衆議院

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第4号 平成26年2月26日(水曜日)

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平成二十六年二月二十六日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 林田  彪君

   理事 伊東 良孝君 理事 越智 隆雄君

   理事 菅原 一秀君 理事 寺田  稔君

   理事 御法川信英君 理事 古本伸一郎君

   理事 桜内 文城君 理事 竹内  譲君

      安藤  裕君    小倉 將信君

      小田原 潔君    鬼木  誠君

      神田 憲次君    小島 敏文君

      小林 鷹之君    新谷 正義君

      田野瀬太道君    竹本 直一君

      中村 裕之君    中山 展宏君

      葉梨 康弘君    藤井比早之君

      牧島かれん君    松本 洋平君

      山田 賢司君    湯川 一行君

      安住  淳君    武正 公一君

      前原 誠司君    松本 剛明君

      鷲尾英一郎君    坂元 大輔君

      田沼 隆志君    三木 圭恵君

      山之内 毅君    上田  勇君

      岡本 三成君    大熊 利昭君

      佐々木憲昭君    鈴木 克昌君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   内閣府副大臣       西村 康稔君

   総務副大臣        関口 昌一君

   財務副大臣        古川 禎久君

   内閣府大臣政務官     福岡 資麿君

   財務大臣政務官      葉梨 康弘君

   厚生労働大臣政務官    高鳥 修一君

   経済産業大臣政務官    田中 良生君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 木下 賢志君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局総括審議官)          三井 秀範君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    細溝 清史君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 平嶋 彰英君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   福田 淳一君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    田中 一穂君

   政府参考人

   (国税庁次長)      藤田 利彦君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           岡田 太造君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           広瀬  直君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           大庭 靖彦君

   財務金融委員会専門員   北村 治則君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十六日

 辞任         補欠選任

  田畑  毅君     湯川 一行君

  竹下  亘君     新谷 正義君

  山田 賢司君     中村 裕之君

  鷲尾英一郎君     松本 剛明君

同日

 辞任         補欠選任

  新谷 正義君     竹下  亘君

  中村 裕之君     山田 賢司君

  湯川 一行君     田畑  毅君

  松本 剛明君     鷲尾英一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)

 地方法人税法案(内閣提出第八号)


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     ――――◇―――――

林田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、所得税法等の一部を改正する法律案及び地方法人税法案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官木下賢志君、金融庁総務企画局総括審議官三井秀範君、監督局長細溝清史君、総務省大臣官房審議官平嶋彰英君、財務省主計局次長福田淳一君、主税局長田中一穂君、国税庁次長藤田利彦君、厚生労働省社会・援護局長岡田太造君、経済産業省大臣官房審議官広瀬直君、国土交通省大臣官房審議官大庭靖彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

林田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

林田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本剛明君。

松本(剛)委員 民主党の松本剛明でございます。

 本日は、所得税法等の改正案と地方法人税法案について、閣法の質疑ということで、質問をさせていただきます。

 大分おそろいになったようですけれども、閣法の審議の割には、与党の皆さんはなかなか余裕のある御出勤だなと思いながら拝見をさせていただきました。やはり大変重要な審議だと思いますので、そういった形で、ともに取り組んでまいりたいと思います。

 まず、復興特別法人税の前倒し廃止について伺いたいと思います。

 この経緯については、先日、本会議でもお話をさせていただきました。復興の後、私たちは、法人税、所得税、住民税、そしてたばこ税、地方たばこ税の増税を提案させていただいたわけですが、たばこ税、地方たばこ税はだめだということで、所得税、法人税を上乗せして、そして所得税の増税期間が大きく延長されるという形で、十年から二十五年という形、個人の負担を上積みした形でいわば合意をした内容でございます。

 この点について、合意を踏まえてということでお聞きをしたいんですが、ちょっと順序が前後いたします。

 これを前倒し廃止するに当たっては、被災地の理解が大事だというお話でありました。西村内閣府副大臣も、出張が重なる中、答弁要求が重なっているということでございますので、脈絡が狂いますが、先に西村副大臣への御質問をさせていただきたいと思います。

 被災地の理解を求めるということでありますが、その理解を求める相手は被災地の自治体なんでしょうか、被災地の方々なんでしょうか、そして、これまでどういう説明をどういう方々に行う説明会を行ってこられたのか、これについて御説明をいただきたいと思います。

西村副大臣 お答えを申し上げます。

 私ども、長期にわたって復興を支えていくという視点からは、広く日本経済全体がデフレから脱却をして成長軌道に乗っていく、そのための好循環を実現することが大事だという観点から、賃金の上昇を伴う好循環ということでありますので、足元の企業収益の拡大をぜひ賃金上昇につなげる、それによって好循環をつくり出していくという、そんな視点から復興特別法人税を一年前倒しで廃止することにしたわけでありますけれども、今御指摘のとおり、その際には、被災地にお住まいの皆様の理解をいただくということが何より大事であります。

 私は、岩手、宮城、福島の首長の代表の方々に御説明申し上げたわけですけれども、首長の皆様に対して、今申し上げた趣旨、そして復興財源はしっかり確保するということを申し上げて、御理解を求めたわけであります。もちろんこのことは、私は首長の皆様に御説明申し上げましたけれども、復興担当の副大臣、政務官、それぞれの立場で、現地にいわば常駐をしているような立場の政務三役もおりますので、いろいろな機会を通じてお願いを申し上げたわけでありまして、私はいわば象徴的なあれかもしませんけれども、首長の皆様方にこうした御説明を申し上げました。

 その際、専らいただいた御意見は、今申し上げた、復興財源をしっかり確保してほしいということと、まだまだ地方はアベノミクスの成果とかそんな浮ついたものの話は全くなくて、特に被災地は大変厳しい状況にある、そのための地域活性化をぜひお願いしたいということのお話がございました。

 私どもとしては、安倍政権で十九兆円から二十五兆円に増額した復興財源をしっかり確保するということを丁寧に御説明し、理解をいただいたというふうに思っております。補正予算でその減収分に当たる八千億円分についても手当てをしたところでございまして、ぜひ、復興の加速に万全を期すとともに、そのためにも、日本経済をしっかり、中長期的に安定的に成長するように、その軌道に乗せていきたいというふうに考えております。

松本(剛)委員 確定申告の現場の方からお話を伺っていただくとわかると思いますが、ことしの確定申告から復興特別所得税の課税がスタートいたします。毎年所得税の申告をされている方は、昨年と同じように申告をすると、復興の増税分が抜けていますよ、こういう指摘を今受けている。これは、被災地でも同じことになっているはずであります。被災地の方々は今、いよいよ所得税が復興で増税をされるんだ、他方では法人税はもうなくなるんだ、こういうことを聞く環境にあるわけですね。

 その中で、今御説明をお聞きする限り、説明をされた対象は被災地の自治体の首長であって、説明をした内容は、財源は確保したと。でも、もともと復興の増税を皆さんにお願いしたのは、みんなで支えようじゃないか、法人も個人もと。私どもは喫煙者もということになるわけですけれども、たばこが。そこはなくなりましたので、法人も個人も、皆さんで支えようじゃないか、こういったときに、法人はもうなくなりますよ、個人はことしの確定申告の分も合わせれば二十五年ですよ、こういうことについて、被災者の皆さんへ直接の理解を求めるということはお考えになっていないでしょうか。そのことをお伺いしたいと思います。

 今、被災地の自治体の皆さんに御説明をし、財源は確保をし、そして理解をいただいたというお話でありました。この点については、意見がさまざまあるのではないかと思います。そこの議論を重ねるつもりはありませんが、被災者の皆さんに直接説明をする、被災者の皆様のお気持ちに応えるということを何らか考えておられるのか、現段階では予定がないのか、伺いたいと思います。

西村副大臣 私ども、復興特別法人税を前倒しして廃止する、これによって賃金の上昇につなげて日本経済全体を好循環につなげていくという視点でこのことをお願いし、決定したわけでありますが、このことはしっかり、経済財政諮問会議等で賃金上昇の状況についてもフォローしていきたいと思っておりますので、これはしっかりまた公表するなり手当てをしたいと思っております。

 私は、代表するような形で首長の皆様方に御説明申し上げましたし、首長の皆様方からまたさらに地元のいろいろな方にお話をしていただく機会も期待しておるところでありますが、先ほど申し上げたとおり、現地に常駐をしておる復興担当の副大臣、政務官を含めて、政務三役がさまざまな場でこうした説明はするということにしておりますので、いろいろな機会で地元にお住まいの皆様方にもお話は伝わっているものと期待をしております。

松本(剛)委員 根本大臣も本会議で、被災者の皆様に今回の廃止の内容そしてその意義等を説明し、理解を求めていくことが重要だという趣旨の発言をされておられますが、現在、政府においては、直接被災者とお話をするということは考えておらず、自治体の長にのみ説明をしたところにとどめておられるというふうに理解せざるを得ないと思います。

 私どもも、震災発災直後から政府に属しておりました。もちろん政策の内容も重要でありますが、同時に、心情として、被災者の皆さんに寄り添うことも大変大事なことであります。そのこと自身が、被災者の皆様にとって立ち上がる勇気を与えるというところがあろうかと思います。その意味では、ぜひ、何かの機会に、常駐する政務官が説明をするということではなく、やはり所管をする内閣府としては、積極的に今後も被災地の皆さんに直接説明をする機会を設ける、少なくともそのことを御検討いただくということを御回答いただきたいと申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。

西村副大臣 さまざまな機会を見つけまして、引き続き、御理解をいただけるように努力していきたいというふうに思います。

松本(剛)委員 これ以上は申し上げませんが、総裁選挙にも御出馬された西村副大臣でありますから、政治的に、ぜひ、積極的に被災者に飛び込む、そのぐらいの判断を示していただきたかった、大変残念に思うということを申し上げて、この項の質問を終わりたいと思います。

 どうぞ御退席ください。

林田委員長 では、西村副大臣、退席してください。

松本(剛)委員 続いて、復興特別法人税について、本会議で伺いました続きで伺ってまいりたいと思います。

 三党協議で決めた復興特別法人税の前倒し廃止でございます。

 私は今、税の担当として三党の協議も担当させていただいておりますし、国会においては、もちろん申し上げるべきことはしっかり申し上げさせていただきたいと思いますが、協力できるところは協力して、建設的に進めてまいりたいというふうにも思っております。

 実際に、財務金融委員会とは直接かかわりはありませんが、私も外交を担当させていただいている間は、当時、麻生大臣には大変御無理をお願い申し上げまして、我が国を代表してブラジルにも、大統領就任式へお運びをいただきましたし、中国は余り行かれることがないとおっしゃるにもかかわらず、わざわざ中国のイベントにも我が国を代表してお運びをいただきました。また、昨年、政府におかれても、TICADであるとか、ASEANの四十周年の特別首脳会議をされたり、ブラジル、ミャンマーへ総理が行かれたりといったようなことがありましたが、いずれも、その準備、組み立てをしてきた者としては、我が国にとっては実りがあってよかったな、そのように思って拝見をさせていただいております。

 その意味では、国民の審判を受けて政権がかわったわけでありますが、まいた種をいつ誰が刈り取るのかというのも一つのめぐり合わせだというふうに思いますが、その中で、やはりこういった、三党で協議をした、お互いに合意をしたものというのは大変重いし、重要ではないかというふうに思っております。

 しかし、この間、三党で協議をする枠組みがありながら、この復興特別法人税の前倒し廃止については、いわば政府から、もう決めましたということで、与党の理解を得て最終的にお決めになる間、私どもと何か実質的に協議をしようという動きは残念ながら与党におかれても直接なかったわけでありますが、政府・与党、本会議での御答弁でも、これは与党の話ですから答弁を差し控える、こういう話でありました。

 特に税については、政府と与党の税制調査会との関係、私どもが政権にあるときも、この与党税調をどうするかということを議論いたしました。まさに今おっしゃったように、実質は、今回の場合はちょっと逆であります。今までは、与党で実質お決めになるが、政府に答弁を求めると、与党でお決めになったことだからお答えできない、こういうお答えをされることがありました。今回、政府でお決めになった部分があるわけですけれども、我々との話し合いは与党の仕事だから、直接関与していないからお返事できない、こういうことでありました。

 やはり議院内閣制における政府と与党でありますから、この三党の協議というものでまいたものを、残念ながら実質的な協議がないまま決めたということ、この点については、政府は政府で、今、西村副大臣もおっしゃったように、経済的な今後の対策としてぜひ必要だ、こういうお考えであったのであろうとは思いますけれども、やはり協議をすべきだったというお考えにぜひなっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 平成二十三年に、復興財源を確保するために復興特別法人税を創設するということについて、民主党、公明党、自民党三党で合意がなされたという経緯は、野党の方でありましたし、財務大臣ではありませんでしたけれども、その経緯については承知をいたしております。

 他方で、今回の復興特別法人税の前倒し廃止につきましては、与党の御判断も踏まえつつ、政府としては、平成二十四年度の決算剰余金の一部を活用して復興財源を確保した上で、新しく国債を発行することなく確保した上で、足元の経済成長を賃金の上昇につなげるきっかけにするためにということで決定をさせていただいたというのがその経緯であります。

 これに当たりましては、正直申し上げて、与党内部、政府内部でもいろいろ意見の分かれたところで、いろいろ仄聞しておられることと存じますが、私どもとしては、五回にわたっての政労使会議等々、経済団体、業界団体といろいろやらせていただいて、最終的に、十二月二十日の日に政労使の三者の会談を持たせていただいて、協力を取りつけさせていただいたというのが御存じのような経緯でありますけれども、その間に関して、事のいきさつからいって、野党第一党の民主党にそれなりのあれがあってもよかったのではないかという御意見に関しては、私どもとしては反省すべきところかと存じます。

松本(剛)委員 この間の税制の協議でも、合意ができたもの、残念ながら合意ができないもの、それはそれ相応にきちっと国会において対応するという形でやらせてきていただきました。今回、復興特別法人税の前倒し廃止を御提案いただいて、私どもが、今申し上げているような背景で、賛成できたというふうには率直に言って思いません。しかし、やはり協議をすべきだったということで、今、反省という言葉もありました。私は、ぜひ、今後もこの三党協議の枠組みというのは建設的に続けていくべきだというふうに思っております。

 そのためにも、やはり議題にのせるべきものは必ずのせていただかないと、のせていただいた上での結論というのが協議ですから、いろいろな道があると思いますが、議題にのせずに前へ行ってしまうということになりますと、この三党協議の枠組みというのを継続することについても、私どもの方にも賛否いろいろ意見があります。しかし、やはりきちっとのせていただくことで私はそのことを続けられると思いますので、政府と与党の連携の中で、今の大臣の御所見、ぜひ政府内でも共有をしていただき、与党とも共有をしていただけたらというふうに思います。

 実際に協議については、これも本会議で幾つか申し上げましたけれども、住宅分野の消費税率引き上げの影響緩和対策であるとか、交際費課税、これは私どもと大臣のお考えが一致をした部分ではないかと思いますが、拡充であるとか、贈与税の対象範囲の明確化、消費税率の引き上げに係る転嫁対策の促進、これはこれからしっかりやっていただかなきゃいけない部分ですが、制度づくりについては、共有をさせていただいて実現した部分もあるというふうに理解をしておりますので、ぜひ前向きにお願いをしたいと思います。

 賃上げについて、再度確認をさせていただきたいと思います。

 私どもも、賃上げができるのであれば、これは大変望ましいことだというふうに思っております。環境を誰がつくったとかいろいろおっしゃいますけれども、いずれにせよ、今、賃上げが議題になっている以上は、ぜひ実現をさせていただきたいと思います。

 経営者でもある麻生大臣に、本会議でも御発言等を取り上げて御質問させていただきましたが、法人税というのは、私も銀行に勤めておりました、法人税の減税を行えば会社に残るお金がふえてくる。そこで、考えるのは、人件費は経費ですから、法人税で通常我々が考えるのは、やはりそこから投資に回すかどうか、そういったような前向きな話をどうするかという話であって、法人税と人件費を結びつけるというのは、実は必ずしも論理的ではないと私は思っております。

