衆議院

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第18号 平成21年4月17日(金曜日)

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平成二十一年四月十七日(金曜日)

    午前九時三十一分開議

 出席委員

   委員長 田中 和徳君

   理事 江崎洋一郎君 理事 木村 隆秀君

   理事 竹本 直一君 理事 山本 明彦君

   理事 吉田六左エ門君 理事 中川 正春君

   理事 松野 頼久君 理事 石井 啓一君

      石原 宏高君    稲田 朋美君

      越智 隆雄君    亀井善太郎君

      後藤田正純君    佐藤ゆかり君

      鈴木 馨祐君    関  芳弘君

      とかしきなおみ君    中根 一幸君

      林田  彪君    原田 憲治君

      平口  洋君    広津 素子君

      松本 洋平君    三ッ矢憲生君

      宮下 一郎君    盛山 正仁君

      山本 有二君    池田 元久君

      小沢 鋭仁君    大畠 章宏君

      階   猛君    下条 みつ君

      鈴木 克昌君    古本伸一郎君

      和田 隆志君    谷口 隆義君

      佐々木憲昭君    中村喜四郎君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       与謝野 馨君

   内閣府副大臣       谷本 龍哉君

   財務副大臣        竹下  亘君

   財務大臣政務官      三ッ矢憲生君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  内藤 純一君

   政府参考人

   (金融庁検査局長)    畑中龍太郎君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 佐藤 文俊君

   政府参考人

   (財務省大臣官房総括審議官)           川北  力君

   政府参考人

   (国税庁徴収部長)    伊藤  洋君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           北村  彰君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局次長)           平尾 豊徳君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           大下 政司君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            横尾 英博君

   財務金融委員会専門員   首藤 忠則君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 金融商品取引法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四九号)

 資金決済に関する法律案(内閣提出第五〇号)


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、金融商品取引法等の一部を改正する法律案、資金決済に関する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局長内藤純一君、検査局長畑中龍太郎君、総務省大臣官房審議官佐藤文俊君、財務省大臣官房総括審議官川北力君、国税庁徴収部長伊藤洋君、厚生労働省大臣官房審議官北村彰君、農林水産省総合食料局次長平尾豊徳君、経済産業省大臣官房審議官大下政司君、中小企業庁事業環境部長横尾英博君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古本伸一郎君。

古本委員 おはようございます。民主党の古本伸一郎でございます。大臣におかれましては、連日の御対応、大変お疲れさまでございます。

 委員長のお許しをいただきまして資料をお配りいたしております。

 まず、一枚目をごらんいただきたいんですが、これは昨日の報道でございます。各社に出ておりましたが、政投銀の民営化三年延期という話題でありますけれども、読売は「政府は十五日、日本政策投資銀行の完全民営化時期を二〇一七年〜一九年度へ当初予定より三年間程度延期し、資本増強策として一・七兆円を追加出資する方針を固めた。」それから日経は「三年半延期へ」、こういう見出しが躍っているわけであります。

 まず、この事実関係についてお尋ねをしたいと思います。

与謝野国務大臣 こういう議論がいろいろなされていることは知っておりますけれども、実は、金融庁の中で、あるいは財務省の中で議論はしておりませんで、この金融関係につきましては、専ら議論しておりますのは与党のプロジェクトチーム、具体的には、柳澤伯夫議員が座長になって議論を進めておられるのを承知しております。そういう中で多分こういう議論が出てきているのではないかと思っております。

古本委員 実は、私ども民主党の立場は、先般の出口の民営化の議論、いわゆる政策金融の議論については、いわゆる郵貯・簡保資金の入り口の話の調達のありようについては、当時、資金の流れとして民営化だということでありました。民意も、私どもは残念ながら選挙に勝つことはできませんでしたから、その事実だけで申し上げればそういうことなんだろうと。他方、出口の民営化の議論は、二〇〇七年当時、日本政策投資銀行法案の議論の中で随分申し上げましたが、長期でかつ低利で極めて政策的な融資を行うということは、果たして民間の金融機関で担えるんだろうかという議論を再三申し上げ続けました。

 お配りしております資料の二枚目でございますが、これは、今回の「二十年度二次補正における危機対応業務を活用した資金繰り対策」ということで、政府がお示しになっているチャートでございますけれども、株式会社日本政策金融公庫が、国債によるんでしょうか、資金を低利で調達してきたものを指定金融機関に融通をする、この指定金融機関はそれを中堅企業あるいは大企業へ融通する、こういう流れでございます。

 事務局で結構でございますが、当時、政策金融は、今後その役割は終えたと。当時の閣議決定の資料を懐かしく引っ張ってまいったんですが、平成十七年十二月の閣議決定「行政改革の重要方針」によりますと、政投銀関連分、これは「政策金融の各機能の分類」のアに書いてありますけれども、「民間市場から貸付けのみならず、社債や株式等様々な形態で資金の取り入れが可能であり、政策金融として行う必要がなくなっているため、撤退する。」閣議決定です。

 民間がどれだけ参入してきているかでありますけれども、この指定金融機関、政投銀、商工中金他とありますけれども、きょう現在、民間、メガ含め、どなたかこの分野に参入されている方はおられるんでしょうか。

川北政府参考人 お答え申し上げます。

 危機対応業務を担います指定金融機関につきましては、先生の配付いただきました資料のとおり、政策投資銀行と商工中金につきましては、法律上、みなし指定金融機関ということで現在活動しております。

 その他の民間金融機関につきましては、申請を受けまして指定をするという制度になってございますが、今のところ指定はしてございません。

古本委員 今回、長期の資金ということで一兆、CPの買い取りで二兆、こういうことでありますけれども、これは、企業がお金を貸してほしいということを、この流れですけれども、政投銀にまず相談に来るわけですか、それとも主要行であるメガに相談に行くんですか。それの相談を受けたメガは、いや、そんな話はうちでは受けられません、政投銀に行ってくださいというふうに振っているんですか。その辺の事実関係はいかがですか。

川北政府参考人 お答え申し上げます。

 個々の融資案件の経緯について私ども、つまびらかにいたしておりませんが、危機対応業務で政投銀が融資をいたしますのは政投銀の融資判断に基づくものでございますので、企業側は、政策投資銀行の方に融資を依頼し、融資判断を受け、融資を受けるということになろうかと思います。

古本委員 これは、どういったところにどういった金利で融通しているかということは恐らく秘匿性があるんだと思うんですけれども、いろいろ報道には漏れ伝わっている事柄がございますね。

 当時、民営化には反対だという立場からいろいろ申し上げたときに少し政府から出していただいた資料をきのう思い出していたんですけれども、政策金利というのは、実は、事業の中身によって政策金利の1、政策金利の2ということでランクづけをして、いわば査定をして、より公共性の高い事業、あるいは低利でかつ長期にわたり、例えば電鉄会社の高架事業にファイナンスする話ですとかあるいは電力会社の発電所事業ですとか、そういう大変公共性の高いものに長期で低利で貸し出す、こういう場合には、政策金利の1と2でいえば、恐らくすぐれて安い方、お得な方を手当てしていたんだと思うんですね。

 今も、こういう政策金利の1と2という概念で運用がなされているのかどうか、まずこれを教えてください。

川北政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の融資事案につきまして、私ども、条件を聞くということはしておりませんが、昨年十月以来、政策投資銀行は政策金融機関から外れまして、個々の案件につきましては、政策投資銀行のいわばビジネスベースの御判断ということでございます。

古本委員 当時試算をしていただいたんですけれども、金利の優遇効果ということですね、大臣。ちょっと資料を配り忘れちゃったので読み上げますと、大体一兆円規模で毎年融資を続けて、二十年間当時の政投銀の政策金融を続けた場合、仮定の話ですけれども、金利優遇を〇・三%というふうに置いた場合、元本均等償還で試算をしていただいた結果なんですが、実は、金利優遇額の累計、ストックでは、二十年間で四千三百億円に上るんです。この四千三百億円という面積を、民間の、少なくとも利益を追求しなければならない金融機関が担えるかという議論に改めて立ち返る必要があると思うんですね。

 与党の中の御議論は、巷間、報道で知るしかないわけでありますけれども、当時、実は法律の中にもしっかり書いてありまして、附則の第二条の二に「政府は、この法律の施行後政府保有株式の全部を処分するまでの間、会社の有する長期の事業資金に係る投融資機能の根幹が維持されるよう、政府保有株式の処分の方法に関する事項その他の事項について随時検討を行い、その結果に基づき、必要な措置を講ずるものとする。」というふうに書いてあるんです。ちょっとはしょりますけれども、当時もやはり懸念はあったんだと思うんですね。入り口の改革は、郵貯・簡保資金をじゃぶじゃぶと流している、今度出口の改革として、政投銀もまさにけしからぬという中に入れられてしまって、官から民への旗頭で一くくりになってしまったんです。

 今改めて、こういう金融危機の状況だという大前提はありますけれども、我が国における政策金融分野の担い手として、実は政投銀というものは、やはりある一定の政府の関与のもとに今後とも維持していくべきではなかろうかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

与謝野国務大臣 政策金融改革全体は、私は反省するところが非常に多いわけです。例えば、国民金融公庫というのは小さな、入学資金とかそういうものを貸していましたし、それからまさに本当に小さな規模の企業にもお金を融通している、中小企業金融公庫はそれよりちょっとサイズの大きいところに貸すとか、やはり、国民金融公庫、中小企業金融公庫、商工中金あるいは農林漁業、それからJBIC、それぞれ機能が違っていて対象者も違っていたわけです。そういうものを丸めて一緒にしようという話で、むちゃな話だったと私は思っています。

 それからもう一つは、例えばJBICが、これは最後の瞬間に相当やったんですけれども、海外に行って大きな事業をやるというときには、やはりJBICが独立した機関であって、しかも日本という国を後ろ盾にしているというところがよその国へ行って仕事ができるゆえんなので、その機能は相当残しましたけれども、こういう危機を迎えてみると、実感として、やはり政府もまた金融機能の一部を持っていないと国民生活を守れないということがはっきりしてきた。もう一度、政府も与党の方も、このことについては思いをいたして物を考えなきゃいけないと思っております。

