衆議院

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第16号 平成21年4月15日(水曜日)

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平成二十一年四月十五日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 田中 和徳君

   理事 江崎洋一郎君 理事 木村 隆秀君

   理事 竹本 直一君 理事 山本 明彦君

   理事 吉田六左エ門君 理事 中川 正春君

   理事 松野 頼久君 理事 石井 啓一君

      安次富 修君    石原 宏高君

      稲田 朋美君    越智 隆雄君

      近江屋信広君    亀井善太郎君

      後藤田正純君    近藤三津枝君

      佐藤ゆかり君    鈴木 馨祐君

      高鳥 修一君  とかしきなおみ君

      中根 一幸君    林田  彪君

      原田 憲治君    平口  洋君

      広津 素子君    松本 洋平君

      三ッ矢憲生君    宮下 一郎君

      盛山 正仁君    山本 有二君

      池田 元久君    小沢 鋭仁君

      大畠 章宏君    階   猛君

      下条 みつ君    鈴木 克昌君

      寺田  学君    古本伸一郎君

      松木 謙公君    和田 隆志君

      谷口 隆義君    佐々木憲昭君

      中村喜四郎君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       与謝野 馨君

   内閣府副大臣       谷本 龍哉君

   総務副大臣        石崎  岳君

   財務大臣政務官      三ッ矢憲生君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  利根川 一君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  内藤 純一君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    三國谷勝範君

   参考人

   (独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構理事長)           平井 正夫君

   参考人

   (日本郵政株式会社執行役副社長)         山下  泉君

   参考人

   (日本郵政株式会社専務執行役)          佐々木英治君

   財務金融委員会専門員   首藤 忠則君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十五日

 辞任         補欠選任

  稲田 朋美君     高鳥 修一君

  亀井善太郎君     安次富 修君

  関  芳弘君     近藤三津枝君

  宮下 一郎君     近江屋信広君

  古本伸一郎君     松木 謙公君

同日

 辞任         補欠選任

  安次富 修君     亀井善太郎君

  近江屋信広君     宮下 一郎君

  近藤三津枝君     関  芳弘君

  高鳥 修一君     稲田 朋美君

  松木 謙公君     寺田  学君

同日

 辞任         補欠選任

  寺田  学君     古本伸一郎君

    ―――――――――――――

四月十五日

 保険業法改定の趣旨に沿って、自主共済の適用除外を求めることに関する請願(田嶋要君紹介)(第一八九一号)

 酒類小売業者の生活権を求める施策の実行に関する請願(木挽司君紹介)(第一九三〇号)

 同(武部勤君紹介)(第一九三一号)

 同(中馬弘毅君紹介)(第一九三二号)

 同(阿部俊子君紹介)(第一九七〇号)

 同(中野正志君紹介)(第一九七一号)

 同(中山太郎君紹介)(第一九七二号)

 同(西村明宏君紹介)(第一九七三号)

 同(橋本岳君紹介)(第一九七四号)

 同(渡辺博道君紹介)(第一九七五号)

 消費税率引き上げ反対に関する請願(照屋寛徳君紹介)(第一九三三号)

 消費税増税をやめ、所得税・個人住民税の非課税基準の引き上げを求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一九六一号)

 同(石井郁子君紹介)(第一九六二号)

 同(笠井亮君紹介)(第一九六三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一九六四号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一九六五号)

 同(志位和夫君紹介)(第一九六六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一九六七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一九六八号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一九六九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 金融商品取引法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四九号)

 資金決済に関する法律案(内閣提出第五〇号)


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、金融商品取引法等の一部を改正する法律案、資金決済に関する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、参考人として独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構理事長平井正夫君、日本郵政株式会社執行役副社長山下泉君、専務執行役佐々木英治君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官利根川一君、金融庁総務企画局長内藤純一君、監督局長三國谷勝範君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。越智隆雄君。

越智委員 自民党の越智隆雄でございます。

 きょうは、私の方から、まず資金決済法の資金移動業務について中心にお話をさせていただいて、あと時間があれば、公認会計士法の関係で何点か与謝野大臣を中心に金融庁の皆さんにお伺いしてまいりたいというふうに思っております。

 この資金決済法というのは、いわば新法でありますので、この法律ができることによって世の中がいろいろと変わってくるだろうというふうに思います。

 けさ、質問をする朝、日経新聞を見ましたら、一ページのど真ん中に「「携帯で送金」ドコモ参入」という記事が載っておりました。新法を見据えて来年にもというふうに報道がありますけれども、この内容は、個人がクレジットカードと契約して、そこから資金を引き落とす形で、ドコモを経由して別の個人あるいは業者の銀行口座にお金を移動するということを考えているという報道でございました。

 こういう記事を見ながら、資金決済法の資金移動業が新設されると、いろいろなビジネスが出てくるんだろうなというふうに思いますし、また、各年代層それぞれ使うようになっていくと、社会のあり方といいますか、生活のあり方も変わってくるんだろうなというふうに思って、ある意味ではわくわくするわけであります。また、今景気が悪い中で、新しいビジネスが出てくるというのは大変喜ばしいことだというふうに思うわけでありますが、その一方で、この新しいビジネスにはらむリスクというものもあることだと思っておりまして、この辺もやはり慎重に見ていかなきゃいけない、バランスの問題だと思います。

 きょうは、この資金決済法、資金移動業が新設されることによってどうなっていくのか、そこについて御当局、政府が資金移動業というのをどうやって育てていくかというか見守っていくか、そういう観点で何点かお伺いしていきたいというふうに思っております。

 元来、資金移動業が新設されるという趣旨は、ITなどが発達して社会環境が変化している中で、為替取引というものは、一つには銀行などの預金取扱金融機関に独占業務として認められているということ、もう一つは、それによってそのサービスの価格ですとかあるいはサービス内容、ありていに言えば営業時間とかが画一的である、それではよくないんじゃないか、社会の発達に応じて為替取引というのを門戸を開放した方がいいんじゃないかという趣旨だというふうに思うんです。

 一方で、ここ数年といいますか、ここ数十年を見ていますと、銀行などの従来のサービスとは異なる新たなサービスというのがもう既に普及しています。資金移動サービスというんでしょうか、具体的には収納代行ですとか代金引きかえですとかあるいは外国資金移動サービス業者による送金ですとか、いろいろなサービスがもう既にできてきているわけであります。

 為替取引というのは法律上の定義がないので最高裁の判例の世界でございますが、今申し上げたようなところはある意味ではグレーゾーンなのかなとも思うんですけれども、お伺いしたいことは、今回の資金決済法における資金移動業の法律の範囲ですね、この範囲というのはどこまでを含むものなのか。もう少しはっきり申し上げれば、グレーゾーンと言われていたところを白にする法律なのか、それともグレーゾーンと言われているところは、それはそれでまた別で、議論の範疇外であるという話なのか。その辺をちょっと、まず御説明いただきたいと思います。

内藤政府参考人 お答えいたします。

 まず、今回の資金決済法案でございますけれども、これは、基本的には現在銀行でしかできない為替取引業というものを銀行以外の者にも認めていこう、それの所要の制度整備を図るというものでございます。

 それから、今先生御指摘の、いわゆる収納代行サービスや代金引きかえサービスというものについてでございますが、これについては、銀行等の固有業務とされます為替取引に当たるというような可能性があり、何らかの制度整備を行うべきであるという考え方と、為替取引には該当せず、制度整備は必要でないという考え方がございまして、金融審議会におきましてもいろいろ検討いたしましたが、その取り扱いについて意見が分かれたために、性急な制度整備を行わないというふうにされたところでございます。このために、本法案では、いわゆる収納代行サービスや代金引きかえサービスを直接の対象とした制度整備は行っておりません。

 ただし、金融審議会におきまして、「制度整備を行わないことは、利用者保護が十分であることを意味するものではなく、収納代行サービス等が銀行法に抵触する疑義がないことを意味するものでもない」というふうにされておりまして、利用者保護に欠ける事態や資金決済システムの安全性が損なわれる事態が生じることがないよう、引き続き注視してまいりたいと思います。

 それから、外国の事業者が国内で提供するサービスが為替取引に該当するというような場合には、資金移動業の登録、この法案に基づく登録が必要になるというふうに考えております。

越智委員 ありがとうございました。

 今の御答弁をお伺いしながら、ある意味では狭義の為替取引の、取引の定義は変わらない、一方で、その為替取引を営む業者の範囲を拡大する、そんな法律の考え方じゃないかなというふうに思っております。

 二つ目の質問をさせていただきますが、二つ目の質問は、今回の法律の施行によって、先ほど申し上げたNTTドコモのケースがありますけれども、それ以外に具体的にどんなビジネスが生まれてくるのか、どういうビジネスを想定してこの資金決済法の資金移動業務というのを新設しているのか。その辺についての金融庁のお考えをお伺いしたいと思います。

与謝野国務大臣 資金移動業の解禁によりましてどのような新しいビジネスが可能となるか、現時点で確たることを申し上げることは困難でございますけれども、例えば、インターネットでサービスを提供する事業者が資金のやりとりをあわせて行うために参入することなどが考えられるわけでございます。先生も例に挙げておられましたけれども、携帯電話会社やインターネットの事業者など、ほかにコンビニエンスストアなどのように全国的に店舗を展開している事業者が資金移動業者となる可能性も十分考えられると思っております。

 また、各事業者においては新たな枠組みのもとで創意工夫を発揮することができるようになり、そのことによって利用者利便の向上が図られていくことを期待しているわけでございます。

越智委員 大臣、ありがとうございました。

 いろいろな形で資金移動業ができてきて、それが社会の中で適切な形でビジネスが伸びていくということを期待するわけでありますけれども、反面、一部には振り込め詐欺の温床になるんじゃないかというふうな不安を持つ方もいらっしゃいますし、この辺の健全なビジネスの運営ということについて、御当局としてしっかり管理監督していただきたいなというふうに思っております。

 次の質問をさせていただきますけれども、本法案というのは、国内の為替取引だけじゃなくて、海外、外国為替取引についても資金移動業者ができるということになるというふうに考えております。

 金融庁さんの説明資料の中でも、従来の銀行の外国送金手数料は高いと。一方で、海外の事例ではかなり安くなっているケースもあるというような話も出ています。外国送金が可能になるというふうに考えているわけですけれども、インターネットを使って外国送金ができるようになるということが想定されるわけですが、今、現状では、預金取扱金融機関、銀行は、インターネットバンキングの中で、実は外国送金のサービスを恐らくしていないと思うんですね。法人向けのサービスとしてはしていますけれども、個人のお客様がインターネットバンキングで外国送金をするサービスは恐らく提供していないんじゃないかと思うんです。

 そういう意味では、ネットバンキングで外国送金というようなサービスは、今回もしかしたら新しくできてくるサービスじゃないかなというふうに思うわけでありますけれども、この辺、利用者の不正利用についてどう考えているのか、金融庁の御見解をお伺いしたいと思います。

内藤政府参考人 お答えいたします。

 資金移動業につきましての不正利用防止の観点から、例えば以下の措置が適用されることとなると考えております。

 まず第一は、マネーロンダリングについてでございますが、資金移動業者は銀行等と同様為替取引を行うことができることになりますので、本人確認や疑わしい取引の報告を行わせるということなど、銀行等と同様の規制を適用するというふうに考えております。

 それから、振り込め詐欺などの犯罪に悪用されるということを防止するために、犯罪発生時の送金停止や返金等の措置を講じているか、そしてまた、内部におけるチェック体制が整備されているかなどといった点を登録申請の際に審査するということを考えております。

越智委員 ありがとうございます。

 今でも国内でのインターネットバンキングはあるわけですから、振り込め詐欺等々でも使おうと思えば使えるわけでございます。一方で、マネロンの話がありましたけれども、これから、インターネット上の世界ですと、日本の業者と契約している個人が海外でそれを操作することもできますし、あるいは海外で操作してその国の口座に資金を取り寄せるというようなこともできるわけでありまして、それ以外にもいろいろな形のサービスといいますかビジネスが出てくる中で、取り締まりといいますか、管理監督しなければならない範囲というのはかなり広がるんだというふうに思っております。この辺のクロスボーダー取引については、慎重に、いろいろな管理監督の仕方を御検討いただきたいというふうに思っております。

