衆議院

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第2号 平成21年11月17日(火曜日)

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平成二十一年十一月十七日(火曜日)

    午前九時四分開議

 出席委員

   委員長 玄葉光一郎君

   理事 池田 元久君 理事 篠原  孝君

   理事 鈴木 克昌君 理事 高山 智司君

   理事 中塚 一宏君 理事 後藤田正純君

   理事 竹本 直一君 理事 石井 啓一君

      網屋 信介君    荒井  聰君

      今井 雅人君    小野塚勝俊君

      大串 博志君    大山 昌宏君

      岡田 康裕君    岸本 周平君

      小林 興起君    小山 展弘君

      近藤 和也君    下条 みつ君

      菅川  洋君    富岡 芳忠君

      豊田潤多郎君    野田 佳彦君

      橋本  勉君    福嶋健一郎君

      古本伸一郎君    和田 隆志君

      渡辺 義彦君    田中 和徳君

      竹下  亘君    徳田  毅君

      野田  毅君    村田 吉隆君

      茂木 敏充君    山本 幸三君

      山本 有二君    竹内  譲君

      佐々木憲昭君

    …………………………………

   財務大臣         藤井 裕久君

   国務大臣

   (金融担当)       亀井 静香君

   内閣府副大臣       大塚 耕平君

   財務副大臣        野田 佳彦君

   財務大臣政務官      大串 博志君

   財務大臣政務官      古本伸一郎君

   国土交通大臣政務官    長安  豊君

   財務金融委員会専門員   首藤 忠則君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十七日

 辞任         補欠選任

  枝野 幸男君     小野塚勝俊君

  山尾志桜里君     大山 昌宏君

同日

 辞任         補欠選任

  小野塚勝俊君     枝野 幸男君

  大山 昌宏君     山尾志桜里君

    ―――――――――――――

十一月十七日

 中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律案(内閣提出第一一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 財政及び金融に関する件


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     ――――◇―――――

玄葉委員長 これより会議を開きます。

 財政及び金融に関する件について調査を進めますが、財務大臣、次回からは時間厳守でお願いをいたします。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中塚一宏君。

中塚委員 どうもおはようございます。民主党の中塚一宏です。

 お祝いを申し上げなきゃいかぬのですが、時間も時間ですので、早速質問に入らせていただきますが、まず財務大臣にお伺いをいたします。

 為替の問題についてなんでありますが、ここ何年かは、ずっと外需依存経済というか輸出依存の日本の経済というものが続いてきたわけでありまして、昨年来、リーマン・ショック等があって、海外の景気が落ち込むとそれに引きずられるように日本の景気も落ち込んでしまう。やはりこれじゃいかぬということで内需主導経済を目指す、そのこと自体は大変に結構なことだ、間違っていない、そう思うのでありますが、なかなか一朝一夕に内需主導型の経済というわけにもいかぬのだろうな、そう思うわけなんであります。

 そういう意味で、時間軸といいますか、今の経済構造から内需主導へ変えるといった上で、もうちょっと時間というか、あると思うんですけれども、そこらあたりから今の為替の水準というものをどういうふうにお考えになっているのかということをお聞かせいただきたいと思います。

藤井国務大臣 私は、輸出というものは大事だと思います。特に、日本は先端技術において非常にすぐれていると思うんですよ。そういう意味において、この先端技術を世界に貢献するという意味の輸出は非常に必要だと思うんですが、ここ十年間は過度の輸出偏重、これが非常に日本経済をマイナスにしたと思います。

 例えば、二〇〇二年から二〇〇七年度は、政府の資料でも出ていますが、GDPの伸びのうちの六割は外需である、一・八倍は外需である、一・一倍が内需である。それだけの差が出れば、もうどんなことがあっても格差社会が出てくるのは当たり前のことなんですね。

 高度成長時代は、私は輸出偏重でよかったと思うんです。一ドル三百六十円形態というものでよかったと思うんですよ。それはなぜかというと、高度成長だから一億総中流階級になれたんですね。ところが、高度成長の前提が崩れました。これは、一ドル三百六十円が崩れた、あるいは第一次石油ショックから始まった石油ショックが起こったということで、同じ政策ではどうしても一億総格差社会にならざるを得ないというふうになってきたわけです。

 ですから、私は、要するに財政政策というのは、簡単に言えば国の資源配分の話ですよね。だから、中塚さんの言うように、国の資源配分として内需に転換しなければならない。これは、正しいと今言ってくださいましたが、そのとおりだと思います。要するに、今までそれがうまくいかなかったから、日本はそれほど金融の毀損というのがなかったにかかわらず、アメリカ初めヨーロッパの金融の毀損というものに基づいて輸出が非常にだめになった。だから、私は株価がめちゃくちゃに悪いとは思いませんけれども、株価に、中塚さんの言葉をかりれば、影響が相当出た、こういうことだと思うんですよね。

 それで、少し時間がかかるというお話もそのとおりです。経済体質を変えるというのは大変なことなんですね。しかし、我々は確実に、いわゆる高度経済成長的体質から内需中心の地域経済あるいは福祉経済的な体質に変えている。これはもう現実であります。

 そこで、最後に為替レートの話がありましたが、為替レートの話というのは、水準の話は言わないというのは、これは世界の常識ですから申し上げることはありませんが、要するに、一ドル三百六十円という体質が大変日本の成長に役立った、これはもう間違いない事実であります。それが一九七一年、昭和四十六年に消えた。それ以後、本当は変えていくべきだったというふうな認識を持っております。

中塚委員 それでは次に、亀井担当大臣にお伺いをいたします。

 今般提出されます中小企業金融円滑化法案なんでありますが、私ども選挙区を歩いていますと、普通中小企業と言うんですけれども、私らがふだん会うようなところというのは、どっちかというと、もう中小を通り越して、零細とか個人とかそういうところが多いわけですね。政府や日本銀行が言うところの中小企業というのは、どっちかというともう中堅企業、私らの感覚からすると中堅企業のような感じがする。金を貸してくれないという話はいっぱい聞きます。

 他方、私、いろいろな金融機関、協同組織金融機関の皆さんともおつき合いがあるわけなんですけれども、やはり、中小、零細、個人というと、信金、信組とかそういったところがお金をいっぱい貸しておるわけなんですが、そういう信金、信組の経営者の方とお話をすると、貸したいんだ、貸してやりたいんだけれども、貸せないと。なぜかというと、金融検査マニュアルというのがあって、一回返済がおくれたり利息をちょっとまけたら、すぐそれで不良債権だみたいなことを言われてしまう。

 ということで、今般こういう法律を提出されるんですが、より実効性を確保するために、金融検査マニュアルについてどのようにされていくおつもりか、お答えをいただければと思います。

亀井国務大臣 中塚議員の地域金融についての現状認識、私もそのように痛切に感じております。このたびの法律、そういう意味では、おっしゃるように地域経済にとって、特に零細企業等の金繰りが非常によくなっていくだろう、私はこのように思っています。

 しかし、おっしゃるように、よく、理事長等に私なんかが話をしますと、検査官が怖いという答えがすぐ返ってくるような状況がずっと、数年以上続いたわけでして、やはりどうやって実効性あるものにするかということで、一つは、金融機関のそれに対応する体制整備をどうきっちりとやっておるか、実施状況はどうか、これを金融庁に報告をさせる、義務づけるという措置をとりますと同時に、今金融マニュアルと監督指針の全面的な検討、改定の作業をやっておりまして、大体十一月いっぱいにはこれをつくり上げるつもりであります。

 この一つのポイントは、金融機関が借り手にとってよきコンサルタントとしての役割を果たしながら金融業務をやっておるかどうかという、従来の検査とはがらっと視点を変えた、そういう検査をやらせるということに方向転換をいたします。

 また、貸し出し条件を変更したからといって不良債権区分に入れてしまう、そういうようなことのないように要件を思い切って変えていく、こういう措置も同時にやる予定にいたしております。

中塚委員 どうもありがとうございました。終わります。

玄葉委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 きょうは、最初でありますから、お二人の大臣の基本姿勢を幾つか確認しておきたいと思います。

 鳩山内閣では、「政・官の在り方」という閣僚懇談会申し合わせが行われまして、大臣規範に定める服務の根本基準等の遵守を徹底する、この申し合わせにはそう書かれております。

 お二人の大臣に聞きたいんですが、この大臣規範に定められた「政治資金の調達を目的とするパーティーで、国民の疑惑を招きかねないような大規模なものの開催は自粛する。」とあります。当然これを遵守する姿勢が必要だと思いますが、それぞれ一言ずつ確認をしておきたいと思います。

藤井国務大臣 当然のことながら、九月の大臣就任以来は、おっしゃるとおりのことをやっております。

 その前の話を申し上げます。

 その前の話は、二カ月に一遍、勉強会をやっておりました。これはパーティーでも何でもありません。五、六十人の勉強会をやりました。そのときにいろいろなお客様がいらっしゃいました。ただし、一社で何十人なんということは絶対にありません。一ないし二人です。それでやって、別に間違ったことをしたとは思っておりません。

亀井国務大臣 私は、政治資金の問題は、簡単に言うと、きれいな金を集めてきれいに使うことだと思っています。

 私もセミナーという形での、勉強会といいますか、実施をいたしております。大臣になってからまだやっておりませんが、十二月にやる予定にしておりますけれども、疑われるような形でのそうしたセミナー券の、販売といったらおかしい、これは販売じゃありませんけれども、お渡しするようなことはしないように厳重に秘書には注意をいたしております。

佐々木(憲)委員 所管する関係業界から政治献金を受け取るかどうかということは大変重要な問題でありまして、これは政官業癒着の一つの問題として今までも随分議論になりました。

 以前、私も新しい大臣が就任するたびにこの問題をお聞きしておりまして、お隣におられる山本有二金融担当大臣だったそのころに、私もこの問題を取り上げたんです。そうしましたら、調査をしますということで調査をされまして、「購入先の中に、」「幾つかの金融機関も含まれておりました。」「国民の信頼確保に万全を期する観点から、金融関係者につきましては全額返金することといたしまして、既に手続を済ませております。」こういうことで、銀行十四枚、生保十二枚、損保十三枚、証券五枚、合計四十四枚、合計しますと八十八万円、少ないと思いますけれども、しかし、こういうふうに二十万円以下のものについても非常に正確に報告をいただきまして、返還をされたということで、私は非常に潔いといいますか、そういう姿勢だったというふうに感じたわけでございます。

 関連業界からの政治資金は一切受け取らないというのが基本だと思いますが、この点、今後そういう姿勢で臨むかどうか、確認をしたいと思います。

藤井国務大臣 今のようなたぐいの話も、一切私は過去からありません。もちろん今後もありません。

亀井国務大臣 関連業界といったらどこまでか。私は、経済産業大臣なんというのは大変お困りになるんじゃないかと思いますね、事実上そうしたセミナーとかパーティーに参加いただけないということにもなるわけですから。

 私はとにかく、自分の職務権限等を含めまして、疑いを持たれるような、そういうことは一切するつもりはございません。

佐々木(憲)委員 一切するつもりはないということでありますから、十二月はどんな形になるのかもきちっと監視をしたいと思っております。

 それで、次に消費税の問題についてお聞きをしたいと思います。

 民主党の鳩山総裁は、八月十二日に都内で党首討論会が行われた際に、消費税をいつまでも上げないで済む日本ではないと考えるが、四年間は上げる必要はないというふうに述べました。これは財務大臣も同じ考えだと思いますが、確認をしておきたいと思います。

藤井国務大臣 消費税が将来の基幹税であるということは私はいろいろな場所で言っております。ただし、今やるべき時期ではないということです。それは、世間は無駄がまだ公にはいろいろあるじゃないかというような中で、その方々の理解を得られない形の税制というのはあり得ないということです。

 現に、私の尊敬する大平大蔵大臣は、昭和五十四年にこれをやられた、だけれども大失敗をされたんです。その後にどうなったかというと、結局、土光臨調というものがあって実現したんですね。そういう経緯を私たちは常に考えておかなきゃいかぬと思っております。

亀井国務大臣 消費税は上げる必要一切ない、このように考えております。

佐々木(憲)委員 一切ないということは、四年間ではなく、これを上げるということ自体、基本的に考えないということですか。

亀井国務大臣 この内閣は四年間上げないということを宣言しておるわけでありますが、私は、政治家として、個人として、消費税を上げるべきではない、このように考えています。

佐々木(憲)委員 非常に明快な答弁だったと思います。少なくとも、この内閣としては四年間上げない、これは三党合意の中でも書かれている点でございます。

 そこで、少し具体的にお聞きしますけれども、百七十一通常国会で成立をいたしました所得税法等の一部を改正する法律というのがあります。その附則に、附則百四条というのがありまして、その中には、「遅滞なく、かつ、段階的に消費税を含む税制の抜本的な改革を行うため、平成二十三年度までに必要な法制上の措置を講ずるものとする。」と記されております。つまり、二年後までに消費税増税法案を国会に提出するということであります。

 これは四年間は上げないわけですから、二年後に増税法案を提出するというこの規定は、内閣の立場からいえば大変矛盾する規定でありまして、この消費税引き上げ条項といいますか、この部分、修正する必要が私はあると思うんですが、財務大臣、どのようにお考えでしょうか。

藤井国務大臣 私は、決して他の党がやったからとは言いません。法律である以上は、あらゆる人間がそれに従うというふうに考えておりますが、でき得れば修正をするのが筋だと思っております。

佐々木(憲)委員 わかりました。それでは、二年の前に、つまりその時期に来る前に当然修正を内閣として提案するということだと確認をいたしました。

 次に、税務行政についてお聞きしたいと思います。

 財務省が現在採用している税務運営方針、これにはこう書いてあります。「納税者に対して親切な態度で接し、不便を掛けないように努めるとともに、納税者の苦情あるいは不満は積極的に解決するよう努めなければならない。また、納税者の主張に十分耳を傾け、いやしくも一方的であるという批判を受けることがないよう、細心の注意を払わなければならない。」これは、税務署の税務調査等に関連して基本姿勢を書いているものであります。

 これはやはり大変重要な文献であって、私は現在でも有効であるというふうに聞いておりますが、大臣はこの点、こういう基本的な姿勢で税務運営を行うということであるかどうか、確認をしたいと思います。

藤井国務大臣 今非常に評判が悪いんですが、私も三十のころ、税務署長というのをやらせていただきました。そのときに、おたくのグループから大変な批判を受けました。そのころの反省が今の文章になっていると私は思っているんです。

 ですから、御質問に即答えれば、そのとおりに守っており、守らせなければいけないと思っております。

佐々木(憲)委員 この委員会で取り上げた一つの例として紹介したいと思いますが、児童手当の差し押さえというのが、実は鳥取県の地方税の滞納処分として行われた事例がありまして、私は、これは非常に冷たい対応だったというふうに今でも思っております。

 鳥取県で不動産業を営むAさんとしておきます。この方は、病弱な妻と認知症の父親、それに子供五人、八人家族ですね。事業が非常に営業難で、夜間の警備の仕事をして、収入はそれでも月に十五万円に満たないという状態でありました。

 昨年の六月にAさんの銀行口座に振り込まれたのが、十三万円の児童手当でございます。この手当が、県税の滞納を理由として県税事務所に差し押さえられた、それが入金後九分以内の出来事だったと。本当に私もびっくりしましたが、このAさんからコピーをいただいた預金通帳の写しがあるんですけれども、残金七十三円だったんですよ、七十三円。そこに十三万円の児童手当が振り込まれたんです。九分たたないうちに、十三万七十三円、ごっそりと全部これが引き落とされちゃった。これは県税事務所が引き出したんです。

 児童手当法というのは、児童手当の支給を受ける権利は差し押さえることができないと定めていることを私は指摘して、これは差し押さえ禁止財産に反しているんじゃないかと思いましてお聞きしたんですが、Aさんは、この児童手当で、滞納している給食費だとか教材費、つまり子供のための費用に充てようとしていたわけですね。

 児童手当の差し押さえというのは、児童の健全育成などに資するという児童手当法の趣旨にやはり反すると私は思いまして、当時、与謝野大臣にこの点をお聞きしたんです。そうしましたら、与謝野さんは、児童手当は子供の養育に使うという目的に達せられるべきものだ、その上で、権利の差し押さえは、受給者が差し押さえによって児童手当を使用できなくする、こういうことを禁止するように解釈するのが正しい、つまり、児童手当はちゃんと児童の養育のために使うものであるから、差し押さえてはならないし、児童の養育のために使えるようにしてやるのが本来の筋だ、こういうふうに答弁して、私は非常に明解な答弁だったと思いまして、当時、大変評価をしたわけでございます。

 血も涙もある税務行政というものは、私は非常に大事なことだと思いますので、藤井財務大臣に、先ほどの税務運営方針の基本精神に立つならば、このような差し押さえというのはあってはならないというふうに思いますけれども、どのようにお感じでしょうか。

