衆議院

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第4号 平成27年3月11日(水曜日)

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平成二十七年三月十一日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 古川 禎久君

   理事 神田 憲次君 理事 土屋 正忠君

   理事 藤井比早之君 理事 御法川信英君

   理事 山田 美樹君 理事 鈴木 克昌君

   理事 丸山 穂高君 理事 伊藤  渉君

      青山 周平君    井上 貴博君

      井林 辰憲君    鬼木  誠君

      勝俣 孝明君    國場幸之助君

      柴山 昌彦君    鈴木 隼人君

      田野瀬太道君    竹本 直一君

      津島  淳君    中山 展宏君

      根本 幸典君    福田 達夫君

      藤丸  敏君    牧島かれん君

      務台 俊介君    宗清 皇一君

      山田 賢司君    大島  敦君

      古川 元久君    古本伸一郎君

      前原 誠司君    鷲尾英一郎君

      伊東 信久君    吉田 豊史君

      岡本 三成君    宮本 岳志君

      宮本  徹君    小泉 龍司君

    …………………………………

   議員           古川 元久君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   財務副大臣        菅原 一秀君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局総括審議官)          三井 秀範君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    佐藤 慎一君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    中原  広君

   政府参考人

   (国税庁次長)      佐川 宣寿君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           谷内  繁君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉田  学君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           松永  明君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           栗田 卓也君

   財務金融委員会専門員   関根  弘君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十一日

 辞任         補欠選任

  國場幸之助君     青山 周平君

  玄葉光一郎君     古本伸一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     國場幸之助君

  古本伸一郎君     玄葉光一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)

 格差是正及び経済成長のために講ずべき税制上の措置等に関する法律案(古川元久君外三名提出、衆法第四号)

 関税法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)


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     ――――◇―――――

古川委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、所得税法等の一部を改正する法律案及び古川元久君外三名提出、格差是正及び経済成長のために講ずべき税制上の措置等に関する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局総括審議官三井秀範君、財務省主税局長佐藤慎一君、理財局長中原広君、国税庁次長佐川宣寿君、厚生労働省大臣官房審議官谷内繁君、大臣官房審議官吉田学君、経済産業省大臣官房審議官松永明君、国土交通省大臣官房審議官栗田卓也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古本伸一郎君。

古本委員 おはようございます。古本伸一郎でございます。

 きょうは、質疑の機会をいただきまして、ありがとうございました。

 まず、閣法と、議法で出させていただいております格差是正及び経済成長のために講ずべき税制上の措置等に関する法律案提出者、古川提出者、それぞれお尋ねしてまいりたいと思います。

 まず、きょうは三月十一日でございまして、大変、日本人として忘れてはならない節目の日であります。そういう日でありますけれども、税制は、日切れ案件、慎重審議、継続中ということで審議の場が設けられたというふうに承知しておりますけれども、改めて、お亡くなりになられた皆様に哀悼の誠をささげたいと思います。また同時に、きょうもなお二十万人を超える多くの方々が、仮設・復興住宅住まいということで、我が家に帰ることができない、あるいは高台移転がかなわないという状況でありますので、政府挙げて、一日も早い実現に向けてお取り組みをいただきたい、このように強く要請をして、質疑に入らせていただきたいと存じます。

 さて、きょうは、委員長のお許しをいただいて、資料をお配りいたしております。

 まず、一枚目をごらんいただきたいんですが、実は、過去に大きな税制改正があったとき、少なくとも記憶の範囲である平成の時代をさかのぼれば、元年に消費税三%、九年に消費税五%、そして今回の社保・税一体改革を通じて、平成二十六年の四月より消費税が八%になっているということなんです。

 このチャートは、面で捉えた資料を少し作成いたしましたので、視覚的に見てわかっていただけると思うんですけれども、また、これは会議録として残ると思っていますので、国民の皆様には御理解をいただきたい部分なんですけれども、元年、消費税三%が竹下総理・総裁のもとで導入された際には、増収が六兆強あったと同時に、所得税、相続税、法人税をほぼ同額、あるいはそれを上回る間税、間接の税の減税をあわせ行い、実質減税だったんですね。これは歴史の事実です。

 それから、平成九年、三ポイントから五ポイントに消費税率を上げた際には、実は、同じく、先行減税も含めて、所得、相続、減税をかけ、あわせて定率減税も入れましたので、実質減税だったんです。ネットで九・五兆の実質減税、平成九年。平成元年のときはネットで二・六兆の実質減税だったんですよ。

 その意味では、今回の消費税八%というのは、戦後の税制史上、若干過大に言うかもしれませんが、恐らく初の実質増税だったんだと思っております。

 このことを実行したのは当時の民主党政権でありましたけれども、私は、このことが成功した一つの鍵は、野党が自由民主党の皆さんだったからだと思っているんです。

 過去、消費税を、中曽根さんも大平先生も、みんなトライしたけれどもできなかった。そして、竹下さんはできたけれども、これだけ減税すれば、ネットでむしろ減税過多であったら国民も受け入れてくれるでしょうね。これを繰り返していては、結局、実質財源増にはならない。借金が積み上がるばかり。この過去の、言うならば自由民主党の皆さんが抱えてきた負の遺産を清算する責任が野党自由民主党としてもあるんだろうという深い理解の中で、恐らく野党が自民党だからできたんだと思うんです。これは私の感想です。

 きょうは、幾つか資料をお見せしながらやりたいと思うんです。

 そして、まさに復興です。復興税を、平成二十四年、発災後に速やかに決め、頑張ろう東北、みんなで支えようということで導入したわけでありますけれども、この復興税については、単年度で見るよりも、平成三十九年まで復興特別所得税、所得税増税は続きますので、これは恐らく面で捉えたら約十兆、九・七兆円の御負担をいただくということになります。

 これは明らかに増税のベクトル、負担増ばかりであって、こっちの減税ベクトルの方が真っ白け、ほとんど何もないという中で、恐らく唯一と言ってもいいでしょう、一般家計、一般庶民、とりわけ地方に住む人ほど負担感の強い、つまり、一家に車が一台、二台、三台とある、多分この東京の都心の皆様より茨城や千葉や埼玉に住む人の方がより保有台数は多いんだと思うんですけれども、地方に住む方々ほど負担の重い車体課税の減税をぎりぎり行ったんです。

 これは、重量税の暫定税率と呼ばれていた、当分の間税率と名前を置きかえましたけれども、微々たるものですけれども、黒三角の〇・三兆。これは言うならば、地方に住む皆様の生活の足でありますので、家計の負担軽減を若干行ったということなんです。

 さて、これで少し質問、まず一点目ですけれども、古川さん、財務省OB、東京大学在学中に司法試験も受かっておられる、弊社を代表する政策通でありますから、どうぞ簡潔に、かつ、これまでの知見を全て出していただいて御答弁をいただきたいと思います。冗長的な答弁はなしでお願いしたいと思います。

 さきの総選挙で、私ども政治の責任として、物すごく痛感したことがあります。投票率、棄権された方が四八%です。国民の二人に一人が投票に行かなかった。そして、大臣、自由民主党と投じた方々でさえ、その六五%が、これは読売新聞調べですけれども、保守系新聞だと私は思っていますし、個人的には大好きですけれども、この読売新聞購読者でさえ、自由民主党と投じた方の六五%が、ほかよりましだったと答えているんです。

 つまり、どれくらい政治に選択肢がなかったのか、どれくらい政治が、A案とB案のどっちを選べばどういう日本になるのかが魅力に欠けていたんだろうと思うんです。

 古川提出者、民主党はどういう税制を目指そうとして、言うならばこの負の遺産を、ただでさえ支持率が低くて七転八倒していた民主党内閣でこれをやり遂げたのか。当時入閣もされていたと思いますので、簡潔にお願いします。

古川(元)議員 私どもは、野党時代に、納税者の視点で税制のあり方を抜本的に見直そうと。ですから、納税者の立場に立って、税金を取る側の立場ではなくて、税金を納める人たちの立場に立って、公平で透明で納得のできる、そうした税制を築いていこう、そうした考え方で、古本委員とも一緒になって、我々の政権時代、税制の改革に取り組みました。

 先ほど来から御指摘がございます消費税の増税につきましては、これはきのうの委員会でもちょっと私申し上げましたけれども、もともとは麻生政権のときに、消費税も含む税制の抜本改革を一一年度までに行うという、まさに附則の百四条、これは麻生政権、自民党政権でできた規定、法律ではありますけれども、やはり法律に規定されている以上、私ども政権を担う者として、そして、今、日本の財政の状況を考えれば、これ以上将来世代にツケを回し続けるということは今を生きる世代として無責任だと。

 そうした視点から、当時野党であった自民党、公明党の皆さん方の御理解もいただいて、三党協議という形で国民の皆様方に負担の増をお願いする。当然、その前提として、私どもの議員定数の削減、これは当時の野田総理と安倍自民党総裁との間で約束をした、そういう身を切る改革も行った上で国民の皆様方への負担をお願いする、そうした決断をしたものでございます。

古本委員 きょうは主税局長にもお越しをいただいていますけれども、この一枚目のチャートをごらんいただきますと、恐らく主税局長も感慨深いものがあるんじゃないかと思うんですよ。

 これだけ所得税と法人税を同時に減税し、ネットで減収に立つ消費税なんて、あえて言いますけれども、先達の苦労はあったんだと思いますけれども、今回、私たちは何と復興増税もやったんです。消費税も決めたんです。ですから、直接税を減税するので間接税を創設あるいは増税させてくれという直間比率という言葉、もう今や死語と心に言い聞かせてやったんですよ。このとき所得税減税できたなら、どれだけ楽だったかと思いますよ。

 直間比率という言葉は、今、政府税調あるいは主税局の中に存在しますか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 直間比率という言葉は俗な言葉でございまして、ある種、統計的な数字としてあらわすということで流布していたものでございます。

 抜本改革、一九八九年以降行われた中で、所得、消費、資産、それぞれの課税バランスをどのような形で構成するのが社会経済情勢の変化に対応できるか、そういう問題意識で税制の検討がなされたというのが基本でございます。

 そういう意味では、消費税が導入されたり税率が上がったり、あるいはそれに伴って所得税、法人税等が減税されたりということは、その時代時代の情勢の中で、結果として直間比率が変化するということはあったかと思います。

 ただ、俗な言葉ではありましたが、昨今はとんと聞かなくなったというのも事実でございます。

古本委員 昨今は聞かないという話ですけれども、これはもう恐らく禁句、言ってはならないというぐらいに覚悟を決めないと、直接税にも手をつけることは多分できないだろうと思うんですね。

 きょうは、当時の三党合意の原本のコピーを少し引っ張り出してまいりました。資料の五ページをごらんいただきたいと思うんですけれども、これは、当時野党でいらした自民党の皆さん、公明党の皆さんと私ども与党側が真摯に連日連夜協議をさせていただいて成案を見た、税制関係の協議結果の原本の写しでございます。消費税率を八ポイントに引き上げる、そして段階的に一年半後に一〇ポイントに引き上げる、今年の十月ですよ、予定では。一〇ポイントに引き上げるという約束の大前提として、今から申し上げることを確認し合ったんです。

 まず一点目、所得税です。

 言うならば、生活保護者の皆さん、低所得者の皆様も、コンビニで買い物をすれば消費税を負担しますね、やはり痛みが伴う税であるという立場に立ち、富める方、持っていらっしゃる方は応分の負担をしていただきたいという象徴的なものの一つとして、所得税の累進強化を図りました。これが最高税率の引き上げであります。当時、公明党の皆様からは、さらにもう少し厳しくという御要請もありましたけれども、最終的には折衷案で折り合ったと記憶しております。最高税率の引き上げは既に決まり、執行されている話。一点目ですね。

 そして、もう一点目が、昨今話題になっている格差云々、ピケティさん論の話なんです。あわせて資産課税も見直そうということで、相続税の課税ベース、税率構造等、及び贈与税の見直しについて検討しましょうということを確認し合ったんですね。

 そのときの論点は、実は相続税は、バブル期に大変地価が上がりました、これに対して控除の幅が間に合っていなかったので、他方、バブルがはじけ、大変地価が下落しているにもかかわらず控除の幅だけが高いままで残っていたので、これを少し圧縮しようという、すぐれて政策論でした。あわせて、税率の引き上げについては、恐らく、消費税というタイミングで、富裕層についても応分の負担をいただくことで世の中の皆さんの留飲が少しでも下がればありがたいという、富める方は負担していただきたいという目的から入ったと思っているんです。

 このとき、忘れてならないのは、単なる資産家いじめでは意味がないということで、相続増税をかける一方で、お国に相続税で納めるのがわしは嫌だという資産家がいらっしゃるならば、生前にお孫さんたちに贈与していただけませんかと。これに伴い、世代間、つまり、おじいちゃま、おばあちゃまの世代からお孫さん世代、これから現役で稼いでいこう、日本の国を支えていただこうという若者たちの世代に対して、世代間格差の是正をしようということで、贈与税の減税をセットで入れたんです。

 したがって、若干、隣に鷲尾委員も座っておられますけれども、昨日の議論はモニターでつぶさに拝見しましたけれども、この贈与税の減税が少しやり過ぎじゃないかという意見も世の中にあるのかもしれませんけれども、このことを容認してしまうと、実は相続増税をかけたことがパッケージで崩れてしまうと思うんです。

 提出者古川さん、我が党の考えは、改めて、贈与減税をかけていった、これは相続増税とパッケージであったということに間違いないですね。

古川(元)議員 そこのところは間違いございません。

 もう一つ、古本委員、忘れてはいけないことだと私が思っているのは、我々の政権のもとで寄附税制も拡大をしたんですね。確かに御負担をお願いすることにしましたが、まさに、普通の働いている人たちの寄附もしやすくしたわけでありますけれども、資産を持っていらっしゃる方もぜひ、寄附税制も拡大をしましたので、そうした寄附もしていただきたい、そういうところもあったわけでございます。この点もぜひ私ども忘れてはいけないと思っておりますし、また、ここは、世代間の格差の是正というところ、そうしたところに観点を置いて、贈与の枠の拡大というものを行いました。

 ですから、今議論になっておるところについては、基本的な考え方はそうした視点に立った上で、あとはどこまでどうバランスをとるかということ、税制というのは、何事も過度に一つの税に特化してということはゆがみを生じるところがありますので、やはりほかの税とのバランスを考えるということが極めて重要なことではないかというふうに考えております。

古本委員 ありがとうございます。

 あわせて、資料の十四ページと十五ページもごらんをいただきたいと思うんです。

 実は、手前どもが野党になった後にも、当時の野田毅自民党税調会長、あるいは斉藤鉄夫公明党税調会長の御指導のもと、三党の税制協議が引き続き行われたんです。野党民主党として、それに参画をさせていただいた。これは、平成二十五年の三党税制関係協議結果ペーパーの、原本の写しです。

 この中で、実は四つの観点を手前どもから提案し、大変懐の深い自公の皆様が受け入れてくださったということなんです。

 一点目が、大学法人に対する寄附の範囲の拡大です。これは国立大学も認めるべきじゃないかということ。

 二点目が、特定支出控除のあり方。要は、サラリーマンの皆様が、消費税の影響で、とりわけ中低所得層を中心に負担増になってまいりますので、これは、費用支出を認めてもらえないか、控除を認めてもらえないか、その範囲を見直してもらえないかという提言でありました。

