衆議院

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第14号 平成22年4月16日(金曜日)

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平成二十二年四月十六日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 玄葉光一郎君

   理事 池田 元久君 理事 岸本 周平君

   理事 篠原  孝君 理事 高山 智司君

   理事 中塚 一宏君 理事 後藤田正純君

   理事 竹本 直一君 理事 石井 啓一君

      網屋 信介君    今井 雅人君

      小野塚勝俊君    小原  舞君

      大串 博志君    大山 昌宏君

      岡田 康裕君    京野 公子君

      小林 興起君    小山 展弘君

      近藤 和也君    下条 みつ君

      菅川  洋君    鈴木 克昌君

      富岡 芳忠君    豊田潤多郎君

      野田 佳彦君    橋本  勉君

      福嶋健一郎君    古本伸一郎君

      本多 平直君    三輪 信昭君

      山尾志桜里君    吉田  泉君

      和田 隆志君    渡辺 義彦君

      北村 茂男君    田中 和徳君

      竹下  亘君    徳田  毅君

      野田  毅君    茂木 敏充君

      山本 幸三君    山本 有二君

      竹内  譲君    佐々木憲昭君

    …………………………………

   財務大臣         菅  直人君

   国務大臣

   (金融担当)       亀井 静香君

   内閣府副大臣       大島  敦君

   内閣府副大臣       大塚 耕平君

   財務副大臣        野田 佳彦君

   財務副大臣        峰崎 直樹君

   国土交通副大臣      馬淵 澄夫君

   内閣府大臣政務官     田村 謙治君

   財務大臣政務官      大串 博志君

   財務大臣政務官      古本伸一郎君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  内藤 純一君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    畑中龍太郎君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          深山 卓也君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           清水美智夫君

   財務金融委員会専門員   首藤 忠則君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十六日

 辞任         補欠選任

  荒井  聰君     本多 平直君

  岡田 康裕君     小原  舞君

  鈴木 克昌君     三輪 信昭君

  山尾志桜里君     大山 昌宏君

  村田 吉隆君     北村 茂男君

同日

 辞任         補欠選任

  小原  舞君     岡田 康裕君

  大山 昌宏君     京野 公子君

  本多 平直君     吉田  泉君

  三輪 信昭君     鈴木 克昌君

  北村 茂男君     村田 吉隆君

同日

 辞任         補欠選任

  京野 公子君     山尾志桜里君

  吉田  泉君     荒井  聰君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 金融商品取引法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四四号)


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     ――――◇―――――

玄葉委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、金融商品取引法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局長内藤純一君、監督局長畑中龍太郎君、法務省大臣官房司法法制部長深山卓也君、厚生労働省社会・援護局長清水美智夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

玄葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

玄葉委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中和徳君。

田中(和)委員 皆さん、おはようございます。

 四十分間の質問の時間をいただきました。感謝をいたしております。

 質問の内容はすべて昨日のうちに金融庁側にお渡ししてございますので、丁寧な御答弁をお願いいたしたいと思っております。しかし、時間は短くお願いしたいと思っております。

 まず、鳩山政権の三党連立の一つ、国民新党代表の亀井大臣に、基本的なことについてお尋ねをしてまいります。

 内閣支持率が急落をしました。内閣支持率については、一つ一つの調査結果に一喜一憂せずと、大体もう答弁は決まっているんですね。しかし、発足当初七七%、これはマスコミいろいろありますけれども、高い数字です。昨日、私がいろいろとのぞいてみると、低いのは二八・六というのがありまして、結構有力な調査でこういう数字が出ているんですね。

 この原因は数々あると思いますけれども、今の時点で、国民新党の代表として、閣内の有力大臣としてどう思っておられるのか、率直にお伺いをしたいと思います。

亀井国務大臣 議員からきつい御指摘がございましたが、議員御承知のように、内閣の支持率が上がった政権というのは小渕内閣だけですね、私が承知しているのでは。あとは全部下がっていきます。

 この内閣、強い国民の期待のもとで三党連立政権として発足したわけですが、私、閣内におりまして、私も自公政権の閣僚もしておりましたけれども、この内閣はやはりすごいと思いますよ。私も別に自分がおったかつての内閣をけなすわけじゃありませんけれどもね。各閣僚が本当に真剣に、自分の所管だけじゃなくて国政全般に対して、本当に熱心に議論し合います。きょうの閣僚懇でもそうですけれどもね。私は、こういう内閣はかつてなかったと。また、議論するだけではなくて、それを具体的に実行をしておると私は思います。

 ただ、残念ながら、大きな面で見れば、世界を覆った百年に一度という大不況と、私にも責任があるでしょうが、自公政権時代に始まったデフレ、デフレスパイラルと言ってもいいような、そういう二重苦の中でこの政権は出発をしておるわけで、国民生活に、実感として、政権がかわってぱっとよくなったなということがなかなかわきづらいということは、私は弁解じゃなくて、あると思います。

 あと、予算委員会に私おりましても、政治と金、政治と金、お母さんからもらったの知っていたでしょう、こんなことばかり毎日毎日毎日言われっ放し。また、毎日のマスコミにおいても、とにかくもう判で押したような、総理また政権与党の指導者について、そういうことが集中的になされている。それが的を射ているのならいいですよ。どう考えたってそうとは思えない。あなたとは見解が違うかもしらぬ。それを一方的にやられまくって、支持率がぐんぐん上がるなんということは、私はあり得ないと。

 だから、そういう意味では、私は、現在下がっておる状況、これに屈しないで、民意を大事に受けることは私は大切だと思いますけれども、この政権は、自分たちの持っている歴史的な使命、総理もそう思うでしょう、歴史的な使命にちゅうちょすることなく突撃をしていく、私はそれをやっていくべきだと。無視をするということではありませんよ。しかし、客観条件からいうと、そういうことが起きているのは、ある程度やむを得ない状況だと思います。

田中(和)委員 亀井先生のお話、残念に思っています。これは見解の違いなんてものじゃないですよ。亀井先生ほどの豊かな経験をお持ちの方は、今の問題点は本当に克明に指摘され、理解をされておられると思います。ましてやこれは、アメリカ発の大不況がどうだとかいろいろなことは、外的要因として、なくはありませんけれども、そんなことでこれほどの事態になっているわけではないんですよ。これはもうこれ以上重ねませんが、何から何まで混乱のきわみですよ。大変な事態だと思います。

 そして、今お触れになったんですけれども、政治と金の問題は、はっきり言って、我が党の政権時代も大変だったんです。しかし、これほど国民が政治不信を持つ原因につながることはないですよ。ということは、これをこの政権が逃げて逃げて逃げまくっているじゃないですか。鳩山総理の問題、三党連立の第一党民主党の最大の有力者、小沢幹事長の問題、どうしていますか。全部逃げまくっているでしょう。国会の中で解明しなければならないこと、襟を正さなければいけないこと、今まで与党の諸君が言ってこられたこととどのような違いになっているか、私が言うまでもないことですよ、これは。石川議員に至っては、罪を犯したということになっているわけですから。今までも国会の中で辞職勧告決議、皆さんも積極的に対応してきたじゃないですか。全くこれは拒否ですよ。

 こういうことに対して、マスコミがどうだとか国民がどうだとか、私は、それに負けずに頑張るというふうに、今、大臣のお言葉は聞こえたのでございますけれども、私は今こそ、豊かな経験、良識をお持ちの亀井先生がリーダーシップを発揮されて、ぜひこの問題、政治と金の問題も国会できちっとしようじゃないか、このようにリーダーシップをとられたらどうかと思うんですが、いかがですか。

亀井国務大臣 私は、三十年以上この国会議員の席を汚しておりますけれども、自民党時代も、議員御承知のように、ずっといろいろ、間欠泉が噴き上げるように、政治と金の問題というのは噴き上げましたね。個々には言いませんけれども、非常に大きな問題もありました。

 その過程の中で国会がどういう対応をしたかという問題がありますけれども、私は今まで終始一貫、国会はやはり、課せられている、国政についている責任を果たすことに全力を挙げるべきであって、司法の場で解決をすべきことは、国会が探偵ごっこをやったり司法のまねごと、そんなことをするよりも、重要な問題に正面から取り組んでいくべきだというのが私の基本的な姿勢でございまして、今も私は変わっておりません。

 委員御承知のように、私も警察におりました。捜査二課長を長くやっておりましたけれども、今、みんな忘れていることがあるんです。捜査機関がいわゆる摘発をしたら、それがマスコミ報道されると、もう最初から黒だと世間も決めつける。国会自体が、検察が起訴をしたらもうこれは黒だと思っている。無罪の推定というのがあるんですよ。このことを忘れていって、今までだってどれだけ無罪判決が出ておるか。

 少なくとも、何万人あるいは十何万人、それ以上の方から選ばれた方のバッジというのは、選んだ人に対する責任という問題があります。みずからが決することであって、これ以上その負託に今の状況ではこたえることができないと思えば、みずからバッジを外されればいいんであって、それを、裁判が決着をしていないのに、司法というか捜査機関が一部手をつけたということだけをもって、そういう判断を国会がわいわいわいわい、がやがやとやりまくっておる。私はあるべき姿ではないと思っています。

田中(和)委員 今の大臣の話は、政権の与党三党の皆さんにすべてお返ししなきゃいけない。これは、今まで我が党の中にも、政治と金の問題が起こったときにこのような発言をされた方があったんですが、しかし、野党の皆さんからの強いいろいろな御意見によって、参考人招致、証人喚問、応じてやってきたじゃないですか。そのときに今の与党の皆さんは、亀井先生がどう発言されたかは私は記憶はありませんが、もう議事録を見れば見るほど、本当に厳しくやかましく求められてきましたよ。そして、司法の場は三権の分立ではあるが、国会議員のことは国会の中できちっとすべきじゃないかと言い続けてこられたんじゃないですか。そのことを棚に上げて、今その話を幾ら丁寧に説明されても、とても私は聞く耳を持つことができない、こう思っておるわけですよ。大臣も笑っていらっしゃるけれども、これは本当にひどい話だと思いますよ。

 もう一度、御答弁お願いします。

亀井国務大臣 私はまた同じことを申し上げますけれども、私もかつて自民党の幹部として、そういう案件に対して、野党に対していろいろと対抗したという経験もあります。これはしかし、国会対策とかそういう問題じゃないんです。我々はそこを勘違いしてはいけないですね。国権の最高機関たる国会のありようの問題なんです。

 それを、司法の場において解決されるべき問題を、国会の場において、私はいわゆるパフォーマンスとは言いません、ショーとは言いません、そういうようなことでやっていくことが、これが国会の権威を高めることに現になったのかといったら、なっていないじゃありませんか、今までだって。ただ単なるショーですよ、はっきり言いまして。それによって何の真実が発見されたんですか。やはりそれは専門家の捜査機関、司法の場に任せておく、あとは国会議員がそれぞれ進退については判断をしていくということが私は大事だと。確定判決が出た場合、それについて本人がちゃんと判断をされない場合、司法としてどういう判断をするかというのはまた別な問題も起きてこようかと思いますけれども、その場合も、原則は私は個人の判断だと思います。

田中(和)委員 国会の権威とか、まさしく国民が選んだ代表の会議の場ということを考えたときに、また国会がまさしく最高の国の決議機関であるということを考えたときに、いろいろと先輩の皆さんは、その都度その都度悩まれながらも一番やはり良識の結論を出された、このように私は思っています。すべてが国会の場で解決するはずはないけれども、しかし国会がやるべきことというのは避けて通れない、これはあるわけですよ。これを今までも、与党になられた皆さんが主張してこられたわけですから、我々も与党の時代にはしっかりと受けて立った、このようなことでありますから、今の大臣の話はむちゃくちゃな話だ、こういうことになるわけでございまして、これはぜひひとつ、これ以上この話はしませんが、与党の中で御協議いただきたいと思いますね。この国会は参議院の前にもう時間なく終わっていくわけですから、限られた時間でございますから、ぜひ亀井大臣も大きなお力を発揮したらどうですか。

 さて、次の話ですが、これも、きのうきょうと大変な話題になっています。アメリカの有力紙ワシントン・ポストは、十四日の三面のコラムで、核安全保障サミットを総括して、オバマ大統領との正式な首脳会談を強く要望しながらも拒否された鳩山総理について、厳しい評論をしておりますね。

 鳩山首相のことを不運で愚かな日本の首相と述べておりまして、鳩山首相はオバマ大統領に二度にわたり米軍普天間飛行場問題で解決を約束したが、全く当てにならない、鳩山さん、あなたは同盟国の首相ではなかったか、核の傘をお忘れか、その上でまだトヨタを買えと言うのか、鳩山首相を相手にしたのは胡錦濤主席だけだった、こういう報道をしているんですね。

 本当にこれはひどい報道だと思いますけれども、しかし、世界に発信されましたよ。当然大臣もこの報道の中身一つ一つ、心当たりがあることばかりだと思われていると思いますね。(亀井国務大臣「思わない」と呼ぶ)そうですか。

 私は、これは単なる総理の話じゃなくて、日本が、日本人がばかにされた話だと思いますけれども、これが事実であるとすれば、これは本当に下を向いて歩かなければならない。私は日本人としては本当に恥ずかしい思いだなと思っておるんでございますが、この点について、やはり国民新党代表としてどうお考えか。これは、ただ一マスコミの報道として飛ばすわけにいかないほどの重大な問題だと思いますね。

亀井国務大臣 ワシントン・ポスト紙がアメリカの有力紙であることは承知をしておりますけれども、有力紙の報道とは思えない常軌を逸した報道をされておられる、私はこのように思います。同盟国である日本の総理に対して、いわば推測のような形でそういう記事をお書きになる。私は、こういうものに対して、議員がおっしゃるように恥ずかしいということよりも、もう憤りを感じます。

田中(和)委員 書かれる総理に対しては、どう思われますか。

亀井国務大臣 総理は、ある意味では内外の、ちゃんとした正確な理解をされない中においても、歯を食いしばって、嫌な顔をされないで、上を向いて、まあ宇宙人ですけれども、頑張っておられる姿というのは私はすばらしいと思います。

 だって、ワシントン・ポストに書いてあるように、約束を守らないといって、五月末までまだ時間があるじゃないですか。五月末になって、言ったことを守らないといって書くならまだしも、今の段階においてそういうことを書く自体は、日本のマスコミも今はほとんどそうなりましたけれども、非常にレベルが低い、私はそう思います。

田中(和)委員 「上を向いて歩こう」という歌が、大変有名な歌ではやったんですが、下を向いて歩こうという歌ははやっていないんです。坂本九さんの地元は私の川崎でございまして、近所でもあるのでございますけれども、これは困った話だなと思っています。

 それで、今述べられた五月の話なんですよ。今回、鳩山由紀夫首相とオバマ大統領との、私は屈辱的な外交の一ページと言うしかないけれども、食事の席で話したという、いわゆる非公式会談の際に、米軍普天間飛行場移設問題の五月末までの決着を表明した首相に対して、大統領が、きちんと責任をとれるのかと強い疑念を呈していたということが言われておりますよ。

