衆議院

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第16号 平成23年4月22日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十三年四月二十二日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 石田 勝之君

   理事 泉  健太君 理事 大串 博志君

   理事 岸本 周平君 理事 古本伸一郎君

   理事 鷲尾英一郎君 理事 後藤田正純君

   理事 竹下  亘君 理事 竹内  譲君

      五十嵐文彦君    江端 貴子君

      小野塚勝俊君    岡田 康裕君

      柿沼 正明君    勝又恒一郎君

      木内 孝胤君   菊池長右ェ門君

      小山 展弘君    坂口 岳洋君

      菅川  洋君    空本 誠喜君

      玉木雄一郎君    豊田潤多郎君

      中塚 一宏君    中林美恵子君

      松原  仁君    三村 和也君

      柳田 和己君    吉田  泉君

      和田 隆志君    渡辺浩一郎君

      今津  寛君    小里 泰弘君

      小野寺五典君    近藤三津枝君

      竹本 直一君    野田  毅君

      村田 吉隆君    茂木 敏充君

      山口 俊一君    山本 幸三君

      斉藤 鉄夫君    赤嶺 政賢君

      佐々木憲昭君

    …………………………………

   財務大臣         野田 佳彦君

   国務大臣

   (金融担当)       自見庄三郎君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   内閣府大臣政務官     和田 隆志君

   財務大臣政務官      吉田  泉君

   政府参考人

   (国税庁次長)      田中 一穂君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           今別府敏雄君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    豊永 厚志君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            北村 隆志君

   財務金融委員会専門員   北村 治則君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十二日

 辞任         補欠選任

  東  祥三君     渡辺浩一郎君

  網屋 信介君     坂口 岳洋君

  近藤 和也君     空本 誠喜君

  松原  仁君     菊池長右ェ門君

  竹本 直一君     近藤三津枝君

  徳田  毅君     小里 泰弘君

  村田 吉隆君     小野寺五典君

  佐々木憲昭君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  菊池長右ェ門君    松原  仁君

  坂口 岳洋君     網屋 信介君

  空本 誠喜君     近藤 和也君

  渡辺浩一郎君     東  祥三君

  小里 泰弘君     徳田  毅君

  小野寺五典君     村田 吉隆君

  近藤三津枝君     竹本 直一君

  赤嶺 政賢君     佐々木憲昭君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律案(内閣提出第五七号)


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     ――――◇―――――

石田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。財務大臣野田佳彦君。

    ―――――――――――――

 東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

野田国務大臣 おはようございます。

 ただいま議題となりました東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。

 政府は、今般の東日本大震災による被害が未曾有のものであることにかんがみ、被災納税者の実態等に照らし、緊急対応の措置として、現行税制を適用した場合の負担を軽減する等の措置を講ずることとし、本法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の内容につきまして、御説明申し上げます。

 第一に、所得税について、雑損控除及び雑損失の繰越控除の特例、災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律による軽減免除の特例、被災事業用資産の損失の必要経費算入及び純損失の繰越控除の特例、住宅借入金等に係る所得税額控除の適用期間に係る特例、震災関連寄附金を支出した場合の寄附金控除の特例等の措置を講ずることとしております。

 第二に、法人税について、震災損失の繰り戻しによる法人税額の還付、仮決算の中間申告による所得税額の還付、被災代替資産等の特別償却、特定の資産の買いかえの場合等の課税の特例、代替資産の取得期間等の延長の特例等の措置を講ずることとしております。

 第三に、資産税について、相続税等における指定地域内の土地等の評価に係る基準時の特例及び申告期限の延長、住宅取得等資金の贈与税の特例措置に係る居住要件の免除、被災した建物の建てかえ及び船舶、航空機の再建造等に係る登録免許税の免税等の措置を講ずることとしております。

 第四に、消費課税について、消費税の課税事業者選択届出書の提出等に係る適用期間の特例、被災者が作成する不動産の譲渡に関する契約書等の印紙税の非課税、被災自動車に係る自動車重量税の還付、被災者の買いかえ車両に係る自動車重量税の免税、揮発油税等に係るいわゆるトリガー条項の適用停止等の措置を講ずることとしております。

 以上が、東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律案の提案の理由及びその内容であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

石田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

石田委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国税庁次長田中一穂君、厚生労働省大臣官房審議官今別府敏雄君、中小企業庁次長豊永厚志君、国土交通省総合政策局長北村隆志君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野寺五典君。

小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。

 きょうは、このような質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 私は、今回被災をしました宮城県の気仙沼というところに住んでおります。今回、地域の皆さんからさまざまな声が上がっております。一番初めはやはり避難、被災ということで、その日の生活ということを大変心配しておりましたが、今電話がかかってくる内容、現場で聞く内容は、悲痛な話が大変多くなっています。

 例えば、これからの生活設計。そして、実は多くの方々が、今回津波で流された住宅に関しても、家屋、工場に関しても、既に借金、ローンを組んでこのようなものをそろえていた。今回津波で一瞬にして流されてしまったということで、この負債だけが残ってしまったという事業者の方、個人の方がたくさんおります。

 そして、もう一つ悩ましいのは、通常、例えば、家屋には火災保険等を掛けております。我が家も掛けておりました。ですが、今回のような津波、地震に対しては、実は適用されません。そして、仮に地震特約をつけていたとしても、実は十分な補償が出ないということであります。きょう、この委員の中にも、関係する御地元の方もいらっしゃると思いますが、同じような悩みを恐らく持ちかけられているんだと思っています。ですから、さまざまな支援が至急欲しい、そのような中で、きょう、こういう質問をさせていただいております。

 その中で、実は、政府が今回提出予定の中の法案を見てみますと、確かに、あった方がいいという内容は多々あります。ですが、本当にこれで救われるんだろうかということが幾つかあります。

 例えば、今回の所得税の控除関係の中で、雑損控除特例、あるいは災免法による所得税の減免、前年分の適用、同じような、被災事業用資産の損失の特例、こういうものがありますが、これはあくまでも、例えば、被災した個人が一度払った所得税を、さかのぼって一年分、例えば雑損控除していただけるということでありますが、現実に今、ほとんどの方が仕事がありません。あるいは、事業主に関しては、工場や冷蔵庫がすべて流され、漁船が流されて、収入の見込みがありません。ですから、ことし、来年、再来年、しばらく十分な所得が恐らく考えられないんだろう。

 そういう状況の中で、幾ら雑損控除をかさ上げしますとか、さまざまな減税の措置を行いますと言っていても、もともと所得がない方、この方が大半になるという中で、減税だけで十分な対応はできない、そう思いますが、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

野田国務大臣 まず、小野寺委員におかれましては、地元が気仙沼ということで、御家族を含めて被災をされて、そして今、地元の声をお聞かせいただきました。改めて心からお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 今回の税制上の措置は、可及的速やかにやらなければいけないことを網羅したというつもりでございまして、もちろん、これだけで十分ではないというふうに思います。加えて、雇用であるとか、あるいは中小企業の皆さんのこれからの事業をどうするか、そういうことも含めて、復旧や復興の予算の中でできるだけ対策を講じていきたいというふうに思います。

 今回の税制上の措置は、阪神・淡路大震災のときを参考にしながら、それを拡充したり、今回の東日本大震災の場合はもっと広域的で大規模ですから、新たに入れたものもございます。でも、これだけで十分とは思っていません。各党の御意見も踏まえながら、これからもしっかり対応していきたいというふうに思います。

小野寺委員 それから、今回は所得税ということでありますが、同時に、住民税と地方税についてもこのような対応があるのかどうか、お伺いしたいと思います。

野田国務大臣 この財務金融委員会で御審議いただいているのは国税にかかわる部分でございますけれども、基本的には地方税においても同様の対応をしておりまして、きょう総務委員会で御議論があるかというふうに思います。

小野寺委員 最終的には財務大臣がすべての予算の支出について責任を一義的には負うということになりますので、改めてお伺いします。

 そうなりますと、例えば地方公共団体、特に今回被災を受けた地方自治体が、ただでさえ財政的に厳しい中で、各種の地方税の減税ということになりますと、財政基盤がさらに厳しくなるというふうに思います。こういう地方税の減税も含めて、地方の公共団体への財政的な支援についてどのようなお考えがあるか、教えてください。

野田国務大臣 小野寺委員御指摘のとおり、地方税法を改正して、税制上の特例措置を行った場合、地方の減収ということが起こります。特に今回は、被災地の自治体、財政力が厳しい自治体が多いと思うんです。そういうことにかんがみまして、総務省において適切に地方財政措置を講ずることが検討されているというふうに承知をしていまして、具体的には、既存の財政措置に加えて、新たに地方債の特例を設け、その減収額の全額一〇〇%について地方債の発行を可能とし、後年度、その元利償還金の全額について交付税措置することを予定しているというふうに承知をしています。

小野寺委員 交付税措置という形で後年度措置ということですが、いつもなかなか区分の金額が明確に来ていないということで、すべてこれが交付税に含まれていますという説明で納得させられている地方公共団体の事例もありますので、なるほどしっかりと後年度負担がされたなということが実感できるような交付税措置にしていただきたい、そのように思っております。

 さて、実は今回、各種事業主あるいはローンを組まれている方、それぞれ自分の家のローンがまだ残っている中で家が流された、保険も十分に出ない、これからどうしてこの負債を返していこう、こういう大変多くの悩みがございます。そしてもう一つ大きな悩みというのは、被災地の金融機関、これ自身が流されてしまっていて、今も実は再建できていないということであります。

 例えば、今、地元で金融機関のあいている窓口というのは、基本的に、生活資金の十万円まではおろせますとか、実はさまざまな国の支援がある、あるいは今回リスケをするためにはどうしたらいいんだろう、そういうことの相談の窓口はあっても、再建のための融資、このための銀行の窓口が今開いていないんです。

 私の地元、気仙沼でいいますと、地方銀行、この銀行は幾つかありますが、まだ相談業務しか受け付けておりません。ですから、実際に経営者の方が、今回さまざまなリスケを行う、あるいは入金されたお金についてこれをどういうふうにこれから振り込もうか、いろいろな相談あるいは銀行業務を行おうとする場合、何と車で一時間以上かけてその銀行に行かなければいけない。

 今被災地にいて、車もなかなか手に入らず、もうすべて流されましたから、避難所からどうやって、うちの会社を今後どうしていこうか、その悶々とする中で、相談相手の銀行、金融機関が実はないんです。

 こういう現状を大臣は御存じであったでしょうか。

野田国務大臣 実際にそういう現場の声というのがあるということは承知をしておりますし、金融庁としても、これはむしろ金融庁の方にお答えいただければというふうに思いますが、できるだけそういうことのない、再開目指しての迅速な対応を今督促しているところだというふうに承知をしています。

小野寺委員 そういう中で、地方の銀行あるいは信金、信組というところも相当の被害を受けています。店舗自体が被害を受けて、四十日たった今でも復旧できていない、復旧の見込みというのは大変厳しい、こういう状況にあります。ですから、まず金融機関がない。

 そして、これらの金融機関も、自身が相当の被災を受けていますので、例えばその復旧に関してこれから大変だ。そして、お取引先様に関しても、相当数、もう事業が継続できないような状況になる、このままでいってしまうと、それこそ経営的に破綻をせざるを得ない、そういうところもたくさん出てくる、そういう不安が地方では蔓延しております。関東大震災のときにも同じような不安が出たというふうに伺っております。

 それを払拭するためにも、今回、地方の金融機関が、例えば金融機能強化法の中でしっかりとした公的な資金の注入を政府に要請したい、こういう声を上げている現実もありますが、このような地域の金融機関、これは金融機関が、例えば今までたくさんの不良資産があってこのような状況になったというわけではなく、今回の震災においてこのような局面に今直面している。そして、これからしっかりと信用をさらに担保するためにも、さらに金融の貸し出しができるためにも、この強化法に基づく支援ということを今検討していると伺っておりますが、このことに対して、政府としてはどのような対応をされるか、お伺いいたします。

和田大臣政務官 先ほど来、小野寺委員の、本当に被災地における、議員としてのつぶさに見られた姿をお聞きしておりまして、私が担当します金融の分野でも精いっぱいのことをやっているつもりではございますが、なお一層努力が必要だなと思いながらお聞きしておりました。

 まず、先ほど財務大臣へのお問い合わせだったようでございますが、金融機関、現地においては約二千七百ほど店舗がございますが、本当にそれぞれ努力していただいているところではあっても、四月二十日時点ではそのうち百二十ほどがまだ閉鎖されたままでございます。

 おっしゃるとおり、本当に御不便をかけているところでございますが、金融庁からの要請に基づき、金融機関サイドとしても最大限、今努力しているところでございまして、預金の引き出し等につきましては、ほかの金融機関に行っていただいても何とか対応をとっていただくネットワークを構築しております。

 先ほどのお問い合わせは、貸し付けについての御相談ということでございますので、さすがにそこは他の金融機関でお受けするわけにはなかなかまいらないわけでございますが、なお一層、どういった対応ができるか、また努力を要請していきたいというふうに思っています。

 今のお問い合わせの金融機能強化法につきましては、この法律そのものが、地域経済をしっかりと支えようという地域金融機関にはしっかりとサポートすべく、成立させられた法律でございます。地域経済もしくはその地域にある中小企業、これらを支えるためには、そもそも、資本増強という手段でございますが、危なくなった金融機関を助けるという趣旨よりは、むしろさらに貢献していただくということを前提に、地域金融機関からの申請があれば金融当局としても積極的に対応していきたいというふうに考えています。

 今、実は法改正を検討している最中でございます。できるだけ早く御提出申し上げられるよう準備を整えてまいりたいと思います。

 その中でも、今回、そうやって使っていただきたいという趣旨を含めまして、より使い勝手のよい、例えば一例として申し上げれば、法律の中に経営責任を明確化すべしというような条項も盛り込まれているわけでございますが、被災地域や、それに間接的な被害を受けていらっしゃる企業であれば、それをサポートしている金融機関に経営責任があるから状況が悪化したり厳しくなったりしているわけではございませんので、そうしたところも含めて、しっかりと対応をとっていきたいというふうに思っております。