古本委員 先般もG20に御出席でありましたけれども、ときに大臣、世界的な潮流として、各国ともに恐らく、それぞれの国の基幹産業であったりあるいはかなめを担っている業種であったり、いろいろなところが今悲鳴を上げておりますね。そういう状況の中で、この分野は話題になったんですか。

 つまり、こういった政策金融分野というのは、日本ではその昔小泉改革というのがあって、そこで何でも民営化にするんだということの中の一つに、まさにこの四千数百億円になんなんとする政策金利を優遇するということをしないと、なかなか長期で低利で貸し付けるということは民間は嫌いますよね。それだけのリスクがとれるわけがありません。それを、民間ができるんだといってやろうとしたこの改革ですよ。

 そのときの党の枢要なポジションにいらっしゃったと記憶していますけれども、そういうものが、世界の潮流としてそういう流れなんですか。それとも、いや、おれのところもそういうふうにしちゃったけれども、実は失敗だったみたいなことは、各国のリーダーと話題になったんですか、この分野は。各国のトレンドはいかがなんですか。

与謝野国務大臣 改革を行った時期は、前回、九月十一日に選挙があって、郵政を通さなきゃいけないということで、十月で私は政調会長をやめたんですけれども、その十月の政調会長をやめる二週間ぐらい前からこの話になって、どうかなといううちに私は政調会長を首になっちゃって、経済財政政策担当大臣になって、後は党とどこかでやっていたんですけれども、これは、私なんかが言われたのは、外国にこんな例はないんだ、公的金融機関はと。

 最近気がついたのは、フレディーマックとかファニーメイというのは住宅金融公庫そのものじゃないかと。物を知らないと議論が弱かったなと私は思っているんですが、やはり経済はいろいろ変動する。そんな大き過ぎる政府の政策金融機関を持つ必要はないです、大き過ぎるものは。だけれども、いざというときに役に立つ仕組みは持っていないと、国民生活や国民経済は守れない。やはり政府としてそういう道具立てを持っているということが国民に安心感を与えることじゃないか、今はそう思っております。

古本委員 委員の先生方もこの資料の二を最後にもう一回ごらんいただきたいんですが、当時、民間にこの分野はもうできるんだとあれほどおっしゃってなさったわけですが、指定金融機関、政投銀、商工中金他という、この「他」というのが本当に痛々しいですよね。他がいないんですもの。今、名乗りを上げているところがないんでしょう。ないんですよ、先ほど答弁いただきましたけれども。だから、これがなぜに民間では担えないのかというのは、それは民間のメガ初め各行の経営者が賢明だからですよ、そう思います。

 ですから、この分野を今後どう担っていく仕組みがあるか、道具立てがあるかということで大臣今おっしゃいましたけれども、今後、弊党もこのことについては中でよく研究をしたいと思っておりますので、よろしくお願いします。

 それでは、さらに資料の三をごらんいただきたいんですが、これは今話題となっております各県の信用保証協会のひな形です。こういった形で、信用保証委託申込書ということで出されるわけですね。屋号、商号から資本金、業種、いろいろ書いていきます。それから、申し込み内容、ここが問題ですね。金融機関、借入額等々書いていきます。それで、業況、今どうなっているか、最近十二カ月の売り上げがどうなっているか。

 これを保証協会が最終的に保証をつけますという判断をするかどうかなんですが、めくっていただいて四ページ、これが緊急保証制度についての運用基準といいますかクライテリア、判断、これは経産省の方から出していただきました。市区町村窓口での認定要件ということで、これは、保証協会に上がっていく前に窓口を通しますね、そのときに、直近三カ月の平均売上高または販売数量が対前年五%マイナスがあることということを、三%マイナスということにちょっと緩和しているということなんですね。よほどの好況な業種でない限り、昨今の状況でいえば、今大方の業種はこれにはまるんだと思うんです。それから、直近三カ月の売上総利益率、粗利ですね、こちらにつきましても今マイナス三%にしている。

 こういう状況なんですが、要はここの部分にお金がいかに行っているかということなんですけれども、きょうは中小企業庁に来ていただいております。これは、業種が七百六十業種まで今拡大をいただいておりますけれども、ずばり言えば、借りられない方はいつまでたっても借りられないという声が現場の方から聞こえてくるんですよ。ですから、幾ら資金の供給を政府が行っても、最終的な現場の判断ではねられてしまっては、借りられないある特定の何か与件を持っておられる方は、いつまでたっても借りられないという印象を持つんですが、そういう事実関係はあるんでしょうか。

横尾政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の秋より開始しました緊急保証制度でございますが、約五カ月半の期間に、四十五万八千件、九兆五千億円という御利用をいただいております。

 今委員御指摘もありましたが、制度の開始後、業種を拡大し、また要件の弾力化等も行って、この保証制度を利用できる中小企業者の方を抜本的にふやしてまいりました。それに加えまして、数次にわたり、二階大臣みずから三回にわたり、信用保証協会のトップに対しまして、中小・小規模企業の実情を踏まえて、借り手の立場に立った親身な対応をしてほしいというお願いを再三にわたってやっておりました。例えば連続して赤字あるいは債務超過という先であっても、そうした表面的な事象、数値のみで保証判断を行わないように、よく経営や事業の実態を踏まえた判断を行うようにということで要請をしてございます。

 今後とも、借り手の立場に立って、一社でも多くの中小企業の資金繰りを支援してまいりたいというふうに考えております。

古本委員 ちょっと事務的な確認ですが、この申し込み内容の金融機関、これは金融機関の内部決裁を終えて保証協会に持っていきますか、それとも同時進行になりますか。あるいは、保証協会のお墨つきを得てから金融機関に行きますか。その時系列を。

横尾政府参考人 お答え申し上げます。

 個々のケース・バイ・ケースだというふうに考えておりますが、多くの場合には、通常の中小企業者の方は取引先の金融機関がございますので、金融機関の方に相談に行きまして、そこから、金融機関から、これは保証協会、緊急保証の方がいいのではないかということで保証協会になりまして、それぞれ同時並行の場合もあるかと思いますが、通常はそういった経路で行われるというふうに認識をしております。

古本委員 大臣、今の話は大事でして、要は、お金を借りる側はどちらかといえば、はっきり言って立場が弱いじゃないですか、貸してくださいと言うわけですから。世話になっているいろいろな支店長やら営業の融資の課長やらに頭を下げて、貸してくれということをやるわけですよね。当の銀行は中身を見て、これはちょっと保証協会に了解をもらってくるのが先だぞという場合もあるわけですね。いや、あるとさっきおっしゃったので、あるという前提で進めますけれども、こうなりますと、今度はやはり銀行もこれはまたつらいです。なぜならば、これが不良債権化することがあったならば金融検査のときにまたしかられますから。

 そうなってくると、今回の、もう既に十兆円規模で実績がありますか、融通したということで政府がおっしゃっていますけれども、この委員会でも同僚委員から何度も出ていますが、結局のところ、借りられる人が借り続けられる、借りられない人はどうあがいても借りられないということに帰結するおそれがあるんじゃないかというところが、金融機関が最終的にどこまで判断できるかというところに尽きると思うんですよ。

 それで、今回、金融検査マニュアルをお預かりしてきまして、分厚いですから当該のところだけちょっと抜粋してみたんですが、おつけいたしておりますが、資料の十をごらんいただきたいと思います。ペーパーレスで、各項目をスタッフに切り張ってもらったので、実際はこんなページになっていませんので、そこをお断りした上で。

 まず、委員の皆様にも御認識いただきたいのは、この金融検査マニュアル本体そのものは、今般の金融危機を受けて、それぞれの金融機関がいろいろ判断、運用を柔軟にしていこうではないかという政府の指導も含めてあるにもかかわらず、このマニュアル自体は変えていないという事実がまずわかります。別冊で追加で出したというものが少し出ておりますけれども、これがその部分です。

 要は、4、6あたりをごらんいただきたいと思うんですけれども、健全な事業を営む融資先に対する資金供給の拒否や資金回収を行うなどの不適切な取り扱いを行っていないかチェックする、あるいは6「中小・零細企業の事業再生に向けた取組等」ということで、「継続的な企業訪問等を通じて企業の技術力・販売力や経営者の資質といった定性的な情報を含む経営実態の十分な把握と債権管理に努めているか。」こういうことなんですね。

 これは、読めばそのとおりなんですけれども、金融検査、銀行検査というのは、大体年に何回ぐらい行くんですか。

畑中政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども職員が、財務局も含めまして大体九百五十名ぐらいおります。それから、預金取扱金融機関が七百を超えますし、検査対象先の数でいいますと二千五百を超えるものですから、そう頻繁には行けないわけでございます。業態によってそれぞればらつきがございますが、預金取扱金融機関につきましては、毎年行く先と二年程度に一回行く先と三年程度に一回行く先、それぞれ分かれているところでございます。

古本委員 行くときは、今から行きますと言って行くんですか。

畑中政府参考人 通常、預金取扱金融機関に対する立入検査は、事前に予告をして参ります。これは、相当数の資料を事前に用意していただく必要がございますためでございますが、立ち入りをいたしまして、その後いろいろ問題が判明した場合には、支店等につきましては、いわゆる無予告で、抜き打ちで参上することもございます。

古本委員 本店にまず連絡をし、行きますというふうにお断りを入れ、ある期間検査をし、次にそこの支店の幾つかを標本調査をする。

 支店に行くときは、連絡をして行くんですか、それともふらっと行くんですか。

畑中政府参考人 お答えいたします。

 支店の場合には、原則無予告で参ります。

古本委員 そうしますと、資料の十一におつけしておりますけれども、これは金融庁の方で出していただいた、今回の金融危機を受けての別冊というのが出たんです。それの抜粋が資料の十一なんですが、検証ポイントの3、これは先ほど中小企業庁が言っていただいた話と連携しているように読み取れますね。「中小・零細企業に特有の融資形態を踏まえ、赤字や債務超過が生じていることや、貸出条件の変更が行われているといった表面的な現象のみをもって、債務者区分を判断することは適当ではない。」ということですね。

