衆議院

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第4号 平成25年11月13日(水曜日)

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平成二十五年十一月十三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 林田  彪君

   理事 伊東 良孝君 理事 越智 隆雄君

   理事 菅原 一秀君 理事 寺田  稔君

   理事 御法川信英君 理事 古本伸一郎君

   理事 桜内 文城君 理事 竹内  譲君

      安藤  裕君    岩田 和親君

      小倉 將信君    小田原 潔君

      鬼木  誠君    金田 勝年君

      神田 憲次君    小島 敏文君

      小林 鷹之君    小林 史明君

      田野瀬太道君    田畑  毅君

      竹下  亘君    竹本 直一君

      中川 郁子君    中山 展宏君

      葉梨 康弘君    藤井比早之君

      牧島かれん君    山田 賢司君

      安住  淳君    武正 公一君

      長妻  昭君    前原 誠司君

      鷲尾英一郎君    坂元 大輔君

      田沼 隆志君    三木 圭恵君

      山之内 毅君    上田  勇君

      岡本 三成君    小池 政就君

      佐々木憲昭君    鈴木 克昌君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   内閣府大臣政務官     福岡 資麿君

   財務大臣政務官      葉梨 康弘君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         室城 信之君

   政府参考人

   (金融庁検査局長)    森  信親君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    細溝 清史君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通保安審議官)     寺澤 達也君

   参考人

   (一般社団法人全国銀行協会会長)         國部  毅君

   参考人

   (株式会社みずほ銀行取締役頭取)         佐藤 康博君

   参考人

   (一般社団法人全国地方銀行協会会長)       谷  正明君

   参考人

   (日本証券業協会会長)  稲野 和利君

   参考人

   (一般社団法人日本クレジット協会会長)      大森 一廣君

   財務金融委員会専門員   北村 治則君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十三日

 辞任         補欠選任

  田野瀬太道君     中川 郁子君

  葉梨 康弘君     岩田 和親君

  前原 誠司君     長妻  昭君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     小林 史明君

  中川 郁子君     田野瀬太道君

  長妻  昭君     前原 誠司君

同日

 辞任         補欠選任

  小林 史明君     葉梨 康弘君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 金融に関する件(金融機関における反社会的勢力との取引問題)


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     ――――◇―――――

林田委員長 これより会議を開きます。

 金融に関する件、特に金融機関における反社会的勢力との取引問題について調査を進めます。

 本日は、参考人として一般社団法人全国銀行協会会長國部毅君、株式会社みずほ銀行取締役頭取佐藤康博君、一般社団法人全国地方銀行協会会長谷正明君、日本証券業協会会長稲野和利君、一般社団法人日本クレジット協会会長大森一廣君、以上五名の方に御出席をいただいております。

 参考人各位におかれましては、御多用中のところ本委員会に御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。

 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。御法川信英君。

御法川委員 おはようございます。自民党の御法川でございます。

 きょうは、財務金融委員会において、金融機関における反社会勢力との取引問題ということで、参考人の方にいらっしゃっていただいて質疑をさせていただく。五名の皆様、大変お忙しい中、ありがとうございます。

 昨今の反社会勢力に対する金融業界の取り組みということで、大変これは大きな問題になっているというふうに思っております。大変残念なことに今回みずほ銀行の一連の事件があったということに関して、やはりこれは看過できない問題であるということがございます。

 みずほ銀行に関しては、簡単に言えば、大きく二つの課題があるのかなというふうに考えておりまして、一つは、やはり当局に対する報告の問題があると思います。二年間以上このことを放置しておったということ、あるいは報告の内容が後から変わってしまったというようなことがありまして、これは本当にゆゆしき問題だろうというふうに考えております。もう一方、本質的な反社会勢力に対する取り組みという部分。この二つのことがあると思います。

 今までの経緯を見ていますと、みずほ銀行のこの課題に対する重要性というものの認識がかなり甘かったのではないかな、金融庁に対する報告についても若干軽率だったのではないかなという感は否めないと思いますけれども、この件について、まず、頭取、何が一番大きな問題だったかということを、御本人のお口からおっしゃっていただきたいというふうに思います。

佐藤参考人 みずほ銀行頭取の佐藤でございます。

 まず最初に、このたびは、みずほ銀行における反社会的勢力との関係遮断への対応に不十分な点がございました。金融庁への御報告にもまた、内容に誤りがございました。お客様、株主、あるいは関係各位の皆様方に大変な御迷惑と御心配をおかけしましたこと、また広く社会をお騒がせいたしましたことに関しまして、深く心よりおわびを申し上げたいと思います。

 反社会的勢力を社会から排除していくということは、社会の秩序や安全を確保する上で極めて重要な課題であり、民間企業の中でも特に公共性を有し、経済的に重要な機能を営む金融機関といたしましては、より高いレベルでの反社会的勢力との関係遮断に向けた取り組みが求められているところ、私どもの対応に関しまして至らぬ点がありましたことにつきまして、大変申しわけなく、深く反省する次第でございます。

 ただいま先生から御質問のございました件に関しまして、御報告申し上げたいと思います。

 今回のみずほ銀行における一連の対応に関しましては、まず、提携ローンにおける反社会的勢力との取引に関しまして、二年間抜本的な対策がとられなかったこと及び金融庁に対しまして事実と異なる報告を行ったこと、この二点が大きな問題点であるという認識でございます。

 まず、最初の点についてでございますけれども、このような事態となりました背景にある根本的な原因といいますのは、対象となった提携ローンのスキーム上、銀行が個々の債務者と直接的な接点を有さないといったような点を含めまして、通常の私どものやっておりますローンと異なる特色がありましたことから、自行債権、自分の債権であるとの認識、意識が低くなってしまったこと、また、私どものみずほ銀行におきまして、反社会的勢力に対する業務が特定の組織に依存していたことなどが要因であったのではないかというふうに認識してございます。

 そのため、二〇一〇年の時点では、取引解消に向けました抜本的な対策について一部検討した経緯は認められるとともに、事後の反社チェックや、また反復取引をすることについての防止策というものは対応がなされたわけでございますけれども、基本的な取引の入り口時点での反社チェック、遮断につきましては、オリコとのデータ共有に関する論点があったこと等もございまして、結果といたしまして一部の改善策にとどまってしまったということでございます。

 その後でございますが、東日本大震災後のシステム障害等の事態の収拾等に当たったこともございまして、組織としてこの課題を継続して認識することができず、加えまして、行内での報告ルールが十分浸透していなかったことなどから、コンプライアンス委員会等への報告が実施されず、結果といたしまして、金融庁に御指摘いただくまで抜本的な対策をとるに至らなかったということでございます。

 続きまして、金融庁に対して事実と異なる報告をしたことについてでございますけれども、本件につきましては、コンプライアンスの担当者が一年以上報告していなかったという認識から、十分に確認を行うことなく、また、上席及びその上の役員につきましても過去にさかのぼって資料の確認等を指示しないまま回答しておりまして、重要な報告に際して、その証拠書類等を確認することなく報告をしてしまったということで、基本動作を怠ってしまったということが原因であるというふうに考えてございます。

 私どもがお頼みいたしました第三者委員会からも、担当者の記憶のみに基づいて回答を行ったものであり、隠蔽などの意図などは認められないものの、当局検査への対応といたしましては軽率であったとのそしりは免れないと、厳しい御指摘をいただいているところでございます。

 今回の事態に至ったことを真摯に反省いたしまして、今後、業務改善計画の遂行を通じまして、お客様や株主、あるいは社会からの信頼回復に努めてまいりますとともに、反社会的勢力との関係遮断を一層強化いたしまして、社会的責任を果たしてまいりたいというふうに存じているところでございます。

御法川委員 ありがとうございます。

 問題に対する認識、そして今後の取り組みという点、もっともっとしっかりとやっていただかなくてはならないということだと思いますが、それに先立って、先月の二十八日に、この一連の問題に関しての社内処分を発表されておりますけれども、簡単に言うと、国民の間では、まだまだそれでは甘いのではないのかという声が聞かれるのは事実だというふうに思っております。

 この点について、頭取はどのようにお考えでしょうか。

佐藤参考人 ただいま先生が御指摘いただきました点につきましては、そうした御意見があるということにつきましては、私自身、承知をいたしております。

 私ども、業務改善命令を受けましてから、まず最初に社内調査委員会を立ち上げまして、その後第三者委員会を立ち上げまして調査を行いましたけれども、その二つのいずれの調査におきましても、癒着とか不正あるいは隠蔽といったようなことを示すような証拠は認められなかったということでございます。その点について御報告させていただきたいと思います。

 その上で、役員の処分につきましては、社内及び今申し上げました第三者委員会の調査結果を踏まえまして処分案を作成いたしまして、その処分案を第三者委員会に事前に提出いたしまして、その内容を御確認いただいております。

 その上で、社外取締役三名と私で構成いたします指名委員会、報酬委員会というのがございますけれども、そこで審議をさせていただきました上で、この処分内容を決定いたしました。

 今般の私自身の処分も含めまして、厳しい御指摘をいただいているということは承知しております。そうした御指摘を重く受けとめまして、反社会的勢力の徹底的な排除に向けまして、不退転の決意で取り組んでまいりたいというふうに思いますし、また、その具体的成果を早急に上げていくことが私の使命であるというふうに考えてございます。ぜひとも御理解を賜りたいと思います。

御法川委員 今後、こういう問題がないように不退転の決意で取り組んでいくという決意、これは大変重いものだというふうに思います。

 一方で、みずほ銀行単独で全て解決できることでもないというふうにも感じております。率直に、単体の銀行としてできること、あるいはできないことというのはあると思うんですけれども、この点についてどういうお考えをお持ちか、もしよければ御披露いただきたいと思います。

佐藤参考人 ただいまの御質問でございますけれども、まず、私どもでできるところということで御説明をさせていただきます。

 業務改善計画を提出してございまして、現在、その業務改善計画の取り組みを最優先課題として行っているところでございます。

 例えば、オリコとの提携ローンの反社会取引排除の体制の強化につきましてまず最初に申し上げたいと思いますけれども、現時点で判明しております反社の取引は、代位弁済により全て銀行としては解消しております。

 また、当行の保有する反社の情報をオリコと共有いたしまして、入り口段階で反社チェックのレベルアップを既に実施してございます。

 さらに加えまして、キャプティブローンの反社排除を徹底させるために、オリコとキャプティブローン反社対応委員会というものを協働で設置いたしまして、銀行とオリコ、協働で徹底的な反社の排斥をこれからも進めていきたいということでございます。

 もう一つ、我々のガバナンスの面について申し上げたいと思います。

 コンプライアンス統括部を再編いたしまして、反社の専担の組織を十一月一日からスタートさせてございます。

 加えまして、反社の対応を専門的に取り扱います反社取引排除委員会というものを、経営政策委員会としてスタートさせております。今後、本委員会には、反社との関係遮断の実務に非常にお詳しい弁護士の河野憲壯先生に特別委員として御参加いただくことにしてございます。

 なお、この委員会は、みずほ銀行だけではなくて、持ち株会社、みずほ信託銀行そしてみずほ証券にも設置いたしまして、グループ全体で取り組んでまいりたいというふうに思います。

 また、チーフ・コンプライアンス・オフィサーに取締役副頭取を充てて強化いたしますとともに、みずほ銀行の社外取締役に元最高裁の判事で弁護士の甲斐中先生に御就任いただいて、強化をさせていただいているところでございます。

 また、もう一つガバナンスの観点について、外部の有識者の意見を反映させるように、持ち株会社における取締役会の補完的な機能として、諮問機関の拡充もこれから検討していきたいというふうに考えておるところでございます。

 今後、今申し上げましたような業務改善計画の着実な遂行と、我々のガバナンスの強化ということに全力で取り組んでまいりたいというふうに思います。

 二つ目の、単独行でできないというお話につきましては、基本的には私ども単独行がしっかりとすることが大原則だというふうに思っておりますけれども、反社情報の共有等につきましては、ただいま全銀協の方でも鋭意検討を進めていただいておりますので、そちらからの御指示、あるいは私どもでできることがあれば何でも協力するという体制で臨んでまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

御法川委員 ありがとうございます。

 今まさに、単独行以外の部分、全銀協の方でも、今後、このキャプティブローン等々のいわゆる反社会勢力への対応ということでいろいろな協議をなされているという話ですけれども、全銀協の会長にお伺いしたいと思いますが、この取り組みはどのようになっているか、御報告いただければと思います。

國部参考人 お答えさせていただきます。

 今回問題となりました提携ローンにつきましては、大変多くの銀行で取り扱っているわけですけれども、銀行とお客様との間に加盟店と信販会社が介在する、ある意味特殊なスキームになっております。このスキームの特殊性ということによって、銀行が本来行うべき反社会的勢力のチェックが十分に行われてこなかった面があるということは、率直に認めざるを得ないと思います。

 こうした反省を踏まえまして、銀行界といたしましても、本スキームの提携ローンに関しまして、反社会的勢力のチェック体制の整備、強化を目指すため、早急に対策を講じる必要があると考えています。

 こうしたことから、全銀協、銀行界として対応すべき事項を改めて検討いたしまして、今月の全銀協の理事会において追加対策を決定することといたしました。

 少し詳しく御説明をさせていただきます。

 追加対策の具体的内容につきまして、大きく三点申し上げたいと思います。

 まず一点目は、行動憲章の改正でございます。

 今回問題となりました提携ローンのような特殊なスキームにつきましても反社会的勢力との関係遮断が徹底されるよう、銀行単体での取引のみならず、他社との提携により金融サービスを提供する場合にも反社会的勢力との関係遮断を行うこと、これを明記いたします。

 二点目は、反社会的勢力の水際排除に向けた取り組みでございます。

 具体的に四つの取り組みを行おうとしております。

 第一は、入り口である信販会社によるチェック体制の強化のため、全銀協が独自に収集をしております反社データベースにあります公知情報を、信販業界を初め他業態に提供したいと考えております。現時点におきましては、信販・クレジット業界のほか、信金、信組、労金、貸金業、生保、損保、信託、合計八業態からデータ提供の要請を受けておりますので、適切な情報管理体制の確保など、具体的な条件面を整備した上で提供したいと思います。

 また、これは全銀協としての取り組みというわけではございませんけれども、大手信販会社の四社はいずれも銀行系であることに鑑みまして、信販会社と親銀行との間で反社会的勢力に関する情報を共有するといった対策も進めます。

 二つ目は、銀行界の反社データベースを強化するため、これまでも検討してまいりました、全銀協と警察庁のデータベースとの接続について、警察庁そして金融庁としっかりと協議をし、前向きに検討を進めてまいります。

 第三は、今回問題となりました提携ローンにつきまして、提携先の信販会社における反社会的勢力との関係遮断に向けた取り組みの状況を検証し、必要な体制を整備するという点であります。

 具体的には、提携銀行から、例えば信販会社における契約書等への暴力団排除条項の導入、反社データベース整備及び反社チェックの実施、それから、提携銀行に対しローン実行前に反社チェックに必要なデータを提供する体制等の状況を確認いたしまして、信販会社が適切な対応を実施するよう申し入れを行います。

 第四は、今回問題となりました提携ローンを取り扱う会員行が、ローンを実行するに当たり、提携先の信販会社からローン申込者の氏名、生年月日等のデータを事前に入手し、反社チェックを行う体制を整備します。反社チェックの結果、反社会的勢力であることが判明した場合には貸し出しを実行しないことが基本であり、この点をしっかりと実行していきたいというふうに思います。

 また、お客様との金銭消費貸借契約に暴力団排除条項を導入することについても、今回を機に改めて徹底したいと思います。

 大きな三点目は、反社会的勢力との事後的な関係遮断に向けた取り組みでございます。

 具体的には、反社会的勢力との取引が判明した場合には、暴力団排除条項に基づき、速やかに関係遮断を図ること、また直ちに適切に経営トップへ報告することをそれぞれ徹底いたします。さらに、反社会的勢力との事後的な関係遮断のための手段の一つといたしまして、預金保険機構による特定回収困難債権の買い取り制度の利用を積極的に検討するよう、会員行に周知をいたします。

 以上が、現在検討しております追加対策の具体的内容であります。

 いずれにいたしましても、反社会的勢力との関係遮断を徹底し、銀行界に対する信頼が回復されるよう、業界一丸となって着実に実行してまいりたいと思います。どうぞ御理解をよろしくお願いいたします。

御法川委員 ありがとうございます。

 かなり詳細に、またポイントをついた取り組みをこれからしていただけるということで私も期待をしておりますが、新規を水際でとめるという話と、現在あまたある金融取引の中で実は反社と分類される人をどう排除するかというのは、また別の観点からやはりやっていかなくてはならない。今、預金保険機構を使ってというような話もありましたので、さまざまな形でしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 その中で、警察の情報をどう共有していくかという点についての言及があったと思います。この点については、私の知るところでは、証券業協会の方では極めて先駆的な取り組みをしているというふうに伺っておりますが、どういう経緯で、今どういう形で反社について証券業界として取り組んでいるのかということを簡単に御説明いただければというふうに思います。

稲野参考人 日本証券業協会の稲野でございます。

 平成十八年のことでございますけれども、政府の犯罪対策閣僚会議及び金融庁の主宰する懇談会から、証券市場における反社会的勢力等に関する情報の集約、共有化についての検討要請を受けました。これを受けまして、証券業界におきましては、警察庁、金融庁、証券取引所と連携する証券保安連絡会なるものを設置したわけであります。この証券保安連絡会における検討を経て、さまざまな施策が実行されているということであります。

 大きく四つございますので簡単に御説明いたしますが、平成二十年までに全国四十七都道府県全てに都道府県別の証券警察連絡協議会というものを設置いたしまして、証券会社と都道府県警察、財務局、暴追センター等との連絡、連携というものを強化し、反社会的勢力に関する情報の交換、証券取引からの排除活動といったことに取り組んでいます。

 第二点目でありますけれども、平成二十一年三月に、証券取引及び証券市場からの反社会的勢力の排除に際して証券会社の取り組みを支援していく必要があるということから、当協会内に専門部署を設置いたしました。同時に、同月におきまして、国家公安委員会から暴力団対策法上の不当要求情報管理機関としての登録を受け、証券会社からの個別の相談の受け付け、社内研修への講師派遣、排除実務に係る具体的検討などをこの組織においてつかさどっているところであります。

 三点目でありますけれども、平成二十二年五月でありますけれども、反社会的勢力との関係遮断に関する規則という名称の当協会の自主規制規則を制定しまして、会員における反社会的勢力との関係遮断に関しての体制整備を強化いたしました。多少具体的に申し上げますと、取引約款への暴力団排除条項導入の義務化、あるいは新規口座開設前の表明・確約条項、反社会的勢力ではない旨の確約を顧客から受け入れるといったことを義務化している、あるいは新規口座開設前及び定期的な顧客審査の実施、そして反社会的勢力である顧客の排除といったことをうたったわけであります。

 四点目でありますけれども、平成二十五年一月、ことしでありますが、警察庁の協力を得て、本協会が持っております反社会的勢力該当性の有無を照会するシステムに警察庁のデータベースを接続することができました。ことしの二月から本格的に運用を開始しております。証券会社の全ての新規顧客の照会を行っているということであります。

 反社会的勢力との関係遮断への取り組みにつきましては、引き続き、業界一体となって推進してまいりたいと思います。

御法川委員 ありがとうございました。

 この証券業界の反社会的勢力に対する取り組みというのは、他の金融業界においても参考になる部分が多々あるのではないかなというふうに思っております。

 ちょっと時間がなくなってまいりましたのであれなんですが、そういう中で、今、アベノミクスあるいは経済を成長させていくということで、金融業界、なかんずく銀行業が経済に対してやらなくてはならない役割というのは極めて大きいわけでございます。経済を牽引していくのが銀行業だというふうに私は思っております。

 そういう意味で、今回残念ながら発覚してしまった反社との取引、またそれに対する対応ということ、広く銀行業の今後ということも鑑みて、佐藤頭取の方から、改めて決意を聞かせていただければというふうに思います。

佐藤参考人 ただいまの御質問にお答えしたいと思います。

 最初に、反社会的勢力を社会から排除していくということは、社会の秩序や安全を確保する上で極めて重要な課題でございまして、特に金融機関といたしまして、より高いレベルでの反社勢力との関係遮断に向けた取り組みが求められるところでございます。その中で、私どもの至らぬ点が発覚したことにつきまして、大変申しわけなく、深く反省する次第でございます。

 この反社勢力の排除ということについては、みずほ銀行といたしましても、徹底的に強化し、皆様方に対する御期待にお応えしていくということを、私自身、しっかりとやっていかなければいけないというふうに考えているところでございます。

 もう一つ、金融として今の経済にという御質問でございましたけれども、やはり今求められていることは、民間の設備投資あるいは従業員の方々の給与の上昇といったような、日本経済のさらなる向上に向けて日本経済全体としてやっていかなきゃいけない課題の中で、私ども民間金融機関といたしましては、積極的に資金を供給申し上げて仲介機能をしっかりと果たしていくということ、また、中堅・中小企業の方々に対して私どもの知見を御提供申し上げて、何としても中堅・中小企業に元気になっていただくような、お金の面だけではなくて、アドバイスの面も含めまして、そこを徹底的にやっていくということが私どもに課せられた重大な使命であろうというふうに思います。

 このたび、私どもの反社の関係で日本の金融システムの信用というものに大きな御負担をかけてしまったことに関しまして深く反省申し上げますとともに、ただいま申し上げましたような金融機関としての使命をしっかりと果たしていけるように頑張ってまいりたいと思っております。

 以上でございます。

御法川委員 みずほ銀行のみならず金融業界、ひいては銀行業界全体の信頼回復のために、今以上のお取り組みを続けていただきたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

林田委員長 次に、竹内譲君。

竹内委員 おはようございます。公明党の竹内でございます。

 参考人の皆さんには、本日は御苦労さまでございます。

 銀行の命というのは信用だというふうに私は思っておりまして、銀行さんのおっしゃることは大体間違いないということがやはり世間の通り相場であると思うんですね。そういう意味で、今回は非常に残念な事件であったというふうに思っております。

 その上で、私の方からは、少し時系列的にみずほさんにちょっとお尋ねをしたいというふうに思っております。

 まず、国民の率直な疑問として、二〇一〇年十二月に、オリコの提携ローンをみずほ銀行が事後調査されたわけです。これは当然のことだと思うんですが、そのときに、顧客に反社会的勢力がいることが判明をしていたというわけであります。にもかかわらず、直ちにその対応に着手されなかったのはなぜかという点につきまして、まずお尋ねしたいと思います。

佐藤参考人 このたびの問題の背景にあります根本的な要因は大きく分けて二つあるというふうに思っておりまして、一点目は、この提携ローンのスキームの関係で、私どもが個々の債務者と直接的な接点を有することがないといったような特色がございますことから、私ども自身の債権という意識が低くなってしまったことが一点目でございます。

 二点目は、反社に対する業務について、特定の組織に依存し過ぎていたという点でございます。このため、今御指摘いただきました二〇一〇年の時点では、取引解消に向けた抜本的な対策につきまして一部当初検討した経緯は認められましたけれども、事後反社チェックや、あるいは反復取引の防止といった対応だけにとどまっておりました。

 一方、入り口の反社チェックにつきましては、オリコとのデータの情報共有に関する論点があったこと、そういった問題点を考えまして、結果として、代位弁済というような形に対策を進めることができず、一部の改善策にとどまってしまったということでございます。

 その後につきましては、二〇一一年の三月以降のシステム障害の収拾もございまして、組織としてこの入り口チェックの課題について継続して引き継がれることができず、また途中で、社内ルールの不徹底によりましてこうした問題をコンプライアンス委員会等へ報告していくことが実施されなかった結果、金融庁に御指摘いただくまで抜本的な対策がとられなかったということでございます。

 結果として、二年以上にわたり、反社会的勢力の関係がありながらその遮断への取り組みが不十分になってしまったということにつきまして、真摯に反省させていただきたいというふうに思います。今後、その改善策について取り組んでまいりたいというふうに思っております。

竹内委員 通常の感覚では、すぐに代弁をして、オリコと一体となって取引の解消を図るとかに突き進むものだというふうに思うわけであります。

 また、今、二〇一一年のときのシステム障害の件もおっしゃられましたけれども、だからといって放置していいというわけにもまいりませんし、いろいろ課題があろうと思います。

 その後、みずほ銀行のコンプライアンス委員会、取締役会、みずほフィナンシャルグループのコンプライアンス委員会、取締役会などで、二〇一二年一月まで計八回報告されているわけですね。それにもかかわらず何らの対応もとらなかったのはなぜかというのが多くの国民の率直な疑問だと思うんですが、この点についてはいかがですか。

佐藤参考人 お答え申し上げます。

 当時のコンプライアンス委員会や取締役会におきましては、提携ローンが自行債権であるという意識の低さを基本的な要因にいたしまして、提携ローンの問題の所在についての十分な記載あるいは明確な説明、議論がなされておらず、当時の出席者はその本質的な問題点を指摘するには至りませんでございました。

 私自身につきましても、二〇一一年の七月に、みずほフィナンシャルグループの社長、また合併前の旧みずほ銀行の非常勤取締役といたしまして取締役会に出席をいたしておりましたが、本提携ローンにおける課題などにつきまして十分な記載あるいは説明、議論がなされておられず、問題点を認識するには至りませんでございました。

 このような問題点を指摘できなかったことを踏まえまして、改めて、今回の事態に至ってしまったことを真摯に反省し、最善を尽くしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

