、やはりしっかり財務省として、財務大臣として、私は、失礼かもしれませんが、財務大臣、財務省は金がないとずっと言い続けることが仕事だと思っています。正しいことを正しく伝える、それで、無駄遣いはもちろんなくしていくということによって国民の皆様に御負担をお願いし、それによって国民の方々の行政サービス、安心というものをしっかり担保しますよと。

 きょう、お手元にお配りしました朝日新聞の「安心勘定・我慢勘定」、これは朝日さんがこういう記事を書かれて、私もいささかびっくりしているわけでございますけれども、今、無駄遣いをなくせという議論、この議論をすることだけで、安心勘定、つまり国民の医療、年金、福祉、介護、そういったものの安心勘定がしっかり担保される議論がほとんどされていない。また、それをしようとすると、埋蔵金だ何だとかいうことで、その議論をまさに封殺するような世論、こういうものを今現実的に感じております。

 その中で、この埋蔵金の問題も今自民党の中で、きょうあたりですか、埋蔵金といういかにも隠された、いわゆる無駄遣いというんですか、そういうものがあるんだと言うような方々、そういう学者さんがいるようでございますが、それに終止符を打つために、これは事実は一つなわけだし、特別会計も含めたそういったものはすべてオープンにされているわけでして、それなのに解釈が分かれると。それで、与党内でおかしな議論もされている、世の中でもされている。これは本当に、さっき申し上げた、国民に正しいことを伝える、またマスコミにも正しいことを伝えるために、余りよくない方向に行っていると思っております、その点について、ストックとフロー、この点。

 まず、特別会計の中で巨額な積立金がある、これが埋蔵金であるという指摘がありますけれども、本当にそうなのか。特に、財政融資資金特会と外国為替の資金特会は、まだまだ財源として活用できるんじゃないかと私は思います。また、野党の方が委員会か何かで質問されていたように、特会については、資産・負債差額が六十八兆円ある。これはすべて埋蔵金だと言っていますけれども、これは黒字特会だけの話でございまして、これについてもどう思われるか。また、独立行政法人の資産・負債差額十七兆、これも埋蔵金だと。これについてもどう思うか。また、公益法人の資産・負債差額も十一兆円だ。これも埋蔵金だと言っている。これはストックの部分なんですね。まず、これについてまとめてお答えをいただきたい。

 そしてフロー、毎年毎年新たな支出があるフローにつきましても、もちろん、道路財源でアロマテラピーとか天下り法人との随意契約、こういうものはとんでもない話だと思います。しかし、これをもって特会の歳出の大半が無駄であるという議論、これも行き過ぎている。今、特別会計の歳出には無駄が多くて、全体として十兆円単位で大幅削減可能、これがまた埋蔵金だと。独立行政法人についても同じような議論がある。財政支出は大幅削減可能だ、これがまた埋蔵金なんだと。

 こういった、今まで申し上げたストックとフローの、埋蔵金というものに対しての指摘に対するお考えをお聞かせいただきたい。

額賀国務大臣 基本的な考え方を言って、あと、細かいことをちょっと事務局で話をしていただきたいと思います。

 私は、この前も、埋蔵金ということはあり得ない、一般会計と同じように、特別会計においても財務諸表が全部オープンになって、毎国会議論をされていることであると。それから、埋蔵金という話が出てきますと、幾らでも国にはお金があるのではないか、打ち出の小づちのように出てくるのではないかというイメージを国民に与えてしまう。それは国民に対して誤解を与えることになって、余りしっかり仕事をしなくてもいいんじゃないかとか、勤労意欲を失うことになるのではないか、あるいはまた、逆に財政論議も真剣に議論しなくなるのではないのか、日本の国の実際のあり方について真剣に目を向けなくなってしまう、そういうことの方がむしろ弊害であるという感じを持っております。

 そういう視点から、後藤田先生のおっしゃるように、しっかりとこれは、特別会計においても独立行政法人においても公益法人においても、すべて必要なものが目的があってなされておりまして、これは埋蔵金なんということはあり得ない。

 ただ、外為特会とか財政融資特会は、それぞれ積立金がなされているわけでありますけれども、それは、財政融資特会からすれば、金利の変動によって大きな損害を受けるときに積立金をなしているわけでございます。それから外為特会も、為替の変動に応じてきちっと対応ができるようにその積み立てをしているわけでございます。そして、できるだけいい運用をして、余剰金があれば、これは言ってみれば、債務残高の負担を少なくするようにしたりとか一般会計に余剰資金として繰り入れたりとかして貢献をしているということでございます。

後藤田委員 ありがとうございます。

 無駄遣いは、この記事にあるとおり、我慢勘定ということで、これは徹底的な見直しをするのは当然でありますが、その議論をし過ぎて、安心勘定がいまだ形成されないということになると、我々与党も、毎年その削減計画、まさにプライマリーバランスを達成するためにもこれからまた血のにじむような削減をして、そして国民や関係団体からまたたたかれてということでございます。より小さく小さく、小さ過ぎる政府というのは本当にいいのかなということを我々はもう一度考えなければいけない。そこで、財務大臣が、また財務省がしっかりと主張していく、そこをぜひお願いしたいと思います。

 それから、きょうは金融大臣にもお越しをいただいております。証券税制の問題につきましての考え方は私も同じなわけでございますが、証券市場自体が情報の非対称性も含めて本当に公平なのか。また、今回もサブプライムローンの問題で、格付会社がいいかげんなことを言って、それをまた日本の金融機関がいいかげんに物を買った。その前は、監査法人がしっかり企業を監査していなかった。その状況の中で株を国民の皆さんに買えと言ってもそれは不健全な、また情報の非対称性の中で貯蓄から投資へといってもこれはおかしな話だということ。

 一方で今、アメリカもそうでありますが、アメリカはたしか二年前ぐらいに個人負債が十一・九兆ドル、過去最高になったんですね。日本も、いわゆる資産はあるといっても、負債だとか、貯蓄率というのはどんどん下がってきている。投資信託をこれから郵便局で売るといっても、おじいさん、おばあさんが知らずに買って、本当のとらの子の貯蓄がなくなった場合どうするんだとか、そういう意味では、プロとアマというものが、実は日本の場合はまだしっかりされていないんじゃないか。それで投資しろと言っても、なかなか難しい。

 今、株安だということに対して、よく外資系の証券会社、アナリスト、エコノミストが、これは官製不況だとか、またその前のいろいろなコンプライアンス強化だとか貸金業法について、どこかのテレビ番組の人を使っていろいろやっているようでありますけれども、こういったことじゃなくて、今申し上げました、いわゆる日銀総裁までもが村上ファンドに金を運用してもらっていた。金持ちしか金持ちになれないじゃないか、資産を分配できないじゃないですか。そんなところに投資できるか。

 そして、一方で、実物経済である金だとか、また、この前タンカー会社の人に会いましたが、タンカーも投機的なものに使われている。そんな状態で投資へというのは、ちょっといささかおかしいなというふうに思いますし、証券会社のいろいろな調査部長だとかエコノミストとか、こういう人たちの発言でやはり投資家、国民も迷うわけですよね。だけれども、そこには全く規制が入らないんですね。彼らは、アメリカの本社に行って、アメリカの本社がこうだと言ったらそのまま日本で伝えて、それをマスコミが勝手にまたコメンテーターとして使って、その人が発信することによってまた市場が混乱する。

 例えば企業買収問題も、これは企業防衛の話をすると、恐らく外資がロビーイングするんでしょう、それはおかしいというようなことをおっしゃる。では現実はどうかというと、二〇〇六年と二〇〇七年で、外資のMアンドAの件数は百七十件から三百件を超えた。金額は六千億から三兆円になっているんですよ。ふえているんですよ。これは、この前総理に別件でお邪魔したときにこの紙をお見せしたら、コピーをと言って秘書に指示しましたよ。

