衆議院

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第6号 平成24年3月7日(水曜日)

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平成二十四年三月七日(水曜日)

    午後一時三分開議

 出席委員

   委員長 海江田万里君

   理事 網屋 信介君 理事 泉  健太君

   理事 糸川 正晃君 理事 岡田 康裕君

   理事 岸本 周平君 理事 竹下  亘君

   理事 山口 俊一君 理事 竹内  譲君

      五十嵐文彦君    江端 貴子君

      小野塚勝俊君    緒方林太郎君

      大串 博志君    木内 孝胤君

      楠田 大蔵君    小室 寿明君

      小山 展弘君    近藤 和也君

      菅川  洋君    鈴木 克昌君

      玉木雄一郎君    中塚 一宏君

      中林美恵子君    平岡 秀夫君

      藤田 憲彦君    古本伸一郎君

      三谷 光男君    三村 和也君

      森本 和義君    齋藤  健君

      竹本 直一君    丹羽 秀樹君

      西村 康稔君    野田  毅君

      三ッ矢憲生君    村田 吉隆君

      山本 幸三君    佐々木憲昭君

      豊田潤多郎君    田中 康夫君

    …………………………………

   財務大臣         安住  淳君

   国務大臣

   (金融担当)       自見庄三郎君

   内閣府副大臣       中塚 一宏君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   内閣府大臣政務官     大串 博志君

   財務大臣政務官      三谷 光男君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  奈良 俊哉君

   政府参考人

   (内閣官房社会保障改革担当室長)         中村 秀一君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電波部長)         鈴木 茂樹君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           蒲原 基道君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 香取 照幸君

   財務金融委員会専門員   北村 治則君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月七日

 辞任         補欠選任

  中林美恵子君     小室 寿明君

  平岡 秀夫君     玉木雄一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  小室 寿明君     中林美恵子君

  玉木雄一郎君     平岡 秀夫君

    ―――――――――――――

三月七日

 消費税大増税の中止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一五五号)

 同(笠井亮君紹介)(第一五六号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一五七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一六二号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二八五号)

 消費税率の引き上げや大衆増税反対に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一六三号)

 中小業者の営業を破壊し、景気を悪化させる消費税増税反対に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一六四号)

 所得税法第五十六条の廃止を求めることに関する請願(石川知裕君紹介)(第一八七号)

 同(玉城デニー君紹介)(第一八八号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二〇八号)

 同(笠井亮君紹介)(第二〇九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二一〇号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二一一号)

 同(古賀敬章君紹介)(第二五七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二六六号)

 庶民への課税を中心にした復興増税を行わないことに関する請願(吉井英勝君紹介)(第二三五号)

 所得税法第五十六条の廃止に関する請願(古賀敬章君紹介)(第二四八号)

 消費税増税の中止と医療を初めとする生活必需品にゼロ税率の適用を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第二六五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十四年度における公債の発行の特例に関する法律案(内閣提出第二号)

 特別会計に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)

 租税特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)


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     ――――◇―――――

海江田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、平成二十四年度における公債の発行の特例に関する法律案、特別会計に関する法律の一部を改正する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官奈良俊哉君、社会保障改革担当室長中村秀一君、総務省総合通信基盤局電波部長鈴木茂樹君、厚生労働省大臣官房審議官蒲原基道君、政策統括官香取照幸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

海江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

海江田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三村和也君。

三村委員 民主党の三村和也でございます。大臣、どうぞよろしくお願いします。

 本日は、海江田委員長初め、野党、与党の理事の皆様に、質問時間、与党の議員としては四十五分いただきまして、ありがとうございました。

 きょうは、来年度予算、平成二十四年度の予算から調達がスタートしますマイナンバー制度、共通番号の制度について一つ質問をして、その後、周波数オークションの議論をしたいと思うんですが、きのう、きょうの予算委員会を拝聴しておっても、給付つき税額控除とか共通番号制度の話題が非常に関心を集めているというふうに感じております。

 実は、私たち民主党の政調で、この共通番号制度のシステム調達について小委員会をつくって、今、検討をして、いろいろ問題提起というか、ポイントの議論を進めておるわけですけれども、昨今、共通番号制度、マイナンバー制度の導入でいろいろなことができるようになります、非常に国民にとって利便性の高いものですという期待が、国会の中でも、また国民の間でも多いわけでございます。

 例えば、昨年の東日本大震災のときに、各自治体で、津波で住民基本台帳の個人情報とか戸籍がそもそも流されてしまったときに、住民の皆さんの本人確認が非常に時間がかかったり、パスポートとか保険証とかを再発行するのに時間がかかったということがありますけれども、もしそのときにマイナンバーがあって、電子政府がしっかりしていて、個人情報とマイナンバーがひもづけてあれば、例えば、マイナンバー一つで、医療保険証がなくなってしまったとしてもお医者さんに行けるだとか、民間の保険会社と連携をしてマイナンバー一つで速やかに火災保険がおりるだとか、義援金が被災者の皆さんに配られるのが非常に遅かったじゃないかという御批判がありましたけれども、もしそういうマイナンバー制度が整っていて電子政府の状態であればそういったことも速やかにできたとか、また、別の観点でいうと、病院が被災をして患者さんの個人情報が流されてしまった、そういうときにも、マイナンバーと患者さんの情報がひもづけてあればその後の医療サービスが速やかに受けられるようになるとか、いろいろな期待がなされているわけです。

 また、昨年の社会保障と税の一体改革の大綱がありますけれども、その大綱でも書かれている総合合算制度というのがあれば、社会保障の各制度の単位ではなく、家計全体をトータルに捉えて、医療とか介護とか保育、障害に関する自己負担の合計額の上限を設定してサービスが受けられるようになるとか、きのう、きょうと予算委員会でも議論をされている給付つき税額控除がまさにできるようになるとか、また国と地方で業務を一体化して情報を共有して、国民の皆さんが、自治体にはこういう書類を出さなきゃいけない、国にはこういうことをしなきゃいけないというのがワンストップでスムーズにできるようになる、また国と地方の業務も合理化をされるといったようなこと、それからまた、年金手帳とか医療保険証だとか介護保険証、いろいろな番号つきの証書を我々国民は持っているわけですが、それが一つにできるとか、そういったいろいろな期待がなされているわけですし、我々もそれを目指しておるわけです。

 そういう観点で、まず最初に、そもそもの、今申し上げたようなことについての政府の認識をお聞きしたいんですが、マイナンバー制度の導入の意義というのは何か、この番号制度の導入によって具体的に国民がどういうふうに便利になるのか、どういうことが実現できるのかということをなるべく、アピールの場ですので、詳しく教えていただければと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 番号制度につきましては、より公平な社会保障制度、税制の基盤となるものと考えておりまして、その導入によりまして、それぞれの機関が保有する同一人の個人情報を機関間で正確にマッチングすることが可能となると考えております。

 これによりまして、より公平公正な社会、あるいは社会保障がきめ細やかかつ的確に行われるようになること、行政に過誤や無駄のないこと、国民にとって利便性の高い社会、また国民の皆さんが利用できるサービスを知ること、国民みずからがどういう情報が行政にあるかということも知ることができ、自己情報をコントロールできる社会の実現を目指すもの、こういうふうに考えております。

 具体的には、所得把握の正確性が向上いたしまして、それによりまして、真に手を差し伸べるべき人に対する社会保障の給付の充実でございますとか、あるいは社会保障、税を通じまして、負担、分担の公平性がより一層確保されるものと考えております。

 また、さまざまな手続におきまして、従来国民の皆さんに求めておりました添付書類が削減されるなど、国民の皆さんの負担が軽減されますほか、マイポータルというものを使いまして行政機関から国民の皆さんへきめ細かなお知らせサービスが提供されるなど、国民の皆さんの利便性の向上に資するものと考えております。

 また、行政の効率化が図られまして、限られた行政資源を国民サービスの充実のためにより重点的に配分することも可能になるなど、番号制度の導入によりまして、さまざまなメリットを国民の皆さんに実感していただけるものと考えております。

三村委員 ありがとうございます。

 民間のユーザー団体、ユーザー業界等からも、また国民の皆さんからも極めて期待が高い制度だと思うんです。我が国の電子政府を一流にして、国民の利便性を飛躍的に高めるための重要な政策課題だと思っています。

 私が経産省で働いていたときに、そのころ、二〇〇〇年ぐらいのとき、e―Japan戦略というのが華やかなりしころで、最近、余りIT政策というのははやらないんですが、e―Japanのときは、日本をITの世界一の国家にするということでやっていたわけですけれども、例えば光ファイバーだとかパソコンの普及率だとか、そういった光ファイバー等のインフラ面では世界有数になったわけですけれども、ユーザーサイドとか電子政府という意味でいうと、実はこれは、今でも全く達成をできていない。

 そういう意味で、このマイナンバー制度の導入を契機にして、日本の電子政府という意味で、簡素で合理的な政府、行政にするという非常に重要な政策課題だと思っているんですね。

 私はもちろん、政調で、先ほど申し上げたように、この共通番号のシステム調達の小委員会もやっておりますので、推進をする、応援する立場ですけれども、きょう、ぜひ問題提起をしたいのは、この投入する国税の投資対効果という観点で、今の時点で、先ほど政府参考人の方からおっしゃっていただいたようないろいろなできること、そういったユースケースの検証をして、その制度設計をして行政の業務改善をしておかなければ、このマイナンバーの制度が投資対効果に見合うシステムにならない危険性もあるということを問題提起して、ぜひ、安住財務大臣に、予算の使途と配分に関しての問題意識を持っていただきたいというのがきょうの主眼であります。

 ですので、まず予算について質問いたしますが、このマイナンバーに関する各省の、平成二十四年度、来年度の予算、それから、これの導入までにどのくらいの予算を見込んでおられるのか、教えてください。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 番号制度の導入に必要な費用につきまして、平成二十四年度予算案におきまして、まず内閣官房の方では、情報連携基盤、マイポータル、第三者機関の監視システムの構築費用として約二十二億円、総務省予算に、個人番号の付番にかかわる費用として約二十八億円、国税庁予算に、法人番号の付番システムの構築費用として約十七億円、法務省予算に、法人付番に必要な情報を国税庁に提供するためのシステムの設計に約四千万円など、総額六十八億円の予算を計上いたしております。

 なお、これらの予算は、単年度で終了するものではございませんので、今、完成までにということで、今申し上げました予算を完成まで考えますと、今申し上げた部分について五百億円程度かかる、こういうふうに想定いたしております。

 なお、導入費用の総額につきましては、一昨年六月に公表いたしました番号制度の中間取りまとめにおきまして、かなり大きな金額、総額約六千億円というのを出しておりますが、これは過去のシステム改修費用等を参考にしたごく粗い試算であり、実際にこのような数字になることはないと考えております。

 法案も提出させていただいております。制度が明確になりました現在、今申し上げました額の圧縮に向けた見直しを精力的に行っているところであり、システム調達のあり方も含めまして、御指導いただきながら、真に必要な費用について、引き続き精査してまいりたいと思っております。

三村委員 そうなんですね。以前六千億みたいな数字が出て、それはいいかげんというか、余り根拠のない数字だと思っているんですが、五百億というのは、情報連携基盤と大綱でいいましたが、情報提供ネットワークシステムと各省のシステムの連携にかかる費用だと思うんですが、そのほかに、例えば市町村とか都道府県のシステム改修をしなければいけないとか、また、カードをつくるのであればカードをつくらなければいけない。今、そこら辺の費用は入っていたんでしょうか。ちょっともう一回教えてください。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま完成までに五百億と申し上げましたのは、内閣官房で情報ネットワークシステム等に要する費用、国税庁の方で必要なシステム開発費等、それから総務省の個人番号の付番にかかわる費用などを含んだものでございまして、カード等、先生から御指摘がありましたその他の費用というのは含まれておりません。

三村委員 きょう、そこを余り詰めるつもりはないので終わりにしますが、プラスアルファでいろいろな費用がかかってくるんですね。非常に膨大にかかってきます。

 きょう、実は資料を用意してきたので、資料の一ページ目を見ていただきたいんですが、これは、番号制度における符号連携のイメージで、内閣官房の資料です。

 これを見ると、右上に国民がいます。国民がインターネットに接続をして、マイポータルで、こういった機能がありますよ、そこと情報連携基盤が、予算上は情報提供ネットワークシステムというふうにありますが、つながって、右下にある情報保有機関Aは例えば年金機構、情報保有機関Bは例えば総務省、Cは国税庁とか、そういう感じですね、それと連携をして、情報が連携するんですよという図があるんですけれども、委員の先生方、これを見ていただいて、余りよくわからないと思うんですよ。私もいまだによくわかっていません。

 何がわからないかというと、国民にとって、何がどうなるのかと。国民は、今までこうだった、例えば税金を納めるこういう手続がなくなって、すごく、こういう便利で簡素な手続でできるようになるとか、例えば先ほどの、きのう、きょうと予算委員会でも出ている給付つき税額控除は、ではどうやってできるんだというのが全然わからないんですね。これは、各省が、内閣官房さんも各省庁も頑張っているんですが、縦割りでやっていて、システムとしての一体性がないということが非常に大きな課題だと思っているんです。

 二ページ目を、せっかくつくってきたので見ていただくと、「「品質=顧客価値」とITの関係」とありますけれども、システムをつくるというのは、まず一番最初に顧客価値があって、今の例でいうと、国民がどういうふうに便利に行政を使えるようになるのか、顧客価値があって、そのためには、では仕事の仕組みをどう変えなきゃいけないのか、業務改善があって、ではそのためにどういうITシステムをつくらなければいけないのかということが順番なんですね。

 例えば、コンビニで、各お客さんに、その地域ごと、その店舗ごとに応じたお客さんのニーズにマッチする商品を出したいと思えば、そのためにはどうしたらいいかというと、仕事の仕組みとして、では、例えばお客さんの年代を入力するようにしましょうという業務改善があって、そのためのシステムをつくりましょうというのが順番なんですね。

 それを給付つき税額控除の例でいうと、まず顧客価値がある、給付つき税額控除ができるように国民にする、そのためには仕事の仕組みをどう変えなきゃいけないか。

 例えば、今、給付つき税額控除をやろうと思ったら、国税庁は課税最低限以下の所得の方の情報はないわけですから、それを市町村と連携して情報を共有する。もちろんそれは精査も必要ですし、例えば国民の金融資産の情報はどういったところまでもらうようにするのか、その集め方をどういうふうにするのかという制度設計と業務改善があって、では、そのためにシステムを、マイナンバーのシステムはこういうふうにしましょうというのが順序なんですね。

 制度設計と業務改善、行政改革、その検討が先にあって、その上でシステムを設計しなければならないんですけれども、それをしないで、システムだけ先に設計をしようとすると、後でまたシステムをつくり直さなきゃいけなくなるというような事例は、民間でも、後で言いますが、行政でもたくさんあるわけですね。

 システムをつくり上げる前に制度設計と業務改善が必要だということを一つ問題意識として挙げたい。そういう問題意識での次の質問なんですが、給付つき税額控除について、その制度設計についてどうお考えかとか、その検討の進捗状況とか、今後どういう予定で進んでいくかということを教えてください。

安住国務大臣 最初に私の方から、今、三村さんの話は、大変私どもにとっても勉強になりますので、これから法案を出して、具体的にどれぐらいの経費をかけて、どうアクセスするか、効率的に、納税者の納得のいくような仕組みづくりをやはり安いお金できちっとやっていきたいと思っております。

 それで、もともと、給付つきの税額控除制度というのは、これは結局、税額控除と給付を組み合わせたものを通称として言っているわけですから、そういう意味では、さまざまな類型があると思います。

 そういうことからいうと、いわゆる低所得者対策として、具体的にどこら辺のところの方々をターゲットにするか、また開始時期をどうするか、財源の問題、そうしたものもやはりこれから検討していきますが、おっしゃるとおり、このマイナンバー制度をうまく活用しなければ、システマチックにこれを運用できないということは事実でございますので、まず、このマイナンバー法を成立させて法整備をしっかりやっていく、そして地方自治体と国税庁をしっかりアクセスさせていく、こういうことをこれから二、三年かけて重点的にやっていかなければならないというふうに思っています。

三村委員 ありがとうございます。大臣がおっしゃるとおりだと思います。

 まず、マイナンバー法案の成立が当然必要ですし、それと同時に、要は、共通番号のシステムの予算というのは平成二十四年四月から予算計上されていくわけですから、同時に制度設計をスピーディーに進めていかなければいけないということをぜひ問題意識として持っていただきたいと思います。

 総合合算制度についても、どういうふうにしていくか、制度設計の進捗状況等、今後の予定を教えていただけますでしょうか。

香取政府参考人 お答え申し上げます。

 総合合算制度でございますが、先ほど先生の御質問にありましたように、低所得者の家計に対する社会保障のさまざまな負担につきまして、家計の負担をトータルに考えるという観点で、医療、介護あるいは保育といった各制度の一部負担、利用者負担につきまして、制度横断的に合算をして一定の上限を設けるというものでございます。大綱におきましても、これは、マイナンバー制度の導入を前提に、二〇一五年度以降の導入に向けて検討するとされております。

 これにつきましては、対象となる各制度の範囲をどうするか、それから、今ありましたが、対象者の範囲、どの程度の所得の方、どの程度の家計の方にするかといった制度の具体的内容につきましては、いずれにしても、番号によって制度横断的な情報連携ができるということはまず大前提になるわけですが、あわせて、今回の一体改革の中で、消費税引き上げに伴いまして、医療保険、介護保険制度、個別制度でもさまざまな低所得者対策をこれから講じることになりますので、そういった各制度の低所得者対策の検討を踏まえて、かつ番号制度の検討状況、実施の状況を踏まえて、二〇一五年度以降の導入に間に合わせられますように、具体的な検討を早急に進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

三村委員 今、私どもも政調の委員会でヒアリング等を進めていますけれども、現状では、内閣官房は内閣官房、総務省は総務省、国税庁は国税庁、厚労省はまだ来年度予算ではないわけですけれども、システム調達予算がないわけですが、本当に縦割りでシステム調達を進めようというのが実情なんですね。

 ですので、これをシステムとして一体性を持たせなければいけない。そのためには今何をしなければいけないかということなんですけれども、冒頭に申し上げましたが、システムをつくり上げる前に、具体的なユースケース、キーとなるユースケースについて、例えば、今大臣にお聞きした給付つき税額控除、それから総合合算方式、それから厚労省の年金とか社会保障の分野もそうですが、そういったユースケースについて、国民にどういうサービスを提供することにするのか、そのためには行革を、BPRをどうやらなければいけないのかということを早急に検討して、その制度設計のもとにシステムをつくるということをしなければならないわけですね。

 この前、リコーの遠藤会長に委員会に来ていただいてお話をお聞きしたんですけれども、それをやらずに、これは民間企業でも同じなわけですね、各部署に調達を任せておくと、その各部署は、行政でいうと各役所は、今のシステムを、なるべく自分たちの仕事を変えないように新しい共通番号システムをつくろうとするわけです。それで非常にワークしないお化けみたいなシステムができてしまって、では実際、給付つき税額控除みたいなことをしようとしたら、もう一回システムをやり直さなければいけなくなってしまう。今ある年金番号とか税の番号の上に共通番号をただ二階に重ねるようなシステムになっては決していけないわけですね。

 ですので、いずれにせよ、まずはそういったユースケースの制度設計だと思いますけれども、それを早急に、検討のスピードをぜひとも速めていただきたいということをお願い申し上げたいというふうに思います。

 ちょっと時間がなくなってきましたが、そういうことをお願いしたいんですが、そのためにどうしたらいいかというので、一つ私は、CIOというのが必要だと思っているんですね。役所ですから縦割りなのはしようがないですから、共通番号制度の導入に関してCIOに強大な権限を持たせて、そのCIOが責任を持って制度設計をするというような一体性のある進め方が必要だと思っているんです。

 そこで、まず質問で、今、政府のCIOというのはどういう役割を持っているんでしょうか、また、マイナンバー制度の制度設計とかシステム設計に関してCIOの役割というのはどういうふうになっているんでしょうか、教えてください。

奈良政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、先生の御趣旨は、政府全体のCIOはどうなっているかということが一点だったと承知しております。

 現在、各府省には、それぞれの府省の行政情報化を推進する責任者としてCIO、いわゆる情報化統括責任者が配置されてございます。他方、政府全体を統括するCIOというのは、現在はまだおりません。

