衆議院

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第7号 平成24年3月8日(木曜日)

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平成二十四年三月八日(木曜日)

    午後一時十一分開議

 出席委員

   委員長 海江田万里君

   理事 網屋 信介君 理事 泉  健太君

   理事 糸川 正晃君 理事 岡田 康裕君

   理事 岸本 周平君 理事 竹下  亘君

   理事 山口 俊一君 理事 竹内  譲君

      相原 史乃君    五十嵐文彦君

      江端 貴子君    小野塚勝俊君

      緒方林太郎君    大串 博志君

      大山 昌宏君    木内 孝胤君

      工藤 仁美君    楠田 大蔵君

      小山 展弘君    近藤 和也君

      菅川  洋君    鈴木 克昌君

      中塚 一宏君    中林美恵子君

      平岡 秀夫君    藤田 大助君

      藤田 憲彦君    古本伸一郎君

      松岡 広隆君    三谷 光男君

      三村 和也君    向山 好一君

      森本 和義君    吉田 統彦君

      北村 誠吾君    齋藤  健君

      丹羽 秀樹君    西村 康稔君

      野田  毅君    三ッ矢憲生君

      村田 吉隆君    山本 幸三君

      斉藤 鉄夫君    佐々木憲昭君

      豊田潤多郎君    田中 康夫君

    …………………………………

   内閣総理大臣       野田 佳彦君

   財務大臣         安住  淳君

   国務大臣

   (金融担当)       自見庄三郎君

   内閣府副大臣       中塚 一宏君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   経済産業副大臣      牧野 聖修君

   内閣府大臣政務官     大串 博志君

   財務大臣政務官      三谷 光男君

   厚生労働大臣政務官    藤田 一枝君

   参考人

   (日本銀行総裁)     白川 方明君

   財務金融委員会専門員   北村 治則君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月八日

 辞任         補欠選任

  大串 博志君     松岡 広隆君

  鈴木 克昌君     大山 昌宏君

  中塚 一宏君     相原 史乃君

  森本 和義君     藤田 大助君

  竹本 直一君     北村 誠吾君

同日

 辞任         補欠選任

  相原 史乃君     中塚 一宏君

  大山 昌宏君     鈴木 克昌君

  藤田 大助君     向山 好一君

  松岡 広隆君     工藤 仁美君

  北村 誠吾君     竹本 直一君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 仁美君     吉田 統彦君

  向山 好一君     森本 和義君

同日

 辞任         補欠選任

  吉田 統彦君     大串 博志君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 参考人出頭要求に関する件

 特別会計に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)

 租税特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)


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     ――――◇―――――

海江田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、特別会計に関する法律の一部を改正する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁白川方明君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

海江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

海江田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田康裕君。

岡田(康)委員 民主党の岡田康裕でございます。

 本日もこうして質問の機会をお与えいただきまして、委員長を初め与野党関係者の皆様に心より感謝を申し上げます。本当にありがとうございます。

 それでは、短い時間でございますので、早速質疑の方に入らせていただきます。

 まず一つ目は、お手元にも資料を準備させていただいておりますけれども、租税特別措置法の一部改正案の中身についてでございます。

 この中に、給与所得控除について上限を設定するというものがございますけれども、これは、今後進めていこうとされている社会保障と税の一体改革のパンフレット等にも、より富裕層の皆様にも一部御負担を求めていきたいとしている、そこにも記載されている項目の一つでございます。

 この内容は、これまで、給与収入がどんどんふえていくのに追随するような形で給与所得控除の控除額自体も右肩上がりに伸びていたわけですけれども、それについて、一千五百万円を境に上限を二百四十五万円に設定しよう、そこで頭打ちにしようとするものでございます。このこと自体は、改正案が実現すれば、当然のことながら、一千五百万以上の給与収入のある方にとってはそれなりの負担増になるわけでございますけれども、格差是正の観点、また所得再分配機能の回復という観点からも、御理解が何とかいただけるものではないかと考えております。

 しかしながら、お手元の資料にございますけれども、当初といいますか一年前、私どもの方から提案をしていた二十三年度税制改正案の中身の給与所得控除の改正案は、このことに加えて、さらに、役員給与については、二千万円を境に給与所得控除の上限額をさらに引き下げるという中身になっておりました。この二十四年度改正案ではその部分が除外をされているわけですけれども、そうなった理由とか経緯を御説明いただければと思います。

五十嵐副大臣 これは、先生御指摘のとおり、働き方の問題がありまして、給与の決定権とか必要経費の決定権が役員給与にはあるということで、給与所得控除について控除額を縮減するという考え方を打ち出させていただいたんですが、国会での御議論や与野党協議の状況の中で、役員だけの狙い撃ちはいかがかというような御指摘もあり、さらにその役員給与のあり方等について引き続き検討するということとしたものでございます。

岡田(康)委員 ありがとうございます。

 今御答弁もいただいたんですけれども、しかしながら、政権交代してから後のことをもう一歩前にさかのぼりますと、二十二年度の税制改正のときに、それまで導入をされていた役員の方の給与所得控除額部分を法人段階における損金に算入することができないようにする、そういう措置がもともとあったわけです。これは、二十二年度の税制改正大綱の文面の中にも、お手元の資料につけておりますけれども、二重に控除されてしまう、その部分は問題点として指摘をしてあったわけです。

 二十二年度の税制改正の折には、その次の年の二十三年度に、この二重控除の部分についてきちんと新たな措置を講じるんだというふうに書いておりましたから、この中身からすれば、与野党協議の末にこういうことになったということではありますけれども、しかし、その二重控除自体がそのままではいけないんじゃないかということについては、恐らく、これは与野党の皆様も、向いている方向性は同じなはずなんです。

 そういう意味では、ここは何とか建設的に、一刻も早くこういうことがないような状態になるように、私たちもそうですけれども、尽力をしてまいりたいと思っております。

 それで、これに関連してなんですけれども、給与所得控除の話を今してきたわけですけれども、私たちが将来的に目指しているものに給付つきの税額控除というのがあろうかと思います。

 この給付つき税額控除は、先進諸外国を見ていきますと、アメリカもイギリスもフランスもドイツも、十カ国ぐらいで既に導入されている制度でもあります。

 例えば、アメリカなんかを見ますと、勤労所得税額控除、EITCという制度があります。これは、勤労所得が伸びていくのに合わせて税額控除の金額自体も逓増させて、その後、定額部分、頭打ちの部分があった後に、その先はまた税額控除の金額自体を減らしていくというふうな、そういう方式をとっています。

 また、イギリスの方の勤労税額控除、これはWTCと略されているようですが、それを見ますと、勤労所得に関係なく一定額の税額控除を認める、ただし、就労の条件、何十時間働きましたかといったようなことをつけているというふうな制度もございます。

 そういうことも参考にしながら今後の方向性を考えていくべきだと思うんですが、そのことにつきまして、五十嵐副大臣の御見解をお願いいたします。

五十嵐副大臣 先生御指摘のとおり、給付つき税額控除制度を導入して、この中の御議論の中でも野党の皆さんからもありましたけれども、就労を促進する方向に利用できないかということがあって、税調の中でも同様の議論がございました。

 特に、イギリスの制度がかなり就労の促進に役に立っているという認識がありまして、それを念頭に今議論を進めているところであり、また、これからでございますけれども、その制度設計に当たっては、そうした就労促進という側面を十分に考慮しながら検討を進めていきたい、こう考えております。

岡田(康)委員 ありがとうございます。

 もう時間もあとわずかでございますけれども、もう一点触れてまいりたいと思います。

 この租税特別措置法の改正案につきましては、私どもとしては、一つ大きなポイントがあろうかと思います。

 それは、ナフサ等の石油石炭税の還付、免税措置の延長期限を当分の間として、期限を定めず、実質的な恒久化というところに踏み込んでいるということでございます。

 これは、これまでも同じ免税措置が、期限を切りながらでございますけれども続いておりましたので、その税収入額には直接数字では影響してきませんけれども、これもさかのぼって思い返しますと、私たち民主党政権として、それまで導入をされてきていた三百前後もあった租税特別措置について、一度ゼロベースで全部見直すんだと。

 その心は、物によっては、導入当初は理念はあったけれども、時間とともに役割を終えている、実は余り使われていない措置もあるんじゃないかとか、また、それが補助金的な意味合いが強くなってしまっていて、一たび導入すると、それが既得権化して、なかなか変えられない状態に陥っているものもあるのではないか、そういったことについて、一度ゼロベースで、公平性の観点、納得性の観点からも見直してみるべきではないかということで、透明化法案も成立させてきたはずでございます。

 この透明化法によって、各租特がどれくらい使われているかということを検証することになっていたかと思うんですけれども、そろそろ情報収集も始まっている時期だと思うんです。こういったことは、いつ、どのタイミングで、どのような形で国会報告をされてきて、どういった体制のもとにこの検証を進めていくべきなのか、そのあたりについて御見解がございましたら、五十嵐副大臣、お願いいたします。

五十嵐副大臣 御指摘のとおりでございます。

 租特透明化法では、平成二十三年四月以降に終了する事業年度において、法人に、法人税関係租税特別措置の適用額明細書の提出を求めております。そして、それと同時に、財務省において、その集計結果に基づき適用実態調査を行い、平成二十五年一月以降の通常国会へ報告するということとしております。

 また、この調査情報については、関係省庁が政策評価に活用するとともに、税制改正プロセスにおいても租特の有効性等の検証に、先生のおっしゃるとおり、活用していこうということでございます。

岡田(康)委員 今副大臣から時期の御答弁もございましたけれども、衆議院の任期もいつまで続くかわかりませんけれども、この任期を振り返って、ぜひとも、政権交代をしてから何がどれだけ変わったのかといったようなこともきちんと総括をして、国民の皆様にも知っていただけるように、政府の側におきましても、また私たち与党の側におきましても、努力をしていかなければならないと思っております。

 時間も参りましたので、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

海江田委員長 次に、西村康稔君。

西村(康)委員 自由民主党の西村康稔でございます。

 きょうは、租特と復興特会の法案の採決を目指しての審議ということでありますけれども、残念ながら特例公債法案については採決を見送る、先送るということで、極めて遺憾であります。政府・与党の無責任な対応だというふうに思いますけれども、これは、後ほど野田総理がいらっしゃいますので、そのときにしっかりと議論させていただきたいというふうに思います。

 まず最初に、前回も議論をさせていただいた研究開発税制について、改めて大臣の認識をお伺いしたいと思います。

 先般、二日のこの委員会で、研究開発税制の縮減について質問させていただきました。具体的には、控除限度額が三〇%から二〇%に縮減される、これは法人税を下げる財源として充てられるということですけれども、加えて復興増税があって、その結果、法人税が引き下げられても増税になってしまう企業が出てくるということであります。

 この点については、資料でお配りしましたけれども、一枚目にありますように、大臣もまさに、三〇から二〇に引き下げたことによって、現行よりも税負担がふえる企業がある、しかし、そこは日本の名立たる企業にとって許容の範囲ではないかなというふうに思っておりますという答弁をいただきました。

 この認識なんですけれども、大臣が思っておられるのは、研究開発税制を活用している企業として大企業を基本的に想定しておられるんじゃないかと思いますけれども、実際には、大企業だけじゃなくて、幅広くいろいろな企業、中小企業も使っているわけであります。

 そこで、まず、事実関係をお伺いしますけれども、実際には何社ぐらいの企業が使っていて、そのうち大企業がどのぐらいあるのかということをお伺いしたいと思います。

安住国務大臣 先般に続き、引き続きよろしくお願いします。

 今ありました問い合わせに対しては、いわゆる総額型の研究開発税制について、統計、これは国税庁統計で平成二十一年度ベースでございますが、五千六百二十八件の適用があって、うち、大企業が一千七百六十九件、中小企業が三千八百七件、連結納税法人が五十二件となっております。

西村(康)委員 聞き違いがなければ、大企業が一千七百六十九、中小企業が三千八百七ということでありますので、一対二ぐらいの割合で、中小企業の方が使っている割合が多いわけですね。

