衆議院

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第3号 平成22年2月24日(水曜日)

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平成二十二年二月二十四日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 玄葉光一郎君

   理事 岸本 周平君 理事 篠原  孝君

   理事 鈴木 克昌君 理事 高山 智司君

   理事 中塚 一宏君 理事 石井 啓一君

      網屋 信介君    荒井  聰君

      今井 雅人君    大串 博志君

      大山 昌宏君    岡田 康裕君

      小林 興起君    小山 展弘君

      近藤 和也君    下条 みつ君

      杉本かずみ君    菅川  洋君

      富岡 芳忠君    野田 佳彦君

      橋本  勉君    福嶋健一郎君

      古本伸一郎君    柳田 和己君

      和田 隆志君    渡辺 義彦君

      竹内  譲君    佐々木憲昭君

    …………………………………

   財務大臣         菅  直人君

   財務副大臣        野田 佳彦君

   財務副大臣        峰崎 直樹君

   内閣府大臣政務官     田村 謙治君

   財務大臣政務官      大串 博志君

   財務大臣政務官      古本伸一郎君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    古谷 一之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           二川 一男君

   財務金融委員会専門員   首藤 忠則君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十四日

 辞任         補欠選任

  小野塚勝俊君     柳田 和己君

  山尾志桜里君     杉本かずみ君

同日

 辞任         補欠選任

  杉本かずみ君     大山 昌宏君

  柳田 和己君     小野塚勝俊君

同日

 辞任         補欠選任

  大山 昌宏君     山尾志桜里君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 平成二十二年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案(内閣提出第三号)

 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)

 租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律案(内閣提出第一五号)


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     ――――◇―――――

玄葉委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ちまして、自由民主党・改革クラブ所属委員に対し、御出席を要請いたしましたけれども、御出席が得られません。

 再度理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

玄葉委員長 速記を起こしていただけますか。

 理事をして再度御出席を要請いたさせましたけれども、自由民主党・改革クラブ所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 内閣提出、平成二十二年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案、所得税法等の一部を改正する法律案、租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として財務省主税局長古谷一之君、厚生労働省大臣官房審議官二川一男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

玄葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

玄葉委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岸本周平君。

岸本委員 民主党の岸本周平です。

 まず、平成二十二年度税制改正大綱に基づいて御質問をいたします。

 その前に、私が菅財務大臣に初めてお目にかかったときのことをお話ししたいと思います。もう御記憶ではないかと思いますが。

 今、執行停止中の地価税という税制がございます。バブルが盛んで地価が高騰したときの対策として導入された税制であります。私は当時、主税局で課長補佐をしておりました。保有税ということでは既に固定資産税が地方税として存在しておりましたので、当時の大蔵省主税局には、土地保有課税を国税としてとらえる考え方がございませんでしたので、担当課もございませんでした。そのときに、私が急遽土地税制の担当補佐になりまして、研究を命ぜられたわけであります。そのときに、一人、衆議院議員の方がおられまして、台湾の増値税を研究されておられまして、地価税の必要性を訴えておられた方がおられました。私の担当補佐としての最初の仕事は、その方のところに行って、恥ずかしながらと資料をいただいてレクチャーを受けたことでございます。それが菅大臣との初めての出会いでございました。そういう意味では、地価税というのがまさに政治主導で進められたのだなということを思っております。

 その意味で、税制の専門家である菅大臣に御質問をいたします。

 新成長戦略(基本方針)、これまた菅大臣が国家戦略担当大臣としておつくりになったわけであります。内容的にはもちろんこれから膨らましていくわけでありますが、その中身として、税制など道具立てについての言及は余りなかったわけでありますが、今後、経済成長戦略を進めるためにも、税制、補助金などの道具立ての議論が必要だと思います。

 そして、菅大臣は、公共事業に頼るのでもなく、行き過ぎた市場原理主義に訴えるのでもなく、知恵を使って新たな雇用、需要を生み出す第三の道を進むのだと常におっしゃっておられます。

 確かに、これまで公共事業に頼った経済対策を行ってきた結果、生産性の低い建設、土木の産業に資源が集中し、結果として日本経済全体の生産性を下げてきたわけであります。また、安易に公共事業に頼ってきた地域で新しい産業を起こす機会も失われてまいりました。これが第一の道でありました。

 また、市場原理主義という言葉が適切かどうかは別にいたしまして、規制緩和をして競争させる一方で、派遣職員のような弱い立場の勤労者のためにセーフティーネットを十分に用意しなかった。その結果、大変な社会不安をもたらしてきた。これが第二の道であります。

 そして、菅大臣がおっしゃいますように、成長をするには民間サイドの活力が必要で、規制緩和も必要であります。観光、環境、健康(医療)の三分野で百兆円超の新たな需要の創造のためには、やはり民間企業のサイドのパワーが必要であります。ただしセーフティーネットは十分用意する。これが菅大臣の第三の道であろうと理解をしております。

 その意味では、このお考えは、イギリスの社会学者であるアンソニー・ギデンズの第三の道の考え方と同じではないかと私は考えております。ギデンズの第三の道は、グローバリズムや市場主義と社会の安定は両立できるんだとすることでありまして、まさに、この第三の道を進めるためには、グローバル化に対応できる税制が必要だと考えております。

 今は、担税力の高い者ほど、納税する場所をみずから選択できるわけであります。法人税の実効税率が四〇%を超え、アジアの中では群を抜いて高いわけであります。私が勤務をしておりましたトヨタ自動車を初め、多国籍企業、キヤノンなどですが、これらの企業は、外国で所得を発生させて納税することができます。そして、実効税率を全体として、結果として低くすることが可能であります。

 推計によりますけれども、実効税率を全体として三〇%、二〇%にしている企業もあるということでありますが、一方で、サービス業、非製造業、日本国内でしかビジネスのできない企業は、きちんと実効税率四〇%の負担をしているわけであります。これもいささか不公平であります。

 また、タックスヘイブン税制の税率を変更しなければならないくらい、アジアの諸外国は法人税を下げてきております。中国が二五%、韓国は二四%であります。日本企業の場合、社会保険料の事業主負担が軽いから、税と両方で見てそんなに不公平ではないという意見もありますが、アメリカやイギリスよりは事業主負担が高うございますし、また、スウェーデンや北欧諸国と比べて確かに低いわけでありますが、その国々と比べた場合に、個人の税負担、社会保険料負担も日本は低いわけでありますから、同列に論じることはできないと考えております。統計がまだ不備でありますけれども、恐らく、人口構成の若いアジア諸国と比べた場合、企業の社会保険の負担は日本の方がはるかに高いはずであります。

 一方で、これは私の個人的な思いでありますが、近い将来、環境税が導入されることも視野に入ってまいります。法人税の税負担の転嫁の問題は神学論争の域でありますから特に申しませんが、仮に企業が環境税の負担を負うとした場合には、その分、法人税の負担に関してもバランスをとる必要があるかもしれません。

 今回の二十二年度の税制改正におきましては、大臣以下皆さんに頑張っていただいて、政府税調の方で頑張っていただいて、租税特別措置に関しましては大幅な見直しをしていただきました。さらに、課税ベースを拡大して、税制改正大綱に示されているように、成長戦略との整合性や企業の国際的な競争力の維持向上、国際的な協調などを勘案しつつ、法人税率を見直していただきたいと考えますが、菅財務大臣の所見をお伺いいたします。

菅国務大臣 いろいろと思い出すことの多い御質問をいただいて、ありがとうございます。

 私は、二〇〇五年に岸本さんと一緒に和歌山の駅頭に立ったことが最初だったかなと思ったんですが、もっと古いおつき合いがあったというのを思い出しました。この話をし始めるととまらなくなるので、きょうの質問に限ってお答えをさせていただきたいと思いますが、いずれにしても、岸本議員も、多少の遠回りはありましたけれども、大いに活躍をしていただきたい、このことを冒頭に申し上げておきます。

 今、税制、さらにはそのベースとなる成長についてのいろいろな指摘がありました。まさに、第三の道というのは、政治的にはアンソニー・ギデンズさんの書かれたものを、私もイギリスに行って御本人にもお会いしたこともありますが、その名前を採用させていただいたんですが、私なりに、政治の分野から、いわば経済というか成長の分野においての第三の道という言い方に少しスライドをさせて使わせていただいております。

 いろいろ問題提起をした中で、さらに肉づけをしなければならないと思っておりまして、またそういったところでも、いろいろ知恵をかしていただければと思っています。

 法人税の問題については、実はきょう午後にも税調の中の専門家委員会というものをスタートさせますけれども、そういう専門家も含めて、所得税、法人税、消費税、場合によっては環境税、そういった税制全般にわたる議論を本格的に始めていただくということにいたしております。

 法人税に関する議論、この間も他党も含めていろいろ出ております。一番グローバル化の影響を受けるというか、逆に言うと、そういう中でのあり方の一番大きな課題になろうと思っておりまして、そういう点では、租税特別措置の抜本的な見直しを進め、これにより課税ベースが拡大した際には、成長戦略との整合性や企業の国際的な競争力の維持向上、国際的な協調などを勘案しつつ法人税率を見直していく、これが、昨年暮れまとめた税調の大綱の法人税に関することで、こういう方針で取り組んでいきたい、このように考えています。

岸本委員 さらに、消費税の論議であります。

 今後四年間、消費税を引き上げないことは十分理解をしておりますが、衆議院議員定数の八十人のカット、さらには公務員の総人件費の二割削減、特殊法人、公益法人の廃止などの無駄遣いをやめた後のことであろうかと存じますけれども、一方で、年金や医療、介護、子育て支援など社会保障の予算を賄うためには、消費税以外に安定財源を求めることが困難なこともまた事実であろうかと存じます。

 今、将来の社会保障に関する不安から、大勢の国民の方の消費がそのために萎縮をしているという部分もあろうかと存じます。安定的財源をきちんと確保して、社会保障については心配要りませんよということをお示しすることで、四年後以降は、消費税の引き上げできちんとした安定財源を確保しますよということを宣言することが、ある意味では、そういう不安を取り除くことで消費を促す景気対策にすらなるのではないかと考えております。

 実際、一九九〇年代でありますが、北欧諸国が大変な不況に陥りました。そこで彼らは、国債を増発して景気対策を行いました結果、金利が上昇いたしまして大変な状況になりましたときに、政府が増税をした、あえて増税をすることで国債増発の不安をストップさせて、その結果、金利を下げて景気が回復したという例もございます。その意味では、消費税の議論をお始めいただくことは、大変前向きに国民も理解をしてくださると考えております。

 ただ、四年間は消費税を引き上げないわけでありますから、その間、国債のマーケット等にメッセージを送るためにも、中期財政フレームをきちんとおつくりいただいて、財政再建の道筋を示す必要があろうかと存じます。

 その意味で、菅財務大臣の所信をお伺いしたいのでありますが、国家戦略担当大臣を中心に、本年前半には、複数年度を視野に入れた中期財政フレームを作成するとともに、中長期的な財政規律のあり方を含む財政運営戦略を策定し、財政健全化への道筋を示すということを菅財務大臣も表明されておられます。また、英国型の中期財政フレームの導入でありますとか、財務省から予算の査定権限を取り上げるとか、鼻血が出なくなるまで効率化をさせていくんだということをおっしゃっておられます。ぜひ、菅財務大臣のリーダーシップで、その方向でお進めをいただきたいと思います。

 問題は、どうやってそれを実現していくかということでございます。

 実は、私は主計局で五年間主査をやっておりまして、単年度予算をつくっていく古きよき時代の予算編成を経験しておりましたが、どうしても、単年度でありますので、その年度年度をクリアしていくということで、主査に求められるのは、いわゆる悪知恵ということでありまして、その場しのぎの悪知恵を出すほど評価されるわけであります。

 いろいろなのがありますので、申し上げるわけにもいきませんが、まさに、特別会計のいろいろな勘定間のやりとりをさせていただきますと、私は厚生労働をやっておりましたので、数千億円のお金はある程度自由にできる。次長から頼まれると、ちょっと岸本君、二千億出せと言われると、はいと言って出せるように準備をするというのが仕事でありました。

 おもしろいのは、ちょっとだけ話しますと、年金の支給というのが二月に一遍なんですけれども、これは私じゃないです、ある先輩ですが、支給月をその年度から一回だけ延ばしますと、支出が六分の一減るわけです。そういうような知恵を出す人が評価をされる。それはいいんですけれども、その結果、財政が悪くなっているのも何となくごまかしてきたということもあるので、これからはまさに政治主導で、もっと大胆に、正直に、透明性を上げていって、かつ、中期の財政フレームワークできちんと政治的意思をコミットメント、公表していくということをお願いしたいと思います。

 財政のルールや目標につきましては、EUのマーストリヒト条約がございます。単年度財政赤字三%、債務残高六〇%というわけでありますが、このような目標を掲げたとしても、自動的に財政規律が維持されるわけではありません。実際、EUへの参加が終わった後、ユーロへの参加が終わった後はインセンティブがなくなりましたから、ギリシャの問題やらいろいろ問題が出てきているわけであります。

 米国の財政調整法というのがございました。裁量的な経費につきましては支出にキャップをかける、義務的な経費につきましては財源を用意しなければ認められないというペイ・アズ・ユー・ゴー方式も導入されておりますが、これはうまくいったんですけれども、財政が黒字になった瞬間に、もとのもくあみになってしまうというようなことがございました。

 予算が毎年作成されるという意味は、財政民主主義によりまして、議会が毎年予算を審議して議決をするんだということであります。しかし一方、先ほど申し上げましたように、単年度予算主義は、どうしても経済運営の中期的な安定を損ねて、つじつま合わせの予算となってしまいがちであります。

 その意味では、諸外国も、複数年度を前提にした中期財政フレームの試みを六〇年代ぐらいから始めております。最初はイギリスや西ドイツでスタートしておりますが、しかし、これもなかなか成功しなかったわけであります。中期財政フレームが単なる見通しで終わってしまうということではだめでありまして、今現在、成功事例と言われているものが幾つかございます。例えば、三年間の歳出総額に上限を設定するスウェーデン方式、それから、三年間の裁量的な支出を固定化する英国の方式、あるいは、四年間の将来見通しによりまして相当強制的に歳出抑制を行っておりますオーストラリア、ニュージーランドなどの方式がございます。

 どうしても各省庁は漸進的に予算を獲得しようとされますから、よほど強い政治的コミットメントがなければ、中期的な財政フレームが途中で崩れてしまうということになるわけでありますから、このような財政ルールに違反した場合に、時の政権が高い政治的コストを払うような仕組みが必要だろうと考えます。

 その場合に必要な条件が幾つかありますけれども、一つは、複数年にわたって支出を拘束する、それから、前提として計算する際の成長率を保守的に、慎重に見積もる。高い成長率でやって失敗する例がたくさんありました。そして、包括的に予算を対象とするとともに、過去の推計と実績を常に比べてそれを検証するということも大切だろうと考えます。

 その意味では、菅財務大臣が目標にされている英国では、過去の推計と実績の乖離につきましては、リコンシリエーションテーブルと呼ばれる分析手法が導入されておりますし、また、英国の中期財政フレームで使われる潜在成長率は、実際の政府の経済見通しよりも低い数字をあえて使っております。まさに過去のフレームで楽観的な経済成長を前提に税収を過大に見積もり、歳出の増加を許した反省があるわけであります。その意味でも、今回のフレームでは、新成長戦略では名目三%の成長率をお使いいただいていますが、中期財政フレームではそれよりも保守的な、慎重な成長率をぜひお使いいただきたいと考えております。

 それから、財務省には後年度影響試算という、ある意味、フレームがあるわけであります。しかし、これは注意書きでわざわざ、将来の支出は拘束しないと書いてあるわけでありますから、そういう意味では世界標準のフレームではないわけであります。そして、自民党政権時代、二〇〇二年一月には「改革と展望」、それから始まりまして、二〇〇七年一月の「進路と戦略」など内閣府から出されたわけでありますが、当然これも単なる見通しでありまして、政府のコミットメント、強い政治的意思はありませんので、世界標準のフレームとは言えません。もちろん、推計と実績の分析もしていませんし、その説明もありませんでした。

 財務大臣として、今申し上げました前提が成り立つような本物のフレームを導入するお覚悟はおありかどうか。従来のにせものだった後年度影響試算や自民党時代の内閣府の「改革と展望」などよりもよい中期財政フレームをおつくりいただく政治的な意思がおありかどうか。そして、本当に六月までにその財政戦略、国家戦略担当大臣とともに、むしろ副総理としての菅財務大臣の政治的リーダーシップでおつくりいただく意思があるのかどうかを確認させていただきます。

菅国務大臣 大変幅広い観点をお示しいただいて、最後に覚悟を聞かれたわけですが、若干短い時間ではありますが、全体の考え方をちょっと申し上げたいと思っています。

 確かに、成長見通しを甘く見て、それによって税収をたくさん取れることを前提にして組んで、最後に足らないから補正予算で国債を発行する、そういうやり方が好ましくないということは、一般的にはそのとおりだと思います。

 ただ、一方で、今のリーマン・ショック以来の状況を見ておりますと、そういう枠組みだけで考えますと、ここも切れ、あそこも切れという、どちらかというと、いかに切るかということの議論が先行しかねないところも、率直なところ、あります。

 そこで私は、先ほど岸本議員が言われた中で一番心強く思ったのは、社会保障分野というのは、単に困った人を助けるということを超えて、ある意味では最大の成長分野であると。つまりは、同じ一兆円、それが税収だろうが国債だろうが、それを本州―四国の橋に使うよりも、場合によっては介護の費用を引き上げることに使って、介護の潜在需要を顕在化させて、そこに大きなGDPの引き上げ効果もあわせ持つ。もちろん、恒常的な財源でなければ続けることができないという問題はありますけれども。そういう意味では、まさに第三の道という表現をした中には、こういった従来は国民負担という言い方をされた部分が、実はよく見てみると潜在需要がある、待ち行列がある、まさにこれが介護であり医療であり、あるいは保育の問題などがあると思っています。

 そういう意味で、今、実は中期財政フレームをつくる上では、成長戦略についてできるだけいろいろな知恵を出して、これも取りまとめは国家戦略室が中心になっておりますが、私も責任者の一人でこの成長戦略を受け持っておりますので、そういう中での、決して甘くするために言うのではなくて、どこに財政を集中的に投じればどういった効果があり得るかということを出し合って、それを検証し合っていくという作業を、ぜひこのフレームをつくる前提として急いでくれ、つい昨日も閣僚懇談会の席でそういう趣旨のことも申し上げました。

 また、消費税についても、さきの選挙でいただいた任期の間は引き上げないということは決めております。と同時に、この消費税議論についても、これは表現に気をつけなければいけませんが、もともと民主党のマニフェストでは、年金制度の抜本改正の場合には最低保障年金は税によって賄うという基本的な方向性も打ち出しております。早ければ今月中にも年金制度の抜本改正の議論の場を、今、厚労大臣等を中心に、つくる準備が最終段階に入っております。

