衆議院

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第5号 平成25年3月26日(火曜日)

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平成二十五年三月二十六日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 金田 勝年君

   理事 逢沢 一郎君 理事 木原 誠二君

   理事 竹本 直一君 理事 山本 幸三君

   理事 安住  淳君 理事 桜内 文城君

   理事 上田  勇君

      安藤  裕君    伊東 良孝君

      小倉 將信君    小田原 潔君

      鬼木  誠君    神田 憲次君

      小泉進次郎君    小島 敏文君

      小林 鷹之君    今野 智博君

      鈴木 憲和君    田野瀬太道君

      田畑  毅君    竹下  亘君

      中村 裕之君    中山 展宏君

      藤井比早之君    牧島かれん君

      松本 洋平君    御法川信英君

      山田 賢司君    階   猛君

      武正 公一君    古本伸一郎君

      前原 誠司君    西野 弘一君

      松田  学君    三木 圭恵君

      山之内 毅君    岡本 三成君

      竹内  譲君    小池 政就君

      佐々木憲昭君    鈴木 克昌君

    …………………………………

   財務大臣政務官      伊東 良孝君

   財務大臣政務官      竹内  譲君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   参考人

   (日本銀行副総裁)    岩田規久男君

   参考人

   (日本銀行副総裁)    中曽  宏君

   参考人

   (日本銀行理事)     田中 洋樹君

   参考人

   (日本銀行理事)     雨宮 正佳君

   財務金融委員会専門員   北村 治則君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十六日

 辞任         補欠選任

  神田 憲次君     中村 裕之君

  小泉進次郎君     今野 智博君

同日

 辞任         補欠選任

  今野 智博君     鈴木 憲和君

  中村 裕之君     神田 憲次君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 憲和君     小泉進次郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 参考人出頭要求に関する件

 金融に関する件(通貨及び金融の調節に関する報告書)


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     ――――◇―――――

金田委員長 これより会議を開きます。

 金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りをいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁黒田東彦君、副総裁岩田規久男君、副総裁中曽宏君、理事田中洋樹君、理事雨宮正佳君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

金田委員長 去る平成二十三年十二月九日、平成二十四年六月十九日及び十二月七日、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づき、それぞれ国会に提出されました通貨及び金融の調節に関する報告書につきまして、概要の説明を求めます。日本銀行総裁黒田東彦君。

黒田参考人 日本銀行は、毎年六月と十二月に、通貨及び金融の調節に関する報告書を国会に提出いたしております。平成二十四年度上期の報告書につきましては、昨年十二月七日に提出いたしました。今回、我が国経済の動向と日本銀行の金融政策運営につきまして詳しく御説明申し上げる機会をいただきまして、厚く御礼申し上げます。

 最初に、我が国の経済金融情勢について御説明申し上げます。

 我が国の景気は、海外経済の減速などを背景に、昨年夏以降、弱目の動きとなっておりましたが、このところ明るい兆しも見られるようになっています。日本銀行は、景気の現状について、下げどまっていると判断しております。こうした変化の背景にある要因としては、三点指摘できると思います。

 第一に、米国、中国などを中心に、海外経済が減速した状況から脱する兆しを見せております。

 地域ごとに見ますと、米国経済は、バランスシート問題のおもしが徐々に和らぐ中で、底がたさを増しつつありまして、緩やかな回復基調を続けております。雇用環境が改善傾向をたどるもとで、個人消費は緩やかな増加を続けており、住宅投資も持ち直しの動きが明確になっております。これまで抑制されていた設備投資にも持ち直しの兆しがうかがわれます。

 中国経済は、輸出が一進一退の動きを続ける中、個人消費が堅調に推移し、インフラ投資が増加するなど、堅調な内需に支えられて、減速局面を脱しつつあります。

 この間、欧州経済は、企業や家計のマインドの一段の悪化には歯どめがかかりつつあるものの、緊縮財政や金融の引き締まりの影響もあって、設備投資や個人消費が減少するなど、緩やかな景気後退が続いています。

 第二に、最近の円安、株高などを背景に、企業や家計のマインドが改善しています。

 国際金融資本市場についても、昨年夏場以降、欧州債務問題をめぐる政策対応に一定の進展が見られたことや、本年初の米国の財政の崖が回避されたこともあって、投資家のリスク回避姿勢は後退した状態にあります。もっとも、キプロス支援交渉の状況や総選挙後のイタリア情勢に注目が集まるなど、欧州債務問題の今後の展開などに引き続き注意していく必要があると考えています。

 第三に、エコカー補助金終了の反動や日中関係の影響など、景気の下押し圧力となっていた要因が剥落、減衰しています。

 こうしたもとで、我が国の輸出は下げどまりつつあります。設備投資は、非製造業に底がたさが見られるものの、全体として弱目となっています。一方、公共投資は増加を続けており、住宅投資も持ち直し傾向にあります。個人消費は、高齢者需要などにも下支えされて、底がたく推移しています。以上の内外需要を反映して、鉱工業生産は下げどまっています。

 先行きについては、各種の経済対策が実行に移されることもあって、国内需要が堅調に推移し、また、海外経済も減速した状態から次第に脱していくことなどを背景に、年央ごろには国内景気の持ち直しの動きははっきりしてくると見ています。

 我が国の金融環境を見ますと、緩和した状態にあります。

 金利面では、コールレートが極めて低い水準で推移する中、企業の資金調達コストは低水準で推移しています。

 資金供給面では、企業から見た金融機関の貸し出し態度は改善傾向が続いています。CP、社債市場でも、総じて見れば、良好な発行環境が続いています。

 資金需要面を見ますと、運転資金や企業買収関連を中心に増加の動きが見られています。

 こうした中、企業の資金繰りを見ますと、総じて見れば、改善した状態にあります。

 物価面では、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、おおむねゼロ%となっています。目先数カ月は、前年のエネルギー関連や耐久消費財の動きの反動からマイナスとなると見られますが、その後は、我が国経済が緩やかな回復経路をたどるもとで、マクロ的な需給バランスは緩やかな改善基調を続け、消費者物価は緩やかな上昇傾向に転じていくと考えられます。

 もとより、欧州債務問題の今後の展開や、米国経済の回復力、新興国、資源国経済の持続的成長経路への円滑な移行の可能性、日中関係の影響など、日本経済をめぐる不確実性は引き続き大きい情勢です。

 最近の金融市場の動きは、世界経済が減速した状態を脱し、持ち直していくことを織り込んでいく動きと見られますが、今後、世界景気を取り巻く幾つかの不透明要因が順調に払拭されていくかどうか、引き続き注意深く点検してまいります。

 次に、日本銀行の金融政策運営について御説明申し上げます。

 日本経済は、十五年近くもデフレに苦しんできました。これは世界的に見ても異例なことです。

 物価が下落する中で、賃金、収益が圧縮され、投資、消費が減少することでさらなる物価下落に陥るという悪循環は、日本経済を劣化させています。デフレからの早期脱却は、日本経済が抱えている最大の課題です。

 物価安定は中央銀行の責務であり、デフレ脱却における日本銀行の役割は極めて重要です。

 日本銀行は、これまでゼロ金利政策や量的緩和政策を行ったほか、最近では、包括的な金融緩和政策を通じた金融緩和の推進、金融市場の安定確保、成長基盤強化の支援といったさまざまな取り組みを行ってまいりましたが、残念ながら、デフレ脱却には至りませんでした。

 もとより、我が国の物価の低下圧力を与える要因としては、海外からの安値輸入品の増加、規制緩和などに伴う流通の効率化、それと相まって生じた企業の低価格戦略や家計の低価格志向の広がりなど、国内外に多々あります。

 しかし、そうした影響に対抗して物価の安定を実現するのが中央銀行としての日本銀行の責務です。

 実際、世界じゅうで、これほど長期間にわたってデフレが続いている国はほかにありません。

 政府が、大胆な金融緩和、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略から成る三本の矢でデフレ脱却と経済再生を実現する方針を明らかにし、緊急経済対策などの対応を迅速にとったことが好感され、景気回復の期待を先取りする形で株価も回復し始めています。

 中でも、本年一月の共同声明は、政府、日本銀行が、それぞれの課題を明確に設定し、責任を持ってそれを実現することを宣言したものであり、デフレ脱却と持続的な経済成長の実現に向けた大きな一歩です。

 日本銀行は、消費者物価の前年比上昇率で二%という物価安定の目標を導入し、この目標のもと、金融緩和を推進し、これをできるだけ早期に実現することを目指すことを決定しました。

 日本銀行としては、この物価安定の目標を一日も早く実現することが何よりも重要な使命であると考えています。

 これまで、日本銀行は、デフレ脱却に向け、国債だけでなく、社債、CP、指数連動型上場投資信託、不動産投資信託など、さまざまな資産を買い入れてきました。これは中央銀行の伝統的な手法を踏み越えたものですが、その規模や具体的な買い入れ対象等については、できるだけ早期に二%の物価上昇を実現するという強いコミットメントを実現するために十分なものとは言えません。量的にも質的にも大胆な金融緩和を推進していく必要があると考えています。

 また、金利引き下げ余地が乏しい現状では、金融政策運営において、市場の期待に働きかけることが不可欠です。市場とのコミュニケーションを通じて、デフレ脱却に向け、やれることは何でもやるという姿勢を明確に打ち出していきたいと考えています。

 さらに、政府との連携確保も重要です。金融政策は、政府の経済政策と整合性を持って運営することで、より高い効果を発揮できるものです。政府と日本銀行の共同声明では、デフレからの早期脱却と物価安定のもとでの持続的な経済成長の実現に向け、政府及び日本銀行の政策連携を強化し、一体となって取り組むことを明記しています。また、政府は、機動的な財政政策、成長力、競争力強化、中長期的な財政健全化に取り組むこととされています。

 もとより、日本銀行は、みずからの責任において、物価安定の目標の早期実現を目指して金融緩和を推進するものです。ただ、金融緩和と並行して、政府が実需をつくり出し、消費、投資の拡大を通じて賃金、雇用を改善することができれば、そこからさらなる物価上昇につながる好循環も期待できます。

 その際、財政運営への信認低下による金利上昇を避けるため、中長期的な財政健全化に取り組むことも重要です。共同声明に沿った政府の取り組みを期待したいと思います。

 今後の具体的な金融政策運営については、政策委員会・金融政策決定会合において、経済、物価情勢の点検を通じて、市場への影響なども見きわめつつ、日本銀行が持つ全ての機能を最大限に活用し、何が最も効果的であるかを検討してまいります。

 ありがとうございました。

金田委員長 これにて概要の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

金田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小田原潔君。

小田原委員 東京二十一区、立川市、昭島市、日野市選出の小田原潔でございます。

 まずは、黒田総裁、改めまして、日本銀行の総裁への御就任、まことにおめでとうございます。また、本日もお話を頂戴いたしましてありがとうございます。

 私は、今回、初当選を果たしました。ここにいらっしゃいます山本幸三先生、それから前任の白川総裁と同じゼミで、同じ先生について学んでまいりました。もう三十年も前の話ではございますが、常々、選挙前から、山本先生と白川前総裁が激しくやり合うのを、後輩ながら心を痛めておりました。どうか、黒田総裁におかれましては、共同声明の精神にのっとり、仲よく、手に手をとって、デフレからの脱却に邁進をしていただけるものと期待をいたしております。

 また、輝かしい功績を残されていらっしゃる諸先輩方のその功績を汚さぬよう、精進をしてまいりたいと思います。

 さて、質問に移らせていただきます。

 まずは、今お話を伺ったばかりではありますが、中央銀行の総裁としての心や魂が伝わってくるような、黒田総裁任期中の、これだけはなし遂げたいというテーマがおありであれば、それをお聞かせいただきたいと思います。

 お話の中にも、また三月四日の参考人としての御答弁の中にも、現在の我が国の経済の課題がデフレ脱却であること、また、使える手は何でも使って市場とのコミュニケーションを活発にしていきたい、こういう御意向は承りました。

 ただ、金融緩和は白川前総裁のときにも継続をしていたというふうに認識をしております。黒田総裁になり、どこがどう変わっていくのか、お考えを頂戴したいと思います。

黒田参考人 ただいま委員から御指摘ありましたとおり、中央銀行総裁としての最大の使命は、やはり物価の安定であるというふうに思います。

 先ほども申し上げたとおり、日本銀行は、過去十数年にわたってさまざまな金融緩和策をとってまいりました。特に、前総裁のもとで、先ほど申し上げたような包括的金融緩和ということをされたわけですけれども、残念ながら、物価は足元でまだマイナス含み、先ほど申し上げたように、生鮮食料品を除くところでもまだまだ上昇していない状況にあります。

 その意味で、私が考えますに、三つほど重要な点があると思うんです。

 まず第一は、やはり、二%の物価安定目標というものを定めたわけでございますので、そのコミットメントを強く認識して、日銀総裁としてあるいは政策委員会のメンバーとして、その実現に最大限の努力を払う、そのためには、できることは何でもやるという姿勢でやっていくということがまず第一に必要であろうと思います。

 第二には、伝統的な金融緩和の手法というのは、御承知のとおり、短期金利をだんだん下げていくという形で金融情勢全体を緩和していくということが行われるわけですけれども、長らくデフレが続いてきて、短期金利はもうほとんどゼロというところですので、そのための非常に重要なポイントというのは、やはり、先ほど申し上げた、強いコミットメントを背景にして期待に働きかける、物価上昇期待というものを経済関係者に持っていただくように、市場との対話あるいは企業、家計とのコミュニケーションということを強化して、デフレ期待から物価上昇期待に期待を転換するようにするということが第二に必要な点であろう。

 第三に、もとより、そのためには、質的、量的な面で大胆な金融緩和を行う、これまで日本銀行が行ってきた以上の量的、質的な緩和を行うということであろうと思います。

 強いコミットメント、市場との対話、そして質的、量的な大胆な金融緩和ということで二%の物価安定目標を早期に実現したいというふうに思っております。

小田原委員 黒田総裁、ありがとうございました。大変明確なお答えをいただいたと思います。

 次に、物価安定目標を設け、金融緩和をきっちりと進めた場合、実体の経済がよくなる前に、特定の資産、例えば土地ですとか株ですとかが高騰してしまう、そういう懸念がないのか、また、その混乱を防ぎ、対処していかれるお心づもりをお聞かせいただきたいと思います。

黒田参考人 日本銀行は、日銀法に定められているとおり、物価の安定を通じて国民経済の健全な発展に資するということを使命といたしておりますので、もとより物価の安定ということが一番重要ではありますけれども、経済が持続的な成長を遂げるためには、物価のみならず、資産価格を含めて、経済物価情勢に影響を及ぼすさまざまな要因を丹念に点検していく必要があるというふうに思っております。

 その意味で、世界の中央銀行は、物価安定目標というのをほとんどの中央銀行が定めておりますけれども、他方で、資産価格についても、やはりよく注視していくということだと思いますので、私どもも同様なことになろうと思います。

 ただ、現時点で、資産価格あるいは資産市場にバブルが生じているとか、今すぐにそういう状況が来る懸念があるというふうには思っておりません。

 当面、十五年続きのデフレから脱却するということが最大の課題だと思っておりますが、あくまでも、そういった物価の安定を通じて国民経済の健全な発展に資するように努力してまいりたいと思っております。

小田原委員 黒田総裁、どうもありがとうございました。

 次に、雇用と賃金上昇についての御見解をお聞かせください。

 日銀法の一条の「目的」にも、二条の「通貨及び金融の調節の理念」にも、雇用については責任を持つというような書き方はされておりませんが、米国の連邦準備銀行の役割なども横目で見ながら、経済が回復したその恩恵を最終的に国民が受けることができるのは、雇用と賃金上昇につながったときだというふうに思います。これについてお聞かせをいただきたいと思います。

 それと、インフレターゲットを設けて政策を行った場合に、通常、硬直的と言われている賃金の上昇と物価の上昇、どちらが早く実現するというふうにお考えなのか。これは、ちまたの有名なエコノミストさんは、賃金が上がるよりも先に物価が上がって、実質賃金が下がるということを書く人が多いようにお見受けをしております。黒田総裁の御見解を頂戴したいと思います。

黒田参考人 ただいま御指摘の点は、実は非常に重要な点だと私どもも考えております。

 やはり、経済が持続的に成長することで企業収益とか雇用、賃金が上昇する、増加する、そうした中で物価も上昇していくという、いわばバランスのとれた形で物価安定目標が達成されるということが一番望ましいわけでございます。

 したがいまして、日本銀行は、米国の連邦準備制度と異なり、法律上明確に、雇用の極大化とか最大化ということは使命とか理念に入っておりませんけれども、先ほど申し上げたとおり、国民経済の健全な発展に資するということがうたわれておりますので、当然、雇用状況を含めて、国民経済が健全に発展するような状況を目指しているということは申し上げられると思います。

