衆議院

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第11号 平成25年5月24日(金曜日)

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平成二十五年五月二十四日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 金田 勝年君

   理事 逢沢 一郎君 理事 伊藤信太郎君

   理事 木原 誠二君 理事 竹本 直一君

   理事 山本 幸三君 理事 安住  淳君

   理事 桜内 文城君 理事 上田  勇君

      安藤  裕君    伊東 良孝君

      小倉 將信君    小田原 潔君

      鬼木  誠君    神山 佐市君

      神田 憲次君    小泉進次郎君

      小林 鷹之君    小林 史明君

      田野瀬太道君    田畑  毅君

      竹下  亘君    中山 展宏君

      藤井比早之君    藤丸  敏君

      牧島かれん君    松本 洋平君

      御法川信英君    八木 哲也君

      山田 賢司君    階   猛君

      武正 公一君    古本伸一郎君

      前原 誠司君    西野 弘一君

      松田  学君    三木 圭恵君

      山之内 毅君    岡本 三成君

      竹内  譲君    樋口 尚也君

      小池 政就君    佐々木憲昭君

      鈴木 克昌君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   内閣府副大臣       西村 康稔君

   内閣府副大臣       寺田  稔君

   財務副大臣        山口 俊一君

   内閣府大臣政務官     島尻安伊子君

   財務大臣政務官      伊東 良孝君

   財務大臣政務官      竹内  譲君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  吉田  学君

   政府参考人

   (内閣府地域経済活性化支援機構担当室長)     小野  尚君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  森本  学君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    細溝 清史君

   政府参考人

   (金融庁証券取引等監視委員会事務局長)      岳野万里夫君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   参考人

   (日本銀行金融市場局長) 山岡 浩巳君

   財務金融委員会専門員   北村 治則君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十四日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     藤丸  敏君

  小島 敏文君     小林 史明君

  小林 鷹之君     神山 佐市君

  竹内  譲君     樋口 尚也君

同日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     小林 鷹之君

  小林 史明君     八木 哲也君

  藤丸  敏君     小田原 潔君

  樋口 尚也君     竹内  譲君

同日

 辞任         補欠選任

  八木 哲也君     小島 敏文君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 金融商品取引法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五九号)


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     ――――◇―――――

金田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、金融商品取引法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りをいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁黒田東彦君、金融市場局長山岡浩巳君、この両名の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官吉田学君、内閣府地域経済活性化支援機構担当室長小野尚君、金融庁総務企画局長森本学君、監督局長細溝清史君、証券取引等監視委員会事務局長岳野万里夫君、この皆さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

金田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小池政就君。

小池(政)委員 おはようございます。みんなの党の小池政就です。

 当委員会では二桁の質問をさせていただいておりますけれども、きょうは、初めてトップバッターということで質問をさせていただきます。

 法案の採決ということで、法案をすんなり通したい与党にとってみればいいとは思わないかもしれませんが、ただ、この分厚い法案、読めば読むほど幾つか課題が出てきまして、それらについてしっかり払拭していくという姿勢をお互い示していかなければ、本来の目的であります金融市場の信頼の回復でありますとか再活性化に結びつかないと思いますので、そのような姿勢で質問をさせていただきたいと思います。

 まず、インサイダー規制についてであります。

 今回、情報伝達・取引推奨行為についての規制が加えられております。この中で浮かび上がってきた課題といたしましては、まず、目的の立証が難しいということから、実効性が果たして担保されるのかという点であります。もう一点は、不明確な行為規制から、市場を萎縮させてしまうのではないかという点であります。

 もともと、ワーキング・グループの報告書からは、取引を行わせる目的ということが規定されておりましたけれども、今回は、その目的をさらに限定したものとなっております。

 また、違反行為に関しましても、これまでの答弁におきましては、総合的に判断されるもの、また総合的に立証していくものというような答弁があり、内容がなかなかわからない。また、誰が立証するのか、結局は司法判断に委ねてしまうのかというような課題が、私としては残っていると思っております。

 ガイドラインという点についても触れさせていただきましたが、答弁といたしまして、一律の基準を設けると潜脱的行為のおそれがあるという言葉をいただきましたが、これでは法律の存在だって否定し得るような内容になってしまいます。

 ただ、それが機能しているのは、ある程度ルールがあって、周知されていて、違反の取り締まり体制があって、それを抑止していくという体制があるからこそ、そのような規制であったり一般的な法律というものがしっかりと機能しているということであります。

 そうでなければ、今回の法案におきましては、市場の萎縮だけではなくて、投資家向けのIR活動、例えば、経営者が投資家に対して、当社の株価は割安だというような言葉を発した際に、未公表の重要事実が存在する場合、目的や意図の捉え方次第では規制対象になりかねないという可能性もあり得ると思います。

 そこで、大臣に所信をお伺いしたいんですが、法律でとは言いませんけれども、業界にそのような指針を働きかける、パブリックコメントでもいいですし、行為指針とは、また周知が必要だということを、ぜひそのような姿勢を示していただきたいと思います。

 当然、そのためには、規制監督側である金融庁の方で、ある程度の指針がなければならないとは思うのですが、参考人質疑にもありましたように、上場企業の中でも、自主規制とか情報管理規定というものはある一方で、取引推奨行為についての規制というものはなかなかまだ少ないのが現状でもあります。

 そこで、市場の心配に応え、また法的安定性を確保するというためにも、ぜひ検討していただきたいと思うんですが、御回答のほど、よろしくお願いいたします。

麻生国務大臣 違反行為となるか否かということをあらかじめ定めるというためにはガイドラインという話なんだと存じますが、これは目的があるか否かということを総合的に判断されるものでして、一律の、これが基準というのはなかなかなじまないと思っております。

 また、かえって、今、潜脱的行為と言われましたけれども、ガイドラインに記載された行為さえしなければいいということになってくるというのは、これまた、今言われた規制の潜脱的行為ということに一番なりやすいことでもありますので、これもちょっと適当であるとは考えておりません。

 しかしながら、規制の対象が明確になるということは大変に重要なところだと思っておりますので、法案が成立しました後に関しましては、これは、法案の趣旨がいわゆる関係者にとにかくきちんと理解されるためには法案の内容の周知についてはしっかりやらなければいかぬという御指摘だと思いますので、その点、きちんとやってまいりたいと思っております。

小池(政)委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 次に、銀行等の資本性資金の供給強化、いわゆる五%ルールの緩和についてでありますけれども、こちらも、これまでの審議の中で、果たして、例えば地域の金融機関が、投資子会社が今非常に少ない中で、それをふやして今回の制度を導入していくのかというような問題が提起されておりましたり、また、今回の要件におきましては、企業再生におきましては裁判所が関係するもの、また、地域再活性化につきましては地域経済活性化支援機構というものが関係するものということを今回規定しておりますが、この点についても課題が少し見受けられると思います。

 そもそも、この二つの、裁判所また機構に関係しているものというものを要件とすることによって、金融機関の目きき力というものをそもそも信用していないんじゃないか、もしくは、金融機関がこれから目きき力というものを育てていくのを阻害しているんじゃないかということを考えられるんですけれども、その点について、大臣、いかがお思いでしょうか。

麻生国務大臣 二つだと思います。

 まず、最初の方の、この五%ルールの例外となる会社の要件ということだと思いますが、これは銀行などの健全性の確保という観点から、いわゆる事業再生会社に当たりましては裁判所が関与するのが案件、まず一つです。それから、地域経済のいわゆる再活性化する、その当該会社は、地域経済活性化支援機構と共同で実施するという案件という、二つ条件をつけて、客観的なことになっておるということなんだと思います。銀行がこうした案件に出資する場合には当局の承認を必要としておりませんために、一義的には、銀行が法令上の要件を満たすか否かを判断するということになります。

 しかし、先ほど申し上げましたように、これは裁判所が関与するか否かということになっておりますので、地域経済活性化支援機構が共同しているかなど、これは条件としては十分条件というものになっているんだと思っておりますので、したがって、銀行が要件の不明確さを理由に二の足を踏むとかいうことは、この制度を恣意的に利用するとかなんとかいうことでなければ、基本的には想定されないことだと考えております。

 もう一点質問がありましたね。この答えと、もう一つ何か御質問がありましたね。(小池(政)委員「目きき力ですね、目きき力を育成する」と呼ぶ)目ききの話につきましては、これは先生、今から銀行もやらなければいかぬところで、これは、長い間インフレの時代が続いておりましたので、日本の場合は、不動産、土地というものの価格が上がっていくという一種の神話が、少なくとも一九九二年までは続いておりました。したがいまして、銀行は、土地を担保に押さえておきさえすれば、何十年かすればその土地は必ず上がって担保をカバーするであろうという前提で、逆に、事業に関する目きき等々より土地に関する目ききの方がよほど大事だったという時代が長く続いたんだと思います。

 九三年以降は、今度は逆に、土地がデフレーションになりましたものですから、銀行は、金を持っておきさえすれば、物価が下がれば金の価値が上がりますので、その意味では、また別の意味で目ききを余り使う必要がないというような時代も続いたんだと思います。

 いずれにしても、今後、銀行間の競争を考えたときに、伸びそうな仕事、伸びそうな事業、伸びそうな経営者を目ききして自分で通していくという目きき力は、間違いなくあるところの方が伸びるというようなことは、もうかなり目ききの差は出てくるであろう、私どももそう思いますので、これは、銀行としては絶対に育てないかぬところだと思います。

小池(政)委員 私も目ききを育てなければいけないと思うんですが、ただ、今回、裁判所、またこの機構、二つを要件としているということが、果たして目ききの育成につながるのかなということを思っているところであります。

 そこで、内閣府に来ていただいていますので、この地域経済活性化支援機構についてお伺いしたいんですが、これは、組織としては、企業再生支援機構を継承しているということでいいのかどうかという点が一つ。

 それから、この機構は、今回の法案の供給強化の緩和の要件となる金融機関との取り組みについても、どのような形態を想定しているのかということをお聞かせいただきたいと思います。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、第一点の御質問でございますが、先生御指摘のとおり、この地域経済活性化支援機構は、従前の企業再生支援機構を改組、機能強化したものでございます。

 第二点でございますが、この新しい地域経済活性化支援機構の新しい機能の一つといたしまして、今委員御指摘のとおり、地域金融機関等と共同で行うファンド運営業務がございます。このファンド運営業務の形態で、二つございます。一つは、機構と地域金融機関等がそれぞれファンド運営会社を設立いたしまして、複数の運営会社が共同でファンド運営を行う形態、もう一つは、機構と地域金融機関が一つのファンド運営会社に共同で出資しまして、その会社がファンド運営を行うという形態で、いずれもこのファンドを通じて企業に出資をすることを想定しているところでございます。

