衆議院

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第2号 平成22年2月19日(金曜日)

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平成二十二年二月十九日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 玄葉光一郎君

   理事 岸本 周平君 理事 篠原  孝君

   理事 高山 智司君 理事 中塚 一宏君

   理事 後藤田正純君 理事 竹本 直一君

   理事 石井 啓一君

      荒井  聰君    池田 元久君

      今井 雅人君    大串 博志君

      岡田 康裕君    木内 孝胤君

      木村たけつか君    工藤 仁美君

      小林 興起君    小山 展弘君

      近藤 和也君    柴橋 正直君

      下条 みつ君    菅川  洋君

      平  智之君    富岡 芳忠君

      野田 佳彦君    橋本  勉君

      福嶋健一郎君    古本伸一郎君

      山尾志桜里君    和田 隆志君

      渡辺浩一郎君    渡辺 義彦君

      岩屋  毅君    田中 和徳君

      竹下  亘君    徳田  毅君

      野田  毅君    村田 吉隆君

      茂木 敏充君    山本 有二君

      西  博義君    佐々木憲昭君

    …………………………………

   財務大臣         菅  直人君

   国務大臣

   (金融担当)       亀井 静香君

   内閣府副大臣       大塚 耕平君

   財務副大臣        野田 佳彦君

   財務副大臣        峰崎 直樹君

   厚生労働副大臣      長浜 博行君

   内閣府大臣政務官     田村 謙治君

   財務大臣政務官      大串 博志君

   財務大臣政務官      古本伸一郎君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  内藤 純一君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    畑中龍太郎君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 宮島 守男君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           田口 尚文君

   政府参考人

   (国税庁次長)      岡本 佳郎君

   財務金融委員会専門員   首藤 忠則君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十九日

 辞任         補欠選任

  網屋 信介君     平  智之君

  小野塚勝俊君     木村たけつか君

  豊田潤多郎君     渡辺浩一郎君

  山尾志桜里君     工藤 仁美君

  山本 幸三君     岩屋  毅君

  竹内  譲君     西  博義君

同日

 辞任         補欠選任

  木村たけつか君    柴橋 正直君

  工藤 仁美君     山尾志桜里君

  平  智之君     木内 孝胤君

  渡辺浩一郎君     豊田潤多郎君

  岩屋  毅君     山本 幸三君

  西  博義君     竹内  譲君

同日

 辞任         補欠選任

  木内 孝胤君     網屋 信介君

  柴橋 正直君     小野塚勝俊君

    ―――――――――――――

二月十九日

 たばこ税の増税反対に関する請願(谷公一君紹介)(第一五二号)

 納税者の権利を確立し、中小業者・国民の税負担を軽減することに関する請願(古賀一成君紹介)(第一七一号)

 同(石関貴史君紹介)(第二六〇号)

 同(山本剛正君紹介)(第二七六号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二八六号)

 同(志位和夫君紹介)(第二八七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二八八号)

 消費税の増税反対、食料品など減税に関する請願(宮本岳志君紹介)(第二〇四号)

 消費税大増税の反対に関する請願(宮本岳志君紹介)(第二三四号)

 同(志位和夫君紹介)(第二四三号)

 公平性を欠くたばこ税増税反対に関する請願(谷畑孝君紹介)(第二四二号)

 同(竹本直一君紹介)(第二七四号)

 同(二階俊博君紹介)(第二七五号)

 同(竹本直一君紹介)(第二八五号)

 保険業法改定の趣旨に沿って、自主共済の適用除外を求めることに関する請願(服部良一君紹介)(第二六八号)

 同(田中康夫君紹介)(第二七七号)

 消費税を減税し、医療へのゼロ税率適用を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第二八三号)

 庶民増税反対に関する請願(志位和夫君紹介)(第二八四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十二年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案(内閣提出第三号)

 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)

 租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律案(内閣提出第一五号)

 財政及び金融に関する件


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     ――――◇―――――

玄葉委員長 これより会議を開きます。

 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局長内藤純一君、監督局長畑中龍太郎君、総務省大臣官房審議官宮島守男君、自治行政局選挙部長田口尚文君、国税庁次長岡本佳郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

玄葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

玄葉委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石井啓一君。

石井(啓)委員 おはようございます。公明党の石井啓一でございます。

 まず、亀井大臣にお尋ね申し上げますが、本年六月に貸金業法の完全施行を控えておりますけれども、政府においては貸金業制度に関するプロジェクトチームを設置されまして、この六月の完全施行に向けて検討を続けているというふうに承知をしております。これについて、昨年、大臣は、上限金利や総量規制などを変えるつもりはない、実施に当たっての運用上で問題点があるかどうか検討する、こういうふうにおっしゃっておりました。

 そこで、これは確認をまず大臣にいたしたいのは、本年六月に貸金業法の完全施行をするという前提で運用面での問題点を詰める、そういうことで変わりがないかということで確認をさせていただきたいと存じます。

亀井国務大臣 変わりがございません。

石井(啓)委員 ありがとうございます。いろいろなところで、これについて心配される声もあります。そこで、今確認をさせていただいたわけでございます。

 それでは、具体的に運用面での問題点というのはどういう項目をどういう方向で検討されているのか、そして、六月ということでございますから、これは早目に結論を出さなければいけないと思いますけれども、いつまでに結論を出されるのか、これを伺いたいと思います。

亀井国務大臣 現に貸金業の世話になって資金調達をしておられる方が大勢いらっしゃることも事実でありまして、そういう方々の中においてこれがいわゆる画一的にぴしっとやられた場合に、そういう方々が政府系金融機関に駆け込むわけにもいかない、民間金融機関も対応してくれない、そういう事態も予想されるわけでありますから、そういうことに対して政府としてどういう対応をしていくべきか、そういう観点で、非常に難しい問題でありますけれども、今鋭意検討しておりますので、三月の中旬あたりまでには一応そういう結論を出して関係者の方々の理解を得たい、このように思っております。

石井(啓)委員 今、貸金業から資金調達をされているというお話でありましたが、いわば純粋な個人の場合と、個人事業主あるいは法人の場合とでは、やはりそこに大きな差があると思うんですね。

 恐らく大臣がおっしゃっていることは後者の方、個人事業主なりあるいは法人なりというところでノンバンクから資金調達をしているところもあるということかと思いますが、これについては、いわば個人については年収の三分の一という総量規制はしておりますけれども、個人事業主についてはそこは一定の緩和をするという要件もございますよね。その辺をしっかりと詰めていただければ、個人事業主については問題がないかと思います。

 それから、法人について申し上げれば、これはむしろ、やはり、今やっておりますセーフティーネット貸し付けなりあるいは緊急保証なり、こちらを充実させる方が、私はこれは本来の筋であろうと思います。

 実は先日の予算委員会でも私は提案したんですけれども、今の緊急保証ですね、民主党さんのマニフェストでは特別保証を復活させるというふうにされておって、今年度の二次補正で対象業種は非常に広げて、これは非常に私も評価するんだけれども、もう一つは審査要件を緩和するということで、そこも政策金融公庫の補てん率を上げればそこは可能だというふうに指摘をさせていただいたんだけれども、そういう形で具体的に今ある政府の公的なセーフティーネットを拡充していく、こちらの方が私は本筋かと思いますが、その点、いかがでしょうか。

亀井国務大臣 委員御指摘のように、そうしたことについて、これは政府系金融機関も民間金融機関においても、もっときっちりとその社会的責任を果たしていくという観点から、私は努力をしていく余地はたくさんあると思っております。

 御案内のように、いわゆるモラトリアムの法案の実施に伴って、従来の金融機関のそうした融資姿勢等について、金融庁等は抜本的にこれを変えてもらうという方向で監督検査もいたしておりますので、そういう面についてもさらに今後努力をしていきたいと思っております。

石井(啓)委員 それから、私の方から運用上の問題点としてちょっと申し上げたいのは、相談窓口の充実ですね。今やはり多重債務に陥っている方、どこに相談を持ち込んでいいかわからないという中で多重債務に陥ってしまっているというケースも相当あるというふうに伺っています。特に、自治体の役割というのがやはり非常に重要ですから、自治体の相談窓口なりあるいはカウンセリングの体制を充実させていくということが非常に重要だと思うんです。そういった点についてはどういう御検討をされていますでしょうか。

亀井国務大臣 御指摘のように、そういうニーズのある方々の場合、金融機関の窓口にダイレクトに行かれる、あるいは政府系金融機関の窓口に行かれる、これはなかなか事実上難しい方々が多いわけでございますので、市町村の窓口等を含めて、いわば一つの福祉行政の中においてもやはりこれは対応していただかなければならない、そういう接点が多々ある分野であろう、このように考えております。

石井(啓)委員 そういった点、よろしく御検討いただきたいと思います。

 それから、もう一つ課題を申し上げると、周知徹底ということですね。この六月から上限金利を引き下げること、あるいは総量規制が導入されるということについて、必ずしも国民の皆さんの周知度は高くないということでありますから、私はこれは政府がやはり積極的に周知徹底に努めるべきだというふうに考えております。その点についての方策を伺いたいと思います。

亀井国務大臣 御指摘のように、国民の方々のすそ野の非常に広い範囲の中にニーズがございますので、そういう方々のところにどうやってこれを徹底していくかというのは大事な問題であると思いますので、今後とも全力を挙げてまいる所存でございます。

石井(啓)委員 よろしくお願いいたします。今後ともというふうに大臣はおっしゃいました。揚げ足をとるつもりはありませんけれども、今まではもう一つのようでありましたから、さらに頑張っていただきたい、このように、これは要望を申し上げておきたいと思います。

 それでは、菅大臣の方に移らせていただきたいと思いますが、きょうは、マニフェストの財源について、私は資料を配付させていただきました。これは、実は先日の予算委員会のパネルで示させていただいた資料でございますけれども、この資料の「二十一年度予算」それから「二十五年度節約目標」というのは、ここは民主党さんのマニフェストをそのまま引っ張ってきて、私の方で改めて記述をしたものでございます。それから、右側の「二十二年度節約案」というのは、これは政府の方で説明をされております三・三兆円マニフェストの財源の内訳を私の方で整理をしたものでございます。

 そもそも民主党さんのマニフェストの中では、二十一年度一般会計、特別会計の総予算約二百七兆円、ここから、四年後、平成二十五年度には九・一兆円節約ができる、節約をするという目標を立てていらっしゃいました。

 二十二年度の節約案は、そのうち公共事業費の一・三兆円、それからその他経費の節減ということで一兆円、合計二・三兆円ということであります。それから、埋蔵金を活用したり、あるいは政府資産を計画的に売却することによって、二十五年度には五兆円生み出す。二十二年度は、公益法人の基金等、これは独法の出資等も含めているようでありますが、ここで一兆円生み出した。それから、租税特別措置などの見直しで二十五年度の節約目標は二・七兆円、合計十六兆八千億円を二十五年度には生み出す。これに対しまして、二十二年度の節約案は三・三兆円ということであります。

 これは、二十五年度十六兆八千億円でありますけれども、別に民主党さんはマニフェストの工程表を示されておりまして、この四年間にわたって順次財源を生み出して工程表に伴って主要項目を実施していくということで、平成二十二年度は、当初は約七兆円財源を生み出す、二十三年度は十二兆六千億円、二十四年度は十三兆二千億円、そして二十五年度には十六兆八千億円、こういう工程表でやるということでございました。

 そこで、まず菅大臣にお聞きいたしたいのは、マニフェストの実現、財源ということと税収との関係でございます。

 といいますのは、先日の予算委員会で、税収減があったからマニフェストの財源がなかなか生み出せなかった、あるいはマニフェストが当初予定どおりできなかった、こういう趣旨の御答弁をされているわけでありますけれども、税収が減ったということとマニフェストとの関係性をまず御説明をいただきたいと存じます。

菅国務大臣 まず、昨年十二月に予算編成の基本方針というものをまとめて、「税収が急激に落ち込む中、」「国民の付託に応えて責任を持って経済財政を運営していくためにはマニフェストの主要事項についてもしっかりと優先順位を付けて効率的に実施する必要がある。」このように閣議決定をいたしました。

 また、この閣議決定において、税収が大幅に減少する中、財政の果たす役割に配慮しつつ、財政規律の確保ということも考えて、国債の発行額を約四十四兆円に抑えることといたしたわけであります。

 この基本方針に沿って二十二年度予算編成を行ったところでありまして、マニフェストの主要事項の実現に当たっては、歳出の削減や税収の動向など歳出歳入両面にわたるさまざまな要因について総合的に判断したところであります。

 御指摘にあります国の総予算二百七兆円を全面的に見直すというところからは、当初、確かに御指摘のように二十二年度に七兆円程度の節約ということを考えていたわけですけれども、そこまでは切り込むことが、いろいろな制約もありましてできませんでしたが、こういう形で三・三兆円の節約をしたわけです。

 数字ですのでいろいろな組み合わせはありますけれども、税収が落ち込んだことは、少なくとも国債の発行をどの程度にするかということとの関係で、やはりマニフェストについてもかなり厳しい優先度の判断が必要になったというのが私の実感であります。

石井(啓)委員 その点がちょっと私は余りよく理解ができないんですけれども、マニフェストは、あくまでも今この資料で示しました財源を生み出すことによって実行するということでございますよね。この二十五年度節約目標の十六兆八千億円の中から七兆円生み出せれば、当初予定どおり二十二年度のマニフェストは一〇〇%実現できていたはずなんですけれども、それができなかったことと税収減とがどういう関係性があるのか、ちょっともう一つ私は理解できないんです。

 だから、税収減とマニフェストが当初予定どおりできなかったとの関係が今の御説明ではちょっと私はよく理解できないんですが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 お示しいただいたこの中に、二十二年度については、御承知のように、いろいろな節約で二・三兆と公益法人等の基金の返納などによって一兆円、三・三兆円の節約を生み出し、そして優先度を決めたマニフェストにこれを振り向けた。結果として、御承知のように、暫定税率については、考え方は変わりましたけれども、実質上の税率としてはそのまま据え置くことにせざるを得なかったということで、鳩山総理も、そういう点については、幾つかの理由はあるにしてもマニフェストどおりにできなかったということは国民の皆さんにも謝罪をされたわけであります。

 そういうことを含めて言えば、マニフェストで盛り込んだ子ども手当あるいは農業の戸別的所得補償、さらには高校の実質無償化、また高速道路の無料化の一部実施等についてはこの三・三兆の中で何とかやりくりをした、このように理解しております。

石井(啓)委員 いや、そのことはよくわかっているのですが、私が聞きたいのは、三兆三千億円マニフェストの財源を生み出した、それで二十二年度主要項目をやりました。一方で、税収減だったので十分できなかったというふうにおっしゃっているわけですよね。そのことをもう少し突き詰めていきますと、税収減だったから財源が生み出せなかったということなんでしょうか。私の言っている意味、わかりますでしょうか。

 このマニフェストの財源案どおりに十六兆八千億円の中から七兆円生み出せれば、二十二年度満額、マニフェストどおりにやれたんですよね。その財源が生み出せるかどうかというのがポイントだったわけです。税収減があったからかマニフェストどおりできなかったということは、税収減とマニフェストの財源を生み出すとの関係性がどうなっているか。もしおっしゃるとおりであれば、税収減があったからマニフェストの財源を生み出せなかったということになるんですけれども、その因果関係が私には理解ができないものですから、御説明をいただきたいということであります。

菅国務大臣 おっしゃるように、七兆円の節約ができれば、その中でさらに、場合によってはですが、暫定税率等についても対応できたかもしれません。ですから、根本的には、この三・三兆円の節約にとどまったところが、マニフェストの優先度の中で、あるものは約束どおりにはできなかったということを申し上げたわけです。

 これから先は言うべきであるかどうかは別として、例えばの話ですが、七兆円生み出せなかったとしても、それでは国債を発行してやってもいいじゃないかという考え方もないわけではなかったわけでありますけれども、先ほど申し上げたように、四十四兆という、やはり市場の信認を確保するぎりぎりのところだという判断もありましたので、それ以上には国債発行を抑えようと。

 ですから、その部分ではやはり、九兆円にも上るといいましょうか、税収が非常に下がっていることも、それを直接と言うか間接と言うかは別として、国債発行によって、マニフェストの項目を全部やるためにそれを使うということを考えたときには、税収が下がったことも影響したということは御理解していただけるのではないかと思います。

石井(啓)委員 今の答弁で確認できたことは、まず、税収が減ったこととこの三・三兆円の財源を生み出したことは関係がないということですね。三・三兆円、節約等でもっと生み出せればマニフェストがもう少しできていたということですね。まずそのことを確認しました。

 さらに、税収減との関係でいえば、国債を財源としてマニフェストを実施する可能性もあったんだけれども、税収減で、国債発行をやはり四十四兆円に抑えなきゃいけなかったので、それができなかった、こういう説明でありました。そういうことであれば、税収減とこのマニフェストの実施との関係というのは説明がつきます。

 というのは、政府は、場合によっては国債を財源としてマニフェストを実行しようとしていた、そういう可能性も考えていたということになるわけですが、これはそもそも、選挙のときに言っていたことと全く、百八十度異なることになりますね。国債でもってこのマニフェストの工程表の主要事項をやるということになりますと、これは選挙で言っていたことと全く矛盾することになりませんか、大臣。

菅国務大臣 ですから、先ほど申し上げたように、いろいろな可能性は議論があったことは事実でありますけれども、最終的には、マニフェストの中での優先度を考えて、一番大きな項目であったのは暫定税率の問題ですけれども、それをマニフェストには盛り込んでありましたけれども、先ほど申し上げたように、そのとおりには実施できないということで、総理から国民の皆さんにもおわびを申し上げて、優先度の高いものに絞り込んだということでありまして、そのことは先ほど申し上げたとおりです。

石井(啓)委員 ですから、もう少し明確に確認させていただきたいんですが、この三・三兆円しか財源を生み出せなかった、その中で優先度をつけてやったということであって、三・三兆円しか財源が生み出せなかったということと大幅に税収減をしたということは関係がありませんねということを確認させていただきます。

菅国務大臣 関係があるなしという意味が必ずしも正確に私は理解できませんが、今石井委員が言われているような意味でいえば、確かに七兆円出なくて、三・三兆円しか出なかったわけですから、そのことと税収が大きく落ち込んだこと、そのことは別個のことであることは確かです。

 ただ、先ほど申し上げたように、それでも無理をして実行しようとしたときには国債の問題があったということであって、もちろん、この税収減というか、こういうところにとどまったことにも、とにかく選挙があったのが八月ですから、そういう意味もありますけれども、今言われた意味が、どう言ったらいいんでしょうか、それぞれの事柄であるということはおっしゃるとおりです。

石井(啓)委員 端的に申し上げますと、大幅に税収減があったことを理由にしてマニフェストができなかったということにしないでほしいということですよ。マニフェストができなかった理由を大幅な税収減があったことに求めるべきではないということを申し上げたいんですが、その点はいかがですか。

菅国務大臣 いや、ですから、今私が申し上げたとおりでありまして、国債に頼れば、それは頼る道があったとも言えるわけです。しかし、四十四兆円というところにとどめようということで、逆にマニフェストの優先的なものに絞ったということです。

 あえて言えば、その後の質問になるのかもしれませんが、この二百七兆円の見直しについて、私は、ことしが本当の正念場だというふうに思っておりますし、制度論とか組織の改廃に踏み込むには、率直に申し上げて、九月十六日に組閣をしたわけでありますが、年内編成というものが今の経済情勢からすれば何よりも優先するという中で、最大限の努力をしたわけでありますけれども、そういった意味では、なかなか三カ月余りの中で七兆円というものを生み出すことができなかったということは率直に認めなければならないと思っています。

石井(啓)委員 これまでのやりとりの中で確認ができたことは、まず、税収減とマニフェストの財源を生み出すということは別個のことである、独立したことであるということが一つ。それからもう一つは、選択肢としては国債でもってマニフェストの財源という可能性もあったけれども、大幅な税収減で国債発行を四十四兆円におさめる中では、そういう選択肢は捨てたということであります。その点は確認をいたしました。税収減があったから、直接的にそれが理由でマニフェストの財源を生み出せないということではないということを確認させていただきました。

 それでは、今大臣からも説明がありましたように、このマニフェストの財源が生み出せなかったのは主に時間が足りなかった、九月十六日に政権交代をして年末までに時間がなかったということのようでありますけれども、とすれば、これは予算委員会でもお聞きしたんですけれども、二十三年度については時間がたっぷりあるわけですから、二十二年度一年間丸々使えるわけでありますので、大臣がおっしゃったような一般会計、特別会計の、国の総予算の見直しというのも十分でき得る、制度的な改革も十分やり得る。ということになりますと、当初工程表の言っていたとおり、十二兆六千億円の財源は生み出せるということでよろしいか、このことについて確認をいたしたいと思います。

菅国務大臣 御承知のように、新たに行政刷新大臣に枝野さんが任命されまして、また、それに先立つ一月の十二日の閣議後の閣僚懇談会において、それぞれの大臣がそれぞれの特別会計などを精査して、そして不要なものについては制度の変更あるいは組織の改編も含めて取り組もうということで、そういった努力を既にスタートさせているところであります。そういった意味で、少なくとも昨年のように九月半ばからということとは違いますので、それぞれの立場、あるいは内閣を挙げて、全力を挙げて目標に向かって努力をする、このように申し上げることができると思います。

石井(啓)委員 努力をされるのは当然のことであります。民主党さんはこの四年間の工程表を選挙の折に国民の皆さんにお約束したわけでありますから、その約束に向けて努力するのはそれは政治として当たり前のことでありますけれども、問題はその約束が果たされるかどうかということでございます。

 現に二十二年度も、七兆円とおっしゃっていたのが結果的に三・三兆円に終わっているということでありまして、努力してもできないということではこれは困るんですよね。言うまでもありませんけれども、私はプロセスを評価しないわけではありませんが、政治はやはり結果が重きを置かれるわけでありますから。

 努力をこれからなさると。その努力の上でこの十二兆六千億円を確保する自信があるということでありましょうか。

菅国務大臣 率直に申し上げて、かなり大変な作業だなという認識はあります。

 ただ、現時点では、一月早々の閣僚懇談会で取り組みをお互いに申し合わせた、そういう姿勢にもあらわれておりますように、まさに全力を挙げて努力をする、そういうことに尽きると思います。

