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第9号 平成26年4月23日(水曜日)

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平成二十六年四月二十三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 林田  彪君

   理事 伊東 良孝君 理事 越智 隆雄君

   理事 菅原 一秀君 理事 寺田  稔君

   理事 御法川信英君 理事 古本伸一郎君

   理事 桜内 文城君 理事 竹内  譲君

      安藤  裕君    井上 貴博君

      小倉 將信君    小田原 潔君

      鬼木  誠君    勝沼 栄明君

      金田 勝年君    神田 憲次君

      菅野さちこ君    工藤 彰三君

      小林 鷹之君    新開 裕司君

      田野瀬太道君    竹下  亘君

      竹本 直一君    中山 展宏君

      葉梨 康弘君    福山  守君

      藤井比早之君    堀内 詔子君

      松本 洋平君    山田 賢司君

      安住  淳君    武正 公一君

      前原 誠司君    鷲尾英一郎君

      坂元 大輔君    田沼 隆志君

      三木 圭恵君    山之内 毅君

      上田  勇君    岡本 三成君

      大熊 利昭君    佐々木憲昭君

      鈴木 克昌君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   財務副大臣        古川 禎久君

   厚生労働副大臣      佐藤 茂樹君

   財務大臣政務官      葉梨 康弘君

   厚生労働大臣政務官    高鳥 修一君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  桑原 茂裕君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    細溝 清史君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   福田 淳一君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   岡本 薫明君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    林  信光君

   政府参考人

   (財務省国際局長)    山崎 達雄君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房政策評価審議官)       山沖 義和君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           古都 賢一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           藤井 康弘君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  原  徳壽君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  木倉 敬之君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通保安審議官)     寺澤 達也君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            松永  明君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   参考人

   (日本銀行理事)     雨宮 正佳君

   財務金融委員会専門員   北村 治則君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十一日

 辞任         補欠選任

  牧島かれん君     永岡 桂子君

  山田 賢司君     田所 嘉徳君

同日

 辞任         補欠選任

  田所 嘉徳君     山田 賢司君

  永岡 桂子君     牧島かれん君

同月二十三日

 辞任         補欠選任

  小島 敏文君     菅野さちこ君

  小林 鷹之君     新開 裕司君

  葉梨 康弘君     堀内 詔子君

  牧島かれん君     勝沼 栄明君

同日

 辞任         補欠選任

  勝沼 栄明君     井上 貴博君

  菅野さちこ君     福山  守君

  新開 裕司君     小林 鷹之君

  堀内 詔子君     葉梨 康弘君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     工藤 彰三君

  福山  守君     小島 敏文君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 彰三君     牧島かれん君

    ―――――――――――――

四月二十三日

 金融商品取引法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六七号)

 保険業法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六八号)

同月十七日

 消費税増税の撤回に関する請願(宮本岳志君紹介)(第六六三号)

 二〇一四年四月からの消費税増税の中止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六六四号)

 同(笠井亮君紹介)(第六六五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第六六六号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第六六七号)

 同(志位和夫君紹介)(第六六八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六六九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六七〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第六七一号)

 健全な飲酒環境の整備に関する請願(中山泰秀君紹介)(第六七二号)

 同(福井照君紹介)(第六九九号)

 同(藤井比早之君紹介)(第七〇〇号)

 同(北村誠吾君紹介)(第七一六号)

 消費税の増税を中止し真の景気回復を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六七三号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第六七四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六七五号)

 消費税の増税は中止することに関する請願(笠井亮君紹介)(第六七六号)

 消費税増税中止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六七七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 財政及び金融に関する件


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     ――――◇―――――

林田委員長 これより会議を開きます。

 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、地域金融の実態把握のため、去る二十一日に、十三名の委員が参加し、茨城県水戸市において金融に関する実情調査を行いましたので、参加委員を代表いたしまして、その概要を御報告申し上げます。

 最初に、茨城県の中小企業関係者及び金融機関関係者とそれぞれ意見交換を行いました。

 まず、中小企業関係者から、中小企業金融の現場における問題、消費税率引き上げの影響、製品の輸出に対する円安効果等について説明を聴取した後、中小企業金融円滑化法終了前後における金融機関の貸し出し態度、日銀の量的・質的金融緩和の資金需要への効果、自動車関係諸税や法人税の見直しの必要性、歳入庁構想についての見解等について意見交換を行いました。

 次に、金融機関関係者から、各機関における地域密着型金融の取り組み状況、東日本大震災の復興支援策、融資先に対する経営改善支援の取り組み等について説明を聴取した後、量的・質的金融緩和から一年後の貸し出し姿勢の変化の有無、預貸率の改善状況、不動産担保に過度に依存しない融資の実施状況、政策金融のあり方、成長産業支援の取り組み等について意見交換を行いました。

 その後、水戸市内での納豆の製造販売を行っている中小企業を訪れ、説明を聴取した後、円安の原材料価格への影響、消費税率引き上げ分の転嫁状況等について意見交換を行いました。

 最後に、水戸市内の商店街において、東日本大震災の被災状況、アベノミクスの効果、消費税率引き上げに伴う販売への影響等について、経営者の方々から率直な意見を伺いました。

 今回の調査に当たりましては、御協力いただきました方々に深く御礼を申し上げ、調査の御報告といたします。

    ―――――――――――――

林田委員長 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁黒田東彦君、理事雨宮正佳君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として金融庁総務企画局長桑原茂裕君、監督局長細溝清史君、財務省主計局次長福田淳一君、主計局次長岡本薫明君、理財局長林信光君、国際局長山崎達雄君、厚生労働省大臣官房政策評価審議官山沖義和君、大臣官房審議官古都賢一君、大臣官房審議官藤井康弘君、医政局長原徳壽君、保険局長木倉敬之君、経済産業省大臣官房商務流通保安審議官寺澤達也君、中小企業庁事業環境部長松永明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

林田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

林田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。越智隆雄君。

越智委員 自民党の越智隆雄でございます。

 本日は、今委員長から御報告がございました一昨日の視察の関係と、そして最後に物価連動国債についてちょっと聞きたいことがございまして、麻生大臣と金融庁の皆様にお伺いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、視察でございますが、今委員長から御報告があったとおりでありますけれども、当委員会では、法案審査とあわせまして、金融経済環境の構造的な変化が激しい中にあって、しっかりと金融に関するフィールドワークをしようということで、理事会で議論してまいりました。特に、民主党の古本理事が深い思いをお持ちでありまして、視察につきましては、より充実したものにしていただいているというふうに思っておるところでございます。

 今回は、水戸に、理事を中心に与野党十三名で行ったということであります。特に、昼食を挟んで、昼食の前は、借り手として中小企業の皆さん六名と一時間じっくりお話をし、昼食の後は、貸し手として地域金融機関の六社とじっくり一時間意見交換をしたということでありまして、いろいろなことを感じてきたわけでございます。

 私、個人的な感想としては、この水戸における視察全体を通じて思ったのは、緩やかに景気が回復しているというふうに言いたいところでありますけれども、慎重に言えば、経済状況の前向きな変化は感じているけれども、期待感や安心感にはいまだ至っていない、したがって、新しい一歩を踏み出すにはなかなかまだ至っていないというような感触を得てまいりました。

 そこで、まず麻生大臣にお伺いしたいと思うんですが、アベノミクスが始まって一年五カ月、最初は株価及び為替の相場が動き出しまして、その後順次、GDPがプラスになって、物価、雇用、景況感、地価、さらに賃金も動き出した。全体としては、よい数字が断続的に出ているというふうに思っております。

 そういう中で、景気回復の実感を全国津々浦々に広げていく、すなわち地方でも中小企業でも実感できるようにするというのがことしの大きなテーマだ、そういう認識が政権内でも共有されているというふうに思います。安倍総理も、先週大阪に行かれて、中小企業の視察をされております。

 そこで、大臣に改めてお伺いしたいと思うんですが、アベノミクスの地域経済及び中小企業への浸透について、現状をどのように見ておられるのか、御見解をよろしくお願いいたします。

麻生国務大臣 御存じのように、政府としては、長引く資産デフレ不況からの脱却というのを優先順位、なかんずく経済政策の優先順位の一番に挙げて、発足以来、三本の矢と称される経済政策を推進してきた結果、今御指摘のありましたように、五四半期連続でGDPがプラス、物価も、消費者物価上昇率、コアで一・三%ということで、デフレという状況ではなくなりつつあると思っております。

 また、リーマン・ショック後は〇・四二まで落ちました有効求人倍率も、この二月には六年六カ月ぶりに一・〇五まで上昇してきておりますので、着実に成果があらわれてきていると思っております。

 中小企業の景況感につきましては、日銀の短観が出しております中小企業の業況判断が、昨年の十二月に、一九九一年以来ですから、二十二年ぶりにプラスとなっておりますので、地方の経済にも少しずつ影響が出始めているということを財務局の方から聞いているところです。

 個人消費や雇用情勢などに確実に広がりが出てきつつあるとは思っておりますけれども、いずれにしても、二十年ほど続きましたデフレ不況というのがかなりしみついておる中で、地方に行きますのはもう少々時間がかかるであろうと思っておりますので、ましてや消費税も上がっておることでもありますので、ことしあたりが一番の正念場だという覚悟で、引き続き、地方の中小零細企業への配慮というものが一番肝心なところかなという感じがいたしております。

越智委員 大臣、ありがとうございます。ことしが正念場だということで、強い決意をお伺いできたというふうに思います。

 意見交換の中で具体的に感じたことを申し上げたいと思います。

 二つございまして、一つは、資金需要が実はまだまだ限られている。借りたいという気持ちが企業の中でまだそれほど生まれてきていない、特に設備投資には慎重だということでありました。ある金融機関からは、設備投資の約定返済の金額の半分しか新規貸し出しがないので、設備投資の融資残高が減っていっているんだというような話もございました。

 もう一つは、貸出先の二極化でございます。借り入れが容易なところとなかなか難しいところが分かれている、逆に言えば貸し出しの優良先への集中というのが起こっている、こういう指摘が経営者からなされたところであります。

 そんな中で、必要なことは、前向きで先々を見通せる資金需要をつくっていくこと、そして一方で、経営不振の企業に対しては金融機関がしっかりサポートして経営支援を行っていくことだというふうに思います。金融機関六社それぞれ、この経営支援についてもいろいろな取り組みをしているようで、そんな話も聞いてきたところでございます。

 そこで、金融庁にお伺いしたいと思うんですが、金融庁は昨年の九月の監督方針で中小企業の経営支援強化を打ち出されておりますけれども、金融機関が中小企業の経営改善の支援を行うように、金融庁として具体的にどのような取り組みをしているのか、御説明いただきたいと思います。

細溝政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、昨年九月に出しました監督方針におきまして、この事務年度、この一年間は、中小企業の経営改善、事業再生支援を本格化させることが重要であるという位置づけをしておりまして、金融機関に対しましては、外部専門家や外部機関とも連携協力しつつ、コンサルティング機能を発揮して、経営改善、事業再生の支援にこれまで以上に積極的に取り組むよう促しておるところでございます。

 そうした中、金融機関における先進的な取り組み、あるいは広く実践されることが望ましい取り組みを取りまとめた事例集を公表して、関係者に広く還元しております。これには金融機関の実名も入れておりますので、実は金融機関間で、そういった創意工夫で競争してほしいという意味も込めております。

 そうした中、例えば最近では地域経済活性化支援機構と連携して、いろいろな事例がございますが、一つには会社分割を用いて不採算事業を切り離して製造業者の再生を図ったような事例とか、病院の収益基盤及び財務状況を改善し再生を図ったような事例といった先進的な取り組みも地域金融機関において行われるようになってきております。

 今後とも、いろいろな場、ヒアリングなどを通じまして、金融機関に対して、中小企業の経営改善、事業再生支援について積極的に取り組むよう促してまいりたいと思っております。

越智委員 ありがとうございました。

 中小企業の経営改善というのはそんなに簡単なことではございませんので、金融庁としてもしっかり引き続き取り組んでいっていただきたいというふうに思います。

 もう一つ気になったことがございまして、経営者の皆さんと話をしている中で、個人保証の問題の指摘がございました。あるお一人の中小企業経営者の方から、経営者が個人保証する場合でも、最終的に生活に必要な資産を保護できるようにしてほしいという意見があったわけでございます。

 実は、この問題については、去年の日本再興戦略でも取り上げられました。「個人保証制度の見直し」として掲げられて、去年の八月からプロジェクトが日本商工会議所と全銀協が中心になって始まりまして、十二月には経営者保証に関するガイドラインが公表されているということでございます。

 要は、視察で行ったときにお会いした経営者の方はこのことを御存じなかったということなんですけれども、私も地元東京で中小企業経営者と今月勉強会をしたときに、法人会長経験者の方々の中でもまだこのガイドラインの存在を知らない方が多かった。実は、これは周知徹底がまだ行われていないんじゃないかなということを感じております。

 この辺のガイドラインに対する周知について、金融庁としてはどんな取り組みをしているのか教えていただきたいし、もしまだ不十分だというふうに感じておられるのであれば、さらに徹底をしていただきたいというふうに思います。

細溝政府参考人 経営者保証に関するガイドラインにつきましては、昨年の十二月にこれが公表された。その直後に、金融機関に対しましては、営業現場の第一線までその趣旨や内容の周知徹底を行うこと、顧客に対する幅広い周知、広報を行うこと、それから社内規程や契約書の整備に早急に取り組むことといったことを要請しております。

 それから、金融機関だけではなくて、実は中小企業庁と連携いたしまして、年明け、本年一月から二月に向けて、全国四十七都道府県全てで、中小企業団体あるいは経営支援の担い手に対する説明会を実施しております。

 さらに、このガイドラインは本年二月一日から適用が開始されておりますので、その適用開始に合わせまして、金融庁の監督指針や検査マニュアルの改正も行ってきておるところでございます。

 こういったことにつきまして、今後とも引き続き、さまざまな機会を通じまして、周知、浸透、定着に努めてまいりたいと思っております。

越智委員 ありがとうございます。ぜひお取り組みをよろしくお願いします。

 もう一つ感じたことがございます。今回、視察に当たって、茨城県における中小企業向けの貸し出しがどうなっているのかというのを見に行ったわけでございます。そこで一番知りたかった数字は、茨城県内における中小企業貸し出しの過去の金額の推移というのを知りたかったわけでございますが、茨城県、都道府県別の貸出先の規模別の数字というのは実はこの国に存在していないということが、伺ってみたところ、わかりました。

 全国レベルで、都道府県別の数字はありますし規模別の数字もあるんですけれども、メッシュにしたときのここの数字はつくっていない。過去にはつくっていたようなんですが、金融機関に報告をしてもらうわけですけれども、事務負担が余りにも重いということで、あるときからやめたということでございます。

 これから人口減少が進んでいく中で、地域間のいろいろな状況が大きく多様化してくるという中で、つくるコストに比べてその数字があることによるメリットの方が大きい状況というのも想定できるので、この辺のコスト、メリットを考えながら、これからよく考えていきたいなというふうに思います。きょうは質問いたしませんが、一応、感じたことを問題提起として申し上げます。

 最後に、ちょっと細かいことを大臣にお伺いしたいと思うんですが、物価連動国債の件でございます。

 物価連動国債は、御存じのとおり、消費者物価指数に連動して元本部分が増減するという仕組みのものでありますけれども、昨年六月からCPIがプラスに転じまして、その後も上昇している。今後、景気回復が進んでデフレから脱却していくという状況になった場合に、個人も物価上昇リスクに備えるということが重要になってくる。そういう意味では、この物価連動債というのはリスクヘッジのために有効な手段になるというふうに考えるわけであります。今、実際に物価連動債を入れた投信はよく売れているという話も聞きます。

 ただ、物価連動債の現物は、機関投資家のみに保有が認められておりまして、個人には今認められていない。いろいろと伺ってみますと、理由は、譲渡の際の課税方法の問題でありました。

 ただ、平成二十五年度の税制改正で課税方法の変更が手当てされたと聞いておりますので、そこで、できるだけ早く物価連動債を個人が保有できるようにすべきではないかと考えているんですけれども、この辺について、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 物価連動債につきましては、課税上の理由から、個人による保有というのを禁じておりました。デフレもありましたので、連動なんかして上がっていく当てはないわけですから、とてもじゃない、売れもしませんでしたからという意識もあったんだとは存じますが、いずれにしても、平成二十八年、二〇一六年から公社債課税の見直しを行うことにしておりますので、こうした制限を課す必要性はなくなるというように考えております。

 また、政府と日本銀行が一体となってデフレ脱却を目指す中で、物価連動国債というもので個人が物価上昇リスクに備えられるようにしておくということは重要な課題と思っております。

 したがいまして、こうした観点から、物価連動国債の個人保有というものにつきましても、御指摘を踏まえて、検討を行ってまいりたいと考えております。

越智委員 大臣、ありがとうございました。どうぞよろしくお願いします。

 それでは、質問を終わります。

林田委員長 次に、竹内譲君。

竹内委員 おはようございます。公明党の竹内でございます。

 四月二十一日の茨城県の中小企業並びに金融機関関係者との意見交換、また商店街の実地調査は大変有益でございました。今後、これを政策に生かしていきたいというふうに改めて決意したところでございます。

 そこで、本日は、ちょっと急を要する質問をさせていただきたいと思っておりまして、総合取引所創設に向けての方針と課題についてでございます。

 まず、総合取引所に係るこれまでの経緯について確認をしたいと思っておるんですが、平成十九年六月に、第一次安倍内閣において最初に閣議決定がなされておるわけであります。民主党政権に交代後の平成二十二年六月に、新成長戦略の閣議決定においてもその趣旨が述べられている。二十四年二月には、金融庁、農水省、経産省によるチーム取りまとめが公表されまして、金商法が改正され、公布された、総合取引所については金融庁が一元的に規制、監督することなどが定められたわけでございます。第二次安倍内閣におきましても、日本総合取引所の創設に向けた取り組みの促進を内容とする閣議決定がなされております。さらに、二十五年の六月には、総合的な取引所の実現に向けて所要の整備に積極的に取り組む旨の閣議決定まで行われているところでございます。

 このような経緯を踏まえて、これからの成長戦略を考えると、一刻も早く総合取引所を創設する必要があると考えますけれども、金融庁としては、その方針で間違いはないか、そしてまた、その場合にはどのぐらいの期間で立ち上げることができると見ているのか等の見通しにつきまして、お答えをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 この総合取引所は、証券、金融また商品取引の垣根を取り払うという意味で、日本の金融やら資本市場の国際競争力の強化というような、いわゆる商品市場の活性化ということが一点、また投資者に対する多様な投資機会を提供するということを目指すものでありますので、その意味では、日本の経済の成長にとって極めて重要な課題であろうというのがまず共通の認識であろうかと存じます。

 したがいまして、昨年の六月に閣議決定された規制改革実施計画におきましても、「総合取引所の実現に向けた取組の促進」というのが政府の方針として掲げられたところでして、金融庁としては、今御指摘がありましたように、これは一刻も早く実現することが極めて重要と考えておりますので、関係省庁と取り組んで働きかけを行ってまいりたいと思っております。

 そしてその上で、本年三月、取引所を実現するために、平成二十四年度改正金商法が施行されて、総合取引所の規制、監督の枠組みが整備をされまして、また日本取引所グループにおけますデリバティブ市場の統合というのが、横にありましたものをくっつけておりますので、そういった関係で、中核となります取引所の体制というものができ上がりつつあると思っております。

 一定の進展はありますけれども、総合取引所の実現に向けてさらなる取り組みを加速する必要があろうと思っておりますので、総合取引所を一刻も早く実現できるように働きかけるなど積極的に取り組んでまいりたいと考えて、現実問題として、金融庁として関係省庁といろいろやっておりますけれども、いつと言われると、現段階では、ちょっとそこまでまだ細目が詰まっているわけではございません。

竹内委員 それでは、関係省庁としての経産省としては、総合取引所創設に関しては金融庁と同じ方針であるとみなしてよいのか、もしもさらに課題があるとすればそれは何か、お答えください。

寺澤政府参考人 お答えいたします。

 経済産業省としましても、総合的な取引所を目指すという方向性は共有しております。

 これまでの閣議決定にありますように、総合的な取引所に向けて、金融庁と連携しながら、関連する政令、省令、府令の整備を行ったところでございます。直近では、三月に、関連する政令、府令の整備を行ったところでございます。さらに、私どもとしては、引き続き税制や会計制度の整備などに取り組んでいきたいと考えております。

 他方、当面は、エネルギーの安定供給、効率的な供給が最優先の課題でございます。このため、まず、LNGや電力についての先物市場を創設し、これらの先物取引が軌道に乗るということが重要だと考えている次第でございます。

