衆議院

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第9号 平成22年3月17日(水曜日)

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平成二十二年三月十七日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 玄葉光一郎君

   理事 岸本 周平君 理事 篠原  孝君

   理事 鈴木 克昌君 理事 高山 智司君

   理事 中塚 一宏君 理事 後藤田正純君

   理事 竹本 直一君 理事 石井 啓一君

      網屋 信介君    荒井  聰君

      池田 元久君    今井 雅人君

      小野塚勝俊君    大串 博志君

      大西 孝典君    岡田 康裕君

      奥野総一郎君    小林 興起君

      小山 展弘君    近藤 和也君

      下条 みつ君    菅川  洋君

      富岡 芳忠君    豊田潤多郎君

      野田 佳彦君    橋本  勉君

      福嶋健一郎君    古本伸一郎君

      山尾志桜里君    和田 隆志君

      渡辺 義彦君    田中 和徳君

      竹下  亘君    徳田  毅君

      野田  毅君    村田 吉隆君

      茂木 敏充君    山本 幸三君

      山本 有二君    竹内  譲君

      佐々木憲昭君

    …………………………………

   財務大臣         菅  直人君

   外務副大臣        福山 哲郎君

   財務副大臣        野田 佳彦君

   経済産業副大臣      増子 輝彦君

   環境副大臣        田島 一成君

   財務大臣政務官      大串 博志君

   財務大臣政務官      古本伸一郎君

   経済産業大臣政務官    高橋 千秋君

   環境大臣政務官      大谷 信盛君

   政府参考人

   (財務省国際局長)    中尾 武彦君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  本田  勝君

   政府参考人

   (株式会社日本政策金融公庫代表取締役副総裁)   渡辺 博史君

   財務金融委員会専門員   首藤 忠則君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十七日

 辞任         補欠選任

  岡田 康裕君     大西 孝典君

  和田 隆志君     奥野総一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 孝典君     岡田 康裕君

  奥野総一郎君     和田 隆志君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 株式会社日本政策金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣提出第二三号)


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     ――――◇―――――

玄葉委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、株式会社日本政策金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として財務省国際局長中尾武彦君、国土交通省鉄道局長本田勝君、株式会社日本政策金融公庫代表取締役副総裁渡辺博史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

玄葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

玄葉委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本有二君。

山本(有)委員 沖縄返還の密約がございました。これの調査に当たり、さらに深く、国際局、アメリカまで公文書の調査に当たって、要は無利子の日本の口座があるということを確認されました。これは私は、民主党政権の成果であろうというように思います。

 率直に、これに関する歴史的な検証だとか今後の日本における公文書の持ち方だとか、いろいろ反省点はあろうかと思いますけれども、そのすべてを捨象して、アメリカに日本の口座があるという観点だけで考えた場合に、しかも、その口座の額に至っては一億三百四十七万ドルというように巨額でございます。そして、二十七年間のこの密約の経過は、九九年で終了しております。

 そうなるというと、財政の窮迫の現状からして、政府はこれを活用したり使用したりすることができるのではないかというように思いますが、特に、外為特会に入れたり、あるいは一般会計の歳入に受け入れたりするということも大いに考えていく必要があります。特に、アメリカ側はこの口座の管理に費用が要る、こういうことを言っておるわけでありますから、その意味において、財務大臣、ひとつこれを日本の窮迫する財政に活用する。

 埋蔵金以上に、これは一種の埋蔵金ですから、また、せっかく菅さんが調べてきたことでありますから、それについてこうするという見解、またあるいは、無利子なんだからこれから米国債の金利分ぐらいは付与してくれということをアメリカに要求するというようなことは、当然、日本の財務を管理していく責任者である以上、それを訴えなきゃならぬと思うんですが、これについてどう思われますか。

菅国務大臣 まず最初に、評価をいただいてありがとうございます。

 この件は、外務省の四項目にわたる核疑惑を含めた問題と、その四項目めに沖縄返還に伴う財政的な問題もありまして、財務省、当時の担当者であった柏木さんという方と向こうのジューリックという方のサインのある文書がアメリカの公文書館に保管されていたということもあり、また、今御指摘のように、アメリカの連邦銀行に、財務省と日銀に分かれてはおりますけれども、合わせて約一億ドルの無利子預金が二十七年間にわたって預けられていた、そういう事実が判明いたしましたので、それを含めて、先日、調査ができた範囲すべてについて公表し、またその経緯も説明を申し上げたところであります。

 今、そのお金を今の財政状況の中で活用できないかという御指摘なんですけれども、一つは、過去の経緯については、密約とは、密約といいましょうか、広い意味での密約という言い方を私はいたしましたが、そういうこととはいえ、約束によって二十五年間無利子で預けていたわけでありますので、さかのぼってその利子を請求するということは、これはできないことだと思っております。

 そして、九九年以降はその無利子の預金をほとんど、ゼロとは言いませんが、一けた二けた違う水準まで、日銀、財務省とも引き下げております。若干残しておりますのは、一般的な慣例として、やはり為替のいろいろなやりとりの中で手数料的な要素も、他の国の中央銀行でも、そういうものを、無利子預金を若干積むことによって対応しているという、これは通常のビジネス的な慣例的なやり方だと聞いております。そういった意味で、現在、金利という意味でいえば、無利子の預金は極めて小さくなっておりますので、それを特に財政に充てるというほどの規模にはなっていませんし、それは今申し上げたような性格になっております。

 その積んであった一億ドルのお金そのものをどう活用するかということは、これは考え方はいろいろあるんですけれども、それは今百億ドルに上る外貨準備と同じような形で扱っている。そういう意味では、端的にそのお金があるからそれを一般財政に繰り入れる、そういう仕組みにはなっていない、あるいはならない性格のお金だ、このように理解をいたしております。

山本(有)委員 ちょっと菅大臣の普通のトーンと違っているような気がします。密約というのは善か悪かというと、菅さんの場合には、悪じゃないかという意味でこの沖縄返還についての密約を調査、深掘りしたんではないかと思います。その密約のコアの部分のお金の部分、これについて菅さんは、その口座を閉鎖するだとか、あるいはその口座について我が国に送金してもうなしにするという、実質、密約を解除するという方向で考えられると思ったら、そうじゃなくて、密約のまま置いておくというのが今回の菅さんの答弁。それについては今後また別途お聞きをしていきたいと思います。(菅国務大臣「ちょっと違いますよ」と呼ぶ)はい、それでは答弁。

菅国務大臣 ちょっと誤解をしていただきたくないんですが、私は、密約がいいものだということで認めたわけではありません。それは記者会見等で全部申し上げましたが、本来、密約という形で取り扱いがされたことはおかしいし、まして、口座がありながら、その口座の、つまりは財務省と日銀合わせて一億ドルに上る無利子口座そのものがあったという認識そのものをきちっと財務省が組織的に引き継いでいなかった、このことはさらに大変な問題だと思っております。

 今申し上げたのは、密約という形でされた二十五年間の無利子預金というのは期限がもう終わっておりまして、現在は、ほぼ全額を引き出してほかの有利子口座に移って、無利子口座にあるのは、現在、財務省扱いでいうと、一九九九年の十二月十七日で三百万ドルという額に大幅に減額をされております。

 そういう意味で、現在、お金の使い方については、先ほど申し上げたように、一般的な外貨準備と同じ形になっておりますので、それをすぐに一般財政に入れることができないということで、決して密約を認めたとかそのまま継続しているということでは全くないので、そこだけは誤解をしていただかないようにお願いします。

山本(有)委員 また改めてお聞きします。

 それでは、今回の株式会社日本政策金融公庫法の改正についてお聞きいたします。

 私の質問は大きく二つございまして、一つはJBIC、この機能というものは分離独立して機動性を持たせたらどうかという観点、もう一つは、今回の地球温暖化対応についての法案の目的の追加でございますけれども、これについて、先進国、途上国いずれも活動ができるというようにしなくては、およそ今の国際社会、地球環境、こういったものに対応できないじゃないか、こういうような観点から質問をさせていただきます。

 まず一番でございますけれども、二〇〇八年十月に国際協力銀行、JBICと、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、これらが合体されたわけでありますが、今も、JBICはJBIC、国内部門については国内部門というように勘定が区別されているわけでございます。勘定が区別されているだけで、株式会社としては一つになったということでございますが、どうも木を竹で接いだような気がしてなりません。というのも、もし機能性を考えていくならば、国内と国際、全然違う金融の分野であるにもかかわらず、これを一体化することにメリットが今まで出てきているのかどうか、これを検証しなきゃならぬ、こういうように思います。

 そこで一つお伺いしたいのは、財源の調達、これでございます。

 例えば、国内、国際、両方財源を調達するのにおよそ財投債一本で調達していると思うんですけれども、国内分については赤字がかさんでいる。そうすると、金利はおよそ高くなる。国際分については利益が毎年出ている。そうすると、金利というのはもちろん低減して、安く財投債も引き受けてくれるというようなことから考えると、財源調達について、やはりこれは機能分化してきっちり分けていって、会社名も変えた方が絶対に得だ、こういうことが一つあると思います。

 それからもう一つ、資本金というのを見てまいりますと、資本金は国際協力銀行勘定でいきますと一兆三百五十五億円。株式会社ですから、資本金というのは、この業務についての資本金は何割、こっちの業務については何割と決まらないわけですよね。そして、ステークホルダーに対しては、資本金というのは資産の担保、信用力になるわけですから、国際であろうが国内であろうが、資本金額というものが両方にまたがってくる。

 そうすると、JBICの方は黒字で資本金を使うことはない。しかし、ほかの国内金融、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、さほどもうかるはずもないところで、多分ことしも六千億以上の赤字だろうと思います。これに資本金が充てられるというようなことになると、勢いJBICの活動も足を引っ張られる、こういうようになろうと思うんですけれども、これについて、菅さん、もうそろそろ、二〇〇八年のただいたずらな自民党の行革の一方的な方向より、機能をきちんと見て、それで分離独立させるということが物すごく大事なことだろうというように思いますが、それはどうですか。

