衆議院

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第2号 平成24年2月24日(金曜日)

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平成二十四年二月二十四日(金曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 海江田万里君

   理事 網屋 信介君 理事 泉  健太君

   理事 糸川 正晃君 理事 岡田 康裕君

   理事 岸本 周平君 理事 竹下  亘君

   理事 山口 俊一君

      相原 史乃君    五十嵐文彦君

      磯谷香代子君    江端 貴子君

      小野塚勝俊君    緒方林太郎君

      大串 博志君    大山 昌宏君

      川越 孝洋君    木内 孝胤君

      楠田 大蔵君    小山 展弘君

      菅川  洋君    鈴木 克昌君

      道休誠一郎君    中塚 一宏君

      中林美恵子君    橋本 博明君

      花咲 宏基君    平岡 秀夫君

      福田衣里子君    藤田 憲彦君

      古本伸一郎君    三谷 光男君

      三村 和也君    三宅 雪子君

      矢崎 公二君    小泉 龍司君

      齋藤  健君    竹本 直一君

      徳田  毅君    丹羽 秀樹君

      西村 康稔君    野田  毅君

      三ッ矢憲生君    村田 吉隆君

      斉藤 鉄夫君    佐々木憲昭君

      豊田潤多郎君

    …………………………………

   財務大臣         安住  淳君

   国務大臣

   (金融担当)       自見庄三郎君

   内閣府副大臣       中塚 一宏君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   農林水産副大臣      筒井 信隆君

   内閣府大臣政務官     大串 博志君

   財務大臣政務官      三谷 光男君

   厚生労働大臣政務官    藤田 一枝君

   農林水産大臣政務官    仲野 博子君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 青木 信之君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   梅溪 健児君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  岩瀬 充明君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  森本  学君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    細溝 清史君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 香川 剛広君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   長嶺 安政君

   政府参考人

   (財務省関税局長)    柴生田敦夫君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           角田  豊君

   財務金融委員会専門員   北村 治則君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十四日

 辞任         補欠選任

  大串 博志君     道休誠一郎君

  木内 孝胤君     大山 昌宏君

  近藤 和也君     相原 史乃君

  鈴木 克昌君     川越 孝洋君

  三谷 光男君     橋本 博明君

  森本 和義君     磯谷香代子君

  丹羽 秀樹君     徳田  毅君

  山本 幸三君     小泉 龍司君

同日

 辞任         補欠選任

  相原 史乃君     福田衣里子君

  磯谷香代子君     森本 和義君

  大山 昌宏君     木内 孝胤君

  川越 孝洋君     鈴木 克昌君

  道休誠一郎君     花咲 宏基君

  橋本 博明君     三谷 光男君

  小泉 龍司君     山本 幸三君

  徳田  毅君     丹羽 秀樹君

同日

 辞任         補欠選任

  花咲 宏基君     大串 博志君

  福田衣里子君     矢崎 公二君

同日

 辞任         補欠選任

  矢崎 公二君     三宅 雪子君

同日

 辞任         補欠選任

  三宅 雪子君     近藤 和也君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 財政及び金融に関する件


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     ――――◇―――――

海江田委員長 これより会議を開きます。

 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官青木信之君、政策統括官梅溪健児君、警察庁生活安全局長岩瀬充明君、金融庁総務企画局長森本学君、監督局長細溝清史君、外務省大臣官房審議官香川剛広君、国際法局長長嶺安政君、財務省関税局長柴生田敦夫君、農林水産省大臣官房審議官角田豊君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

海江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

海江田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中林美恵子君。

中林委員 ありがとうございます。民主党、神奈川県第一区の中林美恵子でございます。

 本日は、大変貴重な三十分という質疑の時間を頂戴いたしまして、皆様に心から感謝を申し上げます。

 まず、日本の財政金融問題、そして世界の財政金融問題につきましては、今多くの、多岐にわたる懸案を抱えている、そんな時代に突入してきております。そんな中で、今回は、大臣の所信に対する質疑ということで機会を頂戴いたしました。冒頭、しょっぱなの質疑者であるということで、少し大枠の部分からスタートさせていただきたいというふうに思っております。

 まず、財務省の方に目を向けさせていただきまして、安住財務大臣に質問させていただきたいと思います。

 現在の厳しい財政状況の中で、日本は、まずは東日本大震災からの復興という大きな課題を掲げて、それを実現していくことを最大の優先課題として掲げております。これは野田政権としても最も大事な、優先順位の高い部分だというふうに思いますけれども、四回にわたって補正予算を組んでまいりました。この予算が、実は現地ではなかなか、十分に執行されていないという報道や、さまざまな観測がございます。

 例えば、一次、二次の補正予算、合わせて六兆七千億円ほどのうち半分近くの執行の状況であるということも言われておりますし、また、インフラ整備などの公共事業は二割程度の執行ではないかというような報道もされております。

 安住大臣、この報道に関して、どの程度の執行状況なのかという分析をされていらっしゃるか、教えていただけますでしょうか。

安住国務大臣 確かに、きのうも朝日新聞に載りまして、私も地元でございますので、見ておりますと、震災からおよそ一年ですが、かなり瓦れきは片づいてきました。復興に向かって、これからいよいよ本番というところなんです。

 だけれども、今委員からも御指摘があったように、一次、二次補正で七六%の執行、第三次補正を含めると五四%なんですね。それを、遅いという御批判はあるわけでございます。

 しかし、そこには大きな原因があります。地元に帰ってよくわかるのは、発注する側も受ける側も、やはり人手不足なんですね。ですから、これまでの不況下での日本ではなかったような、公共事業を発注しても入札が不調に終わるケースが非常に多うございます。つまり、それは、道路の壊れたところを直すような、そういう関係の契約が成り立たない。

 では、なぜそういうことが起きるかというと、地元の仕事をやっている会社の皆さんは復旧復興の仕事をかなりやっていらっしゃるんですね。ですから、そうした今出ている細かな仕事を本当はかなり受けていただきたいんですけれども、人的余裕がない。

 そうであれば、では、例えば、全国から会社をずっと集めて、人を呼んでやればいいじゃないかというふうに思うわけですね。私もそういうことを言うと、ところが、一つ大きなネックは、例えば私の石巻市は、人口が十六万ちょっとで被災を受けましたが、実はこの石巻が一番仕事が多いんです。多いんですけれども、泊まる場所が一つもないんです。宿泊場所が全然ないものですから、全国からお願いをしても、やはり手当てができない。仙台市には比較的ホテルや旅館があるんですが、どうもお話を聞いていると、長期契約がもう結ばれていて、新たに宿泊をして、ベースキャンプをつくれないというんですね。

 ですから、会社によっては、今、にわかに飯場のようなものをつくって宿泊の体制をつくったり、つまり、これは軍隊用語なんでしょうか、兵たん部分をちゃんとやはり整えないと、機材もそうなんですね。東北の場合は、ことしは豪雪でございまして、機材等のやりくりも非常にままならないというんですね。大工さんや手に職を持っている人たちも、日給はかなり高く声をかけておりますけれども、私の知っている方でも、新潟や長野にまで行って人を集めておるんですけれども、それがなかなか調達できない。

 結果的に、そういうことがおくれにつながっておりますから、自治体のマンパワーもさることながら、やはり仕事を受けやすい環境をどうやってつくるか。ここは、阪神大震災のときと決定的に違うところなんです。阪神大震災のときは、岡山があり、大阪があり、京都があり、滋賀があり、いわば、そういう点での宿泊やバックアップをしている人たちを吸収する力のある都市が周りにあったわけですね。

 ところが、今回は、気仙沼にしても石巻にしても、本当に南三陸、岩手県もそうだと思いますが、そうした泊まることすらままならないような状況だということはぜひ御理解をいただきたいと思います。

 朝なんか、ぜひ来ていただくと、仙台―石巻は、何にもないときは四十五分くらいで車は行くんですけれども、今は二時間半ぐらいかかるんです。ですから、仕事につく方々の行列、そして帰りのときは、石巻から仙台に行く道が二時間以上混む。

 こういう状況なので、やはり人手不足を解消するためのいわば知恵と工夫というのが、我々行政の側にも自治体にも、また仕事を受ける会社側にも今求められているのではないかと思っております。

中林委員 根源的なところに御言及いただきまして、ありがとうございます。

 こうした問題がまだまだ残っている。しかしながら、もう来月には震災発災から一年がたつということで、これをどういうふうに解決していくのか、あるいは財政措置として今後どういう方法があるのかというところを教えていただきたいと思います。既に三次、四次の補正予算も通りましたけれども、今後どのような方法があるのか、教えてください。

安住国務大臣 問題は、仮設にお入りになってとりあえず今生活をなさっている方に、もう一回地域に戻ってもらって、御自身のお住まいにちゃんと入れるように、いかにスピードアップしてやるかということではないでしょうか。それから、例えばだめになった鉄道、道路を復旧させて、町をやはり、輸送ルート、交通ルートをつくっていく。

 予算措置は、第三次補正で相当しっかりしたものはつけましたので、それぞれの自治体の皆さんはそれに対しての御不満はないと思います。福島の場合は、そういう意味では原子力との戦いもありますから、これは新たな措置というものは必要だと思いますが、当面、やはり復旧復興計画をつくった自治体の皆さんが、例えば高台移転やそうした大きな復興計画を緒についたものにしていくということに対して、人的な面でも、資金の面からもサポートしていくということが重要だと思います。

中林委員 そうしますと、地方自治体が、あるお金をしっかり使うということがとても大事なことだと思うんです。そのために、財務省として、地方自治体にしっかりお金を使ってくださいということを促す方策というものを何か持っていらっしゃるか、教えてください。

安住国務大臣 我々にそこまでの権限はないわけですけれども、実は、私が大臣になりましてから、各被災地に主計局の若手を派遣しまして、予算の執行の仕方それから状況についてつぶさに、御助言できるところはやらせていただく。今も、例えば気仙沼市なんかには若手の職員に行っていただいておりますから、そういう意味では、執行がスムーズにいくやり方というのは、それぞれ工夫をしていただいて、我々が役に立つようなことはやっております。

 しかし問題は、先ほど申し上げましたように、絶対量が多分足りないような気がします。仕事を受ける側、それから、やはり入札を含めて、被災者や復興事業にかかわっていく公的なサポートをする人たちのマンパワーが足りないので、これは総務省にお願いをしまして、それぞれの自治体から応援団を派遣していただいて、数千また万の単位で応援体制をつくって、人的なサポートをぜひと思っております。

 これも、私の石巻市では、一人農林省から若い官僚に今来ていただいているんです。実は、住宅を探すのに三週間もかかりまして、ですから、長期に住んでもらう場所をまずとにかく確保することすら状況として大変なものですから、最初に戻りますけれども、そうしたものからやっていけば、どんどんスピードアップはできるんじゃないかと思います。

中林委員 たった今地震がありまして、どれくらいの大きさかなというのを感じながら、この被災地の問題についてお話をいただきまして、ありがとうございます。

 何としても、やはりマンパワーも含めて私たちが解決しなければならない問題は大変大きく、また、つけられた予算を執行するためにも人が必要であり、それをサポートする体制が必要であるということで、まだまだ課題は大きいと思っております。

 とにかく、被災地復興のためには、少なくとも与えられた予算をしっかりと使っていく、そこをますますいろいろな知恵で推し進めていただければというふうに思います。

 さて、もう一つの日本の大きな課題で、安住大臣も所信でお述べになられました社会保障と税の一体改革についてお伺いしたいと思います。

 社会保障と税につきましては、究極的には、どれぐらいの負担を誰がして、そしてその便益を誰がどういうふうに受けるのかということに突き詰まっていくと思います。

 そして、特に社会保障の問題は、世代間の不公平という問題が出てまいります。この世代間については、どのようにこれを計算するのかということも重要な議論の基盤になってくるというふうに思います。

 そこで、財務省が発行しておられる「日本の財政関係資料」というのがありまして、これは本当に便利で、いろいろな基礎データが載っていて、私も大変愛用させていただいているわけですけれども、その二十四ページに、皆様お一人お一人のお机にも配らせていただいている図表が載っております。その一枚ペラの図表ですね。

 これが本当に便利で、ぜひまた使いたいと思うんですけれども、毎年毎年、これは平成十七年度の年次経済財政報告という内閣府が出している報告を財務省がそのままお使いになってグラフにしているものなんですが、これが何年たってもなかなか更新されず、今はもう平成二十四年で、平成十七年度のものがいつまでも出ておりますものですから、例えば、二十の方に、あなたたちの社会保障はこうなるんですよ、負担はこうなんですよということを説明しようと思いますと、この図によると、二十歳代は一九七四年から八三年生まれというふうになっておりまして、今この時点で二十の方に御説明するときに、これは平成十七年ですから、もう何年も前の資料になって、どうしてもかみ合わない。では、今現在はどうなっているのかという質問がかえって出てきてしまうわけです。

 この辺につきまして、こういったデータのアップデートというのは財務省では余りなさっていないというふうに考えてよろしいんでしょうか。

安住国務大臣 御指摘のとおりでございます。

 私どもとしても、これは多分、想像するに、さらに受益の、若い世代と年配者の差が広がっている可能性があると思うんですね。ですから、最新の資料というのは内閣府に求めておりますので、内閣府来ておりますので、答弁をさせます。

中林委員 ありがとうございます。

 それでは、この資料の大もとをつくっていらっしゃるという内閣府の方に私からも聞かせていただきたいと思うんですけれども、まず、平成十七年度の資料が今一番頻繁に使われている資料になっているということですが、現在でもこういった数字をアップデートはしていらっしゃるんでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 お示しいただいた資料、平成十七年度のこのデータについては、ざっくりとした受益と負担を試算したものでございます。

 そこで、実は、内閣府に経済社会構造に関する有識者会議というのがございます。そのもとに制度・規範ワーキング・グループというのがございますが、こういうもののさらに精緻化した検討が必要だということを前提として、世代間の公平について正確でわかりやすい情報を国民にお伝えする、そういう観点から、これから生まれてくる将来の世代も含め、各世代の受益と負担を分析した世代会計の試算を政府として毎年度定期的に示すことが望ましい、こういう指摘を受けました。

 そこで、現在、この指摘を踏まえまして、世代会計の研究者から成る専門チームをつくっていただきまして、世代会計に係る技術的、具体的な検討を今鋭意やっていただいている、そういう状況でございます。(発言する者あり)

 その結果を当然出すということを指摘を受けていますから、そういう前提で対応したいと思っています。

海江田委員長 質問者でもない人に勝手に答えちゃだめですよ。

 もう一回、もし質問するんだったら質問してください、中林さん。

中林委員 委員長、ありがとうございます。

 これからアップデートもされるということですので、ぜひ精緻な数字を出していただいて、国民の前に示していただきたいというふうに思います。

 と申しますのは、社会保障と税の一体改革は、野田政権にとりましても、政府・与党両方にとりまして、議論の基軸になる大変重要なデータでございます。これがないことには、精緻な議論というのは不可能になってしまいます。

 また、こういった数字を出すに当たって、日本では、学者の先生方お一人お一人の個人名でさまざまな研究もされていらっしゃる。したがって、必ずしも一気に公共財としての試算というふうにはならない場合もあるということも伺っております。諸外国では、政府や公の機関がそのデータを出すことによって即座に公共財ということで使っていけるということもありますので、日本でもその方式というものを少し改善していく余地がまだまだあるのではないかというふうに考えております。

 やはり世代間の格差が年金や社会保障の議論の大きな問題点になりますので、ここはぜひ内閣府の方にもよろしくお願いしたいと思いますし、また、それを公表して議論の土台として使っていく財務省の方にも、その辺の指示なりをぜひまたしていただきたいというふうに思います。

 それから、大臣もそうですが、さまざま閣僚の方々が、全国行脚で国民の皆さんにこのような社会保障と税の一体改革の必要性を今訴えて、国民的な集会を開いていらっしゃいます。私も地元でこれからミニ集会なり車座集会なりを開いていくという予定でありますけれども、現在のところ、どのような反応があり、そして国民の皆さんに税や社会保障への理解というものは進んでいるのかを教えてください。

安住国務大臣 私は、仙台、福岡、滋賀と伺いまして、少人数の会合から百人を超すような方々との対話もしました。さまざまな意見がありますけれども、私の感じで申し上げさせていただくと、社会保障がこのままでもつわけがないから、何らかの負担は必要だという方は多うございます。しかし一方で、やはり政治や行政の改革をしっかりやってほしいという声があるんですね。

 ですから、世論調査を見て、消費税の必要性というのに対しては、かなりの、過半数を超える方が賛成、しかし実際導入となると慎重な方もふえるというのは、私は条件つき反対じゃないかなと思うんですよ、そういう方々は。やはり、行政改革、政治の改革、政治の改革というのは政治の身を切る改革ということだと思いますけれども、そうしたことをしっかりやった上で国民の皆さんに対してお願いをすれば、私は、その条件つきなネガティブな人たちは理解に変わっていただけるような気はしております。

 これはあくまで主観でございますが、そんな感じのことを思っております。

中林委員 社会保障と税の一体改革においては、国民の皆さんの御理解と、そして受益と負担に対する、どういうふうに自分たちがしていったらいいのかという能動的な考え方というのがどうしても民主主義の社会の中では必要になってくるというふうに思います。特に、受益をする場合には、どなたかが払ってくれているおかげでこの受益があるんだという感謝の気持ちというものが本来あるべきですが、日本の社会にこれが大変希薄になってきている。

 そういう時代でもありますので、これからの方策として、大臣を初め政治側が説明して回るということも非常に重要な要件の一つではありますけれども、御説明するだけで感謝なりあるいは受益と負担の関係が実感としてわかるというのは非常に難しいという部分もありますので、やはり制度やシステムとして、昔であれば、人間のきずなというものは、地域とかコミュニティーが小さかったからきずなができたし、お互いにコミュニケーションが非常に密にできたというところがあるのを考えますと、こういった公共政策で受益と負担が生じるものに関しても、かなり、きずなと言えるような小ささ、つまり、地方自治体が例えば課税権を多小なりとも国から引き受けて、そして地域なりの受益と負担の関係を構築できるような、そして身近に感謝の気持ちが生まれるような、そんな制度も必要になっていくのではないかというふうに感じるところですが、いかがでしょうか。

安住国務大臣 御指摘のとおりでございまして、今一つ言うのを私忘れましたが、地方の公聴会や話す会をして一番驚かれるのは、消費税は、五%の一・五四%分、これは皆さんの地方自治体でお使いになる分として行きます、ですから、額でいえば、今のアベレージの一%で計算すると大体四兆円近くは実は皆さんの村や町でお使いになられるお金なんだと言うと、皆さん驚くんですね。

 つまり、今委員が御指摘のように、日本の場合、交付税制度は、一旦国に吸収したものを配分する。つまり、受益と負担の関係が何となくわからないんですね。

 ですから、地方自治体におられると、国に予算要望をする、それで国から何となくお金が来るというふうなことで、住民の皆さんは、直接払った税金が、御地元の、例えば神奈川とか横浜でそのまま何かに使われるという、これは、アメリカの仕組みは非常にそこはわかりやすいわけですね、それに比べると、日本の制度というのは戦後ずっとそういう交付税制度でやってきましたので、そうしたことがもしかすれば住民の皆さんの意識に影響を与えていることはあると思います。

 今後、この交付税制度のあり方については、十分国民的な議論を踏まえて、そしてそれをきちっと深化させれば、納税者の皆さんが自分たちの自治体でお支払いになった税金がどう使われるかということを直接感じるような行政の仕組みというものもひとつ検討に値するのではないかなと、私は個人的に政治家としても思っております。

中林委員 大変ありがとうございます。私もそのように感じますので、大変心強く伺いました。

 やはり、課税するということは、非常に苦しい、大変なことです。これを地方自治体が避けながら、しかも使うときには要求ができるということに関して、きずなを大事にするコミュニティーや地域の中で受益と負担の関係が見えてくるといったものに逆行する傾向もありますから、ぜひともその辺の、特に課税権の地方自治体への多少なりとも移行ということも将来的には考えていく必要があるのではないかと私は思っております。

 それでは、金融庁の方で自見大臣にお伺いいたします。

 金融庁では、去年三月十一日、大震災が発災してから、さまざまな施策を打ってまいりました。金融機能強化法や個人債務者の私的整理に関するガイドライン、その他いろいろな施策を講じてきておりますけれども、ことしまた、中小企業金融円滑化法の一年間の延長という課題も抱えています。

 経営改善に向けてこれからしなければいけないことがたくさん残っていると思いますが、一年間の施策の内容そして成果を、振り返ってどのように評価していらっしゃるか、そして、その評価の結果、これから何をしなければいけないかということを教えていただきたいと思います。

自見国務大臣 中林先生から、中小企業金融円滑化法案、これはいかにという話でございますが、中小企業金融円滑化法の施行以来、金融機関は中小企業に対しましてこれまで約二百二十九万件の条件変更を行っておりまして、申し込みに占める実行の割合は約九割を超える水準となっております。