 その意味では、ことし、まだ効果がちょっとよくわからない中でこれをやるのがよかったのかどうかですが、所得拡大促進税制を拡充されたりとか、最低賃金のことは本会議で申し上げて提案をさせていただきましたが、やはり我が国は、大臣もおっしゃっているように、直接賃上げを政府が強制する国ではないはずであります。

 しかし、他方で、要請はされていくという形で今動いておられるのだろうというふうに思いますが、その意味では、政府が直接お願いすることに加えて、もっと直接インセンティブに働くとか、先ほど申し上げたような最低賃金、これは中小企業の支援、我々も計算をしたことがあります、千円まで上げるのにどのぐらいの中小企業に幾らぐらいの支援がやはり必要か。二千億、三千億という計算もありました。しかし、復興特別法人税の減税幅に比べれば、何年か分の支援ができるほどの金額にはなってくるというふうに思います。

 また、景気そのものについても、今、景気のトップランナーである、いわば大企業の黒字法人の応援も必要だろうと思います。引っ張る人も頑張ってもらわなきゃいけませんが、ついていく裾野も広げるということが、地方にとっても、そして日本全体の消費を拡大していくという意味からも必要だ。その意味では、復興特別法人税前倒し廃止というのは、必ずしも一番適当な策だというふうに思えないところがあると思っております。

 既に御質問申し上げた部分と重なってくると思いますが、ひとつ御所見だけ伺っておきたいと思います。

麻生国務大臣 消費が持続的に拡大をしていく好循環というような形を実現するためには、足元の企業収益というものを従業員に還元していくことにならないといかぬわけなんです。

 企業の成長に向けた投資を促し、将来の収益の拡大につながって、それをまた個人の所得や消費の拡大につなげるというような取り組みが効果的なんだとは思いますが、今言われましたように、法人税が下がったからといって、それが企業の人件費の拡大の方に率直に直結するかと言われれば、三大要素と言われておりますもの三つ、企業でいえば、賃金いわゆる雇用、また設備投資、また配当、主にこの三つなんですけれども、その三つのうち、賃金の部分ももちろんのこと、皆とまっているという状況になっているので、今、我々としては非常に頭の痛いところなんです。

 少なくとも、賃上げを促すというのを政府が直接経団連に要請するのは、連合の政府じゃないんだから、ちょっといかがなものかという御意見は自民党の中でも、すごくいろいろ意見が分かれたところです。

 そこで、私どもとしてもいろいろなことを考えてやらせていただいたんですけれども、少なくとも、今後とも、政府として、景気がよくなっていくという形、だからといってそれが景気につながるわけでもありませんし、賃金が上がるためには従業員の求人倍率と求職率の差が縮まってこない限りは賃金は上がる要素が非常に少ないわけなので、そういった意味では、景気より求人、求職の方がよほど直接的な影響が大きいんだと思っております。

 今後とも、人件費の値上がりによってこの四月以降実質賃金が上がってこないと、企業ではなくて、企業にいる従業員、日本で六千万とか六千五百万とも言われております従業員が、自分の実質賃金がふえたことによって初めて景気がよくなってきたなというのを実感できるにはそこが一番大きな要素なんだと思いますので、そこに至るまでにはまだ少々時間がかかるだろうと私どもは覚悟しておるんですけれども、いずれにしても、その方向に進めていかないといかぬ、デフレ脱却というのはそこまでいかないといかぬのだ、私どもはそう思って努力をしてまいらねばいかぬと思っております。

松本(剛)委員 企業の労働分配率が下がっているとか、配当、株主資本の割合がふえているとか、さまざまな指摘があります。そのことを減らせと口で言っても、実際に企業にはさまざまな事情があって、また考え方があってそういう配分になっているということを考えれば、企業のあり方、それから市場の要求というものをどう考えるのか、さまざまなこと、また、マーケットなどはグローバルで動いている中で日本の企業はどうするのか、そういうことを総合的に考えて、日本における企業制度をどうするのかということまで考えなければいけない部分だと思います。

 税においても、税にとどまらずでありますが、さまざまな施策で、経済や産業、社会をどうするかということに直結する問題だということを本会議でも申し上げたのはそういう趣旨でありますが、これについては、また改めて機会をいただいて、大臣と、どんなあり方を目指すのか。

 くしくも大臣がおっしゃったように、自民党が賃上げを経団連に要請される、こういう時代であります。私は、そのことについていろいろなことをおっしゃる方がありますが、賃上げになるのであればあらゆる方法を考えるということは経済にもプラスだと思いますので、効果が出ることを期待しつつ、しかし、実際にはそう容易でないということをどう考えるかということ、そのためには知恵を絞る必要があるということを申し上げたいと思います。

 後ほど、私どもは、やはりこの復興特別法人税については、今申し上げたように、きずなの考え方、そして賃上げというものについては、同じお金であればほかの使い方もあるのではないかという視点も含めて見直していただきたいということで、ぜひ修正の提案をさせていただきたいということを申し添えさせていただきたいと思います。

 続いて、課税の公平性ということで、少しきのうの議論を引き継がせていただきたいと思います。

 お手元に資料を配付させていただきました。資料の一ということで、昨日、理事会に御提出をいただきました。

 大臣が昨日、どうも東京の方が、調査が少ないのではないか、少なくとも経営者はそういう認識で、みんな東京へ行くという話があったような記憶があるというような御答弁がありました。

 表をごらんいただいて、これは規模によって違います。多いと見るか少ないと見るかですけれども、大規模企業については、東京管内は明らかに少ないということも言えなくはないと思います。

 申しわけありません。資料は三、二、一の順が逆になっておりますが、三の方からごらんいただきたいと思います。

 確かに、大規模法人、東京は少ないんですよね。大臣の実感は合っていたのかもしれません。裏側は、法人全般であります。これを見ると、必ずしも全てにはなっておりませんけれども。

 主税局長も、あのとき答弁で答えられました。公平でなければいけないので、そういうことはないということでしたが、これを見られて、大規模法人に係る実地調査割合、一億円以上という一番大きな表ですけれども、明らかに少ないというふうに思います。

 これは財務省の方からきのう理事会に出していただいた資料ですが、これについての御所見と、今後の対応、昨日の発言について、お考えを伺いたいと思います。

麻生国務大臣 今頂戴をした資料、私のアバウトの勘だったんですけれども、似たような数字が出てきたのかなという感じがしないわけではありませんが、これは過去五年間の平均実地調査割合というので、国税局の調査部が所管をいたしております大規模法人でいきますと一一・九%。それから、税務署が所管いたします法人が四・一%という比率になっております。

 これでいきますと、大規模法人について、地域ごとに見ますと、東京国税局が九・七で、その他の国税局が一四・五となっているんですが、こうした状況というのはさまざまな理由があるので、一くくりに申し上げるわけにはいかないんだと存じます。

 ただし、大規模法人は、日本経済に占めるウエートが極めて大きいわけですから、業界、地域というものをリードする法人でもあることから、これは税務署所管の法人と比べても調査必要度が高いので、その結果、実地調査の割合が高くなる割合があるということは間違いないんだと思います。

 他方、大規模法人の中でも東京は、地方と比べて企業規模が大きいものですから、国際化とかICT化の進展に伴って、税務処理が複雑、国際化、困難、いろいろな事案が多いために、一件当たりにかかります時間が、調査日数というものをやたらかけることにならざるを得ません。その結果、実地調査割合が低くなる傾向があるということも否めない事実、背景なんだと思います。

 いずれにしても、国税庁においては、人員の中で業務運営の効率化というものを図って、基本的には、適正、公平、そういった課税の実現というものに努めていかなければならないものだ、そのように理解をいたしております。

松本(剛)委員 大臣はきのう、こうおっしゃっているんですよね。多くの会社は本店を東京に移していかれたと思うんですが、その理由の中の多くに、その当時、経営者の間でよく言われたせりふがそのせりふ、つまり地方より東京が調査が少ない、と記憶をいたしておりますということです。

 少なくともこれを見る限り、おっしゃった認識に近いと大臣自身もおっしゃいましたけれども、これでいいんですか。主税局長も公平公正でなければいけないとおっしゃいましたし、当然だと思います。

 これに何らかの理由があるのだとすれば、そのことの御説明をいただかなければいけません。やはり、少なくともこれを見る限りは公平だとはとても言えないということになると思いますし、経営者の認識が皆さんそうだったということ、このことからすれば、前からわかっている人にはわかっていたのが放置をされていたということも問題だと思います。

 少なくとも、これについて、なぜこうなっているのか調査をした上で、是正をすべきは早急に是正をしていただかないと、これから国民の皆さんに負担を求めるときに、公平でなければいけない税の中で、あっちへ行ったら得だ、こっちへ行ったら損だとかいうことが日本国の中であっていいはずがないわけですから、ぜひ早急な対応をしていただきたい。

 そして、人員等の話がありましたが、必要な人員はまた、行政改革が進行する中でありますけれども、課税の公平性という極めて重要なテーマについてでありますから、所要の人員はしっかり確保していただくということで御対応いただきたいと思います。御所見をいただきたいと思います。

麻生国務大臣 今の御指摘は、これは当然のことですけれども、一つだけ、実地調査割合の差だけをもって不公平かどうかという御指摘は当たらぬということもよく御存じのところなのでこれ以上言いませんけれども、いずれにしても、国税庁においては、今後とも、適正、公平、そういった課税の実現というものにさまざまな努力をしていかねばならぬということだけははっきりいたしておると思っております。

 ただ、今言われましたように、税務調査というか、税務行政を取り巻く環境というのは、国際化とかコンピューター化とかBEPS含めて、いろいろなものが出てきておりますので、いろいろな意味で、人手の絶対量が不足している割には事務量が増大しているということ等々もありまして、今回も、大幅な人員削減ということをしておる中で、国税庁だけはということで純減幅はかなり減らしておるというぐらいの努力はしておりますけれども、今後とも、この方向できちんとして、不公平という部分を避けるように努力をしていかねばならぬと思っております。

松本(剛)委員 めり張りのついた人員の確保であるとか処遇や機構、定員の問題などにもしっかりお取り組みをいただいて、私から申し上げるまでもありません、経営者の経験がおありだったら、税務調査というものが経営者にとってどういうものかということは百も御承知の上の話だろうというふうに思います。

 これだけで不公平とは言えないというのはそのとおりかもしれませんけれども、これは非常に大きな要素であることは間違いありませんし、大臣自身がおっしゃったように、経営者がそのことの理由の一つにされているというぐらいの内容でありますから、早急に実態を確認していただいてしっかり是正をしていただいて、国民に対して課税の公平性について認識を持っていただけるような対応をしていただくように強く求めて、次のテーマに移らせていただきたいと思います。

 自動車関連税について伺いたいと思います。

 経産省にお伺いをしたいと思いますが、本会議でも伺いました。消費税、自動車取得税、軽自動車増税、グリーン化など、税制がこの前後で大きく変わります。これだけの政策を打つのであれば、私は、その効果を見通した上で、影響を見通した上で対策をとるべきだというふうに思っておりますが、本会議での経産大臣の御答弁は、みずからの試算ではなく、自工会はこういった対策なしで五十八万台減るという見通しだけれども、こういった対策は大きな効果があるのでしっかりやっていきたいと。

 聞いている限り、これによって落ち込みはない、こういうふうにお考えなのか。精神論だけでは経済は困るのであって、お考えを確認したいと思いますが、いかがでしょうか。

田中大臣政務官 お答えいたします。

 今委員の方からもお話があったように、消費税率の引き上げによります影響についてであります。

 これは、大臣も答弁したように、自動車工業会においてのものでありますけれども、当然、何ら対策が講じられない場合に関しては、国内需要が約五十八万台減少するという試算が出ております。

 今般の税制改正におきましては、自動車取得税についての軽減措置ですとか、あるいは自動車重量税、また自動車税に関するエコカー減税、こうしたグリーン化措置の拡充等が盛り込まれているものであります。これは、まずは消費税の引き上げの影響緩和にはやはり大きな効果を発揮するものだと考えております。

 この税制改正によります自動車販売市場への影響については、今後の経済状況あるいは新型車の発売動向、さまざまな要因が関係するということも事実であります。

 政府として定量的な試算は確かに行っておりませんが、自動車産業は、とにかく地域経済へ果たす役割は大変重要なものであります。引き続きその販売動向を注視してまいりたいと思います。

松本(剛)委員 政務官にこれ以上申し上げませんが、確かに定量的な数字を発表されたりすると、その後、揚げ足をとるような風潮がないわけではないということは私も率直に認めますが、これから、我々も、しっかり政策を打っていって、時には、今お話があった経済状況とかが変われば軌道修正もしていただかなければいけないとすれば、当初どのぐらいの見通しであって、どういう事情で見通しどおりいかないので今度、次の手を打つ、こういうことをやはり政策については次々とやっていかなければいけない時代に入ってきている、こう思います。

 ましてや、今おっしゃったように、自動車は、皆さんの周りでも自動車の販売だけでも大変大きな産業になっているように、製造も含めれば、経済の中に占めるウエートは大変大きい。もちろん輸出もありますけれども、やはり国内市場あっての国内生産という部分は否定できないと思います。

 国内の新車販売台数のグラフをつけさせていただきました。ずっと減ってきているわけですよ。そして、軽自動車との差を縮めるんだ、こういうお話でしたけれども、軽が大きくふえているわけじゃないんですよ。これから、我が国も残念ながら人口が減っていきます。しかし、我が国にとってこれからも自動車は雇用、産業の柱であり続けなければいけないという意味では、むしろてこ入れすべきではないかと我々は思ってきているわけであります。

 その意味では、当然、自動車ユーザーの負担を減らそうと思えば、どこかから財源を確保する。今回、金融所得税の増税などもありますけれども、やりくりの中で、しかし、自動車を、マーケットをむしろ活性化するような対策が必要なのであって、そういった視点から、ぜひ経済産業省も、しっかりと計算もし、そして対策もとり、また対応していただきたい。

 消費税が今度五から八に上がるわけですから、これだけでも大変大きな負担が来る。この低落傾向が拡大をしていけば、結果として、普通車と軽自動車の格差の縮まり方が、普通車が伸びない、軽自動車が減るという形で縮まることは我が国にとっては何もプラスはないと私は思いますので、ぜひ、大きな状況を見て、政治的判断の中でしっかりと自動車政策をどうしていくのかということをお考えいただきたいと思います。

 財源を確保するとか、その年度の財源の調整は当然必要です。また、地方自治体の財源も確保しなければいけません。しかし、そこのつじつまが合って、結果として我が国の自動車産業が衰退するようなことになったら、まさに今おっしゃっているように、我が国全体の経済を盛り上げなければいけないときに、先ほど申し上げました裾野を広げることも大事だけれども、牽引役もしっかり頑張ってもらわなきゃいけない。牽引役の代表なんですから、ぜひその視点を持っていただきたいと思います。

 大臣にもお考えをお伺いしたいところですが、時間が限られてきましたので、ぜひこの認識を持っていただいて、今後の自動車関連諸税の施策、まだ引き続き検討しなければいけませんので、そういう大局的な視点からもう一度、自動車産業をどうするのか、地方をどうするのか、そういう視点から自動車諸税について、自動車の枠内の中で完結するような、役所の優秀な方もたくさんおられますけれども、霞が関の担当者間の調整で何とかするような世界ではないのではないかということを強く申し上げておきたいと思います。

 これについて、私どもは、しっかり根本から見直すべきだという修正の提案をさせていただきたいと思いますので、委員各位においてもしっかりごらんをいただいて、採用いただきたいと思います。

 簡素な給付措置についてお伺いをしたいと思います。

 厚労政務官においでをいただいておりますが、簡素な給付措置、臨時福祉給付金の実務は厚労省が担っていただくということであります。

 経産大臣政務官、もしあれがあれば、これで結構です。

林田委員長 田中経産大臣政務官、御苦労でした。御退席ください。

松本(剛)委員 この臨時福祉給付金、私どもは、与党の中で複数税率と簡素な給付措置の実施時期等をめぐっていろいろ御議論があったのは仄聞をいたしておりました。しかし、昨年の初めから、早く決めて、早く対応して、必要なら法的措置もとるべきだということを、我々はずっと協議も含めて提言をさせていただいてまいりました。結果、残念ながら、大変遅い決定になり、法的な裏づけもありません。