小池(政)委員 ありがとうございます。

 そこで、機構についてもう一点お伺いしたいんですが、情報公開に関してなんですけれども、機構は、出資される際に、出資会社は公表されるんでしょうか。また、今回の法案にあるような、金融機関との共同での取り組みについても、公表の是非というものはどうなっているんでしょうか。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 直接の再生支援の対象となる事業者につきましては、中小企業による機構の使い勝手の向上を図る観点から、中小企業に関しましては名称の公表を義務づけないこととしております。このような措置は、従前の企業再生支援機構におきまして、支援決定の時点で一律に名称の公表が義務づけられておりましたが、特に中小企業におきましては、名称の公表が風評被害につながるとの懸念から機構の活用をためらい、機構の利用が進んでいなかったとの指摘を踏まえたものでございます。

 しかしながら、一方で、国民に対する説明責任を果たしていくとの観点から、四半期ごとに、支援対象事業者の概要、所在地や業種など、また、機構による出資総額等を公表することとしてございます。

 一方、新たな業務として追加しましたファンド運営業務及び地域金融機関等に対する専門家派遣業務につきましては、機構がこれらの業務を通じて間接的に支配することとなりますので、企業の名称の公表は義務づけられておりません。ただし、これらにつきましても、四半期ごとにそれぞれ、機構が設立したファンド運営会社の事業の概況、機構が専門家派遣を行った件数を公表することとしているところでございます。

小池(政)委員 ありがとうございます。

 つまり、金額と件数は公表されるけれども、企業名につきましては、原則、風評被害ということを想定して公表されないということで理解しておりますが、その際に、今回の法案の審議でもありましたように、そもそも、このような供給強化の取り組みというものが、金融円滑化法の焼き直しじゃないかというような言葉がありました。

 今回説明を聞いてわかったように、機構を存続しつつ、やはりこのような法案をこのまま存続させるんじゃないかというような目的がうかがえまして、それはそれでいいのかもしれませんが、ただ、課題として、やはり新陳代謝の問題というものがあります。

 これは、公明党の岡本委員も前回の審議でおっしゃっておりました。延命支援で、スタートアップの会社支援になり得ないのではないかというような懸念がありまして、先ほどの御説明でありましたように、そもそも風評を懸念するということは、やはり延命目的の支援であって、スタートアップにつながっていない。そのようなものに対して銀行が今回供給を強化するということになるということは、結局、地域の新しい産業を生み出したりとかスタートアップを促すというようなことにはならないのではないかということを考えております。

 また、もう一点は、情報公開についてであります。

 前回の審議におきまして、今回の供給強化につきましては、自己判断で行って後からチェックしていくというような御回答をいただいておりますが、そもそも金融庁が監督権限を使って機構のチェックに入るのかどうかということも未定というかわからないところでありますし、また、機構の支援先につきましても、コロナ工業が今回倒産したりというところからもわかるように、なかなかしっかりチェックされているようには思いません。入ったとしても、機構本体から地域の金融機関の出資先というものを確認して、その状態というものをまた今度は理財局に聞かなければならないというような取り組みが、果たしてしっかりとなされるのかということも非常に懸念がされます。

 その中で、果たして、銀行等の企業支配の拡大ということより、今回は財務とか経営の健全性への影響というものが非常に懸念されるところでありますが、その点について、大臣、いかが思われますでしょうか。

麻生国務大臣 これは、小池先生、日本の場合は基本的に世界で一番古い会社というのは、おたくの神戸の金剛組が多分世界で一番古い会社、千五百年ぐらい会社をやっていると思いますが、今でもまだ千五百年間続いている会社というのはないので。

 日本の場合、企業が少ない、企業が少ないという話をよく新聞なんかに書いてありますけれども、同時に廃業も少ないんですよね。アメリカの場合やたら廃業があるけれども、こちらの場合は企業も少ないけれども廃業も少ないというので、これは一つのその国の国柄もあろうと思いますけれども、でき上がったものは大事にというところなんだと思っております。

 僕はそれなりに一つの考え方だと思っていますので、いろいろな形を変えて、会社の名前は同じでも内容は時代に合わせて変えていったりしておりますので、それはそれなりの考え方だと思います。

 いずれにしても、大きな時代の変革期に当たっては、それをやめて別の職種に変えていく、別のあれに変わっていく決断というのは、これは最終的にその会社の社長以外だめですよ。社長の決断がなければ、こんなものは、ほかの人が幾ら言ったって動かない。僕は基本的にそういうものだと思っておりますので。

 ぜひ、そういった方々の決断をこちらが促すのではなくて、その方がした決断をどうやってフォローアップするかとか、その決断が間違っているんだったら、いや、それはもう今時代が違いますよと申し上げるか、いろいろな助言の仕方はあろうかと思いますが、資金繰りがつかないというところだけをある程度はやらぬと、何となく、ほかの銀行では信用がないけれども、少なくとも、再生機構から見て、あ、これはこういったものにというようなアドバイスみたいなものはできると思いますが、重ねてそこが目ききという話にきちんとなっていくんだと思いますので、これが答えというものが簡単にあるわけではないと思っております。

小池(政)委員 時間となってしまいましたのでこれで終わりますけれども、やはりしっかりとした設計を行わなければ、課題というものがまだ残っているように見受けられますので、ぜひ取り組みのほどをよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

金田委員長 次に、鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 おはようございます。

 生活の党を代表して、採決前の最後の質問になろうかと思いますが、少し今までと違った観点からお話をさせていただきたいというふうに思います。

 議題となっております銀行の五%ルール、この見直しについてお伺いをしてまいりたいというふうに思います。

 今回のこの金商法等の改正案は、AIJ事案に対する再発防止策以外は、基本的に、金融担当大臣が諮問をされた金融審議会で議論をされ、その結果が集約された報告書をもとにつくられたものだというふうに理解をいたしております。金融審議会では、三つのワーキング・グループに分かれて、合計で三十回以上、延べ六十時間以上に及ぶ議論をされたと伺っておるわけであります。

 ただ、この中で、銀行の五%ルールの見直しに関しては、金融審議会の報告書の内容と今回の改正案の説明資料で示されている内容がいささか変わっております。ここに私も持ってきておりますけれども、「銀行等による議決権保有規制(いわゆる五%ルール)の見直し」ということで、同じタイトルなんですが、中身を比べてみると若干の違いがあるわけですね。

 それで、どちらもこれは公表されておりますので、金融庁のホームページからでも見ることができるわけでありますが、三点ほど見比べてみました。

 まず一つとして、事業再生会社は銀行本体で株式を保有することが可能になるわけですけれども、保有できる期間が、報告書では十年、改正案の説明資料では原則三年、中小企業は五年というふうになっているんですね。

 それから二つ目として、地域経済の再活性化に資する会社の株式保有については、報告書では銀行本体での保有を認めるということになっていましたが、改正案では本体保有はなしというふうになっております。

 それから三つ目ですけれども、報告書では中堅・中小企業の事業承継支援の選択肢として、投資専門子会社を通じた場合には事業承継会社の株式の一〇〇パー保有を認めるというふうにしておるわけですけれども、改正案には事業承継に伴う保有は何も盛り込まれておりません。

 ほかにもいろいろあるわけですけれども、私がお伺いしたいのは、なぜこのような変更になったのか。私はてっきり、提出された法案は、先ほど言ったように、大臣の諮問機関である金融審議会での数十時間に及ぶ議論の結果に沿ったものだ、このように思っておったわけですけれども、これまで、この委員会での審議の過程の中では、余りこのところをおっしゃった方が見られないものですから、最後の質問ということで、報告書と改正案とで内容が異なることになった経緯を御説明いただけたらありがたいと思います。

麻生国務大臣 まず前提として、五%ルールにつきましては、これは銀行の健全性の確保というものを留意して、真に必要とされる場合に限っては規制を緩和するということとしておりますのは、もう御存じのとおりであります。

 その上で、具体的な改正の内容ということになるんですが、与党等々における議論を踏まえて、金融審の報告書から若干の見直しを行ったと思っております。

 例えば、事業再生会社の株式の保有につきましては、銀行の健全性の確保、これは銀行という金融業をやるという前提ですから、また、産業の新陳代謝というのを阻害しないというような観点から、保有年限は十年というのはいかがなものかということで、保有年限を短縮するといったようなことになっております。

 いずれにしても、銀行の金融という仕事をきちんとしてもらわないかぬわけであって、自分の保有している株式の会社の利益だけでというわけにはいきませんので、健全性を確保しつつ、真に必要だ、これはしようがないなという場合には今のいわゆる五%の規制を緩和するという今回の改正の趣旨は、見直し後も基本的には維持していかねばならぬと思っております。

 また、金融審議会に関して今御質問がありましたけれども、これは、国内金融に関する制度の改善等々に関する事項を調査審議し、答申を行うものということにされておりますのは、御存じのとおりです。

 したがいまして、金融庁としては、この審議会の答申を踏まえて、必要な対応を検討した上で、与党等々といろいろ法案を調整して、政府として閣議決定をし、提出するのが通例なのですが、今般の見直しは、法案提出に至ります政府の検討過程において、十年は長い等々いろいろ与党における御意見がありましたので、そういった改正の趣旨を維持しつつ、若干の見直しを行ったものでありまして、金融審議会の答申が不適当だというように考えているわけではないということだと存じます。

鈴木(克)委員 もちろん、金融審の答申が不適当だから変えたということではないと私も思いますが、大臣は、今、与党のいろいろな議論の中でというふうにおっしゃったんですが、私は、これは、銀行のある意味の要請を受けてこういうような形で変更されたのかなというふうに、私、非常に性格が悪いものですから、そのように理解をして、ちょっとお尋ねをした、こういうことであります。

 さて、次に、中小企業の再生とメガバンクの役割について、私の考え方を少しお示しさせていただきたいというふうに思います。これは、麻生徳政令をお願いしたい、最後はこういうことになりますので、ひとつよろしくお願いしたいと思うんです。

 銀行が、事業再生に取り組む中小企業に対して、責任を持って資金の出し手となる、それが担保される改正であれば、今回の改正はよかったなというふうに思っておるわけですが、それはそれとして、まず、この中小企業の事業再生という根本のところについて少しお話をしたいと思うんですね。

 おととい、私は全銀協の会長に質問をいたしました。銀行が本当に五パールールの見直しを活用するんですか、新しい制度の利用がふえるんですか、こういうことを伺ったんですが、非常に前向きな答弁はありました。しかし、具体的なところになると、何か歯切れの悪いようなところもあったわけですね。その辺が今後問題だというふうに思うんです。

 会長さんは三井住友銀行の頭取であったわけですから、いわゆるメガバンクにとって、中小零細企業の再生というのは余り関心がないんじゃないのかなというような気が実はいたしたところであります。これは大変失礼なことになるかもしれませんけれども、私はそのように一部とったところがあるわけですね。

 我々もそうなんですけれども、地域経済の活性化というと、どうしても、その地域に密着した金融機関である地銀とか信用金庫とか信用組合とか、そういったところに目が行くわけでありますけれども、私は、メガバンクにこそ大きな役割を果たしてもらう時期じゃないのかなというふうに思っております。

