衆議院

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第6号 平成27年3月31日(火曜日)

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平成二十七年三月三十一日(火曜日)

    午前八時五十五分開議

 出席委員

   委員長 古川 禎久君

   理事 神田 憲次君 理事 土屋 正忠君

   理事 藤井比早之君 理事 御法川信英君

   理事 山田 美樹君 理事 鈴木 克昌君

   理事 丸山 穂高君 理事 伊藤  渉君

      青山 周平君    安藤  裕君

      井上 貴博君    井林 辰憲君

      石崎  徹君    尾身 朝子君

      鬼木  誠君    加藤 鮎子君

      勝俣 孝明君    國場幸之助君

      柴山 昌彦君    白須賀貴樹君

      鈴木 隼人君    田野瀬太道君

      武井 俊輔君    津島  淳君

      中山 展宏君    根本 幸典君

      福田 達夫君    藤丸  敏君

      牧島かれん君    宮川 典子君

      宗清 皇一君    山田 賢司君

      大島  敦君    鈴木 貴子君

      中島 克仁君    古川 元久君

      鷲尾英一郎君    伊東 信久君

      吉田 豊史君    岡本 三成君

      斉藤 鉄夫君    宮本 岳志君

      宮本  徹君    小泉 龍司君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   財務副大臣        菅原 一秀君

   厚生労働大臣政務官    橋本  岳君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    森  信親君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 金子  修君

   政府参考人

   (財務省関税局長)    宮内  豊君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   飯塚  厚君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           木下 賢志君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           佐々木 良君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   財務金融委員会専門員   関根  弘君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月三十一日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     武井 俊輔君

  勝俣 孝明君     石崎  徹君

  國場幸之助君     安藤  裕君

  福田 達夫君     宮川 典子君

  牧島かれん君     白須賀貴樹君

  務台 俊介君     青山 周平君

  宗清 皇一君     加藤 鮎子君

  前原 誠司君     中島 克仁君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     尾身 朝子君

  安藤  裕君     國場幸之助君

  石崎  徹君     勝俣 孝明君

  加藤 鮎子君     宗清 皇一君

  白須賀貴樹君     牧島かれん君

  武井 俊輔君     井上 貴博君

  宮川 典子君     福田 達夫君

  中島 克仁君     鈴木 貴子君

同日

 辞任         補欠選任

  尾身 朝子君     務台 俊介君

  鈴木 貴子君     前原 誠司君

    ―――――――――――――

三月三十一日

 株式会社日本政策投資銀行法の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)

同月十九日

 所得税法第五十六条の廃止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三七二号)

 同(池内さおり君紹介)(第三七三号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第三七四号)

 同(大平喜信君紹介)(第三七五号)

 同(笠井亮君紹介)(第三七六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三七七号)

 同(斉藤和子君紹介)(第三七八号)

 同(志位和夫君紹介)(第三七九号)

 同(清水忠史君紹介)(第三八〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三八一号)

 同(島津幸広君紹介)(第三八二号)

 同(田村貴昭君紹介)(第三八三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三八四号)

 同(畑野君枝君紹介)(第三八五号)

 同(畠山和也君紹介)(第三八六号)

 同(藤野保史君紹介)(第三八七号)

 同(堀内照文君紹介)(第三八八号)

 同(真島省三君紹介)(第三八九号)

 同(宮本岳志君紹介)(第三九〇号)

 同(宮本徹君紹介)(第三九一号)

 同(本村伸子君紹介)(第三九二号)

 同(宮本岳志君紹介)(第四二六号)

 消費税増税の中止、税の集め方の抜本的見直しに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三九七号)

 同(池内さおり君紹介)(第三九八号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第三九九号)

 同(大平喜信君紹介)(第四〇〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第四〇一号)

 消費税の増税の中止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四四一号)

 同(池内さおり君紹介)(第四四二号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第四四三号)

 同(大平喜信君紹介)(第四四四号)

 同(笠井亮君紹介)(第四四五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四四六号)

 同(斉藤和子君紹介)(第四四七号)

 同(志位和夫君紹介)(第四四八号)

 同(清水忠史君紹介)(第四四九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四五〇号)

 同(島津幸広君紹介)(第四五一号)

 同(田村貴昭君紹介)(第四五二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四五三号)

 同(畑野君枝君紹介)(第四五四号)

 同(畠山和也君紹介)(第四五五号)

 同(藤野保史君紹介)(第四五六号)

 同(堀内照文君紹介)(第四五七号)

 同(真島省三君紹介)(第四五八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第四五九号)

 同(宮本徹君紹介)(第四六〇号)

 同(本村伸子君紹介)(第四六一号)

 消費税率を五%に戻し、増税中止を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四六二号)

 同(池内さおり君紹介)(第四六三号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第四六四号)

 同(大平喜信君紹介)(第四六五号)

 同(笠井亮君紹介)(第四六六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四六七号)

 同(斉藤和子君紹介)(第四六八号)

 同(志位和夫君紹介)(第四六九号)

 同(清水忠史君紹介)(第四七〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四七一号)

 同(島津幸広君紹介)(第四七二号)

 同(田村貴昭君紹介)(第四七三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四七四号)

 同(畑野君枝君紹介)(第四七五号)

 同(畠山和也君紹介)(第四七六号)

 同(藤野保史君紹介)(第四七七号)

 同(堀内照文君紹介)(第四七八号)

 同(真島省三君紹介)(第四七九号)

 同(宮本岳志君紹介)(第四八〇号)

 同(宮本徹君紹介)(第四八一号)

 同(本村伸子君紹介)(第四八二号)

同月二十四日

 消費税一〇%へのアップ中止を求めることに関する請願(斉藤和子君紹介)(第五六一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 財政及び金融に関する件


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     ――――◇―――――

古川委員長 これより会議を開きます。

 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、去る二十五日、関税等に関する実情調査のため、委員十一名が参加し、東京税関管内の視察を行いましたので、参加委員を代表いたしまして、その概要を御報告申し上げます。