藤井国務大臣 与謝野さんの言われたことは正しいと思います。

佐々木(憲)委員 それでは次に、亀井大臣にお聞きしますけれども、具体的な話で、自主共済の問題でございます。

 今、知的障害者の団体ですとか、あるいはPTAとか開業医の団体、いろいろな団体が組織の中で、組織というのは一定の目的のためにつくられた組織ですね、その中でお互いに会員同士が助け合いを行う、これは互助会とか共済というふうに言われていますが、そういう運営が行われております。

 例えば、知的障害者の子供を持つ家族が互助会で大変救われているという例はたくさん聞くわけです。神戸のある保護者は、こう言っております。

 我が子は、再三再四入退院を繰り返しております。入院先では一般的には完全看護と言われていますが、重い知的障害者には家族による付き添い介護が必要とされ、その面倒見については大変疲労こんぱいを来しております。退院後は互助会に申請し介護費の面倒を見ていただき、感謝し安堵感を得ております。

 それから、別な方はこう言っているんですね。

 去年七月より息子も医療費が七割負担になっているので、大変大きな出費になってしまいました。そんな折、互助会より給付金をいただき、大変ありがたく、うれしく思いました。この互助会制度も来年以降認められなくなるとのこと、これから先、親が付き添えなくなった場合を考えると不安でなりません。

 こういうふうに言っておるわけです。

 鳩山総理は、民間の助け合い、互助の精神はなくてはならないことです、こう演説でおっしゃいました。これは大変大事なことだと思います。これまで歴代の金融担当大臣は、この共済活動を有意義な活動である、こういうふうにお認めになってきました。事業がきちんと運営できるようにできるだけのことをする、こういう答弁もされております。

 この共済とか互助会、これは、もちろんオレンジ共済みたいな詐欺団体とは違って、現に今行われているこれらの団体というのはまじめに、保険がなかなかやってくれないことをお互いに少しでも助け合おう、これがなくなったら本当に生活も破綻する、そういう方々が大変多いわけです。現に知的障害者の互助会は新しい保険業法で次々とつぶされてしまっている、こういうふうに聞いておりまして、これはゆゆしき事態ではないか。

 やはり互助会というものは、お互いの助け合いの組織なわけですから、それがこれからも続けられるようにするというのが政治の基本ではないかと思っておりますが、亀井大臣のお考えをお聞かせいただきたい。

亀井国務大臣 御指摘の問題、私も、これは実態を踏まえて、おっしゃるように共助という、鳩山総理の友愛の精神を実践している、そういう団体に支障が起きないような対応をするようにということを事務方にももう既に調査を命じておりまして、実態に合った形で、そうしたちゃんとした団体がきちっとやっていけるような方向で処理をしたい、このように考えています。

佐々木(憲)委員 二〇〇四年の改正保険業法、これが実際に適用されて、これまでどおり活動ができなくなっている団体がたくさんあります。例えば、今御紹介した知的障害者の互助会は、民間保険が新商品をつくったけれども、保険料が高くなって継続できないというんですよ。それは、コストが当然いろいろな形で上がりますので、それで継続不能になるという事例もあります。

 ですから、やはり法律そのものもこれでいいのかどうかという再検討が私は必要だと思うんですね。実態調査の上、どの点に問題があって継続できなくなっているのか、継続できるようにするには法改正がどういうことが必要なのか、ぜひこの点を真剣に検討していただきたいというふうに思います。いかがでしょうか。

亀井国務大臣 前政権において実施されたことであっても、私はいいものは引き継いでいきたいと思っておりますが、問題があるものはどこに問題があるか、これを精査いたしまして、よりよきものにしていくというのは当然のことだと思いますので、既に私どもとしては、この実態をきちっと調査する中で議員指摘のことを検討もいたしております。

佐々木(憲)委員 きょうは大変前向きな答弁が出てまいりまして、お二人の大臣ともぜひ、国民の要望にこたえる、そういう行政を実行していただきたいというふうに思います。

 きょうはいろいろと後の日程も詰まっておりますので、私としては以上で質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

玄葉委員長 次に、竹本直一君。

竹本委員 おはようございます。

 最初の財金委員会の質問でございますけれども、一連のいわゆる鳩山献金疑惑問題について、どうしても私は一言申し上げなければならないと思っております。

 本年の六月に、鳩山首相が代表を務めておられます資金管理団体、友愛政経懇話会にいわゆる故人献金問題が発覚して以来、七千万円を超える株式売却益の申告漏れや資産報告書のたび重なる訂正など、個人資産管理の実態が次々と表面化しております。国民の代表であります内閣総理大臣から納税義務の履行や政治と金に関する疑惑が次から次へと出てくることは甚だ遺憾であります。また、それらの事項に対して国民が納得できる説明責任を十分に果たしているとはとても言えない現状ではないかと思っております。このことが政治に対する不信感を増幅させているのではないかと非常に残念に思うわけであります。

 さて、具体的には、鳩山総理は、偽装献金問題のうち、五万円超の実名献金については、平成十七年から二十年までの四年間で、百九十三件二千百七十七万円を偽装と認めておられます。名前の出ている個人献金のうち、身内を除く実に八割以上が偽装であったという驚くべき事実であります。

 一方、五万円以下の匿名献金については、総理は、弁護士から、疑わしい部分もないとは言えないのではないかとし、事実上、偽装があることを認めておられるわけであります。しかし、その実態はいまだに明らかにされておらず、国民に対して説明責任を果たす観点からも、この問題の早期の真相究明が必要であります。

 さらに、これほどの規模の偽装献金については、その資金源も国民の前に明らかにされていません。この点については、四日の予算委員会において、同僚の柴山議員から、総理本人以外の個人、親族を含みますが、個人、会社、労働組合等の団体からの資金が入っていないのかという質疑が行われました。しかし、総理は、地検の捜査が進んでおりますので、そこで全容解明されるとして、説明責任を果たす意図は全く感じられません。

 そこで、この資金源について、仮に総理本人以外の資金が入っていた場合、どのような問題が生じ得るのか確認したいと思います。相当額の個人からの贈与と見られる資金が入っていた場合、贈与税との関係はどのようになるのか。また、会社や労働組合等の団体からの資金が入っている場合には、どのような課税関係になるのかという点について具体的にお聞かせいただきたい、そのように思います。

 もう一点、友愛政経懇話会が、架空名義と見られる寄附者百十六人について、総務省に対し寄附金控除証明書を申請し、書類の交付を受けているという事実を十一月四日の衆議院予算委員会で我が党の柴山議員が指摘していますが、その後、総務省はこの百十六人すべての証明書を回収したのでしょうか。それをお聞きしたいと思います。

 また、総務省は、このような不正な申請を排除するための再発防止策を検討しているのでしょうか。さらに、税務当局として、虚偽の寄附者が寄附金控除を受けていないことを確認したのかどうかについてお伺いいたします。

 虚偽の寄附者のうち、死亡など実在しない人物が確定申告により寄附金控除を受ける可能性は少ないと思われますけれども、仮に、寄附金の支払いを負担せずに寄附金控除を受けさせることを条件に実在の人物から名義を借り、総理個人の資金を寄附金の払い込みに充てて証明書を発行してもらうような場合には、その実在の人物は寄附金控除を受けることが可能となると思われますが、当局の御見解をお伺いします。

 このような通謀による脱税が可能であるとすれば、当局は、五万円以下の献金についても寄附者と資金の流れを調査し、正当な寄附金控除であるか否かを確認する必要があると考えますが、このような考え方について御見解をお伺いいたしたいと思います。

 いずれにいたしましても、きちっと説明されることが政治に対する信頼を取り戻すもとになりますし、割合はっきりとした事実でございますので、そのことについてどう当局として対処されるか、財務大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

藤井国務大臣 総務省はきょう来ておりませんので、ちょっとお答えはできません。

 それから、竹本議員は既に御承知のように、個別の問題でこういうところで語ることにはなっておりませんので、それはお許しをいただきたいと思います。

 三番目に、一般論で申しますが、私はもともと税務署員であったこともあるんですが、週刊誌から何から徹底的に調べてやるのが税務当局の仕事であるということは申し上げられると思います。

竹本委員 それでは、財金委員会本来の議論に移りたいと思います。

 まずお聞きしたいのは、失業が非常にふえているという事実であります。

 この間の発表によると、七―九は年率で四・八%の成長という報告が来ておりますけれども、景気はよくなっているんですが、相変わらず失業者が非常にふえております。七月に五・七%ということで、過去最高の数字であります。

 その数字自体は、アメリカは一〇%ぐらいでありますので、それほど怖がることはないんですけれども、実は、雇用調整助成金等政府の施策によって、本来ならば失業しているはずの人が失業者として登場していない、こういう事実があります。仮にこれをやらなければ恐らく一〇%を超す失業率になる、つまりアメリカと同じではないか。それほど日本の景気は深刻なんだというふうに思わなければならないと思っております。

 雇用保蔵という言葉があります。経済白書でこの雇用保蔵についてコメントしておるようでありますけれども、全産業でこの雇用保蔵が六百七万人。逆に言いますと、本来の失業者として登録されている人より多いというのが実態ではないかというふうなことを懸念するわけであります。

 この状態、仕事がないという状態はまだ続くんだろうと思います。そこで、政府としては、できるだけ失業者を出さないようにするためにはどうすればいいかということをやはり真剣に考えなきゃいけない。そうしますと、我々がやりましたこの雇用調整助成金というのは、当初からの金額を恐らく十倍以上に伸ばしていると思いますけれども、非常に有効に働いているのもまた事実でありますが、ただ、現実を見ますとなお問題があります。

 例えばこの要件が、最近三カ月の生産量、売上高等の指標がその直前三カ月または前年同期と比べて五%以上減少しているという条件があるんですけれども、これを充足することが非常に難しくなっております。したがって、この要件をもう少し緩和することを考えてはどうかというふうに思っておりますし、また、不況が長引くために支給期間が非常に長期化をいたしまして、現在の制度ですと三年間で三百日という利用可能日数、これは最大なんですけれども、それをオーバーしてなおかつ失業状態が継続する、こういう状況が見られるわけでありまして、この点についても再検討する必要があるのではないかというふうに思います。

 こういった問題を含めまして、やはりこの不況を打開するためには、どうしても補正予算、第二次補正予算を早急に組んでこの景気を救う必要があるんだと私は確信をしておるんですけれども、これに対する御見解をお聞きしたいと思います。

藤井国務大臣 主に雇用調整の補給金の話でございましたが、本日、閣議で緊急経済対策の決定をいたしまして、その中には、御指摘のような雇用調整の、お金の問題だけでなく、内容も充実するというようなことも決定をいたしておりまして、ぜひそれをやらせていただきたいと思います。

 御承知のように、経済は徐々に回復しているという考えがある一方において、結局それは、どちらかというと雇用環境、所得環境を犠牲にして行われている面が現状は非常に多いんだと思います。したがいまして、経済環境が改善しつつあるというちょうど裏腹で、今お話しの雇用環境、所得環境が悪くなっている、それが今の状況であると私どもも認識いたしておりまして、その一番の根っこは仕事をよりふやすということである、そういう点も含めた、実は本日の決定をいたしております。おりますが、同時に、今の御指摘の一番のポイントであります雇用調整金の問題については、非常に大きな重点を置いて、きょう決めておることだけ申し上げたいと思います。

竹本委員 次に、きょうは財務大臣がお越しでございますので、私はぜひこれは聞きたいなと思っておったんですが、ことしの五月に我々は第一次補正予算、十五兆円の補正を組みました。その気持ちは、ともかく仕事をつくってそれに皆さんが携わってもらおう、そしてそこで所得を得てもらえれば、この不況、当時はいわゆる百年に一度と言われましたけれども、この不況を何とか脱却できるんじゃないか、こういう強い思いで、史上まれに見る十五兆円という補正予算を組んだわけであります。

 確かに、その中身については無駄だとか余計なことだとかいろいろ御批判をいただいてはおりましたけれども、ケインズじゃありませんけれども、道路を掘り起こしても内需振興に役立つという説もある世の中で、ぜひともこの時点においてはこういうことをすべきだというのが我々自由民主党の考え方であったわけであります。

 ところが、九月になって新政権ができまして、その十五兆円を削っておられる、約三兆円削られたわけであります。政党が違いますから思いは違うのは当然でありますけれども、その削る手順がおかしいのではないかというふうに私は思っております。

 なぜならば、五月に国会で、議会で議決をして十五兆円という補正予算を組んでいるわけであります。財政民主主義の原則からいけば、もしそれが不適当であると考えるのであれば、再度国会でそれを三兆円減らして、それから具体にその執行に当たられるのが本筋ではないか、このように思いますが、私の考え方について、財務大臣、御専門の立場でもございますが、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。

藤井国務大臣 まず、幾つか御質問がございましたが、十五兆円の話についてですが、私は、十五兆円のうち、いいものもいっぱいあるというふうに思っております。そのうち、それが本当に私どもの財政政策、財政政策というのははっきり言えば資源再配分の問題だと思いますが、その資源再配分の中で、例えば大規模な官庁営繕をやっていることが、我々の資源配分論からいうと違っているという点がありまして、そういう点を直したわけであります。

 したがって、無駄という言葉よりも、我々の資源再配分論から見て、大規模な官庁営繕よりも、本当に一般の人々の間近な方に資源を再配分した方が正しいのではないかという点が中心だったと考えております。

 次にお話しの、それだったらどうして補正をして直さないのか、こういうお話であろうと思います。

 過去においても、私が秘書官をやっていたころあったんですが、昭和四十八年の石油ショックの後、大規模公共投資が見直されちゃったんですね。それで、そのままほったらかしちゃっているわけですね。そういうことの時代も多かったわけです。しかし、私たちといたしましては、現状において、やはり最後の締めはしなきゃいけないと思っております。つまり、少なくとも三兆円のマイナスの補正は含めてしなければいけないと思っております。

 そのときに、一体、プラスの、いわゆる未来へ向けてのプラス補正をやるかどうかはいろいろ今議論が出ておりますが、過去の政権から見ても、これを最終決定するのは十二月だと思うんです。その十二月の段階で、今のような話で、やはりこれはプラス補正をすべきであるということになれば、それはすべきだと思います。それはマイナス補正の話だけじゃなく、まず振りかえの話です。切る切るという話がよく出るんですが、切る気はありません。それを、資源配分を振りかえるという話ならあり得るし、現に、前の政権でもそうあったように、十二月になって最終判断をしておられました。私どもも、その時期には最終判断するつもりでございます。

竹本委員 ちょっと記録を調べますと、平成九年二月二十六日の衆議院の予算委員会におきまして、当時の大蔵省の主計局長が、いわゆる予算を修正することについて、「内閣が成立した歳出予算の内容を大きく変更するとか執行を行わないということは許されるものではございませんが、内閣が個々の事例に即して、その国会の議決の趣旨を損なわない範囲で予算執行を調整をするということは、これまでもかつて総需要抑制策とかいろいろな形で行われた事例がございます。」こういう答弁をしております。

 私は、ここで聞きたいのは、我々は景気刺激のつもりで十五兆円を組みました。今回、三兆円削られました。それは景気刺激に役立たないから削られたという意味ならば、今大臣の言われた論理は理解できるんですけれども、もしそれが、景気刺激だけれども中身が違うと言うのかどうか、その辺の理屈づけをちょっと聞きたいと思います。

藤井国務大臣 先ほどから申し上げているように、私どもは、財政政策というのは資源の再配分だと。資源そのものは世の中の方が稼ぎ出してくださった、それを税制という形である程度公がいただく、そして、公のいただいたものをどこへ配分するかが財政政策だ、こう考えております。

 その中で、私どもは、今までのような形での資源配分でなく、より国民に密着した方の資源再配分をしたい、こういう意味で今の三兆円問題を考えたわけです。したがいまして、この三兆円は国民生活に直結したものに振りかえるという趣旨であるということを御理解いただきたいと思います。

 それから、大規模公共投資、さっきは大規模な官庁営繕のことを申しましたが、大規模公共投資の時代ではないというふうに、一般的でございますよ、地域地域によってはあり得ると思うんですが、一般的には、大規模公共投資というのはやはり高度成長のときには非常に役立ったんだと思うんです。それによって、大規模投資によって国民全部が一億総中流階級になったんですが、今は高度成長じゃない時代なもので、それがだめになった。

 したがって、さっきケインズのお話もございました。今の穴を掘った話もありました、ごみを右から左に持っていく話もケインズにはあるんですが、ケインズが基本的に言っておりますことは、公の金で下支えはできるが本当に経済をよくするのは民間企業だ、その下支えをするのがケインズ的に言う公共投資だというふうにも言っております。

 したがいまして、私どもは、大規模公共投資とかあるいは大規模官庁営繕というものをひっくり返して、振りかえて、そして国民生活に直結した、さっきから出ておりましたような雇用であるとか環境の問題であるとか、あるいはまた福祉経済に直結しているような介護であるとか医療の偏在であるとか、そういうふうに回していきたい、さらに、子ども手当は、これは来年でございますけれども、回してまいりたい、こんな気持ちでおることを御理解ください。