 それぐらい実は現実がゆがめられた中で、さっき申し上げたように正しいことが国民に伝えられていない中で貯蓄から投資へということになると、これは私はちょっと危険だと思っております。しかし、自由社会というもの、自由経済については、僕は否定するつもりはございません。そのことについて、大臣から御意見があればお聞かせいただきたい。

渡辺国務大臣 戦前の日本では、ちょっとした産業資金は株式市場で調達をするのがむしろ普通でございました。株式市場を支える資産家階級というのも当時はいたのでありましょう。これが準戦時体制のもとで、間接金融、つまり統制型システムに移行をしていったという歴史的な経緯がございます。

 残念ながら、この準戦時体制下でつくられた間接金融重視主義というのが今日なお続いている。戦後の高度成長期にあっては、こうした統制型システムは、むしろ資金の傾斜配分という形で非常に有効だったかと思います。今日、この有効性が失われ、そして平成の時代にあって、ベルリンの壁崩壊以降、いまだに株価が三分の一の水準にとどまっている。そして、デフレからいまだに脱却できていない。こういったことを考えれば、我々は物事の本質に根差した改革を進めていくことが大変大事であろうと考えております。

 そして、この貯蓄から投資へという流れについては、今、後藤田委員が御指摘のように、情報の非対称性ということを考えれば、当然のことながら素人さんの投資家の保護ということを考えなければなりません。プロ向け市場をつくれば、これは当然規制緩和によって使い勝手のいいマーケットにしなければなりません。そういっためり張りをきかせた金融商品取引法の体制というものを我々は目指しているわけでございます。

 規制緩和と規制強化、よりよい規制、ベターレギュレーションというものを目指してやってまいりたいと考えております。

後藤田委員 今大臣から、規制緩和も必要だけれども強化も必要だという言葉を聞いて、大変安心しました。

 先般も、党でトヨタの奥田元会長をお呼びしたときに、最近、規制緩和という言葉が出過ぎている、規制改革という言葉をなぜ使わないんだというお話があって、まさに我が意を得たりと思いました。そういう意味で、渡辺大臣にも強化と緩和、めり張りある政策を打っていっていただきたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

原田委員長 次に、石井啓一君。

石井(啓)委員 公明党の石井啓一でございます。

 まず、抜本的な税制改革についてお伺いをいたしたいと思います。先日、本会議の代表質問で総理にお尋ねをしたのですが、必ずしも明確な御答弁をいただけなかったところもございますので、きょうは改めて財務大臣にもお伺いをいたしたいと思います。

 抜本的な税制改革においては、消費税のみならず、所得課税、法人課税、資産課税と、バランスのとれた改革をやらなければいけないわけでありますけれども、特に所得税については、これまでの税制改正の中で負担水準が相当低下しております。諸外国と比べても低下をしておりまして、所得再分配機能を強化していくということが大きな課題なわけであります。

 また、最近は格差是正の問題も指摘をされておりますので、そういった面からも改革をしなければいけないわけでありますけれども、私は、所得税の再分配機能の強化ということで、最高税率についてやはり引き上げるべきではないかというふうに考えておりますけれども、大臣の御見解を伺いたいと思います。

額賀国務大臣 所得税につきましては、これまでも累次にわたりまして、税制改正をした際に、勤労意欲とか事業意欲とかに配慮しながら累進緩和をしてきたわけでございます。

 最高税率を含めた所得税の税率構造のあり方についてなんですけれども、私どもは、先ほども言った勤労意欲とか事業意欲に配慮をしながら、所得再分配機能の適切な発揮、あるいは個人の多様な選択に対する中立性の確保、と同時に課税ベースの広がり、そういったことをあわせて考えていく必要があると思っております。

 先生の御指摘の意もわかるところはありますけれども、そういうところも含めて幅広く検討させていただくことが大事だというふうに思います。

石井(啓)委員 もちろん、かつてのように非常に高い税率に戻せということではありませんけれども、私は、これは次の抜本的な税制改革における非常に重要なメッセージにもなるというふうに考えておりまして、ぜひ御検討をいただきたいと思っております。

 続いて、所得税に関してですけれども、所得控除でございますが、これは言うまでもなく、税率が高くある高所得者ほど税の軽減は大きくなるわけでございます。一方で、税額控除あるいは歳出というのは一定でございますので、私は、やはり所得再分配機能の強化の一貫として、中低所得者へより恩恵を及ぼすということで、所得控除を税額控除あるいは歳出へ切りかえるということは非常に重要だというふうに思っておりますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。

額賀国務大臣 御指摘のように、所得税は、家族構成等々の事情に応じた納税者の担税力、この減少に配慮するという形から、所得課税、所得控除を基本としているわけでございます。

 これに対して、一定の政策目的を実現する観点から、所得控除を財政的支援という性格の強い税額控除あるいは歳出へ切りかえるという考え方があることはよくわかっておりますけれども、控除制度については、家族構成等の事情にどのように配慮していくかという所得税制の根幹にかかわってくることでございます。税負担の変化を含め、国民に対する影響も非常に大きくなってくる問題でございますので、私は、言ってみれば歳出とか税額控除については、これはもうちょっと幅広く議論をしていく必要があるのではないかという思いがいたします。

石井(啓)委員 続いてですけれども、いわゆる給付つき税額控除について伺いたいと思います。

 これは、課税最低限以下の低所得者に対して税額控除は当然できないわけでありますから、そのできない分を給付する仕組みでありまして、諸外国で導入をされております。抜本的な税制改革において、給付つき税額控除というのも検討課題になると思いますが、これについての御見解を伺いたいと思います。

額賀国務大臣 御党でも、石井先生もよく給付つき税額控除ということを御提案あるいはまた発言なさっていることは承知しております。

 日本の場合、生活保護ということをやっておりますので、そういう問題との兼ね合いをどうしていくのかなということについて、我々は、欧米諸国で採用しているところもありますけれども、その辺のこともちょっと考えていかなければならないねという思いがいたします。

 つまり、生活保護をやっているのに新たな給付をしていいのか、その辺をどう整理していくのかということ、あるいはまた、資産保有状況等と関係なくある年の所得水準のみに基づいて一律的に現金を支給していくことが適切なのかどうか、給付に当たって適正な支給がきちっとできていくのかどうか、各人の所得の捕捉ができていくのかどうかということにもつながることでございますけれども、そういう問題点があることも事実でありますので、石井先生のような御提言も踏まえて今後議論をしていく必要はあると思いますけれども、これは国民の皆さん方がよく納得していくような形をぜひつくっていかなければならないというふうに思います。

石井(啓)委員 今大臣が指摘された問題点も確かにあると思うんですけれども、次の抜本的な税制改革というのは、税におけるさまざまな配慮、控除における配慮と社会保障における給付というのは一体的に考えていかざるを得ないと思うんですね。そういった面で、給付つき税額控除という手法もございますので、一つの有力な選択肢として、今後やはりこういったことも活用しながら考えていきたい、こういうふうに私どもも思っております。

 続いて、消費税についてでございますけれども、やはり将来的には引き上げざるを得ないというふうに私どもも考えておりますけれども、消費税についてはやはりどうしても逆進性という課題があるわけでございます。

 この消費税の逆進性については、消費税だけでなく所得税等も含めた税制の全体の中で、これはどうバランスをとっていくかというふうに決めるべきだという御意見もございますし、また、税の面だけじゃなくて給付の面で逆進性というのは対応すべきだという御意見もございます。

 私もそれはもっともだと思うんですけれども、ただ、消費税自体で工夫できるところもあるだろうということで、ヨーロッパ諸国と同様に、将来この税率を引き上げる際には食料品に対して軽減税率を導入すべきではないか、こういう考え方もございますが、それについての御見解を伺いたいと思います。あわせて、仮に軽減税率、複数税率を導入する場合にはインボイスの導入というのが必要条件になるかどうか、確認をいたしたいと思います。