石井(啓)委員 それでは、ちょっと個別の問題に入ります。

 このマニフェストの財源の中で、人件費ですね、二十一年度予算五兆三千億円を四年間で一・一兆円削減する、約二割削減するということを約束されていますが、この国家公務員人件費二割削減というのはどういうふうにやるんでしょうか。

大塚副大臣 所管外ではございますが、マニフェスト作成にかかわった立場で解説をさせていただきたいと思います。

 この人件費の一・一兆円は、私たちは、地方の出先機関等の廃止、これらに伴う国家公務員の地方への移管ということも含めて、国の人件費の一・一兆の削減ということを実行するというふうに申し上げておりましたので、それらの手段も用いて実現をさせていただくつもりでございます。マニフェストを作成する段階で、そのように考えておりました。

 また、もし石井委員にお許しをいただければ、先ほどの七兆円の件とこの財源捻出の件について、私、今、地域活性化統合事務局を担当している立場で、若干、御理解を深めていただくために付言をさせていただきたいんですが……(石井(啓)委員「もう時間がないからいいです」と呼ぶ)景気がブリッジになっているということを、また改めて御説明をさせていただければと思います。

石井(啓)委員 実は、この前も予算委員会で、私は総理に聞いたのに直嶋さんが答弁に出てきたから何かと思ったら、マニフェストを作成した責任者と。それはマニフェストを作成したときはいいけれども、もう政府に入られたんだから、つかさつかさでやはり答弁してもらわないと。内閣府副大臣に私は聞いているわけじゃないんですから。

 実は、今言ったように、出先機関の廃止で、地方に移管することによって人件費が削減される、これは私はちょっと理解できないんですよ。確かに国家公務員の人数は減りますよ、そのことと財源が生み出せるということはどういう関係があるんですか。

菅国務大臣 まず現状を申し上げますと、前年度当初予算に比べて来年度は国家公務員の人件費が一千四百億円減少となる五兆一千七百九十五億円となっております。

 その上で、民主党のマニフェストに示された総人件費の二割削減という目標は、四年間かけて、今お話がありましたように、地方分権の推進に伴う地方移管などさまざまな手法を講じて実現を目指していく、これがマニフェストのもともとの考え方になっております。

 もちろん、地方に移したときに、今度は地方の自治体がどういう形をとられるか、まさにこういった問題も含めて、今地方主権の会議をつくって議論を始めたところでありますが、一応国家公務員の、ある意味では、財源と仕事と、場合によったら人材を、分権に伴って地方自治体に移っていっていただければ、国の公務員の人件費そのものは小さくなる。もちろん、地方の問題はまた改めてありますけれども、そういう力学になっております。

石井(啓)委員 それは表面上は、計数上は国家公務員の人件費は減るかもしれない。だけれども、大臣おっしゃったように、人と財源を一緒に持っていけば、財源としては生み出されないわけですよ。これは当然のことですね。地方も、財源なしに国家公務員を地方公務員として引き受けてくれなんて言ったって、引き受けてくれるところはありませんよ。

 だから、地方移管で人件費削減で財源が生み出せるということは考えられないことですよ。その点、大臣、どうですか。

玄葉委員長 菅財務大臣、時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。

菅国務大臣 委員もおわかりのように、よく言われているのは、県の仕事とダブった仕事が非常に多いんだということが言われてきているわけです。ですから、それを自治体に一元化することによって仕事の総量も減ってくる。ですから、もちろん専門的な能力のある方に自治体に移っていただくこともあると思いますが、場合によっては、自治体で新たに採用する人の数が減るとか、そんなことはあるかもしれません。

 少なくとも、二重行政になっているところについて、それを変えるということも地方分権の大きな役割だと私は思っています。

玄葉委員長 石井君、質疑時間が終了いたしましたので、簡潔にお願いいたします。

石井(啓)委員 はい。

 では簡潔に申し上げますけれども、今のは、要は、国家公務員の人件費を地方に押しつけるという話にすぎないんですね。それはまた別の機会にもう少し詳しくやらせていただきます。

 きょうはこれで終わります。ありがとうございました。

玄葉委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 きょうは、初めての所信質疑でありますので、今後の議論の前提となる点を確認していきたいと思います。

 まず、菅財務大臣にお聞きしますけれども、大臣は、この約十年ぐらいの間を振り返りまして、経済格差というものが拡大した、こういう認識はお持ちでしょうか。

菅国務大臣 持っております。

佐々木(憲)委員 確かに、それまでも格差は拡大しつつあったと私は思いますけれども、二〇〇一年、小泉内閣が成立して以来、急速に格差拡大したと私自身は感じております。

 一つは、非正規雇用が非常に大幅にふえまして、不安定な雇用が広がり所得が低下する、ワーキングプアと言われる人々がふえる。それから二つ目に、庶民の負担が非常にふえたんじゃないか。税の負担、それからいろいろな保険料等の国民負担がふえた。我々の調査によりますと、大体、政府発表の数字でも、合わせて十三兆円、それ以前に比べて負担がふえた。さらに、制度上の点でいいますと、社会保障、福祉、こういう面が非常に冷遇された。こういうさまざまな国民の面からいっての生活貧困化というものが進んだと思います。

 しかし、その一方で、大きな会社になればなるほど内部留保というのがどんどんふえる、株式配当がふえる、経営者の所得がふえる、そういう格差というものが非常に拡大したんじゃないか。その上に、大企業、大資産家に対する減税というものが今度は逆に行われる。格差に輪をかける、加速させるような政策が構造改革の名のもとで推進された、私はそういうふうに思っております。

 この格差解消のためには、これらのさまざまな要因に対して適切な対応をするというのが必要だと思います。その上で、税制というものが果たす役割、これは大変重要だと思いますけれども、菅大臣は、この税制の役割、格差解消の上でどういう役割を果たさなければならないと思っておられますでしょうか。

菅国務大臣 まず、この過去の十年間の見方は、共通の部分もありますが、若干私の見方を申し上げますと、いわゆるそれ以前が、比較的公共事業に頼った形での景気刺激をやろうとしたことに対して、一般に言われる小泉・竹中路線というのは、つまりは、企業の生産性を高める、それをみんながやれば日本の経済がよくなるんだと言って現実にやったことは、例えば象徴的に言えば、カルロス・ゴーンさんがやったように大リストラをやって、そして、その企業は立ち直ったかもしれないけれども、多くの人が失業なりあるいは非正規の雇用に移っていく。

 つまり、デフレ状況の中で、個別企業の効率化をやればそれがうまくいくといった考え方そのものが時代に合わなかった。そういうことが、先ほど言われたような労働法制等の行き過ぎた規制緩和もあって、大きな格差につながった、私はこのように見ております。

 その上で、税制の役割というのは、もちろんこの間のやり方でいえば、どちらかといえば、所得税でいえば、最高税率を下げてフラット化する、それも同じように、お金持ちがお金持ちになればなるほど下の人を引き上げるんだという考え方がベースにあったと思いますが、先ほど言ったように、必ずしもそういう考え方だけでは日本経済全体が実は持ち上がらなかったわけでありまして、そういうことを含めて、税制調査会の中に専門委員会を今度設けることになりましたけれども、この十年間の所得税あるいは法人税、あるいは他の税制も含めてどうであったかという検証を始めたい、このように考えております。

佐々木(憲)委員 今の菅大臣の御答弁のかなりの部分、賛同できるところがあります。

 ただ、構造改革というものは、いい面もあったといいますけれども、私は、かなりいい面は少ないというか、ほとんどないんじゃないかと思っていまして、競争力のあるところ、あるいは強いところを応援すれば全体がうまくいくという発想自体が間違っていまして、弱いところは切り捨てるという発想につながり、逆に国民の多数が疲弊する、そのことが経済の基盤を弱体化させていく、こういうことになったのではないかというふうに思っております。

 税の機能という点では、所得の再分配機能というのがありまして、そういう経済状況を是正していく上で大変重要な機能だと私は思います。つまり、大手企業あるいは大資産家に富が過剰に蓄積されている部分に対して、適切に税、社会保障などの応分の負担をしてもらって、それを通じて庶民の側、低所得者に適切にその富を移転させる、そして結果として格差の縮小につなげていく、この発想が非常に大事だと思いますが、自民党、公明党政権のもとではこの所得再分配機能が私は弱体化した、あるいは低下してきたというふうに思います。

 大臣は、どう認識されていますでしょうか。

菅国務大臣 私は、構造改革という言葉の意味はいろいろですけれども、必ずしもこの構造改革というものが全部だめだとは思いません。そこは、もしかしたら若干認識が違うかもしれません。

 今言われた競争力という問題も、確かに国際的な競争の中にあるわけですから、競争力を維持強化しなければいけないところは多いと思うんです。ただ、問題なのは、余り長い時間をとると恐縮ですからあれしますが、やはり需要を拡大する、あるいは雇用を拡大して需要を拡大するというところにもっと焦点を当てて、場合によったら財政出動も必要だったのに、それを翌年のGDPが上がるからといって、余り長期的な効果のない公共事業にお金をやったり、あるいは先ほどのように、構造改革と称してデフレ下においての効率化をすることによって大きな間違いがあった、私はそういうふうに思っております。

 その上で、税において所得の再配分といった機能があることはそのとおりだと思っておりますし、また、現在の所得税がそうした再配分機能が低下しているという指摘もそのとおりだと思っております。と同時に、先ほど申し上げたように、全体を成長させるためには、今度はどういうふうな形で財政出動をしていくかということもあわせて考えなければならない、このように思っております。

佐々木(憲)委員 アメリカ、イギリスでは、所得税の最高税率を引き上げる、あるいは株の配当の税率の引き上げというのを実行しております。この点は私は注目しておりますが、大臣、どう評価されていますでしょうか。私は、これは参考にすべきだと思いますが、いかがでしょう。

菅国務大臣 アメリカあるいはイギリスにおいて所得税の最高税率の引き上げが行われているということは、私も認識をいたしております。

 そういった意味で、日本ではかなりこの十年間で最高税率が下がってきているわけですが、それに対する見直しも含めて税調の方で検討していきたい、このように考えています。

佐々木(憲)委員 亀井大臣にお聞きします。

 このところ、経済情勢は非常に厳しいものがありまして、中小企業の倒産も非常にふえております。サラリーマンは、リストラですとか賃金の抑制ですとか、生活が大変苦しい。

 そういう中で、昨年の臨時国会で成立した中小企業金融円滑化法、これはそれに対応して出されたものだと思いますが、実施状況はどうなっていますでしょうか。いかがでしょうか。

亀井国務大臣 私どもとしては、資金繰りを少しでもよくしたいという思いでああいう措置をとったわけでありますが、本来は、これは金融機関がそういうことを自主的にやっていくべきことであったというように私は思っておるわけであります。

 結果といたしましては、そうした借金の返済猶予を求めると新規の貸し付けが受けられなくなるんじゃないかという危惧が働いて、なかなか相談をされないんじゃないかという危惧を持ったわけでありますが、当初そういう状況が相当ございましたが、これは金融庁が全力を挙げまして、金融機関に対して、また借り手に対して等もいろいろとPR等もいたしました結果、現在では相当、そういうことについて懸念が払拭をされてきておる、非常に効果を上げてきておると思います。

 特に、これはちょっと議員が質問されたことと外れますが、サラリーマンの住宅ローンについては大変な効果を発揮しておると思います。これはそういう懸念が起きないケースでありますので、大変そういう点では相談が激増して、それに対して金融機関も相当きっちりと、九割方対応しておるような状況があると思います。

佐々木(憲)委員 実数を確認したいんですけれども、債務者が中小業者の場合、それから住宅資金の借入者の場合、この申し込み、実行、謝絶、それぞれについての一番新しい数字、これを示していただきたいと思います。

畑中政府参考人 お答え申し上げます。

 先日、主要行九行、都銀等でございますが、金融円滑化法の施行日、すなわち平成二十一年十二月四日から二十一年の十二月末までのほぼ一カ月間に受け付けた、貸し付け条件の変更等の申し込みに関する対応状況を開示いたしました。

 これによりますと、主要行全体といたしましては、中小企業向けの貸付債権につきまして、全体で一万五千五百四十二件の申し込みがございましたうち、条件の変更等が実行されたものは三千百四十三件、謝絶されたものは二十件、また住宅ローン、住宅資金借入者向けの貸付債権につきましては、全体で四千十八件の申し込みがございまして、そのうち実行されたものは百十一件、謝絶されたものは十九件となっております。

 実行率で申し上げますと、中小企業向けにつきましては九九・四%、住宅ローンにつきましては実行率八五・四%という数字が公表されているところでございます。

佐々木(憲)委員 これは比率としては非常に高いと思いますが、全体の数が中小企業の場合は一万五千件、それから住宅ローンは四千件でありまして、九行ですから全体の中の一部ということかもしれませんが、しかし、まだこれは周知徹底が足りないように私は感じておりますので、その点をぜひ徹底していただきたいと思います。それから、対応も親切丁寧に、ぜひそういう指導を、監督をお願いしたい。

 次に、自主共済、互助会の問題でございます。

 今から五年前に保険業法が改正されまして、そのために、ある目的を持ってつくられている団体の内部の構成員がお互いに助け合いをしようということで共済ですとか互助会というものはつくられて、運営されてまいりました。ところが、新しい保険業法によって適用を受けるということで、今までのような互助の助け合いがなかなか難しい。規模の大きなものは保険会社になりなさい、小さなものは少額短期保険業者になりなさいとか、それができないと、これはなかなか続けられなくて廃業する、そういう事態が生まれておりまして、非常に深刻であります。

 昨年十一月のこの委員会で私は大臣にお聞きしましたが、大臣は「共助という、鳩山総理の友愛の精神を実践している、そういう団体に支障が起きないような対応をする」「そうしたちゃんとした団体がきちっとやっていけるような方向で処理をしたい、」というふうに答弁をされました。この立場は今でも変わりませんね。

亀井国務大臣 現在、そうした問題が非常に多いということを金融庁といたしましても認識いたしておりまして、この通常国会にこれについての法的な整備をやりたいと現在作業を進めておる最中でございます。

佐々木(憲)委員 一月二十二日の金融庁政策会議で、共済事業の規制のあり方に係る検討についてという議題が出されております。

 既にいろいろな聞き取りもされていると聞いておりますが、今までどおり、自主的に、かつ健全に活動しているこういう自主共済、互助会を継続したいと思っている方々、そういう方々の意向あるいは実態をきちっと把握しているのかどうか、そういう継続をしたいという熱意を生かすようにやっているのかどうか、その点を確認したいと思います。

亀井国務大臣 小さいのまで入れますと、何百あるいは何千とございますから、全体の実態を掌握するのに一年以上かかるという事務方の話でございましたから、そこまで気の遠くなるようなことをやったってだめなので、とにかく徹夜をしてでもあとう限り調査を進めて、かつてオレンジ共済のような悪質なことがありましたけれども、性悪説というような立場に立たないで、一様な線引きをして今国会に法案を提出しなさいと言って、今督励をしておるところであります。

佐々木(憲)委員 以前、政府が自主共済、互助会の調査をしたことがあります。対象となったのは四百三十一で、そのうち廃業したのは四十六件ということですが、廃業の理由というものは一体何なのか、これを示していただきたいと思います。

畑中政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘になられました、事業を単純に廃業したという区分に属しております四十六団体のことだと思いますが、単純廃業を含めまして、改正保険業法への対応につきましては、各団体の皆様がおのおのの事情を踏まえて自主的に判断をされているところでございまして、例外的に以下の五団体、すなわちベルル生命医療保障共済会、FJ共済、全国共済連合会、無限責任中間法人全国養護福祉会、MFP共済会、これら五団体については当局から廃業命令を発出いたしましたけれども、それ以外の団体につきましては、各団体がどのような理由からそれぞれの対応に至ったかについて、特に私どもとしては聴取をいたしておりません。

佐々木(憲)委員 これは聞いていない方がおかしいと思いますよ。要するに、やれなくなって廃業しているのか、自主的に廃業と言いましたけれども、私はかなり深刻な事態に陥って廃業しているのが相当あるんじゃないかと思うんです。

 例えば、知的障害者の互助会がありますね。今までどおりどうしてもやりたいと言っているわけですよ。知的障害者が例えば入院をする、その場合は、なかなかお医者さんとか看護師さんとの意思疎通というのができないんですね。病院からは、付き添いあるいは差額ベッドを求めてくるケースが実態としてあったり、あるいは入院を拒否されるというようなこともあると聞いております。

 こういう場合、本来なら公的な医療制度でそういう方々の支援をするというのが筋なんですけれども、それができていないわけでありまして、やむを得ず、そういう知的障害者の子供を持つ親などが集まって助け合いで始めたのがこの互助会なんです。すべての親たちが参加して助け合おうということで運営をされてきたわけであります。

 こういう実態を、大臣、きちっと把握して対応しようとされているんでしょうか。

亀井国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたけれども、私の部屋にもそういう方々が大勢やってこられまして、いろいろ実態をお教えいただきました。そうした方々の共済事業がきっちりと継続できるように、先ほども申し上げましたように、直ちに今国会できっちりとした法案を出すように今懸命に作業中でございます。

佐々木(憲)委員 新保険業法が施行されて、かなりの互助会が廃業に追い込まれております。ある県の知的障害者の互助会というのは、入会金あるいは掛金を集めることができなくなって、基金が底をついて解散をせざるを得ない。あるいは、民間の保険にしようがないから入る、そういう場合もこれまでのような給付がもらえない、大幅にカットされる。例えば一つの事例を挙げますと、死亡保険が三百万円だった、ところが、ことしに入って、二〇一〇年度から十万円だ、三十分の一に下がってしまう、こういう例もあるわけです。だから、民間保険に入りなさいといったって、簡単に、入っても給付ががくっと下がってしまう。

 それから、互助会の場合はみんな集めますから、一定の基金が積み上がっていきますと、では、会費は少し下げましょうかという話ができるわけです。ところが、民間の保険会社は保険料を下げましょうかなんて言いませんから、高い保険料を取られる。そういう中で給付が非常に不安定になるということで、続けられないと言っているわけです。四月にやめるというところもあるんですから。

 ですから、法律をつくるのも結構時間がかかっていますから、こういう方々は暫定的にも、今臨時にも、その法律ができるまでつなげられるような、つながるような何か措置を考えるというのが人情味のある行政じゃないんでしょうか。大臣、これは何とかしてください。

亀井国務大臣 今議員御指摘のように、共通の生活基盤といいますか、いろいろなそういうことの中で細かくお互いに助け合っていくという面で、そうした共済が大きく機能しているということは、これは事実であり、私は大事なことだと思います。

 そういう意味で、先ほども申し上げましたように、時間をかけて対応していくのではなくて、これはやはり個々に、これはいい、これは悪いというようなことじゃなくて、法律でこれをきっちりと早くするように今しておるわけでございますが、それまでの過程において、やはり議員御指摘のように、そうしたちゃんとした共済が困ることのないような対応をしていくようにしていきたい、このように考えています。

佐々木(憲)委員 具体的な指示をして、つぶれたらもう復活は非常に難しいんですから、やらせる、今そういうふうにしたいという意向は伺いましたが、具体的に指示してやりますか。

亀井国務大臣 これは今、私、どの共済がということで具体的にというわけにはまいりませんが、うちの事務局の方において、そうした現に申し出があった、そういう面で困っておられるところについて、やはり具体的に相談に乗りながら対応するという措置をとっております。

佐々木(憲)委員 これは具体的に本当にやっていけるようにしていただきたい。これは本当に死活問題でありまして、以前は保険もきかないようなそういう方々が、保険会社はやってくれないので、自分たちでしようがないから助け合って少しでも援助しようということでやっているわけですから、それが、保険業法を変えたからもうやっていけないよというのじゃ、何のための互助会か、何のための自主共済かということになってくるわけでありまして、しっかりと今後対応していただきたいということを要請して、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

玄葉委員長 次に、野田毅君。

野田(毅)委員 まず冒頭、菅副総理にお伺いしたいんですけれども、今、日本の検察行政の最高責任者はだれですか。

菅国務大臣 検察と言われたんですね。(野田(毅)委員「はい」と呼ぶ)総理大臣だと思います。

野田(毅)委員 今、自衛隊の最高責任者はだれですか。

菅国務大臣 総理大臣だと思います。

野田(毅)委員 税務行政の最高責任者はだれですか。

菅国務大臣 それも総理大臣だと思います。

野田(毅)委員 固有名詞で言ってください、職名ではなくて。

 現在の総理はだれですか。

菅国務大臣 鳩山由紀夫総理大臣です。

玄葉委員長 野田君、委員長の許可を得てから発言してください。

野田(毅)委員 わかりました、済みません。

 そうなんですよね。今、確定申告がもう始まっています。その中で、私は、世界じゅう、こんな例は、よほどのことがない限り聞いたことがない。税務行政の最高責任者が、自分のことは横に置いて、国民に向かって正しい納税を呼びかける。漫画ではないですか。この事態を財務大臣としてどうごらんになりますか。

菅国務大臣 この鳩山総理の件は、もう予算委員会あるいは党首討論でも御本人からいろいろと説明もありますけれども、御本人としては、そのことが贈与ということにみなすべきだということがわかった段階でみずから納税をされている、このようにおっしゃっていますし、そう理解しておりまして、確かに、いろいろなマスコミ等での言い方あるいは国会の議論等での言い方はありますけれども、私は、鳩山総理がそういう形できちんと対応されている、このように理解をいたしております。

野田(毅)委員 言葉は、例えは悪いんだけれども、亀井大臣もおられるので、かつての仕事で警察庁におられたんだけれども、自首という場合は、指名手配になってから出てきたって、これは自首にならないんですよね。これは世間で騒がれて問題になって、期限後申告だ。これは自主納税に入らない。だから、きちっと納めているという話じゃない。もしばれなかったら、世間で話題にならなかったら、そのままほっかむりだ。

 この事態を、総理に次ぐ税務行政の責任者である菅財務大臣はどう受けとめていますか。

菅国務大臣 鳩山総理のいろいろな機会の説明では、まず、そうした贈与があったことを知らなかった、それがはっきりした段階で贈与とみなして納税をされた、こういうふうに理解しておりまして、私は、今野田議員が言われたこととは若干違うんじゃないかなと。つまり、知った段階できちんと納税されたというふうに理解しております。

野田(毅)委員 贈与の事実は今もって御存じないんじゃないですか。天地神明に誓って知らないと言っておられる。大体、これはだれが聞いたって、そんなことを正面からそのとおりと信ずる人はいないですよ。親子の間の贈与を本人が知らぬで、秘書かだれかが横に入って、それだけしかわからない、こんなことで世の中通るわけがないし、私は、こんな日本は恥ずかしい。一体どういうことですか。