 その結果、私どもは課題が残っていると思っているのは、一つは、支給時期がかなり後ろへずれ込んでしまっているんではないか。それから、資料の一でお配りをさせていただきましたが、実際には、これをしっかり給付しようと思えば税務情報を提供する必要があると思いますが、法律の裏づけがなければ勝手に税務情報を提供することはできないという形になると思います。

 この点について、厚労大臣政務官から、支給時期の見通し、それから税務情報の提供は可能なのかどうか、お答えをいただきたいと思います。

高鳥大臣政務官 お答えをいたします。

 臨時福祉給付金の支給開始時期につきましては、各市町村の規模、実情等に応じて、市町村において決定をするということになってございます。市町村に対しましては、平成二十六年度分の市町村民税に係る所得情報の把握など、支給を開始する体制が整い次第ということで、可能な限り早期に開始していただくことをお願いしているところでございます。

 ちなみに、多くの市町村におきましては、六月ごろに市町村民税の算定が行われると見込まれますので、体制が整い次第、可能な限り早期に開始をしていただくということでございます。

 それから、もう一つ、税務情報に関しましてでございますが、臨時福祉給付金の申請を着実に行っていただくためには、対象者でございます、市町村民税が課税されていない方々を確実に捉え、広報や個別勧奨を行っていくことが重要でございます。

 このための対応策といたしまして、法的措置を講じなくても弾力的な対応ができないか、市町村からの御提案を踏まえ、これは例えばでございますけれども、新潟県長岡市などからの提案でございます、総務省にも協力をいただきまして検討を行い、地方自治体にお示しをいたしました。

 具体的には、税務課の業務といたしまして、平成二十六年度分の市町村民税が課税されていない方々に対して、課税されていない旨の確認的なお知らせを行い、それにあわせて臨時福祉給付金のチラシや申請書を同封するという方法であれば、法律上の守秘義務の問題は生じず、市町村民税が課税されていない方々への個別勧奨ができることをお示しいたしました。

 今後も、現場を担う地方自治体の意見を十分にお伺いしながら、できる限り事務負担が少ない仕組みを検討してまいりたいと考えております。

松本(剛)委員 苦肉の策というのはこういうことを言うんだろうと思います。

 どういう形で配るかというのを、私どもも説明を受けました。簡素な給付措置支給業務室の方である意味工夫をされたということなんでしょうが、法律の解釈、そういうことであれば、厚労省所管の臨時福祉給付金のチラシ、申請書を、税務行政だということで載せることができる。であるとすれば、直接かかわりがないわけですね、制度上は。

 これは何でも税務行政だといって載せられるんですかとお聞きをしたことについては、私は今、実は答えをいただいておりません。政務官も今、お答えできないと思います。

 法的措置をしっかりとらないがゆえにこういう形になってくるわけで、過去に、たしか介護だったと思いますが、一条を入れることでこういうことを可能にしたことがあります。今からでも立法措置を検討しても私は悪くないんではないかというふうに思いますが、そういったことをお考えになっているかどうかだけ伺いたいと思います。

高鳥大臣政務官 お答えをいたします。

 臨時福祉給付金は、平成二十六年度分の市町村民税が非課税であることが支給要件であったため、非課税者等に対して課税されていない旨の確認的なお知らせを出すという、税務行政の一環として行われる、納税手続を円滑にするという仕組みと関連づけることが可能でございました。

 今後、他の施策において税務情報を活用できるか否かについては、それは個別に判断をしていくということでございまして、一概には申し上げられないところでございます。

 なお、この手続につきましては、私も地元自治体の首長さん等から随分御懸念をいただきましたけれども、このやり方で相当の御理解をいただいたというふうに、直接お聞きをしているところでございます。

松本(剛)委員 消費税は国税だけではありませんけれども、国がしっかり法で定めて、地方自治体に法に基づいてお願いをして支給をすべきであって、今政務官もおっしゃったように、自治体の判断に基づくという前提でこれは組み立てられていますし、今の御答弁も、役所の答弁としてはそういうことにならざるを得ないんでしょうけれども、政務官も、政務のお立場では、ぜひ役所に、本当にこういうことでいいのかというボールをむしろ返していただかなきゃいけない。

 これは、相当カバーできるでは本当はだめなんですよ。簡素な給付措置は、しっかり届くようにしなきゃいけないはずなんですね。それによって初めて理解が得られるわけですから、これで大体何とかなりそうだとか、ぎりぎりのところを抜けられそうだとか。さっき自動車税のときも申し上げましたが、今からでも打てる手は打つべきだという政治判断をするかどうかだということを、この場で強く申し上げたいと思います。

 残念ながら質疑時間が参りました。幾つか積み残しがありますが、ポイントだけちょっと申し上げて、質疑を終わりたいと思います。

 本会議で申し上げましたが、複数税率の問題についても、課題がある、かなりの財源が必要になるということ。

 それから、給付つき税額控除も、法で検討すべきということになっているので、与党でも検討いただくと思いますが、ぜひ政府でもしっかり御検討いただきたいということを要請申し上げたいと思います。

 それから、給与所得控除のあり方については、実額控除とセットで修正案を出させていただきたいと思います。

 寄附税制の促進は、本会議でお願いをさせていただきました。

 医療、介護の控除対象外消費税の消費課税のあり方の根本的な見直しも、抜本改革法七条に基づくものとして、修正案を出させていただきたいと思っております。

 また、今回、税理士法の改正が組まれております。これも意義あるものと思いますが、今後さらなる前進も必要だろうと思いますし、また、この運用をしっかりやっていただきたいということを要請させていただいて、私の持ち時間が終わりましたので、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

林田委員長 次に、桜内文城君。

桜内委員 日本維新の会の桜内文城です。

 本日は、主に法人税についてお尋ねをしてまいりたいというふうに考えております。

 今回の税制改正、いろいろ苦心もされたとは思うんですけれども、我が党でも検討しておりまして、法人税率、特に実効税率の引き下げという大きな改革に取り組むべきではないかというふうに私ども考えておりまして、そしてまた、政権与党の方でも、ダボス会議におきまして安倍総理が、世界で一番ビジネスをやりやすい国にするという中で、法人税の実効税率の引き下げについても結構踏み込んだ発言をされたやに報道されております。

 まず、この法人税の実効税率の引き下げについて、財務大臣のお考えをお尋ねいたします。

麻生国務大臣 この法人課税の改革全体については、産業政策を含めまして大きな議論を行った上でやりませんと、極めてグローバル化していった経済の中で、他国との競争などを考えながら我々は検討していかねばならぬのだ、そのように思って、多分同じような御趣旨から思っておられるんだと思います。

 したがいまして、私どもは、政府税調の中において、専門的な観点から、まず法人実効税率のあり方、それに当たっては、課税ベースというのをどうやって確保するか、広めるか、また政策の効果があるかないかの検証、また他の税目との関係等々、いろいろなことを検討して、今後、議論の方向性について考えていこうという提案をして、今、政府税調に投げたばかりのところでもありますので、それにつきまして、今の段階でどうこうするということをお答えするのは困難であります。

桜内委員 今の段階では、おっしゃったとおり、政府税調に諮問されたばかりということで、なかなか御発言しにくいところもあろうかと思うんですけれども、日本の経済力を復活させる、成長を再び軌道に乗せていくという意味でいえば、グローバルな競争に打ちかっていくためにも、法人税の実効税率の引き下げというのは恐らく一つの大きなテーマになってくるというふうに考えております。

 その中で、昨年の臨時国会で、国家戦略特区に関する法案が可決、成立をしていきました。

 我が党からは、党の由来というのもございまして、特に大阪で、法人住民税ですとかあるいは事業税というものを減税する、そういった案をつくっております。特に事業税というのは、法人税の税額の計算上、損金算入されるものですので、事業税を仮に減税したらば、その分法人税の課税ベースとなる所得がふえてしまいます。それはやはり、減税の効果を狙って地方自治体が独自にそういった政策をとりたいというときに、できれば損金算入が減らないような形をとってくれないかという要望を国の方に大阪市なり大阪府の方からさせていただいたところなんですが、今のところ完全に無視されております。

 これは非常に残念なことだとも思うんです。二つの点で残念だと思っております。

 一つは、これまでも申し上げたとおり、法人税というものを戦略的に活用して、世界じゅうで行われる競争に打ちかっていく。そのために、一つの都市でできる政策として、法人住民税なりあるいは事業税というものを減税して、全部というわけじゃないかもしれませんけれども、特定の産業に限って、これから発展させていきたい産業に限ってでも特区的にやっていきたいという中で、一方で、ある種、国の法人税の課税ベースである所得がその分少し広がってしまいますので、逆に国の政策の方でブレーキがかかってしまう、こういった状況はなるべく早く解消していただきたいとも思うんですけれども、これについてどのようにお考えになりますでしょうか。

古川副大臣 その御提案については、この委員会あるいは参議院の方でもたびたび、御要望という形でお話を伺っておるわけです。

 この国家戦略特区に係る税制につきましては、二十六年度改正の中におきまして、即時償却を含む設備投資減税、研究開発税制の特例、固定資産税の特例など、大胆な施策を講じることとしておるわけですけれども、まずはこれを積極的に活用いただきたいというふうに私どもは思っておるわけです。

 御提案の税制についてなんですけれども、まず、現行制度においては、御主張のように、地方の事業税等は損金算入されるため法人税が減少し、逆に、事業税等の金額が減少すれば、結果として法人税が増加するわけです。しかし、地方はこれまでも、この枠組みのもとで、さまざまな政策効果を判断して地方税の減免というものを講じてきていただいておるということ、それから、現行制度でも、納税者は地方税減免のメリットというものを受けております。これは、本来法人税でいただく部分を圧縮されるわけだけれども、それでも現行制度によってやはりメリットは受けておるわけですね。

 御主張のように減免を損金とみなすということは、現行以上のメリットを生むということになってしまうということ、仮に御提案のような税制を導入する場合、この特区とは別に自治体が自主的に地方税減免を行っている例があるわけですけれども、そことの関係性といいますか整合性をどう図るかというようなことがございます。

 そういうことをいろいろ考えますと、やはりどうしてもこれは慎重に検討していかざるを得ないなというふうに思っております。

 御主張のような新たな税制の創設につきましては、国家戦略特区は、今後区域を指定して、事業内容も今後具体化されていくわけでございますから、その中で、その政策効果、あるいは今申し上げましたような特区の内外との関係性なども検証した上で考えていかなければならないことだというふうに思っておるところです。

桜内委員 丁寧な御説明、ありがとうございます。

 今、特に事業税について問題提起したわけですけれども、過去の税制改正の中で、事業税については、平成二十年から、事業税を幾らか減税するかわりに、地方法人特別税を譲与税として地方にむしろお返しするという形になっておるわけですけれども、またそれとほぼ似たような仕組みが、今回のこの委員会にかかっております法案にあります。地方法人税ですね。こちらは、地方の住民税を四・四%分減税するかわりに、これを国税として徴収して、それを交付税特会を経由して地方に偏在なくお配りするという仕組みであります。

 本来、事業税のかわりに導入された国税であります地方法人特別税、あるいはその譲与税、これは次の抜本税制改革の折にもう一遍見直そうという話だったんですけれども、残念ながらこれは、置き忘れられたのか積み残しになったのか、今回の税制改正に含まれておりません。

 何が言いたいかと申しますと、今ほど私が国家戦略特区を例に挙げて申し上げたのは法人事業税の話でありまして、これも、ある種、地方法人特別税という形で国税化して地方にお配りする。これは国税でありますので、損金不算入であります。一方で、今回の地方法人税というのは、法人住民税でありますので、これも損金不算入でありまして、そろそろこの辺の扱いを統一して、もうちょっと整理していくべきじゃないかということも考えております。

 この点について、今後の見通しといいますか、私は、やはり政府が、政権交代もあったりして、過去の経緯を忘れちゃったのか積み残しなのか、意図的なものなのかそうでないのか、ちょっとよくわからないんですけれども、地方法人特別税について今回全く手が触れられなかったというのはやや遺憾に思うわけですけれども、この点についてはいかがでしょうか。

古川副大臣 全く触れられていないということではないと思います。

 地方法人特別税・譲与税を、金額を圧縮していって今後それをなくしていくということ、あるいは、今回の地方法人税にしましても、税調の方針としては経過的な位置づけだというふうに受けとめているわけですけれども、委員が御指摘になるように、さまざまな、国税と地方税の関係でありますとか等々につきまして、将来的にはもっと整理される形で議論がなされるべきものだというふうに私も見ておるわけです。

 いずれにしても、これは、税調などの議論をよく見ていきたいというふうに思っております。

桜内委員 もちろん、税調の議論はこれからでしょうから、なかなか答えにくいとは思うんです。

 私も以前、大蔵省に勤務しておった時分に、係長で主税局にいたわけですけれども、当時、ちょうど細川内閣に、政権交代が起こった時期でもありまして、そうなりますと、与党の税調と政府の税調との間で、力関係の変化というのもやはりどうしてもありました。ただ、当時から見ておりますと、やはり政府税調の方は、これまでの積み重ねといいますか、既存の税制をもとに、そこをどう修正していくのか、改善していくのかというふうな観点に立つことが多いかと思います。

 ただ、今ここで取り上げております国税と地方税の配分ですとか、あるいは法人税の実効税率を下げていく際に、事業税であるとか法人住民税、そういった地方税を下げるのか、あるいは国税そのものを下げていくのかという中で、これは大きな政治的な意思決定というのが必要だと思っております。

 ですので、もちろん政府税調の方でも御検討になるでしょうし、また与党の税調でもしっかりと御議論をされるとは思いますけれども、ぜひここは政治主導でもって、大胆な今後の日本の地方分権の形、あるいは、今よく道州制とも言われたりします、そういった未来に向けた日本の統治機構のあり方、そしてそれを支える税制のあり方というのを骨太に検討していただきたいという希望を述べておきます。

 実効税率に関して、先ほど麻生大臣からも、実効税率を下げるのであれば、課税ベースを広げていく必要もあるという御指摘がありました。そのとおりだと思います。

 これも、先ほど御答弁いただいたとおり、これから税調で御議論されることだとは思うんですけれども、やはり今申しましたとおり、政治的な意思といいますか、これを強くお持ちになる必要があると思っております。

 例えば、きのうもこの委員会で議論になっておりましたけれども、赤字法人。もちろん、赤字法人に利益課税であります法人税をどうかけていくのか、これは難しい問題が確かにあるんですけれども、日本の法人税の課税の実態といいますか徴収の状況を見ておりますと、赤字法人が非常に多いわけですね、七割前後ですか。こういった状況の中で、もちろん赤字法人をいじめるというつもりもありませんけれども、ある種、特に中小の、特に中小といっても、個人事業主の法人成りの場合と法人成りしていない場合との間での格差というか不公平感というのがどうしても残っているとも聞きます。

 こういった赤字法人、それも中小法人に対して、いじめるわけではなく、少なくとも公平な課税を目指していくという意味で、麻生大臣、何かお考えはおありでしょうか。

麻生国務大臣 先ほどの法人課税の中で、実効税率というもの、今後、いろいろな意味でグローバルな社会で国際競争の中で打ちかっていく上において、企業の持っております法人実効税率というものを考えていかないかぬという中にあって、税を減らした分だけ何らかの形で代替財源を探してこないかぬ。

 その中の一つに、やはり赤字法人の累積が九年というのは、ちょっと幾ら何でも、いつなったんだか。私の記憶では、昔は五年が七年になったまでは記憶していたんですけれども、民主党のときですか、七年を九年にしたんですか、あれは。ちょっとよく記憶していませんので恐縮なんですが、九年になったという話を今度は聞かされたものですから、ちょっと九年は長いんじゃないかという感じが、これは私の個人的な見解で、正直そう思います。