 なお、物価と賃金とどちらが先に上がるかとかいう点については、いろいろな研究があるわけでございますが、私どもが調査したところでは、過去の傾向としては、比較的同時に動いているようでございまして、必ずしも、物価が先に動いて、賃金が後からついて上がっていくということでもない、ほぼ同時的に動いているということかと思います。

 それは、それぞれの経済状況によるところが大きいと思いますけれども、デフレが続いてきた、起こってきた過程では、確かに、物価の方が先に下がって、賃金は下方硬直性が若干ありますので、賃金が後から下がるという傾向があったかもしれませんが、物価が上昇したり、あるいは過去において下落したことがあったわけですけれども、今回のような十五年続きのデフレの最初の過程で、少し物価が先に下がって、実質賃金が上がったということがあったかもしれませんが、基本的には、物価と賃金はほぼ時期を同じくして動いているというのが実態のようでございます。

小田原委員 黒田総裁、ありがとうございます。

 まさに、物価安定目標をしっかりと達成され、我が国の経済が再び元気を取り戻すことを期待しておるわけでございますが、そうなった場合に、また心配も出てこようかと思います。

 それは、金利上昇、またインフレターゲットの達成により、金利が上がり、特に長期の金利が上がり、国債の、特に借りかえの国債の利払いの負担が大きくなって、かえって財政を圧迫しやしないかという懸念も抱かざるを得ないわけであります。

 本日の黒田総裁のお話の中でも、「財政運営への信認低下による金利上昇を避けるため、中長期的な財政健全化に取り組むことも重要です。」このようにお話しになっております。

 この将来の景気回復に伴う金利上昇が国債の発行環境ですとか財政にどのような影響を与えそうなのか、これは竹内財務政務官になりましょうか、お話を頂戴いたしたいと思います。

竹内大臣政務官 先日国会に提出をいたしました後年度影響試算におきまして、仮に金利のみ一%上昇した場合、例えば二十六年度に国債費は一兆円増加をいたします。他方、仮に名目経済成長率のみ一%上昇した場合には、例えば二十六年度に税収は〇・五兆円増加すると試算をしております。したがいまして、仮に名目経済成長率と金利が同じ幅だけ上昇した場合、国債費の増加分が税収の増加分を上回るという結果になっております。

 物価上昇や経済成長に伴いまして金利がどの程度変化するかについては、いろいろなケースがあり得るところでございますが、政府といたしましては、民間投資を喚起し、民間主導の持続的な経済成長につなげる一方、引き続き、市場の信認を維持し、金利上昇による財政への影響を抑制するためにも、中長期的な財政健全化に取り組むことが重要と考えております。

 このため、政府といたしましては、国、地方のプライマリーバランスにつきまして、二〇一五年度までの赤字対GDP比の二〇一〇年度からの半減、二〇二〇年度までの黒字化を図ることとし、その実現のための中期財政計画を年央をめどに策定する所存でございます。よろしくお願い申し上げます。

小田原委員 ありがとうございます。

 恐らく、黒田新総裁がマーケットとの健全な対話を進めて、理不尽な金利上昇などは防いでいただけるものというふうに期待をしております。

 改めまして、黒田新総裁と新しい政府との蜜月関係が結実をいたしまして、我が国の経済が息を吹き返すことを期待いたしまして、私の質問とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

金田委員長 次に、岡本三成君。

岡本委員 公明党の岡本三成でございます。

 黒田新総裁、御就任、まことにおめでとうございます。この激動の時代の中にありまして、この重責をお引き受けいただいたこと、本当に感謝をしております。どうかよろしくお願いいたします。

 私は、昨年初当選をいたしますまで、二十二年間、アメリカの金融機関に勤めておりまして、ニューヨーク、ロンドン等の国際金融市場の最前線で働いてまいりました。どうか、新総裁のもと、日銀の政策が各国の中央銀行のグローバルスタンダードを超えるぐらいのものを実現していただきまして、確実なるデフレの脱却の実現をお願いしたいと思います。

 これまで、総裁には、議運の委員会等でさまざま御答弁をいただいておりますので、本日は、ちょっと一歩踏み込んだ御質問をさせていただきたいと思っておりますし、十五分しかありませんので、簡潔な御答弁に御協力をいただければと思います。

 まず、先ほども、質的なものにこだわって金融緩和を実現されたいというふうなお話をされましたけれども、質的といいますと、一つは、年限をどうするかという問題と、購入する資産のリスクのレベルをどうするかということなんだと思うんです。

 さまざまな場面で、国債においては三年を五年程度までとおっしゃっておりますけれども、国債自体は四十年まであるわけで、FRBもツイストオペのときは三十年まで買い込んでいますので、実際、長いところの金利を抑えて金利利回り曲線を低くして設備投資を喚起していくというのは重要だと思うんですが、五年より長いところに対するお考えをお聞かせください。

黒田参考人 御指摘のとおり、金融政策につきまして、量的、質的緩和を大胆に進めるということになりますと、イールドカーブを全体としてどう下げていくかということになると思います。

 その際には、あらゆる可能性を、いわばあらゆるオプションを検討課題にして、実効ある金融緩和を進めていくということになると思いますので、委員御指摘の点も含めて当然検討対象になると思いますけれども、具体的に五年までとか何年までとか、そういう点につきましては、これから政策委員会で十分審議して、どういうふうにすれば一番効果的に金融緩和が進められるかということを念頭に置いて、また、市場の状況も十分踏まえて検討してまいりたいと思っております。

 委員御指摘の点も含めて、十分検討させていただきたいと思います。

岡本委員 ありがとうございます。

 加えまして、購入資産のリスクへの許容度ということですけれども、具体的には、株式に対しまして、現状、日銀の資産の中でETFの割合というのは一%以下なんですけれども、今回、総理のもとで、政府も日銀も、一部の民間企業も協力をして、デフレを脱却しようということで、既に賃金の上昇を決めたような企業もありますので、私、個人的には、日銀に賃金の上昇を決めたような企業の株を全部買っていただきたい気持ちでいますけれども、日銀のルール上、個別株は買えないこともよく理解をしておりますので、株式市場全体に対するインパクトということにおきまして、日銀の資産におけるETFを初めとした指数に対する姿勢をお聞かせいただければと思います。

黒田参考人 御指摘のとおり、先ほど申し上げたように、イールドカーブ全体を下げる、これは、ベンチマークが国債でございますので、長期国債について、どういったレンジの国債をどの程度購入するかということが議論になると思いますし、他方で、そのベンチマークの上に、リスクプレミアムが社債とか株とかその他いろいろな投資信託とかに乗ってきているわけですので、リスクプレミアムを下げていくという観点も重要だと思います。

 したがいまして、これまでもCP、社債、REIT、そしてETFといったものを購入してきたわけですが、どういったものを購入するのが一番リスクプレミアムを適切な水準に引き下げていく上で効果的かということは、現在の市場の状況も踏まえて検討をしていきたいと思っております。

 委員御指摘の点も当然検討課題になると思いますが、具体的にどういった資産を、いわゆるリスク資産をどの程度買うかということは、やはり十分政策委員会で検討して決まっていくことであるというふうに思っております。

岡本委員 ありがとうございます。

 総裁は、さまざまな場面で、日銀の説明責任、アカウンタビリティーが重要だということを御発言いただいておりますけれども、現状、政策決定会合の議事の要旨が発表されるのは、大体、会合の一カ月後ぐらいになっています。FRBは三週間ぐらい、バンク・オブ・イングランドは二週間ぐらいで出しています。

 決定会合の後に記者会見もやられますので、おおむねメッセージは伝わると思うんですが、やはり市場との対話を重視する上で、その内容ですとか決定のプロセスをいち早く明らかにするというのは非常に重要だと思っております。

 例えば、G7の中央銀行の中で日銀がその要旨の開示を最も早くする、例えば一週間ぐらいでやるとなりますと、それだけで市場の信認というのは上がる可能性が高いと思うんですけれども、この発表までの期間の短縮化について、できるかどうかも含めて、お考えがあれば、ぜひお聞かせください。

黒田参考人 議事要旨につきましては、日銀法の第二十条において、金融政策決定会合の承認を得て公表するということになっておりますので、こうした枠組みの中でできる限り早期に公表を行うこととしておりまして、通常、次回の金融政策決定会合で承認を得て公表するという扱いになっております。

 委員御指摘のとおり、アカウンタビリティーあるいは透明性といった観点から各中央銀行はさまざまな努力をしておりますが、特に日本銀行といたしましては、金融政策決定会合後の記者会見などにおいて、決定された金融政策の内容をかなり詳しく申し上げておりますし、それから、さまざまな機会に政策委員会のメンバーが金融政策の状況それから決定された内容等について詳しく御説明しておりますので、そういった努力全体を通じて、アカウンタビリティーをさらに高める努力はしてまいりたいというふうに思っております。

岡本委員 日銀と政府は、デフレ脱却を実現するという目標を共有しているという意味では、パートナーだというふうに思っております。日銀が実際に金融緩和をしていただいた結果として、マネタリーベースは大きく向上してまいりましたけれども、信用創造が市中銀行の中でなかなか実現できていないがゆえに、マネーストックはそれほど伸びていないというのが現実です。

 その中で、日銀は、昨年の十二月だったと思いますが、民間への融資をふやしたような銀行に対して無制限で資金を供給するという、信用創造喚起という意味ではすばらしい政策だと思いますけれども、一方で、日銀の金融政策をさらに効果的なものにするために、政府、とりわけ市中銀行の金融行政を担っている金融庁に対しまして、何か前向きな御要望がありましたら、ぜひお聞かせください。

黒田参考人 足元の状況を見ますと、金融機関の貸し出し態度は、先ほども少し申し上げたとおり、やや前向きになってきておりまして、そういった面では好ましい傾向が出ていると思っております。それから、委員御指摘のとおり、日本銀行といたしましても、貸し出しの増加分について全てファイナンスをするというようなシステムもつくりまして、運用しようとしておりますので、そういった面でも、さらに金融機関の貸し出し態度というのは前向きになってくると思います。

 委員御指摘の点が、具体的にバーゼル3とかその他金融機関に対するいわゆる規制といいますか監督といいますか、そういったものを指すといたしますと、バーゼル3自体はいわば国際的に合意されたものでございまして、そういったものを踏まえて、恐らく金融庁は日本の実態に合った形でやっておられると思いますけれども、今後、具体的に、金融行政の面で、さらに融資を進める上で必要な改正点、改善点がありますれば、いろいろな形で金融庁、政府にも御意見を申し上げたいと思っております。

 現時点では、特別に何か非常に大きな障害になっているという点は、バーゼル3についてはいろいろな議論が国際的にあることは承知しておりますけれども、国際的な合意に従ってやっている中で、特に何か日本の実情に合わない面があれば、そこは、私どもといたしましても、金融庁に御意見を申し上げることがあり得ると思います。

岡本委員 これまでのさまざまな委員会で、この二%のインフレターゲットの実現目標をおおむね二年間ぐらいのうちということがよく言葉で出てまいりました。その根拠となっているのは、他国でインフレターゲットをとっている国が、実現するのに大体二年ぐらいで実現できているということが根拠だと思うんですが、他国の場合は高い価格を下げていくインフレターゲットでありまして、日本のようにデフレから脱却するインフレターゲットというのは史上初めての取り組みなんだと思うんです。

 その意味で、非常にハードルが高いので、総裁のコミットメントはすばらしい市場へのメッセージだと思いますが、私、個人的には、二年にこだわる必要はないというふうに思っております。

 その上で、二%のインフレターゲットの実現に関しまして、先ほどの小田原委員の発言にもありましたように、私は、それは手段だと思っているんですね。目的は、景気の回復であり、雇用の増大であり、賃金の上昇であります。

 したがいまして、仮に二年後、二%の物価上昇が実現していても、景気が悪ければ失敗だと思いますし、二%に達していなくても、景気が上昇していて、失業率も下がり、賃金が上がっていれば、日銀としても、政府としても、それは大成功の政策だったというふうな認識をしておりますけれども、改めて、その認識に対する御答弁をお願いできればと思います。

黒田参考人 委員御指摘のとおり、物価安定を通じて健全な国民経済の発展に資するということが日銀の理念でございますので、当然、物価安定目標が達成されたとしても、国民経済が健全に発展していないというのでは困るわけでございまして、そういった意味で、国民経済の健全な発展、そのためには、もちろん、雇用とか賃金とか、その他さまざまな経済指標を十分点検していく必要があると思います。

 ただ、私どもといたしましては、やはり二%の物価安定目標というものを中期的に維持していく、それによって、それが一種のアンカーになってインフレとかデフレに向かいにくくなる、金融政策が、そのアンカーを踏まえて、より機動的、効率的、効果的に運用できるようになるということを期待しておるわけでございまして、単に、ある時点で二%になったということではなくて、もう少し中長期的にそういった物価安定を維持して、物価の安定、二%というものがアンカーになるということを期待しておるわけでございますので、ぜひそういった中長期的な観点も御理解いただきたいと思います。

岡本委員 ありがとうございました。

金田委員長 次に、前原誠司君。

前原委員 おはようございます。民主党の前原です。

 まず、黒田総裁に対する我々のスタンスというものを申し上げますと、白川前総裁の残余期間については同意をさせていただきました。来る五年間の任期につきましては、きょうも含めて、しっかりとお話を伺った上で判断をさせていただきたい、こう思っているところであります。

 まず、岩田副総裁に伺いたいと思います。

 二月七日の予算委員会におきまして、安倍総理が私の質問に答えまして、デフレは貨幣現象である、そして、物価目標二%達成は日銀の責任で、こういうことをおっしゃっておりますけれども、この安倍総理の御発言については賛同されますでしょうか、どうでしょうか。簡単にお答えください。

岩田参考人 基本的には、貨幣現象だという意味は、中長期的に見た場合にそうであって、短期的にはいろいろな、エネルギーだとかそういうものによって振れるということですが、それを、中長期的には、貨幣的に適正な水準に戻すことができるという考えです。

前原委員 また、二年で二%が実現できなければ辞職をされるというお話をされていたかに思いますが、そのお考えは今も変わっておりませんか。

岩田参考人 基本的には、説明責任をきちんととれるかどうかということをまず考えて、それでも説明責任が自分で全うできないという場合には、最高の責任のとり方は辞職であるというふうに考えておりますが、いずれにしても、まず、説明責任をとれるということが先決だというふうに思います。

前原委員 黒田総裁に伺いたいと思いますが、デフレは貨幣現象、そして物価目標二%達成は日銀の責任でという安倍総理の答弁について、黒田総裁のお考えも伺いたいと思います。

黒田参考人 先ほど冒頭で申し上げましたとおり、物価に影響を与えるファクターはたくさんございまして、内外ともにいろいろな要因によって影響されるという意味では、物価を全て、その時々の物価の上昇とか下落をマネーサプライとかそういった金融的な事情だけで説明するというのは、実際問題として難しいと思います。実際には、為替の影響であるとか、エネルギー価格の影響であるとか、あるいは、先ほど申し上げたように、最近新興国から非常に安い物が入ってくるとか、企業の価格政策とか、その他もろもろの事情が物価に影響を与えているわけでございます。

 ただ、そういったものにいわば抗して、そういった状況を踏まえて、それを克服するように金融政策を運営することによって、中長期的には二%といった物価安定目標を達成するということは可能であろう。現に、ほとんどの先進国において二%程度の物価安定目標は達成されておるわけでございまして、リーマン・ショック後の世界的な大不況の中でも、米国もヨーロッパも、少なくとも、物価につきましてはデフレといった状況にはなっていないわけでございます。

 委員御指摘のとおり、いろいろな事情で物価は決まってくるわけでございますけれども、中央銀行といたしましては、そういうことを踏まえて金融政策を運営することによって、中長期的に物価安定目標を達成すべきであるし、達成できるというふうに思っております。

前原委員 正副総裁とも、発言が大分変わってきているように私は思います。

 一つは、二%の物価安定、上昇目標というものは、二年以内でやるということをおっしゃっていたと思います。そして、日銀の責任でそれはやるんだということをおっしゃっていたと思いますが、それについては変わりありませんか。

黒田参考人 政策委員会は、一月に二%の物価安定目標を定め、それをできるだけ早期に実現するために金融緩和を推進するということを決めておりまして、まさにそれに沿って、私どもは、物価安定目標をできるだけ早期に、一日も早く達成したいと思っておりますが、二年というのは、先ほども出ておりましたように、今、諸外国の中央銀行の多くは、二年程度のタイムスパンを考えながら中期的な物価安定を実現するために努力しており、かつ、それを達成しておるわけでございまして、私どももそういったものを念頭に置いていくという点では変わりないということでございます。