菅国務大臣 答弁の前に、先ほどの答弁で若干数字を間違っておりましたので、実は、三百万ドルというのは日銀分で、財務省分は九百万ドルに引き下げているということで、ちょっと訂正させていただきます。

 今、JBICについていろいろ御意見をいただきました。私も、JBICの今日のような形になった経緯を改めて少し見ておりましたけれども、かつては輸出入銀行、あるいは海外経済協力基金、あるいはさらには国民金融公庫から環衛公庫、さらに農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫等々がいろいろな段階でいわば統合されて、現在の日本政策金融公庫に平成二十年十月一日に統合されたという理解であります。

 それぞれの時期にいろいろな議論があったことは、私も若干記憶いたしております。特に、自社さ政権の時代においても、十七ぐらいありました政府系金融機関を統合していこうということでかなり議論があり、必ずしもその段階では十分な統合は進まなかった中で、小泉政権下で相当強引にこういう形が進められた。私は当時は、たくさん天下り先になっているこういうものが、役所ごとに同じような機能を持ったものがたくさんあるのは統合される方がいいのではないかと一般的には思っておりましたが、現在のJBICの姿を見ると、必ずしもそれが、統合のメリットよりも、場合によっては、余りにも違う機能を無理やり一緒にしたことによる若干の弊害も出ているのかな、こう思っております。

 そういった意味で、今、山本議員が言われました将来的に分離させるというようなことも一つの検討課題ではある、このように思っております。特にこのJBICに関しては、今から御議論されると思いますが、ある意味で、途上国だけではなく、先進国との関係でもいろいろと果たさなければいけない政策金融としての役割を私たちも期待するところもありますので、そういう期待にこたえられるような形をどのようにしたら事前にできるか、これはいろいろ御意見をいただきながら、しっかりと取り組んでいきたいと思っております。

山本(有)委員 今回の改正案の一条、目的が追加されるわけですが、今までの目的はというと、三つありました。日本にとって重要な資源の海外における開発及び取得の促進、それから二番目に日本の産業の国際競争力の維持向上、三番目が国際金融秩序の混乱への対処、これに加えて「地球温暖化の防止等の地球環境の保全を目的とする海外における事業を促進する」、こう書いてあるわけであります。

 この法文だけを見ておりますと、途上国であろうが先進国であろうが、これはどちらにでも思い切って、地球環境だ、だったら金融をつけよう。では、どういうことができるかというと、七業務ありまして、輸出金融ができる、輸入金融ができる、投資金融ができる、事業開発等の金融ができる、出資ができる、こういうように、この業務はできるわけであります。

 そうすると、私としましては、地球環境も、これは新しい産業分野にもなるし、さっき言った三つの、環境だけでなくて、産業の競争力の維持向上にもつながる、あるいは金融秩序の混乱の是正にもつながる。これは三位一体、四位一体になって、私はJBICの機動性がさらに高まるのではないかと。これは、目的を入れたことはよしというように思っております。

 ただ、この目的を入れた、それはいいんだけれども、お伺いしていきますと、この法文に書いていないことをみずから自制している。どういうことかというと、途上国にしか環境については手を出さない、こういうような話が来ておるわけでありますが、それは本当でしょうか。途上国だけ、先進国にはこれは環境においては使えない、JBICは使えないということになっておるようですが、それはどうしてそういうようにするのか、それをお伺いしたいと思います。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 今回の法律改正で温室効果ガスの削減効果が大きい案件を積極的に支援するということでございますけれども、今回の鳩山イニシアチブにございますように、二〇一二年までにあるいはそれ以降も、京都議定書あるいはポスト京都議定書の時期において途上国を積極的に環境問題への取り組みに巻き込んでいこうという観点がございまして、主として途上国の温室効果ガス削減努力を支援していくということでございますけれども、日本企業が投資金融を使ってそういうことをやっていく場合には、政令の指定などによりまして先進国も含めていくことは可能でございまして、そういう形で対応していきたいと考えております。

山本(有)委員 その区別をしていかないというようにお聞きしましたので、ちょっと安心したわけであります。

 この間、原子力発電所の国際競争、プロジェクトに参加するかどうかで日本と韓国が争いました。日本と韓国が争った結果、このUAEにおいてのプロジェクトは韓国が勝利した。韓国は李明博大統領がトップセールスをやった。ヒュンダイの社長をやったときに原子力発電所の営業をした経験があるということと、それから、何より大事なのは、韓国自体がUAEの原発事業への出資をした。さらに、本件への特別金融支援をした。

 今後、UAEは途上国でありますから、これは私が言うように、先進国、途上国関係なしにJBICは金融支援も出資もできるだろうというように思いますが、こういったことにいわば負けていく。今原発の稼動数は、米国百二十基、フランス五十九基、日本五十三基、韓国二十基でありまして、日本の方が韓国の倍以上原発を稼働させて、そしてメンテナンスや事故対応についても危機管理についても上だと言われているのにもかかわらず、我が国が負けていく。

 その理由がトップセールスによる、李明博の力量にもよるかもしれませんが、もう半面、出資しているのか、特別融資まで約束できるのか。官民一体となってJBICの機能を強化しなければ勝てないというように思っておるんですが、せっかく増子副大臣が来ておるので、このUAEに対する営業、負けた原因をどう思って、それから今後どうするか、そしてどうやったら韓国に勝てるように日本ができるのか。

 ちょっとさっきの話の続きですけれども、役人だけに任せてはだめですよ。それこそ政治主導でやっていかないと。役所は、途上国という内規があれば、ずっと途上国なんだ。それを変えるのはやはり政治家でないとだめだし、見ておると、途上国、途上国といっているけれども、シンガポールなんか、もう二、三十年たったら先進国ですよ、我が国よりも。途上国という判断が非常に我々にとっては甘いんだよ。だから、そんな区別をする必要がない。どんどん途上国も我が国よりも先に行くんだよ。そういうことを考えてやってもらいたいというので、ちょっと反省と今後について、増子さん。

増子副大臣 山本委員にお答えを申し上げます。

 今、大変激励を込めて今後のことについての御質問でございました。

 残念ながら韓国にUAEの原子力の受注を失敗したということ、本当に残念に思っております。我が国としても、政府を挙げて、実はこれには民間の事業者を応援してまいったところでございます。鳩山総理も直接UAEの皇太子にお電話をかけていただきましたし、いろいろな形で政府を挙げて支援してきたところでございます。しかし、残念ながら、今山本委員がお話をされたとおり、韓国はパッケージ型で、大統領以下あらゆる面について積極的にこの受注獲得のために取り組んできたところであります。

 我が国としても、今後、やはり鳩山総理はもちろんでございますけれども、政府を挙げて、民間と協力体制をとりながら、パッケージ型の体制をぜひとっていきたい。もちろん、政府保証的なものも含め、あらゆる面で全力を挙げて頑張っていきたいと思っております。

 先ほどの途上国に対する支援等も含めて、私どもとしても積極的に、これはJOGMECやあるいはJBICも含めながら、あるいはNEXIも含めて、あらゆるものの可能性を考えながら、全力で、今後については、途上国のみならず先進国においてもさまざまな大型プロジェクトがございますので、これらの獲得にオール・ジャパン体制でしっかりと取り組んでいきたいと思っております。ぜひ山本委員の御協力もお願いを申し上げます。

山本(有)委員 経済雑誌だとか新聞の紙面に、JR東海の葛西さんがアメリカで新幹線を売りたいというようなことの記事が散見されるわけです。よくその背景を見ますと、オバマ大統領が、今後一万三千七百キロの高速鉄道導入を計画したということを去年の四月に発表されて、八十億米ドルを使うということが公表されました。

 特に、ロサンゼルス―ラスベガス間を高速鉄道で結ぶということに対して、三カ国が思い切った営業に入った、こう言われておるわけであります。一つは中国、上海のリニアモーターカーを営業しようと。中国はドイツと組んで、リニアモーターカーをこれに営業する。そして、韓国はフランスと組んで、TGV、とにかく韓国新幹線を売っていこうというように考えているようでありますが、どうもまた再び我が国というのは後手に回っていくのではないかと私は想像しております。

 それは、中国製のリニアの採用をしてくれたら、中国輸出入銀行が米ドルで七十億ドル、六千三百億円の資金供与をするという提案を既にアメリカ政府にしております。こんなときに、JBICがアメリカに、これも高速鉄道である限りは大量の人たちの大量輸送ですから、環境に優しいわけですから、環境対応の話になると思いますけれども、こういうように金融と付加一体でかの国は頑張っておるわけでありますね。

 韓国も、カリフォルニア州高速鉄道局と韓国国土海洋省、これが二〇一〇年二月十一日、つい最近ですよ、高速鉄道計画の協力についての覚書を締結している。もう既にどんどんどんどん彼らは進んでいっているわけでありますが、JR東海、日本の新幹線、どこまでこれに対応できるか。現状について、国土交通省鉄道局長、よろしくお願いします。

本田政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生がおっしゃいましたとおり、昨年四月にアメリカで高速鉄道戦略計画が発表され、またこの一月には連邦政府補助金の配分が決定されまして、これを受けて、カリフォルニアを含めた各州政府がそれぞれのプロジェクトの実施に必要な入札手続を進めております。これに呼応して、今お話のありましたJR東海を含め、我が国関係事業者もおのおののプロジェクトへの参入を目指して活動させていただいております。

 私ども国土交通省の成長戦略会議におきましても、この分野は大変重要な分野として位置づけておりますが、大きな課題として、やはりこうした大きなプロジェクトでございますので、官民連携のもとでのトップセールスの実施、それから我々の鉄道技術あるいは規格を国際規格化にしていくということ、そして、やはり投資規模あるいは投資機関との関係で、関係省庁の御協力もいただいた上で、公的金融、こうした支援が必要だということが課題とされているところでございます。

山本(有)委員 中国は日本よりも外準が一時でかかったわけですが、最近また日本が抜いたというんですけれども、抜いていないのか。

 そうすると、この外準も使って中国輸出入銀行に金を出している。そして、外準については、中国国家開発銀行というものをつくって対外的競争力をつけているというわけですから、七十億ドル、JBICも中国に負けないぐらいにやれるようにしてもらわないと、こっちも困りますよ。