竹本委員 来年度予算のことについてお聞きしたいと思います。

 税収が非常に減っております。四十六兆円と見ていたのが四十兆円も切るとさえ言われているわけであります。ところで、来年度予算の概算要求を見ますと九十五兆円。それを今、仙谷先生のところで削っておられるんですかね、九十二兆円ぐらいにするとかいう話であります。

 仮に九十二兆円だとすれば、支弁に充てる財源を考えますと、税収が四十、そして他方、国債発行額を四十四兆円以下に抑えるということは藤井大臣があちこちで言っておられると私は聞いております。そうしますと、四十プラス四十四で八十四兆円。ところが、使う金が九十二兆円。約八兆円の差が出るわけであります。

 これは、二百七兆円ある一般財源、特定財源合わせた中から一割減らすと二十兆円以上出るわけですから、そんなものでやるんだというお話は週刊誌なんかによく書いてありますけれども、果たして本当にそれができるのか、非常に心配であります。

 今、仕分け部隊ですか、何かやっておられますけれども、それでも、金額を見ておってもそんな大したことじゃない。そうしますと、八兆円もの財源をどこで捻出してこられるのか。

 いわゆる埋蔵金ということも考えられますけれども、財投の準備金でも、三兆円ぐらいあったものが、もう今度は使う先が決まっていますから、そうしますとほとんどない状態なんですよ。そこをどこから本当に捻出してこられるのか。

 もし、やったけれども出てこなかった、それで結局、やはり五十兆円ぐらいを超すような、赤字国債でも発行するということを言われるおつもりなのかどうか、その辺のところを聞きたいと思います。

藤井国務大臣 今の四十六兆が四十兆を切るかもしれないというのは、これは二〇〇九年度の話だと思います。その話は別として、今おっしゃったのは二〇一〇年度の話だと思います。二〇一〇年度どうするんだというところがおっしゃった焦点だと思います。

 そこで、九十五兆、九十二兆が九十五兆とか言っている、それに対して、税収云々、いろいろ御意見いただきましたが、一つ抜けていますのは、税外収入というのがあるんですね。その税外収入が、前政権においては九兆二千出されたんですよ。それが、さっきお話しのような、財投であるとかあるいは外為であるとか、そしてもう使い切っちゃったよというお話だろうと思います。

 私は、それもさることながら、あの九兆二千の中に独法だとか公益法人の積立金を崩したのは〇・一兆なんですね。今、仙谷さんのやっているのは、そこをやっているわけですね。つまり、いろいろな公益法人や独法にもいっぱいあるじゃないかと。それから、現に会計検査院が相当額のものが独法や何かに埋もれているよというのをこの間出してまいりました。そういうものを出すことによって、確かに前政権は九兆二千の税外があった、しかし、それで減るものもあるよというのは事実です。おっしゃるとおりなんです。しかし、そのときに独法などから〇・一兆しか出ていないのは、これは相当積めるよ、こういうことが第一にございます。

 そして、もう一つ申し上げますが、国債を乱発するのは非常に問題だと私は思っているんです。財政規律というのは非常に大事です。現に、私は就任以来一番注目しているのは、国債市場なんです。国債市場が、一時相当金利がはね上がったんです。ということは、値段が落ちたんです。しかし、今戻ってきたんです。それは、我々中心にいる人物が、特に総理初め副総理たちがこれを徹底して抑えるということを言ってそういうふうに下がってきているわけなんですよ。これはやはり守らなきゃいけないと思うんです。

 それを守るというと、例えば四十四というお話が出ましたが、では、それを守るために歳出はどのくらいにするのか、税外収入をどう見るのか、もちろん税収をどう見るかですが、これはどうしても経済そのものの問題でございます。

 今のようにして、何とか国債の増発を抑える。これをほったらかしておけば世界からばかにされるんです。国債の市場というものを世界が見て、日本という国をばかにするわけでして、やはり国債市場は非常に大事だということを強く考えているということだけ御理解賜りたいと思います。

竹本委員 時間も大分進んでまいりましたので、最後に一言だけ藤井大臣に、これは政治家藤井先生ということでお聞きしたいと思うんです。

 私は、アメリカの学校にいたときに、一度、アメリカインディアンの生活の実態を見たいなと思いまして、アリゾナのキャンプ地を訪ねました。さぞかしひどい生活を強いられており、連邦政府の白人の連中もろくなことを施策としてやっていないんだろうと思って行きましたら、聞けば聞くほど、連邦政府は相当お金を出しているんですね。しかしながら、彼らの生活は非常に惨めでありました。

 平均寿命が、当時、もう三十年以上前ですけれども、四十歳。そして、そのもらったお金で何をしているかというと、すぐリカーショップに走るわけですよ。中学生のころからアルコールを飲む。全員アル中です。だから、長生きはできない。なぜアル中に走るかというと、差別があったんでしょう、社会へ出ても就職先がない。だから、幾らお金をやっても彼らの生活はよくならない。

 約七百の部族があって、彼らの言葉の中には、おばあさんのことをババという、日本語と同じような言葉をしゃべる部族もいる。非常に、アジア系ですから、アリューシャン列島を渡っていったわけですから、ある種の親近感があってそこを訪ねたわけですけれども、この実態を見ますと、福祉施策とかいうのは金さえ上げれば済むものじゃないということを痛切に私は感ずるわけであります。

 今回、自民党は選挙で負けましたけれども、そのいろいろな理由はありますけれども、そのうちの一つがやはり二万六千円の子ども手当だと思います。私はそう思っています。

 それを今回実行されるわけですけれども、金をばらまく、これだけは必ずしもいい結果をもたらさないと私は考えているんですが、ぜひ藤井大臣の御見解をお聞きしたいと思っております。

藤井国務大臣 全くそのとおりだと思います。

 私は、きょう閣議で決めたのにも、金よりも知恵だということを明確に書いているんです。今、竹本さんの言われたとおりだと思うんです。

 私が就任のとき、高橋是清の話をしたんですが、高橋是清は、金なんというのは政治家が信頼されれば出てくるんだ、こういうことを言っているわけですね。それも同じような面があるわけです。私たちは、信頼できるような政治家になるように努力するということが経済政策の上でも非常に大事だと思っているんです。信頼されればお金は出てくるんですね。そういう面があります。

 それから、ネイティブの話をされたんだと思います。これは、それこそ鳩山さんの友愛そのものだと思います。ネイティブを含めて、やはり人間はみんな平等なんだという気持ちを心の底から持つということがもう一つ政治家の非常に大事な面だと私は思っております。竹本さんのお話は非常に大事なことを最後に言っておられたと思います。

竹本委員 どうもありがとうございます。

 亀井大臣に全然質問しないわけにはいかないから聞くという意味ではありませんけれども、よく存じ上げている大先生でありますので、一言だけお聞きしたいと思います。

 今回のいわゆるモラトリアム法案でありますけれども、以前、亀井大臣は、御自身の中学か高校の幼友達が中小企業をやっておって、金に苦労して自殺をした、こんな惨めなことをやらせておいていいのか、こういうことを言っておられたのをよく覚えております。そういう思いが今回の亀井さんの法案になったのではないか、私はそう考えているわけであります。

 特に、最近、中小企業が一番困っている金融というのは、言ってみれば、人間の体に例えれば血液だという表現をされました。まさにそのとおりだと思うんですけれども、結局、血液が必要なところに流れる、そういう状況をつくってあげないと中小企業は生き残れないんですね。

 同時に、今の中小企業はいろいろな悩みがあるはずなんですけれども、必要なニューマネーが入ってこないというのが一つの悩み。それから、仕事が全く来ない。この悩みも実はもっときついかもしれない。私の近辺の中小企業も、大阪ですが、本当に仕事がないと言っているところが非常に多うございます。それは、亀井大臣よく御存じだというふうに思います。

 このようないろいろな悩み、仕事がない、金融がない、あるいは既に借りたお金を返せない、こういう状況が中小企業には蔓延しています。ですから、言ってみれば、傷を負っていない中小企業はないんですね。

 こういう状態だからそこには優しい手が必要だ、政治の優しい姿勢が必要だということでこの法案を発案されたんだと思いますが、この法案だけで十分かどうか。そして、これ以外にこういう施策は必要だということは当然お考えだと思います。ここは、中小企業を救うために何が必要かということを亀井大臣からお聞きをして、そろそろ時間でございますので、私の質問を終わりたいと思います。

亀井国務大臣 今、竹本議員から現在の中小企業の置かれたある面では的確なお話があった、このように私は思います。

 私は総理にも常に申し上げておるわけでありますけれども、借入金の返済を猶予してみても、問題は、仕事が出てこなければ、これはある意味では意味がない。また、仕事が出ても、この七、八年のように大企業がもうかりもしないような値段で仕事をやらせる、そういう状況を変えない限りは、竹本議員もマージャンが私と同じようにお好きですけれども、やはり一気通貫の対策を講じないと返済猶予だけではどうしようもないんだということを私は強く申し上げておりますし、また、閣僚懇等においてもそのことを申し上げておるわけであります。

 今の経済の実態について、いろいろ意見があると思います。少しよくなったといいますけれども、数字だけで判断をすると大変なことが起きちゃう。トータルの数字は大企業を含めての数字でありますから、大企業は、ある意味ではこの三、四年、イザナギ景気ということの中で百兆以上の、内部留保を持っている企業がたくさんあるわけであって、この一、二カ月で起きている現象は、無理な設備投資、無理な増産をしないで、やけどをしないでおこうということで、下請、孫請に仕事を出す量がぐんと落ちてきていることですね。それによって、そうした仕事をしている中小零細企業は仕事がないという状況が今起きております。

 そういうことですから、この貸し渋り・貸しはがし防止法案を成立させることは、あの人たちにとっては助かることではありますけれども、基本的な解決にはならないのではないかということを私は強く危惧をしておるわけであります。

竹本委員 血液は体全体に回る必要があるという考えでやっていただきたいと思います。

 これで終わります。ありがとうございました。

玄葉委員長 次に、野田毅君。

野田(毅)委員 藤井大臣、亀井大臣、御苦労さまです。大変、就任早々八面六臂の活躍、大いに期待をしております。

 特に亀井さん、やはり亀井さんらしいですね、発信力がある。だから、モラトリアムという話はみんなびっくりした。だけれども、大変、怒らないで聞いてね。明治の大砲的世界でよかった。アナウンス効果は絶大だったんだけれども、飛距離が短くてよかった。飛距離が飛んで犠牲者が出たら大変な状況が日本の金融業界にも起きてという思いであって、考えてみれば、いよいよあしたから、本会議で趣旨説明があるようですが、法案の中身を見ると、大して大きな犠牲はない。しかし、それほど胸を張ってわあわあ騒ぐほどのことでもない。だから、飛距離が短くてよかった、僕はそう思っています。

 ただ、そこに至る亀井大臣のさまざまな発言の中で、今日の経済状況に対する認識、中小企業をめぐる金融なりあるいは経営上のさまざまな課題についてのお話はそのとおりだと思う。自信を持ってください。私は、そういう意味で大いに発信してもらいたい、こう思います。

 今、竹本議員からもお話がありましたが、その中で特に、今補正の論議が始まっています。気になるのは、鳩山内閣はどちらかというと、今までの政策を継続するというよりも、まずは断絶する。白紙にして、チャラにして組み立てをし直すということに大変力点を置かれているものですから、それは継続しなきゃならぬのに断絶を強調するものも幾つかあって、いろいろなところでハレーションを起こしているな、外交問題を初め幾つかあります。

 しかし同時に、国内問題でいえば、実は経済対策なんですよ。これも、一遍チャラにしたどころか、バックギアを入れちゃって、今になって慌てて雇用対策なんて言っているでしょう。だから、この種のことは、一遍バックギアを入れてもう一遍前向きに発進しようとするときのコストというのは、そのまま緩やかに進めているときの方がはるかに安くて済むんだ。

 今日の第二次補正をめぐる与党内の議論を聞いておりまして、亀井さんがお話しになったことはそのとおりなんだ。何のために十月二十三日に、あれはたしか菅さんのところで決めたんでしょう、雇用対策。全然需要対策になっていないんですね。むしろ、私どもがこの前補正予算を組んだのは、昨年のリーマン・ショック以来の大幅な需要の落ち込み、デフレギャップがひょっとしたら四十兆になるかもしれぬじゃないかという話まであった。そういう中で、足元の雇用をどうやって確保するか。十年後の雇用対策の話をしておるわけじゃないんですよね。

 雇用対策というのは、短期、中期、長期、時系列的に戦略的につくり立てていかなきゃ雇用対策にならぬのですよ。そういう意味で、我々は、定額給付金については、問題はあったけれども頓服剤的に、足元の緊急の需要対策、雇用対策としてやったわけで、それだけをずっと続けるわけにいかぬので、第二弾として、必要な公共事業は悪ではなくて、あるいは耐震強化の話であったり、あるいは太陽光の問題であったり、場合によっては官庁営繕を使う中での、そういった温暖化対策のためにもいずれやらなきゃならぬという仕事であるならば、先行き金利が高くなってからやるよりも、今のこの時期に、むしろ消費や投資を前倒しさせてでも今の需要をつくるということがより有効なのではないか。

 第三弾目は、長期対策としていずれイノベーションをやって、自力で民間経済の中で需要を創出していくような社会構造に変えていかなきゃいけないが、今のこの大幅なデフレギャップがある中で、多少、今やらなくていいじゃないかという議論はあるが、あえてそれを乗り越えることによって補正予算を組んだんだけれども、御丁寧に一生懸命削って削って三兆円ぐらい削ってこられたので、我々からすれば、こんなことをしていれば必ず雇用の上で大きな問題が出てくるし、必ず二番底が来る。我々は、二番底が来ないように支えてきたものをお削りになったわけですから、必ず来るぞと。今出ている数字は、まさに本予算の前倒し効果と、それから補正による後の継続もやるぞという効果があって、そういう事業計画の中でやってきたわけで、これから後出てくる数値は極めて厳しい数値になるだろう、こう思って見たら、案の定だんだんそうなってきた。

 そこで、演説ばかりしていたってしようがないんだけれども、亀井大臣、鳩山内閣のワーディングの中で気になる一つ、友愛の中身もわからないんだけれども、コンクリートから人へという、これはすごく魅力的な言葉なんですよ。だけれども、聞きようによっては何か、コンクリートを使う仕事はみんな悪のように聞こえるんだ。この点について、亀井さんどう思いますか。

 それからもう一つ。せっかく基本閣僚委員会、三党の責任者がお出になるわけですから、補正の規模について、限度二・七兆とはとんでもない、もっと必要なんだというこの考えは変えるつもりはあるのかないのか、この二つについてちょっと聞かせてください。

亀井国務大臣 コンクリートから人へというのは、私は、総理がいわば象徴的な言い方で、もちろん建物とか道路とかそういう我々が生活していく上の器も大事だけれども、そこに住んでおる人間の幸せもやはり大事なんだという意味で言われているんだと思いますので、予算委員会か何かでも大分そのあたりの趣旨を御説明になったようですけれども、おかしな誤解が生まれておるとすれば私は総理の本意ではないだろう、このように思っております。

 それから、私の経済についての基本的な認識というのは、やはりセーフティーネットをきっちりと張っていくこと、また個人や家庭の所得自体に着目をしていくということ、私は、鳩山政権の、民主党の考え方もそうでしょうが、そういうことは極めて大事なことだと思っております。

 しかし問題は、産業社会自体が活力を持っていくという状況にしていかないと、家庭も個人の幸せもやはりなくなってしまうんではないかという一方の問題がある。そういう意味で、私は、総理にも申し上げてもおりますし、閣僚懇等、また政策基本委員会でも申し上げておるわけであります。

 やはり、もちろん前政権はいいこともおやりになったけれども、やってはならぬこともおやりになったと私も思っておりますが、負の遺産を思い切って整理されるということは、今人切り以蔵が一生懸命すご腕でやっておりますが、これは大事なことだと思いますけれども、一方では、やはり社会が活力を持っていく、また産業社会がやはり活性化をしていくという手を打たなければ、内需が自然に民需中心に出ていくという状況が残念ながらない場合には、政府が直接内需を創出していくという努力をしなければならないんではないでしょうかということを私は申し上げておるわけであります。

 今の状況では、一月の補正予算において上限を決めるべきではない、この補正予算を執行停止した額を振りかえるというだけで対応すべきではない。今日この時点における経済の実態、国民生活の実態をきっちりと見た上で思い切って打つべき手を私は打っていくべきであって、そうした上限を設けることについてはやるべきではないということを実はきのうも主張いたしたわけでございまして、今後ともそういう私の考え方は変わるわけではございません。

野田(毅)委員 その考えで結構だと思うんです。

 藤井大臣がさっきもお話があったんですが、高橋是清の財政、これはどちらかというとケインズよりまだ早いんですね。それで、あのころ救農土木という言葉が使われた。農村が大変疲弊をしていた。その農村をどうやってよくするか。そういう中で、土木作業をやって、いうなら農外収入を与える仕事をしたんですね。これが、ある意味では農村にお金を回す、大きな雇用の受け皿になる大事な仕事でもあった。注目すべきことなんです。