 一昨年五月にIT戦略本部で策定された新たな情報通信技術戦略におきましては、電子行政推進の司令塔として政府全体のCIO、政府CIOを設置するべきだという大きな方向性を盛り込んでいただいているところでございます。

 これを踏まえまして、昨年八月のIT戦略本部で取りまとめました電子行政推進に関する基本方針におきまして、政府CIO制度の詳細設計に着手すべきである、そのための準備体制の整備を進めるべきであるということが盛り込まれているところでございます。

 現在、内閣官房におきましては、これを踏まえて、検討、準備を鋭意進めているところでございます。

三村委員 まず、政府全体のCIOはいないということなんですね。一昨年五月につくるべきだということがなされて、いまだにできていないわけですけれども、これは、いずれにしても、政府全体のCIOというのは必要だと思うんです。

 それと、共通番号制度に関しても、それは、ではすぐCIOをつくれといっても無理かもしれませんけれども、もうシステム調達は始まりますから、CIOに強大な権限を持たせることが必要だと思うんです。

 システム調達というのは、システムベンダーにとっては毎日やっているようなことなんですけれども、システムを頼む方にとっては、大体一生に一回のことだということなんですね。ですので、国税庁だとか厚労省だとか総務省に、システム調達をどういうふうにやったらいいか、どういうものが合理的なのか。

 例えば、さっきの五百億円が本当に必要なものなのかというのを査定する能力というのは、なかなかないのが当たり前なんです。それはもちろん、財務省の主計局は優秀ですけれども、主計官にも余りないんですね。何百億円です、システム調達で二十二億円ですと言われても、では、それをどうやって査定するかというと、多分、人工数で書いて積み上げなんですよね。

 本当に、このシステムで国民にこういったサービスをやるのに、この二十二億円、百億円が必要なのか、五百億円が必要なのかという能力は、普通の人にはない、官僚にはないのは当たり前なので、CIOにまず強大な権限を持たせて、そこに専門家をつけるということがどうしても必要で、そのCIOが、政府全体のこの共通番号の制度導入に係るシステム調達に関しては全部を見る、そこに予算の査定権限を持たせる。もちろん、査定権限は財務省にありますから、そのCIOがイエスと言ったところじゃないと、安住大臣は予算をつけないぞと。

 例えば、あなたのところの厚労省の予算は、こういう業務をこう変えるんだから、システムはこれだけでいいじゃないかとか、国税庁と市町村の情報をこういうふうにこれから連携しなきゃいけないから、ここは必要だねとかということをCIOに見させて、それをもとに予算をぜひ、今後、二十四年から二十五、二十六と、また、二十七年度にスタートですから、その後も続きますから、ぜひともそういう観点を持っていただきたいというふうに思います。

 ちょっと時間が押してまいりましたので言いっ放しになりますが、ぜひそうしていただきたいと思います。

 次の質問に移ります。

 特許庁の情報システムの調達が、平成十八年度に新しい特許の情報システムの調達を開始して、最初、平成二十三年に完成予定だったわけですけれども、それがどんどん延期をされて、ことしの一月に結局中断をしちゃったんですね。この情報システム調達の、やはり失敗です、失敗は何なのかという問題をちょっと提起したいんです。

 それは二つあって、一つには、特許庁が、先ほど来申し上げているプロジェクトマネジメント能力が低かったということはあると思います。先ほどのように、まず制度設計をして、業務改善をして、では、どういう調達が必要なのかというところが甘かった。それからもう一つは、東芝ソリューションという会社ですけれども、技術能力の極めて低いベンダーを落札させてしまったということが問題点であるわけです。

 それで、きょう質問通告をさせていただいているので、政府のIT調達に関して、総合評価落札方式の標準ガイドの評価方法というのは、今どういうふうになっているんでしょうか。

奈良政府参考人 御質問の情報システムの調達に係る総合評価落札方式の標準ガイド、平成十四年七月十二日、調達関係省庁申し合わせにおきましては、総合評価の方法として、「入札価格に対する得点配分と、性能等に対する得点配分は、等しいものとする。」とされております。

 端的に申し上げますと、価格点と技術点の得点配分が一対一とされているものと承知してございます。

三村委員 ありがとうございます。

 この問題については、我々政調でも引き続いて議論したいと思うんですけれども、ぜひ、安住大臣、今説明があったように、競争入札をするときに、今、この平成十四年の通達に従わないと政府はIT調達できないわけですね。その通達が技術点と価格点が一対一になっている。そうすると、価格が低い人が勝つんですね。技術の点数が低くても価格が低ければ落札させなきゃいけないことになっているので、ぜひ、そこの基準をもうちょっと議論して検討する必要があると思うんですけれども、もし御答弁をいただければ。どうお考えでしょうか。

    〔委員長退席、岸本委員長代理着席〕

安住国務大臣 お話を聞いて、ごもっともだと思いますから、私の方から関係省庁にも働きかけをして、やはり今の技術レベルの高さがそのまま落札に、今の一対一以上に反映できるような仕組みがいいのではないかなというふうな感想を持ちましたので、働きかけをさせていただきたいと思います。

三村委員 大変すばらしい答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 あと十分間ぐらいだと思うので、周波数オークションの議論の方に移らせていただきたいと思います。

 実は、私は、アメリカのイエール大学に留学していまして、修士論文は周波数オークションを書いたんです。日本に帰ってきて、そのとき総務大臣が竹中平蔵さんでしたが、提出したんですけれども、何もレスポンスはいただけませんでした。ごめんなさい、その話は関係ないんですけれども。

 私、きょう、安住大臣に、皆さんに、もちろん御案内のことですけれども、電波というのは非常に貴重な、価値の高い国有財産なわけですね。例えば、土地でいうと、東京の銀座とか私の横浜とか、非常に地価が高いわけですね。横浜とかは地価が高いんです。安住大臣の御地元よりは……(安住国務大臣「安い、安い」と呼ぶ)そうなんですけれども、やはり差があるわけです、土地というのは。

 しかし、電波を見てみると、ちょっと四ページを見ていただきたいんですが、電波も土地と同じで、いろいろな電波があるんですね。右の方に、周波数の高い電波というのは直進性が高くて、例えばビルとかがあるとすぐ、そこを通過できない。左の方に行くと、周波数の低いものは波が高いわけでして、そうするといろいろなところを通過できる。ただ、情報量が小さい、大きいというのはあるんです。それのトレードオフなんですけれども、要は、その考え方でいうと、一番真ん中が使い勝手がいいんですよ。直進性もある程度あり、情報量もありとかですね。

 それで、今は技術開発も進んで、どんどん利用が拡大をしているわけですけれども、この土地の例でいうと、例えばUHFとかVHFとか、この辺が銀座とか横浜なわけですよ。端の方に行くと端の方なわけですね。

 その価値の違いがあるんだけれども、それを今現在は、私も経産省にいたときは、総務省の電波部さんに、周波数オークションをやりましょう、やりましょうとかなり言ったつもりですけれども、全くにべもなかったわけですけれども、電波部の監理行政のもとに割り振りを決めて、電波利用料を取っているわけなんです。

 そういう意味で、ちょっとその一例を考える上で質問をしたいんですが、周波数オークションに関して、諸外国の事例をちょっと教えていただけますでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えさせていただきます。

 諸外国では、電波の能率的利用などを目的にいたしまして周波数オークションを導入しております。OECD加盟国三十四カ国中で、少なくとも二十七カ国が導入している状況になってございます。

 周波数オークションの実施の状況でございますけれども、周波数オークションの落札金額を見ますと、二〇〇〇年前後のITバブルの時代といったころには兆円単位の収入というふうになったものでございますが、近年では大分低下してきてございまして、昨年の夏に行われましたオークションの例でいいますと、スペインでは約一千八百億円、韓国では約一千二百億円だったと承知してございます。

三村委員 ありがとうございます。今のお話で、六ページに、総務省さんからいただいた資料をつけさせていただきました。

 二〇〇〇年前後は、イギリスとかドイツの例を見ていただくと、五兆円とか約四兆円とか、これはITバブルなので、これが適正価格かどうかというのは大いに議論のあるところだと思いますが、最近の例でも、数千億円のオーダーでオークションの落札価格がある。

 これは、二〇〇〇年ぐらいは確かにITバブルでしたが、今も、私もスマホを使っていますけれども、どんどんスマホを使う人がふえて、それから、携帯の契約数は日本の人口を超えましたよね。非常にニーズが高いんです。

 その次のページに、ホームページから、携帯電話事業者各社の純利益の推移をちょっとまとめさせていただきました。ドコモで、平成二十年度一兆九千九百二十六億円、二十一年度と二十二年度が約五千億円ですね。二十年度の約二兆円ぐらいの数字は、これは特別利益があるのでちょっと異例なんですけれども、一番右側は、直近九カ月間の数字ですが、約四千億円、auも大体二千億円前後で推移していて、ソフトバンクは、アイフォンで業績が上がってどんどん上がっているわけですけれども、イー・アクセスは非常に苦しい経営なんです。

 大体、平成二十二年度を見ても、各社で一兆円弱でしょうかの利益を出しているのがこの携帯電話事業でありまして、これは、携帯電話会社がもうけているからそこから取れというわけじゃないんですけれども、電波というのは非常に価値が高いという意味で、今般、周波数オークションの導入に向けて検討しておると思いますので、ぜひ導入をすべきだと思うんです。

 そもそもの電波利用料というのは、これは使途が限定をされているわけですね。五ページを見ていただくと、電波利用料予算の歳出の内訳とありますが、電波法で使途が限定をされていて、それにしか使えないということになっている。携帯電話というのが国民の数より多くて、ほとんど国民全員が使っているような社会的なインフラですから、オークション導入時には、これはやはり一般財源にすべきだと思いますので、その点についてお答えいただけますでしょうか。

    〔岸本委員長代理退席、委員長着席〕

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 オークションの収入につきましては、昨年十一月の行政刷新会議の提言型政策仕分けの評価結果というのを受けまして、総務省として、一般財源化する方向で検討するという方針を定めまして、所要の法案を今国会に提出するための準備を進めているところでございます。

三村委員 ありがとうございます。ぜひ、そのようにしっかりと進めていただきたいと思います。

 加えて、現行の電波利用料というのは、五ページを見ていただくと、大体七百億円オーダーであるわけですけれども、これを見ていただくと、右側の歳出で、地デジ対策で半分ぐらいがあります。地デジ対策はそのうちなくなっていくわけでして、電波利用料のそもそもの使い道についても、これは、一般財源化というふうに言えばいいんでしょうか、いずれにせよ、ほかの用途にも使えるようにすべきだというふうに思うんですが、そこの検討はどうなっているんでしょうか。

鈴木政府参考人 電波利用料制度は、電波法第百三条の二の規定に基づきまして、不法電波の監視等の電波の適正な利用の確保に関しまして、総務大臣が無線局全体の受益を直接の目的として行う電波利用共益事務というものの処理に要する費用を、その受益者である無線局の免許人全体で負担する制度でございます。その使途は、電波法第百三条の二第四項に具体的に限定列挙されているのが現状でございます。

 一方、この電波利用料の使途につきましては、昨年十一月の提言型政策仕分けにおいて、「将来的な一般財源化を含め、使途を拡大する方向で検討すべき」との御提言をいただきました。

 本提言を受けまして、将来的な一般財源化を含めた電波利用料の使途のあり方について、有識者等を交えたオープンな場を速やかに設置して検討していくこととしてございます。

三村委員 それは、では、これから検討を進めていくということですかね。わかりました。

 先ほど申し上げましたように、非常に貴重な国有財産である電波の利用料を携帯電話事業者さんやテレビの放送事業者さんからいただいているわけですから、ぜひそれを、国民全般に利益が及ぶように一般財源化の方向に進めていくべきだと思いますので、そのように検討を進めていただければと思います。

 途中、ちょっとはしょって早めちゃったので、時間が少し余っていますが、これで質問を終わります。

 本日はありがとうございました。

海江田委員長 次に、三ッ矢憲生君。

三ッ矢委員 自由民主党の三ッ矢憲生でございます。

 大臣とはお久しぶりでございます。きょうは一時間いただいておりますので、安住大臣とじっくりと議論をさせていただきたいと思っております。

 質問に入る前に、間もなく三月十一日を迎えるわけでございます。改めて、被災者の皆さんにお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。

 大臣の地元にも、私、昨年の夏にちょっと伺いまして、石巻の春日山といいましたかね……(安住国務大臣「日和山」と呼ぶ)ああ、日和山、失礼。あそこの上から港の方を眺めましたら、本当にもう全く何もなくなっておりまして、わずか数十メートルの違いでこんなになるものかと愕然とした思いがございました。

 あのときも、瓦れきが海岸線に近いところに山のように積み上げられておりまして、一般の瓦れきと、それから車、これも三重、四重に積み上げてありましたけれども、いまだにまだ五%も瓦れきの処理が終わっていないというような状況でございます。

 これは本論と関係ないんですが、瓦れきの処理の受け入れにつきましては、政府の方でも、ほかの都道府県、あるいは自治体に要請をしようというようなお話もあるようでございますけれども、私、難しいと思いますよ。きずな、きずなと言っていますけれども、いまだにそんなことを言っているのは、政治家とマスコミと芸能人ぐらいですね。

 もうそんなことを言っている場合じゃないんです。これを早く処理しないと復興が進みませんから、私は、実は一番いいと思っているのは海面処理、要するに埋め立てですね、これをやってしまうのが一番いいと思っています。その埋め立てを受け入れてくれるところをもちろん探さないといけないわけですけれども、関東大震災のときもそうでしたが、あの瓦れきは実は東京湾の埋め立てに使ったわけですね。

 福島の分はちょっと別かもしれませんが、岩手あるいは宮城の分については、埋め立てという方法もぜひ政府の方でちょっとお考えいただいたらどうかなというふうに個人的には思っております。

 それについては、何か御感想ございますか。

安住国務大臣 本当にしばらくぶりでした。きょうはよろしくお願いします。

 運輸省におられて、そういう意味では大変港湾政策にも精通しておられますので、今の考え方というのは非常に有力な考え方だと思うんです。

 ただ、私も、財務大臣というよりも被災地の議員として少しお願いをさせていただければ、今ある焼却施設を使ってできるだけ本当に広く薄く処理していただくと、これは多分スピードが速いと思うんですね。

 埋め立ての計画というのは、例えば御地元の三重県なんかでは埋立計画があるわけですけれども、やはりこれからにわかにつくっていくとなると、かなり何年も先に実際の埋め立ては始まるということがあるので、やはり、できる限り風評の部分はクリアをちゃんとして、これは私は、総理も、財政的なものも含めてちゃんと手当てをさせていただくので、自治体にまず、とにかく受け入れるところは受け入れていただく。そういう努力をしたいと思いますが、それでもなかなか大変な量ですから。

 私は、地元の埋め立てとか、無駄な公共事業と言われないような埋め立てをやるというのは本当に一案だと思いますので、ぜひ、いろいろな形で瓦れきの処理を御協力いただければと思いますので、さまざまな提案をよろしくお願いしたいと思います。

三ッ矢委員 別に私、埋め立てして、また空港をつくれとか港湾をつくれとかと言っているわけではなくて、処理の仕方として海面でやるというのが、これはちょっと時間がかかるかもしれないんですけれども、逆に早いんじゃないかと思っているんですね。アセスメントとかいろいろな手続が要ると思いますけれども、決まれば、枠さえつくってしまえばその中に放り込んでいけばいいわけでありますから、ぜひ御一考いただきたいと思います。余計なことを申し上げました。

 それでは、法案についての議論ということになるんですが、実は、余り聞くことがないんです、法案につきましては。

 きのうですか、特例公債法案については採決を先送りするということをお決めになったようですが、これは大臣、どう思われますか。私は、非常に無責任だと思いますよ。予算の方は通してもらって、予算というのは、本来、もちろん歳出と歳入が一体のはずですよね。通る見込みがない、あるいは廃案になるおそれがあるから、これは先送りしてしまおうと。では、先送りをして、今後どうするのかという見通しがあるんですか。

安住国務大臣 きのう、我が党の、政府・民主の三役会議で先送りさせていただくと決めたということでございます。御存じだと思いますけれども、私は、去年これで、国対委員長をやりまして、本当に大変でございましたが、最後は自民党も公明党にも賛成をいただきまして、しかし、成立をさせていただいたのは八月の末でございました。

 私は、国会対策上というよりも、政府・与党として、野党の皆さんに賛成をしていただく環境づくりをやはり少し頑張ってしたいと思っております。そういう努力をせずして、例えばただ一緒に送って、これは私が判断したわけではなくて党全体としての判断ですが、参議院に送ったときに、やはりそれが否決されたときの影響というのも大きいわけですね。ですから、昨年は、実際は、国会運営上は、例えば同じ派閥の逢沢先生が国対委員長で、やはり大震災もあったこともありますけれども、三党での協議というのを積み重ねていきました。

 四月以降は、補正予算を連休中に上げるという戦後初めてのケースをやりましたし、それから、子ども手当、高校無償化、さまざまな分野で三党協議を積み重ねていって、それで、賛否はいろいろありましたけれども、二次補正を出して、最後は首相の進退ということもありましたけれども、しかし、やはり信頼関係を積み上げていって、重要な法案ですから、成立をさせていただくということだと思います。

 そういう点では、御批判はある。つまり、歳出歳入一体でこれは送るべきだというのは、私としても、それは筋論としてはいいと思いますが、現実の中で、国会運営上の判断を与党としてさせていただいたときにそうした結論に至ったのではないかというふうには思っておりますので、今の政治状況を考えると、これはこれで仕方のない決断だったのではないか、そう思っております。

三ッ矢委員 まさに先送りしただけの話だと私は思っているんですが。

 といいますのは、大臣が、野党を説得する努力を続けていきたい、こうおっしゃいました。昨年の八月に特例公債法案、去年の分は通ったわけですが、これは、要するに菅前総理の、首と引きかえというとちょっと語弊があるかもしれませんが、そういう格好で通したわけですね。

 余り政局絡みのことを申し上げるつもりもないんですけれども、やはり予算の中身について、多分我が党は組み替えを要求いたします。

 大臣、今、信頼関係がとおっしゃいましたが、マニフェストの中身について三党で合意して、農家の戸別所得補償ですとか、あるいは高校授業料無償化とか、これについてもきちんと見直しをしましょう、こういうことになっていたにもかかわらず、それができていないからこういう結果に私はなっているんだと思うんですよ。したがって、説得される方も非常に困ったものだなというふうに思っているのが実情だと思うんですね。

 そこの点は、これからどういう方策で野党側にアプローチされるのかわかりませんけれども、非常に難しい状況、去年よりもっと難しい状況だというふうに私は思っておりますので、ぜひそこのところは心して取り組んでいただきたいなというふうに思います。それだけまず申し上げておきたいと思います。

 それから、法案の中身についてはもう余り申し上げることもないんですが、これは、大臣、予算委員会等でも聞き飽きたというか、聞かれ飽きたかもしれませんが、ちょっと交付国債のことだけ、一つだけ。

 これは、飛ばしだとかそれから粉飾決算だとか、いろいろ言われていましたが、そんなことは別にしまして、消費税の法案が通るまでというか、消費税が上がるまでしばらく時間があるわけですけれども、通るか通らないかはまた別の話でありますが、それまでの間、この分の手当てをどうするんだと。それからもう一つは、もし消費税が予定どおりに通らなかったときに、消費税の法案が通らなかったときに、では、その間の手当てはどうするのか。これは基礎年金の国庫負担二分の一を負担する分の予算でありますから、当然どこかで負担しないといけないわけですね。これはどう考えておられるんですか。

 ちょっとわかりやすく、恐らく、今まで粉飾決算だとか飛ばしだとか、そんなことがいっぱい言われていますけれども、具体的に、では、これをどうしていくのかというのは余り伺っていなかったと思いますので、ぜひ丁寧に御説明をいただければと思います。

安住国務大臣 いろいろ、この一カ月間、衆参、特に衆議院の委員会でさんざん御批判をいただいたんですけれども、こちら側のまず説明をさせていただくと、やはり二分の一に法律を決めてやるときに、本来であれば財源の確保もすべきだったと思うんですね、恒久化について。しかし、なかなか、当時消費税を、自公政権下でも一%分の見合いということでずっと御主張なさっていましたけれども、これを現実にするのは非常に難しかったと思うんです。