 それによると、首相は会談の冒頭、大統領に、日米同盟が大事だという考えの中で移設問題を努力している、五月末までにきちんとやると解決を約束し、大統領がきちんと責任をとれるのかと疑問を投げかけたところ、首相は改めて五月末の決着の意向を表明した。オバマ大統領の発言について関係者は、鳩山首相に対する不信感が各所にあらわれていた、こういう指摘をしているんですね。

 オバマ大統領は鳩山総理に五月決着のだめ押しをした、こういうことなんだと思うんですけれども、このことについて、実は、きのうきょうといろいろな話が出ておりますけれども、どういうふうに三党連立のトップとしてはお考えですか。

亀井国務大臣 オバマ大統領と鳩山総理の間のいろいろなやりとりについて、正確な情報なくして、揣摩憶測に近い形でこれを批判すべきではないと私は思います。オバマ大統領が、いやしくも一国の大統領の方が、今日この時点において、同盟国である日本の総理に対して不信感を持つというように思われるような発言をされる、そんな軽率な大統領ではないと私は思っております。

 委員、五月末にはちゃんと決着しますから、御心配要りません。

田中(和)委員 オバマ大統領との首脳会談ができなかったということについては、私も外務省の仕事を政務官としてやったことがありますけれども、これは重大な問題なんですけれども、どうお考えですか。

亀井国務大臣 もともと今度の会合というのは、核問題で集まっておるわけであって、それについての議論をされたということであって、本来、普天間問題について協議をしようということで総理は出かけていかれたわけでも何でもありません。現在も、鳩山総理は真剣にこれを解決する努力をされておる。その途中においてオバマ大統領にああいう言葉をおっしゃったというのは、極めて適切な、当然のことをオバマ大統領に言っておられる、それに尽きると私は思いますよ。

 大体、委員、そういうことを、鳩山総理は困ったろうとか、あるいはどうだこうだと、みんな日本の人たちは、そんなことをおもしろがろうとし過ぎますよ。もっと我々は、一国の総理、気に入ろうと入るまいと、国際舞台において他の国の代表者と話をしておる場合、せめて我が国の国民というのは、悪意ではなくて、それは悪意に値するような言動があれば別ですけれども、そうじゃない場合、そういう批判をされる今の日本の国民というのは嘆かわしいと私は思います、そうであれば。しかしそれは一部のマスコミのことであろう、国民全体はそういう理解はしていないと私は確信をします。

田中(和)委員 これは大臣、悪意に満ちて云々という話は全然違うんですよ。どの主要国のトップも今回オバマ大統領との会談を組んでやっているわけですよ。もちろん普天間の問題は大変な問題ですが、他にも日米の関係で首脳会談に臨まなければならない課題はたくさんあったわけですよ。だから政府もアメリカ政府に対して、オバマ大統領との会談を望み、重大な交渉をしたじゃないですか。だけれども断られたということに対してどのような弁がありますかということを聞いているわけですよ。

亀井国務大臣 私は、政府として、今喫緊にオバマ大統領とさしで日米首脳会談をやらなければならない、そういう重要案件があるというふうには聞いておりません。

田中(和)委員 これはもう全くごまかし強弁だと私は言わざるを得ません。今これほどアメリカと日本が首脳会談で話さなければいけない課題の多いときはないですよ。今の言葉はちょっと撤回してもらわなければなりませんな。

亀井国務大臣 撤回はいたしません。

 日米関係において、協議することは常にあります。そうした問題について、このたびの核サミットのときに大統領も、各国からおいでになるわけですから、そういう方々とも協議されなければならない。時間的ないろいろな制約その他もあります。日米間において喫緊に協議しなければならないことがあれば、改めていつでも政府専用機に乗って行かれればいい、あるいはオバマ大統領がおいでになればいい話でありまして、そういう議論というのはおかしいと私は思う。

田中(和)委員 これは後で議事録をゆっくりとごらんになればと思いますが、大臣、大変な御発言をしておられますよ。これはもう政治家として、我が国をまさしく代表するお立場の大臣としての発言、これでいいはずがないわけでして、これは私の考えだとか、私はそう思っていますの話じゃありませんよ。これはそのまま、また世界じゅうに今流れているんですよ、この言葉が。どういうセンスの持ち主かということになりますよ、これは。政治家としての基本を問われるじゃないですか。

 もう一点、実は、平野官房長官の発言が物議を醸しているんですよ。普天間基地の移設問題について、五月決着の話の中身が、ハードルをうんと下げて、アメリカとも、受け入れをする現地の人たちとも、テーブルに着いただけでいいのではないかというような話をしているんですね。これは、後、総理が行ったり来たりの言い直しをしているようですが、総理の話も、ぐっと何か泣き顔で、情けない顔をされて、困ったなという顔をされて再び少しぶれ始めた。このように、私もちょっと心配をしておるわけでございます。これはもうはっきり言うと、鳩山総理の首がかかっていますよ。

 太公望が、殷から周に天下が移っていくときに、釣り糸に針もえさもつけないで、渭水のほとりで釣りをしていた。しかし、結果、天下を釣ったんだという話で有名ですが、同じ竹ざおで空の星をとろうとしているように、私は鳩山総理が思えてならない。

 この点については、まだ五月が来ていないから私の思いなんだけれども、平野長官の話、これは大臣もどう思っていらっしゃるか。これはちょっと重大なことなので、答えていただきたいと思います。

亀井国務大臣 お答えいたします。

 私は、議員も老練な政治家ですから、いろいろな交渉事等もおやりになられた経験もおありだと思います。

 この普天間の問題というのは、議員も御承知のように、すぱっと一瞬に、大根を切るみたいに、ある日突然ばっとすべて決まったということになるたぐいの話じゃありませんよ、これは。やはりそれは、五月末の時点に、国民から見ても、ああ、ここに決まるということがわかるような形でこれが浮上してくればいい話であって、それが全面的に一瞬にして決まるなんということはあり得ないし、私ども、そんなことを考えておるわけじゃありません。五月末には一応、この場所に、こういう形で政府としてはこの問題を決着させる、そういう方針が出るということであって、それに伴ういろいろなことは、あわせてその後、処理をしていかなければならないことが私は当然出てくると思います。

 議員御承知のように、この問題はもともと、大騒ぎしていますけれども、安全と騒音の問題をどう解決するかという問題なんですよ、基本的には。それを解決するために、米軍、アメリカもこれを解決しなければならぬ義務があるんです、前提において。日本もまた、日米安保上、基地を提供しておる立場からして、これを解決する義務があるんですね。それを、沖縄県民の感情、そういうこともきちっと考えながらどう決着をするかという話であって、それは五月末までに総理はきっちりとおやりになりますから、今の段階では、ああでもないこうでもない、官房長官がああ言ったこう言ったなんと言われても、私どもは、国民新党も連立政権として責任がある立場でありますから、きっちり我々も、五月末に結論が出るように国民新党としても努力をしてまいります。間違いありません、やりますから。

田中(和)委員 やりますとか大丈夫ですという話は、私はちょっとこっちへ置かなきゃいけない。

 総理自身の御発言なんですよ。口から出たら、口にはもう戻らないんです。克明にアメリカにも国民にも何度も繰り返し述べておられることについての責任が今求められているわけでしょう。

 ですから、その責任というのは、アメリカも完全に了解できる、地元も完全に了解できる、このことを取りまとめて五月の結論というんだと言っておられるわけですから、今大臣の言われるニュアンスは、相当拡大解釈ができるようなお話をされたように思うけれども、みんなそうは思っていないんですよ。多分そうなるんじゃないかなと疑念は持っていますよ。だけれども、総理の発言が重い、こういうことが今言われているわけでございまして、このことについてはこの場でこれ以上言っても、総理がいらっしゃらないので仕方がないので、終わりにして、次の話に行きます。

 実は私は、四十分、たくさんいただいた時間だと思ったんですけれども、余りにもこっちの方に熱が入っちゃって、金融の話がちょっと後になってしまいました。

 法案の話の前に、これもちょっと大臣と意見の相違があるところなんですが、例の、大臣が提案をされて力を入れられた、年末の強行採決でいっちゃって、我々の修正案も、あるいはいろいろな提案も全く入らなかった。そのことが結果として、我々があのときに主張したとおりになっているということで、ぜひひとつ大臣にもお力をいただかなければならない。このモラトリアム法の評価について、時間がわずかになりましたけれども、お話をしたいと思います。

 実は、もう大臣の方も御存じだと思いますが、帝国データバンクが三月四日に中間の発表をしました。条件変更に応じてもらった企業が、二百三十七社回答した中で百八十社であります。すなわち、四社に三社は条件変更の承諾を受けている。現在審査中が四十八社、この構成比が二〇・三、要請を取り下げられたのは四社のみ、構成比一・七ということなんですが、この数字だけ見ると何となくうまくいっているような感じがするんですが、これは全く逆なんです。

 この中で、二百三十七社でありますけれども、この調査の対象は九千六百七十四社なんですね。ということは、二・四%しか回答が実はちゃんとしていないんですよ。申請をしていないけれども現在検討している中小企業は四百四十二社、四・六%でありますけれども、申請済み、申請を検討中、こういうことを合計しても全体の七%。

 すなわち、どういうことかというと、この申請をすることによって、またこの調査の中身が出てくるんですけれども、取引先が、キャッシュ面では余裕ができても、経済状況が改善しない限り業況回復に直結するとは思えない。リスケ後の金融機関の態度の変化が危惧される。中小企業金融円滑化法施行に基づくリスケは、本来の金融機関の審査、アドバイスによるものではないので、リスケ後の資金繰りや事業計画が詰めが甘く、都合のいいものになっていると思わざるを得ない。

 こういうような数字がどんどんと出ておりまして、簡単に言うと、このことに手を挙げることによって、かえって信用が落ちることが恐ろしく、全くモラトリアム法案の趣旨とは逆さまの形になってしまうんだ、だから、恐ろしくてそのことを金融機関と相談ができない、こういうようなことが、調査の結果、実は出ているんですね。

 ですから、今利用している人は、我々も言っていたんですけれども、優良な中小企業で、条件変更しなくてもいいようなところが、まあ条件変更を金融機関もするんならしてあげましょうかねという程度でございます。また、金融機関も、金融庁に、何かやっているのかといったときに、ちゃんとやっていますと答えなきゃいけないので、その数字に使うときには非常に都合がいいんでしょうけれども、実際の中小零細企業の大変厳しいところにまさしく踏み込んだ対策になっていない、このことを率直に申し上げます。

 大臣、さらなる政策としてどういうふうにお考えなのか、ぜひお答えをいただきたい。

 それから、今、八千万円までなんですけれども、予算委員会でも茂木代議士が、二億まで融資の枠を広げたらどうですかと。そのときに、たしか鳩山総理は、大田区の現場にも行っていろいろと調査をしました、話も聞きましたと、この二億の枠拡大に、ぜひ前向きに検討したいという御答弁があったと思いますね。

 あの予算委員会の議論から今日まで、もう三カ月、四カ月ぐらいたちますか、どういう議論が、検討が亀井大臣と総理の間であったのか、ぜひお聞かせをいただきたい、このように思います。

亀井国務大臣 さっきから聞いておりまして、法案に反対されたからといって、この法案が現実に中小零細企業やサラリーマンの金繰りに大変効果が上がっているという現実を斜めで見られることは、私はおやめになられた方がいいと思うんです。

 それは、おっしゃるように、私は当初から危惧していました。返済猶予を申し出れば、おまえのところはよくないんだな、じゃ新規融資をしないぞと言われるんじゃないか、そういう思惑から申し出ないんじゃないかという危惧がありましたが、現にそれは、払拭されておるわけではありませんけれども、各金融機関ともこの法律の趣旨等をそうした取引先、融資先等に詳細に説明し、金融庁も全力を挙げてこれをPRしておることもありますし、現在においては、おかげさまで、そういう状況は非常に薄らいできております。

 ただ、問題は、議員がちょっと御指摘になりましたように、幾ら金繰りがよくなっても仕事が出る見通しがない、それなら早く店をしまおう、そういう零細企業がうんとあるという現実が私は厳しいと。だから、今やるべきことは、やはり仕事がもうかる形で出ていくような、改革と称してそういう仕組みまで壊されておった状況をどう立て直していくかということが大事だと私は思います。

 また、信用保証協会の問題等については、総理も、中小企業、零細企業のそうした金繰りの問題に強い関心といいますか、あれを持っておられまして、私に対しても、経産省その他と協議をしてそのあたりのことを前向きに決着するようにという強いお話があるということもまた事実でございます。

田中(和)委員 時間が来ましたから終わりますが、一つだけお話をしておかなければいけないのは、実は、モラトリアム法案というのは本当に役に立たないんですよ。実際に中小企業、零細企業の中に入っていけばいくほど、これを利用する人はまれですね。こういうことから考えると、融資をどのようにしていくかということを考えなきゃいけない。そして、今言われるように、当然のことながら、仕事をふやしていく経済情勢をつくっていかなきゃいけない。

 ただ、融資のことだけでいうと、あの小渕政権のとき、他の委員も言っておられたけれども、調査をしてみると、同じ期間にもかかわらず、今回の緊急保証が平成二十年の十月から今まで、その間と同じ期間で計算してみると、今回の緊急保証が十六兆八千三百七十三億円、あの小渕政権のときは十九兆一千七百二十六億円なんですよ。

 確かに、三十兆円ぐらい出て、最後、一割ぐらい不良債権化したけれども、僕は、あの状況が一割の不良債権化で済めば、今回もあのときと同じぐらいに、貸し出しを簡単にしてあげること、そして余りやかましいことを言わないで、ぜひひとつ中小企業、零細企業の皆さんに元気を出してもらうこと、このことを亀井大臣からしっかりとしたメッセージを出してもらいたい、経産大臣とも十分詰めてもらいたい、鳩山総理のおっしゃった二億円のことも前向きに協議してもらいたい、このことを言って、終わります。

 ありがとうございました。

玄葉委員長 次に、後藤田正純君。

後藤田委員 皆さんちょっと大勢お呼びしましたが、随時お帰りいただいて結構でございますので、ありがとうございます。

 まず、早速参りますが、馬淵国交副大臣、今回、大臣の発表ということではありましたが、高速道路の料金設定についてお伺いしたいと思います。

 我々四国の者としては、本四架橋の料金設定について、知事初め皆さん、なぜ本四だけああいう値段なんだ、高いんだということ、これはもう副大臣当然聞かれていると思います。

 もっと言えば、新高速料金について、国交大臣の発表に対して、内閣の一員であります国家戦略大臣が地元で、わざわざ駅前で街頭演説をなさって、前原さんとは親しいけれども私は反対だとおっしゃるんですよ。