 今我々が直面していることは、当面の雇用をどうするんだと。まさに亀井大臣おっしゃったように、もともと雇用を提供する人というのはだれなんだ。本来は民間の事業者が雇用の担い手でなきゃ困る。日本は社会主義社会じゃないんですから、やはり民間の経営者が雇用の受け皿になる。しかし、その雇用の受け皿になるためには、みずからの経営基礎がはっきりしなけりゃ人を雇えるわけがない。そのためには、仕事がなければ人をふやせるわけがない。そういう意味で、その仕事が、民間需要がいっぱいあるときであればいいんだけれども、民間需要が落ち込んでおるときになれば、やむを得ざる形の中で公的セクターの中からそういった事業を提供するというのは、これは当然の一つの経済政策だと思うんですね。

 そういう点で、今金融の法案が出るんですが、十一年前に、小渕内閣当時、似たような状況があった。あのときにも大変な貸し渋り、貸しはがしだった。今日と若干状況が違うんですね。

 どこが違うか。あの当時は、自己資本比率の強化によって貸し手側の金融機関が貸さなかった。どんな立派な中小企業が相手でも、貸し手側が貸せる能力がなかった。だから、金を貸しても自己資本比率が下がらないように、分母対策として信用保証という枠組みをつくったんだ。これは当時、藤井さんも一緒に自由党で、まさにあれが一つの自自連立に入っていく大きな背景だったわけです。一方で、資金繰りだけじゃ困るので、売り上げがふえるという展望がなければ返済の当てがないわけですから、そこは、小渕さんのときには需要対策もあわせて一方でやったんですよ。両面やったんだ。

 だが今回は、金融の資金繰りの世界は今やろうとするが、肝心の返済原資をどうするんだという対策が穴があいている。穴があいているどころか、後ろ向きになっちゃった。このことをもう一遍頭の中に入れて対応してもらいたいと思うんですね。

 そこで、需要対策をこれからおやりになる中で、子ども手当の話が出ているんですね。これは藤井大臣もおっしゃるんだが、子ども手当というのは、いつ、どうやって、だれにお金が行くんだろうか。それがどうやって雇用につながっていくんだろう。物事、予算をつけてから、実際にお金が回って雇用の増加に結びつくまでにかなりのタイムラグがあるんだ。

 子ども手当が、今回やりますよといったって、どうせ来年度予算でしょう。実際にお金がどれだけ行くのか。中にはパチンコで消えちゃうよなんて話もあるんだけれども、どこまでその子ども手当が消費に回って、その消費が中小企業や何かの売り上げにつながっていって、それが雇用の増加につながっていくというのに一体どれくらいかかるんだろう。果たしてそんな悠長なことなんだろうか。私はそうは思えないんだ。

 この点、これから第二次補正で雇用対策をおやりになろう。そのときの、金額もさることながら、実は中身が大事なんだ、中身が。足元の雇用をふやすような具体的な対策はあるのか。

 十月二十三日におつくりになったことをよく見ましたが、全然つながらない。例えば、介護職員の職業訓練を向上させよう、介護職をふやそうということでいろいろやっているというんだが、幾らふやしたって、ではだれがそれを雇うんですか。雇えるだけの経営母体がしっかりしていますか。経営母体をしっかりさせようと思うんなら、結局は介護報酬を上げるしかないんじゃないですか。では、介護報酬を上げるための財源は何ですか。一遍上げればいいという話じゃないはずだ。子ども手当の財源もそうです。

 ということであれば、このあたり、どういうふうに今度の雇用対策で中身のある事項を入れようとされるのか。今月いっぱいですから、あともう二週間足らずですよね。もうそろそろ具体的に、仕分けの話は同時でもいいんだけれども、要するに、前向きの話をこれからはしてもらわないと困る。

 藤井先生おっしゃったとおり、金はあるんだ、政治の信頼があれば金は動くんだというんだが、政治家が身ぎれいであれば金が動く話じゃないんです。政策展望がはっきりしていれば経済人は動くんです。経営計画は成り立つんです。経営計画が成り立つかどうかということが、お金が動くかどうかという大きな決め手じゃないですか。

 そういう点からいえば、これからの第二次補正の内容について、どういう事項を重点的にやろうとしているのか。このあたり、やはり藤井大臣だろうかな。要求を見てから考えますじゃなくて、やはり基本的な筋道だけはもうそろそろ出しておかないと、いつまでも鳩山総理のまねしちゃいけませんよ。やはり方向だけははっきりさせた方がいい。その方がいいです。どうぞ。

藤井国務大臣 いろいろお話がありましたし、昔の仲間ですから。

 まず、一番最初に言われたことですが、断絶はいけないんです。私たちは断絶ということを言っていません。空白があってはいけない、こういうことを言っております。そして、空白があってはいけないということは、前の政権でもそのまま取り入れるものもある、変えるものもある、あわせて、空白をつくっちゃいけない、こういう形でやってまいりました。その第一の段階の、変えるところと変えないところの話はさっき申し上げました。要するに、資源配分のつくりかえだ、こういうことを申しました。

 それから第二番目の、今の資源配分の中で、これも申しましたけれども、さっき、高橋是清の救農土木事業の話をされました。あれは時局匡救費の中ですね。要するに、救農土木というのは何だというと、当時の農業人口が物すごく多かったというところだから、今おっしゃったように、そっちへ金を回したわけですよ。だから、今度は金を回す場所が違うというのも間違いないと思うんです。

 そうするとやはり、今の私の言葉で言えば、福祉経済的な面は非常に重要だと思う。それから、地域経済的な面も重要だと思うんです。だから、地域経済からいえば、大きな役所の官庁営繕をやるよりは地域の保育所をつくることも大事だと思う。あるいは、介護の施設をつくることも大事だ、地域の医療の偏在を正すことも大事だということです。そして、それはイコール、ほぼイコール、地域経済であると同時に福祉経済になっているんだと思うんですよ。

 そこで、本日決めた内容を言いますと、第一はやはり雇用対策なんですね。雇用対策には二つの面があります。現実に起きている方々の対応をどうするんだ。これは、さっき竹本さんも大分言われた、ああいう問題が中心だと思いますね。

 それからもう一つは、新しい場をつくっていくという問題がありますね。それは何だというと、そこが今転換点なんですが、さっき申し上げたように、福祉経済とか地域経済を基礎にした新しい雇用の場をつくるという考え方に立っています。例えば、さっきあなたの言われたので言うと、介護の施設で、介護はまだ有効求人倍率は普通の世界とは全然違うわけですね。そういうようなものもあるわけです。そういうふうに転換していって、そこが雇用の場になるというのが一つあると思います。

 もちろん、私は、さっき言いましたように、輸出を軽視してはいません。今までの輸出は異常であって、異常に偏向だったというだけであって、日本の英知というものは大変なものですから、そういうものを世界に均てんさせるための輸出というものは明らかにあっていいと思うし、それを強くしなければいけないのは事実だと思いますが、同時に、今申し上げたような福祉経済だとかあるいは地域経済というものに力点を持っていかなきゃいけない。それが今の、うちの一つの雇用の問題なんですね。

 それから第二が、やはり環境なんですよ。環境というものが一つの経済の母体に大きくなるはずなんです。恐らく野田さんは、時間がかかるよ、こうおっしゃっているんだと思うんですが、やはりこれは新しい経済の大きな母体になり、それが雇用の場になるということも間違いないと思っています。これが二つ目なんです。

 三つ目はやはり、中小企業対策で亀井さんの言っておられることがとても大事であり、野田さん褒めてくださったけれども、そのとおりなんです。と同時に、やはり信用保証なんですね。これは昔一緒にやったころやりましたけれども、やはり信用保証というのは物すごく大事ですから、この信用保証のために相当金を使うことになると思います。

 大体その三つぐらいでしょうか。

野田(毅)委員 我々、補正を組んだときに、環境というのも、即効性のあるものと時間がかかるものとあるんですね。だから、太陽光発電のパネルをふやさせるとか、いろいろなことを随分やりました。それからエコポイントも、ある意味では消費の先食いかもしれない。だけれども、それを通じて設備投資を誘発していく効果もあるわけですね。自動車のエコ化の話もみんなそうですね。

 だけれども、今度はどうもエコポイントをなくするという話があるのね。それは大丈夫なの、来年、予算で。何か、環境省は出しておるんだけれども経産省は出していないとか、よくわからないんですが、これは来年度予算だから、結果を見てからの議論になると思うんですが、いずれにしても、環境というだけですべて足元の雇用対策につながらないと言い切れないところもあるし、また、やはり短期、中期、長期という目で見ておく必要があるんでしょうね。

 ただ、今の御議論の中で、私が非常に心配しているのは福祉系統なんだ。さっきちょっと介護の話もしましたが、しょせん、介護報酬を上げなければ、介護の職場における雇用は出てきませんよ。今だってやめる人がたくさんいるんじゃないですか。結婚もできないような現実の中で、どうやってできますか。それから、保育所の問題は、待機児童が多いのは都会なんですよ。田舎の方はむしろ施設の方が余っちゃって、逆の大変なことになっておる現実でしょう。

 ですから、まさに地域をどうするかというときに、基本的には、医療であれ介護であれ、その財源をどうするかという議論が、恒久財源が一方でなければ安定的な行政は成り立たない。

 それは、我々も大きな反省が一つあるんです。本来なら小泉さんのときに上げるべきだったんですよ、二〇〇四、五年ごろに。そう思いませんか。あのときにきちんとやっていれば今日のようなことになっていない。そのツケが二年前の参議院選挙にあらわれて、この前の総選挙にみんなあらわれてしまって、結果として、その無理が、しわ寄せが来たわけですよ。私は、素直にそれは認めるべきじゃないんですかと。

 特に、藤井さん、連立にこだわるんじゃないんだけれども、平成十一年度から政策協定の中で、予算総則に、消費税の使い道について、基礎年金と老人医療と介護、この三分野にしか一銭も回さないと。これは、皆さん御存じかどうかわかりませんが、平成十一年度予算以来今日に至るまで、予算総則にはっきり明記していますよ。したがって、国に入った消費税はほかには一銭も使っていませんよ。ODAにも使っていないし、あるいは、地方に回るお金がくるくる回って教育であったりほかに回るかもしれませんが、少なくとも法律上、国と地方に入る仕分けはできています。国に入った消費税は一〇〇%、この三分野にしか使っていないんですよ、これは十年間。

 では、この十年の間にどれだけ高齢化が進んできているんだ。ほぼ毎年一兆円ずつ当然増がふえてきているじゃないですか、この世界で。十年間これが積み重なってきているんじゃないですか。税率は一%も上がっていないんですよ。だったら、そのしわはどこへ行くんだ。サービスを低下させるか、借金をふやすか。そのしわが全部、ほかの分野の予算もみんな削ってきている。だから、教育費だってみんなそのあおりを受けているんじゃないですか。

 この現実に政治家が目をつぶって、私は、小泉さんも問題だったと思う。我が党も問題だった。そういう点では偉かったですよ、民主党はいっとき。参議院選挙で堂々と消費税を上げると言い切ったんだから。僕は敬意を表した。しかし、今日、あれからまた五年たって、さらに四年間上げないなんて言い出したものだから、一体これはどうなっているんだと。こんなことが成り立つわけがない。本音ではそう思うんでしょう。だけれども、言っちゃったもんね、マニフェストで。

 私は、この辺、きょうはこういう公の場だから藤井さんも本音は言いにくいんだろうけれども、もう強がりはいいから、別段、変えたからと文句は言いませんから、やはりそこは状況を見ながらやらないと、どうやって社会保障のレベルを下げないで、しかも内需を手厚くしようというのなら、まさに医療の世界であれ介護の世界であれ、そういった福祉の分野は、ほとんどそれの、結局とどのつまりは公的セクターからの財源が出てこなけりゃ成り立たない世界なんでしょう。みんなわかっているんだ、国会議員も。国民だってわかっていますよ。

 今から五年前の参議院選挙は、消費税引き上げを言いながら民主党は勝ったんじゃないですか。おれの間は上げないなんという小泉さんの方が負けたんじゃないですか。民主党はそれを忘れたんですか。副大臣野田さんもおるけれども、藤井先生、どうですか。

藤井国務大臣 いろいろ演説を伺いましたが、何からお話ししていいのか、余りに多岐にわたるからあれですが、一つは、おっしゃるように予算総則に書いた、あれは一緒のときですよね。だけれども、数字からいうとそうなんですよ。ところが、世間はそう見ていないわけです。つまり、本当に、消費税の総額が十何兆だ、社会保障に十何兆かかっている、だからそのとおりに全部行っているねと、これはもう事実なんですよ。ところが、そういう説明を社会にしても、本当はどうなのという話は必ず残るんですよ。

 ですから、我々の案は、法律的、会計的にこれを結びつけろ、こういうことなんです。予算の総則の上でやっていても、数字はそうかもしれないけれども、結局は何に行っているかわからないというのが今の社会なんですよ。ですから、会計的、法律的ということは、法律上もまずそれにしか絶対に使っちゃいけない。会計的というのは、皆様からいただいた消費税がそこにしか行かないという、これが会計的なんですね。それが違っているというふうに私は思います。

 それから、私たちは、介護保険料を上げる、七%上げるというのを出しているわけなんですよ。それで、今度それが永続性がないという話になっておられるようですね。これは、みんなで節約でやろうとしているわけです。それで、我々は節約の中で、六兆一千億を節約で出そうとしているんですよ。十六兆八千億というのは、あれは違います。ほかのものをいろいろ加えてです。そして、六兆一千億というのは、全部で四十九兆円ある中から六兆一千億出そう、今数字の話は余りしませんけれども、そういうふうにして、そのくらい出ないはずがないんですね。

 今、もう会計検査院までああいう態度をなしてきた。そしてまた、刷新会議がいろいろやっている。あのものをいろいろ見ていけば、六兆円ぐらいのお金が出ないはずがないんですよ。これはやっぱり振りかえなんです。

 今まで使っていたものが、だって役に立ったろうと言われれば、それは何か役に立っていますけれども、それは、世の中の国民にとってそんなに重要なものでないものを重要なものに振りかえるというのがこの六兆一千億の話なのであって、私は、これは永続性があるというふうに完全に見ております。そしてまた、それをするのが政権交代の大きな役割だというふうに考えている。強がりで言っているわけではありませんので、御理解をいただきたいと思います。

野田(毅)委員 私の話が長くなり過ぎて申しわけなかったんですが、ただ、山ほど聞きたいこともあるんですが、時間がだんだん減ってきたので、私は、今のような話だとやはり世の中はうまくいかないと思う。

 では、消費税を上げるというのはどういうタイミングで上げるんですか。どういう状況の中なら上げられるんですか。

 さっき、小泉さんのときに失敗したというのはなぜかというと、一つは財政事情がありますよ。もう一つは経済状況だ。そのための環境があるかないか。

 それは、実質がプラスで名目がマイナスのときというのは環境なんですよ。我が党の中でも成長云々を言う人は、名目もプラスになってからでなきゃだめだと言うのだが、名目がプラスになったら、インフレの上にさらにインフレになりますから。

 そういう意味で、財政事情プラス経済状況というのが当然あるはずだ。その辺はどうですか。

藤井国務大臣 野田さんの政党の方が経済事情を言われるのは非常にわかるんですよ。それは難しいんですね、経済事情は。物すごいデフレのときはできません。それから、物すごいインフレのときはできません。つまり、こういうものは経済が安定していなきゃできない。その意味において、野田さんのグループが非常に経済を重んじられるというのはよくわかるんです。

 うちはもう一つあるわけですよ。それは社会の信頼なんですよ。社会の信頼がないときやったってだめだというのが我々の意見なんですね。

 その社会の信頼というのは何かというと、やはり世の中、公は無駄が多いぞ、この中でやろうというのがだめだというのが、さっき私は大平さんの例を出しました。私は、大平さんは立派な政治家だと思うし、立派な大蔵大臣だと思う。惨敗されたんですよ。惨敗されたのは何だ。それは、やはりあのころまだ、公が過大で悪いことばかりやっていたという印象があったわけです。そこの後に土光臨調が出たんです。そして、土光臨調というものをそこで乗り越えて消費税というものが入った、これが現実なんですよ。

 ですから、経済は大事、そして国民の信頼が大事、この二つを私たちは申し上げている。この違いです。

野田(毅)委員 今聞いていると、大変そのとおりに、そうだで終わりたいんだけれども、政治への信頼は簡単には戻らぬのですよ。これが現実なんだ。政治家がみずから泥をかぶってでも説得するだけの腹があるかないかだ。だから、今日までできていないんじゃないですか。ヨーロッパはみんな最低一五じゃないですか。こんな国、世界にないですよ。

 しかも、今大平さんの話があったけれども、そのころは全部知っていますよ。一貫しておりましたから。その後、消費税の前の売上税、あるいは消費税、あるいは消費税アップ、さまざまある中で、いつまでも、無駄遣いをなくさない限り、びた一文なくならない限り消費税上げられないなんて言っているとだめだから、だからこそ、使途限定にして目的税化をしようじゃないかという話にしたわけでしょうが。だからこそ目的税化をしようということだ。切り離さなければ。