額賀国務大臣 我が党でも消費税の問題を導入したときに、そういう食料品とか生活必需品について軽減税率を設けたらどうだという議論が、それはもう熱烈にされてきた経緯があります。

 確かに、北欧とか欧州は消費税率、付加価値税が高い税率でありますから、きっとそういう複数税率があるんでしょう。日本の場合はまだ五%で、これから上げていく際にどの程度上げられるかということもあります。そういうことも含めて考えていかなければならない問題であるというふうに思います。

 それから、そういう軽減税率をつくれば、その分税収が減るわけだから、消費税そのものを高く上げていかなければならないということにもつながっていくし、では対象品目を、これもいつも相当議論がされますけれども、どうするのかとか、そういうことが議論の対象になっていくことでしょう。今後、この問題は引き続いて議論をされていくことになりますけれども、そういう問題点を踏まえて考えていかなければならないというふうに思っております。

 それから、仕入れ段階できちっとインボイス方式でやっていくことが、今後税率を高めていく際に、あるいは軽減税率とか議論をするときには必要になってくるのではないかというふうに思っております。

石井(啓)委員 では、続いて相続税でございますけれども、相続税はもともと資産再分配機能というのが期待されているわけですね。世代を超えて格差が固定しないようにという機能が期待をされているわけでありますけれども、近年になって、老後扶養の社会化に対する還元、こういう面からの機能も期待をされております。これについて、その背景とか内容等について詳しく御説明をいただきたいと思います。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、今日では公的な社会保障が充実し、老後の扶養を社会的に支えている面が強くなっております。このことが、高齢者の資産の維持に寄与するという見方が最近ございます。

 このような老後扶養の社会化の進展を背景に、昨年出されました政府税制調査会の答申におきましても、「被相続人が生涯にわたり社会から受けた給付に対応する負担を、死亡時に清算するという考え方に立てば、相続税は、遺産が相続される時にその一部を社会に還元することによって、給付と負担の調整に貢献できると考えられる。」と指摘されているところでございます。

石井(啓)委員 今の点については、まだ余り社会的に普及されていない考え方だと思いますので、これはPRしていかなければいけないのかなというふうに思っています。

 続いて、自動車関係の諸税、この国会ではガソリン税のことが焦点になっていますけれども、ガソリン税だけでなく自動車にかかる税金はたくさんございます。

 ガソリンで走る普通自動車の場合は、まず取得する段階で自動車取得税それから消費税がかかります。それから、保有する段階で、これは走る走らないにかかわらず毎年自動車税がかかりますし、また車検の折には自動車重量税がかかる。次は、走行する段階で、ガソリンを買うと今度は揮発油税、地方道路税、石油石炭税、消費税と、取得、保有、走行の段階でたくさんの税金がかかっておりまして、余りにも複雑化、多重化しております。

 抜本的な税制改革の際には、この自動車関係諸税の簡素化はぜひやらなければいけないというふうに考えていますが、御見解を伺いたいと思います。

森山副大臣 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のとおり、自動車の諸税につきましては、昨年の十二月の道路特定財源の見直しについての政府・与党間の合意の中でも、税制の簡素化が必要との指摘もあり、今後の抜本的な税制改革にあわせて、暫定税率を含め、そのあり方を総合的に検討するとされてきたところでございます。

 具体的には、今後の抜本的な税制改革の議論の中で検討していくことになるわけでありますけれども、自動車関係諸税それぞれの創設の経過、課税の趣旨、性格、また地方、国それぞれの貴重な財源となっている現実を踏まえながら、政府・与党合意に沿って適切に対応してまいりたいと考えております。

 以上であります。

石井(啓)委員 本会議でも申し上げましたけれども、私は、特に自動車重量税については引き下げる方向で検討すべきだというふうに思っています、ここに民主党の古本委員がいらっしゃれば大きくうなずいていらっしゃると思うんですけれども。

 それはともあれ、次に、今度は国税職員の定員確保と機構の充実等について質問させていただきます。

 所得税の納税者数は、平成十四年の二千八十七万三千人から、平成十八年には二千三百四十九万四千人に増加をしております。法人税の申告件数は、同じ期間で二百七十二万三千件から二百七十八万七千件に増加をしております。また近年は、FX取引、外国為替証拠金取引に係る調査で多額の申告漏れが話題になりましたように、海外取引やインターネット取引に係る調査の件数もふえております。

 このように、申告件数、申告者数が大幅に増加し、調査・徴収事務が複雑困難化し、納税業務が質量ともに拡大、拡充している中で、国民の負託にこたえ、適正かつ公平な税務行政を実現していくためには、国税職員の定員の確保、機構の充実、税務執行体制の充実、職場環境の整備等、これはぜひとも必要だというふうに考えます。大臣の御見解をいただきたいと思います。

額賀国務大臣 石井委員のおっしゃるとおり、税務を取り巻く環境については、最近は、所得税の申告件数、法人税の申告件数などが大きく増加をしておりまして、一方で国税全体の滞納残高も高水準で推移しております。また、国際取引の量的拡大や複雑化による海外取引調査等の事務の急増、あるいはまた電子商取引の利用などによって取引の実態を的確にとらえることが困難になっています。非常に難しさが増しているわけでございます。

 こうした中で、国税庁は、従来よりIT化による事務の効率化やアウトソーシングの推進などに努めるとともに、それでもなお対応困難な業務量の増大については、税務行政の困難性及び歳入官庁としての重要性にかんがみまして、定員、機構の確保に努めてまいったわけでありますが、今後とも所要の定員、機構の確保について、皆さん方の御協力を得て努力をしてまいりたいというふうに思っております。

石井(啓)委員 続いて、個別の税制改正項目についてお伺いします。

 エンジェル税制でございますけれども、来年度の税制改正の中では、エンジェル税制の拡充として、一定の中小企業に出資した金額について、一千万円を限度として寄附金控除を適用できるようにしております。寄附金控除の対象に起業期の中小企業を適用させることは初めてのことでありますけれども、その理由、背景等について確認をしておきたいと思います。

 また、寄附という本来慈善行為に対する税制をベンチャー企業等に適用するのはどうかという指摘もございますが、この点についてはどういうふうに整理されているのか、確認をしておきたいと思います。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 将来の我が国経済を支える産業技術を生み出していくために、ベンチャー企業の設立、育成を支援していくことは重要な課題であります。特に、投資リスクが高く資金調達面に問題を抱えるいわゆる起業期のベンチャー企業を支援することが喫緊の課題となっておりますし、これが公的な要請でもあると考えております。

 こうした考え方のもとで、今般の税制改正について、これまでの優遇税制、これまでもエンジェル税制は存在いたしたわけでございますが、投資段階の投資家の立場に立って投資を優遇する、この場合、特に株式譲渡所得を有する者に対しては、株式譲渡益を再投資した場合には課税所得から所得控除するというような制度をしておったわけでございますが、先生御指摘の寄附金控除を適用する仕組みにした最も一番の背景は、やはり起業を支援するということが極めて公的な要請がある、我が国の将来を考えて必要なことであるという大きな前提があるのが一点。

 それから二点目は、実際に投資する立場に立ちますと、起業期のベンチャー企業への投資というのは極めて採算性が低い、リスクが高い、一般的な投資採算性が見込まれない場合が多いわけでございます。したがいまして、こうしたベンチャー企業が資金調達を行う前提としては、やはりチャリティー的な、まさに投資採算を度外視したような出資者というものに頼るという傾向がございます。そういうことを考えまして、投資として考えるのではなくて、むしろ、ベンチャーを育成するというのをまさにチャリティー的な支援事業というふうにみなしまして、当初の段階では寄附金控除を適用する。