 この点について、私は、菅副総理はしっかりと税務行政の責任者として、鳩山さんをかばうんじゃなくて、しっかりとその責任を果たせと。知らなかったと言うことが説明責任にはならないんだ。どう責任をとるんですか。どう責任をとってもらうんですか。聞かせてください。

菅国務大臣 これも鳩山総理みずから言われていますけれども、知らなかったと言ってもなかなか国民の皆さんにも理解していただくのは難しいかもしれないけれども、まさに天地神明に誓って知らなかったという表現をされております。

 私も鳩山総理とはかなり長いおつき合いになりますけれども、一般の方、私を含めて一般の人であれば、親子関係の中で多額な贈与がある場合は普通知らないということは一般にはあり得ないと思いますけれども、やはり鳩山総理の場合は、御本人言われているように、ある意味で大変恵まれているというんでしょうか、大きな資産を関係者が持っておられて、いろいろそれを管理するための人たちもおられるということも聞いておりますので、そういう中で、普通の、何といいましょうか、私どもの感覚とは違って、そういう管理体制のある中での出来事ですので、率直なところ、鳩山総理とのつき合い、個人的なおつき合いも含めて、あそこまではっきりと知らなかったと言われていることについては、一般の常識とは違うかもしれませんが、鳩山総理の場合はそれも十分あり得る、そういうふうに私は認識をいたしております。

野田(毅)委員 まさに一般の常識から外れているんですよ。別の言葉で言えば、非常識だ。納税道義を一番国民に求めている最高責任者が、みずからの納税に関してそんな非常識なことをやっていて、日本国の総理として適切ですか。世界じゅうの人がこの問題を見ていますよ。日本の政治家は一体何だと。日本の政治そのものに対する信頼を汚しているんじゃないですか。この点について、これは菅さんに幾ら言ってもしようがないのかもしれぬが、しかし、少なくとも総理に次ぐ税務行政の最高責任者である以上、事実関係をつまびらかにする責任がある。

 同時に、税務調査を総理だから受けなくていいということにはならない。金額が年間一億八千万で済んでいるかどうか、それさえわかるはずがない、本人は知らないんだから。もっと多いかもしれないじゃないか。この種の問題は、私もかつては……(発言する者あり)だれかが要らぬことを言っているけれども、検察じゃないんだよ。国税ですよ。まさに、申告是認案件じゃないんですよ。当然のことながら、これは場合によっては強制捜査案件ですよ、本来なら。許されるわけがない。知らなかったでは済まないんですよ。私も若いころは現場におりましたよ。一線の税務行政をこっちは指揮する立場でしたよ。当然のことながら、これは強制捜査案件ですよ。それを、総理大臣であるからということにおいて強制的な調査も免れるということならば、これはだれでも総理大臣になりたがるね。

 法のもとの平等という点からして、これが許されるんですか。率直に、菅さんは正直な人だと思うから、素直に思ったままを答えてください。

菅国務大臣 これは野田議員よくよく御存じのことだと思いますが、財務大臣あるいはかつての大蔵大臣、個別案件に関して直接国税庁を指揮するということはされないのが慣例というか、そういう形であった。歴代大蔵大臣、財務大臣の議事録等を拝見いたしましてもそうなっております。

 そういった意味で、私も、鳩山総理であるとかないとかということではなくて、個別案件については直接、例えば国税庁長官を呼んで状況を聞くとか、あるいは指示を出すということはこれまでもやっておりませんし、やるべきではない。そういう中で、やはり国税庁長官を中心に、税に関しては適正、公正な課税を実現するようにしっかりやってくれているし、またそういう形でやってほしい、こういうふうに期待をし、認識しております。

野田(毅)委員 個別に指揮しろとか指示しろと言っているんじゃないんです。あなたから総理に、みずから進んで調査を受けろということをどうしておっしゃらないんですか。

 国税庁の役人は個別案件では答えられないというのは、これは当然お役人の立場があるでしょう。だけれども、少なくとも当事者である総理に、みずから進んで調査を受けろと。場合によっては、本人がわからないんならお母様にも、単なる上申書じゃなくて、きちんと説明してもらわなきゃいけない。一番説明責任があるのはお母さんじゃないですか。そう思いませんか、本人は知らぬと言っているんだから。金銭授受が本人の知らぬところで行われているというんなら、だれがお金を動かしていたんですか。お母さんじゃないですか。であれば、お母さんから事情を直接聞くのは当たり前の話じゃないですか。本人が知らぬなら、なぜ鳩山さんはお母様にしっかり説明してくれと言わないんですか。そう言うのが筋じゃないですか。どう思いますか。

菅国務大臣 私も鳩山総理の答弁をそばで聞く機会が多いわけですが、納税はした、しかし最終的ないろいろな判断は国税庁の方がされるでしょうという趣旨の話をされておりまして、そういう意味では、国税庁がどのような判断をする、あるいはそれについての調査をするしないも含めて、総理は国税庁にある意味ではお任せをされているんではないか、そういうふうに答弁から私は理解しております。

野田(毅)委員 現在の統治機構の中では、検察であれ国税庁であれ、動けないんですよ。小沢さんに鳩山総理から説明責任を果たすように電話したとかいうことが出ていますが、だったら、御本人みずから進んで、お母様に対して説明責任を果たすようにおっしゃるべきじゃないですか。

 私は、予算委員会でもお話ししたんですが、実はこの構図はフィクションじゃないかと思っているんだ。本当に贈与であったら知らないわけがない。これはあり得ない。本当は、政治団体に対する寄附行為だったはずだ。寄附行為であれば、秘書が知っていて本人が知らぬことは間々あることですよ。お互い政治家としてわからぬじゃない。だけれども、その場合は、限度を超えた寄附をした場合は、寄附をした側も罪になるんだ。つまり、母親の方に嫌疑がかかるんだ。場合によっては、禁錮、罰金だ。限度を超えた部分は全額没収ですよ。親孝行な息子としては、母親をそういう形で傷つけるわけにいかないから、あえてルートをねじ曲げて贈与ということにしたんじゃないですか。だれが見ても明らかじゃないですか。

 しかし、贈与してもらったお金をまたみずからの政治団体に寄附している。あるいは貸し付けているという構図をとっているんだ。であれば、今度は、鳩山さん自身が寄附限度を超えたという罪を背負うことになるんだ。だから、貸し付けだというフィクションをまたとろうとしている。私は、このことを、総理大臣だからこのフィクションができるんだと。一般の人ならすぐアウトですよ。皆さん、みんなアウトだよ。やはりこれは総理大臣にならなきゃ損だねという話になる。逆に言うと、総理大臣であれば、黒を白に言いくるめることもできる。

 法のもとの平等のあり方から見て、これで本当に法治国家として成り立つんだろうか。深刻な問題だと思う。今後、これが前例となって似たような総理がどんどん出てきたら、一体どうするんですか。もっとも、こんなお金持ちの人はいないかもしれない。だけれども、余りにもひど過ぎると思わぬですか。

 この問題、御本人と本当はもう一遍予算委員会でやりたいと思うぐらいですが、しかし、少なくとも副総理であるあなたから鳩山さんに、みずから進んで税務調査を受けるべき、母親にもそう申し上げるべきという進言をする気持ちはないですか。もう一遍聞きます。

菅国務大臣 野田議員の方から、いろいろな可能性というのか、推測を含めての御指摘をいただいているわけですが、私は、鳩山総理はできるだけいろいろな疑問に対してあらゆる機会に丁寧に答えようという姿勢で臨んでおられますし、先ほど申し上げたように、税務当局についても、私がそばで答弁を聞いている限りは、そういった調査というのか、税務当局の判断というものにゆだねるという姿勢で貫かれておられますので、今そういう姿勢でおられる総理に、私はその姿勢は望ましい姿勢だと思いますので、それ以上何か私から言わなければならないとは思っておりません。

野田(毅)委員 言葉は過ぎるけれども、それでは菅さん、あなたも同罪だ。日本国の税務のあり方の最高責任者の一人として、こんな状態、まさに今、確定申告のさなかですよ。今、税務の現場でどういうような会話が交わされているか。今後、税務職員が実地調査に赴いたときに、中小企業は本当にその日その日を苦しんでいる中で、この問題をどう受けとめていますか。そんなことで日本の納税が適正に正しく行われるか。期待する方が無理だ。そういう意味で、指揮をとる資格はない。

 せめて、僕が今言ったように、菅さんから総理には、みずから進んで説明責任を果たせ、母親にも果たしてもらいなさいと、なぜそれぐらい言えないのか。どうして言えないんですか。くどいようだけれども、せめて、それが日本国の統治機構を守っていく根幹じゃないですか。この統治機構の根幹が揺らいでいるんですよ。済みません、知りませんでしたと神妙な顔をして答えている。それだけで説明責任を果たしたことになりませんよ。

 もう一遍、くどいようだけれども、鳩山さんにあなたからアドバイスしたらどうですか。なぜできないんですか。もう一遍。

菅国務大臣 先ほどと同じ答弁になって恐縮なんですが、今、鳩山総理が、税務について、税務当局がやろうとしていることを、何かそれに応じないとか、そういう姿勢をとっておられるとは私は見ておりません。皆さんも御承知のように、国会を含むいろいろな機会に、自分は知らなかったけれどもわかった段階で納税をした、それでいいのかどうかについての判断は国税庁の方で判断されるでしょうという趣旨の答弁をされておりますので、そういった意味で、何かそういうことを避けているとか、逆にそういうことをやらせないようにとめているというようなことが、私にはそういうふうには見受けられませんので、そういった意味で、それ以上のことを申し上げることは考えておりません。

野田(毅)委員 この問題でいろいろやっても答えはそれ以上進まないかもしれないが、ただ、はっきりしたことは、決して鳩山さんだけじゃなくて、菅さん、あなたにも責任があるんですよ。税務行政の、総理に次ぐ最高責任者なんだから。統治機構として、憲法上も納税義務ははっきり書いてある。納税義務を国民がしっかり果たさなければ国家は成り立たないんですよ。一番の根幹の一つなんですよ。財務大臣もその自覚を持って臨んでもらわないと。これが一番の根幹の本筋なんですよ。先進民主主義国で、こんなことでトップが務まるなんてあり得ないんだ。よほど日本国というのはいいかげんな国なんだねと、世界じゅうにさらけ出すような話だ。

 このことを申し上げて、次の質問に移らないと時間が、こればかりではなんですから、移りたいと思います。

 先ほど、石井さんの質疑の中で、マニフェストについてのいろいろ御議論がありました。マニフェストどおりにできなかったということを税収減のせいにすべきではないということを、強く言っていた。この点はもう一遍確認しておきたいんだけれども、マニフェストどおりにできなかったというのは、税収減のせいにはしないということと受けとめてよろしいですね。

菅国務大臣 先ほど石井議員に私から答弁申し上げたように、確かに、当初二百七兆という総予算の中から初年度に七兆円程度の節約というか無駄を省く中で、幾つかのマニフェストの初年度分の実行を考えていたわけですけれども、結果として、三兆一千億の節約というかそういう中で、マニフェストの中で優先度を考えたわけであります。

 そのときには、場合によってはそれは国債増発による措置ということも全く考慮しなかったわけではありませんが、税収が非常に下がった段階で、四十四兆という一つの、それ以上にはしたくないというマーケットに対する一つのメッセージをしっかり出すということも含めて、そういう中でマニフェストの、特に暫定税率の問題は、当初の考えのようには実行ができなかった。

 そういった意味で、全く関係がないわけではないと思いますが、先ほど申し上げたように、七兆円と考えていたある意味での節約がそこまではできなかったという意味では、それはそのとおりであります。

野田(毅)委員 そういうことなんでしょうね。

 そこで、予算はもちろん歳出と歳入の両方あって、マニフェストも両面あるわけですけれども、歳出に関する部分は本当は予算委員会でもう少しやりたかったんですが、きょうはどちらかというと歳入委員会の方ですから、多少そっちの方に焦点を絞って議論をしてみたいと思うんです。

 この税制改正案の中で、マニフェストどおりにやれた事柄と、マニフェストに書いてあるけれどもできなかった事柄について、少し交通整理して説明していただけますか。

    〔委員長退席、中塚委員長代理着席〕

菅国務大臣 先ほど石井議員がマニフェストについて出された資料が一番わかりやすいわけですが、この二百六兆五千億の総予算の中で、公共事業については一・三兆、それから、その他いろいろ、庁費、委託費等の中から一兆……

野田(毅)委員 ちょっとごめん。

 今、私が聞いたのは、全体の話じゃなくて、税制改正の中での、マニフェストのとおりやれたこととやれなかったこと。

峰崎副大臣 質問通告が直接そういう形で受けておりませんでしたので、どの程度正確に……(野田(毅)委員「常識でわかるだろう」と呼ぶ)いやいや、常識といいますか、もしかすると外れているところがあるかもしれません。

 税制に関して、歳入のところでは、例えば、もう既に、暫定税率の廃止問題とか、この点については、国税の中の自重税の三千六百億のうちの半分しかできなかった、この点は総理もおわびをしたと思います。

 それから、マニフェストでできなかったところといいますと、扶養控除、配偶者控除の廃止の問題がございます。

 このうち、扶養控除は、いわゆる年少扶養控除、この点についてはできたわけでありますが、二十三歳から六十九歳までの扶養控除については、今回は残念ながらできなかった。またこれは今後の所得税改革の中で進めていこうというふうに考えています。

 それから、配偶者控除の廃止も実はうたっていたわけでありますが、この点については、今年度は配偶者控除は手をつけませんでした。しかし、これも四年の間には必ず手をつけようということになっておりますので、この点については、所得税改革の一環として、この秋の税制改正の論議の中に入れていきたいなというふうに思っているところでございます。

 さらに、道路特定財源絡みの問題は、先ほど申し上げたとおりでございます。

 あと残っているところ、マニフェストの中の大きいところでいいますと、子ども手当の問題に絡んだ扶養控除の廃止の問題、あと、四年間でやらなければいけない中で租税特別措置やそういった点についての見直しも掲げておりますが、これは、今年度は、平年度で直しますとおおよそ一千億円ぐらいの増収になってきているということだろうと思います。

 私、もしかしたら落としているところがあれば、後でまた追加したいと思いますが、主なところではそういったところじゃないかと思います。

野田(毅)委員 僕らでさえ、私も自民党の税調会長をやって、十分に税のあり方をやってきたんですよ。そういう中から見て、今回の政府・与党の中身は、私からいわせれば実に問題が多い。

 私からいえば、マニフェストどおりにやった一つは一人オーナーの話、これをやった。だけれども、それでよかったかどうかというのは、また別途問題があるんですよ。個人事業所得者との課税のバランスはどうするんだ。給与所得控除との二重取りの話。適正な、公平な課税という角度から見た場合の問題も一方ではあるという、別の問題を浮かび出しているということも指摘しておかなきゃいけないんですね。

 それからもう一つは、中小企業の軽減税率を一一にすると言った。ああ、どうせこれは無理だと最初から僕らは思っていたんです。何で一一なのか。二二の半分だから一一にしただけの話じゃないの。実際には、それは問題が多いからやめたわけでしょう。金がないからやめたんですか。どういう理由でやめたんですか。

峰崎副大臣 中小企業の税率を一一%に下げるということについては、これはよく丁寧に読んでいただくと、ある意味では財源をきちんと確保していくという前提条件がついています。

 これは、野田議員よく御存じのように、税率を下げていくというときにはやはり課税ベースを広げていくということをしながら税率を下げていくというのが、私は正しい道だと思っておりまして、そういう点で、一一%への道筋というのは、私どもはやはり課税ベースを、例えば中小企業関係の租税特別措置について、率直に申し上げて今回は余り触れませんでした。デフレの問題があり、これだけの、百年に一度の経済危機、こういう中で、やはり中小企業の皆さん方のマインドを悪くしてはいけないだろう、こういう観点から今回は触れられませんでした。こういった点については、引き続いてその実現に向けていけるように、私どもは全力を挙げていきたいなというふうに思っています。

 それからもう一つの、先ほどおっしゃられましたオーナー課税のところは、私どもは、今、野田毅議員の問題意識というのは、つまり法人段階においてまさに損金として落とし、その中にまたさらに個人所得で課税ベースから給与所得控除等が引かれる、こういう二重の問題については問題意識としてはしっかり持っておりますので、この秋には、そういった点についても含めて、どういう解決方法がいいのか、給与所得控除の上限をどうするか、こういったことの所得税改革の中の一環としてこれは手をつけていきたいというふうに考えています。

野田(毅)委員 でしょう。問題があるんですよ。

 やはり税というのは、具体的な企業経営なりいろいろなことに影響を及ぼす。ですから、縦横斜め、裏表からしっかり見た上で決定するんです。やっちゃってから後になって手戻りということはよくないんですよ。

 それから、中小企業の軽減税率の一一の話は、私どもは昨年一八にしたんですよ。なぜ一一にしなかったのか。それは、やはり事業所得者の上積み税率との関係、平均税率との関係があるんですよ。だから、そう簡単に二二の半分の一一なんて、そんな乱暴な税制改正の話というのはそもそもやっちゃいけないんですよ。このバランスを壊して人気取りをやっちゃいけませんよ、税は。それだけのきちんとした背景を持った上でやはり取り組んでもらいたい。

 それからもう一つ、マニフェストどおりにできたかできなかったかということでいうと、さっき暫定税率の話がありましたね。車体課税については、重量税の方はいろいろありました。ただ、燃料課税の方は暫定税率等々残した。名前だけは、当分の間になったんだ。当分の間税率だ。当分の間になっているじゃないですか、法案上は。

 だから、当分の間というのは、かつて、私の記憶では、地方自治法で起債の許可を、当分の間というので昭和二十三年の地方自治法のときに決まってから、実に五十年以上、当分の間が続いたんだ。当分の間というのはそれだけ長いことがあるんですよ。

 そういう点では、まだ暫定税率は十年間という期間限定だから終期がはっきりしておるんだ。では、来年、本当にやめ切れますか。断言できますか、暫定税率廃止は。

峰崎副大臣 当分の間と書いておりますが、私どもは、これは、地球温暖化対策税との関係で、この一年間で結論を出していこうということを考えておりますので、その関係をこの秋の税制改正までには決着をつけていきたいというふうに考えております。

野田(毅)委員 そうなんですよね、地球温暖化対策税制。できなかったら暫定税率の廃止もやらない、そういうことですね。

峰崎副大臣 私たちは、今は、それをやるんだということで、この法案を提案させていただいているわけであります。

野田(毅)委員 思いを言うのは、総理もいつも思いだけ言うんだけれども、全然決まらないんだ。もう思いはいいかげんにしてほしい。必ずやると。でなけりゃ、国民は何を信用して投票していいかわからない。努力はしたけれども、やはりだめだったということになったら、一体マニフェストというのは何ですかと。

 つまり、先ほど、財源不足を理由にマニフェストどおりにできなかったという話だけじゃないでしょうというのは、そういうことがあるんですよ。つまり、政策の方向性が正しいかどうか。つまり、温暖化対策と暫定税率の廃止というものは、まさに逆方向を向いているからという理由もあるんじゃないですか。単に税収が落ち込んで財源がないから、済みません、だから当分の間税率にして維持しますというだけの話じゃないんでしょう。つまり、政策の中身そのもの。

 だから、我が党は最初から、そんな都合のいいところだけばらまいて、選挙で票をとろうなんというんじゃなくて、だから抜本改革とワンセットでなければやっちゃならぬ。これは、温暖化対策だけの話じゃない、国と地方の税財源の配分の問題もみんなワンセットなんですよ。だから、それができるためには、消費税を含む抜本改革とワンセットでなければ、継ぎはぎのところだけでやったのでは絶対できないよということで、我々は昨年来、そういったことを決めているわけだ。

 だから、それを部分だけとってマニフェストに書いて、選挙だけうまくやって、終わったら、やはりだめでしたというのなら、国民は裏切られたことになるじゃないですか。もう、今や与党、政府を握ったんだから、野党ではないんだから。であれば、甘いばらまきをさらに再現するんではなくて、責任を持って、来年は必ずやるというのなら、温暖化対策税をやるんならやると。方向だけ考えていますじゃだめですよ、そんなことは。やるなら、やる。やらなけりゃ、責任とる。

 これは菅さん、副大臣の話じゃないな、やはり副総理だ。断言できますか。大丈夫ですか、温暖化対策税、それと暫定税率の廃止。ただ、できるように努力しますという話じゃ話にならぬですよ。CO2二五%削減を高らかに宣言しているわけだから。どうですか。

    〔中塚委員長代理退席、委員長着席〕

菅国務大臣 先ほど峰崎副大臣から答弁がありましたが、昨年の税調が決めた、あるいは閣議で決めた税制大綱において、一年間かけて温暖化対策税あるいは環境税といったことを導入するという方針を出しております。

 実は、暫定税率をどうするかという議論の中でも、環境省あるいは環境大臣の方からは、早い段階での、部分的でもいいから、環境税の芽を出したいという強い意向も当時あって、多少の議論をした経緯があります。

 ただ、これは、おわかりのように、いわゆるガソリン税の部分だけの問題ではなくて、例えば、いろいろな火力発電所、あるいはいろいろな製造メーカー等の問題も関係するということもありまして、相当の議論が必要ではないか。また、その分野の人たちからいえば、排出権取引の問題ともある種関連性を持って議論をしなければいけない、こういうことも言われておりますので、これは税調の議論でもあると同時に、今、我が内閣の中には環境を扱う閣僚委員会がありまして、そのもとでの環境税や、さらには排出権取引、こういった議論も、議論を再開することにいたしておりまして、そういった努力を通して、何とか大綱の方針どおりことしじゅうに結論を見出したい、このように考えております。

野田(毅)委員 六月までには結論が出ないということですか。ことしじゅうにというお話でしたね。そういうことですね。

 だから、マニフェストにどういうふうにお書きになるかわかりませんが、そうであれば、暫定税率の廃止も、やるかやらぬかは年末までわからない、そういうことですね。確認をします。