小野寺委員 もう一つ悩ましいのは、実は、地方銀行はそれぞれの県内に店舗があるんですが、信用金庫、ここに至っては地域密着型ということになります。ですから、例えば、個別の名前で恐縮ですが、石巻にもありますし、気仙沼にも信用金庫がそれぞれございます。これらは、その店舗も実は沿岸域に限定がされております。そして、取引先も主にこの沿岸域に限定をされています。

 これらの信金ですら、自社の店舗でも半数以上が今回全壊という状況で、いまだに半数以上は開店できていない。そして、さらに取引先に至っては、例えば土地建物、当初、これが担保ということで、その物件の評価をそれらの金融機関がしていたとしても、今回の津波で建物は流され、土地はゼロメートル以下になってしまった。

 こうなると資産価値はゼロになります。まさしく債権がどんどん劣化していく。一年間は猶予があるといっても、その後は、実際にどれだけこの債権が価値があるのかということ、担保は価値があるかということをそれぞれの金融機関はしっかり査定をしなければいけない。そして、自己資本比率がそこでまた決められる。本当に今回は、経営努力ではない、大きな被害、特に、この沿岸域における信用金庫には相当のダメージということになります。

 金融機能強化法で対応できるというのは、今お話しされた、経営責任を問わない、今回の改正ですね。当然これは経営責任なんか問われるはずはありません、天災ですから。ですから、私は、この改正の趣旨自体がもう少し踏み込んだ方がいいんじゃないかと思っています。

 今回、資本注入を受けるということになりますと、当然、利子に相当する分、配当という形で、これらの金融機関は返済をしなければいけません。恐らく、現在二%あるいは二%強の配当という形で、資本注入を入れてもらった金額に関して利子を、実は金融機関が払わなきゃいけない。そして、この利率というのは、それぞれ金融機関の体力や状況に応じて、実は高くなる。そうすると、沿岸域における金融機関は、体力も、それから持っている資産の価値も相当劣化するだろう。逆にこの配当が高くなる。被災を受けて、経営責任は問われなくても、もう実際、経営自体が大変厳しい状況になります。

 私は、各種、今後は政府がいろいろな新しい政策を考えておりますが、特に、これだけ被災を受けた、店舗の半数以上が全壊になってしまった地域の金融機関に対して、今回、国を通じた形での資本注入ですが、例えば、この返済利子の相当分、配当という形の一部を国が負担する、このような制度に踏み切ることも当然あるのではないか。

 そんなに大きな金融機関ではないんです。地方の、支店が七つとか九つしかないような信用金庫、そこの半数以上の店舗が全壊、お得意様もほとんど今すぐ再建できない。幾ら資本が、今回強化法でお金が入るとしても、いずれこのお金は、この金融機関は、配当という利子を払って返さなきゃいけない。本当に何も支援をしなくていいのか、資本注入だけでいいのか。

 そういう方向についてぜひ、きょうすぐに即答できなくても、深い意味で考えていただいて、これらの金融機関に対してのしっかりとした支援ができるかどうか、お伺いしたいと思います。

和田大臣政務官 私どもも今回の機能強化法等改正案を検討していく際には、震災という事情を重く受けとめて、いろいろな要素を考え合わせていく必要があるというふうに考えています。小野寺委員の貴重な御意見もきっちりと踏まえながら、検討させていただきます。

小野寺委員 所掌ではありませんが、最終的にこれを後押ししてやるのは財務大臣だと思っております。

 それほど大きな銀行を支援してくれということではないんです。地方の、本当に今回津波の被害を直接受けた、自分たちの店舗も、そして取引先の皆さんも本当に厳しい被害を受けた。そして、地方に住む、私どももそうですが、小さい商店、本当にこれから再建しようと思ってローンを借りる方、教育ローン、さまざまな身近な金融の相談は、実は地方の信金にお願いしているんです。この信金が傷つくということは、こういう地方の、本当に生活しているところが傷つくということ。

 そして、ぜひ聞いてください。地方銀行はまだちゃんとした銀行業務を行っていません。ですが、これだけ被害を受けても、信金の皆さんは、壊れた店舗で、手書きの伝票で、実は懸命に金融の努力をされています。私が見たすばらしい景色は、震災三日後、この信金の職員の皆さんが、背中にリュックサックを背負って、その中に現金を入れて、大きな現金ではありません、手書きの伝票で、今被災している方が少しでもお金が必要であれば、自分たちが自転車で、車はありませんから、被災地を回って、そこで金融の支援、小口の引きおろしの窓口として働いている姿、これを見て、目頭を熱くしました。

 残念ながら、ほかの銀行はいまだに店舗を開いてくれない。相談窓口しか置かない。その中で、いかに被災地における信金の役割が大きいか。そして、ここが大きく傷ついたんです。ぜひここに関しては、今後、機能強化ということで資本の注入はもちろんのこと、ぜひ利子に当たる配当金という問題、これも支援していただけないか。

 さまざまな制度の中で、例えば農協とか漁協とか、あるいは役場とか公的な機関については、激甚災害の指定で、この八割、九割を国が修復の補てんをします。私は、地方の金融機関も公的な役割を担っていることはもちろん、もしかしたらそれ以上かもしれない。そこの災害復旧に対して、現在、これは民間の機関だからということで、何も支援のスキームはありません。せめて、ここまで被害を受けた信金、幾つもないんです、そこに対してはさまざまな制度を設け、これだけ、半数以上の店舗が被害を受けた場合には、配当に当たる一部を国が補給してあげる、このぐらいの制度をぜひお願いしたい。

 再度、財務大臣と和田政務官にお願いします。ぜひこのことを重く受けとめていただけるよう、励ましの言葉をいただきたいと思います。

野田国務大臣 信金、信組が地域に根を張って、その活動が地域の皆さんの生活、そして中小零細企業の事業のまさに中心となっている、後ろ盾になっているということは本当に間違いないというふうに思います。今の被災地における取り組みは、まさに頭が下がるという思いでお聞きをしておりました。

 そういう厳しい現状を我々はどうやって認識をし、どう対応するか、これは専ら金融庁が御判断をすることだと思いますけれども、私個人としても自見大臣とよく御相談をさせていただきたいというふうに思います。

和田大臣政務官 先ほど申し上げたことの繰り返しになって恐縮ですが、私どもとしまして、今回、機能強化法を改正するに当たっては、今おっしゃっていただいたような被災地の現状というのをしっかりと受けとめながら、最大限、できることを考えていきたいというふうに思っております。

小野寺委員 ぜひ、まだ各種の制度が、これから法案として、審議をもう既にされているということもありますが、これから、後づけでもいいです、あるいはさまざまな工夫でもいいです、少しでもこれらの信金、信組そして地銀に対して支援をしていただく。これは地域の経済にとっては心臓です。心臓が弱ってきたら、幾ら血液を入れても体に循環をしません。心臓を強化すること、これが私は大切なことだと思っております。

 それからもう一つ、これから私ども、復旧をしようと思うとき、再建をしようと思うとき、こういう場合に、実はこういう事例があります。

 地域で不況が続いておりましたので、例えば建設業、建設業にかかわる電気屋さん、工事屋さん、ペンキ屋さん、こういう方々が、最近公共事業がどんどん減って大変だ、経営が苦しくなっているという中で、政府のさまざまな信用保証の枠組みで融資を受けていた。それで何とか経営をすることができた。今回の震災で、実はこれらの、例えば車であったり、器具であったり、工具であったり、倉庫であったり、こういうものがすべて流されてしまって、復旧が今できない状況にある。

 この方々は、地元の地域の復興には不可欠なんです。私の家も津波で水をかぶりました。恐らく住めないと思います。ですが、もしこれから再建するためには、当然そこで、電気あるいは水道、ガス、さまざまな業種の方のお力をいただかなきゃいけない。ところが、この方々が、長引く不況でかなり経営が大変、そして政府保証枠で融資も受けている。

 今回、これらの人たちが十分活躍できるような状況になります。これらの力の人たちがいなければ、地域の再建はできません。もう一押しの保証枠、もう一押しの保証の後づけがあれば、今までの負債も含めて、最終的な返済計画がしっかり立っていく、こういう方も多いはずなんです。

 この間まで、八千万とよく言われますが、無担保の保証枠ということがありました。今回の震災を受けて、このさらなる上乗せということを政府としてお考えと伺っておりますが、その内容について、あるいはどのような形でこれが行われるか、教えていただければと思います。

豊永政府参考人 お答えさせていただきます。

 今般の震災で被災された中小企業の方々にとられまして、資金繰りは最も重要な課題だと認識しております。私も、三月の末に石巻、塩竈に参りまして、その悲惨な実態を見てまいりました。こうした経験を踏まえまして、政府といたしましては、これまでもさまざまな支援策を講じてまいりました。

 具体的には、今お話のありました信用保証でございますけれども、震災直後の三月十四日には、直接被災された中小企業向けに災害関係保証、また、間接被害を含めた、業況の悪化された中小企業の方々には、全業種を対象にしましたセーフティーネット保証を切れ目なく実施してきてございます。

 お話のありましたように、この災害関係保証、セーフティーネット保証につきましては、無担保保証、無担保枠八千万円、また、それを含めて最大で二億八千万円の上限がございます。これまで既往債務がおありの方々で、今回の震災でさらにお借りになる方々には、確かに窮屈な面があると承知してございます。

 したがいまして、中小企業庁といたしましては、今回の補正予算を活用いたしまして、信用保証枠を大幅に拡充するといった措置を含めました、震災対応の新たな保証制度の創設を検討いたしているところでございます。できるだけ早くその実現に尽力してまいりたいと考えてございます。

小野寺委員 今お話がありました、これは保証協会によって、震災復興の緊急保証ということで、従来の八千万の保証枠にさらに上乗せして、八千万までの保証をいただけるというような検討が今なされている。もちろん補正予算の通過が前提ということになると思いますが。

 私どもは、こういう制度があると、やはり勇気がわくんです。そして、地元で今避難所にいる方々が、よし、これをもって、もう一度、流された車であったり、倉庫であったり、あるいは工具であったり、そういうものをもう一度整備して、そしてこの復興に向けて最前線で頑張っていこう、これには五年、十年かかる、自分たちがその役割を担うんだ、その勇気、後押しになります。そして、必ず、こういう技術を持っている方は、努力をされ、今までの債務も含めて返済ができる、将来は、しっかりとした経営体制のもと、納税もできる、こういう方々に必ず変わります。漁業者も同じです。

 ぜひ、こういうところの支援のためにも、この保証の制度が今後決まったとしたら、速やかに、あるいは、窓口でさまざま書類等の問題があると思いますが、これらの被災者の皆さんはすべて流されているんです。帳簿も流されているんです。そういう面では、手続の簡素化。せっかくこれだけの制度をつくってもらうのであれば、それが実態として生きていくこと、うまく回っていくこと、そしてそのモニタリングもぜひ中小企業庁にはしっかりしていただきたい、そのように思っております。

 さて、時間もそろそろ最後になりました。一つ、被災地に住む者の意見として聞いていただきたいと思います。

 今回は、全国の皆さんのさまざまな支援によって本当に救われていると思います。そして、これから、まさしく申しわけないと思っているのは、この震災復興に関して十五兆とか二十兆とかさまざまな予算、これがかかるということの試算もございます。これだけの予算を、全国の皆さんの税金や、あるいは将来にわたる税金によって賄うということに関しては、大変申しわけなく思っております。

 ですが、一つ政府に対してお話をしておきたいのは、私どもは、こういう被災を受けたとき、それから立ち上がるために今支援をしていただきたい、そして立ち上がった暁には、やがて納税者として、これだけ受けたものに関して全国民にお返しをしたい、そういう思いで復興の決意をしております。

 その中で心配なのは、消費税の引き上げの問題です。どうも、震災に対する支援のために消費税の引き上げの議論ということがあちらこちらから聞かれておりますが、もしこうなりますと、被災者のために日本国民の税金が上がる、このようなメッセージが伝わったら、あるいはこのような受けとめ方を日本国民にされたら、私ども被災地に住む人間にとってはたまりません。阪神・淡路のときは税金を上げたでしょうか。

 私たちがお願いしたいのは、私たちの地域は、これは復興です。ですから、同じ国債を発行するのでも、建設国債、将来の負担をローンで支払いするような、そういう建設国債の内容で、本来ならば充当されるべき内容だと思います。それが、なぜか赤字国債の発行をどうも伴うような将来の消費税の議論というのが今回なされるのであれば、地域に住む者にとって、このような議論で進めば、大変肩身が狭い思いになるのではないかと思っております。

 この震災復興予算と、現在、消費税の議論が一部なされていると伺っておりますが、現在の議論の状況についてお伺いしたいと思います。

野田国務大臣 まずは復旧が大事でありますので、きょう、閣議で概数の決定をしました。約四兆円の第一次復旧の補正予算、これを、できれば四月二十八日には国会に提出をして御審議いただきたいと思います。

 その後の復興については、復興のための復興構想会議がつくられました。ここで青写真が六月の末ぐらいにつくられてくるだろうと思います。かつまた、与野党のさまざまな協議も行われるだろうと思いますが、まずは復興のビジョンをつくって、当然被災地の声もしっかりと反映をさせながら、復興ビジョンをつくる上でどういう対策が必要なのか、財源はどうするかという議論を精力的にこれから行っていくはずでありまして、まだ、具体的な税目をどれにして、その税率をどう上げてという話をしているわけではございません。

小野寺委員 消費税というのを、被災者の復興ということで、税金が上がるのは被災地の方を支援するためだ、そういう話でこの話を進めていくことに関しては、私どもはぜひ反対をしたいと思っております。

 最後に一言だけお話しさせていただきます。

 政府で復興会議なるものができたというふうに伺っております。阪神・淡路と私どもの今回の東日本の震災の一番の違いは、阪神・淡路、神戸、兵庫は真ん中なんです。ですから、さまざまな地方の、地域の力はありますし、いろいろな支店もやはり神戸には必要だということで、民間のいろいろな支援ができる地域です。さまざまなモニュメントも多分必要なんでしょう。ですが、三陸沿岸は、どんなにデザイナー、どんなに優秀な建築者、こういう方がすばらしい建物をつくっても、ここで漁業や農業ができなければ、だれも住まないんです。