 また、中小企業というのは、これは中林先生御存じのように、四百二十万社ございまして、日本の法人の九九・七%は中小企業でございまして、二千八百万人の方が中小企業で働いておられますから、日本人に四つ石を投げれば一つは中小企業で働いておられる方に当たるぐらいの大変たくさんの方が、実は中小企業で雇用を得ておられます。

 そういった中小企業、いろいろ諸団体ございますし、中小企業そのものからも聞いたことがございますが、その中でも、同法によって資金繰りが助かったという前向きな意見を多数頂戴しておりまして、こういったことに鑑みて、同法により、一時的に返済困難であるものの、将来改善の見込みのある中小企業の資金繰りに関しては、一定の寄与があったと思っております。

 しかし、当然ですが、金融でございますから、やはり金融規律、そういったことも非常に大事でございますから、この前も最初に申し上げたように、今回、出口戦略といいますか、金融規律、あるいは、本当に、金融機関が持っているコンサルタント機能、あるいは経産省とも一緒になりまして、中小企業政策をやっているのは経産省でございますから、こっちは民間金融、それから経産省には政策金融がございますが、そんなところと一緒になってしっかり中小企業の改善についてやっていきたいというふうな強い気持ちで今おらせていただいています。

 先生の、一定の成果があったかどうかというような御質問ございましたね。

 これは参考として申し上げますと、日本銀行の短観、日銀短観でございますけれども、中小企業の資金繰り判断DIの推移というのは、実は、リーマン・ショックの前でございますけれども、平成二十年の六月はマイナス八でございましたが、リーマン・ショックが起きて、二十年はマイナス一五、二十一年はマイナス一六、二十二年はマイナス九でございますが、平成二十三年は実はマイナス六になりまして、リーマン・ショックの前まではある程度改善をしているんじやないかというふうに、日本銀行の資金繰りのDIでございますが、そういった具体的な数字も出ておりますので、確かに、皮膚感覚と……

海江田委員長 自見大臣、質問者の時間が、もうそろそろ時間ですので、まとめてください。

自見国務大臣 はい。

 また、こういった統計をあわせて、かなり寄与があったというふうに思っております。

中林委員 大変ありがとうございます。

 金融政策は日本の経済にとって本当に大事ですし、それから社会保障と税の一体改革も、やはり経済成長がなければ、決して日本の年金そして社会保障も安心できるものにはならないし、増税だけでは何ともならないというふうに思っております。

 ぜひ金融政策でも頑張っていただきたいし、また、財務大臣にも、税のみならず、イノベーションという形で日本の経済がどんどん発展する方向で社会保障その他をカバーできるように、経済の方面も一緒に、金融庁と財務省が一緒になって頑張っていただきたいというふうにお願いして、時間になりましたので、私の質疑の時間を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

海江田委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 民主党、緒方林太郎でございます。

 本日の質問の機会をいただきまして、委員長そして理事の皆様方に御礼を申し上げたいと思います。

 まず一番最初に、国税職員の定員確保と機構の充実について財務大臣にお伺いをいたしたいと思います。

 ここ数年、所得税の申告者数、そして法人税の申告件数が非常に増加をしている。そして、所得税の申告者数については十年間で一三・六%の伸び、法人税の申告件数についても、十年間の伸びは二・三%と非常に増加をしている。

 さらに、所得税の確定申告等では、東日本大震災で被災された納税者の住宅、全半壊家屋約三十三万棟、そして家財などの被害損失額を控除する申告相談や手続を、被災地域の税務署のみならず、全国の税務署で対応していただいている。

 そして、平成二十二年度中に新規発生した滞納税額というのが六千八百三十六億円、そして七千五百九十一億円の滞納整理がされた。これは、国税職員の方の多大なる努力があると思います。

 しかしながら、現在、滞納整理中の額というのは一兆四千二百一億円と高水準にある。そしてさらに、先ほど申し上げた滞納税額のうちの半分は納税者からお預かりをしている消費税であるということは、これはまた重大な問題であるというふうに思います。歳入確保のためにマンパワーがさらに必要であるというふうに考えるところであります。

 さらには、平成二十三年度税制改正で国税通則法が改正されて、全ての処分に理由を付記する、さらには更正の請求期間が一年から五年というふうに延長されている。

 こういった中、国民の負託に応えて、適正公正な課税及び徴収の実現、歳入の確保を図るために、国税職員の定員確保、高度な専門知識を有する職務に従事する国税職員の処遇改善、機構の充実及び職場環境の整備等について、ぜひとも努めていただきたいと思います。財務大臣の力強い答弁をお願いいたします。

安住国務大臣 ありがとうございます。(発言する者あり)はい、力強くいきたいんですけれども、なかなか政府内で大変でございまして。

 税務行政を取り巻く環境というのは、今緒方さんがおっしゃるとおりで、申告件数とかは非常にふえています。これは、社会状況もあって、滞納残高も非常に高い水準であることは事実なんですね。ですから、それぞれ出先の税務署の皆さんも、日々、量も多いし、本当に、確定申告時は特に御苦労していると思います。

 東日本大震災のときには、各地から応援をいただいて、仙台、石巻、気仙沼を初め、それぞれ応援部隊で今もやっておりますけれども、しかし、率直に言えば、人的な面で不足していることは事実でございます。できるだけ、東日本大震災や国税通則法改正の事案、先ほど申し上げていただきましたけれども、そうしたものに的確に対応する必要性はあると思います。

 しかし、率直に申し上げまして、五万六千二百六十三を、今回はマイナス六十九の五万六千百九十四人で要求をしております。ですから、ふやすのではなくて、今回は、行政改革をやろう、できるだけ業務の効率化を図りながら、やはり国民の皆さんの期待にも応えていかなければならない、そういうところで、私どもも実は最初は増員を要求したのでございますが、しかし、そこはしっかり今の守備範囲の中で頑張っていこうということになりました。

 根本的なところでは先生の御指摘をいただいたような問題は抱えておりますが、今の勢力でフルに国民の皆さんの負託に応えていくのが我々の仕事ではないかと思っております。

 引き続き、御支援、御指導賜りますようお願い申し上げます。

緒方委員 ありがとうございました。

 国税職員の皆様方は頑張っておりますので、大臣として、力強いお支えをお願い申し上げます。

 続きまして、今国会にも上がっております関税暫定措置法について、一言質問させていただきたいと思います。

 さまざまな貿易関係の国際条約で、その担保法が関税暫定措置法になっているケースが多々ございます。税率の設定とかそういったところで、関税暫定措置法で国際条約、WTO協定とかそういったものの担保になっているわけですが、よく考えてみると、これは暫定措置法なんですね。今国会にも上がっている。

 もちろん、三月三十一日までの間にこれを通していくということ、これは政府である我々与党の責務であると思いますけれども、数年前もありましたけれども、仮定の問題として、暫定措置法が通らなかったとき、これは四月一日から、その瞬間から国際条約違反だという状態が目の前にばんと出てくる。法的にこれは不安定なんじゃないかな。法的な安定性が保てていないんじゃないか。毎年毎年法律をちゃんと通していかないと、国際条約の円滑な執行ができないということなわけであります。

 まず、そもそも論として、これは外務省にお伺いしたいんですけれども、国際条約の担保法が暫定措置法でなされているものというのは、これ以外にも、ほかにもあるんでしょうか。

長嶺政府参考人 お答え申し上げます。

 法律事項を含む条約につきまして、どの法律によってその国内実施を担保しているかということを網羅的に調べますと、かなり大きな、それなりの作業になりますので、ちょっと今私、手元に、全ての法律事項を含む条約につきまして担保法がどうなっているかの資料は持ち合わせてございませんが、ただいま委員が御指摘になりました関税関係でございますと、御指摘がありましたように、関税暫定措置法によって全部または一部が担保されている条約としましては十三本。これは、WTO協定本体、それからEPA、経済連携協定が十二本ございます。

 それから、お尋ねが、この貿易関係以外にもということでございますと、先ほど申し上げましたように、網羅的に調べるには少し作業が必要でございますけれども、一つの例として、法律の題名に暫定措置法という名前がついている法律に、深海底鉱業暫定措置法という法律がございますが、これは海洋法条約の第十一部「深海底」の部分の担保に当たっているということで、これも、そういう意味では、国内法で暫定措置法により対応しているというものの一つの例であると考えております。

緒方委員 これは、財務省側から見ていかがかなというふうに思うんですね。

 数年前も、この法律が、いろいろなやりとりの中で、三月三十一日までに通らないんじゃないかというときに、一悶着あったように思います。特に国際条約に関するところというのは、例えば日本がWTOから脱退するとか、EPAを廃棄するとか、そういったことでもしない限りはずっと恒久的にやっていく措置だと思うので、これは恒久法でやってはいかがかと思いますけれども、財務省、いかがでございますでしょうか。

柴生田政府参考人 お答え申し上げます。

 関税暫定措置法におきましては、一定の政策上の必要性等から、適用期限を定めて実施すべき暫定的な性格の関税率を暫定税率として設定しております。

 具体的には、例えば、平成六年のウルグアイ・ラウンド合意に基づきまして関税化された品目につきましては、WTOの農業協定により改革過程を継続することとされており、現在もドーハ・ラウンドとして交渉途上にあるため、暫定的な性格を有する暫定税率として設定しているところでございます。

 また、これらの品目につきましては関税割り当て等の制度を設けておりますが、このような無税または低関税での輸入数量を限定する制度につきましては絶えず見直しを行っていく必要があり、この点でも暫定的な性格を有しているために、暫定税率として関税率を設定しているところでございます。

緒方委員 それなら恒久法の改正でも全然問題ないわけでありまして、一回一回、本当に、法律が成立しなかったときに全ての税率ががしゃんとだめになってしまうような、そういった状況に置くんじゃなくて、それは恒久法に織り込んで、逐次見直していくということであれば見直せばいいわけでありまして、余り納得しませんでしたけれども、そこはぜひ政務の大臣、副大臣にも、国際条約との関係でこの件が非常に不安定性があるということだけ問題意識をお伝えさせていただきたいというふうに思います。

海江田委員長 答弁はいいですか。

緒方委員 では、もしよろしければ、答弁をいただければというふうに思います。

五十嵐副大臣 おっしゃるような事情がありますので、できるだけ年度内に法案を成立させていただくようお願いをするということで、政府としても努力をしてまいります。

緒方委員 ありがとうございました。

 続きまして、引き続き関税の分野ですけれども、今、自由貿易協定、経済連携協定ということで幅広くいろいろなことをやっているわけですが、やはり自由貿易協定の肝というのは関税の部分でありまして、さまざまな障壁、関税だけじゃないですけれども、そういったものをどうやって撤廃していくかということが大きいわけであります。

 その中で、今、例えばTPPの話が上がってきている。ハイスタンダードなものを実現しようというときに、関税の分野でどこまでやれるのか。もちろん、農業であったり鉱工業品の中に、国際競争にフルに巻き込まれてしまうとどうしても持ちこたえられないものがあるから、そういったところはしっかりと守っていくけれども、そこを極限まで、何ができて何ができないかということを関税の分野で真摯に検討していくべきだというふうに私は思います。

 自由貿易協定、いろいろなものをこれまでやってきています。今、その代表的なものの中で関税撤廃率はおおむねどれぐらいなのかということをお答えいただきたいと思います。財務省。

柴生田政府参考人 お答え申し上げます。

 品目ベースの自由化率は、我が国につきましてはおおむね八五%程度となっております。このうち、自由化率の高いものにつきましては、日・フィリピンEPAが八八・四%、日・タイEPAが八七・二%となっており、低いものにつきましては、日・シンガポールEPAが八四・四%、日・ブルネイEPAが八四・六%となっております。

緒方委員 その中で、これまでありとあらゆる、WTOで、マルチであったり二国間であったりのEPAで、一度も関税撤廃をしたことがないものというのは品目でどれぐらいですか。

柴生田政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国が自由貿易協定におきましてこれまで関税撤廃をしたことがない品目は約九百四十品目でありまして、全品目約九千に占める割合は約一〇%でございます。

緒方委員 大体一〇%程度、九百四十品目ということでありますが、その中にも関税率が低いものがあるはずなんですね。決して関税率が低いものの保護効果がないと言うつもりはないですけれども、どちらかというと、為替がばっと振れてしまったりすると関税としての保護効果が薄いものというのがあると思います。

 それをどれぐらいの水準と見るのが正しいのかというのは私にはわかりませんが、一つの例として、今言われた九百四十品目の中で、関税率が一〇%以下のものはどれぐらいあるでしょうか。

柴生田政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国が自由貿易協定におきましてこれまで関税撤廃をしたことがない約九百四十品目のうち、一般の関税率が単純な従価税として設定され、かつその税率が一〇%以下の品目数は約百三十品目でございます。

緒方委員 百三十品目については一〇%以下であると。水産物とか合板の関係とかがたしか五%前後ではなかったかというふうに記憶をいたしております。

 もう一つ、先ほど言われた九百四十品目の中で、国内生産がほとんど存在しないもの、国内でつくっていないものがあるんじゃないかなというふうに思うんです。関税というのは、基本的に、国内の生産をある程度保護するために設けているものでありますが、国内生産がないものに高い関税を張ってもしようがないわけですよね。

 余り農林水産品だけ取り出すと本当は怒られるんですけれども、農林水産品のうち、国内生産がほとんどないものはどれぐらいあるのかということについて、農林水産省、お答えいただければと思います。

角田政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで我が国が締結いたしましたEPAにおいて、関税撤廃したことがないタリフラインは約九百四十品目ございます。そのうち、農林水産品は約八百五十品目でございます。

 関税撤廃したことがないタリフラインのうち、そのラインの農林水産品及びその原料のいずれも国内生産がないものは、コーンスターチ製造用トウモロコシなど、十七タリフラインでございます。

緒方委員 国内生産がないからといって関税を撤廃していいというものでもなくて、撤廃した結果、代替品が入ってきたりするケースもあると思うので、一概に、私が先ほどから言っている一〇%以下のものを全部撤廃しろとか、国内生産がないんだから関税を全部撤廃しろとかいうことではありませんが、ただ、その中には、実はそれほど障壁の高くないものがあるのではないかというふうに思いますので、いろいろな役所でぜひ御検討いただきたいと思います。

 これまでいかなる自由貿易協定においても関税撤廃したことがない九百四十品目の中で、これは本当に関税撤廃をこれからもすることは不可能なんだろうかということについて、非常に一般的な質問でありますけれども、農林水産省、お答えいただければというふうに思います。

角田政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで関税撤廃をしたことがないタリフラインでございますけれども、これは、やはり我が国農林水産業への影響等を考慮して関税撤廃を行わなかったという経緯がございます。

 今後のEPA交渉におきましても、EPA基本方針で「高いレベルの経済連携を目指す。」というふうにされていることを踏まえまして、我が国農林水産業への影響等をさらに精査して交渉に当たってまいりたいと考えております。

緒方委員 確かに、その九百四十品目の中には、センシティブだと言われているものがあります。あるんですけれども、関税分類の世界の中において、関税分類というのは、九桁の数字で関税を分類しています。その中、六桁まではたしか国際標準が決まっているけれども、残りの三つの七桁目、八桁目、九桁目の数字を使いながら、ここは各国が自由に、各国の事情を踏まえて品目を細かく分けていくことができるというふうに理解いたしておりますが、この理解でよろしいでしょうか。財務省。

柴生田政府参考人 お答えいたします。

 現在、関税分類上、我が国におきましては、九桁レベルで品目を細分化し、整理して運用しているところでございます。

緒方委員 九桁で分けるときというのは、かなり各国の裁量がきくわけでありまして、例えば、お米ならお米でも、お米の成分であるとかいろいろなことで細かく区分していくことによって仕分けができるんじゃないかと思うんですね。

 つまり、何となく今、日本の国内でいうと、例えば米とか牛肉とか、そういうセンシティブなものは全部だめだ、全部譲歩することができないというふうに概念されているわけでありますけれども、物すごく、この九桁ベースのところで細かく細かく分けていく。

 例えばですけれども、マクドナルドで使っている牛肉なんというのは、あれは値段、価格帯からいっても、恐らく他のものと区分することが可能だと思います。品質で区分することがどれぐらいできるかというのはわかりませんが、しかし、いろいろな、ありとあらゆる知恵を使えば、そういう国内生産にほとんど影響が生じないものだけをがばっと切り出すことがテクニカルに可能なんじゃないかというふうに私は思います。

 例えば、米であっても、お米というと、我々、普通食べる中粒種を連想するわけですけれども、最近、健康食品みたいなもので、黒いお米みたいなものがありますね。あれまで全部守らなきゃいかぬのかというと、いや、あれは別に守らなくてもいいんじゃないかなと思うと、そういう品目ごとに細かく分けていく作業をして、それで一つ一つ、これが関税撤廃できるのかできないのかということを検討していってほしいなというふうに思います。

 これは、検討しますという答弁はなかなか難しいと思いますけれども、大臣政務官、いかがでございますでしょうか。

仲野大臣政務官 緒方委員の質問にお答えさせていただきたいと思います。

 まず、お尋ねの件なんですけれども、EPA交渉の前から、既に、同じような品目であっても、用途などによってセンシティビティーが異なる場合、タリフラインを分けて、異なる関税率を設定しておりまして、また、EPA交渉においても、これと同様に、それぞれのタリフラインごとに、センシティビティーを勘案して自由化等の水準を今設定いたしているところでございます。

 また、EPA交渉におきましても、先方の関心品目が特定できる場合には、可能であれば新たなタリフラインの設定を行い、そのラインのみ関税撤廃等を実施しております。

 いずれにいたしましても、緒方委員が本当に日ごろからこのことについて大変熱心に研究をされているということは、私ども農水省といたしましても心から敬意を表させていただくのでありますけれども、今後とも、用途に応じてセンシティビティーの程度を十分考慮するとともに、相手方の関心事項に細かく対応した関税率設定を行うように、関税当局とも十分連携しつつ、適切に対処してまいる所存でございますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

緒方委員 私は昔外務省でこういうのをやっていたのでよくわかるんですけれども、農林水産省でこういう国際担当の方というのは、本当につらい立場に置かれるんですね。農林水産省の中での国際担当の人というのは、ありていに言うと、現業を持っている部局からは、外務省とつるんで俺たちの業界を潰しに来るけしからぬやつだぐらい思われているわけですよ。そういった中、国際担当の部局がこういう検討をしようとしても、なかなか国内の部局、現業を持っている部局とうまくいかないことが多いです。

 ですので、ぜひここは政務が、今言ったような、何ができて何ができないのかということを主導してやってほしいなというふうに思うんですね。ぜひもう一度御答弁いただければと思います。

仲野大臣政務官 全ての品目に当たりまして、何ができるのか、何ができないのかということも、農水省だけではなくて、外務省あるいは農水省の国際部、そしてまた税でありますから財務省の方とも、横断的にしっかりとこのことについても今後十分研究をさせていただきたい、そういうふうに思っております。

 緒方委員の本当に元気いっぱいの大変迫力ある御質問に、我々といたしましても、しっかりやらねばならない、そういう決意でございますので、よろしくお願いいたします。

緒方委員 どうしても、センシティブ品目という言葉が出てくると、全て一緒くたにして、全部だめだというふうに思いがちですけれども、価格帯で分けたりしていけば、やれることは相当あるはずだ。

 そして、先ほど、これまで日・フィリピンで八八%と言いました。一〇%以下のものが百四十数個ある。そして、国内生産がないもの。

 いろいろその代替性の議論とかありますけれども、そういうものを積み上げていって、私の相場観として、これが、八八から何とか積み上げていって九五ぐらいまでいけば、TPPであろうが何であろうが戦えるだろうというふうに私は思います。頑張ってください。

 最後に一つだけ、これはさらに関税の分野の話でありますが、日本の関税の中で一つだけ特殊な関税形態をしているもので、豚肉の差額関税というものがございます。豚肉の差額関税というのは何かというと、どんなに輸入価格が安かろうが高かろうが、一定の価格との差額を全部関税で取っていく、そういう制度です。

 これは何が起こるかというと、輸入価格を実際の生産額よりも勝手に高く設定すれば、税金で払うのは嫌だから輸入価格のところを高く設定すれば、税金を払う額が少なくなり、その間のところがレントとしてポケットに入ってくる。そういうことが、これは違法ですけれども、法律上可能である。実際に、毎年とまでは言わないですけれども、二年に一回ぐらい、十億円単位で脱税事件が起こるんですね。最近は、一流総合商社と言われるところですらこの豚肉の差額関税で脱税事件が起きている。

 冷静に考えてみると、違法であるか合法であるかというのは抜きにして、この制度の中で一番合理的に動こうと思えば、当然、輸入価格を高く申告して、日本の関税当局に払う税金を少なくして、その間を全部ポケットに入れるというのが一番合理的なんです。そういう誘因が働くと思います。