 まず、羽田税関支署において、東京税関の概況説明を聴取した後、麻薬探知犬による検査状況、不正薬物等の犯則物件等を視察し、検査方法、摘発状況等について質疑応答を行いました。

 次に、東京外郵出張所において、輸入郵便物の検査状況、指定薬物等を視察し、検査体制、検査機器等について質疑応答を行いました。

 最後に、東京税関本関において、通関状況、監視カメラシステムを視察し、通関手続、監視体制等について質疑応答を行いました。

 今回の視察に当たりましては、御協力いただきました方々に深く御礼を申し上げ、視察の報告といたします。

    ―――――――――――――

古川委員長 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁黒田東彦君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として金融庁監督局長森信親君、法務省大臣官房審議官金子修君、財務省関税局長宮内豊君、理財局次長飯塚厚君、厚生労働省大臣官房審議官木下賢志君、経済産業省大臣官房審議官佐々木良君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 それでは、先ほど委員長から視察報告がありましたが、私からも、御対応いただいた財務省そしてまた東京税関の方々に、まず、視察に対するいろいろな御手配、感謝を申し上げたいと思います。

 そこで、それに関連してしばし御質問をさせていただきたいというふうに思うわけであります。

 視察をさせていただいた委員の皆さんはほとんど同じようにお感じになったのではないかなと思うんですが、まさに、二十四時間三百六十五日、不眠不休と申しますか、日本の水際で税と関を担って働いていただいておる皆さんの本当に真剣な働きぶりを拝見させていただいて、非常に思うところがありました。

 そこで、少しそれに関連してお尋ねをしていきたいというふうに思います。

 まず、羽田税関支署でありますけれども、旅具検査場といいますか、一番皆さんのおなじみの場所なんですけれども、海外から帰国された方々というのは必ず通る場所であります。日本に入国される旅客や航空機のクルーの皆さんの携帯する荷物の検査、そしてまた免税範囲を超えたものについて関税、消費税等の徴収を行っているわけでありますが、その一方で、羽田空港だけで年間五十五キロを超える覚醒剤など不正薬物が摘発されているということを伺いました。

 ひっきりなしにやってくる旅客の中から、麻薬探知犬ですか、非常にかわいかったんですけれども、またエックス線検査装置などを活用したりしながらも、不審者を見分け、そして不正薬物などを水際で阻止している税関の皆さんのまさに熟練わざといいますか、職人わざといいますか、本当にそんなものをかいま見させていただいたというふうに思っております。

 これはやはり経験が本当に必要な仕事だというふうに思っていますし、熟練の職人わざと言っても過言ではない、本当にそんなものをひしひしと感じたわけであります。やはり先輩から伝承、そしてまた技術を継承されて、ある意味ではプロの職人となっていくんだろうな、そんなことを実は感じておりました。

 そこで、安心、安全な社会の実現に向けて水際でしっかりと使命を果たされているということの一方で、我が国の観光立国実現に向けた取り組みによって昨年の訪日外国人旅行者数が一千三百万人を超えて、引き続き増加傾向にあるというのは御案内のとおりであります。

 そこで、御質問なんですが、税関職員が年間一人当たりどれくらいの数の旅客の対応をしているのか、昨年と平成二十一年の実績をお尋ねしたいと思います。

宮内政府参考人 鈴木先生、それから委員長初め委員の先生方におかれましては、先日東京税関を御視察いただきまして、まことにありがとうございました。

 税関の職員の仕事は、先生が今おっしゃったとおり、経験に根差した職人わざであるというのはまさにそのとおりであろうというふうに感じます。

 今お尋ねの、空港を利用した入国旅客者数でございますが、全国で、日本人、外国人合わせまして、昨年は約三千万人、平成二十一年は約二千三百万人となっております。これを単純に旅客の携帯品検査に従事する全国の税関職員の数で割ってみますと、一人当たりの旅客数は年間で、平成二十六年は約二万二千人、平成二十一年は約二万人となっているところでございます。

鈴木(克)委員 今御答弁をいただいたように、二万人とか二万二千人という旅客の対応をされるということであります。しかも、まさにそれは、先ほどから申し上げておるように、熟練の職人わざともいうべき技量を持って水際でしっかりと働いてみえるということでありますが、先ほども申し上げましたように、これからどんどん旅客は増加するわけでありますね。したがって、業務量も増加をするということであります。マンパワーが追いついていかないという状況ではないのかなというふうに私は理解をいたしたわけであります。

 私どもは選挙という洗礼があるわけでありますが、二万人とか二万二千人と握手をするだけでも大変なんです。それを、先ほどから申し上げておるように、いわゆる水際という大きな使命を帯びてそして的確な対応をしていくということであるなら、私はやはりもっとマンパワー的にも充実をしていく必要があるのではないかなというふうに思っていますが、そのこともまた後ほどお尋ねをしていきたいというふうに思います。

 羽田税関は、そんなことで、麻薬探知犬等々の活躍ぶり、もちろん犬だけ褒めても仕方がありませんけれども、それを指導し、携わっている人たちの日常の苦労を本当に少しかいま見させていただいた、このように思っています。

 次に、国際郵便物を取り扱う東京外郵出張所を拝見いたしました。全国六カ所に国際郵便物の通関を行う税関、外郵出張所があるというふうに伺ったわけでありますけれども、毎日膨大な量、一日に一万個というふうに伺いましたが、この国際郵便物を一つ一つ確認し、必要なものはエックス線検査や開披検査を行っている、こういうことであります。ここも現場を拝見したわけでありますけれども、本当にあの環境の中で的確に、内容をよく把握されるものだということで感心をしたわけであります。

 いずれにしましても、最近は、ICT化の進展等によって、インターネットを通じて簡単に海外から物を購入することができるようになりました。それらが国際郵便物として日本に到着するわけでありますけれども、今月上旬に報道発表された、昨年の税関における知的財産侵害物品、いわゆるコピー商品の差しどめ状況等を見ますると、三万件を超えるというふうになっております。もちろん、これは年々ふえてきておるということのようであります。