 三つ目が、交際費課税。大企業は損金不算入になっていたものを、中小に拡大をするという自民党さんの原案に対し、大企業にも認めるべきじゃないかと。やはり発注側が交際費を使わないと、そこから仕事をもらっている人がなかなか使いづらいという、言うならば、麻生大臣がよくおっしゃっているビジネスのセンスからいって、これはやるべきだと私どもから提言したんです。忘れもしない、当時、自公の皆様が、それを民主党が言って大丈夫かと言われて、言ってもらえたら俺らも助かるとまで言われました。これは当たり前の税の理屈としてやったんです。損金算入になりましたね。

 そして、最後が贈与税なんです。実は、教育資金の生前贈与の枠を自民党政権で導入されました。その芽は手前ども民主党政権時代から仕込んだという思いがありますけれども、花開いたのは麻生さんたちの時代ですね。そのときに、あわせて、何も教育だけではないんじゃないか、結婚や出産や子育て全般に、垂直の格差、おじいちゃま、おばあちゃま世代からお孫さん世代の格差、これを少し是正する意味でも範囲を広げるべきじゃないかといってこれが入ったんです。

 したがって、できればというか、いや、金輪際、この議論は、我が党からこれはやり過ぎじゃないかと言うとおかしな話になるということを改めて整理しておきたいと思うんですけれども、税調会長でもありますので、古川さん、ここのところの確認を再度お願いします。

古川(元)議員 基本的には、私がまさに国家戦略担当大臣だったときに、この贈与の枠の拡大の検討を財務省の方に指示したということがございましたので、そういった意味では、大きな考え方には、私どもも、今の政府が考えているところと違いはないということは申し上げておきたいと思います。

 ただ、一点、実は私自身が当初指示をした、考えておったところを言いますと、この贈与税の枠の拡大、そして世代間の格差の是正というのは、もう一点、デフレ脱却の視点から、今国内にある資産の三分の二以上を六十五歳以上の高齢者の方々が所有していて、今、長寿化に伴って、相続が起きるときには既に相続人が六十五歳を超えていて、高齢者の持っている資産がほとんど塩漬けになってしまっている。これを、お金を使うニーズの高い若い世代に移すことによって、流れが滞っているお金の流れをよくしていく、それがデフレ脱却にもつながっていくであろうという、そうした視点から、私ども、こうした贈与税の枠の拡大というものを考えて、検討を指示したわけなんです。

 そうした視点からいいますと、今の贈与資金の使い勝手というのは相当悪いんですね。私なんかが考えておったのは、もう少し柔軟な形で、ですから、目的も幾つか我々が指摘をしたような形で、先ほど委員からも御指摘があったように、広がってきましたけれども、しかし、それでもかなりまだ使い勝手が悪いところがありまして、そこは、せっかく日本の国内、中にあるお金が有効に使われるような、そういう状況という視点では、使い方とか使い道のあり方、そうしたものについてはもう少しやはり柔軟な枠組みというものを考えられていいんじゃないか、そのようなことは考えておりますので、こうした点については、我が党の税調などでもぜひこれからも議論していきたいというふうに考えているところであります。

古本委員 今までのところが、当時の議論を少し思い出しながらなんですけれども、三党協議を通じて、最終的には、抜本改革法の七条の中に、合計二十七項目になんなんとする、消費税の税率を引き上げるに当たって検討すべしという課題が付されたわけなんです。二十七項目です。

 その中で、とりわけ三党で、自民、公明、民主でこれは特に大事だなと確認し合ったのが四つなんです。

 資料の六ページをごらんいただきますと、一点目がいわゆる逆進性。低所得者に配慮した施策を講ずべしというのが一点目。

 二点目が医療だったんです。平成元年に竹下先生が消費税を導入されて以来、あのとき医療業界に非課税だという言い方が、恐らく当時の文献のどこをどう読んでも取り違えたとしか思えないやりとりの中、結果として非課税が続いています。

 それから、三点目が住宅です。やはり住宅は大変高価でありますので、この大変高額な商品である住宅については特段の措置が要るだろうという観点。

 そして、最後が車体課税、自動車関係だったんです。

 抜本改革法七条であまたの項目を検討項目として列挙する中で、とりわけ三党でこれはやらなきゃいけないということで確認し合ったのがこの四つなんです。きょうは、この四つについて少し議論をしたいと思います。

 まず、国交省に来ていただいていますけれども、資料の十一ページをごらんいただきますと、平成元年、九年、そしてこのたびの八ポイントに上げた去年、ちょっと去年の数字が入っていないので少しわかりづらいかもしれませんが、この駆け込み需要と反動減、その後の不動産市況の冷え込みという意味では、現状はどうなっているでしょうか。

栗田政府参考人 お答えいたします。

 委員御配付の資料のとおりでございますけれども、これは財務省の法人企業統計でございます。消費税を導入した平成元年、それから消費税率を五%に引き上げた平成九年、この統計によりますと、不動産業の総売上高、おのおの前年比でマイナス二%、マイナス五%ということでございます。

 また、この中で、特に不動産業の業況を示すような指標という意味で住宅着工戸数について申し上げますと、平成元年の消費税導入時には駆け込み反動減の目立った動きは見られておりませんけれども、平成九年の消費税率引き上げ時には大幅な駆け込み反動減があったということでございます。昨年の消費税率八%への引き上げに際して、昨年三月以降、駆け込みの反動減が見られておるというところでございまして、前年同月比で減少が続いております。

 ただ、その中の一つの代表としての持ち家ということで申しますと、受注減が継続してはいますものの、その先行指標という意味での展示場への来場者数、こういったものにつきましては回復の兆しが見られておる、こういう状況でございます。

古本委員 今は株高ですし、富裕層は、ここら辺のマンションも飛ぶように売れるというのは一般的に聞いていますけれども、役所の皆さんも家に帰れば一家庭人なわけで、いつかは夢のマイホームでしょう、国交省の皆さんも家に帰れば。千葉か埼玉かわかりませんが、あの辺で夢のマイホーム。建物が課税ですから、建物部分には消費税がかかるわけでありまして、これは大変大きな負担になると思うんですね。親身になって話しているんですよ。役所の若い人たちも、いずれは家を持ってもらいたいですよ。それで不動産をやはり活況化させなければなりません。不動産は経済のかなめですよ。

 それで、きょうは、一つ提言というか、過去をおさらいがてらするわけなんですが、資料の二ページを大臣にもごらんいただきたいんですけれども、これは、元年に消費税を導入した際に、当時の自由民主党税制調査会、当時の大蔵省、自治省、連日連夜の議論の中で、最終的に消費税の非課税取引はこれにしようとお決めいただいたリストです。

 実に興味深い。税の性格から非課税としているもの、土地の譲渡。土地の売買で付加価値は生み出しませんから。土地そのものですから。有価証券、切手あるいは行政の手数料、外為取引、世界的に見てもそうだなと思います。

 他方、問題はこっちなんです。社会政策的配慮から非課税としたもの、これは極めて恣意的に決めたと思いますよ。当時の政治が決めたと思いますよ。ここが問題の医療です。医療保険適用の医療については非課税にしたんです。したがって、今日でも自由診療は課税ですね。次、介護、そうでしょうね。社会福祉、そうでしょう。助産、お産から税金を取るのか、わかりますね。それから、埋葬、火葬。これもそうですよ。学校の教科書なんかもそうですね、教育的図書譲渡。そして、一番下に住宅の貸し付けなんです。住宅は、アパート、マンションを借りた場合は非課税だけれども、マンションを買ったら課税なんです。

 国交省、家を買うときにどれだけ税金を払いますか。不動産取得税、登記に当たっては登免税、そしてランニングコストで市町村から固定資産税、都市計税を、どれだけ取るんだというぐらい取っていますね。

 これはもう少し踏み込んだ議論をそろそろ始めないと。一〇ポイントが視野に入ってきている中で、住宅エコポイントとかはありがたいですよ、あるいはローン減税の拡充はありがたいですよ。これだけで足りますか。一〇ポイントが射程に入っている中で、なぜならば景気条項を今回取り除いているんですから、やりが降ろうが何が降ろうが二十九年の四月には一〇ポイントになる、そういう法案を今回政府として出しているんでしょう、もっとやらなきゃ。

 そこで、本来、住宅なんていうものは非課税だぐらいの議論はないんですか。どうですか。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、住宅につきましては、もちろん多くの税目がかかっております。流通税もかかっております。保有税もかかっております。

 そういった中で、一〇%への引き上げ時に向けての対策ということでございますが、既に二十六年の消費税率八%への引き上げ時に、住宅ローン減税の大幅な拡充あるいは現金給付措置を講じております。これらにつきまして、その適用期限を平成三十一年六月までということの延伸をしておるということでございます。

 また、消費税率一〇%への引き上げに伴う反動減対策として、平成二十八年十月から、非課税限度額ということにつきまして最大三千万円までの拡充ということでございます。

 これらの措置によりまして現役世代の住宅取得の支援が図られるということでございますし、平成三十一年六月までの将来にわたる措置が示されているということで、住宅取得を検討される方々の予見性が高まって、計画的な住宅取得あるいは住宅市場の安定、こういったものにつながるのではないかというように考えております。

 今御指摘の非課税の問題につきましては、与党の税調の中でこれからまさに議論が始まろうとしているということかと承知しておるところでございます。

古本委員 抜本改革法七条のチに、住宅の取得についてという記述があるんですけれども、資料はおつけしていないです、ちょっと読み上げたいと思います。

 「取引価額が高額であること等から、」住宅取得については、「消費税率の引上げの前後における駆け込み需要及びその反動等による影響が大きいことを踏まえ、一時の税負担の増加による影響を平準化し、」ならすと言っているんですね、「及び緩和」それを緩める「観点から、住宅の取得に係る必要な措置について財源も含め総合的に検討する。」と書いてあります。

 主税局長、これは、当時、消費税における非課税取引の中に、アパート経営をされている人たちから陳情を受け、恐らく自民党税調は、さすがにアパートは非課税にしようかと、社会政策的配慮だったんでしょうけれども。固定資産税を取るんですから、ランニングコストを取っているんですから、さすがに、何千万のお買い物をされたときに、一般のサラリーマンから、新橋の飲み屋で夜一杯飲むのを楽しみに、お昼御飯を五百円以下でセーブ、ワンコインで食べているお父さん、サラリーマン諸兄がやっと夢のマイホームを買うというときに、一〇%、一五%、大体、財務省は消費税はどのぐらいを狙っているんですか。僕は、二〇ポイント以上を目指さな無理だと思いますよ。

 それだけのポイントを目指すときに、僕は、安倍さんにある意味で感謝したいですよ、一年半、議論のいとまを得たんですから。これは徹底的に議論しなきゃいけないと思っているんです。消費税は延長すべきじゃないと思っていますよ。思っていますが、住宅対策を考えるいとまを得たという意味では、総理に感謝したいと思いますね。

 非課税という考え方があったっていいんじゃないですか。世界的に、そういう考えをとっている国があるんじゃないですか。世界の例も含めて、いかがでしょうか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 住宅について、消費税をどのように課税するか、あるいは非課税ということで課税しないか、こういう判断、原点に戻ってという議論になろうかと思います。

 非課税という場合、住宅に限りませんが、一般的にどういうことが起こるだろうかということを現状からの変化で考えた場合、医療である話でございますけれども、例えば非課税にいたしますと、仕入れ税額控除ができないという問題があります。したがって、そこの部分をどういうふうに考えるんだろうか。要するに、業者におけるコストアップをどう考えるんだろうかという問題。それから、そもそも住宅だけを例外扱いにするという考え方は、軽減税率のみならず、非課税においても同じように、なぜこれを例外扱いにするのかという議論。それから、現状から見ますと、税収減が大きく生じる可能性もございます。

 こういうあたりもよく考えて、住宅についてどういうふうな手当てを消費税を今後考えていく上でしていくべきかという根本論はあろうかと思います。

 現在のところ、一〇%へ引き上げるという前提の中では、やはり需要が、大きく住宅市場が変動するということについての平準化という観点から、住宅ローン減税を拡充するとか、あるいは住宅資金の贈与税の非課税措置を講じる、しかもそれをかなり長いスパンでとることによって平準化して、住宅市場についてある程度の配慮をするというような形で講じてきているということ、これも一つの方法だろうというふうに思っております。

 とりあえず、お答えとしては、以上のお答えとさせていただきます。

古本委員 海外の例をおっしゃらなかったんですけれども、諸外国では取っていない国も少なからずありますね。そのことも含めてよく研究をしていただきたい。これは宿題として財務省に求めておきたい。

 国交省も、しっかりと遠慮なくこの議論はしなきゃいけませんよ。自分のところの職員、若手がやがて家を買うんだろうということを思い浮かべて、親身に考えないといけませんね。

 さて、今の非課税の中に医療が入っていました。

 きょうは厚労省も来ていただいています。

 当時の合意内容、三党合意及び抜本改革法七条によれば、医療の損税の問題、今、主税局長が重要なことをおっしゃっていただきましたね。非課税にしたら仕入れ税額控除ができない。税の理屈で当たり前ですね。他方、ゼロ税率にしたらどうなるんですか。ゼロ税率にすれば費用控除できますね。課税、しかし税率はゼロ、やり方は幾らでもありますよ。

 当時、非課税という言葉に、医療業界全体が、海のものとも山のものともわからない消費税という新しい税に、混乱する中で同意しちゃったんです。歴史をひもとけば、そういうふうに私は理解していますね。それで、これを診療報酬で賄うという当時の流れだったというふうに、法律にもそう書いてあります。

 きょう、資料をお配りしております。資料の九ページをごらんいただきたいと思います。

 これは、四病院団体協議会、四病協ほかから提出の、先月出たばかりのほやほやの医療機関における消費税に関する調査結果でございます。

 病床規模別分類を見ていただくと、論点の所在が明らかでございます。何と、四百床を超える大病院は消費税のかぶり分、なぜならば病院は調達したコストに係る消費税については転嫁できない、なぜならば控除できませんから、医療は非課税ですから、そして診療報酬で補填していただくという約束で、今、補填率は七割しかありません。

 残りの三割は金額に置きかえると幾らぐらいですか、厚労省。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 今、先生の御質問を機械的に計算いたしますと、まず、現在の医療費、国民医療費ベースで四十兆程度になりますので、それに三割を掛けた数字というふうに承知をします。

古本委員 厚労省、もう一度答弁した方がいいと思いますよ。消費税の負担かぶりの金額ですから、そんな巨額な額にはなりませんね。そのうちの消費税のかぶり分ですから。

吉田政府参考人 失礼いたしました。

 医療費全体に消費税率分がかかり、それの三割という形になろうかと思います。

古本委員 実額で何千億円かぶっていますかというお尋ねをしています。暗算すれば出ますよね。

吉田政府参考人 失礼いたしました。

 機械的に計算しますと、六千億という数字になろうかと思います。

古本委員 妙に声が小さくなっているじゃないですか。こんなことでは、全国の病院経営の最前線に立っている人が厚生省を信頼できないですよ。

 大臣、これは結局、急性期で高度の医療を頑張ってやろうというところほど、常にデバイス、CT、MRI、最新型の医療機器を入れて、患者様に最高の医療を提供しようと頑張る。それから、薬剤にしても、ステントだ何だ、そういう医療器具にしても、これは全部、消費税が仕入れ段階でかかっていますね。

