衆議院

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第3号 平成26年2月25日(火曜日)

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平成二十六年二月二十五日(火曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 林田  彪君

   理事 伊東 良孝君 理事 越智 隆雄君

   理事 菅原 一秀君 理事 寺田  稔君

   理事 御法川信英君 理事 古本伸一郎君

   理事 桜内 文城君 理事 竹内  譲君

      穴見 陽一君    小倉 將信君

      小田原 潔君    鬼木  誠君

      金田 勝年君    神田 憲次君

      小島 敏文君    小林 鷹之君

      田野瀬太道君    田畑  毅君

      竹下  亘君    竹本 直一君

      中山 展宏君    葉梨 康弘君

      橋本 英教君    藤井比早之君

      牧島かれん君    松本 洋平君

      山田 賢司君    安住  淳君

      小川 淳也君    大西 健介君

      武正 公一君    前原 誠司君

      鷲尾英一郎君    坂元 大輔君

      田沼 隆志君    三木 圭恵君

      山之内 毅君    上田  勇君

      岡本 三成君    大熊 利昭君

      佐々木憲昭君    鈴木 克昌君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   総務副大臣        上川 陽子君

   財務副大臣        古川 禎久君

   総務大臣政務官      伊藤 忠彦君

   財務大臣政務官      葉梨 康弘君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局総括審議官)          三井 秀範君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 平嶋 彰英君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   福田 淳一君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    田中 一穂君

   政府参考人

   (財務省関税局長)    宮内  豊君

   政府参考人

   (国税庁次長)      藤田 利彦君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           広畑 義久君

   参考人

   (日本銀行副総裁)    中曽  宏君

   財務金融委員会専門員   北村 治則君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  安藤  裕君     穴見 陽一君

  前原 誠司君     小川 淳也君

同日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     橋本 英教君

  小川 淳也君     大西 健介君

同日

 辞任         補欠選任

  橋本 英教君     安藤  裕君

  大西 健介君     前原 誠司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)

 地方法人税法案(内閣提出第八号)


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     ――――◇―――――

林田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、所得税法等の一部を改正する法律案及び地方法人税法案の両案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。財務大臣麻生太郎君。

    ―――――――――――――

 所得税法等の一部を改正する法律案

 地方法人税法案

    〔本号(その二)に掲載〕

    ―――――――――――――

麻生国務大臣 ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案及び地方法人税法案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。

 まず、所得税法等の一部を改正する法律案について御説明させていただきます。

 本法律案は、デフレ不況からの脱却と経済再生、税制抜本改革の着実な実施、震災からの復興支援などの観点から、国税に関し、所要の施策を講ずるものであります。

 以下、その大要を申し上げさせていただきます。

 第一に、デフレ不況からの脱却と経済再生に向け、生産性向上設備投資促進税制の創設、研究開発税制、中小企業投資促進税制及び所得拡大促進税制の拡充、復興特別法人税の廃止、交際費等の損金不算入制度の見直し等を行うことといたしております。

 第二に、税制抜本改革を着実に実施するため、給与所得控除の上限の引き下げ、環境性能にすぐれた自動車に対する自動車重量税の軽減措置の拡充等を行うことといたしております。

 第三に、震災からの復興を支援するため、復興産業集積区域に係る即時償却制度の延長等を行うことといたしております。

 このほか、国際課税原則の総合主義から帰属主義への見直し、税理士制度の見直し等を行います。また、特定認定長期優良住宅の所有権の保存登記等に対する登録免許税の特例等既存の特例について、その適用期限の延長や整理合理化等を行うことといたしております。

 次に、地方法人税法案について御説明申し上げます。

 本法律案は、地方団体の税源の偏在性を是正しその財源の均衡化を図ることを目的として、法人住民税法人税割の税率の引き下げにあわせて地方交付税の財源を確保するための地方法人税を創設するものであります。

 以下、その大要を申し上げます。

 第一に、地方法人税の納税義務者は、法人税を納める義務がある法人といたしております。

 第二に、課税標準は、各課税事業年度の基準法人税額としております。

 第三に、税率は、百分の四・四といたしております。

 第四に、申告及び納付は、国に対して、課税事業年度終了の日の翌日から二月以内に行わなければならないことといたしております。

 その他、還付の手続等及び罰則に関し、法人税法と同様の規定を設けることといたしております。

 以上が、所得税法等の一部を改正する法律案及び地方法人税法案の提案の理由及びその内容であります。

 何とぞ、御審議の上、よろしく御賛同くださいますようお願いを申し上げます。

林田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

林田委員長 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、参考人として日本銀行副総裁中曽宏君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として金融庁総務企画局総括審議官三井秀範君、財務省主税局長田中一穂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

林田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

林田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤井比早之君。

藤井(比)委員 おはようございます。自由民主党、藤井比早之です。

 昨年に引き続きまして、所得税法等の一部を改正する法律案等について質問させていただきます。

 林田委員長、そして理事の先生の皆様、委員の先生、本当にありがとうございます。麻生大臣、またことしもよろしくお願いいたします。

 さて、まず、先日、平成二十五年度補正予算案が通りましたけれども、こちらは本当に、税収の上振れによって編成できたのではないかというふうに考えております。まさに上振れによってというのはアベノミクスの成果だと考えますけれども、事実関係として、安倍政権発足後、どの程度税収の上振れが実現できているのか、それを麻生大臣にお伺いさせていただきます。

麻生国務大臣 藤井先生、これは、安倍政権発足後の一般会計予算、それから地方財政計画における税収の動向、両方入れて、二十四年の年末から、政権交代を見越した景気回復、円安、株高などの影響もありまして、決算時点で、国、地方合わせて、二十四年度当初予算と比べて、税収は約一・七兆円上振れをいたしております。

 加えて、平成二十五年度の税収につきましては、好調な企業業績を踏まえて、当初予算と比べて、補正予算におきましては、国、地方合わせて二・八兆円上振れとなったところであります。

 引き続いて、二十六年度税収につきましても、引き続き力強い経済成長を見込むことで、消費税の引き上げなどの制度改正要因を除きますと、国、地方合わせて、二十五年度補正と比べて、プラス一・八兆円の上振れがあるであろうと見込んでおります。

 以上です。

藤井(比)委員 ありがとうございます。

 一・七兆、二・八兆、一・八兆と、これだけの上振れが起きている。税務当局は、基本、やはり慎重に見積もるものでございますけれども、それにしてもこれはすばらしいことではないかと。最初に株式市場が上がって、次に企業業績、個人所得が上がって、それから税収がということですから、もう既にこれだけの税収の上振れがあるというのは、アベノミクスのすばらしい成果ではないかというふうに感謝申し上げます。

 昨年度も、高橋是清元総理、元大蔵大臣のお言葉をかりまして、交際費、やはり消費の拡大が必要だというのを質問させていただいたところでございますけれども、二十五年度改正におきまして、交際費の損金算入を中小法人は拡大していただきました。

 このたび、平成二十六年度の今回の改正にまた交際費の損金算入について制度改正を見込んでおられますけれども、この意義をぜひ麻生大臣にお伺いさせていただきたいと思います。

麻生国務大臣 藤井先生、少なくとも今、世界百九十二、三カ国あるんだと存じますが、この中で、デフレーションによる不況というのをやった経験がある国は日本しかありません。少なくとも、さきの大戦が終わって六十数年間の間、やった経験はゼロでして、その前が、一九三〇年代の前半にいわゆるアメリカ発のデフレ不況というのを世界じゅうで味わっておりますが、そのときの大蔵大臣、今言われた高橋是清という方が、たしか岡田啓介内閣の下でされたのが最後だったか、その前に犬養毅内閣でもやっておられます。日銀総裁をやられたりしたんです。

 この方は、デフレ不況からの脱却に、世界最初に脱出するに成功せりと当時のウォールストリート・ジャーナルに書かれるほどの人ですから、この方のなされたのは我々は大いに参考にせねばいかぬものだと思って、少なくともフランクリン・ルーズベルトのニューディールよりこっちの方が先にやっておるわけですから、これをきちんと見習ってやるべきだと思っております。

 今言われましたように、二十五年度の改正におきましても、地域経済を支えます地方中小零細企業というものの施策に対して、これまで、中小法人の支出する八百万円以下の交際費を全額損金算入できるというように交際費課税の特例を拡充したんですけれども、これによって、平年度ベースで約三百五十億円ほどの税収が減になると予想しております。

 ただ、その効果については、定量的な分析がまだなされているわけではありませんが、地方の業界などを見た私どもの実感からいたしますと、地域経済の活性につながっていることははっきりしているので、釧路に限らず筑豊でもいろいろ、地方に行けば行くほどはっきり、わかりやすいなと思うほどはっきりしていると思っております。

 したがいまして、今般の交際費課税の緩和では、飲食のための支出につきましては、今はゼロですから、五〇%を損金に算入できるようにすることというのが一点。もう一つ、現行、交際費を全く損金算入ができないことになっている一億円以上の大法人というか、中小企業でないところも損金算入を可能にするという一応思い切ったことはやらせていただいておりますので、これによって平年度ベースで四百三十億円ぐらいの減収になるであろうと見込んではおります。

 ただ、こうした取り組みによって、中小零細企業に限らず大企業においても、地方で、料理飲食費はもちろんのことですけれども、さらに地域経済を含む経済全体が活性化されていく方向に走るであろう、私どもはそれに大いに期待をいたしております。

藤井(比)委員 ありがとうございます。

 まさに金は天下の回りもの、消費の拡大ということで、このたびの制度改正は本当にすばらしいものではないかというふうに考えます。本当に、従来の主税局では考えられないことをしていただいている、これも麻生大臣のお力ではないかというふうに考えております。

 次に、昨年も質問させていただきましたけれども、NISAの導入でございます。

 景気回復には、やはり株式市場の活性化、金融資産の有効活用、投資環境の改善といったものが欠かせないと思いますけれども、二十五年度改正の成果と、それから、このたび改正事項が盛り込まれております二十六年度改正の趣旨と目的といったところをお伺いさせていただきます。

三井政府参考人 御答弁申し上げます。

 NISAの導入につきましてでございますが、平成二十五年度税制改正におきまして、非課税での投資可能期間を三年から十年に延長するなどの拡充を行うこととされたところでございます。

 こうした制度改正も受けまして、このNISAは、本年一月の制度開始時点で口座開設申請件数が手続中のものも含めまして五百六十万件を超えるといった状況になるなど、国民の皆様方から高い期待や関心を集めているものと考えております。

 また、今回の法案におきましては、現行制度上、一旦NISA口座を開設いたしますと、最長四年間、口座を開設いたします金融機関の変更ができないこととされてございますけれども、口座開設金融機関の変更を一年単位で可能とすることなどを通じて、投資家の利便性の向上を図ることとされてございます。

 この改正によりまして、NISAの利用がさらに拡大しまして、これまでリスク資産への投資になじみのなかった多くの方々を株式市場に呼び込みまして、ひいてはその制度趣旨である家計の資産形成の支援及び成長資金の供給拡大につながっていくものと期待しているところでございます。

藤井(比)委員 ありがとうございます。

 もう五百六十万件ということで、今回の制度改正も相まって、NISAの活用によって、まさに成長資金の調達というものに、景気回復につなげていただけることを期待させていただきたいと思います。

 また、やはり景気回復には雇用、そして所得でございます。昨年改正で所得拡大促進税制が創設されたところでございますけれども、このたび、この所得拡大促進税制について改正が行われておるところでございます。制度創設の成果と、今回の改正の趣旨、目的についてお伺いさせていただきます。

田中政府参考人 お答えさせていただきます。

 平成二十五年度の改正におきましては、足元の企業の収益を従業員の所得の向上につなげるというために、二十四年度との比較で給与等の支給額の総額が五%以上増加した企業に対しまして、増加額の一〇%の税額控除という制度を創設いたしました。

 この制度の最初の適用はことしの三月末の決算法人からでございますので、まだ具体的な実績を我々計算できておりませんけれども、昨年以来の賃上げムードの醸成に何らかの意義があったものではないかというふうに考えております。

 今般の制度の改正におきまして、一層の賃上げのインセンティブとするために、給与等の総支給額の増加要件、五%の要件であったわけでありますが、これを、二十四年度の水準に比べて、二十五年度、二十六年度につきましては二%というふうに引き下げる、その水準をさらに段階的に引き上げていくということにいたしております。

 段階的、計画的な引き上げを支援する枠組みに改めるという趣旨でございまして、今後、経済界の前向きな対応を期待しておるところでございます。

藤井(比)委員 ありがとうございます。

 いろいろと制度はつくるけれども、使い勝手が悪いとか実際に使われないということであっては問題でございますので、今回、改正も行われておるというところでございますので、ぜひ、多くの方々に利用していただいて、景気回復につながっていただけるようお願い申し上げたいと思います。

 また、今回、生産性向上設備投資促進税制の創設とか、まさに日本の物づくりを支援する、そういった税制も盛り込まれておりますので、アベノミクスを進めるそういったさまざまな税制によって、景気回復、デフレ脱却が進みますことを心よりお願い申し上げたいというふうに考えております。

 そこで、もう時間でもありますので、最後に麻生財務大臣にお伺いしたいと思います。

 もう大臣に言うまでもなく、消費税は、本当に政権の命運を今まで左右してきたものでございます。いよいよ四月には税率が五%から八%に上がるということでございますけれども、実際に上がったときに一般の国民の皆様がどう考えられるのかというのは、本当に上がってみないとわからないという部分がございます。まさに政権の命運はここにかかっていると考えます。

 よくあるのは、制度をつくる前には一生懸命PRをする、広報をする、つくってしまった後はどうなんだというのがありますので、まさに上がってから、今なぜ消費税を上げないといけないのか、消費税を一体何に使うのか、結局何か無駄遣いに使うんじゃないかとかいって、実際に現場だとそういう声をびんびんぶつけられたりするんです。

 本当に今の日本にはこれが必要なんです、今必要なんです、何に使うんです、こういったものをぜひ丁寧に、そしてわかりやすく、国民の御理解をいただくことが必要だと考えますけれども、こういった方策について、国としての取り組みについて、大臣にお伺いさせていただきたいと思います。

麻生国務大臣 これはもう藤井先生よく御案内のとおり、デフレ不況から脱却しつつある段階で消費税を三%上げるのはいかがなものかという御意見は、広く言われているところでもあります。

 傍ら、日本の場合は、御存じのように、GDP比に対しましても約二百何十%、政府としては国債費の借入金が高いということもあり、加えて少子高齢化等々、いろいろなものがありますので、今後とも、世界に冠たる社会保障制度、国民皆保険制度等々をきちっとして次の世代へ引き渡していくためにも、我々としては、きちんとやるべきことはやっておかないとということで、これはどうしてもということで、民主党、公明党、自民党、三党合意でこの法案をやらせていただいて、今年四月からこれをいよいよ実施することになるんです。

 いずれにいたしましても、当然のこととして、下振れリスクというものはひっついて回りますので、その下振れリスクへの対応に万全を期さねばならぬということで、補正予算というものも五兆五千億円を組ませていただいております。

 これは、御理解をいただくというところが大変重要なのであって、確かに、一千六百兆円の個人金融資産を持ち、対外純資産も世界一、外貨準備高もほぼ世界一というようなものを持っている国ではありますけれども、いずれにいたしましても、こういったものを持っているとはいえ、持っている間にきちんとやるべきことをやっておかねばならぬのだということで、いろいろな御意見等々があった中、昨年の十月、これに踏み切らせていただいたということであります。

 私どもとしては、おっしゃるように、この点の意義並びにこの重要性については、今後とも丁寧に説明をしていかねばならぬ、さように思っております。

藤井(比)委員 ありがとうございます。以上で質問を終わります。

林田委員長 次に、岡本三成君。

岡本委員 おはようございます。公明党の岡本三成です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 麻生財務大臣におかれましては、G20、シドニーより御帰国したばかりのお疲れの中御出席をいただきまして、ありがとうございます。また、日本銀行の中曽副総裁、御多忙の中お越しいただきまして、ありがとうございます。

 昨日、内閣府より昨年十月―十二月期の需給ギャップが発表されまして、需給ギャップはマイナス一・五%。これは四四半期連続で改善をしておりまして、リーマン・ショック以前の水準まで戻ってきております。

 デフレを脱却して景気の回復を確実なものにしていくためには、需給ギャップの改善、加えてなだらかな消費者物価の上昇、そして最終的には、やはりポイントは賃金の上昇だと思うんですね。ですから、本日はそこに的を絞りまして質問をさせていただきたいと思います。

 今回の二つの税法案ですけれども、一言で言いますと、経済の好循環を実現するための法案というふうに言うことができると思うんです。法案の中で、復興特別法人税を一年前倒しで廃止をしたり、また所得拡大の推進、加えまして、この法案とは別に政労使の会合もやっているわけですけれども、かなり世の中では賃上げに対する期待が深まってきているんですが、その決意を改めて確認させていただきたいと思うんです。

 来年度以降の賃上げに関しまして、税金を払っているような大企業と赤字企業が多い中小企業ではそれぞれ状況は違うと思うんですが、何%ぐらいの企業に所得の拡大を期待していらっしゃるか、その数値目標をお答えいただきたいと思います。

麻生国務大臣 岡本先生、何%を期待しているかと言われても、これはちょっと企業相手の話であって、ここは全体主義国家でもありませんので、もうかっている企業でも払わないところもあれば、もうかっていなくても社員の確保のためにはどうしても払わねばならぬという考え方の企業もありましょうし、いろいろ差はあるんだと思いますので、一概に、こういう企業が必ずこれくらい伸ばすであろうということはなかなか申し上げられないんだと存じます。

 ただ、昨年の十二月二十日の日に行われました政労使の会議において、三つの職域の代表がそれぞれサインをしたあの紙の意味は極めて大きいと思っております。いろいろな意味で、企業としても確実に賃金をという話を約束しておりますし、事実、ことしに入りましても、春闘の前ぶれで、いろいろなところがいろいろな話をしております。大企業に限らず、私どもの町の中でもいろいろ、ベースアップをことしはどうしてもしないといかぬと思っています、これまで結構内部留保もできましたのでということを言っておりますので、そういったものが前向きの方につながっていくということを期待しております。

 しかし、だからといって、そういった話ばかりしか聞こえてきていないのかもしれませんし、いろいろな意味で、私どもとしては、どれぐらいのものが広く広がっていくかということに関しましては、これから先、少々時間をいただかないとなかなか、どれくらいのものまでは行くであろうということを申し上げられる段階にはないと存じます。

岡本委員 大臣、ありがとうございます。

 おっしゃることはよくわかる一方で、どういう意気込みかということをいま一度ぜひ確認させていただきたいと思ったんですが、今大臣がおっしゃった中で、大企業におきましては、税金を払っていただいている企業が多いわけですから、賃上げをするためのインセンティブとして減税をたくさん打っておりますので、今、民間が調査をしている賃上げ予想というものを見ましても、ある程度の期待はできると思うんです。

 一方で、中小企業の場合は、残念ながら赤字の企業がまだまだ多く、税金も払っていないわけですから、減税というのがインセンティブになり得ない、なりにくいんですね。その中で、ただ、多くの労働者の方々は中小企業で働いていらっしゃるわけですから、どういうふうにここに直接的に手を打っていくかというのは非常に重要だと思うんです。

 そこで、一つのインセンティブの与え方の考え方として、例えば来年度、経産省で継続的に続けます新ものづくり補助金という補助金があるんですけれども、中小企業対策にはさまざまな補助金があるんですが、この新ものづくり補助金は、賃上げをした中小企業があった場合、その企業が補助金を申請したときに、補助金を給付するかどうかの一つの参考の数値として、賃上げを実施したかどうかを検証することになっているんですね。たくさんのさまざまな中小企業に対する政策がある中で、例えば賃上げをすればそれがインセンティブとしてその後の中小企業の前向きな事業にプラスになってくるということになれば、中小企業の経営者としても、会社全体を考えたときに、前向きに賃上げをしようかというふうなお気持ちになると思うんです。

 財務大臣は副総理でもいらっしゃいますので、全体観の中で、中小企業に対する直接的なインセンティブということに関して御意見を伺えればと思います。

麻生国務大臣 今、中小企業と大企業と分けられましたけれども、利益を計上しております法人、総数で七十万八千七百九十一社がいわゆる利益計上法人とされております。そのうち中小企業は実に六十九万六千六百社でありまして、約九八%ぐらいになりますので、九八%の会社は基本的には利益を出して、納めているのはそれくらいの数があることも事実であります。

 中小はみんな貧しくて大企業はみんなもうかっている、そんなことはないので、中小でも極めて有能な会社は払っていないので、お利口ですから、絶対もうかっているとは言わないのが企業ですから、皆、直接聞かない人は誰も知らないということになっちゃうんです。

 ぜひ、そういう意味で、企業の中においても、今言われたようなことは一つの方法ですけれども、その他、所得拡大促進税制とかいろいろな税制が新しくついておりますので、そういったもので、賃金を上げていただいた会社にはこういった恩典を差し上げますとかいろいろ列挙しておりますので、そういったものを大いに利用していただいてやっていただく。私どもは、そういったものが企業として賃上げになっていく一つのインセンティブになってもらえればなと思っております。

岡本委員 ありがとうございます。

 続きまして、日本銀行の中曽副総裁にお伺いいたします。

 一般的に市場では、黒田総裁はアグレッシブな方、岩田副総裁は物すごくアグレッシブな方、そして中曽副総裁は堅実な慎重派だというふうに言われているように私は思っておりますけれども、その最も堅実派の中曽副総裁が全体像をどう捉えていらっしゃるかというのは大変重要なメッセージだと思いますので、その意味で質問させていただきたいと思います。

 今回のG20におきまして黒田総裁はさまざまな見解を示されておりまして、例えば新興国の動向について、一部の新興国でやや成長率がダウンしたこともあるが、依然として新興国全体の成長率は先進国よりも高い、新興国全体の成長が趨勢的に下がることはないと思うという前向きな見解。加えて、ヨーロッパ圏、ユーロゾーンのデフレリスクに関しては、インフレ率そのものが下がっているというのは事実だが、ユーロゾーンの経済は底を打ち、持ち直していると、大変ポジティブな見方をしていらっしゃいます。

 黒田総裁はこの委員会で何度も、日本の景気回復の最大のリスクファクターの一つは海外要因であるというふうなことをおっしゃっていますけれども、今回のこのコメントを拝聴しておりますと、海外リスクはある程度低下をしてきたというふうに受けとめられるんです。それは逆を返せば、リスクファクターは低下しているわけですから、日本の景気回復の道筋、道のりというのはより確実になってきたというふうに聞こえますけれども、そういう認識でよろしいんでしょうか。

中曽参考人 まず、国際金融資本市場全体の動きでございますけれども、私ども、新興国を中心に神経質な動きが見られておりますけれども、海外経済全体として見れば、先生が今おっしゃったように、ひところに比べれば下振れリスクの低下した状態にあるというふうに見てございます。

 欧州と新興諸国についてのお話がありました。

 欧州では、債務問題の帰趨など、なお注意を要しますけれども、このところGDPが三四半期連続で前期比プラス成長になるなど、景気の底がたさは増しているというふうに思います。

 それから、新興諸国の方でございますけれども、こちらは、経常収支赤字などの構造的な問題を抱える一部の国で当面成長に勢いを欠いて、不確実性の高い状態が続くというふうに見ております。ただ、これらの諸国についても、やや長い目で見れば、次第に先進国の景気の回復の好影響が及んでいくというふうに考えております。

 私を慎重というふうにおっしゃられましたけれども、今私が申し上げましたような世界経済に関する基本的な認識は、私を含め、日本銀行の政策委員の間で共有をされてございます。

 いずれにしましても、世界経済の動向については、国際金融資本市場の動きとあわせて、注意してこれからも見てまいりたいと思っております。

岡本委員 ありがとうございます。

 副総裁にもう一つ質問させてください。

 二月十八日の政策決定会合におきまして、基本的な金融政策は維持をされましたけれども、三月で期限を迎える二つの貸し出し支援制度につきまして、一年間延長されまして、その額も倍増されています。

 その前までは、市場である程度、日銀の政策の手段というのは出尽くした感があったような雰囲気がありましたけれども、実はこの発表の後に株価は急騰しておりまして、一方、国債はほとんど売られておりません。つまり、日銀の政策においては、量的にも質的にもまだ打つ手が十分にあるんだということを市場が評価したことになっているわけです。

 この委員会で黒田総裁は、四月以降の消費税引き上げに伴って予想を超えるようなネガティブなインパクトが出てきたときには、あらゆる手段を使って、先手先手を打ちながら、デフレ脱却のための適切な手段を日銀として講じていくということをおっしゃっていらっしゃいますけれども、堅実な慎重派と言われている副総裁のお立場からして、やはりこれは、先手先手を打って、使える手段は全てやっていくというコミットメントが必要なんだと思うんですね。

 先ほど私が聞いた黒田総裁からのコメントですけれども、中曽副総裁としても全く同じ立場だというようなことで、今後の消費税上げに対しては、日銀は全力でそのネガティブインパクトを最小化するために取り組んでいく御決意かどうかということを確認させてください。

中曽参考人 まず、我が国経済の全体評価でございますけれども、これは、緩やかな回復を続けておりまして、先行きも、消費税率の引き上げに伴う駆け込み需要とその反動の影響を受けつつも、基調的には緩やかな回復を続けていくというふうに見てございます。物価面でも、二%の物価安定目標の実現に向けた道筋を順調にたどっていると判断をしております。

 したがいまして、金融政策の運営につきましては、現在の量的・質的金融緩和を着実に推進していくことが重要であるというふうに考えております。

 もとより、黒田総裁もこれまで繰り返し申し上げているとおりなんですが、今後、何らかのリスク要因によって見通しに変化が生じ、二%の物価安定目標を実現するために必要になれば調整を行う方針でございます。

岡本委員 ありがとうございます。

 最後に、麻生財務大臣にもう一つだけ質問をさせてください。

 G20ですけれども、成長率に関しまして目標値を定めたというのは画期的なことですけれども、今後五年間で、G20の国で、今までの予想にさらにプラス二%、GDPで二兆ドル、二百兆円程度のプラスアルファを目標とするということで合意をされております。

 これに対して大臣は、日本としては、成長戦略などを通じ、より高い成長を目指すことで世界経済に貢献をしていくというふうに言われておりまして、アベノミクスの成功のポイントである、三本目の矢であるこの成長戦略を、ある意味、国際公約をさらにコミットしたような形になっているんです。その結果、他国からのこの成長戦略に対する期待も物すごく強いものになっているんですね。

 この成長戦略、ことしの六月をめどに新しいものを発表するということで、その内容については十分な御議論がもうなされているものだと思っているんですけれども、実はここまで世界からの期待が高まって、そしてそこに日本としてもコミットメントを示していらっしゃるわけですから、六月と言わずに、早目に市場に、マーケットに訴えていくというふうな、タイミングを早くすること自体が価値ですので、前倒しで策定していくということも重要な政策の一つだと思います。お考えをお聞かせいただければと思います。

麻生国務大臣 御指摘の数値につきましては、これは国際機関がG20全体を対象に行った分析に基づくものなんですが、各国ごとに基本的な成長目標を設定するものではありません。

 したがって、日本の成長率に関しても、今回のG20で具体的なコミットをしたわけではないんですが、いずれにしても、今、岡本さんが言われますように、この成長戦略について、いろいろな活発な意見交換をやっていかないかぬのだとは思いますが、日本の場合は、産業競争力強化に関する実行計画というのを一月二十四日の閣議で決定したところでもありますので、そういった意味では、成長戦略のための今後の検討方針の取りまとめという形でやっておる関係もありまして、今、当面はこの構造改革を目標にして取り組んでいくことになるんだと存じます。

岡本委員 ありがとうございます。

 市場ではスピード自体が価値だと評価をされておりますので、ぜひ、より一層の御尽力をいただければと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

林田委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一でございます。おはようございます。

 まず、質疑に入る前に、本委員会の立て方につきまして、いわゆる二階建てというんでしょうか、私も五期目を迎えておりますけれども、こうやって趣旨説明をして質疑というのは極めて異例であって、円満な審議をというふうに委員長が就任のときに御挨拶されておりますけれども、そうした中にあって、極めて遺憾であるということを申し上げたいと思います。

 先週金曜日に、予算の二十八日採決を前提としているということで、まだまだ予算での審議は尽くされていないのに、まして、その予算関連のこの所得税法等の採決については、二十八日採決という予算を前提にというのはおかしいということから、趣旨説明は二十一日は見送った経緯がございます。

 二十四日、理事懇で、与党の方からはお経読み、質疑の二階建てという要求がありましたが、先ほど触れたように、これは極めてあってはならない、十分な審議を行うということからはあってはならないということで、野党各党はそのことについては反対をいたしました。しかし、委員長が、趣旨説明をしていないのに、審議の時間がないという理由で職権で委員会立てをしたことについて、改めて抗議をしたいというふうに思います。

 そしてまた、そうはいっても、やはり予算関連の大変大事な法案でありますので、充実した審議は野党各党の本意でありますので、きょうの質疑を行うことにいたしましたが、改めて、歳出歳入の出口ありきの拙速な委員会運営に厳重に抗議をしたいというふうに思います。

 その上で質問を行いたいと思いますが、先ほど岡本委員とのやりとりの中で、財務大臣が、ちょっと議事録を精査しないとわからないんですが、中小企業はなかなか、もうかっていてもそれをまともに申告しないものだというようなことを言われたようにちょっと記憶をしているんですが、改めて、その真意を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 曲解されていただくと困るんですが、中小企業は、私もやっていましたからよくわかりますけれども、もうかっている、もうかっているとなかなか言わないんです。もうかっている、もうかっていると言うと、寄附を取りに来られたり、いろいろ忙しいですから、地元ではなかなか言わないというのが、大体、私ら地元ではそういうものだと思っております。

 もうかっているんですよ。事実、きっちり税金も払っていますから。それは税務署に行って調べていただければ、もうかっているか、もうかっていないか。もうかっていなきゃ税金を払う必要がありませんので、もうかっているんです。ただし、俺のところはもうかっていると言う必要が、大体、もうかっていると言って、いいことは余りありませんから、言わない。それが一つ。

 それから、大企業の場合、嫌でも新聞に書かれますから、書かれるということになるんであって、こっちも希望しているわけではないでしょうけれども書かれるということが事実だ、そう思っております。

武正委員 改めて、中小企業がまともに納税をしていないというような趣旨ではないということは御確認をしたいと思います。

麻生国務大臣 中小企業の方が小さい分だけよく調べが行き届いていて、税金をきちっと取られている確率がむしろそっちの方が高いんじゃないかな、私にはそう見えるぐらいで、中小企業はきちんと税金を、もうかっているところは払っておられると存じます。

武正委員 というと、今のお話ですと、大企業の方がかえってきちんと納税していない、あるいは、しっかりと税対象の所得を徴税当局は把握できていないという認識でしょうか。

麻生国務大臣 大きな企業になりますと、例えば東京ですと、税務署の回ってくる日にちが、毎年一回きちんと来るというところはなくて、なかなか回ってこなくて、何年かに一遍しか回ってこないというところもありますし、いろいろな意味で、そういった状況では企業によって違ってくるんだとは思います。