 いずれにしても、九割以上が国際郵便物から入ってきておるということでありますから、先ほどから言っておるように、この国際郵便物からは危険ドラッグなどの不正薬物も摘発をされておるということであります。

 連日のように不正薬物やコピー商品が発見をされて、十年前よりも悪質で、量や件数も増加しているということでありますから、税関職員の方々は本当に、日本が不正薬物やコピー商品の市場として狙われているという危機感を持って職務に当たっておられるわけであります。何遍も繰り返しになりますけれども、本当に熟練の職人わざということをここでも目の当たりにさせていただいたわけであります。

 一方、税関は、言うまでもありませんけれども、関税とともに消費税等の徴収も行っておるわけでありまして、その徴収額は六・五兆円、これは平成二十五年度でありますが、国税収入の一割を超えているということであります。まさに歳入官庁でもあるわけであります。

 国際郵便物以外にも、輸出入貨物の通関を行う部署が全国にあるわけですけれども、税関やその他関係行政機関に対する手続及び関連する民間業務を一元的に処理することができる官民共同のシステムであるNACCSや、今回の視察では時間の関係で行くことができなかったわけでありますけれども、海上コンテナごとエックス線検査のできる大型エックス線検査装置や、TDSなどの設備によって業務の効率化が図られている、このような説明もいただきました。

 しかしながら、税関の使命の一つである適正かつ公平な関税等の徴収を果たすためには、輸出入貨物の関税分類、輸出入通関の際に必要な関税の関係法令以外に、いわゆる他省庁の法令の確認をしなくてはならないということであります。

 例えば、経産省所管でありますと外国為替及び外国貿易法それから輸入貿易管理令、厚労省では食品衛生法、農水省では家畜伝染病予防法それから植物防疫法、警察庁では銃砲刀剣類所持等取締法など、非常に高度な専門性が必要である、このように伺っておるわけであります。

 このような通関担当部門の税関職員が年間一人当たりどれぐらいの申告件数に対応しているのかも、やはり去年と平成二十一年の実績を聞かせていただきたいと思います。

宮内政府参考人 通関担当部門の税関職員についてでございますが、概数でございますが、年間一人当たりで対応している申告件数は、昨年は約二万五千件、平成二十一年は約一万九千件となっているところでございます。

鈴木(克)委員 業務量というのは本当にふえてきておるということがわかるわけであります。

 加えて、適正かつ公平な関税等の徴収という観点から、事後調査部門というものもあるやに伺っておるわけでありますが、この実績についてもお伺いをしたいと思います。

宮内政府参考人 御指摘のございましたとおり、税の収納機関としての税関の役割もますます高まっているところでございまして、実は、約三十年前の昭和六十一年度には、税関における関税、消費税等の、当時は消費税はまだございませんでしたが、関税等の収納額は約一兆円でございました。約二十年前の平成七年度には約三兆円、十年前の平成十七年度には約五兆円と増加しまして、昨年度につきましては約七兆円というふうにどんどんふえてきております。徴税機関としての税関の役割はますます高まっているところでございます。

 このような中で、税関では、通関時に審査、検査を行うとともに、輸入許可後に調査を行っております。輸入される貨物の迅速通関と適正課税の確保に努めているということでございます。最近ますます貿易取引の形態は複雑化しておりまして、輸入の事後調査の果たす役割は年々大きくなっております。

 平成二十五事務年度の輸入事後調査におきましては、全国で三千六百十四者の輸入者に対して調査を行いました。このうち、約七割の二千四百二十七者に申告漏れ等がございました。申告漏れに係る関税及び内国消費税の追徴税額は、約八十四億円となってございます。

鈴木(克)委員 大臣にお伺いをしたいと思うんですが、今報告があったわけでありますけれども、一年間に一人の職員が二万人とか二万二千人に対応する、そしてまた書類等も申告件数にして一万九千件、二万五千件という、ある意味では本当に大変な数を今こなしているわけであります。

 そういった状況の中で、言うまでもありませんけれども、二〇二〇年には例のオリンピック・パラリンピックが開催をされるということであります。日本政府としても外国人旅客を二千万人ということで掲げておるわけでありますけれども、そういうような状況を踏まえて、特に今回の法改正で指定薬物を含む危険ドラッグを輸入してはならない貨物に追加するということで、当然これはまた仕事量がふえるわけであります。それから、テロ・治安維持対策といった、国民の安心、安全を守るという税関の使命もあるわけであります。

 そういうことで、くどくなりますけれども、国策として、税関に必要な定員の確保そして検査機器の整備など、予算を含めてしっかり体制整備をしなければならない、このように考えるわけでありますけれども、麻生大臣の見解をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 今、鈴木先生からお話がありましたように、訪日される外国人の数はこのところビザの緩和等々もございまして急激に膨らんできておりますし、また、輸入貨物の増大につきましては宮内関税局長の方から今お話を申し上げたとおりであります。加えて、今ドラッグの話が出ましたけれども、やはり羽田とか成田とか、税関等々において水際できちんと対応ができるというのは大事ですし、今、テロという問題が新たに大きく上がってきておりますので、税関の課題というのは非常に多岐かつ重要になってきていると思っております。

 そこで、本年一月に緊急増員を四十五人いたしております。そして平成二十七年度の予算の中におきまして正式に五十五人、合計百人ということにいたしておりますが、三桁台の純増をさせることができましたのは関西国際空港ができました平成六年度以来、純増で三桁に乗りましたことはございません。

 また、最近、こういったものは検査機器というのがいろいろ発達してきておりますので、TDS、トレース・ディテクション・システムといって、例えば粉なんかがついていますと、化粧品の粉か麻薬の粉かがぱっと見分けられる。ちょっとついていますと、拭いてやったらぱっと出てくるような、トレース・ディテクション・システムというのを平成二十六年度中に倍増させております。

 そして、二十七年度の予算などからは、エックス線の検査装置を十二台、それからパスポートリーダーを羽田、千歳、中部等々の三空港などに整備も進めさせていただいております。