前原委員 変わりないということは、二年、二%、日銀の責任で基本的には行うということでよろしいんですね。

黒田参考人 二%の物価安定目標を既に定めて、しかもそれをできるだけ早期に実現するということになっておりまして、二年程度というのは、まさに私も念頭に置いて、それを日銀の責務として、責任を持って達成してまいりたい。

 ただ、それに対してさまざまなファクターが影響することは事実でございまして、政府の財政政策、それから成長政策といったものも影響することは事実ですので、政府と日銀で共同声明で定めたことを政府としてもきちっと実現してほしいというふうに思っております。

前原委員 安倍総理は、日銀の責任で二%の物価上昇ということをおっしゃっていたんですよ。それを踏まえて任命されたのが黒田総裁ですよ。我々が同意するかどうかは別の問題として、それにはやはり責任を持って、トーンダウンせずにコミットメントされるべきじゃないですか。

黒田参考人 何度も申し上げましたとおり、二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するというのは、私どもとして最大の責務であると思っておりますので、二年ということを念頭に置いて、必ず物価安定目標を日本銀行の責任において達成してまいりたいというふうに思っております。

前原委員 言い切られたので、それはぜひやっていただきたいと思いますし、先ほど、アカウンタビリティーの関係も踏まえてとおっしゃいましたけれども、岩田副総裁はみずからの職を賭してそれをやるんだということもおっしゃっておられましたので、その点についてはしっかりテークノートをさせていただきたいと思います。

 その上で、総裁、副総裁にもお配りをしております資料、図表一と図表二を見ていただきたいんですが、これは、上が、日本とアメリカとヨーロッパのいわゆる対GDP比のマネタリーベースでございます。下が、日本、一九九〇年から二〇一二年までありますが、対GDP比のマネタリーベースというのは拡大をしてきているわけでありますが、CPIが動いていないということについて、先ほど、二年、二%を日銀の責任でということをおっしゃった総裁として、まず、これだけ金融緩和をしてCPIが動いていないということをどう分析されますか。

黒田参考人 御承知のとおり、特にリーマン・ショック後において、欧米は大幅なマネタリーベースの増加をしたわけですけれども、名目GDPはさほど大きく伸びていないわけでございます。実際上、リーマン・ショック後は実質成長率がマイナスになったわけでございまして、ただ、その後、物価も二%の近傍に来ておりますし、成長率自体も、米国においてはある程度回復し、ユーロ圏ではまだマイナスが続いているという状況でございます。

 御指摘のとおり、日本で、リーマン・ショック前においても、それからリーマン・ショック後においても、大幅なマネタリーベースの増加があったわけですが、物価上昇率はずっとマイナスであるということは、そのとおりでございまして、そういった中で、マネタリーベースの拡大ということは、必要だとは思いますけれども、十分ではない。

 したがって、量的な緩和とともに、やはり質的な緩和を行うということが一つ重要であると思いますし、先ほども別の委員の方の御質問にお答えしたとおり、期待に働きかけるとか、あるいは強いコミットメントをするということもさらに重要だと思いますが、いずれにせよ、これまでの金融緩和が必ずしも成功をおさめなかったということは、日本銀行として反省をいたしております。

前原委員 今の総裁の御答弁を私なりに解釈すれば、まず、金融緩和の量が足りなかった、マネタリーベースの量が足りなかったということが、一つ、おっしゃったことだと思います。そしてまた、期待に働きかけるということをやってこなかったということ。それから、後で質問させていただきますけれども、よく、量、質ともにという言い方をされますけれども、質の面についての多様性というものがなかったということだと思います。

 では、質問いたします。今後の話です。

 今は、マネタリーベースが対GDP比で拡大をしてきたのにCPIは動いていないということについての総裁の所見を伺いましたけれども、では、今後、二年間で日銀の責任で二%の物価上昇をやるんだということであれば、どういう方法で、どういうメカニズムで本当にそれがしっかりと物価上昇ということに結びついていくのか。今までの日銀が行ってきたことをベースに、反面教師でも結構です、どうすればそれが具体的に、トランスミッションメカニズムとして国民に、あるいは、市場との対話を大事にされるとおっしゃいましたけれども、そういう市場の対話もしっかり行うという前提で、説得力を持って説明されますか。いわゆる伝達メカニズムについて、具体的にお答えください。

黒田参考人 この点は、確かに、いわゆる量的緩和というものを日本銀行が始め、あるいはリーマン・ショック後、欧米の中央銀行がやはり何らかの量的緩和のようなことを行った時点で非常に大きな議論になったわけでございまして、今から振り返ってみまして、それから今後を展望してみたときに、やはり、短期金利がほとんどゼロになっているという事態のもとで、短期金利の操作で金融の緩和を行うという道は、もはや閉ざされているわけでございます。

 したがいまして、いろいろなことを各国の中央銀行はやってきましたし、日本銀行としても、さらにそれをやっていかなければならないと思いますが、まず、量的にさらに拡大していくということは恐らく必要だろうと思いますが、それだけでは不十分であって、したがって、質的な、つまり資産側で、つまり、量的緩和というと、普通、その負債側のマネタリーベースをどれだけふやしていくかということになるわけですが、そのふやし方として、例えば、非常に短期の国債を買ってみても、いわば短期のほとんどゼロ%の国債と、ほとんどゼロ%に近い日銀預け金とを交換してみても、それ自体でどれほど大きな効果があるのか。まあ、量的緩和の効果はあるとは思いますけれども、それだけでは到底足りない。したがって、各国の中央銀行も日本銀行も、その資産側の中身を、より長期の国債であるとか、ETFとか、REITとか、その他のもので工夫して買ってきているわけでございます。

 したがいまして、必要なことは、量的な緩和をさらに拡大して、その効果を期待するだけでなくて、資産側の中身について、よりイールドカーブの高いところまでいってイールドカーブ全体を下げる、あるいは、その上にリスクプレミアムが乗っているわけですので、市場によってはリスクプレミアムがやや過大なままにあるところについては、そういうものをさらに引き下げていくといったことを通じて量的、質的な緩和を行うということがやはりベースにあると思います。

 ただ、何度も申し上げて恐縮ですが、それとともに、やはり市場に対してわかりやすく金融緩和の中身を説明する、それによって金融政策の内容、意図が市場に浸透するということも必要であろうと思いますし、そもそも、中央銀行として非常に強いコミットメント、二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現する、それをやはり常に再確認してコミットメントを続けていくということが必要だと思います。

前原委員 今の御答弁の中身の一つを具体的にお尋ねいたしますが、その買う資産の中身を変えていくということで、金利の低い短期債ではなくて、その中身を変えていくということは、例えばFRBがやっているようなツイストオペ、つまり短期債を売って長期債を買う、こういったこともそれは中身に含まれるということですか。

黒田参考人 現時点では、むしろ量的な緩和と質的な緩和を同時にやっていくということで、ツイストというよりも、むしろ全体のバランスシートを量的に拡大する中で、より中長期のものに、つまりイールドカーブが全体に下がるように資産の購入を多様化していくということになろうと思います。

前原委員 資産購入の中身について、少し具体的な話をさらにさせていただきたいと思うわけであります。

 よく御存じのことだと思いますけれども、日銀のバランスシートが今どうなっているかといいますと、約百六十四兆円のうち、資産の中で最も大きいのが国債ですね、約百二十二兆円。他方、負債及び純資産の方では、発行銀行券が八十三兆円、当座預金が四十四兆円ということで、この四十四兆円のうち、いわゆる法定準備というものが八兆円、残りは超過準備ということになりますけれども、この超過準備というのが去年一年間で、二〇一二年の一月から十二月までですけれども、約十七兆円ふえているんですね。

 つまりは、日銀が民間銀行から国債を買ったとしても、市中に有利な貸出先がなくて、超過準備により〇・一%の付利を得た方がよいと判断をすれば、そのまま超過準備として積まれていってしまっているということが実態として出ていて、ベースマネーをふやしてもマネーサプライにつながっていないということが言えるというふうに思います。

 今までの日銀の政策について、この点も踏まえて、では、何が問題だったのか、そして、黒田総裁になればどう変えていって、結局、マネタリーベースをふやしてもマネーサプライがふえないと意味がないわけですから、そういう意味においては、それをどういうふうに変えていくのかということをお答えいただきたいと思います。

黒田参考人 御指摘のとおり、マネタリーベースをふやしたときにマネーサプライがどのようにふえるのか、ふえないのかといった点は、銀行の貸し出し態度その他いろいろなファクターで影響されますので、これまでのところ、マネタリーベースを相当ふやしたにもかかわらずマネーサプライは必ずしも十分ふえていないということは、そのとおりであろうと思います。

 なお、ベースマネーをふやしますと、要するに、日銀の資産と負債がそれぞれふえますので、ベースマネーがふえたときに、日銀券の部分と当座預金、銀行の預け金の部分とに分かれますが、日銀券の部分は基本的には市場の日銀券需要で決まりますので、残りはみんな当座預金になってしまうわけですね。ですから、マーケットオペレーションをやって資産や負債を拡大しますと、結果的には、ほとんど当座預金の増加ということになるわけでございます。

 ただ、それは、それが超過準備だから意味がないということではないと思いまして、まさに委員が示唆されたように、そういった超過準備これ自体は、バランスシートを縮めない限り、いかに回転してマネーサプライがふえようとふえまいと、このベースマネーは変わらないわけでございます。したがって、ベースマネーをふやして、それがどういった形でマネーサプライの増加につながっていくのか、そこが、委員御指摘のとおり、非常に重要な点でございまして、超過準備があること自体は、これは、ある意味でいうと、金融を量的に緩和すれば必ずそうなるわけでございまして、これ自体は、私は異常なことであるとは思っておりません。

 まさにポイントは、それがめぐりめぐってマネーサプライの増加になり、あるいは、もっと端的に言えば、経済活動がふえ、そして二%の物価安定目標が達成されるというところまでトランスミッションメカニズムをフォローしていかないといけないというふうに思っております。

前原委員 結局、具体的な御答弁はなかったと思うんですね。

 つまりは、超過準備がある程度ふえるのは仕方がない、しかし、それでどうマネタリーベースをマネーサプライにつなげていくかということについて、今後の日銀として、黒田総裁としてどうするかということについてはお答えがなかったと思いますよ。

黒田参考人 ベースマネーがふえること自体は、量的緩和をすれば必ずそれはふえるわけでございます。それはむしろ目的にかなっているわけでございます。したがって、それがどのように経済活動につながっていくかというトランスミッションメカニズムでございます。

 その点でいいますと、大企業の場合は、現在は銀行の融資に依存する部分が非常に少なくなっておりまして、社債とか株式とか、いわゆる資本市場で資金を調達して設備投資を行うといったことが非常に大きくなっております。したがって、資産のこちらの買い入れの中で、例えばETFとかREITとか、その他いろいろな工夫をしておりますし、それから、イールドカーブ全体を下げるということによって、資本市場における資金調達が相当容易というかスムーズに行われるということで、大企業にとっての設備投資、それはかなり進むというふうに思っております。

 他方で、中小企業の場合は、ほとんど金融機関に依存しておりますので、金融機関の貸し出し態度いかんというところが非常に大きいわけでございます。イールドカーブを下げて、金利全体を下げていくことによって、中小企業の融資の要望に応えるという面がありますが、それに加えて、日本銀行として既に決めております、融資増加額の部分を全額日本銀行がファイナンスする、〇・一%という非常に低い金利でファイナンスするという仕組みをもうつくっておりまして、それが動き出すことになっておりますので、それも一定の効果があると思いますし、個人の住宅建設のための住宅金融の面では、長期金利の低下というのは相当効果があるというふうに言われておりまして、そこの点も恐らく経済の活動につながっていくだろう。

 したがって、大企業の設備投資、中小企業の設備投資、そして個人の住宅投資といったものに好ましい影響が出て、それが経済全体を成長させ、さらに言えば、物価を二%の領域に持っていく上でプラスになるだろう。

 ただ、そのトランスミッションメカニズムをずっと待っているというのではなくて、そういったことをクリアに示し、そして、二%のコミットメント、そのためには、質的、量的金融緩和をするという態度を示すことによって、期待を変えて、デフレ期待からインフレ期待に、二%の物価上昇期待に変わることによって、設備投資や消費の需要自体もプラスにきいてくるのではないかというふうに思っております。

前原委員 後段お話しされたところは、白川総裁のときに決められた仕組みであるわけですね。私も、それから武正さんも、毎回日銀の政策決定会合に出てその議論は聞いておりましたので、今の後段のお話というのは、黒田総裁がどうするかという話じゃなくて、白川総裁のときに決めたものをどうこれからフォローするかという話。

 もちろん、それも大事ですけれども、二%を、二年間で物価上昇をやって、そして、今までの金融緩和というものにこだわらない、とらわれないものをやるとおっしゃっているわけですが、そこは、今、具体的なお話は聞けなかった。最終的には、期待インフレに働きかけるというところに、私からするとすぐ逃げてしまわれるわけでありますけれども、それはしっかりと、トランスミッションメカニズムにつながらないと私は思いますよ。

 では、伺いましょうか。

 この間、あるワイドショーを見ていまして、よくリフレと言われる方々の中では、物価が上がるということになれば、将来物が高くなるから今買っておかなきゃいけないという駆け込み需要が生まれるんだという方もおられますけれども、そのワイドショーでやっていたのは、将来物価が高くなるんだったら貯金しておかなきゃいけないということで、いわゆる生活防衛に入る方々もおられるという話がされておりました。

 そして、同時に、正副総裁のお考えはどちらかというと金融というものに偏っておられると思いますけれども、我々のスタンスは、やはり人口減少社会をどうするのか、それから労働力減少をどうするのか、それから少子高齢化、つまりは、働く人が少なくなって、医療、年金、介護にお金のかかる人たちがふえていく、それからどんどんどんどん財政赤字というものがふえ続けている。

 こういった構造問題を解決しない限りは、いかに金融で頑張ったって、この国民の期待というものについては、それは、物価という点については、日銀が次元の違うことをやったら無理やり上げることができるかもしれません。それは後で言いますけれども、こういう構造的な問題を変えない限りは、日本全体の期待というのは私は上がらないと思いますよ。それについてはどう思われますか。

黒田参考人 その点は、私も同意見でございます。

 つまり、中長期的な成長の確保とか雇用の確保という点、これは基本的に供給力の問題でございますので、労働力とか技術進歩とか、あるいは新しいビジネスモデル、新しい製品、消費者にアピールするような製品をどうやってつくっていくかとか、そういうことに尽きるわけでございまして、中央銀行はどこでも、やはり物価の安定ということと金融システムの安定には責任を持ってやらざるを得ないし、やってきているわけでございますが、委員御指摘のような、財政の再建であるとか中長期的な成長率、成長力、あるいは競争力、雇用の確保といった面は、基本的にはやはり政府が行わなければならない。

 しかも、そういうことを政府が行えば、物価安定目標へ到達する期間がより短くなってスムーズにいけるということは、そのとおりだと思います。ただ、中央銀行としては、やはり、世界どこでもそうですが、物価の安定と金融システムの安定ということは、最大の責務、使命として実現していかなければならないというふうに思っております。

前原委員 そうであれば、日銀だけが、このデフレ脱却とか日本の経済をよくするというところに、私は余り肩に力を入れない方がいいと思いますよ。ですから、二年で二%物価上昇というものをむしろ政治が日銀に押しつけていること自体がゆがみを生じさせると私は思いますよ。

 我々民主党政権のときは、足りないと言われたかもしれませんが、金融緩和というものをかなり求めてまいりました。安住大臣も財務大臣で御努力をいただきましたし、また、これは政府・与党一体となってやってまいりました。その結果として、五年間の日銀の白川総裁の任期の中で、二カ月連続という金融緩和もやりましたし、そして、政府と日銀の共同文書というのは、我々の政権で初めてまとめたわけです。

 それは何かというと、今、実は黒田総裁がおっしゃったとおりなんですよ。日銀の努力だけではだめなんです。日本の構造問題を解決する、財政問題、潜在成長力を上げる、労働力問題を解消する、これは政治の責任なんです。政府の責任なんです。

 ともに力を合わせないと、日銀だけがいかに頑張ったってだめだということですから、二年で二%ということにコミットメントされたということは、総理に任命されたとはいえ、かなり勇み足であって、私は正副総裁の首を絞めることになるんじゃないかと危惧しているということを、私が心配する必要はないかもしれませんが、それだけは申し上げておきたいと思います。