 どのような役割かということなんですけれども、かつてメガバンクは、不良債権処理が一段落した平成十七年から十八年ぐらいに、収益向上の打開策ということだと思うんですが、中小企業向けの無担保融資をやたらふやしたんですね。地元の銀行と違って、いわゆる土地カンも長いつき合いもないものだから、スコアリングローンというんですか、数字で機械的に審査をしてどんどん貸し出しを行った。そして、結果的には、もう今はほとんど撤退をしているんですね。

 そのことは、〇五年から〇六年には、メガバンクが倒産確率などをもとに審査を簡略化したスコアリング融資と呼ばれる無担保ローンを導入した、だが、融資の焦げつきが相次ぎ、一時はメガ三行だけで六兆円もあった残高が今では一兆円足らず、住友銀行の新規融資額は、ピーク時の年四兆円近くから、一〇年四月から九月期は五百億円まで縮小、三菱東京UFJも一〇年の四月から十二月の実行額が百五十億円にとどまった、みずほは撤退した。

 こういうことで、軒並みメガバンクは中小から撤退をした、こういうことなんですね。

 そこで、ある民間の信用調査会社の話を聞いたんですが、そのときのメガバンクの融資が中小企業にまだ残っているんですね。それが経営再建の足かせになっているケースがある、こういうことのようであります。

 言い方はおかしいかもしれませんけれども、メガバンクにしてみれば、お金にあれはないかもしれませんけれども、ある意味では微々たる額なんですね。それで、とっくに引き当てを積んでいるわけですね。したがって、メガバンクにとってみれば、無理に回収しなくても経営本体に差しさわりはないというぐらいの額なんですね。

 ところが、中小零細企業にとっては、これは生殺与奪の権、まさに命綱になるわけですね。もしメガバンクがこの分の債権を放棄してくれたなら一気に再生に向けてかじを切れる中小企業も多いんじゃないか、このように思うわけです。

 中には、先ほど言ったように、メガが無理やり貸し込んだものも実はあるわけですし、それから、地銀や信金、信組にしてみれば、いわゆる経営基盤を荒らされて顧客を奪い合うということで、メガは、中小企業に乗り込んできたんだけれども、業況が悪化してもうけにならないと思ったらさっと引き揚げてしまった、こういうことで、このまま引き当てを積んでほっておくというのは本当に機械的で情けないやり方だ、このように信用調査会社は実は言っておるわけですね。

 そこで、長くなってはいけませんが、回収不能が発生しても、銀行は保証協会から全額回収が約束されておる、銀行員が手間暇かけて貸し出し状況をチェックしなくても、それは必要ない、しなくてもいいんだ、こういうことになるわけです。結果、不良債権は先送りをされて、保証協会へツケが回されることになる。そのツケの一部はもちろん国民の税金によって負担をされるということではありますけれども、こういった事態に至ったのは、貸した金融機関にも責任があるというふうに思いますし、ある意味では、円滑化法の最終負担責任を黙殺した国にも責任があるんじゃないかというふうに私は思います。

 自己資本に余裕があり、また、国内の中小企業向け融資を縮小するメガバンクは、積極的に引当金を積む動きが加速している。そうした中で、中小金融機関は、メガバンクの償却済みの債権、引き当て済み債権を有効利用すべきだ、このような指摘が出始めたわけであります。すなわち、メガバンクの償却部分を債権放棄させて、借り手である中小企業の債務超過解消に利用して、抜本的なバランスシートの改善を図るということであります。

 中小企業の再生といっても、本当に難しいことなんです。だから、大臣としても、また国としても、債権を放棄しろということは強く言えないかもしれませんけれども、いわゆる中小企業の金融円滑化法終了後の総合的な対応の中で、中小企業再生支援協議会などが中心になって、今、事業再生ファンド等の取り組みが進められておるわけですから、このときに、メガバンクのかつてのスコアリングローンの残滓といいますか残りの放棄を促すということをやれば、私は、一挙に中小零細企業の経営は改善をしてくると。

 麻生徳政令と言ったのはそういうところでありまして、難しいことはわかっております。それは本当にそれでいいのかということかもしれませんけれども、今るる申し上げたような経緯の中でできてきた中小企業の借金でありますので、そこのところは、やはり中小零細企業支援、そういう立場で大臣の決断をできないものかなということをお話しさせていただいたところであります。

麻生国務大臣 さっきの小池先生の話と真逆みたいな話でして、スコアリングローンなんというようなものは、およそ目ききを必要としないわけでしょう。だって、売上高と債務残高を機械的に入れて、債務超過になっているか否かだけをコンピューターでばっと出して、何の目ききもありゃしませんよ、数字だけでやっちゃおうというんだから。だから、そんなものでやってひっかかるのが多く出たって当たり前なんであって、そんなものは、そういったことで安易にやる発想がそもそもおかしい、僕は基本的にそう思っていました、正直なところ。

 加えて、第二地銀とか信金とか信組というのは、間違いなく、鈴木克昌の性格から何からみんな知っていて、ああ、これは金貸しちゃいかぬとか、金貸すべきじゃないとか、幾ら担保があってもこれは返ってこないぞとか、みんな、それは郵便局長に至るまで全部、地元の人の方が詳しいわけですよ。その情報が、二年に一遍転勤するような銀行員にはとてもそんな融資の目ききができるはずはないのであって、僕は、この種のものに安易に、スコアリングローンなんというようなもので、いかにも新しいものと思って手を出した結果、痛い目に遭っているということなんだと思っています。

 いずれにしても、これは、徳政令じゃあるまいし、こちらとして、債権放棄しろとか、強制的にそれをやるというのは、銀行は、今度こういうことをやったら、その次のときにはもう二度と貸すのは、また徳政令をやられちゃかなわないと思いますから、さらに締まってくるということを覚悟せないけませんので、なかなかそういったことにはできぬと思います。

 ただし、御存じのように、これまで大銀行が貸していた相手は大企業ということになっておりますが、大企業は今、銀行を必要としないで、間接金融から直接金融に事は動いておりますし、内部留保は二百何十兆もあるということになれば、銀行なんかは別にいいということになってくる。

 そうすると、銀行は、嫌でも自分で優良な貸出先を、先ほどの小池先生じゃないけれども、目ききを多く集めて、こういう企業がある、ここにはいいネタがあるんだけれども、いわゆる資金繰りがうまくついていないとか営業がだめだとか、そういったような情報を手にして、それを集めて、そこに貸して伸びていく以外に、大銀行として今後さらに地位を確保していくためには、金融で金融を生んでいくというようなことで金を稼ぐ以外、いわゆる金融商品と言われる、デリバティブみたいなものに走っていくか、健全なものになりにくい、育てにくいということになっておりますので、いろいろなものが重なってきていますから、僕は、大銀行も結構しんどいことになってきているのが正直なところだと思います。

 事実、貸出先がなくなっているがゆえに、金利がどんどんどんどん下がっていったのがこれまでの経緯ですし、一番安心で配当のあるものは国債ということになったものですから、国債が売れたというのは、国内の資金需要がなかった、起きなかったというのがこの十数年間の流れでもありますので、これが変わっていくという方向になったときには、ぜひそこのところは、銀行も姿勢を考えていかねばならぬ時代になりつつあることは、私もそのように考えております。

鈴木(克)委員 終わります。ありがとうございました。

金田委員長 午後一時から委員会を再開することといたしまして、この際、休憩をいたします。

    午前九時四十分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

金田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。古本伸一郎君。

古本委員 民主党の古本伸一郎でございます。

 金商法の審議が続いているわけでありますけれども、参考人の質疑を初め各党各会派の先生方の充実した審議のもとに、本日を迎えております。恐らく、この後、終局、採決という運びもあるやに伺っておりますけれども、過般、前安住大臣の御質問の中にもありましたように、本法案につきましては、私どもとしては、前野田内閣においてその骨格をほぼ固めた中を改めて麻生さんの方から出していただいていると承知しておりますので、賛成の立場でございます。

 したがいまして、法案についてはほぼ出尽くしたという理解のもとで、きょうは、かかる法案の全般にかかわる、もう少し全体についてお尋ねしてまいりたいというふうに思います。

 まず、インフレターゲティングを二%ということで議論されているわけでありますが、委員長のお許しをいただいて資料をお配りしてございます。資料の一ページ目をごらんいただきたいと思うんです。

 まず、日銀総裁、きょうはありがとうございます。

 二〇一四年の四月に消費税を八ポイントに引き上げる予定でありますけれども、これは十月の内閣としての閣議決定があるんだろうと承知していますが、予定どおり進んだということになるならば、消費者物価指数、二〇一四年度でプラス三・四、そして二〇一五年度でプラス二・六ということであります。こういうことで相違ありませんか。

黒田参考人 消費税引き上げの効果を含んだ数字として、おっしゃるとおりでございます。

古本委員 では、改めまして、消費税の引き上げの影響を除いたケース、つまり、安倍総裁と日銀黒田総裁の二人三脚で今行わんとしている二%のターゲティング、この部分によるいわゆる物価上昇への影響はそれぞれ何ポイントなんですか。

黒田参考人 先ほどの御指摘の数字は消費税を含んだものでございますが、消費税引き上げの影響を除くケースでは、御指摘の資料にございますとおり、二〇一四年度でプラスの一・四%、二〇一五年度でプラスの一・九%ということになっておりますので、二〇一四年度、一五年度、それぞれの消費税引き上げだけの影響でいいますと、一四年度で二%、そして一五年度で〇・七%ということになります。

古本委員 総裁、そうしますと、二%というのは、多分、対前年に対しておっしゃっていると思うんですが、きょう現在、例えば、百万円の何か商品があるとするならば、高級腕時計でも何でもいいです、最近は随分売れているそうですから、その百万円の商品が、消費税が一〇ポイントに引き上がった後、つまり、その影響を加味した二〇一五年度で見た場合に、累積で、この百万円の腕時計が大体幾らになる計算になるんでしょうか。

黒田参考人 先ほど申し上げました数字は、それぞれの年の物価上昇率でございますので、御指摘のような数字ということになりますと、一四年度、一五年度に、それぞれ消費税引き上げの影響込みの物価上昇率を二年度にわたって掛けた数字になりますので、ちょっと手元にはございませんが、消費税込みの物価上昇率が、一四年度が三・四、一五年度が二・六でございますので、それを単純に足しますと五%ぐらいになりますが、正確な数字は、両者を掛けないといけませんのでもうちょっと違うとは思いますが、ほぼ五%程度だと思います。

古本委員 少なくとも、これは日本銀行が出された展望レポートですよ。これによりますれば、三・四足す二・六ですから、これは算数です、六・〇ポイントの物価上昇を招いているわけですね。(黒田参考人「そうです。失礼いたしました」と呼ぶ)難しいことを聞いていませんので。