竹内委員 それでは、経産省としては、電力先物とかLNG先物が整備されるまでは総合取引所の協議、同意に進めないというふうに考えているのかどうか、お答えください。

寺澤政府参考人 お答えします。

 LNGの先物市場の上場については、昨年の日本再興戦略の中にも盛り込まれているところでございます。また、先般閣議決定されましたエネルギー基本計画の中でも、LNGの先物の上場と電力の先物の上場ということが閣議決定になっています。こうした重要課題をどうやって実現していくのか。一方では総合的な取引所を目指すという方向性がございますので、この両者を具体的にどういうプロセスでやっていくのかということについて、よくよく関係省庁と議論しながら、慎重に検討していく必要があるだろうと考えておる次第でございます。

竹内委員 電力先物、LNG先物、それはそれで重要なことだと思いますけれども、それができるまで総合取引所はできないということになると、これは相当時間がかかるんじゃないのか。一刻も早くといいながら、あと何年もかかるということになれば、それは日本の国益に反するんじゃないかなというふうに思うんですが、この辺はどうですかね。

寺澤政府参考人 お答えします。

 東日本大震災がございまして、結果として、エネルギーの課題というのは、緊要の課題ということで、大きくこの国にのしかかった課題になっています。

 そうした課題に対応するものの一つとして、先ほど申し上げたようなLNG先物あるいは電力先物の上場を進める、これは先般のエネルギー基本計画の中にも掲げられている。こうした緊要の課題と、一方で、委員が御指摘された総合的な取引所を目指すという方向性を具体的にどういう形で進めていくのが最も国益にふさわしいのか。これは、関係省庁も交えながら、慎重に、何がベストかというのを検討していくことが重要だと考えている次第でございます。

竹内委員 これは両方しっかりやってもらわないといけないと思うんですね。これができるまで総合取引所は協議できませんよというような話は、ある意味でちょっと怠慢になってしまう部分もあるし、関係省庁でよく話し合って、どういうふうに折り合いをつけていくのか、早く進めてもらいたいと思うんですね。

 それともう一つ、総合取引所化した韓国やシンガポールでは取引が減少したとか、そういうことで、総合取引所の効果について疑いを持っているというような話もよく聞きますけれども、経産省としては、この点についてはどのように考えていますか。

寺澤政府参考人 私どもも、市場を統合しましたシンガポールとか韓国の例もよく勉強しました。この成果、効果については、いろいろな評価があるというのは事実であるかと思います。必ずしもうまいこといっていないというような評価もあるのは事実でございます。

 他方、総合的な取引所を目指すということはこれまでの閣議決定とかで掲げられているところでございますので、総合的な取引所を目指すという方向性については、冒頭申し上げたように、経産省としても共有し、そのための環境整備とかステップを整備していきたいと考えている次第でございます。

竹内委員 では、しっかりとこれは前へ進めてもらいたいというふうに思います。

 その関連で、もう一つ、商品先物取引の不招請勧誘の禁止について、最後に一問質問しておきたいと思うんですね。

 最近、経産省が、この問題につきまして、規則の見直しを提案していまして、パブリックコメントを募集しています。内容は三つあって、自社以外との契約者を含むハイリスク取引の経験者に対する勧誘を認める、二番目は顧客が七十歳未満の場合は勧誘を認める、三番目は熟慮期間七日を経過すれば認めるなどであります。

 これに対しまして弁護士会とか消費者庁、消費者委員会などから疑問の声が上がっておりまして、理由は、高齢者等に対する強引な勧誘でこれまで多くの金融被害を生み出して、裁判によっても違法判断されてきた経緯がある、それから、余りにも個人投資家に依存している商品先物市場の構造改革なしにこのような緩和をすることは、再び悪質業者の増加や消費者被害の拡大につながるおそれが高いのではないかと。すなわち、七十歳未満の個人に対しては不招請勧誘が全面解禁になるとともに、ハイリスク取引経験者は、七十歳以上でも、他社の顧客であっても勧誘が可能になる、また、かつて熟慮期間十四日が設けられたこともありましたが、ほとんど機能しなかった経緯があることなどから、そういう意見が出されている。

 他方で、公明党としては、現在まで、金融庁とともに、総合取引所が創設された場合の商品先物取引における個人投資家保護規制について、過去の経緯を含めて、慎重に検討を進めてきたところでありまして、相当関係の、弁護士会も含めて、過去の経緯もよくよく調べて、相当いいものができつつある、このように我々としては思っておるんですけれども、ところが、横で経産省が安易にこのような改正をすれば、これは二重の基準になって、消費者としてもどっちを信じていいかわからないし、商品先物市場の将来のためにもならないんじゃないかな。

 これはやはり金融庁と経産省がよく連携をとって、内容をよく精査する必要があるんじゃないか、調整する必要があるんじゃないかというふうに私は思うんですね。消費者庁の森大臣もそうおっしゃっているし、消費者委員会も意見を出しているんだから。

 だから、この辺は連携をとってきちっとやってもらいたいと思うんですが、経産省の見解を賜りたいと思います。

寺澤政府参考人 お答えします。

 今回の検討のきっかけは、昨年六月の規制改革実施計画、まさに閣議決定された規制改革実施計画の中で、勧誘規制について、顧客保護に留意しながら市場活性化の観点から検討を行うと。この閣議決定に従って、顧客保護と市場活性化の観点から、どういうバランスがあるかというのを、私ども、農水省と相談しながら検討し、パブリックコメントに付したところでございます。

 これはパブリックコメントがございますので、いろいろな意見を聞きながら、また関係省庁とも議論しながら、閣議決定に沿って、顧客保護に留意しながら、市場活性化の観点から適切な結論を得ていきたいと考えている次第でございます。

竹内委員 非常に重要な点ですので、パブリックコメントもいろいろ出てくると思いますので、しっかり金融庁等ともよく連携をとって進めてもらいたいと思うんですね。

 金融庁の局長も来ておられますので、総合取引所ができた場合の行為規制のあり方、不招請勧誘に関しまして、現在の検討状況をお聞きしたいと思います。

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣から申し上げたとおり、総合取引所につきましては、日本の金融資本市場の国際競争力の強化、活性化、それから投資者に対する多様な投資機会の提供、そういうものと同時に、投資家の保護を図ることが重要であると考えております。そういったバランスをいかにとるかという観点から、現在、各方面ともいろいろ意見交換をしながら調整を進めておるところでございます。

竹内委員 では、よろしくお願いします。

 終わります。

林田委員長 次に、前原誠司君。

前原委員 おはようございます。民主党の前原でございます。

 まず、委員長そして理事の皆さんにお礼を申し上げたいと思います。おとついの水戸での現地視察というのは大変有意義なものでございまして、ああいう機会を設けていただきました委員長、また菅原、古本両筆頭理事初め理事の皆さん方には感謝を申し上げたいと思います。伺ったことを時々ちりばめて質問させていただきたいと思います。

 まず前半は、黒田日銀総裁、お忙しい中お越しをいただきまして、ありがとうございます。日銀総裁にお話を伺いたいと思います。

 去年の四月四日でございましたか、異次元の金融緩和を発表されまして、一年が経過をいたしました。その検証を総裁とともにやらせていただきたいというふうに思います。

 お配りをしている資料の一をごらんいただきたいと思います。

 「異次元の金融緩和の効果?」ということでありまして、これはよく使わせていただいているものでありますけれども、新規発行の約七割程度の国債を購入して、マネタリーベースは着実に積み上がっていっている、しかしながら、市中に供給される通貨の総量を示すマネーストック、そして法人向けの貸出残高というものは余りふえていない、こういう状況であります。法定準備を超えた超過準備残高がどんどん積み上がっていっているということでございます。

 このマネーストック、法人向け貸し出しが伸びていないことについて今総裁はどう総括をされているのか、まずお伺いしたいと思います。

黒田参考人 御指摘ございましたとおり、昨年の四月四日に量的・質的金融緩和を導入いたしました。

 その後、金融資本市場の動向を見ますと、非常に緩和した金融環境というのが続いておりまして、貸出金利は既往最低水準ということでありまして、短観等を見ましても、企業から見た金融機関の貸し出し態度も改善傾向が続くということでございます。そうしたもとで、銀行貸し出しの残高は二%台前半のプラスで推移しておりまして、中小企業向けの貸出残高も前年比プラスで推移するということで、業種や企業規模にも広がりが見られているというところでございます。

 なお、委員御指摘の中小企業、大企業等の法人貸し出しの動向でございますが、企業収益の改善というもとで、設備投資はある程度の回復を見ているわけですが、手元の資金の流動性が潤沢にある大企業が多いということで、大企業向けの貸し出しはこのところ若干伸びが鈍化しております。他方、中小企業向けの貸し出しは伸びが高まってきております。

 私どもから見た金融機関の貸し出し状況というものは、経済に見合った形で伸びてきておる、今後さらに伸びていくことが期待されるというふうに思っております。

前原委員 先般の水戸での視察におきまして中小企業の団体の代表の方からお話を伺いましたけれども、総じて言われましたのは、もちろん我々が伺った茨城県の水戸というところに限定をされた話でありますけれども、特に中小企業においては、これだけ緩和した状況であるにもかかわらず、貸し出しというものがなかなかしてもらえない、こういうお話がございました。かなり厳しい話がございました。

 きょうは内部留保の推移の表は持ってきておりませんけれども、私は以前、では大企業の内部留保がどう推移しているかということもあわせて見ましたけれども、それほど大きく変わっておりませんよ。つまりは、内部留保も大きく変わっていない、そして、これだけ金融緩和を行う中で、法人向けの貸出残高が伸びていないということ。

 先ほど総裁は大企業向けは鈍化しているということでありますけれども、緩和した状況で金利を下げて、そして借りてほしいにもかかわらずなかなか借りてもらっていないということにおいては、確かに、円安によって企業業績というのは改善をしているところがあるというのは事実でありますし、私は異次元緩和を全面的に否定するものではありません。しかし、総裁が狙っておられた、この一年間でもっと貸し出しというのは伸びるんじゃないかと思っておられたと私は思うんですけれども、そこはいかがですか。

黒田参考人 その点は、いわゆる量的・質的金融緩和を導入いたしました際に、その政策の効果が実体経済に及ぶ三つのチャネルを想定していたわけでございます。

 一つは、長期金利あるいはリスクプレミアムに働きかけて、それを抑制するという効果。二番目が、金融機関その他の投資家のポートフォリオが、いわゆる国債等の債券から、貸し出しあるいはその他のリスク資産にシフトしていくという効果。三つ目が、さまざまな経済主体の期待の変化、デフレ期待というものがだんだん緩和されていって、物価とか経済の動向に対する期待が変わっていく。この三つを考えていたわけでございます。

 その中で、ポートフォリオリバランスの効果というのはいろいろな形があり得るわけですが、その一つが確かに銀行貸し出しということでございまして、その点については、どのくらいの伸びということを具体的に前提にしていたわけではございませんが、全体としてはおおむね経済活動に沿った伸びになっておりますので、期待外れの伸びということはないと思いますが、先ほど申し上げたように、このところ、大企業向けの貸し出しは若干伸びが鈍化している、一方、中小企業向けの貸し出しは伸びが高まっているということは事実でございます。

 大企業向けの貸し出しの中にはさまざまなものがありまして、大企業の方は、好調な社債とか株式による資金調達という部分もありますし、それから、内部留保がどんどん積み上がっているわけではないとしても、毎期の収入、利益として入ってくるものが相当多ければ、確かに、運転資金にしても設備資金にしても、それほど銀行からの大量の借り入れを必要としないという面もあるかもしれないということでございます。

 今後の動向としては、私どもも、やはり銀行貸し出しは趨勢として伸びが高まっていくのではないかというふうに期待しております。

前原委員 法人向け貸し出しの中身について少しお話をしたいと思うのでありますが、資料の二をごらんいただきたいと思います。

 私は、思っていた以上に、つまりは超過準備が積み上がり、あるいはマネタリーベースが積み上がっていく割には、法人向け貸し出しが伸びていないというふうに思うわけでありますが、その中においても、実は、不動産向けの貸し出しというものがかなり多くなってきているのではないかと思うわけです。

 土地の値段が上がるということについては、これは一つのデフレ脱却になる面もあるわけでありますけれども、しかし、緩和されたマネーというものが、実体経済の改善につながるだけでなくて、要はこういう不動産投資というものにより向けられて、結果的に中心市街地などの土地の値段が上がるということで、不動産バブルを生み始めているのではないかというような見方も出てきているわけです。

 私もいろいろな都市を回っている中で、九州のある地方都市の地銀のトップと会いました。その方もおっしゃっていたのは、やはり不動産向け融資がかなり伸びています、こういう言い方をされていたわけですね。

 この図の左側を見ていただいたらわかるように、二〇一三年四月四日以降、不動産向けの融資がより伸びているということと、右を見ていただきますと、産業向け投資においては四五%が不動産業ということでございます。もちろん、もともと不動産業というのはある程度、土地を買ったりして、ディベロッパーなんかがお金を借りて行うのはあるんですけれども、しかしながら、製造業、医療・福祉、ほかの面より、不動産業の比率がかなり高いのではないかと思います。

 この不動産バブルを生み起こしているのではないかという懸念については、どう答えられますか。

黒田参考人 今回の景気回復の一つの特色が、内需主導型であるということだと思います。消費、住宅投資等、内需を中心にして景気が回復をしてきているということでございます。

 その一環として、個人の住宅投資というのも趨勢的にふえてきておりまして、そういった面で、企業の側から見て、不動産業が銀行からの借り入れをふやして住宅建設あるいはさまざまな不動産への投資を行っているということだと思います。

 現時点で、私ども、当然、金融緩和の推進に当たりましてはさまざまなリスク要因を点検しておりますけれども、不動産市場あるいは金融資本市場、金融機関の行動において、過度な期待の強化など金融面の不均衡を示す動きは観察されておらないというふうに思っておりまして、我が国の金融システム全体として安定性を維持しているというふうに判断いたしております。

 ただ、委員御懸念のように、不動産業というのは、過去においても、それから欧米においても行き過ぎた投資があって、それがその後に経済あるいは金融システムに影響を与えた例もございますので、私どもとして、引き続き十分注視をしていきたいと思っております。

前原委員 消費税の引き上げ前の駆け込み需要もあるかもしれません。そういった面も含めて、これから、法人向け貸し出しが低調な中でこの不動産向け貸し出しがやはり伸びているということについては、今総裁がお答えをされましたように、過去のバブルの経験、歴史上も、あるいは世界じゅうでそういったバブル、不動産バブルだけではなくてさまざまなバブルが起きているわけでありますので、そういったものについてもしっかり目配りをしていただきたいということは申し上げておきたいと思います。

 この異次元の金融緩和によりまして円安が進み、そして企業収益は確かに改善をしました。しかし、自動車産業などを除きまして、為替効果で収益はふえましたけれども、数量ベースではふえていない企業が散見をされます。

 財務省が一昨日発表した二〇一三年度とことし三月の貿易統計の速報によりますと、一三年度は、前年度に比べて輸入が二・四%ふえたのに対して、輸出は〇・六%増にとどまっているんですね。しかも、三月は二・五%減になっているということであります。これは、言ってみれば、貿易赤字、あるいは貿易赤字の拡大、ひいては経常収支についても大きな懸念材料になってきているということであります。

 大規模な金融緩和によって円安にして、輸出を後押しして、国内の生産や雇用をふやそうとする狙いは、現在のところ、一年たってもうまくいっていないのではないですか。今の実態の数字を申し上げましたけれども、いかがですか。

黒田参考人 輸出にやや勢いが欠けるという背景にはさまざまな要因があると思いますが、我が国の製造業の現地調達拡大を伴う海外生産シフトといった構造的な要因が作用している可能性もありますけれども、このところの輸出に勢いが欠ける背景として、基本的には、やはり我が国経済との結びつきの強いASEAN諸国などアジアの新興国経済のもたつきの影響がかなり大きいと考えております。

 最近は、これらの要因に加えまして、消費税引き上げ前の駆け込み需要への対応から国内への出荷を優先しまして、輸出の方を抑えるという動きがどうも二、三月ごろあったようでありますし、また、御案内のように、米国における大変な寒波の影響もあったということが言われております。こういった一時的な要因も輸出を下押しする方向に作用してきたというふうに思っております。

 先行きについては、これらの一時的な要因というのは剥落するということに加えまして、海外経済が先進国を中心に成長率を高めていくということで、アジアの新興国も今後成長率を高めていく、これはIMFの世界経済見通しもそういうふうになっておりますから、そういったことから、輸出は緩やかに増加していくのではないか。

 一方で、輸入面では、駆け込みの輸入というのもあったわけですが、それも剥落していくということで、貿易収支は徐々に改善していく、黒字になるということは申し上げられませんけれども、改善していくというふうに見ております。

前原委員 私は、先月、アメリカ・ワシントンに行きまして、なぜアメリカが今のような円安を容認しているのかということをいろいろな方に伺いましたところ、一義的に皆さん方がおっしゃったのは、アメリカの経済がよくなったから円安を容認しているんだ、こういうことをおっしゃっていました。

 もちろん、異次元緩和の、バズーカ砲と言われた大きなインパクトというのはあったと思いますけれども、今総裁がおっしゃったように、この一年、これから指摘をしますけれども、いろいろな問題点があったにしろ、何とか雰囲気がよくなっていっているというのは、やはりアメリカの景気回復というのは大きかったと私は思いますよ。しかし、そのアメリカの景気回復の中でも、若干心配なことはありますね。例えば、去年の暮れぐらいから、米国の十年国債の利回りは落ちてきていますね。三%ちょっとだったのが、今、二・七%ぐらいまで金利が落ちてきているわけであります。

 それから、中国も、製造業の購買担当者指数、PMIというのが、三月は四八・〇ということで、五カ月連続で下がっている。商船三井の船舶の差し押さえの事案というものがあって、これから日中の貿易がどうなっていくのかということもあるでしょう。また、中国の減速によって、先ほどおっしゃったエマージング、新興国の経済がどうなっていくのかということで、さまざまな要因があると私は思うんですね。

 その中で、円安にしているにもかかわらず輸出が伸びていない。今、幾つかのテンポラリーな要因ではないかということをおっしゃっておりましたけれども、私は、余りそこは楽観視をすべきではないということで、そこは日本の経済構造の問題も含めて考えていかなくてはいけないところではないかというふうに思っております。

 次に、物価であります。これは三ページの左上をごらんいただいたら結構かと思います。

 これについては、コアのCPIとおっしゃっていたと思いますけれども、二年で二%の物価上昇というものを実現するんだということで、恐らく、総裁が思い描いていた状況をたどっているのではないか、こう思っているわけであります。民間はなかなか厳しい見方をしておりますけれども、今後の見通しと、あと、この間総理とお会いになられたときに、必要ならちゅうちょなく調整するとおっしゃったと伺っておりますけれども、ちゅうちょなく調整するとおっしゃったその調整手段というのはどういうものが考えられるんですか。

 今後のCPIの見通しといわゆる調整手段について、お答えをいただきたいと思います。

黒田参考人 今後の物価上昇の見通しにつきましては、現時点では、委員の示しておられます三ページの表の中にございます、日本銀行の政策審議委員の見通しの中間値というものが示されておりまして、二〇一三年度は〇・七%、そして二〇一四年度が一・三%、二〇一五年度が一・九%という見通しになっているわけです。恐らく二〇一三年度は〇・七%よりも少し高目になっているのではないかというふうに思っておりまして、物価の今後の見通しにつきましては、今月末の展望レポートで委員の方々の新たな見通しを明らかにすることになると思いますが、現時点では、こういった見通しで、順調に二%の物価安定目標に向けて道筋をたどっておるというふうに思っております。

 民間の方々の見通しというのは、それぞれ民間の見方でございますので、私どもからとやかく申し上げることはできませんが、昨年、量的・質的金融緩和が導入されたころに、民間の方が今ごろの物価上昇率はどのくらいかという見通しを立てておられましたが、多くの方は、〇・五%行くか行かないかという見通しでございました。

 それが、現時点で、足元は一・三%になっておりますし、二〇一三年度全体も〇・七%よりも少し上に行くかもしれないということでございますので、私どもとしては、民間の見通しと現時点では違っておりますけれども、物価の見通し、私どもの見通しに従って、これまでのところ、順調に道筋をたどっているというふうに見ております。

 なお、そういった物価安定の目標へ向けての道筋から外れるような懸念があるというような事態に立ち至った場合には、常に私は申し上げていますけれども、必要になればちゅうちょなく調整するというふうに申し上げております。

 今申し上げたとおり、これまでのところは順調に道筋をたどっておりますので、現時点では、あくまでも、今の量的・質的金融緩和を、二%の目標の実現を目指してこれを安定的に持続するために必要な時点まで継続するということに尽きるわけですが、何らかのリスク要因で見通しが変われば、当然、必要な調整は行いますし、その調整の手段というのはいろいろあると思いますが、それは、そのときの経済・物価情勢あるいは金融市場の動向などを踏まえて、適切に判断するということになると思います。

