衆議院

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第12号 平成25年6月19日(水曜日)

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平成二十五年六月十九日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 金田 勝年君

   理事 逢沢 一郎君 理事 伊藤信太郎君

   理事 木原 誠二君 理事 竹本 直一君

   理事 山本 幸三君 理事 安住  淳君

   理事 桜内 文城君 理事 上田  勇君

      赤枝 恒雄君    安藤  裕君

      井林 辰憲君    井上 貴博君

      伊東 良孝君    石川 昭政君

      小倉 將信君    大久保三代君

      鬼木  誠君    小島 敏文君

      小林 鷹之君    新谷 正義君

      田中 英之君    田野瀬太道君

      竹下  亘君    中山 展宏君

      福山  守君    藤井比早之君

      星野 剛士君    前田 一男君

      牧島かれん君    御法川信英君

      宮澤 博行君    山田 賢司君

      階   猛君    武正 公一君

      古本伸一郎君    前原 誠司君

      西野 弘一君    松田  学君

      三木 圭恵君    山之内 毅君

      岡本 三成君    竹内  譲君

      小池 政就君    佐々木憲昭君

      鈴木 克昌君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   財務副大臣        山口 俊一君

   内閣府大臣政務官     島尻安伊子君

   財務大臣政務官      伊東 良孝君

   財務大臣政務官      竹内  譲君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  森本  学君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   福田 淳一君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   参考人

   (日本銀行理事)     田中 洋樹君

   参考人

   (日本銀行理事)     雨宮 正佳君

   参考人

   (日本銀行理事)     武田 知久君

   財務金融委員会専門員   北村 治則君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十九日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     赤枝 恒雄君

  神田 憲次君     井上 貴博君

  小泉進次郎君     石川 昭政君

  小島 敏文君     福山  守君

  田畑  毅君     新谷 正義君

  藤井比早之君     前田 一男君

  松本 洋平君     田中 英之君

同日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     井林 辰憲君

  井上 貴博君     宮澤 博行君

  石川 昭政君     大久保三代君

  新谷 正義君     田畑  毅君

  田中 英之君     松本 洋平君

  福山  守君     小島 敏文君

  前田 一男君     星野 剛士君

同日

 辞任         補欠選任

  井林 辰憲君     小田原 潔君

  大久保三代君     小泉進次郎君

  星野 剛士君     藤井比早之君

  宮澤 博行君     神田 憲次君

    ―――――――――――――

六月七日

 消費税増税に当たっての軽減税率制度化と学校用図書教材への適用に関する請願(馳浩君紹介)(第八一三号)

 消費税増税の中止に関する請願(阿部知子君紹介)(第八二四号)

 消費税一〇%へのアップ中止に関する請願(笠井亮君紹介)(第八二五号)

 消費税増税を中止することに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第八三九号)

 消費税増税の実施中止に関する請願(笠井亮君紹介)(第八四六号)

同月十一日

 消費税増税の中止に関する請願(宮本岳志君紹介)(第九四八号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一〇五三号)

 同(笠井亮君紹介)(第一〇五四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一〇五五号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一〇五六号)

 同(志位和夫君紹介)(第一〇五七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇五八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇五九号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一〇六〇号)

 消費税の増税反対、食料品など減税に関する請願(宮本岳志君紹介)(第一〇六一号)

 消費税増税の中止を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一〇六二号)

 同(笠井亮君紹介)(第一〇六三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一〇六四号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一〇六五号)

 同(志位和夫君紹介)(第一〇六六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇六七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇六八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一〇六九号)

同月十八日

 消費税増税の中止に関する請願(宮本岳志君紹介)(第一一三九号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一二五九号)

 中小業者の営業を破壊し、景気を悪化させる消費税増税反対に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一二〇一号)

 消費税増税を中止することに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一二〇二号)

 消費税増税中止に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一二〇三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一二三六号)

 消費税一〇%へのアップ中止に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一二〇四号)

 消費税増税の実施中止に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一二〇五号)

 消費税軽減税率適用に関する請願(小林茂樹君紹介)(第一二三五号)

同月十九日

 消費税増税の中止に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第一二八五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一二八六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一三七〇号)

 消費税増税を中止することに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一三一七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一三七一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一三七二号)

 中小業者の営業を破壊し、景気を悪化させる消費税増税反対に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一三六九号)

 消費税の増税反対、食料品など減税に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一三七三号)

 消費税一〇%へのアップ中止に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一三七四号)

 消費税増税の実施中止に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一三七五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 金融に関する件(通貨及び金融の調節に関する報告書)


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     ――――◇―――――

金田委員長 これより会議を開きます。

 この際、麻生財務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。財務大臣麻生太郎君。

麻生国務大臣 平成二十五年度税制改正法につきましては、委員の皆様に精力的に御審議をいただき、本年三月二十九日に可決、成立をいたしております。

 その税制改正法、すなわち所得税法等の一部を改正する法律の一部の規定が、法律案の要綱や平成二十五年度税制改正の大綱などで御説明してきた内容とそごを来していることが判明をいたしました。

 具体的には、租税特別措置法第四十一条の十九の三、すなわち、自己資金で住宅のバリアフリー改修工事を行う場合の投資減税についてであります。

 バリアフリー改修工事に係る投資減税は、平成二十六年四月一日以降に入居する工事について、法律案の要綱などでは、改修工事限度額を引き上げ、減税規模を大きくすることといたしておりました。しかしながら、法律の規定漏れにより、この減税措置が、一年余り前倒しされ、平成二十五年一月一日からの入居から適用されてしまっているというものであります。

 法案策定の事務作業におきましては、誤りが生じないよう幾重にもチェックするプロセスがありますが、今回、この規定に関しては、その過程においてミスがあり、結果として規定漏れが生じてしまったものであります。

 このような事態に対し、当初意図したとおりの条文とするために法改正をお願いすることも考えられました。一方で、法律が既に公布されている以上、現行の条文を前提に既に経済取引の判断がなされている可能性もあります。また、内容を見ましても、現行の条文により納税者が当初想定した政策より不利になるものではないといったことを勘案いたし、政府といたしましては、改めて改正法案を提出することはせず、成立させていただいた現行の条文のとおり実施したいと考えております。

 このバリアフリー投資減税について、国民の皆様に混乱が生じることのないよう周知いたします。

 今回、このように法律案の要綱と法律の条文との間にそごを生じさせてしまったことについて、委員の皆様に謹んでおわびを申し上げます。

 財務省として、今回の事態を重く受けとめ、一層のチェック体制の強化を行うなど、再発防止に向けて今後一層の努力をしてまいりたいと考えております。

     ――――◇―――――

金田委員長 金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りをいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁黒田東彦君、理事田中洋樹君、理事雨宮正佳君、理事武田知久君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として金融庁総務企画局長森本学君、財務省主計局次長福田淳一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

金田委員長 去る十四日、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づき、国会に提出されました通貨及び金融の調節に関する報告書につきまして、概要の説明を求めます。日本銀行総裁黒田東彦君。

黒田参考人 日本銀行は、毎年六月と十二月に、通貨及び金融の調節に関する報告書を国会に提出いたしております。最近では、本年六月十四日に、平成二十四年度下期の報告書を提出いたしました。今回、我が国経済の動向と日本銀行の金融政策運営について詳しく御説明申し上げる機会をいただき、厚く御礼を申し上げます。

 最初に、我が国の経済金融情勢について御説明申し上げます。

 我が国の景気は、国内需要が底がたく推移する中で、輸出や鉱工業生産で改善の動きが続いていることから、持ち直しています。海外経済は、製造業部門に緩慢な動きも見られていますが、全体としては徐々に持ち直しに向かっています。そうしたもとで、輸出は持ち直しつつあります。設備投資は、非製造業が底がたく推移する中、全体としても下げどまりつつあります。公共投資は増加を続けており、住宅投資も持ち直し傾向にあります。個人消費は、消費者マインドが改善するもとで、底がたく推移しています。以上の内外需要を反映して、鉱工業生産は持ち直しています。

 先行きについては、金融緩和や各種経済対策の効果もあって国内需要が底がたさを増し、海外経済の成長率が緩やかながらも次第に高まっていくことなどを背景に、緩やかな回復経路に復していくと考えられます。

 この間、我が国の金融環境は、緩和した状態にあります。マネタリーベースは、日本銀行による資産買い入れの進捗を反映して大幅に増加しており、企業の資金調達コストは低水準で推移しています。銀行貸出残高は、運転資金や企業買収関連を中心に、前年比二%程度で増加しています。CP、社債市場の発行環境も、総じて見れば、良好な環境が続いています。

 金融市場では、五月下旬以降、海外市場の動きなどを受けて、やや不安定な動きが見られています。もっとも、我が国経済は順調に回復への道筋をたどっており、こうした実体経済の前向きな動きを反映して、次第に落ちつきを取り戻していくと見ています。

 物価面では、生鮮食品を除いた消費者物価の前年比は、前年のエネルギー関連や耐久消費財の動きの反動から、マイナスとなっています。予想物価上昇率については、マーケットの指標などで上昇が一服しているものもありますが、家計やエコノミストに対する調査など、全体としては上昇を示唆する指標が見られています。東京の消費者物価の五月分は四年二カ月ぶりに前年比プラスに転じており、先行き、全国の消費者物価の前年比も次第にプラスに転じていくと見込まれます。

 もとより、欧州債務問題の今後の展開、米国経済や新興国、資源国経済の成長力など、日本経済をめぐる不確実性は引き続き大きい情勢です。金融市場の動向を含め、今後の展開には十分注意していく必要があると考えています。

 次に、日本銀行の金融政策運営について御説明申し上げます。

 日本銀行は、消費者物価の前年比上昇率二%の物価安定の目標を、二年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現するため、本年四月に量的・質的金融緩和を導入しました。

 量的・質的金融緩和は、量的に見ても質的に見ても、これまでとは次元の違う金融緩和政策です。

 具体的には、第一に、量的な金融緩和を推進する観点から、金融市場調節の操作目標を、従来の無担保コールレートオーバーナイト物から、マネタリーベースに変更しました。その上で、マネタリーベースを二年間で二倍に拡大します。

 第二に、長期国債の保有残高が年間約五十兆円に相当するペースで増加するよう買い入れを行います。これにより、長期国債の保有残高も二年間で二倍となる見込みです。また、長期国債買い入れの平均残存期間を従来の三年弱から七年程度に延長しました。

 第三に、ETF及びJ―REITの保有残高が、それぞれ年間約一兆円、年間約三百億円に相当するペースで増加するよう買い入れを行います。

 これらの措置から成る量的・質的金融緩和は、二%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで継続いたします。その際、経済、物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行います。

 量的・質的金融緩和の波及経路としては、第一に、資産買い入れにより、長期金利や資産価格のプレミアムに働きかける効果があります。第二に、金融機関や機関投資家の投資行動が変化し、貸し出しやリスク性の資産にシフトする、いわゆるポートフォリオリバランス効果が考えられます。第三に、物価安定の目標の早期実現を明確に約束し、これを裏打ちする大規模な資産の買い入れを継続することで、市場や経済主体の期待を抜本的に転換させる効果が期待できます。これらを通じて、民間需要を刺激するとともに、マクロ的な需給バランスの改善と予想物価上昇率の上昇により、物価の押し上げに寄与すると考えられます。

 このような日本銀行の金融政策運営は、実体経済や金融市場における前向きな動きを後押しするとともに、予想物価上昇率を上昇させ、日本経済を十五年近く続いたデフレからの脱却に導くものと考えております。日本銀行としては、引き続き適切な金融政策運営に努めてまいります。

 ありがとうございました。

金田委員長 これにて概要の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

金田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田賢司君。

山田(賢)委員 私は、自由民主党、山田賢司でございます。

 本日は、国会の会期末、このように質問の機会をいただきまして、麻生大臣、黒田総裁、そして理事の皆様、委員の皆さん、本当にありがとうございます。

 では、時間も限られておりますので、早速質問に入らせていただきます。黒田総裁からただいま御報告がありました、通貨及び金融の調節に関する報告書に関連して。

 これまでずっと閉塞感が漂っていた日本経済も、ようやくデフレ脱却の糸口が見えてきた。この中で、一方で批判なんかもありまして、日銀が一生懸命大胆な金融緩和をやっているのに金融機関から企業への貸し出しが回っていないんじゃないか、こういった批判なんかも聞こえてくるところではございます。

 データに基づいて、通貨及び金融の調節に関する報告書、これの中の抜粋しました資料をお手元にお配りしておりますが、これを見ますと、先ほど黒田総裁から御報告があったように、金融機関の貸出残高というのは前年比二%伸びております。これに対する黒田総裁の御見解というのを御説明願えますでしょうか。

黒田参考人 先ほど申し上げましたとおり、企業の金融環境を見ますと、貸出金利は非常に低い水準で推移しておりまして、金融機関の貸し出し態度も改善傾向が続いている。こうしたもとで、御指摘のとおり、銀行貸し出しは伸び率がだんだん上がってきて、現在、前年比二%程度のプラスで推移しているわけでございます。

 先ほど申し上げたとおり、現在の量的・質的金融緩和には、金利の低下圧力を加えるという効果と、それからいわゆるポートフォリオリバランスの効果があり、それらは貸し出しをふやす方向に作用するものというふうに考えております。加えて、企業や家計のデフレ期待を抜本的に転換することによって前向きの資金需要を生み出していくというふうにも考えております。

 なお、御案内のとおり、日本銀行はそのほかに、金融機関の貸出増加額について、希望に応じてその全額を低利、長期で資金供給を行うという貸し出し増加支援の資金供給を行っておりまして、この六月に初回の貸し付けを行ったわけでございますが、その金額は約三・一兆円と、金融機関の大変積極的な利用が見られたわけでございます。

 このようなさまざまな取り組みが、金融機関行動の積極化を引き続き促すとともに、家計や企業の前向きな資金需要の増加につながっていけば、民間銀行、民間金融機関の貸し出しというのはさらにふえていくのではないかというふうに期待しております。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 次に、麻生大臣に御質問させていただきたいと思うんです。

 先ほどあったように、金融緩和によってお金が市場に出ていくようにはなっているんですけれども、一方で、企業の方々が民間金融機関からなかなかお金が借りられない、こういった声なんかも聞こえてくるんです。これは一つには、幾ら金融緩和でお金をいっぱい出したところで、業績の悪いところにはさすがに銀行なんかも貸し出しをしにくいとは思うんですね。

 むしろ、力を入れていくべきは経営環境の改善。仕事がふえて利益が上がって、銀行も貸したくなるような、こういった経済環境になっていくことが重要だと思いますが、麻生大臣の御見解、教えていただければ、お願いします。

麻生国務大臣 山田先生御指摘のとおり、仮に日銀が金融を緩和しても、その金が銀行の預金の中に日銀当座預金としてマネタリーベースがふえるだけでは、いわゆる金が散っていくということにはなりません。銀行からお金が借りられて初めてマネーサプライと言われるもの、市中に回っていくんですが、いわゆる企業も長い間のデフレマインドがある程度かなりしみついているところもありますので、じっと金を持っていたりすれば物が下がっていって金の値打ちが上がっていくという状態が十数年続けば、投資家としてリスクをとるというような気持ちがなかなか湧いてこないというのが一点。

 もう一つは、やはり仕事がない。いわゆる不況ということですので、そういった意味では、仕事をつくって出していくということを、先頭を切ってやはり政府がある程度やらない限りは、民間が先頭に立ってやるということはなかなか今の状態ではしにくいんだと思っておりますので、我々としては、さきに決めさせていただきました日本再興戦略というものの中において、その環境整備というものをやっていかなければいかぬ、需要をつくる等々でありますが。

 やはり気持ちとして、デフレからインフレに変わっていくんだという意識をもう一回持っていただくということにできれば、お金を持っていてもその金が目減りするということになりますので、そういった意味で、リスクをある程度とって投資をしていくという方に変えていくようにするため、企業の貸し出し増というのが、少しずつふえているということでありますけれども、これがやはりきちんとしたものにするためにさらなる努力が必要であろうと思っております。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 企業の貸し出しに関してはこういったお考え。

 この一方で、個人の住宅ローンなんかも金利がここのところ急上昇して大変じゃないか、こんな批判なんかも聞こえてくるわけです。ここ三カ月で〇・四%台から〇・九%台に上がった、倍に上がったじゃないかということを捉まえて、金利が急上昇したというような御批判もあるんですけれども、お手元、二枚目にお配りしておるグラフで見ますと、長期的に見ると金利は依然低金利な状況にあるわけでして、かつては、バブルのころは八%台の金利が、今もう〇・四か〇・九か、そういった次元のレベルでございます。

 むしろ、個人の住宅ローンが金利が急上昇して借りられなくなるというよりは、個人が一生懸命頑張ってローンを組んで二千万で買った家が、デフレによって価格が下がって一千五百万になったとか、こんな状況だと、いつまでたっても危なっかしくて、家を買ったりローンを組んだりできない、このように考えるわけでございます。

 むしろ、もっとインフレになるなというと、今のうちに買っておこう、そういった意欲が湧いてくるんじゃないかと思いますが、麻生大臣の御見解、教えていただければと思います。