 今後、五十兆の中国のスマートグリッド、あるいは燃料電池そのほか、これからの自動車の電気化に伴うレアメタルというようなこともたくさんあるわけですが、最後に菅大臣、こうしたことを考えていくとき、JBICのさっきの融資についても思い切ったことをしていかなきゃならぬし、環境といえども、太陽光、風力、スマートグリッド、こういったものはもう今後待ったなしで、JBICの融資と一体となってやっていかなきゃならぬわけですが、思い切り、米国であろうが融資をつけるという決意があるかどうか。それについて、菅さん、よろしく。

菅国務大臣 基本的には、問題意識は全く同じ問題意識を持っております。

 これまでも、政令によって先進国のプロジェクトも支援可能ということになっていて、既に原子力発電は指定されておりますけれども、高速鉄道などについては、昨年閣議決定された新成長戦略の基本方針においても、ぜひこれに加えようということで、きょうからパブリックコメントの手続を開始することにちょうどなっているところであります。

 そういった意味では、環境分野というふうな定義に限らず、それをも含めて、今お話のありました鉄道、場合によっては都市再開発、さらには水の問題等々、そういう社会インフラについては日本の技術は高いわけでありますから、そういうものを先進国あるいは途上国に積極的に売り込んでいく。そのときのファイナンスとして、融資としてこのJBICが活用できるように、ぜひ皆さん方の御意見も含めながら、前向きに積極的に対応していきたい、このように考えております。

山本(有)委員 終わります。

玄葉委員長 次に、山本幸三君。

山本(幸)委員 同じ山本でありますけれども、私は幸三の方であります。

 私は、質問するときは必ず日銀総裁に大体来てもらうんですけれども、きょうはちょっと時間が短いのと、政策委員会が開かれているということでちょっと遠慮いたしました。そこはちゃんとやってもらうという期待と、やってもらうという前提で呼ばなかったわけでありますから、しっかりやってもらわなきゃいかぬ。

 その意味で、最初に、これはもう予算委員会、前回の委員会の繰り返しになりますけれども、菅大臣の決意をもう一度確認しておきたいわけであります。

 要するに、大臣がはっきりと、こういう目標だからしろ、その一言だけ言っておけばいいんですよ。あとの手段とかいろいろな議論というのは勝手にやらせておけばいいわけで、要するに政府としての目標は、デフレを克服すると。その具体的な中身は、先般菅大臣が言われましたけれども、CPIで、本当はGDPデフレーターじゃないとだめなんですよ、そうじゃないと名目成長率三%になりませんからね。そうすると、とりあえずはCPIでもいいですよ、それを一%強にしてもらわなきゃいかぬ。これは何年もかかってやったって意味がないので、せいぜい一年か一年半、最大限二年以内でしょうね。

 当初は、ことしじゅうにプラスにしてもらって、来年半ばまでには一%強ということが目標だよと。したがって、それをちゃんと日銀にやってもらう、そこだけ言っておけばいいんですよ。そしてあとは、手段は、独立ですからお任せしますよということでおっしゃっていただければ結構だと思いますし、あと何か、言いわけみたいなことを日銀が言うんだったら、私が全部論破してやりますから。

 ぜひ、大臣は、その目標をしっかりとやってもらうということの決意をもう一度お伺いさせてもらいたいと思います。

菅国務大臣 せんだって来、山本幸三先生の方からこの問題の指摘を、この場でも何度もいただきましたし、また、ほかの委員の方の質疑でも、日銀総裁が同席のもとで同じような議論がありました。

 私もその国会の場、同席をしている場において、前回山本先生がおられた場でも申し上げたわけですが、政府としては、やはり日銀の言うプラス〇から二%、一%程度が目安だ、そういうことで、私たちもその一%、あるいは私個人的にはもうちょっと高目もあっていいと思っているということも申し添えて、そういうものを目指していくという共通の目標を日銀も理解されていると思うということを申し上げ、また、今一年半あるいは二年ということを言っていただきましたが、見通しでも二年ぐらいはまだ、なかなか物価はプラスに移らない見通しではありますが、できることならば、年内にもそういうものをプラスになるように、政府としては政府としての努力をするので日銀としてもぜひ努力をしてほしい、そういうことを、そういう場も含めて十分に意思は伝えているつもりであります。

 きのうきょうと決定会議が行われておりますので、余り言い過ぎると逆に、日銀法等のことでまたいろいろ逆の意味でのリアクションもあり得るという指摘もありますので、私としては、そういう国会の場などを通して十分に意思は伝わっている、伝えているということで、それに向かって今後も、政府の努力も含めて全力を挙げていきたい、このように思っております。

山本(幸)委員 大変結構だと思いますので、ぜひしっかりとやってもらうように、今後も日銀に対して申し入れてもらいたいと思います。

 それから、日銀の独立性、国会から独立なんて何もないんですからね。国会ではがんがんやりますから、その点はお任せをいただきたいというふうに思います。

 それからもう一つ、ちょっと注意しておいてもらいたいのは、さっきもちょっと申し上げましたけれども、本当は、一%というのはGDPデフレーターじゃないとだめなんですね。実質で二%、GDPデフレーターで一%で成長戦略の名目三%成長というのが実現できるわけで、問題は、GDPデフレーターとCPIはちょっと乖離するんですね。

 大体、今までの平均からいうと、CPIの方がGDPデフレーターより〇・八上じゃないと、GDPデフレーターは一にならない。つまり、CPIでいうと一・八ぐらいにならないとGDPデフレーターは一にならないというのが大体今までの経験則ですから、その点も頭に入れておかないと、菅さんのおっしゃる名目成長三%というのは実現できないんだということをぜひ留意しておいていただきたいと思います。

 それでは次に移りますが、ちょっと用意していなかったんですが、先ほど山本有二先生の方から沖縄の返還に絡む秘密預金の話がありまして、私も大変懐かしく思い出していたんですが、私は役所に入って最初にその問題を担当していたんですね、一年生で。すぐスミソニアンというのがありまして、一九七一年の十二月に三百六十円から三百八円に切り上げさせられたわけですね、スミソニアン合意で。その翌年に沖縄返還ということがあるわけで、返還の日は五月十五日だったと思いますが、それに向けて全省を挙げてやっていたわけですね。

 私は大蔵省の文書課というところで国際金融局担当の法律、政省令をやっていましたので、そのときに、どういう形で沖縄にあるドルを円に交換するか、それを担当していたわけでありますが、一番問題になったのは当時の変換レートなんですね。スミソニアンがありまして三百八円になったんですけれども、そこはやはり沖縄の方々に対する今までの御労苦に報いるためということで、実はあのとき、旧平価の三百六十円で変換してあげたんですね。

 そのために大量の円札を船で運びまして、しかも、海賊に襲われるかもしれないというのでダミーの船まで出して大輸送作戦をやった。

 しかも、沖縄国会をやっているときに、実は返還の日に交換するということだったんだけれども、それでは間に合わないということで、急遽変換の日にちを一週間ぐらい早めたんですね。ところが、法律では返還の期日は十五日になっているのに、告示の段階で変換の日にちを早めちゃったので、これはある意味でいうと法律違反を事実上やっちゃったんですね。当時、沖縄国会をやっているその審議中に大臣の決裁をもらいに行って、そして告示を出して三百六十円で大変換をやったんですね。

 そういう意味で、そういえば、そのときにかえたドルはどこに行ったんだろうかなと思いましたけれども、今振り返ってみるとそういうことになっていたんですね。それは私は全く知りませんでしたが、財務官クラスの決断でやったんだと思います。

 ちょっとお伺いしたいのは、その九百万ドルというのは外為特会の勘定ではないんですか、別の特別な勘定でやっているんですか。わかりますか。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 山本先生がおっしゃるように、一億三百万ドル、沖縄で現金が流通しておりましたが、それを円に交換いたしました。その一億三百万ドルというものを、実際流通していたものを無利子預金にするということをアメリカと約束しておりましたので、合計一億三百万ドルをアメリカに預金したわけですけれども、外為特会として五千三百万ドル、それから日銀のバランスシートにおいて五千万ドル預金してまいったわけですが、お答えとしては、財務省の分は外為特会でございます。

山本(幸)委員 そうすると、外為特会の金利収入とかいうところに、それがゼロだから上がっていなかったということになるわけですね。では、もうちょっと外為特会の余裕金が出てきて、場合によっては埋蔵金として使われたかもしれないということなんですね。わかりました。それは、いずれまた別途の機会でやりたいと思います。

 そこで、本題の方に移りますが、本題の政投銀の関係する話については、有二先生が私の問題意識についてはほとんどやられましたので、ちょっとその前提となるCOP15のことについて関連して聞きたいんです。

 私の理解では、COP15というのは失敗したんだ、つまり合意に達することができなかったと。日本は鳩山イニシアチブということで、二五%削減ということで意気込んで行ったんだけれども、しかし、それは前提条件が当然あったわけで、主要排出国がしっかりとその合意に入らなければ、それを前提にやるんだということでやっていたわけですね。ところが、これは合意に達しませんでした。合意を留意するというわけのわからない表現になって、失敗したんだけれどもそれを何とか取り繕う表現にした、テークノート。テークノートというのは何も拘束力はありませんよね。

 ところが、COP15全体は合意にも達しないそういうものなのに、資金拠出についてはやるんですか。全体は合意にもなっていないものなのに、金を出すということだけは、そういうことは関係なしにやろうというふうに思っているんですか。その点、いかがでしょうか。

田島副大臣 お答えを申し上げます。

 COP15におきましてのコペンハーゲン合意につきましては、委員御指摘のとおり、合意ではなくテークノート、留意するという形にとどまりました。これについては先生がおっしゃるとおりでございます。

 しかしながら、このコペンハーゲン合意につきましては、最大排出国と言われております中国やアメリカなどの主要国が参加をし、また、我が国を初め既に百カ国以上が賛同をしておりまして、そのうち削減目標や行動を提示している七十三カ国の排出量を合計いたしますと世界全体の約八一%に相当しておりまして、これ自体は重要な進展だというふうに私どもは評価をしているところでございます。