前原委員 後者の質問は、詰めてもお答えしにくい質問だろうと思いますので、これ以上聞くことは差し控えますけれども、ただ、今の話の中で、私はこれから総裁に、CPIはこれはいいねということなんですけれども、二つのことをそれを前提に伺いたいというふうに思うわけであります。

 一つは、四ページをごらんいただけますか。

 金融緩和で名目金利というものを抑えている、名目金利から予想インフレ率を引いたものが実質金利であるということであります。これがどうなっているのかということを一九九〇年からずっと見てきておりますけれども、実質金利がマイナスに至ったのは、一九九七年それから二〇〇八年という二回ぐらいなんです。これは、要は政策手段としてこうなったわけではなくて、外的要因でこうなって、戻っているわけであります。

 今回の場合は、異次元の金融緩和によって国債を大量に購入されるということを行う中で、金利も抑えて、そしてCPIを上げる、予想インフレ率を高めていく、こういうことです。そうすると、どうしても実質金利が政策的にマイナスになるということで、右を見ていただきますと、実質金利というのは、二〇一三年十月からずっとマイナスになって、このマイナスの下げ幅というのが大きくなっていますよね。

 これは実際、実質金利がマイナスということはどういうことかというと、借金をしている者にとっては楽になり、そして、資産を持っている者にとっては、要は、課税をして召し上げられるということに等しいわけじゃないですか。そういうことに今なっているという認識はお持ちですか。

黒田参考人 実質金利の計算の方式は、委員の御指摘の表のとおりでありまして、名目金利から予想インフレ率を差し引いたところが実質金利ということでございます。

 名目金利は市場で成立しておりますのではっきりしているわけですが、予想インフレ率というのがなかなかはかりがたいわけでございます。

 一つの有力なはかり方が、物価連動国債を使いまして、物価連動国債の市場の関係者がインプリシットに考えているインフレ率はこのぐらいだろうというふうに、固定金利の国債と物価連動国債の金利を比較することによって計算が可能でございます。それが一つの有力な方式でございます。

 もう一つの方式は、さまざまなアンケート調査によって、エコノミスト、市場関係者、企業等の見通しを聞きまして予想インフレ率を計算して、こういった式で実質金利を計算するということになります。

 最初に申し上げた物価連動国債の金利を利用して予想インフレ率をとりまして、それを見ますと着実に上昇しておりまして、実質金利は、その計算によりますとマイナスになっているということはそのとおりでございます。

 金融緩和の局面で、どうしても、金利が実質的にはマイナスにならなくても、実質金利がどんどん下がっていきますと、当然ですけれども、借り入れている人には有利になり、貯蓄している人には不利になるという面があることは否めませんが、金融緩和は、あくまでも、そういったことを通じて経済を回復させ、そして物価の安定を目指すということでございまして、御指摘の点は十分理解しておりますけれども、こういったことを通じて、より投資、消費を刺激、促進して、経済の回復、物価安定目標の達成に向けて全力を挙げて努力しているというところでございます。

前原委員 今お認めになったように、実質金利が下がれば、特にマイナスになれば、資産を持っている人たちは実際に課税をされて取り上げられるということになる、そして、借金をしている人間はその分楽になるということ。これは国民は知りませんよ。

 消費税を上げるということについては、国会で大変な議論をする中でまとめていった。しかし、実際に金融緩和を異次元でやっていく中で、名目金利を金融緩和で押し下げて、そして予想インフレ率を上げて、だからCPIを上げるというんでしょう、二年で二%、それは順調にいっていると。マイナスじゃないですか、実質金利は。ということは、実際に国民に資産課税を課しているということについて、はっきりとおっしゃるべきじゃないですか。

黒田参考人 資産課税ではないと思いますけれども。

 御指摘のように、金融緩和をする局面では、常に、実質金利が下がっていくことによって、借り入れている人にはより有利になる、あるいは借り入れることが有利になる。したがって、投資とか消費が拡大される。逆に、今度は金融を引き締めてまいりますと、実質金利が上がっていく。この場合には、借り入れている人が不利になり、貯蓄している人が有利になる。借り入れを抑制するということで、金融引き締めによって投資や消費を抑制するということでございます。

 金融政策は、あくまでも、そういった金融市場の動きを通じて、マクロ経済をいわばインフレでもデフレでもない状況にできるだけ早く近づけるということを目的にしたものでございまして、特定の層の所得とか資産についていわば国家権力によって課税をして、歳入を確保するという税とは異質なものであるというふうに考えております。

前原委員 税と異質か同質かという話をしているんじゃないんですよ。

 実質金利がマイナスになることによって、莫大な借金を抱えている国は楽になり、そして国民の一千六百兆になる個人の金融資産は目減りをしている。資産のつけかえによって、結果的に、国が楽をして国民の資産が目減りをしているということを認めますかということを言っているんですよ。

黒田参考人 先ほどから申し上げているとおり、金融の緩和あるいは引き締めの局面、物価の上昇の局面、下落の局面、あるいは金利の上昇、下落の局面といろいろあるわけでございます。

 逆に申し上げますと、長らくデフレが続いておりまして、そのもとでは実質金利が非常に高どまっていたわけでございます。十五年間、九八年から二〇一三年までデフレが続いておりまして、その間、経済の実態との関連でいえば、明らかに実質金利が非常に高どまって、貯蓄者には有利で借り入れる人には不利だったということもあったわけでございます。今はそれがちょうど逆転しているということでございます。

前原委員 では、金利を引き下げて、先ほど言ったように貸し出しは余り伸びていないですね、不動産の方は伸びているけれども、余り伸びていない。そして、円安、株高は実現したけれども、十月―十二月のGDPは、アメリカの景気はいい、財政出動はした、そして駆け込み需要があったにもかかわらず、年率〇・七%じゃないですか。それが今の実体経済じゃないですか。そうしたら、経済をよくすることによって国民に果実を及ぼすんだと言ったって、余り経済が伸びていない。

 だけれども、実質金利がマイナスになることによって資産がどんどん目減りしていっているということは国民は知らないんです。そういうことを、プラス面、マイナス面をしっかり言っていなくて、トータルの話でよくしますと言ったってだめですということを申し上げているんです。

 七ページをごらんください。

 出口が来るのかという話なんです。長期金利の変動要因、これは政策審議委員の佐藤さんが三月十九日にアメリカのニューヨークでジャパン・ソサエティーで講演されたときの資料です。

 名目長期金利というのは予想短期金利とプレミアム。上に書いてあるのが国債の買い入れ、これだとプレミアムが下がる。上昇要因というのは何かというと、景気、物価の見通しが改善する、あるいは米国金利の上昇、ボラティリティーの上昇、こういったものがある。

 このプレミアムをちょっと除いて考えたときに、予想短期金利の中で、CPIを上げようとしているんでしょう。CPIを上げようとしているということは、予想短期金利は上げるということにつながってくるわけです。ということは、名目金利も上がってくる。しかし、名目金利を抑えるためには国債を買い続けなきゃいけないじゃないですか。

 ですから、これは私が後で申し上げるように、日銀だけのせいだと言っているわけじゃない。一千兆もの借金がある中で苦しいやりくりをされているのはわかっているんです。わかった上で僕は質問をしているんですけれども、金利が上がったら大変なことになりますよね。

 五ページをごらんください。

 公債残高がどんどん積み上がっていって、そして右肩下がりの金利で、そして今や日銀が異次元の金融緩和でイールドカーブ全体を押し下げて、そして金利を低く抑えている、政策的に抑えています。だからこの利払い費というのは抑制されているけれども、それでも、いわゆる長期債務が大きくなってきているので、金利がちょっとでも上がったら、この利払い費が大変なことになるわけですね。それを苦労されているというのはよくわかった上で私は質問しているんですよ。

 もう一度七ページに戻っていただいて、では、先ほどCPIはうまくいきますよということをおっしゃった。そうしたら、これは名目長期金利がまた上がるということを示すわけですよね。そうしたときに、実際、今度は金利が上がってきたときには、財政に対して非常に過大な負担がかかってくる。それでまた日銀のお尻をたたいて何とかしろと言われたら、これは、仮にコアCPIが二%になったとしても国債を買い続けないと、名目金利を抑えられませんよ。

 どうされますか。本当に出口はあるんですか。

黒田参考人 私どもの金融政策は、あくまでも、二%の物価安定目標を達成しそれを安定的に持続させるということが目的でございまして、そういう目的から離れて、物価安定目標が達成されてしかもそれが安定的に持続しているのに、財政の国債費負担を下げるために金融政策を行うという考えは全く持っておりません。

前原委員 大変な御答弁を今されたと思うんですね。また、日本銀行からすると、そういうふうに言わなきゃいけない。

 八ページをごらんください。

 これは、安倍政権になってからまとめられた共同声明ですね。これは黒田総裁のおっしゃるとおりなんですよ、日本銀行だけで何とかできる問題じゃないんです、政府にも責任を負わせて、そしてやるべきことをやってもらわなきゃいけない。成長戦略もしかりでしょう。そして同時に、この三番の第二パラグラフ、「また、政府は、日本銀行との連携強化にあたり、財政運営に対する信認を確保する観点から、持続可能な財政構造を確立するための取組を着実に推進する。」、これをやらないと、日本銀行に丸投げしたってだめなんですよ。経済をよくするということで、これは両方やらなきゃいけない、財政健全化と。

 さて、こういった状況の中で、総裁に最後の質問をしますけれども、我々民主党、自民党、公明党、この三党で社会保障・税の一体改革というものをまとめて、二段階で一〇%に上げるということでありましたけれども、しっかりと物価安定の目標をやっていくためには、財政健全化というアンカー、いかりがないとだめですよね、さっきのお話のように。となると、ある程度の経済状況のもとでは一〇%に上げるということをやらないと、私は、むしろ、それこそリスクプレミアム、金利上昇、そして財政に対して非常に大きな影響が出るということになると思いますけれども、お考えはいかがですか。

黒田参考人 御指摘のとおり、持続可能な財政構造を確立するということは、財政にとっても不可欠ですし、日本経済が持続的な成長を達成する上でも必須の前提であると思っております。

 したがいまして、政府は、中期財政計画を立てて、その数値目標の達成に向けて取り組みをしておられますので、日本銀行としては、政府による財政健全化に向けた取り組みが着実に進んでいくことを強く期待しております。

 消費税につきましては、二%のさらなる引き上げにつきましては政府において十分検討されると思いますが、私どもの金融政策の立案、執行に当たっては、法律が通っておりますので、三%に引き続き、来年の十月に消費税が二%引き上げられることを前提に金融政策を行い、かつ、経済、物価の見通しを立てているわけでございます。

前原委員 麻生財務大臣、今の黒田総裁のお考えを聞かれて、また、先ほどの答弁で、日銀法にも書いてありますよ、日銀の大きな目的は物価の安定ですよね、その物価の安定について崩すことはしないということをおっしゃっているわけです。

 ということは、本当に、財政健全化というものは大臣の双肩にかかっている話だと思います。しかも、国際公約である二〇一五年度のPBの二〇一〇年度比半減というのは、八から一〇に上げないと達成できませんよね。それが前提ですよね。今の経済状況というのももちろん前提ですけれども、私はこれは着実に一〇%まで上げるべきだと思いますが、いかがですか。

麻生国務大臣 今、日本銀行の総裁からもお答えがあっておりましたとおり、これは基本的に三党合意で、まあ、私に言わせれば、日本の民主主義の成熟度合いはおたくらの国とは違うんだとたんかを切った手前もありますので、これは確実にやっていかぬと、社会保障と税の一体改革におきましても、あれだけの時間と手間をかけて、あれは一〇%を前提で全体を考え出したわけですから、この一〇%ができるような状況にするためには、例の十八条の三項というのがございますので、それに合わせて、私どもとしては、景気をきちっとしたものにしておくというのを、今年度、最も大事なところ、正念場、そのように心得ております。

前原委員 黒田総裁、これで結構でございますので、ありがとうございました。

林田委員長 黒田総裁、御退席ください。御苦労さまでした。

前原委員 それでは、歳出改革の話で、一番大きなところというのは、言うまでもなく、社会保障なんですよね。一般歳出の中で五四%を今や社会保障が占めるようになりました。二〇〇〇年の段階では一般歳出の三五%程度だった社会保障が、高齢化に伴ってどんどん今膨れ上がっている。そういう意味では、この社会保障をどうやって見直していくかということは極めて大事なことであります。

 きょうは、佐藤厚生労働副大臣にお越しをいただいておりますので、持続可能な社会保障を提供するためには、やはり社会保障の中身もしっかり見直さなきゃいけないということで、幾つか具体例を挙げて、少し議論をさせていただきたいと思います。ちょっと時間が足りなくなってきましたので、具体的な話にさせていただきたいと思います。

 まず、お配りをしております資料の九をごらんいただきたいと思います。

 これは病床における問題点ということでありますけれども、七対一、十対一、十三対一、十五対一、厚生労働副大臣初め厚生労働省の方々にはまさに釈迦に説法なんですけれども、七人の患者に対して一人の看護師ということであります。

 私はこれは問題だと思っていますのは、副大臣、二〇〇六年がこの七対一というのはどのぐらいだったかというと、約四万四千床だったんですね。それが、二〇一〇年には三十二万八千五百十八床、そして現在では三十五万七千五百六十九床ということで、要は、診療報酬の高いものにどんどんどんどん。これは、医療機関が勝手に選べるんですよ、七対一か、十対一か、十三対一か、十五対一かということで。どんどん下の方が細って、そして診療報酬の高いものにどんどん行っている。繰り返し申し上げますよ、二〇〇六年は四万四千床だったんです。

 私は、幾らになるかというのはきょうは伺いませんが、やはりこれが結構医療費を高くする一つの要因になっていると思いますけれども、これを見直されるお考えはないですか。

佐藤副大臣 前原委員の御質問にお答えいたします。

 今委員御指摘の急性期医療を担う七対一の入院基本料の病床が、ワイングラス形というようなことでよく言われるんですけれども、非常に過剰になっていて、必ずしも急性期の患者を受け入れていない病床もある、そういう指摘もされている一方で、急性期後の受け皿となる回復期等の病床が不十分であって、病床の機能分化と連携が不十分であるという指摘はそのとおりだと、我々も問題意識として持っております。

 このために、今年度の診療報酬改定において、この七対一の入院基本料について、急性期の複雑な病態を持つ患者に対応する評価となるように、患者の重症度や医療、看護の必要性を十分踏まえた要件に厳格化する、これが膨れ上がらないようにしようということとともに、もう一つは、急性期後の受け皿となる病床の充実等を図るために、新たに地域包括ケア病棟入院料を創設したところでございます。

 これは、きょうから厚生労働委員会でも御審議いただいているんですけれども、今国会に提出しております医療介護総合確保推進法案で、今申し上げましたような病床の機能分化、連携を進めるとともに、医療法を改正いたしまして、病床機能報告制度を創設して、都道府県が地域医療構想を策定することとしているわけであります。

 ポイントとしては、診療報酬と医療法の取り組みを車の両輪といたしまして、急性期からもう少し、今の資料でいうと下の、回復期、慢性期、在宅医療まで、患者が状態に応じた適切な医療を受けられるようにしていく、そういう病床の機能分化と連携をしっかりと厚生労働省としても進めてまいりたいと考えております。

前原委員 その問題と絡んで、十ページをごらんいただくと、これはもう副大臣御承知のとおりだと思いますけれども、当然ながら、いわゆる七対一であればあるほど、あるいはその病床が多ければ多いほど、看護師の数は不足するわけですよね、必要になるわけですよ。そのことによって看護師不足と看護師紹介市場というものが生まれて、そして、診療報酬から病院が紹介業者に対してお金を払うということが行われているわけですよ。

 ですから、先ほど副大臣がワイングラス形とおっしゃった、それをうまく下げていく取り組みをされると同時に、そのことによって適正な人材配置を。そもそも、診療報酬から紹介料が払われるということについては、恐らく想定していなかったと思うんですね。そのことの是正策をどう考えておられるのか、ここで開陳していただきたいと思います。

佐藤副大臣 まず、前提といたしまして、看護職員は二〇一一年段階で百五十万人従事しておりまして、これが高齢化のピークになる二〇二五年には二百万人の看護職員が必要となる、約十五年間で五十万人さらなる確保が必要である、そういう推計が今ございます。

 看護職員確保のために、この資料に提示されたような民間の紹介会社を活用する医療機関も多いと思われるんですけれども、しかし、今御指摘のとおり、その高額な手数料負担が医業経営を圧迫しているという意見も出されておりますし、今言われましたように、そもそも診療報酬という公的なお金がそこに使われているということ自体が問題だ、我々もそのように考えております。この記事にあるような、こうした民間の職業紹介事業について、その運営の実態を把握するべく調査をしている、実態の把握に努めているというのが今の現状でございます。

 その上で、厚生労働省としては、こういう民間の紹介ではなくて、むしろやはり公的な無料職業紹介機能の強化が必要である、そのように認識しております。ハローワークとナースセンターというのがあるんですけれども、まず、このナースセンターについて、ハローワークとしっかりと連携を引き続き図っていくということとともに、ナースセンターが、看護職員の方がいろいろな理由で離職されるというときに、ナースセンターにしっかりと届け出をしていただいて、きちっと早い時期に復職が進められるようなそういう届け出をさせる制度というものも今回、制度改正案を盛り込んで、この法案の中で提出しております。

 こうした施策を通じて、公的な無料職業紹介機能というものをもっとやはり強めていかなければいけない、そういうことをやった上で、潜在看護職員の復職支援というものに努めていくという考え方を進めてまいりたいと思っております。

前原委員 先ほど副大臣がおっしゃったように、看護師は五十万人必要になる、介護士はもっと必要になりますよね。恐らく、医師と看護師、介護士を入れると、二〇二五年までに百万人以上が今よりも必要になってくるということでありまして、こういったマッチングをどうするのかということもさることながら、この不足にどう対応していくかということになれば、話はもとに戻りますけれども、やはり配置基準、こういったものももう少し柔軟にすべきではないかというふうに私は思っております。

 やはり、厚生労働省の方々と話をしていると、もちろん社会保障あるいは労働分野の専門家ではいらっしゃいますけれども、みずからお金を削ってサービスの見直しをするというインセンティブに欠けている方が多いと私は思うんですよ。

 だけれども、やはりこれは、政務三役として入られている、特に安全保障の専門家である佐藤副大臣が、財政というのは国家の安全保障なんですよ、財政が破綻したら大変なことになりますから。そういう意味においては、やはり政務三役で入られている佐藤副大臣のような方が、みずからが効率化させる中で、いわゆる社会保障の、高齢化が進む中でほっておいても上がるわけですから、これをどううまく効率化させていくかとやらないと、特に医療ですよ、医療で本当にしっかりと圧縮できないと財政破綻を起こしますから。そういう意味では、逆に、努力してもらいたいということでエールを送りたいと思います。

 その上で、ちょっと根本的な問題を、私はいろいろなお医者さんと話をしていてこのごろ伺っているのが、政府は在宅介護、在宅医療にしようというふうにしている、これはより金がかかるよと言う方がほとんどですよ。

 そして同時に、先ほど副大臣がおっしゃったように、これは人が足りなくなるわけですね。人が足りなくなるにもかかわらず、しかも、例えば限界集落というもので、独居老人がその限界集落におられて、行き帰りだけでも大変ですよ。

 我が政権のときに進めたサ高住のようなもので、集合住宅で住んでおられるならばそれは話は別ですけれども、本当に別々の家で住んでおられるような方、そこに在宅で医療、介護をやろうと思ったら、私は、よりお金がかかると思うし、マンパワーもそもそも足りないんじゃないかと思うんですけれども、今、厚生労働省が進められようとしている在宅へのシフトというのは、本当に財政的にもマンパワー的にも正しいんでしょうか。

佐藤副大臣 今、前原委員御指摘の問題も含め、前原委員が党内の調査会の会長をされて、財政改革チームでさまざまに私どもの役所に御提言いただいている御意見を踏まえながら、先ほど質問の中で出ましたが、やはり社会保障というのがほっておいても膨れ上がる、これをいかに効率化、重点化していくかということは我々としても非常に大事な観点であると考えて進めてまいりたい、そのように考えております。

 今御質問をいただきました在宅医療また在宅介護については、そもそもの観点が、多くの国民が自宅での療養生活を希望されておりまして、こうした希望を尊重して、可能な限り住みなれた生活の場において必要な医療、介護を老後において受けられるようにすると。そういう観点から進めているというのがこの在宅医療、在宅介護へのシフトということなんですね。

