衆議院

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第6号 平成22年3月2日(火曜日)

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平成二十二年三月二日(火曜日)

    午後二時開議

 出席委員

   委員長 玄葉光一郎君

   理事 岸本 周平君 理事 篠原  孝君

   理事 鈴木 克昌君 理事 高山 智司君

   理事 中塚 一宏君 理事 後藤田正純君

   理事 竹本 直一君 理事 石井 啓一君

      網屋 信介君    荒井  聰君

      池田 元久君    今井 雅人君

      小野塚勝俊君    大串 博志君

      岡田 康裕君    小林 興起君

      小山 展弘君    近藤 和也君

      下条 みつ君    菅川  洋君

      富岡 芳忠君    豊田潤多郎君

      野田 佳彦君    橋本  勉君

      福嶋健一郎君    古本伸一郎君

      山尾志桜里君    和田 隆志君

      渡辺 義彦君    田中 和徳君

      竹下  亘君    徳田  毅君

      野田  毅君    村田 吉隆君

      茂木 敏充君    山本 幸三君

      山本 有二君    与謝野 馨君

      竹内  譲君    佐々木憲昭君

    …………………………………

   内閣総理大臣       鳩山由紀夫君

   財務大臣         菅  直人君

   国務大臣

   (金融担当)       亀井 静香君

   財務副大臣        野田 佳彦君

   財務副大臣        峰崎 直樹君

   財務大臣政務官      大串 博志君

   財務大臣政務官      古本伸一郎君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    古谷 一之君

   政府参考人

   (国税庁次長)      岡本 佳郎君

   財務金融委員会専門員   首藤 忠則君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二日

 辞任         補欠選任

  田中 和徳君     与謝野 馨君

同日

 辞任         補欠選任

  与謝野 馨君     田中 和徳君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十二年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案(内閣提出第三号)

 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)

 租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律案(内閣提出第一五号)


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     ――――◇―――――

玄葉委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、平成二十二年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案、所得税法等の一部を改正する法律案、租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として財務省主税局長古谷一之君、国税庁次長岡本佳郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

玄葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

玄葉委員長 これより内閣総理大臣出席のもと質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹本直一君。

竹本委員 きょうは、我々の財務金融委員会に鳩山総理に御出席いただきまして、本当にありがとうございます。財務大臣及び金融担当亀井大臣ともども、ひとつよろしくお願いしたいと思います。

 さて、先日、東京及び大阪で、今ちょうど確定申告の時期でありますので、その現場を見学に行ってまいりました。東京は与謝野先生と一緒に参ったわけでございますが、大阪の方は我々は議員数名で行ったわけでございます。

 行きました場所は、所得が三百万円以下の、言ってみれば非常に貧しい人たちが税の控除等の相談に来ている。それを税理士が、こうすればこういう控除が受けられますよ、こういう指導をしているんですね。大勢の方が来ておられまして、十円、百円、二千円、三千円というような、こういう話を延々とやっておられました。

 そこで、どうですかと聞きましたら、私たちはこんなに細かいお金で一生懸命やっているのに、総理大臣の鳩山さんは毎月一千五百万もらえるんですってね、別世界の人ですね、こんな感じでありました。非常におかしいと思います、こういう意見もありました。こういう現実を見ますと、私は、徴税権者は当然、国税庁長官であり、財務大臣であり、そして内閣総理大臣であるわけですけれども、一番信頼しなきゃならない人が脱税を犯している、あるいは税を納めていない、こういう不信感が国民の間に満ち満ちているのは非常に悲しいことだと思います。

 昔、政治学の教科書に、政治がうまく行われるためには、一つは、言っている中身がまともなことでないといけない、つまりオーソリティーがないといけない、信頼感がないといけない。もう一つは、言うべき人がその立場でなければいけない。

 そういう意味で、それを大義名分といいますかレジティマシーといいますか、そのレジティマシーを、総理は、もちろん日本国の総理であり正当に選ばれた総理でありますから、きっちりとそれは持っておられる。しかし、おっしゃっていること、中身について権威がないといいますか、うそがあるというか、こういう状態に実はなっているんです。ですから、鳩山総理が何を言われても、国民はなかなかそれを、はい、わかりましたと信用しようとしない。ここは非常に不幸なところであります。ですから、こういう状態について総理はどう思われるか、まず聞きたいわけでございます。

 もう一つつけ加えておきますと、現場の御苦労されている税理士の方々は、小学校へ行って税務教室というのをやっておられるんですね。そして、子供にそういうことを教える。税というのを納めなきゃいけないんですよと言ったら、子供までが、鳩山さんは納めていないらしいね、こういう話をした。こういう状況でございます。

 こういう現実を耳にされて、総理はどうお答えになりますか。ぜひお聞きしたいと思います。

鳩山内閣総理大臣 竹本委員にお答えをいたします。

 国民の皆様方に、私が全く承知をしていなかったとはいえ納税が大変おくれてしまいましたことを、心からおわび申し上げたいと思います。検察によって事実が解明をされたという中で、大変遅まきではございましたけれども、納税はさせていただいたところではございます。

 ただ、そのことによって国民の皆様方の納税意識というものに変化があったとすれば私の不徳のいたすところでございまして、納税は済まさせてはいただいておりますが、今確定申告の時期でございます、ぜひ国民の皆様方に、新しい時代を切り開いていただくために新しい政治を起こそうとしている、そのためにはやはり納税していただくことが大変肝要であるということも御理解をいただいて、お支払いを願えるように、私として身を粉にしてお願いをさせていただきたい、そのように思っております。

竹本委員 総理おっしゃるとおり、本当に政治というものは信頼がまず大前提でありまして、その頂点に立っておられる総理が言われることに当然国民が信をおくということが一番大事だと思います。

 その税について疑いを持たれないという趣旨において、今回の件は、お母さん、安子様からお金をいただいておったということを知らなかった、そして、知らなかったので、結局、贈与税を払ったということでございますけれども、そもそも贈与というのは、お金を上げる人の意思とお金をもらう人の意思表示が合致して初めて贈与が成立します。したがって、総理が、お金をもらっていたんだ、こういうことがわかったときに、もらうという意思表示さえしなければ何も贈与税として処理する必要はなかったと思いますね。

 ですから、私は全然そういうことを知らなかったんだと。今回はお母様の安子様だからよかったけれども、もし仮にこれが問題になる、例えばやくざとかそういう人からいつの間にか金を受け取っておったというようなことであったら、絶対受け取られないと思うんですよ。だから、なぜ簡単に、それを贈与として認識されたのか。

 そしてもう一点、国民の疑惑がないという意味においては、やはり七年分の贈与税を払っておられる。普通、贈与税は時効の問題がありますから五年でいいわけです。ところが、偽計等の故意がある場合は七年を払わなきゃいけない。なぜ七年を払われたか。その実態を見て国民は、ひょっとして鳩山さん知っていたんじゃないか、こういう疑念を抱いてしまいます。

 ですから、その疑念を払拭するためには、どういう考えだったかということをぜひはっきりと御説明をお願いしたいと思います。

鳩山内閣総理大臣 お答えをさせていただきます。

 今竹本委員から御指摘がございましたが、私は全く知らなかったということでございまして、そのことが検察によって、やはり母親からの資金提供があったという事実が明らかになったわけでございます。そして、そうであれば、私としては全く知らなかったわけでありますから、貸し借りのような話があるはずはないということで、贈与とみなすべきではないかということで、贈与とみなして贈与税の申告をして納税をしたということでございます。今、国税でどのような判断がされるかということであろうかと理解をいたしています。

 また、これは私の資金管理をしておりました秘書と、経理を担当しておりました元秘書の弁護士と、それから私の調査をしておりました弁護士との間のやりとりの中で、七年前からこのような母親からの資金提供があったということが事実として判明をいたしたのでございまして、であるならば、やはり幾ら時効が五年であっても、その二年前から資金提供があったとすれば、その分もさかのぼって贈与税を納めるべきだという判断をいたしたところでございます。

 その適否というものに関しては、今、国税においてなされるものではないか、そのように思っておりますが、私としては、資金提供があったとわかった時点から納税をするのが納税者としての義務ではないか、そのような思いで贈与税を支払っているということで、そのようにさせていただいているところでございます。

竹本委員 そうしますと、もし善意であるという認定を受ければ二年分は鳩山総理のところにお金が返ってくるという解釈をしておられるということですか。それでよろしいんですか。

鳩山内閣総理大臣 その判断は今、国税の方でなされるべきではないかと思っておりますが、したがって、還付されるということになったときには、そのお金は、しかしながら、私自身がもらうわけにもいかぬ、そのようにも思っておりますので、そのようなときにどのような判断をするかということは、そのときに考えてまいりたいと思います。

竹本委員 半年前のことを思い出しますと、選挙の直前でありました。民主党は、政権交代ということで声高にしゃべっておられまして、そこに子ども手当というものを打ち出されました。一カ月二万六千円。このときに、私の支援者なんですよ、ごくごく親しくしている人ですけれども、彼はこう言いました。うちは孫が二人おる、二人で五万二千円あるんだよ、これを一年間もらったら六十万になるじゃないか、これだけもらったら皆民主党へ行くぜ、竹本さん、こう言われました。現実にそうなって、民主党が大勝してしまったわけです。

 そして、そのほかにもたくさんの、マニフェスト、耳に心地いいことばっかり言いました。例えば、中小企業に対しては一八パーの税金を一一パーに下げると。下げていない。暫定税率だって、廃止すると言いながら全然手が触れられていない。結局、すばらしい言葉ばかり並べて、だましてしまったんじゃないか、こんな感じが私は強くするわけであります。

 そして、現時点に立って、政治の責任者として、あれほど言ったマニフェストを全部実現するつもりなのか、つもりでないのか、そこをまずお聞きしたいと思います。

鳩山内閣総理大臣 私どもとすれば、子ども手当を初めとするマニフェスト、決してばらまきだとか選挙対策のために申し上げたところではありません。むしろ、この国を変えるに当たって一番大事なことは、子供を社会全体で支え合うシステムをつくることが大事ではないか、その最大のテーマに対して、例えば子ども手当を支給させていただくという政策が一番効果的だ、そのような判断で、政策的な判断で行ったものでございます。

 また、初年度はなかなか全額ということは難しい、半額にしようではないかというようなこともそのときに決めさせていただいたわけでございまして、決して選挙のために子ども手当をばらまこうなどというような発想を持っていたわけでは全くありません。

竹本委員 子ども手当についてはそういうことかもしれませんが、ほかのたくさんの約束についてはどうされるのか、もう一回聞きたいと思います。

菅国務大臣 マニフェストの大きな項目が、子ども手当に加えて、一つは農業の戸別的所得補償。これは、初年度、当初よりも大きな形でスタートをいたしたと思っております。それから、高速道路の無料化は、実験的取り組みということで、規模は小さいけれども、当初の実験的取り組みからスタートをしたというふうに認識をいたしております。高校の無償化についても、ほぼお約束どおりの形でスタートができたと思っております。

 ただ、暫定税率の問題については、確かに税項目としての道路特定財源は廃止をいたしましたが、税率は従来と同じということで、これについては、環境税、環境問題との関係、さらには税収の落ち込みなど厳しい財政状況ということで、総理からも国民の皆さんに、この点についてはお約束どおりできなかったことについて率直に認めた上でのおわびの言葉もあったわけであります。