 時間もちょっと残り少なくなってまいりましたので、大事なポイントだけ伺いたいと思います。

 財政ファイナンスはしないということはおっしゃっております。しかし、日銀がそういう意思を持つことは当たり前でありますけれども、現状を見ますと、客観的な状況を見ると、財政ファイナンスをしているんじゃないかというふうに見られる状況にもうなっているわけですね。

 例えば、財務省は二年物国債をこの四月から月二・九兆円発行する予定でありますけれども、日本銀行は、三年までの国債を六月まで月二・一兆円買う、七月以降は月二・五兆円買い入れると。つまりは、日本銀行の国債市場におけるプレゼンスはかなり大きいんですよ。ということは、日銀が、財政ファイナンスをしない、マネタイゼーションではないと言っても、結果的に見れば、国債市場におけるプレゼンスが余りにも大きい。そして、これからも買うと言っているんだから。

 これについては、ちょっと時間がないので指摘だけにしておきますけれども、それは、ETFやREITを買うと言ったら、株は上がるし、不動産市場は上がりますよ。私だってお金があれば、日銀がこれから無制限に買うんだ、二年で二%物価目標のためには質的にも量的にも買うんだと言ったら、それは買いになりますよ。

 でも、それは、買って売り抜くことを考えている人たちがいるということは、その後の反動を考えないと、後で出口戦略のことを聞きますけれども、これは大変危険なかけ、行きはよいよい帰りは怖いというのはこのことなんですよね。このことを今やられようとしているということなんです。

 その観点において言えば、日銀券ルールを見直すというか、この内規を撤廃するというのは、私はよくないと思いますよ。先ほど総裁もおっしゃいましたね、やはり財政規律というものをしっかりと政府に求めなきゃいけないんです。日銀総裁が厳しく求めなきゃいけない。

 にもかかわらず、自分たちが日銀券ルールというものをなくします、そして無制限に変えますということになると、ますます市場は、まさに財政ファイナンスをやろうとしているんじゃないか、マネタイゼーションをやっているじゃないかというふうに結果として見られるんじゃないですか。

黒田参考人 財政ファイナンスをしないというのは、日本銀行含めて、ほとんどの中央銀行がはっきりさせている点でございまして、この点については全く変わりございません。

 委員御指摘の短期あるいは中期の国債市場において日本銀行の買い入れる額が非常に大きくなっている、シェアが高くなっているという点は、御指摘のとおりでございまして、金融資産ですので、毎月毎月のフローとしての発行額よりも、むしろ発行残高に占める日本銀行の保有というものを見た方がいいのかもしれませんが、それにしても、やや短期、中期のところに偏っているとすれば、そういった市場における価格形成に大きな影響が出てくる可能性もありますので、そういった点は十分留意しながら、バランスのとれた形で、イールドカーブ全体が下がっていくように量的、質的な緩和をするということに尽きると思います。

 したがいまして、財政ファイナンスをしないということは、日本銀行として変更するつもりは全くございません。

 ただ、日銀券ルールにつきましては、御案内かもしれませんが、実は既に、輪番オペの部分と資産買い入れ基金で買っている国債を足しますと、日銀券発行残高を多分超えているんですね。ですから、形式的な日銀券ルールといった形でなく、より実質的な、財政ファイナンスをしないということを明らかにする必要はあると思いますが、日銀券ルールのようなものは、実は欧米でもやっておらないわけですね、既にもう銀行券を上回る長期国債とかその他の資産を欧米の中央銀行は買い取っていますので。

 したがいまして、日銀券ルールについては、これも十分検討する必要があると思うんですけれども、今直ちにやめますとかやめないとか言うつもりはございませんが、実態は、既に日銀券ルールを上回る長期国債を持っておるということでございます。

前原委員 今の御答弁は、前の答弁とまた変わりましたよ。

 日銀券ルールは見直す、撤廃するとおっしゃっていたんですよ。おっしゃっていたけれども、今やるかやらないかわからないとおっしゃいました。余り揚げ足をとるような質問はしたくありませんので。大事な御答弁をされたと思います。

 では、日銀券ルールにかわる、財政ファイナンスをしないという明確な日銀の意思表示が示されるものをつくる、考えるとおっしゃいましたけれども、それは絶対つくるべきですよ。そうしないと、実態的に財政ファイナンスだと見られ始めたときには、これは取り返しのつかないことになりますよ。

 今おっしゃったように、何か、いわゆる歯どめ、財政ファイナンスはしないということについてコミットメントを日銀としてするということについて、具体的な中身をお答えください。

黒田参考人 私は、日銀券ルールについて、撤廃するというようなことは申し上げたことはございませんが、検討対象になるということは申し上げておりまして、当然、撤廃を含めて検討対象になるということだと思います。

 いずれにしても、具体的な金融緩和の手法、量、質ともにあわせて、どういった形でやっていくかということは、あくまでも政策委員会で決められることでございますので、これから十分議論してまいりたいと思います。

 財政ファイナンスをしないということは、一番典型的には、もちろん、国債の引き受けをしないということで、これはもう財政法でそうなっているわけでございます。

 他方で、金融緩和の手法として長期国債を買い入れていくということは、どこの中央銀行でもやっていることでございまして、それ自体としては、中央銀行が自主的に行っている限り、財政ファイナンスになるとは考えておりません。

 ただ、さっき申し上げたように、いろいろな市場で、余りに中央銀行の保有が、残高でほとんど中央銀行が持っているという形になったときに市場の機能が低下するのではないかという懸念は十分理解できますので、そういったことも踏まえてやってまいりたいと思いますが、中央銀行が、日本銀行が自主的に金融緩和の手段として国債を買い入れるということは、財政ファイナンスにつながるということはないというふうに思っております。

前原委員 質問にお答えになっていないんです。

 私が聞きたいのは、新たなルールをつくりますか、もしそれを今お考えであれば何ですかということを聞いているんです。

黒田参考人 日銀券ルールというのは、ある意味でわかりやすいんですけれども、非常に形式的なルールですが、財政ファイナンスをする、しないというのは、もう少し抽象的な面もありますので、どういった言い方で財政ファイナンスをしないということを明確にするかというのは、十分政策委員会で審議してまいりたいと思いますが、単純というか、それが日銀券ルールのようなものになるというふうにはなかなか考えにくいと思いますが、委員の御指摘は十分理解しますので、委員会で十分議論したいと思います。

前原委員 あと、先ほど若干答弁をされていましたけれども、ETFそれからREIT、これについては抑制的でないと官製市場と言われますよ。ですから、これについては、しっかりと自制を持って対応するということが必要だということは申し上げておきたいと思います。

 次に、先ほど公明党の岡本委員がいい質問をされておりまして、同じ質問をさせていただきたいと思うんです。

 私は、二%というものを硬直的に考えるべきではないと思うんですね。例えば、一%でも、資産価格が高騰して、もう緩和すべきではないような状況が生まれるかもしれませんし、逆に、二%になったとしても、失業率が例えば高どまりしていたり、需給ギャップがまだ大きいというときには、二%は達成してもやらなきゃいけないですよね。

 だから、そういうインフレターゲットを設けることは、ほかの世界、どこでも、中央銀行でやっているということはそのとおりなんですけれども、フレキシブルな、二%というものにこだわるのではなくて、例えば、先ほどからお話があったように、経済状況としっかりと対話をしながら、むしろ、幅を持ったインフレターゲットの方が日銀としての効用というものが高まるのではないかと私は思いますが、いかがですか。

黒田参考人 御承知のように、イングランド銀行その他いろいろな中央銀行がインフレターゲットというか物価安定目標を定めておりますが、そういった中央銀行自体、フレキシブル・インフレーション・ターゲットという言い方をしたり、あるいは別な言い方をいろいろされますけれども、委員御指摘のとおり、経済実態というものを十分踏まえて金融政策を運営していくというのは、そのとおりでございます。

 したがって、二%ぴったりをずっと続けていく、あるいは、二%になるまで何でもやって二%になったらもうやめるというような話ではなくて、そういった経済の実態を踏まえながらやっていくという意味では、フレキシブルでないといけないと思いますが、他方で、やはり、インフレ期待というものをある程度安定化させて、いわばアンカーにするという意味からいうと、ある程度二%というものを前後しながらも、中長期的に安定的に達成していくということもまた重要だと思いますし、諸外国の中央銀行もそういうふうにしておられますので、御指摘の点も踏まえて、もちろん、諸外国の例なども十分、よく調査研究はしておりますけれども、そういうことも踏まえて、物価安定目標達成に向けて最大限の努力をしていくということになると思います。

前原委員 柔軟性を持つことが大事で、我々、去年、二月の十四日に、二%以下のプラスの領域、そして一%当面めどとしたのは、私は穏当なものだったと思うんです。その一%めどというものについてのコミットメントの時期が日銀からしっかり示されていなかった、やはりそこの道筋を着実にしておくということが欠けていたことに私は問題があったというふうに思うんですね。

 一旦、あれで円安になったわけですよ。八十三円か八十四円ぐらいまでになって、また、それがゴールじゃない、目標じゃないということがわかって円高になったということがありましたので、それは、実際問題、やはり、コミットメントをするという意思、これは総裁おっしゃられるように大事だと思いますけれども、幅を持たせる、余り硬直化させないということの中でインフレターゲットというものをぜひお考えいただきたい、こう思います。

 最後に、出口戦略についてお話を聞きたいというふうに思いますけれども、これが一番難しいんですね。

 総裁も就任会見で、このことについて、失礼な言い方ですけれども、逃げておられるんですよ。その時々に考えるということなんですが、先ほど申し上げたように、今はいいですよ、いろいろな資産を買っていくということで。今度、出口が本当に難しくなると思いますよ。

 しかも、先ほど、イールドカーブを下げていくということをおっしゃった。そうすると、金融機関も、より長い国債を買うわけですね。そうすると、逆に言うと、それだけリスクを抱えるということになるわけです。つまりは、物価を上げるということは名目金利も上がっていくということになるわけですから、その分、国債価格が上昇する。

 先ほどのお話の中で、原発がとまっている中で、例えば、一九九八年に五兆円だったエネルギー輸入量が、去年で二十三兆円ですよ。それは、一ドル八十円ぐらいのときで二十三兆円ですから。そして、原発がほとんどとまっている状況になると、貿易収支のみならず経常収支がこのエネルギーコストによって恒常的に赤字になるということになると、円安になったとしても、Jカーブがきくというよりは、エネルギーの輸入価格が上がる中で、コストプッシュ型のインフレになって、悪いインフレが生まれてきて、そして長期金利も上がるということになって、金融機関の資産が目減りをするということになったときに、どういうふうに日銀としてこの出口を考えていくかということは、私は極めて難しいと思いますけれども、今から考えておかなきゃいけない問題だと思います。

 したがって、そのときになって考えますじゃなくて、そういう一定の目標になったときには、どういう形で出口戦略を考えているのか、明確にお答えをいただきたいと思います。

金田委員長 黒田日銀総裁。

 なお、時間が参りましたから、答弁は簡潔に願います。

黒田参考人 委員御指摘のような議論が実は欧米でも行われておりまして、出口戦略をどうするかという議論はあるわけでございますが、中央銀行の内部でいろいろな議論はされているかもしれませんが、バーナンキ議長も、出口戦略について具体的な議論をするのは時期尚早というふうにおっしゃっているわけでございまして、私どもも、まだ物価がマイナスの状況で出口を云々するのは時期尚早だと思いますが、金融政策を運営する際に、そういった問題、リスクというものを十分勘案しながらやっていくということは、そのとおりでございます。

前原委員 また予算委員会で質問することがあると思いますが、とにかく、出口戦略もしっかりと今から定めていただく。それは、公表するかしないかは別ですよ。定めていただくということと同時に、繰り返し申し上げますけれども、日銀が努力していただくことは大事でありますけれども、日銀が全てではありません、万能ではありませんので、そういう意味においては、柔軟性を持つということと、政府と日銀の協力が重要なんだという認識に立って努力をしていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

金田委員長 次に、西野弘一君。

西野委員 前原先生の高尚な質問の後で私が質問に立つのは、非常に質問しにくいなと思いますが、ちょっと総裁にも一息ついていただきたいと思います。

 私は、日本維新の会の西野弘一でございます。

 今回の日銀の人事に当たりましては、我が党でもさまざまな意見がありました。官僚出身ということで、批判的な意見もありました。また一方で、総裁の今までの御経歴であったりとか、お人柄まで詳しく御存じの党のメンバーもおりましたので、いろいろな意見がありまして、そういう中で、最終的にこの人事に賛同をさせていただいたわけであります。

 こういうちょっとミーハー的な質問をするのは大変恐縮なんですけれども、このオファーを受けられたときのお気持ちというのは率直にどうでしたか。というのは、前職の任期も残っておられたと思いますので、オファーを受けられたときの率直なお気持ちをお聞かせください。

黒田参考人 率直に申し上げまして、まず、大変驚きました。

 御指摘のように、アジア開発銀行総裁としての任期が四年ほど残っておりまして、まだやるべきこともありましたし、それから、やっていることに、仕事として大変満足もしておりましたので、こういったことは全く考えておりませんでした。そうした中で、こういうオファーがありまして、大変な大役だと思いましたが、お受けいたしました。

 その心は、八年間、アジアから日本を見ておったんですが、一方で、日本企業、日本の金融機関はアジアで大活躍しておりまして、そういった点は非常に評価されているわけですが、日本経済自体が十五年続きのデフレの中で活力が低下している、それは非常に残念なことで、もし、こういった仕事について、デフレからの脱却、大変困難だと思いますが、そのデフレからの脱却をするということに少しでもお役に立てれば、やろうという気になったわけでございます。

西野委員 今、オファーを受けられたときのお気持ちをお答えいただいたわけですけれども、そのときからすると、先ほどとの、あの質疑のときの雰囲気とは全く違いますので、質疑に応じておられたときの方がすごく意気込みというものも伝わってきましたし、その意気込みが、先ほどから市場とのコミュニケーションとかいうようなことも言われていましたけれども、実は私は、それが一番だと思うんですね。そういった姿勢というか、具体的な政策よりも気持ちのあらわれというのが実は大事な部分ではないかなと思っているんです。

 というのは、量的緩和の話、いろいろと御議論があるところでございますが、前任の白川総裁も、日銀は十分にやっているということをさまざまな機会に御発言されておられました。現にやってこられたと思います。

 一方、新しく総裁がかわられて、今までを振り返って、黒田新総裁から見て、今まで何が足りなかったというふうに思われますか。量的緩和をしてきたけれども、結果的には結果につながっていなかった部分があるわけですけれども、これは何が足りなかったというふうに思われますか。

黒田参考人 結果的に十五年続きのデフレから脱却できなかったということについては、日本銀行として反省すべきだと思いますが、なぜこういうことになったかというのは、いろいろなファクターがあると思います。

 それをどうやって変えられるだろうかという点で申しますと、やはり、まず第一に必要なのは、日本銀行としての強いコミットメントですね。二%の物価安定目標を一日も早く実現するということに向けた強いコミットメントを示すということが、まず第一。

 第二に、そういったものを市場関係者その他経済主体に十分働きかけて、そのコミットメントを確認してもらう、あるいは信用してもらうようなことをやっていく。

 最後に言えば、これまで以上に大胆な質的、量的な緩和を進めて期待に働きかけることは重要なんですが、期待外れにならないように、それを裏打ちするきちっとした量的、質的な緩和を進めていく。

 強いコミットメントと、市場とのコミュニケーションを通じた期待の転換、そしてそれを裏打ちする具体的な大胆な緩和といったことを続けていけば、デフレ脱却へ向けて前進できるだろう。逆に言えば、残念ながら、十五年続きのデフレの中で、さまざまな努力にもかかわらず成功しなかったというのは、そういった面があった。

 もちろん、物価に影響を与える要素は多々ありますので、そのときそのとき、円高だったとか、エネルギー価格が一時的に下がったとか、あるいは中国から安価なものがたくさん入ってきたとか、いろいろなファクターはあると思いますが、やはり、十五年続いたデフレというものについて問題があるとすれば、さっき言ったような金融政策の転換というか強化が必要であった、それが十分なされなかったということだと思います。

西野委員 もう時間がありませんので、私はやはり、コミットメントをしっかり出していくという部分では、実際は、私も日銀だけが頑張ったからといって経済成長につながるとは思っていないです。政府の役割というのは大変大きいと思っていますが、しかし、そのコミットメントという部分では、ほかのせいにせえへんということが一番大事やと思うんです。先ほど明確に強い意思を示していただきましたけれども、もしこれが二年後にできなかったときに、ああ、政府が悪かったんやということを言わぬということを今の段階から言っていただくということが僕は大事だと思うんです。