 つまり、確かに大企業も使っている、製薬メーカー初め先端的な技術開発をやっている企業、多いです。しかし、研究開発税制を使っている多くは、三分の二ぐらいは中小企業であるわけでありまして、これから日本が成長していくいわばその担い手である新進気鋭のベンチャーとか、そういう企業が含まれているわけでありまして、大臣の言われるその名立たる企業は確かに許容の範囲だとしても、中小企業がまさに研究開発で、売り上げ数億円とか十億円とか、その程度の企業が必死になって新しい技術を開発して頑張っているのにもかかわらず増税になってしまう、こういう事実がある。この認識をぜひしていただきたいと思います。

 大臣、まずこの点についてお伺いしたいと思います。

安住国務大臣 確かに、そういう御指摘もあると思います。私が許容範囲と言うのは、この増税期間、三年間だけは、むしろ企業側にぜひ復興の貢献をしていただくために法人税を上げさせていただきましたので、そのことを申し上げたわけであります。

 それで、研究開発そのものの重要性というのは、大企業であっても中小企業であっても、これは変わりはありません。ですから、そういう点では、中小企業に特段、やはり何らかの配慮というものがあってしかるべきではないかという委員の御指摘でございますので、それに対しては、例えば平成二十三年度の税制改正において、中小企業の軽減税率を引き下げるとともに、欠損金の繰越控除制度の見直し等の課税ベース拡大措置の対象外とし、また、平成二十四年度税制改正においても、中小企業投資促進税制の拡充を盛り込むなど、配慮を行っているところではございます。

 ただ、委員の御指摘はそのとおりでございますので、しかし、そうはいっても、復興のために何とかよろしくお願いしますと私の方で申し上げているわけであります。

西村(康)委員 まさに、復興は広く薄くという気持ち、これは我々も同意をしましたし、よくわかるのでありますけれども、例えば、この復興増税の期間の三年間、法人税を上げる三年間、この期間、中小企業に限って控除の上限を三〇%に上げるというふうなことは考えられないでしょうか。いかがですか。

安住国務大臣 急な御提案でございますが、私どもとしては、何とか今の御提案で西村さんにも賛成していただけるんじゃないかなと思っております。

西村(康)委員 そんな友達みたいなことを言われても困りますので、私は影の財務大臣でありますが、激しく、厳しく、おかしいところは指摘をしたいと思いますし、議論をして、よりいいものになるのであればという気持ちで建設的な提案をぜひしていきたいと思います。

 否定的なお答えでありますが、前回、大臣は、よく実態を調べてということ、検討するということもおっしゃられましたので、今後の検討課題として、復興増税、これはやむを得ない面もありますけれども、ベンチャーで、中小企業で研究開発、これは将来の日本にとっては大事な宝でありますから、こういう企業について、将来、こういう研究開発型の企業の研究開発投資についていろいろな形で支援をしていく、これはぜひ御検討いただきたいと思いますが、いかがですか。

安住国務大臣 先般もお答えしたように、実際の影響というのは、我々で今把握しているわけではないわけですね。ですから、委員御指摘のように、今後、これがどういうふうに中小企業に本当に重荷になっていくのかどうかということはしっかりと把握をして、その上で、それで将来性のある企業が倒れたのでは、御指摘のように元も子もありませんから、そこは十分配慮して対応していきたいと思っています。

西村(康)委員 ぜひよろしくお願いをしたいと思います。また、その調査も、折に触れてお伺いしたいと思いますので、しっかり把握をしていただければと思います。

 次に、先般も、年金の、AIJの問題について議論をさせていただきました。これはぜひ徹底的に調査をして解明していただいて、二度とこうしたことが起こらないように万全を期していただきたいと思いますし、必要な制度改正はぜひ行っていただきたい。

 先般も、監査をするとか予定利率を引き下げるとか、いろいろな課題について提案もさせていただきました。それから、自見大臣は、全ての投資顧問会社について調査をする、しておられるということでありまして、この点も、前回も指摘をしましたけれども、その調査結果を待たずに、怪しいところがあれば、おかしいところがあれば、立入検査をいとわずやっていただきたいということも申し上げました。ぜひこれは徹底してやっていただきたいと思いますし、調査結果もまた御報告をいただきたいと思います。

 その上で、一方で、タックスヘイブンになっているケイマン諸島に会社を置くこと自体が悪いことであるかのような批判も出てきております。これは、税制上の優遇措置があって、真っ当に投資活動をしているファンド、ちゃんと開示をしているファンド、あるいは、日本の大手の金融機関、欧米の大手のちゃんとした金融機関もここに会社をつくって金融活動、金融取引をやっているわけでありますので、全てが悪いわけじゃないということであります。

 ぜひ、このタックスヘイブンを活用することに一定の規制をかけようとか、あるいは、これは厚労省にもお伺いをしたいんですけれども、厚生年金基金をするときに、一定の枠内でおさめようとか、分散投資を強制的にやらせるとかという議論がありますが、これはいろいろこれから議論して結論を、これは与野党、我々も提案をしていきたいと思いますけれども、まずは監査とか運用実績の開示をしっかりさせるとかいうことが基本であるというふうに思いますので、行き過ぎた金融取引の規制にならないようにお願いをしたいと思いますが、自見大臣にまずその点についてお伺いしたいと思います。

自見国務大臣 西村議員にお答えをさせていただきます。

 今先生御指摘のとおり、AIJの問題については、現在、証券取引等監視委員会において、同社に対する検査を通じて、業務運営等の実態の明確な把握に、今進行形として、御存じのとおり、努めているところでございます。

 また、先生もお触れになられましたように、金融庁においても、二月二十九日でございますが、二百六十五あったと思っていますけれども、全ての一任業者に対して一斉調査を開始しているところでございます。

 金融庁といたしましては、これらを踏まえた上で、今西村先生からの御指摘の点もしっかりと勘案しつつ、規制監督上のあり方を見直して、あらゆる選択肢を排除することなく、関係省庁、これは主に厚生労働省になると思いますけれども、そんなところ、あるいは全ての、財務省、また、何よりも国権の最高機関でございます議員の皆さん方のいろいろな御意見も勘案しつつ、金融庁、証券取引等監視委員会が全力を挙げて再発防止に取り組ませていただきたいというふうに思っております。

西村(康)委員 全くそのとおりなんですが、ケイマン諸島あるいはタックスヘイブン、ケイマン以外にもありますけれども、こうしたところを使うこと自体が悪いとか、このことについて一定の規制を入れようとか、そういう行き過ぎた規制にならないようにお願いをしたいと思うんですが、その点はいかがですか。

自見国務大臣 ケイマンという租税回避地域といいますか、これは、西洋では普通、金融機関ではよくそういったところを活用していることが多いわけでございます。まだ調査中でございますから、ケイマン諸島のことでいろいろどうするこうするということは言えませんけれども、先生の言われたことは、金融を預からせていただいている人間としてよくわかっておりますので。

 金融というのは、先生御存じのように、先生もよくおわかりのように、金融、経済は生き物でございますから、余り規制し過ぎますと卵がぐしゃっと潰れてしまうようになりまして、しかし、余り緩め過ぎますと、今度はまた、いろいろな投資者には御迷惑がかかったりするわけでございます。

 そこら辺は、本当に、金融というものは、経験させていただいて、経産省におられましたから、あそこもいろいろな金融を持っておられますので、先生もよくおわかりだと思いますが、やはり、きちっと画一的に全部規制すればいいよというものでもないし、また、全部規制緩和すればいいというものでもないというふうに私は議員として思っております。

 そこら辺は、しっかり事情を見ながら、皆さん方の御指導もいろいろいただきながら、この問題、これだけ大きな問題になったわけでございますから、まさに、あらゆる選択肢を排除することなく、この再発防止、努めていくところはきちっと努めていかなければなりませんけれども、そういった金融の本質というものもきちっと踏まえながらやっていかせていただければありがたいなというふうに思っております。

西村(康)委員 だんだん心配になってくるわけでありまして、まさに金融の本質、富を生み出す金融取引、これは、我が国の資産をふやすためにいろいろな知恵を使ってふやしていくのも事実でありますから、金融を監督する立場から、ぜひしっかりと対応していただきたいと思いますし、行き過ぎた規制にならないようにお願いをしたいと思います。

 厚労省からもお越しいただいていますので、お願いしたいと思います。

藤田大臣政務官 規制のあり方についてでございますが、先生御承知のように、平成九年の規制緩和の折に、厚生労働省といたしましては、分散投資の原則や年金基金の理事等の役割など、資産運用の基本的な事項に関するガイドラインをお示ししたところでございます。しかし、運用の具体的内容については、各基金の自主的な運用に任せてきたわけでございます。

 しかし、近年では、資産運用の手法も多様化、複雑化しておりますし、何といいましても、今回のAIJの問題においては、資産の五割以上をAIJ投資顧問に委託して運用する基金もあったということで、加入者や受給者に大きな影響を与えている、こういう状況でございます。

 こうした状況をしっかり踏まえまして、今後は、基金の運用体制等の実態調査もしっかりと行った上で、御指摘の点も踏まえまして、ガイドラインの見直しを含めた規制のあり方について検討してまいることといたしているところでございます。よろしくお願いをいたします。

西村(康)委員 先般も御提案しましたけれども、厚労省は、運用実績、厚生年金基金の運用について全然聞いておられなかったということでありますので、五・五%保証利回りを予定しておきながら全然達していないわけでありますし、代行割れもあるわけでありますけれども、そのあたり、しっかりと運用も見ていただいてやっていただく、あるいは金融庁には、一定の民間の監査を入れていただく、そうした提案も申し上げましたので、その点を踏まえてやっていただきたいと思いますけれども、過剰な金融取引の規制にならないように、富を生み出していくための手法でもありますので、これはぜひそういう点をお願いしたいと思います。

 次に、石油石炭税についてでありますけれども、今般の税制改正の中で、政府案の中で増税を提案されております。

 まず、原発が停止して、石油、天然ガス、石炭等への依存がふえておりますので、海外からの調達がふえているわけであります。したがって、当然、自然の増収があるわけでありますけれども、二十三年度の税収あるいは二十四年度の税収の見積もりで、それぞれ幾ら見積もっておったのか、どのぐらい増収になるのか、この点についてお伺いをしたいと思います。

五十嵐副大臣 お尋ねの地球温暖化対策のための税の導入による増収分ですが、初年度三百九十一億円、平年度で二千六百二十三億円と見込んでおります。

西村(康)委員 これは見込んでいる金額であって、実際に二十三年度見積もっておった金額から二十三年度の税収がふえているわけですよね。それはどうなっているのか、それをちょっとお伺いできますか。

安住国務大臣 今御指摘の件は、上がったときの税収じゃなくて、今の差額の話でしょうか。(西村(康)委員「そうです」と呼ぶ)二十四年度で一般会計の留保額は七百四億円だと思います。

西村(康)委員 もう一度確認をしますけれども、二十三年度見積もっておった金額から、石油、天然ガスがふえていますので、石油石炭税はその分増収になっているわけですね。その金額、当初よりどのぐらいふえたのかという金額をお伺いしたいと思います。

五十嵐副大臣 済みません。失礼いたしました。

 二十三年度が五千百二十億円、そして五千四百六十億円にふえております。

海江田委員長 もう一度、では、正確に、しっかり。安住財務大臣。

安住国務大臣 つまり、石石税収入が二十四年度で五千四百六十億円で、そのうち、エネ特繰り入れが四千七百五十六億円なので、差し引き七百四億円が留保額だと。つまり、留保ということは差額ですから、その額を多分委員は御指摘だったと私は思います。

西村(康)委員 ちょっともう一度整理して答弁いただきたいんですが、見積もっていたのが五千百二十あって、それが五千四百六十で、三百ちょっとふえているわけですね、今の五十嵐副大臣の御答弁ですと。他方、大臣の方は、二十四年度は七百四億円残すという、ちょっとそこの関係だけもう一度整理していただけますか。

海江田委員長 では、整理をして。五十嵐財務副大臣。

五十嵐副大臣 済みません。失礼をいたしました。

 だから、二十三年度が五千百二十億円、これが二十四年度に五千四百六十億円になるということでございます。

西村(康)委員 二十三年度当初予算で見積もっていた金額がありますよね、石石税の税収として。それが、原発がとまって、石油、石炭、天然ガスはふえているわけですから、当然、税収はふえているわけですよね。その税収が、当初期待していたよりどれだけふえたかを教えてくれと言っているんです。