 日本の豚肉は本当においしいですし、私は大好きです。守っていくべきだ思います。ただ、この守る手段が、脱税事件が起きるような差額関税制度というのは、これは税のあり方として私はおかしいんじゃないかと思いますが、ここは財務副大臣、いかがでしょうか。

五十嵐副大臣 今の御指摘はごもっともなところがございます。

 一キログラム当たり五百二十四円以下の輸入豚肉の場合は、基準輸入価格一キログラム当たり五百四十六・五三円との差額を関税として課す、それによって国内養豚農家を保護する。一方、輸入豚肉が高い場合、五百二十四円でございますけれども、四・三%の税率を適用することによって、関税負担を軽くして消費者の利益に資する、こういう仕組みになっているわけですね。

 おっしゃるとおり、五百二十四円に限りなく近いところで設定をする、安く仕入れられるのにわざと高く設定すると、税金が少なくなるのでもうけが一番高くなるということで、緒方委員御指摘のとおり、この数年の間にも、二十二年に三十二億六千万円とか、二十一年には四十五億四千万円の関税の脱税が発見をされております。これは絶対に認められないということでございまして、透明化を図る方向で制度を見直していくということは必要だと思います。

 ただし、これはウルグアイ・ラウンドの範囲内、WTO条約の範囲内でやっているものですから、実際には、これを直そうとすると、もとの条約との関係を整理しなきゃいけないということで、大変難しい面があるということも御指摘をさせていただきたい。

 なお、先ほどの問題ですけれども、私も、ペルーとのEPAの条約で、アメリカオオアカイカというのが、やはり日本のイカ釣り業者にマイナスではないかということで問題になって、ネックになりましたけれども、大きい切り身、一メートル、二メートルという肉厚で大きいものなので、外見上区別できるじゃないかということで、これは特別の扱いにできるんじゃないか、枝番をつけるということですね、それによって解決をさせていただいて、ペルーとのEPAができたということはあります。

 これは関税当局と農水省の御努力ということで、そういうこともやっておりますので、さらに工夫をさせていただきたい。いい御指摘をいただいたと思っております。

緒方委員 ありがとうございました。

 今、世界の自由貿易協定であったり、TPPも含めて……

海江田委員長 時間が過ぎていますので、まとめてください。

緒方委員 わかりました。もうこれで終わりますので。

 やはりTPPみたいなものが出てくると、ハイスタンダードなものがどんどん求められてくると思います。そのときには、一つ一つ細かく精査をしていって、日本として、別に精査したからといってそれを全部出せとかいうことではなくて、弾として持っておく。弾として持っておいて、それを出し入れする、それは行政の方で作戦を練っていただければいいわけでありますが、弾のない状態でやるというのは、本当にこれからのハイスタンダードなFTA、TPPを目指していくときによろしくないと思いますので、さらなる政府の御検討のほど、よろしくお願いを申し上げまして、質問を終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

海江田委員長 次に、竹本直一君。

竹本委員 自民党衆議院議員の竹本直一でございます。

 五十分、時間をいただきましたので、貸金業法から関連の質問をさせていただきまして、あと経済に関する質問をさせていただきたいと思っております。

 まず、大臣、改正貸金業法、六年十二月に成立ですけれども、一〇年の六月に完全施行になりました。こういう一連の中で、現在、この法律が目指したものが適切にうまく運用されているかどうか、現状についての所感をまずお聞きしたいと思っております。

自見国務大臣 竹本先生にお答えをいたします。

 貸金業法、一昨年の六月から完全施行になったと思いますが、先生も御存じと思いますけれども、平成十八年、貸金業者による消費者向け貸し付けを中心に、約十三兆八千億の貸付残高がございまして、利用者数は千百七十万人ということでございまして、少なくとも、当時、国民の十人に一人がいわゆる消費者金融を利用しておりました。

 問題なのは、先生が後からいろいろ取り上げられると思いますが、多重債務でございますけれども、これが、五件以上利用している人が百八十万人、これらの平均貸付総量が二百四十万円ということでございました。

 そういった中で、御存じのとおり、非常に社会問題化しまして、実は全会一致で貸金業法は通ったわけでございますが、施行に関しましては、非常に気を使いまして、これは本当に生活資金の部分があるわけでございますから、七回にわたって、段階的に、私のときに、上限金利の引き下げ等ということで、完全施行させていただいたわけでございます。

 しかし、施行したと同時に、実は金融庁にフォローアップチームをつくらせていただきまして、事が大変、全会一致といえども、非常に深刻な問題でもございました。

 確かに、貸金業というのは十三兆八千億というこういったマーケットもあったわけでございますから、そこら辺は、施行と同時にフォローアップチームをつくらせていただきまして、金融庁の副大臣を座長として、適時適切に、関係者、あるいはいろいろな各省庁の連絡をいただきながら、十分注意深くやったわけでございます。

 先生のお話によれば、効果があったかどうかというお話でございますが、多重債務相談者を含む貸金業または闇金に関する相談等は、改正貸金業法の完全施行以来、落ちつきを見せている。

 それから、日本信用情報機構によれば、貸金業から五件以上無担保無保証借り入れの残高がある人間は、多重債務が問題となった平成十八年と比べて減少してきている。百七十一万人、これは平成十九年でございます。平成二十三年は七十万人、平成二十四年は五十一万人といった状況になっておりまして、したがって、現時点においても、昨年六月と同様に、制度につき直ちに見直すべき点はないのではないか。

 しかし、今も申し上げましたように、フォローアップチームをつくっておりまして、金融庁としても、先生方の特に貴重な国会での御意見なんかをしっかり踏まえて、実態把握を進めて、貸金業の貸し手、借り手の状況はしっかり担当の責任者としてもフォローアップしてまいりたいというふうに思っております。

竹本委員 まとめて言えば、ほぼ順調にいっているというような印象を受ける御返事であったように私は思いますが、我々の見方はちょっと違いますので、大臣、ぜひお聞きください。

 まず、大手消費者金融の残高は、この間、七割減少しております。データを見ますと、六年の一月には八・三兆円だったものが、六年の十二月には七・九兆円になり、一〇年の十二月は何と二・九兆円に落ち込んでおります。ですから、こういうふうに減少するということは、大阪大学の教授だったと思いますが、この先生の試算によれば、GDPは〇・八%減少している、こういうことであります。

 日本は世界第二位の経済大国ということで、それを誇りにしておったんですけれども、昨年、中国にその地位を奪われ、その原因の一つに消費者金融も影響しているんじゃないかと思いたくもなるような数字であります。

 決してGDPが落ちることはいいことではありません。そういう意味で、やはりあの改正は果たしてよかったのかなというような感じで我々は見ているわけであります。

 それから、大手消費者金融の成約率が、これまた大幅に低下しております。六年一月には五五%の成約であったものが、六年の十二月は四三%、そして一〇年の十二月は三三%、こういうような状況になっているわけであります。

 また、マクロ経済に対する悪影響という意味でも非常に注目すべきことがございます。

 これは大阪府の例でございますが、中小企業の資金繰り悪化などで六年から八年の間に二万七千人の雇用喪失が出た、このように言われております。また、親族、知人間の借り入れ依存傾向が非常に高まっていまして、親族、知人からの借入残高が、約五十万円ぐらいであったものが、現在、十年のデータですけれども、九十万円と、ほぼ倍増しているというような状況であります。

 金融庁は、もちろん経済官庁でありますから、このようにGDPを減らす原因となったことについてどう考えておられるか、まずその点についてお考えをいただきたいと思います。

中塚副大臣 先ほど大臣から御答弁を申し上げましたとおり、フォローアップは的確に行っていかなければならない、そういうふうに思っております。

 今委員御指摘のような経済に与える影響ということにつきましては、本日、申しわけありません、ちょっと用意をしておらないわけでありますけれども、今後のフォローアップの中において、また経済的な面についても調べていきたい、そう考えております。

竹本委員 ぜひそういう分析をしていただきたいというふうに思います。

 さて、貸金業の実態が消費者の間では大きくさま変わりしております。

 金融庁の調査によりますと、全ての指標がいい方に向かっている、こういうような印象のデータばかり来るんですけれども、どうも新しい種類の闇金が暗躍しているんじゃないか、このように感じております。警察が摘発できていないカード現金化商法、あるいは金貨換金商法、電子マネー換金商法など、新種の闇金が町中で堂々と営業しております。

 また、ソフト闇金と言うんですかね、優しい言葉で接触はするんですけれども、中身は極めて厳しい、そして多大な債務を背負って債務者が大変苦労している、こういう話もしょっちゅう聞きます。また、カード現金化というような新しいやり方で、つまり、大した値打ちもないものを例えば百万で買って、そしてそれを九十数万円の現金にかえる。したがって、百万の借金を背負うわけですから大変であります。そういうことがあちこちで行われておる。こういう人たちは金融庁が調査しても実態を言わないんじゃないか、このような感じです。したがって、金融庁の調査には悪い傾向というのが出てきていないと私は思っております。

 どのようにこの実態、我々は予測も半分でありますので、必ず、データで何人がどうだ、こういうことを言えるところまで調査はしておりませんけれども、ちまたで聞く話によると、やはりそういうことが非常に危惧されるわけであります。

 したがいまして、金融庁が調査されました中で、こういったソフト闇金のようなものを意識して調査をされたのかどうか、そういったことも含めて、金融庁の調査と現実への認識、予感、そういったものをちょっと答えていただきたいと思います。

森本政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の闇金でございますが、私どもといたしましては、この闇金と申しますのはもともと違法な活動でございまして、包括的な統計等はございません。なかなかその実態を把握するのは苦労が要るわけでございますが、さまざまな方法でその把握に努めておりまして、これまでのところ、財務局等への闇金に関する相談件数、あるいは警察の摘発状況を踏まえまして、直ちに闇金が急増している状況にはないというふうに判断しております。

 ただ、先生御指摘のように、闇金につきましては、もともと把握が難しい上に、新しい形態のものが出てきているのではないか。クレジットカードのキャッシング枠の現金化といったもの等もございます。こうしたものにつきまして、我々もかなり注目しておりまして、我々の調査のほか、国民生活センターに寄せられる情報の状況等にも着目いたしまして、例えば、消費者庁と経済産業省と連携いたしまして、クレジットカードの現金化を利用しないようにといった注意喚起を行うなど、先生御指摘のそうした新しい形態のいわゆる闇金に対する実態把握あるいは対応を進めていきたいというふうに考えております。

竹本委員 前回の改正で総量規制をやりました。もちろん、金利の引き下げもやったわけですけれども、特に総量規制が非常に厳しいんじゃないかと私は思っております。

 つまり、恒常的に借金をして、それを用途に充てておった人が、ある日突然、借りられなくなったわけです。そうしますと、先ほどちょっと言いましたけれども、親族からどんどんお金を借りる、これはあり得る話で、五十万が九十万になったという話をしました。それはあり得るんですけれども、それでも足らない。そういう人たちがどこへ行くかというと、結局、この闇の世界へ入っていくということになるのではないかと私は思います。

 金融庁の調査ではないんですが、実は、この問題に非常に造詣の深い東京情報大学の堂下教授の調査によりますと、闇金融の利用者数の推移は、申し上げますが、二〇〇八年五月で四十六万人、九年五月で四十二万人、二〇一〇年七月には五十六万人、二〇一一年七月には五十八万人と、改正貸金業法の施行とともに急激に利用者がふえている、こう言っておられるわけでありますけれども、こういうのを見て金融庁はどう思われますか、ちょっとお答えいただきたいと思います。

中塚副大臣 先ほど局長からも答弁を申し上げたところでありますけれども、闇金融というのがそもそも違法な営業活動であるということでございまして、その実態を把握する、包括的に統計をとるということについては、なかなか困難が伴うわけでございます。

 先生が今おっしゃいました調査研究において利用者数が推計をされているということについては、承知をしております。

 私どもとして行っております、例えば財務局、都道府県等の相談件数でありますとか、あるいは警察によります金融事犯の摘発件数の実績値というものについては、これは減少をいたしておりまして、私どもは、調べておる限りにおいては、少なくとも、そういった数字を見る限り、闇金融が急激に増加をしているといったような状況にはない、そう考えております。

 ただ、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたとおりでありまして、さまざまな方法とか調査を総合して、引き続き実態把握に努めていかなければならない、そういうふうに思っております。

竹本委員 もう少しこの問題を突っ込んでいきたいと思います。

 警察庁、来ておられますけれども、平成十九年から二十二年までの闇金事犯の検挙件数をちょっと教えてください。

岩瀬政府参考人 平成十九年から平成二十二年までの闇金融事犯の検挙事件数でございますが、平成十九年、四百八十四事件、平成二十年、四百三十七事件、平成二十一年、四百四十二事件、平成二十二年、三百九十三事件でございます。

竹本委員 ほぼ横ばいという感じの結果だと思いますけれども、闇の世界にくぐっている本来違法なものがなかなか表へ出てこない。そして、カードの現金化で立件、逮捕したのが一件だというような報告も聞いております。

 どういうふうにすればこの実態が把握できるのか。結局、被害者が申し出なければわからないわけなんですけれども、ただ、この前の改正で、結局そういう世界へ足を突っ込まざるを得なくなるような人たちが相当いるんではないかというのが我々が一番の関心を持っているところなんです。ですから、そういう意味で、さらなる突っ込んだ調査を金融庁、警察庁も御協力いただいて、やっていただく必要があるんではないかというふうに思っております。

 ところで、カードでお金を借りる場合に、いわゆる通常の銀行のカードローンを使いますと一定額のお金が借りられるわけでありますけれども、これには当然、総量規制がかかっていないんですね。ですから、結局、総量規制の抜け穴としてこのカードローン、大体、メガバンクとか大きいところのカードローンは信用調査がしっかりしていると思いますから、なかなかそう簡単にはいかないんだろうと思いますけれども、あらゆる手段を使って、結果として一千万円ぐらいの大きい債務を抱えている人たちは結構いるという話を聞くわけであります。

 したがいまして、総量規制をやってしまったために、結局、闇金へ走る者がふえたんだと私は思っておりますけれども、同時に、そういう総量規制の枠のかからないところにも相当の返済困難者が出てきているんではないかと思いますが、金融庁、いかがですか、その実態について把握しておられますか。

中塚副大臣 今先生お話しいただきました銀行等のカードローンでありますけれども、日本銀行が公表をしております統計によりますと、平成二十三年三月末で三兆八千二百十八億円、対前年比では六百二十八億円の減ということになっております。ただ、この統計につきましては、今先生御指摘になったカードローン以外にも、応急ローンですとか、カードキャッシングとか、あるいは使途を特定しない一般消費資金等も含んでおるということでございます。

 いずれにいたしましても、今御指摘をいただいたような問題意識を持って実態把握に努めてまいりたい、そう考えております。

竹本委員 昨年六月の完全施行後に、就任直後だったと思いますが、自見大臣の肝いりで改正貸金業法フォローアップチームがつくられました。六月二十七日にこのチームの会合で配付した資料に、「改正貸金業法完全施行後の一年の状況について」と題するものがあります。まさに金融庁が作成、提出したものですけれども、これについて幾つか質問したいと思います。

 「改正貸金業法完全施行後の一年の状況について」、この四ページに書いてございますけれども、五件以上の無担保無保証借り入れの残高がある人数の推移が掲載されておりますけれども、このデータにはどのような意義があるとお考えなのか、どういうメッセージを国民に伝えたくてこの資料を公表しておられるのかを教えていただきたいと思います。

中塚副大臣 今の先生のお話にあります完全施行後の一年の状況についてということでありますが、先ほどの質問とも関連をすると思います。

 いわゆる多重債務の問題についてでありますけれども、五件以上の無担保無保証借り入れの残高がある人数ということを掲載させていただいたわけなんでありますが、いろいろな指標がございます。多重債務問題の一面をあらわす指標の一つとして参照をさせていただいておるところであります。

竹本委員 その資料はそのように読むと理解いたしましても、もう一つ質問があります。

 貸金業者が銀行やサービサーに売却した債権、あるいは廃業して信用情報機関からも離脱した貸金業者の債権はどのように扱われているのか。こうした売却や廃業による借入件数の減少も含まれているのであれば、その影響を具体的な数字で示してもらいたい、このように思います。

 つまり、最近でも、八千社ぐらいあった貸金業者が二千社台に大きく減っております。そうすると、廃業した業者からお金を借りていた人たちの個人のデータ、こういったものはお互いの信用情報の交換をやる機関に掲載されないんじゃないかなというふうに思います。そこにも隠れた犠牲者というか被害者というか、そういった人たちが含まれていると見なきゃいけないんじゃないかと思いますが、いかがですか。

細溝政府参考人 議員御指摘の資料には、出典といたしまして、日本信用情報機構というところが集めた数字であるというふうに書いてございます。

 この日本信用情報機構といいますのは、御案内のとおり、貸金業法に基づく指定を受けた信用情報機関でございまして、貸金業者が総量規制を遵守するために行う返済能力調査で使用が義務づけられている信用情報、これの提供業務を行っております。

 したがいまして、そういう性格上、貸金業者以外に売却された債権、あるいは廃業した貸金業者の債権につきましては、この日本信用情報機構の登録情報からは削除されております。

 御指摘のとおり、五件以上無担保無保証の借入残高のある人の人数、この中からそれは削除されるということでございまして、経年変化で減少している中に含まれております。

 そういったことでございまして、御指摘の具体的な数字、減少している影響の数字は把握しておりませんが、その中に含まれておるというふうに認識しております。

竹本委員 ここでちょっと視点を変えまして、中小企業の経営の実態、貸金業の実態について質問したいと思います。

 大体、この総量規制は、個人にかかるものであって、法人にはかかりません。また、個人の借り入れについてはかかるけれども、事業の資金にはこの総量規制はかからない、こういう状況であります。

 そこで、金融庁の出された資料では余り中小零細企業への影響について触れられているところがあるわけではないんですけれども、金融庁が別途公表しております資料についてお伺いしたいと思います。

 金融庁は、「中小企業の業況等に関するアンケート調査結果の概要」というのを、二十三年、昨年の五月に調査しております。この資料は公表されております。この資料によると、資金繰り悪化の最大の要因は営業要因で、改正貸金業法施行の影響等はわずか〇・五%ということになっております。このデータは、私が地元の中小企業の経営者から聞いている話の実態とは大きく違うわけであります。

 これについて、どういう分析をしておられるのか、金融庁にお答えいただきたいと思います。

細溝政府参考人 今委員御指摘の中小企業の業況等に関するアンケートと申しますのは、各都道府県の商工会議所等四十七先を調査対象にいたしまして、定期的に、四半期ごとに調査を実施しているものでございます。

 いろいろな業況とか資金繰りの状況といったものを商工会議所に要求して、その商工会議所が会員企業の判断及びその具体的な理由についてお答えをいただいているというものでございまして、御指摘のとおり、改正貸金業法の影響といいますのは、直近では〇・五%ぐらいになっておりますが、かつては一・五%とかいった数字を示したときもございました。

 傾向的に言うと、だんだんと減ってきているものというふうに認識しております。

竹本委員 貸金業者の数は、二〇〇六年三月末で一万四千件、二〇一一年三月末で二千五百に減っております。約八割減少したことになるわけであります。

 この中に、政府の施行規則や指導に沿って営業を続けていたのに、二〇〇六年一月の過払い金返還請求を認める最高裁判例を機に急増した返還請求によって破綻に追い込まれたとして、破綻の原因に適切な指導を行うべき行政の不作為を挙げて国家賠償を行っているユニワードという元貸金業者がおります。

 大臣はこの件については当然御承知だと思いますが、裁判の結果及びこの問題についての考えをぜひ大臣からお聞きしたいと思います。

自見国務大臣 竹本先生にお答えをいたします。

 お尋ねの訴訟については、今言われました、廃業した貸金業者のユニワードが、過払い金の支払いを余儀なくされた責任は国にあるとして国家賠償請求訴訟を提起したことは、承知をいたしております。

 この訴訟については、二月の十日でございますが、東京地方裁判所において国勝訴の判決がなされており、国の主張が認められたものと理解をしております。

 訴状の概要については、もう先生よく御存じと思いますが、原告のユニワード株式会社、元貸金業者が、過払い金の支払いに関し、国に、法律の委任の範囲を逸脱した違法な貸金業の規制法施行規則、旧施行規則でございますが、を制定した点や、その改廃にかかわる適切な行政指導を行わなかった点に国賠法上の違法があるなどと主張して、約二億七千万円の国家賠償請求訴訟を提起したわけでございます。

 先生はずっと国土交通省、建設省におられましたから御存じのように、その背景には、少し小さいことになって恐縮でございますけれども、まさに、平成十八年の最高裁判決により、旧施行規則十五条二項の規定の一部が法の委任の範囲を逸脱するものとして無効と判断されたという事情がございます。

 判決の要旨でございますけれども、これは、同規則の制定について、国の広範な裁量に委ねられており、平成十八年までは、実は下級審の裁判実務においては有効とする判決が多数を占めていたことなどから、その制度改廃や行政指導については国賠法の違法性は認められないというふうにこの判決の要旨に出ております。