 皆さん方の内閣というのは、閣議決定前でも混乱する、決まっても混乱する。あの人もまだ野党の気分が抜けていないんですかね。全共闘での戦士でいらっしゃるから、何にでも権威には反対したいんでしょうけれども、もう本人が権威を持たれているんですよ。その大臣が街頭演説で、国交大臣の発表に反対、もう情けなくなりました。大臣というのはそんな格の低いものなのかなと。

 そこの点について、馬淵副大臣、まず本四架橋の料金設定の根拠と、そして恐らく、これはまだ決まってないんだ、発表しただけでということなんでしょうけれども、あの発表の内容でいいのかどうか、やるのかやらないのか、その点についてお聞かせください。

馬淵副大臣 お答えをさせていただきます。

 まず、本四架橋の料金の設定についてお尋ねいただきました。

 私ども民主党は、マニフェストにおきまして高速道路の原則無料化を掲げております。これは、昨年の十二月に予算を計上させていただきまして、阪神、首都高を除く延長の一八%、残りの八二%が有料部分として残ります。これについて新たな料金制度を設定するということで、今回、NEXCO、本四の料金制度を見直しさせていただきました。

 そして、お尋ねの本四でございますが、ここでは、フェリー等公共交通機関への影響の配慮というものを最大限させていただきました。御案内のように、本四架橋におきましては、競合する路線としてフェリーがございます。これらに対する配慮ということで、普通車については上限三千円という設定をさせていただいたということでございます。

 また、この料金設定に対しての仙谷大臣の御発言でありますが、私も先般内閣委員会で御一緒させていただいておりますが、大臣が御発言としておっしゃられておりましたのは、国務大臣として発言を求められれば、それはよくて沈黙を守るしかないかなと思っておるのですが、一議員としての発言は先般から申し上げているとおり、このようにおっしゃっておられまして、あくまでも個人的な宿願でありますとの発言でありました。

 したがいまして、これは、閣議決定はございませんが、所管をする国土交通大臣、前原大臣の発表ということで、政府として正式に公表させていただいた方針に基づいて進めさせていただくということと、仙谷大臣の御発言は一議員としての発言だというふうに承知をいたしております。

後藤田委員 では、改めてお伺いしますが、あの方針はもう変わらないということでよろしいですね。

馬淵副大臣 あくまでも、所管をしている国土交通大臣として前原大臣が発表させていただいたものでございまして、政府の方針として公表させていただいたところであります。前原大臣は、これについては六月実施ということで、これを見直すということは考えていない、このように発言をされておられます。

後藤田委員 わかりました。ありがとうございます。

 今の御答弁、一議員としてと大臣としてというのをうまく使い分けられる方なんですね。小沢批判も相当していたときもありましたが、いや、大臣になったら違うんだと。

 政治家として私は本当に尊敬している、同じ地元ですけれども、非常に残念だなと思うし、もっと勘ぐれば、ああいう発言をされて、最後にひっくり返しましたよ、安くしましたよなんて言って、それで、いや、おれがやったんだみたいな、そんなことを言いかねない人なんで、ぜひそのことだけは、いや、反権力の人というのは権力を使うのが好きなんですよ。ですから、そのことだけは改めて申し上げておきたいと思います。馬淵さん、どうぞもうお帰りください。

 続きまして、菅大臣、昨今の、今のような、大臣が個人の発言とか、大臣としての発言ではないとか、閣議の前の混乱だとか閣議後の混乱だとか、そういうこと全般を見て、今、副総理として、もっと言えば、官房長官がちゃんと総合調整力を発揮しなきゃいけないということはもちろんだと思いますが、いかがでございますか。今の内閣のいろいろな迷走、基地問題から始まって郵政の問題から始まって、いろいろありますね。ちょっと一言御感想、ちゃんと調整能力を発揮されるか、お答えください。

 もちろん、菅大臣御本人が亀井大臣といろいろ、郵政についての消費税をめぐる問題で、聞いているとか聞いていないとかおっしゃっていたようでございますから、また、財政出動についても亀井大臣と考え方が違ったりしていますが、一体そこは、今の政権はどこで総合調整をされているんでしょうか。官房長官なんですか、副総理なんですか、教えてください。

菅国務大臣 政権誕生から七カ月が経過しまして、確かに、いろいろな課題で若干の混迷といいましょうか、そういうところが一切ないとは申しません。

 ただ、あえて申し上げれば、この場でも何度か申し上げましたが、財政あるいは経済に関しては、昨年九月半ばの内閣誕生から、年内に予算を編成する、この短い時間で予算を編成するというのが、前のままならそれほどではないでしょうが、大変な大きな仕事であったわけであります。しかし、十二月の二十五日に予算編成ができましたし、また、野党の皆さんの御協力もいただいて、年度内に予算が成立をいたしました。

 それから、もちろん財政、経済についての議論が内閣の中を含めていろいろ出ていることはそのとおりですが、この問題は、二十三年度、来年度に向かってのいろいろな活動でありますから、二十二年度は九月の半ばから内閣ができてやったわけですから、二十三年度に向かって、今四月の段階でここまで議論が進んできているわけです。もちろん、議論の途中の過程では、最初からこれでいくんだという結論があるわけではありませんから、多少の幅で議論があるのは当然のことだと私は思っております。だから、少なくとも、経済とか財政に関する内閣あるいは与党間の議論は、そういう幅の中で進んでいると私は認めます。

 総合調整をどこでするかというのは、当然ながら最終的には総理が決断される、あるいはいろいろな形で総理がされるわけですが、ある課題については官房長官が中心になり、ある課題では例えば国家戦略担当の仙谷さんが中心になり、ある部分では私が中心になる。機械的に、この部分この部分ということをあらかじめ決めているわけではありませんが、おのずから相互にそれぞれの問題では決まってきている、こういうふうに認識しています。

後藤田委員 今のお話を聞くと、しっかりやっているというようですけれども、国家戦略をやる人は総合調整もやるんだと。

 ただ、冒頭のお話のように、ああいう高速料金一つとっても、地元では反対だと言ったり、そんな人が本当に国家戦略を考えられるのかなと思いますし、同時に僕は、もっと言うと、我が自民党のときには政府、与党が一致していた。その前に与党内で、各部会で、亀井大臣も御承知のとおり、いろいろなけんけんがくがくの議論をやって、そこでまとめて、そして政府として合意して、そうしたら、閣内は一致して前へ進んでいたんですね。これはやはり世界とやっていますからね。閣内でもめている姿というのは、本当に今までになかった。

 自民党がすべていいとは私申し上げませんけれども、そういう意味では、それこそもうちょっと、これは私が言うのも変ですけれども、民主党の中で、与党内でいろいろな議論をする場をつくって、これは玄葉委員長なんかはよく頑張っていらっしゃるようですけれども、そういうのをやった上で、そして、決まったことは内閣でしっかりやって前へ進むんだ、私が言うのもちょっと僣越ですが、こんなことをお勧めいたしますが、菅大臣、どうお考えですか。

菅国務大臣 ここは、実は相当いろいろ議論があるんです。

 今、後藤田さんは、自民党のときの政権のもとでのことを言われましたが、あえて二つだけ言いますと、小泉政権は全く違いました。それは御存じでしょう。

 つまりは、小泉政権では与党の合意がないまま閣議決定されたことがあります。私はそのときに、これはもしかしたら、与党が賛成しなくても閣議決定するということは、たしか二〇〇四年の夏のころでありましたが、郵政に関してそういうことがありました。それを覚悟でやられたということは、場合によったら、与党が反対しても押し切ろうとされているのかなと、その瞬間思ったことがあります。そのことがよかったか悪かったかは別として、自民党も、そういう形であえて活力を生み出した総理大臣もいたということを一つだけ申し上げておきたいのが一つ。

 それから、新しいビジネスモデルをつくろうとしているし、今もしているんです。つまりは、事務次官会議を廃止いたしました。それから、今また再修正が始まっておりますが、政策の一元化ということで、当初は実は、政調会長的な人を閣内に入れる形によって一元化という絵をかいていたんですが、内閣をつくる直前になって、政調会そのものをなくするという方向に若干の変化がありましたので、その後、もう一度そういった機能を党内に復活させようということで今いろいろ努力しております。

 ですから、御指摘されることそのものは別にすべてが間違っているとは言いませんが、ビジネスモデルそのものを根本から変えようとしているんです。

 内閣で決まったらすんなりいっていると言われるのは、私が見るところ、つまりは、ほとんどの総合調整は党と官僚でやっておられたというふうに私は見ています。もちろん、内閣が全く機能していないとは言いませんよ。自民党のビジネスモデルの多くは党と官僚がやっていた。内閣調整は、閣議の前の日の事務次官会議が最終調整でしたから。そのことを根本から変えようとしているわけですから、そこは、若干の混乱があるということまでは否定しませんが、前のビジネスモデルに戻った方がいいというふうには全く私は思っていません。

後藤田委員 我々、郵政のときなんかは、今の菅大臣のお話、ちょっと認識が違うのは、党内でけんけんがくがくの議論をやっているんですよ。だから、今の民主党さんはそういうのが外に見えませんね、中でもやられているんですかと。

 党と官僚とおっしゃいましたけれども、いろいろな方が小沢さんのところにあいさつに行くとか、小沢幹事長のところに地方の陳情を集めるとか、もっと後退しているでしょうと。これは、菅さんわかっておっしゃっているんだろうから、この辺にしておきます。頑張ってください。

 財政責任法について、この委員会でも同僚議員の質問に対して、読んでいただいたと。賛同できるところはある、そして、与野党での議論をしていただきたいという御答弁がありまして、私、非常に感心、感激をいたしました。菅大臣というのは本当に、歴史に残る名財務大臣になられる可能性があるなと。

 今、我々は、財政再建に関する責任法案を、本来衆議院で出すのが筋だったんですが、参議院先議で出させていただいております。

 といいますのも、この衆議院の委員会では国税二法は既に通って、参議院に送付されました。我々、この委員会で国税二法の中身、特に附帯決議を皆さん慎重に議論していただいて、御決定いただきました。これは全会一致でしたかな、共産党さんは反対だったかな。しっかり中期目標を、中期財政フレームの考え方を示すということ。そしてもう一つは、国税の法案の中の、いわゆる消費税も含めた抜本改革を法制化すると書かれている、これについても、皆様方は修正せずに今回法案を出してこられて、衆議院を通りました。

 ですから、そういう意味からすれば、我々が出している財政責任法についても皆様方は賛成すると私は思っています。

 菅大臣、選挙前だけれども、ぜひクリンチしてください。新聞紙上でも大臣は、財政責任法についてしっかり考えているとおっしゃいました。消費税を上げるだの上げないだのとか、上げると言ったところを野党が反対と言って責める、もうその繰り返しはやめた方がいいと思うんです。大臣、我々が出している法案、皆さんとともに一緒にやりませんか。ぜひ大臣、ちょっと御意思をお答えいただきたいと思います。

菅国務大臣 この法案は、後藤田議員、また参議院では林芳正議員からも幾つかの質問の中で提示をいただきまして、私として、その提示をいただくまではちょっとそういうところまで固まっていると知らなかったものですから、早速取り寄せていろいろ検討させていただきました。

 そういう中で、同時に今、これも仙谷さんのところが中心ではありますが、内閣で中期財政フレームを六月にまとめるということで、現在は、専門家の皆さんの意見を取りまとめたものを先日発表させていただいております。それを並べてみても、時間的には御党の法案が先ではありますが、かなり共通の考え方になっております。

 ペイ・アズ・ユー・ゴーというのがどこまで実行できるかとか、いろいろな重い課題はありますけれども、考え方としてはかなり共通していますし、場合によっては、五年後、十年後のプライマリーバランスをこの程度に縮減したり、あるいは黒字化したりしていこうという方向も、まだ政府の方はまとめるところまでは行っておりませんが、そういう考え方の方向性については共通したものがたくさんある、こう思っております。

 大いにクリンチというか、共通の土俵で議論しようと言っていただくのは大変ありがたいというのが率直なところです。そういうことをいただいておりますが、この問題は、内閣の中あるいは与党の中でもまだ、検討することについては総理の方から、大いに検討して、案も含めてたたき台をつくることについては御了解をいただいておりますが、どのような形で扱うかというのは、まあ多少はしておりますけれども、党との話もありますし、そして連立各党との話もありまして、まだその段階に、これから入る段階という状況が率直なところです。

 そういう意味では、私としては、国会の場で忌憚のない議論ができればと思っておりますが、そこまでこの時間的な制約の中で行けるかどうか、残念ながらきょうのところは、そういう方向で私の立場では努力をしているというところにとどめさせていただきます。

後藤田委員 今まで反対の急先鋒だったような菅大臣が、大分軌道修正を図られて、消費税というのは負担ではなくて投資なんだとか移転なんだ、こういうふうに修正されている、僕はすばらしいと思います。君子豹変するでいいんです。我々ももう、それについて増税だなんて言いませんよ。

 我らが玄葉委員長もいろいろな党内の会合で、本当は言いたいんだけれども何か言えないような、行く行くはやりますよという話をされているんですから、党内環境も整ってきていると思いますので、ぜひ大臣、マニフェストにも書いていないんですね、四年間消費税を上げないというのは。あれはたしか、書いたんでしたっけ、総理の発言ですかね。ですから、いいじゃないですか、マニフェスト違反になりませんよ。ぜひ、そのことを改めて申し上げさせていただきたいと思います。

 それでは、菅大臣、お仕事があると思いますので、どうぞお引き取りください。

 続きまして、金融庁、金融大臣、副大臣、消費者担当副大臣にもお越しをいただきまして、ありがとうございます。

 まず、今回の金商法についてびっくりしたのは、これまた冒頭の話ではありませんが、これは閣議決定してこうして法案を出してこられたんですが、消費者庁の中にある消費者委員会から、この法案はずさんである、消費者保護の観点からして不十分であるというような話が今出ていますね。

 これは、副大臣、その御認識はございますか。先般、消費者委員会でそういう意見が出ていますね。それについてちょっと詳細を御答弁ください。

大島副大臣 後藤田委員の今の御指摘なんですけれども、消費者行政に対する応援をいつもありがとうございます。

 先般、四月九日だと思うんですけれども、消費者委員会から、「未公開株等投資詐欺被害対策について」ということで提言がなされておりまして、その内容についてはちょっと手元にあるんですけれども、何点かの指摘がされているということでございます。

後藤田委員 その指摘を受けて我々も自民党の中で部会をやりましたが、金融庁さんとしては、また今後その要求を踏まえてしっかり前に進めていきたいという御答弁でございましたが、消費者庁としては、その消費者委員会のそういう御提言について応援はされない、そういうことでよろしいですか、金融庁の原案のまま。

 いや、ほかの、リーマン・ショック後のG20等で議論された、今国際社会で進んでいるいわゆるデリバティブ商品に対する清算機関の設置とか、これは僕は賛成なんですよ。しかし、その無登録業者の消費者問題についての課題があるという消費者庁、消費者委員会の意見についても、これはもうよしとしているんですか。それだけ、イエスかノーかで答えてください。