 さらに、検査の充実と円滑化を両立させるために、航空会社、飛行機会社の方が持っておられる旅客の予約記録、パッセンジャーズネームレコードというものをあらかじめこちらにちょっと見せてくださいと。その中で怪しいのがいたらざっと出ることで洗えますので、事前入手の拡充に今取り組んでおるところであります。

 こういったことで、今後とも、不正薬物対策またテロ対策等々の新たな業務も含めまして、こういったものにきちんと対応し、国内の安全、治安というものの維持に努めてまいりたいと考えております。

鈴木(克)委員 今、平成二十七年に五十五人、そして四十五人、合わせて百人ということであります。

 もちろん、マンパワーで全てできるものではない。当然、機械化とかいろいろなシステムの構築等も重要であります。しかし、先ほど来から申し上げているように、年間に二万人とか二万二千人とかいう人に会って、しかも、そこの背景に何があるのか、物を見分けなきゃならない、それから書類、申告件数についても二万五千件を一人で処理していくというのは、私は、今からオリンピックまでのことを考えていったときに、やはりこれは、体制強化という意味で、本当にもう一度考えていただかなきゃいけないんじゃないかなというふうに思います。

 大臣も当然いろいろな現場を見てみえるかもしれませんけれども、十五分ぐらいで交代しなきゃならないぐらい、本当に神経ぴりぴりで、あの状況を見ておると、これは本当に大変な仕事をやっておってくれているんだなというふうに思います。そんな思いでありますので、ぜひひとつ、体制整備ということで、お力添えいただきたいなとお願いをしておきたいと思います。

 この件の最後ですが、東京税関本関を訪問して、監視部取締部門というのを視察させていただきました。あの広い東京港に入出港する外国貿易船等を監視カメラで監視して、まさに、三百六十五日、昼夜を問わず、安全、安心な社会の実現に向けて水際でしっかりと使命を果たされている、こういう状況を伺ってまいりました。また、監視艇を使って海上からも取り締まりをされておるということも聞いてまいりました。

 このように、税関は、税と関の文字どおり、二十四時間三百六十五日、日本の水際で、適正かつ公平な関税等の徴収や貿易の円滑化という税の歳入官庁としての一面と、安全、安心な社会の実現、テロ・治安維持対策といった、国民の安心、安全を守るという関の取り締まり機関としての一面もあり、誰の目にも国にとって必要な機関であるということは間違いないと思うんです。

 しかしながら、我々でさえと言うのはちょっと問題があるかもしれません、我々でさえ、今回の視察で税関の現場を訪問させていただいて、見て、そして説明を受けて初めて、これだけ幅広い業務があって、職人わざとマンパワーの必要な職場であるということ、そういう現状がわかったわけであります。

 私は、国民の皆さんにももっと広く税関というものを知ってもらう必要がある、このように思うわけですが、税関の広報の状況等及び今後の施策についてどのように考えておられるのか、お尋ねしたいと思います。

宮内政府参考人 ただいま先生から御指摘いただいた、税関の役割の大切さについて理解を得ていくということは大変大事なことだと思っております。

 税関におきましては、さまざまなツールを用いてさまざまな広報活動に努めているところでございます。

 例えば、関税制度に関しまして、講演会や関係業界への業務説明会等を通じて周知するといったことから始まりまして、税関職員を学校に派遣して行う薬物乱用防止教室というものを通じまして、不正薬物の危険性についての注意喚起や税関の業務説明を行うといったこともしております。それから、特に毎年五月と十月に薬物及び銃器取り締まり強化期間というのを設定しているんですが、この期間に集中的、重点的に広報活動を実施するといった広報活動を積極的に行ってきているところでございます。

 また、税関ホームページそれからソーシャルメディアを通じた広報にも努めておりまして、税関ホームページでは、貿易統計や輸出入手続を初め、税関における不正薬物等の社会悪物品の水際取り締まりの取り組み状況を公表するなど、積極的に情報を発信しております。

 その他、各種のポスターやパンフレット等を作成し、国民に対し、わかりやすい広報に努めているところでございます。

 今後とも、国民の税関行政に対する理解を得るべく、積極的な広報活動に努めてまいりたいと考えております。

鈴木(克)委員 ポスターそして学校での教育等々、いろいろおやりになっているという今のお話でありましたけれども、私はやはり、先ほどからくどいようですけれども、我々ですらと言うと語弊がありますけれども、なかなかこの実態は、行って見て初めて、ああ、なるほど、これだけの大変な仕事をやっていただいておるんだなということがわかったわけであります。したがって、ぜひ、例えば映画をつくるとか、ドラマで放映するとか、ドキュメンタリー番組を設けてもらうとか、もっともっとひとつ積極的な広報活動をお願いしたい、このように思います。

 それで、これが最後の質問になるんですけれども、局長さん初めいわゆる幹部の方々が視察や現場職員の声を聞く機会をどの程度設けてみえるのか、このことはやはり大事だというふうに私は思うんですね。財務省の中からではなかなか見えない部分が、現地、現場へ行くとよくわかるわけであります。

 したがって、現場を定期的に見ていただくとか現場の声を聞くとか、今現在どういうふうにやっているのかということを含めて、今後、どんなふうなお考えなのか。幹部の現地、現場に対する考え方というのをお示しいただきたいと思います。

宮内政府参考人 お答え申し上げます。

 税関行政を適正に執行していくためには、関税局が税関の現場の状況を的確に把握することが重要だと考えております。

 私を含め関税局幹部は、全国各地の税関の現場に赴きまして、税関を取り巻く現状を把握するとともに、現場職員の声を聞いているところでございます。

 ちなみに、私、一昨年の七月に関税局長になりましてから、税関を視察した日数は四十日程度となっているところでございます。

 視察の機会に限らず、さまざまな機会を捉えて現場職員からの声を聞くことを通じて税関の現場の状況を的確に把握して、税関行政を適正に執行してまいりたいと考えております。

鈴木(克)委員 しっかりやっていただいておるというふうに今御報告がありましたけれども、さらに現地、現場主義、そして職員の声をしっかり受けとめていただいて、水際作戦は本当に大事なことだというふうに思っていますので、頑張っていただくようにお願いしておきます。