 そういう意味で、ある意味では成長戦略、それから長期的にいえば年金制度、さらには社会保障あるいは税の番号、そしてそれらをトータルした税調の議論、そういうものをあわせて中期財政フレームのベースにしていきたい、こう考えております。

 ですから、おっしゃる、余り甘く見ないで慎重な成長でいけということもわかるんですが、率直に申し上げて、それだけでいこうと思うと余りにも何か縮小均衡的な発想に陥りかねないものですから、やはり日本の状況を打破するためには、縮小均衡ではなくて、逆に言えば、成長率を名目三%にするには、あるいは四%にするには何が必要か、逆にそちらの方からの議論をぜひ推し進めていきたい。

 ぜひ、いろいろな知恵をかしていただければと思っています。

岸本委員 それから、予算の効率化という観点で一つお願いがございまして、今、政府の調達、調達というのは大体十三兆から十四兆あろうかと思います。これはまさに公共事業、防衛装備品、それからITシステムの調達などであります。

 これは、私は通産省で情報処理システム開発課長をしておりましたときに、政府のIT調達というのが本当にずさんで、私はITゼネコンと名づけたんですが、大手四社、名前は言いませんが、ベンダーが、当時で大体六割から七割のシェアを占めておりまして、寡占状態であります。そして、特定の省庁に天下りを受け入れるというような形で受注をするというようなことがまかり通っておりまして、百円のものを一万円で買わせるようなことでありました。一円入札でとっておいて、二年度、三年度で莫大な利益をとるような形がありましたので、これをCIO補佐官をつくっていただいたり、やったんですけれども、久しぶりにこちらに戻ってきて調べますと、もとのもくあみでございました。

 大ざっぱに言いまして、三割、三兆円から四兆円はこれを節約できるというふうに見ておりますので、ぜひとも政府調達、これはイギリスでは政府調達庁が中心になりまして、中期財政フレームの中で、効率化プログラムと称して、政府調達を毎年三兆円以上節約するという目標でやっておられますので、ぜひ政府調達について前向きに取り組んでいただきたいというのが一つ。

 もう一つ、時間がありませんのであわせて御質問いたしますが、英国では、まさに予算閣僚委員会というもので、閣僚間で、もちろん財務大臣が中心ですが、そこで予算の大枠を決めて下におろすという形がございます。民主党もマニフェストではそのような方向をうたっておりましたが、昨年、なかなか時間もなかったようで、そのようにはならなかったと思いますので、二十三年度予算は、副総理でもある菅財務大臣が中心となって、予算閣僚委員会で大枠をつくっていただく、そして、その中にぜひ政府調達の問題も御関心を持っていただいて御指導いただきますようにお願いを申し上げます。

 御所信をお聞かせください。

菅国務大臣 政府調達で三兆円から四兆円出せるではないかという大変心強い提案をいただいて、ぜひ何らかの場面をつくりますので、そういう形を進めていきたい、こう思っております。

 確かに、調達については、予算編成のところは非常に議論が多いんですが、予算執行の中は割と透明性が低いということもありますので、これからは予算執行の方も、例えばインターネットでこの百億の予算がどう使われたかということがわかるようにして、その中には調達についても順次明らかにできるような、そういうことを昨年の段階でも国家戦略室で検討しておりましたので、それを実行過程に移していきたい。

 さらに、独立行政法人については、現在、各法人に契約監視委員会を設置して、契約状況の点検、見直しを行っておりまして、その結果は、それぞれの主務大臣が総務大臣に報告するとともに、本年四月末をめどに公表する、そういうことにもなっております。

 それから、予算閣僚委員会については、私もイギリスに短時間ですが調査に行きまして、そういう形が好ましいと思っております。今指摘をされて感じたんですが、きょうのこの時点では、まだ来年度予算、二十二年度予算の審議がまだ衆議院段階でも途中ですので、さすがに二十三年度の予算編成の閣僚委員会は開いておりません。しかし、一方では、中期財政フレームといったものを考えますと、確かにそろそろそういう形もスタートさせないといけないのかなということを今の質問をいただいて感じましたので、ぜひそう遠くない時期に二十三年度に向かっての予算閣僚会議を私の方からもお願いしてみたい、このように考えております。

岸本委員 以上で終わります。ありがとうございました。

玄葉委員長 次に、菅川洋君。

菅川委員 民主党の菅川洋です。

 昨年の八月に初当選をいたしまして、今回、初めて質問の機会をお与えいただきました。質問の機会をお与えいただいたことに感謝しますと同時に、また、ふなれな点もあると思いますが、どうか御容赦をいただきたいと思っております。

 さて、私の質問は、税制改正について中心に行っていきたいと思っております。私自身、税理士でありまして、社会人となりましてから十七年間、税に携わって仕事をしてまいりました。この十七年間の間、税の仕事をやる中で一番問題になるのが、毎年年末になると行われます税制改正の議論であります。

 前の政権におきましては、この税制改正の議論、政府税制調査会という大学教授を初めとする有識者の会があり、また、この政府税制調査会の答申を受けて、今度は各政党の、特に当時与党でありました自民党の税制調査会においてまた議論が行われておりました。この議論が別々に行われる中で、最終的にどういった方向に決まるのか、これが、議論の中身が全くわからずに、十二月のある日、特に自民党税制調査会の改正税法の内容が発表されるわけでありますけれども、なかなか理解に苦しむことが多くありました。

 近年でいいますと、それこそ所得税の中で、不動産の譲渡に関して損益通算を行わないというようなことが急に出てきたり、また、今回廃止されますオーナー課税の問題、特殊支配同族会社という新たな概念をつくってまで改正が行われたわけでありますが、こういった議論の中身が見えてこないということは、なかなか、私自身税理士として働いていたときも、顧客に対して説明の非常に難しいものがありました。説明が難しいということは、皆さんに納得していただくということが非常に難しい、つまり納税者の方の理解を得るのが非常に難しいものであったわけであります。

 しかし、政権交代をして一番目に行っていただいたこの税制調査会の改革というもの、このことは私は非常にいいことだと思っております。特に、政府税調と党の税調、これを一元化して、また、議論の中身をしっかりとオープンにしていく、そのことによって納税者の理解を深めることにつながってまいると思っております。

 ここで、菅大臣にお伺いしたいと思っております。

 この新しい一元化した税制調査会において、当初から会長代行としてかかわってこられた菅大臣にぜひとも、この一元化した税制調査会、どこがどのように変わったのかということと、今回初めての試みであったと思いますが、この効果についてお話をいただければと思っております。

菅国務大臣 今御指摘があったように、従来の政権では、政府の税調と特に与党自民党の党税調があって、非常に透明性が少なかったという御指摘、そういうこともベースにして、今度の鳩山政権ではまさに、政府と与党に二元化していた従来の税調を一元化して、基本的には政治家がメンバーとなる税制調査会を設置したわけであります。

 その上に、この税制調査会の会議は基本的に公開とされ、そして議事録もできるだけ早目にオープンにしていく、そういう形で透明性の確保を図りました。これについては、必要であれば峰崎副大臣、一番の実務を担われた方でありますのでお聞きをいただきたいと思いますが、やはり考え方そのものは大変画期的だと思っております。それをこれからいよいよ本格的な、次世代に向かっての税制の議論の中でどうしていくのか。

 実は、専門家委員会というものを一元化の原則に反しない形で設けて、専門家の知恵もかりながら、そして最終的には政治家である議員を中心に物事を決定していく、こういう形で進めたい、このように考えております。

菅川委員 特に、今菅大臣からお話があったとおり、責任のある政治家が税制についてきちんと議論するということ、このことは大切なことであると思っておりますし、また、これから税制というもの、非常に難しい判断をしていくことが必要であると思っておりますので、その中で、できる限り議論をオープンにして、そして納税者の理解を得られるような形へと、これからもぜひ議論の中身を透明化していっていただきたいと思っております。

 続きまして、所得税の所得控除の、特に扶養控除等の一部廃止の件につきましてお話をさせていただきたいと思います。

 皆さんのお手元に資料をお配りさせていただきました。一枚目に、税、社会保障移転前後の子供の貧困率の変化、これは二〇〇〇年のものでOECDの加盟国を対象とした調査であります。

 この調査の中で、左側の、税、社会保障移転前、日本は子供の貧困率一〇・七%で二十一位という状態にあります。全体、OECD二十三カ国の中で二十一番目でありますので、非常に貧困率は低い方ではありますけれども、やはりここで考えなければいけないのは右側の方であると私は思っております。

 税、社会保障移転後、日本は二十一位から九位へと上がってしまいまして、子供の貧困率は一二・九%になっているわけであります。ほかの国がそれこそ、税、社会保障というものを使うことによって貧困率を解消しているにもかかわらず、日本の場合は、税、社会保障の負担が重たいがために子供の貧困率が逆に上がってしまっているわけです。二十三カ国ある中のうち、このように逆に貧困率が上がっているところは、左側の二十三位のスイスと日本の二カ国だけであります。

 ただ、スイスの場合は、非常に子供の貧困率が低いところでもありますし、また、増加の率も非常に低いところであります。日本の場合は二%以上貧困率が上がっております。そしてまた、昨年の厚生労働省の調査の発表では、この子供の貧困率、一四・二%とまたさらに広がっている状態にあるわけであります。

 こういった状況というもの、実は前政権下でもしっかりと把握をされていたようで、資料の二枚目を開いていただきたいと思います。資料の二枚目は、平成二十一年度の年次経済財政報告から抜粋したものであります。これは昨年の七月に前政権下におきまして発表されたものでありますけれども、これをごらんいただいても、上の表の右側、税による再分配効果というもの、これは先進国の中でも日本は非常に低い状態にありまして、下の文章にも書いてあるとおり、「税による再分配効果の大きさを見ると、我が国はOECD加盟国の中で最も小さい。」ということが指摘されているわけであります。

 このことは前からわかっていたことでありまして、わかっていたことをやはり是正しなければいけないということが前政権でも言われておりました。これが、もう一枚資料をめくっていただいた三ページ目に書いてあるわけでありますけれども、これは我が党の税制大綱ではなく、平成二十一年十二月に自民党が発表されました、済みません、これは二十年の十二月十二日発表です、それで二十一年度の税制改正大綱です。ですから、昨年の税制改正大綱なんですけれども。

 この中でも、下線を引いた部分に、「個人所得課税については、格差の是正や所得再分配機能の回復の観点から、各種控除や税率構造を見直す。」ということを前政権でも言っておりました。そして、その続きにも、「給付付き税額控除の検討を含む歳出面もあわせた総合的取組みの中で子育て等に配慮して」云々と書いてあります。

 こういった事実を把握しておきながら、前政権ではなかなか対策を打ってくることはありませんでした。こういった問題点があるのであれば、対策を講じる、これが政治のやるべき役割であると思っております。

 前政権ができなかったこと、このことを新政権になってから、特に控除から手当へという考えのもと所得再配分機能を強化していくということが、今回の扶養控除等の一部改正によるものだと思っております。扶養控除を一部廃止することによって、子ども手当の創設や高校の授業料の実質無料化に伴う措置というものを行う、つまり、まさに控除から手当への改正であると考えております。こういった改正というもの、これはまだ今回第一歩ではないかと私は思っております。

 諸外国におきましては、また資料の方に戻りますけれども、資料の四枚目、五枚目につけさせていただきました、税制を活用した給付措置の国際比較というものを皆さんにお配りさせていただいておりますけれども、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、そして一枚めくっていただきまして、オランダや韓国、こういった国におきまして、いわゆる給付つき税額控除という制度を取り入れていっております。これは、所得の格差を是正するため、所得の再配分効果を高めるため、こういった形で行われているわけであります。

 皆さんはもう御存じだと思いますが、この給付つき税額控除というもの、これは、所得税において税額控除の額が税額を上回る場合に、その上回った税額につきまして還付をするという制度であります。つまり、これはもはや税制の範囲を超えて、税制と社会保障が一体化したような枠組みではないかと思っております。日本におきましても、こういった給付つき税額控除も含めて、これから税制の枠を超えて、とにかく控除から手当へということをもっと進めていく必要があるのではないかと考えております。

 その点につきまして、菅大臣に、今後の方向というか思い、また扶養控除見直しというものが、これからの控除から手当へという考えの中でどういった位置づけなのかということをぜひ御説明いただきたいと思います。

菅国務大臣 おっしゃるように、控除から手当へという考え方に基づいて、特に今回の子ども手当の創設に当たって、例えば年少扶養控除を廃止するなどの措置をとったわけであります。また、こういったことが結果としては、所得でいえば高い所得の人にやや大き目の負担をお願いする、一方では、所得の比較的低い、子供を持つ世帯には給付で手厚い支援をする、そういうことにつながっていると思っております。

 それに加えて、給付つき税額控除についての御指摘もいただきました。昨年の我が内閣としての税制大綱におきましても、「所得再分配機能を高めていくために、「給付付き税額控除」の導入も考えられます。」ということも入れております。この場合に前提として、やはり所得把握のための番号制度などが社会保障の制度と含めて必要になるという指摘も、この税制大綱の中に盛り込んでおります。

 そういった意味で、今菅川委員から言われましたこういった方向については、それ自体もそうですが、それを実現するための、ある意味での社会インフラの形成も含めて、総合的にそうしたことを実現できるような形に進めていきたい、このように考えております。

菅川委員 今おっしゃられたとおり、やはりインフラの整備というものもしっかり行っていくことが必要であると思っております。

 前回の委員会のときに野田先生から、課税最低限が下がったら納税人口がふえて、それに対してどう対応するのかというような御質問がありました。私、そのときふと思い出したんですが、そういえば、平成十七年に公的年金控除を縮小して、また老年者控除を廃止したということがありました。公的年金控除を縮小する、また老年者控除を廃止する、こういった方々は、特に年金所得のある方ですので、ほとんどの方が確定申告をされる方であるということを思い出しまして、少し僣越ながら、国税庁の方に資料をいただきました。

 資料の一番最後につけさせていただいておりますけれども、平成十六年分、平成十七年分の所得税確定申告の状況がここに見てとれます。平成十七年に公的年金控除を縮小し、また老年者控除の廃止を行ったわけでありますけれども、この改正によりまして、申告納税額のある方が八十五万人ふえております。そのうち、公的年金等の所得を有する人が約七十一万人、申告件数がふえているわけであります。

 このように、確かに税制を改正すると申告件数が大きくなる、特に課税最低限が下がったときには申告件数は非常に大きくなると思われますが、しかし、平成十七年の申告の際に特に混乱があったというような話は伺っておりません。

 先日の峰崎副大臣のお話ですと、大体確定申告される方が十一万人ぐらいふえるのではないかという試算をお示しいただきましたが、このように、八十五万人、七十一万人という数がふえてもきちっと対応できているわけでありますから、今回の改正におきます混乱というものはないのではないかと私自身は考えております。

 さて続きまして、いわゆるオーナー課税の話に移りたいと思います。

 平成十八年に商法の大改正が行われました。このときに会社法というものができたわけでありますけれども、この会社法、会社の経営の自由度を高める、経営の形態、いろいろな形態を認める、また法人を新規で設立しやすくするという、会社経営をする立場においては非常に経営をしやすい環境整備が整えられたわけであります。

 ただ、会社法でこういった環境整備が整えられた反面、法人税法におきましては特殊支配同族会社という概念ができまして、これはいわゆる一人オーナー会社のことでありますけれども、この会社の役員報酬の課税を強化するということが行われました。

 片一方では、会社を設立しやすくし、動きをしやすくする。これは、日本の開業率が非常に低い状態にある今、やはり新規にどんどんチャレンジをしやすい環境をつくるためには必要なことでありますが、しかし、その中で、起業して頑張って利益を出して役員給与をもらった場合、この給与の一部に対して法人税を課すというのが一人オーナー会社の役員報酬の課税であったのではないかと思っております。

 そこで、具体的な中身ですので峰崎財務副大臣にお伺いしたいと思っているんですが、今回、特殊支配同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度を廃止した、改正をしたということにつきまして、廃止をするというからにはやはり問題点があったのだと思われます。この問題点について御説明をいただき、廃止をするに至った理由をお聞かせいただきたいと思います。

峰崎副大臣 菅川委員にお答えしたいと思いますが、その前に、菅川委員は、ずっと税理士さんということで、私のふるさとの同じ高等学校の同窓ということで、大変親近感を感じております。

 今御指摘のあった点、実は昨年あるいは一昨年の参議院の財政金融委員会では、私たち民主党が一人オーナー会社の廃止の法案をつくって、参議院では通ったんですけれども衆議院では残念ながら通りませんでした。

 これは、問題は何だったんだろうかということを、私どもは税制調査会の、まだ野党時代のときにも議論いたしましたけれども、やはり法人税制と所得税制というものが非常にごっちゃになっているんじゃないか、こういう御指摘がございました。

 私は今内閣の中にいますから、やはり確かに、一見するとそういう問題があるんだけれども、その御指摘は確かに正しいんだけれども、しかしよくよく考えてみると、法人段階で給与が経費で認定をされます、経費認定でやる、その上で、なおかつ今度は、個人所得段階でいわゆる給与所得控除の適用を受けるという、そのやや二重控除の問題をどう扱ったらいいのかという大変難しい問題が私はあるのかなと。

 特に、何が一番問題かというと、一人オーナー会社、まさに会社のいわゆる自分の給与を自分で決めることができるというところに大きなポイントがあるんだろうと思いますね。

 先日、私のところに大阪のある実際一人オーナーの方々が持ってこられたときも、赤字法人でございました。赤字法人でありながら、給与を見たら三千万円を超えておりました。こういうのを見たときに私も、実は初めてその方とお会いしたんですけれども、これはどういうふうに考えたらいいんだろうかなというふうに思いました。

 中には便法として、給与所得控除が非常に上限がなくいわゆる控除されていますから、それを一千五百万円ぐらいに下げたらどうかとか、そういう便法もあったんですが、先ほど菅大臣からお話がありましたように、専門家委員会でまずはこの間所得税を中心にしたところの議論から始めてまいりますので、一度、所得税制のあり方について見直しをする中で、この二重控除問題も含めて、納得いける結論が得られるようにこの秋には努力をしていきたいなと。

 今回改正したのは、指摘を受けている点はなるほどもっともな点がありますので、その点についてまず今回は改正をしたということでございます。しかし、二重控除問題については引き続き議論をしていきたいということで、ぜひ菅川委員も与党の立場で御提言などいただければなと思っております。

菅川委員 峰崎副大臣、本当にありがとうございます。高校の先輩としても、本当に日本の政界を引っ張っていっていただきたいと思っております。

 いわゆる一人オーナー会社の役員報酬の課税強化が行われたときに、実は役員給与の規定も改正されております。それまでは、過大な役員報酬については損金不算入にするということになっていたんですけれども、原則、その時点では損金算入が許されていたわけであります。しかし、このときの改正におきまして、役員給与というものが原則損金不算入になってしまい、法律の中で限定列挙する中で、この法律に見合うものだけが損金に算入されるという形になってしまいました。