 ですから、各支店が現場ですよね。保証協会の案件を本店の何か物すごいところへ行っても、ちょっと概念で申し上げていますけれども、各支店が現場としたならば、各支店で本当にきちっとそういうところにお金を回す判断をしているかどうかという判断が、各検査局の職員の方がどれだけの意思を持って臨んで行っているかということによって、恐らく金融機関も、そうリスクをとらなくてもいいよということになっていはしないかということの実態に対して懸念があるわけなんです。

 大臣、少し大臣の感想を聞きたいんですけれども、今予告して行っているということですし、支店も何万店舗とございますから、全支店行けるわけがありませんね。ですから、それは無通知で行ったとして、実はこの金融検査マニュアルというのは、いわば、よもや変なところに貸していませんねと。かつて絵画取引だ何だってどこかの料亭のおかみがやったとかやらないとかいろいろありましたね。まさかそういうところに貸していないですよねということを確認に行く目的が専らであって、今、今日的課題になっている、ちゃんと貸していますよねという確認のマニュアルになっていないのではなかろうかと思うんです。

 これは百八十度違いますよね。よからぬ融資をしていませんねということをチェックする、よって自己資本比率を毀損するようなことになっていませんねという健全経営を確認に行くマニュアルであって、信用保証協会に丸投げすることなく、保証協会に持っていく前に、おれのところの支店として腹をくくった、おやじ、おまえのところの会社は一緒になってやっていこうよということを、各店の支店長さんあるいはそこの営業課長さんがきちんと御判断していますねという確認マニュアルに、このマニュアルの出自を考えますとなかなかなっていないと思うんです。

 では、大臣の前に。これはなっていますか。

畑中政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに、金融検査マニュアルの本体を見ますと、リスクテークとリスク管理と両方ございます場合に、リスク管理の方の記述が多いのは委員御指摘のとおりでございますが、この検査マニュアルの一部を構成しております別冊中小企業編、これもあわせてごらんいただきますと、検査としては、リスクテークとリスク管理の両方見ていく、特に中小企業については、適切で円滑な資金仲介機能が発揮されているかどうか、ここをやはり重点的に見ていくということが随所に記述されておりまして、私どもはこのマニュアルをベースに的確な検証に今後とも努めてまいりたいと考えております。

古本委員 事務方からはそういうことでしたが、大臣、さりとて、長年、不良債権はありませんねという確認をするのが専らのマニュアルを、その九百何十人の方が全国に検査に行かれているわけですよね、そのうち何人が検査員か知りませんが。だから、ここは相当、大臣からも再度訓示なりをしていただいて、きちんと貸していますねという確認を、みんなそういう目線も新たに持っていこうよということを少し指導していただけないでしょうか。

与謝野国務大臣 もちろん、銀行は預金者からお金を集めていますから、それを安全なところに貸すというのが本来の仕事だと私は思っております。

 そういう中で、検査マニュアルに従って銀行の貸し出しをチェックしているわけですが、もう一方で、銀行法それ自体が予定しているのは、銀行の使命というのはやはり金融仲介機能だと。これは銀行法が当然予定していることでして、自分の庭先だけきれいにしておけばいいというのでは銀行の社会的責任はやはり果たせないんだろう。多分経営者の方はわかってくださっていると思いますけれども、実際の支店や係の段階になると、今のような経済状況では非常に抑制的な萎縮的な態度で貸し出し行為を行っている。やはり普通の金融仲介機能を果たしてくださいと、これははっきり、金融機関にも堂々と申し上げられることですから、当然のこととして我々はいつも申し上げているつもりでございます。

古本委員 先ほど検査局長が言っていただいた別冊というのが資料の十一ですよね。ですから、この資料の十一に出ている検証ポイントをしっかり運用していただくように、遺漏なきように再度庁内を引き締めていただければありがたい、こういうことでございます。

 さて、商品先物との相互乗り入れが今般話題になっているわけでありますけれども、まず、ざっくりとした大臣の御認識、感覚で結構でございます、私も資料を持ち合わせていませんので。

 大体一千万、お年寄りが運用する、ちょっととらの子の一千万をどなたかに運用を預けたいといった場合、証券会社に持っていって一千万いろいろな運用をしてもらうというときに、普通の方であれば商品先物に大体何割ぐらいポートフォリオとして持っていかれていると思いますか。感覚ですよ。あるいは大臣が一千万預けるとしたら、大臣にしましょう、大臣が一千万預けるならば商品先物を大体どのくらいと思われますか。

与謝野国務大臣 商品先物は証拠金率が低いですから、一千万も商品取引をやると、今証拠金は幾らかわかりませんけれども、昔は五%とかそんな時代があって、レバレッジが二十倍きいちゃうというので、価格が五%変動すると追い証を取られるという世界ですから、多分、商品取引はなかなか手を出さないと思います。

 今、仮に手元に一千万円あって、我々は株の取引は禁止されているんですけれども、仮に何に入れるのかといったら、東京証券市場の株で、昔から知っている名前の会社で利回りの高いものに多分投資すると思いますね。

古本委員 何かすごく親近感を覚えるんですけれども。

 資料の五をごらんいただきたいと思うんですけれども、これは日銀の方から出していただきました資金循環統計、俗に言われる一千四百兆の金融資産が日本人の個人の家計にはあるんだ、こういうことなんですけれども、現金で持っておられるのが三・二%ですから約四十兆円ぐらいですか。預金、これは定期とかいろいろ、すぐには崩せませんので五二%ありますけれども、約七百五十兆ぐらいになるんでしょうか。

 問題は株式・出資金六・一%で九十兆円弱なんですね。ですから、商品先物という概念がこの株式・出資金の中に入っているのか、その他に入っているのかはわからないという事前の御説明をいただきましたので、ボリュームとしては恐らく小さいんだろうと思うんです。事前に農水、経産からお伺いしていますけれども、口座数でいえば十万口座あるかないかだそうです。株式の方は恐らく一千万口座以上あると思いますので、百分の一以下ですね。いいですか。そうしますと、新規で現金を投資に回そうかという方がいたとしても、今は株式に回す人が恐らく多いんだろうなと思われますね。

 そこで、ちょっと農水、経産にお尋ねしますけれども、今回、市場が相互乗り入れになることによって、一千万を運用したいという投資家がいたときに、今現在、証券会社がともに東京工業品取引所それから穀物取引所の会員会社であった場合、同じ口座で、例えば、昔からなじみのある会社の株式を八百万、残りの二百万を、おばあさん、今度は小豆がいいよ、小豆の先物行きましょうといって勧めたときに、同じ口座で決済できますか。あるいは、マレーシアのゴムがいいよ、次はゴムだ、そういうことを同じ口座で決済できますか。ちょっとそれぞれ答えてください。

大下政府参考人 お答え申し上げます。

 商品先物取引を個人からお金を預かって受託する者を商品取引員と呼んでおりまして、私ども、商品取引所法に基づいて許可をいたしております。

 個人のお客さんがそういう取引と金融商品取引を行おうとする場合に同じ口座でできるかということですが、そういったことは実態上行われていないというふうに認識をいたしております。

平尾政府参考人 御指摘の点でございますけれども、これは利用者の利便性という観点からは非常に有効なことだと思いますけれども、一方、顧客の保護、あるいはリスク管理とか内部管理の問題からしますと、そこは同じ口座でやっていただくというのはなかなか難しいということで、現在もできていないと思っております。

古本委員 金融庁に確認ですけれども、まさに一千万を投資したいというお客様が、今までは株式だったのを、そういった先物に回していただきたい、投資をしていただきたいということをもくろむからこそ、今回相互乗り入れするわけでしょう。今現在のプラットホームとして、お客様の投資家の口座は同一口座で決済できますか、できませんか。それとも、今回の法改正に伴ってそこはできるようになりますか、なりませんか。

内藤政府参考人 お答えいたします。

 金融商品取引法の今回の改正におきましても、現在もそうでございますけれども、やはり先ほど農水省、経産省の方からも御説明がございましたけれども、リスク特性等が異なる取引につきましては、顧客保護あるいは内部管理体制の充実強化という観点等を考えますと、口座を区分して管理する、決済も区分をして行われるということが原則的には望ましいというふうに考えております。

古本委員 時間が来てしまいましたので、非常に残念でありますけれども、実は、望ましい望ましくないという議論は政策としてはあると思うんですが、法律としてはできるかできないかということをお尋ねしているわけなんです。

 東証という株式市場の下に、例えば東京コモディティーとか何かそういう先物会社をつくって、東証で今株式投資しているお客様に対し、今度は小豆がいいよと勧めたセールスマンがおって、お客さんも小豆がいいなと思った場合には、別途、そこの口座をつくってくれということをやっていては、そんな面倒なら昔なじみの会社の株を買っておくようにまたなってしまうだけなんじゃないですか。その課題を少し提起させていただきました。

 と同時に、もう一点だけ。大臣、実はトラブルがあった場合、いつぞやもジェイコム株というんですか、あれで入力ミスがあって大混乱になりましたね。どこかのどなたかが大もうけしたという話がありましたね。他方、外資系の証券会社は、あのときの益金をみんな返しましたよ。これは一種の火事場何とかかもしれないということで返しましたよね。だからああいった、今度は小豆で入力のトン数を入れ間違えたということが仮にあった場合、これはどこが検査しますかといったら、きのうの事前の説明では、小豆であれば農水の検査官、ゴムであれば経産の検査官が検査するというんですよ。だけれども、東証という巨大なマーケットの下に設けるのであれば、監視委員会の中にその機能を設けるべきではないかという指摘をしたかったんです。

 きょうはもう時間切れですけれども、与党の先生方、これは実は大問題になりますよ。プラットホームをつくるのはいいですけれども、当の監視委員会はその機能は持てないんですよ。専らは経産と農水でしょう。まず、その持てないということだけ確認しますよ。監視委員会はその権能を持てますか。

内藤政府参考人 証券取引等監視委員会の権能でございますけれども、これは、金融商品取引法に基づきます金融商品取引業者に対する検査でありますとか、あるいはまた金融商品市場における不公正取引の調査等ということになっておりますので、商品先物市場、商品市場というものに対する検査、調査というものはできないというふうに認識しております。