 それで、実際に、麻生、鳩山、菅、三政権では税外収入をもって充当をしてきた。ことしは、先生御存じのとおり、大震災を受けて、税外収入のかなりの部分は復興の資金に回りましたので、その点では、税外収入をもって充てるのにはやはり限界が来たというふうに私は判断をいたしました。予算編成上も、率直に言って、四十四兆円の枠組みの中で、なおかつこれを抑え込むとなると非常に限界があった。ならばどうするかということなんですね。

 さまざまなオプションがあるじゃないか、確かに、赤字国債をそのまま発行しろという意見を持っている方もいらっしゃいました。それから、同じようなものですけれども、つなぎ国債を発行せよ、そういうこともありますけれども、しかし、例えば党首討論のときに、谷垣総裁も、この部分はやはり消費税を充てるべきだという御主張だったんですね。私も基本的にはそうなんです。それで、結局、消費税を当て込むということになったらば方法論として何があるかとなると、あらかじめ消費税でこれを償還する交付国債というのも一つの私たちとしては次善の策であるということで、今回提案をさせていただきました。

 そこで、では、消費税法案が通らない場合、どうするんだということなんですが、予算委員会で実はお隣の山本先生からも御指摘いただいて、私、答えたんですけれども、これは三六・五%に下がるわけですね。戻るんです。ですから、その分、基金を取り崩してしまうことになりかねないので、私は、そういう点からいうとぜひ成立をさせていただいて、何とか年金財政をお互い安定させたいと思っております。

三ッ矢委員 正直にお答えいただきまして、ありがとうございました。

 私も、その基金を取り崩すしかないと思っているんです。わかっていて聞いているわけですけれども、いずれにしても、そういう事態が長く続くというのは不健全なことでありますから、消費税の法案、いつ出されるのかわかりません、我々がその中身を見てどう判断するかというのも、これもまたじっくり見たいと思っております。

 ところで、ちょっと話はかわりますが、一月十六日号のアエラという雑誌に、日本の若い人たちの間で、デフォルト待望論が蔓延しているという記事が出ております。なぜかといいますと、要するに、若い人たちは、仕事もない、資産もない、年金に至っては、自分たちが今払っている保険料よりも受け取る分の方が少ない、今もし日本がデフォルトになって国家財政が破綻したとしても、自分たちは何も困らない、むしろ、リセットしてもらって、ゼロからやり直してもらった方が、自分たちにとってはいいんだと。

 ただ、日本の若い人たちというのは、アメリカなんかと違って、アメリカだとすぐ、格差がおかしいと言って、ウォール街を占拠しろとか、そういう動きが出てくるんですけれども、そういうこともやらない。なおかつ、では、選挙に行くのかというと、これも余り行かない。ただただ消極的に、そういう事態が起こってくれればいいなと思っています。要するに、消極的ニヒリズムなんです。私はこれは非常に危険な兆候だと思っていまして、この点については、後でもう一度触れたいと思います。

 ちょっと、ギリシャの問題、ヨーロッパの問題に目を転じたいと思います。

 今はちょっと一見落ちついているように見えるんですね。イタリアの長期金利なんかも、一時七%を超えていたのが、今は四%台まで落ちている。ただ、ギリシャの問題については、私は必ずしもまだまだ楽観を許さない状況だと思っていまして、これから順次質問していきますけれども、まず、大臣は、ギリシャが何でこんなことになってしまったのか、その原因について、どう考えておられますか。

安住国務大臣 まず、デフォルトの話はちょっと今初めて聞いて驚きましたけれども……(三ッ矢委員「後で記事差し上げます」と呼ぶ)これは、やはり若い人は本当に認識を改めていただかないと、デフォルトするということは、資産の毀損を招くわけですね。特に、日本のように国債を国内消化しているような国でそんなことがあったら、自分の両親や多くの金融機関等多大な影響があって、大変な痛みを伴うわけで、全く困らないなんというのはちょっとあり得ないわけで、そういう話がもし蔓延しているとすれば、やはり少し、では、後でいただきますので、認識をぜひ改めてもらうようにと思っております。

 ギリシャですけれども、これはきのうも議論がありましたけれども、金融政策は共通にした、しかし、財政政策についてはそれぞれの権限でやった。結果的に、ギリシャに至っては、前の政権が、いわば正直に財政状況について申告していなかったわけですね。それが発覚してから、一気に危機が起きたわけであります。

 ふたをあけてみれば、非常に財政悪化をしていて、特に、公務員が国民のたしか四人に一人とか五人に一人と言われているような状況で、また、税を納めることもきちっとやっていなかったとも言われている。やはりそういうことが判明してから、一気にギリシャ国債というものに対する信用は落ちていったんだと思います。

 そういう点では、いろいろな角度からの議論はあると思いますけれども、やはり財政政策を、透明性をしっかり確保して、それに対して誠実に応えてこなかったことが露見して、こうしたことになったのではないかというふうに思っております。

三ッ矢委員 確かに、きっかけはそうだと思うんですね。

 ただ、実は、リーマン・ショック以前の数年間、南欧とか中東欧に対して民間の信用がすごく膨張しているんですね。物すごい勢いで投資が行われて、いわばバブルだったわけでありますが、ところが、リーマン・ショックで世界的な信用収縮が起こり、御多分に漏れず、南欧や中東欧からも民間の金融、お金が引き揚げられてしまった。それに対して、では政府はどうしたかというと、これは当然のことながら、財政出動も含めて対応したわけですね。これで非常に大きな赤字を出してしまった。

 今、ギリシャの政府債務残高は対GDP比で何%か、御存じですか。一六〇%なんです。日本よりも低いんですね。これは、実はリーマン・ショック直後ですと一二〇ぐらいだったと思います。一挙に四〇%以上ふえてしまった。

 もちろん、さっき大臣がおっしゃったような、ギリシャ政府あるいはギリシャ国民のライフスタイルとか政策に由来する面も多々あろうかと思うんですけれども、大きな流れとしては、やはりリーマン・ショックの後の信用収縮に伴う経済対策にお金をかけてしまってこんなことになってしまった、私はそう思っているんです。これはギリシャだけじゃなくて、ほかの国もそうなんですね。スペインもそうでしょうし、イタリアもそうかもしれません。

 そういう意味では、これも後でお伺いしますけれども、アメリカが、ヨーロッパのことは俺は知らないみたいなことを言っていますけれども、それからドイツも、そんなギリシャ人が、ああいう怠惰な国民に何で俺たちが支援してやらないといけないんだみたいなことを言っていますけれども、さんざんぱら、実はアメリカはもうけたんだと思うんですよ。ドイツだって、さんざんベンツやBMWをギリシャに売ったんだと思いますよ。だから、私は、余りそういうことは言わない方がいいんじゃないかなと思っているんですけれども、いずれにしても、世界的な、グローバルな金融危機の中で起こった一つの事象だと私は思っているんです。

 今、ギリシャの救済のためにいろいろな話し合いが行われておりますが、余り古い話を伺ってもしようがないので、ごく最近の状況をまず伺いたいと思います。

 大臣、G20でメキシコに行かれましたね。あの場でこの問題を協議されたと思いますが、その概要をちょっと教えていただきたいと思います。

安住国務大臣 先ほどの先生の話はそのとおりで、二〇一一年当時で大体一六二%であります。

 私も問題だなと思うのは、二〇〇九年の財政収支赤字の見込みが、対GDP比で、これは実は発覚前はマイナス三・七と言っていたんですね。あけてみたら実績で一五・八。これは今の時代にはちょっと考えられないわけですね。これで、二〇〇九年にパパンドレウ政権ができて、いわばこの情報を公開してから今先生が御指摘のような流れになっていったというのは事実だと思います。

 そこで、これまで二年間もさまざまありましたが、直近の話でいえば、御指摘のように二月二十五日、六日とメキシコシティーで開催されましたG20で、実は当日、初日に、世界経済の分析といいますか、日本の考えることについての発言を求められましたので、私の方からは、当時、二月二十日のユーロ圏財務大臣会合におけるギリシャ第二次支援策の大枠合意といった進展を歓迎する旨は発言をいたしました。これは声明においても、これからギリシャ問題の対応で、この数カ月における欧州における重要な進捗を歓迎するということを述べたんです。というのは、大事なことは、三月の二十日に約百四十四億ユーロの国債の満期の支払い時期が来るんですね。これをまずちゃんと乗り越えていただかなければならないということだと思うんです。

 そういうことからいいますと、今後こうした問題をクリアした上で、ギリシャが国際的に約束をした、財政再建に向けたいわば公的セクターの大幅な削減とか、こうしたことを誠実に履行してもらわないと、欧州危機というものの最初の段階というものはクリアできない、危機の回避というのはやはりできないので、先生言うように、まだまだ予断を許さない状況であるという認識で私もおります。

三ッ矢委員 私の理解では、このG20の場で、二つのセーフティーネットのことが話し合われて、一つは、IMFの融資枠というんでしょうか、四千億ドルから九千億ドルに拡大しようじゃないかという話、それからもう一つは、ヨーロッパの中の話でありますけれども、今、欧州金融安定化基金、EFSFの融資枠は五千億ユーロでありますけれども、これを、七月発足予定ですか、欧州安定メカニズム、ESMで七千五百億ユーロに拡大しようじゃないか、この二つがメーンのセーフティーネットとして話し合われたというふうに聞いております。

 そこで、IMFの融資枠なんですが、ガイトナー長官は、自分はIMFの融資枠の拡大について議会に要請をするつもりもないし、必要もないんだというふうに言われたと聞いています。日本がどう対応するか。新興国、中国やブラジルは、やってもいいじゃないかと言っているのかもしれませんが、私もちょっとそこは詳しくわかりません。日本として、これは、アメリカが参加しなくても、アメリカが協力しなくても日本はやるんですか。

安住国務大臣 まず、基本的な認識で一致しているところはあるんです。私は、実は、メキシコでガイトナー長官とも会談をしましたけれども、その前、一月にも、ガイトナー長官が来日なさったので会談しました。それから、メキシコに行く直前に、中国を訪問して王岐山副首相とも会談をさせていただきました。もちろん話の詳細は申し上げられませんけれども、やはり今、IMFに対して日米中というのは非常に大きなシェアを占めるわけですから、いずれにしても、ラガルド専務理事も、我々三カ国の動向というのは注意深く見ていると思うんです。

 我々の認識の共通の部分が一つありまして、まず、先生が後段で御主張なさった、ヨーロッパみずからがさらに強いファイアウオールをつくることをやはり我々としては強く要請するということが、これは三カ国とも同じ考えです。中国が例えば率先して、そんなことを抜きに自分たちがお金を出すというような認識は私は持っておりません。むしろ、この問題については、日中で協力をしながら、話し合いをしていきながらやっていきましょうというふうな、そういう合意はしました。

 そこで、アメリカの認識というのもそこまでは一緒でございます。ただ、そこからは、今あるIMFの資金は十分対応力を持っただけの資金量である、だから新たな追加措置というものは多分必要ではないのではないかというのがアメリカ側の基本的な認識ではあると思います。

 それに対して、IMF自身は、それでは少し不安なので、やはり資金をさらに追加したいというふうな意向はあると思いますが、しかし、私自身は、まだラガルドさんからも、会談はしましたけれども、正式に何か要請を受けたわけでもありませんし、我が国も、それに対して何か対応するということを具体的に申し上げているわけではないんです。

 ただ、我々としては、これは中国側も同じような感じではないかと思いますが、ファイアウオールをしっかりして、ヨーロッパでやった上に、そのことを前提として考えたときに、我々は、IMFを使って何らかの資金協力をする用意は持っていますということはスタンスとしてあるということをメキシコでは申し上げたということでございます。

三ッ矢委員 三年ぐらい前ですかね、政務官をさせていただいていまして、大臣の代理で、ブラジル・サンパウロで開かれたG20というのがあったんですね。そのときは、アメリカは防戦一方で、新興国が勢いを増してきている。

 アメリカは、さっきもちょっと申し上げましたけれども、要するに、サブプライムローンに端を発するリーマン・ショックで野方図なデリバティブを放置していた、そこの責任についてはどう考えるんだというようなことを言う国が幾つかあったんですね。私も当然だと思います。

 本来ですと、住宅を建設するなり買うときにお金を貸すというのは、これは銀行が住宅を購入する人にお金を直接貸すという形式がほとんどですね、ほかの国では。ところが、このアメリカのやり方というのは、言ってみれば、いい証券、悪い証券、みんなまぶして、それをミンチにしちゃったわけですね。

 本来、銀行が、相対で貸していて、これが悪ければそこを切って捨てればいいわけですから、ステーキの肉を買ってきたけれども、悪いところを捨てていいところだけ食べよう、これができるんですけれども、これができなくなっちゃったわけですね。全部腐っちゃった。それを世界じゅうにばらまいていたものですから、今日のこういう金融危機というんでしょうか、おかしな状況を生み出しているんだと思うんです。

 これは最後にまた申し上げたいと思っているんですけれども、やはりこれに対して何か対策というか対応を我々は本当に考えるべき時期に来ているんだと思うんです。

 それはさておきまして、今の大臣のお話の中で、まず、ヨーロッパの自助努力といいますか、そっちを一生懸命やってくれよと。それは私もそのとおりだと思うんですが、今月一日、二日と、EUの首脳会議が開かれました。そこで何が決まったかというと、何も決まらなかったんですね。三月末まで先送り。これはドイツが非常に慎重な姿勢だったということがあるんだと思うんですが。

 ドイツも、さっき私、ちょっと申し上げましたけれども、さんざんぱらもうけておいて何なんだという気もしないでもないんです。

 それと、もう一つ言うと、ユーロにドイツが入っていなかったら、マルクだったら、多分物すごいマルク高になっているはずですね。だから、ユーロにいるおかげでドイツはがばがばもうけているんです。だから、そこは余り、ギリシャのような怠惰な国民を助けるのはおもしろくない、気持ちはわからぬでもないですけれども、ドイツも大人げないなという気がちょっと私はしているんです。

 それはともかく、その中で、議長総括、これがG20に対して、IMFの資金基盤拡大について四月に合意するように求めると、偉そうなことを言っているわけですね。これは、自分たちの支援策については結論を先送りしておいて、G20はちゃんと資金基盤を拡大しなさいと。私は正直言ってふざけた話だと思っているんですが、大臣、これはどう思いますか。こういう話を聞いて、日本のスタンスに変わりはありませんか。

安住国務大臣 私もショイブレ・ドイツ蔵相とはメキシコで少しお話はさせていただきました。

 こんなことは評論家的な話になりますけれども、少し感想を申し上げれば、やはり第一次世界大戦から第二次世界大戦におけるあのハイパーインフレを含めて、多分ドイツには大変重い教訓があるんだと思うんです。そうしたことからいえば、ブンデスバンクは非常に保守的な対応をいつもとると言われていますが、やはり自国の通貨に対する価値というものをいわば落とさないようにということを基本に運営をしておられるのかなと。

 ただ、今、世界の中でドイツが期待されている役割というのは非常に大きいと思うんですね。先生御指摘のように、ユーロの中で、これまでの通貨のレートからいえば、ドイツ経済は輸出に支えられて非常に堅調な伸びを示しておりましたし、そうした意味では、先生御指摘のような、ドイツに対する指摘をする方も世界の中にはたくさんおられるわけです。

 私は、そういうことも含めて、ドイツにはさらなる努力を期待しますということは申し上げましたし、これは多分、米中も同じ旨のことは主張していると思います。

 今後なんですが、実は、四月の二十日過ぎだったと思いますが、ワシントンでIMFの会合があります。私も出席できればしたいと思っていますが、そこをやはり一つ目標にしてこの欧州危機について収束に向けた動きを促進していこうということが、ここに書いてある目途なんですね。

 ですから、それまでにできればヨーロッパでのさらなるファイアウオールをやってもらったことを前提に、IMFとして具体的にどういう貢献ができるのか、そういうことについて、いわばこの場で具体的な方向が決まればいいねということをここで書いてあるというふうに御理解いただければと思っています。

三ッ矢委員 まあ、これからの話でありますから、うまくやってほしいなと思います。

 ちょっと視点を変えまして、ギリシャにかかわる民間債務の方を。

 民間の債務削減、これは、元本の五三・五%、それから、借りかえによる金利収入の減少分まで含めると、どうも七三とか四%の借金の棒引きを要請している内容なんですね。六日の新聞、これは実は、あしたまでに回答を迫られているんだと思います、三月八日までだったと思いますが。きのうの新聞によりますと、欧州の大手十二行で債務削減に同意したというふうに伝えられています。

 ただ、これは、ギリシャ政府は実は、民間債権者の九割が棒引きに同意をしてくれと。これが達成できるのかどうか。もし達成できない場合、少なくとも三分の二の同意があれば残りの不同意の方に対しても強制できるという、集団行動条項というのがあるんですね。これが発動されると、これは実はCDSの問題に絡んできまして、言ってみれば、保証しているわけでありますから、CDSの貸し手であるところの金融機関にまた大きな穴があいてしまうということになりかねないわけであります。

 この見通しについて、大臣は何かつかんでおられますか。

安住国務大臣 私どもも、正式にギリシャ政府から何か報告を聞いたとかというわけではなくて、先生と同じ情報しか持ち合わせておりません。

 ですから、債権放棄五三・五ですけれども、実際には利子と満期を長くとっていますから、七〇%台で合意ができるかどうかということだと思うんですね。

 問題は、確かに、個々の債権者がこのスキームを受け入れるかどうか。特に、報道を聞くと、大手行はこれで合意をというふうな意向もお示しだといううわさもありますけれども、まだ、率直に言って、日本の財務大臣として予断を持って答える段階ではありません。

 集団行動条項の発動も含めて、まだ正式に何らかの公式のルートで決まったという情報を聞いておりませんので、状況を注視してまいりたいと思っています。

三ッ矢委員 三月の二日に、ムーディーズがギリシャ国債の格付をCaからCに下げたんですね。これ以上下はないんですが。

 これは予想されていたことかもしれませんが、万が一ギリシャがデフォルトに陥った場合、どんなことが起こるんでしょうか。

安住国務大臣 そうならないように、私が前に答弁したことで必死にやっておられると思いますので、ぎりぎりの段階まで来ておりますので、何とか合意をしてもらうよう期待をしております。

 大変申しわけありませんけれども、他国のデフォルト等に対して私がコメントする立場にはございません。

三ッ矢委員 私は、デフォルトはないと思っているんです。

 というのは、ギリシャだけのデフォルトというのはあり得ないです。ギリシャがドラクマという通貨を使っているんだったら別ですけれども、ユーロを使っているわけですから。もちろん、財政上の緊縮措置とか、これはとらないといけないでしょうけれども、しかし、国家財政が完全に破綻してしまって、ハイパーインフレになるとか、それはあり得ない。

 ただし、損失そのものはヨーロッパじゅうに広く薄く拡散されていくんだと思うんですよ。金融機関を毀損するでしょうし、ギリシャ国債を持っていた政府もあるかもしれません、そういうところに全部及んでいくんだと思うんです。

 したがって、ほかの国への波及のこともあるかもしれませんけれども、ヨーロッパ全体として、景気の後退とか信用収縮、これが起こる可能性は十分あると思うんですね。

 そのときに、では、それは日本に対してどんな影響があるのか、そこについてはどう考えておられますか。

安住国務大臣 確かに、世界でこの百年ぐらいを見ても、多数の国がデフォルトというのは起こしているわけです。そうしたことからいえば、自国通貨安になって貿易収支を大幅に改善して再建をしていくという例も多々見られます。しかし、ギリシャがどうかということについてはあえてコメントは避けますけれども、統一通貨の場合どうなるのかというのは、今まで誰も経験をしたことがないことなので、そういう点では、何か予断を持って話すというわけにはいかないと思います。

 そこで、日本の場合、影響はどうかといえば、それは少なからず、欧州経済が堅調に推移しない場合には、やはり貿易統計からいってもあると思います。大体、世界への輸出の一一・八%はEU向けであります。五千三百三十二億円ほど。品目別には、輸送用機器等々、それぞれありますので、こうした統計にはね返ってくる可能性はあるのかなと思っておりますので、我々としても、ヨーロッパの情勢というものは大変関心を持って見ているというところでございます。

三ッ矢委員 多分、二つのルートであると思うんですね。

 一つは、欧州の景気後退そのものによって、これは日本からの輸出も減るでしょうし、それから新興国からの輸出が減りますから、その新興国に日本から部品提供、供給とかやっていて、実体経済面でも影響が出てくる。