 そのクロスボーダーの関係でもう一つお伺いしたいことがございます。

 昨日の本委員会の質疑でも名前が出ていました、ペイパル社というのがございました。このペイパル社の取引というのは、今回、資金決済法が施行された場合には、法律の範囲内に入ってくる取引なのかそうじゃないのか、改めて確認したいと思います。

内藤政府参考人 外国資金移動業者が資金移動サービスを提供する場合に、クロスボーダー取引というような取引というものが考えられるわけですけれども、これについて、例えば、事業者やサーバーが外国に存在し、利用もインターネット上で行われ、資金の受け払いもクレジットカード等で行われるというような場合などについては、国内において為替取引が行われたとは言いがたい面がございます。したがいまして、このような場合には、本法案に基づき資金移動業の登録を行わせることができず、利用者保護というものを図ることが困難であるというような事態も想定されます。

 したがいまして、利用者保護の観点から考えますと、資金移動業登録を行わない外国資金移動業者が、例えばインターネット上で開設した日本語ウエブサイトで日本国内に向けて勧誘するということは禁止をしているということでございまして、このような業者につきましては、本法案の制度に基づいて登録をしていただくことが求められるということでございます。

越智委員 ありがとうございます。

 今の御答弁をお伺いしながら、外国資金移動業者が勧誘をしてはならないということが本法案の中に含まれているわけでありますが、それはそのとおりであろうと思いますが、ただ一方で、今回の、先ほどのペイパル社のケースで見ますと、その事業会社は外国の法人でありますが、日本の顧客が日本で操作をして、日本で契約されているクレジットカードの口座からお金を出すということになるわけであります。その中で一つ大きな問題といいますか、よく考えなきゃいけないなと思っているのは、この取引といいますか契約の準拠法が、外国の法律が準拠法になっているということであります。

 その場合、もしこの個人が紛争に直面した場合に、この紛争の解決は外国法に準拠して行われるわけでありまして、かなり処理が難しいんじゃないか。国内といいますか日本居住者の契約として、法人がする契約の中で準拠法が外国法という場合は結構あると思いますけれども、一般の個人が、もしかしたら知らないうちに外国法準拠の契約を結んでいるというケースになってしまうわけでありますけれども、この辺については、今後資金移動業の登録を審査するときに、もしかしたらそういった問題が出てくるかもしれないので、ぜひ慎重に対処していただきたいというふうに思っております。

 今、準拠法の話とインターネットでの外国送金の話をさせていただきましたけれども、ここでちょっと金融庁さんにお伺いしたいなと思っておりますのが、国内での為替取引の話と、国際的なといいますか海外への為替取引の話と、これを二つ分けて今回の資金決済法をつくっていく中で御検討されたのかどうかということを聞いてみたいと思います。

内藤政府参考人 外国資金移動業者が資金移動サービスを提供するという場合において、その契約の準拠法が外国になる場合であっても、基本的には、先ほども申し上げましたけれども、本法案による登録が必要になるということで、検討の結果そういう結論を出した次第でございます。

 本法案では、資金移動業者におきまして、「利用者の保護を図り、」「資金移動業の適正かつ確実な遂行を確保するために必要な措置を講じなければならない。」というふうにしております。これを踏まえまして、登録審査の際に、利用者の保護に関する措置が適切かつ十分に整備されているかどうかをチェックするということになるわけでございます。仮に、外国資金移動業者が資金移動サービスを提供する場合に、日本在住の個人が紛争処理をすることが事実上困難となるような契約締結を前提とするなど、利用者の保護に関する措置が不十分であるというような場合には、登録を拒否するといったような対応も考えられるわけでございます。

 それから、クロスボーダー取引については先ほど申し上げたようなことでございまして、国内において為替取引が行われたと言いがたいような面につきましては、では実効性をどう確保していくのかという非常に困難な問題がございます。ただ、日本の国内において送金サービスについての勧誘を行うというようなことについてはこれを禁止し、それから、そういう業を行う場合には登録というものを申請していただくということでこれを求めていくというふうに考えております。

越智委員 ありがとうございました。

 私がなぜこだわっているかといいますと、外国為替取引になっていった場合に、去年のサブプライムローンの問題のように、リスクの所在を確実に把握できる状態でなくなる可能性が出てくるんじゃないかというふうに思っておりまして、その辺については、ぜひ登録のときにビジネスモデルをきっちりチェックしていただいて、リスクの所在が明らかになるようなビジネスモデルについて登録をさせるというような形にしていただきたいなという思いがございます。

 これに関連して、今回の資金決済法で登録を認めるといったときに、場合によっては登録を認めるビジネスモデルをA、B、Cというふうな形で決めて、それについて認めていくというような形で、A、B、Cについては事前に金融庁がそのリスクを把握しているというようなやり方もあるんじゃないかな、個人的にはそんなことも考えておりますけれども、ぜひ慎重に対処していただきたいというふうに思っております。

 この点については最後になりますけれども、グローバル化やIT化の流れがある中で、新しいビジネスは積極的につくっていかなきゃいけない。そして、それが今のこの不景気の中で新たなビジネスの基軸になるかもしれない。ですから、それは積極的に後押ししなきゃいけない。そういう意味では、今回の資金決済法というのは本当に必要な法律だというふうに思っております。

 ただ、その一方で、先ほど申し上げたような、リスクの所在がわからなくなるようなビジネスについては慎重に見ていかなきゃいけないというふうに思いますし、また一方で、今回金商法の改正で金融ADRの整備ということがうたわれている中で、今回の新しいビジネスが紛争の温床になるようなことになってはならないという思いもございます。

 ぜひ、利便性の向上と安全、安心のネットワーク、この両立ができるように、登録時の審査、業務の監督、今回金融庁が積極的に推進した新法の制定だというふうに私は思っていますので、将来、問題が顕在化した際にはしっかりと責任をとるという意気込みで審査、監督に臨んでいただき、国民生活の向上に臨んでいただきたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 それでは、残された時間、次のテーマに参ります。

 公認会計士の試験の問題について何点かお伺いしていきたいと思います。

 昨今、会計監査への関心が高まっている、そういう中で累次の会計士法の改正が行われてきております。今回の金商法の改正の中でも、開示制度の見直しということが行われるわけでありますけれども、その一方で、最近聞きましてびっくりしたことが、公認会計士が余っているという話でございます。公認会計士の試験に合格しても就職先がないという人たちが結構いるという話を聞きましたので、この点について幾つかお伺いしたいと思います。

 一つ目は、平成十八年から公認会計士の試験が制度が変わったというふうに聞いておりますけれども、この経緯と内容について御説明いただきたいと思います。

内藤政府参考人 公認会計士につきましては、量的な拡大とともに質的な向上も求められている監査証明業務に加えまして、拡大、多様化しております監査証明業務以外の業務、さらには企業などにおける専門的な実務の担い手として、経済社会における重要な役割が期待されているところでございます。このような認識のもと、受験者層の多様化と受験者数の増加を図り、質の高い人材が経済社会で多数活躍するために、平成十八年に新しい試験制度に移行したところでございます。

 制度改正の具体的な内容については、まず、従来三段階五回の試験であったものを一段階二回に簡素化するとともに、一定の実務経験者などに対する短答式試験の科目の免除、短答式試験合格者に対する有期限の短答式試験の免除及び論文式試験についての有期限の科目免除制度等を導入いたしまして、あわせて、公認会計士登録に必要となる実務経験、これは二年以上とされておりますが、これについては試験合格の前後を問わないとするなど、こうした内容の制度改正を行いまして、社会人も含めた多様な方々が受験しやすい制度としたところでございます。

越智委員 それでは次に、公認会計士試験の合格者数の推移を新制度導入前後から教えてください。

内藤政府参考人 平成十八年以降、新しい試験制度に基づく公認会計士試験はこれまで三回実施されているところでございます。それぞれの試験の合格者数については、旧制度からの移行措置に伴う会計士補の合格者を除いた数字でございますが、平成十八年の合格者は千三百七十二人、平成十九年の合格者は二千六百九十五人、平成二十年の合格者は三千二十四人となっております。

越智委員 ありがとうございます。

 平成十八年から平成十九年にかけて倍増しているわけでありまして、その前の平成十七年までは旧制度で千三百人前後というのが続いていたわけでございます。この倍増したという背景は、平成十四年の金融審議会ですか、平成三十年までに公認会計士を五万人にすると。今、一万八千人ぐらいというふうに聞いておりますから、毎年三千人ペースでふやしていくというような前提があるんだというふうに思います。

 公認会計士試験の合否については、公認会計士・監査審査会というところが所管をしているというふうに聞いておりますけれども、二千人から三千人という金融庁のめどの中で、今回も三千二十四人の合格者が生まれたんだというふうに思っておりますが、その中で、約三百人がまだ就職できていない、平成二十年の三千人のうち一割が就職できないという状況になっているというふうに聞いております。

 私は、ここには問題が三つあると思っていまして、一つ目の問題は、合格者の平均年齢が二十七歳なんですね。それで、仕事をしながら試験を受けて合格した人、有職の人は三割以下で、学生ですとか専修学校に行きながら、あるいは本当に無職ということで受かった方が七割以上いるわけでありまして、若くて仕事がない人の方が合格者の中に多くて、それがどういう比率かわからないんですけれども、そのうち三百人が仕事がないという状況になっているということであります。ですから、多分、長い間かけて、この試験の勉強に人生をかけて取り組んできて、受かってみたものの仕事につけないという状態になっている、これが一点目の問題であります。

 二点目の問題は、試験に受かった後、補助業務等々の職務経験をしないと公認会計士の正式な資格は取れないわけですけれども、この二年間の補助業務にさえつけない、仕事につけないということですね。ということで、本当の正式な修了ということにならないというのが二点目の問題であります。

 三つ目は、実務補習といって研修を受けるわけですけれども、これを協会がしているらしいんですけれども、人数が三千人以上になってくるとこの協会では対応できないということで、なかなかいろいろな意味で問題が出てきているというふうに思っております。

 そういう意味では、公認会計士の皆さんのモチベーションが下がるようなことのないように、しっかり対応していかなきゃいけないと思っているんですけれども、金融庁として、この辺についてどうとらえて、どう対応していくお考えなのか、お伺いしたいと思うんです。

 もともと、産業界の方からも企業内CPAをふやしたいという意向があって、この人数をふやすという話になっているんだと思うんですけれども、企業内のCPAと監査業界の監査人と何かうまく、優秀な方々でしょうから、この方々が行き来をするような方法はないのかなというふうに思いますけれども、金融庁のお考えをお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、木村(隆)委員長代理着席〕

内藤政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、公認会計士試験合格者や公認会計士が社会のさまざまな分野で活躍できるようになるためには、公認会計士試験合格者が監査法人のみならず産業界での就職を志向することや、産業界も同試験の合格者を積極的に採用し、公認会計士が産業界と監査業界を行き来するといった人的交流というものが活発化することは非常に重要だと私どもも考えております。

 このため、金融庁といたしましても、産業界や日本公認会計士協会などとも意見交換を行っておりまして、公認会計士試験合格者や公認会計士が社会の幅広い分野で活躍できるよう、今後引き続き密接な情報交換、意見交換を図っていくとともに、まず、先ほど御指摘ございましたような公認会計士試験合格者等の今の現状の把握といったものも緻密に行ってまいりたいというふうに考えております。

越智委員 ありがとうございました。

 ぜひ、公認会計士試験、このあり方についてしっかり見ていただくことと、また、公認会計士試験に受かった人たち、有為な人材にどう働いていただけるか検討していただきたいというふうに思います。

 時間になりましたので、以上で質問を終わります。ありがとうございました。

木村(隆)委員長代理 次に、中川正春君。

中川(正)委員 民主党の中川正春です。

 引き続き質疑をしていきたいと思うんですが、先般、自民党の方から、あるいは政府の方から、十五兆円に及ぶ経済対策、三段ロケットと合わせると、それこそ財政的にもたないんじゃないか、あるいは、国債発行の額が全体の予算の半分以上、こういう形で増加をしてくることに対して市場がどう反応するかというようなことも含めて、対策が発表されました。

 私、この状況を見ていて、十一年前の小渕内閣のとき、ちょうど大臣は宮沢大臣だったんですが、そのときの状況を思い出すんですね。平成十年の十月だったと思うんですが、ムーディーズが日本の国債を格下げしたんですね、そのときに。それまでは、日本国債の格というのはトリプルAだったわけですが、それがダブルA1。これは、政府の経済対策がその当時財政出動を前提にして発表をされて、その後にムーディーズが日本の国債を格下げしたということでありました。