 復興計画というのは、産業の復興計画。産業が復興しなければ、どれだけすばらしい町ができても、そこは空虚なモニュメントにしかならない。そういうことを踏まえて、ぜひこの会議の中で、構想ではなく、大切なのは産業、この地域で働いて生きていけるための産業の復興ということ、これを重く受けとめて財務大臣には対応していただきたい、そのように思います。

 ありがとうございました。

石田委員長 次に、小里泰弘君。

小里委員 自由民主党の小里泰弘でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 さて、自由民主党は、災害発生当初から各部会をフル稼働いたしまして、政府への提言もまた行ってまいりました。党独自のボランティア活動も行ってきたところでございます。そして、三月二十四日には緊急対策の提言を行うためのプロジェクトチームを発足いたしまして、党を挙げての真摯な議論のもとに、約四百四十項目前後の緊急提言を、一次、二次合わせて行ったところでございます。菅総理を初め政府におかれましては、この緊急提言をしっかりと受けとめる、反映をさせていく、特に補正予算に反映をさせていくという言明があったところでございます。

 この提言がどう実行されていくか、これは特に財務大臣にかかっていると思います。補正予算、税制に関してどのようにこれを受けとめ、実行されようとしておられるか、お伺いしたいと思います。

野田国務大臣 自由民主党からいただきました、三月三十日、第一次、そして四月十五日、第二次、これらの提言の趣旨を重く受けとめながら、今般の第一弾の税制上の措置、そして今月末に提出予定の第一次補正予算、これらを策定するに当たり大いに参考にさせていただき、重く受けとめながら対応しているつもりでございます。

 まだまだすべてを受けとめ切れていない部分もありますけれども、例えば税制は、まだ第二弾もございます。補正予算も、第二次以降複数回にわたろうと思いますので、そういう中で議論を進めていきたいというふうに考えております。

小里委員 今までのところ、政府の対応におかれましては、各省庁がばらばらに動いているなという感を非常に強くするところでございます。

 官僚の皆さんはそれなりに対応はされつつあると思います。しかしながら、やはり官僚の範囲にあっては、従来ののりを越える、制度を超えるところの対応はできないところであります。やはりそこは果敢に政治決断でやっていかないといけない。震災の場合は日々特例措置の連続でありますから、そこをしっかりと政治決断でやっていく司令塔が必要であろうと思います。しかし、残念ながら、今その司令塔の顔が見えてこないなというのが正直な国民の感想であろうと思います。

 大臣、いかがでありましょうか。

野田国務大臣 小里委員におかれましては、阪神・淡路大震災のときに、お父様と組んで大変御活躍をされたと承知しています。そうした御経験を踏まえての御提言と受けとめさせていただきたいと思いますけれども、防災対策全般については防災大臣を中心に取り組んでいます。原発の問題については、これは経産大臣を中心に取り組んでいます。全体的な総合調整は官房長官が行っています。お金回りについては私が担当するという形で、司令塔という言葉がございましたけれども、最終的には総理を中心に、それぞれが役割分担をしながら、しっかり対応をしていきたいと思います。

 そこで、気をつけなければいけないのは、この政治主導、どうしても、積み上げ型のもので特例的な判断をしなければいけないときには、これは守備範囲を超えて、いろいろと政治家同士もやはり意思疎通をしながら決断しなければいけないと思います。ぽてんヒットを起こさないように、細心の注意を払っていきたいと思います。

小里委員 阪神・淡路の例を今出されたところでありますが、阪神・淡路のときもそうでありましたけれども、やはり日々新たなニーズがどんどんどんどん出てくるんですね。それをどう受けとめるかでありまして、やはり基本は二十四時間以内に答えを出すということであります。

 阪神・淡路のときは、折から通常国会のさなかでありました。毎日毎日、予算委員会あるいは災害対策特別委員会が開催をされておりました。昼は、総理も担当大臣もその国会対応に追われます。しかし、その国会対応の中で、いろいろな被災地からの意見が出てくる。さながら震災国会でありましたから。そういった批判も含めてしっかりと受けとめて、それを糧に進めていくことが大事であったと思います。今回、今次国会では、ほとんどその光景が見られないのが大変残念に思うところでございます。

 そして、夜、メンバーを集めて、担当大臣を中心にして、その日のニーズを酌み取って、それぞれの課題に対して担当大臣が方針を示す。そして、翌日のまた対策会議で、各省庁からその具体案が出てくるんです。それを大臣が裁可をして進めていく。すなわち、原則として二十四時間以内にそれぞれのニーズにこたえていったのが阪神・淡路の例であります。今回でいえば、自民党から提言をいたしました、その第一次の緊急提言の分ぐらいはとっくにやり終えていないといけない、とっくに現地に届けていないといけない、私はそういう思いが強くするところであります。

 そういったことをなすための司令塔が不在でありますから、各省庁がばらばらに動いている。結局、やはり財務省に負うところが大きいんだろうと思います。財務省にお伺いを立てる。したがって、今回の対策が実行されていくかどうかは、一に財務大臣の査定にかかっていると申し上げても過言ではないんじゃなかろうかと思います。今はそれで仕方ないんでしょう。しっかりと、財務大臣におかれて、それぞれのニーズを酌み上げて、積極的に対応を図っていただきたいと思うところでございます。

 そこで、今回、被害が非常に広範囲に及んでおります。また、甚大に及んでおります。塩害とか原発等もありまして、被害の質もまた深刻であります。被災地の財政状況等も考え合わせますと、ここは従来の災害を超えた特段の財政特例措置というものが求められるんだろうなと思います。

 そういった観点から、財務大臣の今回の財政特例措置に臨む考え方というものをお示しいただきたいと思います。

野田国務大臣 小里委員御指摘のとおり、今般の東日本大震災の特徴は、被害が広範にわたる、大規模であるということと、そして、当該地域の自治体が壊滅的な打撃を受けてしまっているということだというふうに思います。

 こうした特徴にかんがみまして、発災が三月の十一日だったと思いますが、その翌日に激甚法を適用させていただくという形で、できるだけ被災地の実態を踏まえた、きめ細やかな手厚い財政援助をしていこうということを、二日目に、対応するということを決めさせていただきました。

 加えて、例えば津波による膨大な瓦れき処理の費用、今回の第一次補正予算にも、これに対する対応をしっかりしようということで、一定の額を入れておりますけれども、財政規模に比し負担の大きな市町村に高率の補助率を適用するとともに、そして、地方負担分については、地方債の元利償還金の一〇〇%交付税措置をとるなど、こういうように国庫補助とそのほかの政策手段を組み合わせながら、被災地域における負担を極小化するというような取り組みをさせていただいております。

 また、被災者等に対する特別の助成措置として、被災された方々や事業主に対する社会保険料を減免するほか、農林漁業者、中小企業者に対する金融支援なども講じるなどをさせていただいております。

 これからも引き続ききめ細やかな対応をしたいと思いますが、現場の声を踏まえた御党からの提言も、これからもさらにお聞かせをいただきたいというふうに思います。

小里委員 激甚災のお話もありました。阪神・淡路のときに初めて推定値を導入いたしまして、一週間足らずのうちにその指定を行った。今回もそれ以上にこれをやっていただいた、そこは評価をしたいと思います。

 ただ、今回、阪神・淡路と比べて被害が広範囲だ、原発等もある、したがって対応がおくれてもいいという雰囲気が存在するところに、私は非常に大きな危険を感ずるわけであります。阪神・淡路のときは、まさにすべてが初めてでありました。教科書もない、ノウハウもない、そういったところで一から対策をつくり上げていったんです。今回は、曲がりなりにも阪神・淡路という一つの下敷きがあるんですね。大体、特に基本動作においては、七割方は共通するものであろうと思います。

 その基本動作においてすら今回おくれにおくれている、その対応をなさんがための組織体制そのものがまだ構築されていない、要らぬ会議ばかりがたくさん出てきている、そっちが目立って、しっかりした肝心の組織体制が構築をされていないというところを、あえて指摘を申し上げておきたいと思います。

 特に財政特例措置、いろいろな話を今お触れいただきました。例えば、公立学校に対して私立学校をどうするのか、あるいは公立の病院に対して私立病院をどうするのか、あるいはまた、我々が求めている、日々のいろいろなニーズにこたえるきずな基金の対応等々、まだまだ政府から答えが出ていない財政措置も多い。そういったところをしっかりとらえて、互いにまた議論をしながらでしょうか、しっかり取り組んでいただきたいと思います。

 そこで、本日の本題に入りたいと思います。

 被災者、被災事業者の方々の負担を和らげる、そして生活支援、再生支援に供していくために、さまざまの角度からの税制上の特例措置が求められているところであります。

 我が党からの緊急提言におきましては、国税、地方税合わせて四十八項目の提言を行ったところでございます。大臣がおっしゃいますように、そのほとんどが今回の閣法に盛り込まれているようであります。また、今後、第二弾の措置に向けて取り込んでいただけるんだろうなと思うところでございますが、念のために、まだ盛り込まれていない項目について確認をしてまいりたいと思います。

 まず、所得税、法人税に関連をいたしまして、被災者向けに優良賃貸住宅を建築した場合、その所有者に割り増し償却の措置を図るということを求めているところでございます。被災者の住宅対策として有益であり、不可欠な措置であろうと思いますが、どんな方針でございましょうか。

野田国務大臣 まず、冒頭、直接の御質問じゃありませんでしたけれども、もっとスピード感を持って対応しろというお話については、それは全くそのとおりだと思っていますので、阪神・淡路大震災のときに、最初の第一次補正というのは約四十日後提出をされまして、成立しました。それをあくまで、大規模で広範であるけれども目指しながら、そういうことで、四月の末までに第一次補正予算案提出ということでございます。

 税制上の問題で、ほとんど、すぐできるものについては御党の御提案も今回取り入れていますけれども、今具体的に御提起のあった被災者向け優良賃貸住宅の割り増し償却、これはまだ、今回措置はされていません。

 御指摘のこういうまだすぐ措置されていないものも含めまして、今後、復興に係る全体の枠組みの中で、ちょっといろいろ関係省庁もかかわるものですから、しっかりと検討させていただきたいというふうに思います。

小里委員 よろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、自民党の緊急提言におきましては、被災した農地を譲渡ないし取得した場合、譲渡所得に対する特別控除の引き上げと一〇〇%の圧縮記帳による課税繰り延べ措置というものを求めております。

 今回、閣法におきましては、ほかの土地と同じように、圧縮記帳については盛り込んであります。ところが、特別控除の引き上げについては盛り込まれておりません。見解をお伺いします。

野田国務大臣 ただいま御指摘の被災農地を譲渡した場合の特別控除の引き上げも、先ほどの被災者向け優良賃貸住宅の割り増し償却と同様に、いただいた御提起の中でまだ生かしていない部分でございますけれども、引き続き、これも第二弾の中で入れるか入れないかも含めて検討させていただきたいというふうに思います。

小里委員 御案内のとおり、農地というものは、失うのは簡単であろう、語弊があるかもしれませんが。しかしながら、取得するというのは非常に困難をきわめるんですね。だからこそ、圧縮記帳だけじゃなくて、譲渡益に対するところをしっかりやっていただきたいと思うわけであります。ぜひここはお忘れのないように、今後の対応をお願いしたいと思います。

 なおまた、津波被害を受けた農地につきまして、かつての開墾地免税制度というものがありますが、被害農地で生じた農業所得に対して、これを例えば五年程度非課税にするという措置を、自民党から緊急提言で求めております。この扱いはどうなるのでありましょうか。

野田国務大臣 同じ答弁になってしまいますが、今すぐ取り入れられるものは、今回の第一弾の税制措置で取り入れました。引き続き、今の御指摘のことも含めまして、検討をさせていただければというふうに思っております。

小里委員 農業全般にわたりまして、どういったグランドデザインを描いて、全体をしっかりと調整を図りながら、効率的にその再生を図っていく、大変な作業であろうと思います。だから、こっちが決まらないとこっちも決まらないというところもあるんだろうと思います。しかし、この部分は非常に大事な部分であります。

 津波による塩害等を受けた農地は、これから再生に向けまして、大胆な塩害対策、土壌改良が必要になってまいります。そして、農地の復元後におきましても、減収や品質の劣化が生ずることが想定をされております。これからまさに大変な苦労が待っている、作業が待っている、そういった農家に対して、特段の措置を図っていただきたい、要望したいと思います。

 関連をいたしましてお伺いをいたしますが、津波による災害に対処するためには、従来の原状復旧ではなかなか届きません。今申し上げましたように、土地改良事業の中で、思い切った区画整理事業の導入を初めとした、従来の発想を超えた大胆な展開が必要であろうと思います。特に除塩事業、塩を除く事業の創設、あるいは区画整理事業の国庫負担のかさ上げといった措置を中心といたします、まず、土地改良法上における大胆な対応が必要であろうと思います。

 農林水産省サイドにおかれまして、そこのところは今準備を進めておられると伺うところでございますが、財政当局におかれましても、しっかりとそこをフォローしていただきたいと思います。見解をお伺いします。

    〔委員長退席、大串委員長代理着席〕

野田国務大臣 今般の津波による冠水した農地が、約二・四万ヘクタールというところでございますので、津波による被害を受けた農地を復旧するに当たっては、御指摘の除塩事業を行う必要があるというふうに認識をしています。このため、農水省において、当該事業を創設し、今般の補正予算において必要な額を計上する予定でございます。

 また、農地の復旧に当たっては、単なる原形復旧にとどまらず、必要な区画整理事業を行う必要があると思います。このため、当該事業においても、激甚災害法並みの高い国庫負担率で実施できるよう措置をする予定でございます。

小里委員 最終的に自治体の負担になりませんように、特に生産者に間違っても負担がいくことのないように、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 それと、これは要望でございますが、先ほどから申し上げましたように、かなり従来の発想を超えた農地への対応というものが必要になってくるんだろうと思います。特に、この際と申しますか、使える農地、使えない農地を区分けして、また、意欲のある農家、あるいはここでリタイアされる農家も残念ながらいらっしゃるかもしれません。そこらをしっかりと見きわめを図りながら、やる気のある農家に農地をしっかりと集積していく、そして、構造改革を図っていく。むしろ、東日本の農業を新たな日本の農業の姿においてそのモデルとしてとらえて、大胆にやっていく必要があろうと思うんです。