 そういう意味で、マニフェストに関して言えば、相当部分については初年度としてはスタートできたと思っております。

 さらにいろいろと、控除の問題とか減税の問題もありますが、もちろんマニフェストはたくさんの項目がありますので、今私が申し上げたのは大きな項目ですが、少なくとも控除についても、子ども手当に関連した控除の廃止は行いまして、それ以外の控除についてはことしの税調の中で議論をする、そういう扱いになっております。

竹本委員 では、子ども手当に絞って申し上げますが、野田副大臣にお聞きします。

 来年度は二万六千円を支給するのかしないのか、どういうおつもりですか。

野田副大臣 竹本委員にお答えいたします。

 二十三年度は、二万六千円月額支給ということになっています。その財源を確保するべく全力を尽くしていきたいと思います。

竹本委員 いや、努力はわかるんですが、記録を読みますと、鳩山総理は、あるとき、来年の満額支給は厳しい、こういう発言をしておりまして、翌日、満額支給は可能である、こういう発言をしています。今は、野田副大臣は努力をすると。

 みんな努力をしているんですよね。努力して責任が免れるんだったら、何にも苦労はしない。ですから、そこはどうなのか。満額なのか満額でないのか、それはどなたでも結構です、お答えください。

菅国務大臣 きょう、順調にいけば、来年度、二十二年度予算をこの衆議院で通過させていただけると思っております。二十三年度の予算について、もちろん、私どももこの財政状況の中で、いろいろな意味でそう簡単な作業だとは思っておりませんけれども、まさに成長戦略、さらには中期財政フレーム、あるいは財政運営戦略等々をこの五月、六月とまとめ上げていく中で、来年度、今からいえば再来年度、二十三年度予算についても、そういうものを踏まえて、普通の日程でいえば、八月終わりの概算要求などの段階までには形をつくっていきたい、それに向けて、マニフェストについては基本的に実現をする方向で最大限の努力をしていきたいと考えております。

竹本委員 結局、努力という言葉に逃げてしまわれるわけでありまして、非常に残念です。

 非常に数字に忠実にいけば、二万六千円を支給すれば五・三兆円ぐらいかかる。ところが、扶養控除及び特定扶養控除を削除しますから、二兆円ぐらい減るんだと思います。そうすると、三・三兆円かかる。そのほかいっぱい約束していますから、それをやろうとすると大変な財源不足になる。今回の来年度予算、九十二兆円で組んでいますけれども、税収は確かに、自民党にとっても不幸だし、民主党にとっても不幸だったんですけれども、三十七兆円しかない。九兆円ぐらい減っている。それプラス四十四兆円の借金をして、八十一兆円です。そうすると、十一兆円の差が出るんですよね。これを今回はいろいろな、いわゆる埋蔵金と称されるものを使って何とかつじつまを合わせましたけれども、来年はもう埋蔵金はないんですよ。だから、どうするのかということをぜひお聞きしたい。金がなくて仕事はできません。金をどこから出すのか、これをぜひお聞きしたい。

菅国務大臣 私は、これは二つの面から見ていかなければいけないと思っています。

 一つは、今竹本議員が言われたように、どの項目でどれだけの歳出をするかということもありますけれども、もう一つは、全体の規模をどの程度で組むかということであります。

 リーマン・ショックがあって、麻生内閣時代も大型の第一次補正を組まれて、いろいろ議論はありますが、私たちは一時停止をいたしましたが、規模としては余り変わらない形で第二次補正で積み上げました。また、今回の九十二兆円についても、確かにいろいろな税項目などで、先ほど申し上げたように、あるいはマニフェストでお約束どおり完全にはできないところもありましたが、逆に言えば、九十二兆というこの程度の規模の歳出は、景気の刺激ということも考えて必要だということもあって、一方で、財政規律で四十四兆というのをぎりぎりの線と考えて、税外収入を含めて組み立てたわけです。

 ですから、二十三年度の予算も、中身の問題はもちろん大変重要ですが、規模をどの程度にするかということも、今の景気、経済の状況から見ていかなければならないと思っています。

 そういう意味で、まだ結論的なことを申し上げる段階ではありませんが、国によっては出口戦略なんというところを一部言っているところもありますが、私が見るところでは、まだ、日本において、平成二十三年度に出口戦略というところまではなかなかいかないのではないか、ある程度の財政規模を考えざるを得ないのではないか。

 そうしますと、中身が何であろうとも、例えば、そうなったときに先ほど言われたような税収だとすれば、税収と国債と税外収入ということで、どのようにしてそれを市場の納得をいただきながら組めるか。まさにこれから本当に頭を悩めなければならないという覚悟で、作業に取り組もうとしているところであります。

竹本委員 時間がありませんので簡単に言いますが、要は、金が要る、しかし金がない、こういう状態ですね。

 そうしますと、最後は、今回議論している特例公債法の法律のもとになります財政法第五条では、「すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。」こういう条文があります。これを使って日銀が、政府が発行する国債を直接引き受ける。今は市場に流通しているものを引き受けていますよね。これはいいんですよね。ただ、これも、そんなに幾らでもやれと言われると、おのずから日銀としての判断はあるでしょう。それはわかる。

 しかしながら、どうしてもというときは、新発国債を直接日銀が引き受けることはあるのかないのか、そういうことをやるつもりがあるのかないのか。きょう亀井さんに来ていただいたのは、そのことをぜひ亀井大臣からもお聞きしたい、財務大臣からも聞きたい、こういうことで来ていただいているわけでございますので、両大臣、ぜひお答えいただきたいと思います。

菅国務大臣 違う話にならないようにと思っておりますけれども、基本的に、今の法律でいえば、新規の国債をそのまま日銀に買い取ってもらうということは禁止をされているわけでありますし、そのことを、法律を変えてそうした行動をとるということは、少なくとも私自身、現在まだそこまで議論は内閣の中でしておりませんが、私自身、念頭にはありません。

亀井国務大臣 まだ来年度予算の編成について民主党と国民新党は協議を始めておりませんが、議員御指摘のように、税収を確保するためには経済を成長させるしかない。では、それが来年に間に合うように、三十七兆円を超してそれが可能かどうかという問題がありますね。

 そうでない場合の財源、緊縮予算を組めば別でありますが、そうでないとすれば財源は、あとは国債と特別会計しかない。これは赤ん坊が考えてもわかる話ですね。

 そうした場合、特別会計、今までのように、鳩山内閣ではそれを思い切ってやったわけだけれども、役人の手から、政治判断をして、どの程度必要かという判断をして特別会計を考える、これも一つのやらなければならないことですね。しかし、それだけでやはり足りるかなということ、議員御指摘のように。

 あとは、しようがない、国債をやる。その場合に、市中消化という形でいった場合というのは、いろいろこれは長期金利の問題を含めて出てきますね。そうした場合は、日銀が直接これを引き受けて菅さんに財源をつくってあげるというのも、私は一つの手だと思いますよ、これは。私は、それだけじゃなくて、例えば無利子非課税国債というようなこともあると思う。

 これは単純な国債だけを考えておればいいというような、今はそんな生易しい状況じゃないということだ。ここはやはり大胆に、アメリカだって中国だってそうでしょう。もう大変な財政事情の中においても、臨時に七十兆円の財政出動もやり、七〇%公共事業ですよ。中国も六十兆やったでしょう。そういう中で、財政規律は大事だけれども、財政規律、財政規律と、ばかの一つ覚えのようにやっておれば、国が滅びます。

竹本委員 ありがとうございました。

 両大臣の間にこれだけ大きい認識のギャップがあるということがよくわかりました。ありがとうございました。お礼を申し上げます。

玄葉委員長 次に、与謝野馨君。

与謝野委員 私は、今回の予算、税制、その基本となる考え方、哲学というものが一向にわからない。

 そこで、菅大臣にお伺いしますが、今回の予算、税制、基本的な考え方、哲学、これを短く御説明いただきたい。

菅国務大臣 まず、政権交代が九月に起きて考えたことは、財政の中身をまさにコンクリートから人へという考え方に沿って変えていこうと。ですから、一次補正の見直しも二次補正もそういう考え方に立ち、そして今回の予算では、象徴的に言えば、公共事業費を約一八%下げ、一方で、一〇%近い福祉費用、あるいは文教関係も五%前後引き上げる。まさにそういう方向で、財政の歳出の中身をこれまでの政権とは大きく変える、そこが私はスタートとしての最初の理念であると。

 その後のことも言えと言われれば言いますけれども、スタートはそういう考え方でスタートしたと考えております。

与謝野委員 そのコンクリートから人へというのは全く、スローガンとしてはあったんですけれども、実際は、公共事業費一八%は削減しておりますけれども、これの削減額が一兆三千億でしかすぎない。子ども手当、子育て手当の増額一兆五千億、社会保障費増額二兆五千億、地方交付税九千億。これは実際は、コンクリートの方を節約したのは一兆三千億ですが、コンクリートから人というほど削減はしていないわけです。ですから、コンクリートから人へというような非常にあいまいなことが哲学と言えるかどうか。

 それでまず、菅大臣にお伺いしたいのは、普通は、我々予算を提出したときには、いろいろな経済の見通しとかあるいは財政の今後、そんな十年も二十年も先ではなくて、相当確かな見通しとそれに対する対応をきちんと国会に御報告した。これも野党からの厳しい要求があったんですが、今回はそういう将来展望が全く明らかにされていない。予算が終わって、五月、六月になったらつくるというのは、ことしの予算はそういう将来展望なしでつくった予算だ、こういうふうに考えていいわけですか。

菅国務大臣 私どもも、九月十六日に組閣があった後に、年内の予算を組む上で、今言われました、かつては骨太とかいろいろな表現をされましたけれども、そういうものについても念頭にはありました。

 私が戦略担当大臣として、過去のそうした成長戦略なりあるいはいろいろな、骨太方針、プライマリーバランスが何年からどうといった十年近くのものを全部精査するようにいたしました。私が見た感じでは、大変いいことは書いてありますけれども、一つとして達成されたものがないわけであります。

 私たちとしては、そういう中で、十二月の予算編成に間に合わせてやるとすればどうしても、ある意味では、過去のものを多少手直ししてホッチキスでとめるということになりかねない、そういう判断の中で、成長戦略等について、最終的には十二月の三十日、予算の政府案ができた後に基本方針は出しましたけれども、少なくともまずは、本予算そのものの編成を優先させたというのが一つであります。

 それでは、何もなかったかと言われますと、そうではありません。組閣した一カ月後の、十月の二十三日だったと思いますが、雇用対策本部で緊急雇用対策を発表し、また、第二次補正等々含めて経済対策を次々に発表し、さらには、環境問題でのCO2二五%をめぐるいろいろな議論をし、そういった幾つかの経済対策あるいは雇用対策の考え方、さらには、先ほど申し上げた成長戦略は若干前後はいたしましたけれども、そういう議論の考え方を踏まえてつくられたものが今回の予算でありまして、そういう意味で、基本的にはそうした考え方が盛り込まれている。

 あえて言えば、拙速に何かそういうものを形だけつくるよりも、きちんとしたものをつくるために、これから六月ごろに向けて最終的な成長戦略等を取りまとめたい。誠実な姿勢だと私は考えております。

与謝野委員 そんなものは二週間もあればできるはずなので、予算をつくるに当たって、やはり霞が関の専門的な知識を動員すればそんなものはできるんですよ。政治主導なんて言って肩を怒らせてやるから物事ができない。