古本委員 後藤田先生もうなずいてくれましたけれども、できないんですよ。だから、これは結構問題になると思いますよ。

 それで、本当に最後に、済みません、これはジャストインフォメーションですけれども、経済産業省の産業構造審議会のまとめによりますと、何と商品先物は世界的には出来高四倍、これは多分、石油や何かが底上げたんでしょうね。他方、国内は三分の一に縮減しているんですよ。これは、どのデータを見ても、国内のコモディティーは右肩下がり。

 ですから、こういう局面で相互乗り入れをして資金を呼び込みたい、さっきは一千万のおばあちゃまのケースで申し上げましたけれども、機関投資家にも入っていただきたいとなると、その後の運用も含めて、ではどこの省庁が責任を持つかという問題は、依然、工業品は経産、農産品は農水、そして株式は金融庁という縦割りが残るままで相互乗り入れだけを決めても、大いなる懸念が運用において起こりはしないかということがあることを御指摘申し上げました。

 何より、ユーザー、投資家が同じ口座で決済できるようにならなければ、面倒で、小豆を買うと言ったら、おばあちゃん、また判こ押してくれと言われたら、もういいよ、昔なじみの会社の株を買ってくれになりますよ。だから、実はその部分も改善が図られていないように感じますので、課題の提起をさせていただきました。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、階猛君。

階委員 おはようございます。民主党の階猛でございます。

 きょうは、金融ADRについて主に質問させていただきたいんですが、その前に少し、先日発足した安心社会実現会議について大臣にお聞かせ願えればと思います。

 私、そのネーミングを見たときに、これは与謝野大臣が考えられたのかどうかちょっとわかりませんけれども、安心社会を実現するんだということは、今までは安心社会というのは実現されていなかったのかなという疑問を抱きました。きのう、麻生総理にも同じことを聞きました。麻生総理は、安心社会にほころびが出てきているからこの会議を開催するんだというお話でしたけれども、ほころびが出てきているんだったら、それは実現会議ではなくて修復会議だろうということを私は申し上げました。

 そこで、与謝野大臣にも御認識をお伺いしたいんですが、安心社会実現会議という名前にしたということは、今までは安心社会は実現されてこなかったという御認識なのでしょうか。

与謝野国務大臣 国民は、より安心な社会を求めているということであると思っております。日本は、世界各国の状況と比べますと、比較的安心度の高い社会ではあると思いますけれども、国民はより高いレベルでの安心社会をお求めになっている、そういう観点から、そういうものを実現するための要素というのは一体何なのか、こういうことを各界の方にお話を伺う、こういう趣旨でございます。

階委員 その各界の、与謝野大臣がお声をかけて集めたメンバー十五人でございますけれども、名前を見ると、知った方とか、あるいは、先日与謝野大臣から、本を読んでくださいと言われた宮本太郎さんとか、そういった方も含まれていて、なかなかいいメンバーだなというふうには私は思っているんですけれども、この人選、どのような観点から選ばれたのかということを少しお聞かせ願えますか。

与謝野国務大臣 世の中にはたくさんの有識者がおられますが、総理の前で御議論いただくわけですから、一定の規模以上の方をなかなか集められないということで、総理、官房長官と御相談しながら人選を進めさせていただいたわけでございます。

階委員 ここは財務金融委員会なので、ちょっと金融と絡めてお伺いしますけれども、安心社会を実現する上で金融の役割というものはどういうものなのか。金融というものは、今、金融危機が経済危機を招いている、しっぽが胴体を振り回しているというような言い方をされることもありますけれども、むしろ最近では、金融が安心社会の実現にとって妨げになっているような、そういう感じもするわけでございます。

 そういう中で、今回、安心社会を実現する上で金融の役割はどのようにあるべきかということを、大臣、いかがお考えでしょうか。

与謝野国務大臣 結局は、預けたものが必ず全額返ってきて、しかも配当や利息が高いというのが最も望ましいわけです。この配当や利息が高いということは何を意味するかというと、やはり日本の経済が付加価値を生み出す、そこが実はポイントであって、金融システムというよりは、経済それ自体が健全であるということ、また、日本の経済の将来に対して国民が一定の明るい見通しを持てる、これが金融としても安心な状況だと私は思っております。

階委員 それと、今回の会議を立ち上げた後に、産経新聞に大臣のお考えが載っていました。四月十六日の記事でしたけれども、基本的には、大きな政府に向かっているのは当然なんだという御理解でございました。国民のためにつくった会議だということもおっしゃっていました。

 そういう中で思い起こされるのは、経済財政諮問会議との関係でございます。

 どちらかというと、私の理解では、経済財政諮問会議の方は小さな政府志向であったと思うんですけれども、大臣のお考えの中では、今までの経済財政諮問会議、今回、国民のためにつくった会議ということなんですが、経済財政諮問会議は国民のための会議ではなかったという御認識なのかなというふうに思ったわけでございます。経済財政諮問会議とこの安心社会実現会議との関係についてお聞かせ願えますか。

与謝野国務大臣 大ざっぱな言い方しかできないことをおわびした上で申し上げますと、今回の安心社会実現会議の方は、非常に大きな筋道の議論をしていただくということです。経済財政諮問会議は、政策につながる議論をしないとただの討論会に終わりますので、安心社会実現会議に沿っていろいろな議論をいたしますけれども、それを総理のもとで政策に実現していく、これが諮問会議の役割でございます。

 多分、実現会議の方も諮問会議の方も、ともによく編隊飛行を組んで進んでいくと思います。

階委員 いや、私は、二つの会議でちょっとベクトルが違うんじゃないかというふうに思っているわけです。編隊を組むどころか、何かあらぬ方向に両方飛んでいってしまうんじゃないかなというふうに思うわけでございます。

 そもそも、この安心社会実現会議、私は、こういう会議、もし民主党が政権をとったら必ずやるだろうなというぐらいな感じでして、この会議自体については非常に趣旨は賛同できるわけです。ただ、問題なのは、今この時点でつくるということです。今の内閣、政府というものは、前回の郵政解散・総選挙、まさに小泉さん、竹中さんの路線で得られた議席によって成り立っているわけですから、その路線を変更するような会議を今の議席のもとでつくるのはおかしいのではないか、選挙で民意を問うてからこういうことはやられるべきではないかと思うわけです。

 済みません、通告していませんが、その点についてぜひ御見解をお願いします。

与謝野国務大臣 一人一人の国会議員は自由なる意思を持った存在でございますから、一人一人の国会議員は郵政選挙とかそういうことには拘束されない立場であると思っております。

 ただし、その国会議員が選挙で何を公約したかということについては、当然、その国会議員の政治倫理の問題として、その議員のその後を拘束するものと私は思っております。

階委員 ちょっと真正面からのお答えではなかったように思いますけれども、ぜひその点は、私は大事なところだと思います。方針を変更するのであれば、やはり国民の、民意の審判を仰ぐというのが大原則だと思いますので、そのことをまず申し上げたいと思います。

 それで、本題に入ります。

 金融ADRについて、今、法案の審議がされているわけでございます。私も、金融機関に勤めて社内弁護士をしているときに、デリバティブ取引に関して裁判の銀行側の代理人としてやったこともありますけれども、やはり裁判となると、金融機関の側はお金もあるし人もいるからいいんですけれども、利用者の側にしてみると大変な負担になる。

 私が携わった裁判では、最終的には銀行が勝訴したわけでございますけれども、やはり一年ぐらいかかって、勝訴した我々は、そもそも損害賠償を求められていたわけでございますが、勝訴したけれども、手続費用、弁護士報酬などで二千万ぐらいかかっています。そして、利用者の側も恐らく、そこまではいかないかもしれませんが、それに近い金額をかけているんだと思います。

 そういう中で、できれば裁判手続によらないで、当事者が納得できるような、そして信頼できるような手続で紛争が解決できる、そういう意味で、この金融ADRというのは非常に重要であるというふうには思っています。ただ、納得感のある、信頼感のある紛争解決手続になるための必要十分な制度設計になっているかどうか、ここはちゃんと見ていかなくてはいけない。

 そこで、きょうは少し条文とかも見ながら、今回の政府提出の法案について、幾つか疑問に思っている点を取り上げさせていただきたいと思います。

 まず、業界ごとに指定紛争解決機関が成立するということが今回の制度では前提になっております。ただ、そういうところがたくさんあると、利用者はどこに相談に行ったらいいのか、紛争解決を申し込んだらいいのか迷うと思います。仮に、行き先を誤ってしまった場合、訪れた先の指定紛争解決機関はどのような対応を利用者に対して行うのか。これは大臣からお願いします。

与謝野国務大臣 間違ったところに行ったら知らないよというのではなくて、あなたの案件はこういうところが扱っているのではないでしょうか、あるいは、今度新しく与野党合意でできます消費者庁へ行って相談したらどうでしょう、いろいろなやり方があるんですが、やはり、各ADRの機関が情報交換をして、お互いによくお互いのことを知っているということを日ごろ努力して積み上げていく必要がある。情報交換もしきりにやるということで、利用される方が戸惑うようなことは各機関が協力して避けるべきだ、また、親切に対応すべきだ、そういうふうに思っております。

階委員 似たような話で、業界ごとに指定紛争解決機関があったとしても、すき間事案というか、いずれの所管にも属さないような紛争というのが必ず出てくるはずです。そのような場合に、これらの指定紛争解決機関はどのような対応を行うのか。

 このすき間事案への対応ということは消費者庁の方でも大変問題になりましたけれども、この点についてもお考えをお聞かせ願えますか。

与謝野国務大臣 すき間事案は、いつまでたっても多分すき間事案でございますので、既にあるADR、両方でも解決できない問題なので、その場合は裁判上の手続を進めるということが正しいことだと思っております。

階委員 さっき言ったように、なるべくADRで解決する方が望ましいので、すき間事案についてどう対処するかというのは考えていかなくてはならないことだというふうに問題意識を持っております。

 そして、やや細かい話に入っていきますけれども、今回、金融庁は、指定紛争解決機関という法律上の文言を使っております。一方で、法務省には認証ADR制度というものがあります。