 例えば、これは仙台の市長さんからの要請であったと思いますが、もう思い切って、使える農地であってもこれを国が買い上げて、そこに大胆に土壌改良等の土地改良を施して、これを意欲のある農家にリースをしていく、こういった対策も必要なんじゃないかという要請でありました。かなり従来の発想にない考え方でありますけれども、そういった方策も排除しないで、しっかりと選択肢にとらえて取り組んでいただきたいと思います。今は、その件は答弁は求めません。

 続きまして、中小企業における事業承継に係る相続税、贈与税の猶予制度についての扱いであります。

 これに関連しまして、非上場株式等の納税猶予制度の適用要件を緩和することを我々は提言しております。これはどんな方向性でございましょうか。

    〔大串委員長代理退席、委員長着席〕

野田国務大臣 非上場株式等に係る相続税等の納税猶予制度では、申告期限後五年間、事業継続要件、雇用の八割維持等を満たすこと等が必要とされております。これらの要件を満たさなくなった場合には納税猶予が取り消され、猶予税額の納付が必要となります。

 今般の東日本大震災においては、認定会社の事業所等が被災して、事業の継続が困難となる事例や雇用の八割維持が困難となる事例も想定をされるところでございますので、事業継続要件の緩和等について検討する必要があると考えております。

 今後、認定会社等の被害の実態をきめ細かく把握した上で、事業承継税制の制度趣旨等を踏まえつつ、検討してまいりたいというふうに思います。

小里委員 被災で担保が傷んでおる場合もあろうと思います。したがって、担保提供についての要件を緩和する必要があろうと思います。

 そしてまた、相続開始から五カ月後に会社の代表者であることを制度は求めておりますが、混乱の中に株主総会を開けないケースもあろうと思います。あるいは、認定のための申請期限の延長措置というものも必要であろうと思います。その他、大臣がおっしゃったように、各般にわたりまして特段の措置を図っていただきたいと思います。

 協同組合組織の貸出金、購買未収金に係る所要の引当金に対しまして、無税償却、税額控除などの税制特例を求めております。これは運用で対応されるという考えでよろしいでしょうか。

野田国務大臣 運用で対応しようと考えております。

小里委員 同じく、相続税、贈与税の納税猶予を受けている農地につきましては、本来、農業の用に供されていなくてはなりません。

 しかしながら、今回、大震災によりまして経営再開が困難になったところが多い。したがって、経営廃止や耕作放棄とみなさない措置が必要でありますが、これも運用によるという考えでよろしいでしょうか。

野田国務大臣 端的に申し上げると、運用で対応しようと考えています。

小里委員 ぜひよろしくお願いします。

 私どもは、災害発生直後、第一次の緊急提言におきまして、思いやり基金というものを要望してまいりました。やはり、被災地におきましては、いろいろなケースに対応していかないといけませんが、制度のすき間というのがあるんですね。なかなか思うように制度上対応できないところがある。そこを、当座自由に使えるお金が欲しいというのは、被災自治体のたっての要望であります。

 交付税措置等によりまして幾らかなさってきたわけでありますが、この思いやり基金、今は、第二次緊急提言からは、きずな基金と名称を変えさせていただきました。この対応についてお伺いをいたします。

野田国務大臣 自民党から、きずな基金という形の御提起をいただいているということは承知しています。これは、要は自由に使えるお金をつくった方がいいというのが多分制度創設の御趣旨だと思いますけれども、これに見合った形で、かなり国庫の負担も、今回は補助もかさ上げをしていますし、加えて、地方公共団体のさまざまな財政ニーズにこたえるものとして地方交付税がございますけれども、このうち特別交付税は、御党の御提言のような多様なニーズに対応することができる、そういう措置だというふうに思っています。

 既に、被災自治体に対して、二十二年度三月分特別交付税の交付、二十三年度四月分普通交付税の交付、二十三年度六月分普通交付税の繰り上げ交付、二十三年度特別交付税の特例交付、そして、今般提出をする予定の補正予算においても、地方交付税交付金、これは千二百億円を計上という形で、かなり被災団体にとっては自由に使えるお金を私どもとしては用意させていただいているというふうに思います。

小里委員 先般、被災地に行きまして、知事さんや自治体の皆さんから声を求めました。やはり、自由に使えるお金が少ない、もっともっといただきたいという声であります。

 例えば、きずな基金に対する、きずな基金の使い道としてどういったことが考えられますかということを問うたわけであります。すると、首長さん方からは、例えば、生活交通の確保、仮設デイケアセンターなど仮設住宅の維持に関し制度上補てんできない事業への支援、あるいは、復旧ボランティア活動への支援、在宅避難者への支援、国の枠組みから外れる人を対象にする被災者雇用奨励金の支援等々、多項目にわたる要望が寄せられております。なかなか、今の政府の対応では現地に届いていないなという感が強いところであります。ぜひまた、この緊急提言に書きました例をごらんいただきまして、対応を図っていただきたいと思います。

 ただ、大分、このきずな基金の対応する時期も逸しつつあるのかなと思うんです。このきずな基金というのは、やはり緊急対応の中で求めたものでありまして、復興基金とは別に位置づけをしてまいりました。このままいくと、もう復興基金へスライドせざるを得ないのかなというところもございます。

 復興基金となりますと、例えば、先ほど申し上げましたように、公立に比べて行き届かない私立学校の支援のために復興基金から手当てをするとか、あるいは私立病院等々においてもそういった措置が考えられるかもしれません。あるいは、各般にわたる融資の利子補給、そこに基金から充当していくということも出てこようかと思います。復興基金に向けまして、かなり大胆な、大規模な対応が必要になってくるんだろうと思います。

 したがって、きずな基金の意味合いを含めながら、もし万が一きずな基金としてこれを対応するのがもう手おくれであるという御判断であれば、復興基金を前倒しして、ぜひその中に含めながら、しっかりと広範囲に現地に届く基金となりますように措置を図っていただきたいと思います。

 最後に、大臣の見解をお伺いします。

野田国務大臣 きずな基金で例示されている具体的な使途の一例、これは二十項目ぐらい出ていますけれども、これを参考にさせていただきたいというふうに思います。

 加えて、復興基金の話ですが、阪神・淡路大震災のときは復興基金をつくったというふうに思います。そういう過去の事例なども踏まえながら、勉強させていただきたいというふうに思います。

小里委員 どうもありがとうございました。

石田委員長 次に、山本幸三君。

山本(幸)委員 自由民主党の山本幸三でございます。

 きょうは東日本大震災関連の国税の臨時特例の法案でありますけれども、中身は全く問題ありません。それにけちをつけるつもりは全くありませんので、むしろ遅きに失するぐらいですから、早くどんどんやったらよろしい。また、追加については、先ほどの小野寺議員や小里議員の提言も含めて、これも早急にやってもらいたいと思います。

 ただ、一つだけ気に食わないものがある。一条だけ、これはちょっと許しがたいと思っているのが一つありまして、これは本当はぜひ削除してもらいたい。衆議院でだめなら参議院でやらなきゃいかぬということで、私がちょっとここでしっかり詰めておきたいと思っているんです。

 それは、附則の第十二条なんです。この附則の第十二条というのは、今、所得税法がこの委員会にかかっていて、審議中である。いろいろな議論が行われて、私もこの財務金融委員会で、これは非常に問題があるという指摘を行いました。そこで取り上げた中の一つが、いわゆる国税通則法の改正の部分ですね。こんなことをやったら日本の税務行政はとんでもないことになる。

 そもそも、憲法上、納税というのは義務であって、権利じゃないんです。憲法上そういうふうに書かれているものをおかしな風にするから変なことになるんです。地域主権だってそうでしょう。憲法上は国民主権しかありませんよ。それを、地域主権とかいう言葉を使うからおかしくなって、ようやくこの前削除して、ほかの委員会で成立したわけですよね、成立というか、通ったわけですね。

 ここは、我々はそう簡単に原則を曲げるわけにはいかないんです。その部分の法案が所得税法の改正に含まれていて、そこをどうするかという問題がまだ、これから議論がされますよ。我々はぜひ落とさなきゃいかぬというように思っている部分ですよ。これがひっかかって、所得税法の改正案というのは宙に浮いている。

 その意味では、まだ、法令どころの話じゃないんですよ。まだ幽霊みたいな存在だ。これは、議論によっては、私が主張するように、おかしいから落としなさいよという話になる可能性もある。ところが、それを、いかにももうそのまま成立することが確実だという前提のもとにこの附則を書いてあるんです。

 どういうことをやっているかというと、今回の法律で、宙に浮いている所得税法の改正を行って、そこの附則で、そして、この今出している法律の改正をやりますという、わけのわからないことをやっているんですよ。これは、ある意味でいうと、国会で立法府が議論をしていて、通すか通さないかわからないという非常な懸案事項ですよ。それを、行政府がいかにも既に確実に通ったかのごとくこんな附則で書いてやるというのは、まさに行政府の立法府に対する冒涜じゃないですか。いかがですか。

五十嵐副大臣 お答えをいたします。

 先生の御指摘のとおり、二本の法律案が今出されている状態である。政府としては、その二本の法案の間にそごがあってはいけないということで、そして、二十三年度税制改正案についてはそのまま成立をお願いしている立場でございます。私どもは、大変よい改正を目指した法案で、ぜひ早期に成立をさせていただきたいとお願いをいたしております。

 この二本の法案の間にそごがあってはいけないということで、逆にお考えをいただきたいんですが、この法案の中でそれとは違うことが起きていれば、これはおかしいじゃないかという話に当然なってくるわけですから、これはそごは来さないように調整しなければいけないということで、今御指摘のとおり、もし現在御審議中のこの震災税特法案が成立をした場合に、その条項、それについては、本法の方、本法というか二十三年度税制改正案が通ってからそれが発効するという規定になっているわけです。いわば条件つきの規定になっておりますから、それでそごを来さないということ。逆に、仮に二十三年度税制改正案が修正されるということであれば、この附則第十二条の規定も、それに合わせて修正をされることになるだろうと。

 いずれにしても、両法案にそごを来さないように、かなり手続的、技術的なことでございますけれども、配慮をさせていただいたということでございます。

山本(幸)委員 そごを来さないようにすると言っていますけれども、そごを来さないようにするのは、既に成立している法律と改正しようという法律との関係のときにやるべき話なんですよ。まだ宙に浮いていてどうなるかわからない法律、提出されてたなざらしになっている法案はたくさんありますよ。そんなのが常に成立することを前提にして、そんな修正をやるんですか。おかしいですよ。既に成立している法律と今回改正する法律の関係を調整するというのはわかりますよ。通っていない以上は、まだ法令じゃないんだから。おかしい。

 では、お伺いしますが、もしこれが、この所得税法が、私が言っているように、この部分が改正できない、こういうふうにならなかった、つまり、国税通則法のこういう名前とかいうのもだめだという話になった、そこで、この部分が通らないということになったら、この条文はどうなるんですか。

五十嵐副大臣 まず最初に、このようなケースというのは、先生おっしゃるとおり何回かあるんですが、常にこのような技術的な工夫がなされている、私はこう思っております。

 今回もそれに倣っているものでございますが、確かに御指摘のとおり、二十三年度税制改正法案が通らなかったときは、こちらの法案の附則第十二条の規定もあわせて修正をされるということになると思います。

山本(幸)委員 確認しますが、そのときは、この附則第十二条を落とすという改正案をあなた方が出すということですか。

五十嵐副大臣 これは発効はしないわけですけれども、その修正についても御協議がなされるものと思います。

山本(幸)委員 それなら、最初からこんなものを書く必要はないんですよ。これを書くというのは、もうあなた方が出したとおりに通るという政治判断をしているから書くんですよ。もし通らなかったら、これを廃止する、落とす改正案を出すというのなら、今からこんなことをやる必要はないですよ。それは、立法府に対する冒涜以外の何物でもありませんよ。

 もしこういうことをやるなら、今回の法案はこれを除いたものを通しておいて、これは問題ないんだから、共産党さんはわからないけれども、後でお話があると思いますが。通しておいて、そして、今、宙ぶらりんの所得税法がこの後に審議されるという話になるわけだから、これはもう確実なんだから、こっちの方が先に審議しましょうという話になっているんだから、緊急だからね。そして、これを通しておいて、所得税法が審議されて、それが通るとき、あるいはこの法案が通った後に所得税法が審議されるでしょう。そのときに、政府がこの修正案をそっちの方で出せばいいじゃないですか。それが筋でしょう。

五十嵐副大臣 この法案の附則十二条が税制改正案の条項を拘束するものではありません。常に、同時に同様の関連する法案が出された場合は、このようにそごを生じないようにしているのがこれまでの通例でありまして、逆に、これが違っている、名称から何から違っているということになれば、これは立法府に対して、それは矛盾している、立法府に対する冒涜ではないかという御質疑が出されるのではないかと懸念をいたしております。

山本(幸)委員 違いますよ。そういうふうだったら、そういう中立的な条文を書けばいいんですよ。必要があったら必要な措置を講ずるぐらい書いておけばいいんですよ。だけれども、私が最も気に入らないこの名前の法案が出てくるから許しがたいんだ。

 それは、これが通るという政治判断をしているということですよ。だって、通らなかったら改正案を出すと言っているんだから、そんなばかげたことを二重手間でやる必要はないよ。それは、あなた方は手間を省こうとして、通すという政治判断をした上でやるから、こんな条文になるんだよ。必要ありませんよ。所得税法の審議をやるときに、そこで直せばいいんですよ。

 それから、こんな法律の調整のものなんて、どんなやり方でだってできるんだよ。大体、役人が法律をつくるときに悪巧みをやるのは、附則でやるんだ。私は前に役人をやっていたからよく知っているんだけれども。

 附則というのは、これは久しぶりに私は「法令作成の常識」という役人のバイブルみたいなものをきのうもう一回読み直しまして、「附則について」と附則で何を書くべきかと書いてある。施行期日、それから適用との関係、それから経過措置、関係法令の改正、廃止の措置、それから関係法令の改変に伴う経過措置、場合によっては施行地域、有効期間等の規定がある。

