衆議院

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第7号 平成23年3月9日(水曜日)

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平成二十三年三月九日(水曜日)

    午後五時十分開議

 出席委員

   委員長 石田 勝之君

   理事 泉  健太君 理事 大串 博志君

   理事 岸本 周平君 理事 古本伸一郎君

   理事 鷲尾英一郎君 理事 後藤田正純君

   理事 竹下  亘君 理事 竹内  譲君

      阿知波吉信君    網屋 信介君

      五十嵐文彦君    磯谷香代子君

      江端 貴子君    小野塚勝俊君

      岡田 康裕君    柿沼 正明君

      勝又恒一郎君    木内 孝胤君

      近藤 和也君    菅川  洋君

      橘  秀徳君    玉木雄一郎君

      豊田潤多郎君    中塚 一宏君

      中林美恵子君    松原  仁君

      三村 和也君    柳田 和己君

      吉田  泉君    和田 隆志君

      今津  寛君    加藤 勝信君

      竹本 直一君    西村 康稔君

      野田  毅君    村田 吉隆君

      山口 俊一君    山本 幸三君

      斉藤 鉄夫君    佐々木憲昭君

    …………………………………

   財務大臣         野田 佳彦君

   国務大臣

   (金融担当)       自見庄三郎君

   内閣府副大臣       平野 達男君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   経済産業副大臣      池田 元久君

   環境副大臣        近藤 昭一君

   内閣府大臣政務官     園田 康博君

   内閣府大臣政務官     和田 隆志君

   総務大臣政務官      逢坂 誠二君

   財務大臣政務官      吉田  泉君

   政府参考人

   (内閣法制局第二部長)  近藤 正春君

   参考人

   (日本銀行副総裁)    山口 広秀君

   財務金融委員会専門員   北村 治則君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月九日

 辞任         補欠選任

  小山 展弘君     橘  秀徳君

  近藤 和也君     磯谷香代子君

  徳田  毅君     西村 康稔君

  茂木 敏充君     加藤 勝信君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     近藤 和也君

  橘  秀徳君     阿知波吉信君

  加藤 勝信君     茂木 敏充君

  西村 康稔君     徳田  毅君

同日

 辞任         補欠選任

  阿知波吉信君     小山 展弘君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 平成二十三年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案(内閣提出第一号)

 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)


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     ――――◇―――――

石田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、平成二十三年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、参考人として日本銀行副総裁山口広秀君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣法制局第二部長近藤正春君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西村康稔君。

西村(康)委員 自民党の西村康稔でございます。

 この時期、つまり、予算が衆議院を通過した後に同じく衆議院で税制を議論する、非常に残念な思いでありますけれども、きょうはせっかくお時間をいただきましたので、経済政策、経済を成長させる税制なのかどうか、どういう政策が経済を成長させるのか、雇用をふやしていくのか、その視点から幾つか御質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 最初に、野田大臣にお伺いします。

 来年度の経済成長をどう見通しておられますか。成長率をお答えください。

野田国務大臣 政府としては、内閣府が経済の見通し、実質経済成長率一・五%という、いわゆる予想というか見込みを立てています。

西村(康)委員 それは実質ですか、名目ですか。

野田国務大臣 実質でございます。

西村(康)委員 法人税収の見通しは幾らですか。

野田国務大臣 これからのそういう動向を踏まえての税収の判断をするというふうに思います。

西村(康)委員 予算上、法人税収は立ててあるはずですけれども、幾らですか。

野田国務大臣 全体で四十一兆弱の税収の見込みの中、法人税はたしか九兆円台だったかというふうに思います。

西村(康)委員 正確に。予算は通過しているんです、衆議院を。予算の責任者でありますから。

 今回、税制の議論をさせていただいているんです。法人税収の見通しは幾らですか。

野田国務大臣 七兆七千九百二十億円でございます。

西村(康)委員 二兆円も違うんですよ、二兆円も。こんな感覚で審議ができますか。予算審議を経て税制の審議をやっているんですよ。それは当然の数字じゃないですか。

 もう一点、お伺いします。

 過去の法人税収の最高額は幾らでしょうか。

野田国務大臣 過去の最高額は、たどっていくと、平成元年のころになります。十九兆円ですね。

西村(康)委員 そうであります。今お答えされたとおりでありまして、平成元年前後は十八兆、十九兆あったわけですけれども、今七兆、来年度は七兆八千億、七・八兆ぐらいを見込んでおられるということでありますから、やはり税収がふえるための政策を打つ、これが第一に考えられてしかるべきだというふうに思います。

 もちろん、今回、後で議論しますけれども、石油石炭税の増税を初めとして幾つか増税も入っておりますけれども、税収がふえるための政策、税制、これをぜひ議論させていただきたいと思います。

 それでは、日銀に来ていただいておりますので、景気の見通し、物価動向についてお伺いをしたいと思います。

 中東情勢が急変をし激動する中、原油価格が値上がりをする。あるいは異常気象、あるいはアメリカの金融緩和もあるのかもしれません、食料品など上昇している。国際的な商品市況が上がっているわけでありますけれども、この国際的な商品市況の上昇が日本の物価にどういう影響を与えると見ておられるか、お聞かせいただけますか。

山口参考人 お答えいたします。

 先生御承知のとおり、国際商品市況につきましては、二〇〇九年の初め以降、上昇基調を続けております。特に昨年の秋以降、食料品などを中心にして上昇テンポを速めてきているということであります。一部の非鉄金属ですとか穀物の中には、過去のピークであります二〇〇八年の夏ごろの水準、あるいはそれを上回る水準にまで上昇してきているということであります。

 私ども、日本経済へのこうした国際商品市況の影響というものを考える場合には、この国際商品市況の上昇が何によってもたらされているか、ここを見きわめる必要があるわけでありますが、現在までの国際商品市況の上昇については幾つかの要素があると思っております。

 一つは、新興国経済の高成長という実需面の要因、これが大きな要素としてございます。それからもう一つは、御承知のとおり、世界各地で天候不順あるいは自然災害などが起きておりまして、この面からくる供給要因、こういうものもきいておるはずであります。それからもう一点は、先進国の大規模な金融緩和の継続が金融面の動きとなって、商品市場に資金が流れ込み、それが商品市況を高めているというような要因もあろうかと思っております。もちろん、最近では中近東あるいは北アフリカの政治情勢なども、地政学リスクとなって、市況上昇要因としてきいているという面もあろうかと思います。

 いずれにしても、今回の国際商品市況の上昇については、いろいろな要素が絡み合った上で発生しているものだというふうに思っております。

 それでは、こうした国際商品市況の上昇というものが日本経済にどのようなインパクトを与えるかということでありますが、それはまさに、今申し上げた、それぞれの要素というのがどのような形で我が国経済に影響を及ぼしているか、このあたりを見きわめるということになるわけであります。

 まず、先ほど新興国の実需が商品市況の上昇につながっているということを申し上げましたが、こうしたことからすると、新興国が高い成長を続けているということになりますので、私ども日本からそうした国々に向けての輸出がふえる、あるいは投資収益がふえるという形で、プラスの効果が想定されます。その一方で、国際商品市況の上昇というのは、当然のことながら日本の交易条件の悪化というものを招くわけでありまして、これによる実質所得の低下というのが起きます。これは、日本経済に対するマイナスのインパクトとなってあらわれるということであります。

 したがって、景気という面で考えると、今申し上げたようなプラスとマイナス両方をよく見きわめておく必要があるということであります。

 それから、昨今の為替相場、特に円高方向で推移している為替相場というのは、むしろ国際商品市況のインパクトというのを弱める方向であらわれるはずだと思っております。

 こうした要素というのが最終的には物価面にどう響いてくるかということでありますが、輸入物価の上昇という形で市況の上昇があらわれるわけでありますが、これが国内物価に今後どのような形で波及するか。

 これは、基本的には国内の物価に対するプラス要素、上振れ要因となってあらわれる可能性が高いと思っております。一方で、先ほど申し上げたように、景気に対するマイナスインパクトということをもたらすとすれば、これは物価の押し下げ要素として働く。

 いずれにしても、物価面においてもプラスとマイナスの要素を両方見きわめて、これから見ていく必要がある、かように思っておるところであります。

西村(康)委員 どっちに働くかよくわからない答えであります。まあ、いろいろ分析しなきゃいけないんですが。

 今の分析の中で、実質成長率一・五%で予算を立てておられますけれども、これは実現可能ですか、どうですか。

山口参考人 私ども一月に、経済見通しといいますか、年に二回、四月と十月に出しております展望レポートについて、中間の見直しを行いました。

 そこにおきましては、十一年度以降、日本経済が緩やかな回復過程をたどるだろうというような見通しを出しておりまして、その中で、あくまでも参考の数字でありますが、私どもも一・六%の実質成長を達成するのではないかというような見通しをつくっておるところであります。

 そうした数字でありますので、政府の見通しと基本的には一致している、かように思っておるところでございます。

西村(康)委員 確かに、総裁も一月の講演で、踊り場から脱却する蓋然性が高まってきたと。あるいは二月の記者会見ですか、改善テンポの鈍化した状態から徐々に脱しつつあるということ、そして今おっしゃったように、緩やかに回復していくということを見通しておられます。

 他方、物価が上がってきて、ヨーロッパ初め、あるいは新興国もそうですけれども、金融緩和策の修正、出口を探す動きが出てきていると思うんですけれども、日銀として、日本のこの経済状況の中で、まさか金融緩和の修正、出口を考えておられないでしょうね。そのことを確認したいと思います。

山口参考人 お答えいたします。

 私どもの物価に対する見方、特に消費者物価の先行きについての見方ということでありますが、これまで前年比の下落幅が縮小してきているということでありますが、こうした下落幅の縮小というのが先行きも続くだろうというふうに思っております。

 ただ、一方で、こうした物価についても、見通しをめぐる不確定要素、リスク要因というのはあろうかと思っています。一つは、これは先ほど申し上げたことでありますが、国際商品市況の上昇に伴って、我が国の物価の上振れという可能性もありますが、一方で、これだけ長きにわたってデフレ的な状況が続いてくる中で、経済主体の物価に対する見方、物価観というのが下振れるリスクもあろうかと思っております。

 したがって、こうした上振れと下振れの両方を見ながら、しっかりと景気の展開、物価の展開を見きわめていくべき局面というふうに思っておりまして、私どもはかねて、金融政策につきましては、物価の安定が展望できる、そうした状況になったと判断できるまで実質ゼロ金利を続けるという約束をしております。この約束を私どもとしては継続するということが、今の私どもの立場でございます。

西村(康)委員 確認ですけれども、金融緩和政策、修正は、今の時点ではないということでよろしいですか。

山口参考人 金融政策については、先生御承知のとおり、私どもの金融政策決定会合において決めるものであります。月に一遍ないし二遍、金融政策決定会合を開いておるわけでありますが、そこの中で世界経済あるいは日本経済の状況について十分検討を行った上で決めるということが基本原則であります。したがって、今この段階で先生に、当面の金融政策について、かくあるということをお答えすることは難しいです。

 ただし、先ほど申し上げましたように、私どもとしては、物価の安定が展望できると判断するまで実質ゼロ金利政策を続けるという約束をしっかり行っておるわけでありますから、それを前提にお考えいただければというふうに思います。