 ほかにも、課税ベースを広げる意味で、租特、租税特別措置の中で対象になっているものでいろいろ、分け方にもよりますけれども、九千億ぐらいのものがあるといいますから、そういったようなものを、中にはどういったものがあるのか、そのほかにもあるのかもしれませんけれども、いろいろな意味で幅広く考えていかねばならぬ問題だと考えております。

桜内委員 ぜひ御検討をお願いしたいと思います。

 我が党の税調におきましても、やはりこの点、赤字法人は、赤字法人がかわいそうなのは確かなんだけれども、それにしても、余りにも課税ベースを侵食しているんじゃないのかという問題意識を持っております。

 そして、もう一つ、課税ベースという意味でいうと、昨日、同僚議員の田沼議員からも指摘がありましたけれども、やはり社会福祉法人それから宗教法人。これら今非課税の部分についてもそれなりに、今、こういった国の財政状況を考えるならば、検討は避けて通れないんじゃないかというふうに考えております。

 社会福祉法人の経営者の方々ともお話をする機会があるんですけれども、ある種、配当ができないけれども課税もされないということで、内部留保がどんどんたまっていくばっかりで、結局、課税もありませんし、実際相当にもうかるそうなんですけれども、その分、どんどんつくっていくほかないと。自分が経営者として配当をしようにも配当をなかなかできないしということで、かえって経営の足を縛っているとも聞きます。特に社会福祉法人の場合は、これからの少子高齢化の中、そういった施設なりをきちんと整備していくという意味でも、単に優遇すればいいという話ではないというふうにも感じております。

 そしてまた、宗教法人については、これは本当に大変大きな議論があるところだとは思います。

 以前、私、ローマ在住の作家の塩野七生さんとお話をしておりまして、彼女が、東日本大震災に際して、一年とか二年限りでいいから、復興のための宗教法人課税というのを考えてはどうかということをおっしゃいまして、一年、二年であれば、本当に人道的な見地から、宗教上の観点からも、これは御賛同いただけるんじゃないのかなということを私が月刊文芸春秋の誌上で申しましたところ、仏教界あたりから大変怒られまくったんですけれども。

 それはそれとしまして、やはり日本の財政が大変厳しい折、宗教法人も少しは考えていただけないのかなというふうな希望も持っております。

 例えば、おさい銭とか、こんなのはやはり数えるのが難しいのかなと思っておりましたらば、聞いておりますと、やはり毎年この時期、お正月におさい銭とかが幾ら入ったのかというのを、宗教法人ごとにちゃんと決算するそうなんですね。もちろん、大きな宗教法人、小さな宗教法人でやり方は違うとは思うんですけれども。

 そういった意味でいえば、ちゃんと金勘定をやっているところはやっているともお聞きしますので、あながち不可能ではないんじゃないかなとも思っております。

 これは単に感想でしかないんですけれども、どんなふうに思われますでしょうか、宗教法人と社会福祉法人。

麻生国務大臣 先生、これは昔から数多くの方々が試みられて、あなたと同じように痛い目に遭ったり、失敗された方が大勢おられます。我が党にもおられますし、私どもも似たような経験があります。

 したがいまして、一つの考え方として私ども理解ができないわけではありませんけれども、今、私どもの税制調査会において話を振ったばかりでもありますので、現時点で議論の方向性について私の方から、宗教法人も考えろとか、NPOも考えろとか、何とかもとかいうようなことを、答えをというか、ある程度枠組みとかその方向性を指し示すというのは、今の段階ではちょっといかがなものかと存じます。

桜内委員 ここは政治家としてお互い言葉を慎まなくちゃいけない部分だとは思うんですが、御感想、ありがとうございます。

 次の質問に移らせていただきます。

 今回、先ほど古川副大臣からも御紹介がありましたとおり、随分思い切った、中小企業の投資促進税制であるとか、あるいは生産性向上の設備投資促進税制の御紹介もありました。これは大変いいことだと思っております。いいことなので、できたら、租税特別措置でやるんじゃなくて、本則に入れたらどうかという提案でもあります。

 といいますのが、特に即時償却といいますか、我が党、あるいは私が以前おりましたみんなの党も、自由償却ということをよく言っております。

 きのうも、参考までに、財務省から例の耐用年数表をいただいたんです。以前に増して大変精緻に、大変品目数も多く、相当真面目にやっていらっしゃるということもよくわかるんですけれども、逆に言うと、よく言われますように、電子機器ですとか、その耐用年数というのが本当に、省令に実態が合っているのかどうかというのは常に言われているところでもあります。

 また、私も会計、税務とかの仕事も若干やる方なんですけれども、日本の会計上の財務諸表を見ますと、よく言われます繰り延べ税金資産、これは非常に項目が多いんですね。他国の上場企業も、今、国際会計基準ですので、同じような基準でやっているにもかかわらず、日本の場合、繰り延べ税金資産が、規模もでかければ、項目数も非常に、比較にならないぐらい多いというのがあります。

 何が言いたいかというと、やはり公平、中立、簡素の簡素という面でいうと、税制というものと会計というものはむしろ近づいていく方向になるべきじゃないのかなというふうに考えておりまして、その典型がやはりこの耐用年数表といいますか、繰り延べ税金資産の非常に大きな部分を占めますのがまさに償却超過額の部分なんですけれども、そういった部分というのがなるべく出ないように自由償却を行っていく。

 仮に自由償却を行ったとしても、国から見れば税金が入ってくるタイミングがずれるだけですので、結局はいずれかの時点で損金計上されていくということを考えれば、税務当局として、余り目くじらを立てるほどじゃないんじゃないかなとも思うんです。

 この自由償却、あるいは即時償却をこれだけふやされるのであれば、この際、法人税法の本則にそういった規定を入れていくというお考えはありませんでしょうか。

古川副大臣 二十六年度の税制改正の中でも、即時償却など思い切った取り組みを取り入れて、これで民間投資の活性化を促したいということなのでございます。

 今般創設します即時償却制度につきましては、企業の生産性を向上させる、そして経済効果の高い投資を促すという考えのもとに、設備の取得年度において、取得価額まで自由に償却できます。そしてまた、その取得年度に全額を償却しなくても、翌年度にその残りの部分をそれこそ自由に償却できることになっています。また、この二年間の償却によって損失が発生した場合には、繰越欠損金として、その後九年間は所得と相殺ができるということになっているわけなんです。

 こういうことになっておりますので、さらにそこに加えて委員がおっしゃるように自由償却税制というふうになるのは、いかがなものかなというふうに思っております。

桜内委員 私が言いたかったのは、ここまである種頑張ったんだから、この際、それを本則にしたらどうですかという趣旨でございます。まあ、そこもいろいろ議論があるところだと思うんですが。

 次は、租税特別措置について、質問をかえたいと思います。

 これも、たくさんいろいろ御苦労されて、特に租税特別措置の場合、今、八十八あると聞きます。また、一つ一つ、特にこれは伝統的に、特に自民党の税調というのは大変な権威があるところでして、そこで大変なぶつかり合いといいますか、意見のぶつかり合い、利害のぶつかり合いの中でこういったものができてきたという経緯も理解できるところではあるんですが、とにかくちょっと数が多い。

 それから、きのうも同僚議員の田沼さんが指摘しておりましたけれども、総務省の方で租特の適用実態調査というのをしっかりやっておられて、残念ながら適用実績が非常に少ない、あるいは逆に言うと適用が特定の業種に偏っている。偏るのは仕方ないとしても、適用の実績がほとんどないものについては、これは政策の結果として出ているわけですから、なるべく早く整理合理化していく必要があると思うんですけれども、この方向性についてどうお考えになりますでしょうか。

古川副大臣 この租特については、やはり不断の見直しを行うということが大変大事なことだと思っております。その適用実態調査を有用に活用していかなきゃならないということも、全く委員おっしゃるとおりでございます。

 その上で、件数それから適用額、委員のおっしゃる数字なんですけれども、御案内のとおり、数字だけで判断をするというよりも、それぞれの租特を取り巻くいろいろな経済情勢、社会状況、背景があるわけですね。今後の見通しなども含めまして、政策的な観点も含めまして、これはやはり総合的に考えていくべきものだと思いますので、単純に数字がこうだからこうだという類いのものではないと思います。

桜内委員 もちろん、いろいろな政策が国会では扱われるわけです。例えば、今国会は恐らく集団的自衛権ですとかあるいは人の命にかかわること、こんなのは本当にお金に換算できないことだと思うんですが、やはり税金というのは数字に置きかえることが可能な分野でありますので、せめてこういった分野ぐらいはしっかりと数字に基づいた議論をしていきたいというふうに考えております。

 例えば、これは先週の日経でも報じられて、割にみんなびっくりしたという事例が租特で一つあります。「所得はサラリーマン平均の二十倍を超える八千六百万円。所得税はいくらかかるか」と。ゼロだという業種があるんですね。この新聞記事によりますと、通常であれば三千万円を超える所得税がかかってくるわけですけれども、「肉用牛で生計を立てる畜産農家ならゼロにもなる。」こういった記述があります。

 我が党の税調におきましてもこれは結構大きな問題になりまして、関心の高いところでもあるんです。確かに、これは租特の中でも個人所得税に関する部分なんですけれども、ただ、法人にも同じものがあると聞いております。

 財務省からいただいた資料によれば、特例の対象となる売却方法、要は、飼育した肉用牛を売却した場合は、その売却による所得は基本的には免税という大変な特典があります。もちろん、理由としましては、肉用牛の生産は時間がかかるほか、価格変動も激しく、設備や餌代も高い、大変なリスクをしょってこういった経営をされているということもあろうかと思うんです。

 とはいえ、売却による所得を全部免税というのはいかがなものかなとも思うんですけれども、これも非常に長く続いているそうです。四十七年間、租特でずっとこれをやり続けているそうです。このほか、年数の長い租特でいえば、新聞報道によれば、船舶の特別償却も六十三年前から、戦後ほぼずっとというような租特もあるわけなんです。租税特別措置といいながら、戦後ずっと、半世紀前後にわたってこういったある種優遇措置が継続してきた。

 もちろん、優遇措置が全部悪いと言うつもりもありませんけれども、先ほど副大臣もおっしゃったように、数字では測定できない価値あるいは物の見方があるのも確かだと思うんです。さすがにこの辺は見直さなくてはいけないんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

古川副大臣 御指摘の肉用牛の売却に係る農業所得の特例ということでございますけれども、特別措置、特別措置といいながら、ずっとじゃないかと。確かに形としてずっと続いてきておりますが、五年延長、それが三年延長になり、今回三年延長に決まったところなんです。

 御承知のとおり、昨年、会計検査院から検査結果、指摘を受けております。そこにおいては、累次の見直しにもかかわらず、先ほど御紹介いただいたような例、高額な特例の適用者が本当にごくごく少数だとは思うんだけれどもいる、そういう指摘は確かにございます。

 一方で、会検の指摘によりますと、農林水産省に対しての指摘なんですけれども、「短期間で検証を行うのが困難なものについて、今後、中長期的な視点からの検証を行うに当たっては、より効果的な評価手法を検討することが必要である。」という指摘もありまして、その検証に要する期間などを踏まえて、今回、適用期限を三年延長するということになっているわけでございます。

 租特につきましては、先ほども申し上げましたとおり、単なる数字だけではなくて、その背景、あるいは政策的な目的等々、総合的に考えなきゃならぬ、このように思っております。関係省庁ともよく協議をしながら、その時々の政策ニーズというものを踏まえながら、そして、決して公平性に欠けるものであってはならないという観点を持ちながら見直しを行ってきているところでありまして、引き続きそのように取り組んでいきたいと思います。

桜内委員 そのような答弁になるんだろうなと思って聞いてはいるんですが、財務省からいただいた租特の資料、特に減収額という意味でいえば、二十四年度の実績推計という形で、ちょうど一兆三億円というような金額になっております。新聞に出ておりましたのも、その前の年ぐらいですか、租税特別措置の減収額が約九千億円というふうにあります。

 このぐらいだったら許せるのかなというのもあるのかもしれませんが、ちょっと気になる表現が、新聞報道でしかないので何とも言えないんですけれども、法人税関係に限っては総額九千億円程度の減収だ、所得税などほかの税の税目の軽減分を含めると五兆円規模とされるというような報道があるんですけれども、これは実際のところどうなんでしょうか。把握されていますでしょうか。

古川副大臣 この新聞の記事にあるような数字ですね。今手元にありませんが、すぐ出すことはできると思います。

桜内委員 これは単に数字の世界ですので、実績値がどのぐらいなのか、また後で教えていただければいいんですけれども。

 とにかく、小さいように見えて実は小さくないという指摘だと思うんです。来年度予算では税収が久しぶりに五十兆円台になるというふうにおっしゃっている中で、租特の減収幅が、報道でしかないんですけれども、どういった調べ方をしたのかわかりませんが、五兆円規模だというような指摘も一部あるわけですね。

 これが正確かどうかは別としても、やはり租特の整理合理化というのは、冒頭からずっと言っておりますように、特に法人税においては、これから実効税率の引き下げを目指して議論されていくのであれば、課税ベースを拡大していく、その一つとしてやはり租特の見直しというのも避けて通れないものかと考えますけれども、この辺はいかがでしょうか。

古川副大臣 かつて主税局においてお仕事をなされた御経験もある委員ですからもう釈迦に説法ですけれども、税において公平性というものは信認を得る上で大変重要な部分だと思いますので、その意味に照らしても、おっしゃるとおりだというふうに思います。

桜内委員 ぜひ、政府においても与党においても御検討いただきたいというふうに思います。

 少し話題をかえまして、ここ十年ばかりの間に税法自体が大変分厚くなってきているんですね。今回の税制改正法案も二分冊で大変分厚い電話帳みたいなものが配られておりましたけれども、その一つの原因というのが、連結納税ですね。こういったものが法人税法上の本則に入れられてきて、相当程度の分量になっているんです。

 連結納税制度は、大変な御検討、御苦労もあって今導入されているところなんですが、ではどれだけ活用されているのというふうにきのう質問通告の際にお聞きしたりしておりますと、余りに少ないんですね。国税庁が把握されております、法人税を申告する法人の数ですけれども、大体三百万社ぐらいだというふうな記録をいただいております。法人数二百九十八万五千件ですか、そのうち、連結納税の申告をされている親法人の数でいうと千四百五十件。

 大変限られたところしかないんですけれども、これは当たり前といえば当たり前なんですね。連結納税といいましても一〇〇%子会社のみ認められておりますので、通常、連結といいましても、一〇〇%持っているのであれば合併して一つの会社になったりするのと一緒ですので、世の中、そんなにあるわけではないというのもあるんです。

 何が言いたいかというと、先ほども少し申し上げましたけれども、会計と税制の間の乖離が非常に大き過ぎるんじゃないかという問題意識を持っておりまして、税のロジック、理論からしましても、一〇〇%子会社のみが連結納税の対象というふうに限定する必要は本当はないんですね、税の理屈からいたしましても。ただ、実際には、その方が恐らく税の適用関係が明らかになりやすいということだとも思うんです。

 そういった意味で、要件が少し厳し過ぎるんじゃないのか、適用件数がこれだけ少ないということは、もうちょっと改善の余地があるんじゃないかとも思うんです。そういった将来的な方向性、すぐにぽんとは言えないかもしれませんけれども、この連結納税制度の適用法人の少なさ、あるいは今後どうすべきかという点について、お考えがあればお願いいたします。

古川副大臣 お答えいたします。

 一言で申し上げれば、やはり公平性ということに行くのだろうと思います。企業会計の世界における価値観と、やはり税務においては違うんだというふうに思うんです。

 御案内のとおり、この連結納税制度というのは、一体経営がなされ、実質的に一つの法人と見ることができる企業グループを一つの納税単位とすることによって実態に即した課税ができるということなんですけれども、そのために、この対象企業の範囲は、完全支配関係、一〇〇%ということで、やはり条件をしっかりしていくということでございます。

 委員御指摘のように、完全支配関係がある子会社以外にもその対象を広げたらどうかという御指摘なわけですけれども、しかし、この制度はあくまでも、申し上げておりますように、法人単体での納税の原則の例外です。ですから、損益を相殺して課税が軽減される、そういう性質があるわけですから、適用は抑制的でなきゃならない。