 他方、ベッド数百九十九床以下、つまり中小、診療所クラスになると、ほぼ一〇〇%補填されています、診療報酬による補填率。さらには、一五〇%以上補填されていますとアンケートで真面目に答えていただいた病院も四十二もあるというんです。

 こういうのを逆ざやというのか経営努力というのかよくわかりませんが、これで日本の本当の急性期、高度医療を守れるんですか。

 今、大病院の経営者の皆様は、ドクターはいい薬を使いたい、最高の医療機器で診察してさしあげたい、日本最高峰のことを各拠点病院でやりたいと思っても、消費税をかぶらなきゃいけないしなと思ったら、何となく、処方するときの手も、新薬をやめて、ちょっとこっちにしようかなみたいになりますよね。

 医療の非課税の問題も、平成元年から既に二十七年に及びずっと論争しているんです。さすがに、一〇ポイントを前に、今後とも診療報酬で賄うのか。その際には、大病院のかぶり率は余りに気の毒。

 そして、さっきの不動産、住宅取得とあわせて、これは三党合意で、いやしくも、一番肝心なところ、これは委員長に理事会で確認をいただいていますけれども、(資料を示す)衆議院議長町村先生、当時自由民主党税制協議最高責任者のサイン、そして公明党の方は斉藤鉄夫先生のサイン、筆でサインしていますから、手前どもは藤井裕久元大蔵大臣、当時税調会長のサインで、これは責任を持ってやり遂げようと決めたことなんです。

 一〇ポイントを前に、医療の損税の問題をこのままにして、私はこれでは申しわけが立たない。当時、この筆書きの墨の準備をした人間として、物すごく責任を感じますね。

 これは、診療報酬の補填でさらに充実させるのか。そもそも医療は非課税だということで、少しお互いにかけ違った問題を、この際ゼロ税率で控除をやってもいいんじゃないかといくのか。それとも、巷間うわさされている、軽減税率を医療にもかけようじゃないかと。僕は軽減は大反対ですからね。なぜならば、軽減ということは、何%か知りませんが、病院に行って消費税がかかるということになるんですからね。選択肢は恐らくゼロ税率で控除しかないんじゃないかなと思いますけれども。

 今の主税局の基本方針を聞かせてください。

吉田政府参考人 申しわけございません。

 御質問の流れの中で先ほど答弁申し上げたのを、少し事実関係を補足させていただきたいと思います。

 委員御指摘のように、昨年の四月の消費税の引き上げの際におきましても全体として診療報酬の手当てをしていて、その配分が適切かどうかという御指摘かと思います。

 マクロとしましては、私ども、医療経済実態調査などに基づきまして、医療機関全体の課税経費割合、そして仕入れに対する消費税の引き上げの影響というものを算出いたしまして、全体としての必要財源というのを確保し、それぞれを、初再診料ですとか入院基本料などという形でまず手当てをさせていただいたという事実がございます。

 その上で、配分あるいはそれぞれについて補填状況を調査すべきという御要望をいただいておりますので、私どもとしては、前回やらせていただいたのはマクロとして確保させていただいているということを申し上げた上で、今後、その補填状況などの調査については検討してまいりたいというふうに思っております。

 済みません。事実関係だけ補足をさせていただきました。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 税制改革抜本法の第七条トというところに、医療の関係についての条項があるわけでございます。

 その中に幾つか課題が書かれておりまして、一つは、「医療機関等の仕入れに係る消費税については、診療報酬等の医療保険制度において手当をすることとし、」云々とありまして、「医療に係る消費税の課税の在り方については、引き続き検討する。」こういうふうになってございます。

 この条項を踏まえまして、今般、消費税が五から八に上がる等々のときには、今申し上げたような、非課税に伴う問題をクリアするということから、社会保険診療報酬についての仕入れ税額の相当分の上乗せという形をやってきたということでございます。

 これから、今後どうするんだというお尋ねということであれば、今後はどういうふうな検討方向かということかと思います。

 先ほどから先生の御指摘の中にありますように、やはり医療関係者の方々から、このままの対応では、例えば高額な設備投資を行う医療機関では、なかなか補填が十分ではないのではないかというような視点などがあることも聞いておるわけでございます。

 したがいまして、与党の税制改正大綱、年末、二十七年度改正でまとめました中にも、そうした問題意識を頭に置きながら、次のようなまとめになってございます。医療に係る消費税の税制のあり方については、個々の診療報酬項目に含まれる仕入れ税額相当額分を見える化することなどにより実態の正確な把握を行いながら、医療保険制度における手当てのあり方の検討等とあわせて、関係者の意見も踏まえ、総合的に検討し、結論を得るということでございます。恐らく、多角的な議論をしなければならないということで、こういうふうになっているということでございます。

 それから、ゼロ税率、課税化というお話がちょっと出たかと思います。

 感想だけ申し上げますと、まさに課税に転換していくということでございますので、課税化することになると、国民の理解を得られるかということで、税率水準をどうするかという話になって、ゼロ税率云々、こういう話になっていくんだろうということだと思います。

 それから、課税化になりますと、例えば小規模の診療所におきましては、免税事業者が多いわけですけれども、納税事務をどうするかとか、さまざまな論点も出てくるんだろうと思います。そのあたりも含めて、どういう問題が生じるかということもきちっと整理をしなければならないというふうに思います。

 いずれにしましても、今申し上げましたような二十七年度の大綱の趣旨を踏まえまして議論を進めていくということになろうかと思っております。

古本委員 あわせて、車体課税の話もあるわけなんですが、きょう、十六ページ、十七ページ、十八ページに、今回の二七改正の政府原案におけます法人税関係以外の租特、いわゆる、与党で電話帳でチェックするというものですね。各業界の要望を受け入れていろいろやるということ、業界のみならず、いろいろな地域の声を聞いてということなんでしょうけれども。

 これは、黒三角が政策減税です。そして、プラスと書いていますのが政策増税です。したがって、最終的なネットは、トータルで五兆九千億円の政策減税をする一方で、十八ページです、一兆七千億円の政策増税をかけ、ネット四・二兆円の政策減税を入れる、これがことしの規模感ですよね。

 大玉を見てみると、どれかというと、プラスでとっているのがあるというのは、実は与党の先生方も余り知らない。プラスになっているのはナフサですよ、一兆三千億円。これとて、民主党政権のときに随分減税しましたよ。そもそもナフサというのはどうするんだと。原料に課税するのか、材料に課税するのか、原料ナフサですから、随分議論しました。

 その下、これまた燃料関係ですね、石炭関係。そして、めくっていただいて十八ページに、ここに車体課税が出てくるわけですよ。プラス二千三百五十億円、自動車重量税の特例というものです。

 この特例というのは、昭和四十六年に重量税が創設されてから、わずかに三年後、昭和四十九年に、当時の、福田康夫さんのお父様である福田赳夫先生が大蔵大臣の時代に決めたわけでありますね。そのときの国会答弁は何度も読みました。これ以上、オイルショックの我が国にあって、自動車が販売されたら、ただでさえコンビナートのガソリンが空っけつになっているので、販売を抑制する目的から重量税を重課したいと答えておられますよ。

 大臣、今、車が売れなくて困っている人々も一方ではいて、そして、一家に一台しか車がない地方の方、できれば二台目が欲しい、三台目が欲しいという方の非常なおもしにこれはなっている。

 この租税特別措置で、租特といったら、一般的に減税ばかりのイメージがありますね。牛の減税とか、いっぱいあります。牛肉だけはなぜか、売ったって減税になるんですよ。これは当時の山中貞則先生たちがつくった税制ですね。一々ひもときません。大臣がよく御存じのとおりです。

 何と、我が国のGDPの根幹を支えている車、販売を抑制する目的で重課したものが今でも残っているんですよ。これはいけないということで、昭和四十九年、一トン当たり定価五千円、本則五千円と書いていたのを、福田先生の御尊父が一万二千六百円にしたんです。二・五倍ですよ。かけもかけたり三十六年。もういいだろうと、人生というのはめぐり合わせですね、何と、御子息である福田康夫総理のときに道路特定財源は廃止されたんです。もう役割は終えただろうということで、民主党政権でトン一万二千六百円をトン一万円、そしてさらにはトン七千五百円まで今下げてきて、下野し、万事休すというところで、まだ続いているんです。

 古川提出者、我が党の税制の物すごくわかりやすい例だと思うんですよ。ことし一年何とか景気浮揚だといったら、エコカー補助金というのは有効だったかもしれませんね。あるいは、エコカー減税というのも、つまみ食い的にはいいかもしれませんね。

 そもそも制度として、これ以上車が売れてもらっては困るんだと。道路建設促進目的もあったと思いますよ。でも、日本全国津々浦々、舗装率九〇%を超えている中でこれ以上つくってどうするんですか、少子化が進んでいく中で。その上を走っていく人間、人口が減っていくんですよ。若い人は今、免許を取ったって、自転車でいいと言うんですよ。これだけ保有コストが高くてはならぬということで、根本から、国家二十年、三十年、いや四十年ぐらいの計に立って、思い切って政策減税を入れたんじゃないですか。

 これは根本的な自由民主党と民主党の税の考え方の違いだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

古川(元)議員 今、古本委員から御指摘がありましたように、自動車が相当な重課をされてきた歴史というのは、これはもとをただせば、自動車を持っているとぜいたく品だとか、やはりそういうところからあったんですけれども、今や自動車はまさに生活必需品、特に地方になればなるほど、今、公共交通機関などもどんどん廃止されておりますので、これはなくてはならない存在になっているわけであります。にもかかわらず、さまざまな理由づけ、あるいは一度かけてきたからというのでずっと続いてきた。

 そして、本来であれば、自動車取得税などのものは、昭和六十三年に消費税の導入が決まったときに同時に廃止をされなければ、消費税は二重課税のようなものでありますから、そうしたものが残ってきたわけでありますから、私どもとしては、今や自動車というのはぜいたく品ではなくて生活必需品である、そうした視点から、自動車の関連諸税を簡素化する。

 私も、同時に消費税以外で個別の間接税をかける場合には、グッド減税、バッド課税という考え方。これは、環境に負荷をかけるとかあるいは健康に悪いとか、そういう新たな時代の中で、課税に根拠がなくて税金をかけるというのはやはり好ましくないわけでありますから、今の重量税のようなものは、もともと今の古本委員の御指摘のようなものとか、あるいは道路建設のため、そういうところであったわけでありますから、そうした課税根拠がなくなった以上、やはりそれはちゃんと別の理由づけがなければならない。

 そうした視点で、古本委員にも大変御協力いただいて、私ども、重量税のグリーン化というものも進めたわけでありますけれども、今後とも、私どもとしては、自動車については、生活必需品であるという観点から、自動車ユーザーの負担をできるだけ少なくする。そうした視点に立って、しかし、それでも、課税の根拠として、環境というところから、今、温暖化問題とかそういうのもあります。我々の政権のもとでも温暖化対策税というようなものを導入いたしました。

 そうした視点から、国民の皆さん方、納税者の皆さん方にも納得していただける、理解のいただける、そうした範囲で御負担はお願いするものの、やはり基本的には、自動車についての税負担というものは、生活必需品である、そうした視点に立ってできるだけ軽減をしていく、そうした方向性をこれまでもしっかり私ども実現してまいりましたし、追求してまいりましたが、これからもそうした方向を目指してまいりたいというふうに考えております。

古本委員 ある自民党の大物の方から、我が自由民主党は、一円でも自動車減税する財源があるならば一メートルでも道路をつくってみせると。これを、道路調査会長ではないですよ、ある方から言われたときには、根本的な税の考え方の違いを感じましたね。

 やはり、道路特財というものをつくり、そしてそのための財源の根拠として揮発油税、取得税、重量税、地方税もありますけれども、創設してきて今日に至り、ある一定の役割を終えたら改廃をしていかなければ、この租特というのは政策減税も政策増税もともにワークしない、機能しない、活性化しない、新しくならないと思いますね。

 きょう、牛の減税は特に踏み込みませんけれども、ここに出ているとおりですよ。なぜか牛の売買をしたら減税になるんです。いまだに残っていますね。

 さて、もう一つの大きな課題、軽減税率の話。

 きょう、資料の三ページに、大変懐かしい資料を引っ張り出してきました。平成元年に消費税が導入された際に、間接税たる物品税が廃止されました。そのときに残されてしまったのは、不動産取得税とか自動車取得税なんだろうと思いますよ。これは間税ではないという整理を皆さんはするけれども、一般国民にしてみれば、消費税以外にかかっている税ですよ、不動産取得税。そうですよね、国交省。消費税以外にかかっていますよ。

 きょうも別の目的で経産に来ていただいていて、出番がちょっと今のところなくて申しわけないですけれども、消費税以外にかかっている取得税、自動車取得税、これは間税じゃないという整理を言うんでしょうけれども、かかっていますよ。国民にしてみればそう感じますよね。

 この物品税、何と、昭和十二年の八月、支那事変戦費調達目的税で創設されたんですよ。昭和十二年ですよ、麻生さん。そのときの根拠は、戦費の調達を第一義とし、同時に、しゃし的、大変難しい字を書きますけれども、奢侈的消費抑制、豪華なもの抑制。販売抑制の思想はここから来ているんですよ。まさにここから来ているんですよ。

 そして、その戦争をやっている折から、豪華なものを抑制しようという理屈、販売を抑制しようといいながら、戦費がどんどんかさんでいく中で、これを財源にしようと途中から財源目的に変わり、最初は十品目だったのが、わずか七年後の昭和十九年、もう戦争末期、大変な塗炭の苦しみを国民が味わっているときに百四品目にふえたんです。最初、レコードがぜいたく品になったんですね。

 若干意地悪質問かもしれませんが、主税局長、御存じでしたら。当時、レコードといえば懐かしいですね。「黒ネコのタンゴ」は課税でしたか。「およげ!たいやきくん」は課税でしたか。もし違いが御説明できるんでしたら、どうぞ、通告していませんけれども。

佐藤政府参考人 技術的な問題でございますので。

 レコードが物品税発足当時から入っていたことは、資料で見て知っておったという程度でございます。

 それで、私もいろいろ思い起こすところ、この物品税にどういう品目を対象とすべきかという議論は、それ以後、いろいろな形でなされたということです。

 今先生からお話があった、歌謡曲か童謡かということで、同じレコードでも、童謡をレコーディングしているレコードと歌謡曲をレコーディングしているレコードは同じか違うかということで、童謡ということであれば非課税という扱いだったと思います。その辺の論争があったということは、物の資料を見て読んだ記憶がございます。

古本委員 「およげ!たいやきくん」は教育的観点ということで非課税、「黒ネコのタンゴ」は課税だったそうです。

 せっかくですから、中原局長、記憶はありますか。今僕が言ったことは正しいですか。どうぞ。

中原政府参考人 お答え申し上げます。

 全く記憶にございません。

古本委員 では、ここで真打ち登場ということで、大臣、御記憶はありますか。

麻生国務大臣 戦後生まれの人に聞いても無理だろうなと思いながら聞いていましたけれども、レコードといったって、今どきこんなレコードを覚えているやつはいませんからね。だから、皆さん方の世代ではみんなこれでしかない世代だと思いますが。我々の世代はこれですから。