 厚生労働省の調査をいたしましても、アンケートをやると、やはり七割前後の方が、老後において、どこか離れた施設に入るのではなくて、できれば自分の身近な地域でそういう介護や医療も見てもらいたいと。どっちかというと、国民の希望を尊重した、そういう形で今回シフトをさせていただいているというのがこの制度の大きな背景にあるということをぜひ御理解いただければありがたいと思うわけであります。

 そういう観点からやっておりますので、この移行については、社会保障削減の観点から推進していこう、そういうものではないということが今我々の進めているシフトであるということをぜひ御理解いただければありがたいと思うんです。

前原委員 大体意見が合う佐藤さんとはこれは意見が違うんです。

 ニーズがどうかということは、それはしっかり調べてみなければわかりません。ただ、私は、現実問題として、財政とそれからマンパワーの両方から可能なのかということを伺っているわけです。

 では、仮に、佐藤副大臣がおっしゃったように、国民のニーズがあったといたしましょう。だけれども、これだけ借金が多くて、そして人口が減っていく、少子高齢化が進んでいく中でやれるのかという話ですよ。つまりは、財政のサステーナビリティーとマンパワーの問題で、本当に理想とする在宅医療、在宅介護というのができますかという話なんです。そこをやはり考えてもらわなきゃいけないということで私は申し上げているんですけれども、いかがですか。

佐藤副大臣 確かに、財源というのは限りがありますから、そこの観点というものはしっかりと我々も重視しながら、ただ、具体的には、地域医療構想というのを各市町村等ごとにつくっていただくんですね。そこで市町村の将来の在宅医療の必要量をしっかりと示すとともに、医療計画に在宅医療を担う医療機関や訪問看護等の提供体制に係る目標をしっかりと持ってもらう、さらに在宅療養患者の急変時の対応を含めた医療連携体制等をしっかりと盛り込む、こういうことになっておりまして、そういうところもチェックしながら、やはり余りにも財政面でも膨れ上がらないように我々としてもしていく、そういうことをしっかりと心がけていきたい、そのように考えております。

前原委員 麻生財務大臣、同じ質問をさせていただきたいんですけれども、麻生グループの中には医療機関もお持ちでありますし、こういった問題については大変お詳しいということでお答えをいただきたいのであります。

 どのお医者さんに伺っても、在宅というのはよりお金がかかるよということをおっしゃいますし、長寿化の中で、そして人口減少、生産年齢人口の減少の中で、それは在宅というのが理想かもしれませんよ、だけれども、よりお金が、マンパワーがかかり、お金がかからないように努力するとおっしゃいましたけれども、実際に現場で働いているお医者さんたちは、絶対にその方がお金がかかるとおっしゃるわけですよ。また、そういうふうに診療報酬も変えているわけでしょう。

 私は、そういう観点からすると、やはり財政を担われる大臣、責任を持たれる大臣として、本当にこういった在宅医療、在宅介護というものが財政的にも正しいのか、マンパワーとしても正しいのか。特に副総理でいらっしゃいますので、全体を見渡した場合、本当にこれは可能だと思われますか。

麻生国務大臣 死ぬときは病院より自宅で死にたいな、これはほとんどの方が、みんなそう思っておられると思いますよ。余り考えたこともない若い方もいらっしゃいますけれども、こっちも七十を過ぎてくれば先が短いわけですから、それはいろいろ考えるようになります。

 在宅の話が出ましたけれども、これは前原さんの指摘が正しいんですよ、現実問題として。だって物理的に考えて、医者が一人であっちこっちの地方の田舎に車で全部、救急車でも何でもいいですよ、移動する、その移動距離を計算したって、隣の病室から隣の病室に行くのとどっちが時間、距離が短いか、単純計算で出ますから。それははるかに病院の方が安いということははっきりしておる、私もそう思っております。

 したがって、それに対抗するために、今ここに大分県の人はいませんかね、ちょっとどこかのときに行かれるといいと思いますけれども、大分県の駅前に、小さなところなんですけれども、そこにずっと病院を建てて、周りは、あの辺は過疎地になるところがあるんですが、全部そういうところに、面倒を見切れません、したがって、駅前に建てるから病院に来てくれというような形で、コンパクトシティーなんという言葉が最近、どこから持ってきたんだか知りませんけれども、そういう言葉も今使われて、はやりつつあるようですけれども、いろいろな形で今、各行政体で努力をしておられるのは、私らも、あっちこっち行きますので、その現場現場でよく見せていただくので、いろいろみんな努力をしておられるんです。

 確かに、言われるように、これは金の話と本人の希望の話との間にいろいろギャップが起きるということは十分配慮した上でやらないといかぬのであって、今、社会保障が毎年一兆円伸びていきますなんというようなことはとてもじゃないけれどももつ話じゃありませんので、そういったところは、私どもとしては、ジェネリックだ何だかんだ、今いろいろやっておりますので、そういったものをもっと積極的にやっていかねばならぬ、在宅医療もその問題の一つだと考えております。

前原委員 特に社会保障が本当に大宗を占めて、今大臣がおっしゃったように毎年毎年一兆円ふえていくなんということはもう耐えられませんので、そういう意味においては、佐藤副大臣のような政務三役の方がしっかりと厚生労働省の方々と話をされながら、どうしたら、サービスが落ちなくて、しかしコストを効率化できるのかといったところをしっかりやっていただくという発想も、財務省に要は切られるという意識じゃなくて、やはり厚生労働省の社会保障あるいは労働問題に一番詳しい人たちが、どうしたらそれが効率化できるのかという観点の中でぜひ努力をしていただきたいということも申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

林田委員長 次に、山之内毅君。

    〔委員長退席、菅原委員長代理着席〕

山之内委員 日本維新の会の山之内毅でございます。

 本日の質疑は、月曜日、水戸の方へ視察に行かれた結果を踏まえて、また今後の財政、経済について御質問させていただきたいと思います。

 私も、本委員会の方で約一年四カ月ほど委員をさせていただきました。その中で麻生大臣にも何度か質疑をさせていただいたんですけれども、今、日本のアベノミクスというものがあって、これが成功するしないは、全国津々浦々まで実体経済の回復、実需を喚起しないといけない、こういった点を麻生大臣もおっしゃられておりまして、私もそのとおりだと思っております。

 麻生大臣、実需を喚起しなければならない、その観点から、アベノミクスが始まってから、今、どの段階にあられて、現状の御認識、現在の状況を教えていただければと思います。

麻生国務大臣 いわゆる歴史家は何と書くか。二十年と書くか、何年と書くか知りませんが、私どもに言わせると、一九九〇年にバブルが、株が三万八千九百十五円をつけました一九八九年の十二月二十九日、翌年から株がどっと下がって、七千百円ぐらいまで株は下がったと記憶しますが、そういった状況から、九二年から土地もだあっと下がって、その辺からずっと今日までデフレーション。多くの方々がデフレというものを意識され始めたのも、かなり後だったと記憶します。

 そういう状況のときに、山之内先生、何でこんなに長引いたのかといえば、やはり基本的にはデフレを我々が知らなかったことだった、私はそう思っています。なぜなら、少なくとも、さきの大戦で負けてこの方約六十数年の間、デフレをやった経験は我々はありません。もっとも、世界じゅうありませんけれども。したがって、インフレ対策がわかってもデフレ対策がわからなかったために、不況といえばインフレ対策と思ってやったのは、デフレのときに不況対策として成功したインフレの対策をやったって、逆目ですから、それは全然効果がなかった、多分歴史家はそう書くんだと思っております。

 したがって、これを直すためにはやはりかなりの時間を要するということですけれども、とにかく、間違いだということを日本銀行も認めてくださいと。おたくらも間違えた、財務省も間違えたし政府も間違えた、マスコミなんかは、はなから間違えていたんですから、全員これは間違えたということを前提でスタートさせていただかぬとどうにもなりませんよということで、私どもは、謙虚にその上に立って、日銀と交渉し、先ほどの前原さんの言葉をかりれば、政府側の人間としては官僚と話をし、いろいろな形をして、いわゆるアベノミクスというのをやらせていただくことになったんです。

 今、どれくらいに来ておるか。目的をどこでというので、何合目かということになろうかと思いますけれども、少なくとも、五四半期にわたってGDPが連続でプラスに出たというのはこのところございませんし、そういった意味では、間違いなく上がってきたし、消費者物価というのも、コアでいきますと一・三%ぐらいのものを達成しておりますし、いろいろな形でそういった数字がよくなってきておる。

 最悪だった有効求人倍率、一番何となく不景気、景気を感じる有効求人倍率も、〇・四まで下がっておりましたのが一・〇五ぐらいまで上がってきておりますので、そういった意味では、間違いなく数字が上がってきているとは思っております。緩やかに景気が回復し、デフレという状況ではなくなったと言えるのではないか、そう思っております。

 それが大都市ではかなり顕著になってきていると思っておりますけれども、地方に行かれると、多分、選挙区に戻られたりいろいろすると、まだそこまで至っていないのではないか。私のところも選挙区に一部過疎地を抱えていますので、そういったところを見るとなかなかまだ地方にまでは行き渡っていないので、総理の言葉をかりれば、全国津々浦々にこのアベノミクスの成功がということになりますのはもうしばらく時間がかかる、私はそう認識をいたしております。

山之内委員 ありがとうございます。

 今大臣がおっしゃられた、都市部と地方の現状が違う、地方にまでまだまだ来ていない点があると。私も、こちらの日本銀行さんのさくらレポートを拝見させていただきました。今おっしゃられるとおり、全体的には「緩やかに回復している」「回復している」。北海道、東北、北陸、関東甲信越から東海、近畿、中国、四国、九州・沖縄、そういった各地は徐々に回復していると。その中で、今まさに大臣もおっしゃられました有効求人倍率でございますが、軒並みよくなっていますが、例えば九州・沖縄は、二〇一四年二月時点で〇・八四ですね。

 私も、地元は鹿児島でございますけれども、鹿児島で例えば建設業の方ともお話をさせていただきます。今回、確かにこのさくらレポートでも、九州は、公共事業というのが、前年同月比で例えば五〇%増だとかそういったもので、増加しているところはあると思います。ただ、地元の建設業の方とお話をさせていただきますと、やはりいただくんですけれども、人材がいないと。どんどん縮小がされてきた中で、いざいただいても、それをする人材、もしくは下請の方々がそれを受注できない。急にそうなった段階で、いろいろな産業構造はあると思います、都市型の産業構造、地方の産業構造、その中で、地元のそういったところは、さらに資材の高騰もあるといった中で、どうしても利益率が低くなっている、こういった御指摘をいただきます。いろいろな政策の転換もありますが、その転換に対して会社の経営の構造が追いつかないという認識を指摘されるところもあります。

 この点に対して、麻生大臣はいかがお考えでしょうか。

麻生国務大臣 山之内先生、間違いなく、これは鹿児島に限らず、全国的に言える傾向値だと思っています。東北三県は除きますけれども、そういった傾向は間違いなくあります。

 現実、少しずつ動いているのはどういうところかといえば、例えば福岡では、タクシーの運転手さんの絶対量が不足してきた。なぜか。

 建設業というのは、御存じのように、ロングホー、ああいう特殊大型車両というもの、ブルとかサイドダンプローダー、ああいったようなものを扱える人たちは総じてタクシーに職をかえたんですな、ばあっと公共事業を減らされたときに。その人たちが、タクシーで稼いだ部分が、今、そういった人たちのリストがありますものですから、タクシー会社から建設会社の方に呼び戻しが起きてきております。日当が建設業の方が高くなってきていますので、タクシーの方が今度は逆に運転手さんが不足してきているというのが都市では見られます。

 しかし、同じことでも、福岡の場合は政令都市が二つあるんですけれども、福岡でははっきりしていますけれども、まだ北九州の方はそこまで来ておりません。したがって、同じ県の中でも大分違うんだと思っております。

 いずれにしても、そういうような現実を考えて、仕事が、採算が、物価版というのはわかりますか、物価の値段がずっと出てくるあの物価版の値段と政府が出して決めた値段と合わなくなってきているから受注できない。人手もさることながら、資材価格が上がっていることによって、受けても仕事ができないということになります。

 早い話が成り立たないということになっていますので、これは建設省に聞いていただいた方がいいと思いますが、一回の発注するロットを、一億のところを二億にして、大きな工区を渡して、それでやることになるのが一点。もう一個は、単価を上げるということ。両方、建設省やら何やらも指示をして、現実問題、その方向で動いてきているところがありますので、そういった成立しないという形は少しなくなりつつあろうと思っております。

 いずれにしても、ブルだ何だかんだというものを、全部償却して、なくしている、全部売った、中国に売っちゃって、もうない。借りに行く、貸してくれるリース業のところも売っちゃって、ない。そういった状況で、工事が間に合わない。また、この間の福岡の矢部川で起きた川の決壊のときにも、ブルの絶対量が足りない。

 今までじゃ考えられないことが起きておりますので、そういったようなことは、やはり公共工事をずっと減らしてきた結果、いろいろなところでひずみが起きたことは間違いないと思っております。

 国土強靱化等々を考えましても、鹿児島等々、災害というか、台風とかそういったものが非常に多いところで、いろいろ気にされる方はいっぱいいらっしゃいますけれども、私ども、そういったところも考えながら今後対応していかねばならぬ大事なところだと思っておりますので、工事を、価格が合わないために発注しない、受注ができない等々というようなことだけは避けねばならぬと思っております。

山之内委員 ありがとうございます。

 私ども、例えば建設業もそうですけれども、九州、特に地方中の地方の鹿児島の産業の中で、今地元でどういった産業が実際伸びているかといいますと、要は、鹿児島の商圏を当てにしないで、例えば九州であれば福岡だとか、大阪だとか東京の商圏をとりに行くような地元の企業が明らかに伸びているんですね。

 例えば、おもしろい企業で、印刷業なんですけれども、鹿児島に本店はあるんですけれども、工場を山梨か東京あたりに置いて、売り上げベースは首都圏が八割。今はメールでやりとり、受注もできますので、実際の工場は山梨に置いて、どんどんそこから首都圏に出荷する。ある意味愛郷心から鹿児島に本店は置いていますけれども、鹿児島の受注というのは二割ぐらい。

 また、鹿児島の一般の小売の宝石店でも、鹿児島では商圏がないから、東京の銀座とか表参道に宝石店を出して、その収益を鹿児島にバックする、そういったような形をとっていたり、あとは、これはもう皆さん御存じのように、例えば通販事業。

 そういった、地方の商圏じゃなくて、都市部へ商圏を移したところが明らかにぐっと収益が上がっている。

 私も、田舎の方でいろいろな地方銀行さんの会が、何々支店の会、何々支店の会と、各地方銀行さんであると思いますけれども、そこでよく懇親をさせていただいていたんですけれども、そこでも、明らかに通販事業のある意味成功されたところだけ収益が一桁、二桁違うわけですね。

 それは、やはり小さな商圏であってもいけない、都市部でどれだけ収益を上げるか、もしくは、それが成功すれば、まだまだこれはいろいろなハードルがあって厳しいですけれども、海外の外需をとりに行けるような戦略がとれる状況だと思っております。

 その中で、先ほど公共事業の件もありましたけれども、東京、関西、特に福岡、先ほど大臣が言われた政令指定都市の件もありますけれども、その地方地方にとってやはり産業構造というのは大きく変化してきたんだなと。これはきのうきょうの話じゃなくて、戦後の中で、もしくは戦前から産業構造は変わってきたものだと思います。

 その中で、我々の党は、では、その矛盾をどう解消しようかという中で、一つの提案で道州制ということも言わせていただいております。やはり九州であれば、そういった産業構造であれば、九州は九州に合ったある意味成長戦略をつくらなきゃいけない。その中で、九州の方々は、九経連の方々も比較的、協議会もつくって、道州制に賛成、前向きです。

 これは大臣がお答えいただければ結構なんですけれども、九州における道州制だとかそういったものについてはいかがお考えか、もしよろしければお答えいただけますでしょうか。

    〔菅原委員長代理退席、委員長着席〕

麻生国務大臣 道州制なんて言わなくて、若い人だったら、九州全体で特別区の特区にしてくれと言った方がもっと効果があるんじゃないですか。俺がおたくぐらい若かったらそう言うけれどもね。七十になって特区なんて言っちゃうとちょっとぐあいが悪いから言わないけれども、それくらいの話にしないと、なかなかだと僕は思いますよ。

 いずれにしても、こういったような地域性というのは、九州の場合は明らかにアジアに近いという有利なところがありますから、そういったところをうまく使ってアジアに商圏を拡大していく。だって、東京へ行くよりソウルに行った方が近いんだから。だから、いろいろな意味で、全然距離感が違いますし、時間、距離からいきましたら、そういったことを考えた方がいい。

 現実問題、一部反日が強いとかいう話が書いてあるけれども、ほかのところは全然違いますから。反日の話が出ているのは二カ国ぐらいで、アジアはその二カ国以外にいっぱいあります。そういったところの商圏なんというのを考えたら、鹿児島なんてもっと有利な話なんです、そういった方法というものを考えた場合。

 ただ、国内のインフラもきちんとしておかないと、例えば光ファイバーが引けていないとか言った途端に、ADSLなんて今でもやっていれば、スピードが全然違いますから。そういったようなことも考えて、そういうインフラは衆議院議員として絶対きちんとやるとかいうようなことを考えられた方がよほど地域のためになる、私はそう思います。

山之内委員 ありがとうございます。

 今回の視察もそうだったんだと思うんですけれども、やはり今のままで地方中の地方の企業に、はい、頑張ってくれ、成長してくれと言ってもなかなか、先ほどの例で、地方中の地方の商圏だけでは厳しい。言われたように、新たな市場、もしくは、私の地元ばかりで恐縮ですけれども、それこそ九州であれば、大臣が言われたような、アジアの外需をとりに行く。外需をとりに行って、それだけじゃなくて、インバウンドで観光まで持ってくる。

 そのためのインフラ整備。例えば、空港の整備だとかも、二十四時間空港とまでは言わないですけれども、二時間ぐらい延長する、朝二時間早くする程度でもそうですけれども、そういったものだとか、専門家の方が言われるのは、一つの空港であれば、空港ごとサービスエリアにしちゃったらどうかとか、サービスエリアで休憩する中で、そういった空港の中で飲食、食べて、それで空港使用料をある程度下げて、それを発着料まで転換して、それから飛行機の運賃まで安くできるようなとか、そういった話をされる方もいらっしゃいます。

 いずれにしろ、やはり地方中の地方の本当に全国津々浦々までやる場合にはどうするかといったら、ある意味、ただ金融でやるというだけではなくて、いろいろなものの総合的な戦略が必要になると思っております。ですので、私も、今回の件で、実体経済がどうすればよくなるかというのは、やはりその地域地域の行政、政治も含めた成長戦略が必要になるんだと思っております。

 そこで、今度は話をかえさせていただきます。

 これは逆にマクロ経済の一端の話になると思うんですけれども、GPIFについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 本日は政務官も来ていただいておりますけれども、安倍首相がダボス会議に行かれて、一月だったと思います、そこで、岩盤にドリルで穴をあけていくと。そういった中で注目されたのは、やはり法人実効税率の引き下げだとか規制改革、もしくは、そういった中での国家戦略特区もそうだったと思います。その中のもう一つが、やはりGPIFも注目されているということをお聞きしております。

 今回、GPIFがある中で、今、そもそもこのGPIFはどれぐらいの運用規模で、その比率がどのぐらいのものなのか、これを政務官に教えていただきたいと思います。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 GPIFの運用資産でございますが、年金積立金全体で申しますと、平成二十四年度末で百二十六兆円でございますが、そのうち、GPIFが管理運用する直近の資産額、平成二十四年度末でございますが、約百二十兆円となってございます。

 基本ポートフォリオは、先生御案内かと存じますが、国内債券六〇%、国内株式一二%、外国債券一一%、外国株式一二%、短期資産五%というような形になってございます。

山之内委員 ありがとうございます。

 国内株式が一二%ということでお伺いしております。この一二%に対して、時価総額だと思うんですけれども、それを一二%で維持すると、当然乖離幅もあるわけですね。この乖離幅はどれぐらい許容があるか、教えていただけますでしょうか。

藤井政府参考人 GPIFの基本ポートフォリオに関しますいわゆる乖離許容幅でございますが、国内債券につきましてはプラスマイナス八%、国内株式でプラスマイナス六%、外国債券でプラスマイナス五%、外国株式でプラスマイナス五%といった許容幅になってございます。