 コペンハーゲン合意につきましては、直ちにこれを実施することが規定をされておりまして、我が国といたしましては、この資金支援も含めて、同合意の実施に積極的に取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。

山本(幸)委員 そこが私は納得できないんですね。

 こういう国際交渉というのは、金を出すというのは、全体が合意して動き出すときに初めて金を出すということをしなければ、ただ出しただけでほかは何も動かないといったら全く意味がないし、それは国民の税金の無駄遣いじゃないですか。

 私はかつていろいろな国際金融機関の増資交渉とかをやったこともありますけれども、やはり国益とそれから全体の合意とのぎりぎりのせめぎ合いをやるわけですよ。そして、最後にまとまって、ほかの国も義務をちゃんと履行するという枠組みができたときに初めて、日本もそれじゃこれだけの金を出しましょうという約束をするわけで、テークノートとか拘束力のないようなものに終わっているもので金だけ出しますというばかげたことを何で日本がやるんですか。私はそれは全く理解できませんね。

 その前提が成り立つと、では今後も、中国も入らない、アメリカも入らない、今度COP16がどこで決まるのか知らないけれども、そういう中でも金だけは出しますということをやるんですか。

田島副大臣 お答え申し上げます。

 我が国は、排出削減等の気候変動対策に取り組んできた途上国、また気候変動の悪影響に対して脆弱な途上国を広く対象といたしまして、二〇一二年の末までに、約三年間で官民合わせて約一兆七千五百億円、このうち公的資金は一兆三千億円になりますけれども、この規模の支援を実施するということをCOP15で表明してきたところでございます。

 今御指摘いただきましたけれども、コペンハーゲン合意には資金支援だけではなく途上国の削減行動等も盛り込まれておりまして、全体のパッケージとして合意されているところでございます。したがって、一方的に途上国に対して資金支援をするといったような性格のものではございません。

 支援の実施に当たっては、国際交渉の進捗状況等々をしっかりと注視して行っていきたいと考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。

山本(幸)委員 もう一回確認しますよ。

 つまり、こういう合意の大事なことは、はっきり言えば、中国とアメリカがしっかり入って、排出についての責任ある義務を自分たちも履行しますよという合意がある程度納得できる形で取りつけられたら、それは結構ですよ。それだったら世界全体のためになるし、日本もそれに貢献しましょうというのは当然だけれども。

 中国がちゃんと入って義務を履行するという、それが満たされない限りは金は出さない、それぐらいの決意をちゃんと持っているんだということをもう一回確認してください。

田島副大臣 先ほども申し上げたとおり、このコペンハーゲン合意にはアメリカそしてまた中国の主要国も参加をし、それぞれ削減目標、行動を提出しているところでございます。そういった意味で、重要な進展だというふうに評価をしていると申し上げたとおりでございますので、先生が御心配いただいている点も、今回のコペンハーゲン合意についてはクリアをしているのではないかというふうに私は承知をしているところでございます。

山本(幸)委員 ちょっと待ってください。全然なっていないんだけれども。

 中国はどれだけ削減すると約束しているんですか。事務方だって何だっていいよ。

田島副大臣 失礼をいたしました。

 中国につきましては、二〇〇九年の十一月に発表された目標値としては、GDP当たりの排出量を二〇〇五年比で四〇から四五%削減するということを目標として表明しております。

山本(幸)委員 それで、日本としてはこのレベルで満足するんですか。日本は九〇年比で二五%削減ですよ。それを二〇〇五年比で、GDP比でやるなんて、そういう約束だったら日本だって下げればいいじゃないですか。日本と同じように、日本がやるようなことに対するぐらい、最大排出量なんだから、そういうことを要求しないんですか。

 ただ中国がこれだけやりますと言って表明したら、はい、わかりましたと、それで納得するという交渉をやっているんですか。

田島副大臣 委員御指摘のこの中国の目標、数値だけ見れば確かに、二五%削減目標の前提条件を現時点で満たしているとは言いがたい状況にございます。

 しかしながら、次期枠組みにどのような形で参加するのかといったこと、また、その取り組みの透明性の確保といったような点も含めて総合的に判断をしていくことが必要ではないかと考えております。

 我が国二五%の削減目標は、これをてこにして、すべての主要国による公平かつ実効性のある国際枠組みの構築、また意欲的な目標を掲げていくように働きかけを行っていく性格のものと認識をしております。したがって、この目標を直ちに見直していくということは考えておりません。

 前提条件が満たされたかどうかは、次期枠組みに関する法的な文書の採択の時点で最終的に判断することになると考えております。

山本(幸)委員 全然わからないんだけれども、では、まず聞きましょう。

 鳩山イニシアチブが、日本としては二五%削減というのを約束するけれども、それには、その前提条件として主要排出国云々の話があるわけですね。中国が一番ですよ。その中国がどういうところまで約束したら前提条件が満たされると判断するんですか。

田島副大臣 今のお尋ねにつきましては、それこそ、国際合意に向けての取り組みの交渉中の段階でございますので、現段階では、先生に御答弁させていただくことは控えさせていただきたいと思います。

山本(幸)委員 そんなのは全く納得できませんよ。

 前提条件はこうだと言って、日本はこれだけやりますよと約束するわけでしょう。その前提条件がはっきりしなかったら何だってできるじゃないか。そんなばかな話がありますか。国際交渉も何も始まりませんよ、スタートラインが。

 そして、金だけ出すということをやって、金を出すための法律改正を今やるんですか。財務省も、そんないいかげんなことで認めるんですか。だめですよ、そんなのは。中国がここまで最低限やるということがない限り、こんな資金拠出はしませんとどうして言えないんですか。

田島副大臣 鳩山イニシアチブとして、我が国の資金支援につきましては、すべての主要国による公平かつ実効性のある国際枠組みの構築と意欲的な目標の合意が前提であることは、先生も御承知のとおりだと思います。しかしながら、この前提条件が満たされなければ全く支援を行わないという趣旨のものではございません。

 我が国では、このコペンハーゲン合意を支持しておりまして、世界全体の温室効果ガスの削減、また、二〇一三年以降の気候変動対策に係る新たな枠組みへのスムーズな移行、また、新たな国際枠組みへの途上国の野心的な参加の促進などの観点から、必要な途上国支援は引き続き積極的に行っていきたいと考えております。

山本(幸)委員 前提条件が満たされなくてもやりますなんて、そんなばかな話がありますか。では、前提条件って何なんだ。

 そんないいかげんなことで税金を使ってもらっては困りますよ。そう思いませんか。与党の皆さん、それでいいんですか、そんなことで。だめですよ、そんなの。前提条件が満たされなければ日本はやらないという覚悟を示さない限り、国際社会からばかにされるだけですよ、あんなのは金を出させればいいんだと。国際交渉になんかなりませんよ、そんなのじゃ。財務省はそんなので金を出すんですか。

野田副大臣 今回の二〇一二年度までの資金の提供、拠出というのは、これは前政権下で、二〇〇八年から五年間で一兆二千五百億円、いわゆるクールアース・パートナーシップで国際公約になっていました。それを鳩山イニシアチブで、二〇一二年まで、本来は、二五%削減は主要国の参加が前提でありますが、そのプロセスの過程で少し拡充をした金額になっているということで御理解ください。

山本(幸)委員 だって、前政権のときは二五%削減なんて言っていないんだから。ちゃんとできるところの、無理のないところでこれだけやりますよと、最大限できると判断したもので、一九九〇年比八%、それから二〇〇五年比一五%、それで言っていたわけですからね。

 それを、前提の二五%削減というのを変えてこれでまた広げるというときには、当然、その二五%の前提条件となる主要排出国が、つまり中国、アメリカもそうです、本当に有効な形でこれに参加するということが満たされなければ、こんなお金出してはだめですよ。そんないいかげんなことで税金を使ってもらっては困る。

 これはぜひ真剣に与党の皆さん方も考えてもらいたい。そのことをお願いして、質問を終わります。

玄葉委員長 次に、山尾志桜里君。

山尾委員 山尾志桜里です。

 この由緒ある財務金融委員会で初めて質問をさせていただきます。(発言する者あり)由緒ありますよね。

 今回のJBICの目的追加の法改正、本当に造詣の深い先生方がたくさんお見えになる中で、質問の機会を与えていただいて、ありがとうございます。

 まず最初に、私、今回の法改正は、本当に大きな期待を担っている改正だと思っています。国外的には、鳩山イニシアチブの実行力を国外に毅然として示す、そして国内には、日本の企業に対してビジネスチャンスを大きく広げていく、そういうまさに環境と経済の両立、このかなめとなる仕組みだと思っております。

 また、菅大臣が常々おっしゃられております第三の道、環境、社会保障の分野で知恵を使って新たな需要を生み出して成長につなげていくんだ、こういう第三の道を歩んでいく原動力の一つとなる仕組みではないかなというふうにも感じております。

 新政権のもとでぜひ成功させていただきたいと思うんですけれども、いま一つ、この法案を見ているだけでは、どういったプロジェクトが可能になるのか、具体的なイメージがわきにくいものですから、菅大臣にお伺いをいたしたいと思います。

 新たな目的が追加されることで可能となる新しいプロジェクト、具体的にどんなものを想定されているんでしょうか。そして、そういったプロジェクトが成長戦略の中でどういった役割を果たしていくのでしょうか。お考えをお聞かせください。

菅国務大臣 山尾さんからの初めての質問をいただきまして、ありがとうございます。

 今お話がありましたように、今回の改正によって、JBICの業務では、温室効果ガスの削減効果が大きい案件について積極的に支援する、そういう観点からの改正であります。

 具体的には、途上国政府が実施する太陽光発電やエネルギー効率の高い発電所の整備など、高度な環境技術を活用した案件を支援することが想定されております。最近は、それに加えて、例えばスマートグリッドとか、いろいろな環境面での新しい技術なりプロジェクトが想定されております。