 したがいまして、百万円の腕時計は百六万円になるんじゃないですか。日本銀行総裁の方からお答えください。

黒田参考人 おっしゃるとおりで、三・四と二・六を足しますと六%で、五%というのは間違いでございます。

 ただ、先ほど申し上げたように、実際は掛けないといけませんので、きっちり六%ではないと思いますが、委員のおっしゃるとおりでございます。

古本委員 つまり、二%のターゲティングを進めていくと、百万円の耐久消費財があるとすれば、恐らく高額商品ということになるんでしょうけれども、わずか二年でそれが百六万円になることを日本銀行総裁は言われているんです。

 そういうことでよろしいですか、再度。

黒田参考人 消費税引き上げの部分は消費者の税負担でございますが、それを含めたところで申し上げれば、今委員の御指摘のとおりでございます。

古本委員 さらにお尋ねします。

 消費税を含んだ消費者物価指数が、二〇一五年度で六・〇ポイントに上がるということを今お答えいただきました。

 そうしますと、では、消費税の影響を除いたポイントでいくと、先ほど一・四と一・九というお話でありましたので、合わせて三・三でございます。したがって、消費税が上がった場合の物価が上昇する寄与度ということで、消費税だけに絞れば、どのぐらいの物価上昇寄与度があるのでしょうか。

黒田参考人 二〇一四年度は、先ほど申し上げたとおり、税率三%の引き上げでフルに二%の影響が出るわけでございますが、二〇一五年度は、十月からの引き上げということですので、いわば半分影響が出てくるということで、〇・七%の物価のレベルの引き上げになるということであろうと思います。

 なお、これらはいずれも、消費税引き上げ分が完全に転嫁されるという前提のもとでの計算でございます。

古本委員 我々、この民主党席には、前大臣である安住さん、そして、前政調会長であり国家戦略担当大臣の前原さんがいらっしゃいます。前白川総裁とは、まさにアコードということで、日本銀行と政府の対話のありようということで日夜腐心されたことが思い出されます。そのときは一ポイントで議論をしていたんですね、手前どもは。

 ところが、今回の安倍さんと黒田さんの二人三脚によれば、二ポイントを目指したいんだということで、倍増なんです。そのことを今、ごくごくわかりやすい数字で国民の皆様にも御紹介をいただきたいわけであります。

 これは実数値です、展望レポートですから。消費税の影響分というのは、二・七ポイントしかないんじゃないですか。消費税除きの影響を積算で、累積、積み上げると、一・四足す一・九ですから、三・三ポイント。

 つまり、皆様がおっしゃるところのアベノミクスによると三・三押し上げ、そして、手前どもと、三党で合意した、いわゆる一体改革に基づく消費税の引き上げ分は二・七の物価上昇の寄与度、こういう整理ができるかどうか、お答え願います。

黒田参考人 先ほど申し上げたとおり、そのような数字になるわけですが、二〇一五年度は、消費税引き上げ込みの消費者物価指数の上昇率の中にはいわば半年分しか影響が入っておりませんので、その部分が〇・七である。そして、二〇一四年度はフルに入っておりますので二%。合わせて、この両年度を加えますと、確かに二・七%。ただ、実際は掛けないといけませんので、ちょっと数字は違うと思いますが、ほぼ二・七%ということになろうかと思います。

古本委員 消費税が上がれば当然適正に転嫁しなければならないということは、当委員会と経産委員会との連合審査でも議論してきておるとおりであります。

 したがって、予定どおりに消費税が上がったならば、仮に百万円の腕時計が、例え話で言っていますけれども、百万円の商品が二年後に百六万円になると総裁はおっしゃった。実は、そのうち、増税に伴う、消費税の御負担をお願いすることに伴うアップ分は二万七千円分しかない、こういうことでよろしいですか。

黒田参考人 そこは、先ほど申し上げたように、二〇一五年度は物価上昇率には半年分しかきいておりませんので、個々の商品については、八%から一〇%に二%税率が上がったときに、課税対象になっている部分につきましては二%程度さらに価格が上がると思いますが、いわば消費バスケット全体を通じて消費者物価の上昇率がどのぐらいになるかというときには、繰り返しになって恐縮ですが、二〇一五年度は半分しかきいてこないということでございますので、個々の商品についてそういうふうになるということではないと思います。

古本委員 それでは、お尋ねの仕方を変えます。

 つまり、二年後の、消費税を十ポイントに引き上げただろうその後に想定される物価は、六%の上昇を展望されている。これは日本銀行の資料です。この六%の物価上昇のうち、過半は、つまり半分以上は、皆さんがおっしゃるところのアベノミクスによる物価上昇であって、消費税の影響分は半分に満たない、ざっくり言うとこういうことでよろしいですか。

黒田参考人 それは、そのとおりでございます。

古本委員 一昨日の決定会合の後の総裁の会見録を少し読ませていただきました。

 最初の記者の方のお尋ねに対し、個人消費は、株価が上昇傾向をたどり消費者マインドが改善するもとで、底がたさを増していると。

 つまり、黒田日本銀行総裁が物価の安定を目指す最大の責務というのは、マインドによって改善されるということに期待感を持っている、つまりマインド景気である、こういうことでよろしいですか。

黒田参考人 先ほど委員が御指摘になりました言い方といいますのは、政策委員会でいろいろ議論しまして、その結果を取りまとめたものとして発表いたしました文章に沿って御説明をいたしました。

 実際問題として、さまざまなアンケート調査等によりましても、消費者のマインドが相当改善し、実際にも消費が伸びている、それは、先ごろ発表されました一―三月のGDPの統計でもそうでございます。

 その背景にいろいろな要素があったと思いますけれども、一つの要素として、株価の上昇による資産効果というものがあったのであろうということが議論になりまして、そういったことを説明の中で申し上げたわけでございます。

 マインドが変化し、消費が伸びているということは、多くのアンケート調査で明らかになっていることだと思います。

古本委員 麻生副総理、大臣にちょっとお尋ねしたいんです。

 長期金利が少し乱高下しているようですけれども、きょうは、今、直近で〇・八幾つで十年物利付国債は推移しているんじゃなかろうかと思いますが、最新のQUICKを見ていませんのでちょっとわかりませんが。

 長期国債というのが上がってまいりますと、やはり住宅ローンの金利というのは連動してどうしても上がらざるを得ないと私は理解していますけれども、そういうものであるという理解でよろしいですか。

細溝政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論として申し上げれば、固定金利型の住宅ローン金利につきましては、各金融機関は十年物の国債利回りを初めとする長期金利の動向も参照しつつ決定することが多く、一定の関連性はあるものと考えております。

麻生国務大臣 基本的には、今細溝局長が申し上げたとおりなんですが、住宅ローンというのは、御存じのように、いろいろ種類がありますので、その意味で、長期金利の上昇がいつどのように影響するかというのは、一概には、ちょっと簡単には申し上げられないところがあるとは思います。

 いずれにしても、貸出金利というものを具体的にどのように設定していくかというものは、今後、各金融機関の経営戦略の中でもいろいろ考えられるところだとは思いますが、一概に申した場合、十年物の国債の金利が上がっていくということは、他に少なからぬ影響を与えるということだと存じます。

古本委員 資料の二枚目をごらんいただきたいと思うんですが、これは金融庁の資料です。

 主要金利の推移ということで出ておりますけれども、十年物の利付国債の動き、言うならばボラティリティーに準じて、民間の住宅ローン十年固定金利、これはメガの三行の平均を出しているデータ、金融庁の資料ですけれども、ほぼ連動していると思うんですね。

 このことを素直に内閣として認め、長期金利をいかに抑制していくかということによって、結果として、庶民の夢のマイホームを買おうという住宅金利を翻弄させてはならないということにやはり真剣に取り組むべきだというふうに思うんです。

 その点、僕は黒田さんの方がまだ素直だと思いますよ。正直でいらっしゃると思います。

 黒田さんは、会見で、一昨日、こうおっしゃっていますね。日本銀行による国債の買い入れを行うことで、今後とも長期金利がはね上がるということはないと思います、それを反映して住宅ローン金利等にも影響が出ていることはそのとおりだと思うと。

 つまり、長期金利がはね上がることがないように日本銀行が買い支えるんだけれども、足元で少し長期金利が上がっており、それがリニアに反映されて住宅ローン金利に影響が出ていることはそのとおりだとおっしゃっているんです。

 つまり、このまま二%実現に向けてどんどこ刷っていくと、輪転機を回していくと、結果として住宅ローンの金利が激しく上がっていくというリスクを黒田さん自身がお認めになっているというふうに思うんですけれども、住宅ローンの金利が上がっていくということは、経済全体がよくなれば、これは一つのマーケットとしてあり得ると思うんですけれども、問題は変動なんです。

 ついては、今、消費税が上がるという、言ってみるならば経済の大きな変化点を前に、多くの一般国民は、夢のマイホームを買おうと思っているんだけれども、変動型でいくか固定型でいくか、相当迷っておられる。そういうときに、昨日は一瞬一ポイントを超えましたね。こういう状況である中で、どうやって長期金利を抑えていくかということを日本銀行総裁が真剣に考えているかどうかをマーケットも固唾をのんで見ていたんだと思うんですよ。それで、きのうのああいう結果になっているんだと思うんです。

 さらに黒田さんは正直に答えておられて、オーバーナイトの短期物はCB、セントラルバンクの力で何とかできるけれども、長期金利については制御しかねるということに、おとついの会見をずっと見ていますと、記者の方もここを集中して聞いていますよ、だんだんだんだん変わってきて、最後は、やはり長期金利が上がることはあり得ますと答えているんですね。

 改めて、国会のこの場で、長期金利の安定に向けてどういったことをやっていくかという、細かな話は会見録で大体わかっていますので、総裁としての、長期金利と向き合う、これは上がっていくと住宅ローン金利が上がりますから、庶民の夢のマイホームが遠のきますので、そうならないようにどうやって抑えていくかということについての手応えを聞かせてください。会見のように、長期金利は私は制御できませんなんという弱腰では困るんですよ。お願いします。

黒田参考人 御案内のように、長期金利は、物価あるいは景気に対する期待によって決まってくる部分と、その上にさまざまな要因によるリスクプレミアムが乗って金利が決まってくるわけでございます。

 そこで、日本銀行が年間五十兆円のペースで長期国債を買うという国債買い入れオペというものは、先ほど申し上げたリスクプレミアム部分を圧縮するという効果がありまして、その効果は買い入れが進んでいくにつれて強まっていくというふうに思っておりまして、したがって、長期金利がはね上がるということは予想しておりません。

 いずれにしましても、量的・質的金融緩和を定めました際にも、十分政策委員会でも議論いたしまして、特に市場関係者との対話を強化するということで、実は、今回の政策決定会合後も、新たに対話をするということで市場関係者に呼びかけております。