 参考までに、原告の控訴期間は二月の二十四日、きょうでございまして、きょう出てくるまでは、原告が同日経過までに控訴しなかった場合は国が勝訴するわけでございますけれども、二月の二十二日の時点では、私の聞いたところによりますと、東京地裁に控訴状は届いていないということを拝聞いたしております。

 それから、先生の中の今さっきの答弁の中で、七項目ということを、七回に分けてと言いましたけれども、七項目を四段階にしたわけでございまして、ちょっと私の考え違いでございまして、最初の答弁でございますけれども、訂正をさせていただきたいというふうに思っております。

竹本委員 国賠の訴訟あるいは法人税還付請求、このように、形や方法論は違いますけれども、グレーゾーンという過去の行政の不備による損失の回復を求める動きが出ているということだと私は考えます。

 ユニワードが損害賠償を求めている金額は二億七千万、武富士は二千億円ということですけれども、今後、仮に、他の貸金業者も追随して、さきに確認しましたこれまでの過払い金について国家賠償訴訟や法人税還付請求を行い、国に責任があるということになれば、国として数兆円単位の財政負担を抱えることになるわけであります。

 過去の金融行政の失敗に端を発するこうした財政リスクをどのように認識しておられるか、お答えを願いたいと思います。

中塚副大臣 先ほどのお尋ねとの関連から申し上げますと、まず、法人税の還付請求ということにつきましては、これは国税に関係することでございますので、金融庁からのお答えは差し控えさせていただきたい、そう思っております。

 加えまして、過払い金等の国家賠償訴訟が提起された場合、国の財政負担がどうかということでありますけれども、まず、先ほど大臣も申し上げましたが、提起をされるかどうかというのは、これまた不確実なことでございますし、さらに、その結果を反映させてまで仮定をしてお答えをするということになりますために、お答えは差し控えさせていただきたい、そう思っております。

竹本委員 余り差し控えられても議論にならないんですが。精いっぱい答えていただきたいと思います。

 要は、貸金業者は、過去の納税と過払いの二重負担にひいひい言っているわけです。したがって、貸し出し余力が限界的になりまして、本当に資金を必要とする人に本来の資金が回らない。つまり、その結果として、冒頭申し上げましたように、GDPが〇・八%下がるというようなことになるわけであります。

 政治も行政も、全て需要と供給の関係であります。一方に資金を必要とする人がおり、他方には資金を供給する存在がなければなりません。ところが、前回の改正によって、資金を供給するサイドが極端に小さくなってしまった。業者の数でいえば、一万四千もあったものが二千台になってしまった。これでは水が出てこないわけです。したがって、結局、必要だけれども借りられない人たちが闇金の世界へ突っ込んでいく、こういうことになります。これは社会的に許されることではありません。放置できないことであります。

 したがいまして、これは金融庁も、警察庁も、ぜひ実態をよく把握していただきまして、適切な、真に必要な人には資金が回るような仕組みをこの経済社会においてはつくっていく必要があると私は思っております。この私の考えについて、自見大臣のお考えを、ぜひコメントをいただきたいと思います。

自見国務大臣 竹本先生から、大変お勉強をよくしておられまして、また、長い間国土交通省におられた経験を本当に生かして、率直で、大変いい、政治家として、指摘をいただいたというふうに私は思っております。

 実際、今さっき言いましたように、効果があったというふうなデータでございました。私はそちらの方を信じておりますけれども、しかし、現実に、やはり十兆円近いマーケットがある。

 そして、今先生が、ソフト闇金に戻っているんじゃないかという話もされました。しかし、私も現実に北九州の小倉というところに帰りますと、大変中小零細企業が多くて、先生よく御存じのように、パパさんママさんストアをしている八百屋さんとか魚屋さんとか、どうしても従業員一人二人に払う年末のボーナスがない、そういったとき、なかなか金融機関に言っても貸してくれない、そういったときに、これは、今さっき先生が言った、法人は対象外でございますけれども、個人の商店がちょっとお金を借りるというときに、非常に経済の、先生がGDPの話をされましたけれども、そういった意識も私はきちっと持たせていただいておるつもりでございます。

 そういったことを踏まえて、実は、昨年、金融大臣顕彰をさせていただきました。貸金業を非常に積極的に助けるような信用金庫、信用組合、これを大臣顕彰させていただきました。

 話を聞いてみると、地方の首長さん、市長さんとか市のお役人さんが非常に多重債務者の問題について関心を持っておるというか、どうにかせないかぬと。大体、市の行政と地域の信用金庫、信用組合、そういったところで協調して多重債務者を救うというようなことをしておりまして、私は複数のそういった信用組合の理事長さんを、本当に僣越でございますけれども、大臣顕彰させていただきました。

 そういったきちっとしたマーケットがあるわけですから、やはりそういった努力も同時に必要だというふうに私は認識をさせていただいております。

竹本委員 自見大臣は九州ですので、消費者金融の末端の世界はよく御存じだと思いますけれども、前回の改正で、一番勘違いに近いぐらいの、ある意味ではミスなのは、要するに、資金を一時、一日だけ立てかえる、この要請がいっぱいあって、それに対して応えられるのは、例えば昔でいえば頼母子講とかいうようなのがあった、九州ではいろいろ別の形態のものもあるようですけれども、そういう互助組織が働かなくなったときに、一日、二日の立てかえまで金利の世界で論じてしまった、私はそこが大きい間違いだと思うんです。

 三カ月、半年借りるお金の金利ではなくて、一日、二日なんですね。従業員に給料が十六日に払えない、払えないからちょっと貸してください、百万貸してください、こうなるんですね。それが総量規制にひっかかって借りられない、こういうふうに中小企業者を追い詰めてしまったんですよ。ですから、ぜひ、そういう違いをもう一度よく、子細に調査をして、現実に合うように、需要と供給がマッチするようにやっていただきたいと思います。

 大臣、何かコメントがありましたら、どうぞ。

自見国務大臣 一昨年の六月に完全施行した後、先生御存じのように、法律をつくったすぐ後に普通フォローアップチームなんというのは余りつくりませんけれども、先生が今言われたような現実の姿があるわけでございます。

 やはり十兆円ぐらいのこういった、ちょっとボーナスを二日間貸していただきたいというふうなニーズも、今さっき言ったパパさんママさんストアですね、私自身が実際、経験しておりますし、そういう一つ一つの積み重ねによって国民の生活が成り立っている人もたくさんおられるわけでございますから、そういったことも視点に入れつつ、きちっとフォローアップチーム、それは金融庁だけではできません、やはり警察庁、あるいはいろいろな関係省庁、また、今さっき言いました地方公共団体、そういったところ、あるいはいろいろな市中の金融機関とも連携をとりながら、しっかりフォローアップしていきたいというふうに思っております。

竹本委員 話題をかえまして、安住財務大臣に幾つかお聞きしたいと思います。

 きのう、予算委員会でも少し私は申し上げましたけれども、今回の十兆円の日銀による資産買い取り、非常に英断であり、よかったと思っています。

 結局、私の地元でも、あの行為があって、そして七十六円が七十九円近くまでになった。そうすると、中小企業に台湾から発注が来たというんですよ。喜んで、飛んできました。ずっと仕事がなくて、発注がない、つくった製品が売れないと困っておった。買い付けをする東南アジアの人たちは、この円高では高過ぎてどうしようもないということでずっと待っておったらしいですね。それで、どっと来た、よかった、こういうことであります。

 ですから、私は自民党で円高対策PTの座長をやっておりまして、去年、三回にわたって今の政権に、安住さんのところにも提言を持っていきました。あるときは、十兆円の日銀の資産買い取りをやりなさいということを言ったら、聞いてくれたのはありがたかったんだが、けちって半分しかしなかった。そうすると、ほとんど効果が出なかった。今回、もう一回やらせたんですね。そうしたら、今度はすんなり聞いてくれた。

 十兆円やり、しかも、日銀が、一%を継続して二%の物価上昇を目指して、この一年間、二十数兆円のお金を、ずっと資産買い取りをやるということを言いましたら、将来に明るい見通しが立ったものですから、これからますますそういう方向に進むだろう、円安に進むだろう、こういう期待を持たせたんですね。これが大事なんですよ。今幾らということよりも、将来どういう展望があるかということを、この暗い、惨たんたる中小企業に与えてくれた。

 今、電力不足で私の地元も大変なんですよ。だから、本来なら土日休みの工場を、土日操業して、水と木だったかな、それをずっと休みにして、振りかえて、電力を余り使わないようにしてやっている。そして、やっとつくった製品を今度は買ってくれないわけですよ。なぜならば、円高だから。この円高を、今回の行為によって、きちっとアジアとの間で物が動くようになったということは非常によかったと思います。

 だから、我々野党の言うことも、安住さん、素直に聞いた方がいいですよ、余りけちらないで。役人はけちりますよ。だから役人の言うことは聞かないでいいと思いますよ。そうじゃなくて、やはり必要なときはどんとやりましょう。

 そういう意味で、今、野田さんは消費税増税を言っておられますけれども、どうも我々の政権時代と今の政権時代とを比べますと、非常に大きい違いがあるのは、やはり歳出が多過ぎる。何も四つの無駄遣い云々のことを言っているんじゃなくて、数字を見ましても、例えば、二〇〇一年から八年の間に、我々は小泉、安倍、福田政権を持っておりました。このときの平均の国債の発行額で見ますと、平均の歳出総額が三十一・六兆円、他方、二〇一〇年から一二年の間の鳩山、菅、野田政権では、これが平均四十四・四兆円、その差が十二・八兆円にもなっているんです。つまり、歳出増分を全部国債発行で補うということになってしまっているんです。

 ですから、こういう国債の増発がなければ、消費税を今上げる必要はそれほどなかったのではないかなというふうにさえ思うわけであります。我々はそういうふうに分析するんですけれども、これについて、副大臣でもいいや、ちょっと考え方を聞かせてください。

五十嵐副大臣 予算委員会での竹本先生の立論は大変すばらしいな、勉強させていただいてありがたいと思っておりますが、今の御質問については、まず歳出の方は、水膨れというわけではない。

 まず、積もり積もった財政赤字がここまでいきますと、国債費は当然伸びてまいります。それから、社会保障の自然増は毎年一兆円余りございます。それから、地方の減収補填債を大分出しておりますので、その償還のための増もございます。あるいは、リーマン・ショックの後の経済予備費もございますし、そうしたやむを得ない増加額というのはかなりに上るというのが一つでございます。

 それから、リーマン・ショックを挟んで、麻生さんのときに起きたわけですが、その前の年から比べると、リーマン・ショックの影響が完全に出た民主党政権下とでは、五十一兆から三十七兆円台に税収そのものが大きく落ちておりますから、その双方の効果でやはり足らず前が出てくるということだと思います。

 私どもも、必死に埋蔵金を掘り当てて、十兆円余り税外収入を掘り当てたと思いますけれども、それでも足りなくて、残念ながら国債の発行増につながったということでございますので、もともと歳出が伸びていくものを平均するのと、でこぼこがあって、それをならして比べるというのでは、やはりちょっと無理があるかな、こう思います。

竹本委員 もうひとつちょっとよくわからないんですが。

 要は、リーマン・ショックという大事件がありました。麻生政権のときにこれがありまして、当初予算に相当分積み上げたんですね。その後を引き継いだ民主党政権は、積み上げた予算額をもとに、さらに積み上げてきているわけですよ。ですから、結局、国債も多くなり、歳出も多くなってしまっているわけです。ですから、民主党政権にかわってから、さっきは国債で見ましたが、今回は歳出で見ますと、十・七兆円増加しているんですよ。民主党得意の事業仕分けというものが行われたにもかかわらず、これだけ増加しております。

 今回、野田政権が言っている消費税値上げは約十三兆円になります。そうすると、その差は二・三兆円なんですね。言ってみれば、消費税一%値上げで済むということになりかねないんですよ。我々はそう考えるんですけれども、いかがですか。副大臣、どうぞ。

五十嵐副大臣 数字をお挙げになりましたから、数字を申し上げますと、先生の算定の基礎になっております九十四・三兆円の中には、二・六兆円の基礎年金の国庫負担の引き上げ分、これを三年間で年平均にならして〇・九兆円が入っていると思います。そうすると、民主党政権で九十四・三兆円と言っておりますけれども、実際には九十三・五兆円だと思います。

 そして、先生の計算の、自公政権時代の十三年度から二十年度の平均歳出八十三・七兆円と比較をいたしますと、九十三・五兆円との差は九・八兆円でございますけれども、このうち、先ほど申しました国債発行残高の増に伴う国債費の増が三・五兆円、そして社会保障関係費の自然増が四・一兆円あります。それから、子ども手当などの話がありますけれども、これは御存じのとおり、年少扶養控除を倒しておりますので、財源確保策も別途やっております。しかし、一・八兆円程度ふえておりますが、合計、社会保障関係費が五・九兆円。それから、基礎年金の国庫負担の引き上げによる増が一・六兆円あります。

 また、先ほど申しました地方税等の減収補填債、その地方交付税へのはね返りの増が〇・九兆円。それから、特会改革の一環としての、道路特定財源などの特会直入分の一般会計受け入れへの変更に伴う増が〇・九兆円。それから、リーマン・ショックを踏まえた経済予備費の創設が〇・六兆円。

 これらが十兆円を超える増ということになっておるわけですが、一方で、公共事業費等は三・四兆円、大幅削減しておりますし、社会保障関係費を除く経費のGDP比が一六・六%と、OECD各国の中で最低でございます。

 つまり、削減はかなりしてきている。しかし、やむを得ない増がこれだけ起きてきているわけですから、それは水膨れで、これを減らせば消費税五%分は要らないのではないかということにはならないというふうに考えております。

竹本委員 もう時間もありませんが、もう一つ申し上げておきますと、今回、消費税の税収に関する試算の仕方が、どうも我々理解できないところがあります。

 それは、政府は今後五年間の名目成長率を一%に設定しているんですね。他方、二〇一〇年六月の新成長戦略、皆さんが発表しましたよね、あれを見ますと、名目三%、実質二%の成長を目指す、こういうことになっています。この差は一体どこから来るのか、ここがわからないんです。震災復興であれば、特需があるのでマイナス要因ではありません。

 民主党の新成長戦略の三%成長を達成すると、五%の消費税増税は必要なくなってしまうんじゃないか。成長率が非常に重要でありまして、税収と大きく関係しております。野田政権は、成長戦略で挙げた数字と、今回の試算で挙げた数字が大きく違うんですよね。だから、これが国民には、本当にそんな金が必要なのかな、こういう気持ちにさせているんだと思いますが、いかがですか。

五十嵐副大臣 時間がないので簡潔に申し上げますけれども、現状の単純延長を仮定計算していくのと、新成長戦略によってその政策効果を期待して目標値として数字を挙げるのとでは、当然、数字はおのずから変わってくると思います。

 ただ、成長率が上がれば、では、そのまま税収が上がって万々歳になるかというと、結局そのときは金利も上がりますから、かなりまた別の計算になると思って、いきなり名目成長率を三%に置けば全てが解決するということにはならない。もともと構造的な日本の財政の困難な条件はそれだけでは消えないということだと思います。

竹本委員 これで終わりますが、要するに、きのう言ったことと、きょう言ったことと、数字が違うのであれば、それは、なぜそうかという説明をしておかないと誤解を招くということ。

 最後に、安住大臣、これはあなたに答えてもらいたいんです。

 今回、震災復興で一次、二次、三次、四次まで、歴史上、余りないですよ、四次予算なんて。私が役人をやっていたときは余り経験がない。そこまでやって二十兆円近い金を積み増しました。ところが、去年の統計を見ますと、何と、たしか二・三%の成長のうち、〇・五が民需なんですよね。公需じゃないんですよ。だから、あれほど公の金を入れて、どんどん公共事業がなされていなきゃいけないのに、全然執行されていないんです。

 だから、今回、二十四年度予算、今審議していますけれども、まず二十三年度の予算からできるだけ早く執行してあげないと何の意味もない。私は、民主党の予算の執行能力に非常に疑問を持っております。

 ぜひ、財務大臣、これはあなたの責任ですから、しっかりとやるということをここで明言していただきたい。

海江田委員長 安住大臣、端的にお願いします。

安住国務大臣 ありがとうございました。

 四次までの補正というのは昭和二十年代以来でございまして、ほぼ、もう半世紀以上例のないことですから、竹本先生が役人時代もなかったと思います。

 執行については、人、物、金、さまざまな課題がありますけれども、せっかく皆様からお認めいただいた予算ですから、内需を起こしていくためにも、また、日本の、そういう意味ではインフラ整備も含めて、内需を総合的に動かすために我々も全力を尽くしてまいりたいと思いますので、御指導いただきたいと思います。

竹本委員 どうもありがとうございます。

海江田委員長 次に、徳田毅君。

徳田委員 自由民主党の徳田毅です。

 本日は、二月八日に成立した第四次補正予算、または、現在衆議院で審議中のこの平成二十四年度予算、税と社会保障の一体改革大綱などについて議論をしてまいりたいと思います。

 その前に一点、本日、中林委員も取り上げていただいたということでありますが、きのうの朝日新聞の一面に、「復旧予算 半分手つかず」という記事がありました。何でも、御党の川内博史議員が各府省庁に請求した資料と朝日新聞が入手した資料によると、インフラ関連の特別会計を含む第一次補正予算と原発対応などの第二次補正予算、合わせて六・七兆円のうち、昨年末の時点で五五%の三・七兆しか使われていないということでありました。うち一兆円は政府系金融機関への出資金などが占めており、これを除けば、がくんと落ちるそうであります。

 特に公共事業では、一・四兆の予算のうち一五%に当たる二千百億しか使われていない。被災した学校を建て直す予算、これは二千四百五十億円のうち約三割の七百五十六億円しか使われていない。病院や福祉施設を建て直す予算、これは八百九十八億円のうち五・二%の四十七億円しか使われていない。私ども、被災地に行った者として、これは本当にひどいなと思ったんですが、被災者向けの復興住宅、これは千百十六億円の予算がありますが、執行されているのはゼロだと。なぜこのようなことが起こっているのか。

 第四次補正予算までが成立はいたしましたが、ここに対象になっているのは第一次、第二次、これは復旧に対する予算ですね。復興ではないんです。五月、七月に成立をしました。それでも私たちは遅いということを指摘しました。何とか成立をさせた。それでもいまだにこういう状況だ。これはどういうことなのか。第四次補正予算を成立させる前に、この予算の執行状況というのを財務省は確認していなかったのか。

 まず、この新聞に書いてあること、実際の事実関係をお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、糸川委員長代理着席〕

安住国務大臣 ちょっと長い答弁になるかもしれませんけれども。

 一次、二次で、現時点では大体執行率は七六%で、三次補正は御存じのとおり、十二月の終わりにできましたので、それをトータルすると五〇%台半ばなんです。

 私は地元なので、きちっとお話をさせていただくと、言いわけにするなと言うかもしれませんが、まず第一に大きいのは人手不足です。大体、入札が不調に終わっているわけですね。特に地元の建設業者の皆さんは、小さな市道とかを例えば受注することに対してまでとても手が回らないので、入札が不調になるというふうな異常事態が発生しております。また、これは発注する側の市役所も、窓口業務だけでもう手いっぱいのような状態でございまして、今全国から応援を求めておるような状態です。

 では、全国から建設業者をもっと頼めばいいじゃないかというふうなお叱りを受けますが、先ほども中林さんに私お答えしましたが、宿泊する場所がないんです。

 大阪の阪神大震災とは明らかに進捗状況が違うというふうによくおっしゃいますが、大阪の阪神大震災の場合は、岡山から京都、滋賀、そして和歌山、奈良にかけて、大阪もそうですけれども、宿泊場所や、いわば、戦争用語になるかもしれませんが、兵たん部がちゃんとしていたんですね。ところが、私のふるさとへ行きますと、建設業の仕事はたくさんあるんですけれども、全国から来てもらっても、泊まる場所がないんですよ。

 ですから、今、仙台や盛岡の宿はもうみんな満杯状態で、そこに、なかなか公共事業の担い手となる方々を吸収するキャパが足りないというのが現実でございます。今、建設会社等は、そういう意味で、仮設のプレハブを建てて宿泊を受け入れる体制なんかをつくっております。

 さらに、もう一つ申し上げますと、徳田さんは島の御出身だから御存じかもしれませんが、私の石巻では、水産加工業者が二百何社あった、それが全部やられたんです。この水産加工団地は、第二次補正予算のグループ化補助金、これで予算をつけて、再生のお金は四分の三お渡ししているんです。