 ちょっととめていただいた方がいいんじゃないですかね。

海江田委員長 では、ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

海江田委員長 では、速記を起こしてください。

 五十嵐財務副大臣。

五十嵐副大臣 済みません。質問の意味の取り違えがございまして、失礼しました。

 二十三年度の見込み額は二千四百五億円、これが、今度の増収を入れまして、二千六百二十三億円です。

西村(康)委員 もう一度確認します。

 二十三年度の当初予算、二千四百五億と見込んでおったものが、二十三年度、まだ見通しだと思いますけれども、二千六百二十三億、差し引き二百二十億ぐらいの増収見込みになるという理解でいいですか。

五十嵐副大臣 そのとおりでございます。

西村(康)委員 その分も含めて、一般会計に二十四年度は七百四億円の留保をするということであります。

 そうすると、申し上げたいのは、自然増収が今あるわけですよね、原発がとまったために。したがって、これは、いわば棚からぼた餅というか、想定していなかった税収があるわけですから、何も増税をしなくとも、そのお金を使えば、いろいろなことはできるんじゃないですか、このことを申し上げたいわけであります。

 わざわざ一般会計に留保するわけですから、留保額が七百億円もあるわけですから、留保せずに自然増収分を使えば、増税しなくてもいいんじゃないですか。このように思いますけれども、いかがですか。

五十嵐副大臣 確かに、先生御指摘のとおり、棚ぼたの増収もあるということでございますが、ただ、地球温暖化の対策を強化するというのは、もう国際的な公約でもあり、また国際的な要請でもある。さらにまた、今後、再生可能エネルギーの利活用や省エネルギー対策など、エネルギー起源のCO2の排出抑制が抜本的に強化を求められていくということでありますので、今後とも、こうした課税の特例の導入を含めて対策をやはり強化していくことが不可欠であり、新しい増収策というのは欠かせないもの、我が国の成長のためにも欠かせないと考えております。

西村(康)委員 なかなか苦しい説明だと思いますけれども、その点、中身は我々も同意をしますし、そういうことは進めていかなきゃいけない、当然のことでありますけれども、一般会計に留保しているわけですよね、わざわざ。本来、石石税というのはそういうことのためにある税金なのに、留保している。これはやはり、留保分を減らして、五十嵐副大臣おっしゃったように、そのための税金なんですから、そっちに使うのが筋じゃないですかと、もっと激しく議論をしたいところでありますけれども。

 ぜひ、今後、まさに新しいエネルギーの政策をやっていく上で、石石税のあり方というのは非常に大事でありますから、安易に一般会計に留保することなく、石石税の当初の目的であるエネルギー対策に使うということが当然のことだと思いますので、大臣にその点、今後の思いをちょっと述べていただきたいと思います。

安住国務大臣 御指摘のように、これまでの累計でも八千億近くに及んでおります。ですから、そういうものを十分有効にエネルギー対策に使う。今回お認めをいただいて成立をすれば、これは、CO2の問題に対して国家的な対策が必要だということの財源に使わせていただきますので、これまでのそうした留保額もあわせて、有効な使い方をしていきたいと思っております。

西村(康)委員 ぜひお願いをしたいと思います。

 もう一点だけ、経産副大臣にお越しいただいていますので。

 原発の再稼働が行われない場合、通常の稼働している通常ベースのときと比べて、年間の燃料費が幾らふえるのか、また、これからまた原油が、中東情勢によりますけれども、一バレル十ドル仮に上がった場合、十ドル上がるごとにどれだけふえるのか、この点についての試算をお伺いしたいと思います。

牧野副大臣 西村委員の質問にお答えをさせていただきます。

 仮に、国内の全原子力発電所が停止して火力発電で代替した場合、一定の仮定を置いて試算すれば、年間約三兆円超の燃料費が増加する、それからまた、単純に原油のWTIの価格が十ドル上がったと仮定いたしまして、一年間ずっと上がっていたという場合に、燃料費は約三千億円ぐらい増加すると試算をしております。

西村(康)委員 ありがとうございます。

 三兆円ふえて、一バレル百ドルとすれば、十ドル上がれば一割上がるわけですから、ざっくり三千億円、そんな勘定だと思います。

 エネルギーコストが非常に上がってきているわけでありますので、こうしたときに本当に石油石炭税、石石税上げてやるのかというところは、これは非常に問題点もあると思いますので、ぜひ、エネルギーコストを下げる努力をお願いしたいと思います。

 これがまた空洞化につながるわけでありますので、円高が進み、法人税も、アメリカも下げますから、日本は非常に高くなるわけで、この空洞化対策も、ぜひ引き続き、経産省、お願いをしたいと思います。

 安住大臣、先般も議論させていただいたデフレ、円高対策について、時間が少なくなりましたけれども、お伺いしたいと思います。

 先般、私は、外貨準備を直接使わずに、外債を円で一回調達して、それからユーロにかえたり、IMFに出すときにドルにかえて出せば、為替の効果もあるということで提案を申し上げましたが、昨日、ヨーロッパのEFSF債を約百七十億円程度購入されたということですけれども、これは外貨準備を使って買われたということでしょうか。

安住国務大臣 そのとおりでございます。

西村(康)委員 百七十億円ですから規模は小さいですけれども、新たに円を調達する、あるいは円建てで出してもらえれば、向こうでユーロにかえるわけですから、効果もあるわけですので、ぜひその点、お伺いをしたいと思うんです。

 先般の答弁で、これは一枚目の一番下にありますけれども、為替の問題とIMFの話というのは切り離して考えるべきということをおっしゃられました。しかし、我々が外貨で支援をすると、当然その為替変動リスクは我々が負うわけでありますので、必ずしも切り離して考えられる話ではないわけであります。

 先ほど申し上げましたけれども、IMFに対しても、円建てで債券を発行してもらったり、あるいは我々が出資をして向こうでドルにかえてもらう、あるいは今後、EFSF債も、ヨーロッパの支援も円でやる、円建てのものを発行してもらうというのは、これは向こうにとってもメリットがある話ですし、我々にとっては為替リスクを負わずにできる、むしろ為替介入と似たような効果を持つわけでありますので、ぜひこうしたことも御検討いただければと思いますが、いかがですか。

安住国務大臣 先生はサムライ債の提案とかいろいろしていただいておりますけれども、ちょっとIMFのことだけ申し上げます。

 法律上のことだけちょっと申し上げますと、これは貸し付けは円で行います。ただし、IMF協定で貸付国は、自国通貨と自由利用可能通貨の、つまりドルとかユーロとか円とかポンドですね、交換に応じる努力義務があるわけですね。

 ですから、要するに、被支援国、つまり支援を受ける国の方の資金ニーズを踏まえた要請を受けて我々は貸し付けないといけない。つまり、相手の国が望む通貨で援助をしますよということにルール上なっているわけですね。

 ですから、そういうこともありますので、先般申し上げたのは、こういうルールに基づいてやっていくということを私は申し上げたということなんです。

西村(康)委員 IMFの場合は、もう既に各国間で、加盟国でいろいろなルールが決まっておりますから難しい面もありますけれども、ヨーロッパの支援は、これはヨーロッパと日本の話ですから、いろいろできると思うんですね。

 ですから、ぜひ、いろいろな制約もあるしルールもありますけれども、日本が応援するわけですから、向こうに納得してもらえる形で、日本にとってのメリットもあると思いますので、ぜひそういうことを御検討いただきたいと思いますが、いかがですか。

安住国務大臣 言わんとする趣旨は十分わかっておりますけれども、我々が行っていることをしっかりとヨーロッパの国々に感謝されるようなやり方でやっていきたいと思っております。

西村(康)委員 と同時に、日本の国益、日本にもメリットがある形でお願いをしたいと思います。

 時間が来ましたのでもう最後にしますけれども、本気で一%から二%の物価上昇を、日銀がこの間一%をめどということでされましたけれども、政府もそれを目指していくということであれば、平成二十年以降発行していない物価連動債、インフレになるとすれば投資家にとってもこれは意味のある国債だと思いますので、この発行をぜひ再開したらどうかと思いますが、いかがですか。

海江田委員長 時間も来ておりますので、手短にお願いします。

安住国務大臣 山本幸三先生からも、先般、ブレーク・イーブン・インフレ率の問題でこの話を取り上げられましたので、ここで正式に申し上げますと、環境が整えば物価連動債の発行を再開するという基本的な姿勢で今おります。

 市場関係者を交えて、この連動債の発行再開に向けて実務的な検討を現在進めておりますので、鋭意準備を進めてまいりたいと思います。

西村(康)委員 きょうは法案の審議で、採決を目指して審議をしておりますけれども、円高、デフレを脱して日本経済を成長軌道に乗せていくということをぜひ念頭に置いて政策運営をお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

海江田委員長 次に、竹内譲君。

竹内委員 安住大臣にお尋ねいたします。

 欧州の債務危機についてでございますが、まず最初に、このユーロ危機の解決のために日本としてやるべきことは何か、このことについてお尋ねをしたいと思います。

安住国務大臣 直接的に我が国としてやるべきことは何かということになりますと、今も御指摘ありましたけれども、継続的にEFSF債を購入することを通じて欧州の金融安定化に貢献を、これまでもしてきましたが、これからもそうした貢献をしていきたいというふうに思っております。

 なお、世界的な経済の安定化ということであれば、さらに申し上げれば、アメリカ、中国、それからG20、そのほかの国々と連携しながら、やはり世界経済の安定化のために一層努力をしていかなければならないことが多々あるというふうに思っております。

竹内委員 今も議論はあったんですが、当面、日本としては、大臣のおっしゃったとおりだと思うんですね。

 ただ、先日も私、この委員会で申し上げましたように、ユーロ危機の本質というものを考えていかないといけない。そうすると、これは、やはり最適な通貨圏というのはどうあるべきかという議論から始まらなければいけない。つまり、同一の通貨を使うことの意味がある、そういう国々の範囲というのはどこまでなんだ、こういう本質的な議論に立ち返らないといけないと思うんですね。

 その辺がやや曖昧になっていたんじゃないのか。ドイツ、フランス、スペインあたりと、それからベルギーあたり、それから南欧のギリシャとかイタリアが本当に同一通貨圏でいいのかどうかという議論が本質的な部分だと私は思っております。

 しかし、それらをとにかく、ユーロということで共通の通貨を導入したわけですから、金融政策は同一になる。そうした以上、こういうさまざまな問題が起きるということは、本当は予想すべきだったと思うんですね。それぞれ各国の財政事情が違うんですから、それをかなり縛っている。金融政策は同一であるけれども、財政政策はそれとは整合性がとれていない、ここにこの矛盾が出てきているんだと私は思っております。

 そういう意味でいうと、やはりここは、金融で一緒になったんだったら、財政も、苦しい国に対してはある程度手助けをしてやるような仕組みをつくらないと、実はなかなかこの問題は解決しないんじゃないか、こういうふうに思うんですね。

 仮に、日本の場合に、沖縄や北海道が違う通貨を使っていた、しかしこれから同じ通貨を使うんだというようなことで、過去の歴史もこうなってきたわけでありますけれども、金融政策は同一でやるけれども財政の政策は自由性はないというようなことになると、これはもう救えないわけでありまして、同一の通貨を使う以上は、やはり沖縄にも北海道にも、交付税をちょっと手厚くしたり、あるいは公共事業をやったり、そういう財政支援がある程度必要なんだろうと思うんですね。

 ですから、私は、はっきり申し上げて、ドイツやフランスに、特にドイツに対して、余りぎゅうぎゅう財政再建とかといって締めつけないで、やはりもうちょっと大きく構えて、財政的にも支援してあげる仕組みをつくってはどうか。そういう本質的なことを、ぜひG20なりいろいろなところで、アメリカやヨーロッパの首脳にもアドバイスするというか、おこがましいかもしれないけれども、日本としては、より本質的な議論が必要だと考えている、そうしないと、金融支援を幾らやってもまた再燃しますよというぐらいのことは言ってあげることが日本の役割ではないか、このように思っております。

 もう一問。

 改めて、国民集会等もされているんですが、消費税引き上げの理由につきまして、どのように大体説明されていますか。

安住国務大臣 先ほどの、最適通貨圏の条件を本当にユーロが満たしているのかどうかというのは、極めて本質的な投げかけだと思います。

 ただ、日本の財務大臣として、このことについて私自身がコメントすることはちょっと差し控えたいと思いますが、ドイツやフランスに対するさらなるファイアウオールの構築に向けた努力ということについては、私も直接、ショイブレ蔵相を初め関係者には申し上げておりますので、引き続き要請をしていきたいというふうに思っております。