 これのどこに当たるんですか。

五十嵐副大臣 適用関係というところに該当すると。

山本(幸)委員 適用関係、どういうところがですか。適用関係というのは、法人税で、何月になってから施行しますといったときに、そのときに、決算が来る企業が、その期日から後に決算が来る企業なのか、その前までの企業なのか、そういう具体的な適用関係とかいうときに適用関係というんですよ。

 これは何の適用関係なんだ。

五十嵐副大臣 要するに、適用法律名を明らかにするということでございます。これはやはり矛盾してはならないということだと思います。

山本(幸)委員 適用法律名を明らかにする。何のですか。まだ宙ぶらりんで成立もしていない法律なんか関係ないじゃない、そんなの。

五十嵐副大臣 成立を前提としない法律は出すわけにまいりませんので、これは、法律はいつも、成立をしていただけるもの、立法府において慎重に審議をしていただいて、成立をしていただくものということをやはり前提にしなければ、関連法案は出せないということになります。

山本(幸)委員 それは立法府に対する冒涜であるとは、何ですか、その発言は。法律は出したら全部成立するというふうに言うんですか。それなら立法府なんか要らないじゃないか。どうするんですか。

五十嵐副大臣 それは、廃案になることも、否決されることもございます。だけれども、出す側の立場としては、二本の関連法案が出たら、それは二本の間でそごがないように、そしてそれは二本とも成立をすることを前提としてお出しするということでございます。

 それは、結果として否決される、廃案になることはあると思いますよ。

山本(幸)委員 だから、今、先に審議して先に通るこの法律じゃなくて、所得税法の方でやりなさいと言うんですよ。そっちでやればいいじゃないですか。

五十嵐副大臣 この委員会で、二十三年度法案で、よく丁寧に、先生の御主張も含めて御審議をいただきたいと思います。

山本(幸)委員 答弁になっていない。そっちでやればいいじゃないですか。ここでやる必要はありませんよ。どうですか。

五十嵐副大臣 これはやはり名称を挙げるという技術的な規定で、附則でございますので、本法の方でそれは御審議をいただきたいと思います。

山本(幸)委員 技術的な規定で、技術的だといいながら政治判断をしているから問題だと私は言っているわけです。だって、通るという前提じゃなきゃこんな条文は書けませんよ。

 今問題になっているんだよ。だって、通らなかったら、これをやめる改正案をあなた方は出さなきゃいけなくなる。そんなばかな規定は、問題のあるような規定はやめて、重要なことだけどんどんやっておいて、そして、所得税法のところで議論がある程度煮詰まってきて、そこでこれに関連する条文を出せばいいじゃないですか。先にこの法律が通っちゃうんだから。

 そうしたら、後から調整するというのが普通でしょう。それが筋ですよ。

五十嵐副大臣 これは一種の特殊ケースだと思います。先に提出された法案があって、それを追い抜いて、今度、緊急の措置を震災に対してやる法案を出した。この二本の法案は関連がある。先に出していた法案の方で後から来る調整規定を想像して書くことはできませんから、先に出していた法案の後、出てきた今回の法案において調整規定を設ける。そして、それがたまたま御審議の都合でそうなったということでありまして、後の法案が成立をした場合、その規定は、前の法案、本法案の二十三年度改正案が成立した後に発効する。

 この部分についてはそうなっているということでございますので、前の法案の審議を後ろの法案が規定をする、これを必ず通さなければいけないというふうに規定をするものではございませんので、お許しをいただきたいというふうに思います。

山本(幸)委員 許せない。だって、先に出そうが出すまいが、国会の審議の順序を決めるのは、立法府が決めることですよ、この委員会が決めることですよ。そんなことはあなた方に決められる筋合いじゃないよ。

 そして、そういうことになって議論が始まって、ここは通しましょうという合意がある程度できた。それは通るでしょう、先に。それがもうわかっているわけだ。

 そうであれば、これは問題ない条文にして通しておいて、そして、その所得税法の、たとえ先に出したものだろうと先には成立はしないんだから、そっちの方で、これがどうなるか議論の推移を見た上で、通りそうだったらそこで修正すればいいじゃないですか。そこで附則で書けばいいじゃないですか。そうでしょう。これが筋ですよ。この筋を曲げるようなことをこの附則で書くから私は気に入らない。

 中身は問題ないんだから通してやりたいと思うんだけれども、気に食わない言葉で、こういう、しかもこれは明らかに立法府に対する冒涜ですよ。今の発言を見ていても、もう出せば通るのが当然だという姿勢でいる、そういう行政府の姿勢は非常に問題ですよ。

 これだけ言っておいて、後で参議院でやりたいとも思いますから、ちょっとここまでにしておきます。

 もう一つ、一回ちょっと、いずれまたゆっくり議論しなきゃいけないと思っていますが、今回の復興財源の話についてもいろいろ話が出ていて、私は、日銀引き受けでやればすぐできるからやればいいじゃないかと。弊害は全くない。ほかの増税や国債の市中発行は弊害ばかりだ。景気はこれからどんどん悪くなりますよ。これから悪い指標しか出てこない。そう簡単に回復するような話じゃないと私は思う。

 そういう中で、ちょっとだけ大臣の見解を聞いておきたいんです。

 日銀引き受けについての批判というのは基本的に二つぐらいあって、一つは、インフレになるかもしれないから問題ですと。こんなものは、インフレ目標政策を入れちゃえば自動的に終わりだ。それから、あと、財政規律についての疑念を生じるようになるという話がよく出てくる。ところが、みんな、財政規律は何かということを詰めて考えていないで、ただ言葉だけ使っているんだね。

 大臣、財政規律というのはどういうことですか。

野田国務大臣 ルールにのっとって、財政でいわゆる過剰な出動にならないように気をつけながら対応していく、そういう基本的な姿勢だというふうに思います。

山本(幸)委員 そのルールにのっとってというのは、どういうルールですか。

野田国務大臣 いわゆる財政再建の観点で対応していく、財政の運営をしていくということだとは思います。

山本(幸)委員 財政再建の観点でというところをもうちょっと議論したいんです。

 財政規律というのは、要するに財政が、赤字が発散しない、つまり、政府累積債務がGDP比で拡散していかないような状況にしていくことが、財政の持続性を保つことになるし、財政規律を確保することになる、私は、財政規律というものはそういうものだというふうに定義しているんですが、大臣はいかがですか。

野田国務大臣 御指摘のように、発散することのないように運営をしていく、そのときの一つのルールというのはやはり財政法だと思います。そういうことを重んじながら、加えて、マーケットの信認を得るように努力をしていくことが財政規律を守ることだと思います。

山本(幸)委員 そこで、累積政府債務残高がGDP比より拡散しないようにする、そのためには二つの方法があるんですね。一つは、基礎的財政収支を黒字にするというやり方。もう一つは、名目成長率が名目金利より大きいような状況に持っていくというやり方。この二つがあると思いますけれども、その点について、大臣、いかがですか。

野田国務大臣 基本的に委員の御指摘のとおりだと思います。

山本(幸)委員 私はこれしかないと思うんですね。

 そこで、名目成長率が名目金利より大きい状況を早くつくることが大事。これはドーマーの条件というんだけれども、ところが、ずっと日本はデフレが続いていまして、名目成長率がマイナスだ。過去十二年間、平均マイナス〇・六ぐらい。ところが、国債金利というのは低いとはいえども一%前後から二%の間、まあ、一・五の間ぐらいいっていて、とてもこれはできていない。

 世界各国では、インフレ目標政策をやっている国は、ほとんどがこのドーマーの条件を達成しているわけですね。それで財政の持続可能性を確保している。

 唯一の例外はドイツでありまして、ドイツは、ドーマーの条件を達成していないんだけれども、基礎的財政収支というのが毎年プラスになるように大体運営されていて、基礎的財政収支が毎年プラスになれば、債務に頼らなくて収支運営ができるわけだから、そしてプラスであれば、債務を少しずつ減らしていくということができるわけですね。だから、ドイツみたいにそれができればいいし、それを目指そうとして増税をやりたいということなんだろうと思います。

 そこの最大の問題は、この基礎的財政収支も実は名目成長率と大きく関係しているんですよね。主要先進国の間でこの相関関係を見ますと、名目成長率とドーマーの条件との相関関係は〇・八、そして名目成長率と基礎的財政収支との相関関係は〇・七ですね。つまり、どちらにとっても、名目成長率がある程度確保されなければ、高くないと、財政再建なんかできないんですよ。そのことを意味している。

 だから、大事なことは、増税していくというやり方でいかなきゃ間に合わないこともあるだろうと思う、社会保障のことを考えれば。私も完全に増税反対じゃないんですよ。だけれども、その前提条件は、ある程度の名目成長率がプラスで確保されないとできないんだ。それを無視して、増税だけやって基礎的財政収支はプラスにしたって、すぐ崩れちゃうんだ。むしろ税収は上がらない。だって、名目成長率と税収は直接関係しているんだから。ここをよく考えなさいよと言っているんですよ、私は。

 今、増税をやれば、消費は減って、投資は減って、名目成長率は下がって、むしろ税収は上がりませんよ。今、国債発行すれば、金利は上がって、円高になって、そして名目成長率は落ちて、税収も上がらない。それに比べると、そういうことを起こさない日銀国債引き受けでやって、デフレをなくして、インフレが心配だったらインフレ目標で上限を決めておいて、そこに持っていくようにして、名目成長率を確実にしてやった方が、長期的には財政規律に寄与するんじゃないかというのが私の理屈なんですね。

 大臣、どう思いますか。

野田国務大臣 基礎的財政収支という観点も大事であると同時に、名目成長率という観点も大事であるということ、これは委員の御指摘のとおりでありまして、したがって、昨年の六月に、同時に財政運営戦略と新成長戦略を閣議決定いたしました。そして新成長戦略は、名目成長率が、この向こう十年間、三%、実現できるように、こういう目標を掲げた新成長戦略であり、財政運営戦略も、基礎的財政収支の赤字が対GDP、二〇一五年までに半減、二〇二〇年から黒字化。この両方をバランスをとって実現していくというのが今の政府の方針でございます。

 したがって、委員の御指摘とそごは基本的にはないと思うんです。

 加えて、ただ、日銀引き受け論については、これは私、やはり、従来から申し上げているとおり、慎重な検討をすべきだというふうに考えておりまして、現実に、日銀引き受けを政府内で検討しているという、ある新聞の夕刊記事が出たときに、その電子版が出た瞬間の午後二時の段階で金利が上がりました。これはやはり神経質にならざるを得ないというふうに私は思います。

山本(幸)委員 金利が上がったんだ、それは一瞬、市場は動揺しますよ。だけれども、よく考えてみれば、私が言ったようなことだ、順々に考えてみれば落ちついてくるんだ。

 大臣は名目成長率が大事だということを言われましたので、これはインフレ目標政策を認めるような話なんで、大変勇気づけられましたので、きょうは時間がありませんからこれだけで終わりますが、ゆっくりまた、改めて議論したいと思います。

石田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 多くの被災した中小業者のお話を聞きますと、せめてゼロからのスタートが切れるようにしてほしいというのが切実な声でございます。過去の災害で負債を負っている方もいらっしゃる。話を聞きますと、裸一貫からのやり直しというならまだ救われるけれども、二重三重のローンを抱えている、あるいはリース代、支払いを抱えている、そういう方がマイナスから再出発するというのは不可能に近い、こういう声があります。

 こういう切実な声にやはり政府、我々もこたえていかなければならないと思いますが、財務大臣の決意をまずお聞きしたいと思います。

野田国務大臣 今回の震災によって甚大な被害を受けた中小企業の事業の再開に向けた対策を講じることは、大変重要な課題であるというふうに認識をしています。

 このため、今回の補正予算において、災害関係保証やセーフティーネット保証といった一〇〇%保証の充実、日本政策金融公庫等による無利子化も含めた低利融資の充実を実施する、被災中小企業等に対する資金繰り支援を行うということをさせていただきます。

 被災地の中小企業等が一体となって進める再建計画に不可欠な施設の復旧整備に対して、中小企業組合等共同施設等災害復旧事業、中小企業の経営相談への対応を図る中小企業支援ネットワーク強化事業、これらの措置を講ずることも予定をさせていただいております。

 また、民間金融機関が、経営判断として資本増強を行い、被災地を含む地域の中小企業等に対する金融仲介機能を積極的に発揮していく上で有効な政策手段として金融機能強化法があり、金融庁において、その活用の検討を行っていただけるものと承知をしています。

 いずれにせよ、被災した中小企業をしっかり支えるため、関係省庁と連携をして、万全を期していきたいと思います。

佐々木(憲)委員 財産をすべて失うということは大変な事態でありまして、先ほど小野寺議員の質問もありましたが、より具体的に事例を挙げさせていただきますが、お配りした資料を見ていただきたいんです。

 例えば、石巻で船舶修理事業を行っている中小企業、これは工場全壊、鉄骨のみ残る、そういう被害であります。再建のために必要な設備は、そこに具体的に書いてありますけれども、工場、プレハブ倉庫、旋盤、洗浄機等々、全部合わせまして八千百万円が必要であると。既往債務、既に過去の債務が二千六百万円。こういう方は、立ち直ろうとしますと、過去の債務が非常に重くのしかかっているわけであります。

 それから下の方を見ますと、水産加工業者、年商八億円の方ですけれども、この方も三億三千万円の資金が必要と訴えておりますが、過去の借金が二億五千万円あります。次のページで、土木工事業を営んでおられる方は、二千万円、どうしても必要だと。同時に、過去の債務が千六百七十万円。下に塩竈の例もございます。全部は紹介しませんが、見ていただきたいんですけれども、こういうのが実態であります。

 そうしますと、これはやはり、すべての財産を失ってしまっているわけですから、借金もチャラにしてもらわないとやっていけないということなんです。金融庁にぜひお願いをしたいのは、こういう方に、過去の債務の免除とか、あるいは返済猶予とか、こういうことをしっかり金融機関が相談に応じて対応していくように、そういう指導をぜひやっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