 ところが、なぜこれが工事ができないかというと、水産加工会社の建設工事は特殊な会社でないとできないんです、保冷車、冷凍庫とか、ただ上物をつくるだけじゃないですから。それぞれの切り身や魚の種類によって全然違うんです。ところが、その工場や会社の特殊な技能を持った人たちが被災しているんです。そういう技術が一番あったのが宮城県の石巻なんですね、それから、例えば静岡の焼津。ですから、今急に二百社の会社が発注しても、受注してその工事をやるのに半年以上どうしてもかかってしまうという事情もあります。

 用地につきましては、私の生家もそうなんですが、六十余りの集落で、やはり半分以上の家がやられました。私の家もそうなんです。ところが、今集落の皆さんとも話し合いをしていますけれども、やはり、そこに引き続き住みたいという方と、高台移転をしたいと。これは自治体や国にお叱りを受けるかもしれないけれども、そういう意味では、地元がコンセンサスをつくるのに少し時間がかかっているということは言えると思います。

 病院の予算もつけましたが、病院も同じことでして、私の石巻市立病院は津波から五十メーターぐらい沿岸部なんです。それはやめることにしました。(発言する者あり)だから少々長くなると言ったじゃないですか。聞いてください、ちゃんと。そこは、新しい建設用地をようやく市議会で、三カ所あったのを特定したので、これから工事に入りますが、建設会社が非常に今、最初の話に戻りますけれども、受注をしても、工事の機材等が苦しい状況です。

 ですから、そういうことがわかってきましたので、早急にマンパワーの確保、それから、全国の建設業界の皆さんから応援をいただく体制というのを整えないと、都市機能のない地域での被災でございますので、そういうところを知恵と工夫を出してやっていかなければならない、それがまたこの数字にあらわれているんだと思っております。

    〔糸川委員長代理退席、委員長着席〕

徳田委員 大臣、私も、おととしは奄美が豪雨災害に遭ったんです。去年も、あの東日本大震災の陰で目立たなかったんですが、奄美も二回豪雨災害があって、被災地を抱えるというのは政治家として大変おつらいことだと思います。しかしながら、今のような話を本当に被災地に行ってされますか。(安住国務大臣「していますよ」と呼ぶ)いや、それはおかしいですよ。もう一年近くたつんですよ。

 今、最後に、知恵と工夫が足りないと言った。皆さん、与党でしょう。知恵と工夫を出すのが当たり前じゃないですか。ここは言いわけするところでも何でもないんですよ。

 いいですか。例えば、先ほどの水産加工会社、私も石巻に行きました。深刻な被害、壊滅的な被害に遭っているというのはよくわかります。これを建て直すのに、例えば七千二百六十九億円積み増しされた雇用調整助成金、これが二百九十四億しか使われていない。これはなぜ使われていないか。多くの企業が、津波で事業再開のめども立たないほど壊滅的な被害を受けた。そして、この雇用調整助成金を使うには、会社が二割負担しなきゃいけない。二割負担ができる大手しか使えないということなんですよ。工場を建て直すとか、それ以外の問題もあるでしょう。できていない。

 水産加工会社だけじゃないですよ、この話は。私が、三月の二十日あたりですか、物資の輸送を兼ねて車で向かった宮城県の亘理町の町立荒浜中学校です。百二人の生徒は、今も五キロ離れた別の中学に通っている。技術職の職員が三人しかおらず、震災から一年近くたった今でも、学校復旧の補助金の申請を国にできずにいる。

 確かに、建設業者の人が足りないとか、さまざまな問題はあるでしょう。技術系の役場の職員が足りない、こうした問題もあるでしょう。そうした問題をどうやってクリアしようかということで与野党でも話し合ってきたんじゃないですか。その過程において補正予算だって組まれてきたんじゃないんですか。

 一年がたっているわけですよ。大臣のふるさと、大変厳しい寒さの中におられるでしょう、皆さん耐えておられるでしょう。それでそんな話を聞かされるんですか。

安住国務大臣 東京でそうやって私のことを批判するのは簡単ですけれども、これは地元の事実なんです。それで、朝、仙台の宿から二時間も三時間もかけて、建設業者の皆さんがトラックで渋滞で列をなして沿岸部に来ているんです。

 だから、私は一つ、こういう提案もしているんです。被災に遭わなかった農村集落が近くにあるでしょう。それで、例えば、お二人暮らしの老夫婦の方に、二階を子供さんが使っていないんだったら、そこに下宿をしてもらう、そうやって地域に来た人たちの宿を探すとか、これは二月にも仙台の商工会議所の皆さんなんかとも話し合いをしています。

 私も反省はありますよ。ただし、遅い遅いと言うのは、私はここでなぜ遅いかを説明したんですよ。いや、納得できないんだったらだめだというお話はあるかもしれません。しかし、仙台以外に、例えば盛岡だって、先生、百キロ以上離れているんですから。山道を行きながら現場に通っているという現状もあるんです。

 ですから、例えば、コンクリートがこれから大変量が足りないとなって、ある会社なんかは、もう仙台の周辺にコンクリート工場をつくり始めているんですね。だから、そういう意味では、先ほどから言っているように、兵たん部分を充実させないといけないということを私はいろいろ説明したんです。単なる集中豪雨とか局地的な災害とちょっとやはり事情が違うんですね、集落ごとに全部やられていますから。

 ですから、仮設に私の親戚みたいな者も本当に多く住んでいます。それで、寒さもきついし大変なんですけれども、私どもも、やはりできるだけ早く、どこのふるさとに帰って、例えば被災者用の住宅に住んでもらうとか、息子さんと一緒に仙台で暮らすのか、そういうことをお一人お一人、集落ごとに今話し合っている最中ですから、遅いという批判があればそれは甘んじて受けますが、総合力を発揮して、国も、また受け入れる側の例えば建設会社さんなんかにもスピードアップをしてやっていただくとしかなかなか言いようがないということは御理解いただきたいと思います。

徳田委員 大臣、奄美でも人的被害が三人出ています。そんな集中豪雨災害と一緒ではないというのはよくわかりますよ。

 私が言いたいのは、私は野党で、与党の皆さんだから責めているわけじゃないんです。今このことを指摘したのは、財務省として把握をしているのかと。一年たって、与党であれば、こうしたことについて一歩でも前進するように、一日も早い復興を目指して努力されるのは当たり前でしょう。(発言する者あり)していないからですよ。(安住国務大臣「しているんだよ」と呼ぶ)そうは思えないからですよ。私は、被災地に行ったからこそ、こうやって言うわけですよ。遅いと……

海江田委員長 質問するなら、政府側にしっかり質問してください。

徳田委員 遅いからどうだと言っているわけじゃないんです。把握をしているのか、これに対して私が答えていただきたかったのは、本当に被災地の人たちに申しわけないと思っていると。

 こういう事情もあるんでしょう。しかしながら、例えば建設会社の人が住むところがなければ、仮設は建ってきているわけですから、そうしたところに入ってもらう努力をする、自治体もそうした工夫、知恵を出すべきだと思います。いろいろ何でもできる方法はあると思いますよ。そうしたことを私はお答えいただきたかったんです。

安住国務大臣 反論するわけじゃないけれども、多分、私の方が徳田さんよりも説得力のある話をしていると私は思いますよ。だから、私の方に、おまえら、ちゃんとやっていないのかと言うのは、私は当たらないと思うんです。ただ、結果として、もっと進む方法はないのかということについて前向きにいろいろ考えていかなければならないことがたくさんあるということは、御指摘のとおりなんです。

 財務省として何をやっているのかということですが、被災自治体の方に若手の主計局のメンバーを、私の意向で行っていただいております。それで、地域によっては、お役に立つことがあればということで、ずっと張りついておられます。それから、例えば農林省の若い方も石巻なんかにおいでになって、今はポストについてやっていただいているんです。ですから、そういう意味では、国の若手官僚は随分地元の自治体に行って、気仙沼なんかでも、例えば小野寺先生に聞いていただければわかるように、随分そういう意味では感謝はしていただいているんです。

 ただ、やはりそれだって、例えば、農水省からお迎えをしたんですけれども、その方の宿を探すのにも二週間も三週間も石巻の市役所で苦労したんですよ、先生。一年間の契約をして住んでもらう場所もないぐらいの状況だという、そこを私は具体的に御説明しているんです。

 これは、本当に与野党とかそういうことは抜きにして、現実に、リアルな問題として、自分で言うのも変ですけれども、やはり大変な僻地なんです。仙台から私の実家に行くのに、車で普通だって二時間かかるところなんです。そういうところで瓦れきの処理や片づけ方や、やはり集落を維持するためにどうするかとやっておりますから、そういう御事情はぜひ御理解をいただきながら、なおいろいろな建設的な御提案をいただければ、私は喜んでそこは耳を傾けさせていただきたいと思います。

徳田委員 これまでに、被災地に寄り添うと言って数日でやめた復興大臣もいましたよ。被災地の復興のためにと与党の皆さんは何かと言われて、しかしながら、そうした被災地の厳しい現状を自分の言葉の説得力に利用するようなやり方で、私は被災地に行きました、多くの方に話もお聞きしました、今の政府のやり方で満足している人は本当に少ないですよ。よくやってくれているなんて言う人は本当に少ない。私は、こうしたことが事実であるならば大変問題だと思うし、そうした中で、改めて大臣の復興に対する思いをお聞きしたかっただけなんですが、もう結構です。

 それでは、二月八日に成立した第四次補正予算について質問をさせていただきたいと思います。

 補正予算の編成が認められるのは、財政法によれば、「法律上又は契約上国の義務に属する経費の不足を補うほか、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となつた経費の支出又は債務の負担を行なうため必要な予算の追加を行なう場合」とあります。

 平成二十三年は、一次から四次まで編成をされました。東日本大震災からの復旧復興ということを考えれば、これはまさに、特に緊要となった支出であり、当然のことであったと思います。

 しかし、この第四次補正予算の中身を見ると、これはどうでしょうか。被災地の二重ローン対策として五千億の政府保証の枠が設けられています。これは一日も早く、やはり私たちも困っている事業者に活用してほしいという思いもあります。だからこそ賛成もいたしました。しかしながら、ほかの歳出を見ると、震災の復旧復興費というのは計上されていないんです。二重ローン対策の五千億も、もともと、思い返すと、予備費でやるという話もお聞きしたことがあります。もっと言えば、この議論については、継続審議にしなければもっと早くから活用できた部分もあったのではないかと思っています。

 野田総理は、昨年の十二月一日の記者会見で、第四次補正予算の編成が必要な理由について、円高の進行、タイの洪水、欧州債務危機など、経済の先行きに不透明感が広がっていることを挙げておりました。ということは、この四次補正というのは景気対策としての意味合いが強いのかなとも推測されますが、大臣、改めて、この第四次補正予算の編成をした理由についてお聞かせください。

安住国務大臣 まず申し上げておきますが、この四次までの補正は、自民党にも賛成をいただきまして成立をしたことは感謝をさせていただきたいと思いますし、同時に、政調会長レベルでも、この支出については熱心な御議論をいただきながら決めていったものであるということは申し添えておきます。

 ですから、そういう点では、義務的経費、生活保護の自然増等に対するお金、さらには円高、さらにタイの洪水、そして欧州の債務危機などで必要とする予算措置について今回は盛り込んだということでございます。

 それから、今、先生は賛成をしていただいたということですけれども、この五千億の保証については、自民党、公明党の皆さん、共産党を含めて野党の皆さんから提案をいただいたものに対して我々としてこの五千億をつけたということでございますので、よろしくお願いいたします。

徳田委員 経済の先行きに不透明感が広がっているということでありますが、しかしながら、この中身を見てみると、生活保護費等負担金、高齢者医療、子育て、国際分担金などが含まれています。これが本当に景気の対策などに効果がある事業なのか、少し疑問に思うところがあります。

 その中で、ちょっと取り上げたいのは、国連分担金六百八十四億円。これは、なぜ補正でやる必要があったのか、これまではどういう形で計上してきたのか、お教えいただきたいと思います。

安住国務大臣 主な国際的な貢献として、国連分担金六百八十四億円、それからアフガニスタンへの支援拠出金ですか、これは細目になっております。これをこれまでどういうふうな形で処理してきたかというのは、ちょっと今調べさせていただきたいと思います。

徳田委員 それでは、これを第四次補正予算に計上した理由を教えてください。

安住国務大臣 外務省からの要求があって、必要に応じて措置をいたしました。

徳田委員 外務省から要求があれば補正でも何でも入れてしまうという話なのか、余りよくわからぬですが。

 それでは、この第四次補正予算では、子宮頸がん等ワクチン接種基金の一年延長、高齢者医療の負担軽減基金の一年延長、安心こども基金の一年延長、障害者、妊婦健康診査支援基金の一年延長、要は、平成二十四年度末までを対象にして一年延長するという基金のために積み増しされたものが多いんですね。それであれば、これは二十四年度予算に組み込むべきだったのではないかというふうに思います。

 子宮頸がんワクチンの促進を初め、これらのそれぞれの事業については必要性を強く感じますが、しかしながら、なぜこの時期に補正で積み増しをしなければならなかったのか。これは基金が枯渇しそうだというならわかるんです。しかしながら、二十四年度予算に計上しても数カ月のタイムラグしかないですよね。なぜここに計上されたのか、お教えいただきたいと思います。

安住国務大臣 このことも賛成をしていただいて、必要だという審議があって成立したことをまず前提に申し上げておきます。

 今御指摘のあった基金等については、年度末のぎりぎりのところで資金が切れかかっているものもあります。そうしたことを勘案し、また地方自治体からのニーズがありまして、これから、年度の自治体における予算の編成のときに、これを円滑に実施するためにあらかじめ積んでほしいという要望もありましたものですから、それを勘案して、今回、この第四次補正に対して資金の積み増しを行ったということでございます。

徳田委員 各自治体から要望があったものもあるということですが、枯渇しそうだった基金というのはどれですか。

安住国務大臣 額で申しますと、ワクチン接種が百九億、それから妊婦健診の支援基金が百五十八億、安心こども基金は四百三十億、障害者自立支援臨時特例基金が百四十四億という状況でございました。

徳田委員 その数字は私も持っているんですが、それで本当に枯渇しそうだったのか、大変疑問に思います。結構です。

 また、補正予算には、民主党政権になって削減された土地改良のための予算八百億円などが計上されています。エコカー補助金、これも麻生内閣の経済対策で導入されたものでありますが、これは民主党政権になってから一度は延長されているものの、打ち切られているんです。

 では、一度は削減された土地改良の予算、打ち切られたエコカーの補助金、これがなぜ第四次補正予算に計上されたのか、計上するならば、なぜ今まで切ったのか、私もよくわからぬのです。これを打ち切った理由、または計上した理由を明らかにしていただきたいと思います。

安住国務大臣 第四次補正予算では、農業体質強化基盤整備促進事業として八百一億円を計上しております。ただ、これは、先生、大規模圃場事業などの公共部分ではございません。いわゆる非公共事業の部分で、具体的に言うと、畦畔等のところにある簡易な設備整備なんですね。

 それで、実は、聞きましたら、箇所が約八百カ所予算要望があって、ですから、本当に単純に計算すると一カ所一億円ぐらいの水利施設の補修をしたいということなので、そういう点からいうと、誤解もあるかもしれませんが、大規模圃場事業のためにこの予算を設置したということではなくて、補修整備のための非公共としてこの八百一億を積んだということでございます。

 それから、エコカー補助金については、確かに一旦これは中止をしましたけれども、やはりタイの水害とか電力供給問題、いわゆる六重苦と言われているような状況の中で、国内のいわば基幹産業である自動車の、特に国内需要を高めるための施策として、麻生政権下でやって非常にそういう意味では好調な自動車販売に貢献をいたしましたので、もう一回これをやらせていただくということで、国内の自動車需要をふやしたいという思いで復活をいたしました。

徳田委員 たび重なる補正予算の編成は、当初予算編成時に定めた概算要求基準や中期財政フレームの意義を失わせるという指摘もあります。この予算内容を見ると、本来は平成二十四年度予算に計上すべき経費を四次補正につけかえただけのように見えるんですね。

 これから平成二十四年度予算と財政再建についても少し質問をさせていただきたいと思いますが、今までのお聞きした理由であれば、別にこれは補正予算じゃなくても、二十四年度予算でもいいんです。

 二十四年度予算、これは中期財政フレームに基づいて、財政運営戦略に基づいて編成されたものでありますが、しかしながら、ここに入ってもいいという予算であれば、これは前年度当初予算の基礎的財政収支対象経費の規模を実質的に上回らないこととするということに違反をしていませんか。

 本来は当初予算につけてもおかしくないお金だった、これを四次補正を編成するということでここにつけかえた、でも、こちらでもいいということであれば、二十四年度予算については、それだけ基礎的財政収支対象経費を減らさなきゃいけないんじゃないかと私は思うんです。そうじゃないと、財政運営戦略に基づいた予算、規律を守った予算とは言えないのではないかということをお聞きしています。

安住国務大臣 まず、四次補正は、赤字国債を発行して出している予算ではございません。ですから、そういう点では、この四次補正というのは、国債の不用額等が出てきたものに対して対応しているわけですね。

 これを予算のつけかえではないかということですが、私どもとしては、緊急性があって、四次補正でこれをつけた方がよかろうということでつけさせていただいて、先生にも賛成をしていただいたというふうに思っております。

徳田委員 確かに、これは赤字国債の発行を伴うものではないのかもしれません。しかしながら、今の話は本当に、どうなんでしょうか。それであれば、別に補正予算を毎年組んでそっちにつけかえてもいい、そのお金の財源を赤字国債に頼っていなければそこに全部つけかえてもいいということになりませんか。

 今回の二十四年度予算、私からすると、野田総理は、この財政の状況は待ったなしだと言われて、消費税増税も打ち出されるほど強い危機感を持たれているようですが、しかしながら、この内容を見ると、やはり相反しているように思うんです。

 といいますのも、今回の予算の中で一番大きな問題になっているのは、やはり年金交付国債の問題ですね。これもつけかえたと言われている。第四次補正予算にも、二十四年度の予算に計上すべきものがつけかえられている。その上で、今のこの二十四年の数字が、財政運営戦略、この中の中期財政フレームなども含めて遵守されていると大臣は言われますが、これは本当にそうでしょうか。そうお考えですか。

安住国務大臣 はい。そう考えております。

徳田委員 私は、この中期財政フレームの基準、これは昨年もこの財務金融委員会で当時の野田大臣とも議論をいたしました。

 この新規国債発行額四十四兆円という基準、これも私はよく理解できないんです。

 なぜ四十四兆になったか、これをちょっとお聞かせいただけませんか。

安住国務大臣 リーマン・ショック以降、二〇〇九年、本当に税収が落ち込んで、その後、大量の国債の発行をせざるを得なかった、こういう状況の中で、しかし、それで二〇一〇年、一一年、そこから国債の発行を、それを上限として、それ以上は発行しないで何とかやっていこうということでこの四十四兆というのは決まったわけであります。

 ですから、そういう点では、四十四兆というものが、そもそも何かいろいろな意味で根拠があるのかと言われれば、やはりリーマン・ショックの後、落ち込んできた経済の中で、税収も三十七兆まで落ちましたから、そういう中で、悪化する財政状況をやはりぎりぎりのところで歯どめをかけるためにこの四十四兆を守っているということだと思います。

徳田委員 財政再建を果たしていくためにということで財政運営戦略を閣議決定されたわけですよね。

 それでは、その中の中期財政フレームのこの四十四兆の根拠がわからないということですか、今の話は。

安住国務大臣 いや、根拠がわからないんじゃなくて、ですから、二〇一〇……(徳田委員「それはわかっています」と呼ぶ)いや、ですから、それが一つの基準です。それを上回らないということです。

徳田委員 私は、当時の財務大臣とも、何で四十四兆になったのかということをお聞きしたことがあります。それは、今言われたように、税収が当初の見通しから大幅に減少したということだったんです。

 平成二十一年、リーマン・ショックに対して、麻生政権がこの予算を組みました。その当初予算と第一次補正予算、このときの赤字国債発行額が四十四兆だったからという話もお聞きしたことがあります。この年は、政権交代が起き、その後、鳩山総理になって、九・三兆、新たに国債を発行しています。それが四十四兆ということなのか、それを横滑りさせただけなのか、お聞かせください。

安住国務大臣 二〇〇九年というのは、結果的には、決算ベースで予算全体は百一兆いっています。これは本当に、麻生政権下で、その後、鳩山内閣になって、双方、大変御苦労なさったと思うんです、経済の異常な落ち込みがありましたので。

 そういう中で、例えば、解散の直前でございました、私は国対委員長代理であったんですが、あのときもたしか十四兆円ぐらいの規模の大型補正予算を一次補正予算で組んだりして、それも結局、赤字国債等を発行して、つまり、それでいわば、げたというのも変ですけれども、上がったわけですね。次の年というのが二〇一〇年なわけですけれども、そこから多少税収がふえましたけれども、四十四兆円台を維持していこうと。そこから、二〇一一年、ことしの一二年と、この四十四兆という枠を守りながらやらないと、国債の発行に歯どめがかからないおそれがあるので、これを基準にしたということだと思います。