 田舎にいますと、中小企業に限らず大企業でも、毎年一回、必ず大企業では来られます。そういったところでは、きちんと納税をしておられるのは、むしろ大企業の方も、そちらの方が毎年ですから、少なくとも大都会に比べたら地方の方がより頻繁に来る確率が高い、物理的にそうなっているような気がいたします。大企業においても、地方にいる大企業の方はむしろきちっと払う形になっておられるというような感じがします。

武正委員 主税局長がおりますけれども、今のような認識なんでしょうか。

 東京の大企業は税務署が行く回数が少なくて、地方の大企業は年に一回というお話がありましたが回数が多いということ、税務調査についてはそういったことが事実なんでしょうか。御確認をしたいと思います。

田中政府参考人 国税庁の所管でありまして、私ども、直ちに数字をもってお答えすることはできないということをお許しいただきたいと思うんですけれども、基本的に、大きな企業につきましては、一定の頻度で調査をするというような体制になっていたように記憶しております。

 小さな企業については、内容によりますので、いろいろな、税務当局が把握している情報があれば入りますから、一概にどっちが多くてどっちが少ないというのは、実際にデータとして把握をしているわけではありませんけれども、大企業の方が定期的に入っているというようになっていたように記憶しております。

武正委員 改めて、もう一点。東京の大企業は回数が少ないけれども地方の大企業は回数が多いんだという今の大臣の認識については、いかがですか。

田中政府参考人 それはデータがないので、今ここでお答えすることはできません。

武正委員 データがないというか、そういった認識を主税局長としてお持ちでしょうか。税務署長経験者としてお答えをいただきたいと思います。

田中政府参考人 申しわけございません、私は田舎で税務署長をやりましたものですから、今御質問のような大きな視点から自分の感覚を持っているわけではございません。

武正委員 田舎で税務署長というのはどちらかあれですけれども、税務調査が東京の大企業について少なくて田舎は多いということがあると御認識されるということで、主税局長はよろしいでしょうか。

田中政府参考人 済みません、その観点からデータを見たことがないものですから、ちょっと自信を持ってお答えができません。

武正委員 これから所得税法の審議に当たるわけですが、その担当の主税局長として、税は公平、公正、簡素、こういった観点で行われていると思うんですが、データがないということで、私は、地方であっても東京であっても税務調査というのは公平公正で行われているべきだ、当然そういうふうに思っているんですが、そういったことは承知していない、データがないのでわからないということでしょうか。

田中政府参考人 先生がおっしゃるとおり、公平公正に税務調査をやっていると思います。

 それぞれの国税局で国税庁の方針に従ってやっていると思いますので、大きな差があるかどうかということになると、大きな差があるという認識を持っているわけではありませんが、ただ、現実にどういうデータになっているのかというのは、私はそういう観点でデータを見たことがないと申し上げているだけでございます。

 公平公正な税務行政を行わなければいけないのはおっしゃるとおりだと思います。

武正委員 大企業については、東京であろうと地方であろうと公平公正であるべしということを局長は今申されたわけでありまして、また、先ほど、中小企業の方が頻度が多いということは一概に言えないといったことも局長は言われたわけです。

 大臣、先ほど、地方の方が回数が多い、大企業もそうだというふうに言われましたが、改めて、その認識は変わらないということでよろしいでしょうか。

麻生国務大臣 私は本社が東京にある大企業で働いたことがありませんので、私らから見て、よくわかりませんけれども、かなり多くの企業が東京に本社を移していかれた。本社が東京に集中していった背景というのは当時ありまして、多くの会社は本店を東京に移していかれたと思うんですが、その理由の中の多くに、その当時、経営者の間でよく言われたせりふがそのせりふだったと記憶をいたします。

武正委員 局長は一概に言えないと言ったわけですが、大臣は、その認識は変わらないということを今述べたと思うんです。

 改めて、そうした税務調査が東京と地方で差があるといったことは、財務大臣としてどのように考えますか。

麻生国務大臣 これは基本的に、企業の数が多い、税務署の職員の数が足りないというような物理的なものもかなりそれに影響しているのではないのかなという感じはいたします。

武正委員 それが足りないとすると、そのことについて、担当大臣としてどのように思われますか。

 例えば、税務職員をふやさなければならないのか、あるいは外部の力をかりなければならないのか、内部統制をきちっともっと厳しくやってもらわなければならないのか。何か手だてがあろうかと思うんですが、その点はいかがでしょうか。

麻生国務大臣 いわゆる麻薬取締官の数の絶対量が足りないとか、今、日本の麻薬の取り締まりは、去年一年間で過去最悪を更新したと思いますけれども、麻薬の輸入量が一トンを超えるというような事態になっておりまして、これは、今までにない事態が起きているというような状態を考えたりするときに、やはり人数の絶対量というものをある程度ふやしていかないと、なかなか対応できないというところが一点。

 また、IT化させる等々で、いろいろなもので手書きのところがIT化されることで随分賄われるところがある等々、いろいろ工夫をしなくちゃならぬところはあるんだとは思います。

 いずれにしても、今のままではなかなか状況が難しくなるというようなことは、我々としては常に考えておかねばならぬところだと思っております。

武正委員 この議論はこのぐらいにしておきますけれども、これから納税をいただかなければならない時期、しかも消費税の引き上げをお願いしなければならない時期にあって、税務調査に頻度などの不公平があるというようなことはやはりあってはならないということを改めて申し上げたいというふうに思います。また、そういった認識があるということが放置をされているということについては、やはり改めなければならないというふうに思います。

 また、先ほど、大企業についてのデータがないということなものですから、改めて、大企業についての税務調査、東京と地方で違うんだというお話なんですけれども、そのデータを委員会に提出をお願いしたいと思います。

林田委員長 後刻理事会で報告してもらいます。

武正委員 それでは、質疑に移りたいと思います。資料の方も、これは審議に資するということで配らせていただきました。

 一ページ目は、G20の声明でございます。

 この中で、既に新聞では、世界のGDP二百兆円増に、異例の目標で成長促進ということで、「二%以上引き上げることを目指し、」ということが三段目に出ておりますが、こういったことがこのG20では声明として発表されております。

 ここで、出席をされた財務大臣にお聞きをしたいんですが、三段目の三行目から読みますと、「我々は、今後五年間で、我々全体のGDPを現行の政策により達成される水準よりも二%以上引き上げることを目指し、野心的だが現実的な政策を策定する。」と。これは秋のブリスベン行動計画の基礎ということなんです。

 となりますと、これまで発表していた水準よりもさらに二%以上引き上げるということは、我が国が発表してまいりました名目三パー、実質二パーの経済成長率、あるいは、三本目の矢、成長戦略、こういったことのプラスアルファを日本として求められた、あるいは求められていることについて、声明で合意をしているということでよろしいでしょうか。

麻生国務大臣 我々は、今後五年間で、我々全体のGDPを現行の政策により達成される水準よりも二%引き上げることを目指し、野心的だが現実的な政策を実行すると。

 ここで書いてあります御指摘の数値ですけれども、これは国際機関がG20の全体を対象にして行った分析に基づくものですので、各国ごとに具体的な成長目標を設定するものではないと存じます。したがって、日本の成長率に関しては、今回のG20で具体的なコミットをしたわけではないというように存じます。

 いずれにしても、日本としては、成長戦略などを通じてより高い成長の実現を目指していくということで、世界経済の成長に貢献していきたいということだと存じます。

武正委員 具体的な数字を目標としてそれぞれ各国が求められているわけではないというお話なんですけれども、ただ、この秋にはブリスベン行動計画を各国がまた、事務方がその準備をして、出していくことになろうかというふうに思うわけですので、こういったことであると、プラスアルファのものがさらに日本にも求められてくるということではないかというふうに思います。

 続いて、四段目の方ですが、金融緩和については引き続き継続をといったことが一行目に書かれておりますけれども、二行目では、しかるべきタイミングで正常化すべきことを認識するということで、これはアメリカを念頭でありますけれども、多くの先進国においての金融緩和についても、しかるべきタイミングで正常化すべきであることを認識するということであります。

 これについては、日本の今の異次元の金融緩和についても同様であるということでよろしいでしょうか。

麻生国務大臣 これは、いわゆる新興国との間の対話の話に関係してくるところだと思いますが、「多くの先進国において金融政策は引き続き緩和的である必要があると同時に、物価安定と経済成長の見通しを踏まえ、」という前提がついておるところからも、日本としても、今やっております異次元の緩和と言われるものに対して、デフレ不況からの脱出というのを図って、今それができ上がりつつあるところだと認識をしております。

 したがいまして、日本としても、しかるべきタイミングで正常化すべきであることを認識しておかねばならぬというのは当然のことなのであって、出口戦略、出口戦略とよく言われるのはこのことだと思いますけれども、今そのような段階にあるかといえば、今の段階ではまだそこまで至っていないのであって、しかるべきタイミングで正常化をすべきであるということは私どももそう思っております。

武正委員 改めて申すまでもなく、二段目の四行目には、高水準の公的債務ということも重要な課題に引き続き対処する必要があることを浮き彫りということでありますので、引き続き、特に日本については財政再建、これもやはりきちっとくぎを刺されているということだというふうに認識をいたします。

 それでは、所得税法改正について具体的な質疑に移りたいと思います。

 まず、復興特別法人税。

 今回、一年前倒しで廃止をするということなんですけれども、連帯ときずなの精神ということから、やはり財源があるならば復興に充てるべきであるということ。あるいはまた、復興特別所得税については二十五年間ということであり、我々は、当時、与党時代、十年で提案をしたものが、たばこ税の増税には当時自民党は野党として反対をされて、自公との三党の話し合いで、自公両党から二十五年ということで、これが延長されたわけでございます。個人の皆様には復興の増税を二十五年お願いをして、法人については三年を一年前倒しというのはいかにもやはりバランスを欠くというふうに思うわけでありまして、私どもはこれは反対という考えでございます。

 これについて、なぜ一年前倒しかということを、本会議の中では、これを法人の減税に充てて給与を引き上げるためだというふうに財務大臣はおっしゃいましたけれども、では、果たして本当に給与が引き上がるのかというようなことが、特に春闘の時期を迎えるに当たってベースアップにどこまで結びつくのかといったところが問われるというふうに思います。

 改めて、この復興特別法人税、一年前倒しで廃止したことによって本当に給与引き上げに結びつくということを確信しての減税なのか。私は、やはり、個人は二十五年、法人は三年というものを、法人のみ一年前倒しというのはおかしいというふうに思いますが、財務大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 復興財源を確保するために復興特別法人税を創設することについて、これは民主党、自民党、公明党三党で合意されたことは承知をいたしております。

 他方で、今回の復興特別法人税の前倒しでの廃止は、与党の御判断も踏まえて、二十四年度の決算剰余金の一部を活用して復興財源を確保した上で、足元の経済成長を賃金の上昇につなげるきっかけとするために、政府として決定したものであります。

 そこで、いわゆる規定の削除などのいろいろな修正案というのを提示されたんですが、三党間の合意に至っていないということは私どもも承知をいたしております。

 問題は、この点が本当に賃金の上昇につながるきっかけとなるのかという御視点だと思いますので、私どもも、ここは一番気になるところでもありますので、いろいろ議論をさせていただいて、政労使というので、少なくとも政府が労働組合と直接交渉するなんというのは過去に聞いたことがないんですが、そういったこともやらせていただいて、経団連にも行き、いろいろな意味で賃金を上げていただきたいと。三百六兆円に上る内部留保金がたまっているんだから、その分だけを賃金に与えていただいてもいいのではないのかと。少なくとも、配当金にも回さず、設備投資もせず、賃金も上げず、ただただ物価が下がっていくのに任せてじっとためておいたら、たまりにたまって三百六兆の金が内部留保でたまっておるわけですから、その金を一部、給料を上げていただくのに回していただいてもおかしくないのじゃありませんかということをいろいろ申し上げさせていただいた。

 これは我々の仕事かねと正直思わないでもありませんでしたけれども、そういったこともやらせていただいて、少なくとも、昨年の十二月二十日の日には政労使で合意の文書が書かれたということは一つの進歩だと思っております。これが実際に春闘でどういった形で出てくるかということに関しては、我々としては大いに期待をしているという以上にちょっと申し上げようがありません。

武正委員 賃金上昇を期待しての復興特別法人税一年前倒しということでありますが、果たしてこれが結びつくかどうかは、政労使の会議でそれがあらゆる企業に担保されたわけでもありません。特に、昨年については実質賃金も下がっております。賃金を上げろと言うことはできないと先ほど別の委員の質疑でも答えておられますので、やはり、この復興特別法人税の一年前倒しイコール賃金上昇に結びつくということの相関関係がない以上、結びつきがない以上、復興を国民全部できずなとして担うんだといった三党合意、あるいは法の精神から逸脱しているというふうに言わざるを得ないと思います。

 続いて、今回、高所得層の給与所得控除の見直しが行われております。資料三ページをごらんいただきたいと思います。

 平成二十四年度から、一千五百万円の所得控除の上限を、現行二百四十五万円というような見直しをしたわけであります。これは、我々、前政権のときから、給与所得者の必要経費に比して過大となっていないかどうかなどの観点から、実態を踏まえつつ、今後、そのあり方について検討するというようなことで、これも検討条項になっていたわけでございます。その延長で、今回、平成二十八年は所得一千二百万円まで、そして平成二十九年分以降は一千万円まで、給与所得控除の上限をおろしてくるということであります。

 その方向性といったことは理解するところでありますが、四ページ、高校授業料の無償化がこの四月から一部廃止となる。モデル家庭でいうと、年収九百十万円以上の御家庭のお子さん、高校生は高校授業料無償化が四月から廃止。

 そして、五ページを見ていただきますと、年収七百七十万円以上の皆様は高額療養費が平成二十七年一月から引き上げられるというようなことから鑑みますと、中間所得層、あるいは中堅所得層、あるいはその若干上の層、こういったところの負担増といったことが次々行われる。

 一方、私どもが三党協議でも今も求めております特定支出控除の拡大、これが認められていないというようなことは実額控除につながらないというふうに考えるわけであります。

 こうした中間、中堅所得層の負担増、日本をこれまで支えてきた分厚い中間層にとって負担がふえていくというようなことが経済活力をそぐのではないのかという懸念と、そして、特定支出控除の拡大を三党でも求めておりますが、これが認められていない点、実額控除につながらないという二点について、財務大臣の御所見を伺いたいと思います。

 財務大臣にお願いします。政務三役でのやりとりをお願いしておりますので、主税局長は陪席ということで認めておりますが、財務大臣にお願いいたします。

 簡単な話ですよ。中間、中堅所得層の負担が重くなる点、それから特定支出控除の拡大の必要性、二点お伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 今回の給与所得控除の見直しの影響を受ける給与収入一千万円超の方は、給与所得者上位の約五%を占める高所得の給与所得者となっております。対象者約二百十万人だと思いますが、給与総額約三十兆ですが、全体の給与総額に占める比率は約一五%であろうと思っております。

 また、税負担の変化というのでいえば、例えば、給与所得が一千五百万円の場合は、約十一万円の増加ということになりますので、収入の約〇・七%になろうということだと存じます。給与収入が五千万円の場合、約十四万円の増加で、収入の〇・三%ということになるんだと存じます。

 一方で、給与収入一千五百万円の場合、仮に二から五%の賃上げというのが、所得拡大促進税制の適用が行われると、これは三十万円から七十万円の収入増ということになるんだと存じております。

 したがいまして、この見直しの対象者の上位五%というのは極めて限定なところであって、これは、高所得層は低所得層と比較して消費性向も総じて低いことから、消費への影響も限定的だと考えているのが実際のところであります。

 いずれにしても、実施時期につきましても二年後の平成二十八年度以降段階的に実施するなど、十分に配慮を行っているところだと思っておりまして、所得拡大促進税制の拡充など賃上げに向けた環境整備や、住宅ローン減税の拡充などの家計への支援体制を別途講じているところであります。

 以上であります。

武正委員 私があわせて聞いたのは、その一千万円以上だけじゃなくて、今、低所得者と高所得者というお話だったんですが、中間、中堅所得層、今でいえば年収三百万から六百万、あるいは共働きであれば年収六百万から一千万を中間所得層というような定義もありますけれども、その層も含めて、若干一千万を超えるところも含めて、この部分について、先ほど言ったように、高校授業料無償化とか高額療養費の見直しとか、負担を今政府は求めていくわけなんです。

 こうした中間、中堅所得層というのは、割に企業でも中堅どころというんでしょうか、非常に働き盛りというような言い方もあります。子育て世代でもあるわけです。高校、大学生を持っているという世代で、お金もかかる世代です。

 こういったところの負担をふやしていくという今の政府の流れが、一千万に控除を下げていくところとも符合するものですから、こうした考え方というのはどうなのかということを伺ったんです。このことについては、財務大臣としてどういう認識をお持ちでしょうか。

麻生国務大臣 中堅所得層のことで聞いておられるように伺ったんですが、中堅というか中間所得層のところでいえば、住宅ローン減税というのはまさにその世代にスポットを当てた施策だったと記憶をいたしますので、今のに対するお答えは、そういったところでも十分に配慮はそれなりにいたしておると思います。

武正委員 住宅ローン減税は、消費税で一番高額な納税になるこの住宅について、やはり何らかの手当てをしなければならないといったことで設けられているわけで、それが中間、中堅所得層の、今言った高校授業料の無償化を見直して負担を求めたり、高額療養費の負担を求めたりというようなことのバーターということではないはずでございます。

 そういった点が、やはり私自身、この給与所得控除の見直しを段階的に下げていく、この後、政府とすれば一千万からさらに下げるおつもりなのかもしれませんが、こうした点について懸念を覚えるのと、あわせて、特定支出控除の拡大が必要だということを申しているんですけれども、これが認められていないといった点が実額控除につながらないというふうに考えますが、この特定支出控除の拡大の必要性について御所見を伺いたいと思います。

林田委員長 田中主税局長。(武正委員「財務大臣にお願いします。財務大臣、大臣だけに答弁を求めていますので、お願いします。特定支出控除は、これは三党で進めてきた話です」と呼ぶ)

 委員長が指名していますので、事務的な説明からしてください。(武正委員「事務的じゃないですよ。委員長、困ります、それは」と呼ぶ)

田中政府参考人 特定支出控除につきましては、平成二十五年分の所得税から、特定支出の範囲の拡充などがまず行われております。

 それから、去年の、二十五年度の税制改正の法律、所得税法等の一部を改正する法律に附則がついておりまして、これは自民、公明、民主で御協議いただいた上でこの附則が入っておりますが、その中において、「二十六年度中に財源も含め検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずる」というふうに書いてございますので、これを踏まえて検討を進めてまいりたいと考えております。

武正委員 年収八百万の方が百万円以上の領収書を集めなければならないということで、やはりその範囲あるいは条件、まだまだ緩和が必要であるといった点を改めて指摘しておきたいと思います。

 それでは、きょうは総務省からも副大臣もお見えであります。

 お手元の資料でいきますと七ページをごらんいただきたいと思うんですが、今回、二段階で取得税の廃止、あるいは自動車重量税の当面の間の廃止ということと引きかえに、バイクも含めて軽自動車税の増税というようなことが行われております。

 自動車がこれまで大変高い税金を課せられていた。それは目的税ということで、車の税をもって道路特定財源というようなこととセットだったということもありますが、そういった道路特定財源は既に一般財源化されておりますので、そうしたことも踏まえますと、今回の、弱い者に、あるいはまた納税が少ないからというようなことで軽自動車税に振りかえた点、極めて遺憾であるというふうに思います。

 特に、バイクでありますね。お手元の方には、原動機付自転車に係る軽自動車税の徴税費ということで示しておりまして、徴税コストが千円を超えるから、一気に千円が二千円ということでございます。

 軽自動車の中で原動機付自転車二十五万台というようなことでありますから、実際、対象者は少ないんだというようなお話かもしれませんが、しかし、実際に、こうした原動機付自転車やあるいはバイクに乗っている人たちが若年層だったりあるいは家庭の主婦だったりということからしますと、ここで消費税率を引き上げて、さらにまたバイクについても増税。

 しかも、これについてお話を伺いますと、自動車工業会、オートバイ協同組合連合会からの話、あるいはバイク利用者からの話、こうしたものがほとんど上がってきていないという中で増税に踏み切っているという点について、私は、やはり今回、自動車関連税制の見直し全体について、特に、引きかえに軽自動車税の増税というのはあってはならないというふうに思うわけですが、この点について、財務省そして総務省、御見解を伺いたいと思います。

古川副大臣 お答えいたします。

 御案内のとおり、与党の税制調査会で、るるこれは議論がなされてきたわけでございますけれども、その議論の中で、地方に対する負担感でありますとか、さまざまな点についていろいろ意見もあったということは承知をいたしております。

 しかしながら、この一連の税制改正論議の中で、軽自動車あるいは車体課税については、一体的に、グリーン化ですとか、あるいは地方に負担をかけないというさまざまな観点を踏まえてこれまでも議論が継続してきたものと聞いておりまして、その結論として、今回、こういうことに至ったというふうに承知しております。

武正委員 総務副大臣がお見えですけれども、今お手元の方に資料をお配りしておりますが、徴税コストが千円を超える、これはたしかバイクのプレートなんかも全部含めてですよね。ただ、徴税コストが千円を超えているところは町村のみでありますし、しかも千二百五十四円ということで、一挙にこれを二千円に引き上げる、これはやはり上げ過ぎではないのか。

 軽自動車も一・五倍ということからいきますと、なぜ一挙に二倍にというようなこともあるんですが、この理由と、それから、そうした自動車工業会、オートバイ協同組合連合会だったり、あるいはユーザー、こうした声がきちっと反映されてこうした二倍への増税につながっているのか、お伺いしたいと思います。

上川副大臣 二輪車につきまして最低税率二千円、一・五倍ということでございますけれども、軽自動車税の見直しにつきましては、四輪、二輪を問わず、かねてより地方団体からの御要請がございまして、特に原動機付自転車については、一千円程度の税率では徴税コストすら賄えないという声が大きかったところでございます。委員の資料にもあったところでございます。

 その上で、二輪車につきましては、地方財政審議会の検討会の意見を踏まえまして、総務省から、当初、現行税率を一・五倍または二倍とする案、また最低税率を三千円とする案などをお示しいたしまして、与党の税制調査会での議論をお願いしたところでございます。

 その結果、徴税コストとの兼ね合いでございますけれども、市町村から引き上げの要望が特に強かった年間一千円や一千二百円の税率の原動機付自転車については二千円に引き上げるということで、他の二輪車につきましても、二輪車全体の中での税率のバランスということで考慮いたしまして、一・五倍の引き上げにしたところでございます。

武正委員 総務副大臣、伺いますけれども、自動車工業会、オートバイ協同組合連合会、あるいはバイクのユーザーとか、こういった声というのはしっかりと聞いた上で今回の引き上げになっているんでしょうか。

上川副大臣 軽自動車そのものでございますが、公共交通機関が十分でない地域におきましての生活の足として大変活用されているということでございます。

 他方で、地方財政が大変厳しい状況にございまして、市町村からの御要請ということが大変強く出ておりましたこうした問題につきまして、今回の適用ということになった次第でございます。

 地方財政審議会における議論、そして与党の方の税制調査会における議論ということで御要請をいたしましたところ、結果として、今御提案されているような内容の結論に至ったというふうに理解しております。

武正委員 私が聞いたのは、バイク業界とかユーザーの声がきちっと把握をされて今回の増税になっているのかということなんですが、いかがですか。

上川副大臣 今回の軽自動車に係る税制につきましては、日本独自の規格であるということにおきまして、また、与党税調におきましても、軽自動車の状況、今後の日本の自動車産業のあり方も見据えながら、自動車産業や産業政策、自動車の規格、環境政策等、所管する省庁における部会等の意見を十分聞いた上で、幅広い議論が行われたというふうに承知をしております。

武正委員 さっきから軽自動車、軽自動車と言われるんですが、私は特にバイクのことを聞いているんですね。

 事前に伺いますと、総務省は、経産省が所管省庁なので、経産省からの話では、オートバイ協同組合連合会から何か話があったとか、あるいはユーザーからこういう声があったとか、そういうことは承知していないというふうに言われております。その点、総務省、よろしいでしょうか。

上川副大臣 委員御指摘の点でございますけれども、部会等で直接ユーザーの声を聞いたということではございませんで、いろいろな要望がそちらの方に来たということでございます。

武正委員 私の聞いているところでは、そうした自動車工業会、オートバイ協同組合連合会とか、あるいはバイクのユーザーの声というのは、経産省からは総務省は聞いていないということを事前に聞きました。それで、今回増税を決めているということだと思います。

 財務大臣、先ほどのやりとりを聞かれて、この原付バイク、千円が二千円に増税ですから、いや、そんな大したことないじゃないかというふうに言われるかもしれませんけれども、こういったバイクの愛好者、特に若年層だったり主婦だったり、これが千円が二千円にというのは、大したことないというような感覚も一部役所の方からも聞いたんですけれども、やはり消費税の増税とダブルでこうした点が行われるということ、しかも、声がきちっと総務省に経産省経由では上がっていないということなんです。

 今回、この軽自動車も含めて、全体の自動車税の見直しの中で、バーターでこの地方税の増税を行っております。総務大臣も経験されておりますので、こういう現場の声が、いや、これは所管省庁は経産省だから、総務省は経産省経由で話を聞くんです、それで経産省から上がっていませんというようなことなんですけれども、財務大臣として、所得税法全体を所管されている中で、この軽自動車の中で特に原動機付自転車の税を倍にする、これについてのこうしたやりとりについて、御所見を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 役所としては、そういう答えになるんだと存じます。

 大臣を長いことやっておりましたので、例えば、軽自動車だとスズキ自動車が一番だと思いますが、鈴木さんから直接の陳情も何回となくありました。場所柄をわきまえられたらいかがですか、ここは結婚式場ですよ、結婚式場で陳情の話なんかをしていたら、あなた、座が白けるでしょうがと言ってもやめずに、来賓の挨拶の中で言われましたので、少々、普通じゃないなと思いましたけれども、反応せざるを得ませんから、反応はいたしました。

 少なくともそういった形で、いろいろな形で、いろいろな陳情というのはなされておった上で判断をされたんだと存じます。

武正委員 軽自動車については鈴木会長はいろいろなところで発言をされたというふうに承知をしておりますが、バイクについては、鈴木会長はやはり、余り私は聞いていないんですね。

 ですから、このオートバイ協同組合連合会の話とか、あるいはバイクのユーザーの話というのが今のお話のようにきちっと伝わらずに、今回増税になってしまったのではないかというふうに思うわけであります。

 特に財務省にあっては、あるいは総務省はもちろんですけれども、税をお願いする官庁として、それぞれの担当の所管官庁から間接的に話を聞くというようなやり方をとっているようですけれども、そういった声はそれで上がってこないから増税していいんだというようなことにならないように、改めて、税を所管する財務省、総務省として主体的にお取り組みをお願いしたいというふうに思いますが、いかがですか。

麻生国務大臣 税金を頂戴するときには丁寧な対応が要求されるのは当たり前の話なのであって、そこらは聞いていなかったなんと言っているのはそれは少々おかしいのであって、いろいろな形で、その役所とは直接関係ないところであっても、最終決定をおろすところがその役所なのであれば、自分で直接情報を収集するぐらいの努力はして当然だと思います。

武正委員 そういった税の全体の総括は財務省でございますので、これは翻って財務大臣にも当たるということでございますので、よろしくお願いしたいと思います。

 では、総務副大臣、どうぞお帰りいただいて。もし何か一言あれば。よろしいですか。では、どうぞお帰りください。

林田委員長 では、総務副大臣、御退席いただいて結構です。

武正委員 総務委員会のあるところ、おいでいただきまして、ありがとうございます。

 もう時間も限られておりますので、資料でいきますと十ページ、十一ページをごらんいただきたいと思います。

 消費税について、新規発生滞納額及び滞納残高等の推移というものを示しておりますけれども、やはり平成元年あるいは平成九年、それぞれ消費税の税率が引き上がった翌年というものは新規発生滞納額が伸びるということが過去の例でございます。としますと、ここで消費税率が引き上がることによって、過去の例からは、新規発生滞納額が増額するのではないのかという懸念がございます。

 そうした中、十一ページにありますような消費税の中間申告制度が設けられて、四十八万円以下については任意の中間申告が可能という見直しがされております。

 しかしながら、いろいろ話を伺いますと、ここで言うと消費税の納税額が四百万円から四千八百万円の間の方々、例えば、一千万円の消費税を納めているというと、今度は八%ですから、単純に一億二千万円の売り上げというような規模、あるいはそれ以上の、十億円ぐらいの規模、先ほどからお話のある中小企業、こういった方々からすると、年に三回というよりももっと申告回数をふやしていくということが、預かった消費税でありながら、それが企業の運転資金に間違って使われてしまうという誘惑、これがあるということも、先ほど来、中小企業のことをよく御存じの財務大臣であればおわかりいただけると思うんです。

 そういった意味では、この申告回数を、四百万円超、四千八百万円の間の回数も何らかふやす手だてがあってもいいのではないのかというふうに思いますが、この点、財務大臣としての御所見をお伺いしたいと思います。財務大臣、お願いいたします、最後ですので。

麻生国務大臣 これは武正先生御案内のとおり、消費税のいわゆる中間申告制度の話なんだと思いますが、これは、消費税が、消費者からそれを預かっている、預かり金みたいな形の性格を有することなどを考慮して、少なくとも、前の年の税額が地方消費税を除きまして四十八万円を超えた事業者につきましては、前年の税額に応じて、年一回、三回または十一回の中間申告が義務づけられております。もう御存じのとおりであります。

 この中間申告、納税の回数をふやすということを言っておられるんだと思いますが、これは未然防止に資するものではないかといった御意見、間違いなくそうだと思いますが、同時に、これは事業者が申告納付するに当たりましての負担増というか手間の増といった問題も考えておかなきゃいけませんと思います。

 こういったものは、計画的に消費税の納税を行っていただけるように、確定申告を待たないで、いわゆる年一回の中間申告、納税ができるような制度を目下導入してきたところだと思いますので、いずれにしても、先般導入された任意の中間申告制度というものはこの四月から適用されることにいたしておりますが、その施行の状況やら経過をよく見ながら、さらに御納得をいただけるような、双方で納得いただけるような、そういったものはきちんとつくり上げていきたいと考えております。

武正委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

    ―――――――――――――

林田委員長 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房審議官平嶋彰英君、財務省関税局長宮内豊君、国税庁次長藤田利彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

林田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

林田委員長 次に、鷲尾英一郎君。

鷲尾委員 民主党の鷲尾でございます。

 冒頭、強行でこの委員会が立てられたことに抗議を申し上げたいと思います。

 さすが武正先生だなと思ったのは、きのうの夜、質問せよという話があったんですけれども、資料がこれだけ出てきている。私もきょうは資料を配りながら皆さんと議論したかったんですが、その準備をすることができませんでした。これも、委員長、やはり円満に委員会運営をしていただかないと実のある委員会になりませんので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。まず冒頭、抗議をさせていただきます。

 それから、質問でございますけれども、朝、議員室にいましたら、私の名前が登録されたということで、財務省さんから非常な勢いで、質疑を通告せよという話が参りました。古本筆頭からは怒られますけれども、義にもとるというところ、若干の通告はさせていただいておりますので、その部分はしっかりと御答弁いただきたいというふうに思っております。