 今どき、何とか仕分け人か何か、いいけれども、そんなことをやったって切りがないんですよ。浜の真砂みたいなものだわ。現実問題、この世の中、人間である限り、どこかに、役人が一人でもおれば行革の種は尽きないんですよ。働きが悪いの給料が高いの。そんなことにとらわれていたら、一体、日本の財政どうなりますか。いずれ、見ててごらん、国債の金利。

 政治の信頼が回復するまでは消費税上げられないなんて言っていると、これはいつまでたっても日本の政治、だって、高速道路ただにします、ばらまきを一生懸命皆さん言おうとしているんじゃないですか。そんなことで政治の信頼が戻りますか。あり得ないですよ。

 ということであれば、これはいつまでたったって上げられない。最後に来るのは国債の大暴落ですよ。しかも、四年間上げないなんて断言しちゃったら。これは野田さん、G20へ行ってきて内需の話までしてきたんでしょうが。

 そういったことを考えると、もう時間がないんだけれども、藤井さん、本当にこれ、いいわな、今どうせこういう場だから。四年間上げないと言っているんだから。だけれども、その前に必ず、この政権は四年はもたない。財政面から必ず狂う。でなけりゃ予算が組めない。必ず狂う。遅くて二年後だ。僕はそう思いますよ。でなけりゃ予算は絶対成り立たない。必ず国債暴落につながる。

 このことに関して、感想いかがですか。それで終わります。

藤井国務大臣 ヨーロッパと率が全然違うのは、ヨーロッパは財政の赤字の穴埋めをやっているわけですよ。それに対して、野田さんもあのころ一緒にやったから、要するに、目的税化しようという話において、私は、そこが一つのつくりになっていると思いますよ。だから、それはいいことなんです。だけれども、それがどうしても、予算総則だけだっていうのはさっきの話だからもう繰り返しません、要するに、それが法律的、会計的に補てんされないと世の中の方は信用しないというのが一つあると思います。

 ですから、日本とヨーロッパの違うのは、我々の案は、目的税化するというのと赤字の穴埋めに使うというのでは、率が違ってくるのはもう当たり前だということだと思います。

 それから、やはり政治の信頼というのはあるよ。必ずありますよ。今のような、役人一人悪いやつがいたら云々の話じゃないんですね。もっと大勢的に何となく、逆に言えば、立派な公務員というのはいるんですよ。だけれども、何となく公が悪いことをやっているという、この印象はどうしてもぬぐえないんですよ。そのことは相当信憑性もあるんですよ。相当多くの世界でそういうことが行われているという現実がありますから。私は、野田さんの言われる中で、未来永劫に政治の信頼は起きない、行政の信頼は起きないというのは、もう少し積極的に、前向きに考えていいんじゃないかな、こういうふうに思っております。(発言する者あり)

野田(毅)委員 今不規則な話があったんですがね。

 最後に一つ。今話があったとおり、いろいろ、政治献金疑惑だとかこういうものを抱えながらでは無理ですね、これ。そういう意味では、鳩山内閣の間は消費税を上げないというのはそのとおりなのかもしれませんね。

 それから蛇足だけれども、冒頭あったんですが、亀井大臣、僕らが大臣のころは、閣僚はパーティーを自粛したものだ。李下に冠を正さざるがあるから。お考えになったらどうですか。そのこと、ありますか。

亀井国務大臣 私も、鳩山総理のように豊かな、お金に恵まれての政治活動をやれるんであれば、何もセミナーとかパーティーなんてことを、私は要するにやりたいわけではありません。しかし、政治活動に金がかかることは議員も十分、身にしみてかどうかわかりませんが、おわかりになっておると思います。

 問題は、きれいに集めてきれいに使うということが、これは政治と金の問題。それを、今の政治資金規正法に対しては非常に批判的な気持ちを私は持っております。真の政治浄化とは何なのか。簡単に言うと、私は政治家の覚悟だと思いますよ。そういうことを抜きにして、政治資金規正法のいろいろな、金の出し入れ等についての条件を厳しくしていくとかオープンにしていくとか、そういうことだけで解決する問題ではない、私はこのように思っております。

野田(毅)委員 終わります。

玄葉委員長 次に、後藤田正純君。

後藤田委員 ありがとうございます。

 先ほど来の非常に格調の高い答弁、質問を聞いておりまして、やはり鳩山内閣では大変重みのあるお二人の大臣でございまして、そのお二人にきょうは改めて質問させていただく機会を与えていただきまして、光栄でございます。

 まず、先般もちょっと総理にも御質問しましたが、この十、十一、十二、一、二、三という今年度のまだ半期残っているときに、景気対策としての補正予算三兆円をはがして、いまだにまだ鳩山政権は経済対策ができていない。このことについて、私は本当に危機感を覚えております。

 そういう中で、連立というのは非常に便利な道具だと思いますが、亀井大臣が花火を上げられております。これはこれで、私は、経済にとって、また心理的な景気においては非常にプラスな効果があろうかと思いますが、まずそのタイミングについてと、あと半期残った今年度の対策についてどうあるべきかということを亀井大臣にお伺いしたい。

 もう一つは、先ほど竹本さんからも御質問ありましたとおり、憲法第八十三条の財政民主主義の観点から、先ほども主計局長の答弁の引用がございましたけれども、この答弁の引用を見ますと、国会の議決の趣旨を損なわないようにというふうに、損なわない程度であれば減額してもいいけれども、損なうのであればしっかりと国会の議決を経るべきだ、そのように読み取れるわけでございますが、この点について、これからまた今度政権がかわったときに、恐らく、子ども手当なるものは私は絶対天下の大愚策だと思っていまして、これをまた戻すときにどうなるかということで、歴代大臣の答弁というのは後々残りますので、藤井大臣にもそのことについて改めて、本当にこの臨時国会中にしっかりとやるべきかどうか。

 先ほど、十二月というふうにおっしゃったんですけれども、だとしたら、この国会は通年国会でしっかりと議論すべきだと思います。この財務金融委員会でも、補正の執行停止分について、委員長、私はもっともっと議論すべきだと思っているんですね。もちろん、そのほかの委員会でも当然だと思いますけれども。

 この点について、両大臣からまずお伺いしたいと思います。

亀井国務大臣 三党連立は便利だというようにお考えになりましたけれども、私は別に、そういう仕組みをうまく利用して国民新党の意思をごり押ししようなんということを考えておるわけでもありません。

 今の経済の実態を見て、先ほどもちょっと別な議員に答弁いたしましたけれども、国民生活全体にとって、一部の大企業、それにつながっておる人方は別として、そうじゃない大多数の国民にとって、今生活がだんだん深刻な状況に追いやられていることは、これはもう実態だと私は思っています。トータルの数字だけでどうだこうだと判断をすべきじゃない、私はこのように思っております。

 そういう観点から、私は総理に対しても政策基本委員会においても言っておりますことは、一月の補正については、このたびの執行停止分をいわば振りかえ的にやるというようなことをやるべきではないと。それをやったらどういうことが起きるかというと、簡単に言うと、脱官僚の予算を組むといいながら、結果としては、この執行停止された分が一月に別な形で化けて出てくるというだけになってしまう危険性がやはりあると私は思います。

 そうじゃなくて、今日この時点、国民生活をきちっとしていくにはどういう手当てが必要なのか。経済の実勢を上向きにしていくには、特に中小企業、零細企業に仕事が出ていくという状況に具体的にするにはどうするか。

 私は、総理にきのうも申し上げたんですけれども、具体的に、例えば沖縄、北海道、東北、この地域におけるいわゆる内需をどういう形で出していくのかという具体的なそういう検討の中で、省庁の垣根を越えて、内閣として大胆な、思い切った補正をお組みになるべきだ、上限なんということを設けてやるような、今そんな甘い状況ではないということを私は強く申し上げたわけであります。

藤井国務大臣 経済の状況の前に、御指摘の財政のあり方みたいなものについてまずお答えいたします。

 昔は、抑えますと、ほったらかしておいて不用にしちゃうんですよね。そういう時代がずっとありました。例えば、経済が過熱しちゃったから抑える。抑えてどうするのかと思ったら、そのままにして不用になっちゃったと。それに対する反省から先ほどのような話が出てきたと思うし、そのことは正しい、直したのが正しいと思っています。

 そういう意味において、私たちは、財政の仕組みとして、三兆円削減したものについてはけじめをつけます。これは補正予算によって必ずけじめをつけます。そのけじめをつけるときの話が次に出てくるのが経済問題だと思いますね。それはもう亀井さんがおっしゃいました。経済問題、これはけじめをつけるけれども、どれだけのことをやる必要があるかどうか。それをさっき十二月と申し上げたのでございます。過去の政権もみんな十二月に最終判断をされたわけです。

 私は、基本的に言いますと、十―十二は七―九よりずっと悪い可能性の方が強いと見ているんですよ。現に、G20にもG7にも参りまして、今は出口戦略などを言う時期じゃないと思いますよ、特に日本はそうですよ、こういうことを言いました。それに対して、各国、特にアメリカ、ヨーロッパは大体同じでございまして、それに合意した文書ができました。出口戦略などを実行する話ではないと。ところが、やはりその次のクラスの国は、もはや出口戦略の時代だと言っているところも結構ありました。これはG7じゃございません、ほかの国でございますね。

 そこで、現に、このことはあえて言います、IMFでは、先進国中、日本の成長率が二〇一〇年は相当高いんだということを言っているわけですね。これはアメリカやヨーロッパより高いということを言っているわけです。そのことに対して、私が甘くそれを認識しているわけじゃございません。ございませんが、どういう理由かといいますと、アジアが本格的に立ち直ってきているじゃないか、それに近いのは日本じゃないかというようなことを言うわけですね。それから、内需主導になるということは、やれる可能性も相当出てきたねということの二つだと思うんです。

 これは、私はそんなに甘く見ていません。甘く見ていませんが、そういうものもありますので、十二月にその最終決断をしたいというのが現実でございます。そのときに、亀井さんのような話がどうなるかというのがあります。ただし、へっこんだ分については必ず是正いたします。補正で直します。

後藤田委員 十二月に向けて経済対策も財政政策もやられるということでございますが、今、テレビ、新聞をにぎわしております事業仕分け、先ほど亀井大臣は、人切り以蔵というんですか、そんなような表現をされましたけれども、これは見ている分には非常に楽しそうな、いろいろなことがわかるということでございますが、そもそも私は疑問なのは、概算要求の九十五兆円ですか、これをやる際も、また鳩山政権が発足した際も、政治主導とおっしゃってあの概算要求をつくられたわけですよね。これは間違いないですか、藤井大臣。それでまた、きょうも古本政務官もいらっしゃいますし、最近査定大臣が要求大臣になっているという非常にすばらしい苦言を呈された。

 だとすれば、なぜあの事業仕分けチームに大臣、副大臣、政務官が出てきてやらないんですか。何でああいうときだけ役人を呼びつけて血祭りに上げるようなショータイムを見せるのかというのは、僕はちょっとこれは人としてどうなのかなという気がしますよ、政治家以前の問題として。だって、政治主導とおっしゃったんだから。

 なぜ、大臣、副大臣、政務官が出てやらないんだ。そういうときは、いや違いますよというのは、これは全くリンチですよ。日本というのは大体、マスコミとか必ず、ある人を責めようと思うと集団リンチするんですね、やはり間違っていましたといってすぐ忘れてしまうんですけれども。

 これについて、心優しい亀井大臣、こういうやり方についてどう思うか。

 もう一つは、刷新会議のもとでやっていますと看板を立てているんですけれども、彼らは何の権限もないんですよ。刷新会議の大臣でも副大臣でも政務官でもない。国会法三十九条では、国会議員兼職禁止という規定があるんですね。どういう権限で彼らはやっているのかなという思いがあるんです。あれはちょっと国会軽視というか、選挙にお勝ちになったのは結構ですけれども、ちょっとやり過ぎだなと思うんですけれども、やはり連立として苦言を呈していただきたいな、ここで。どうでしょうか。

亀井国務大臣 私は、仙谷大臣が概算要求について、これを切り込んでいく手法としてああいうやり方をやっておられることが悪いとは思いません。また、それぞれ大臣には個性があるわけでありますから、一番効果的な、また国民の目から見て予算査定が非常にオープンな形で行われているというような、そういう配慮もされながらそういうことをおやりになっておられると私は思います。

 ただ、議員がおっしゃいましたように、政治主導で予算を組んでいくというのであれば、私は閣僚懇でも言っておりますけれども、所管大臣を査定大臣と呼ぶのはふさわしくないと私は言っているんです。大臣が査定する立場ではない。鳩山政治を自分の省においてどう実現していくかということについて、大臣みずからが予算について指揮をとる立場であって、それの命のもとで役人が予算編成をし、要求を出していくという立場だから、少なくとも、所管大臣は査定大臣という見方というのは、脱官僚、政治主導で予算編成をやるというのであれば、それはやはり間違っているというか、おかしいのではないかというように私は考えております。

 ただ、今の仕分けのところに大臣が出ていくのか、副大臣が出ていくのか、あるいは政務官が出てくるのか、それはそれぞれ省の立場であろうと私は思いますけれども、やはり基本は、各省の予算は各大臣みずからが、これは鳩山政治主導を実現していく、予算が政治でありますから、そういう立場で予算編成をするのが当然であり、それをトータルとして財務大臣がきっちりと予算に仕上げていかれるというお立場であろう、私はこのように考えております。

後藤田委員 あれだけ政治主導とおっしゃりながらやっていて、やはり概算要求を組むときには政治主導で組まれたわけですから、そういう政務三役が刷新会議なるものと本当は対峙するのが僕は筋だと思うんですけれども、そういうときは引っ込んで役人に任せるというのは、これは私は非常に疑問に感じますので、やはり正々堂々と、政治主導で九十五兆の概算を組んだんですから、そこはぜひ一言申し上げておきたいと思います。

 最近そういう事象を見ていまして、一体財務省というのは何なんだろうなと。昔、大蔵省を財務省にするとき、小渕総理が、大蔵省が小蔵省になっちゃったと何か冗談で言ったような話を聞きますけれども、主計局というのはもう要らなくなるんですかね、国家戦略局があるから将来の財政見通しも要らなくなるんですね、事業仕分けがあるから主計局も要らなくなりますね、会計検査院もどうなんですかと。あと、昔、行管庁というのがあったと思うんですけれども、これも省庁再編で総務省に行政評価局ということでくらがえしましたけれども、あそこも結局機能していないんですね、今の状況を見ますと。

 ですから、無駄だ無駄だということでいろいろなことをやられていると思うんですけれども、そういう省庁再編も含めて、これから今の現政権にはそこも含めてやってもらいたいし、これは我々野党としてもそういうことはどんどん申し上げていきたいと思います。

 それで、埋蔵金の話、今事業仕分けでいろいろお探しになっていますが、一点だけ、私もこれはおかしいなと思って、きょう厚労省の関係は来ていますかね、来ていないかな。

 これは、財務大臣、昔、介護保険導入前に措置費の時代がございまして、そのときに余剰金というものを相当蓄積しているんですよ。これを使おうとすると国税が待ったをかけて、いわゆる社会福祉法人をやられている関係者に聞くと、昔の措置費の時代のときのお金が何十兆もたまっているというんですね。これは事業仕分けの方々が言う前に私申し上げておきますので、これをぜひしっかり国税だとか厚労省に言って精査をしたら、本当に相当な額がたまっているようでございますので、ぜひこれは大臣にお願いしておきたいと思います。またこういう機会にその御回答をお伺いしたい。

 あともう一つは、亀井大臣、あしたかどうかわかりませんが、例のモラトリアム法案を審議させていただきますけれども、やはり我々審議する前に、先ほども大臣おっしゃったように、鳩山さんは非常に豊かな方だ、資産を見ても何十億というお金をお持ちになっている。ただ、モラトリアム法案というのは、いわゆる弱者を助けよう、中小企業、住宅ローン、大変な人を助けようということを議論しようとしているときに、そのまさに内閣の総理大臣がお金のことでまだ結論を出せない、説明ができない、このような状態で我々が審議するというのは極めておかしいと思っているんですよ。

 それはそれとしても、もう一つ踏み込んで言いますと、細かな議論はこれから法案審議で入りますが、今回、中小零細、そして住宅ローンということでございましたけれども、もっと困った人というのは、個人消費者ローンの人たちだと思うんですね。私も商社時代に実は取引先の社長が自殺して亡くなったということもあって、そのときにやはり金融行政だとか政治の無力さというものに思いを持ってこの世界に入ってきたわけですが、私は個人ローンこそしっかりと守るべきだと思うんですよ。

 今、現状どうなっているかといいますと、全会一致で議決されました貸金業法改正がございまして、これは、過剰貸し付け、クオンティティーの部分と金利のプライスの部分をそれぞれ規制したんですよ。これは全会一致です。オバマさんが言ったように、アメリカ国民は借り過ぎたから消費する余力がないんだとこの前オバマさんがおっしゃっていましたね。それを防ぐためにやったんですよ。二十万人の自己破産者、二百万人の多重債務者、二千万人以上がカードローンのカードを持っている、これはやはり異常な国であるということでやったんですね。