 そのときの理由というのが幾つかムーディーズの方から指摘をされていまして、一つは財政悪化。これは、成長率が低迷する中で、政府の景気刺激策が効果を上げずに国内債務を増大させているという評価。それから二番目は、金融の弱体化。このときは、不良債権の処理を完全にしていくということを目標にしていたんですけれども、過去の先進国の例をはるかに上回る巨額の公的資金が必要であるということもこのときわかってきたということ。それから三番目は、膨らむ年金の債務、これが解決をされていないということ。それから最後に、政府対応に不安があるということ。

 それが当時の政権に対して、今も政権はかわっていないんですが、いわゆる持続的な経済成長と財政負担の軽減とそれから金融の活力回復、こういう相反する目標の達成は困難であるということ、こういうことを評価の基本にして、トリプルAからダブルA1に格下げをしたということがありました。

 私は、今回もそうしたリスクというのは当然あるんだと思いますし、既にマーケットは、長期金利、いわゆる国債金利が上がってきているということ、これはもうしきりに新聞紙上で報道をされております。そのことを受けて、格付がさらに十年前と同じような形で格下げされるという可能性なんかを考慮に入れていくと、非常にそのリスクが高まってきているし、そういう意味で、きょうのこの後の議論の格付への影響というのは大きいわけであります。

 大臣、こうした格付ですね、国が格付されると、それがカントリーシーリングで、その格付を超えて日本の企業はそれ以上の格付には位置されない、そういう不文律もあるわけですけれども、そういうことも含めて、格付のあり方、これをどのように評価されているか。これから先、この格付が、四十兆円を超える国債発行になってくるわけですけれども、カントリーリスク、日本のリスクにどのように影響を及ぼしてくるかということ。

 これは、過去に間違った格付の使い方、あるいは格付会社自身が無責任な格付をしていた、そういう反省のもとに今回の法案の一つの改正というのがあるわけですけれども、これから将来を見て、この国の状況を見た場合に、この格付をどのように使っていくのか、これまでのような使い方でいいのかどうか、あるいは、これから影響を及ぼしてくるとすればどんなことを覚悟していかなければならないか、そのことをまずお聞きしたいと思います。

与謝野国務大臣 正直言いますと、格付会社に言われたからということではなく、やはり根本的な国の責任として、財政の規律というものを維持するということが、国民に対する責任でもありますし、また、世界の中における日本という国に対する信認でもあると私は思っております。

 小渕内閣のときも、先生御指摘のように、相当大きな財政出動をいたしました。今回は、小渕内閣のときの最大と言われたものの倍の財政出動をやっているわけで、結局は国債発行に依存せざるを得ないという状況の中で、やはり将来の財政の姿というものをきちんとお示しするということが、国内外に対する我々の大きな責任であると思っております。

 そういう意味では、やむを得ない世界経済、金融危機の状況ですから、仮に財政出動が許されるにしても、その前提というのは、やはり将来の財政に対してきちんとした姿勢を政府、国会が示すことであるというふうに思っております。

 そういう意味では、昨年十二月に作成いたしました中期プログラム、これも相当党内外でいろいろな御意見がありましたけれども、我々としては、政府経済見通しの改定、中期プログラムの改訂、また六月には、いわゆる骨太方針というものも作成をしなければなりませんので、そこの中で日本の将来の姿をどうかくか、これが政府としては問われているところではないかと思っております。

 格付会社も、デリバティブに関しましては余り世間の期待にこたえられるような格付をしてきたとは思えませんけれども、やはり一般の会社、国、こういうものに対してはかなり厳しくやってまいりましたから、そういうところの評価もきちんと得られるだけのことはやらなければならないと思っております。

中川(正)委員 その格付の問題に入る前に、もう一つだけ確認をしておきたいと思うんです。

 財政に対して責任を持っている大臣としては、当然のコメントだと思うんです。将来の財政規律というものに対してしっかりとした明示をしていく、いわゆる国の意思としてしっかりしたものをつくり上げていくということだと思うんです。

 その中で、この中期プログラムに対して必要な改訂を早急に行う。大臣の発言として、これは新聞に載っている話なんですが、今回は財政出動するが、使ったお金は税制抜本改革の中で、財源の問題として手当てしなければならない、こういう発言をされたということ。その上に立っての、必要な改訂を早急に行うということだと思うんです。

 具体的には、財源として消費税を言っておられるんだろうと思うんですが、今の大臣の、はっきりとした国民に対するメッセージとしては、いつどういう形で見直しをされると、この中身はどういう意図で発言をされたんですか。

与謝野国務大臣 税制の抜本改革の方向というのは、先生方に御審議をいただいた税法の附則に書いてある方向で、税制全体を変えていかなければならないと思っております。

 これは、財政の持続可能性、それから年金、医療、福祉、少子化対策、こういうものにも財源が必要であるので、一応、中期プログラムでは、こういう社会保障関係プラス少子化対策と将来の税制改革をリンクさせて考えているわけでございますが、今回、中期プログラムを改訂するとすれば、どういうことを考慮しなければならないのかという問題があります。

 一つは、昨年十二月に考えたときの中期プログラムと何が違っているのかといいますと、一つは、歳出が多くなった、それから、経済成長が思ったほど高くなるということは考えられない、それから、今回の経済対策で思わぬ支出があった、金利の将来の姿というのはそんなにははっきりわからない、こういうもろもろの要素を入れ、また、法人税を中心に大幅な税収減というのが、今年度だけでなく来年度、再来年度と続く可能性もあるわけですので、そういう税収減も含めて全体を見直し、これからどういう方向に進むのかということはきちんとお示ししなければならないというのが、改訂が早急に必要だという根拠でございます。

 ただ、残念ながら、経済対策の方を急いでおりましたので、具体的な改訂の中身はこれからきちんと作業をするところでございます。

中川(正)委員 先ほど挙げられた新しい要因、それぞれ一つ一つ手繰っていっても、どこかで財源をその分確保しないと、日本の財政というのは発散をしていく、そういう危機感なんだろうと思うんですね。そのときに、私は、今の与党のいわゆる経済政策それから財源を求めていく方向性と、私たちが主張をしている経済政策そして財源、方向性について根本的な違いがあるということを感じています。

 一つは、経済対策は麻薬であってはならないんだろうと思うんです。

 小渕政権のときにやった政策が、さっき、ムーディーズの中でも評価としては効き目がなかったと。財政出動をやるんだけれども、あのころは公共事業を中心にやったけれども、経済の中の構造がこれだけ変わってきている中で従来型の財政出動をやったって、これは効き目がないよという警告だろうというふうに思います。多くのエコノミストがそのように指摘をしてきたということだと思うんですね。

 それだけに、今回の財政出動というのは、一過性の麻薬効果ということではなくて、一つの経済の構造を、内需型に変えていくとよく言いますが、内需型といっても、我々は特にディマンドの方、生活者の観点から可処分所得をふやしていく、あるいは安心感というのを生活の中にもたらしていく、そんなことを構造的に恒久的なものとしてつくり上げていく、目鼻が立つようないわゆる金の使い方、税金の効果のある使い方という方向性をはっきりと目指していくべきだということ、これが一つです。

 もう一つ、財源のことについて。

 恐らく、今の政府の立場からいくと、現在ある予算措置あるいは予算設定の仕組みの延長線上に考えていくわけですから、そこから考えていく限りは、新しい財源、消費税を上げていくということも含めた、増税のできるところから取っていくという結論しか出てこないんだろうと思います、この延長線上では。

 しかし、私たちはそうじゃないんだと。今使っている税金が有効にそれだけ活用されていたらいいけれども、いろいろな無駄も含めて、活用実態としては、金は出しているけれども効き目はないんだというものがこれだけいっぱいあるじゃないかと。

 この委員会でも租税特別措置法で個々に指摘をしたように、あれも補助金と同じような形ですから、ああいう問題が構造的に政府の中にあるというふうに見ていまして、それをいわゆる機能転換するといいますか、税の機能を転換して、本当に今、そうした構造的に改革をしていく部分へ向いて集中投資をしていく、集中的に振りかえていくということが必要なときに来ているんじゃないかということ、このことを中心にして私たちの提言というのが成り立っています。

 そのことを今ここで議論するよりも、具体的には予算委員会の中で、恐らく与党から出てきた補正予算をまたいで、それの修正なり、あるいは私たちの意味合いの中で与党の方がしっかりとそれを組み込んでくれる、それで修正をした上でこれからの時代をつくり上げていくという決断をしていくということなら、そういうことでも話はまとまっていくんでしょうし、そうじゃなくて、両方が言いっ放しでそれぞれ平行線で、ガチンコやりますよということであるとすれば、それはそれで、解散という形の中で決着をつけていくんでしょうし、これから予算委員会での議論が始まってくるんだろうというふうに思うんです。

 大臣としては、二十七日に出されようとしている今回の補正についてはどちらの姿勢で運営をすべきだと、大臣個人ではどのように考えられていますか。

与謝野国務大臣 補正予算、今回の経済対策というのは別に与党のものではないと思っておりまして、これは国民の生活や国民の経済のために出しているわけですから、望ましくは、国会の中で穏やかな政策議論が行われ、与野党がある一定の方向性で合意することが理想的な状況だと私は考えております。

中川(正)委員 それは具体的にどういう形で、さっきの話が大臣の個人的な見解なのか、それとも党としての話なのか、それをもう一つ確認しておきたいんですけれども、どっちにしたって、どういう具体的な形でその話し合いというのがなされていくべきだというふうに思われますか。

与謝野国務大臣 細かいというか具体的な、委員会レベルで処理できる問題もあるでしょうし、国対委員長同士の話し合いもあるでしょうし、また執行部同士の話、あるいは党首同士の話と、いろいろなレベルでの話し合いというものは可能だし、そういうことがやはり円満な国会運営の上からいっても望ましい、私はいつもそういう立場でございます。

 これは、与党だけ努力してできるものではなく、やはり民主党を初めとした各党もそのような姿勢で臨んでいただければという強い期待を持っております。

中川(正)委員 そのことを、担当大臣として積極的に前に出ていただいて、具体的な協議、例えばこの委員会であるとすれば関連法案が四つ出てきますけれども、それについての与野党の話し合いの中で修正とか、あるいは新たな、私たちの出す対案についてのいわゆる丸のみとか、そういう流れをつくっていくということ、これはどうですか。具体的に、大臣、できますか。

与謝野国務大臣 部分修正とか丸のみとかそういう話ではなくて、やはり審議時間とか効率とかそういうことを考えますと、あらゆる問題について与野党がきちんと協議をするということは、いつの時代であっても大事だと私は思っております。

 特に、私は委員会の筆頭理事だけでも八回やらされましたので、そういう意味では、与野党協議の重要性というのは自分の経験からしても大事なことだし、どの党の御主張もやはり根拠のある御主張なので、そういうものがなるべく多く取り入れられるということが民主主義の根本かなというのが、私の率直な気持ちでございます。

中川(正)委員 いや、そんな抽象論を言っているんじゃないんですよ。具体的には竹本筆頭と私たちが話し合いをしますから、そのできたものを党へ持っていってちゃんと説得してくれますか、こういう話なんです。

与謝野国務大臣 説得するのは竹本さんですけれども、与野党で、この場で合意されたことは、我々、何の条件もなくお受け入れするというのが通常のことでございます。

中川(正)委員 何となく理解のあるようなお話をいつも大臣はされるんですが、中身をずっと拝聴していると、いや、全然これまでと一歩も出ていないんだというふうなことに終わってしまう話が多いんですけれども、さっきもそのような感じですね。これは、これ以上進めたって進展しないんでしょうから、切りかえていきたいというふうに思います。

 まず格付について、この法案の中に品質管理規定というのがあるんですね。六十六条の三十三なんですけれども、この中身ですね。これは、「信用格付業者は、信用格付業を公正かつ的確に遂行するため、内閣府令で定めるところにより、業務管理体制を整備しなければならない。」こうなっているんですが、ここが肝だと思うんですよね。いかに管理体制を、届け出であるとしても、情報開示をさせて、ここまでのことはやっているよというのを確認していく、そういう意味でこの六十六条というのはついているんだろうと思うんですが、内閣府令で定める中身というのはどういうものになっていますか。