 それで、一問目でありますけれども、この間、雪害がありました。今も大変な状況だということでございます。特に、山梨の方では、施設園芸農家さんが大変な被害を受けております。山梨は、甲州ワインという非常においしいワインの産地でもございます。

 そこで、きょう、まず冒頭お伺いしたいのが、そのワインの関税の状況なんですね。

 というのは、今、TPPの条件交渉ばかりが報道でも目立っていますし、国民的議論になっていますけれども、日本とEUのEPAの交渉も進んでいるやに聞いております。特に、報道ですけれども、二月にも関税撤廃案を相互に交換する本格的交渉に入る見通しとなった、これは一月末の時点ですけれども、そういう報道もありました。

 そんな中で、ワインの関税について、今どういった状況にあるのかということをお聞かせいただきたいというふうに思います。

    〔委員長退席、菅原委員長代理着席〕

宮内政府参考人 お答え申し上げます。

 ワインについての交渉の状況についてお話を申し上げたいと思います。

 そもそも、日・EU・EPA交渉でございますが、昨年の四月から交渉を開始しておりまして、これまで四回交渉を重ねてきております。

 一月二十七日から三十一日にかけて、第四回目の交渉をベルギーのブリュッセルにおいて行っております。日本側からは長嶺外務審議官を初めとする関係省庁、EU側からはペトリチオーネ欧州委員会貿易総局の関係者初め関係者の方々が出席をされておられるところでございます。次回会合は三月三十一日の週に開催することとしております。

 ワインについてのお尋ねでございますが、日・EUそれぞれの関心品目及びそれに対する双方の対応につきましては、これまで……(鷲尾委員「済みません、もうちょっとはっきりしゃべってもらえますか」と呼ぶ)はい。EU側とのやりとりの中で緊密に議論を行ってきております。

 他方で、特定品目、分野の関税削減に関する具体的な交渉の現状につきましては、現在交渉中でございますので、お答えを差し控えたいと思います。

 いずれにいたしましても、センシティブ品目について配慮を行いつつ、包括的かつ高いレベルの協定を目指すことについて、EU側とおおむね理解を共有しているところでございます。

 以上でございます。

鷲尾委員 チリとのEPAでは、ワインについては十二年かけて段階的撤廃をするということでございました。やはり、チリ産のワインも随分日本に入ってきているようでございます。

 きょう資料でお配りをしたかったのでありますけれども、輸入ワインの構成比でいきますと、平成二十三年のデータですけれども、数量で見ますと、チリ産が一八・三%なんですね。フランス、イタリア、スペインを合わせると、七五%にもなるわけです。ですから、チリ産よりももっと、EUとの交渉ということになりますと、国内のワイナリーさんを含めて、大変な影響があるということでございます。

 もちろん交渉の経過で逐一情報提供できない部分もあろうかと思いますけれども、やはり、適宜、こういったところは、今のTPP交渉に隠れてなかなか話題になっていないからといって、もう来月にはかなりの部分が交渉されるわけですから、情報提供をお願いしたいというふうに思うわけであります。

 それで、もう次に行っちゃいます。

 その前に、では一言、関税局長、来られているから……(発言する者あり)ありますけれども、今の雪害の状況があるので、やはり、そういう甲州ワインのいい産地を守っていくという観点もぜひ頭の中にたたき込んでいただきたいなというふうに思います。一言ちょっとお願いします。

 でも、これは、ワイン好きの麻生大臣からコメントをいただいた方がいいですね。

麻生国務大臣 私、酒はそこそこですけれども、ワインはそんなじゃありませんから、まずお断りしておきます。

 この雪害のことに関しましては、これは今主に古屋大臣のところで、きょうも閣議で話題になっていましたけれども、よく新聞に出てくるところ以外でも結構な雪害に遭っている地域もありますので、その中にこのワインの話も入っておりましたので、今、いろいろな対策は政府としていたしておるところであります。

宮内政府参考人 お話しのとおり、EUからのワインの輸入額は我が国のワイン輸入金額の七四%を占めるところであります。国内ワイン製造者に与える影響を十分に考慮しつつ、交渉に対処してまいりたいと思います。

鷲尾委員 それでは、続きまして、繰越欠損金に関連して、JALについて質問をしたいというふうに思います。

 民主党政権時代に、二次破綻のおそれもあるということもありまして、公的資金に加えて、会社更生法適用という二重の支援で再生をされたわけでございます。更生法適用で、さらに公的資金の投入をされているということでございます。

 そういった経過でありますけれども、これは新聞記事ですけれども、欠損金の繰越控除制度、これが適用されたことによって、JALは、破綻後の九年間で、三千億から四千億の規模で法人税の支払いを免れているということでございます。

 この問題につきまして、いろいろな見方はありますけれども、政府としては、上場時、三千億円程度のキャピタルゲインを獲得して、国としてはいろいろ出資を、三千五百億出資しているわけですが、回収済みだ、そういう主張もされていると聞いておりますが、大臣、この点はいかがですか。

田中政府参考人 お答えをいたします。

 このJALの話に関連して税制をどう考えるかという話は、現在の与党の中でもかなり議論がなされてきております。

 私ども税制当局は、与党の議論を踏まえて考える必要があると思っているんですが、一般論として申し上げますと、法人税の制度として一般的につくられている繰越欠損控除制度、当然、JALの、JALに限りませんけれども、何らかの公的な支援スキームを組む際には、それを前提にしてお考えいただくというのがまず本来の姿ではないかなというふうに思っております。

 企業再生税制とか、あるいは欠損金の繰越控除制度というのは、いわば企業の再生の前提ともなる一般的な制度でございますので、これを踏まえた対応をしていただく必要がある。

 今後、JALに限らないのかもしれませんが、こういう競争上の不公平の問題が出てきたという認識に立つのであれば、税に限らず、それはまずその所管省庁においてどういう対応をすべきかというふうに考えていくのが本来の姿ではないかと思っています。

 ただ、まだ与党においてもこれをどうするという結論が出ておりませんので、その議論を今注目しているところでございます。

鷲尾委員 田中局長はちょっと答弁し過ぎな嫌いがあるんですけれども。

 私といたしましては、国として、当時、企業再生支援機構に三千五百億出資した、それに対して三千億キャピタルゲインを獲得したから回収済みになっているんじゃないのという報道等もされていますけれども、その認識は確かなりやという質問でありましたけれども、いかがですか。

田中政府参考人 それ自身は私どもの所管している税制の話じゃないものですから、それについての見解をここで申し述べるのは御勘弁いただきたいと思います。

鷲尾委員 御存じのことだと思いますけれども、よくよく調べるというか考えてみますと、随分とJALさんには、復活したのはすばらしいことだと私は思っていますし、我が政権下において、私もJALに今も乗っていますけれども、非常に活気のあふれる会社になったなということははた目に見てもわかりますから、そういう意味でも、人を生かすとか、さまざまな意味においても、JALさんが再生されたということはすばらしいことだと思っております。

 ただ、先ほど来、冒頭申し上げたとおり、繰越欠損金の制度は、当然、今局長が答弁されたように、それが前提として今もありますから、破綻後、約三千億から四千億の税を免れるということになっています。なっていますけれども、強いて言えば、これは国民の支援があり、キャピタルゲインがあったとしても、これから少し説明しますけれども、キャピタルゲインで回収したとはまだ言い切れない状況なんじゃないのという話なんですね。

 少しお話ししますけれども、まず、会社更生法適用のときに、債権放棄がございます。この債権放棄で、約五千二百十五億円債権放棄されているわけでございます。それから、債権放棄されているということも、実は企業にとってみたら債務免除益が立つわけですけれども、この債務免除益が全部繰越欠損金で相殺されているわけですから、国庫に入る収入もその分減っているわけでございます。

 あわせまして、政府系金融機関、日本政策投資銀行も債権放棄をしているし、JBICがほかの民間機関に債務保証している分もあります。

 今申し上げた債務免除益の特例等々を合わせますと、八千億を超える金額が、会社更生法申請後、経営破綻後に、政府としてある意味負担をしなければいけない金額となったと思っているわけです。ここら辺は、本当は資料で皆さんと一緒に議論したかったわけですけれども。

 それに加えて今のキャピタルゲインの話ですから、正直申し上げると、まだまだJALさんには国民負担が随分とあるんじゃないか、残っているんじゃないかというのが私自身の見解なわけです。

 企業として再生したのはすばらしいことだと思います。ただ、思いますのは、税金でいろいろと救われている、救われていながら、そして、かつ、すばらしいことなんですけれども、平成二十三年度には史上最高益を出しているわけです。約二千億円を超える史上最高益を出されています。この史上最高益は、当時、全世界の航空産業の利益が六千億だったわけですよ。当時の全世界の航空会社の利益が六千億。そのうちの三分の一をJALさんがたたき出しているわけですね。ですから、物すごい金額をたたき出しているわけですけれども、しかし、税金は払わなくていい。私は、これはいかにもおかしいと思っているわけです。

 ですから、そういったことをやはり与党でもっと、今議論されていると聞きましたけれども、これは与党の話ですから言ってもしようがないことですけれども、税制調査会の会長の野田先生が、これは二〇一三年の一月の日経の記事ですけれども、JALへの法人税減免措置を見直す方向で議論している、議論だけで終わらないように具体的な仕組みづくりに取り組みたいと去年の一月に言っているわけですよ。でも、今、何も出てきていないわけですよね。

 今議論されているというのは新聞記事でも二月に出ていますので、今議論されているのかな、どうなのかな、でも、それはことしじゃないのか、どうなんですかと私は思うわけでありまして、大臣、このJALの法人税の今の減免の問題、話をお聞きになってどう思われますか。

    〔菅原委員長代理退席、委員長着席〕

麻生国務大臣 これは、鷲尾先生、おっしゃっていることはよくわかりますよ。もともとおたくでつくられた法律ですから、忘れないでください。前原さんのときでしたか。たしか、七年を九年に延ばしたのもそのときでしょう。何で九年に延ばすんだといった反対がいろいろ自民党からありましたけれども、九年に延ばされた。間違いないでしょうが。そして、今、そのおかげで多額の利益が出た。事実ですよ、そのとおり。おっしゃっていることは間違いありません。

 ただ、今ここで言われているのは、JALだけがおかしいという話でここでやられると、ちょっとまた、それは法律的にやるといかがなものかということになりますでしょう。(鷲尾委員「いや、そういう話をしているんじゃないですよ」と呼ぶ)いや、そういうぐあいに聞こえるから、そういうぐあいに私は答えているの。(鷲尾委員「違います。そういう話をしているんじゃないです」と呼ぶ)こちらも同じように聞こえているから。俺とこっちは多分意見が一致しているんだと思います。悪いけれども。

林田委員長 勝手なやりとりはやめてください。

麻生国務大臣 済みませんね。

 したがって、特定企業の狙い撃ちみたいな話ではなくて、これは、全体として、今、課税ベースを広げるような話のところで、七年というのが九年になったりしたのは、幾ら何でも繰り越しを九年はやり過ぎじゃないかと。昔は五年だったのが七年、七年が九年になってきていますから。だから、それはもう一回もとへ戻した方がいいんじゃないかとか、いろいろな意味で、今、課税ベースの見直し等々について意見が行われておりますということは事実であります。

鷲尾委員 私が申し上げたいのは、それは私もいろいろな思いがありますし、ただ、別に特定企業云々という話をしているわけじゃありません。そう聞こえたなら、申しわけないですけれども。

 そういう話をしているんじゃなくて、繰越欠損金の制度の中でもいろいろな特例がある、ただ、いろいろな特別な支援で、特に国として財政支援をした上でこういった繰越欠損金の制度をさらにそれに重ねて使うというところでは、やはり、ある程度の配慮があってしかるべきじゃないかということを私は申し上げたわけでございます。

 制度一般はもちろん私も存じているところでございますし、そういったところの、今与党も議論が進んでいるということはわかっていますけれども、そこはぜひスピードアップしていただきたいということを、その方がやはり国民の意識にもかなうんじゃないかという思いを申し上げたということです。

 それでは、次の質問に移りたいというふうに思いますけれども、決してどなたかに言われて質問するということはありませんので、そこも一応申し上げておきたいと思います。

 先ほど武正先生の質問でも、実質賃金云々という話がございました。私、これも本当は資料とともに皆さんと議論させていただきたいわけですけれども。

 貿易赤字が非常に続いておるというところでございます。円安ですから、当然、金額ベースで貿易赤字になるというのはよく理解されているところでございますけれども、では、この貿易赤字、要するに輸入が円安によってふえてきちゃいます、一方で輸出はどうなのか。

 Jカーブ効果というのがありますから、最初は円安によって輸入の金額がどんと輸出よりもふえますよ、しかし、時間の経過に伴って円安の効果により輸出の数量が伸びて、そのことで貿易収支も改善をされていくということがよく言われているところでございます。

 では、この輸出数量、これは今どうなっていると大臣はお考えですか。

麻生国務大臣 輸出数量からいきますと、まず輸入はふえております。輸入がふえて、輸出が減っておる。減っておるというか、思ったほど伸びていない。輸入は逆に伸びておる。したがって、インバランスが非常にふえてきておるというのは事実です。

 ふえております最大の理由は、間違いなく、円安になって価格が安くなったからといって、企業は売り値を下げて物を売ることをしなかった、利益をそのままとる方を選んだ。意味わかりますか。これは商売をしていると一番大事なところですから。数量をとるよりは、金の方、金額の方をとったということである。これが一点。

 それから、二つ目のところは、円高によって、かなりの企業が生産拠点を、国内で物をつくっていたのを、アジアとかいろいろなところで物を、海外の拠点で売り始めて、世界のホンダ自動車の一番のシェアは、インディアナでつくられている日本のホンダが一番のシェアになったとこの間インディアナの人が言っていましたけれども、そういうことになってきております。したがって、それが二つ目。

 三つ目は、何といっても、新興国というところやら資源国の輸入、我々から見たら輸出、彼らから見たら輸入が減ってきておるというのが非常に大きな理由。

 その三つが重なって、結果として、円安であるにもかかわらず輸出が伸びず、国内の需要は傍ら極めて好調なものですから、国内需要に合わせて輸入がふえておるというのが、今、結果として輸出入のインバランスが非常に大きなものになってきておるという背景だろうと存じます。

鷲尾委員 大臣のおっしゃっていることもわかりますが、若干苦しいかなと思っておりまして、やはり円安がこれだけ、二五・七%円安に振れている中で数量がふえていないというのは、値段を下げていないから利益をとっているんだということだけかなと。それも恐らくはあるとは思いますよ。あると思いますけれども、普通であれば、数量が伸びてきてもおかしくない。しかし、幾ら利益をとっているとはいえ、数量が伸びてこないというのはやはり私はおかしいなと思います。

 今、グローバル経済で非常に各国がしのぎを削って競争しているわけですから、普通であれば、数量がもっと伸びてきてもいいんじゃないか、もう伸びていいころなんじゃないかと思っているわけです。これは時間の経過も当然あると思います。

 大臣、そこで、どれぐらいの水準といったら、今の大臣の見解を聞いたら、ちょっとすれ違いになるかもしれませんけれども、数量が伸びてくるというのは、私はJカーブ効果を念頭に置いているんですけれども、あとどれぐらい待てばいいですか、数量が伸びてくるには。

麻生国務大臣 私、最近商売をしたことが余りないので。

 どれくらいしたら出てくるかというのは、これはかかって企業の経営戦略によるところが極めて大きいと思いますので、今の中で、新興国と言われるところが景気が落ちついてきた、よくなってきたという状況がはっきりしてくるまでまだしばらく時間がかかると思われますので、来年からとか今すぐというような話じゃなかなかないんじゃないかなとは思っています。

 いずれにしても、輸出している方は、円安のままでこれだけ売れていますから、今のままの方が、利益をそのまま追うという方向を日本の企業としてはとっているというように見受けます。

鷲尾委員 円安に振れて、なおかつ貿易赤字がずっと続く、あるいは輸出数量が全く伸びずにこのままの状況でいるというのは、余り日本の状況にとっても好ましくないのではないか。国内の生産財等々、やはり海外で数量が売れることによって初めて生産も伸びてくるというところも当然ありますから、それが、数量が伸びてこないということは、そのままということでありますので、それはそれで、日本の景気は、さまざまな状況、今、公共事業に大分頼っている状況ですけれども、やはり力強く成長し続けるということがなかなか難しくなるんじゃないかというふうに思っています。

 もう一つ、きょうは資料とともに御紹介を申し上げたかったんですが、実質賃金の話でございます。

 実質賃金なんですけれども、予算委員会でも、我が党の山井議員が、安倍総理に食い下がりながら、実質賃金が下がっているじゃないかという議論をされていました。この実質賃金の下がり方の原因というか、これも実は極めて重要だと思っています。

 今回の実質賃金の下がり方は、大臣も御承知のとおり、円安ですね、円安によって輸入分がコスト高になった、その輸入分でコスト高になっている部分がやはりCPIにも反映されていますし、それが結局実質賃金を押し下げる効果になっているのではないかというふうに思っております。

 過去、物価上昇局面といいましょうか、CPIが総合の指標でちょっと上がっている局面というのが幾つかあるわけです。バブルの時期、それから二〇〇七年から二〇〇八年の時期、リーマンの前ですね、その時期もやはりCPIが上がった状況でございます。それから、この一二年の十月から一三年の十月、これも上昇局面になっています。これは周知の事実なわけです。

 では、その中で実質賃金がどうなっているかということでいきますと、バブルの時期は上がっているわけですよ。バブルの時期は上がっている。先ほどの二〇〇七年、八年は、実は実質賃金は若干下がっているんです。下がっているのはなぜかというと、中国が爆食化しまして、あのときも、穀物危機があったのを御存じですよね、期末在庫が非常に少なくなって、そのことで穀物の値段が先物も含めて物すごく上がりました。その結果、やはりそれが物価指数に反映されて、結局、実質賃金が下がったという状況なんです。

 今は、そういう状況ではなく、単に為替が円安に振れたことによるコストプッシュで実質賃金がぐっと下がっているという状況なんですね。

 では、その状況がこれからどう推移していくのかという話なんですよ。これから消費増税を控えます。先ほど来麻生大臣も答弁されているとおり、それこそ政労使一体となって賃金を上げるということに注力をするということになるのでありましょうけれども、果たして実質賃金が本当に上がるところまでいくのかという心配をしているわけです。大臣、どうお考えですか。

麻生国務大臣 これは、市場経済、資本主義経済をやっていますので、計画経済をやっておるわけではありませんから、どれくらいのものになれば幾らぐらいになるということが言えるような状況にないのは鷲尾先生よく御存じの上で、基本的に、賃金は景気がいいから上がるというより、景気がよくなると、労働者に対する需要、求職と求人の比率が切迫してきますので、いわゆる求人の方の比率が高くなってきますので、結果として給料が上がる。だから、景気がよくなったから上がるのじゃない。求人がふえてきて求職が減ってくれば、間違いなく給料は上がっていく。

 ちなみに、今、パートの方が非常な勢いで時間給が上がってきているというのは、パートの方がふえてきているから。もう御存じのとおりです。

 したがって、今の状況の中で給与がいつ上がってくるであろうかといえば、基本的には、この春のベースアップがどういった形で出てくるのか。これは、表向きで出てくる話と、新聞でわあわあ派手に出てくる部分とそうでない部分といろいろありますので、私どもとしては、よく組合の人から単産別に聞かないと、連合でまとめて聞いても余り意味がわかりませんので、単産別に聞いてみないとわからぬということだとは思っています。

 いずれにしても、そういった形で、どういった形のものが出てくるかというものを見た上で、私どもは、その段階でしか申し上げられませんので、今の段階で、少なくとも今よりは給与の面ではよくなってくるであろう、基本的にはそっちの方向に事は進んでいるであろうと思っております。

鷲尾委員 予算委員会でも、たしか田村大臣が、パートについては非常に求職がふえているし、時給が上がっているんだという部分もおっしゃっておられました。

 ただ、全体としては実質賃金が下がっているということで、場合によっては、実質賃金が下がっているからこそ、パートを含めて働かなきゃいけない人たちがふえていく。そういう人たちの割合がふえるがために、結局、実質賃金というものが上がってこない。これはやはり生活の質と密接に関係がある指標ですから、こういったものを上げるように努力をしていただきたいと思うし、そのために選択肢を多く持っていていただきたいなと思います。

 今のコストプッシュの状況ですと、なかなか、本当にこれは上がってくるのかな、上がらない限り、では日本の景気というのは本当にどうなのかなという気もいたしておりますので、ぜひそこはまた御留意をいただいて、頑張っていただきたいなというふうに思います。

 次の質問に移らせていただきたいと思います。

 二〇一六年にマイナンバーを入れるということになっております。ことしの税制改正大綱の中でも、軽減税率につきまして、「必要な財源を確保しつつ、関係事業者を含む国民の理解を得た上で、税率一〇%時に導入する。」という形になってございます、低所得者対策ということですけれども。

 前の、三党合意をした法案の中では、給付つき税額控除と軽減税率、これを検討しますよという話でありました。その間、暫定的な措置として、八%への引き上げの時点では簡素な給付措置という話でございましたけれども。

 先ほど、それこそJALの問題云々も私は申し上げましたけれども、給付つき税額控除、これは我が党がもちろん提案をしたものでありますけれども、これはちゃんと検討していただいたんでしょうか。

 私、軽減税率というのは事務的なコストが物すごくかかると思います。この一〇%で軽減税率を導入するという非常にコストがかかる話を、給付つき税額控除と本当に比較してどのように検討されたのかなというふうに思っておりまして、この給付つき税額控除の検討状況についてお聞かせをいただきたいというふうに思います。

麻生国務大臣 低所得者対策というのは、もう御存じのように、三党で合意された話です。昨年の十二月の与党の税制改正大綱において、引き続き本年の十二月までに結論を得るとされているところであると承知をしております。

 まず、この給付つき税額控除については、昨年二月の三党合意においても低所得者対策については引き続き協議を行うとされておりまして、与党における議論やら、また三党における議論等々、軽減税率に関する検討の状況を踏まえながら、必要な検討を行ってまいりたいということになろうかと存じます。

 これは、コストがかかるというお話は確かな話であって、海外におられた経験がおありかどうか知りませんけれども、言ったら、面倒くさいなんというものじゃないのであって、千万円以下の売り上げのところで全部インボイスをくっつけて、全部きちっとやっていくという手間は、正直申し上げて、これは結構な手間だと存じます。私は、日本人がそのことをやる能力がないなんと言うつもりは全くありません、むしろきちんとやるんだと思いますけれども、やればやるだけ膨大な手間がかかることは確かなのであって、そういった意味から考えますと、給付つき税額控除の方がという感じがしないでもありませんけれども、これまた私の立場で偉そうなことを言うとろくなことになりませんので、よく御検討いただければと存じます。

鷲尾委員 大臣の気持ちを今率直に御表明いただいたと思っております。

 インボイスを導入しますと、今大臣はコストが非常にふえるというところでお話をいただきましたけれども、もし軽減税率を導入するなら、インボイスはやはりセットじゃなきゃいかぬだろうと思います。このインボイスこそが軽減税率においては非常に重要だと思うんです。インボイスが軽減税率導入のコストを下げるために必要な措置ではないかとも思うわけです。

 そこら辺の検討はどうされていますか。

麻生国務大臣 消費税率において複数の税率ができるわけなので、その中で、それを扱っている事業者が仕入れ税額の計算を行うためには、適用税率や税額というのが記載された、いわゆるインボイスというものが必要になるのは当たり前であって、それがなくても大丈夫なんですという話は、どうして大丈夫なんだかよくわかりません。ですから、私の常識からいくと、これは必ず必要なものだと思っております。

 したがって、インボイス制度といった区分経理、役所用語で言えば区分経理なんだと思いますが、区分経理のための制度をまずやらないかぬ。そのために書類が要る、何が要るというほかに、対象品目を決めないかぬ。バターはゼロだけれども、マーガリンは二〇%とかいうことになったときに、マーガリンは何とかでとかいって、いろいろな理由が数え上げれば幾らでも出てきます。

 また、対象品目の選定プラス、これは具体的な安定財源というものを手当てしておかぬといけません。食料品だけ別にしますといったときに、その分だけ下がりますので、その下がった分は何によって乗せるのかということを考えておかなければなりませんので、これは、与党の中で、皆さん方とも一緒に検討をしていかねばならぬ大事な、品目の中で忘れられているところですけれども、大事なところだと思っています。

鷲尾委員 もし今インボイスを導入するとせば、恐らくは、転嫁の問題も比較的容易に解決できると思います。

 インボイスは、それこそインボイスを出した側とそれを受け取る側、これをしっかりと照合しながら転嫁というものをチェックしていくというのがインボイスの本質でありますので、そういう意味からしても、インボイスの導入をすれば価格転嫁という問題まで解決できると私は思います。

 今、転嫁問題で財務省さんも全国をいろいろ飛び回られて、随分と苦労されていると聞きますけれども、転嫁の問題を本質的に解決するんだったら、それはやはりインボイスを導入しなきゃいけないし、それがあってこその軽減税率だと思います。

 何よりも、そういった事務コストをかけるよりは、私はやはり給付つき税額控除をしっかりともう一度見直していただきたい。それこそ、それは与野党所変わっても、国家のためにやるんだという思いで御検討いただきたいなというふうに思います。

 それから、今回、消費税が上がります。消費税が上がると、二重課税の問題というのがたくさんございますね、至るところに。酒でいけば、酒税一般ですね。これは二重課税で、タックス・オン・タックスの部分。これは、大臣、どうするお考えですか。どんどん上がっていきますけれども。

麻生国務大臣 これは、今すぐこの場でこうしますという答えを持っているわけではありませんので、これは実に多品目にわたっておりますので、目下検討中としか申し上げようがございません。

田中政府参考人 御答弁をさせていただきます。

 今先生御指摘のように、酒類ですとかガソリンですとかたばこですとか、個別の間接税が存在するものについては、その間接税がかかっていることを前提にした価格に消費税がかかるということでございますので、よくこれをタックス・オン・タックスという言葉で言う方がいらっしゃるわけでありますけれども、いわゆる国際的なルールとしましては、そういう個別の税がかかった段階でさらに消費税がかかることについては、何らかの調整を必ず必要とするものではないというふうに考えております。

 ただ、ルールとしてはそういうことですけれども、最終的な消費者の負担に着目して、政策的な議論としてはそういうことはあり得るんだろうと思います。

 今回の消費税の引き上げに関連しては、その国際的なルールの一般則に乗っかって、酒とかあるいは揮発油とかたばこについて何らかの対策を講じているわけではございません。

鷲尾委員 一般則もわかりますけれども、やはり我が国の政策的課題として、消費税が上がっていくにつれ、不公平感はどうしても払う側にとってはありますから、ぜひ議論をしていただきたいと思いますし、そういう議論をしていこう、私どももそういうつもりだったので、ぜひ積極的にお願いしたいと思います。

 もう一つ、最後に、医療の控除対象外消費税、これも同じように非常に問題を抱えていると思うんです。ですから、こういった問題、消費税を上げるめったにないときなので、やはり過去累積しているさまざまな問題について積極的に答えを出していただきたいと思うし、我々は出していきたいというふうに思っております。

 それでは、時間となりましたので、これで質問を終わります。ありがとうございました。

林田委員長 次に、大熊利昭君。

大熊委員 みんなの党の大熊利昭でございます。本日もよろしくお願いをいたします。

 最初に、総務省さんに御質問させていただきます。副大臣、その後退席していただいて結構なので、最初にやらせていただきたいと思います。

 地方法人税法、手元に私が持っていますこちらの資料ですと、四・四%分、法人住民税法人税割の引き下げ分、この相当分を新税、国税とするというような理解をしておりますが、これは、基本的な理解としては、いわゆる都市部と地方の格差が広がっているんだ、こういうところに背景があるというふうに考えて差し支えないものなのでしょうか、お答えいただきたいと思います。

上川副大臣 法人住民税の交付税原資化の背景ということでの御質問というふうに思います。

 地方消費税率引き上げによりまして、地方税そのものは充実するということであります。交付税におきましては、この増収分が基準財政収入額に算入されることとなるということでありますので、交付団体においては、これが地方交付税の減となって相殺される。また一方、不交付団体では、そのまま超過財源の増というふうになるわけで、委員御指摘のとおり、交付団体と不交付団体との間の財政力の格差の拡大というところにつながるということであります。

 税制の抜本改革法におきましても、地方消費税の充実とあわせて、地方法人課税のあり方を見直すことによりまして税源の偏在性を是正する方策を講ずることとされているところでございまして、今回の改正におきましては、地方団体間の財政力格差の縮小を図るため、法人住民税の一部を交付税原資化するというふうにいたしたところでございます。

 総務省といたしましても、地方分権のさらなる推進、またその基盤となる地方税財源の充実を図る観点からも、今回の改正内容は大変重要であるというふうに認識しております。

大熊委員 非常に専門的な御答弁といいますか、簡単に易しく、もう一度繰り返してお尋ね申し上げますが、いわゆる都市部と地方部との格差が引き続き拡大しているということが背景にあるのでしょうか。そういう理解で正しいかどうか、お答えいただきたいと思います。

平嶋政府参考人 お答えいたします。

 都市部と地方部の格差については、リーマン・ショック以前のときまでに大変に拡大をしておりました。また、ここ数年、法人関係税が少し回復してきておりますので、拡大傾向にあることは間違いないと思います。

 その上で、今回の地方消費税の引き上げによりまして、地方消費税は大変に偏在性の少ない税ではございますが、それでもやはり東京とそれ以外で二倍以上の格差がございますので、これもあってまた格差が拡大するだろう、このように考えております。

 以上です。

大熊委員 一般的には私も含めてそういう理解をしているところではあるんですが、しかしながら、あえてちょっと質問させていただきたいと思っていますのは、私が持っております、恐らく全議員の皆さん持っていらっしゃると思うんですが、衆議院調査局の資料ですと、図表六、これはもとは恐らく総務省さんの資料ではないかと思うんですが、都道府県税収の偏在度の変化ということで、平成十七年度、ジニ係数〇・一〇五。あるいは平成二十三年度、ジニ係数が〇・〇八二、これは税収に地方法人特別税・譲与税を含まない場合。ところが、七年平均、平成十五年から二十一年度は、ジニ係数、税収のみで〇・〇九五なんですね。つまり、直近の方がジニ係数は下がっているんですね。

 もう一つ別の資料があって、あと二つぐらいあるんですが、法人住民税の人口一人当たり税収の状況、平成二十三年度、ジニ係数〇・三八二。一方、平成十九年度、法人住民税の人口一人当たり税収の状況、ジニ係数〇・四六三。これもやはり直近は下がっているんですね。それ以外にも、市町村税収も、平成二十三年度の状況が、ジニ係数が〇・二二四、平成十九年度が〇・二三六ということになっているんです。