菅国務大臣 連動して考えなければならないと思っておりますので、一応、税制の取りまとめは、昨年の場合も年末でしたので、年末までにはというふうに考えております。

野田(毅)委員 わかりました。

 だから、暫定税率を廃止しますなんて言わぬがいいんですよ。廃止するよう努力して、地球温暖化対策税を入れられるように努力しますという話でしょう、正直に言えば。それなら、そう言えばいいんですよ。それをいかにも、マニフェストでやったから、ガソリン値下げ隊なんて、みんな寄ってたかって喜んでやっていたわけでしょう。値下げ隊の皆さんはどんな顔をするんでしょうね。本当に恥ずかしいと思う。そろそろそういったことは、もう野党じゃないんだからやめて、今度はおわび隊だな。いや本当に、そろそろ選挙ばかり意識する政治をやめて、与党になった以上は、国のかじ取りをするという責任感に裏打ちされてぜひやってもらいたい。当然のことだと思いますね。

 それから、もう一つこれに関連して言えば、トリガー条項。大変なことを入れたね。だれの発想なのかよくわかりませんが、これは最終的にだれが詰めたんですかね。言い出しべえはだれですか。これは教えてください。自民党税調よりか、我々から見ると民主党の税調の方がはるかに不透明だ。

 だって、税制改正大綱が決まらなかったじゃない、小沢さんが帰ってくるまで。間際になって、小沢さんがこうだと言ったら、それでぱたっと決まっちゃったから、関係大臣だって、当時、説明がつかなかったじゃないですか。今、一生懸命つじつま合わせの説明をしているのだが。

 トリガー条項、これは小沢さんの発案ですか、どなたの発案ですか。

峰崎副大臣 税制調査会で議論をする過程の中で、いろいろな方たちからのヒアリングを私たちはやりました。そして、この暫定税率の扱いを最終的にどのようにするのかというときに、では、かつてのように非常に価格が上がったときに暫定税率分をやはり国民の皆さんに返すということもあっていいんじゃないのかという議論も実はあったわけであります。そういう中で、最終的に、これは税制調査会の中で、こういう提起について、国民の中からの一つの声として、私たちはそれに対してトリガー条項を設けたということでございます。

 それと、この機会にちょっと野田委員にお話をしておきたいと思っているのは、もう野田議員御存じのように、税というのはやはり理屈の世界ですよね。ですから、暫定税率というのが、いわゆる道路特定財源を一般財源化したというときに、これを国民の皆さんからちょうだいする根拠というのが一体あるんだろうかという、いわゆる税の根本に立ち返って私たちは議論してきたわけであります。

 その上で、これはもう大変金額的にでかいわけですから、どういうふうに考えるかということがあったわけですけれども、そういう中でどうしても、やはり税収不足その他一連の要因の中で、これを、ある意味では苦渋の選択をして、総理はああいう形でのおわびの言葉も発したということは、これは経過としてはやはり理解をしておいていただきたいし、税としての課税の根拠が失われたときは、それはやはりきちんと一回これを廃止するというのが私は原則だと思っているんです。

 実際にそれができるかどうかというのは、これはまた別の問題だというふうに思っていますので、その点は、先ほどの質問の中で、ぜひそれは理解をしておいていただきたいなと思います。

野田(毅)委員 百も承知なんですよ。だから、抜本改革のときにあわせてやりますということをかねてから我が党として決めているわけですよ、この問題は、暫定税率の課税根拠も含めて。そんなことは、あなた方から言われる前からわかっていますよ。だからそう対応しているわけですね。

 そこで、今のトリガーの話。これは実は、内国消費税ではこんなことないと思うんです。これは大混乱が現場で起きるだろう。税をある程度わかっている人は、これはえらいことをやってくれたな、それはおわかりだと思う。

 だって、市場価格調査をするんでしょう、三カ月間。市場価格というのは、場所によって違うんですね。今でもガソリンの値段は地域によって違うんですよ。地域間格差があるものは平均でいくわけだから。だから、今でも離島やら田舎の方は高いんですよ、流通コストがかかるから。

 しかも、これは蔵出し課税ですからね、ガソリン税は。それは、末端に行くまでに相当、小売店の方は、安くなってから仕入れよう、高いうちの仕入れはできるだけ抑えよう、必ずそういった現場が大混乱する。この前だって、物すごく大混乱したのはそこなんですよ。

 だから、その点については、酒なんかは、大体上げるばっかりの話だったから、手持ち品課税で、在庫を棚卸しをしてやらせるわけですね。では今度、値段を下げるときにはどうするんですか。仕入れた値段は高い値段なんだね。それを安く売らないと消費者は納得しないはずだ。これはどうするんだと。だったら、ガソリンスタンドでは仕入れそのものを抑えざるを得ない。仕入れを抑えるというと需給関係は逆転するんだ。逆転すれば値段は上がるんですよ。値段は上がるけれども、世の中は下がるはずだと思ってみんな見ているんだ。

 この現場の大混乱。恐らく、こういったときには、強いものは過剰転嫁できます、便乗値上げができます。弱いところはめり込みます。これは、値上げするときはそうなりますし、値下げのときにも似たようなことが起きます。間にはまた流通だとか卸だとか、いろいろ絡みます。

 こういった恨みつらみ、地域間のいろいろな問題、この大混乱、もう一〇〇%ある。だれが責任をとるんだろう、この場合の損失を。それはどう考えていますか。損失の責任、あるいは便乗値上げの過剰利得、どうやってそれを調整できますか。

峰崎副大臣 委員御指摘の、このトリガー価格に伴う小売現場においてさまざまな問題が出てくるということは、私たちも十分想定しているわけであります。

 だから、その意味で、できる限りこういった場合の損失を少なくするように、小売店における、あるいは便乗値上げ、あるいは便乗利得とか、そういったものをどのように進めていけるかということについても、これは我々としては、責任を持ってその点についての体制をできるようにこれからも努力をしていきたいと言うしか、今の段階ではございません。

野田(毅)委員 これは、峰崎副大臣の権限ではできないんですよ。やれるのは、在庫の棚卸しをして、あるいは還付をどうするか、せいぜいそこまでですよ。民民のレベルですから、これに対しては行政からはできないんですよ、そう簡単に。財務省の権限の外ですよ。流通関係に携わっているのはむしろエネ庁ですよ。

 本当にこれは、起きてみなきゃわからぬかもしれぬが、断言していいですよ。だから、あとは油の値段が安定することをただひたすら祈るのみと。だけれども、暫定税率の廃止やらあるいは温暖化対策税の問題やらが延びれば延びるほど、この制度も延びるということだ。

 どこかでやはりこれが発動されるときが出てくるということですね。そうなったら、その現場の混乱、それだけじゃなくて、税収がまた穴があくんですね。そのときのロスをどういうふうに埋め合わせするのか。我々が政権のときには、そういったこと万般を念頭に置いてしか決定しないんですよ、政策は。そういう点で、非常に気楽に税制を決めていますね。

 この点について、少しやり過ぎたという思いはないですか、トリガーの話は。菅大臣、どうですか。大混乱しますよ。

菅国務大臣 当時、多少の議論があったことは私も承知をいたしております。今、野田議員からおっしゃった意味での心配もある程度認識をしております。

 ただ、趣旨は、もうおわかりのように、かつても非常にガソリンが上がったときに、国民生活に大変な打撃をいろいろな分野の方に与えた経緯があるものですから、そういった意味では、その場合に備えてこういった制度を入れたということでありまして、いろいろな問題点の指摘をいただいたことは十分頭にとどめておきたいと思いますが、そうした混乱が、もしこれを発動しなければいけないときには、そうした混乱ができるだけ少なくなるように全力を挙げるというふうに、今の段階では、申し上げることができるのはそういうことだと思います。

野田(毅)委員 この問題だけやっているわけにはいかぬので、次に行きたいと思うんです、本当はもっと、あと一時間、二時間ぐらいあってもいいぐらいだと思うんですがね。

 先ほど来、今度の税制改正の中で、マニフェストでもうたっているので、お話があったのですが、控除から手当と。この政権は非常に言葉を文学的表現で行われるので、コンクリートから人へとか友愛とか命を守るとか、今度は控除から手当というのが一つのキーワードになっているんです。

 さて、問題はそこなんですよ。控除から手当、どういう理念でそういう話になるんでしょうか、基本的に。どういう理念で控除から手当になるんですか、理念的に。説明してください。

峰崎副大臣 これは、実は所得税を考える際、現在、非常に格差問題、あるいは恐らく、先ほどの議論の中にもありましたように、所得再配分機能が非常に弱まっている、それをどのように回復していったらいいだろうかということで、これは国際的にも非常に、諸外国でも進められているんですが、税率構造を、累進税の最高税率を上げていくという方法はもちろんあるわけですけれども、その中で、所得控除というやり方よりも、税額控除にしていった方がいいのではないかと。しかも、その税額控除というのは、当然最高税率の適用者の税額ではございませんから、ある定額部分で低く設定をされるわけですね、最低税率の方、あるいはややそれに近いところで。

 そうすると、やはり最高税率の方々のいわゆる所得控除分が、限界税率が高うございますから、当然のことながら、その分だけ、いわゆる税収として見れば増収、高額所得者の方々からすれば、我々からは負担がふえるじゃないかという形になっていくわけですね。

 ですから、そういう意味で、私たちは、まずは所得控除から税額控除に切りかえていこう。さらに、これが給付つき税額控除という形で、いわゆる税を払っていない方々に、今非常に所得が低くなっておりますし、特に不安定雇用労働者の所得は課税されないような非常に低い所得しかない、そういう方々にも実はこういう恩典が行くようにしていってはどうだろう。つまり、税の世界と社会保障の手当の世界が一緒になってくる。

 ある意味では、手当というのは事実上、いわゆる給付つき税額控除とほぼ同じ性格のものを持っているのではないだろうかというふうに私たちは考えておりまして、その意味で、所得控除から税額控除、さらにこれを手当へという形で、ややユニバーサルなものへと展開をしていこうというふうに私たちは考えているわけであります。

野田(毅)委員 非常に心配なのは、言葉が先に行っていますね。

 所得控除ということは、課税最低限は結果として上がるんですか、下がるんですか。税額控除の場合は、課税最低限は上がるんですか、下がるんですか。

峰崎副大臣 当然のことながら、税額控除になりますと、いわゆる課税最低限というのは下がってまいります。

 つまり、三十八万円なら三十八万円の扶養控除を廃止すれば、その部分は下がってくる。ただし、それに該当する最低限のいわゆる手当、あるいはその税額控除部分というのは後で引けてまいりますから、実質上の最低税率に該当する方々にとってみると、それは余り問題にならなくなるということだろうと思います。

野田(毅)委員 そうすると、納税人口はやたらふえますね。これはどう対応しますか。課税最低限が下がるということは、そうでしょう。うんと税務職員をふやすんですか。どうやってこの辺を捕捉するんですか。執行面の課税の公平をどうやって担保できるんですか。

峰崎副大臣 これは、直接申告納税をされている方の比率がどの程度多くなっているかということについて、まだちょっと正確な数をつかんでおりませんが、今、日本の場合には、御存じのように、源泉徴収、そして年末調整という形で終わる方がかなり多いわけでございます。そういう源泉徴収義務者の方々には多少その数がふえてくるかもしれませんが、それ以外の方々にあって申告納税をしなきゃいけないという方も、私はふえてくるだろうと思います。

 そういう意味で、そういうふえていく方々について、私はやはり、一定の職員数が必要な場合は、もちろん、それをどのような形で、総定員法の枠がありますから、なかなか直ちにはふえないということはありますが、これは、いずれにせよ、私たちとしては申告納税という方向に徐々に、やはり納税者意識を喚起するためにもそういう方向の方が望ましいというふうに思っておりますので、そういった納税をしなきゃいけない方がふえてくるということに対して、所得面における、すなわち収入面における最低限が下がったことによって課税の負担が上がらないように税額控除はしているわけでありますから、今申し上げた、それに伴ういわゆる納税義務者の増大には、今のような関係で対応していかなきゃいけないというふうに思っております。

野田(毅)委員 今のお話は、要するに税務職員をふやすと。そして、税務署の窓口で申告納税する人はどんとふえるんだね。

 これは、仮にお話のとおり、マニフェストどおりに配偶者控除までなくするということになれば、つまり、今は夫婦子二人という前提でそれぞれの控除をつくって課税最低限を計算していますね。これがなくなっちゃったら、単身世帯と同じ課税最低限になるんですよ。よほどこれは申告納税人員はふえますよ。今ざっと七百五十万ぐらいでしょう、申告納税人員が。しかも、ある程度収入の多い人があるのなら、税務職員をふやしていっても徴税コスト上はいいかもしれない。まさにこの辺のぎりぎりのところがやたらふえて、全部お目こぼしということになって、執行面の公平が担保できますか。僕は、この問題、そこまで考えていないのではないかなと。どうするんですか。

峰崎副大臣 先ほどの数字がございましたので申し上げたいんですが、今回の所得税の扶養控除、年少の廃止によりまして、非納税者から納税者になる数を機械的に試算したわけでありますが、おおよそ約九十六万人ということで、うち源泉分が約八十五万人、そして申告分が約十一万人ということでございますので、今委員からありましたように、今納めておられる方々のけたの数からすると、とりあえず、申告分十一万人というのをどの程度員数で割っていったらいいのかということはわかりませんが、これからも、配偶者控除その他の控除の問題を整理する場合には、こういう納税環境あるいは徴税体制、これらについても十分配慮しながらやっていかなきゃいかぬ、こういうふうに理解しております。

野田(毅)委員 今回でさえそういうことだね。これが配偶者控除になれば、爆発的にふえるんですよね。それはおわかりでしょう。甘い話じゃないんですよ。やってから後になって、現場が大変だったという話じゃ済まぬのですよ、これは。ここは深刻な問題だと思いますよ。

 それから、世界の中で課税最低限を比較してみて、配偶者控除をなくして、そんなふうになろうとしているんですか。だったら、累進度をどうするかということでカバーするというのが本則に戻って当たり前だし、そもそも、配偶者控除あるいは扶養控除というのは、単に収入の云々だけじゃなくて、お互い家族の助け合う扶養義務であったり、そういった家族関係を前提とした暮らし向きのあり方を頭に置いてつくってきているんですよ、我々つくった側からすれば。

 課税最低限を決める場合も、余り小さな納税者をやたら追っかけることをするよりも、税務行政の効率性を考えて、あるレベルの課税最低限でとどめているわけだ。それを小さくして、納税人口ばかりやたらふやして、どうするんですか。かえって現場の不公平が出るじゃないですか。

 もう一つ、生活保護との関係はどうするんだ。ヨーロッパは、そのあたり全部調整しているんですよ。では、日本は、連動して生活保護の見直しをするんですか。簡単に給付つきの云々のお話をされるけれども、マイナスの所得税の発想だろうけれども、では、現在の生活保護はどうするんですか。御承知でしょう。既に住民税の課税最低限は、非課税限度額をつくることによって、生活保護よりも下なんですよ。この辺、理念的にどう調整されますか。これは峰崎さんに聞いたってしようがないな。これは地方税もあるから、やはり最高責任者は副総理だ、財務大臣兼副総理だ。

 菅さん、政治家としてどう判断しますか。納税義務者の方が生活保護者よりも低いレベルから始まるというのは、これはどういうことなんですか。生活保護の基準を見直すということと連動しなければ、この議論は成り立たないはずだ。だったら、生活保護の基準を見直すということをマニフェストに書かなきゃおかしいじゃないですか。

 この点は、きょうは厚労副大臣を呼んでいるんだけれども、来ているようだけれども、生活保護の見直しの話はどうなりますか。

峰崎副大臣 課税最低限が下がるけれども、その部分が実は手当になってふえてくるわけですよね。それを含めて考えていただかないと、実は、これは一方的に課税最低限を下げているだけではないわけです。そういった点はぜひ理解をしていただきたいと同時に、今、配偶者控除とか扶養控除、扶養控除の問題は今回の手当との関係で非常に連動しているということだったんですが、これは実は、これからの所得税のあり方、あるいは、日本において、今までは専業主婦そして子供二人、御主人は勤めているという一つのパターンみたいなものがありましたけれども、そういう大きな時代の変化で、家族形態も変わってきているじゃないか、あるいは、これからは家庭の専業主婦の方にもできるだけ雇用の現場に出てもらう必要があるんじゃないかというような、いろいろな、さまざまな問題があって、この点はことしの大きな課題で、所得税の抜本的な改革ということを考えております。

 そうなりますと、当然、所得税と社会保障との関係というのが必ず出てくるということは我々もよくつかんでおりますので、そういう観点からの見直しということも、社会保障との絡みでぜひ整理をしていきたいと思っております。

 なお、生活保護との関係について、後で厚労からあるかもしれません。

 もう一点だけつけ加えておきたいと思っているのは、私どもは、いわゆる基礎控除というのが三十八万円で、ほかの控除に比べてやたら低いなというふうに思っていますし、委員御存じのように、このいわゆる所得控除の前には、実は、昔は税額控除からスタートしておりましたね。

 ですから、税額控除になり、所得控除になってきて、この所得控除というものが高額所得者に非常に有利に働いているという今の仕組みについて、やはり改めてもう一回見直しをしてみる必要があるんじゃないかというところから私たちはスタートしておりますので、そういう所得再配分機能なども含めて、これからは論議をしていきたいなというふうに思っています。

長浜副大臣 野田先生には従前より御指導いただきまして、どうもありがとうございます。

 御質問いただきましたとおり、控除をなくすことによって課税基準が変わる、こういった部分の中においては国税のみならず住民税も影響を受ける、こういう状況の中で、厚生労働省の所管をしている制度においても、利用料や保険料の算定に当たって所得税とか住民税の各種控除後の課税総所得金額、税額等を活用している制度が、私が調べただけでも三十二ございます。

 こういったものが影響を受ける中においては、今私どもでは省庁横断的に税調を築いているわけでございますが、その中においての、控除の後の調整という過程が当然必要になってくるというふうに考えております。

野田(毅)委員 だんだん時間が押してきたので、本当はもうちょっとほかの、消費税を四年間上げないなんということで本当に大丈夫かということは、本当はこれはメーンでとってあったんだけれども、ちょっと時間がなくなってきたので、なんですが。

 ただ、気になるのは、今、峰崎さん、そんなことをおっしゃるんなら、ではなぜ子ども手当で所得制限を入れなかったんですか。高額所得者にも出すじゃないですか。そうしたら、そもそも論理がおかしいじゃないですか。だからそれは……(発言する者あり)ちょっとうるさいな。その理念が間違うておるんじゃ。だから、本当にこれはおかしいね。

 我々はそんなばらまき型じゃないんですよ。むしろ、そんなことで子ども手当をばらまくよりも、だったら、幼児教育を無料化する、あるいは給食費は無料化する。でなければ、もらったってパチンコやって未納、滞納、やたらおるじゃないですか。新たな社会的な不公正を広げているじゃないですか、現実問題。現在の児童手当は所得制限をつくっているじゃないですか。何でそれを取っ払うんですか。どう説明するんですか。今の峰崎さんの話とは全然違うじゃないですか。

 これは歳出の話だけれども、まあ、慌ててマニフェストをつくったんだから、相当粗っぽいと僕は思いますよ。それはしようがない、野党だからある程度はいいですよ。だけれども、政権をとった以上はもう少しきちんとした整合性を持って訴えていかないと、いつまで野党気分でおるんですか。

 これから先、特に中期財政見通し、六月にはおつくりになるんでしょう。だけれども、本来ならこれはセットにして出すべき話なんだ。当たり前の話じゃないですか。これが出ないから、市場も、日本の現政権の財政に対する無責任ぶりに警告を鳴らしているじゃないですか、現に。

 きょうは日銀総裁を呼ぼうと思ったけれども、時間のあれで呼べなかったんだけれども、明らかに危険信号になっているじゃない。金利は政府で勝手には決められないんですよ。市場も一緒になって決めてくるんですよ。

 これに対するメッセージ、もう時間がないから、なんですが、相も変わらず、四年間は消費税を上げないということにこだわるんですか。あるいは、菅さんがおっしゃっているように、議論を開始するだけじゃなくて、場合によっては前倒ししてでもお願いしなきゃならぬ、消費税の引き上げは、そのときには国民の信を問う、その場合は四年より前倒しもあり得る、こう受けとめてよろしいですか。

菅国務大臣 いろいろと、野党気分ではなくて、ちゃんと政権を担当する立場でという御指摘、大変ありがたい御指摘と思っております。

 税調を昨年つくって、その段階では国会議員だけで構成したわけですが、ことしからは専門家委員会をつくりまして、専門家の意見も含めて幅広く議論をしていくことになっております。その中で、所得税、法人税、消費税、あるいは温暖化対策税等々すべて、この分野だけは議論しないというのではなくて全体の議論をするということで、総理からもそういう了解をいただいて、具体的にスタートすることになっております。

 消費税については、政権をつくる前の三党合意の中で、さきの衆議院選挙でいただいた政権の任期の間は上げないということを決めております。しかし同時に、今申し上げたように、議論そのものはしっかりとしていかなければならないということで、そういう姿勢で臨んでいきたいと思っております。

野田(毅)委員 聞きたいことがたくさんあるんですが、昨年の所得税法等改正案の附則百四条、いろいろ前提条件つきではあるんですが、二〇一一年度に、消費税を含む抜本改革の道筋、そしてそのための具体的な措置を政府は講ずるものとするということを書いておるわけだ。今回、これはそのままになっているわけですね。ということは、前政権を拘束するだけじゃなくて、現政権をも拘束すると我々は当然のことながら理解をしております。この点について、考えは変わりませんね。

菅国務大臣 この附則の百四条の中では、「平成二十三年度までに必要な法制上の措置を講ずるものとする。」とあります。

 率直に申し上げて、今の政権の考え方とは当然ながら違うわけでありまして、この扱いについては、しかるべき時期までには、変更あるいは削除も含めて検討したい。今直ちには扱いませんが、しかるべきときまでにはそういった扱いをしたい、このように考えております。

野田(毅)委員 しかるべきときというのは気になるね。いつですか。来年ですか、再来年ですか。あるいは六月ですか、来月ですか。ここだけははっきりしてもらいたい。

菅国務大臣 つまり、これが二十三年度となっているわけですから、それよりも前ということですから、今年度、それよりも、つまり、その期限が来る前までには何らかの扱いを決めたいと思っています。

野田(毅)委員 もう時間が来たので、残念ですけれども次に譲りますが、これは最も大事なポイントなんですよ。これをまたずるずる年内いっぱいみたいなこと、二十三年度というと、この次なんですよ。予算編成作業はもう夏ぐらいから内々始まるんですよ。そんな、参議院選挙の後になってから、秋になってから考える話じゃないんですよ。まさに、今度の中期財政フレーム、それとセットにするのは当たり前じゃないですか。また逃げるんですか。六月には出すんでしょう。これだけはやはり確認しておかないといけませんよ。