徳田委員 国債の発行に歯どめがかからない可能性があるから基準を設けるというのは正しいと思うんですよ。しかしながら、この四十四兆というのは、本当に正しいのかということなんです。

 二十二年、この年の税収、三十七兆三千九百六十億円でした。これは、見通しよりも大幅に下がった、だから四十四兆出した。この次の年、四十兆九千二百七十億、これは三兆五千三百十億増収になっている。二十四年、四十二兆三千四百六十億。ここまで合わせると約五兆ですね。五兆税収がふえているのに四十四兆という枠は変わらない、これではおかしいんじゃないか。税収よりもまた四十四兆というのは上回っている。そのことが三年連続続いていること、これは極めて異常な予算の組み方だというふうに思いませんか。

安住国務大臣 社会保障の毎年の一兆円ずつの増というのをどう考えるかということはあると思います。そういうことに対して切り込み不足だという御指摘があるかもしれませんが、構造的にこれはふえざるを得ないわけですね。

 それから、先生、やはり地方自治体、これも税収不足で、しかし、実は地方に対する仕送りというのは減らしていないんですね。

 そういうこともあって、やはり税収が少しふえても、歳出の部分は機械的にふえている部分が多いということだけは御理解いただきたいと思います。

徳田委員 社会保障の問題、地方自治体の問題、そうやって歳出圧力が強まっていく、それは理解できます。それは理解できるんですが、しかしながら、財政再建というのはなぜしていかなければならないか。それは、我が国に対して、国際社会や市場の信認をちゃんと維持するため。

 では、そうした日本の事情というのは理解してくれるんでしょうか。私は、それは大変難しいと思います。

 財政運営戦略の「具体的な取組」のところ、七ページなんですが、3にこう書いてあります。「市場との対話を重視した国債管理を強化するとともに、財政規律に対する政府の強い意思を内外に向けて発信する必要がある。」内外に向けて発信する必要があるんです。しかしながら、この四十四兆を守っているということで、この強い意思は本当に発信することができるのか。

 これは、読み方によっては、四十四兆まで変えてもいいということにもなる。四十四兆、赤字国債を発行して、そして自分たちは、四十四兆、中期財政フレームの規律は守ったと自画自賛されているように思うんですが、これは、本当にこの四十四兆が正しいのか。

 改めて、四十四兆について、これは本当にどう思われるか教えてください。

安住国務大臣 それは、先生、国債はできるだけふやさないでやればベストだと思います。

 ただ、構造的に、日本の財政状況は、もう説明はいたしませんけれども、一言で言うと、やはりナローパスだと思うんですね。かなり狭い道で、選択肢がそんなに多くないというか。だから、そういう点では、やはりその四十四兆を上回らないというのは一つの有力なメッセージであるという認識で私どもは財政運営をやっております。

 さらにもっと切り込むとなると、兆円単位で切り込むということは、今の制度のさまざまな部分で、例えば生活保護とか、それから地方交付税交付金制度のあり方とか、そういうことに抜本的に切り込んでいかなければならないわけですね。

 そういうところをやらないからけしからぬと言われれば、私もそれは考えなきゃならないと思いますが、しかし、現時点でのこの構造的な不況や地域経済の落ち込みの中で、自治体を含めて、やはりこちらから仕送りをすることによって維持できる、いわば全体的に歳出圧力が高くならざるを得ないわけですね。しかし、それは何とかやりくりをしながら今この枠の中でやっているという状況なので、ぜひ御理解いただきたいと思っております。

徳田委員 この「具体的な取組」のところには、こうも書いてあるんです。「最近、ギリシャ等において財政不安が著しく高まるなど、公的債務のリスクに対する内外の市場の目は厳しさを増している。我が国の財政運営に対する市場の信認を確保するため、財政健全化への取組は正直であることを第一とし、国の会計間の資金移転、赤字の付け替え等に安易に依存した財政運営は厳に慎む。」ということが書いてあります。

 しかしながら、我が党において、皆さんが本当に正直にやっているようには思えないんですね。赤字のつけかえ等も慎むと書いてありますが、慎むというのは、控える、用心する、過ちがないようにする、要は、やらないということなんですよ。正直である、これは本当に正直な取り組みをされていますかね。

 二・六兆円、ああいうつけかえをして、茂木委員との予算委員会での議論においては、大臣自身、この種のやり方は好ましくないとも言っておられる。どう思われますか。

安住国務大臣 年金交付国債に絞った御主張でございますか。それとも、全体の財政規律……(徳田委員「全体でお答えください」と呼ぶ)

 やはり、先ほどから申し上げていますけれども、仮に自民党政権であっても、我々の政権であっても、今の租税体系の中で、恒常的に構造が改善するほど税収がふえるわけではないわけです。その中で、では九十兆台の予算を本当にまた八十兆円台に切り込むといったときには、具体的に何かを提案していただかないと、なるほどとならないぐらい硬直化した、今、予算であると私は思っております。

 ですから、そういう中では、これは決して私は好ましいとは思いませんので、財政改革をし、また、税収の構造改革もしないといけないということを今前提に申し上げておきますけれども、交付国債については、それはさまざまな御批判があることは、もう私もこの一カ月、予算委員会等でもさんざん聞かされてまいりました。

 ただ、あらかじめ償還財源を確保して、自公政権下でも、消費税を、これに一%を充当するという基本的な考えがあったわけですから、私どもとしても、その考えに沿って考えた場合は、交付国債という選択肢は十分あり得るというふうに思っております。

徳田委員 時間が参りましたのでこれで終わりたいと思いますが、最後に、きょうお聞きして、確かに、いろいろな歳出圧力があるのはわかりますが、それでも、私は、今回の二十四年度予算を見て、切り込みが足りないと思いますし、そして、消費税を上げる理由にはならないんだということを思います。

 前回の選挙において、皆さんは、公務員の給与削減や、政治家の数も減らす、政府資産も売る、そうしたことをやって十六・八兆出してくる、だから消費税は要らないと言われてきたのではないですか。大臣もそう言われてきたのではないですか。それであれば、それをやはりしっかりとやるべきだ、それを優先させるべきだと思います。

海江田委員長 申し合わせの時間が来ておりますので、終わってください。

徳田委員 はい。それでは、質問を終わります。ありがとうございました。

海江田委員長 次に、斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫です。

 質問を早速させていただきたいと思います。

 予算委員会で、税と社会保障の一体改革についての議論も実質的に進んでいると思います。それで、私も予算委員会で御提案申し上げたんですが、我々は、税と社会保障の一体改革、与野党でしっかり議論しなきゃいけない、結論を得なきゃいけないと思っております。しかし、今その障害になっているのは、やはりこの素案の中にあります民主党さんの年金抜本改革案だと思います。

 今回、八%、一〇%の消費税増税ということがこの素案の中に書いてある。そして、そのことによって社会保障をこのように充実させましょうということもこの素案の中に書いてございます。我々も、一年前ですけれども、新しい福祉社会ビジョンというものを出しまして、消費税を含む税制の抜本改革を行って、社会保障をこのように充実させましょうという案を出しました。重なっている部分もたくさんございます。

 そういう意味では、我々、本当に与野党で議論を進めたいと思っているんですが、この素案の中に、消費税を八%、一〇%上げるということと全く関係のない、対象外の項目がぽつんと入っているんです。非常に違和感を感じるんですが、それがいわゆる民主党のおっしゃっている年金の抜本改革、一元化、そして最低保障年金の部分です。

 この部分を撤回されれば、自民党さんももうおっしゃっています、我々も提案しています。税と社会保障の一体改革の議論を始めよう、このように申し上げているんですけれども、この質問は予算委員会で私も財務大臣に何度もさせてもらいましたけれども、財務大臣、始めましょうよ、与野党協議を。そのために障壁になっているものを取り除きましょうよ。いかがでしょうか。

安住国務大臣 どうも御苦労さまです。

 斉藤さん、これは、私も公明党の皆さんの御提案をいただきまして、例えば、今回、二・七兆、私どもでその社会保障を、もし消費税を上げさせていただいたときの充実分をどうするかということについては、今御指摘いただいたように、非常に共鳴する部分がかなりあると思います。子育ての施設の充実とか、こういうことに対して予算措置をしていくとか。ですから、そういう点では、非常に話し合える土俵というのは、私もできると思います。

 ただ一方で、今の年金制度をこのまま続けていくということを前提にした話し合いを前向きにしていこうという御提案は、私も十分わかります。ただ一方で、年金の一元化を私どもとしても選挙のときにも訴えておりました。それに基づいて中長期の試算ももう出しましたけれども、これは、いい悪いはあると思います。それをぜひ、協議のいわばテーブルの上に我が党の考え方も少しのせていただいて、そして、二つとも議論をしていただいた結論というものは、いずれ一つの方向にまとまるのは十分可能じゃないかなと実は私は思っているんです。

 ですから、それぞれの立場がございますけれども、ぜひ、協議の中で我が方の試算も、いろいろな御批判、御指摘をいただいて、逆に言えば、大変ありがたいと思いますので、ぜひそれも含めて何とか協議に入っていただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

斉藤(鉄)委員 長期的な年金制度、安定した年金制度を議論する、これは必要だと思います。我々も今の年金制度が万全だとは思っていません。長期的に安定させるにはどうしたらいいかということを議論しなきゃいけない。しかし、それは、今回のこの八%、そして一〇%消費税を上げましょうということとは、ある意味で対象が違う、このように思うわけです。

 そういう議論はそういう場でしっかりやる。しかし、今回、この我々が出した新しい福祉社会ビジョン、与党で出されたこの素案の中に書いてある社会保障の充実、こういうことを実現するために税はこういう形にしていかなきゃいけないという議論は、早急に始めなきゃいけない。そういうふうに立て分けて議論する方がはるかに建設的じゃないですか。なぜそれができないんですか。

安住国務大臣 それは先生、協議の仕方だと思います。

 ですから、例えば社会保障の充実の部分からまずやらせていただくとか、いろいろあっていいと思いますので、いずれにしても協議をしていただいて、私はやはりその根底にあるのは、少子高齢化の中で子供を産み育てやすい環境、そしてまた、女性が、例えば離職をしないで、御夫婦で働きながらお子さんも育てられるような環境づくり、そのための充実というのは十分、民主党と公明党は考えが非常に近いと思いますので、そういう点では、例えば社会保障の充実の部分から話し合いをさせていただくとか、いろいろなことをぜひ私は話し合いをさせていただきたいと思います。

 多分、最も意見の離れているのが今御指摘のあった部分で、確かに、これは、今回の消費税の五%の充実の部分とは、年金の関係のことは基本的に離れたものでありますが、しかし、予算委員会等で試算を出すべしという御指摘もあってこれは出させていただいたものなので、それは、話し合いのいろいろなやり方で工夫というものはできると思いますので、そういう点では、やはり協議をぜひお願いしたいと思っております。

斉藤(鉄)委員 この議論、なかなか我々の主張を取り入れていただけないんですけれども、この議論をずっと続けていても進歩がないようですので、我々の主張を申し上げておきます。

 それから次に、来年度予算案について、きょうも先ほどからずっと議論になっておりますが、私も同じ議論をさせていただきたいと思います。

 お手元に、私がつくりました資料をお配りしました。「予算歳出総額の推移と平均」ということでございますが、左側の棒グラフは決算ベースの各年度の歳出額でございます。そして、自公政権時代と民主党政権になってからの歳出、平均額を出してみました。

 ここで、二〇〇九年につきましては、リーマン・ショックの後の経済対策で非常にお金を使ったということがございますので、二〇〇九年についてはちょっとこれは外してございます。そのかわりと言ってはなんですが、民主党政権になってからの歳出額については、いわゆる今回の震災復興予算は含んでおりません。そういう意味で、自公政権時代の歳出とより公平に比較できるようにということですが、二〇一二年については例の、年金の国庫負担二分の一にするための二・六兆、これは、これまでの予算の中に含まれておりますので、これもこちらに含めました。

 という形で比較してみますと、自公政権時代の八年間の歳出平均は八十三・六兆円。私、電卓をたたきながらつくったので、多少数字が違うかもしれませんが、大体こんな数字になると思います。八十三・六兆円。それに対して、民主党政権になってからの平均が九十四・三兆円ということで、十・七兆円の増になっているわけでございます。

 それで、ちょっとその右隣に、この間の国債発行額、自公政権時代の八年間は平均すると三十一・六兆円、それから、民主党政権になってからつくった予算の国債発行額は平均で四十四・三兆円、十二・八兆円増になっております。

 税収は、それぞれ平均で、四十六・八兆から四十一・九兆、四・九兆円減っております。

 いわゆる国債費、ここで借金返済と書きましたけれども、これは十八・三兆から二十一・三兆で、三・〇兆円ふえております。

 ここで数字をにらんでいましたら、おもしろいことに気がつきまして、歳出が十・七兆円ふえた。しかし、その中で国債費もふえておりますから、それは差し引いて考えなきゃいけない。そうすると、その差は七・七兆。一方、国債発行はふえたんですが、その分、税収が減ったからふえたんだという説明ですので、税収減分を考慮してあげなきゃいけない。そうすると、これは七・九兆、大体八兆円ぐらい。この八兆円というのは、よく考えてみると水膨れ分じゃないかということになるんですよ。五十嵐さん、首を横に振っておりますが。

 それで、この間、予算委員会で、実はこの質問をしましたら、岡田副総理は、いや、毎年一兆円ずつ社会保障費がふえているんだから、ふえて当たり前だ、こういう答弁だったんです。しかし、自公政権時代の八年間は、社会保障費がふえているにもかかわらず、歳出はほぼ一定でした。

 ということで、岡田さんの説明を考えれば、民主党政権になった途端、その社会保障の伸びを必死で食いとめていたバンドが外れて、ぱんと腹が膨れ上がった、それで八兆円分水膨れした、こういうことになるんですが、財務大臣、五十嵐さん、さっきから盛んに。

五十嵐副大臣 ありがとうございます。

 こういう推論も成り立つんだろうと思いますけれども、例えば、自公政権の皆さんが、毎年二千二百億円ですか、医療費等を削ってこられた。これは、そういう考え方もあると思いますが、そういう一律的な削減ではやはり限界が来ているということで、量的な、一律的な削減から質の見直しによる転換、重点化、効率化に変わろうという形で、そういうやり方はとらない。

 それから、地方にも、いわば後づけ、減収補填債、財源対策債でしのいでいてください、しかし、後からその部分は交付税で見ますからという形で言ってきた部分のツケ回しも、やはり後になるほど大きくなってくるわけであります。

 そういうような要素も含めて、やはり年々歳出圧力の方がかなり加速度的に強まっているということもありますし、また、国民の方の御負担も大変大きくなってきて、そうした削減には耐えられないという部分も出てきたと思いますので、社会保障費の抑制の仕方が自公政権時代より甘かったじゃないかと言われればそういう見方もあるでしょうけれども、しかし、重点化、効率化は必要ですけれども、これは一律ではなくて、質的に転換をしていくという面があって、量ではなかなかそこは果たせない段階に入ってきたんだということも御考慮をいただきたい、こう思っています。

安住国務大臣 今副大臣からもお話がありましたけれども、まず、とにかく社会保障費が全体の、先生の言う八兆の中で半分ぐらい社会保障がふえたということでございます。子ども手当も含めてといえばもう少しかもしれません。さらに、地方自治体に約一兆円近いお金を仕送りという形で送っております。これは、税収の補填を折半ルールでやりますから、機械的費用といってしまえばそうなのかもしれませんが、やはり渡さざるを得なかった。

 それから、これは賛否分かれるところがあると思うんですけれども、リーマン・ショックの後の経済予備費というのを新しく入れたわけですね、今回も入れているわけですから。

 これをやはり積んだということと、それから、これは機械的な話ですが、道路特定財源の特会の直入分というのが〇・九、これは一般会計にそのまま、いわば移しかえといいますか、そういうことになりましたので、そうやって見れば確かに計算上は八兆になると思いますけれども、これが、先ほど副大臣も言いましたけれども、私どもとしては、今の経済状況の中で、社会保障それから地域の痛み、そういうことを考えると、やはりやむを得ない予算措置だったようなふうに私は思っております。

斉藤(鉄)委員 社会保障が年々伸びている、だから、年々伸びているのを、前半を平均とって、後半を平均とって、伸びているじゃないかと言うのは確かにおかしい、それはわかります。ただ、この図を見ていただくと、自公政権時代はふえていないんですよ。大体フラットなんです。ここをどう見るかということだと思うんですが、大臣、どうですか。

安住国務大臣 ですから、例えば診療報酬の問題にしても、そこは賛否あるところだと思います。歳出の削減をして、しかし、地方の病院や、例えば産科とか小児科が非常に痛んだということも事実であります。政権交代してから、我々としては、そこはやはり充実をした方がよかろうということで、診療報酬改定ではプラスにしたんですね。

 それはやはり政策判断としてありますので、財政再建を重視するという側から見れば、一方で、それはふえたじゃないかという御批判があるし、他方、我々から見れば、少子高齢化社会の中で、子供さんを産み育てるのに必要な例えば環境づくりのためには、やはりそこそこ、社会保障の中でも医療費等については少し充実した方がよかろうと思ったということは、見解の相違といえばそうなんですが、そういうことを先ほどから副大臣も説明しているわけでございます。

斉藤(鉄)委員 我々も、小泉構造改革の中で、毎年二千二百億削っていくという中で悪戦苦闘して、ちょっとやり過ぎた面もあったのかなという思いは正直ありますが、しかし、この国債費の増を除いた分でも八兆円はふえ過ぎなんじゃないか。

 やはり、まず第一に、シーリングをしませんでしたね。予算編成のときのシーリングをしなかった。これも結局、ある意味では、お役所の財政規律感覚をこのときに少し壊したのではないかということもあって、民主党政権になってから水膨れ体質になった、こう言わざるを得ないと思うんですが、財務大臣、どうですか。

安住国務大臣 やはり縦割りの行政の中で、環境大臣もおやりになって、本当に政府に長くおられておりますから、一律抑制、よく日本で今まで予算編成のときにやってきたやり方というのは、それぞれの役所で知恵と工夫でやってくるという意味では、キャップを設けてやるというやり方も一つだと思うんです。

 しかし、もっとやはり、いわばめり張りをつけて政治が選択をするということでいえば、予算編成の中で重点化枠というものはある意味でふやしましたから、それは、キャップが外れてけしからぬという話もあるかもしれませんが、めり張りのつけ方の一つの方法だというふうに私どもは思っております。

斉藤(鉄)委員 自見大臣、国民新党の立場から見て、今の議論をどのようにお聞きになりましたか。

自見国務大臣 斉藤先生から当てていただきまして、光栄でございます。

 実は、二年半前、まだ我々野党でございましたが、民主党と社民党、国民新党で、政権交代した選挙の一週間ぐらい前に、共通政策というのが六つできまして、これは実は各党の政調会長でかなり結構苦労したのでございますが、六つつくっております。

 この中に、一つ、実は、もう先生御存じのように、医療費のことは出ておりましたが、骨太方針二〇〇六はもう、医療、福祉、年金、介護、そういった社会保障費を機械的に二千二百億円削っていくということは、これは当時、よく御存じのように、二年半ぐらい前を振り返っていただければ、医療崩壊ということが非常に大きな問題になっておりまして、産婦人科の医師が足らない、あるいは都会でも小児科の医者がなり手がいない、そんなふうになっておりました。

 OECDの医療費、実は、先進国で日本がGDP当たり最低だったんです。ですから、せめて真ん中程度にしようじゃないかというふうに主張させていただいて、きちっと、民主党さん、社民党さんもそうだということで、実はその項目をつくらせていただきました。

 私も、いろいろな、むしろ財政の規律、あるいは財政のことはよくわかっておりますけれども、やはり政治というのは、目の前の社会の安心、安定のためにもあるわけでございますから、その項目を実は、この前も安住財務大臣のもとで診療報酬の改定がございましたが、二回、四年ですね、少なくとも医療の崩壊と言われたことはとまったのではないかな。

 そのために、確かに一年間で約一兆円の当然増、自然増、高齢化増がございますが、そういったことを、確かに我々も、大きな政府といいますか、余りにも小さな政府というのはやはりよくないだろうというふうに思っておりまして、そういった意味で、何か申せということでございますから、我々もきちっと、やはり国民との責任において、最低でも、WHOでは世界一というふうに日本の医療は言われています。アクセス、クオリティー、コストは世界一と言われているわけでございますが、国民皆保険の基本線だけは守る必要がある、そういったことで少し予算が大きくなったのかなというふうな感想を持たせていただいております。

斉藤(鉄)委員 我々公明党も、社会保障については機能を強化して万全なものにしていかなきゃいけないということは、もう我々もそのように主張しているわけですけれども、今回、今までの民主党の予算編成を見てみると、もう少し無駄が削れるんではないか、水膨れ体質になっているんではないか、そのことがこの数字や図表にあらわれているんではないかということをまず申し上げておきます。