 それでは、少し質問の内容をかえさせていただきますが、税制改正関係についてお尋ねをしていきたいと思います。たばこ税や酒税ということで、幾つかお伺いをしていきたいんです。

 今回、たばこ税の見直しが行われたわけであります。たばこに係る課税の歴史というのは非常に古くて、明治初期までさかのぼるというふうに伺っております。主として税収確保といった目的で税率引き上げが行われてきたということのようでありますが、最近の改正で、平成二十二年にあったわけでありますけれども、このときは、国民の健康の観点からたばこの消費を抑制するという目的で税率引き上げを実施したわけであります。この改正によって、代表的な銘柄の小売価格は百円以上の値上がりとなったわけであります。

 当然、その裏返しで販売数量がどうなるかということなんですが、数値を見てみますと、若干減少傾向にあるものの、その減少幅というのは縮小して、税収も安定的に推移をしているということのようであります。つまり、たばこ消費の抑制といった税率引き上げの目的と税収確保という課税本来の機能とは、おおむねバランスのとれた状態にあるというふうに言えると思うんですね。

 そこで、今般の改正は、WTO協定等の内外無差別原則の遵守を確実なものとするためという理由で、一部のたばこを対象として税率を引き上げる内容になっております。

 まず、この改正理由について、改めて具体的な御説明をいただきたいと思います。

菅原副大臣 今般、旧三級品に係るたばこ税の特例税率を見直す、こういうことになったわけでございます。

 鈴木先生のお話にありましたとおり、たばこに係る課税に関しては明治初期にさかのぼるわけであります。とりわけ、直近の契機として、昭和六十年、日本専売公社が解散となって日本たばこ産業株式会社が設立をされました。その当時からたばこ税の本格的な導入ということになっているわけでございまして、こうした中で、平成二十二年度のたばこ税率の引き上げは、紙巻きたばこ全体の消費量が減少するという中で低価格の旧三級品の消費量が逆に急増している、こうした現象が起きておりまして、いわば一般のたばこから旧三級品への消費のシフトが起きている。

 そして、旧三級品を取り巻く環境、状況に大きな変化が生じていることとあわせまして、旧三級品の特例税率は、お話にございましたように、制度的に国産六銘柄、ゴールデンバット、エコーだとか、わかば、こうしたものに適用されているわけでありまして、WTO協定等の内外無差別の原則に違反をしている、これは提訴等をされているわけではございませんが、こうした指摘の中で、今回、対応することになったわけでございます。

 なお、この特例税率を廃止する、すなわち一般紙巻きたばこと同率の税率にするということに関しましては、一定の経過期間を設けまして、段階的に縮減、廃止することといたしております。

鈴木(克)委員 今回の改正理由は御説明をいただいたわけでありますけれども、私が申し上げたいのは、いわゆる旧三級品のたばこというのは特別の配慮がされてきた。それは何かというと、主として高齢者を中心として長年親しまれてきたというところでありまして、前回の引き上げ後は、高齢者だけではなくて、いわゆる経済的に余裕のない学生などの喫煙者もこの旧三級品に流れておるというふうに聞いておるわけであります。

 そういうことでいきますと、高齢者や経済的弱者といった方々のささやかな楽しみまで奪ってしまうというような増税はやはりちょっと違和感を感じるわけでありますが、麻生大臣、このことについて大臣はどのような御所見をお持ちでしょうか、お尋ねいたします。

麻生国務大臣 ただいま菅原副大臣の方から御説明をさせていただきましたけれども、この旧三級品というのは、ふだんたばこを吸われない方は、懐かしい名前で、ゴールデンバット、しんせい、最近、はやっているんだか、はやっていないんだか、余り聞かれない名前のたばこを含めまして、バイオレット、エコー、わかば、そういったものを旧三級品というんですけれども、特例税率というのをやっておりまして、平成二十二年度のたばこ税率の引き上げ以降に、この種類のたばこの売り上げが急増しております。

 したがいまして、たばこの絶対量を下げるという目的からこれは明らかに反していることになるんですが、旧三級品の特例税率というのは、国産の六銘柄だけに使用しておりますものですから、WTO、世界貿易機構の協定で、内外無差別の原則に違反しているという指摘を受けてきたところであります。

 他方、この旧三級品の喫煙者というのは、低価格を理由に旧三級品を購入しておられる方も大勢おられるという、今、鈴木先生の御指摘のとおりの面もあろうかと思いますので、この特例税率というものを廃止するまでに、四年間かけて段階的に税率を引き上げて行うようにして、それなりの配慮はいたしておるところであります。

鈴木(克)委員 ちょっと通告にはないんですけれども、大臣にぜひこの際お伺いをしたいんです。

 大臣は葉巻の愛好家である、このように伺っておるわけであります。銘柄をちょっと私も調べてきたんですけれども、愛用の葉巻は、私はよくわかりませんが、ホヨー・ド・モントレー・ペティロブストという銘柄を御愛用されているやに聞いておりますが、その葉巻というのは一体幾らぐらいなのか、その辺のところをぜひこの際お聞きかせいただきたいというふうに思います。ついでにいろいろと、どういうときに、一日どれぐらいお吸いになっておって、葉巻の税金というのはどんなふうになっておるのか、その辺のところを、通告はありませんけれども、わかる範囲の中でお聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 プライバシーにかかわるので全く答弁をする必要なしという御意見もありましょうけれども、まあ、鈴木さんの話ですから。

 正直言って、これを自分で買ったことがないので、よく知りません、ほとんどもらい物ですから。

 何でもらうかというと、簡単で、麻生太郎にお土産といったら、とにかくこれさえ持っていけば大丈夫ということにみんななっています。大体、外国人が来るといったら、自分で決めた予算があるんでしょうけれども、それに応じてたくさん来たり少なく来たり、あれはみんな予算でそうしておられるんだと思います。

 ちょっと正直、今、これを自分で国内で買ったことがありませんので、よく知りません。

鈴木(克)委員 突然の御質問で大変申しわけなかったんですけれども、こういうことを私もちょっと聞いたんですね。葉巻は人からもらっちゃいかぬな、自分で買えるだけの財力がなくちゃ、私もずっとショートホープを吸っていた、四十歳になり、買えるだけの収入になってから吸い出したと、なかなか味のある話がありました、こういうことでございます。