西村(康)委員 私なりに解釈をしますと、まだデフレの状況を脱却していない、緩やかに回復過程にはあるけれども、まだ金融緩和をやめる段階ではないというふうに理解をさせていただきます。

 その上で、今の経済認識の上で、今年度、二十三年度以降、どういうふうに成長をして税収をふやしていくのか、あるいは雇用を維持拡大していくのかという点について議論をさせていただきたいと思います。

 まず法人税引き下げについてでありますけれども、今回五%引き下げということを打ち出され、これは予算委員会でも質問させていただきましたし、実現をされました。しかし他方で、その財源を、法人課税の減免、さまざまな研究開発なり償却制度なり、この見直しから財源を捻出したということでありまして、二十三年度の法人課税のネットの減税額は幾らになりますか。

野田国務大臣 委員御指摘のとおり、このたび法人実効税率五%引き下げ、一方で課税ベースの拡大を行うということもあわせてやりましたけれども、ネットでいいますと、法人課税全体で、これは平年度ベースになりますが、七千七百五十八億円という減税となります。

西村(康)委員 今、平年度ベースとおっしゃいました。二十三年度の減税額はネットでお幾らですか。

野田国務大臣 二十三年度については四千二百八十四億円減税となります。

西村(康)委員 つまり、二十三年度、五%下げると言っておきながら、それは来年の三月の決算から始まるんだと思います、そこで誤差があるんだと思いますけれども、本年度、二十三年度は実は約四千三百億円の減税でしかないということであります。

 これは法人税でいいますと何%に相当する数字でしょうか。

野田国務大臣 ざくっと二%かなと。

西村(康)委員 財務省で出されている資料でありますけれども、一応この算定する数字では、基本税率一%下げで減収幅が三千億円ということで見積もっておられるようでありますので、したがって、四千三百億というのは一・数%の下げということであります。二%もいっていないわけであります。つまり、五%下げと大見えを切られてやられましたけれども、結局、二十三年度はわずか一%ちょっとの減税しかないということであります。

 これは、我々も法人税下げを主張してきましたけれども、研究開発の減税を圧縮したり償却制度も見直したりということで企業にその財源を出させた結果、結局わずか一%ほどの減税にしかならないということであります。

 御案内のとおり、今、日本の企業の一番のライバルは韓国であります。これも予算委員会で議論させていただきました。法人税率が二四%。さらに、投資や研究開発の税額控除も日本の十倍にもなる、そういう分析もなされております。先週か先々週かの日経ビジネスに割と詳しく書かれておりました。

 他方、アメリカも法人税を引き下げ、かつ投資についても一括償却、即時償却をやるということも方向性を出しています。イギリスも二〇一四年までに二四%に法人税率を下げる。

 つまり、こういう動きを見ておりますと、法人税下げと、投資あるいは研究開発の減税、両方やらないと、なかなか企業はもう国内に立地をしてくれないということであります。法人税を形だけ五%下げても、投資や研究開発の減税分をとってしまうと、結局一%ほどの減税でしかなく、どうやって国内に企業は立地をするのか。

 資料をお配りさせていただいております。

 一枚目は新聞記事でありますけれども、シャープの会長、町田会長の言葉が新聞に出ておりました。ことしの一月下旬であります。ここにありますとおり、海外進出をやる限りは、日本の国内は五分の一でしかないと。ここにありますように、負担の重い法人税、貿易自由化等々、雇用は維持できない。

 さらには、下のところに、これは製薬メーカーの社長、副会頭が、国内に雇用を残すなら国際競争力のある分野しかないが、研究開発減税を減らされると研究もアメリカでということになるというふうに言われています。

 二枚目の資料、財務省の法人企業統計を見ていただきますと、二〇〇八年、二〇〇九年、二〇一〇年の資料、二〇一〇年はついこの間発表されたんだと思いますが、いわゆる設備投資、これは、有形無形ありますけれども固定資産取得額を合計しますと、二〇〇八年は五十兆円もの投資があった。ところが、政権交代後、二〇〇九年、二〇一〇年、三十九兆、三十八兆と、国内投資は物すごく減っております。

 他方で、手元資金を積み上げていっている。そこにあるとおり、百六十二兆、百六十九兆。

 御案内のとおり、今、新卒の大学生がなかなか就職をできないという中で、製造業の雇用者数は一千七十四万人から九百七十九万人、百万人ぐらい雇用を減らしているわけであります。

 これが全部民主党さんのせい、政権交代のせいとは申し上げませんけれども、しかし明らかに、後ほどまた議論したいと思いますけれども、CO2の二五%削減あるいは円高、デフレ対策、あるいはさまざまなアンチビジネスの政策がこれを促していることは間違いがないと思います。

 財務大臣、もう一度、税制、投資の減税、研究開発の減税をもとに戻す、あるいはもっと深掘りをしていく、このおつもりはないですか。この数字を見て、いかがですか。

野田国務大臣 まず、この資料の数字ですが、二〇〇九年、平成二十一年は、まさに自公政権から私どもが政権をかわった年でございますので、ここの数字で私どもが責任と言われても、これは困ります。

 加えて、設備投資だけで見ると、あるいは雇用だけ見るとこういう数字でありますけれども、平成二十二年の日本の経済成長率は三・九%と、これはG7の中では一番高い数字になっていますので、いろいろな角度からその評価はしていただきたいというふうに思います。

 その中で、研究開発税制の見直しなんですが、これは研究開発税制を最大限利用している企業においても、今般の法人税率の引き下げによって実質的には税負担は軽減をされるという形になります。

 しかも、今回の見直し部分というのは、いわゆるリーマン・ショックの後に法人税が大きく落ち込んだ後、異例の措置として税額控除の上限額を引き上げたもので、異例の措置の部分を外すだけでございまして、これは期限が三月三十一日に切れるという部分、それを外すということで、研究開発税制の根幹部分、基幹部分は恒久的な措置として残っておりますので、私たちは、このネット減税によってむしろプラスの効果の方が大きいというふうに考えています。

西村(康)委員 国際競争をしているのは製造業なんですね。サービス業は基本的には国内を対象にやっていますから、それほど国際競争にさらされているわけではありません。

 法人税五%、我々はもちろん全体として下げることも主張しておりますから、我々は両方やるという主張でありますけれども、法人税を全体として下げて、これはサービス業まで広く薄く下げて、しかし一番肝心の、競争をしている製造業のところの投資減税や研究開発の減税を減らす。確かにネットでは多少のプラスはあるかもしれません。しかし、全体の政策としては、競争をしている製造業に、より、国内に立地をしていても競争ができる環境をつくっていく、そして雇用を国内で維持していくという政策が大事なんじゃないですか。

 サービス業まで広く薄く下げて、そして製造業の部分のメリットを減らす、これは国際競争をしている製造業の競争力をそぐことになると思うんですが、いかがですか。

野田国務大臣 先ほど申し上げたとおり、研究開発の税制で最大限それを利用している、そういう法人においても、今回は法人税率の引き下げによって実質的には減税ということでございますので、私はその影響は少ないと思います。

西村(康)委員 これは考え方が違うのかもしれませんが。

 例えば子ども手当、今議論になっていますけれども、所得制限を入れて、一定の所得、ある以上の層は制限をする。もちろん子育ては大事ですから、我々も、所得の低い人たち、一生懸命頑張っている人たちには支援をしたい気持ちは、児童手当をやっておりましたし、あります。しかし、子ども手当、仮に所得制限を入れて数千億の財源が出れば、ばらまくよりかは、投資減税なり、国内に立地してもらうための減税財源として使った方がいいんじゃないですか。どうですか。

野田国務大臣 子ども手当については、これは私どもはそれなりの政策目的がある。子供の育ちを社会全体で支えるという理念のもとでとっている措置でございます。

 そのことと、この法人減税の財源の話と比較すること自体が、それぞれ政策目的が違うと思いますし、子ども手当についても、それは税制改正とそして歳出削減によって恒久的な財源を確保しながらやっておりますので、その比較の対象には当てはまらないと思います。

西村(康)委員 子ども手当について当初、もちろん社会全体で育てるということ、これは我々は意味がよくわからないということをいろいろな、厚労委員会を初めやっていますけれども、他方、内需を振興するために配れば、家計を支援すれば景気はよくなる、税収がふえる、こういう説明をしておられたと思いますが、いかがですか。

野田国務大臣 子ども手当の話は、単なる経済政策として説明してきたとは思いません。子供の育ちを社会全体で支えていく、そういう理念のもとでの政策措置であります。

 その結果、例えば少子化対策に効果があるとか、あるいは直接家計にお金が入るわけですからその分経済効果があるという付随的な説明はしていると思いますが、主たる目的は違います。

西村(康)委員 これももう何度も議論して、全く考え方が違いますので。

 我々は、子ども手当を児童手当に戻して、一定の所得の低い人たちにはプラスアルファの何らかの支援はするとして、そういうばらまきの政策ではなくて、むしろ企業が国内にしっかり立地をしてくれて雇用がふえる、それで税収もふえていく、自分たちが仕事を持って、子供たちも育っていける、そういう環境をつくるという政策を、今回、予算の組み替えで出させていただきましたので、ぜひもう一度、我々の組み替え案を真剣に御議論いただければというふうに思います。

 次に、一般の投資減税、償却税制なり研究開発減税については今こういう御議論をさせていただきましたが、特区について議論をさせていただきたいと思います。

 沖縄に既に、特区制度、軽減税率の制度があります。この沖縄の特区の軽減税率と利用状況、どれだけの企業が利用しているか、お伺いしたいと思います。

園田大臣政務官 西村委員にお答えを申し上げます。

 現行の沖縄振興特別措置法におきましては、全部で七つのまず地域と特区制度がございます。一点目は、観光関連施設の集積を目的といたしました観光振興地域、そして二点目が、情報通信産業の育成を目的といたしました情報通信産業振興地域及び情報通信産業特区でございます。それから三点目でございますが、製造業等の集積と高度化を目的といたしました産業高度化地域、四点目が、産業及び貿易の振興を目的といたしました自由貿易地域及び特別自由貿易地域、そして、金融関連産業の集積と雇用の創出を目的といたしました金融業務特別地区ということで、七つのまず特区がございます。

 二点目の、特区制度の税制特例につきましてでございますが、法人税等に係る軽減措置が設けられておりまして、特区に立地する企業は、法人税の所得控除、これは課税所得の三五%を十年間損金算入でございます。そして、投資税額控除などの優遇措置を受けるということができるようになっております。

 また、これらの制度によりまして、観光客の増加であるとかあるいは情報通信産業の立地の増加、こういったものが一定程度、効果が認められているというふうに認識をさせていただいています。

西村(康)委員 この軽減税率は何社が利用していますか。

園田大臣政務官 これでいきますと、施行された十四年度以来、情報通信産業につきましては約二百社の立地と二万人の雇用がありまして、特別自由貿易地域においては二十六社の立地と四百四十人の雇用創出、また金融機関については十四社という形になっております。