大島副大臣 要は、今回の提言というのは今後の課題であると私は考えておりまして、今後の課題としての検討項目だと理解をしておるところでございます。

後藤田委員 わかりました。では、今後の課題ということで、この点は結構でございます。どうぞお帰りください。

 きょう提出させていただいた三枚の資料でございますが、一枚目は二〇〇五年のマニフェストですね。本当に立派なことを書かれております。「本物の郵政改革 官から民へ」、この方向は我々も一緒ですよ、我が党もいろいろな議論がございましたけれども。限度額も七百万円に引き下げます、その後、預入限度額もさらに五百万に引き下げます。これはぜひ民主党の議員の方、このことをもう一回考えていただきたい。郵政事業については、国の責任で全国一律サービスを維持します、いろいろなことが書かれております。

 二枚目につきましては、全銀協が我々もしくは全国民に出している我々の考え方の資料で、民間金融機関のない市町村の状況ということで、こういうふうに挙げられました。全国千八百市町村の中の十六町村でございます。その備考欄にも、民間金融機関のATMのみが存在する町村も書いております。

 そういう意味では、こういう一部を守るために全体の運営で賄う、これはいわゆる、公共経済学でいえばまさに内部補助という考え方なんですけれども、亀井大臣、この考え方というのは既に三十年前にある意味での決着がついていると思います。それは、国鉄の民営化だとか電電公社の民営化だとかですね。これは、亀井大臣も親しくされていらっしゃった中曽根内閣のときに大変な改革をしたんですね。

 当時の資料を見ますと、そのときに関係していた方が、中曽根行革で一番大きい仕事だった国鉄改革を振り返る、かつて国鉄の累積赤字のことを田中角栄さんと話題にしていると、田中さんが国鉄なんか民営化しろと言うので、民営化したら国に大変な借金が残りますよと応じたら、借金なんか残るもんか、あの含み資産は大変なもんだよ、借金が三十兆あろうと三十五兆円あろうと、そんなものは一度になくなるよ、こんなくだりも紹介しながら、まさに国鉄の民営化とNTTの民営化を進めておりました。それが一九八〇年代ですね。あのころの政治家というのは本当にそういう大きな改革をされました。

 そして、公共経済というものが何たるかということは、いわゆる効率化すべき、サービスをよりよくすべきところは民営化して、それでも最後に守らなきゃいけないところは国がやる、税金でやる、この考え方がある程度決着がついたんじゃないかと思っています。

 確かに、私も、小泉改革の中の郵政民営化というのは、手順だとかやり方だとかその後の心配、こういったものについてはまだまだ課題があると思うんです。我が党でも今、もう一回見直しをしています。それはもちろん、見直し規定をつけてやっているわけですから。

 亀井大臣にまず聞きたいのは、この郵政の改革、大臣からすると見直しだと思いますが、一体だれのための郵政改革か。私は国民のためだと思いますし、ひいては過疎地域、特にユニバーサルサービスを受けたくても受けられない地域の方々のための改革だと思っているんですよ。しかし、亀井大臣のいろいろな意見を聞いていると、郵便局のためだとか郵便局員のため、郵政を何とか守らなきゃいけないという、そっちの方に行っちゃっているんじゃないかなと。

 僕は、亀井大臣というのは大好きな政治家ですし尊敬しておりますが、この金融問題というのは、国民サービスの観点と金融経済活性化の観点と、大きな視点で見ないと、過去の先人の方々が苦労されてやられた国鉄民営化だとかNTTにしたって、これはもちろん、国鉄にしても、JR西と東、東海、これは黒字ですよ。その分、地方の四国だとか、私の四国もそうです、赤字になっていますよ。しかし、それを税金で補うとか公共バスで補うとかいろいろなことをやって、しかし強いところは強くして税金を払わせよう、そして株を売って債務を返済しよう。NTTにしてもそうでしたね。国鉄は、株はもう全株売却いたしました。NTTにしましても、関連四百社の企業になっていて、税金をたくさん払っています。ましてや、NTTだけじゃなくてKDDIもソフトバンクも出てきました。そして、多くの雇用を創出しております。

 こういう観点から、ぜひ亀井大臣にはこの問題に取り組んでいただきたい。金融大臣という立場、経済に血液を流す立場、そして国際競争の中で日本の金融界をしっかり頑張らせるという立場にいながら郵政という立場にいる、これが利益相反しないようにぜひやっていただきたいんですけれども、一体だれのためなのか、ちょっと一言でお願いします。

亀井国務大臣 私は、議員の基本的なお考えとは余り違っていないんじゃないかと思います。

 私どもは、小泉さんのおやりになった郵政民営化、その前に戻す気なんて全然ないわけでありまして、これは国民全体のため、また山間部、島嶼部を含めて国民全体のためにきっちりと機能する郵政事業ということでやっておるわけでございまして、狭い、郵政会社の利益だとか郵便局のためだとかそういう気は毛頭ございません。

 蛇足ですが、私は、自民党時代からもいわゆる郵政族ではございません。とにかく国民的観点から、私もかつて国鉄改革には深く、三塚委員会の中で現場調査もやって、つばをかけられたりしながら推進した一人でもございますし、その光と影の部分も今ある程度わかっておるつもりであります。

 そうした一つの経験も踏まえて、やはり民営化なるものが本当の意味で民間の活力を出していくことになっておるのかどうか。私ども、今度の見直しの中で、郵政事業がいわゆる親方日の丸的なものになってはならない、やはりそれ自体が民間企業としてのある面では特性といいますか、そういうものが生かしていける、そういう形にしたいということで、現在も細部にわたってそのあたりを検討しておる最中であります。

 基本は、私は、民間企業のいい部分をきちっと生かしていく。しかし一方では、ユニバーサルサービス、先ほどちょっと紹介がありましたけれども、十六市町村という話でありますが、議員の田舎でもそうだと思うんですけれども、市町村に確かに信用組合、信用金庫の一つの店舗はあるかもしれませんけれども、私のところなんか、大阪府より広い地域の中に、では何店そういうものがあるかということになると、郵便局がなくなった場合には、二、三十分以上、場合によっては一時間近く車に乗って金の出し入れをしなければならない、そういう地域が広がっておるわけでありまして、市町村単位でそうした金融機関があるじゃないかという議論ではないだろう、私はこのように思っております。

後藤田委員 亀井大臣は、そういう意味で、国鉄改革のときも直接かかわられた、特に三塚先生初め、そういうこともいろいろ身内からも聞いておりました。

 そういう意味で、大臣の立場は、本当に特定局とかそういうものを超えて、あの方々もこのままいくと大変なことになるよということも含めて、やはり僕は説得する立場にあると思うんですね。

 僕は、残念だったのは、限度額のいわゆる引き上げということでああいうふうに立ち回った。これは多分、選挙対策もあると思います。大臣のいろいろな今までの支援団体を裏切るわけにいかぬ。しかし、最後は現実的な判断を大塚さんがやるという、よくある金融庁のパターンですよ。そういうふうにみんな経済界は織り込んでいますよ、最近。

 それはそれでいいんだけれども、今おっしゃったユニバーサルサービスは、もっと言うと、僕が皆さんの与党の立場だったら、総務大臣とああやって記者会見までされたんだったら、今、大臣の地元でも、大きな地域で何もないところがあるといったら、僕はもっと行政サービスを地方自治体なり国が政策的にやるべきだと思っているんですよ。僕は過疎対策だと思っているんですよ、実際、郵政の問題は。それはコンビニだってつけさせたらいいんですよ。町役場のいろいろな行政サービスもそこでやらせればいいんですよ。

 僕は、今の特定郵便局が全部なくなるなんということはあってはいけないと思っています。これはやはり貴重な経営資源だと思っています。この経営資源を有効に活用するためには、簡保、郵貯でそこを賄うという方向ではなくて、簡保、郵貯、都会にあるようなところは競争にさらされて、だって、今現にオーバーバンキングと言われたり、これ以上銀行、生保、必要ですか、大臣。そうじゃないじゃないですか、金融大臣の立場から見ても。それをまた肥大化させるとか国が関与するとかという方向は、私は違うと思うんですよ。

 それはしっかり切り離した上で、大臣がおっしゃるように、過疎のサービス、ユニバーサルサービスというのは税金でやればいいじゃないですか。もっと言うと、郵便事業もやらせて行政サービスもやらせて、そこであらゆる金融機関の保険商品も金融商品も買える。こっちの方が税金は安く済むと思いますよ。なおかつ、経済も活性化する。金融大臣としてのお役目もまさにできる。

 同時に、今、アメリカやヨーロッパからも言われているような、WTOのガットの違反の問題ですね。公平な取引に抵触するんじゃないか。今度の金商法も、G20でやはり消費者保護、金融機関の行き過ぎ、暴走をやめようということでそもそも今回法律を出されたわけですよね。そのG20では、まさに公平な競争ということも同時に言っていますよ。今度、G20で、今月下旬ですか、またあるんじゃないんですか。それでまた、この問題を聞かれたときに、そしてトヨタみたいに、僕はある程度意識的にやられたと思いますが、日本の金融機関が、こんな日本の郵貯、簡保の先祖返りの方向に対しておかしいということで、アメリカやヨーロッパからいろいろな被害を受ける、こういうことも想定されると思いますよ。

 ですから、そこの、ユニバーサルサービスと過疎と弱者の救済と、郵貯、簡保のやはり完全民営化もしくは株の売却、そこを、相対的に競争力がなくなれば衰退するのは当たり前ですよ、これは市場原理なんですから、自由主義ですから。ここと、ちゃんと切り離して考えるということは、大臣、どうお考えですか。

亀井国務大臣 私は、ユニバーサルサービスの具体的なあり方というふうになると、いろいろな絵が確かに委員のおっしゃるようにかけると思います。

 しかし、問題は、現実問題としてそれがきちっと機能するかどうかということを考えていった場合、今、御承知のように、市町村においても、市町村合併が非常に激しい形で進められて、市町村の市のところが、どんどんなくなっておるのが現実ですね。

 そうした中で、もう人口の少ないところはいいんだという切り捨てをすれば一つの考え方が生まれると思いますが、私は、やはりそれが日本の国土の一部である以上、人間が住んでいる以上は、そういうことはすべきではないと思います。

 議員がおっしゃるように、そこに税金をつぎ込んで、その部分については国や自治体が責任を持ってやるという方法も確かにあると私は思いますけれども、そういうことをしなくても、今せっかく、明治以来現存しておる、雨の日も風の日も休まず機能していくという、ある意味では、我が国の組織の中では本当にかけがえのない組織だと思います。そういうものが生き生きと地域社会を支えていく形で今後も活用していくやり方というのが現実的だと思います。

 今、WTOの問題等言われましたけれども、私は、今度の問題についての欧米のいろいろな反応なんかを見ておりますと、結局、自分の国の企業が我が国で事業展開をしていく場合にとって少しでもいい条件をつくりたい、これは当たり前のことであります、各国それぞれのエゴは。そういう立場からの要請もあることは当然でありますけれども、そういう彼らの要請を我々としてはそのままのんでいかなければならないということはない、私はこのように考えております。

 競争条件にしましても、他の金融機関に課せられていない、そういうことを課せられながら金融業をきっちりとやっていく、そのためには、やはり他の金融機関は青天井ですから、それに対して一千万で手足を縛るということは、これはもう私は無理だと。御案内のように、郵政関係では最低五千万ということを強く言っておられたわけでありますけれども、そうはいかないということで二千万という措置をとったわけでありますが、これも、今後の預金シフトの状況と法律成立後の状況を見てまた検討したい、そういう二段構えの形もとっております。

後藤田委員 時間が参りましたのでもうやめますが、今の大臣の認識、海外は自分の言いたいことということですけれども、それは若干違って、やはり日本が、特に東京が金融センターになろうとか金融市場を活性化しようとか、そう考えたときにみずからやることなんですよ、海外から言われるわけでなく。郵貯で集められた金が国債に回るんじゃなくて、もっと株に回らなきゃいけない。株に回るために、もっと大臣が金融大臣として証券市場活性化を本当はしなきゃいけないのに、逆のことをやっているんですよ。だから、そこはぜひ認識を新たにしていただきたいです。

 今の郵貯のビジネスモデルについて、きょうは質問項目がもっとあったんですけれども、これから多分合同審査でいろいろあろうかと思いますが、その点で、やはり具体的な試算だとかビジネスモデルとかも当然考えられて法案を出されると思っていますので、また改めてお聞かせをいただきたいと思います。

 ありがとうございました。

玄葉委員長 次に、石井啓一君。

石井(啓)委員 公明党の石井啓一です。

 まず、議題になっています金融商品取引法改正案について、何問かお尋ねをいたします。

 まず今回、店頭デリバティブ取引の清算集中を行うということでございますが、これに関しては、国内の清算機関のみならず、国内の機関と外国の清算機関とのリンクの方式、また外国の清算機関の参入も認めているわけでございますけれども、外国清算機関の参入を認めますと、我が国の店頭デリバティブ取引の清算が、外国の清算機関に流出といいますか、集中する可能性もあるんじゃないか、すなわち、国内の清算機関が立ち行かなくなるではないかという見方もございますけれども、これについてはどのようにお考えになっているのか、まず確認をいたしたいと思います。

内藤政府参考人 お答えをいたします。

 店頭デリバティブ取引の清算集中につきましては、現在、この法案の中で考えておりますのは、まず、CDSという日本の倒産法制に非常に密接なかかわり合いのあるものについては、国内清算機関に義務づけるということで考えております。

 それから、金利スワップの取引でございますけれども、これにつきましては、国内清算機関かあるいは外国清算機関とのリンク方式、あるいは外国清算機関による直接参入というオプションを考えているところでございます。

 そこで、委員御指摘の点でございますけれども、例えば金利スワップ取引を挙げますと、実際には外資系の金融機関というのは、海外で、特にロンドンでの清算機関を多く使っておりまして、清算集中というのを義務づけたときに、国内清算機関だけということになりますと、実際に日本の市場の取引がむしろ海外にシフトしてしまう、日本の市場が空洞化する、こういうリスクがございます。

 したがいまして、日本の市場の中に取り込むという観点で考えますと、我が国の清算機関であるか、あるいは今申し上げたような海外の清算機関も、リンク方式あるいは直接参入という方法も使いながら、いずれかのオプションで対応していくという形で考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、そういう形の清算機関を使用することによって、取引の安全性を高めて、むしろ日本の市場取引の拡大を促していきたいというふうに考えているところでございます。

石井(啓)委員 では、これはまた今後の経緯を見て、よく対応を考えていただきたいと思います。

 続いて、今回、証券会社、保険会社について連結規制を導入するということでございます。特に、保険会社の連結財務規制、連結のソルベンシーマージン規制でありますけれども、これについて、ちょっとどういうふうにするのかなというふうに私が疑問に思っておりますのは、金融事業を行っていない通常の事業会社のリスク算定というのはどういうふうに行うのか、どういう基準でおやりになるのかということが一つ。