和田大臣政務官 何度か佐々木委員とやりとりさせていただいておりまして、問題意識は本当に共有させていただいております。

 金融庁として、民間金融機関の方に各種の要請を出しながら、今おっしゃったような中では、既往債務の貸し付け条件の変更、返済猶予、こういったものに対してはぜひ前向きに取り組んでほしいというふうに何度も要請いたしており、金融機関の方からもしっかりと対応していただくようになっているかと思います。

 一つだけ、問題意識は共有するものの、なかなか解が導き出せないのは、債務免除ということをよくおっしゃられますけれども、この債務免除につきましては、やはりそれぞれ貸付先企業の実情というのは千差万別でございますし、もともと貸付原資は民間金融機関、預金者からいただいたお金でございます。そうした意味におきまして、本当にいろいろ条件変更等をやってみて、返済猶予もやってみて、いっぱいいっぱい努力してみて、ぎりぎりのところで判断せざるを得ないという実情がございまして、一律の債務免除は難しいかというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 実情に応じてというのは当然だと思うんですが、私が言っているのは、すべて財産を失って、もう工場も何もすべてゼロという状況で債務だけ残る、これはちょっと、出発としては、何とかこれを手助けしなければならないというふうに思うわけです。ですから、実情に応じて当然そういうこともやっていただくというのは必要だと私は思っておりますので、ぜひそういうことでやっていただきたいと思います。

 それからもう一つは、政府系金融機関の役割でございます。

 政策金融公庫などの役割は非常に大きいと思うんですね。債権放棄の対象を高度化資金ということでやっておられると思いますが、さらに広げまして、被災者の過去の借金、債務を免除するとか、あるいは生活再建、営業再建の意欲をそういう形で後押ししていく、こういうことが重要だと思うんです。

 設備、運転資金など事業再生資金を無利子、無担保、長期で貸し出す、こういうことが大変重要だと思いますけれども、先ほど財務大臣が一部おっしゃいました。ゼロからの出発をするというのは、これは政府系金融機関の役割として、そのことが可能になるように支援をするというのが必要だと思いますが、きょうは経産省から来ていただいておりますが、お答えいただきたいと思います。

豊永政府参考人 お答えをさせていただきます。

 まず、債務の返済の猶予でございますけれども、中小企業庁におきましても、政府系金融機関や信用保証協会に対しまして、既往債務の返済猶予などに柔軟に対応するように指導してきております。また、返済期日を経過した場合におきましても、期日をさかのぼって柔軟に対応するよう、既に指示したところでございます。

 融資のお話がございました。

 野田大臣のお話と重複するところがございますけれども、地震や津波で直接被害を受けた方々や取引の関係にあられた方々に対しまして、公庫や商工中金によりまして低利や長期の災害復旧貸し付けなどを実施してございますし、また、直接の取引はなくても風評被害などの間接被害に遭われた方々に対しましても、業況の悪化等に直面されておられれば、セーフティーネット貸し付けなどを実施しております。

 担保のお話がございました。

 かねてから、担保によらない融資をということで、政府系関係機関については指導してきているところでございますけれども、今回のような深刻な影響を受けられた中小企業の方々にとられては、いよいよ深刻な問題だと思ってございます。三月の十一日でございますけれども、被災中小企業に対しましては、個別企業の実情に応じて無担保での資金供給に努めるよう、指示をしたところでございます。

 今後のことでございますけれども、中小企業庁といたしましては、被災中小企業の資金繰りが最も大事だ、課題だと考えておりますものですから、その制度の充実を図るべく、今回の補正予算におきましても、公庫や商工中金における貸し付けにおきまして、大幅な金利引き下げなどを行う新たな融資制度の創設に努めてまいりたいと思ってございます。よろしくお願いします。

佐々木(憲)委員 過去の債務の免除ということもしっかりやっていただきたいというふうに思っております。

 次は、法案にかかわってですけれども、ガソリン税等のトリガー条項の廃止の問題です。

 これは、我々は、税制による被災者支援とはちょっと性格が違うものが入っているというふうに思っております。本格的な復興のための補正予算、第二次補正予算もこれから議論になると思いますけれども、これはそういう財源論の中で議論すべき性格のものだというふうに思うんです。

 そもそもの仕組みについてまず確認しますけれども、トリガー条項が発動された場合、財源は幾らというふうに見込んでいるんでしょうか。

五十嵐副大臣 一たん発動されますと、三カ月は最低で続くということになります。国と地方分と両方あるわけですが、国分で約三千四百億円、地方分で約千二百億円、合計約四千六百億円ですね、三カ月で。一年に引き直しますと、国分が一兆三千五百億円、地方分が約四千五百億円で、一年間通じてこれが継続すると、約一兆八千億円の減収となります。

佐々木(憲)委員 本予算の中では、この条項に伴う財源措置というのはなされているんでしょうか。

五十嵐副大臣 本予算では、この減収は織り込んでおりません。

佐々木(憲)委員 織り込んでいない。

 そうしますと、これは、財源の裏づけはないけれども、一応条項はつくってあるということになりますね。私はこれは非常に問題だと思っています。

 廃止すると、ガソリン価格が一リットル百六十円を超えた場合の税制上の措置がなくなって、被災地の住民、中小業者にも負担が重くなるということになると思うんですが、どうしてこれが被災者支援になるんでしょうか。

五十嵐副大臣 ガソリンが、全体的な需給関係は被災直後も特に逼迫をしていたわけではございませんけれども、さまざまな思惑から、被災地以外でも大変なガソリン不足を起こしました。

 それと同様のことが、急激にガソリン価格が上下するというようなことがありますと、先に買い控えておいて、安くなってから買おう、そして安くなったらどんどんため込んでおこうというようなことが起きますと、これは逆に急激な逼迫というものを起こしかねない。需給全体のバランスとしては足りているはずが足りなくなるという状況がまた起きる可能性がある。そうすると、逆に被災地向けのガソリン等必要なものが被災地で足りなくなるという状況が容易に予想されるので、あらかじめそのリスクを排除しておきたいという混乱回避の考え方でございます。

佐々木(憲)委員 混乱回避と言いますが、この条項をなくしちゃったら混乱回避策がなくなっちゃうわけですね。つまり、急激に上がるときに一定のクッションを置く、これは三枚目の図に示してありますように、二十五円分がトリガーとして発動されていくわけです、それを最大幅として。ですから、これをなくしてしまうということは、支援にならないですよ、逆に。これはマイナスなんです。財源論というのはまた別な角度で財源を議論すべきでありまして、私はこの部分については賛成できないんです、ほかは別として。

 これは、何らかのガソリン価格が安定するような対策はきちっと、こういうことを廃止するというのなら、何を考えているのか、そこを示していただきたいと思います。

野田国務大臣 税の対応については今副大臣から御説明のとおりでありますけれども、被災地の復旧支援策の一環として、被災地における簡易型サービスステーションの設置支援であるとか、あるいは被災地のサービスステーションへの資金繰り対策や復旧対策、油槽所の復旧などの措置を講ずることを予定しています。

佐々木(憲)委員 そういうことはちょっと別な話であって、ガソリン価格対策ということには直接にはならない、そういうふうに思っております。

 さて次に、震災後の滞納整理の問題について国税庁にお聞きをします。

 被災者の納税者に対して納税の緩和というのは大変大事だと思うんです。三月十一日の震災後、参議院の我が党の大門実紀史議員が、大胆な納税緩和政策をやるべきだ、こういう提案をしております。

 ことしの四月五日に通達が出されておりまして、「東日本大震災により被害を受けた滞納者に対する滞納整理について」という通達ですが、この趣旨を説明していただきたいと思います。

田中政府参考人 お答えをいたします。

 今回の震災によりまして被害を受けられました滞納者の方々、これから滞納になる方も含まれると思いますけれども、その方々に対する滞納整理の取り扱いを定めまして、それぞれの方々の事情に、具体的な個別の事情によく配慮をして丁寧に対応するということで、既存の法令の制度の中身について徹底をするという趣旨で対応しております。

佐々木(憲)委員 これを見ますと、「被害を受けた滞納者に対する滞納整理の取扱いを定め、被災滞納者に対する適切な対応に資することを目的とする」と。私たちがいろいろ要望してまいりましたことも一定程度含まれているというふうに理解をしております。

 例えば延滞税の問題ですね。これで、一四・六%というのは滞納者の非常に高い負担になるわけですけれども、今回の震災で適用される措置で、この延滞税は免除されるということになるんでしょうか。

田中政府参考人 今般の震災によりまして被害を受けられました納税者の中には、いわゆる納税の猶予あるいは換価の猶予などの納税緩和制度の適用を受けられる方も多数いらっしゃると思います。例えば財産に相当な損失を受けた場合の納税の猶予、あるいは納付困難な理由がある場合の換価の猶予を受けた場合、その期間中につきましては、国税通則法の規定によりまして延滞税の免除がなされるということになります。

佐々木(憲)委員 対象の範囲ですけれども、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県が指定地域とされておりますね。しかし、別な、東京、大阪の地域でも、震災の影響によって大変打撃を受ける、納税が困難になっているという納税者もこれは対象になるのかどうか、確認をしたいと思います。

田中政府参考人 今御指摘にございましたように、まず国税通則法の十一条によりまして、納期限の延長という制度がございまして、今回も一定の地域についての指定を行った上で、納税者の方々につきまして納期限の延長を行い、それから、その指定をしなかった地域の方々につきましても、個別の指定によりまして延長を受けることができるとされております。

 この制度とは別に、先ほど御説明しましたような納税の緩和制度がございまして、この納税の緩和制度につきましては、地域指定の有無にかかわらず適用を受けることができるということになります。

佐々木(憲)委員 通達では、今回の震災の影響で納税の滞納処分の執行停止の対象となり得るケースとして、停止見込事案というのを定めているんですが、どのような事案が停止見込事案となるのか、説明をしていただきたい。

田中政府参考人 幾つかの例を定めまして、まず、滞納処分の停止を行う可能性がある事案というのを想定いたしまして、それをピックアップしまして、それをさらに検討するということにしております。

 例えば滞納者の方が避難所あるいは仮設住宅に現在居住されている場合、それから大部分の財産を失っているような場合、これは保険がきくような場合はちょっとそこは別でございますけれども、そういう場合。それから、滞納者の方が亡くなってしまったという場合の相続におきまして、相続人に納税義務の承継手続を行っても徴収できる見込みがないような場合。幾つかの例を挙げて対応しております。

 基本的考え方としましては、この例に基づいて判断をしまして、滞納処分を執行することができる財産がないかどうか、それから、生活を著しく逼迫させるおそれのあるような滞納処分になるかどうか等々を判断をして、判断をするということになります。

佐々木(憲)委員 時間が参りましたので、以上で終わります。

石田委員長 次に、竹内譲君。

竹内委員 おはようございます。公明党の竹内譲でございます。

 先ほどまで拉致問題特別委員会で質問をやっておりましたものですから、諸先生方の質問を全部聞けておりませんので、重複する部分があろうかと思いますが、御容赦を賜りたいと思います。

 基本的には今回の法案は、私どもは異論はないんです。異論はないんだけれども、しかし、申し上げておかなければならないことはある。

 それがやはり今ありましたように、トリガー条項の話でございまして、実は当初、政府原案として、公明党として説明を受けていたものは、同条項の廃止というふうになっていたんですね。ところが、一昨日いただいた特例法案では、これが一時凍結というふうに変わっておりまして、これが廃止から凍結に変わった理由をまず大臣に述べていただきたいと思います。

野田国務大臣 東日本大震災の発生による一部製油所の機能停止や流通の障害などにより、燃料の需給が逼迫し、被災者を初め関係者が大変御苦労されました。そうした中、仮にトリガー条項が発動された場合に、全国的に燃料需給がさらに逼迫するとともに、流通が混乱し、被災地の復旧復興の妨げになるおそれがあるため、早急に対応することが必要であると考えておりました。そのときの考え方としては、廃止という方向を政府としては考えておりました。

 しかし、廃止ということについては、これまでのさまざまな経緯があり、党内においても税制改正のPTで御議論が活発に行われました。そうした御議論を踏まえて与野党協議を行った結果が、今回お示しをしているような一時凍結、すなわち復旧復興に必要な期間、適用停止をするということでございます。

竹内委員 これは、変わったのはすぐです、直近なんですよね。実は一週間ほどもない間に変わっているんです。与野党協議を行ってとおっしゃいますが、そんなことで凍結にしてくれと言った覚えはありませんし、そこはちょっと理由がよくわからないというふうに思うんですね。

 大体、民主党の党是は政府主導であったと思うんですね。政府が一たん決めて野党などに、我々に説明されたものを、後から党の意見を聞いてひっくり返されるというのは、これは驚くべきことだなというふうに改めて思います。他党にもう説明されているわけですからね。これは信用をなくすと思います。それなら、党のシステムを変えられて、党内でよく議論して、まとまった方針を政府案として出される方がいいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。(発言する者あり)

野田国務大臣 安易に使うなということでありますけれども、自民党から御提起があった際は、被災地の混乱回避、そして財源の確保、そういう視点からの御提起でございました。

 ということは、いわゆる一時的に凍結ということは、復旧復興に必要な期間、混乱の回避と財源確保という視点でありますので、結果的にはこの期間に対する対応としては同じだというふうに思います。

竹内委員 我々は最初からトリガー条項そのものに反対していましたので、結果オーライですけれどもね。ただ、システムの途中の、やはり我々に説明した、廃止だと言っていたのが凍結に変わるというのは、文書で出されていますから、この辺は信用をなくすことになると思いますね。

 それから、ちょっとここにこだわりますが、これは大体、暫定税率廃止にかわる代替案だったはずなんですよね。暫定税率廃止というのがなかなかできないので、トリガー条項を持ち出してきた、こういう経緯があるんですね。

 最近のガソリン価格は高騰してきておりまして、いよいよこれが適用される間近になって方針変更される、こういうことは、政府・与党としてはやはり国民に対する背信行為と言われるのではないかというふうに思いますが、大臣、いかがですか。

野田国務大臣 経緯からすると委員の御指摘のとおりであって、二十二年度の税制改正において揮発油税等の税率水準を維持することとした際に、平成二十年度上半期に見られたような石油価格の異常な高騰時に対応するため、「当分の間」として措置された税率の課税を停止する措置として、今般のトリガー条項が創設されました。