西村(康)委員 正確にお答えいただきたいんですけれども、この軽減税率を使っている企業は何社ありますか。

園田大臣政務官 この優遇措置につきまして、適用実績については、平成二十年度で三社でございます。

西村(康)委員 そうなんです。我々のときにもこの制度を使っていましたので、これは何も民主党のせいだけじゃありませんけれども、特区で軽減税率といいながら、たった三社しか使っていないんですよね。

 それで、今回の特区制度も同じ仕組みを入れているんです。三枚目の資料を見ていただきますと、総合特別区域法の第二十七条に、「専ら」国際戦略総合特区内において云々云々、二行目にあります、第二項第二号ロに掲げる事業を実施する法人ということで、専らこの区域内に事業を実施する法人と。

 この「専ら」という意味について、きょうは法制局に来ていただいていますので、どういうふうに解釈をしていいのか、お伺いしたいと思います。

近藤政府参考人 お答えいたします。

 今御質問ございました総合特別区域法案の二十七条一項の適用でございますけれども、この関係につきましては、法案を担当いたしました内閣官房の事務局よりも、この課税の特例の適用対象となる法人につきましては、今御指摘のとおり、特区内においてその事業を行う法人のみに限定をするんだという趣旨の御説明がございまして、今御質問ございましたような沖縄振興特別措置法におけます規定例がございまして、それと同様の形で規定をしていくということで、この条文を書いたところでございます。

 したがいまして、例えば総合特区外にもその事業をやっているというような企業があります場合には、この課税の特例の対象にはならないという理解で規定をしてございます。

西村(康)委員 もう一点お聞きしますけれども、この国際戦略総合特別区域、こちらの国際特区は何カ所ぐらいを想定しておられますか。

逢坂大臣政務官 お答えいたします。

 今御指摘の総合特区でございますけれども、現在法案を提出し、御審議をこれからいただこうとするものでございますけれども、国際戦略特区と地域活性化特区を合わせまして、百数十程度を今のところ予定はしてございます。予算積算上は予定してございますが、それはこれから、地域の方からさまざま提案があったものを踏まえまして判断されていくものというふうに認識をいたしております。

西村(康)委員 事前にいろいろ説明を伺いますと、国際特区は数カ所程度じゃないかということで伺っておりますが、それはともかくとして、つまり、国際特区として指定をしても、専らそこでしか事業をしちゃいけない、そういう企業しか減税がない。これは沖縄の例を引いておられるということですけれども、鳴り物入りでこの特区で活性化していこうということでありますし、これは、我々もできなかったことを、政権交代されたんですから、ぜひやっていただきたい。

 この「専ら」というのをもう少し、これはまた法案審議の中で我々もやりたいと思いますけれども、海外の企業が来ても、専らそこでしか仕事ができない。この「専ら」という文言を削除したらいかがですか。

逢坂大臣政務官 西村先生御指摘のところ、非常にここは議論になるところでございます。我々もそのことを随分議論いたしました。

 今回、この「専ら」ということに判断をいたしましたのは、やはりその特区内、その地域内での事業収益と、その外の事業収益との区分けが簡単になかなかできないのではないかというような議論もありまして、今回、この「専ら」というものを入れさせていただいたわけであります。

 それから、先ほど西村委員から話のありました、海外から来た企業という話がございましたけれども、そうした点につきましては、例えばアジア拠点化推進税制というものもございますけれども、そういったものとの組み合わせで、また幾つかのバリエーションというものは考えていけるのではないかというふうにも思っているところであります。

西村(康)委員 まさに今、アジア拠点化法案というのが別途経産省から提出をされておりまして、この関係もよくわからない。つまり、外資系企業が、例えば日本に立地をしようと思ったときに、この二つの法律を利用しよう、国際特区に立地をしよう、そこの規制緩和なんかも利用しよう、税制も使おう。他方、アジア拠点のいろいろなメリットも使おうというときに、この外資系の企業は両方の手続をとらなきゃいけない。

 この二つの法律、調整して出し直すべきじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。

逢坂大臣政務官 この点につきましては、我々も経産省の皆さんとも調整をいたしまして、実際の事業の実施に当たっては、個別の事業の実施に当たっては、総合的な対応ができるというようなことに工夫をしてまいりたいというふうに思っております。

西村(康)委員 さっきの「専ら」という点、それから、この二つの法律の活用の仕方の点、これを含めて、我々は対案をぜひ出したいと思いますので、また議論をさせていただきますが、より深掘りをした減税措置のもとに海外の企業あるいは国内の企業が立地できる制度を、我々として対案を出したいと思いますので、今検討しておりますが、ぜひまたこれは議論をさせていただきたいと思います。

 あわせて、指摘だけさせていただきます。「専ら」というのは使えない特区制度になっているということと、それから今の二つの法案、整理ができていないという点を指摘させていただきます。

 その上で、もう一つ、このアジア拠点化法案と一緒に、経済成長、再編を進めるという意味で提出をされている産活法、これは最後のページに資料がありますけれども、産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法改正法案ということで、ここで、再編を促し成長を促していくというための融資制度が提案をされています。

 この制度について御質問いたしますが、国から財投で日本政策金融公庫に一千億、そして民間の金融機関を通じて、ツーステップで、再編を行う企業に融資をする、この貸し付けの金利は幾らですか。

池田副大臣 答弁いたします。

 この産活法改正案における二段階融資の金利は、まず、財投資金を使いまして、第一段階の融資は財投金利でありますので、十年以内が〇・八から一・〇%、十五年以内が一・二%から一・三%と承知しております。

西村(康)委員 つまり、一千億円の全体の枠で、〇・八%から一%で民間金融機関、民間金融機関は、多分それに多少上乗せして貸すことになると思いますけれども、これから再編をして成長する企業に貸す、こういう理解でいいですか。

池田副大臣 そのとおりだと思います。

西村(康)委員 日銀の副総裁にまだいていただいております。

 日銀が成長分野に融資をする、この制度について、概要を御説明いただいていいですか。

山口参考人 お答えいたします。

 まず最初にお断り申し上げておきたい点は、私ども、直接企業に対してお金を貸すということではなくて、金融機関に対して資金を供給している、そういう制度でございます。

 私ども、実はこの資金供給を昨年の九月からスタートさせまして、今まで既に三回実施してきております。直近の、三月初めに実施した部分が、金額としては七千二百億余りということであります。累計にいたしますと、総枠で私ども三兆円というふうに決めておりますが、そのうちの二兆円強の貸し付けを実施しているという状況でございます。

 若干、現時点での評価のようなことまで申し上げさせていただいてよろしいでしょうか。(西村(康)委員「ちょっと待ってください」と呼ぶ)はい。

西村(康)委員 正確な、わかっておられる範囲で最新時点での、その三兆円の枠のうち幾ら使われているかという点と、金利は幾らか、教えていただけますか。

山口参考人 全体の累計金額は、二兆一千五百億程度であります。

 それから金利の方でありますが、これは私どもが金融機関に対して貸し付ける金利という意味では、足元は〇・一%ということでございます。

 ただし、一年間を三回までロールオーバーができるようになっておりますので、今後、金利がどうなるかわかりませんので、その時点時点での政策金利を反映して変わり得るものということでありますが、現時点では、私どもの貸付金利は〇・一ということでございます。

西村(康)委員 つまり、日銀は、民間の金融機関に、もう既に去年の秋から二兆円を超える金額で、成長分野に融資を〇・一%でやっている。ところが、今回新たに提案された産活法での制度は、わずか一千億円の範囲で、しかも金利は〇・八%で民間金融機関に貸す。この制度、だれが一体使うんですか。

池田副大臣 この融資の仕組みがそれぞれ、対象といいますか、中身が違いますので、御理解をいただきたい。

 日銀の成長基盤強化融資というのは、貸付期間が原則一年で、三回まで借りかえ可能。それから、産活法のツーステップローンは、五年以上の長期資金を政策金融公庫経由で民間金融機関に貸し付ける制度でございます。

 日銀の制度を活用した民間金融機関の貸付金利は、基本的に各金融機関において独自に設定をする。他方、産活法の二段階融資においては、主務大臣が認可する業務規程において、一般の金融情勢に応じ、公庫からの資金調達の費用、信用補完措置等を勘案し利率を定める、そういうことを想定しております。

 したがいまして、この融資の仕方、期間等は異なるものと思います。

西村(康)委員 日銀の融資であっても最長四年は使えるわけでありますし、こういう再編をし成長していく分野にも金融機関から融資をされる、そう理解していいですか。

山口参考人 それはそのとおり御理解いただいてと思います。

 ただ、一点つけ加えておきますと、私どもが〇・一%で金融機関に貸し付け、金融機関自身が企業に貸し出しをする場合には、それに金利の上乗せを行って貸し出しをしているということでございます。

西村(康)委員 つまり、二兆円以上、低利で、一定程度の成長分野あるいは再編を行っていく、そういう分野の企業に、供給がもうこれだけなされている。それにもかかわらず、また新たに、まあわずか一千億の枠でありますし、金利は〇・八から一がベースで、プラスアルファは民間金融機関が足すということでありまして、これはわざわざ予算関連にするためにひっつけたんじゃないか、この制度を入れたんじゃないかというふうに思われますけれども、いかがですか。

池田副大臣 私は、そういう意図はないと思います。

 先ほどから申し上げているとおり、融資の期間それから形ですね、日銀の〇・一%も、結局、日銀が民間金融機関へ貸し付けるわけですから、基本的には各金融機関において独自に設定するわけでありまして、その貸付金利が、片方が〇・一で片方が〇・八ということはならないわけでございます、最終的に。

 そして日銀は、この現下の状況に対して緊急的に金融政策決定会合でこれを打ち出したわけでございまして、我々としては、この両々相まって現下の情勢に対処できると理解しております。

西村(康)委員 日銀のこの資金は、もちろん成長分野に、今の状況を見て日銀が、いわば非伝統的な政策としてやられている。しかし、このことも活用しながら、民間の金融機関は金融機関で、彼らなりにいろいろな知恵を出して融資をしていくんだと思いますので、この議論は、経産委員会なり、ほかのところでまた議論させていただければと思います。

 ちょっと時間がなくなってきましたので、石油石炭税の増税について議論をさせていただければと思います。

 今回、この増税は何のための増税ですか。

池田副大臣 お答えをいたします。

 昨年六月閣議決定をいたしましたエネルギー基本計画では、温室効果ガスの約九割を占めるエネルギー起源CO2を二〇三〇年に九〇年比三〇%程度削減することを見込んでおります。このための対策を中長期的に抜本強化するために、その財源確保のため、地球温暖化対策のための税を導入し、エネルギー起源CO2排出抑制対策に充当することにしたものでございます。

 具体的には、エネルギー基本計画を実現するため、税収を、省エネルギー、新エネルギー設備の導入支援や技術開発等を抜本的に強化するための予算に充てることにしておりまして、これにより、いわゆるグリーンイノベーションによる成長も図っていきたいと考えております。

西村(康)委員 税収の使途を拡大するための増税ですか、それともCO2排出を抑制するための増税ですか。

池田副大臣 委員御指摘の後者だと思います。

西村(康)委員 CO2抑制のための増税ということですか。もう一度。

池田副大臣 地球温暖化対策のための税でありまして、エネルギー起源CO2排出抑制対策に充当する、こういうことでやるわけです。

西村(康)委員 いや、ちょっとよくわからないんですけれども。

 税収をそういう対策に使うための増税なのか、あるいは、税率を上げることによって、つまり石油や石炭の値段が上がりますから、それによってCO2が抑制されるという抑制効果をねらったものなのか、どちらですか。