 税と社会保障の「明日の安心」集会では、私の方から、この二十年の予算の歳出の状況を御説明させていただいて、ほかの一般歳出は分野別にはそんなにふえてはいないんです、しかし社会保障についてはやはり高齢化に伴い非常にふえてきたというボードを紹介させていただいて、そういう中で、社会保障の安心、安全を築くために消費税というものを使わせていただく、ですから、お預かりした消費税はそのまま年金、医療、介護、そして子育て等に使わせていただく、こういう目的税化についてを中心に私は御説明をさせていただいております。

竹内委員 社会保障を前面に立てる場合は、社会保障は毎年一兆円ずつふえていくわけですから、どんどんふえていく、消費税を上げてもなかなか追いつかない可能性もありますので、そういう意味では、よりトータルな財政再建の道筋を示すべきだと思います。

 やはり歳出削減、まあ、小泉改革の評価はいろいろあっても、立派だったと思いますね。いろいろな批判を浴びながらも、やはりあそこまでとにかくリーダーシップをとったということは立派なことだったと思います。

 それからまた、経済成長を図っていく。経済成長を図って増収が図られれば、これは年金も賃金上昇率の上昇を通じてやはり安心なものになっていくわけでありますから、そういう幅広い議論をぜひお願いしたいというふうに思います。

 あと一点だけ。お手元に資料をつけております。

 この間の予算委員会の経済の集中審議でも申し上げたことなんですが、この資料では、イタリアの国債格付がトリプルBプラスであります。しかしというか、基礎的財政収支の対GDP比率を見ると、意外にいいんですよね。プラスなんですね、基礎的財政収支は。にもかかわらず、先進各国に比べて格付は低い。ということは、これは潜在成長率が低いからですよね。

 だから、日本もとりあえず二〇二〇年の黒字化を目指して頑張っているけれども、しかし一方で、潜在成長率は落ちましたわ、ほとんど企業はなくなりましたわ、財政は黒字になったけれども格付が下がってしまいましたでは話にならぬわけでありまして、そういう意味で、やはりバランスのとれた財政再建を志向する必要があるというふうに思っています。

 それから、ついでに申し上げますと、その下のところでも、主要各国政府の政府債務の内外保有比率でも、イタリアは国内部分が四八・六%と低い。一方、英国やカナダ、米国などはやはり高い、八〇%以上ですね。アメリカも七〇%。

 それから、その下の主要国民間銀行の顧客預金比率は、イタリアは三七%と低い。一方で、アメリカなんかは非常に高いというようなことで、やはり、急に市場の金利が急騰するというのは、市場から調達している部分が非常に多いということですよね。アメリカや日本は割合顧客の安定した預金からの調達が多いということで、ヨーロッパとはちょっと違うということはやはりきちんと国民に対しても言っておかなければならないというふうに思っています。

 そういう認識を踏まえて、国債が暴落して市場がはね上がるとか、そういう言い方はちょっと慎んだ方がいいんだろう、このことだけ申し上げて、終わります。

 ありがとうございました。

海江田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 五分しかありませんので、ピンポイントの質問をさせていただきます。

 昨年の国会で、法人税の減税、恒久的な形でこれが行われました。我々は反対でありましたが、この減税は実質的に年間八千億円になります。同時に、三年間に限りまして臨時的に復興のための増税を行う。したがって、三年間はプラスマイナスとんとん、こういうことになりますが、この増税分は復興特会に入るわけですね。そうしますと、減税分の財源、これはどこから出るんでしょうか。

安住国務大臣 今の御指摘は、ペイ・アズ・ユー・ゴーの原則からいったらどうなんだということなんですが、今回のこのことに関して言えば、必ずしも十分な財源を確保してやったということではありません。新成長戦略の一環、それから我が国の企業の世界的競争の中での優位性の確保とかが私どもとしての判断だったと思います。そうした点では、思い切った措置を企業に対してとらせていただきました。

 この法人実効税率の五%引き下げの影響を受ける平成二十四年度の予算においても、ですから歳出の徹底した見直し等により、中期財政フレームで定められた新規国債発行額四十四兆円や、歳出の大枠六十八・四兆円は遵守をしているというところでございます。

佐々木(憲)委員 何かいろいろなことを言いましたが、要するに一般会計、基本的にはそこから出るということですから、全体として財政負担がその分ふえる、したがって、大きく言えば国民負担になる、こういうことであります。

 仮に消費税が増税になりますと、その一部が結果的に法人税減税の財源の一部になる、こういうことですね。

安住国務大臣 そうリンクはしていないと思います。

佐々木(憲)委員 なぜですか。

安住国務大臣 五%は社会保障の財源になるわけですね。ですから、そういう点では、企業に回るということではないと思います。

佐々木(憲)委員 それは違います。

 これまで一般会計で賄われていた社会保障の財源、この一部が消費税増税で置きかわるわけですね。そうすると、それで浮いた分が法人税の減税の一部に回る。だから、結果として、全体として見ますと、消費税増税の一部が法人税減税に回る、こういうことになるんじゃありませんか。

安住国務大臣 一般会計の中で押し出されてそうなるのではないかという御指摘ですけれども、そうとも限らないと思います。

 つまり、それは先生の、総枠の中で予算を、そこがへこめばそこにしわ寄せが行くじゃないかということですが、これから歳出削減をやったり、さまざまな税収を上げる、いわば新成長戦略をやったり、いろいろな意味で組み合わせて、税収の確保というものを図っていきたいと思っております。

佐々木(憲)委員 全然説明になっていないんですよ。

 要するに、法人税減税で八千億円の穴があくわけです。それを一般会計を中心に穴埋めするわけです。どこからお金が出るんですか。当然、国民負担になる。今回、消費税の増税で社会保障の全体の中の一部は置きかえることはできるけれども、しかし、その分、浮いた分がほかの財源に回るわけです。その財源が法人税の減税の財源として使われる。これが全体の財政の流れであって、財務大臣ともあろうものがそういう財政全体の流れをわからないというのは全然信じられない。

 したがって、消費税増税にも我々は反対であるし、法人税の大企業中心の減税にも反対である。財源は別なところから持ってきて、社会保障を充実させなさい。

 時間が参りましたので、以上で終わります。

海江田委員長 次に、豊田潤多郎君。

豊田委員 新党きづなの豊田潤多郎でございます。

 私も五分しか持ち時間がありませんので、きょうは事実関係を確認ということで、もし時間が余ればもう少し突っ込んだ議論をしたいと思います。

 通告はしてありますが、交付国債の過去の発行実績について、次の五点について答えていただきたい。そして、その五点は最初の三点が一くくり、あとの二点が一くくりということになろうかと思いますが、まず第一点は、実績があるとすれば、年月で結構です、もちろん戦後で結構です、いつ発行したのか。二番目に、発行額はどれぐらいだったのか。三番目に、何のために、どういう目的でそれが発行されたのか、これが三点。それから四番目、交付国債の現金化の請求はいつ行われ、どれぐらいの金額が現金化請求があったのか。それから五番目、交付国債の現金化の財源はどこからそれを持ってきたのか。この五点についてお答えください。

海江田委員長 全体で五分ですので、短くお願いします。

五十嵐副大臣 それはちょっと難しい。

 交付国債の過去の例でございますが、戦没者の遺族に対するものは、これまで昭和二十七年度から随時行われてきております。それから……(豊田委員「金額は」と呼ぶ)金額は、二十二年度末発行総額は三兆九千二百五十六億円でございます。二十二年度末の発行残高は三千六百七十三億円です。それから、IMF、世銀等の国際機関に対するものは、昭和二十七年度からやはり随時行われてきまして、これまでの発行総額は十兆六千二百二十六億円、二十二年度末の発行残高は一兆六千二百三十億円でございます。

 次に、預金保険機構に対するものは、平成十年二月と平成十二年七月で、平成十年が十兆円、平成十二年が六兆円でございます。

 日本政策投資銀行に対するものは、平成二十一年七月十日に一兆三千五百億円でございます。

 それから、原子力損害賠償支援機構に対するものは、二十三年十一月と十二月にそれぞれ二兆円、三兆円ということになっております。

豊田委員 四番目と五番目の質問に対してはどうでしょうか。

海江田委員長 いいですか。現金化と現金化の財源です。

五十嵐副大臣 原発については、それは東電に求償をする、あとは、残りは一般会計からということでございます。

豊田委員 ほかはどうなんでしょうか。原発とか遺族、IMF、預金、いろいろ、大体五項目おっしゃいましたね。全部一般会計ですか。

五十嵐副大臣 一般会計でございます。

豊田委員 あと一分しかないので、後でまたこれは詰めていきたいと思っていますが、今回の年金の二兆六千の交付国債の発行の仕方というのは、過去の実績、その目的等と照らし合わせてみると、ちょっと異質というか、おかしいのではないかということが感じられます。そして、なぜか堂々と議論を政府はされていますが、では、どうして去年まで交付国債で手当てをしなかったのか、なぜことしになって突然それが出てきたのか。

 これは、やはり財源がないからということでしょう。窮余の一策でしょう。しかも、それはある意味では粉飾まがい、企業会計でいえば粉飾まがいに近いようなものだと私は思いますが、そのことは今後随時詰めていくとして、一言、大臣からお願いします。

安住国務大臣 特にありません。

海江田委員長 もう申し合わせの時間が来ておりますので。

豊田委員 わかりました。

 特にありませんという答弁はちょっと意外でしたけれども、今後詰めていきたいと思います。よろしくお願いします。

 以上です。

海江田委員長 これより内閣総理大臣出席のもと質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田康裕君。

岡田(康)委員 民主党の岡田康裕でございます。

 総理、連日、本当に御苦労さまでございます。一昨日は、予算委員会の社会保障と税の集中審議の際にお時間をいただきました。きょうは、あのときも十三分か四分だったんですが、第二ラウンドということで、もう十分いただければと思っております。

 私は、三点に絞って質問をさせていただきます。

 一つ目は、この国の統治機構について総理がどう感じられているかということをお聞きしたいと思います。

 この財務金融委員会でも、御存じのとおり、三つの法案について審議を進めてまいりましたけれども、やむを得ず、残念ながら、公債特例法案についてはここで分離せざるを得なくなってしまっております。

 もちろん、私たち与党の側、そして政府の側において、野党の皆さんと折り合いがつくというか、合意点を見出せる努力がもっともっとできればよかったんだろうとは思いますけれども、しかし、同時に、ねじれというものの厳しさといいますか、難しさといいますか、それを改めて痛感せざるを得ない瞬間だと思っております。

 総理も、野党時代から、先頭に立って政権交代に向けて尽力をされてこられた方でいらっしゃいますし、そして今、総理というお立場になられて、この国の統治機構、ねじれたときに、衆議院で三分の二がなければいかんともしがたい状況になってしまうこの現状について、今どんなふうに感じておられますでしょうか。

野田内閣総理大臣 確かに、国会がねじれているという状況でございますので、丁寧な議論を積み重ねながら与野党で成案を得るということの大切さというものを、今こういう形の立場になって改めて強く思っております。

 ただし、衆議院の選挙の結果も、これも民意のあらわれです、参議院の選挙の結果も民意のあらわれです。それぞれやはり大切にしなければなりません。いや、だからこそ、物事が先に進まない、決められない政治を脱却するために、お互いに、与野党、どうやって真摯に向き合っていくかということが一層大事になってきまして、このことは、ほとんどの、多くの政党の方が政権与党経験者に逆になってきました。だからこそ、むしろ、折り合う、合意を見つけるという土壌は逆に出てきているのではないか。

 私は、決して悲観はしていません。苦しい局面も随分あるんですけれども、復興の問題も含めて、真摯な議論を積み重ねて与野党で一つの制度をつくっていくというような、そういう成果も蓄積も出てきておりますので、決して悲観せずに、丁寧な議論を積み重ねていきたいというふうに思います。