 それから、信用収縮につきましては、ヨーロッパの銀行というのは結構、新興国に貸し付けているわけですね。これを引き揚げていくと。これは、日本の銀行にとっては私はむしろチャンスかもしれないと思っているんです。ただ、日本の金融機関もそんな余裕もないのかもしれませんが……(安住国務大臣「そうでもない」と呼ぶ)余裕、十分あるということでありますが、これは頑張っていただければと思うんですけれども。

 ただ、来年度の経済見通し等を見ますと、二・二%実質で成長するであろうという見通しになっているんですが、これは実は輸出の寄与度が非常に大きくて、六・五%ふえるだろうと。その二・二のうち〇・四は貿易で稼ぐんじゃないか、こう言われているんですね。ここが恐らく影響を受けてくる。そうすると、雇用の面とかあるいは税収の面とか、ここにも響いてくるわけでありまして、私は、これは日本経済も下振れしてしまう可能性が十分あるんじゃないかなと思っているんです。

 これはまたちょっと後で別の角度から触れたいと思っているんですけれども、そのために何をやらないといけないのかということを我々は考えないといけないんじゃないかなと思っているんですね。

 ちょっと話をかえまして、三月二日付の日経だったか読売だったか、IMFが日本の金融機関に対して、金利が上昇した場合、これは一・五%と言っているようでありますけれども、金融機関が保有している日本の国債で損失が幾ら生じるのか試算を出しなさいという要請をしたと出ておりました。

 もう既に大手三行は金融庁に出されたということでありますが、そんなことを聞いても、多分教えてくれない、答えてくれないでしょうから聞きませんが、政府の方は、長期金利が一%、あるいはIMFが言っているように一・五%上昇した場合、国債費、どのぐらいふえるのか教えていただきたいと思います。

安住国務大臣 利払い費は、初年度は急激に上がるわけではないので、二年、三年とたってから、じわりじわりと響いてまいります。それで、もし一%上がった場合ということの試算、これは平成二十四年度予算の後年度歳出・歳入の影響試算において出している数字でいうと、二十五年度で一兆、二十六年度で二・四兆、二十七年度で四・一兆というふうに膨らんでいくということになります。ですから、そういう点でいうと、二年後ぐらいからはかなり大きな財政負担になってくるということは言えると思います。

 なお、先生御指摘の民間のことについては、では一%上がったらどうなるのかということについては、日銀の総裁は予算委員会で見通しをたしか述べておられるので、その数字は事実だと思います。

三ッ矢委員 白川総裁は、たしか六・三兆円とおっしゃっていたと思うんですね、一%上がったら。だから、一・五%上がれば、多分その一・五掛けだと思っておけばいいのかなというふうに思っているんですが。

 これは、だけれども、政府の国債費は二年目二・四兆ふえるということですと、消費税一%分は飛んじゃうということですね。三年目は、ひょっとすると二%分ぐらい飛んじゃう。非常に危惧される状況だと思っているんです。

 日本がデフォルトに陥るかどうかということを余り言いたくもないし、聞きたくもないんですが、今までは、日本がデフォルトに陥る可能性はそう高くないと言われたのは、三つ要件がある。一つは、国債の消化がほとんど国内で行われているということ。それから、経常収支が黒字だ。それから、税金の上げ余地が大きいんじゃないか。もう一つ言うと、実は、対外純資産がGDP比で六〇%もあるんですね。この四つがそろっているものですから、今のところ、日本の方はそうすぐに心配する必要はないんじゃないか、こう言われているんだと思いますが、問題は消費税の話であります。

 大臣は、地方を回っていろいろ御説明をされていると思います。以前は、ひょっとすると、このままほっておいて消費税を上げないと日本がデフォルトに陥っちゃうんじゃないかというようなことを、言ってみればおどしまくって、消費税を上げないと大変なことになりますよという説明をされていたのかもしれませんが、今どんな説明をされているんですか。

安住国務大臣 私は極めて温厚な人間なので、おどすなんてことは生涯一度もありません。国対で対決したことはあります、国会上の問題はいろいろありましたけれども。

 それで、国、地方合わせて対GDP比で一九六%の長期債務残高というのは、やはり非常に厳しい状況であることは事実だと思います。先ほど御指摘あったように、一たび金利が上昇すれば、非常に利払い費が増加をしていく、そういう状況であるということをまず認識しないといけないということだと思います。

 それから、やはり、高齢化に伴って国内貯蓄が伸び悩んでいるのではないでしょうか。このことは、結局、これからも国債費は、仮に消費税が上がったとしても、そんなに急激に国債発行額が減っていくわけではないですよね。そういうことからいうと、やはり国債をめぐる状況にも大きな変化を来し始めてきているなというふうに思います。

 最近は、やはり世界の状況というのは、各国ともでございますが、財政への懸念というのは非常に深刻化しておりまして、市場の信認を失った国が財政の厳しい健全化策を実行する、せざるを得ない、そういう状況にいわば追い込まれることというのは大変見られると思います。

 ですから、そういう点からいっても、金融市場等を通じて、もし日本の経済が不安定になれば、この経済サイズですから、世界にも不安定要因を引き起こすことにもなるので、そうしたことからいうと、やはり消費税の問題というのは、与野党共通の認識に立って、これは社会保障の充実ということですが、イコール財政再建の第一歩にもつながるということなので、私は、そういうことはお訴えをして歩いております。

三ッ矢委員 何かわかりにくい説明だったと思いますけれども、もうちょっとわかりやすく説明した方がいいんじゃないですかね。

 ところで、やはり民主党政権は、税と社会保障の一体改革をやる、こう言っていたわけですけれども、税金の方はともかくとして、社会保障制度の見直し、これが一向に具体的なものが見えてこない。

 さっきちょっとアエラの記事の話を申し上げましたが、私は、やはり若い人たちが今何でこんなことを思っているかというと、一つは世代間の不公平、それからもう一つは、同じ世代の中でも不公平がある。世代間の不公平というと、年金の問題ですとかあるいは資産の問題。世代内、これは仕事についているとかついていない、非正規だとか正規だとか、そういう格差といいますか、これがあるんだと思うんですね。この二つがあるものですから、将来に非常に希望が持てない。デフォルトでもしてリセットしてもらった方がいいというようなことを考える人まで出てきている。

 私は、完全にこれをなくせるかどうかわかりませんが、一つは、やはり社会保障制度の中身を見直さないといけないと思っているんです。これは民主党の中でもまだいろいろ議論されているんだと思いますけれども、やはり生活保護の問題とか医療の問題とか、年金もそうでしょうけれども、年金はちょっと時間がかかるかもしれません。高齢者といいますか、お年寄りにばかり余り手厚いのはいかがなものかという空気が出てきているんですね。だから、そこのところをちゃんと見直してほしい。

 それからもう一つは、消費税だけじゃなくて、税をもう少し政策ツールとして使えないんだろうか。一つ御提案申し上げますが、やはり資産課税なんですね。相続税と贈与税のことを申し上げているんですが、相続税は、これまで基礎控除五千万円の、相続人の数掛ける一千万、そこまで無税ですよ、こういうことになっている。まだ出ていませんね、今度、三千万と六百万にしようとしています。前の制度ですと、相続税は実は四%しか取れていないんですね。しかも、お金を持っているのはみんな高齢者ばかり。これは何で持っているんだというと、老後が心配だからです。七十になっても七十五になっても、老後が心配だからといって、お金を持っているわけです。

 ここを、私は、例えば亡くなったときに百万円しか資産のない人、それから十億円ある人、いろいろあると思いますが、最低五%、皆さんいただきますよと。あとはもちろん累進していくんですけれども、では、それを何に使うかといったら、皆さんの老後のために公的な面で使わせていただきたい、公的支援で老後の面倒をある程度見ようじゃないですか、その分をいただきたいと。これは先に払ってもらってもいいと私は思っているんですが、そういうことをまず一つやってみたらどうか。

 もう一つは、贈与税なんですね。住宅関係等ではかなり手厚く贈与税の優遇措置がとられておりますけれども、やはり今一番困っている世代というのは三十代、四十代の子育て世代なんですよ。しかも、この世代というのはお年寄りよりは実は消費性向は高いんですね。だから、ここに早くお金が回っていくようにしてあげれば消費もふえるでしょう。

 ただ、こういう話を私が地元でしますと、おじいちゃん、おばあちゃんは何と言うかというと、そんなに早く子供たちに金をやったら面倒を見てもらえないと言うんです。だけれども、今は、金をやろうがやるまいが、面倒なんか見てくれないんです。だから、それよりは孫に早くお金を渡したらどうですかと言ったら、それはそうだな、こう言うんです。

 だから、ちょっとそこのところを誘導していくような形で、ひいてはこれは景気対策にもなろうかと思いますし、あるいは少子化対策になるかもしれない。ぜひそれをちょっと考えていただければなと思います。

 それからもう一つ、法人税についても、これは一律に下げていますけれども、例えばこれを雇用とリンクさせる、雇用をふやした企業については法人税をより手厚く優遇してやるというようなことも考えてもいいんじゃないかなというふうに思っていまして、もしそれについて大臣の御所見があれば伺いたいと思います。

安住国務大臣 多岐にわたる提案をいただきまして、ありがとうございました。

 私は、最初の二つは、例えば生活保護の見直しとか、行き過ぎた福祉政策の是正ですよね。やはりこれは与野党で、本当に政治の力が必要だと思います。これを例えば一方の党がやって、一方が反対に回れば、これが政治運動化していくと冷静な議論ができなくなる環境があるので、これは非常に痛みを伴いますから、そういう点では、お互い責任を持った者同士が真摯に話し合うことで、やはり、いただいた税金と保険料の組み合わせの中で、本当にどういうサービスをしていくか。

 それから、生活保護の問題はいろいろな議論がありますので、ある意味で、今回、自民党は勇気を持って提案をなさっておられますね。大幅な削減を提案しています。賛否あると思いますけれども。

 そうしたことは、こうした議会でのやりとりも重要なんですが、この場合だと、我々は率直に言うと提案できないので、質問していただいたことにお答えさせていただくだけなので、そういう意味では、やはり政党協議、ぜひ、落ちついた環境の中でやれば、私は、いい結論というのが出てくるのではないかなと思います。また、国民もそういう期待をなさっておられるのではないかなと思いますので、そのことを申し上げたいと思います。

 それから、相続税と贈与税の御提案をいただきまして、私も、基本的には、例えば金融資産一千四百兆円ですか、それに不動産等々を見ますと、やはり高齢者の方々の保有というのは若い人よりもあるわけですね。これをどうやってまた日本経済の中で回していくかという問題にも当たると思います。

 今御指摘いただきましたけれども、五千万、掛ける一千万ずつというのを、三千万に落として、六百にしました。しかし、これでも全体からいうとまだまだなんです。百人のうち本当に四人が、ちょっとふえるぐらいなだけで、まだ全体の比率は少ないので。いわば社会の中で、日本は階級社会じゃありませんから、おじいちゃんは頑張ったけれども、では、例えばそのお孫さんも全部財産を引き受けるという社会ではないはずなんです。だからこそ活性化をしてきましたから。

 私は、そういうことからいえば、少し贈与税もお孫さんにということは経済活性化にもつながると思いますし、また、何もないところから頑張った人たちにチャンスを生むような税の体系というのを、この消費税の問題を中心に話をしていますけれども、そろそろ本格的に見直した方がいいということについては賛成でございます。

 一律五%というのは、提案としては斬新ですけれども、現実にそれがいくかどうかというのはちょっとなかなか難しいと思いますが、ぜひ議論をしていきたいと思っております。

 法人税につきましては引き下げを、自民党も懸案だったわけですから、三年間は震災で少し貢献をしていただきますけれども、ようやくおおむね五%下げましたが、さまざまなインセンティブをつけよという提案の一つだと思いますので、これもぜひまたいろいろな場面で議論をさせていただきたいと思います。

五十嵐副大臣 今の最後の御提案の件ですけれども、去年の七月から、お認めをいただきまして、雇用促進税制という形で、期首から始まって、事業年度の間に、総人件費をふやし、かつ人数を一定条件ふやしていただいた方には、社会保険料の二分の一、若い人の相当分、一人二十万円の税額控除を法人にするという制度を始めまして、これはうまくいけば拡充をしていきたいな、こう考えておりますので、先生の御提案に沿う税制になるかと思っております。

三ッ矢委員 せっかく税と社会保障の一体改革と言っているわけですから、消費税ばかりじゃなくて、ぜひほかの税目についても考えていただいて、いい方向に持っていっていただきたいなというふうに思います。我々もまた提案をさせていただきたいと思っています。

 最後に、消費税の話をちょっと一つさせていただきたいと思います。

 大臣、消費税を上げる条件というのは何だと思っておられますか、上げられる条件。

安住国務大臣 いろいろな条件はあると思いますが、まず、国民の合意、それから与野党のコンセンサス、採決時の賛成、多分経済の話かと思いますけれども、経済状況も好転するということかと思います。

三ッ矢委員 今の日本の経済の状況というのは、恐らく、坂道に車がとまっていて、エンジンがかかっていない、自分の重みでちょっとずるずる下がっていっている。この間、ちょっと日銀がああいうことをやりまして、ガソリンをちょっと入れたんですね。それだけでも実は円安の方向に振れたし、株も少し上がった。ただ、足りないんです。デフレ対策をやらないと、消費税は私は上げられないと思っています。

 では、デフレ対策、何をやるのか。これは非常に難しい問題かもしれませんが、私は、首都直下型地震ですとか、あるいは東海・東南海・南海地震、そういう災害対策、災害予防と言ってもいいかもしれません。

 無駄な公共事業というか、大規模な、例えば、海岸線に全部十五メートルの堤防をつくれなんということは言いません。だけれども、今ここで何も手を打たなかったら、私は、これは政府、行政、政治の不作為、ここ数年の間にもし何かあったら、問われると思います、責任を。それを、ぜひ短期集中的にやってみたらどうかなと。

 それからもう一つは、エネルギー対策ですね。自然エネルギーへの転換、ここについて思い切って財政出動をする。

 では、お金はどうするのという話にすぐなるわけですが、私は自民党ですから、民主党さんが言っておられるばらまきを一時凍結して、三年ぐらい集中的にやればいいんじゃないか。二兆円ぐらいは国費ベースで浮いてくるでしょうから、地方の分と合わせると四兆円ぐらいの事業ができるわけですね。これでエンジンをかける。それをやった上でないと、消費税を上げるということはなかなか正直言って難しいと思います。

 デフレ下で税金を上げたら、これは悲惨なことになるのは目に見えているわけでありますから、金融政策と財政政策、この二つを駆使して、エンジンをかけて坂道を登り始めさせられるような政策をぜひお考えいただきたいなというふうに思います。これは要望で構いません。お答え、もしいただけるのであれば。

海江田委員長 時間も来ておりますので、短目に。

安住国務大臣 金融、財政両方の車輪を回して、日本の経済をやはり好転させるように努力していきたいと思います。ありがとうございました。

三ッ矢委員 終わります。

海江田委員長 次に、山口俊一君。

山口(俊)委員 自由民主党の山口でございます。

 安住大臣に質問するのは初めてかな、国対委員長のときの御活躍、あるいは野党時代の国対の御活躍はよく拝見しておりましたが、大臣になられて大分こなれてきたのかなという感じを先ほど来受けておりまして、我が党の三ッ矢委員の方からもいろいろ御質疑がございましたが、とりわけ私の方からは、やはり、今回のいわゆる歳入の法案を一括処理しなかった、できなかったというふうなことについて、若干重なりますけれども、お伺いをしたいと思っております。

 どうも三役会議とかいうところで決めたようでありますが、当然、大事な歳入法案の話でありますから、大臣も相当関与しておったと思うんですが、三役会議のメンバーというのはどなたですか。

安住国務大臣 よろしくお願いします。総務委員会で長く、郵政含めて御一緒させていただきましたけれども、財金でお話をするのは初めてなので、お世話になります。

 三役会議のメンバーは、総理、官房長官、副総理、それに国対委員長、政調会長、そして幹事長、幹事長代行、こういうメンバーで構成をしております。そこで決まりました。

山口(俊)委員 これは当然、財務大臣が本来大きくかかわる話なんだろうと思うんですよ。何となく、昨年の野田当時財務大臣に御質問したのを思い出すのですが、あのときも、途中で当時の玄葉大臣が変なことをおっしゃいまして、委員会に来ていただいて訂正をした、撤回をしたという経緯がありました。

 それは何かといいますと、もう御案内のとおりで、分けてもいいというふうな発言を大臣がした、これはけしからぬということで、当然、当時、官房長官の方からも御注意があったんだろうと思うんですが、何としてでも一体処理をしたいと。しかも、あの当時、たしか野田当時財務大臣は、私の首を差し出してもいいというふうなお話さえしたわけですよ。

 にもかかわらず、今回、こういう形で分けざるを得なかった。これについて、大臣のお考え、思い、先ほども三ッ矢委員の質問に対して、仕方がなかったなんというお話もあったんですが、再度お聞かせをいただきたいと思います。

安住国務大臣 今回、私はその会議にはきのうは参加はしておりませんでしたが、できれば一体で歳出歳入を送らせていただくというのが、御審議をいただいている意味では一番いいとは思いますが、しかし、先ほども実は三ッ矢先生にはお答えをいたしましたけれども、成立のめど等が立たないというふうなことで、昨年同様の対応をさせていただくというふうに結論を出したと聞いております。

 やはり、衆議院で反対になれば、参議院で賛成ということは多分なかなか難しいと思うんですね。そういう点からいうと、衆議院で御理解をいただくために、少し与野党の間で、与党側がやはり努力をする、合意形成をするための時間をということがあったのではないかと推測はされます。

 というのは、なぜそういうことを言うかというと、私自身が去年、国対委員長として、その一線でやらせていただきました。先ほども申し上げましたけれども、当時、逢沢委員長と漆原委員長と私で、鋭意、連日のようにこの問題をやらせていただきました。

 現場には大変御迷惑はかけましたけれども、結果的には、八月の終わりに成立をして、何とか特例債を発行できましたけれども、やはりあのときも、東日本大震災がありましたけれども、なかなか参議院に、これはお叱りを受けましたけれども、出して成立の見通しが立たなかったということで、私の判断で、当時の幹事長、総理とも相談して見送ったという経緯がございますので、その点では、やはりもう少し私たちも努力、汗をかいて、これに賛成をしていただくような環境づくりをしなければならないというふうに今思っております。

山口(俊)委員 これは大変残念なことですけれども、政権交代して民主党になって何が一番変わったのか。

 一つは、毎年、過去最高の予算ですよ。毎年、実は、歳入よりも、いわゆる税収よりも借金が多い。これは三年続けてですよね。今回またまた、何と歳入法案を予算と一体的に処理をしないというふうな判断をなさった。これは民主党政権になって続いてきておるわけですよね。

 実は、私ども、お話しのように、いろいろな協議の中で、賛成いたしかねるというふうな思いはあったんですが、ひょっとすると、やはり採決をしてほしい、採決をしようというふうな強力なお話があるのではないかということで、若干シミュレーションもしておったんですよ。それぐらい歳入法案の一体処理というのは大事な話なんですね。この気持ちだけは決して大臣に忘れていただきたくない。

 ある意味、昨年、やむを得なかったとはいえ、悪い癖もつけたんだろうと思うんですね。昨年、当時財務大臣の野田さんは、では、公債特例が通らなかった場合、なかなか成立しなかった場合、いつぐらいまで予算執行というのは大丈夫なんですかというふうな質問に対して、六月とか秋口とか、いろいろな答弁がありましたよね。そういった思いがまさかあったんじゃないでしょうか。

安住国務大臣 それは全くありません。

 私どもとしては、やはり本来であれば、予算と一緒に賛成をしていただいて、衆議院での会派の議決がそのまま参議院にイコールになりますので、そうした意味では、逆に言えば、しかし、今、この予算とそれに基づく特例公債ですから、なかなか、自民党含めて、賛同いただく環境にはないというふうなことだと思います。

 何とか今、予算委員会でも下村先生から御指摘をいただいて、高校無償化問題等についてようやく三党で話し合いが始まったと聞いております。子ども手当についても、話し合いは、我が方の岡本委員とそちらは田村先生ですか、始まっております。こうした個別の政策の推移を見ながらやはり丁寧な環境づくりをぜひさせていただくために、多分、与党としても汗をかかせてもらいたいということだと思います。

 確かに、去年、悪い癖をおまえつけたじゃないかと言われるかもしれませんが、しかし、この特例債が否決された場合、やはりなかなかその影響も大きいということはもう先生御存じだと思いますので、そうしたことも勘案しながらきのうは御決断をなさったのではないかというふうに思っております。