 今、与党の皆さん、頑張っておられて、支持率からも、今の動きというのは評価されているんだと思いますが、半年先にもしかしたら選挙があるかもわからぬわけですよ。そのときに、政権がかわって、もしかしたら、いつかみたいに労働市場をやたら硬直化させるような政府ができるかもわからないです。でも、それでも日銀はやり抜いて、その政府のせいにはしないということを今明確におっしゃっていただくということが大事だというふうに思っています。

 また、個別具体の政策の決定に際しては当然政策委員会でされるわけでありますけれども、このメンバーというのは、前のメンバーが残っているわけですよね。総裁といえども一票しか持っておられないわけでありますから、ある意味では、白川カラーから黒田カラー、白から黒に変えなあかんわけですけれども、そのカラーをしっかりと変えていくという意気込みも僕は大事だと思いますので、最後にその点について御答弁いただきたいと思います。

黒田参考人 御指摘のとおり、物価安定目標を達成するというのは日本銀行の責務でございますので、いろいろな状況が物価に影響することは事実ですけれども、物価の安定を達成する責任は日本銀行にありますので、その責任を十分に果たしていきたいというふうに思っております。

 それから、政策委員会は九名のメンバーから成っておりまして、総裁、副総裁、三名のほかに、六名の政策審議委員がおられるわけでして、そこで審議して合議体で決定されますので、私はいわば一票しか持っておりません。

 ただ、政策審議委員も含めて政策委員会のメンバーは、まさに、金融政策を通じて物価の安定をもたらし、それが国民経済の健全な発展に資するようにするという点では法律で決まっていることでございますし、二%の物価安定目標を決定した政策委員会でもございますので、十分審議してまいりますれば適切な金融政策の決定ができるというふうに信じております。

西野委員 ありがとうございました。

金田委員長 次に、松田学君。

松田委員 日本維新の会の松田学でございます。

 黒田総裁には大蔵省時代に大変御指導をいただきまして、そういう御指導いただいた方にこういう質問をするのも大変気が引ける点はあるんですが、立場が立場でございますので、いろいろと聞かせていただきたいと思います。

 今、西野委員の方から白が黒になるという話があって、私も、今、日本の資本主義経済は恐らく戦後、今まではインフレが基本の経済の運営、そして中央銀行の仕組みというのも多分インフレ経済というのを前提に今まで運営がされてきたと思うんですが、デフレとなりますと、政策の考え方とか、いろいろなものが大きな、レジームチェンジという言葉がありますけれども、かなり大胆な変更をしていかなければいけない局面に入っているにもかかわらず、それができてこなかったという点があろうかと思います。

 そういう時代においては、やはり日銀総裁に求められる資質としても、単なる金融の専門家ではなくて、いろいろな幅広い知識経験とか、政策運営全体に対する見方、あるいは国際的なネットワークとかいろいろなものが必要になると思うんですが、総裁は、財務官をやられて、アジア開発銀行総裁をやられて、いろいろな御経験をされていると思いますが、そういった国際社会の目から見て、まず、金融政策の議論に入る前に、日本の政治とか経済、決められない政治とか、あるいは課題先送りだとか、あるいは国際社会の中でどうも内向きになり過ぎているとか、いろいろな議論がありますけれども、どのように日本の政治経済をごらんになっているか、ちょっとお聞かせいただけますか。

黒田参考人 政治状況について何か中央銀行総裁が申し上げるのは僣越だと思いますが、アジア開発銀行総裁として八年間仕事をした経験から申し上げますと、先ほども少し触れましたが、日本の企業とか金融機関はアジアで大活躍しておりまして、そういった面では非常に力強い、心強いところがあるわけですが、日本経済自体は十五年続きのデフレの中でやや活力が減退してきている。それを正すというか直して日本経済を再び力強い成長経路に乗せるということは、やはり重大な政府の役割だというふうに思っております。

 その意味で、政府がそういった努力をしていただくということは、日本経済にとってもプラスだし、それから、アジアあるいは世界経済にとってもプラスだろうと。そういうことを通じて、また日本の、世界の問題に対する影響力も増してくるというふうに思っておりますので、ぜひ、政府それから国会の皆さん方のそういった面での貢献、御尽力を期待したいと思っております。

松田委員 日本維新の会は、自立とか独立自尊ということを非常に大事にする政党であるのは御案内のとおりかと思います。

 そこの中で、デフレの何がいけないかというと、やはり頑張ろうとする人が頑張れなくなるというか、これは何としてもデフレを克服するというのは、私たちの政党の理念からしても、経済の最優先課題ということになるということであります。

 やはり、デフレになりますとお金の価値が上がっていきますから、みんながお金を使おうとしなくなる、当然支出が減っていく。それだけではなくて、借金の価値がどんどん、実質金利が上がっていくといいますか、それによって、みんな、借金をして投資をしようというのは資本主義の本質だと思いますが、それがどうも妨げられていく。これはやはり、私どもとしても、デフレ克服に最も積極的な総裁、副総裁という観点から、今回、人事にも臨ませていただいた次第であります。

 ただ、今、通貨の価値が継続的に上がっていくというマインドセットがここまで定着してしまいますと、総裁も期待に働きかけるということを盛んにおっしゃっていますし、それは正しいと思いますが、なかなか簡単にマインドセットが変わらないんじゃないか。やはり、どういうふうにして、例えば二%目標が達成されていくのかという経路とか、そういったものを、マーケットに対しても、あるいは国民に対しても、説得力を持って語っていかないと、なかなかこの辺難しいんじゃないかなと。

 そういう観点で、私ども維新の会は基本的にリフレ派が多いんですけれども、私も、リフレ派とまではいかなくても、リフレ派ダッシュぐらいなんですが、そういう意味で、総裁のお立場に反対するわけじゃないんですが、これを実現していくために、いろいろな疑問とかそういう点、国民が抱いているであろう疑問をいろいろとぶつけていきたいと思いますので、それを氷解させるような御答弁をいただければと思っております。

 それで、まず、安倍総理もあるいは岩田副総裁なんかもおっしゃっているような、デフレは貨幣的現象であるということなんですが、貨幣的現象であるとまで言われると、ちょっと本当かなという点が多々あろうかと思います。

 これは、かねてから指摘されているように、先ほど前原委員も構造的原因という言い方をされましたけれども、需要面でいえば、当然のことながら、人口構成の変化であるとか、お金を使わない世代が人口比率が上がっていくとか、そういうのは当然あると思いますし、それから、供給面でもグローバリゼーションというのはかつてから指摘されてきたところでありますし、また、マクロ経済でいうと、需給ギャップとかいう概念があって、あるいは、これは一部にそういうことを言う人がいますが、小泉構造改革がデフレの原因になったんだとか、あるいは、余りにも政府投資を減らし過ぎたとか、そういったいろいろな議論がある中で、かなりデフレの原因というのは複合的なものではなかろうかと思います。

 その中で、通貨量をふやせば、マネーサプライをふやせば物価が上がっていくというのは、これは中長期的には、確かに事後的には成り立つのかもしれませんが、そもそも通貨量そのものが、通貨に対する需給関係、実体経済との関係で決まる面もあると思いますし、あるいは、通貨量をふやしても、それが金融資産の蓄積に回ってしまえば、通貨の回転速度が落ちて、結局実体経済に影響を与えない。単に通貨をふやせば物価が上がるということになるのかどうか。

 それに対して、つまり、金融政策だけで二%を本当に責任を持って達成できると言えるのかどうかについて、私も予算委員会等々でいろいろと問いただしてきたんですが、答弁としては、三本の矢でやるということで、政府としてもやっていくと。ということは、これは日銀の努力だけでは二%の目標達成というのもそう簡単なものではないと、政府も認めているようなものではないかというふうに私は解釈しているんですけれども。

 そういう意味で、金融政策そのものに私は二つの壁があると思っていまして、一つは、通貨をふやすことができたところで本当に物価が上がっていくのかどうかというのと、もう一つは、本当に通貨をふやせるのかどうかというのがあろうかと思います。

 まず、通貨をふやして本当に物価が上がっていくためには、そういう意味で、デフレ克服の上で金融政策は必要条件の一つでありますけれども十分条件ではない。とすれば、総裁が責任を持って二%とおっしゃるからには、これはやはり政府の政策も必要なんだということであれば、総裁として政府の政策にいろいろと物申していくということの決意を示されているものではないかと思いますが、いかがでしょうか。また、どのようなことを政府に対して言っていくというおつもりでいらっしゃるでしょうか。

黒田参考人 委員御指摘のとおり、物価に対する影響はさまざまなものがあるわけでございまして、原因としてはいろいろあろうかと思いますが、他方で、どこの国の中央銀行もそうですが、中期的に物価の安定を達成するという責務というか義務というか、それはやはり中央銀行にあるというのがグローバルスタンダードだというふうに思っております。

 そういう意味で、御指摘のように、マネーサプライが一体ふえるのか、あるいはマネーサプライがふえたときに物価にどういった影響が出るかということは非常に重要な点でございまして、確かに、先ほど前原委員からも御指摘がありましたように、ベースマネーと物価の関係はかなり遠くなっておりますので、単に量的にベースマネーをふやしたからといって直ちに物価が反応してくれるということは、相当難しいというふうに思っております。

 したがって、量的、質的緩和と申し上げたとおり、さまざまな工夫をすることによって、実体経済に金融緩和の効果が浸透していくということをするとともに、他方で、強いコミットメントを背景に、市場とのコミュニケーションを通じて期待に働きかけていくといったことが必要であるし、そういうことによって物価安定目標を一日も早く達成していきたい。

 政府の政策については、何よりも、財政については、当面、景気刺激といった弾力的な財政運営を行っていただくとともに、中長期的に財政再建ということを確保してもらうということが非常に重要だと思いますし、さらには、成長戦略といったことでいろいろ言われております規制緩和であるとか、あるいはTPPとか、その他各種の政策の努力というものが非常に必要であって、それがうまくいけば、好ましい形でスムーズに物価安定目標が達成できるというふうに思います。

 ただ、そのことは、日本銀行として物価安定の責務があって、政府に何か頼ってやらなければならないということはないと思います。ただ、政府と日本銀行が十分連携して行っていくことが、よりスムーズに物価安定目標を達成することの助けになるということはそのとおりだと思います。

松田委員 お手元に配ってあります資料でございますが、日米欧のマネー統計、これをごらんいただきますと一目瞭然なんですが、これは日本だけではなくて、マネタリーベースをふやしても、なかなかマネーサプライがそう簡単にふえるものではない。

 日本の場合は、九九年から大体マネタリーベースを二倍ぐらいふやして、マネーサプライは二割程度ふえている。それに対して、やはり欧米でも、リーマン・ショック後のマネタリーベースの拡大、三倍ぐらいやっていますが、それで三割程度しかふえていないということがあらわしているように、中央銀行だけの努力でなかなか簡単にマネーサプライがふえるわけでもないのだろうと思います。

 ただ、欧米の経験は、リーマン・ショックのときに、恐らく金融のいろいろな意味での問題があって、金融システム安定のためには、中央銀行がバランスシートを拡大することで金融機関あるいは金融市場のリスクを分担する、これがかなり有効だったということが経験だったと思います。

 では、このマネーは一体どうなったのかというと、一部に指摘されているんですけれども、国内のマネーサプライを思うようにふやせず、結局はぐるぐると世界を回って、いろいろな世界的な過剰マネーをもたらしたり、あるいは資源価格を高騰させたり、新興国にも流れたり、バブルを生んだり、インフレ懸念を起こしたりとか、あるいは、回り回って国債バブルを起こして、いわゆる欧州債務危機の引き金を引いたり、そういう説もあります。

 これも、やり過ぎるとそういうふうになるという説もありますが、この点ついては総裁はどういうふうにお考えでしょうか。

    〔委員長退席、竹本委員長代理着席〕

黒田参考人 御指摘のとおり、米国、日本あるいは欧州といった大きな経済圏が金融緩和を大幅にしますと、そこの国から資金が出ていく傾向がある、あるいはその国の為替が下落する傾向があるということは事実でございまして、逆に言いますと、そういう金が入ってくる国については、資金がだぶつくというか、お金が余ってくる、あるいは為替が上昇するということで、グローバルな影響が出てくるということはそのとおりでございます。

 ただ、米国の場合も欧州の場合も、また日本の場合も、それぞれに、特にリーマン・ショック後は、不況であるとか、日本の場合はデフレが続いておったわけですけれども、金融システムの安定の問題等を抱えて、各国中央銀行がその国の経済、金融を安定させるために必要な金融緩和を行ったということでありまして、IMFも指摘しておりますけれども、量的緩和と、いわゆる短期金利を下げていく金融緩和との間に、国際的な影響の面では特別な違いはないわけでございまして、通常の金融緩和で、かつて日本とか米国とか欧州がやはり金利を下げる形で金融を緩和したときも、同様な効果が世界に広がっていったわけでございます。そういう意味では、十分、そういった副産物というか副作用ということも考慮しながら、米国とか欧州とか日本のような大きな経済単位は政策運営に努めていく必要があると思います。

 しかし、そうかといって、それでは、リーマン・ショック後に金融を緩和しないで、量的緩和をどんどんやっていかないで米国や欧州が大不況になってしまったら、ほかの国、途上国も含めて、むしろマイナスの影響が出てきたかもしれませんので、そういったことを十分踏まえてやることは必要だと思いますけれども、結果的に見て、リーマン・ショック後の量的緩和、日米欧の金融緩和が世界経済にとってマイナスの影響があったということは、総じて見ればなかったのではないかというふうに思っております。

松田委員 余り、過ぎたるは及ばざるがごとしということの懸念はないかということで聞いたわけでございまして、今までの政策を否定するという趣旨ではないんです。

 そういう意味では、日本はリーマン・ショック後、比較的金融システムは安定していましたし、欧米に比べてマネタリーベースの拡大が少ないじゃないかといろいろ批判されますが、そういう面では、欧米ほどやる必要はなかった、通貨量の差によって逆に円高になってしまった、そういう弊害があった、そこをこれからどうしようかと。日本も、通貨価値を少し下げていかざるを、結果として下がらざるを得ない方向にマネーをふやしていくという選択肢になるんだろうと思います。

 ただ、実際にマネーサプライがふえるかどうかというのは、鍵を握るのはやはり銀行による信用創造だろうと思うわけでありまして、近年、預金はふえても貸し出しはふえないで、国債への運用ばかりがふえてきたという状況ですね。

 結構、日銀もこれまで緩和政策をやってきましたし、日銀が緩和政策をやって国債を買いますよと言えば、それは国債の価値を保証することになりますから、これは銀行にとってはますます国債への運用が有利になるということで、民間のリスクテークに対して貸し出しをするとか、そっちの方よりも、むしろ国債に安易に運用してしまうというような結果が、これは、こういう銀行のポートフォリオというのは、我々維新の会から見ても、挑戦者を応援する銀行業とちょっと違う方向に来ていたんじゃないかなという点で、必ずしもうれしいことではないように思うんですが、この点について、総裁の御見解はいかがでしょうか。

黒田参考人 御指摘のとおり、金融機関が国債の保有をふやしている、逆に言うと貸し出しがそれほどふえていないということはそのとおりでございますが、足元で少し、貸し出しにも積極的な姿勢が見えてきているようでございます。

 いずれにせよ、国債のような、いわばベンチマークのイールドカーブを全体として下げていくということとともに、その上に乗っているリスクプレミアムが高過ぎる部分については、やはりそのリスクプレミアムを引き下げるような方法を考えていく必要があると思います。

 金融機関につきましては、貸し出しの増加があった場合に、その貸し出し増加分をフルに日本銀行が低利でファイナンスするという仕組みをつくっておりますので、これが広く活用されるということを期待しております。

    〔竹本委員長代理退席、委員長着席〕

松田委員 マネーをどんどんふやしていけば結果として物価が上がっていくということを余り突き詰めていきますと、もうとにかくお札を刷ればいいんだと。昔、ヘリコプターマネー論みたいなものがありましたが、政府も政府紙幣を出したらいいんじゃないかとか、いろいろな議論になってしまうんですけれども。

 そういうことの弊害をいろいろ考えますと、やはりこの二%の目標を達成するためには、インフレ率目標の達成の王道というのは、物価というのは経済の体温計なんだという基本に立ち返って、やはり実体経済を温めて、結果として物価が上昇していく、実質経済成長率を高めるという方法が一番正しいだろう、それしかないだろうというふうに思うわけであります。

 しかし、いろいろ、心ある経済学者からは、日本経済はそんなに簡単に成長できる経済なのかどうか、現状を維持するだけでも、かなり一生懸命、いろいろなマイナス要因を打ち消して定常状態を維持するだけでも結構大変なんだとおっしゃる経済学者もいる中で、実質成長率を顕著に上げていくというのがどこまで可能なのか。