岡田(康)委員 そういう土壌ができてきているという、駄じゃれも含めた御答弁もいただいたところでございます。

 釈迦に説法ではございますけれども、憲法の五十九条や六十条で衆議院の優越が定められていながら、なかなか、三分の二がないと厳しい状況にはなってしまっております。

 ただ、よく与党、野党という言葉が使われますけれども、こう衆参ねじれますと、本当にそうなんだろうかと。この公債特例法案は、歳入の四二・五%を占めるものです。ですから、予算が一年間にわたって執行されていくことを考えますと、五分五分とまでは言いませんけれども、実際問題、この国がやろうとすることについて、半々の影響力を持っていると言っても過言ではないと思うんです。

 そういう意味では、言いかえれば、その結果といいますか、執行に関する責任という点においてもやはり、五分五分とまでは言いませんけれども、相当割合、ここにいるみんなで共有していかなければいけないのではないか、そう思うわけでございまして、引き続き、何とか一日でも早く、また公債特例法だけがおくれていくというようなことにならないように、私も与党議員の一人として努力をさせていただきたいと思っております。

 続きまして、二点目でございますけれども、先ほども質問がございましたが、交付国債の件でございます。

 このことは、野党の皆様だけでなく、私たち与党の中においても、やはり、その手法として、ほかにやり方はなかったんだろうか、そういう気持ち悪さは正直感じております。私なりに、こうしたらよかったのではないだろうかと思うことがずっとあったものですから、ここで申し上げさせていただきたいと思うんです。

 例えば、この一年間を振り返ってみてください。四回にわたって補正予算を編成されました。一次四兆、二次が二兆、三次が十二兆、そして四次が二・五兆でございました。このトータル二十・五兆の追加の補正予算の総額について、被災地に特化したものとそれ以外のもの、全国的な経済対策とか公共事業とか、そういったものとの数字の内訳を財務大臣の方から御説明いただければと思います。

安住国務大臣 一次、二次で六兆、そして今回の、昨年の秋で十二兆でございましたが、この中で、被災地に対する額は、四兆、二兆、そして九兆ということになると思います。

岡田(康)委員 ありがとうございます。

 被災地向けが、四兆、二兆、九兆とおっしゃられましたので、それを単純に足しますと、その二十・五兆の補正予算総額のうち、合計十五兆円が被災地に特化したものであったということかと思います。そうであれば、私は、もう少し復興債でファイナンスできたのではないだろうか、そう思っているんです。

 例えば三次補正のときも、少しさかのぼって、裏返すかのような形で、被災地のこと以外の部分に復興債を充てたかと思うんですね。そういう意味では、復興債で例えば十五兆までファイナンスをさせていただくことができれば、税外収入をもって、この交付国債発行に至ることはなかったのではないだろうか、そんなふうに感じたりもいたします。

 また、四次補正が、財務省の資料等でも、「整理整頓」という四文字が入っております。このことは非常に私も疑問に感じたところでございまして、整理整頓という言葉は、ともすれば、余ったから使い果たします、そんなふうにも誤解されかねない単語だと思いますので、その点はぜひとも、やはり国民目線で気をつけていただきたいなと思っているところでございます。

 時間も迫ってまいりましたので、三つ目のところに行かせていただきたいと思いますが、きょうは、お手元に資料をつくってまいりました。これは、野田総理や安住財務大臣の応援の意味で、あえて資料にさせていただいた紙でございます。ぜひ皆様も見ていただきたいと思うんです。

 最近、質問を聞いておりましても、民主党政権になって、ばらまきをやって赤字国債の額がふえたとか、歳出総額がふえているんじゃないかとか、そういう質問がたくさん出ていると思うんですよ、予算委員会でも。しかし、本当にそうなのか。私は、その点について、やはり総理や財務大臣にしっかりと反論すべきところはしていただきたいんです。

 この数字をまとめてきたんですが、当初予算について、麻生政権と比較をしております。麻生政権の当初予算の税収入と税外収入、そして公債の発行額。よく自民党の先生方からも、過去においては三十兆円台の公債発行額だったけれども、今は四十四兆になっているじゃないか、そういう御批判がありますけれども、これを見ていただいておわかりのとおり、例えば二十四年度当初予算、当時と比較をして、税収入においてはマイナス三・七五兆ぐらい、そして税外収入の取り崩しも、なかなか厳しくなってきて、五・四兆少なくなっております。これをもってすれば、公債が十三・四兆ふえていますけれども、これの相当割合の説明がつきます。残り、まだ四・二七兆、これだけでは説明できない公債増がありますけれども。

 もう一つ、国債費です。これは、借金の償還、利払いです。これは、過去の政権の方ほど責任を感じていただきたい部分でもありまして、この国債費が、麻生政権当初予算と比べれば、約一・七兆ふえているわけです。これも差し引かせていただくと、実質、公債がやむを得ずふえている部分というのは、私は、二・五兆余りだと思うんです。

 社会保障関係費が毎年一兆ずつふえるというふうによく言われております。これは共通の理解だと思うんです。その当時から二年、三年たっているわけですから、その部分でも十分説明がつくと思うんです。

 そういう意味においては、私は、ばらまきをやって赤字国債がふえたとか歳出がふえたとか、そういうことにはしっかりと反論をしていただきたいと思ってこの資料をつくらせていただきました。総理、いかがでしょうか。

野田内閣総理大臣 御指摘、全くそのとおりでございまして、自民党政権当時、麻生政権と比べるならば、大きくやはり違う。こういう公債発行額の差が出るというのは、社会保障の一兆円自然増と、累積の国債の償還と利払いに充てるお金、これはどんどんこれからふえていくわけですから、そのふえた分と、リーマン・ショック後のまさに税収減、約九兆ございました。そういうものの差が出てきているということは明らかだというふうに思いますし、特にこの後は、だからもう平成二十一年の決算の段階からこの傾向は出ているんですよね。そこはよく押さえておいていただければというふうに思います。

岡田(康)委員 以上で終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

海江田委員長 次に、西村康稔君。

西村(康)委員 自由民主党の西村康稔でございます。

 先ほどは安住大臣といろいろ御議論させていただきましたが、野田総理にお越しをいただきましたので、まず特例公債法案の採決見送りについて、総理の考えをぜひお伺いしたいと思います。

 もう御案内のとおり、予算には歳出と歳入というのがあるわけですから、これを一体的に処理していくのは当然のことでありまして、今回、租特の法案と特例公債法案がその財源としてあるわけですけれども、先ほども話がありました、財源のうちの約四割を超える三十八・三兆の赤字国債発行を担保するその特例公債法案、まさにこの法案の成立の有無、これが歳出の大きな部分を占めるわけでありますので、これは当然、同じタイミングで採決をするというのが常識的なこれまでのやり方であるというふうに思います。

 残念ながら、去年の菅政権も、歳出の予算のみ先行して、特例公債法案を八月まで延ばしたわけであります。そのとき、今の野田総理、当時の野田財務大臣は、資料にお配りをしましたけれども、六月十五日の財金委員会ではこういうふうに言っておられます。「予算の裏づけとなる歳入については、特例公債、そして税制、しっかり裏づけをあわせて御審議いただいて成立させるのが私の責任だったというふうに思います。」と。批判は甘んじて受けなければならない。さらに、「もし、私が首を差し出してそれが成るなら、私はそうしてもいいと思います。」このぐらいのことを、昨年六月の段階。

 八月の段階でも、詳細は飛ばしますが、いろいろ説明不足、努力不足もありましたということで非常に反省をしておられて、財務大臣として首を差し出してもいいという覚悟で、やはり一緒に成立させなきゃいけないということを言われています。

 ところが、ことし、総理大臣になられて、今採決を見送ろうとしておられる。まさに、去年の気持ちが同じなら、首を差し出してもいい、そのぐらいの覚悟で採決を見送られるんですか。総理の決意をぜひお伺いしたいと思います。

安住国務大臣 西村先生、最初は私に答えさせていただきたいと思います。

 特例公債法案については、きのうも竹下先生を初め多くの皆様から私の方にお叱りもいただきました。野党の幹部の皆様、また財金の皆様の御理解を何とか得て、本来であれば一緒にというふうなことは、私も財務大臣として思っております。

 しかし、現状では、参議院に仮に回る段階で、自民党を含めて、御賛成をいただける状況ではないというふうに聞いております。政府・民主において三役会議を開いて、衆議院において、野党各党の御理解をいただける道を、与野党協議などを置いて、時間をかけて模索をするとの結論に至ったということでございます。

 もちろん、言うまでもなく、この二十四年度予算が成立しても、特例公債法案が成立をしなければ特例公債法による三十八・三兆円の歳入は確保できませんので、円滑な財政運営を行わなければならないことは言うまでもないことでございますので、ぜひ、私もそうでございますが、与党側としても、衆参両院での与野党の御賛同をいただけるような環境整備に私は努めていきたいと思っております。

 きのうも答弁させていただきましたけれども、私は、昨年は国対委員長で、同時採決をする環境をつくれなかった、そういう意味での責任者でもありますので、今回、引き続き、できるだけ早い時点で採決をしていただいて、賛同をいただけるような努力をしたいと思っております。

野田内閣総理大臣 特例公債法案、当然、これは予算と一体として採決をして参議院に送るべきというのは、まさにそのとおりだと思います。歳入歳出一体、予算と関連法案一体で対応すべきだというのが基本だと思います。

 思いますけれども、残念ながら、先般の、国対委員長が出ている「日曜討論」とか、あるいは記者会見等を見ておりますと、野党の幹部の皆様からは、特例公債については反対だというようなお立場を明確に言われているケースが多かったんです。

 だとすると、これは、いわゆる三十八兆円以上という、予算を裏づける中で大変大きなウエートを示していますが、賛成をしていただけないということならば、衆議院で無理して採決をして、では、衆議院と違う投票行動を参議院でされるかどうかというと、これは、一転して変わるということは相当困難だと思います。

 だとすると、財務大臣が今御説明したとおり、御理解をいただくための環境整備にさらに努めること、衆議院の段階においてもっと合意をいただけるような努力をすることが大事だという観点から、今回は、万やむを得ず、特例公債については切り離さざるを得ない。

 今、資料を見ておりました。去年の六月十五日の財金の答弁、ちょうど今いらっしゃいました齋藤健さんに御質問をいただいて、高目の直球にちょっと私も対応してしまいました。首を差し出す覚悟があるのかと言われたときに、私の短い首を差し出してそれで通るんだったらという意味でこれはお話をしましたけれども、本当にこれは重たい法案でございますので、何としても実現をしたいんですね。通したいんです。その意味で、もうちょっと衆議院のレベルで丁寧な議論をさせていただいて、御賛同を得る努力をしていきたいというふうに考えております。

西村(康)委員 去年も衆参ねじれの状態は同じだったわけですよ。去年も同じ状態で、六月に、今冗談まじりに言われましたけれども、財務大臣として首を差し出してもいいという覚悟で答弁しておられる。今、少し冗談まじりで、ちょっと私も不快な思いをしましたけれども、大事な法案を審議しているわけであります。採決するかどうか、大事な局面なんですよ。

 総理、本当に首を差し出してでもこの特例公債法案を成立させる、その決意はないんですか。総理です。

野田内閣総理大臣 ちょうど今、与野党間の協議の中で、子供に対する金銭給付の問題であるとか、あるいは高校の実質無償化の問題とか、いろいろな協議を丁寧にやっています。そういう問題も含めてやはり御議論をいただいた後で、特例公債についても御理解をいただくように責任を果たすことが私の仕事だというふうに思っております。

西村(康)委員 なぜ我々の組み替え動議、我々もいろいろ提案をしているわけです。交付国債についても提案をして、そういうやり方じゃなくて、赤字国債でちゃんとやったらどうか、いろいろな提案、これは自民党の案も示させていただきました。それについて、なぜもっと丁寧に協議しようとされないんですか。その協議があれば、いろいろ道が開けるんじゃないですか。いかがですか、総理。

安住国務大臣 自民党の提案については、私も、先ほども予算委員会でお答えをしましたが、全て読ませていただいております。私は、かなりの部分、オーバーラップするところはあると思います、今度の予算でも。ただ、交付国債のところとか、それから、国土強靱化を新たに打ち出して、公共事業の強化充実というのも自民党はうたっておられます。しかし、多少の違いはあっても、例えば交付国債のことも、年金の二分の一に限って言えば、西村先生のところも、これは消費税をベースにつなぎ国債をという御指摘でございます。