 そのかわり、逆に、従来は投資家優遇、エンジェルへの投資優遇として、実際に起業したベンチャー企業が上場等を行いまして投資収益が上がったときのキャピタルゲインについては二分の一に軽減して課税して、投資家の労に報いることをしておったわけですが、そこにつきましてはむしろ、もはや投資段階で寄附金控除を優遇しているわけですから、出資金額も含めてすべて利益と観念して適正な課税を行う。成功した場合には適正な課税を行うことを前提に、出資段階ではチャリティー的な要素を重視して、今回の税制改正をいたしました。

 これによって、単なる投資所得がある方だけではなくて、一般的な所得のある方も、この税制を利用することによってベンチャー企業への出資がしやすくなるというメリットもございます。

石井(啓)委員 それでは、最後の質問にしますけれども、金融・証券課税でございますが、貯蓄から投資への流れを促していくためには、投資リスクを軽減できる損益通算制度の拡充が有効でございます。来年度の税制改正で盛り込まれました配当と株式譲渡損との損益通算は、そういった面で大変評価できますけれども、さらに本格的な損益通算制度を検討すべきだと思います。

 その際、投資家の利便を考えまして、特定口座の活用も重要になってくると思います。こういった場合、どういう条件整備が必要になるのか、確認をいたしたいと思います。

加藤政府参考人 個人金融資産の効率的活用が要請される中で、個人の金融商品選択における課税の中立性を確保するとともに、投資リスクの軽減をできる簡素でわかりやすい金融所得課税の一体化を進めていくということで、現在、我々、その方向で考えておるわけでございます。今先生から御指摘がございましたように、今回の税制改正法案におきましては、上場株式の譲渡損失と配当について、これの損益通算の仕組みを導入することとしたところでございます。先生御指摘のように、今後損益通算をもちろん拡大してまいりたいと思っておりますし、簡素で簡便で納税者の使いやすいということで、特定口座の活用、大変大きな意義があると思っております。

 この問題につきまして、まず今回の改正に関連して御説明いたしますと、この損益通算、平成二十一年一月から行うようにお願いしておるわけでございますが、特定口座を利用した損益通算の仕組みは二十二年の一月から導入する予定になっております。これは、特定口座で配当の受け入れが二十二年一月から可能になるということを踏まえたものでございます。特定口座は税法上の制度ではございますが、その根っこは証券会社なり証券を取り扱う金融機関の口座でございますので、その口座自体の機能がどの程度拡充していくかということにかかっておると思っております。したがいまして、その特定口座でどのような金融収益を受け入れることができるか、それによって損益通算の特定口座の利用度が変わってくる部分がございます。

 それからもう一つ、税制面から申し上げますと、今の状況では特定口座というのは一人の個人が複数の金融機関で設けることができますので、その辺の通算をどういうふうに考えていくのか、証券会社をまたがる特定口座の管理をどのようにすることが課税の適正化で有益かということ、その部分も一つ研究課題かと思っております。

石井(啓)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

原田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

原田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 再開に先立ちまして、民主党・無所属クラブ及び国民新党・そうぞう・無所属の会所属委員に対し、御出席を要請いたさせましたが、今のところ御出席が得られておりません。

 再度理事をして御出席を要請いたしますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

原田委員長 それでは、速記を起こしてください。

 理事をして再度出席を要請させましたが、民主党・無所属クラブ及び国民新党・そうぞう・無所属の会所属委員の御出席は得られておりません。やむを得ず議事を進めたいと思います。

 両案の質疑を続行いたします。佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。道路特定財源について、引き続き質疑を行いたいと思います。

 これまで、十二次に上ります道路整備中期計画、これは、一つの計画は約五年、それも途中三年ぐらいで更新をする、こういうやり方をしてきたわけでありますが、今回提案されているのは十年であります。今まで五年でやってきたのを何で十年にしたのか、その説明をしていただきたい。

原田政府参考人 お答え申し上げます。

 中期計画の計画期間につきましては、事業が完成するまでに長期間を要することを踏まえまして、国民の皆様から見てできるだけわかりやすく、目に見える形でこれからの具体的な道路整備の姿、成果を提示できるようにということで、計画期間を十年間ということにしたところでございます。

佐々木(憲)委員 長期にわたるから十年だと。道路をつくるのに大体十年ということですか。

原田政府参考人 お答え申し上げます。

 道路はいろいろ種類がございますので、期間についてはさまざまだとは思いますけれども、十年以上かかるものもございます。そういった長期にわたるものもあるということも踏まえまして、先ほど申し上げましたとおり、計画期間を十年間ということにしたところでございます。

佐々木(憲)委員 十年程度かかるから十年にしたと。では、今までは、五カ年計画の期間は道路は五年でできていたんですか。

原田政府参考人 お答え申し上げます。

 もちろん、事業に要する期間というのは、別に今回とその前と変わるわけではございませんで、これまでは事業量を五年間で決めてきたということでございます。今回は、長期間にわたるということも踏まえて、事業量を定める期間を十年としたということでございます。

佐々木(憲)委員 これまで十年で道路をつくってきた、これからも十年でつくると。これまでは五年だったけれども何で十年になったかという説明になっていないでしょう。ちゃんと説明してください。

原田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の中期計画では、十六の政策課題を設定して、それぞれごとに具体的な目標を掲げて事業に重点的に取り組むということにしておりまして、先ほど申し上げましたように、具体的な目標、こういったものを国民の皆様方にできるだけわかりやすく成果として御提示できるようにということで、今回については十年間にしたということでございます。

佐々木(憲)委員 十六の政策課題があってわかりやすくしたと言うけれども、今までは政策課題はなかったのかといえばあったわけでしょう。今までもわかりやすくというようなことを言ってきたわけでしょう。何で五年が十年になるんですか。道路の期間、今まで大体十年かかった、これからも十年かかりますと。では、今まで十年じゃなくて五年だったんじゃないんですか。五年を十年にした理由になっていない。大臣、どこに根拠があるんですか。

額賀国務大臣 道路の中期計画をつくる十年間ということについては、今原田次長が説明したように、道路をつくる場合は、橋をかけたりトンネルを掘ったり、やはりいろいろ時間がかかる。二十年近くかかる仕事もあるというふうに聞いたりしております。

 しかもなおかつ、今までは五年間の計画でやってきたわけだけれども、当然それは見直しをしたりする中で五年間の事業展開をしてきたと思いますが、我々は、今度の十年間の中期計画においても、五年で見直しをしようということも考えておりますし、そして、中長期的に、十年タームできちっと本当に必要な道路は何なんだということを考えていくときに、今回も十六の政策課題について一定の方向づけをし、そしてお金も、予算も五十九兆円を上限として整備をしていくということの考え方に我々は理解というか賛同をして、この十カ年計画について法案を出させていただいたということでございます。

佐々木(憲)委員 説明になっていないですよ。橋をかけたりトンネルを掘ったりと。今までもやっているじゃないですか。何もこれからやるのと今までと変わらないでしょう。二十年かかるのもあると。それは前もありましたよ、二十年かかるのは。これからもあるでしょう。何で五年計画が十年計画になったのかという説明になっていないですよ。何で十年なんですかと聞いているわけです。

額賀国務大臣 だから、現下もいろいろな、これまでも説明してきたように、学童の安全だとか渋滞だとか、それから地域から要求されている切実な主要幹線道路の整備だとか、そういった問題についてきちっと責任を持って計画的にこの構想を示して、しかもなおかつ財源も確保して、必要最小限の真に必要な道路の計画を立てさせていただくという形で十年というふうにさせていただいたわけでございます。

佐々木(憲)委員 全然説明になっていない。

 きょうの朝日新聞の塩崎元官房長官のインタビューを見ますと、「五年でもいいけれど、終わらないようならば七年か十五年という説もあった。結局は十年という結論に落ち着いた」、こういうふうに言っているわけです。