 だから、その意味では、今言った意味で、あのときは、軍歌もたしか違ったと思いますね。童謡と歌謡曲だけ分けたのではなくて、軍歌もたしか違ったと記憶します。どうやって分けたのか非常に不思議なぐらいに分けられた。結構、戦後、何だかんだ言いながら続いたような記憶があります。

古本委員 事ほどさように、ちなみに、物の本によれば、「たいやきくん」は非課税だったそうです。「黒ネコのタンゴ」は課税されたそうです。

 めくっていただいて、四ページ。ゴルフ用品は課税でテニス用品は非課税、サーフボードは課税でスキーは非課税、さらに、コーヒーはなぜか課税されているけれども紅茶は非課税。

 これは、当時の自由民主党税制調査会は沸き立っていたと思いますよ。税の利権、陳情の度合い、頭の下げ度合いで、場合によってはパーティー券の買いぐあい、いろいろなことで税が動いたと思いますよ。(発言する者あり)

 古川提出者、ど真ん中にいらっしゃった古川提出者として、こんな物品税の、もとに戻る軽減税率なんて絶対やっちゃだめだと思うんですけれども、いかがですか。

古川(元)議員 まさに物品税、何を課税にするか非課税にするか、この区分けができないという限界が、消費税の導入というものに至った一つの大きな要因であった。これは、自由民主党でずっとこの税にかかわってきた方から私も聞いております。当時、私もその一番末端におりまして、そのことは実感をいたしておりました。

 ですから、軽減税率を入れる、複数税率を入れるということは、これは消費税のあり方、根本に大きな制度変更を行うことになって、結局、個別物品税のときにあったさまざまな問題、そして今、古本議員から指摘があったような疑念、そうしたものを生み出してしまう。まさに、納税者の視点に立って、公平で透明で納得できる税制というものとは真逆のそうした形になってしまう。

 そうした観点からも、私どもとしては、低所得者対策は、複数税率によるのではなくて、消費税額を還付するという形の給付つき税額控除の方向を考えていくべきではないかというふうに考えております。

古本委員 簡素な給付措置というものを当時決めたんですね。こういう税戻しには番号が要ります。それから、軽減税率にはこういうリスクがあります。税の先祖返りを招いてしまう。したがって簡素な給付措置、今、臨時福祉金ですか、この給付状況について、済みません、僕の配分が下手くそだったので、簡潔にちょっとお願いしたいんです。

谷内政府参考人 お答え申し上げます。

 臨時福祉給付金の支給実績でございますけれども、一月末時点で公表されているものでございますけれども、金額ベースでは合計で二千四百八十六億円となります。

古本委員 これを充実していくという選択肢だってあると思うんですね。お互いにいがみ合っているのもいいですけれども、やれ軽減だ、戻し税だというのもありますけれども。

 これは、毎年、民税非課税世帯に新たに入った人がまた新規で申請できますよね。たまたまことしはリストラされて給料が入らなかったという人はまた申請しますよね。

谷内政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたのは二十六年度分でございますけれども、二十七年度分につきましても二十七年度予算で措置されておりまして、ことしの住民税確定以後に申請いただければ、予算が通った後、また支給されるということになる予定でございます。

古本委員 時間が参りました。

 大臣、事ほどさように、きょうはやれなかった部分も大変多いんですけれども、税制は与党だけで決めて押し切るというのが長い文化だったと思うんですけれども、三党で協議して進めていくというのが一つの枠組みでした。当然、今、次の他会派、維新さんもいらっしゃっていますけれども、これを国会で議論していくというのは、すごく一つのアイデアだと思うんですね。

 例えば、大蔵委員会に常設委員会で小委員会をつくって、大臣の出席は大変だと思うので、議員同士が、そんな根も葉もないことを言うものじゃないと先ほどやじもいただきましたけれども、お互いにそういう議論をやる場をつくった方がいいと思うんですよ。

 そういう意味では、大臣は政府の立場ではありますけれども、そういったものを設置した場合には参考人として、多分、局長なんて忙しいでしょうから、課長級あるいはもっと若手が来て、ファクトを伝えていただく係でやればいいと思うんです。

 そういうことをお互いに議論を深めずして、この消費税にまつわる多くの課題はわずかこの十時間やそこらの議論では解決できない、私はそう思うし、そのことが、多く国民との共有というものなんて難しいと思うんですけれども、最後にそれをお尋ねして、終わりたいと思います。

古川委員長 麻生大臣、時間が来ておりますので、簡潔に答弁願います。

麻生国務大臣 一番大事なものを一番簡潔に言わないかぬことになりましたので、そういう質問の仕方に問題があるとは思いますけれども。

 これは、簡単に言えば、国会の中で決めてもらわなしようがないですね。一番簡単に言えば、そういう答えになりますよ。大臣に聞くべきじゃなくて、委員長さんやら何やらにお聞きになっていただいた方がより簡単なのであって、税というのは国と言ってもいいぐらいで、租税法律主義というのが決めてありますので、そういった意味では、真摯な議論というものが国会でなされるというのは基本的に正しいと思います。

古本委員 終わります。ありがとうございました。

古川委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 維新の党の伊東信久でございます。

 本日は、所得税法改正案の質疑ということでございまして、麻生大臣初め関係者の方々に御出席をいただいております。

 私の持ち時間、本日は六十五分でありますが、実のある議論ができますように、ぜひともよろしくお願いいたしたいわけです。

 実のある議論といいますのは、今回の所得税法改正案、時代時代に応じて、そのときの経済情勢に応じて改正していくということですけれども、目的としては、財源をしっかりと確保することだ、その財源を何に使うかということは、社会保障関係費ということも一つのテーマである、目的であると思うんです。

 私も、現在も医療の現場において、具体的には、首とか腰のヘルニアを患っている方々の治療に励んでおります。もちろん、日曜日とか祝日、地元に行っていないときなんですけれども。手前みそですけれども、何でこんなことができるかというと、私のレーザー手術というのは十五分で終わっちゃいますので、入院とかがなく、先ほども民主党の先生がベッド数のことで軽減税率、ゼロ%税率の話をされていましたけれども、私の場合は日帰りの治療で済んじゃいます。手前みその話なんですけれども、大阪において、元ボクサーで今タレントさんの赤井英和さんというのは浪速のロッキーと呼ばれていまして、辰吉丈一郎さんは浪速のジョーと呼ばれていまして、私は一応、浪速のブラック・ジャックと大阪では呼ばれているんですけれども、ヘルニアの痛みとか、そういう苦しさを取り除くだけじゃなくて、人生においてさまざまな楽しみを取り戻すことができます。

 先ほどの古本議員のお話にもあったんですけれども、私の手術は大きなデメリットがありまして、それは自費診療ということです。保険の適用外でありますので、患者さんの負担が大きくなってしまいます。しかしながら、自費診療ということは健康保険の適用外ということで、年々肥大し続ける社会保障費の増加に私の医療行為は含まれていない、そういうことです。毎年一兆円規模で増大する社会保障費が、日本の財政を残念ながら悪化させている一因となっていることは明らかでございます。

 話はちょっとかわるんですけれども、先日、二〇一九年の日本のラグビーワールドカップの出場が決まって、いわゆる開催地について決定がございました。その中に、ラグビーの聖地である東大阪市の花園ラグビー競技場も見事に選ばれました。

 またまた手前みそというか、ちょっと自慢になりますけれども、今から三十三年前の一九八二年、昭和五十七年に、私も全国高校ラグビーフットボール大会に、兵庫県の神戸高校というところなんですけれども、兵庫県の代表として出場しました。記録によると、そのときの社会保障関係費、一九八二年、昭和五十七年では九兆円になっています。

 そこから、医者になって椎間板ヘルニアのレーザー治療をして、昨年お亡くなりになったやしきたかじんさんの椎間板ヘルニアを治療した二〇〇六年、この当時の社会保障関係費は二十・五兆円になっております。そして、私が国会議員に初当選した二〇一二年の社会保障関係費は二十六・三兆円でございます。そして、平成二十七年度予算における社会保障関係費は三十一・五兆円と年々増大しております。

 もちろん、高校時代、一生懸命ラグビーをやって花園に出て試合をしている私は、その九兆円という社会保障関係費のことを実感しているわけでもなく、私自身も今グラウンドドクターも兼ねてやっているんですけれども、社会保障関係費は大事なことはわかります。しかしながら、今申し上げましたように、年々年々増大しておるのは事実でございます。日本の財政再建のためにはこの社会保障費の抑制が不可欠であるというのは、皆様も共通の認識だと思うんです。

 ここでお尋ねしたいのは、一年ごとに一兆円規模で増加する社会保障関係費を、財務・金融大臣としてどのように抑制していかれるおつもりなのか。麻生大臣にお願いいたします。

麻生国務大臣 これは、伊東先生がおっしゃるように、国家予算九十兆のうち三割が社会保障ということになって、しかも、保険ではとても賄い切れず、税金もというような形で、公費負担相当が約四割ぐらい、保険料は依存しておりますので、大きな金なんだと思いますが、やはり特例公債等々で先送りをというのはいかがなものかということは、皆ほぼ同じ認識になってきておられるような感じがしますので、かつてみたいにわんわんわんわんということはなくなってきた、私はそれはそう思っているんです。

 公債依存度は二十七年度が三八%まで落としてきていますけれども、いずれにいたしましても、私たちのもうちょっと後の世代の、いわゆる団塊の世代と言われる方々が七十五歳になられるのがオリンピックの二〇二〇年ということになるので、そうするとやはり、受益と負担のバランスのとれた社会保障制度というのを今後構築していくことにならないといかぬということなんだと思います。

 これまでの安倍政権の中でまずやらせていただいたものは、いろいろ、まだ時間があれだと思いますが、三つやりまして、生活保護の見直しが一つです。これは約六・五%ぐらい、この三年間で減ったと思います。診療報酬の改定もさせていただいて、平成二十六年度予算でいきますと一・三六%の引き上げ、診療報酬本体に戻さずという形にさせていただいたり、平成二十七年度ではいわゆる介護報酬の改定というのを、二・二七%などの改革をさせていただいております。

 いずれにおいても、こういったようなことではなくて全体のことをきっちりと考えてやらぬと、今後、少子高齢化ということが進んでいきますと、これは間違いなく、先ほど間接税の話も出ていましたけれども、働いておられるいわゆる勤労世代が減ってきて、そうじゃない世代がふえてくるということになりますと、どう考えたって社会保障というものは高齢者になればなるほど高くなりますので、いろいろなことを考えていかないといけない。今のような、現象面だけちょこちょこちょこちょこじゃなくて、全体を考えないといかぬところまでもう来ている、私はそう思って、同じ七十歳でもぴんしゃんしているのもおれば、私はもう七十五歳ですから、後期高齢者ですからね。だから、小学校の同窓会なんかに行けば、テレビでしょっちゅう見ているので、太郎、元気かと言われても、声をかけた本人は、ほぼ原形をとどめないような顔に変わっている人。全くわかりませんものね、これじゃ、声をかけられても。知ったふりはせないかぬし、本当に困るほど違うんですけれども。

 しゃんしゃんしているのもいるんですよ。すっと歩いていくのもいるし、全く、あんなに元気だったやつがというのを見ますと、やはりそういう健康年齢の高い人がふえる比率という形を考えるという全体で考えないと、長野県の佐久記念病院の話やら何やら聞きますと、一人当たりの医療費は全国平均で多分今でも最低になっておると思います、一番最高のところと比べて半分ぐらい違いますので。そういった意味では、やはり全体で考えねばいかぬ問題というのは非常に幅広くいろいろある、私どもはそう思って、これはすごく大きな問題だと認識をいたしております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 大臣も先ほど、現象面を捉えるんじゃなくて全体をとおっしゃっていただいて、医療の世界でも、血が出ている、血をとめるのは当たり前だけれども、何で血が出ているか、けがをしているのか、そもそも血がとまりにくい体質になっているのか、対症療法というんですけれども、その場その場じゃなくて全体を見るというのも大事なので、まさしく日本の財政の病に関しまして、全体を見ることも大事だと思うんです。

 ただ、まさしく昨年末の総選挙の前に、この財務金融委員会で麻生大臣に、同じような、社会保障関係費の抑制についてお尋ねしたときに、これは別にあのときの答弁がどうだったと言っているわけじゃなくて本当に心配しての質問になるんですけれども、あのときは、国際的な信用もあるので消費税の増税を延期することは現時点では考えられないと、お立場もあってそういった答弁だったと思うんです。

 では、逆に考えますと、財源として、社会保障関係費の財源をということで消費税増税があったと思うんですけれども、一方では社会保障関係費を削減しなければいけないけれども、かといって社会保障の充実という意味も考えて、抑制、抑制と我々そして私も申し上げますけれども、この現在の状態で社会保障関係費の財源としては大丈夫なんでしょうか。そのあたりを関係者にお答えいただければと思うんです。

麻生国務大臣 大丈夫なんでしょうかという、その大丈夫の定義が物すごく難しいと思うんですが、全てが今のままでいきますと、人口構成、人口減、それから少子高齢化という点だけが変わっていくことは間違いありませんので、その点からいけば、極めて大丈夫ではないということだと理解をしております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。もちろん、大丈夫なんでしょうかと御質問すれば、大丈夫じゃないとお答えされると予測してお聞きしたわけなんですけれども。

 いずれにしても、財政再建のために社会保障費の削減は避けて通れない。つまり、入ってこないのであれば、出る方を考えていこうよということは正しいことだと思いますし、入ったとしても、無駄な歳出があるのであれば、それをみんなで考えていこう、そういう時代になっていると思うんです。

 社会保障と税の一体改革の中でも常々議論、昨年も議論になったんですけれども、後発医薬品、つまりジェネリック医薬品の使用促進というのも大きな柱となっております。現在、ジェネリックの医薬品というのは社会保障費の削減に大きく貢献していますし、今後もその割合をふやしていこうという答弁は、昨年、解散前の臨時国会において麻生大臣にもいただきました。

 ジェネリック医薬品というのは、いわゆる化学的な結合でつくられている、そういった薬剤に対しての後発品ということなんですけれども、今現実に世界のベストテンのうち七品目入っているのがいわゆるバイオ医薬品と呼ばれるものでありまして、一つ一つの単価が非常に高いわけです。バイオ医薬品自体、非常に副作用もなく、効果もあるということで注目されているわけなんですけれども、このバイオ医薬品と普通の医薬品というのは別物として捉えられております。

 このバイオ医薬品の後続品であるバイオシミラー、先日の予算委員会でも塩崎厚労大臣にも質問させていただきました。バイオ医薬品の後続品であるバイオシミラーもジェネリック医薬品と同様に社会保障費削減に貢献できると考えているんですけれども、財務省としてはどのようにお考えか、もしくは麻生大臣はどのようにお考えか、お答えいただければと思います。

麻生国務大臣 ジェネリックの中でも、高分子、低分子、多分その分け方でなっているんだと思いますので、その程度の知識しかありませんけれども、多分、バイオに似ているからシミラーなんでしょうね。そういうような、バイオ医薬品の後続品ということになるんでしょうが、日本においては、これはジェネリックということで分けないで、一分類で分けてあるというのは事実そうなっております。