 こういった条文につきまして、それこそ通達でも対応がし切れなくて、結局は、国税庁の方から、細かいQアンドAという形でいろいろな資料が出されているわけでありますけれども、やはり通達やQアンドAというような不透明な形での運営ではなく、法律でしっかりと対応していただく。また、今や三割以下の会社しか黒字が出せないという社会状況の中で、企業経営がまさに税制によって制限を加えられないような形への配慮をぜひとも行っていただきたいということをお願いさせていただきます。

 最後に、租税特別措置の適用状況の透明化に関する法律案について御質問させていただきたいと思っております。

 もともと租税特別措置法は、そのときそのときにおけます重要な政策を推進するために、税制が持っている公平性というものを少しゆがめてでも政策を実行するということを優先し、設けられたものであると思っております。だからこそ、その政策効果についてしっかりと見きわめていく、後で検証をしていくという作業が必要なことであると思っています。

 私自身、実務を行っておりまして実は、法人税の別表の中にも、租税特別措置法の第何条を適用したか、こういったことを記入する欄がありましたので、当然この効果の検証というものは行われているのだろうと思っておりました。しかし、今回の透明化する法案、これを調べておりますと、やはりこういった検証が実は全くなされておらず、また、その申告書の中に書いてある条文につきましては、全国的に集計が行われていないのがわかりました。結局、そのまま検証が行われないので、この租税特別措置法、一たん成立するとなかなか見直しが行われることがなくて、既得権益化することが往々にあるのではないかと思っております。

 検証を行っていく作業は、この透明化の法案でできることであると思っておりますが、この法案を推進した場合、やはり納税者の方にもいろいろと手間をおかけすることと思いますし、また、これを受け入れる側の税務当局におきましても負担がふえるのではないかと思っております。

 こういった負担について、どれぐらい負担がふえていくのか、今現在の状況を峰崎財務副大臣にぜひともお答えいただきたいと思っております。

峰崎副大臣 租特透明化法案なんですが、これも実は参議院で、私たちは議員立法で提出をいたして、過去二回、残念ながら通過をいたしませんでした。

 きょうは公明党さんもおられますし、自民党の方々も審議の過程では、一点を除いてあとは大体賛成できる、こういう話でございました。

 それは、企業名の公表というのが前の議員立法の段階であったんですけれども、今回は匿名、ABCという形での表示というふうにとどめて、それさえなければ賛成してもいいんだというふうに、前回も衆議院のこの会場でお話ししたことがございますので、ぜひ今回は賛成していただけるものだというふうに思っております。

 ちょっと余談が長くなりましたけれども、これは実は、適用明細書というものをつくっていただいて、それに記載をしていただいて出していただく、こういうことでございますので、事務負担的には、企業の方々の事務負担というのはそれほどないのではないかな。まさに、租税特別措置法の適用を受けるということでございますので、若干、その程度の御負担はお願いしたいなというふうに思っているんです。

 ただ問題は、国税職員の方々の集計作業とか、こういうものが非常にまた手間暇かかると思いますが、今までは抜き取り調査といいますか、いわゆる全数調査でなかったわけでありますので、今回はぜひ、これが充実することによって、租税支出と言われているこの租特がどんな効果を上げているのか、本当に必要なのか、これは予算と同様隠れた補助金でもございますので、ぜひこの点は明らかにしていきたいものだというふうに思っております。

 それほど、負担になって大変だというような状況にはないというふうに私たちは思っておりますが、この点はしかし、新たな事務をお願いするという点では、丁寧にこれからも事業者の皆さんに説明していきたいなというふうに思っております。

菅川委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

玄葉委員長 次に、橋本勉君。

橋本(勉)委員 衆議院議員の橋本勉でございます。

 前のお二人と違って人的なコネクションは全くありませんが、初めて質問させてもらいます。よろしくお願いします。

 昭和六十年以来、本当に税収がこれほど落ち込んだことがないという非常に厳しい状況の中で、大変な予算だったと思っております。本当に敬意を表します。しかしながら一方で、世の中は、きょうのニュースでもありましたように、高校の就職の内定率が七・五ポイントも昨年より落ちている、そういう厳しい状況が続いております。

 そういう意味で、私は、増税と減税と分けまして、やはり増税というものに対しては非常に慎重な対応が要求されるんじゃないかなと思っております。増税することによって、収入がまた減少し、所得が減少し、また税金が減ってくる、そういう悪循環というのは当然予想されるわけでありますので、そういう観点で御質問をさせていただきたい。

 まさに、菅大臣のおっしゃっている成長戦略というものがそこにあるんだと思います。経済のパイをふやして、そして税収を上げるんだという強い信念と、私の信念も恐らくそこは一致していると思います。

 そこで、菅大臣に御質問をさせていただきたいと思っております。

 一つは、印紙税というものでございます。

 印紙税については三千八百億ぐらいの税収になるんじゃないかなと思っておりますけれども、先ほどのお話によると数千億は自由にできるとかなんとかいう話もありますので、多いのか少ないのかよくわからない金額でもあると思うんですが、これは、十年前に一回問題になったことがあります。

 これは、「二十一世紀に向けた国民の参加と選択」、平成十二年の七月の税制調査会で、「ペーパーレス化が印紙税の課税ベースに影響を及ぼすのではないか、との指摘があります。」「現在、取引に伴う文書の作成義務やその様式を定めている各種の制度の動向や取引の実態を注視するとともに、課税の公平性・中立性を確保する観点から何らかの対応が必要かどうか、文書課税たる印紙税の性格をも踏まえつつ、検討を行う必要がある」、こういう税制調査会の文面があります。これは十年前でございます。それ以来の話であります。

 私は、民主党が政権交代した限り、こういった税制についても百八十度転換するなどして、この印紙税を廃止するというような方向も踏まえまして、思い切った政策の転換もやってもいいんじゃないかなと思っております。

 というのは、一つは、イギリス、フランスは近いものがありますけれども、アメリカ、ドイツはないというようなことがあります。イギリスも株式とか不動産等に限定されておりますし、フランスもパスポートや小切手に限定されているというように、非常に範囲は狭いというところがあります。それに対して日本は、二十の課税文書について範囲が極めて広いということで、わかりにくい。私も税理士をやっていますけれども、わかりにくい。そして今、十年前の書面にもありましたように、まさに電子化されております。ネットで取引すれば課税されないという抜け道もあります。

 それからもう一つは、不動産売買契約書のように、例えば、買い手と売り手で二つずつつくって、六千万円の売買をしたとしますと、六万円ずつ両者にかかるということになりますので、例えば、今、節税方法として、コピーをして片方は持つというようなこともされているという現実がございます。

 そして、何しろ怖いのは過怠税というものですね。張ってなければ三倍の税金が取られる、そして印鑑が押していないということだけでも二倍の税金が取られてしまう。本当に、取引を拡大する上において、この怖い税金のために取引を渋る、または文書化することを少なくとも渋るというようなことが行われるとしたら、日本経済のパイの拡大のためには一つ疑問の残る税制なのかなとちょっと思っております。

 そういう意味で、税制で税金をもらう効果が少ないという中で、いろいろと、我々仲間も上場を目指すとか起業家を目指すとかいう方がたくさんいらっしゃいますけれども、そういう人たちが、このたった一つのわかりにくい印紙税のために、過怠税を払ったり、罰金の汚名を課されるとか新聞に書かれるとか、そういうことのために起業家になることをあきらめるなんということもあったら、かえって日本経済にとって大きなマイナスではないでしょうか。

 そういう意味で、この印紙税の廃止を含めて検討をもう一度お願いしたいな、そういう意味で菅大臣に御見識をお聞きします。よろしくお願いします。

菅国務大臣 私も、ちょっと性格が違うかもしれませんが、弁理士の仕事で特許出願の印紙をかなり張ったりした時期もあるんですが、これは正式には印紙税とは若干違うようでありますが。

 印紙税は、まさに今言われたとおり、経済取引に伴う文書の作成行為の背景に経済的な利益があると推定されることなどから、広範な文書の作成に当たって一定の負担を求めているものであります。現在、来年度予算の中で約四千億円の税収を見込んでおります。長い歴史の中で、我が国の経済取引の中での定着がされているわけで、本音ベースで言えば、税収などからすると重要な役割を果たしているというふうに考えてはおります。

 しかし、今指摘がありましたように、ペーパーレス化の普及や技術の進展によって、印紙税をめぐる状況は極めて大きく変化をしていることも認識しております。そういった意味では、税制全般の見直しを進める中では、今御指摘のあった文書課税たる印紙税の性格を踏まえつつ、課税の適正化及び公平化などを幅広い観点から検討していきたい。新たな税調の中でこの問題も課題として取り上げていきたい。

 ただ、先ほど申し上げたように、税収全体も非常に落ち込んでいるところもありますので、それもあわせた検討にならざるを得ないかな、そんな印象も持っております。

橋本(勉)委員 どうもありがとうございました。検討していただきますことを、本当に心から感謝申し上げます。

 それから、先ほども菅川さんからの質問がありましたけれども、もう一つ菅大臣にお聞きしたいのは、お年寄りの税制ということであります。これは民主党のマニフェストの中にもしっかりと書いてあります。「公的年金控除の最低補償額を百四十万円に戻す。」「老年者控除五十万円を復活する。」こういうことがしっかりとマニフェストにも書いてありました。にもかかわらず、今回の大綱の中には全く触れられておりません。

 私も、地元に帰りますと、若い男女のお父さんお母さんに会うよりも、お年寄りの方に会うことの方がちょっと怖い感じが今しているんですね。それは恐らく、今回の民主党の政策の中で、お年寄りに対するメリットがちょっと少ないんじゃないかなと思いまして、今回、税金はどうなっているんだ、これからどういうふうにしていくんだと。環境税についてはこれから検討するとかしっかりと明記はしてあるにもかかわらず、この大綱の中には少しも触れられていないとは何事だということで、お聞きします。

 六十五まで本当に一生懸命働いてこられて、日本経済に貢献されてきた彼らの力に対する報いというものも一つあると思います。もう一つは、六十五はまだ若い、これから彼らが働いていただいて、日本経済のパイをふやしてもらえる、その原動力になる、活力になる、そういった人たちに対して何一つメリットがないとしたら、また、これから今後何も見込みがないとしたら、これは間違った政策ではないかなと思っておりますので、その辺についても御見識をお伺いしたいと思います。菅大臣、お願いします。

    〔委員長退席、中塚委員長代理着席〕

峰崎副大臣 やや専門的なところに入ってまいりますので、私の方からちょっと答えさせていただきますが、これは実は、マニフェストをつくる段階から大変議論のあったところでございます。

 なぜかといいますと、これは、六十五歳の老年控除と公的年金控除を下げたときの経過は、御存じのように、いわゆる基礎年金の三分の一財源を二分の一にするために、かつての与党側がこういう形で進めてきた。

 そのときに、私どもは、やはり高齢者の方々の生活をしっかり見なきゃいかぬということの観点がありながらも、もう一つの観点として、実は、非常に重要なのは、若い方々と年金をもらっておられる方々とのいわゆる世代間の格差を考えたときに、一体どの程度がいいんだろうかということを、野党時代にはかなり議論をいたしました。

 しかし、そうはいっても、これはやはり問題があるということでマニフェストに載せたわけでありますが、その際に、所得制限を加えようじゃないかと。かつて六十五歳のところで一千万円という所得制限がありましたけれども、それは実は、背景としては、高齢者になればなるほど所得格差、資産格差が拡大してくる。

 そういう意味で、一律に、年齢で六十五歳以上とか、そういったところで区切るというやり方がどうかなということはありながらも、今申し上げたような観点からこれを進めているということで、実は、昨年の税制改正の中でもこれをどうするかという議論は、当然ながら、いわゆる扶養控除を廃止したときに、二十三歳から六十四歳までのところは、実は成年扶養控除というのがあったわけですね。これを下げる下げないのときにも、同じように、では六十五歳以上もマニフェストに載せているから、この点についてどうするかという議論はございました。

 ただこれは、当然のことながら、いわゆる年金制度の改正問題と非常にラップしてまいりますので、そのあたりは、これから年金制度の改革も内閣全体として議論されていくということになりますので、そういう中で、きちんと老年控除と公的年金等控除のあり方も当然議論していかなきゃいかぬなという課題になってくるだろうと思います。

橋本(勉)委員 そうすると、年金制度の改革といいますと、最低保障年金等で、四年間で一応骨格を決めようということになっていると思いますけれども、四年間のうちに五十万円の老年者控除の復活とか公的年金控除の拡充というのは、時間がかかるということですか。

峰崎副大臣 ちょっと別の方向に、ややずれてしまいましたけれども、所得税制のあり方の配偶者控除もほとんどことしも触れておりませんし、そういう控除全体の見直しという中で、当然のことながら基本的にはかかわってまいります。

 ですから、一番これから改革をやらなきゃいけないのは、まずは所得税制のあり方を専門家委員会でも議論いたしますから、その所得税の中で、当然のことながら老年者控除とかあるいは年金所得における問題も出てまいります。

 そういう全体の中で議論をするということでございますので、四年間の間にというよりも、もっと言えば、ことしの秋ぐらいには、所得の控除の問題その他、かなり全面的に議論をするはずになっておりますので、そちらの方で議論していくということの方が正論だと思います。

橋本(勉)委員 どうもありがとうございました。

 もう一つ、菅大臣に、前の菅川議員と同じ質問なんですけれども、国税庁の定員それから警察職員の定員の数というのを長期的に調べてみました。昭和三十六年ぐらいから見ますと、国税庁の定員が、五万七百三十四人から平成十九年では五万六千百八十五人という若干の増加に対して、警察職員の数は、十四万九千人から二十八万人ということで、四十七年で倍増近いふえ方をしているわけであります。

 今、菅川先生からの御指摘もありました。控除を廃止して、最低の課税所得を下げて、そして申告件数がふえるというような問題もありますけれども、長期的に見て、なぜ国税庁の定員をふやしていないのかということだけ若干コメントをいただけたらと思います。

菅国務大臣 ちょっと質問の通告に入っていなかったので常識的な答弁しかできませんが、やはりいろいろなコンピューター化等がありますので、場合によればそういった意味での効率化が図られた部分もあったのかな。警察はまた別の意味でいろいろ、国民の安全、安心という面でかなり大きくなってきたのかな、私なりの思いではそんなふうに見ております。

橋本(勉)委員 今後はいろいろと経済が拡大するという中で、国税庁の存在、または歳入庁という考え方も生まれておりますので、ぜひ国税庁の定員増ということについては御検討いただきますようお願いを申し上げます。

 続いて、峰崎副大臣にちょっと詳しい増税の話でお伺いさせていただきますけれども、先ほど申し上げましたように、増税というのは結果的には税収減になっちゃうので非常に慎重に対応してほしいと私は申し上げました。そういう中で、環境税それからたばこ税ということでお聞きをさせていただきたいと思います。

 この大綱の中でも書いてありますけれども、「グッド減税・バッド課税」ということで、健康に配慮した税制、また地球規模の課題に対応した税制の検討も必要だというようなことを書いてありますが、そこに分けてあるグッド・オア・バッドという基準でありますけれども、これで増税されてはちょっとたまらないのかなという気分がちょっとしております。こういう増税をするときにはもう少しきめ細やかに検討していただければな、そういう議論が私は必要だと思っています。

 例えば環境税でございます。

 やはり何か経済的な便益を得る以上、多少のCO2の排出というのはやむを得ないと思います。そういう中で、問題は、最適な排出レベルというのはどれぐらいになるのかということをまずあらかじめ、あらかたつかんでいただければということであります。

 それからまた民間でも、別に環境税を導入しなくても、先物市場だとか排出権取引とか、環境税以外の政策手段で、環境の規制とか誘導とか説得、そういう手段もあるわけであります。

 そしてまた、当然、中国とかアメリカのCO2の排出量が多いという、国際的な協調を図るという方向もあります。

 そういう中で、税制論議としましては、一つは、環境税を導入して相対価格を変えるということでCO2の排出者の価格を割高にする、当然そういう価格効果というのはあると思います。もう一つは、環境税だけが別に環境対策の財源と言えるわけではありません。別に所得税でも法人税でも消費税でも、基幹税と言われるものの中から環境対策に充てたっていいわけでございます。

 そういう意味で、これから論議するとおっしゃっておりますけれども、ここら辺、経済学的な論議も必要なのかと考えております。別に、目標水準以上の抑制ができれば、補助金を出したっていいわけですね。補助金を出したって環境税と同じ効果は得られるわけですから、そういう政策もあってもいいと思うんです。バッド課税ということで環境税を導入するメリットが大きいという根拠というものは、まだ十分大きいわけではないと思います。

 確かに、大綱の中で、お年寄りに対する税制は全く触れられていないのに対して、環境税導入は検討していくというようなことがちゃんと明記してありますので、そこら辺をしっかりと検討していただくということ。

 そしてまた、たばこ税であります。

 たばこ税も、同じようにバッド課税という論議だけではなかなかいかないのではないでしょうか。つまり、喫煙規制だとか誘導、説得とか、そういう方法でたばこの消費を抑えるという方法は当然あるはずですね。そういうようなものがありながら、増税でたばこ消費がどのくらい減少していくのか不透明であるという中で、税収目的なのか、それとも消費を抑制するのか、今回の増税が国民に本当に理解されたのかどうか、その上での増税だったのかどうか、そこは甚だ疑問であります。

 例えば、プラスマイナスで八百億円の税収というのが書いてありますけれども、そういうものがどのように出されたのか。それとも、三百円の価格から百円上がると税収が上がるということは、価格の弾力性というような効果が非常に大きいのかというようなことも、はっきりとは明記されていませんので、そういうような精緻な理論に基づいて増税論議をやっていただきたい。

 特に増税については、今はそういうもっと精密な親切な討論が必要な時代ではないかなと考えておりますので、峰崎副大臣にそこの点についてコメントをお願いいたします。

峰崎副大臣 確かに、増税ということに対して我々は慎重でなければいけないということはそのとおりだろうと思いますね。

 ただ、今の時期は確かに、百年に一度の、景気がこういう状況ですから、そういったことも今年度の税制改正を論議する上に当たって、特に租税特別措置の見直しに当たっては、かなり配慮をいたしました。そういう意味で、もっともっと切り込んでいくべき必要があるところはまだたくさん残っていると思いますので、これを今後は進めていきたいと思います。

 ただ、一点、私個人の見解を余り言うべきことではないんですけれども、やはり国民の皆さん方は、日本の税収がどのぐらい落ち込んでいるか、そして歳出がどのぐらいになっているかということはもうよくわかっているわけですね。ですから、そういう中で、やはり国民はある程度の負担は受け入れざるを得ないなと。この間、朝日新聞が世論調査をやっていたのを見ても、消費税に関しても数字が載っておりまして、それを議論することについてはやむを得ないという主張の人がたしか四八%ぐらいで、いや、まだ早いんじゃないかというのが四六%で、少し、二%ぐらい上回っていたように思いました。

 そういう意味で、私は、ある意味では、きちんとそういった点は勇気を持って、議論するべきときはしなきゃいけないなというふうに思っております。

 そういう一般論は別にいたしまして、今回、環境税の問題に関しては、これは先日もちょっとお話し申し上げましたが、地球温暖化対策税という名前で、特にガソリン税あるいは軽油引取税、この暫定税率分を、総理がああいう形で謝罪をされながらも、この問題をやはり環境税という問題へシフトしていくという、やはり大きな一つの課題が残っておりますので、これは我々としてはこの一年以内にやっていかなきゃいけない課題だというふうにしっかりと押さえました。