 私は、このときはそういう理念のもとにつくったものだと思います。暫定税率を税率分、維持せざるを得ないという間の、そのための代替措置としてできたものでありますが、これは一つの政策論だったというふうに思います。御党からは反対の声が当然上がっておりましたけれども、私どもはそう思いました。

 ただ、震災の前と後ではいろいろな環境が変化をしたということ、被災地における混乱を回避すること、そして、震災復興については相当な財源が必要であって、国の減収が大きく生じるようなことは基本的には避けて、復興のための財源確保に必死に取り組まなければいけないこと等々があったということでございます。

竹内委員 そのようなことは震災前から一緒だったんですよね。国に財源がないことは明らかなんですよ。それから、こういう条項は混乱する、買い占めが行われるということも最初からわかっている話なんですよね。ですから、ここはやはり、その辺のことはよくよく考えれば最初からわかっていたことでございますから、まずは党内をしっかりとまとめられるのが先決だったんだろうというふうに思っております。

 それから、一時凍結ということでございますが、これはいつまで凍結されますか。

野田国務大臣 復旧復興に取り組んでいる間ということでございまして、まだいつまでにと明示的に言えるという状況ではございません。

竹内委員 この点につきましてはこれで最後にいたしますが、我々の認識は、なかなかこれは復活できるような状況は来ないんじゃないかというふうに思っています。政治状況としてですね。

 そういう意味では、私どもの受けとめ方は、これは事実上の廃止だと。一時凍結と書いてあるけれども、事実上の廃止だということで、党内をまとめられるためにこのように表現されたんだろう、このように思っております。そういう意味で、私どもは、事実上の廃止ということで、賛成をしたい、このように思っている次第であります。

 次に、第一次補正予算の件でございますが、年金財源の転用の問題が、納得がいっておりません。表面的には、鉄建公団の埋蔵金一・二兆円など、当初年金財源に予定していたものを転用するということですけれども、結局、その穴埋めは、年金積立金を取り崩す、こういうことになっておるわけでありますから、これは、年金財源についての根本的な問題に既に踏み込んでいるわけであります。

 震災対策ということは大事でありますけれども、しかし、震災対策に名をかりて、緊急に持ち出してくる財源ではないんじゃないかというふうに思うんですね。

 この点、まず、きょうは厚労省に来ていただいていますが、厚労省は納得しているんですか。

今別府政府参考人 お答えいたします。

 今回の震災復興財源、新規国債を出さずに考えるということと、それから年金財政の長期的な安定、これらを総合的に勘案して大臣が決断をされたということでございます。

竹内委員 大臣、これについては、野田大臣が細川大臣に説明に行かれた、こういうことでいいわけですね。

野田国務大臣 私の方から細川厚生労働大臣に御説明をさせていただきまして、最終的には、玄葉国家戦略担当大臣と三人で、三大臣合意という形で合意形成をさせていただきました。

竹内委員 これは、仮にこのまま進むとしたら、その流用した分はいつ返済するんですか。

野田国務大臣 今回は、法律上、平成二十三年度基礎年金国庫負担割合は二分の一であるということは明記をいたします。その上で、ただし、平成二十三年度の二分の一と三六・五%の差額は、税制抜本改革により確保される財源を活用して、年金財政に繰り入れることとあわせて法制化をするということでございまして、基本的には、年金財政の安定は確保され、保険料や年金額への影響はないものというふうに思います。

 いつまでにということでございますが、具体的な対応は、今後、社会保障と税一体改革の中で検討していくことになると思います。

竹内委員 ここが非常に国民は心配されると思いますね。国庫にこれまでも、一九九四年以降、三兆円貸したまま、積立金は返ってきていないですね。

 これは厚生労働省としては心配ではありませんか。

今別府政府参考人 今先生御指摘の、過去のいわゆる繰り延べという財政措置でありますけれども、これにつきましては、毎年毎年の予算編成の過程で相談をさせていただいてきたという経緯がございます。

 今回の措置につきましても、税と社会保障の一体改革の結論が六月に予定をされておりますので、そこで結論が得られて、その結論として税制の抜本改革ということになり、それによって生み出される財源を活用して措置されるというふうに考えております。

竹内委員 六月というふうに役所の方は思っておられるかもわかりませんが、それはちょっと甘いと思いますね。六月にこの税制の抜本改革が全部まとまるとはとても思えませんね。非常にこれは心配だと思います。

 しかも、過去の三兆円をいつ戻すかという話がありますよね。それに二・五兆円で、五・五兆円ですよね。五・五兆円というのは、これは大変な話なんですよ。しかも、この抜本改革が政治的になかなか決まらないと、一年ずれ、二年ずれ、あるいは、仮に決まったとしても、すぐに上げられない場合だってあるわけだから、三年後とか二年後だといったら、二・五掛ける二年間でも五兆円になるわけですよ。三年だったら七・五兆円。プラス三兆円で、十・五兆円も積立金から借りっ放し。これを戻すのは至難のわざですよ、はっきり申し上げて。

 そういう重大な問題があると思うんですが、厚労省はどのように認識していますか。

今別府政府参考人 いずれにいたしましても、長期的な年金財政の安定という観点から、できるだけ早く国庫が繰り入れられるように、引き続き努力をしてまいりたいと考えております。

竹内委員 私は、物事の考え方と手順というのをちょっと誤っているんじゃないかというふうに思うんですね。

 やはり、財務省としては、まず子ども手当を見直さないといけない。それから、農業の所得補償も仕組みを考え直さないといけないというふうに思いますね。高速道路無料化はもうほとんど無理ですよ。等々、いろいろあると思うんですね。

 そのほかにも、公務員給与の削減とか当初あったと思うんですけれども、これはどうなったんですか。この辺、財務大臣、いかがですか。

野田国務大臣 今回御提起させていただく予定の、四月末に出す第一次補正予算の中の財源としては、子ども手当のいわゆる七千円の上乗せ部分、これはやめるということによって財源を確保するということ、加えて、高速道路の無料化、これは社会実験というものもやめて財源を確保する等々、私どものマニフェストで掲げたことの中でも見直しをしていく部分は、今回の第一次補正についても入っております。

 第二次補正以降については、これから、しっかり党内の議論あるいは与野党の協議を踏まえながら対応していきたいというふうに思います。

 今回の財源づくりに、公務員制度改革の話は、まだこの時点では間に合っておりません。

竹内委員 緊急事態ですからね。緊急事態というのであれば、私、いろいろなアイデアはあると思うんですよ、はっきり言うと。いきなり年金みたいな大きな問題に手をつけなくても、緊急事態なんですから。

 基礎的財政収支対象経費というのは七十一兆円あって、つまり、その中からいろいろな、優先順位を入れかえたり、こういうことをするんですけれども、本当に緊急事態であれば、例えば、基礎的財政収支対象経費の三%を一律カットとか、それでも二兆円やそこら出てくるわけですよ。五%なら三・五兆円も出てくるわけですよ。そうしたら、特例公債そのものがどんと落とせるじゃないですか。国民全体に増税を言う前に、あるいは年金というようなものを持ち出す前に、ほんの少し、三%でもカットしたら財源はすぐ出てくるじゃないですか。そういうことは考えなかったんですか。

野田国務大臣 基本的には、既存の政策の見直しを行うことによって、新たに国債を発行しないで四兆円規模の予算を組んでいるということは、委員は数字を挙げて一律三%と申されましたけれども、個別の政策の見直しをしながら確保した財源によって予算を組むという姿勢でございます。

竹内委員 この辺、もっと根本的に考え直してもらわないと、そう簡単に、補正予算、緊急事態だからといって、このまま単純に、はいオーケーですというわけにいかないというふうに思いますね。ここはよく議論していきたいと思っておりますけれども、我々はそういうふうに考えています。

 それから、今後の第二次補正予算以降の復興についての話をさせていただきますが、一番報道されているのは何といっても、今後消費税を三%引き上げる、これを償還財源にするという案がもうかまびすしくあちこちで報道されているわけであります。三年間で二十二・五兆円、被害額にほぼ匹敵するというようなことで言われているわけであります。

 そのほかにも所得税、法人税を引き上げる案もありますが、財源はわずかで、しかも企業の国際競争力を損なうというようなマイナス点もあるので、三年間やって、三年後には目的を復興から社会保障に衣がえする、そして税率を一〇%に上げれば、財政健全化という財務省の悲願が達成されると言われているわけでありますけれども、こういうのはお考えになっておられるんでしょうか。

野田国務大臣 第一次補正予算を速やかに成立させていただいた暁から次の復興の話になりますけれども、これはプロセスがあって、復興構想会議というものを設置しました。ここで六月までにどういう復興計画をつくるのか、基本方針をつくるのか、青写真ができるのか、それを踏まえながらの判断になってまいります。当然のことながら、党内での議論も進めなければなりません。与野党の議論も活発に行わなければいけません。その段階を経なければ、まだ確定的に何か申し上げる段階ではございません。

 まずは、復興のための対策は何が必要か、それに見合う財源は何なのかということでございますので、随分と数字とか税目が走っているようでございますが、固定的に確定的に政府の中で決めているということは全くないということでございます。

竹内委員 そこをしっかり確認しておきたいと思います。そういう話がどんどん漏れ聞こえてくる、そういう発想であればちょっとこそくなんじゃないかなというふうに思うんですね。大震災にひっかけて、社会保障とか税制の抜本改革の道筋までこの際つけてしまおうというのでは、物事の考え方としてはよくないというふうに我々としては思っております。

 小野寺先生からも先ほどありましたけれども、この点ですが、助け合いの精神というのは日本人の美徳だと思います。ですから、困っているときはお互いさまですから、我々もお金を出していく、多くの国民の方はそう思っていると思うんですね。それは非常にすばらしいことなんですが、そういう勤勉な国民性につけ込んで、この際というので全部どんどん税金を上げてしまおうというのでは、これはやはり最悪の政治になりかねないというふうに我々は思っております。

 それから、先ほどから出たと思いますけれども、短兵急に財源を確保しようとすると、経済に対する悪影響もありますよね。当然、増税はGDPを落としますから、国民所得も落ちて、経済全体を落としてしまう。ですから、何をやっていることかわからない、復興をやったけれども、全体としてはますますデフレが高進してしまうということもあるわけであります。

 そこで、きょう、実は復興に当たっての財源の考え方で、一つ提案をしておきたいんです。

 それは、単純な国債だけを想定する必要はないというふうに思っておりまして、これまでも無利子非課税国債とか、そういうことも言われていましたけれども、それだけではなくて、最近、アメリカなんかでもよく使われているのはレベニュー債というのがあります。御存じの方も多いと思いますけれども、一般的には、上下水道、交通、港湾、医療など特定の事業から将来収益を引き当てに発行されるものでありまして、アメリカの地方の州政府とか公社とかはかなりこれを使っていますよね。これは、州政府の債務保証もしないし、ですから、州政府の債務にならないわけですよね。そういう意味で、アメリカは非常によくやっております。

 有名な事例では、テキサス州北部の高速道路ネットワーク公社とか、わかりやすいところでは、ニューヨークの新ヤンキースタジアムですよね。古いところでは、一九四九年にフロリダ州のタンパ市が発行した下水道からの収入を担保としたレベニュー債というのがあります。それから、皆さんもよく使われていると思いますが、デンバー空港であるとか、オーストラリアでもシドニー空港とか、それから、コロラド州のウェストミンスター市なんかでは上下水道なんかにこのレベニュー債を発行して、そういう公共事業をやっている。それは、繰り返しになりますが、財政健全化とは関係がない。事業そのものの収益を引き当てにして債券を発行しているわけですから、民間がそれに応じて、長期投資としてやっている。

 これが相当の金額になっているわけでありまして、新しい日本をつくるという意味では、この際、国債とか地方債、単純なそういうものだけではなくて、復興の中には事業収益があるものと、ちょっと収益がすぐには見つからないというものと、二通りあると思うんですよ。そういうものを峻別して、財政健全化と両立しながら考えるという意味では、こういうレベニュー債という発想も取り入れていかなくてはならないと思っていますし、我が党としては提案をしたいというふうに思っておるんです。

 実は、国土交通省もこれを研究しているんですよね。きょうは、国土交通省、担当は来ていますか。お答え願えますか。

北村政府参考人 お答えいたします。

 レベニュー債でございますけれども、我々は平成十七年に、我々の機関でございます国土交通政策研究所というところにおきまして、アメリカの地方政府におけますレベニュー債の制度の概要ですとか活用の事例などについて、調査研究を行いました。

 レベニュー債は、先ほど先生からも御紹介ございましたように、空港ですとか港湾ですとか、さらに道路、上下水道などのインフラ整備を行います際に、その事業で必要となる資金を民間から調達する手段といたしまして発行される債券でございます。そして、特徴は、その元利償還財源が事業収益などに限定されているというものでございます。

 そして、十七年の報告書におきましては、このようなレベニュー債を我が国に導入することについては、一つは、アメリカと我が国で、例えば税制でございますけれども、アメリカの場合、地方債の利子には連邦政府の所得税が課税されないというふうな、例えば免税制度があるだとか、それから情報開示の制度だとか破産法制など、関連する諸制度に相違がございますので、こうした関連する諸制度についてさらなる検討を行うことが重要であるというふうに考えている報告書でございます。

 いずれにしましても、今回、震災によって大きな被害が、公共、民間を問わず、インフラにつきまして発生しております。これらインフラの復旧なり復興に当たりまして、相当の規模の投資額が要ることは言うまでもございません。しかしながら、今の国の厳しい財政状況を踏まえますと、我々、このインフラの復興に当たっては、単に公的資金の投入だけに頼るのではなく、民間資金の活用は、このレベニュー債のように、それは非常に重要だというふうに思っているところでございます。

 国交省としましては、今後、インフラ整備に関します民間資金の導入方策としましては、いわゆるPPP、PFI制度が考えられるところでございまして、復興プロジェクトに関しまして検討を行い、その具体化に努めてまいりたいと考えているところでございます。

竹内委員 アメリカは、連邦破産法チャプターナインというのがあって、違うというふうな意見もあるんですが、しかし、日本でも、実はこれは今すぐできるんですよね。SPC法というのがありまして、これをかませれば、地方でも国でもレベニューボンドは発行できるというわけであります。実際にこのSPC法を使ってやろうとしている地方も、実はあります。