 それとともに、必要に応じて、買い入れの頻度、それからペース、さらに買い入れ対象の調整をいたしまして、政策効果の浸透を促すという意味で弾力的なオペ運営を行っていくということで、特にボラティリティーが拡大することはぜひ回避したいというふうに思っております。

古本委員 そのボラティリティーが拡大することを抑えたいというのは、おとついの会見でも何度もおっしゃっていますね。

 ところが、やはり長期金利というのは、日本銀行が幾ら買いオペを入れたとしても限度があるということを認めておられるわけで、そういう中で、その長期金利にほぼ連動しているだろう住宅ローンの話をやはり気にした上で長期金利の話をしないと、何も、みんな株を買ってもうけているわけじゃありませんよ。株を買ってもうけることは結構なことです。それでもうけた人が、また次の消費を促すのは大変結構なことです。でも、一方で、株を買いたくても、住宅ローンの返済が先であって、夢のマイホームを手に入れた人からしたら、黒田さん、何してくれるんだろうと思って、今固唾をのんでいるわけですよ。

 だから、いろいろな、三つの方策だとか、承知していますけれども、このことは住宅ローンの金利にはね返るということをお認めいただきましたので、その上で、長期金利はしっかり抑制的になるようにお願いしたいんです。

 その際、さらに、黒田さんは消費税についておっしゃられました。やはり、消費税を含む財政健全化が進められることが大変必要であるということを言われました。そういうお気持ちでいいかどうか、端的にお願いします。

黒田参考人 全くそのとおりでございます。

古本委員 ありがとうございます。

 資料の三ページをごらんいただきたいんですが、先日来の麻生さんとのやりとりのおさらいを少し委員の皆様ともしたいわけですが、自民党の同僚議員、安藤委員が質問した際に、麻生さんの答弁は、私も引き続いてこれをお尋ねしたんですけれども、「消費税を上げて、増税はしたけれども増収にはならなかった、あほみたいなことを前にやったことがあります。」というお答えがあったんですね。

 きょうは、この続きをまたの機会にちょっととっておきたいと思いますけれども、つまり、消費税が上がっても、物が売れなくなってしまって税収全体が減ったら元も子もない。これは副総理のおっしゃるとおりだと思うんです。

 ただ、私はこの場で指摘にとどめますけれども、めくっていただいた四ページをごらんいただくと、麻生さんが累次にわたってお答えになっていますが、九年に消費税を三ポイントから五ポイントに上げた際には、当時は直間比率の見直しなんという言葉がまだ存在したんです。したがって、間接税たる消費税を引き上げた一方で、先行して定率減税等々で所得税減税、法人税減税をやっておりますから、税収全体で見れば減るに決まっているんです。であるならば、消費税を上げたことによって減収になったというよりも、直接税の基幹三税のうち、所得、法人を先行減税したわけであって、当然減収になると私は何度も言っているんだけれども、あのあほな議論だと言われたんです。

 ですから、ぜひ、きょう総裁にこの後聞きたいので、また次回にとっておきたいと思いますけれども、消費税を上げたら税収が減るということはないと思います。そのことについて賛同するかどうかだけ、手短にお願いします、麻生さん。

麻生国務大臣 このいただいた資料の中で、私は四十一対三十七という話をよくするんですけれども、四十一・九対三十八・五ぐらいになりますので、まあ四捨五入すればもうちょい上の数字になるかなという感じはしますけれども、いずれにしても、消費税を上げた場合、消費に対する意欲は減りますので、その分に関してはマイナスがある程度出るけれども、そこだけ見れば絶対量はふえるというのは確かだと思います。

古本委員 まだおわかりいただけないような気がしているので、次回にとっておきます。

 それで、黒田総裁、会見でさらに重要なことをおっしゃっているんですね。百万円の商品が二年後には百六万円になるときょう国会でお答えになったわけですから、二年間で六%のベースアップ、各会社になさるんですか。

黒田参考人 繰り返しになりますけれども、二%の物価安定目標をできるだけ早期に、二年程度を念頭に置いて、今回の量的・質的金融緩和を導入したわけですが、その際にも、これも政策委員会でいろいろ議論がなされたわけでございますが、もちろん、日本銀行としては、二%の物価安定目標を達成するということが最大の使命でございますが、やはり、物価の安定を通じて国民経済の健全な発展に資するというふうに日銀法にも書いてございますので、当然のことながら、雇用とか賃金の動向には十分目配りをして、経済全体が好循環で回っていく中で物価が二%上昇するという事態を想定し、それに向けて努力をしているということでございます。

 ただ、先ほど指摘いたしました、六%の中で二・七%部分は、これは消費税による税負担でございますので、その部分まで賃金が上がらないといけないということになりますと、賃金所得者は消費税を負担しないということになりますので、それはそういうわけには多分いかないと思いますが、消費税の影響を除いた部分の物価上昇については、当然のことながら、経済の循環の中で、賃金や雇用も、恐らくそういった消費税除きの物価上昇を超えるような形で実所得も伸びていくということが期待される。ただ、タイムラグはあると思います。

古本委員 ここに日銀法の法令集がありますけれども、日銀法第二条には、総裁の最大の任務だと思いますが、「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする。」と。このことを今おっしゃられたんだと思うんですが、つまり、日本銀行の担務の中にベースアップを促すことも入っている、こういうことでよろしいですか。

黒田参考人 促すという言い方が適切かどうかわかりませんが、当然、「国民経済の健全な発展」という中には、雇用や賃金が改善していくということも含まれていると思います。

古本委員 そうしますと、先ほど、消費税の影響分が二・七%、除きの、いわゆる皆さんがおっしゃるところのアベノミクスによるところの影響分が三・三ポイント、つまり、百万円のものが、二年後には、皆様方の政策のおかげで百三万三千円になるわけですね。

 この三万三千円分は、企業の御努力か何かわかりませんが、いわゆるベースアップを求めていきたいということをおっしゃっているんですか。

金田委員長 時間が参りましたので、簡潔にお願いします。

黒田参考人 そのとおりであります。

金田委員長 時間が参りました。

古本委員 はい。

 大変、物価が上がったら、その分賃金も上がらないことには、実質可処分は減ります。そういった中で、ごくごく一般的な、皆さんの政策の恩恵に浴することが今はできていない人が、今皆さんの政策を注目していますので、そのことによく留意をいただいて進めていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

金田委員長 次に、西野弘一君。

西野委員 日本維新の会の西野弘一でございます。

 この委員会を通じて、いろいろな金融の議論、特に今回は金商法の議論を深めていくわけでありますけれども、以前大臣に、大阪の阿倍野地域のお好み焼きのお話をさせていただいたんですけれども、実は、国会の中で、晋ちゃんまんじゅう新たに再登場というのがありまして、パッケージを見ましたら、二%増量と書いてあるんですね。二%増量なのに、値段は変わっていないんですよ。これは、逆に、インフレを目指すところがデフレになっているじゃないかといって、お土産屋さんのおばちゃんといろいろと議論をしましたけれども。

 まだまだ、そういう意味では、この分野というのは、国民の皆様にも、国会のお土産物屋さんですら理解をいただけていないのかと思いますが、この委員会の議論ももちろんそうでありますし、我々、委員会内外の活動を通じて、しっかりとまた国民の皆さんにも理解を深めていただかなければいけないなというふうに新たに思っているところでございます。

 そういう中で、この間、この国の経済政策の主題の一つは、当然、財政が逼迫している中で民間の資金をいかに活用していくか、そのために市場の信頼性をいかに担保していくか。今回の法改正においても、その信頼性をより確かなものにしていくために、いろいろな規制の改革であったりとかというものがなされております。

 あわせてまた、火曜日の麻生大臣とうちの松田議員との議論の中でもありましたけれども、この国のほとんどの民間のいわゆる金融資産が銀行に預けられて、結果、最終的に、国債を買うところに回っている、要するに将来世代の先食いだ、これでは、経済の本当の意味での再生にとってこれは一番大きな問題だというような議論もありました。まさにそのとおりだというふうに思います。

 そういう中で、銀行にも一定の制限のある中で、できるだけ資本性の資金の供給をしっかりと強化していこうということも、今回の改正の一つの方向だというふうに思っております。

 まず、資産運用規制の見直しから伺いたいんですが、AIJ事案に対応した再発防止策は、もうシステム面においては既になされているところだというふうに思いますが、さらにこれに、抑止力として罰則を強化するということが、今回の改正案の主なところだというふうに思います。そのことはまず前進だというふうに思っておりますが、ただ、厳罰化されたというか、罰則は強化されているんですけれども、これでもう本当に十分なのかなというふうに私は思っております。

 今回の改正案では、懲役三年から五年以下、罰金は三百万円から五百万円になっておりますけれども、一般的に、他人の財産を侵害するという犯罪は結構罪が重くて、例えば、窃盗であれば十年以下、業務上横領も十年以下、組織的な詐欺であれば一年以上の有期刑、その金額によっては二十年以上という判決も出ているわけでありまして、それらに比べると、今回罰則が強化されたといいましても、まだまだ、悪いことをして見つかったら、その悪いことをして得る利益よりもさらに大きな罰を食らう、だから悪いことはしないんだという抑止力につながるほどの重いものになっているかというと、ちょっと疑問だというふうに思っておりますが、その点についていかがでしょうか。

島尻大臣政務官 お答えを申し上げます。

 西野先生の問題意識、罰則をもっと重くしてもいいのではないかということだというふうに認識をしておりますけれども、一般に、罰則の水準については、違反行為の悪質性とか、今御指摘があったところですけれども違反行為に対する抑止力、そして、ほかの規定とのバランス等々を考慮して検討することとされているところでございます。

 御指摘の、資産運用規制に係る罰則を見ますと、例えば、投資一任契約の締結の偽計に係る罰則は、今回の引き上げによって、金商法の業規制の罰則の中で最も重いものというふうになっておりまして、これに伴って、相応の抑止力が働いていくということが期待されるというふうに考えております。

西野委員 この前、参考人の質疑でもお願いしたんですけれども、もちろん、罰則をしっかりと強化していくという方向。今、抑止力はこれできいているというふうな御答弁でございましたので、ただ、方向としては、もっと厳しくしてもいいのかなというふうな思いは持っておりますが、今回、前進は前進だというふうに受けとめて、さらなるいろいろな取り組みを進めていただきたいなと思っております。

 続いて、公募増資のインサイダーの事件もありまして、この問題は、情報を漏らす側について規制がなかったということと、もう一つ、インサイダー取引を行った資産運用業者に対する制裁も不十分であったということだというふうに思いますが、前段についてはいろいろな議論も既になされておりますので、後段の、いわゆる制裁の部分についてお尋ねをしたいと思います。