 その際に、環境税というものの使い方、あるいは環境税をどう位置づけるか、これらについては、ただいま、多分戦略室の方で、全体の排出権取引、あるいは今おっしゃった、もう課徴金は入っておりますが、補助金とか課徴金とか、そしてこの環境税、これら全体をやはり環境政策の中にしっかり位置づけていかないとまずいねと。環境税だけが突出していくということにはなかなかなりにくいんじゃないだろうかというふうに思っております。

 問題は、今おっしゃられた「グッド減税・バッド課税」というところなんですが、これは実は、私たちが民主党の税制調査会の中で議論したときに、大体、物品税というか個別間接税に関していうと、これはやはり五%の消費税に一元化をしていこうじゃないか、それよりも上回る場合には何らかの根拠が要るだろうという意味で、私たちは、地球温暖化対策税、CO2を排出するという点に着目して、これを環境税という形でシフトしていったらいいんじゃないかと。

 同じような観点からたばこの問題も、実はこれは、健康に与える影響というのは御存じのように非常にはっきりしておりますので、ことしの税制改正を私たち与党の税制調査会、政府税制調査会で議論したときには、明らかに健康目的ということを前面に出した。

 当初は、お酒についてはアルコール度数課税がいいんじゃないかというような議論もあったんですが、それは余り議論になりませんでしたけれども、実は、ニコチン、タールに着目してはどうだというような精密な議論をしていこうというふうに考えたこともあるわけであります。しかし、結果的に、ニコチン、タールはフィルターでもって全部調整されるということで、これは残念ながらそれを基準にするというわけにはなかなかいかないなということで、たばこ一般というところで、実は今回は、売買価格にしますと一本五円、税でいえば一本につき三・五円。これは過去にない大変な引き上げ幅を、国民の皆さんにお願いすることになったわけであります。

 その意味で、この与える影響というのは非常に大きいものがあるだろうと思いますが、一面、私たちは、国民の皆さんに、今までたばこに関しては税収ということを非常に大きな目標にしておりました。これからも税収は、我々はそれを全く放棄しているわけじゃありませんが、基本的にはやはりこれは健康目的というところに大きくシフトしていこうということで、今回、五円の値上げというふうになったわけであります。

 その与える影響というのはどうだろうかということで、我々が計算するときに、どのぐらいの方がやめるんだろうか、値上げに伴ういわゆる減少数といいますか、これを推計でもって実は計算させていただきました。その結果、かなり減るんじゃないだろうかということで、平年度でいいますと、たばこは二二から二三%程度減るんじゃないだろうか、初年度では一一ないし一二%ぐらい減るんじゃないだろうかというような見込みを、厚生労働省研究班の報告書などを用いて私たちは見込んだところです。

 これがそうなるかどうか、ふたをあけてみないとちょっとわかりません。そして、ことし十月一日にこれは値上げになりますが、平年度ベースですから、来年の実績がどうなっていくのかということは非常に私たちも注目して、今後のたばこ税のあり方について議論していきたいというふうに見ているところでございます。

    〔中塚委員長代理退席、委員長着席〕

橋本(勉)委員 どうもありがとうございました。

 最後に一つ、証券税制で田村政務官の方にお聞きさせていただきたいと思います。

 今回、二〇%の本則課税に戻して、日本版ISAという税制をつくるということでありますが、これは、今、日本の株価がさえないし、また売買高も全く多くありません。予算委員会で、柿澤委員の質問に対して仙谷大臣が、何か市場をエンカレッジするような方法はないだろうかと、まさに民主党の大臣もエンカレッジする方法を求めていらっしゃる、そういうような状況でございます。

 そんな中で、二〇%の本則課税に戻すということと、それから日本版ISAということが本当にどうなのかということで、質問させていただきます。

 株価というのは、基本的にファンダメンタルで決まるんじゃないかと思いますが、税制の影響もないわけではありません。かつて昭和二十八年に株式のキャピタル課税というのが原則非課税になって、平成元年になってから原則課税になって、その結果、株価も下がりました。

 そういう中で、問題点をちょっと羅列させていただきますけれども、まず三百万円の制限というものがあります。英国のISA税制は残高の限度額というものがありません。それから、未使用額が翌年以降、繰り越しができないのに対して、イギリスの場合はできます。三年後に見直しと言われておりますけれども、イギリスの場合は、三年から四年では余り増加しておりません。そのときにまた廃止になっちゃうという可能性もあるんじゃないかなと思っています。

 一番問題なのは、これはシンプルじゃないということであります。例えば、税務署に届けているということ。前年度の十月一日からその開設年度の九月三十日までに税務署に届けるということですから、その年の十月一日以後に提出したら再来年度まで待たなければいけないし、税務署が一回、申請書の提出がないと確認して、どれぐらいかかるかもわからない、橋本勉という同姓同名の人間がいるかどうか。そういう意味での非常に煩雑さがあります。

 そんな中で、いろいろな代替案があります。軽減税率の延長をもう一回やるとか、ゼロ%税率にもう一回戻すとか、それから優秀なファンドマネジャーを招くとか、いろいろ外人投資家にもう少し導入するような、そういった税制もいろいろあると思うんです。

 その中で、そういった本則課税二〇%に戻して、日本版ISAで、おためごかしの方策で、証券税制を立て直して、証券市場活性化に結びつくかどうか、まさにそこが問題ではないかな。エンカレッジできるかどうか、そこをお聞きしたいと思います。

田村大臣政務官 日本版ISAと証券税制全体についての御質問でございましたけれども、日本版ISAにつきましては、逆に橋本先生の方がお詳しいかもしれません。いろいろな御指摘をいただきました。

 思いは御理解いただいていると思いますけれども、日本はまだまだ個人投資家の育成というのは、長年の課題でありますけれども、なかなかうまくいかないという中で、イギリスにモデルがあって、それを日本でもやってみようということで、今回導入を決めたわけであります。今まで余り株式投資になじみがないような方を引き込むという意味で、できるだけ一般の方が使いやすい制度にということを考えて設計をしたつもりでございますが、そこは、いろいろな御意見をいただきながら、改善できるところはしていきたいなと思っています。

 三年間というのは、確かに、イギリスも三年間、最初は余り伸びなかった。それが、その後、五年目、六年目あたりから伸びてきて、結局イギリスでも恒久化をされたわけであります。

 そこは日本でやってみなければわからないところはありますけれども、かなり財務省さんとも、それこそ峰崎副大臣ともいろいろな議論をいたしました。まずは三年間やってみて、そのときに実績がどうなるか、そこはできるだけ利用していただくように、金融庁としても努力をいたします。また、三年後、あらゆる手だてを打つという意味で、きっと効果はあるだろうと思っておりますので、そこはさらに延長できるように努力をしていきたいなと思っています。

 さらに、証券税制、そもそも本則税率をどうするかという話でありますけれども、ことし、またさらに議論をしていきたいと思っています。例えば、民主党の税制調査会におきましては、十分御案内だと思いますけれども、三年前、まだ金融危機が発生をする前の段階では、譲渡益は本則に戻して配当は一〇%そのまま維持するというのが当時の民主党の意見だったわけですね。

 ただ、それが、金融危機の後どうするか、引き続き延長しようという話になっていますけれども、やはりことし一年間はしっかりと議論しなければいけないというふうに思っていますので、ぜひともまた御意見をいただければと思います。

橋本(勉)委員 本当に日本経済全体をエンカレッジできるような税制に変えていただけるよう、お願いします。

 私の質問は以上です。ありがとうございました。

玄葉委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 民主党の今井雅人でございます。きょうは質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。

 きょうは、民主党四人質問ということで、質問が重ならないようにということで考えてまいりましたので、少し細かい、マニアックな質問が多いかと思いますが、今井はいつも細かいことばかり言うなというふうに思わないでいただきたいと思います。

 ただ、きょうの質問は、私がいろいろな国民の皆さんから、こういうところもどうなんだというところでいろいろ意見を伺っている、その声をきょうこの委員会にお届けする、そういう趣旨で御質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 御答弁は、実務的になると思いますので、峰崎副大臣を中心にお願いしたいと思います。

 まず最初に、エコカー減税についてお伺いをしたいのですけれども、このエコカー減税、前自公政権からこの政策はなされておるわけでありますが、景気対策としても非常に効果があって、さらに、民主党を中心とする政権の、環境に優しいという、これにも合致しているということで、前政権の政策ではありますが、いいものはそのまま引き継いでいこう、こういう姿勢は大変すばらしいことではないかというふうに思っているわけでございますが、中身を少し御質問したいのです。

 資料をお出ししていると思いますが、この資料の乗用車の方のグラフなんですけれども、実は、このエコカー減税というのは、いわゆるハイブリッド車に非常に特典があるような仕組みになっているわけであります。このハイブリッド車のところの、下の階段のようなグラフがありますけれども、重量に従って燃費基準というのができているわけであります。これは、重い車ほど燃費がもともと悪いので、それを改善するということでこういう基準がなされている、それは一つの考え方であろうかと思います。

 ただ実態は、この左側の方を見ていただきたいのですけれども、軽自動車。軽自動車は、単純な燃費だけで比べると、一部のハイブリッド車よりも燃費性能がいいというものがたくさんあるわけであります。

 ところが、まあいろいろな意見があると思います、例えば、大きい車は乗車人数が多いのでその分も考慮しなきゃいけないという御意見もあるかと思いますが、ただ、一般的に私が考えますと、例えば通勤に使っている、日常生活に使っている場合は、やはり一名、二名で運転をするということで、軽であろうが重い大きい車であろうが、そこは同じなんじゃないかというふうに考えているわけであります。

 それで、このエコカー減税のものを見ますと、ハイブリッド車は税が全額免除ということなんですけれども、軽自動車に関しては七五%軽減ということで、ハイブリッド車の方が優遇されているという状況が今あるのですけれども、幾つかの観点でちょっと考えていただきたいのですが、まず一つは、実際に環境にいいのはどういうことなのかということを考えたときには、まずやはり燃費というのが当然考えられるだろうということが一点ですね。

 それから、私は岐阜の非常に田舎のところにおるわけでありますけれども、田舎の人たちは非常に所得が低いんです。私の下呂市のところも、今、平均所得年間二百五十万円という非常に低所得者の地域なんでありますが、こういう低所得者のところほど軽自動車の普及は非常に多いんですね。例えば島根、それから鳥取、佐賀、こういうところなんかもそうなんですけれども、結局、高い車はなかなか買えないので、しかもガソリンの値段もなかなか払えないので軽自動車を買っているという地域があるわけですね。

 ところが、こういう地域の人たちは、このエコカー減税に関しては、どうしてもハイブリッド車に比べるとメリットの享受が少なくなっているというのがこの税制の一つの問題点じゃないかというふうに考えておりまして、実際ハイブリッド車を見ますと、プリウスなんかは二百万ぐらいで買えますけれども、ほかのは三百万、四百万、五百万で、なかなか一般の庶民には手が届かない、こういうものがありまして、やはり軽というものをどうしても買わざるを得ないというところがあるわけです。

 ぜひ、そういう地域を大事にするという観点から、こういう低所得者向けのところにも光を当てていただいて、この減税のところを少し御検討いただけないかということを考えておるわけでありますが、この辺についての御意見をお伺いしたいと思います。

峰崎副大臣 私は北海道に住んでおりますので、やはり車が不可欠なんです。私個人は、運転免許を持っていない珍しい人種なんですけれども。

 私も、地域を走っていまして、最近は本当に、黄色ナンバーですか、非常に軽の車がふえているなという感じはしております。それはやはり、一つは所得の問題と、燃費の問題というものがあるんだろうと思いますね。それとやはり税の問題も、後で申し上げますが、実はかなり軽自動車に対する特典というのはまた別にあるわけでありますね。

 そういう意味で、今回のエコカーの問題については何を重視したのかというときに、燃費というところに基準を当てたというよりも、どちらかというと次世代の技術革新という点で、プリウスに乗ったら前に出てまいりますように、電気でやっている場合とそれからガソリンで動いているときと、同時にやっているのですね。ああいう次世代のいわゆる技術に着目をして、それをある意味で積極的に支援しよう、こういうところに力点が置かれているというのが、私は今回のエコカー減税の一つの特徴点じゃないかなと思っています。

 そういう意味で、燃費というところだけを見てやれば、やはり当然軽の方がもちろんそうなんですが、軽も今、最高七五%、そして五〇%の減税をやっていますが、軽でももしハイブリッドなものを入れたら、多分それは免税になっていくだろうと思います。そういう点での、技術革新を進めていく点をやはり我々としては重視しているということ。

 そして、軽自動車は御存じのように、普通の自動車税も、軽ではないものは自動車税、それから軽自動車の自動車税と分かれているように、税率が非常に低くなっております。そういった点も含めていろいろ配慮しているというところに、軽自動車に対する別途特殊性があるということだけは申し上げておきたいと思います。

今井委員 ありがとうございました。

 軽自動車税ということで既に優遇があるというのは承知しておりまして、ただ、新しい政策をやるということでありますので、そこの新しいところに関してはまた新しい対応をしていただくということをぜひお願いしたいと思いますし、先ほどのハイブリッドのことですけれども、これは軽自動車の業界の方に聞いてまいりましたら、やはりあれだけ小さい車体の中にハイブリッドというものを搭載するのが非常に難しいということで、現実的には軽自動車のハイブリッドというのは難しいわけです。

 ところが、軽自動車業界は、燃費、リッター二十四とか二十七とかいう世界を何とか三十ぐらいに持っていきたいということで、違う形での技術革新ということを今模索しておられるようですので、そのあたりのところもぜひ御配慮をいただきまして、今後御検討いただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 次に、金融所得一体化の税制に関しまして、外国証拠金取引というものに関しての質問をさせていただきたいと思います。

 これはまた、なじみのない方がいらっしゃるかと思いますけれども、一応御説明をしたいと思いますが、平成十年に外為法が改正になりまして、そこから外国為替証拠金取引、いわゆるFXと言われているものですが、これが非常に拡大をしてまいりました。ところが、最初の段階では監督官庁がなかったものですから、かなりうさん臭いようなものもいろいろ起きたわけであります。それで、平成十七年に金融先物取引法の一部を改正する法律というものが施行されまして、このFX、外国証拠金取引が金融庁の実質監督下に入るということになりまして、それと同時に、当時の東京金融先物取引所、現在の東京金融取引所でございますが、ここにもう一つ、くりっく三六五という商品が上場をされたわけであります。

 当時、十七年に上場されたときに、この上場の商品は租特の適用ということで、申告分離課税、先物取引の損益通算、それから、三年間にわたって先物取引の雑所得の繰り越しの控除が可能、こういう特例がついたわけでありますけれども、その後、相対の店頭の取引の方もさまざまないろいろな改善がなされまして、平成二十年度の税制改正では、店頭のFX取引においても取引所の取引と同様に支払い調書制度というのが導入されました。これで、まず取引所取引と同じような制度に一つなりました。

 それから、金融商品取引業に関する内閣府令ということで、ことしの二月より、店頭の取引も金銭信託の義務化ということが義務づけられまして、もう既に始まっております。

 さらに、この二十二年の八月からは、レバレッジの規制ですとかロスカットルールの義務化ということが施行されるということになっておりまして、現時点におきましては、取引所取引と店頭取引の仕組み、あるいは安全性、投資家保護の観点、ほぼ同じような状況になっているわけであります。

 しかしながら、税制だけが今ばらばらの形になっておりまして、上場のものに関しては申告分離課税、店頭に関しては雑所得で総合課税ということになっているわけであります。

 もともとの経緯はいろいろあったとは思いますけれども、こうやっていろいろなところが改善されている中で、今ほぼ同じ条件になっていますので、税制も一体化すべきではないかと思います。

 つけ加えさせていただきますと、現在、取引所取引の方は口座数が十七万、預かりで一千百億円ということですが、店頭の方は二百六十六万口座ありまして、預かりが五千二百億円で、圧倒的に店頭の方が今マジョリティーを占めているところで、投資家の方からもたくさん要望が来ておりますので、この点をぜひ検討していただけないかということで、これについてのお考えをお伺いしたいと思います。

峰崎副大臣 今の御質問にお答えする前に、もう既に軽自動車でもハイブリッドのものが売り出されておりますので、そういう意味では、先ほど小型車には入らないんだというところもおっしゃられましたけれども、やはり日本の技術革新の力というのはすごいなというふうに思いますので、補強をしておきたいと思います。

 今のFX取引ですね、私も最初は、FXって何なのかと。ミセス・ワタナベというんですか、普通の家庭の主婦までこういう取引をしているということで、かなり有名になった取引でございますが。

 今の、数字をちょっと私も知らなかったんですけれども、かなり取引の数もふえているし残高もふえているということを聞いて、やはり店頭が取引所取引よりもふえているなということを痛感して、今おっしゃられましたように、税制上の扱いが、これはやはり取引所取引を優遇しようということで設けたものなんですね。

 しかし、いずれにせよ、今お話しなさったようなことも含めて、私たちは、金融所得の問題は、総合課税という大きな目標というのは、これは是か非かというのがあるんですけれども、金融所得に関しては一体の課税に持っていったらどうだろうという議論がありますので、その中で、今御指摘のような点は解決をしていったらどうかなと。

 番号制度の導入も今急いでおりますから、何も金融取引だけではなくて、番号全体を活用する一つの材料にもなるのかなというふうに思っておりますので、しっかりと受けとめて頑張っていきたいと思います。

今井委員 どうもありがとうございました。

 実はこの問題、ちょっと観点が違うんですけれども、ちょうど人事の問題のところでいろいろ、これは一月二十三日の朝日新聞でもこれが取り上げられまして、参議院の予算委員会の一月二十八日に世耕議員がこの点について触れられておりました。私は、これは実は観点は違うと思いますけれども、東京金融取引所と相対のところが違うということは、明らかに財務省から特別な権限が与えられた特別な会社であるというような批判を受けておりますので、こういう余計な疑義を受けないような、やはり税というのは公平ということが一番大事ですので、そういう観点からぜひ御検討をいただきたいと思います。

 次の質問に参りたいと思います。

 先ほどもございましたけれども、地球温暖化対策税についてお伺いをしたいと思います。

 今、税制大綱の中で、「平成二十三年度実施に向けて成案を得るべく更に検討を進めます。」ということで、現在たてつけについてはいろいろ御検討をなさっていると思いますが、私、きょうは、この使途の方について少しお伺いをしたいと思うんです。

 私の出身の下呂市は、森林が九一%というもう本当に山の中なのでありますけれども、昔は林業が本当に盛んで、町が非常に潤っておったのですが、今は見る影もないわけであります。最近、民主党の中で、第一次産業をもう一回活性化するということ、あるいは環境に優しい、これに対して地域の人は非常に今期待をしておられまして、これだけ森林を持っているということは、今までは不利な条件だったけれども、これからは本当に、こういう自然資源を持っているということは我々の財産であるというふうにみんなが今期待をしておるわけであります。