内藤政府参考人 お答えいたします。

 特に、今委員御指摘されましたのは、業務管理体制の中でも格付の品質管理というところでございますので、それについてお答えいたします。

 内閣府令におきまして、これはもちろん今後の検討でございますけれども、例えば業務体制の整備ということで、アナリスト個人ではなく信用格付機関による信用格付の付与でありますとか、方法やモデル等の定期的なレビュー機能の設置等、それから、専門的知識及び技能を有する者の配置を行うことということで、具体的には、例えば適切な知識及び経験を有する者を用いること、高品質な信用格付を行うための十分な資源の確保、格付モニタリング、格付更新に対する適切な人員あるいは予算配分の確保などなどといったようなもの、それから、特に問題となりますストラクチャードファイナンス商品、証券化商品と言われておりますが、これの初回の格付とモニタリングの分析チームが異なる場合の専門性、資源の確保、こういったことがIOSCOの基本行動規範に述べられておりますので、これを十分踏まえながら内閣府令を考えていきたいというふうに考えております。

中川(正)委員 さっき読んでいただいたのはIOSCOの行動規範なんですよね。内閣府令というのは、さっきの話ではまだできていないんですね。だから、具体的な話というのがあって初めて私たちも、そのイメージ、どれぐらいの管理監督をやっていくのか、どういうところを具体的に踏まえてこの法律が運用されていくのかというのは、わからないんですよね。

 これは例示的に、私、ここのところのポイントを挙げさせていただきましたが、ほとんどの、いわゆるあんこになる部分、法律は枠組みですけれども、その一番大事なあんこになる部分、ここが、どの程度の規制をかけていくのかという一番大事なところなんですが、恐らく業界としてもあるいは関係者としても、そこのところを知りたい。そこのところを前提にして、我々も、この法案に対して賛成か反対かということのいわゆる判断基準にしていくわけなんです。

 今答えが出ているのは、IOSCOにそういう基準がありますから、それを参考にしてつくりますという話だけなんですね。それでは逆さまなんじゃないか。

 法案を出してくるときに、政省令や府令というのをまず出して、中身はこうですよという話を私たちにしないと、これはどの法案でも共通して言えることなんですが、議論が進められない。参考にしますというだけで、こうつくりましたという話じゃない。政治抜きで、あるいは国会抜きでこれから先は全部進んでいくわけですよ。

 私が聞かなかったら、IOSCOということを対象にしていくという、どの程度、どこの部分を、どの条項を持っていくのかというのも全くわからない。それでそのままずっと通ってしまう。しかし、そこがあんこなんだということなんですね。

 そういうことからいくと、やはり説明責任、どういうことが府令で対象になっているかというのはもらっているんだけれども、中身は、こういう項目を考えていくだけですということで、この項目をどういう基準でこういう設定をしていきますという話じゃなくて、こういう項目について考えていきますというだけなんですよ。こういうような状況の中では、なかなか議論が進めていきにくいということがわかりました。

 担当者を呼び込んで大分根掘り葉掘り聞いたんですけれども、やはり、まだできていないわけですからはっきりしたことも言えないし、国際的な話し合いの中でこれも決めていくんだという要素もある。しかし、そこで日本が何を主張するのかというのも聞いたんですが、何を主張するかということもわからない、様子を見ながらという話なんです。

 それを整理して一度出してきてもらいたい、どこまで中身を規制していくのかというのを。これでは中身がわからないんですよ、項目がわかっているだけで。調べているうちにそのことがだんだんと私もわかってきまして、これはだめだなという感じがしているんですが、大臣、作業を急がせていただいて、中身を出してきてもらえませんか。

与謝野国務大臣 これは、法律と政省令との関係でいつも議論になるところでございますが、私どもとしては、基本的に法律事項となるものは、国民の権利を制限し、あるいは義務を課すという重要な部分は、やはり法律事項であるというのは永久に変わらない。ただ、登録の手続とかあるいは技術的な問題とか細目の部分は、やはり内閣府令でやるべきだというふうに私どもは考えております。

 しかしながら、委員御指摘のように、法律の委任の趣旨を明確にする観点から、法案を御審議いただく中においても、検討条項や方向性についてきちんと説明していくことが重要であると思っておりまして、現在までわかっていることは、先生が今ごらんになっている表のように、誠実に作成したつもりでございます。

 ただし、格付会社に対する規制は、各国それぞれ違った事情あるいは違った考え方を持っておりまして、そういう中で、他の国々との考え方の整理、あるいはそういう国々との整合的な考え方を確保する意味からも、確定的な政省令案というのはお出しできないという事情はぜひ御理解をいただければと思っております。

中川(正)委員 例えば、私の手元に届いているのはこういう一覧表なんです。その中の、さっき言った六十六条の三十三第一項、これは業務管理体制なんですが、「内閣府令で定めるところにより、」こうなっているんですね。

 現在検討中の内容として私のところへ来ているのは、その中身が、公正性の保持、法令等の遵守、品質管理、利益相反の防止、報酬管理、情報管理、苦情対応、格付方針等遵守等を規定する、これだけなんです。

 こういう項目について規定をしますということはわかるんだけれども、では、具体的にどれぐらいの基準をつくっていくのか、あるいは何をもって、これでいいよ、あるいはもう少しここはしっかりと充実しなければだめだよという話になるのか。例えば公正性の保持なんというのは、具体的に何を意味するのかというのは、この公正性の保持だけではわからない。

 だから、我々が知りたいのはそこのところの中身なんですよ、この法律は特に。そんな役人の行動規範みたいなものじゃないんですよ。この法律のいわゆるあんこになる部分そのものなんですよ。この法律は特に、そこのところを私たちは注目しているわけで、そのところがこういう項目だけであらわされていることになると、つかみようがないということなんですね。

 だから、今考えているその中身、まだできていないんだから、しかし議論はしているんだろうと思うし、いろいろな諮問委員会から出してきている話もあるんだろう、IOSCOの基準もあるんだろう。IOSCOの基準をここへ持ってくるということであれば、それを持ってきて、この方向でまとめていきたいんだというふうな話をやはり我々にしなきゃいけないと思うんですよ。それができていないので、至急にやっていただきたいということなんです。

内藤政府参考人 先ほど大臣から御説明されましたけれども、この法律に係ります政省令でございますけれども、細目につきましては、私ども検討はしておりますが、基本的には、先ほど申し上げましたように、国際的な制度の整合性という観点から考えまして、IOSCOの行動規範というものが基本的ベースになると考えておりまして、これは既に国際的にも合意されている、これをベースにつくっていくんだということも合意されているところでございます。

 それから、例えば公正性等の保持ということについては、行動規範におきまして、事業上の関係の存在等により格付が影響を受けることの禁止というようなことにつきましても、こういう趣旨は盛り込んでいこうということでございます。

 先ほども申し上げましたように、公正性等の保持、法令等の遵守、品質管理、利益相反防止等々の業務管理体制につきましては、基本的には、こうしたもろもろの行動規範に書かれております趣旨をできるだけ明確に政省令に書きまして、それで、この法案の基本的な趣旨が最も生かされるような形で対応していきたいというふうに考えております。

中川(正)委員 大臣、具体的に何をするか、さっきの話でわかりますか。

 ここで述べられていることは当たり前のことですよ、公正性を保持する、あるいは法令遵守。どういう形で公正性を遵守させるのかというところが項目になってあらわれないと、そのときの担当者によって、上がってきた事項で、これはいいよ、悪いよという基準がつくれないわけですよ、担当者によって随分違ってくるという。それぐらいの網目なんですよね、これは。だから、そこのところについて、何回も言いますけれども、この法案の特に大事なところなので、ぜひ示してもらわないと結論が出ないということ。

 それからもう一つは、きのうも、この問題だけじゃなくてモニタリングについての指摘が出ていました。これについても、きのうの話では、政省令に落としていきたいというような話も出ていましたけれども、落とすんだったら、モニタリングについてどういう規範をつくっていくのか、これも具体的に示してもらいたい。そんな中で、日本が格付機関に対してどの程度の拘束あるいは監督をしようとしているのかということが見えてくるということなんですね。

 このまま今の法律だと、枠組みだけでさっぱり見えないということを、見えないというより、恐らく政府の中では、これぐらいのところだろうな、アメリカとヨーロッパの真ん中に入ってこれぐらいのところだろうなと見当をつけているんだろうと思うんだが、こっちは、そこのところを政治で決めなきゃいけないと言っているんですよ。

 ヨーロッパと一緒にやるのか、アメリカと一緒にやるのか。あるいは、規範として格付機関を監督していく、あるいは中立性を守らせていく、そういう形でいくのか。それとも、格付はできるだけ自由にして、そこから出てくるものの使い方についてもっと工夫をしていくのかということ、これの方向性によって随分違うんだと思うんですよ。

 そういうところの判断というのは政治でしょう。これは政省令でやる話じゃないと思うんですよ。それが見えてこないから我々は判断できないということなんですね。

与謝野国務大臣 委員会の御審議の過程で、各国の動向、あるいは日本として、そういう各国の動向の中で考え得るものは何かということはお示しすることはできますけれども、各国の動向も変わってしまう可能性があるわけでございますから、ある程度の、相当の裕度を持った物事の言い方をさせていただかないとなかなかお示しできませんので、その部分はお許しをいただかないといけないと思っております。

中川(正)委員 それで結構なんですよ。

 だから、国際会議に臨むときに、日本としてはこういうことを主張していきたい、こんなふうにまとめていきたいということをここでちゃんと説明してくれたらいいわけですよ。交渉した結果こんなふうになりましたというのは、また帰ってきて報告をしてもらって我々の中で議論をする、そういう話にしないと、これはいつまでたっても役人任せという話になっちゃう。そうすると結局は、あっちの顔見てこっちの顔見て、まとまるところしかまとまっていかない、日本の主張は何なんだと言われるわけですよ。

 これは一番大事なところなので、そこのところを改めて出していただくということ、これは理解しましたので、それをお待ちします。

 それからもう一つ、さっきちょっと触れましたけれども、この法案というのは、格付機関自体を登録させていくということなんですが、もう一方の、格付機関から出てきたレーティング、これをどう利用していくかということ。

 これは公的機関の中で、あらゆる局面で、トリプルAとかBBとか、この間も日銀がCPや社債を買うときの一つの基準として、トリプルAあるいはAA、A以上とか、それを下げていきますよ、BBまで行きますよとか、そんな形で、公的な中でもこれは活用されているわけですよね。それで本当にいいのかどうかということですね。

 別基準がそこから始まってきて、金融機関の中のティア1、ティア2、これも全部影響しているわけですね。こうした使い方が行政のサイドから、いわゆる役所のサイドから民間に向けて、この基準を満たしなさいよという話で今おりている。そういう体系になっている。だから、格付というのは影響力が強いんですよね。

 そこの部分について議論が全く抜けているんじゃないですかということを指摘したいんですけれども、ここについては、これから先どのように改革をしていく予定ですか。

    〔木村(隆)委員長代理退席、委員長着席〕

与謝野国務大臣 日本においても、開示制度上、機動的な証券発行を供するための要件としてこれまで用いてきた、指定格付機関の格付の要件を撤廃する予定でありまして、見直しに向けた作業を開始したところでございます。

中川(正)委員 これは非常に重要なことだと思うんです。行政的にその格付のレートを使うということ、これをやめる、撤廃すると大臣は言われたわけですが、勝手にできるんですか。

 というのは、法律事項の中で、政治がこれも判断しなきゃいけないことなんじゃないかということが一つと、それからもう一つは、格付を使わないという形になったときに、かわりに何を使っていくのかということですね。ここも確認をしておきたいと思います。

内藤政府参考人 お答えいたします。

 現在、指定の格付機関制度というものでございますが、これは内閣府令で規定をされている、開示関係について格付を使う場合に指定格付機関の格付を使うということで、それは指定をするだけの制度でございます。

 したがいまして、今回の法案の御審議のさまざまな議論を踏まえまして、今後、公的利用の見直しの結果という形で、内閣府令を改正するという形で対応してまいりたいと考えております。

中川(正)委員 大臣、これも内閣府令なんですよ。こんなこと勝手にやられちゃたまらないなというのが我々の気持ちですね。やはりこれは法律事項で、あるいは議会の賛否を問う形で議論すべき話だと思いますよ。ある日突然もうやめようというので、これはやめるつもりでいるわけですよね。それでいいんですか、大臣。大臣、それでいいんですか。