 菅大臣にお伺いしますが、マニフェストで約束をしたけれども、この予算案でマニフェストで言ったことに違反しているもの、できなかったものは何だとお考えですか。

菅国務大臣 今何か、霞が関に頼めばすぐできると言われたんですが、私は、先ほどのことをもし少し添えて言うとすれば、なぜ過去のそうした中期見通しとかが達成されなかったということを私なりに、あるいは何人かの政治家、あるいはスタッフとともに考えました。

 それがあえて、後に御質問いただくかもしれませんが、かつての、八〇年代のいわゆる公共事業偏重の予算も長期的に見れば経済成長につながらなかったし、まさに与謝野さんが非常に厳しく批判をされた小泉・竹中路線の、デフレ状況の中で企業の効率を高める、リストラをどんどんやって企業が効率よくなったらそれで日本経済が高まるんだといって大失敗をしたそのやり方も、第一の道も第二の道も、それをとったのでは結局同じ失敗を繰り返す。

 そこで、雇用、さらに需要、特に需要の中でも介護とか医療のように、潜在的な需要がありながら逆に、余りにも報酬が低いために人手がなくて供給されないためにその需要が顕在化していないところ、こういうところに最も力を入れようというのが、先ほど申し上げた十月二十三日の緊急雇用対策も、まずは介護とか医療とか、場合によっては、若干時間がかかりますけれども林業の再生とか、そういうことを考えた案をつくり上げながら、この予算案の中にその精神を盛り込んでいったということであります。

 今、最後にお聞きになったのは、マニフェストの中でどれが必ずしも約束が守れなかったかということの御質問でありますが、細かいところを言えば幾つかありますけれども、大きな項目で言えば暫定税率について、先ほども申し上げましたように、結果としては税項目としての道路特定財源は廃止をいたしましたけれども、税率としてはほぼ、ほぼといいましょうか同じ税率を維持したということで、その理由についても総理の方から既に、環境の問題、さらには厳しい財政状況、さらにはガソリンが一時ほど高騰をしていない中で、実行できなかったことについては率直に認めておわびをされたことは御承知のとおりでありまして、その部分が一番、大きな項目の中では実行できなかったことだと認識をしております。

与謝野委員 我が党の総裁であった麻生前総理と鳩山総理が討論をされました。そのときに麻生総理から、マニフェストというのは財源的に少し無理なんじゃないか、少し誇大広告ではないかという趣旨のお話をしましたら、鳩山総理は断固として、マニフェストが実現できなければ政権からおりる、こういうふうに断言したわけです。

 今、菅大臣のお話をお伺いすると、暫定税率一つですと言っているんですけれども、金額としては二兆五千億ですよ、暫定税率。二兆五千億の約束を守らなかった。

 これは私は不思議に思うんですけれども、藤井大臣も、暫定税率はマニフェストに書いてありますから断固廃止しますと。鳩山総理は、これは国民との契約です、したがって必ずやりますと。といいながら、今菅大臣のお話をお伺いすると、ごめんと言ったからいいじゃないか、そういう軽い話なわけですよ。マニフェストを実現できなかったら政権からおりるというふうに断言された総理の言葉は、一体どこへ行っちゃったのか。

 秘書の犯罪は国会議員の犯罪だ、責任だ、こういういいことを過去いっぱい言っているんだけれども、またまた、マニフェストを守らなければ政権をおりると公開の席で断言をしたんですよ。それで、今菅さんのお話をすれば、私は関係ない、総理がごめんと言ったからいいでしょう、これが菅さんの今の答弁ですよ。そんないいかげんなことでマニフェストというのはいいんですかということを申し上げているわけですよ。

菅国務大臣 私の認識をもし申し上げるとすれば、組閣の後、鳩山総理は、CO2二五%削減という大きな目標を国際的にも提示されました。そのときから、それでは環境税を同時的に導入をやるべきではないか、環境大臣を中心にそういう意見もたくさん出たわけであります。

 実は、そういう議論もあわせて、この暫定税率をどうするかという中で議論をいたしましたけれども、最終的には、環境税あるいは炭素税というものを仕組むにはかなり範囲が広いわけですので、とても三カ月とかそういう単位で国民的な合意を得るのは難しい。そこで、税制調査会の大綱の中でも、当面の間、この暫定税率をいわゆる従来の税率にとどめて、ことしじゅうには環境税のことについての方針を出すという方向を昨年暮れの税調でも取りまとめた。

 そういう意味では確かに、約束が守れなかったという点では、同じ党の責任者の一人として私も申しわけなく思いますが、そういう大きな流れの中でそうした判断をしたということについては、その点についてはぜひ御理解をいただきたいと思います。

与謝野委員 菅さんは上手に説明されているつもりなんだけれども、二五%削減とかそういうのは関係ないですよ。これは最後に財務省が党に泣きついて、党の方から、これは何でもいいから続けろと。政策は政府に一元化すると言った話はどこに行っちゃったのか。藤井大臣が天下に約束をし、総理が国民との契約だと言った話、これが一瞬にして飛んだわけですよ。だれが一体この国を支配しているんですか、だれがこの国のリーダーなんですかという深刻な疑問をみんなに持たせた瞬間ですよ。

 それから、さっき公共事業を八〇年代から九〇年代にいっぱいやったと。だれがやったのか。四百三十兆の公共事業を約束したのは、皆様方民主党の幹事長である小沢一郎先生ですから、小沢一郎先生にその間のアメリカの構造協議についてよく聞かれたらいいですよ。これは無理やりに四百三十兆と押しつけられたわけです。それの受け手が小沢一郎先生ですよ。そういうことをやはり知っておいていただいて物事を判断していただきたいと思っているんです。

 それから、今世界じゅうで、ギリシャ、スペイン、ポーランド等がかなり、国として債務を返済できるかどうか、特にギリシャはEUの中では非常に深刻な問題になっている。先般いろいろ聞きますと、日本はギリシャと同じぐらい信用がなくなってきていると。

 政府は、財政規律ということは口だけでは言うけれども、具体的に何をするということは全く考えていない。せっかく菅大臣が、少しは税制改正あるいは消費税を議論しようよと言うと、翌日には鳩山総理がそれを全面否定する。一体どういうことなんだ。国の財政は火の車、そういう中で、やはり民主党が政権をとった以上、日本国政府として良心のある発言や行動を財務大臣、副大臣にはしていただきたい、私はそう思っているんですよ。

 財政再建目標を六月には決めますか。税制改正大綱を決めますか。この二点を答えてください。

菅国務大臣 一言だけ先ほどのことを申し上げますと、余り当時言わなかったんですが、私は国家戦略担当として、五つのマニフェストの調整を当時の財務大臣あるいは総理からも指示をいただいておりまして、その中には暫定税率のこともありまして、関係する役所の大臣とは、先ほど申し上げたように、環境税のものをどうするか、これはなかなか一年間ではできないから、やはり一年程度はどういう形かで形を残すしかないのではないか、そういった七割、八割の合意をしておりましたが、もちろん、すべてがまとまってから出すということでありましたので、党からもいろいろな要望が来るということで、党の要望も受けた中で最終的な取りまとめを行った。

 ですから、十二月の二十五日、ちゃんと予定の中でいえば一番早い段階ですべてが決まったというのは、もちろん党の要望も受け入れられるところは受け入れましたけれども、内閣の中での準備がそこまで進んでいたからでありまして、何かすべて小沢幹事長が決めているというふうに皆さん方が思われているのは、少なくとも私の認識とは大きく違うということだけは申し上げておきたいと思います。

 その上で、財政について、大変厳しい状況にあることは本当にひしひしと感じております。当初、財務大臣という立場になるとは思っておりませんでしたが、先日G7に出かけた中でも、まさにヨーロッパの皆さんがギリシャのことをいろいろと議論されておりましたが、人ごとではないという意識を特に強くして帰ってまいりました。

 そういう意味で、総理とも相談をして、税制の議論も、所得税、消費税あるいは法人税を含めてしっかり議論しよう、また、税に関連する社会保障の番号も議論しよう、近くは、年金の抜本改革についても議論の場をつくろう、総理の指示をいただきながら、そういうある意味では議論の土俵づくりをこの間やってきたところでありまして、基本的には、中期財政フレームは国家戦略室が中心になって六月の間には出していく。その中で基本的な、中期財政フレームは三年程度としておりますが、同時並行的に行われる財政運営戦略は、十年程度の展望の中で方向性を国民の皆さんに示し、ある意味での財政の、一遍に再建とまで言えるかどうかわかりませんが、財政規律のあり方、健全化のあり方についても、その中で国民の皆さんにしっかりとお示しができるようにということで作業を進めているところであります。

与謝野委員 今菅大臣がお答えになっているのは、議論するということだけなんですよ、議論の場を設けるということなんです。議論したら決しなきゃいけないんですよ。決したら実行しなきゃいけないんですよ。「会議は踊る」という映画が昔あったんですけれども、延々と何年も何年も会議をした、そんなんじゃだめなので、議論は物事を決めるためにやるんだと。

 だって、菅大臣は理科系だから、関数が発散するとか級数が発散するという概念は御存じでしょう。日本の財政は、幾何級数的に発散しそうなんですよ。もちろん、我々がつくった借金、そういうふうにおっしゃりたいと思うんですけれども、それは、我々の責任は我々の責任として甘んじて受けますけれども、やはり、ことしが発散元年になったら財務大臣としては非常に不名誉なことですよ。だから、その発散をとめるためには何をしなければならないのか、これをやはり考えなきゃいけない。

 発散をしていいのか、発散をとめるために財務大臣としては決然として何かをやるのかどうか、その決意を聞かせていただきたいんです。

菅国務大臣 まさにおっしゃるとおり、政治家は最終的には、決めて実行できて何ぼのものでありますから、決めたからといって実行していなければ、決めたことの意味はないわけです。

 ですから、私は過去の自公政権でいろいろ決められたものを見ておりますけれども、いろいろいいことは書かれているし、いい目標は出されているけれども、残念ながら実現したものはないということだけは、逆に言うと、私はそのことを非常に感じたから、段取りをしっかりしておかないと、結局のところは、言ったけれどもできなかったで終わりそうだと思って、段取りを今いろいろ総理と相談しながら組んでいるところです。

 そして、あの人気があった小泉さんも、自分の任期中はやらないなんという、与謝野さんからすれば多分おかしいと思われたんではないかと思いますが、つまりはそういうことを含めて、私たちも、言う以上はちゃんとやれるところまでちゃんと仕組んでいきたいと思うから、そう簡単に、言った後になってやはりできませんと言いたくないから、そういう先ほど申し上げた幾つかの段取りを踏んでいるところです。

 発散の問題ですが、私なりにいろいろ考えてみました。余り危ないことを言うといろいろマーケットが反応しますから気をつけなきゃいけませんが、率直に申し上げて、イタリアぐらいであればまだいろいろあるかもしれません。しかし、このままいけば、二〇〇%という数字になったときに、もうこれは釈迦に説法だと思いますから多くは言いませんが、景気はよくして経済は立て直さなきゃいけない、それには財政出動が必要だ、しかし一方で財源はない。余り国債を出すと、今度は金利が上昇してそちらでマイナスになる。まさに狭い道なんですよ。ですから、私がよく、余り財政に依存しないで景気を、あるいは経済を大きくする、そういう知恵を出して、需要がふえるところを大いに考えてくれと言っているのは、まさにその狭い道の中でどの道であれば、何とかそういうがけに落ちないで発散を押しとどめられるかということを考えながら少なくとも物事を進めたいと思っているからです。