 しかし、では、亀井大臣の法案を見てみますと、そこは入っていないんですよ。中小企業の条件緩和については信用保証が入りますと言ってありますけれども、住宅ローンについては何もないようですね、これから細かく議論しますけれども。

 アメリカは、何とFRBがMBS買い取り政策というのを、これは大塚副大臣がお詳しいと思いますが、何と一・二五兆ドル、百兆以上ですよ、これをもってして、十二月末に期限だったものを来年の三月末に延長しました。それぐらい個人に対してやっているんですよ。

 だから、住宅ローンのあの法案も、あれだけじゃ僕は甘いと思っているんですよ。亀井さんのような方がつくった法案にしては、そこまでまだかゆいところに手が届いていないのかな、消費者ローンで困っている人を助けるという中身もないですよね。だけれども、消費者金融の方々も今過払い返還で大変だと言われていて、では彼らに、本来は、困っている個人の条件緩和をしろと言わなきゃいけないですよ、大臣。それをおっしゃらないですよね。

 やはり消費者金融というのは一定の役割はあると僕は思いますよ。だけれども、今までやり過ぎた、それで規制がかかった。だけれども、その裏にメガバンクがいて、もっと言うと日銀がいて、本当は消費者金融のようなことを銀行はやらなきゃいけないのに、やってこなかったから、そういうビジネスモデルがつくられた。

 私は、その消費者金融の会社に、それこそ直接、資本投入とか、調達金利を下げて貸してあげるとか、これが実は一番、亀井大臣がおっしゃる、友愛というのは思いやりだとこの前予算委員会でおっしゃっていましたね、そっちの思いやりが僕は欠落していると思うんですけれども、それはどうするつもりですか、大臣。

亀井国務大臣 議員から大変難しい問題を私は提起されたと思います。

 おっしゃるように、個人消費者ローン、その中で、もう普通の金融機関でも貸してくれない、政府系金融機関でももちろん、そういう方々の、特に短期の資金需要に対して対応をしておるという面が確かにあると思います。

 しかし、この分野について返済猶予とかそういうことを適用していくには、はっきり言いまして、今の時点でそこまで広げていく場合は、個人が対象でもありますし、奥行きが非常に広い分野になっていくと思いますので、そう簡単にこれは、善意のそうした方々を救済していくということを直ちにやるにはなかなか厄介な問題だと私は思います。

 トータルで申しますと、残念ながら日本の金融システムが、これは政府系金融機関を含めて、そうしたニーズに対してきっちりと対応できていない状況を変えていくということは、議員おっしゃるように非常に大事なことだと私は思います。これを今後の金融行政の中において、それはどっちかというとアウトサイダーみたいな扱いをしないで取り上げていくべきだと思います。

 こんなことを言うと銀行等は怒るかもしれませんが、かつて住専、ノンバンク、また今は消費者ローン、みずからがやらないで子会社をつくり、あるいはそうした消費者ローンをやっているところに資金供給をしていって高利なそれの配当を受けていく、そういう形で銀行がいる状況というのを、私はノーマルだとは思いません。

 だから、こういう六月施行という状況の中で、そうした消費者ローンを営んでおる会社等が非常に難しい状況になっていけば、そこに資金供給をしているそういうところが、今まで高利のバックを受けておるわけでありますから、やはりこれを助けていくということがまずやるべきことではないだろうか、私はこのように考えております。

 しかし、六月施行を目指して、混乱が起きないように、運用上どういう問題があるかについては、今、大塚副大臣をチーフにして検討委員会を、関係各省庁からも参加をいただいて検討を開始したばかりでございます。

後藤田委員 子ども手当に恒久的に五兆円やるというぐらいなんですから、それこそ、官は民の補完機能と先ほど藤井大臣もおっしゃいましたけれども、そういう意味では、やはりそういう金融支援によって個人の債務者を助けることこそが亀井大臣の法律の哲学だと思いますが、これはあす以降の審議で、まさに我々はそういう方々を助けるべきだし、今度のモラトリアム法案も、まさか一部の、今まで信用保証にもお世話になっていない比較的健全なところにただ貸すだけというポーズである法律だったら、これは欠陥法案ですから、しっかりとその点も問い詰めていきたいと思います。

 ありがとうございました。

玄葉委員長 次に、山本幸三君。

山本(幸)委員 自由民主党の山本幸三でございます。

 きょうは、初めての質疑でありますので、鳩山内閣の経済政策の基本的な考え方について議論をしたいと思います。少し理論的な話になるかと思いますけれども、御容赦を賜りたいと思います。

 鳩山政権が誕生いたしまして、国際舞台でデビューをしたのが、九月の二十四日、二十五日にアメリカのピッツバーグで行われたG20、二十カ国首脳会議でございますけれども、ここで重要な合意がなされたということでございます。

 問題は、この日を境に日本の株価は下落を始めました。円高が一層加速いたしました。私は、この日を起点に鳩山不況が始まったというように理解をしている意味で、非常に重要なターニングポイントだったというふうに思っているわけであります。そのことを少し議論したいと思います。

 このG20でどういう主張を鳩山総理、そして藤井大臣はなされたのでしょうか。

藤井国務大臣 総理のことはさておきまして、まず、今の日本の経済の状況はどうか、これは極めて不安定な状況にあるということを申しました。したがいまして、今回政権がかわったけれども、その際においても必ず空白をつくってはいけないということで、積極的に新しい経済政策に取り組んでおります、そして、それは過去における継続もありますと。

 同時にまた、物の考え方として、どちらかというと、さっきから申し上げているように、国の資源配分というものを少し変えるようにしなきゃいけない、内需中心の経済運営にしなければいけない。内需中心といえば、さっき申し上げたように、福祉経済的なもの、あるいは地域経済的なものにしたいんだ、こういうことを申しました。

 そして同時に、やはり経済なければ財政はあり得ないんだというのは事実だ、だから、経済が一番大事だから、そういうふうにやりますよと。しかしながら、同時に財政の規律というものも無視してはいけない。そのために、我々としてはなるだけ資源の振りかえということによってこの対応をしていくつもりであるということを申してまいりました。

 その結果、G20においても、またG7においても合意がなされたことは御承知のとおりであります。

    〔委員長退席、鈴木(克)委員長代理着席〕

山本(幸)委員 新聞紙上では、世界経済の不均衡というものがあって、これを解消しなきゃいけないというふうに合意したと。その世界経済の不均衡というのはどういうことですか。

藤井国務大臣 私が内需中心ということを言ったのに対してガイトナーは、実はアメリカはドルを強くしたいと思っているんだと。さっきもちょっと出ましたが、ブッシュの時代には垂れ流し経済だった、つまり消費中心の経済だったがゆえにドルが弱かったんだ。ドルを強くしたいということは、逆に言うと、ここは言いませんでしたけれども、日本や中国が輸出を余りに大きくやってくるなよということです。それに対してガイトナーは、日本の経済政策を多とするということを言いました。つまり、みずから内需中心の経済に持っていってくれるという皆さんたちの経済政策は、非常に多とするということを言われました。

 これが国際的不均衡の是正ということだろうと思っております。

山本(幸)委員 確認いたしますけれども、アメリカの経常収支の赤字、それに対する日本、中国の黒字が大き過ぎる、これがそれぞれ不均衡だ、それぞれ正さなきゃいかぬものだ、ある意味で健全ではない、そういう議論をして、それに同意されたということですか。

藤井国務大臣 日本がそう言ったのに対してアメリカが合意したということです。

山本(幸)委員 これが大変大きな問題でありまして、日本の輸出が多過ぎること、経常収支が黒字であることがどうして悪いんですか。

藤井国務大臣 これは二〇〇二年から二〇〇七年までの政府の資料に出ております。つまり、その間、GDPの伸びの六割は輸出だった、一・八倍が外需だった、一・一倍が内需だった。そうすれば当然に格差社会が出てくるということを否定できないからでございます。

山本(幸)委員 それが格差社会につながったというのはおもしろい議論で、またちょっと後でやりますが、経常収支が大き過ぎるから悪い、そういう議論というのは私は初めて聞くんですね。

 経常収支というのは一体何ですか、何で決まるんですか。

藤井国務大臣 私は、経常収支が大きいから悪いと言ったのではありません。その結果として出てくる格差社会がおかしいということを言ったのでございます。

山本(幸)委員 だって最初に自分から、国際収支の黒字が大き過ぎることは悪いと言ったんだと。それは、経常収支の黒字が大き過ぎることが悪いと言ったということじゃないんですか。また変えるんですか。

藤井国務大臣 変えてはおりません。内需中心の経済政策に我々は変えたんだということに対してガイトナーが、自分たちとしてもその政策は国際経済の不均衡是正に本当に役に立つんだ、こういうことを言ったということです。

山本(幸)委員 内需中心に変えたということが自分たちとしてはいいことだと思っているということは、経常収支が黒字だということが不健全だ、そういうふうに思っているから内需中心に変えたということじゃないんですか。最初にガイトナーにはそう言ったんじゃないんですか。

藤井国務大臣 今まで申し上げたとおりです。私から、日本の政権交代によって内需中心の社会に転換をする、国の資源配分をそのようにしたいということを言ったのが先でございます。

山本(幸)委員 財政で資源配分をあるところに持っていくというのは、それは話はできますよ。しかし、経済全体として内需とか外需とか、それは結果として出てくるんですよ。

 経常収支というのは、それぞれの個人や企業が与えられた条件のもとで、自分たちの資源を異時点間で最適に配分したらどうかということを必死で考えて行動するわけですよ。その結果、貯蓄・投資バランスというのが決まってきて、それが経常収支になるんですね。したがって、経常収支がある時期をとって赤字だろうが黒字だろうが、不健全なんというのはあり得ないんです。そんな経済理論はありませんよ。それを、いかにも経常黒字はいけない、内需でやらなきゃいかぬと。

 そもそも政府は、そんなふうに外需から内需に全部転換できるようになると思っているんですか。そんなことはできませんよ。だって、すべて個人や企業の最適行動の結果なんですから。そういう経済理論はありませんよ。どうですか。

藤井国務大臣 経常収支を直すとか、そういうことを言ったのではないんです。国の資源配分というものを変えていこう、こういうことを言ったわけです。

山本(幸)委員 全然一貫していないですよ。最初は、お伺いしたら、ガイトナーに対しては、内需中心でやりますと。そのときに私が聞いたら、それは、経常収支が黒字でずっと続いてきたのはおかしい、二〇〇二年から二〇〇七年まで外需でどんどん輸出がふえて大きくなったのはおかしい、そういうふうに説明されたじゃないですか。それを今度は変えるんですか。

 要するに、経常収支が黒字、経常収支が赤字の国が、アメリカは赤字、中国、日本が黒字、こういう経常収支の赤字とか黒字が大きいということが不均衡になっているという判断をG20の宣言で書いている、そういうふうに認識して、それを日本は内需中心でやりますというふうに考えているんじゃないですか。

藤井国務大臣 何度も申し上げておりますが、要するに、国の資源配分を内需中心に変えていきたい、こういうことを言った。だから、経常収支は、あなたの言うとおりなんですよ、結果として出てくるんですよ。そのことを言ったんじゃないんです。そうじゃなくて、国の資源配分というものを日本は新政権によって直す、こういうことを言ったわけであります。

山本(幸)委員 そうしたら、この合意にある国際経済の不均衡というのは何ですか。

藤井国務大臣 結果として二十カ国がそういう文書をつくったんです。

山本(幸)委員 答えになっていない。

 こういう問題のときは、恐らくアメリカがこういう素案を書いてきたんでしょう。そのときに、アメリカがどういう考えで、どういう真意でこんなことを言い出しているのかということをおもんぱからないとおかしいんですよ。

 なぜアメリカはこんなことを言い出してきたと思いますか。

藤井国務大臣 現実にはそうなっていないけれども、アメリカはドルを強くしたい、こういうことからきていると思います。

山本(幸)委員 ドルを強くしたいという言葉だけで、実際は逆でしょう。それを、ドルを強くしたいという言葉をまともに受けて、そんな交渉をしているんですか。アメリカは、自分たちの経済をいかにして立て直すかという国益しか考えていませんよ。そのためにはドルを弱くして外需を伸ばして、そしてそれを日本や中国がうまいぐあいに吸収してくれれば一番いいなと思っているわけでしょう。

 この根本には経常収支についてのきちっとした理解がないと、こんな議論はできないんだ。アメリカと対等に議論をする、対等な関係にするというのは、アメリカの真意、言っているロジックと、それに対する反論をしっかりできなきゃだめですよ。国際収支、経常収支の黒字、赤字なんというので健全、不健全なんという問題はないんだ。ただ唯一経常収支が問題になるのは、持続的に対外支払いができなくなるような国が出てきたら問題なわけです。これは累積債務問題ですね。

 経常収支の黒字国に不健全なんてあり得ない、不均衡なんてあり得ないんだ。それを、国際経済の不均衡などという文章を書かれて黙って受けてきたというのはおかしいんですよ。本来だったら、こんなものはおかしい、何が不均衡だと言って議論して、そういう言葉を落とさせなきゃ国際交渉になりませんよ、対等な日米関係になりませんよ。どう思いますか。

藤井国務大臣 あなたの意見は伺いました。

山本(幸)委員 伺って、では次から、この前、野田副大臣に言ったんだけれども、そういう国際経済の不均衡なんという議論自体がおかしいんだというように主張して、そういうことをただす覚悟はありますか。

藤井国務大臣 あなたの意見は伺いました。

山本(幸)委員 私の質問に答えていないので、これ以上できませんよ。答えてください。

鈴木(克)委員長代理 山本幸三君、質問を続けてください。

山本(幸)委員 私は、世界経済の不均衡というこの概念自体は理論的におかしいということを今証明してみせた。そうであれば、それを受けて、では次の交渉からこれをただす努力をする覚悟があるんですかと聞いたら、何も答えないじゃないですか。答えてくださいよ。

藤井国務大臣 お話は承ったということをお答えしております。

    〔鈴木(克)委員長代理退席、委員長着席〕

山本(幸)委員 お話は承っただけでは答えにならないんじゃないですか。では、覚悟はないんですか。

藤井国務大臣 同じことを申し上げる以外にありません。

山本(幸)委員 ただ聞くだけで、要するに、わかっているんですか、これ。

 では判断しますが、そういうことはもう国際交渉でやろうという気持ちはないと。つまり、日本はアメリカにやられちゃったんですよ、世界経済に不均衡があると決めつけられて、そして内需拡大路線をやるとみずから言ったんだから。それで、どんどんやろうとしている。

 この内需拡大が日本経済自体にとっていいことであれば結構ですよ。恐らく、今はいいことでしょう。それに対して最大のことをやらなければいかぬ。しかし、そうじゃない場合もあるんだ。あるいは、そのことによって国際交渉上おかしなことになりかねない。なぜならば、現実に、その後大臣が円高容認発言をしたと言われて円は急騰したわけですよ。この発言について、どういう発言をされたんですか。

藤井国務大臣 それは全くうそです。一部の新聞が筆を滑らせただけです。

 私が言ったことを言います。

 一九三〇年代に、今から八十年前に、世界的大不況が起きた。それに対して、米、英、仏が非常に自国の利益のみを主張した。一つが、その国の通貨安競争。一つが、高関税政策、ブロック化。そしてその結果、一九三三年、昭和八年にロンドンの世界経済会議によってこれが破滅した。その結果が何だ、経済面における第二次大戦である。そして今回、ロンドンのG20において同じ趣旨のことを表明した、これはG20が表明した、そのことを申しました。それ以上のことは申しておりません。

 特に申し上げますが、円に関しては一言も言っていません。

山本(幸)委員 円について、介入をしないとか介入をするとか、そういう話はされなかったんですか。

藤井国務大臣 新聞で書かれたことについては責任は持てませんが、世界的な通貨安競争というのはよくないということを言いました。それがいつの間にか、円安はよくないという話に振りかわっただけです。

山本(幸)委員 この場面で、世界的な通貨安競争がかつて起こったことについて、通貨安競争はよくない、その発言を聞けば、マスコミは当然円高を容認しているというふうに判断すると思われませんか。

藤井国務大臣 新聞によっては、極めて適切な、普通のことを言ったという新聞記事も随分あります。

山本(幸)委員 だけれども、現実に急速に円高が進んだんですね。つまり、市場はそう判断したんだ。

 ところで、藤井大臣は、為替レートというのはどういうふうにして決まるというふうに考えておられるのでしょうか。

藤井国務大臣 基本的には需給関係です。その間にいろいろな投機が入るかもしれません。基本は需給関係です。

山本(幸)委員 需給関係というのは、何の需給関係ですか。

藤井国務大臣 通貨間の需給関係です。

山本(幸)委員 それは、輸出輸入、その需給関係ということですか。

藤井国務大臣 もっと広い意味の通貨間の需給関係です。

山本(幸)委員 もっと広い意味というのは、それは資本取引を含めるとか、そういう意味ですね。

 では、その場合に、需給関係で決まるというときに、その需給関係が、ある需給関係があって、あるときはこのレートになる、あるときはこのレートになる、どうして変わるのでしょう。