麻生国務大臣 資産デフレの最も怖いところがそこなんだと思っております。

 とにかく、敗戦後六十数年間で我々は数々の不況というものをやりましたけれども、デフレーションによる不況というのをやった経験はありません。したがって、私どもはその対応を間違えたというのは率直に、これは全員間違えていたんだと思います。たまたま、こういった状況は、戦前、一九三〇年代以来、我々はやったことがありませんし、世界じゅうないんですけれども、そういった意味では、今言われたように、借りていた金は変わりませんから、デフレになっていくと、借金の返済する額は変わらず収入だけが減っていくということになりますので。

 今言われた御指摘はまことにそのとおりなのであって、そういった意味では、持っております住宅であれ家屋であれ、そういった資産が、上がっていくことによって担保価値もふえるでしょうし、また、資金の返済も、仮に売却した場合であっても、それは売って利益が出て返せるということになろうと思いますが、下がった場合はそれが全然できなくなるということも考えて、極めて悲惨なことになっていたんだと思いますが、そういったのを解消していくというのが今後我々として最も気を使わなければならぬ資産デフレにおける現状だ、そう思っております。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 次に、ちょっと各論の問題についても御質問させていただきたいと思うんです。

 けさの新聞各紙で取り上げられておりました、例の安愚楽牧場の和牛オーナー制度について、これは全国で七万三千人、四千億円を超える被害が出ていると。これは経済評論家の方も、かつて、リスクはゼロということで投資を呼びかけるなど、こういったこともございました。

 預託法自体は消費者庁、あるいは、牛というのは農水省の所管なんでしょうけれども、これは投資している人は明らかに金融商品としての投資を行っていたということから、このような多額の被害が生じている事案について、麻生副総理兼金融担当大臣としての御見解をお聞かせください。

麻生国務大臣 これはもう、今御指摘のありましたように、本来は消費者庁の所管いたします特定商品預託法により規制されておりまして、本来ですと金融庁としては所管外ではありますけれども、多くの消費者に対して影響を及ぼした重大な事案である、そのように考えております。

 これは関係者が結構いろいろいらっしゃいますので、政界にもいらしたようですから、いろいろな意味で問題があるんだと思いますが。

 こういう意味で、金融商品の利用者保護というものを我々は常日ごろ取り組んでいるところですけれども、政府全体としては、これは消費者の目線に立ってきちんとした対応をするべきところであって、所管省庁がそれぞれの利用者、消費者の立場に立って取り組んでいかねばならぬところであって、今後、これは消費者庁を中心として、我々も適切に対応していかねばならぬと考えております。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 次に、また別の各論なんですけれども、今ちょっと話題になっております日韓通貨スワップ協定に関して御質問させていただきたいと思います。

 これは昨年の参議院予算委員会なんかでも、当時、野田総理とか安住財務大臣がお答えになられているんですが、あくまで韓国側の要請を受けて、韓国経済、金融状況を安定させるため配慮したというものでございます。

 とはいえ、現在、アジア通貨危機も落ちついてまいりまして、三枚目にクレジット・デフォルト・スワップ、CDSのグラフをちょっとつけさせていただいておるんですけれども、これは信用状況をはかる一つの指標でございまして、これを見る限りにおいて、韓国経済は非常にもう落ちついてきているということでございますので、あえて日本が信用補完をしなくてもいい状態にあると考えております。

 七月三日に期限が来ます三十億ドルについては、新たな通貨危機が発生する等の、よほどのことがない限り、延長の必要はないというふうに理解してよろしいでしょうか。

麻生国務大臣 今回の、期限を迎えております分は三十億ドルに当たりますが、これは日韓通貨スワップにおきましては、二〇〇五年に取り決めを締結して以来、二〇〇七年、二〇一〇年と更新して、今日に至っております。先ほどお示しいただいた、あのグラフの高いところに当たるときですが。

 この取り決めの更新の可否というものにつきましては、御指摘のありましたように、最近の韓国の状況というのは、少なくとも、クレジットデフォルトというような状況とは違うと思っておりますし、また、金融情勢等々を踏まえて、韓国の御意見も聞いた上で結論を得たいと思いますが、今、この段階で、韓国から要請があっているということはありません。

山田(賢)委員 それでは、最後の質問で、三十億ドルの通貨スワップ終了後は、チェンマイ・イニシアチブに基づく百億ドルというのが残るんですけれども、これは外為特会による運用なので、特に国会の承認が不要であるというふうに聞いておるんです。外為特会の運用目的というのは、安全性及び流動性に最大限留意した運用を行うことというのが運用目的となっておるはずなんですけれども、通貨危機が生じるような国の通貨で運用するということは、この方針に矛盾するんではないかと思うわけでございまして、そういう目的で使うのであれば、これは一度、別途、国会の場で承認をとるべきではないかと考えるんですが、いかがでございましょうか。

麻生国務大臣 今御指摘のありましたように、今話題になっております三十億ドル、これは日銀の分で、日銀が表に立っているという分ですが、残りの百につきましては今御指摘のあったとおりであります。

 それで、外為特会が保有しておりますいわゆる外貨資産は、これは日本の通貨の安定を実現するための施策であるために、為替の介入や通貨スワップ取り決めを行う場合に備えておく、いわゆる常日ごろ保有しているというものでありまして、そうした施策を行うまでの間、安全性とか流動性とか、そういったものを最大限に留意して運用しているところも、間違いなくそのとおりであります。

 一方で、御指摘の日韓通貨スワップの取り決めは、これはチェンマイ・イニシアチブというものに代表されております通貨のスワップ取り決めと同様に、いわゆる日本の通貨というものを安定的に実現する、そういった施策そのものとして、通常の運用として行っていないというのはこの百億ドルの方の話です。

 したがって、日韓通貨スワップの取り決めを全額実施するのはいわゆるIMFプログラムが必要となるなど、安全性にも可能な限り配慮しております。あの九七年のIMFのときの、あの御記憶のあるとおりだと思います。したがいまして、IMFのプログラムを受けるため、経済調整プログラムというのがかかってきますので、そういった意味で、安全性のあるものだと思っております。

 いずれにいたしましても、外為法に規定しております通貨の安定を実現するための施策というのは、予算総則によって、国会で議決された政府短期証券発行など、限度額の範囲内で政府の権限として行われているものでありまして、これはきちんとした運用がなされておりまして、この施策について適時対外公表などもいたしておりますので、一定の説明責任はきちんと果たしておるものだと考えております。

金田委員長 時間が参りました。

山田(賢)委員 ありがとうございました。

 以上で質問を終わらせていただきます。

金田委員長 次に、上田勇君。

上田委員 公明党の上田勇でございます。

 きょう、黒田日銀総裁に、金融政策に関しまして何点か御質問をさせていただきたいというふうに考えております。

 先ほど総裁からも御報告があったとおり、日本銀行では極めて大胆な金融緩和策をとっておりまして、相当な効果が上がっているというふうに評価をしておりますし、また私自身も認識を持っております。

 しかし、こうした中でも、銀行の貸し出しというのは、ここ数カ月間、先ほどの報告でもございましたけれども、二%程度は増加をしているわけでありますけれども、果たしてこれが十分なのかというと、私はやはり、もっとそれが大きくふえていかなければいけないんじゃないかというふうに思っております。

 二%といっても、これはやはりリーマン・ショック前の水準にすらまだ達していないというのが現状じゃないかというふうに思いますので、特に中小企業向けの貸出残高というのは、調べてみますと微増ないし横ばい程度でございます。この金融緩和策が経済再生に結びつくためには、やはり、日銀から出た資金がしっかりと実需、そういう資金需要のところ、必要なところに供給をされていく、そのことによって好循環が出ていくんだというふうに思っております。

 その意味では、金融機関の貸し出しをさらに増加させるというような対策が必要だというふうに考えておりますし、特に、やはり中小・小規模事業者、新たなところにチャレンジをする、また、新たな需要を掘り起こすという意味からは、そういった点での資金の提供が必要だろうというふうに考えております。

 そこで、総裁に、金融機関による貸し出しを現状どういうふうに評価されているのか、また、これから貸し出しをもっと積極的に増加させていくためにはどういうような方策が必要、また有効だというふうにお考えなのか、御見解をお伺いしたいというふうに思います。

黒田参考人 御指摘のとおり、現在の前年比二%程度の銀行の貸出残高の増加というのは、今後さらに上昇していく必要があるというふうに思っております。

 特に、中小企業向けの貸し出しは、ようやくその減少に歯どめがかかった段階でございまして、まだ本格的に大きく増加するという状況になっておりません。

 したがいまして、先ほど来申し上げておりますとおり、量的・質的金融緩和を強力に推進する一方で、特に、金融機関のポートフォリオが変わって貸し出しをふやす方向に作用するということが期待されるわけですが、その状況を注意深く見ていきたいというふうに思っております。

 先ほども少し触れましたが、金融機関の貸し出しを直接的に支援し、貸し出しをいわばしやすくするというか、貸し出しを促進するようなスキームとして、貸し出し増加を支援するための資金供給というものを始めまして、第一回が今月、先ほど申し上げたように三兆一千億円程度の利用がありまして、これは今後、毎四半期そういう要望を受け入れてやっていくわけですが、〇・一%の金利で三年、固定金利で貸すというもので、金融機関にとってはかなり有利なものですので、これが貸し出しをさらに促進していくということを期待しております。

上田委員 金融機関による貸し出しというのは、日本銀行の金融政策だけの問題ではないんだというふうに思います。金融機関のそういう経営の判断の改善というのもしてもらわなければならないし、また、実際の資金需要というのが生まれてこなければならないわけでありますから、もちろんこれは、政府そして日銀、さらに民間の金融機関も含めた、そういう取り組みがなければならないことだというふうに思っております。

 ただ、やはり、どうしても、こういう新たな資金需要、そういうのが生まれてくるところにすぐに資金が提供されるというようなことがなければ、いい循環は生まれてこないというふうに思いますので、ぜひまた日銀にあっても、その辺、積極的な対応をお願いしたいというふうに考えております。

 それで、次に、財政の健全化の問題について一点お伺いしたいというふうに思います。

 黒田総裁は、いろいろな場面で、我が国の財政に対する信頼を維持するために中長期的な財政健全化が必要であるということは発言をされております。

 日本の財政事情が厳しいということはもう誰もが認識をしているところでありまして、こういう状況がずっと続いていくということはあり得ないということはもう広く認められている、認識されているんですけれども、ただ、金融政策への影響ということになりますと、一般にはなかなかちょっとわかりづらい面もあるのではないか。国債が発行が困難になる、あるいは暴落するとはいっても、ずっとこのところ低金利が続いてまいりましたから、果たしてどういう影響があるのかというのはなかなかわかりにくい面があります。

 そこで、総裁が、財政健全化、必ずと言っていいほどこう強調される、その金融政策への影響の面からの理由をお教えいただければというふうに思います。

黒田参考人 もとより、財政自体としても、中長期的な財政の持続可能性ということが、経済の安定、発展、さらには社会保障その他の公共サービスの安定的、持続的な供給ということにとって不可欠の前提であるというふうに思っております。

 御指摘の、日本銀行の金融政策との関連で財政の健全化というのがどういう意味を持っているかという点でございますけれども、先ほど来申し上げていますように、大量の国債を日本銀行が金融政策の目的から購入しているわけでございますが、これが財政ファイナンスと受け取られますと、国債価格の下落とか長期金利の高騰といったことを招くおそれがあるわけでございますので、やはり、そういうふうにとられないためにも、財政運営に対する信認というのが非常に重要ではないかというふうに思っております。

 具体的な財政政策の問題は、もとより政府とまた国会で議論されるべきものではありますけれども、最近のいわゆる骨太方針と申しますか、そういったものにおきましても、機動的な財政運営を行うとともに、やはり中長期的な財政の健全性を確保する、成長と財政の健全化を両立させるということが言われておりますが、それは実は、金融政策にとっても極めて重要であるというふうに思っております。

上田委員 ありがとうございます。

 財政健全化で、今総裁からも言及がありましたけれども、国としては、国、地方のプライマリーバランスの赤字の対GDP比を、二〇一五年度までに二〇一〇年度比で半減、二〇年度までに黒字化を目指すという方針が打ち出されています。

 これを達成することになると、仮に消費税の引き上げを盛り込んだとしても、相当な規模での歳出削減、そしてさらには、社会保障費は自然増がありますので伸びていくんですけれども、その伸びを相当程度抑制していかなければいけないということになります。その規模からいうと、果たしてどこまでそれが実現可能なのかといったことを疑問視する声もございます。

 また、財政健全化というのは、当然、その手段としては、歳入をふやす、増税とかですね、あるいは歳出削減でありますから、これは直ちには景気にとってマイナスの影響があるわけでありまして、これを急ぎ過ぎると、まさに本当に深刻な事態に陥るということもあり得るわけであります。

 そこで、総裁は、政府の財政健全化計画、これをどう評価されているのか。なかなか言いにくい面があるかというふうに思いますけれども。また、長期的な財政健全化の方針というのは、これはもう明確に打ち出さなければならないのは当然のことなんですけれども、ただ、短期的には、やはり景気の動きというのはまだまだ非常に不安定な状況があります。そういった動向を見ながら、ある程度柔軟な対応の方が好ましいのではないかというふうな考えもあるんですけれども、その辺についての御見解を伺えればというふうに思います。

黒田参考人 二〇二〇年までにプライマリーサープラスを達成するという政府の方針、これは従来からそういう方向で考えられてきたわけですけれども、かなり中長期的に財政の健全化を図っていくということで、足元では既に、昨年度の補正予算であれ今年度予算であれ、さまざまな景気刺激へ向けた弾力的な財政運営はもう行われているわけですので、それらを踏まえて、二〇二〇年のプライマリーバランス達成、サープラスに転換するという方向は、私は、極めて適切な中長期的な財政健全化の方向ではないか、ただ、その具体的な内容として、毎年毎年どのような歳入とか歳出の措置を講じていくかということは、これはまさに、政府と国会の決定することであろうというふうに思っております。

上田委員 今お話しになったとおり、財政健全化というのも重要であるし、また、当面は、景気の動きというのも非常に不安定な面もあるので、それに対する配慮も十分必要である。経済成長と財政健全化、これを両立させていかなければいけないという非常に難しい課題にこれから取り組んでいかなければならないわけであります。そういった意味で、これは、政府それから日銀がしっかりと意思疎通をしていただいて、とにかく、経済成長そして財政健全化、この両方を両にらみしながら、機動的な対応をお願いしたいというふうに考えております。

 最後になりますけれども、今、日銀が、物価上昇、インフレターゲットを設けて、それと同時に金融緩和を行いまして、やはり今、いろいろな調査を見ていますと、今後物価が上がるというふうに予想する人の割合というのはかなり増加をしてまいりました。期待インフレ率が上昇しているということだというふうに思います。

 これが上昇すると、今度は、名目金利というのは実質金利と物価上昇率を足したものでありますから、当然、金利は名目上上がってくるということは避けられないことなんだろうというふうに思いますし、それは決してそんな悪いことなのではないというふうに思います。

 いろいろ、投資や消費の判断をするというときに、実質金利が一つの基準になってくるんですけれども、今後、この経済動向を見るには、やはり実質金利がどうなるかというのをよく注目していく必要があるんじゃないかというふうに思います。現状では名目金利が非常に安定をしておりますので、実質金利が結果的にかなり低下しているんじゃないかという認識を持っています。

 今の金利の現状並びに今後の動向について、また、それが実体経済に及ぼす影響についてどういうふうにお考えか、御見解を伺いたいと思います。

黒田参考人 御指摘のとおり、予想物価上昇率は徐々に上がってきていると思います。ただ、これは、急に大きく上昇するというよりも、実際の経済とか物価の動向も考慮しながら上がっていくという面もあるわけでございますので、十分この予想物価上昇率の動向は注視していきたいと思っております。

 先ほど申し上げましたとおり、いろいろな指標で見る限り、委員御指摘のとおり、予想物価上昇率は徐々に上がってきております。そのことは、実質金利がかなり低下しているということではないかと思っております。マイナスになっているかどうかというのは、いろいろな指標によりますけれども、一部の指標によれば、実質金利はマイナスになっている。いずれにせよ、実質金利が下がっているということは、あるいは下がっていくということは、設備投資その他、民間需要に対してプラスの貢献をするであろうというふうに思っております。

 日本銀行としては、引き続き、強い決意を持って量的・質的金融緩和を推進していき、できるだけ早期にデフレから脱却する、二%の物価安定目標を実現するということに邁進したいというふうに思っております。

金田委員長 時間が参りました。

上田委員 終わります。

金田委員長 次に、前原誠司君。

前原委員 民主党の前原です。

 きょうは、財務金融委員会で質問の機会をいただきまして、同僚議員また委員会の皆さん方に感謝を申し上げたいと思います。前半が黒田総裁に主に質問させていただき、後半は麻生財務大臣に質問させていただければ、こう思っております。

 まず、黒田総裁にお伺いいたします。

 六月の十一日の政策決定会合につきましては、さまざまな意見があるということは、総裁が一番御承知だろうと思います。

 主要新聞の見出しを若干御紹介いたしますと、朝日新聞「黒田緩和正念場 日銀、長期金利抑制策見送り」と書いてあります。日経新聞「決定会合、評価割れる」、毎日新聞「日銀、市場と対話難航」、こう書かれているわけであります。市場の催促に反応して一々対応していては、市場は次から次へと要求を重ねて、切りがない面もあるのは事実でございます。