池田副大臣 今、後半のことだけ言いましたが、まずCO2を削減する、そして、その対策に充当するということでございます。

西村(康)委員 よくわからないんですけれども。

 このぐらいの税額の上昇であれば、ほとんど抑制効果はありません、石油や石炭を使う量が減るわけはありませんので。

 CO2、つまりエネルギー使用を抑えるための増税ではないということでいいですね。むしろ、税収をいろいろな事業に使うための増税だというふうに理解していいですか。

池田副大臣 西村委員も素直に受けとめていただきたいと思います。

 この税は、税というか地球温暖化対策のための税のみならず、いろいろな手段、規制、金融などのさまざまな政策手段によって実現していくものであります。

 税による直接的効果を算出することは困難でありますが、そうしたさまざまな政策手段を講じていくことによって、このエネルギー基本計画にある、二〇三〇年にCO2排出の三〇%程度の削減を見込んでいるということでございます。

西村(康)委員 この増税によってエネルギーの使用量は減ると見込まれていますか。質問をかえます。

池田副大臣 これはいろいろな試算がございまして、価格効果のみに着目した試算によれば、二〇二〇年に九〇年比約マイナス〇・二%。あるいは、省エネ対策に財源を投入するということを含めた効果を見ると、中央環境審議会の小委員会では、二〇二〇年に九〇年比約マイナス一%の効果があると試算をしております。

西村(康)委員 ほとんど効果がないということです、価格効果は。それだけ言ってもらえればいいんですけれども。

 本年、二十三年度の増税額は幾らですか。

野田国務大臣 二十三年度における地球温暖化対策のための税の増収分は三百五十七億円でございます。

西村(康)委員 つまり、二十三年度でいえば、価格が上がったことによってエネルギー使用量を減らすということよりかは、その三百五十七億、約三百五十億を使いたい、そのための増税だということで理解していいですか、野田大臣。

野田国務大臣 これは三段階で引き上げていって、平成二十七年度以降には、増収分、たしか二千四百億円台に乗ると思います。いきなり上げていくのではこれはいろいろ影響があるので、段階的に引き上げよう、そういう趣旨でございます。

西村(康)委員 今度は正確に数字をお答えいただきました。

 段階的に二千四百億まで増税をするんですが、二十三年度は三百五十億の増税。それを、先ほど池田副大臣が言われたとおり、いろいろな事業に使っていく、それによってCO2削減を図るということでありますが、実は、その使う中身を見ると、民主党内でさまざま、事業仕分けで廃止すべき、あるいは圧縮すべきという事業に、たくさん使われているわけであります。

 事業仕分けの担当もおられますし、環境省、経産省それぞれおられますので、幾つかお聞きをしたいと思います。

 例えば、これは環境省の事業ですか、省エネ自然冷媒冷凍等装置導入促進事業三億三千万円、これは経産省のエネルギー使用合理化事業者支援補助金で対応できるんじゃないかという指摘を受けていますし、温泉エネルギー活用事業、これも、削減すべきと言われながら予算がそのままついております。また、先進的次世代車普及促進事業、これも、金額はわずか一億八千万ですけれども、まだ研究段階で一千万円以上する車を入れる、それに一億八千万、何台入れるのかわかりませんけれども。

 基本的に、皆さん方の与党の事業仕分けでもこういう事業は意味がないと言われたものに、予算を入れている。

 事業仕分け担当の園田さん、いかがですか、こういう予算が復活していることについて、どう考えますか。

園田大臣政務官 ありがとうございます。

 委員の御指摘に関しましてですけれども、私どもは、まず、事業仕分け第一弾、第二弾、第三弾というふうにさせていただきました。特別会計仕分けにおいては、住宅用の太陽光発電導入支援対策費補助金であるとか、あるいは再仕分けでは、バイオ燃料の導入であるとかという部分を行わせていただいたところでございます。

 仕分け結果が反映されていないのではないかということでございますけれども、私どもは、二十三年度の予算案においては、これらの仕分け結果が適切に反映されたものであるというふうに考えてはおります。

 そういう意味では、内容について、さまざまな事業を行う際の目的については、そこまでは私どもは、重要性については否定をしているものではなくて、手段の中で、効率性あるいは無駄な部分があるのかないのかというところの視点を持って指摘をさせていただいたということでございますので、そういう点では、事業そのものというよりも、その中身の施行状況について、無駄な部分というものを指摘させていただいたということでございます。

西村(康)委員 総論としてはそういうお答えでいいと思いますけれども、今回わざわざ増税をして三百五十億までふやした上で、さらに無駄な事業に、事業仕分けで無駄だと言われた事業に投入をしている。例えば、先ほど申し上げた先進的な次世代車についても、要求を見送るべきだ、八名の方が事業廃止と言って指摘をしている。こうした事業に引き続きお金を出しているわけであります。

 これは増税する必要があるんですか。皆さん方が事業仕分けで要らないと言った事業に、増税までして、またお金をつぎ込んでいるんですよ。いかがですか。

園田大臣政務官 私どもの指摘で半減という形にさせていただいたわけでございますけれども、それについての全体として予算を削ってきているということでございます。

 したがって、そういう意味においては私どもの指摘どおりの、評価結果と取りまとめを含めて適切に反映をしてもらったというふうに理解をしております。

西村(康)委員 いや、全然適切じゃないんですよ。全然適切じゃなくて、額は小さいですけれども、温泉エネルギーも、やめろと言われながら額を四億ぐらいふやしていますし、次世代のものも、もう見送るべきだと言われながら金額をふやしているし、あるいはさっき言った省エネの事業も、ほかの予算でできるという指摘を受けながらそのまま計上しているわけであります。

 民主党の主張は、この特別会計をしっかりと見直して二十兆円捻出するというのが皆さんの公約だったんじゃないんですか。それなのに、見直した内容を実行せずに、それをそのままにしておきながら増税をする、これはおかしいんじゃないですか。

園田大臣政務官 大変恐縮でございます。

 温泉エネルギーの活用加速化事業につきましては、先ほども申し上げましたけれども、予算要求のまず圧縮、半減をめどにというふうにさせていただきました。概算要求では九億円であったものを五億円まで削っております。

 あるいは、次世代車普及促進事業については、これも継続事業を除き見送り等という形にさせていただいておりますので、継続事業については三・六億円から半減の一・八億円ということで、私どもの指摘できちっと、予算の無駄遣いというものがここで反映をされているというふうに理解をさせていただいています。

西村(康)委員 今のは一例でありまして、これはたくさん、事業仕分けで廃止なり半減なり要求見送りなり、いろいろ言われていますけれども、幾つもあるんですね。

 しかも、環境省だけじゃなくて経産省も、例えば国内排出削減量認証制度活性化事業費補助金四十四億円、これは特会から増税によって新規で出されています。これはどういう仕組みですか。簡潔に答えてください。

池田副大臣 今回の石油石炭税の増収分は、名前は地球温暖化対策のための税という趣旨でありますので、排出抑制対策に充当しております。

 例えば、国内クレジット制度を活性化させる取り組み、大企業の資金や技術を活用して中小企業や家庭、農業等の低炭素投資を促進し、同時に排出削減も進めるものであります。

 具体的には、低炭素設備を導入した中小企業等に対し、CO2排出削減実績に応じた国内クレジットと引きかえに助成金を交付する。これにより、相対的に低炭素投資の余地が大きいにもかかわらず資金不足等により十分な投資が行われにくい状況にある中小企業の低炭素投資と、着実な排出削減を後押しすることにしております。

 引き続き、国内クレジット制度のさらなる活用を図り、温暖化対策を通じた中小企業の投資促進に努めてまいりたいと思います。

西村(康)委員 簡潔にお答えいただきたいと思いますが、中小企業がエネルギー使用量を減らしてCO2を減らしたことに対して補助を出すという制度ですね。

 しかし、そのクレジットは大企業に売るわけですよ。売れるわけです。束ねるために何かお金が要るとか、そんな説明を事前に受けましたけれども、買ってもそれを売るわけですから、結局お金は回るわけです。融資で十分対応できる制度であります。それにもかかわらず、四十四億円もの新規で、増税をして出す。

 これはもう指摘だけにしておきます。また経産委員会でもやりたいと思いますが、石油石炭税を増税して、まさに最初に申し上げたように、民主党の政策で、企業が国内から出ていこう、どんどん加速されているわけであります。

 少しでも国内に立地をしてもらって雇用をふやす。就職が厳しい。雇用をふやすために、できるだけ投資減税なり、先ほどの特区なり。

 特区も使えない。専らそこでしかできない特区、こんなものは使えないんです。これはぜひ取り除いてほしいと思いますし、今の石油石炭も、少しでも負担を下げて。

 無駄な事業に出すというのはおかしいです、そもそも特会を見直してやると言っていたわけですから。それをそのままに、無駄な事業をそのままにして増税をする、もうむちゃくちゃな政策だと思います。このことを指摘させていただきます。

 もう時間がありませんので、もう一点、環境副大臣、来ておられると思いますが、温暖化の基本法案、これは何度も過去も議論させていただきました。

 今の石油石炭税の増税も、やってもこのような無駄な事業に使う。さらには、排出量の取引についても、これは閣議決定、閣議了解、関係委員会で決定されているようでありますけれども、慎重に検討すると。

 こういう状況の変化がある中で、また、国際交渉の状況もなかなか進まない。温暖化基本法、修正をするか、もう一回出し直すかしないと議論できないんじゃないですか。いかがですか。

近藤副大臣 西村委員にお答えいたします。

 よく御存じだと思いますが、この温暖化対策基本法案、先ほどから出ておりますけれども、中長期目標の達成のため、基本原則、主要三施策を含む基本的施策を掲げ、その具体的な道筋を示す基本計画を策定するための法的な枠組みであります。我が国の温暖化対策の礎となるものであります。

 今御指摘もありましたように、我が党というか政府内でもいろいろと議論はさせていただいております。しかしながら、確実に法案を成立させ、また主要三施策を実施していくこと、そのことが地球の温暖化を防ぎ、国民の生活の安定に資していくもの、こういうふうに考えております。

西村(康)委員 もう時間が来ましたので終わりますが、主要三政策、排出権取引はもう慎重にやるということを決定されているわけでしょう。この条文の書きぶりとは違いますよ。このことだけ、きょうは指摘をさせていただきますが、ぜひまたいろいろなところで議論をさせていただきたいと思います。

 言っていることとやっていること、提出している法案の内容がむちゃくちゃだということを御指摘させていただき、済みません、きょう中小企業対策もやりたかったんですけれども、時間がなくなりました。自見大臣、申しわけなかったですけれども、ぜひ、今後ともまた議論させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

石田委員長 この際、ただいま西村君の質問につき、逢坂総務大臣政務官から発言を求められておりますので、これを許します。総務大臣政務官逢坂誠二君。

逢坂大臣政務官 委員長のお許しをいただきまして、私の先ほどの発言に一部間違いがございましたので、訂正させていただきます。

 総合戦略特区の予算積算上の数でございます。私、先ほど百五十程度と申し上げたかと思うんですが、約五十程度でございますので、訂正をさせていただきます。

 なお、国際戦略特区につきましては、税制改正大綱におきまして、国際戦略総合特別区域の指定数は少数に限定するものということで閣議決定させていただいております。あわせて御報告させていただきます。