 必ずしも格差が拡大しているとは言えないというか、むしろ逆なのではないかというふうにデータ上は読める。この辺はどういうふうに理解したらよろしいんでしょうか。

平嶋政府参考人 お答えいたします。

 私ども、今回のこういうことに至るまでに、一昨年の九月から十二カ月以上にわたりまして、地方財政審議会に検討会を設けて、その辺の分析もさせていただいております。

 その上で、過去のことに関して申しますと、先ほど申しましたとおり、リーマン・ショックの直前に相当程度拡大している時期がございまして、その後、リーマン・ショックの影響で相当程度法人税収が落ち込みましたので、その関係で格差が縮まったことは事実でございます。その後、先ほど申し上げましたように法人税収が回復してきておりまして、先ほど二十三年度のお話をされましたが、二十五年度、例えばことし、相当程度また東京都の税収は回復しておりますし、来年もさらに伸びる予定。

 その上で、先ほど申しましたとおり地方消費税収がふえる、その分は、偏在性は小さいですけれども、やはり東京都に、普通のところよりも一人当たりで倍ぐらい行くということでございまして、これらを考えると、ちょっと無視できないような格差が広がるというふうに判断した次第でございます。

大熊委員 繰り返しになるんですが、私も一般的にはそうだろうなというふうに思っている上であえて伺いますと、では、このデータというのはどういうふうに理解すればいいのか。これは間違っているのか。平成十九年と二十三年度、この年数間の比較が間違いだというのか。どうなんでしょうか。

平嶋政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のこの数字はもちろん間違いではございませんで、そのとおりでございまして、その間に、確かに地方法人特別税があって縮んでいるということも事実でございますけれども、二十三年度から、さらに二十四、二十五、二十六と、だんだんまた税収が相当程度回復しておりますので、その状況についても予測をした上で考えてみますと、やはり拡大しているだろうというふうに考えているところでございます。

大熊委員 では、もう一つ。冒頭に申し上げましたが、平成十五から二十一の平均との比較ですね。これと平成二十三年度、やはりジニ係数が下がっているんですが、では、これはどう考えればいいんでしょうか。

平嶋政府参考人 これは、この間、先生、先ほどお話し申し上げましたとおり、十九年度がピークになっていると思いますけれども、二十、二十一、二十二というあたりは、リーマン・ショックの影響で法人税収がやはり半分以下になってしまうというような状況でございましたので、そのときにやはり相当程度格差が縮まって、その平均をとるとそうなっているということだと思います。

大熊委員 では、リーマン・ショックの影響を除くとどのぐらいになるんでしょうか。

平嶋政府参考人 リーマン・ショックの影響を除くという数字は残念ながらちょっとつくりがたいのでございますけれども、これは検討会の資料をもう一度見ていただければ、その将来予測もしておりまして、一定程度、現在予測していると、今の予算ベースと大体同じような数字になっております。それでいきますと、やはり十九年度なんかを超えていくこともあり得るという数字になっているということでございます。

大熊委員 この質疑を続けていると、何か私が弱い者いじめをしているようなあれになってしまいますのでこれでやめておきますが、やはりこういうのが明確にわかるような、こういう資料が出ていること自体余りわかりやすくないので、しっかりとわかりやすくなっているような、何を見ても、そのとおりだな、常識的な感覚とデータが合っているような、そういった資料提供をぜひお願いしたいなというふうに要望を申し上げて、総務省さんの件はこれで終了ということにさせていただきたい。

林田委員長 上川総務副大臣、御苦労さまでございました。

大熊委員 引き続いて、財務省さん関係に入らせていただきたいと思います。

 最初に、先ほどの質疑でもございました関係で、G20に財務大臣がいらっしゃった中で、世界経済のリスクというような話題が出たと。特にきょう私がお伺いしたいのは、ヨーロッパの金融危機のその後の状況なんです。

 今、平穏を取り戻したかに見えるわけでございますが、これはもう麻生大臣には釈迦に説法でございますが、我が国の金融危機の状況を、過去十年、十五年ぐらい、もっと言うと、バブル崩壊後ですから二十数年間を見てみますと、このヨーロッパの状況というのは、病気が根治したわけでは全くなくて、病巣が残っている。どこに残っているかというと、バランスシートには残っているわけでございまして、要するに、何かいろいろ治療をしたりしてよくなっているけれども病巣は体に残っている、この状態をどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。お願いいたします。

麻生国務大臣 これは、先生、なかなかいわく言いがたいですな。人様の銀行の内容について言うのはいかがなものかと思います。

 基本的には、日本のいわゆるショックのとき、前の金融危機のときと比べて一番の問題は、不良債権を日本の場合は全部外に出した。全部公表して表に出した。そして、これが全部不良債権ですということをきちっと内外に示した上で処理していった。政府の力もかりて、いろいろ税法も使い、いろいろ支援をして出していった。

 ヨーロッパは、その点は、そういった一体感で、みんなで不良債権を始末しているという状況にはないという感じで、分け方はいろいろあるんでしょうけれども、北の国とか南の国とか、先進国とか何だとかいろいろな言い方があるでしょうけれども、国によってその整理の仕方が違っているから、我々から見ていると、ユーロの各国というものの定義が難しいなと。正直なところ、私どもとしてはなかなか一概にはくくれず、新興国とかよくみんな一概にくくっていますけれども、なかなか、そんな一言でくくれるような状況にはないと理解しております。

大熊委員 ありがとうございました。

 人様の話とはいえ、やはりグローバル経済でつながっておりますので、人様がいっちゃいますと、こっちまで大きな影響が来得るわけでございますので、大臣、これまたほかの国の方にお話ししにくいところもあろうかと思いますが、ぜひお力を発揮していただきたいと思うんです。

 そこで、今、非常に重要なことをおっしゃられました。ディスクロが大事だということで、前回の一般質疑では外為特会のディスクロをお願いしますということを申し上げ、きょうはちょっとその話題じゃないのですが、本当に重要だと思うんですね。そういうことで、前回も今回も申し上げました。

 それからもう一つは、銀行業、金融業の監督といいましょうか、それがどのように行われるのか、そういうことだと思います。各国ごとに監督行政が異なっているということなんですか、それともEUで今一括してやっているのか。かの地域はどういう状況になっているのか。何が各国の権限で、何がEUの金融行政の権限なのか、その辺のデマケというのはどうなっているのか、教えていただけないでしょうか。

麻生国務大臣 大熊先生、一概にこれまたなかなか言いにくいところだと思っております。

 ヨーロッパの銀行で、ドイツのブンデスバンク以下は、これはちょっと飛び抜けて別格官幣大社みたいなことになっているとは思いますけれども、その他、フランスだ、オランダだ、いろいろなところはそこそこのものになってきているとは思いますけれども、いわゆる余り評判の芳しくないところと、大きく分けて三つぐらい差があって、それを一つのルールでやったら、くちゃくちゃになってなかなかうまくいかないので、みんな融通し合って、ユーロという一種の通貨を維持するのにみんなで力を出し合って協力し合っているというように理解をせぬといかぬところかなと思っていますので、どこがというより、ユーロの中でお互いに譲り合い、監督し合いしながら運用している、動かしているというように、私どもからはそう見えます。

大熊委員 権限の境界というのもなかなかわかりにくいし、それから、ヨーロッパとしても、北の方の比較的安全というか安定しているところと、南の方の、具体的に言っちゃうと問題になるかもしれませんので言いませんけれども、そういうところと、なかなか難しいというお話だろうというふうに思います。御指摘のとおりだろうと思います。

 一方で、我が国の金融行政を考えた場合に、日本の場合、金融危機問題というのは大体一件落着を一応はしたんだろうと思います。しかしながら、本当になくなったかというと、それはわからない部分があると私がちょっと心配しているのは、やはり農業関係の金融ですね。つまり、農中さん、農林中金。こちらの監督権限というのは金融庁さんではないわけですよね。要するに、農水省になっているわけですよね。その点、まず御確認をお願いいたします。

麻生国務大臣 これは、先生御存じのように、原則は農水省です。監督権限等々、幾つかは金融庁が持っておりますけれども、原則として農林水産省が所管しております。

大熊委員 そこのところがちょっとわかりにくいところもありまして、私もこれからもう少し、あす、分科会の方で、農水省関係なので、この点も伺ってみたいなというふうに思っているわけです。

 ここがもしかすると、我が国の場合、ちょっとリスクがまだ残っている可能性があるかなという気もいたしますので、引き続き私どもとしても勉強してまいりたいというふうに思っております。

 続きまして、銀行業関係なんですけれども、この質問を始める前に事務方の皆さんとお話しして、きょうはちょっと頭出しだけにしておいてくれということだったので頭出しだけにいたしますが、銀行取引には消費税がかかっていないんですね。ATMの手数料にはかかっているんですけれども、銀行が事業会社に、メーカーさんなんかに貸し出しをすると、これは一種のサービスの提供なわけでして、サービスを買っている事業会社、これはサービスを買っているわけですから、本来はといいますか、消費税を払うというたてつけもあり得るべしなんですが、こうなっていない。つまり、消費税はかからないわけでございますね。

 先日、私どもの事務所で資料を、別件の趣旨もあっていただいたところ、貸し金が日本で大体五百兆ぐらい出ているということで、八%とすると、単純に四十兆取れる。それはストックベースなので、年間四十兆取れるというわけじゃないですけれども、五百兆に対して八パー掛ければ四十兆取れる。こういうことで、取れれば、これは国庫にとっても財務省さんにとってもいいんじゃないかという趣旨もあるわけなんです。

 この部分、ヨーロッパなんかでは検討が始まっているようで、なかなか難しい銀行に対して、要するに南の方のちょっと健全性がどうかなという銀行にさらに消費税を取ったらどうなのかなというのもありますが、いずれにしても、ヨーロッパでも、税率が高いということもあって検討が進んでいるようでございまして、我が国におきましても、税率が上がってくるとなると、ここのところは無視できない。五%でも、仮に先ほどの五百兆ですと五パー掛ければ二十五兆、大変な金額ですから。ここだけ穴があいている。

 あるいは、私もこういう言い方は余りやりませんけれども、あえて申し上げますと、庶民感情的には、自分たちには消費税をかけておいて、大銀行には消費税をかけていないのかよと。

 あるいは、先ほどJALの問題が出ておりましたけれども、繰欠の延長はたしか、十数年前の金融危機のときに初めて五年から七年に延長されたんだろうと思います。だから、先ほどのJAL狙い撃ちというより、もともとは、金融業界、当時の護送船団方式の中にあっても大変な状況になってしまった大手銀行をはっきり言うと救済するために繰欠の期間を延ばしたのではないかという見方もできて、それを覚えている方にとっては、繰欠も延ばしたし、消費税も実は銀行というのは払っていなかったのかよと。一部払っても、あのATMの手数料は預金者が払っているわけなので、銀行としては払っていない。これはどうなのかなという考えもあるんだろうと思います。

 この辺についての、きょうは結論ということじゃなくて考え方ですね、方向性なりを一言いただければと思います。

田中政府参考人 お答えさせていただきます。

 いわゆる利子に消費税をかけるべきかという議論は、消費税がつくられました平成元年、四月一日から施行していますが、その前にかなり大きな議論がございました。いわゆる付加価値に税金をかけるという発想ならば、利子にかけてもいいじゃないかという議論だったわけでありますが、まさに名前が消費税となっているように、この税は最終消費者が負担をするという税として仕組まれているものですから、消費に当たるかどうかという議論がなされまして、例えば土地の売買なんかにも課税しておりませんが、金利については消費に当たらないという判断を当時しております。

 これは前段階税額控除でございますので、仮に利子に課税をしても、いわゆる企業が借りる分については、企業はそれを前段階税額控除いたしますので、最終消費者が、例えば住宅ローンのような形でお金を借りるときの当該利子に消費税が乗っかるというのが最終的な姿である。BツーBというか、ビジネス・ツー・ビジネスの取引については前段階税額控除がなされるということだろうと思います。

 それから、ヨーロッパで最近、金融機関に対する課税の議論を私どもも勉強している最中でございますけれども、私どもの勉強している限りでは、いわゆる資本、資本の一部を除きますが、資本と負債の総額に対する課税が行われておりますので、日本の消費税に当たる税金がそういう意味で金融機関を対象にしているというふうには考えておりません。

    〔委員長退席、菅原委員長代理着席〕

大熊委員 その議論というのは恐らく二十年以上前ということだろうと思いますが、当時と今とを比べますと、例えば大手銀行のコマーシャル、どことか申しませんが、コンサルティングサービスというふうに堂々と銘を打っているわけじゃないですか。コンサルティングサービスというのは、サービスの提供ですよね。これに対してなぜ消費税がかからないか。ちょっとこれは理屈に合わないと思われませんか。

田中政府参考人 金融機関が行う取引の中で、いわゆる経済取引として金利とみなせるものは先ほど申し上げたとおりでございますが、さまざまなサービスの提供の対価として取っている分、手数料に当たる分、あるいは、今おっしゃったものがどんな対価かどうか把握していませんが、いわゆる経済取引として金利とみなせない分については今でも消費税を課税しております。

大熊委員 銀行の場合は、そのコンサルティングの対価を利子でもらおうとする、そういう傾向が、うなずいていらっしゃいますから、御自分の答弁がちょっと整合していないということをうなずいていらっしゃることが示しているんだろうと思いますね。銀行というのはその対価を、アメリカ、諸外国の銀行ははっきりしていますからあれなんですけれども、特に邦銀の場合は、そこのところは丸めて金利で頂戴よというような商売をされるケースが多いはずなんですよね。したがって、そこを区別できないというか、しにくいはずなので、これはやはり、今の御答弁じゃなくて、もうちょっと網を広くかける、その方が国庫にとってもいいわけですから、そういう方向でぜひいろいろと検討を深めていただければというふうに思います。

 では、次に参ります。

 給与所得控除の上限引き下げ、先ほども議論が出ておりましたが、この中で、もともと勤務関連支出に比べて高いんだという資料がどこかに、財務省さんからいただいた中に出ておりましたが、サラリーマンの勤務関連支出の見積もりは、どんなふうに計算をして、それで高いということだったんでしょうか、教えていただければと思います。

田中政府参考人 勤務関係経費というのは、一概にこれでなければならないというのはないんだろうと思いますけれども、私どもが使っておりますデータの一つといたしましては、給与所得者の勤務に関する経費ではないかと指摘されている支出として、家計調査から引っ張ってきておりまして、全体で二十九万六千円、年間収入の最上位階層で四十七万三千円というような数字を念頭に置いて考えているということでございます。

大熊委員 済みません。ちょっとわかりにくかったんですが、今の例えば上位の方の四十七万数千円というのはどのようにデータとして持ってこられたのか、もうちょっと明確に教えていただけますか。

田中政府参考人 お答えいたします。

 家計調査、二人以上の世帯、これは総務省統計局が出している統計でございますが、その中から、この経費が勤務に関連する経費ではないかというもの、例えば新聞ですとか書籍ですとかそういうようなものをピックアップして、それを足し上げて数字をつくっているということでございます。

大熊委員 ちょっと先ほどの別の委員の方の自動車税の関係と似たような話なので、そうすると、直接サラリーマンにアンケートをとってとか調査票を出してとかそういうことではなくて、総務省が調べたものを、さらにそこからサンプリングして何か資料をつくっている、そういう感じでしょうか。

田中政府参考人 家計調査自身は、政府のさまざまな政策の判断をするときの重要な資料として使っておりますので、信用できるデータということで、この家計調査の中のさまざまな支出項目、着るものですとか身の回りのものですとか先ほど申し上げた新聞ですとか、そういうようなものの中で、これがいわゆるサラリーマンの勤務に関連する経費ではないかなと想定されるものをピックアップしたということでございます。

大熊委員 では、主税局長さんなのでちょっと個別に、飲食費なんかはどうなっているんでしょうか。

田中政府参考人 これは、飲食費は入っておりません。

大熊委員 ちょっと一つ、私の方からのサンプリングのお伺いで、これも入っていないということで。

 一般的に日本のサラリーマンは、最近はちょっと少ないのかもしれませんけれども、いわゆるノミニケーションということで、これはまさしくサラリーマンの経費なんじゃないかなと。

 先ほど来から、法人の交際費は損金算入だ、サラリーマン個人は全然経費に認められていない、これもまた、きょう初めて見出したんですが、不公平感があるんじゃないですかね。

田中政府参考人 答弁が若干ちょっと丁寧じゃなかったんですが、普通に食べる飲食は入っておりませんが、家計調査の項目の中に小遣いというのとつき合い費というのがございまして、この額については、先ほどの金額の計算の中に入れております。

大熊委員 一部入っているということで、わかりました。

 そうしたら、ちなみにもう一つ。諸外国と比べても高いというお話なんですが、諸外国はどのぐらい、通貨が違いますから大体でいいんですが、では仮に一千万円だとすると、アメリカやあるいはヨーロッパの諸国というのは大体どんなものなんでしょうか。

田中政府参考人 御指示の給与収入一千万円で見ますと、まずドイツでございますが、ドイツは給与収入に応じて上がっていく仕組みになっておりませんので、一定の為替レートで換算しますと、日本円でいいますと十三万三千円というような数字でございます。それから、アメリカも、同様の一律の制度ですが、一千万円で見ますと百十九万六千円。それから、フランスは、日本のように一定程度まで収入に応じて上がっていきますが、一千万円で見ますと八十二万円。それから、イギリスは、そもそもこういう制度はございませんので、ゼロでございます。

大熊委員 先進諸国と比較するとやはり日本の方が高いんだということで、ここは明確に理解をさせていただきました。

 やはりサラリーマンの層からしても相当高い層なわけですけれども、これは事実として、こういう層が日本経済、特にグローバルに活躍していらっしゃる企業のそのまた中心的なサラリーマンの皆さんなので、ここを狙い撃ちするというのは、そうすると、逆に、下の方の部下の人たち、もっと給与水準が低い人たちへのマイナスの影響というのも出てくるのではないかなというように思うんですね、トリクルダウンではないですけれども。やはり、ちょっとどうなのかなと。こういう人たちを応援するというのが逆に制度としていいんじゃないかなというふうな意見を申し上げて、次に行きたいと思います。

 次は、復興特別法人税の廃止をどのように賃金上昇につなげるのか。

 先ほども出ていたかもしれませんが、政労使の交渉を、あるいは政府から経営に対する要望ということなんでしょうか、されているというふうに伺ってはおりますけれども、麻生大臣も経営者でいらっしゃるというか、いらっしゃったというか、済みません、どちらか厳密にはわかりませんが、なのでおわかりだと思います。

 釈迦に説法だと思いますが、企業から見ると、税前利益があって、税負担があって、最終利益、当期利益ということになるわけでございまして、ここのところの、要するにPLには法人税等と書いてある、この法人税等の部分が結局減るわけですよね。それが、賃金上昇ということは、結局、販管費、あるいはメーカーさんですと製造原価の中に入っているわけですね、こっちにつながるかというと、ちょっと、経営というか財務の仕組み上、ならないのではないか。

 すなわち、税前利益は変わりませんからね。税前利益は変わらずに、税後が変わる。つまり、法人税等のところがちょっと減るわけです。それがPLの上の方の製造原価とか販管費につながるのか。ちょっとこれは無理があるんじゃないかなと思うんです。そういう視点、切り口から見て無理があるんじゃないかなと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

    〔菅原委員長代理退席、委員長着席〕

麻生国務大臣 ちょっと即答いたしかねます、これは。

大熊委員 ぜひ皆様方と御検討いただきたい。

 もう一回論点を申し上げますと、PL、これは皆様方には釈迦に説法でございますが、売り上げがあって、それから製造原価があって、粗利があって、販管費があって、営業利益が出てきますよね。金利支払いがあって、経常があって、特別損益があって、税前利益があって、法人税等が来て最終利益、当期利益ですね。そういうことで、最後の方なんですよね、法人税等ということで、この復興法人税を廃止するということは。

 だから、最終利益は上がりますよ。最終利益は上がるんですが、ずっと上の方は何も変わらないわけですね。その状態です。その状態で人件費だけ上げますと、結局、営業利益が下がっちゃうということになるわけなんですね、理屈上。それはやはり経営者からすると、いや、お尻の最終利益が変わらなきゃいいやにはちょっとならないんですよね。

 なぜかといえば、上場会社であれば、アナリストミーティングや何かで、本業のもうけ、営業利益はどうなんですかというふうに聞かれますのでね。昨今は特にそうだろうと思います。あるいは、企業買収、まあ買収じゃなくても、自分のところの会社の企業価値を算定しようというときはDCFというやり方、ディスカウンティッド・キャッシュフロー方式というのを使うんです。これは、最初にスタートする利益が、当期利益じゃありませんからね。営業利益からスタートするわけなんですね、要は財務の中立性ということで。なので、営業利益が減っちゃいますと、これは企業価値そのものを落とすということを理論的に意味するわけなんですね。

 だから、昨年の十月一日の資料でも、閣議決定のとき、「消費税率及び地方消費税率の引上げとそれに伴う対応について」の閣議決定の六ページ目のところで、確かに「復興特別法人税の廃止を確実に賃金上昇につなげられる方策と見通しを確認する」となっているんですが、企業経営の視点からすると、若干、理屈がなかなか難しいのかなというふうに思います。

 これはちょっと即答できないというお話なので、また御検討といいますか、やはり本来的には、売り上げそのものを上げていくということなんだろうと思うんですね。だから、理屈からいうと、アベノミクスを成功させて売り上げを上げるんだ、こういう基本に戻ってくるのではないか。復興法人税を下げるから賃金上昇に行く、こういう理屈経路ではないのではないかというふうに思います。

 次に、もうあと十分なので、ちょっと時間が思ったよりなくなってきたので飛ばさせていただきまして、NISAに行きたいと思うんです。

 麻生大臣、NISA口座はお持ちになっていらっしゃいますでしょうか。大臣、プライベートで恐縮ですが、NISA口座をお持ちでしょうか。開設されたでしょうか。

麻生国務大臣 NISAはつくっていません。

大熊委員 プライベートなことなのであれなんですけれども、昨年私がマイナンバーを担当したときに、麻生大臣は内閣委員会で、私はことしも内閣委員会なんですが、ポケットから、住基カードを持っています、こういうふうにお話しになられたので、同じような観点から、NISA口座を大臣はつくっています、それで、皆さんつくりましょう、広めましょう、こういうPRをされるかなというふうに思ったんですが、つくっていらっしゃらない。私が言うのもなんなのですが、ぜひこれをおつくりになって、制度としてのPRをされた方がいいんじゃないかなというふうに思うわけなんです。

 実は私は、私ごとであれですが、つくったはつくったんですね。ところが、これは、今回の法律改正も使い勝手が悪いからということなんですが、使い勝手が悪いんですね。物すごく悪いんです。先ほど、一時間ぐらい前、これが始まる前に事務方の金融庁の方ともお話しして、使い勝手が悪いというのはお認めになっておりました。

 例えば、どう悪いかといいますと、非課税は百万円までなんですけれども、昨今はオンライン証券で発注しますよね。百万円以下の取引ならいいんですけれども、では、REITかETFか、何でもいいんですけれども、五株買いました、約定代金が百二十万円になりましたとなると、これは注文を受け付けないんです。はねちゃうんです。要するに、百二十万円の約定金額だったら、百万円までが非課税で二十万円が課税というふうにしてくれないんです。百二十万円の自分の株の約定まで全部バッテン、約定できずになるんです。

 だから、サラリーマンの方は、九時から五時まで仕事をしていますから、家を出る前にスマホか何かで発注しますよね。それで、一生懸命昼間仕事をしてうちに帰ってきて、いい値段で買えたかなと思って見たら、失効しているんです。こういうことが実際起こっているわけでございます。

 これはちょっと何とかした方がいいんじゃないかなということで、では、百万円と二十万円を分けるという対応以外に、私どもみんなの党で、ごく直近で、ちょっと名前が類似品みたいなのであれなんですが、ナベノミクス三本の矢というのを、アベノミクス三本の矢じゃなくて、出しまして、名前のセンスは私もちょっとわかりませんけれども、その中で、NISAを百万円じゃなくて三百万円にというのが書いてあるんですね。

 三百万円というのは金持ち優遇じゃないかとか、そういう御批判もあろうかと思いますが、趣旨は、NISAを使ってどんどん投資を広めていくということ以外に、今申し上げた三百万円だったら大体、一回の発注で三百万円以上やる人というのはそうはいないと思うので、そういうばかなことが起こらないわけです、注文がはじかれちゃうというような。

 なので、一年ごとに証券会社の口座を変えられるという、私、はっきり申しますと、的外れとは言いませんけれども、王道じゃないんですよね。やはり王道というのは、百万円の金額アップ。三百万円ないし五百万円ぐらいにすれば、約定がはじかれるということはないと思うんですよ。

 なので、この点、御検討の可能性はどうなのかというのをちょっとお伺いしたいと思います。

田中政府参考人 NISAの非課税の投資額を拡大すべきという御指摘でございます。

 現在の制度においても、一年間、非課税の投資額が百万円でございますけれども、五年累積で最大五百万円の投資額が確保されているところであります。

 そういうことをまず一つ頭に置く必要があるということと、今回のNISAというのは、いわば、これまで余り株式投資のようなリスク資産への投資の習慣がなかった方々を株式市場に引き込むというのはあれですけれども、株式市場の御経験をしていただくという趣旨がございまして、そういう意味で、どんどんその上限額を高くすればいいというものではないんだろうと思います。

 NISAの株式の投資を初めてなさる方は、例えば預貯金からそういう対応をなさることになるんだろうと思うんですけれども、預貯金の統計を見ますと、現在のNISAの五百万円を超える水準で預貯金を保有していると見られる層は、収入階級十分位で最上級の一割の方でございますので、どこの層に所得税の優遇をするかという判断を行った上で、今の制度はこういう判断をしているということでございます。

大熊委員 局長、申しわけないんですが、私がつらつら先ほどお話し申し上げた点をちょっと踏まえていらっしゃらないので、五百万円、累積といっても、私が申し上げたのは、一回の約定で百万円を超えちゃうと、はじかれちゃうんですよ。累積で五百万円枠があったって、それは何の意味もないんですね。

 税という観点じゃないんです。質問は、お答えいただく方がそうなんです、指さしていらっしゃいますが、別に局長をいじめるために言っているわけじゃなくて、金融庁さんの方の制度の問題で、だって、一年ごとに証券会社を変えることが利便性の向上につながるとはとても思えないですよね。今どき、オンライン証券だったら似たような商品を出しているわけですから。東証に上場している銘柄が変わるわけじゃ決してございませんので。

 これは、一年ごとに口座を変えられるとか、一旦口座をやめたらもう一回口座をつくれるとかそういうことじゃなくて、やはり金額をふやすということが王道なんですね。これをなぜ検討されていないのか、ちょっと金融庁さんにお願いいたします。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、年間百万円という投資上限額の点でございます。

 今回、ことしの一月からこの制度を導入ということでございまして、制度を要望しました金融庁といたしましても、少額の投資を促進するというふうなこと、そして投資家の裾野を広げる、こういう観点で、参照いたしました英国の類似制度、インディビジュアル・セービング・アカウント、ISAというふうに呼ばれているものなどを拝見しますと、イギリスにおきまして、制度の導入の当初、一九九九年のときの非課税の投資上限額というのが七千ポンドであったというふうに承知してございます。円レート、円・ポンドのレート換算によりましては、さまざまですけれども、例えば百万円とか百万円強とかいった水準になるのかなと思われまして、そういったことも参照しまして、今回、制度が導入される当初の時点として、年間百万円ということでその制度の創設をお願いしたということになってございます。

 今後の点はどうかということでございますけれども、この制度は導入されたばかりでございまして、投資家の裾野を広げるということ、それから経済成長に必要な成長資金の供給を拡大する、こういう観点から、まずは、導入されました制度の実績や効果の検証等を踏まえながら、今後どのような対応をしていくのかしっかり勉強してまいる、こういう所存でございます。

大熊委員 新しく投資家層を広げる、それでNISAという視点は、現実的には、既にいろいろ投資をやっている人がNISA口座を開く、そういう方が圧倒的に多いはずで、また趣旨からしても、投資をやったことのない人が投資をやり始める、無税だから、NISAだから、そういう誘導の仕方はかえってリスクを不用意に高める。税金を払っても投資に呼び込むような、まともな、そっちが本流であって、それはちょっとアプローチが違うんじゃないんですかね。いかがですかね。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、投資家におきましては、しっかり投資リテラシーを持っていただきまして、また投資リスク、リターンとリスクの関係をしっかり理解した上で投資していただくことが必要であろうかと思います。

 こうした観点から、金融庁におきましても、昨年八月に監督指針を改正いたしまして、金融商品、投資商品を販売しておられます証券会社や銀行などにおいて、NISA口座を利用する顧客に対してしっかり説明をしていただくように説明体制の整備をいたしております。

 そういったことで、先生御指摘のとおり、NISAを通じて投資をしていただく方のリスク、あるいは投資についてのリテラシーというのは大変重要だというふうに私どもも考えております。

大熊委員 そうですよね。だから、NISAだから大丈夫なんだ、NISAだから税金もかからない、株でも損をしないんだみたいな極端なことを考える方もないとは言えないわけで、やはりこういうものは応用の制度なので、既に投資家層である層に対してというのをまずターゲットにすべきではないか、それとは別途新しく投資家を呼び込むとか、別途考えるべきではないかというふうに強く思うわけでございます。

 最後に、このNISA口座、あけただけ、そしてまた百万円未満の約定をしただけでは非課税にならないんですよね。三井審議官、そうですよね。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおりでございまして、例えばでございますけれども、株式数比例配分方式といった配当金の受領方法の選択をすることが必要になります。

大熊委員 大臣、そうなんですよ。口座を開きました、証券会社から、めでたくあなたは口座を開設できました、それで、約定も百万円未満、九十五万円で約定しました、ああよかったよかったと思っても、課税されちゃうんですね、今言ったように、昔からの配当金受領方式、あるいは銀行口座に配当金を振り込むような方式にそのまま忘れてほったらかしにしていると、そんなことは言われなきゃわからないですよね。これはなかなかわからないんです。それを金融庁さんはPRされていないですよね。誰も知りませんよ。証券会社の営業マンだって、下手したら知りませんよ。私もある人から言われて初めて知ったという程度でございまして、だから、これはもうちょっと広報をしっかりやられたらいかがでしょうかね。済みません。時間がないので、そういうことで、広報をお願いします。

 最後、二、三分で、きのう、国税庁の事務方、実務の皆さんがいらっしゃって、前回質疑で申し上げた、国際間課税を総合主義から帰属主義へ見直すと税の抜け道ができちゃうスキームがあるんじゃないかというのをいろいろと議論させていただきまして、結構有益な議論であったかなというふうに私は思っています。

 要は、東京なら東京の支店から本国に金利分、例えば二〇、金利分を支払うとすると、帰属主義になるとその一定部分だけが課税できる。そういうような帰属主義の中で、外地にある外銀に利子を払って、二〇なら二〇ですね、その外銀が手数料を差し引いて、そのメーカーの日本支店の本国の本社に二〇から例えば一九払いに行く。そうすると、その二〇、つまり、メーカーの東京支店から外銀に払った二〇は全部損金算入できちゃうはずなんですね、お金を借りて利子を払っているから。そういうスキームをどう塞ぐのかということで、これを例えば、ではケイマンならケイマン、ルクセンブルクとか、ああいう租税回避地につくったらどうなんだということを議論させていただいたんですが、一応、法的には大丈夫なようになっているということでございます。