 そこで、根本的な質問を黒田総裁にさせていただきたいと思いますが、四月四日に発表された量的・質的緩和というもの、これは向こう二年間の方向性を示されたわけでありますけれども、この方向性以外のことはやらないのか、つまりは、今後二年程度の期間は、発表されたこと以外の追加緩和というのはしないおつもりなのか。その点をまず確認させていただきたいと思います。

黒田参考人 金融政策の非常に重要なメリットというか利点は、その機動性、弾力性にあるわけでございますので、当然のことながら、経済あるいは金融の状況が変化すれば、それに対応した措置はとる、調節、調整は行うということでございます。

 ただ、四月四日に決定した量的・質的金融緩和は極めて大規模なものでありまして、二年程度の期間を念頭に置いて、二%の物価安定目標を達成するために必要かつ十分であると思われたものを採用したわけでございますが、実体経済、市場が大きく変わっていけば、当然、必要な調整は行うということでございます。

前原委員 もう一点、再確認でございますけれども、機動的な対応が必要だというのは、それは当然のことだと思いますけれども、今おっしゃったのは、この二年の、例えばマネタリーベース二倍、二百七十兆ですか、そういうものプラスアルファというものを考えられるのか、それとも、その二百七十兆という枠の中で月々の対応というものを弾力的、機動的に考えられるのか、どちらですか。

黒田参考人 四月四日に量的・質的金融緩和を決定した際の、発表した文書にも示されておりますとおり、四月四日に決定した政策自体の中にも一定の弾力的なオペの可能性というものが含まれているわけでございまして、当然、これまでの二カ月強の間も、市場との対話を通じてオペの手法はより弾力的にして、長期金利のボラティリティーを抑制するように努力をしてきております。

 それとともに、四月四日に決めたもの自体、一切二年間動かさないということではなくて、経済や金融の状況が大きく変化して、四月四日に決めたものでは不十分であるとか、あるいは過剰であるとか、そういうことになれば、必要な上下方向の調整は考えられると思います。

前原委員 それを伺って安心をいたしました。

 まず、きょうお配りをしている資料の三というものをごらんいただけるでしょうか。これが日経平均の推移。日経平均はきのうのものまででありますけれども、ドルも、きのうの午後の三時半でございます。先ほど日経平均を見ますと、きのうの終わり値よりは百四、五十円ぐらい今の段階では高目で推移をしている。ドルにつきましては九十五円台、こういうことでございますので、若干、そういう意味では、戻しているというか、下がった分については上がっているということであります。

 これを見ていただきますと、四月四日に異次元の金融緩和というものが発表されて、株価そして為替というものが基本的には上昇してきたわけでありますけれども、急激に下がる中でまた調整が行われている。

 株は、上がったり下がったり、また、これだけの異次元の金融緩和でありますので、市場が落ちついていくのは時間がかかるということについては私も理解をしているわけであります。ただ、一つだけ私どもが気になっているのは何かというと、一番下の長期金利でございます。

 長期金利の、国債、十年債の推移というものの中で、四月四日にどういう発表をされるかということで期待が先行し、織り込んだというものもあるかもしれませんが、〇・八、〇・九、こういったところで今推移をしているということにつきましては、問題ないと考えておられるのか、あるいは、問題があるとすれば、どこに問題、原因があると考えておられるのか、総裁のお考えをお聞かせください。

黒田参考人 五月に入りまして十年債の金利が上昇しました背景には、幾つかの要素があったと思いますが、一番端的には、御案内のとおり、米国で量的緩和からの出口論が盛んになりまして、米国の十年物の国債の金利が二%を超えて、その後も上昇しているわけでございますが、そういったことがやはり、金融資本市場が国際化している中で、ある程度の影響を及ぼすということはあったと思います。その他、ボラティリティーが日本の国内でも上昇していたということは好ましくないことであります。

 そこで、御承知のとおり、五月に再度、市場関係者と対話をいたしまして、オペの手法をさらに弾力化すると。毎月毎月のオペの額も、別に五十兆円の十二分の一ずつきっちりやるという必要はないわけでして、その前後でいいわけですし、また、平均残存期間についても、全ての期間の国債について買い入れを行えるようにはなっていますが、マーケットの状況に応じて、より短期の、三年から五年のものを少し厚目に買って、その辺が一番振れていましたので、そのボラティリティーを下げるというようなこともやっております。

 その結果、ある程度、長期金利は落ちつきを取り戻してはいると思うんですが、引き続き二つの面で、一つは、そのボラティリティーを極力下げるということ、それから、今後とも、いずれにせよ、年間五十兆円のペースで長期国債を買い入れていきますので、その金利に対する下方圧力というのは、いわば累積的にきいてくるというふうに思っておりますので、何としても長期金利の安定、高騰を避けるということについては最大限の努力をしていきたいというふうに思っております。

前原委員 二つのことについて注視をし、しっかりと取り組んでいきたいとおっしゃいました。ボラティリティーを下げるということと、金利の下方圧力をしっかり政策的にかけていきたい、こういう御発言だったと思います。

 総裁もいろいろとマーケットとお話をされていると思いますけれども、私もいろいろと金融関係者の方と話をしていて、一つ共通して、総裁の真意というものについてどこにあるのかと、今から申し上げることでありますけれども、そういう御指摘がかなり多いんです。

 何かといいますと、四月四日にはこういう発言をされているわけですね。リスクプレミアムに働きかけて、イールドカーブ全体の押し下げを目指す、こういうことをおっしゃっている。他方で、これは五月二十二日でありますけれども、株価の上昇が経済成長期待を反映しているとすれば、それに反応する国債利回りもファンダメンタルな動きとなってしまうということで、四月には、イールドカーブ全体を押し下げるということをおっしゃっているにもかかわらず、五月の二十二日の発言というのは、いわば金利上昇はやむを得ない、こういうふうにもとれる発言をされているということで、どちらが真意なのかといったところが大きなポイントだと私は思うんです。

 これは実は私自身も、この強力な金融緩和をやっていくに当たって、我々の政権のときは二%以下のプラスの領域で当面一%めどということでやってきましたけれども、CPIがプラスになれば当然ながら金利も上がってくるということの中で、引きずられるわけですね。

 そういうところの、言ってみれば、イールドカーブ全体の押し下げを目指すということと、しかし、株価の上昇が経済成長期待を反映しているとすればファンダメンタルな動きとなってしまうということで、金利上昇もやむを得ないという発言、これの整合性をやはりマーケットの方々はいぶかしげに思っておられるということなんですね。

 この点について、総裁の意図はどこにあるのか、わかりやすく説明していただけますか。

黒田参考人 量的・質的金融緩和の意図は、まさに大量の国債を購入し続けることによって、国債を保有することのリスクプレミアムを押し下げて、全体として金利に対する下方圧力を累積的に強化していくということであることは間違いありません。

 他方で、米国の場合のように、二%程度で物価上昇期待が安定しているというところでは、いわば名目金利が下がらないと実質金利も下がらないわけですが、日本の場合は、マイナスの、デフレ期待から、徐々にですが、二%の物価上昇に向けて物価上昇期待が上がっていくという局面では、必ずしも、常に名目金利が下がらないと実質金利が下がらないということではなくて、実質金利は、先ほど申し上げたように下がっていると思います。

 経済に一番重要な点は、もちろん、実質金利がどうかということでございますので、その面では効果を持っているというふうに思っておりますが、御指摘のように、若干、それぞれの御質問に対してそれぞれのお答えをしたことが、やや、日本銀行の量的・質的金融緩和の意図について誤解というか混乱を招いた面があったとすれば、大変遺憾であるし、反省をしております。

 これからは、十分、市場関係者を含めてよく説明をし、特に、引き続き、長期金利全体について下方圧力を毎月毎月加えていく、そして、ボラティリティーについてはできる限りそれが拡大しないように、さまざまなオペの手法の改善によって対応していきたいというふうに思っております。

前原委員 先ほど上田委員とのやりとりの中で、実質金利は下がっている、その理由としては期待インフレ率が高まっているからだという話をされておりましたけれども、資料四をごらんいただけますか。

 これは、市場から算出される期待インフレ率ということでありまして、一つの目安になると思うんですけれども、長期金利の上昇というものと合わせるように、このブレーク・イーブン・インフレ率というものについても足元では下がっているんですね。つまりは、期待インフレ率というのが下がっているということでありまして、私は、今、実質金利がどうなっているかということを、詳しい資料は持ち合わせておりません。これについてはまた日銀から説明を求めたいと思いますけれども、こういう統計もあるわけです。

 それからもう一つ、あわせて、時間の関係で申し上げておきましょうか。資料の二、これがイールドカーブでございますけれども、四月の三日が黒の実線、四月四日が灰色、黒の破線、それから赤が六月十七日ということであって、四月三日、四月四日と比べればということでありますけれども、イールドカーブは上がっているんですね。下がっていないということで、先ほどからお話をされていることについては、もともと総裁になられたときから、期待に働きかけることは極めて重要だ、特にゼロ金利政策のもとにおいては期待に働きかけることは物すごく重要なんだということを繰り返しおっしゃってきました。

 それが、資料四を見ていただくと、ブレーク・イーブン・インフレ率は下がり始めている。これからどうなるかわかりません。これについてどういう見解をお持ちなのかということと、イールドカーブ全体を押し下げるということをおっしゃっておりましたけれども、四月三日、四日と比べると、これはむしろ上がっていますね。そして、先ほど資料三でお示しをしたように、長期金利十年債の推移につきましては〇・八、〇・九のところでとまっているという状況を考えると、意図されたことについてはなかなかそれが実現できていない面もあるのではないか、その原因をどういうふうに受けとめておられて、どうすべきと考えておられるのか、その点についてお答えいただけますか。

黒田参考人 委員よく御承知のことと思いますが、このブレーク・イーブン・インフレ率というのは、マーケットで成立する物価に連動する国債の金利から算出されるものでございまして、非常に参考になるものであることは事実でございます。

 ただ、これは一つの指標であって、そのほか、エコノミストとか企業とか一般の消費者などに対するいわゆるアンケート調査その他によって、インフレ予想、インフレ期待がどう動いているかというのもまた重要な指標でございまして、それらは、全体として見ると、やはり期待インフレ率は上昇はしていると。ただ、一つ一つの指標で見ますと、区々の動きをしていることはそのとおりだと思います。

 このところの長期金利、名目金利がやや上昇したということは、いろいろな要素はあると思いますが、一つはやはりボラティリティーの問題、それからもう一つは、米国の量的緩和からの出口論が盛んになって、米国の長期金利がかなり顕著に上がってきたということが一定の影響をもたらしているんだろうというふうに思っております。

 しかしながら、外国の金融政策は外国がそれぞれの経済に最も適切なことをやっているわけでして、日本銀行としては、日本経済に最も適切な金融政策を実行しなければならない。そのためには、ボラティリティーを圧縮するとともに、リスクプレミアムを引き続き圧縮して、長期金利全体に対する下方圧力を続けていく、さらには毎月毎月のオペによってそれをいわば累積させていくということが、迂遠なようかもしれませんが、一番適切な対応策ではないかというふうに思っております。

前原委員 日銀の事務方で結構でありますので、実質金利、期待インフレ率、いろいろな指標があるというのは総裁のおっしゃるとおりでありまして、そういったものの目下の推移、こういったものを資料としてぜひ提出していただくように、委員長にお願いをしたいというふうに思います。

金田委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議いたします。

前原委員 よろしくお願いいたします。

 ボラティリティーの話をされておりますので、私自身の若干懸念も含めて、このボラティリティーについてお話をしたいというふうに思います。

 では、なぜこういう状況、変動幅が高くなっているのかということの理由の一つが、やはり、日銀が新規発行国債の約七割に当たる国債を購入しているということが私はあると思うんですね。つまりは、市場流動性がこれによって大幅に低下したわけです。そうすると、ちょっとした材料で金利上昇ペースが高くなり、ボラティリティーが高くなると国債保有リスクを減らさざるを得ず、あるいは減らそうという方向に動いて、国債の売却、つまり売却ということは金利上昇に動く、そういった金融機関があらわれて、それによりさらに金利上昇が加速をするというスパイラルにつながる可能性があると思うんですね。

 つまり、七割近くの新規国債発行の引き受け手になっていることによって、市場流動性が低下をし、マーケットが小さくなって、外的なインパクトに対して極めて脆弱な市場構造に陥ったからボラティリティーが高くなっているんじゃないですか。

黒田参考人 市場の流動性につきましては、さまざまな指標が考えられるわけでございますが、確かに、四月四日に新しい金融政策を発表した直後はかなりボラティリティーが上がりまして、そのときは、やや市場の取引も薄く、いわばビッドとオファー、ビッド、アスクのスプレッドが拡大したというような状況があったわけですが、その後、オペの弾力化によって、そこはおおむねおさまったわけでございます。

 最近の状況を見ますと、国債の市場での売買の取引はかなりの量がございます。それから、オファーとビッドのビッド・アスク・スプレッドもそんなに大きくなく、むしろ縮んでおりまして、それらの指標から見る限りでは、流動性が非常に不足して、それでボラティリティーが上がっているという感じは、少なくとも五月に入ってからの状況としては、余り観測をされておりません。

 ただ、流動性につきましてはいろいろな指標があり得ますので、御指摘の点は十分注視して、オペの弾力化によって適切に対応して、ボラティリティーが拡大しないようにしてまいりたいというふうに思っております。

前原委員 どのような御答弁をされたって、それは、マーケットの新規国債発行額の七割を日銀が買うわけですから、マーケットが狭くなってくる。そういう意味においては市場流動性が低下するというのは当たり前の話なんですね。

 そういったところで、今どういう動きが出てきているかというと、国債の保有残高について国内銀行が減らす動きが出てきているということなんです。これについて、総裁は是とするか非とするかということを最終的にはお伺いしたいと思うんです。

 これはどういう観点から伺おうとしているかというと、つまりは、先ほど市場流動性が非常に低下しているということを申し上げたわけでありますけれども、そのことによってリスクが高くなってきているわけであります。日銀は、いや、それでいいんだ、もうちょっと違うリスク資産というものを買ってもらうために、国内の金融機関、それは都市銀行であれ地域銀行であれ、国債の引き受けを減らしてもらって結構なんだ、むしろほかのリスク資産というものの運用に回してもらった方がいいというお考えなのか。あるいは、そうではなくて、要は、自分たちが新規発行国債の七割を買っているがゆえに、私が先ほど申し上げたような、流動性が大幅に低下して、結果として、国内銀行が、言ってみれば国債を持てなくなってきているということについてはマイナスと捉えるのか。どちらが、今の、総裁、日銀としてのお考えですか。

黒田参考人 年間五十兆円のペースで長期国債を市場から購入していきますので、当然、金融機関であれそのほかの市中の国債保有額というのは、その分だけは、そうでない場合と比べると減少する。そこは他のポートフォリオに移っていかなければならないわけですので、その先が社債であるのか株式その他なのか、あるいは貸し出しなのか、そこは金融機関のそれぞれの経営判断というかリスク管理のもとで判断されることだとは思いますが、基本的に年間五十兆円のペースで国債を買い入れるということは、その分だけは当然ポートフォリオリバランスが進んでいく。

 ただ、ボラティリティーが高まることによって国債に対する需要が、そうでない場合と比べて減少して、その結果として、国債価格が下落する、あるいは国債金利が上がるということは確かに好ましくないことですので、その点は、市場との対話を通じて、適切なオペの弾力化等をこれまでもやってまいりましたし、今後とも十分考えていきたいというふうに思っております。

前原委員 今のお話を伺った背景の一つとして、六月の十一日の政策決定会合で、新たな長期金利安定化策の導入について、メリット、デメリットを議論されたと思います。現時点では必要がないというような結論になったわけでありますけれども、ただ、住宅ローン金利は二カ月連続、長期金利に連動する企業向け貸出金利は三カ月連続で上昇しております。

 デメリットは何かということで、これは報道されていることで、それが是か非かということは御答弁いただきたいんですけれども。

 要は、金融機関が国債よりもリスクが高い融資などに資金を移すことが、七割に相当する国債を購入する目的の一つである。したがって、長期金利安定化策というのは、金融機関に超低金利資金を貸し出す期間を延長してより国債を買いやすい環境を整えるというのが議論されたと思うんですけれども、それをやらなかった理由というのは、国債購入を進めるための超低金利貸し出しの期間延長をやると、先ほど申し上げた、国債よりもむしろリスクが高い融資などに資金を移す目的との整合性が問われるということで、メリット、デメリットの中のデメリットにカウントされたという話であります。

 これについて、つまりは、六月の十一日の政策決定会合で議論された中身、今私が申し上げたことについては、これでよろしいですか。

黒田参考人 御指摘の論点は、これまで一年までの固定金利オペ、共通担保をベースにした固定金利オペというのを何度か打ちまして、それが金利のボラティリティーを減らすのに一定の効果を持った。ただ、常に効果を持つのか、今後とも必ず効果を持つのかというのはいろいろ議論があると思いますけれども、一定の効果を持ったことは事実でございまして、今後とも必要があればそれは行えるわけですが、それを一年と言わず二年までできるというようなことをしてはどうかという議論が民間の市場関係者との対話の中であったわけでございます。それについて政策委員会で議論したことは、そのとおりでございます。