藤井国務大臣 もうちょっと。

玄葉委員長 もう一回、山本君。

山本(幸)委員 需給関係というのは経常収支と資本収支を足したものでしょう。この足したものが、その時点において、あるときは円高になる。ところがあるときは円安になるときもあるわけですよ。それはどうして起こるのでしょうか。

藤井国務大臣 それは需給関係です。そして、場合によっては投機が入ります。

山本(幸)委員 投機というのは、大臣はどういうものだと思っておられますか。

藤井国務大臣 投機とはまさに投機です。

山本(幸)委員 言葉の定義ができないで議論なんかできないですね。投機というのは何ですか。

藤井国務大臣 実需とは違った動きです。

山本(幸)委員 実需とは違った動き。実需とは違った動きというのは、どういうことなんですか。すべて、資本取引だってお金を動かすときは実需でしょう。投機の定義ができないと議論できないんだけれども、お金が動いたというのは実需でしょう。違いますか。

藤井国務大臣 それはあなたの解釈です。

山本(幸)委員 まともに答えてくれないというのはちょっと心外ですね。ちゃんと定義ぐらいしてくださいよ。いやいや……。大塚副大臣。

大塚副大臣 通貨に対する需要は、取引的動機と投機的動機と予備的動機というふうに決まっておりますので、今大臣が申し上げたのは、通貨に対する需要は投機的動機もあるということを申し上げたわけでございます。

山本(幸)委員 答えになっていないんだよ。投機とは何ですか、投機とは。もうちょっと勉強してもらいたいんだよね。

 通常、投機というのは、カバーしないでリスクをとるという行為を投機と言うんですよね。そのカバーしないでやる投機というのがどういうときに出てくるのかということで、為替レートが決まるんですよ。どういうときに出てくると思いますか。

藤井国務大臣 いろいろなケースがあると思います。

山本(幸)委員 ちょっと理論のレベルが低くて議論にならないんだけれども、そういう意味では、大臣は為替レートについては一切言及していないと。つまり、為替レートというのはマーケットが決めるんだから、これはもう知ったことじゃない、そういうスタンスで臨んでおられる、ほかの政策なんかで決まるような話じゃないんだ、そういうふうに考えておられると理解していいですか。

藤井国務大臣 今申し上げたように、いろいろな要因で動いているということだと思います。

山本(幸)委員 そのいろいろな要因の中に金融政策が入るとどうなりますか。

藤井国務大臣 金融的な動きも当然あると思います。

山本(幸)委員 私は、この金融政策、金融的な動きというのが今回の円高の大きな原因だと思っているわけですね。

 それは、亀井大臣に対する質問にもつながりますけれども、去年のリーマン・ショックが九月に起こりまして、それ以降各国は、大変な危機だということで、各国の中央銀行はお金の量を物すごくふやしたんですね。

 去年の九月から一年間、去年の八月末をもとにしてことしの九月末で見ますと、各国の中央銀行のお金の量の伸び方を見るためには、その中央銀行の資産の伸びを見るのが一番わかりやすいんです。そのほかマネタリーベースとかいろいろありますけれども、ちょっと難しいから、各国の中央銀行が資産をどれだけ伸ばしたかによって、それはいろいろな証券や債券を買ったりしてお金を出したわけですから。この各国中央銀行の資産の伸びを見ると、どれだけその中央銀行が金融緩和、金融政策というのを発動したかということがよくわかるわけです。

 これを見ますと、去年の八月末に比べてことしの九月末の段階で、イギリスの中央銀行は一四二%ふやした。二・四倍以上にふやした。アメリカのFRBは一三八%ふやした。それぞれ一四〇%前後ふやしたわけですね。それに比べて、我が日本銀行は六%しかふやしていないんです。つまり、各国が猛烈な勢いでお金をふやしている。それに対して、日本銀行はほとんどふやしていない。その結果、そのお金の量と比べて通貨価値というのは決まってくるんです、だから円高になるんですよ。

 そういうふうに日本銀行が、ほかの国は危機対応で物すごく何でも買ってお金を出したんだけれども、出さなかった。それが中小企業への貸し渋りにつながっているんですよ。そして、そのことがデフレをどんどん深めているわけですね、今問題になっている。したがって、中小企業への貸し渋り、今度その猶予法案ということについては改めて議論しますけれども、もとはここにあるんですよ。そういうふうに、亀井大臣、思われませんか。

亀井国務大臣 日銀の金融政策、私、ずっと前から、自民党の政調会長時代等に見ておりまして、経済の実勢と日銀政策とのミスマッチの状況を非常に強く感じてまいりましたけれども、今デフレギャップが四十兆になんなんとしようかなというときにおいて、私は、日銀がもっと積極的な役割を果たしていく姿勢をやはり持つべきではないか、このように思っております。

山本(幸)委員 亀井大臣は、何か日銀が今やっている非伝統的手段をやめるという話が出たときに、日銀は時々寝言を言うんだと言われまして、ああ、大したものだと私は思ったんですよ。まさにこの日銀の目を覚まさせない限り、中小企業の金融は進みませんし、デフレもなくなりませんよ。

 その意味では、私は亀井大臣の剛腕に期待していますので、ぜひ、日銀法改正でも何でもいいですよ、協力しますよ、やってください。決意のほどを。

亀井国務大臣 今の私の職責上、やれることは限られておりますけれども、今の経済情勢の中で日銀の果たす役割ということについてもっと我々は、何か日銀の領域というのは聖域だというような、そういう感覚で余りにも、政党にしてもまた政府にしてもとらえ過ぎておるんじゃないかという感を私は以前から持っておりますので、そういう意味で基本的にそういう立場で今後検討したいと思っております。

山本(幸)委員 私も全く同感なんで、大いに頑張っていただきたいというふうに思います。

 ちょっと時間がなくなってまいりました。最後の質問に移りますが、それは国債の発行額の話であります。

 藤井大臣は、国債の発行について予算委員会において、国債発行四十四兆円というのはもう常識だという趣旨の発言をされました。これは一体どういう意味でしょうか。

藤井国務大臣 四十四という数字よりは、国債を乱発するということは日本経済にとってはマイナスだ。なぜならば、要するに国債の評価というものは世界的な次元で見られている。その場合に、日本の地位の低下にもつながる。もちろん、物すごい異常な経済のときは高橋是清のやったようなことがあります。ありますが、今の状態においてそれをするという事態ではない。こういう意味です。

山本(幸)委員 その考えは全く同感なんですが、しかし、なぜ四十四兆という数字になるんだと。四十四兆というのは、前麻生政権の三十六兆の通常予算プラス補正予算で出てきた数字ですよね。

 本来、民主党のマニフェストというのは、特別会計合わせて二百七兆円ある、その中から無駄を排除すれば財源は幾らでも出てきますから、子ども手当を含めて次の予算編成においてはちゃんとできますよという議論をしていたはずなんですね。したがって、そのベースは、本来、通常予算のベースの三十六兆円であるべきだと思うんだけれども、どうして補正予算を含めた四十四兆円という数字になるのか。では民主党は、最初から補正予算を含めたもので通常予算というのはスタートするという、そこはある意味のごまかしをやろうと、そういうふうに考えているのかなという気がしてならないのです。

 それを、三十六兆円じゃなくて四十四兆円は常識だというような話をされたんですが、なぜそうなるのか、私はそのロジックがよくわからない。

玄葉委員長 財務大臣、質疑時間が過ぎておりますので、簡潔明瞭に最後、御答弁ください。

藤井国務大臣 三十三兆が初めですよね、三十六じゃなくて三十三。

 それで、四十四というのは、現実に国債市場がもうそれで動いているわけです。ですから、それが根っこになるだろう、こういうことです。

 だけれども、それよりも減らすということはもっと大事なことだと私は思っています。

山本(幸)委員 国債市場がそれで動いているという証拠が見たいんだけれども、もう時間がありませんからやめますが、いずれにしても、私の質問にもう少しきちっと答えてもらわないとちゃんとした議論が進みませんので、次はしっかりよろしくお願いします。

 終わります。

玄葉委員長 次に、石井啓一君。

石井(啓)委員 公明党の石井啓一でございます。

 きょうは基本的な質問を幾つかさせていただきたいと思いますが、まず財務大臣にマニフェストについてのお考えを伺いたいと思うのですけれども、大臣は、そもそもマニフェストというのはどういうふうに御自身ではとらえていらっしゃるのか、お答えをいただきたいと思います。

藤井国務大臣 有権者、国民に対する約束だと考えております。

石井(啓)委員 それでは、もう少しお聞きしますけれども、私は、今回の選挙で、民主党さんのマニフェストが国民に包括的に承認をされているのだろうかという疑問を抱いております。

 一つは、今回のマニフェストは解散後に提示をされましたね。その中身が十分に周知をされているとは言えません。多くの国民の皆さん、目玉政策は報道で聞いておりますけれども、細かい政策までわかっているわけではないということが一つ。また、選挙後のいろいろな世論調査を振り返ってみますと、民主党さんに投票した理由の多くは、自公政権に愛想を尽かした、あるいは政権交代自体を期待したということが多くて、マニフェストを評価してという答えは少ないんですね。

 そういったことを考えてみますと、私は、今回の民主党さんのマニフェストが国民に包括的に信認をされているとは言えないのではないかという疑問を持っているんですが、大臣はどうお考えでしょうか。

藤井国務大臣 まず、マニフェストの段階よりも、説明が不十分なところがあるんだと思いますね、現政権において。そういうことは十分考えております。

石井(啓)委員 それでは、マニフェストの個別の政策の中では、世論調査で国民の反対の多い政策もございますよね。典型的なのは高速道路の無料化でございますけれども、やはり有権者の皆さんとお話をしますと、現在の土曜、日曜、祝日の千円割引でも、今かなり高速道路は込んでおります。これが無料になるとどれだけの渋滞を招くのかという心配をされる方が非常に多い。

 また、民主党政権ではCO2二五%削減という野心的な目標を出されておりますけれども、高速道路が無料化になれば、公共交通機関から自動車に移ってくるという方も多くなりますし、あるいは、今まで自動車を利用されていなかった方々がふえるということもありますから、やはりCO2の排出量が多くなる、地球温暖化対策に逆行するのではないかという心配をされて、世論調査ではこの高速道路無料化には反対の声が多いわけです。

 そういう国民の反対の多い政策であっても、マニフェストに載っかっているからということで実施をしよう、実施をすべきだ、こういうふうにお考えでしょうか。

藤井国務大臣 これも説明不足が大分あると思うんです。

 まず、あのマニフェストには、首都圏と近畿圏はやらないということは明言しております。

 それから、試行的にやるというときには、まず北海道というようなあたりが一つの判断の基準だと思いますが、例えば北海道でいえば、CO2は減ります。なぜならば、在来道路は信号が多いわけです。そうすると、とまったり走ったりするわけですね。CO2というのはそこから出るわけです。それに対して、北海道であれば、そういうとまったり走ったりする必要がないということであり、同時に、そこに地域経済の中核をつくるような出入り口を多く置こう、こういう発想であって、東京や関西の話とは全然違うというふうによく説明をする必要があると思います。

石井(啓)委員 実は、私は先日北海道に行ってまいりまして、釧路から帯広まで走りましたけれども、下の道路でも余り信号がないんですよ、北海道はそもそも。だから、高速道路だからとまる必要がなくなってCO2が少なくなるというのは、ちょっと現場をよく御存じないんじゃないかなというふうに思います。

 実は、この高速道路無料化については、今まで高速道路を利用される方の料金で債務の返済やあるいは維持管理費を負担していたのが、これが無料化になると税金で負担をするということですよね。だから、高速道路を利用しない方も負担をしなければいけない、このことに対する反対というのも多いということを指摘しておきたいと思います。

 続いて、補正予算の執行停止に移りますけれども、資料をきょうは配付しましたので、この資料一は財務省から出されている資料でございます。

 二十一年度の補正予算に関する執行状況ということで、二十一年度補正額に対して、その二つ右側の欄で執行停止がございますけれども、政投銀に対する出資を一千二百三十七億執行停止する、あるいは監視取り締まり用機器等の整備三十七億五千五百万、国税電子申告・納税システムの開発等四十三億一千五百万、官庁施設整備費、この中には太陽光発電設備だとか省エネ機器とか施設の耐震化が含まれていますが四十一億八千八百万、公用車のエコカーへの買いかえ促進が二千万、合計で財務省分として一千三百五十九億七千八百万、こういうことでございますけれども、このそれぞれの事業で執行停止をされた理由ですね、どれが無駄な事業に該当し、どれが不要な事業に該当し、どれが不急の事業に該当するのか、これは質問通告しておりますので、それぞれ説明をいただきたいと思います。

野田副大臣 資料に沿ってお答えをしたいと思いますけれども、これは左端に番号が書いています。六番から十四番までの見直しの中で、十番だけこれは残したんですね。これは要は、ことしの税制改正があって、来年の確定申告の際に必要なシステムで、これがないと確定申告ができないということだったので、ここだけは残しまして、そのほかの六から十四番は全部執行停止にしました。

 その観点は、無駄ではなくて緊要性です。急がなくてもいいということで外したということであります。実際に、ここに政務官もいらっしゃいますけれども、現場も見に行っていただきました。監視用のカメラ、機器があった方がいいなとは思います。思いますけれども、まず急がなくてもいいだろうという判断でこの補正からは外したということであります。だから、無駄という観点ではなくて、緊要性という観点からこのたびは対応させていただきました。

石井(啓)委員 急がなくてもいいということですが、では、来年度の概算要求の中には、それぞれ執行停止した分は要求はされていないんでしょうか。

野田副大臣 概算要求の中で含まれているのは、四項目の十六億六千万というのは今回要求はしています。これも、来年度も急がなくてもいい、ほかのマニフェストの主要事項等を優先すべきであるという判断でこういう判断をしています。

石井(啓)委員 大臣、例えば、北朝鮮の貨物検査を今後やりますけれども、実は主体は海上保安庁と税関なんですよね。この税関の監視取り締まり用機器の整備というのは、そういう意味では緊要性があるんじゃないでしょうか。

藤井国務大臣 この執行停止は、各省にもう予算を配賦しておりますので、各省庁の判断によって行われております。

石井(啓)委員 だから、財務省として、この税関に関する監視取り締まり用機器の整備というのは緊急性があるのではないんですかというふうに聞いているんです。

藤井国務大臣 それも今お答えしたように、各省庁の自主的判断でまず行っております。

石井(啓)委員 いや、各省庁といったって、要するに財務省所管の予算ですから。だから、財務省としてこれは緊急性がないというふうに判断しているんですか。

野田副大臣 監視取り締まり用機器等の整備については、二十二年度要求に入れております。

石井(啓)委員 それでは、もう少し聞きますけれども、官庁施設整備費で施設の耐震化、これは、例えば今税務署なんかに行きますと、本当にプレハブに毛が生えたような建物が大分ありますよね。ああいったところに確定申告のときに多くの国民の皆さんが来る。そういったところの耐震化というのは、これは急ぐべきなんじゃないんでしょうか。大臣、どうですか。

野田副大臣 基本的には、新規施策を実現するために既存の予算に切り込まなければいけないという中で、緊要性という観点とかいろいろな観点があるかもしれませんが、例えば耐震化でも、学校であるとか保育園であるとか幼稚園とか、一日じゅう、子供たちとか逃げることが困難な人たちが集まるようなところの耐震化は進めるけれども、役所についてはもう少し後にしよう、そういう判断です。

石井(啓)委員 いや、役所というのは、やはり震災があったとき、役所が壊れちゃったら困るんですよ。やはり災害があったときに、役所というのは、ある意味で地域の拠点として、災害対策の拠点等にも活用できるわけでありますし、また、役所には多くの国民の皆さんが集まってくるわけですから、その役所の耐震化が心もとないということでは、私は、何か人の命を大切にする民主党政権のキャッチフレーズとちょっと反しているのではないかというふうに思いますけれども、どうでしょうか。

野田副大臣 耐震化は、それはもうすべて一挙にできるんだったらそれにこしたことはありません。役所だけじゃなくて、民間だって集まるところはいっぱいあります。そういうところを優先的に耐震化を進めるべきだとは思いますが、限られた財源の中では、まずは移動が困難な人たちがいらっしゃるような病院であるとか、お子さんたちが一日過ごすような場所とか、そういうところから優先順位を決めてやっているということであります。

石井(啓)委員 いやいや、新しく予算をつけろというならそういう議論はあるかもしれないけれども、もともとつけていた予算をはがそうという議論でしょう。耐震化というのは人の命に大切だ、重要だということであれば、あえてそれを外すことはないんじゃないんですかというふうに申し上げているんですけれども、どうでしょう。

野田副大臣 ほかにも命を守る事業はいろいろあるんです。それらを優先的に実現をするために、ここは緊要性という観点から優先順位をつけた中で削らせていただいたということです。

石井(啓)委員 それでは、太陽光発電設備だとか省エネ機器の設置、これも、地球温暖化対策、二酸化炭素排出削減という意味では重要ではないんでしょうか。急ぐべき政策ではないんでしょうか。