 個人的にいろいろなことを、決意を語ることはできないわけではありませんけれども、少なくとも、今がそういう日本にとって最大の危機の状態にあるという認識だけはしっかり持って臨んでいる、私も、そして鳩山内閣の全員がそういう意識を持って臨んでいるということだけははっきりと申し上げておきたいと思います。

与謝野委員 過去決めたものが一つもできていないというのは、それは認識が違うんです。例えば骨太二〇〇六の中の十四兆円の削減、これは延々とやってきているわけですよ。ことしもその延長線上にあるんです。実行してきているんです。ただ、税収は我々が予想したものとは違いました。日本の経済は世界の経済の中の一つですから、当然世界経済の影響を受ける。

 それは、新しい内閣になって税収減になったということを、我々責める立場には全くない。だけれども、菅さんが言われている第三の道、だれも文句は言わないように何とかこの道から脱却できる、そんな道はないということだけは申し上げておきますよ。やはり、歳出削減を目いっぱいやる、税制改正を目いっぱいやる、それしかないんですよ。それは、特別会計を取り崩すとざくざくお金が出てくるとか、何かうまいことを言う人はいるけれども、そういう道はないというんですよ。やはり愚直に日本の財政をしっかりさせていただきたい。

 今その責任ある立場にあるのは、菅さん、あなたが財務大臣としてその責任があるんですよ。歴史の試練にさらされているんですよ。ですから、ちゃんときちんと、ただ議論するというだけではなくて、きっちりこういうことを決めてやりますというところまで持っていっていただかないと、財務大臣が歴史的な評価を受けられない、私はそう思っています。

 そこで、菅大臣は、名目成長率だけ三%にする、インフレターゲット一%を導入したらいいというようなことをおっしゃっているんですが、正確には何をおっしゃりたかったのかということをお伺いしたいと思うんです。

菅国務大臣 今触れられたのは、昨年の十二月三十日に発表しました新成長戦略の基本方針の中で、二〇二〇年までの平均の目標として、名目成長率を三%、実質成長率を二%、それによって二〇二〇年にはGDPが名目で六百五十兆円、これを目標にしていこうと。それを実現するための具体的ないろいろな、大きい項目とかはもう既に出しましたけれども、具体的な中身を今、すべての省庁の政務三役を中心に議論をさせていて、そういう形でまず、与謝野さんの本にもありましたし、ほかの方からも言われますが、パイを大きくするということも一方でやりながら、そして一方では、歳出の削減等については、率直に申し上げて、先ほどの議論もありましたけれども、まだ出口戦略は、今の世界の経済情勢、日本の経済情勢からすると少し早いかな。ですから、二〇一一年の予算規模についても、今から余りこう小さくするという形のメッセージは必ずしも望ましくないのかな。

 そういう中で、税収の問題も大変落ちております。これは所得税についても、この間のまさに小泉・竹中路線では、所得税も最高税率をどんどん下げてフラット化して、それが日本経済を立て直すんだと言っていたけれども、少なくとも私が見る限りは、それは格差の拡大にはなったけれども経済の拡大には必ずしもつながっていない。

 そういうことで、まず所得税の方から、今専門家委員会がスタートしましたので、三月に入りましてからまずそこから議論して、法人税あるいは消費税あるいは環境税、そういった形で、当然ながら、そういった意味での景気あるいはパイを大きくすることと同時に、税のあり方についても議論を本格的に始めるのがまさにこの三月からだと思っております。

与謝野委員 菅大臣がデフレ宣言をされたんですけれども、そうだとしたら、どういう政策対応をするかということも考えていないと、ただの機械的な判断としてのデフレ宣言になってしまう。

 日本の物価下落は、菅大臣は貨幣現象を主因ととらえておられるのか、実物現象、すなわち中国との競争、国内のオーバーキャパシティー、過当競争、これが原因なのか、貨幣現象なのか実物現象なのか、これを菅大臣はどういうふうに考えておられますか。

菅国務大臣 私も、こういう立場に立ってから、いろいろな専門家、いろいろな経済学者、あるいは多少の本も読ませていただいておりますが、もともと私は経済を勉強した人間ではありませんので、そうした中でいろいろな議論は、そうは言っておられませんのでやっております。

 私の感覚では、デフレというのは貨幣のバブルだ。つまりは、物を買うよりも貨幣で持っていた方がいいと多くの人が思う。場合によったら、貨幣だけではなくて、あるときには株で持ち、あるときでは土地で持つ。つまりは、何か、食べ物とかいい家とかいい車とかというものよりも、貨幣そのもので持っておく志向が強くなっている。その現象、それがデフレという形につながっている。

 もちろん、実物経済の中で物が売れなくなっている、これは過当競争というだけではありません。つまりは、需要があるところに供給がないことがあるんです。それがさっき言った介護の問題であり医療の問題です。ですから、私は、これまでの経済政策は間違っていたというのはそういう意味です。

 つまり、ユニクロは確かに競争に勝ちました。しかし、ユニクロが売るものは、従来三越が売っていたとしたら、三越が売れなくなっているんです。マクロ的に見れば、ユニクロは売り上げが伸びるけれども三越は下がるんです。しかし、介護とか医療とかであれば、潜在需要があるんですから、そこに供給が出れば需要が生まれる。あるいは、アイパッドとかあるいは新しい環境の製品は新しい需要を生み出すんです。

 ですから、そういった意味で、新しい需要を生み出さない限りは、単に競争に勝つ製品が出たからといって、マクロ的に見たら、その会社はもうかるかもしれないけれども、マクロ的に需要そのものが大きくなっているかといえば、大きくなっていない。

 今回の三十兆円を超えるいわゆるデフレギャップも、もう御承知でしょうけれども、つまりは小泉、竹中さんの時代に欧米が、特にアジアが大変成長をして、そこに多くのものを輸出ができたからなんです。多くのものを輸出ができたんです。(発言する者あり)何もユニクロが悪いなんて言っていないじゃないですか、後藤田さん。

 私が言っているのは、かわるものをつくっただけではだめなんだと。同じように、もっと安いテレビをつくっただけで、ではテレビの台数が一千万台ふえるかといったら、そうならないでしょう。しかし、アイパッドとか新しい介護であれば、出すだけあるいは売れる場合もあるわけです。それが、私の言っている第三の道なんです。

 ですから、雇用から需要、需要を生み出す、そういう分野、その需要というのは、ある意味では潜在需要の存在する分野を中心にして、そこに、必要であれば何らかの形で財を投じることで景気を回復させ、成長戦略に戻していきたいというのが私の基本的な考え方です。

与謝野委員 何か、基本的な認識が間違っているんじゃないかという気がするんです。

 一つは、外需依存というようなことをおっしゃいましたけれども、日本の外需依存度というのはたった一五%ですよ。八五%は国内の経済なんです。それが一つ。

 それからもう一つは、新しい需要を開拓すべきだ、それは私も同じ意見です。しかし、新しい需要を開拓するためには、保険料あるいは税で積極的にお金を集めて、それを散じていくということがないと、需要は実は生まれない。そういう問題がありますから、財政構造自体もそれに合わせて変えていく必要があるのではないかと私は思っています。

 ですから、あの成長戦略は、申しわけないけれども、二〇二〇年まで三%成長、実質が二%で、一%がインフレ率だと。これは、やはり菅大臣は、自民党に来て、上げ潮派の人たちと仲よくした方がいいという感じがしましたよ。我々は、そういういいかげんなことじゃだめだと。やはり、日本の潜在成長力というのはそんなに高くないんだと。

 それから、インフレということを政策目標にするというのは、やはり政治としては絶対避けなきゃいけない、そういうことを言ったんですけれども、天下の民主党の財務大臣がインフレ一%容認論なんですから、これはおかしいというか、政治がやはりやってはいけないことなんですよ。インフレなき経済成長というものを目指すということにしなきゃいけないんですよ。

菅国務大臣 先日、そこにおられる山本議員ともいろいろと議論をさせていただきましたが、山本先生はもっと高いインフレ率を目標にすべきだということを言われましたし、いろいろともちろん議論があることは、私は決して否定をいたしません。

 また、与謝野さんの本の中でも、一%台半ば、これは成長ですけれども、二%前後ではないかということも言われていまして、これが実質だとすれば、私たちが出している名目三パー、実質二パーとそう違わない。つまり、先進国の中でも二%前後から三%というのが大体ですから、そんなにめちゃくちゃに荒唐無稽な数字を出したというふうには思っておりません。

 それから、先ほどどういうことを言われましたか、見方が違っている、その見方が違っていることは、それはいろいろあるかもしれませんけれども、私は、先ほど来申し上げているように、決して前の政権の悪口を言うということで言っているつもりじゃなくて、なぜ、この二十年、三十年見たら、日本の経済が、特にこの二十年間、いわゆる成長路線から外れたかということなんです。

 先ほど、四百五十兆でしたか六十兆のことを、私も、自社さ政権であったかなかったか、そのころでありましたので、多少の記憶はいたしております。しかし、それも、別にどなたが言ったということを抜きにして、あのときはたしか、日米の貿易インバランスを埋めるためという大義名分で、景気が非常によかったにもかかわらず大量の建設国債を出したんですよ。私は、それは今から考えれば間違っていたと思いますよ。

 ですから、そういう、どこが間違っていたかという検証をしないで、それこそ、これがいい、あれがいいと言ってもまずいと思ったから、過去のことを検証しながら、今申し上げたような考え方の中で次の具体的な形に進めていこう、こう思っているわけです。

与謝野委員 先ほど竹本議員が申し上げましたように、三月十五日は確定申告の日です。やはり、日本の国税当局が何人にも公平に課税をしていく、それを貫いていくということは、やはり財務大臣の責任であり、また、それは総理に対しても例外ではないということを肝に銘じていただきたいと私は思っております。

 以上です。

玄葉委員長 次に、茂木敏充君。

茂木委員 自民党の茂木敏充です。

 早速、質問に入らせていただきます。

 鳩山総理、総理はきょうのお昼、官邸で小沢幹事長と会談をされたようですが、どのような会談だったんでしょうか。総理は、小沢幹事長の説明責任について、国会答弁でも、きちんと進言する、このようにおっしゃっていましたが、国会での説明責任を果たすように要請されたんでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 一党の代表と幹事長が何を話したかということをここで申し上げる必要はないと私は思っております。基本的には、党のあり方等と内閣の意思の疎通のあり方というものを議論いたしたということで御理解を願いたい。

茂木委員 総理が国会の場で答弁をされたこと、きちんと進言をします、こういうことを国会の場で答弁されているわけですから、そのことに関連してお聞きをしております。その点について、お答えください。

鳩山内閣総理大臣 茂木委員、その件に関しては、もう既に、小沢幹事長には電話において進言をいたしました。結論だけ申し上げれば、お互いに、どのような立場で果たすかということは別として、説明責任というものを国民の皆様方が求めているということであるならば、その説明責任をお互いに果たしていこうではないかということで、その電話の内容と御理解を願いたいと思います。

茂木委員 世論調査の結果を見ますと、国民の九割までが、小沢幹事長について、説明責任を果たしていない、こういう答えであります。まさに国民の声なんですね。それなのに、まだできていないのに、せっかく会われたんですから、私は、党の代表としてきちんと要請する、これが筋である、こんなふうに思っております。

 それから、総理の使われる進言というお言葉でありますけれども、総理、意識して使われているのかどうかわかりませんけれども、上下関係があるんですね。この進言、目上の人に対して意見を申し上げること、これが進言になるわけですよ。そうすると、このままでは、国民から見たら、やはり総理は小沢幹事長に対して物が言えないんじゃないか、こういう誤解を生むのではないかなと私は思っております。