 これにつきましては、後発医薬品の普及というものは、アメリカでも九割ぐらいになっていると思うんですが、日本はついこの間まで四割ぐらい、それが少し上がってきましたので、今六十幾つまで上がってきていると思いますけれども、それでもまだまだ。そういった中にあって、バイオシミラーの方につきましても、普及はさらに低いということははっきりしております、日本の場合は。

 そういたしますと、日本としてもさらなる普及というのをやっていく必要に迫られているのははっきりしている、私どもはそう思って、これに対する抜本的な対策というのを考えないかぬ。これは主に厚生省がおやりになるんだと思いますけれども、私どもにとりましては、その方が効果があって、がたっと下がるというのでは、これは極めて大きい意味を持つと考えております。

伊東(信)委員 先ほど、高分子と低分子とおっしゃっていただきましたけれども、まさしくそのとおりで、簡単に言うと、分子ですので目には見えないですけれども、これぐらいの粒がこれぐらいの大きさ、それぐらいの差、大きさの違いがあります。

 シミラーという言葉、似ているとおっしゃいました。まさしくそのとおりで、あえてジェネリックという言葉を使わず、バイオ、生物に似ているという表現を使っているわけなんですけれども、あえてこのバイオシミラーを分けているというところを御理解いただければと思います。

 通告もしていませんので、質問もしませんけれども、先ほど、ジェネリックは海外では九割、これは数の問題だと思うんですね、日本は四割から六割に上がってきていると思うんですけれども、医療費においてはほとんど、バイオシミラーが薬の中で占めている割合が大きいわけです。

 これはなぜかというと、生命にかかわる疾患を扱うときに生物製剤を使うからです。がんの免疫療法であったり、成長ホルモンであったり。免疫抑制剤というのもあります。免疫抑制剤というのはリウマチなんかで使うものなんですけれども、その免疫抑制剤が必要なのが、有名なところでクローン病であったり、潰瘍性大腸炎であったりするわけです。ですので、本当に、安倍総理なども潰瘍性大腸炎の治療で生物製剤を使うのであれば、このバイオシミラーも考慮していただきたいと思っております。

 先ほど、同じ世代の人間にもいわゆる健康寿命というのがあって、すごく元気な人も、ちょっと残念ながら衰えてはる方もおられるとおっしゃいましたけれども、やはり、元気であれば働く意欲もあって精力的なので、金銭面というか収入面でも違いというのは残念ながら出ています。社会保障ですので、それをカバーするために高額医療というのがあるわけなんですけれども、現実、ジェネリックで安くなれば患者さんの負担も少なくなるということがあるんですが、バイオシミラーの場合は、生物製剤はすごく高額ですので、バイオシミラーにして減っても、高額医療費を超えてしまうわけですね。だから、患者さんの負担というのは変わらないんですよ。

 だから、まさしく大臣には現象面じゃなくて全体をとおっしゃっていただいたので、こういった制度のことがあってバイオシミラーというのは注目されていないというのも、ここでちょっと御理解いただければ幸いです。

 この話をするとちょっと長くなるので、バイオシミラーの話はここらでおさめまして、ここからはNISAについて御質問させていただきます。

 昨年、イギリスのISAの日本版として創設されたNISAですけれども、発売された当初と発売される前は割と期待もされていたんですけれども、残念ながら、期待したほどの成果を上げていないように感じます。

 NISAは、二十以上の人が証券会社や銀行に専用口座をつくると、通常だと源泉分離課税二〇%が課されるところ、配当金や売却益にもこれが課されないというものです。このNISAの役割というのは、今まで株式市場にかかわりがそんなに深くない個人と特に若い世代の方々、若い人たちが投資を始めるきっかけになればということでしたけれども、NISA口座を開いた人のうち、若いと言われている二十代から三十代の割合は何と二〇%以下。若い世代の投資に対する関心の低さというのも、今回のNISAの導入によって明らかになったのではないかなと思います。

 仮にNISAに興味を持ったとしても、やはり二十代の方は、三十代の方もそうなんですけれども、ネット世代と言われていまして、ネットになれている若い世代からは敬遠されている傾向もあるようです。NISAの口座というのは、窓口に行って、本人確認のために住民票というのも必要になってくるので、ネットとかに比べて面倒くさい、住民票もとりに行かないといけない、そういった声も聞かれるのも事実です。

 ただ、NISAの専用口座自体は、初年度の目標を大きく上回る八百万件を超えております。しかしながら、実際には、投資に使われない状態の、いわゆる休眠状態の口座が半数を超えて、稼働率も五〇%を切っておって、ちょっと言葉は悪いですけれども、二十代、三十代が二〇%以下ということは、四十代、五十代で、そもそも投資をされたり銀行や証券会社とふだんからおつき合いのある方が、担当の方とか銀行や証券会社とのおつき合いで口座を作成しただけにすぎなかったといった事実も多々あったようです。ある意味いいことなのかもしれないけれども、投資初心者にとっては商品が余りに多過ぎて、何を買えばいいのかわからないといった声もあるようです。

 さて、今回の法案の中にもありますけれども、現在五〇%以下であるNISAの稼働率を今後どのように上げていくのか。方針がおありであれば、麻生大臣、教えていただきたいのですけれども。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 NISAの稼働率を上げる戦略についての問いでございます。

 先生御指摘のとおり、口座数は八百万口座を上回りますし、買い付け金額も三兆円弱ということでございますが、伝統的な窓口営業を主体としている証券会社について見ますと、稼働率が約四五%ということは御指摘のとおりでございます。この稼働率を上げていく取り組みにつきましては、多面的な取り組みが必要かと思っております。どのような投資商品、金融商品を提供していくのか、また、それを投資家にどのように説明したりPRしていくのか。

 また、投資家サイドについては、投資リテラシーあるいは金融リテラシーというものをさらに上げていくような努力が必要かと思います。従来、預金に何となく置いておいた、あるいは寝かせておいたということから、経済が正常に、緩やかなインフレになっていく、こういう経済が変わっていく中で、適切な資産分散のあり方というもの、これは投資教育とか金融経済教育というふうに申していますが、こういったものに取り組んでいく必要があると思っております。

 金融庁としても、金融庁が主催したり、あるいは他の方が主催されるものに共催、後援の形で、例えばシンポジウムやセミナーを開いたり、あるいはそれに参加したり、そういうことに取り組んでいらっしゃる方をサポートしたり、あるいは、実際には、こういう投資教育に参加していらっしゃる方々の集まりなどがありまして、その方々向けに、金融リテラシー・マップといいまして、さまざまな世代、小学生、中学生とか、それから、家計の設計からリターンとリスクの関係のように、項目に分けまして、勉強する、習得する目標のようなものを掲げていますが、そういったものを分類したものをみんなでつくっておりまして、それを参考にしながら、投資家あるいは消費者と接しておられる方々がそれぞれ創意工夫を凝らしてパンフレットや資料をつくって、セミナーなど、あるいは講師、講演などをしておられます、こういったことをサポートしているという状況もあります。

 また、金融機関向けには、金融機関がNISAの趣旨にかなった商品をつくるように、監督指針、これは金融商品取引業者向けの総合的な監督指針という名前のものでございますが、これを改定しまして、そういう商品をつくることを慫慂したり、あるいはその説明などについても、的確な説明をすることを求めております。

 こういった多面的な取り組みが必要だと思いますし、地道な取り組みが必要だと思っておりまして、それをしっかり進めてまいりたいと思っております。

伊東(信)委員 こういったものは、ミラクルメディスン、特効薬はないと思うんですけれども、当たり前ですけれども、地道にやっていくということなんだと思うんです、今の答弁をお聞きすると。

 では、五〇%を切っている稼働率で、四五%だと今答弁いただいたわけなんですけれども、これは今の施策でどれぐらい上がると見込まれていますか、もしくはどれぐらいを目標とされているんでしょうか。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 限度額というのを今設定しております。これまでのところは年間投資額百万円でございまして、今回、月々に投資する切りのいい数字ということで、月々十万掛ける十二カ月ということで、百二十万に上げさせていただいています。これは、百二十万円が目標といいますよりも、十万円という切りのいい数字で投資できる、こういう趣旨で制度変更をお願いしたものでございます。

 目標といいましても、それぞれの家計の資産状況、収入状況がまちまちでございますので、一律にこれを全部一〇〇%、改正後であれば百二十万円に持っていくということは、やり過ぎるということではないかと思います。むしろ、それぞれの方々のライフサイクルあるいはその人生設計に応じた適切な資産形成をしていく。こうした中で、平均的には百二十万円、あるいはジュニアNISAも入れますと、それにプラス、一人のお子さんに対して八十万円、こういったものを適切に組み合わせていただいて、それぞれの方々に適した、ライフサイクルに応じた資産形成に対するインセンティブとして機能していただけるとありがたいと思っています。

 ちなみに、例えば、主要証券会社十社の稼働率ですが、年末時点では四五・一%というふうに公表されております。一月前の数字で見ますと四〇%でございまして、これは相場状況もあるかもしれませんけれども、一月で五ポイント上がっております。こういったところから聞こえてまいりますのは、相場状況や経済状況などである程度振れるものであるということでございます。

 要約しますと、マーケット状況などで振れる、もう一つは、それぞれの方々の資産形成、ライフサイクルに応じたものであるということを踏まえながら、我々も努力してまいりたいと思っております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 施策としては、それぞれよくわかるんです。四〇%から四五%まで五ポイント上がってきたということもわかりますし、経済状況もよくわかるんです。

 そんなに追及すべきものではないので、金融庁の方針としてお聞きしたいだけなんですけれども、特にこれは、何%とかという目標を決めなくていいと捉えているという解釈でいいんですか。稼働率が上がらない、休眠状態の口座がふえている、かつ、財政を、金融を、経済を活性化させるお金の流れをつくろうという目的とお聞きしたんですけれども、そもそも、五〇%程度、五〇%以下というのは想定内の数字であって、あとは自然の流れに任せればいい、そういった解釈でいいんでしょうか。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 流れに任せるというよりは、むしろ能動的に私どももNISAの普及に向けて積極的に取り組んでいかなければならない、こういう責務を有していると思います。

 他方、先ほどの説明が不十分だったかもしれません、それぞれの家計なり、国民の皆様方のライフサイクルや資産形成のあり方によってまちまちであるというふうに申し上げましたのは、この制度は課税の公平という観点から上限の限度額を設けております。

 それぞれの家庭によって、非常に大きな資産をお持ちの方であれば、この百万円、あるいは百二十万円というのは非常に小さな上限額ということになろうかと思います。こういう方々にとっては、適切な資産形成とか、あるいは、マクロ経済にリスクマネー、成長資金がめぐっていくという観点からは、この百二十万円を超えて大きな金額が分散投資の適切な割合としてリスク資産に投資されるということが恐らく最適、望ましいのではないかと思われますし、また、非常に収入や所得、資産の少ない方にとっては、恐らく百二十万円、仮に手元に現金があったとしても、現金や預金とリスク性資産を適切に分散するという観点からは、上限額に満たないケースもあり得ると思います。

 そういうことで、全体がそういうふうな分布になっていく中で、よりマクロとして、全体として使われるように精いっぱい努力をさせていただきたい、こういうふうに考えている次第でございまして、そういう意味では、能動的かつ積極的にしっかり取り組んでいかなければいけないというふうに思っている次第でございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 私も、積極的に取り組んでいないんじゃないかと指摘しているわけではなくて、何らかの数値目標があるのかなという御質問でした。本当にまだまだNISA自体が課題を抱えているわけで、そういったことで質疑もさせていただいているわけなんですけれども、イギリスのISAも、きちんと根づくまでは十年以上現実にかかったようですので、根気よくNISAを根づかせるために、さまざまな改良が必要であると考えております。

 しかるに、申しわけない話ですけれども、私自身、今まで投資信託ということを本人としてはやったことがなくて、財務金融委員会所属ということもありますし、NISAの口座を開いて身をもって体験しようかなと考えておりまして、まずは投資信託の本を購入しまして飛行機の中で一生懸命読んでいるんですけれども、商品が多過ぎることはもちろんのこと、口座を開く銀行とか証券会社でもやはり迷ってしまうんですね。

 議員会館の中に入っている地下のりそな銀行のATMの近くに、NISAの口座、開きましたかというチラシもありまして、NISA自体が身近になっている、そういうことは感じております。

 昨年から始まりましたこのNISAなんですけれども、若年層を含む幅広い層への投資の裾野拡大が期待されておりまして、若年層の世代においては月々の給料から将来に向けた投資を行う、月々の積み立て投資は、投資時期の分散という観点からも投資リスクの分散に役立つと考えられます。

 先ほどの御答弁で、今回の見直しにおいて限度額を百万から百二十万に引き上げることになったと。確認ですけれども、一カ月十万円掛けることの十二カ月というわかりやすい数字、そういうことですね。積み立て投資を行う際の利便性を向上させて、中期的な投資を呼び込む効果があるということでした。

 では、しかるに一方、現実はどうかというと、現在のNISAの平均利用額は七十万程度と言われております。七十万程度なのに、利便性を考えて百万から百二十万に上げることに関して、やはり意味がないような気もします。

 だから、NISAの稼働率が、しつこいようですけれども五〇%以下、平均利用額は七十万程度、限度額は百万なのにまだまだ枠は平均で三十万残されている、そのような中でNISAの投資枠を百万から百二十万に引き上げることについて利便性以外にも趣旨とか意義というのがあれば納得もできるんですけれども、もしそういった趣旨とか意義があればお答えいただけますでしょうか。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 平均いたしますと、先生御指摘のとおり、七十七万円前後という数字が出てまいります。これも対面営業を中心とする証券会社十社の数字でございます。全体の悉皆的な数字がなくて大変恐縮でございますけれども、ネット証券について、これはサンプル的にネット証券五社について、ネット証券ですと金額分布がわかるということで、過去、制度開始当初にお聞きしたことがございます。

 時期的には、少し古くて恐縮でございます、二十六年一月時点、三月時点という時点で見ますと、実は、ネット証券などで見ますと、八十万ないし百万、したがいまして、上限ぎりぎりあるいは上限いっぱいの投資の方に大きなこぶがあります。一月ですと三分の一、お客さんのうち三二、三%ぐらいが上限いっぱいになっていて、真ん中が少なくて、また、十万から二十万の間、一月当たり、百を十二で割りますと八万六千六百六十六円になりますので、そういった金額の前後の方々に山があります。

 真ん中が少ないということでありまして、平均的に五、六十万とか、要するに、四五%、四十五万とか、あるいは七十七万とかいう数字というよりは、上限に張りついている方と、それから、この時点では非常に低い金額だったりとか、現在勉強中なり迷っている、あるいは、まだ投資の決断がつかないといってゼロの方、その両極で少し山がある、こういった状況でございました。

 したがいまして、平均的にみんなが七十万ぐらいなので上限が使われないというよりは、そういった投資状況を見ますと、月々掛ける方には利便性を高めることによってそれなりの投資のインセンティブがある、上限いっぱいの方々で見ても若干の引き上げ効果がある、こういうふうなことは考えておりまして、さらにその投資状況を我々もよく見ながら、きめ細かい対応が必要だと考えております。