 これを使えば、法制に余り大きな変更なく、万一その運営会社が破綻しても、インフラ事業を継続できれば、そこから生まれる収益は投資家にも還元できる、こういう仕組みでありますし、SPCを使ったことは財務省も十分いろいろ経験されています。

 こういう復興時ですから、思い切って、アメリカと同じように、免税債というか、そういう恩典を与えてもいいわけですし、その辺、さまざまな手法をこの際検討すべきであると思いますが、財務大臣、いかがでしょうか。

野田国務大臣 竹内委員の御質問に答える前に、先ほどの小里委員への答弁の中で、協同組合組織の貸出金、購買未収金に係る所要の引当金に関する御質問に対して、運用で対応しようと考えておりますと答弁いたしましたけれども、制度面での対応も含めて検討させていただきたいと思います。

 質問者がいませんけれども、一応議事録に残したいと思います。

 竹内委員からの御質問でございますが、レベニュー債、ちょっとこれは勉強させていただきたいというふうに思います。発行コストがどうなのか、国や地方に比べての信用力はどうなのかとか、いろいろちょっと課題もあると思うんですが、アメリカの事例であるとか、地方でも、たしか青森が取り組もうとしたことがあったと思いますので、そういう事例も含めて勉強させていただきたいと思います。

竹内委員 発行コストなんかもそんなに高くないんですよね。国債が一・二とか一・三ぐらいですけれども、せいぜい一・八ぐらいで発行できそうなんですよね。そういう意味では非常におもしろいというふうに思います。

 我々としては、やはり新しい日本をつくるというふうな発想でこの復興を考えていくべきだと思っていますし、そういう意味では、東日本、西日本の二元的な国づくりというのが求められていくと思うんですよね。東日本が万一ダウンしたときは西日本が起動する、西日本がダウンしたときは東日本が起動する。

 そうすると、相当の復興需要は出てきますし、それを全部国債とか地方債、従来の発想でやっていくというだけでは全く能もないし、財政健全化が全く進まない。全部国がやるといっても、絶対無理だ。ところが、世の中には、民間には大変なお金が余っていまして、投資家やファンドなんかも、みんなすごく投資したいと言っているんですよね、やはり日本のために、復興のために。

 そういう意味では、かなり低金利でも調達できるような環境が整っているなというふうに感じておりますし、ぜひとも、この辺、これからの復興にこういうさまざまな発想を、レベニューボンドを初め御検討をお願いしたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

石田委員長 次に、岡田康裕君。

岡田(康)委員 民主党の岡田康裕でございます。本日も質問の機会をいただき、本当にありがとうございます。

 まず何よりも最初に、被災地で依然として、先週の数字ですけれども、福島や岩手、宮城といった東北三県で、まだ十二万人の方々が避難所にいらっしゃる。あと、全国で十四万人、そんな数字も見ております。一日も早いそういった復興に向けまして、私たちも国会でできることを一つ一つやっていかなければいけないと思うところでもございます。

 きょうも被災地を選挙区とされる方の質問に始まり、また本法案の附則の逐条的な質問もあれば、また今後の復興財源に関する質問もたくさんございました。できるだけ重ならないようにいたしたいと思いながらでございますけれども、私も被災地にも行かせていただきました。また、時間の合間を縫いまして、選挙区に戻って、メーンの駅頭で義援金のお願いの活動にも立たせていただきました。そういう中でいろいろな方と触れ合いながら痛感いたしましたのは、今回の震災はもう本当に国民一人一人の心、気持ちを一変したな、そんなふうに思います。

 といいますのが、震災がありましたのが三月十一日でございますが、三月十日までの状況がどんなだったかということを振り返ってみますと、もちろん、目先足元の景気も大変ですし、財政的に大変だ、大変だという話がわんわん流れてきて、社会保障の見通し、持続可能性にも多くの方が不安を感じていらっしゃって、一人一人が自分の人生、生活の守りに入ってしまっていて、とても他人に分かち合うといったようなそういう余裕がなくなりつつあったような、そんな状況だったんじゃないかと思うんですね。

 しかしながら、駅前で義援金のお願いに立たせていただいていますと、ちょうど夕刻だったんですが、小学生の皆さんが、塾の帰りなんでしょうか、集団でわあっと寄ってきてくださって、財布をあけてじゃらじゃらと義援金を入れてくださるんですね。もう本当に感動いたしましたし、最初はちょっとこちらも気恥ずかしさもありながら、立ってマイクも握っていたんですが、本当に一人一人の心の中にある慈善心といいますか、そういったものに触れることもできて、また確認することもできて、そういう気持ちがあれば、そういう思いが一つになれば、どんな困難でも乗り越えていけるんじゃないだろうか、そういう勇気を逆にいただけたような経験もさせていただきました。

 そういう意味では、やはり被災地以外の方々の、自分に何ができるんだろうかとか、何が自分は被災地の皆さんにしてあげられるんだろうか、そういうお気持ちにこたえられるスキームをいち早く国会でつくるということが何よりも大切だなと改めて感じている次第です。

 きょうのこの法案は税制の特例措置ということですけれども、項目一つ一つ見ていきますと非常にマニアックでございまして、後の一次補正予算等々の財政的な措置の何兆円で何をしますというふうな措置とか、金融的な手法ですとかと比べますと、少しわかりにくい、どれくらいの効果があるのかが見えにくいものだと思うんですね。

 今回のこの法案に含まれています一つ一つの項目が、お聞きしますと、私も兵庫の出身なんですが、阪神大震災の折にもとられた多くの措置がまた、新しいものも入っているようですけれども、大半が阪神大震災以降にもう導入されたものだと聞きましたので、まず一つ目の質問ですが、こういった項目が実際どれくらい被災地にとってメリットがあったのか、減税効果があったのか、どういう認識をされているかということからまずお聞きしたいと思います。

五十嵐副大臣 一つ一つの事例に基づいて、こういうケースは御支援を申し上げなければいけないなというようなことを積み上げていったと思います。それがお金の面で一体どれぐらい効果があるのかというお尋ねと思いますが、阪神・淡路大震災に講じた税制上の、どれぐらいのメリットがあったのかということについての集計が、実は特段行われておりません。

 事前に、平成六年の二次補正におきまして見込んだ減収額は、税制上の措置で三百十億円、それから七年度の一次補正において見込んだ額は、千二百四十億円ということでございます。大体千五百億円ぐらいの減収になっただろう、その分だけ税が助かった方々がいるだろうということでありますけれども、それは結果として、では決算でどう見たのかという数字は、実は集計をいたしておりません。

岡田(康)委員 たしか、政権交代直後の国会の中でも、租税特別措置の透明化の法案もございました。そういった税制の特別措置一つ一つがどれくらい効果が実際にあるのかといったようなこともはかろうとするような取り組みも、私たちも着手をしてきているわけでもございます。

 何十年に一回のこういった機会なのかもしれないんですけれども、できるだけ効果的に、迅速に一つ一つの対策を打っていくためにも、阪神大震災のとき、そして今回も含めて、どこまで実際にその効果検証ができるのかというのは手続上あるのかもしれないんですが、やはり、一つ一つこういった機会にデータとして蓄積していくということは、今後にとってもすごく有益なのではないかと思いますので、ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。

 そして、今、予算ベースで、決算として最終的にどうだったかは確認できていないという御答弁でございましたけれども、見通しとして、先ほどの話ですと、六年度の二次と七年度の一次で合わせて千五百億円ぐらいではないかというお話もございました。

 単純な数字で論じてはいけませんけれども、例えば東北の青森から岩手、宮城、福島、茨城、北関東も入れてこの五県で、先月の一日に公表されている総務省の統計局のデータですと、事業所数が大体四十七万九千カ所だそうです。一方、兵庫県が大体二十四万三千と出ておりましたから、ぴったりではありませんけれども、事業所数だけでばっくり見ても倍ほどになります。

 今回も特別措置の中に法人税の還付などもありますから、そういう意味でいきましても、今回、水で、津波の被害があるなしの大きな差もありますので、さっき千五百億という数字もありましたが、相当な金額の減収になるのかもしれません。ただ、車の買いかえ需要等々は、当初その被害がなければ発生しなかったものですから、そういった取得税の減免部分までは見通しに対する減収にはならないと思うんです。

 しかし、還付とか雑損控除も含めて、こういったところは当初の予定よりもお金が出ていってしまう部分だと思いますので、今後、その財源論、特に高速道路無料化の社会実験一つとっても千何百億とか、そういうオーダーでございますので、この減税措置も相当大きな効果を生み得るものでもありますから、予算編成段階でぜひ意識していただきたいと思います。

 また、被災地の皆さんにも、なかなかマニアックで伝わりにくいんですけれども、こういう大きな減税効果といいますか、それだけの法案なんだということはぜひとも知っていただけるように、私どもも含めて一緒に発信をしていきたいな、そんなふうにも思っております。

 少し細かいところに入りたいんですが、私も被災地に一回行かせていただきました。南三陸に行ったり東松島市の方に行かせていただいたりしたんですが、例えば、南三陸だと、もう水でごそっと根こそぎやられてしまっているんですけれども、東松島市のあたりに行きますと、水ががあっと来て、があっと返っていっていて、建物は残っているんですが一階部分が相当な被害を受けている、そういう状況があります。

 この法案を見ていきますと、例えば破損した家屋はもちろん自動車など、家財と書いてあるんですが、そういった家財というのも、実際どこまでの、どういったレベルの家財まで含むのかということをお聞きしたいなと思いました。

 といいますのは、家の建物が残っているような方は、一階部分が相当破損しているところに戻ってこられて、崩れかけた塀の外に家財の汚れたものをどんどんどんどん積み上げていらっしゃったり、それが実際処分して運ばれていくまでにどれくらいの期間がかかっているのかわかりませんけれども、家財の罹災証明をもらうに当たって残しておいた方がスムーズになるようなものまで、どんどんどんどんもうなくなってしまったり、他人の家財が自分の敷地にあったりとか、いろいろあると思うんですね。

 こういったところを雑損控除に、さかのぼって、ないし五年間延長してできるというんですが、どのくらい柔軟に対応してあげられるのか。その辺、過去の阪神大震災の後の経験も踏まえて、どんなふうに考えていらっしゃるか、御答弁をお願いします。

五十嵐副大臣 雑損控除の御質問は、対象となる資産の範囲、そしてその適用についてどのように柔軟に見てくれるのかということだと思います。

 雑損控除は、もう委員も御承知のとおり、損失額、災害関連支出の金額の合計額から所得金額の一〇%を控除した金額と、一方で、災害関連支出の金額から五万円を控除した金額のいずれか多い方の金額を所得金額から控除するというものでございます。

 雑損控除の対象となる資産というのは、一義的には生活に通常必要な資産ということになります。生活に通常必要でない資産というのは、例えば競走馬を持っているとか、あるいは貴金属というようなものはならないということでございますが、自己または自己と生計を一にする配偶者その他の親族の有する生活に通常必要な資産ということでありますと、これは例示をさせていただきますが、住宅、家具、什器、食器類ですね、衣服、書籍などの家財、それから車両、キャンピングカーなどのレジャー用専用のものは除くということになっておりますが、通常の車両というようなものが対象となると考えられます。

岡田(康)委員 家具等々まで含まれてくるとなりますと、それこそ、あった、なかったという話にもなりかねないような話でございますので、これはぜひ現場で、その世帯の規模等々からこういうふうに見積もるとか、柔軟に、とにかく避難所にたくさんの方がまだおられるわけですし、迅速に思い切った対応ができるような、そういう政治決断もぜひお願いできればなと思います。

 時間もあとわずかなんですが、最後に、ガソリンのトリガー税制の件も少しだけ触れさせていただければと思います。

 きょうも、ここまでの質疑の中で、共産党の佐々木先生や公明党の竹内先生からも御指摘ございました。それに対します御答弁の中でも、例えば、買い控え、買いだめ等々が起きるかもしれないという、混乱回避というお話もありましたし、また、一月で千何百億という税収の穴があくということで、やはり財源を要する中でいかがなものかというお話もございました。

 それも一つ一つ理屈としてなるほどと思うところもあるんですが、しかし、民主党に所属する立場の人間からすると、この間みずから苦労してつくったばかりの制度でもございます。そもそも、予算編成の段階で引き当てとかをするならまだしも、先ほどの質疑の中でも、いざ課税をしないという段階になったときに、その分の財源を準備していないというふうなお話も答弁にございましたので、そういう制度自体どうなんだという話も内部的にはあったのかもしれません。

 しかしながら、やはり民主党に所属する立場の人間として、大きいのは、こういう衆参ねじれの中で、こういった法案を一日も早く成立させていきたいというときの与野党の交渉といいますか、水面下の議論の中で、いたし方なかったという側面もあったのではないだろうかと思います。

 自民党の先生方の御質問の中にも特にトリガー税制の御質問がなかったということがそれをあらわしているのかもしれませんけれども、そういったことも含めて、いま一度、理由として何が一番大きかったのかというところも、ぜひ御答弁をいただければなと思います。

 以上です。

五十嵐副大臣 先ほども申し上げたところでございますけれども、全般的に東北地方は大変な状況にある。破壊をされた、被災をされたガソリンスタンド、それから製油施設等もあるという中で、どうにか、よそから増産をしていただいて、日本全体としては、需給は確かに安定をいたしております。

 しかし、急激な価格の変動等がありますと、やはり買いだめだとか、その前の買い控えだとか、あるいは今度は、トリガー条項がもし発動された場合、それが収束するときの駆け込みでまた買いだめをしておくというようなことが起きると、そのたびごとに混乱が起きて、被災地に特に迷惑がかかってしまうということが心配だ、そのリスクを除去しておきたいというのが、これが一点でございます。

 もう一つは、やはり財政的に非常に大きな額になる。年間を通じて行われますと一兆八千億。この一兆八千億があるのであれば、集中して被災地の皆様のための支援に使わせていただいた方が効果的、効率的ではないか。一兆八千億が失われるということは、この事態においては大変大きいという御判断があったというふうに思われます。

岡田(康)委員 時間も参りましたので、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

石田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

石田委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

石田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

石田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十二分散会


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