竹内委員 銀行の取締役会資料というのは銀行によっていろいろ違うんでしょうけれども、私も昔は取締役会資料をつくったこともありまして、つくる方もやはり相当緊張感を持って、ある意味銀行員生命をかけてやっていると思うんですね。経営者の方もやはりその資料に基づいて経営判断するわけですから、その資料というのは、経営判断を左右する大変重要な話ですから、隅から隅まで、その整合性や、おかしなところがないか相当チェックされていたものですよ、大体。

 そういう経験からしても、取締役会資料にわずか、片隅にちょっと小さく書いてあったからとか報告がなかったとかいうのは、ちょっと組織としては信じられない感じがするんですね。やはり取締役会資料に上げることというのは重要事項ですから、そんな隅に言いわけがましく書くような話ではないと思うし、それから、説明がないということ自体もちょっと驚くべきことだなというふうに私は思います、はっきり申し上げて。

 そういう意味では、取締役会資料の書き方や、説明がなかった、そういう組織のあり方、あるいはスタッフの姿勢のあり方、この辺は経営者としては問題だと思うんですけれども、いかがですかね。

佐藤参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘いただきました組織上の問題点につきましては、おっしゃるとおりだというふうに認識してございます。

 取締役会の資料のあり方、あるいはその説明のあり方といった点について、改善すべき点が非常に多いということだというふうに考えてございます。本来は、取締役会あるいは経営会議等の重要会議におきましては、最重要課題について議論される場所でございますので、全ての問題点についてしっかりと議論ができるような体制を組んでいなければいけないことだというふうに改めて認識しているところでございます。

 本件につきまして、もともとの要因としての自行債権であるという認識の低さといったようなことも、またこれ自体がやはり意識の低さでございますので、そういった点も十分反省いたしまして、今後の取締役会あるいは経営政策委員会等の重要委員会につきましては、むしろ、書類のつくり方あるいは説明の仕方なども含めまして、しっかりと問題が把握できるように改善を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

 以上でございます。

竹内委員 しっかりやっていただきたいと思います。

 ちょっと厳しい質問を続けますが、民法六百四十四条と会社法三百五十五条には、取締役の法的義務としていわゆる善管注意義務が規定されているわけでありまして、資料を見落としたとか過失だと主張しても、その経緯などを総合的に判断して、必要な注意を怠ったとなれば善管注意義務違反というふうになるわけであります。

 全部で八回、同じ問題で、その書き方や説明の仕方はあったとしても、報告が上がっているにもかかわらず認識できなかった、認識し得る立場ではあったが認識できなかったということが果たして通用するかどうかですね。その辺は、頭取、いかがですかね。

佐藤参考人 ただいま御質問がございました民法六百四十四条、会社法三百五十五条、善管注意義務違反の件でございますけれども、先ほど経緯を御説明申し上げましたけれども、提携ローンの問題の所在について、その十分な記載あるいは説明、議論がなされぬまま、問題点を指摘することができなかったということは事実でございまして、私自身につきましても、その八回のうちの四回は私が出席している会議でございますので、このような問題点を指摘できなかった点については、心から反省をしたいと思います。

 今後は、この改善対応策を実行してまいりますので、その中で、私どもの社会的責任を果たしていくために全力を尽くしてまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

竹内委員 二〇一〇年のこの問題発覚の時点で、背景をちょっとお尋ねしたいんですが、当時、地銀とか第二地銀と、この提携ローンを拡販する取り組みをオリコさんと共同で進めていたというような情報もありますけれども、この辺のこととの関係はいかがですかね。

佐藤参考人 お答え申し上げます。

 地銀様あるいは第二地銀様等とのオリコの関係は、実は提携ローンだけではございませんで、非常に幅広い取引関係を有している関係でございます。例えば、住宅ローンの保証などもオリコが担当しておりますし、一般事業会社として預金あるいは貸し金等のお取引関係もございます。

 私どもみずほ銀行は、オリコ社が地銀様あるいは第二地銀等に対して幅広い金融サービスの提供を希望していたこともございまして、オリコ社に対しまして継続的に地銀様あるいは第二地銀様等の紹介を実施してきております中で、オリコとそれらの地銀、第二地銀様方との関係が深まっていったという経緯だというふうに理解してございます。

 以上でございます。

竹内委員 次にお尋ねしたいのは、二〇一三年七月に、金融庁検査があった後、金融庁に対して問題融資の情報は担当役員どまりだったと事実と異なる報告をされているわけですが、この理由についてお尋ねしたいと思います。

佐藤参考人 お答えを申し上げます。

 ただいまの御指摘に関しましては、社会を大変混乱に導いてしまった一つの要因でございます。心から反省をしております。

 本件は、担当者が一年以上報告していなかったという記憶から、十分な確認を行わずに、また、上席及び役員も過去にさかのぼって資料の点検を行うという基本的な動作を怠ってしまったことが原因でございます。第三者委員会からも、軽率であるとのそしりを免れないという厳しい御指摘をいただいているところでございます。

 今申し上げましたような事実関係に基づきまして、本当に大変なお騒がせをしてしまったということを深く反省し、今後は、重要な報告を行う際には二重チェックを行う、当たり前の話でございますけれども、その基本動作を再度徹底して、同じようなことが起きないように銀行全体で取り組んでまいりたいというふうに思っております。

竹内委員 これも厳しいようですが、行内のヒアリングで、取締役会やコンプライアンス委員会には報告していない、これは長くコンプライアンス統括部に在籍し、問題融資の件に詳しい方が答えた、そのため、今お話があったように、資料を確認することなく、一担当者にすぎない行員の記憶のみに依拠して金融庁に回答した、こういうことなんですが、これはまずあり得ないことですね、普通は。

 今、佐藤頭取がいろいろおっしゃいましたが、ちょっと金融当局を軽視しているとか軽く見たとか、そういうことはないでしょうね。

佐藤参考人 お答え申し上げます。

 金融庁検査の中の私どもの対応が非常に不十分であったということを、改めましておわび申し上げたいと思います。

 金融庁との関係におきましては、私ども、監督官庁でございますので、検査のみならず、日ごろにおきましても金融行政の御指導をいただいております。軽視するようなことは考えておりませんし、また、これからもしっかりとそれを組織で具体的にあらわせるような形で運営をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。よろしくお願いいたします。

竹内委員 第三者委員会のある方も、最近は報告を上げていないということが過去にも上げていないことになってしまったようだ、そういうふうに述べておられる方もいらっしゃいました。

 それでは、二〇一二年一月から、問題の提携ローンについて、取締役会やコンプライアンス委員会に報告を上げなくなったのはなぜなのか。これもまた不思議な、疑問なんですね。この点についてはいかがですか。

佐藤参考人 お答え申し上げます。

 本提携ローンの商品性に対する理解が大変不十分でございまして、自行債権であるという意識の低さがあったことがまず一つ挙げられると思います。

 また、重要な課題を年度ごとに定めまして、その進捗状況を経営レベルで管理する枠組みでございます業務計画というものが私どもありまして、コンプライアンス関係におきましても、この業務計画というのを年度ごとにつくっていく、あるいは半期ごとに残課題について繰り越していくということをやっておりますけれども、ただいま申し上げましたような、本件が自行債権であるという意識が低かった結果、この問題について組織として業務計画にしっかりと落とし、残課題として引き継いでいくことができていなかったということが一つの要因であるというふうに考えております。

 加えまして、行内で反社対応に対する経営陣への報告ルールがございますけれども、これが十分浸透していずに、ここが一部機能していなかったことから、二〇一二年以降、コンプライアンス委員会、取締役会への報告が行われることがなかったということでございます。

 こうした点につきまして、報告ルールにつきましては、今御指摘いただきましたように第三者委員会からも非常に大きな御批判を受けておりますので、業務改善計画における対応策の一つに掲げまして、規程の遵守の強化を図るなど、体制強化に取り組んでいるところでございます。

 以上、お答え申し上げました。

竹内委員 この辺も、非常に信じられないような話だと思うんですね。重要課題が途中で引き継がれなくなるというのは、非常にまずいですね。いかなる組織にあってもまずいというふうに思います。

 それから、二〇一三年九月に金融庁が業務改善命令を出した後の十月四日に岡部副頭取が、当時のトップはこの案件を知らなかったと説明されたわけですが、十月に至ってのこの会見も大きな問題だと思いますが、いかがですか。

佐藤参考人 お答え申し上げます。

 十月の四日に、岡部副頭取、当時、コンプライアンスを統括する担当副頭取、現在もそうでございますが、岡部が記者会見をさせていただきました。九月の二十七日の業務改善命令を受けました直後に私どもの行内調査委員会を立ち上げまして、私が委員長として悉皆調査を始めさせていただきました。その過程で、調査の中身を途中経過でもいいから国民の皆様に御報告する必要があるだろうという考えで、十月四日、岡部が記者会見をさせていただきました。その段階では、私どもの調査の中で、過去に経営陣に対してこの問題が報告されていたという新たに発覚する事実はまだ発見されておりませんでした。

 その次の日、十月の五日にその事実が資料から発覚いたしまして、それを精査した上で、私自身が十月の八日に、適時開示の問題もございまして、記者会見を開かせていただいてその内容をお伝えした、こういう経緯でございます。

竹内委員 九月二十七日に行内調査委員会を立ち上げて、その途中ペーパーでもいいからというようなことで四日に会見された、こういうことですけれども、この辺も、ちょっと対応がいかがなものかと思いますね。中途半端に報告したことがかえって間違いであったというのは、ちょっとこれはお粗末と言われても仕方がないと思うんですね。それで慌てて八日になって頭取みずから会見されることになった、こういうことですね。この辺、我々も非常に驚いていたわけであります。なぜこんなに突然、四日後に翻すような会見をされたのかというのは、非常に驚きでありました。

 先ほども御法川先生から御指摘がありましたが、世間では今回の処分は甘過ぎるというような声が噴出しておりますけれども、先ほど御答弁がありましたが、多くの方々はそのように考えておられるということは私どもからも指摘をしておきたいと思います。これは指摘だけにします。

 それで、今回の事件の背景に、いわゆる旧三行の派閥争いとか旧行意識とか、こういうものがあってさまざまなエラーを生んだのではないかというような指摘をされる方もあるんですが、この点についてはいかがですか。

佐藤参考人 お答え申し上げます。

 今回、この事件をいろいろな角度から私自身も反省しておるわけでございますけれども、その中の一つに、やはり反社という重要な問題に対して特定の組織に依存しているというような、いわば縦割り意識というような一部の企業風土というものがあったのではないかという認識を今現在持っております。

 この縦割り意識ということについて、振り返りますと、三行統合は二〇〇二年の四月でございますけれども、三つの銀行のカルチャーが別々にございまして、その後、旧みずほ銀行と旧みずほコーポレート銀行の二つの銀行を持っていた時代には、それぞれの銀行の企業風土というものがつくられてきたということでございます。

 その中で、私自身、昨年の四月、実質ワンバンク化ということを標榜いたしまして、この企業文化というものを一つにしていこうということに心血を注いでまいったつもりでございました。

 しかしながら、今回の事象を反省いたしますと、やはりまだそこに縦割り意識というものが残っていたということについて、これは非常に残念でございますけれども、この点について真摯に受けとめまして、この企業文化、特にみずほというグループの持っている企業文化の強化につきましては、私自身、不退転の決意でこれを改革していかなければいけないというふうに考えているところでございます。

 以上、お答え申し上げました。

竹内委員 第三者委員会の調査報告書によりますと、本件における問題の所在とか本件の原因について的確に指摘されていると思います。

 その意味で、今頭取もおっしゃいましたが、グループ全体あるいはみずほ銀行が、組織としてのあり方がやはり問われているというふうに思います。経営者として相当深刻な問題意識を持ってもらう必要があると思いますけれども、改めて、この組織のあり方、ガバナンス全体ということについて、どのように認識をされていますか。

佐藤参考人 ただいま御指摘いただきましたとおり、第三者委員会のレポートの中にも幾つかの非常に有益な御提言をいただいてございます。また、その中で書かれていることだけではなくて、私どもの持っております過去の歴史あるいは企業文化という問題についても、やはり不断の努力をしていかなければいけないということを強く今回も認識させていただいているところでございます。

 提携ローンの問題、反社問題につきましては、改善対応策を着実に実行していくということでもございますし、またガバナンスの面でも、社外取締役の登用あるいは経営レベルへの直接な諮問機関をつくるといったようなこと、その他、改革すべき点を既に私自身、改善案として持っておりまして、それを徹底的に進めていくということでございますが、先生御指摘のように、この問題の本当のベースにあるものについても、私自身、いろいろな方々の御意見を伺いながら、ここに切り込んでいかなければいけないという認識を非常に強く持ってございますので、そういった覚悟でこれからやってまいりたいというふうに思っております。

 以上でございます。

竹内委員 これで終わります。

林田委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 おはようございます。

 きょうは、朝からお出ましをいただいて、ありがとうございます。民主党の長妻昭でございます。

 まず、佐藤頭取にお伺いいたしますけれども、まだ公表されていない反社会的勢力との取引というのはございますか。

佐藤参考人 みずほ銀行ということでよろしゅうございますでしょうか。ということであれば、私どもとしては、今の段階でまだ発表していない、提携ローン以外につきまして、取引開始後に新たな反社情報を入手する等によって反社と認定するような取引は、今の提携ローンに関してはございます。反社と認定した取引につきましては、別管理をいたしまして、取引解消に向けて取り組んでおるところでございます。そういった内容でございます。

長妻委員 ちょっとわかりにくいんですけれども、公表していない反社会的勢力との取引は、もう今は全くないということでよろしいんですね。

佐藤参考人 提携ローンのこと以外につきましても、反社と認定する取引は、取引をした後に反社認定が行われるということにおいて反社として認定する取引はございます。

 以上です。

長妻委員 何件ぐらいでございますか。

佐藤参考人 その件数につきましては、非常に微妙な情報でございますので、ここでは回答は差し控えさせていただきたいと思います。よろしく御理解のほどお願いいたします。

長妻委員 では、詳細な件数というより、桁数ですね。今回は二百三十件でしたけれども、つまり百件台なのか千件台なのか十件台なのか、桁数はどのぐらいですか。

佐藤参考人 その桁数につきましても、大変申しわけございませんけれども、非常に微妙な情報でございますので、回答は御容赦いただきたいというふうに思います。

長妻委員 反社との取引というのは、これはみずほ本体のものもあるんですか、それとも、関連会社のものですか。それぞれ、あるのかどうか、大体の規模感も教えていただければと思います。

佐藤参考人 お答え申し上げます。

 提携ローンということだけではなくて、私どもの金融機関としての取引の中に、ただいま申し上げましたように、取引の当初の段階では、私ども反社の排除については徹底しておりますので、取引段階で入ってくるということはございませんけれども、取引をした後に、新しい情報で反社認定がされる、あるいは、企業につきましても、当時は反社ではなかったんですけれども、そこに取締役として反社勢力といったようなものが入り込んでくるというような事象はございますので、したがいまして、みずほ銀行としても反社の取引はございます。

 しかしながら、これにつきましては、判定した以降は、我々としては、その反社認定に基づきまして、暴排条項があるものについてはその暴排条項を適用しつつ、あるいは、ないものにつきましても、特別な管理をいたしまして、その取引の解消に努めているところでございます。

 件数等につきましての数字は、まことに申しわけございませんけれども、回答を差し控えさせていただきたいと思います。

 以上でございます。

長妻委員 そうすると、では、本体以外ではこれはどのくらいあるのでございますか。金額ベースではどのぐらいの単位ですか。

佐藤参考人 お答え申し上げます。

 件数、金額とも、大変微妙な問題でございますので、恐縮でございますけれども、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。よろしく御理解のほどお願いいたします。

長妻委員 そうしますと、今おっしゃったのは、本体部分は、この反社会的勢力との取引は、新規ではこれまでも一切やっていないけれども、取引した後にその取引先に反社会的勢力が加わったと。ただし、それは本体の話で、提携、つまり関係する会社については、これは初めから反社が入ってきた部分も未公表部分であるという理解でよろしいですか。

佐藤参考人 関係会社ということにつきまして、今回の提携ローンということに関しまして申し上げますと、御指摘いただきましたように、例えばオリコのケースで申し上げれば、オリコ自身が最初の段階でオリコ自身の反社データに基づいて入り口のチェックを行っておりますので、オリコ自身の反社データに基づく部分につきましては、反社が入ってくるという余地はございません。

 しかしながら、この提携ローンの特殊性の問題の一つでございますけれども、オリコといたしましては、そういった取引をまとめてバルクにしまして、それで取引金融機関に割り振る時点で、今度は私どもみずほ銀行の反社のデータとのすり合わせが行われるということになりますので、その段階で、オリコとしては反社としては認定しなかったけれども、みずほ銀行のデータとしては反社というふうに認定せざるを得ないというような取引が出てまいるわけでございます。

 その点につきましては、現時点で申し上げれば、わかったものについてはこれを代位弁済してオリコにお返しするという形になるわけですけれども、それだけでは不十分な点もございますので、我々は、オリコとの関係におきましては、我々のデータにオリコの方にアクセスしていただきまして、オリコの段階で入り口からこの反社が銀行ベースのデータで入ってこないような取り組みを既にスタートしたところでございます。

長妻委員 そうすると、まだマスコミに未公表のものがいろいろあるという御答弁です、本体でも、本体でなくても。これは、全て解消する見込みはあるんですか。いつまでですか。

佐藤参考人 お答え申し上げます。

 解消の問題については、暴排条項がついている取引なのかどうかということが一つの分岐点でございますが、暴排条項がついているものにつきましては、これは決して支払いが滞っているというようなことがなくても、積極的にこの取引の解消を我々としては進めなければいけないものだというふうに認識してございます。そういった案件につきましては、警察当局ともよく御相談させていただいて、警察の方の御協力もいただきながら、鋭意解消の努力をしているところでございます。

 一方、暴排条項のない取引である場合に、二つケースがございますが、一つは、その場合で、例えば支払いが滞るとかそういったような契約上の事由が生じた場合には、その事由によって、これは普通の債権が延滞したというのとはちょっと別に扱って、この事象をベースに解消を図っていく努力を進めているところでございます。

 そして、暴排条項がなくて、正常に払っている契約につきましては、私どもとしては、別管理でウオッチをしながら、今後その動静を見きわめていく、そういう対応をしているところでございます。

 よろしくお願いいたします。

長妻委員 そうしましたら、まだ公表されていない反社会的勢力との取引は、これは金融庁にはもちろん報告は内々しているわけですね。

佐藤参考人 そのとおりでございます。

長妻委員 これはちょっと、きのう、みずほの担当者の方にお伺いしたら、それは金融庁にもまだ申し上げていないというふうに担当者はおっしゃられているんですが、本当に全てを金融庁に報告している、公表されていない反社会的勢力との取引について、これは間違いございませんか。

佐藤参考人 御当局の金融庁に対しましては適切に報告を行っているというふうに認識してございます。

 以上でございます。

長妻委員 いや、適切ではなくて、今、みずほ本体あるいは関係の会社で反社会的勢力との取引をしている案件について全て金融庁には報告をしています、こういうことでよろしいんですね。

佐藤参考人 全てという言葉の内容でございますけれども、ただいま申し上げましたとおり、反社の認定というものは、いろいろな社会情報あるいは私どもの取引の中から、毎日これが書きかえられていくという状況になってございますので、今の時点で、一〇〇%全てかということであると、そういった時系列の違いから一部漏れているものがあるかもしれませんけれども、基本的には、御報告を申し上げるというスタンスで金融庁とお話をしているというふうに御理解いただければというふうに思います。

 以上でございます。

長妻委員 一年以上前に把握した反社会的勢力の取引で公表していないものについて、まだ金融庁に報告していないものというのはあるんじゃないですか。ないんですか。断言できるんですか。

佐藤参考人 今詳細な資料は手元に持っておりませんけれども、先生御指摘の一年以上前ということであるとすると、基本的には、金融庁に対しての御報告は行われているというふうに認識しております。

 以上です。

長妻委員 これは、暴力団、反社会的勢力について、非常に対応が、認識が甘いんじゃないかと思います。

 一般的な警察の話だと、暴力団というのは、もちろん、恐喝、覚醒剤、賭博、詐欺を初め、一般国民に大きな悪い影響を与え、警察を初め地域や企業が体を張って暴力団を排除するということで命がけで取り組んでいる方々もいらっしゃる中で、未発表で今も継続しているものがある。これは、公表はなぜしないんでしょうか。

佐藤参考人 幾つか要因があるというふうに思いますけれども、一つは、やはり反社会的勢力の情報というのは非常に神経質な情報になってまいりまして、それについて、回収あるいは解消といったことに、公表することによって支障を来すというようなことも考えられますし、また、私どもの持っております反社会的勢力というデータベース、これをベースに私どもは反社というふうに認定をし、対象の取引についての解消等を行っておるわけでございますけれども、ただ、この我々の持っているデータが、いわゆる警察が考えるような反社会的勢力との間では必ずしも一致しているわけではございませんので、そういった観点から、これを全て公表するということになりますと不測の事態をもたらすということにもなりかねないということから、公表ということには至っていない、そういう認識をしてございます。

 以上でございます。

長妻委員 國部会長もきょう来ておられて、三井住友銀行の頭取でもあられるということでございますが、きのうも発表があったようですけれども、三井住友銀行の本体あるいは関連で、まだ公表されていない反社会的勢力との取引というのはありますか。どのぐらいありますか。

國部参考人 お答え申し上げます。

 昨日、決算発表がございまして、決算記者会見で、私どもの子会社でありますセディナの取引について御照会をいただきました。

 セディナにつきましては、提携ローン、いわゆるキャプティブローンについて申し上げますと、今回のみずほ銀行さんの事案を踏まえまして、セディナは提携金融機関約二十社ぐらいとやっているわけですが、その提携金融機関におきまして、それぞれの会社のデータでチェックをいたしました結果、さらなる調査が必要とされた先が出てきております。これらにつきましては、反社に該当する可能性がございますので、提携金融機関と連携をいたしまして、現在、警察への照会等、調査を行っているところでございます。

 それから、そのほかの会社でございますが……(長妻委員「本体」と呼ぶ)銀行本体、それからそのほかのグループ各社におきましても、先ほどございましたけれども、入り口段階では反社でなくても、その後、例えば保証人であるとか担保提供者に反社と思われる先が入ってきた等々によりまして、反社認定をされる先がございます。銀行本体、それからグループ会社についても、反社取引と疑われる先はございます。

 件数、金額につきましては、大変センシティブな情報でございますので、回答は差し控えさせていただきたいと思います。何とぞ御理解よろしくお願いいたします。

長妻委員 最後に一問、佐藤頭取に。

 畑中金融庁長官とは、この事件発覚後、連絡をとり合ったりお会いしたということはございますか。

佐藤参考人 ございません。

長妻委員 これで質問を終わります。

 ぜひ、暴力団排除、本当に徹底的に取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いします。

林田委員長 次に、古本伸一郎君。

古本委員 おはようございます。民主党の古本伸一郎でございます。

 きょうは、参考人の皆様、ありがとうございます。

 まず、反社会的勢力とつき合ってはいけないという御認識は、それぞれ答えていただきたいと思います、ありやなしや。全銀協から順番に。

國部参考人 お答えをいたします。

 反社会的勢力とは関係遮断をすべきだと思っております。

佐藤参考人 反社会的勢力との関係は遮断すべきであるというふうに考えてございます。

谷参考人 私ども地方銀行も、反社会的勢力とは断固関係遮断すべきだというふうに思っております。

稲野参考人 反社会的勢力との関係は遮断すべきであると考えております。

大森参考人 反社会的勢力との関係につきましては、クレジット協会会員各社に対しまして暴排条項等々指導を強化しておりますので、あってはならないことだと思っております。

古本委員 これだけ、関係する参考人が、異口同音に遮断しなければならないとおっしゃっているのに、残念ながら、けさも三井住友系でもこのように報道がされているとおり、また新たに発覚しております。

 私は、少し着眼点が違っておりまして、報告がおくれた云々は、今金融庁の検査が入っておりますので、ぜひその中でつまびらかにしていただいて、議論を深めていただくことに委ねたいと思います。むしろ、このキャプティブローンは、受け身ローンという仕組みである限り、日本語に直すと受け身ローンなんです、何が受け身かというと、もう頭取も御案内のとおり、貸し借りをしている貸し主である金融機関と借りている方の関係が本来直接成立するはずが、その間に信販会社の審査が入るために、非常に特殊な契約になっているというふうに思います。

 今、全銀協会長からも特殊な形態だというふうに言われましたが、やはり提携ローンというのは特殊ですか。特殊かどうかだけ、お願いします。

國部参考人 お答え申し上げます。

 今回のキャプティブローンにつきましては、銀行と借り主の間に加盟店、信販会社が介在をしておりますし、資金の提供あるいは受領も信販会社を経由して行われるということで、特殊なスキームであることは間違いないと思います。

古本委員 この特殊なモデルを、みずほさんにおかれては、今後とも続けますか。

佐藤参考人 お答え申し上げます。

 特殊なスキームであるということは、今御指摘いただいたとおりでございます。

 このキャプティブローン自身は、御利用されるお客様、あるいはその加盟店にとりましては、相応にメリットのあるスキームだというふうに感じております。また、信販会社は信販会社の審査のノウハウ、あるいは銀行も貸し出しという強い部分がございますので、したがいまして、このキャプティブローンの有意性というものはあると思っておりますので、継続させていただきたいと思います。

古本委員 SMBCさんは、キャプティブローンはやっておられますか。

國部参考人 お答えいたします。

 三井住友銀行については、キャプティブローンは行っておりません。

古本委員 そうしますと、今みずほさんがおっしゃった、まさに消費者の皆様に、仄聞すると、クレジット、割賦販売をお手伝いすることによって消費者に商品を提供するという一つのモデルだと思うんですね。