 今総理からもありましたが、高校無償化、子ども手当、それから農家の戸別所得補償等について、鋭意、おわびを申し上げて、そして、今、議論をさせていただいている最中でございます。あわせて、さまざまな面についてぜひ政党間での協議をさせていただいて、総理が今おっしゃったように、特例公債を含めて賛成をいただく環境づくりというものを、やはり我々も汗をかかなければならない。

 そして、この結論というのは、やはり議会の中で、与党側の判断として同時にというところまで至らないということでございますので、そこのところは、我々政府としても、今、西村先生からもありましたけれども、自民党からの御提案等を踏まえて、鋭意協議をして、それがいろいろな意味で政策に反映するよう私どもも努力をしていきたいと思っています。

西村(康)委員 そう言われる割には、そもそもの国会のスタートも二十日を過ぎてから。我々麻生政権のときは、一月早々からやりましたよ。なぜもっと早く開いて、そして高校無償化を初めとする協議もほったらかしにして、なぜもっと真摯にやらないんですか。もうこれは済んだことですから言いませんけれども。

 総理、まさに、去年も言われている、説明不足、努力不足でありましたと。ことし、また同じことになりますよ。ぜひ、首をかけてでも成立させる、そのための与野党協議をしっかりやる、進める、我々の提案もしっかりと受けとめていただいて協議をする、その気持ちを聞かせていただけませんか。

野田内閣総理大臣 去年、財務大臣のときに、結果的には、いろいろと協議を経た上で、八月に特例公債が通るという形になりました。その間の予算執行については、大変厳しい状況の中で苦労した経験がありますので、今回、予算と一体となって参議院に送ることはできませんけれども、なるべく早く野党の皆さんと合意形成をするために、昨年以上に丁寧な、謙虚な議論をしていきたいというふうに考えております。

西村(康)委員 これまで大分、高校無償化を初めとして、協議をほったらかしにした、あるいはおくれた、そうしたことを踏まえて、なかなか言葉が信じられないんですけれども、我々の組み替え案を含めて、そのことも含めてしっかり受けとめていただきたいと思います。これは、大臣、いかがですか。

安住国務大臣 正式に、二月二十四日に、自民党が、わが党の政策ビジョンを発表され、平成二十四年度の予算の概要について発表して、私もそれは手元に持っております。

 先ほど申し上げましたように、かなり類似の政策があります。ただ、トータルでは、予算総額で一兆円強の差がありますが、私は、柱となるさまざまな政策について、これは政調レベルになるかもしれませんが、ぜひ鋭意検討いただいて、そうしたものが合意できれば、あらゆる方法がありますので、こういうものを政策に反映していきたいと思います。

 特に、児童手当、子ども手当、子どものための手当、それぞれ、名称のような話はいろいろありますけれども、そうしたことについては年度内で結論を得て、子供を産み育てている皆さんに対して、自民党と我々との責任で、公明党を含めて、いい結論を得て、この施策の実行をしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。

西村(康)委員 今の御発言は、これから予算は衆議院を通過して参議院へ行くわけですけれども、参議院でしっかり協議をして、さまざまな与野党協議が進めば、組み替えも含めて、さまざま選択肢を受けとめてやるということでいいですか。

安住国務大臣 私どもとしては、現時点では、この予算は最善の予算であると思っております。

 今後、施策にどういうふうに反映させるかというのはさまざまな方法がございますが、まず合意を得て、一致点を得て、それに伴う財源等がしっかりと確保されるのであれば、その方法についてはいろいろまた御相談をさせていただくこともあると思います。

西村(康)委員 我々、例えば、生活保護費も、八千億円、思い切って切る、不正受給を含めて切るということで、財源も用意をしておりますので、これはぜひ、今のお話は、我々の組み替えの提案も受けとめる、場合によっては組み替えもあり得るというふうに理解をしますけれども、もう一度答弁していただけますか。

安住国務大臣 私としては、政府の出したものは最善であると思います。

 ただ、政党間でしっかりと議論をしていただいて、立法府の結論が何らかの形で出れば、当然、それをいろいろな意味で予算に反映をさせていかなければならないと思っております。

西村(康)委員 今のは、組み替えも含めて考えていただけるというふうに理解をさせていただきたいと思います。

 総理に来ていただいていますので、私は、本会議のときにも、法人税の減税、研究開発減税について議論をさせていただきました。きょう、先般、安住大臣と大分議論させていただいたんですが、お手元の資料三ページに、オバマ大統領が、先般、法人税引き下げの提案を発表されました。連邦法人税を三五から二八に下げる、特に製造業は二五%まで下げる、研究開発の控除率は引き上げるという提案をされました。

 次のページを見ていただきますと、法人実効税率は日本とアメリカが非常に高かったわけですけれども、これでアメリカがぐっと下がります。実効税率で三一%台まで下がっていきます。日本は、一旦法人税の引き下げはやりますけれども、復興増税もありますので、四〇%から三八・〇一、これは地方税分を含めてです。仮に復興増税の三年間が過ぎたとしても、その後、三五%台にしかならない。もはや先進国で最も高い法人税率、途上国、新興国はもっと低いわけでありますけれども、世界で最も高い法人税率になるわけであります。

 そこに来て、研究開発減税についても、今回の税法で控除を縮減するということでありまして、これはまさに産業の活力を阻害する、空洞化を促進する、そういうことになってしまうおそれがあるわけであります。

 総理にぜひお伺いをしたいと思いますが、この法人減税、復興増税分は三年でなくなりますけれども、引き続きさらに引き下げていく、あるいは、空洞化を防ぐためのこうした研究開発減税について、今回の税制は税制として、将来こういうことを考えていかなきゃいけないというふうに思いますけれども、総理の御認識をお伺いしたいと思います。

野田内閣総理大臣 企業の国際競争力を確保するという観点、産業の空洞化を回避するという観点等々からいわゆる法人の実効税率を五%引き下げる、これは約十年ぶりのことです。それに踏み切ろうとしたということはぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

 その際の財源の関係で研究開発税制の見直しもさせていただきましたけれども、トータルとしては企業の税負担の軽減につながる措置をとろうとしていること、復興のための特別法人税という形で復興のために三年間は支えますが、基本的にこれは戻るということは、一定の国際競争力確保につながると思います。

 その後のことは、その後の国際環境であるとか国内における効果等々をよく勘案して判断をさせていただきたいというふうに思います。

西村(康)委員 これを見ていただいたら、世界で最も高い法人税になりますし、先ほど安住大臣との議論では、研究開発減税の縮減によって、大企業のみならず、六割、七割は中小企業が利用しているこの研究開発税制なわけですけれども、ベンチャー的な、将来の日本の経済の担い手となるような、そんな企業まで増税になってしまうということでありますので、安住大臣は、そうした実態を踏まえて、ぜひ十分配慮しながら考えていきたいという答弁をされました。

 総理にぜひその点もお伺いしたいと思いますけれども、国際環境を見ながらと言われましたけれども、やはり、研究開発をしていく企業にしっかりと国内でやってもらえるように、それが将来、我々にとっての税収の種となるように、あるいは、法人が国内にいて活動してしっかりと雇用を維持できるように、空洞化しないように、そうした方向性、認識しておられると思いますけれども、その御決意をぜひ総理からお伺いしたいと思います。

野田内閣総理大臣 ちなみに、平成二十四年度の税制改正でも、増加型、高水準型の研究開発税制の適用期限の延長であるとか、太陽光発電設備等に係る即時償却制度の創設とか、研究開発、設備投資に資するようなことについての施策は打っております。

 その後の話ですが、やはり産業空洞化を回避するという意味で、やれることは常にいろいろなことを考えていきたいというふうに思います。

西村(康)委員 社会保障と税、本当は、社会保障と税の一体改革と言わずに、経済全体と社会保障・税の一体改革というふうに言い直した方がいいんだと私は思いますけれども、やはり税収をふやしていかなきゃいけませんから、総理、ぜひそういう観点で引き続き御検討を続けていただければというふうに思います。

 エネルギーコストの話をしたいと思います。

 先ほどの議論で、経産副大臣もお越しいただいて、原発がとまり続けると三兆円燃料費が上がる、さらに、原油が十ドル上がるごとに三千億円ぐらい燃料代が上がるということでありますけれども、総理、もうあちこちで発言しておられますが、やはり原発の再稼働を急ぐということをしないと、この夏の需要もどうなるか、対応できるかどうかもありますし、エネルギーコストが非常に高い。もちろん、安全性を徹底的に確認した上での話でありますけれども、安全性の確認ができたものは再稼働する、そういう御発言をされていますが、そういう認識でよろしいですか、総理。

野田内閣総理大臣 基本的には御指摘のとおりでありまして、事業者がストレステストをやる、保安院そして安全委員会がダブルチェックをする、そこの段取りが終わった後に、本当に地元の理解を得ているかどうかなどを含めて政治が判断をするというプロセスをたどりながら、安全をきちっとチェックした暁には、一定の判断を政治が責任を持って行うということでございます。

西村(康)委員 一点だけ、これは通告はしていなかったんですが、そのストレステストの関連で、原子力規制庁が四月からできる、つくるという前提で法案を提出しておられます。それがあるために、四月以降のストレステストの審査等を、保安院を初めとして、予定を組んでいないわけですね、新しい規制庁になるからということで。

 つまり、その前提で物事が動いて、とまる可能性があるわけでありますけれども、しかし、四月一日にできるかどうか、今の政治情勢、法案の審議を考えてもわからない。延びると、その間ストレステストの審査とかに空白が生じる可能性があるんだと思うんですね。これは御理解いただけると思います。

 もう細かいことは申し上げません。今まさに、行政的な手続をしっかり踏んでと。私も安全性の確認は必要だと思います。この点の手続、空白が生じないようにする、このことだけはぜひ総理にお願いしたいと思いますが、いかがですか。

野田内閣総理大臣 さっき言ったプロセスの中で、四月一日に、御賛同いただいて原子力規制庁ができれば、それは規制庁がかんでくるということはあるんですが、その間にストレステストをやった、保安院が判断をした、安全委員会が考えたというプロセスはとまらないです。やはり、きちっと、粛々と、規制庁ができないからそれを待つというのではなくて、空白を生じないように、粛々とそれぞれが責任を持って安全性のチェックをしていく。その上で、地元の御理解をいただいているかどうか、政治が最後は判断をするということでございます。

西村(康)委員 ぜひ、移行に伴う、しかし、それがうまくいかなかった場合も含めて、移行を予定していたがゆえの空白が生じないようにお願いをしたいと思います。

 その上で、こういうエネルギーの状況ですから、いろいろな他のエネルギー源への期待が高まっているわけでありまして、特にアメリカのシェールガスに対する期待が高まっているわけであります。

 総理は、五月に訪米されるというような報道もなされていますが、行かれる御予定、計画をしておられるのかどうか。

 そして、このシェールガスの日本への供給について、アメリカのルールでは、FTAを結んでいる国には出す、しかし、そうでない国には一つ一つ許可が要るんだということでありますので、日本はアメリカとFTAを結んでおりませんので、そういう意味では許可が必要になってくるわけですが、シェールガスは非常に安いガスでありますし、埋蔵量も非常に多い。友好国であります、日本にとっての同盟国であります。安定的に供給してもらえるエネルギー源だと思いますけれども、オバマ大統領にそういうことを要請するおつもりはありますか。

野田内閣総理大臣 まず、行きたいという思いはあって、それはお互いにとって都合のいい時期ということで、今、日程は調整中なんです。

 ことしは日本がアメリカに桜を寄贈して百周年という節目の年でもありますので、ぜひ日米同盟を、安全保障、経済、あるいは文化、人的交流を深めて、より深化させるための会談をして、そして内外にメッセージを発信したいと思っています。

 そういう大目的の中で、シェールガスの話は、天然ガスの確保という意味において、エネルギー源を確保するという意味においては非常に大事なものだと思いますが、向こうにも、委員御指摘のようにルールがあります。そういう問題も含めて、あるいは価格面も含めて、影響をよく今調査していますが、シェールガスの動向については、私も非常に高い関心を持っているということでございます。

西村(康)委員 こういう話こそ、同盟国の首脳同士が話をして、日本にとって今エネルギー問題というのは死活的な問題になっているわけでありますので、ぜひオバマ大統領に直接、トップ同士でお話をしていただきたいというふうに思います。