 ちょっと確認のために、そういうことで合っているかどうか、お願いいたします。

古川副大臣 法的にはそのようになっております。大丈夫です。

大熊委員 あとは、実務的に一つ一つ調べに行かなきゃならないということで、偽装するような取引が、例えば金利スワップを使ったような取引、これを偽装のようにして使った場合に、見かけ上全くわからないということがあり得るので、そこのところを、法律で全部書き込むのは無理かもしれませんが、しっかりと法律以下の法令でもって、そういう抜け道は許さぬぞという、ここを一言お話しいただければというふうに思います。

古川副大臣 外銀の所在する国との情報交換、税務当局間での情報のやりとり等協力をすることによりまして、くだんの情報等を入手し、そして一連の取引の実態を解明するということは可能だと考えております。

大熊委員 もう一言強烈にお願いしたいんですが、例えば、では、通常認められているスワップ契約書を結んだとしても、租税回避に当たり得るというふうにみなされる場合には強い権限を行使するぐらいの、かなりはっきりとした答弁で意気込みをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

古川副大臣 さまざまな取引がありますから、個別のことについてどうと言うことはできませんけれども、税務当局間でしっかりとした連携はとっておりますので、租税回避が起こらないように努力をしたいと思っています。

大熊委員 もう少し踏み込んでいただきたかったので、また機会を見てと思います。

 以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。

林田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

林田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房審議官広畑義久君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

林田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

林田委員長 質疑を続行いたします。山之内毅君。

山之内委員 日本維新の会の山之内毅でございます。

 まず冒頭、本委員会が、趣旨説明に対してそのまま質疑と。原則、趣旨説明と質疑というのを分けていただきたい、そのことを委員長また理事各位にお願いいたしまして、質疑をさせていただきたいと思います。

 まず、アベノミクスというものが開始されて、約一年たつと思います。私の認識では、アベノミクスというのは、一本目の矢、二本目の矢、そして三本目の矢、これをもって完成するということでございます。特に、物価上昇以上に給料が上昇して初めて完成する、また、今の貯蓄のものから投資を拡大して進めていく、そうしたことによって成長戦略といったものも進展させていくという御認識だと思います。

 ちなみに、アベノミクスというものに対して、麻生大臣、今、何合目まで来ていると御認識でございますでしょうか。お答えいただけますでしょうか。

麻生国務大臣 何合目かはちょっとわかりませんな。頂上じゃないことは確かです。

 少なくとも、これがスタートしたとき、約一年ちょっと前になりますけれども、それと今日までの経済の指標についてお詳しいんでしょうけれども、下がった指標というのは、失業率と金利と、それから何かありましたかな。よく見てはいるんですけれども、全部が全部覚えているわけじゃないので。

 大体の指標は総じて上がったと思っていますね、今の失業率と金利以外は。したがいまして、アベノミクスというものは、総じてその効果が出ているんだと思います。

 さらに、結果論として、四四半期連続で実質経済成長率が伸びているわけですし、生鮮食品等々、デフレと言われたようなものの消費者物価もコアで一・三に伸びてきていますので、そういった意味では、少なくとも、リーマン・ショック後、〇・四二までおっこちていた有効求人倍率が一コンマを超えるほどのところまでいきましたし、いろいろな意味で着実に成果は出ているんだと思います。

 今後とも、今の状況を、消費税が上げられる四月以降、いろいろなことを予測しておかねばならぬとは思いますけれども、いずれにしても、消費の拡大、企業の設備投資の増大等々を通じて賃金の上昇等々につなげて、結果として日本経済の全体のパイを大きくしていくという方向につなげていくようにしていかねばならぬので、まだ道半ばと思っておかないといかぬのだと思っております。

山之内委員 ありがとうございます。

 やはり給料を上げていく、所得を上げていくことが重要だと思っておられる、そういう御認識だと思います。私も同じ認識でございます。

 それと、やはり一年ですぐ完成する、そういったことはもちろんないと私も思っております。この先、やはりある程度のスピード感を持って展開していかなきゃいけない。その中で、今回、税制改正もあるものだと認識しております。

 そこで、所得拡大促進税制についてお伺いしたいと思います。

 こちらは、先ほどの、まさに給料を上げる、ある意味インセンティブを上げたいということでつくられたものと認識しております。その中で、当初、基準年度から五%増加であればそういった控除が一〇%ある。これが、改正によって、二十六年度から二%、二十七年度から三%、二十八年度から五%と、段階的に変更になるという経緯があると思います。

 こちらは、そもそもなぜこのように変更されたのか、御意見がありましたらお願いいたします。

田中政府参考人 お答えをさせていただきます。

 御指摘のように、二十五年度改正におきましては、基準年度から給与総額等が五%以上伸びた場合について、その伸びた額の一〇%の税額控除を行うという制度でございました。

 私どもといたしましては、当時、五%という比較的高い水準を設定して、そこまで来ていただく、来ていただいた年以降はこの制度が適用できるということで組んでおったところでございますけれども、やはり早急に給与を上げていただくということで、もう少しそのハードルを低くして、対象となるような企業をもっと早い段階からふやすべきだということで、一つは、五%という水準を二%まで下げること、それから、当初三年間の措置でございましたけれども五年間の措置にしまして、最初の二年間は二%、二十五、二十六でございますが、二十七年度に三%以上、二十八、二十九で五%以上と。そういう意味で、促進策を講じるという趣旨で改正を行いました。

山之内委員 ありがとうございます。ある意味、ハードルを下げるということだと思います。

 私も計算をしてみました。例えば、地方の中小企業でしょうか、大体平均四百万円の給料の従業員がある中小企業で、十人いらっしゃる。そうなると、四百万円の二%、八万円が十人で八十万円。これに控除一〇%、八十万円の一〇パーだから八万円。要は、人件費が八十万円上がって、そのかわり八万円控除してあげるという計算になると思います。

 あと、例えば多少給料が高い大企業等でしょうか、仮に六百万円といたします。六百万円掛ける二%、十二万円。従業員が仮に千名だとすると一億二千万円。それに一〇%、一千二百万円。人件費が一億二千万円上がって、控除が一千二百万円。トータル一億八百万円増加。

 要は、ハードルを下げたという状況だとは思いますけれども、この人件費を上げるインセンティブ、もちろん何かしらの方法で上げていかなければいけないんですが、私は、ある程度の収益がある企業であればいいんですが、先ほどの、アベノミクス、物価上昇に対して給料が上がる、これができる企業であればいいんですが、特に地方の中小企業、人件費もかつかつ、そして消費増税が四月から三%あるという中で、これはハードルが下がったのか、それとも、いや、これはハードルが高いのかというのは、各企業によって違うと思います。

 その中で、今回、これはやはりインセンティブが働くという御認識でいらっしゃいますでしょうか、お答えいただけますか。

田中政府参考人 お答えをさせていただきます。

 人件費でございますので、人件費そのものは、事業所得の計算あるいは法人税の計算上、経費になるわけであります。

 したがいまして、今おっしゃっているような形で人件費が上がると、その上がったことによって法人税の額は当然下がるわけでありますが、さらにそこに加えて先ほどの一〇%の税額控除ということでございますので、これは実際動かしてみて、ことしの三月決算法人から適用になりますから、どこまで動くかというのはやってみないとわからない面がございますけれども、たくさんこの適用を受けていただく法人がふえることを期待しております。

山之内委員 ありがとうございます。やはり給料を上昇させるための成長戦略が必要になってくると思います。

 その中で、片や一方、投資を拡大させるという意味で、先ほど大熊委員も御質疑がありましたが、NISAが導入されたと思っております。

 こちらのNISA、中身についてはいろいろ議論があるとは思うんですけれども、一部、証券会社の方々が言われることがあります。例えば、今回、証券取引税制が、引きかえにじゃないですけれども、一〇%から二〇%に上がる。それに対してこのNISAというものが、当然もう導入はされているんですけれども、果たして効果があるのか。逆に、いや、証券取引税制が一〇%の方が効果があったよ、投資が促進されたよとなってしまっては、このNISAは意味がない。やはりNISAは、ある程度使い勝手のいいもの、効果があるものでなきゃいけないと思っておるのです。

 この認識で、当然、証券取引税制が一〇%の時期と比べないといけないと思うんですね。その一〇%の時期に最大どれぐらいの投資効果があったか、もしデータがありましたら教えていただきたいんです。

麻生国務大臣 NISAはもともとは、日本の場合は個人金融資産が表向きだけで一千五百兆円を超えております、そのうち現預金だけで八百六十とか八十兆円とか膨大な形になっております、諸外国に比べて現預金の比率が極端に高いのが現状というのはもう御存じのとおりだと思いますので、こういうものを、これまでのようなものとは少し違って、リスク資産の方の投資に向けていくということを考えていって、幅広い層に資産形成を勧めるといったようなインセンティブを与えることを考えたらどうだということで、経済成長にも必要な成長資金というものを確保する観点からも、導入した方がいいのではないかというように考えた背景もあります。

 今般の平成二十六年度の税制改正におきましては、口座を開設いたします金融機関において、一年単位での変更とか、口座を廃止した場合の再開設を可能にする等々見直しを行うことといたしておりますが、今後とも、使い勝手のよい方向に図られるようなものにいたしていかねばならぬなとは思っております。

 ちなみに、口座の開設件数は、今、四百七十四万件になっております。そのうち重複した申請数十二万件とかいろいろありますので、精査をしてみないとわかりませんけれども、一月二十三日の国税庁の発表だけで四百七十四万件になっておりますので、今後とも、成長資金の供給やら拡大やらを、そういった意味から、効果の検証等々を踏まえて、検討をさらに進めていきたいと思っております。

山之内委員 ありがとうございます。

 私どもの手元にあるデータでございますが、NISA口座の中で、先ほど大熊委員から、百万円を超えると勝手に約定できずとされてしまうという御指摘がありましたが、この投資金額、一人当たりは六十四万円となっている。それは恐らく、六十四万円ぐらいやって、ある程度、百万円の範囲内でやるためのもしかしたら六十四万円ということだとは思うんです、推測ですが。

 もちろん、この投資をさらに拡大させていくためには、先ほどの御指摘のとおり、上限額百万円というのもある程度増加させる。それと、先ほど、やはり幅広い層に投資を呼びかけるためのNISAだと。

 そこで、特に若者、女性、そういった方々が投資に参加していただくということが極めて重要だと思っております。

 その中で、各論、いろいろな御指摘があります。ある証券会社だと、女性、三十歳以下の若者も投資に参加されて、過半数以上が若者という会社もあれば、全体を見ればまだまだ若い方々の参加が厳しい、そういったものをそれぞれ分析されているんです。

 例えば、一つ、こういった方もいらっしゃいます。そもそも、若い方々にお金がない。貯蓄がそもそもない。それから、ある意味、投資ということに対してちょっと臆病。心理的なものでしょうか、成功体験。

 私も、まだ三十二歳ではございますけれども、大体、バブルというものは経験したことがございません。右肩上がりに上がっていくという経験は私自身もないです、大体十歳ぐらいからずっとデフレが続いているものですから。ある意味、どんどん右肩上がりに景気がよくなっていくという経験がない方々が多い。あとは、そもそも関心がないという方々がいらっしゃると思います。

 こういった方々も含めて、やはり広く裾野が広がって、投資効果があるNISAにしていかなければ、結果、投資も促進されないという観点で、中には、英国、イギリスのように、子供、二十未満、こういった方々にも幅を広げたらどうだろうかという御意見があるんですね。例えば、今、その対象が二千万人くらいいらっしゃるということを聞いています。その方々の仮に五%が参加すると百万人、百万人が百万円使えば一兆円ということもあるんです。

 若者、二十未満、そういった方々は親御さんが開設する、こういったことに対しては検討されていらっしゃいますでしょうか。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 若い方々への普及策が大事であるというのは、金融庁としても、全くそのように考えております。

 投資家の裾野拡大という観点から、余りこれまで投資になじみのなかった若年層の方々を含めまして、幅広い国民各層の方々の利用をお考えいただく、こういうための周知、広報ということがまずは第一に大事であるというふうに考えております。

 そういったことから、政府広報、それから投資家の裾野拡大という観点からの周知徹底、そして投資の基礎知識の普及や金融教育、こういったものに努めておるところでございますし、また、金融機関に対しましては、顧客の金融リテラシーの向上に向けた取り組みを、金融庁としても、監督指針を改正して、求めているところでございます。

 その上で、制度についてはどうかということでございますけれども、ことしが導入された時点でございます。今後につきましては、投資家の裾野の拡大、あるいは長期投資の促進などの観点を踏まえまして、施策の実績や効果の検証を踏まえて検討を行ってまいりたいと考えております。

山之内委員 ありがとうございます。

 もう一点論点が言われるのが、いわゆる最大延長で十年間という時限措置があると。百万円掛ける五年間、最大延長が十年間。

 そこで、よく御指摘されるのが、NISAの口座から、期限が来て一般口座になった際にデメリットがあると言われる。よく言われるのが、百万円を例えば入れていて、それがちょうど期限が来たときに、仮に目減りして損が出ていて、一般口座に五十万円移す。また上がると、今度は一般口座の方では課税されますので、五十万円から百万円に上がるとそこに五十万円分の益、キャピタルゲインに対して課税がある。

 そういった意味で、これが、十年間限定じゃなくて、ある意味恒久的であれば、ある程度積極的に投資もするという議論もあると思います。

 この恒久化についていかがお考えか、御意見ありましたらお答えいただけますでしょうか。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、株価が値上がりした場合において非課税であるということの裏返しで、値下がりした場合も損失がなかったものというふうにみなすこととの関係上、五年たった時点でロールオーバーをし、五年たって、トータル十年間を超えたところですと、現状、この制度におきましては、おっしゃるとおり、利益も損失もなかったことにみなされるということになります。

 イギリスにおきましても、日本のNISAに相当するイギリスの制度、ISAというふうに申しますが、この制度が導入されましたときも時限の制度で導入されたというふうにお伺いしてございまして、日本におきましても、このNISAの導入は、時限のものとして導入されたというふうに承知してございます。

 今後、この制度の利用状況などをしっかり見ながら、また、しっかり普及に努めるよう努力してまいりながら、今後については考えていきたいと思っております。

山之内委員 今後の状況を注視しながら検討していただけるということだと思います。

 さて、続きまして、国家戦略特区についてお伺いしたいと思います。

 この国家戦略特区については、私は、昨年の臨時国会の内閣委員会で話をさせていただきました。私の認識では、国家戦略特区、国家の戦略、それをする特区ということですから、やはり法人実効税率、こういったものの引き下げも含めた特区にしていただきたいと我が党も強く申し入れをしていたところでございました。

 今回はそれが見送りされて、かわりに即時償却や特別償却、そういったものの対応になっているという認識ですが、麻生大臣、この特区のあり方について、もし、例えば法人実効税率も含めた特区だとか、今の即時償却や特別償却だけでなく、特区のあり方、また、これは当然まだ候補地も最終決定はしていないと思っておりますが、この点に関して、麻生大臣の認識、特区はどういったものであるべきかというのがありましたらお答えいただけますでしょうか。

麻生国務大臣 国家戦略特区に係る税制につきましては、二十六年度の税制改正で、即時償却を含みます設備投資減税とか、研究開発投資促進税制とか、それから固定資産税の特例、そういったものを含めまして、大胆な施策というのを講ずることにしております。したがって、まずはこれを積極的に利用していただくことが大事なんだと思っておるんです。

 加えて、国家戦略特区における新たな税制の創設ということについては、今後、ある程度区域が指定され、事業の内容がだんだん具体化してくるんだと思いますが、その後に、政策の効果とか、また特区の内外への影響等々、こういった大がかりなものというのはなかなか過去に例がありませんので、そういったものをよく検証した上で、状況を見た上で判断をしないといかぬという部分が多々あるだろうなと思っております。

山之内委員 ありがとうございます。

 特区内、こういったものに対しては検証されていくということだと思います。

 一方、特区内ではなくて、全体の法人実効税率の引き下げという議論があると思います。安倍総理もダボス会議で発言されている。法人実効税率は、国際競争力をつけるため、大体一〇%ぐらい下げる、そういったものがいいんじゃないかというお話もあると思います。

 こういった全体の法人実効税率の引き下げについては、麻生大臣、いかがお考えでしょうか。

麻生国務大臣 この法人課税の改革については、いわゆる日本の産業政策というものを含めた全体の大きな議論を行った上で、グローバルな経済というものの中で生き抜いていくわけですから、その中での競争も考えながら検討を進めていかなければならぬというのが大前提だと思っておりますので、今、政府の税制調査会の中におきましては、法人実効税率のあり方、そのときの課税ベースのあり方、政策項目をどうするかという検証、そして他の税目との関係というようなものについて検討を行っていかねばならぬと思っております。

 したがって、現時点で議論の方向性についてお答えすることは私の立場としてはなかなか難しいということで、その点は控えさせていただきたいと存じます。

 いずれにしても、ディスカッションのチームができて、これはスタートいたしております。

山之内委員 ありがとうございます。

 チームができてスタートされているということだと思います。当然、特区内もそうですけれども、こういった全体の法人実効税率を下げると、どこかを下げればどこかを上げないといけない。よく言われるのは、ペイ・アズ・ユー・ゴーというんでしょうか、どこかを下げたらどこかを上げると。

 その中で、麻生大臣は、さきの予算委員会の中で、赤字の欠損法人、こういったところの欠損の繰り越しについて言及されていらっしゃると思うんです。

 今、欠損法人が、私の認識では大体七三%程度、七割ちょっとそういった方々がいらっしゃって、その金額も七十兆円近く、欠損金の繰越控除の金額は大体二・三兆円ぐらいあるという認識なんですけれども、こういったところからいただく。

 ただ、それはどういった規模の企業になるのか。例えば、資本金である程度の額を絞るのか、それとも、ある程度繰り越しの年数を、九年を七年とか五年に絞る、こういったところの議論というのは進んでいらっしゃるんでしょうか。麻生大臣、もしあればお答えをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 山之内先生、これはいろいろ考え方があるんだと思いますけれども、かつては、繰越欠損というのは大体五年。それが七年になって、一昨年、七年が九年になったんだと記憶をいたしますが、法人課税の改革に関しては、政府の税制調査会において、これまでもいろいろ専門的な観点から課税ベースのあり方について議論が行われてきましたし、今も行われているところです。

 その際には、やはり公平、中立、簡素な税制の実現などの観点から幅広い議論をしていただくということを期待しているのであって、あらかじめ検討の範囲というものをこちらから決め打ちするようなことはちょっといかがなものかと思っております。

山之内委員 ありがとうございます。

 やはり幅広い議論、いずれにしろ、減税するのはどこか、対象を決めないといけない、現実的な問題だと思います。

 先ほどの国家戦略特区もそうです。給料の上昇も、地方の中小企業は厳しい。私は、地元は鹿児島でございます。麻生大臣は同じ九州の福岡でいらっしゃると思うんですが、やはり実体経済、地方まで経済の浸透がなければいけない、実需を喚起しなければいけない。そういった中で、やはり地元の声というのはどうしても、まだまだ地方までは来ていないよ、よくわからない、本当に東京は景気がよくなっているのというような声を聞くのが現実です。

 やはりそういった状況の中で、四月から消費税は三%増税されてしまう。国全体の先ほどのバランスを考えれば、社会保障費の増加も含めて、ある程度やむを得ないところもあるのかもしれないですが、都市部と地方の格差、ある意味、物価上昇に対して、それに給料が追いつく場所はいいんでしょうけれども、追いつかない場所という地域に対してある程度インセンティブを与えてやる、その中で私どもは幅広い議論が必要だと思うんです。国家戦略特区というのもその一つの起爆剤かなと思っておりました。また、全体的に、法人実効税率の引き下げに対して、減税を措置して国際競争力を高めていくというのも私としては必要かなという認識でございます。

 その中で、今後、消費税増税が、法案の中でも一〇%を前提とされていると思うんです。やはりそうなると、なかなか厳しくなる。ただ、景気の指標次第の判断になると私は認識しております。四月―六月は多少落ち込みまして、それから七―九、ここらあたりで検討されるのかなと思っております。

 この消費増税二%ということに対して、当然、現時点で明確には答えられないと思いますが、どの時点で景気判断をされて道筋を示されるのか、麻生大臣、お答えいただければお願いいたします。

麻生国務大臣 山之内先生、これはもう御存じだと存じますが、消費税率の一〇%への引き上げにつきましては、総理もかねて言っておられますように、例の税制抜本改革法、今回の五%を八%に上げさせていただいたときも同様でしたけれども、五%を八%に上げたものは、税制抜本改革法附則第十八条の三項というのがありまして、そこに細目が書いてあるんです。いろいろ、長々長々、いっぱい書いてありますので、早い話が、景気がよくならなければ上げないということ、一言で言えばそういうことが書いてあるんですけれども、難しく書いてあります。

 その中で、やはり経済状況の指標というのを勘案しながらということに、まとめて言えばそういうことになるんだと思いますが、それをきちんとやろうとすると、来年の十月ということになりますと、半年前として来年の四月に決めるということになるんですが、来年の四月になりますと、ある程度、今のように予算編成が進んだ過程を考えておかねばなりません。平成二十七年度の予算の途中、半期が終わったところで二%上がるということになりますので、その分をある程度見越しておきますと、当然のこととして、予算をやるという技術的な話からいきましたら、来年度の予算、平成二十七年度の予算編成をやる前までに、ことしの十二月までにやっておかないと、物理的に、来年の四月になってからといっても、それまでには、既に一月から三月、ほぼ予算審議が終わっております段階で、もう一回やり直すということにもなりかねません。

 そういった意味では、やはり技術的なことを考えますと、来年のものを決めるにはことしの十二月となると、経済指標で出てくるのは、四―六、七―九というところが出てくるところで、十―十二はなかなかその辺まで出てきておりませんので、やはり四―六、七―九というものは経済指標としてはよく見ておかねばならぬ、大事な指標になるのはそのあたりかなと思っております。

山之内委員 時間が参りました。

 七―九に判断されると。時間がなかなかない状況だと思います。先ほどの国全体の哲学、都市部だけでなく地方まで、そういったことを考えますと、やはりいろいろ、法人減税もそうですけれども、国家戦略特区の件もそうですけれども、成長戦略、規制改革、こういったものをある程度スピード感を持って前に進めていただいて、間に合うようにしていただきたいことをお願いいたしまして、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

林田委員長 次に、田沼隆志君。

田沼委員 日本維新の会の田沼隆志でございます。

 大臣、きょうもよろしくお願いします。

 まず、質問に先立ちまして、ほかの委員さんも言われておりますけれども、本委員会の開催が、法案趣旨説明の直後に質疑がされるということで、この非常に強硬な進め方に対して不満といいますか、反対の意を表明させていただきたい。これは大臣というよりも与党の皆さんにお伝えしたいことでありますけれども、準備が大変で、私も徹夜ですが、多分、執行部の皆さんはもっと大変だと思いますので、こういったことが続いてしまいますと、国会の軽視になりかねない、審議の形骸化になりかねませんので、ぜひ不満をお伝えさせていただきたいと思います。

 それでは、本題に入りまして、所得税法等の一部を改正する法律案並びに地方法人税法案、これは今月の十四日、代表質問として、我が党を代表させていただきまして本会議場でも御質問させていただきましたけれども、引き続きお尋ねさせていただきたいというふうに思います。

 そのときも私はお伝えさせていただきましたが、鹿児島県の知覧で特攻隊の遺書に感銘をして、何とか日本を立て直したいという思いからこの世界に入ったと。ですので、何でも反対の野党というのは大嫌いでありまして、やはりいいものはいい、悪いものは悪いという是々非々で臨むという維新の、我が党の姿勢というのは非常に大事なことだと私は考えております。

 我が国が本当に国力を上げていかなければならない、そういったことに貢献できるような今回の税制改正になるように私も議論ができたらというふうに思っておるんですが、その中でやはり一番重視したい、そしてまたいろいろお尋ねしたいのが法人税であります。

 今回は、法人税は引き続き検討というだけで、代表質疑のときもお話ししましたけれども、非常に改革の踏み込みというのが先送りに見えて仕方ありません。

 安倍総理は、法人税改革を抜本的にやるというふうにダボスでも言われておりますけれども、いろいろ波も高いのかなというふうにもお見受けいたしますので、ぜひその辺を大臣と質疑できたらと思っております。

 まず、一番気になるのが、欠損金の繰越控除制度であります。

 私、十四日の代表質疑で大臣に、この件をどう改革するんでしょうかと言ったときには直接具体的な御答弁はなかったんですけれども、ただ、先週、十八日の予算委員会で、結いの党の青柳議員に対する御答弁で、欠損金繰越控除の見直しも考えなければならないというふうに、大臣が、制度の見直しの検討に着手する考えを示されておったと思います。本当は代表質問で答えていただければよろしかったんですけれども、今の欠損金繰越控除制度は、八十兆円とも言われている、払っている法人が非常に少ないという現状は、非常に疑問があります。

 制度に関してたどりたいんですが、日本ですと、これは財務省さんにいただいた資料かな、法人課税という資料がありましたけれども、日本の法人所得課税の中での欠損金繰越控除制度は九年までしか繰り越しが認められていないわけです、これはだんだん延びてきたということですが。アメリカでも二十年、イギリス、フランスでは無制限というふうに定められていますね。

 ということは、日本の制度というのは、ほかの国と比べても非常に厳しい制度にも見えるんですけれども、現状はそういった理解でよろしいか、御見解をお尋ねします。

麻生国務大臣 見解の違いだと思いますが、昔、私が最初に当選したころはたしか五、六年だったと記憶しますけれどもね。それが七年になって、おととしかさきおととしに九年になったんじゃないですかね、これは。そんなものになったんだと記憶します、最近、九年にいつなったか、ちょっと正確な記憶じゃないんですが。

 いずれにしても、そういった形になっておりますけれども、この繰越欠損の話につきましては、政府税制調査会においても専門的にいろいろ考えて、課税ベースのあり方を含めて、広く議論を行っていくべきではないのかということを私どもの方から申しております。その際には、何といっても税金の話ですから、公平、中立、簡素という点をやはりきちんと捉まえておいて幅広く議論をしていただくということを申し上げておりまして、ぜひこういったところでお考えくださいというような、あらかじめ予測を私どもの方から申し上げているわけではありません。

田沼委員 厳しいか厳しくないかという見解だったので、ちょっと御答弁を直接いただけていない感じもあるんですが、実態的に七二%ですか、二百五十七万社のうち百八十六万社ということで、四分の三近くが欠損法人である。これは、いただいた資料でも、いろいろな報道でもそうですが、圧倒的に高いですね、突出して、欠損法人の割合が。何でこうなっちゃっているんでしょうかね。

麻生国務大臣 これは、なぜと言われると、田沼先生、多分、バブルの一番景気のいいときでも似たようなものですよ。半分払っていなかったと思いますね。税金を払っている企業、ちょっとその資料をお持ちだったらそれを見てもらうとわかると思いますけれども。バブルの一番景気のいいときでも、法人税を払っている会社は半分ないというのが実態なんだと思っております。

 何でそうなったんだと言われると、多分、基本的には、日本とかドイツとかは、似たような体制だと思いますが、いずれも、これは私の独断と偏見だということをあらかじめお断りしておきますが、やはり戦争に負けたんですな。戦争に負けて、金がなかったんですよ。だから、会社をやるときにみんな、田沼、俺に金貸してくれといって金を借りたんです。麻生、おまえ、金貸せといってみんな金を借りて、金を借りてみんな会社を起こした。これは、日本とかドイツとかはみんなそうだと思います。ちょっとイタリアは詳しく調べたことはありませんが、日本とドイツは間違いありません。

 それから、アメリカとかイギリスなんかの場合、フランスもそうですけれども、これは、おお、田沼、俺は仕事するから俺に投資してくれといって会社の資本金を募ったんだと思いますね。結果としてどうなったかといえば、それらの会社はいずれも、会社が利益を出さない限りは、資本金に対して投資したんですから、その人に金を払う必要はありません。したがって、会社はどうするかといえば、会社は配当をもってそれに報いるということになりますので、会社は黒字にしないと配当できない。当然のこととして、それを配当できる状態にあるか否かを調べるために公認会計士が発達した。

 日本とかドイツの場合は、借入金でやっていますから、金利さえ払えば別に何てことはないというので、会社は赤字でも、借りた田沼さんにきちんと金利代を払っておきさえすれば、会社としてはしかるべき回転をしていけるような状況にあった。多分そういう資本の背景というものが、もともとそこらからスタートしたんじゃないのかと思います。

 やはり、重商主義を経て極めて金の内容に重厚だったイギリスとかフランスとかいうのに比べて、日本とか、そういった意味ではドイツも薄かったと思いますので、そういったものからいきますと、我々としては、資本金ではなくて借入金で金を起こしたというのがこういった形になっていった背景じゃないかなと。私の推定です。

田沼委員 大臣、私もJC出身なので、金貸せと言われるとちょっとびくっとするんですけれども。大臣はJCの大先輩でございますのであれですが。

 日本は借入金が中心の企業の生まれ方だったということで、一つの御見解かなとも思うんですが、日本は、ほかの国と比べてもこれだけ厳しく繰り越しの制度を定義しているにもかかわらず、こんなに欠損法人が多いということは、やはりゆゆしきことであるような気もしてならないんですね。

 大臣のお話も理解をいたしますけれども、バブルのころも半分ぐらいなんですよ、払っていない欠損法人割合が。これはずっと伸び続けていまして、いただいた資料ですと、一番初めが昭和三十年なんですが、このときは、欠損法人割合が大体三二%ですね。この間、下がることなくずっと上がり続けて、もう七二パーまで今来ちゃっているんですね。

 これは、先ほどの、戦争に負けてという歴史的な会社の生まれ方という面もわかりますけれども、戦後の歴史としてふえ続けているわけで、問題意識が強いものですから、どうしてもこれにやはり対応していかないといけないわけですから、原因をちゃんと踏まえないといけないと思うんです。

 何でこんなにふえ続けているのか、過去五十年以上ふえ続けているこの現状の原因をどうお考えになるか、教えていただければと思います。

麻生国務大臣 多分税制とかは人間の心理学の話、分野になってくるので、ちょっと安易なことを数字で言うわけにはいかないと思いますが、基本的に、やはりこの二、三十年でいえば、急激にふえていきましたのは、一九八九年の十二月、株がたしか三万八千九百十五円をつけましたのが十二月の二十九日、これが最高値だと思います。これを高値にして株はどんどん下がっていきまして、七千百円ぐらいまで落ちました。土地は、九〇年、九一年とさらに上がって、九二年からどんと下がって、六大市街化地域の平均価格で坪百万円が坪十五万円、十四万円ぐらいにまで平均で落ちた。

 当然のこととして、企業は一斉にみんなどうしたかといえば、株という名の動産、土地という名の不動産、いずれも資産が猛烈な勢いでばあんと下がっていったわけですから、今までこんなことは戦後一回もありませんので、気のきいた人たちは、これは今までの不況と違うというので、売り上げは全て借入金の返済に充てた。