 総理、じゃない、副総理。総理はまだちょっと早いけれども。

玄葉委員長 質疑時間が終了していますので、これで最後、簡潔に。

菅国務大臣 中期財政フレームは、ことしの六月に出すということで作業を進めております。

 以上です。(発言する者あり)ですから、これは二十三年度までですから、それよりも前までのしかるべきとき、同時にやるか少しずれるかは別として、何らかの対応をしたいと思っております。

玄葉委員長 次に、山本有二君。

山本(有)委員 国債の格付のことでございます。

 一九九二年にトリプルA、安定的と評価されておりまして、それが二〇〇一年にダブルA、それから、二〇〇二年になりますとダブルAマイナス、そしてやっと、二〇〇七年四月にダブルAのプラス、安定的になりました。よかったなと思っておりましたけれども、二〇一〇年一月、ことしの一月にネガティブ、マイナスというように評価が下がっております。

 菅さんにお伺いするんですけれども、CDS、クレジット・デフォルト・スワップ、これが一月六日の評価で、中国の保証料に日本が負けている、こういうことになってしまいました。一月二十六日の、先ほど言いましたスタンダード・プアーズ、この評価がネガティブ。そして、きのうの日銀総裁の記者会見、政策決定会合では、財政の持続可能性に関する市場の関心が世界的に高まっている、いわば持続可能性の関心というのは、このままやっていけるんだろうかとはっきり日銀から言われているわけでございます。

 そして、日銀は、安易な国債増発に協力するつもりはないとまで言われておるわけですが、こうした日本の国債の格付の下落傾向について、財務大臣、どのようにお考えであるか、お聞かせいただきたいと思います。

菅国務大臣 先日G7に出かけまして、その中でも、特にヨーロッパの皆さんは、ギリシャの状況について大変心配された議論をされておりました。そういった意味で、我が国も公債残高では、比率でいえばギリシャ以上の比率でありまして、大変重い課題だということは常に極めて強く感じております。

 格付がネガティブになったことそのものは、基本的には民間格付会社による格付ですから、一つ一つをコメントすることは差し控えたいと思いますが、いずれにしても、財政規律あるいは財政再建、財政健全化のことをしっかりと考えて、歩みを進めなければならないと思っております。

 まずそのために、行政刷新会議の方とも連携しながら、さらに徹底した予算の見直しを行うとともに、昨年発表しました新経済成長戦略の具体化を進めて、まず経済全体を大きくし、そして税収をふやしていくというその道筋を探っていきたいと。

 本年前半には、国家戦略担当大臣を中心に、中期財政フレーム及び中長期的な財政規律を含む財政運営戦略を策定することにいたしておりまして、こういうことをしっかりやることによって市場の信認を確保していきたい、こう考えております。

山本(有)委員 格付が下がるということは、この間のリーマン・ブラザーズでもございましたし、今回の二月四日に格付が急落したギリシャ国債でもございました。こういった格付のマイナスというのは、急落リスクとともに金利上昇リスク、二つを負うわけであります。

 財務大臣、危機感がなければ、今後我々はこの格付をとめることができないという意味でお伺いしたわけでございますが、他方で、日本の国債の消化は順調に進んでいるし、全く無難なんだという論もございます。例えば、これは日本の個人金融資産の量がでかいだとか、経常黒字が十三兆もあるだとかいうような話でこれがおさまっている部分もございます。

 峰崎さん、突然済みませんが、日本の国債というのは、安全という神話がずっと流れているというようにお思いですか。それとも、個人金融資産がでかいから大丈夫というようなことで峰崎さんは考えていますか。ちょっとお伺いさせてください。

峰崎副大臣 山本委員の突然の質問でちょっと戸惑っておりますが、私は、今の国債が、たしか日本国内で九五%近くが所有されているというふうに数字的には理解しております。そして、日本のこの間の個人の金融資産が一千四百五十兆円ですね。もちろん、これには純負債がございますから、差し引き純資産となると一千兆円近くじゃないかと思います。

 そういう意味では、今のところまだファイナンスできているというのは、私は、日本の民間企業のいわゆる企業活動というのが非常に弱いというふうに見ております。たしか、民間企業というのは昔は赤字部門でしたけれども、今や黒字部門になるぐらい実は内部留保も含めてたまっているわけですね。そういう意味で、そこの活動に早く火がついてもらいたい。

 それに伴ってやはり、財政的には相当厳しい事情も出てまいりますので、まだその点ファイナンスができているというふうにはいいながらも、相当やはり我々としては、市場の動向なり日本のガバナンス、とりわけ税収の調達能力、こういったことをやはり彼らは見ていると思います。

 今のところ、日本はまだ国民負担率が非常に低うございますから、特に租税負担率は先進国の中で非常に低い。そういう意味で、まだまだ日本はそういう調達能力を持っているということに対する信認というのが私は大変重要だというふうに思っていますので、私は、財務副大臣としては、そういう観点から、これからも日本の国債に対する安心というものを充実できるように、国民の皆さんに持っていただけるように、市場関係者の皆さんがそういう関係を持っていただけるように、しっかりと努力をしていきたいと思っております。

山本(有)委員 質問をとりに来た人に資料を配ってくれと頼んだんだけれども、資料は配られていないね。全然行っていないよね、委員部。

 これは有名な資料だから、もう皆御存じのとおりです。二十二年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案参考資料の概要、いわゆるワニの口というやつですね。

 税収と一般会計予算の、税収は下がる、一般会計の予算はでかくなる、ワニの口が閉じないという議論と、下の棒グラフは、だんだんだんだん背が高くなっていく国債発行単年度額、全部これを合わせると相当な額になるというような資料を今皆さんに示したかったわけであります。

 そこで、これは大体、平成元年からワニの口は広がる一方ですよ。このワニの口が閉じるということがあり得るとするならば、どんな条件が要るのかな、こう思うのであります。

 そこで、ワニの口がどんどん開くということは、もうこれは景気が低迷している、デフレである、低成長である、マイナス成長である、当然税収が不足する。ならば、さらに抜本的な歳出削減ということを継続して、抜本を継続しなければ歳出削減ができないですから、この抜本を継続して歳出削減、つまり、このワニの上の方の口を下へ下げようとしたって、これはなかなか構造的なものがひっかかる。何なんだというと、少子高齢化、社会保障というようなことで、このワニの口の上の部分というのは少子高齢化が終わるまでは無理だ、こう言われておるわけでございます。

 そうすると、景気低迷、これも一体どこまで泥沼化していくのかということになるわけですが、このワニの口がどんどんどんどん開く傾向、ここには限界がありますか、ありませんか。菅大臣、ワニの口のこのずっと行くやつは限界があるのか、上あご、下あご。どうぞ。

菅国務大臣 やはり税収と歳出の差のワニの口がどんどん開いていけば、その間を、一般的には国債、一部は埋蔵金ということもあるかもしれませんが、そういうもので埋めなければならなくなるわけでありますので、無限にそれを増大させるということにはならない、つまり限界はおのずからある、このように思っております。

山本(有)委員 当然、その限界はだれでも感じるだろうと思います。

 特に、この間、財務省からいただいた「平成二十二年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算」、これは十年物国債で、二十二年の金利を二・〇と打って、二十三、二十四、二十五、毎年〇・二%それぞれ金利が上がると仮定して、それで試算したところ、何と、平成二十五年には国債費二十七・九兆、一般会計予算が百兆を超えた、税収は四十五兆、結果として差額が五十五・三兆、ことしの差額が三十三・三兆ですから、二十兆以上多いわけでございます。

 平成二十五年というのは多分、衆議院選挙満期ですから解散でしょう。このときに五十五兆、このワニの口の差がある。国債発行しなきゃならぬ。恐らく六十兆ぐらい発行しなきゃならぬでしょう。それまでに景気が低迷すれば、さらにどんどんどんどんこれは加速します。

 さて、だれでもいいですが、野田さん、突然、これは財務省でつくった資料ですから聞きますが、この試算の中に子育て手当の満額支給というのは入っているの。

野田副大臣 山本委員にお答えをいたします。

 これは平成二十二年度までの制度とか予算を機械的に延長してつくった試算でございますので、すなわち、平成二十二年度分は月額一万三千円で予算措置をとっていますが、満額支給はとっていません。その他すべて、マニフェスト部分、いろいろ工程表はありますけれども、平成二十二年度まで措置した分をそのまま延長して試算をつくっているということでございます。

山本(有)委員 マニフェスト大事、子育て大事、子育て手当大事。五・三兆捻出する、その半分ぐらいの捻出でも、ことしの予算というのは不気味なねじ曲がった予算だと私は思っています。

 この影響試算評価に子育て手当五・三兆が入っていないということになると、差額は恐らく六十兆を超えてしまうわけでありまして、この六十兆を超えて国債をじゃんじゃか発行して、そして長期金利は上振れをして、景気は低迷して、それで政権を投げ出されるぐらい、こんなばかばかしいことは国民にとってはあり得ません。私は、そこで、ちゃんとしたことをやってもらいたいなということが政府に対するお願いでございます。

 先ほど、G7でギリシャの話をされておられました。ギリシャというのは、菅大臣がおっしゃられたように、GDP比、公債債務との対比でたしか一一二%、GDP比で長期債務の残高が日本よりはるかに少ない。にもかかわらず、この国というのは、デフォルトの宣言みたいな形で、ユーロの諸国あるいは財務大臣会合でIMFに支援というようなことになっているわけであります。国債消化できない、持続可能性がないという、衆議院解散までの間にこんなことが起こる可能性がある。

 特に、ギリシャについてもう一回お伺いしますけれども、今のギリシャの自力再建、こういったようなことに対してG7で議論をされて、今どういう状況にあるか、菅大臣にお伺いいたします。

菅国務大臣 実は、その場でもIMFの方もおられたりしまして、どこがこのギリシャの状況を改善する責任ある行動をとる場になるかというような議論もありましたが、その後の推移をメディア等で見ておりますと、やはりEUという形、特にユーロを共有している国々が一つの改革案をギリシャの新しい政権に提示してその実行を迫る、そういう形で一応の枠組みができて動き出している、このように理解しております。

山本(有)委員 まず、二月十六日に財政再建計画をEUが財務大臣の理事会で承認した、これはわかります。そして、欧州中央銀行、ECBやIMFがこれに協力して監視すると約束した、わかります。次に、三月十六日、将来ですけれども、二〇一〇年の具体的な実施計画の提出を要求されています。かつ、工程表を要求されています。一体どこまで、どうやってメニューをつくってやるんだと。それから五月には、この春には二〇一一年以降の実施計画も提出しろと。今度は八月から、工程表は出した、実施計画は出した、再建計画は出した、三カ月ごとに実施計画のさらに新しいものを出してこい、三カ月ごとにECBやIMFやEUにしょっちゅう提出しなければならぬわけであります。

 これがいわば恥じゃないとするならば、私は独立国家じゃないと思います。外国の政府に一々自分たちの台所を指導されなければ物事が進まない、規律とかモラルとか自己統制とか自己抑制、こういったことがなかったと外国人に見られることが恥だ、日本人として恥ずかしいというように私は思います。

 ギリシャの心ある国民は、恐らくそんなふうに思っているだろうし、何でここまで長期債務をそのままにしておったのか。子育て支援はわかるけれども、じゃぶじゃぶ国債を発行した罪というのはだれにあるんだ、こう聞かれたときに、独立国家たる我が国の財務大臣、だれだったんだといってページをめくったら菅さんの名前があった、こういうことになったら大変ですよ、菅さん。

 ですから、やはりここはきちっと、工程表とかなんとかいうような話を外国人にされる前に、自分たちで、どうなんだ、これぐらいやれるじゃないか、こうしたらこうなるよといって、さっき野田さんが聞いたように、中期財政計画、三年間、これをやるというんですから、六月にまとめるというんですから、それをしっかりやる覚悟をもう一回お示しください。

菅国務大臣 もちろん、先ほどの野田委員からのお話のように、私たちも政権を担当することになった以上は、それ以前のいろいろな経緯も含めて責任を負わなければならないことは当然でありますので、今おっしゃったように、我が国がギリシャと同じような立場に置かれるということは何としても避けなければならないということは全く同様の認識です。

 ギリシャの場合は若干日本と違う要素が二つほどありまして、もともと、前の政権が出していた数字そのものが非常に信用ができない数字であったという問題、それから、御承知のように、ギリシャの国債は大部分が外国によって消化されているという問題など、違いはありますけれども、しかし、だからといって、日本が決して楽観できるというふうには全く思っておりません。

 そこで、今話をされた中期財政フレームを含めて若干の考え方を申し上げれば、いろいろな要素が御承知のように関連しております。

 もちろん、歳出をどうするか、歳出を財政規律を保つために大きく切り込めば、今度は景気にマイナスが来る。そうすると、景気、経済の拡大、いわゆる成長戦略はどうなるか。さらに、長期金利の問題もありますが、昨日の日銀総裁のコメントも読んではおりますけれども、一方ではデフレ状況が続いていて、やはり財政再建の方向を考えるときに、何としてもデフレ状況の脱却がなければならないということもまた一つの要素だと思っております。

 そういう意味で、幾つかの要素、連立方程式のようなものをしっかりと把握した中で、そして時間も、六月の中期財政フレーム、あるいはその後の平成二十三年度予算に向けての活動、さらにはマニフェストの見通しの四年間程度、また昨年暮れに出した二〇二〇年までの成長戦略の、これは基本方針の段階ですが、基本方針、そういったものをそれぞれしっかり連動させる形で財政健全化の道筋を六月の段階では国家戦略室が中心になってまとめていく、そういうふうに物事を進めたいと考えております。

山本(有)委員 私は、日本の政府とギリシャの政府、ここに共通点があるから、菅さんにしっかりやってもらわなきゃならぬということを声を大にして言いたいのであります。

 ギリシャの財政再建策というのは、GDP比二・八%まで切り込むというように書かれておりまして、二・八%まで切り込むというのは相当な努力が要るんです。ここまで外国に要求されてくるわけであります。そういうことが嫌だ、口惜しいということが一つあるわけでありますが、今の政権と大変似通ったことがあります。去年の十月にギリシャの政権がかわった、かわったと同時にギリシャの格付が下がった、下がったと同時に、こうしてEUの中で、しっかりと財政再建しろ、こう来たわけであります。ギリシャの政権というのは社会党政権なんです。

 そこで、私が拝見したギリシャの財政破綻、この資料の中にはギリシャについてこう書いてある。強力な党内左派や労働組合に配慮し、公務員給与の削減などには及び腰、これが財政破綻の原因だ。さらには、十月の選挙で、雇用や貧困対策の重視を公約するその余りに政権奪還したことが、かえって国債の格付評価の裏目に出た。こんなことで我々が破綻して外国の植民地みたいなことになることを、私はやはりどうしてもこの政権で避けてもらわなきゃならぬ。亀井先生、そうでしょう。

 亀井先生もその一員だから、ひとつ、絶対そんなことをさせない、社会党政権にそんなことをさせないとしっかり、市場経済原理を誇る自由主義経済の金融大臣、そのことをちゃんとはっきり表明してください。

亀井国務大臣 私は、山本議員をかねがね大変尊敬し評価しておりますが、さっきからちょっと、ここはギリシャじゃなくて日本なのに、何で昨年の政権交代をこじつけて、そういう、ギリシャと似ている似ているという言い方をされるのか、私にはちょっと解せないんです。

 それよりも、先ほどから国債が今のままで増発をされていったら大変だということをおっしゃいますが、私は、財政規律が大事なのは子供でもわかる話だし、問題は、経済をどう活性化していくか、これが基本的に一番大事な話であって、十年間の小泉政治、自公政権の間違いというのは、残念ながら財務省の……(山本(有)委員「それは後で聞きますから、ギリシャの話を」と呼ぶ)いや、ギリシャの話というと、それはもう基本的な条件が全然違う、ギリシャと日本の場合というのは。

 御承知のように、日本の場合、国債をほとんど国内で消化をしているという点も違いますし、基本的な経済力が違うということもあると思います。これは言い出したら長くなりますから、私は、基本的にはギリシャと日本は違うと。

菅国務大臣 先ほど、政権を担当する以上、前のことも含めてと申し上げましたが、余り山本議員に言われるとつい、前のことというのは別に日本のことじゃありません。いいですか。ギリシャではちょうど同じころ、二〇〇九年十月に確かに政権交代が行われました。そして、新たな政権が、前の政権が作成した財政赤字統計が大きく事実と反していることを調べ上げたんです。

 どのぐらい違うかというと、二〇〇九年の財政赤字が、前の政権はGDP比五%程度と言っていたんですよ、それが何と一二・七%の見込みと新しい政権が調べたら出たんです。このことから確かにこの問題が起きているわけです。

 ですから、私は、そこまで全部日本が同じとまでは言いません。そこまでは言いませんけれども、少なくとも、政権交代があって、新たな政権が何か野方図な財政をどんどん出してそれで危機が起きたという見方は、私が知る限り、ギリシャについては当たりません。

 そして、確かに、数十万人のゼネストが起きたりして大変苦労しています。しかし、私がG7やあるいはその他のメディアの報道を聞く限り、新しい政権、大変だと思いますよ、自分たちの支持者を含めて。しかし、何とか、EUの財務大臣会議のそうした勧告を実践しようとして全力を挙げているのが今の政権だと。どうか、前の政権との関係で、余りこじつけの類推はしないようにしていただきたいと思います。

山本(有)委員 私が言いたいのは、ギリシャであろうがどこであろうが、社会主義であろうが自由主義であろうが、ともかくこれは大変な時期なんだという危機感を共有してもらいたい。亀井先生、危機感共有ですよ。いや、答弁は要らない。

 それはそれで、こんな話をしているとだんだん押し問答になるから、ちょっと別なことを聞きたくなったので、突然ですけれども、別なことを聞きます。総理の贈与税について聞きます、突然。

 徴収権の消滅時効、これだけいっぱい頭のいい人がそこにそろっているわけですからお聞かせいただきたいんですが、消滅時効に五年と七年の区分があるようですが、この贈与税の徴収権の消滅時効、五年、七年の区分というのはどう違うんですか。私はよくわからぬから、ちょっと教えてください。

峰崎副大臣 突然、私、別件でちょっとおったものですから、改めてもう一回……(山本(有)委員「この質問はしょっちゅう聞いているでしょう」と呼ぶ)もう一回、ちょっと正確にやってください。

山本(有)委員 総理大臣が贈与をされて税金を払わないというのは知っているよね、峰崎副大臣。それの贈与税の時効というのは知っていますか。税金に時効があることは知っていますか。その区分が、五年と七年という二つの区分があるというんです。それを聞きたいんです。それだけ。

峰崎副大臣 通常の場合はこれは五年ということになるわけでありますが、ある意味では、偽ったり不正したり、そうした場合にはこれが七年になるということもあり得るということでございます。

山本(有)委員 総理は何年分払ったの。峰崎さん、総理は贈与税を何年分払いましたか。

峰崎副大臣 私、総理がどのように答弁されているかというのは知っておりますけれども、何年とおっしゃっているかということは、私の口からは余り言わない方がいいかなと思っております。

山本(有)委員 七年分払っているんですよ、七年分。

 峰崎さん、七年分の区分をもう一回言って。

峰崎副大臣 お答えいたします。

 これは先ほど申し上げましたように、正確に読みますと、偽りその他不正の行為によるものは法定申告期限から二年間の時効が進行しないために、偽りその他不正の行為により贈与税の申告書の提出がなかった場合には、贈与税の追徴権の消滅は法定申告期限から七年を経過したときとなる、こういうふうに定められています。

山本(有)委員 たちの悪いものが七年、こういうことなんですね。

 そこで、明敏なる皆さんですから、時効というのはどういうことなのかをお聞きしたいんですが、大塚副大臣、消滅時効、例えば、これで七年以前の問題、これに対しては債務がなくなるんですか、なくならないんですか。ちょっとそれを教えてください。

大塚副大臣 御指名でございますが、弁護士である山本先生にお答えするほどの知見は有しておりませんが、時効というのは、法律に規定する法律事項の効力を定める時限的期限だと理解しております。

山本(有)委員 時効は援用できるんですよ。援用ということは、いわば、相手が請求してきたときに抗弁として時効を援用することによって請求がとまるわけですよね。そうすると、債権債務の関係でいくと、片務的債務あるいは自然債務みたいなものが残っているわけですよ。

 そうすると、総理は十二年前からお金をもらっているわけですから、したがって、片面的債務、つまり、総理はみずから、こんなに財政事情が悪いときに贈与税を払わなかった私が悪うございましたというんだったら、前の分から払ってしかるべきだと思うんですが、菅大臣、どう思う。

菅国務大臣 時効のことと今おっしゃったこととの関係が私には十分に理解できないんですが、総理としては、先ほど他の議員の御質問にも私なりの見解を申し上げましたが、一応、贈与を受けていたということがわかった段階で、担当の弁護士の方とも相談して贈与税を払った、後の扱いについては国税当局の判断に任せるという姿勢をとっておられると理解しておりますので、何か今、さらにこうすべきだ、ああすべきだということを、個別の案件でもありますし、私の立場で申し上げることは控えたいと思います。

山本(有)委員 さっき、税収については危機感を持って財政再建のために一生懸命やるというんだったら、こういったところでも、総理に膨大なる資産があってフローの所得も大変あるというときには、国民に支払わせている税金と同じことを、時効を言わずにそのまま、十二年前からの部分を支払っても悪くないだろうと私は思いますので、菅大臣が閣議後に総理と雑談でもするときに、山本がこんなことを言っているから、ひとつ支払ったらどうですかと。こういうようなことは、国税も受け取れるという権利があるわけですから、この場合は国税に寄附をするわけじゃないので、税収は本当に助かると思いますよ。

 そして、もう一つ、私が不可解な点で申し上げたいことがございます。

 各地域地域で納税の手続を一生懸命やっている税務署長、大変若い税務署長からお話を聞きました。贈与税について、自分が税務署長として扱った事件があったと。そのとき、一億二千万。よく本人に問いただすと、改心の情ありあり、反省しきり。それから、本人の日常生活は超まじめ。生まじめな性格が痛いほどわかる。そこで、税務署長としては不起訴にしちゃった。それをペーパーに書いて本省に上げると、本省は何を言ったか。一億円以上じゃないか、起訴しないとは、おまえどうするんだといって本省の課長からしかられたと言うんですよ。