 ぜひ、党の代表の責任として、小沢幹事長の国会での説明責任が実現するよう改めて要請したいと思います。いかがですか。

鳩山内閣総理大臣 進言という言葉は、年上の者に対して私が申し上げたわけであります。民主党の中には、余り、ポストの上下関係を一々気にするという風潮はありません。むしろ、目上の人間に対して尊重するという思いは大事にしたい、そのように考えておりまして、その中で申し上げております。

 国会における小沢幹事長の説明に関しては御本人に任せたいとは思っておりますが、どのような立場であれ、国民の皆様方にまだ説明が不十分だと思われているとすれば、その説明を尽くすという気持ちは小沢幹事長も持っているということは、私の方から確認をいたしております。

茂木委員 昨年の夏、国民の多くが政権交代に期待したのは、公正で透明な政治の実現、こういうことであったと思います。残念ながら、今の総理の御答弁をお聞きしますと、そういった期待が裏切られる、失望に変わっていく、こういうことを感じざるを得ません。言っていることとやっていることがやはり違うな、こういうところが、予算でも税制でも、そしてマニフェストでもたくさん出てまいります。

 先ほど、マニフェストの実現につきまして我が党の与謝野委員の方から質問もありましたが、改めてお聞きしたいと思うんですが、マニフェストの実現の状況につきまして、総理は二月九日の予算委員会、我が党の大村委員とのやりとり、年金保険料が平成二十二年度の予算でも年金給付以外の事務費に充てられている、これが年金保険料の流用禁止をうたったマニフェスト違反ではないか、こういう質問に対しまして、こう総理はお答えになっています。

 私ども民主党としては、一年でやることは一年というふうにしっかり書いてあります。書いていないものは、基本的に四年間の間でやりますと申し上げている。マニフェストの工程表の中で、子ども手当とか公立学校の実質無償化など八つは、初年度からどれだけやるというのを書いてあります。ただ、年金保険料の流用の話は、工程表の一番下に、「上記以外の政策」ということで、「財源を確保しつつ、順次実施」と書いてある。私どもは、これにのっとって行いたい。

 このように答弁されています。総理御自身の答弁です。これで間違いございませんか。

鳩山内閣総理大臣 そのとおりでありまして、マニフェストというのは、国民の皆さんに、民主党として四年間でやります、そのことを契約という形でお約束を申し上げたものでございます。

 その工程表の中に、子ども手当あるいは戸別所得補償、一つ一つの項目、六つほどあったかと思いますが、それに対して、一年目にはどうするということは……(発言する者あり)八つですか、失礼しました。その八つの項目に対しては、工程表の中で、年度ごとにどこまで実施するということを書かせていただいております。

 必ずしもそれが一〇〇%できていないものもあることは認めておきたいと思っておりますが、下の欄のところに、それ以外のものということが書かれておりまして、それに対しては、財源の手当てがつき次第、この四年間の間に実施をするということにうたわれておりまして、まさに年金保険料の流用禁止ということを行うには、二千億程度でしたか、財源が必要でございます。その財源の手当てというものを行うのに初年度は無理であったということでありますが、四年間の間にこれは実現をいたしたい、そのように考えております。

茂木委員 つまり、今の総理の答弁にもありますように、マニフェストの工程表の見方、全部が四年間でやるということではなくて、主要八政策以外については四年間で財源を確保しながらやります、しかし、主要八政策につきましては初年度から毎年の実施額が示してある、こういうことだと思います。

 そこで、主要八政策の平成二十二年度の実施状況を見てみますと、暫定税率は残念ながら維持、こういうことでありますし、年金問題への集中的な取り組み、これも半額以下に減額をして九百億、こういうことで縮小になっています。

 つまり、民主党が目玉としてきた主要八政策につきましては、初年度から明らかに公約違反。平成二十二年度のマニフェストの主要政策、全体で七・一兆円です。それに対しまして実施できましたのは三・一兆円ですから四四%、点数でいえば四十四点ですよ。財源の確保でいいますと、結局、基金の返納、この一兆円分、これを除いた二・三兆円ということですから三二%、三十二点ですよ。そして、それ以外の政策の財源の確保については零点、こういうことになるわけですね。

 大学の四年間でいいますと、一年目、一番ハードルの低い一年目から落第点、こういうことだと思いますけれども、この数字で間違いありませんか。

菅国務大臣 数字は、ちょっとここで確認する数字を今すぐは持っておりませんが、私は、新しい政策課題については、今言われたように、基金の返納を含めた、たしか三・二兆円ですか、その内側から、新たな政策については、少なくとも初年度分については実行をしている。ですから、確かに幾つか、暫定税率など、当初のお約束が実行できなかったこともありますが、多くの課題については、初年度分については、三・二兆でしたか、その中から実行を始めている、こういう認識を持っております。

茂木委員 三・三兆円です。

 ただ、おっしゃっていらっしゃるのは、財源の捻出は、予算の組み替えとそして無駄の排除で全部出しますと言ったわけです。そうすると、基金からの返納は入らないから二・三兆円ですから三十二点だ、それ以外は零点だ、こういう話を申し上げているわけであります。明らかにマニフェストは破綻している、財源の方から、そう言わざるを得ないんじゃないかな、こんなふうに私は思っているところであります。

 財源がない、そこでどうしたかということでありますけれども、要するに、一番財源を食う二・五兆円の暫定税率についてはあきらめた、二番目に財源を食う子ども手当につきましては一兆七千億円、つまり、地方とか企業には迷惑をかけないと言いながら五千億円以上負担をさせて、一・七兆円に減額をして中途半端な実施、こういうことになったんだと思います。

 国民の声を聞いて見直したのではなくて、結局、財源のでかいところから削っていった、こういうことでマニフェストが破綻している、こう申し上げているわけでありますけれども、すべて財源の問題なんですね。

 そこで、子ども手当、これだけ巨額の税金を使うわけでありますけれども、本当に効果があるのか、極めて疑問であります。

 子ども手当につきまして、民主党は総選挙では、これまでの生産者、サプライサイドの景気対策ではなくて、家計への直接支援の目玉、こういうふうに訴えてきたはずであります。ところが、予算委員会でも、我が党の林参議院議員等々から、消費性向と乗数効果の関係等々、疑問を呈されますと、菅財務大臣は、中長期的には少子化対策としても効果がある、このような答弁を明確にされているわけであります。

 この子ども手当、社会保障費の予算の中でも圧倒的に大きな税金を食う予算、こういうことになってくると思います。満額支給になりますと五兆円を超える。例えば児童家庭給付費、それから保育関係の予算、これを合わせても三兆円、こういう額であります。

 子ども手当が少子化対策として効果がある、こういうふうにおっしゃるんでしたら、財務大臣、毎年五兆円以上かかるこの子ども手当の支給によりまして出生率はどれくらい改善しますか、明確にお答えください。

菅国務大臣 まず、この少子化という現象がはっきりしてきたのは、二十年ぐらい前にはかなりはっきりしてきたわけです。結果として、それに対して手を打たなかったということについて、私たちは、大変おくれたけれども何らかの手を打つ必要があると。このままいけば、今世紀の終わりには人口が四千五百万です、今の推計のままいけば。

 そういう意味で、まずは、そうした子供の問題というのは、少なくとも少子化の問題でいえば、一年二年で効果が出るわけではないけれども、二十年おくれたけれどもそこは大きく手を打っていこうということで、そして、その中にはもちろん直接の給付もあれば実物給付もあることも承知をいたしております。

 そういう中で、いろいろな議論をした中で、直接給付について、まず二万六千円を目標にして始めようということなんです。そのときに、あわせて家計を潤すことによる経済効果もある程度は期待できるということで申し上げたんです。それに対して、公共事業の方が乗数効果が高いじゃないかとかという議論があったから、そういう議論になったのであって。

 出生率については、率直に申し上げて、これだけのお金を出せばこうなりますというふうには、これだけでは申し上げることはできません。いろいろな関係がありますし、他の国を比べても、フランスなどは出生率が戻っておりますが、イタリアなどは余り出生率が高まっておりません。ですから、私は、子ども手当だけで出生率がV字形で回復するというほど楽観はいたしておりませんけれども、しかし、それに加えた現物的な、保育とかいろいろな仕組みを合わせることによって、もう少し高い出生率には変わっていく、あるいは変えていきたい、こう考えております。

茂木委員 数百億単位の予算であれば、私、こういう質問は申し上げませんけれども、先ほど申し上げましたように、児童家庭給付金それから保育関係の予算全体を合わせても三兆円なんですよ。それよりも単体で大きなものをやるからには、それなりのきちんとした効果の見通しを持ってやらないということだったら、納税者は納得をしないんじゃないかな、こういうふうに私は思うところであります。

 それで、もう一つ、経済効果について改めて質問させていただきたいと思うんです。

 財務大臣は、消費性向につきまして〇・七程度、このように御答弁されていると思いますが、子ども手当の支給などによりまして所得が追加的にふえた場合、そのうちどの程度が消費に回るかという限界消費性向、恐らく大臣が〇・七と比べた数字より低くなると思うんですけれども、官僚が後ろから今ペーパーを出していますね、幾つぐらいになるか、お教えください。

 それから、今回、児童手当に接ぎ木をする、公約違反で、そういう形になっています。そのために、所得階層によりまして支給額が異なってくる。残念ながら所得が低い方が支給額が低い、こういうことになるんですけれども、所得階層別の消費性向がどうなっているか、お答えください。

菅国務大臣 消費性向については、過去の定額給付金とかいろいろなもので、いろいろな調査といいましょうか、内閣府で調査をしたり、あるいは予想したりしております。

 今回の場合は、比較的、他の定額給付の場合よりも高目に出てきているのは、一つは、恒久的な、つまり単年度ではないということからくる効果が一つはあります。それから、先ほど限界消費性向という言葉もありましたけれども、一般的には、子供がいる家庭は子供がいない家庭よりも消費性向がやや高くなるということも言われております。

 そういう意味で、〇・七というのは、平均消費性向を、計算上は限界でなきゃいけないんですけれども、限界消費性向とほぼ同等になるという認識のもとで、〇・七というのが内閣府のいろいろなモデルの中で推測している数字だということです。

茂木委員 所得階層別の消費性向についてお答えください。

菅国務大臣 細かい数字は今すぐ手元にはありませんが、一般的に言えば、所得が低い階層ほど消費性向がやや高くなるというのが一般的傾向だと認識しています。

茂木委員 やはり認識が私は少し違うんじゃないかな。限界消費性向は明らかに低くなる、こういうふうに考えています。

 それから、所得階層別でいいますと、ややではありません。例えばデータで申し上げますと、これは内閣府のデータですけれども、平成二十年度の家計調査によりますと、全体の消費性向、これが七三・四、これで所得五分階でいいますと、一番低い四百四十一万円以下の家計の消費性向は八五・九%です。これに対しまして、一番高い九百三十八万円以上の層は六六・九%ということですから、二〇%ポイントも差が出てくるんですよ。

 そこで、何が問題か。今回、児童手当に接ぎ木をしたわけです。そうしますと、児童手当の所得制限以下のところにつきますと、一万三千円丸々ではなくて、三千円しか出ないんですよ。そして、所得階層の高い、例えば鳩山家のような家庭の場合は一万三千円丸々出る、こういう形になってきます。