 今までの不況と同じようなつもりで、売り上げを伸ばして頑張ろうと思ったダイエー初め、多くのところは皆倒産しました。借金が一番なかったトヨタは、その後、二十年間で世界のトヨタになったんだと思いますけれども、やはり、その時代時代にあって、会社の経営のやり方というのも、借入金を起こしてやるというのをやめたんだと思うんですね。

 それで、猛烈な勢いで日本の場合は借金を返し初めて、田沼さん、どうでしょう、九七年、八年、銀行にどんどん金を返して、銀行は、金を借りてくれる人がいなくなって、大きなところで北海道拓殖銀行みたいな都市銀行が潰れて、三洋が潰れて、山一が潰れて、翌年には長銀も潰れました、債券取引銀行も。早い話が、大きなところはみんな潰れた。

 昔の名前で出ていますので、もう銀行も、三菱UFJとか三井住友何とかといって、昔の富士銀行は今何というんですかといって、知っている人が少なくなっちゃうぐらい、やはり猛烈にこの二十年の間にくちゃくちゃになっていったおかげで、企業は、銀行から猛烈な勢いで貸し剥がしをされるものだから、銀行はみんな猛烈な勢いで金を貸してくれないものという形から、非常に自己を防衛するのが強くなって、自己資本比率を猛烈な勢いで高くして、少なくとも、西暦二〇〇四、五年ぐらいから以降は間違いなく、どうでしょう、東証上場企業の四〇%、四五%は実質無借金、自己資本比率世界一みたいなものになっちゃっていると思います。

 今、そういったところまで日本の企業も、この二十年間あたりのバブルがはじけた後のデフレの間に日本もすごい勢いで体質改善をしちゃっていますので、どうすれば直るんでしょうかと言われると、それぐらい大きなものを持ってきて、やはり借金じゃなくてこれでというようなルールをきちんとするか、そういった何か大きなものでやらないと、ちまちましたものだけで変えるというのはなかなか難しいんじゃないかなと。私の今感じているところの実感です。

田沼委員 今の議論は非常に重要な議論で、いろいろな論点も含んでいるんです。例えば、赤字法人対策としてどうやっていくか、あるいは内部留保をどうやって吐き出していくかとか、ある意味、この財務金融委員会でまさに議論すべきいろいろな論点を非常に含んでいるかと思うんですけれども、それはまたおいおいに触れていきたいと思います。

 大臣の言われるとおり、ちまちました対策ではもう無理で、これから構造改革が必要だというのは全く同感でありまして、その点でいろいろ議論をさせていただきたいんです。

 まず、そもそも、十八日の予算委員会で青柳議員に対して、繰越控除の見直しを考えなければというふうに大臣は御答弁いただいているんですけれども、恐らく多くの企業もどう変わるのか非常に注目をしているところでもあり、また、課税ベースを拡大していかないと、大体、実効税率引き下げというときに、この課税ベースの拡大というのがやはり王道だと思うんです、どうしても。

 そうすると、この繰越控除制度をどうしても私は議論したくなるというときに大臣から少し前向きな御答弁をいただいたので非常にうれしいんですけれども、ではどういう方向になるのかというところで政府税調ということになるのかもしれませんが、しかし、政府税調に任せるのみならず、大臣側のイニシアチブとか、やはり財務大臣ですから、リーダーシップ、口を出していくということも非常に必要であり有効であろうと思うんですけれども、その辺で御見解があれば。

麻生国務大臣 これは、いわゆる法人課税の見直しとか法人実効税率の見直しとかいろいろな形で、これだけ今の世の中がグローバルな時代になってくると、いろいろな意味で、税も極めて、画一的とは言いませんけれども、ローカルなものではなくてグローバルなものにという傾向は幾つかの場面で出てくる、いい悪いは別にして出てくるんだと思います。

 そういった中において、日本でも考えていかねばならぬということになったときに、ここも同じように、我々も、税金をまける場合においては、租税特別法とかいろいろな意味で今まで税金を払わないでよかった、こういった払わないでよかった部分、こちらの部分についても課税ベースをもう一回見直す必要があるのではないかという点をきちんとやっておかないと、企業だけ、この部分だけどんどん安くなってという形になって、ほかの国を見たら、実は別のところから取ってあったとかいうことになるといわゆる公平性を欠くことにもなろうと思いますので、これは幅広くやっていかねばならぬと思って、今、政府税調の中にいわゆるディスカッションのグループを一つ立ち上げてありまして、その中で幅広くこの課税ベースの問題につきまして討論する場というのをつくっております。

 そういった中で話を広めていかないと、これはかなり時間をかけてきっちりやっておく必要があろうか、私どもは今そう思って取り組んでおります。

田沼委員 具体的な御答弁はなかったですが、ただ、恐らく気持ちは同じというか、時間をかけてしっかりと幅広くということで、ぜひ聖域なく議論をしていただきたいなと思います。

 安倍総理もよく言われる、国際的な競争力というか標準相場に合わせた法人税の実効税率にしていきたいということも大事ですし、隣の中国がこれだけ人口が多くて伸びているのに、うちがこんなに高くて大丈夫なのかという議論も、たしか経済財政諮問会議の民間議員が言われていましたし、そのとおりとも思いますが、一方で、代替財源も必要というのもわかりますので、非常に難しいかじ取りになると思うんです。

 その議論もまた後でちょっとしたいんですが、一点、気になるのがまた資料でありまして、国税庁が出されている会社標本調査結果というもので、利益計上法人の益金処分の内訳の構成があるんですね。これはあると思いますけれども、利益の処分の内訳です。これだと、法人税額は全体を一〇〇としたときの二一%で、三五・六四%からの差が、先ほどの払っていない法人とかいろいろなあれになるんだと思うんですけれども、この二一・三%を法人税に払っているということよりも、その他の社外流出というところで一一・七%が使われております。一一・七%、その他処分というのがあるんですよ。まず法人税がありますね。あと社内留保があります。資料をぜひごらんください。きょう急に開かれたから、ちょっと資料を用意できなくて申しわけないんですが。でも、財務省の資料でありますので。社内留保で四五%、それから配当金で二一・八%、法人税二一・三%で、最後にその他というのが一一・七%あるんですね。これは恐らく役員賞与などが入っているんだと思うんです。

 これはやはりちょっと疑問を感じるのは、まさかというか、その企業が繰越欠損金制度で繰り越している場合、利益が出ているにもかかわらず過去の赤字で結局税金を払っていない場合に、一方で役員賞与が結構出ているとなったら、それは頭にくると言うとちょっとストレートな言い方ですけれども、それはちょっと納得いかないところがあって、どうなのかなと思って調べてみました。

 そうしたら、最終赤字企業で、赤字企業ですよ、だから多分法人税を払っていない企業で、一億円以上の役員報酬の開示があった企業は、個別名をいろいろ挙げます、日産七人、ソニー六人、ソフトバンク、野村ホールディングス五人とか、パナソニックとか、二十社ほどあるんですね、東京商工リサーチの調査であったんですけれども。

 これは倫理的な問題だと思いますけれども、欠損法人として法人税を払っていないんだけれども役員賞与はかなり大きいというのは、これでいいのかなという思いが正直あります。別の議論とはわかっています、制度上も。だけれども、ある意味税金を払わずに済んでいるのに役員賞与がそれだけ大きいというのは、今の現状として国民的にも納得されるのかなという疑問もあるんです。その点に関して、大臣、御見解があればお願いします。

麻生国務大臣 これは株主の問題もありますな。何でそんなのを認めているの、株主はということが出てこないとおかしい。普通の株式会社だったらそういうものだと思いますけれどもね。

 ただ、今の話で、一一%の話が出ましたけれども、それは地方税が入っていないんじゃないですか。企業だと、地方税を一〇%ぐらい払っていると思いますね。だから、その一一%のかなりの分は、地方税が抜けていやせぬかなと思います。ちょっとその資料がわからないので、検討されてみたらいいと思います。地方税というのは、必ず企業は払っていると思います。

田沼委員 地方税を含んでいるかどうかは、ちょっと詳細はわからないんですけれども、ただ、恐らく実効税率で三五パーの中に入っていると思うので、大体この二一・三パーで、ほかの資料でもたしかこれぐらいだと思いますので、いいと思います。

 それから、株主が何でそれを認めているのかというのは、まさにそのとおりで、配当金を払っているから文句ないということなのかもしれませんけれども、一方で、株主の方にもそういった税金の重要性というのはやはり理解していただく必要がこれからもあるのかなというふうに思います。これはちょっと提案的な意見ですけれども、述べさせていただきました。

 また法人税の話に戻りますけれども、実効税率の引き下げですとか代替財源の話に終始してしまうのもやはりおかしいかなと私は思っていまして、大臣は経営者であられましたが、私も経営コンサルタントをしていましたので、外国企業なりが日本への投資をふやそう、日本に参入しようと思うときに、税率ももちろんあると思いますけれども、やはり、そもそもその国の市場が魅力的かどうかというのが一番本丸になければいけないというか、そう見ますよ、どう考えても。

 私も、コンサル会社にいたときに、ある外国企業のエントリーストラテジーをやったんですけれども、やはり法人税を企業は見るという面もありますけれども、そんなに大きくなかったです。やはり市場の成長性ですとか規模ですとか、あと、消費者の要求水準がどれだけ高いかとか、そういった部分での魅力が総合的に決まってくるわけです。

 法人税の実効税率引き下げは絶対必要です。国際的にそれを発信することも必要です。私たち維新の会も、必要だと思っています。同時に、やはり市場の魅力を上げるためのつてというのも不可欠であると感じるんですけれども、そこの部分が、どういうふうにこの日本市場の魅力を高めるための方策を打っていくのか、特に外国から見た場合、その日本市場には強みと弱みはどのようなものがあるかということに関して、ちょっと総論的な質問でありますけれども、大臣の御見解をお聞きできればと思います。

麻生国務大臣 日本のマーケットで一番海外から見て魅力があるといえば、それは多分、田沼さん、一番のものは、スペックがこれだけ厳しいところでクリアしていくというのは、どこの世界へ行っても、日本のスペックを通れば全てのスペックを通りますよ。だから、そういったもので、日本で売れるということは、世界じゅうどこへ持っていっても売れるということをクリアする。そういった意味でのマーケットの厳しさというのは世界で一番。

 それが日本というものの持っているもので、えらい細かいことまで見るじゃないですか。鍋を売ったって、鍋の底までこうやって見て。鍋の底のできなんかを見て物を買うアメリカ人なんか一人もいませんよ。だけれども、必ずこうやって物の裏も見る。そういったものというのは、日本の持っている、よしあしの問題じゃなくて、そういうものなんですよ。

 だから、そこがこの国の持っている強さであるんだと思いますので、やはりこの国で売れるものは世界で売れるものという、自信が持てるものなんじゃないのかなとは思いますけれどもね。

田沼委員 ありがとうございます。

 スペックが非常に厳しいということは、実際、私の体験でもそうでした。ある小売業者さんの参入戦略だったんですけれども、やはり日本で勝てればほかのアジア近辺には絶対勝てる、だからここでまず成功したいんだと。結局、最終的にはその企業さんは参入しなかったんです。ちょっと供給の方が難しいということで、やめられてしまいました。ただ、そういうスペックの厳しさというのが売りになっていかなくちゃいけないのかなと思います。

 総理が言われるように、世界で一番企業にとって魅力のある国になっていくためにもそういった部分も打ち出すべきだと思うんですが、一つだけ思うのが、財務省さんからの資料の最後から二番目、法人課税の資料ですね、事務方がおわかりなければ。

 やはり日本企業は物すごく利益率が低いんですね。日本企業全体として利益率が低いじゃないですか、大臣御存じのとおり。利益率が物すごく低くて、この資料ですと、家電とか情報通信とか重電とか、全産業平均も載っていますね。日本は三・七%、北米は利益率一二・七%、欧州七・三%、アジア六・二%ということで、物すごく低い。私の経験的にもよくわかります。非常に低い。これは、過当競争があるんじゃないかというふうに、経産省の分野かもしれませんが、よく言われている話ですね。

 過当競争の結果、企業の収益力が非常に低くなっている現状はやはり一つのボトルネックになっているんじゃないかと思うんですけれども、そこに関して財務省として何か見解を。このボトルネックを打破していくことはどちらかというと経産省的な質問になるのかもしれませんけれども、大臣は経営者であられたので専門かとも思いますので、お尋ねさせていただきたいんです。稼げる企業をふやしていくということが物すごく重要で、法人税の引き下げということですとか代替財源というようなこともありますけれども、本質はそちらであるとやはり私はどうしても思うわけですね。なので、その点に関しての御意見があれば教えていただければと思います。

麻生国務大臣 これは、いいところもあれば悪いところもありまして、例えば、李明博という韓国の大統領の時代に何回か、この方も経営者ですから、話をしたことがありますけれども、サムスンはすごいというけれども、それがどうした、サムスンだけじゃないかと。あんたのところには東芝もあれば日立もある、三菱もある、ソニーもある、シャープもある、何もある、俺のところはサムスンしかないと。だから、利益はこんなにある、おたくら六社足してこんなもんだ、俺のところは一社でこんなにある、だけれどもそれだけだと。ヒュンダイ、俺もいたからわかっている、しかし、おたくでは自動車といったら七社も八社もあるじゃないか、そうはいかないんだ、だから一社じゃだめなんだという話をしたんです。

 それで、今のこの数字、これは間違いなく事実ですよ。だけれども、この競争があるがゆえに、利益率というのは低い、スペックがやたら高い、他社とちょっとでも違ったらばんと値下げさせられる、そこがしんどいからみんな必死こいて競争するからこれまでになって、品質が必要以上に、まちまちだと思うけれども、そんなところまでやらなくてもいいだろうがというところまできれいにすることになっておるわけですよ。その分だけコストが高いんですよ。結果としてそれで利益幅も下がるということになってきているのが、この日本の持っている問題点なんだと思うのです。

 私も今言われている意味はよくわかりますけれども、今回の円安の中にあって、円安になった分だけ販売価格を下げないで、今のままの値段で売って、円が安くなった分だけ利幅をばんとふやしているから、その企業に関してはこの部分は少し変わってきているかもしれませんけれども、少し考え方が変わってきつつあるのかなと思わないでもありません。

 いずれにしても、競争をするためにはある程度設備投資が要る、設備投資をするためには、自分で自己資本を持って、設備投資をしていくための金をある程度稼いで持っておかねばならぬというところが、余り、利幅を少なくしてシェアを伸ばしてということをやって、結果として何となく厳しいことになっていくという面も我々は注意しておかねばならぬ。経営者として一番バランス感覚の難しいところだと思います。

田沼委員 財務金融委員会なので余りこの議論は避けますけれども、おっしゃるとおりと思います。

 そういう意味では、一つ要望は、やはり日本の品質は極めて高いと思います。大臣の表現で言えば、必要以上に品質が高い。でも、これはすごく強みでもあると思います。法人税は実効税率が三五パーで高い、それを二五パーに下げろと民間議員も言っていますし、それはそれで結構なんですが、外国企業に対するアピールとしては、法人実効税率のみならず、やはり日本というのは非常に品質の高いマーケットであり、そういう供給体制があり、そういう文化であり、ここでやれればほかでもやれますよというのもぜひ訴えていただきたいなと思うんですね。数字はひとり歩きしやすい。だけれども、品質というのは見えにくいですけれども、できれば数値化もしていければいいとは思うんですが、御検討いただきたいなというふうに思います。

 また次の観点で、法人税で気になるのが、今の事業の構造、業界構造は非常に課税が少ないというところにもかかわりますけれども、租特ですね。租税特別措置。

 これも代表質問のときにお尋ねさせていただきました。そのとき、唯一と言っていいくらい唯一だったんですが、大臣からも、租特につきましては、不断の見直しをする、制度の趣旨ですとか実績とか効果を検証しながらやらなくてはいけないというふうに、強い決意をいただきました。

 さらに、その代表質疑のときに、もうちょっと具体的に、適用実態調査の中で租特の適用件数がすごく少ないものがある、それは非常に留意が必要だという御答弁だったと思うんです。

 これはおっしゃるとおりで、もう後ろの方も言われていると思いますけれども、ゼロ件、全然使っていないというものも十八種ある。百三十以上ある中で、十八種は利用ゼロ。それから、十社以下しか使っていないものが六十種類。合わせると、半分以上が使われていません。あと、使っている租特も、十社以上の租特、租税特別措置としても、今度は偏りがあって、上位の十社の減税額が全体の八割を超える、利用する企業に偏りがあるものも二十二種類あったというふうに二月九日の日経で報道されているんです。

 全然使っていないものもあれば、一部にしか優遇になっていないという現状があって、既得権の塊と私も代表質疑のときに表現させていただきましたけれども、これは切り込まなくてはいけないなと思うんです。大臣もそう思われていると思うんです。

 では、具体的にどうするかというところをぜひお聞きしたいんですけれども、例えば財務省出身の中央大教授の森信さんなんかは、三年使っていない租特はもう全廃すべきだと言っているんですね。私も、それぐらいはっきり、もうこの評価というのはずっと長くやっていますから、そろそろはっきり決断するべきじゃないかと思うんですが、大臣の御見解、端的には、三年間未使用の租特はもう全廃すべきじゃないかということもあわせて答えていただければと思います。

麻生国務大臣 租特の中にいろいろあるんですけれども、適用件数が少ないというものの中に関して、ないからやめてしまえばいいじゃないかというと、これはいろいろ、沖縄の物流特区とか、なかなか難しいものがあるんですよ。これをもう一回よく調べてごらん、どうしてこれができないかという意味がわかるから。

 だから、そういった意味で、関連する企業との公平性の関係とかいろいろなところからなかなか難しいので、今後ともこれを見直していくことはやっていくんですけれども、なかなか難しいものもあるという点だけちょっと頭へ入れておいてもらえばと思います。

田沼委員 それはもちろん承知していますけれども、そこがやはり勝負のしどころというか、見せどころというか、今回の法人税改革は本気だというのをある意味象徴するところでもあると思いますので、全部が全部難しくても、やはり断行する姿勢というのはぜひ、大臣はお持ちだと思いますけれども、お願いしたいと思うんです。

 具体的に、この租特の減収額が約一兆円、九千億円ですか、と言われています。ちょっとこの中身の方も見たいんですけれども、この九千億円のうち三千四百億円程度が研究開発税制なんですね。

 これは資料でいうと十三ページ目ですね。皆さんはなくてごめんなさいね。右上の租特減収額〇・九兆円というところの研究開発税制三千三百九十五億円というのが減税になっているわけですけれども、これは非常に気になります。

 その前のページには、今度は別の資料なんですが、業界別の法人税の税負担率の割合が載っているんですね。そこで、医薬品の業界は、租特のおかげの税額控除によって六・九%、法人利益は払わずに済んでいるという現状があります。

 研究開発税制での減税で、多くの医薬品業界がこれを利用しているという実態があるんですけれども、この研究開発税制は、私も実はコンサルタントのときに医薬品業界が長かったんですけれども、非常に偏っていると感じます。偏っている。やはりこの研究開発税制、三千四百億円が減税されているというのは、一般にも、一部企業に恩典が偏っているんじゃないかという批判があると思いますし、私自身、製薬業界は特にこの恩恵が大きいので、コンサルタントをしているときも思ったんですけれども、非常に税制優遇されているんですね。

 製薬会社の言い分としては、RアンドDにすごくかかるから、治験もかかるし、パイプラインもすごく難しい、たくさん薬品が必要だからと言うんですけれども、結果的に見ると、製薬業界というのは物すごく給与が高いんですよ。これはちょっと持ってきていませんけれども、御存じの方は御存じだと思います。給与は高いですよね。MR出身の方もいるかもしれませんけれども、すごく高いです。

 利益率も高いんですよ。最近ちょっと調子が悪いですけれども、武田薬品さんなんかは、いっとき利益率が三割でしたよ。利益率ですよ。利益率三割。三パーじゃなくて三〇パーです。中にいると、非常にお金のある業界だと感じていました。

 だから、株価もすごく高いし、配当金もすごく多いですよ。ある意味、ちょっと表現が不適切かもしれませんが、バブルというか、物すごくお金のある業界だなと感じていました。私たちが中のコンサルタントとして改革をする中でも、こんなに恵まれている業界というのはなかなかないんじゃないかと実は感じておったんです。

 それが、この研究開発税制三千四百億円というものの恩恵がすごく来ているとなると、やはり批判が生まれるのは当然じゃないかなと思うんですけれども、これに関して大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

麻生国務大臣 薬の話を今特定なされて言われたんですが、法人関係の租税特別のあれが九千億、約〇・九兆円のうち、研究開発投資の促進で三千四百億円弱ということになっております。こういうことの中で今の医薬品を見ると、実効税率二一・七%ぐらいで、残りの六・九が租税特別措置になっておるということなんだと思います。

 これは多分、この内容を今これだけ見て勘だけで言うのはいかがなものかと思いますけれども、医薬品の場合は、海外と競争していくときに、ファイザーとかでかい会社を相手にやっていくのに、日本の企業は、とてもじゃない、今、武田でもファイザーの何分の一だと思いますので、なかなか対抗ができないというところから、これを育てないかぬということで、こういうことにされていったのかなと思います。

 ちょっとこれは背景をよく知りませんのでこれ以上のことを申し上げられませんけれども、数字の上では今おっしゃるとおりだと思います。

田沼委員 おっしゃるとおりで、メルクとかファイザーとか、五兆円とかのでかい会社がありますので、それを考えると確かに日本は小さい。

 日本は、医薬品業界はすごく分散していますね。分散していると、普通、利益率は低いはずなんですけれども、高いんですよ、全体的に。だから、これはやはり租特で六・九パーの措置をするよりは事業再編を促すべきであって、実際、今回も法人税改革で事業再編促進税制がありますので、税制を用意しましたという待ちの姿勢ではなく、租特がこれだけあるんだったら、租特の恩恵が一部に偏ってしまっているという実態ならばやはりそれは問題だと思いますので、ぜひ事業再編の方に力を入れていただくべきじゃないかな。これは私の個人的な見解でございますけれども、とにかく、一部の企業に特典、恩典が偏っているというのはやはりいけないと思いますので、御検討いただきたいなというふうに思うんです。

 それと、もう一つ、同じような話。ちょっと医薬品は個別過ぎるので次に行きますが、同じ租特〇・九兆円の中で、今度、中小企業の方にも、資料だと、中小企業等の法人税率の特例九百四十二億円、中小企業投資促進税制五百十四億円、これにもちょっと触れたいんです。

 中小企業に対する特例が千五百億円程度あります。もちろん中小企業の皆さんの特例ですとか投資促進はよいことですけれども、ただ、中小企業の中にも十分な収益を上げている会社がたくさんあるわけですね。なのに、一律にこういった税制上の恩典を与えることで、結果として、頑張って収益を上げている企業には税負担が偏ってしまっていくんじゃないかという懸念、心配があります。

 大企業は税負担を担っているところが多いわけで、〇・何%の大企業が六〇パーの法人税を納めているとかがたしかあったと思うんですけれども、もちろん、大企業と中小企業ですと中小企業の方が大変とは思うんですが、しかしながら、税制上の恩典を十分な利益を上げている中小企業にも与えるということに結果としてなってしまうのは、ちょっと疑問もなくはありません。

 営業努力でやって黒字を出している企業にしわ寄せが行ってしまってはいけないんじゃないかという思いもあるんですけれども、大企業と中小企業の税負担の差が物すごくある、この現状に関して大臣はどのようにお考えか、御見解をお尋ねしたいと思います。

麻生国務大臣 今のお話のポイントは、中小企業の中に、一千七百八十二億円の中で、中小企業等の法人税率の特例が九百四十二億円で、中小企業投資促進税制が五百十四億円、少額減価償却資産の取得価額の損金の算入が二百三十八億円ということで、トータルで一千七百八十二億円なんだと思うんです。

 これは基本的には、資本力の弱い中小企業等に恩典をということで、資本金一億円以下のところに主にやっている例であって、特に研究やら何やらのところは、このところ、新しいものをやろうと思ってもちょっと金がないし、いわゆるエンジェルファンドというのは日本ではなかなか育たぬものですから、こういったものをやっていかないかぬという話やら何やらがその背景だと思います。額として、もうちょっとこういうのを見つける目ききというのをちゃんと育てると、もう少し効率よくいくはずなんじゃないのか、私自身はそう思っているんです。

 目ききを主にやっているのは、今、でかい商社の方がそういうことをやっているものがあるので、金融機関より商社が商社金融を使っていろいろなものを、シーズを探し出し、そのシーズをほかの企業にくっつけたり、ほかの業界に結びつけたりしているのはむしろ商社の方がやっているんじゃないかな、最近、話していてそういう気がします。

 決してそれは悪いことではありませんけれども、そういったところの目ききというもの、中小企業を扱う中小企業金融業界というものがこういったものにもう少し目を広く持たないと、結論、自分たちがやるべきところを食い荒らされておるということになるんじゃないのという話は時々するんです。

 いずれにしても、こういったものは育てていくということをやらぬと、これから日本にとっては厳しいことになるんだ、私自身はそう思っているんです。

田沼委員 そちらが本質だと思いますので、この租特で整備すればおしまいではありませんし、やはり目ききをきちんとしていって、ちゃんと投資すべき投資をするというところの制度整備あるいは援助の方が大事だと思いますので、ぜひそういった改革もあわせてしていかなくちゃいけないのかなというふうに思います。

 ちょっと時間があるようでなくなってきましたので、一つ。これもまた代表質疑でお尋ねした中で、課税ベースの拡大の議論の中で、社会福祉法人と宗教法人への適正な課税も議論が必要だというふうにお伝えしたと思います。

 巨額の内部留保を持つ社会福祉法人が言われたり、宗教法人の方も、収益事業じゃないのかなというものとそうじゃないものとの差が曖昧だという指摘もあったり、全然払っていないところもあったりとか、同じく巨額の内部留保があったりとか、そういったいろいろな議論があると思いますし、特に社会福祉法人の方は民間がかなり参入してきている現状もあろうと思いますので、そうであるのなら、やはり今の、非常に税制優遇されている、補助金が出ているという現状を改める議論が必要だと思うんです。

 大臣の先日の御答弁だと、政府税調において議論してほしい、あらかじめ検討の範囲を決め打ちはしないということなんですけれども、ただ、やはり問題は何があるかというのが始まりにあるべきだと思うんですね。だからこそ、当然ですけれども、こういう方向というのが生まれてくると思うので、大臣の、課税ベースの拡大の中での、特に社会福祉法人それから宗教法人をその範疇に入れていくかどうかについての問題意識というのがあるのかどうか、御意見をいただければと思います。

麻生国務大臣 これは、そのときの質問にもまともに答えておらぬのをもう一回言っておられるだけの話なので、改めて、ちゃんと答えていなかったなと思って、そういう自覚でしゃべっていましたから、全然あなたの方の捉え方も正しいなと思って、安心しました。

 基本的にこの種の話は、田沼さん、宗教法人が入ってきたりすると、これは小さなお稲荷さんの話からどでかい宗教法人の話から全部、何万という法人の話をみんな一緒にし、かつ、その辺のNPOのでかいのから小さいのから何からみんな一緒にするという話になっていますので、この話をちょっとやろうと思うと、膨大な前提条件を全部整理していかないかぬので、これはきちんと詰めていかないとなかなか、どこから取っかかっていいのか、全然話が先に進まないということになりかねぬというのが、これは今まで過去に試みられた方が結構いらっしゃるんですが、いずれも成功しなかったのがそれだった、私はそばで見ていてそう思っておりますので、そのように答えさせていただいたということです。

田沼委員 今回は、そばで見ないで、ぜひリードしていただきたいなというふうに思います。難しいことも承知ですけれども、ぜひ、もうやっていい分野も大分出てきていると思いますので、御検討いただきたいと思います。

 あと八分。急ぎます。

 ちょっとそもそも論なんですが、内部留保が我が国は非常に多い現状があるわけですね。財務省にいただいた資料ですと、内部留保は、全産業、全法人で、一九九七年には百四十二兆だったのが今は三百四兆までふえて、ずっと一貫してふえているわけですね。これを何とか吐き出させたいというのが財務省さんの中での共通の思いなんだと思うんですけれども、成功していないわけですよね、これは伸び続けているわけですから。

 成功していないところからいろいろ質問したいところもあるんですが、まず、そもそも、これは何でこんなに出てこないのか、積み上がっちゃうのかということに関して、またちょっと心理学の質問かもしれませんけれども、大臣の御見解を、というのは、やはり原因があって対策が生まれますので、お聞きできればと思います。

麻生国務大臣 これは、田沼先生、多分一つがデフレ。これが大きな理由は、やはりデフレだと、金を持っていさえすれば何もしなくても資産価値は目減りしない、むしろ値上がりするという意味において、インフレのときとデフレのときでは金の使い方が全く違う、これが一番大きな理由の背景だと思います。

 二つ目は、この二十年間、先ほど言いました一九八九年の株の大暴落、九二年からの土地の大暴落、あの辺から数えてかれこれ二十何年たつんですが、その間、日本の場合は、資産のデフレーションによって、企業は資産の目減りによって、銀行との貸借で見れば債務超過になっておったということだと思うんですね、ほとんどの企業は。債務超過になっているがゆえに新たに金を借りられない。

 したがって、どうすればいいかというと、多くの企業は借入金の返済というものを利益の利用率の一番に上げる、利益は全て借入金の返済に充てるということをやっていきましたので、九三年、四年、五年、六年、七年とずっと銀行は金を返済し続けられて、当時、企業は約五十兆円ぐらいの金を銀行から短期、長期、中期で借りていたんですが、それの返済がどんどん始まって、返済の方が多くなっちゃった。銀行というのは、金貸しですから、金を借りてくれるやつがいなかったら成り立たない職業ですから、金を借りずに、どんどん返されたら成り立たないということで、銀行が倒産し始めたのが九六、七、八年、あの辺のころだったと思うのです。

 それをうまいこと結果的に救うことになったのが、銀行から金を借りてくれた人がいた。それはすなわち、政府が国債という名で年間三十兆円ぐらいなものを借りてくれたがゆえに、結果的に銀行は倒産することをせずに済んだというのが、多分もうしばらくすると歴史家が言うんだと思いますけれども、そういう評価になるんじゃないのかなと私は思っています。

 したがって、日本の場合、企業はどうしたかといえば、じいっと持っていた。デフレなんていまだかつて、さきの戦争で負けてこの方やったことがないものですから、経営者の人たちも、インフレの経験しかない人はわけがわからないから、じいっと持っていた。設備投資しようにも、何が売れるかわからぬ、給料は、みんな、そこそこ払っていればもうこれ以上いいじゃないか、配当も、そこそこ、一割配当すればというので、じいっと持っていて、気がついてみたら、二〇一二年度に三百四兆円だったか、何かものがたまりにたまってしまったんだという結果論が、そこまでたまっちゃったんだと思っています。

 私は、やはりデフレではありませんよ、インフレになるんですよ、あなたの持っていた金はこれから毎年二%ずつ目減りしていくんですよというような意識の変革が経営者に起きない限りは、経営者はなかなか金を使おうとはしないと思いますので、二%のインフレターゲットというのは決して間違っていないと思っています。

 もう一点は、企業が新しいものに対してイノベーションを起こして何とかしていくということをやっていくのには、やはり経営者の意識も、きちっとした経営を、ただじいっとしていたらもうかっちゃったなんというのは、それは経営じゃありませんよ、そんなもの。少なくとも、何らかの新しいリスクをとるんだと思う。