 要するに、五年で区切るのは、一々暫定税率を国会にかけるのはもう大変だ、十年にしちゃえば十年に一回やればいいや、そういうことじゃないんですか。そんなでたらめな根拠で、説明にも何もなっていないですよ、今。全然なっていないよ。国交省も財務大臣の説明も、全然なっていないですよ。十年にした理由、何にもないじゃないですか。

 大体、昨年十二月の政府・与党合意では、「中期計画は、今後の社会経済情勢の変化や財政事情等を勘案しつつ、五年後を目処として、必要に応じ、所要の見直しを行う。」と書かれているじゃないですか。政府・与党合意で五年後に見直すと書いてある。だから、五年計画で十分なんですよ。十年という必要は全く出てこない。それは、要するに十年間固定させよう、道路特定財源をともかく確保しよう、そういう意図がありありと出ていると言わざるを得ないんですよ。

 では、この暫定税率は十年で最後なんですか、その先も十年やるんですか、大臣。

額賀国務大臣 今申し上げましたように、真に必要な道路計画を十年間で目標を立てまして整備させていただく、しかもなおかつ、それは五十九兆円が上限であるというふうにさせていただいております。その背景には、道路を整備するということ、環境にも配慮するということ、厳しい財政事情についても考慮するということ、そういうことから、この十カ年計画、あるいはまた暫定税率を安定した財源として確保しておくために十年間延長させていただくということになっているわけでございます。

 この十年が終わった後ということでありますけれども、もちろん道路というのはずっと、私はこれで道路建設が終了ということではないんだと思います。だからといって、では特定財源がずっと続いていくかどうかということも、これは今の段階で確実に言えることではない。しかし、はっきり言えば、これからは道路の維持、修繕、修理とか、そういうことにすごくお金がかかってくるわけでございますから、そういうときの財源をどうしていくかというようなこと等については、その時点になって考えていかなければならないということであります。

 ただ、はっきりしていることは、我々が今度の法律で道路整備を上回る予算については一般財源化をするということで従来とは違った形にしているということは、将来を考える上に一定の考え方を示させていただいているものと思っております。

佐々木(憲)委員 二十日の衆議院の国土交通委員会、ここで冬柴大臣はこう答えているんです。十年計画、これができれば、また暫定税率という話もありましたが、その思想は私にはありません。またやるという考えはないんだと。これは先ほどの財務大臣の考えと違うんじゃないんですか。財務大臣はそのときまた考えると。考えはないということは、やらないと言っているんですよ。これは大臣と考えが違うんじゃないですか。どうですか。

額賀国務大臣 いや、そのとき考えると言ったのは、いずれにしても十年後における暫定税率のあり方については、道路整備に対する国民世論とか経済の状況だとかあるいはまた環境の問題だとか、そういうことから今度の暫定税率の維持と道路の中期計画というのを出させていただいたということと一般財源化の考え方を示させていただいたわけでありますから、そういう中で暫定税率についてもその時点で総合的に勘案をしていくべきであるということであって、暫定税率を維持するとも言っておりません。そのときになって全体的な中で考えていくべきである。

 しかもなおかつ、言っているのは、道路特定財源について道路整備を上回るものは一般財源化をするということは、もう既に思想の転換が図られている、路線の転換が図られている。その延長線上でその時点で考えていくことになる、しかも総合的に考えていくことになる。推して知るべしであろうというふうに思います。

佐々木(憲)委員 路線転換が図られていると言うなら、暫定税率は十年後はもう要らない、一般財源にして、あるいは暫定税率をやめて、必要な道路は一般財源の中から確保していく、これで十分なんじゃないんですか、冬柴大臣は暫定税率を続けるという思想はありませんと言っているわけですから。

 だから、これは同じ考えなんですか、違うんですかと聞いているんですよ。

額賀国務大臣 ですから、我々は、道路の中期計画をつくる際に、道路整備はもとよりでありますけれども、財政事情だとか環境の問題だとか、そういう視点に立って考えていこうということをお示ししたわけでございます。

 そういう中で、道路については、十年たったときにどういうことになるのか、道路予算はどうすべきかということについては、新しい道路をこれまでのようにどんどんつくっていく時代ではないだろう、しかし道路の維持費というのは相当かかる、しかし、財政事情だとか環境の問題だとか、さまざまなことを考えていく必要もある、そういうことでございます。

佐々木(憲)委員 全く歯切れが悪くてさっぱりわからないですね。冬柴大臣の言っているのと財務大臣が言っているのはかなり違うと思いますよ。

 では、もう少し具体的にお聞きしますが、中期計画と暫定税率との関係であります。暫定税率を十年間維持した場合、国税、地方税、それぞれ道路特定財源の税収予測、これはどうなりますか。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省の方で中期計画を策定する際に、試算として、国税の特定財源の十年分の税収見積もりを三十兆円から三十三兆円と試算されております。

佐々木(憲)委員 それは国税分ですよね。地方税はどうなるんですか。

香川政府参考人 最近の道路特定財源は、国税が三・三兆、それから地方税が二・一兆です。先ほど、足元、下がりぎみだということも含めて、十年で三十から三十三というのを国税で見込んでおります。同じような傾向を考えれば、二十一兆よりは低い、ある程度幅を持った数字になるとは思いますけれども、我々、そこの推計はしていませんけれども、国税について今足元三・三のものを三十から三十三と見込んでいますので、例えば十九から二十一とか、そんなような数字ではないかと思います。

佐々木(憲)委員 それでは、次にお聞きしますけれども、十年間でそれだけの予想がされている。合わせて五十兆から五十四兆ぐらいになると思うんですが、あとは借入金でやる、こういう計算になりますね。

 昨年の十一月時点で、つまり道路の中期計画素案が出されたときです、事業量は六十五兆円でしたね。資料を見ていただきたいんですけれども、一枚目の一番下ですが、この財政審の建議では、「暫定税率の期限が平成十九年度末となっており、厳しい財政事情、環境面への影響等を踏まえると、現行の税率水準の維持が不可欠であり、年度末までに「具体策」に沿った改革を確実に実現すべきである。」こう書いてあるわけですね。

 つまり、六十五兆円の事業総量を達成するために現在の暫定税率の維持が不可欠だった、こういう意味ですね、これは。

香川政府参考人 道路の方の中期計画はまだ出ておりませんが、一般論として、厳しい財政事情でありますとか環境面への影響ということを考えれば、それから一方で道路整備の必要性というものを考えれば、現行の税率水準の維持が不可欠であろうという趣旨の建議をいただいたんだと思います。

佐々木(憲)委員 六十五兆をやるために、六十五兆の事業を進めるためには暫定税率の維持が不可欠である、そういうことですね。昨年の十一月ですから、ちょうど道路中期計画の出たときです。そのときに、六十五兆がそのためには不可欠である、こう言っていたわけですね。六十五兆のために暫定税率を維持しなければならぬ。

 しかしその後、大臣、十二月に政府・与党合意で五十九兆円になったわけです、五十九兆円に。六兆円下げられた。六十五兆円の事業のために十年間暫定税率を延長すると言っておりましたけれども、五十九兆円になったわけですから、それに見合った暫定税率の引き下げというのは当然やるべきだ、六兆減ったわけだから。

 六兆分の暫定税率は何%になりますか。

額賀国務大臣 数字は後でお話ししますけれども、これは基本的には、先生が提案された資料においても、いずれも、二〇〇五年の十二月九日の政府・与党の会議においても財政事情だとか環境面とか書いてありますよね。それから、二〇〇六年の場合も、厳しい財政事情だとか環境面だとか、だから暫定税率を維持しなければならないんですよということを書いてありまして、その財政審のところにもそういうことが書いてありますけれども、それ以前からそういう考え方がなされているわけでございますから、ここへ来て突然、不可欠であるということが出されてきたわけではないわけでございます。