 さらに申し上げますと、扶養控除の廃止によりまして、平年度ベースでは、所得制限以下の例えば三百万の家庭、こういうところですと、結局はマイナスになっちゃうんです。今もらっている額より少なくなる、こういう形であります。

 さらに申し上げますと、子ども手当の使い道につきまして、民間の調査によりますと、低所得層は生活費に充てる、そして中所得層は貯蓄に充てる、高額所得層は教育投資などに充てるということでありまして、これでは教育格差もまさに拡大していくんじゃないですか。

菅国務大臣 先ほど言われたのは、多分、児童手当が所得制限があるために、それよりも上の人は今まで児童手当がゼロだから、子ども手当になれば所得制限を入れなかったためにプラスになる、そういう計算かと思います。確かに、児童手当の所得制限、たしか八百万ですか、それ以上のところと以下のところでいろいろ変化があることはそのとおりだと思っています。

 その上で、一般的に言えば、今回は控除がまだききませんので、国税、地方税は来年、再来年からですので、そういう意味では、今回の子ども手当でトータルとして減る階層はないというふうに認識をしております。

茂木委員 ちゃんと私の質問を聞いてください。

 平年度ベースで、扶養控除等々が廃止されたときは減ります、こういう話を申し上げていまして、一例だけ申し上げますと、共働きの場合で子供一人ですと、三歳児未満の子供が一人の場合、ネットでの増減でいいますと、年間で一万六千円の減です。そして、一番高い階層でいいますと四・七万円の増、こういうことであります。

 今の一連の御答弁を聞きますと、少子化対策としても出生率がどれくらいになるかわからない、五兆円以上使いながら。そしてまた、経済効果でいいますと、消費性向が高い低所得層には低い給付、そしてまた消費性向が低い高額所得者層には高い給付ということになって、さらには、それによって何に使うかということ、生活費に使う、一方では、高額所得者の方は、鳩山さんのお孫さんのように塾に通わせたり、そしてまた教育投資、こういうことで教育格差も広がる。明らかに政策としておかしいんじゃないですか。

 こういうことを申し上げているんですから、きちんと答えてくださいよ。

菅国務大臣 平年度ベースというのは、少なくとも初年度は月一万三千円で、マニフェストでいえば、二年目からは二万六千円を目指して今努力をしているわけですが、二万六千円にマニフェストで掲げたところを実現したときに、今言われたように、所得の低い人の方がマイナスになるということはないはずです、私が聞いているところ。

 特に、控除で逆にきいてくるのは、高額所得者が控除によって減税分がかなりなくなりますから、扶養者控除であっても、高額者の方の負担は逆に税の方でかなり高くなります。ですから、そういった意味で、何か子ども手当を入れたら逆進性になる、私が知る限り、そういう組み立てにはなっておりません。それは平年度ベースも一万三千円のまま続けたときの仮説であるとすれば、ちょっと私たちの設計とは違っております。

茂木委員 給付が一万三千円であろうが二万三千円であろうが、先ほど申し上げたケースですと、高額所得者の方が入るのが多くなります、間違いなく。そして、一万三千円の場合はマイナスになります。これは、内閣府、政府の方が出した数字で見ておりますから、間違いありません。きちんと確認してください。ちょっと、とめて確認してください。(発言する者あり)

玄葉委員長 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

玄葉委員長 速記を起こしてください。

 それでは、峰崎副大臣、質疑時間が終了していますので、簡潔に答弁願います。

峰崎副大臣 前提条件は、先ほど私、ちょっと明確でなかったんですが、子ども手当月額二万六千円という前提条件でよろしいんですね、平年度とおっしゃっていますから。(茂木委員「平年度で一万三千円と言いました」と呼ぶ)

玄葉委員長 財務副大臣、答弁だけしてください。

峰崎副大臣 とりあえず、私は今、二万六千円という前提の数字を申し上げますが……(茂木委員「いや、一万三千円と言ったんだから、一万三千円でやってくださいよ」と呼ぶ)

玄葉委員長 答弁だけしてください。もう終わっていますから。(発言する者あり)では、財務副大臣、いいです。

 菅財務大臣、最後、簡潔にお願いします。

菅国務大臣 いや、ですから、先ほど申し上げたじゃないですか。平年度ベースということを言われたら、私たちは初年度は一万三千円と考えておりますが、二年目以降はマニフェストでは二万六千円となっているわけですし、平年度ベースというのは、だから、控除が外れるのは、国税で来年から、地方税で二年先からですから、そういう意味では、二年先以降の平年度と言われるのであれば、二万六千円で計算すれば、先ほど私が申し上げたように、逆転することはない、それが私たちの設計図です。

玄葉委員長 質疑時間が終了いたしましたので、次に参ります。

 次に、竹内譲君。

竹内委員 公明党の竹内譲でございます。

 本日は、事前に質問通告をいたしておりますが、総理のみにお尋ねをしたいというふうに思っております。

 まず、公明党といたしましても、政治倫理の問題につきまして冒頭申し上げておきたいというふうに存じます。

 民主党の倫理規則によりますと、その第三条には、「常任幹事会は、党員が倫理規範に反する行為を行ったと思われる場合には、すみやかに調査を行って事実を確認し、必要な措置または処分を行わなければならない。」とあります。

 民主党議員処分の主な前例は次のようなものでございまして、例えば、過去、古賀潤一郎氏、学歴詐称容疑で、離党届受理せず除籍。それから、西村真悟氏は、弁護士法違反容疑で、離党届受理せず除籍、また辞職勧告決議案もされている。山本譲司氏は、詐欺容疑で離党届、撤回し除籍。永田寿康氏は、にせメール事件で党員資格停止、議員辞職。それから、小林憲司氏は覚せい剤使用で除籍。佐藤観樹氏は、秘書給与詐取容疑で除籍、議員辞職。このように厳しい処分がされておられるわけであります。

 これらに比べても、現在の与党民主党は自浄能力を発揮していないのではないか、国民への説明責任も果たしていないと言わざるを得ないと思うわけでございます。

 現場を回っていて、国民の多くの声は、総理は御自身の疑惑については本当のことを言っておられない、石川知裕衆議院議員については政治倫理審査会に出て弁明すべきである、また、民主党は、石川議員の辞職勧告決議案にも賛成し、証人喚問にも応ずるべきである、どうも小沢幹事長関係の問題には民主党は甘い、それから、小沢幹事長は国会で説明責任を果たすべきだというものであります。

 また、世論調査でも約七割の人が小沢幹事長は辞任すべきだとしていますし、前原国土交通大臣も辞任を期待する発言をされているわけでございます。

 加えて、小林千代美衆議院議員の陣営に違法な政治資金が渡ったとされる事件では、北海道教職員組合幹部ら四人が逮捕されるという事態に至っています。

 総理は、予算が衆議院を通過すればこれら一連の政治と金の問題に幕引きをして、ほおかむりをして、参議院選挙を勝とうと考えておられるのでしょうか。政治と金の問題にそれぞれきちんとけじめをつけるべきであると思いますが、総理はいかがですか。

鳩山内閣総理大臣 衆議院の予算が通過をしたら幕引きをしたいとか、あるいは参議院ですべて予算が通ったら幕引きをするとか、そのような思いは持ってはおりません。

 一つ一つの政治と金の問題に関しては、しっかりと国民の皆さん方に、後ろ指を指されないようにその説明責任というものは果たすべきだ、そのように考えておりますし、御本人が判断をされるものはされるべきだ、そのように考えております。

 また、今、町の方の声として、鳩山自身が正直に話をしていない、そのようにお話があったようでございます。あるいはそのように国民の皆さんに聞こえてしまっているとすれば、まことに不徳のいたすところでございますが、私自身は、私の知り得る限りの事実を正直に申し上げているつもりでございます。

 以上です。

竹内委員 この点、政治と金の問題につきましては、しっかりとけじめをつけていただきたいと思います。

 次に、角度を少し変えまして、私、かねがね鳩山総理にぜひお伺いしたいことがございました。

 これは質問通告をしておりますが、私は、戦後の政治家は、なぜ日本はあのような無謀な戦争を行って国家を破滅させ、国民に塗炭の苦しみを与えたばかりか、中国を初めアジアの人々に多大な損害をもたらしたのかということを絶えず検証し、そこから教訓を酌み取らなければならないと思っております。

 戦争に至る大きな原因の一つとして、軍部の暴走を政治が抑えられなくなったということが定説として指摘されているわけでございますが、その軍部の政治介入の重大な契機となったのが、当時の民政党の浜口雄幸首相が締結した昭和五年のロンドン海軍軍縮条約と、それが天皇の統帥権を犯すものだとして起こった、いわゆる統帥権干犯問題であったと言われております。

 当時、野党だった政友会の犬養毅総裁と総理の祖父の鳩山一郎議員が衆議院で、海軍軍令部の意見を無視して軍縮条約を調印したのは統帥権の干犯だとして激しく政府を攻撃しました。

 本日お手元に配付した、昭和五年四月二十六日の衆議院の議事録がこれでございまして、この二ページから三ページにかけまして鳩山一郎議員の演説が載っておるわけでございます。読みにくいのですが、これを一々解説している時間はございませんので省略させていただきますが、このことが、その後、政友会と海軍とが結託しての大きな騒ぎに発展し、とうとう翌年、浜口総理が東京駅で狙撃されるという事態も招いてしまいました。

 歴史家は、政友会が軍と組んで議会を混乱に陥れたのは、政党政治に墓穴を掘る行為、またそれは、昭和史における軍部の独走を政治そのものが容認する性格のものであったと評しておるわけでございます。

 当時は、まさに二大政党制の時代でありました。民政党と政友会。しかし、この事件後、政党政治は急速に力を失い、軍部が暴走してとうとう戦争に突入、日本は破滅したのでありました。

 鳩山総理は、このロンドン海軍軍縮条約の締結と、それが引き起こした統帥権干犯問題をどのように認識されておられるか。また、この事件から酌み取るべき政党政治の教訓とは何か、総理の見解を求めたいと思います。

鳩山内閣総理大臣 竹内委員にお答えを申し上げます。

 祖父の行為は祖父の行為であって、そのことに関して、今、孫としてどのように考えているかということを若干申し上げてまいりたいと思っております。

 ロンドン海軍軍縮条約の締結に際して、今お話がありましたように、軍令部の反対を無視して政府が兵力量を決定したということに関して、これは天皇の統帥権を侵したものだ、いわゆる統帥権干犯の事件というものが起きたことは私も理解をしているところでございまして、その結果として、これはいろいろと歴史的には検証しなければならないことがあろうかとは思いますが、それが一つの原因であったかと思います。

 浜口雄幸総理が刺された、そして、辞職をされて亡くなられたという事件が起きたことも事実だと理解をしております。そして、そのことが、軍部に対して政府が物を申すことができなくなる、結果として政党政治というものが弱まったということも事実として起きたことではないか、そのように理解をいたしております。

 ただ、当時のいわゆる明治憲法下で起きた政党政治と現在の政党政治という中では制度上に大きな違いがあることも、これは竹内委員御案内のとおりだと思っておりまして、軍部の統帥権の問題など単純に比較はできないことではないかと思っておりまして、一概に教訓的なことを申し上げるべきではないと思っております。

 ただ、私なりの私見で申し上げさせていただければ、やはり、これは軍部に対する、いわゆる軍事というものに対してはシビリアンコントロールというものが非常に重要であるということを学ばせていただく一つの事件であろうかと思います。