伊東(信)委員 わかりました。平均の利用額は、いわゆるモードというか山の頂点になっているというわけじゃなくて、ならして七十万程度ということと、上限を引き上げることによって、気持ちの喚起というわけじゃないですけれども、そういったような目的と理解いたしました。

 若者への投資を喚起するという意味でのNISAなんですけれども、このたびの改正において、さらにジュニアNISAが創設されるようです。ジュニアNISAは、若年層への投資の拡大、加えて、高齢者に偏っている膨大な金融資産を若年層に移転するような契機になるのではないかと理解しております。

 改めてここでお伺いしたいんですけれども、ジュニアNISAの創設の趣旨と概要について御説明いただきたいんです。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 ジュニアNISAの制度創設の趣旨でございます。先生が先ほど御指摘のとおり、若年層の利用が一割ないし二割という状況にとどまっているということでありまして、若年層を含む投資の裾野拡大に向けてさらなる取り組みが必要であるというふうに考えた次第でございます。こうしたことへの策の一つといたしまして、未成年者にNISA口座の開設を認めるジュニアNISAというものを創設いたしまして、若年層への投資の裾野の拡大のきっかけになってはというふうに考えた次第でございます。

 また、資金の出し手となることが想定されます親とかあるいは祖父母世代、高齢者の方々から若年層への、世代間の資産の移転ということも念頭に置いています。

 高齢者などに資産形成についてのアンケートをとりますと、どういうことにお金を使いたいですか、あるいは、そのために資産形成、貯蓄が必要ですかという問いに対して、自分の老後なり病気の心配といったことに次ぎまして、孫や子供へ何がしかの資産を残したいというものが高い割合で出てまいります。

 そうしますと、現状でも預金という形で資産移転がかなりされているというふうに推測されるところでございまして、こうしたお金が資産のまま、未成年ですので、能動的に何か働きかけないとすると、そのまま預金や現金の形でいわば眠っている、置いておかれるような形になっているところにこういった制度をもちまして投資へのインセンティブを付与するということが、資産形成にも結果的にプラスになると思いますし、あるいはマクロ経済に対しても、成長資金、リスクマネーの供給の拡大につながるのではないか、こういうふうに考えた次第でございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 要するに、ジュニアNISAというのは、一に若い世代の投資家を生み出すということと、高齢者から若年層への資産の移転、そういった趣旨があるというように理解しております。

 千六百兆円を超える個人金融資産の約六割を六十歳以上の高齢者の方が持っていると言われております。高齢者の方から若い世代にお金が流れれば、若い世代の方に余裕ができて、消費がふえる可能性も確かにあると思います。また、若いときから投資に触れる機会ができれば株式投資に前向きな、まあ、無関心というのもあるかと思いますけれども、投資をするべき財源がなければ、機会というよりも、そういった気持ちも湧かないだろう、だから、このジュニアNISAによって株式投資に前向きな若者がふえる可能性もあると思います。

 私は現在五十一歳で、息子が十五歳なので、五年、十年して、もしかして私も孫ができちゃうかもしれないんですけれども、これは可能性ですよ、おじいちゃん、おばあちゃんがかわいい孫のために資産を移転するための相続税対策にもなるのではないかと理解しておるんですけれども、私の友人、知人、もう既に孫ができている者もいてます。その友人、知人もジュニアNISAに関心を持っている人が多いんですけれども、皆さんから口をそろえて聞かれることは、結局、ジュニアNISAの年間の八十万円の枠は、贈与税の非課税枠の百十万円の枠内に含まれているのか否かということです。

 一般の皆様にとって、今、残念ながら表に出ている資料からはよくわからないようなんですけれども、これは含まれているという理解でよろしいのでしょうか。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の御指摘のとおりで、八十万円ということですので、各年の贈与税の基礎控除額は百十万円でございますので、その八十万円だけを例えば孫に贈与するということであれば、この基礎控除額内におさまるということになろうかと存じます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 本当に、多少資産を持っているおじいちゃん、おばあちゃんはやはりかわいいお孫さんに資産を移転したいと考えているようなので、政府の意図と一致しておるんですけれども、やはり贈与税との関係をもう少しクリアにできたらと思いますので、また御検討の方をよろしくお願いいたします。

 先日の委員会におきまして、麻生大臣から御答弁いただいたんですけれども、若年層の金融教育が非常に大切だということは共通の認識だと思います。

 今回のジュニアNISAはゼロ歳からですので、その年代は相続税対策でありますけれども、中学生ぐらい、早ければ小学校の高学年くらいからは、お子さんによっては主体的に投資に向き合うこともできようかと考えられます。金融教育におきましては、投資ということだけじゃなくて、ややもすれば社会的な問題になるクレジットカードやローンについても金融教育は必要と感じております。

 日本におきましても、お金について学ぶことに対して、嫌悪感といいますか、きれいなことじゃないように受け取られることもややもすればあるように感じております。しかるに、金融教育というのはやはり世の中で生きていく上で非常に大切なことでありますし、逆に、金融教育を経ないで社会に出てしまうマイナス面というのもきちっと考えるべきであると思います。

 先日の御質問で申し上げたとおり、投資でいうと、麻生大臣から知っているよと御答弁いただいたコミックですけれども、「インベスターZ」、クレジットカードや消費者金融でいうと「ナニワ金融道」とか「ミナミの帝王」など、金融に関して、学校からではなくて漫画から知識を得ているのが現状である。これは事務所に来ているインターン生から聞いたんですけれども。

 先ほど政府の御答弁にあったように、いわゆる金融リテラシーの向上はやはり大変重要でありまして、金融庁は、関係の諸団体や機関などと連携して、小、中、高、大学生、社会人、さまざまな年代別それから項目別に、最低限身につけるべき金融リテラシーの内容を具体化、体系化した金融リテラシー・マップを金融経済教育会議で作成しているようです。これも、金融庁だけでなく、関係団体、専門家の方々とともに議論、検討しながら作成したと聞いております。これらをベースにして、各年齢別にモデル事業を行ったり講師を派遣して講義をしたりと、さまざまな取り組みを行っているというのも聞いております。先ほどの御答弁にありました。

 その金融リテラシー・マップを拝見させていただきますと、私が訴えていた金融教育に近しいものがあるとは思いますけれども、このマップと実際の教育現場とのかかわりについてちょっと教えていただきたいんです。

麻生国務大臣 今言われたように、「ナニワ金融道」が出たからあれですが、投資の話について、最近ですと、「モーニング」の藤田学園のあの漫画の話の方がよっぽど、投資に関しては漫画としてはよくできていますよ。僕はそう思います。あっちは金貸しの話ですけれども、こっちは金融、投資の話ですから。そういうものの方が、私は、子供にはすっと入りやすいというところだとは思っているんです。

 こういったものは、きちんとどこかで若いときに勉強しておかないと、いい年こいてから、いきなり帳簿の簿記なんかやったって、貸方、借方が全くわからない人がいきなりゼロからスタートするというのは、頭がもう固まっていて無理ですから。比較貸借対照表って何を比較するんですかなんて言われても困るんですよね。だけれども、それを現実に知らないとどうにもならぬから、もうちょっと、日本では、商業学校とかでないと、普通高等学校じゃ簿記とかを教えてくれませんから、どうしても早いことこういうものを、基礎的なところだけでもちょっと入れておかれたらどうかなと思います。

 日本の場合は、お金はとにかく現預金でじっと持っている方がかたいということになっているんですけれども、今は全然金利がつかないわけですから、そういった意味では、お金をある程度持てば、その持ったお金を何に使うかという発想をきちんと立てて、そういったものでひとつ、投資というのは決してやましいことでも何でもありませんから、ちょっと思考回路がそういったような方に行くように、ある程度目を向けてもらうだけでもと思って、最低限身につけるべき金融リテラシーとか基礎知識みたいなものの内容をいろいろまとめて今公表したところなんです。

 さらに、これに基づいて、実際の教育の現場で各種の取り組みをやってみようと思って、平成二十六年度は二件実施させていただいております。高校などへの講師の派遣を毎年百件程度実施いたしておるんですが、高校ぐらいになりますと、パンフレットを配付したりなども実施しております。今後とも、若い人たちに、若いうちからこういったものに関心を持ってもらう、野球に興味を持ったのと同じように、こういったものに関心を持ってもらうというだけでも大きいと思います。

 私どもとしては、今、日本の場合は非常に、個人金融資産というのは世界で一、二を争うほど皆持っておられるんですけれども、それが明らかに現預金に偏在し過ぎていると思われます。五割を超えるというのは少々偏り過ぎているかなという感じがしないでもありませんので、その一部でも、こういったものに関心を持ってもらうというのは、その金が生きてくることになるだろうと期待はしております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 「ナニワ金融道」というのは投資ではなくてカードや消費者金融のことであって、「モーニング」の「インベスターZ」、藤田学園が出ましたけれども、そういう学校があって、そこの投資部というお話ということを説明していただいたと思うんです。

 麻生大臣、いい年こいて社会に出て金融の世界に行くということをおっしゃいましたし、そこでなかなか勉強しづらいとおっしゃっていましたけれども、私、実は、医学部に行きながら経理学院に二年間通っていまして、日商簿記、残念ながら一級までは国家試験と重なって無理でしたけれども、二級まで取っています。

 ただ、医者仲間で、借方、貸方とかバランスシートというのも全然話が通じないんですよね。今の同世代の開業医でも本当に税理士任せ。そういった点でもやはり一つ問題ではないかなと思いますので、この金融リテラシー、教育現場の中で関心を持ってもらうというのは非常に大事なことだと思います。

 時間も押してきましたので、続きまして、出国時の譲渡所得課税の特例についてお尋ねいたします。

 租税条約上、株式等のキャピタルゲインについては株式等を売却した者が居住している国に課税権があるとされて、実際に売却した時点で納税者が居住する国において課税されております。これを利用して、巨額の含み益を有する株式を保有したまま出国して、キャピタルゲインの非課税国、例えばシンガポールや香港において売却することによって課税を逃れる者もいると聞いております。

 このような課税逃れに対応するために、一定の高額資産家を対象に、出国時に未実現のキャピタルゲインに対して特例的に課税ができるようになり、また、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、カナダでは、既に出国時の譲渡所得課税の特例を導入していると聞いておるんです。

 一定の高額資産家というのは出国時の有価証券の評価額が一億以上の者であり、かつ、出国直近十年内において五年を超えて居住者であった者に特例的に課税することとしましたけれども、対象者として見込まれる人数というのはどれぐらい想定されているんでしょうか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの特例措置でございますけれども、これは初めて導入するということもありまして、人数をかなり、目の子の計算でしかできておりませんけれども、出国するときには出国の届け出を出すというようなこと、それから税務署に納税管理人を置くという届けを出すというようなことで、そういう納税管理人の届け出書であるとか、財産債務明細書の提出状況、きのう、必ずしも十分ではないと申し上げましたけれども、そういうものなどをかなり駆使いたしまして、本当に大ざっぱな感じでございますけれども、百人オーダーという感じだろうというふうには見ております。

 ただ、これは、実際やってみますとどういうことになるか、ちょっとよくわからないところがございますので、とりあえず目の子のということでお答えさせていただきます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 現実の数と見込みの数が違うのは間々あり得ることなんですけれども、百人オーダーでやられるということで、であるのならば、現実、追跡しやすいというか、そのあたりのことを期待しております。

 時間も本当に押し迫ったので、もう一問御質問したいんです。こちらはキャピタルゲインというわけじゃないんですけれども、海外の話を出しましたので。

 日本国内に居住したまま香港やシンガポールなどのいわゆるタックスヘイブンに赴いて金融機関に口座を作成し、投資を行っているという人もふえていると耳にしております。

 ところが、これをいろいろネット上で検索してみても、実態はわかりにくくなっております。その中で、月々五万円の積み立てで自分年金をつくろうなどのうたい文句も見かけたりしたわけなんですけれども、そこには、積み立てた商品から得た金利には税金がかからない、かつ、複利で運用するので、月々五万円で、三十年間で一億の資産をつくることができるともありました。

 これが課税逃れに当てはまるかはわかりませんけれども、近年、シンガポールや香港にて口座を開き、投資を行う人がふえているのは確かだと思います。このような現状に対しまして政府はどのような御見解を持たれているのか、お尋ねします。

菅原副大臣 今、伊東先生がお話しのとおり、今の租税条約上は、株式等のキャピタルゲインを売却した者が居住している国に課税されるとなっています。また、当方の考え方としても、国外で稼いだ所得についても所得税の課税対象とする、こういう所得税法の考え方を持っております。

 ただ、今お話があったように、シンガポールや香港、キャピタルゲインの非課税国に居住を移すなり、株式等を保有したまま出国して、これがまた未実現のものですと課税されないという状況があります。これを今回の改正案では、未実現のキャピタルゲインに関しましても特例的に課税をする、こういう法案となっております。

 あわせて、イギリス、ドイツ、フランスでは非居住国においても課税をするという状況になっておりますので、そういう方向で進めていきたいと思っております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。簡潔にお答えいただきましたので、よくわかりました。

 本日は、NISA、ジュニアNISA、そしてキャピタルゲインに関しての課税の御質問をさせていただきました。

 出国時の譲渡所得課税の特例に関しては、課税逃れを防ぐといった意味では課税強化でありまして、NISAに関しましては、高齢者層、若年層への所得の移転と若年層への投資の裾野の拡大という狙いのもとで非課税措置を行って、部分部分をとれば、今回質問させていただいたことに関しましてはやはり必要な措置ではあると思います。

 これらにあわせて、私が冒頭で申し上げましたバイオシミラーも日本にとって大変重要な意味を持っておりますし、麻生大臣を初め財務省の皆様も同じ認識のことと存じ上げます。もちろんバイオシミラーは厚労省の管轄でありますけれども、麻生大臣が所信に述べられた財政再建に必ず寄与することと思います。

 財務金融委員会所属の一員として、財政再建に寄与することができるような積極的な提案を今後もやらさせてまいりますので、今後ともよろしくお願い申し上げますということをもちまして、私の質疑を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

古川委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 所得税法等の一部を改正する法律案について質問いたします。

 きょうは、まず、研究開発減税について伺います。

 本会議で、私は、消費税増税はやめ、大企業優遇税制こそ見直すべきだと求めました。租税特別措置の中で大企業優遇の最大のものは、研究開発税制となっております。研究開発減税の適用総額と、資本金十億円以上の企業が占める比率について、今世紀初めの二〇〇一年度と二〇一三年度について、それぞれ幾らになっているのか、お伺いします。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの研究開発税制に関しますデータでございますが、二〇〇一年と二〇一三年度、こういうことでございます。

 若干申し上げますと、十年たっておりますので、制度がかなり変わっております。それから、サンプルといいますか、このデータのとり方も大きく変わっておりまして、二〇〇一年当時は国税庁の会社標本調査というものによっておりましたが、現在は租税特別措置の適用実態調査によっているということですので、その制度もかなり違う、そういう前提でお聞き取りいただければと思います。

 まず、二〇一三年度、足元でございます。租税特別措置の適用実態調査によりますと、適用総額が全体で六千二百四十億円、それに対しまして、資本金十億円超の法人及び連結法人の割合は九一・八%ということでございます。