 だから、例えばイノベーションというと難しく言うけれども、よく例に引くんですけれども、大阪紡績、今はなくなりまして、たしか東洋紡というのだと思いますが、世界で最初に最大のイノベーションをやったのは多分東洋紡だと、世界の経済産業の歴史を知っている人なら必ず言うんだと思います。

 いとへんをやっていた会社ですけれども、この会社が世界で最初に工場の中に電気を採用したんです。当時はランタンというかランプしかなかった時代ですから、当然、二直、夜中の二交代はできなかった、下手すれば燃えちゃうから。したがって夜はできなかったんですが、大阪紡績というところは、明治十二年にエジソンだか誰かが電気を発明した二年後か四年後かにはもう既に電気を採用しております。結果的に、これで二直ができるようになった。二直というのは生産率が倍に上がったわけですよ。これにまさる生産効率なんかは二つとありません。これが世界一と言われるイノベーションなんですよ。最も安いイノベーションですよ、僕に言わせれば。

 結果として、これは偉大な発明、発見と僕は思います。これは一工場の人が考えただけのことなんですけれども、エジソンは有名だけれども、この大阪紡績の方は、知っている人なんか大阪には一人もいませんから。

 だから、そういった意味では、私は、日本というのは、こういったところが日本の持っている強みなのであって、今後とも、そういったものをきちんとやっていくようにしていくのが、日本としての、国としてのあるべき方向なんじゃないのかなと思いますので、こういった新しい中小企業の何とかというようなものは、思わぬもの、おっというものが出るのであったら、それを、よくやったといってわあっとやる。そういった姿勢、そういった雰囲気というものが国の中にないと、日本という国はなかなかやっていきにくいだろうなという感じが、私の率直な実感です。

田沼委員 時間となりました。

 御見解は、本当に同じです。ぜひ、わくわくするようなイノベーションの生まれる国づくりを、財務省としても応援していただきたいと思います。

 いろいろほかの分野もあるんですけれども、時間がなくなってしまいましたので、また改めてやりたいと思います。

 ありがとうございました。

林田委員長 次に、鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 鈴木であります。

 けさ方御提案をいただきました国税二法に関して質疑をさせていただくわけでありますが、ぜひ、これは委員長にもお願いを申し上げたいんですが、提案即審議ということではなくて、しかるべき時間を置いて熟議をさせていただきたいなというふうに思っておりますので、そのことを申し上げて、質問に入りたいというふうに思います。

 まず、今回の所得税法の一部改正の方で、やはり問題が何点かあるんですが、その中の一つは、復興特別法人税の一年前倒し廃止ですね。前倒しして廃止するということが提案されておる。ここがやはり、私は、一つ、問題のポイントではないのかなというふうに思っています。

 昨年十月に、消費税率引き上げという判断をされたわけでありますが、そのときにこういうふうにおっしゃっているわけですね。「足元の経済成長を賃金上昇につなげることを前提に、復興特別法人税の一年前倒しでの廃止について検討する。」このことを閣議決定したということでございます。

 その検討に当たって、三つの点をおっしゃっているわけですよね。「税収の動向などを見極めて復興特別法人税に代わる復興財源を確保すること」、そして二つ目として、「国民の理解、なかでも被災地の方々の十分な理解を得ること」、三つ目には、「復興特別法人税の廃止を確実に賃金上昇につなげられる方策と見通しを確認すること」等を踏まえるということでございます。

 繰り返しになりますけれども、こういうことを前提に、この一、二、三を前提に消費税の引き上げの判断をされた、これについては、確認でお尋ねしますが、大臣、間違いないですね。

麻生国務大臣 今、最初の質問と後半の質問の趣旨が違っちゃっているんですが、消費税の話、復興特別法人税の話、どっちですか。(鈴木(克)委員「復興特別法人税」と呼ぶ)復興特別法人税の話ね。

 復興特別法人税の話ですけれども、これは、御存じのように、今後の被災地の経済復興のためには、もう当然のこととして、経済を成長軌道に乗せておくということは絶対の条件なんだと思っております。

 したがいまして、復興特別法人税の廃止というものは、足元のいわゆる経済成長を賃金の上昇のきっかけにするためにということで決定をしたものでありまして、法人に対して、復興にかかわる負担のかわりに、賃上げを通じて被災地を含む日本経済の再生のための役割を果たすように求めるというのが大前提であります。

 それに伴って、総理以下我々は、経団連はもちろん連合を含めていろいろ話をさせていただき、昨年の十二月二十日の日には、連合を含めて政労使の三者の間で話し合いができて、文書の交換というところまで至ったんだと思っております。

 いずれにしても、産業界への賃上げの要請というのをやってきておりますけれども、我々は強制的にそれを命ずる立場にあるわけでもありませんし、そういう国柄でもありませんので、私どもとしては、この方向に沿って、ぜひ、この春の春闘においてしかるべき形のものが出てくるということを心から期待しておるところであります。

鈴木(克)委員 そこで、この三つの前提で進められておるわけでありますが、具体的には、二つ目の、被災地の方々の十分な理解を得るということについてお尋ねしたいと思うんですね。

 これはたびたび質疑が行われておりますけれども、先日の本会議で根本復興大臣が、被災地における復興財源を確保することを説明して理解を求めてきたというふうに答弁されたわけですね。

 しかし、政府として、復興財源が確保できれば、それで被災地の方々の理解を得たというふうな判断をされておるということなのか。そこのところをもう一度お聞きしたいというふうに思います。

麻生国務大臣 話はそんな単純な話じゃないので。

 復興特別法人税を前倒しすることによって復興関係の財源が減るという御心配をいただくということが起きないようにするために、そこはきちんと確保しておくということが最低条件だという話は財務大臣として申し上げておりますし、きちんとした対応は、その形にしておく、これは当たり前の話なのであって、その他いろいろな話を現場で詰められるというのは復興大臣の担当かと思いますけれども、そこはきちんと御自分でされていかれると存じます。

鈴木(克)委員 それで、ここで、復興の基本方針ということをどのように受けとめてみえるかということでお聞きしたいんです。

 「復旧・復興のための財源については、次の世代に負担を先送りすることなく、今を生きる世代全体で連帯し負担を分かち合うことを基本とする。」これがいわゆる復興の基本方針であります。

 したがって、今のお話とこの復興の基本方針について、改めて、大臣がどのように考えてみえるのか、御見解なのか、お聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 これは、そこに書いてあります基本方針まさにそのものでして、少なくとも、百年に一遍とか千年に一遍の大震災、大津波ということによって多くの方々の生命がなくなり、また家屋、財産等々が失われ、多くの方々が傷つかれた状況というものは、これは世界じゅうで配信をされ、昼の最中でしたから多くの方々が目に焼きついておられるところだとは存じますけれども、加えて、そういった状況というのはかなり後に残っていることは事実ですので、心理的なトラウマはもちろんのこと、家屋また財産等々いろいろな意味のものが間違いなくそこで傷んでおりますので、それを多くの方々で、みんなで分かち合って頑張っていかないかぬという気持ちがその言葉だと思っております。

鈴木(克)委員 いずれにしても、復興の基本方針にあるように、「次の世代に負担を先送りすることなく、」ここがやはり一番のポイントだというふうに思っていますので、今、大臣もそういった御認識のもとで、そこの部分が大事だというふうにおっしゃっておるわけです。ぜひひとつ、そこのところをこれからも注視して進めていただきたいというふうに思います。

 次に、先ほど申し上げた三つ目の、賃金上昇についてお伺いをしたいんです。

 与党の税制改正大綱で、「地方の中小企業等への効果を含め、賃上げの状況についてフォローアップを行い、公表する。」このようになっています。このフォローアップの具体的な方法、範囲、時期、そしてまた公表する内容等、現在想定されている範囲でひとつ御答弁をいただきたいと思います。

    〔委員長退席、菅原委員長代理着席〕

麻生国務大臣 賃金の上昇について確実な成果を得るため、これは経済産業省が主たる担当なんですけれども、引き続き、経済界に対して徹底した要請を行うなどの取り組みを行うとともに、地方の中小企業などには特段の注意を払いつつ、賃上げの状況についてはフォローアップを行い、公表するなどの取り組みを行っていくものと承知をいたしております。

 今申し上げたのは、これは何も経産省だけの話ではなくて、その地域におけます団体等々は皆それに関与しているところだと思いますので、農林省にしても財務省にしても、皆それぞれ所管を抱えておりますところを、建設省、皆それぞれの仕事を抱えておりますので、そこらはみんなでフォローアップをしていかねばならぬところだと思っております。

鈴木(克)委員 確かに、消費税を上げるときに三つの判断をした。そして、その中の主要な部分が復興特別法人税の一年前倒し廃止。そして、その影響というのが、賃金の上げだとか、それから次の世代に負担を先送りすることのないようにと。私は、これはいずれも関連をしておることで、まさにそれが今回の政府からの、大臣の御提案の要諦だというふうに思って、御質問をさせていただいておるわけであります。

 さらに、また消費税引き上げの判断の閣議決定の文章にこだわるわけでありますけれども、賃金上昇につなげることを前提に復興特別法人税の廃止を検討するというふうに最初はおっしゃっておったわけですね。これは去年の十月の段階です、消費税を上げるときの話です。その後、十二月に好循環実現のための経済対策というのを出されたわけですが、そのときは、賃金上昇につなげていくきっかけとするため、そのために廃止、こういうことなんですね。

 言葉にこだわるわけではありませんけれども、前提というのときっかけというのとでは、やはりこれは私は本質的に違うというふうに思っておるんですね。

 そこで、この閣議決定文書の表現も、安易にすりかえたかどうかはともかく、いずれにしても、前提からきっかけに、ある意味ではトーンダウンしておるということもあります。本当に、こういうような考え方で果たしていいのだろうかということが一つあります。

 それから、もう一つは、税率引き下げによる賃金上昇の実効性を、私はわかりませんが、どちらかというと、大臣は本当にそれでいいのかなというふうに疑問視をされておったやに私は見ておるわけですが、そういう意味においても、この一連の動きについて大臣はどのように今お考えになっておるのか、そこのところをお聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 前提ときっかけの話は、単語は違うのかもしれませんけれども、意味しているところは私どもとしては同じことで、これをきっかけにして賃金のアップにつながればいいと思っておっただけのことであります。

 それから、賃上げについて確実な成果を得るためということで、経済産業省においては、地方の中小企業等には特段の注意を払いつつ、賃上げの状況についてといって細かく書いてありましたので、私どもとしては、その方向で事は進みつつあるということだと認識をいたしております。

鈴木(克)委員 もうちょっとこだわってお聞きしたいんですが、確かに前提ときっかけというのは言葉の問題だというふうにお考えになるかもしれませんけれども、二十六年度の課税を前倒しして廃止するということですよね。今年度中に賃金上昇の確認ができなければ、私は前提にはならないんじゃないかなというふうに思うんです。

 仮に前提とするならば、平成二十六年度の実績を、要するに、賃金が上がったかどうかの確認をした上で、例えば賃金を上げた企業に対してのみ軽減とか免税とかそういったことをするというのが本来ではないのかなというふうに思うものですから、そこにこだわっておるということなんですが、その点、どうなんでしょうか。

麻生国務大臣 それが一つの縛りの条件みたいに考えておられるんでしょうけれども、私どもとしては、全体の流れとしてそういった形で事は進みつつある、そのように思っております。全体として、企業の内容、業績もよくなってくるのに伴って賃上げという方向に進みつつある、そういう方向に行かせるべきで、それが全体を押し上げていくことだ、私どもはそう思っております。

鈴木(克)委員 この点はこれぐらいにしておきますが、何でこんなにくどくど伺うかというと、要するに、賃金上昇に結びついていっていないんじゃないか、また、いかないんじゃないかということがあるものですから、本当にこの方針でいいんでしょうかということを繰り返し伺っておるということを申し上げておきたいと思います。

 次の質問に入ります。

 二月十四日、先日の本会議で、大臣は、経済再生が財政健全化を促進し、財政健全化の進展が経済再生の一層の進展に寄与するという好循環を目指して、経済再生と財政健全化の双方の実現に取り組んでいくというふうにおっしゃいました。

 これは、法人実効税率の引き下げと財政再建という意味合いにおいてお伺いをしたいと思うんですけれども、そういうことで、企業減税の実施による経済効果と財政健全化目標達成への寄与ということの観点で、御質問を二、三させていただきたいというふうに思うんです。

 この点は、今般の税制改正法案の中で、各種の企業向けの減税と復興特別法人税の前倒し廃止による減収額の総額は約一兆円というふうに言われております。このことは、今申し上げたように、経済効果と財政健全化目標達成に対してどういうような形で寄与ができるというふうにお考えになっておるのか、そのところをお尋ねしたいと思います。

麻生国務大臣 基本的には、景気がよくなるということは企業収益が上がる、企業収益が上がるということは自動的に法人税がふえる、法人税がふえるということは政府にとりましては税収増につながるということで回転していくんだと思っております。

鈴木(克)委員 少しお話をさせていただきますけれども、法人課税については、今、政府の税制調査会において議論が行われている最中だというふうに思っております。この税率を引き下げる場合の財源確保策についてはどのような方策が考えられるかということで御質問したいと思うんです。

 例えば、与党の税制改正大綱で示されている、課税ベースの拡大等によっての対応ということでありますけれども、各種の租税特別措置の見直しなどが想定をされております。ただ、その中で、先ほども議論が出ていました研究開発税制、平成二十四年度の法人税関係の租税特別措置減収額では、約一兆円の減収額のうち、その四〇%程度を研究開発税制が占めている、こういう状況でございます。

 この税制は、厳しい国際競争に直面する企業の技術開発力を高めるための支援策として、昭和四十二年度の税制改正で創設をされて以来、数次の拡充が行われていた。今般の税制改正法案では、日本再興戦略において、民間研究開発投資を今後三年以内に対GDP比で世界第一位に復活することを目指すというふうにされておるわけですね。したがって、そうなるとさらなる拡充策が考えられていくわけであります。

 そうして見ると、この研究開発税制を縮減するというのは非常に難しい。では、その他の、いわゆる適用件数が少ない租税特別措置を見直したというふうにしても、財源確保策としての寄与といいますか貢献の割合というのは低いんじゃないかなというふうに思います。

 大臣は、租税特別措置のみではなくて欠損金の繰越控除制度の見直しにも言及をされておる、このように伺っておるわけでありますが、いずれにしても、我が国の制度は、欧米主要国と比較して、控除額や控除期間が非常に厳しい状況である、このように理解をしております。

 そういったことで、法人実効税率の引き下げと財源確保に対する見解をもう一度大臣にお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 法人課税の改革につきましては、これは先日総理が答弁をされたものと同じですけれども、日本という国の産業構造も含めた大きな議論を行っていかないと、法人実効税率、それだけ見ていると話が非常に矮小化されますので、全体的なものを見た上で、グローバルな経済の中で我々は競争をしていくわけですから、その競争等を考えながら検討していく必要があるんだという大前提があろうと存じます。

 その上で、今後、私どもは、税制調査会の中において法人実効税率のあり方を考えるに当たっては、これは間違いなく、課税ベースのあり方、課税ベースのあり方の中には先ほどちょっと触れられました、いわゆる繰越欠損金の先延ばし、五年が七年、七年が九年となってきたこの点につきましても、また、政策効果の検証ということで租特、租税特別措置の効果があるのかないのかという話を先ほど他党の方がしておられましたけれどもその点とか、また、ほかの税目との関係とか、そういったことについて検討していく必要がある、私どもはそう思っております。

 したがいまして、総理も国会で、アカデミックなアプローチでしっかり検証を行ってほしいということを答弁されておられますが、私としても、これは専門的な見地から税制調査会においてきっちりした議論を進めていただくということが大変重要なところだろうと思って、思いつきで言うのは簡単ですけれども、これはもうきちっと、一つ一つ全部詰めていかないといかぬのだろう、私どもはそう思っております。

鈴木(克)委員 繰り返しになりますけれども、先ほどおっしゃった経済再生と財政健全化、まさにこれが両立をしていかなければならないということであります。

 したがって、私が申し上げたいのは、企業減税のみが先行して、いわゆる個人への波及効果が及ばないということになれば、これは消費税増税と相まって、せっかく上向きかけた、上向いたかどうかはわかりませんが上向きかけた景気の腰を折るようなことになってしまうのではないかということであります。そうすると、先ほどまさに大臣がおっしゃった、結果的には財政健全化が極めて厳しくなってしまうということでございます。

 したがって、そういった事態を回避するために、政府はより柔軟かつ迅速な対応を、やはりスピーディーということは非常に重要だと思いますが、そういった対応を私は期待しております。

 大臣、何かこのことについて御所見があればお聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 それは、鈴木先生、我々も基本的に同じでして、企業だけがよくなってもだめです。企業の内部留保だけが厚くなってはさらにだめです。少なくとも、企業が内容がよくなったら、よくなった分だけ、配当に回るか、設備投資に回るか、賃金上昇に回るか、そういったきちんとした方向に企業の収益というものが散っていって初めて国全体としての経済力の向上につながっていくと思っております。

 今、鈴木先生がおっしゃったように、一つの減税が及ぼす影響というものに関しましては、個人にとりましても、企業にとりましても、消費者にとりましても、皆それぞれ影響が出るところなのであって、それがどのような形で広く伝わっていくかというのは、それはその国の国力はもちろんのことですけれども、国益に資する非常に大事なところだと思っておりますので、私どもは、その点が一番注目しておかねばならぬところだと思っております。

鈴木(克)委員 いずれにしても、経済再生そして財政健全化というこの二つをやっていくというのは、本当に大変な命題を乗り越えていかなきゃならない。ある意味では、日本の今置かれておる宿命だというふうに思っていますので、ひとつ大臣の指導力をしっかり発揮していただいて、頑張っていただきたいというふうに思います。

 次に、交際費課税の見直しということでお話を伺いたいと思います。

 この改正については、大臣が、ある意味では提案をされたというか、こだわってみえたというのかよくわかりませんが、そういったふうに伺っております。企業の交際費に着目をして、そして結果的には消費を活性化していく、こういうふうな目的というか、そういうふうにお考えになっているというふうに思うんです。

 問題は、企業が交際費支出を増加させることによって、例えば飲食店などの売り上げが伸びて、消費税増税の影響を緩和する効果に期待をする、こういうことだろうと思うんですが、一方で、民間の調査によりますと、交際費の今後の支出について、ふえそうだと答えたのは一三・七%。そして、六八・三%は変わらないだろうというふうに答えておるわけですね。それから、減りそうだという回答も一七・九%あったというふうになっています。

 今春の賃金交渉での賃上げの動きが広がっているわけですけれども、交際費の増額まで企業が支出を広げるかどうかというのは、非常に多くのビジネスパーソンが慎重な見方をしておるわけです。このことについて、大臣はどのような御所見でありましょうか。

    〔菅原委員長代理退席、委員長着席〕

麻生国務大臣 基本的に、どういう人がどういう資格でどの程度詳しく調査されたかという前提がわからない話にはつき合えないんですけれども。

 私どもとして、少なくとも、昨年の中小企業の交際費課税でやった結果をその人たちがどのように評価しておられるのか、ぜひ聞いてみたいと思うんです。あのころも、今ごろはほとんどだめだと言っておられたじゃないですか。それが、結果として、えらいよかったと言っておられる方は同じ人ですから。私はそういう方たちとばかりしょっちゅうつき合いますので、両方これだけころころ言える人たちはうらやましい人だな、議事録をとられるこっちと比べれば楽なものだ、いつもそう思ってその人たちとしゃべるんです。

 今回もそれをどういう人たちが言っておられるかは存じませんが、少なくとも、先ほどどなたかが言っておられたように、内部留保金三百四兆円というものが、その分のうち何十兆かが出るということになれば、それはそれなりの消費が喚起されるということになっていきますから、それは間違いなくそれだけの波及効果はある。内部でじっとしているよりはよほど金が動いているということですから、私どもにとっては非常にそれだけでも効果があると思っております。

鈴木(克)委員 ちなみに、これは日本経済新聞社とNTTコムリサーチの共同によるビジネスパーソンを対象にした交際費に関する意識調査ということでございます。申し上げておきます。

 次に、与党の税制改正大綱では、「こうした政策税制については、その政策効果について事後的にしっかりと検証を行うなどによりその有効性や必要性について国民の理解を得ることが重要である。」というふうに言われておるわけですね。これは当然のことであります。

 そこで、活用すべき一つのツールとしては、いわゆる租特透明化法による適用実態調査というのがあると思います。

 それで、交際費課税については、その調査対象とは実はなっていないんですね。どういうふうになっているかというと、増収を伴う措置として整理されているということであります。ただ、昭和二十九年度に創設されたものでありますので、もはや恒久的な減税措置と言っても私は過言ではないというふうに思っております。

 この調査対象となっていない理由を、事務方の方で結構ですけれども、おわかりになればお聞かせをいただきたいというふうに思います。恒久的な減税措置と言ってもいいのではないかということなんですが、なぜこの調査対象になっていないのか。租特透明化法の適用実態調査に入っていないということなんですね。わからなければ結構ですけれども、いいですか。

田中政府参考人 租特透明化法をつくりますときに、その対象をどうするかということにつきまして、当時、民主党政権でございましたけれども、いろいろとお話し合いがありました。

 例えば、個人の租税特別措置というのがあるんですけれども、所得税の、これは除こうという話がございました。その中で、たしか、いわゆる増税になるもの、租税特別措置があるがゆえに増税になるもの、これを除くことにしたことによりまして、交際費の課税問題というのは、法人税の本法で課税にしているのではなくて、租税特別措置で課税にしているものですから、その分がたまたま落ちているというだけでございます。

鈴木(克)委員 私は、やはり恒久的な減税措置と言ってもいいんじゃないのかなというふうに思いますので、一度また御検討をいただければというふうに思っています。

 それから、もう一つ別のツールとしては、総務省がやっておる政策評価というのがあります。

 これは、総務省の租税特別措置等による政策評価の点検結果が十月二十五日に出されたんですが、経済産業省からの交際費課税の延長に対して、総務省は、その合理性や有効性に関して分析、説明が不十分というふうに指摘をしておるわけであります。

 くどくなりますけれども、中小企業にだけ認められていた特例措置を拡充するということで大企業の接待交際費の支出にまで認めるといった内容が提案をされておるわけですが、接待という名目で例えば飲み食いをした費用の半分まで課税しないということでありますから、納税者の理解を得るための、そういった政策の効果の検証はもちろんやらなきゃならないし、検証結果を広く国民にやはり示すべきではないか、このように思うんですが、いかがでしょうか。

田中政府参考人 御指摘のとおりだと思います。

 この制度が導入された後に、実際にどの程度の企業がどういうふうにこれを利用するかということにつきまして税務申告のデータがございますので、それがまとまった段階で、私どもとしても世の中に状況を御報告することができると思っております。

鈴木(克)委員 ぜひひとつ広く国民に示していただきたい。これはやはり非常に重要な指標の一つになってくるのではないかなというふうに思います。

 それから、先ほどちょっと申し上げたんですが、租特透明化法による適用実態調査についてお伺いをしていきたいというふうに思います。

 昨年の第百八十三回国会以降、いわゆる租特透明化法に基づいて、適用実態調査の結果報告書が国会に提出をされておるわけであります。これは、減収効果のある法人税関係租税特別措置の適用を受ける法人に対し適用額の明細書の提出を求めて、その記載事項を集計した報告を毎年の常会に提出することを義務づけているということであります。

 去年、大臣は、これは初めて作成されたということもあって、「租税特別措置の効果の検証などにも有用であり、今後、年々蓄積する調査結果を活用して、不断の見直しに取り組んでまいりたい」という御答弁をいただいたわけでありますが、今般の税制改正法案の取りまとめに当たっては具体的にどのように活用されたのか、御答弁をいただきたいと思います。

麻生国務大臣 租特の見直し、租税特別措置のの見直しですけれども、これは、適用実態調査は参考としつつも、そこに示されておりますのは単に数字だけじゃなくて、制度の趣旨とか、経済とか社会とか、また地域などの状況や今後の見通し、そういったさまざまな要素を総合的に勘案するということをまずさせていただいております。

 例えば、今回の税制改正におきまして、適用件数が少なかった、いわゆる集積区域における資産の特別償却制度というのがありますが、これにつきましても、政策の有効性などを総合的に勘案して廃止をいたしましたほか、船舶の買いかえ特例制度につきましては、船舶の老朽化が進んでいる問題について対処するため、早期の買いかえというものを促すよう要件を見直すなど、適切に対応したところであります。

 この点につきましては、今までのものをいろいろ参考にしつつ、今後の利用に努めたいと思っております。

鈴木(克)委員 御答弁は求めませんけれども、非常にこれは、使い勝手が悪いと言うと言い方はおかしいんですけれども、比較検討が難しい部分があるんですよね。したがって、私は、ぜひもう少しわかりやすい資料にしていただきたいな、これは要望でありますけれども、そうしていただくとかなり実態がよくわかってくるということだというふうに思います。

 特に政府の方で見解があれば、使い勝手をさらによくしていくというようなおつもりがあるかどうか、それだけをちょっと聞かせてください。

田中政府参考人 法律に基づきまして納税者からいただいたデータをお見せするときの表のつくり方につきまして、いろいろと御指導いただきながら、工夫したいと思います。

鈴木(克)委員 わかりました。ぜひそういうふうな努力をお願いしたいと思います。

 それから、給与所得控除の見直しの影響ということでお尋ねをしたいと思います。

 本改正案では、サラリーマンの給与所得控除について、その上限を引き下げるというふうにされておるわけであります。これも与党の税制大綱の引用でありますけれども、このように書かれておるんですね。

 「現行の水準は、所得税の課税ベースを大きく浸食しており、実際の給与所得者の勤務関連支出に比しても、また、主要国の概算控除額との比較においても過大となっていることから、中長期的には主要国並みの控除水準とすべく、漸次適正化のための見直しが必要である。」というふうに書かれておるんです。そしてまた、「当面、特に高所得の給与所得者に係る給与所得控除の見直しを行う。」というふうにされたわけであります。

 給与総額に対する給与所得控除額の割合を見てみますると、平成二十五年度の予算ベースで三割弱というふうになっております。確かにサラリーマンの必要経費相当額としては高い割合となっているような印象も持ちますけれども、さまざまな業種がある中で、にわかには判断しがたいとも考えられます。また、各国のサラリーマン事情についても、その実態はなかなかわからないということでございます。

 まずは、実際の勤務関連支出はどの程度の水準にあると判断されているのか、また、我が国と主要国の比較に当たって、他国では実額控除制度というのもあるようでありますが、概算控除額のみを比較して課題としている妥当性について確認をさせていただきたい。

 そして、その上で、今般の見直しが当面とされているわけですが、今後の見直しの方針についてお答えをいただきたいと思います。

田中政府参考人 まず、御指摘をいただきました、勤務関係経費はどういう数字を念頭に置いているかということでございますが、家計調査の数字から、およそサラリーマンの勤務に関連する経費ではないかと思われるような支出を全部プロットしております。

 衣料品、身の回り品、床屋さんのような理容、洗濯、文具、新聞、書籍、小遣い、それから、つき合い費というのが項目であるので、これも入れ込んでおります。例えば、収入の五分類の一番上の年間収入の方々でいいますと、平均で四十七万三千円ということになっておりまして、収入に占める支出の割合が五%から一〇%ぐらいだろうということでございます。もう少し収入の低い人のところに着目すると、さらにその数字は小さくなります。

 こういう数字に比べますと、今現在の制度の給与所得控除はかなり過大であるというふうに考えておりまして、各国の給与所得控除の制度は、例えばイギリスには存在しません。それから、ドイツとかアメリカは、あるんですけれども、非常に低い定額の数字になっております。

 おっしゃるように、特別に積み上げて、個々人が自分はこういう経費がかかったと積み上げて申告する仕組みもございます。日本にも特定支出控除ということでありまして、こちらの積み上げて計算する方の仕組みにつきましては、今後、さらに中身を詰めて、さらなる充実ができるかどうかを含めて考える必要があると思っていますが、概算で引く仕組みを各国と比べますと、今申し上げたような感じになっているということでございます。

鈴木(克)委員 いずれにしましても、この改正案による影響というのを考えていきますと、本改正案の給与所得控除の見直しにより影響を受ける給与収入一千万を超える給与所得者は、全体の四%、約百七十二万人というふうに言われています。その給与所得者の税負担割合が、全体の四五%というふうに見込まれておるわけですね。つまり、所得税収の半分近くを四%の給与所得者が負担している、こういうことになるわけですね。

 この給与所得階級の方々の中には、教育費や住宅ローンのみならず、例えば介護費用なんかも膨らんで、非常に生活は楽ではないというような実態であるという意見も聞いております。

 消費税増税による消費への影響が懸念される中にあって、消費の最も盛んな層に対して増税を上乗せするのはちぐはぐな政策ではないか、こういうような指摘もあるわけでありますが、このような国民の皆さんの声を踏まえて、本改正案による影響について御答弁をいただきたいと思います。

田中政府参考人 お答えさせていただきます。

 税負担がどのくらい出てくるかということでございますけれども、例えば、給与収入が一千五百万円の場合でございますと、約十一万円の増加ということで、収入の〇・七%という影響でございます。それから、給与収入が五千万の方、非常に高い方でございますが、十四万円の増加ということで、収入の〇・三%の増加という内容になっております。

 それから、この制度は、実は、この間の消費税の引き上げが入っておりました税制抜本改革法の中で、この控除について、「給与所得者の必要経費に比して過大となっていないかどうか等の観点から、実態を踏まえつつ、今後、その在り方について検討する。」というふうになっておりまして、今回も、この二十四年八月の抜本改革法を踏まえて考えたということでございます。

 先ほどの御質問にもございましたが、今後どうしていくのかというのはまた今後その時々に考えていく必要があるとは思いますし、直ちにどんどん下げていくというようなことではないと思いますが、今の税制抜本改革法の考え方は、今申し上げましたように、「給与所得者の必要経費に比して過大となっていないかどうか等の観点から、」となっておりますので、この観点は維持をする必要があるというふうに思っております。

鈴木(克)委員 それでは、時間もあとわずかになりました。

 きょうは、総務省も、政務官に来ていただいていますので、地方法人課税の偏在是正措置というふうに言うべきかと思いますが、これについてお伺いをしたいと思います。

 財務省、そして総務省、一言ずつお伺いをしたいんですが、まず総務省。

 政務官、今回の改正について、総務省としてどういうふうな見解を持ってみえるのか。何が言いたいかというと、全国知事会は、ある意味では結構だと言っておるわけですよね。ところが、東京、神奈川、愛知のようなところは、これはぜひやめてもらいたいと言っておるわけですよね。そうすると、総務省の立場としては、この動きに対してどういう見解を持ってみえるのか。ちょっと聞かせてください。