 それとまた、一〇〇%でない場合、少数株主ですね、少数株主が持ち分を保有する法人の所得を全額合算することが本当に適当かどうか。公平性のことから考えましてもクリアできない問題点があるというふうに思いますので、やはりここは慎重に考えなきゃならぬ、こういうふうに思っております。

 なお、申告件数が少ないじゃないかということなのでございます。相対的に見ると数は確かに少ないんですけれども、五年前の十九年度の六百七十一件からしますと倍増、一千二百七十五件にふえておりまして、その意味では制度が着実に浸透してきているのではないだろうか、このように思っております。

桜内委員 何が何でも会計と同じようにしろと言うつもりもないわけですけれども、どっちかというと、経済的な実態に即してやはり税制もあるべきじゃないのかなという指摘でございます。

 これに関連して、組織再編税制。これはまた非常に範囲の広い話ですので、もう時間も余りありませんので、よっぽど細かいところを聞くつもりはありませんが、組織再編税制にせよ、その他日本の法人税法上よくありますのが、税制適格に該当するか否かによって、例えば組織再編であれば、簿価による合併の資産の承継、こういったものが可能になるとか、そうでないとかいう要件があるわけです。

 一方で、これはむしろ税制の経済活動に対する中立性といいますか、こういった面からするとどうなのかなというふうに常々思っておりまして、というのが、税制適格を満たすために例えば従業員を八〇%以上引き受けました、しかし、その後、一期法人税の申告が終わった後に大々的にリストラをやっちゃいましたとか、そういった、税制適格要件を満たそうとするために企業の経済活動がかえってゆがんでいく、ないしはそれをすり抜けていくようなやり方をとる場合も間々耳にするわけですね。

 そういった意味で、何が言いたいかというと、組織再編税制は、今、会社法上、MアンドAですとかが大変盛んですので、なるべく使い勝手のいいものにしていくべきだと思うんですけれども、ちょっとその辺の方向性は、今の税制適格の要件であるとかその制度設計自体、私はちょっと疑問を持っております。

 では、諸外国はどうなんだということも実はきのう主税局の方にお尋ねしたんですが、そういう事例はどうもよくわかりませんという回答だったんですけれども、ぜひその辺も調べていただいて、よりよい企業再編税制であるとか、グループ税制といいますか、先ほど申しました連結納税制度も含めて、もっと使い勝手のいいものにしていくべきだという大きなことを指摘しておきます。

 これについて最後に感想をお伺いして、質問を終わりにいたします。

古川副大臣 先ほどから、いろいろ前向きな御提言なりいただいておるんですが、いずれもかたいお答えになってしまいまして、恐縮に思います。

 企業が組織変更する上で、やはり経済状況はいろいろなことがいっぱいありますから、組織再編の前後で経済実態に実質的な変更がない場合は、課税の繰り延べなどを認める組織再編税制というものを設けているわけなんですけれども、しかし、やはりそこにおいても移転資産の時価取引として譲渡損益を計上するということが原則でございまして、やはりこの原則は貫かなきゃならぬという基本的な考え方をいたしております。

 ですから、この組織再編税制の適格の要件につきましても、この原則に沿ったものでなきゃならないということから、幾つか御紹介もいただきましたけれども、厳格な要件を定めているわけでございます。

 しかし、委員おっしゃいましたように、国際的な企業活動の実態等々ございますでしょうから、そういうものもしっかり見ながら、将来においてはどうであろうか、そういう見方は常に持っていなければならないというふうに思っております。

桜内委員 ありがとうございました。

 ちょうど時間が来たので、これで終わります。

 残念ながら消費税まで踏み込めなかったのですが、また次の機会ということで、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

林田委員長 次に、大熊利昭君。

大熊委員 みんなの党の大熊利昭でございます。

 きのうに引き続きまして、本日もよろしくお願いをいたします。

 まず、昨日の続きから入らせていただきたいと思うんですが、復興特別法人税の廃止、これをどのように賃金上昇につなげていくかという議論です。きのう私が申し上げたのをもう一度繰り返して恐縮ですが、結局、最後の税前利益から法人税等が引き算されて当期純利益になるわけでございまして、復興法人税等の廃止、ここが減っても営業利益には変更がない。そういう中で、企業経営者としては、販管費や製造原価に入っている人件費を上げるという経営判断になかなか論理的にはなりにくいというか、論理からいうとならないんじゃないかという指摘をさせていただいたわけでございます。

 まず、昨日は、この点は大臣は即答できませんとおっしゃっておられました。一晩たちましたので、ぜひお答えをお願いしたいと思います。

    〔委員長退席、菅原委員長代理着席〕

麻生国務大臣 今の御指摘は、財務諸表をもとに考えますと、それはおっしゃるように、法人税の減税が企業の最終利益を増加させはしますものの、いわゆる税引き前の営業利益の改善というところに直接つながるものではないということなんだと思うんですね。

 しかしながら、例えば決算賞与というようなものを考えてみても、従業員であれば最終利益のいわゆる分配先になり得るというように考えられますので、今般の改正というものは、少なくとも企業の投資意欲というものを高めたり賃上げの余地を高めるものになってもらえればいいなというように考えております。

大熊委員 財務省から見た理屈はそうだということで、一応議論の共通点はあろうかと思うんですね。

 私も、質問していて言うのもなんなんですが、やはりそう簡単には賃金上昇につながらないと思うんです。経路としては、最終的な純利益は結局ふえるわけですから、それを前向きな設備投資なんかに使って、今回はそういう税制措置が入っていますが、それによって売り上げが上がりますよ、そうすれば、その上の方の販管費とか製造原価の中の人件費が上げられる、こういう経路に多分なるんだろうなということで、十月一日の閣議決定の文書か、あるいはそれ以降か、何かもう少し、財務省さんにしては、もうちょっと理屈をしっかりと紙で書かれた方がよかったのではないかというふうには思うわけでございます。

 ただ、これを書きますと、うるさい野党議員から、そうするとすごく時間がかかるじゃないか、こういう指摘が来るんだろうと思うんですね。しかしながら、やはりここは、人件費の指標というのは経済指標の中でも一番遅行性のある指標でございますから、すぐになるよみたいな、空手形と言ってはあれなんでしょうが、時間がかかるんですというふうに正直に言われた方がよろしい、あるいはよろしかったんじゃないかと思うんですが、大臣、一言、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 うるさい野党の部分も含めまして、おっしゃっていることはよくわかるところなんですが、企業収益の改善というのが速やかに行われるということが一番肝心なところなんだと思います。

 いずれにいたしましても、今言われましたように、表現の仕方をもう少し、といっても、なかなか書き方は難しいところだとは思っておりますけれども、今の御意見というのは参考にさせていただければと思っております。

大熊委員 企業にとって収益の上昇というのは確かに大事で、私も異論はございません。

 もう一つ、中長期的な企業の体質改善、いつも私、予算委員会などで大変失礼なことを申し上げているわけですが、日本の経営者のレベルは非常に低いんじゃないか。要するに、諸外国に比べますと、いろいろな収益性、売上高や営業利益率にしても純利益率にしても、あるいは資産と比較した利益率、ROEとかROAですね、全て、どれを比べても圧倒的にナンバーワン、悪い方のナンバーワンだろうと思うんですね。

 ドイツの企業あたり、これはどんな企業とどんな企業を調べるかというのはあると思いますが、全体としては、下手をすると、日本の営業利益率が先方の純利益率よりも低いなんということももしかしたらあるんじゃないかぐらい低いわけでございますね。

 だから、ここは、財務省さんとしては税で何とかしようという観点なんでしょうけれども、これは当然、内閣としては、税だけじゃないということで、日本企業あるいは日本経済全体の筋肉質化といいましょうか、これがやはり基本であって、税というのは、この委員会は税の委員会なのでしようがないんですけれども、それをサポートするんだ、こういうことなんだろうと思うんですね。

 しかし、御説明にはそういう部分、頭出しの部分がいろいろ欠けているんじゃないかなというふうに思わざるを得ないんです。この委員会ではそうなんですが、やはり政府としては、この頭出しのところ、どうやって体質改善をするんだというシナリオがあった上で、こういう税のいろいろな対策、施策があるのではないかというふうに考えるんですが、この点はいかがでしょうか。

麻生国務大臣 これは、大熊先生、その国の国柄、その会社の会社柄、その経営者の人柄等々いろいろなものから複合的に生み出されるものではありますけれども、総じて日本の場合は、今言われましたように、粗利と純利との差ぐらいドイツと日本の差があるんじゃないかという御説でしたけれども、確かにそれぐらい過当競争が激しいということはもう間違いない事実として、ドイツも、シーメンス以外に、全社、おまえのところに、行ってみたけれども、それだけの粗利が出せるかといえば、僕はシーメンスも出せないんだと思うんですね。

 日本の場合は、それぐらいやはり過当競争が激しいと言われるほどの中で生き残ってきたがゆえに、日本のマーケットで生き残った場合は、世界じゅうで生き残れるというものをつくり上げたんだと思います。そういった意味では、我々として、それが行き過ぎている面もあれば、それによって助かっている面もある、いろいろな面もあるんだと思いますけれども、いい点を考えながらも、こういった世界で最初のデフレ不況というのをやって、やっと今回復しつつあるところなので、この経験をいかに生かしてうまいこと先につなげていけるかというところが、これから経営者に与えられたものでしょうし、我々としてはそれをサポートしていくというような税制等々を考えていかなければならぬのではないかと思っております。

大熊委員 この委員会ではないのかもしれませんが、やはり経営者の新陳代謝ということが必要になるんだろう、そのためにはガバナンスの思い切った強化といいますか、少なくとも国際水準に近づけるぐらいの、ぐらいのというかもっとやらなきゃいけないと思うんですが、そのことによって、現金をとにかく三十兆もためて何も使わないという……(発言する者あり)三百ですか、失礼しました、使わないというのは、これは諸外国でしたら経営交代が起こってしかるべきなんですが、日本の企業ではどこも起こらないということになっているわけでございます。

 これは、この委員会だけの問題じゃなく、政府全体ということでもないでしょう、日本全体でこの仕組みを何とかしなきゃいけない。政治ですら政権交代が起こるわけでございますから、日本の企業の政権交代も起こりやすくする、そういう仕掛けが、いろいろな施策、あるいは、法人税を思い切って下げるにしても、体質が変わっていないところに法人税だけ下げたって、しようがないとは言いませんが、私どもも下げる方を主張している政党でございますのでしようがないとは言わないんですが、やはりもとのところがあるんだろうというふうなことを申し上げて、ちょっと次に行かせていただきたいと思うんです。

 もう一つも、これはきのうの積み残しでございますが、国際課税の総合主義から帰属主義への見直しということで、これは、外銀をかますといろいろなスキームでもって租税回避行為ができちゃうんじゃないかというところでございます。

 例えば、資料では、PE、パーマネントエスタブリッシュメントと本店との間の内部取引、これを明確にするため文書等を整備するということになっているわけでございますが、本店と支店間だけではなくて、銀行、特に外国の銀行との文書、契約書等、これも整備しているんでしょうけれども、全て整備と開示、これを、法律で書くことはできないんでしょうが、何かその下の規範で入れていくことによってかなり厳しく防いでいけるのではないかというふうに思うんですが、この点いかがでございましょうか。

田中政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘のような租税回避行為につきましては、今現在の法律でも、例えば、支店から外国の銀行に対して利子の支払いが過剰に、通常の取引よりも過大に行われた場合に、正当な対価を超える部分については一般に寄附に該当するものというふうに考えられて、損金の不算入制度というのがございます。

 ただ、今回、さらに、御指摘のように帰属主義への見直しに当たりまして、経済実態と異なる取引によって日本の法人税を不当に減少させる行為につきましては、国税当局が否認できるという形にするように、法制上の手当てを講じることとしております。

大熊委員 そうすると、具体的に文書関係については何もない、否認ができるという、最後といいますか、その措置のところで権限を行使するだけであって、事前の防止策のような、つまり今私が申し上げました、第三者の金融機関と当事者の日本支店との間の文書等の整備や開示、これにかかわる措置というのはない、あるいは今後もそういうことは考えないということなんでしょうか。

田中政府参考人 いわゆる税務調査は日本国に存在する支店に入ることができますので、その支店の調査に当たって、さっき申し上げましたような規定を使って対応するということです。

 事前に、取引をなさっているときの書類の整備の問題ということであれば、それについて今回特段の措置をしているわけではありません。

大熊委員 この件を事務方に伺いますと、OECD諸国がそうなっているという話なんでしょうか、外銀の方からの要請もあってこういうことが一部入ったというようなお話もちょっと伺ったので余計にちょっと心配をしているわけでございますので、どうぞよろしくお願いをしたいというふうに思います。

 続きまして、先ほども議論になりました税のパラドックスの関係なんですが、これも冒頭の大臣との議論のように、税率を減らして税収がふえるのかと。ほかの要因でふえることはあるんでしょうけれども、税率を減らしただけで企業の体質というのは、要は税前利益までは何も変わらないわけですから、体質は変わらないか、あるいはかえって悪くなるまでいかないかもしれませんが、少なくとも、税を下げることによって体質あるいは経済が筋肉質になっていくということは、これはちょっと論理的にはなかなか、演繹的には考えにくいのではないかと個人的には思うんです。

 何ゆえこの税のパラドックスなるものが起こるのだろうか、ここを、起こるんだという方の理屈、論理、考え方、これはどういったものなのか、ちょっと教えていただければと思います。

    〔菅原委員長代理退席、委員長着席〕

田中政府参考人 これは、いろいろと、主張なさっている方によっておっしゃっていることが違うんじゃないかと思うんですが、私どもが伺っている中で、とりあえず、こういうことでお考えなんだなという内容について見ますと、海外の国で税率を下げたときに、やはり一定の国で税収が上がった、税率を下げてもGDP比で税収が上がったという事実そのものがあって、これは何らかのそういう経済的な効果があったのではないかというふうにおっしゃる方がまず一ついらっしゃるんだろうと思います。

 それから、それについて、その事実を踏まえて、税率が下がると資本コストが下がって、何らかの企業行動が変わって、それでGDPに影響を与えるというようなことをおっしゃる方もいます。

 今現在まさに、先生御指摘のように、そういう理論が正しいのかどうかを含めて、政府の税制調査会で、専門の先生方がたくさんいらっしゃいますので、海外の論文等々も含めて勉強をしていただいているところでございます。

大熊委員 どこかのある国の経済、ある時点での経済、お金が足りないんだ、でもって、税に回る部分が民間に留保され、それが設備投資につながってとかいうのはあるかもしれませんが、でも、現在の日本はお金が余っているわけですから、ちょっとやはり、なかなか論理的には難しいのかなというのを私は思うわけでございます。

 続きまして、きのうもちょっと出たかもしれませんが、繰越欠損金の損金算入期間の問題なんです。今回の法案には入っていないかもしれませんが。

 ここは、きのうも議論させていただいたように、もともと、かつての日本の金融危機のときに銀行向けに入った措置ではなかったかというふうに記憶しているわけでございます。そうすると、今、日本の銀行は立ち直っているわけでございまして、結局、銀行を救うための措置ではなかったのかという疑いも持ってしまう、一般的にはそういう方も結構いらっしゃるんじゃないかというふうに思うわけです。

 その点、間違った理解なのかもしれませんが、そういった論を生まないといいますか、あるいはそうじゃないんだよということ、これはそうなのかどうか、一言いただきたいと思います。

田中政府参考人 現在、繰越欠損金の損金の算入期間は御指摘のように九年になっております。これは、平成二十三年度の改正で七年から九年に延長しております。

 このときの経緯は、私どもが承知している限りでは、法人税率の引き下げ、国の法人税率を三〇%から二五・五%に引き下げる際に、いわゆる課税ベースの拡大の一環として、欠損金の繰越控除のあり方について見直しをするということにしたものですから、その一環で七年から九年に延びている。七年から九年に延びているだけではなくて、大法人について、欠損金の見直しをした際に、控除限度額を所得金額の八割にしている。そういうコンセプトで行われたというふうに考えております。