 次に、来年度予算案で、この委員会でもぜひ申し上げておかなくてはいけないと思うんですけれども、一般会計の新規国債発行額は約四十四兆円、表面上は財政健全化路線を取り繕っているように、装っておりますけれども、実際には、基礎年金、国庫負担二分の一のための財源を一般会計に計上せず、交付国債を発行することで対応しております。これは、見かけ上のつじつま合わせのための簿外処理を行ったようなもので、問題ではないかと思っております。

 財政運営戦略では四十四兆円を目標としていますが、実質的には、交付国債分を含めれば、この目標をクリアできていないわけでして、名前を変えるだけで見かけ上目標を達成するというやり方は、余りにもこそくではないか。正直に財政運営戦略の目標が達成できなかったという形で計上する方が、国民に対してわかりやすく、正直なのではないかと思いますが、大臣の見解を伺います。

安住国務大臣 この問題は本当に連日取り上げていただいておりますけれども、斉藤先生、この三年間、特に与党時代、御苦労なさって、私は野党でありましたけれども、恒久財源を二分の一にする場合の財源として、やはり消費税ということを最初に坂口厚労大臣なんかも御指摘をなさっていて、それでずっと来た。その考え方については、私は全く否定したことはないんです。

 ただ、二分の一というものが決まった後に、その財源の確保というのがなかなか担保できなかったわけですから、これは麻生総理のときもそうですけれども、いわばやりくり、予算の中でやりくりをしてこのお金を調達するということで三年間は来ました。それをことしも、本当であればそれはやった方がいいという意見もあったわけですね。私も当初、何とかやりくりできないものかなと思いましたけれども、やはり大震災の後に状況は変わったと思うんです、率直に申し上げて。大震災において、そういう意味での、いわゆる埋蔵金についてはこれは復興に充てていこうということで、三党でも話し合いを進めて、一次、二次、三次と補正を組ませていただきました。

 そういう点から申し上げますと、税外収入そのものが非常に減っているわけですから、これを一般会計の中で織り込んでいくというのは、四十四兆を守るということからいっても本当に難しいものだったと思います。

 そういう中で、最初の話に戻りますけれども、やはり恒久財源を充てるということであれば、あらかじめ消費税というものを充てさせていただいてやっていく。そうなれば、やはり償還財源を確実なものにして、そして、市中に国債を発行するというやり方よりも私は交付国債という選択肢がいいのではないかというふうに判断をして、今回提案をさせていただいたわけであります。

 どうぞ、予算委員会ではオリンパスの粉飾だみたいなことで随分怒られたりしてはいますけれども、私は、決してそんなことではないので、何とか御理解をいただいて、この年金の二分の一の財源を確保したいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

斉藤(鉄)委員 ここは見解の相違ですが、もし本当にないのであれば、赤字国債という形で、大変厳しい状況であるということを正直に財政上表現した方がよかったのではないかと私は思います。

 次に、子ども手当について、来ていただいておりますので、ちょっと質問させてもらいます。

 昨年八月九日、民主、自民、公明の三党で、子ども手当や農業者戸別所得補償制度について見直しを行うという合意ができました。しかし、これに対しての民主党の対応は極めて不誠実であると言わざるを得ません。

 子供に関する手当については、三党協議が途中で打ち切られ、結局、政府・与党が見切り発車して予算を措置しております。特に名称については、これまでの協議の経過から、児童手当法の改正で行うということを三党合意したにもかかわらず、民主党の子ども手当があたかも維持されたかのような名称を用いておりまして、信義にもとると言うしかありません。

 子供の手当は、公党間の約束が守られないまま勝手に予算措置されたものであって、私は非常に問題がある、このように考えます。きょう、厚労省から来ていただいております。答弁、お願いします。

藤田大臣政務官 ただいま、子供に関する手当制度について御指摘をいただきました。

 今委員の方からお話がございましたように、この制度については、昨年の夏に、御党の御協力、御理解もいただいて、三党間で公党間の合意として取りまとめられたものでございまして、そのことをしっかりと踏まえていく、しっかり対応していくということに私ども変わりはございません。

 その上で、少し経緯を申し述べさせていただきますと、残念ながら、昨年、この与野党の協議がその後進展をいたしませんでしたので、予算の編成あるいは法案の提出までの時間というものが大変限られておりましたものですから、昨年の十二月十五日に、三党の政調会談の場において、前原政調会長から方針を御説明させていただいた上で、三党合意の文言に即して、これは、その合意の中に「子どものための現金給付」という文言がございましたので、その文言に即して、子どものための手当という形で、そういう名称で児童手当法の改正法案を出させていただいたところでございます。

 しかし、新しい制度に円滑に移行していくためには、やはり与野党での協議というものが極めて重要でございまして、その中には名称の協議というものも含まれておりますので、ぜひ御協議をいただいて、その結果を踏まえて適切に対応してまいりたい、このように考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。

斉藤(鉄)委員 この子ども手当、また子供に対する手当、また児童手当、私は、非常に、今後の子育て支援について、基本的にどういう考え方で子育て支援をしていくかという重要な哲学的な問題も含んでいる、このように思います。そういう意味で、しっかり三党協議を踏まえて今後協議をしていくべきだと思いますけれども、今回の予算措置は極めて不誠実だったということを申し述べさせてもらいます。

 次に、農業者の戸別所得補償制度の見直しですけれども、民主党内の検証作業がおくれた結果、協議が打ち切られ、今年度と同程度の予算計上がされております。

 我が党は、戸別所得補償制度の見直しに当たっては、米価変動補填金については収入保険的な制度に見直すこと、それから担い手の育成支援や環境直接支払いを充実することなどを主張してまいりました。これらは十分、三党協議の中で合意の視野に入っていたものだと思いますけれども、それにもかかわらず、十分な協議のないままに一方的に協議を見切って予算措置を講じているという点は、先ほどの児童手当、子供に対する手当の問題と同様だと思います。

 この戸別所得補償制度に係る予算措置について、どのような検証作業を経て今回の予算に計上されたのか、筒井副大臣、来られておりますので、お伺いします。

筒井副大臣 先生がおっしゃるように、八月の初めに三党幹事長間の三党合意が成立して、実際に民主党の方で、自民党、公明党に戸別所得補償についての協議を申し入れしたのが三カ月後でございました。代表選等があったにしろ、その間、期間がかかっていることについては、三党協議の初めに、民主党の方から、申しわけなかったという言葉を言われたというふうに聞いております。

 そして、その後、十一月の末から十二月に四回ほど三党協議が行われたわけでございますが、二十四年度予算に反映することが時期的に難しくなったとすれば、これは打ち切るべきであるというふうなことから、四回目で打ち切りとなったわけでございます。打ち切りとなったものですから、現在行っている所得補償制度を原則的にその内容で予算措置をとるという形にしたものでございます。

 それと、今先生が言われました公明党からの提案、全体として共鳴しておりました。変動部分について保険方式を取り入れる、それから、担い手支援、さらには環境保全型農業に対する支援、これらはいずれも必要なことだというふうに考えております。

 ただ、後者の方は、所得補償の中の仕組みに入れるか、あるいは別建てでも行うことができるものでございますから、それら全体を含めて考えていくべきだというふうに思っております。先生がおっしゃったように、三党合意の地盤は、今の言われた項目の点においてはできつつあるというふうに思っております。

 そして、農水省としては、二十四年度予算についてこういうふうに打ち切りになったものですから、そこで諦めたわけではなくて、何とか所得補償制度は法制化をしたい。猫の目農政で一番迷惑をこうむるのは農家自身でございますから、この通常国会において所得補償法案を何とか提出したい、そういう準備をしているところでございます。その中においては、公明党の提案されたものに対して、きちんとしんしゃくしたものを考えていきたいというふうに思っております。

斉藤(鉄)委員 我々、自公政権時代に里山プロジェクトというのを始めました。日本の里山があるからこそ日本の生物多様性は守られてきた、この里山を保全していこうと。そういう中で、この農家の戸別所得補償制度、我々、全面的に否定しているものではありません。よりよきものにしていこうという姿勢で我々も三党協議に加わってきたわけでございまして、今後こういう協議を真摯に進めていくべきだ、このように思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

 次に、経済対策でございますけれども、今大変な円高、デフレ、今ちょっと持ち直しておりますけれども、大変な経済状況の中です。

 今ちょっと持ち直したと言いましたけれども、日銀が二月十四日に、中長期的な物価安定のめど、英語ではゴールというふうに訳されて、大変大きな反響を呼んでいるようですが、この中長期的な物価安定のめどの導入などで、デフレ脱却に向けた一歩であるというふうに認識をされたのが、今回の、株が反転した、また円高が一時円安の方向に動いたということの大きなポイントではないかと思いますが、他方で、政府・与党の対応は遅々としていて、その司令塔も不明であり、どのようにこの危機的な状況を打開していくのか、メッセージが全く伝わってこない。

 電力不足などの心配もございます。この円高やデフレ脱却、電力不足といった日本経済の喫緊の課題に対してどのように対応を行おうとしているのか、政府全体としての経済政策について伺います。

梅溪政府参考人 お答え申し上げます。

 政府といたしましては、野田総理の御指示のもと、古川経済財政政策担当大臣を司令塔として経済財政運営に努めております。

 円高、デフレへの対応といたしましては、既に昨年の十月に、円高への総合的対応策を閣議決定いたしました。それを受け、昨年十一月には、大震災からの復興関連事業とともに、国内企業立地補助金や重点分野雇用創造事業の拡充、さらに住宅エコポイントの再開などに必要な予算措置を盛り込んだ平成二十三年度第三次補正予算の成立をいただきました。さらに、本年二月八日には、エコカー補助金の再導入に向けた予算措置を含む平成二十三年度第四次補正予算の成立をいただきました。

 このように、全力で円高、デフレへの対応に取り組んできておりますが、現在は、これらの施策の迅速かつ着実な実行に努めているところでございます。

 特に、円高への総合的対応策につきましては、徹底した進捗管理を行う観点から、古川大臣のもと、昨年末以降、原則月一回、各省副大臣級のチームを開催し、そのフォローアップに努めているところでございます。

 さらに、デフレ脱却に向けましては、先ほどの電力の問題もございますが、我が国の潜在成長力を高め、民間部門の投資意欲を引き出すことも重要であり、新成長戦略の実行加速、日本再生戦略の策定、実行を通じて、日本経済の成長力の強化に取り組んでまいりたいと考えております。

斉藤(鉄)委員 安住大臣、今の円相場等も含めて、現在の経済状況をどのように認識されておりますか。

安住国務大臣 日銀の金融緩和等が、そういう点では効果的な部分が今出ているのではないかと思います。

 きのうですか、竹本先生が予算委員会で、実は自民党で責任者でやっておられたときに、やはり円高のときと円安のときと、いろいろなことをやったと。そのときに、竹本先生がきのうおっしゃったことに私は多少共鳴しておりまして、やはり円高を利用して攻めていくということをもっと積極的にやる、つまり、そのことをもっと前向きに考えたらどうだという御指摘で、私は非常に、自分でもそう実は思っておりまして、今財務省ではJBIC等を使って、外国でやはり、そういう意味では今ある種のチャンスでございますので、MアンドA等を積極的にやって、日本のいわば国力を結果的には高めていくという方法は一つある。

 一方で、今事務方からの説明がありましたけれども、この痛みの緩和をどういうふうにしていくか。本当に中小企業、特に輸出依存にいわば連なっている皆さんが、中小零細企業が大変痛みを伴っていることは統計上明らかですから、そういう意味では、中小企業に対する資金繰りや、それから企業立地に対する補助金等を経産省に機敏に対応していただきながら、先生もおっしゃいましたけれども、電力不足、それからこの円高、震災等、今、いわゆる六重苦ですね、これを一つずつやはり除去していきながら、成長を見込める環境づくりを政府としてはいろいろな意味で積極的にやっていきたいと思いますので、ぜひ、経験豊富な先生ですから、お知恵をまたいろいろ拝借したいと思っております。

斉藤(鉄)委員 最後の質問になると思いますが、地球温暖化対策税、来年度税制改正の中に入っております。我が党内でも、実はいろいろな議論があるところでございます。しかし、私個人の考えは、これはぜひ導入すべきだ、このように思っておりますし、今、三・一一を経て、新しい日本の構図をつくっていくときに、低炭素化社会をつくり上げていくというのは、非常に重要なこれからの日本の推進軸になるのではないか。

 このような観点から、地球温暖化対策税については必要だ、こう思っておりますが、これを今回の法案の中に入れた安住大臣のお考えをお伺いします。

安住国務大臣 全く御指摘のとおりですので、ぜひ再挑戦をして、環境の問題に対しては財源をしっかり担保して、その財源をもって地球環境のさまざまな問題に対してやはり積極的に攻めの政策を打てるようにする。その基本となるこの税制ですので、ぜひ成立を図りたいと思いますので、よろしく御指導を賜りますようお願い申し上げます。

斉藤(鉄)委員 この法案につきましては、また法案審議でしっかりいろいろな質問をさせていただきたいと思います。

 質問を終わります。

海江田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 初めに、AIJ投資顧問会社の年金消失事件についてお聞きします。

 きょうのニュースで、企業年金の運用を受託していたAIJ投資顧問会社が、二千億円、大半を消失していた。とんでもない事件であります。

 自見大臣に、一体どういうことなのか、把握しているところを説明していただきたいと思います。

自見国務大臣 佐々木憲昭議員にお答えをいたします。

 二月十七日に、証券取引等監視委員会より、本年一月から実施をしておりますAIJ投資顧問への検査の過程で、当社において投資一任契約に基づいて行う顧客資産の運用状況について疑義が生じている旨の連絡を受けました。

 この連絡を受けて、急遽、同日中、十七日中でございますけれども、当社、AIJに対しまして報告徴求命令を発出したところ、当社、AIJからでございますが、投資一任契約に基づいて行う顧客資産の運用状況について、現時点で毀損額、毀損原因は精査中であるものの、投資家に説明できない状況にある旨の報告を昨日夕刻に受けたわけでございます。

 こうした事実は、金融商品取引法第五十二条第一項第八号に基づく、投資運用業の運営に関し、投資者の利益を害する事実があるとの処分事由に該当すると認められるため、投資者保護の観点から、当社、AIJに対しまして一カ月の業務停止命令及び業務改善命令を、本日朝の八時十五分ごろだったと思いますけれども、発出をしたところでございます。

佐々木(憲)委員 これは本当に大変ショッキングな出来事でありまして、企業年金百二十四というふうに報道されていますよね。預かった二千億円ぐらいのほとんどがなくなっちゃったと。

 何でこんなことになったのかですね。運用に失敗して穴があいたのか、それとも、目的外に流用してそれがなくなってしまったのか。金融庁はなぜこれをチェックできなかったのか、今までなぜ気がつかなかったのか、その点の説明を求めたいと思います。

細溝政府参考人 現在、証券取引等監視委員会が検査をやっておりまして、そうした中でこの事実の確認をしているところでございまして、現時点では確たる内容を申し上げることは困難でございます。

 当社よりのきのう出てまいりました報告によりましても、現時点で毀損額、毀損原因は精査中であるというふうに当社自身も申しております。

 以上でございます。

佐々木(憲)委員 何かよくわからぬ答えなんですけれども、これは、一つの投資顧問会社の事件というよりも、日本の企業年金は非常に数が多いと思いますが、共通に抱えている危険な面をあらわしているんじゃないかという気もするわけです。

 それで、把握している、今答弁できる範囲でいいですよ、全国に企業年金というのは一体幾らあって、それが、運用の仕方というのは大体こんな一任する形で委託をするのか、その辺の実態をお聞かせいただきたいと思います。

中塚副大臣 企業年金数というのはちょっと私ども金融庁の方では把握はしておらないわけなんでありますけれども、そういった投資一任業者の数でありますが、これについては二百六十三社であるというふうに聞いております。

 今般、一月から行いました検査の結果、こういう実態が明らかになったということでありますけれども、今般のこの事件については、まだまだ検査は継続中でございます。

 ただ一方、監督当局といたしましても、まずは早急に投資一任業者というものに対する一斉調査を実施したい、そういうふうに考えております。

 いずれにいたしましても、いろいろな選択肢を排除することなく、金融庁、証券取引等監視委員会、総力を挙げまして再発防止に努めていきたいと考えております。

佐々木(憲)委員 この投資一任業者は金融庁の検査の対象として位置づけられているのかどうか。銀行や保険の場合とまた違う扱いだと思うんですけれども、これは一体チェック体制はどういうふうになっているんでしょうか。

細溝政府参考人 投資一任業者につきましては、これは金融商品取引法に基づきまして、金融庁ないし財務局に登録をしていただいております。その上で、検査の対象でございます。

佐々木(憲)委員 これは定期的な検査が行われているんですか。

細溝政府参考人 定期的に検査をしております。

佐々木(憲)委員 どのぐらいの期間で。

細溝政府参考人 一般論としてこれは申し上げたいと思いますが、証券取引等監視委員会で、できるだけいろいろな情報を積極的に活用して、リスクベースで検査対象先を選定しておるというふうに聞いております。そういった意味で、AIJ投資顧問についてもこうした検査で入ったということでございます。

佐々木(憲)委員 いろいろな情報を集めてデスクベースで、机の上でやっていると。どういう意味ですか、それは。

細溝政府参考人 二百六十三社ございます。それに対しまして、証券取引等監視委員会の能力として入れる社数というのは限られております。そういった意味では、できるだけオンサイトでチェックしておいた方がいいと思えるようなリスクがあるところを中心に検査をやっておる、そういう意味でございます。

佐々木(憲)委員 二百六十三社全部を一律に定期的に検査しているというわけではない、こういうことなんですね。

 そうしますと、今回こういう事件が発生をしまして、これは長期にわたってこういう事態が隠されていたということでありますから、検査が厳密に厳格に定期的に行われて、しかも、直接、立入検査、こういうことがあってしかるべきだと私は思いますけれども、そういうことが実際にはなかった。したがって、虚偽の報告を聞いて大変優秀な会社であると。そういう評判だったらしいんですね、どんどん利益が上がるから。つまり、その利益は虚偽であったと。しかし実際には、ほとんど預かったお金がなくなっていた。

 こういう話は、これはこれから高齢化社会に入る際、こういう企業年金だけではなくて、厚生年金も国民年金も同じように一任委託をして運用しているわけです。私も予算委員会で取り上げましたが、この六年間で六兆円穴があいた。誰も責任をとらない。こういう状況は非常にゆゆしき事態でありまして、この検査のあり方というのは抜本的に見直す必要があるというふうに思います。

 自見大臣、この点についていかがですか。

自見国務大臣 佐々木議員にお答えをいたします。

 まず、今回の証券等監視委員会の検査で問題として見つけたというふうに聞いておりますし、現段階では、今副大臣が申しましたように、早急に投資一任業者に対する一斉調査を実施することとしたい、そういうふうに思っております。

 また、一斉調査の内容、時期については至急検討してまいりたいが、いずれにせよ、監督官庁としても、さまざまな批判を真摯に受けとめ、また、厚労省がまことに、佐々木先生御存じのように、企業年金の関係が大変に多い官庁でございますから、関係省庁とも密接に連携しつつ、まず、法令上対応可能な対策を可及的速やかに実行してまいりたいというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 引き続き、この点については議論をしていきたいと思います。

 次に、自見大臣、また後で時間があれば質問しますが、安住大臣にお聞きをしたいと思います。

 これは消費税の増税に関連してですけれども、大臣は盛んに、消費税を転嫁できる仕組みをつくる、あるいはガイドラインをつくる、予算委員会で質問しますと、何回も何回もそういう答弁があるわけです。その内容は何なんでしょうか。

安住国務大臣 この間も佐々木先生に質問をいただいたので、もう少し具体的に説明せよということなので、ちょっとお話しします。

 独禁法や下請法では、取引上優越的な地位にある業者による不当な行為を禁止しているわけですけれども、それ自身は、多分、それだけでいえば抽象的なことですから、では、例えばどのようにその違反となり得るのか、そういうことを具体的に定めたガイドラインを公正取引委員会に作成していただきます。そして、幅広く周知徹底を業者にすることによって、まず不公正な取引の未然防止を図るということが第一だと思います。

 また、前回の、つまり平成九年四月の消費税引き上げ時と比べまして、例えば独禁法では、排除勧告にかわり排除措置命令を行えるようになっておるほか、優越的地位の濫用に該当する行為に対して新たに課徴金が導入されておりますので、そこはやはり進んだと思います。注意でなくて、命令をすぐにやれるよということですから。

 それから、下請法なんですけれども、従来の「製造委託等」に加えて、対象業種をふやして運送等というのを入れていますので、そういう点では、違反業者の公表基準も厳しくしたり、そういう手続が迅速化され、担保措置を強化する改正も行われておりますので、かなり具体的に私はやれるのではないかと思っております。違反行為等が行われたら、もう厳正に公正取引委員会や中小企業庁において対処できる体制というのは、以前よりも数段高まったのではないかと思います。