山口(俊)委員 今回は四九%ですか、借金であるということで、もしこれが否決なんということになりますと大変なことになるというのはもう自明の理であります。

 昨年も同じ質問が出ておりましたのであえて聞きますが、では、公債特例法、いつまでに成立をしなければ予算執行に支障を来しますか。

安住国務大臣 何月何日というふうなことはないと思います。ただ、やはり国民生活を安定、安心させるためには、各般にわたって、担保といいますか、歳入の確保というものがあるんだということは非常に重要なことだと思いますので、そういう点では、ぜひ、私の気持ちとしては、一日も早く賛成をいただいて、成立をさせていただくということだと思っております。

 ちなみに、昨年は、本当にいろいろありましたが、八月の二十六日に参議院で可決をさせていただいて、ようやく認められましたが、何とか、あのときもさまざまなシミュレーションはあったと思いますけれども、今回は、できるだけ早くそうした合意を得られるようにやはり努力をさせていただきたいと思っております。

山口(俊)委員 何月までは大丈夫なんですなんという答弁をしたら、もっとかみついてやろうと思っておったんです。当然、これは一日も早くということでなくてはならぬわけです。

 そこで、本体の予算ですが、私は、参議院は良識の府でありますので、恐らくしっかりした結論はお出しになると思うんですが、しかしながら、あす衆議院で採決というふうな話を聞いております。もし参議院が審議に応じなければ、当然、自然成立というのは一番早くて四月六日ですよね。この場合は暫定は必要になるんですか。

安住国務大臣 今先生御指摘のように、参議院は良識の府でありますし、審議をしっかりやっていこうというよき伝統がありますから、私は、参議院に送っていただければ、参議院でしっかりとした、充実した審議はしていただけるものだと思っております。

 物理的な日程はあるかもしれませんが、ぜひ年度内成立に向けて、私どもも、参議院の自民党を含め野党の皆様方に懇切丁寧に御説明をし、働きかけていきたいと思っております。

山口(俊)委員 暫定の方の答弁がなかったんですが、四月六日ということであれば、恐らくそういうふうな、若干の頭の体操をしておられるんだろうと思うんですが、もし、しておるなんということになりますと、これまた問題になりますが。

 先ほど来、大臣は、公債特例、やはり与野党でいろいろな話し合いをして、こういうふうなお話でございました。実は私も、資料として、昨年、公債特例がいよいよ衆議院で採決というときに、賛成討論をした自民党の当時石破政調会長の演説、議事録を読んでおりました。ほとんど進んでおらないなという感じがしたんですね。

 当時、御案内のとおり、一つは震災がありました。これは何としてでも対応しなきゃならぬ、復旧にともかく全力をということで、話し合いの雰囲気がかなりありましたね。そういったこともあって三党合意というのが成立をしたわけですが、大変遺憾なことに、ほとんど守られていない。というか、その後ほったらかしなわけですよ。大臣みずから先ほど御答弁いただいたように、先般、予算委員会で指摘を受けて初めて、その後協議をしておったかどうか調べて、していなかったということで、陳謝したわけですね。そんなことでいいんですか。

 当然、あの当時、予算編成に入っておったと思うんです。その予算編成過程の中で、今協議をしていますとか、今こんな状態ですという話は大臣のところにありましたか。

安住国務大臣 実は私も気になっておりまして、国対委員長でしたから、合意文書の作成にもかかわりましたので。

 党の側には、子ども手当それから戸別所得補償等どうなっているのかという話を私の方から電話で確認をしたりはしておりました。やはりなかなか協議が進まないという報告も受けていました。

 戸別所得補償は何回か、これは自民党の皆さんから言わせれば形式的な話だったとはいえ、しかし、開かれたという話も聞いております。ですから、基本的に、今度の予算は、何か合意に至ってそれを盛り込んだというところまで至りませんでした。

 ですから、今、子ども手当についても協議をしていただいておりますが、言ってみれば、所得制限のところとかは、私は、やはり四月以降の問題について十分合意をしていただかなければならない部分ではないかと思いますし、高校の無償化は少しその考え方に違いがあるのかなと思うんですね。しかし、それも、話し合いをすれば、決してそんなに論点が決定的に違うとも限りません。

 そうした意味では、昨年から、やはり与党の側からもう少し呼びかけて、いろいろな意味でかみ合う議論をしていただければよかったなというふうな気持ちでおります。

山口(俊)委員 今大臣の方にお話があったかというふうなことを聞きましたが、本来、大臣の方から、いよいよもう予算編成だよ、どうなってるのと聞いてほしかったんですね。ある意味で見切り発車ということなんでしょうけれども、三党合意ということがしっかり頭の中にあったのであれば、当然、予算についても若干ののり代というんですか、協議の余地というんですか、それがあってもよかったんじゃないかなと思うんですね。そういったことがないがために、今回こういうふうな形になって、公債特例にも影響してきておるわけです。

 こうなりますと、先般、予算委員会で中川少子化担当大臣が呼びつけられましたね。あれは、取り消されたんですが、取り消したのをもう一遍取り消した方がいいんじゃないかと思うんです。結局、ああいうやり方しかないわけです。

 やはり、しっかりとこれから与野党で協議をしていくというふうなことなんですが、先ほど大臣からも例えばの話がありました。子ども手当ですね。これも、おかしいなと思うのが、子どものための手当という名前にしようとか、今回、新聞を見たら、児童成育手当、何ですか、これは。何でこういう話が出てくるんですか。何か潔くないというか、おかしいんですよね。やはり、そういった問題に対して、財政全般に責任を持っておる財務大臣がもう少し関与していったらどうですか。

 さっき、所得制限の話もありました。これも、いわゆる児童手当にかかわる所得制限の部分がなかなか合意に至らない。高校の授業料の無償化にしても、所得制限のところで、どうも理念に反するというようなお話で、両論併記というふうに聞いています。

 恐らく、実務者の間ではそういったことで合意に達するのは難しいと思うので、幹事長同士の方でまた話が進むんだろうと思うんですが、大臣、例えば、財務大臣として、高校授業料の無償化の問題は、確かに、理念として、国がといいますか、社会がといいますか、責任を持つという理念はわかる。ただ、今の財布の状況とか、あるいは格差云々の話からして、大臣として所得制限はどう思いますか。

    〔委員長退席、糸川委員長代理着席〕

安住国務大臣 これは先生、ちょっと私の立場でなかなか言いにくいのは、政党間協議をやっていて、私のような立場から何か意見を言うと、また御指導をいただきますので。本当なんですよ。私も実は指導した側にいましたから、去年は、政府は何も言うな、これは党間協議でやっているからということなんですね。

 ただ、私が申し上げたいのは、合意できないほどの差ではないのではないかと。だから、お互いにもう少し寄って、特に子ども手当は三月の末までに何らかの結論を得ないといけません。名前の話も、やはりそれはお互い歩み寄って、もちろん児童手当というのもあるでしょうし、しかし、中学校まで盛り込んだということからいうと、そういうこともあるでしょうし。だから、そこらはやはり政治に決断をしてもらうということだと思うんです。

 それから、高校の無償化についても、むしろ、予算委員会の意見を聞いていると、私立に対する対応をどうするのかというのが結構議論になったんです。そういうところも、私どもは公立と同じようなという話をするんですが、しかし、自民党の皆さんから見ると、私立はやはりお金がかかるので、それはもうちょっと対応したらいいのではないかという御意見もありました。

 非常に前向きだったので、そういうのを鋭意政党間で協議してもらって、最後は政党の責任者である幹事長同士が高い立場で決断をいただければ、それに対して立法府の決断が出れば、やはり我々行政府の側というのはそれに従うというふうな立場で私は見ております。

山口(俊)委員 大臣の慎重な御答弁のお気持ちはわかります。ただ、私が言いたかったのは、大臣は財政の総責任者ですよ。今の財政状況等々を一番よく御存じなわけですよ。その方が、政党間協議だといって外にいていいのかということです。今、国の財政状況はこうなんですよ、ここはやはりこうすべきでしょうということを大臣の方から、ここで言わなくていいですから、しっかりと発言していっていただきたい。これは特に求めておきたいと思います。そうじゃないと、これはなかなかまとまりませんよ。

 しかも、さっき国民生活に影響云々の話がありましたが、三月末には消費税関係の法案を予定されているわけでしょう。これが出てきたら、どんな事態になるんですか。これは大変ですよ。ですから、早急に、財務大臣がリーダーシップを発揮して、しっかりと合意ができるように、しかも、これも私の方からのお願いというか要望でありますが、やはりこの三党がうまく話ができた、三党に限らずでありますが、話し合いができた。ですから、例えば、時期をずらしての補正で処理をするということもできるわけですね、合意の中身を。そこら辺も含めてしっかりと対応していただきたいということであります。

 その三党協議の中で私どもが主張させていただいて、創設をするということになりました復興特会、これはあした採決というふうなことになるわけでありますが、これは実は、昨年、予算に関するしっかりした議論をしようとやっておったんですが、被災地の復旧復興の足を引っ張るんじゃないかというふうな話もありました。そういったこともあって、この件はしっかり特別会計でやるべきだろうというふうなことで主張させていただいたわけでありますが、これは、二十四年度当初予算が成立をしても、復興特会法、これが成立をしなければ、復興に関する予算というのは執行できないのかどうか、お答えを願います。

安住国務大臣 この特会法は、昨年の十一月に三党合意に基づいて設置を決めていただきまして、復興に関する二十四年度の予算、今回御提案させていただいているものについては、この復興特会に計上されているところでございます。ですから、二十四年度予算が成立をしたとしても、本法案が成立をしなければ、予算執行の前提となる復興特会が設置されないということであれば、復興に係る歳出予算を執行することはできないというふうになります。

 ですから、そういう点では、やはり、あした御賛同いただいて、与野党で、特にこれは自民党の方からの御提案をいただいてつくった特会でございますので、被災者のためにも、一日も早く執行できるように、この法案の成立をぜひ図りたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

山口(俊)委員 あす、しっかり、理事会でも今協議中でありますが、対応していきたい。この件に関しては、やはりちゃんと対応していっていただきたいと思っております。

 それから、ちょっと時間がなくなってきておりますのではしょりますが、租特であります。

 いわゆる地球温暖化対策税の導入でありますけれども、今回の改正では、先般も公明党の斉藤委員の質問に対する答弁だったと思うんですが、いわゆる森林対策には使えないというふうな答弁がありました。しかし、その趣旨、あるいは、それぞれまだ実はいろいろな議論をしておるんですね。そういった経緯を考えてちょっと申し上げさせていただきましたけれども、もうちょっと前向きの答弁をしていただきたいわけであります。

 さらに、やはり心配をしますのが、とりわけ原発事故以来、どうしても化石燃料に頼るというふうな今の電力状況があります。あるいは、電力料金の値上げというふうな話もちらちら聞こえてくる。これは経済に影響を与えないのかどうかというふうなことをあわせてお答えいただきたいと思います。

    〔糸川委員長代理退席、委員長着席〕

安住国務大臣 これは、率直に言って、これをつくる過程の中で、やはり石石税の上乗せですから、経産省と環境省の中でいろいろな話があって決まってきた。しかし、確かに、先生おっしゃるように、森林吸収源対策をどうするんだということは、今さまざまなところから御提起はいただいております。

 この今の法案で盛り込むのはやはり難しいんですが、しかし、国全体としては、森林吸収源対策そのものについては非常に重要だとは思っておりますので、引き続き、どういうふうな財源を確保してこれをやるべきか等については、少し検討させていただきたいと思います。

 それで、経済への影響ですけれども、これも、結果的には増税になりますが、きのう斉藤先生にもお話ししましたけれども、段階を踏んで、急激に上げるのではなくて、ステップアップをしていく方式をとっておりますので、そういう意味では、急激に上がるということではないので、その分、経済への影響は少しやわらかくなるのではないかというふうに思っておりますので、ぜひそこの点は御理解いただきたいと思っております。

山口(俊)委員 そこら辺を実は大変心配しておりまして、今回、我々も賛成をして、いわゆる復興増税、これをやります。今回、消費税も出てきそうだ。しかも、これもあるということで、日本経済が今非常に危うい状況の中で、これが大変な影響を及ぼすのではないかというふうな心配をしておりますので、そこら辺はしっかりと対応していただきたいし、やはり吸収源対策ということで、これも、検討なんというのではなくて、前向きに検討ぐらい、しっかりやっていただきたいと申し上げておきたいと思います。

 最後に、これも先ほど三ッ矢委員も触れましたが、交付国債です。

 これも、こういう気持ち悪いことをしなくてもいいんじゃないかという正直な気持ちがいたします。ただ、物すごくうまい仕掛けなんですよ。消費税を上げなければとんでもないことになるわけですよ。言いかえますと、恐らく総理はおやめにならざるを得ませんよ、消費税を上げられなければ。それぐらい大変な仕掛けにしてしまったわけです。

 自民党としては、すんなり赤字国債でどうですかというふうな提案もさせていただいております。そこら辺も恐らく今後の関連法案の協議のときに出てくるんだろうと思いますが、含んでおいていただきたいわけですが、こういうことをやったがために、大綱の案では、消費税の引き上げが一四年の四月ですか。今回、交付国債ということなんですが、タイムラグがあるわけですよ。それはどうなさるんですか。

 それと、これもさっき質問がありましたけれども、例えば、消費税が一年ずれましたねと。これは大いにあり得るんですよ。実は、麻生内閣のときの話がよく出ますが、あのときも、いわゆる経済状況という条件が入っているわけです。そして、景気をよくする大きな、思い切った手を打って、その後というふうなことで閣議決定をしておるわけでありますが、やはり、経済状況を踏まえた場合に、これはずれる可能性が大いにある。御案内のとおりで、基金を取り崩すというのを、七兆円ですよ、どうするんですか。そこら辺、ちょっとお答えください。

安住国務大臣 つまり、消費税は償還財源ですから、そういう点では、ことしは積立金の一部資産を現金化するということになります。来年以降のことはまた来年議論ということに法律のたてつけ上はなっています。

 しかし、これは、先生から御指摘のような批判も随分今回受けました。ただ、先ほど申し上げましたけれども、党首討論でも、谷垣総裁もこのことに関しては、やはり消費税を充当するのが適当であろうという御主張をいただいたと思います。そういう点からいえば、それでは、消費税を充当するということであれば、私はやはり交付国債というのは最もそれに近い形のものではないかなと思うんです。

 というのは、もし恒久財源にするとなれば、やはり消費税しかないんですね。赤字国債という先生の御主張もありますけれども、その場合、心配なのは、結局、現役世代がそれを支え合うのではなくて、後代へのツケ回しになってしまうということは、私は決して、それもベストな選択かどうかというのは、やはり議論の分かれるところだと思います。

 だから、方法論について、つまり、消費税を上げるまでの方法論についていろいろな話し合いを政調レベルでもぜひしていただければ、私は、これも結論というのは出てくるのではないかなと思っておりますので、よろしくお願いします。

山口(俊)委員 もう時間が参りました。

 今いろいろお話がありましたが、やはり、まず、もうちょっと財政、予算、切り込んでほしかったわけですよ、いろいろな意味で。そういったことなく消費税が出てくる云々というふうなことで、先ほど大臣からお話があったように、これはやはりしっかりと話を進めていっていただいて、国民生活に悪影響が及ばないようにしっかり対応していただきたいし、さっき申し上げましたように、消費税が予定どおり上がらないなんという場合は責任問題ですから、そこら辺はしっかり胸に受けとめていただきたいと思います。

 終わります。

海江田委員長 次に、竹下亘君。

竹下委員 自民党の竹下亘でございます。

 安住大臣に質問させていただきます。かつて同じNHKで勤務しておったという経験がありますので、なれなれしくならないように、時に乱暴な言葉を使うかもしれませんが、お許しをいただきたいと思うような次第でございます。

 先ほどから何回も議論に出ておりますが、特例公債法と予算本体を切り離した問題について、まず覚悟をお伺いさせていただきたい。

 やっちゃいかぬことなんですよ。それぐらい重いことなんですよ。政権を背負うということは、それぐらい大変なことなんですよ。それを二年連続でやる。普通だったら、二回続けて財務大臣は首を切られていますよ。それぐらいの覚悟でやらなきゃならぬ話を、さっき、しようがなかったという言葉があって、何だこれはという思いで聞かせていただいたところもありました。

 では、自民党が政権を持っていた当時、ねじれ国会もありました、いろいろな難しい問題もありましたが、ばらばらに分けるということをしないでやってきた。それは、それだけの歴史があり、いわば財政家としての覚悟を当時の大蔵大臣、今の財務大臣が持っておった。

 何かきのう三役会議というのがあったようでありますが、時には、当然、安住さん、あなたが乗り込んでいって、冗談じゃないよ、財務大臣として責任は持てないよということを言ってしかるべき課題で、別のところで決まったからそのとおりやりますで済む問題ではない。もっともっとこの問題は重く受けとめていただきたい。

 歳入歳出二つそろって予算なんです。片方では予算とは言いません。そのことを改めて申し上げ、財務大臣としての覚悟を改めてお尋ね申し上げます。

安住国務大臣 尊敬する竹下先輩とこうしてまたお話しさせていただくのを光栄に思っておりますので、御指導よろしくお願いします。

 本当に、そういう点では私の責任もあると思います。ただ、昨日まで我が党、政府・与党としても、随分といろいろ悩みに悩んだことの結果、そうなったというふうに私は承知をしております。

 昨年、国会対策委員長としてそうした結論を導いた、そういう意味では私の責任は重いかもしれませんけれども、ただ、特例公債は、否決させられない法案であるというふうに思います。そういう中で、やはりこれは今の状況の中で御賛同をいただくのはなかなか難しいというのが結論だと思いますので、そのまま参議院にもし行けば、自民党、公明党を含めた御賛同というのは前回のようには受けられないとなれば、これは否決される可能性も高いというふうな判断もしたのではないかと思います。

 ですから、私は、決して軽い気持ちではおりません。先ほど山口先生にも私はお答えしましたけれども、これから、賛成をしていただく環境づくりに努力をするということに私としてやはり汗をかかなければならないし、与党としても、御指摘のありました高校無償化、子ども手当、それから農業の戸別所得補償、これらの点につきまして、もしかしたら交付国債のあり方についても議論があると思いますので、そうしたことを真摯に話し合いをしながら、一つずつコンセンサスを得て、こうした問題を解決すると同時に、この特例公債に御賛同いただくような努力というものを私どもはさせていただきたいというふうに思っております。

竹下委員 これから野党に賛同してもらうための努力をするということをおっしゃいました。ぜひ、それは本当に懸命になってやってもらわなければならない。

 昔のことを言うわけじゃありませんが、自民党時代に同時に通してきたというのは、その時点で野党の皆さん方に賛成をしていただく、ねじれ国会もあったんです、賛成をしていただきますように訂正をするとか直すとか、いろいろな努力をして、歳入歳出を同時に参議院の方に送り、参議院で同時に可決、成立をさせていただく、それが予算を背負う政権の責任であると思います。

 そういう中で、子ども手当の問題、高校無償化、農業の戸別所得補償、そしてさらには年金の交付国債をめぐる問題等々をお話しになりましたが、かつて金融国会というのがあって、小渕内閣のときですが、どうにもとまらない。我々は、正直いろいろ問題はあるけれども、当時の野党の主張をある種全部のんで、大事なことはこういう金融の非常に厳しい状況に今対応することだ、それを最優先に考えた。

 党のメンツとか、さっき子ども手当を児童何とか手当、ああいうメンツのかかったようなことはもうやめなさい。みっともないことこの上ない。そうじゃなくて、丸のみすることだっていいんですよ。丸のみしてもいいし、丸のみじゃなくて協議の上で合意を得てもいい。ただ、衆議院での採決の時期までにそれができなかったというのは、これからももちろん努力してもらわなければなりませんが、本当に厳しく反省をしていただきたい、このように思っておるところでございます。

 この問題、参議院に行ってからもまだまだいろいろな議論もありますでしょうし、引き続きこの財務金融委員会に特例公債法はとどまっておりますので、これからも議論を重ねていかなければならない大きな課題だと思っております。

 租特についてお伺いをいたします。

 先ほど、石石税、石油石炭課税を段階的に引き上げるという内容、去年お出しになって、去年はうまくいかなくて、ことしもう一回お出しになって、我々も今相当悩んでおるところの一つであります。ただ、私がひっかかるのは、地球温暖化対策税という美名がかぶさっておるところでございます。