大熊委員 五年から七年に延びたのは金融危機のときというふうに承知しているので、それはそういう理解でよろしいんでしょうか。そうすると、私の先ほどの質問になるんですが。

田中政府参考人 五年から七年については、たしか十六年度の改正でございまして、このときも、間違っておればまた訂正いたしますが、法人税の改革が全体的に行われて、課税ベースについての議論があったというふうに記憶しております。

大熊委員 金融危機の出口ぐらいのときではなかったかなというふうにも思う、約十年前ですか、そういうことなので、私が言うのもなんですが、あらぬ疑いが起こらないようにされたらいかがかなと思うわけでございます。

 それから、次に行かせていただきますと、今回、先ほども議論が出ましたが、事業再編の関係で税制の措置が入っているわけでございます。

 日本再興戦略においては、企業や産業の新陳代謝を促進し云々ということなわけですが、これもまた先ほどと同じ議論で、もとがあって税制がサポートする、本来、こういうコンビネーションなんだろうというふうには思います。

 税だけでどうなんだというふうにぎりぎり申し上げるつもりはないんですが、それでもなお一応、この措置によって事業再編がどのぐらい活性化していくのか。

 日本は、かつてより大分多くなったとはいえ、多分、今でもアメリカの十分の一とか二十分の一ぐらいじゃないかと思うんですね、経済規模が半分としても。ということは、そういった再編の動きというのはまだまだ非常におくれているというふうに言わざるを得ないということで、今回、この措置だけではできないんでしょうけれども、この措置によってどのような効果が期待されているか、教えていただければと思います。

田中政府参考人 今回は税制の措置だけではございませんで、先般の臨時国会で通りました産業競争力強化法のスキームがまず前提にございます。

 この認定を受ける企業で、複数の企業が今おっしゃいましたような事業統合等によって新会社を設立する場合の事業再編、これを行いやすくするということで、新会社に対する出資、融資額の七割の損金算入を認めるということでございまして、先般、かなり大きな会社の合併が報道されておりますが、これについてもこの産業競争力強化法の中で認定が受けられるものだというふうに想定しております。

大熊委員 どこかにあったかと思うんですが、それぞれの措置でどのぐらい税収がプラスになったりマイナスになったりという表があったと思うんですが、そうすると、この再編にかかわる、特措法の五十五条の三とか、これで幾らぐらいの効果、あるいはそのために事業再編の件数は何件ぐらいを想定していらっしゃって、それは現状より例えば何割増しを目標にしているとか倍だとか、その辺の数値的なところをちょっと教えていただけませんでしょうか。

田中政府参考人 細かな積算については今調べてお答えいたしますが、この税制改正によって国税にどういう影響が出るかということでございますが、事業再編促進税制全体で、平年度、初年度、約百億の減収というふうに見込んでおります。

大熊委員 数字をしっかり、国会の議論ですっとお出しいただきたいというふうに要望を申し上げます。

 次に行きまして、軽自動車の増税関係でございます。これも先ほども議論が出ておりましたが、ちょっと私は違う切り口で、言われた方もいらっしゃるかもしれませんが。

 この軽自動車、日本で今や数少ないと言っちゃ語弊があるかもしれませんが、世界的に見ても競争力があるといいますか、特徴的なプロダクトですよね。ほかの国がなかなかまねのできないこういう分野、セクターの競争力をわざわざ弱めてしまうような、そういう施策に見えるわけです。今や、テレビとか半導体、DRAMなんかもかつて日本はナンバーワン、あるいはパソコン、コンピューター関係も世界のトップだったのが、凋落をしてしまっている。

 この軽自動車は、数少ない残った、世界に冠たるすばらしい分野だと思うんですが、ここを逆に弱くしてしまうようにどうしても見えてしまうんですが、そうではないんでしょうか。よろしくお願いいたします。

平嶋政府参考人 お答えをいたします。

 軽自動車の今回の改正につきましては、ちょっと背景を申しますと、そもそも、税制抜本改革法第七条におきまして、自動車取得税を抜本的に見直す、そういう方針の中でその代替財源について関連税制の見直しを検討しろという条文がございます。それで、総務省といたしましては、そういう法律の規定を踏まえまして、地方財政審議会に検討会を設けて、車体課税全体について幅広く検討をお願いしたところでございます。

 その中で、代替財源については、税制抜本改革法を踏まえて、まず、車体課税の中にいろいろな不均衡がある、そういう中から税収の確保を検討すべきじゃないかと。そういう観点の中で出てきたのが、例えば、自動車税の営業車と自家用車の格差があるんじゃないかという問題ですとか、軽自動車と小型車の間に大きな格差があるんじゃないかといったことを御指摘いただきまして、特に軽自動車は、大型化、高性能化が図られているにもかかわらず、小型自動車と四倍以上の税率格差がある、こういう御指摘を頂戴したわけでございます。

 これらを踏まえて、私ども総務省として与党税制調査会での論議をお願いしたわけでございますが、今先生からも御指摘ありました軽自動車というのが、日本の独自の規格であると。これが、日本の中では大変いいのでございますけれども、逆に海外での実績は全くない。結局、競争力というのは国内の問題になっているということでございますとか、こういうふうな軽自動車よりも、むしろ海外で売れるような技術ということになると、もう少し上のクラスの小型車であるとか、もっと大きな車の方もバランスよく育てていく必要があるんじゃないか、こういうような議論が行われました。

 こういうものについて、自動車産業、産業政策、あるいは自動車の規格も含めて活発な議論をいただきました結果、今回のような、負担の軽減を図りつつも、軽自動車の引き上げを行うという決定がされたというふうに承知をいたしております。

 なお、軽自動車についても、いずれにしても、グリーン化を進めるという観点から、そういう性能を高めていく必要があるということから、経年車重課を導入しますとともに、軽課を検討することといたしております。

 以上でございます。

大熊委員 やはり、なかなか納得いきがたいお話なんですね。

 というのは、日本の中では軽自動車をつくっています、だけれども、同じ企業がその技術力を使って海外ですばらしい小型車をつくってもうけているわけですよね。だから、結果としてそういう企業を弱めることに、まあ、特定のことを言うとあれなんでしょうが、規格が日本国内だからといって、それだけをもってというのはちょっと違うんじゃないかということ。

 それから、平準化する、そういうことの発想自体が、特徴を、差別化をしていくということと逆の発想です。

 逆に言うと、今まで軽自動車の方が税制的に優遇というふうに言えるのかどうか、相対的にはそういうふうに言えるかもしれませんね、それによって産業が発達してきた、意図せずか意図してかわかりませんが、そういう産業政策を税制からサポートしてきた、そういう面もあるんじゃないかというふうに思うんですね。

 だからこそ、世界一の、軽自動車は日本だけなんでしょうが、それを使った小型車のビジネスというのが世界でいろいろあるわけでございまして、競争力が高まっているわけでございまして、それはむしろ、グローバルの競争の中で、日本の企業の特徴ある分野としてますます強くしていくべきなのに、今回は逆をやっているんじゃないかという懸念が全く拭えなかった今のお話でございます。

 あと、もうほとんどないということなので、ちょっと飛ばさせていただいて。

 国家戦略特区区域の税制の措置なんですが、歴史的建造物の修繕、これについてもこの特例が認められることがあるのかどうか、ちょっと一言お願いしたいと思います。

古川副大臣 国家戦略特区に係る税制につきましては、この二十六年度改正におきまして、即時償却を含む設備投資減税、研究開発税制の特例、固定資産税の特例など、大胆な施策を講ずることとしているわけです。ただ、この国家戦略特区税制の狙いというのは、資産の新規取得等を促進したいというところにその心があるわけでして、御指摘の歴史的建物の修繕につきましては、その対象にはなりません。

大熊委員 私の地元の上野にいろいろ歴史的建造物があるので、リニューアルしてほかの用途に使うとか、そういうことをイメージしていたんですが、なかなかちょっと難しいということで了解をいたしました。

 時間終了ということで、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

林田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 昨日の質問で、中小企業と消費税の問題を取り上げてまいりました。きょうは、その続きということであります。

 最初に確認をしておきたいのは、二〇〇四年に、免税点、これが売り上げ三千万から一千万に下げられたわけであります。このときに、当然、課税事業者はどんとふえたわけでありますが、何件から何件にふえたか、その実績を示していただきたいと思います。

藤田政府参考人 お答え申し上げます。

 税務署に提出されました消費税の課税事業者等の届け出件数でございますけれども、平成十五年度は約二百五十三万件、平成十六年度は約三百七十四万件、平成十七年度は約三百八十七万件となっておりまして、平成十五年度から平成十七年度で約百三十四万件増加しております。

佐々木(憲)委員 百三十四万件が新たに課税対象、納税義務を負うようになったわけですね。

 それが今何件になっているのかという点であります。ふえたのは百三十四万件でありますけれども、今、何件ありますか。

藤田政府参考人 お答え申し上げます。

 直近の平成二十四年度の課税事業者等の届け出件数は、約三百二十七万件となっております。

佐々木(憲)委員 当時は課税対象が三百八十七万件だった。現在は三百二十七万件ということは、六十万件がこの間失われている。それだけいなくなったわけですね。

 麻生大臣、この業者はどこに行ったんですか。

麻生国務大臣 これは、いろいろな例が考えられると思っております。例えば、八百屋さんやら豆腐屋さんやらを全部スーパーにまとめて、一件になった。業者の数は減って、中に全部入れられた。私らの地方でもよくある例です。そういった例もありますし、後継ぎがいなくて結果的にその店を閉めた等々、いろいろな例もあろうかと思います。

 いずれにしても、数の面ではかなり減ってきておるということに加えまして、バブルの崩壊とかアジア通貨危機とかリーマン・ショックとか、いろいろな不況もそれに重ねて起きたということも考えられると思いますので、今申し上げたようにいろいろな面が考えられるので、これが答えというのが一つあるわけではございません。

佐々木(憲)委員 それはいろいろな面がありますけれども。

 その中で、課税業者になりまして、なかなか消費税が転嫁できないために持ち出しがふえて、その結果、営業が成り立たないということで店を閉じる、そういう例もかなりあるんです。私は、その事例をたくさん聞いております。転嫁できないと、結局、自己負担になるわけですね。しかし、経営が厳しくなると滞納せざるを得ない、こういう状況も生まれるわけですね。

 数字を確認したいわけですが、新規発生滞納の中で消費税の滞納が占める比率をお答えいただきたいんです。一九八九年、九五年、二〇〇〇年、二〇〇五年、二〇一〇年、最近の数字、それぞれお答えいただきたいと思います。

藤田政府参考人 御指摘の各年度におきます新規発生滞納額に占める消費税の割合を申し上げますと、一九八九年度、平成元年度が二・七%、一九九五年度、平成七年度は二七・四%、それから二〇〇〇年度、平成十二年度は四四・六%、二〇〇五年度、平成十七年度ですが四五・四%、二〇一〇年度、平成二十二年度は四九・七%、直近の二〇一二年度、平成二十四年度は五三・六%となっております。

 なお、今の消費税の新規発生滞納額に占める割合でございますが、ちなみに、平成二十四年度の消費税の新規発生滞納額は三千百八十億円でございまして、ピークでありました平成十年度の七千二百四十九億円から大幅に減少をしてきておるところでございます。

佐々木(憲)委員 一九九七年に税率が三%から五%に引き上げられて、そのときに滞納が急増しているわけですね。それから、二〇〇四年に免税点を三千万から一千万に下げた、その後にも滞納がふえている。経営が大変厳しくなっているわけであります。このまま税率を八%に上げるとなっていきますと、かなり厳しい状況が生まれて滞納もふえるのではないか、そういうふうに思われるわけです。

 税制だけではありませんけれども、全体として、日本の中小企業の経営というのは非常に大変な状況になっておりまして、駅前の商店街もシャッター通りになるとか、中小零細業者の数が大変減っているのではないかと思います。

 そこで、中小企業の数がどうなっているのか。一九九一年から今までの二十年間、中小企業の数、数字を示していただきたいと思います。

田中政府参考人 お答えいたします。

 我が国の中小企業、小規模事業者の数は、事業所・企業統計調査によりますと、一九九一年は五百二十万社、二〇〇六年は四百二十万社、それから、この統計の後で後発統計として経済センサスというのが出ていますが、これによりますと、二〇〇九年は四百二十万社、二〇一二年は三百八十五万社となっているというふうに聞いております。

佐々木(憲)委員 中小企業の数自体が相当減っているわけです。今、統計の紹介をしていただいたんですけれども、一九九一年は五百二十万社あったわけですね。若干統計のとり方は途中変わりましたけれども、二〇一二年は三百八十五万社ですから、これだけでも百三十五万社減っているわけです。大変な減り方で、単純計算をやりますと、二六%減少。

 これは、中小企業にとっては、税の負担というものが大変重いということもあります。滞納がこれだけふえてきている、なかなか納税できない、そういう場合にはもう店を畳むということになってしまうわけであります。

 麻生財務大臣、中小企業で働いている人たちは、今、全体の七割ぐらいいるわけですね。そうしますと、この中小企業が百何十万も減っていきますと、働く場所がなくなってくる。つまり、雇用全体にとっては大変大きなマイナスになるわけでありますが、そういう認識はございますでしょうか。

麻生国務大臣 景気が悪くなってくる、商売が難しくなる、結果として倒産がふえる、その結果失業が上がる、いわゆる自由主義経済の中において特にあります上に、加えて、デフレというこれまでにない経験をいたしておりますので、私どもの場合は極めて厳しい状態が二十年続いてきたんだと思っております。

佐々木(憲)委員 大変厳しい状況が続いているわけであります。

 他方で、消費税に関連をして言いますと、輸出関連の大企業、この場合には、輸出ですから、消費税の還付というのがあるわけです。

 それで、この合計額は今どのぐらいなのか。売り上げ十億円以上の還付額、それから全体の還付額、これは一体どうなっているか。国税分と、それから国、地方分を合わせた分、それぞれの数字をお答えいただきたいと思います。

藤田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、国の分でございますが、平成二十四年度分の消費税の還付税額は約一兆九千億円でございます。このうち、売り上げ十億円超の法人の平成二十四年度分の消費税の還付金額は約一兆七千億円になってございます。これは、済みません、地方消費税分一%は含まないものでございます。

佐々木(憲)委員 今御紹介ありましたように、還付額の中で、大手企業が八九・八%になるわけですね。全体で一兆九千億円が還付されているわけですが、一兆七千二百三十二億円が売り上げ十億円を超えるところに還付をされている、こういうことでございます。

 こうなってまいりますと、もちろん還付されたから丸々利益になるかというと、そうではないと思いますよ。ただ、中小企業に対して、単価を買いたたいて、消費税分をおまえのところで見ろというような話がまかり通っているような状況が今までありました。そういうことであると、これは、還付されたら自分のところの利益になってしまう、こういうことでありますので、そういうふうにならないようにしなきゃならぬというふうに思います。

 そこで、これは税務署の関係でありますが、例えば、消費税の納税額、納めてもらった額ですね、それと還付した額、これを比較して還付の方が多い税務署があるんじゃないか。その税務署名とその差額、これを示していただきたいと思います。

藤田政府参考人 お答え申し上げます。

 国税庁の平成二十三年度の統計によりますと、消費税、国税分の納税額から還付額を差し引きました差し引き額が大きい上位十署の税務署名それから差し引き額でございますが、一位、豊田税務署、約一千九十三億円、二位、神奈川税務署、四百四十九億円、三位、海田税務署、約二百六十七億円、四位、阿倍野税務署、約百三十八億円、五位、今治税務署、約九十六億円、六位、直方税務署、約五十九億円、七位、右京税務署、約二十八億円、八位、阿南税務署、約二十一億円、九位、門真税務署、約二十一億円、十位、蒲田税務署、約二十億円となってございます。

佐々木(憲)委員 私もこれを見て驚いたんですけれども、税務署というのは、大体、税金を集めるわけですから黒字なんですけれども、これは赤字なんですよね、消費税については。