 五十九兆円になった分がどれくらいの税率であるかについては、事務局にお答えさせます。

香川政府参考人 十年間の六兆円分が税率でどれぐらいになるかという御趣旨の御質問だと思いますけれども、例えば揮発油税で申しますと、二十年度二兆八千億税収がありますが、うち半分、一・四が上乗せ分になります。六兆円というと、一年にしますと六千億ですから、この揮発油税に乗せている分の半分以下ぐらいということになりますかね。今、一・四兆乗っています。そこが六千億という勘定になると思うんですけれども、そういう数字です。

佐々木(憲)委員 要するに、総額が六十五兆から五十九兆円に下がると六兆円マイナスになるわけですよ。六十五兆のときには全額暫定税率が必要であると。五十九兆円になったら、例えばガソリン税、これは今暫定分が一・四兆、これが〇・六兆下がる、こういうことになるわけですね。それは、ガソリンにすべて還元したらそうなる話なんです。あるいはほかの、石油ガス税その他ありますよね、どのように配分するかは別としまして。暫定税率がこのまま維持されるという必要はないわけですよ。暫定税率はそのまま維持というこれは、五十九兆に合わせて下げる、下げて出し直すというのが当然じゃないですか。

額賀国務大臣 これは、考え方としては、税収が入った分をそのまま道路建設に使うということではないわけでございまして、必要な道路以外は一般財源化をするということが前提になっているわけでございますので、しかもなおかつ五十九兆円は上限である、毎年毎年できるだけコスト縮減を図ったりなんかをしていくことは当然のことだと思います。

佐々木(憲)委員 それなら、最初から一般財源化する形にすればいいじゃないですか。何も今までの税率をそのまま維持しなくたっていいんですよ。五十九兆に下がるわけだから、その分当然税率を下げて、あるいは維持すると言うなら、それをどうするかということになりますけれどもね。

 私は、これは当然下げるべきだと思いますよ。何も全部必要ないわけです。道路に必要だというのは、暫定税率全額じゃないでしょう。ですから、税率を下げて当たり前じゃないですか。何も、全部取ってその中でまた考えますよという話じゃないでしょう。当然下げて出すべきだ。

額賀国務大臣 だから、基本的には、道路財源でございますから、ユーザー、道路を使っている方々にその負担をお願いしている特定財源でございますから、一般財源化をすると、そういう納税者の理解を得なければならないという前提が必要になってくるわけであります。しかもなおかつ、我々は、道路、環境、財政事情、そういうことを勘案しながら考えていくという基本的な姿勢を持っているわけでございます。その中で、我々は道路整備を上回るものは一般財源化をして、道路以外の分野に使わせていただいているということになっているわけでございますから、何も暫定税率を引き下げる必要はないということでございます。

佐々木(憲)委員 これは全く説明になっていないと思います。一般財源化するとユーザーの理解が得られないので、その範囲内で、理解を得られる範囲でやる。つまり、道路関連あるいは自動車関連に使うと。これは一般財源化じゃないんですよ。いわば括弧つきのにせものの一般財源化ですね、最近はやりの。そういうものに使われる。

 つまり、本当の一般財源化というのは、何にでも使えるものにしなきゃいけないんです。それを、極めて一部で、この前も私ここで議論しましたけれども、全体の数%を一般財源だと言うけれども、それは使い道は限定されているわけです。道路関連と自動車関連です。それ以外に使えないというのが今の政府のやり方じゃないですか。これはにせものの一般財源化なんですよ。

 しかも、一般財源化と言うならば、本来全額を一般財源にすべきなんです。もともとこの性格は、導入のときから目的税ではない、そういう性格のものでしょう。だから、特定財源というものの法律はやめて、全額一般財源に目的税ではない形で入るから、一般税として入るから、それをベースにして、道路に関連するところには必要なところはつくる、それ以外には自由に使える、そういうものにすべきだというのが我々の考えですけれども、政府、大臣の考えは、何が何でもともかく暫定税率まで全部国民から取る、その上で、道路に関係のあるところには使う、それ以外には使わない。いわば、暫定税率死守路線といいますかしがみつき路線というか、そういう考え方ですよ。これは余りにも国民の考えとはかけ離れている、そういうふうに思います。

 次に、国際比較についてお聞きしたいと思います。

 今まで、アメリカでも、イギリス、ドイツ、フランスでも、道路特定財源というのが過去導入されたことがありました。これは、現在どうなっていますか。

香川政府参考人 諸外国におきましては、道路整備に要する費用の大きさや財政需要、それから各国さまざまな事情に応じまして、道路特定財源制度が維持されているケースや、必要に応じて一般財源化を含めた見直しが行われてきたケースがあります。

 ガソリンに係る税の使途ということで見てまいりますと、現在、イギリスやフランスでは特段の定めがなくて一般財源として用いられている一方、アメリカやドイツでは税収の一部が道路のための特定財源として使われております。

佐々木(憲)委員 今説明がありましたように、私の配付資料を見ていただいてもわかりますが、例えばイギリスの場合、これは少し古いんですけれども、一九〇九年、特定財源として自動車関係諸税、石油関係諸税が創設された。石油関係課税収入を一般財源化したのが一九二〇年代。一九三七年には自動車課税収入を一般財源化した。その理由は、道路基金の税収が道路歳出を大幅に上回り、道路基金の留保額が増大したためであると。

 フランスの場合は、一九五一年、特定財源が導入されました。しかし、一九八一年には石油産品内国消費税を一般財源化した。したがって、現在はもうないわけであります。その理由は、歳出に応じて歳入を決められるという状況であったためと。つまり、歳出があるから歳入が必要だという考え方、逆転した考えになる。それから、道路予算が一般会計及び基金の両方から支出され、複雑になっている、特定財源は予算の総合性を乱す、そういう理由でこれはもう全部一般財源になったわけですね。今、イギリスにもフランスにもないわけです。

 では、アメリカやドイツというのはどうなっているのかというと、アメリカは、一九五六年、特定財源が導入されました。しかし、九〇年に一部を一般財源に変えた。その理由は、財政赤字を解消する、そのためだと。

 それから、ドイツの場合は、一九五五年に特定財源化が行われましたが、一九六三年、これは一部ですけれども、一般財源化が行われた。景気後退と軍事費及び社会保障費の増大により財政難に陥ったためである、だから一般財源化したんだ。こういう経過なんですね。

 つまり、イギリスを除いてアメリカ、ドイツ、フランスの場合は、戦後、ちょうど日本が道路特定財源を導入したほぼ同じ時期に同じことをやったわけです。しかし、これらの国は、税目をどんどんふやすなんということはやっておりません。それから、税率をどんどん上げるというようなこともやっておりません。むしろ、一般財源化を進めてきた。そして、イギリス、フランスはすべて一般財源になった。これが経過であります。

 ですから、税目をどんどんふやしたり一般財源化をしないというようなところは、一般財源化に制約をつけているような国は非常にまれなわけです。日本が極めて特異な状況だ。大臣、そういう認識はありませんか。

額賀国務大臣 今、佐々木委員のお話を聞いていまして、それぞれの国で道路特定財源ということは経験なさっている。それがその後、いろいろな財政需要あるいは財政事情、さまざまな点でいろいろと変遷をしている。アメリカの場合は、最近はまた道路に使っているということも聞いております。

 戦後の数十年の間に特定財源で道路整備が相当進んできたこと、これは佐々木先生もお認めになると思うんですね。これからも、通学路だとか渋滞だとか基幹道路だとか、そういう整備をしてほしいという切実な要望もあるわけでございます。そういうことにもこたえていくと同時に、特定財源というのは、先生もおっしゃるように、やはり柔軟性を欠く場合もある。そういうものについてはやはり考え直していかなければならない。そういうことから、今度、道路整備を上回る分野は一般財源化をするということで一定の改革をしたということになるわけであります。