 そういう意味では、今山尾さん自身が言われたように、これは環境政策であると同時に、ある意味では、この分野で海外の需要を含めて支援をすることを通して、日本の経済に対しても、あるいは経済成長についても、それがお互いにプラスになる、そういう関係になっていくことを期待しております。

 御存じのように、新成長戦略では、グリーンイノベーションという柱、さらにはアジアという柱も掲げておりますけれども、そういうものを含めての大きな柱の一つととらえているところです。

山尾委員 ありがとうございます。

 私も、この法改正が、成長戦略が見えにくいという声もいまだ聞かれる中で、日本企業、とりわけ切磋琢磨して環境技術を磨いている企業の方々に本当に新しい展望を見つけていただけるような、そういうチャンスになっていただきたいなというふうに思っております。

 ただ一方で、きょうの日経新聞の一面にも一般論として書かれてありましたけれども、過大な官製金融の存在が民間のビジネスチャンスを奪うのではないか、一般論としてこういう不安の声が聞かれることも事実だと思います。今回の法改正は、今菅大臣がおっしゃったように、むしろ民間のビジネスチャンスを引き上げていく、牽引していく、こういうものだというふうに思っているのですが、そういうことを実現するためには戦略が必要だということもあるかと思います。

 そこでお伺いをいたしたいのですが、確かに日本の環境技術は非常に先端を走っているんだと思います。ただ、韓国、ロシア、中国、本当にほかの国々の台頭も、この技術革新が著しい中で、日本の企業による事業展開をどういうふうに確保していくのか。あるいは、受け入れる途上国の側としては、インフラ整備に最先端の技術は要らない、むしろその分安い方がいいんだけれども、こういう声もあり得るかと思います。そういう中で、戦略としてどういうふうにクリアしていくのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

菅国務大臣 まさに一般的には、どこまで官製の金融というのか政府系金融が担うのか、あるいは民間銀行に任せるべきなのかという議論は、実はかなり長い間議論されてまいりました。そして、どちらかといえば、特に小泉政権下では、そういう政府系金融はできるだけまとめて、場合によっては民営化をしていく、つまりは民間に任せればいいんだという方向性がとられてきたわけですけれども、ある意味では、この法律を含めて、果たして本当にそれでいいのかという見直しの法律というふうにも見ることができます。

 特に今御指摘があったように、先ほど来の議論もありましたように、原子力発電所の受注において、韓国や、場合によってはロシアにもおくれをとっている。この理由は、先ほど来聞いていただいたように、いろいろ理由がありますけれども、一つは、やはりそういったものについてはややリスクが高くて、民間の融資というのはなかなか出ないところが多いわけです。そういうものに対して政府系の金融機関が果たす役割も、特にそういうリスクの比較的高いところについては、やはりそれでも国の戦略としてやるべきだというときには、そういうことをやれる体制が必要ではないか。そういったことから、今回の法改正も持たれているわけです。

 と同時に、今戦略性が必要だということを言われましたけれども、まさに今新成長戦略の中で肉づけを、各省庁、ある意味ではすべての知恵も出してもらいながら、さらに民間の知恵も出してもらいながら、そのことを進めているところです。

 特に環境の分野では、もちろん原子力発電とか太陽光とか風力とかということもあります。さらには、環境分野を少し超えるかもしれませんけれども、先ほど来出ておりますように、鉄道とか道路とか、都市づくり、町づくりそのものを手助けしていく。特に今日本は、どちらかといえばインフラがかなり充実して、いわゆるゼネコンの仕事が国内ではやや少なくなってきている中で、逆にそういうところに国際的な分野で活躍をしてもらう。そういうことが日本のまさに経済成長にも利するのではないか。

 そういった点では、トップセールスという言葉も今、与野党を超えて聞かれておりますけれども、これは国会の改革も場合によっては少しお願いしなきゃいけない。つまりは、総理や担当大臣がそういったことの場合には優先して海外にみずから出ていって説得したりお願いしたりすることができる、そういうトータルの戦略をまさにこの新成長戦略の中で考えると同時に、できれば国会におられる皆さん自身も、そのために何が必要かということを大いに議論していただいて、いろいろな形で提案していただければありがたい、このように思っております。

山尾委員 ありがとうございます。菅大臣が日本のトップセールスマンのお一人として海外に行かれる姿を見ることができるように、私も微力ながら頑張りたいなというふうに思います。

 ただ、このプロジェクトは、もちろん日本経済の活力にならなければいけないと思いますけれども、そもそもの前提として、当然、CO2削減に貢献するものでなければならない、そして、その貢献が日本の貢献として数値で明確にアピールできるものであってほしいというふうに思います。

 この観点から、きょうは渡辺副総裁にもおいでいただいておりますので、お伺いをいたします。

 やはり、今菅大臣もおっしゃったように、今回の法改正では、ある程度リスクが高いプロジェクトに投資がなされるようになる。そしてまた、それによって実現できたCO2削減をしっかり数値としてアピールできてほしい。こういう中で、今回の法改正を受けて、JBICとしては、支援対象となるプロジェクトでの透明性の確保、あるいは、MRVということが鳩山イニシアチブでも言われておりますが、この整備の観点からどのような点に留意されるお考えか、お聞かせをいただければと思います。

渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法改正は、私どもの業務に、地球温暖化防止等の地球環境の保全のための海外における事業促進を目的とするものを追加するということでございますけれども、基本的には、具体的に何ができるか、あるいは具体的に何をやってどういう効果をもたらしたかということについてきちんと測定ができるということが必要であるというのは、まさに委員御指摘のとおりでございます。

 そのために、今私どもの方でも、今御指摘がございましたMRV、これは測定、報告、検証という三つのことを、頭文字をとって言われているわけでございますけれども、そういうものをより具体的な方策として確定していこうという作業をやっております。これまでこのMRVというものは、どちらかというとマクロ的に、それぞれの国がどれだけ減らしたかということについての検証あるいは報告ということでやっておりましたけれども、今回、私どもの業務がふえる場合には、それぞれのプロジェクトベースに落としましてそういうものが見えていく必要があろうかということで、やや革新的な試みではございますけれども、そういうものについてのある程度のスタンダードのようなものをつくれないかということで、今既に作業を始めさせていただいているところでございます。

 いずれにせよ、これまでの議論もございましたし、あるいは委員からの御指摘がありましたように、効果の高いものというのは必要でありますが、一方で、買う側、導入する側の資金的な能力というものがありますので、そういうものを組み合わせて何が一番最適な解であるかということを相手方に提示し、あるいは、実際に日本でそれに関連する企業の方とお話しするためには、今申し上げたような形の数字がはっきりするということは極めて必要であるというふうに思っているわけでございます。

 例えば、今までも御議論がありましたように、太陽光の発電だけは世界じゅうでかなりの企業が既に発展をしているわけでありますが、それと例えば大容量の蓄電池を組み合わせることによって夜にも安定的に電流を流す、こういった形のパッケージ型の製品といいますかシステムといいますか、そういうものをつくり上げていくということは非常に効果がございます。

 あるいは、発電の場合でも、原子力発電というのは非常に効果が高いということは目に見えているわけでありますが、一方で、価格が非常に高い。そういうためには、それぞれの国に割合潤沢にある石炭というものをどういう形で活用できるかということについて議論をしていく必要があろうか。

 これまでは石炭というのは、どちらかというと、CO2をたくさん出す、あるいはいろいろな形での逆効果があるということで言われていたわけでありますが、今日本の技術の中では、それを非常に高い圧力のもとで処理をすることによって、これまでの排出量を大幅に減らすというような技術もある。

 これをどういう形でそれぞれの途上国あるいは受け手が理解していただけるかということが非常に必要でございますので、そういうものに向けて、なるべく透明な形で事業が進められるように、今御指摘がございましたようなMRV、計測、報告そして検証というものを進めていこうというふうに考えております。

山尾委員 ありがとうございます。

 そして最後になりますけれども、せっかく福山副大臣にいらしていただいておりますので、最後に一点お伺いをして、終わりにしたいと思います。

 今回の鳩山イニシアチブ、環境の鳩山政権を国際的に表明した、すばらしい選択だと思いますし、私も一日本国民として誇りに思っております。だからこそ、この支援が日本の貢献として正当に評価される仕組みをつくってほしい、さらなる外交努力をお願いしたいと思います。

 今回の法改正で、日本は途上国に資金協力をして、場合によっては日本の技術を使って、途上国内のCO2削減に貢献していくわけです。こういった削減分がぜひ日本の一九九〇年比二五%削減の一部としてカウントできるように頑張っていただきたいと思います。歯を食いしばって、血のにじむような努力をしながら、エネルギー効率の改善に努められている日本の企業の方、労働者の方々に報いるためにも、ぜひ福山外務副大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。

玄葉委員長 外務副大臣、わざわざおいでいただきましたが、簡潔に。時間が過ぎておりますので。

福山副大臣 済みません、簡潔にしたいと思います。

 御案内のように、コペンハーゲン合意は、これまで京都議定書を離脱していたアメリカ、そしてこれまで削減義務のなかった中国を含めて、もう既に百カ国以上の国々が賛同の表明をしていただいています。途上国においては削減行動計画をつくるということも決まっております。つまり、簡単に申し上げれば、削減をするという需要が世界じゅうに生じるわけです。

 ですから、今回の法律の改正を財務省さんが大変御尽力をいただいているわけでございますが、積極的にCO2の削減に対する財政支援をすることが可能になり、これは国際社会の期待に十分こたえていくことができると私は思います。

 JBICが融資をしていただくことによって、日本が相手国からのクレジットを獲得することが一層可能になる可能性が出てきます。それはなぜかというと、民間の融資や民間の技術が、JBICが最初に融資をしていくことによって、より出やすくなるからでございます。

 そして、今山尾議員が言われたように、公的資金による途上国の支援と排出削減をどういうふうにカウントするかということについては、今国際交渉上、議論しているところでございますので、これは外務省としても懸命に交渉を頑張っていきたいと思いますし、我が国としては、日本が世界に誇るクリーンな技術、インフラ、生産設備などの提供を行った企業の貢献が適切に評価されるよう、新たなメカニズムの構築に向けては積極的に参加をしていく決意でございます。