 私は、かつて、環境税というものを日本国は導入すべきであるということを考え、自民党の中でさまざまな活動をした経験を持っております。なかなか党内の意見もまとまらず、また経済界、産業界の抵抗もあって今日までできてはおりませんが、必ずつくっていかなければならない問題。

 今、日本という国はいろいろな厳しい面に直面をいたしておりますが、今後百年というタームで物事を考えた場合、経済はほっておけ、日本人は天才だからほっておけ、邪魔しないことが政治のやるべきことだ。やらなきゃならぬのは、懸命に平和を維持していくこと、そして懸命に環境問題に取り組んでいくこと、もう一つは人口問題、少子化問題に真っ正面から取り組むべきこと、この三つが、今後百年日本が抱えている最大の課題だというふうに私は認識をしております。これは、人によって、何が重点かというのはもちろん違いはあるとは思います。

 そういう中で、環境税というものを検討したことがございました。あのとき我々が、ドイツが環境税を導入いたしましたのでドイツへ行きまして、環境税の導入の過程なり、仕組みなり、あるいはその税収の使途なりについて相当細かくいろいろな議論をし、話を聞いてまいりました。

 そのとき驚いたのは、ドイツの環境税はまやかし。言葉はいいんです。環境税ですから、いかにも環境にいい。ある種、CO2の発生に応じて、最終消費者に負担してもらう、この二つの条件をドイツはクリアしております。

 大事なことは、温暖化ガス、例えばメタンとかフロンとかも含めてでありますが、それをCO2に換算して、その発生に応じて負担をしていただくこと。そして、それは最終消費者が負担をすること。企業じゃないんです、最終消費者が負担をすること。そして三つ目の大事な点は、そこで上がってきた税収は地球温暖化対策に全て使うこと。私は、この三つが、環境税と胸を張って言うときの条件だ、こう考えておる一人であります。

 ところが、ドイツの場合は、実は税収の一番大きなのは失業手当に使っていたり、年金の補填に使っていたり……(安住国務大臣「目的税じゃないの」と呼ぶ)いや、目的税じゃないんです。一般税なんですが、消費税をこれ以上上げられないから環境税という名前で税収を上げて、それを年金なり失業手当に使っていたということがわかりまして、ドイツの環境大臣あるいは環境省の連中と、何だこれは、まやかしだということで、大議論したことを覚えております。

 日本の場合、今回の石石税、あえて地球温暖化対策税とは私は言いたくないんですが、最終消費者負担でないというところが非常にひっかかっている点なんです。最終消費者に、これだけ環境に負荷をかけていますよ、だから税を取ります、使用を抑えてくださいというアナウンスメントエフェクトも含めて、その部分がなければ税としての本当の効果は上がらないというふうに考えるものでございます。ところが、今回の石石税は、いわば最終的には最終消費者に行くかもしれませんが、これはあなたが出したCO2ですよという形にはならないものですから、そこは多少ひっかかっておるところでございます。

 これは、今ある石油石炭税を利用して環境対策への財源をひねり出そうという一つの手だてではあるとは思いますが、私は、最終消費者が負担をするいわゆる本物の環境税というものを堂々と日本はつくって、そしてそれは堂々と全てを環境対策にぶち込んで、世界に冠たる環境立国をやっていかなければならない、このように考えておる一人であります。

 鳩山元総理が、CO2の削減を九〇年比二五%、本当に、できもしない、あるいは手だても全く見えていないことをよく言うもんだなとあきれ果てた。それは数字は多いがいいに決まっているんです。だけれども、できもしないうそをあそこでまた言うことは、日本は世界の信用を大きく失うことになったわけであります。

 そういう意味で、石石税のあり方について、私の考え方は偏っているでしょうか。安住大臣はどのようにお考えでしょうか。

安住国務大臣 ドイツの件は私も知りませんでした。ありがとうございました。目的税かなと思ったら、一般歳出に使っていて、では税をもらうときだけそういう名前にしたんだなというのが初めてわかりました。

 今回私どもが提案している、先生から見ると名前が気に食わないということですが、地球温暖化対策のための税、いわゆる石石税の上乗せ部分というのは、主に納税義務者というのはやはりエネルギー業界を中心にということになります。

 ただ、転嫁はあるのかどうかということになると、私は、転嫁はするだろうと思いますが、しかし、今先生御指摘のように、では払う側はそれを自覚するのかというところまでいかないと、地球環境に対する貢献、また税の重さというものがなかなか芽生えてこないのではないかということについては、私も共感するところはございます。

 今後、これからも、環境に関するこういうお金をどういうふうにしていくかというのは議論のあるところだと思います。それから、そうはいっても、今一義的に納税義務者はエネルギー業界ですが、産業界との話し合いと説得というものもこれから必要だと思うんですね。

 そういうことをするためにも、やはり政治のコンセンサスというのは大事ですから、今御指摘のあったような方向で本当にまとまるのであれば、私は産業界等にも十分説得ができるし、また、ドイツと違って、これは目的税として非常に充実をした、安定した財源として地球環境対策に使えると思いますので、今後の課題として、ぜひ、私たちも竹下先生の御主張にこれからも耳を傾けていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

竹下委員 ぜひ検討していただきたいと思いますし、京都議定書の中で森林吸収源というのを三・八%認められておる国は日本だけであります。ところが、先ほどからの議論の中でも出ておりましたが、今回の石石税の引き上げは、森林吸収源対策にはこのままでは使えない状況にあるということでございます。

 その点も含めて、マイナス六%、マイナス九%、いろいろな数字はありますが、その中の三・八という一番大きな部分が森林吸収源であるという部分にもう少し思いをいたしていただいて、ぜひ何らかの形で、これは予算を変更して使えるようにしろと言ってもなかなか難しいとは思いますが、何らかの形で、その点についても、先ほど山口さんからのお話もありましたが、一段と踏み込んだ御答弁をお願いしたいと思います。

安住国務大臣 私どもの二十四年度の税制改正大綱において、ここの部分については、「温室効果ガスの削減に係る国際約束の達成等を図る観点から、」次からのところをちょっと聞いていただければと思いますが、「二十五年以降の地球温暖化対策の国内対策の策定に向けて検討する中で、国全体としての財源確保を引き続き検討します。」というふうに実は書かせていただきました。

 いろいろな意味でここをお酌み取りをいただいて、確かに、現時点でこの税収の仕組みとしては森林吸収源対策にはなっておりませんけれども、今私が読ませていただいた部分には、そういうことも含めて御指摘が非常に多いものですから、そういうことを踏まえて今のような文章を書かせていただきましたので、私は検討という言葉を使わせていただきました。

竹下委員 それから、もう一つ苦情を言わなきゃいかぬのですが、先般、徳田委員との議論の中で、自民党の徳田委員が、東日本大震災の被災地に対する対応が遅い、全然進んでいないじゃないかという趣旨の質問をしたのに対し、安住大臣は、いや、自分は被災地であるという認識のもとに、例えば宿舎も何もない、機械も何もない、だから二時間かけて通わなきゃならない。わかり切った話なんです。そんなことは今わかった話でも何でもない、起きてすぐわかる話でありますので、それなら飯場を建てるところからやればいいだけの話で、何が宿舎がないからおくれる、冗談言うなと。あれを聞いていて腹が立って仕方なかったものですから、どうしても一言言わせていただきました。

 財務大臣の仕事は、言いわけをすることではなくて、つけた予算の執行をしっかりと見守ること、あるいは、時には早く執行しろと尻をたたくことが財務大臣の仕事であって、言いわけをすることではないと私は思います。

 もう一度、財務大臣、改めてお伺いいたします。

安住国務大臣 私も、徳田さんに、少し言い過ぎてごめんなさいねと申し上げまして、徳田さんからも、いえ、こちらこそという話で、おわびはしましたけれども。

 反省することも確かに多いんです。執行そのものは現実に、三次補正までで六割行っていませんので、その理由は何ぞやということで私もいろいろ申し上げましたが、実は、地元の県知事さんなんかとも意見交換をしていて我々はいつも悩んでいるのは、今回は、竹下先生、地盤が物すごく、一メーターも沈んで、私の石巻市を中心とした牡鹿半島というのは五メートルも太平洋側に土地が動いております。ですから、測地もやらないといけない。それから、一旦沈んだ土地をどう生かすかということで、今までの復興とはやはり明らかにスピードが遅くなっている。

 しかし、そういうことを言っても確かに言いわけにならない部分もありますので、やはり今後、復興庁、それから地元の都道府県の皆さん、市町村の皆さんに、私の立場として、ぜひ、国民からいただいた貴重な税金をしっかり使わせていただいて有効に執行していただく、それもスピード感を持ってやるように積極的に働きかけをしていきたいというふうに思っております。

 何かありましたら、またお気づきの点がありましたら、御指導賜りたいと思います。

竹下委員 ぜひ、現場の尻をたたいて、予算の執行を本当にスピード感を持ってやるということをしっかりとやっていただきたいと思う次第であります。

 それから、話はちょっと行ったり来たりいたしますが、今、民主党政権になってからの予算規模、特別会計を含めた予算規模は、この三年間どのように推移をしてきたか、そしてそれは、それまでの政権に比べてどれだけ多いか。私も数字は全然うろ覚えなものですから、九十一、二兆円というレベルの本予算、そして特別会計を含めますと二百十五兆円、あるいは二百二十兆円まで行ったのかな、それぐらいの規模に膨れ上がっているというふうに記憶をいたしておりますが、この辺の数字、今おわかりになれば、どんな状況にあるか、まず、その数字の前提の上でちょっと話をさせていただきたいと思います。

安住国務大臣 今年度の予算は九十兆でございます。それに、交付国債部分、二・六兆ですか、さらに復興が三・八兆乗りますので、トータルでいえば九十六兆円近い歳出を予定しております。これは、一般会計としては九十兆でございますけれども、特別会計等の予算は資料を確認してから御答弁させていただきたいと思います。今、手元に持ち合わせてございません。

海江田委員長 いいですか。わかりますか。

 では、続けて、安住財務大臣。

安住国務大臣 失礼しました。特別会計の歳出総額は三百九十四兆でございます。ですから、一般会計と総額でいうと四百八十四・四兆であります。

海江田委員長 重なっている部分がある。

安住国務大臣 ダブりを全部抜かすと、時間がないので純計でいいますと、二百二十八・八兆、これが純計でございます。

竹下委員 この予算規模、皆さん方に、この前の選挙のマニフェストでどんなことを予算について言ったか、もう一回思い起こしていただきたい。

 当時、たしか二百七兆であったと思いますが、特別会計と一般会計の純計、これを、無駄を省いて仕組みを変えれば、十六兆八千億円はすぐ出てくる、そして自分たちは無駄を省いて予算を縮小していくんだということを主張しておられました。

 我々は、いや、そんなことが簡単にできるわけない、財源は大変ですよと言ったら、当時の代表の鳩山さんは、心配しないでくれ、私たちがやるから、こうおっしゃった。今になってみると、あのうそは何だったんだろうと言わざるを得ない。そして、なおかつ予算規模は、一般会計でも、特別会計を含めたネットの数字でも、毎年膨大に膨れ上がってきておるという状況であります。

 そのときにもう一つおっしゃったことは、だから、十六兆八千億はすぐ出てくるので、赤字国債の増発は要らないし、増税もしなくてもいい、その上で、ばらまきの子ども手当云々等、幾らでもできるんですと。

 この財政の見通しの甘さというのが、今行き詰まっていることの大きな原点である、あるいはもっと言葉汚く言えば、大うその本元はここなんです。このうそをついたことをしっかりと、自民党になんて謝らなくていいんです、国民に謝りなさい。うそをついたことを国民にまずしっかり謝る。この見通しがめちゃくちゃ違ったということを謝る。それは、その後いろいろな、大震災が起きたり、あるいはヨーロッパの問題が起きたりして経済状況が厳しくなったことを仮に足しても引いても、原点のうそが全てに響いてきておるわけでありまして、その意味で、だからと言ったら変な話ですが、三年間続けて税収よりも借金の方が多い予算を組まざるを得なかったわけであります。

 私は、たしか菅財務大臣だったときだと思いますが、こんなに大らかに借金をしてどうするんですか、自民党のときでさえ、多いか少ないかはともかく、三十兆という天井を設けて、国債の発行は三十兆ということでやってきた、突然四十四兆、これはひどいじゃないですかという話をしたら、当時の菅財務大臣が答えたのは、自民党だってやったじゃないか、麻生内閣で補正を組んで、十四兆を積んで四十四兆をやったじゃないか、だから四十四兆だと。ああ、この人と話してもしようがないなと。要するに、補正で発行する借金と本予算で出す借金の質の違いすらわかっていない。この人と話してもしようがないなと非常に白けたことを今思い起こしております。

 その意味で、本当に肥大化をしつつある予算について、財務大臣はどんな認識を持っておられますか。

安住国務大臣 もちろん、十六・八兆を出さなかったということで、そのことについては、野田先生にも予算委員会で、私の方は、それは事実でございますので、おわびが足りないと思われるかもしれませんが、それはそれで事実でございます、努力はしましたが。

 私、財務大臣をさせていただいて半年過ぎましたけれども、やはり歳出の硬直化を何とかしないといけないと思います。防衛費にしたって、それこそ、皆さん財務省におられたり、財務副大臣をやられたり、一番よく御存じであられるわけですから、公共事業も、そうはいっても、やはりなかなか戦略的な投資ができない構図になっている。

 そういうことからいうと、やはり社会保障を与野党でどうやって、言葉は悪いですが、シェープアップをしていくというか、切り込んで適正なものにしていくか。そこはやはり、長年政治経験のある先生方がたくさん自民党にはおられるわけですから、私は、ぜひいろいろな場面で御一緒に前向きな話し合いをさせていただきながら、財務大臣としては、硬直化した予算構造を変えていって、未来への投資というのをいろいろな意味でやっていくための突破口というのをぜひ開かせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。

竹下委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、肥大化しておる予算、規模そのものが肥大化しておる。いろいろな事情はありますが、どう考えても、今の四十四兆円ですら借金のし過ぎであるという実感を持っておりますので、そのことを申し述べまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

海江田委員長 次に、竹内譲君。

竹内委員 公明党の竹内譲です。

 きょうは、最初に、マイナンバー法案につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 共通番号制度というのは、私どももそれなりに必要性を認識しておるわけでございますけれども、ただ、税と社会保障の一体改革のインフラともいうべき大事な法案でありますから、やはり、これこそ本当は与野党協議の対象に含めないといけないんじゃないかなというぐらいの認識を持っております。

 そこで、きょう申し上げておきたいのは、マイナンバー法案というのは住基のネットワークをベースにしているわけなんですが、実は、民主党の新しい方は余り御存じないかもわかりませんが、かつて民主党さんは、百四十六国会、百四十七国会、百五十国会、百五十一国会、百五十三国会、それから百五十六国会も、住基ネット廃止法案を出しているわけですね。そういう事実があるということをやはり一回生議員の方々もぜひ認識をしておいていただきたいと思うんですね。

 その上で、安住大臣にお尋ねしたいんですが、当初、なぜこれに反対だったのか、要するに、住基ネット廃止法案を出されたのか。ちょっとここをまずお尋ねしておきたいと思います。

安住国務大臣 今の名古屋市長の河村さんがその部会長か何かをやっていまして強く反対しまして、私は必要性を前から個人的には唱えておりましたけれども、やはり個人情報がどう管理されるのかということに対する懸念もあったことは事実でありまして、それで反対をしたというふうに記憶しております。

竹内委員 今回は住基ネットワークをベースにしたマイナンバー法案を出された。なぜ今度は出されたんですか、態度が反対になったのか。

安住国務大臣 必要だと思ったからです。

竹内委員 だから、かつては不必要だと思っていた、だめだと思っていた、ところが、今度は必要になったと。ここをやはり国民の皆さんに、なぜ必要になったかという、態度の変更理由を教えてください。

大串大臣政務官 確かに、今回、住基ネットの番号をベースに番号制度、マイナンバーに関しては、番号生成という段階においては、番号を付番してまいります。ただ、御案内のように、住基ネットというものの狙い、性格と、この番号制度、マイナンバーの狙い、制度は違います。

 今回の番号制度におきましては、そのメリット等々、公平な社会保障制度の基盤となっていくものということを考え、その導入によって所得把握の正確性を向上する等々のメリットを考えてのものでございますので、これはある意味では固有の目的等々がございます。

 確かに、住基ネットに反対した経緯等々ございますが、住基ネットにおける番号もそれなりに普及してきているという事実関係もこれあり、それをベースに付番をしていくのが実利的にもよかろうという判断もあり、今回これをベースとしたところでありますが、いずれにしても、番号制度は、番号制度の目的、メリットを勘案して、今回、こういうふうにしたということでございます。(発言する者あり)

竹内委員 ここで野田毅先生がおっしゃっているとおりだと思うんですよね。

 これは政治的な話でもありますので、きょうはこのぐらいにしておきますけれども、私どもは、この必要性はある程度認識しております。ただ、メリットのほかにデメリットというものもよく勘案しておかなければいけない。国民にもわかりやすく、懸念事項があるということはやはりきちっと国会の場を通じて周知していかなければいけない、このように思っているところでございます。

 そこで、先ほどの質問でメリットにつきましてはお聞きしましたので、今度は逆に、懸念されることは何かということを事務当局からお聞きしたいと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 番号制度についての懸念といたしましては、まず、諸外国などでも見られるわけですが、成り済ましということが起こるのではないか、それから、そういったことによって、例えば財産的な被害につながるのではないかとか、個人情報保護の観点から申し上げますと、各地で住民の方々と対話集会などもさせていただきますが、そのときに出されている懸念としては、情報漏えいや濫用の危険性の増大、意図しない個人情報が名寄せされ、突合され、追跡されるのではないかというような御懸念、それから、個人情報が国家管理されるのではないか、そういったような御懸念が提示されておりますし、また、諸外国の例などでもそういったことが生じないわけではないので、私ども、そういった点について十分、強い番号制度にしていく必要があると思っております。

竹内委員 質問通告をしておりますので、具体的に各国のお話を聞きたいと思います。

 まず、アメリカではどのような事件が多発していますか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 アメリカにおきましては、他人の、アメリカの場合はソーシャルセキュリティーナンバー、社会保障番号でございますが、それを利用して、例えば、退職警察官のソーシャルセキュリティーナンバーを利用してアメリカの退職公務員の給付を受けるという、年金の不正受給等の事例が報告されております。

竹内委員 それから、これも通知しておりますのでお聞きしたいんですが、韓国ではどのような事件が多発していますか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 韓国では、他人の住民登録番号を不正に入手し海外からオンラインゲームに登録した事例があったというようなことが、韓国の情報通信部から報告されたりいたしております。

竹内委員 番号がネット上で売買されているというような事例も、私どもはちょっと伺っておるわけであります。

 そのほかに、イギリス、英国は、かつて、二〇〇六年にIDカードを導入いたしました。しかしながら、最近これが廃止されているわけですね。この経緯、理由につきまして、お願いします。

中村政府参考人 先生御指摘のとおり、イギリスでは、二〇〇六年三月にIDカード法が制定され、例えば、二〇〇九年十一月にマンチェスターなどで試行、パイロット運用がされていたところでございますが、二〇一〇年、政権交代を機に、同年の十二月にこのIDカード法というのは廃止された経緯がございます。

 このIDカード法は、二〇〇一年九月に、九・一一テロを受けて、テロとの闘いのために、国民に義務的なIDカードを持たせることを制度化するとして検討され、ただいま申し上げたような経緯で法制化されたものと承知しておりますが、英国内務省の所管で、国家安全保障、入国審査の強化、不法就労禁止等の強化を狙ったものというふうに承知いたしております。

 これが廃止されました経緯につきましては、こういう目的に比して、多くの個人情報が政府の登録簿に記録される、例えば指紋とか生体認証とか、そういったものも全部登録されるとか、労働許可の期間なども登録される、そういう広範なデータ共有が可能になる、それから、個人情報が十分安全な状態で維持されないのではないかという懸念があり、廃止されたものと承知いたしております。

竹内委員 先行事例があって、こういういわばマイナス面も報告されているわけでございます。

 そういう意味では、今お話があったような、今後、個人情報の漏えいによるプライバシーの侵害であるとか、個人情報の不正利用による被害などをいかにして防いでいくか、この辺につきましてはどういうふうな対策がとられているのでしょうか。