 ですから、一定のメリットが一年以下でもあったわけですので、二年以下にまで延長すれば、いわばオプションも広がって、調節手段も広がるわけですから、ボラティリティーの抑制にはより効果的な場合があり得るということは、そのとおりなのだと思います。したがって、こういったことを一切、今後、未来永劫絶対してはいけないとか、やらないとかいうことではないと思うんです。

 他方で、これまでの措置によってボラティリティーも大分おさまってきて、二十年物の長期金利も比較的安定を取り戻し、それより短いのはむしろ下がってきているわけですね。そういう中でこういったことをやった場合に、デメリットとしては、いろいろな議論があったわけですが、これはあくまでも四月四日に決定した量的・質的金融緩和の範囲内での議論でありまして、あれを変えるという話ではないわけです。ただ、〇・一%で二年のオペをするということが、どのようにとられるのか。

 それから、他方で、先ほどもちょっと御説明いたしましたが、貸し出し支援の仕組みを講じて今やっているわけですが、これは〇・一%で三年の貸し出しを金融機関に対して行う、それは金融機関が貸し出しを増加した分一〇〇%まで認めるということで、相当大量にそういった短期から中期の資金を固定金利で供給しているわけですね、一方で。ですから、そういったこととの兼ね合いをどう考えるかとか、さまざまな議論がございました。

 その中で一番決定的だったのは、現在いわば執行部が与えられているマンデートの中でそれなりの効果を持ってきているわけですので、その中で引き続き努力していく、それで安定を図っていく。もちろん、将来的に何かそういう必要性が出てくれば、政策委員会で審議して、賛成が得られれば、当然それを一つのツールにするということになろうかと思いますが、前回の時点では、さまざまなデメリットというか懸念を考慮すると、メリットはあることはあると思われるけれども、今それをあえてやる必要はないのではないかという結論になったわけでございます。

前原委員 私が質問したことについて直接お答えになっていないかもしれませんが、いずれにしても、六月の政策決定会合で、現時点では、長期金利安定化導入についての必要がないとの結論となったということでありますが、今後、動向を見ながら適切に対応する、そういうことでございますね。

 資料の一をごらんいただきたいと思います。

 日銀の政策目的の大きなものは物価の安定であります。そしてまた、黒田総裁率いる今の日銀の体制では、二年で二%ということをおっしゃっているわけであります。この資料一を見ますならば、上の青い線がコアのCPIです。そして、下がコアコア、つまりは食料とエネルギーを除いたものであります。四月で、コア、マイナス〇・四、コアコアでマイナス〇・六ということであります。

 端的に伺いますが、二年で二%の物価上昇というもの、今までやられている中で、これは可能であるというふうに思われるか、今のこの状況を見てですね。それと、その道筋についてどう描いていくのか。これについてお答えをいただきたいと思います。

黒田参考人 まず、二%の物価安定目標については、二年程度を念頭に置いて量的・質的金融緩和を決定したわけでございますので、当然のことながら、そのくらいの期間で二%程度に消費者物価の対前年比が到達するというふうに、今でも考えております。

 そこで、その道筋でございますが、今足元で、生鮮食品を除いて全国でマイナス〇・四であることは事実ですが、初めに申し上げたとおり、東京では五月にプラスの〇・一になっておりまして、東京がいつも一カ月先まで出るわけですが、東京と全国とは比較的類似した動きをいたしますので、恐らく全国の五月もゼロ前後になり、そして六月、七月とだんだんプラスになっていく、そのプラスも、トレンドとしては少しずつ上昇していくというふうに思っております。

 物価上昇率が二%程度に達するまでの道筋でございますけれども、今年度、来年度、再来年度と、実質経済成長率の見通しを政策委員会の九人のメンバーの中央値と幅で示してございますが、その中央値を見ますと、今年度は三%近い成長で、来年度、再来年度と、消費税増税の影響を考慮しても、一%台の半ば程度になるのではないかということでございまして、いずれも、現在の日本の潜在成長率は一%を相当下回っているわけですから、それをかなり上回った水準でいくということで、GDPギャップが縮んで、さらに若干プラスになるという効果が期待できるわけです。

 そのもとでは、当然ですけれども、物価上昇率は次第に上昇していく、それと、期待物価上昇率が上がることによって、いわばGDPギャップと物価上昇率との関係を示す曲線自体が若干上方にシフトするということで、双方相まって、GDPギャップが減ってプラスになっていくということと、期待物価上昇率によってその関係自体がシフトしていくということで、二%程度の物価上昇率になるだろうと。

 ちなみに、政策委員会のメンバーの中央値では、二〇一五年度の消費者物価上昇率について、消費税二%、二〇一五年度にさらに上昇するわけですけれども、その直接的効果を除いたところで、一・九%ぐらいの上昇になるのではないかという見通しでございます。

前原委員 これから数字がどういう推移をしていくかということはしっかりチェックをさせていただきたいと思います。

 一つ、我々、三年三カ月政権にいる中で、数字を申し上げれば、GDPもかなり実質は拡大をいたしました。そして、今おっしゃった需給ギャップというのは、三十五兆円から十五兆円まで縮小して、やはり一番大きかったのは、有効求人倍率が〇・四三から〇・八二になった。失業率が五・四から四・〇まで下がったということで、金融政策だけではなかなか難しいと思うんですね。やはり雇用の問題とか、さまざまな施策をミックスさせる中でやらなきゃいけないということで、政府との連携をぜひ強めていただく中で、いい形で、おっしゃっていることは実現するということは我々望ましいことでありますから、こういう機会でしっかりと問題点をチェックさせていただきながら、しっかりとこれからも金融政策のかじ取りをしていただきたい、こう思っております。

 麻生大臣に御質問いたします。

 G8サミットが終わりまして、日本の財政健全化への取り組みというものが注文として突きつけられたわけであります。

 二つ、前提として伺った上で、このG8サミットでの宣言を受けて、どのような財政健全化をやられようとしているのかということをお聞きしたいと思います。

 まずは、二〇一五年の二〇一〇年比PB赤字半減、二〇二〇年のPB黒字化というのは国際公約でありますが、これはやり遂げられるのか。あるいは、今の経済というものを前提とするのであれば、十月には消費税引き上げというものを決められるのか。その二つをお示しいただいた上で、今後の財政健全化への大臣としての心構えをお話しいただきたいと思います。

麻生国務大臣 G8サミットで、いろいろ報道されておりますけれども、この長い英語の文章の最後のところにハウエバーという、そこの二行だけが指摘されたところで、あとのところは総じてポジティブ、極めて好感を持って迎えられたというのが事実。日本だとこの二行の方だけが大きく書かれていますけれども、現実はかなり違っておる。違っているという点だけ……(前原委員「そんなこと、言っていない。質問にだけ答えてください」と呼ぶ)G8の話をされたから、そこのところだけ頭に入れておいてもらわないと、ちょっと話が、えらく違ったようなことになるんだと思っております。

 それから、今の御質問ですけれども、財政健全化の目標というのは、これは、今回のG8に限らず、私どもの出ましたG20でも、それからG7の蔵相会議でも同様の質問が出て、同様の答えをしておりますので、私どもとしてはその方向で、例の二〇一五年、二〇二〇年というあの数字を申し上げ続けてきておりますので、その方向で事を進めていきたいと思っております。

 消費税の話につきましては、私どもずっと申し上げておりますとおりに、これは三党の合意でこれをここまでやってきたんですから。今の指標を見るにおきましては、少なくとも、一月当時と比べて今の方がはるかに、物価等々のことを考え、また、GDPの伸びを考え、少なくとも、マイナス三・五がプラスの四・一まで上がってきているということは、状況としては、この十月に物を判断するときには、我々の、三党で合意した方向のものが出しやすいものになりつつある状況にあるとは思っておりますが、いずれにしても、まだ三カ月、四カ月ありますので、その段階で、さらにこういったものが上がっていく、きちんとそういった判断ができるような方向で動かしてまいりたいと考えております。

前原委員 麻生大臣に、歳出改革の主要分野についてお話を伺いたいと思います。

 これは、時間がなくなってきたので私の意見を申し上げます。そこでポイントを幾つかお答えいただきたいんですが。

 やはり一般歳出の中身で今五四%を占めている社会保障、ここは聖域では全くないと私は思っておりまして、社会保障をどのような観点から効率化させていくのかということが一つだと思います。

 二つ目は、私は、権限、財源をできるだけ地方に移譲した上で、地方交付税交付金の額はやはり圧縮していく。そして、足りないものについては地域で、自前で財源というのを見つけてもらうようにしむけていくということが大事だと思っています。

 それから三つ目につきましては、公務員の人件費。国家公務員の方々がたくさんおられる中でなかなか言いにくいんですが、復興財源として七・八%の引き下げを御了解いただきました。一年間で約二千九百億円、そして二年間で五千八百億円ということであります。今の財政状況を考えるならば、国会議員は一四%程度の削減を今でもやっているわけでありますけれども、いわゆる復興財源ではあるけれども、全体の財政状況を考えたときに、七・八という数字にこだわるかどうかは全く別の話でありますけれども、やはり我々のような特別職も含めた国家公務員の給与カット。

 私は、社会保障の効率化、それから地方交付税交付金をあり方を見直す中で圧縮していくということ、そして公務員の給与というものの見直し、この三点はやはり必須だと思うんですが、これについての財務大臣のお考えをお聞かせください。

麻生国務大臣 今何点か言われたんですが、社会保障の分野につきましては、社会保障国民会議等々で今いろいろな議論をなされておるところです。こういう一般歳出のかなりの部分を占めるこの分野が下がらない限りは、全体として毎年一兆円に上る社会保障というものが今後続いていくという前提でこういうものをやっていたら、とてもではありませんけれども財政としてはもたぬ、そう思っておりますので、この点につきましては、今いろいろな案がプロの方で、何回かその会議に出ましたけれども、実に細目にわたっていろいろ議論がされておりますので、そういったものをきちんとと思っております。

 地方財政につきましては、私どもも基本的には同じようなことを考えておりますが、地方も、前原先生、やはり経営能力のある知事とない知事じゃえらい差が出るのはもう御存じのとおりですから、もうこれ以上言う必要はないと思いますので。そういった意味で、ここのところを見ながら、できるところの方にはぜひというような形で、何かすれば俺のところはもっと使い前がふえるんだというようなやり方を何か考えないといかぬものだと思っております。

 公務員の人件費の引き下げは、これは二年間の限定措置ということになっておりますので、現時点で決まっているわけではありませんけれども、今後この問題は、物価が仮に上がってきたときに、このまま下げ続けるとか、さらに下げるとかというような話はなかなかそれは現実論としては難しい、そう思います。安易に引き上げるというつもりはございませんけれども、少なくとも物価が仮に二%上がってくるというようなことになったときにおきましては、これはこちらの方だけを下げるというのはなかなか現実的ではない、そのような感じはいたしております。

金田委員長 時間が参りました。

前原委員 時間が来ましたのでこれで終わりますが、社会保障については、御持論の終末期医療の問題とか、あるいは、参議院選挙前には見送られました、七十歳から七十四歳までの窓口負担を本則二割に戻すという話も含めてやはりしっかりやっていただかないと、財務省が出された慎重シナリオでは、消費税が五%上がっても五年ぐらいでその分がなくなってしまいますので、そこは我々も、ただ単に文句を言うだけではなくて、なお具体的な案を出させていただき、また、財政健全化に対する法案も提出をしておりますので、この点についてはいい方向でしっかりと折り合えるように議論をさせていただきたいと思います。

 質問を終わります。

金田委員長 次に、松田学君。

松田委員 日本維新の会の松田学です。

 この国会もそろそろ終わりに近づいていまして、予算委員会や財務金融委員会でも、アベノミクスに関してはいろいろと議論させていただきましたが、まだ若干、時間不足で、基本的な点、お聞きしたい点が残っていますので、日銀総裁と麻生大臣にお聞きしたいと思います。

 まず、質、量、両面での異次元の金融緩和に関してなんですが、今回のこの政策をとって、これは日本もボラティリティーという問題がありましたが、世界市場も必ずしも安定していないというか、一つは、バーナンキFRB議長の御発言もあって、もう一つは、日本が異次元の緩和政策をとったのに意外と日本の長期金利が乱高下したというのも一つの原因であるという指摘もあるようなんですけれども。そもそも、中央銀行が思うようにマネーをふやして金融政策ができるのかという基本的な問題も、ちょっと、私もいろいろ聞きたいことがあるので、それとの関連でお聞かせいただきたいんです。

 デフレは貨幣的現象である、我々はそういう立場に立って、今回の金融政策の方向に反対するわけではないんですが、しかし、貨幣といっても、要するに、それは、お配りした資料、これは、貨幣数量方程式、MVイコールPT。Mというのは、マネーサプライが貨幣であって、日銀のいわゆるマネタリーベースではないわけで、マネーサプライがふえなければ、貨幣的現象といっても、貨幣がふえるわけではない。本当にMがふえるのかどうかという基本的な問題があるわけでして、仮にMをふやしても、実体経済にちゃんとそれが回らないで、つまり、V、流通速度が低下するようでは、これも物価が上がっていくということにはならない。

 特に、金融政策がきかない状態ということでよく経済学で言われているのは、流動性のわなという言葉が言われていますが、これは簡単に言うと、日本は今、多少金利は上がったといっても、世界の人類史の中でもめちゃくちゃ金利の低い状態であるわけですね。この状態で人々は債券を買う場合、これから金利が上昇すると予想した場合、債券価格が下落していくと予想すると、幾ら貨幣供給が増しても、資金は債券購入に回らない、だから、金利はそれ以上低下しようがないということが、簡単に言うと流動性のわなと言われている状態なんです。

 お配りした資料で、これも経済学でよく出てくるIS・LM分析。左側は通常の場合で、右側が、LM曲線が横に寝ている状態ですと、LM曲線を右に動かすのが通貨を増大するということですが、これですと、全く経済にきかない。この場合においては、いわゆるIS曲線という、実体経済の方で有効需要を拡大するしかないというので、ケインズ政策が有効であるということが言われてきたわけなんです。

 日本の現状で、本当にこの流動性のわなという状態にあるのであれば、金融政策というのは、もちろんその場合、後で議論しますが、実質金利という問題になってくると思うんですが、どういうふうな状態にあるか、まずこの辺の認識を日銀総裁にお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、山本(幸)委員長代理着席〕

黒田参考人 確かに、金利、特に短期金利はもうゼロ近傍に来ていますので、これ以上下がりませんし、おっしゃったような流動性のわなというようなことがもう少し長い金利のところでもあるとすれば、金利が下がりにくくなるというような事態というのは理論的にはあり得ると思います。

 ただ、現時点で、日本のみならず欧米の中央銀行が直面している事態は、やはり、短期金利がゼロに張りついている中で、いわば短期金利の操作によって金融緩和とか引き締めを行うという伝統的な手法が使えなくなったということで、いわゆる量的緩和というのをやっているわけですが、それも、実は、マネタリーベースを量的にふやすというだけでなくて、さらに、まさに量的、質的と言っているように、欧米の中央銀行も全て、長期国債を直接購入して長期金利に直接働きかけることをやっているわけでございます。

 したがいまして、日本銀行の行っている量的・質的金融緩和というのはまさにそういうことをやっておるわけでして、幾つか重要な点があると思いますが、まず第一には、二%の物価安定目標をできるだけ早期に、二年程度を念頭に置いて実現するという強いコミットメントをしているということ、それから、そのもとで量的のみならず質的な金融緩和を行っているということで、長期国債の長目のものも買っていますし、さらにETFの保有額をふやすという形で、民間のリスクプレミアムも圧縮しようとしているということでございます。

 したがって、確かに、御指摘のような懸念というのは理論的にはあり得ると思うんですけれども、現時点で、日本銀行ないし欧米の中央銀行が直面している問題は、いわゆる流動性のわなということで、直接というよりも、むしろ短期金利がもうゼロになってしまってそれ以上下げられない。したがって、長期金利に働きかけるとかリスクプレミアムに働きかけるとか、あるいは直接的にリスク資産を買い取るとか、そういったことを手法としてはやらざるを得ないし、やっているし、それが一定の効果を持っているというふうに思っております。

松田委員 期待に働きかける場合、確かに、先ほどからブレーク・イーブン・インフレ率の話が出て、若干上がったり下がったり。期待に働きかけるというのは、でも、本当にそれが効果をあらわすためには、やはりもう少し遠い、二、三年ぐらい先まで、どういうふうな道筋で経済が動いていくかというところを示さないと、本当に期待が定着しないといいますか、ブレーク・イーブン・インフレ率も下がっているという話になってしまう。

 その中で大事なのは、これは、当局はなかなか言えないと言ったが、やはり金利がどう動いていくかというイメージを市場が持てるようにしないと、今、流動性のわなかどうかは別にして、これに近い状態のもとでは、実質金利を下げるしか、つまり、貨幣価値を下げるという予想をつけて借り手の負担を低下させる、実質金利を下げるということしかないわけですね。