 認証と指定ということで、法務省と金融庁と言葉が分かれているわけでございますが、この認証と指定で法的効果に違いがあるのかどうか、確認させていただけますか。

内藤政府参考人 お答えいたします。

 まず、法務省所管のADR促進法についてでございますが、これによりまして、民間紛争解決手続の業務につきまして、一定の基準に適合していることを法務大臣が確認する行為について、認証という文言を用いているものと理解しております。

 本法案におきましては、金融分野における苦情処理、紛争解決の業務を行う者について、一定の基準に適合していることを主務大臣が審査した上で、金融機関が利用を義務づけられる紛争解決機関とする行為について、指定という文言を用いております。

 指定紛争解決機関の指定が行われますと、金融機関に指定紛争解決機関との間で契約締結義務が生じるとともに、その契約に基づき、資料提出や結果尊重などの片務的な義務が金融機関に課されるという法的効果が生じますが、一方、ADR促進法の認証におきましては、そのような法的効果はございません。

 この点におきまして、ADR促進法の認証と金融ADRの指定で法的効果に違いがあるというように理解をしております。

階委員 私のイメージかもしれないんですけれども、何となく指定の方が認証よりも公的なお墨つきの度合いが弱いような感じがするんです。今の御説明だと逆に、指定の方が法的効果としては強いんだというような話だったんですが、ちょっとその辺、ネーミングがこれもいま一つなのかなという感じが率直にいたしました。でも、それはそういうものだというふうに承ります。

 それと、改正金商法の百五十六条の三十九の一項の五号というところで、「紛争解決等業務を適確に実施するに足りる経理的及び技術的な基礎」というものを兼ね備えないと指定は受けられないんだという話でございますが、ここで言っている「経理的及び技術的な基礎」の具体的な意味を教えてください。

内藤政府参考人 指定紛争解決機関の指定要件といたしまして、「紛争解決等業務を適確に実施するに足りる経理的及び技術的な基礎を有すること。」との要件を掲げているところでございます。

 経理的な基礎とは、紛争解決等業務が、その性質上安定的かつ継続的に提供される必要があることから、これを可能とする収支計画等が確実なものとして備わっていることをいう、技術的な基礎とは、紛争解決等業務の適確な実施に関し、指定を受けようとする者の組織としての知識及び能力が備わっていることをいうというふうに考えております。

階委員 同じ指定の要件のところで、紛争解決機関の「役員又は職員の構成が紛争解決等業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがない」ということがあるわけですが、その具体的な意味も教えてください。

内藤政府参考人 指定紛争解決機関の指定要件といたしまして、「役員又は職員の構成が紛争解決等業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。」との要件を掲げているところでございます。

 この「おそれがない」ということでございますが、これは、紛争解決等業務の実施におきまして、紛争解決の当事者などの特定の者を有利に取り扱うおそれがないということでございます。

階委員 条文の百五十六条の四十三というところを見ていただくと、これは、受け付けた指定紛争解決機関が、その受け付けた案件の処理をほかの紛争解決機関に委託できるというふうになっているわけでございます。

 そもそも、それぞれ指定紛争解決機関は、専門性を兼ね備えてあるがゆえに指定を受けているわけでございまして、こういうたらい回しというか、ほかに委託できるというのはちょっと矛盾しているような感じがするんですが、なぜこういう業務の委託に関する条文が定められているのか、教えていただけますか。

内藤政府参考人 本条項、今御指摘の金融商品取引法の第百五十六条の四十三でございますが、これは、他の指定紛争解決機関以外の者に苦情処理手続または紛争解決手続の業務を委託することを禁止する趣旨で定めるものでございます。

 また、本法案におきましては、他の金融関連業法に基づく指定紛争解決機関についても、金融商品取引法と同様の指定、監督の規定を設けておりまして、委託先においても、金融ADRとしての基準に適合した苦情処理手続または紛争解決手続の業務が実施されるものとなっておりまして、本条項が金融ADRの存在意義を失わせるものにはならないというふうに考えております。

 なお、他の指定紛争解決機関に対して紛争解決等業務をすべて委託するというような場合には、紛争解決等業務を行う能力はないと考えられますので、当然のことながら、指定紛争解決機関の指定を受けることはできないというふうに考えております。

階委員 指定紛争解決機関がダミーみたいにならないように、しっかりとそこはやっていただきたいというふうに思います。

 それと、百五十六条の四十四を見ますと、指定紛争解決機関の業務規程に関して、どういう内容を入れるべきかというのが書かれております。列挙されているものの六号というのを見ますと、他の指定紛争解決機関等との連携に関する事項というのがありまして、さっき大臣にも御質問をした、間違ったところを訪ねていった場合の扱いとかにもかかわるかと思うんですが、この連携に関する事項、具体的にはどういうことが業務規程には書かれる必要があるのでしょうか。

内藤政府参考人 金融ADR制度におきましては、指定紛争解決機関の業務規程におきまして、他の指定紛争解決機関等との連携に関する事項を記載することとしております。

 その内容でございますが、他の指定紛争解決機関や国民生活センター、消費生活センター、法テラス、弁護士会の紛争解決センターなどとの情報交換や、顧客より申し出、問い合わせを受けた案件の移送や紹介の方法などについて記載されるということを想定しているところでございます。

階委員 この指定紛争解決機関がしっかりニーズにこたえるためには、なるべく業者が手続に積極的にかかわっていくということが必要不可欠だというふうに思うわけです。手続に誠実に対応していくというのが、一方当事者である業者にも求められるということだと思います。

 その関係で少しお伺いしていきたいんですけれども、今の百五十六条の四十四の二項の二号、三号あたりを見ますと、顧客からの申し立てで手続を開始したのに業者側が拒否できる場合、あるいは、業者が手続において資料などの提出を拒否できる場合というのが二項の二号、三号に定められているわけでございます。

 どういう場合に拒否できるかというと、正当な理由というふうに書かれているわけでございますが、それぞれ二号、三号について、正当な理由というものはいかなる理由ということを意味するのか、お示しください。

内藤政府参考人 まず第一に、手続を開始したのに業者がこれを拒否できるという正当な理由でございますが、申し立て以前に顧客との間で交渉を行った結果、訴訟により紛争解決を行うとの意思決定がされ、具体的に準備を進めている場合や、顧客が、紛争解決手続により紛争解決を図る趣旨ではなく、手続において得られた資料等を流用する等不当な目的で申し立てを行っていることが客観的に明白な場合などが考えられます。

 それから、業者が資料等の提出を拒否できる正当な理由ということでございますが、顧客が、紛争解決手続により紛争解決を図る趣旨ではなく、手続において得られた資料等を流用する等不当な目的で申し立てを行っていることが客観的に明白な場合などが考えられます。

 いずれにつきましても、この正当な理由というのは限定的に解釈されていくということだろうと思います。

    〔委員長退席、山本(明)委員長代理着席〕

階委員 今の百五十六条の四十四の二項をさらに進んでいきますと、十号というところに、加入業者は、顧客に対し、指定紛争解決機関の存在を周知するための必要な情報の提供その他の措置というものを講じなければならないというふうになっておりますが、その必要な情報の提供その他の措置というのはどういうことを要求しているのか、お聞かせください。

内藤政府参考人 本法案では、金融機関が顧客に対しまして、指定紛争解決機関による紛争解決等業務の実施につきまして、それを周知させるために、必要な情報の提供その他の措置を手続実施基本契約において定めるよう求めることとしております。

 この必要な情報の提供その他の措置につきましては、例えば指定紛争解決機関による紛争解決を契約書や約款に記載することや、ホームページやポスターにおいて指定紛争解決機関による紛争解決を周知させるということなどが考えられます。

 なお、必要な情報の提供その他の措置の内容が定められる業務規程におきましては、指定に当たりまして、主務大臣が確認審査をするということとしておりまして、その内容が利用者保護の観点から適当であるか、十分に確認を行うという必要があると考えております。

階委員 今現在も金融関係のADRが、業界がつくったものが十六とか十八あるわけでございますけれども、必ずしも活発に利用されていなくて、その背景には、存在自体知らない人が多いということですので、今のところは非常に大事だと思いますので、ぜひしっかりとした規程になるようにしていただきたいと思います。

 大臣がいらっしゃらないので先に進みまして、情報提供の話です。

 百五十六条の四十五の二項というところを見ていただきますと、指定紛争解決機関が情報公開をする規定が置かれております。二項の方では、「指定紛争解決機関は、」「加入金融商品取引関係業者その他の者に対し、情報の提供、相談その他の援助を行うよう努めなければならない。」というふうになっています。

 ここで「その他の者」というのは、その前のところは「加入金融商品取引関係業者」というふうになっていますけれども、「その他の者」というのは、これ以外に、例えば国民生活センターとか消費生活センターとかそういう公的な機関も含むのだろうか、そういうふうになされてしかるべきではないかと思いますが、その点について確認させてください。

内藤政府参考人 私ども、委員御指摘のような形で考えているところでございます。

 指定紛争解決機関は、関連する苦情及び紛争を未然に防止し、また苦情処理及び紛争解決を促進するために、今御指摘の国民生活センター、消費生活センターなどを含みますその他の者に対して、情報提供を行うよう努めなければならないというふうに考えております。

階委員 個別の紛争解決手続が始まったとして、各事案につき紛争解決委員というのが指定紛争解決機関において選任される。その人たちがいわば紛争解決を取り仕切る役割を果たすわけですけれども、その指定紛争解決機関が選任する紛争解決委員なるもの、これが各事案ごとに何人ずつ選任されるのか。

 これは、条文上必ずしも明らかではないと思うんですが、何人ずつ選任されるのかということと、仮に複数選任される場合、意思決定というのは多数決で行うかどうかというのを確認させてください。

内藤政府参考人 金融商品・サービスに関する紛争の内容に応じまして、適当な紛争解決委員の数はまちまちと考えられておりますので、本法案におきましては、紛争解決手続を実施する紛争解決委員の人数については規定をいたしておりません。指定紛争解決機関の判断にゆだねるということとしております。

 ただし、本法案では、業務規程におきまして、紛争解決委員の選任方法について記載を求めております。紛争解決委員の人数や構成などの具体的内容については、業務規程において定めることを予定しております。