 しかもなおかつ、今度は道路整備も、本当に必要な道路は責任を持ってちゃんと計画を立てて、しっかりとユーザー、納税者の皆さん方にもわかってもらえるようにしようということで、十カ年計画を立てて、暫定税率もそれに合わせて十年間延長させていただくということになっているわけでございますから、日本の道路特定財源についても、考え方としては、今までは道路の特定財源の収入は道路だけに使っていたけれども、今度はそうではないんですね。道路はもちろん含まれるけれども、環境とか財政事情とか、そういうことを考えながら一般財源化を図ったということでございますから、今までの考え方とは非常に大きく変化をしているということを御理解いただけるのではないかというふうに思います。

佐々木(憲)委員 一般財源化したと言いますけれども、今までのやり方とそんなに変わらないんですよ、ほんの一部であり、またその内容が制約されているわけですから。

 それぞれの国の状況というのは違うということもおっしゃいましたが、例えば財政赤字、それはほかの国だって財政赤字がありますし、そのためにということで一般財源化しているわけですね。日本も、ほかの国に比べて財政赤字の規模は非常に大きいわけでしょう。

 それから、道路整備が進んできたと。これは、ほかの国だって道路整備が一定水準まで来たからやめたわけです。あるいは一部一般財源化したわけですね。日本は、ほかの国よりももっと進んでいる面もあるわけです、整備の上では。したがって、これはもう続けていく前提が崩れている。

 あるいは、道路整備を上回る分は一般財源化すると言うんだけれども、道路整備そのものが必要か必要でないか、これだけは必要だというものを毎年査定してやっていくとおっしゃいましたよね。それならば、何も目的税は、目的税的な道路財源というものは必要ないんです、一般財源の中から道路に必要なものを充てればいいわけですから。

 ですから、説明を聞いていても、特定財源がどうしてもなければならないということにはならないんですよ。今の説明では逆に、これはもうそろそろ一般財源にすべき時期だな、大臣の答弁を聞いているとますますそういうふうに思わざるを得ませんね。

 では次に、公共投資の全体の計画との関係でお聞きしたいと思います。

 一九九〇年代につくられた公共投資基本計画というのがありました。これは事実上アメリカから押しつけられたものでありまして、日米構造協議のもとでつくられました。当初は四百三十兆円という規模でしたが、その後、一九九五年から十年間で、六百三十兆円だというように大規模な膨れ上がり方をしたわけです。結局、この公共投資基本計画、これはどうなったんでしょうか。

香川政府参考人 公共投資基本計画につきましては、資源配分を硬直的なものとし、経済動向や財政事情を迅速に事業へ反映することを困難にしているというような批判がございまして、それを踏まえまして、平成十四年の「構造改革と経済財政の中期展望」におきまして、経済財政全体の姿と整合性をとった形で社会資本整備の基本的な考え方が記述されることとなったため、平成十四年に廃止されております。

佐々木(憲)委員 現在は、これはもう廃止されていると。

 この公共投資基本計画には、いわば全体の総額が書き込まれておりましたが、総論的な位置づけと言ってもいいと思うんですね。それで、各論は何かといいますと、公共事業五カ年計画ということで、道路、港湾、空港など個別分野ごとに公共事業の長期計画がつくられる、そういう形で進められたわけですね。各分野の五カ年計画、それは何種類計画があって、今どうなっていますか。

香川政府参考人 公共事業関係の長期計画は、当時十六ございました。そのうち国土交通省関係の九つの長期計画につきましては社会資本整備重点計画ということに一つに統合されまして、あと残り七つの長期計画につきましては五つに整理統合されております。

佐々木(憲)委員 資料の三枚目を見ていただきたいんですが、当時十六の長期計画があったわけですね。この全体が整理統合されたわけであります。

 資料の四を見ていただきますと、当時の国土交通省は、これは経済財政諮問会議、二〇〇二年十一月八日に扇国土交通大臣が提出した資料であります。「新たな長期計画の見直しの基本的な考え方」、これで先ほど説明のありました九つが一つに統合されるということが行われたわけです。

 この中に、「新たな長期計画の見直しの基本的な考え方」という見出しで、左の下の方に白抜きで書かれている部分があります。これを見ますと、長期計画批判、つまり、五カ年計画という形で事業を総額を決めて推進する、そういうやり方を批判するということなんですね。これは予算獲得の手段になっているとか、分野別配分が硬直化する、それから計画の縦割りがある、緊急措置法は廃止も含め見直すべきである、こういうことで、長期計画そのものに対してこういう批判的見地を表明したわけです。

 それから、下の方を見ますと、公共事業批判ということで、必要性の低い事業が行われがちである。つまり、総額を決めてやる、税収があるからやるというふうなやり方は必要性の低い事業が行われがちである、とめる仕組みがない、事業の重点化、効率化がなされていない、地方自治体や国民の声を十分聞いていない、こういう大変適切な批判が行われた。これは国土交通省の内部からこういう指摘があったわけであります。

 国土交通省としては、今でもこの見地は変わりませんか。

原田政府参考人 お答え申し上げます。

 ここに書かれている考え方、基本的に変わっておりません。

佐々木(憲)委員 額賀大臣も同じ考えですか。

額賀国務大臣 的を得た考え方だと思います。

佐々木(憲)委員 では、いまだに事業費総額を明示した形で長期計画を続けているのはどの分野ですか。

香川政府参考人 もともと、長期計画を見直したときに一番重要なのは、計画策定の重点を従来の事業量からむしろ達成される成果、アウトカム目標に変更したということであります。道路に関しても、もちろんこういうアウトカム目標を持っておりますが、道路整備については、この欄の中でただ一つ、事業量も別に書いております。

佐々木(憲)委員 道路だけが事業費総額を決めてやっているわけです。ほかはそういうやり方をしているのはないわけですね。何で道路だけなんですか。道路だけなぜ残ったんですか。

香川政府参考人 道路整備事業につきましては、道路特定財源として自動車ユーザーに負担をお願いしているということでありまして、今後、どのような対象に幾ら税金が充当されるのか国民に説明していく必要があるということで、道路整備費の財源等の特例に関する法律に基づきまして事業量を決定しております。

佐々木(憲)委員 今の説明を聞いてもわかりますように、大体、公共事業計画、五カ年計画というやり方は、予算獲得の手段に成り下がっている、分野別配分の硬直性を招く、計画が縦割りである、緊急措置法は廃止も含めて見直すべきだ。公共事業の点でいっても、必要性の低い事業が行われがちだ、とめる仕組みがない、事業の重点化、効率化がなされていない、地方自治体や国民の声を十分聞いていない。こういうことを国土交通省も、今財務大臣も、まことに的を射た指摘である、そういうふうに言っていながら、道路だけ何でこれは続けるんですか。特定財源があるからそうなっている、こういう話ですね、今。

 ですから、道路がこういう形で必要のないところも使われる、必要性の低いところにも使われるとか、重点化、効率化がなされていないとか、こういう批判を招いても続けているわけですよ、総額明示方式を直さないで。ですから、道路特定財源というものがあるからこそそれが、批判があっても、批判何するものぞと続けられているわけです。これはやはり仕掛けとしてはおかしい。

 財務大臣がおっしゃったように、これが適切な批判であるというなら、当然道路も含めてそういう見地で見直す、これが必要なんじゃないですか、どうですか。

額賀国務大臣 ですから、我々は、今までは道路の財源、収入はそのままストレートに道路整備に使ってきたけれども、今回はちゃんと中期計画をつくって、真に必要な道路整備だけに向ける。しかもなおかつ、それも五十九兆円という上限を設けます。そして一方で、道路特定財源を、道路整備を上回るものは一般財源化をして他の分野に使わせていただくというように、我々も柔軟性を持たせて、今考え方を転換させてもらったということでございます。