山尾委員 ありがとうございました。終わります。

玄葉委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 今度の法案は、昨年の十二月十七日に公表された地球温暖化防止のための途上国支援に関する鳩山イニシアチブを実現するために出されたものだと思います。法案の主な内容は、日本政策金融公庫の国際部門、国際協力銀行、JBICの業務に、環境分野における支援、すなわち、地球温暖化の防止等の地球環境の保全を目的とする海外における事業を促進するため金融機能を担う、これを新たにつけ加えたということであります。

 そこで、どうも気になるのは、原子力発電の推進というのがその手段の一つとなっているのではないかという点であります。

 まず事実を確認したいんですけれども、途上国支援に関する鳩山イニシアチブでは原子力発電についてどう位置づけられているか、経産省に説明を求めたいと思います。

高橋大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 我が国は、温室効果ガス削減、気候変動の悪影響への対応に意欲的に取り組む途上国に対しまして鳩山イニシアチブを打ち出したというのは、先ほどお話がございました。その中で、温室効果ガス削減の効果が原子力発電というのは非常に高いというふうに考えておりまして、世界への普及を促進し、支援をより充実させることを目指す分野として位置づけられております。

 そこで、原子力発電に係る我が国の技術、経験、これはもう世界の最先端を行っておりまして、このことを提供することは、地球温暖化防止や日本の成長戦略という観点から見ても非常に重要だというふうに考えております。

 経済産業省としましては、我が国の原子力産業の海外展開を積極的に支援していきたいというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 我々は、原発というのは技術的に未確立であって、安全性が確保されていないという見方をしております。したがって、原発の新増設はやるべきではない、再生可能エネルギーの普及に合わせて、原発から計画的に撤退すべきだというのが我々の考え方であります。

 もともと、この鳩山イニシアチブというのは、昨年九月二十二日の地球気象変動首脳会合、国連のあの会合で行った演説で提起されたものですが、ここに官邸のホームページからコピーしたものがありますけれども、この中には、どこを見ても、原発推進という言葉は一言も入っていないんですね。なぜ途上国支援になると原発推進というのが入るのか。

 一説によると経済産業省が入れたと言われていますが、これは事実なんですか。きちんと説明をしていただきたいと思います。

高橋大臣政務官 経済産業省が入れたというよりも、これは鳩山イニシアチブの中で原子力発電というのは大変重要な位置づけというふうに考えておりまして、いろいろな協議の中でこのような位置づけをさせていただいております。

 共産党さんの御意見としては拝聴させていただきます。

佐々木(憲)委員 もう一つ、確認したいんですけれども、先週閣議決定された地球温暖化対策基本法案、この中に原発はどう位置づけられているのか、条文ではどうなっているか、説明を求めたいと思います。

大谷大臣政務官 十六条の中に原子力の位置づけというものが述べられています。簡単に言いますと、安全の確保を旨とし、国民の理解と信頼を得て推進するものとするというふうにしてあります。

 発電の段階でCO2を出さない、そういう発電をどんどんどんどんふやしていこう、その中の一つが原子力であり、原子力においては安全というものを大事にしていかなければいけませんよねというのを改めて、再度確認するような中身になっております。

佐々木(憲)委員 原発の危険性というのは、今までもいろいろな事故が起きておりますし、環境破壊というのも起こっているわけであります。やはりそういうことをきちっと踏まえた対応をすべきだと我々は思います。

 そこで具体的に、今度提案されている日本政策金融公庫法案、この中ではどうなっているかということですが、途上国政府が原子力発電を行おうとするとき、これまでの、従来のJBICはどういう基準があって、融資の条件というのはどうなっていたのか、まず、これを説明していただきたいと思います。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、国際協力銀行はこれまでも、輸出金融の一環、我が国産業の競争力の維持向上という観点から、わずかでございますけれども、原子力関連機器の輸出に対する融資を行ってまいっております。例えば十九年度には、四千万円程度でございますけれども、メキシコにおける原子力発電所のタービンなどを輸出する際の金融をつけておるわけですけれども、経済産業省から安全確保の確認を受けた上で、一々確認を受けた上で必要な融資を行ってきているということでございます。

佐々木(憲)委員 私は基準を聞いたんですが。

 このJBICのパンフレットによりますと、資源の確保、それから競争力の維持向上、国際金融秩序混乱への対処、この三つの基準があって、原発の輸出に対する融資というのは、この二つ目の国際競争力というものの中に入る、それ以外の理由は対象にならない、こう理解をしておりますが、それでよろしいですか。

中尾政府参考人 そのとおりでございます。

佐々木(憲)委員 これまでは、この基準に合致するかどうかというのが前提であったと思います。途上国の原発推進への融資というのは、そういう枠組みの中でのみ可能であった。我々はそういう枠組みそのものに反対でありますが。

 しかし、今度出されたこの法案は、地球温暖化対策というものが四つ目の基準として盛り込まれているというふうに理解しております。そうすると、途上国政府が原子力発電を推進したいという場合、これまでは融資は地球温暖化という名目ではできなかった、しかし、この改正によって、その対象というのが、地球温暖化という枠に、その条件に合えば融資ができる、そういう意味では対象、目的が広がった、こういうことになりますか。

中尾政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生もおっしゃいましたように、四つ目の基準として地球環境対策に資するものということでございますから、法律だけ見ますと、途上国自身が実施する原子力関係のプロジェクトも融資できるように読めるわけでございますけれども、原子力については、複雑かつ膨大なリスクを抱えているという観点から、日本企業が関与しないものも今回は融資できるわけですけれども、そういう場合もあるという、途上国自身のプロジェクトに関しては、安全性確保の確認が困難になることから、国際協力銀行の内規などにおいて、支援の対象とはしないことを考えておるところでございます。

佐々木(憲)委員 温暖化対策という名目で、途上国が日本の技術あるいはほかの国の技術を利用して原発を推進する、その場合に、一定の条件があれば、今回新たに、今までできなかった融資が可能になる、そういうことですね。

中尾政府参考人 改めてお答えいたします。

 今申し上げましたように、日本企業がかかわっていない場合でも、地球温暖化対策の場合については融資を行えるということ、相手国の政府がやる事業について融資を行えるということでございますけれども、この原子力関係に関しましては、日本企業が関与していない場合には十分な安全性の確保が確認できないということでございますから、原子力発電については支援しないということになると考えております。

佐々木(憲)委員 原発は新たに今回のこの融資の対象からは外れる、こういう解釈になるんですか。

 私が事前に聞いておりますところによりますと、三つの基準で、今まではその基準に合うかどうかが問題であったと。温暖化対策ということが新たに加わりますから、その温暖化対策ということに合致すれば、対象としては今までよりもその部分が広がる、こういう理解じゃないんですか。

中尾政府参考人 委員おっしゃるとおりでございますけれども、原子力に関しては支援をしないということを政策として進めていくということでございます。(発言する者あり)いや、安全の確認が、日本企業が関与しない、相手国、途上国政府の単独の事業として、独自の事業としてやっていくものについては確認ができないということでございますから、いろいろなプロジェクトがありますけれども、原子力関係については、今回の広げた部分では支援していかないということを決めておるわけでございます。

佐々木(憲)委員 ということは、結局、日本企業が関与している、こういう前提であれば、大いにこの融資の対象として、地球温暖化という名目で推進する、そういうことになりますね。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 今後、細かい実施上の詰めをしていかなければいけませんけれども、日本の企業がどのように関与していくのか、程度の問題であるとか、そういうことも含めて慎重に検討していくことになると思います。

佐々木(憲)委員 慎重に検討するかどうかというのは別として、枠としては広がると。

 つまり、今まで、国際競争力強化、そういう基準に合うかどうかが唯一の原発支援の融資の基準だったわけです。それに日本企業が加わり、かつ、温暖化というものが、そのためのものですよということであれば、競争力とかなんとかというのは一応おいても、新たに支援ができる、こういう枠組みになったということですね。

中尾政府参考人 改めてお答えいたします。

 今回の改正は、四つ目の目的を加えたわけでございますので、一般的に、日本企業が関与しない、つまり国際競争力の維持向上に関連しない融資も行えるわけでございますけれども、この環境問題の中で途上国が独自に行う事業のうち、原子力発電については、日本企業が関与する部分について融資するということが今後あるかもしれませんけれども、そういう意味では、今までと変わりない扱いと申しますか、日本企業が関係しない部分についての原子力については広げないということでございます。

佐々木(憲)委員 今の説明で、何かいろいろなことを言っていますが、結局、日本企業が参加することが前提であると。今までは競争力強化という前提がなければ融資はできなかった。しかしこれからは、温暖化対策という名目がつけ加わって、新たな目的として、それがあれば日本企業が参加をして推進する、こういうことじゃないですか。だから、答弁で明確になったんですよ、今までよりはその部分が拡大されるわけであります。

 そういう意味でいいますと、今度の法案というのは、先ほどから議論がありますように、日本の原発を大いに売り込めというような、これは財界側、原発メーカーの要望もあって、それに対して対応するという側面が非常に濃厚なものであって、我々としてはこんなことは認めるわけにいかない。

 原子力発電というのは、何かクリーンなエネルギーのような宣伝がされていますけれども、これはとんでもない話でありまして、放射能汚染という深刻な環境破壊を引き起こす危険性を持っております。一九八六年のチェルノブイリ原発事故では、深刻な放射能汚染が国境を越えて広がりました。原子炉周辺三十キロメートル、いまだに原則立入禁止となっております。

 また、新潟県の中越沖地震で、東京電力の柏崎刈羽原発の事故、これは記憶に新しいわけですけれども、年間三千万トンのCO2を新たに出したわけです。事故が起こったら原発がCO2の発生源となる、そういう事例なんですね。

 日本では、東海地震の想定震源域の真上に浜岡原発というのがあります。原発の地下や近くに活断層が次々と確認されております。まさに、地震による重大事故の危険性があるわけですね。