 なお、複数名の紛争解決委員で紛争解決手続を行う場合において、意思決定をどのように行うかということでございますが、紛争解決委員間の取り決め等にゆだねられるものと考えております。

階委員 一人の場合もあり得るということだと思うんですけれども、その場合、消費生活相談員とか弁護士は必ず含まなくてはいけないということですから、場合によっては、消費生活相談員の方一人でやるということもあり得るのかなというふうに思っております。それだと、ほとんど消費生活センターとか国民生活センターでやっているのと変わらないことでございまして、何のために金融ADRをつくるのかなというのもよくわからないわけでございます。

 その辺は、専門性を確保するとともに、一方では、中立性を確保するという意味では、なるべくいろいろな分野から紛争解決委員なるものを選任するというのが必要ではないかなというふうに考えております。

 それから、百五十六条の五十七の一項に、これは、業務報告書を事業年度ごとに指定紛争解決機関から内閣総理大臣に提出するということになっております。

 この提出された業務報告書なんですけれども、これは消費者庁や国民生活センターにフィードバックされるのかどうか、これも情報共有という意味で大事だと思いますので、この点について確認させてください。

内藤政府参考人 業務報告書は、指定紛争解決機関の行う紛争解決等業務が公正かつ的確に遂行されているかを監督するために、主務大臣に提出を求めているものでございます。

 したがいまして、業務報告書そのものを消費者庁等にフィードバックするということは考えておりませんが、業務報告書の内容のうち、金融商品・サービスに関する苦情処理、紛争解決の情報につきましては、今後設置されます消費者庁であるとか国民生活センターなどと適切に情報交換を行う必要があるというふうに考えております。

階委員 業務報告書自体はフィードバックされないということでございますけれども、別途の手続を定めるということなんですが、そこは法律では手当てされていないわけでございますね。そこは不十分なのではないかなと思いますけれども、この点についてなぜ条文に盛り込まれなかったのか、そこを教えていただけますか。

    〔山本(明)委員長代理退席、委員長着席〕

内藤政府参考人 消費者庁関係の法律でございます消費者安全法に基づきまして、行政機関の長は、消費者事故等の状況に照らしまして、被害が拡大し、または同種もしくは類似の消費者事故等が発生するおそれがあると認められるときは、その情報を内閣総理大臣に通知することとされておりまして、指定紛争解決機関から提出された業務報告書の内容につきまして、消費者安全法の規定に基づき、消費者庁に通知する必要がある場合もあるというふうに考えております。

 また、金融トラブルに関する情報交換、連絡調整等を行う場としては、内閣府や国民生活センターも参加しております金融トラブル連絡調整協議会というものを金融庁として設けておりまして、その場において、指定紛争解決機関から提出された業務報告書に基づく情報を関係者にフィードバックし、また意見交換をしていくというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、金融サービスに関します苦情、紛争に関する情報を消費者庁や国民生活センターなどと適切に情報交換を行う必要があるというふうに考えておりまして、その具体的内容や方法の詳細については、さらに今後検討し、詰めてまいりたいというふうに考えております。

階委員 これまでるる述べてきたように、窓口をいかに共通化するかという点と、各ADRの情報共有をいかにするかというところは非常に大事なところだと思っていまして、そこについては、ちょっと我々の方からも御提案させていただくことになると思っております。

 そして、大臣が戻っていらっしゃったので、大臣への質問を何点か行わせていただきたいと思います。

 百五十六条の四十四の第六項でございましょうか、今回、指定ADRというものについて、業者はなるべく手続に積極的に参加して、手続を尊重しましょうという方向だと思うんですけれども、和解がうまくいかなかった場合に、紛争解決委員の方から特別調停案というのが示されるわけでございます。これについて、利用者の側は、応じるか応じないかは自由なわけでございますけれども、業者の側については、応じる義務を課した方がいいのではないか。つまり、片面的拘束力を認めるべきではないか。これが、イギリスなどの例ではあるわけでございます。

 今回、なぜ、そこまでの片面的拘束力、業者を拘束するという意味で片面的拘束力を設けなかったのか、その理由をお聞かせください。

与謝野国務大臣 一回のADRですべて物事が解決すればいいわけでございますけれども、なかなかそういかない場合もあるわけでございます。この規定は、そういう場合に備えた規定でございます。

 この場合は、紛争解決委員から提示される特別調停案について、一定の場合を除き、金融機関は受諾しなければならないこととしているというわけですから、これは相当な義務を課していると私は思っております。

 しかし、特別調停案については、憲法上の権利であります裁判を受ける権利との関係も踏まえる必要がありまして、このため、いろいろな場合がきちんと規定されております。

 一つは、利用者、これらの金融機関の顧客が受諾しない場合、第二は、一定期間内に訴訟が提起された場合、もう一つの場合は、一定期間内に訴訟が取り下げられない場合、また、その他の和解が成立する場合、こういう四つの場合には金融機関は受諾しなくてもよいこととしているわけでございまして、範囲はかなり狭まっているのではないかと思っております。

階委員 確かに、裁判を受ける権利は大事なものですから、業者にそれも保障するというのはわかるんですけれども、一方で、なけなしのお金をこういう金融の問題で失ってしまった人というのは、一刻も早く救済を受けたいわけですよ。そういう中で特別調停案というものが示されて、利用者の側としては何とか早く応諾してもらいたいと思っているわけで、裁判が始まると、さっき申し上げたように一年ぐらいはかかっちゃうわけですね、ちょっと複雑なものになりますと。そうなってくると、その期間というのは、お金も何もなくて大変苦しい思いをされるということでございます。

 ですから、もう一歩進めて、例えば裁判を受ける権利は認めるけれども、もし裁判で業者側が敗訴したら、期間が延びた分だけ利息分というか何か上乗せするとか、何がしかペナルティーみたいなものを科してあげないと、ちょっと利用者としては気の毒なのかなというふうな思いがします。

 この点について、もう一歩何か、利用者保護の観点から制度設計を見直すことができないかどうか、お考えをお聞かせください。

与謝野国務大臣 ADRを利用するかどうか、そもそもこれは、金融機関もお客様の方も、これはやはりADRでいきましょうという合意がなされる、その上でADRの紛争調停が始まるわけでございます。

 しかし、このことは、裁判を受ける権利まで拘束するものではない、また、そういう規定の書き方は多分憲法上許されないという、ぎりぎりのところでこのADR制度というのはできているんだろうと思っておりまして、今でも片面的な義務を金融機関側に課していますから、顧客側の弱い立場、必ず弱いとは限りませんけれども、一般の通常の市民ですと弱い立場の方々にも相当な配慮をした制度であると私は思っております。

階委員 少し観点を変えまして、この金融ADRに対する行政の監督についてお伺いします。

 金融庁の方では、金融ADRに対して報告の徴取であるとか立入検査権限というものが与えられているかと思います。条文でいいますと百五十六条の五十八だったかと思いますけれども、このような権限、今回消費者庁ができるという中で、消費者庁にもそういう権限が与えられていいのではないかと思うわけでございますけれども、この点についてはどういうふうになっているのか、教えていただけますでしょうか。大臣、お願いします。

与謝野国務大臣 個別分野のADRは、その分野の利用者、事業主体、市場等について知見を有する当該分野の所管大臣の監督にゆだねるのが望ましいとの考え方に基づき、今回法案が成立されても、消費者庁の所管とはされていないわけです。

 金融ADRについても、こうした理由から、他の個別分野のADRと同様に、検査監督権限を消費者庁に付与する必要性は低いと考えております。

 なお、消費者庁は消費者行政の司令塔的役割を果たすとの観点から、消費者安全法に基づき、事業者への報告徴取、立入検査権限が付与されております。この規定に基づき、金融ADRの指定紛争解決機関に対して、必要に応じて消費者庁も関与することが可能となっているところでございます。

階委員 最後に、大臣にもう一問だけお聞かせ願いたいと思います。

 一方で、金融庁だけで行政処分をするかというとそうなっていなくて、例えば先ほどの、そもそも指定紛争解決機関に指定する場合であるとか、あるいは業務改善命令を行う場合、そして指定を取り消す処分を行う場合、こういった場合には法務大臣との協議が必要であるというふうになっております。

 法務大臣との協議というだけでなくて、やはりこれは利用者の保護のためにあるわけでございますから、消費者担当大臣との協議というものも入れていいのではないかと思うわけでございますけれども、この点について、大臣のお考え、いかがでございましょうか。

与謝野国務大臣 金融ADRについての考え方を申し上げましたが、消費者庁に関する件はこのように考えております。

 消費者庁は、消費者行政の司令塔的役割を果たすとの観点から、消費者安全法に基づき、業務上の措置の要求を行うことができるわけでございます。この規定に基づいて、必要に応じ、金融ADRの指定紛争解決機関に対して、消費者庁も関与することが可能となっているところでございます。

階委員 金融ADRの信頼性、納得性を高める上で、消費者庁の関与を強めていくべきではないかという観点から、いろいろと御提案申し上げました。

 きょうは、金融ADRについていろいろとお聞かせいただきまして、どうもありがとうございました。これで質問を終わります。

田中委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 委員長、これは定足数に達していないんじゃないですか。大幅に割り込んでいると思いますけれども。これではちょっと質問できないので、確認してください。

田中委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田中委員長 速記を起こしてください。

 佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 定額給付金に関連して質問したいと思います。

 この評価については我々は別な立場をとっておりますが、政府は、その目的として生活支援と景気対策と二つ挙げておられると思います。与謝野大臣は、当初から生活支援という面を強調されていたと思いますけれども、これは間違いありませんか。

与謝野国務大臣 当初は、福田内閣のもとで景気対策がつくられたときは、ガソリン高とか輸入穀物高とかという生活者対策という側面が非常に強かった。その中で定額減税という形で議論をされました。結論は出ませんでしたけれども、そのときは社会政策的な意味の方がむしろ強かった段階でございます。

佐々木(憲)委員 給付の仕方は、一人一人を対象に計算をして、その家庭に給付する、こういうふうになっているようでありますが、便宜的に世帯主の預金口座に払い込む、こういうふうになっていると思います。