 大変残念ながら、今林業の世界は、私が申し上げるまでもないと思いますが、木材の価格が非常に下がっていまして、今は一立米一万五千円とか一万六千円とかという価格で、とてもやっていけない。間伐すらできずに、間伐をすると当然赤字がどんどんふえていきますから、山が荒れまして、それによって洪水が起きたりします。

 それから、環境の面から考えても、木というのはしっかり手入れをすると息をしっかりしますけれども、手入れをしないと人間と同じでなかなか息をしなくなってくるので、当然CO2の削減ということも、これはしっかり山を守っていくということは非常に大事なことだと思いますし、それと林業を活性させるということは非常にマッチすることだと思います。

 環境省が出しました税制改正要望の「地球温暖化対策税の具体案」の一番下の「使途」のところに、「「チャレンジ25」実現に向けた政策パッケージに盛り込まれる地球温暖化対策の歳出・減税に優先的に充てることとするが、特定財源とはしない。」というようなことで、目的税というようなことは今検討していないという内容がありますけれども、森林の整備ということは本当に環境に非常に重要なことだと思いますので、地球温暖化対策税を考えるときに、使途のところでぜひ、森林の整備というところに税の使い道を使うということをしたらいいんじゃないかなと私は個人的に思っておりまして、これは菅大臣の方に御意見をお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

菅国務大臣 ちょうど偶然、きょうの朝の朝日新聞ですか、林業再生に何か私が旗振りをしているなんというのが出ていて、うれしい記事なんですが。

 実は、二年ほど前でしょうか、民主党の林業再生プランというのを、私も本部長でまとめました。それに当たって、全国の森を見たり、あるいはドイツの黒い森に行って見てまいりました。

 びっくりした話をしますと、あるドイツの林家で話を聞いていたら、うちの山でとれた木を日本に輸出しているんですと言われたんですね。ドイツと日本ですからね、あんな遠くから、賃金水準も変わらないところから。どういうものなんですかと聞いたら、かまぼこ板とかお墓の塔婆とか、そういうものだそうです。

 何が根本的に違うかというと、日本は路網の整備がなされていない。それから、やはりそれに伴って機械化がなされていない。路網の整備をするには、実は土地所有がばらばらですから、これを団地化するというやり方をしなきゃいけない。いろいろありまして、今、それに向かって林野庁の方でも林業再生プランをつくっていただいて、かなり進める方向で農水省の政務三役がかなり頑張ってくれています。

 そんなことで、環境という面からもさらに言えば、約八〇%が今外材で輸入をされていますから、それにかわって日本で林業を再生する意味からも、実は国土交通大臣からも非常に強く言われている問題は、今から地場の土建業の皆さんの仕事がどうしても減る傾向にある、それにかわる転業の先としては、路網の整備を何十万キロという単位でやらなきゃいけませんので、それに向かって転業していくことを進めようじゃないか、こういう議論もいたしております。ここに篠原さんもおられますが、私と一緒に、篠原さんと山田副大臣と一緒にドイツに行って調べてきた、そういうものであります。

 そういった意味で、ぜひこの分野についても、環境でもあると同時に日本の大きな成長の分野だという位置づけで努力したい、こう思っております。

峰崎副大臣 税をどういうところに使うかというのは、本当にいろいろなところがある。目的税にしないでやっているところもありますし、目的税というか、そういうところにも使っている。

 やはり、税収だけで環境目的を達成しようとすると、非常に膨大な金額が必要になります。CO2の値段がトン当たり三万円ぐらいにならないといかぬ。そうすると、大変価格を引き上げざるを得ないということなので、それをやはりある程度下げて、環境目的のために使っていくというのが一番効果的だと言われておりますが、しかし、その場合でも、やはり特定財源という形にするというのはなかなか使いづらい。

 森林環境目的税という形で、かつて私が知っている限りでは、都道府県レベルでは、神奈川県かどこかで水道水に対する税をかけたことがあるやに聞いております。今は残っているかどうかわかりませんが、そういう形で、県レベルでそういう仕事をしている場合もあるということだけつけ加えておきたいと思います。

今井委員 どうもありがとうございました。

 先ほどの菅大臣のお話ですけれども、実は私の選挙区の高山市でも、今、建設業界と森林組合協会が一緒になって転業をしていこうというプロジェクトが始まっておりまして、新聞等でも報道されておりますけれども、なかなかやはり価格が合わなくて、採算ですね、ここの部分が非常に大きな問題になっておりますので、またこのあたりのところもぜひ御配慮をいただきたいというふうに思います。

 次に、少し話がずれますけれども、GPIF、年金積立金管理運用独立行政法人について少しお伺いをしたいと思います、きょうは厚労省の方もいらっしゃっていただいておると思いますので。

 平成十八年にこの独立法人ができておりますが、その際に、四年間の中期目標ということで、平成十八年四月からこの三月まで四年間の中期目標を策定して、今これについての検討会ということが行われておりまして、一昨日もプロジェクトチームで四回目の検討会が行われたというふうに聞いております。

 お手元の資料の裏側のところを少し見ていただきたいんですけれども、これは三回目の検討会のときに行政法人の方から出された資料の中から抜粋をしてきております。

 運用状況というところでありますが、これは私説明を受けましたけれども、この運用状況、実は平成十五年から二十一年度ということになっておりまして、上の段ですけれども、通期二・六一%の運用で回りました。下には比較が出ておるんですが、今運用の目標が、賃金上昇率プラス一・一というところで目標設定がなされておりまして、賃金上昇率がマイナスだったのでそれを加味すると、この間の目標は〇・九四%です、ところが実際回ったのは二%でした、よくできましたというような総括がなされているわけでありますが、この中期計画は平成十八年から四年間の中期計画ということであって、その総括を今しておるわけであります。

 ですから、この四年間に限ってパフォーマンスがどうであったかというのを見るのが、この中期計画の総括をする筋ではないかというふうに私は考えるわけでありますが、上のところですけれども、平成十八年からを見ますと、最後の年だけ半年分なのでこれを加味しますと、この間の運用率はマイナスの一・七%ということになっておるわけであります。

 もちろんいろいろな、経済危機等が起きたという不測の事態がありましたけれども、このペーパーを見ますと、いかにも期間を長くとって、期間なんてどういうふうにもとれるわけですから、自分の都合がいいところの期間をとれば、いいような数字が出てくるわけですね。これは恐らく、長期的な観点で十五年からとっていますという答弁が来るかなとは思いますけれども、それを言ってしまえば、もっと前はどうだったのかということになりますので、やはり計画に対して実績がどうであったかという総括をまずすべきだというふうに考えております。そう考えると、この四年間の結果をもう少しやはり真摯に考えるべきじゃないかなというふうにこれを見て思ったのが一点。

 それから、今手数料とかこういうものの見直しということをここでやっておるわけでありますけれども、いろいろな運用がありますが、例えば、この一つの中に国内株式のパッシブ運用というのがあります。これは、今回一社外れましたが、もともと八社で運用をしておられますけれども、そもそもパッシブというのは、これはTOPIXでベンチマークをとっているはずですが、ベンチマークについてルールに従ってやるということですから、八社も必要ないんですね。

 しかも、これは随意契約になっているようですので、しっかり競争入札をしてもう少し絞り込めば、手数料というのはもっと恐らく減らせるだろうなと。仕分けの対象になるぐらいのところじゃないかなというふうにも思いますし、あと、細かいことは申し上げませんが、アクティブ運用のところも、実はベンチマーク比、大きくマイナスなところはたくさんありまして、これは選定したところがやはり結果として悪かったという結果も出ているわけであります。

 その辺のところの総括を今どういうふうにお考えであるかということをお伺いしたいと思います。

二川政府参考人 年金積立金管理運用独立行政法人の中期目標期間における評価と、それから手数料等についてのお尋ねかと思います。

 この独立行政法人につきましては、御指摘のとおり、創設されたのが十八年ということでございまして、前の法人が運用はしておりましたけれども、この法人になりましてから、十八年度からということでございまして、この法人の中期目標期間は、十八年から二十一年までの四年間ということで第一期目ということでございます。

 一期目全部の四年間ということにつきましては、まだ年度が終わっていないのでまだですけれども、昨年度末、二十年度末までの三年間の評価といったことで、厚生労働省の評価委員会におきまして暫定の評価を受けてございます。

 そこにおきましては、御指摘のとおり、この三年間だけ見ますと、賃金上昇率を上回る実質的な運用利回りの確保、こういった観点からは、平成十六年の年金財政再計算の前提を下回っている、こういった評価を受けてございます。ただ一方で、市場の平均的な収益率をあらわすベンチマークとの比較におきましては、全体としてはベンチマーク並みの収益率をおおむね確保した、こういった評価を受けておるところでございます。

 また、御指摘の中にもございましたけれども、年金積立金の管理運用ということにつきましては、短期的な評価ではなくて、長期的な視点で評価をするといったようなことが重要であるということもあわせて指摘されてございまして、平成十三年からこういった自主運用、市場運用を行っておりますので、そういった八年間を見ますと、年金財政の前提を上回っている、こういったようなところでございます。

 それから、手数料等のことでございますけれども、これにつきましても今回、運用の目標といったことも重要な検討課題なんでございますけれども、この積立金運用法人の業務全般につきましても見直しといったことでございますので、昨年十二月、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会からも、運用受託機関の適切な選定をもっときちっとやるべきだ、それから運用手数料の低減を一層進めるべきだ、こういった指摘を受けておるところでございまして、これまでも法人におきまして努力はしてきているかと思いますけれども、一層そういった努力は必要だというふうに考えておりまして、そういった観点から、現在、次の中期目標、中期計画策定に向けて検討を進めているところでございます。

今井委員 ありがとうございました。

 大切な年金ですので、ぜひしっかりした検証と審議をよろしくお願いしたいと思います。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

玄葉委員長 次に、竹内譲君。

竹内委員 おはようございます。公明党の竹内譲でございます。

 午前中は政務三役の皆さんも大分お疲れであったのか、民主党の皆さんの御質問のときは随分と睡眠をとっていただいておられたようでございますので、これからはちょっと目を覚ましていただきまして、いろいろ質疑をやっていきたいというふうに思っております。

 きょうも、残念ながら、自民党の皆さんは出てきていただいておりませんで、これはやはり異常事態、不正常な状態だと思うんです。しかし、我々はしっかりと国会に出て意見を申し上げるべきであるというふうに思っておりますので、出席をいたしました。

 その上で、ここでまず最初に意見を述べさせていただきたいとともに、菅大臣に、民主党の重要な議員さんでいらっしゃいますので、ちょっと御意見をお伺いしたいと思います。

 それは、今回の長崎知事選挙、また町田市長選挙等で示されました民意というのは、やはり政治と金の問題につきましてはしっかりやってもらいたいということだと思うんです。私どもも石川知裕衆議院議員の辞職勧告決議案を出しておりますし、これがたなざらしになっているというのはやはりおかしいんじゃないかというふうに思います。

 しかも、この石川議員は何か週刊朝日のインタビューに答えられていて、週刊誌に出るくらいなら国会に出てくるべきであるというふうに思うわけであります。予算委員会で私どもの富田理事も証人喚問要求をしているわけでございます。これが第一点目。

 それから第二点目は、総理御自身の問題につきまして、関係者の方々の国会招致等も要求をしているわけでございますし、これについてどのようにお考えか。

 そして三つ目は、総理御自身も説明責任が必要だというふうにおっしゃっている、小沢幹事長の説明責任。やはり政治倫理審査会などに出てきていただいて、しっかりこの国会で説明責任を果たされるべきではないか、このように思うわけでございますが、まずは菅大臣の御見解を承りたいと存じます。

菅国務大臣 連日、予算委員会とこの委員会で竹内議員から御質問をいただいておりまして、きょうは最初に政治と金の御指摘をいただきました。

 政治と金の問題、私も長年政治にかかわっておりまして、大変重要な課題であるという認識は変わらず持っております。そういう中で、いろいろ我が党に関する、あるいは現内閣に関する問題で、皆さん方にいろいろな意味で御心配やらいろいろな思いを持たせていることは、私も申しわけなく思っているところです。

 ただ、個々のことについては、石川議員、今離党されているわけですが、そのいろいろな扱いについてはそれぞれの委員会等で議論をしていただいていると思いますし、また鳩山総理に関しては、少なくとも私がそばで聞いている限り、御本人に対する質問についてはできるだけ真摯に答えておられると思っております。また小沢幹事長についても、やはりしかるべき委員会等の理事会等で議論をいただいていると思っておりまして、今の私の財務大臣という中心的な役割の中でいえば、そういったことにはもちろん関心というのか、そういうものはありますけれども、この予算なり法案を通過させていただくことに全力を挙げるのが私の今の優先すべき課題だ、こんなふうに思っているところであります。

竹内委員 行政府の機関の大臣としてはそういうふうにお答えになられるんでしょうけれども、私は、民主党の一衆議院議員としてのお考えを求めたわけでございまして、何かちょっと歯切れが悪いな、避けられているなという印象を持ちますし、かつての菅大臣のあの歯切れのよさとは全然違うなと、非常に残念に思った次第でございます。

 それでは、次に移ります。

 二つ目に申し上げたいことは、私は、公債特例法等、今回の法案につきましては、本会議でも重要広範議案として取り上げていただきまして、質問もさせていただきましたので、そのときに主な論点は既に申し上げております。そこで、その周辺の課題につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 何といっても、やはり予算と一番関係の深いのは子ども手当の問題だと思うんですね。きょうはせっかく峰崎副大臣、また野田副大臣に来ていただいておりますので、テレビ等でもしかるべき見識を発揮されておられますので、ぜひ、峰崎副大臣、野田副大臣の順番で、ちょっと御見解を賜りたいと思います。

峰崎副大臣 質問の中身は、子ども手当の何に対してでございましょうか。

竹内委員 もう少し詳しく申し上げますと、峰崎副大臣は、二月初めの記者会見で、相当無理があるとずっと思い続けていると発言されておられるわけであります。やはり無理があると正直に思われているのかどうか、ここを御回答ください。

玄葉委員長 財源の問題ですか。(竹内委員「はい」と呼ぶ)

 峰崎財務副大臣。

峰崎副大臣 実は昨年、予算編成、私は税を主として担当してまいりましたけれども、本当に最後まで、この子ども手当の問題を含めて、財源的に大変苦労したことは間違いありません。そういう意味で、全体として、また来年度の税制改正があるわけでありますけれども、本当にこの予算を、約束をしっかり守っていくためには、これはなかなか容易ならざる事態だぞという思いは今も持っております。

 しかし、どのような形でこれから実現していくのか。私たちは目標をあきらめているわけではありませんので、大変ナローパスかもしれないけれどもしっかりとこれをやっていかなきゃいけない、今は私はそういうふうに思っておりますし、そのように答弁をさせていただきたいと思います。

竹内委員 野田副大臣、いかがですか。

野田副大臣 子ども手当自体は大変意義のある制度だと思っていますので、今法案審議が始まりましたけれども、ぜひ早期に成立をさせていただきたいという立場でございます。

 財源については、子ども手当については、私は、ハードルが高いと申し上げたことはございます。ただ、二十二年度編成でも、高いハードル、低いハードル、いろいろなものを乗り越えて成立をさせていきたいと思っていますし、二十三年度の編成についても、高いハードル、低いハードル、あるかもしれませんが、乗り越えて、財源確保を図るのが私の使命だと思っております。

 以上です。

竹内委員 わかりました。

 そこで、菅大臣、いろいろなところでお話しされているのは、子ども手当の新たな財源のために所得税の最高税率を引き上げた方がいいと、見直しを考えている旨の発言をされておられます。その場合、大体どのぐらいの税率を想定されているのか、それによってどのぐらいの税収を見込んでおられるのか、お尋ねしたいと思います。

菅国務大臣 実はその報道は、選挙の応援のときの演説から、ちょっと私の趣旨とは違った形で報じられたと認識しています。

 そのとき申し上げたのは、近いうちに税調で所得税、法人税、消費税等を含めた本格的な議論を始めたいという中で、所得税については、再配分機能などがやや低下しているといったようなことや、最高税率についての議論もあるということを申し上げたことと、そういう場合に、子供さんを持っている世代に対するフォローも多少考えなきゃいけないということが、何かつながった形で言われたので、もしかしたら今のような質問が出ているのかもしれません。

 いずれにしても、必ずしも、所得税の最高税率を引き上げて、それで子ども手当の財源にするということを言ったわけでもありませんし、そういうふうにストレートに何か組み立てて物を考えているわけではありません。あくまで、税制のあり方について本格的な議論を始めたいということでありまして、税収等について何かイメージを持って申し上げたわけではありません。

竹内委員 不思議なんですけれどもね。かなり踏み込んだ発言をあちこちでされているという感じがするんですが。

 その関連であと一つ二つ、菅大臣にお聞きしたいんです。

 消費税は四年間引き上げない、しかし、その上で、複数税率の議論や、ある所得以下の人には還付するやり方など、本格的な議論を始めたいと。また、あるところでは、消費税を福祉目的税にすることを念頭に置いているということも、報道でございますが、されているわけでございまして、これはかなり踏み込んでおられるという感じがするんですね。全く誤報道でここまで書くのかなと思うわけでございますが、その意味で、この報道の真偽と、それから、四年間は引き上げないのであれば四年後は間違いなく引き上げるということなのか、この辺につきましても御答弁を賜りたいと思います。

菅国務大臣 昨年暮れにまとめました税制改正大綱を読んでいただくと、今申し上げたようなことはほとんどが盛り込まれております。つまりは、給付つき税額控除の仕組みなどの検討もやっていこうとか、それから、もちろん一般的な意味でですが、所得税、法人税、消費税、特に消費税については社会保障制度の問題との関連で検討すべきであるとか、そういうものはすべて大綱の中で述べてきたところでありまして、私が多少、踏み込むという言い方かどうかは別として申し上げたのは、予算が衆議院で通過をした段階、三月に入った段階では本格的にそういう議論を税調を中心に始めたいと思っているという、ある意味では時間的なことを申し上げたのが、まあ時間はだんだんたっていきますので、そういう意味で、もし従来より踏み込んでいるとすれば、その部分ではないかと思います。

竹内委員 もう一点確認しておきたいのは、これは総理がおっしゃっているんですけれども、大企業の内部留保への課税も検討する旨の発言をされているんですが、この点につきましては、菅財務大臣としてはどのようにお考えでしょうか。

菅国務大臣 この場は、志位共産党委員長と総理が会われた場での発言が何かあったというのが間接的に報道されたと理解しておりまして、私は、その場にはおりませんでしたし、総理から特にこのことについての説明はいただいておりません。そういう意味で真意というのはよくわかりませんが、私の理解では、共産党の皆さんは、内部留保を何らかの形で還元するようにということを言われているのに対して、総理は、何か国民にとっていい案があるなら大いに検討しましょうということを一般的に言われたんだと理解しております。