 また、これについては国際的な検討も行われているようでございますけれども、この国際的な検討の結論が出る前に今回の改正案の施行時期が来るということのようでございますから、その整合性はどういうふうに考えていくのか、この二点について確認をいたしたいと思います。

内藤政府参考人 お答えいたします。

 現在、保険会社の財務規制につきましては、単体ベースの財務規制をとっております。したがいまして、現在、グループの中で非金融事業体というようなものが非常にふえつつあるという現状がございます。その点につきまして、非金融事業体が存在する場合に、これのリスクをどう算定するかというのが委員の御指摘かと思いますが、これにつきましては、現在、国際的にも議論されておりますが、まさに検討の過程にございます。

 例えば、保険監督者国際機構、IAISという機構でございますが、におきましては、各国に共通または同等な連結ベースの財務健全性基準に関する議論が進められているわけでございます。

 それから、EUにおきましても、二〇一二年の十月に、連結ベースのソルベンシー規制であるソルベンシー2を導入することが決定されまして、現在、そのための準備が進められているといった状況にございます。

 今後、今回のこの法案の中で、この保険会社の連結規制、連結監督ということになりますと、そうした問題を取り込んだ形での新たな検討というものが当然必要になってくるわけでございまして、そうした検討の所要の時間というものも考慮しながら、この部分についての施行時期も定めて対応していきたいというふうに考えております。

石井(啓)委員 それでは続いて、法案そのものでありませんけれども、ことしの一月の二十一日に、金融庁から「金融・資本市場に係る制度整備について」が公表されております。今回の世界金融危機を受けて、我が国として対応すべき課題、その対応をまとめられているわけであります。

 その中で、法案策定というのが今回の金商法の改正として出されているわけでございますけれども、一方で、法律改正に至らない、政省令レベルでの対応ということに関して幾つか取り組みが挙げられていますが、その一つとして、投資家保護の観点から、デリバティブ取引全般について、不招請勧誘の対象とするか否かについて検討されている。本年前半をめどに結論を出されるということのようでございます。

 いろいろ伺いますと、一般の投資信託の中にも、リスクをヘッジするためにデリバティブを組み込んでいるという事例もあるようですから、全部を不招請勧誘にするということは、一方で弊害もあり得るということのようでございますけれども、特にデリバティブ取引の中でも大きな損失を出す可能性のある取引については、これは私は投資家保護、消費者保護の観点から、不招請勧誘の対象とすべきであるというふうに考えております。この点について、御見解を伺いたいと思います。

大塚副大臣 委員におかれては、法案の詳細までいろいろと御指摘をいただいて、本当にありがとうございます。

 御下問の、この不招請勧誘の件につきましては、ことし前半をめどに結論を出すということで、現在検討中であります。

 ただ、御質問の中にもありましたように、利用者の立場に立てば、これはリスクをなるべく軽減する、あるいは思わぬ被害を軽減する観点から、できるだけ幅広く不招請勧誘禁止の対象にすべきという意見がある一方、市場関係者の中からは、余り完全に禁止し過ぎるのもいかがなものか、こういう両論があるわけでありますので、今委員から具体的に御提言のあった、非常にリスクの大きいものについては規制すべきであるというのは、一つの考え方だというふうに承りました。

 と同時に、金商法の三十八条の三号で、具体的に、投資家保護を図ることが特に必要な取引として政令で定める取引というふうに現在も明記をされておりまして、その中に、例えば、判断基準として、レバレッジが高いこと等の商品性とか、執拗な勧誘や利用者被害の発生という実態というような、こういう基準も記載してございます。こういうものに照らしつつ、あと、私自身の考えを申し述べさせていただければ、担当の立場としては、現物等の具体的なリスクヘッジの対象の取引のない、単にそうしたデリバティブ取引だけをやる、こういうものについてどのように考えるかというのがもう一つの視点であると思っておりますので、御指摘いただいた視点も踏まえて、しっかりと検討してまいりたいと思います。

石井(啓)委員 それでは、その点についてはよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、テーマをかえまして、郵政改革に関して質問をさせていただきたいと思いますけれども、預金保険の保険料率についてでございます。

 亀井大臣は記者会見で、この保険料率について、金融サイドから強い要望があれば検討していく、こういうふうに御発言をされたようでございますが、この御発言の趣旨について、まずお伺いをいたしたいと思います。

亀井国務大臣 これは、郵貯の限度額の引き上げに関して、郵貯については暗黙の政府保証的なものが存在をして競争上条件が平等ではないというような、そういう声に対して、それでは中小の金融機関の方々、メガバンクが持っておる大きな信用に対して営業上対抗される面においても、では、ペイオフの一千万を上げることも、そういう御心配を払拭するということに役立つのであれば、検討してもやぶさかではありませんということを申し上げたわけであります。

石井(啓)委員 といたしますと、このペイオフ一千万円引き上げに関連して預金保険料を引き下げるということもあり得る、そういう趣旨で御発言されたのでしょうか。

亀井国務大臣 預金保険料が今〇・〇八四ですか、だろうと思いますけれども、この水準がやはり負担になるということであれば、それもやはり引き下げるという方向で検討もしていいということを言っておるわけでございます。

石井(啓)委員 それでは、預金保険の今の状況について確認しますけれども、預金保険機構の責任準備金、ペイオフコストに対応する責任準備金の近年の推移、それから二十二年度の見込みがどうなっているのか。これは政府参考人の方からお願いします。

畑中政府参考人 お答えを申し上げます。

 預金保険機構の責任準備金につきましては、平成十七年度末から二十一年度末におきまして欠損となっております。その額は、十七年度末で二兆四千五百四十九億円、十八年度末で一兆九千三百二十七億円、十九年度末で一兆三千七百七十八億円、二十年度末では九千百五億円。そして、二十一年度末の見込みでございますと、二千七百五十六億円の欠損と相なっております。

 また、二十二年度末、この四月からの年度でございますが、二十二年度末につきましては、欠損が解消して三千八百九十四億円のプラスになる見込みでございます。

石井(啓)委員 今確認させていただきましたが、預金保険機構の責任準備金は二十二年度末の見込みで黒字に変わるということでございます。これは何年ぶりになりますか、十四、五年ぶりになるんでしょうか。

 もともとこの預金保険料率を引き上げた経緯は、金融機関の破綻が相次いで、それに対応するコストの負担ということで上げてきたわけですね。これが黒字に転換するということで、そもそもこの預金保険料率をどうするかの見直しをしなければいけないということなわけですね。

 預金保険法第五十一条第二項によりますと、この預金保険の保険料率というのは、保険金の支払い、資金援助その他の機構の業務に要する費用の予想額に照らし、長期的に機構の財政が均衡するように、かつ、特定の金融機関に対して差別的扱いをしないように定めなければならないと。長期的に預金保険機構の財政が均衡するように、この保険料率を見直すということでございます。

 したがって、先ほど大臣は、ペイオフの一千万円の引き上げの検討と絡めてこの預金保険料率の引き下げのことをおっしゃいましたが、実はそれとは、郵貯の上限の引き上げのこととは関係なく、そもそもこの預金保険の保険料率の引き下げの検討は行わなければいけないんじゃないんでしょうか。どうでしょうか、大臣。

亀井国務大臣 それは、理屈の上では私はおっしゃるとおりであろうと思います。

 ただ、一千万の限度額を上げていった場合に、現実面においては保険料率の負担が高くなるのではないか、そういう心配もあるわけでありますから、そうじゃなくて、現在状況が大変改善をされているという状況から見て、料率の引き下げも、これは視野に入れて検討していいということを言ったわけであります。

石井(啓)委員 いや、ですから、私は、郵貯の上限引き上げの議論とリンクをさせて保険料率の引き下げの検討ということではなくて、そもそも独立してこれはやられるべきことなんじゃないかということなんですね。逆に言うと、ペイオフ上限引き上げの議論とセットでこれはやらなければいけないということではないと思うんです。

 ですから、ペイオフ上限を引き上げるということを条件として預金保険料の引き下げを検討するものではない、このことをちょっと確認させていただきたいんですが、どうでしょうか。

亀井国務大臣 それは、おっしゃるとおりであります。

 ただ、ペイオフの水準を上げていくことが、逆に保険料率のアップにつながるのではないかというような危惧があるとすれば、今のこの状況から見て、これは下げることを含めて、そのあたりを金融機関の負担という面から検討していくと申し上げたので、議員御指摘のように、これは直接リンクしてどうこうという問題ではございません。

石井(啓)委員 それでは政府参考人の方にまた確認をいたしますけれども、二十一年度に預金保険機構に保険料を最も多額に納めた金融機関はどこでしょうか。その額についても伺いたいと思います。

畑中政府参考人 お答えを申し上げます。

 二十一年度におきまして、預金保険料を最も多額に納めている金融機関はゆうちょ銀行でございます。その額は七百四十億円程度と見込まれております。

石井(啓)委員 今確認しましたけれども、二十一年度、最も預金保険料を納めたのはゆうちょ銀行で、年間七百四十億円。ですから、この保険料引き下げで最も恩恵を受ける金融機関はゆうちょ銀行ということになるわけですね。ですから、大臣が何か金融機関のためを思っておっしゃっているようでありますけれども、結果として一番恩恵を受けるのはゆうちょ銀行になっている、こういう構図なんですね。こういうことを御承知で大臣はおっしゃっているということなんでしょうか。

亀井国務大臣 結果としてそういうことが起きるわけでありまして、それはメガバンクも同じように恩恵をこうむるという面もあると思いますけれども、これは相対的な話であると思います。

石井(啓)委員 それでは、大臣も先ほどちょっとおっしゃいましたけれども、保険料引き下げというのは、長期的に預金保険機構の財政が均衡するようにということで検討されるわけであります。したがって、今、責任準備金が黒字に転換するということで、引き下げの議論が出てくる。

 一方で、ペイオフ額一千万円を引き上げるとすれば、当然、預金保険でカバーする範囲が広がってくるわけですから、その分保険料の引き上げを検討せざるを得ないということになります。その点の関係性について、これは政府参考人に確認をしたいと思います。

畑中政府参考人 お答えを申し上げます。

 確かに御指摘のように、他の条件において一定であれば、仮に破綻が生じました場合、ペイオフコストを賄う支出が、限度額を上げたときにふえる可能性があるということは事実であろうかと思いますが、預金保険料率をどうするかということにつきましては、先ほど委員が法律を引用されましたように、預金保険機構の長期的な財務の状況、あるいは、現状及び将来の我が国の金融システムの安定度でありますとか金融機関の負担能力、こういったもろもろの要素を総合的に勘案して決定すべき問題であろうと思っておりますし、過去の引き上げ等の際にもそういった要素は勘案されてまいりました。

 なお、過去の事例を一点だけ申し添えますと、一九七一年にこの制度が発足したわけで、そのときの預金保険料率は〇・〇〇六%で、付保限度額は元本百万円ということになっておりました。これが、一九七四年に百万円から三百万円に引き上げられたわけでございますが、保険料率は、七一年に先ほど申し上げました〇・〇〇六%で設定されておりましたけれども、この引き上げがなされましたのは一九七四年ではございませんで、一九八二年、八年後、この時期に〇・〇〇八%に引き上げられておるわけでございます。

 ということで、必ずしも限度額と保険料率が直接リンクをしているということには、過去の経緯から申しますと、なっていないということでございます。

 以上です。

石井(啓)委員 確かに、預金保険料の推移を見ると、今説明があったようでございますけれども、ただ、常識的に考えれば、預金保険でカバーする範囲が広がってくれば、それは保険料率を上向かせるという方向の検討もなさらなければいけないということは常識的な判断でございますね。

 そういたしますと、この預金保険をどうするかということについては、先ほどから申し上げておりますように、責任準備金が黒字化するということによって引き下げる余地があるということと、一方で、ペイオフ額を上げるのかどうか、どこまで上げるのかということによって引き上げる可能性も検討しなきゃいけない、その兼ね合いで決まってくるわけですね。

 だから、大臣が引き下げの検討云々とおっしゃっていますけれども、一方的に引き下げられるわけではないという状況にあることは御理解いただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

亀井国務大臣 それは、おっしゃるとおりでございまして、今現在の金融の状況、金融機関の破綻が続出をしていくような、そんな状況ではございませんので、そういう意味ではある程度安定をしておる状況でもございますから、そのように私は申し上げたわけであります。

石井(啓)委員 今金融界からは、今の状況でペイオフ額を上げる必要はない、自分たちは健全であるということで、そういう発言があるようでございます。だから、財務の状況からいえば、一方的にといいますか、ゆうちょ銀行の上限額が引き上がる、そのおつき合いで自分たちも上げなきゃいけないという状況ではないと。ただ、ゆうちょ銀行の方がやはり暗黙の政府保証がついているので、これは競争条件がイコールフッティングではなくなってくる、こういう状況になってしまっているわけです。なかなかこれは難しいといいますか、悩ましい状況に陥ってしまっているな、こういうふうに思っております。

 ところで大臣、この郵貯、簡保の上限の引き上げというのは、法案成立に合わせて引き上げるというふうにされているようですけれども、これはなぜ法案成立に合わせて引き上げるんでしょうか。もっと別のタイミング、例えば、施行時に見直すとおっしゃっているわけだから、施行に合わせて引き上げるというタイミングもあるでしょうし、いろいろなタイミングがあると思うんですけれども、何で一番早い時期に、早い時期といいますか、法案成立という時期に合わせておやりになるというお考えなんでしょうか。

亀井国務大臣 法案成立後、日本郵政はその法律に基づいた体制に、現在の日本郵政を率いていかなければならぬわけでありまして、日本郵政は現在も生きて営業しておるわけでありますから、そうした意味で、新しい体制に移行するに当たってユニバーサルサービスを課す、そういう中でその準備もしていく。そういう中で、一方、手かせ足かせを一千万円という状況に置くのは適当でない、このように判断したからであります。

石井(啓)委員 これについては議論があると思います。法案が成立しただけでは、今の日本郵政の仕組みというのは変わらないわけですから、変わらない一方で上限を引き上げるというのは、先行的に利益を与えているんじゃないかという指摘もあると思います。このことについてはまた改めてやりたいと思います。

 ところで、現行法では、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の株式というのは、民営化開始後十年以内に全額売却するということになっていますが、今検討されている新しい郵政改革法では、親会社の日本郵政の株式、また子会社であるゆうちょ銀行やかんぽ生命の株式の売却時期というのは明確になるのかどうか。あるいは、最終的に三分の一まで売却を完了する時期というのは明確化されるのかどうか。その点について確認したいと思います。