 何でそうなるのかということですけれども、愛知県の豊田の場合は、当然、トヨタ自動車、関連会社もあります。神奈川税務署の場合は日産自動車ですね。それから、広島県海田税務署の場合はマツダ本社。大阪府阿倍野税務署の場合はシャープですね。それから、愛媛県今治の場合は造船などの輸出企業がある。福岡県直方税務署の場合はトヨタ自動車九州。京都府の右京の場合は村田製作所本社があります。それから、徳島県阿南の場合は日亜化学工業の本社。大阪府門真の場合はパナソニック本社。東京都蒲田の場合はキヤノンの本社。

 どちらかといえば、こういう大手企業の城下町のところの税務署は、消費税については、もらうよりも返す方が多いということで、赤字になっている。それが十税務署あるということを今報告いただいたわけであります。本当にびっくりしたわけです。

 それで、次に、この前、転嫁の問題をお聞きいたしました。きょうは国交省にも来ていただいておりますが、この転嫁の問題というのは、中小企業だけではなくて、地方の公共交通機関、これも大変深刻な状況になっているわけであります。

 この消費税の転嫁問題というのは、乗り合いバスの場合を例に挙げますと、国交省が、平成二十三年、二〇一一年十二月十二日の政府税調に提出した文書があります。参考資料ということなんですが、その中に、「消費税率引き上げによる乗合バスへの影響」、こういう資料があります。

 それを見ますと、「乗合バスの場合、利用者の大幅な逸走が」、逸走というのは、いなくなる、逃げ出す、こういう意味なんですけれども、「利用者の大幅な逸走が懸念されるため、運賃値上げによる消費税の転嫁は事実上困難。」こういうふうに言っていたと思うんですが、これは間違いありませんか。

大庭政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、平成二十三年十二月十二日に開催されました政府税制調査会におきまして、国土交通省から、「消費税率引き上げによる乗合バスへの影響」についてでございますけれども、「運賃値上げによる消費税の転嫁は事実上困難。」という資料を提出した経緯がございます。

 この資料を提出した当時でございますけれども、経済情勢が芳しくない状況のもとで、利用者のさらなる減少を懸念する事業者の主張、これを酌み取って、このような資料を提出したものと理解しておるところでございます。

佐々木(憲)委員 この資料によりますと、運賃値上げを行った場合の影響、つまり、消費税の増税を上乗せして、今、転嫁しろ、転嫁しろというわけですから、上乗せした場合に何が起こるか、こういうことが書かれているわけであります。

 一つは、「運賃改定を行っても利用者の逸走により相殺され、十分な増収につながっていない。」。運賃改定、つまり、引き上げても、その分お客さんが減ってしまうので、十分な増収にはつながらないというのが一点。

 それから、「運賃値上げによるマイカーや自転車、徒歩への移行やバスによる出控えなどが逸走の主な理由。」。

 それから、三点目として、「運賃値上げによる転嫁が期待できない中、消費税の納税額は確実に増加するため、乗合バスの収支の悪化と路線の廃止・減便、バリアフリー化等の遅れ等が強く懸念される。」こういうふうに書いているわけです。

 それから、タクシーの場合も、こういうふうに指摘をされているわけです。「タクシーの場合、利用者の大幅な逸走が懸念されるため、運賃値上げによる消費税の転嫁は事実上困難。」。

 バスもタクシーも大変に困難な状況である、こういうふうに書いていたわけであります。

 先ほど確認しましたが、現在、経済状況はそんなに好転しているわけじゃないです、地域の場合。同じようなことが、今、消費税の増税が実行された場合には発生するんじゃないかというふうに思います。

 この点、国土交通省は、どういうことをこれに対応してやろうとしているのか。これは、転嫁すればするほどお客さんがいなくなって経営が成り立たないということになりかねないわけですが、いかがでしょうか。

大庭政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の消費税率の引き上げに際しましては、日本経済全体をめぐる状況や今後の見通しを踏まえまして消費税率の引き上げが決定されますとともに、政府として、公共料金等については、税負担の円滑かつ適正な転嫁を基本として対処する方針が打ち出されました。

 これに伴いまして、国土交通省では、路線バスを含みます公共交通において、消費税の運賃への転嫁が円滑かつ適正に行われるよう取り組んでいるところでありまして、現在までに、路線バスについて申し上げますと、運行する事業者のうち約九五%の事業者から、消費税転嫁のための上限運賃の変更認可申請がなされているところでございます。

 今回の運賃の改定につきましては、その中に、ICカード利用時には一円単位運賃の導入を認めることとしていることなどから、利用者の十分な御理解が何よりも重要であると考えております。このため、国土交通省では、事業者において利用者の理解が得られるよう適切に対応することを要請しておりまして、これを受け、各事業者においては、利用者への説明などに万全を期していただけるものと考えておるところでございます。

佐々木(憲)委員 これは対策になっていないわけであります。

 昨年十月二十九日に、国交省は、「公共交通事業における消費税の運賃・料金への転嫁の方法に関する基本的な考え方」という文書を出しておりまして、こう言っているんです。「消費税率引上げ分については、事業者の改定申請がされた場合には、運賃・料金への転嫁を基本として対処する。」と。

 転嫁できないという声を政府税調に提出した国交省が、転嫁できないと言っているのに転嫁せよという通達を出して、それを奨励して、現在、転嫁しますというのが九五%申請があるということですね。

 要するに、お客さんがいなくなって赤字が出てやっていけないと言っていながら、値上げしなさいと。つまり、赤字が出てやっていけないことを奨励する、こういう話になるんじゃありませんか。

大庭政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、消費税率の引き上げに伴いまして、公共料金等について円滑かつ適正な転嫁を基本とするということで対処することといたしまして、これにつきましては、事業者並びに特に利用者の方の御理解をいただくことによりまして、適切に転嫁していくということが必要かと考えております。私どもといたしましては、そのような観点からさまざまな依頼などをしているところでございますので、御理解いただければと思います。

佐々木(憲)委員 これは、麻生大臣、転嫁をしなさいと言うと、転嫁せざるを得ないですよ、地方の乗り合いバスは。しかし、料金を上げたらお客さんがいなくなって経営が成り立たない、そういう状況にあるわけですね。これは、乗り合いバスはもうやっていけないから、その地域からなくなってしまうわけですよ。今までも、経営困難ということで、各地域のお年寄りたちの足としてもうそれしかない、タクシーも高いし、乗り合いバス、これはもう本当に助かると言っているそのバスが、消費税増税によってあちこちで成り立たなくなっていく。これは、地域経済にとっても、地域の住民にとっても非常に大変な事態なんですね。

 国交省は、もうしようがないから、転嫁だ転嫁だとやるしかないからやっているけれども、何とかしないと地域の足はなくなるんじゃありませんか。どうしますか、これ。

麻生国務大臣 これは、佐々木先生、消費税を三%上げる最初から出ていた話で、今改めて言われておられますけれども、最初からこの話は出ておったと記憶します。

 したがって、それに当たって、カルテルを結ぶということに関して、みんなで連絡をし合って値段を上げるということは今の法律でいくとカルテルで違反になりますので、この際はそのカルテルを免除する等々の方策を考える等々、いろいろな考えのもとに、みんなでそれを分担していただけるようにお願いをするという方向で事はここまで動いてきているんだと存じます。

佐々木(憲)委員 最初から出ていることはわかり切っているわけですよ。それなのに対策が出ていないんですよ、全然。

 カルテルを結んでと言うけれども、それは、ある地域で幾つかの企業があって、いや、こっちの企業が上げたらお客さんがいなくなるから全体で上げようというような話でしょう。しかし、この乗り合いバスの場合は、カルテルを結ぶといったって、その地域にそれしかないんだから、どうにもならぬでしょう。

 こういう深刻な状況を生み出すということでありますから、私は、消費税の増税そのものはもう中止すべきだというふうに思うんですよ。

 ここに、税理士法人が出した「消費税増税は税金対策だけでは乗り切れません」という本がありまして、それを見たところ、こう書いてあるんですよ。「価格転嫁できなければ、企業は急激に業績が悪化し、窮地に立たされることになります。まさに、今回の消費税率の引上げは、利益を食う恐ろしい改正となる」「かなりの事業者が市場から消えていく運命になります」こういうふうに指摘されているわけです。

 やはり今こういう厳しい状況にあるわけですから、消費税増税をやるということがどんなに深刻な事態を交通弱者あるいは低所得者、高齢者に与えるか、こういう点をよく考えてもらわなきゃいけない。

 我々は、こういう消費税の増税は今中止して、もっと別な対策を考えるべきだ、そうしないと日本経済は大変なことになるということを最後に申し上げまして、終わりたいと思います。

 何かありますか。

麻生国務大臣 消費税を上げるという状況を三党で合意して、事ここまでに至りました。それに至るまでの経緯も十分御存じの上で言っておられるんだと存じますが、少なくとも、日本の財政状況をこのままにしておくわけにはとてもいかないという大前提の上に立って、与野党で合意をした上で、あの話をさせていただいたという経緯というものを知っておりますので、最終的には、消費税というものを御負担いただく国民の皆様に対しては積極的に広報を行っていく以外に方法はないのであって、先ほどのバスが倒れました等々は、石炭を閉山していったときには似たような例はいっぱいありましたので、私どももよく知っております。

佐々木(憲)委員 今のは全く理解できないですね。

 三党の合意と言うけれども、我々はもともと三党の中に入っていませんから。我々は最初から三党合意に反対しているんですよ。そういうことをよく御存じの上で言っているんだろうと思いますけれども。

 それから、これをやらなければ日本の財政は立ち直らないと言うけれども、これをやったら経済が失速して税収が落ちたというのは過去の経験であるじゃないですか。消費税増税したら税収が上がるなんて考えるのは、これは決して正しくない。

 そういうことで、きょうのところはこの辺にしておきますけれども、引き続き、幾らでもやる機会がまだあるようですので、次回に残しておきたいと思います。

 以上です。

林田委員長 次に、鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 生活の党、鈴木でございます。

 まず、きのう、私は、復興特別法人税の前倒し廃止について質疑をさせていただきましたが、その関連から入らせていただきたいと思います。

 きのうの質疑において、私は、賃金上昇の確認方法についてお伺いをしたわけでありますが、このことは基本的には経済産業省が所管をしておる、こういうことでございましたので、改めて、賃上げ状況に関するフォローアップの具体的な方法、そして範囲、時期、また公表する内容と時期について、経産省から御答弁をいただきたいと思います。

広瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 賃上げの状況のフォローアップについての御質問でございますけれども、三月の中旬ごろから大手企業の春闘の結果が明らかになってまいります。そうしたことを踏まえまして、経団連それから連合などとも協力をしながら、賃金の動向や企業の収益の状況を調査いたしまして、その結果を取りまとめて、適切な形で公表してまいりたいと思ってございます。

 具体的に申しますと、大手企業、これは東証一部上場企業千八百社弱を想定しておりますけれども、大手企業の春闘結果につきまして、可能な限り、前年度からの伸び率や増加額といった賃上げ動向及び企業収益の状況を把握いたしまして、企業名を含めて公表したいと考えております。

 また、中小企業、小規模事業者につきましても、時期的には大手企業よりおくれるものの、アンケート調査などを行いまして、幅広く賃金動向について調査し、公表していきたいと考えております。

 以上でございます。

鈴木(克)委員 いずれにしましても、この復興特別法人税の前倒し廃止は、まさに給料を上げる、これをいわゆる前提として廃止をしておるわけですから、私は、具体的にお聞きをしたわけですよ。

 大手千八百社に対して要請をしておる、中小企業も大手と同じような形でお願いをしておる、ちょっと聞きづらかったんですが、恐らくそういうような回答だったと思うんですけれども、それではなくて、前提なんですから、何かもう少し具体的な動きというのはないんですかね。それは、期待はわかりますよ、お願いはわかりますよ。だけれども、それだけで私は済むものではないというふうに思うんですよ。

 くどくなりますけれども、これは、それを前提として廃止をするということを決めたわけですから、もう一度御答弁ください。

広瀬政府参考人 お答えいたします。

 私どもといたしましては、企業収益の向上を個人の賃金の上昇につなげまして、企業収益の向上が消費の拡大につながっていくという好循環、これを実現することが非常に大事だと思っております。

 賃上げにつきましては、現時点で、経済界からもいろいろな賃上げに向けての動きが出てきていると認識をしております。

 先般の一月下旬の経団連の経営労働政策委員会の報告でも、例えば、拡大した収益を設備投資だけではなくて、雇用の拡大、賃金の引き上げに振り向けていくことを検討するとか、あるいは、賃金の引き上げについてここ数年と異なる対応も選択肢となり得るといったような前向きの意向が表明されていると認識をしております。

 いずれにしましても、具体的な賃金の水準につきましては、個別の労使間の交渉を通じて決定されるものと認識しておりますけれども、例年以上の賃金上昇に向けた具体的な動きが広がることを期待しております。

鈴木(克)委員 まさに具体的な動きが出ることを期待するということでありますが、私どもも本当にそこに期待をしておるんだということでありますから、今後ともしっかりと関係方面に働きかけて、今申し上げたように、くどくなりますけれども、それを前提としていわゆる前倒しの廃止をしたんだ、だからここはやってもらわなきゃ困るということを強く要請していただきたいし指導もしていただきたいということを、私は重ねてお願いしておきます。

 それでは、次に進めさせていただきますが、きのうもかなり議論がありましたNISAに関してのお話をさせていただきたいというふうに思います。

 きのう、大臣からの御答弁で、口座開設数が四百七十五万件ということを伺いました。ある意味では大変順調な滑り出しだと言ってもいいんじゃないかなというふうに思っていますが、これが本当の意味での個人の投資促進に向けた起爆剤となって、そして株式相場を下支えするというような期待の声はあるんですが、実際にそうなっていくかどうか、これはまさに今後のところではないかなというふうに思っています。

 ただ、この内容というか、四百七十五万件の内訳を見ていきますと、六十歳以上の方が半数以上を占めておるということであります。ある意味では、若い人たちに期待をして、しゃれた名前ですよね、NISAなんというのは、本当に何か、今流の若い人に受けるような名前かもしれませんが、しかし、現実には、いわゆる若年層の資産形成というような狙いとは実際少しずれが出てきておるのではないかなというふうに思うんですね。

 その辺の状況と、それから、では若い方たちにどういうような形でこのNISAの利用拡大を図っていくのか、その辺の取り組みについてのお考えをお示しいただきたいと思います。

福岡大臣政務官 委員御指摘のとおり、NISAは、広く国民に投資への関心を持ってもらうとともに、長期的視点からの資産形成を図っていただき、また、成長資金の供給拡大を図り、日本経済の成長につなげることを目的としておりますので、若年層の利用を一層拡大していくということは極めて重要な課題であるというふうに考えております。

 このため、若年層のNISAの活用をさらに促進するため、NISAに対する認知そのものを高めていただくということ、また、投資に関する基礎的な知識を身につけていただくということが重要であるというふうに考えておりまして、金融庁としては、政府広報やシンポジウムの開催等を通じて投資の基礎知識等の広報に努めさせていただいているほか、監督指針を改正しまして、各金融機関に対しましても、顧客の金融リテラシーの向上に向けた情報提供を行うよう求めているところでございます。

 直近で言いますれば、二月の十三日をNISAの日ということで定めさせていただいておりまして、金融庁主催で、東京、大阪、名古屋等でそういったシンポジウム等も開催させていただいております。

鈴木(克)委員 なるほど、二月十三日だからNISA、語呂合わせはわかりますけれども、その日が過ぎてしまったら、これはまたもとのもくあみにならないように、ひとつ常日ごろのPR等々をお願いしたい。

 しかし、よく考えてみれば、やはり若い人はそれだけの余裕がないということではないのかなというふうに思います。大臣が何かおっしゃりたいそうでございますので後でまたお伺いしますが、その辺は、やはり若い人を啓蒙していくというのは非常に難しい問題があるのではないかな、このように思います。

 大臣、何かありますか、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 鈴木先生、日本の場合、よく個人金融資産世界一、一千六百兆の個人金融資産、そのうち八百六十兆円ぐらいが現預金。これは、その他の株とか土地とかいろいろなものでいきますと、資産の構成としては、先進国の例はいろいろありますけれども、現預金が半分以上というのは異常なぐらいに現預金が高い。それだけ現預金が信用されて、それだけ逆に言えば株が信用されていない、債券が信用されていないということなんだと思うんですね。どうしてそんなになったんですかね。昔はこれほど偏っていなかったと思うんですが。