佐々木(憲)委員 いや、それが転換になっていないということなんですよ。転換すると言うなら、全部一般財源化したらいいじゃないですか。どうしていつまでも固執して、一般財源化というのは本当に数%の微々たるもので、しかもそれを、道路関連だとか自動車関連とか、そんなことばかり言って制約を加えて、総額全体を確保しようという意図だけが見え見えで、だから、入ってきたら全部使う、九十数%道路整備に使うという、その仕組みが続いていることが問題なんですよ。

 だから、今までのそういうやり方というのはもうこの辺で根本的に見直す、こういう姿勢がないと新しい方向には向かわないと私は思うんです。大臣、そこを踏み込むという決意は一切ないということですか。

額賀国務大臣 もう既に踏み込んでいまして、だから一般財源化を図らせていただいているわけで、しかもなおかつ五十九兆円を上限化していくわけであります。こういうことを経過しながら、永遠にこれが続いていくものとも思いません。既にもう改革の端緒を開いたわけでございますから、そこは佐々木先生もきっと心の中では御理解をいただいているのではないか、こう思います。

佐々木(憲)委員 いや、私は心の中でも理解しておりません、このやり方は。全然理解できませんね。全面的な一般財源化を行う、そして無理に引き上げている暫定税率は下げる、これが当たり前のやり方だと思っておりますから。いつまでも特定財源にしがみつくような、自民党の中には、道路族だとか何とか族だとかといろいろ言われていますけれども、そういう関係の、建設関係の業界から献金をもらい、そして選挙運動をやって票集めをやって、そういう体質があるから、これはいつまでも直らないんじゃないですか。その点は、また別の機会にじっくりやるというふうにしたいと思います。

 では次に、小泉内閣でやろうとした一般財源化というのは一体何だったんだろう。

 小泉内閣が発足した直後、二〇〇一年五月に小泉総理はこう述べたんです。党内に賛否両論があるのも承知しているが、道路特定財源の使途を抜本的に見直したい、こう言明したんです。また、塩川財務大臣も、産業基盤としての道路整備はおおよそ完成した、こういうふうに述べて歩調を合わせたわけですね。

 ちょうど二〇〇二年度が、道路整備計画の終了年度に当たっておりました。ちょうどいいタイミングでそういう問題提起が行われたと私は思います。ところが、当時、道路特定財源は自民党道路調査会の聖域と言われ、総務会の反発も大変なものだったというふうに報道された。結局、これはどうなったんですか。

森山副大臣 佐々木委員がおっしゃいますとおり、小泉政権下では、一般財源化を図ることを前提として、納税者の理解を得つつ、具体案を得るという基本方針が決まりました。その後、安倍政権のもとで、この基本方針のもとで、税収の全額を道路整備に充てることを義務づけております現在の仕組みを改めて、毎年の予算において、道路歳出を上回る税収は一般財源化するということが決められました。いわゆる新しい仕組みができたのだというふうに理解をしております。

 今後とも、この新たな仕組みのもとで、歳出改革の徹底を図りながら、納税者の理解を得つつ、可能な限り一般財源の確保に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

佐々木(憲)委員 先ほどから、これは一般財源にしたしたと盛んに言いますけれども、それがいかに虚構のものであるかということは、この議論を通じて明らかになったと思うんですよ、やったやったと言ったって数%なんですから。やるなら、半分ぐらいやったら、やったというふうになるでしょうけれどもね。

 ともかく、六%やって、もう全部やったみたいな、一〇〇%やったかのような宣伝は、これはいかがなものかと思います。針小棒大というのはそういうことなんですよ。しかも、その使い道が非常に限定されている。暫定税率は依然として維持する、全額確保して道路がほとんどだ、こういう話ですから、これではだれも納得しないと思います。

 小泉内閣時代に、二〇〇二年度予算で、特定財源のうち道路整備に回されて余った財源、自動車重量税の一部、二千二百四十七億円を道路整備以外に回した、これが最初だったわけですね。このとき、扇大臣は、異例の措置だが〇二年度限りのこととしてやむを得ない、こういうことで受け入れたんです。しかし、当時の二〇〇二年度予算、補正予算を組まれましたね。その補正予算で道路整備はどうなったんですか。記憶、ありますか。

香川政府参考人 今、数字を調べておりますので、お待ちください。

原田委員長 速記をちょっととめて。

    〔速記中止〕

原田委員長 速記を再開して。

 香川主計局次長。

香川政府参考人 二〇〇二年度補正予算で、道路整備として四千億の追加をしています。

佐々木(憲)委員 突然の数字の要求で申しわけなかったんですが、補正予算で四千億計上されたんですね、道路整備のために。結局、道路整備から一般財源に回したというのは二千二百四十七億円なんですよ。しかし、補正予算で道路整備が四千億組まれたわけですね。これでは、道路整備が、予算としては逆に本予算よりふえてしまったわけですよ。これが一番のごまかしなんですね。何か一般財源化したというふうに言うけれども、実際上、道路整備の予算が、減るどころかふえてしまった。本予算でほんの少し一般財源化したけれども、補正予算で帳消しにして、道路予算はもっとふえた。

 二〇〇三年度予算ではどうなったか。これは数字を聞くと時間がかかりますから紹介しますと、本四公団の債務処理を自動車重量税から充当することを決めた、これは、〇六年度までの四年間で、合計一兆四千六百四十五億円なんです。

 二〇〇四年度予算では、ETCやまちづくり、都市再生事業、こういうことに使途を拡大した。これは、道路以外だけれども、しかし道路関連ですね。その後、二〇〇四年、五百二十九億円、それがそういうふうになった。

 その後、二〇〇五年度には九百四十二億円。二〇〇六年度、千五百六十八億円。二〇〇七年度、千八百六億円。二〇〇八年度、千九百二十七億円。全体の中でいいますと〇・何%とか、本当に数%の範囲なんです。しかも、それが道路関連、自動車関連、こういうところに限定された使い方になっているわけです。これは、道路関連事業、道路関連経費ということで、その枠の中での拡大であって、全然一般財源化とは違うものであります。

 お聞きしますけれども、この広げてきた広げてきたという中から、福祉予算ですとか医療とか社会保障、そこに使ったものというのは何かありますか。

香川政府参考人 ないと思います。

佐々木(憲)委員 ですから、これはもう本当に、一般財源というのは、大臣は盛んにおっしゃいますけれども、本来の、真の一般財源とは全くほど遠いものなんです。だから、この際、福祉にも医療にも使えるような一般財源の方向を検討する、そういう考えはありませんか。はっきりここで言ってください。

額賀国務大臣 今までいわゆる道路以外の使途拡大予算というのは道路関連という形になっておりますけれども、この八年度の一千九百二十七億円というのは形の上では全くひもつきではありません。結果的に、環境とか、信号機をつくったりした予算額の、一般会計から出されている予算額の範囲の中に入っているとは言えますけれども、ひもつきで、きちっとこういうところに使いなさいという形で一般財源化されているわけではない。

佐々木(憲)委員 ひもつきという形じゃないけれども、枠がかかっているんですよ。それで、先ほど御答弁がありましたように、社会保障に使ったためしは一度もないんです。使ったら使ったと言っていただければいいわけです。

 そういう意味で、今回のこの一般財源化と言われているものの中身は、全く本来の一般財源とは違う。それから、一般財源と言うなら、全額一般財源にしてから言っていただきたい。真の一般財源という意味で言うべきだというふうに思います。

 そういう意味で、私は、今のこの政府の提案、政府のやり方というのは、全く実態が、道路財源を確保し、道路のために使うという基本姿勢は変わっていない。そこを変えるべきだということを最後に申し上げまして、質問を終わります。

原田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時十三分散会


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