 もちろん、お立場上、贈り物があればやはりそれを吸っていくというのは当然の流れだと思いますけれども、基本的には、やはり自分で買えるだけの財力を持って、それまで努力をして葉巻を吸えるようになってということをあるところでおっしゃったそうでありますが、その辺のお考えを重ねてお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 さらにプライバシーにかかわるような話だと思いますので、これが議事録に残るのかと思うとちょっと。質問される方の立場もあろうと思いますので。

 正直言って、たばこと葉巻を吸ったときに、どう考えても葉巻の方がうまいなと思いました。したがって、私は、学生時代にほとんどたばこは吸わなかったと思っております。

 大学に入ったときに、蒲郡でもいろいろやっておられるヨットというのにどっぷり四年間、横浜に住んでおりましたので、そこでヨット部に入ったために、風がないと、おい一年、たばこなんて言われると、自分は吸いませんなんて言ったら、ばかたれ、おまえは関係ないんだといって、たばこに火をつけてじっと持っていると風の動きがこれで見えるというためにたばこは皆持っていないといかぬという話になって、それで何となく吸い始めたんですけれども、うちに葉巻がありましたので、比べてみて、どう考えても葉巻の方がうまいな、誰が吸ってもそうだろうと思った。吸おうと思ったら、高いなと思ったものですから、これはとても買えぬと。

 だから、ずっと吸わずに来ておりまして、四十歳になったら葉巻、五十歳になったら帽子、六十歳になったらステッキなんだな、二十代のときそう思っていたんです。四十代で葉巻を始めましたけれども、五十代になって帽子をかぶったら、あら、頭をどうされたんですかとか、六十代でステッキを持ったら、あら、足でもけがされたんですかなんて言われたらとてもじゃないと思って、全部二十年ずらして、葉巻だけは四十、帽子は七十、八十になったらステッキ、そう思っております。

 こんなものは趣味の話ですからあれでしょうけれども、やはりもらった葉巻だけではちょっといただけませんので、自分で買えないとぐあい悪いかなと思っております。

鈴木(克)委員 まさにプライバシーに触れる話で大変御無礼をしましたけれども、ある意味では人間麻生太郎の人となりというのがよく国民の皆さんにも理解をしていただけたのではないかな、このように思います。

 全く話をかえまして、アジアインフラ投資銀行の話をさせていただきます。

 G20で、五年間でG20全体として経済規模を二%底上げするという目標を掲げてみえるわけであります。

 議長国のオーストラリアは、インフラは今後十年で八十兆ドルの需要がある、計画達成に向けて極めて重要だと述べるなど、経済成長にはインフラ投資が重要であるというふうにされておるわけであります。また、世界銀行によると、新興国では毎年約一兆ドルのインフラ投資が行われているが、さらに毎年一兆ドルの資金需要があると言われております。

 新興国のインフラについては、昨年のG20、財務大臣・中央銀行総裁会議において、オーストラリアから提案があった、新たなインフラ投資の枠組みについて議論が交わされたというふうにされております。参加国の中で、世界的にインフラ投資を促進することで一致したというふうにされております。また、具体的な枠組みについて、十一月のブリスベン・サミットまでに詰めるというふうにされておるわけでありますが、これらの具体的な内容について改めてお聞かせをいただきたいと思います。

 ちょっと古い話で恐縮なんですが、消費税の先送りや総選挙もあったために大臣に御質問する機会がなかったので、改めてここで御質問をさせていただきたいと思います。

麻生国務大臣 昨年の九月のG20、財務大臣・中央銀行総裁会議、これはオーストラリアが議長国で、場所はケアンズで開かれたんですが、このときにインフラへの投資促進のためのイニシアチブというのが合意をされております。

 その実施のための枠組みとして、昨年十一月、これまたオーストラリアのブリスベンというところでサミットが開かれておりますけれども、そのときにグローバル・インフラストラクチャー・ハブ、GIHの設立が合意をされておりまして、このGIHは、インフラ案件と投資家を結びつけるための情報、また知識の共有のために、昨年十二月、シドニーに設立をされております。本年の早い段階での業務の開始を目指して、今準備がされている段階だと理解をいたしております。

鈴木(克)委員 そこで、お伺いをするんですが、中国が、アジアインフラ投資銀行、いわゆるAIIBを提唱されております。きのうまで四十カ国というふうに思っておったんですが、きょうの報道では四十四カ国ということで、続々と参加を表明されておるようであります。

 麻生大臣は、AIIBについては、公正なガバナンスの確保、特に理事会がきちんと個別案件を審査、承認すること、債務の持続可能性や環境、社会に対する影響への配慮が確保されていることなどが重要であり、AIIBはこれらが明確ではないということで、我が国の参加については慎重な立場である、このように伺っておるわけであります。

 しかしながら、G7諸国では英国、ドイツ、フランス、イタリアが参加を表明し、カナダも参加を検討しているとの報道がなされておるわけでありまして、慎重な立場であるのは我が国と米国の二カ国しかないという状況ではないのかなというふうに思います。さらに、韓国やオーストラリアといった比較的我が国に近い立場である国も、相次いでAIIBに参加を表明しておるわけであります。

 政府は、日本再興戦略において、二〇二〇年にインフラシステム輸出戦略で掲げた約三十兆円のインフラシステムの受注目標を達成するというふうにされておるわけであります。そして、アジアでは鉄道や道路などインフラ投資の需要が十年で総額八兆ドルに上るとの試算もあるというふうに報道されておるわけであります。

 AIIBにガバナンスの問題等があるのは確かかもしれませんけれども、今後のアジア圏のインフラの需要を考えると、経済界からも、日本企業が競争上不利にならないように対応してもらいたい、こういう話もあるわけでありまして、経営者としての御経験もある麻生大臣のお考えをぜひお聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 AIIB、アジアン・インフラストラクチャー・インベストメント・バンクを略したAIIBという言葉が最近よく聞かれるようになり始めました。