 他方、二〇〇一年でございますけれども、これは今申し上げました国税庁の会社標本調査に基づいたデータでございますが、適用総額七百七億円、資本金十億円以上の法人の割合は六四・六%となってございます。

宮本(徹)委員 今お話ししていただいたとおりですけれども、私、きょう、提出資料を、二つの統計をつなぎ合わせてつくったものを出させていただきましたが、二〇〇三年度の税制改正で、財界が要望する法人税率引き下げのかわりに、新たに研究開発減税の総額型を設けたのを機に、減税額が一千億円を超え、その後、急増していくということになっております。そして、減税の恩恵も資本金十億円以上の企業にどんどん集中してきているというのが、このグラフからも明らかということだと思います。

 減税の恩恵の大半を一握りの大企業が受けているのが、この研究開発減税の制度です。減税総額は、二〇一二年度は三千九百五十一億円でしたから、一年で一・六倍、二千二百八十八億円も減税額がふえていることになります。

 二〇一二年度から二〇一三年度にかけて、研究開発減税の減税額がふえた制度上の原因は何でしょうか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、二〇一二年度から二〇一三年度にかけまして、研究開発税制の適用総額が二千億強伸びてございます。

 その制度要因といたしましては、平成二十五年度改正におきまして、いわゆる総額型の控除限度額が、法人税額の二〇%というものから法人税額の三〇%に上乗せをされたということがあろうかと思います。加えて、恐らく、この時期、景気回復局面で、企業が投資を活発にしているといった事情も手伝っているのかなというふうに思います。

 以上でございます。

宮本(徹)委員 景気回復の影響もあると思いますが、同時に、総額型の控除限度額を、上限を二〇%から三〇%に一・五倍に大きく引き上げたことが、減税額をふやす大きな要因となっております。

 さらに、二〇一四年度はまだ出ていないわけですけれども、二〇一四年度も、研究開発減税は二百七十億円積み増すという税制改正を行っているわけであります。

 二〇一三年度の研究開発減税の減税額上位十社の減税額の合計と、十社が減税額全体に占める割合は幾らになっているでしょうか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十五年度の租税特別措置の適用実態調査に基づいた数字でございます。

 研究開発税制適用額上位十社の合計額が二千五百五十三億、適用総額が六千二百四十億でございますので、その比率は四〇・九%ということでございます。

宮本(徹)委員 四〇・九%ということで、十社で減税額全体の四一%も占めているということになります。

 きのうの委員会の質疑の中でも、佐藤主税局長が、研究開発減税については一種の補助金だというふうに発言されておりましたが、一部の巨大企業に巨額の補助金が渡っているに等しい状況になっています。

 研究開発減税は、本来国庫に入るべき税金を特別に減税しているわけですから、この原資は国民の税金だということを確認したいんですが、麻生大臣、どうでしょうか。

麻生国務大臣 研究開発税制による、法人税収が減収となったと言われている部分ということになるんだと思いますが、それは国民負担により賄われているということだと存じます。

 この研究開発税制の利用によって企業が研究開発投資というものを活発に行うことになれば、それが結果として技術革新につながり、成長の原動力になっている面もあるんだ、我々はそう考えておりますので、こうした政策効果について考慮に入れて予算というものは編成されてしかるべきものだと考えております。

宮本(徹)委員 麻生大臣からも、国民の負担により賄われているという答弁がありました。

 私は、国民の税金を原資にして減税している以上、巨額の減税を受けている企業名は公開されてしかるべきだというふうに考えます。

 ところが、適用実態調査の報告書には、上位十社のコード番号しか書かれておりません。麻生大臣、これは国家機密なのでしょうか。

麻生国務大臣 今御指摘のあっておりました租特の適用実態調査の報告書におきましては、租特の利用状態を明らかにして政策の企画立案に役立てていくことを目的としておりますから、こうした目的に照らして、個別企業名まで公表する必要はないという整理が平成二十二年の立法当時からなされておりますのは御存じのとおりです。

 一般論として、仮に国が個別企業の納税情報の公表ということになりますと、対象となります企業におきましては、価格交渉への影響、また競争上の不利益等々が生じかねないことから、それを十分に上回る公益上の必要があるかどうかということの上から、我々は慎重な検討が必要であろうと考えております。

宮本(徹)委員 国民の目からすれば、これほどの巨額な減税が行われているわけですから、さらに透明化されてしかるべきだというふうに思いますし、もともとこの法案をつくる過程では、企業名を明らかにしようという議論があったというふうにも聞いております。

 一位の一社で一千二百億円もの減税ということになっております。今回の予算案では、介護報酬の切り下げ、それから生活保護の切り下げがあります。この二つを合わせたら一千二百億円ということになります。ですから、削るところが全く間違っているんじゃないかというふうに私たちは思っております。

 私たちの機関紙のしんぶん赤旗が有価証券報告書と照らし合わせて試算したところ、一位の会社はトヨタだと判明いたしております。しんぶん赤旗がトヨタの広報部にも確認しましたが、トヨタの広報部は、納税額の内訳については開示していないので答えられませんと述べましたが、否定はしませんでした。

 麻生大臣、この減税額第一位はトヨタですよね。

麻生国務大臣 先ほども申し上げたので、同じことを聞いておられるのだと存じますが、租税特別措置の適用実態調査の報告書に掲載をしております各租特の適用上位十社について個別企業名は公表していない、したがいまして、研究開発税制の適用額の第一位の企業についてもその内容は同じことであろうと存じます。

宮本(徹)委員 先ほども言いましたように、やはりその企業名を国民は知る権利があると私たちは考えております。

 週刊ポストの三月六日号には、富岡幸雄中央大名誉教授が有価証券報告書などから試算して明らかにした、研究開発減税の減税額が多い十社が出ております。トヨタ、武田薬品、デンソー、キヤノン、NTT、JR東海、第一三共、NTTドコモ、小松製作所、田辺三菱製薬と、名立たる大企業が並んでおります。私たちの党内でも調査した方がいらっしゃいます、これと若干違う企業名が入っていたりもしますけれども、そのケースの場合は。

 どちらにしても、有価証券報告書をめくれば一定のことはわかるわけですけれども、めくらないとわからないというのは本当におかしな話だと思うんですね。調べれば一定のところまで調べはつくわけですから、上位十社の企業名の公表ぐらい、ぜひ大臣の決断でやっていただきたいというふうに思いますが、重ねてお伺いします。

麻生国務大臣 重ねてお答えいたしますが、国が特別措置、いわゆる租特の適用状況に関する個別企業の情報を公表することにつきましては、研究開発税制の適用額が大きい企業に対象を絞ったといたしましても、企業イメージの影響などを含め、競争上の不利益が生じかねないのではないか、また企業側の理解が得られぬまま公表に踏み切れば税務当局への信頼や協力が損なわれないかなど、いろいろな点について慎重な検討が必要であって、研究開発税制の適用上位十社の企業名について公表するつもりはございません。

宮本(徹)委員 企業イメージということを言われますけれども、国民も物すごく関心を持っているわけですね。週刊誌のつり広告になって発表されるようなことになっているわけですよ。公表しないことが逆に企業イメージを損なっていることになるんじゃないかというふうに思います。

 私、調べてみましたら、トヨタから自民党の政治資金団体である国民政治協会への献金は、二〇一二年の五千百四十万円から、二〇一三年は六千四百四十万円にふえているということであります。研究開発減税がふえると同時にふえているわけであります。ですから、事実上、減税分が自民党に還流しているというのと、構図としては、今、政治と金で補助金の問題になっているのは同じ構図だというふうに思います。これを公表しないのは、こういう関係を隠したいんだというふうに批判されても仕方がないんじゃないかというふうに思います。

 私たちは、研究開発減税は、中小企業への配慮は当然行いながら、大幅に縮小すべきだということを主張してまいりました。

 先ほど、政策効果も見てくれということを麻生大臣はおっしゃいましたけれども、研究開発減税を縮減しても企業の研究開発には大きな影響を与えないということも政府の調査で明らかになっております。

 経済産業省が委託調査で行った、研究開発税制の利用状況及び経済波及効果に関する調査の報告が昨年二月に発表されております。二回アンケートを行っております。

 その中で、平成二十四年度税制改正における研究開発減税の縮減による影響という項目があります。この平成二十四年度の税制改正のときは、総額型の控除上限が三〇%から二〇%に下がったときですが、その影響を聞いているわけですね。

 アンケートの結果はこうです。必要不可欠な投資として継続すべきだから影響はなかった、六一・九%。全体で法人税額は減少するので影響はなかった、一五・〇%。一方で、研究開発投資が減少したというのは一・四%ということになっております。

 研究開発減税で研究開発への投資が進むんだということを言われるわけですけれども、政府自身が行った委託調査でも、研究開発減税を縮減しても影響はほとんどなかったということでありました。企業自身は、競争の中で生き残りをかけて研究開発はしっかり行っていくということだからだと思います。

 そこで、昨年六月に政府税調がまとめた「法人税の改革について」がありますが、これを見ますと、研究開発税制の総額型についてはこう書いてあります。税率の引き下げに対応して大胆に縮減すべきであるとなっておりました。また、対象となる試験研究費についても、人件費、減価償却費や外部委託費などの算入を制限している諸外国の例も参考としつつ、対象の重点化を図るべきとされておりました。

 そこで、お伺いしますが、現在の研究開発税制の法人税額の控除額の上限はどうなっているのか、そして、法改正が仮になければ、来年度、再来年度、そしてその先と、どうなっていくのか、お答えください。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 研究開発税制の控除限度額でございます。

 研究開発税制は三種類ございまして、総額型、増加型、高水準型とございます。これらをまとめてということでお話をさせていただきますが、現在のところ、総額型につきましては法人税額の三〇%でございます。加えまして、増加型または高水準型につきましては法人税額の一〇%ということでございますので、合わせまして、現時点では最大四〇%ということになってございます。

 それから、今お尋ねがございました、仮に税制改正を行わなければという仮定のお話でございますけれども、それを機械的に落としますと、本年度末、二十六年度末には、総額型の控除限度額の上乗せ分、二〇%から三〇%に上乗せしているこの一〇%分が適用期限が参るということでございますので、それを踏まえますと、二十七年度以降は、総額型については法人税額の二〇%、増加型、高水準型を合わせまして、全体として法人税額の三〇%となります。それから、増加型、高水準型についても、実は平成二十八年度末にまた適用期限が参りますので、仮に二十九年度以降これらを廃止するということになりますと、総額型のみが残るということになりますので、法人税額の二〇%というふうな流れになるということでございます。

宮本(徹)委員 今御説明がありましたように、つまり、現在、税額の四〇%という控除額の上限が、法改正がなければ、この四月からは総額型の二〇%プラス増加型などの一〇%を加えての三〇%、さらに、二〇一七年度からは二〇%に下がるということであります。

 ところが、今回の法案では、本来総額型は二〇一五年から二〇%になるはずだったものを、上限を三〇%に引き上げて、しかも、これまでのように期限を区切るというやり方ではなく、恒久措置にしております。

 昨年六月の政府税調の報告を先ほど紹介しましたように、総額型は大胆な縮減を検討すべきというふうになっていたわけですが、これでは、大胆な縮減どころか、事実上の拡充になっているんじゃないでしょうか。

麻生国務大臣 昨年六月に政府税制調査会が法人税改革に関して取りまとめた報告書、今言われましたが、このうち、研究開発税制のうち総額型の税額控除については、もともと平成十五年度の税制改革において、法人税率引き下げが見送られる中で導入された経緯というものを踏まえて、今回の法人税改革の中で、税率引き下げにあわせて大胆に縮減すべきと提言されておる、今お話があっておるとおりです。

 二十七年度税制改正におきましては、総額型の税額控除の上限枠を中心として検討を行わせていただきました。税額控除の上限の総枠は現行の法人税の三〇%を維持しつつも、一般の研究開発につきましては、上限枠を五%圧縮して法人税額の二五%とし、他方で、共同研究などいわゆるオープンイノベーション型の研究開発につきましては、上限枠を別枠化して、法人税額の五%として、こちらに支援の重点をシフトするなどの見直しを行っております。

 このように、今回の見直しは、一般の研究開発の上限枠を圧縮するなど、研究開発税制の縮減と評価できるものであって、一定の増収が見込まれることから、縮減どころか拡充になっているという御批判は全く当たらないと存じます。

宮本(徹)委員 全く当たらないという批判ですが、法改正しなければ、先ほど説明があったとおり、二〇%に下がるところだったわけですよ。それを、二五プラス五の三〇%にしているというのは、これは事実上の拡充じゃないかということを言っているわけであります。

 なぜ政府税調が言っていた総額型の大胆な縮減がなされなかったのか、そこにはやはり経団連の要望があると思っております。

 昨年九月、経団連が、平成二十七年度税制改正に対する提言を出しております。その中で、研究開発税制についてはこう言っております。「平成二十六年度末に期限を迎える税額控除限度額の時限的引き上げ措置(法人税額の二〇%から三〇%)や研究開発費の範囲も含め、現行制度を維持・拡充すべきであり、競争力強化に資するものは、本則で措置すべきである。」という要望を出しているわけであります。

 麻生大臣、結局、経団連の言っているこの要求に応えて、政府税調が当初言っていた大胆な縮減という結論がひっくり返って、私の言っている事実上の拡充、つまり、総額型の控除額が、上限が二〇%に戻らずに、三〇%が恒久化されるということになったんじゃないでしょうか。

麻生国務大臣 法人税の改革の具体案を検討していく際に、財界の方にも課税ベースの拡大等による財源確保への協力を求めるため、さまざまなレベルでの議論を重ねてきたところです。

 御指摘の研究開発税制につきましては、先ほども申し上げましたが、昨年六月の政府税制調査会の報告において税率引き下げにあわせて大胆に縮減すべきとされておりますが、他方で、昨年の九月に公表されました経団連の二十七年度税制改正に関する提言では、現行制度を維持拡充すべきともされておりまして、これはさまざまな議論がなされておりますのは確かであります。

 こうした点につきましても、関係者において議論をいろいろ重ねた結果、与党における議論を経て、今回お示ししたような結論を得たというところであります。

宮本(徹)委員 今お話があったとおり、経団連の皆さんから要望をいただいて、結局、政府税調の結論がひっくり返ってしまったということだと思います。

 私たちが聞いたところでは、当時の自民党税調では、研究開発減税の総額型の控除限度額については二つの案が示されていたというふうに聞いております。その一つには、原則である総額型の法人税額の控除額の上限は二〇%にするという案も示されていたということです。なぜこの案にしなかったのかと思います。

 また、自民党税調では、研究開発減税の総額型について、適用期限を二〇一六年度末に設定してはどうかという提案もされていたというふうに聞きました。もしそれをやっていれば、それこそ二〇一六年度末で研究開発減税の総額型をやめて、そうなれば文字どおり大胆な縮減ということになっていたと思うんですね。ところが、この提案も、議論の中で採用されなかったということであります。本当に経団連の言うとおりになってしまったということだと思います。

 税務弘報という雑誌の三月号で、経団連の常務理事の阿部泰久さんが、二〇一五年度の税制改正の裏舞台について一部語っております。ちょっと長いですが、紹介いたします。

 毎年の税制改正に当たり、法人税法案については、財務省が中心となり、あとは納税者代表として経団連が意見を出しています。検討過程では、経団連主要企業データと突き合わせてシミュレーションを行って、どれだけ制度を変えたら企業にどれだけ影響があるのかというのを当てはめていきます。