伊藤大臣政務官 お答えを申し上げます。

 今回の税制改正、私ども、地方全体のありようを預からせていただきます総務省といたしましては、税制抜本改革法の規定を踏まえまして、地方消費税の充実による地域間の財政力格差の縮小を図るために、偏在性の大きい法人住民税法人税割の一部を地方法人税として国税化させていただきまして、その税収全額を地方交付税の原資に繰り入れることとしていますことについて、地方分権に逆行するという声もございます。それは承知をいたしておりますが、しかし、国税化される税収の全額は、地方の固有の財源である地方交付税の原資となるものでございますので、私どもといたしましては、地方全体として、地方税の充実を図りつつ、地域間の税源の偏在性を是正いたしまして財政力格差の縮小を図る今回の改正の内容につきましては、地方分権のさらなる推進に資することである、大変重要な改革であるというふうに認識をいたしております。

 以上でございます。

鈴木(克)委員 時間が参りましたので、終わらせていただきます。

 総務省としてはなかなか御答弁しづらいかもしれませんけれども、いずれにしても、心はやはり地方とともにある、それが総務省の立場でありますので、ぜひこれからも地方とともに、そして地方の苦労を少しでも理解する、そういう総務省であってもらいたい、このことをお願い申し上げて、私の質問を終わります。

    ―――――――――――――

林田委員長 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として財務省主計局次長福田淳一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

林田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

林田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 まず、委員会の運営の問題ですけれども、今回は、与野党合意のないまま、委員長が職権で委員会を立てたわけであります。これは議会の公平公正な運営、民主的な運営に反すると思いますので、厳しく抗議をしておきたいと思います。

 具体的に質疑に入りますけれども、まず麻生大臣に、今、政府税調あるいは経済財政諮問会議、こういうところで、法人税を下げたら税収が上がるか上がらないか、こういう議論をしていますけれども、なぜこんな議論をしているんでしょうか。

麻生国務大臣 日本がグローバル社会の中で競争していくに当たって、日本の法人課税がグローバル社会の中において不公平に高いのではないかという御意見が一部にあるからというのが大きな背景になっておると思います。

佐々木(憲)委員 高いかどうかというのは、客観的なデータできちっと検証する必要があると思います。

 それで、前提として、大事なことは、これまでの税制改正が一体どうだったのか、反省することはないのか、そういうことであります。

 きょうは、基本的なことからお聞きをしたいんですけれども、少し長いスパンで捉えてみたいと思うんです。

 まず、日本で今までで一番税収が大きかったのはいつか、その税収総額は幾らだったか、また、今年度補正後の税収総額は幾らか、数字だけお答えいただけますか。

田中政府参考人 お答えいたします。

 今までで一番一般会計税収が大きかったのは、平成二年度決算額六十・一兆円でございます。

 それから、二十五年度の補正後の予算の一般会計税収は、四十五・四兆円でございます。

佐々木(憲)委員 多かったときは六十兆円あったわけであります。今は四十五兆円ということですから、十五兆円、大変な税収の落ち込みであります。これは極めて異常ですね。

 日本の税制で一番大きな柱になっているのは、所得税、法人税、消費税、今三つであります。

 何が問題だったのかということで、それを考える前提としてお聞きをしますけれども、一番税収総額が多かった一九九一年ごろ、それぞれが税収に占める比率、これはどのようになっていたでしょうか。

田中政府参考人 お答えをいたします。

 一九九一年度の一般会計税収の決算に占めますそれぞれの税の割合でございますが、所得税が四四・七%、法人税が二七・七%、消費税が八・三%でございます。

佐々木(憲)委員 今のお答えのとおり、所得税と法人税、これが大宗を占めておりまして、合わせて七割を超えているわけであります。

 では、今の構成はどのようになっていますでしょうか。

田中政府参考人 お答えをいたします。

 今現在、二十六年度の、今回の一般会計税収の予算に占める割合でございますが、所得税が二九・六、法人税が二〇・〇、消費税が三〇・七ということになります。

佐々木(憲)委員 これは非常に大きな構成の変化が起こっておりまして、所得税、法人税は半分に落ち込んでいるわけですね。それにかわって消費税が倍増して、現在ではこの三税の中で一番多い。増税が行われた場合はそうなってしまうわけであります。

 そこで、税収がなぜ全体として落ち込んだか。その主要な要因は法人税と所得税の減収であります。

 まず、所得税についてでありますが、こんなに減った原因は一体どこにあるのか、お答えいただけますか。

田中政府参考人 平成三年度から平成二十三年度という比較をいたしまして、その間、法人税もあるいは所得税も下がっているわけでございますけれども、一つは所得税の減税がございます。それから、国税でございますので、税源移譲がございます。それから、もう一つの要因としましては、平成九年がピークだと思いますが、雇用者報酬の総額が落ちてきているというのが原因。それから、もう一つの最大の原因は、源泉分離課税で取っております利子とか配当あるいは土地のような若干資産性の所得がバブル期以降がたっと大きく落ちておりますので、この要因も大きいと思います。

佐々木(憲)委員 この間の所得税改革で一番注目されるのは、最高税率の引き下げが行われて、高額所得者に対する減税が行われたということであります。課税最低限を下げて庶民増税を行ったということがありますけれども、大臣、高額所得者減税というものが税収を落ち込ませた原因の大変大きな要因だったと思いますが、そういう認識はありますか。

田中政府参考人 ちょっと手元に具体的な数字はございませんけれども、いわゆる所得税の最高税率の引き下げが、先ほどの所得税収の引き下がりの中の大きな要因であるというふうには考えておりません。対象人数の問題もございますものですから、やはり先ほど申し上げました、所得税の地方への移管の問題、それから雇用者報酬全体が平成九年をピークに下がってきている問題等々の方が大きい影響があると考えています。

佐々木(憲)委員 確かに、この間、賃金がずっと下がってきているんですね。一九九七年をピークにしてその後一貫して下がり続けているんですね。庶民生活の大変大きな打撃が起こったわけです。

 それは、非正規雇用が大きくふえて全体として水準が下がったこと、それから、賃上げが行われなかった、むしろ賃金を下げながら企業の収益拡大を図った、そういうことで全体として所得が落ち込み、所得税の納付が下がってきた。それに合わせて、今言われたように、高額所得者の減税があった、また、地方への移管もある。そういう全体の構造の中で、所得税の税収がずっと落ち込んで、それが最近横ばいになっているんです。

 ところが、次に法人税の問題ですね。法人税はどうか。

 表面税率を見ますと、一番高いときは四三・三。それが一貫して、階段が落ちるようにどんどん下がっていっているわけです。今で二五・五でありますが、これは大変大幅な減税が行われたと言っていいと思います。その減税と景気の低迷も相まって、全体として法人税収が落ち込んだ。

 減税をしたということもその大きな要因だと思いますけれども、大臣はどのように認識されていますか。

麻生国務大臣 法人税の減税をした大きな背景は、国際的な競争の中にあって、法人税率が高いというのは国際競争上いかがなものかという御意見が非常に多かったというのが大きな背景だったと記憶します。

佐々木(憲)委員 それは理由の説明であって、法人税を下げたことが税収が減ってきた原因であるということは事実だと思うんですね。

 そこで、先ほども少し議論があったようですけれども、二百五十七万社、現在日本には法人がありますね。赤字法人は基本的には税金を払わない、こういうことであります。欠損企業、すなわち赤字企業は、一九九一年は一体何社あって、それが全体に占める比率はどうだったか、現在はどうなっているか、数字をお答えいただきたいと思います。

田中政府参考人 お答えをいたします。

 国税庁の調査によりますと、いわゆる欠損法人の会社の数でございますが、平成三年分におきましては、百十万二千六百八十九社、これが全法人に占める割合が四九・七%ということでございます。それから、二十三年度が一番直近のデータでございますが、これは、欠損法人の数が百八十五万九千十二社ということで、全体に対する割合が七二・三%となっております。

佐々木(憲)委員 平成三年度で、赤字企業は半分ですね。現在は、七二・三%ですから、七割を超えているわけであります。非常に赤字企業の数がふえているということですね。それが法人税収が落ち込んでいる原因の一つなんです。

 同時に、重視しなきゃならないのは、黒字の企業でも税金を納めなくていい、こういう仕組みがありますけれども、これはどういうものがありますか。

田中政府参考人 幾つかの租税特別措置がございますけれども、一番大きなものは、いわゆる租特と言われるもののほかに、欠損金をつくって、過去赤字だった企業の欠損金の繰越控除制度というのがございまして、これで、黒字の法人もその分を抱えておれば、一定の条件はございますけれども、黒字を消すことができるというものでございます。

佐々木(憲)委員 もう一つは連結納税制度だと思いますが、いかがですか。

田中政府参考人 これは、法人課税をどの単位でかけるかという議論でございますので、先ほどのものとはちょっと違いますけれども、連結制度がないときに比べると課税ベースが落ちていることは事実でございます。

佐々木(憲)委員 連結納税制度は、企業グループがあって、赤字企業、黒字企業、それをあわせて相殺すれば、黒字でも事実上税金がかからない、そういう仕掛けになっているわけですね。

 まず、欠損金の繰越控除でありますけれども、例えば平成二十三年度の実績で、これはどれだけ減税が行われたか、金額を示していただきたい。

田中政府参考人 お答えをいたします。

 欠損金の繰越控除制度によりまして、平成二十三年度の実績でございますが、国税についてお答え申し上げますと、現時点における税率が、大法人で二五・五%、中小法人で二三%ですけれども、欠損金の繰越控除額にそれぞれの税率を乗ずることによりまして、税収ベースで二・三兆円、そうでなかったときに比べて税収が少なくなっているということでございます。

佐々木(憲)委員 これは大変大きな減税でありまして、二・三兆円という規模ですね。

 今回、この適用期間を七年から九年に延ばすという提案を行われておりますけれども、これでさらに幾らの減税効果があるんでしょうか。

田中政府参考人 これは、今回の制度改正、今お願いしております法律の中ではございませんで、何年か前の法律改正で行われたと。

 数字については、今調べてお答えします。

佐々木(憲)委員 この連結納税制度も、黒字でも減税を受けるという仕組みになっておりますし、それから欠損金の繰越控除という制度も、過去の赤字で黒字を相殺する、そういう形で九年間減税が行われるというわけであります。こういうものを利用すると、大きな会社の場合は、特にその利用率が高いわけでありますけれども、大変な減税になるわけです。

 このほか、課税ベースを狭めているものとしては、研究開発減税あるいは受取配当益金不算入などさまざまなものがあります。

 そこで、全体として聞きたいんですけれども、本来の課税ベースというのは一体幾らなのか、それをいろいろな制度によって狭めているわけです、それを狭めているのは一体どのぐらいなのか、お答えいただけますか。

田中政府参考人 課税ベースのデータそのものというよりも、税収ベースに直してお話をしたいと思います。

 二十三年度の会社標本調査、国税庁が行っている調査がございますけれども、それから計算をいたしますと、お話のございました欠損金の繰越控除制度あるいは租税特別措置あるいは連結納税あるいは受取配当の益金不算入というような制度によりまして、約四・五兆円、法人税収ベースで税収がその分だけ小さくなっているということでございます。法人税収は約九兆円ぐらいということでございます。四・五兆円の税収の減少を経た上で、法人税収が九兆円弱ぐらいになっているということでございます。これは二十三年度のベースでございます。

佐々木(憲)委員 法人税収が約九兆円と言いましたね。減収分が四・五兆円というわけですから、本来なら、この四・五兆円は増収になって、十三・五兆円ぐらいの規模の税収があるべきものなんですよ。それを幾つか、いろいろな理由をつけて、課税ベースをだんだん狭くしている。したがって、課税ベースが小さくなれば税収は上がらないわけですね。

 それから、全体としていいますと、赤字法人が非常にふえてきております。半分だったのが、今は七割以上が赤字法人。課税の対象が狭まると同時に、対象となる企業が少なくなっていく。法人税収がそういう形で落ち込んでいっているわけであります。

 そのため、これは大変な落ち込みになってきておりますから、一体これでいいのかどうか、適切な課税というものがやはりあるのではないか、こう思うわけです。

 仮に、消費税が導入された一九八九年の税制を基準にしてその後の法人税の減収分を合計すると幾らになるか、数字をお聞かせいただきたいと思います。

田中政府参考人 平成元年度、一九八九年度の法人税の税制を基準にいたしましてその後の法人税の減税分を合計すると幾らになるかという機械計算をすることになりますが、法人税の減税の税収に与える影響額についての一つの試算といたしましてやる必要がありますが、平成元年から平成二十三年までに実施されました法人税の改正による増減収見込み額、これを単に機械的に試算をいたしますと、合計で約六十兆円程度というふうになるものだと思われます。

佐々木(憲)委員 では、この間、消費税の導入それから増税というのが行われまして、全体として消費税の総額は今までに幾らになったでしょうか。

田中政府参考人 これも機械的な計算でございますが、消費税を導入いたしました平成元年度から平成二十六年度、今回の予算までの消費税収、一般会計分の額を全部機械的に合計いたしますと、二百二十七兆八千億というふうになります。

佐々木(憲)委員 消費税の方は、総額としては約二百二十八兆円、これだけの増収になっているわけですけれども、法人税の方は、今、減税のところだけ機械的に足したら六十兆円、こういうわけですね。

 簡単に言うと、これは、消費税で国民から取り上げて、その税を法人税の減税に回している、こういう感じになっているんじゃありませんか、大臣。

麻生国務大臣 数字が合っているからといって、それが全ての背景とは思っておりません。

佐々木(憲)委員 一方では増税、一方では減税というわけでありまして、国民の方は何か搾り取られるだけで、企業の方はどんどん減税が行われる、それもいろいろな理由をつけて行われているわけであります。

 この間の法人税の、全体の税収が六十兆円のときから今までの間の法人税の減収分、これを全部足すと幾らになるか。その数字は出ますでしょうか。

田中政府参考人 済みません、おっしゃっている意味が、法人税の税収が一番大きかった時代から見て、今までの毎年の法人税の落ち込みを全部足していくとどのぐらいになるかということなんだろうと思うんですが、急に私も目を通したものですから、間違っていれば後で訂正させていただきますが、平成元年から平成二十三年までの分をそういう意味で計算いたしますと、二百八兆八千億というふうに出てくると思います。

佐々木(憲)委員 そういうことなんですね。

 そうしますと、二百二十七兆八千億、消費税が課されて、この間、増収があった。これは単に減税措置ということだけではありませんけれども、法人税の減収分を合計すると、二百八兆八千億、こうなるわけですね。ほぼ見合うぐらいの形になるわけで、我々は、これはやり方としては極めて不平等で不公平ではないかというふうに思うわけであります。もうこれ以上法人税を下げる理屈は成り立たないと私は思うんですよ。

 ところが、安倍総理は、ダボス会議で、異次元の税制措置を断行する、こういうふうに言っているんですね。異次元の金融緩和というのは聞いたことがありますけれども、異次元の税制措置、これは初めて聞きましたが、これはどういう意味ですか、麻生大臣。

麻生国務大臣 今までと次元が違うということを意味しておられるんだと存じます。

佐々木(憲)委員 どんな次元の違う税制措置なんですか。

麻生国務大臣 異次元という言葉がはやって、やたら使われるものが最近ふえていると思いますけれども、私に言わせると、今までとは異なっているという意味だと理解しております。

佐々木(憲)委員 何が異なっているんでしょうか。

麻生国務大臣 今までの税制の改革とは違っているという意味だと理解しております。

佐々木(憲)委員 安倍総理の頭の中には法人税の引き下げというのがあるのではないかと思いますが、それを大胆にやるというのが異次元の税制措置、こういう意味なんじゃないんですか。

麻生国務大臣 違うと思います。

佐々木(憲)委員 違うと言ったんですね。

麻生国務大臣 明言されておりませんので、違うと思います。

佐々木(憲)委員 異次元の税制措置という言い方をされている、こういうことで報道されておりますけれども、私は、これは法人税の減税ということで言われているとすれば、余りにもこれは飛びはねている、まさに異次元に飛びはねているというふうに思いますよ。

 最近は、言うに事欠いて、法人税を下げたら税収が上がると珍論を展開されているようでありますが、二月十九日の朝日、「経済気象台」というコラムがありまして、そこにこういうことが書いてあります。「法人税のパラドックス」というコラムですけれども、法人税引き下げを批判しておりまして、ここでは、欧州の事例を念頭に置きまして、法人税を下げたら法人税収は増大するというのは間違いだ、こう言っているんです。欧州では、法人税がふえたのは、税率引き下げとともに課税ベースの拡大を行ったからで、単純に引き下げたから成長というふうには言えない、こういうふうに指摘をしているわけです。

 麻生大臣、そういうふうに思いませんか。

麻生国務大臣 イギリスとドイツとスウェーデンの例を引いておられるんですか、それは。

 それはイギリスとドイツとスウェーデンの例を引いておられますが、同時に、フランスとアメリカの例も引いていただければ、その違いを御理解いただけると存じます。

佐々木(憲)委員 私も全くそのように思うんですね。

 二月二十日の経済財政諮問会議に民間四委員が配付した資料を見ますと、こう書いているんですよ。「法人税率を下げても税収が上昇した国での背景分析」、こういう項目がありまして、その背景分析をした国は、イギリス、ドイツ、韓国、この三つですね。フランスもイタリアも入っておりません、アメリカも。

 成長要因と制度改正による課税ベースの拡大が寄与。課税ベースが拡大していることが寄与しているというのが、この民間委員の資料の中にもイギリスの場合として書いてある。

 それから、ドイツの場合も、制度改正等による課税ベースの拡大が寄与と書いてあります。ですから、課税ベースを拡大するから一定の税収が上がる。それから、その背景に経済成長というのがあったんでしょう。

 それから、もう一点は、韓国の場合は、自営業者所得の伸びよりも法人企業所得の伸びが高いというふうに書いていまして、いわば法人成りというんですか、そういうことが起こっている。こういうものが背景にあって税収が伸びている、こういうことが書かれているわけなんですね。

 だから、法人税を下げたから税収がふえると単純に言うことはできないんじゃないかと思うんです。

 甘利大臣は、二月二十日の記者会見でこう言っているんです。経済成長をすれば法人税収は上がるということは間違いない、しかし、法人税の減税をすることによって、それが経済成長につながるというのは、いろいろな例があります、こう述べているんですね。

 麻生大臣にお聞きしたいんですけれども、経済成長があれば法人税収は伸びる、これは正しいと私も思う。しかし、法人税の減税をしたら経済成長するというふうに直結はしないのではないかというふうに思うんですが、いかがですか。

麻生国務大臣 一番わかりやすい例はレーガノミクスだと思います。レーガノミクスは、一回目やったときに大減税をやって、どうなりましたか。双子の赤字だったじゃないですか。レーガノミクスが成功したのは二回目です。二回目で大増税をやって、成功しています。一番いい思いをしたのは、その後のクリントンという大統領が一番いい思いをされた八年間だったと思います。その前の八年間は共和党の政策。いい思いがクリントン。私はそれが歴史だと思いますので、安易な減税が直ちに収益につながるというほど経済というのは簡単なものだと思ったことはありません。

佐々木(憲)委員 経済成長があったときは、一定の減税をしようが増税をしようが税収は上がってくる。しかし、経済成長がない場合は、何をやったって増収にはならない、法人税についてはそういうことだと思うんですよ。それを何か関連づけて、無理やり、法人税を減税したいものですから、いやいや、減税をしたら増収になる、昔何か聞いたことがある言葉でありまして、そうではないんです。この点では、一定の、麻生さんと私の間には認識の共有があります。

 だから、何か法人税をどんどん減税して、今やり過ぎですから、これは。余りにもやり過ぎですよ。もうこれ以上やる必要はない。むしろ一定の負担を求めるぐらいの、そういう姿勢に立つ必要があるというふうに思います。

 次に、四月から消費税を八%に上げるというわけですけれども、上げた場合には、先ほどの御答弁がありましたが、所得税、法人税、消費税、この構造が大きく変化をしまして、消費税が断トツ、第一位に躍り出るわけです。三〇・七%の比率を占めるようになる。三割を消費税で占める、これは、過去の、消費税導入以来の歴史初めてのことなんですね。

 この消費税の税収が最も規模の大きな税目となるのがこの四月以降であります、これが実行されたらですよ。我々はこれは反対ですけれども。庶民に大増税を押しつけて大企業には減税を行うというこれ自体が私は不公平だと思うんですけれども、経済の循環、景気の回復という点からいいましても、家計消費が全体のGDPの六割を占めておりますから、この六割を占めている家計にこういう増税を強行すれば、マイナスになるということは明らかじゃないかと思います。景気が落ち込んだら法人税の税収も落ち込みますから、そういうことになる危険性があるのではないか。

 麻生さん、どのようにお考えですか。

麻生国務大臣 今のお話ですけれども、法人税の減税によって大企業というものだけが潤っていてという感じで、低所得者やら中小企業者が負担のみを押しつけられているのではないかという御懸念に基づく御質問なんだと思います。

 二十六年度の税制改正においては、生産性の向上につながる設備投資の減税をまずやっていただきます。これが一番です。交際費課税の緩和、所得拡大促進税制の拡充、復興特別法人税の一年前倒し廃止など、企業行動を促すための税制を決定したところでありますが、これらは、基本的には、企業の収益力というものを高めるとともに、足元及び将来の企業収益というものの改善、そして個人の所得の拡大、そして消費の拡大につなげるという経済の好循環の実現を目指す上に行うものであります。

 したがって、個人にも企業にもこれがいろいろな意味でよい影響を波及させるということが狙いであって、大企業のみを支援するという御指摘は適切ではないと考えております。

 また、所得の低い方々に対しては、消費税率の引き上げによる影響を十分に緩和するために簡素な給付措置を講ずるなどなどをいたしておりますし、中小企業に対しましても、税制上の対応に加えて資金繰りの支援などの施策を実施するということは、もう御存じのとおりであります。

佐々木(憲)委員 急に何か書いたものを読み始めたんですけれども、これは、全体としていいますと、説明になっていないんですよ。

 つまり、一方で、消費税で庶民には大変大きな負担をかけるわけでしょう。

 設備投資減税は、これは設備投資をやる場合に何がきっかけかというと、需要があるかどうかですよ。需要もないのに設備投資してどうするんですか。それは、稼働率が下がって、かえってマイナスになるでしょう。誰が考えたってわかる。ですから、需要を喚起する、最終的な家計消費をどう喚起するかということなしに幾ら減税をやっても、減税したら何でも投資するかというと、そんなことはありませんから。それがまず一つですね。

 それから、交際費の問題。これも極めて限られていますよ。国民消費全体からいうと、極めて微々たるものです。

 そういうことをやったから何かうまくいくかのように言うけれども、全体でいいますと、消費税をどおんと増税しておいて消費をぴしゃっと冷やして、一部でちょろちょろっと企業にこういうサービスをやってみたところで、どれだけの効果があるんでしょうか。それが結果的には企業の収益をかえって落とすことになり、需要が落ちてしまいますから企業の収益も落ちて、それが悪循環になってくるという危険性の方が大きい、私はそう思うんです。

 中小企業にとっても今は非常に大変な時期でありまして、円安で輸入物価が上昇して原材料が上がって、非常に困っているわけです。燃料、資材、こういうものが製品価格に転嫁できないということで困っておりまして、中小企業にとってはこれが死活問題になっております。

 麻生大臣は、こういう今の資材の上昇、これがなかなか価格に上乗せできないという現状をどの程度御存じなんでしょうか。

麻生国務大臣 資材に、転嫁できているものとできていないもの、二つ、差があると思っております。

 セメント、今ではなかなか上がっていないものの一つですから、よくわかります。上がっているもの、同じく建築資材でもやたら上がっているものもあります。物によって随分差がある。

 私どもは、実質、現場にいたことがありますので、物によって非常に差がある、それは、力関係、流通の力関係、いろいろなものによって決まりますので、どれが答えというのがあるわけではないとは思いますけれども、物によって非常に差があるということだけは知っております。

佐々木(憲)委員 確かに、物によって差があるのは事実でしょう。

 ただ、今、例えば、日本商工会議所の昨年十一月の早期景気観測調査によりますと、原材料の上昇分をほとんど転嫁できていないという企業が六割あるんです。転嫁できていない分というのは、これは自己負担になると思うんですけれども、どう思いますか。

麻生国務大臣 自己負担になっているところをどう思うか、そういう意味ですか。おっしゃっている意味がわからないんですが、自己負担になるところをどう思うかという意味ですか。(佐々木(憲)委員「いや、自己負担になっていると思いますが、その現状についてどのように思いますか」と呼ぶ)

 自己負担になっています。したがって、企業はその分だけ収益が減っております。

佐々木(憲)委員 おっしゃるとおりですね。だから、自己負担になるから大変な事態になっていて、中には、原材料の高騰によって、もうやっていけないというところが出てきているということなんです。その上に今度は消費税が上乗せされるわけですよ、四月から実行すれば。

 消費税というのは、麻生大臣、誰が負担する税金だと思いますか。

麻生国務大臣 書いてあるごとく消費者です。

佐々木(憲)委員 では、その納税者は誰ですか。

麻生国務大臣 消費をされた品物を売った本人がその消費税を乗せて販売をしておりますので、消費税をいただいておるわけですから、その人が国に納める、その業者ということになろうと存じます。

佐々木(憲)委員 税を負担する消費者と、それから納税する者が分離しているわけですね。消費税というのは、間接税というのはそういう特徴を持っているわけです。したがって、事業者は、仕入れにかかった消費税分も含めて、販売するときに価格に上乗せするということが原則になっております。

 しかし、実態は、私、二月三日の予算委員会でも質問したんですけれども、茂木大臣はこう答えたんですね。

 政府が二〇一一年に中小企業四団体に依頼して行った調査で、売上高三千万以下の業者のうち、消費税を転嫁できないと回答したのは何割ありますかと聞いたことに対して、五%分を全部転嫁できているが三九・六、一部転嫁できているが二六・二、ほとんど転嫁できていないが三四・三%、こういうふうに答えました。今後消費税が引き上げられた場合、転嫁の見込みはどうか。全て転嫁できると回答する企業は二七・五%だけで、一部転嫁できると回答された方は三一・六、ほとんど転嫁できないと思うと回答された方が四〇・九、こう答弁しているわけです。一部しか転嫁できない、あるいはほとんど転嫁できていない、これを含めますと、七割ですね。

 経産省が行ったこういう調査で転嫁できていないと答えた中小企業は、当然、消費税を消費者から預かっていない。それでも業者は納税の義務があるわけですね。したがって、消費税を預かっていない業者は、それをどこかから出さなきゃいけない。これは自己負担ということになるんじゃありませんか。

麻生国務大臣 基本的に、消費税というものは、これが転嫁できるようにいろいろな形で、考え方によったら独占禁止法違反じゃないかと思うほどいろいろな御意見が出る中、価格転嫁をするということを決めて、事はスタートをさせていただいております。

 その結果、消費税が上がるということは、それは結果として、回り回って、その消費税の上がった分によって社会保障というものは達成されるわけですから、消費税が上がらない限りは社会保障と税の一体改革は達成しないということだと思いますので、これは、私どもとしては価格に転嫁できるように精いっぱいやっていく、それが我々に与えられた使命だと思っております。

佐々木(憲)委員 消費税の使い方については別途議論したいと思いますけれども、私がお聞きしたのは、七割が、一部あるいは全部転嫁できていない、こういうふうに答えているわけで、そういう方々はそのお金をどこから出しているのかと聞いているんですよ。

麻生国務大臣 先ほどもお答えしたと存じますけれども、多くの方々は、企業の中の内部留保から納めていらっしゃるのか、何らかの形で自己負担を強いられておられる方が多いであろうと思います。全てとは申しません。

佐々木(憲)委員 結局、自己負担せざるを得ない。これは、原材料が上がった場合も自己負担ですから。価格が消費税分上がるわけですね、仕入れ価格も。また、自分自身のところでも一定の上乗せをしなきゃいかぬ。そういうものが最終的に転嫁できない場合には、当然、納税者は自分ですから、業者は自分で納めなきゃならない。誰かが貸してくれるか。その分貸してくれるというところはありませんので、当然、自己負担になる。

 その自己負担の仕方は、ぎりぎりで生活をしている、商売をやっている中小零細の業者の場合は大変深刻なんです。滞納が出てくる。そうすると、滞納解消ということで今度は差し押さえが来る。こういうような話が頻発しかねない。だから、もう四月の増税前に店を畳んでしまう、こういうような声も出る、そういう状況であります。

 これは非常に深刻な事態でありまして、最近、こういう話があります。例えば、お弁当の業者の方は、現在何とか消費税を納税しているけれども、八%になったら転嫁できないというんですよ。主力商品のお弁当は競争が激しいので、自分のところは四百円、しかし、近所のコンビニ、大手の弁当屋は三百円だ。消費税を上乗せしたらとても太刀打ちができない。したがって、消費税の増税分は自腹を切るしかないと考えているが、それでも店がもつかどうかわからない、こういうふうに答えているわけです。

 下請の場合は、これは下請Gメンとか転嫁Gメンとかいろいろ言われていますけれども、親会社との関係というのがあります。しかし、町の小売店の場合、一番深刻なのは、転嫁したら、値上げしたらお客さんがいなくなるわけですよ。転嫁しなければ、自分が負担しなきゃならぬのです。どっちへ転んでも、これはなかなか大変な状況なんです。

 ですから、こういう方々に対して一体どういう対策があるのか、麻生大臣、お答えいただきたいと思います。

麻生国務大臣 これは少なくとも、価格転嫁、消費税を上げるという方向での価格転嫁に関しましては我々は全力を尽くしていくというのを先ほど再三申し上げているところでありまして、消費税は回り回って一人一人の社会福祉の全体にかかわってくる税金でもありますので、私どもとしては、消費税を上げて、それで物が売れるような方向でやっていただける、その方向に支援するということだと存じます。

佐々木(憲)委員 社会福祉に回るかどうか、私はこれは非常に疑問に思っております。それはまた次回議論したいと思います。

 転嫁するように努力をする、転嫁したらお客さんがいなくなって店が潰れてしまう、こういうのが実態じゃないですか。転嫁しなければ自分が持ち出しで、やっていけない。これはどっちに転んでも大変な状況になる。日本の中小零細企業あるいは商店街の零細な商店の方々はこの消費税の増税によって大変な痛手を受けるということは、これはもう容易に想像できるわけです。

 しかも、このことによって負担増ということになりますと、最近の世論調査を見ましても、八%になったらあなたは消費を抑制しますかどうしますか、答えが、抑制しますという方が圧倒的に多いんですよ。これは毎日新聞も読売新聞も、世論調査で出ておりますね。

 こういう状況を考えますと、私は、日本の今の状況で消費税を増税するということは、景気に対して大変なマイナスになる、ひいては企業の収益にも悪影響を与え、そしてまた日本経済の好循環、かけ声は好循環だけれども、悪循環に逆に落ちてしまう、そういう大変重大な事態を招くというふうに思うんです。

 したがって、最大の対策は、消費税増税をやらないということです。

 法人税を減税するなんていうのはもってのほかでありまして、そんなお金があるなら、法人に対して一定の負担を求めるというようなことを政府としてはやるということの方が、むしろ日本経済全体にとってプラスになる。大体、内部留保が全部で三百兆円以上、大企業だけでも二百七十二兆円です。

 こういう状況を考えると、一定の負担を大きな企業に対しては求めていくという姿勢に転換するということがどうしても必要だ、私は、このことを最後に申し上げまして、残った質問はまた次回に回したいと思います。

林田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十六分散会


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