 だから、これを補完するという意味では、他のメガ、SMBCあるいは東京三菱さん等々は、恐らく、消費者金融を通じてそういったリレバンに資することをやっておられる、社会に貢献されているというふうに理解していますけれども、それでよろしいですか。

國部参考人 お答え申し上げます。

 そのとおりでございます。

古本委員 証券協会にお尋ねします。

 警察庁のデータと相互乗り入れを始めたのはいつからですか。

稲野参考人 本年の二月から運用を開始しております。

古本委員 したがって、最近の話なんですね。これから実効が上がるかどうかが恐らく試されるんだろうと思いますけれども、年間で大体何万件ぐらい新規の証券口座を処理されていますか。

稲野参考人 本年二月から十月までの実績でございますけれども、このシステムは新規口座開設申請に対して悉皆的にチェックしているということでございまして、証券業界全体でいうと、月平均で十二万から十八万の照会件数がございます。

古本委員 ざっくり言って、百万件アルファ。

 他方、みずほさんは、みずほさんだけでこのキャプティブローンで何件審査されていますか。

佐藤参考人 私どもだけの数字は、残念ながら、今持っておりません。ただ、全体では百万件ぐらいというふうに理解してございます。

古本委員 単純には比較できないと思うんですけれども、ボリューム感でいえば、単一行で百万件、証券協会さんは全社集めて百万件、しかも警察庁のデータがオンラインで乗り入れている。

 やはり、入り口で遮断しなければ、これは事後で幾ら対策を打っても、先ほど来代位弁償と出ています、代位弁償というのは、すなわち、オリコさんにこれをつけかえて、言うならば特殊な債権を、みずほではないんです、オリコさんなんですとつけかえるだけであって、実は、オリコは引き続きその債権は負うわけですよね。

 それで、お尋ねしたいのは、全銀協が先日発表した資料によっても、特定回収困難債権の買い取り制度の利用を積極的に検討するようにと。預保による買い取りと。要は、最後は預保に引き取ってもらうしかないということになっているんです。個社がこれを背負えるという問題ではないということですよね、全銀協。

國部参考人 まず、私ども、例えば反社取引が判明した場合には、その解消に向けて努力をするということに加えまして、預保の買い取り制度も選択肢の一つとして活用したいというふうに考えております。

古本委員 失礼しました、選択肢の一つであると。

 とはいえ、債権を回収しないとそれこそ焦げつきますから、結果として反社勢力に貸し付けてしまった、恐らく好きこのんで貸しているわけじゃないので、調べたらそうだったということですよね、それを回収するにはどうするかというと、最終的には預保という公的な受け皿で引き取ってもらうしかないということは、しかるに、入り口でどれだけ遮断するかということに尽きると思うんです。

 その入り口で遮断するという意味において、みずほさん、やはり有効なのは、警察データとの相互乗り入れということもあると思うんですけれども、今後ともこのキャプティブローンを続けると今おっしゃいましたので、信販会社に対しみずほの膨大なデータベースを供用するしかないと思うんですけれども、率直に言って、信販会社のデータとみずほ本体の持っておられるデータでは、精度はどちらの方が高いですか。

佐藤参考人 お答え申し上げます。

 先ほど、一つだけ訂正させていただきたいと思います。百万件という数字は私どもの数字でございますので、私どもが百万件あるということでございます。

 今の御質問にお答えしたいと思います。

 御指摘のとおりだと思います。したがいまして、私どもは、オリコとの間においてこのデータベースを共有するということを既に実施することにいたしておりまして、入り口での遮断ができております。

 ただ、オリコ以外の信販との間ではその点が今後の課題になっているというふうに認識してございます。

 以上です。

古本委員 多分、クレジット協会も言いたいことがあると思うんです。

 オリコさんは、恐らく、当初、自分のデータで気づいたんじゃないんですか。したがって、信販会社が持っておられるデータベースもそこそこのデータベースなのではないんでしょうか。

 だとすると、信販会社の持っておられるデータと銀行の持っておられるデータがなぜ互いに融通し合えないかというと、実はここに省庁の壁を感じざるを得ないんですけれども、最後に、印象があれば、クレジット協会。

大森参考人 大森でございます。

 御指摘のとおり、今までは、それぞれのノンバンクはノンバンク自体で、公知情報であるとか、あるいは地元の新聞情報等々を、自助の形でデータを蓄積してきたのが今現在でございます。

 今回の本事案を受けまして、クレジット協会に対しまして、例えば、全国暴力追放運動推進センターであるとか生保協あるいは銀行協会から、情報の提供をする、こういうお申し出もございますので、これを機会に、そういう横断的な形で、クレジット協会としてはそういうデータベースの機関をつくっていきたい、このように考えております。

古本委員 ありがとうございました。終わります。

林田委員長 次に、山之内毅君。

山之内委員 日本維新の会の山之内毅と申します。

 今回の事件、いろいろ私の方も見させていただきました。やはり国民の注目も高いものでありまして、みずほ銀行としても社会的責任、こういったものが強いと思っております。

 その中で、私が思うに、大きく分けて三つ問題があると思っております。まず、このような時代の流れの中で、コンプライアンスが厳格になってきたこと。それともう一つは、やはり新聞報道等にもある社内の問題。先ほど頭取も言われておりますが、自行債権の意識。あとは、「One MIZUHO」になるための意識と言われておりますけれども、また社内の意識の問題。それから、先ほど来言われておりますキャプティブローンについての問題があると思います。

 まず、頭取にお聞きしたいんですけれども、改めまして、今回、なぜこのような時系列、約二年間放置することになったのか、それに加えてまた、いろいろシステム障害等があった、人員がころころかわった等ありますが、これについて、率直にもう一度お答えいただけますでしょうか。

佐藤参考人 お答え申し上げます。

 今回の発生した経緯でございますけれども、当行における一連の対応につきましては、まず、提携ローンにおける反社取引に関しまして、二年間抜本的な対策をとらなかったこと、そしてまた金融庁に対して事実と異なる報告をしたということ、この二点が問題点となっているわけでございます。

 前者につきましては、基本的な背景といたしましては、先ほどから議論が出ておりますような、提携ローンのスキーム上の特殊性ということから、みずからの債権という認識が非常に薄かったということと、それから、コンプライアンス統括部という特定の組織にこの反社の対応を依存していたという認識だというふうに思っております。

 二〇一〇年の時点、二〇一〇年の十二月にオリコの提携の方に反社が入っているということが確定したわけでございますけれども、その時点では、入り口の反社チェックも含めて対応策を検討した経緯が一部見られますけれども、幾つかの理由で、事後チェックということで、反復取引を阻止するところにとどまってしまったということでございます。

 その後、この入り口チェックにつきましては、残課題として残すべきところを、システム障害あるいは行内ルール等の問題で組織としてしっかり引き継ぐことができなかったということが、私どもにとっては大いに反省すべき点だというふうに考えてございます。

 また、金融庁に対して事実と異なる報告をした点につきましては、担当者が事実確認をせずに、また上席も役員もその確認を怠ってしまったという基本動作のミスでございます。この点については、大変軽率であったというふうに考えております。

 以上、二つの点につきまして、今後、業務改善計画の着実な実行でしっかりと対応してまいりたい、そのように考えているところでございます。

 以上でございます。

山之内委員 ありがとうございます。

 社内の風土においてなんですけれども、例えば、一般論で言われる、代表の方がかわられる際に、自分の時代にできれば爆弾は爆発してほしくないだとか、そういった発言もあったりします。中にはまた、行員の方々もなかなか言い出せない。まあ今回は報告はしておりますけれども。

 そういった、中から言い出しやすい風土、意識改革をするためにはどのようにすればいいか、お考えがあればいただけますでしょうか。

佐藤参考人 先生の御指摘いただいた組織の基本的な風土といった問題は、非常に大きな問題だろうというふうに思ってございます。

 先ほどもちょっと御説明しましたが、二〇〇二年に三行が一つになったみずほでございますけれども、その後、二行が存在していて、この二行を一つの銀行にしたのがことしの七月ということでございます。

 そういう中で、さまざまな異文化の中で組織が次第に一つになっていくその過程にあるというふうに考えておりまして、先ほど「One MIZUHO」というふうにおっしゃっていただきましたけれども、私自身、この持ち株会社の社長を兼務するところから、何とかこの組織を、一つの企業文化の中で新しい金融グループとして立っている形にしなければいけないということを、私自身の責任の一番として考えて取り組んでまいったつもりでございました。

 しかしながら、今回のことを振り返りますと、そういった企業組織、文化といったところの一部に、まだ私自身の至らなさから十分な点でなかったということがわかっておりますので、もう一度、私自身、不退転の決意で、このみずほ、あるいはみずほグループというものを強い組織にしていくために、全身全霊を傾けたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

山之内委員 ありがとうございます。

 私も若輩な世代ではございますが、若い世代の方々はみずほ銀行に入っていらっしゃる。そういった若い方々が闊達に真っ当な活動、営業ができるような、そういった組織になっていただきたいと思っております。

 また、このような風土があった中で、全銀協として、國部参考人、このような状況がほかにも銀行業界でありましたら、客観的に見ていかが思うか、お答えいただけますでしょうか。今のこのみずほさんの風土、これをどうお考えでしょうか。

國部参考人 お答え申し上げます。

 銀行界といたしましては、反社会的勢力と決別をし、健全かつ適切な業務運営を確保することは大変重要な課題と認識をしておりまして、その実現に向けた取り組みを進めてきたところでございます。その意味で、今回の事態は非常に残念だというふうに言わざるを得ないと思います。

 みずほ銀行さんが改善対応策を着実に実行し、反社会的勢力との関係遮断に向け御対応いただくことがまず大切でありますし、また私ども全銀協そして銀行界としても、反社会的勢力の決別へ向けてしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。どうぞ御理解をよろしくお願いいたします。

山之内委員 ありがとうございます。

 今回、時系列があります。提携ローンが二百三十件、二億円とあります。これは、先ほど来質疑もありましたが、そもそも中身はどういったものか。推測するに、二億円の二百件ですので、一件当たりは約百万円程度かな。オリコさんですから、自動車ローン、そういったものかなというのは推測ができるんですが、この中身についてはお答えをすることができますでしょうか。

佐藤参考人 先生おっしゃられたとおり、車の購入あるいは家電製品の購入等、そういった物を買うときにこのキャプティブローンが出ていく、そういう内容になっているものでございます。

 以上、お答え申し上げました。

山之内委員 ありがとうございます。その中に反社会勢力があったと。

 私は、今回の問題は何が一番問題かといいますと、やはり反社会勢力に対してのこういったいわゆる融資、ローンが二年間放置されたこと。先ほど来も皆様言われているとおり、反社会勢力とのこういった関係、取引は遮断しなければいけない、こう強く宣言されていらっしゃると思います。

 私は、過去、コンプライアンスが厳しくなってきた中で、さらに今こういった問題がある、要は、将来こういった問題をなくすためにどうすればいいか、この視点が極めて重要だと思います。

 その中において、要は反社会勢力の定義、これはどうするのか。いわゆる不芳属性先とも言われていると思いますが、反社会勢力というものと不芳属性先、この定義の違いについて、まずは佐藤参考人の方からお願いいたします。

佐藤参考人 お答えを申し上げます。

 私どもの内部でこの定義についてどのように行われているかということでございますけれども、いわゆる反社会的勢力の定義というのは、例えば暴力団、暴力団員、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋といったようなジャンルが入るところでございます。

 一方で、今御指摘の不芳属性先の定義というのは、例えば企業犯罪、金融犯罪、ヘビークレーマーといったようなものもこの不芳属性先に入ってくるということでございまして、不芳属性先の方が定義がかなり広くなるということでございます。

 以上、お答え申し上げました。

山之内委員 先ほど来も質問がありました。警察とのデータが必ずしも一致しない。また、みずほさんとオリコさんのデータも必ずしも一致しない。こういった中で、私は、先ほど質疑もされていらっしゃいましたけれども、まず入り口チェック、これは極めて重要だと思います。入り口で可能な限り防ぐ。

 ただ、当然、中には、当時は反社会勢力じゃなくて、不芳属性先でもなかったけれども、新規で入ってくる、そういった場合もあるわけですね。こういったことに対しての対応は、各参考人の方々ですけれども、まずは全銀協の國部参考人はいかがされていらっしゃいますでしょうか。

國部参考人 まず、全銀協としてこれまでどういう取り組みをしてきたかということについて御説明をさせていただきたいと思います。

 その前段として、反社会的勢力は、市民社会の秩序や安全に脅威を与え、健全な経済社会の発展を妨げるため、断固として対決し、関係遮断を徹底することが重要だと思っています。特に、公共性を有し、経済的に重要な機能を営む銀行におきましては、反社会的勢力を銀行取引から排除することが不可欠であるというふうに考えています。

 銀行界では、会員各行が、政府指針、金融庁の監督指針及び各都道府県が制定した暴力団排除条例等に基づきまして、反社会的勢力のデータベースを整備いたしまして、取引先等の反社チェックを行いますとともに、契約書、約款等に暴力団排除条項を導入し、警察当局と連携をしながら、取引を謝絶、解約するなど、反社会的勢力との関係遮断に向けた各種取り組みを実施しているところであります。

 全銀協といたしましても、二〇一〇年四月以降、新聞報道等で公表された公知の反社会的勢力の属性情報を収集いたしまして、データベースとして会員各行に還元していますほか、二〇一一年四月以降は、会員行が受けた反社会的勢力からの不当要求行為の情報を収集し、還元する体制を整備しております。

 また、今回の事案を受けまして、冒頭御説明させていただきましたような対応策を今月の理事会で決定してまいりたいというふうに思っております。

 以上でございます。

佐藤参考人 お答え申し上げます。

 先生の御質問の、取引した後に反社となったものについての取り扱いでございますけれども、私どもは、そういうケースがございました場合には、基本的には取引の解消に向けて行動を起こすということでございますが、暴排条項の入っている契約の場合には、それを即座に、警察当局と御相談して取引の解消に入りますけれども、暴排条項が入っていない場合で、かつ、取引が、順調に返済等が行われている場合には、これを解消するということはすぐに行動として起こせないケースがございます。その場合には、私どもとしては、特別な管理債権としてウオッチしてこれをスクリーニングしていくというような体制で、別管理という形の体制をとっていくということでございます。

 したがいまして、暴排条項の入っている、入っていないで対応が若干違ってくるということになっているという状況でございます。

 お答え申し上げました。

谷参考人 地銀におきましても、先ほど全銀協の國部会長がおっしゃいましたように、各銀行の取り組みにつきましては全銀協と同一でございます。

 地銀協といたしましても、全銀協と連携いたしまして、この反社会的勢力の排除につきまして、六十四行の頭取が参加します地銀の例会、こういうところで徹底について報告、協議を重ねております。

 私は、先生おっしゃいましたように、水際で排除するというのが第一の重要な点だ、こういうふうに思います。

 その重要な点は、やはり各行の役員それから窓口の行員に至るまで、全役職員が同一の意識を持って、共有して排除に当たるというのが肝要だというふうに思っておりまして、地銀協といたしましては、各委員会、専門委員会、部会等を通じました周知や、法務担当者の打ち合わせ会、それから情報交換会の実施、反社対応関連の研修、こういうものを通じまして意識の共有、統一を図っておるところでございます。

 こういう各行の取り組みをまた支援しているというのが地銀協の役割だというふうに感じております。

 以上でございます。

稲野参考人 新規顧客につきましては口座開設時に悉皆的にチェックしているということでありますけれども、既存顧客につきましては、当協会の自主規制規則におきまして、会員に対して定期的な自社審査の実施を義務づけております。

 会員において、既存顧客に反社会的勢力の疑いがあるということが生じた場合には、不当要求情報管理機関である当協会に個別照会、相談を行っていただき、反社会的勢力であることが判明した場合には、口座閉鎖に向け、関係御当局と相談しながら対応しているということでございます。

大森参考人 お答えいたします。

 今、協会では、契約後に反社勢力であるということが判明した場合、可能な限り速やかに契約を解消するという指導をしているところでございます。

 クレジット業界としては、今、個々、個社単位でそのルールが違うわけでございますが、今回、本事案を受けまして、協会としての対応手順等の共通化とルール化をやっているところでございます。近々に各会員個社に周知徹底をしていく予定になっております。

 それからもう一度、ただ、現時点では、御承知のように、反社勢力排除のための条項、いわゆる排除条項の導入は昨年の十月から各会員個社に指導を徹底しておりますが、会員数にして数社、まだ排除条項が契約書裏面に書かれておりませんので、早急にまずそういう形を整えるということでございます。

 したがいまして、今現在、暴排条項が導入された前と導入された後、これは両方混在しております。したがいまして、一律の対応が非常に困難でございます。そういうことでございますので、暴追センターであるとかあるいは警察等との連携、あるいは弁護士等の外部の専門家の活用等によって、契約の解消に向けた取り組みを整理する予定で今進めているところでございます。

 以上でございます。

山之内委員 ありがとうございます。

 やはりこれは、社会として反社会勢力に対する仕組みを考えていかなければいけないと思います。

 今、クレジット協会会長の大森参考人がおっしゃられました警察との連携、先ほども資料を見させていただきました。全国暴力追放運動推進センターに日本クレジット協会が代表入会して、業務委託はシー・アイ・シーとされているというような状況だと思います。

 このような仕組みは、今後、みずほさんは検討される御予定はありますでしょうか。

佐藤参考人 お答え申し上げます。

 みずほ銀行の個別行としての対応といたしましては、もともと、新しい取引の中で反社が入ってくるということはございません。

 一方、契約をしてから入ってくる問題につきましては、それが発覚した以上、すぐにその情報は経営レベルまで上がる体制になってございますので、先ほど申し上げましたように、その後の対応につきましては、個別行といたしまして、暴排条項があるものは徹底的にその解消に走りますし、ないものについては適宜見ていくというような対応を今後も続けていくつもりでございます。

 以上、お答え申し上げます。

山之内委員 ありがとうございます。

 また、今度は、そういった反社会勢力があった、問題は、この回収ができるかどうか。焦げついてしまう可能性は高いのかもしれないですけれども、可能な限り回収をしたいと。

 その中で、やはり金融の現場にいる各担当の方々にお話を聞きますと、ではどうやって回収しに行くのかというところが問題だと思います。実際に、あなたは反社会勢力もしくは不芳属性先に認定されたからお金を返してくださいと率直に言うことはなかなか厳しいというお話も聞きます。かといって、今まで、過去の経緯、例えばこのようなコンプライアンス機運が高まる前、あったこともあると思うんですね。

 昔にあったものに対して、どのようにある意味回収してきたのか、この実例を教えていただければと思います。佐藤参考人、お願いいたします。

佐藤参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきましたとおり、回収については、容易な作業ではございません。したがいまして、場合によっては警察御当局の御協力も受けながらやってまいるということでございます。

 過去におきましても、私どもの銀行の中でその回収を図って、警察の御協力によって回収ができたものもございます。一方で、警察御当局自身もなかなか手はつけないというような相手先があったこともございます。

 ただ、私どもとしては、貸し出しだけではなくて、例えば貸し金庫とか預金とか、そういったケースにおいてもできる限りの努力を続けておりまして、例えば定期預金あるいは普通預金等でも、努力した結果、解約に至ったケースも決して少なくはございませんので、限界があるという点はございますけれども、個別行としては不断の努力を続けてまいりたいというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

山之内委員 この回収ということに関しては、國部参考人にもぜひお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

國部参考人 お答え申し上げます。

 反社会的勢力との取引と疑われるものにつきましては、暴力団排除条項が入っているものについては、警察当局に確認の上、回収を促進するということを行ってまいります。暴力団排除条項が入っていないもの、なおかつ延滞が生じていないもの、これについては特別に管理をしていくということでございますし、延滞が生じているものについては、通常のほかの債権と同様、その解消に向けて取り組んでいくというふうに進めております。

山之内委員 ありがとうございます。

 いずれにしろ、今回を契機にして、こういった反社会勢力との取引を全てなくしていくという方向性は皆さん一致していらっしゃると思うんです。

 その中で、先ほど、連携のお話がありました。例えば、皆さん方から国もしくは金融庁、警察へ、こういった連携をしてもらいたい、そういった要望がもしありましたら、ぜひお聞かせいただきたいと思います。

 まずは國部参考人、お願いいたします。

國部参考人 お答え申し上げます。

 先ほど、全銀協で今月の理事会で決定をする策について申し上げさせていただきましたが、やはり反社会的勢力との取引を水際で防止するということが大事だと思っております。

 その際には、警察庁のデータベースとの接続が有効な手段だというふうに考えておりまして、警察庁、金融庁そして私どもと協議をしているところでございます。

佐藤参考人 お答え申し上げます。

 個別行といたしましては、今回の事件を非常に重く受けとめまして、大いに反省して、改善計画をしっかりとやっていきたいというふうに考えているところでございます。

 その上で、全銀協の取り組みにも積極的に協力しながら、今おっしゃっていただいたようなことにつきまして私どもも鋭意取り組んでまいりたい、そのように考えているところでございます。

谷参考人 お答えします。

 地方銀行の場合には、各地方銀行が置かれている地域の事情がかなり違っております。したがいまして、各地の所在する県警、地元警察、こういうところとの連携強化が必要だというふうに思っております。

 今までもいろいろな情報交換等をさせていただいておりますけれども、これからはより密にやっていきたい、こういうふうに考えております。

稲野参考人 私ども証券業界は警察庁のデータベースに現在アクセスしているということでございますけれども、先ほども申し上げたように、証券警察連絡協議会というものが全国の都道府県に設置されておりますけれども、こういった組織を通じた情報の照会、共有化というのをより強化してまいりたいと同時に、不当要求防止責任者講習会等を通じて、教育、研修といった点でも警察の協力を仰ぎながらきちんと対処してまいりたいと思っております。

大森参考人 当クレジット協会におきましては、全国暴追センターの情報をベースに、業界共同のDBを構築することといたしました。来年の春をめどに今進めております。引き続き、警察DBとの接続について、今後も相談をしていく予定でございます。

 本件につきましては、昨年来から警察庁ともいろいろ御相談をさせていただいております。この警察のデータと連動することによりまして、より精度の高いチェック体制が構築できる、このように思っております。

山之内委員 時間が来ましたので終わりますが、先ほどから、反社勢力との取引があるものがまだ残っている、件数はおっしゃれないがということでした。いずれにしろ、こういったものを可能な限りスピードを持ってゼロにしていく、そういった方向性で皆様方、各業界が一致して、やはりこの金融業界、社会に与える影響は極めて大きいし、社会に与える責任もあると思いますので、ぜひその点をお願いいたしまして、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

林田委員長 次に、小池政就君。

小池(政)委員 みんなの党の小池政就です。

 当件は、金融業界のみならず、金融行政にも大変大きな影響を与える問題でありますので、当財務金融委員会でしっかりと議論させていただきたいと思います。

 まず最初に、先ほど、みずほの現状、提携ローンにおきまして反社勢力との契約が今どのくらいあるかという話がありましたけれども、クレジット協会の大森参考人にお聞かせいただきます。

 今、十八社の信販会社が提携ローンを実施しているということでありますが、その全体の規模と、また、その中での反社勢力との取引が見当たるものにつきまして、規模、また十八社のうち何社がそれに該当するか、教えてください。

大森参考人 お答え申し上げます。

 提携ローンについての反社の関係につきましては、今、経産省の方から報告徴収を提携ローンを扱っておる十八社に対してやっておりますので、その結果を見て対応したい、このように考えております。

 今現在、提携ローンの市場規模でございますが、日本クレジット協会の統計データベースによりますと、二十三年度の新規の信用供与額は約二兆二千億円でございます。二十三年度の信用供与の残高、まだ残高がある、これが今三兆七千億円ございます。

 以上でございます。

小池(政)委員 既に報道では、三社ぐらい反社の取引があるんじゃないかということがなされておりますけれども、一般的に、反社の取引につきまして、代位弁済という形が行われた後の取り組みというものはどのようにされるんでしょうか。

大森参考人 代位弁済の後の処理は、先ほど佐藤頭取からも御説明があったと思いますが、代位弁済した債権の中の約定に暴排条項があるものとないものが混在しております。

 あるものについては、その約定に従って一括弁済を迫る、期限の利益喪失をさせる等々の対応がございます。それから、ない場合は、警察等に再確認をして、本当に反社であるかどうかを確認した上で、今申し上げた、該当するのであれば即約定に基づいてやる。

 疑わしきものについては、支払いが正常である限りは、これを旗を立てて監視するという形しか今のところないだろう、このように思っております。一回でも滞ったら期限の利益を喪失させて、一般の約定と同じように粛々と債権回収を図る、こういうことだろうと思います。

小池(政)委員 正常であれば続いてしまうということであります。報告を待ちまして、まだこれからまた広がる可能性もあるわけでありますから、しっかりとこれから取り組んでいただきたいと思います。

 次に、佐藤頭取にお伺いさせていただきますが、これまでの取り組みにつきまして、今回、第三者委員会が報告書を出しております。私は、その結論については納得できないところが多いんですが、ただ、その経緯につきましては、非常にしっかりとした調査がされていると思っております。それを踏まえまして、幾つか確認をさせていただきます。

 オリコが二〇一一年の三月まで暴力団の排除条項を含めなかったということがありますけれども、みずほ本体の方は、その二年前、二〇〇九年の四月から、グループの提携の前ですけれども、前からみずほ本体はそのような取り組みをされていた。この二年間、どのような理由があったんでしょうか。

佐藤参考人 お答え申し上げます。

 今おっしゃっていただきましたとおり、みずほにおきましては、二〇〇九年の十月に個人向けローンの契約書への暴排条項を導入してございます。

 一方、オリコにつきましては、加盟店との契約書については二〇〇九年の十二月、それから顧客向けの申込書については二〇一一年の三月に暴排条項を導入しております。これは、信販業界の主要各社とほとんどタイミングは同じでございます。そのように認識しているところでございます。