 今回、課徴金が課せられたわけでありますけれども、この前のあの事件でいうと、ファンドで得た利益が大体数千万円というのに対して、課徴金額は五万円、八万円、十二万円ということでありますので、今の、先ほどの質問でもお話ししたとおりでございますが、やはりそれでは、ほかの外国から見て、日本はインサイダー天国ではないかと言われても仕方ないんじゃないかなというふうに思っています。

 やはり、これが見つかったらとか、もしこの犯罪を犯したことがわかったら、とてもじゃないですけれども割に合わぬぞというぐらいの罰則というか制裁を加えないと、なかなかそういう抑止にはつながっていかないのではないかなと思っております。

 例えば、アメリカでは取引による利得の三倍であったり、イギリスでは報酬額に制裁分が上乗せされています。これぐらいのことをすると、明らかに、悪いことをしても、見つかったときのことを考えると割が合わへんという抑止力になっていると思います。

 我が国でも、例えば、お医者さんが悪いことをすれば、自分の医師免許を剥奪されたりする場合もありますし、弁護士さんでも同じようなことがあると思うんですけれども、こういうインサイダー取引をするような不逞のやからは、もう二度と市場に戻ってこられへんぐらいの制裁を加えるべきだというふうに僕は思っているんですが、その点についての御所見はいかがですか。

麻生国務大臣 今御指摘のありましたように、割に合わぬなと思わせるのは大事じゃないかと。

 よく例に引かれるのは、多分、お札の偽造が一番わかりやすい例だと思います。アメリカは、たしかお札の偽造は殺人罪より罪が重たかったと思いますが、そのかわりお札にかかるコストは物すごく安くて、その辺でちょっとこすったって、すぐ緑の色が落ちますけれども、我々の千円札、一万円札はこすったって全然落ちませんから。物すごくコストが高い。偽造しても割に合わないというようにして、偽造をなくしている。

 考え方の違いなんだと思います。アメリカ人というのは、そんなことをやって、おまえ、幾ら金がかかるんだ、そんなのばからしくてやっておられぬ、それより、簡単に刷れて、違反したやつはぱくった方が早いと。発想の、刑法に対する考え方のもとが全然違いますので、我々はそれをこれまで、少なくとも今言われたようなこっちの方向で、他の法律も多分そうなっていると思います。

 しかし、それにいたしましても、今回の取引事案の課徴金の計算方法というのを当てはめてみると低いじゃないかということなんですが、ちょっと例を引きますけれども、エルピーダメモリというのがありましたでしょう。あのときのを今の課徴金額でやると十二万円なんですよ。今回のあれでやりますと、二千三百八十倍になって、二億八千五百六十万円ということになります。これくらいになると、二億というとちょっと考えるんじゃないかなと思って、これを一つの例に引きましたけれども。

 いずれにしても、御指摘の、インサイダー取引に加担した人物等への対応としては、これは課徴金の対象となるような事案に関与したグループの人、その一定の人たちに対しては、証券会社や投資家に対する注意喚起の観点、やはり後ろからこっそりやる不届きな手合いがいないという保証はありませんから、そういった意味では、やった人たちの個人名は公表しますという措置は盛り込ませていただいております。

 これとあわせて、日本証券業協会では、現行の、インサイダー取引を行った証券会社の役職員を業界から排除する自主ルールというのを見直して、今般の改正法案により、氏名を公表された証券会社の役職員を業界から排除するということを検討しているというところまで来ております。また、違反行為を行った金融商品取引業者等につきましては、刑事罰とか課徴金の対象となり得るほかに、必要に応じて、いわゆる登録取り消しというような処分を含む、監督上の対応を行うようにしております。

 いずれにしても、金融庁といたしましては、証券業界も数がおられますので、そういったところともきちんと連携をとりながら、これらの対応によって、インサイダー取引に加担した人物や組織に対して、再度、違反抑止というものに対してきちんと取り組んでいかないといかぬのだろう、そのように考えております。

西野委員 アベノミクスの効果と言われておりますが、今、また投資ブームのような状況になっていますので、また、より一層しっかりと取り組んでいただきますようにお願い申し上げたいと思います。

 ことし三月に金融円滑化法の期限が終わりました。今、三カ月たちましたけれども、政府全体でいろいろな支援策は講じておられるということは聞いておりますが、私の地元も東大阪市というところでございまして、いっときは一万二千社の中小企業があったんですが、この間の不況で数が半分ぐらいになってしまいました。そういう中で、雰囲気はよくなってきているが、では、実際に中小企業の皆さんが景気ようなったわというような言葉を口にされているというのは余りまだ聞くことができません。

 そういう中で、今、中小企業の皆さんがどういう状況にあるかというところをしっかりと把握、掌握していただきたいなという思いでございますが、中小企業金融等のモニタリングに係る副大臣会議では、金融機関の融資姿勢、事業者の資金繰り等をどのように把握されているのかということをまず御説明いただきたいと思います。

細溝政府参考人 お答え申し上げます。

 円滑化法期限到来後の金融機関の対応あるいは中小企業の実態の把握につきましては、今委員御指摘のとおり、中小企業等のモニタリングに係る副大臣等会合におきまして、関係省庁が連携して行っております。

 四月の十八日に開催されました第二回目の会合で、関係省庁からは、借り手である各業界に対して行ったヒアリングの結果、金融機関の融資姿勢や貸し付け条件の変更等の申し込み状況、中小企業の資金繰りの状況や倒産の状況、これらにつきまして、各業界とも三月末までの状況と四月以降の状況で目立った変化は見られないという御報告があったと承知しております。

 また、金融庁におきましても、幾つかの地域金融機関に対しましてヒアリングを行いました。そうしたところ、取引先からの貸し付け条件の変更等の申し込み状況、あるいは取引先の倒産の状況等につきましては、三月から四月にかけて目立った変化は見られておりません。

 引き続き、関係省庁連携して、中小企業金融等の実態をきめ細かく把握して、適宜適切に対応してまいりたいと考えております。

西野委員 今の御説明のとおりです。私も、地元に帰りまして、この三月で期限が終わりまして、いや、これはえらいことになるのと違うかなと正直思っていました。この三カ月間、いろいろな方にお話を聞いていますけれども、この期限が終わったことに対しての影響を口にされる方はほぼいらっしゃらないので、まあまあ、そういう意味では、うまくソフトランディングしつつあるのかなというふうに、ちょっとほっとしているところもあるんですが、一方で、しっかりとこういった実情をこれからも把握していただきたいというふうに思います。

 経営改善であったりとか事業再生というのをしっかりとやっていかなければいけないんですが、その担い手として、三月に地域経済活性化支援機構が発足しました。実際に、いろいろな実績を上げられているとは思うんですが、どういった実績を上げてこられたのか、具体的な事例をお話しいただけますでしょうか。

西村副大臣 西野委員におかれましては、東大阪が選挙区ということで、中小企業対策に熱心に取り組んでいただいて、お父様にも私も大変お世話になりましたので、党は違いますけれども、ぜひ一緒に中小企業対策に取り組んでいければと思います。

 御指摘いただきました地域経済活性化支援機構ですけれども、三月十八日に発足をいたしまして、これまでの直接的な支援に加えて、地域でやる再生支援協議会とか、地域金融機関あるいはファンド、こうしたものに専門家を派遣したり、出資もできるという新たな規定も設けておりまして、中小企業支援の充実を図っているところです。

 これまで、発足後、五件の再生支援を決定いたしております。地域の酒造販売であるとか、大阪の鉄工所であるとか、印刷会社とか、電子部品等であります。中小企業は基本的に非公開となっておりますので、みずから公開したところ以外は、非公開のところも一件ありまして、この五件となっております。

 引き続き、地域での説明会なんかも続けておりますので、必要な事業をしっかりやっていきたいというふうに思っております。

西野委員 府会議員のときから、こういった中小企業対策について、先生にはいろいろと教えていただきましたけれども、今は五件ということでございますが、まだまだニーズもあるというふうに思いますので、引き続きしっかりと取り組んでいただきますようにお願いしたいと思っています。

 また、今回のこの法案で、いわゆる銀行の五%ルールというものに特例を認めようとされているわけですけれども、このことを通じて、この法案が成立した場合に、具体的に、企業に対して議決権の取得であったり保有の枠が広がることになるのでしょうか。この点について、改めて御説明いただきたいと思います。

島尻大臣政務官 今般のこの法改正、見直しに当たりましては、現状の現行規制の枠組みというものを維持しつつ、事業再生や地域経済の再活性化等に資する効果が見込まれる場合に限って、規制を緩和することとしております。

 具体的に挙げさせていただければ、まず、事業再生会社については、裁判所が関与する案件というものを要件といたしまして、銀行などの本体が、出資比率にかかわらず、原則三年、中小企業に当たっては五年間保有することが条件というふうになっております。

 もう一つ、地域の面的再生事業会社については、まず、地域経済活性化支援機構と共同で地域活性化ファンドを設立して行う出資や、また、同機構との業務提携、一緒にやっていくということ、業務委託等によって事業再生計画を策定する案件の場合、銀行などが投資専門の子会社を通じて、原則四〇%未満まで、十年間保有することなどが可能となるわけでございます。

 このほか、いろいろあるんですけれども、銀行等が投資専門子会社を通じて保有するベンチャービジネス会社について、対象範囲を拡大してサービス業などを含めるとともに、十年間というこれまでの保有年限を十五年に延長する予定でございます。

 こういった措置によって、資本性資金の供給主体としての銀行等の役割が発揮され得る環境が整備されることになるというふうに考えてございます。

西野委員 地域にいろいろな金融機関がありますけれども、地域の金融機関というのは、地域経済が衰退してしまえば、それはすなわちその金融機関にとっても大変なことになってくるわけでありまして、ですから、地域経済をしっかりと再生させていくということは地域の金融機関にとって至上命題なわけで、当たり前の話ですが、そうであります。

 今回の法改正で、そういう意味では新たなビジネスチャンスも出てくるのかなと思うんですが、先ほどの話ではありませんが、一方で、やはり銀行はなかなか不動産がないと、担保がとれないと、お金を貸さぬということもあるわけでございまして、本当であれば、もう少し銀行が、特に地域の銀行がリスクをとって、しっかりと投資をしていただかなければいけないなというふうに思っておりますが、そういった資本性の資金をしっかりと供給していくということで、今回、その方向での法改正だというふうに思っております。金融庁としても、しっかりとその方向性を進めていただきたいというふうに思います。

 今回、五%ルールの規制緩和が出されましたけれども、そのことを積極的に活用していくように、金融庁としても、銀行に指導というか、促していっていただきたいと思いますけれども、改めて、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 やはり西野先生、この十五年間ぐらい続きましたデフレでいきますと、何もしないのが一番かたかったわけですよ。だって、じっと持っていれば物が下がってきますから、金の価値が上がるわけですから。だから、名目金利はずっと低くても、実質金利は上がっているから、企業は金を借りないということになっておる。多分、それがこの十何年間における経営者側からの実態。また、銀行側にしてみれば、じっとして持っておきさえすれば、どんどん金の金利は上がりますので、金利は〇・〇何%しか払っておらぬとなれば、それは実質金利がどんどんどんどんということになるので、僕は、それなりの理由があったんだと思うんです。