 ただ、シビリアンコントロールといっても、それをしっかりと機能させていくためには政治が、これはメディアも含めてそうだと思っておりますが、国際的な流れというもの、認識をしっかりと持っていないといけない。そして、大局的な戦略判断というものを政党が、あるいは政治家がしっかりと持っていることがシビリアンコントロールの要諦ではないか、そのようなことを学ばせていただけるのではないかと思っております。

竹内委員 私自身は、この事件からこういうふうに考えております。二大政党制というものが持つ欠陥というものがある。それからもう一つ、天皇の政治利用というのがいかに重大な問題を惹起するかということについても注意を払わなければいけないと思います。私は、たとえ倒閣、内閣を倒すとか政権交代のためとはいえ、やってよいこととやってはならないことがあるというふうに思うわけでございます。

 その上で、現在の、いよいよ二大政党制の時代を志向されておられるわけでございますけれども、戒めなければならないことは、政権交代のためとはいえ、権力奪取のためとはいえ、財源の確たる当てもなく、やはり、子ども手当を初めとする一連の巨大なばらまき政策をやって国家財政を破綻させてはいけないというふうに私は思っておるわけでございます。

 本年度が約一・三兆円、来年度が、子供一人二万六千円、総額約五・三兆円、日本の防衛予算よりも大きい、これを財源を確保せずにやれば、日本は間違いなく破滅すると私は思っております。

 しかも、二月四日の参議院の決算の総括質疑がございまして、そのとき、仙谷国家戦略担当大臣がこういうふうにおっしゃっています。二〇〇五年の小泉総理の郵政選挙後に、政策的にまともなことをちゃんと提起するのではなかなか日本の選挙は勝てないと総括してマニフェストをつくりましたということを、これは確かに自民党の丸山参議院議員の質問に対してこのようにおっしゃったんですね。

 つまり、選挙に勝つための、そして、政策的にはまともでないマニフェストであることを仙谷大臣は認めたということになるわけでございます。

 そこで、総理に質問させていただきます。

 子ども手当の、子供一人月額二万六千円の根拠を教えていただきたい。なぜ二万六千円という数字が出てきたのか、その理由を教えていただきたいと思います。

鳩山内閣総理大臣 先ほど竹内委員に対する答弁の中で、浜口雄幸総理が狙撃をされたと言った後、刺されたと言ってしまったようでありますが、撃たれた、狙撃されたと訂正申し上げておきたいと思います。

 子ども手当に関して先ほども御議論がございました。景気対策とかあるいは少子高齢化、少子化対策という意味もございますが、一番大事なことは、子供を社会全体で支える仕組みをつくるということが一番の目的でございます。

 そして、そのためにどのぐらいの額が必要かということになれば、子供を一人お育ていただくためにどのぐらいの費用がかかるかということを概算させていただく中で、私どもとして二万六千円程度、すなわち、これは海外の例なども参考にさせていただきながら、このぐらいの額がかかるということを調査させていただいて、そのように決めたところでございます。

竹内委員 私も過去の民主党の経緯を調べてみました。

 そうすると、大体二〇〇二年ぐらいに骨格ができ上がっていたようでありまして、当時の発想は、配偶者控除と子供の控除の額を子供の人数で割った一万六千円だった。それがいつの間にか一万円上乗せされたきっかけは、二〇〇七年一月の当時の小沢一郎代表の代表質問でございまして、突如、民主党が政権をとったら六兆円規模の子ども手当を創設すると宣言されました。六兆円を当時の子供の数で割ると約二万六千円になったというだけのことでございまして、なぜ六兆円なのか等、極めてこれは根拠薄弱と言わねばならないわけでございます。

 総理にお尋ねしますが、来年度、子ども手当を、借金をしてでも必ず満額支給を国民に約束されるのか、それとも見つかった財源の範囲内で行うと修正されるのか、どちらでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 先ほどの二万六千円に関して、小沢代表時代に、一万六千円ではやはり足りないという発想の中で概算を、子供が育つためにかかる費用を計算いたしましたところ、各年齢の平均年額が大体三十万、年間でありますが、そのぐらいかかるということになったものですから、二万六千円という計算をいたしたところでございます。

 それから、子ども手当が満額できるのかという議論は先ほどもなされたところでございますが、私どもとすれば、子供の手当を支給させていただくために将来の子供に借金を背負わせるということはなかなかやるべきではない。すなわち、国債を発行してまでやるべきではない。したがって、財源というものは、国債を発行しない中で、歳出の削減あるいは予算の見直しなどで手当てをされるべきだ、そのように考えているところでございます。

 なかなか厳しいということは状況としては事実だと思っておりますが、私どもとすれば、満額支給というものに向けて、すなわち月額二万六千円支給することを目標として最大限の努力をしてまいります。

竹内委員 今、重要なことをおっしゃいました。これに関しては、来年度は国債発行はしないということをおっしゃったわけでございまして、歳出削減と予算の見直しでやるということを今おっしゃいました。非常に重要な御発言だと思います。

 最後に質問させていただきますが、その意味では、子ども手当はまさに鳩山民主党の看板政策でありますし、あの昨夏の政権交代選挙の国民との最大の約束であるというふうに思います。今満額支給に向けて努力するというふうにおっしゃいましたけれども、もしも満額支給できなかったときは、総理はこの責任をとられるべきであると私は思うんです。もしもできなかったときは責任をとって総理の職を辞するべきであると私は思いますが、いかがですか。

鳩山内閣総理大臣 マニフェストの実現に向けて努力をすることは言うまでもありません。そのことで、できない場合はすぐに辞するということを要求される方々がいろいろと多いわけでございますが、私としては、当然のことながら、満額支給に向けて最大限の努力をする。これはまさに、枝野行政刷新大臣というものを起用させていただく中で、無駄遣いを徹底的に洗い出していくという意欲を強く持っているところでございます。

 なかなか厳しい環境は先ほども申し上げたとおりでございますが、国民の皆様方に、満額支給に向けて最大限の努力をすることを改めて誓いをさせていただきます。

竹内委員 終わります。ありがとうございました。

玄葉委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 まず、総理にお尋ねをしたいと思います。

 配付をいたしました資料、これを見ていただきたいんですが、これは「企業規模別 利益配分の推移」というふうに見出しを書かせていただきました。左側は資本金十億円以上の大企業、右側は資本金一億円未満の中小・小規模企業のグラフです。

 二〇〇一年度を一〇〇として、これを基準とすると、大手企業の経常利益、青いところですが、一時期二倍以上となった後、リーマン・ショックを含む二〇〇八年度は一二六・七。ところが配当の方は、一時四倍近くふえた後、二九四・三。若干減ったとはいいながら、三倍であります。役員給与は一〇七・一ということですね。従業員給与は九八・五、これはマイナスでございます。

 一方、資本金一億円未満の中小・小規模企業はどうか。経常利益は余り伸びておりません。配当は一四一・〇。注目したいのは、役員給与が九五・六にとどまっているわけです。しかし、従業員給与は一〇七・三、これはわずかながら増加をしております。

 このグラフをごらんになって、鳩山総理はどのような感想をお持ちになりますでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 佐々木委員に正直にお答えをいたしますが、やはり、大分大きな企業と中小企業との間で一番わかりやすいのは、配当金に対しての考え方が違うなというところでございます。

 これは企業でありますから、企業それぞれの判断というものが優先されるのは言うまでもないことだとは思っておりますが、少なくとも大手の企業の皆さん方が株主に対する優遇施策を重視されたのではないか、そのように考えておりまして、このように大きな開きがあるということは若干の驚きだと申し上げておきます。

佐々木(憲)委員 大きな企業は、労働者の方については非正規雇用にどんどん置きかえていく。この背景には、労働法制の規制緩和というのがあったわけです。労働者全体の賃金水準を引き下げる、こういうふうになりました。そういうことをやりながら利益を生み出して、役員の給与、賞与をふやす、あるいは配当をどんとふやす、あるいは内部留保に回す、こういうやり方をしてきたわけです。

 しかし、中小・小規模企業はなかなか経営が大変で、役員の給与、賞与よりも、従業員の生活を何とか守ると。我々、話を聞いてみましても、家族同然のそういう人たちの暮らしを守りたいんだということで、むしろ従業員をふやして懸命に利益を上げようという努力をされているわけです。この姿がこの資料にあらわれているというふうに思います。

 個別の大企業について少し触れていきますと、例えば、経団連会長の会社、キヤノンですね。これは、当期純利益は千三百十六億円であります。これは十二月決算。それを上回って千三百五十八億円、配当に回しているんです。内部留保を取り崩しても配当に回すというような姿勢をとっております。

 今総理もおっしゃいましたように、小泉・竹中路線によってこういう傾向はやはり加速されて、全体として経済格差は拡大したというふうに私は思います。幾ら株主優先主義だといっても、この風潮はかなり行き過ぎているというふうに私は思うんですが、総理はどのようにお考えでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 大企業の中でも今キヤノンの例を引き合いに出しておられたわけでありますが、確かに、キヤノンについては利益を配当に極めて厚く充てているなと考えております。これは事実ではないかと思います。

 いずれにせよ、企業は株主のみで成り立っているわけではありません。特に、従業員に対する配慮、今派遣労働者がふえているということがありました。現実に大企業は、そのようなことで従業員に対する給料はむしろ下がっているという実態があるということでありまして、従業員やあるいは消費者、地域社会といった関係者の密接な協力があって初めて企業というものは成り立つんだという認識をしっかりと持たなければならない。企業は社会的存在だというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 ついでに言いますと、同じ十二月決算のブリヂストン、これは、当期純利益は十億四千三百万円です。それなのに配当は百二十五億四千八百万円。純利益の十二・五倍を配当に回しております。この配当に、証券優遇税制によって巨額の減税が行われているわけです。既に私は予算委員会でも総理に御質問しましたが、この税率、今減税が行われて一〇%になっております。配当、譲渡益課税、当然これはもとの二〇%に戻すということが私は必要だと思うんです。

 この財務金融委員会でもこのことを議論してまいりました。菅大臣も、それは検討が必要である、峰崎副大臣は、すぐにでもやりたい、こういう話をされておられましたが、総理の決断をお聞きしたいと思います。

鳩山内閣総理大臣 私がどのような株式を持っているということは全く別の議論であろうかと思っておりますが、いずれにしても、これは私ども税制調査会で真剣に議論するべき問題であろうかと思います。

 今佐々木委員が御指摘されたように、大企業の配当が極めて大きくなっているという現実があるわけでございます。一方で、これは時限的に、経済が必ずしもよくないという状況の中で、株価が必ずしも高くないという現実の中で、時限的に一〇%に軽減されているというのが事実ではないかと思っておりますが、この件に関しては、私よりも、より専門家であります菅財務大臣あるいは峰崎先生方にお任せをして、税調でしっかりと真剣に議論をされるべきだ、そのように考えます。

佐々木(憲)委員 菅大臣や峰崎副大臣には何度も質問をしましたので、きょうは問いません。

 税率が軽減されているというのは、決して、それをやれば株が上がるというものではありません。やはり市場の信頼というようなことがまず第一、それから経済全体の活性化というものがあって初めて株価というのは上がってくるわけでありますから、それ抜きに、税率を下げれば株が上がるなんというそんな単純な話ではありません。

 今は企業の体質の問題が問われているわけです。これにどう新しい政権が対応するか、このことが問われているわけですね。財源問題も今議論になりました。したがいまして、やはり力のあるところに応分の負担を求め、そして、消費税のような逆進性のあるものは、これを増税するなどというのはやってはならない、私はそう思っているんです。