 以上です。

小池(政)委員 提携ローンの取り組み自体はもうかなり前から行われていたわけでありますから、自分たちのルールというのをしっかりと相手の、この場合はオリコにもしっかりと指導するべきではなかったのかなと思っております。

 またもう一点、先ほどもありましたけれども、代位弁済をこれまで行ってこなかった理由につきまして、先ほどは、今までの組織の問題とかスキームの問題とか、それから防止等に注力してきたんだ、結果としてそのようになってしまったという話をされております。

 ただ、みずほ御自身の、例えば平成十八年の論点整理で方針を出しているんですが、この代位弁済を行ってしまいますと、その債務者が反社会勢力ということを認定されてしまい、債務者に知れて対応が非常に難しくなる、またもう一方は、この代位弁済を行ったとしても、グループ内で結局はその問題が残ってしまうということからちゅうちょされているということも方針として示しておりますけれども、それで理解はいいんでしょうか。

佐藤参考人 お答え申し上げます。

 今回、代位弁済を進めることができなかった理由は、基本的には自行債権であるという認識が甘かったということでございますが、もう一つ、その部分的な理由の一つとして、これを銀行からオリコに代位弁済を求めたとしましても、オリコがグループの中の会社であるという認識であればグループ内には滞ってしまうということが、二〇〇九年から一〇年にかけての検討の中でそういった議論がなされていたことは事実でございます。

 しかしながら、今の段階について申し上げれば、先ほどの二百三十件については全て代位弁済を終えておりますけれども、私ども自身といたしましては、オリコにその分が残っているという認識がございますので、その点については、私ども、オリコを強く指導する中で、特別なチームをつくって、この代位弁済した債権についての解消を我々の方としてモニタリングすると同時に、オリコ社とみずほ銀行との間で、この反社会的勢力に係る債権、取り組みの協働の委員会を立ち上げまして、今後、オリコに戻した債権の反社の排除という問題について、グループ全体を挙げて取り組んでいく体制をつくったところでございます。

 以上でございます。

小池(政)委員 引き続き、佐藤頭取にお伺いさせていただきます。

 オリコとの情報共有について少し確認をさせていただきたいと思います。

 二つありまして、一つ目は、今回の件が発覚する前の段階の情報共有の検討につきまして、大体平成二十一年の夏ぐらいまででありますけれども、オリコとみずほの担当者が直接やりとりをいたしまして、結果としまして、反社への対応またデータの共有等につきましては、オリコ側が非常に営業力それから競争力の低下ということを懸念したことから、基本的には事後チェックという形になったということであります。ただ、今後の課題として、入り口のチェックの導入の可否等を検討していくことを決められたということですけれども、それに補足もしくは修正等ありましたら、お願いいたします。

佐藤参考人 ただいまの先生の御説明に加えましてということになると思いますけれども、やはり当初の段階で、私どもがオリコを持ち分法会社にするときに、銀行と同じレベルの反社チェックの水準を持っているべきだという着意は確かにございました。その観点から、入り口のチェックまで進めようということを検討した経緯は確かに残ってございます。

 しかしながら、当時は、やはり銀行と信販会社との間での情報の共有ということについては、実際に行うことには壁がございましたので、それが一つの大きな要因として、この入り口反社のチェックまで進むことができなかったということでございます。しかしながら、代位弁済であれば、当時、着意があればできた、そういうふうに認識しているところでございます。

 以上でございます。

小池(政)委員 ありがとうございます。

 次に、反社の情報が発覚した後のオリコとの情報共有につきましてお伺いをさせていただきます。

 第一次の事後チェックの後、反社の情報がオリコのシステムに還元されたということであります。平成二十三年三月二十四日の打ち合わせを経て、オリコは、反復取引を防止するという目的を持ってそのような取り組みをされた。また、平成二十三年五月におきましては、オリコとみずほの担当者で打ち合わせを行って、その前の四月には、オリコのコンプライアンス委員会で反社の認定先の登録の確認をされております。

 ただ、みずほが保有します、反社だけではなくて、例えば金融の犯罪者等も含みます不芳属性先情報というものを全て共有する件につきましては、オリコ側が非常に態度がその点につきましては厳しいということで、その点の情報共有が困難だった、かつ、個人情報保護法の問題もあって、そこまでの拡大というものは難しかったということを確認させていただいております。

 そういうのが反社の情報発覚後の情報共有ということでよろしいでしょうか。佐藤頭取にお願いします。

佐藤参考人 情報共有のところは、先生御解説いただきましたとおりでございます。

 当時の対応としましては、オリコのお客様に対して私どものデータベースを使って事後的にチェックをして、それをオリコに還元するという対応しかできなかったわけでございますけれども、それによりまして、オリコとしては、特定のAという人間が、オリコではひっかからなかったけれども、みずほのデータベースでひっかかったということであった場合には、それをオリコに還元して、そのAという個人に対してオリコがそれから二度とビジネスをやることはできなくなっておりましたので、当時の時点でも反復継続するという取引を遮断することはできていたわけでございます。

 繰り返しになりますが、代位弁済という処置をとることはできなかったということと、当時は入り口のチェックでデータベースを共有することまでには至っていなかった、この点が問題であったというふうに認識してございます。

 以上です。

小池(政)委員 ありがとうございます。

 事後にオリコと情報を共有されていたという点が非常に重要なポイントでありまして、その点をもう一回確認させていただきますけれども、それでよろしいでしょうか。佐藤頭取にお願いします。

佐藤参考人 事後的には私どものデータをオリコに還元しております。

 以上です。

小池(政)委員 そうしますと、報道等で言われております、二年間みずほの中で完全に放置されていたわけではなくて、オリコもその情報を共有していたということになるわけであります。

 そのところから、私は、ちょっとこの報告書からこういう可能性もあるんじゃないかなということを思えるのは、結局、この二年間結果として放置されましたけれども、なぜ放置されたかという問題につきましては、一つは、先ほどの代位弁済がなぜされなかったというところで、債務者をみずほが反社認定してしまうことで都合が悪くなってしまうということでありますとか、また提携ローンの特徴としまして、恐らく規模でありますとか期間、今回は車が多いですから大体五、六年ぐらいでこれが回収をされるだろうという判断と、それからオリコとの関係というものがやはりあったのではないかと私は考えております。

 特に、これまでの経緯を見ますと、オリコに対してみずほが情報を共有しようとする、もしくはさっきの不芳属性先情報を何とか共有しようとすると、それも常に、大体オリコからちゅうちょされたり拒否されるというような経緯を確認させていただいております。

 また、その背景となるのは、オリコの方で業績が非常によくない。特に、二〇〇三年の貸金業法改正を経てから業績が一向に上がらず、むしろ悪化していまして、確認したところ、二〇一二年の純利益は二〇〇九年の七分の一になっているということでもあります。その中で、条件が厳しいみずほのデータというものを共有するのが、彼らにとっては非常に厳しい判断ではなかったのかなということを思います。

 また、もう一つは、人事面であります。オリコにつきましては、みずほのOB、特にみずほよりも年次は上の方が大勢いらっしゃっておりまして、少なくとも提携後は、会長から社長、全てみずほのOBであります。

 こんな背景というものも、今回、やはり二年間、結局はみずほ、オリコは何もできなかったというところにつながっているのではないでしょうか。佐藤頭取、お願いします。

佐藤参考人 御質問にお答えしたいと思います。

 オリコの業績の悪化の基本的な大きな要因は、業界全体の問題でもございましたけれども、消費者ローン等も含めた過払いの問題等の負担が基本的に大きな業績の足かせとなって、業績を落としていったという経緯だというふうに理解してございます。したがいまして、オリコの業績の悪化がこの提携ローンの対応ということと直接関係しているというふうには私自身は認識しておりません。

 それから、確かに御指摘のように、オリコの経営陣については銀行のOBの方がやっているということは事実でございますけれども、提携ローンそのものについては、基本的にはユーザーである個人のお客様あるいは代理店のお客様にとって非常に利便性の高い商品でございまして、したがいまして、提携ローンをやるということによって何かオリコを救済するとか、そういう形でもってみずほあるいはオリコがこの問題に取り組んでいたということではないというふうに認識してございます。

 以上でございます。

小池(政)委員 オリコ側のインセンティブというのもしっかり確認しなくてはいけないと思っております。

 また、人事面につきまして、オリコの役員をちょっと確認させていただいたんですが、その中に熊崎勝彦さんという方がいらっしゃいました。二〇〇五年の六月から監査役をされております。佐藤頭取、御存じでしょうか。

佐藤参考人 申しわけございませんが、不明にして存じ上げておりません。

小池(政)委員 この方は、みずほの前身、第一勧業銀行の総会屋の利益供与事件のときの特捜部長であります。この方が、オリコでずっと監査役をされていらっしゃいました。

 そういう方がいらっしゃるオリコとみずほの方で、監査役もしくは取締役、そこら辺の関係というのはないんでしょうか。

佐藤参考人 私の知る限りにおきましては、そういった特殊な関係というのはないというふうに認識してございます。

 以上です。

小池(政)委員 では、もう一回確認ですけれども、熊崎さんは、佐藤頭取は面識もないし、話したこともないということでよろしいでしょうか。

佐藤参考人 熊崎氏はたしか東京地検の方ではなかったかというふうに記憶してございます。有名な方だと思いますが、私自身、旧銀行のときに、接待事件のときに総合企画部の副部長をしておりまして、東京地検に何回か足を運んだことがございますけれども、そのときの主任検察官は熊崎さんではございませんでしたので、私の記憶する限りにおいては、熊崎氏との接点はないというふうに今申し上げられると思います。

 以上です。

小池(政)委員 その点も、これからしっかりと検査を見守っていきたいと思います。

 また、今のような可能性が拒否されるということであれば、みずほがおっしゃっているような、もしくは報告書が言っているような、単なる過失というような形で、取締役会に資料も出されておきながらそれを見過ごしてしまって、結局二年間放置されてしまったということになってしまうわけであります。それはそれで問題でありまして、取締役の役割というのがどうなっているんだ、それから社外取締役、社外監査役の役割等も再考すべきでありますし、また、先ほど熊崎さんの話が出てきましたけれども、グループの中にこれだけこういう問題について精通されている方がいらっしゃるんですから、その力を活用しないでこのような問題を起こした。それはそれで非常に問題だと思っております。

 そこで、全銀協の國部参考人にお伺いさせていただきたいんですが、國部参考人の御行での取締役会議におきまして、反社情報につきまして、どのような取り扱い、もしくはどのような議論というものがなされているんでしょうか。

國部参考人 お答え申し上げます。

 私ども、個別行、三井住友銀行の取り組みですが、私どもでは、反社与信の残高の推移、大口反社認定先、それから施策の実施状況等を定期的に経営会議、これは私どもの役員の会議ですが、経営会議と取締役会に報告をしております。このほか、反社与信が判明した場合には、直ちに適切に経営会議役員宛てに電子メールで速報する体制となってございます。

 以上、お答え申し上げました。

小池(政)委員 通常そのような取り組みがなされると思うんですが、それが今回はなされていなかったということで、業界の慣行等を踏まえた、先ほども挙げられました善管義務の違反に今回は当たるという可能性も拭うことができないと思いますし、それから、既に株主による賠償提訴請求ということも今予定されているところであります。

 頭取にお伺いしますけれども、このような賠償提訴請求、提訴をされるおつもりでしょうか。

佐藤参考人 お答え申し上げます。

 ただいまの損害賠償請求のことについては、私も認識しているところでございます。

 今回の件に関しましては、取締役会あるいはコンプライアンス統括委員会等で、オリコのキャプティブローンの反社の取引について取り扱いが不十分であったということは事実でございます。その点については深く反省いたしまして、今後の改善策をつくっているところでございます。

 いずれにしましても、特殊性というようなことではございますけれども、やはり自行債権としての認識をもう少し強く持って管理していくべきだったというふうに考えているところでございます。

 以上、お答え申し上げました。

小池(政)委員 もうそろそろ時間になりましたけれども、佐藤頭取に今回の総括という形でお伺いさせていただきたいんですが、三行の対等合併というものが今回の問題につながっているというような認識はありますでしょうか。

佐藤参考人 三行の対等合併ということが本件に影響を与えたというふうには私自身は認識しておりませんけれども、三行の合併、それからその後に続きました二行の合併ということをみずほは歴史として持っておりますので、やはり企業文化の統一という観点においては特段の努力を続けていかなければいけないということを強く感じているところでございます。

 以上でございます。

小池(政)委員 まだちょっと時間があるみたいなので、もう一点佐藤頭取にお伺いさせていただきたいのは、御行及びグループにおきまして、当然証券会社経由ということになりますけれども、株の保有につきましては、反社の勢力というものが関与している事例というのはあるのでしょうか。

佐藤参考人 お答え申し上げます。

 株式はマーケットで取引されておりますので、例えば反社認定される人間がマーケットでみずほの株を買うということはあり得る話だというふうに思ってございます。

 しかしながら、ある意味では組織的な形で反社勢力がみずほの株を買うということは、私ども、大株主のリストあるいは状況は調査を常に続けておりますので、そういうことはないというふうに認識してございます。

 以上です。

小池(政)委員 前回の総会屋の件のときも、株を通してということもありましたし、またそういうものを踏まえて、かつ、今回の検査を踏まえてしっかりこれから取り組んでいただきたいと思います。

 これで終わりにします。ありがとうございました。

林田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 まず、みずほの佐藤頭取にお聞きをしたいと思います。

 この提携ローン、キャプティブローンは、みずほ銀行の貸付債権でありますから、本来なら自行の責任で反社管理をきちんとしなければならない。にもかかわらず、銀行として、顧客と直接会うこともない。反社会勢力かどうか、返済能力がどうかといった融資のための審査、これをみずから行うこともない。そして、顧客窓口業務の一切をオリコとその加盟店に委ねていた。つまり、提携ローンという仕組みのもとで、審査は信販会社に丸投げであった。問題の本質はそこにある、こういう認識はお持ちでしょうか。

佐藤参考人 お答えを申し上げたいと思います。

 この提携ローンにつきましては、自動車の購入とかあるいは住宅のリフォームとか、そういった目的のために広く利用されているローンでございます。この四者提携ローンにつきましては、信販会社の持っている得意分野、それは小口の審査も含めてでございますが、そして金融機関が持っている得意分野、これは調達ということでございますけれども、この両方の得意分野をそれぞれ生かすことによりまして、お客様あるいは加盟店の皆様方のニーズに対して応えていこうという商品となっているわけでございます。

 したがいまして、この提携ローンの枠組みそのものに問題があったということではないと認識しておりまして、むしろ、その中での反社取引の排除に関して、私ども、大変申しわけないことでございますけれども、不十分な点があったんだというふうに反省をしなければならないというふうに考えているところでございます。

 したがいまして、反社取引について、オリコとの提携ローンについては、徹底的に排除できるような仕組みを既に確立して、運営していきたいというふうに考えているところでございます。

 以上、お答え申し上げます。

佐々木(憲)委員 この提携ローンは、みずほの前身であります第一勧銀で、一九九七年の三月から取り扱いが開始されております。みずほ銀行がオリコを関連会社にしたのが二〇一〇年の五月でありますが、その前の二〇〇三年九月に、オリコを含む信販会社との販売提携ローンの融資先の属性チェックについて検討したことがあったというふうに聞きますが、これは事実ですか。

佐藤参考人 事実でございます。

佐々木(憲)委員 そのときに、オリコ側が独自の保証審査を実施するという前提で、銀行としての独自の保証審査は不要、こういう結論を出したと聞きますけれども、それは事実ですか。

佐藤参考人 そのように認識してございます。

佐々木(憲)委員 みずからの金銭消費貸借契約なのに、オリコの保証審査で十分と考えられた理由は何でしょうか。

佐藤参考人 お答え申し上げます。

 提携ローンの相手方としては、代理店等になるわけでございますけれども、その代理店のどういう人がどういうことをやっているかについての認識は、割賦販売をやっているオリコの方が知見があるというふうに考えたことがベースになっていたのではないかというふうに考えてございます。

 以上です。

佐々木(憲)委員 融資先がどんな状況にあるかということを銀行側が直接把握する、そういう姿勢がこの段階から見られないというのは、私は問題だと思うんですね。つまり、反社勢力が入ってくる可能性があるにもかかわらず、それについては信販会社が責任を負うんだ、こういうふうな仕掛けをつくったわけですね。したがって、この融資の最終的な責任というのは銀行にあるにもかかわらず、その点については責任は自分にはない、信販会社の方なんだ、こういう仕掛けを容認して、それを前提としてやってきたというところに非常に大きな問題があったというふうに思います。

 そこで、日本クレジット協会の大森会長にお聞きしますけれども、業界の自主規制ですね。これは、いただいた資料によりますと、昨年九月に暴力団排除を掲げたとされていますけれども、それ以前はこういうものは自主規制の内容にはなかった、こういうことなんでしょうか。

大森参考人 本件につきましては、警察庁と相談の上、暴排条項を入れなさい等々の指導、御要請がございました。それに基づいて、協会としては、一連の自主規制規則の中で制定をいたしまして、今現在、各会員個社の中に定着をしておりますが、まだ対応し切れていない会員会社が一部ございますので、それを早急に満たすように今動いているところでございます。

佐々木(憲)委員 いや、私がお聞きしたのは、昨年九月に自主規制の中に暴力団排除というものを入れたけれども、それ以前にはこの自主規制の中にはそれが入っていなかった、こういうことをお聞きしています。

大森参考人 それは入っておりませんでした。

佐々木(憲)委員 信販の方、クレジット協会としての対応が、昨年の九月まで自主規制の中に暴力団排除が入っていない、これは非常に問題だったと思うんですね。

 経産省の割賦販売業者に関する監督指針というのがありますけれども、その中に暴力団排除の項目が入ったのはいつですか。

大森参考人 承知しております。(佐々木(憲)委員「いや、いつですか」と呼ぶ)

 それに基づきまして、先ほど申し上げましたように自主規制規則を制定いたしまして、これに基づいて会員各社に周知を徹底し、あるいは、弁護士さんあるいは大学教授等を入れた勉強会、研修会を定期的に続けてきておりました。

佐々木(憲)委員 今回の事件以前に、所管の経産省から反社会勢力排除についての報告を求められたということはありましたでしょうか。

大森参考人 報告を求められたことはございません。

佐々木(憲)委員 結局、信販会社の方は、暴力団排除についての自主規制もつい最近なんですよ。経産省も、暴力団排除についての報告を出しなさい、こういうことをそれまでは言ってこなかったんですよ。

 そういう状況のもとで、審査はともかく信販の責任であると。そういう状況で、丸投げをして信販の方に責任を押しつけても、信販会社の方はその自覚がない、所管の省庁からの指導もない、こういう状況であったわけですよ。

 したがって、これは、銀行側としては、当然そういう状況があるということを認識して、みずから、反社会勢力に対する融資が行われないような、そういう体制をつくらなければならない。それが不十分であった。つまり、銀行側も、信販側も、暴力団排除についてまともな対応をこれまでしてこなかった。ここに重大な問題があるわけです。

 私は、そういう点でいいますと、先ほどの佐藤頭取のお答えの中では、これは仕掛けとして信販会社に責任があるというふうに判断をしたと、そこに非常に大きな弱点があった、こういうふうに思いますが、どうですか。

佐藤参考人 反社の取引の排除という観点につきましては、私ども、二〇一〇年の九月、持ち分法適用の状態になる時点を目指して取り組みを強化いたしまして、私どもの反社データを、事後的なチェックではありましたけれども、オリコに開陳することによって反復取引を遮断するということはその時点から行っております。これを入り口のチェックからやれればもっとよろしかったわけでございますけれども、そこのところには幾つかの障害があってできなかったということにつきましては、反省をしているところでございます。

 したがいまして、反社の排除という観点から申し上げますと、その時点からは、少なくとも、反復継続で同じ人間がこの提携ローンを使って資金を手に入れるということはできないような仕組みはつくったつもりでおりました。しかしながら、本来は代位弁済をしなければいけないということにつきましては着意が不足していたということにつきましては、深く反省を申し上げたいというふうに思います。

 以上でございます。

佐々木(憲)委員 二〇一〇年の話ですけれども、そのときは、オリコをグループの中に入れたわけですよね。したがって、そういう意味では、銀行と信販会社が一つのグループに入ったものですから、それを契機として反社勢力の問題をやらなければならないな、こういう自覚が出てきた、そういう話だったと思います。しかし、その以前の対応、それから、そういう自覚があったと言いながら、銀行側としてチェックが実際には行われていなかった、こういう問題が生まれているわけです。

 オリコの齋藤社長は、提携ローンは重要な資金調達手段と述べて、今後も重点を置く事業として継続する、こういうふうに言っているわけです。

 この提携ローンというのは、約一兆三千億円。そのうち、八千億円、実に六割以上をみずほ銀行が占めているわけであります。今後も提携ローンを継続する、こうおっしゃいますけれども、継続する場合は、みずから銀行側として審査をするか、あるいは反社会勢力のチェックをみずから行うか、こういうことをしなければならないと思うんです。

 審査の最終的な責任はグループの中核である銀行が負う、そういう自覚で、そういうシステムでやるつもりはあるんでしょうか。

佐藤参考人 お答えを申し上げたいと思います。二点あったと思います。

 一つは審査の問題でございますけれども、オリコは、グループ会社でございますけれども、持ち分法適用の会社でございまして、一〇〇%子会社というわけではございません。したがいまして、オリコ自身が、いわゆる信販会社としてのお客様に対する目きき、審査能力を持っているという状況でございますので、そこに銀行レベルの審査を入れるという考えは今は持っておりません。

 しかしながら、反社ということに関して申し上げれば、これは、私どもの反社データをオリコに使っていただくというところまで踏み込みましたので、反社のチェックという意味においては、銀行レベルと同じ反社のチェックレベルができているというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

佐々木(憲)委員 責任をオリコの方に押しつけるような、そういうことではいけないと思うんですね。今回の状況を見ますと、やはり銀行の責任のとり方が非常に甘いと私は思いますね。

 みずほ銀行の件では、オリコが代位弁済をしてみずほ銀行の金銭消費貸借契約というのは解消される、こういうこととなっておりますけれども、これで確かに銀行側としてはきれいになるわけですよ。しかし、オリコに債権が移るだけなんですね。オリコに移ったらどうなるか。結局、オリコが自分の責任でそれへ対処しなければならない。

 その際、どういう事態が起こるかといいますと、例えば、預保の整理回収機構、オリコとしてはそれに頼れないわけです。なぜかといいますと、銀行の債権しか扱わないから。銀行の債権だから、それを扱うわけです。そうなりますと、結局、オリコの方に債権を移すということは、問題の解決をかえっておくらせることになる。

 銀行としては、みずからの責任でこれを解決するということをしなければならない。そういうつもりは一切ありませんか。

佐藤参考人 今先生が御指摘いただいた点は、私も十分認識しているところでございます。オリコの持ち分法適用の時点でも、先生がおっしゃった問題点は議論した経緯が残っております。

 したがいまして、今の段階で申し上げますと、グループ会社の一角であるオリコに対して代位弁済をしてしまえば銀行としてはもう庭先がきれいになっておしまいというふうに考えることは、私は間違っているというふうに考えております。

 したがいまして、私どもとオリコが、弁済した債権のその後の回収を一緒にやっていくという仕組みを、協働の委員会組織を立ち上げまして、これを私ども自身の、グループ全体の問題として、最後の反社の解除のところまでモニタリングをしていくという体制をつくらせていただきまして、銀行としても、私どもの情報ルートを含めて、グループ全体としてオリコに弁済した債権の回収に鋭意当たっていきたい。そのように取り組んでまいる所存でございますので、よろしく御理解のほどお願いしたいと思います。

 以上です。

佐々木(憲)委員 これは地銀の方ですけれども、オリコと提携ローンを契約する十四行のうち九行が相次いで取引中止に動いているという報道があります。それは事実でしょうか、理由はどういうところにあるのか、地銀協会長に聞きたいと思います。

谷参考人 お答えいたします。

 地方銀行会員行の中で八行がこのローンを取り扱っているというふうに承知をいたしております。

 その取り扱いにつきましては各銀行で検討されるべきものだというふうに思いますが、事情につきまして私どもの方で調査いたしましたところ、全部ではございませんけれども一部銀行から事情を聞きました。その回答といたしましては、このローンは、反社対応について不十分な点があったので一応取引を中止しておる、今後につきましては全銀協の追加対策等も含めて方向性を検討しておるということでございます。

佐々木(憲)委員 全銀協の会長に聞きますけれども、銀行業界としては、提携ローンをみずほのように取り扱って、融資対象者の審査を提携先の信販あるいは消費者金融業者に任せている、こういう事例は今でもかなり多くあるのでしょうか。

 提携ローン契約を取り扱う取り扱い方、あるいは提携ローンそのものに対して、全銀協としてはどのような認識をお持ちでありましょうか。

國部参考人 お答え申し上げます。

 今回の問題となりました提携ローンにつきましては、銀行とお客様の間に信販会社と加盟店が介在をし、ローン契約の当事者である銀行は、みずからお客様と面談することもなく信販会社の口座に融資金を入金し、またローンの返済につきましても信販会社経由で受領しているという意味で、ある意味で特殊なスキームだと思います。

 この特殊性によりまして、銀行が本来行うべき反社会的勢力のチェックが十分に行われてこなかった面があることは、率直に認めざるを得ないというふうに思います。具体的には、入り口である信販会社におけるチェック体制の強化ということと、銀行サイドでの反社会的勢力のチェック、この両面で不十分な点があったというふうに認識をしてございます。