与謝野国務大臣 現在は、国会で御承認をいただいた法律の範囲内の政令で物事をやっている。決して、間違ったことをやろうとしているわけではないと思っております。

中川(正)委員 それでは、この中身を我々にちゃんと説明してください。具体的にどの部分を廃止しようとしているのか。

 そのこととあわせた形で、トータルでこの問題をやる、格付を見ていくということ、これは金融界にとっても非常に大きな問題になります。その格付にかわる評価というのは何でやろうとしているのか、ここも含めてしっかり報告してください。

内藤政府参考人 それについて概要を申し上げます。

 発行登録制度といいますのは、非常に周知性が高い上場会社等におきまして、証券を発行するというときに迅速に証券を発行できるという形で、非常に周知性の高い上場企業についてはそれが可能とする制度でございます。

 そこで、周知性の要件といたしまして、例えば発行済み株券の時価総額でございますとか売買金額でございますとか、それからその要素の一つに、格付について、社債券について二つの指定格付機関によるA格相当以上の格付を取得していることであるとか、そういった内容がございます。

 したがいまして、私どもの金融審議会でも検討いたしまして、それで、一つの格付制度の利用というものを見直していくという観点で、A格相当以上の格付の取得というような部分について、これを撤廃することが適当ではないかというふうな結論をいただいているところでございます。

中川(正)委員 項目はそれだけですか。ほか、いろいろな要件、さっき言ったように、日銀も使っているし、政府も、さっき国債の議論をしましたが、地方債等々含めて、このレートを中心にしていろいろな基準をつくっているんですけれども、そういうのはどうするんですか。

内藤政府参考人 私ども金融庁が所管しております制度でまいりますと、指定格付機関制度、これは開示制度に係るものでございます。もう一つは、適格格付機関制度というものがございまして、これはバーゼル合意の中で格付制度を用いるということでございます。

 前者につきましては、先ほど申し上げたような形で、私どもの制度でございますので、責任を持って、この中で、見直しをするべきものについては見直しを図っていく。後者につきましては、これは国際的な合意でございますので、国際的な場で検討しつつ、今回の法案の御審議における趣旨でありますとか、それから、現在、国際的にも議論されております格付制度そのものの見直しといったような観点から、見直し議論が出てくるのではないかというふうに考えております。

中川(正)委員 いや、それは重要な観点だと思うんだけれども、では国際的に、バーゼル合意の中の議論としては、日本はこれを使うのをやめようという主張をするんですか。

 さっきのように、他人事みたいな話じゃないんですよ。日本の主張をどうするのかと言っているんですよ。

内藤政府参考人 適格格付機関制度につきましては、国際的に、バーゼル合意の中で、自己資本比率の規制の中で格付を使っていくというのが合意をされております。

 これをどうするかについては国際的な場で議論されていくことだろうと思っておりますが、私どもとしては、現時点においては、これをどうするかについては目下、検討はこれからされると思いますけれども、現在明確なスタンスが決まっているというわけではございません。

中川(正)委員 では、指摘をしておきます。

 その方向も決めないままに何で日本だけがやめようという話になってきたのか、これもわかりませんし、それから、それにかわるもの、どういう仕組みをつくろうとしているのかということもわかりません。

 これはトータルで、格付機関そのもののいわゆる公正性というものをつくり上げていかなきゃいけないという方向と同時に、その使い方についても、全廃をするという形じゃなくて、法的拘束力を持たない形で、何らかの工夫をしながら参考程度に使う、あるいは相対的な価値観として使うという方向は、私は正しいんだろうと思うんです。やみくもにもうやめてしまえという話じゃないんだろうと思うんですね。

 そんなことも議論しないままに、一方的に、府令だからもう我々でできるよという話は断じて許せません。ちゃんとここへ出して、その上で、トータルで議論をする場をつくってください。

 そのことを申し上げて、時間が来たようでありますので、質疑を一たん打ち切ります。

田中委員長 次に、松野頼久君。

松野(頼)委員 民主党の松野頼久でございます。きょうは、大臣、約五十分間、よろしくお願いを申し上げます。

 まず冒頭、きのうの新聞各紙に簡易保険の不払いの記事がたくさん出ておりました。最大約八十万件あるのではないか、そしてまだ六十万件ほど受け取りがなされていない保険があるのではないかということがきのうの記事に出ておりました。

 まず、きょうはかんぽ生命の社長さんに来ていただいているんですけれども、かんぽ生命の社長にお伺いいたします。これはいつ発覚をしてこういう発表をなされたのか、教えていただけますでしょうか。

山下参考人 お答え申し上げます。

 今回の支払い点検等は、そもそも、民間生保のいわゆる不払い問題を契機にしまして、簡保でも同様の問題がないか点検する必要がある、そういうことで、当時の日本郵政公社が、公社期間中の平成十九年五月に、準備期間を経た上で、保険金の支払い点検に関する取り組みを実施することを公表しまして、開始されたものでございます。

 民営化後は、独立行政法人郵便貯金・簡易保険管理機構より委託を受けまして、本格的な準備作業を始められ、二十年一月までに、公社期間中の保険金等の支払い事案約千二百五十万件を対象に点検を行うことなどを内容とする点検計画を策定しまして、その計画に沿って鋭意作業を進めているところでございます。

松野(頼)委員 だから、いつからこのことをやろうと思ったんですか。

山下参考人 お答えします。

 ただいま御説明しましたように、十九年五月に、民間の例を見て、私どももないかということをチェックするということで始めた、取りかかったということでございます。

松野(頼)委員 二〇〇七年五月二十三日の西川社長の、当時はまだ総裁ですね、西川総裁の記者会見の中でそれをおっしゃっているんですよね。

 要は、簡易保険の保険金支払い等の点検の実施についてです、事務ミス等による支払い漏れの点検や、お客様に支払い請求を勧奨すべき点検について行うとしまして、その準備に入っておりますということをおっしゃっております。

 当時は、どういう点検をするか、どういうやり方をするかということをお話ししますと、できるだけ早く、そして正確に点検を行うということを目的として、まず二億枚に上る保険金支払いの関係書類をすべて電子化いたします。そして、点検が必要な情報をデータベースに入力して、過去の支払い履歴情報と機械的に突き合わせ、不整合のものにつきましては個別に審査を行います。

 二年前に言っているんですよ。なぜ二年間も放置したんですか。

山下参考人 お答えいたします。

 もとは千二百五十万件という膨大な案件を調べなきゃいけないということで、それを一体どういう仕組みでやるかということ自体の組み立てが非常に時間がかかります。

 十九年五月に公表いたしまして、当時は御承知のとおり民営・分社化に向けて全力を尽くしている過程でございましたので、十九年十月以降本格的な体制をつくってやりまして、その後で、今申し上げましたようなシステム化をどうするか、契約書類をどうやって今おっしゃったような形でデータ化してやるかという検討をしまして、入札手続をとってやっていくと、これは精いっぱい頑張って、今そういうプロセスになったところでございます。

松野(頼)委員 ちょっと通告にありませんけれども、金融庁に伺いますけれども、民間の不払いが発覚をしたとき、どれぐらいの期間でこれを処理したか。通告していないのでアバウトで結構ですけれども、お答えいただけますでしょうか。

三國谷政府参考人 正確な期間ということではございませんけれども、私ども、こういった問題がありまして、最初は十七年二月に一つの会社に対しまして業務改善命令及び一部業務停止命令を行っております。またその後も、いろいろな状況が判明の都度、報告を求めますとともに、必要な業務改善命令を打ってきたということでございまして、その事案に即しながら対応してきているということでございます。

松野(頼)委員 また、かんぽ生命に伺いますけれども、二年たって、完成しましたという話じゃないわけです、これから始めますという話ですよね。この二年間で何人ぐらい、保険を受け取れずに亡くなっている方、わかっているんですか、今。

山下参考人 お答えいたします。

 私ども、作業は、今申し上げましたようにシステム化をして、現に機械点検をやり、それから人の点検をやって、今最終プロセスに入っているという段階でございます。

 それから、毎年支払い件数としては、今おっしゃったのは死亡保険金のことでございましたが、ちょっと手元にあるのは満期でありますけれども、大体五百万件が満期が毎年来ておりまして、多分、全体の支払いとしては一千万件近くがいろいろな形で、入院の支払いとか、そういう形で支払いを行っております。

松野(頼)委員 いや、違うんですよ。不払いになっているのは一体何件かわかっているんですかというんですよ。

山下参考人 ただいま申し上げましたように、今、要するに契約書類を先ほど先生がおっしゃったような形でデータ化し、実際に支払ったものとのチェックを機械でやり、人が見て、そういう意味での事務ミスとか、そういう形で不払いになっているんじゃないかという最終的な確認のプロセスをやっている最中でございまして、今、最終的にどれぐらいあるかという段階にはまだ来ていないということでございます。

松野(頼)委員 ということは、これはもう作業をスタートしているわけですか。

山下参考人 今の作業の段階を申し上げますと、機械点検が最終段階に来ております。それから、この終わったところから順次人の、専門家と派遣社員による目視点検。機械で見ると、ドイツ語とかが読めないとか、いろいろなことがございまして、目でチェックをしまして、最終的に専門家がこれが不払いに該当するかどうかをチェックして確定するという段階で、まだその段階には来ておりませんけれども、機械点検と目視点検の、今は機械点検の最終プロセス、それから目視点検の最中ということでございます。

松野(頼)委員 今回、日本郵政さんから今回の作業の内訳というのをいただきました。資料の四につけてあります。これは約三百億の経費がかかる、報道でも出ていましたけれども。では、一番上のこの百二十億かかるデータ入力の委託、これはもう見積もりとかできて、契約しているんですか。

山下参考人 これは作業の一番最初の段階でございます。去年の夏ぐらいから、去年の七月から取りかかっておりまして、これはほぼ終了段階にまで来ております。

松野(頼)委員 そこの百二十億は確定でいいんですね。

山下参考人 はい、これはそのとおりです。契約をして、執行をして、今最終段階にあるということでございます。

松野(頼)委員 では、上から七番目の支払い点検に関する労働者の派遣、派遣会社に頼んで三十一億円ということですけれども、この一人の日当は幾らですか。

山下参考人 お答えいたします。

 ここは一般競争入札でテンプスタッフが落としまして、三つの拠点でやっておりますので、地域性がございますのでそれぞれ異なりますけれども、埼玉では一人当たり一日千二百六十三円、新橋、千七百七円、横浜、千百六十三円ということでやっております。(松野(頼)委員「一時間」と呼ぶ)失礼しました。一時間です。

 これは派遣会社でございますから、私どもの募集とか労務管理とか、そういったいろいろな研修とか、そういうところについて委託しているので、実際に働いている方に支払われているのは、その分から派遣会社の方が払っているということでございます。

松野(頼)委員 これは、作業が完成して、何人に不払いだったというのが完了するのはいつですか。

山下参考人 お答えいたします。

 支払い点検作業につきましては、今申し上げましたように目視点検を進めている段階でございまして、今後、かんぽ生命の社員による最終的な点検並びに支払い検討を行う作業を順次進めてまいります。お客様への御案内につきましては、現在のところ、ことしの四月を目途に、点検結果の確定の都度、準備ができたものから順次開始することとしまして、平成二十一年度末までの終了を目標としております。こうした点検の進捗状況につきましては、五月末までに、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構を通じまして総務大臣に御報告することとしておりまして、それと同時期に対外公表を行う予定にしております。

 弊社といたしましては、総務大臣からいただいた御指示等を踏まえまして、点検結果の早期確定に向けて全力を尽くすとともに、お客様への御案内や追加支払い等に万全を尽くしてまいりたいと考えております。

松野(頼)委員 もう一回。いつまでに確定する、いつまでに不払いを受けた顧客に対して払い終わることが完了するのか、もう一回簡潔に答えてください。

山下参考人 お答えします。

 今申し上げましたように、二十一年四月ごろから個別の、確定したところから始めまして、今最終作業をやっておりますから、それがいつ最終的に終わるかということはまだ言えませんけれども、今、我々の目標としては、二十一年度末、来年三月末までにはお客様に御案内をすべて終わらせるような形で進めていきたいと思っております。