亀井国務大臣 私は、三分の一超まで、そういうところまで早く持っていくような努力を日本郵政はしていただきたい。ただ、上場をしてこの株式を処分していく場合、その実態が、市場の評価、国民の評価がきっちりとしているかどうかということが極めて重要な点でありますので、そうした意味で、日本郵政が新しい体制の中でちゃんとやるには、やはりある程度時間がかかる話でありまして、いつまでという期限をつけるのは現実的ではない、このように判断をしております。

石井(啓)委員 上場して売却する時期も明確化はされないんでしょうか。

亀井国務大臣 今申し上げましたように、それをやる場合には、果たしてどれだけの株価がつけられるかどうかというような問題もあるわけでございまして、三分の二近くこれを市場に出していくというのは、やはりこれは相当膨大な民間の資金をそこに吸収していくという結果になっていくわけでありまして、やはりそのあたりの状況を見ていかなければいけない、そういう面もあろうかと私は思います。

石井(啓)委員 明確化しないとなりますと、国が全部株式を持っている時期が相当長くなる可能性もありますし、売却し始めたとしても、二分の一超ということで、政府が過半の株式を持つ時期も相当長くなりそうな可能性もございます。そういった中で上限額が引き上がっていくということになりますと、民間との競争条件ということではやはり、かなり民間側に不利な状況が続くのではないか。この問題意識は指摘をさせていただきたいと思います。

 時間が参りましたので、改めてまたやらせていただきます。ありがとうございました。

玄葉委員長 次に、竹内譲君。

竹内委員 おはようございます。公明党の竹内譲でございます。

 きょうは、国際金融の話から非常に国内的なドメスティックの話まで質問を用意させていただいているわけでございますが、先に国内的な話から質問いたします。

 まず最初に改正貸金業法、これは非常に重要な法案だというふうに思っておるわけでございますが、これは、平成十八年十二月に国会において全会一致で成立しているわけでございます。私ども公明党も、これにつきましては随分力を入れてやってきた経緯がございます。

 そういう意味で、多重債務問題の解決を目的とした改正貸金業法につきましては六月十八日までに完全施行されるべきであると考えておりますが、まず大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

亀井国務大臣 法案が成立したとき以降の、この法案をめぐるいろいろな状況も変化をいたしておりますけれども、基本的には私は、この法案をやはり今までどおり実施していく、こういうことでございます。

 ただ、その施行に当たっての運用面について、借り手がこれで困るというような事態も予想されるわけでございますので、そうした問題を現実的にどう解決をしていけるかということで、今、大塚副大臣、田村政務官のもとでプロジェクトチームをつくって、また各界各層の御意見もお伺いしながら検討しておる、もう最終段階でございます。

竹内委員 わかりました。

 私どもも、その意味で、前の政権のときから、この副作用が多少なりともありますので、さまざまな課題につきまして検討してきたわけでございますし、それを引き継がれて、今、与党PTで、この貸金業制度プロジェクトチーム、報告書もいただいておりますが、いろいろ、十の方策ですか、これをまとめられているところでございます。特に、総量規制で三分の一になりますから、既にオーバーしている方々がたちまちどうするかという問題は深刻な問題になりますし、そういう意味では、これをうまくソフトランディングしていかなければならないというふうに私どもも思っております。

 その中で、特に私どもが重要だと思っておりますのは、報告書の七番目にございます「多様なセーフティネットの充実・強化」というところで、特に「消費者向けセーフティネットの充実・強化」というところがございまして、私ども公明党が、以前から、生活福祉資金貸付制度の体制強化を検討するということを提唱してまいりました。実は、前の政権のときから提案をしておったところがあるわけです。連帯保証人の要件の緩和とか利子の引き下げとか、それから債務整理のための手続費用などにも新たな貸し付けができるようにした方がいい、こういうことで申し上げておりましたところ、新政権のPTでもこれを引き継いでいただきまして、そして昨年十月に一部実施されておると伺っております。

 まず、その実施内容につきまして、これは厚労省の方になるんですか、お答えをいただきたいと思います。

清水政府参考人 生活福祉資金についてお尋ねをいただきました。

 この貸付制度につきましては、厳しい雇用情勢の中で、セーフティーネット機能の強化が求められていましたことから、昨年の七月に改正をいたしまして、三カ月後の十月一日から施行したところでございます。

 その内容について、かいつまんで御説明申し上げますと、見直し前は資金種類が十種類ございましたが、四種類に整理統合いたしました。これは、利用者にとってわかりやすく、かつ、利用者の方々の資金ニーズに応じた柔軟な貸し付けにするというものでございます。

 その四つの一つといたしまして、総合支援資金を創設いたしました。これは、失業などによりまして生活に困窮している方々に対しまして、資金の貸し付けとあわせまして継続的な就労などの相談支援を一体として行うことによりまして、生活の立て直しを効果的に支援できるようにするものでございます。

 また、一時的な資金といたしまして、債務整理のための手続費用、最大六十万円まででございますが、これも貸付対象としてございます。

 また、連帯保証人の要件も緩和してございます。原則、連帯保証人を必要とはいたしますけれども、連帯保証人を確保できない方に対しましても貸し付けを行えるようにいたしたわけでございます。

 また、緊急小口資金ということで、十万円につきましては、これはもう保証人不要という形にしてございます。

 利率につきましても、見直し前の三%から引き下げまして、連帯保証人がある方につきましては無利子、連帯保証人を立てられない場合につきましては従前の三%の半分の一・五%といたしたところでございます。

 この結果、貸付実績は、五カ月間で百二十七億円ということで、平年の三倍に迫るようなペースでの御利用をいただいているところでございます。

竹内委員 御報告ありがとうございます。

 実際に、この改正がなされてから、昨年の十月には、当初は貸付決定者数が全国で八百八十三名で七億九千八百万ぐらいだったのが、この二月には全国で四千百二十五名で三十二億七千八百万も貸し付けをしておるというようなことで、今お話がありましたように、累計貸付額としては百二十七億ということで、大変な伸びを示している。この不安定な状況におきまして、それだけ社会ニーズがあったということだと思うんですね。

 特に、今お話がありましたように、債務整理のための弁護士費用とかそういうのもかかりますから、そういうものにも対応する六十万円以内の資金も使途として用意した、こういうあたりは非常によかったなというふうに思っております。

 そこで、今後、総量規制がいよいよ完全実施されたときには、こういうニーズが非常に高まってくると思うんですよね。それは非常に大事な点だと思っていまして、ここの体制を強化しないといけないだろう。ところが、これは地域の社会福祉協議会が窓口になっていまして、窓口はほとんど一人か二人しかいない、大丈夫かなという気はしております。

 そういう意味で、体制を強化していかないといけないと思うんですが、ところが、ここをよくよく調べてみると、社会福祉協議会に行くと、まず法テラスに行ってくれと言うらしいんですよね。破産処理とかそういうのは貸し付けとして六十万円の枠はあるんだけれども、しかし順番としては、まずは先に法テラスに行ってやってもらいたい、そこでだめな場合にこっちに来てほしいというような話になるようであります。

 そうすると、法テラスの方では、法務省の管轄なんですが、そういうことをわきまえて準備しているのかどうか、非常にここを私は聞きたいわけでございます。

 そういう意味で、きょうは法務省も来ていただいておりますが、今後、その体制、それから運営交付金などの予算確保を十分にしておかないといけないと思うんですが、この点、いかがでしょうか。

深山政府参考人 法務省でございます。

 今お話のあった法テラス、日本司法支援センターですけれども、その業務の一つとして、資力の乏しい方に対して無料法律相談や弁護士費用等の裁判費用の立てかえ等を行う民事法律扶助業務を行っているところです。

 債務整理事件もその主要な対象の一つでございまして、この支援センターでは、援助を必要とする方々のためにこの扶助業務をこれまでも的確にやってきていると認識しておりますけれども、今御指摘があったように、昨今の経済情勢もありまして、債務整理事件等を中心とする法律扶助の事業ニーズは、近年非常に、年々歳々大きくなってきてはおります。

 これを踏まえて、支援センターの方では、平成二十二年度予算におきましては、民事法律扶助のための資金が大半を占める運営費交付金につきまして、前年度の約一・五倍の予算を計上しているところでございます。

 支援センターにおいては、今後、この与えられた予算の中で、援助を必要とする方々に適切に対応できるのではないかというふうに我々は思っているところです。

 今後とも、国民が利用しやすい司法制度を実現する、そういう法テラスの目的に沿って、この民事法律扶助事業を初めとして、支援センターの人的な体制の充実にも努めてまいりたいと思っております。

竹内委員 そこでもう一回、生活福祉資金に戻るんですが、この生活福祉資金、総合支援資金の貸し付け状況を見ていますと、何といっても額が多いのは、生活支援費です。生活費そのものの支援をしてもらいたいというのが一番額が多くて、十月以降でも、これが百十四億になっているわけですよね、貸付額として。そうしますと、社会福祉協議会の体制強化も必要ではないかという点が一点。

 それからもう一つは、総合支援資金のほかの貸し付けの種類として、福祉資金それから教育支援資金というのもありまして、これまでの歴史的経緯もあって、これは地域の民生委員さんが窓口になっているんですね。ただ、本当に民生委員さんに任せておいていいのかどうか。それはそれで過去の経緯もあって大事なことなんですが、しかし、これから自分のいろいろな福祉ニーズ、教育支援資金ニーズ等ある中で、やはりプライバシーの問題も今ありますし、民生委員、地域の人たちに全部情報を知らせないといけないというようなことがいかがなものか。

 実際、その福祉資金等の貸付額を見ていますと、やはり福祉資金、教育支援資金が年々減っているわけですよね。存在意義を問われているんじゃないかなというふうに思っていまして、そういう意味で、私は、福祉資金、教育支援資金についても社会福祉協議会に窓口を一本化して、社会福祉協議会の体制をしっかり整えるという中でそういう皆さんの生活ニーズにこたえていくべきではないか、このように思うんですが、いかがですか。

清水政府参考人 二点お尋ねいただきました。

 まず、社会福祉協議会の窓口体制の強化についてでございますけれども、二十一年度二次補正におきまして財政措置をしたところでございますので、その実効あらしめるように、私どもとしても推進してまいりたいと考えてございます。

 また、二点目のお尋ねでございますけれども、福祉資金、教育支援資金につきまして、民生委員経由ということについてのお尋ねでございます。

 これにつきましては、これらの資金は単に資金貸し付けということだけではなくて、きめ細かな相談を行うことによりまして、借入申込者の経済的自立でありますとか、生活意欲の助長促進等を図るということを目的にしておるわけでございまして、そういったことから、民生委員は、貸し付けを行います社会福祉協議会と連携して、借入申込者が抱えていらっしゃる問題につきましていろいろと御相談に応じている、そういう役割を担っておるところでございます。

 しかしながら、緊急に資金が必要となるといった特別な事情があるなどの場合につきましては、民生委員を介さずとも、直接社会福祉協議会へ申し込みができるようにもしておるわけであります。

 私どもとしては、このような中で、この生活福祉資金、さらに利用者にとって、またその自立支援のために役立つようなものにしてまいりたいと考えてございますが、もしいろいろと不都合な事案等があれば、御教示賜れれば幸いでございます。私どもといたしましても、個々に実情を把握いたしまして、円滑な貸し付けができるよう、いろいろと努力をしてまいりたいと考えているところでございます。

竹内委員 答弁を聞いてよくわかりました。事前にレクチャーを受けていた時点では、この辺の認識がちょっと違ったものですから、きょうお話を聞いてよくわかりました。直接社会福祉協議会に行くということも可能だということであります。

 いずれにしても、私がこう申し上げておるのは、総量規制が入るとそういうさまざまな困る方々が出てくる、たちまちいろいろな意味で生活資金が不足する人が出てくるので、それに対する受け皿として、今申し上げたような対策をやはり整えておく必要があるというふうに思って、指摘させていただいたわけでございます。

 もう一つ、いろいろな副作用が出てくると思うんですが、大臣に確認しておきたいのは、何といっても、正規業者から借りられない人たちが増加して、やみ金融被害が拡大するのではないかという指摘があります。そういう点を踏まえて、PTの方でも、七点にわたるやみ金融対策を細かく指摘していただいておるわけであります。列挙していただいておるわけであります。私も必要だと思います。改めて、やみ金融対策の一層の強化を図る必要があると思いますが、大臣の御見解をいただきたいと思います。

亀井国務大臣 やみ金融については、関係機関とも協力をきちっと密にしながら対応していかなければならないと思いますが、現に存在するニーズをどうするかという、ある面では深刻な問題もございます。

 その意味では、民間金融機関あるいは政府系金融機関がそういうニーズに応ずることができるような状況に金融庁として持っていけないかどうか、これは今後の大きな課題でもあると思いますし、また、先ほど来御質問されておられますように、社会福祉とのまさに重なっていく分野も多いわけでございますから、関係省庁ともよく協議をしながら対応していくべきだ。極めて、非常に難しい問題でありますけれども、放置ができない分野でもあると思います。

竹内委員 しっかりやっていただきたいと思います。

 次は、法案の関連で、国際金融の話に話を持っていきたいと思うんですが、今回の法案につきまして、私どももヒアリングもいろいろ独自でさせていただいたりもしました。基本的には方向性については異論はないというふうに思っているわけでございます。ただ、国際金融市場をめぐるさまざまな問題についても、ちょっと議論をしておきたいというふうに思っているわけであります。

 一昨年の世界金融危機の発生原因の一つとして、金融デリバティブ商品について、そういう清算機関がなかった、こういうことも一つの要因でありましょうし、それから同時に、金融デリバティブ商品に対する格付のずさんさということもいろいろあったわけであります。

 そういうことで、まず前政権のときに、格付のずさんさに対して、格付会社に対する公的規制の導入をしたわけでございまして、その内容については大体承知をしているところであります。そういう格付機関に対する公的規制とか、それから、今回の法案にあるように、中央清算機関をつくって、清算をきちっと先進諸国と同じような形でやっていこう、こういうことは大事なことなんですよね。

 今回の法案が整備されて、日米欧は大体同じような対応になるわけでございますけれども、私がちょっと疑問に思うのは、中国とかシンガポール、これが抜けているような感じがするんですよね。だから、せっかく対策をつくっているのに、一つ穴があるというかそういうことがあると、そこが原因でまた新たなトラブルが生じる可能性がある、混乱が生じる可能性がある。

 そういう意味で、まず、中国とかシンガポール等については、この辺の状況、中央清算機関それから格付会社に対する公的規制、この辺がどのようになっているか、ちょっとお聞きしておきたいと思います。

大塚副大臣 委員御指摘の問題意識は私どもも共有をしております。

 ちなみに、中国については、昨年の十一月に、銀行間取引を清算する清算機関として上海クリアリングハウスというのが設立をされましたが、ただ、この機関が、今回の法案が対象としているようなデリバティブ取引までも清算の対象としているかどうかは明らかになっておりません。また、シンガポールについては、そうした清算機関をつくるつくらないといったことについての情報は今のところございません。