 そういう中で、現在、企業の内部留保に課税するといったようなことについて、特に何か検討するというふうには考えておりません。一般的に、法人税のあり方という中で海外との関係等を議論することはあると思いますが、共産党の皆さんが言われるような趣旨、これ自体もはっきりしておりませんが、直接的にそのことを検討するということは、少なくとも現時点では指示もいただいておりませんし、私自身は考えておりません。

竹内委員 今の御発言の中で、三月に入って税調の議論を始める、そういう意味での時間的なことが取り上げられている、こういう趣旨だったと思いますけれども、国民目線では、やはり菅さんは、前は財務大臣じゃなかったんですが、財務大臣になられてからちょっと変質されたのではないか、財務省にだんだんと洗脳され始めているんじゃないかと。いや、国民目線ですよ、これは。そういう疑いがあると思うんですね。

 国民が昨年民主党の皆さんに託した期待というのは、財源不足だからといってすぐに増税しない、財務省の官僚の皆さんの言いなりになるのではなくて、まずは天下り根絶に始まって、行財政改革を四年間徹底してやってもらいたい、その上で消費税などの議論をしてほしいということだったと思うんですね。そういう意味で、これまでそれを承知で菅大臣も、何か逆立ちしても鼻血が出ないぐらいとかそういう表現もされていますが、逆立ちしても無駄遣いがないと言えるようになったときに議論が必要だとおっしゃられたと理解していたわけであります。

 特別会計の見直しもまだこれからでございますし、独立行政法人や公益法人の事業仕分けもこれからであります。公務員制度改革も天下り廃止の問題もこれからであります。にもかかわらず、ここへ来て政府税調で消費税を含めた税制改正の議論を三月から始めるというのは、国民目線ではやはり唐突であって、政権交代後一年もたっていないのに少し早過ぎるのではないかという、そういうお気持ちを皆さん持っておられるんじゃないかということを申し上げておきたいと思います。

 答弁は別に結構です。次へ進みたいんです。(発言する者あり)では、せっかくですから、大臣、どうぞ。

菅国務大臣 少し説明をさせていただきたいのは、これはもうおわかりの上で質問されていると思うんですが、昨年は、九月に内閣ができてから、本当に、年内編成ということで、時間的な優先度を考えながらいろいろと進めてきました。今回は少なくとも、二十三年度ということでいえば、ことしの終わりですから時間はあるんですけれども、やはり常にカレンダーを頭に入れながら考えなきゃいけないと思っています。

 そういう意味で、私は、一月の初めの、十二日だったと思いますが、閣僚懇談会で、まさに特別会計など、各省大臣が徹底的に足元を把握してやろうと。その後、枝野行政刷新担当大臣も誕生して、そういうものについてはまさに徹底的にやるんだという姿勢を、私個人ということではなくて鳩山内閣としてはより鮮明にした、一つはそう考えております。

 その上で、中期的なことを考えますと、まずは成長戦略の肉づけをやらなきゃいけないということで再スタートをさせ、さらには、税制を考える上での番号制の問題もこれは取り組まなきゃいけないということで、検討会を私が会長のもとでスタートさせ、そして税調もきょう専門家委員会をスタートさせる。そういうことをやる中で、六月には中期財政フレームを国家戦略室が中心になってまとめるという段取りもありますので、いよいよ三月に入れば税調も本格的に考えなければならないということを申し上げたわけで、ここだけ単独で見ていただくのではなくて、全体を見ていただければ、短期的なこと、中期的なこと、さらにいえば長期的な、年金制度の検討会も近く場をつくる予定にしていますので、そうした三年、四年といった展望の中でも、やるべきことをおくれないようにやりたいということで申し上げていることが御理解いただけるのではないかと思っております。

竹内委員 次の質問に移りたいと思います。

 過日の予算委員会で、私、JALの問題につきまして、菅大臣に質疑をしたわけでございます。

 これは、公的資金約一兆円も使いますので、大変大きな問題でありますし、私自身も、実は二十五年前のあの御巣鷹山の事故のあったときに、銀行におったんですが、調査部というところにおりまして、何でこんな大事故が起きたのかということを非常に関心を持って調査したことがございました。そのとき以来、航空業界や安全の問題、また、日本航空という会社の問題につきまして、実は二十五年ぐらい前から関心を持っておりましたものですから、まためぐりめぐってこういう場に居合わせたということで、大変関心を持っておるわけでございます。しかも、国民にとっても重要な問題だと思っておるわけでございます。

 別に、公的資金を使わなければ何も、一民間企業の話ですから、幾ら年金を取ろうが、どのぐらいの給料を取られようが、それは関係のないことであって、自由の問題です。しかし、こういう事態に至った以上は、やはりこの経緯やこれからの政治責任という問題につきまして一つ一つ確認をしておかなければいけない、このように思うわけでございます。

 先日の議論の続きから行きたいと思うんですけれども、DIPファイナンスというのがあって、政策投資銀行が年内に枠として二千億つくって、そして年明けに一千億を出して、もう出していますが、DIPファイナンスということで三千億やっているわけでございます。

 年内に、十一月八日ぐらいにかなり官邸でもめたと思うんですよね。きょうは峰崎副大臣に来ていただいておりますので、よく御存じだと思うんですが、そのときに、政投銀の政府保証をする、しかも、そのやり方として交付国債というやり方を提案されたと思うんですよ。しかし、そこで激しい議論があって、何かおでんをつつきながらなどという情報もあるんですけれども、そこで松井さんが先に反論して、その後菅大臣も反論されて、結局、交付国債方式による政府保証というのは実現されなかった。結果として、もちろん政府保証はされていないんですから。

 その辺の経緯につきまして、峰崎副大臣にお尋ねしたいと思います。

峰崎副大臣 今委員御指摘の点について、私は当時、藤井財務大臣のもとでJALの問題について、私も野党時代に特にJALの会計問題を追及してきた点がございましたので、おまえ担当してくれということで、担当させていただきました。

 私も、藤井大臣とも相談しながら、この日本航空の問題について、前原大臣のもとでタスクフォースその他が進行しておりましたので、そうした中で、このJALをどういうふうに再建したらいいんだろうかという議論も内部で随分させていただきました。

 この交付国債問題の前に、実は、政策投資銀行というところが民営化の方向に歩み始めていた、一〇〇%国が株主でありますから。そうした中で、融資をする際に当たってこれに政府保証をつけるということについては、株主だけでなくて、そこには利害関係者がかなりおられますので、しかも社外取締役等もおられました。そういう方々の理解を得るためにも、やはりリスクのあるものに対して融資をするということについてはある程度の保証が必要なのではないか。ただし、当初私たちが思っていたのは、大変高額な企業年金が支給されていることに、それがそのまま実は融資の条件になるということはまずいね、こういうことはずっと議論してきたわけであります。

 私どもは、こういうさまざまな経過はございますが、議論いたしまして、しかし、一〇〇%国が出資をしている政策投資銀行にさらに国が政府保証をつけたり、あるいは、交付国債というのはまだちょっと後でございますけれども、そういうものをつけることについてはいかがなものかという議論をいたしまして、私自身も、やはりこれは、今国が、特に前原大臣のもとでJALを再建するような方向が出されているときに、国としてそれを支援していくということについては変わりはないけれども、政策投資銀行に、ある意味ではきちんと、これはメーンバンクですから、二千四百億円以上の出資をしておりましたので、これをきちんとさせるというのは政投銀の一つの役目ではないだろうか。

 私が今にして思うのは、実は政策投資銀行は、最近、私もどういう状況かということをちょっと伺っておりましたけれども、やはり貸し手責任という点で大変厳しく、今まで以上に見ているというふうに思います。

 これは、かつての与党時代に、昨年六月だったと思いますが、一千億の融資をいたしましたけれども、これは政府保証がついたわけでありますけれども、そのときにおける株主責任といいますか、貸し手責任といいますか、私はそれは相当甘かったんじゃないか。その意味で、政府保証をつけないで政投銀がこういう融資をする、そのことに対して、今、貸し手責任という点を非常に強く打ち出しておられて、結果的にはそれは政府保証なんかつけなくてよかったんだというふうに私自身は今、判断しております。

竹内委員 私はちょっと違うと思うんですよね。

 普通、銀行が融資するというのは大変なことでありまして、お客様から預かったお金、あるいは政投銀の場合でしたら公的なお金ですよね、さまざまな、財投で集めているとはいえ、郵貯とかそういうところから来るわけですから、大変大事なお金でありまして、やはり、融資をしてそれがちゃんと返ってくるのか、それから何に使うんだ、また担保はどうなのかということをきちっと見きわめる、それを踏まえた上で融資するというのが銀行の原則だと思うんですよね。だから、銀行というのは、危ないと思ったら保証を求めるのは当然の行動だと僕は思います。

 ですから、ぎりぎりの判断で六月にされたんでしょうけれども、それは一つまずあるとして、当然同じように、この十一月にも一千億やる以上は、銀行としては保証してもらわないとちょっと心配だ、これだけごたごたしていますからということで要求されたんだと思うんです。

 しかし、結果として、途中の経過は省きますが、この間もお聞きいたしましたが、菅大臣も二重の保証になるということではねつけられたということで、無保証になったわけであります。政投銀と財務省の方々は随分焦られたと思いますよ。二千億も裸で、しかも、つぶれるかどうかわからない会社に裸で出す、無担保で、無保証で出すというのは大変なことでありまして、これは背任とか、藤井財務大臣だって、ひょっとしたら背任とか言われるかもしれない、そのぐらいの問題ですよ。一千万、二千万のお金じゃないですから、一千億、二千億ですから、これは大変なプレッシャーがあったと思いますね。想像にかたくないと思うんですよ。しかし、つかなかった。

 しかし、そこから見事によく巻き返したなと私は思うんですが、この間もお聞きしたように、今度はウルトラCの法的整理論を出して、逆に、DIPファイナンスという、デッター・イン・ポゼッションと英語で言うらしいんですけれども、そういう今まで日本ではほとんど認められていなかったファイナンス方式で、本来、会社更生法の申請をしてから認められるつなぎ融資を、さかのぼって二千億カバーした、優先弁済、共益債権として、保証を受けられるようにした。これはなかなかよく考えたと思うんですよ。必死でこれは多分、支援機構とも相談して、皆さんとも相談されたんだろうと思いますけれども、どうしようかということで考えられたと思うんです。さすが財務省だと僕は思いますよ。

 年が明けて、その上で二千億はカバーした。さらに一千億出されて、この一千億には、政投銀が一千億を融資しているんですが、前は保証はだめだと言っていたのに、今度は支援機構の保証をつけているんですよね。ということは、前は二重保証はだめだと言っていたのに、今度は二重保証している。

 先日、この点を大臣にお聞きしたら、これは裁判所が認めたからいいんだとおっしゃいましたけれども、しかし、それを申請したのは財務省であり政投銀であり、しかも、裁判所が認めたといっても、菅大臣の中ではこれは論理矛盾ではないのかと僕は思うんですよ。前は二重保証はだめだと言っているけれども、今度は二重保証オーケーと言っている。

 これはやはり率直な疑問でございまして、なぜ判断が変わっているのか納得がいかないと思うんです。特に、大臣は理系の大臣でもいらっしゃいますから、こういう背理は、ぜひともやはり矛盾を解消してもらいたいなと思うんですが、その点いかがでしょうか。

菅国務大臣 そこは今から説明しますから、ちょっと先に。

 何か竹内議員の御質問の方向性が、当初は公的資金を出すこと自身に対する疑問であったり、逆に保証しないことが問題であったのかなと思ったり、また保証するのが問題であったのかなと思ったり、若干方向性が、率直なところ見えないなという感じがしているわけです。

 まず、一番最初のことから申し上げますと、確かに、JALは民間の一企業ですから、それが破綻しようがしまいが政府が口を出すことはないということでやるなら、それは一つの考え方です。しかし、アメリカの場合も、GMについて、大統領みずから乗り出して、ある支援をしました。

 ここは国交大臣のイニシアチブも大きかったわけですが、JALというのは非常に関連企業も大きくて、しかもメガキャリアでありますから、何とかそれを再建できるものなら再建したいという形で、国交大臣を中心に、一つの行政の責任官庁でもありますので、動き出したというのは、私は一般的には理解をしていただけるのではないかと思います。

 そのときに、一般の企業であれば、民間銀行が融資をしているわけですから、そういう融資先が集まって、どうやって再建計画を立てるか、従来も何度かやられたようでありますが、そういう中での私的な形での再建計画をやれればいいわけですが、結果として、タスクフォースとかいろいろな段階がありましたけれども、そういった形でなかなか絵がかけないと。

 政投銀は、先ほど、後で二千億貸したのは大変だったと言われますが、私たちが政権にかかわる前から既に二千八百億円の融資をしているわけです。JALに対する最大の融資元は政投銀でありますから、政投銀が中心になって、あとの三者でしょうか、メガバンク等が議論して関係者とやられるなら、政投銀はともかくとして、政府はそれ以上のことは口を出す必要はないわけですが、それができないという中で、結果として、九月に発足したばかりの企業再生機構の方に話が来る、持っていきたいと言われました。私は、経済財政担当大臣として、それを所管しておりましたので、そういう立場からこの問題にいろいろと相談を受けたり、かかわるようになったわけであります。

 細かいことがもしあれば、また申し上げますが、最後のところの御質問に申し上げますと、つまり、政府保証という言葉がいろいろに使われております。先ほど言われたように、政投銀がある段階では交付国債を出して法案まで出してやるように、そういう意見が議論の中であったことも私はもちろん承知しております。それについて、私は私なりの意見で、二重の保証になるので必要ないのではないかと申し上げました。

 今回の、今保証と言われたのは、支援機構が与えられている与信の中で、支援機構と政投銀、さらには民間のメガバンクが相談をされた再建計画の中でどのようなリスクの負担をするのかということで話し合われて、その中で当事者、当事者といっても支援機構と政投銀、さらには民間銀行ですが、当事者の中で法的処理を前提とした中での債権放棄の区分などを含めて決められた中身なんです。

 ですから、国会に法案を出すといったような新たな措置は必要がありません。つまり、支援機構のもともとの設立の中に、当初一兆六千億、たしか今度三兆にふやしましたが、与信能力がありますので、そういう形の中で、全部を保証したわけではありません、一部を、政府が保証したのではなくて、支援機構が保証しています。もちろん、支援機構はもとをただせば国の機関でありますから、そういう意味では、二重とあえて言われれば二重かもしれませんが、少なくとも、交付国債とか国会の二次補正の中の問題とかということとは別であります。

 ですから、そういう意味で、私は、それと同時に、これはもう前回の答弁のときに言いましたけれども、従来、一般的にJALに対して政府が甘いと見られていた。まさにさっき、私が財務省に甘いというふうに最近見る筋もあるそうでありますけれども、それは当たっていないことはそのうち明らかになると私は思いますが、それはそれとして、一般的にJALに対しては政府が甘いと見られていたんです。さらには労働組合に対しても甘い。OBに対しても、それはわからないではないけれども、かなり多額の年金をそのまま認めるのは甘い。

 そういう甘いと見られていたことに対して、この間の経緯の中で、法的な整理ということもありましたし、当事者が自分たちのリスクをかけて取り組むという形の中で、御承知のように、たしか債権だけでも七千億余りの債権を放棄し、そして株式は一〇〇%減資をし、人員整理も少なくとも一万五千人規模を予定し、さらには年金の減額もOBの皆さんも了解をする。

 そういう、ある意味で、従来のJALと政府との関係でいえば極めて生ぬるい対応しかしていなかったことに対して、今回のこのプロセスは、本当に再建をするためにはここまではやってもらわなきゃいけないという中で、関係者のリスクのシェアという形で支援機構が一部、政投銀に保証したということで、当初の考えとは大きく異なった考え方でありますので、私は矛盾しているとは全く思いません。

竹内委員 どうも支援機構というのを隠れみのにしていると思うんですね。

 本来であれば、政府が乗り出して、交付国債なりで政府保証、当初一億二千万とかそういうことも考えておられたんですから、その半分で七千億とか、そういう案もあったわけでありますから、たまたま企業再生支援機構が発足して、うまく立ち上がって、そこに投げてしまえば、本来政府が前面に出なければならないものが、うまくごまかせるというか隠れみのになる、こういう感じが私はするわけであります。

 ですから、実質的には菅大臣所管の支援機構でありますし、そこが保証するということで、どうもここはすっきりしない部分があるわけであります。

 この間に政治的な変化は、前も申し上げましたように、藤井前財務大臣がやめられて菅さんが大臣になられたという大きな当事者の変更というものがありまして、どうも財務大臣になられてから、ちょっと財務省を守っている、政投銀を今度は守りに入ったんじゃないかな、こういうふうに見えるんですね。

 そこで、次にお尋ねいたしますが、政投銀の民営化につきましては、これまで随分議論があったんですが、大臣はこの政投銀の民営化につきまして、どのようにされるおつもりですか。

菅国務大臣 余り激しい言葉を使うのは立場上控えておりますが、私が財務大臣になるならないで意見を変えたというつもりは全くありません。

 それから、この間のプロセスは、私が財務大臣になる前にもう形が決まっておりましたし、さっき言ったリスクのシェア、これは激しい議論があったんです、当事者でですよ。つまり、当事者というのは、支援機構の組織のあり方も御存じだと思いますが、確かに、偶然と言ったら変ですが、さきの政権の中で我が党も関係してこの支援機構の法案をつくって、最初にこういう大きなものが来るという予想もしておりませんでした。

 しかし、隠れみのというよりも、JALをそのまま放置するかしないかという判断は、特に国交大臣には強くあった。JALが飛ばなくなっていいのかとか、中小企業を含めて関係する業界が大変広いのにいいのか、それはあったと思います。

 隠れみのではなくて、そのときに、そうでない機構でやろうとした努力をされたことも知っておられると思うんですね。タスクフォースとか、あるいは民間銀行、政投銀含めたところの私的な何らかの再建計画とか、何度かやられたわけですから。しかし、どうしてもそういう形ではできないというときに、確かに、ちょうど立ち上がった支援機構があって、支援機構の組織のあり方も御存じだと思いますが、支援決定をするには弁護士さんなんかが入っている委員会というものがあって、少なくともその決定は自主決定という形になっていて、私が承認するとかしないとかという形は、組織的にもなっていないわけなんです。

 ですから、隠れみのという言われ方は、率直に申し上げて、私からするとそれは誤解である。それから、私が財務大臣になって何か方針を変えたというのも誤解である、このことだけはまずは申し上げておきたいと思います。

 その上で、この政投銀というものが、どういうあり方がいいのか。現在は、政府が一〇〇%出資の株式会社ですが、特別な法律がありますし、ある意味では私が全株を持った責任者ということの位置づけだと思います。

 最近、この政府系金融機関のあり方については、政投銀だけではありませんけれども、かつて何でも民間に移せばいいという考え方から、場合によっては、ある分野においては、政府の関与した金融機関が果たす役割もあるのではないかという議論もありますので、私は、この問題の経緯はそう詳しくまだ調査をしておりませんが、少し幅広い観点から考える必要があるのではないか、こう思っております。