 また、立場の弱い中小企業の場合、不公正な取引に直面しても、今後の取引に影響が出ることを懸念する。つまりこれは、そういうことはありますね、予想できるなという話でございますよね。だから、そういうときに、窓口をちゃんと設けますので、ぜひそれは、来ていただければ責任を持って対応させていただきますし、転嫁状況に対して、今度は大規模な調査も行って、問題のある事例については指導していきたいというふうにも考えておりますので、一応私どもとしてはきめ細かくやろうと思っております。

 さらに、小売店と消費者の間の取引についても、事業者が心配なく、円滑かつ適正に消費者に転嫁するために、どういうふうなものが取り組みが可能なのか判断できるように、あらかじめガイドラインで、独禁法上違反にならない行為と問題となる行為、これをわかりやすく目安を示すというようなことも有効なのではないかなと思っております。

 先生から再三御指摘をいただいて、特に立場の弱い方々がいわば泣き寝入りをして、結局自分たちがこの増税分をしょわされる、そういうことが散見される可能性があるので、やはりそういうことはないようにしないと、この消費税の公平性というものが担保できないんではないかという御指摘を再三いただいておりますので、私どもも、関係機関と緊密に連絡をとりながら、そうした事例を少しでもなくしていくように努力をさせていただきたいと思っております。

佐々木(憲)委員 大臣の答弁を聞いておりますと、余り実態がよくわかっていないんじゃないかという感じがするんです。

 問題は、どのようにして例えば優越的地位の濫用を特定するのか。これは非常に難しい問題なんですよ。

 最初に下請の話をされました、それから一般の中小商店の話、そういう話をされました。まず下請の面から確認をしたいと思います。

 例えば、ある部品一個の単価が百円だとしますね。今、消費税五%を上乗せして、百五円で親会社に納入する。仮に消費税が一〇%に上がったら百十円、これを請求して支払いを受ける、こういうことになるわけです。

 例えば、消費税が上がったときに、親会社から、百円だった単価を、単価の方を九十五円にしてくれ、こういうふうに言われるわけですね。下請は、これはなかなか断れない。これは値決めの交渉になるわけです。下請企業は十円分上乗せしたいんだけれども、形の上ではもちろん上乗せはしたんだけれども、しかし、単価の方が下がって、手元に納入すべき資金が残らない、これが実態なわけですね。

 親会社の請求書には消費税一〇%が上乗せされましたと書かれているんです。しかし、単価がその分、逆に減らされているんです。こういうのが現実じゃないですか。

安住国務大臣 今のような事例を証明するのは大変なことだぞという御指摘だと思うんです。確かに、下請の企業の皆さんがそういうことを我々のようなところに、例えば相談窓口に来てやったらば、取引がまたできなくなるのではないのか、だから、いわば、先生は泣き寝入りをするような事態が多いんだよということをおっしゃっていると思うんです。

 しかし、私は、これは別に役所から相談を受けたわけじゃないですが、今聞いただけの感想で申し上げますと、そうはいっても、いわば強制をされたこと、圧力を加えられたことがわかれば、それは濫用の行為ということになりますから、強制されたことを証明するなり、圧力をかけられたことをやはり言っていただければ、十分にこれは、我々としては濫用に当たるというふうに推定できるのではないかと思うんです。

佐々木(憲)委員 これは値決めの交渉の結果なんですよ。事実上圧力がかかっているんですけれども、それを証明するのが非常に難しいんですよ、現実には。

 つまり、簡単に言いますと、消費税分はおまえのところで見ろよというのは、これはもう非常に明確に、いわば優越的地位の濫用で、消費税分を押しつけた感じになりますよね。しかし、消費税は消費税でもちろん払いますが、単価の方をその分、同じ金額だけ下げなさいといって単価交渉をするわけです、値決めの。それで、契約をして製造するわけですね。したがって、親会社に調査に行っても、いやいや、交渉で決まったんですよ、それを了解してやっているんですから、そして消費税分だって払っていますよと。こういう話をされますと、これはなかなか証明が難しいんですよ。

 私、実際に聞いてみると、そういう事例がたくさんあるんですよ。たくさんあるんです。それで、そんな不当なことであればちゃんと告発すればいいじゃないか、話したらやってくれますよ、極秘にちゃんと調べてくれるそうだから、そう言っても、これは非常に、いや、これで仕事がなくなったら大変だと。これが今の実態なんです。もちろん、そういう状況を我々は改善しなきゃならぬと思いますよ。改善しなきゃならぬ。ところが、実際にはなかなかそれができない。そこに消費税の増税が押しつけられると、利益がその分減ってしまって、もう経営ができない。

 だから、これは、経産省、中小企業庁が、商工会議所等、経済の四団体に依頼をして調査をした、約一万事業の結果ですね。この前、私どもも予算委員会で、下請ほど、小さな企業ほど転嫁ができないと。これがそのまま、声として紹介されているわけです。一番最後のページを見ていただきますと、例えば上から五段目のところに、左側ですけれども、「消費税の税率がアップすれば、その分、加工単価の値下げを求められ、経営が苦しくなる。」これは今私が紹介した事例であります。

 こういう状況ですから、単価が前より下げられる。具体的な事例で言うと、例えば、円高になる、円高になると、その分単価を下げてくれと。例えば、トヨタが下請に対して、部品の価格を円高分として別に一・五%の値下げを求めた、こういう事例があります。それから、これを受け入れなければ、韓国の方が安いから、部品は最近、韓国の方が性能がいいんだ、そういうようなことで、あなたのところよりは韓国に発注しますよ、韓国並みの単価で出すならわかるけれども、こういう話になってきた。全然成り立たないんですよ、実際に。

 だから、この消費税の増税というものがどんなに下請に対して過酷なことになるのか、そういうことを、こういう事例をちゃんと念頭に入れて、幾らガイドラインをつくったって、そんなの直らないんですよ。消費税の増税をやめない限りは直らないですよ。

 もう一つは、今、商店の話をしましたね。商店は売らなきゃならぬ。しかし、値上げをして消費税増税分を上乗せしたらお客さんがいなくなるから、なかなか値上げできないんです。これは、今のこういう不況のもとで、デフレのもとで、実際に値上げをして売ることはできないという悲鳴のような声がたくさん出ているんですよ。一体、ガイドラインで、値上げできてうまく売れるんですか。どういう方法でやるんですか。

五十嵐副大臣 二つお話があると思いますが、まずBツーB、業者間の、下請法の問題ですけれども、先生のおっしゃり方はちょっと誤解を生むと思うんですね。今の先生がおっしゃった例は、買いたたき行為に当たる可能性が極めて高いということで、これは処罰の対象になると私は思います。

 ですから、それは周知徹底して、このようなケース、今おっしゃられたようなケース、一律に一定比率で本体価格を引き下げて合わせるとか、あるいは数量を減らすとか、そういうのも全て買いたたき行為に該当する可能性が極めて高いものですから、それはガイドラインではっきり定めて周知徹底して、罰則も前回のときより強化されていますから、具体例をあらかじめ公表し周知徹底することによって一定の効果はあると思いますし、政府としても書面調査等を積極的に実施してこれを取り締まっていくという方針でございます。

 それから、小売店の方は、これはやはり消費者の理解が進むということが一つだと思います。いろいろなやり方があると思いますけれども、ポスターを共同で商店街でつくっていただいて、こうなります、御理解をいただきたいというようなこともあるでしょうし、それから、やはり周知徹底、消費税が上がるんだ、それが価格に反映されるんだ、これは正当だということをいかに消費者にわかっていただくかということだと思います。

 それは逆に、そういう行為がひょっとすると何か法律にひっかかるんじゃないかという御心配のある商店主もいらっしゃるでしょうから、それはそうではないですよということも含めて、商店側それから小売店側、消費者側双方に、政府としても努力をして周知徹底を図るということが必要だと思います。

佐々木(憲)委員 消費者の理解は得られません。こんな張り紙一枚やっても、あるいは宣伝をしても、実際に消費者の収入が消費税分上がるわけないじゃないですか。負担がふえるわけだから。だから、お客さんが逃げると実際に言っているんですよ、この調査の結果は。

 それから、下請関係でいいますと、こういう問題は、我々、下請の、不当な親会社のやり方について何度も取り上げてきましたけれども、罰則を強化しても実態はほとんど改善していませんね。告発して明確に証明できれば、それは改善されると思います。罰則を強化してやるのは当然だと思います。ところが、現実は、中小企業の下請、一体どのぐらいあると思いますか。十六万以上の下請関係の会社があるわけですよ。一体、政府は、声を上げられないそういう下請会社全部、実態はどうですかと聞いて歩けますか。下請調査官というのは何人いるんですか。

安住国務大臣 先生、それは、例えば税務署の職員だって、五万六千人で今日本国内の徴税をやっていますから、全部チェックをするということもあるし、一罰百戒のやり方もあるし、さまざまだと思います。

 できるだけ、政府を挙げて、地方自治体の協力も得ながら、そうしたいわば泣かされる人のないような制度設計をぜひしていきたいというふうに私は思っておりますので。あと先生、消費税を上げたら大変なことが多いということもあると思います。しかし一方で、社会保障のお金をどうするんだというのもあるわけですよ。

 ですから、国全体で考えるとやはり、私は共産党の皆さんにもぜひ、消費税、賛成していただくとうれしいなと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

佐々木(憲)委員 賛成はできません。大体、消費税で庶民から取り上げようなんという魂胆自体がけしからぬのですよ。

 大金持ちに一定の負担をさせるとか、あるいは大企業が、今百六十六兆円という内部留保があるんだよ、その内部留保に対して、どのようにしてそれを生かしていくようなそういう政治を行うかというのが大事であって、何でもともかく、がさっと、投網のように、十把一からげで庶民から取り上げて、それで社会保障がよくなりますか。

 あなた方の計画で、年金はどんどん下がるんじゃないですか。子ども手当だって下がるんじゃないですか。名前がどうのという話もあるけれども、自民、公明の要求に押されて、我々はそれは不当だと思っていますけれども、そういうやり方をして何もよくならないじゃないんですか。介護だって利用料を上げる。

 そんなことを、実際に、両方悪いことをやって、庶民に負担ばかりかけるというのが民主党の政権のやり方じゃないでしょう、本来。本当は、今までの政権のそういう負担増を何とかしてもらいたいという国民の声があって政権交代が起こったんじゃないんですか。それをもう、自民党よりもっと悪いことをやろうなんというのはとんでもない話だ。(発言する者あり)

 自民党からは批判の声も今ありますが、それにしても、政権交代は何のためにやったんですかという根本が問われるわけですよ。だから私は、この消費税の増税については絶対に反対。

 自見大臣についても聞きたかったんだけれども、きょうは時間がもうありませんので、次回やります。

 終わります。

海江田委員長 次に、豊田潤多郎君。

豊田委員 新党きづなの豊田潤多郎でございます。

 私の持ち時間は十五分ということでございまして、またいただけることになるとは思っておりますが、おとつい、二日前に予算委員会で質問をさせていただきまして、基本的には総理それから副総理とのやりとりでございましたから、安住財務大臣はずっとおられまして、私の趣旨はもうよくおわかりだと思うんですけれども、財務大臣としての安住さんにお伺いをしたいという思いがありまして、ちょっと質問が重複してしまうんですけれども、これは財務委員会における財務大臣への質問という形でお受けとめを願いたいと思います。

 それで、全く同じことになりますが、三問、私は二日前の予算委員会でお尋ねしたわけなんですが、改めて、財務委員会では初めてですので、その問いを三問申し上げますと、平成二十三年の十二月九日、昨年の十二月九日、公務員給与削減法案の審議、成立のために国会の会期を延長すべきであったが、なぜ国会を閉じたのか、これが第一問であります。

 それから第二問。同じく十二月二十四日、民主党の国民の皆様への約束の中で最も基本的でかつ大事な柱の一つである、コンクリートから人への象徴的な事例とされていた八ツ場ダム、この八ツ場ダムを、なぜ平成二十四年度予算で工事再開を認めたのか、これが第二問であります。

 それから第三問。昨年の十二月、年末でありますが、統治機構、組織の見直しを含む徹底した無駄の排除と予算の効率化による歳出の大幅削減を実行しないまま、なぜ消費税の増税だけを強引に進めようとしたのか。

 これが三問でございまして、きょうは、どうしてこういうことになったのか、こういう質問をするのかという背景を一言申し上げた上で、それから財務大臣のお答えをいただいて、それからということになりますと、恐らく一問だけで終わると思いますので、二問目、三問目は次回のときにとらせていただいて、一問目だけでお心づもりをしていただければ結構ですので。

 ちょっと二、三分かいつまんで、予算委員会で申し上げたことになりますけれども、なぜこういう質問を私がさせていただくかというと、昨年の六月に、菅前総理のときでしたが、社会保障と税の一体改革という形で議論を進めていくという話が決まった。そのときから私はずっと一貫して申し上げてきたんですけれども、社会保障と税の一体改革という問題の提起の仕方あるいは問題の切り口というのは、これはおかしい。

 社会保障と税というのは、では、社会保障が欲しければ、あるいはしてほしければ消費増税ありきですよ、あるいは、増税が嫌とおっしゃったらあなたはもう社会保障が受けられませんよというような、まさに社会保障と税、税の中でも特に消費税ですが、それをてんびんにかけて、そして、二者択一といいながらも、事実上一つしか択一できない、消費税の増税しか選択できない、こういうアプローチの仕方、切り口で社会保障と税の一体改革を進めましょうという問題の提起の仕方はおかしい。

 せめて、やるのなら歳出と歳入の一体改革だ。社会保障といえどもメスを入れなきゃならない、あるいは一番大きなメスを入れられる部分かもしれません。社会保障を含む歳出全体の徹底的な見直し、そしてそれと同時に歳入の見直し。

 歳入は、御案内のように、税と税外収入と公債金、この三つから成っていまして、公債金をできるだけ減らしていこう、借金を減らしていこうということであれば、当然税外収入や税を上げるということになりますが、その中でもまず税外収入を極力増額する、そしてどうしても足りなくなったら、最後は増税。

 増税も、いろいろな税目があります。消費税以外にも、いわゆる個人所得や法人所得にかける所得税、法人税、それから資産税、いわゆる相続税とか贈与税とか、あるいは地方税を入れれば固定資産税、そういう資産にかかる税、それから消費にかかる消費税、あるいはその他の酒税とか、そういう間接税があります。

 そういういっぱいある税のバランスを考えながら、それでどうしてもということになって初めて消費税の論議に入るわけでありまして、余りにも社会保障と税の一体改革というのは、ちょっと切り口がひどいのではないか、これをずっと私は申し上げてきたわけです。

 十五分ですから時間がないんですが、消費税の増税を盛んに野田内閣になってもおっしゃるものですから、私は、野田さんがせめて仕切り直しをして、その切り口を変えていただければと思っていたんですけれども。

 それはそれとして、質問として、十二月の九日に、これは直接の担当大臣ではないと私は思いますけれども、なぜ公務員給与削減法案、いわゆる身を切る法案の一つでありますが、それの審議、成立のために、片方で消費税増税、消費税増税とおっしゃるのであれば、なぜ国会を閉じてしまったのか。二週間ぐらいは延長できたはずです。そのことを当時の財務大臣のお立場からどう思われたか、お聞かせ願いたいと思います。

安住国務大臣 質問が多岐にわたりましたので、少し私の方からもお話しさせていただきたいと思います。

 豊田先生は大蔵省御出身ですから、財政のことは大変精通しておられるわけですけれども、社会保障と税の一体改革という名前でいうと、何か、社会保障が要らない人は消費税が安くて、社会保障が欲しい人は消費税を上げろと言わんばかりでないか、そういうふうな意見をお述べになられましたが、見方を変えて考えると、やはり一般会計に占める社会保障割合というのは非常に高まっていることは事実だと思うんです。

 ですから、表現の仕方のいい悪いはあるにしても、やはり社会保障における財源確保というのが不可欠なことは御存じのとおりでございますので、それを消費税で充てるということでいわば目的税化をして、お預かりした消費税はそのまま社会保障に還元をするということをいわば政策の柱として考えてこうした表現をしたんだと私は思っておりますので、そこをぜひ御理解いただきたいと思います。

 決して、消費税と社会保障のサービスを受ける側が、いい悪いとか高い安いで差をつけられるわけではなくて、これから一般会計の中に占める社会保障の比率が高くなってくるので、その分の財源をどういうふうに確保するかということで消費税の話になった。

 二つ目は、基幹税の中にはさまざまあって、そうした税全体の中でいろいろな工夫というのはもっとあっていいのではないか。多分、例えば、先生は、累進税率を所得税の中で、今のこの事実上フラット化しているのをもう少し再配分機能を考える、もうちょっと言えば、高額納税者の方々の課税比率をもうちょっと高めるとか、そういうことももしかしたら御指摘だと思います。

 私は、消費税ということを考えたときには、我が国の人口構造と、全世代でどうやって対応していくか。若い人に税金のしわ寄せをさせて、そこで高度成長時代のような所得税を中心にお願いして、働いている若い人が多いときの税体系だけではもたないのではないかと思うんです。ですから、そういう点では、本当に、小さいお子様から年配の方まで非常に負荷のかかる税でございますけれども、やはり消費税をお願いするしかなかったのではないかなと思っております。

 昨年のことで言うと、私は国対委員長経験者でございますが、昨年中にできれば合意をしていただければよかったなと思っております。(豊田委員「何をですか」と呼ぶ)公務員の人件費の削減ですね。だけれども、これは、私は国対の当時の事情がわからないものですから、今回成立をしたことは、結果的には大変各党の努力によってここまで来られたと思うんです。

 ただ、提案のあったように、では延長すればそのまま成立をしたかどうかということも私はちょっと定かでないので、そのことについては、やっている人でないとわからない難しさというのが国会運営にはありまして、当事者は大変だったと思いますのでコメントは避けますが、御指摘のように、合意できるものは早目に合意できればよかったかもしれませんが、いろいろな御事情があったということだと思いますので、それはぜひ御理解いただきたいと思っております。

豊田委員 随分いろいろなことをお答えいただいたので持ち時間がもうほとんどないんですが、私がこのことをあえてお聞きしたのは、今の税のあり方、配分がどうのという前の話でして、消費税の増税を訴えるならその前にやることがあるだろうと。そこのところにおいて、なぜ、別に、ほかの歳出であろうが何であろうが、大事なのはまず歳出の見直しを行って、そこから消費税の増税に入るだろうという、そこでの質問なんですよ。

 ですから、今、税が、例えば所得税であろうと、あるいは累進課税の話とか、それはちょっと別な話で、私が申し上げたいのは、政府の一員として安住大臣が、今本当に消費税の増税、全国行脚でやられているというのなら、その前に歳出のカット、無駄な経費の削減、そういうことを徹底してやった後に、やりますやりますじゃなくて、それを実行、実現してから初めて消費税の増税の論議に入るべきではないか、これを申し上げたかったので、その趣旨で申し上げたので、税目がどうのこうのという話の趣旨ではないので、ちょっと誤解のないようにしていただきたいんです。

 それで、もうほとんど残り時間がありませんね。

海江田委員長 時間がありません。おっしゃりたいことがあったら、おっしゃってください。

豊田委員 私は、先ほど申し上げた三問のうちの一番最後が一番大きな問題だと思っておりますので、それは次回必ず大臣の見解を問いますけれども、重ねて申し上げたいことは、消費税の増税をする前に、本当にやったんですかということなんですよ。それも、ただ単にメニューを総ざらいに一律カットするとか、五%カットするとか、そういうことではなくて、制度のあり方、行政統治機構の組織あるいは機構、そういうものを徹底的に見直し、その上で歳出の削減ということを本当にやったんですかと。それをやりますと二年半前に民主党は公約したわけでしょう。それをやってからの消費税の増税の話ではないかというのを私は主張したいということです。

 もう時間がありませんから、今後また第二、第三で質問はいたしますけれども、最後に一言、大臣の見解を求めて私の質問を終わります。

海江田委員長 では、もう時間ですので、短くお願い申し上げます。

安住国務大臣 例えば、この間、一括交付金のお話もありましたね、そういうことをやったらどうだと。私も全くそうだと思います。

 現にやっておりまして、ただ、全体で二十一兆ある中では、そのうちの十八・二兆というのは社会保障と文教・科学振興のお金で、これは、地方も含めて、国で今やるべきだという話になったので、残りの三・四兆分の一括交付金の中で八千億まで来たということなんです、みんなで努力して。

 そういう意味では、先生、かなり厳しい中で頑張っているということはぜひお認めをいただきたいと思います。

 しかし、まだまだ足りないという御指摘でございますので、今後十分議論を重ねさせていただいて、参考になるようなところは十分取り入れていきたいと思っております。

豊田委員 もう時間が来ましたので質問はやめますけれども、次回、必ずお時間をいただいて、十分な議論を進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 きょうはどうもありがとうございました。

海江田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二分散会


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