 また、格付についても付言をさせていただきますと、格付会社については、中国では、証券法という法律で、中国証券監督管理委員会から免許を取得するということにはなっております。一方、シンガポールでは、格付会社の規制はこれまで導入されておりません。

 事ほどさように、委員御指摘のとおり、アジアの金融マーケットが大変大きくなってきておりますので、ここが日米欧のマーケットの信頼性を高めるための規制のいわば抜け穴とならないような国際的な議論が必要だというふうに思っております。

竹内委員 本当にそこが心配なんです。そういう意味では、今後の国際的な交渉の中で、中国、シンガポールに対しても、やはり共同歩調をとってもらうようにぜひ話を進めていただきたいと思います。

 それからもう一つは、ギリシャ問題がありました。

 格付が落ちて株価が下落したりしたわけであります。しかし一応、ドイツが誘導してIMFと協調して支援するということで、何とかおさまりかけているわけでございますけれども、ただ、ギリシャの財政赤字削減目標は高いですから、そんな簡単にいかないわけでございますし、これがいかなければ、EU全体にも危機がまた迫ってくると思うわけであります。

 大きな財政赤字を抱えている国として、俗称でPIIGSとかSTUPIDとかいう名前がいろいろ言われておりまして、個々の名前を一々挙げませんけれども、そういう言葉もささやかれております。

 欧州域内でそういうソブリンリスクが高まれば、そのほかの国への影響も波及して、主要国の長期金利も上昇して、景気が後退して、欧州の財政再建も遠のく可能性もある、こういうふうに言われているわけであります。

 今、ヘッジファンドが、ことしのテーマはソブリンリスクだ、二〇一〇年の投資テーマはソブリンリスクだ、こういうふうに決めたと言われておるわけであります。そういう意味では、金融危機がリーマン・ショック以降連鎖したように、このソブリンリスクによる混乱というのが、ユーロ、それからユーロを越えて今後アメリカとか日本にまで波及していく可能性もあるのではないかというふうに思うわけでありますが、こういう問題についてどのように日本として考えるか、お考えをお聞きしたいと思います。

亀井国務大臣 委員御指摘のように、今、世界は金融秩序の面におきましても大揺れに揺れておる状況、またそれを繰り返している状況であります。

 オバマ大統領が、そういうことの諸悪の根源とまでは言いませんが、そういう役割をアメリカの金融界が果たしておる状況に対して、大統領としてのいろいろな措置を今講じようとしておるわけでありますけれども、我が国の場合も、やはり我が国独自の対策だけでは国際的なそういう状況に対応することはできないわけであります。金の流れを日本だけが恣意的に防ぎとめてみたり曲げてみるなんてことはできないわけでございますので、世界各国と協調しながら、しかし日本の立場からのきっちりとした判断、発言をしながら、国際的なそういう協調を進めていくということをやっていかなければならない、このように考えておるわけであります。

竹内委員 非常に難しい問題ではあるんですけれどもね。

 それともう一つ、三月二十二日にアメリカの上院銀行委員会において金融改革法案が採択をされているわけでございます。簡潔にその概要をお答えいただくとともに、もちろん、これが成立するかどうかまだわかりませんけれども、上下両院でどうなるかわかりませんが、もしもそういう方向になったときには、世界の金融市場に及ぼす影響について、大変大きな影響があると思うんですが、その点につきましてお答えをいただきたいと思います。

大塚副大臣 御質問のありました法案の主な内容は、システム上重要な金融機関の監督を行う、あるいは銀行監督機関の再編、そしてヘッジファンド等に対する登録制の導入、金融消費者保護、OTCデリバティブ市場の規制等さまざまな内容が含まれておりますけれども、総じて申し上げれば、これまでの米国の金融規制の内容よりもかなり厳しい内容でございます。

 加えまして、二〇一二年の実施を一つの目標として議論されておりますバーゼルにおける自己資本比率規制等の国際ルールに照らしてみても、それよりも若干厳しい面もありますので、それがさまざまな国々の多様性に果たして適しているかどうかということが大変大きな問題になってくると思っております。

 私自身、二月のG7に参加させていただいた際、ガイトナー財務長官ともお話をさせていただきましたが、財務長官は、最後の公式記者会見で、こうした金融規制については各国の多様性に配慮するべきであるというふうに御発言になりましたので、日本としても、よかれと思って導入するさまざまな規制が各国の金融をかえって混乱に陥れることのないように、細心の注意を払ってまいりたいというふうに思っております。

竹内委員 私の認識では、今回の中央清算機関とか格付機関に対する公的規制の導入とかいろいろやっていますけれども、しかし、世界じゅうにやはり過剰流動性があるということは事実でありまして、これがある以上は再び世界金融危機を引き起こす可能性はあるというふうに思うわけでございます。そういう意味で、こういう膨大な資金をコントロールすることは容易ではないということをまず肝に銘じておく必要があると思っております。

 アメリカでは、今御報告がありましたように、今回、大き過ぎてつぶせないに終わりを告げるというようなことで、金融機関への厳格な規制と秩序ある破綻の枠組みの導入、ボルカー・ルール、それからデリバティブやヘッジファンドに対する規制が、今お話がありましたように盛り込まれておるわけであります。特に過激であるのが、金融危機が生じても個別金融機関救済のために税金は投入しないというようなことまで書かれているわけでございますけれども、しかしそれで本当に大丈夫かどうか、非常に心配もしているところでございます。単に金融悪玉論だけで、大きな銀行は悪いやつだというだけで、もう一切今後は面倒を見ないんだということでも済まないんだろうと私は思うのであります。

 その辺、亀井大臣、いかがでしょうか。アメリカでは、民主党のその法案では、もう個別金融機関は救済しないというような方向性が今打ち出されていますけれども、しかし本当にそれでいいのかどうか。日本では、やはり私はそう簡単にはいかないんじゃないかなというふうに思うんですが、最後に大臣の御見解をいただきたいと思います。

亀井国務大臣 私は、やはり基本的には、金融機関自体が健全なる体質を維持して、健全なる活動を展開してもらう。特に社会的責任をきっちり果たしながら、それをやっていただきたい。

 その過程の中で、これは外的、内的、いろいろな要因はありますけれども、金融機関が思わぬ事態に立ち至った場合、もちろんその原因にもよりますけれども、また、それを放置しておった場合どこまで波及をしていくのかというような、そうした問題もありますけれども、私は、やはり金融機関が破綻をする場合、政府が黙って見ておっていいということではないと。

 特に今、中小零細企業、これが必死になって頑張って地域金融に対して役割を果たしておるわけでありますけれども、それがそうした責任をきっちりと果たしていかれる中において、この資金繰り、いろいろな問題について混乱が生じておる場合には、やはり資本注入を含めてその強化のために支援をしていくという積極的な役割を政府は果たしていかなければならない。大きな政府、小さな政府なんて総論的な議論が行われておりますけれども、私は、やはり政府が何のために存在をしておるかということをきっちりと見定めて対応しなければならない。

 ただ、私が今申し上げたいのは、金融界自体が、過去の自分たちのおやりになられたことについてやはりきっちりと総括をして、自己批判もされる点はされて、そうして未来に向かってきっちりと進んでもらいたい。万一の場合は政府が面倒を見てくれるんだ、国民の税金でどうにかなるなんて、そういう気持ちはないとは思いますけれども、やはり自己責任というのをきっちりと踏まえながら経営をしてもらいたい、私はこのように考えております。

竹内委員 ありがとうございました。

 以上で終わります。

玄葉委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 まず、法案の背景にある金融危機の問題から入りたいと思います。

 アメリカ発の金融危機は世界経済に深刻な打撃を与えました。この原因をどう見るか。つまり、原因を正確に押さえて初めて対応策が出てくるというふうに私は思います。

 私は、金融機関の十年来の変質という問題が背景にあると思っております。

 金融機関というのは、預金を預かって、それを資金を必要とする分野に提供する、そういう公共的、社会的な役割というのが本来の基本だと思っております。そういう中で適切な利益を得るというのが基本だと思うんですね。

 ところが、規制緩和という流れの中で、例えば金融と証券というのが、分離されていたものが垣根がどんどん低くなって、アメリカではグラス・スティーガル法というのが骨抜きになって、金融と証券が融合する。一体となって、巨大な複合金融機関と言われるものが生まれてくる。そしてその中で、今度は債権を証券化して、それを売却して、それを組み合わせて新しい金融商品をつくる、その金融商品をまた別な金融商品と組み合わせる。もとが何かさっぱりわからない。こういう金融商品開発が行われて、大規模な取引が行われる。世界じゅうから資金が吸収されていく。こういう中でバブルというものが形成され、そして一気に崩壊するというのが今回の事態だったのではないかと思うわけですが、大臣の基本的な認識をお聞かせいただきたい。

    〔委員長退席、池田委員長代理着席〕

亀井国務大臣 私は、基本的な認識というのは委員と大体同じであります。

 金融というのが本来何のために存在をしておるか。本来は、生産者と消費者で足りるわけでありまして、しかし、社会が複雑になり経済が複雑になってくると、その中間に、金融、信用、これが欠くべからざる存在として生まれてくるわけであります。

 その中間にある金融が、自己目的的にみずからの利益だけを追求していく。それがだんだん高じて、虚が虚を生むような、いわば賭場のような状況になって、もうける人がおれば、片っ方では損をしている。しかし、それが両者の間での決済だけで済めばいい話でありますが、御承知のように、保証金の問題一つ取り上げても、いざという場合、全体がカバーできないわけでありまして、破綻をした場合は、これが実体経済まで深刻な影響を及ぼしていっている。

 これは日本も同じような経験をしておるわけでありまして、私は、これはアメリカ発だなんと日本がのんきなことを言っておるべきではないと。やはり金融が、自分たちのレゾンデートルといいますか、それをしっかりと見きわめながら営業活動をやっていただくという、私は、そうした基本に立ち戻らなければ、一時的に虚が虚を生んで利益を得るというようなことをやっていったって、そんなに長く続く話ではないと。

 私はその存在を否定するものではありませんけれども、そういうものが肥大化して巨大化していくことを、やはり国家として放置していくわけにいかないと。オバマ大統領は苦い経験で今そういう措置に出ておるんだ、このように了解しています。

佐々木(憲)委員 亀井大臣とは、議論をしておりますと、この点では私と完全に一致するわけでございます。

 銀行というのは、それまで利子をもとに利益を上げて経営をやってきたわけですが、デリバティブ取引ですとか手数料を得るとかトレーディング収入というようなものに頼るとか、どうも本来の金融機関の公的な性格をおいてそういうところにどんどん走っていった。これが、小泉改革の中でエスカレートして極端な方向まで行ったのではないか。

 しかも、この巨大金融機関、特にアメリカを中心とする複合的な金融機関がヘッジファンドに対して大量に資金を提供する、そういうことでバブルが発生して金融恐慌につながったというふうに私は思っておりまして、今回の金融恐慌というのは、新自由主義的な、そういう規制緩和が招いたものとも言えると私は感じているところであります。

 そこで、アメリカの対応ですけれども、若干先ほども議論がありましたが、ボルカー氏が提案したボルカー・ルールというものがありますが、これを見ますと、非常に私どもとしては共鳴するところがありまして、例えば、預金保険下にある銀行がヘッジファンドとかプライベート・エクイティー・ファンドを保有すること、それに対して投資または後援することを禁止する、さらに、銀行自身の、顧客の注文に基づかない自己勘定での自己利益追求の資産売買取引を禁止する、こういう方向が出されていて、ほかの課題もワンセットになった法案というものがつくられたりしている。こういう状況を見ますと、相当大胆に改革をしようとしているという感じが私はするわけです。

 やはりこのボルカー・ルールの根底にあるのは、預金をもとに信用創造を通じて貸し付けを行う銀行業務がある、それから、資本市場における株や債券の売買、これを収益源とする投資銀行業務がある。これは、二つそれぞれ全く違う性格の、水と油と言っていいほどのものだと思うわけです。それを兼業するということになると、預金あるいは銀行の業務というものが債券、証券市場に振り回されるという事態になり、投機的資金にそれが利用されていくと、銀行そのものの公共的な性格がそれによってゆがめられ、そして、一たん金融危機になると銀行が大変な迷惑を受ける、迷惑といいますか、みずから招いた災厄でありますが、そういう事態に行きかねないわけでありまして、そういうところが基本的な認識として私は根底にあるというふうに見ているわけです。

 そういう点で法案を見ますと、これはどういう位置づけで今回出されているか。私はかなり部分的だと思いますが、今回出された法案の目的、それから位置づけ、これを説明していただきたいと思います。

亀井国務大臣 私は、委員御指摘のように、金融界が、ほっておけば自己目的的にどんどん肥大化してリスクを負い、さらにリスクを負っていく、そういう状況に陥る危険性があると思います。しかし一方、金融業について政府が厳しく手足を縛ってしまうということは、私は、本来の金融業務自体の活力を損ねていくという面も間違いなくあると思います。

 幸い、日本の場合は、過去において金融界がバブル時代を初め間違ったことをやったという歴史はありますけれども、一つは国民性にもよると思いますけれども、私は、日本の場合は、アメリカの金融界ほどはけたを外れたそういうことはまだ今やる状況ではないと。私、性善説かもしれませんけれども。

 そういう中で、しかしながら一方、やはりそうした歯どめをきっちりとかけていく、しかもそれは、金融界の自主性を尊重しながらそういう歯どめをかけていく努力をしたいということで今回の法律を出したわけでありまして、何でも、金融庁自体が強権的な権限を持ってこれをやるということじゃなくて、ある面では、民間自体の努力を促し自覚を促していくという立場に立つべきだということで、この法案を提出したわけであります。

佐々木(憲)委員 そういう意味では、銀行業界の自己責任というのは非常に私は大事だと思っておりまして、公的な資金に安易に頼るなどということはあってはならないと思っておりますので、これまでも私は、銀行みずからの経営の失敗を、そのツケを国民が何でしりぬぐいをするのかとずっと議論をしてきたわけであります。

 そういう意味で、アメリカの銀行に対する対応というのはかなり厳しいと私は見ておりまして、公的資金というものをそう安易に、一時的な提供はあっても必ず回収する、こういう対応をしているわけであります。

 そういう姿勢について、亀井大臣、どのようにお感じでしょうか。

亀井国務大臣 私は、先ほどの委員の御質問の中でも答えたような記憶がありますけれども、やはり金融機関は、自己責任において業務を展開していくという基本を忘れてはならないと思います。万一の場合は政府が救済をしてくれるんだという中で業務展開をしていってはならない。

 しかし、問題は、その自己責任の中で、今銀行界というのはある面ではバイタリティーを失ってきている面が私はあると思う。こんなことを言ったらおかしいですけれども、お役人的とまでは言いませんけれども、やはり自分たちの業務についての積極性、そういうものがなくて、国債を買えばいいんだ、手数料収入を得ればいいんだと。産業界に資金を積極的に提供する、ベンチャービジネス、場合によっては焦げつくかもしらぬけれどもやはり企業を育ててみようというような、そういう面での積極性、そういうことが残念ながら欠けてきておる今の金融界だ。