 ところが、先ほど古本先生の質問に対して黒田総裁が答えられたように、実際問題として、インフレターゲットという、世界じゅうでほぼ二%前後のものになっておるんですが、その二%に実際行くということになると、持っていた金の価値が二%ずつ下がっていくということですから、それは当然のこととして、それに見合う分だけのものを何とかせな、今度は銀行が金融業として成り立たなくなります。

 その意味では、今言われたように、ちゃんとした、大阪のこの会社ならええでというのを探して、少々土地がなくても、そこの事業性なり企業の成長性なり企画性に、ある程度背中を押してやるというような金融というものを今後考えていかないとならぬのであって、これはむしろ、地場に足がついている銀行、第二地銀とか信金とか信組とか、そういったところの方がより、あれは長男はいいけれども次男がいるからつまらぬとか、全部知っていますでしょう、そういったところをきちんと調べているところが伸びてくる。それをうまいこと、ほかの企業とくっつけて商売を伸ばしていくというような、いわば経営のコンサルタント、さっきの誰かの言葉だと目きき、ちょっと今、目ききは寝ていますけれども、目ききの方の話が出てくれば、一つの成長のモデルにはなり得る。

 これがどれぐらいだということになるんでしょうが、一番肝心なのは、やはり銀行というところの頭取のそういった姿勢、会社の方で言えば社長のやる気、企業経営をやるときに、やはり最後はそこだと思いますので、ここがどれだけ喚起されるかというところがこれから一番大事なところかなという感じは、私自身の率直な実感です。

西野委員 金融庁としても、またしっかりと後押しといいますか促していただきたいんですが、この話をしていましたら、地元の会社の社長さんが、ないと思うけれども、では、ええ会社を地域の金融機関はみんなわかっている、だから、ええ会社、経営状況がいい会社、これから伸びていく会社が金融機関にお金を貸してくれといったときに、いやいや、お金貸しますけれども株よこせというようなことになれへんか、ええというところにあえて、お金を貸さずに、株をよこしたら金貸したるぞというようなことをするのと違うかと。いや、社長、それはないでしょう、そんなことにはならないと思いますよとは答えたんですが。

 そういった声もあるぐらいなので、今回、この五%ルールの変更に当たりまして、そういった民間の企業の方からの声というものを把握されているんでしょうか。聞かれていたんでしょうか。まずその点について伺います。

森本政府参考人 今般の五%ルールの見直しに当たりまして、金融庁におきまして、中小企業団体等からのヒアリングを実施しております。

 団体等の側からは、事業再生や創業の局面において銀行等に安定的な株主として出資してほしい、また、地銀等には地域における企業育成や町づくりについて出資等を通じて積極的に関与してほしい、また、銀行等に議決権を保有されることに対する警戒感は多少少なくなってきているといった御意見を伺ったところでございます。

西野委員 ということは、僕が聞いた声というのは多分かなり特殊な声だったのかなというふうに思いたいところでありますけれども、しっかりと、またこのルールの見直しに限らず、いろいろな声を、要望を、また意見を聞かれて、把握されるように努めていただきたいなと思っております。

 時間があと二分ほどですので、最後になりますが。

 先般も三業界に参考人として来ていただいて、それぞれいろいろとお話を伺いましたけれども、それぞれが、自分の業界のことはもちろん考えておられるんでしょうけれども、ではなしに、国益全体のことを考えて、みずからの内部での、業界内でのいろいろな取り組みもされているということを伺いまして、少し安心をしたんですが、政府としても、これからどんどん民間の資金が投資に回っていくということにつなげるためにも、しっかりと後押しをしていただきたいなと思います。

 先般、麻生大臣のお話の中で、僕はすごいなと思ったのがあって、何でアメリカが公認会計士制度が発達して日本は税理士制度が発達したんやというお話がありましたけれども、あの点についてもう一遍お話しいただいてもいいですか。

麻生国務大臣 ちょっと正確な記憶じゃないけれども、事実だけ。

 アメリカとかイギリスとか、少なくともかつての戦勝国側においては総じて公認会計士が発達し、今、負けた側の日本とかドイツとか、韓国もそうですけれども、いわゆる資本が少ないところ、重商主義時代が少なかったとかいろいろな表現はあるんですけれども、資本が少ないところは、仮に会社を西野さんが始めるときには、おい麻生、俺に金を貸せというのが、日本とかドイツとか、そういうところなんです。それで、金を借りる場合は、その金を返すに当たっては、いわゆる金利さえ払っておけば、別に会社が赤字でも、金利さえ払えば貸している本人は別に困らぬわけだ。別にそれでいいじゃないかと。

 傍ら、資本で参加しろといって、俺に投資してくれといった場合は、その投資した、安住さんなら安住さんに金を返す方法は、配当しかないんですよ。そうすると、確実に会社は黒字にせにゃいかぬということになるので、確実に黒字にする。そうすると、本当は会社はごまかしているんじゃないかという発想は、当然、投資している側からは思いますから、間違いなくそこには、本当にちゃんと経営は隠していないでしょうねというのを調べる、税理士より公認会計士が発達するわけです。

 我々の方は、金利さえもらっておけば別にそんなことはありませんので、金利だけ払って会社は赤字でも、別に金を貸している方は構わぬという状況を考えて、結果として、日本の場合は、あのバブルのときでも、企業の半分ぐらいしか法人税は納めていないという形になりました。

 事実としてそういう傾向が言えるのであって、この国だってそうじゃないかと言われれば、それは例外は幾つもあると思いますけれども、総じて、公認会計士と税理士の発達の違ってきた歴史というのは、多分そういうものだったろうと思っております。

金田委員長 時間が参りました。

西野委員 ありがとうございます。

 会計制度においてもいろいろな歴史があるということでございまして、今、大臣の歴史認識を伺いました。

 最近、総理が、歴史認識は歴史家に任したらいいんやというようなことをおっしゃっていますけれども、そうではなくて、歴史認識というとちょっと言いにくい、うちの党も大変なことになっていますけれども、しっかりと政治家こそが謙虚に歴史について判断を下して、それを国民の皆さんに示していくということも大事だというふうに思っております。

 きょうは、最後にいい勉強をさせていただきましてありがとうございました。またこれからもよろしくお願いします。

金田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 昨日は、長期金利が急騰し、株価が下落をした。これは大変大きなニュースになったわけです。東証株価が千百四十三円の下落というのは、この幅は十三年ぶりで、史上十一番目の大きさだということです。また、新発十年物の長期国債の金利が、昨日は一時、一%に上昇する。きょうになって少し戻りましたけれども。

 アベノミクスの基盤というのは大変もろいのではないかと思います。きょうの朝日新聞はこういうことを書いておりまして、「「アベノミクス」の本質は、人々をその気にさせようという「心理学」だ。金融と財政を通じて思い切りお金をばらまく。その勢いで多くの人が「景気はよくなる」「物価が上がるから早めに買おう」と信じこむ。そうなれば本当に景気は良くなる――。そんなシナリオを描いている。 だから崩れるときはもろい。」と。「問題は、市場にお金を永久に投じ続け、株価を上げ続けることはできないことだ。」こう書いてありまして、なかなか的確な、わかりやすい論評だと私は思うんです。

 麻生大臣、この事態をどのように受けとめていますか。

麻生国務大臣 けさ、東証があけた途端に五百円上がりましたので、書いた人は、しまったなと思ったと思いますけれども。

 株というのはそういうものだと思っています。上がったり下がったりするのが当たり前だと思っていますので、基本的には。また、その後、午後下がって、今また一万四千二百円まで戻ってきている。きょう午前中でばんと上がって下がって、また上がったりしていますので、そういうものだというようなことを理解した上でなさらぬといかぬところなんだと思います。

 少なくとも、今の話で、気分をさせておると。先生、気分がならなきゃ景気はよくなることはありませんから。やはり、気分をその気にさせるというのはすごく大事なことです。

佐々木(憲)委員 今の時点で、株価がまた下がり始めているようでございます。

 気分だけで問題が解決するかというと、そうではなくて、やはり実体経済がどうなるか、これが大事だと思うんですね。この乱高下のもとで、億単位でぼろもうけをしている投資家もいれば、他方で、日々の生活に苦しんでいる国民がおります。ツイッターでもこんな話が出ておりまして、余り景気がいいと言うからついつい買い物をし過ぎた、けれども、給料がふえていないから来月はその分緊縮だ。これが実際の庶民の実感、生活実態でございます。

 そこで、今の経済動向を判断する前提として、日銀に数字だけを確認しておきたいんですが、現時点で、国債を保有しているのは誰なのかという点です。国債の主な保有主体とその保有残高、構成を示していただきたいと思います。

山岡参考人 お答え申し上げます。

 二〇一二年十二月末時点での長期国債の残高は七百八十五兆円でございます。その中で、保有主体別に残高及び構成比を見ますと、主なところでは、一番多いのが銀行などでございまして、こちらの保有残高が三百・二兆円、構成比でいきますと三八・二%でございます。また次に保険、こちらの保有残高は百八十一・二兆円で、構成比は二三・一%。その次に多いのが日本銀行でございまして、日本銀行の保有残高が、十二年末時点ですと九十・九兆円で、構成比は一一・六%でございます。

佐々木(憲)委員 銀行が圧倒的に多くて、これはもう四割近いわけであります。保険と合わせますと、国債全体の約六割、六一・三%を占めております。家計はわずか三%だと思うんですね。

 では、そのうち、国債を大量に売っているのはどこか、売り越しの多い業態を明らかにしていただきたいと思います。

山岡参考人 お答え申し上げます。

 日本証券業協会というところから公表されております国債投資家別売買高で見ますと、直近の四月では、主体別に見て、長期国債の売り越し額が最も大きいのは都市銀行となっておりまして、その売り越し額は二・七兆円でございます。

佐々木(憲)委員 一番大量に国債を保有している銀行が一番売り越しが多い。これが今の実態なわけでございます。

 先日、参考人質疑を行いましたが、全銀協の会長はこのことには触れなかったんです。私は聞いたんですけれども。何を言ったかというと、国債は年金基金が売っているんだ、こういうふうにお答えになったんですが、これは実態とも違いますし、責任逃れではないかなと私は思うわけであります。

 では、次に、この間、株価を押し上げてきた主体は一体何だったのか。

 昨年の秋ごろから外国人投資家による日本株の投機的な買いが急増したわけですが、取引主体別に見て、買い越しが一番多かったのは海外投資家ではないかと思いますが、大臣、どのように見ていますか。

麻生国務大臣 詳しい端数をお聞きになりたければ役人に聞いていただいた方がいいと思いますが、基本的には、短期で回している分に関しましては圧倒的に外国人が多かった、私の感触でもそうなります。