 実質金利を下げるためには、名目金利が余り上がっちゃうと実質金利は打ち消されてしまうものですから、そうすると、先ほどもお話が出ていますが、やはりある程度、名目長期金利というのはしばらくの間は上げないで何とか推移させていく。その中で実質金利が下がっていって、そして実需が出てきて、貨幣需要が増大してきて、実体経済がよくなって、そして資金需要が増大してきて、期待インフレ率がさらに上がって、そして、マネーサプライもふえて、期待インフレが上がっていく。そういう道筋を金利と一緒に示していくべきだと思うんですが、その辺については、総裁、いかがでしょうか。

黒田参考人 御指摘の点は、理論的にそのとおりだと思います。ただ、実際問題として、中央銀行が直接コントロールできるものというのはマネタリーベースであり、あるいはそのマネタリーベースをふやすために、量的・質的金融緩和ということで申し上げているとおり、長期国債を年間五十兆円ずつ買っていくとか、ETF、REITを買っていくとかといったことによってイールドカーブ全体に働きかける、あるいはリスクプレミアムを圧縮するということになるわけでして、やはりいずれの中央銀行も、長期の特に実質金利を下げるということによって景気を刺激し、あるいは、日本の場合ですと物価安定目標を達成するということになるわけですが、その場合に、中央銀行が直接的に長期金利の道筋を示すというのが一番いいのかどうか。

 実は、御承知のように、日本銀行は、成長率と消費者物価上昇率について、向こう三年間の見通しというものをかなりクリアに示しているわけですね。ですから、そういう意味では、その中で長期金利がどのように展開していくかというのは、中央銀行が直接に示すというよりも、いわば間接的に示しているということで御理解をいただきたいというふうに思います。

松田委員 今回、異例の、バランスシートを二倍にするといいますか、そういう政策をとったこと自体についてちょっとお伺いしたいんです。といいますのは、規模が大きい、異次元というのは、それは非常にいいんですけれども、逆に、いろいろなリスクも同時に拡大させる可能性があるわけですね。

 例えば、今回、日銀がバランスシートを一四年末に向けて非常に拡大させるという。そのバランスシートも、日銀のバランスシートというのは基本的に長期国債とか、資産の部はそういうことなんですが、負債というのは銀行券と当座預金。銀行券はこの二年後に向けてほとんどふえていなくて、専ら当座預金が莫大な増加をする形でふえている、こういう形でバランスシートのつじつまを合わせているわけですが、これは逆に言うと、もし民間の金融市場で有利な融資先が出てきた、銀行はもっともっとお金を貸そうとして、そうすると、当座預金を引き出してお金を貸し出しに回そうという動きが当然これから想定されるわけですね。

 いろいろな調整手段はあると思いますが、売り出し手形を使うとかいろいろな手段があるとは承知していますが、これが仮に大規模に起こった場合、バランスシートのつじつまを合わせるために長期国債を多少は売却しなきゃいけないとか、そういうことに追い込まれるとか、そういったリスクも、一方で全く想定できないわけじゃないように思うんです。

 そういった場合にどういうような手段を講じて、この長期国債、もともと銀行券ルールというのは私は余り意味がないと思っていたんですが、よくよく考えてみると、銀行券というのは、いわば無期限無利子国債みたいなものでして、これで長期で借りて、長期で長期国債に運用している。ALM上、非常に理にかなっていたわけですね。

 今度は短期で借りて長期の国債を買うということをやるわけですから、この辺の最終的なつじつま合わせというのはきちっとできるのかどうかという点についても御説明いただければと思いますが、いかがでしょうか。

黒田参考人 御案内のとおり、日本銀行のバランスシートは、資産側で国債その他を買い入れることによって、負債側の当座預金が当然ふえているわけでございます。

 逆に言いますと、資産を売らない限り当座預金はそのままの額でありまして、個別の銀行が日本銀行における当座預金を引き出しましても、それは誰かの預金になってまた戻ってくるだけですので、何か日本銀行が主体的にその資産を売却するということをしない限り、当座預金が減少するということはない。

 問題は、将来、二%の物価安定目標が実現された暁に、現在の量的・質的金融緩和をそのままの形ではなくて修正していくということになった場合に、どういった形でそれをやっていくかということはありますが、それはあくまでも出口の議論でありまして、日本銀行が何か、銀行が当座預金を使ってほかの資産に回したので日本銀行のバランスシート上、困って資産を売らざるを得なくなるというようなことにはならないというふうに思います。

 むしろ、出口論として、そのときにどういう手法で修正をしていくかということだと思いますし、現時点では、入ったばかりですので、出口を議論するのはやや時期尚早ではないかと思っております。

松田委員 例のバーナンキ発言があってアメリカの株価を下げたりしたのも、やはり、余りにも大きいことをやっていると、それが市場では常識になってしまって、そこからちょっと変化すると普通の変化以上に大きなインパクトを与えてしまう。これは非常に不安定性を増してしまうということもあるものですから、そういったいろいろな意味での説明責任が、日銀には以前に増して大変重くなっているという気がいたしております。

 おっしゃることはよくわかります。ただ、出口戦略という、きょうはあえて、出口戦略という話は今まで随分出てきたのでお伺いしませんでしたけれども、相当気をつけなければいけない事態が将来来るんじゃなかろうかということだけ申し上げておきたいと思います。

 それから、次に、実体経済の話で、政府の成長戦略では、経済成長についての望ましい一つの経路として、実質経済成長二%、名目で三%というのがとりあえず出されているようでありますが、そうすると、GDPデフレーターは多分一%で、CPIというのはGDPデフレーターよりも大体一%ぐらい高いとすると、CPIは二%と整合的だという意味で、日銀とも整合的なのかなというふうな理解をしているんです。

 今、財政制度審議会の報告にも、奇妙な安定という言葉がありまして、企業の設備投資が伸び悩んでいるから民間部門に余剰資金があって、それが国債に向かっているから金利が低い、だから財政が回っているというふうな指摘、非常に鋭い指摘だと思いますが、デフレ脱却というのは、この奇妙な安定を崩すことであるわけですね。これはどこにあらわれてくるかというと、結局、長期金利の上昇という形であらわれざるを得ないわけですね。そうすると、今までの過去の経験則から見て、名目成長率が長期金利を上回るというのは、バブルのときの名目四%ぐらいの成長をしたときぐらいしかなかった。としますと、名目三%ぐらいの成長のときに、依然として、恐らく、長期金利の方が名目成長率よりも高いというのが普通のケースだと思われるわけですけれども、その場合には、仮にプライマリーバランスが達成できても、国債発行残高の対GDP比は拡散を続けている。これも金利上昇圧力になる。

 まず、この成長経路について、日銀としてどう考えているのかということと、この状態を実現したときに、長期金利を名目成長率よりも抑える、そういう方針で、それによって財政ともつじつまが合うように運営していくということを視野に入れて考えていくのか、その点についてお伺いしたいと思います。

黒田参考人 ただいま御指摘の、実質で二%、名目で三%という政府の想定は、これは当然のことながら、先般策定された成長戦略などを政府が着実に実行に移すということを前提にして、成長率が高まり、名目GDPも三%成長するという姿だと思っております。それは、成長戦略その他を実行することによって実現ができると思います。

 ただ、それだけで、自動的に財政状況が健全化して持続可能なものになっていくということは想定できないわけでして、まさに先ほど麻生副総理が言われたように、二〇一五年までにプライマリーデフィシットを半減し、二〇二〇年までにプライマリーサープラスを実現するという財政再建のシナリオを実現するためには、歳出、歳入両面にわたる再建努力、健全化努力が必要であって、それによって初めて債務GDP比率がピークアウトして、将来低下していくことが期待できるということで、実質で二%、名目で三%成長が実現されればそれで自動的に財政が再建されていくということではないと思います。

松田委員 全くそのとおりなので、その際に、長期金利というものがいわゆる名目成長率を上回る状態でありますと財政再建に向かわないですから、その辺について、ちょっと日銀総裁のお考えを伺いたかったんですが、時間がございませんので、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 中長期の経済成長の前に、まず来年度の経済ですね。今年度は確かに、アベノミクスの効果で公共事業もふえていますからあれなんですが、一旦いわゆる政府投資というものが、土台がことし十五カ月予算ということで上がっておりますので、来年度に入りますと、これは自動的に、これが臨時異例のものだとすれば、数字の面では政府投資がマイナスになるわけですね、もとに戻すということであれば。

 それで、それに加えて、消費税も上がる。消費税を上げることは私は反対ではありませんけれども、それによって政府の資金不足、赤字国債が減るでしょうから、そのあたりを総合的に勘案すると、赤字国債が減るという、マクロ的なバランスでいうと景気のマイナス要因であり、そしてかつ、公共投資の縮小が、これも成長率そのものにはマイナス寄与になっていく。そうすると、かなり、来年春以降の経済が今から心配されるわけでして、消費税の引き上げをどうするかというのをことしの秋に決めるといいますが、ことしの秋に出てくる経済指標というのは大体ことしの春から夏までの間で、一番大事なのは来年の春なんですけれども、その辺に向けた全体的なポリシーミックスとか、そのあたりについて麻生大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。

麻生国務大臣 今言われたとおり、来年の四月ごろどうなっているかというところは、これはことしの十月以上に、来年の四月ごろどうなっているかの方が現実問題としては重要な問題なんだ、私はそう理解をしております。したがいまして、この十月、大体半年ぐらい前にという話で、今、十月ということになっておりますけれども、この十月に決めるときには、四月の状況をある程度予測してやっておかねばならぬと思っております。

 今のような情勢が、少なくとも経済指標が総じて上がっているという状況が今後半年間なり一年間なり続くという前提を考えてそこで決めるか、これはまだまだ何か起きるかもしらぬということを考えてやるか、なかなか判断の分かれるところだとは思いますけれども、基本としては、三党合意というものがきちんとやっていけるような方向で経済というものを運営していかなきゃいけませんし、来年の予算編成というのは、八月ごろになりますと、いわゆるシーリングやら何やらいろいろなものが出てきますので、そのときには、公共工事等々を含めて、十五カ月だったのを今度は十二カ月で計算するわけですけれども、当然のこととして、そこら辺は十分に配慮した上で、ある程度、どんなに前倒し効果があっても、四月に一回落ちることは覚悟しなきゃなりませんので、そこのところを考えて対応していくというのが大事なところだと思っております。

松田委員 私自身は、政府投資というか、公共事業はけしからぬとまでは思わないんですね、必要な公共投資というのはもうかなり出てきているので。

 お配りした資料で名目公的固定資本形成と建設国債発行額の推移とありますが、これを見てみると、九〇年代に比べて、二〇〇〇年代の後半というのは、大体政府投資の水準が半分ぐらいまで落ちているというのも、これは確かに異常な落ち方であるのも間違いないわけです。本当はニーズに全然即していないぐらいのところまで絞り過ぎてしまっているというのもあるかもしれないと思わないわけではありません。

 そういった意味で、アベノミクスの第二の矢というのは、方向として全く間違っているとは思いませんが、しかし、そもそも政府投資というのは、国民の厚生を高めるために必要なものを計画的、段階的にやっていくべきものであって、急激に景気対策のためにふやしたり減らしたりというのは、九〇年代、非常に我々も失敗をしたわけですから、そこのところを考えていくと、余りにも急激に拡大すると、次の年はまた減らすのかという話になってしまいますので。

 そのあたりのところを考えると、来年度以降の経済運営を考えたときに、消費税を上げて赤字国債を減らすという、これはもう絶対やらなければいけないことを前提としながら、国債も余り、建設国債と赤字国債を何で同じ六十年償還でやっているのか、私もそのことについてもちょっとお伺いしたいんですが、そのことも含めて、もう少しめり張りのきいた財政運営というのを知恵を出していかなければいけない。そのために、我々は財政責任法案というのを今国会に出したんですけれども、その点についてもちょっと麻生大臣の御見解を伺いたいと思います。最後に一言、御見解を。

麻生国務大臣 ちょっと時間がないみたいなので、六十年公債のルールの方の観点ですか。

松田委員 その点で、もし参考人でもよければ、どうぞ。その後、麻生大臣の方から。

麻生国務大臣 これは、六十年償還ルールというのは、もうよく松田先生御存じのとおりなんだと思いますけれども、いわゆる公債の発行によってつくり出される固定資産が国民の生活向上等々に役に立つから等々の理由で、その見合いとなる資産が平均的な効用というのを発揮し得る期間を、目安として大体六十年と定めたものなんだそうです。そのころは、何だか知りませんけれども、セメントの寿命も大体六十年が限度やというので六十年と決まったんだぜと、私はセメント屋に入ったときに教えてもらったんです。本当かどうか知りませんけれども、そういう経緯でこれは六十年になったんだそうです。

 ただ、特例公債につきましては、これは昭和五十年の発行当初に、いわゆる満期になったときに全額を現金償却することとされていたんですけれども、これが、御存じのような財政状況等々で、ずっと歳出カットやら何やらで繰り延べ、繰り延べになっていって、結果として、やむを得ず借りかえ債の発行を認めるというような形がこのルールになっておりますので、これが建設公債と同様に六十年償還されるようになったのは、多分、資金繰りの都合が一番大きな理由だった、私はそう理解をしております。

 いずれにしても、こういったものは、市場の状況もありましょうし、資金繰りの都合もあろうとは思いますけれども、なるべく早く、繰り上げ償還なら繰り上げで返せるような努力というものは今後ともしていかないと国債の信用問題にかかわってくる、私どもはそう心得てやっていかねばいかぬものだと思っております。

松田委員 どうもありがとうございました。

山本(幸)委員長代理 次に、桜内文城君。

桜内委員 日本維新の会の桜内文城です。

 この委員会室には、黒田総裁を初め、何人もの大蔵省の先輩後輩がいます。元大蔵官僚として、税制改正、税法改正の過誤という件でこの財務金融委員会の質疑に立つことは、ざんきにたえません。

 本件は、山口副大臣がわざわざ私の会館事務所にまで来られて、大蔵省時代を含め前代未聞とおっしゃったほどの重大な不祥事です。税法だけでなく、予算においても約一億円の歳入欠陥が生ずる以上、本来ならば、予算そのものも間違っていたこととなります。

 財務大臣は、担当局長に対し、いかなる処分をするのでしょうか。

麻生国務大臣 これは、今言われましたように、国民生活に大きな影響を及ぼさないようにというのを最初に考えて、所得税法等の改正を改めてやり直すというのは、これはちょっと幾ら何でも、もう既にそれを前提にして経済的行為が行われておりますので、そういった意味では、今回のところは、まずは大綱とのそごというものを来さないようにすることで、私どもとしては、事実関係をまず最初に、優先順位の一番として速やかに事実関係をやってまいりたいと思って対処をさせていただきたいと思っております。

桜内委員 担当局長に対する処分は、当然、人事権者である財務大臣の判断に委ねられております。

 ところが、今月五日午後一時から約三十分間開催されましたこの財務金融委員会の理事懇の散会直後に、私自身が会館の事務所に戻るよりも早く、主税局長が私の会館事務所に来られたと聞いております。秘書の者が言うには、寛大な処置としていただきありがとうございましたと述べて、理事の者が、理事である私によろしくと伝えるよう依頼したと聞きます。

 勘違いも甚だしいのではないでしょうか。理事懇では、立法府と行政府の関係として、本件について、本日のこの委員会で財務大臣から反省の弁を聴取することを確認したのみであって、財務大臣がどのような処分をするのか、寛大な処分を許したわけでもありません。

 彼の失策は、今回に限った話ではありません。約二年前、東日本大震災の復興予算に関する国会審議において、当時国税庁次長だった彼の余りにも粗雑な答弁が原因で、参議院予算委員会が数十分にもわたってとまりました。本来ならば、その時点で彼の役人人生は終わっていたはずです。ところが、彼は、その後も出世を続け、主税局長を務めた後、今度は、次官クラスである国税庁長官にまで栄達すると言われています。

 歴史上、無能な役人の責任を問わなかったため、国益を大きく損ねた例を二つ挙げます。

 一つは、名著とも言われる「失敗の本質」でも取り上げられたインパール作戦、これをひとり強行し、三万人を超える将兵を餓死させたにもかかわらず、責任を回避し続けた牟田口廉也陸軍中将です。もう一つは、真珠湾攻撃の際、在米日本大使館の怠慢で宣戦布告が一時間おくれたことにより、日本人に、だまし討ちをした卑劣な民族との烙印が押されました。当時の日本大使館の担当官であった井口貞夫参事官と奥村勝蔵一等書記官は、責任を問われるどころか、戦後、二人とも外務事務次官にまで栄達したため、日本人全体の名誉が永遠に損なわれることとなりました。

 無能な役人に対する信賞必罰が徹底できないようであれば、国益を大きく損ない、そこから政権は崩れていくというのが歴史の教訓です。

 残念ながら、このようなざまでは、大蔵省、すなわち今の財務省も並の役所に成り下がったと言わざるを得ません。後輩たちにはよく、俺が大蔵省をやめたのではない、大蔵省が大蔵省であることをやめたんだと言っております。大蔵官僚としてのプライドはどこに行ったのでしょうか。