 さらに、トップ同士ということでもう一つ、ロシアのプーチン大統領も再選をされました。ロシアはロシアで、サハリンあるいはシベリア初め、ガスの大変な埋蔵量があるわけであります。日本も恐らく天然ガスの一〇%近くの供給を受けているんだと思いますが、プーチン大統領に対しても、お会いになるのかどうかは別として、エネルギーの安定供給の要請、あるいは日本からの技術協力の要請、さらには北方領土の問題、これをぜひ話をしていただきたいと思います。

 特に、先般、ラブロフ外務大臣が来日したときに私もお会いをいたしまして、これまでと雰囲気がちょっと違うな、少し前向きな、いろいろな雰囲気も感じたんですけれども、それはともかく、再選をされたわけでありますので、ぜひプーチン大統領にもそうしたことをお話ししていただきたいと思いますけれども、その点はいかがですか。

野田内閣総理大臣 現メドベージェフ大統領、現ロシア・プーチン首相とは、それぞれ、今まで首脳の直接会談をやったり電話会談をやったりした中で、ロシアについて、来るようにという御招請をいただいていることは事実でございますので、しかるべきときに、チャンスがあればと思っていますが、多分、直接プーチン新大統領とお会いできるようになるとすると、G8あたりかなと思っています。

 そのときには、領土の問題についても、今般は非常に意欲的な発言を事前にされています。もちろん、真意はよくわかりません。余り楽観はできませんが、問題解決をしようという、北方四島の帰属の問題について意欲的な発言をされていますので、この間、大統領当選が確実になったという日に、私も電話で祝意を申し上げるとともに、柔道用語でありますけれども、お互いに、始めという号令をかけましょうというところは言いました。

 そういう根本的な問題がありますけれども、この地域におけるロシアと日本の関係は、これは基本的には戦略的にパートナーとして組めるところだと思います。お互いの潜在的な可能性からすると、経済関係、エネルギーの関係を含めて、その潜在的な能力からするとまだ低いレベルにあると思いますので、エネルギーの問題についても大いに突っ込んだ議論をさせていただきたいというふうに思います。

西村(康)委員 ぜひ、そうした戦略的なパートナーとしての意見交換と、さらにその先にあるというか、その一部である北方領土の問題の解決に向けて御努力をいただきたいというふうに思います。

 日銀総裁にもお越しをいただいておりますので、時間が少なくなってまいりましたけれども、円高、デフレ対策についてお話をしたいと思います。

 先般、政策決定会合で十兆円追加の緩和策を初め発表されて、若干円高が是正をされ、株価も上昇をしたわけでありますけれども、しかしながら、きのうはまた欧州情勢が不安ということで少し円高の方向に振れたり、予断を許さない状況で、先般も御質問いたしましたけれども、一月の物価上昇率もマイナス一%ということでありますので、まだまだ目標の一%にはほど遠いわけであります。総理にも先般お伺いをして、超党派でこうしたことに取り組むことについても一定の理解を示していただきました。

 総裁にお伺いしたいと思いますが、次の政策会合がこの十二日、十三日に予定をされています。先般の日銀の発表によって、市場は、マーケットは期待をしているんだと思うんです。日銀が本気になってきたんじゃないか、あるいは、逆に言えば、日銀のコミットメントが本気なのか、信頼に値するものなのかと見きわめている、そういう状況だと思うんですね。

 したがって、この次の会合こそが本当に大事で、ここで強い姿勢を示さないと、何だ、前回のは違うのかということになってしまうんだと思います。

 資料でも最後のページにお配りをしておりますけれども、一番下のブレーク・イーブン・インフレ率、いわゆる期待インフレ率、これも恐らく、一月から、消費税増税という期待感で上がってきているんだと思いますが、その後、日銀の二月十四日以降もそんなに変わらないわけでありまして、〇・〇五ですから、一%にはほど遠いわけであります。

 せっかく生まれた円安機会、デフレ脱却への期待でありますので、次の会合でさらに強い姿勢を示していただきたい。さらに言えば、翌日の、日本時間の十四日未明になると思いますけれども、アメリカのFOMCも政策会合をやるということでありますので、日本が何もせずに向こうが緩和を示すとまたもとに戻ってしまうということになりますので、継続した強い姿勢、あるいはこれまで以上の姿勢、成長のための融資、これも期限が来ますから、これも含めて、ぜひ大胆な姿勢を示していただきたいというふうに思います。

 我々、総理の一定の理解もいただきましたので、日銀法改正も含めていろいろ準備をしておりますので、やりたいと思いますけれども、総裁、ぜひデフレ脱却への強い決意を改めてお伺いしたいと思います。

白川参考人 お答えいたします。

 最初に、金融市場の動きについてお話ございましたので、少しだけ答弁させていただきます。

 マーケットの動向につきまして、詳しくコメントするということは適切ではないというふうに思いますけれども、最近の円安や株高の動きにつきましては、これは米国経済の改善を示す動きや、あるいは国際金融資本市場において一定の緊張緩和、こうしたことも影響しているというふうな指摘がなされております。

 いずれにしましても、日本銀行でございますけれども、日本経済がデフレから脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰することが極めて重要な課題だということは、これは強く認識しております。そうした日本銀行の政策姿勢を明確にするという強い思いで、先月は、金融緩和の強化等一連の措置を実施したところでございます。

 今後とも、日本銀行としては、先行きの経済、物価動向を注意深く点検した上で、デフレ脱却に向けて全力を挙げてまいりたいというふうに考えております。

 それから、成長基盤強化支援についてもお話しいただきました。

 これは、いつもこの席で申し上げていますとおり、デフレから脱却するためには、日本銀行による金融面からの下支えと、それから、成長力を強化する、そうした取り組み、この両方が不可欠でございます。

 後者の成長力の方は、これは日本銀行の仕事というわけではございませんけれども、しかし、その分野でも日本銀行としてできることはないだろうかということを考えまして、成長力強化の支援融資というのを行っております。この制度についても適切な運営を図っていきたいというふうに考えております。

西村(康)委員 時間が来ましたので終わりにしたいと思いますが、総理、ぜひ、デフレ脱却、今総裁も言われましたので、総理の決意だけ、もしよければ、デフレ脱却だけでもまたお伺いしたいと思いますが。

海江田委員長 もう時間が来ておりますので。恐縮です、本会議もありますので。

西村(康)委員 ぜひよろしくお願いします。ありがとうございました。

海江田委員長 次に、竹内譲君。

竹内委員 公明党の竹内譲です。

 きょうは二法案が採決されるということで、私どもも、国民生活に本当に必要なものは積極的に協力をしていきたいというふうに考えております。

 その上で、今後の日程もございますので、まず総理にお伺いしたいんですが、消費税増税法案と社会保障改革関連法案、これは税と社会保障の一体改革の大綱に基づく法案だと思いますが、間違いなく三月末までに国会に提出されますか。

野田内閣総理大臣 平成二十一年の税制改正法附則百四条に基づきまして、その法律によると、消費税を含む税制の抜本改革については、二十三年度内に法案を提出することになっていますので、その予定のもとで準備をさせていただきたいというふうに思います。

 社会保障の改革については、予算関連法案についてはもう出しております。予算非関連の部分でも、子ども・子育て新システムにかかわる法案などは、今申し上げた税制改正法案と同時に提出したいというふうに思います。社会保障改革項目については、順次提案をして実施していくことになっているということでございますが、なるべくそれに近づけて、税制改正法案と近づける形で御審議に供するように御提案をしたいというふうに思います。

竹内委員 同時に出されるということです。

 その場合、当然、閣議決定が必要になると思いますけれども、その消費税増税法案と社会保障改革関連法案は、大綱で了承を得ているので改めて党内手続は不要と考えられるのか、あるいは、それとも、もう一回党の了承を得る必要があると考えておられるのか。この辺はいかがですか。

野田内閣総理大臣 素案をつくり、その素案を大綱という形で閣議決定をさせていただきましたけれども、法案提出をする際には、これはやはり閣議決定が必要でございます。その前に党の御了解、御理解をいただくことは必要だというふうに考えております。

竹内委員 これは、私どもも、今後、特例公債法もありますので、さまざまな日程を考えなければいけないんですが、もしも党の了解が得られないとかおくれるとかいうような場合には、法案提出が無理であるというケースもあり得るんですか。

安住国務大臣 党のことは党での話ですから、私がというのも変でございますが、ただ、同じ党なので。

 政調会での話し合いを経て閣議で決定をする段取りになると思いますが、今月中には、先ほど総理が申し上げましたとおり、提出をさせていただくことになると思います。

竹内委員 民主党さんの話でございますが、先ごろ、自民党の谷垣総裁と会談されたという報道がありました。真偽は存じ上げません。

 真偽のほどはともかくとして、私の考えでは、谷垣総裁とだけ会われるのではなくて、我が党の山口代表を初め、必要であると思われる方とどんどん会って、胸襟を開いて話をすればいいと思うんですよね。そのお考えはありますか。

野田内閣総理大臣 まず、谷垣総裁の件は、報道ではありますけれども、お会いはしておりません。

 ただし、私どもは、政策実現のために、特に今回の社会保障と税の一体改革については、先送りのできない、そういう課題であり、与野党が真摯に議論をして成案を得ることが望ましいと思っていますし、与野党の協議をあらゆるレベルでお願いをしているわけでございますから、必要な方とお会いをしていくということは、これは当然あり得るだろうというふうに思います。当然、党の中でも、意見調整の中でも、必要な御説明はしかるべき方を含めて全部やっていかなければいけないと思いますし、野党間での協議が調わないとまとまらないんですから、これは、当然、必要な方とは必要なときにお会いをしていくということはあり得るというふうに思います。

竹内委員 それで、特例公債法が一応先送りになっているわけでありますけれども、特例公債法も大変重要な法案であります。特例公債法と、三月中に消費税関連法案が出てくる、これは、どちらが総理の中では優先順位が高いんでしょうか。

安住国務大臣 特例公債は、来年度予算の中で非常に重要な歳入部分を占めております。これも重要ですし、消費税は、将来に向けて本当に社会保障を充実させるためにさらに重要である。優先順位ではなくて、やはり、そういう意味では、二つとも、竹内先生を初め公明党の皆さんからの御協力も得てぜひ成立をさせていきたい法律だと私ども思っておりますので、ぜひ御賛同いただきますようお願い申し上げたいと思います。

竹内委員 時間も迫っておりますので。

 あと、申し上げたいのは、自公政権のときの小泉改革、この小泉改革というのは、私は大変リーダーシップがあったと思うんですね。消費税率を上げないかわりに、社会保障を含めて大変な歳出の改革をした。いろいろ御批判もありましたけれども、しかし、その手腕は大したものであったというふうに思っております。基礎的財政収支も大幅に改善をした。そういう意味では、総理は、小泉構造改革に対しましてどのような評価をされていますか。

野田内閣総理大臣 極めて客観的に評価すると、不良債権処理等はやはり小泉政権のもとでかなり進んだと思います。そういう改革においては、私はやはり一定の評価を正当にすべきだろうと思うんです。

 ただ、社会保障の部分については、これはやはり、毎年二千二百億削るというところにはかなり無理が生じたのではないでしょうか。その結果、医療崩壊とか介護難民等々のさまざまな弊害につながったと思います。加えて、地方の疲弊にも、あの三位一体改革は大きくつながっているのではないか。

 その意味から、政権交代をしてから私どもが特に変えようとしていることは、国民の生活が第一という理念のもとに、社会保障については、自然増ものみ込みながら必要なものにはしっかり手当てをしていくという方向性、それから、地方交付税については着実にふやし続けている等々においては、小泉政権とは一線を画しているというふうに思っております。

竹内委員 社会保障も毎年一兆円以上ふえていく、地方の財政に対してもほとんど手をつけない、そのかわり消費税をふやしてくれと。これはなかなか難しいんじゃないかなというふうに思うんですね。

 やはり、社会保障や地方財政につきましても歳出構造改革に踏み込まないと、幾ら消費税を上げても、これはなかなか難しいというふうに思いますが、いかがですか。

野田内閣総理大臣 別に、社会保障とか地方に対する、聖域化しろというお話ではございません。必要なところにはきちっと予算措置をしていくというお話を今申し上げたわけであって、例えば社会保障の分野においても、効率化、重点化すべきそういう項目ももちろんあると思います。地方においても同様のことは言えるだろうというふうに思います。