松野(頼)委員 そうすると、これは発覚というかスタートしてからおおむね三年かかっているんですよ、三年。その間に保険金等を受け取らずに亡くなっている方が出ているんじゃないかというふうに私は思うんですけれども、大至急やって、きちんとこの不払いの問題を顧客の皆さんに一刻も早く返していただきたいというふうに思います。

 あと、この三百億に関しての事務費なんですけれども、これはどこから捻出をするつもりですか。

山下参考人 お答えいたします。

 公社期間中にお支払いしました保険金等の支払い点検に関する経費につきましては、簡易生命保険契約の維持管理に係る経費の一部といたしまして、簡易生命保険契約に係る事業費で賄うこととしております。

松野(頼)委員 そうすると、過去の、機構に渡した民営化前の保険契約の機構の資産の中から支払うものですね。間違いないですか。

山下参考人 お答えいたします。

 旧契約の部分について、当然これは維持管理費用がかかります。それに係る一環として支払うということでございまして、毎期の損益は、ですからそういう費用と、それからそれを運用する収入とか、そういうものの中でやっていくわけでございます。事業費としてはそういう形でやっていきます。

松野(頼)委員 そうすると、旧契約の人の配当というのが、もちろんすべてがこの三百億というわけではありませんけれども、三百億経費が多くかかって、配当が減ることになるんじゃないでしょうか。

山下参考人 お答えいたします。

 現在当社が行っています保険金の支払い点検は、今申し上げましたように、簡易生命保険契約者の不利益を回避するために実施するものでありまして、そのための経費は簡易生命保険契約の維持管理に必要な経費の一部というふうに考えております。こうした点検に係る費用というのは、新しいシステムの構築とか事務フローの見直しなど、支払い管理体制の高度化と効率化にもつながる投資的な意味合いも大きいために、中期的には簡易生命保険契約の維持管理に必要な経費の削減に寄与できるというふうに考えています。

 いずれにせよ、私どもといたしましては、こうした支払い点検に係る経費増大の契約者配当への影響をできるだけ回避するために、資産運用面等での収益向上とか全般的な費用の削減に取り組んでまいりたいと考えております。

松野(頼)委員 ちょっと今の答弁はおかしいと思うんですね。ここでこの経費を使って設備投資をすれば、中長期的には配当には影響が出ないのではないかというようなことをおっしゃいましたけれども、旧契約、旧郵政公社の時代の契約と、新しくかんぽ生命になった時代の契約は分けているじゃないですか。分けていますでしょう。

 ですから、幾ら新しいシステムが設備投資されたといっても、旧契約の部分の配当とは全く関係ないわけですよ。そんなインチキな答弁しちゃだめですよ。きちんと分かれているでしょう。もう一回答弁してください。

山下参考人 お答えいたします。

 現在は、私どもの保有保険契約のほとんどは既契約でございまして、それを今保全し、それからお支払いをするというコストが非常に大きいわけでございます。それは当分、相当長いこと続くわけでございまして、これを効率化するということは、旧契約者にとっても非常に意味があるということだと思います。旧契約者にとっても意味がある。要するに、迅速で正確な支払いを受ける、それをやっていくそのコスト自体もまた下げられるということで意味があるということだと思います。

松野(頼)委員 意味があるというより、配当が減るんじゃないですかということを言っているんですよ、旧契約の配当が。ちゃんともう一回答えてください。

山下参考人 お答えいたします。

 ちょっと誤解がおありなんですが、要するに、維持し、払うというのはコストが毎年かかりますから、毎年の契約配当といいますか損益は、その分かかってきますので、もちろんそこの部分をいろいろ効率化することによって配当をふやすということは可能ですから、今回こういう大規模なことによって、当然、それは方向としては圧迫することになりますけれども、それをなるべくしないような形で努力していきたいということを申し上げているところでございます。

松野(頼)委員 あと、これは金融庁に伺いますけれども、民間で、生命保険会社、損保会社で、約一年ちょっとぐらい前に不払いがやはり同じように起こりました。このときには、たしか役員が減俸をしているというふうに思うんですけれども、かんぽ生命ではそのようなお考えはありますでしょうか。

山下参考人 お答えいたします。

 私どもとしましては、今先生から御指摘ありましたように、お客様に御迷惑をかけている事態でございますので、ともかく早期に支払い点検結果を確定させ、全力を挙げてお客様への御案内や追加支払いに万全を期すことによって、その責任を果たしてまいりたいというふうに考えています。

松野(頼)委員 そうしたら、減俸等のことは考えていないということですね。

山下参考人 本件に関する当社の責任につきましては、点検結果が出たところで、その結果を踏まえて総合的に判断するものと考えております。

松野(頼)委員 あと一点、これは以前から実は総務委員会で僕もやらせていただいているんですが、かんぽの宿の売却問題です。

 このかんぽの宿というのは、実は、簡易保険の加入者が、旧簡易保険法の百一条、「公社は、保険契約者、被保険者及び保険金受取人の福祉を増進するため必要な施設を設けることができる。」ということで、この保険契約者の福祉の増進ということで、福利厚生施設として建てているんですね。ですから、ある意味では、簡易保険の契約者のためのサービスというかメリットというか、以前は簡易保険の加入証書を見せると安い値段で泊まれていた施設なんです。

 資料の一につけてありますけれども、民営化のときに、かんぽ生命が簡易保険の加入者にこういう書類を送っているんです。「かんぽの宿について」「「かんぽの宿」は、民営化による簡易生命保険法の廃止等に伴い、日本郵政株式会社が一般の旅館・ホテルとして運営を引き継ぎます。」「料金は現行水準を維持する予定です。」こんなパンフレットを配って、各加入者に送っているんですけれども、これは売却なんて書いてないじゃないですか。ここには、簡易保険法廃止のために日本郵政株式会社がかんぽの宿は引き継ぎましたと。

 簡易保険の契約者は、いわゆる機構が全部引き継いで今業務をやっているわけですよね。機構からの委託業務を受けてかんぽ生命が今やっているという仕分けになっているんです。本来であれば、旧簡易保険の加入者が、その運用益で建てたかんぽの宿は、機構が受け継ぐなりかんぽ生命が引き継いで、旧契約者の福利厚生として同じようにサービスを提供しなければいけないはずなんです。

 ページ三をごらんください。これは郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律という法律で、実はかんぽの宿以外、第十六条、この法律の施行前に効力が生じた旧簡易生命保険契約について、旧簡易保険法第一条、第三条、第六十五条、八十八条、百一条、百四条、百五条及び百七条以外は、なおその効力を有する。だから、簡易保険の契約に関してのさまざまな支払い業務だとかそういう効力は、簡易保険法は廃止をしたけれども、その効力は機構が引き継ぎますよということをやっているんです。

 にもかかわらず、ここでは、簡易保険法廃止に伴って、かんぽの宿はあたかも自動的に日本郵政が引き継いだと。要は、本来であれば機構なり今のかんぽ生命がかんぽの宿も引き継いで簡易保険の利用者のサービスとして提供していかなくてはいけなかったものを、わざわざここの条文で、さっき言いました百一条、「公社は、保険契約者、被保険者及び保険金受取人の福祉を増進するため必要な施設を設ける」というこの百一条を除外して、そしてそれ以外の簡易保険の契約だけを機構に受け継いでいるわけです。利用者には、いかにも、簡易保険法が廃止になったからかんぽの宿は日本郵政が引き継ぎましたみたいな説明文を送っているんですね。

 明らかに、かんぽの宿を後で売却するかのように、かんぽの宿の部分だけを、機構なりかんぽ生命に受け継がずにここで切り取っているんですよ、わからないように。利用者には、簡易保険法が廃止になったから、かんぽの宿はかんぽ生命ではなくて日本郵政が引き継ぎました、さらに、同水準の価格で利用できるようにする予定ですと案内を送っているにもかかわらず、今ばんばん売り出しているじゃないですか。これはどうなんですか、日本郵政。

佐々木参考人 松野先生御案内のとおり、日本郵政株式会社法附則二条におきまして、私ども、二十四年の九月三十日までに譲渡もしくは廃止をしなければいけないということになっております。それまでの間、二条の二号で、「施設の譲渡又は廃止をするまでの間における当該施設の運営又は管理」ということで、日本郵政株式会社がこのかんぽの宿の施設の運営をしているということでございます。

 今の先生の、なぜ譲渡の手続をしているのかということに関しましては、冒頭申し上げましたように、期限が切られているものですから、また、以前先生に御説明したかと思いますが、期限が切られているということ、赤字施設であるということ、それから職員の不安を早く解消するためにということで売却の手続を進めたということでございます。

松野(頼)委員 であれば、簡易保険の顧客に対して、二十五年までに赤字施設は売却するんですよと書いて送らなきゃいけないじゃないですか。何でここで送っていないんですか。

佐々木参考人 売却までの間は運営をするということで、このパンフレットを策定した段階ではいつまでにということがまだ確定していなかったものですから、お客様の方には引き続き私どもが運営をいたしますということでパンフレットをつくらせていただきました。

松野(頼)委員 では、その後顧客に通知したんですか、その売却の件は。

佐々木参考人 先生よく御案内のとおり、オリックス不動産への譲渡契約が結ばれたのは昨年の十二月二十六日でございまして、その後、いろいろな認可等の手続を経て、ことしの四月からということになっておったものですから、それまでの間に、もし譲渡が行われるということになりますと、当然お客様にはお知らせをしなければいけないということで考えておりました。

松野(頼)委員 何を言っているんですか。もう既に売っ払っちゃったかんぽの宿があるじゃないですか。売っているでしょう。

佐々木参考人 先生が今御指摘されたのは、過去に廃止をした施設かと思います。不採算等で、十五年度から各年度八施設とか九施設とか、廃止したものがございます。これについては、当然、廃止した後、売却等もやったものがございますが、これと今回のいわゆるオリックス不動産に当初計画をしていたものとは全く別物でございます。

松野(頼)委員 別物であることはもちろんわかっていますよ。

 ただ、少なくとも、簡易保険の顧客は入るときに、これだけのかんぽの宿がありますから安く泊まれますよといって、簡易保険に入会するメリットとして、それは入っているわけですよ。それは契約した段階で随時違うと思いますよ、その施設数は。どんどんふえていっている。今はこれだけの施設がありますよ、この施設に簡易保険の契約者は安く泊まれるんですよといって、簡易保険に加入をしているわけですね。だから、過去は、簡易保険の保険証書を提示すれば、簡易保険の契約者の安い利用料金で利用できたわけです。

 ですから、今回、実際には売っていないからいいんだみたいなことを今おっしゃいましたけれども、オリックス不動産に七十九施設を売ろうといって、もう契約の段階まで行っている。それはまず簡易保険の契約者に、例えば、これだけの物件は理由は何でも不採算があって、売却を予定していますということをきちんと通知しなきゃいけないんじゃないですか。過去には、かんぽの宿は、簡易保険法の廃止に伴い、日本郵政が一般の旅館、ホテルとして運営を引き継ぎ、料金は現行水準を維持する予定でありますといって、簡易保険の顧客には送っているわけですよ。違いますか。

佐々木参考人 十九年の十月一日をもちまして、先生も御案内だと思いますが、加入者福祉施設という概念はなくなりまして、先生の資料の中にもありますように、私ども日本郵政株式会社が一般の旅館、ホテルとして運営を引き継いだという位置づけに変わっております。

 そういう意味では、簡易保険の加入者のための施設という性格ではないものですから、加入者の方に対する特別のお知らせはしていなかったということでございます。

松野(頼)委員 その答弁はおかしいんじゃないですか、民営化した後同水準で提供しますと利用者に送っているんですから。違いますか。民営化した後にこれを送っているんですよ、「もうすぐ民営化」というパンフレットをつくって。

佐々木参考人 済みません。ちょっと言い方が不適切だったかと思いますが、民営化した後は加入者福祉施設としての位置づけではなくなったということをこのパンフレットではお知らせしているわけでございまして、そのときに、では料金水準はどうなるんだということで、私どもとしては、同水準で提供させていただきますということを申し上げたかったわけでございます。