 これは特に答弁を求めません。感想があれば、麻生大臣、お願いします。

麻生国務大臣 財務省が並の官庁に成り下がったというのは、ほかの官庁に対する差別も甚だしいと思いますが。言葉を改められた方がいいですよ。それが率直な感想です。

桜内委員 結構です。

 では、本題の日銀に関する質疑に移ります。

 きょう、黒田総裁から量的・質的緩和についての報告をいただきました。きょう幾つかお尋ねしたい点は、特に三つの波及経路という点についてであります。

 第一にということで、「資産買入れにより、長期金利や、資産価格のプレミアムに働きかける効果があります。」というふうにあります。ただ、残念ながら、四月の量的・質的緩和の公表以来、長期金利が約二倍に上昇、そして、株価も、実際上がったんですけれども、量的・質的緩和の前と同じような水準に戻ってしまった。そういった意味で、資産価格に対する働きかけというのもどうやら効果がなくなってきた。この点について、どのようにお考えになりますでしょうか。

黒田参考人 先ほど来申し上げておりますとおり、三つの波及経路というのを考えておりました。

 第一が、年間五十兆円に及ぶ長期国債の買い入れによって、国債を保有することに伴うリスクプレミアムを圧縮するという形で長期金利に対する下方圧力を加えていく。その点は、現在もそういう効果を持っておりますし、今後、毎月毎月の国債買い入れが累積してまいりますので、その効果はさらに強くなっていくというふうに思っております。

 ただ、一方で、景気や物価の先行きということが名目金利に一定の影響を与えることも事実でございますので、私どもとしては、最大限の努力によって長期金利に対する下方圧力を加え続けていくということに尽きると思います。他方で、もちろん、ボラティリティーを拡大させないような努力も引き続きやってまいります。

 二番目が、ポートフォリオリバランスでございまして、これは、一番大きいのは、何といっても、五十兆円の国債を市場から吸い上げるわけですので、そうでない場合と比べると、五十兆円のポートフォリオをどちらかにリバランスしなければならないということになるわけでして、その中で、何度も申し上げていますとおり、社債とかその他のリスク資産、そちらにシフトしていく場合もあるでしょうし、また、金融機関として本来の業務である貸し出しをふやしていくという効果も期待できると思っております。

 三番目は、何度か申し上げております、期待に対する影響でございまして、それを通じて、設備投資、あるいは消費その他の需要自体が出てくることも望ましいわけですし、順次、物価上昇期待が高まっていくということによって物価安定目標を達成するという意味でも非常に重要であるというふうに思っております。

桜内委員 波及経路の一番目について尋ねたつもりだったんですが、三つともお答えいただきました。

 ただ、一番目に関してですけれども、マネタリーベースをターゲットとする、これも一つのやり方だとはもちろん思います。特に二〇〇〇年代前半の、過去の量的緩和、このときは超過準備をターゲットとしていたわけですけれども、そのときの教訓は、やはり、量的緩和といっても、マネタリーベース、中心領域であります日銀当座預金をターゲットにして、これを幾らふやしたとしても、なかなかポートフォリオリバランスも起こらなかったですし、マネーストックに対する影響がなかなか見られなかったという教訓もあろうかと思っております。

 今回の量的・質的緩和、果敢な挑戦で、それはそれでもちろん評価するところではありますけれども、物価、ないしは、特にその前段階としてマネーストックへの影響の波及経路という意味でいえば、やや抽象的に過ぎるのではないかとも考えております。

 と申しますのも、二〇一四年末までの二年間の見通しが出されておりますけれども、例えば、日銀当座預金、一二年末の四十七兆円から百七十五兆円、百三十兆円程度ふやすこととされています。また、長期国債の保有もちょうど百兆円程度ふやすような目標とされているのは、これはこれで一つのやり方だと思うんですけれども、実際にマネーストックがふえていくというのは、もう総裁当然御承知のとおり、日本銀行、あるいは地方銀行を含む預金金融機関なり、そういった金融システム全体から外に出ていく信用供給、貸し出しなり融資なり投資なり、これがふえていかないことには、マネーストックというのは金融システム全体のいわば負債に当たる部分ですので、ここがふえていかないわけです、両建てとして。

 そういった意味で、今回、マネタリーベースをターゲットにして、そこから金融システムの外に、まさにポートフォリオリバランスなんでしょうけれども、どのようにして信用供給をふやしていくのか、この点について、単に一言にポートフォリオリバランスと言わずに、どんなふうな方策をお考えになっているのか、お聞かせください。

黒田参考人 ポートフォリオリバランスは、先ほど申し上げたとおり、年間五十兆円の国債を市場から吸い上げていくわけですので、当然、その分だけ国債の保有がそうでない場合と比べると減るわけですから、ほかの資産に投資しなければならないということは明確なわけです。その場合に、それが、御指摘のように、金融機関の貸し出しに行くかどうかということは一つのキーであるということは、そのとおりだと思います。

 もちろん、リスク資産に行って、そのリスク資産の価格が上がることによって間接的に設備投資あるいは消費にプラスの影響が出るということもありますので、貸し出し増加だけが経済に対する影響というふうには言えませんが、御指摘のマネーストックという面からいいますと、やはり金融機関が貸し出しをふやさなければなかなかマネーストックがふえないというのは、そのとおりでございます。

 私どもとしては、ポートフォリオリバランスの効果、それからデフレ期待を転換することによって前向きな資金需要が出てくるということ、そういうことで、やや長い目で見ると、貸し出しもふえ、マネーストックも順次ふえていくというふうに考えております。

 なお、先ほど来申し上げていますように、貸し出しを直接促進するための、貸し出し増加を支援するための資金供給というものを今月から始めておりまして、今回、三・一兆円ということで、かなり積極的に金融機関が応じてくれましたので、これも貸し出しの増加を通じてマネーストックの増加につながっていくというふうに期待をしております。

桜内委員 以前、総裁にもお話ししたことがありますが、超過準備に対する付利であります。といいますのは、ポートフォリオリバランスを本当に起こさせるためには、この付利というものもよく考えなくちゃいけないんじゃないかと思っております。

 というのは、今、通常の流動性の高い普通預金の平均的な金利が〇・〇二%だそうです。一方で、金融機関の側は、そうやって集めてきた預金を単に日銀当座預金に預けるだけで〇・一%の付利があって、そういう状態がずっと続いている中で、ポートフォリオリバランスといいますか、では、ほかにリスクをとってちゃんと貸し付けを起こすようなインセンティブになるかというと、僕はそうでもないと思います。

 やはり、日銀当座預金、特に超過準備に対するこの付利のあり方というのはしっかりと検討されるべきだと思いますけれども、この辺について、総裁はどのようにお考えになりますか。

黒田参考人 御指摘のように、現在、〇・一%の付利をしているわけですが、それがあるからといって特に当座預金がふえているわけではないわけですが、当座預金がふえているのは、もちろん、量的・質的金融緩和ということで長期国債などの資産をどんどん買い入れているために、超過準備といいますか、当座預金がふえているわけです。

 そのもとで付利をするかどうか、あるいはどういった水準が適切かということは、御指摘のように、いろいろな議論があるところでございます。四月四日に量的・質的金融緩和を決定いたしましたときにも、政策委員会でこの点について議論がございましたが、全員一致で、今この付利をどうこうするという必要はないし、それはむしろスムーズに量的・質的金融緩和を続けていく上で必ずしもプラスには働かないだろうといったようなことが議論されて、〇・一のままにするということになったわけでございます。

 これが何かポートフォリオリバランスを非常に大きく損なっているというふうには思いませんが、委員御指摘の点は十分頭に入れて、今後の量的・質的金融緩和の推進を図ってまいりたいというふうに思っております。

桜内委員 時間がないので、最後にお聞きいたしますけれども、アベノミクスといいますか、量的・質的緩和の副作用といいますか、今、実際、長期金利が上がってきておったりですとか、資産価格、特に株価が乱高下したりですとか、こういったことが指摘されております。

 長期国債の買い入れをどんどんふやしていく、これも一つのやり方だと思うんですけれども、現実に、月に大体七兆円程度と言われておりますけれども、五月の実績からしますと八・七兆円程度、長期国債の買い入れを日銀はしております。一方で、財務省によります新発債の発行が月に約十兆円程度と聞いておりますので、いわば流動性のプレミアムがついて、かえって長期金利が高くなっている側面もあるんじゃないかというふうに思っております。

 そういった意味では、実際の買い入れのオペレーションをどんなふうにやっていくのかとか、その辺もしっかりと工夫してやっていただく必要があると思っております。

 それと加えて、実際のオペレーションという意味でいえば、これから長期国債を二年間で百兆円程度ふやされるということでもあります。そうしますと、もちろん保有の年限を長くするということではあるんですけれども、償還期を迎える国債もその分ふえていくと思われます。

 現在、一旦、長期国債の償還期が来る前に、そのときに、短期国債に乗りかえて償還を行って清算していくというやり方をとられていますけれども、今後の計画について、ことし一月に、ことし一年間で十一兆円程度、短期国債に乗りかえるという計画を発表されておりますけれども、これを見直すおつもりがあるのか、その辺のオペレーションについてお伺いいたします。

    〔山本(幸)委員長代理退席、委員長着席〕

黒田参考人 これは、ある意味で、政府の責任で行われている国債管理政策に関する面もありますので、その点については直接的に私からコメントすることは差し控えますが、御指摘のあった、日本銀行が保有する国債のいわゆる乗りかえ引き受けについては、委員も御承知のとおり、政府からの要請に基づいて、日本銀行として、これに応じたとしても、円滑な金融調節遂行のために必要になる資産の流動性が十分確保されるかどうかということも含めて、必ず政策委員会で検討の上決定しておりますので、御懸念のようなことのないように適切に今後とも対処していくということを申し上げたいと思います。

金田委員長 時間が参りました。

桜内委員 はい。終わります。ありがとうございました。

金田委員長 次に、小池政就君。

小池(政)委員 みんなの党の小池政就です。よろしくお願いいたします。

 先ほどの桜内委員のお話、私は民間出身で、大蔵官僚のプライドというのは全くわかりませんが、全省庁に対する警告として、非常に賛同の気持ちを受けさせていただきました。ぜひこれからしっかりと対応いただくようお願いいたします。

 本日は、日銀の総裁がせっかくいらしておりますので、現在の経済状況についてお伺いさせていただく前に、この委員会でも質疑のありました金融危機の対応につきまして少し最初にお伺いさせていただきたいと思います。

 先日、この衆議院の財金の委員会でも、金商法の改正という形で、かなり分厚い法案が通りまして、金融危機の対応ということを改めたわけでありますけれども、その際には、対象が銀行以外に保険や証券会社等という、リスクをとって破綻した会社にも業界を超えて対応するということから、これはモラルハザードにつながるのではないかという懸念がありました。かかったコストは事後徴収という形で、特定負担金ということでありますが、それでも国家負担の可能性もあったり、また、金融システムの著しい混乱を生ずるおそれがある場合は政府補助もあるということであります。

 その際に、それでは、モラルハザードということに対しての対応の意味でも、経営陣もしくは株主等の責任というものはどう問われるのかということを、こちらは、まず、大臣にお聞きする前に、黒田総裁に、せっかくいらしていただいておりますので。

 日銀も、最後の貸し手である日銀特融という制度があります。その際に、このモラルハザードに対してはどのような取り組みをなされているか、お聞かせいただけますでしょうか。

田中参考人 お答えいたします。

 事実関係に関するところは私の方からお答え申し上げたいと思います。

 日本銀行では、政策委員会が金融システムの安定確保という目的を達成する上で必要であるというふうに判断した場合には、いわゆる最後の貸し手ということで、政府からの要請を受けまして、日本銀行法第三十八条に基づく貸し付け、いわゆる特融というのを実施することができることとされてございます。

 特融を行います場合は、従来から四原則ということを申し上げております。一つは、システミックリスクが顕現化するおそれがあること、それから、日本銀行の資金供与が必要不可欠であるということ、それから三つ目、先生御指摘のモラルハザード防止という観点から、関係者の責任の明確化が図られるなど適切な対応が講じられているということ、それから最後に、日本銀行自身の財務の健全性維持に配慮すること、この四つを四原則ということで設けておりまして、これに基づいて可否を判断してきているということでございます。

小池(政)委員 ありがとうございました。

 関係者の責任の明確化ということがしっかりと示されているということでありますが、麻生大臣にお聞きさせていただきたいのは、預金保険機構の公的資金の対応におきましても、りそなではJRの細谷さんが入って新体制になったりしているということからも、今回の法改正に当たって、経営責任ということがしっかりと明記されていなかったように思われるんですが、この際の取り組みはいかがでありましょうか。

麻生国務大臣 金融機関を一つだけぱたんと倒すんじゃなくて、金融機関の秩序ある処理を講ずる場合においては、今言われました預金保険機構が金融機関の業務の遂行とか財産の管理、処分というものを監視して、必要に応じて助言とか指導とか勧告することになっているんですが、これに加えて、当局は必要な行政命令を出せる、行政命令をすることができるということであります。したがって、行政命令ができるというところが一番肝心なところ、今御指摘の点はこのところなんだと思います。

 加えて、取りつけ騒ぎ等々が起きたりなんかして資本の増強を行う場合には、これは、経営健全化計画において、少なくとも、経営の合理化とか経営者の責任とか株主責任というものの明確化のための方策というものをきちんと定めた上で、経営者責任というものを明確にしていただきますということもいたしております。

 いずれにしても、金融機関というものをとにかく秩序立てて処理をしないと、預金しておられる方々が思わぬ不利益をこうむることになりかねませんので、金融機関の経営者において、今言われたように、モラルハザード等々を含めて、責任は極めて大きいと思っておりますので、そういった意味で、我々としては、きちんと対処してまいりたいと考えております。

小池(政)委員 ぜひお願いいたします。

 また、支援要件につきましてもお伺いさせていただきますが、今回、我が国の金融市場その他の金融システムの著しい混乱が生ずるおそれがあると認めるときという形でありますとか、また法案の方にも、一定の要件に該当すると認めるときでありますとか、所要の規定の整備を行うといった、どういう要件で、どういう形で行うかということは、非常に、そこを読む限りではなかなか明確になっていないというような感想を抱いております。

 きょう黒田総裁にお聞かせいただきたいのは、黒田総裁も、この要件の一つであります金融危機対応会議というもののメンバーにもなられるものでありますから、システミックリスクというものをどう捉えるかということに対して、黒田総裁から、例えば、ほかの金融機関とつながっているかいないか、ほかとつながっていない機関はないと思うんですけれども、では、その際に、規模で判断するであるとか、もしくは諸外国の例とかを踏まえて判断するでありますとか、そういう件について少しお話をいただきたいと思います。

黒田参考人 日本銀行は、中央銀行として、いわゆる最後の貸し手という機能を果たさなければならないわけでございます。そういった面から、常日ごろから、考査などを通じて金融機関の状況は十分把握しておりますし、必要に応じてアドバイスなどもしておるわけです。

 そこで非常に重要な点は、やはり個々の金融機関の健全性云々もさることながら、いわば金融システム全体として、最近よく言われますマクロプルーデンスという観点から、金融システム全体を見通して、そこにおいてシステミックリスクが起こらないようにする、あるいは、最後の貸し手としての機能が必要な場合には、的確にこれを果たしていくということになると思いますので、もとより、金融庁あるいは財務省とは常日ごろから意見交換、連絡はしておりますけれども、今御指摘のように、仮にシステミックリスクが起こる懸念があるような事態になったときには、内閣府のもとにあります、今御指摘のような会議があるなしにかかわらず、当然、中央銀行として、金融監督の担当庁である金融庁、それから財政的な必要が出てくる可能性もありますので財務省等々と十分連携をとってやっていきたいと思っております。

 ただ、金融システムのリスク、あるいはよく言われますマクロプルーデンスというのは、個々の金融機関とともに、金融資本市場全体あるいは経済全体との関連を見ていかなければなりませんので、事前にこういうふうにするとかいうことを詳細にわたって決めておくというのは、あるいは難しい面もあるかもしれません。むしろ、そのときの、全体の判断として、迅速に、機動的に、弾力的に危機を未然に防ぐということが非常に重要ではないか。

 これは、御指摘の法律その他の問題直接というよりも、金融危機をどのようにして防ぎ、あるいはそういうことに対してどのように的確、適切、迅速に対応するかという考え方を申し述べさせていただきました。

小池(政)委員 事前に決めておくということは難しいということは承知しておりますが、ただ、指針としてある程度示していただきたいというのは、今回は、必ずしも債務超過の金融機関だけではなくて、資産超過でも過少資本の状態にある機関に対しても特別監視に置けるというような制度になっておりますから、これを恣意的に捉えるのであれば、例えば、気に食わない、言うことを聞かない金融機関に対して、機構が特別監視や特定管理のもとに置くこともできてしまうんじゃないかというような懸念もそこにはあるわけでありますから、その点におきまして、検討をお願いいたします。