 特に、これはいろいろな推計があろうかと思いますが、これから労働力人口が毎年一%ずつ減っていくとすると、それに生産性上昇率が一人当たり一・五%だとすると、実質成長率というのは大体〇・五%ぐらいしかないんじゃないかという見方もあるわけですね。仮にこれを例えば実質二%ぐらいまで持っていくとすると、生産性上昇率を一・五%から三%まで倍増させなきゃいけないと、計算上そうなるんですけれども、それが本当に数年の間に可能なのかどうかということも、一方ではあろうかと思うんです。

 ある試算では、物価二%を達成するためには、実質成長率二%を四年ぐらい続けなければ無理だというような見方もあるんですけれども、二年で二%の物価上昇というのは、かなり非現実的な想定を置かないと難しいんじゃないかなという気もしないでもないですが、この点について、実質成長率についてどういうような想定をされて、それがどの程度の時間軸で実現するというふうに、総裁はお考えでしょうか。

黒田参考人 中長期的な成長率を決定する大きな要因は、やはり労働力人口の動きと労働生産性の上昇ということに尽きると思いますけれども、景気循環の過程では、短期的に景気回復する時点で、そういった中長期の潜在成長率をかなり上回る成長ということはあり得るわけでございます。政府もたしか来年度の成長率を二%を上回るものに見通しをつくっておりますけれども、恐らくそれは十分達成できるというふうに思っております。

 したがって、中長期の成長率をどうやって上げていくかというのは、これは非常に大変なことでありまして、中央銀行ではなくて、まさに政府の役割に尽きるわけでございますが、政府が今やろうとしている成長戦略というのがいわばキー、重要な鍵になると思います。

 私自身、日本の製造業というのは今でも非常に強いと思いますが、農業とサービス業は、国際的な競争力の面でも、生産性の上昇率の面でも、かなり諸外国に劣っている。特にサービス業は、今や最大の雇用をしているわけでございますので、そこの生産性を上げない限り、全体としての生産性を上げるということは難しいと思いますし、人口の伸びというのは、これはいろいろな政策をしても、短期的にというか、五年とか十年で大きく変わるということは考えられないわけでございまして、二十年、三十年というタイムスパンで見ますと、人口の伸びを回復するという方法もあるかもしれませんが、やはり当面重要なのは、労働生産性をどうやって上げていくか。

 したがって、サービス業の中で、新しい産業とか新しいサービスをどうやって拡大していくかということに尽きると思いますので、そのあたりの政府のさらなる努力が不可欠であると思っております。

松田委員 来年度の政府見通しは、相当程度、公共投資とかが寄与して上がっているので、それがずっと持続するかどうかは甚だ疑問だと思いますが、その中で、今、中長期的なお話をされたんだと思いますけれども、二年で実質成長率が上がって、それで物価上昇率が上がっていくというのは、相当説得力のある説明をもっとしなければいけないんじゃないかという感じがせざるを得ませんでした。

 それからもう一つ。総裁、期待に働きかけるというのは私もそのとおりだと思うんですが、期待というのは、数量的、定量的になかなかはかれるものではなくて、漠然たる概念であれなんですが、確かに景気は気からといいますので、マインドセットが変われば人々がお金を使ってというのはよくわかるんですけれども、それであれば、インフレ期待が上がる前に、まず、経済の先行きが明るくならないといけない。日本経済は希望がないといいますけれども、少し希望をつくっていって。

 それで、デフレの何が悪いかというと、やはり物価が下がることの帰結として経済が収縮していく。それが悪いということであれば、もう少し、名目経済成長率ということの方が目標設定としてはすぐれているんじゃないかと、いろいろ議論があります。今度イングランド銀行総裁になるカーニーさんもそうおっしゃっていると言いますが。

 名目経済成長率の目標を設定して、そこに対して日銀が一定部分の責任を負い、政府も共同でやっていくというような経済運営もあり得るかと思います。その点については、総裁はどんなお考えでしょうか。

黒田参考人 名目GDPの成長率をターゲットにすべきだという議論は、御承知のように学界では相当強力な議論でございますが、難しいのは、一つは、消費者物価の上昇率ということですと国民が体感できる部分があるんですが、名目GDPの成長率というのはなかなか、にわかにはわかりにくい。もちろん、売り上げとか賃金とか所得とか、そういうものに反映されてくるわけですから、そういうものとしてはわかるんですけれども、名目GDPというものがどういったもので、どういうふうに伸びているかというのは、なかなか体感されにくいというのが一つの問題だと思います。

 もう一つは、御承知のように、名目GDPでも実質GDPでも、基本的に四半期ごとに、しかもかなりのタイムラグを持って出てきますので、それを踏まえて金融政策の運営ということになると、かなり、金融政策自体タイムラグがあるわけですけれども、いわば認知ラグ自体が相当、また延びてしまうという問題もありますので、アイデアとしては非常にいいし、学界でも非常に強い支持があるわけですが、実際問題としてそれをやるというのはそう簡単ではない。

 むしろ、イングランド銀行がこれまでやっていたような、あるいは諸外国の中央銀行のやっているような、いわゆるフレキシブル・インフレーション・ターゲットというんでしょうか、インフレーションターゲットはきちっと設定するんですが、経済の実勢に合わせてフレキシブルに運用していく、しかしそのターゲット自体はアンカーとしてきちっと安定させるということの方が、より現実的だと思います。

 ただ、私もそういう名目GDPターゲットについてまだ十分な議論を聞いておりませんので、今の時点ではなかなか難しい、インフレーションターゲティングの方がより現実的だと思います。

松田委員 ここで金利の問題。やはり、二%の目標は本当に大丈夫か。副作用の一つとして長期金利を心配する人が多数いらっしゃるんですが。

 物価というのは実質成長率が高まってもなかなか上がっていかないといいますか、それに対して、金利というのはあっという間に上がることがある。昔、タテホ・ショックというのがあって、二%台から六%まで一気に上がったという経験もあります。その点は非常に注意しなければいけないんですが、金利が上昇すれば財政に与える影響も非常に深刻であるかと思います。

 お配りした資料の二枚目を見ていただきますと、これは成長率と金利とのグラフでありまして、よく、長期金利と名目成長率、どっちが高い低いという論争がずっと長い間行われてきたんですが、事実を見ると、日本の場合、三十回のうち二十四回が長期金利の方が名目成長率より高い、逆転している場合はバブルのときだけだったということがございます。

 こういう経済を前提にしますと、仮にプライマリーバランスが達成されても、まだまだ国債発行残高の対GDP比は拡大を続けていくという状況でありますし、それに、経済成長率が高まりますと、利払い費がふえていって税収増が追いつかない、かえって財政が悪化して、国債がさらに発行されて、そして悪い長期金利の上昇が起こってしまうんじゃないかという懸念も、いろいろあろうかと思います。

 この懸念を払拭するためには、日銀の政策で期待インフレ率が高まっても長期金利には余り影響を与えないという前提を置かざるを得なくなると思いますし、名目成長率の方が長期金利よりも常に高いような経済運営をしていくという前提を置かなければいけなくなるような気がいたしますが、その点についてはいかがでしょう。

黒田参考人 確かに、これまで、名目GDP成長率と長期金利の推移を見ますと、名目成長率の方が下回っている。有名な方程式で、そうなると財政再建が非常に難しくなるというふうに言われておりまして、そういった状況にあることは認識しております。

 ただ、経済の実態が改善し、物価安定期待というかインフレ期待が高まっていく過程の中で、名目の長期金利も平仄を合わせて上がっていくということであれば、経済全体にとって大きなマイナスになるということはないと思うんですが、他方で、例えば、金融システムの不安とか、あるいは財政の持続可能性に対する疑念とか、そういうものが起こりますと、ユーロ圏で起こっているように経済の実勢を離れて長期金利が上がってしまうということになってしまいますので、そういうことのないように、やはり財政の持続可能性を高めるという努力を政府にしていただくとともに、金融システムについては、引き続き、日本銀行としても、政府の金融庁とよく連携しながら、その安定に努めてまいりたい。

 そういうことであれば、そういった不適切な金利上昇で経済にマイナスになるということは防げるというふうに思います。

松田委員 時間がなくなってきたので、そろそろあれですが、物価が二%上昇するというのは、マクロ的にはそうなんですが、個別の品目ごとに見るといろいろな動きがあると思うんです。それが国民の所得分配に影響を与えたり、いろいろな意味で国民生活に不安を生じさせたりする可能性もあるかもしれない。

 そういった意味で、かつて、十九世紀のイギリスでも、五十年にわたってずっと物価下落が続いていた、これは技術進歩の結果であって、経済が悪かったという状況ではなかったという説もあるように、技術革新の結果、物価が下がっていくというのは、これは生産性が上昇している証拠でもあるという面もあると思うんですね。

 そういう意味で見ると、片や下がっていくものもあれば上がっていくものもあるというものの中で二%になるとすると、上がるものは相当程度上がらなきゃいけないと思うんですが、その辺についての内訳というか、それをもう少し国民に示すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

黒田参考人 各国が二%の物価安定目標を定めている理由としては、よく言われていますように、物価指数というのが一%近く過大評価、過大に出てくる。新製品がうまく入っていないとか、品質改良が必ずしも完全に反映されていないとか、いろいろなことを言う方がおられますが、いずれにせよ、一%ぐらい過大に評価されているので、一%上がっていても、実態は、上がるもの、下がるもの、平均するとほとんどフラットになっている。その上に一%ぐらいののり代を設けておくことが、景気循環とかその他に対して金融政策がスムーズに対応できるゆえんであるということで、二%ぐらいを目標にして金融政策が行われているわけです。

 その場合の個別の価格の動きというのは、それぞれの経済とか、そのときの状況によって非常に変わりまして、特にエネルギーとか食品のような、国際的に取引されている一次産品は大きく価格が変動しますので、そういったものを除いたもので見るのがいいという説もありますし、しかし、それはそれで、やはり国民生活に影響を与えているので、そういうものを全部除いてしまうと、国民生活と乖離したような消費者物価指数をターゲットにするということになるという疑問とか、いろいろありまして、一概に事前に物価上昇の中身を示すということは非常に難しいと思いますが、これまでの動きがどのようなファクターでそうなっているかということは内閣府等の統計でも詳しく説明されておりますし、今後とも、そういった状況をも勘案しながら、物価安定目標の早期達成に努めてまいりたいというふうに思っております。

松田委員 もう質問時間が終了しているので、最後に、せっかく中曽副総裁にお越しいただきましたので。

 私ども維新の会は、中央集権、官僚支配の打破というのを掲げておりますものですから、やはり組織の論理ということ、ずっと日銀で責任ある立場におられた中曽さんについては、近年の日銀の政策について、それを担っていた責任者として、我々はとりあえず反対するということをさせていただいたんですが、いわゆる組織の論理から脱皮して新しい領域に日銀が踏み込んでいく上での中曽副総裁の決意をお聞かせいただきたいと思います。

中曽参考人 デフレ克服という点では、いまだに、除く生鮮食品ベースでのCPIはゼロ近傍で推移しておりますので、この点についてはいまだに結果が出ていない、この点は重く受けとめる必要があるというふうに思っております。

 二%の物価安定の目標をできるだけ早期に達成するために、組織力を結集しまして、日本銀行が持っている全ての機能を動員しまして、前例にとらわれることなく、新しい施策を考え、実施していきたいというふうに思っております。

金田委員長 時間が参りました。

松田委員 ありがとうございました。以上です。

金田委員長 次に、小池政就君。

小池(政)委員 みんなの党の小池政就です。

 みんなの党は、今回、総裁また中曽副総裁の覚悟また方針をしっかりと確認する時間がなかったということで、同意には反対させていただきまして、岩田副総裁だけ賛成させていただきました。岩田副総裁は私の大学の先生でありまして、だから賛成したというわけではないんですが、むしろ、二年間単位を落とされて、非常に劣等生だったもので、きょうはむしろいらっしゃらなくてよかったなということを思っています。

 早速、質問に移らせていただきますけれども、端的に総裁にお聞きいたしますが、今、マーケットは何を望んでいると思われるでしょうか、何を総裁に期待していると思われるでしょうか。

黒田参考人 端的に言って、二%の物価安定目標を早期に実現してもらいたい、あるいはそれを期待しているということだと思いますが、その過程で、為替レートとか株価とかさまざまな資産価格、あるいは景気の動向といったことも当然注目していると思いますが、日本銀行の最大の使命である物価安定目標の達成については、やはり日本銀行に対する期待というものはそこに集約されると思います。

小池(政)委員 その具体的な中身をお聞かせいただきたいんですけれども、確かに、今回二%目標、財務大臣も金融政策だけでは難しいのではないかということをおっしゃっているように、マーケットも非常に注目しているところであると思います。

 その際に、総裁の方針として、まずは、今まで批判されてきた体制の中で、一月の二十二日に決定されましたその方針に対してこれからどうしていくかということが一つのメルクマールとなると思うんですが、今回定められました月十三兆円の買い入れペース、これは二〇一四年以降の資産買い入れ基金の残高、百十一兆円、これを維持するのにちょうど必要な額とされています。このスピード感で果たしていいのかという点、また、これは百十一兆円を維持するということになっておりますが、これが、総裁がおっしゃられます無制限の量的緩和に果たして当てはまるのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。

黒田参考人 一月の政策委員会で、二%の物価安定目標を定め、それをできるだけ早期に実現するということを決められたわけですが、御指摘のように、その際にとられている金融緩和が十分なものかということについては、私は十分でないと。したがって、量的にも質的にもさらなる緩和を進める必要があるというふうに思っております。

 ただ、具体的に、何年度に何をどのようにするかということは、これから政策委員会で十分審議して決めることでございますが、方向としては、まさに量的、質的緩和をさらに進めて、一月に決められた物価安定目標をできるだけ早期に達成する。それができるように、金融緩和を進める。

 無制限緩和かどうかという議論は、定義の話は非常に難しいと思いますが、金融の場合は、フローで、あるいはグロスで毎月幾ら資産を購入するということよりも、ベースマネーでもマネーサプライでも何でもそうですが、ストックで議論するのが適切だと思いますので、そのあたり、マネタリーベースもストックですし、資産側も、ストックでよく見ていく必要があるというふうに思います。

小池(政)委員 ストックでというお話もあったんですが、総裁がよく長期国債を購入されるというお話をされていますが、こちらにつきましても、長期国債が今の二兆円という規模で果たしていいんでしょうか。

黒田参考人 来年から、毎月十三兆円の資産を購入するということが決められたわけですが、その際、中身として、たしか、十兆円短期国債で、二兆円長期国債で、残りがその他ということだったと思います。

 短期国債の場合は、三カ月とか六カ月でどんどん償還されますので、グロスで幾ら買っても、残高ではすぐにフラットになってしまうわけですね。それに対して、長期国債の場合は、残存期間がまだ長いですので、買い入れていくことによってストックも相当期間ふえていくということはあるわけです。

 いずれにせよ、重要なのは、毎月グロスで幾ら買うかということもオペレーションのやり方としては重要なファクターですけれども、金融政策の効果という面では、やはりストックを見ていく必要がある。資産のストック、長期国債にしても短期国債にしても、ストックが一体どういうふうに動いていくのかということが、イールドカーブを下げるとか、あるいはベンチマークの金利を下げるという意味では重要な要素であるというふうに思っております。

小池(政)委員 マーケットへの姿勢を示す上でも、多分そちらのあたりをしっかりとお示しされた方がいいんじゃないかなと思います。

 また、国債の買い入れにつきましてですけれども、総裁が就任会見で、日銀のバランスシートにつきまして、ちょっとわかりにくい、負債側と資産側でどういう動きになっているか、それをどういう方向に向けようとしているのかがわかるような金融政策を運営することが市場との対話を強化する上でも重要だとおっしゃっていますし、また、さきの宇都宮の講演で、石田浩二審議委員が、やはり同じように、資産買い入れ基金による国債買い入れと、いわゆる輪番オペ、金融調節上の必要性から実施している国債買い入れ、これの統合について触れていらっしゃいます。

 こちらについては、先ほどの議論の中にも、総裁は、廃止も含めて検討していくということをおっしゃっておりましたけれども、さきの決定会合、こちらはまだ議事録が出ていないんですが、白井さゆり委員からこちらの統合案が出されました。また、先ほど少し議論にもなりました、二〇一四年からとなっている無期限緩和についても、提案が二つあったんですが、これが、審議委員の中で、反対多数で否決されています。

 やはり、このような委員会の中で、恐らく、先ほどの財政ファイナンス等の観点かなというような形での反論というのもあると思うんですけれども、総裁が果たしてどのような形でほかの委員たちを説得されていくのか。