松野(頼)委員 違うんですよ。私が言いたいのは、かんぽの宿は過去の簡易保険の利用者が払ったお金の運用益でつくった福祉施設なわけですよ。本来であれば、これはかんぽ生命にちゃんと引き継いで、もし売却をするのであれば、かんぽ生命の利益にちゃんと入れて、そしてもしこういう不払いが起こったのであれば、不要な土地資産を売却して経費を出すのが当然筋なんじゃないですかというんですよ。何で、民営化のときの法律でこうやって滑り込ませて、かんぽの宿のこの福祉施設だけするっと法律で抜かして、そして日本郵政がこのかんぽの施設を持っていっちゃっているんですか、かんぽの宿。これがおかしいと言っているんですよ。

 例えば、過去に不採算によって閉鎖をした施設、遊休の施設がもしあるのであれば、今回、その三百億の経費を出すために売却できたじゃないですか。利用者の配当を減らさずとも、こういう無駄な経費を使わずとも、こういうときに充てられたんじゃないんですかというんですよ。

 要は、過去の簡保の加入者からすれば、当時受けられるであろう恩典、こういう特典も勝手に売り払われる、この不払いの事務的ミスによって、今まで負担をしなくてもよかった三百億の事務手数料がかかって、本来受け取れるはずの配当が下がる、こんなばかなことをされているんですよ。かんぽの宿に安い料金で泊まれるというのも、加入のときの加入者の一つのメリットであるわけですよ。それが知らないうちに完全に売り払われるようなことが行われて、これも明らかにサービスの低下なんですけれども、その辺はいかがでしょうか。

佐々木参考人 これは、法律のつくりといいますか、それにかかわることかと思うんですけれども、かんぽの宿につきましては、先生御案内のように、日本郵政株式会社法附則二条一項の規定におきまして、民営化の際、日本郵政株式会社が承継するというふうにされておりまして、私どもではこの規定に従いまして、公社の業務の承継に関する実施計画においてかんぽの宿を日本郵政株式会社に帰属させることと定めまして、内閣総理大臣と総務大臣の認可を得て、民営化時にかんぽの宿を当社に承継したということでございますので、私ども、法律に従った扱いであるというふうに認識をしております。

松野(頼)委員 あともう一つ、大臣は総務大臣じゃないんですけれども、ぜひ聞いていていただきたいのは、先ほど、こことこことここは旧簡易保険法を廃止するけれども、これ以外の部分の簡易保険法の効力は継承するとなっている、それ以外の部分、要は、簡易保険法の継承されなかった部分の一つ、旧簡易保険法第一条というのが、もう効力をなくしているんですね。

 その第一条というのは、「この法律は、国民に、簡易に利用できる生命保険を、確実な経営により、なるべく安い保険料で提供し、もつて国民の経済生活の安定を図り、その福祉を増進することを目的とする。」こういう簡易保険法の第一条の、要は、「簡易に利用できる生命保険を、確実な経営により、なるべく安い保険料で」という条文はなくなっちゃったんです。だから、確実な経営でできるだけ安い料金で国民にはもう提供しないんですね。こういうことを削除しているわけです。このことは、僕は、郵政民営化によって大きな国民の利益を毀損したというふうに思っております。

 これも法律でお決めになったことだからということなんでしょうけれども、簡易保険の過去の契約、何億あるんでしたっけ、何億件ですか、旧契約。その旧契約は、こういう目的のために契約をされていた人たちなんですね、この目的に守られて。それが、民営化によって、全く違う法律で、また今まで受けられるサービスが、売却をされ、非常に下がっているんです。さらにはこの不払いですよ、不払い。その経費まで負担させられるという現実。これはもう一回考えなければいけないと私は思いますけれども、これは、総務大臣じゃないので、内閣の一員として、こういう現実があるということをぜひ御理解いただければありがたいというふうに思います。

 次に、大臣、もう一つ金融商品の、市場の話をちょっとしたいと思います。

 大臣、お配りをした資料の五をごらんください。これは、実はきのう金融庁に出していただいた、五から九までの資料をぜひごらんください。ジャスダック市場に上場している百七十三銘柄の、要は、上場したときの初値と今現在の価格を出した表です。例えば上から四番目の会社、企業名は申しませんけれども、これは、平成十七年に上場をして、今、初値の何と一・〇九%しかないんです。時価総額は一億二千四百六十万円。時価総額ですよ。例えば二十五番をごらんください。今の時価総額は一億四千五百九十一万三千五百円、これも初値のときの〇・九七%、一%以下になっちゃっているんですね。

 これはぞろぞろぞろとたくさんあるんですけれども、要は、証券業協会が運営をしているジャスダック市場で、百七十三銘柄のうちに初値を上回った企業は何と五社しかないんです、〇・二%。逆に、初値の一〇パーセントを切ってしまった銘柄というのが四十四社、二五%。四社に一社は初値の十分の一以下になっているんですね。これは、ほかの新興市場、名古屋とか札幌とかあるんですけれども、もっとひどい状態であります。もっとひどいです。

 今、国民の預金が約七百兆以上あると言われています。金融資産千四百兆のうち現金、預金が七百兆ちょっと。この金融商品取引法で、一年前の改正のときに私も質疑に立って、参考人の質疑の中でこの話を当時もしました。あのときも、初値を上回っている企業というのは本当に少なかったんです。それは、まず、株式市場で上場をするというのは、これからその会社がスタートをして、市場からお金を集めて設備投資をしたりビジネスを拡大して、そして売り上げを上げてもっと資産をふやして、株価が上がるという、初値というのはスタートなんですね。

 よく株式市場では期待値とかそういうのがあるけれども、実際の株式というものは、本来、初値から徐々に徐々に徐々に徐々に、経営をすることによって上がっていかなければいけないわけです。その初値を上回っているのは何と〇・二%なんですよ。

 私は、貯蓄から投資へという理念は応援をしたいと思います。ただ、応援をするに当たって、例えばこの新興市場を見ていただいても、七百五十兆の国民の現金をこんな市場に入れられますか。こんな状態になっちゃうんですよ。私は、貯蓄から投資へを応援したいからあえて言うんです。もっと市場がきちんと、上場を認めたからには徐々に徐々に、極端に大きくならなくてもいいから、一歩一歩その企業が成長していくような環境をつくらなければ、幾ら貯蓄から投資へと唱えても、こんな状態じゃ怖くてだれも入れないですよ、二五%、四分の一は十分の一以下に下がっちゃうわけですから。

 大臣、ぜひ上場審査の問題を、厳しくし過ぎるのも問題かもしれませんけれども、少なくとも、このジャスダックは証券業協会が運営をしている市場ですから、ここで上場をしたら、それは全部が全部とは言いません、でも、多くの会社はここをきっかけにきちんと成長をしていくような、そして安心して投資ができるような環境をつくらなければ、幾らやってもお金は回っていかないと私は思うんですけれども、大臣、感想というか答弁をいただけないでしょうか。

与謝野国務大臣 初値というのはお祝儀的なところがありますから、お祝儀相場が終わった状況から比較しても多分相当安くなっている。これは、経済の状況が悪くなったからということだけでは説明できない。また、その当時、いわば自分の会社を上場しようというのが一種の流行であったということだけでは説明ができない部分があって、上場するときの幹事証券の物の考え方あるいは上場を許すときの市場関係者の物の考え方、こういうものが全体に響いてくるわけでございます。

 やはり上場というのはある種の市場からの信認ということもあるわけですから、それは、先生御指摘になったように、初値の一%だとか二%だというのは、これ自体は大変市場としては恥ずかしい話だと私は先生の御質問をお伺いしながら感じたところでございます。

松野(頼)委員 株式というのは一つの大きな金融商品であります。そして、例えば今、これから経済対策で株式の買い取りが出てくるやに聞いておりますけれども、株式を買い取るよりも、きちんと本来の市場にまず信頼性を持たせる。

 そして、日本はキャピタルゲインばかりに株式投資の目が行っているわけです。例えば、七百五十兆の現金、預金の三分の一の二百五十兆でも、では個人の退職金の三千万ある中の三分の一の一千万は株式市場に入れておこう。そうすると、大きなもうけはないかもしれないけれども、年利三%、四%ぐらいは受け取れる、もうかった年は八%、九%受け取れた。そうすると、九%受け取れれば九十万ですよ。

 年金が十八万とか二十万ある、そしてそれに八万円、七万円ぐらいの運用益が株を持っていることによってもらえる。ああ、これは年金の足しになっていいなとか、ことしは余りもうからなかったから、まあ、それでも一%だったとか、そういう、キャピタルゲインだけをねらうような市場ではなくて、長くその会社とつき合って、配当をもらいながら、例えば一年に一回株主総会に行くのが楽しみだみたいな、そういうきちんとした根雪の部分の市場もつくるべきではないかと私は思うんですね。もしそれができれば、ある程度のお金が売り買いはしないような状態の根雪として株式市場に残って、そしてそれによって、ある程度落ちたとはいえ、景気ががくっと悪くなったとはいえ、ここまでしか落ちないような状態というものがつくれるのではないかというふうに私は思っております。

 ですから、そのためには市場が上場した会社をきちんと育てる。もちろん、失敗する会社もあるのは当たり前ですよ。ただ、今の状況ではとても、これから株式を買い取って、幾ら政府が買い取ると発表したといっても、例えば五十兆買い取っても、一部の資産総額は二百八十兆ですから、五十兆入れたからといって、そんなに株の下落を引きとめる引き金にはならないと僕は思うんですね。

 ぜひ、まずきちんと市場に信頼性をつけるような施策を中長期的に考えていくべきではないかというふうに私は思いますので、最後、大臣に感想というか答弁をいただいて、終わりたいと思います。

与謝野国務大臣 既に金融商品取引法の中には、透明性の問題、インサイダー取引の禁止、あるいは市場の株価操縦の話とか、もろもろのことが決められているわけでございますが、一般の方がいま一つ株という世界を信用していないというところがあって、この信頼性の向上というのはやはりこれからも我々に課せられた課題である、そのように思っております。

松野(頼)委員 どうもありがとうございました。終わります。

田中委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 きょうは法案の中身についてお聞きをしたいと思います。金融商品取引法についてでありますが、まず金融ADRについてでございます。

 現在も各業種ごとに紛争処理制度というものが設けられておりますが、相談の持ち込み件数と消費者の主張が認められて解決した件数、主な機関でよろしいですけれども、それを紹介していただきたいと思います。

内藤政府参考人 平成十九年度におきまして、金融関連の業界団体等には約三万件の苦情が申し立てられておりまして、そのうち約六千件弱が解決をしております。また、二百五十六件の紛争が申し立てられておりまして、そのうち百十一件が解決をしております。

 このうち、主な業界団体等ごとに申し上げますと、まず、全国銀行協会におきましては、二千百七十四件の苦情が申し立てられ、そのうち三百五十九件が解決をしております。また、一件の紛争解決が申し立てられているものの、手続に入っておりません。

 生命保険協会におきましては、一万百四十八件の苦情が申し立てられ、そのうち二千五百一件が解決をしております。また、四十件の紛争解決が申し立てられ、そのうち二十四件が解決をしております。

 日本損害保険協会におきましては、一万七千四百四十七件の苦情が申し立てられ、そのうち千六百三十九件が解決をしております。また、二十六件の紛争解決が申し立てられ、そのうち八件が解決をしております。

 日本証券業協会におきましては、七百七十三件の苦情が申し立てられ、そのうち五百八十件が解決をしております。また、百七十三件の紛争解決が申し立てられ、そのうち七十三件が解決をしております。

佐々木(憲)委員 その場合の解決というものの内容なんですけれども、銀行は二千百七十四件のうち三百五十九件が解決というふうにおっしゃいました。金融消費者の主張が認められて解決したという件数は、そのうちのどの程度あるんですか。

内藤政府参考人 解決というのは当事者双方の和解という形になりますので、どういう内容で和解が行われたか、解決したのかということについての詳細は、個別のそれぞれの問題でございますので把握しておりません。

佐々木(憲)委員 実はその中身が問題でありまして、例えば消費者機構日本常任理事の原早苗氏は、ある雑誌にこういうふうに書いているわけです。

 苦情件数の割に紛争件数が極端に少ない、なるべく顕在化させたくないという意識が働いているのではないか、苦情解決支援が業界寄りになっているのではないかという指摘に納得できる回答が得られない、銀行の苦情対応で典型的なのが、我々はちゃんとやりましたということを顧客に懇々と御説明することで解決とする方法、あなたはいかに説明を聞いていたか、そして書類に判こを押したかを諭し聞かせ、顧客はがっくりして帰っていく、これが銀行の苦情処理のやり方だ、こういうことを言っているわけです。