石田委員長 次に、勝又恒一郎君。

勝又委員 民主党の勝又恒一郎でございます。

 きょうは、貴重な審議時間の中で質問の機会を与えていただき、まことにありがとうございます。そしてまた、個人的にも大変尊敬をする野田財務大臣にこうして質問の機会をいただいたということに、感謝を申し上げたいというふうに思います。

 政治主導ですから、余り細かい質問ではなくて、むしろ、政府あるいは大臣の財政に対する大きな考え方、あるいは国民へのメッセージ、そういうものがぜひ伝わるような質疑にさせていただきたいというふうに思っておりますので、法案の具体的なことに入る前に、少し財政の大きな話をお伺いしたいと思います。

 まず、大臣、今の日本の財政、だれが見ても大変厳しいという中で、財務大臣として御担当されて、大変な危機感をお持ちだと思います。現状、日本の財政の置かれている状況をどういうふうに率直に思われ、そして、ここまで日本の財政が崩れてきたその最大の原因というのは何だったというふうに今思われておられますか。

野田国務大臣 委員御指摘のとおり、今、国の財政状況は大変厳しい状況です。厳しい状況というのは、一つには、ストックベースで国と地方の長期債務残高が対GDP比で一八〇%を超えるという、主要先進国の中では最悪の水準です。加えて、その上で、それぞれ今国が財政健全化に向けて努力をされておりますけれども、日本の場合は、今回の予算もそうでありますけれども、税収よりも、いわゆる新たに国債を発行するという借金に依存をするという形です。

 これは平成二十一年度から現象としては起こっていますが、過去に、明治以来いろいろな財政の統計がありますけれども、日露戦争のときでも大恐慌のときでも経験していない、かつて経験したのは昭和二十一年という、まさに国民生活、産業がぼろぼろになったその状況と同じような状況が三年間にわたって今続いている、そういう状況でございます。

 その原因はいろいろありますけれども、税収といわゆる歳出との差が一番縮まっていたのが平成二年なんですね。税収の方は約六十兆円ありました。それが、だんだんずっと右肩下がりで、約三分の二ぐらいです。今、四十一兆円を見込んでいますけれども、大体三分の二ですね。一方で、歳出の方はずっと大体右肩上がりでふえ続けて、これはいろいろな要因があります。最初は経済対策で、公共事業、随分と使ったというのも前半はありました。後半はやはり高齢化、社会保障関係費がふえてきている。

 よくワニの口といいますけれども、まさにワニの口状況で、歳出は右肩上がり、歳入は三分の二に下がってきている。特に平成二十一年、まさにリーマン・ショックの後の影響がもろにあったので、ワニの口がぱかっとあいちゃった。それを今どうやって閉じていこうかという、そういう厳しい現状だということでございます。

勝又委員 私の師でもありますけれども大臣の師でもある松下幸之助さんが、今から三十二年前に無税国家論ということを言っておられます。いわゆる、国の予算も、きちっといいときに積み立てておけば、いつの日かその金利で相当部分の歳出を賄うことができる、簡単に言えばそういう概念であります。

 今のゼロ金利のようなことも想定しておらないでしょうし、この論が現実的か非現実的か、これはいろいろな意見があると思います。しかし一方で、私はこの無税国家論にはいろいろなヒントがあるのではなかろうかと思っております。

 大臣もそうした松下さんの財政論を研究、勉強された中で政治家になられて、今日、この松下さんの無税国家論をどのように評価され、また、この厳しい財政事情の中でどういう意義がこの議論にはあるというふうにお感じになっておられるか、伺いたいと思います。

野田国務大臣 松下さんの無税国家論というのは、まさに壮大な、ある種、私は思想だったと思うんです。それは、切り詰めながら切り詰めながら、無駄をなくしながら、今の世代は我慢して、一定程度のお金を使わずに残していって、積み立てて、積立金がたまったときに、まさにその金利で国を運営していこうという発想です。

 これは、ある意味、将来世代よりも自分たちの現役世代が頑張っていこうよということですよね。将来世代はもっと、ある種、安定した国家財政のもとで生きていかれるようにする。

 今、逆に、私どもの場合は、さっき、八百六十二兆円、二〇一〇年度末までに国と地方の長期の債務残高が膨れ上がると申し上げました。今さえよければいいという思いはないとしながらも、将来世代に大きな借金を残すということは、まさに真逆な発想になっていると思います。

 だからこそ、これだけ積もってしまった状況ですが、やはり財政健全化の道筋をきちっと定めて、そのルールに基づいて持続可能な財政をつくっていくということが私どもの大きな責任だというふうに思います。

勝又委員 まさしく私も同じような思いを持っています。この無税国家論というのは、いわゆる長期的な理想を掲げることによって財政に歯どめをきちっとかけるんだということが一つ教訓としてあるでしょうし、また、税金を幾らでもふやせると思えば、これはもう歳出も際限なくふやそうという、そういう膨張圧力が働く。それはある意味、税金はもうこれ以上取れないんだよというところを決めることによって、いろいろな知恵を出して歳出を工夫していくというような思想が私はこの中にあると思っています。

 そういう意味では、今日の厳しい財政状況の中で学ぶべき点があるんだというふうに思います。

 ここでちょっと話をかえて、一方で、最近はいわゆる減税というものを主要政策に掲げる政党が登場してきております。名前まで、政党名に入っているんですが、減税を主要政策に掲げるような政党、財政を担当する大臣から見て、率直にどんな感想、評価を持っておられるか、お伺いしたいと思います。

野田国務大臣 地域政党として、その地域の一つの争点としてそういうものを掲げられて戦われるということ自体は、それは政党のお考えですから、どうのこうのと言う立場ではございません。

 ただ、これが、国政レベルでこの政党が何らかの存在をしようということになった場合には、それは私どもはその考え方をよく検証しなければいけないと思いますし、さっき申し上げたように、まさにワニの口の状態で、歳出は伸び続けて歳入は減り続けるという中で、歳入と歳出の両方の改革が必要です。

 今回、法人税の引き下げとかをやります。減税によって効果があるというものはいいと思うんです。取捨選択。ただ、これは、財政健全化の道筋の中で整合的かどうかはよく見なければいけないと思いますけれども、安易な減税、これは国民には受けると思います。だけれども、今の国民は今の厳しい財政状況をよくわかっていると思うので、ポピュリズムは通用しないと思います。

 私もかつて、とある政党のときに、十八兆円減税という思い切った政策で選挙に出て、負けました。私の敗戦の経験はその唯一ですから、そこはきちっと胸に刻んでいかなければいけないと思います。

勝又委員 恐らく、キーワードは持続可能といいますかサステーナブルな財政、税制、こういうものを考えなきゃいかぬという御答弁の趣旨だというふうに理解をさせていただきたいというふうに思います。

 それでは、特例公債法案の問題から具体的にお伺いをしたいと思います。

 これは、私のようなまだ国会で経験が足りない者が言うまでもありませんけれども、この特例公債法案の成立も見通し的には極めて厳しいというのが今の国会の状況だというふうに思います。ただ一方で、我々世代、金融を支えているようなビジネスマンからは、あるいは市場関係者からは、こういう事態を非常に憂う声が、私のところ、あるいはさまざまな関係者のところに今来ているんだというふうに思います。

 そういう意味で、私は、国民の皆さんにこの状況をぜひわかっていただかなきゃいかぬなと思うので、ぜひ国民の皆さんに語りかけていただきたいんですけれども、この特例公債法案が不成立となった場合、国債金利にはどういう影響が出るというふうに政府として今考えておられますか。

野田国務大臣 国債金利の変動の要因はさまざまな要素があると思いますし、仮にこの特例公債の法案の成立がおくれた場合にどういう影響が出るか、これも一概には言えません。私の立場としては、予算とこの関連法案は一体となって年度内に成立をしてほしいという思いでこの審議に出ておりますので、ワーストシナリオに沿って頭の体操は余りしたくないというふうに思います。

 ただ、特例公債が、かつてと違って、一般会計歳出の総額の四四%を占めるという、四十兆七千億の大変大きな歳入欠陥が生じたときというのは、これはやはり、直ちに予算執行は不可能ではないんですけれども、支障は相当に出ざるを得ません。という実態の影響をやはりまず心配しなければいけないし、マーケットがどう判断するかというのは、こればかりは何とも言えません。

 ただ、財政健全化の道筋というものをしっかり我が国がたどっていって、財政規律を守っているなというところに不信が持たれないように、これはきちっと肝に戒めながら、マーケットとの対話もしていかなければならないときにそういう不測の状態にならないように、あくまでもやはり年度内成立をお願いしたいというふうに思います。

勝又委員 大臣の立場で、年度内成立、当然のことだと思います。

 ただ一方で、経済学の教科書で習ったことでいえば、やはり私は、これは金利上昇圧力になっていくという可能性を一つ見ておくのが、あり得る、あるいは教科書的な、一般的な経済学の考え方だと思いますが、いかがですか。

野田国務大臣 マーケット関係者の中にもいろいろな意見があるようですので、委員がどういうお考えをとるかはいいとして、政府として、それでいいかどうか等は言えませんけれども、ただ、政治的混迷により財政再建の取り組みがおくれるとかこういう予算の成立がおくれる、いわゆる考えたくない方向に行く可能性は、当然のことながらあり得ると思います。

勝又委員 そういう事態にならないように今努力しているわけですが、一方で、やはり国民の皆さんにもいろいろなことは知っておいていただかなければならないと思うんです。

 仮に、国債金利が上昇していくということを考えた場合、いわゆる一%金利が上がると負担増というのはどのぐらいになるのか。もちろん、大臣がおっしゃるように、さまざまな要因、さまざまな変数がありますから、それを複雑にすれば何とでもいろいろな答えが出てしまうんですが、それだとちょっと物事がわかりにくくなるので、なるべく仮定をシンプルに置いていただいて、一%金利が上昇すると金利負担増というのはどのぐらいになるのか、試算を教えていただきたいと思います。

野田国務大臣 これはもう客観的な数値として淡々と申し上げたいんですが、平成二十三年度の後年度影響試算において、二十四年度以降、金利が一%上昇した場合、国債費は、二十四年度で一・〇兆円、二十五年度で二・五兆円、二十六年度で四・二兆円増加すると試算をしています。

 ということで、我が国の財政は、金利の上昇が国債費の大幅増につながる、そういう構造になっています。

勝又委員 今の大臣の御答弁を聞けば、当然そうした状況は望ましくないというふうに私は解釈をして、ぜひこの法案の成立に全力を挙げたいというふうに思うわけです。

 一方で、特例公債法案というものの性質をちょっと考えてみたいんですけれども、今の厳しい財政状況、だれの責任かとか何の責任かということではなく、この客観的な情勢というのは、恐らくどの政党が政権を担ったとしても私は変わらないと思うんです。財政収支のギャップの大きさ、冒頭御説明がありました。あるいは、今の経済情勢、この厳しさというものは、だれが政権を担当してもそんなに簡単に反転しないということを考えます。