峰崎副大臣 若干、事実関係といいますか、補足させていただきたいんです。

 昨年の通常国会の中で、政策投資銀行法の改正問題が上がってまいりました。これは、リーマン・ショック以降の国際的な金融危機、それに端を発して国内金融に対する支援のあり方を議論いたしました。その段階で、平成二十三年度末、実際には二十四年の三月末までにこの経営のあり方について見直しをするということについての、たしかあれは附帯決議がなされたというふうに承知しておりますので、これについてきっと議論がこれから進展をしていくということでございます。

竹内委員 非常に重要な、本質的な問題でござす、政投銀のあり方というのは。

 リーマン・ショックで金融危機が生じた、そういう金融危機対応の融資をするところが必要だ、こういうことだと思うんですね、民営化にストップがかかったというのは。しかし、今回のJAL等の問題を見ていても、逆にこの政投銀はやはり政府の一機関的な認識を持っておるようでして、最後は政府が何とかしてくれるんじゃないかと。政府とともに融資をするみたいな形で、そういう意味では、大事な国民のお金を預かっているにもかかわらず、融資態度が非常に甘くなっているんじゃないか。

 私は、中小企業とかああいうところにはもともとハンディキャップがありますから、救ってやらなければいけない、そういう政府系金融機関はあってもいいと思うんですけれども、しかし、今回の政投銀のJALへの融資なんかを見ていても、結局、最後はやはり自分のところに、しりに火がついたというとちょっと語弊がありますが、やはり国民の大事なお金を使って融資する以上、政府系だから何でも融資できるということにはならぬ。やはり非常に回収に一生懸命になられたと思うんですね。そういう意味では、融資ということに関して言えば、民間であるか政府系であるかということはそれほどの差異はなくて、むしろ、政府系であるがゆえに非常に甘い融資がされるおそれが逆にあると思うんです、お上頼みで。私はそう思うんです。そういう意味では、その辺は非常に、今後多面的な議論が必要ではないかなというふうに思います。そのことだけちょっと申し上げておきたいと思います。別に質問はないんですけれども。(発言する者あり)では、短くお願いします。

玄葉委員長 答弁を求めますか。菅財務大臣。

菅国務大臣 なるべく端的に申し上げますが、私は、率直に申し上げて、この間の経緯で、政投銀がなぜ交付国債等による保証を求めたのか。結局のところ、政権がかわろうが何しようが、自分たちが天下る先の最大の天下り先だけは、どこからも、極端に言うと、その結果JALが破綻して債権が回収できなくても、もう交付国債で賄われているわけですから、一切傷がつかないということ、そういうことを維持しようと思ってやったんだと思っています。それで激しい議論になったんです、率直に言いますと。

 ですから、先ほど来言われているように、竹内先生が言われることは若干、両方になるんですけれども、まさに交付国債といったようなことをやらなかったから、今度は政投銀も、半ば民間銀行と同じように、二千億、少なくとも、半分リスクテークしてもらったとしても一千億追加の貸し出しがあり、もともと二千八百億の貸し出しがあるんです。

 ある場面では、政投銀のある担当者が、いや、これならもうJALがつぶれても仕方がないみたいなことを間接的に言ってきました。では、つぶれたときはわかっているんだね、二千八百億円は政投銀が毀損するんですよ、そのときに社長、副社長はそのままでもつと思いますかと。私は、そのときは財務大臣ではありませんでしたけれども、そういう議論もあったんです。

 ですから、おっしゃるとおり、甘くなってもいけないし、しかしある場面ではそういう機能が必要な場合もある。いろいろなもののときにそのリスクをどこまでとるか。少なくとも、経営に当たる人は、それが元財務省のどういう立場にいた人であろうが、一たん経営に当たる以上はそういう緊張感を持って対応してもらいたいと思ったので、私は、二重の保証は必要ないということを申し上げたので、また、こういう機関のあり方、JBICとかいろいろな機関のあり方も、今並行して議論をしなきゃいけませんから、まさに今おっしゃったような両面ですね、両面から見てどういう形が望ましいかということをぜひ御一緒に議論させていただきたいと思っています。

竹内委員 踏み込んでおっしゃっていただきましたので、非常によくわかったんです。

 そういう意味では、天下りのこともおっしゃいましたので、公明党としては意見を、今全部、結論を出したわけじゃありませんけれども、私自身は、別に民間銀行でもいいんじゃないか、こういうていたらくであれば民営化を進めてもいいんじゃないかと思いますし、もう一つは、天下りということがありました。やはりそこは大臣と認識を共有しておりまして、天下りということで今のようなことが起きたのであれば、これは絶対によくない。だから、天下りは、きっぱりとここで、政投銀に関してはやめていただくべきだ、こういうふうに思うんですね。

 今後この問題は議論されますが、大臣としては、政投銀への天下りも今後はきっぱりやめる、そういうふうに思われますか。

菅国務大臣 天下りの議論は、もう御承知のように、いろいろな基準でいろいろな形で議論も進んでおります。ですから私は、そういうきちんとした基準の中で、いわゆる天下りという形に当たるものについてはやるべきでない、こう考えております。

竹内委員 それでは、次へ進みたいと思います。

 そこで、企業再生支援機構がJALの再生を担うことになったわけでございます。前の産業再生機構を衣がえして、いろいろな経緯があって、経緯はよくわかっております、先ほど大臣もおっしゃられたとおりでありますが、結局、地域の中堅中小企業を再生させるということで、やはり、さまざまなハンディキャップを負った地域の中小企業のためにつくったものでありましたよね。予算は一・六兆円。それがいきなり一兆円近く、一番大企業の再生に回るというのは、なかなかどうなのかなと。私、産業再生機構のときはどのぐらいやったのかを調べましたら、四十一件で大体九千七百億円ぐらい投融資しているんですね。だから、ほとんど、産業再生機構が投下した公的資金の四十一社、約一兆円弱というものをいきなり一社で全部持っていってしまうような、こういう事案なんです、今回は。

 そういう意味でいうと、その分、ここにかかりっ切りになると、地域の皆さんの、地元の中堅企業、中小企業、もっと助けてやらなあかんところが助けられない、こういう事態に陥っておるわけでありまして、この辺は非常に、今後考えていただかないといけない。やはり大企業の支援というのは、基本的にはメガバンクを中心とした銀行の自主性に任せるというのが基本でなければならないと思うわけでございます。

 そこで、このことは指摘だけにとどめまして、だんだん時間もなくなってきたんですが、JALの再生というのは非常に難しいと思います。私も昔から調査をやっていましたので大体わかりますが、高コスト体質ということで、特に、ボーイング747を早く機種変更できなかった。三十七機ぐらいあるんですかね、今。しかし、買うところはないと言われていまして、簿価六十億ぐらいしまして、ほぼ四十倍すれば二千四百億円弱がこれはパアになる。アメリカのモハベの砂漠に行くだけだというふうに言われておりますし、損失を上げざるを得ない。

 それから、新しい飛行機にかえないといけないんですけれども、大体、飛行機というのは特注でございまして、御存じだと思いますが、発注してから二年ぐらいかかるんですよ、さまざまなオプションをつけて納入するまで。そういう特殊事情があります。

 それから、もっと、航空産業というのは、パイロットは機種ごとの免許なんですよね。御存じだと思いますけれども、機種ごとの免許ですから、今度、MRJを五十機導入するとか、いろいろ中小型機材に変更するとか言っていますけれども、パイロットの訓練というのは大体半年から一年かかるんですよ。一年間に百人ぐらいしかこれは訓練できないんじゃないか。免許を取り直さないといけませんからね。しかも、副操縦士やさまざまな方々も一緒に全部移行しないといけない、大変な時間がかかる。

 今、日航には三千人以上の運航乗務員がいるわけでありますけれども、全部で二百八十機持っていまして、今後五年の間で百十機入れかえるという計画になっている。しかし、今申し上げましたように、年間でパイロットが百人ぐらいしか訓練できない。シミュレーターも教官も必要ですから、変更できない。大体百十機程度入れかえるとすると千五百人ほど、全部訓練をやり直さないといけない、シミュレーション、教官つきで。そうすると、三年という短期間でV字形回復をするのは非常に困難だ。こういう非常に特殊な業界であるわけでございます。

 そういうことで、今回、約一兆円の公的資金を投入して、もし三年で回収できなければ、これは国民負担となるわけでありますから、これは政権にとっても重大な、緊張感を強いる話だと私は思うわけでありまして、そういう意味で、これは二次破綻に万一陥った場合、今申し上げたように、いよいよ大騒ぎになると思いますね。稲盛さん、私も同じ京都で昔からよく存じておりますけれども、すばらしい経営者でありますけれども、しかし、いかんせん、時間的な制約と業界の制約というのがあって、非常に厳しいという感じがいたしております。

 その辺の見通しと、一兆円近くの国民負担が生じた場合には、やはりこれは政治責任が生じると思うんですよね。それについての大臣の御答弁をお願いします。

菅国務大臣 言われていることのかなりの部分は、私も似たような考えを持っております。

 ただ、おわかりだと思うんですが、やはり、このJALの破綻というのは、かなり古くからの問題であると同時に、リーマン・ショックである種のだめ押しのようなことがありました。ですから、本来、再生機構は中小企業を対象として予定されていたわけですけれども、大企業の支援もできるという枠組みになっていた中で、先ほど申し上げたように、大きい会社なんですが、同時に、一万数千社の取引先があるわけです。その中はかなり中小企業が多いわけで、そのまま放置したときに、そういう中小企業の破綻、連鎖倒産も心配される中での判断が、これはもちろん政治的な判断も、担当大臣を含めてあったわけではありますけれども、最終的には支援機構が、一定の条件が満たされるなら再生できるという判断のもとで支援を決定したということであります。

 ですから、従来の何度も繰り返された再生計画に比べれば、今回は、もう繰り返しませんが、相当厳しい、当事者にとっても相当厳しい、株主にとっては全部株がゼロになるという相当厳しい中身の中からのスタートです。そういう意味で、支援機構と銀行団が約六千億のお金を投じるわけでありますけれども、基本的には、支援機構に関して言えば、回収が見込まれることを前提とした手当てとなっております。

 三年間というのは、これは法律の枠組みとして支援機構がかかわれる一定の期間ということになっておりますから、当然ながら、三年間ですべてが終わるわけではなくて、三年間の段階で、もう既に新しい経営陣が決まって動き出しておりますが、その新しい経営陣と、それから融資を引き受ける銀行団等を含めて、さらに健全な会社にそれを育て上げていく、そういうシナリオの中で物事が進んでおります。

 そういう意味で、難しさがあるということは十分わかっておりますけれども、私は、今の日本の置かれたリーマン・ショック以降のこういう状況の中ではぎりぎりの努力を関係者にお願いして、二次ロスが出ないように最善を尽くしていただく、それを政治的な立場からサポートしていく。今の段階で、何かそれで二次ロスが出たらどうするこうするというのは、広い意味での何らかの責任が生じることは当然でありますが、今スタートしたばかりのときにそこを議論するのは、ちょっとまだ適切ではないのではないか、こう思っております。

竹内委員 まだまだ議論したい点はいろいろありますが、きょうはこの程度にいたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

玄葉委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三分開議

玄葉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 再開に先立ちまして、自由民主党・改革クラブ所属委員に対し、御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。

 もう一度理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

玄葉委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請いたさせましたが、自由民主党・改革クラブ所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 各案審査のため、来る二十六日金曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

玄葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

玄葉委員長 質疑を続行いたします。佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 議題となりました法案は、政権交代後初めて提案された国税関連法案であります。民主党中心の新しい政権が税制をどのように変えようとしているのか、それを確認するために質問をさせていただきます。

 まず、初歩的なことですけれども、税金をどこからどう集めるか、これは政権の政治姿勢にかかわる中心問題でありまして、国の財政基盤を確立する上で大変重要な課題であります。そこで、菅大臣にお聞きをいたします。

 税金というのは本来、所得あるいは利益のあるところ、その中から一定部分を納めるというのが基本だと思うわけです。つまり、所得や利益のあるところに応分の負担を求める、これが基本だと思いますが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 所得があるところに負担を求める、利益があるところに負担を求める、さらに、場合によっては、その範疇に入るのかどうかわかりませんが、資産とかそれ以外の場面もあり得るのではないかと思います。

佐々木(憲)委員 相続税その他の場合も資産課税ということになりますが、そういう場合も、資産というものがあって、それを売却して納めたり物納で納めたり、不動産の場合はですね、そういういろいろなことがあると思います。

 しかし、所得とか利益の全くない方に幾ら税金を納めなさいと言っても、お金がないわけですから、当然生活費を切り詰めたり、あるいは中小企業の場合は、経営に非常に大きな負担をかけてしまって営業が困難になる、そういうことになりかねないと思うわけであります。

 こういう角度から消費税という問題を考えてみたいと思うわけです。

 消費税は、所得のある人もない人も、買い物をするたびに五%税率で負担をするものであります。ですから、負担率ということになりますと、所得の低い階層であればどうしても負担率が高くなってしまう、高額所得者になると負担率は逆に低くなる、こういう逆進性を持っていると思うんです。

 お配りした資料の一枚目を見ていただければわかりますが、一番下に税率が書いてありまして、左側が五%、これは現行であります。この五%のところを見ますと、年収が二百六十九万円以下、低所得者、この場合は、負担率は三・四四%になります。平均して二・二〇%。しかし、高額所得者の場合は、年収例えば七百七十四万円以上の部分になりますと一・六九%、こういう負担率になるわけです。これは家計調査年報の全世帯の統計をもとに試算をしたものであります。

 仮に、税率が引き上げられるという場合、どうなるか。倍の一〇%になったといたしますと、下の一〇%のところをずっと上の方に見ていただきますと、低所得者の場合の負担率は六・八八%、高額所得者は三・三八%。これは開きが非常に大きくなるわけであります。したがいまして、消費税というものは逆進性を持っており、貧富の格差が、これを上げることによって一層拡大する、こういう性格を持っていると思うんですが、菅大臣はどういう御認識でしょうか。

菅国務大臣 お配りになったグラフは、この差が出るというのは消費性向の差が原因なんでしょうか。ちょっと今見ただけなので、そうなのかなと思いました。

 消費税については一般的に、所得が低いほど負担感が強いといういわゆる逆進性が指摘されておりますことはよく承知をしております。

 二十二年度の税制改正大綱においても、今後、社会保障制度の抜本改革の検討などとあわせて、これは他の税ももちろんですが、消費税のあり方も検討していく中で、こうした逆進性対策も含めて検討してまいりたいと思っております。

 このグラフの意味はちょっと、単純に今おっしゃったように理解できるのか、一般的には低所得者ほど消費性向が高いわけですから、逆に言うと、消費に対してかかるということでこういう形になっているのかなと。ですから、それは、率という言い方もありますが、消費性向の差ではないかと思います。

佐々木(憲)委員 簡単に言いますと、低所得者の場合は、日常の生活費、購入の場合に一定の金額が必要なわけですね、暮らしていく上で。それが、高額所得者になりますと、その部分は確かにふえますけれども、しかし、そんなにがばっと大きく、どんとふえるということはないわけでありまして、比率からいうと負担率というものは相対的に小さくなる。ですから、そういう意味で、逆進性ということは以前から指摘をされていましたし、今菅大臣もお認めになったことであります。

 やはり増税ということをやりますと、その格差というものはどんどん開いていきますから、これは格差拡大になるわけです。そういう点で、私たちは消費税の増税ということは反対であります。

 さてそこで、税は所得、利益のあるところから納めてもらうということが私は基本だと思っておりまして、そういう意味では、直接税中心という考えが基本原則でなければならないと思っております。

 次に、課税最低限の問題です。

 これは本会議でも少しお伺いしましたけれども、もともと所得控除、とりわけ人的控除という場合、納税者本人とその家族の最低限の生活を維持する、そういう費用、生活費、ここの部分には課税をしないという考え方、つまり生計費非課税という考え方が基本にあると思いますけれども、いかがでしょうか。

菅国務大臣 所得税においてはこれまで、税負担面のみを勘案し、基礎控除や人的控除等の控除額を積み上げた結果を、その水準以下では課税されず、その水準を超えると課税が始まる水準として、いわゆる課税最低限としてきたことはもちろん御承知のとおりであります。

 お尋ねの、最低限の生活費というのをどのようにとらえるかについて若干の議論があると思いますが、今回の子ども手当など、基本的な方向として、所得控除から手当へとの考え方で見直しをしているところです。単に、課税が始まる水準で物を見るのか。手当がある場合には、逆に言えば、手当という形で収入があるわけですから、それをどのように勘案していくのかということもあると思います。

 それから、今言われました、最低限の生活費用というものを税の一つの基準にするという考え方について、過去の政権の税調の答申などをずっと見ておりますと、そういうものは一つの観点としては当然あるわけですけれども、一方では、公的サービスを賄うための費用を国民が広く分かち合う必要なども踏まえて、総合的に検討していく必要があるという指摘もありますし、そういうこともあわせて議論する必要があるのかなと思っております。

佐々木(憲)委員 生活費に課税をすることは、生活が破壊されるといいますか、そういうことにつながりかねませんので、私は、生計費というものをしっかりベースとして押さえて、その部分には課税をしないという基本原則に基づいて政策を発想するということが大事だと思います。もちろん給付の問題はあると思いますが、しかし、税というものの基本的な考え方というのはそういうものでなければならぬというふうに思っております。

 控除から給付へということが民主党の基本政策になっていますが、この生計費非課税の部分を崩して給付を拡大する、それ以上拡大するからいいじゃないかという発想かもしれません、そういう考えなのか。それとも、生計費非課税という基本的な考え方は大筋変えずに、その基本の上で給付の問題を考える、こういうことなのか。そこを菅大臣に確認したいと思います。

峰崎副大臣 先ほど菅大臣からお答えがあったとおりなんですが、ちょっと私は別の観点から佐々木委員にお話をしたいんです。

 それは、いわゆる所得控除と言われているものが積み重なっていくわけですね。基礎控除、配偶者控除あるいは扶養控除、それで課税最低限が決まっていくわけです。そうすると、いわゆる控除が、限界税率の高い方は非常にきくわけであります。すなわち、四割の限界税率であれば、三十八万掛ける〇・四を掛けていただくと、それだけ実は恩典が高いわけであります。それはよくおわかりだと思います。

 つまり、そういうところを考えると、現行の課税ベースを見たときに、かつては税額控除からスタートして所得控除へ、こう来ていたわけです。世界的に見ても今大きな流れになっているのは、そういう所得控除方式から税額控除、さらには給付つき税額控除、そういう大きな流れがある中で、私たちはその第一歩をことしの税制改革から進めていった、こういうことでございますので、課税最低限というのは下がっていきますけれども、実はそのほかに税額控除が手当として入ってくる、これはしっかりと頭の中に置いていただきたいということを先ほど来菅大臣も強調されているところでございます。

佐々木(憲)委員 私の考えでは、生計費非課税という原理原則というものは余り軽々に崩してはならないと思っておりまして、給付はさらにそれに上積みをする形で、つまり、その基本ベースのところの考え方というのはきちっとしていただきたいというふうに思っております。言われることはよくわかります、説明は。