 今回全銀協として決定をいたします追加対策につきましては、こうした反省を踏まえまして、本スキームの提携ローンに関し、銀行界全体として、反社会的勢力のチェック体制の整備、強化を目指すというものでございます。

 いずれにしろ、銀行界として、しっかりと反社会的勢力との関係遮断を徹底し、信頼が確保されるよう、業界一丸となって追加対策を着実に実行してまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

佐々木(憲)委員 先ほど三井住友としてはこういう提携ローンはやっていないというふうにお聞きしましたけれども、全銀協加盟の銀行の中で全体として何行がこういう形の提携ローンを行っているか、全体の中の比率はどの程度なのか、教えていただきたいと思います。

國部参考人 全銀協傘下の各金融機関が今回のような提携ローンをどれくらいやっているかということにつきましては、調査をしておりませんし、全体像はわかりません。

 ただ、何行かの金融機関が信販会社とこの種の提携スキーム、提携ローンを行っているというふうには認識をしております。

佐々木(憲)委員 この提携ローンの根本的な欠陥は、銀行側が直接融資先と面談もせず、直接個別の審査をやらないというところに非常に大きな問題があると思うんですよ。こういう融資のシステムというものは、銀行の責任を非常に曖昧にして取引先に反社勢力が入り込む余地を残す、こういうことが今回の事案で明らかになったと思うんです。

 したがって、この提携ローンについて、銀行協会あるいは銀行業界全体として、根本的な見直しが私は必要だと思います、こういうシステムそのものについて。この点についての検討を行う、そういうことは想定されているんでしょうか、あるいは、もうこれ以上これはしない、こういう立場なんでしょうか。

國部参考人 お答え申し上げます。

 今回の提携ローンのスキームにつきましては、大変特殊なスキームではありますが、このスキーム自体に問題があるということではなくて、やはり、反社取引に関する、入り口である信販会社によるチェック、そして銀行サイドでのチェック、これが不十分だったというところが問題というふうに認識をしておりますので、ここの問題点について、さまざまな対策をとっていきたいというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

佐々木(憲)委員 最後に、みずほの佐藤頭取にお聞きをしたいと思います。

 十月二十八日に発表した処分ですけれども、現役、OB、合わせて五十四人に上る大量処分だということが報道されておりますが、佐藤頭取はわずか半年の無給処分で頭取に留任、前頭取は銀行を辞任するものの親会社のフィナンシャルグループの会長は続投する。これは、私は、今回の事案の重さに比べると、処分としてツートップには極めて甘い、そう思うんです。

 実際にこの十月の処分発表以後も次々と新たな反社勢力への融資が発覚している、こういう状況を考えますと、その責任も含めて、頭取として、辞任をするとか、あるいは何らかの対応をする、そのつもりは一切ありませんか。ここでお聞きしておきたいと思います。

佐藤参考人 お答え申し上げます。

 今先生がおっしゃられたように、今回の処分について厳しい御意見があることについては、私自身も承知しているところでございます。

 この処分の案につきましては、私ども、第三者委員会の調査、私どもの行内調査を含めまして、その調査結果を踏まえて処分案をつくりまして、それを第三者委員会にも事前に確認をし、また、社外取締役三名と私の四名でつくる指名委員会で審議した結果として御発表申し上げたものでございます。

 しかしながら、そうした厳しい意見があるということは十分承知しておるつもりでございますので、この反社取引の排除ということに関しまして、提携ローンだけではなくて、あるいはみずほ銀行だけではなくて、みずほグループ全体でこの反社の取引の徹底排除に対して全身全霊で当たっていきたいというふうに思ってございますし、また、そういうことを実際に成果を出していくことによって社会的責任を果たしていくということが私の使命ではないかというふうに考えるところでございます。どうぞ御理解のほどお願いしたいと思います。

佐々木(憲)委員 私としては理解できませんが、時間が参りましたので終わります。

林田委員長 次に、鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 生活の党の鈴木でございます。

 参考人の皆さん、本当に御苦労さまでございます。最後の質問になろうかと思いますが、ひとつよろしくお願いをいたします。

 まず、佐藤頭取にお伺いをし、そしてちょっと質問の順番を変えさせていただいて、また最後に佐藤頭取にお伺いする、このような順番でやらせていただきたいというふうに思っております。

 今回の一連の問題は、終始後手後手に回ったという感じが実はいたしております。何が後手後手かということは後でまた申し上げますけれども。いずれにしても、今、この反社会的勢力排除に対する社会の関心とか要求というのは非常に強いものがあると思うんですね。そういう状況の中で、なぜこのようなことが起きたのかということは、まさに真摯に反省をし、そしてしっかりと認識をする、原因を追求する必要があろう、このように思っております。

 そういう意味で、少し質問をさせていただきたいと思うのですが、まず、そもそも銀行というのはどういうものであるのか。これはもうまさに御専門の皆さんを前に釈迦に説法という言い方になるかもしれませんけれども、私は、渋沢栄一翁がそろばんと論語ということをおっしゃったけれども、本当にそのとおりだというふうに思っておりまして、ある意味では、そろばんだけではない、まさに論語の部分が、金融業界といいますか、経済といいますか、そういうものの信頼を高めていくことになっていく、このように思っておるわけであります。

 そこで、いわゆる反社勢力を遮断していくという体制をきちっと整備していくことが一番大事だ、これはもう繰り返しになりますが、そういうことだと思うんです。

 第三者委員会の報告書を拝見いたしました。そうしたら、こういう一文があるわけですね。東日本大震災直後に発生したシステム障害の混乱の中で、反社問題の担当部署もその対応に追われ、この問題の優先順位が下がった、こういうふうにされておるわけであります。

 あのシステム障害自体、これはもうあってはならないことであります。他の金融機関でも同じように被災に遭ったんですが、連携をとりながら、被災をした翌々日ぐらいから一生懸命で預金者に対応をしたという事実、我々も見ておるわけでありますが、そういうのが金融機関の姿勢だというふうに私は思うんです。それによって、先ほど言った、優先順位が下がったというようなことを理由の一つにおっしゃっておることについては、私はこれは問題があると正直思っております。

 それから、先ほど責任のとり方ということを前の委員もおっしゃったんですが、これは、私は他人様の懐に手を入れるつもりは全くありませんけれども、頭取の年俸というのは一億一千六百万ぐらいある、このように聞いております。仮に半年間無給になられたとしてもやはり相当な額があるわけでありまして、そういう意味での責任のとり方というのは、私はいかがなものかなと正直思っておるということを申し上げたいと思います。

 さて、繰り返しになりますが、そういった一つ一つのことをきちっと処理できない組織が、国際的にも名の通ったメガバンクということで、我が国の経済成長の血液を担っていくということが本当にできるんだろうか。ここは、本当にちょうどいい、国民の皆さんに説明をされるいい機会ですから、真摯に、状況の説明、そして今のお考え等をぜひ御披瀝いただきたい、私はこのように思います。

佐藤参考人 先生の御質問にお答えしたいと思います。

 私ども、メガバンクの一つとして、国内経済に対しましても、あるいはアジアを中心とした世界経済に対しましても大きな責任を負っている、そういう立場ということを、今回の事件も含めまして、もう一度再認識しなければいけないということを強く感じているところでございます。

 私どもの今回の反社勢力に対する取り組みの不備につきましては、これは銀行という立場からすればあってはならない、理由はともあれ、あってはならないことだというふうに思っております。

 したがいまして、銀行の抱えるリスクというのは、反社勢力もさることながら、そのほかにも、マネーロンダリングとか、あるいは利益相反とか、さまざまなリスクが業務の中に必ず入ってまいりますので、そうしたさまざまなリスク、しかも、これを未然に防いで、これを組織の強さにつなげていくというような対応が必然的に求められているということを強く自覚いたしまして、組織の強靱化にありとあらゆる面から取り組んでまいりたい。しかも、それは恐らく企業文化ということにも大きな関連があるのではないかというふうに思ってございますので、私は、全身全霊で、その点についても含めて、申しわけない事案を起こしましたことを反省しながら、このみずほというものを強い組織にしていきたいというふうに考えているところでございます。

 したがいまして、反社取引への強化といったような具体策については、これはもう当然のことでございますので、一日も早く着実にやるべきことをやっていきたいと思っておりますけれども、それをさらに超えて、皆様方の御期待、あるいは、今特に日本経済では、金融ということが、リスクをちゃんととって、中堅、中小の皆様方を含めて、あるいは個人の皆様方を含めてちゃんとお金を回していくということが、日銀の緩和政策を本当の経済の成長に生かすために必要である、こういう大事な局面であるというふうに私自身も認識しておりますので、それが実現できるように、しっかりとした危機管理とコンプライアンスをベースにして、前向きに資金供給の役割を果たしていきたい、そのように強く考えているところでございますので、何とぞ御理解をいただきたいというふうに思います。

鈴木(克)委員 後ほどまたお伺いをしていきたいと思いますが、まず、反社勢力をいかに排除していくかということです。これは、私は、例えがうまくないかもしれませんけれども、浜の真砂は尽きるとも世に何とかの種は尽きまじという言葉がありますけれども、本当に難しいことだと思います。しかし、それをやらなれば、金融に対する国民の信頼というのは回復できないわけですね。

 そういう中で、全銀協の会長さん、地銀の会長さん、それから証券の会長さん、お三方にお伺いをしたいんです。警察庁の反社情報をどのように活用していくかということについて、お伺いをしたいと思います。

 今回の問題については、金融機関が果たすべき反社排除の取り組みを実現するに当たって欠くことのできない情報、このデータベースをどう構築するかということが非常に大きな課題となって残されておるわけであります。特に、銀行業界においては、各銀行においてデータベースの構築を進める一方、全銀協が独自にデータを収集し加盟行に提供するという取り組みを進めておられますが、やはり最終的には警察とのスムーズな情報共有が必要だ、私はこのように思うわけであります。

 そこで、全銀協の会長、そして地銀の会長、お二方にお伺いをするわけであります。その辺については全銀協が以前から警察庁と議論をし努力をされている、このことは承知をしておりますけれども、銀行が警察とのデータ共有を可能とするために越えなくてはならないハードル、これは私はあると思うんですが、具体的にどのようにされているか、お二方からまず御答弁をいただきたいと思います。

國部参考人 反社会的勢力との取引を水際で防止するための一つの方策として、警察庁とのデータベース接続、これが大変有効な方策であろうというふうに考えています。全銀協では、かねてより、暴力団員や暴力団関係企業に関するより精度の高い情報を得ることにより既存のデータベースを補完するために、警察庁との間で接続に関する協議を行っております。

 私どもとしてはぜひ接続をさせていただきたいというふうに考えておりますが、その実現のためには、情報管理に関する課題や銀行取引に即した実効的なチェック体制の整備など、解決すべきさまざまな課題がございます。これらの解決に向けまして、警察庁、金融庁そして銀行界の実務者間で具体的な検討を進めているところであります。

 例えば、警察庁のデータベースに接続をいたしましても、全ての取引について反社会的勢力かどうかを自動的に判別できるわけではなくて、場合によりましては、最終的な確認を個別に行う必要が発生をいたします。そうしますと、大量に発生する銀行取引につきまして、そうした個別の確認を実効的に行うためにどのような対応が考えられるのか、実務を踏まえた検討を行う必要がある、これが一例でございます。

 いずれにしましても、私ども銀行界といたしましては、今後とも、データベースの接続の実現に向けた議論に積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

谷参考人 地方銀行の立場としてお答えを申し上げます。

 今回、警察庁のデータベースと接続をするということで、データベースの充実を図っていく上では非常に有効だというふうに思っておりまして、私どもも、警察庁、金融庁、銀行界で組成をいたします実務者のワーキンググループ、これに積極的に参加して、実効性の高いものにしていきたいというふうに考えております。

 ただ、今、國部会長がお答えしましたように、やはり銀行のデータというのは、取引面も含めまして非常に多うございますので、データだけ照らし合わせて、それで確実なものが得られるかということについては問題があると思います。やはりシステムの裏づけも必要だと思いますし、最終的には、特に私ども地方銀行におきましては、地方の警察の情報と個別に突き合わせていく、そういうことが必要ではないかなと思っておりますので、システム的にやっていくと同時に、マニュアルの面といいますか、そういう地道な手続も必要だ、こういうふうに考えております。

 以上でございます。

鈴木(克)委員 今の状況はよくわかりましたが、いずれにしましても、いろいろなハードルをぜひ乗り越えていただいて、しかも、それが、一旦構築すればいいというものではなくて、常に更新をしていくという努力をしていただく以外ないんじゃないかなというふうに思いますので、私は、ぜひこれは本当に、銀行そして警察、金融庁、三位一体となって真剣に取り組んでいただきたい、このことを改めてこの場でもお願いしておきたいと思います。

 さて、続いて、証券の会長、稲野会長にお伺いしますが、日証協と警察との間でデータの共有が始まっておる、このようなお話でございます。銀行に比べて早期に活用が可能となった理由、それから実際に稼働してみての感想、そのことをお聞かせいただきたいと思います。

稲野参考人 冒頭の御法川先生との質疑でお答えしたところでありますけれども、証券業界としては、平成十八年ぐらいからこの問題に取り組んできております。

 警察庁とのデータベース接続に関して申し上げますと、平成二十二年四月に、警察庁に対して、証券取引からの暴力団排除を徹底するために、会員の顧客の審査について警察の保有する暴力団情報を活用することができるよう支援を求める旨の要請を正式に行って、実際に稼働したのはことしの二月ということになります。

 したがって、着手が早かったということもございましょうし、当然のことながら、このようなデータベースの運営に関しては厳密な守秘義務等もかかるところでありまして、当協会は金融商品取引法上の自主規制機関であって、認可金融商品取引業協会であって、協会自体に守秘義務がかかっているといったような面もあったかと思います。

 実際に運用してみてということでございますけれども、全国にさまざまな証券会社がございますけれども、当然、地方の中小証券会社というのもございます。独自の情報収集能力には非常に限界があるわけでございますけれども、全体として、このデータベース、反社情報照会システム、さらに警察庁のデータベースへのアクセスが可能となることによって審査の底上げができたのではないか、したがって非常に有用に機能していると認識しております。

鈴木(克)委員 それぞれ御答弁いただきました。

 基本的には、先ほど全員の方が、反社会的勢力を遮断すべきだ、排除するんだ、こういう強い意思をお示しになったわけでありますので、そのためにも、ぜひ今の取り組みを進めていただくことをこの場でお願いしておきたいというふうに思います。

 続いて、クレジット協会の大森会長にお尋ねいたしますが、大森会長は、今まで、日本信販それからシー・アイ・シーの社長をお務めになってみえました。日本信販時代というのは、例の総会屋事件ということで、大変な重責を担って、その再起を背負って社長に御就任をされた、このように伺っております。

 したがって、反社対応に対しては、独自のノウハウといいますか、鉄則といいますか、お心得があるのではないかな、このように思っておるわけですが、そのところもぜひお聞かせをいただきたいと思うんです。

 いずれにしても、多重債務を含めた、お金に関する複雑な、ある意味では不幸な問題というものに対面をしていく、直面をしていく、これがある意味でのお仕事になってくるわけですよね。したがって、全銀協が信販業界にデータを提供するという話も出ている、これは暫定的にはやむを得ないというふうに思うんですが、果たして業界のあり方としてこれは正しい姿であるのかどうか、まずお伺いをしたいと思います。

大森参考人 お答え申し上げます。

 先生の今の御質問でございますが、お手元にございます、今クレ協が考えておりますスキーム、これは来年の四月に発足する予定で準備を進めておりますが、やはり全銀協は全銀協、それから損保は損保、生保は生保で、縦割りの形でグループ会社で共有あるいは融通し合う、こういう形になっております。

 当協会には、銀行系カード会社も入っております、リース会社も入っております、それから信販会社も入っております。そういう意味では、ノンバンクプラス金融機関関係の系列会社が当協会に入っておりますので、当協会が、遅まきながら、暴追センターの情報の提供を受けて、それを共同DBとして、当社の会員でありますシー・アイ・シーの方に業務委託をして、各会員さんは、日常、月間で五百万件の新規の申込書の信用照会がございます。そのときに、このお預かりした反社データと一緒に、言葉は悪いですが、なめて照会をして、フィードバックをする。そうすることによって、入り口の部分で公知情報は全てぶつかってくるだろう、このように考えて今構築を進めているところでございます。

 したがって、今、暴追センターだけの情報でございますが、先ほど申し上げましたように、生保業界、銀行協会、損保協会等々からも情報を提供するよという御案内をいただいておりますので、それが有効的に組み入れられるかどうか、この辺もあわせて検討しておりますので、その実現に向けて今邁進しているところでございます。

 以上でございます。

鈴木(克)委員 ありがとうございました。

 ぜひひとつ、しっかりとした体制で実効を上げていただくようにお願いをしたいというふうに思います。

 それでは、もう一度佐藤頭取の方に戻らせていただきますが、個別の問題で、私は、冒頭申し上げましたように後手後手に回ったということで、少し細かいところをお尋ねしていきたいんです。

 まず、なぜ二年以上も抜本的な対応を行ってこなかったのかということ、それから、その情報もコンプライアンスの担当役員どまりであった、こういうことで金融庁は発表したわけですね。これは、事実、どういうことなのか。まず、とりあえず御説明ください。

佐藤参考人 お答え申し上げます。

 二年間放置したということの要因でございますけれども、この提携ローンという枠組みは非常に特殊なスキームでございまして、私どもが自分のところの銀行の債権であるという認識が非常に欠如していたことがやはり一番大きな要因であったのではないかと思います。途中いろいろな検討はしておりますけれども、最終的には、代位弁済というところまで行き着きませんで、事後チェックまでしかいかなかったというのは、やはりそこに原因があったということで、この点は非常に大きく反省しなければいけない点だと思っております。

 それから、金融庁への報告が、担当役員どまりになっていたということを報告してしまったという話でございますけれども、これも、私どもの中での調査委員会、それから第三者委員会、何人もとヒアリングをいたしまして、書類もチェックいたしましたけれども、事実としては、担当ラインのところが、既に一年以上、上には上がっていませんでしたので、その経験だけで上に上げていなかったということを御報告してしまったという非常に軽率な行為によるものでございました。

 これにつきましては、本当に、このような形になりまして心からおわびを申し上げたいと思いますと同時に、そうした報告体制にしかならなかったことについて組織的にも問題があったという認識のもとで、今後対応していきたいというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

鈴木(克)委員 そのことについてももう少しお伺いしたいんですが、時間も参りますので、次に、どうしても私納得がいかないというか、このことをお伺いしたいんです。

 この担当者が金融庁の検査官に対して取締役会やコンプライアンス委員会には報告していないという回答をしたこと、それがみずほの中で面談記録として書面化されて、しかもコンプライアンス統括部で決裁までとるという、ある意味では用意周到という言い方が当たっておるかわかりませんけれども、そういうことがなされたということです。

 これは、ある意味、私は、ちょっと悪質というか、何かそこに銀行として一つ狙い、思惑があったのではないかなと思いますけれども、いかがでしょうか。

佐藤参考人 お答え申し上げます。

 金融庁検査というのは私ども金融機関にとって非常に重要な検査でございまして、そのときに検査官と担当者がどういう会話をしたのかということにつきましては必ず面談記録という形で証左を残しまして、それについては担当ラインに必ず上げるということが私どもの組織のならわしということになっております。その理由というのは、むしろ逆に、担当者が言ったことについては組織全体で責任を持つということの証左としてそういう仕組みができ上がっているということでございます。

 そういう観点からいたしますと、申し上げたように、上げていなかったということをそのラインでもう少ししっかりと証拠も含めてチェックした上で、そこに対して、その発言について承認するという手続があるべきであったわけでございますので、その点について不備があったことにつきましては、心からおわびを申し上げたいと思います。

 以上です。

鈴木(克)委員 もう時間が参りましたので、質問ではありませんけれども、過去の二度のシステム障害、みずほさんということで、またあったのかということでありますが、先ほど別の委員の質問の中で、現在、反社会の取引というのは全て金融庁に報告をしておるというようなお話でありましたけれども、どうも、いろいろな流れ、一連の流れを見ておると、本当にそれを信じていいのかどうかなというぐらい、今疑義を持っています。

 ぜひひとつ、国民の皆さんのそういった疑義を払拭するようなすばらしい銀行になっていただくことをお願い申し上げて、終わります。ありがとうございました。

林田委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。

 参考人各位におかれましては、御多用中のところ御出席の上、貴重な御意見を賜りまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

林田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 午前に引き続き、金融に関する件、特に金融機関における反社会的勢力との取引問題について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局組織犯罪対策部長室城信之君、金融庁検査局長森信親君、監督局長細溝清史君、経済産業省大臣官房商務流通保安審議官寺澤達也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

林田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

林田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安藤裕君。

安藤委員 自民党の安藤裕でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 午前中に引き続き、金融機関の反社会勢力に対する取引についての質疑をさせていただきたいと思います。

 まず、今回のみずほ銀行の事案についてですけれども、以前にこの財務金融委員会でも、たしか同僚の鬼木委員が同じような質問をさせていただいたと思いますが、午前中の銀行さんの認識を確認する意味で、金融当局の方では今回の事件の最大の問題点はどこにあると認識しておられるかをお聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 まず、みずほ銀行を含めてさまざまな金融機関が信販会社と提携ローンを行っている、そのこと自体が問題なのではありません。その上で、提携ローンにおいても反社会的な勢力との取引というものはできるだけ未然に防止、そして、仮に事後的に発覚した場合には、その解消に向けて速やかな対応を行うということが重要なんだと考えております。

 これに対して、みずほ銀行におきましては、検査などの段階を通じて、提携ローンということに関して多数の反社会的勢力との取引というものを把握しているにもかかわらず、取引の解消もしくは防止のための抜本的な対策というものを行っておらず、そして長期間放置をしていたことなどで、経営管理体制などに重大な問題点があることが認められたということであろうと存じます。これが本件における問題の本質であります。

 また、この過程において、みずほ銀行からは事実と異なる報告が行われたことが判明したということも、これは極めて遺憾なことだと考えております。

 いずれにしても、みずほ銀行におきましては、今後、ヒアリングを今行っておりますが、立入検査等々、提出された業務改善計画並びに本件についてのみずほ銀行の対応というものなどをきちんと金融庁としては検査し、その結果を踏まえ、しっかりとした対処をしてまいりたい、そのように考えております。

安藤委員 ありがとうございます。

 今お答えいただいた点は午前中にみずほ銀行の佐藤頭取からお答えいただいたことと重なっておりますので、問題点の認識は共有をしておられるというふうに思います。

 それを踏まえた上で確認なんですけれども、今回の事案に対する監督官庁としての反省点をお伺いしたいと思います。

 まずは、最初の融資が実行されてから相当の期間がたっておられると思いますし、この間も検査には何度か入っておられると思うんですけれども、以前の検査の段階で見抜けなかったのはどこに理由があるのかということをお聞かせいただきたいと思います。

森政府参考人 検査についてのお尋ねでございますけれども、検査では、銀行に関する各種情報を分析し、重要なリスクにできるだけ焦点を当てた効率的な検証を行うこととしております。

 ただ、みずほ銀行のようなメガバンクの業務は、海外業務を含めまして極めて多岐にわたっております。そこで、限られた人員と時間のもとで行う検査においては、そうした銀行の業務全般を網羅的に検証することには困難な面がございます。

 法令等遵守体制につきましても検証の一分野としておりますけれども、以前の検査においては、みずほ銀行の提携ローンについて焦点を当てた検証を行ったものではございませんでした。

 今後につきましては、今回の事案も踏まえまして、より効率的、効果的な検査を目指すとともに、銀行の業務に係る問題点を早期に発見できるような検査体制を確立してまいりたいと考えております。

安藤委員 ありがとうございます。

 それと、今回、事実と異なる報告がされたということも一つの大きな問題点であるということですけれども、検査の側でも、今回の検査において、報告が担当役員どまりであるという報告をそのまま受け入れて、取締役会の資料の確認すらしていなかったのはやはり検査が不十分ではないかというふうに思うんですけれども、それについてはどのようにお考えでしょうか。

森政府参考人 前回のみずほ銀行の検査の経緯について説明いたします。

 検査において、オリコとの提携ローンに反社会的勢力との取引が多数存在することが確認されましたことから、当該取引のみずほ銀行内における報告体制について説明を聴取いたしました。

 銀行からは、この取引につきまして、コンプライアンス担当役員まで報告しているものの、コンプライアンス委員会や取締役会には報告していない旨の回答を得ました。

 この回答を受けまして、検査におきましては、提携ローンの反社取引につきまして、コンプライアンス担当役員まで報告されていたことを過去にさかのぼって確認したほか、二十四年度のコンプライアンス委員会議事録それから資料を検証いたしまして、該当する記載がないことを確認いたしました。

 このように、前回検査におきましても、銀行側の説明の裏づけを一定の範囲で検証はいたしましたが、結果として、検査時点で受けた説明とは異なる事実が判明したという次第でございます。

安藤委員 今の部分がちょっとよくわからないんですね。

 私自身も、かつて上場企業の経理部にいたときに、銀行の検査ではないですけれども、国税局の税務調査というものを受けたことがありまして、そのときには、会社の取締役会の資料は必ず全部提出をしておりましたし、そういったものを確認しないと、会社の姿勢だとか、特に今回の場合はコンプライアンス委員会でも資料の配付がされております。

 銀行は、コンプライアンスということは最重点に置かなきゃいけない企業体だと思いますし、その資料を確認しなかったというのはやはり国民の目から見て少し納得がいかないのではないかと思いますけれども、その部分についてもう少し詳しく説明をしていただけますでしょうか。