 それでは、経済状況につきましての質問をさせていただきます。

 今回、金融緩和におきまして、日銀が国債を買い取った、その際に、当初想定していた市場の反応というものになっているのかなということに少し疑問を持っておりまして、先ほど来、貸し付けが去年と比べて少しだけふえている、ただ、一方で、リーマン・ショックの前の水準にもなっていないじゃないかという話がありました。

 確かに、マネタリーベースで見ますと、昨年の同月に比べまして約三割超伸びているにもかかわらず、銀行の貸し出しというのはたった二%しかふえていない。また、家計や企業も、昨年の同月比で約三%弱の伸びでしかないというような現状であります。

 では、お金がどういう方向に流れているのかということでありますけれども、麻生大臣は、債券から株式に流れているのではないかということを記者会見等で述べられております。

 そこから、きょうお配りの資料を少しごらんになっていただきたいと思います。

 まず、最初の資料は、これは二〇一三年の四月末までの資料になりまして、日銀の資料で、五月の末はこれから出るということで、四月末までなのでありますが、ここを見ますと、現金と預け金がふえて、一方で、全体の有価証券は下がって、また株式も下がって、貸出金も下がっております。これは、黒田総裁の金融緩和の方針というものが発表された後の四月の段階におきましてこういう状況で、五月は、これからどうなるかということを注視しなければならないと思っています。

 また、金融機関の特に株式に関しての売り買いの動きでありますが、二ページ以降、四月から六月の第一週ぐらいまで、金融機関が株式をどのくらい売買しているかということを示したものであります。東京証券取引所の資料であります。

 下の段の右に金融機関というものがありまして、こちらに売りと買いがあります。この売り買いを見ますと、売りの方が多くて、売り越しになっています。下の方に金融機関の内訳というものがあります。これは、四月の二十六日までであります。三ページ目は五月の三十一日まで、こちらも同様に、金融機関の数字は売り越しになっておりますし、また、六月におきましても、六月七日まで、金融機関の株式におきまして売り越しとなっております。

 ということは、債券も売り越しでありますけれども、株式も売り越しでありまして、現金や預金のまま手元にたまっているんじゃないかということは考えられるわけであります。

 一方で、それでは、海外という成長ドライバーに投資がふえているかどうかということも、この資料の五ページ目を見ていただきますと、これは部門別の対外証券投資になりまして、右上が株式ということで、その際の部門として、金融機関、銀行等が対外的に処分しているのか取得しているのかということを示しておりますけれども、これは、対外投資におきましても処分の方が多いということで、では、一体、マネタリーベースをふやして、金融機関がどこにお金をふやしているのかということは、ここら辺からはなかなか読み取れないし、また、思ったとおりの行動をされていないのではないかということが拝見されるわけであります。

 中小企業への貸し出しも、メガバンクは減少し、地銀、第二地銀が少しふやしている程度でありますし、それでは、これから貸し出しをふやせるかといいましても、企業が内部留保を高めている現状ではなかなか難しいのではないかということが今考えられまして、やはり金融機関に今は期待できない状況にあるのではないかということを考えております。

 その際に、黒田総裁にお聞きしたいのは、民間の所得、それからそれに伴う消費、資金需要、黒田総裁は所定内賃金は上がっていないということもおっしゃっておりますけれども、それでは、これから具体的にどのような形で所得がプラスにつながっていくかということをお伺いしたいんです。

 この前の参議院の財金の委員会の答弁におきまして、黒田総裁は、「株価が上がることによる資産効果は実は国内こそ大きいわけでございます。それが設備投資や住宅投資、あるいは消費などにもプラスの影響を与える」ということをおっしゃっていまして、株価が上がれば結果として家計の所得も上がるのではないか、そのようなメカニズムを持っていらっしゃるのかなということを少し感じてしまったわけでありますけれども、家計所得の伸びがこれからどう進んでいくか、少しお聞かせいただきたいと思います。

黒田参考人 家計所得には、もちろん、資本所得といいますか、配当とかあるいは株式の売却益とかいうのもあると思いますが、御案内のとおり、大宗は雇用者所得でございます。そこで、景気回復に伴って雇用者所得が改善していくということがありますと、家計所得が増加していくというふうに思われるわけでございます。

 雇用面につきましては、御指摘のように、まだ所定内賃金は上がっておりませんが、雇用状況自体は少しずつ改善をしておりまして、有効求人倍率も上がっていますし、失業率も下がり、労働時間も、仕事をしている時間もふえていますし、一部、ボーナスなどもふえているということがあるわけでございます。

 したがって、今後、全体として経済活動の水準が高まっていくにつれて雇用者数や労働時間も伸びてまいりますので、そういった労働需給の引き締まり傾向がだんだん明確になって、予想物価上昇率も上がっていくという中で、所定内賃金も含めて上がっていくということになると思います。

 ですから、今の時点では主として雇用情勢の改善によっておりますけれども、もう少し長い目で見ますと、賃金も含めて雇用者所得が改善していって、経済全体が好循環に乗っていくのではないかというふうに期待をしております。

金田委員長 時間が参りました。

小池(政)委員 時間になりましたので、では最後に。

 やはり重要なのは、一時的な景気の回復ではなくて、将来の成長維持、不安を払拭する、財政規律のためにも、やはり行財政改革、規制緩和というものは大事でありますので、政権が一丸となって取り組んでいただきたいと思います。

 ありがとうございました。

金田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 安倍総理は、秋には成長戦略第二弾を打ち出したい、こうおっしゃって、この中で思い切った設備投資減税を決定したい、こういうふうに述べておられます。

 先ほどの黒田総裁の説明では、設備投資は、非製造業が底がたく推移する中、全体としても下げどまりつつある、こうお述べになりました。

 麻生大臣に、まず現状の確認をしたいと思います。

 財務省の法人企業統計で、ことし一―三月期の設備投資はどうなっているか。かなり落ち込んでいると思うんですけれども、これはどのように評価をされておられますか。

麻生国務大臣 一―三月でありますけれども、全産業の設備投資はマイナス三・九四%の減です。その内訳として、製造業で八・三%の減、それから非製造業で一・五%の減ということになっております。

 設備投資がマイナスになっているんですが、今でもマイナスではありますけれども、昔は八・何%、六・何%ですから、マイナスではありますけれども、減り方が少なくなってきたということは言えるんだと思います。縮小はしているんだと思います。

 先行指標でいきますと、機械受注が先行指標約六カ月というのはもう御存じのとおりなので、この先行指標の分からいきますと、機械受注の場合はこう行かないで、こういうぐあいにしながら上がったり下がったりしますので、三月は大幅にマイナスになったんですが、その前の二月は大幅にプラスになったりしておりますから、そういった意味では持ち直しに向かっていることはもう間違いないなと思っております。

 その他の資料もいろいろ出てくるんですが、いま一つ、大丈夫かなという気持ちがまだ企業の中にはある、私どもの感じではそんな感じがしておりますので、もう一つ、これは七―九の数字なり四―六の数字がもう少し出てこないと何とも言えませんけれども、いずれにいたしましても、民間の設備投資が起きやすくなるような環境づくりというのは必要ではなかろうか、私もそう思っております。

佐々木(憲)委員 黒田総裁にお聞きしたいんですが、資金が非常に潤沢にあるにもかかわらず、設備投資が前年比でマイナスとなっている理由をどのようにお考えでしょうか。

黒田参考人 確かに、先ほど麻生副総理が答弁されましたように、一―三月の設備投資は、昨年来の海外経済の減速などを背景にして、製造業を中心に投資を手控える動きがあったわけでございまして、二四半期連続で前年比マイナスとなっております。

 そういうことで、海外経済の要因がかなりあったと思いますが、ただ、足元では、海外経済も徐々に持ち直しに向かっておりまして、輸出それから鉱工業生産で改善の動きが続いております。それから、企業マインドにも明るさが見えてきておりますので、これも麻生副総理が言われましたように、機械受注あるいは資本財総供給というものを見ますと、設備投資関連の指標はおおむね減少に歯どめがかかって、製造業を含めても全体として下げどまりつつあるということでございます。

 現時点の状況は、長く続きましたデフレのもとでどうしても設備投資がなかなか出てこないという状況があったわけですが、状況は少しずつ改善しつつありますので、設備投資も今後プラスになってくるだろうというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 そこで、基礎的なことですけれども、企業が設備投資をしたいと思うのは、どういうことをきっかけにそういう決定をするのかということですけれども、政府の調査で、内閣府の企業行動に関するアンケート調査というのを見ますと、設備投資の決定要因として一番多いのは内外の需要動向、続いて収益水準、他社の動向、こういうものがあります。この傾向は基本的に今でも変わらないと思うんですが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 もう一個言わせていただければ、多分、設備が古くなった、したがって、耐用年数等々の考えをという点がもう一個加えられると存じますけれども、とにかく、今言われましたとおり、需要と利益が基本だと存じます。

佐々木(憲)委員 そういう点からいいますと、一―三月期の法人企業統計で見ましても、全産業の売上高はマイナス五・八%でありまして、売り上げが減っているためなかなか設備投資を牽引するという方向には行かない、これが実態であります。要するに、潤沢な資金があっても、あるいは税金が軽くなっても、それよりも何よりも、需要がない限りは設備投資がなかなかふえていかないんだということだと思うんですね。

 それで、麻生大臣に確認ですけれども、設備投資減税ということを盛んに言われますけれども、税金が軽くなったら設備投資をやりますよ、そういうふうになるのか。先ほどの政府のアンケート調査を見ましても、税というものの要因はほとんどないわけであります。どのようにお考えですか。

麻生国務大臣 これは、仮に税が減税をされますと、先ほど言われましたように、いわゆる収益というものがふえるということになりますので、その意味で言われたのであれば、二番目の点に関しましては、多少なりとも効果があることははっきりしていると思います。

 また、よく法人税減税という話が比較で出てきますけれども、法人税減税というものに比べれば、いわゆる設備投資の償却をどうかする、どういう形でさわるかは別にして、設備投資の償却等々を考えるという方が、割と企業としてはそちらの方がより国内の設備投資には向かいやすい。

 もう一点は、やはり国内でこれだけ内部留保をためております企業が、いわゆる株主配当にも回さない、労働分配率も上げない、設備投資もしない、その金は何しているんですかと。いや、じっと持っているわけですよ。何のためにといったら、デフレだからですよ。僕はそう思います。デフレだったら、じっと持っておけば、物価が下がっていくんですから、金の値打ちが上がりますから。しかし、インフレになりますとそうはいかないから、その点は何とかということになれば、それはそれなりの一つの刺激にはなると思います。

 いずれにしても、佐々木先生、やはりこれは、企業は、経営者がリスクをとってやるかやらないかという判断が求められているのであって、じっとしていたままで金が少しずつふえていくなんという状況をつくっている間はなかなか難しい、私はそう思います。

佐々木(憲)委員 最終的には、需要の動向が私は一番の基礎にあると思います。そこが伸びていかない限りは、若干の減税ですとか金融緩和とか、そういうのをやっても、それは一時的な効果しかなくて、設備の更新ぐらいは多少あるでしょうけれども、能力を増強する、そういう方向に行かないというふうに思うんです。

 次に、金融緩和の面ですけれども、ことしに入りましてマネタリーベースで幾らふえたか、数字を紹介していただけますか。

雨宮参考人 お答え申し上げます。

 マネタリーベース、ことしに入っての増加額ということですが、今、まず最初に、直近の残高を申し上げますと、五月末時点で百五十九兆円、伸び率は、前年比でプラス三七・六%という増加率でございますが、ことしに入っての増加額ということで申し上げますと、昨年末の金額が百三十八兆でございますので、約二十兆増加したということでございます。

佐々木(憲)委員 これだけ資金の供給が非常にふえているわけですけれども、銀行から先になかなか流れていかない、ここに問題があるわけで、設備投資の資金需要もふえていないですね、先ほど言ったように。マイナスが少し減った程度だけれども、マイナスですから。

 そういう状況を考えますと、これは、金融を緩和したら設備投資が進む、そう単純にはいっていないのではないでしょうか。総裁のお考えはいかがでしょうか。

黒田参考人 委員御指摘のとおり、設備投資には売り上げあるいは利益などが大きく影響することはそのとおりでございますが、また他方、投資のコストという面では、資金調達コストその他が設備投資に影響するという面もあるわけでございます。

 現状を申し上げますと、御承知のように、消費は底がたく推移しておりますし、住宅投資も伸びている、それから政府投資は大幅な伸びになっている、輸出も底を打って持ち直しつつあるということでございますので、これらの需要項目を見ますと、需要自体も大分回復してきておりますので、それに加えて、日本銀行の量的・質的金融緩和によって、より設備投資をしやすくする、資金調達コストを実質的に下げていくということによって、設備投資を後押しするという効果を期待しているわけでございます。

佐々木(憲)委員 後押しするということなんですけれども、需要がふえていない状況で、設備投資がなかなかふえない。したがって、後押しをするといっても、その先に需要がないわけですから、これはなかなか押しても動かないという面があるわけで、結局、設備投資をふやす決定的な要因は、金融とか税というよりも、内外の需要動向、それから収益水準、この見通しがあるかないか、これで決めるわけです、最終的に。その認識が私は大事だと思うんです。

 民間の調査機関、例えば三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社の調査でも、企業の設備投資が盛り上がらない背景には、短期的な景気サイクルの上の動きだけではなくて、もう少し根の深い原因がある、こういう指摘がありまして、それによりますと、第一に、企業が需要の見通しに慎重な姿勢を続けているという点、総人口が減少に転じ、国内需要の先細りが懸念される中で、なかなか投資に積極的になれないという点。それから、第二は、企業が海外に進出を強めておって、資金を国内投資に回すよりも海外に振り向けるということが挙げられる。この二点を指摘されています。私もこれは当たっていると思うんです。

 例えば、昨年七月の海外事業活動基本調査によりますと、投資決定のポイントで、現地の製品需要が旺盛または今後の需要が見込まれると回答した企業が七三・三%。つまり、海外の設備投資を行う場合の要因は、これが圧倒的多数なんです。したがって、現在は、国内の需要がいろいろな意味で減ってきておりまして、他方、海外の需要予測から、設備投資は海外に向かっているというのが現状であります。

 こういうことを考えますと、これはやはり金融とか税というような範囲の話ではなく、もっと大きな、日本経済全体の経済政策の方向をどのように据えていくのかという、ここにかかわる大変基本的な問題になってくるわけであります。

 例えば、日経新聞のアンケート調査によりますと、円高で日本国内への工場回帰が起きるかというふうに尋ねると、回答として、起きないという回答が六九%を占めております。例えば、トヨタはブラジル、インドネシアに車両工場をつくる、三菱自動車はインドネシアに新工場をつくる、ホンダは中国でハイブリッド車の現地生産を始める、こういうことがどんどん最近の新聞で報道されているわけですね。

 したがって、こういう問題を念頭に置いていかないと、設備投資減税をしても、これは投資に向かわないで、法人税減税もそうなんですが、内部留保がたまったままで動かない、この事態を打開することはできないと思うんですよ。

 ここがやはりよく考えなければならない根本問題だと思うんですが、大臣、どのような考えをお持ちでしょうか。

麻生国務大臣 たまりたまって四百七十兆円ぐらい。四百七十兆ですよ。薄気味悪いぐらいの金が内部留保でたまっておるわけです。その金が、金利もつかない金をじっと抱えっ放しでこれだけずっと大きくなってきておる状況というのは、これは基本的に、それに課税しろと言った方もおたくに近い方でいらしたんですけれども、それはちょっと、おたくの主義とやり方が違いますので、うちは自由主義経済をやっていますのでそんな簡単なことはできませんよと申し上げた記憶が二年ぐらい前にあるんですが。

 いずれにしても、このお金をじっと持っているだけではどうにもならぬので、先ほど需要と言われましたけれども、もうかるとか需要があるというのが出てこないと、何かしようというモチベーション、労働意欲が湧かぬということなんだと思っておりますので、そのためには、ニンジンをぶら下げるだけで動くかといえば、あめとむちと、いわば両方ないとなかなか動かないのではないのかなというのが最近よく言われるところでもあります。

 いずれにしても、これという手口を今、私、自分自身で持っているわけではありませんけれども、現預金等々だけで二百七十兆、その他を入れますと四百何十兆、これはちょっと、正直、国家予算の五、六倍というような金ですから、それはとてもじゃないという感じが率直な実感なので、今後とも、この点につきましては、両方検討しなきゃいかぬところだと思っております。

佐々木(憲)委員 その点は、半分ぐらい我々も同感するところがありまして、内部留保が我々の計算では二百六十六兆円たまっているわけです。これは、リーマン・ショックがあろうが、あるいは大震災が起きようが、減ることがないんですよ。どんどんどんどんふえてきているわけです。これは極めて異常な状況で、どういうふうにこれを生きたお金として循環させていくかということが大事なんです。

 例えば、賃金の引き上げというのが一つ。これはもう非常に大事な点だと思いますけれども、なかなかベースアップまで行かないですね。ボーナスは多少上がった企業もあります。今、円安で大変だというので、中小企業はむしろボーナスが払えなくなっている面もある。そういう状況ですから、やはり最低賃金の引き上げですとか、あるいは企業の雇用の安定化のための法整備ですとか、常用雇用をふやしていく方向をどうつくっていくか。これはやはり、法律の改正も含めて、政府がやるべき課題である。