佐々木(憲)委員 これは、短期だけじゃなくて、全体を含めて外国人投資家が一番多いんです。この間、ヘッジファンドなどの投機的な活動がかなり活発になりまして、株高だけが先行したわけです。

 今回も、下落の引き金を引いた主体、売り浴びせを行った主体は海外投資家が一番多いということでありまして、先ほど、十三時四十五分現在で、四百六十八円のマイナスで、一万四千十五円ということなんです。非常に投機的な状況が株の乱高下をもたらしておりまして、ヘッジファンドなどが非常に大きな影響を与えていると言わざるを得ません。

 逆に、国内の金融機関あるいは生損保、個人、これを見ますと、売り越しなんですよ。買っているんじゃないんです、売っているんですね。外国人の投機活動で株が急騰して、それを見て、今度は金融機関などが国債を売って株にシフトしていく。それが国債価格の下落や長期金利の上昇につながっている。これが四月末から昨日ぐらいまでの動きであります。

 その上で、日銀ルールを見直して、停止して、国債の大量買い取りを行うというようなことになりますと、これは国債に対する信用を弱める要因にもなる。やはり、実体経済の改善がないままに金融緩和が先行するというのは、これは非常に危険な状況を生み出すと私は思うわけです。制御不能に陥る危険性もある。

 大事なことは、やはり実体経済をどうするかということでありまして、最終需要をふやす、とりわけ家計消費、可処分所得、これを拡大するというのが内需拡大の中心課題であるというふうに思いますが、大臣はいかがでしょうか。

麻生国務大臣 これはもう前々から申し上げているとおりであって、第一、第二の矢に続いて第三の矢、そこがいわゆる可処分所得がふえることによってふえてくる個人消費の部分であってみたり、給与が上がることによってふえてくる消費増であったりということになります。

 そういったものに行くためには、実物経済、実体経済が成長しない限りは、そういったところに金が回っていかないということになろうと存じますので、基本的には、給料が上がっていく前の段階として、今、円安になったりしたことなどが、いわゆる予定外な話であったとは思いますけれども、かなり企業の収益にいい方向を与え、それがことしのボーナスに、トヨタでいけば五カ月プラスの三十万か五十万か、お隣の方に聞かれたらいいと思いますけれども、そういうのが出ていますから、我々の給料とは比較にならぬぐらい出ているなと思いましたよ。

 そういったことに出てきていることは確かだと思いますけれども、まだまだそれはボーナスの部分であって、ベア、いわゆるベースアップのところとは違いますので、まだまだ、実感として給与が上がってきたというところまではなかなか言っておられぬというのが地方における実態だ、私はそう思います。

佐々木(憲)委員 ベースアップ全体としてはマイナス傾向でありまして、これは全体の消費を冷やす方向に動いておりますので、正確に見る必要があると思います。

 第三の矢で個人消費がふえるかどうか、これは非常に私は疑問に思っていまして、例えば雇用に対する規制、労働法制の規制緩和というような問題もありますので、毒を含んでいるのかいないのか、これをよく見きわめなければならないというふうに思います。

 さて、次に、法案に関連してですけれども、AIJの事案を踏まえまして、資産運用規制の見直しについてお聞きをしたいと思うんです。

 二〇一一年の一月十八日に、証券取引等監視委員会が、「公正な市場の確立に向けて 「市場の番人」としての今後の取組み」という文書を発表しております。ここには、証券監視委員会の使命として、「市場の公正性・透明性の確保」、「投資者の保護」、こういうものが書き込まれております。

 しかし、その実態はどうかといいますと、翌年に、リーディングカンパニーであります野村証券が絡む公募増資関係のインサイダー取引事件などが多発したわけであります。さらに、その野村証券のOBでもある浅川氏が経営するAIJ投資顧問による事件が摘発される。約二千億円もの厚生年金基金の委託資産が消失するという、大変重大な事態が起こったわけであります。

 証券監視委員会あるいは金融庁は、この野村証券の会社内で長期間常態化していたインサイダー取引を見つけることができなかった。一千億円以上もの損失を投資家に負わせる詐欺事件も、毎年のように発覚しているわけです。結果として、市場の公正性も投資家の保護も守れなかった。この事態について、麻生大臣はどう受けとめておられますか。

麻生国務大臣 これは、今、野村だけ名前を挙げられましたけれども、こういうような話は、これは間違いなく、証券会社側の倫理観、いわゆる経営者としてのモラルハザード、いろいろな表現があろうかと思いますけれども、そういったものの著しい欠落といったものがなせるわざなんであって、基本的に、いや、これはみんなやっていますといったって、みんなやっている違反なんで、それは交通違反と同じじゃないか、あいつがやって、何であっちが捕まらないで俺が捕まるんだと言っているのと似たような話ですから、それは、違反は違反で、違反として、きちっとその状況状況で対応をしていかなければいかぬところだと、私どもとしては、そういうことをしないと、まともにやっている人たちの納税意識が著しく損なわれるということになろうかと思います。

佐々木(憲)委員 問題は、例えばAIJ問題を見ましても、虚偽の基準価格、運用利回りを報告して、いかにも順調であるかのような、そういう情報を顧客であります厚生年金基金に伝える、こういうやり方をして被害を拡大したわけです。四月に行政処分が行われたMRI事件では、顧客に対して、虚偽による勧誘、虚偽の事業報告書、こういうもので千三百億円超の資金が集められて、ほとんどが行方不明になると。大変な規模であります。

 なぜそういうことが可能になったのか。なぜ見つけられなかったのか。

 先日、当委員会で島尻政務官は、限られた人的資源を的確かつ有効に活用しながら、情報収集能力、分析能力、リスク感度をより一層高め、再発防止を徹底してまいりたい、こういうふうな答弁をされました。

 情報収集の能力を高めたり分析能力を高めるというだけで解決するような問題なのか。

 例えばMRIのような業者は、第二種金融商品取引業者と言われていて、全国で千二百七十九社もあるわけですね。AIJのような投資顧問業者も、協会会員でも七百八十九社あります。これをどのように検査し、どのように的確な情報を把握するか、これは非常に大事なことでありますが、なかなかこれは対応できていないわけであります。

 昨年九月に、このAIJ事件を契機に見直し案がまとめられまして、昨年十二月にガイドラインが改定されました。その措置によって検査監督の強化のための体制整備ということが行われたようですけれども、検査の頻度というのはどのぐらいふえたんでしょうか。

岳野政府参考人 委員から今御質問のございました検査の頻度ということでございますが、AIJの事案を受けまして、厳しい財政事情の中ではございますけれども、私ども証券取引等監視委員会及び地方財務局の監視官部門の検査官の増員を二十五年度予算でお認めいただいております。こういった増員を糧といたしまして、私どもとしては、検査の頻度の向上に全力を挙げていきたいと思っている次第でございます。

佐々木(憲)委員 大臣、定員が三百九十二人なんですね。情報件数は六千三百六十二件寄せられているわけです。人員が足りないということが、どうしても、これだけ情報が多いと、優先度が出てきて、優先度の高いところから順番に手をつけていくということになっていって、なかなか全体が回らない。言うまでもなく、アメリカですとかイギリスの場合は、格段にこの検査の職員数は多いわけです。

 そういう点を考えますと、これは、能力を高めるとかそういう面も確かに必要です、必要ですけれども、やはり体制そのものが脆弱である、これを何とかしなきゃならぬ。これはやはり、大臣もこの前御答弁ありましたが、肝心の人間の絶対量が不足しているんだ、私らはそう思っております、こう言うんですけれども。ですから、この人員をふやす、これは内閣としてきちっと取り組むという姿勢が大事だと思いますが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 まず、先ほどの頻度の話でいくと、検査対象の業者数は、確かに、おっしゃるように第二種金融商品取引業者で一千二百七十九。それが、この前まで六件とか十四件とかいうのが二十四年度は二十件になっていますので、その程度はふえたということでしょうけれども、言われてふえたので、これぐらいが精いっぱいだろうと思いますので、あとはまともに運用されていればそれで、この人数だと思うんですが。

 いずれにしても、人数の話に関しましては、アメリカではSECとかいろいろありますけれども、そういったようなものに比べましても、これは監督する立場の方としては、非常に高度な技術になってきてみたり海外取引になってみたりして、見えないところで、ファイバーだ、ネットだ何だでつながってくるところに監視をして入るだけの人数、技術、そういったようなものは残念ながらおくれているということは認めた上で対応しなきゃいかぬところだ、私どもはそう思っております。

佐々木(憲)委員 確かに、今言われたように、技術も高度化して、しかもなかなか巧妙になり、海外の手段も使って虚偽報告をやる、こういう事例がふえているわけですから、やはり質の向上と同時に人員の確保、拡大、これはどうしても必要だということを最後に申し上げまして、終わりたいと思います。

金田委員長 これにて本案に対する質疑は終局をいたしました。

    ―――――――――――――

金田委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党を代表して、金融商品取引法等改正案に対して反対討論を行います。

 本法案により創設される破綻処理制度は、本来、預金者を保護するために創設された預金保険機構の対象を、銀行だけでなく証券会社や保険会社にまで広げるものであります。さらに、その資金は、金融業界の自己負担を原則とはするものの、例外的な場合として、政府補助、つまり税金を投入する仕組みを法律上設けたことになるのであります。これは、何の責任もない国民に負担を転嫁するものであり、認められません。

 そもそも、リーマン・ブラザーズの破綻等に端を発する金融危機は、規制緩和競争で投機的な金融商品を開発し、バブルをあおり、そのあげく、投資銀行等の破綻により国際的な金融市場を危機に陥れたものであります。それを規制せず、リスクが大きく自己資本比率規制などの規制が弱い証券会社などに過剰なセーフティーネットを用意することは本末転倒であり、金融機関にモラルハザードを生じさせかねないものであります。

 二〇一一年十一月のG20カンヌ・サミットにおいて採択された報告書「金融機関の実効的な破綻処理の枠組みの主要な特性」で明らかなように、納税者負担を強いるベールアウトを廃止し、債権者や株主による損失負担、そして金融業界による破綻処理費用の負担を厳格にすることが国際的な潮流であります。

 破綻処理費用について、イギリスは既に銀行課税を開始し、ユーロ圏は加盟国の合意形成の段階にあるとされております。このような制度こそ導入すべきであります。

 公募増資インサイダー取引行為の規制強化、AIJ投資顧問事件を踏まえた規制強化など、不十分ながらも賛成できる内容もありますが、総合的に判断して、本法案に反対するものであります。

金田委員長 これにて討論は終局をいたしました。

    ―――――――――――――

金田委員長 これより採決に入ります。

 金融商品取引法等の一部を改正する法律案について採決をいたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

金田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りをいたします。

 ただいま議決をいたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

金田委員長 次回は、公報をもってお知らせをすることとし、本日は、これにて散会をいたします。

    午後二時二十五分散会


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