 この税務署長は、今名前が挙がると有名な人ですので余り言いませんが、とにかくこの税務署長、私が扱った案件でいくと、一億二千万で一億にかなり近いから、超えていても少ないから私は不起訴にしたんだというように説明しておった。

 それからすると、総理大臣の不起訴というのはおかしいじゃないか、こういうように思われても仕方がないし、現場現場の国税当局の、一生懸命納税を促進していらっしゃる五万何千人の税務署職員の方々というのは、おかしいなと思っているのじゃないかと思って、私はそれが不安です。

 菅大臣、ガバナビリティーを出して、この点についてどうするんだということの御見解をお願いします。

菅国務大臣 実は、先ほど野田議員からもかなり同趣旨の御質問をいただいて、どうしても同じような答えになって恐縮なんですが、まず、一般的に言えば、財務大臣あるいは歴代大蔵大臣それぞれ、直接個別案件について国税当局を指揮するということは控えられていたというふうに理解しております。私も、この事件に限らず、個別案件について、例えば国税庁長官を呼んで話を聞くとかということをしたことはありません。

 そういう意味で、一般論として申し上げれば、国税当局においては、有効な資料、情報の収集に努めて、課税上問題があると認められる場合には税務調査を行うなどして適正、公平な課税の実現に努めている、このように承知しておりまして、私から、これ以上個別案件について、だれかにこうしろ、ああしろということはすべきではない、このように思っております。

山本(有)委員 納税期間ですから、しっかり大臣も納税に頑張ってやっていただきたいと思います。

 次に、中小企業金融について亀井大臣にお伺いします。

 亀井大臣、けさの新聞を読みましたか。何新聞、日経新聞に特定してもいいですが、読んでいないね。読みましたか。(亀井国務大臣「全部読んでいます。読んでいる」と呼ぶ)読んでいる。何か感じませんでしたか。

 「上場地銀 不良債権比率 四割で上昇」、地方銀行の不良債権が上昇したんですよ。私も田舎に住んでいて、とにかく地方景気は悪い。亀井先生のところもそうでしょう。とんでもなく悪い。選挙をやって地元をどんどん回って、中小企業は大変だと先生は思ったんでしょう。金貸せと言ったのはそのことでしょう。

 私は、亀井先生があの中小企業の緊急な対策をしようとして、支払い猶予、モラトリアム法案と言われた、これをつくられたのはいいんだけれども、こうして四月―十二月決算をして、中小向け融資は不振であり、そして不良債権はますますでかくなっているというこの現実というのは、相当ゆゆしい問題だろうと思うね。

 これについて、今の感想と、今後の対応みたいなことをもし亀井大臣が考えておられればお話しください。

亀井国務大臣 私は、いわゆるモラトリアム法案をつくったときから、これは金繰りが少々楽になっていくというだけの話といえば表現は悪いかもしらぬ、問題は、仕事が出なければだめだ、また、その仕事がもうかる形で出ていかなければ、現在の中小零細企業の窮状を解決することにはならないということを、当時から本会議場でも委員会でも私は言ってまいりました。

 委員が御指摘のように、今、金繰りの問題よりも、むしろ仕事が出ないという状況があります。そういう意味では、鳩山総理も、仕事をやはり出していくということをこの政権はやらなければならないという強い問題意識を、私自身、お話をしておって持っておられると思いますし、この内閣は、福祉経済、自公政権のやらなかった面に力を入れている、これは極めていいことでありますけれども、あわせて、やはり経済を活性化していって、特に中小零細企業に具体的に仕事が出ていく努力、民需が自然に出てこないのであれば、政府の財政支出そのものによって需要を創出していき、そうしたところに仕事が出る努力もあわせてやらなければならないということを、私はこの内閣においても強く言っておるわけでありまして、そういう意味では、本年度予算につきましても、そういう中身において相当配慮をされておる、このように私は考えております。

山本(有)委員 そうですか。そうすると、中小企業者等に対する金融円滑化を図るための臨時措置に関する法律案、亀井法案、これは要らなかったわけですね。要らないんだね。これは要らないんだよ。

亀井国務大臣 あなたも大臣までおやりになったんですから、質問をされるときのお言葉に気をつけられた方がいいと思うよ。

 私は、要らないと言っているのじゃない。それだけでは解決にならない、やはり仕事が出ていく状況をあわせてつくらなければならないということを、法案を提案したときから私は言っておることであり、それなりに、金繰りについては現在、金融機関もやはり今までのマターをある面で改めて、社会的責任を果たすという形で対応を今してくれつつある、私はこのように考えています。

山本(有)委員 需要をつくる、経済を活性化する、言葉は抽象的で、なるほど。しかし、その次に、財政支出をさらにするというような話をされていましたね。この上にまた国債を発行して財政支出するんですか。

 今回の農業土木なんかの切りようというのはすごいですよ。田舎も、私のところの土地改良区の組合なんかは解散しちゃったんですよ。次もし構造改善をやろう、区画整理事業をやろう、圃場整備をやろうなんといったってできないですよ。もう維持管理ができないから市町村が全部負担しなきゃならぬというぐらいまでお金を切って、それで田舎に財政出動したというのは、これは亀井先生の答弁かな。

亀井国務大臣 自公政権における財政支出の中身の中で、そうした中小零細企業にとってこれが需要創出にならない、また、長い長期的な観点から見れば役に立つかもしれないけれども、現在のような財政が逼迫している状況においては、やはりそういうものはちょっとおいて、当面、効果のあるそうした財政支出、効果のある公共事業への支出にこれを厳選していこうといった姿勢である、私はこのように考えておりますので、議員が御指摘のようなことは私は当たらないと思います。

山本(有)委員 そういうように、これは切っていい、今の切ったものは大丈夫、次にまた亀井先生はこれは切っちゃいかぬというように、公共支出でも田舎の支出でもどうもあるようですね、得意の仕分けが。

 それで、やはりそれは我々と共通する意識があると思うので、具体的にやってもらわないと困りますよ。我々も協力するから。そういうように、財政支出もいい財政支出と悪い財政支出があるので、子育て支援とか農業戸別補償とかこういったことじゃなくて、もっと田舎が頑張れるようにやりましょうよ。いや、これは答弁はいい。

 次に、国内銀行の総貸出残高、銀行が市中に貸し出ししますね、これの目詰まりをしているというのが亀井先生の論だったというように思いますが、この目詰まりは直っているのでしょうか、直っていないのでしょうか。今の貸し付けの残高の推移について、亀井先生、御存じですか。どうぞ。

亀井国務大臣 私もけさ新聞で、議員ほど詳細に熱心には読んでおりませんかもしれませんが、同じように読んで、心配しておるような状況だなというふうに思いました。要は、これは今の日本の産業活動が非常に停滞をしておるという結果としてそういう状況があらわれておる、私はこのように思います。

 そういう意味では、あなたが嫌いな国債も、やはり必要なときには少々発行して、経済自体を活性化していくことにおいて、長期的に、財政の国債支出をしなくても済むような、そういう経済に持っていくべきだ、私はそのように思っております。

山本(有)委員 国内銀行総貸出残高、これは日銀から出ている表なんですけれども、政権交代された二〇〇九年九月、これから貸付残高は前年度対比で上がったときがあるかないか。大臣、どうですか。

亀井国務大臣 私は、ずっとそういう状況は、残念ながらこの十年来、産業は停滞を実質的に続けてきておると思います。特に、中小企業向けのそうした金融というのは極めて停滞しておるというように私は考えております。

山本(有)委員 実は、二〇〇九年八月、選挙真っ最中の貸付残高は上がっているんです。政権交代してからはずっと下がっている。ずっと下がっているんです。別に政権交代が理由だとは思わぬけれども、亀井先生、先生はこれに着目して、選挙をやって、その印象で地方のことを考えて、それでさっきのモラトリアム法案に携わったんでしょう。だったら、この法案が生かし切れていないということに対しては、困ったな、責任とらなきゃなということを考えなきゃならぬのですよ。特に、中小企業向け貸付残高、前月比マイナス三・七%。中小企業向けが急落していますよ。

 これじゃ、せっかく亀井大臣があんな法律をつくって頑張ろうといったって、市中は全然反応していないということですよ。まあ、笛吹けど踊り踊らず。この法案について、一体何なんだ、私も疑問に思われてしようがない。亀井先生、この法案が実効性がないということは、あなた、どう思いますか。

亀井国務大臣 何か議員の議論は極めて極端な議論をされておられるようなので、どうも答弁をなかなかしにくいのでありますけれども。

 私は、私にも責任がありますが、この十年来、中小企業、零細企業と大企業との関係が大きく変わったと思っております。簡単に言いますと、下請いじめ、これが堂々と進行した結果、中小零細企業というのは極めて経営が弱くなってしまった、そういうこの十年来の一つの背景がある中で、残念ながら、財務省の縮小均衡の路線に小泉政権以降自民党政権が乗っかってきたために、今の中小零細企業含めてこういう経済の停滞が起きておる。

 あなたがさっきから指摘されておりますように、国債依存度がどんどん高くなってきておる、そういう状況が生まれたことを、議員ね、一緒に反省しようじゃありませんか。

山本(有)委員 中小企業向け貸出残高が伸びていないだけでなくて、市中の中小企業の経営者に大変な落胆を生んだというように私は思っております。

 特に、貸してくれるんだ、あるいは融資条件の変更をしてくれるんだと勇んで行くんですけれども、なかなかままならない。特に、銀行側にとっても大変なんですよ、これ。金融機関というのは軒並み融資相談、特に融資条件変更相談は普通の若い人ではできませんよ。窓口の女の子じゃできませんよ。これを置かなきゃならぬようになったよ。これを置いた。対応部署の設置。つまり、ここに経費がかかった。さらに御丁寧に、体制整備の状況報告を義務づけられたんです。義務がかかった。そして、虚偽開示について罰則を当てられた。そうすると、とんでもないことになったら信用不安になると、必死になって広告出してパンフレットつくって、一生懸命やる。受付窓口の人員規模が通常の営業窓口よりもふえたというところがあるんだから。(亀井国務大臣「いいことじゃない」と呼ぶ)そうですか、いいことですか。

 これはやはり、今までのことを大臣に少し思い起こしてもらわなきゃならぬ。日本の中小企業の特徴を大臣は御存じですか。知っていると思いますけれども、過少資本の過剰貸し付けなんですよ。これを前の人たちが、リレーションシップバンキングといって、とにかく地域地域でそれぞれの金融機関がそれぞれの中小企業を守ってきた。お互いさまでやってくださいよというところに日本の国内金融機関の、特に中小企業についての検査マニュアルがあったわけですよ。それを一刀両断に、何でもかんでも融資条件を改革しろと言った大臣というのは、ちょっと今までのことを御存じなかったんじゃないかな。

 さらに、二〇〇九年四月、このときに大手行中心に貸し渋り、貸しはがしというのは既に金融庁が集中的に検査していましたよね。こんなことを既にやっているから、今さらあの法律をわざわざ出して、わざわざ銀行窓口ふやして、相談員を、専門家をふやしてということは、余り効果がなかったわけですよ。

 特に中小企業の声を聞いてみますと、三年間の時限立法だと。これはそうですよね。三年で終わっちゃう。そうすると、利用履歴が永遠に残るんですよ、利用履歴が。リスケしてくれた、利用履歴は残る。そうすると、新規融資に応じてもらえない不安がずっと残ってしまって、おれは使えぬぞという人がふえたというんです。それが中小企業貸付残高がふえていない原因なんですよ。

 大臣、これはやはり、つくった責任をとっておやめになった方がいい。やめた方がいいよ。大臣、やめてください。

亀井国務大臣 私は、議員が何を質問されておるのかよくわかりません。

 議員も大臣のときに御努力をされたと思いますけれども、残念ながら、金融機関が社会的責任を果たさない、そうした状況の中で借り手が非常に不利な条件の中で苦しんできたという現実があることは御承知と、大臣もその是正のために努力をされたと思いますけれども、私は、監督検査マニュアルを抜本的に変えまして、金融機関の健全化という、そういう狭い健全化というだけではなくて、金融機関が社会的責任をその地域に対しても果たしておるかどうか、いわばコンサルタント的な機能を果たして、借り手と一緒になって融資活動についてやっておるかどうか、これを検査の眼目にしろということで今の金融庁の監督検査はやっておりますから、幸い、金融界もそのことについて今相当理解を深めてきてくれております。議員の認識はちょっとずれておるのではないか、私はこのように思います。

 各金融機関も、窓口の整備を含めて、相談体制を今極めて強化もしておりますし、現実に今、そうした融資に関しての相談というのは相当円滑になされていくようになっておる現実がございますので、私は、先ほども言いました、このことだけが中小零細企業の困難を解決することにはならないけれども、少なくとも資金繰りについては、これはいい効果を出しておる、このように自信を持っておりますので、今辞任をするつもりはございません。

山本(有)委員 菅大臣、亀井大臣、誠実な御答弁をありがとうございました。

 以上で終わります。

玄葉委員長 次に、小山展弘君。

小山委員 民主党の小山展弘でございます。

 質問を行わせていただきたいと思います。

 まず初めに、菅財務大臣そして亀井金融担当大臣を初め、政務三役の皆様方におかれましては、日ごろの政務、まことにお疲れさまでございます。心より敬意を表させていただきたいと思います。

 なお、今回は、菅財務大臣への御質問は申し上げる予定はございませんので、ぜひお時間になりましたら御退出していただければと思います。

 まず、昨年の臨時国会におきまして審議、採決をされました中小企業金融円滑化法案について、お尋ねさせていただきたいと思います。

 この中小企業金融円滑化法案は、昨年末そして今年度末の大変厳しい中小企業さんの資金繰り環境それから経営環境に資するべく、審議そして成立をされた法案でございます。その一つの山場である昨年末を越えたわけでございますけれども、この年末年始を越えて、現状におけるこの中小企業金融円滑化法案に基づいた貸し出し条件変更の実績、その評価について、実績については大塚副大臣、そして御評価については亀井大臣より、佐々木議員や山本議員の御質問と重複する部分については省略していただいて結構ですので、お伺いさせていただきたいと思います。お願いします。

大塚副大臣 事実関係については私から御報告申し上げます。

 十二月四日に施行されました法律が十二月末までの間にどれだけの件数を掘り起こしたかということでございますが、主要行九行の自主的な報告に基づきますと、申し込みベースで一万五千五百四十二件。まだ審査中のもの、年度末に向けて審査中のものがそのうち一万二千二百二件、年内に実際に実行に至ったものが三千百四十三件、残念ながら申し込みを受け付けられなかったものが二十件、取り下げが百七十七件となっております。

亀井国務大臣 私ども、当初は、銀行に相談をすると新規の融資を受けられなくなるんじゃないかという危惧が働いて、なかなかされないんじゃないかという危惧を持ったのでありますが、金融庁も全力を挙げて、いろいろな形でのPRにも努めましたし、金融機関も誠意を持ってその対応をしておりますので、今おかげさまで、そうした本当に資金繰りの困っておられるところが気軽に窓口に行っておられるような状況がどんどん出てきております。

 私のところのファクス、とうとうパンクいたしました。これについての、実施されたことによって本当に助かっておるという声が殺到もしておりますから、我々としては、今後とも、金融機関に対してこの法律の趣旨をしっかりと踏まえて頑張ってもらうように督励もいたしていきたい、このように考えております。

小山委員 今お話のありました実績を踏まえまして、私も、本件については、この法案の、今のような実績の数字が出てきたわけですから、やはり効果はあった。また一方で、貸し出し案件の謝絶というものもしっかり行われているということも数字として出ているわけですから、不良債権のいたずらな増加というような懸念のあったものもなかったというふうに私は評価、総括できるのではないかと考えております。

 リーマン・ショック前に、融資は投資であるというような言葉が銀行員の間ではやったそうであります。確かに、そういうような見方で企業さんを見ていく、そして総合的な判断の一つにするということはひょっとしたら必要かもしれませんけれども、しかしながら、やはりそこに偏っちゃいけない。お客様とともに成長をしていく、お客様とともに歩んでいく、まあ高度成長期のようにはいかないかもしれないですけれども、こういった銀行員の情熱やあるいは日本の金融のモラル、マインドというものをもう一度再評価して、取り戻していくべきときにあると考えております。

 そして、前回の臨時国会でもこの委員会でも審議されましたが、中小企業金融円滑化法案に伴いまして、今回、金融検査マニュアルも改定をされ、円滑化編が追加をされました。この新しい金融検査マニュアルに基づいて各金融機関をチェックして、そして、中小企業金融の円滑化に資する金融行政の確立に向けた亀井大臣の決意についてお伺いさせていただきたいと思います。

    〔委員長退席、中塚委員長代理着席〕

亀井国務大臣 これは小山委員から激励も含めての御質問をいただきましたが、私どもは、資金繰りという、本当に当面のお手伝いでありますけれども、全力を挙げて、中小企業、零細企業、商店、またサラリーマンの方々に対してやらなければならない。しかし、やはり仕事を出していく、そういう努力をこの政権がやることについても、私は、国務大臣として今後とも努力をしていきたい、このように考えております。

小山委員 次に、二〇〇八年の十二月に業務改善命令が出されました新銀行東京のことにつきまして、御質問をさせていただきたいと思います。

 これは、言うまでもなく、前政権下において発生した問題でございます。また、皆様も御存じのとおり、石原都知事の肝いりで、この新銀行東京は東京都が出資する形で設立をされました。その後、融資管理体制の不備というところで、二〇〇八年の十二月に業務改善命令も受け、またその前後につきましてはマスコミ等でも報道され、そして国会やあるいは都議会でも審議がなされ、今でも、都議会の方でも大変関心の高いテーマでございます。また、この設立に当たりましては、信託銀行の買収ということだったので、認可に関する審査がなかった。また、主要株主取引につきましても、地方公共団体が株主ということで、実質的な営業開始についてのチェックという部分でも多く話題になったところかと考えております。

 翻って、民間の金融機関は、これは地方におきましても、体制整備ということについては、まさに血のにじむような大変な努力をしてこれまで整備を続けてきたわけであります。私の知っているところでありましても、JFマリンバンク、漁協系統においては、とある県では五十店舗以上あった店舗が十店舗まで縮小した。その中で、これは融資の管理体制の体制整備ができない、だから店舗を縮小して整備をする。あるいは、ある漁協さんでは、五十年間、一回もこういった大型の焦げつきや不正融資もなかったにもかかわらず、体制整備ができないということで、信用事業を譲渡したり、あるいは廃止を決断せざるを得なかった、断腸の思いでやったところがあります。

 そういった中で、地域金融機関はまさにこの管理コストというものを吸収できないということで、店舗を縮小したり、そのことが結果として地域間格差の拡大にもつながってしまった部分もあるかと思います。そのような中で、この大都市の東京のど真ん中で融資管理体制に非常に不備があった銀行が生まれてしまったということは、これは前政権下においてですけれども、大変問題のあったところだったと私は思っております。

 それで、二〇〇八年の五月に最初の金融検査が入ったわけですけれども、このことについてはなぜ三年間入らなかったんだというような疑問を指摘する声もあるわけですが、そもそも、この金融検査というものはどのような頻度で実施されるものでしょうか。大塚副大臣にお伺いしたいと思います。

大塚副大臣 おおむね二、三年に一度の割合で検査に入っているものでございます。

小山委員 それから、この新銀行東京の業務改善命令以後の監督状況についてお教えいただきたいと思います。

大塚副大臣 まず、お答えする前に、基本的な私の立ち位置も少し御説明をさせていただきますが、野党時代の民主党における新銀行経営監視委員会の、私自身が取りまとめ責任者でございましたので、今この立場に立たせていただきまして、新銀行東京の経営状況については厳しくこれを見ていかなければならないという思いで対応させていただいております。

 業務改善命令を出して以降は、これは定期的な改善命令に沿った報告を受けておりますとともに、また足らざる点については適宜指導をして今日に至っているということでございます。

 それから、私どもが野党時代に大変大きな論点になりましたのは、監督官庁は金融庁だけなのか、あるいは東京都も株主として監督責任があるのかという論点もあったことをあわせて御理解を賜るよう、少し御紹介をさせていただきます。

小山委員 東京都の方でも非常に関心の高い問題でございますので、また引き続き御指導の方を継続していただければと思っております。

 最後に、現在、郵政民営化の見直しが行われております。この郵政民営化の見直しの中で、ゆうちょ銀行の限度額についても変更する、あるいは撤廃をするといったことが現在議論をされております。

 これはもちろん、総務委員会そして総務省の所管の懸案ではございますけれども、しかしながら、そういった変更、見直しがなされますと、これは当然、日本の金融システム全体あるいは民間金融機関にも影響を与えるところかと考えております。そういった中で、どのような影響が出るというふうに、現時点において御認識あるいは予想されていらっしゃいますでしょうか。

 あるいは、金融担当副大臣あるいは金融担当大臣として、このような民間金融機関の影響も考慮して今後検討を進めていくべきであると考えておりますけれども、それについて御見解をお伺いしたいと思います。お願いします。

    〔中塚委員長代理退席、委員長着席〕

亀井国務大臣 私どもは、郵便局が栄えて、信金、信組あるいは保険の代理店が廃れるような、そういう改革をやってはならない、このように考えております。それぞれ相まって地域社会を守っていく。それができる郵政事業にはどうしたらいいか。委員御指摘のように、限度額の問題もあります。

 そういう意味で、今まで大塚副大臣を中心に、たびたびそういう方々の今の経営の状況、いろいろなことについてお話を聞かせていただき、郵政事業の改革についての御意見も賜ってきましたが、再度また来週も、信金、信組については時間をかけて御意見また御要望を伺う、そのようにもいたしております。

 私どもとしても、信金、信組あるいは第二地銀、こういうことに対しての悪い影響が出てはならない、逆にお互いに協力し合っていける面もあると思いますので、大塚副大臣を中心として、どういう形でそういう協力がお互いできていけるのかというようなことについてもいろいろな形で今協議をさせていただいておるところであります。

小山委員 今、亀井大臣のお話にもございましたとおり、私も、日本の金融システム全体として、こういった、公的金融と言っていいのか、あるいは株式会社になりますので公的金融という言い方はひょっとしたら適切でないかもしれないですけれども、金融システム全体として、どんな地方に行っても金融ネットワークが提供される、そして地域間格差が是正されていくような、そんなシステムをこれから描いていかなければならないと思います。

 これからもぜひ、亀井大臣そして大塚副大臣、政務に精励していただいて、頑張っていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