 そうすると、この特例公債の発行というのは、ある意味、政治的な対立ではなくて、どの党が担当しても必要な法案といいますか、率直に言って、対案を出される野党さんから見ても、そんなに大きく国債の発行額が変わるような御時世ではないというふうに私は認識しています。

 そういう意味で、どうなんでしょう。私は、こういう特例公債法案のようなものは、政治的な対決法案というよりは、むしろ、やはり国民の代表である国会がまさに協力をして、これは成立をさせていくということが望ましい法案のたぐいではなかろうかと思いますけれども、所見を伺いたいというふうに思います。

野田国務大臣 先ほどの冒頭の答弁のところで、税収よりも要は新規国債発行額に頼らざるを得ない財政状況を申し上げましたけれども、平成二十一年度が、要は決算ベースだと五十三兆を超える国債発行をいたしました。

 その最悪の状況から抜け出そうと努力はしています。だけれども、税収が現時点では四十一兆円しか見込めない、税外収入も、ぎりぎり努力をしましたけれども七・二兆円の確保という中で、やっとこの約四十四兆円というところにおさめることができたというのが正直なところでございます。

 という状況でありますので、特例公債が発行ゼロで済むということはあり得ない。やはり相当額を特例公債に現状は頼らざるを得ないし、どの党が政権をとってもこの構造をそう簡単に変えていくことはできないだろうというふうに思います。

勝又委員 どの党がやってもこの状況をそんなに劇的に変えることはできないだろうという御答弁ですけれども、逆に言うと、国民の皆さんからすると、この特例公債法案が通らないとどうなるのかというのが、まだよくわかっていないと思うんですよ。

 十分そういうことが国民にまだ伝わっていないと思うんですけれども、わかりやすく、もしこの法案が通らない、成立しないということが起こった場合、国民の皆さんにとってはどうなのか、御説明をいただきたいというふうに思います。

野田国務大臣 余り具体的にシミュレーションみたいな話はしたくないんですが、さっき申し上げたとおり、歳出総額が九十二兆四千百十六億円ですね。いわゆる特例公債が三十八・二兆、基礎年金の国庫負担部分の三分の一から二分の一へというところの臨時財源二・五兆、四十・七兆がこの特例公債法案の中身であります。

 ということは、相当大幅な歳入欠陥が生じるということは、先ほど景気の話もありましたけれども、せっかく日本経済が春になりかけているときにまた冬に戻りかねない、さまざまな予算執行に支障が出てくるということと、遅延の状況にもよりますけれども、例えば義務的経費なんかに影響が出てきたときは、例えば生活保護であるとか、国民生活にさまざまな影響が出てくるということでございます。

勝又委員 そういう意味では、やはり、まさに今この厳しい状況の中で国民生活が第一と思いますので、ぜひこの法案を何としても成立させて、大臣の言葉で言う悪いシミュレーションなどしなくていいように、私は、ぜひ国会の中でしっかりと審議をして、成立を目指していきたいというふうに思います。

 同じように、今ちょうど法人税減税の話もしていただきましたけれども、税制改正法案に関連をして幾つか伺ってまいりたいというふうに思います。

 まず、法人税の減税について伺いたいんです。

 これは我が党の中でもかなりいろいろな議論があって、そして最終的に方向性を出して、この五%減税というものを今回法案として提案しているという理解を私はしていますけれども、まさしく、先月出た月例経済報告を見るまでもなく、本当に今ぎりぎりのところにあると思うんですね。これから経済が持ち直していくのか、またもとのもくあみとなって厳しい冬の方に行くのか、まさにその分かれ目の局面、ここに私は今の経済のポイントがあるというふうに思っています。

 中東の情勢なんかも、ここに来てかなり先行き不透明感を増す要因の一つになっています。

 そういう意味では、企業もマーケットもさまざまな形でこの法人税減税に注目をしているというふうに私は思っています。

 昨日もそうですが、きょうも、需要、供給、双方の側からいろいろな議論があります、経済について。しかし、私は、こういう経済政策というのはオール・オア・ナッシングじゃないと思うんですね。需要も大事ですが供給側も大事、これは当たり前の理屈でありまして、需要喚起も大事だけれども、供給側も、きちんと供給が進むような体制、投資ができるような体制、こういうものをつくっていく、極めて大事だ。

 そういう意味では、政府のメッセージ性というのはすごく経済政策で大事だと私は思っていて、投資減税も確かにそれぞれの個別案件としてはいいんですが、私は、法人税全体をきちんと下げるというのは、今回かなり、国内のみならず、海外に対してもいいメッセージが出ていると思っています。現にアメリカでそういう法人税減税を追随する動きが出てきている、これはまさに日本の民主党の案を見てですよね。

 だから、私は、そういう意味で、かなりいい影響をこの提案は既に起こしているだけに、逆にもしこれが実現しないということになったら、マーケットや企業や、さまざまな意味での失望は大きいんじゃないかなという懸念を非常にしています。

 そういう意味で、大臣は、この法人税引き下げでどんな効果を期待され、ねらわれ、イメージをされ、そして一方で、もしこれが、やるぞやるぞと言っていて実際の法人税減税ができなかったら、それはどんな影響がマーケットや企業に出るか、ぜひお答えをいただきたいというふうに思います。

野田国務大臣 今回の税制改正の中での御提案は、法人実効税率の五%引き下げでございます。法人税、いわゆる国税でいうと三〇%から二五・五%であります。

 この実効税率を見てみると、いわゆるG5、アメリカ、イギリス等々、その中で大体二八パーから四〇%です。ようやく日本もその間に入ってくるという状況なので、その意味では国内企業の国際競争力強化ということが実現できるというふうに思いますし、外資系企業の立地促進という効果も出てくるだろうと思います。

 何よりも私も一番願いとして思っているのは、やはり雇用と投資を拡大してほしいということでございます。もちろん民間企業の御判断でありますけれども、総理からも経済団体にその要請はさせていただいておりますし、産業界では、国内投資促進策が講じられた場合には、十年後には約百兆円の設備投資を目指す等の考え方も示されております。

 あわせて、中小においても軽減税率一八%から一五%という引き下げもさせていただいておりますので、政府もやはり攻めの姿勢で頑張らなければいけませんが、民間の法人においても、大きなところも中小においてももっと攻めの経営をしていただきながら、特に雇用や投資につなげてほしい、そのメッセージはこれからも発信し続けていきたいと思います。

勝又委員 ありがとうございます。

 恐らくこの法人税減税というのは、経済成長を求めていく、そういう政策を掲げる政党であれば基本的に賛同していただけると私は思っていますし、主要政策に掲げている政党も多いというふうに思っています。

 そしてまた、日本が国際競争で生き残っていく上で、今大臣がおっしゃったような、日本は元気出していくよ、企業も大いに攻めの経営をしていくよ、政府も支援していくよというメッセージをしっかりこのことによって出すことで、また経済の好循環というものも生まれると私は思っておりますので、何としてもこの法人税減税については実現をしたいという思いであります。

 次に、市民公益税制について伺いたいと思います。

 これもぜひ積極的なアピールをお願いしたいと思うんですが、今回、この市民公益税制、まだ、ちまたでいま一つ話題になっていないような思いもあるんですが、極めて意義深い、大きな転換点を迎えた税制じゃなかろうかというふうに今私は思っています。

 私などが言うまでもありませんけれども、寄附のあり方というものは、例えばアメリカと日本で比べたら、極めて違いがあります。NPO団体の推計しかないんですけれども、二〇〇九年のアメリカの個人の寄附金というのは二十兆六千億円あります。対して我が国はというと、五千五百億円。簡単に言うと、二十兆円違うといいますか、四十分の一といいますか、極めて少ない現状にあるわけです。

 ただ、だから日本がいけないと単純に言うことはできないと私は思っています。それはやはり社会が違いますので、日本はそういう寄附を団体や企業も含めて担ってきたという、日本は寄附がほぼ五分五分ですから、個人と団体が。アメリカは圧倒的に個人ですから。そういう意味では違う。

 だから、そういう意味では、すべてが日本が悪くてアメリカがいいと私は言いませんが、ただ、一方で、この厳しい財政の中で我々も新しい公共というものを模索している、そういう中において、個人の寄附を促進するというのは極めて大事な中で、今回の税制改正というのは極めて意味があるというふうに思います。

 そういう意味では、この税制改正への政府としての思いといいますか、ねらい、そしてまたこの取り組みに対して、国民の皆さんに何かメッセージがあったら、ぜひお願いをしたいというふうに思います。

野田国務大臣 平成二十三年度税制改正法案において、NPO法人を初めとする、市民が参画する新しい公共の担い手を支える環境を税制面から支援するという措置を入れています。

 その意義は、ほとんど今御質問の中で委員が御指摘だとは思いますけれども、具体的には、認定NPO法人等への寄附について、草の根の寄附を促進する観点から、所得税において新たに税額控除制度を導入し、現行の所得控除との選択制を実現するということと、認定NPO法人のパブリック・サポート・テスト要件に寄附者の絶対数で判定する方式を導入するなど、認定要件の緩和を行う、そういう内容になっております。

 こういう税制面での措置によって、今アメリカとの差がございました。彼我の差は相当大きいんですけれども、日本でも草の根の寄附金文化をつくり出していく、その端緒となるそういう税制措置であってほしいという願望を込めています。

勝又委員 まさしくそのとおりで、そういう意味では、国民の側から見れば、政府に税金を払う、その一部を、NPOや福祉事業者やさまざまな自分の共感できる人たちに直接自分のお金を使ってもらうことができるという、ある意味非常に国民の選択を変える税制ですから、ぜひこれは大いに国民の皆さんにもPRをいただいて、日本でも寄附文化のあり方というものを国民全体で考えていけるようなきっかけにしていただきたいというふうに思います。

 時間があと少しですので、最後に、社会保障と税の一体改革について、少しだけ、ほんのさわりだけ伺いたいと思っています。

 幾つかポイントがあるんですが、一つは、国民の間で疑問に持たれてはいけないと思うのは、いわゆる増税ありきという議論だけでやると、歳出削減の努力というものは緩むと私は思っています。やはりそこは一体であるので、ぜひここをバランスをしっかりとってやっていただきたいという思いがあるので、この点についてどう思われるかということ。

 そしてまた、もう一つ、細かいことは厚労委員会でやるべきことでしょうけれども、財政の考え方としてなんですが、いわゆる社会保障の現物給付と現金給付の問題。

 これは、今回の予算案は予算案としてベストなものとして提案をさせていただいておりますが、今後の将来への課題として、スウェーデンなんかはやはり現物給付と現金給付のバランスがいいところで、高いところでバランスがとれているのでうまくいっておりますけれども、やはり日本はまだまだ現物給付が足らない現状の中で、これからさまざまな組み合わせというものをしっかり考えていくことが、社会保障のあり方、さらには財政の効率化につながるというふうに私は思っています。

 この二点、大臣から御答弁をぜひいただきたいというふうに思います。

野田国務大臣 増税ありきではないということです。

 今回はやはり、社会保障のあるべき姿、その方向性を、これは一番国民が不安を持っているところでございますので、それについての全体像を明らかにして、それを支える安定財源を確保していこうというのがこの社会保障と税の一体改革の理念です。当然のことながら、無駄遣いをチェックするということは、やり続けていかなきゃならない。これまで以上にやり続けなければいけない。