 したがって、苦情の申し立てというものはたくさんあるけれども、解決しましたという数が極端に少ない。少ないだけではない。その内容が、消費者の利益に沿って解決をしたものは非常に少ない。銀行が説得して、あなたの方が悪いんですよ、私たちは正しいんですよ、こういう立場でやって解決をしたと称しているのが多いのではないか、こういうふうに指摘をしているわけでございます。

 私は、今の紛争処理の解決の仕方というのを、今回の法案でどのように正せるのかというのが問われるというふうに思うわけであります。

 やはり、公平に運営される紛争解決制度が必要でありますが、その紛争を解決する主体となるべき機関の性格、これが非常に大事だと思うんです。例えば、銀行の側にまずいという点があればそれを指摘して是正させる、最低限そういう権限がなければならないというふうに私は思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

与謝野国務大臣 金融ADR制度においては、金融機関に金融ADRの利用を義務づけるとともに、資料提出や結果尊重などの片面的な義務を課すこととしております。

 このような規定に基づきまして、指定紛争解決機関は金融機関に対して、公平な立場で手続の進行や紛争の解決に向けた一定の対応を求めることができ、紛争解決の実効性の確保が図られるものと考えております。

佐々木(憲)委員 では具体的に聞きますけれども、金融ADRの資金はどこからの拠出によるものなのか、それから業界からの独立性というのはどのように保障されるか、これをお聞きしたいと思います。

与謝野国務大臣 金融ADRに関する費用については、顧客に過大な負担がかからないように、主として金融機関より徴収する負担金で賄うこととされております。

 このため、金融ADR制度においては、紛争解決手続を実施する紛争解決委員について、少なくとも一人は弁護士等を含めるとともに、当事者と利害関係を有する者を排除することを求めることとしております。また、指定紛争解決機関が公正かつ的確に業務を遂行できるよう、主務大臣が指定、監督を行うこととしております。これらにより、金融ADRの中立性、公正性は確保されるものと考えております。

佐々木(憲)委員 金融機関に対して、情報開示を求める権限を持っているかどうか、もう一度確認したいと思います。

与謝野国務大臣 本法律案は、金融機関に金融ADRの利用を義務づけるとともに、紛争に関する説明、資料提出の片面的な義務を課しており、これにより、指定紛争解決機関は、金融機関に対し、紛争に関する情報提供を求めることが可能となっております。

佐々木(憲)委員 この問題について、消費者の立場からいろいろ問題提起をしております、先ほど御紹介した消費者機構日本常任理事の原早苗氏を参考人としてぜひお呼びいただいて、御意見をお聞かせいただければと思いますが、検討していただきたいと思います。

田中委員長 また御検討させていただきたいと思います。

佐々木(憲)委員 理事会でしっかり検討してください。

 次は、資金移動サービスの問題です。

 これまで十年間、銀行以外が行う資金移動サービスというのはどのくらいふえたのか。主なものとして、収納代行サービスと代金引きかえサービス、この二つについてお答えいただきたい。

内藤政府参考人 お答えいたします。

 収納代行サービス及び代金引きかえサービスの市場規模についてでございます。確たる統計はございませんが、二〇〇七年度における主要コンビニ四社の収納代行の取扱高の合計は、私ども推計をいたしますと、約六兆円でございます。主要代金引きかえ事業者二社の取扱高の合計額は、約二兆円となっているものと承知をしております。

佐々木(憲)委員 配付した資料の最後のところに、例えばコンビニエンスストア収納代行取扱高という統計がありまして、二〇〇二年度一兆九千七百億円、これが二〇〇六年度には五兆六千二百六十七億円と急増しているわけであります。

 そこでお聞きしますけれども、現行の法制度のもとでは、銀行以外の者が為替取引、資金移動を業として行うということはできないというふうになっていると思いますが、そのとおりですか。

内藤政府参考人 現行法のもとでは、銀行等のみが為替取引を行うことが認められておりまして、いわゆる収納代行サービス等の事業者を含めまして、為替取引を行うことは認められておりません。

佐々木(憲)委員 ということは、現在、銀行にしか認められていない事業、為替取引を銀行以外のコンビニ等々が行っている、これは違法行為を行っている、こういうことになりますか。

内藤政府参考人 御指摘のいわゆるコンビニ収納サービスでございますけれども、そのサービスの態様によりましては、為替取引に該当する可能性はあり得るのではないかとも考えられますけれども、現時点におきまして、利用者保護の観点から大きな問題が生じているとの状況にあるとは承知しておりませんで、金融庁としては、必ずしも違法であるとの判断は行っているところではございません。

 しかしながら、こうしたサービスについて、利用者保護に欠ける事態や資金決済システムの安全性等が損なわれる事態が生じることがないよう、引き続き注視してまいりたいと考えております。

佐々木(憲)委員 合法とは認められないけれども、つまり違法なんだけれども、実際にはもうはびこってしまう、これだけ広がっていると。それで、問題が起こっていないからまあいいだろうというのは、これもちょっと何か私は理解できませんね。

 例えば、このお金をどこどこに届けてください、例えば税金の納付というのがありますね、これを行うということは、これは現在の法のもとでは違反なんでしょうか、あるいは合法とはっきり言えるんでしょうか。

内藤政府参考人 自治体が地方税の納税にコンビニ収納を利用するというような場合であろうかと思いますが、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、私どもとしては、サービスの態様によりまして、為替取引に該当する可能性もあり得るものであるというふうには考えておりますけれども、現在は、現時点において利用者保護の観点から大きな問題が生じていないというようなことで、利用者保護を図るための制度というもので考える場合に、これを必ずしも取り込むということではございませんで、金融庁としては、これについて、現段階において必ずしも違法であるとの判断を行っておらないということでございます。

佐々木(憲)委員 銀行しかできないわけでしょう、為替取引や資金移動サービスというのは。銀行しかできないのにほかがやっている、ほかの業界がやっている。これは現行法では違法である。しかし、問題が起こっていないので法違反ではない。何かよくわからぬですね。それが本当によくわからないんですよ。

 例えば、コンビニからの納税は、国税はやっているんですか。

内藤政府参考人 国税についてもやっております。

佐々木(憲)委員 違法なのかグレーゾーンなのかというのは、どうもはっきりしないんですね。銀行しかできないという法律を持っていながら、銀行以外の者がやって、それがどんどん広がってしまった。当初問題にせずに、こんなに広がってしまって、まあ余り問題も起こっていないようだから違法とは言わないようにしよう、しかもそれを国税庁は利用しておりますと。これはよくわかりませんね。

 大臣、どう思いますか。

与謝野国務大臣 払う方は便利になっていいんじゃないかと思います。

佐々木(憲)委員 いや、聞いているのはそういうことじゃなくて、便利なことは便利ですよ、それは。要するに、法的に一体どういう位置づけなのかというのを聞いているわけです。

内藤政府参考人 送金業、法律的には為替取引というものでございますけれども、これは銀行法第二条に規定をされておりまして、この銀行業とは次に掲げるいずれかを行う営業をいうというところで、「為替取引を行うこと。」というのが入っております。しかしながら、為替取引というものの定義が実は法律上ございません。

 そこで、平成十三年に最高裁の決定がございまして、これによりますと、「「為替取引を行うこと」とは、顧客から、隔地者間で直接現金を輸送せずに資金を移動する仕組みを利用して資金を移動することを内容とする依頼を受けて、これを引き受けること、又はこれを引き受けて遂行することをいう」ということでございますけれども、この為替取引については、こうした見方は出ておりますが、これをどう現実のさまざまなサービス提供について当てはめるかということについては、いろいろと議論があるところでございます。

佐々木(憲)委員 最高裁の判例ですか、今のは。そこでは、このお金をどこどこに届けていただきたいということで、特定の業者を介して届けてもらう、そういう資金の移動の依頼、これが為替取引であると。

 そうすると、もう法的にはそういう定義が明確になされているのに、いや、いろいろな解釈がある、いろいろな解釈があっていいんですと。こういうのも本当にあいまいで、非常に私はおかしいと思いますよ。どうも理解できない。便利だからいいと大臣はおっしゃいましたけれども、やはりこれはおかしいですよ。きちっとけじめをつけてもらわないと。

 そこで、もう一つ確認します。

 資金の保全義務であります。銀行については、送金について資産の保全が義務づけられていると思いますけれども、その内容はどういうふうになっておりますか。

内藤政府参考人 銀行の場合には、送金に係る資産の保全というものはございませんで、銀行の全体としての健全性を保持するという規制からそれを担保するという仕組みでございます。

 一方、資金移動業につきまして、今回御提案をしている資金移動サービス、これについて資産の保全を義務づけるということでございます。

佐々木(憲)委員 今、決済に関する新しいサービスというのは、お配りした資料のように非常に多様化しておりまして、どんどん拡大しているわけです。一方で、破綻が起こった場合の消費者保護などは法的に保障されていない。

 この法案は、消費者保護制度を一定程度盛り込むというものでありますが、この表に挙げたものは、すべて消費者保護制度の対象になるんですか。

内藤政府参考人 私どもとしては、本法案におきまして、銀行のみに認められている為替取引を銀行以外にも認めるということでございまして、現行の商品券やプリペイドカードと同様に、コンピューターのサーバーなどで管理する前払い式支払い手段についても規制の対象とするということでございます。

 ここに資料お示しの、主なコンビニエンスストアによる収納代行の取り扱い、これがどうであるかについては必ずしも、本法案の保護の対象になるかどうかについては、個別の問題でもございますので、現段階でお答えはできないということでございます。

佐々木(憲)委員 最後、言葉がよく聞こえないんです。いや、聞こえますか。何を言っているのかよく聞こえない。そうなのかそうでないのかというところが聞こえないんですよ、一番肝心なところが。

 具体的に言いますと、例えばコンビニとか運送会社などはどうなるんですか。対象になるんですか、ならないんですか。はっきり言ってください。

内藤政府参考人 もう一回お答えいたします。失礼しました。

 本法案は、銀行等に認められてきた為替取引を、銀行等以外の者にも行うことができるよう、新たな制度整備を図るというものでございます。

 代金引きかえサービスや収納代行サービス等の定義は必ずしも明らかではございませんが、現行法令において適法に行われているサービスに対して、本法案が新たな義務を課すというものではございません。

 なお、本法案に基づく登録を受けた事業者が破綻した場合には、資産保全等の措置によりまして、利用者は、本法案による保護が受けられるということになるわけでございます。

佐々木(憲)委員 聞いたことに答えてくださいよ。運送会社とかコンビニが入るのか入らないのか。

内藤政府参考人 ですから、収納代行サービス業につきましては、これが現在の法に基づいて適法に行われているというサービスでございましたら、これについては、新たな今回の法案の枠組みの中には入ってこないということでございます。

田中委員長 ただいまの佐々木憲昭君の御質問に対して、もう時間が来ておりますけれども、もう少し明確な御説明なり答弁ができないものか。内藤局長、どうでしょうか。私も、聞いていてちょっとわかりづらい。

内藤政府参考人 現在の法律に基づいて、為替取引に当たるかどうかは先ほど申し上げましたけれども、収納代行サービスにつきまして、それが非常に、為替取引に当たる可能性もある。しかしながら、私どもとしては、現在のサービスについては必ずしも違法であるとは考えておりません。

 そういうことから考えますと、現在、このサービスは、引き続き適法に行えるものであろうと考えておりますが、一方で、今回提案をしております送金業というものについての枠組みの中には今のところ入ってこない。もちろん、登録をして入ってくるということは可能ではございますけれども、現在のところ入ってこないということですので、これについての新たな制度の枠組みについての法的な保護は保障はされておりません。

佐々木(憲)委員 要するに、当事者の業界が金融審議会の中で、うちは入れるな、外せと言って大きな声を出してやった。大きな声かどうかわかりませんけれども、かなり強力に主張して、その結果これが後退をしたというのが実態じゃないんですか。

 私は、そんないいかげんなやり方で対象を狭めたり広げたり、こんなでたらめなやり方はないと思います。法の解釈も非常にあいまいだし、この法案というのは一体何なんだろう、何を決めようとしているのか、そこを今後さらにしっかり詰めていきたい。

 以上で終わります。

    ―――――――――――――

田中委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 両案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十八分散会


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