 さて次に、所得や利益が大きければそれに応じて負担をしていただく、所得の少ない世帯に配分をする、いわゆる所得再分配機能というのがあると思います。自民党、公明党の政権のもとで、この所得再分配機能というのが非常に低下してきた。これは、前回菅大臣にも確認をしたところであります。

 配付した資料を見ていただきたいんですが、例えば、これは税調に出された資料ですが、申告納税者の所得税負担率であります。これを見ていただいておわかりのように、私も大変驚いたんですが、所得金額が一億円を超えると税負担は急速に低下をする形になっておりまして、一億円の所得者の負担率は二六・五%でありますが、百億円を超えるとなぜか一四・二%。これは、高額所得者になればなるほど税が少なくなる、こういう逆転現象が起こっておりまして、十億円の所得者の税が千二百万円の所得者とほぼ同じだというのも、これはいかがなものかと思います。

 菅大臣に感想を聞きますが、このグラフを見てどういう感想をお持ちですか。

菅国務大臣 私などは、固有名詞を出すとあれかもしれませんが、松下幸之助さんが大変たくさんの税率で払われていて、高い所得の方は、何か手数料だけを残してあとは全部税に持っていかれるような気持ちになると言われていました。

 大体、累進課税というのは上へ上へと上がっていくものだという認識がありますので、そういうことで考えますと、今の税制が、そういう時代からいうと大きく変わってきている。百億という人はなかなかいないかもしれませんが、それにしても、一億より多い人が下がるというのは、直観的にはどういうものかなと若干の疑問を感じます。

佐々木(憲)委員 私なんかは、これは大変な疑問を感じるわけであります。

 このような高額所得者の負担軽減というのがもたらされた最大の要因の一つは、やはり証券優遇税制というようなものがあると思います。株式の譲渡益あるいは配当所得、この税率は、本来二〇%だったのが一〇%に軽減されております。これには所得制限がありませんから、億単位の減税を受ける、こういうことになっているわけですね。

 例えば、資料の三枚目、次のページを見ていただければわかりますけれども、本当に極端に、株式譲渡所得などは、株を持って運用して、高額の運用をしていればいるほど減税が入り込んでくるというような、これは配当も同じでございます。これは余りにも減税の大盤振る舞いではないのか。だから、政府の税制改正大綱でも、所得税の実効税率は累進性を喪失している状態となったと書いていると思うんですね。

 この点について最近峰崎副大臣が、報道によりますと、二十二日の記者会見で、株式譲渡益や配当に適用している一〇%の軽減税率についてできる限り早目に解消していく必要がある、このように述べたと伝えられております。

 今のこの制度は来年の十二月まで適用されるということになっていますが、このできる限り早目にという意味は、それより前倒しする、そういう意味でおっしゃったんでしょうか。確認したいと思います。

峰崎副大臣 佐々木委員、本当に問題意識は、私どもは、税制を議論するときは絶えずこの問題に振り返ってきたわけであります。

 実は、今年度の税制改正時にも、本来ならば早める必要があるという前提で議論したわけであります。ただ、今日の証券優遇税制というのは、こういう高額所得者の方々を対象にしているというよりは、どちらかというと、やはり大衆的にもっと株式市場を活性化させなきゃいけないという、かなりそういう政策的な判断が優先されてきた。

 日本版ISAも実はそういう形で、自公の政権時代はこれを五年間と言っていましたけれども、これは本当に、株式に個人株主が入るか入らないかをしっかりと私たちは点検しようということで、それを三年間というふうに絞ったわけであります。

 いずれにせよ、今の税制というのは、事実上来年の十二月までということになっております。そこから翌年になると、自動的に二〇%に戻ってまいります。私は、そういう意味で、これを早めることができるかどうかというのは実は、本来ならばこれは日本版ISAが入るときと同時というふうになっていますので、なかなか難しいのかなというふうには思っています。

 ただ、今審議をしていただいていますけれども、これは来年の十二月までの税制改正になっておりますので、それを早めるというのは技術的にはちょっと難しいのかなというふうに思っておりますが、問題意識といいますか、景気の動向あるいは株式市場の動向なども、私はやはり佐々木憲昭議員と同じように、一四・何%まで下がっているというのは、これは要するに限りなく一〇まで行っちゃうんですよね。ですから、できる限り私たちは、まずは二〇%へ戻していくというのを先行させたいというふうに思っておりますので、その点の問題意識は非常に共通しているんじゃないかと思っております。

佐々木(憲)委員 大衆課税を軽減するというようなお話がありましたが、私がお配りした三枚目の表を見ていただければわかりますように、譲渡益の部分についていいますと、わずか全体で四・五%の方々に六九・二%の所得が集まって、ここに減税がどんと行っているわけですから、減税だけで千六百六億円、全体の大部分の減税がごく一部の高額所得を得ている方々に集中している、七割が所得五千万円を超えるところに行っている。これはやはり、大衆減税なんだとちょっと言えないと思っております。

 今の説明によりますと、来年十二月までというのを早めたい、技術的に早まるかどうかという話がありましたが、本来ならすぐやめなきゃならぬですよ、こういう減税は。だから、別にほかの税制との関連というのは考えておられるのかどうか知りませんが、これ自体も独立して、やはりこんな異常な状況は解消するということを、せっかく政権がかわったんですから、そのぐらいのことに踏み出すというのが当然だと思うんですが、どうでしょう。

峰崎副大臣 先ほど指摘があった証券優遇税制による減税額試算ですが、私もこの数字は見ておりますけれども、実は、一番大きいのはIPO、すなわち株式を公開して企業が上場して、その株式を譲渡して、そしてそこで創業者利得を得る。それも一〇%。IPOはかつて、ベンチャーの場合は五%だったわけでありまして、そういう意味で、そこが一〇%になっていること自体も変えていかなきゃいけないと私は思っています。

 しかし、これももちろん二〇%になっていくわけですけれども、その際やはりもう一つ、IPOが、つまり企業がどんどん公開されていく、株式がベンチャー企業から公開されていく、そういうときの株主の皆さん方に創業者として利得が入っていくということは、これは、企業をつくって、そこへ非常に投資をして、この会社は本当にもうかるかもうからないか、わからないけれどもリスクをかけているわけですから、そこは私は、ある意味ではこれは金持ち優遇だというふうにだけは言えない。もちろん、一〇%がいいと言っているんじゃないですよ。そういう意味で、これは譲渡益が配当よりも圧倒的に多いと思います。そういった点は、しっかりまず見ておいていただきたいなというふうに思うわけであります。

 そういう意味では、すぐにでもという気持ちは、私も佐々木議員と問題意識は同じゅうしております。所得再配分機能を高めるためにも、まずそこをやろうというふうに思っておりますが、日本版ISAの問題を含めて、かなり証券市場は先取りして、この問題はもう既に設備投資をし始めているというふうに聞いていますので、この点やはりなかなか、さっきテクニカルの話をしたというのは、そことの連動をやや意識し、また株式市場が一万円を割るような昨年秋の状態でございましたので、そういったことも含めて、ある意味では考慮したというところでございます。

佐々木(憲)委員 株価を上げるために減税というような話がありますけれども、減税、つまり税が重いから株価が下がっているわけじゃないんですよ。重くなれば下がるという話じゃなくて、これはやはり経済全体の活性化というものが基本であって、それを何か税の方に責任を持ってくるというのが間違っていると私は思います。それはそういうことであります。

 早くやるというわけですから、もう決断をする。菅大臣、いかがでしょうか。

菅国務大臣 特に今、株の譲渡益、さらには配当というところに焦点を当てての議論ですけれども、確かに株式市場の活性化というのはいろいろな要素がありますが、少額の株を頻繁に取引している個人投資家もあるわけでありまして、そういう意味で、全部を一括で議論ができるのか、若干その性格は分けて考えなければいけないのか、いろいろと議論のあるところだと思います。

 特に、日本の株式市場、また外人の投資が若干一時よりはふえておりますけれども、そういう国際化の中での国際的な一つのバランスなどもどうなっているかをきちんと把握しなければならないと思っております。

 いずれにしても、今御指摘のような問題も含めて、税制調査会、いよいよ本格的に動かすことになっておりますので、専門家委員会の皆さんにも意見をいただきながら、やるべきことは迅速に進めていきたい、こう考えております。

佐々木(憲)委員 もう一つは、所得税の最高税率の引き下げの問題です。

 この間、一九八二年に七五%ぐらいだったのがどんどん下がって、七〇%、六〇%、五〇%、三七%。これもかなりの税収減につながったと私は思います。それから、大きな会社に対して減税がかなり集中した。法人税率、表面税率は四三%から三〇%。研究開発減税、連結納税制度、こういうものを利用した減税なども行われてまいりました。こういうもの全体を合わせますと、日本の大企業それから大資産家を中心とする減税というものが、旧来の自民・公明政権によってずっと続いてきたと思うんです。

 私は、これはもう余りにも行き過ぎていると思いますけれども、その結果どうなっているかというのを示したのが四枚目のグラフです。

 大企業、大資産家への減税が、法人税率引き下げ、連結納税、研究開発、IT減税、その他の企業減税、それから所得税ですけれども所得税率の引き下げ、証券優遇税制等々。所得税率というのは最高税率の引き下げであります。こういう形で、大企業、大資産家へ大盤振る舞いをやってきた。十年前と比べて大体七兆円以上の減税になっているんですね。不況の影響ですから、それも若干税収は落ち込んでいますけれども、数兆円の減税がいまだに行われている。

 十年前はそれなりにちゃんと払っていたわけですから、払っていてもやっていたわけですから。この十年間合わせますと累計で四十兆円の減税があった、そういうことになると思うんです。大体こういう状況だということは間違いありませんね。

峰崎副大臣 「大企業・大資産家への減税の推移」、こう書かれてありますが、いずれにせよ、法人と個人とを一緒にしていいかどうかは別にして、ちょっとデータ的に正確かどうかということの確信をしておりませんが、こういう項目がなされてきたということは間違いないというふうに私は思います。

佐々木(憲)委員 さて、その一方、では庶民の側はどうか。負担は本当に軽減されてきたのかというと、私は、負担がどんどんふえてきたのが現状だと思うんです。

 次のページをあけていただきますと、特に小泉内閣以来、構造改革路線、この中身は一体何なんだと。あいまいな、何か改革をやるかのような言葉で、実際にやってきたのは、先ほど言った大企業、大資産家減税、優遇。さらに他方で、国民の側には負担増というものが押しつけられてきたんじゃないか。税、社会保障、教育などの分野で庶民負担が非常に大きく次々とふえてまいりました。その積もり積もった怒りが、昨年の総選挙で自民・公明政権にノーという審判を下したその原動力になったと私は思います。

 一覧表にしたのが今見ているものですが、この項目は大変多岐にわたっておりまして、医療、教育、年金、介護、失業給付、所得税、住民税、消費税の免税点引き下げ等々、ともかく、真綿で首を絞めるという言葉がありますけれども、大変な負担がじわじわと行われてきて、もう耐えがたいという事態になってきたんじゃないか。

 それをグラフであらわした次の六枚目ですが、年間約十三兆円に上る負担増がこの十年以内の間に実行されてきた。これは本当に大変な負担であります。国民一人当たりにしますと十万円、四人家族四十万ということになりましょうか、そういう負担増というものが大変な怒りを買ったわけであります。

 この一覧表は大体間違いないと思うんですけれども、政府参考人でいいですけれども、これで間違いありませんね。

古谷政府参考人 それぞれ掲げられておられます項目についてはおおむねこういうことだろうかと思いますが、それをこういうふうに集計することが適切かどうかという点はあろうかと思います。

佐々木(憲)委員 集計しなければ個人の家計の負担というものがわからないんだから、だから集計しているんですよ。だれか、どこかが負担してくれれば集計する必要はありません。余分なことは言わなくてもいいんですよ。

 大企業には減税、庶民に増税、負担増、こういうことなんですね。だから、格差拡大の非常に大きな要因になったと私は思うわけです。

 資料の最後のページをあけていただきましても、これは消費税と法人三税の税収の推移ですけれども、法人税の場合は、景気の低迷という面もありますが、減税効果というのが非常に大きい。減収につながったわけであります。消費税の方は増税も行われました。この二十年間、消費税収は二百十三兆円、逆に法人の方は百八十二兆円のマイナス、こういう形になっているわけです。これが全体として国民の負担感を増大させ、そして大企業の内部留保を拡大し、株主への配当はふえる、企業の経営者、特に大企業の経営者の所得はふえる、労働者の賃金は下がる、そういう状況を格差拡大と我々は言っているわけです。

 税制、つまり国の責任というのも大変大きいと思います。この所得再分配機能をいま一層強めるということで、この関係を逆転させるということが私は大変大事だと思います。これは民主党政権が掲げている生活第一、命が大事ということにもつながるものだと思うんですが、この機能の強化という点で菅大臣の見解を伺いたいと思います。

菅国務大臣 大きな見方として、小泉・竹中路線といういわゆるマーケット至上主義の中で、いろいろな意味で行き過ぎた部分があり、それが税制においても、例えば所得税のかなりフラット化といったようなこともそういう大きな流れの中で出てきて、見直しを含めての議論が必要だということは、そういう部分では認識がかなり共通かもしれません。

 ただ、もう一つ大きな要素があって、それは日本がこの約二十年間、成長というものが非常に停滞している、そういうことを考えたときに、行き過ぎた税制の部分もあるかもしれませんが、なぜ日本の成長がとまってきたのか、そういう部分では、一概に単なる配分の問題だけではなくて、場合によってはもっと財政が働かなければならない分野もあったのかもしれない。そういった意味でのバランスの問題と同時に、やはり日本が成長経済から落ちこぼれてデフレ経済の中に長くいるということも非常に、格差といいましょうか貧困層がふえてきた大きな背景にある。

 特に今日、御承知のように、法人税そのものの税収が極めて落ち込んでおりますので、もちろんこれは海外のいろいろな問題もありますけれども、そういうことを考えますと、一面は共通しておりますが、あわせて、そういった面も考えた議論が税制議論としては必要ではないか、こう思っております。

佐々木(憲)委員 日本経済の発展というものを考えた場合、最近非常に輸出依存型の成長と言われてまいりまして、自動車、電機などを中心に輸出を拡大するということに専ら依存した成長が続いてきたと思います。それがリーマン・ショック以来の海外の需要の冷え込み、輸出の低迷という中で、国内の需要というものは一体どこに依拠すべきなのかと。

 今まで顧みられなかった庶民の側の懐、庶民の家計というものに光を当てた内需拡大策というものを抜本的に考えないと、将来の日本経済の発展というものがしっかりしたものにならない。いつも外国の影響、海外の影響で日本の成長が停滞するということでは、これはよろしくないわけですから、そういう意味で、私は大きな筋として、今新しい政権が目指している方向というのは、社会保障やあるいは労働者の賃金、雇用条件の改善、こういうものによって家計を安定させ、そして、そこの力によって物が国内で売れるように、売れることによって企業全体として、大企業も含めて活性化する、そういう方向への転換のまさに今岐路に立っていると思うんです。政権の方向がしっかりそういう方向に向くのか向かないのか、これが今問われているというふうに私は思います。

 そういう点で、菅大臣がおっしゃったように、税制だけではもちろんありません。税制も私は一つの重要なかぎになると思っておりますが、全体の経済政策の転換というものがやはり求められているというふうに思っております。

 次に、国際的な動向ですが、アメリカ、イギリスなどでは、例えば所得税の最高税率、配当の税率の引き上げ、こういうものを決めて実行に移しております。イギリスは四月から実行されるというふうに聞いておりますが、諸外国のこういう最高税率の引き上げ、あるいは配当所得の税率の引き上げなど、どういう状況になっているか紹介をしていただきたいと思います。

古谷政府参考人 お答えをいたします。

 アメリカにおきましては、御指摘のように、連邦所得税の最高税率を三五から三九・六に引き上げる提案が大統領の予算教書で行われております。さらに、配当に係る最高税率につきましても、一五%から二〇%への引き上げが提案をされております。

 それからイギリスにおきましては、昨年十二月に公表をされましたプレバジェットレポートにおきまして、所得税の最高税率を四〇%から五〇%に引き上げる、それから高所得者に対する基礎控除を減額するといった提案がなされております。

 ドイツ、フランスにおきましては、現時点において、所得税の税率の引き上げや配当課税強化の提案はなされていないというふうに承知をしてございます。

佐々木(憲)委員 フランスではサルコジ大統領が、銀行員に二万七千ユーロ、約三百五十万円超の賞与を払う場合に、超過分の五〇%相当額の特別税を銀行に課すと発表したというニュースは伝えられていると思います。

 いずれにしても、国際的な状況は、今までのような所得の高い層に減税をやるという発想から転換が起こっているわけです。日本もやはりそういう方向に向けて踏み出す、これは自然の流れということだと私は思っております。

 最後に、菅大臣にこの点で、国際的な動向を踏まえて、日本の今後の税制の基本的な方向、特に、今私が述べましたような高額所得者に対する適切な、これは何もむちゃくちゃなことをやれと言っているわけじゃないんです、前やっていた程度の、全部戻せとは言わない、半分ぐらい戻すぐらいでも大分違うんじゃないか、こういうことでありますので、そういう程度のことはすぐやるというぐらいのことは、もう実際にアメリカやヨーロッパではやっているわけですから、ぜひそういう方向に踏み出していただきたいというふうに思います。いかがでしょうか。

菅国務大臣 まさに、そういう議論を少し始めなければという意識で、三月はもうすぐですが、税調の本格議論をお願いし、きょうから専門家の委員会もスタートするということです。

 ただ、先ほど来申し上げているように、確かにおっしゃった部分でかなり共通の認識もありますけれども、例えば同じ福祉を考えるときにも、負担としてだれが負担するかということもありますが、その分野が成長分野であるという、特に介護とか医療とか例えば幼保の問題なんかは、その分野に供給があれば需要は潜在的にあるわけですから、そこにGDPが伸びていく分野が大きくある。ただ、そのときの負担を、今言われたようなやや行き過ぎたフラット化とか、そういうところだけで賄えるのか、もっと大きな税制の見直しが必要になるのか、そういったことも幅広く議論をしていきたい、こう考えております。

佐々木(憲)委員 もちろん、税制だけですべてうまくいくわけではございません。しかし、税制というものの中にその政権の考え方、基本的なスタンスというものが非常によくあらわれるものですから、きょうはそこのところを中心にお聞きをいたしました。

 もちろん、予算全体でいいますと、予算全体の組み替えといいますか、私どもはそういう提案をしております。やはり使い道も、コンクリートから人という話ももちろんありますが、本当に国民の暮らし、家計、低所得者が安心して暮らせる、そういう社会を目指していくべきだというふうに我々は考えておりますので、ぜひ参考にしていただければと思います。

 以上で終わります。

玄葉委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後一時五十分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時五十七分開議

玄葉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 再開に先立ちまして、自由民主党・改革クラブ所属委員に対し、御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。

 もう一度理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

玄葉委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請いたさせましたが、自由民主党・改革クラブ所属委員の御出席が得られません。

 この際、休憩いたします。

    午後二時休憩

     ――――◇―――――

    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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