 これは、インフラストラクチャーの整備というものがアジア地域で急激に伸びているのに対して、世界銀行、IMF、アジア開発銀行等々の資金というもの、それに対して需要の方がはるかに上回っておるという実態があります。確かにそういう傾向はありますので、私どもとしてはそれに対応していかないかぬというんですが、これはこっちへ金を積み上げていかないかぬわけですけれども、その金を積み上げるに当たりましては、各国が出資せないかぬということになります。したがって、出資といったものになりますと、出資比率というものは発言権に非常にいろいろ影響しますので、各国はそれをいろいろな形で割り振って、長いこときちっとしたものができ上がっておるという実態があります。

 傍ら、インフラストラクチャーの急激な要望に対して応えようではないかというので、今そこに中国が出てきたということなんだと思います。

 私、中国がなさるのは、それなりの御自分なりの御意見がおありなんでしょうから、やられるのは結構ですが、間違えないでもらいたいのは、金を貸すということは、金を返してもらうんですよね、銀行なんだから。これは単にODAで上げますという話じゃなくて、融資、もしくはそちらに対して金を貸すということになりますから、金を返してもらう。

 そうすると、既にIMFとか世界銀行とかADBとかは、いろいろな国に貸している金があります。この国だったらこのインフラに関して百億、この国に関しては八十億、こっちに関しては百五十億だといって、いろいろな物件、道路、鉄道、ダム、電気、いろいろあるんですけれども、そういったものに貸してあるのが既にあります。それを経済成長に合わせて今返還しておる。日本も昭和三十九年に新幹線を世界銀行から金を借りてつくったわけですから、あれと同じことです。しかし、日本は約定どおりきっちり返しましたから。しかし、これらの国々は、約定どおりに返すための計画はできますかということを見ますと、なかなかそのとおりできていないというこれまでの例がありますので、我々としては、何回となくそれをチャラにした経験というのが各国皆あります。

 私どもとしてはそういった過去の例がありますので、失礼ですが、今需要があることははっきりしていますが、それを満たしたときにはちゃんとその金が戻ってくることがきちんとしているか否かを審査する、検査する、ちゃんと融資の資格審査という銀行でも皆やっておられるのと同じことを、このAIIBはしてくれる技術、ガバナンス、能力がありますか、おたく、それがちゃんとできるんでしょうね、かつそれは理事会でちゃんと審議していただけるんでしょうねということを我々は聞いております。

 今に至るもその答えは返ってきておりません。まだ返事が来ていない。きょうが期限だというんですけれども、期限をつけているのはこっちの方で、ぜひ教えてもらいたいという話を申し上げておりますけれども、一向に返事は返ってきません。

 我々も、アメリカも同様ですけれども、それはきちんとそういうガバナンスができるというのであればいいですよと。しかし、できないとどういうことになるかというと、取りっぱぐれるのがAIIBだけならいいですよ。しかし、これまで金を貸している国も、全部の国には返らないけれども、こっちはちゃんと優先的に返してくれます、後から入ってきたこっちは後ですよということができますか。みんな一緒だなんと言われたら、割を食うのは最初に金を貸した方で、きちっとした融資計画を立ててやっていたところが後から来られたところにがちゃがちゃにされたらとてもたまらぬというのが世界銀行、IMF、ADBの立場でしょうから。

 みんな一緒に計画をして一緒にやってくれるというガバナンスがあればそれなりのものはできるんだと思いますが、そういったお話は今に至るも聞こえてきません。きちっとそこらのことをしていただければ我々としても考えるということであって、私どもは、アジアですから影響を最も受けますので、出資も多分一番出させられる可能性がありますから、出させられておいて取りっぱぐれましたといったら、それは一番割を食う、税金を預かっているこっちとしてはなかなかそんな簡単には応じられぬということをずっと申し上げておる。

 これは同じことしか申し上げておりませんので、こんなに余り長くしゃべることもないんですけれども、初めての御質問でしたので、私にしては珍しく丁寧に御返答申し上げました。

鈴木(克)委員 珍しく丁寧に御説明をいただきまして、ありがとうございました。

 時間が参りました。

 いずれにしても、私が申し上げたかったのは、確かに今そういった投げかけをしておる、その返事が来ないということはよくわかりました。ただ、我が国とアメリカの二カ国だけが今のところ入らないということ、それから、経済界はぜひひとつ乗りおくれることのないようにやってくれということでありますので、返事がきちっと来たときには、大臣として、また日本国としてしかるべき判断をされるということでよろしいんでしょうか。再度御質問して、終わります。

古川委員長 麻生財務大臣、時間が参っておりますので、簡潔に御答弁願います。

麻生国務大臣 仮定の質問にはお答えできませんけれども、いずれまたサミットというような場所が出てまいりますので、そういったところで七カ国で話をしたりというような場面が出てくるんだと存じます。

鈴木(克)委員 終わります。

古川委員長 午後三時十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前九時四十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時十五分開議

古川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。吉田豊史君。

吉田(豊)委員 きょうも頑張ってまいります。よろしくお願いいたします。

 今回の質問は、先週の私の実体験をもとにしてつくりましたので、もしかすると途中で感情が入り過ぎるかもしれませんけれども、御容赦いただきたいところもあると思います。

 何かと申しますと、財務金融委員会というのは、私の拙い理解の中では、とにかくお金のことについてきちっと、さまざまな物事をやっていくときには基本的にはお金の裏づけが必要だろう、こういうところが実際ここの委員会でさまざまな問題を扱っていい理由になっているかと私は拝察しております。

 議員にならせていただきまして三カ月間、私は、何もわからないものですから、衆議院の予算委員会の傍聴の方に欠かさず出席させていただきました。わからないなりに、予算委員会というところが、国家の百兆円になる大きな予算があって、そしてこれが全て結果としてさまざまな政策、施策につながっていく、そういう大切な場だということも学ばせていただいたと思っております。