中村政府参考人 ただいま三カ国の例を申し上げましたけれども、例えばアメリカや韓国の例では、本人確認が番号のみによって行われたり、番号に利用制限が設けられていなかったりして、成り済ましの事例が起きやすいシステムになっていたというようなこと、それから、英国の例では、データが内務省に集中管理されているというようなことなどが英国における懸念の原因になっている、こういうふうに認識しております。

 私ども、このマイナンバー法案で提案しておりますのは、番号制度について、国家による個人の情報の一元管理、あるいは各国に見られますような漏えい、不正利用ということを防ぐために、制度面とシステムの両面から措置を講じて対応することとしております。

 具体的には、特定の個人情報は、それぞれの機関、これは社会保障、税で使うとしているわけですが、それぞれ、例えば年金、医療、介護、そういった機関で分散管理する、税も同様でございます。利用範囲や情報を結びつける範囲は、これは法律で限定列挙し、規定する。それ以外のことは禁止する。それから、三条委員会型の独立性の強い個人番号情報保護委員会、いわば第三者委員会が監視、監督すること。情報システムへの適切な、つまり、権限を持った人以外アクセスすることができないアクセス制御や、通信に当たっては暗号化を図る。それから、官民の不当行為を抑止するための罰則をきちんと設け、また強化する。こういったことで対応してまいりたいと考えております。

竹内委員 先進国の事例を参考にしながらそれなりに対策を打っているというふうには思うわけでありますけれども、しかし、万全、一〇〇%ということはありませんよね。人間のやることですから、また、さまざまな知能のすぐれた方々の悪意が働けば、さまざまなファイアウオールも打ち破ることができるわけですから、その辺のリスクというものもどう勘案するか。この辺も、国民の皆さんによく周知徹底する必要があると思うんですよね。危険もやはり知ってもらうという必要があると思います。

 もう一つ大事なことは、いろいろあるんですが、その前に、システムの開発費用は、先ほど議論がありまして、大体六十八億円の予算で、最終的には五百億円程度、プラス、カードほか、さまざまなコストがかかるということで、六千億円とか五千億円とかという、何かすごい宝の山みたいな話が当初ありましたが、もう一度確認しておきますが、そういうことではない、こういうことでよろしいですか。

中村政府参考人 そのとおりでございまして、できる限り効率的で、安全で、しかし、できるだけ費用を抑制したシステムを導入すべく、また各方面からの御指導もいただきながら、鋭意その方向で進めてまいりたいと考えております。

竹内委員 コストはそういう感じなんですが、今度は、このマイナンバー制度の導入による便益の方はどのように見積もっておられますか。

中村政府参考人 メリットに関しましては、金銭で評価される面と評価されない面があるかと思っております。

 まず、金銭で評価されない面といたしましては、これまで人力やそういうことではできなかったことができるように、先ほど来議論になっております総合合算制度や給付つき税額控除制度など、そういったものも番号制度が円滑に機能することが前提になっている、こういうふうに認識いたしております。

 また、行政内部では、これまで、複数の機関に存在しております個人の情報がその方の情報であるということの確認に多大な労力をかけておりますので、そういったことが節減されること。また、住民の方々は、縦割りの制度のもとで、それぞれに添付文書をつけなければならない、そういった目に見えない住民の方々の労力が、一カ所に届け出すれば、ほかの添付文書は省略される。そういった効果があると考えております。

 これらがどれだけの費用の節減になるかというようなことにつきましては、現在、私どもの方で精査中でございますので、まとまり次第、御報告をさせていただきたいと考えております。

竹内委員 これもいわば知的インフラに近いと思いますので、BバイCといいますか、やはりそういうベネフィットの部分をそれなりに金銭評価していく努力は必要だというふうに思います。

 やや細かい話になりますが、預金通帳をマイナンバーの適用外としてあると思うんですが、その理由はどういうことでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 マイナンバーにつきましては、先ほど申し上げましたように、税分野、社会保障分野、また、大災害などの分野におきまして使っていただくということで、その利用範囲につきましては、それぞれ別表で、今九十三項目が別表一として列挙されているところでございます。

 具体的に、それぞれの分野でどのように番号を使っていくかということにつきましては、それぞれの分野における判断によるというふうに考えられますので、税務上の調書等に番号をつけていただくということになりますが、現在、そういったことで番号を使われていない分野に番号をおつけいただく場合には、それぞれの分野において御判断いただきまして、必要な法改正をしていただき、例えば、番号法の別表なども、新たにそういった分野に使う場合には別表改正をしていただく。そういうシステムで、順次、社会保障と税については利用範囲を拡大していただきたいと思っております。

 また、番号運用後、施行後三年で、行政分野での拡大をするかどうかということについても判断していただく。また、民間からは、民間で利用したいという御希望は非常に強くいただいておりますので、そういったことの是非につきましても、番号法の施行状況を見て、その見直しの際にまた国会において御判断いただけるものと考えております。

竹内委員 一歩一歩というか、一つ一つ丁寧に議論を進めないといけないな、非常に重要な法案であるなというふうに改めて思うんですね。

 これを導入すれば、事業所得であるとか株式譲渡益とか、そういうものが把握されるということでもないと。その辺は限界があると思うんですね。それはそういうことですね、そういう理解でいいですね。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 この番号法を作成するに当たりまして、昨年六月、番号制度大綱というのをまとめましたが、その大綱の中でも、番号制度については、非常に可能性があるけれども、他方、全てができるわけではない、それぞれの限界があると。例えば、個別の取引全てをこの番号制度によって把握することは現実的ではないというようなことが書いてございますので、そういった意味で、全てができるわけではありませんし、また、適切な番号制度を運用していくためには、例えばシステムのバックアップ体制とか、留意事項もあるということでございます。そういった意味で、先生の御指摘のとおりだと考えております。

竹内委員 それで、これはこれからのことかもしれないんですが、財団法人地方自治情報センターというのがありますよね。これは、住基ネットを動かす財団といいますか、そういうことなんですが、今後、地方共同法人として共通番号の付番機関に衣がえするというような、そういう話はあるんでしょうか。進んでいるんでしょうか。

中村政府参考人 マイナンバー法上、個人番号の付番は市町村長にお願いをしております。国民お一人お一人に唯一無二の番号を持っていただく必要がありますので、ダブったりしないように、全国千八百の市町村長さんにこの仕事をやっていただくわけですが、やはり、その番号の生成に当たりましては、そのことを担当する機関が必要であるということで、現在、財団法人地方自治情報センターがございますが、それを新たに地方共同法人化して、この番号生成関係の任務を、市町村長のバックアップをするという意味で使っていくという枠組みで御提案を申し上げているところでございます。

竹内委員 この財団法人地方自治情報センターというのは、これは、民主党さんの方で、事業仕分け第二弾で、見直し対象になっているんですね。これをマイナンバーの付番機関として使うということなんですけれども。

 私どもがやはりここで、これもかつて民主党さんがよくおっしゃっていたことですけれども、こういうことが、総務省を初めとした役人の皆さんの単なる天下り機関になってはいかぬ、そのためにそういうものができたみたいなことになるとまずいというのは当たり前の話だと思うんですね。それは民主党の皆さんも納得されることだと思うんですね。その辺のこともよく見ておく必要もある、目配りもしておく必要がある、このことは申し上げておきたいと思います。

 この問題は、もう一つ、私は、最大は、やはり国により監視、監督されるおそれという社会的、文化的なこの問題をどう考えるかと。分散的に管理するということでいろいろなリスクが集中することを防ぐようなシステムにはなっているんですが、しかし、いざというときはそれをコネクトできる、そして、そこにコネクトする、結びつける人間がいるわけですから、だから、いざとなれば、国家は個人の全てを知ることができる。こういう社会的な、文化的な、歴史的な、この日本の土壌との関係でどう考えるか、そういう問題がやはり提起されていると思うんです。

 この辺を含めて、これは安住大臣ですか、まず、これは政治家にぜひ聞いておきたいんです。

大串大臣政務官 番号制度は、確かに今議論のありましたように、メリットもあり、デメリットといいますか、懸念されるところもございます。

 メリットとしては、御案内のように、個人に関する情報というのはいろいろなところの機関がそれぞれ分別して持っている、それを、今回、番号制度の番号というものを一つ付番して、それにそれぞれの番号を並び立てることによって、そして、先ほど話のありましたように、それぞれ連携する部分は法律で規定することによってつなげられるということで、個人に関する情報を連携できるようにする、こういう仕組みでございます。

 ですから、そういう意味で、所得情報等々が把握しやすくなるというメリットもあれば、一元的に見られるようになってしまうのではないかという懸念もあります。

 これもあることがありますものですから、先ほど議論もありましたように、今申し上げましたように、番号それのみをもってして全ての情報をつなげられるということにしたのではなくて、番号そのものから、別途、またそれぞれの情報に存在する番号とつなげることによって、そして、つなげるときにはその範囲を法律で規定することによって、そして、そのつなげる範囲を一つ一つ慎重に考えていくことによって、一元的に国家によって全ての情報が管理されるのではないかというような懸念にならないようにしていきたい、こういうことでございます。

安住国務大臣 先ほど先生の話を聞いていて、不正使用というのは、以前、河村さんが言っていたことと、結構そういうこともあるのかなと。そういう点では、やはり、運用等について、しっかり国民の皆さんから不安を持たれないようなやり方をしていかなければならないと思いますのと同時に、先生がおっしゃっていることというのは、我が国の長い歴史の中で、国民が政府、国家に管理されて、いわば戦争のときもそうでございますが、そういう歴史の中でどう考えるかという御質問だと思うんです。

 だから、そういうことからいうと、今回は、役所にとって役に立つものではなくて、国民の皆さんから見て役に立つマイナンバーにしていかなければならないと思いますので、そういう点では、今、大串政務官からもありましたが、使い方を十分注意しながらやっていきたいと思っております。

竹内委員 非常に重要な問題だと思いますので、国民の皆さんに問題を共有していただくように、この点につきましても国民に説明会をやってもらわないといけないというふうに思います。これは要望にとどめておきます。

 きょうは自見金融大臣に来ていただいておりますので、次の質問に移りますが、銀行における金利上昇に対する備えというのは、衆議院の予算委員会でも白川日銀総裁からいろいろ答弁があったわけでございますけれども、メガバンクにつきましては、ある程度、さまざまな準備をしているというふうに承知しておりますけれども、地銀につきましてはどうなのか。各行が金利上昇に対してどのような対策を講じているか、また検討しているかについて、詳細を把握しているかどうか、お答えいただきたいと思います。

自見国務大臣 竹内議員にお答えをさせていただきます。

 先生は都市銀行でかつて働いておられた経験をお持ちでございますが、きょうの御質問は、地域銀行、地方銀行において金利上昇リスクについてどのような対応をとっているのかという御質問だと思いますが、地域銀行においては、先生御存じのように、預金の増加等を背景に、このところ国債保有が増加するなど、金利上昇リスクへの適切な対応が重要になってきていると認識をいたしております。

 個々の金融機関の具体的なリスク管理手法等については、当局としては、今逐一コメントすることは差し控えたいと思いますが、一般論として言えば、各金融機関が、適切なリスク管理のもと、国債を初めとする有価証券の運用については、みずから適切に投資判断等を行っていくことが重要であると思っております。

 それから、もう先生御存じのように、今の事務年度の金融機関の監督方針でございますが、地域金融機関において、国債などの債券の総資産に対する比重が高まっていること等を踏まえ、長期金利が上昇した場合の影響が検討されているか等、市場リスク管理体制を注視、検討することとしておりまして、こうした取り組みを通じて、適切なリスク管理のもとに、金融機関の財務健全性が確保されるように、引き続き適切に監督してまいりたいというふうに思っております。

竹内委員 ひとつよろしくお願いします。

 それともう一つは、今度は、民間金融機関の預金保険料の問題でございまして、これは、かつて金融危機が日本であったときに、かなり、七倍に一気に引き上げましたので、その後、それなりに積立金がたまっているという状況にあるわけであります。

 そういう中で、この預金保険料をある程度引き下げてもいいんじゃないかという議論もありましたし、我々もまた、そのように思っておるところであります。その点につきましてはいかがですか。

自見国務大臣 竹内議員から、預金保険料の引き下げについての、保険料率についての御質問だと思いますけれども、今後の預金保険料率のあり方については、預金保険機構を中心に検討が進められているところでありまして、現段階ではまだ結論が出ておりません。先生が今言われたように、金融危機のとき七倍に上げたということでございました。たしか、私の記憶が正しければ、今、十万分の八十四ですね、七倍に上げて、預金保険料率になっていると思います。

 預金保険料率については、先生も御専門家でございますが、まず、やはり預金保険機構の財政の長期的な均衡はもとより、金融機関がどれくらい負担能力があるかということ、それから、今では、もう御存じのように、ヨーロッパ、欧州の厳しい財政金融事情や我が国の金融システムに及ぼす影響等も勘案する必要があるというふうに思っておりまして、いずれにいたしましても、今後、預金保険料については、こうしたことを総合的に勘案し、適切に検討を進めていきたいというふうに思っております。

 先生御存じのように、二十四年度の預金保険料については、三月の下旬までに決める必要があると聞いておりますので、今申し上げたような考えに基づいて、各業界の皆様方の意見もしっかり承りながら具体的な検討を進めるように、長官以下の事務方に指示しているところでございます。

竹内委員 では、ひとつよろしくお願いします。

 それで、安住大臣は、この消費税につきましての集会で全国を今回られておると。今後、まだまだ引き上げるかどうか、そんなことは、法案も出ていないので、決定されたことでもありませんけれども、しかし、その中では、例えば、上げるのであれば生活必需品などは据え置いてほしいとか、軽減税率を適用してほしいとか、そういう意見が多々あったと思うんですが、それはいかがですか。

安住国務大臣 全国歩いておりますけれども、やはり食料品とかについての軽減税率をお述べになる方もおられますし、あとは、やはり所得の低い方々とか年金で暮らしている、そういう方々に対しての配慮等でそういうことをお訴えになる方も結構おいでになられました。

 ですから、そういう点では、それぞれの地方で、反対論や慎重論もありますが、制度を前提に、導入を前提に、そうしたいわばセーフティーネットを具体的にどうつくるのかという、そういう前向きな御提案も結構いただいております。

竹内委員 税と社会保障の一体改革の大綱を拝見しますと、今回は、一〇%で、単一税率でいきたいと。軽減税率をすると、上の方は一二%ぐらいにしないといけないというようなことが書かれているんです。

 しかし、もしも実際にやるとなったら、なかなか、単一税率で一〇%というのは御理解いただけるかどうか。皆さん、政治家ですから、各選挙区で、それはなかなか、一〇%で全てというのは非常に困難な、厳しい局面に直面することが多いんじゃないかなと私は想像するんです。

 そうなってくると、消費税分を転嫁する仕組みというか、きちっと、益税になったり、あるいは今度は取られ過ぎたりとか、そういうことがないようにするためには、新たな仕組みも考えないといけないんじゃないか。

 そういう意味では、日本では非常に嫌われていますけれども、インボイス制度、やはりちょっとこれは考えていかないといけないんじゃないかなと思うんです。大綱の中ではばっさり切られていますが、いろいろな議論はやはりあったと思うんですが、その辺は、政府の中ではどういう議論だったんでしょうか。

五十嵐副大臣 確かに両論ありましたし、それぞれに、今の請求書等保存方式とインボイス方式では、長所と短所が双方にございます。

 インボイスを入れれば、確かに、先生おっしゃるとおり、複数税率を採用するのがより容易になる、適用税率と税額が明記をされまして、そして転嫁がきちんとできるというようなメリットがあると思います。

 しかし一方で、インボイスを入れますと、まず、中小事業者の事務が大変増加をいたします。そのために、中小企業団体からはインボイスは勘弁してくれという御要請が現にございますし、それからまた、非課税業者が間に挟まると、中間段階での取引から排除されるおそれがあるということになります。

 今の帳簿方式ですと、非課税業者が入っても仕入れ税額控除ができますので、そういうことが起きないというような、長所、短所ありますので、両論を慎重に検討して、一〇%までの段階ではインボイスは入れないのでもいいのではないか、今の方式の方がメリットがより大きいのではないかという判断を今しているところでございます。

竹内委員 しかし、とはいえ、恐らく一〇%というのは非常に厳しいと思いますね、単一税率というのは。私の受ける感じですよ。

 非常に景気が悪いということもありますし、それと、住宅なんかでも、ヨーロッパなんかではむしろ軽減されていますよね。住宅などの場合は、大変大きな買い物ですから、物すごい違いが出てくるわけでありまして、非常によく考えないといけないなというふうに思います。

 まだ始まったばかりですけれども、引き続き、法案もこれから出てくるでしょうし、しっかりとした議論をやってまいりたいと思います。

 まだまだ質問を用意しておりましたけれども、まだ先は長いので、きょうはこのぐらいにさせていただきます。ありがとうございました。

海江田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 まず、社会保障・税一体改革についてお聞きしたいと思うんですが、岡田副総理の一月二十日の会見では、一体改革・広報に関する基本方針という文書を配付いたしまして、記者会見が行われております。

 政府はそれまで、増税分の使い道を社会保障の機能維持ですとか機能強化などの表現で説明をしてきた。ところが、岡田さんは、私には意味がわからなかった、皆さんはわかりましたかと記者会見で語っているわけです。幹事長だったのに、意味がわからなかったという、人ごとのような発言をされているんですけれども、いずれにしても、説明ぶりを変えたわけであります。

 安住大臣、改めて、なぜ説明を変えたのか、その理由を説明していただきたいと思います。

大串大臣政務官 まず、事実関係から御報告させていただきます。

 きょう、佐々木委員からも資料でお配りいただいておりますけれども、昨年の六月に成案を取りまとめたときに、五%の分のフレームということで、この資料の二枚目にある、引き上げによる安定財源確保を通じて、結果としてどのようなものが賄われるのかというものを示しました。

 その後に、今般、本年一月に政府・与党本部で素案を取りまとめた後、関係五大臣会合において議論をしまして、もともとの増税分に関して全額社会保障財源となりますということを言っていました。

 それをわかりやすくきちんとするために、それを国民にわかりやすく説明するという観点から、佐々木委員が配付されました資料の一枚目にありますような、社会保障の充実二・七兆円、そしてそれ以外の部分、社会保障の安定化、今の社会保障制度を守る、これが十・八兆円、こういうふうにしたわけでございます。

 これは、あくまでも、今回の社会保障の財源のための消費税の引き上げが全額社会保障財源になりますということをよりわかりやすく示すため、こういったことでの変更でございました。

安住国務大臣 今、大串政務官からお話ありましたとおりなんですが、やはり、例えば、一部新聞報道なんかで、戦車を買うのにも使うのかとかいろいろな批判がありましたから、そういう意味では、今政務官が言うように、社会保障にしっかり使っていく、そのことを具体的に、わかりやすく説明した方がいいということで、機能強化とか、余り国民の皆さんから見てなじみのない言葉を使っていたものですから、使い方について、そういうやり方に変えたということでございます。

佐々木(憲)委員 それで、これはただ説明を変えただけなのか、それとも内容がかなり変わってきているのか。

 そこで、具体的に確認をしたいんです。

 まず、今事例として挙げました「消費税引上げに伴う社会保障支出等の増」という部分であります。二枚目の資料の一番下のところに一%相当となっておりましたが、これは、消費税増税に伴って支出がふえていく、その増税分を上乗せして支出しなければなりませんのでふえる分があると。一%相当というと二・七兆円でありました。

 前の表では、社会保障関係でふえる部分と、それ以外の、例えば防衛省の支出などもこれに入る、そういうことだったと思うんですが、それを除いて、新しい説明になりますと、一枚目ですね、「消費税引上げに伴う社会保障支出の増」というふうに、社会保障に限定した書き方になっていて、金額は〇・八兆円程度、こういうふうになっていますね。

 つまり、一%相当分は二・七兆だったわけです。〇・八兆に限定してここは書かれている。それ以外の一・九兆円分、これは外されたわけですね。この外された一・九兆円分というのは、一体どこで負担するんですか。

大串大臣政務官 御案内のように、この二枚目の資料のところにあります「消費税引上げに伴う社会保障支出等の増」一%と今御指摘がありました。ここのお金がどこに行ったのかということですが、その前に、昨年の六月にこの二枚目の表をつくったときに、もう一方、この文章の中に、増税分に関しては社会保障のために使うということは明らかに書いていました。若干、説明がいま一つはっきりしていなかったところがありましたものですから、よりそれを明らかにするということで、この一月に、その部分をより明らかに、社会保障に全部充てるんだということでこの一枚目の表にしたわけでございます。