森政府参考人 先ほども申しましたように、二十四年度のコンプライアンス委員会の資料については、オリコの提携取引についての記載がないことを確認しております。

 他方で、オリコの反社取引の件数につきましては、これは定期的に担当役員まで報告されておりますので、直近のコンプライアンス委員会の関係資料に記載がないので、それ以前の同委員会にも報告されていないという判断をして、それ以前の資料の確認は行わなかったものだと思っております。

安藤委員 ありがとうございます。

 今後はしっかりと確認をしていただいて、こういったことがないようにお願いをしたいと思います。

 次の質問に移りますけれども、こういった反社会勢力との取引を防ぐには、やはり会社だけではなくて、政府側の協力というものもかなり必要だと思います。

 反社会勢力との取引を事前に防ぐ手段として、何か金融機関に対して監督官庁の方から指導なり助言なりというものをしているのか、そういったことをまずお教えいただきたいと思います。

細溝政府参考人 お答え申し上げます。

 犯罪対策閣僚会議幹事会というものがございまして、そこで「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針について」という申し合わせが行われました。それを受けまして金融庁も監督指針を改定いたしまして、反社会勢力との取引を未然に防止するための適切な事前審査の実施、あるいは必要に応じて契約書及び取引約款に暴力団排除条項を導入すること、また、適切な事前審査等のため、各金融機関で反社会勢力に関する情報を積極的に収集、分析し、当該情報を一元的に管理したデータベースを構築し、それを有効に活用することといった内容を重要な着眼点として監督するということを示しております。

安藤委員 ありがとうございます。

 午前中の質疑の中で、銀行の方でも独自のデータベースをつくって事前のこういった取引を排除するような努力をしているということですけれども、警察当局との情報の共有といいますか、データベースの共有について、今どのように行われておられるのかということを教えていただきたいと思います。

室城政府参考人 警察におきましては、従来から、暴力団排除のため必要な場合には、取引の事前事後を問わず、銀行等の個別の照会に応じて暴力団情報を提供してきているところでありますが、これに加えまして、現在、銀行等からの暴力団情報の照会にオンラインで対応するシステムの構築につきまして、金融庁及び全国銀行協会との間で検討を進めているところでございます。

 今後は、この検討を加速させるとともに、引き続き、暴力団情報の銀行等への適切な提供を行うなど、金融取引からの暴力団排除の取り組みを支援してまいりたいというふうに考えております。

安藤委員 ありがとうございます。

 午前中の質疑の中で、証券業界とはもう既に警察のデータベースの接続が終わっているということがありましたけれども、銀行の方はまだそれがつながれていないということのようですが、それがつながれていない何か阻害要因とか理由があるのか、それを教えていただきたいと思います。

室城政府参考人 暴力団情報の照会をオンラインで対応するシステムの構築につきましては、さまざまな業界の中でも、証券業界から初めて警察庁に対し打診があったものであります。関係者の間で情報管理のあり方等の諸課題を検討しました結果、日本証券業協会の役職員には金融商品取引法に基づく守秘義務が課せられているなど、システム構築に当たっての諸課題がクリアできると判断をされたことから、システムの構築を決定したところであります。

 全国銀行協会との間における同様のシステムの構築につきましても、日本証券業協会に続いて関係者の間で検討を始めたところでありますが、これまでの検討の結果、銀行等においてシステムの運用に従事する役職員の守秘義務を確保するための方策、システムのセキュリティー確保のあり方、照会の対象とする取引の範囲といった課題があるということが関係者の間で共有をされているところでありまして、今後、これらの課題の解決に向けた検討を加速していくこととしているところでございます。

安藤委員 ありがとうございます。

 ぜひ、一日も早くこういったデータの共有ができるように努力をしていただきたいと思います。

 それから、事前に排除ができればいいんですけれども、これが実際に排除ができなくて、事後に反社会取引であるということが判明する場合、あるいは、相手が、最初は違ったけれども、取締役の交代とか株主構成の変化によって反社会勢力になってしまうということもあると思うんですが、事後に取引を解消するに当たって、会社だけじゃなくて、政府側でも何か支援の体制があるかと思うんですけれども、その支援の体制について少し教えていただきたいと思います。

福岡大臣政務官 委員今おっしゃられましたとおり、反社会的勢力との取引につきましては、警察であったり暴力追放運動推進センター、また弁護士の方々などとの連携によりまして、事前審査の段階で極力排除するとともに、取引が判明した際には、可能な限り速やかな解消を図ることが必要だというふうに考えております。

 そのため、取引解消を図る上で、預金保険機構による特定回収困難債権の買い取り制度を積極的に活用することも有効な手段の一つであると考えております。

安藤委員 ありがとうございました。

 本当に、これは金融機関だけに任せるのではなくて、政府の側もやはり一丸となって反社会勢力との取引を解消するということを実現していただきたいと思いますし、その努力をぜひとも続けていただきたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

林田委員長 次に、竹内譲君。

竹内委員 公明党の竹内譲です。

 午前中の参考人質疑は有意義であったというふうに思っております。これを踏まえて、当局にお伺いをしたいと思います。

 まず、二〇一三年七月に、みずほ銀行が金融庁に対して、問題融資の情報は担当役員どまりだったと事実と異なる報告をしたわけであります。しかも、この事実と異なる報告によって業務改善命令を出してしまったということでありまして、このことに対しましてどのように考えておられるか。一見すると、みずほ銀行が監督当局を軽視しているのではないかというふうにも映るわけでありますが、その点についてお答えをいただきたいと思います。

細溝政府参考人 お答え申し上げます。

 金融機関の検査監督は、金融機関から正確な報告が行われることが前提でございます。今般、みずほ銀行から事実と異なる報告が行われたということは、極めて遺憾であると思っております。

 みずほ銀行に対しましては、ヒアリング、立入検査により、提出された業務改善計画及び本件についてのみずほ銀行の対応などをきちんと検証し、その結果を踏まえ、しっかりと対処をしてまいりたいと思っております。

竹内委員 今、極めて遺憾であるということでございました。

 それでは、金融庁としては、なぜこのみずほ銀行の報告をうのみにしたのか、やや疑問が残るところなんですが、その点についてはいかがでしょうか。

森政府参考人 検査の経緯について御説明いたします。

 検査におきましては、オリコとの提携ローンに反社会的勢力との取引が存在することが確認されたことから、当該取引の行内報告体制について説明を聴取いたしました。

 銀行からは、当該取引について、コンプライアンス担当役員まで報告しているものの、コンプライアンス委員会等には報告していない旨の回答を得ました。

 この回答を受けまして、検査においては、提携ローンの反社取引につきまして、コンプライアンス担当役員まで報告されていたことを過去にさかのぼって確認いたしたほか、直近、二十四年度のコンプライアンス委員会議事録及び資料を検証し、該当する記載がないことを確認いたしました。

 このように、銀行側の説明を一定の範囲で検証はいたしましたが、結果として、検査時点で受けた説明とは異なる事実、すなわち、過去のコンプライアンス委員会には報告されていたが、その後報告がなされなくなってしまったことが判明した次第でございます。

竹内委員 基本的にはみずほの手落ち、落ち度がかなりあると思うんですが、しかし、検査の際に二十四年度、二〇一二年度の議事録までは検証したけれども、それ以前の資料については検証しなかった、ところがその資料には報告の記載があった、こういうことでありまして、極めて残念な結果だと思うんです。

 もちろんみずほ側に最大の責任がありますが、検査当局としても不十分な面があったと指摘されてもやむを得ないのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。

麻生国務大臣 今ほど検査局長の方から答弁をさせていただいておりますが、検査官は、銀行側の報告体制に関する回答については、決してうのみにしたわけではありませんで、一定の範囲で説明の裏づけというものを検証しております。

 ただし、結果として銀行の回答とは異なる事実、すなわち、実際にはコンプライアンス委員会に報告されていたということが後刻判明したわけです。直近の二十四年度からは報告をされていないことは確かなんですが、問題は、前の年、その前の年、二十二、二十三年等々においては報告がされていたということでありまして、こういった点に関しましては、さかのぼって深い検証を行うべきではなかったかということだと思います。そういう御批判は真摯に受けとめなければならないものと考えております。

竹内委員 それでは、一三年の十月四日に、みずほ銀行の岡部副頭取は記者会見で当時のトップは知らなかったと説明したが、その後すぐに、十月八日の佐藤頭取の記者会見でこれが覆されました。

 このことに対して、金融庁としてはどのように考えておりますか。

細溝政府参考人 お答え申し上げます。

 十月八日の佐藤頭取の会見は、みずほ銀行内部で過去の資料等を精査した結果、金融庁に対して事実と異なる報告がなされたことが明らかになったということを踏まえて行われたものと承知しております。

 それ以前の検査や金融庁に対する報告等の過程の中でみずほ銀行において十分な検証がなされなかった、その結果として、金融庁に対しても、また一般に対しても事実と異なる説明あるいは報告が行われたことは、極めて遺憾であると考えております。

 いずれにしましても、みずほ銀行には、ただいま立入検査中でございますし、ヒアリングも行っておりますので、そうした中で、提出された業務改善計画、本件についてのみずほの対応などをきちんと検証して、その結果を踏まえて対処してまいりたいと思っております。

竹内委員 この点は、午前中の質疑でも、佐藤さんが九月二十七日に調査委員会を立ち上げて調べていて、十月四日に、途中経過でもいいから記者会見しろと指示したところが、こういう誤った会見になってしまった、こういうことでありました。その辺、非常に中途半端な対応で、残念だなというふうに改めて思った次第であります。

 金融庁といたしましては、十月二十八日に提出されたみずほ銀行による業務改善計画、再発防止・改善対応策について、どのように認識をしておられますか。

細溝政府参考人 お答え申し上げます。

 十月二十八日にみずほ銀行から提出されました業務改善計画は、第三者委員会それから社内の委員会の調査結果を踏まえて策定されたものと理解しております。

 いずれにいたしましても、今後、提出された業務改善計画及び本件についてのみずほ銀行の対応などをきちんと検証していきたいと思っております。

竹内委員 しっかりやっていただきたいと思います。

 さらに、金融庁としては、みずほ銀行の企業統治のあり方、ガバナンスについてどのように認識しておられますか、また今後どうあるべきと考えておられますか。

麻生国務大臣 みずほ銀行においては、先ほども申しましたように、多数の反社会的勢力との取引が存在しているということを把握していながらも、取引の解消、防止のためのいわゆる抜本的な対策、対応を行わず長期間放置していた、また金融庁に対して事実と異なる報告を行っていたことなど、組織としての統治能力というものが必ずしも十分に機能していなかったと考えられると存じます。

 このため、金融庁は、経営管理態勢などの抜本的な見直し及び充実強化を図る観点から、九月の二十七日に業務改善命令を発出いたしております。

 これを受けてみずほ銀行から提出された業務改善計画におきましては、社外取締役の招聘、またコンプライアンス委員会における審議の実効性向上など、企業統治能力向上のための方策が盛り込まれているものと承知をいたしております。

 今後、ヒアリングまた立入検査によりまして、提出された業務改善計画及び本件についてのみずほ銀行本体の対応などをきちんと検証して、その結果を踏まえてしっかりと対処してまいりたいと考えております。

竹内委員 今後の反社会的勢力との取引に対する対策でございますが、午前中の質疑も踏まえて、やはり銀行界のみならず金融界全般にわたって同レベルのものにしていく、さまざまな対策を同じものにしていく必要があると思っております。

 この点につきまして、金融庁の認識をお伺いしたいと思います。

細溝政府参考人 金融機関におきましては、反社勢力との取引をできるだけまず未然に防止する、それから、仮に事後的に発見した場合には、その解消に向けて速やかに対応するといったことが重要でございます。

 各業界におきまして、それぞれの金融機関内の体制整備を図っているものと思っておりますが、例えば協会の行動規範や指針の見直し、あるいは警察庁や信販業界など他業態との反社データベースの共有に向けた検討といった取り組みを開始しているものと承知しております。

 具体的な取り組みに当たりましては、今申し上げた各業界共通のもののほか、金融業界ごとの取引の特性等にも留意が必要となります。例えば、保険でありますと被害者救済の観点というものが入ってまいりますでしょうし、預金取扱金融機関であれば預保の活用といったものが入ってまいると思います。

 そういった意味で、各業界において積極的な取り組みが進められていくように促してまいりたいというふうに思っております。

竹内委員 いずれにいたしましても、私の午前中の印象としては、何といっても経営者自身が、こういう反社勢力ときちっと対峙していくんだという決意をまずしっかり表に出さないといかぬのじゃないか。何か特定の組織をつくったらそれでいいような、ルールをつくったらいいような感じではいけないと思うし、やはり経営者自身が、きちっと向かっていく、きちっと対応していく、そういう決意がもっと欲しかったなというふうに改めて感じた次第であります。

 今後、金融庁におかれましては、しっかりとまた対策を検討していただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

林田委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。

 麻生担当大臣にお伺いしますけれども、結局、コンプライアンス委員会や取締役会、合わせて八回も今回の反社会的勢力の取引の資料が出ていたわけで、取締役会は言うまでもなく頭取も出席していますし、コンプライアンス委員会も頭取ももちろんメンバーでありますから、その八回もあった資料をただ金融庁が見れば、ああ、これは頭取も知っているはずだとすぐわかったわけなんですが、この八回分の資料というのは金融庁は見ているんですか、見ていないんですか。

麻生国務大臣 私が受けている報告はおおむね以下のとおりなんですが、みずほ銀行のオリコとのいわゆる提携ローンに反社会的勢力との取引が多数存在するということを、これは検査官が確認したというか発見いたしております。検査官が発見した。

 そこで、検査官は、この取引に関する行内での報告体制についての説明を求めた。そして、これに対して銀行から、コンプライアンス担当役員まで報告しているものの、コンプライアンス委員会や取締役会には報告していないという旨の回答があっております。

 そこで、検査官は、この回答に関する裏づけというものをとるべく、コンプライアンス担当役員まで報告されていることについて過去の資料にさかのぼって確認をした上で、コンプライアンス委員会に報告されていないということにつきましては、二十四年度の同委員会の議事録等を見て確認をいたしております。このように、検査官は、銀行側の報告体制に対する回答については、一定の範囲で説明を裏づける検証はしたと承知をいたしております。

 ただし、結果として、この銀行の回答とは異なる事実、すなわち、実際にはコンプライアンス委員会にも報告されていたというのは、直近の二十四年度以前の二十二、二十三年度等々につきましては後刻判明をしたということでありまして、さらに深い検証を行うべきであったのではないかとの御批判は真摯に受けとめなければならないと考えております。

長妻委員 ちょっと不誠実ですね、大臣、質問に全然答えていないじゃないですか。

 ですから、八回の会議に上がったそのものずばりの資料は、金融庁は見たんですか、見なかったんですか。

麻生国務大臣 この最初に行った検査のときにおきましては、二十四年度まで見た、二十三、二十二年度以前のものについては見ていなかったということだと存じます。

長妻委員 資料の提供は受けていたんですか。

麻生国務大臣 この問題に関しましては、検査に最初に入った段階では資料を見てはいない。しかし、その後の段階で、備えつけがあったということの確認がなされたというように理解をいたしております。

長妻委員 ということは、この八回分のそのものずばりの資料は提供されていたということですね、金融庁側に。

麻生国務大臣 検査会場に入られたことがおありになるかと思いますが、こういったものは、広い部屋にざあっと並べてある中において、そこに積んであった、資料として置いてあったということは事実であろうと存じます。

長妻委員 ちょっと質問に答えていただきたいんですが、その八回分の資料そのものずばり、二〇一一年の二月から二〇一二年の一月まで八回、コンプライアンスとか取締役会があったわけですが、そこにそのものずばりの資料が八回入っているんですけれども、その資料の提供を金融庁は受けていたわけですか、どっちなんですか。

麻生国務大臣 先ほども御答弁を申し上げましたように、その広い会場の中に置かれていたということは事実であろうと存じます。

長妻委員 では、提供を受けていたということですね。

 何でそれを見なかったんですか。

麻生国務大臣 これは、先ほども御答弁を申し上げましたとおり、二十四年度までのところにおきましては、最後の判こはコンプライアンス担当役員までの判こでありましたので、それ以上は上がっていないということは、判こというのは、御存じのように組織の中において判この一番上のところが問題になりますので、その判この一番上のところはコンプライアンス担当役員の判こが押してありましたので、それで最後、それ以上に上がっていないということを意味するというふうに思って、二十四年度まで見たということであろうと存じます。

長妻委員 そうすると、ちょっとここは重要なところなんですけれども、その八回分の資料は、金融庁が検査するときに、みずほの会議室の中を借りて、そこで検査をするんでしょうけれども、そこのところに、いわゆる備えつけ資料と言われるもの、これはみずほが全部見てくださいというふうに持ってくる資料、その八回分は持ってきて金融庁に提供はしたけれども、そこのところのページはめくっていないということですね、そのものずばりのところは。

麻生国務大臣 これも、先ほど御答弁申し上げましたとおりに、直近の二十四年度のものまでチェックして、そこの段階ではコンプライアンス委員会に上がっていないということが確認をされておりましたので、二十三年にさかのぼって七回分の資料を見たわけではないということだと存じます。

長妻委員 これは、今回、午前中の質疑でも、非常に不可思議なんですね。

 つまり、みずほの取締役会、コンプライアンス委員会に、この資料一、これはみずほにつくっていただいた資料なんですが、その資料が何ページ中何ページあったんだと。何か、資料に埋もれてわからないというので。例えば、一番少ないのは、二〇一一年の七月、みずほのコンプライアンス委員会では、全部で六十七ページの資料の中で一ページそれが入っていたとか、多いのになりますと、二〇一二年の一月、三百五十七ページも資料があってそのうちの一ページということで、こんなので本当に実効性のある役員会ができるのかという疑問もあるんですけれども、こういうふうに、一応資料は出ている。上に形式的には報告が上がっているけれども、頭取も見ていなかった。金融庁にも形式的にはその資料は、そのものずばりのは提出されていたけれども、それは見ていなかった。

 こういう非常にうまい話かどうかわかりませんけれども、これは、今回、二〇一〇年の十二月に発生しているんですよね、みずほは把握しているんですね、案件を。金融庁は二〇一二年度しか見ていないとおっしゃりましたけれども、それ以前、二年前に把握しているわけですから、二年前からの資料を本来は当然見るはずなんですけれども、なぜこれは本当に見なかったのかという非常に大きな疑問があるわけでございます。

 これは、麻生大臣、二年前に発生したのに、何でさかのぼって二年前のものから見なかったのかということなんです。これまた質問しても同じような回答になると思いますので、ちょっと別の角度から聞きますと、それでは、金融庁は、今回発覚して発表されている反社会的勢力との取引以外、今発表されている以外の反社会的な取引というのは、把握しているものというのはありますか。

麻生国務大臣 みずほ銀行において、提携ローンとは限りませんから、提携ローン以外にも反社会的勢力があるかどうかについては、これは任意のヒアリングにおいて確認をいたしております。ただし、個別行の取引の詳細については、これは任意のヒアリングで把握したものでありますので、コメントは差し控えたいと存じます。

 一方、一般論として申し上げれば、金融機関の反社会的勢力との取引につきましては、取引開始時に反社会的勢力とのいわゆるつき合いがあること等々が完全に把握はできないということが一点、また、取引開始後に反社会的勢力なるものが存在することなどが判明するとか反社会的勢力に加えられるとか、いろいろな形として、結果として、ある時点において反社会的勢力との取引が存在することはあり得ると存じます。

 しかし、金融機関においては、融資先が反社会的勢力と判明をした場合には、これは反社会的勢力との取引の解消に向けて対応していくものと認識しておりまして、そのような対応がなされるということが重要であろうと考えております。

長妻委員 これは任意で聞いているということなんですが、反社との取引を金融庁は知っていて、銀行も知っていて、そのままうやむやになっちゃったらこれは困っちゃうわけで、いずれは、処理がついたら、その案件というのは表に出る、出していただくということは確約いただきたいんですが。

麻生国務大臣 反社会勢力との取引につきましては、先ほど申し上げたような性格のものを踏まえますと、その件数などを比較することは、これは必ずしも正確なものではないとは存じますが、いわゆる任意の聴取とはいえ、そういった件数などの公表を求められると、各金融機関としては、後で発覚して、これは反社会勢力というようなことがわかったときには、その件数を小さく見せようとするインセンティブが働く、意欲が働くということも考えて、かえって反社会的勢力を排除するということに悪影響を及ぼす可能性もこれは否定できないと思っております。

 したがいまして、御指摘のように、報告や自主公表というものを行わせることにつきましては、これは慎重に考える必要があろうと存じます。

 ただ、いずれにしろ、反社会的勢力への対応というのは極めて重要な問題でもありますので、今後とも、高い関心を持って、仮に問題があれば、適正に、厳正に対処していかねばならぬものと考えております。

長妻委員 これは、今回、本当に、八回分の資料が提供されていて目の前にあるにもかかわらず、なぜかそれを見なかったというようなことで、これは通常では考えられないのではないのかというふうに私は思いますし、そういう声もあります。

 これは、麻生大臣の御自身の責任というのはどういうふうにお考えですか。

麻生国務大臣 金融庁として、こういう問題に関して、今回の例でいえば、二十四年度までのものを検査して、その段階で発見できておりませんが、いずれにしても、二十二年度、二十三年度等々さかのぼって、ずっと過去にさかのぼってやるべきではなかったかという点に関しましては、私どもとしては、膨大な資料になろうと存じますので、そういったものに関しまして、一応二十四年度までできていれば、その段階以前のものまで、これがある日突然そこからなくなっているということはちょっと常識では考えられませんので、そういった意味では、そこらのところまでさかのぼって調べるべきではなかったかという御指摘につきましては、真摯に考えねばならぬと思っております。

長妻委員 これは本当に、何かのことが作用して甘い検査になったということであれば麻生大臣の責任は重いことでもありますし、かつても、自民党の金融再生担当大臣が手心発言をして辞任されるということもございましたので、ぜひ委員長に要求したいんですが、検査全体を統括する金融庁長官をこの委員会にお呼びいただきたいと思います。大臣はなかなか間接情報で非常に歯切れが悪いので、ぜひお願いをいたします。

林田委員長 後刻理事会に諮って決めたいと思います。

長妻委員 どうもありがとうございました。

林田委員長 次に、古本伸一郎君。

古本委員 民主党の古本伸一郎でございます。

 午前の参考人質疑は充実したものになったと思います。関係者の皆様に感謝を申し上げます。

 その上で、各社同様に、異口同音に、反社勢力とのつき合いは遮断する、つき合ってはならぬのだということで、全員、意見陳述がございました。そういう中でどうしてこういうことが起きてしまうのかということに尽きるわけでございます。

 きょうは、経産省にお越しをいただいていますが、実は午前中の質疑で、メガバンクが持っておられるそういった反社データと、いわゆる信販の方が持っておられるデータでは、メガの方が少し精度が高いんじゃないかというような趣旨の御答弁があったと思うんですけれども、それは事実ですか。

寺澤政府参考人 お答えします。

 メガバンクと信販会社と比較した場合、おおむね御指摘のとおりかと思います。

古本委員 他方、信販の方は、質疑の中で明らかになりましたけれども、なかなか個社で、いわゆる暴排条例を見ながら判断をしたり、そして解除条項を入れ込んだり等々は、今でも複数社がまだ入れ切れていないというような御説明もクレジット協会の方からありました。

 ですから、いわゆる四者契約というか、このキャプティブローン、受け身ローン、提携ローン、これはやはり特殊なローンであるということまで全銀協会長をして御説明がありました。その特殊性はいかにとただすと、これはお金を貸している人と借りている人が相対せず、その間に入っている信販会社が信用をつける、審査をするというところに非常に特殊性があると言っておられました。

 これに対し、今、当該のみずほさんからは、引き続きこのキャプティブローンの仕組みは続けたいという話がありました。

 経産省、このキャプティブローン、四者ローンは今後とも有益な仕組みだとお考えですか。

寺澤政府参考人 お答えします。

 キャプティブローンというのは、一般的には提携ローンという呼び方になるかと思いますけれども、私ども、そうした提携ローンはいろいろなメリットがあると考え、今後とも必要だというふうに考えております。

古本委員 本件がどうしてここまで問題になっているかというところの出発点が、恐らく、平成十九年六月十九日、当時の自民党政権のもとでの犯罪対策閣僚会議幹事会申し合わせ。ここで、企業が反社勢力による被害を防止するための指針というものが出され、唯一これをよりどころにして、さまざまな業界に対する指導をそれぞれの監督官庁が行っているんだろうと思うんです。

 経産省、この信販、割賦販売に関して言うと、実は、平成二十五年四月見直しですから、最初に出されましたのが平成二十四年の十月なんです。この基本方針に基づいて、各クレジット会社に対していろいろな指導をしているんですけれども、これは法的な拘束力はありますか。

寺澤政府参考人 お答えします。

 委員御指摘のとおり、割賦販売法に基づく監督の基本方針に基づいて、反社勢力の排除を求めているわけですけれども、割賦販売上、反社会的勢力の排除について明文的に規定されているわけではございませんけれども、公正かつ適確な信販事業の実施を確保するため必要な体制の整備というのが求められています。

 この一環として、信販会社に対して、反社会的勢力の排除のための取り組みを速やかに進めるようしっかりと指導してまいりたいと考えています。

古本委員 きょうは金融庁の事務方も来ていただいていますが、そうしますと、今話題のみずほの件ですけれども、当該平成十九年の犯罪対策閣僚会議申し合わせ、これは今回の事案でいえば法的に拘束力を持っているのかどうか。

細溝政府参考人 お答えを申し上げます。

 この平成十九年の犯罪対策閣僚会議幹事会申し合わせは、反社会的勢力による被害を防止するため、基本的な理念や具体的な対応を取りまとめたものでございますが、それ自身は法的拘束力はないものと承知しております。