 よく菅総理が鼻血と逆立ちの話をします。因果関係はよくわからないんですが、とにかく、それぐらいの気合いで、常に無駄遣いはきちっとチェックしていくということはやらなければいけないというふうに思います。

 その上で、今、日本の社会保障、委員御指摘のとおり、現金給付が欧米各国に比べて相対的に比重が高いです。これはやはり年金の比重が高いからだろうというふうに思いますけれども、これからの社会保障のあり方を考えた場合に、現物とのバランスをしっかりとっていく。バランスというのは、例えば現物の方が雇用とか何かにつながっていきますよね。そういう効果も考えながらこれからの社会保障のあるべき姿を考えた方がいいというふうに思います。

勝又委員 ありがとうございました。質問を終わります。

石田委員長 次に、斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫です。

 まず、特例公債法について質問をさせていただきたいと思います。

 財政法におきましては、国の歳出は、公債や借入金によらないで、租税収入等によって賄うべしという考え方が基本的な考え方だと思います。

 いわゆる赤字国債が財政法の中で取り入れられていないのはなぜかということを、大臣はどのようにお考えになっているでしょうか。

野田国務大臣 斉藤委員の御指摘のとおり、財政法四条、これは非募債主義という形で、要は、国の歳出は原則として租税等によって賄っていく、これが原則になって、ただし書きのところで、公共事業等の財源となる場合に限って建設国債の発行をすることが規定されているということであります。すなわち、特例公債は財政法上は予定をされていないということだというふうに思います。

 さはさりながら、特定年度で歳入欠陥が生じるということがありました。今はまさに慢性的でございますけれども。そういう状況の中で、財政法の第四条の特例法をもって初めてその発行が許容される。特例公債法を毎回国会に提出し、そして御賛同いただくというのが発行の条件になっている。そういう法律のいわゆる陣立てみたいな形になっていると思います。

斉藤(鉄)委員 ですから、私の質問は、なぜそういう陣立てになっているのか、大臣はどのようにお考えかという質問です。

野田国務大臣 基本的には、だから、望ましくないということが本来は前提だというふうに思います。

斉藤(鉄)委員 なぜ望ましくないのか、そこを大臣はどのようにお考えになっているかという質問です。

野田国務大臣 基本的には、見合いのきちっとした歳入がある、税金が入ってくる、その中でやりくりをするというのが国家としては基本でしょうということです。

 建設国債等、将来まさに社会資本整備として何か残るものがあるならば、ただし書きで認めている。赤字国債は、それに安易に頼ると、まさに国家財政の破綻につながりかねないから。そういう順番立ての中で考えられているというふうに思います。

斉藤(鉄)委員 過去の特例公債の発行、これは建設国債もそうですけれども、過去の発行残高のグラフを見ますと、昭和五十年ぐらいから始まっているんですが、いわゆる戦後、日本がまだ貧しいころには、我々がまだ子供のころでございますが、特例公債は発行されていなかった。しかし、高度成長が終わって、まあ高度成長の途中ですね、日本が豊かになり始めてから特例公債が発行され始めて、どんどんふえてきた。

 素朴に考えて、貧しいころ発行するというのはまだわかるんです。豊かになったから発行しない、これだったらわかるんですけれども、全く日本の歴史はその逆になっています。ここを大臣はどのようにお考えですか。

野田国務大臣 何か優しげで厳しい質問ですよね。

 私は斉藤委員と世代としては同じだと思うんですが、貧しかったかもしれませんけれども、あの映画の「三丁目の夕日」の時代、昭和三十年代、でも日本はずっと成長し続けていました。成長し続けていたがゆえに、しかも若い国でした。ということが、貧しかったけれども、いわゆる特例公債に頼らずにでも国家財政を賄うことができたんだろうと思うんです。

 特例公債を最初に発行したのは、多分、昭和四十年度の補正だったと思うんですが、要は、東京オリンピックが終わった後に景気が落ち込んだときに出てきます。

 その後ずっと慢性的になってきているのは、一つは、豊かになったかもしれませんけれども、一方で税収が落ち込んできている。そしてもう一つは、やはり歳出がふえ続けてきている。ふえ続けてきている要素というのは、高齢化の問題という人口の問題もあるでしょうし、こういうようなさまざまな要因が重なっているだろうと思います。

斉藤(鉄)委員 特例公債が発行され始めたのは昭和五十年ですので、東京オリンピックは昭和三十九年ですから、今のお答えは時間差がちょっとありますけれども。

 そうしますと、その認識からすれば、これから特例公債に依存しない、またその依存の度合いを低めていくためには、日本のこれまでの経過、歴史からすれば何が重要だと、このように大臣はお考えでしょうか。

野田国務大臣 ちょっと今、正確に申し上げると、昭和四十年度の補正予算において特例公債をやはり発行しています。それで四十一年度にいわゆる建設国債の発行が始まっていますということで、正確に申し上げたいと思います。

 その上で、特例公債を発行しないようにするためには、さっきちょっと勝又委員とのやりとりがございましたけれども、平成二年が税収と歳出の差が一番縮まっていたときです。その後ずっと歳出の方はふえ続けて、歳入の方は今三分の二になっているという状況ですので、国の財政を考えたときには、歳入の主たるものはやはり税収、財政法四条を基本の基本に考えなければいけませんが、税収が上がるようにするということ。それは、成長戦略に基づいてきちっと日本が成長軌道に乗るということも大事ですし、あわせて、足りない部分はやはりきちっと歳入改革もやっていくという発想は必要だと思います。

 あとは、歳出の部分をどうやって効率的に実施しながら削減できるか。その両方があって、税収と税外収入、それ以外はやはり国債になってしまいますので、そこのところの努力をどれだけ両方でやるかということだと思います。

斉藤(鉄)委員 今年度予算案それから昨年の予算案、これは建設国債も含めた新規国債の発行額が四十四兆円でございます。

 これは、いわゆる予算編成の基本方針の中にも、新規国債は四十四兆円を目指すというふうに、予算編成前からこのような目標が掲げられたものでございますけれども、この四十四兆円というのを目標に掲げられたその根拠といいましょうか、理由は何なんでしょうか。

野田国務大臣 まず、平成二十二年度、今執行中の予算について四十四兆という抑え方をしたというのは、前政権の、麻生政権のもとで平成二十一年の第一次補正までやられていました。そのときの国債発行は四十四兆です。さっきちょっと説明しましたけれども、平成二十一年が最悪でありましたけれども、その改革過程の中で、何とかそこまでは、四十四兆まで抑えようというのが目標としてございました。

 二十三年度の予算編成、今回も約四十四兆円以内に抑えるべく努力させていただきましたけれども、財政運営戦略、向こう十年間の財政健全化の道筋を昨年六月閣議決定して、そして向こう三年分の中期財政フレームをつくりました。その中期財政フレームの中で、歳出の大枠は約七十一兆円、そして国債発行額は、平成二十二年度の水準を上回らないようにするということで、約四十四・三兆円という目標を立てさせていただきました。

 その上で、歳出はさまざまな努力をさせていただきましたけれども、歳入の部分が、要は税収が四十一兆、そして税外収入が、最大限頑張りましたけれども七・二兆。そういう中で、何とかぎりぎり約四十四兆円という目標をクリアできたということでございます。

斉藤(鉄)委員 麻生政権のときの予算と第一次補正予算の国債発行額から、いわゆる二十二年度、今年度の予算は四十四兆としたという説明でございました。

 当時は、当初予算では、国債発行額は三十兆円という目標がありまして、ただ、リーマン・ショックの後の緊急経済対策、生活対策ということで、第一次補正で、十四兆円の新規国債発行をして補正予算を組んだわけでございます。したがって、三十足す十四イコール四十四ということになろうかと思いますが、この十四兆は、ある意味で、リーマン・ショックの後の緊急経済対策という性格が強かったわけです。

 したがって、その四十四兆を基準にするというのは、ある意味で、私はおかしいのではないかと。あくまでも、それまで三十兆円というものがずっと基準で来て、いわゆる二〇一二年度のプライマリーバランスの黒字化を目指して三十兆円ということでやってきたわけですが、リーマン・ショックが起きて、あのような緊急経済対策を打たなくてはいけなかったわけですけれども、そういう意味では三十兆を基準にすべきではないか。

 もちろん、税収の増減がございます。それによって、必ずしも三十兆でなきゃいけないということではないとも、私も百歩譲って思います。しかし、あくまでも基準は、四十四兆ではなくて三十兆でなくてはいけなかったんじゃないかと思いますが、この点、大臣はどのようにお考えでしょうか。

野田国務大臣 国債発行額をもし三十兆で絞れるんだったら、それにこしたことはなかったと思います。財政再建の、そういう財政規律を守るということもやらなければいけない。

 一方で、あの危機は相当深刻な危機でございました。世界経済の中で日本の実体経済が一番影響を受けたわけであります。その経済成長との両立も図っていかなければいけないというときに、麻生政権のもとで、緊急経済対策だったかもしれませんが、補正を組みました。その効果がまだ発現できないまま、経済は依然として厳しい。

 その後に、我々は第二次補正をやっています。第一次補正のときは国債発行四十四兆ですが、税収四十六兆と見込んでいたものが約九兆ほど落ち込むということで、最終的には、決算ベースでは五十三兆以上の国債発行をしているわけですね。

 そういう、まさにプロセス、回復の過程の中にある段階であるということでございますので、私は、これはぎりぎりの段階だったというふうに思います。

斉藤(鉄)委員 今年度予算は、百歩譲って、今の大臣の論理を認めるといたしましょう。

 では、来年度予算もその四十四兆を基準にするという理由にはならないと思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

野田国務大臣 引き続き、経済の再生とそして財政再建の両立を目指すという、まだプロセスの過程にあるだろうと。

 というのも、さっき申し上げたとおり、税収はまだ四十一兆円です。三十八・九兆まで落ち込んだ後に、だんだん上がってはきています。でも、まだ四十一兆であります。しかも、税外収入の確保が、二十二年度は十・六兆という過去最大の規模がとれましたけれども、そう簡単では今なくなってきている現状からすると、四十四兆円、前年度の水準よりも下げるということがやはりぎりぎりの目標達成には必要だったというふうに思っています。

斉藤(鉄)委員 この四十四兆が適当な額かどうかということについては、ちょっとまた後ほど議論したいと思いますが、こういうわけで国債発行残高がふえ続けております。

 先ほども御答弁されておりましたが、もう一度聞きます。二十三年度末には国債発行残高は幾らになるのでしょうか。また、地方の債務も合わせますとどの程度になるんでしょうか。

野田国務大臣 平成二十三年度末には、公債発行残高が六百六十八兆円に上ると見込まれます。また、地方の債務等も合わせました国及び地方の長期債務残高は、二十三年度末で約八百九十二兆円と見込まれるなど、残念ながら主要先進諸国の中では最悪の水準でございます。