山之内委員 ありがとうございます。

 そうなりますと、国内株式では、原則一二%だけれども、プラスマイナス六%の幅があるということで、一二足す六で最大一八あたりまで許容幅がある。

 この許容幅、最大一八%なんですけれども、これが昨年、平成二十五年の十二月末時点では何%でいらっしゃったのでしょうか。

藤井政府参考人 昨年十二月末時点での国内株式でございますが、一六・六六%となってございます。

山之内委員 今、一二・六六ですか。

藤井政府参考人 申しわけございません。

 一六・六六%でございます。

山之内委員 私の手元のこの資産構造、こちらでいただいた中には、第三・四半期、平成二十五年十二月末というのがありまして、こちらには国内株式は一七・二二とあるんですけれども、こちらとの差異はいかがでしょうか。

藤井政府参考人 先ほど申し上げました数字につきましては、ポートフォリオ全体で申し上げますと短期資産が五%入ってございまして、この五%の短期資産も勘案いたしまして割合を計算いたしますと、一六・六六%というふうになってございます。

山之内委員 ありがとうございます。

 私、もちろん、こちらのGPIFというのは、貴重な国民の皆さんの年金の原資ですので、いたずらに投資に回すべきじゃないという慎重論の方もいれば、いや、もっと積極的に、何なら五〇%ぐらい出してもいいんじゃないかという積極論の方もいらっしゃると思っております。新聞の記事等でも、積極論の方、慎重論の方がいらっしゃると思います。

 今言われた大体一六・数%、一七%近くですけれども、ある意味許容幅の一二%プラス六のぎりぎりにある。

 ちょうど、この平成二十五年十二月末というのは、近々で日経平均が高値をつけた、一万六千二百九十一円であると思いますけれども。要は、一部市場、マーケットの方にお話をお聞きしますと、もうGPIFが大体いっぱいになりつつあるから、一八に近いから、そろそろ売りがかかるんじゃないか、売り圧力があるとお聞きするんですね。

 例えば、アベノミクスで、この日経平均を二万円台、さらにどんどん上げていこうと考えているのであれば、特にこのGPIFというのは、今、約二十兆円ぐらい市場に投資されていると思いますけれども、規模が大きいものですから、それだけやはり市場に与えるインパクトもでかい。そういった中で、この乖離幅もしくは一二%というのを上げるだとか変更する御予定は今の時点であるんでしょうか。お願いします。

藤井政府参考人 いわゆる現代投資理論におきましては、適切に定められました基本ポートフォリオをリバランスしながら維持するということが適切な投資手法とされてございます。ただ、他方で、経済環境やあるいは市場環境の変化が激しい最近の傾向を踏まえますと、委員御指摘のように、機動的な運用を行うことも重要な視点だというふうに考えられるところでございます。

 いずれにいたしましても、この年金積立金の運用は、運用に特化いたしました法人でございますGPIFに寄託をして行われることとされてございまして、一般に認められました資金運用に関する知見に基づきまして、被保険者の利益のために適切な運用が行われるものと承知をしております。

山之内委員 ありがとうございます。

 こちらの方でまだどれだけ上げると言えないとは思いますけれども、私も先ほど言ったように、株式投入を極端にやると、当然ハイリスク・ハイリターン。今、先ほど言われた国債が大体六割。ただ、これもちょっと下げていこうという話もあるかと思います。その中で、株式も、やはり余り売り圧力にならない範囲で、妥当なバランスの範囲で多少変更していくのも一つの手じゃないかとは思っております。

 その中で、そもそも有識者会議で、平成二十五年十一月二十日公表の資料がございますけれども、GPIFの運用するガバナンス、こういったのもいろいろ考えていくべきじゃないだろうかという意見が出ております。

 一つは、やはりこれだけ巨額な、約百二十五兆円でしょうか、これを運用していく。今の中で話が出たものは体制ですね。今のままの仕組みでいいのか。例えば、運用委員の方々は、ちょうど四月二十一日、おとといぐらいですか、任期が切れてかわられたと思うんですけれども、やはりある程度常勤の運用委員にした方がいいんじゃないかだとか、例えば今の理事長一人よりも合議制にした方がいいんじゃないか、あとは運用委員の方々の報酬体系も多少見直した方がいいんじゃないかというような話が有識者会議でされたと思います。

 この仕組みの変更を今検討されていらっしゃるんでしょうか。その点、お聞かせいただけますでしょうか。

高鳥大臣政務官 山之内委員にお答えいたします。

 GPIFのリスク管理体制やガバナンスの強化につきましては、有識者会議の提言も踏まえまして、独立行政法人制度全体の見直しとあわせまして、職員数等の弾力化や実質的な合議制の導入を行う旨の閣議決定、これは平成二十五年十二月二十四日になされております。

 この閣議決定を受けまして、三月二十五日に、中期目標等につきまして、職員数、給与水準、経費等の面での制約を弾力化する変更等を行いまして、現在、GPIFにおきまして報酬体系等の見直しを行っているところでございます。

 また、委員御指摘の運用委員会の委員の一部常勤化や実質的な合議制の導入につきましても、報酬体系等の見直しとあわせまして、着実に進めてまいりたいと考えております。

山之内委員 ありがとうございます。

 先ほど前原委員も御指摘がありましたけれども、今後、財政、プライマリーバランスの黒字化を目指す中で、やはり社会保障というのは極めて大きい。

 社会保障の改革は急務だとは思うんですけれども、こちらも年金の原資を運用している。この運用が、もちろんアベノミクスの状況の中ではですけれども、例えば今期であれば大体十兆円ほど出ていると思います。やはり巨額です。積み立ては、ピークは百四十兆円ぐらいあったと思いますが、今はどんどん下がってきていると思いますけれども、この運用というのも、本当にリスクがハイリスクじゃない範囲で、そして日経平均の余り売り圧力にならない妥当な範囲で運用していくというのは、ある意味一つの大きな視点になると思います。

 この視点を踏まえて、麻生大臣、総合的に、このGPIFについて、どのように今後、市場に与える影響は大きいと思いますけれども、財務大臣として、この状況を注視するか、その動向をどのようにお考えか、答えられる範囲で結構でございますので、いただけますでしょうか。

麻生国務大臣 これは、山之内先生、うかつにしゃべって、一日で株が四百円か五百円も動かれるとかなわぬから、この委員会で山之内さんに乗せられてしゃべって、またあのやろうなんて言われたのではかないませんので、そういったことは言わないことになっておりますし、大体、厚生省の所管の話なんです。

 やはり株に与える影響というのは大きくて、前の内閣のときに、運用基金が一兆五千億円ぐらいの赤だったかな。今、この十五カ月で二十兆円ぐらいの、もうちょいいっていると思いますね、黒になっている。

 そういった意味では、大きいんですよ、株が上がる下がるというのは。株を持っている人だけが得しているんじゃなくて、全て年金に入っておられる方の金になりますので。そういった意味では、これは大きなものだと思っておりますので、やはり運用というものは真剣に考えてしかるべきものだと思っております。

山之内委員 ありがとうございます。

 いずれにいたしましても、今回、実体経済はもちろん、それぞれ各地方で成長戦略をとりながらマクロ経済もやはり牽引していく、この両輪があってこそ持続可能な成長ができると思っております。

 先ほど申し上げたGPIFの件につきましても、ある意味、国際市場から国内市場の方々も注視していく中で、ある程度のバランスと改革が必要かと思っております。

 では、質疑時間はもう終了しているということで、これで質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

林田委員長 次に、桜内文城君。

桜内委員 日本維新の会の桜内文城です。

 我が党は、財政健全化責任法案なるものを提出しておりまして、現在、継続に扱っていただいております。

 きょうは、この財政健全化なり財政責任法について触れるつもりはないんですけれども、やはり一番重要な趣旨というのは、アカウンタビリティー、説明責任と訳されたりしますけれども、政府の財政運営に関するアカウンタビリティーをどう高めていくのか、そのアカウンタビリティーを高めることを通じて、規律ある財政運営を行っていっていただきたいという趣旨の法案でございます。

 そこで、フランシス・フクヤマという政治学者の方が、以前、冷戦が終わった際には「歴史の終わり」という大変有名な著作を発表されたりしまして、その方が去年、「政治の起源」という本を和訳で出されております。

 その中で、近代国家の歴史とか、まさに始皇帝の時代から始まって分析されているわけですけれども、国家の、特に近代国家としての重要な三要素というのを挙げていらっしゃいます。一つ目が、国家、権力、まずそれが成立しなければならない。二つ目が、法の支配、権力を縛る一つの仕組みとして法の支配というのが重要であるということと、実は三つ目にアカウンタビリティーというものを挙げていらっしゃいます。

 いろいろな物の考え方があろうかと思うんですけれども、過去の政治制度、人類が経験してきた政治制度の中で一つの成果ともされるのがこのアカウンタビリティーでありまして、そういった意味で、まさに財政を預かっていらっしゃる麻生大臣、私は公会計というものをずっとやっておりますけれども、そういったものを通じて、しっかりとアカウンタビリティーを高めていただきたいというふうに考えております。

 そのアカウンタビリティーというものに対する考え方、ちょっとざっくりした質問ですけれども、財務大臣としてどうお考えなのかをお聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 これは説明責任と訳すんですかね、よく知りませんけれども。

 業務内容などについて広く知らしめるだけ、かつ納得が得られるようにせないかぬというところで、きちんと説明をするという責任のことをアカウンタビリティーというんだと理解しておりますけれども、我々としては、納税者にというか国民に税を納めていただき、それを予算として配分するというような立場を持っておりますので、その使途等々についてはきちんと説明を尽くすということなんだと思います。

 そうした考えから、毎年、予算とか税制についてわかりやすく説明をしていくということと、国会において、国民の代表である議員の方々と、納得を得られるような説明、努力をしている。アカウンタビリティーは、政府としてはそういうことであろうかと存じます。

桜内委員 ありがとうございます。

 おっしゃるとおりでありまして、財政を運営する責任者でもあられる大臣の立場からしても、アカウンタビリティー、説明責任と訳されますけれども、これは非常に大事だと私は考えております。

 アカウンタビリティーの前提として、しっかり説明するというのがまず必要なわけですよ。説明するというのは、アカウンタビリティーというのは、会計を意味するアカウンティングという文言と似ているじゃないですか、やはり会計用語でありまして、例えば株式会社であれば、出資者、株主に対して、こういうふうに出資者のお金を使いました、その結果、それがふえました、減りましたということを株主総会でもって決算なりを通じて説明する、それが承認されれば受託者としての責任は解除される、こういった一連のプロセスをアカウンタビリティーというと聞いております。

 逆に言うと、説明が納得を得られない、株主総会でいえば決算が承認されなかったという事態が仮に生じたとすれば、それこそまさに経営責任を明らかにしなくちゃいけないということで、責任を明らかにするという日本語は非常に曖昧ですけれども、具体的に言えば首になるということですよね。そういった意味で、アカウンタビリティーというのは非常に厳しい概念だと私は考えております。

 きょうは、そのアカウンタビリティーの観点から、現在の予算書なりあるいは財政法の観点からやや疑問に思うところについて、これから質問をさせていただきます。

 まず、財政法四条一項ただし書き、有名な建設公債の原則のところであります。

 基本的に、公債または借入金以外の歳入をもって財源としなければならないというのが一項の本文でして、ただし書きとして、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については公債発行が可能であるということであります。

 これは、まさに公共事業でもって国の資産として積み上がるもの、あるいは金融資産として出資金あるいは貸付金になるものであればよいということで、逆に言うと、そういった資産が残らないものについては、別途法律で手当てして赤字公債を発行されているところであります。

 ここで御質問したいのは、四条一項の趣旨について、大きなところをちょっと、これも大臣のお考えをお聞きしたいと思っております。

麻生国務大臣 これは基本的に赤字公債の話をしておられるんだと思いますけれども、財政状況が悪化をして、ここしばらくのところ、一般会計の予算の四割ぐらいになりますか、それを特例公債に依存するようになったということなんだと思いますが、少なくとも短期的には、これを直ちに脱却できる雰囲気かといえば、そういった状況にはない、私どももそう思っております。

 しかしながら、財政法第四条は、国の歳出は租税をもって賄うという原則をとります一方、公共事業費という今まで言われたような話をずっと書いてありまして、公債が発行できるように規定をしておりまして、財政運営の健全性を確保する精神というものを維持する観点から、こういった点はきちんと気構えとして、心構えとして持っておかねばいかぬ一番肝心なところかな、私どももそう思っております。

桜内委員 ありがとうございます。

 そういう意味で、この財政法四条一項というのは非常に重要な、財政規律を保つための工夫であると考えております。だからといって、特例公債が全くだめだと言うつもりはありませんけれども、やはり抜け道が結構たくさんあります。

 例えば、東日本大震災からの、非常に長ったらしい名前の財源確保法というのがあるんですけれども、これの六十九条では、復興債については、今申しました財政法四条一項を適用しないというふうに定められております。かつ、予算委員会でも随分何人かの議員が大臣に尋ねておりましたけれども、プライマリーバランスの計算においてもこの復興債というものを除外して計算するですとか、あるいは財務省の公表する債務残高の資料からこの復興債の分がわざわざ抜かれている。

 そういった、悪意があるとは思いませんが、やはり冒頭述べましたアカウンタビリティーというか、まさに税金を払っていただいている国民の皆さんに納得していただく説明をする。そのためには、やはり事実をしっかりと、操作を加えずに、復興債も幾ら発行しました、その結果、プライマリーバランスがどうなるとか、そういったことをしなくちゃいけない、財務情報を開示しなくちゃいけないと考えるんですけれども、どうもそうなっていない点について、どうお考えになりますでしょうか。

麻生国務大臣 今のお話の中で復興債の話が出ましたけれども、あれは、書いていないというより、後から入ってくる分がありますので、そこで形としてはちょっと赤字公債とは少々異なるということなんだと思っております。

 いずれにしても、こういったようなことはきちんと対応しておくということが必要で、いろいろな抜け穴というものがあっても、先ほどの、監視されるという、会社でいえば公認会計士みたいな立場になるんでしょうけれども、今、それが議会ということになりましょうか、そういったような形で、きちんとした見える化、見える化という言葉が適切かどうかちょっとわかりませんけれども、とにかく可視化できるようにしておくということは大変大事なことなんだ、私どももそう思っております。

桜内委員 何でこんなことを言っているかといいますと、今、会計士の監査とかも大臣は触れられましたが、民間企業の場合は会計基準というのがあります。そしてまた、国の場合は国連の定めているSNA、そういった国民経済計算体系というのがありまして、その中で負債をどう計上していくのかというルールがあるわけですよ。

 まず冒頭、私、我が党からも財政健全化責任法案というのを提出しておるということを申しましたけれども、その中の一つの重要な柱が、やはり公会計の基準というものをしっかりと打ち立てて、また監査ができる程度の財務情報の作成と開示が必要であるということを一つの大きな眼目としておるところであります。

 そういった意味でいえば、今、国際会計士連盟というのがありまして、そこで国際公会計基準というのも審議されております。それは強制力があるわけではないんですけれども、しかし、やはり今申しました国連のSNAですとかそういった国際基準というものがある中で、我が国政府のみが特異な会計処理をして、財政情報を、言い方は悪いですけれども操作したものを開示しているというやり方は改めるべきだというふうに私は考えております。

 余り答えようのない話ですので、これは指摘としておきます。

 これと、財政法について、これもどうなのかなという点がもう一つありまして、財政法四条の次に五条というのがありまして、財政法五条というのは、日銀の直接引き受けを禁ずる国債の規定であります。

 今まさにこの委員会でもずっと議論になっておりますけれども、異次元緩和ということで、聞くところによれば、月に十兆円程度新発債がある中で、日銀が七兆円程度国債を購入していっている。具体的には、まさに国債の発行されたその日からどのぐらい日を置いて日銀が買っているのかということについて、日銀にお伺いしたいと思います。

雨宮参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、私ども、広く政策効果を浸透させるという観点から、幅広い銘柄を対象に国債買い入れを実施しておりまして、そこには、御指摘の新発債というものも含まれておるわけであります。

 ただ、御質問いただきました何日かということについて申し上げますと、これはちょっと専門的になりますが、先生御案内のとおり、リオープンという格好で、同じ銘柄の国債を何回か発行するということもございますので、なかなか何日かということは申し上げにくいんですけれども、ちなみに、実態として、私どもが月中買い入れる額に占める新発債の割合がどういう数字かということを申し上げますと、これは、毎回の国債買い入れにおいて、その時々の金利情勢や銘柄に対する投資家のニーズでかなり振れるわけでありますけれども、大体毎月の私どもの国債買い入れのうち、おおむね一〇%台から五〇%台でばらついておりまして、例えばということで数字を申し上げますと、昨年の十二月は、新発債の買い入れ割合が一四・一%、一月が三八・四%、二月が五八・三%、三月が一八・一%、こういう状況になってございます。

桜内委員 ありがとうございます。

 要は、財政法五条におきましては、戦前の反省も踏まえて、日銀による国債の直接引き受けというものを禁じたわけですけれども、今、特異な事情があるとはいえ、日銀からあらかじめいただいた資料によりますれば、昨年の異次元緩和以降、短いときには、国債が発行された翌日に日銀が買い入れを行っている。実質的に、直接ではないとしても、一日置いているとはいえ、ほぼ同じ効果になっているわけです。

 こういった日銀のオペレーションについて、財政法の観点から、財務大臣としてはどうお考えになりますでしょうか。

麻生国務大臣 今、財政法の第五条の本文のところで日銀の国債引き受けを禁じておりますのは、先ほど言われましたように、戦争中もしくはその前からなんですけれども、多額の公債を日銀引き受けということによってインフレが急激に生じていったということも踏まえて、いわゆる公債の日銀引き受けを原則として禁止する公債市中消化の原則を決めたということになっておるのは御存じのとおりです。

 それから、現在の日銀が量的・質的金融緩和のもとで行っている国債買い入れというものはそのときとちょっと違って、二%の物価安定目標というのがターゲットなので、先ほど日銀総裁もお答えになったとおりですが、この金融政策の目的で日銀みずからの判断で行っているというのであって、これは軍部に言われてやらされているわけでも何でもありませんし、そういった点は違います。

 また、一日違いとはいえ、全てマーケットから買っているのであって、直接買い入れをしているわけでなく、金融機関を相手方として実施しております。例えば、翌日買ったと言うけれども、それは金融機関が翌日のものを渡したということなのであって、翌日のものを渡せと言ったわけではありませんので、ぜひその点だけはある程度整理して分けないといかぬものではないのか。したがって、日銀直接引き受けということにはならないというように感じております。

桜内委員 やはり財政運営をしっかりと規律あるものにしていくという意味で、説明としては今大臣がおっしゃったことで結構ですけれども、財政法の趣旨を踏まえて、これをなるべくそのまま執行していくというのが政府の役割でありますので、そのような努力をしていただきたいというふうに考えております。

 続きまして、これもアカウンタビリティーに関係する話なんですけれども、今回の平成二十六年度予算におきまして、これも予算委員会なりで大臣は随分お聞かれになったんだと思うんですけれども、基金ですね。基金に対する支出が当初予算で一兆四千億円あるというふうに計算されているところなんですが、この基金のあり方というのは、やはりアカウンタビリティーという意味でいえば、大変問題が多いんじゃないかと私は考えております。

 なぜかというと、基金に財政資金を歳出として渡した後、いわば繰越明許に係りませんので、いつそれを具体的にエンドユーザーに補助金なりで渡していってもわからない、いつなのか、そして誰に渡したのかもわからないというものが基金なんですね。

 行政の側からすると、融通がきいて非常に使いやすい点も確かにあるとは思うんですけれども、これを多用するとまさにアカウンタビリティーというものを非常に弱めてしまう、大変危険なものだとも感じるんです。

 もちろん、財務省の方でも御努力されているのは承知しております。どのように執行しているのかのヒアリングのシートをつくられて、執行の調査もされているとは聞きますけれども、しかし、少なくとも、予算書上、決算書上、基金という科目自体、文字で見えないんですね。どこに幾らということを、予算書を幾ら手繰っても、一兆四千億というふうに、財務省が別途お調べいただいて出てきた数字になりません。

 そういった意味での予算書自体の書きぶりをどうするのかという面も含め、この基金について、財務省として、どうこれからアカウンタビリティーを高める努力をしていくのか、この点についてお尋ねいたします。

麻生国務大臣 二つ御質問なんだと思いますが、まず、基本的に、憲法また財政法は予算は単年度主義ということになっておりますので、繰越明許等々はその例外ということになっておるところは御存じのとおりです。

 基金というのは、支出する年度の歳出の予算として国会の議決が要りますので、国会の議決を得た上で年度内に支出しておりますので、財政法上それで問題ないことになるんです。

 その上で、基金からの支出、すなわち基金の事業というのは、国ではなくて、総務省経由で地方に出ていくところが出てきますので、基金の造成先においても年度を越えて実施をされているところ、三月に出て四月からということになりますので、そういったことについてはいろいろな御意見があるんです。