 そこで、ニッキンという専門紙が四月十日付で、皆さんにお配りしてありますが、「定額給付金が返済資金に」という見出しになっておりまして、こういうふうに報道しております。

 「金融機関で、定額給付金を巡って新たな懸念が広がっている。ローンの返済用口座が給付金の振込口座に指定された場合、延滞があると返済資金として自動引き落とし処理されるためだ。」「地方銀行のなかには「店頭対応Q&Aの策定を検討」や一部の信用金庫では「ホームページか店頭ポスターで顧客に注意喚起を検討」するなど、事前事後の説明態勢を整備する動きもある。」この記事の最後のところで、「「顧客が騒ぐような事態になればイメージダウン」は避けられないだけに、説明態勢を整備する必要がありそうだ。」こういうふうに報道しております。

 こういう事態は、大臣自身想定されておられましたでしょうか。

与謝野国務大臣 銀行に振り込むということまでは知っておりましたけれども、そういう細かいことが起きるということは想定しておりませんでした。

佐々木(憲)委員 混乱というかトラブルの発生に対して、何らかの対応というのが必要だろうと私は思っております。

 資料の二ページを見ていただきたいんですが、これは総務省の定額給付金室が一月二十七日につくった「定額給付金給付事業Q&A(その二)」に書かれているものであります。ここに書かれているのは、「問二十六 市町村民税を滞納している者について、その者に対して給付される定額給付金を市町村が差し押さえることは可能か。」つまり、税金を滞納している家庭に、世帯主に対して定額給付金が入った、その定額給付金を差し押さえる、これが可能かどうかというQアンドAです。

 答えとして、「定額給付金は、景気後退下での生活者の不安にきめ細かく対処するため、家計への緊急支援を行うことをその第一の趣旨として実施するものであり、給付主体である市町村が当該給付金そのものを差し押さえることは、その趣旨には合致しないものと考えている。」このように書かれております。

 総務省に確認したいんですが、これはこのとおりでよろしいですか。

佐藤政府参考人 今御紹介のありましたことに関しましては、私どもの担当部局から一月二十七日付で地方団体に発出しましたQアンドAにお示ししているものでございまして、そのとおりでございます。

佐々木(憲)委員 この考え方、精神は、国税の場合も同じだと思いますけれども、与謝野大臣、これは当然、国税もこういう考え方で対応するということでよろしいですね。

与謝野国務大臣 まず、やかましい法律論の方から申し上げますと、定額給付金は法律上、差し押さえ禁止財産とはされていない。したがいまして、法律論としては、受給者が国税を滞納している場合には、国税滞納処分による差し押さえの対象となり得る。

 その上で、実際に差し押さえるかどうかについて一般論としてお答えすれば、仮に定額給付金の受給者が国税を滞納している場合であっても、直ちに差し押さえをするわけではなく、滞納者個々の実情に即しつつ、法令等に基づき適切に対応していくことになると承知をしております。

佐々木(憲)委員 つまり、定額給付金は差し押さえ禁止財産として法律では規定されておらない、しかし、この総務省の指示のように、この目的はそれぞれの家計支援であるから、それを、入ったからといってぼっと、滞納しているから税金でもらいます、そういうことを原則的にやってはならない、そういう考え方でありまして、今大臣がおっしゃったのはそういう趣旨だろうというふうに思います。

 そこで、国税に確認しますけれども、出先、現場ですね、税務署に対してどのような指示、どういう徹底をされているのか、お聞かせいただきたい。

伊藤政府参考人 国税庁では従来から、滞納整理に当たっては、滞納者の個々の実情を十分把握した上で、その実情に即しつつ、法令等の規定に基づき適切に対応すること、また、滞納者の生活の維持または事業の継続に与える影響の少ない財産であることなどを勘案して差し押さえ財産を選択することにつきまして、あらゆる機会を通じて周知徹底を図っており、定額給付金につきましても同様に対応しているところでございます。

佐々木(憲)委員 今回のこの給付金の差し押さえ問題については、具体的な指示は行っているんでしょうか、いないんでしょうか。私が聞いているところでは、原則、定額給付金の差し押さえは行わない方向で対応願いますという指示をされているんじゃないんですか。

伊藤政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますが、定額給付金の差し押さえを含めまして、国税庁としては、滞納整理に当たって、滞納者の個々の実情に即しつつ、法令等の規定に基づき適切に対応することにつきまして周知徹底を図っておるところでございます。

佐々木(憲)委員 具体的な対応について、総務省は先ほどのQアンドAで、これは基本的にはやってはいけませんよ、法律的には可能であるが、しかしこの趣旨からいって差し押さえの対象にしてはならない、こういう指示なんですね。国税庁の場合も基本的には、方向としてはそのとおりだということだと思います。

 ところが、実際に、定額給付金が銀行口座に振り込まれた途端に差し押さえに遭って、それが引き落とされてしまったという事例があるわけです。これは地方税です。

 例えば長崎県対馬市の場合、報道によりますと、対馬市は口座振り込みによる支給初日、これは三月三十日だったんですが、三十日だけで五十人以上の滞納者の預金を差し押さえた。ばっといきなり差し押さえた。市税務課は、三月から五月というのは徴収強化月間で、支給開始日は預金残高がふえる日だ、通常業務の一環として行った、こう説明したというんですね。

 総務省は、QアンドAでああいうふうに書いていながら、五十人以上の滞納者をいきなり口座に入った途端に差し押さえる、こういうことを推奨しているんですか。

佐藤政府参考人 定額給付金の趣旨が、景気後退のもとでの生活者の不安にきめ細かく対処するために家計への支援を行うということがありましたものですから、法的には差し押さえが禁止されているわけではありませんが、市町村が給付金を差し押さえるということは、その趣旨から見て合致しないものというふうに我々は考えたわけでございます。そのことは、先ほど申しましたような形で市町村にお伝えし、理解を求め、お願いしてきたということだろうと思います。

 ただし、現に市町村が税務行政上必要な処分を行うということに関して、我々とすれば、それは望ましくない、定額給付金に関しては差し押さえというのは望ましくないということは申し上げておりますけれども、それ以上にそれをとめるというような手があるわけではないということでございます。

佐々木(憲)委員 一般的には言っても、実際にそれぞれのところでやっているのは抑えられない。それは極めて無責任ですね。

 国税では定額給付金を差し押さえた例はありますか。

伊藤政府参考人 国税庁といたしましては、国税局や税務署が実施する個々の滞納整理の内容につきましてはすべて把握しているわけではございませんが、現時点では定額給付金を差し押さえたとの事例があるとは聞いておりません。

佐々木(憲)委員 鳩山総務大臣はこのことについて、四月一日に聞かれてこう言っているんです。定額給付金は生活支援と景気刺激が趣旨なので、差し押さえをやってほしくなかった、残念だ、こういうふうに述べているんです。与謝野大臣、どう思いますか。

与謝野国務大臣 税務行政は、税金を滞納している人に収入があった場合は、それを差し押さえるということをまず考えるのはやはり通常の考え方であると私は思っております。

 ただ、この場合、それが相当性があるのかどうかという問題は当然考えるわけでございまして、給付が実現した趣旨等は、税務行政そのものではありませんけれども、当然、税務執行上は少しは頭に入れて行動していると確信をしております。

佐々木(憲)委員 相当性があるのかどうかといいますが、これは趣旨に反するんですよ。家計支援と言っているわけですから、家計の支援のために渡したのに税務署がぽんと持っていくというのは趣旨に反する。非常に与謝野大臣らしくない、歯切れの悪い答弁だと私は思いましたね。

与謝野国務大臣 差し押さえることの相当性があるかどうかというのは、佐々木先生が言われたことと同じことを言っているつもりでございます。

佐々木(憲)委員 それで、法律上、差し押さえてはならないというものが決められています。これは差し押さえ禁止対象です。

 配付した資料の三ページを見ていただきたいんですが、児童手当法の第十五条、「児童手当の支給を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。」児童扶養手当法第二十四条、「手当の支給を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。」このように規定されております。どういう理由でこれが設けられているのか、厚労省にお答えいただきたいと思います。

    〔委員長退席、山本(明)委員長代理着席〕

北村政府参考人 お答え申し上げます。

 児童手当などの支給を受ける権利の差し押さえ禁止規定の趣旨についてのお尋ねでございますけれども、これらの手当の支給を受ける権利、法律上の性格といたしましては、これはいわゆる一身専属的な権利でございます。したがいまして、受給権者の一身専属権の保護を図るために差し押さえ禁止規定が設けられているところでございます。

佐々木(憲)委員 具体的な例を挙げたいと思うんです。

 これは鳥取県の話なんですけれども、今の答弁は、支給の対象の専属権の保護という話でございました。ところが、昨年の六月十一日の事例ですけれども、不動産業者Aさんが銀行口座を持っておりました。その口座に児童手当が十三万円振り込まれたわけです。ところが、鳥取県東部総合事務所に差し押さえられた。理由は、県税の事業税、自動車税の滞納二十四万があったからだ、こういうわけです。

 Aさんはどういう家庭かといいますと、保育園児から高校生まで五人の子供がいらっしゃるわけです。病弱で働けない妻、認知症のある父を抱えて八人家族、もう本当に生活は大変だと思います。事業の方が経営難に陥りまして、今では夜の警備の仕事をしていますけれども、収入は月十五万円足らずです。一生懸命頑張ってこられたわけですね。

 この児童手当約十三万円は、この家庭にとっては大変大きなお金であります。これは、小学校の給食費を滞納していたので、その分九万円と、それから高校の教材費滞納分が七万七千円あった、その一部に充てるということで約束をしていたわけです。まさに、法の言う「児童の健全な育成及び資質の向上」のために使おう、これは目的どおり使おうとしていたわけです。そのやさきにいきなり差し押さえられた。これは明らかに法の趣旨に違反する行為じゃありませんか。

    〔山本(明)委員長代理退席、委員長着席〕

北村政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げました児童手当法の差し押さえ禁止規定でございます。これは、その支給を受ける権利の差し押さえを禁止しているものでございますけれども、支給されました口座の預金債権を差し押さえることまでを禁止しているわけではございません。そういうものを禁止していないものでございます。