竹内委員 これで最後にいたしますが、私どもは、再三申し上げていますように、まず景気の回復を図って増収を図る、これが第一である。それから、歳出構造改革にも、やはり聖域なき構造改革に踏み込まないとだめだというふうに思います。そして、どうしてもできない部分を、やはり消費税でお願いせざるを得ない場合はあるというふうに思っております。

 まだまだ申し上げたいことはありますが、まだまだ先も長い審議がありますので、きょうはこの辺で終わります。ありがとうございました。

海江田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 五分ですので、端的にお聞きします。

 一般論でありますが、閣議決定の際、ある案件について反対する大臣が一人でもいたらどうなるのかという点です。多数決というのはあり得るのか、それとも、全閣僚一致、これが原則なのか。反対した大臣の扱いは、全閣僚一致という原則であるときには一体どうなるのか。この点をお聞きしたいと思います。

野田内閣総理大臣 一般論ということでございますけれども、内閣は、憲法第六十六条第三項により、国会に対して連帯して責任を負うこととされていますから、内閣の構成員全てが一体として統一的な行動をとることが要請されており、閣議における意思決定は全会一致によるべきものと考えております。

佐々木(憲)委員 その場合、仮に反対をする大臣が一人いたとしたら、それはどういう扱いになるんでしょうか。

野田内閣総理大臣 基本的には全会一致でございますから、これまでの過去の例を見ますと、そうでない方がいた場合には、かわっていただくという対応をしてきたというふうに承知しています。

佐々木(憲)委員 そこで、消費税の問題ですけれども、我々は消費税増税に反対をしてまいりました。これは、低所得者を直撃して、中小企業者の営業を破壊して、全体として景気を冷やす、いいことはないということで、財源を示しながら反対をしてきたつもりであります。

 現在与党であります国民新党の自見大臣や、その前の亀井静香大臣に私は質問しました。消費税についてはどうなんですかと聞きましたら、お二人ともこれまで、反対です、増税には反対ですと明確に答えてこられたわけです。

 ところが、消費税増税を柱とするこの大綱については、閣議決定の際、自見大臣は署名をした。そこで、では、法案には当然賛成するんですよねと、この場で、委員会でお聞きをしたら、仮定の問題には答えられませんと。賛成するとは決して言わなかったわけです。これは、何回も聞いたがそうでした。

 そうすると、法案化したときに署名しない大臣が出てくることもあり得るということであります。署名を拒否した場合は、連立は解消するということになるんでしょうか。

野田内閣総理大臣 そういう悲観的なたらればにお答えしてもしようがないというふうに思いますが、これまでも、重要政策を推進する際には、連立与党である国民新党の例えば亀井代表あるいは下地幹事長含めて、意見交換をしながら調整をしてまいりました。厳しいお叱りをいっぱいいただきながらも、御理解をいただいて、これまで御賛同いただいてまいりました。

 基本的には、そういう丁寧な議論の積み重ねの中で御理解をいただくようにしていきたいというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 亀井代表は、こんな消費税増税なんていうのはとんでもない話だと、最近までずっとそう言っておられるわけであります。したがって、消費税増税を強行すれば、連立を壊す可能性が非常に高い。民主党の中も事実上分裂状態になる可能性もある。そういうことまでしてやるのかどうか。国民全体としていえば、今、世論調査でいうと、平均六割が反対、その声が強いわけであります。

 したがいまして、私は、こういう無謀な消費税増税というのはやめて、私たちが提案しているように、それなりに大きな会社の、黒字のある会社には法人税減税をやらず、もとに戻す。それから、一定の所得のある方々には応分の負担をしていただく。そして無駄を削減する。こういうことをしっかりやることによって財源を確保する。我々の計算でいいますと、大体十二兆円から十五兆円は確保できる。

 そういうことによって、社会保障を充実の方向に転換させるということが大事であって、もともと民主党は、消費税増税は四年間やらないと言ってきたんです。しかも、国民生活第一と言ってきたんです。そういう方向から野田内閣はもうすっかり離れて、何か、経団連の言うとおりのことしかやっていない、そういうふうにしか見えませんので、消費税増税には絶対反対だという点を最後に申し上げまして、終わりたいと思います。

海江田委員長 次に、豊田潤多郎君。

豊田委員 新党きづなの豊田潤多郎でございます。

 私も五分しかありませんので、二点、総理に申し上げて、もし見解があればお聞きするということで。

 第一点は、私がずっと予算委員会でも、その以前から、もう昨年から、半年以上前から言ってきたことですけれども、消費税の増税の前にやるべきことがあるのではないか、それをちゃんとやってから消費税の議論をしてくださいということをかねがね申し上げてきました。

 具体的には、統治機構、組織の見直しを含む徹底した無駄の排除、それから予算の効率化、これによって、まず出せるだけの予算、無駄な歳出の削減、これを行った後に初めて消費税の論議に入るべきであって、しかも、去年の秋ぐらいから急に総理は、つけ焼き刃のように、政治と行政の一体改革も含めてというようなことをおっしゃっていますけれども、口だけではなくて、本当に実行する、実現、実行した後に初めて消費税の論議をしていただきたい。これが第一点です。

 ちなみに、一月のNHKの世論調査では、七一・二%の人が、消費税の増税の前にやるべきことがある、政府にそれを強く求めているという調査がありますので、ぜひそのことを総理は肝に銘じていただきたい。

 二番目に申し上げたいのは、交付国債の話です。

 先ほど、私は、総理の来られる前に、ちょっと実績というのを質問しましたが、もともと交付国債というのは、こんな年金の穴埋め財源に使うようなものじゃないんです。私は、旧大蔵省、今の財務省ですが、ずっと予算に携わってきて、交付国債を発行するときは、どういうときにそれが使われるのか、それを十分認識してやってきたつもりです。今や財務省の財政規律というのもおかしい。それはもう背に腹はかえられないということになっているのかもしれませんけれども。

 では、なぜ、ことしになって突然、交付国債の話が出てくるんですか。去年だって、年金の財源の繰り入れの話はあったんです。だから、そういうつけ焼き刃の、そういうことをやらずに、正直に、財源はもうない、ないならないでカットして、これだけの歳出の削減をやっていく、そういう姿勢を示した後に初めて消費税の増税をしてもらいたい。

 この二点を総理に申し上げて、残り二分ですけれども、答弁があれば、よろしくお願いします。

海江田委員長 短目にしてください。

安住国務大臣 御指摘は御指摘でございますが、交付国債をするときに、私どもも、大きいお金でございますので、これをやるとなると、やはり歳出の削減にもなかなか、二兆円を超える歳出削減をどうやってやるのかということについては議論をしましたが、やはりそれはなかなか厳しいということで、交付国債を今回やらせていただきました。これは自民党も提案しておりますけれども、やはり恒久的に安定した財源を確保するということを第一に考えて、最善の選択をしたわけでございます。

野田内閣総理大臣 交付国債について今財務大臣が答弁されましたけれども、その前に、まず税金を引き上げる前にやるべきことがあるだろうという御指摘でございますが、それはそうだというふうに受けとめております。

 したがって、いわゆる事業仕分けとか提言型政策仕分けとかやってまいりました。その結果、これは政府・与党、総力を挙げてやってきたことでありますけれども、平成二十二年度は、恒久財源とワンショットのお金を含めて九・九兆円の財源捻出をしています。翌年度も六・数兆円出しています。ということの努力はしてきているということは、その当時のメンバーでございますので、正当な評価をしていただきたいと思います。

 しかも、二〇一四年の四月に一回目の消費税率を八%に引き上げる前に、政治改革、行政改革、今私どもがメニューとして挙げているものは少なくとも実現をするということを前提にして今議論をさせていただいています。それは、国会議員の定数の削減の問題であるとか、国家公務員の人件費の削減であるとか等々を含めて、あるいは特別会計改革、あるいは独立行政法人改革、今メニューとして挙げているものについては、消費税を引き上げる前に実行するということをしっかりとやっていきたいというふうに考えております。

豊田委員 時間がもうありませんので、最後に申し上げておきますが、総理にしても、それから財務大臣にしても、今の制度、仕組みの中での努力をされているというのは、私はそれは評価をしたいと思います。

 しかし、ここまで、財政がこれだけの赤字になって、危機的状況になっているときに、単に従来の制度に乗っかった、その延長線で努力したってもうだめなんです。制度の根本的改変を含めて、国と地方を含めて、その制度の改変を行った上で、思い切った歳出の削減、無駄の削減を行っていくということをぜひ進めてもらいたい。

 それが二年半前の民主党が国民の皆さんに約束したことである、それを肝に銘じていただきたいということを最後に申し上げて、質問を終わります。

海江田委員長 これにて内閣総理大臣出席のもとの質疑は終了いたしました。

 総理大臣は御退席いただいて結構でございます。

 以上をもちまして両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

海江田委員長 これより両案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党を代表して、租税特別措置法等一部を改正する法律案及び特別会計に関する法律の一部改正案について、反対討論を行います。

 租税特別措置法等一部を改正する法律案に反対する理由は、本法案に、研究開発減税の上乗せ特別措置の延長や海外投資等損失準備金の延長など、ごく一部の大企業に対する優遇措置の単純延長が盛り込まれていることであります。

 研究開発減税の特別措置は、二〇一二年度の減税額のうち九八%が大企業へのもので、しかも、たった四百六十七社への恩恵となっているのであります。支援すべき中小企業の利用はたった三億円にすぎません。研究開発への援助をするなら、七割が赤字法人である中小企業の技術開発にも支援が届く制度への改正が必要であります。また、海外投資等損失準備金にしても、約五十件程度の申請見込みであり、まさに一部の大企業への優遇措置であります。

 民主党政権は、特定の企業や団体への租税特別措置は実質的な補助金であり、適用状況を明らかにした上で恒久化もしくは廃止すると主張していたはずであります。今回の研究開発減税の特別措置の単純延長は、その方針にも反するものであります。多額の国債発行でしか成り立たない予算を提出し、さらに消費税増税法案の提出を計画しておきながら、このような大企業優遇措置の単純延長、温存は認められません。

 なお、本法案には、給与所得控除の上限設定や福島復興再生特別措置など、評価できる内容も盛り込まれていますが、総合的に判断して、本法案に反対の態度をとるものであります。

 次に、特別会計に関する法律の一部改正案、つまり東日本大震災復興特別会計の設置についてです。

 この特別会計は、自民党の要望で入ったということであります。

 反対する理由は、子ども手当の削減などを特会の収入に明記することで民主党マニフェストの破綻を際立たせようとする意図が見え見えであり、三党の密室協議によって合意されたことであります。さらに、復興財源確保法に基づく特会収入が制約となり、被災地が求める復興事業の予算が制限される可能性もあります。

 当委員会でも明らかにいたしましたが、本特会が管理する復興財源予算には、老朽化した自衛隊輸送機五機の更新で八機購入するなど、被災地の復旧復興と関係ない予算まで紛れ込ませているのは、言語道断であります。

 民主党は、インデックス二〇〇九で、各省庁の隠れた財布となって、巨額の無駄遣いの温床となっており、特別会計をゼロベースで見直すと言っていたのであります。ところが、本特会では、その悪弊が引き継がれております。

 民主党に猛省を求め、反対討論を終わります。

海江田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

海江田委員長 これより採決に入ります。

 まず、特別会計に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

海江田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、租税特別措置法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

海江田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

海江田委員長 この際、ただいま議決いたしました租税特別措置法等の一部を改正する法律案に対し、岸本周平君外二名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。岸本周平君。

岸本委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    租税特別措置法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。

  地球温暖化対策のための税の導入に当たっては、現下の厳しい電力需給の状況や長引く円高・デフレによる企業収益の悪化等を踏まえ、産業面に過度な負担とならないよう、その影響を十分見極めるとともに、森林吸収源対策を含めた地球温暖化対策のための諸施策の推進に配慮すること。

以上であります。

 何とぞ御賛同賜りますようよろしくお願い申し上げます。

海江田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

海江田委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。財務大臣安住淳君。

安住国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配慮してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

海江田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

海江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

海江田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 金融に関する件の調査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

海江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十五分散会


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