 この点につきましても、私どもは、基金の執行状況を示す基金のシートというものをちゃんとしてもらわないかぬということで、その内容等について行政改革推進会議で点検を行うということで、これはフォーマットもきちんとつくった上で、各所管の大臣の責任のもとでちゃんとやってもらいますよということを申し上げさせていただいて、財務省としては、その執行に関して、適切な執行を求めております。

 また、事項の説明の欄というのをつくってあるんですが、大部分の基金において、その造成や積み増しである旨の説明というものがきちんとされていないとだめなので、政府としては、一定の説明責任というものをきちんと果たしてもらうようにしないとだめだということを申し上げております。

 いずれにいたしましても、わかりやすくというのはなかなか難しいんですけれども、わかりやすくこういった予算書というものを記載するように努めろという御意見なんだと存じますので、こういった点に関しては努めてまいりたいと考えております。

桜内委員 基金というのもいろいろありまして、大臣が今例として挙げられました、自治体が条例なりそれなりの法的根拠を持って設置する基金であればまだしも、公益法人が受け皿としての基金というものをつくる場合ももちろんあるわけです。

 基金と一言で言っても、その法的な根拠であるとかそれに対する監査の仕組みとかはまちまちなんですね。もちろん、財務省の方でシートという形で実際の執行状況を調査されるのは大変いいことだと思いますが、しかし、これは大変巨額なものですから、幾つか参議院では他党の議員さんが随分追及されてもいましたけれども、やはりここの基金の使い道について、何かしら、アカウンタビリティーを高めるという観点でいえば、それ相当の工夫が必要なんだろうなというふうに考えております。

 できれば、やはり予算書、決算書上、基金であれば、どこにどう出して、どこにどう使われるんだということもちゃんと財務情報として出していただければ、アカウンタビリティーというのは非常に高まるんだろうなというふうに考えております。

 日銀の雨宮理事、もう日銀に対する質問はありませんので、退席していただいて結構でございます。

林田委員長 雨宮理事、御苦労さまでございました。御退席ください。

桜内委員 それとも関係するんですが、今基金の話をさせていただきました。一番困るのが、私も予算委員会でこの二月に大臣に質問をさせていただいたときに、では基金が今一体幾らあるんだとかそういうところを事前に調べようとしたんですけれども、予算書全般で言えるんですけれども、こういった基金の残高が一体幾らあるのかとか、それから財政法でいえば四十四条に、特別の資金というものが法律でもって設置が可能と書いてあります。

 財務省の方では随分御苦労もされて国の財務書類というものも作成されておりまして、その中では、そういった資金の残高といった情報も開示はされていらっしゃるところなんですが、何しろ、決算ベースなものですから、出てくるのが随分遅いんですね。今現在手元にあるものは、昨年の三月三十一日現在のものでしかないんです。その後、昨年の当初予算それから補正予算、さらには今年度の当初予算でもって基金も随分積み増しをされておりますし、この特別の資金というものも、どういうふうに数字が動いたのかというのがわからないんですね。

 そもそも、財政法四十四条ですけれども、この特別の資金に関するまさにお金の動きというのは歳入歳出外としてよろしいということになっておりますので、一体幾らお金が動いて、かつ、ストックとしての残高が一体幾らなのかということが全く見えない状況になっているんですね。

 私も、予算情報をもとにバランスシートを初めとする財務諸表を作成する仕事をやっております。予算の修正案を提出する際もそういったものを添付したりしておったんですけれども、そのときに、とにかく残高がわからないとバランスシートをつくれないんですよ。

 また、これは大臣にとっても問題だと私は思っておりまして、残高がわからずに基金に予算を積み増す、あるいは財政法四十四条の特別の資金、これは大変規模の大きな外国為替資金とかそういうものもありますけれども、残高がわからずに財政のコントロールができるわけないじゃないですか。また、フローの歳入歳出というのも、歳入歳出外でよいということで、予算書にも出てこない。これで財政をどうコントロールするんだということもあります。アカウンタビリティーの観点のみならず、財政のコントロールという意味からも、残高情報をしっかり出していただきたいというふうに考えております。

 特に、これは特会法の話、ちょっと細かいことなんですけれども、特会法におきまして決算の剰余金の処理というのが、予算総則に記載すればそれで歳入歳出に載っけなくてよろしいというのがありまして、私が何度も大臣にお尋ね申し上げている例えば外国為替特別会計からの一般会計への繰り入れですとか、一般会計の予算書を見れば歳入として立っているにもかかわらず特会の側の歳出に立っていないですとか、それが一般会計、特会を連結する際の相殺消去できない一つの理由でもあったりするんですけれども、これは規模が大きいんですね。一・五兆円もあります。

 こういった資金のやりとりですが、特会ごとに決算の剰余金の処理が違う、とにかく残高がわからないという今の特会法あるいは財政法上の問題点があると思うんですけれども、そういったストック情報の整備ということについてぜひ進めていただきたいと思うところなんですが、財務省としてどのようにお考えなのか、お尋ねをいたします。

麻生国務大臣 特別会計の剰余金の話ですけれども、これは特別会計に関する法律の規定に基づいて、特別会計ごとに積立金または資金に入れるということで書いてありますし、残余があれば翌年の特別会計または一般会計の歳入に繰り入れるという処理が行われておりますが、実際には、一般会計への繰り入れが可能なものについても最大限活用するという一方、保険料の財源として特別会計へ、年金特会なんかはそうなんだと思いますが、使途が既に決まっているために一般会計への繰り入れが難しいものもありますなど、剰余金の処理にはいろいろなものが、特別会計の性格に応じたものがいろいろあることは確かなんです。

 いずれにしても、予算や決算の情報につきましてはわかりやすい形にしておかないかぬということは重要だと考えておりまして、今先生御指摘になりました点については、それぞれの資金の性格もちょっと異なりますので、それを踏まえて、開示のあり方等々は、私どもだけではなくて、関係省庁とも連絡をしてやらぬといかぬところだと思いますので、努めてまいりたいと思います。

桜内委員 時間が来たので、終わります。ありがとうございました。

林田委員長 次に、鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 それでは、少し質問をさせていただきます。

 一昨日、地域金融の実態把握ということで視察をさせていただきました。私も茨城県の水戸市へ行かせていただいたんですが、やはり、地域金融の実態というのを直接耳で聞き、そしてまた目で見させていただいてというのは、最も大事なことだというふうに思っております。

 とりわけ中小企業の皆さんに、今、消費税が上がった後、そしてまたアベノミクスの影響がどう出ているかを知るということは大事なことだというふうに思って私も参加させていただきました。

 質問に入る前に、実は茨城県水戸市へ私どもお邪魔したんですが、茨城県について、大臣、何かお知りになっているというか、とりわけ何か御感想があれば、まず冒頭伺いたいと思います。

麻生国務大臣 茨城県といえば梶山静六、主にそれだけです。

鈴木(克)委員 なぜこういうふうにお伺いしたかというと、今から茨城県の実態を大臣に聞いていただく以上、大臣が茨城に対してどんなふうに、梶山さん以外何を御存じなのかなということを聞きたかったものですから、お尋ねをしたわけでございます。

 実は、東日本大震災で、三県ということが言われておるんですが、実際は茨城もこの三県に次ぐ大変な被害を受けている、これがまず一つあります。被災県であるということですね。一昨日、直接お話を伺った地元の金融機関は、全て震災復興関連融資を積極的に使っている、こういうことでありました。

 もう少し茨城のことを申し上げますと、平成二十四年の農業産出額というのが、北海道に次いで全国第二位ということですね。それから、製造品出荷額が全国八位ということです。食、そして技術といいますか製造という意味において、非常に大きな県であるということであります。

 ところが、その一方の食については、福島第一原発の事故の風評被害の影響が根強く残っていまして、非常に苦慮されておる、これが一つ。

 もう一つ、物づくりの面では、電気業を除く企業の立地件数、それから立地面積、県外企業の立地件数が全て全国第一位というふうに言われておるわけですね。とりわけ、つくば国際戦略総合特区で、次世代エネルギーや医療、生活支援に関する産学官の研究プロジェクトが進められている、こういうことであります。

 ある意味では非常に有望な成長分野を持った県なんですが、そのところで実際に金融機関からお話を聞くと、現在のところ、実際の資金需要は停滞している、こういうことなんですね。全国で第一位、いわゆる三冠、トリプルチャンピオンの茨城ですら金融事情が停滞をしておる、こういう実態なわけであります。

 そうすると、地元の金融機関はどういうことを今一生懸命やってみえるかということなんですが、ビジネスマッチングの場を設けるとか、そういった取り組みを地道に積み重ねているとか、十年ぐらいの長期スパンで何とか成長を支援していきたいんだ、こういうようなお話がありました。

 一方、借りる側の中小企業の皆さんはどういうことをおっしゃっているかというと、銀行から貸すよと言われても、借りて何をしたらいいのかわからないという御意見もあったわけですね。それから、消費税率の引き上げや従業員の賃金アップなどの負担増を考えた場合に、設備投資にそう簡単には踏み切れないんだ、こういう意見もあったわけです。銀行の側が融資先を選別しているとか、あるいは資金需要に余裕がある企業ばかりにアプローチをしてきているというような意見もありました。さまざまな意見が実はあったわけであります。

 結局、まだまだ景気の先行きが不透明な中で、成長分野への取り組みというのを一生懸命やろうとはしているんですけれども、全体的には中小企業向けの貸し出しというのは伸び悩んでいるということであります。こういう中では、リスクをとってどんどんやっていけ、前向きにやっていけというわけにはなかなかいかないというのが、私どもが調査で現実に見させていただいた状況だったわけであります。

 そこで、中小企業はともかくとして、こういった地銀、金融関係の状況に対して、金融庁としてはどのような対策を考えておみえになるのか。

 とりわけ、ちょっとまた話はかわりますが、畑中金融庁長官が、地銀の頭取との意見交換会の席で、実際に地銀再編を促すような発言をされているという新聞記事を拝見しておるわけであります。その発言の裏には、地銀が十分に機能を発揮できていないという危機感とか、いら立ちと言うとちょっと語弊があるかもしれませんが、そういうようなものがあるのではないかなということです。

 したがって、ちょっと長くなりましたけれども、現実の状況と、地銀のいわゆる苦労と、それから畑中長官がいわゆる再編をというような話を三つ続けていくと、現在、金融庁がどういうふうにこの状況を捉え、そして何をしようとしているのかということをまず最初に聞かせていただきたいと思います。

細溝政府参考人 地銀に対しましてどんな対策を考えているのかという御質問でございます。

 日本経済がデフレから脱却しまして成長を実現していくというためには、金融機関が、新規融資を含む積極的な資金供給を行いまして、顧客企業の育成、成長を強力に後押しするという役割を一層発揮していくことが重要でございます。

 したがいまして、昨年の九月に出しました監督方針でも、新規融資に関する取り組みを重点的に検証すると言っているところでございまして、具体的には、新規需要の高まりが期待できる事業分野とか地域について分析を行い、新規融資の戦略、方針、目標を立てているかどうか、それから、資金需要の掘り起こしあるいは中小企業に向けた融資の審査に当たって、どんな工夫、取り組みを行っているかといったことを重点的に検証するということにしております。そうした中で、成長に向けた成果が出始めている分野もございますし、なかなか出ていない分野もあろうかと思っております。

 そうした中、私ども、地域銀行に対しましては、日本の長期的な人口動態を見ると、地域的な差はありますが、今後、人口減少が一層進むということが予測されておりますので、従来ですと三年ぐらいの中期経営計画を立てるというのが通常でございますが、五年後、十年後を見据えた中長期的な経営課題の検討を行い、現在打てるべき手を打ってくれというスタンスで臨んでおるところでございます。今後、地域における経済の姿も現在とはかなり異なったものになろうかと思いますので、そうした点を踏まえた検討が重要であるという認識が背景にございます。

 そうした中で、いろいろ申し上げておるわけでございますが、御質問の経営統合とか再編とかいう話は、これはあくまでも個々の銀行の自主的な経営判断に基づき決定されるべきものでございまして、私どもは、中長期的な経営課題について真剣に検討に取り組んで、積極的に現時点でできる判断をやってくれということを申し上げているところでございます。

鈴木(克)委員 後段おっしゃった、それぞれの地銀がどういうふうな判断をしていくのか、それはまさに地銀が考えていくことだ、こういうことでありますけれども、しかし、茨城のことからちょっと離れますけれども、いずれにしても、こういった形で金融庁が地銀に再編を促すというような流れは、地銀にしてみれば、これはもうびしびし感じておるわけですよね。

 金融庁の意向に沿うためだけの経営統合が仮に行われるとすれば、先ほど言ったように、地域の金融機関に助けられてきた、そして、引き際の早い大手行と違い地域の金融機関はよく面倒を見てくれる、茨城の商店街の皆さん方はそうおっしゃっておるわけですよ。一方では、地銀自体が、再編を金融庁は考えているんだ、そして、その方向に沿っていかなきゃならない。こういうはざまにあるのが現在の地銀の立場ではないのかな、このように私は思うわけであります。

 そこで、再編ということになると、当然、そのところで切り捨てられていくというか、いわゆる融資がとまってしまうという状況も、いろいろなケースが出てくるというふうに思うんですが、今、こういう状況の中で、大臣は、この地銀の再編というものに対してどのようなお考えをお持ちなのか、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 御質問の経営統合とか再編というのは、鈴木先生、基本的には個々の銀行の話ですよ。その個々の銀行でお決めにならなければならぬので、合併しろなんて言ったってするわけありませんから、それはもう絶対、そういったことができる統制経済をやっているんじゃありませんので、基本的には自主的な経営判断に任されるということだと思います。これがまず基本的なことの第一点だと思います。

 その前提のもとで、地域銀行として皆さんが一番考えておかないかぬのは、人口動態ですよと。人口がどんどん減っていくところ、人口構成によって減っていくところ、そういったようなところで商売ということを考えたときには、五年後、十年後を見据えた経営戦略というのを経営者側もやっているのと同じように、その人たちとよくよく話をしないと、貸出先がどこか外に行っちゃうとかいうことになりかねませんので、そういったところは重要だということはもうずうっと申し上げてきたところであります。

 そういったときには、リスクとかガバナンスとかいろいろな話がありますけれども、業務提携とか、またいろいろな形での経営統合というのを含めた考え方もあるでしょうし、私どもの福岡でいえば、福岡シティ銀行と西日本銀行が合併したりいろいろしておりますけれども、そういったようなもので新たなビジネスを模索するというのも一つの考え方だと思います。

 いずれにしても、こういったようなものは、経営課題というものを各経営者が判断をして、自分で積極的に取り組んでいくことが大事なのであって、地元の個別の小さな対応を信用金庫の方でやるか、第二地銀でやるか、地銀でやるか等々、考え方というのは企業によっても、つき合う方も選択してきますから、向こうの方は。そういった意味では、よほど地元との信頼関係がないと、少なくとも、今までと違って、貸す方が金が余っていますから、借りる方の立場の方が選択権があるような形になってきているのが最近の実態だと思いますので、そういった意味では、よほどしっかりした経営を銀行の方もしないと、とてもじゃないというような感じは率直な私どもの実感です。

鈴木(克)委員 大臣の御答弁で、二、三、ちょっと気になるというか、ひっかかるところがあるんです。

 大前提はおっしゃるとおりです。それは地銀が考えることです。しかし、そういうことに対して、その結果、中小零細企業にお金が回らないというような状況が仮に発生をするとすると、やはりこれは非常に大きな問題だということが一点。

 それから、もう一点は、明らかに金融庁が地銀に再編を促すということ、統合を長官が異例の言及という形になっているわけですよ。長官が、金融庁がそういう考え方をすれば、これはやはり地銀には大変影響が大きいと私は思うんです。それは地銀がそれぞれ考えることだ、これはまさしくそのとおりです。しかし、こういう状況があるということ、そして、もしその結果、仮に中小企業にお金が回らないというような状況があれば、私はやはりこれは問題ではないのかなというふうに思います。

 数少ない優良企業をとり合って金利競争にきゅうきゅうとする、そしてまた地域の活性化という社会的使命を果たせないということであれば、やはり再編というのはあり得べしだというふうに私は思うんです。しかし、先ほど申し上げましたように行政に半ば強制されて経営統合が行われるというようなことがあるとすれば、組織のスリム化、経営の合理化、収益性向上などが優先されて、その結果、既存の融資先が選別されるおそれがあるのではないか、こういうことを申し上げたいわけであります。

麻生国務大臣 仮定の質問にはなかなかお答えができませんな、今のような質問では。実際こういうことがあったと言われたら、それはちょっと待ってくださいとお答えはできると思いますけれども、こういうことがあり得た場合はとかいうような話をされたら、仮定の問題になりますので、鈴木先生、それは幾らでも話が広げられますので。

 私どもとしては、最初に申し上げたとおりですよ。

 金融庁長官の話というものを言われたら、影響が大きいものがあると言うけれども、それは文書が出たわけでも何でもない、単にみんなが集まったときのパーティーみたいな席で話したという話で、御自分たちのことを考えて、人口動態を考えて、今後のことを考えておかねばいかぬという話をされた、その文章もありますけれども、あれをもう一回よく読まれた方がいいですよ。そういったようなことで、強制的なとか何一つありませんから。

 そういった意味では、ぜひきちんとした経営をしていただくということですし、地元の企業の方として、内容がよかったら銀行が貸さなくなるなんということはありませんから。今、銀行の方はお金が余っております。そういった状況で、ぜひとも借りてもらいたいのであって、国債より高い金利で確実なところがあれば、それは間違いなくそちらの方に金を貸そうとするのは当然ですから。

 そういった意味では、今、中小の金融機関が萎縮をしておられるような話は、少なくとも私の聞いた話では、ありません。

鈴木(克)委員 こういう形で長官が異例の言及をされておるということは事実でありますので、それは報道されておるわけですから、そのことは私は指摘をしておきたい。

 もう一つ、金が余っているんだということを大臣おっしゃいましたよね。だけれども、一国の財務大臣として、そういうお金が余る状況ではない、お金が市場に回っていく、みんなが本当にお金を借りて投資、再投資ができてという社会をつくっていくことがある意味では政府の責任なわけでありますから、金が余っているんだからということをさっと言われてしまうと、やはりちょっと違和感を感じるということだけ申し上げておきたいというふうに思います。

 では、次に入ります。

 次は、金融円滑化法終了後の政策パッケージの実施状況、そして、信用保証制度の状況ということでお伺いしたいと思います。

 そもそも、中小企業の経営改善支援に関して、中小企業金融円滑化法が昨年三月末に終了をいたしました。そのときに、政策パッケージということを言われたわけであります。これは今、実際、どれぐらい成果を上げているのか。

 それから、信用保証制度について、リーマン・ショック前後から行ってきた一〇〇%保証が縮小されてきておるというふうに思うんですが、一部では急に審査が厳しくなったというような話も、また話じゃいかぬと言われるかもしれませんけれども、聞いておるわけであります。現状、どのような制度になっておるのか、状況をお聞かせいただきたいと思います。

細溝政府参考人 政策パッケージについての御質問がございました。

 昨年の政策パッケージでは、政府といたしまして、大きく四点ばかり、一つは、金融機関に対しまして中小・小規模事業者の経営支援に一層取り組むように促す、二つ目に、独力ではそうした経営改善計画の策定が困難な事業者に対する全国の認定支援機関による計画策定を支援する、三つ目に、中小企業再生支援協議会の機能強化を通じて再生計画策定支援の確実な実施を行う、それから、地域経済活性化支援機構による再生支援及び再生現場の強化に対する支援を行うということを申し上げていたところでございます。

 その中で、まず、金融機関につきましては、経営改善、事業再生支援に関する取り組みにつきまして、それの事例集を公表し関係者に還元することにより、金融機関の創意工夫を凝らした取り組みを促進しております。

 それから、認定支援機関は、現時点で二万一千機関余を認定しておりまして、その機関で、昨年三月から本年二月までの一年間で千八百四件の経営改善計画の策定支援を実施しております。

 それから、中小企業再生支援協議会、これは、昨年四月から昨年十二月末までに千二百九件の再生計画策定支援を完了し、現在、八百十八件の計画策定を支援しているところでございます。

 それから、地域経済活性化支援機構、これは、昨年三月に法律を改正していただきまして改組しておりますが、ことしの四月までに十件の再生支援を決定したほか、再生支援に関しまして、十七件の専門家派遣、三件のファンドの組成を実施しておるといったことで、中小企業、小規模事業者に対する再生支援に現在全力を尽くしておるという状況でございます。