 僕は、やはり、バブルがはじけた後、一挙に三万八千九百十五円した株が最低で七千百円ぐらいまでおっこったあのときに、あつものに懲りてじゃありませんけれども、急激に、株というのは怪しいとか危ないとか、何となくいかがわしいとか、とんでもないとか、とにかく危ないものにしちゃったんだと思いますね。これは、証券会社の人にも、あなたの責任も多分にありますよということをよく申し上げるんですけれども。

 以来、二十数年かかっているので、今、一万五千円を割るところぐらいまでどうにか株価が戻ってきて、おととしの解散前で八千六百円ぐらいでしたから、それが一万五千円弱ぐらいまで今戻ってきているとは思いますけれども、それにしても、やはり比率としては極めて少ないのをどうしても、株という企業のいわゆる資金にもなるそういったようなものに、金を現預金からそっちへ振っていくというのは、私は、産業構造を転換させていく一助にもなるでしょうし、いろいろな意味で大きいと思いますので、NISAという新しいインディビジュアル・セービングス・アカウントというものをつくらせていただいてスタートさせていただきつつあるんですけれども、さらにふえて、今予約だけで五百五十万件ぐらいまでふえていると思います。

 そういうのを見ていきますと、これがどういった形で答えが出てくるかというのは、まさにこれから一年間でどういった形で出て、ああ、株というのはこういうものかと思って、やはり競馬と同じで、ある程度買っていないと見ませんから、株なんてものは。あんなものは、数字だけいっぱい書いてあったって、誰も見る人はいませんよ。自分で買ってあるから初めて見る、そういったものを見られる。

 若い人はと言いますけれども、鈴木先生、やはり若い人は、そんなに金がないし、忙しいですよ。我々の方が、暇で、金があって、何となくじっと見たりなんかする時間もある。加えて、今、高齢者の方も、パソコンやらいろいろな機械のインプット、そういったものができますから、今、デートレーダーなんというのは御婦人方でもすごく多いですね。

 そういった時代というのは、我々、昔じゃ考えられないものが今起きていますので、新しくこういったものができるということは、またいろいろな意味で投資に対する考え方やら行動が少しずつ変わってくる一助にはなるのではないか、そう思っております。

鈴木(克)委員 まだまだ株そして投資に対する大臣のお考えを伺いたいんですが、ほかの質問もありますので、次に進めさせていただきたいと思います。

 今大臣は、予約だけで五百五十万件、実際には四百七十五万件と。やはりこの差が、現実は、NISAの口座の開設が最大で二カ月かかるというような状況が今出てきているんですね。やはり、投資でありますので、タイミングというのは非常に大事だと思うんですよ、釈迦に説法ですけれども。

 したがって、こういった二カ月もかかるという状況について、どう短縮化をされていくのか、また、そういうようなお考えがあるのかどうか。当然、証券会社や税務署の対応ということになってくるのかもしれませんけれども、政府として、財務省として、お考えがあれば聞かせていただきたいと思います。

藤田政府参考人 お答え申し上げます。

 NISAに係ります非課税口座を開設いたしますには、投資家は、非課税口座の開設を希望する金融機関に対しまして、非課税口座開設届出書というのと、税務署から交付されました非課税適用確認書を提出する必要がございます。

 この非課税適用確認書でございますけれども、現在、金融機関が税務署に交付申請の手続を行ってから交付されるまで、約四週間から六週間の期間を要しているところでございます。

 この処理期間ですけれども、当初、NISAの制度開始時に相当数の交付申請手続が集中することを見込んで設定した処理手順に基づくものでありますけれども、このところ交付申請手続も平準化してきておりますことから、処理手順の見直しによります処理期間の短縮化を検討しておるところでございます。

 具体的には、平成二十六年の四月ごろからは、金融機関が税務署に交付申請の手続を行ってから非課税適用確認書の交付までの処理期間が、約三週間から四週間に短縮されると私ども見込んでおるところでございます。

 なお、口座開設までの期間につきましては、税務当局における処理期間のほかに、税務署への交付申請手続を行う前に金融機関側で一定の処理期間を要するということでございます。したがって、投資家が金融機関の窓口において申し込みをされてから非課税口座が開設されるまでの具体的な期間は、金融機関の実情により異なることには御留意いただきたいというふうに思います。

鈴木(克)委員 いずれにしても、せっかく、じゃ、株をやっていこうという思いになられた方が、なかなか手続が進まないために、最大ということですけれども二カ月待たされるというようなことでは、私は、ある意味では投資のチャンスを逃してしまう、また意欲をそいでしまうということになると思うので、課題はあると思いますけれども、やはりスピーディーに対応するような体制をぜひ進めていただきたい、このことをお願いしておきます。

 それから、当然、株式投資でございますから、リスクがあるわけですね。やはり、おいしい話ばかりではなくて厳しい話もあるよというのは、両々進めていかなきゃならない、私はこのように思いますし、その点も、政府として、広報の中で、どういう形があるのかわかりませんけれども、きちっと説明をしていく必要があるのではないかなと思います。

 そこで、もう一つ続けてお伺いをしますが、いわゆる一般口座との損益通算ができないんですね。NISAの口座の取引に失敗をしても、その後、例えば一般口座で取引をしてうまくいった場合でも、損益通算ができないということがあるわけであります。

 この部分について、いわゆるリスクの部分と、それから損益通算の範囲の拡大ということについて、何か検討されたり、お考えがあればお聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 基本的には、こういった投資というのを、一口百万というところからではありますけれども、勉強していただくという点も考えておかねばならぬところだと思いますので、もうかったら税金は払わない、損したら何かで補填しろ、そんなに世の中うまいことばかりありません。

 やはり、ある程度、このことの基本的な考え方は、NISA口座における投資による利益はないものとみなして非課税としております。したがいまして、これと同様に、投資による損失もないということにしておりますので、他の課税口座の利益と損益通算をすることはできない仕組みにいたしておる。これは基本的なところだと思いますので、すごく大事なところで、もうかるけれども損もするという両方をきちんと知っておいていただかないと、どうにもならぬのだと思っております。

 いずれにいたしましても、NISAを最初の入り口として、額を少しずつでも広めていって、成長資金の供給というものを拡大するという観点からは、今後とも、これからの実績を見ましたり、またその効果の検証等々も踏まえて、どういう方法があるのか、引き続き検討していかねばならぬところだと思っております。

鈴木(克)委員 NISAばかりやっておるわけにはいきませんので、次に進めさせていただきます。

 本改正案の中で、いわゆる国際課税原則の見直しというのが出ております。いわゆる総合主義から帰属主義へということで、国際課税原則の見直しを進められていくということだと思います。

 このことは、詳しく申し上げるまでもなく、本店所在地国といわゆるPE所在地国から二重に課税をされるというようなことが減少する、それからまた、逆に、課税の空白と申しますか、両方から課税をされないというようなこともなくなってくるということだと思います。ある意味では、国際的に調和のとれた税制になっていく。OECDあたりでも、やはりそういうふうになっておるわけですね、帰属主義といいますか。

 このことはいいんですが、一方で、事務負担が非常に増加をするのではないかなというふうに思うんです。この辺、新たな事務や、いろいろと課税に対する調査をしなきゃなりませんよね。そういったことに対する人員の確保、それから研修体制。当然、今までと制度が変わるわけですから、その辺の整備や充実、そういうものをする必要があるんじゃないかなというふうに思うんですが、政府の取り組みをお尋ねしたいと思います。

古川副大臣 お答え申し上げます。

 国際課税原則が総合主義から帰属主義へという見直しにおきましては、おっしゃるとおり、本店と支店の間の内部取引を新たに認識して、そして支店に帰属する所得を計算するという事務負担が発生することになります。

 そこに配慮いたしまして、例えば、内部取引の存否及び内容を明確にするための文書につきましては、企業が既に作成しているもの、それで代用できますということになります。

 それから、帰属主義というのは、本店と支店を別々に扱うわけですけれども、支店の分を算定するに当たって、簡単な算定方法を採用することができるようにする。御存じのとおり、算定するに当たっては、資産ごとの事業リスクのウエートに応じて計算をすることが原則なんですけれども、金融機関は別ですけれども、一般の事業会社につきましては、このリスクウエートを用いることなく、資産の帳簿価額によって計算できるというように、簡単な方法をとれますというようなことで手当てを講じるということにしております。

鈴木(克)委員 いずれにしても、新たな事務が発生をすることは間違いないわけですから、それに対する体制をきちっと組んでいただかないとならない、私はこのように思っております。

 時間もわずかになってきましたので、ちょっとはしょらせていただいて、法人実効税率の引き下げと地方法人課税との関係についてお尋ねしていきたいというふうに思います。

 我が国の法人実効税率については、国際的には、国税よりも地方税の方が高いというふうに指摘されております。今後の法人実効税率引き下げ論議では、地方法人二税の軽減も議論の対象になるのではないかな、このように思うわけであります。

 それで、地方法人課税の見直しを含めた法人実効税率の引き下げ議論の方向性、現在どのようなところになっておるのか、そしてまた政府がどのようにお考えになっておるのか、この点をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 法人課税の改革ということにつきましては、今、地方と国で地方の方がという御意見があっておりましたけれども、これは、産業政策全体の大きな議論を行う中で、今我々はグローバルな経済の中で国をかけて国際競争しているわけですから、そういったことを検討していく必要があろうと思います。

 今我々は、政府税制調査会において、専門的な観点から、一体、この法人実効税率のあり方というのはどうするのか、また、仮にそれを下げるとした場合は、その分だけ、どこかで租特によって免れている部分、課税ベースを広げるべきなのではないかといういわゆる課税ベースのあり方の問題、そして課税を下げたことによって起きる効果、いわゆる政策効果の検証、また、他の税目とどう比較するかという点、他国との関係、いろいろなものについて考えにゃいけません上に地方法人課税というのがありますので、このあり方も含めて検討していかねばならぬということだろうと思います。

 そうすぐ、きょうあしたというような話ではありませんで、きちんとみんなでよくよく検討した上でないと、これは簡単な話ではないのであって、我々としては、議論の方向性というものにつきまして、今これを税制調査会のいろいろな方々に勉強していただいて、どう考えるのか、これは実にいろいろな御意見があります。その御意見をまとめていかねばならぬという方向で、今この問題について投げかけているところであります。

鈴木(克)委員 最後の質問になろうかと思いますが、まさに今大臣がおっしゃった、今後の地方法人課税の姿ということであります。

 これは、全国知事会でも大変な要望が出ております。例えば、消費税と地方法人課税の税源を交換してもらえないかとか、地方共有税を創設してもらえないかとか、それから地方税の一部を地方共通財源と位置づけて調整する仕組みを導入してもらえないかとか、本当にいろいろな、まさに今大臣がおっしゃったように、さまざまな議論が出ております。

 ただ、私は、地方の経験をしてきた者として、やはりここは、ある意味では、総理の例のドリルではありませんけれども、岩盤規制と言ってもいいぐらいかたいこの体制を変える必要がある、本当にそう思っているんですよ。

 例えば、地方で、一人当たりの税収でも、やはりかなり格差が出てきておるんですよね。こういう状況のまま放置をしておいて、果たして地方というのが本当にこれから主体性を持ってやっていけるかということであります。

 最後の質問として、この辺の、いわゆる偏在性の是正措置を含めて、地方に対する国としての思いといいますか、国としてはこういうふうに地方を考えていきたいんだというようなことがあれば、お示しをいただきたい。確かに、今後の学者の、そしてまた税制調査会の検討を待つというのもそうかもしれませんが、やはりその前段階として、どういうふうな国家をつくっていくのか、地方をつくっていくのかということを含めて、大臣にぜひお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 御指摘のありましたとおりに、地方団体間の財政力格差の縮小を図るためということで、与党税制調査会の大綱において、「消費税率一〇%段階においては、法人住民税法人税割の地方交付税原資化をさらに進める。また、地方法人特別税・譲与税を廃止するとともに現行制度の意義や効果を踏まえて他の偏在是正措置を講ずるなど、関係する制度について幅広く検討を行う。」とされておるところです。もう御存じのとおりです。

 この方針に沿って、今後、消費税率一〇%の段階の対応におきまして、与党や、また総務省とも相談しながら、これは非常に幅広い検討をさせていただかなければならぬところ、やはり税は国柄を決めますので、非常に大事なところだと思います。

鈴木(克)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

    ―――――――――――――

林田委員長 この際、内閣提出、所得税法等の一部を改正する法律案に対し、古本伸一郎君外一名から、民主党・無所属クラブ提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。古本伸一郎君。

    ―――――――――――――

 所得税法等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

古本委員 ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、民主党・無所属クラブを代表して、提案の趣旨及びその内容を御説明いたします。

 本年四月から、消費税を引き上げ、国民の皆様に御負担をお願いすることとなっております。本来であれば、今次の税制改正は、逆進性対策、車体課税の抜本的見直し、医療、介護等の控除対象外消費税のあり方の見直しなど、消費税引き上げによる国民生活及び経済への影響を緩和する抜本的な対策を主な柱とすべきところであります。

 しかし、政府は、そういった対策を講じないどころか、地方の生活の足である軽自動車や原付、二輪車について逆に増税するといったありさまでございます。

 所得税については、給与所得者が領収書を集める努力の結果としての実額控除の機会を十分に確保しないまま、単に特定の所得層を狙い撃ちにした給与所得控除の上限の引き下げに走る等、消費税の影響緩和対策どころか、国民にさらなる負担を強いようとしております。

 また、東日本大震災から三年を迎えようとする今国会において、きずな、連帯の精神に反し、黒字法人のみ負担を軽減する復興特別法人税の前倒し廃止を実施しようとするなど、税を通じてどのような国家をつくろうとするのかが見えておりません。

 さて、今回の税制改正には、所得拡大促進税制の拡充、中小・小規模事業者に資する交際費課税の緩和など、我が党が提案した項目も多く含まれておりますが、さきに述べた観点から、所要の修正を加えるべきと考え、本修正案を提出した次第でございます。

 以下、具体的に申し上げます。

 第一に、給与所得控除の上限の引き下げに関する改正規定を削除することといたします。

 第二に、復興特別法人税の廃止を一年前倒しする改正規定を削除することといたします。

 第三に、税制に関する諸施策に関し、四つの措置を政府に求めます。

 一つ目に、給与所得者の実額控除の機会拡大が図られるよう、平成二十七年三月三十一日までに、給与等の収入金額が高額である場合における給与所得控除額を引き下げるとともに、給与所得者の特定支出の控除の特例に係る適用判定の基準を緩和し、及びその控除対象の範囲を拡大するため必要な措置を講ずること。

 二つ目に、自動車の取得に関し消費税とともに自動車取得税が課される等、自動車の取得等に係る国民の税負担が重く、かつ、その税負担が我が国の基幹産業である自動車産業に重大な影響を与えており、自動車が交通手段として国民一般に普及している現状においては、消費税率の引き上げがこれらを一層増大させることになること等により国民生活及び我が国の経済に及ぼす影響が大きいことに鑑み、車体課税について、平成二十七年三月三十一日までに、自動車取得税の廃止、自動車重量税の特例税率の廃止及び車体課税のさらなるグリーン化等を実施するため必要な措置を講ずること。その際には、これにより生ずる都道府県及び市町村の減収を埋めるための財源を確保し、都道府県及び市町村の財政状況に影響を及ぼすことのないよう適切な措置を講ずること。

 三つ目に、消費税の逆進性を緩和する観点から、総合合算制度、給付つき税額控除、複数税率等の施策の導入について検討を加え、その結果に基づき、消費税率の一〇%への引き上げの日までに、必要な措置を講ずることにより、消費税率の引き上げの円滑な施行を確保すること。

 四つ目に、医療、介護等に係る消費税の課税のあり方について、平成二十七年三月三十一日までに検討を加え、その結果に基づき、速やかに必要な措置を講ずること。

 以上が、本修正案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。

林田委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時七分散会


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