斉藤(鉄)委員 今、ある意味でどんどんふえ続けているわけですけれども、どのくらいまで許せると大臣は心の中で思っていらっしゃるんでしょうか。

野田国務大臣 どのくらいまでという数字を定量的に申し上げることは厳しいなというふうに思います。

 今、財政運営戦略、昨年の六月に閣議決定して、基礎的財政収支の赤字を対GDP比で二〇一五年までに半分にして、二〇二〇年から黒字にして、そしてトータルとして債務残高を二〇二〇年以降圧縮していく、安定的に縮減していくという目標を掲げておりますけれども、その線に沿ってきちっと財政健全化の道筋をたどることが第一だというふうに思います。だから、幾らまでが大丈夫かとか、これはなかなか定量的に言える話ではないと思います。

 マーケットと対話をしながら、まだ引き続き大量の国債発行をせざるを得ない状況でありますけれども、きちっと市中で消化できるように対応していきたいと思いますし、これは、新規財源債だけではなくて、借換債とか財投債を含めると百数十兆の規模の借金をして、それを市中消化するわけでございますので、ますますこれから国債管理政策は大事だと思います。

 そういうことを念頭に置きながら、持続可能な財政というものを実現していかなければいけないというふうに思います。

斉藤(鉄)委員 ある与党の大物政治家の方の御講演を聞くチャンスがございまして、その方が、国債というのは、特に日本の国債は国内で消化されているから、右のポケットのお金を左のポケットに入れるだけだ、だから心配しなくていいんだ、どんどん左のポケットに入れて、それで景気がよくなれば右のポケットにもまたお金が入ってくると。

 こういう与党の大物政治家の御講演を聞いたことがあるんですが、大臣は、こういうお考えではないと当然思いますけれども、今の話を聞かれて、どうでしょうか。

野田国務大臣 いわゆる個人の金融資産と、さっき言った国と地方の債務の残高が、どこかでは近々逆転をするという可能性はあります。

 確かに、国内で安定消化できたというのは膨大な個人の金融資産があったからだと思います。これはいろいろな見方がありますが、ネットとグロスで、普通、指標を比較したりする場合もあるし、あるいは、債務のとり方についても識者によって違いますけれども、それが逆転をするときに、引き続き安定的にいわゆる国債の市中消化が可能かどうかというのは、状況は変わるかもしれません。

 そういうことはやはり油断をしないでいかなければいけないし、なおさら、さっき国債管理政策をお話ししましたけれども、国内では、これまでは生損保であるとか金融機関に買っていただいておりましたけれども、個人の投資行動に合うような商品も開発していくとか、あるいは海外IRを含めて、いわゆる保有者層の多様化も含めて、そういう努力はこれからも地道に続けていかなければいけないと思っています。

 余り、右から左論というのは、どなたが言ったかわかりませんけれども、そう簡単な話ではないと思います。

斉藤(鉄)委員 今も大臣おっしゃいましたけれども、よく報道等では、個人の金融資産の総額千四百兆から債務部分四百兆を引いた、大体一千兆円程度ではないかと言われておりますが、債務残高がそこと逆転した時点が、いわゆる国債が消化できなくなる一つのポイントとして危ないのではないかと言われている説があります。

 そういう意味では、先ほどのどの程度まで許されるかということとも関係しますが、この点について大臣はいかがお考えですか。

野田国務大臣 いろいろな見方をされる方がいらっしゃいますので、ネットとかグロスで比べる場合とか、債務残高のとり方とかによって、どこで逆転かという、それはいずれも近い将来に起こることではありますけれども、これは定かではありませんし、そのことが決定的なターニングポイントになるかどうかということも、これもいろいろな議論があります。

 ただ、やはり油断なくしていかなければいけないわけであって、これまでは国内の、さっき申し上げたような生損保であるとか金融機関でありましたけれども、個人だとか海外とかを含めて、やはり国債の保有者層の多様化を図るなど、国債管理政策をきめ細やかに、しかも、日本は財政健全化の道筋をたどって財政規律を守っているというメッセージ、そしてその行動を常にマーケットに示し続けることが肝要だと思います。

斉藤(鉄)委員 内閣府の平野副大臣に来ていただいております。

 内閣府が出しました平成二十三年度における財政運営戦略の進捗状況の検証におきまして、「財政運営戦略の下で編成される最初の本予算である平成二十三年度予算においては、中期財政フレームの規律を維持し、税収の増加等を背景に基礎的財政収支についても改善が見込まれる。」このようにございますが、私の個人的意見としては、とても見込まれないと思いますけれども、どのような改善が見込まれるんでしょうか。

平野副大臣 御指摘の件につきましては、内閣府が平成二十三年一月二十一日に発表しました経済財政の中長期試算に基づいたものであります。これによりますと、国と地方の基礎的財政収支については、平成二十二年度においては、対GDP比マイナス六・五%、三十・九兆円というかなり大きな開きがあるんですが、マイナス約三十兆円から、平成二十三年度においては対GDP比五・六%、二十七・一兆円と改善が見込まれる、そういう数字になっております。

 これはあくまでも相対の比較で、委員御指摘のように、このマイナス三十兆円、二十七兆円というかなりのマイナスの部分があるという意味において、感覚的には、改善したといってもその改善の感覚はないということは、私は個人的にも同意します。ただ、数字上、相対的な比較からしますと、繰り返しになりますけれども、マイナス六・五%からマイナス五・六%ということで、改善されるということです。

 この背景にありますのは、平成二十三年度予算においては、二十二年度予算に比べまして税収が増加するということ、それから、先ほど財務大臣からも御紹介がございましたけれども、歳出につきましては、基礎的財政収支の七十一兆という枠内に抑えているということで、対前年同額ということで抑えているということで、数字上そうなるということでございます。

斉藤(鉄)委員 ちょっとよく理解できなかったんですが。

 他方、内閣府は、財政運営戦略で、赤字の対GDP比を二〇一五年度までに半減する、二〇二〇年度までにゼロ、つまり黒字化する、それ以降においては対GDP比を安定的に低下させるということをおっしゃっているんですけれども、この経済財政の中長期試算によれば、そのような戦略を立てているにもかかわらず、今年度予算を基本にして、二〇一五年度は、本当は半分ですから、二〇一〇年度がマイナス六・五%ですから本当は三%になっていなきゃいけないのに、二〇一五年度においてはマイナス四・二%、二〇二〇年度においてもマイナス四・二%、つまり、改善されておりません。

 この経済財政の中長期試算という計算によれば、今年度予算案は、またこれだけの国債を発行すれば、財政運営戦略で掲げた目標に到達しないという結果になっているわけですが、この矛盾はどのように説明されますか。

平野副大臣 今御案内のとおりでございますが、この中長期試算は、あくまでも現時点で決定されている政策のみを前提として行っているということでございまして、税制改正もしない、財政構造も基本的には今のままということで、そこに社会保障費の自然増等々を加えて計算をした場合の見通しを示しているものでございます。

 目標としているプライマリーバランスの均衡ということを、二〇二〇年黒字化を達成するためには、相当程度の歳入歳出両面にわたる追加的な取り組み、恐らく相当の覚悟が必要だと思いますが、やる必要があるということでございます。

斉藤(鉄)委員 基本的には、今年度の四十四兆円という国債発行額をベースにすれば、この財政運営戦略で掲げた目標はかなり難しいということだと思います。

 済みません、時間がないので次の質問に入らせてもらいます。

 そこで、民主党のマニフェストを見ますと、平成二十三年度、今年度で、補助金、人件費、庁費、公共事業等を中心に新しい財源を生み出す、その生み出す金額は十二・六兆円だと工程表に書いてございます。

 しかし、現実に、補助金、先ほど申し上げましたような項目で絞り出したお金は、今年度予算案でどの程度に相当するんでしょうか。

野田国務大臣 ただいまの御質問にお答えする前に、若干答弁の訂正をさせてください。

 先ほど私、委員とのやりとりで、二十一年度決算でいろいろ数字を申し上げました。税収を三十八・九兆円と申し上げましたけれども、正確には三十八・七兆円でございました。国債発行額を五十三兆円超と発言しましたけれども、約五十二兆円でございました。申しわけございません。

 その上で、マニフェストの実現をするための歳出削減なんですが、マニフェスト主要事項については、歳出削減と税制改正で三・六兆円つくりました。そのうち歳出削減の部分は、内訳としては二・三兆円なんですけれども、これは、社会保障の自然増とか特別枠を賄うための歳出削減もいろいろやっていますので、どれがどうのと当てはめるのは難しいんですけれども、あえてこのマニフェストに掲げた財源表の区分に沿って上から順にいくと、公共事業で約一・五兆円の削減、人件費等で〇・一兆円の削減、残りの庁費等、委託費、施設費、補助金で約〇・七兆円の削減によって賄っているということでございます。

斉藤(鉄)委員 工程表によりますと十二・六兆円生み出すということだったんですけれども、現実には、先ほど大臣がお答えになったように二・三兆円、その差は約十兆円でございます。

 したがって、この十兆円が出てこなかったわけですから、ある意味では、この十兆円を国債発行額からマイナスにすべきだ。そして、その分、ある意味ではマニフェストの最も大事なみそはこの十二・六兆円を出すというところにあったわけで、それができなかったわけですから、使う方も実行しない、このことによって新規国債発行を減らす、そのことによって国債の発行残高を抑えていくというのが、国の将来を考えたときに野田財務大臣のとるべき道なのではないですか。

野田国務大臣 確かに、その十二・六兆円の確保というところには至っていないのは事実でございます。

 ただ一方で、マニフェストの主要事項についてはそれぞれ政策目的があると思っていますので、それはきちっと実行していく。その分の財源は、安定した財源を確保しながら着実に実施をしていくということが私どもの基本姿勢でございます。

 先ほど来申し上げているような子ども手当とかこの種のものについては、歳出削減と税制改正、財源を確保しながら着実に実施をするという姿勢でございまして、これからもそういう姿勢で臨んでいきたいと思います。

斉藤(鉄)委員 ですから、財源を確保するというマニフェストの部分が確保できなかったわけですから、その確保できなかった分、使うというマニフェストについても、それを削減して実行すべきだ、このように思います。

 税と社会保障の一体改革、野党に協議を呼びかけられているわけですけれども、まずそこのところをしっかりとお認めになって、それで、これから社会保障や国の運営にこれだけお金がかかる、したがって政党間協議を始めよう、このようなプロセスが本当だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

野田国務大臣 まずは、社会保障そして税の一体改革は、四月に社会保障、六月に両方セットで成案を得るという作業はこれから進めていきますが、そのどの段階でも、野党の皆さんには御参加いただければ大変ありがたいというふうに思っています。真摯に協議ができれば大変ありがたいと思います。

 その上で、マニフェストについての御指摘でございますが、マニフェストについては、やはり衆議院議員の任期のちょうど折り返し点の九月に向けて検証を行っていくということになります。

 ただ、社会保障の分野については、あらかじめ、四月にはその方向性とか姿が出てきます。六月には財源とセットの議論になるわけですから、それよりは少し前倒しの検証が行われるかもしれませんが、その際にも、ぜひ胸襟を開いた議論ができればと思います。

斉藤(鉄)委員 以上で質問を終わりますが、また引き続き議論を続けさせていただきたいと思います。

石田委員長 次回は、来る十一日金曜日午後五時理事会、午後五時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後七時十二分散会


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