 それに加えて、原発の使用済み燃料、放射性廃棄物の処分、その方法もまだ未確立であります。使用済み燃料は極めて強い放射能を持っておりまして、その危険性は数万年も持続をするわけであります。政府としては今まで、地下深くに埋設するから大丈夫だと言いますけれども、これは長期にわたって何万年も安全性が保証されるというようなことは考えられないわけであります。

 菅大臣にお聞きしますけれども、IPCCも、原発には安全性、核兵器拡散、核廃棄物の問題がある、こういうふうに指摘をされているわけです。菅大臣は、そういう認識はありますか。

菅国務大臣 IPCCの具体的な指摘について、今頭の中にあるわけではありませんが、原子力発電所あるいは原子力というものが、今言われたようなチェルノブイリとかスリーマイルとか、いろいろな意味で、その安全性を非常に重視しなければならないものであるという認識は持っております。そしてまた現政府も、原子力については、安全性というものをしっかり担保した上でそれを活用していこう、そういう姿勢にある、このように認識をいたしております。

佐々木(憲)委員 安全性については、我々と今の政府の認識というのはかなり離れておりまして、我々は非常に危険性を認識しておりますので、この法案には賛成することはできません。

 温暖化対策のためには、一つは省エネを徹底するということですね。日本の技術を途上国にも大いに普及するということ、それから、化石燃料とか原発から脱却して再生可能エネルギーに転換していく、そういう方向を重視しなければならないというふうに我々は思います。

 この法案は、今途上国に対して各国が原発売り込みの大合戦をやっておりまして、国を挙げて行われているものに乗っかって国内企業の受注支援として利用する、そういう可能性を広げるものでありまして、我々は、昨年の総選挙でもそういう方向には反対をしております。

 私どもの政策では、それまでの自民党、公明党の政権が原子力立国を掲げて原発の輸出あるいは技術協力を進めてきているけれども、国の内外で安全を無視した原発の新増設を進めることはやめるべきだ、こういうことを訴えました。政権がかわっても、この立場は我々は変わりません。

 したがいまして、今度の法案というのは、危険性を国際的に広げる、そういう役割を拡大するものであって、私たちは法案に反対をいたしますし、現在準備されている附帯決議の中に、そういう日本の高度な技術をパッケージとして輸出するような話も書いてありますから、原発を含むこういうものについては賛成することはできないということを最後に表明いたしまして、質問を終わらせていただきます。

玄葉委員長 次に、竹内譲君。

竹内委員 おはようございます。公明党の竹内譲でございます。

 せっかくの機会でございますので、政策金融の問題に入る前に、菅大臣に一つ二つ御質問をしたいんですが、財務大臣になられまして、従来から、財務省の改革に取り組む、特に官僚の中の官僚と言われる、最も優秀な官僚の集団だと言われている財務省の問題点を指摘して、また改革に取り組むというふうにおっしゃっておられましたので、まず現在の状況につきまして教えていただきたいと思います。

玄葉委員長 現在の状況というのは。

竹内委員 どのような問題点があり、それに対してどのような改革をされようとしておられるのかということでございます。

菅国務大臣 一月に就任してすぐに、事務次官に、財務省のビジネスモデルを検討してどのような形が望ましいかを議論する、そういうプロジェクトをつくってほしいと。

 私が想定したのは、昨年イギリスに行ってイギリスの状況をいろいろ聞いたり、あるいは、イギリスの財務省に行っていた若い財務省のお役人からも、つまりは縦割りといったような発想はほとんどないんだ、それから、人がどんどん横に動いていって、民間に出たり民間から戻ってみたり、あるいは、あるポストがあけば、全部公募で、自分の役所だけではなくて隣の役所や民間から来たりする、天下りといったものもない、しかも、夕方には大体六時ぐらいで帰っても、仕事そのものの質は日本と比べて決して遜色はないんだ、そういうこともいろいろ聞いておりましたので、そういうことも含めて、内部の人たちにまず集まってもらって、そういう議論をしてほしいと。

 早速、事務次官が役所内で公募をいたしまして、五十人ぐらい手が挙がったようでありますが、その中から、二、三名の女性の職員も含めてメンバーを決めて、現在何度かにわたって、講師を招いての議論、さらには内部での議論、私も時折出ておりますが、そういう議論をして、そう遠くない時期には何らかの報告なり提案を受けるというのが一つであります。

 それから、これはそういう制度的な改革とまでは言いませんけれども、やはり財務省という役所に私もかかわってみて、特に予算の問題では、いかに財政規律を守るか、別の言い方をするといかに削るかというところが非常に大きくて、前向きの部分がやや少ないように思いましたので、財務省としても成長戦略を立ててくれと。それは、国有地の問題とかいろいろな国有財産を、今の傾向は、単にじっと持っているか、場合によっては売るかということですが、それだけなのか、そういうことについても、財務省としての成長戦略というものを考えるようにということで今検討をさせております。

 加えて、これはすべての省庁にもまたがる話でありますが、いわゆる特別会計等、これは財務省にかかわらない特別会計もありますが、財務省自身が所管している特別会計、あるいは公益法人、独法等ありますので、みずから、まず隗より始めよではありませんが、そういう視点でそういうものについても全面的な見直しをするように、これは副大臣を中心にしてその作業をお願いし進めている、こういうことをやっております。

竹内委員 御指摘の点は一々ごもっともだと思いますが、私が感じている財務省というのは、国家のお金を実務的に預かっていますから、やはり大変力がある。政治の分野にも時々進出されそうなときがある。進出するというのは、政治を動かしそうな場面があったのではないかと。

 その辺、政治主導、官僚主導の問題で、まさに民主党の皆さんが掲げられた最大の課題があると思うんですけれども、財務省の皆さんを政治主導でどううまくコントロールするというのか、その辺のお考えは、菅大臣はいかがでしょうか。

    〔委員長退席、鈴木(克)委員長代理着席〕

菅国務大臣 私も財務大臣という立場に立ってまだ三カ月程度ですけれども、力があるという言い方は、結果としてそうかもしれませんが、私が感じているのは、やはり手回しがなかなかいいというのか早いんですね。大体こちらが考えていそうなところを、何か言うと、ほかの役所であれば一週間か十日ぐらいかかるところを、もう二、三日たったら、説明しましょうかとか、その中身も、率直に申し上げてかなりの中身を用意しているというか。

 ですから、多分これまでは、政治家が何か言うことをあらかじめ予測して、全部早手回しに準備しているので、いつの間にかその中に乗せられていくということになりやすいのかなというふうに思っております。

 私は、わざわざそれに乗らない乗るではなくて、私は私なりにイメージを持って、特に時間の長さを考えておりますので、昨年、まだ財務大臣にはなっておりませんでしたけれども、その段階でも、この場でも何度も申し上げたように、やはり年内予算編成、これだけは絶対やらなきゃいけないと。そういうところは結果的に一致しますから、ある意味では同じ時間プログラムで動きます。

 しかし、場合によっては、私が税制で所得税、法人税、消費税の議論をしようと言ったときに、何か財務省に菅もいよいよ取り込まれたかなんということを書いた記事も一部ありますけれども、少なくとも、私に対して消費税の検討を始めてくださいと言った財務省の職員は一人もおりません。私なりに判断して、もちろん昨年の税調の中で決めたことでもありますけれども、やはり予算が上がる段階から、あるいは予算が山を越える段階から、だんだんそちらの方の準備も必要だろうということで申し上げたわけです。

 つまりは、それがお答えになるかどうかわかりませんが、やはり政治家がリーダーシップをとるには、自分たちがちゃんとした時間的プログラムを持って、そして、早ければいいというわけではありませんが、おくれないように次々と手を打つ。それに対して、役所に対してもしっかりとフォローをしてくれるように指示をしていく。そういう関係があれば、私は、いわゆる取り込まれたとか乗せられたとかということを言わなくても、結果としては、ちゃんとコミュニケーションができていればいい仕事になりますし、もし意見が対立したときは大いに対立して、まあ別にけんかをするのは私も嫌いな方ではありませんので、そうなったときは大いにけんかをして議論すればいい、このように思っております。

竹内委員 それでは、ちょっと次の質問に移りたいんですが、これも大事なことですので。

 直接の所管は郵政改革大臣、亀井大臣なんですが、ゆうちょ銀行の預入限度額の問題につきまして、民主党さんのマニフェストでは撤廃を検討すると。最近、国民新党さん、社民党さんは三千万円に引き上げるというようなことで、ところが、大臣が所管の金融界の方は引き上げに反対されている、こういうことなんですけれども、この辺につきまして、菅大臣のお考えをちょっとお聞かせ願いたいと思うんですが。

菅国務大臣 ここは今、金融担当大臣含めて議論をされているところですので、私自身がそういう議論の場にいる立場におりませんので余り申し上げるところはないんですけれども、多少この問題では、民主党という立場でいえば若干の変遷があることは事実であります。

 かつて二〇〇五年の衆議院の選挙の折には、ダウンサイジングという考え方を当時の民主党は持っておりました。その後、まさに小泉改革の中で他の分野も含めていろいろ問題がありまして、そして二〇〇九年の総選挙前には、国民新党との間でもこの問題に対する一定の合意をした上で、それも国民の皆さんにきちっと発表した中で選挙を戦い、連立政権の合意の中にもそういうものを盛り込んでおりますので、基本的には現在は、国民新党あるいは三党の連立合意の中でこの問題を扱っている。

 その詳しいところについては、現時点で私は余り深くかかわっておりませんので、そういう中での議論が進んでいるということは承知しておりますが、しっかり議論をして間違いのない方向を決めていきたい、こう思っております。

竹内委員 亀井大臣が所管ですけれども、しかし、担当大臣として、金融界は菅大臣の所管ですので、そういう意味でいうと……(発言する者あり)まあ所管というんですか、そういうエリアというんですか、いや、若干の訂正をさせていただきます。

 しかしこの問題は、所管であろうが所管でなかろうが、当然国民の皆さんは、やはり政府の信用という背景にゆうちょの方へお金が集まるんだろうなというふうに思うんです、預金残高が現在の百七十七兆円から三百兆円に膨れ上がるというような声もございますし。