野田副大臣 これは、ほかの役所のところからの事項要求にもかかわるので、これからの予算編成の中で判断をしていきたいと思います。

石井(啓)委員 いずれにしましても、緊要性がない、急がなくてもいいというのは、それは価値判断によってちょっと変わってくるところがあるんですよ。だから、民主党の皆さんはそういうふうに判断されてやったのかもしれないけれども、我々の目から見れば、少なくとも耐震化の予算だとかあるいは省エネ設備の予算だとか、これはきちんとやるべきじゃないかな、これは指摘をしておきたいと思います。

 それからもう一つ、政投銀の出資を一千二百三十七億削りましたけれども、これは何か、これから年度末までの資金需要を換算して、これは少なくしても大丈夫だということのようなんですが、これから経済状況も極めて厳しいということになると、現在予測している資金需要量がふえることは当然ありますよね。だから、この出資を削ったことによって、この危機対応業務でも貸し渋りとか貸しはがしが起こることになりかねません。そういう心配があるんですけれども、どうでしょうか。

野田副大臣 これは、よく政投銀とも御相談をした上で、年度末までの見込みの中で出てきた数字であります。その分では大丈夫という判断をされているということだと思います。

 つけ加えまして、先ほど省エネ機器の話も出ましたけれども、これは要求を出しています。二千四百万、額は少ないんですが、省エネ機器の対応については、要求は出しているということであります。

石井(啓)委員 いや、二十九億七千九百万執行停止しておいて二千四百万では、それはつけたとは言えないんじゃないのかな、一割も復活していないわけだから。一応、額だけ上げておいたというふうにすぎないんじゃないんでしょうか。

 それでは、続いて二次補正の話なんですけれども、亀井大臣が頑張られて、二次補正の額は上限を決めずにこれからしっかり議論をするということで、それは非常に結構なことだと思います。ぜひ頑張っていただきたいと思うんですけれども、そもそも考えてみますと、二兆九千億円ばかり補正の執行停止をして景気の足を引っ張っているわけですよ。政府の試算でも、GDP〇・二%マイナスになる。それ以上のマイナスになる可能性もあり得ます。

 景気の足を補正予算の執行停止で引っ張っておいて、一方でまた景気刺激のための二次補正をやるというのは、これは余りにもちぐはぐな経済運営と言わざるを得ないんですけれども、これは、両大臣、どういうふうにお考えでしょうか。

亀井国務大臣 補正の執行停止の思想といいますか、それは、国民生活にとって、また景気に対する効果等についてやはり適当でないという判断で私はやっておると思いますけれども、問題は、しかし現実に、それがいい予算か悪い予算かは別として、一定の景気に対しての効果を上げることは間違いないわけでありますので、その分だけマイナス影響が出るということはやはり避けられないと思います。

 一月における補正においては、国民生活について必要な、また将来に向かって鳩山政治が実現しようとしているそうした経済、生活について必要な、かつ現在の景気に対していい影響を与える補正を思い切って大胆に、私は、上限を決めずにやるべきだということを今申し上げております。

藤井国務大臣 御承知のように、財政政策というのは資源配分の問題ですから、今の資源配分をより国民生活に密着したものに配分しがえようということからきている問題だというふうに御理解をいただきたいと思います。

石井(啓)委員 いや、問題は、景気に対する影響なんですね。ですから、先ほど確認しましたように、今回、少なくとも財務省分の補正の執行停止というのは、無駄なものはないということでしたよね。ただ、皆さんの判断では緊要性がない、私の判断では違いますけれども、そういうことでありました。

 だから、その中身が悪いということでは決してないと思うんですよ、執行停止した分が。それをやめてしまって景気に悪影響を与えておきながら、また二次補正で景気刺激をやろうということはちぐはぐなんじゃないんですかというふうに申し上げているんです。藤井大臣、どうですか。

藤井国務大臣 不急不要のものというか、もっと、無駄と言ってもいいんでしょうけれども、そういうものの上に乗っかった経済というものは長続きはしないと思うんですよ。やはり、本当の意味で国民生活の上に乗っかった経済というのが長続きすると思うんです。その間に若干の時間があるという御指摘であれば、それは第二次補正の十二月時点で、今の経済の状況をしっかり見ながら第二次補正も考えていこう、そして、その間のタイムラグを減らしていこう、こういう考えです。

石井(啓)委員 ところで、藤井大臣、執行停止は二兆九千億なんですけれども、そのうち二兆七千億円だけ二次補正に回すような議論をされているようですけれども、その差額の二千億円というのはどういうことなんでしょうか。

藤井国務大臣 それは、停止するには法律が要るから、法律をそこまでつくるのは無理だということです。

石井(啓)委員 それでは、一つ提案をしたいと思うんですけれども、今の景気、特に個人消費は経済対策で支えられているという面が非常に強くあります。特に、家電についてはエコポイント制度、車についてはエコカー減税、エコカー補助金、これでかなり消費喚起されておりますけれども、エコポイントもエコカー補助金も今年度末で切れるということですね。この政策効果がはげ落ちた後の個人消費に与える影響というのが大変懸念されているわけです。

 したがって、私は、これを切れ目なく実施していくということで考えますと、エコポイントとエコカー補助金については二次補正の中に盛り込んだらどうか、これは個人的な考えでありますけれども、そういうふうに思っておるんですが、藤井大臣、いかがでしょうか。

藤井国務大臣 私は、十五兆の補正予算の中に、いいことも、それから不急不要と言っていいんでしょうか、無駄というようなことも、両方入っていると思っているんですよ。ですから、今の問題は、やはり経済の効果があると私は見ています。

 だから、それを二次補正に入れるかどうかというのは、一方は一月まで続くわけですね、一方は三年間続くんでしたか、それですから、そんなタイムラグなども見ながら考えてまいります。

石井(啓)委員 減税の方は三年間続くんですね。補助金とかポイント制度の方は年度末までだと。だから、来年度予算に盛り込むという発想もあるようですけれども、来年度予算の成立がどうなるかはわかりませんから、私は、やはり二次補正の中にしっかり盛り込んで、そうすると、年度末が来ても引き続き継続してやるということがあらかじめアピールできるわけですから、その方が効果があるのではないかというふうに申し上げておきたいと思います。

 それから、来年度予算編成について申し上げたいんですけれども、先ほど山本委員の方からも指摘がありましたけれども、来年度国債発行額を四十四兆円に抑えるということが政府の方針のようでありますが、やはり、当初予算の国債発行額と補正予算の国債発行額を含めた額を次年度の目安にするというのは、どうも理解できないんですね。

 普通はやはり、当初予算同士で比較をするというのが当たり前の話なので、譲ったとしても、今年度当初予算の国債発行額三十三兆円に今年度の税収の落ち込み額を加えた分以内に抑えることが財政健全化ということなんじゃないんでしょうか。藤井大臣のお考え、いかがですか。

藤井国務大臣 これもお話ししましたが、今の経済社会あるいは国債市場というものは、現実に四十四兆のところで動いております。これは、やはり一つの事実として認めざるを得ないと思いますが、できることならば四十四兆をもっと減らしたいぐらいの気持ちでおります。

石井(啓)委員 過去の政権も、補正予算の国債発行額が現実のものであるから、それをベースにしようということを言った財務大臣というのは今までいないんじゃないですかね。それは、恐らくいろいろ試算をして、そこら辺に何か抑えられそうだということなのかもしれませんけれども、目安はやはり当初予算で、あとプラスアルファ、プラスがどうなるのかマイナスがどうなるのか、こういう議論が常識、普通のはずですね。だから、それは、藤井大臣にしてはちょっとおかしいのではないのかなということは申し上げておきたいと思います。

 それから、懸念されますのは、マニフェストに載っかっている新規政策の財源が本当に今の予算の見直しで生み出せるのかどうかということですね。これが最大のポイントだと思います。国債を財源とするようなことをお考えになるんでしょうか。その点、ちょっと確認をしておきたいと思います。

藤井国務大臣 これは平成二十二年度の予算編成方針で、マニフェストに掲げられた事項は入れる、しかしながら、平成二十一年度の基本の予算にもまだ相当水膨れがある、それは我々の言葉で言うと無駄ですけれども、水膨れと言っておきましょう、その水膨れを整理するということをまずやりながらマニフェストに書いてある事項を入れていこう、こういう考えで、しかもこれは年内編成でやりたい、こういう基本方針を決めております。その線で進んでまいりたいと思っております。

石井(啓)委員 では確認ですが、そうすると、マニフェストの新規政策は二十一年度予算の、おっしゃるところの水膨れを省くことで賄うということであって、国債によることはないということでよろしいんですね。

藤井国務大臣 そのとおりでございますが、マニフェストで書いた数字というのは、私は野党の時代から言っていたんですが、数字そのものよりも事柄が問題だというふうに言ってきました。ですから、事柄によっては、事柄はやるけれどもその分を、数字でいえばそれも減らせるかもしれませんね。

石井(啓)委員 ちょっと意味深長な言葉なのでよくわからなかったんですけれども、それはあれですか、マニフェストの工程表に載っかっている主な政策は、来年でいうと七兆円ちょっとですか、事柄は載っかるけれどもその額を削ることもあり得る、そういう意味なんでしょうか。

藤井国務大臣 そう御理解いただいていいと思います。

石井(啓)委員 それはまた非常に重要な発言でありますから、今後の予算編成がどうなるか非常に、我々も見きわめていきたいと思いますけれども、少なくとも新規政策については国債によることはないということを確認させていただきました。

 それからもう一つ、埋蔵金、埋蔵金という言葉が出てきますけれども、かつて与謝野大臣と議論したときも、埋蔵金というのは本当は正確じゃないんだ、埋蔵金というのは埋めて隠されているものなんだけれども、今出ているのは大体表に出ていますから、埋蔵金という言葉は私は正確ではないと思うんですけれども、一般的に埋蔵金と言われていますので埋蔵金と言いますけれども、その埋蔵金の一環として、外為特会の積立金を取り崩して一般会計で活用することはお考えでいらっしゃいますか。

藤井国務大臣 前政権で大分お使いになったという事実は承知をいたしております。したがいまして、このごろ会計検査院でも出ておりますし、仕分けの行政刷新会議でも出ておりますが、要するに独法だとかあるいは公益法人だとか、そういうところにも同じたぐいのものがあるということを我々は考えております。

石井(啓)委員 いや、今お聞きしたのは外為特会です。

 自公政権の時代も、財政融資特会の積立金、準備金は取り崩して活用しましたけれども、外為特会の積立金は手をつけておりません。これについて、手をつけるお考えがあるのかどうかを確認させていただきたいと思います。

藤井国務大臣 今のところ考えていません。

石井(啓)委員 今のところというのは、いつまでのところなんでしょうか。

藤井国務大臣 できれば予算編成後までです。

石井(啓)委員 予算編成後までということは、今回の予算編成では外為特会の積立金には手をつけないということでよろしゅうございますね。

藤井国務大臣 前政権がやられた残りの話とは別だという意味でよろしゅうございますね。

 前政権でやられた残りのものは、引き続き使わせていただくことはあり得ると思っております。

石井(啓)委員 財政融資特会については、もう法律で来年度まで使えるようになっていますから、それは法律を改正しない限りは使えます。

 今申し上げたのは、今まで使っていない外為特会の積立金は、来年度予算では手をつけないんですねということを確認させていただきたいんです。外為特会の方です。

藤井国務大臣 積立金の話はおっしゃるとおりです。

 ただ、ことしまた入ってくるものもあるわけですね。それは、やり方としては前政権と同じだと思います。

石井(啓)委員 フローは今までも一般会計に入れていたんですよ。フローの方は入れていました。ただ、今までは全部じゃなくて半分ぐらいですけれどもね、積立金に引き続き積むために。御承知のとおり、今の為替レートでは外為特会は含み損を抱えていますから。だから、その含み損を少しでも埋めるために全部は活用しなかったんですよ、特会の利益は。一部は確かに一般会計に入れていました。だから、そこは引き続きやって構わないんですけれども、積立金には手をつけないということは確認をさせていただきました。

 それから、中期的な財政健全化の計画なんですが、菅大臣が、来年の五月から六月ぐらいに複数年度予算とあわせて中期的な財政展望を示されるということのようなんですが、私はもっと早くやるべきなんじゃないかと思うんですね。

 といいますのは、それでなくても来年度、国債発行が大量になるというふうに予想されている中で、やはり財政健全化のめどというのは早目に表に出すべきだ。私は、予算編成と同時に、ほぼ同時期にこの中期的な財政健全化のめどなり計画なりということを示した方がいい、こういうふうに思っておりますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。

藤井国務大臣 これは前政権と同じでして、経済が安定したときでないとなかなかそこができない。これは前政権のときもそういう理由でした。その状況は今でも変わっていないように思っております。

石井(啓)委員 自公政権時代は、財政健全化のめどというのは、年末に予算編成すると、翌年の一月、これは内閣府から試算を出して、十年後あるいは五年後のシミュレーションをしておりました。そういったことはこの新政権においておやりになるんでしょうか。これは内閣府の方の話かもしれませんけれども、そういう中期的な財政のシミュレーションというのはおやりになるんでしょうか。

藤井国務大臣 今お話しのように、これは内閣府の話なんですけれども、申し上げれば、非常に経済が不安定なときには、その数字が信頼の置けるものにならない可能性があるわけですね。それは、前政権の与党でおわかりだと思っております。

石井(啓)委員 確かに、経済は非常に厳しい状況でありますけれども、しかし、政府は来年度の経済予測もされるわけでありますし、予算編成するときは当然経済成長の予測もしなきゃいけないわけですから、だからといって、しないわけにはいきませんよね。税収の予測をするためにも経済成長の予測をしなければいけない。ですから、一定の前提のもとにシミュレーションはできるはずです。だから、できないということはあり得ないはずですけれども、大臣、どうですか。

藤井国務大臣 今二つの話をおっしゃったと思いますが、二十二年度の見通しはどうだ、やや中長期的なものはどうかというお話ですが、後者について申し上げました。

 当然のことながら、二十二年度については税収見通しをしなければならない、これは当然のことであります。

石井(啓)委員 私が申し上げたのは、来春にやるのであれば、菅大臣は来春にやるというふうに言っているんですよ、五月から六月ぐらいに。そうであれば、もっと早く、来年早々にでも本来はやるべきなんじゃないか、どうせやるというふうに言っているわけですからね。そういうことを指摘しておきたいと思います。

 それから最後、自動車関係諸税の暫定税率の扱いについて伺っておきたいと思います。

 私どもはかねてから、自動車の取得に関する税、自動車取得税ですね、それから保有に関する自動車重量税、自動車税、この暫定税率は軽減しても構わないんじゃないか、しかし、やはり燃料課税、走行に関する税は、地球温暖化対策、環境対策から考えて暫定税率は維持すべきではないか、こういうふうに考えているんですけれども、ここはどういうふうに扱われるお考えでしょうか。

藤井国務大臣 石井委員のお話のような意見の方もあるのはよく承知しています。これは今税制調査会で議論しておりますので、ここで断定的なことは申し上げられません。

 ただ、申し上げられるのは、暫定税率という言葉というか仕組みはやめなきゃおかしいと思います。これは昭和四十九年にできた制度で、当時の福田大蔵大臣がむしろガソリンの値段を上げるのを抑えるためにやられたことであって、道路を促進するためにやったものじゃない。したがって、福田大蔵大臣の御子息が一般財源化をされた、しかし、そのとき一緒に暫定税率という実態もやめておくべきだったというふうに思っております。

石井(啓)委員 もし暫定ということがおかしいということであれば、税率はそのままにして本則税率にすればいいんですよ。暫定税率分そのまま、燃料税ですよ、燃料税のガソリン税、軽油関係の税の暫定税率分をなくす必要はないんです、暫定ということだけをこだわるのであれば。本則税率を暫定税率まで含めた税率に直せばいいのではないんでしょうか。

藤井国務大臣 ただいま申し上げたように、そういう考えの方もあります。したがって、税制調査会でそういうことも含めて議論を進めてまいりたいと思います。

石井(啓)委員 今報道されているところによりますと、燃料関係の暫定税率を廃止して、そのかわりに環境税を導入しようという議論が行われているようです。これは報道ベースなんですけれども、例えばガソリン税でいえば、現在の暫定税率一リットル当たり二十五円を廃止して、一方で二十円を環境税、新税で上乗せをするということが報じられていますけれども、これでは、税率は若干下がりますけれども、暫定税率を環境税で穴埋めをしている、単なる看板のかけかえにすぎないんじゃないかというふうに思ってしまいますね。

 この環境税の議論はどうなんでしょうか。

藤井国務大臣 今石井委員がおっしゃったような議論もあるのは承知しております。したがいまして、これらも含めて税制調査会で結論を出したいと思います。

石井(啓)委員 それでは、きょうはもう時間がありませんのでここまでにしておきますけれども、年末の予算編成、税制改正、私どもも楽しみに監視をしていきたいと思います。

 以上で終わります。

玄葉委員長 次回は、明十八日水曜日に委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十八分散会


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