 金融庁におきましては、この申し合わせを踏まえまして、監督指針を改正いたしました。監督指針は、行政の統一的な運営を図るための法令解釈、あるいは金融監督における着眼点について取りまとめて公表したものでございますが、これ自身も、法的拘束力があるかないかと言われれば、ないと思っております。

古本委員 実は、そうなんですね。

 この平成十九年の指針を読みますと、反社勢力の定義のところでこう書かれています。暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団または個人である反社勢力を捉えるに際しては云々かんぬんと、以下あるんですね。

 つまり、経済的利益を追求するということでいうと、経産省、実は、今回のみずほのケースでいえば、割賦販売という行為が、言うならば利益供与、利便を提供した。一括払いじゃありませんから。家電製品なり化粧品でも何でもいいですけれども割賦で買えたというのは、そういうところが実は利益の提供に当たるという認識はありますか。当たるかどうかだけ。

寺澤政府参考人 お答えいたします。

 確かに、反社会的勢力に対して、情を知った上での利益供与というのは東京都条例でも禁止されているところでございます。

 今回、そうした考えに従って、クレジット協会に対してしっかりした対応を求めていきたいというふうに考えております。

古本委員 いや、違うんですよ。

 個々の都道府県の条例で、東京都の例を引くまでもなく、例えば反社勢力に宴会場を貸しちゃいけない、わかっていて貸しちゃいけない、こういうのはありますよ。

 そうじゃなくて、これはローンだったからここまで社会的に話題になっているわけであって、実は、キャッシュで、現金で例えば家電製品を買いました、あるいは何かサービスの提供を受けましたということまで本気で排除しようと思ったら、大変なことに多分なると思うんです。何丁目の何番地に住んでいる人はそういう人だということぐらいまでやらないと、わかるわけがない。今回は、銀行という公的な機関が、ましてや、みずほさんというメガがそういったことにかかわっていたということで、恐らく社会的にこれほどまで話題になっているんだろうと思うんですよ。

 したがって、当時の十九年の指針にさかのぼれば、本当に世の中全体からいわゆる反社勢力を排除しようと思うならば、これはやはり立法に基づかなければ拘束力がありませんよ。金融庁、感想があれば。

細溝政府参考人 委員御指摘のとおり、金融機関は、公共性を有して、また経済的に重要な機能を営んでおります。暴力団の資金源として利用されるおそれも高い取引をやっておるところでございますので、金融機関自身が高い意識を持って暴力団排除に取り組んでいくことが必要だと思っております。

古本委員 最後に、大臣、私は、今回のケース、随分みずほのケースがある意味社会的な耳目を集めていますけれども、当時、やはり歴史的に、無利子無担保で融通したり、あるいは証券が一任勘定で損失の補填まで面倒を見たりとか、目を覆いたくなるような癒着構造がかつてはあった。

 そのことの反省から、この反社勢力、だって、片や庶民は金利を払っている、片や庶民は株で負けたら大損をこいている、そういう中で、なぜ反社勢力だけ特別待遇を受けなきゃいけないんだと。それは、おどされていたんでしょう、いろいろなことがあったんでしょう。それを本気で排除しようと思うならば、実は、経産と金融庁のそれぞれの事務方が言いましたよ、法的拘束力はないんです。ない中で、各企業の努力に任せたいということになると、やはりこういうことが起きてくるんです。

 ついては、大臣の感想と、最後、これに向けた決意をお尋ねしたい。

 その際に、やはり入り口で遮断しなければ、これは事後で処理といっても、実は、債権のつけかえ、言うならば代位弁償したところで、これは、みずほはきれいになりますけれども、オリコにかぶせるだけだったんです。さらに言うと、預保が買い取るしかなかったんです。ということは、入り口でどれだけ遮断するかということがポイントだと思いますので、やはり警察庁の情報の提供要請も含めて、ぜひ、大臣の御決意を求めたいと思います。

麻生国務大臣 この種の金融取引、さまざま対応があろうと存じますけれども、少なくとも、金を借りる人というのは全然別の人で、反社会的勢力は車を持っているんであって金を持っているわけじゃありませんから、そっちは車が行っているんであって、金はこっちとの関係というのが、いろいろの形で、手に入れた車を売却すればまたとか、いろいろなことが考えられるというのを言っておられるんだと思います。私どもとしては、当然のこととして、この種のいわゆる金融関係の仕事に携わる人には高い規範が求められるというのは間違いない事実だと思っております。

 ただ、今言われましたように、事前のチェックは確かに大事。そこはもちろん大切なので、ここのところはきちんとしていかねばならぬということに関しましては、警察情報というものが、銀行協会においても守秘義務等々が証券業界と同じになるような形で今後やっていかねばならぬという形で、今、いろいろ事務的に詰めさせていただいているところではあります。

 したがって、その方向では事は進みますが、忘れちゃいかぬのは、やはりもう一個、事後的に、借りた後変わるという例もありますので、例えばその借りていた会社が後から別に乗っ取られるとか、そういった形で事後的に起きる可能性もありますので、私どもとしては、この種の問題は、いずれにしても、事前も事後もいろいろな形できちんとフォローしていかないと、この種の問題が今後とも起きやすいという状況は、努めて避ける、徹底して避けるといったって、いろいろ漏れも出てくるでしょうけれども、きちんとした対応をやっていくという決意で臨んでいかねばならぬと思っております。

古本委員 終わります。ありがとうございました。

林田委員長 次に、田沼隆志君。

田沼委員 日本維新の会の田沼隆志でございます。

 午前中の参考人質疑、そしてこれまでの委員の皆様の御質疑と重なる部分があろうかとも思いますけれども、改めてお尋ねさせていただきたいと思います。

 非常に残念な今回の事件であったと思います。金融検査の目的というのは、本来はもちろん銀行の信用供与の健全性をきちんと担保、確認していくということであろうと思いますけれども、やはり反社勢力にいかにして資金を流さないかということの仕組みづくりも金融庁の使命でもあろうというふうに思いますので、責任論だけに終始しない、今後、資金を反社勢力にいかにして流さないかという議論をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、とはいえ、金融庁検査で、取締役会資料に反社取引の情報が載っていたにもかかわらず見逃してしまったわけですね。各界からも、これはあり得ないことだとか、いろいろな御批判も上がっております。一二年度の一年分の資料は精査したけれども過去のを見ていなかったということで、しかも、それがテーブルの上にあったにもかかわらず確認されていなかったということで、これはやはり怠慢と言われてもやむを得ないのではないかと思いますけれども、見逃してしまった責任ということに関して、大臣のお考えをお聞きできればと思います。

麻生国務大臣 金融庁の検査官としては、みずほ銀行とオリコとの提携ローンについて、多数の反社会的勢力とのつき合いがあるというのを発見したのは検査官。これは別に報告があったわけじゃない、発見したのは検査官であるということはまず第一に申し上げておかねばならぬ。決してただただそこが怠慢であったわけではないので、確認するということをしたのは検査官であるということがまず第一点。

 続きまして、この取引に関する行内における報告体制というものについて、私どもの方として説明を求めた。それに対して銀行からは、コンプライアンスの担当役員まで報告しているが、コンプライアンス委員会や取締役会には報告はしていないという旨の報告があっております。

 そこで、検査官としては、その回答の裏づけをとるために、コンプライアンス担当役員まで報告されているということにつきまして過去の資料にさかのぼって確認をしたところ、二十四年度の同委員会の議事録などで確認をさせていただいたところであります。

 しかし、先ほどもどなたかの質問にお答えしましたように、それ以前のところ、二十四年は急に消えているわけですから、その以前のところにつきましては、検査官が裏づけをとる段階で二十四年度までで、二十二、一年等々、前にさかのぼってするところに関しましては、私どもとしては、そこまで調べるべきではなかったかという点につきましては、後刻判明したものとはいえ、さらに深い検証を行うべきであったのではないかとの御批判等々については真摯に受けとめなければならないだろうと考えております。

田沼委員 真摯に受けとめるということでしたけれども、先ほどどなたかへの答弁で、担当役員どまりだったという説明は誤っていたわけですね、それに対して大臣は、うのみにしてはいないというふうに答えたように聞こえたんです。これはうのみだったと私は思うんですけれども、そこのところをもう一度確認させてください。

麻生国務大臣 少なくとも、私どもの方で反社会的勢力との関係があるのではないかということを発見したのは検査官であります。したがいまして、うのみにするより、出てきた資料に基づいて私どもとして検査をさせていただき、その段階で、コンプライアンス担当役員までだというのに対して本当かということで調べさせていただいて、二十四年度は間違いなく担当役員のところ、一番上の判こはそこでありましたので、それ以上には上がっていないということが判明しておりますので、それ以上のことをしなかった。しかし、その前の年等々については、担当役員会から担当コンプライアンス委員会までその資料が上がっておったということであろうと存じます。

 私どもとしては、調べた段階できちんとした対応をやったのであって、うのみにしたというわけではないと申し上げているのは、きちんとした対応は少なくとも平成二十四年度まではさせていただいておるということでありまして、うのみにしておったらこの話はもともと発覚もしていなかったかもしれませんので、決してうのみにしたわけではないということを申し上げさせていただきました。

田沼委員 今の御説明だと、発見したのは検査官だからうのみではないということですけれども、結局、誤った説明だったわけですから、私はうのみだと思います。それはどちらでも、ちょっと水かけ論なので、次に行きます。

 そもそも、みずほの中でサンプルチェックを行ったのが二〇〇九年の四月で、第一回の事後チェックをやったのが二〇一〇年十二月だという話もありましたけれども、もし金融庁がキャプティブローンの問題点に気づいていたならば、この時点でその資料で確認をすることができたと思うんですけれども、なぜしなかったか。

 つまり、随分前からこの問題は発見できる状態にもあったと思いますし、過去の役会資料を見ていなかったという今の議論ですけれども、毎年検査が入っているわけですから、過去にもちろん発見もできた可能性があったわけでありまして、それがなぜできなかったかという素朴な疑問があるんですけれども、いかがですか。

森政府参考人 検査におきましては、銀行に関するいろいろな情報を事前に分析いたしまして、重要なリスクにできるだけ焦点を当てた効率的な検証を行うことを旨としております。特に、みずほ銀行のようなメガバンクの業務は極めて多岐にわたるものでございますので、限られた人員と時間のもとで行う検査につきましては、銀行の業務全般を網羅的に検証することは困難な面がありますので、そのときそのときにおきまして、特定の分野とかリスクにフォーカスした検証を行っております。

 過去におきまして、前々回の検査におきましては、既にみずほ銀行において反社チェックがされた後ではございましたけれども、当時は、提携ローンに特に焦点を当てた検査は行っておりませんでした。

田沼委員 それは、一歩間違えると言いわけ論になると思うんですよ。だって、限られた人員と言い出したら、限られた人員だから何もできませんでしたといったら、それはただの言いわけですよね。では人員をふやしましょうという話にもなる。

 それから、重要なテーマ、焦点になっていなかったということですけれども、重要じゃないんですか。これは、最近話題になったから、今回、五日に追加立ち入りしたようですけれども、過去から大事ですよね。もちろんはやり廃りはあると思いますけれども、金融庁が限界論を言い出したら、ほかに誰もやらないわけですから、それはやはり限りなく慎むべきだと私は思うんです。

 だから、体制論の話になるんですけれども、いろいろ今回の事件に関連しての報道でも、おっしゃられたように、限られた時間、人員で限界があるとか、検査は効率的にしなくてはいけないとか、以前の長官の五味さんも、必要以上に検査に完璧さを求めると、細部まで点検しなくてはいけない、銀行側の説明を全て疑ってかかるのは甚だ建設的でないとか、はっきり言って、言いわけ論に私には聞こえるんですね。これを全部うのみにしていたら、結局、今のままの検査体制でいいということになりますよ。

 だから、やはりそうはいっても、今の検査の体制というのは少し改めるべきでないか。例えば、人員をふやすですとか、いろいろな議論をしていかなければならぬのじゃないかと思うんです。

 十月二十九日の自民党さんの中の部会で、金融庁の幹部の方から、今回の事件に関して、より深い検証を行うべきだったという批判があることは真摯に受けとめなければいけないという言葉があったそうですし、先ほど大臣も真摯に受けとめるべきは受けとめるということでしたけれども、では、具体的に、どういうふうに深い検証をできるように改めていくのでしょうか。

麻生国務大臣 田沼先生おっしゃるとおりに、限られた人員でやるのは、これは国税庁だって同じですよ。警察だってみんな同じ。人員はある程度限られていますから、その限られた人員の中で精いっぱいやるということ以外に、与えられた範囲内でやるという以外に手がありませんので、きちんとしてやっていかねばならぬということだと存じます。

 その上で、私どもとしては、今言われましたように今回のようなことが起きておりますので、立入検査やら、行内の中においていろいろな形で検査をさせていただき、さらにこういったようなことが今後ともというようなことを考えて、いずれにしても、こういった反社会的勢力との取引が多数存在しているということは、我々は、このみずほに限らず、ほかのところにもあるということをある程度考えておかなきゃならぬところであろうということは、私どももそう思っております。

田沼委員 よくわかります、以前の議論でも、経営者であられた大臣ですから、限られた中でやるというのも。もちろんそうですけれども、ただ、大臣がそれを言っちゃったら、もう後は誰も変えられませんから。だから、私はやはり、そこはまだ断言、決定するべきでないと思っています。

 ちょっと具体的に、五日から三行に対して追加立ち入りをしているという報道がありましたけれども、第三者委員会のときは三人で二十日間、強制力もない。委員長自身も、誤りがない自信はないというふうにも言われていましたので、やはり金融庁自身として、より厳しく検査をしなくてはという意思のあらわれだと思うんですけれども、第三者委員会とどう違う検査をされるのか。あと、検査体制、検査班を何人組まれていて、何日間の検査の構想でおられるのか。さらに、一番お聞きしたいのは、追加処分を本当に下すかどうかの判断をするために入られていると思うんですけれども、それはいつごろ判断をするのか。あわせてお伺いできればと思います。

森政府参考人 ただいま、みずほ銀行を含む三メガバンクグループに対して立入検査を行っております。

 これは、去る九月に公表いたしました金融モニタリング基本方針に基づきまして、三メガバンクグループに共通する検証項目、グループの経営管理態勢とか法令等遵守態勢、統合リスク管理態勢、市場リスク管理態勢、金融円滑化、こういったものを横断的に検証するものでございます。この中で、法令等遵守とか反社、マネーロンダリングの態勢についても、三メガを横並びで検証したいと思っております。

 これに加えまして、みずほ銀行につきましては、十月二十八日に提出された業務改善計画の十分性とか、提携ローンの問題につきましての同行のこれまでの対応などを検証することとしております。(田沼委員「人数」と呼ぶ)

 人数とか期間、それから、より具体的に詳細にどういったものを今検証しているかということは、検査の情報になりますので、ちょっとここではコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

田沼委員 ちょっと私、なぜ検査情報のコメントをいただけないのか、わかっていないんですけれども。お答えいただけないならしようがないですけれども、ぜひ教えていただきたい。

 要は、どう違うのかですね。今まで一行ごと、単行ごとにやっていたのを三行共通でということで違いがあるということですし、反社取引があるかないかということに重点を置くようですけれども、私が一番お聞きしたかったのは、これは大臣の方がいいかもしれませんけれども、追加処分の判断をやはりするかどうかのために入られていると思うんです。これは国民が見ていますから。はっきり言って、納得していませんよ。納得していない。今のみずほのみずからの処分のあり方に納得していない国民世論はかなりあると思います。

 金融庁として、あれを認めるのか認めないのか、追加処分を出すのか出さないのかのために入られていると思うんですけれども、これはいつごろにわかるんでしょうか。

細溝政府参考人 個別の金融機関に対する今後の行政上の対応についてコメントすることは差し控えたいと思っております。

 現在、ヒアリングや立入検査により、本件についてのみずほ銀行の対応や、提出された業務改善計画について検証中でございます。

田沼委員 個別のは答えられないといっても、このみずほの問題でやっていると思いますけれどもね。納得いきません。これは国民世論が納得するかわかりませんけれども、そういう答弁ということで。

 それで、一つ報道で気になる言葉があって、突然、やはりトップまで情報が行っていた、反社取引のことが、というのが十月の冒頭わかったわけですね。このことに対して、組織内で自浄能力があるというふうにプラスに評価する面も金融庁の中であるというふうにも報道で、あるところで書いてありました。けれども、私は、それはとんでもないことだと思っています。

 確かに、自浄能力で、担当役員どまりだったというところで聞いていたのが、トップまで行っていたのがわかった、それをみずから言ってきたことはいいことです。いいことですけれども、結局は虚偽説明ですよね、虚偽報告。だから、やはり責任を問うべきであることに変わりはないと思います。

 この件に関して、国民世論の厳しさも踏まえて、金融庁として、まさかと思うんですが、プラス評価をしているという向きがあるのかどうか、お答えいただければと思います。

麻生国務大臣 どのような報告とか新聞報道があったかを知っているわけではありません。その上で、今言うような話というものが、私どもの金融庁の中でプラス評価があるということを聞いたことはありません。

田沼委員 わかりました。厳正な対処をお願いいたしたいと思います。

 今後、最終的に一番大事な論点は、みずほが十月二十八日に出してきた今回の業務改善計画及び人事処分、これで本当にいいのか、十分であるのかという議論。これは国民が最も注目、あるいは納得もしていない部分であろうと思います。

 これもいろいろな意見があって、ちょっと俗説は省きますけれども、大臣も、この十月二十八日の業務改善計画が提出されたことに対して、きちんとそれを検証して、その結果を踏まえて対処していくというふうにお答えされていたと思います。この人事処分、今までの委員さんの御質疑でもありましたけれども、やはり甘いんじゃないかという御指摘は、どうしても私も思います。これに関して、大臣、御見解があれば。

 それで、ちょっと言いわけ論云々があったのでくぎを刺したいんですけれども、金融庁は確かに、銀行の信用供与の健全性をまず見るものですよ。信用供与、健全経営のことを第一に見るべきです。ですけれども、やはり反社勢力に資金を絶対流さないためには決意が必要だと思うんです、どなたかが言われていたと思いますけれども。みずほの中ならみずほのトップの方がみずから責任をとるとか、大臣御自身もこういったことを二度とこの業界で起こさせないために大胆な手を打っていくとか、思い切った、今までと違う決意を国民は注目していると思うんですけれども、その点も含めて、この処分と計画に対する見解をお答えいただければと思います。

麻生国務大臣 十月の二十八日にみずほ銀行から提出をされております業務改善計画につきましては、第三者委員会の調査結果を踏まえて策定されたものだと私どもは理解をいたしております。

 金融庁としては、現在行っております立入検査等々によりまして、提出された業務改善計画並びに本件についてのみずほ銀行の対応などというものをきちんと検証した内容を踏まえて今後対処していかなきゃなりません。私どもは、少なくとも社内委員会の調査結果を踏まえた経営判断というものがなされたんだと理解はしておりますが、この点につきましては、今後、金融庁として、さらに精査をしていった上での結論を得なければならぬと思っております。

田沼委員 それはそうでしょうけれども、一般論というか、それはわかっているんですけれども、その上での大臣の決意、業界としてのリードの仕方、またあるいはみずほ自身が信用を回復するための道筋というのを我々も議論していかなくちゃいけないと思いましたので、させていただいたんです。ちょっとこれ以上はお答えは今はいただけないのかもしれませんが、国民世論が非常に注目している部分でございますので、ぜひ、厳正かつ国民世論をちゃんと踏まえた計画の検証、確認、そして改善命令を出すのかどうか、検討していただければと思います。

 少し話がかわるんですけれども、第三者委員会の報告書でもありましたけれども、再発防止策、きょう私はその観点で御質問させていただいているつもりなんですが、再発防止の章が最後の第五章にあるんですけれども、ここで、キャプティブローン自体がやはり構造的な、どなたかが言われていましたけれども、欠陥があると私も感じます。要は、今回の事件も、審査が丸投げになっちゃっていたわけですね、貸し手と借り手がそれぞれ、言葉で言うと取引の無作為性とか非対称性ですか、人的な接点がない中でそのまま進むという商品でありますけれども。この結果、今回の反社取引というのが含まれてしまったと感じます。

 このキャプティブローンの中に反社取引が含まれているという事実はどんどん生まれていますよね、このみずほの後も。きのうも、セディナでしたか、三井住友系のが出てきていましたし、連日のように信販会社の反社取引がありました報告が出てきているわけで、これはもう構造的じゃないか、再発可能性が非常に高いと感じます。

 ですので、そもそもこのキャプティブローンというのを継続して問題はないのか、あるいは何かしらの規制を設けることが必要じゃないのかというふうに感じるのですが、その御見解をお聞きしたい。調査委員会の報告書でも、第五章に、キャプティブローン契約に暴排条項を導入すべきだというふうに書いております。ですので、何かしらの規制や改善策というのが必要ではないかと思うんですけれども、そのことについてお答えいただければと思います。

福岡大臣政務官 お答え申し上げます。

 キャプティブローンそのものにつきましては、まず一つ目として、金融機関にとりましては個人のローンの顧客基盤の拡大につながること、二つ目として、信販会社にとっては保証料が得られること、三つ目としましては、これらを通じて顧客に対する物品等の購入における機動的な与信サービスが提供されること、四つ目に、購入品に欠陥、瑕疵があった場合には債務者は支払い停止を行うことができるといったメリットがあって行われているものでありまして、この制度自体が問題であるというふうには思っておりません。

 その上で、今委員御指摘いただきましたように、提携ローンにおいても、反社会的勢力との取引をできるだけ未然に防止し、仮に事後的に発見した場合には、その解消に向けて速やかに対応していくことが重要であるというふうに考えています。

 金融機関においては、信販会社の反社検証能力の向上であったり、また金融機関みずからによる反社検証の実施など適切な対応が必要と考えられますし、また、このような観点から、金融業界において、提携ローンにおける反社チェックに必要な金融機関内の体制整備を図っておられるものと承知しています。

 先ほどからありましたように、提携先の信販会社における管理体制の整備であったり、また、信販業界など他業態との反社データベースの共有に向けた検討等の取り組みを開始しているものというふうに承知しています。

 金融庁としては、金融業界においてこれらの取り組みが積極的に進められるよう促すとともに、通常の検査監督の中でしっかりとフォローしていきたいと考えております。

田沼委員 暴排条項をこのキャプティブローン契約に入れるべきではないかと。メリットを言われましたけれども、デメリットもあるわけですよ。その議論をしているので、ぜひ検討いただきたいと思います。

 ちょっと時間が来てしまいましたので、一つだけ要望です。

 さっき言われました反社データベースの整備は各業界とか会社で進めるということですけれども、結構ばらばらですね。これも、金融庁がもっと指導して共有データベースをつくるべきではないかと私は個人的には思うので、そのことも、特に信販業界は非常にDBが弱いと聞いています、今までも議論がありましたけれども。もちろん、政府が介入すべきではありません。でも、やはりおかしな部分は指導していかなければ育たないと思いますので、ぜひそのことも御検討いただきたいというふうに要望させていただきまして、私の質問を終わります。

林田委員長 次に、小池政就君。

小池(政)委員 みんなの党の小池政就です。午前中に続きまして、よろしくお願いいたします。

 まず、麻生大臣に総論のところで答弁をいただきたいと思います。

 今回の事件につきまして、私も、聞いたりまた調べたりすればするほどなかなか不可解で、その結果が、本当にそんなことがあり得るのかなということが多いという実感を持っております。

 金融庁が、提出された資料を読み込んでいなかったということももちろんその一つではありますけれども、ただ、事件本体につきましても、今回、取締役に何回も出されていた資料がその中で確認されていない。また、それにつきまして、今回、午前中の質疑で明らかになりましたけれども、みずほだけではなくて、第一次の事後チェックをした後には、オリコも同じような情報を共有していた。ただ、オリコの方でも、その情報について、先にどういう対処をするかということも特に取り組んでいなかった。また、オリコの方は、調べてみれば、監査役の一人に、元第一勧業銀行の総会屋への利益供与事件を担当された特捜部長の方もいらっしゃるということから、本当に、みずほが言うように、今回は単に無作為もしくは単にうっかりといいますか、そのような形で二年間放置されてしまったのかということを非常に不思議に思っているところであります。

 麻生大臣も、大企業の経営者でもありましたから、その立場から今回の件についてどのように考えていらっしゃるか、答弁をお願いいたします。

麻生国務大臣 これは、小池先生、先ほどももう答弁を申し上げたところではありますけれども、少なくとも、みずほ銀行を含めてさまざまな金融機関、メガに限らずさまざまな金融機関が信販会社等々との提携ローンを行っている。これは先ほど政務官の方から答えましたように、私は、それ自体が問題だとは思っていないんです。いろいろな点で悪用されたという点はあったとはいえ、これはいろいろなメリットもあるということも確かだと思っております。

 しかし、その上で、提携ローンにおきまして反社会的勢力とのあれを未然に防ぐということが、やはりこれはきちんと対応しないと、怪しいなと思いながらも、何となく売り上げがふえるからというので貸しているうちはこういうのはなくなりませんから。そういった意味では、事が大きくなる前に、これはちょっとと思ったときには、先ほど言われましたように情報というものが広く共有されているのであれば、うちで貸さなくても、誰かほかのところに借りられるんだったらうちで貸した方がいいといったって、そっちにも同じようなだめ出しの情報があればみんなでやらないということになるような、ある程度そういった情報が広く共有されておるのは大事なところなんだろうなとは思っております。