 しかしながら、ゆうちょ銀行の方は運用方法が余りありません。融資業務といっても、これを身につけるというのは本当に大変なことでございまして、なかなかそう簡単にはいかない。運用は国債中心になろうかと思いますけれども、しかし、国債ばかりさらに積み増していくというわけにもいきません。そうすると、結局預金の利子を、運用するところがなくて、利子負担が増大して利益を圧迫しかねないというようなこともございますから、単純に限度額撤廃とかいうわけにはなかなかいかないんじゃないかという考えを私どもは持っております。そのことだけ申し上げておきたいと思います。

 政策金融の方に移りたいんですけれども、一つは、今回法改正は行われますが、あくまでも途上国向けという、法案そのものには途上国向けという一応前提があるというふうに思うわけでございます。

 いろいろな情報を聞いておりますと、一つは、今後先進国向けにもさまざまなものをやりたいと、JBICの仕事として。先ほどの環境関連とかいろいろあります。これを先進国向けにも広げるということになると、これは法改正が必要なのか、それとも政令改正でいけるのか。まず、その前段階としての検討状況、この辺についてどのような状況になっているのか、ちょっとお伺いしたいんです。

    〔鈴木(克)委員長代理退席、委員長着席〕

中尾政府参考人 お答えを申し上げます。

 地球環境の保全のための今回広げた部分でございますけれども、この部分は、先進国はだめということは法律上は決まっておりません。ただ、全体として、鳩山イニシアチブの一環として途上国を支援していくというものでございますけれども、必要に応じて、先進国向けも場合によってはあり得るのかなということはございます。

 ただ、それは今後の検討の状況ということでございまして、例えばオーストラリアでCO2の貯蔵というものをするというようなことが仮に将来あったような場合には、そういうことも政策的に判断していくということでございまして、法律上は、その部分は制約はございません。

 先ほど申し上げましたように、投資金融、日本の企業の投資を助けていくという金融に関しては、先進国に対してこれを行う場合には政令改正が必要ということで、今のところ原子力の部分を指定している。それに対して、高速鉄道を加えていこうという話を先ほど申し上げたところでございます。

竹内委員 そうすると、場合によって政令改正をやるということですね。政令改正ですから、それは政府内ですぐできるという理解でいいんでしょうか。

菅国務大臣 私も、この法案が出ておりますので少し過去の経緯を聞いてみましたら、非常に複雑にこれは合併されております。

 二〇〇八年の統合の時点以前は、特にテーマについても制約がなかったようでありますけれども、二〇〇八年に統合して現在の形になったときに、政令で行うということで、既に原子力発電所についてはそういう政令ができているわけです。

 現在、それに加えて、たしか高速鉄道等について政令改正の方向で、きょうからそういったものについてのパブリックコメントを始める。そういう意味では、政令改正の準備を進めていると承知しております。

竹内委員 私は、政策金融というのはやはり基本的には民業の補完である、それから、やはり弱者対策といいますか、途上国も含めて、そういう原則というか考え方があったと思うんですね。

 そういう意味でいうと、先進国向けに一気に来るとなると、今後、成長戦略もやるんだというようなことでいいかもわかりませんけれども、それで民間と共同のプロジェクトファイナンスを組むんだということであれば一定理解できるところでございますけれども、しかし、先進国向けの場合は、やはり主役は民間であるべきだと思いますし、呼び水としてやるという程度にとどめないとちょっとおかしいんじゃないかなと思います。

 特に、JBICは税金を払いませんよね。そうですね。一応確認しておきましょうか。

中尾政府参考人 お答え申し上げます。

 税金は払っておりませんけれども、政府に納付金という形で利益の半分を提供しているということでございます。

竹内委員 一応、実質的には半分払うというようなことになっているわけでございますけれども。

 しかし、その辺で私は、政策金融全体のことを考えたときにやはり一つの思想があったと思うんです。例えば、中小企業向けのいわゆる昔の国金であるとか、今政策金融公庫に所属している農林水産関係とか、あるいは国民生活金融公庫とか、いろいろあったんですよね。それはやはり、どうしてもハンディがある中小企業や個人事業者、個人を救う、支援するという発想があったと思います。それから、JBICといいますかこれについても、途上国というキャップがかかっていたというのは、やはり途上国を支援する、先進国ではなくてそういう国際的に弱い立場にある国々を支援しよう、そういう一貫した思想があったと思うわけであります。

 そういう意味で、だから政策投資銀行が若干の例外になっているんだろうなと私は思うんですね、割合、大企業、中堅企業に融資をしてまいりましたし。

 この問題が、これはたびたび菅大臣とやっているんですけれども、JALの融資でこの政策投資銀行のあり方が結構大きな問題になっているわけであります。やはりいつの間にか、政投銀が使いやすかった、そういうような傾向があったんじゃないかなと。これは私の勝手な推測ですよ。そうすると、政投銀にしたって、最後は国が救ってくれるんだろうというような甘えがあったような、これも感じですけれども、気もしますし、それから当の大企業である日航の方も、最後は政府が救ってくれるんじゃないかというようなことで、本当は、民間銀行と大企業であるJALがそれぞれ自立して、きちんとやはり政府に依存せずに生きていくべきものだと思うんです。本来、大企業というのは自立自存だというふうに思うんです。

 そういう意味では、中小企業向けのそういう公庫、それから国際的な金融を行うJBICということはかなりの必要性があると思うんですが、政策投資銀行につきましては、大企業向けという機能であれば、今後はやはり完全民営化へ進んでいった方がいいんじゃないのかと。

 一たん、これは延期されたり見直しというような条項もついておりますけれども、確かに危機対応業務というような理由はありますが、しかし、危機対応業務ということがかえって政投銀みずからを窮地に陥れたというような感じもいたします。

 大企業の場合、いざとなれば日銀特融であるとか、それから日銀がCPとか社債の買い取りというようなこともできるわけでありますから、そういう意味では、その辺、政策金融の整理を考えていくべきではないかなというふうに思いますが、菅大臣のお考えはいかがでしょうか。

菅国務大臣 このあたりは私も、先ほども少しどなたかの答弁で申し上げましたが、自社さ政権のころに、政府系金融機関はたしか十七ぐらいあったと思いますが、それをいかになくするかと。一時期は、私が所属したさきがけの党首だった武村先生が当時大蔵大臣でもありましたので、そういう議論の渦中にいた当時もあります。当時は、できるだけ統廃合して、そして、今竹内先生言われたように、民間ができることについては当然ながら民間に任せていけばいい、そういう考え方を私自身もおおよそ持っていたという記憶があります。

 その考え方を全部変えたわけではありませんけれども、この近年においてやはり幾つか、経済状況あるいは世界の状況が少し変わってきたところがあると思っております。典型的に言えば、アメリカのGMが政府の救済を受けざるを得なくなった。従来、金融機関だけは例外的に、信用不安ということのためにいろいろな救済スキームがあったわけですが、製造メーカーですら、アメリカで最も大きい企業の一つであるGMですらそういうことが起きてきている。

 日本においても、今JALのことも言われましたが、それは民間でやっていただくことが本来あるべき姿といえばそうなんですが、民間でやれるところがないときに、ではそのまま放置することがいいのかどうかということで、ちょうどその時期に企業再生支援機構ができましたので、そこが支援を決定したということも含めて、ここは金融機関ではありませんけれども、与信の力を与えられている、そういう多少金融的な要素も持った機関であります。

 さらには、きょうの議論そのものでありますが、国際的ないろいろな投資案件の中で、途上国についてということは今竹内先生も理解できるけれどもと言われましたが、では先進国については民間に任せればいいのかというときに、これも果たしてそれだけで十分なのかなと。

 かつて我が国は、日本株式会社と言われるほどに役所と政治家と産業界が結びついて、若干の問題もあったかもしれませんが、ある意味では経済を世界的に広げていく大きな力になったわけです。今、その関係が非常に薄くなっているということもありまして、私は、まさに今回の法案の議論も含めて、これは党派を超えて、あるべき政府系金融機関のあり方、その役割をもう一度見直す、場合によっては、その位置づけが必要であれば、何でもかんでも民営化すればいいということではないという意味を含めて、議論をして見直す状況に来ているのではないか、こんなふうにも考えているところです。

竹内委員 今後、JBICの分離とかそういう話もあるんですが、この辺につきましては今検討されているんでしょうか。

菅国務大臣 実は、国家戦略室の方でも、今申し上げたようないろいろな形で、トップセールス等々含めていろいろなアジアの成長を日本に連動させるということでタスクフォースをつくっておられまして、そういう中でもいろいろな議論があります。

 今のJBIC、私も先ほど言いましたように、合併のプロセスを見ると、かなり異質なものを一つの日本政策金融公庫の中に入れ込んでいる関係で、必ずしも、そういう国際協力銀行としての機能がややそこに専念できていないという問題点の指摘もありますので、まだすぐに分離、分離でないというところまで話が進んでいるとは理解しておりませんが、少なくともそういう議論が一部いろいろなところであるということは認識しております。

竹内委員 以上で終わります。ありがとうございました。

玄葉委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

玄葉委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 株式会社日本政策金融公庫法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

玄葉委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

玄葉委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、中塚一宏君外二名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・改革クラブ、公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。後藤田正純君。

後藤田委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    株式会社日本政策金融公庫法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。

 一 我が国の優れた技術・ノウハウ・製品が統合されるパッケージとしての輸出、又は、これらが活用される海外におけるインフラ等の事業については、先進国、途上国を問わず、国際協力銀行がこれを積極的に支援し、我が国経済の成長に更なる貢献をするよう国際協力銀行の機能を整備すること。

 一 地球環境保全に加え、国際協力銀行が果たしてきた資源・エネルギー確保や国際競争力確保等の機能を適切に果たすため、目的遂行のための信用の維持と業務の積極的展開が一貫した体制として可能となるよう、国際協力銀行のあり方について検討を加えること。

以上であります。

 何とぞ御賛同賜りますようよろしくお願い申し上げます。(拍手)

玄葉委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

玄葉委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付すことに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。財務大臣菅直人君。

菅国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえまして配慮してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

玄葉委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

玄葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

玄葉委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五分散会


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