 それから、下請に対して、どんどん搾っていくような、単価を買いたたくようなやり方、こういうものも改めさせていくような対策をとっていくとか、こういうことがいろいろあると思います。

 あるいは、大企業に対して特別に優遇する税制もありますから、こういうのは、せめて中小企業並みに税金を払ってもらうというようなことですとか、いろいろな対応があると思います。

 最終需要をどうふやすか。しかも、可処分所得をどうふやすかが大事だと思うんです。

 負担がふえていくと、賃金が上がっても、出ていく方が多いですから、したがって、その負担の軽減ということを考えなきゃならない。そういうことを総体としてよく見ていかないと、これは、今は多少、気分的に少し高揚感があるから支出がふえたというようなことも一部ありますけれども、しかし、どうも賃金が上がらないので、その分来月は緊縮しようという話もある。そういう状況をよく見ていかないといけない。

 やはり、最終的には、国民の需要、家計消費がどうふえるかというところに軸足を置くというのが政治の一番の課題だと私は思うんですが、最後に大臣の見解を伺って、終わりたいと思います。

麻生国務大臣 おっしゃるとおり、給与が上がっても可処分所得が減ったら意味がない、当たり前の話であります。

 御存じのように、少なくとも、先ほど黒田総裁の答弁にもありましたように、いずれも今のところの指標は全てプラス、上に向いて上がってきております。

 あれだけ大きな、異次元の改革というものをすれば、いいことばかりあろうはずはないのであって、多少は、あちらこちら、いろいろなところで摩擦が起きたり何かが起きるのは当然のことだとある程度思っておかなきゃいかぬのであって、それにどう対応するかだけを考えるのであって、要は、まずはデフレーションからの脱却、これをまず優先順位の一番に置いて対応していかなきゃならぬと思いますけれども、おっしゃるように、最後のところは、本人の可処分所得の増というところが行き着く先だと思っております。

金田委員長 時間が参りました。

佐々木(憲)委員 時間が参りましたので、終わります。

金田委員長 次に、鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 生活の鈴木であります。

 またきょうも最終バッターになりました。ひとつよろしくお願いをいたします。

 きょうは日銀総裁がお見えでありますので、まず総裁から一、二点お伺いをしてまいりたいというふうに思います。

 一つは、アベノミクスの副作用と長期金利の低下に向けた日銀の決意、こういうことであります。

 ちょうど今、佐々木委員の質問に、最後、麻生大臣は、数字はほとんどがうまくいっておる、ただし、物事の裏にはという、そういうおっしゃり方ではなかったんですが、多少の問題はあるのかもしれない、こういうようなニュアンスだったというふうに理解をさせていただきました。そのいわゆる多少の問題の部分をやはり私としてはお伺いをしてまいりたいというふうに思うわけであります。

 我が党は、一貫して、アベノミクスによる行き過ぎた金融緩和ということに対して、必ず副作用がありますよ、だからそれには十分注意をしてください、こういうことを申し上げ続けてまいりました。最近の株式市場、それから為替市場、そして長期金利の乱高下、これはまさに、総裁が打ち出された、日銀が打ち出された異次元緩和の副作用以外の何物でもないんじゃないかな、このように私は考えるわけでございます。

 市場というのはやはり生き物でありまして、なかなか机上の議論のとおりいかない、そのことを恐らく今総裁も痛感をされておるのではないのかなというふうに思っておるところであります。その辺をぜひ聞かせていただければというふうに思うんです。

 そうはいっても、我が国の市場を攪乱している、いわゆるジェットコースター相場といいますか、この張本人というのは、主に外国人投資家、それからいわゆる投機筋だというふうに思っています。総裁が就任されたときにも、市場の言うことを余り聞き過ぎちゃいけませんよ、市場のポピュリズムに陥ってはいけない、こういうことを申し上げたつもりであります。

 その意味では、先日、六月の十一日の金融政策決定会合で、日銀が現状維持を決定して安易に追加策をとらなかったということについては、私は一定の評価をさせていただきたい、このように思っております。特に、市場から要望が強かったとされます低利の資金供給オペの長期化は、これは金融機関に再び国債を買わせようというようなものでありまして、いわゆる中小企業への貸し出しには結びついていかない、私はこのように思い、決して有効な策とは思っておりませんでした。そういう中で、いわゆる追加策をなさらなかったということについては、私は一定の評価をしておるということでございます。

 ただ、長期金利の上昇が先行しておるというこの状況は、やはり看過できない、まさに副作用の部分だというふうに思うんです。五月には一時一%にまで到達をしたわけでありますが、現在は恐らく〇・八%前後ではないかなというふうに思いますが、銀行は早速、これに対して反応をして、企業への貸出金利や住宅ローンの金利の引き上げ等に動いておるというふうに見ます。まさに、景気回復の実感がないうちに国民の負担だけが増すという悪い金利上昇が現実のものとなっているというふうに思うわけであります。

 日銀として、どのように長期金利をコントロールしていくのかということをもっと明確に説明をすべきだというふうに私は思いますし、金利低下に向けた強いメッセージを発することが必要ではないのかな、このように考えるわけでありますが、総裁の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

黒田参考人 現在、日本銀行が行っております巨額の国債買い入れというものは、何度も申し上げておりますように、リスクプレミアムを圧縮して、強力な金利低下圧力を加える効果があり、これは、買い入れが進むにつれていわば累積的に強まっていくというふうに考えております。これが一番重要な点です。

 もう一つは、確かに、債券市場で一時ボラティリティーが高まって、それが金利の上昇につながったのではないかということが言われる状況がございました。そこで、日本銀行は、市場参加者と密接に意見交換をして、四月四日の量的・質的金融緩和の枠内で、執行部に与えられているフレキシビリティーを活用してオペの頻度とか金額を見直して、積極的に対応いたしまして、その結果、次第に今落ちついてきておるということでございます。

 委員御指摘のとおり、長期金利につきましては、何としても、日本銀行として、政策効果の浸透を図るために、引き続き市場の状況を丹念に点検すること、それから市場参加者と密接な意見交換を行うこと、そして必要に応じて弾力的なオペ、その他国債買い入れについて最大限の努力を重ねていくということになるというふうに思います。

鈴木(克)委員 ここ最近の株価や為替の大変目まぐるしい動きというのは、要するにアメリカの量的緩和政策の出口戦略をめぐっての思惑だというふうに私は思うんですよね。したがって、六月七日でしたか、五月の雇用統計が発表された前後にまた相場が動いたわけであります。まさに、これからはこういった主要な統計が出るたびに市場が左右される、右往左往という言い方が当たっているかどうかわかりませんけれども、ということなんですね。

 ここで私、総裁にぜひ御理解をいただきたいというか、お考えをいただきたいのは、普通は、アメリカのような大国の経済がよくなれば、これは俗に言う、株は上がるというふうに思うんですよ。ところが、ここはまことに奇妙な状況が出ていまして、アメリカの景気がよくなる、そうすると、どういうことになるかというと、金融緩和が縮小される、そうすると、市場の緩和マネーが減って投資しにくくなるということで株が下がる、こういうことなんですね。これは普通考えるものと全くあべこべというか、そんな状況が今出ているわけですよ。

 ぜひ総裁にお伺いいたしたいのは、我が国も、日銀も、いつかは出口戦略をとらなきゃならないんですよね。まさにこれは、出口戦略の難しさというのは、今、世相といいますか、株価や経済指標を反映している、映し出しているというふうに私は思うんです。したがって、その部分を、どのように出口戦略というものを総裁は今お考えになっているのか、そこを率直にお聞かせいただきたい。

 あわせて、結局、FRBの出口戦略をめぐる思惑によって我が国の市場が翻弄されておる、こういうことも言えるわけですから、例えば、バーナンキ議長と意見交換を率直にされて、いろいろと意見を交わされるというようなことも含めて、総裁は今どのようにお考えになっているのか、お聞かせください。

黒田参考人 御指摘のとおり、特に五月下旬以降、海外市場の動きなどを受けて、我が国の金融市場が不安定な動きをしております。その背景の一つとして、これも委員が御指摘になったように、米国の経済が順調に回復する中で、FRBの金融政策をめぐる思惑が市場に予期せぬ影響を与えたというふうに言われております。

 翻って、我が国の場合を考えますと、日本銀行は、四月四日に、二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するように量的・質的金融緩和を決定して導入したばかりでございますので、今の時点で出口戦略を議論するのは時期尚早だと思いますが、当然のことながら、出口戦略のタイミングになりましたら、二%の物価安定目標が達成されて、量的・質的金融緩和というものをどのように修正するかというような議論が行われるような状況になりましたら、現在の米国の対応その他も十分参考にしながら、適切な対応をとってまいりたいというふうに思っております。

 なお、バーナンキ議長とは、よく、前からの知り合いでございまして、何度かお会いして意見交換もしておりますし、日本銀行のスタッフもさまざまなチャネルで広く各国の中央銀行の当局者とは意見交換をしておりまして、今後とも、経済金融情勢に関する情報交換、あるいは直面する課題について率直な意見交換を行ってまいりたい、特にBIS等の国際会議を通じて行ってまいりたいというふうに思っております。

鈴木(克)委員 次に、大臣にお伺いをしたいんですが、アベノミクスの終えんの時期と方法ということで、今総裁にお伺いしたことと関連をするわけですが、総裁は今出口論を議論する時期ではないというようなことをおっしゃったわけでありますが、しかし、入り口があれば、出口がどこに通じていくのかというのを考えておくのは、私は当然のことであると思います。ましてや、一国の進路を決定するいわゆる最高決定者に近い、最高決定者だと事実上は思いますけれども、麻生大臣がどのようにここを考えてみえるのか、私はぜひこの際伺ってみたいというふうに思っておるんです。

 金融緩和というのは、コストのかかる政策だと私は思っています。旧態依然の公共投資を第二の矢だというような言い方で、俗に言う看板をかけかえて続けてみえる。それから、いわゆる株式市場への資金誘導と公共投資のためのさらなる国債の増発というようなことは、非常に両立が難しい政策だというふうに私は思っています。結局、これをやっていこうというと、先ほど申し上げましたように、長期金利の上昇が避けられないということになります。

 そこで、結論は、どういう形でこういった状況を、水道の蛇口でも、ひねったらどこかで締めなきゃならないわけですよね、ひねりっ放しということはあり得ないわけでありますから。確かに、総裁のおっしゃるように、今その時期ではない、そのときになったら考えるということでいいのかもしれませんが、私は、本当に、一国の、国民の生命財産そして国家を預かっている大臣としては、やはり先を見通した、どこへ出口をつけるのか、どこへ着陸させるのか、そういうことをぜひ大臣からお伺いしたい、このように思いますが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 このアベノミクスが始まった背景は、基本的にはデフレからの脱却です。これが最終ターゲットです。まだデフレから脱却していませんから、全く。したがって、デフレからの脱却のためには、二%のいわゆるインフレターゲットというものをオープンエンドでやりますということが日銀の意思でありますから、基本的に二%のインフレーションが確実ということになるんであれば、それは間違いなくデフレーションによる不況からの脱却ということを意味しますので、そういう状況が目前になったということがはっきりした段階で、我々は、次の方法として、今のではなくて、今度はインフレーションが行き過ぎないように考え方を変えていかねばならぬ。

 デフレーションに対する不況対策を我々は過去六十七年間、一回もやったことがありません。したがって、デフレというものに関しては、日銀もわからなかった、財務省もわからなかった、誰もわからなかった。世界じゅう、やった人が、経験者は生きていませんので。そういった状況に我々は最初に直面した国家なんだ、そう思って、これに対する対応というのは、生半可なことではできない、これまでちょこちょこやったけれども、みんなうまくいかなかったんですから。したがって、思い切ったことをやらねばならぬ、その覚悟で、今回ここに臨んでおります。

 したがいまして、まずはデフレからの脱却がはっきりしてもらわない限りは、今の、水道の蛇口を締めるというより、まだどれぐらい出し続けなきゃならぬのかという方がよほど心配なところなのであって、私どもとしては、デフレーションが終わらない限りは今の世の中の問題点というのは解決しないと思っていますので、その点にまずは目標を絞って、その上で対策を考えてまいりたいと考えております。

鈴木(克)委員 確かに、現下、デフレからの脱却が目的であるから、それのめどがつかないうちはということかもしれませんが、私が申し上げたかったのは、そうはあっても、長期戦略、先を見通してどういうふうな形に、成ったときはデフレからの脱却というのはよくわかりましたけれども、では、それをどう終えんさせていくのかというところを常に研究し、考えておいていただかなければ、これはやはり、本当に、国民の、一国の進路を預かっていく立場としては、いけないんじゃないかなというふうに私は思っております。

 今言われるように、まだデフレの中だからそんなことは考える余裕はないよということを言ってしまえば、この議論は始まらないと私は思うんですよ。だけれども、だからこそ、今だからこそ、やはりどういうような形で蛇口を締めていくのかということをぜひ想定しておいていただきたい、このことを本当に強く申し上げておきたいというふうに私は思います。

 もう一点お伺いしたいんですが、ちょっと現実的な話で恐縮ですが、高齢者の投資トラブルということについてお伺いをしたいというふうに思います。

 市場が過熱をしてきます。そうすると、いわゆる高齢者を中心に投資トラブルが急増してくるのではないかというふうに私は思っています。私は、先般の金商法の改正の質疑のときにも、AIJやMRIの事案を踏まえて、不正を行った業態にとどまらない抜本的な規制強化の必要性を申し上げてまいりました。

 安倍政権の成長戦略では、新興企業などへの投資促進策として、インターネットを通じて一般の多数の投資家から資金を集めるクラウドファンディング、そういう仕組みの活用を検討されている、このように聞いておるものですから、さらにこれが投資トラブルの温床になっていくのではないのかなというふうに私は思っております。杞憂に終わればいいんですけれども。

 金融ビッグバン以降、国の基本的な考え方は、まさに投資家の自由な判断に任せる、委ねる、こういうことだったというふうに思うんですが、多くの高齢者が、投資家の自由な判断に基づく投資だという判断をされるというよりも、現実には、銀行や証券会社の言われたとおりにしているというのが実態ではないかなというふうに私は思うんですね。

 そこで、先日も、SMBC日興証券の社員が八十歳の認知症の女性の弟に成り済まし、他社の投資信託を解約させて、自社の外債を購入させたという報道があったわけです。投資家の自由な判断という名目のもとに、結果的に、このシニアマネーを狙い撃ちするようなやり方が成長戦略にふさわしいのかということだと思うんですね。私は間違っているというふうに思います。

 ここのところを、現実の問題として、大臣がどのようにお考えになっているのか、お聞かせをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 何か、シニアのリスクマネーを狙い撃ちするのが成長産業であるかのごときお話ですけれども、それはちょっといかがなものかと思いますが……(鈴木(克)委員「だから、そうであってはならないということです」と呼ぶ)何となく、言い方がそういうように聞こえるので。やはり、気をつけて言ってもらわないと、議事録に残りますので。

 先般閣議決定をいたしました、いわゆる日本再興戦略というものの中で、家計におけます金融資産、そういったものを初めとする、いわゆる国内の金融資産というものが一千五百兆を超えておりますので、そういった意味では、いわゆる新規とか成長企業へのリスクマネーというものを強化する施策というのをいろいろ盛り込ませていただいたことは確かですが、その中で、いわゆるシニアマネーを狙い撃ちするかのごとき話が書いてあるというわけではありません。まず最初にお断りをしておきます。

 金融庁といたしましては、金融商品取引法というきちんとしたものがありますので、これは、いわゆるまともな投資を行うようにしないと、何となく怪しげな話、もうかりますよという話で、大体、今ごろもうかりますよという話にひっかかる方がおかしい、今はもうかる話なんかないんだからと言った有名な投資家がおられたのが非常に私には印象的だったんですけれども。

 ぜひ、そういった意味では、きちんとしたフォローアップをやっていかないと、その点、一回もうかっても、一挙にその会社の信用がなくなりますから、丁寧な対応をやっていただかないと、今後のおたくの会社の信用にかかわりますからということも大事なところだと思っております。

 いずれにいたしましても、御指摘のありました、高齢者を特に言っておられるんだと思いますけれども、それの金融商品の販売に関しましては、これは投資者保護ということが一番大事だということを言っておられるんだと思いますが、今、NISA、日本版ISAのことですけれども、こういったようなものを新たに、少なくとも、たらたら現預金でじっと持っておられるんではなくて、確実な投資としてこういった形のものはいかがでしょうかといった、関心を持っていただかないとどうにもならぬと思っておりますので、日本版ISAを始めさせていただいたりしたというのがこれまでの経緯であります。

 いずれにしても、昔と違って、一九三〇年代のデフレと違って、個人、企業が資金を持っているというのが七十年前と全く状況が違っているものなんだ、私どもにはそう見えます。したがいまして、そういったものを含めて、その金がいかに動くようにするかというのを考えねばならぬというのがデフレ脱却に当たって一番大事なところだと思っております。

金田委員長 時間が参りました。

鈴木(克)委員 終わります。

金田委員長 次回は、公報をもってお知らせをすることとしまして、本日は、これにて散会をいたします。

    午後四時二十三分散会


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