鈴木(克)委員 いろいろと御説明をいただいたわけでありますが、円滑化法終了後の政策パッケージはもう死語ではないかということすら一部では言われておるわけですね。

 今お話がありました各都道府県の中小企業再生支援協議会が作成する再生計画は、数の実績を上げるためだけの、質より量というふうな状況もあるんだ、実際に計画どおり再生が進んでいるのかどうか懸念をされているというような考え方も一部ありますので、ぜひひとつ、このことについてはまた私も再度御質問したいと思うんですが、ちょっと事情でこれで質問を終わらせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

林田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

林田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 一昨日の財務金融委員会の地域金融に関する調査でありますが、これは実にリアルな話をお聞きすることができまして、大変参考になりました。

 融資を受けている中小業者、中小企業の方からは、銀行は余裕のある会社には足しげく来るが苦しいところには来ない、あるいは、銀行によってはなかなか貸してくれないところがある、そういう話がありました。末端まで資金が回っていないというのが実態だと思いました。

 日銀は、マネタリーベースで、昨年三月末の百四十六兆円から一四年末までに二百七十兆円、倍加する目標を掲げて、それを達成するとしておりますが、政府と日銀が幾ら異次元の金融緩和だということで銀行にじゃぶじゃぶ資金を供給しても、例えば、茨城県では、銀行の貸し出しは前年比でわずか三%台のふえ方であります。特に、都銀、信託の融資はマイナス二・九%であります。

 黒田総裁に率直な感想をお聞きしたいんですけれども、異次元の金融緩和というものをやっているのに銀行から先に資金が流れていない、この点についての感想をお聞かせいただきたいと思います。

黒田参考人 我が国の金融環境を全体として見ますと、貸出金利は既往最低の水準で推移しておりまして、企業から見た金融機関の貸し出し態度も、私どもの短観で見ますと、相当改善した状況になっているということでございまして、全国の銀行貸出残高は前年比二%台前半のプラスで推移しております。また、特に中小企業向け貸出残高が前年比で伸びを高めておりまして、業種あるいは企業規模にも広がりが見られてきているというふうに思います。

 委員御指摘のとおり、特に中小企業にとっては、資本市場での資金調達という道はなかなかございませんので、基本的に金融機関からの借り入れということになると思いますので、特に中小企業向け貸し出しの動向には今後とも十分留意していきたいというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 全体的には貸し出しがふえているとおっしゃいましたけれども、これだけ大規模な金融緩和をやっている割には伸びないというのが実態であります。

 調査で明らかになったのは、やはり資金需要がない、こういう話が出された点であります。

 例えば、旅館業の社長さんの話では、旅館というのは設備産業だ、しかし、今借りやすくはなっているけれども、消費税で客が遠のいたり、従業員の給料などを考えると、設備投資に余りお金はかけられないんだ、こういうお話でありました。銀行の側から言わせると、貸し出せと言われても、資金需要がないのにどうやったらいいのか、危ないところには貸し出せない、こういう状況であります。

 麻生大臣に確認ですが、国民の所得が伸びて消費がふえる、こういうことがなければ、資金需要も伸びないわけであります。そこが鍵だと思うんですけれども、いかがですか。

麻生国務大臣 マネタリーベース、銀行に日銀の金が幾らふえても日銀当座預金の残高がふえるだけで、そこから先、マネーサプライ、市中銀行から町中にお金が散らないという点が一番問題なんだ、全くそうだと思います。

 これは私どもも一番気になっているところで、前に、竹中平蔵大臣のときに、日銀にふやせふやせでふやして、三十何兆円たしかふえたんだと思いますが、一円もふえなかった。あのときの記憶が私どももありましたので、これは間違いなく、財政の方の出動をしない限りは市中で金が動くことはない、あのときの経験からそう思って、財政を柔軟に運用しなければならぬ、そう決めて、あの第二の矢、二本目の矢というのを言わせていただいて、そういった方向で動いておりますので、少しはふえてきているとは思います。

 もう一点、佐々木先生、あのころと決定的に違いますのは、企業がためております内部留保金というのがあれだけありましたら、やはり自己資金でやりますよ。銀行に金を借りたら、また貸し剥がしなんてやられたら、あのやろうと思って、まだあのときのものは皆ずっと残っているわけですから、あの嫌な思いとか悔しい思いを忘れることは、まあ、そんなに物忘れはよくないと思いますね。ですから、同じことが一九三〇年代の後半でも起きたと記憶に残っておりますので、やはりもう少々時間がかかる、これが一点だと思います。

 もう一点は、給料が上がった。確かに今度、トヨタのベースアップは二千七百円、日産が三千五百円等々、皆、ベースアップも上がっておりますし、一時金も随分出たりしております。その分は確かに今言われた需要だと思いますので、給与が上がるというのは、いわゆる資金需要がふえます。

 町でいえば、設備資金と、こっち側にもう一個、個人の消費の部分の金がありますので、この部分に、今まではハンドバッグを買おうと思っても、来月になったらまた下がると思ったら買えなかったのが、上がるらしいというのと給料がふえたというのでちょっと買ってみようかということになっていくような形で回っていくと私どもとしては好循環と言えるんだと思いますけれども、まだその入り口ぐらいのところで、回るところまでは来ていないというのが現状だろうと感じております。

佐々木(憲)委員 実際にはなかなか需要というのはふえていないわけで、この前の調査でも大変印象的だったのは、給料が二千円から四千円ぐらい上げた、ところが、雇用保険ですとかいろいろな引かれるものがそれ以上あって、もらう手取りの方が少なくなっちゃった、こういう話だったんですね。

 ですから、やはり何か、ベースアップがあったあったと喜んでばかりはおれないような状況、しかも、消費税がまた上がっている、物価全体が上がっている、こういう状況ですので、実際には消費は拡大していないというのが現状ではないか。だから、資金需要がなかなか生まれない、設備投資をしようとしても見通しが立たない、こういう状況が生まれているんだと思うんですね。

 黒田総裁に確認しますけれども、異次元の金融緩和でマネタリーベースは確かにふえましたけれども、それをふやせば資金がそこの先に流れていく、実際にそうなっていないわけです。これは幾ら金融緩和をしても、需要が伸びない限り、資金は銀行から先に流れない。マネタリーベースは日銀の意思でふやすことはできるけれども、マネーストックの方は日銀の意思でふやすことはできない、これが実態ではないんでしょうか。

黒田参考人 御指摘のマネーストックは、金融部門から経済全体に供給されている通貨の総量でありまして、経済・物価水準あるいは金利水準などを踏まえた銀行側の与信行動と、他方で、企業や家計の資産選択行動の結果として決まってくるものであるというふうに思います。

 量的・質的金融緩和は、強力な金利低下圧力を加える効果、そしてポートフォリオリバランスの効果があり、それらは確かに貸し出しをふやす方向に作用するというふうに思います。加えて、企業や家計のデフレ期待を抜本的に転換することによって前向きの資金需要を生み出していく。こういった三つのチャネルを考えているわけでございます。そうした結果として、先ほど申し上げたように、緩やかではありますけれども銀行の貸し出しもふえている、特に中小企業に対する貸し出しがふえているということであります。

 したがって、これらはマネーストックの増加にも寄与する。ただ、御指摘のように、マネタリーベースがふえたら、それが即マネーストックの増加につながるというものではないと思います。

佐々木(憲)委員 よく金融はひものようなものだと。需要側が引っ張れば、その力が伝わって、資金供給がふえていく。しかし、需要側がふえない限り、供給する側が幾ら押しても、たるむだけで市中に資金が回らない。こういうのが実態ではないかと私は思うんです。

 それで次に、国債の買い入れ問題についてお聞きしたいと思います。

 日銀は、マネタリーベースを拡大するためということで、長期国債の買い入れをふやしております。日銀の長期国債保有残高は、昨年三月末の九十一兆円から一四年末には百九十兆円、倍にふやす、こういう目標を掲げておられますが、現在の長期国債の保有残高は幾らでしょうか。

黒田参考人 四月二十日時点の長期国債保有残高は約百五十八兆円となっております。

佐々木(憲)委員 かなりのペースでふえているわけです。

 そのために、大量の国債買い入れを行って、銀行の当座預金残高が非常に膨れ上がっているわけです。そうなると、事実上、国債引き受けと同じではないのか、あるいは財政ファイナンスになるのではないか、こういう問題が出てくるわけです。

 確認をしたいんですけれども、もともと日銀による国債引き受けが禁じられてきた、その理由はどういうところにあったのか、この点、お示しいただきたい。

麻生国務大臣 これは、戦前もしくは戦中にさかのぼって、多額の公債を日銀引き受けということにより発行した結果、我々の世代なら御存じの、あの急激なインフレが生じたということを踏まえて、今日では、他の主要国と同様に、公債の日銀引き受けというものは原則として禁止するというので、たしか公債の市中消化の原則といったかな、何かそういう名前でそういうのをきちんと禁じている、定めたということになっているのが経過だと存じます。

佐々木(憲)委員 戦争中に、軍備調達のためにということで国債の無制限な直接引き受けを日銀が行って、その後、大インフレが発生をした。その反省の上に立って、戦後は、日本国憲法と財政法というのがつくられて、さらに日銀もそれに基づき独自の対応をしてきたと思うんです。

 日本銀行としても、安易な国債引き受けをしないように、法令上も、あるいは日銀のルールとしてもさまざまな措置をとってきたと思いますが、どのようなものがあるのか、総裁、挙げていただきたいと思います。

黒田参考人 先ほど麻生大臣が御指摘されたように、財政法五条で、国債につきましては、特別の事由がある場合において国会の議決を経たときを除いて、日本銀行にこれを引き受けさせてはならないと規定されておりまして、こうしたもとで、日本銀行では、償還期限の到来する保有国債の乗りかえ引き受けのみを行っております。

 また、日本銀行の国債買い入れについては、かつてはおおむね銀行券の発行残高の伸びに見合った形で長期国債の買い入れを行っておりましたけれども、二〇〇一年三月に量的緩和を導入した際、保有する長期国債の残高について銀行券発行残高を上限とする、いわゆる銀行券ルールを決定したという経緯がございます。

佐々木(憲)委員 国会の決議があった場合というのは、赤字国債発行法案が提案されて、それが可決された場合ということだったんですけれども、この間、そのルールも棚上げされているというのが現状であります。

 それから、今、日銀券ルールということで、長期国債の残高は銀行券発行残高を上限とするという考え方があったわけですけれども、このルール自体は、現在、停止されているわけですね。停止した理由は何か、それから、日銀券の発行残高は現在幾らか、お答えいただきたい。

黒田参考人 先ほど申し上げました銀行券ルールは、昨年四月の量的・質的金融緩和の実施に際しまして、一時停止するという扱いといたしました。

 これは、量的・質的金融緩和の導入に当たって、長年にわたって定着したデフレ期待を抜本的に転換するために、量、質ともに次元の違う金融緩和を行うということが必要であり、そのため、年間約六十から七十兆円に相当するペースでマネタリーベースを増加させるとともに、年間約五十兆円に相当するペースで長期国債の買い入れを行うということを決定いたしました。こうした買い入れを進めていくもとでは、日本銀行の長期国債の保有残高が銀行券発行残高を上回るということになりますので、これを一時停止したわけでございます。

 もとより、量的・質的金融緩和のもとでの長期国債の買い入れというのは、あくまでも金融政策の目的で行うものでありまして、財政ファイナンスではないわけでございます。

 また、政府においても、昨年一月の政府・日銀による共同声明に明記されているとおり、中長期的な財政健全化に向けて市場の信認を確保するよう取り組んでいくということになっておりまして、そのことを期待しておるわけでございます。

佐々木(憲)委員 日銀券発行残高を超えてはならないという日銀券ルールというのは、一定の歯どめの役割を果たしてきたわけなんですよ。

 ところが、金融緩和が優先だということで、邪魔になるということで、これは一時棚上げする、一時停止する、こういうふうなことをやって、既に一昨年八月、二〇一二年八月に銀行券発行残高を長期国債の保有が超えていたわけですね。それが今、百五十四兆円、日銀券発行残高は八十六兆円ですから、もう限度の二倍になっている。明らかにこれはルール違反、この日銀券ルールということを前提にすればルール違反をやっているということになるわけです。

 これは余りにも御都合主義だと私は思うんですが、今、総裁は、金融政策上の必要性からやっているんだ、これは財政ファイナンスのためではないんだと盛んに説明をされました。

 では、日銀引き受けというのはどういうことをいうのか、判断基準は一体何なのか、そこを示していただきたい。

黒田参考人 これは、日本の場合でも諸外国の場合でも同じでございますが、国債を発行するに際して、その一部または全部を直接中央銀行が引き受けるというものを指しているわけでございます。

 現在、先ほど申し上げた財政法五条の規定に従って、原則としてそういうことはしておりませんで、あくまでも、現在保有している国債の償還期限が到来したときに、その乗りかえ、発行についてのみ国会の承認を得て引き受けているわけでございまして、新規国債の引き受けということは一切しておりません。

佐々木(憲)委員 日銀には、以前、一年ルールというのがあったと思いますが、どのようなものでしたか。

黒田参考人 確かに、従来、一年ルールというのがございまして、これは、一九六七年に、国債の無条件オペをするに当たって、発行後一年以内のものを対象外として、一年を超えるものをオペの対象とするというルールが立てられたわけでございます。

 これは、二〇〇二年に、国債市場も既に整備されて取引が活発化しているということもありまして、発行後一年以内のものでも構わない、ただ発行年限別の直近発行二銘柄は対象外とするというふうに修正いたしました。

 その後、二〇一〇年に、いわゆる包括緩和という形で、資産買い入れのための基金というものをつくって、国債の買い入れを拡大したわけでございますが、その際に、この発行後一年以内のもののうち発行年限別の直近発行二銘柄を除くというルールを対象外としたわけでございます。

 そして、二〇一三年、昨年の量的・質的金融緩和の実施に際しまして、こうしたルールを適用しないということに、既に包括緩和の際にもうルールは実際上適用除外になっていたわけですけれども、それを引き続き適用しないということにしたわけでございます。

佐々木(憲)委員 これは、財政の角度からいいますと、日銀が大量に引き受ける、直接引き受けるということはやってはならないということを法律で決めておりまして、それを、日銀の側が、金融緩和を進めるからという理由で、従来つくってきたものを次々と崩しているというのが現状なんですね。その結果、国債の引き受けが大量に膨らんでいる、これが今の実態です。

 以前、日銀総裁が国会答弁されていますが、例えば、昭和四十六年、一九七一年十一月一日ですけれども、参議院の予算委員会で佐々木直日銀総裁が答弁でこう言っているんです。

  国債の発行を何か当然のように考えている傾向がございますが、これは中央銀行の立場から申しますと、はなはだ警戒すべき態度であると思います。

  国債の発行に歯どめを与えるという意味から、すでに御説明のございました財政法第四条の規定、それからまた日本銀行としていまとっております国債の直接引き受けはしない、それからまた発行後一年未満の国債あるいは政保債の買い入れは、これは右から左に消化するという印象を与えるということで、やっぱりそこに歯どめの効果を持たすために一年未満は買い入れをしない、この二つの原則は日本銀行として強く維持していくつもりでおります。

こういうふうにお答えになったわけです。

 それから、平成十一年、一九九九年二月九日の衆議院大蔵委員会で速水優総裁は、

  国債の買い切りオペ、幾らでもどんどん買えばいいじゃないかという御意見もあろうかと思いますけれども、そうすればやはり引き受けと同じことになってしまいまして、財政節度が失われるおそれもございますし、国債の直接引き受けと大差ないことになってしまう

こう答えているわけです。

 これが日銀の従来の姿勢だったわけですが、今総裁がお答えになったように、日銀券ルールも外す、一年ルールも外す、そして、いわば無制限に大量に買い込んでいく、こういうことになっているわけですね。これは、従来の原則を非常に安易に、時の流れに身を任せて次々と変えていく、ころころ変えていく、こういうことで果たしていいのかというのが問われると私は思います。

 例えば、国債について、発行後すぐ市場から買っている。銀行が、財務省の実施する入札に応じて国債を買い入れ、翌日から数日後には日銀が実施する国債買い入れで売る、こういう取引が昨年の夏以降、非常に目立つわけであります。右から左に消化しているとしか言いようがないんじゃないですか。

 これはやはり事実上財政ファイナンスそのものじゃないかと思いますが、どうですか。

黒田参考人 先ほど来申し上げていますとおり、財政法五条で、原則として日本銀行は国債の引き受けをしないということになっておりまして、この法律は一貫して守られてきているわけでございます。

 そうした法律の枠内で、さまざまな日本銀行としての内部的なルールを、国債市場の動向とかその他金融政策の必要性等に応じて運用してきたということは先ほど申し上げたとおりでございます。

 国債市場も非常に発展しておりまして、マーケットメークも十分できるようになっている中で、先ほど申し上げたように、特に一年以内のものはオペの対象にしてはいけないというようなことは必要性がないということで、それを緩め、そして、包括緩和のもとで、直近の二銘柄だけは買い入れ対象にしないということももはや必要ないということで、それを除外するということが起こってきたわけでございます。

 ちなみに、諸外国の中央銀行も、国債を買い入れオペの対象とする際には、先ほど申し上げたような、かつて日本銀行がやっていたような、いろいろな買い入れ対象について制限的なことはしておりません。そうしたもとで、金融政策として適切な運営が行われている。

 私どもも、金融政策として、あくまでも物価の安定が最大の使命でございますので、二年程度の期間を念頭に置いてできるだけ早期に二%の物価安定目標を達成する、そのために現在の量的・質的金融緩和を行っているということでございます。

佐々木(憲)委員 一年以内はオペの対象にしないというけれども、それ以上の長期国債は買い入れているわけですよ。

 例えば、一月の統計を見ますと、五年債、十年債、二十年債、三十年債、四十年債のいずれの国債でも、新発銘柄を最も多く持っているのは日本銀行ですよ。しかも、これが発行されて次の日とかあるいは数日たって、銀行から買い入れている。要するに、銀行はパイプみたいなもので、直接引き受けと変わらないんですよ。こういうことを実際にやっていながら、何か原則を守っているかのように言うのは、これは言い逃れとしか言いようがないというふうに思います。

 例えば、現在、長期国債の発行残高に占める日銀の比率、これは何%ですか。単体として最大の保有主体ではありませんか。あるいは、目標としている一年後に、これは一体、全体の何%の保有になると想定しているでしょうか。

黒田参考人 まず最初に、先ほど申し上げたとおり、新発債であっても、入札発行において金融機関が購入したものでございまして、これを日本銀行が入札によって買い入れるということは、国債の直接引き受けとは全く性格を異にしているというふうに理解しております。これは、ちなみに、諸外国でも全く同じでございます。

 そこで、お尋ねの、長期国債の発行残高のうち現時点で日銀の保有している割合はどのくらいかといいますと、十二月末時点で一七%ということで、その時点のデータを見ますと、日本銀行は最大の長期国債保有主体であるというふうに見られます。

 今後の見通しでございますが、これは、政府が示しております二〇一四年度末の国債残高見通しというのがございますが、他方で、私どもの二〇一四年十二月末の長期国債の保有残高の見通しというものがございますので、その両者を用いて機械的に試算いたしますと、保有割合は二〇%を幾分上回るという見通しでございます。

佐々木(憲)委員 単体では最大の保有主体であり、しかも、これが今一七%なのに、二〇%を超える。

 金融機関を経由しているから直接ではないと言うけれども、それは形式だけの話であって、実態は、国が出した国債の大半をそういう市中からの買い入れという形で、いわば実質的には引き受けていると言わざるを得ないですよ。

 ですから、今までのルールそのものも次々といわば投げ捨てて、金融緩和というただそれだけのかけ声だけで、財政ルールも全部これは放棄しても結構だというような姿勢は、これは日銀としてはいかがなものか。通貨の番人とか金融政策の一番の総本山と言われるようなところがそんな姿勢になっていったら、将来の日本の財政と経済は一体どうなるのか、こういうことになっていくわけであります。

 しかも、どんどんふやして、ふやしているから今の国債の価格も金利も一定の水準で推移していますけれども、もしこれが限界に達したときに一体どうなるのか。これはまあ本当に恐ろしい感じがいたします。

 そういう点をきょうは指摘しまして、まだいろいろありますけれども、そのうちまたやりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

林田委員長 次に、大熊利昭君。

大熊委員 みんなの党の大熊利昭でございます。

 本日最後の質疑でございます。よろしくお願いします。

 まず最初に、これまでもございました水戸の視察関連でございますが、ちょっと切り口、視点を変えたお伺いになろうかと思います。

 というのは、皆さん御指摘のとおり、預金がたくさん集まっている、なかなか貸し出しが伸びない、ここの事実認識まではそのとおりでございます。では、この貸し出し、借り入れをどうするんだということに行かずに、現に個人の方々にキャッシュ、お金があるんだということからして、やはりここは、視点を変えるという意味は、投資にどうやって持っていくんだ、こういうところも、貸し出しもふえるのは重要なんですが、やはりバランスシートを見ますと投資とデットですから、デット、要するに貸し付け、借り入れだけじゃなくて、いかに投資をふやしていくんだというところが重要になるんだろうというふうに思います。