 また、もう一点は、日銀法の十八条にもありますように、この委員会、合議制になっております。岩田副総裁はそれに関して法改正も含めた提案をされていますけれども、その中で、果たして総裁の方針というのはどのように進めていくことができるのか、お聞かせください。

黒田参考人 日本銀行のバランスシートの、負債側は非常にわかりやすいわけですね。ベースマネー、つまり日本銀行券と日銀への預け金が大半ですので、それがいわばベースマネーとなって、その動きがどうかということでわかりやすいわけですが、資産側は、御指摘のように、長期国債でいいますと、輪番オペでいろいろ買っている部分と資産買い入れ基金で買っている部分とがどういう状況になっているのかというのが、一見するとわかりにくいわけですね。

 量的、質的緩和を進めるという意味では、負債側のベースマネーというのも重要でしょうけれども、資産側の中身がどういうふうになっていくかということも重要なわけですので、それをどのようにわかりやすく市場に浸透させるかという意味では、今言われたような意見も検討に値すると思いますが、具体的にどのようにやるのかというのは、あくまでも政策委員会でこれから議論して決めることであるというふうに思っております。

 その際に、前回の金融政策決定会合での議論というのもあったわけでございますが、いずれにいたしましても、執行部側が、総裁、二人の副総裁がかわって新しいメンバーになるわけでございますので、十分議論をして、そしてその中で適切な金融政策を決めていきたい。あくまでも私自身も一票でございますので、そこはよく議論して、何が一番適切かということは合議体で決めていくということになると思います。

小池(政)委員 ぜひ、総裁としてのリーダーシップをしっかりととっていただきたいと思います。

 また、黒田総裁は、国際的なコミュニケーション能力につきましては誰もが認めるところであると思うんですが、今回のアベノミクスに関しまして、海外からは、円安誘導ではないかという批判もありました。

 その件について、総裁はどう答えられますでしょうか。

黒田参考人 私は、円安誘導でないと思っております。

 と申しますのは、中央銀行が金融政策を動かしたときに為替レートにどういう影響が出るかということはもちろん考慮されることではありますけれども、そしてまた、金融政策を緩和に持っていったときにその国の為替レートが下落する傾向があるということはそのとおりでございますけれども、中央銀行としての日本銀行は、為替レートあるいは為替の安定といったことは使命としておりませんし、義務としてもおりませんので、あくまでも日本銀行としては、物価の安定、二%の物価安定目標をできるだけ早期に達成するということで金融緩和を進めていくということでございます。

 諸外国も同様のことをやっておりますけれども、それが為替安を誘導しているというように言われておりませんし、IMF自体も、IMFはいわば国際的な為替調整についての第三者的というか客観的な意見を述べるところですけれども、円安誘導とか為替安誘導でないというふうに認識しております。

小池(政)委員 あくまで金融政策の結果だということだと思いますけれども、一方で、制度的には為替の介入の権限というものが財務省にありますし、黒田総裁も、過去三十二回、介入を行いまして、ただ、先日いろいろなところでお話しされた内容の中では、介入というのは、このぐらいでこうなるというのがなかなかわからない、また、不胎化介入が永続的な効果を持つということはなかなか検証できない、また、不胎化介入は、当面インパクトがあるにしても長期的効果がある介入というのは期待しがたいというような、少し否定的な感じを持たれておりますし、また、さきのG20の共同声明にもあったように、為替レートは市場で決まるようにしなければならないというような声明もあります。

 そのような流れの中で、やはり、先ほど総裁がおっしゃったように、あくまで為替レートというのは介入をできるだけ少なくして、結果として金融政策の影響と捉えるべきでよろしいでしょうか。

黒田参考人 為替市場介入は、円と外貨との売買を通じて為替レートに影響を与えようという政策でございまして、これは、日本の場合もアメリカの場合もそうですけれども、財務省が担当しておる。

 そのやり方としては、G7でもG20でも、基本的には市場に任せるけれども、しかし、ファンダメンタルズから見て非常に外れているような場合に、単独であるいは協調して介入するということはあり得るというような形になっております。

 それは介入ですので、当然、為替レートをターゲットにした政策になるわけでございますが、日本銀行の場合は、為替レートをターゲットにした政策は全くないわけでございまして、介入もしておりません。単に、世界じゅうのあらゆる中央銀行がやっているように、国内の金融を緩和するために、銀行への貸し出し、あるいは国内で発行されている金融資産を購入するといったようなことで金融を緩和しているわけで、その結果として為替に影響が出ることは事実でございますが、あくまでも、中央銀行の金融政策というのは物価の安定を目標としたものであって、為替の安定とか為替安を目標にしたものでは全くございません。

小池(政)委員 先ほどの議論の中で、介入については余り効果がないんじゃないかという意見をちょっと紹介させていただきましたり、金融政策の結果として為替がある程度決まるんだというお話がありましたけれども、それでは、外貨準備が果たしてこれだけ要るのかという話になってくると思うんです。

 外貨準備。日本の外貨準備は確かにかなりふえていまして、かつ、この準備が、償還期限が到来しても、また外債がロールオーバーされているわけであります。利息も含めてロールオーバーされているので、これがどんどんふえているんですが、実質、これも為替介入ではないかというような批判的な意見というのも国際的にちらほら散見されますけれども、こちらにつきましても、国際会議等で総裁はどのように答えられますでしょうか。

黒田参考人 私、現在、為替介入等を担当しておりませんので、どう答えるかということは何とも申し上げかねるわけですけれども、かつての経験から申し上げますと、今言ったような意見がかつて一部にあったことは事実でございますが、今そういう意見が特に何か話題になって、介入についていろいろな議論があるというふうには余り承知しておりません。

 ただ、私、今担当しておりませんし、現下の状況はよく存じませんので、お答えしかねるわけでございます。

小池(政)委員 担当していないということなんですけれども、国際会議の中で、やはりコミュニケーションの中で、そこは恐らく回答しなければならない場面もあると思いますので、ぜひ答えていただきたいということと、また、外為につきましては、こちらが外為特会の中で運営を委託している民間金融機関が得る利ざやを通じた利権というものがやはりそこにあって、国内改革の必要性というものもありますし、先ほど紹介しました国際的な説明の必要性というものも確かにそこにあるわけであります。

 その点も踏まえて、黒田総裁は経済財政諮問会議にも参加されて、そこでの発言機会もあるわけですから、先ほどの外為の件につきまして、もう一度その方針をお聞かせいただきたいと思います。

金田委員長 時間が参りましたので、答弁は簡潔にお願いします。

黒田参考人 外為特会の件あるいは介入の件は、現在、私、担当しておりませんので、特別なことを今申し上げる状況にはありません。

 ただ、経済財政諮問会議の中でいろいろな議論があった際には、日本銀行の金融政策と関係する局面では、当然、必要に応じて発言をしたいというふうに思っております。

小池(政)委員 ありがとうございました。

金田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 先ほど黒田総裁は、報告の中で、「デフレ脱却に向け、やれることは何でもやる」、こういうふうにおっしゃいました。

 まず、デフレの定義でありますが、日銀政府は、持続的な物価下落と定義をしております。問題は、なぜ連続して物価が下がるのか。その理由をどのように捉えておられますか。

黒田参考人 デフレの定義は、国際的にも、持続的な物価の下落ということであると思います。ですから、不況か好況かとか、その他と別にして、物価が持続的にいずれにせよ下落していればデフレというふうに言われているわけでございます。

 二〇〇八年の一次産品の国際的な高騰の局面では物価は上がっていましたけれども、それを除けば十五年にわたって物価が持続的に下落している。これはデフレ以外の何物でもないわけですが、それぞれの局面で物価に影響した要素はたくさんあるわけでございまして、御承知のように、金融機関の不良債権問題とかデレバレッジングとか、いろいろなことが二〇〇〇年代の初めまでありまして、その後、特に新興国からの安い物資が入ってくるとか、円高が進んだとか、あるいは、先ほど申し上げたように、企業、家計の両面で低価格志向というものが起こったとか、いろいろなことがあったと思います。

 その中で、日本銀行の政策の間違いというのもあったかもしれません。特に、二〇〇〇年の量的緩和からの時期尚早の脱却とか、いろいろあったと思いますが、基本的にはいろいろなファクターで物価の下落が起こっているわけですが、二つの意味で問題だと思うのは、一つは、そういうことが起こる中で、デフレマインドというか物価下落期待、デフレ期待が根強く浸透してしまって、それがさらなるデフレを呼ぶという悪循環に陥っているという面が一つと、それから、金融政策を担当する日本銀行が、そういうデフレのいろいろなファクターに対抗してその都度十分な金融緩和をスムーズにやってこれなかったという二つの面があって、結局、結果的に十五年続きのデフレになってしまっているということだと思います。

佐々木(憲)委員 先日、私、本会議でこの点をただしますと、政府の答弁は、「我が国経済は、長期にわたり、需要が弱い中で、企業などによる、日本経済の将来に対する成長期待の低下やデフレ予想の固定化もあって、デフレが継続してきた」、そういうふうに答えております。

 この答弁にもありますが、デフレの最大の原因は、基本的には、供給に比べて需要の方が弱い、需給バランスが崩れるということだと思うんですが。どちらかというと、実体経済の不況の面が進行して、それが原因になって需給バランスが崩れてデフレが発生する。だから、デフレ不況というような言い方もされるわけですね。

 そこで、基本にあるのは、やはり内需の中のGDPの六割を占めております家計消費だと私は思っておりまして、この可処分所得の低下というのが非常に大きかった。その点の認識はいかがでしょうか。

黒田参考人 おっしゃるとおり可処分所得も低下したわけでございます。賃金も低下したわけですが、物価も低下したと。ですから、ある意味でいうと、その名目値、賃金、物価、所得あるいは名目GDPも含めて、全てのものがずっと低下してきたわけで、その中で一番重要な名目値というのは消費者物価指数でございますが、それがまさに十五年低下してきたと。ただ、それは、今申し上げたように、あるいは委員もう御指摘のとおり、いろいろな経済要素が絡まってなっているわけでございまして、何か一つだけで説明するというのは難しいと思います。

 一つ重要な点といえば、先ほど申し上げたように、そういうことでデフレ期待というものが非常に深く浸透してしまったために、企業も消費者も非常に消極的になったということはあろうと思います。

佐々木(憲)委員 いろいろなものが絡まったということなんですけれども、やはりベースにあるのは内需の中の家計だと私は思うんですね。

 例えば雇用者所得、賃金ですけれども、この十年間で約二十二兆円減少しております。

 これはなぜかということですけれども、例えば、労働法制の規制緩和をやりました、非正規雇用がふえた、低賃金労働者が非常に数が多くなった、全体として雇用が不安定になった、そういうことが一つあったと思いますね。それから、この間、海外、特にアジアに対して非常に進出が激しく行われて、国内の投資がやはり低迷したということ。

 それから、二つ目に、可処分所得という点からいいますと、国民の負担がふえていると思います。

 それは、小泉、安倍内閣を振り返りますと、我々、一覧表を出しました。計算をしてみますと、十二・七兆円もこの負担がふえているんです。これは政府の家計調査報告の中にもその一覧表は載っていますけれども。これだけさまざまな負担がふえますと、やはり消費に非常に大きな影響が出てくるということですね。

 それから、もう一つ大事だと思うのは、金利が低下していますから、家計に入るべき利子所得が減っているわけです。

 七年ほど前、私、この委員会で日銀の福井総裁に質問をいたしました。そのときの答弁は、一九九一年における受取利子額がその後二〇〇四年まで同じ額で継続するというふうに仮定した場合と現実の金利所得との比較で逸失金額を計算いたしますと、累計で三百四兆円。三百四兆円、本来、家計に入るべきものが入らなかった。その分、企業の方に行ったんでしょうか。そういう問題もあります。

 長期にわたり需要が弱い状況ができたのは、やはりそういうものだというふうに私は思います。

 その上、これからどうなるのか。三党合意というのがありまして、これから消費税が増税になります。これで十三・五兆円。さらに、年金、介護、医療、こういう分野でも負担がふえる、あるいは給付が減る、こういう事態が生まれますから、二〇一五年までに大体二十兆円の負担がふえるわけですよ。

 ですから、内需の中の家計消費というものが非常に痛めつけられている。この問題がベースにあるということです。そのことをはっきりさせないと、幾ら金融緩和といったって、これはなかなか、それだけでどうこうなるようなものではない。そういう意味では、先ほど、構造的なというのがありましたが、やはり、日本経済の中の内需の低迷というものの原因がどこにあるのか、それに対してどうするのかということがないと、金融だけで物事は解決しないというふうに思います。

 そこで、次にお聞きしたいのは、インフレの定義でございます。これは私は二つあると思っていまして、一つは、需要が伸びることによって物価が上昇するという点。それからもう一つの面は、通貨が流通必要量を超えて供給されることによって通貨価値の下落が起こって、名目的に物価上昇が発生する、インフレーションであります。この二つがあると思うんですね。

 先日、中曽副総裁にお聞きしたところ、そういう認識は持っておりますというふうにお答えになりました。黒田総裁はどのようにお考えでしょうか。

黒田参考人 インフレの原因の分類方式は、委員御指摘のような方式もございますし、かつて非常にはやっていました分類は、コストプッシュインフレと需要超過インフレというようなことで議論がなされておりました。

 委員御指摘の点は、恐らく、いわゆる実需が、実需と申しますのは供給力に対して総需要が上回っていてインフレになるということだと思いますけれども、通貨価値の下落というのも、恐らく、金融が非常に緩和されて、需要が増加して超過需要になって、通貨価値が下落というか、インフレ、物価の上昇ということであるとすれば、同様なものだということになりますし、また、そうでなくて、通貨価値の下落というのが、何か一種の期待を通じて、実需がそれほど伸びていない、つまり超過需要になっていないのにインフレが起こるということをお示しになっておるとすれば、あるいはそういうこともあるかもしれません。

 しかし、インフレーションの原因というのはいろいろなことが言われていまして、期待の要素もあるし、それから実需の要素もあるし、またコストプッシュといった要素もあると思いますので、それぞれにそれぞれの対応が必要になってくるとは思いますけれども、中長期的に見ますと、金融政策によって物価を安定させるという責務、義務は依然としてやはり中央銀行にあるんだろう。ただ、それが容易に達成されるような状況かどうかというのは、それがコストプッシュなのか、あるいは超過需要なのか、あるいは委員の言われるような期待を含めた通貨価値の下落によるのか、あるいは財政が破綻して云々、そういう懸念といったことから起こる面もあるかもしれません。

佐々木(憲)委員 総裁、ちょっと時間がないものですから、簡潔にポイントをお答えいただきたいと思います。

 家計消費が伸び、あるいは企業の設備投資もふえ、それで物価が上がっていくというならまだわかるんです。ただ、通貨が必要量を超えて供給された結果、通貨価値が下がってインフレになるというのは、これは非常に重大な問題を起こすわけですね。

 過去の歴史で、通貨膨張でインフレが起こった例を挙げていただけますか。

黒田参考人 それは、日本でも世界でもいろいろなケースがあると思いますが、御指摘の点は、恐らく、通貨膨張がやはり超過需要を生んで、通貨価値が結果として下落したということをおっしゃっているんじゃないかという気もするんですが、そうではなくて、超過需要ではなくて、純粋に一種の期待で通貨量が膨張して物価が上がっていく、インフレになるという可能性も否定はできないと思うんですけれども、そういう、純粋の通貨価値の下落というか、実需は全然ふえていないのにそうなったという例は、多分、例えば第一次大戦後のドイツとか、そういうのに近いような気はしますね。

佐々木(憲)委員 日本の場合は、第二次大戦のさなかに、政府が日銀を事実上支配下に置いて、軍備調達の資金を無制限に供給させたという深刻な前例があります。非常に激しいインフレが戦後起こったことは、御承知のとおりであります。その結果、国民生活は非常に悲惨な目に遭ったわけですけれども、憲法と財政法で、二度とそういうことを繰り返さないということで、日銀に国債をどんどん引き受けさせるようなやり方はやめる、そういう規制が行われたわけであります。

 それからもう一つは、インフレ期待というようなことを盛んに、先ほどから期待、期待とおっしゃいますが、日銀が一定期間でやっております、生活意識に関するアンケート調査というのがありますね。その調査では、インフレとデフレ、つまり物価が上がることと物価が下がることについて、国民の意識はどちらに支持があると思いますか。

黒田参考人 アンケート調査のとり方にもよると思いますが、賃金とか所得については一定で、物価が下がるということであれば、もちろん、実質所得は上がるわけですし、実質的な消費もふえますので、歓迎するという結果が出る可能性はあると思いますが、何回も申し上げたように、賃金が下がったり、物価が下がったり、所得が下がるというのはほとんど同時に起こっているわけでして、物価だけ下がってほかの状況が変わらないということは、まずないと思います。