 ということで、いわゆる消費税の増税分の直接的な影響として、いろいろな政府購入物の金額が上がってしまうということに関しては、消費税増税分ではなく通常の一般財源で賄う、こういうことになります。

佐々木(憲)委員 一般財源でそれをカバーする、こういう考えになった、なったといいますか、そういうふうに表現したということですね。

 次に、国と地方の関係ですけれども、消費税増税五%のうち、国と地方の配分というのはどうなるのか、それぞれの取り分、これはどうなるのか、説明をしていただきたいと思います。

大串大臣政務官 今般、消費税率を五%引き上げて、二〇一五年十月以降における国、地方トータルの社会保障の充実と安定化の姿については、もう既に整理しております。

 これを国、地方でどのように分けていくかということについては、これから社会保障の具体策をどう組んでいくかということによりますので、厳密なところは非常に困難な面があるのでありますけれども、一方で、消費税収五%の全体でいうところの国、地方の配分については、社会保障四経費にのっとった範囲の社会保障給付における国、地方の役割分担に応じまして、国分三・四六%、これは九・三兆円程度、そして地方分一・五四%、これは四・二兆円程度というふうな、これは本当に、先ほど申しましたように、これからの社会保障制度の充実をどのような形で具体的に組んでいくかにもよりますものですから、そういった要素はありますけれども、今のところ、国、地方の役割分担に応じてこのようなことを考えているところでございます。

佐々木(憲)委員 そうすると、国が七割、地方が三割、ほぼそういう姿になるわけですね。

 配付資料には、一枚目を見ていただきますと、五%全体を項目別に配分するとこうなるというのが出ております。この中で、地方に回る分、これはどのように入っているのか。一つ一つ確認をしたいんですが、社会保障の充実というところと、社会保障の安定化、左側のところにそういうふうになっていますね。

 まず、上の、社会保障の充実二・七兆円、このうち地方分は幾らですか。

大串大臣政務官 この充実二・七兆円分でございますけれども、繰り返しになりますが、今後の具体的な施策の内容によりますというところがありますことを繰り返し申し上げた上で、現行の国、地方の負担割合などを参考に機械的に計算してみると、このうち国が一・八五兆円程度、地方は〇・八五兆円程度、こういった形になろうかと思います。

佐々木(憲)委員 地方分は〇・八五兆ということであります。

 この中には、子ども・子育て対策〇・七兆円程度、それから医療・介護の充実一・六兆円弱、年金制度の改善〇・六兆円程度、こういうのが全体の枠としては含まれるわけでありますが、地方の分はそれぞれ幾らになるんでしょうか。そういう数字はありますか。

大串大臣政務官 先ほど申しました、二・七兆円分に対する一・八五兆円と〇・八五兆円ということでございまして、今申し上げましたように、どのような充実策をこれから具体につくっていくかによるところが大でございます。

 先ほどの数字は、現行の国、地方の負担割合等を参考にして機械的に計算してみたものでございますので、子ども・子育て対策あるいは医療・介護の充実策、年金制度の改革、これは今、法案をこれからつくって出していこうというところでございます。この法案の決まりぐあいによって、具体的な、それぞれに関する国、地方の割合のところは決まっていくということになろうかと思います。

佐々木(憲)委員 そうすると、そこはまだはっきりしない、細かなところは。

 それから次に、下の方の、社会保障の安定化十・八兆円、これはどうなるのか。このうち、はっきりしているのは年金国庫負担二分の一ですね。これは国ですよね。これは間違いありませんね。

 それから、一番下の、消費税引き上げに伴う社会保障支出の〇・八兆円、これは国の支出分のみをあらわしているのか、地方分もこの中に含んでいるのか、どちらですか。

大串大臣政務官 今おっしゃるとおり、年金国庫負担の二分の一、これは国分のみでございます。

 一番下にあります「消費税引上げに伴う社会保障支出の増」〇・八兆円、これも、先ほど申しましたように、機械的にざくっと、あえて試算をしてみれば、国が〇・七兆円程度で、地方が〇・一兆円程度というふうに試算されようかというふうに思います。

佐々木(憲)委員 それでは、ちょうど真ん中の後代への負担のツケ回しの軽減七兆円。説明によると、「高齢化等に伴う増(自然増)や安定財源が確保できていない既存の社会保障費」とされておりますが、この安定財源が確保できていない既存の社会保障費にはどのようなものが含まれるのか、それから、その金額は幾らでしょうか。

大串大臣政務官 今、どのようなものが含まれるかという御質問でありましたけれども、御案内のように、今の予算を見ていただきますと、社会保障関係費が二十七、八兆円というふうになる中で、全体の予算、九十兆円の予算に関しては、その半分近くを国債でファイナンスしているという状況があります。

 ここの、後代への負担のツケ回しの軽減というところに関しましては、今のいわゆる社会保障のお金が安定財源、いわゆる税収で賄えていない部分という本源的な部分、それと、今後高齢化によっていわゆる自然増が起きていくであろうという部分がこの中身になっております。

 この中身に関しましても、国と地方がどうなっているかということを計算するのも、あえての機械的な試算になりますけれども、この七兆円の部分のうち、国が三・九兆円程度で、地方が三・二兆円程度ということになろうかというふうに思います。

佐々木(憲)委員 今の説明は、両方を合わせた、国、地方全体の配分のものですね。

 私が聞いたのは、既存の社会保障費で安定財源が確保できていない部分、この部分については幾らかと聞いたんです。

大串大臣政務官 済みません、今の御質問、ちょっと、趣旨をもう少し教えていただければと思います。

佐々木(憲)委員 ここに書いてあるのは、高齢化に伴ういわば自然増の部分と、それから、安定財源が確保できていない既存の社会保障費という、この二つに分けて書いていますよね。「や」というんですから、二つに分かれているわけです。

 したがって、まずは、その七・〇兆円のそれぞれの金額が幾らか、それから、安定財源が確保できていない既存の社会保障費というのは、例えばどういうものがこの中に入るか、これを聞いているわけです。

大串大臣政務官 この七・〇兆円の部分で、高齢化に伴う増、安定財源を確保できない既存の社会保障費の部分、ここは、国、地方の分担も含めて細かく計算しておるわけではなくて、先ほど申しました国、地方の分担のところも、現在の仕組みを前提に計算したものでございますので、今のところの私たちが持っている数字は、今申し上げたような数字だけでございます。

海江田委員長 国、地方以前のところでは分かれるの、分かれないの。国、地方を分ける前のトータルで、分かれるのか、分かれないのか。そうでしょう。

 では、もう一回、ちょっと整理して言ってください。

大串大臣政務官 七兆円の部分の内容は、今申し上げましたように、いわゆる高齢化に伴う自然増の部分と安定財源が今でも確保できていない部分、こういうことでございます。これを国、地方という役割で分けてみると、大体、国が三・九兆円程度、地方が三・二兆円程度、そういった形になってございます。

 さらに、その内訳の部分がどうなっているかということになると、そこは私たちもまだ、さらにそこ以上のところは分析しておらないというのが実態でございます。

佐々木(憲)委員 どうも中身がはっきりしないんですね。

 それで、既存の社会保障費というのは、一体何を想定してこういうふうに入れているんですか。

大串大臣政務官 この後代への負担のツケ回しの軽減というのは、いわゆる二・七兆円の、これから充実する分ではなくて、今存在する制度を前提として、これでも財政の足りない部分、例えば、現在、国、地方合わせた社会保障の四経費の金額、これは二〇一一年度ベースで三十二兆円ございます。これが二〇一五年度には三十七兆円程度まで、五兆円程度増加していくというのが、ある意味この五カ年における高齢化等々でふえていくものというふうになってございます。

 そこまでの数字はございますけれども、それがある意味高齢化に伴う自然増の部分でありまして、それ以外のところは、いわゆるファイナンスされていない、赤字に伴う部分であるというふうに考えています。

佐々木(憲)委員 高齢化に伴う部分というのは、要するに、金額は幾らなんですか。

安住国務大臣 二〇一五年度で多分二・九ぐらいなんです。

 それで、先生が言っているのは七兆の内訳の話なんでしょう。だから、高齢化のそういう公費負担というのは大体それぐらいかなと思っています、今のベースでいえば。

 ということは、残り大体四兆円ぐらいですよね。これは何になるのかという話なんですけれども、そこは、公費負担を今している、そして、なおかつ安定財源が確保されていない部分ということになるわけです。そこは、例えば、確定したわけではないんですが、その穴の中には、多分、現行の年金の給付、診療報酬や介護報酬などでかかるような公費負担の部分なども含まれるので、そういうものが積算されると大体四兆円くらいになるのかなと。すると、七兆になる。

 ただ、それを地方と国で分けると、さっき政務官が言ったような数字になるということだと思います。

佐々木(憲)委員 自然増は、毎年一兆円程度ふえていくという説明をされていますよね。そうすると、二〇一五年の段階では今から二・九兆ふえる、こういう考え方なんでしょうか。

大串大臣政務官 今、二〇一一年度から二〇一五年度までの高齢化等に伴う増は二・九兆円という話が安住大臣からありました。それが、これから、二〇一一年度から二〇一五年度までに伴う増の数字、まさにそのとおりでございます。

佐々木(憲)委員 今かなり細かな数字をお聞きいたしましたが、積み上げベースじゃないものですから、上から大ざっぱに計算しているもので、内容的に本当に整合性がとれているのかどうか、それから、では何をどのようにふやすのか、あるいは効率化で減らすのか、その辺が全くわからないわけであります。大ざっぱな数字はわかりますよ、大体こんなものだと。しかし、今の説明だけでは、どうも整合性がとれていないような感じを受けました。

 きょうは確認だけでありまして、これをもとにしてこれからいろいろ議論をしていきたいと思っております。もう時間が来てしまいましたので、続きはまた次回行うということで、きょうは終わりたいと思います。

海江田委員長 次に、豊田潤多郎君。

豊田委員 新党きづなの豊田潤多郎でございます。

 私は、安住大臣に、過去三回で関連を合わせ二問質問ということになりましたが、きょうは、一番冒頭に申し上げました三番目の、昨年の年末に私が離党を決意した最後のホップ、ステップ、ジャンプのジャンプの質問になるわけですけれども、改めて申し上げますと、統治機構、組織の見直しを含む徹底した無駄の排除と予算の効率化による歳出の大幅削減を実行しないまま、なぜ消費税の増税だけを強引に進めようとしたのか。これは過去形ですけれども、しているのかということになると思いますが、まず、それにお答え願いたいと思います。

安住国務大臣 やはり社会保障の充実、それから、それに伴う財源の確保というのは喫緊の課題であります。ですから、そういう点では、さまざまな、我が国の深刻な財政状況を考えれば、私は、一年でも早く消費税というものを国民の皆さんの合意を得て引き上げさせていただいて、そうした財源に充てていくということが必要であるというふうに考えております。

 これは、総理も含めて昨年の十二月の末に行われた我が党の税と社会保障の素案の決定においても、熱心な議論はありましたけれども、最後はそれで決定をしたということです。

豊田委員 今の御説明は私の問いに答えていない。単に消費税を財源として必要だから上げるんだ、そういうことでありまして、私の問いは、消費税を上げる前になぜ歳出の大幅削減を実行しないんだと。統治機構や組織の見直しを含む徹底した無駄の排除、予算の効率化。

 これは、この前も委員会で申し上げましたが、具体的数字を申し上げますと、一月のNHKの世論調査では、七一・二%の人が消費税の増税の前にやるべきことがあるのではないかということを言っていますし、消費税そのものを反対の人は一三・六%、これを合わせると八四・八%、八割五分の人が消費税に反対ですが、そのうちの七〇%を超える人は、消費税はやむなしとしても、その前にやるべきことがあるであろう、こう言っているわけですね。

 だから、私の質問に、安住大臣、全然お答えになっていない。私も当然、財政的に今大変だということはよくわかっておりますし、いずれ消費税は上げるべきものであるというのは私も同感であります。ずっと申し上げています。しかし、その前にやることがあるだろうということに何にもお答えになっていないということ。

 さらに、時間が十五分しかないので、もう全部思いのたけを申し上げますが、今民主党の中で、消費税の増税の前に、つけ焼き刃的に、総理が去年の秋ぐらいから、余りの世論の反発の強さに、行政改革、政治改革を一体としてやっていくんだ、そういうことをつけ焼き刃的に持ち出された。これは、私は、三つポイントをつけ加えて、安住大臣にもう一度お答えを願いたいと思います。

 一問目は、一問目というか第一のポイントは、なぜ行財政改革なり政治改革なりを実現、実行してから消費税を引き上げようとしないのか。やります、やりますという口約束ばかりで、具体的に言えば、例えば行財政改革を本気にやるんだったら、消費税の増税法案の大綱を決めるときに行財政改革法案の大綱というのが出てきてもいいんじゃないんですか。あるいは、消費税の法案を本当に閣議決定するのなら、少なくともあわせて、その時期に行財政改革の具体的な実行法案というようなものも決定する。あるいは、法案だけではないかもしれませんが、そういう閣議決定を行う。まず、やるという実行、実現をしてから、消費税の増税の議論に入るべきではないか、これが第一点です。

 第二点。今民主党の中で、私はもう民主党を離れてしまいましたから状況がもう一つよくわかりませんけれども、昨年の十二月十四日に、今の岡田副総理を会長として行政改革調査会というのを発足された。党の中の機関です。それから三人も、その後、中川さんにかわり、それから今は中野寛成さんにかわっている。実質、二カ月ぐらいの間に三人、トップが交代している。こういうふうな状況で、本当に行財政改革に本気で取り組むつもりがあるんでしょうか。これは、誰にかわったってやるんですというふうにお答えになると思いますが。

 それに関連して、その中身の話なんです。

 岡田さんが、やめる前にとりあえずまとめなきゃならないというので、独法とか特別会計を統廃合する案をまとめられましたけれども、あれも中身の全くない話で、例えば独法でいえば、A法人とB法人を統合した、名前はAB法人にした、しかし実態は二つのものが一緒になっただけで、何らそこの中に、削減なりそういう工夫がされていない。

 特会にしても、A特会とB特会を足してAB特会にするということですが、中の勘定はみんな残ったまま。場合によっては……(発言する者あり)いや、だから、中身の話は具体的にまだ出てきていないじゃないですか。出ますよじゃなくて、出してください。まず、そういう形の、独法なりあるいは特別会計の試算で、実際にどれだけ経費が削減されているかという試算もその見込みもなされていないという内容。

 それから、中川さんが行政構造改革法案の骨子として出されたのも、十三年度までに公務員の総人件費を二割削減するというのも、その具体的な期間を検討するということで実施時期を先送りした。それから、五年間で一千四百億円以上の公務員住宅売却とした数値目標も消し去られた。こういうのが中川さんの段階で出てきた。

 そして、これは二月の二十九日ですけれども、中野会長のもとで、これは議員立法ということで提出する予定とお聞きしていますが、行政改革実行法案という仮称で、出されたのも、公務員の人件費の二割削減を目標とする、目標とするですね。それから、二〇一六年度末までに五千億円以上を目安として国有地の売却を行うということなんですが、具体的にどうするかという手順は全く明確にされていない。

 こういうことで、本当にきちっと行財政改革というものを本気で取り組んでやっていかれるんだろうか、私はそこに非常に疑問を感じているわけです。

 それから三番目。これは今までも御質問の中にありましたけれども、社会保障の関連法案、今国会に提出予定とされているもので、重立ったものが五本あるというふうに私は理解しております。

 そのうち、国民年金法改正案というのは既に提出されています。私の情報は数日前のものですから、時間的にタイムラグがあって、ちゃんと措置されていたらこれは申しわけないと思いますけれども、私が数日前に得た情報では、子ども・子育て新システム関連法案、これはまだ未提出。三月をめどに出したいというようなお話のようですが、未提出。それから年金改革関連法案、これも未提出。これは提出のおくれもあり、内容が後退する可能性もあると言われているようです。それから健康保険法等改正案、これは提出のめどが立たずということのようです。それから介護保険法改正案、これも提出のめどが立たず。

 ですから、重立った社会保障関連法案、五本あるうちの一本は出ておりますが、四本は未提出。しかも、ほとんどめどが立たないとかおくれるんじゃないかというような、これで一体改革というのは、今までも皆さんいろいろ指摘されておられますけれども、これが社会保障と税の一体改革だというのは、私は非常に疑問を感じる。

 この三点。行財政改革をまず実現、実行してから消費税の議論に入るべきじゃないか。二番目に、今民主党の中で検討されている案というのは、本当におやりになる覚悟でやっておられるんだろうか。三番目に、社会保障のところの今提出の法案、これが間に合わない、時期的に何か準備中だとはおっしゃると思いますけれども。

 本当に、なぜ消費税だけが先に先行して上がっていくのか。私は、消費税の増税の前にやるべきことがあるのではないかという観点で、改めて、もう一度大臣の見解を問います。

安住国務大臣 非常に民主党に関心を持っておられるようですから……(豊田委員「関心というか、もといたところですからね」と呼ぶ)そんなに関心があるのなら、やはり頑張っていて、自分の目標を少しでも、もし党の方に反映するんだったら、豊田さんのような方であれば党で頑張ってもらいたかったなと思うんです。

 私は、三つ答える前に、一つ疑問があるんです。きのう、渡辺浩一郎さんという方は同じ党ですね、予算委員会で私に、やはり公共事業をもっとどんどんやれ、財政支出をやらないと景気は落ち込むという話をしていました。まだ政策的に、新しい党になられて、御主張が合っていないのかもしれませんけれども、やはり、人によって言うことが違うというのは、ちょっとなかなか答えるのが厳しいところがあります。

 それで、歳出の削減については、公務員の歳出カットは、やはりコンセンサスを得て実現しました。だから、自民党、公明党、そして我が党で話し合って、やはりそうやってコンセンサスを得なければ実現しないんですね。実現をして、さかのぼって四月までやるのは、やはりそうした話し合いで合意を得たからです。ただ、こうやれ、ああやれと言ったって、実現するわけではないんですね。そこは、現実の政治というのは非常に難しいものであるけれども、同時に、汗をかいた者のみがやはり果実をちゃんとつかむんだということを私は申し上げたいと思います。

 それから、特別会計の話も、少し誤解があると思います。社会資本整備特会のことは、例えば、見てください、空港特会以外は皆廃止です。これを空港特会に寄せるなんという話は全くありません。道路も何も、みんなやめるんです。ですから、そういう点では、結果的には、戦後始まって以来の大改革になると思いますよ。(豊田委員「幾ら削減になるんですか」と呼ぶ)その削減額はいずれ出てきます。なくなるわけですから。(豊田委員「いずれですか、いずれ」と呼ぶ)

海江田委員長 座ったまま発言しないでください。

安住国務大臣 まず、家をなくすわけだから。塩川大臣が以前言っていたように、母屋ですき焼きを食べている、そのすき焼きの値段は幾らだというお話かもしれない……(発言する者あり)離れだ。母屋でおかゆをすすって、離れでね。その離れを壊すわけだから、離れを壊すんですから、それが価値がないというのは、大蔵省におられた方としてはどうなのかなと。これはやはり大きな影響は与えますよ、予算全体に。一般歳出、一般会計でやらざるを得なくなりますから、国交省なんかも。そういう点では意義のあるものである。箱がなくなれば、やはり当然そこには大きな歳出の無駄のカットというのは生まれてくるんです。

 それは、あわせて独法の改革もそうです。数だけ減らしたからいいというものではないと言いますが、では、これまで数をなぜ減らせなかったのかということなんです。だから、私は、そういう点では、これは天下りの問題なんかにも、この大きな改革につながると思います。

 それから、社会保障に関しては、順次出します。ですから、三月中に出せないかもしれませんが、しかし、タイムラグがあるにしても、今国会で、御主張のあったようなものは責任を持って、与党の責任で出して、そして責任のある野党の皆さんとしっかり話をして結論を出したいと思っています。

海江田委員長 もうほとんど質疑時間がなくなっていますので。

豊田委員 わかりました。

 もう質問はいたしませんけれども、大臣の答弁をお聞きしていて、かなり後ろ向きというか、もっと前向きにしっかりやっていただきたいと私は思います。

 次から次に後でやりますという話なのに、なぜ、消費税だけを決めてしまおう、その辺を私は疑問に思っているということを再度申し上げまして、質問を終わります。

 きょうはありがとうございました。

海江田委員長 次回は、明八日木曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四分散会


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