 そういう方向でぜひ検討して、こういう不公正なものは是正をしていただきたい、このことを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

玄葉委員長 これにて内閣総理大臣出席のもとの質疑は終了いたしました。

 総理大臣は御退席いただいて結構でございます。

 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

玄葉委員長 これより各案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。小野塚勝俊君。

小野塚委員 民主党の小野塚勝俊でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表いたしまして、平成二十二年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案、所得税法等の一部を改正する法律案、租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律案について、三法案すべて賛成の立場から討論を行います。

 まず、平成二十二年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案について申し上げます。

 本法律案は、平成二十二年度における特例公債三十七兆九千五百億円を発行可能とすることに加え、財政投融資特別会計から四兆七千五百四十一億円、外国為替資金特別会計から三千五百億円、食料安定供給特別会計から百四億円余の特別会計の積立金、剰余金を一般会計に繰り入れることを定めたものであります。

 本法律案が定める特例、特別措置は、平成二十二年度一般会計歳入予算の約四七%を確保するものであり、平成二十二年度予算と本法律案はまさに一体不可分のものであります。

 平成二十二年度予算は、昨年夏の衆議院総選挙において国民の皆さんが支持してくださった国民の生活が第一の理念を具体化した子ども手当、高校の実質無償化、農業の戸別所得補償、年金記録問題への対応、医師不足解消など、国民生活に安心と活力をもたらす多くの施策を盛り込んだ、命を守るための予算であります。

 現下の厳しい経済状況に対処するために、本年一月二十八日に成立いたしました平成二十一年度第二次補正予算と平成二十二年度予算とを一体として切れ目なく執行することが不可欠であり、そのためにも、本法律案の成立を強く求めるものであります。

 次に、所得税法等の一部を改正する法律案について申し上げます。

 本法律案は、鳩山内閣発足後、政治家から構成され一元化された税制調査会での議論を踏まえたものであり、国民の皆さんに信頼していただける税制を構築するとの観点から、税制全般にわたる改革の第一歩として大変に重要な意義を有するものであります。

 具体的には、所得税において控除から手当へといった見直しを進めるほか、租税特別措置の抜本的な見直し、いわゆる一人オーナー会社課税制度の廃止、また、新しい公共の役割の重要性を踏まえ、市民公益税制の拡充等を行うこととしています。

 本法律案が定める措置は、いずれも我が国の直面する諸課題や国民の皆さんの切実な声に対応するものであると確信しております。

 最後に、租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律案について申し上げます。

 本法律案は、租税特別措置に関し、適用の実態を把握するための調査を行い、その結果を国会に報告することを定めたものであります。

 本法律案の成立により、租税特別措置の適用状況が透明化するとともに、適切な見直しが推進されることを通じて、国民の皆さんが納得できる公平で透明な税制の確立に寄与するものと考えます。

 以上、三法案に賛成する私の討論を終わります。(拍手)

玄葉委員長 次に、徳田毅君。

徳田委員 私は、自由民主党・改革クラブを代表して、ただいま議題となりました平成二十二年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案の二法案に反対、租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律案に賛成の立場で討論を行います。

 まず、特例公債法案であります。

 平成二十二年度予算の国債発行額は実に四十四兆三千億円となり、当初予算としては昭和二十一年度以来という、借金が税収を上回る異常事態となっております。中期的な財政規律のルールもないまま、このような多額の公債発行を容認することはできません。

 次に、所得税法等の一部改正案についてであります。

 本法案に反対する第一の理由は、本法案は、選挙目当てのばらまきマニフェスト実現のための財源探しに終始し、税制の理念や整合性、さらには税財源のあり方をも無視した、いわばパッチワーク税制改正であるからであります。

 その最たるものが、小沢幹事長のツルの一声で決まった暫定税率の廃止であります。暫定税率は廃止、当分の間、現行税率水準を維持という看板をかけかえただけの改正内容は、国民無視の自己満足でしかありません。

 第二に、財源確保を優先し、税制改革の全体像が示されないまま行われた扶養控除等の廃止縮小は、精緻な議論の積み重ねがない拙速な改正により、税負担に新たな不公平を生じさせることとなるからであります。

 第三に、いわゆる一人オーナー会社の役員給与の損金不算入制度の廃止は、税負担の不均衡を復活することにつながり、言語道断であります。

 第四に、たばこ税の増税は、マニフェストにも掲げられていない増税項目で、近年類を見ない大幅な値上げについての合理的な理由の説明もなく、葉たばこ農家、たばこ小売店などへの影響等を十分に配慮したものとはなっていません。

 以上の理由から、これらの法案には反対をいたします。

 なお、租特透明化法案につきましては、その目的が、租税特別措置の適切な見直しを推進し、課税の公平性確保に寄与するものであることから、本法案には賛成であります。

 以上申し述べた理由により、特例公債法案及び所得税法等の一部改正法案については反対、租特透明化法案については賛成することを表明いたしまして、私の討論といたします。(拍手)

玄葉委員長 次に、石井啓一君。

石井(啓)委員 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました平成二十二年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案の二法案に反対、租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律案に賛成する立場から討論を行います。

 平成二十二年度予算案及び税制改正案は、鳩山内閣における中長期的な財政の見通しが全く示されない中で、将来への不安を増幅するだけの場当たり的なものとなっています。

 時の政権は、将来に向けた財政健全化への道筋をきちんと示すことが極めて重要な責務です。しかしながら、鳩山内閣はそうした議論を先送りしており、理念なし、将来の見通しなしの鳩山政権の財政運営に対しては、市場からも警告が出されています。

 公明党は、こうした観点から、四十四・三兆円もの将来の見通しなき国債の大増発は到底認められるものではなく、その大宗を占める三十八兆円もの特例公債の発行を認める特例公債法案には反対です。

 所得税法等の改正案については、理念なき予算、税制であることに加え、現下の経済状況を踏まえた景気刺激に資する税制改正にはほど遠いものです。

 そもそも、鳩山内閣では、経済政策の軸がはっきりせず、二転三転、迷走しており、結果、税制改正もちぐはぐで、景気刺激の効果は極めて低いものであると指摘せざるを得ません。

 また、マニフェストの財源確保のために、きちんとした説明もなく、マニフェスト違反の増税を実施しようとしています。

 中でも、人的控除については、控除から手当への考え方自体は理解できますが、人的控除のあり方は税制の抜本改革の中で整合的に検討されるべきであり、単に財源確保のためにつまみ食い的に改正するやり方は大いに問題があります。

 また、住民税の年少扶養控除の廃止や特定扶養控除の縮小は、明らかな公約違反です。あわせて、これらを子ども手当や高校授業料無償化の財源として活用することは、給付と負担の関係において問題があることを指摘しておきます。

 たばこ税の引き上げについては、引き上げ幅の明確な根拠は見当たらず、また、国民に理解を求める丁寧な議論を経たとは言えません。こうした中で、過去に例のない大幅増税を行うことは拙速であり、安易な大衆増税のそしりは免れません。

 なお、ガソリン税等の燃料課税の暫定税率について、実質的に暫定税率を維持するとしたことは、環境面での配慮など公明党の主張と一致しますが、民主党にとってみれば明白なマニフェスト違反です。他方において、公明党は、自動車重量税、自動車取得税は、暫定税率を廃止し、本則税率まで引き下げるべきと考えます。

 以上、国税関連二法案に反対する主な理由を申し述べました。

 なお、租特透明化法案については、税制の透明化の観点から賛成することを申し上げて、討論を終わります。(拍手)

玄葉委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党を代表して、所得税法等の一部を改正する法律案及び平成二十二年度公債特例等法案の二法案に反対、租税特別措置透明化法案に賛成の立場で討論を行います。

 所得税法等改正案に反対する第一の理由は、大企業、大資産家優遇措置に手をつけず、消費税増税路線を温存させているからであります。これまで自民・公明政権は、大企業、大資産家に減税措置を繰り返す一方、国民には、定率減税の廃止などの増税や社会保障の負担増など、合わせて年額十三兆円にも及ぶ国民負担を強いてきました。その結果、大企業の内部には多大な内部留保金がためられ、深刻な格差が社会問題化する事態となりました。

 このような不公平な税制を改めることを国民は求めております。にもかかわらず、本法案で、大企業優遇の研究開発減税特別措置の延長を決め、証券税制の優遇税率の是正を行いませんでした。

 そのほか、住宅取得を促進するための贈与税特別措置を五百万円から一千五百万円に引き上げることなど、資産のある人に恩恵が多い措置を盛り込んでおります。

 また、四年間は消費税は増税しないといいながら、消費税増税にレールを敷く所得税法附則百四条はそのままであります。

 第二の理由は、扶養控除及び特定扶養控除の上乗せの廃止の問題です。子ども手当の支給は、二〇一〇年度の月額一万三千円しか本予算案で決められておらず、月額二万六千円についての保証はありません。にもかかわらず、所得税、住民税の扶養控除等の廃止による増税を恒久措置として決めております。このままでは、子ども手当の給付よりも負担増の方が多い世帯が生まれてしまいます。それを是正する具体策は何も示されませんでした。

 その他、滞納の罰則の強化など、納税者の権利が後退しかねない内容も含まれています。中小企業対策で賛成できる内容も含まれておりますが、法律案全体に対しては上記の理由から反対いたします。

 二〇一〇年度予算は、戦後最高の赤字国債の発行を前提としていますが、軍事費の削減や大企業、大資産家優遇税制の是正には全く手をつけていません。この二つの聖域に踏み込む財政の転換をせず、国民に膨大な借金のツケを回す本公債特例法案には賛成できません。

 最後に、租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律案です。本法案は、恩恵を受けている企業名は公表しないなど、民主党が過去に提出してきた法案よりも後退していると見られる点もありますが、租税特別措置の実態を調査し、国会で明らかにすることで租税特別措置の透明化を促進するものであり、賛成いたします。

 以上で討論といたします。(拍手)

玄葉委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

玄葉委員長 これより採決に入ります。

 まず、平成二十二年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

玄葉委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、所得税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

玄葉委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

玄葉委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

玄葉委員長 この際、ただいま議決いたしました平成二十二年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案に対し、中塚一宏君外二名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・改革クラブ及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。石井啓一君。

石井(啓)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    平成二十二年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。

 一 平成二十二年度予算は、税収を公債金収入が上回るという事態となっており、我が国財政の先行きに対する懸念が強まっていることに鑑み、早急に中期的な経済・財政の展望を示すとともに、具体的な数値目標を盛り込んだ財政健全化の戦略を講ずべく努力すること。

 一 外国為替資金特別会計の積立金や国債整理基金を取り崩して一般会計に繰り入れることは、外国為替資金特別会計の健全性を損なう恐れや、また国債整理基金の運営に支障をきたす可能性があり、ひいては我が国財政に対する信用の低下を招きかねないため、各特別会計の積立金・資金の設置の趣旨を損なうこととならないよう努めること。

 一 国債に対する信認を確保していくことの重要性を認識しつつ、節度ある国債発行に努めるとともに、公債の安定消化に向けた一層の取組みを行うこと。

以上であります。

 何とぞ御賛同賜りますようよろしくお願い申し上げます。(拍手)

玄葉委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

玄葉委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付すことに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。財務大臣菅直人君。

菅国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえまして配慮してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

玄葉委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

玄葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

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    〔報告書は附録に掲載〕

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玄葉委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二十分散会


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