 いずれにしても、この種のことに関しましては、後でそういった反社会的勢力になったとかならざるを得なくなった、会社が買収されてそうなったとか、いろいろな形がありますので、そういったことになったとしてもきちんとした対応ができるようにする、そういった速やかな対応をするということが大事なところだろうなと思っております。

小池(政)委員 私もスキームが問題だとは言っていないわけで、今回は、反社情報につきまして、それがしっかりと社内で共有されていなかった。しかも、今回、参考人の一人に三井住友の國部頭取がいらっしゃいましたけれども、聞いてみたら、やはり取締役会議の中で資料、反社情報を提出するだけではなくて、メールも送るし口頭でも説明があるということを普段、記者会見でもおっしゃっているように、それが当たり前だと思っていたところでありますから、今回は本当におかしいなということを感じているところであります。

 その点を踏まえまして、それでは、今後、金融庁はこれから検査を行っていくわけでありますけれども、追加処分というのも当然可能性としてはあり得るわけでございます。その追加処分につきまして、今、可能性はどうかということをお聞きすることはしませんが、追加処分の際の条件というものをお聞かせいただけますでしょうか。

細溝政府参考人 個別の行政対応につきましてはコメントは差し控えたいと思いますが、一般論として申し上げさせていただきたいと思います。

 行政処分につきましては、監督指針に従いまして、当該行為の重大性、悪質性、それから当該行為の背景となった経営管理態勢及び業務運営態勢の適切性、あるいは軽減事由があるかないか等について検討を行い、最終的な行政処分の内容を決定しているところでございます。

小池(政)委員 もう一つ追加で、その処分の中で、例えば善管注意義務違反につきましてお聞かせいただきたいと思うんです。

 これは、認識があって不作為の場合だけではなくて、認識がなくても例えば情報収集等で不合理な点があったりした場合にも、今回の件は言えないかもしれませんけれども、その違反の適用ということがあり得るとは思うんですが、その点について答弁をお願いします。

細溝政府参考人 善管注意義務そのものは、多分これは会社法上の規定で取締役が負っているものだと思います。会社法上の規定でも仮に重大な法令違反があれば当然銀行法上の行政処分の対象になりますが、通常は銀行法上の規制につきまして私どもは監督をしておる、そういうことでございます。

小池(政)委員 そうしたら、では、銀行法の二十七条とか六十三条とか、そっちの方の可能性を今模索というか、これから検討されるんでしょうか。

細溝政府参考人 議員御指摘のように、銀行法上は、二十七条、重大な法令違反ないしは公益に反した場合の行政処分の規定もありますし、二十六条、業務の健全かつ適切な運営を図るための業務改善等々の規定もございます。

 現段階で個別の金融機関に対しまして予断を持ったコメントをすることは差し控えたいと思っております。

小池(政)委員 次に、大臣にお聞きしたいのは、今回の件に関しまして、金融行政の信頼の内外への影響というものをどのように認識されているかということをお聞かせいただきたいと思います。特に、日本はこれまでマネーロンダリング等の対応につきましてもなかなか合格点をいただけていなかったということもありまして、今回の事件が起こったわけであります。そのような中で、日本の金融行政に対する信頼をどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

麻生国務大臣 金融機関におきまして、これは日本の金融機関に限ったわけではないとは思いますが、反社会的勢力との関係というものをきっちり遮断し、そして適切な業務運営を確保していくということは、当然のこととして求められているんだと存じます。こういった観点から、金融界におきましては、反社会関係の暴力団等々、そういったデータベースというものをきちんと充実させていく取り組みが不可欠なんだと存じます。

 したがいまして、金融庁としては、そういう関連した情報を持っている例えば警察庁とか、また提携ローンでいえば経産省とか、そういったところにおきましてもこういう取り組みが積極的に進められるように、通常検査等々の中で、監督をしていく中で、高い関心を持ってフォローしていきたいと思っております。

 今言われましたように、国際的な信用というものを確保していくのは極めて重要であります。日本の場合はそういった信用性が極めて高い金融業界ということになっておりますこともこれあり、きちんとした対応というものが今後とも求められていると思います。いわゆるFATFのところでも、ファイナンシャル・アクション・タスク・フォースでしたか、そこのところの勧告も踏まえまして、いわゆるマネーロンダリングという問題が国際的に大きな問題にもなっておりますので、こういったものの対策も含めまして、私どもとしては、金融がますます国際化していくという状況にも対応していかねばなりませんし、その中にマネーロンダリングの話も非常に大きく含まれ、他国の関心の最も高いところでもあろうと存じますので、きちんとした対応を今後ともやっていかねばならぬと考えております。

小池(政)委員 今、信頼が高いということをおっしゃいましたけれども、マネーロンダリング等につきましては、必ずしも日本の金融行政の信頼は高くないというところが現状であります。

 今回のあの事件を経て、ファイナンシャル・タイムズ等を見ますと、一面にジャパニーズ・マフィア・スキャンダルという形で大きな記事が載っていまして、またその中には、このみずほの問題だけではなくて、やはり過去の問題もそこでまた出てきてしまう。三菱東京の問題とかシティバンクの問題とか、過去の問題もさかのぼってこうやって出てきてしまうということから、ぜひ、そこら辺をしっかりと気をつけて、これから信頼回復に取り組んでいただきたいと思います。

 その中でも、大臣がおっしゃいましたFATFの中で、KYCという取り組みがあります。これはノウ・ユア・カスタマー、顧客管理についてもしっかりと取り組んでいこうという取り組みがありまして、うちの党では元警察庁の小野次郎がこの件について大変取り組んでいたのでよく知っていたんですが、ぜひ、そのような国際的なルールを踏まえて国内でも対応していただきたいと思います。

 また、今回の提携ローンのような事例を含めて、前向きな取り組みとして二点お聞かせいただきたいんです。経産省と警察庁ですね。

 経産省の方には、今回、提携ローンにつきまして、暴排条項がなかなか適用にならなかった、その原因の一つとして割賦販売法というものがあって、そこの対象外となっていた、その見直しを検討されるのかどうかということをまずお聞かせいただきたいと思います。

寺澤政府参考人 お答えします。

 経済産業省としましては、割賦販売法に基づいて監督の基本方針というのを定めておって、その中で信販業界に対して反社会的勢力の排除を求めてきたところでございますけれども、今回の事案の発生を踏まえまして、さらに取り組みを強化すべく、十月一日付で業界に対して指導しました。具体的には、例えば業界全体としてのデータベース構築とか、先ほど委員御指摘の暴排条項の導入の徹底、こうしたものをしっかりと求めていく所存でございます。

小池(政)委員 ぜひお願いいたします。

 次に、警察庁でありますけれども、先ほどのFATFの勧告を踏まえて犯収法、犯罪収益移転防止法が改正されたわけでありますけれども、ただ、ここで口座開設時に確認しているのは身分確認の情報だけでありまして、ここでもやはり反社会的勢力に関する情報等のしっかりとした確認というものも考えるべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

室城政府参考人 我が国は、マネーロンダリング対策を目的とした政府間会合であるFATFから勧告で、対応が十分ではないのではないかというような評価を受けており、また昨年二月には新たな勧告が策定されるなど、国際的に、マネーロンダリングにつきましては、その対策の一層の強化が求められているところであります。

 これらに適切に対応するため、現在、警察庁におきましては、有識者懇談会を開催しまして、今後行うべき制度改正の方向性について議論をいただいているところであります。

 今後、この懇談会の議論を踏まえて、FATF勧告に対応した実効性あるマネーロンダリング対策に関する制度を整備するとともに、それが適切に運用されるよう、関係省庁とも連携をして取り組んでまいりたいというふうに考えております。

小池(政)委員 時間となりましたので、終わります。ぜひ内外の信頼を高めるような取り組みをしていただきたいと思います。ありがとうございました。

林田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 今回の事件に関連をして、特別調査委員会が調査報告書を出しております。この中では、提携ローンについて次のような特徴を指摘しております。

 一つは「取引の無作為性」。「顧客(債務者)は契約の相手方となる金融機関を選択できず、金融機関側も個々の債務者を選択できない点」。

 二つ目は「直接接触の不存在」。「オリコが顧客に対する与信判断から回収まで全ての顧客窓口業務を執り行う一方で、みずほ銀行が顧客との間で直接接点を持つことがない点」。

 三点目は「バルク性」。「みずほ銀行においては、簡易な顧客情報に基づき、数千という大量の顧客との取引をまとめて融資実行する点」。

 四点目は「自行債権性」。「法形式上は、みずほ銀行と個々の顧客との間で、金銭消費貸借契約が成立する点」。

 五点目は「購買連動性」。「資金使途が具体的な商品の購入代金やサービス代金への充当に限定される点」。

 これは特徴を非常によく捉えているというふうに思うわけです。

 提携ローンについては、プラスの面があるということだけを強調されておりますけれども、しかし、ここにあるように、欠陥も指摘をされているわけでございます。この指摘された問題点をどのように克服する考えをお持ちか、その点をまずお答えいただきたいと思います。

麻生国務大臣 先ほども御質問がありましたけれども、提携ローンにつきましては、金融機関にとって個人ローンのいわゆる顧客基盤を拡大する、また信販会社にとっては保証料を獲得できる、そして、これらを通じて、顧客にとりましては物品などの購入における機動的な与信のサービスが提供される、また、購入品に欠陥、瑕疵があったというような場合におきましては、債務者は支払い停止を行うことができるといったメリットがあって行われているものではありますけれども、これ自体が問題だと考えているわけではありません。

 佐々木先生言われましたように、いわゆる暴力団等に関する融資の審査を第一義的には取引の窓口であります信販会社が行うということから、金融機関が信販会社任せということの場合には、反社会的な団体との取引が多発しかねないではないかという問題が存在しているということは、私どもとしてはよく認識しておかねばならぬところだと思っております。

 したがって、金融機関がこの種の提携ローンを行うという場合におきましては、金融機関みずからがその反社会的勢力等の検証をきちんと行うことや、また、提携をする信販会社の反社会的勢力等の検査能力というものを向上させるというようなために、データベースを拡大させるとか、いろいろな形で、そういった情報を持っているところとの連携等々をきちんと拡大させていくというような対応が今後必要になってくるんだと思っております。

佐々木(憲)委員 銀行業界全体として、提携ローンをみずほ銀行のような扱い方をして、融資対象者の審査を提携先の信販や消費者金融業者に丸投げしている、こういう例があるのではないか。今回の事件を契機に、実態をどう把握しているか、それから、金融庁としてこういう問題にどのように対応していくか、お答えいただきたい。

麻生国務大臣 みずほ銀行以外の金融機関の提携ローンの実態把握ということですけれども、通常の検査とかまた監督の中で今対応を図っているところではありますが、これまでの当庁の検査監督というものの中では、みずほ銀行以外に、反社会取引があると知りながらその対応を放置した事例というものは確認されておりません。

 他方、各金融機関の対応に万一新たな問題というのが出てきた場合、見つけられた場合においては、その内容に応じ厳正に対処していかなきゃならぬというのは当然のことだと思いますので、いずれにいたしましても、この問題につきましては、引き続き高い関心を持って監視してまいりたいと思っております。

佐々木(憲)委員 銀行本体とはまた少し違って、信販会社が銀行のグループ会社の中に入っている。例えば、大手信販会社のジャックスというのがあります。金融機関との提携ローンの取引で、暴力団への融資が数件見つかっている、これは報道されております。

 ジャックスというのは、三菱東京UFJ銀行が二〇%出資をしている同行のグループ会社であります。この銀行自身は提携ローンは扱っていないんです、銀行としては。しかし、グループ会社の一つであるジャックスが、信託銀行とか生損保、こういうところなど二十一社と取引をして、その提携ローンの残高が三月末時点で七千六百億円、かなりの規模でございます。

 その他の信販会社でも暴力団関連の融資が明らかになったと報道されていますけれども、こういう、銀行が直接やらない場合でも、銀行のグループの中で、信販会社がほかの金融機関と連携をして同様の融資を行っているという事例も見られるわけであります。そういうものをどのように把握し、どう対応するのか、お聞かせをいただきたい。

麻生国務大臣 これは、佐々木先生、前提として、金融機関が信販会社との間に提携ローンというものを行うこと自体が問題と考えているわけではないということは先ほど申し上げたとおりです。

 その上で、いわゆる提携ローンにおきまして、反社会的勢力との取引をできるだけ未然に防止するとか、事後に発見した場合においても解消して速やかに対応するとかいうことをやらねばならぬのですが、これは、金融機関において、信販会社の反社会勢力の検証の能力やチェックする能力の向上とか、金融機関みずからが反社会検証の実施など適切な対応というものは絶対必要なんだと思っております。

 このような観点から、金融業界におきまして、金融機関内の体制整備を図ろうといろいろ努力しておられると承知しておりますが、また、提携先の信販会社に対する管理体制の整備というのもやらないと、売り上げだけ上げているというわけにはいかぬと思っておりますし、信販会社など他の業界とのいわゆるデータベースの共有というものも検討しておかねばならぬと思いますが、取り組みを開始しているものと承知しております。

 いずれにしても、身内の銀行、同じ銀行の株を持っているとか、いわゆる提携しているとか、株主になっているとか、そういったところにおきましては、ましてや身内のことでもありますので、そういった意味においては、後々大きな問題になり得るというのであれば、銀行の持っている情報量の方が多いのであれば、身内の信販会社に対してその種の情報に関してあらかじめきちんと提携する等々、そういったものを身内であればむしろやりやすいはずなのであって、そういったところに関しては引き続ききちんと対応してもらうというのは当然のことだと思って、高い関心を持って引き続き監視してまいりたいと考えております。

佐々木(憲)委員 今回のみずほ銀行の件では、オリコが代位弁済をして、みずほ銀行の金銭消費貸借契約は解消されることとなっているわけです。確かに、これで、銀行の側からいうと、もう関係がなくなった、きれいになった、こういうことになるわけですけれども、しかし、問題は何も解決していないんですね。オリコに債権を移しただけでありまして、オリコに移ったら、今度は回収をどうするのかという問題が残るわけです。

 金融機関が抱えている債権の場合は、預保の回収機構に債権を委ねて回収をしてもらうということも、プロに委ねるということも可能ですけれども、しかし、オリコのような信販会社が抱えた場合には、金融機関と同じような対象にはなりません。したがって、銀行の側はきれいになって、さあ、その責任は信販会社にありますよと。それでは何も進まないわけで、逆に問題をますます困難に追い込んでしまう、こういう事態になるわけですね。

 そのことについて、金融庁としては、回収機構の活用というものも当然念頭に置いて対応しなければならないと思いますけれども、この点はどのように考えておられるのか。

 今回の事件は、銀行だけではなくて、信販、保険会社、さまざまな業態がかかわっているわけです。非常に複雑な関係になっているわけですね。この点、単純ではないわけです。回収の場合も、先ほど言ったような、債権を移転した場合の回収というのは非常に難しくなる。

 そういう全体として、銀行のローンを組みながら債権の所有主体が変わっていく場合の対応の仕方というのはきちっとやっていかないと、ただ問題を先送りするだけにすぎないということになりますので、金融庁は一体これをどうするのか、そこのところをお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 今御質問のありました、いわゆる代位弁済ということになろうと存じますけれども、これは、金融機関にとって反社会的勢力との取引を解消する一つの手段であろうとは存じます。

 しかし、今般みずほ銀行から提出をされております業務改善計画におきましては、反社会的勢力の債権の回収に当たっては、オリコに任せるのではなくて、みずほ銀行が債権回収態勢強化への主体的な関与を行うということとされております。

 いずれにしても、こういった反社会勢力の債権の回収方法を含め、提出された業務改善計画はきちんと検証していかねばならぬところですが、今御指摘のありました特定回収困難債権買い取り制度、長い名前がついていますが、早い話、債権回収です。債権回収について申し上げさせていただければ、これに関しましてこの制度を利用するというのも一つの方法であろう、私どもはそう考えております。

 いずれにいたしましても、こういった問題に関してデータを共有するとか、また、そういった形で、いわゆる整理回収機構というのは、権力は普通の銀行とは全然違った形になろうと思いますので、そういった意味で、私どもとしては、これを利用する等々のことも一つの方法として今後考えられてしかるべきかなとは考えております。

佐々木(憲)委員 以上で終わります。

林田委員長 次に、鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 私は、今般のこの問題の背景というと少し大げさでありますが、何か、金融行政が転換をしてきた中で、こういうみずほ問題というのが起きたのではないのかなというところに目をつけて、勝手に目をつけておるわけですけれども、少し御質問をさせていただきたいというふうに思うんです。

 この十数年来、日本の金融行政というのはいろいろと変遷がありました。昔は、いわゆる護送船団方式ということで、銀行というのは絶対に潰れないという神話のもとできました。しかし、その後、バブル経済が崩壊をして、住専とか不良債権というような問題が起きたわけですよね。そこで、いわゆる大型の金融破綻というようなものが起きました。それから、長銀、日債銀の一時国有化というような大変な出来事もあったわけですね。

 そういう中で、いわゆる金融行政が、これは大臣が御就任以来おっしゃっておる金融処分庁から金融育成庁へというところに私は今関心を持っておるわけですけれども、いずれにしても、この金融行政というのが、不良債権処理を最優先するというところから、金融機関の自己責任とか自助努力とかそういうものを促していくような方向に変わってきているのではないかな、このように思っておるわけです。

 それとこのみずほの問題というのは後で少しお伺いをしますが、とりあえず、まず大臣が、そういった金融行政がすごく変わってきておるということの中で、いわゆる金融処分庁から金融育成庁へというような御方針を出してみえるというふうな理解をしておるんですが、それでよろしいでしょうか。

麻生国務大臣 一九九七年でしたか、アジアの通貨危機等々が起きて、都市銀行では北海道拓殖銀行が最初、証券会社で三洋証券それから山一等々の倒産、そして今言われていました長銀、日債銀等々いずれも九八年には倒産というような、金融危機というような状況が起きて、あのときは、銀行が抱えております不良債権等々を見ますと、債務超過というような形になってくるという状況にありました。

 そういったときに、やはり、金融自体の機能が停止しかねないという状況を我々は非常に懸念したところではありますけれども、いずれにいたしましても、銀行も合併をしたりいろいろな形をして、昔の名前で出ているのは少なくなるぐらいの銀行の吸収・対等合併、MアンドAが行われたのはもう御存じのとおりです。

 そういったときの金融庁としては、いわゆる金融機関というもの自体の内容が極めて不透明というのか、とにかく不安定という状況の中にあって、きちんとした対応を銀行自体がやっておるかどうかというのを監視しておかないとならぬという時代があったんだと存じます。

 しかし、その後、きちんとした対応がそれぞれの銀行でいろいろなされた結果もこれありですが、少なくとも、リーマン・ブラザーズの〇八年以降のときも、他の先進国の中で多くの銀行が倒産していく中にあって、日本はきちんとした対応でくぐり抜けて今日に来ておるという状況にあります。

 傍ら、今、デフレというものの脱却を目指して、日本銀行の金融を緩和するとか、また、財務省のいわゆる財政均衡より今は取り急ぎ財政を出動させてでも景気を回復させるとかいう方向に行くときに、最後に残った中小企業の経営というものをきちんと元気のいいものにしていくためには、これは金融界からの支援とかコンサルタントとかそういったようなものが不可欠なんだ、私どもはそう思います。

 したがって、金融庁としては、金融機関に対し、貸出先の中小企業が、いろいろな情報がかなり偏ったり、いろいろな問題点については、ただただ金を貸して回収するだけではなくて、その企業がこういう点を補足すればもっと大きくなりますとか、おたくの取引先はこういうところもあるんじゃないですかとかいうようなところまで、コンサルティング的な仕事も含めてやっていくという意味では育成をするという基本に立ち返る、そういうことをしないと今回のデフレ不況からの脱却は難しい。そういうことを考えて、今申し上げたような話をさせていただいておるというのが現状であります。

鈴木(克)委員 それだけで終わるわけにはいかないわけでして、そこで、この九月に金融庁は、いわゆる金融モニタリング基本方針というのを決定されました。

 それで、いわゆる検査、監督が一体でやる、オン、オフというんですか、まさに一体でやるというような方針を出されたわけであります。いわゆるメガバンクについて、重要課題別にチームを組んで、そして横串で実態を把握していく。いわゆる水平的レビューというふうに言われておるようでありますが、こういう体制を導入されるというふうになったわけであります。

 そこで、皮肉にも、まさにそういったレビューの第一弾がこの三メガバンクの同時検査、そして、このみずほの反社取引の問題が出てきた、こういうことなんですね。これは偶然の一致なのか、今までの問題がそういう形の中で出てきたのか、その辺のことはよくわかりませんけれども、いずれにしても、こういった流れを変えていく、検査の流れを変えていく中でみずほの問題が出たということについて、大臣はどういうふうにお考えになっているのか、お感じになっているのか、お聞かせください。

麻生国務大臣 御指摘のありましたとおり、本年の九月に新しい金融モニタリング基本方針というのを出させていただいております。

 三つの通称メガバンクと言われるようなグループに対しても、グループの取り組みの比較というのを行えるように、単体で見るのではなくてほぼ同じような業績、大きさ等々考えますと、取り組みの比較を行うということと、項目によって海外の取り組みも踏まえた分析等々、また金融機関の全体の中での位置づけ等々をフィードバックするというような、水平的なレビューを行うこととしておりますが、法令遵守とか反社会勢力への対応などもその中に含まれております。

 これらの分野におきましても、水平的なレビューというものは金融機関の体制を改善していく上では極めて有効な手段だったんだ、私どもはそう思っております。また、そうした検証の結果、体制が著しく不十分な金融機関につきましては適正な対応を行うことが必要であろうと考えております。

 なお、メガバンクに関しましては、水平的レビューというものは、単に法令遵守という点だけではなくて、いわゆる経営の管理、よく最近はガバナンスといいますけれども、経営管理とか、金融の円滑化とか、また為替等々含めまして市場リスクの管理など幅広い項目にわたりまして、この項目についても、いわゆる金融、メガバンクはまずですけれども、こういった広い分野に関して、これだけインターナショナルなファイナンスとか国際金融というものが使われることになってくると、そういった業務改善にもつなげていく姿勢というものを今後とも銀行は持たねばならないものだ、私どもはそう思っております。

鈴木(克)委員 そこで、今度は検査局長でも監督局長でもよろしいんですが、私は何が言いたいかということなんですけれども、一部報道で、金融庁は、検査において、問題融資に関する資料が含まれた取締役会の配付資料一式を要求しておきながら、取締役会には上げていないという担当者の発言をうのみにして、資料をきちんと精査しなかったというふうに言われておるわけですよね。

 もしこれが事実だとしたら極めて緊張感のない無意味な検査だと、厳しいようですけれども、私はそういうふうに指摘をしたいわけでありますけれども、とりわけ、通年専担検査ですか、そういう制度で、いわゆる金融庁とメガバンクの間になれ合いや緊張感の欠如を生んだということはないんでしょうか、お答えください。

森政府参考人 金融当局といたしましては、金融機関の業務の実態を的確に把握することによりまして、金融機関や金融システムに対する潜在的なリスクをいち早く察知し、適切な対応を行う必要があるわけでございます。そのためには、金融当局と金融機関の間で円滑な対話が行われることが重要だと考えております。

 同時に、金融機関の業務や体制が十分でないときは、金融当局は、検査などを通じまして問題を発見、指摘し、必要に応じ金融機関の業務の改善に向けた厳正な措置をとることとしております。具体的な検査の方法は時代に応じて変えてきておりますけれども、今申し上げた基本的な考え方は特に変わるものではございません。

 御指摘のみずほ銀行の提携ローンに関する反社会的勢力との問題につきましては、問題を金融庁検査で発見し、指摘したわけでございます。また、本件の行内における報告体制につきましては、銀行側の説明をうのみにしたわけではなくて、その裏づけを、直近のコンプライアンス委員会の資料に記載がないことを検証したり、過去におけるコンプライアンス担当役員までの報告を検証したり、一定の範囲での検証は行っております。

 このように、金融庁と大手金融機関の間になれ合いや緊張感の欠如があるとは思わないわけでございますが、今後とも、検査監督の質的向上を図ってまいりたいと考えております。

鈴木(克)委員 最後の質問になろうと思いますが、確かに、今回の検査でこのことは発覚した、それは検査の成果だ、こういうことをおっしゃりたいわけですけれども、しかし、一旦はうのみにしたわけですよ。そのことを私は言っておるわけですよ。そこに、なれ合いや緊張感の不足があったんじゃないですかということを言うわけですよね。

 もっと厳しく言えば、金融庁は、監督官庁として最低限のことをすればいいという考え方があったのではないのか。本当に金融庁が問題視したのは、みずほ銀行が反社取引の存在を把握しながら何も策をとらなかったという点だけであって、誰がどこまで知っていたかということは問題視していなかったのではないですか。だから、こういうことになったのではないですか。このことを私は重ねてお伺いしたいと思います。

森政府参考人 金融庁としましても、この反社取引の行内での報告体制については、みずほ銀行の内規では、コンプライアンス委員会まで報告しなければいけないという内規になっておるにもかかわらず、行内での報告体制について銀行に聴取いたしましたところ、コンプライアンス担当役員までで、上がっていないという報告がございましたので、これは、経営管理上、重大な問題ではないかということで検証を行ったわけでございます。

 結果として、途中で直近のコンプライアンス委員会資料は確認したわけでございますけれども、そこには記載がなかったんですが、過去には記載があったということで、報告と異なった事実が判明したわけでございます。我々としては、強い問題意識を持って、一定の検証は行ったものと認識しております。

鈴木(克)委員 時間が参りましたので終わりますけれども、いずれにしても、緊張感を持って、そして、本当に厳しいいわゆる視線でやっていただきたい、このことを申し上げて、質問を終わります。

林田委員長 以上で本日の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る二十二日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時七分散会


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