 そこでなんですが、そこから先が問題なんですが、では、我が国の株式市場、いつも大臣あるいは総理は、株が上がった下がった、そういうことは言わない、それはおっしゃるとおりなんですが、やはり投資、短期の売ったり買ったりじゃなくて、中長期的に特に個人投資家を引きつけるには配当性向。ほかにも、例えば資産収益率。私はいつも予算委員会あるいはいろいろな委員会で資産収益率が日本の企業は非常に低いんだということは申し上げているわけなんですが、きょうは、もう一つ、配当性向の各国比較。十年ぐらい前の内閣府のデータですとやはり日本が圧倒的に低いんですが、直近の数字で、日本、ドイツ、米国、それぞれの上場している市場、アメリカはナスダックでもニューヨークでもどっちでもいいんですが、大体どんなふうになっていらっしゃるのか、まず教えていただければと思います。

麻生国務大臣 配当性向、二〇一三年の各国の株式指数を構成いたします企業の配当性向で申し上げます。日本は三四%、ドイツは五二%、アメリカが三六%で、欧米各国に比べて低い数字であると承知をしております。

大熊委員 以前よりは日本企業は大分頑張ってきているのかもしれませんが、それでもなかなか上がっていかないということで、株式投資の場合、長期の場合、やはりこの配当性向というのが大きな部分だろうと思うんですね。きのうきょう上がったとか下がったじゃなくて、こういう長期保有というのはやはり配当というのが大きなファクター、あるいは投資の視点でいうとキャピタルゲインよりもそういったインカムゲイン、こちらが中心になっていくんだろうと思います。

 そういうことで、何で配当性向が低いままで企業が存続していけるんだというところが次の問題になってくるわけでございます。

 そうなりますと、これもまたほかの委員会でも申し上げていることなんですが、やはり急がば回れでして、結局のところ、日本企業の企業ガバナンスの問題はどうなんだというところでございます。

 例えば、バイオ・製薬業界でいえば、ではバイオ・製薬業界のどこかの企業に投資しようとした場合に、やはりどうしても配当性向の高い海外企業に目が向いてしまうわけでございます。一方、日本の上場している製薬会社なら製薬会社、こういったところがいまだに何十社も生き残っている。ドイツだったら製薬会社は数社だと思います。アメリカも数社だと思います。何で日本だけ数十社、そんなに生き残っているんだ、何でMアンドAが起きないんだ、これはまた別の観点なんですが。

 いずれにしても、企業ガバナンスの改革の問題、ここが非常に重要なんだろうと思います。

 今回の閣法でも会社法改正を今法務委員会でやっていらっしゃるとは思うんですが、では、仮に今回の閣法で出てきている会社法改正が成立しましたよとなって、それで日本の企業ガバナンス改革が万々歳なのか、ということでもないんじゃないかなというふうに思うんですね。

 そこで、この企業ガバナンス改革についての御所見、そしてまた、特に企業が政権交代が起こらない、ここがやはり一番問題なんじゃないかなというふうに私は思っているんですが、その点につきまして、大臣の御見解をいただければと思います。

麻生国務大臣 今、製薬会社の例をとられましたので、どれくらいになっているかというのは正直詳しく知っているわけではないんですが、多いからといえば、銀行だって結構多い方じゃないですかな、私はそんなぐあいに思っているんですけれども。そういう意味で、それがいいか悪いかというのは、先生、何とも一概には言えぬところだと思っております。

 日本の場合は、起業の方が率が少ないというのがよくありますけれども、逆に、潰れるのも少ないというのも日本の特徴であって、少なくとも、世界で一番古い会社というのは、千五百年続いております大阪にあります会社、金剛組が一番古い。千五百何十年続いていると思いますが、こういった会社は世界じゅう二つとありませんので、そういう意味では、置かれております企業文化とかそういったものもちょっと違うんだと思います。

 いずれにしても、統治のあり方については、今言われましたように、本年の二月でしたかに策定した日本のスチュワードシップ・コードというものを踏まえて、株主、投資家と企業の間で建設的な対話というんですかね、物を言う株主とかいろいろな表現がありますけれども、そういったようなもので改善が促されていくのではないかというような感じはいたしております。

大熊委員 もちろん、今私が議論しているのは、非上場の中小企業のことじゃなくて、あくまでも東証一部上場等のそういったいわゆる大きな会社ですね。こういう大きな会社でも、政権交代が起きないことによって非常に非効率になっている、収益性が低い、配当性向が低いということが、結局のところ、しようがないから預金を銀行に持っていくしかない、こういうことの非常に大きな基礎的な要因になっているんじゃないかなと思いますので、今回の会社法改正にとどまらず、例えば私どもの会社法の議員立法案ですと、社外取締役は一人じゃなくて複数とか、今回はほぼ実質義務づけだというふうな説明ですが、私どもはそれに加えて複数というのを求めております。

 あるいは、今回の会社法で入らなかったのは、取引先の社長さんを社外取締役にできるんですね。これは正直言ってなれ合いですよ、ある企業からいってそのお取引先の社長さんに自分の会社の社外取締役に入っていただくというのは。これは、表現は悪いんですが、お友達内閣と言われても差し支えないぐらいだというふうに思いますので、こういったところを、今回は無理だったにしても、次回以降、ぜひ、より厳しく改革の方向に進めていただければというふうに求めたいと思います。

 続きまして、これまた前回からの継続でございますが、外為特会でございます。

 なかなか外貨証券の内訳というのは公開できないんだというのが前回の質疑の要約だろうと思うんですが、一方、午前中の質疑でございましたアカウンタビリティーを考えますと、外貨証券というのはやはり金額がでか過ぎますから、百億じゃなくて百兆円、九十九兆円ありますから、アカウンタビリティーの観点に立てば、もう少し開示程度を増してもバランスを欠かないのではないかなというふうに思うんですが、一切これ以上は無理なんだということなんでしょうか。一言お願いします。

山崎政府参考人 外為特会の保有する資産につきましては、国民にもできる限りその内容を知らせた方がいいという観点から、御指摘のとおり、国債、非国債の別でありますとか、あるいは満期別は公表しているところでございますけれども、さらに個別の資産の内容となりますと、これはやはり我々政府としての運用でありますし、またその額も大きいですから、どうしても市場に不測の影響があるおそれがございますので、そこは、為替の安定、金融市場の安定という観点から、公表は控えさせていただいているということでございます。

大熊委員 市場に不測の事態なり何かを与えかねないということであれば、逆に公開をしていた方が与えないんじゃないでしょうかね。

山崎政府参考人 余り具体的な例を挙げるのは適切じゃないかもしれませんが、例えば、仮に我々が持っているある特定の商品が満期償還を迎えて残高が落ちたと。たまたまその残高のあるときと落ちたときのデータをディスクローズすれば、市場は、政府が方針としてその特定の商品の運用をやめたんじゃないか、あるいは減らしているんじゃないかということから、それが、売りが売りを呼ぶとか、いろいろな投機の材料にも使われるおそれがありますので、さまざまなことを考えますと、余り詳細な内容の公表は、市場との関係でも控えた方がいいんじゃないかというふうに考えております。

大熊委員 今局長がおっしゃられたケースであれば、いやいや、それは同種のものにロールオーバーするんだよ、あるいはこういうものに買いかえるんだよということを同時にあわせてディスクロすれば問題ないはずでございまして、いかがでしょうか。

山崎政府参考人 それはまさに投資の中身を全てさらけ出すわけでございまして、それはさすがに民間の方もやっておりませんので、やはり私ども政府としての方針、それはさまざまなリスク判断もあるわけでございます。やはりそこは、民間への不測の影響を避けるという観点から、詳細は公表しない方がいいんじゃないかというふうに考えております。

大熊委員 私も、全部ディスクロ、公開してくれということじゃなくて、最初から、最初に申し上げたのは前々回ですかね、民間金融機関並みにというふうに申し上げているわけでございますね、そういう点では。おっしゃるように、一々、売ったり買ったりを全部さらけ出せというふうに言っているわけじゃない。

 ちなみに、きょう日銀の方はいらっしゃらないんですけれども、日銀は、きょうはETFを幾ら買ったと、結構フローベースでは細かく出していますよね。きょうはREITを幾ら買ったというのを、日付ごとに、金額ごとに、銘柄ごとに出しています。

 そこまでやってくれなくてもいいかもしれません。具体的に言うと、通貨ポートフォリオ、ほとんど米ドルだと思うんですけれども、大体こうです、あるいは、満期償還が来て同じようなものに乗りかえましたとか言うことは可能なんじゃないかと思うんですね。

 あるいは、冒頭のアカウンタビリティーということからすれば、一切これ以上公開を進めないということはかえって問題があるんじゃないかなというふうに思うんですが、結局、結論のところは、一切、これ以上は全く無理なのよ、こういうことで理解してよろしいんでしょうか。

山崎政府参考人 先ほど民間を引き合いに出されましたけれども、民間の場合は、上場企業について、金融商品取引法によりまして、財務内容が投資家の投資判断に重要な影響を与えるという観点から、投資判断に必要な情報として一定の保有有価証券の内容の開示が求められているわけでありますけれども、そこはそのまま、私ども、政府として保有しているわけでありますから、直接、投資家の保護という法目的は少し当たらないんだと思います。

 また、日本銀行の例を出されましたけれども、日本銀行も、外貨資産の運用の中身については、その開示範囲は、私どもと同様の範囲だというふうに認識しております。

大熊委員 確認をしますと、そうすると、今以上は一切まかりならぬ、こういう考えだということで確認してよろしいでしょうか。確認のため、ひとつお答えをお願いします。

山崎政府参考人 現在の開示内容が適切だと考えております。

大熊委員 わかりました。一切これ以上はまかりならぬということです。

 アカウンタビリティーとの両立ということがどうもちょっと疑問が残るわけでございまして、先ほど、その前に投資判断としてとおっしゃいましたが、政府だって、国債に投資している投資家がいるわけでございまして、この額が百兆ですからね。額が百億だったらそういう投資判断への影響はないかもしれませんけれども、投資している先のアセットが百兆円持っている、これは一体何だろうかというのは投資家として、つまり国債の投資家としてはとても気になるところだと思います。それは、民間の金融機関が上場会社への投資判断としてディスクロしているという金商法上の開示義務規定と同様に考えられるのではないかなというふうに意見だけ申し上げまして、きょうはここにとどめておきまして、次に参ります。

 先日の報道で、中長期の財政見通しについて、財政審によってそれを行うんだ、そういう報道が出ておりました。

 これはどのようなマクロ経済モデルを使って行われる予定なのか、教えていただければと思います。

麻生国務大臣 御指摘の財政に関します中長期的ないわゆる推計につきましては、現在、財政制度審議会において、欧州委員会の分析手法などを参考にして検討してもらっているものと承知しておりますので、現時点で、その具体的な内容について私の方からお答えする段階にはございません。

大熊委員 そうしますと、今後のスケジュールとしては、お答えいただけそうになるスケジュールは大体いつぐらいになるのか。

 それから、前回もお伺いしましたが、マクロ推計をするときに、財務省さんはポータブルトロールという非常に高いソフトをお持ちになって、こういったマクロ計量モデルを使った見通し推計になるのか、このあたりについて何か教えていただければと思います。

麻生国務大臣 今申し上げましたとおり、この内容につきましては、来週の四月二十八日に、財政制度審議会において財審委員の方から説明をするという予定になっていると聞いております。

大熊委員 ありがとうございました。

 それでは、その二十八日の報告をよく勉強させていただきたいというふうに思います。ありがとうございました。

 続きまして、これまた前回からの通告の残りでございますが、まず、労働保険特別会計でございます。

 この中の一部分に雇用勘定というところがございまして、ここに現預金が六兆四千億円積んであるわけでございますね。ところが、バランスシートの負債勘定の支払い備金、要は支払いに充てるもの、つまり失業給付に充てることが確定している負債は、六・四兆円どころか、桁が一つ小さくて千四百億円ぐらいなんですね。もう一回言いますと、資産サイドに現金が六・四兆円積んであって、支払いが確定しているのが千四百億円ですね。

 では、これから失業が出てくるかもしれない、こういったものがあるんだという御説明なんですが、この数字を聞くと、それは大体一・八兆円ぐらいなんです、こういう説明。もう一つは、別途、バランスシートではなくて、厚生労働省の方が積立金ですということで積んであるものは、決算ベース五・九兆円、予算ベース五・五兆円ですということなんですね。

 いろいろな数字が飛び交うわけなんですが、一体全体どの数字が、給付のために必要で負債として認識しなければならないのか。もし何兆円ということであれば、財務省が出している、この分厚い冊子でいただいているバランスシートの千四百億円というのは粉飾決算になりますね。本当は何兆円も負債として認識していなきゃならなくて、そのために六・四兆円なり五・九兆円なりキャッシュとして必要なんだというんだったら、負債サイドに千四百億円しか積んでいないんですから、これは粉飾決算になると思うんですが、このあたりの数字の関係について教えていただければと思います。

福田政府参考人 少し多岐にわたる数字の御指摘がございました。

 御指摘のうち支払い備金は、御指摘がありましたとおり、具体的に支出に備えた負債ということでございます。

 最初に御指摘のありました、あるいは最後にもちょっと触れられましたけれども、積立金の五・九兆円というのは、労働保険特別会計が中長期的な安定した運営を行うために雇用勘定で集められました保険料を積み立てているものでございまして、そういう性質でございます。

 それから、見積もりのうち来年度の失業給付がこのぐらいある、一・八兆円というお話がありましたけれども、それは、二十六年度の予算で、二十六年度の失業給付がこのぐらいあるだろうということを見込んだ数字でございます。

大熊委員 結局のところ、六・四兆が適正なのか過大なのかということは、今のお話でもはっきりしていない。

 例えば、この一・八兆、平成二十六年の見積もりということなわけなんですけれども、当然フローベースで入ってくるわけですね、徴収勘定から一・数兆。したがって、バランスシートから、積み立てているキャッシュから出さなきゃいけないというのは、必ずしもこの一・八兆にはならないはずでございます、要するに今年度もフローベースで新たに入ってくるわけですから。

 したがって、安定した運営のためにとおっしゃいました、この抽象的な一言で全部カバーされている、そういうことなんでしょうけれども、では、安定した運用のために何ゆえ五・九兆が必要なのか、ここが数字で理解できないんですね。その安定というのはいかなる金額が必要なのか、お答えいただけますか。

福田政府参考人 結局、この雇用保険のための積立金を保持しているのは、御承知のとおり、失業給付は景気の変動に伴いまして増減がございますので、それに合わせて保険料を極端に上げ下げしないという考え方から、いわば、景気動向によって失業等の給付が大きく動くことに備えて保持されているものでございます。

 それは、主管しております厚生労働省の方で、中期的にどのぐらいのものが要るだろうということを確認の上、果たして保険料率の改定が必要であるかどうかという判断を一義的にされて、私どもも、それを了として予算として提出しているということでございます。

麻生国務大臣 これは、俺も大きいなと思ったので調べたことがあるんですが、一番過去の不況時のときに、当時、約五兆円あった積立金が急速に減りまして、平成十四年度には約四千億円まで減少したというのが最近に起きたことであります。

 その際に、雇用情勢が極めて厳しいことになったにもかかわらず、雇用保険料を引き上げたり、給付の日数の削減などの対応をとらざるを得なかったというのが、多分、この六兆円になったというような背景だと記憶しています。

大熊委員 大臣から具体的なお話、ありがとうございました。

 それはそれでわかるんですが、三回ぐらい前の最初のときに申し上げた、アベノミクスによってそういった事態は起こらない、つまりアベノミクスが成功するんだという前提で申し上げています。つまり、雇用環境はよくなるんだろう、政府としてはそういうことでアベノミクスをやっていらっしゃるわけですから、大臣が言われたような事態というのはもはや起きないんじゃないか。

 つまり、笑っていらっしゃいますが、そういう事態を想定するということは、アベノミクス失敗を前提にして積み立てるということに論理的になりますから。そうですよね。だから、そういうことにはならないんだろうと私は思っているからゆえに、これは大丈夫なんじゃないか、ざくっと、五・九兆は半分ぐらいでいいんじゃないか、ドタカンでございますが、こういうふうに思っているわけでございます。いかがでしょうか。

麻生国務大臣 元経営者の感覚としては、危ないときにはきちっと積んでおかぬとろくなことにならぬ、自分でそう思いますので、六兆円というのは決して多いとは思いません。

大熊委員 私は、元投資家としては、多過ぎるんじゃないかな、そんなふうに思うわけでございます。

 では、具体的に事務方の皆さんに伺います。この一・八兆はどのぐらいぶれるのかということ。

 それから、以前、今回の質疑用じゃないかと思うんですが、労働特会雇用勘定の純資産の推移というのをいただいているんですね、平成十九年度から二十四年度まで。ちなみに、十九年度が六兆七千、直近の二十四年度が、二十五年度の数字はまだいただいていないですが、六兆八千ですね。東日本大震災のときでも純資産は減っていない。東日本大震災でもって大変なことになって、雇用環境も悪化をしたのかな、これは大変だろうな、失業給付もふえたんだろうな、こんな認識なんですが、ところが、この純資産は減っていないんですよ。減っていない。

 これは、それほど、先ほど大臣が言われたような、かつて、平成十四年のような事態というのは起きないんじゃないでしょうかね。それは一〇〇%ということではないんですが、ほぼ起きないんじゃないかというふうに思うんですが、どういう事態を想定していらっしゃるのか。大震災のときだってこれは減っていないわけなので、どうなんでしょうか。

福田政府参考人 現在、日本再興戦略などでは、中長期的なキャリア形成を支援するための教育訓練給付の拡充とか育児休業給付の給付割合の引き上げなども提案されておりまして、そういったいわば給付の充実を含めてトータルで見て、現状では、今の現行制度を維持することでいいのではないかと厚生労働省で御判断されておられるわけであります。

 なお、念のため申し上げますと、御承知のとおり、法律では、一定の積立金が積み上がった場合には弾力的に保険料率を引き下げられる仕組みになっておりまして、そういう対応は講じられてきているところでございます。

大熊委員 もちろん、手法として、最後に言われた部分、保険料を減額するというようなこと、実質的にお金を国民に返していくというのは、国民といっても労使の特に労の方になるんでしょうか、そういった、保険料を今後下げるということで、方法として可能なんじゃないかなというふうに思います。

 それから、前半言われたところは残りの五千億、つまり六・四兆引く五・九兆の五千億のところについてのお話ですよね、つまり別途の事業の。でなければ、新たに事業が追加されるから金が必要だというのはなかなか、働いている方にとっての説明責任またアカウンタビリティー、要は、サラリーマンは、失業に備えたお金、労働保険料を払いますと、天引きされていきますよね。それは失業給付のために来る、そういう原資だろうというふうに思っている、ところが違う事業が追加されていっているんだという、ここのところはまた説明責任としてちょっと、そういうことではなかなか普通のサラリーマンは納得できないのではないかなというふうに思いますが、何か一言ございますか。

福田政府参考人 最後の御指摘の点は、厚生労働省が主管なんですけれども、労使も参加しているところで、そういう給付を、失業給付の一種といいますか、そこから出るものとして新たに設けるということがセットされた上で、必要なものは法律改正を提案した上で実施されているところでございます。

大熊委員 きょうはちょっとざくっとした議論なんですが、先ほど大臣の言われたことも含めて、もうちょっと定量的な分析、確率的に一体どのぐらいふえていくのだろうか、そういった議論あるいは分析が厚労省にしても財務省にしてもないんですよね。だから、こういうような何か隔靴掻痒みたいな話になってしまう。

 一体全体、では、この五・九兆を使わなければならない事態の失業率というのは何%なんですか。

福田政府参考人 先ほども申し上げましたとおり、ある年に使うとかそういうものではなくて、雇用情勢が悪化したときに非常に下がったことがありますので、それは傾き方にもよるかと思いますが、具体的に何%に下がればどうするんだというようなことを厚生労働省として数字をもって出していないとは思いますが、今までの例としては、先ほど大臣が申し上げましたように、平成十四年ごろは、これが枯渇するんじゃないかといったような事態になったということもございます。

大熊委員 ある年に何%か、そういうようなトーンで聞こえたかもしれませんが、推移といったことをきちっと、それは幾ら分析しても現実は追いつかないところがあるんですが、一種のリスク管理ですよね。こういうものをもうちょっとしっかり数字で詰めておかないと、余りにどんぶり勘定なんじゃないかなということを指摘させていただいて、時間となりましたので、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

林田委員長 次回は、来る二十五日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時一分散会


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