佐々木(憲)委員 国民が恐れておりますのは、賃金が上がらないのに物価だけが上がるというのを恐れているわけです。

 具体的にそのアンケート調査の結果を御紹介しますと、十年前の平成十四年、二〇〇二年の三月の調査ですけれども、物価が下がるということについて、「どちらかといえば好ましいことだと思う」という回答が四割強でありました。「どちらかといえば困ったことだと思う」という回答は二割弱で、物価が下がる方がよろしいという人が、困ったことだと思う人の倍ぐらいあるということなんですよね。

 それから、つい昨年の十二月の調査によりますと、物価が上がったというふうに感じた人の八割台半ばの人が、「どちらかと言えば、困ったことだ」と回答しております。一年前に比べて物価が下がったと答えた人にその感想を聞くと、三割台半ばの人が「どちらかと言えば、好ましいことだ」で、二割台後半の人が「どちらかと言えば、困ったことだ」というふうに答えている。

 つまり、国民は、インフレ、つまり物価が上昇することを余り期待していないんですよ、実際上。むしろ、物価が上がると困るな、こういう気分の方が非常に強いわけです。

 そうなってきますと、インフレをこれから、あおっていくというとちょっと言い過ぎかもしれませんが、そういう道をたどっていくと、これは生活防衛に走りますね。そうすると、需要の方がずっと低下していくわけですよ。先ほど申し上げましたように、消費税は上がる、社会保障の負担がふえ、供給が減る。そういうような状況がこれから続く上に、さらに物価も上がるのか。賃金もそんなに上がる保証はない。こういう状況の中でインフレターゲットというふうに言われても、これは、最初は何か目新しい感じはするけれども、結果的に、国民の生活からいうと、まずいことになるのではないかな、こういう意識が強いと思うんですが、総裁はどのように思いますか。

金田委員長 黒田日銀総裁。

 なお、時間が参りましたので、簡潔にお願いします。

黒田参考人 物価が上がる局面というのは、賃金も上がる、所得も上がるというのが通常でして、物価だけ上がって賃金が上がらないとか、あるいは逆に、賃金はそのままで物価だけ下がるというようなことは余り起こらないわけでございます。

 具体的に申し上げれば、いろいろな政策を政府、日銀で協力してやることによって、スムーズに物価あるいは賃金、雇用などが改善していくということが、今、日本銀行も含めて目標としているところでございまして、御懸念は理解できますけれども、そういうことのないように、適切な物価目標の達成に邁進してまいりたいと思っております。

佐々木(憲)委員 もう終わりますけれども、我々は、現在の状況の中で物価だけを上げようなどという、金融緩和だけでやろうという発想は非常に危険だと思っておりますので、最後にそのことだけは指摘しておきたいと思います。

金田委員長 次に、鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 生活の鈴木でございます。

 多くの委員から質問が続いておりまして、若干重なる部分もあるかもしれませんが、私なりの御質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、総裁、副総裁にお尋ねをしますが、安倍総理が、二〇〇六年三月の量的緩和の解除について、日銀の判断が少し早かった、こういうことをおっしゃっています。それから、黒田総裁も同じように、二〇〇六年の決定は今から見ると明らかに間違っていた、こういうことをおっしゃられて、総理と総裁の見解というのはほぼ一緒だというふうに思っておるんです。ところが、麻生大臣は、この委員会でもお伺いしたんですけれども、小泉内閣のときに二十兆、三十兆と要するに金融緩和をやったけれども、結局そのお金が本当に回っていかなかったということで、そこに問題があったんだ、こういうことをおっしゃっています。

 そこで、お伺いをしたいんですが、現在、一部の大企業等々では、確かに賃金も上がる傾向にありますし、それから設備投資意欲もあるやに思うんですが、本当に国全体に、国民全体にそういうふうな流れになってきておるのかどうかということです。もちろん、それをするために今から最善の努力をされるということは当然だと思うんですが、いずれにしても、まず第一点でお伺いしたいのは、二〇一〇年の十月に資産買い入れ等の基金をつくりました。それで、資金供給オペも含めると、約七十兆円の残高を持っておる。これは、先ほどもありましたけれども、今年度中には百一兆円とか、来年度には百十一兆円にしよう、こういう流れだと思います。

 そこで、これだけやってもデフレ脱却ができていないという御判断をされておるわけですが、そうすると、さらにいわゆる緩和をもっとやらなきゃだめなのか、それとも、やはり別の方法が、何か問題があるのか、その点について、総裁、副総裁からコメントをいただきたいと思います。

黒田参考人 現時点でまだ物価が下落傾向が続いているわけでございまして、やはり、思い切った金融緩和を推進する必要があると思っております。

 その際には、委員御指摘のような量的な緩和ということも必要でしょうし、さらに、質的な緩和、イールドカーブ全体を下げていく、リスクプレミアムを下げていくというような努力も必要だというふうに思っております。

岩田参考人 これからのことでよろしいですか。

 それでは、マネタリーベースをふやすということが一つありますけれども、一番大事なのは、中央銀行が、デフレ脱却、そして二%の目標だったら、その目標に対して責任を持ってコミットメントしているんだということをまず市場に信頼してもらうということが、あらゆる金融政策にとって一番重要なことです。つまり、政策金利をまだ動かせる余地があっても、それは大事。

 しかし、今、政策金利にそれほど余地がないとすると量的緩和にならざるを得ないんですけれども、その量的緩和をどれだけすればいいかも、やはり最初に金融政策によって二%のインフレを達成することにコミットメントしているかどうかということに依存して、同じマネタリーベースでも効き目は違ってくるということです。

 ですから、これからは、きちっと二%のインフレ目標に向かってコミットメントした上で量的緩和を進めていくということになれば、以前よりも効果が上がってくるというふうに思っています。

鈴木(克)委員 もちろん、私は、大胆な金融緩和は、これも必要であろうというふうに思うんですが、逆に今度は、行き過ぎた金融緩和というものの弊害、これも当然考えていかなきゃならないというふうに思います。

 繰り返しになりますけれども、本当にこの金融緩和が、国民の賃金が上がって、そして生活実態として、俗に言う、景気がよくなったね、こういうことになればいいんですけれども、ただ物価だけが上がっていってしまうという議論がありましたけれども、そういうような状況は、国民にとってこれは非常に不幸な状況に私はなってくるというふうに思うんですね。

 そこで、いわゆる二年間で二%ということを高らかに宣言されております。万々が一にそれができないなというふうになっていったときには、この二%という目標を変えるというような可能性というのはどんなふうにお考えなんでしょうか。お二方から御答弁ください。

黒田参考人 二%の目標を変えるということはないと思います。

 と申しますのは、先ほどから申し上げているとおり、消費者物価指数が過大に出てくる要素と、のり代というものを考えますと、二%の物価安定目標というのは極めて適切な水準だと思いますし、世界の主要先進国の中央銀行もほとんど同様な目標を持っておりまして、そのもとで金融政策を運営しているということでございますので、今、早期に達成できなかったらどうかということかと思いますが、私は、早期に達成しなければならないし、できると思っております。

 また、いずれにせよ、その二%という物価安定目標は一種のアンカーになるものでございまして、今後とも維持していく必要があるというふうに思っております。

岩田参考人 二%のインフレ目標というのは、今、黒田総裁がおっしゃったとおり、普通の、世界の標準的なものですので、簡単に変えたりとかいう問題じゃないということで、長期的にはほとんど変えることはないと思うんです。

 ただ、経済は不確実なところがありますので、インフレターゲットの国も、何年かに一度、やはり見直すというふうなことをしておりまして、少し目標を変えるということは、絶対ないということではありませんが、恐らく、今後五年間ぐらいの間にそういう局面になることは余りないんじゃないかというふうには思っています。

鈴木(克)委員 次に、黒田総裁にお伺いをしたいというふうに思うんです。

 総裁は、ここのところ、財務省や政治との距離感ということを大分言われてまいりました。私がお伺いしたいのは、総裁の市場との距離感なんですね。これは前任の白川総裁のことをお考えになってか、FRBのバーナンキ議長のことを思われてかわかりませんけれども、非常に市場とのコミュニケーションをということを言及されておるわけですね。

 そこで、大変うがった見方をいたしますと、余りにも市場とのコミュニケーションを大事にしていくということになると、逆に、今度は市場の言うことを聞き過ぎちゃうという可能性も私は出てくると思うんですね。それが結局、言い方が大変御無礼かもしれませんが、市場ポピュリズムといいますか、そういうような、市場に迎合していくような形に結果的にはなっていくということになると、大きな投資をやったり、大きな企業の方々にとっては、それはどんどんやってくれ、もっともっとやってくれということになるでしょうけれども、先ほどから言っているように、国民にとって本当にそれがどうなのか、国にとってどうなのかということを、私は非常に心配をするわけです。

 だから、いわゆる適度な距離感といいますか、そういうものについて総裁はどういうふうにお考えになっているのか、御答弁ください。

黒田参考人 まさに御指摘のとおり、市場との対話を強化するというのは、別にその時々の市場の意見をそのまま金融政策に反映させなければならないということでは全くございません。

 ただ、市場の意見とか市場の動向は十分把握する必要がございますし、そういうことを踏まえて、金融政策が決定された場合に市場に十分浸透させる必要があるという意味で市場との対話を強化していく必要があると申し上げているわけでございまして、市場のいろいろな人の意見に沿って金融政策をしなければならないとか、そのままフォローするということではございません。

鈴木(克)委員 もう一問、総裁にお伺いしたいんです。

 記者会見のときに、日本の資産市場について、バブルの懸念があるという状況じゃないんだ、こういうことをおっしゃいました。もちろん、現状からいえばそうかもしれません。しかし、これで、いわゆる日銀が今から政策をやられていく中で、だぶだぶになってきたお金は、株とか債券とか不動産などにどうしても向かっていくと私は思うんですね。そういうことになっていくと、結局それがバブルになっていくのではないか。もう既にそういう傾向がちょっと私は感じられると思うんです。

 その辺の、いわゆる強力な金融緩和というものが資産バブルをもたらすことはないんだというふうに、総裁が今、本当に言い切られるのかどうか。もう一度、記者会見のあの御発言に基づいて御答弁いただきたいと思います。

黒田参考人 世界の中央銀行は、日本銀行も含めまして、物価安定目標というものを立てて金融政策を運営しておりますけれども、同時に、資産価格の動向というものは十分注視しているわけでございまして、その動きは、点検するだけでなくて、そういったものも踏まえて金融政策が行われていることは事実でございます。

 ただ、資産価格をターゲットにして金融政策を運営するということはないわけでございまして、あくまでも、物価安定目標というものをまさにターゲットにして金融政策を運営する。その際、資産価格の動向にも十分配意していくというか、それは注視していくということに尽きると思います。

 なお、現時点で、何か資産バブルが生じているとか直ちに生ずる懸念があるというふうには思っておりませんが、いずれにいたしましても、資産価格の動向というものは、中央銀行として当然よくモニターしてまいりたいというふうに思っております。

鈴木(克)委員 続いて、岩田副総裁に、二、三お伺いをしていきたいというふうに思います。

 副総裁は、二年で二%を達成できなかったらやめる、こういうことをおっしゃったわけですね。私はそれを聞いて、ああ、それだけの覚悟を持っておやりになるのかなというふうに、善意にとればとれるわけですけれども、もうちょっと深く考えていくと、果たして本当にそれでいいんだろうかな、こういうふうに思えないわけでもないんです。

 そこでお伺いをしたいのは、副総裁として、この二%を達成するという強い信念を今お持ちなわけですが、そうすると、ある意味では国債を買っていくということになると思います、手法の一つとして。そうすると、どこまでいわゆる国債を買えばいいのか。

 例えば、雑誌だとか論文で、副総裁は、マネタリーベースを百五十兆円あるいは百七十六兆円にふやせばいい、こんなことを書かれておる書物を見ました。それから、三月五日の衆議院の議運の場で、「いろいろな仲間の研究者がいるので、今計算してもらっていまして、私の計算と突き合わせたいというのを今週から来週にかけてやりたい」、こういうふうに御答弁されたと思うんです、御記憶はあると思うんですが。

 もう既に何週間かたっておりますので、その仲間の研究者が出された計算、それから副総裁が考えてみえる計算、それが今どういう状況にあるのか、どれだけ今後も国債を買えばいいのかということを、具体的にお示しいただきたいと思います。

岩田参考人 雑誌等々に書いたわけですけれども、現在は副総裁を拝命いたしましたので、私的な試算についてはちょっと控えさせていただきたいというふうに思います。

 今後どれだけ買っていけばいいかというようなことに関しては、政策委員のメンバーとしっかり議論して、最終的に決めたいというふうに思います。

鈴木(克)委員 当然そういう御答弁になるのではないかなというふうに思っておるわけです。

 繰り返しになりますけれども、どんなに金融緩和をしても、本当に国民一人一人の生活が豊かになっていかなければ意味がないわけですね。

 そこで、中小零細企業の方々に本当にお金が回っていくのか、また、金利負担で苦しんだりなさらないのか、それから、先ほどから言っているように、緩和マネーが大企業や投機にばかり回っていくのではないか、こういうことを心配するわけであります。

 そこで、同じく当日の議運で、我が党の小宮山泰子議員が、日本の企業、本当に地域を支えてくれるところには必要なお金が回ってこないではないか、こういうことを副総裁にお尋ねしたところ、そのような心配はデフレ要素が蔓延しているときに起こることである、つまり、インフレになればそんな心配はないんだ、こういうような御答弁をされたというふうに聞いております。

 また、中小企業の資金調達がどうなるかということに対しては、名目金利の動きではなく、名目金利から予想インフレ率を引いた実質金利の動きを見るんだ、そして、その実質金利というのはデフレギャップがあるときは上がらないから、それほど心配をする必要はないんだと。

 本当に申しわけないんですけれども、何をおっしゃりたいのか私にはよくわからないんです。皆さんはおわかりになるかもしれませんけれども。

 ということで、正式に副総裁におなりになったわけですから、ぜひ改めてお伺いをしたいわけですけれども、二%を目指す過程の中で中小企業にお金が回らないではないかという心配は、なぜしなくてもいいのか。岩田副総裁は中小企業の状況というものを今どういうふうに考えられて、見てみえるか。御答弁をいただきたいと思います。

岩田参考人 議運での答弁のときは、マクロ経済全体で、あるいは中小企業全体でということでお話ししましたが、もちろん個々の中小企業に関しては事情が違うので、それに対してはきちっと目配りしていく必要があると思います。

 全体の状況としては、実は中小企業でも、やはり、全体ですけれども、金余りであって、その金が今動かないという状況です。

 これから全体としてよくなれば、資産担保価値なども上がってきますので、中小企業もだんだん楽になってくるというふうに思います。しかし、個々の中小企業に関してはいろいろ問題がありますので、それは、日本銀行の支店が各県にありますので、それを注視していきたいというふうに思っています。

鈴木(克)委員 本当に、この現下の状況の中で苦しんでいる中小そして零細企業の皆さんに対する目線といいますか、そういうものをひとつぜひ大切にして日銀の政策をお進めいただければ、このように思っています。国民あって日本国ですからね、日本国あっての日銀ですから、そこのところをひとつぜひ忘れずにやっていただきたいというふうに思います。

 それで、最後の質問になると思いますが、三月五日の衆議院のやはり議運で、岩田副総裁はこういうことをおっしゃっているんですね。「インフレを二%ぐらいにして、実質が一%ですと、三%名目成長になります。これをやると税収を上げる効果が非常に大きくなりますので、まずそれを使って税収を上げてみて、それでも財政再建がなかなかできないというところを見きわめてから消費税増税で遅くはないというふうに私は思います。」このようにおっしゃっておるわけですね。我が党は、消費税を今上げるべきではないという立場で、なるほどいいことをおっしゃるなと、正直そう思って聞いたわけです。

 二年間で二%上げる、これだけかたい決意、できなければそれはもうやめるんだというところまでおっしゃっておるわけですから、少なくとも今消費税を上げる必要がないということ、例えば、当面凍結でもいいんだというようなお考えを今お持ちであるかどうか、御答弁をいただきたいと思います。期待をして待っています。

金田委員長 時間が参りましたから、簡潔に答弁をお願いします。

岩田参考人 インフレ率が少しずつ上がってくれば名目成長率が上がりますから、税収がふえるということを申し上げたので、その上で、最終的に消費税を上げるかどうかということは、ぜひこれは政府、国会で慎重に御判断いただきたい、むしろそういうふうに思っています。

鈴木(克)委員 終わります。

金田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることといたしまして、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十七分散会


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