 以上で質問を終わります。

玄葉委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十一分開議

玄葉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。村田吉隆君。

村田委員 自由民主党の村田吉隆でございます。

 きょうは、菅財務大臣と亀井金融担当大臣に、大臣所信について質問をさせていただきたいというふうに思います。

 先ほど山本委員の質問を聞いておりました。それに対して菅大臣が、前政権の問題も受け継いで、今のいろいろな問題を解決していくというような趣旨の答弁をされたというふうに思います。

 私は、長く財務省にいた人間として、今の状態というのは、やはり与党だけで解決できるような状態ではないと。谷垣総裁からも呼びかけがありましたけれども、今の難しい状況、これは与野党協力のもとで解決していくことが国民のためになる、こういう立場に私は立っているつもりであります。その意味で、菅大臣には、藤井前大臣から引き継がれた今の大変難しい状況、私にとりましても、まことに御愁傷さまでございます、御苦労さまですと申し上げなければいけないだろう、こういうふうに思います。

 ただ、予算委員会あるいは本会議の質疑等をいろいろ聞いておりますと、まだ与党の皆さん方には、自民党にはそんなことを言われたくないとか、あるいは、おまえの政権のときにやったことじゃないかという気持ちがかなり残っているような気がするんですね。前に自民党が政権を失ったとき、これは細川内閣ができたときでございますが、あのときも、宮沢内閣の後でバブルがはじけて大変な経済状況だったと思います。そして、今度も同じような、さらにもっと難しい状況にあるかと思いますが、そういう状況。

 だから、国民は、そういう困難な時期だから、政権交代、新しい政権に、今度はうまくやってくれよ、そういう夢を託すわけでございまして、与党の皆さん方が、私どもいろいろな問題は犯したかもしれませんが、そういう問題も含めてしっかりと受け継いで、自分たちがもっとうまくやってみせるという気持ちになったときに初めて、与党としての立場に立つことができると私は考えておりますが、大臣、いかがでしょうか。

菅国務大臣 大変温かいお話をいただきました。

 予算委員会でも御存じだと思いますが、豊田議員、今、久しぶりに国会へ戻ってこられて、自分が財務省に入ったころからの自分自身の経験を踏まえながら、今の状況についていろいろ話をされていました。

 私も、もちろん野党が長かったわけですが、かなり長い間、この国会に籍を置いて、いろいろな段階で議論にも参加し、一時期は自社さ政権の中でも活動をさせていただきましたので、しばらくはまだ野党の余韻がいろいろ残っているところが多いかもしれませんが、本当に難しい時期だと思っておりますので、私たちもしっかりした考え方を打ち出していく中で、また場面によっては与野党を超えての議論が必要なこともあるのではないか。

 ただ、まだこちらとしても、率直に申し上げて、政権交代して五カ月ということで、いよいよ本格的にいろいろなもの、中期的、長期的に見通した方針を出していきたいと思っておりますので、またそういう中で、もちろんそれまでも議論をお願いしているわけですが、場合によれば与野党を超えた議論もお願いすることになるかもしれない、そんなふうにも思っております。

村田委員 そういう難しい状況にあるがゆえに、野田先生も山本先生も、政治と金の問題についていろいろ指摘をされました。この問題については、私も、やはり今の内閣の最高の責任者として鳩山総理、あるいは与党としての最高の責任者であります小沢幹事長の問題について触れざるを得ない、こういうことであります。

 私は、過去の私の経験のことを申せば、昭和六十一年、直税部長というのをやっておりました。東京国税局の直税部長でございます。今は課税第一部長と多分言われるんじゃないかと思いますが、これは、全国の国税局の中でも大変組織的にも大きいし、責任のある立場であったと私は自覚しておりました。

 部長として一番心配をしておったのが職員の不祥事なんです。きょうは岡本次長がおいででございますけれども、職員が業者とゴルフをやっちゃったとかあるいは何か贈り物をもらっちゃったとか、そういう事態が明るみになって、それがひいては国民の税務行政に対する信頼を失わせることになるというのを一番気にしていましたね。今も、コンプライアンスという意味ではもっと厳しくなっていると思いますが。

 だから、国税局の組織の中でも、デパートから資料をもらいまして、税務の職員に対してそういうつけ届けがないかどうか、ゴルフ場でゴルフをやっている人間の中に業者と国税の職員がやっていないかどうかということまで、やはり国税局のある担当部局が調べて、職員の不祥事というものを未然に防がなきゃいけないと一生懸命だったんです。

 そういう中にあって、内閣の最高責任者である鳩山総理がお金の問題、ほかの問題もございますけれども、こういう問題で国民に不信感を与える、それは本当に、悔やんでも悔やみ切れないような状態だと私は思うんですね。

 小沢さんの問題についても、せんだって私も岩手県へ行ってきました。花巻空港の近くの駅まで行きまして、岩手県ではどういうことになっているんだということをヒアリングしてきたんです。雪が積もる真っ白な冬景色の中で、小沢さんの黄色いバックのポスターが張ってありまして、初めて小沢さんのカラーは黄色なんだというふうに私は思いました。

 岩手県で起こっている事態というものは、私は、要するに国の税金を預かる立場としても看過し得ない、そういうことだと思うんですね。私もちょっと、岩手県でどうしてああいう今のような事態が起こるのかということを調べていく中で、これはいろいろな事件が私どもの前に行ったり来たりするのでございますが、その問題で一番大きな問題は胆沢ダムの問題だろうと思います。

 きょうは指摘するだけにとどめたいと思いますが、胆沢ダムが、あのダムを補修するだけでいいじゃないかという初めの考え方から、本格的につくり直す、そういう考えになってスタートしたのは、たしか私は昭和五十八年度だと思うんですね。このときに実施計画調査の着手をしておるんです。

 野田副大臣、このときの公共事業担当主計官がだれだったとわかりますか。

野田副大臣 わかりません。教えてください。

村田委員 このときの、実施計画調査着手のときの公共事業担当主計官は齋藤次郎さんでございます。私は、ああ、ここから問題があるなというふうに思ったわけでございますが、きょうはこの問題に深入りすることはしないというふうに思っております。

 だけれども、まず昭和五十八年に実施計画の調査を着手する。六十三年度に建設事業の着手をする。これは、主計官は武藤敏郎さんです。それからその後、平成十四年、本体工事の着手をしたのは香川主計官でございました。だから、そういう担当主計官の名前を思い浮かべながら、ああ、こういうふうにあの事件が起こっていったんだなというふうに考えたらいいのかなと私は思ったんですね。

 恐らく、菅大臣は、公共事業で政治家が自分の選挙を有利にしたり、あってはならないことだけれどもお金を寄附してもらったり、そういうことは一番嫌いな人だと思うんですよね。

 今は、岩手県では県庁の役人も、建設業者が県庁に行きますと、小沢事務所にあいさつに行ってきたか、こう言うんだそうですよ。菅大臣、そういうことはあってはならないですよね。

菅国務大臣 一般的に、公共事業というのは国民の税金を使って事業を行うわけですから、それが本当に国民のためにきちんと使われることが重要であって、そういうものが、よく言われるように、何らかの形で政治家にバックされるようなことというのはもちろんあってはならないことですし、また、そういう疑いを持たれるようなことも避けなければならないということで、民主党はかなり早い段階から、公共事業受注企業からの寄附は禁止しようとか、さらには、すべての企業の献金を禁止しようとか、そういう方向で努力をしてきたところでありまして、もちろんパーフェクトではありませんが、私も二十年、三十年見ておりまして、少しずつはそういったことに対しても改善されつつあるのかな、まだまだ不十分なところもあると思いますが、そんなふうな感想を持っております。

村田委員 小沢さんにまつわるいろいろな事件の状況というのは、私が初当選をする前かその当時ぐらいの自民党の古い体質だったんじゃないかなと私は思います。

 私は無所属で出たものですから、そういう意味で、そういうことを批判しながら来た人間でございますから、私はそういうことはまことにあってはならないと。今もって、私の支援者に建設業者というのはほとんどおりません。だから、私は、個人を主体とする後援会のもとでやること、それは私の政治家としての生まれの中でやってきた、そういうつもりであります。

 きょうお座りの、民主党あるいは与党の初めて当選された財務金融委員会の委員の皆さん方にお知らせをしますと、自由民主党では、安倍内閣のときから、政治献金をいただいたらその日のうちに銀行振り込みをしなければいけないという内規がございます。それで、年が終わったときに、その銀行預金の残高をコピーして、それを添付して党に届ける、こういうことでございまして、そういう意味で、自由民主党は自発的にそういう政治資金の透明化ということに努力しているということ、これは民主党さんもぜひやるべきではないかな、こういうふうに思いますので、私からも提案をしておきたいと思います。

 さて、鳩山総理の問題でございますが、大きく分けて、これまで議論されてきたことを整理しますと、三つぐらいあると思うんです。

 一つは、亡くなった人からの献金が政治資金報告書に載っていた偽装献金、この問題。この問題に関しては、総務省が発行した寄附金控除証明書に基づいて、税務の関係では、それに違法な寄附金控除請求がなされていたかどうかという問題がかかわってくるんだろうと思います。

 二つ目は、これもそのままになっているんですが、この問題は小里議員が衆議院では質問し、それから、参議院ではたしか森まさこ議員が質問したと思うのでございますが、二〇〇八年に総理が、多分たんす株だと思いますが、たんす株を処分して申告していなくて、七千二百二十六万円だと思いますが、これについて期限後申告をした件。

 それから三つ目が、きょうも野田先生も質問されておりました総理の母親からの献金の問題、資金提供の問題。これが贈与であるのか、それから、要するに政治資金なのかどうか、こういう問題だと思います。

 しかしながら、総理は、それだけではなくて、東京にあります政権公約を実現する会、これはかつては政権交代を実現する会、そういう名前だったそうでございますが、これが十全ビルに置かれていて、これが政治団体としての届け出がない状態にあった、こういうことなんですね。

 きょう総務省の選挙部長が来ておりますが、この団体が政治団体であるにもかかわらず無届けで活動していた、こういう場合には、政治資金規正法上どういう罰則が科せられるんでしょうか。

 実は、最新の情報では、この政権公約を実現する会、これは二月の三日に総務省に政治団体として届け出たそうです。わずか十日ばかり前なんですね、出たばかり。(発言する者あり)できたばかりじゃないですよ。それはどうですか、罰則の方を聞かせてください。

田口政府参考人 お答えいたします。

 まず初めに、総務省としては、個別の事案につきましては実質調査権を有しておらず、具体的事実関係を承知する立場にないので、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。

 その上で、政治資金規正法の規定を申し上げますと、政治資金規正法の第二十三条に、政治団体が第八条の規定に違反をして寄附を受け、支出をしたときは、五年以下の禁錮、百万円以下の罰金に処するという規定がございます。第八条と申しますのは、政治団体である場合という前提でございますが、政治団体は、政治団体の届け出をした後でなければ、政治活動のために寄附を受け、支出することができないという規定でございます。

村田委員 無届けでやってきた、まあこの件は治癒されたんでしょう、しかし北海道にも、例えば室蘭、民主党の室蘭支部というのもあります。これは民主党室蘭支部という名前で地元紙に広告も出しているんですね。

 それから、昨年の八月に行われた選挙のときに、収支報告をしますよね。そのときに、ガソリン屋の鳩山事務所に対する請求書が、民主党室蘭支部、こういうのが張ってあって、選挙は個人でやるんだから、そういう領収書が張ってあるというのはおかしいのでございますが、民主党の室蘭支部様というガソリンスタンドの請求書、領収書が張ってある。実態として、広告を出したり請求書が来たりしている。

 あるいは、室蘭に鳩山会館というのが立派なものがありますよ。それで、その中にも民主党室蘭支部という看板があって、それを見た人があるんですが、それにもかかわらず、ここはまだ届け出がされていない。これはやはり問題だと思うんです。

 公選法の関係でも今言った間違いがあるし、それから、調べたところによりますと、選挙が終わったときに公費で出るものは、例えば看板をつくった業者あるいはビラをつくった業者が、事務所じゃないですよ、鳩山事務所が請求するんじゃなくて、そういうものを請け負った業者が直接選管に公費の請求をすることになっていますよね。ところが、その看板の業者の請求額というのは、公職選挙法で定められた請求額、看板に係る請求額、一円も狂わないほどぴたり一緒なんですよ。

 それで、一体どうしてこういうことが起こるんだろうと私どもは看板屋に調査に行ったんです。社長さんが応じてくれました。私も実は昔は自民党支持でねと言いながら応じてくれました。どうしてこの数字がわかったんだ、鳩山事務所が教えてくれたんだろうと言ったら、そのとおりでございます、こう言っていましたね。だけれども、それで済んだんですか、その金額でぴったり終わったんですかと言ったら、いや、足が出ましてねと。それはどうしたんですかと言ったら、鳩山事務所に請求をさせてもらいましたと。これは公職選挙法違反ですね。

 というように、鳩山総理というのは、公職選挙法もこれは守らない、政治資金規正法も守らない、それから相続税法も所得税法も守らない。根っこから鳩山総理というのは遵法精神がないんですね。だから、野田先生が内閣の最高責任者はだれだと聞いて、鳩山総理ですと菅大臣は答えておられましたけれども、しかし、私は、こういう、政治家でありながら公職選挙法は無視する、政治資金規正法は無視する、税法も無視するような人がこの日本国の最高権力者として座っているというのは大変おかしなことだ、こういうふうに思います。

 私は、残された問題、まだ未解決の問題がさっき三つあるというふうに申しました。私は直税部長としての経験からしまして、ずっと予算委員会から先ほどの答弁を聞いていまして、菅大臣は、自民党が与党のときからの例に倣って、個別案件にはお答えしませんと。関与しませんという表現だったと思いますが、そういう御答弁だと思います。私は、それもいたし方ないというふうに思いますが、実際に税を賦課する現場にいた人間として、トップの姿勢がどっちを向いているかということは、とても大変重要な要素を占めるんです。

 岡本次長おりますけれども、私は政治家に対する調査もきちんとやったつもりです。私の記憶では、前任者に比べて何倍と具体的な数字は言いませんが、相当な増差所得を私は取り上げたといいますか、いただかせてもらった、そういう経験があります。厳正、公正な課税をする、調査をするというのは、これは税の職場を守る上にとって必須条件であります。

 だから、菅大臣が個別具体的な案件については関与しないといいながら、大臣、現場はその一言片句の中で、大臣はどういう向きでいるのかな、一国の総理のこうした問題について一体どういう態度でいるのかということは、本当に注意力を凝らして見ていると思うんですね。だから、その意味で、菅大臣が今のような答弁を重ねながらも、厳正、公正な課税をするんだということをみなさなければ、現場は動かないと私は思います。どうですか。

菅国務大臣 税が、国家というか国にとって最も重要な制度の一つであるということは私も認識しておりますし、余り詳しくは知りませんが、国税庁が職員を非常に訓練して、先ほど贈り物の話もありましたが、いろいろ課税をする上で困難が、いろいろな場面を経験する中でそれを乗り越えてこられてきた、そういうことも私なりには理解をいたしているつもりであります。そういった意味で、税当局が公平、公正というものを失ったときには、まさに国としての大きな要素が危うくなるという認識も持っております。

 そういう原則というものについては私もしっかりと持ち続けたいと思っておりますが、いつも申し上げることで恐縮ですけれども、個別案件について、財務大臣という立場の過去の皆さんも、直接に指揮をとるとか直接に何か国税庁長官に問い合わせるとかということは避けるというのが慣例でもあるし、私もそうあるべきだと思いますので、そういう姿勢で臨んでいるところであります。

村田委員 ところで、野田委員も指摘しておりましたけれども、この問題は、総理が平成の脱税王なのかあるいは政治資金規正法違反なのかどうかということについては、まだ決着がついていないと私は思います。

 私は、ずっと見ておりまして、これは贈与じゃないと思っているんですよ。それはなぜかといいますと、鳩山総理の政治家としての誕生のときから、鳩山総理は母親丸抱えで政治活動をやってきているんです。

 ある人が、総理があんなことを言っていて私は耐えられないといって私のところに説明に来ました。アメリカへ留学して、日本に帰ってきて、ある大学の教授をしている。やめて、お母さん、お父さんの前で、弟みたく私も選挙に出たいと。お父さんは反対したそうです。そうしたら、お母さんが賛成した。それで、有名なIという政治評論家の事務所が赤坂にありまして、この方はもう亡くなられましたけれども、そこへお母様が行かれまして、将来鳩山由紀夫さんの秘書となる方に、お金は私が全部出すから、お金のことは心配しないでぜひ受けてくださいと懇願したそうです。結局、北海道四区に出るんですよ。それで、当選する。終わってその人が、二億数千万円かかりましたと報告したら、お母さんが、意外と安くついたわね、こう言ったそうなんですよ。だから、そういう意味で丸抱え。

 だから、野田委員も言っていたように、個人資産に対しての贈与ならば、秘書が代理でいただきに行って、それを勝手に使っちゃうというのは、どうもこれは解せないんですよ。だけれども、過去からずっと政治資金としてお母さんから、幾らもらったか知りませんが、いただいてきた、そういう経緯があるからこそ、その秘書を引き継いだ要するに新しい秘書、勝場さんが本人に黙ってお金をもらいに行って、それを政治活動に使っちゃう、それはさもありなんということであって、総理もそう言っているんですよね。私は私腹を肥やしていませんと言っていますよね。

 私腹を肥やしておりませんと総理が言っているということはどういうことかというと、要するに資産がふえたりなんかしていませんよということでしょう。だから、多分、公のために使った、いわば政治活動に使ったということを総理は言わんとしているのかなと私は勝手に解釈しているわけでございます。

 政治資金規正法の第二十一条の二に、「何人も、公職の候補者の政治活動に関して寄附をしてはならない。」と書いてあるでしょう。だから、何人も政治家個人に対して政治資金の寄附をするということが禁じられている。そして、政治団体にする場合も、第二十二条によりまして上限規制がある。これはだれが判断するんですか、選挙部長。

田口政府参考人 お答えいたします。

 個別の事案が政治活動に関する寄附に該当するか否かにつきましては、個別の事案の個々具体の事実関係に基づいて判断されるべきものと考えております。

村田委員 普通のケースは、これは政治資金だといって、税金を払いたくないと逃げるんですよね。鳩山総理の場合はお金がいっぱいあるものだから、六億円の税金をぱあっと払って、この第二十一条違反、これは両罰規定がありますから、お母さんももらった本人も禁錮一年それから五十万円以下の罰金に処せられるわけですけれども、鳩山総理が自分で贈与だ贈与だと言っているのは、この罰則から逃れたいからなんですよ。それよりも六億円払った方が、あのうちはお金がいっぱいあるから、その方がいいという判断だと私は思います。

 それは、さっき申し上げた形状からいっても、私は、総理がもらったのは贈与じゃなくて政治資金に対する寄附である、こういうふうに断じざるを得ないので、岡本次長、これはちゃんと調査をして、債権登録はしちゃって税務上の手続はもう終わっているのかどうか私もよくわかりませんが、しかし、こんなに政治的に大きな問題になった事件であるし、それから金額も非常に大きな金額であるし、調査をしないで済ますということは私の経験からもあり得ないことだと思うんですが、いかがでしょうか。

岡本政府参考人 お答えいたします。

 個別にわたる事柄については差し控えさせていただきますけれども、一般論として申し上げますと、委員御指摘の、個人からの提供を受けた資金に対する課税関係につきましては、個別のケースにおいて実態に即して判断をしていくということになろうかと思います。

 いずれにしましても、国税当局としては、個々の事実関係に基づき、法令等に照らして適正に取り扱ってまいりたいと考えております。

村田委員 この件はこれぐらいにいたしまして、G7のこと。

 G7、財金分離をいたしましたから、破綻処理の分野しか財務大臣には担当の所掌として残っていないわけですよね。だけれども、各国の大臣は金融問題まで担当しているわけでありまして、今から考えて、財務大臣になった今となって、あの財金分離というのは間違いであったとお思いになりませんか。

菅国務大臣 いわゆる財金分離についてはいろいろな経緯もあり、またいろいろな意味合いでも用いられておりますが、一般的に言えば、平成八年から十三年にかけて、中央省庁等の改革の際に行われていた当時の、大蔵省に置かれていた金融機関の検査監督等の機能を財政当局から分離するという議論を指していると承知をしております。この点について言えば、現在財政当局である財務省と金融監督当局である金融庁は、それぞれ独立した組織として適切にそれぞれの所掌事務を遂行しているものと認識しております。

 私も、どの時代でしたか、財金分離の議論にある程度かかわったことがありますが、少なくとも、私の記憶でいえば、財政というものと金融というやや業界的な要素等の中で、やはりそれを分離することの方がいろいろな透明性等でいいのではないかという議論がベースにあったように記憶しております。

村田委員 もう一個、大臣の所信に書いてあることなんですが、「番号制度といった府省横断的な課題についても、国家戦略室と連携しつつ検討を進めていく方針です。」と書いてあるんですね。大臣の二〇〇〇年のブログを見ますと、総背番号制というか、それは反対だと言っておられませんでしたでしょうか。

 あれは何でやったかというと、僕は、考えを変えるということは決して否定するわけじゃありませんけれども、行政の効率化、コンピューターの時代でもありますし、やはりそうした番号を入れるということ、かつて自分が住民基本台帳に関して反対をしたということを踏まえて、今の気持ちをちょっとお聞かせ願いたいと思います。

菅国務大臣 国民総背番号という表現、あるいは今言われた住基ネット、住民基本台帳という具体的な制度等について、確かに私も反対ないしはかなり懸念を示していたことは事実であります。少なくとも当時は、有名な「一九八四年」という本があって、ある国家ですべての人間を管理する、今でもそういった国が全くないわけではないわけで、そういうことに対する警戒心がより強かったということはあると思います。

 私は今回、社会保障及び税の番号の議論をする検討会の会長という立場になりましたけれども、いろいろな国を調べておりますと、オーストリアなどはやはりそういう警戒心を非常に持っていて、かつてドイツ・ナチに占領されたということなどもあって、プライバシーの保護とかそういうものが侵されないようにどうすればいいかということを相当に注意深く議論して、あるいはそういうことをチェックするような役割の人も置くとか、そういうこともやっていると聞いております。