 したがいまして、一たん支給された後の当該口座の預金債権の差し押さえにつきましては、私ども厚生労働省として判断することは困難でございまして、それぞれの税務当局においての御判断に基づいてなされているというふうに考えているものでございます。

佐々木(憲)委員 これは全然だめですね。

 では総務省に聞きますけれども、これは、児童手当法に規定している、差し押さえてはならない禁止対象なんです。それを口座に入って直ちに差し押さえている。

 次の、最後のコピーを見ていただきたいんです。これはこの方の預金通帳です。御了解を得て配付をしております。

 この預金口座の二〇〇八年六月十一日、そこを見ていただきたいんです。下線の部分、六月十一日振り込み、「トツトリシジドウテアテ」、これは鳥取市から児童手当がここに入っている、十三万円入ったと。その前の預金残高は幾らか、これは七十三円ですよ。したがって、残高が十三万七十三円。それがその日、九分以内に引き出されたと言われております。「ケンゼイジムシヨ」、県税事務所が十三万七十三円根こそぎ持っていってゼロですよ。

 こんなやり方は余りにもひどいんじゃないか。これはどこから見ても児童手当そのものを差し押さえているんです。明確な違反じゃないんですか。総務省、答えていただきたい。

佐藤政府参考人 ただいまお答えがありましたように、差し押さえ禁止財産とされておりますのは児童手当の支給を受ける権利ということに法律上なっております。したがって、そういった児童手当などが一たん納税者の預金口座に入りました場合には、この性格がそのまま属性が承継されるというものではないと考えております。

 このことは、一般的に言いますと、預金口座にはそういった児童手当などの差し押さえの禁止されている債権に係る振り込み以外にも、さまざまな振り込みですとか預け入れというのも存在するものですから、そうなりますと、受給者の一般財産にそういうものが混入してしまっているということになりまして、そうしたことから、そのことについて差し押さえ禁止財産としては扱っていないものと考えております。

 なお、個別の事案について我々、知識があるわけではございませんが、実際、鳥取県においてこうした差し押さえをするに当たりましては、当然ながら滞納者の個別的な事情、具体的な事情というのを考慮した上でのことだろうと思っております。

佐々木(憲)委員 これは何の考慮もされていないんだよ。

 いかにも何か合理的なことをやったかのように言いますけれども、一般財産に混入されている、つまり、ほかの預金もある、そこに児童手当が入った、お金に色がついていないのでどれがどれかわからない、だから差し押さえ可能なんだと。この財産はどうなんですか、この預金は。十三万円は、丸々十三万円しかないんですよ、前の残高が七十三円なんですから。児童手当をいきなり差し押さえたという事例じゃないですか。

 しかも、重大なのは、総務省のQアンドAをちょっともう一回見ていただきたいんだが、先ほどのところの下に何と書いてあるか。これは定額給付金の例ですけれども、「同じ団体の職員同士であっても、税の滞納者の情報を税務当局から給付金担当部局に伝えたり、逆に、ある者に対する定額給付金の給付の有無・時期等を給付金担当部局から他部局に伝えたりすることは、公務員の守秘義務や個人情報保護との関係が問題となる。」こういうことを書いているじゃないですか。

 これは明らかに、このAさんに児童手当十三万円が入る、こういう情報が市から県の税務当局に伝わっている。入った途端に、九分以内に引き落とされているんですよ。明確に個人情報保護法あるいは守秘義務違反になるんじゃありませんか。これは調査して是正すべきだ。こんなやり方は絶対認められない。どうですか。

佐藤政府参考人 我々は、このAさんの預金通帳という書類だけから判断することはなかなか難しいのでございますが、一般的に、滞納者の財産を差し押さえるに当たってはいろいろ現場の裁量というものがあるわけでございます。

 これは推測になりますが、Aさんの預金通帳だけを見てそういったことを判断するのは我々はちょっとできないのでございまして、この県税事務所におきましては、当然Aさんの生活の状況ですとかあるいは財産の状況ですとかということを調査した上で、これは法的に違法ではない、適切だという判断をした上でなされたのではないか、そういう推測をいたします。

佐々木(憲)委員 そんなのは、あなたの勝手なでたらめな推測ですよ。まず調査をして是正する。調査ぐらいしなさいよ、どうなんですか。

佐藤政府参考人 個別の事案でございますので、調査といいましても、鳥取県の税務当局にはまた守秘義務もあるわけでございまして、我々の調査が十分にできるとは考えられません。

 また、一つ一つの事案につきまして、それはまさに地方団体の税務当局の判断と責任においてなされているものでありますので、我々としては、そこに一つ一つ入っていくということまでも考えているということではないわけでございます。

佐々木(憲)委員 そんなのじゃ全然だめだよ。税務当局に守秘義務があるからというのはどういうことですか、それは。指導的立場にあるのはあなた方じゃないですか。当然調査すべきだ。だめだ、そんな答弁は。

田中委員長 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田中委員長 速記を起こしてください。

 総務省佐藤大臣官房審議官。

佐藤政府参考人 国会の委員会におきましてこのような問題提起がなされたということを鳥取県の税務当局に伝え、適切な執行に努められるよう注意喚起をいたしたいと思います。

佐々木(憲)委員 一つわからないのは、受ける権利は差し押さえることはできないが、預金の中に入ってしまったら差し押さえの対象になるという、その論理がわからないんです。

 これは明確に、預金口座に入って、それしかないんですから、児童手当しか入っていないんですから、それを差し押さえたら児童手当を受ける権利の差し押さえになるんじゃありませんか。まず、その関係を説明していただきたいんです。

佐藤政府参考人 法律上は「児童手当の支給を受ける権利」となっておりまして、実際支給がなされました場合には、この権利というのは消滅するんだろうと思います。実際に支給があれば、この権利は消滅するんだろうと思います。

 児童手当の支給を受ける権利というのは、税務当局が差し押さえします場合にはその支給をする者に対して通知をし、勝手な処分といいますか、そういったものをとめるという効果を持っております。一たん銀行に入りましたら、要するに鳥取市が支給をするということはなくなるわけですから、その場合には、差し押さえるのは金融機関に対して、その口座から勝手な処分をしないようにとめる、言うということになろうかと思います。

佐々木(憲)委員 さっぱりわかりませんね、それは。児童手当が入る、それをその趣旨に基づいて、それに沿って利用するというのが権利の行使なんじゃないんですか。何で権利がなくなるんですか、入ったら。

 厚労省はどうですか。厚労省、説明してください。

北村政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど申し上げましたけれども、児童手当法の差し押さえ禁止規定、これは、支給を受ける権利の差し押さえを禁止しているものでございますけれども、支給された口座、そちらに一たん入りますと、その預金債権、こちらの方の預金債権を差し押さえる、そこまでは禁止されていない、そういう性格のものでございます。

佐々木(憲)委員 その手当しか入っていない口座ですよ。その口座を差し押さえたら権利の侵害になるんじゃないんですか。全然、問題のすりかえですね。これは余りにもおかしいと思いますね。

 大臣、どうですか。児童手当が入りました、その預金口座には児童手当しかありません。それを差し押さえるということは児童手当を使う権利を侵害する、つまり、法律では児童手当を差し押さえてはならないとなっているわけですから、当然それはやってはならない、こうなるわけじゃないですか。それを差し押さえたら権利を侵害してしまう、法律に違反するということになるんじゃないですか。どういうふうに思いますか。

与謝野国務大臣 法律上の問題と法律の具体的な、どう適用するかという問題と二つあるんだろうと思います。

 法律論は、確かに今の総務省、厚労省の説明したとおりだと思うんですけれども、そもそも、児童関係の法律で差し押さえを禁止したことは、やはり児童手当とか児童福祉法で出すお金が具体的に子供たちの養育に使われるように、その目的が達成されることを主眼に置いた規定であって、権利の差し押さえはいけないけれども、具体的に支給されたものが実際使用できなくなるような状況にすることもまた禁止されているというふうに解釈することが正しいと私は思います。

佐々木(憲)委員 要するに、児童手当が支給されたAさんは、滞納している給食代に払いたい、そのためにこれを使うということを予定していたわけですよ。児童手当が入ったら、給食代、滞納しているのを払いたいと。そのためにそれを使おうと思っていた。使おうと思っていたのに、差し押さえられたら使えなくなってしまうわけですね。本来の法律の趣旨と全く反するわけであります、そういう事態は。

 だから、大臣がおっしゃった、その目的のために使われるべきであるということと違う事態が起こっているわけですね。私は、これは非常に重要な問題で、今何か、預金口座に入ればそれはもう別なんだ、入ったら何でもやれるんだ、差し押さえ対象なんだ、こういう解釈自体が間違っているというふうに思います。

 本当に今、そういう事例があちこちで起こっておりまして、挙げたら切りがありませんけれども、高知の四万十市では、寝たきりの老人の収入に滞納処分をかけて差し押さえる、年金の入金口座を入金日の朝一番に差し押さえる、こういうことがやられておりまして、これは余りにも横暴だと思いますよ。今、景気後退の中で、どれだけ低所得者の方が生活が苦しい状態に追い込まれているか、そういうことを考えると、寝ている病人の布団をはぐようなやり方というのは本当に許せないと思います。

 基本的な姿勢として、最後に大臣の考え方を確認したいと思います。

田中委員長 時間の関係がございますので、手短にお願いいたします。

与謝野国務大臣 国税当局はちゃんと血も涙もあるので、その辺は誤解していただきたくないと思うんです。

 例えば、国税徴収法第百五十一条第二項に書いてありますことは、具体的には、滞納者について、納税に対する誠意があり換価の猶予が認められる場合において、差し押さえにより生活の維持が困難となるおそれがある財産の差し押さえを解除することができるとされている規定があるくらいでございますから、国税に関しては、そんな無慈悲なことをやっているわけではございません。

佐々木(憲)委員 そういう、大臣が今お答えになったことに反することが具体的にあれば必ず是正していただくということ、それから総務省の、地方税の場合も基本的には同じだと閣僚の一員としておっしゃったんだろうというふうに理解をいたしまして、質問を終わります。

田中委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十一分散会


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