 研究開発減税については、こう言っております。

 問題になっていたのは、控除限度額の法人税額の三〇%を本則二〇%に戻すかという話で、一度は二五%という中間の数字で決まりかけたのですが、試験研究費については維持したいという意見があり、結局、今、総枠の中に入っているのを別枠に取り出して、それに五%の控除限度額をつけるということになりました。そうすると、二五プラス五で限度額は三〇のままだということになるわけですということで、自分たちと相談して、維持してもらったんだということを述べております。

 そして、税制改正全体としてはこう言っております。

 税率だけ引き下げても、企業の負担が減らないのでは困ります。今回は先行減税になっていますが、とにかく実質減税を確保するということが大前提として目指されています。先行減税分は二年間で二千百億円という数字になっていますが、必要最小限という印象ですね。あえて点数をつけるなら八十点ぐらい、合格点かなという印象がありますというふうに述べられております。

 税率は引き下げろ、課税ベースの拡大を言おうとしたらそれは縮小しろ、研究開発減税は拡充しろと。本当に、私たちからすれば傍若無人な、財界の側の要望はどんどん出して、そして庶民には消費税増税だということであります。

 結局、本当に、財界の要望を聞いて、こういう道をどんどん進めて庶民に負担をかぶせていくのは問題だというふうに思います。

 そして、中小企業への配慮は当然必要ですが、私自身は、政府税調も言っていた、研究開発減税の大胆な縮減に取り組んでいかなければならないというふうに考えております。

 本会議で私、この点を質問したところ、安倍総理からは、「引き続きさまざまな観点からその取り扱いについて検討してまいります。」という答弁がありました。

 麻生大臣、総理の言われたこの「さまざまな観点」という中には、大企業優遇を正して研究開発減税をさらに縮減していくんだという観点は入っているんでしょうか。

麻生国務大臣 法人税の改革につきまして、二十八年度以降の税制改正において、課税ベースの拡大などを行いつつ税率を引き下げるということにしております。総理も本会議で御答弁をされておりますように、研究開発税制につきましても、経済の好循環の定着状況などを踏まえつつ、引き続きさまざまな観点からその取り扱いについて検討していく考えであるということを言われております。

 なお、研究開発税制につきましては、大企業優遇を縮減する観点からの検討を行うのかというお尋ねもありましたけれども、研究開発税制というのは、金額ベースで見れば大企業の利用が多くなっている一方で、件数ベースで見ますれば中小企業の利用が大企業の利用件数の約二倍になっております。もう御存じのとおりだと思いますので、必ずしも大企業だけが優遇されている状況にはなっていない、私どもとしてはそう考えております。

宮本(徹)委員 ですから、私自身も、中小企業には当然配慮しながらこの税制の見直しが必要じゃないかということを先ほどから申し上げているわけであります。

 お答えがなかったんですけれども、研究開発減税を縮減していくという観点は、今後のさまざまな検討をする観点の中には入っているんでしょうか。

麻生国務大臣 先ほど申し上げましたように、さまざまな観点から検討するとお答え申し上げました。

宮本(徹)委員 何か禅問答のようで、それ以上質問してもあれなので、次に行きます。

 今回の法案では、研究開発減税の総額型での控除限度額三〇%というのは、二年限りの時限措置が、期限なしということで三〇%ということになっております。

 私は、恒久化というのは、これまた政府の税制調査会の言っていることとも違うというふうに思います。政府税制調査会の「法人税の改革について」は、租税特別措置の見直しの基準について、「基準一 期限の定めのある政策税制は、原則、期限到来時に廃止する」「基準二 期限の定めのない政策税制は、期限を設定するとともに、対象の重点化などの見直しを行う」ということになっているわけです。これに反して、期限があったものを、期限を今回なくしてしまったわけであります。

 これは麻生大臣にお伺いしますけれども、この総額型だけで三〇%もの税の控除を、今後、未来永劫続けるおつもりなんでしょうか、それとも引き下げていくことはあるんでしょうか。

麻生国務大臣 研究開発税制について、二十七年度の税制改正では、総額型の税額控除の上限枠を原則の法人税額の二〇%から三〇%へと上乗せする特例が期限を迎えるということから、一般の研究開発の上限枠を二五%とするなどの見直しを行ったところであります。

 これによって一定の改革が実現したものと考えておりますが、現時点で具体的なアイデアでこうするというわけではありませんが、今後、総額型のほか、増加型、いわゆる試験研究の増加額の一定割合を税額控除するというような増加型とか、高水準型、売り上げの一〇%の試験研究費の額の一定割合を税額控除するといったような高水準型も含めた研究開発税制全般にわたってさまざまな観点から検討を行っていきたい、いろいろ考えておるところであります。

宮本(徹)委員 増加型、高水準型とあわせて、総額型も含めて検討を行っていくということですから、政府税調にも反するような方向で、政策減税の期限の設定をなくしちゃったというのは直ちに見直していくことが必要だというふうに思います。

 次に、受取配当の益金不算入制度について質問いたします。

 財務省の法人企業統計調査によると、今世紀初めの配当金の総額は四兆四千九百五十六億円でした。その後、配当性向がどんどん高まる中、二〇一三年には配当金の総額は十四兆四千二億円ということで急増しております。当然、これに伴って、企業が保有している株式から受け取る配当も急増しております。益金不算入額も急増しているということになります。

 受取配当の一部を益金に算入する制度が始まったのは恐らく一九八九年だったかと思いますが、この一九八九年と直近の二〇一二年度について、受取配当の益金不算入額の全体の額、また、そのうち資本金百億円を超える法人、巨大企業が占める割合についてお答えいただきたいと思います。

佐川政府参考人 お答えします。

 国税庁の会社標本調査におきまして、受取配当の益金不算入額の合計額でございますが、今おっしゃいました一九八九年度は八千百七十九億円、それから二〇一二年度は七兆四千四百八十二億円でございます。

 また、一九八九年度におけます益金不算入額のうち、資本金百億円以上の法人に係る額の割合は六〇・二%、また、二〇一二年度におけます益金不算入額のうち、資本金百億円超の法人で連結法人を除いたものの額の割合が四〇・五%、連結法人につきましては四六・五%で、その両者を足しますと八六・九%となります。

宮本(徹)委員 今お話にありましたように、この間、益金不算入の額は約九倍に大きく膨れ上がっているということになります。そして、資本金百億円の企業が占める割合も、六〇・二%から八六・九%ということでどんどん高まっている。この制度も、大きな傾向として、制度の恩恵を受けるのが巨大企業にどんどん集中しているということが言えると思います。

 私、きょう、提出資料として、この間、全体で益金の不算入額はどうなっているのか、資本金百億円を超える企業と連結法人の占める割合がどうなっているのかというのをグラフにしましたが、この緑のラインも、大きな傾向として、どんどん高まっているという傾向があります。

 配当がふえればふえるほど、受取配当の益金不算入の制度による減収も大きくなっております。そして、国の税収に穴をあけるということになっております。

 麻生大臣もこの間、繰り返し、企業が内部留保をため込み続けているのは問題だという認識をおっしゃって、賃金に回しなさい、投資に回しなさいということを表明されています。その点は私たちも全く同じ思いでありますが、この受取配当の益金不算入制度を利用すれば、企業グループでも、株をお互い持ち合えば、各企業の配当金を、ほとんど税金を支払わないまま内部留保にしていくことが可能になっていくわけであります。

 大臣にお伺いしたいんですけれども、この受取配当の益金不算入制度というのは、大企業が内部留保をふやす一つの要因になっているんじゃないでしょうか。

麻生国務大臣 予算委員会でも、またここでも申し上げましたけれども、一年に一遍しか数字は出ませんので、おととしの三月で約三百四兆円の内部留保が、去年の三月で三百二十八兆円、年間で二十四兆円ふえておりますので、月割り二兆円という増額になっておることに関しては問題ではないかということを申し上げておりますので、この点に関しては、珍しく意見が合っております。

 このため、我々としてはどうするかといえば、これはコーポレートガバナンスという、余り好きな言葉じゃありませんけれども、内部できちんとした形のものをやらないかぬということの強化とか、また政労使会議、これもちょっといかがなものかと思いますけれども、非常時であるということで、政労使会議ということもさせていただきましたよ。

 そして、少なくとも、今度の中においていろいろな意識というものを、企業として、二十年間もデフレをやっているんだから、金をずっとため込んでおきさえすれば、金利がつかなくても、物が下がって金の値打ちが上がるという状況が二十年も続きましたから、ある程度意識が変わるまでに時間がかかるとは思いますけれども、私どもとしては、こういったようなことは今後きちんとした形で配当もしくは賃金、設備投資といったことに回っていくようにしていただかないといかぬということだろうと思って、スチュワードシップ・コードなど、いろいろな形でこの問題に関して対応させていただきつつあります。

 受取配当金の益金不算入の話、非課税を認めている話で、手元流動性が過剰に残ることになっておるのではないかという御懸念ですけれども、益金不算入の制度というものは、配当を支払う法人、例えば親会社から見れば子会社の段階で既に法人税は課せられていますから、したがって、もう一回取る二重課税ということを避ける観点から、配当を受け取る本人、例えば親会社の段階で税負担を調整するということとしているものであります。

 仮に、その会社を支配するという目的で保有しております持ち株比率の高い会社からの配当を益金算入にしたとしても、企業は今度は支店形態を選択して二重課税を避ける、手元に資金が残る可能性がありますので、益金算入にしても御懸念は解消しないものだと私どもは考えております。

 また、内部留保を有効に活用するという観点からは、今回の法人税改革などによって企業の意識や行動を変えていくというところが一番大きな問題なのであって、この意識が変わらない間は、法律で幾らやっても、それは何だかんだ、企業経営者の一番の問題はそれをどう活用するかという意識の問題だろうと思っておりますので、私どもは、その点は、今後ともいろいろな形でこの問題について対応していかねばならぬと思っております。

宮本(徹)委員 内部留保は設備投資、賃金、配当に回らなきゃいけないということを言いますけれども、その配当は、内部留保として、益金不算入制度を使ってまた戻ってくるという仕組みにもこの制度によってなっているわけであります。

 この制度は、当初、おっしゃるとおり、二重課税を廃止するために設けられたということは聞いておりますけれども、同時に、実態に即して修正を加えて、一部は益金に算入するということもこの間やってきた経過があります。私は、やはり税の本来の役割というのは、所得の再分配というところにあると思います。この原点に立ち戻って、この受取配当益金不算入制度はさらに見直していく必要があるんじゃないかというふうに考えております。

 先ほどの麻生大臣のお話にあるとおり、内部留保は三百二十八兆円ということであります。やはりそうである以上、この配当を無税で内部留保に積み上げるのではなくて、さらにしっかり課税を行って国民に再分配していくということが必要なんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 今、配当金につきましては、配当を支払う側の法人、例えば前の例を引けば、子会社の段階において既に法人課税が課されておりますので、先ほど宮本先生も御指摘がありましたように、二重課税を避けるという観点から、配当金を受け取る法人、親会社なんかの場合ですけれども、その段階では益金に算入しない、すなわち非課税にするというのは、これは基本的に伝統的な考え方であり、総じて先進国はこの考え方だと思います。

 ただし、単なる投資対象として保有するような持ち株比率の低い株式は、債券投資など他の投資とのバランスというものを考慮しなきゃいけませんので、少なくとも、部分的に課税するため、一部のみ益金不算入としておりますのは御存じのとおりです。

 二十七年度の税制改正では、課税ベースの拡大というものに取り組む中で、こうした考え方をさらに進めて、持ち株比率五%以下の会社からの配当などについては、現行の益金不算入の割合、すなわち非課税の割合を五〇%から二〇%に引き下げるなど、かなり抜本的な見直しを行ったところでもあります。

 先生の御主張は、会社の支配を目的とするような持ち株比率の高い株式からの配当にも課税すべきということなんだと思いますが、これにつきましては、支店の形態でも子会社の形態でも税負担は変わらないようにすべきだということを考えれば、やはり引き続き一〇〇%の益金不算入にすることの方が妥当だ、我々はそう思っております。

宮本(徹)委員 今回、この制度の一部を見直して、課税強化の方向に踏み出したという点は、私たちも注目しているところであります。しかし、これによる増収の見込みは九百二十億円ということで、受取配当の益金不算入制度による減収額は一・四兆円ですから、是正されるのは数%ということになります。

 もうちょっとたくさん質問を用意していたんですけれども、質問時間がなくなってきましたのであれなんですけれども、先ほど来紹介している政府税調では、「資産運用の場合は、現金、債券などによる他の資産運用手段との間で選択が歪められないよう、適切な課税が必要である。」ということを言っております。そして、自民党の税調でも、支配目的が低い投資目的の場合については全額益金算入という案も提示されていたというふうに聞いております。

 そうであるならば、二〇%であれ、株式の配当だけを益金不算入にすると、株式投資だけが有利となり、選択をゆがめるというのは明らかです。選択をゆがめないためには、やはり全額益金に入れる、不算入割合はゼロ%にすべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 二十七年度の税制改正におきまして、持ち株比率が低く、資産運用に近い株式というものの配当の取り扱いというのは、一つ議論でございました。

 この配当の扱いにつきましては、他の投資機会との選択に対しまして税制からバイアスを与えないようにするという観点から、益金不算入の割合を五〇%から大幅に引き下げることといたしましたが、持ち株比率が低くても支配目的が全くないとは言い切れない、あるいは益金不算入割合を余りにも大きく引き下げるその影響もあるのではないかというようなことから、二〇%の益金不算入という形にしたというところが現状でございます。

宮本(徹)委員 諸外国を見れば、ドイツでは、持ち株比率一〇%未満の場合は全額益金に算入する、フランスでも、持ち株比率が五%未満の場合は全額益金に算入するということをやっているわけですから、自民党税調だってその案もあったわけですから、それはできないはずがないというふうに思います。この受取配当益金不算入制度見直しを引き続き求めたいというふうに思います。

 今回の法案は、法人税率の引き下げでも課税ベースの拡大でも、大企業、経団連の要求をほとんど丸のみした法案になっているというふうに思います。法人税率を引き下げ、大企業優遇を続けながら、消費税増税と赤字企業への増税で穴埋めしていくというのは許されません。本法案の撤回を求めて、私の質問を終わります。

     ――――◇―――――

古川委員長 次に、内閣提出、関税法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。財務大臣麻生太郎君。

    ―――――――――――――

 関税法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

麻生国務大臣 ただいま議題となりました関税法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明させていただきます。

 政府は、最近における内外の経済情勢等に対応するため、指定薬物を関税法上の輸入してはならない貨物に追加するとともに、関税率等について所要の改正を行うこととし、本法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、医薬品医療機器等法に規定する指定薬物を関税法上の輸入してはならない貨物に追加することといたしております。

 第二に、平成二十七年三月三十一日に適用期限が到来する暫定税率等について、その適用期限の延長を行うこととしております。

 第三に、無申告加算税の不適用制度に係る期限を国税通則法の改正に合わせて延長することとしております。

 その他、所要の規定の整備を行うことといたしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願いを申し上げます。

古川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五分散会


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