 ですから、私は、この検討会ではいろいろな、技術的にどうやればできるかということの前に、そういった副作用というのか、プライバシーの問題などが懸念される問題をまず徹底的に調査、議論して、そういうことにならないんだ、しかも、それは税を取る側のためにやるのではなくて、逆に、税とか、特に社会保障のサービスを受ける人にとってそういうものが有益なんだということをしっかりと言えるような、そういうものでなければならない、そのように考えております。

村田委員 消えた年金というああいう問題が起こったのも、やはり社保庁の労働組合が合理化反対闘争をやって、コンピューターの導入をおくらせたということが原因になっていると私は思うんですね。基準月額報酬制度なんというものをわざとつくらなくても、コンピューターが発達した今では、報酬の月額にパーセンテージを掛けてみればいいと私は思うんですよね。

 そういうこともあるし、それから、民主党でレセプトオンライン化も反対しましたよね。あれだって、私は、歳出の合理化という観点からいって、民主党さんには反省をしてもらいたい。私は自民党の規制改革委員長として、レセプトオンライン化はどんどん進めるべきだ、一定の分野でおくれているところはありますけれども、この流れはバックしてはならないという考え方を私は持っているわけです。

 一切合財、さっき峰崎副大臣も野田委員と議論していたような、税制と社会保障、だれが貧乏なのか、だれからいただいてだれに与えるか、あるいはだれが金持ちでだれが貧乏なのかということを効率よくやっていくためには、やはりコンピューターの利用あるいは背番号みたいなものは欠かせないというふうに考える時代になったんじゃないかなと私は思うんですね。今大臣が言ったように、個人のプライバシーというのは本当に守っていかなきゃいけないけれども、しかし、もうこれは必須なんだということ、そこはやはり民主党政権でもお考えになった上でやっていかなきゃいけない。

 やはり今一番お金が要るのは、歳出カットしようと思ったけれどもできなかったでしょう、二・三兆円ぐらいしかできなかったと私は思うんですが、一兆円という、基金から引っぱがしたというのはありますけども、できなかったというのは、いかに歳出カットが難しいかということですよ。歳出で一番大きいのは社会保障でしょう。それから、地方に対する交付税であり、あるいは地方に対する補助金、負担金等でしょう。負担金だって補助金だって、大宗は社会福祉の関係ですよね。だから、そういう意味で私は、歳出を合理化するということ、あるいは徴税ということを考えた場合には、コンピューターをきちんとやる、それで背番号というものをきちんとやるということしかないのではないかなというふうに思います。

 最後の質問でございますけれども、G7とかG20とかいろいろフォーラムが出てまいりましたけれども、かつてのG5の時代から考えてみて、G7で一番大事な役割として残っているのは通貨の問題だと私は思います。

 通貨の問題で一番大事なのは、世界の不均衡の源であります、まあアメリカはおいておいて、中国人民元ということについて、私どもは放置できないんじゃないかなというふうに思います。

 私も知中派の一人であると任じておるんですけれども、しかし、中国は時々、開発途上国であるというダブルスタンダードを使うんですよ。そういう意味で、やはり日本の経験として、人民元の為替制度についてもっと柔軟性を持ったものに移行しなきゃいけないということを、まあアメリカは言いにくいと思いますよ、国債を買ってもらっているから。だから日本が、やはり日本のマーケットあるいは日本の雇用を守るという意味からしても、中国の為替制度についてのアドバイスをするという立場に立たなきゃいけない。その場がG7、そして菅大臣なんだということだと思いますが、いかがでしょうか。

 これで質問を終わりたいと思います。

菅国務大臣 私も初めてこういう国際的な会議にこういう立場で出ましたが、今言われた中国の通貨に関する議論は、実はかなり皆さん慎重でありました。多少の言い方をすれば、そういう場で何か議論をして、何かを決めて押しつけるという形はやはり望ましくないのではないかという認識が、それぞれの国にあったという感じが一つはいたしております。

 そういう中で一つの結論は、昨年の十月のイスタンブールでのG7においては、この問題でしっかりとした表現をしておりますので、今回についても、イスタンブールのG7の考え方を確認するという形で見解といたしました。

 イスタンブールのG7の中では、「我々は、中国のより柔軟な為替レートへの移行に対する継続したコミットメントを歓迎する。これは、実効ベースでの人民元の継続した増価をもたらすとともに、中国経済及び世界経済全体のより均衡の取れた成長の促進に寄与する。」こういう表現をイスタンブールのときにしておりまして、これを確認するという形で、ほぼ委員の言われた方向を打ち出したのではないかと思っております。

村田委員 G7の大臣は、大西洋を挟んで行ったり来たりして結構つき合いがあるんです。だから、中国との関係は、日本は東シナ海、日本海を挟んですぐなんだから、そういう意味で、財務当局間でこの問題についての話し合いを強化する、こういうことが必要じゃないかと私は思います。

 以上でございます。

玄葉委員長 次に、岡田康裕君。

岡田(康)委員 兵庫十区の岡田康裕でございます。

 初めて質問に立たせていただきます。このような貴重な機会をいただきまして、まずもって心より感謝申し上げます。ありがとうございます。

 きょうも午前中から委員会の質疑を聞かせていただいておりまして、それこそ閣僚を御経験の前与党の大ベテランの先生方がお越しでいらっしゃいますけれども、民主党が債務残高のこと、前政権のことを交えて話しますと、いつも、それは今与党としてどうか、こうおっしゃいます。しかしながら、私自身、三十五なんですけれども、与党という立場を外れても、三十代の若い人間の一人としても、やはりこれはいかがなものかと正直思っております。それこそマニフェスト謝り隊ですとかマニフェストおわび隊ですとか、そういうことをおっしゃいますけれども、そうおっしゃる以前に、ぜひ借金財政謝り隊で走ってからそれはおっしゃっていただきたいな、正直そう思います。

 きょうは菅大臣の所信に対しまして十五分お時間をいただいておりますけれども、菅大臣の所信の中に、国、地方を合わせた長期の債務残高が平成二十二年度末で八百六十二兆円になる、これは極めて厳しい状況だというふうに表現をされています。

 資料もお手元に配らせていただいておりますけれども、先進諸外国と比較をいたしましても、もう一目瞭然、本当にひどい状態。それこそ、今オリンピックが開催されていまして、金メダル、一番になることは本当に大変な状況が連日ニュースで伝わってくるんですが、事この債務残高対GDP比だけは、もう十年以上前からイタリアを抜き去ってぶっちぎりの独走態勢になっているわけです。しかし、その先には金メダルが待っているわけでもなくて、むしろ金を取り立てられる、そんな状況が待っているわけです。

 このグラフを見まして一つ気づきますのは、例えばEU諸国です。これはもう皆様御存じのとおりですが、マーストリヒト条約、これによって、通貨統合されるときに、債務残高対GDP比を六〇%ぐらいに抑えようじゃないか、そういうルールをしかれたわけです。それぞれの国が、その外圧によって一生懸命、それを達成しようと努力するわけです。

 ここにはありませんけれども、例えば、そういう通貨統合の話とは別の韓国なんかも、同じこの指標で見ますと、すごくいい状態にあります。資料などを見ますと、それこそ歳入内歳出、こういう原則を基本的に持ちながら一生懸命財政運営をされてきて、日本と比べればはるかにいい財務体質にある。こんな状態にあるわけです。

 菅大臣にぜひお聞きしたいんですが、それこそ野党でいらっしゃった時代から、ずっと時の政権をごらんになってこられていると思うんです。なぜ日本だけがこういう状態になって、いまだに歯どめがかからない状態でずっと続いているのか。そして、これから政権がかわって、前政権とどこが違うから、これから改善していくことができるんだ、その御決意と御答弁、ぜひお願いいたします。

菅国務大臣 私も、なぜここまでこういった財政状況になってきたのかということをいろいろ考えたんですが、その中で、最近私が申し上げているのは、第一の道という間違った道と、その後、第二の道という間違った道を歩んできた、それにかわる第三の道をとるべきだという言い方をいたしております。

 第一の道というのは、大体、高度成長が終わって、一九八〇年代の後半、バブルの終わったころから、やはり公共事業を行うことで経済を立て直そうとしたわけですが、まあ大分年が岡田君とは違いますが、少なくとも私が高校のときに東京―大阪の新幹線ができました。この社会資本はその後に非常に大きな効果を上げたと思いますが、例えば、八〇年代の終わりでしょうか、本州―四国に三本、橋がかかりましたが、兵庫県はそばですからよく御存じでしょうが、決して大きな経済効果はその後に残しませんでした。つまり、そういう第一の道の、その時期における失敗が重なった。

 さらに、その次には、いわゆる小泉・竹中路線で、デフレ状態にある中で企業の効率化を求めて、結果において、日本経済そのものも実はよくならなかった。その都度、若干引き締めてみたり緩めてみたりして、結局のところ、債務はどんどん積み上がったと思っております。

 そういった意味では、今この時点で考えなければならないのは、もちろん、普通の家計であれば、入りをはかって出を制するということになるわけですが、リーマン・ショックの直後のこの時期に、どこまでそういった財政の、例えば引き締めという形をとっていいのかどうか、これはこれとして、足元の問題としてあります。ですから、足元の問題と中期的な問題と、あるいは十年ぐらいの長期的な問題と、それぞれを考えながら、一つの、十年ぐらい後を展望した、まさに大きい意味での財政健全化の方向性をつくっていかなきゃいけないと思っております。

 そういった意味で、あらゆることについて、今、この新しい内閣あるいは与党の皆さんと一緒に、その方向に向かっての総合的な対応を始めようとしています。例えば成長戦略をこの六月までにまとめていきますし、あるいは税制についても、あらゆる税制についての取り組みを税調で議論を始めていただきますし、先ほど出た番号の問題も取り組む。そういう中で、本当に、今の三十代の皆さんが私ぐらいの年齢になったときには、あの鳩山政権のときからそういった問題に対する大きな、ある意味での反転する方向性が出たんだと言われるようにやっていかなければならない、それに対しても若い皆さんにも御協力をいただきたい、このように思っております。

    〔委員長退席、中塚委員長代理着席〕

岡田(康)委員 ありがとうございます。

 先ほどのグラフなんですけれども、例えばイタリアなんかも、これは非常に数字が悪いわけですけれども、いろいろな文献を読みますと、やはり通貨統合に参加しようとしたときに一生懸命、医療制度改革でしたり年金制度の改革でしたり、また地方交付税ですとか公共事業ですとか、いろいろなところに、それこそ国民の皆さんと対話しながら、耳の痛いようなことも恐らく言わなきゃいけない局面もいっぱいあったと思うんです。でも、そういう努力をそれぞれの国が一生懸命されていると思うんです。

 今、十年ぐらいでまた一つ目標をつくってこれから進んでいくというようなお話もお聞きをいたしましたけれども、それこそ、本年六月ごろでしたでしょうか、国家戦略局の方が中心になって中長期の財政フレームをつくられると伺っております。しかしながら、私なりに調べてみますと、お手元の資料の二ページ目になるんですが、前政権がずっと続いてくるまでに、そのときそのときでいろいろな財政規律や目標というのは設定されてきているわけなんです。そういう目標が設定されてきていながら、結果、こういう状態になっているわけなんです。

 ですから、ただ目標を同じように、政治家と一部の官僚の皆さんと、また国債に関心のある市場関係者の皆さんと、その中だけで何か目標をつくってやっていましても、達成できそうになくなってきたらまた仕切り直して新しいのをつくる、結局こういうことが繰り返し起こってしまうんじゃないかと思うんです。

 そこで、個人的に思っていますのは、今やもう国民の皆さんが物すごく国債の残高に急に興味を示してくださっていますので、それこそマニフェストで喜んでいただけるはずだと思っていた政策でさえ、財源は大丈夫なんですか、結局子供たちのところにツケが回ってくるんじゃないですか、こういうことを地域で言われるようにすらなってきてしまっているわけです。

 ですから、中長期の目標を設定されるに当たりまして、それをぜひ国民の皆さんにわかりやすく発信をしていただきまして、そして、国民の皆さんにそれを監視していただくというような、国内にみずからそのプレッシャーをつくり出すような、そういうプロセスをこれから進めていっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

    〔中塚委員長代理退席、委員長着席〕

菅国務大臣 イタリアは、通貨統合に入るときに、今でもそうだと思いますが、年間でいうと三%、GDP比を超える赤字があると入れないということで、特別税を課して加入したということがあったというように理解をしております。

 今言われることは、一般論としてはよく理解できるんですが、私も、この政権になって、まだ財務大臣になる前の経済財政担当もやっておりましたので、ずっと、少なくとも官庁の専門家の皆さんとも議論してまいりました。

 そういうリジッドな一つの目標を掲げてそれを頑張るんだというのは一つの考え方なんですけれども、その頑張り方そのものが、物すごく意見がばらついています。例えば、決してこれは悪口で言うわけではなくて、与党の皆さんの中でも、あの小泉・竹中路線は大変よかったと言う人と、例えば与謝野さんのように、あれこそが大間違いだったと言う人と、同じ当時の与党の……(岡田(康)委員「野党の中で」と呼ぶ)失礼、当時の与党の方の中でもあります。

 それから、何が一番問題かというと、端的に言えば、財政投入を少なくして、いわゆる出を制することによってよくなるのなら、そこで我慢してやればいいんですが、制することによってより税収が下がるとか、そういうことも現実に過去にあるものですから、そういう意味ではやはり、なかなかややこしいんですが、全体のパイを大きくしながら、一方でそうした税収もふやしていくようなやり方。

 さらに言えば、インフレではなくて、今デフレの状況ですから、このデフレを脱却するには金融政策というものも極めて重要なので、どうしてもそういうものを組み合わせて、ある程度ダイナミックな形で案を練らないと、固定的に練ってもなかなかうまくいかなかったというのが逆に言えば過去のことだと思います。

 あえて言えば、やはり政治のリーダーシップだと思います。やはり五年、十年、安定した政権を持ってリーダーシップを持った国は、こういう困難を乗り越えていきますけれども、与野党を超えてあえて申し上げれば、政権が弱ければ、どうしても目の前、目の前の選挙のことを気にすれば、なかなかしっかりした方針を貫くということはどの党でも難しい。そういうことで、政権がしっかりしたものであることも財政再建の一つの条件だ、私はこう思っております。

岡田(康)委員 私自身も、それこそこの委員会でもいろいろ議論が出ておりますように、必ずしも緊縮財政をこういう経済情勢でしくべきだとは全く思っていないんですね。

 ですから、むしろ財政フレームも、一年一年のきちっきちっとした数字を決め込んでしまいますと、すぐおかしな、批判を浴びるようなことになると思うんです。それよりもむしろ、例えば破綻するだ、このままじゃだめだと言われながら八百六十二まで来ようとしているわけでして、この金額規模自体が、それこそ与野党を超えて、適正なのかどうか。つまり、もっと低い水準であるべきなのか、それともまだふえても大丈夫だという方までいらっしゃるわけです、正直なところ。諸説あるわけですけれども、しかし、その方向性ですとか、大体これぐらいであるべきだですとか、そういう水準を、それこそ政権がかわったからといって変わるようなものじゃなくて、そういうものを持ちませんと、結局ずるずる行ってしまうんじゃないか、そんなふうにも思うわけです。

 例えば、それに答えがあるのかと言われますと、評論家の方でもみんな意見が分かれていますから、結論はないのかもしれませんけれども、しかし、諸外国と比較をして、大体平均値のところを目指すですとか、少なくとも中長期フレームの中ではそういう最終目標について、国民の皆さんが安心を感じられるようなそういうターゲットを、あえて期間は問わないつもりなんですが、設定していただければと思っております。

 ぜひ御意見いただければと思います。

菅国務大臣 イギリスなどでも、ゴールデンルールといって大体GDPの六〇%程度というのを上限にしていたわけですけれども、このリーマン・ショックの中ではその上限も外して今対応をしているところです。ですから、まさに指摘のあったように、一八一%という数字は、とても、こうすればこうなるというほど生易しい数字ではないと認識しております。

 ですから、例えば、イギリスの例でいえば、GDPの六〇とか八〇ということを目標にするということ自体が、そのプロセスを考えますと、目標と数字で言うのは、まあ言ってしまえばいいわけですが、そこに至るプロセスがどうなっていくのかというシミュレーションができるものでなければいけません。この間、現野党の皆さんは、プライマリーバランスという指標で二〇一〇年度初頭にそれをまずゼロにするんだと言われましたが、このリーマン・ショックで大きく、それが達成できない形になってしまいました。

 ですから、先ほど来あれこれ言ってちょっとまとまりがなく聞こえるかもしれませんが、やはり幾つかの要素をそれぞれ目標を持ってうまくやる。例えば、成長戦略でいえば、十年間の平均が、名目成長率が三%になるような、そういう政策なり財政配分を実現するにはどうしたらいいか。あるいは、税制において、どういう税制を中長期的に実現しなきゃいけないか。この十年間でも、消費税議論はいろいろありますけれども、所得税のあり方も相当変わりました。かなりフラット税制になって、所得再配分機能がかなりなくなっております。

 そういう税のあり方も含め、そういうものをそれぞれの、三つか四つか五つぐらいの大きな要素をそれぞれの目標を持ちながらうまく運営できたときに、私は、初めて今の過大な債権残高の比率を例えば一〇〇を切るような方向に持っていける絵が見えてくるのではないか、まさにことしが、そういう議論を含めて政策スタートの正念場の年だ、このように思っております。

岡田(康)委員 どうもありがとうございました。

玄葉委員長 以上で所信に対する質疑は終了いたしました。

 この際、暫時休憩いたします。

    午後二時三十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時三十九分開議

玄葉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 内閣提出、平成二十二年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案、所得税法等の一部を改正する法律案、租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律案の各案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。財務大臣菅直人君。

    ―――――――――――――

 平成二十二年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案

 所得税法等の一部を改正する法律案

 租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

菅国務大臣 ただいま議題となりました平成二十二年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案、所得税法等の一部を改正する法律案及び租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。

 まず、平成二十二年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案につきまして御説明申し上げます。

 平成二十二年度予算は、国民生活が第一、コンクリートから人への理念のもと、国民生活に安心と活力をもたらす施策を充実させた、命を守るための予算であります。家計を直接応援し、国民の生活を守るため、マニフェストの工程表に掲げられた主要事項である子ども手当、農業の戸別所得補償、高校の実質無償化等の施策を実施することとしております。

 一方、こうした新規施策を実現するに当たっては、行政刷新会議における事業仕分け等を通じた予算の全面的な組み替えや公益法人等の基金の返納等による歳入確保を図っております。

 財政投融資特別会計財政融資資金勘定からの受け入れ四兆七千五百四十一億円及び外国為替資金特別会計からの受け入れ二兆八千五百七億円を含め、その他収入としては十兆六千二億円を見込んでおります。

 以上のように、税収が大幅に減少する中、歳出歳入両面において最大限の努力を行った結果、新規国債発行額については四十四兆三千三十億円となっております。

 本法律案は、こうした国の財政収支の状況にかんがみ、平成二十二年度の適切な財政運営に資するため、同年度における公債の発行の特例に関する措置等を定めるものであります。

 以下、その大要を申し上げます。

 第一に、平成二十二年度の一般会計の歳出の財源に充てるため、財政法第四条第一項ただし書きの規定による公債のほか、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で公債を発行することができることとしております。

 第二に、平成二十二年度において、特別会計に関する法律第五十八条第三項の規定にかかわらず、財政投融資特別会計財政融資資金勘定から四兆七千五百四十一億円を限り、一般会計の歳入に繰り入れることができることとしております。

 第三に、平成二十二年度において、特別会計に関する法律第八条第二項の規定による外国為替資金特別会計からの一般会計の歳入への繰り入れをするほか、同特別会計から三千五百億円を限り、一般会計の歳入に繰り入れることができることとしております。

 第四に、平成二十二年度において、特別会計に関する法律第八条第二項の規定による食料安定供給特別会計調整勘定からの一般会計の歳入への繰り入れをするほか、同勘定から百四億六千八百三十五万四千円を限り、一般会計の歳入に繰り入れることができることとしております。

 次に、所得税法等の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。

 政府は、支え合う社会を実現するとともに、経済社会の構造変化に適応し、国民が信頼できる税制を構築する観点からの税制全般にわたる改革の一環として、個人所得課税、法人課税、国際課税、資産課税、消費課税、市民公益税制、納税環境整備、租税特別措置等について所要の措置を講ずるため、本法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、個人所得課税について、年齢十六歳未満の扶養親族に対する扶養控除及び特定扶養親族のうち年齢十六歳以上十九歳未満の者に対する扶養控除の上乗せ部分を廃止する等の措置を講ずることにしております。

 第二に、法人課税について、資本に関する取引等に係る税制の整備、特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度の廃止等を行うこととしております。

 第三に、国際課税について、外国子会社合算税制を見直す等の措置を講ずることとしております。

 第四に、資産課税について、住宅取得等資金の贈与に係る贈与税の非課税措置を拡充する等の措置を講ずることとしております。

 第五に、消費課税について、揮発油税等及び自動車重量税に係る十年間の暫定税率の廃止等の見直し、たばこ税の税率の引き上げ等を行うこととしております。

 第六に、市民公益税制について、所得税の寄附金控除の適用下限額の引き下げを行うこととしております。

 第七に、納税環境整備について、所得税、法人税及び相続税等の脱税犯に係る懲役刑の上限の引き上げ等の罰則の見直し等を行うこととしております。

 その他、情報基盤強化税制の廃止など既存の租税特別措置の整理合理化を図り、あわせて中小企業投資促進税制等の適用期限を延長するなど、所要の措置を講じることとしております。

 最後に、租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律案について御説明申し上げます。

 政府は、租税特別措置に関し、適用の状況の透明化を図るとともに、適宜適切な見直しを推進し、もって国民が納得できる公平で透明性の高い税制の確立に寄与するため、適用の実態を把握するための調査及びその結果の国会への報告等の措置を定めることとし、本法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、法人税関係特別措置で一定のものの適用を受ける法人は、適用額明細書を法人税申告書に添付しなければならないこととしております。

 第二に、財務大臣は、適用額明細書の記載事項を集計する等の方法により、適用の実態を調査することとしております。

 第三に、財務大臣は、毎会計年度、当該調査の結果に関する報告書を作成し、内閣はこれを国会に提出しなければならないこととしております。

 その他、行政機関の長等は、政策評価を行うため、財務大臣に対し、当該調査に関する情報の提供を求めることができるなど、所要の措置を定めることとしております。

 以上、平成二十二年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案、所得税法等の一部を改正する法律案及び租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げた次第であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

玄葉委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四十八分散会


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