 今度も郵貯問題で、自分たちの競争相手の条件がちょっとでもよくなりそうだったら、けしからぬ、けしからぬ、民業圧迫だと言う。そういう同じような寝言しか言えないようなことでは、私はだめだと思っています。

佐々木(憲)委員 少し話題をかえまして、NPOバンクの問題についてお聞きしたいと思うんです。

 小泉・竹中時代にかなり強引なことをやりまして、信金、信組が大変危機に陥りまして、破綻、統廃合という事態になりました。中小零細企業向けの金融は非常に不安定になったわけです。地域経済にお金を回す仕組みが縮小している状況の中で、小規模の事業の中で特に社会的貢献を目的とする事業、NGO、NPOが活動している事業、あるいは、例えば環境とか福祉とか社会的生活困窮者の救済の事業、こういうことに対して、なかなか銀行側としては、もうけが上がらないとか将来がわからぬということで貸し渋る。それに対して、NPO自身がNPOバンクというものをつくってそれに対応する、こういうことが行われてきているわけです。

 具体的に言うと、在宅介護サービス、そういうものが小規模多機能居宅事業の施設開設資金、あるいは障害者支援の団体が行うカレーショップの開設資金とか、団地から出された生ごみをバイオガスにして、残った液体燃料を有機農業に使うための生ごみガス化プロジェクト、こういう社会的な活動に資金が必要だ、その支援を行う。そういうNPOバンクの社会的役割、これについて、亀井大臣、どのような認識か、お聞きをしたいと思います。

亀井国務大臣 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、残念ながら、今の金融機関がそういう面に対して資金供給をする力が非常に弱いと思います。

 また、残念なことですけれども、政府系金融機関、政策金融という本来の目的をどうも忘れてしまっておるのではないか。私は、もう一度政府系金融機関については再検討をして、いろいろな業界、業種がありますね、そういうことにきちっと、ニーズにフィットした融資を、業界を振興する、支援するという視点から融資活動をやっていくような金融機関、これは民間だけに任しておくことはなかなか無理な分野でありますから、広い意味の産業振興という中でそういう金融のあり方を考えていいんじゃないか、このように今考えております。

佐々木(憲)委員 それがなかなかできていないところでNPOバンクというものが役割を果たしているんですが、NPOバンクについてはどういう認識ですか。

亀井国務大臣 私は、そういう現実の細かいニーズに対して対応していく努力を今後どんどん進めていただきたい、また、それを政府としてバックアップしていく体制が必要だと思っています。

佐々木(憲)委員 ことしの六月十八日に貸金業法が完全施行されるわけであります。私は、これは完全に施行していただきたい。それをきちっとやらないと、多重債務者をこれ以上出すようなことは許せないと私は思っておりますので、きちっとやると。

 同時に、現在活動しているこうしたNPOバンクなどが、貸金業と同じものと扱われて活動が継続できなくなる、こういう不安を当事者の皆さん訴えておられるわけです。

 NPOバンクのような非営利の活動というのは、貸金業法の対象とすべきではないと私はもともと考えております。私は、市民の自発的な資金に基づいて融資を行うこういうNPOなどの活動は、個別の法制度によって保護され、そして発展できるような環境をつくるというのが大事だと思うんです。

 大塚副大臣に聞きますが、民主党は、マニフェスト、インデックス二〇〇九において、「市民から資金を集め、福祉や環境などの地域活動に融資するNPOバンクのような小規模・非営利法人について、貸金業法の資産要件の適用除外とします。」と書かれております。しかし、資産要件の適用除外というだけでは、活動の継続というのは困難なんですよ。

 民主党として、NPOバンクをどういうふうに支援していくのか、どういう政策を持っているのか、お答えいただきたい。

大塚副大臣 御質問ありがとうございます。

 まず、複合的に幾つか御質問もいただいたと思いますので、重要な論点ですので少し丁寧に説明をさせていただきたいと思います。

 まず、今回の貸金業法の完全施行に向けて、そのうちの対策の一つとして、生活困窮者向けの貸し出し等を行っているNPOバンクについては、今最後のところで御指摘になりましたような、貸金業法の適用除外をする方向で考えております。

 ただ、その一方で、私どものマニフェストも引用していただきましたが、そうした、生活困窮者のみならず多様な貸し出しを行っている、しかもそれは、新しい公共を担うという意味での融資業務を行っている先については、より幅広く貸金業法の資産要件の適用除外とするというのがマニフェストの記載でございます。

 ただ、委員御指摘のとおり、これを貸金業法という枠の中で取り扱うべきなのか、つまり、このマニフェストに記載した内容にとどまるべきことなのか、あるいはもっと包括的な、NPOバンク全体をくくって対応する法制度をつくるべきなのか、今まさしくその検討をしている最中でございます。

 なお、御指摘いただいたマニフェストのインデックスの方には御披露いただいたような記載でございますが、マニフェスト本体の方には、NPOバンクということではないんですが、市民が公益を担う社会を実現する、NPOセクターの活動を支援するという大目標が私どもの党としてはございますので、今まさしく総理のもとでその検討を進めている最中でございます。

 今委員長席にお座りであられました池田理事を初め、熱心にこの問題について私ども今御指導をいただいておりますので、先生の問題意識とも合致しておりますので、できるだけ前向きに検討する方向で進めさせていただいております。

    〔池田委員長代理退席、委員長着席〕

佐々木(憲)委員 ぜひきっちりとした対応をしていただきたいと思うんですが、貸金業法でNPOバンクがなぜ活動がうまくいかなくなるかといいますと、貸付業務経験者の義務づけというのがある。それから指定信用情報機関の信用情報の使用、提供義務というのがある。それから総量規制がある。これがネックになっているわけですね。

 例えば、貸付業務経験者の義務づけについては、そういう人を雇いますと、当然一定の給与を払わなければならない。なかなかそういう人を雇うことができない。

 それから、指定信用情報機関の信用情報の使用、提供義務、総量規制、これが適用されますと、NPOバンクの個人融資先の信用情報が銀行に見えるわけですね。そうすると、NPOバンクが貸金業者とされているために、NPOバンクの借り手の方が、個人的に融資を銀行から借りたくても、あそこは貸金業者から融資を受けているんだということを認定されて、資金に影響する。返済能力が低いとか、そういうふうにレッテルが張られる。こういうことで、住宅ローンとか教育資金という必要な資金も銀行が貸さなくなるような事態になるわけですね。

 ですから、これはやはり別枠で、そして別の法律でNPOバンクというものをしっかりと育てていくということが大事だというふうに私は思います。

 その反面、例えば貸金業法の総量規制の中には例外とか適用除外の規定が設けられていて、銀行のカードローン、こういうものは適用の対象となるのか。

 インターネットで貸金業、総量規制で検索すると、一番最初に、年収三分の一以上借りる方法などのページが出てきて、そこには銀行のカードローンは対象外となっていますとして銀行のカードローンを紹介しているわけですね。しかし、例えば三菱東京UFJ銀行のカードローン、バンクイックの案内には、利用できる人の条件に、保証会社アコムの保証を受けられたお客様となっていて、このアコムというのは簡単に言うとサラ金ですよ。銀行のカードローンが対象外で、NPOバンクが対象だと。つまり、銀行のカードローンが対象外になっていて、NPOが対象となる、こういうものが逆転しているわけですね。そういうさまざまな問題があります。

 銀行のカードローン以外にも、クレジットカードのショッピング枠、住宅ローン、車購入のローン、これは対象外だ、適用除外だ、こういうふうになっておりますので、これは非常に不合理なんですね。ですから、多重債務を出さないということはしっかりと、貸金業法を完全施行ということによって達成をするということと同時に、従来健全な形で活動してきたさまざまなこういうものが規制を逆に受けて、NPOバンクのようにうまくいかなくなることのないような、そういう体制というものが私は非常に重要だと思っております。

 NPO全国連絡会というところがNPOバンク法の制定というのを求めている。これは、今そういう方向性をおっしゃいました。国民新党はどういう政策なんでしょうか。あるいは、民主党として、そういうNPOバンク法の制定ということについて、党としての見解はいかがなんでしょうか。

亀井国務大臣 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、零細な僅々なニーズに対応する、そうした整備というのは極めて大事だと思っておりますので、今委員が御指摘のその点は国民新党としても同様だ、私はこのように思います。

大塚副大臣 民主党といたしましては、先ほど申し上げましたとおり、昨年の総選挙のマニフェストの段階では貸金業法の資産要件の適用除外というところにとどまっておりますが、御下問の趣旨の意見も党内には多数ございますので、党内でしっかり議論を詰めて決定をしてまいりたいと思いますが、個人的には、国民新党党首である大臣と同じような考えを持たせていただいております。

佐々木(憲)委員 では次に、銀行の過誤払い問題、つまり、例えば預金通帳が盗まれた、あるいは印鑑が盗まれて引きおろされた、カードが盗まれた、こういう事故、事件というものが依然としてたくさんあります。

 それに対して、この財務金融委員会でも過去さまざまな議論がありました。対応策として、偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律という長い法律が成立をして、預金者保護というものが進んだわけです。

 当時、この委員会で大いに議論になったのは、自民党、公明党の与党法案が結果的に通ったんですけれども、盗難通帳それからにせの印鑑、こういう犯罪がこの法律の中では対象となっていないじゃないか、それからインターネットバンキングなど新しい犯罪に対応できないじゃないかと。当時の犯罪事情を勘案しても不十分な点が多数あったと私は思っておりますが、しかしながら、被害者救済で前進面がありますから我々は賛成をいたしました。その後、銀行の自主ルールなどで少しは被害者救済制度が前進をしたんです。

 現状についてお聞きしますけれども、ピッキングなどの、例えば空き巣などの被害で銀行通帳とか印鑑が盗まれて、それを利用して預貯金が引き出されるという事件で、被害者は救済されるように本当になっているのかどうか、銀行がどのような対応をすることとなっているのか、この点を説明していただきたいと思います。

大塚副大臣 銀行界の自主的な取り組みといたしまして、盗難通帳とかインターネットバンキングにおける銀行無過失の場合の事故、あるいはその他幾つかの事例において補償対象とするようなことになっております。

 ただ、預金者保護法に基づく枠組みといたしましては、例えば偽造カード、盗難カードについて、ある一定の要件のもとで、預金者の過失がある場合でも七五%を補償するような場合等も規定をされております。

 こうした預金者保護法における法制上の対応と銀行界の自主的な対応、双方を駆使して一定の保護のもとに置かれているものと考えております。

佐々木(憲)委員 全銀協の資料では、「盗難通帳による預金等の不正払戻しについて、銀行に過失がない場合でも、お客さまご自身の責任によらずに遭われた被害については、補償を行うこととする。」これが基本原則。

 当時の法律で残された課題の一つに、過去の被害者の救済という問題がありました。そもそも、銀行の過誤払い問題は古くからある問題でして、その重大性にかかわらずしばらく放置されておりました。そもそも、信用がまず第一だと言われている銀行預金が、ある日行ったらだれかに引き出されていたというようなことになると、これはもう安全に保管されていないということになってしまうわけで、こんなことがあってはならないわけです。

 したがって、法律の施行日にかかわらず、銀行の責任というのは大変大事なものであって、法律には過去の被害救済についても言及されていると思いますが、附則の条文はどういうふうになっていますでしょうか。

大塚副大臣 詳細は確認をしてお答え申し上げたいと思いますが、私の知り得る限りでは、過去の被害については特段の記述はないものというふうに理解をしております。

佐々木(憲)委員 いや、記述があるから聞いているんですけれども。

大塚副大臣 失礼をいたしました。

 答弁の上、訂正をさせていただきますが、附則の第二条にこのように記載してございます。「この法律の施行前に偽造カード等又は盗難カード等を用いて行われた不正な機械式預貯金払戻し等により損害が生じた預貯金者に係る金融機関による当該損害の賠償又は補てん等については、この法律の趣旨に照らし、最大限の配慮が行われるものとする。」附則の第二条でございました。失礼いたしました。

佐々木(憲)委員 この法律の趣旨にのっとって最大限の対応ということを促しているわけであります。

 現実に、銀行、とりわけ大手銀行は過去の被害に真摯に対応していないんじゃないか、そういう訴えがたくさん我々に寄せられております。

 一例を挙げますと、例えば渋谷で衣料品販売業務の代行業というのをやられている、仮にAさんといたします。当時のUFJ銀行、現在三菱東京UFJ銀行ですが、そこに預けていた預金二千八百万円が盗まれる、こういう被害に遭いました。Aさんは、自宅に保管されていた銀行通帳、印鑑、健康保険証などがピッキングの被害に遭って盗まれて、その後、UFJ銀行から、会社名義の預金と個人名義の預金が、三井住友銀行渋谷支店で勝手につくられたAさんの口座に振り込まれた。

 二〇〇二年十一月七日と八日のことでありましたが、この三井住友銀行の口座は犯人が開設したというのが後でわかりました。UFJ銀行では、間違った電話番号と住所で払い戻し請求を受けて、担当者が印鑑票と払い戻し請求書の筆跡が違うということに気がついて上司に確認したにもかかわらず、上司は許可をして振り込まれた、こういうことです。三井住友銀行は、本人確認も十分せずに銀行口座を開設して、開設間もない口座に振り込まれた大金の払い戻しに応じているわけです。

 これは両方の銀行に重大な過失があると私は思うんですね。現在のルールでは、このような被害はどのようなことになるのか。被害者は救済されるんでしょうか。

大塚副大臣 個別の事例でございますのでお答えしにくい面がございますが、先ほど委員から御教示をいただきました附則には、法律の趣旨に照らして最大限の配慮が行われるものというふうになっているわけでございますので、今御披露いただいた事例の事実関係いかんに従って対処されるべきものというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 この銀行の責任というのは重大なんですよ。本人確認を十分せずに、こういう犯罪に手をかす形になっているわけです。銀行の払い戻しを行った実行犯は逮捕されております。銀行の対応が克明に明らかになっているにもかかわらず、それでも銀行は対応しないんですよ。おかしいんです。被害者には、補償しない理由は何ですかと聞かれて、何の説明もしていない。

 過去の被害に真摯な対応をするという法律になっているにもかかわらず、全くまともな対応をしない、こういう事例は少なからずあります。このような被害の訴えを放置するのではなく、真摯に対応するという方向で銀行業界に対してやはり指導すべきだと私は思いますが、いかがでしょうか。

大塚副大臣 大臣が御就任以来、常日ごろおっしゃっておられますように、銀行には社会的責任というものがございますので、その社会的責任に照らして当然しっかりとした対応をするべきものと思いますので、的確な指導を行ってまいりたいと思います。

佐々木(憲)委員 時間が参りました。終わります。

玄葉委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

玄葉委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 金融商品取引法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

玄葉委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

玄葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

玄葉委員長 次回は、来る二十日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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