 その一方で、毎日毎日通っておりますと、毎日毎日政治と金の問題というところも議題に出てくる、こういうことも事実でございました。これは、私とすれば、わからないなりにも残念なところもあり、また、これがどうなっていくかということは、やはり全てのことにおいてお金の問題というのはクリティカルな根本のことにかかわるんだな、こういうことも考えておるところでもございます。

 そういう中で、実は、予算委員会の政治と金の問題は、私にとっては人ごとといいますか、まだまだ自分には縁のない話だと思っておったんですけれども、そうではなくて、私にとっても政治と金の問題というのが先週起こったというところでございますので、これについて少しお伝えしたいなと思います。

 具体的に何かといいますと、政治活動というのも、さまざまなチームをつくって、言葉がいいかわかりませんけれども、結社、一つの集まりをつくって何かを実現していこう、そういう存在だと思います。そういう意味で、会社ですとか、それ以外のさまざまな法人ですとか団体と同じ部分があるだろう、こういうふうにも思うわけです。

 先般、麻生大臣に大変生意気なことを申し上げましたが、私も小さな商売をやっておるということをお伝えしたと思います。そういう中で、商売として創業していくというときは、やはりお金をまず用意して、そしてそれを元手にして商売を始めていく、こういうことが当たり前の考えなんですけれども、事政治の世界になりますと、私自身、選挙に出るときに、よく言われる言葉ですが、選挙に出るには、地盤、看板、かばん、こういうふうに三つのバンが必要なんだぞということをおっしゃる方が多くおられました。

 地盤ということについては、一人一人の考え方だと思いますけれども、朝から晩まで一生懸命選挙区を歩き回る、あるいはほかの方法かもしれませんけれども、それをつくり上げていくことは体をかければできる。

 看板ということについても、自分がここだと決めた政党である、あるいは自分がどうやって自己を表現していこうかということについては、インターネットとかも普及してきていますから、さまざまな方法があると思うんですね。

 けれども、最後のかばんというのは、具体的には活動するためのお金ということだと思うんですけれども、これについて、スタートしていくときにここが実は非常に不安定というか、よくわからない、もやもやしたものになっている。このことが、最終的に、一人一人が政治家として活動していく中にあって、いつもつきまとう問題になりつつあるということも私は感じております。

 まず、具体的に言うと、私は、政治活動をすること、あるいは自分が政治家としてお金を借りようとしたときにさまざまな壁にぶち当たった、こういうことが先週の私の体験なわけなんですね。でも、これは、私自身が新人だからということかもしれませんけれども、政治の世界を志す、あるいは政治の世界に身を置きたい、挑戦したい、こういう方々にとっては避けては通れない問題だろう、こういうふうにも思いますので、幾つかのことをお聞きしながら、ここに問題点があるのではないかと思うところをお聞きしていきたいときょうは思うところでございます。よろしくお願いいたします。

 まず、私は、議員になりましてから、維新の党の富山県第一選挙区の政党支部というのをお与えいただいて、そしてそこが私の活動の基盤だ、こういうことを条件として渡されたわけです。この政党支部あるいは私自身のその他の任意の政治団体とか、こういうものがあるんですけれども、これをもとにして政治活動を行っていくときにはいろいろな、社会的には、例えば事務所を借りるですとか、あるいは物を買うですとか、こういうようなことの契約の問題が当然発生してくるわけです。

 ここについて、今申し上げた政党支部や政治団体が契約の主体となり得るのか、そのことをまず確認したいと思います。お知らせください。

金子政府参考人 お答えいたします。

 契約の主体となるか、なり得るかどうか、これは法人格の有無によって決まるということになっております。御質問の政党支部や政治団体が法人格を有する団体でなければ、契約の主体となることはできない、これが原則でございます。

 もっとも、法人格を有しない政党支部や政治団体であっても、いわゆる権利能力なき社団に該当すれば、この該当性につきましては判例上必要とされている一定の要件を充足する必要があるわけですが、この権利能力なき社団に該当すれば社団の代表者が社団の名義で契約を締結するということが可能とされております。

 その場合には、契約上の債務はその社団の構成員全員に総有的に帰属し、社団の総有財産だけがその責任財産となる、したがいまして、構成員各自は個人的債務ないし責任を負わないもの、このように解されているところでございます。

吉田(豊)委員 正しい御答弁なんでしょうけれども、ちょっと難しくてよくわからないなというところがあります。これは本当に、私だけではなくて、なかなか、今言っていることはわかりづらいんじゃないかなと思うんですね。

 権利なき社団ということになりますと、まず、私が申し上げた政党支部というものの存在自身がそこに当てはまっていくのかどうなのかというところがあるんですが、これについては判断は出ているんでしょうか。

金子政府参考人 一般的に、先ほど私が御説明申し上げた権利能力なき社団に該当するかどうかということにつきましては、まず団体としての組織が備わっているかどうか、そこで多数決の原則が行われ、構成員が変更しても団体そのものは存続している、そしてその組織によって、代表の方法、総会の運営、財産の管理その他団体としての主要な点が確定しているものでなければならない、このように言われています。

 政党の支部あるいは政治団体がこれに該当するかどうかということで判断されるのであり、個別の判断、それは個別の判断になるということで、政党支部だからどうということは私どもとしてお答えすることができないということであります。

吉田(豊)委員 個別個別で判断していくと。

 私自身、この質問をするに当たって幾つかお聞きして教えていただいた中に、権利なき社団とかというと、例えば町内会ですとか、あるいはさまざまな地域のことをやっていく、そういうものが基本的にはイメージされるということなんですね。そうすると、政党支部というのは非常に特殊な存在だろうと思います。

 一緒に教えていただいたのは、政党支部というのは、あくまでも政党というものの支部という存在なんだと。こういう位置づけからすれば、今ほどおっしゃった政党支部として何かをしていくということを、政党支部が独自性を持って判断していける状況にあるかというと、あるいは多数決ということもおっしゃったけれども、政党支部の中で多数決って何のことかなという部分も出てくるわけですね。

 私、なぜ政党支部でという話をしているかといいますと、基本的には、政党支部というものは、一人の政治家について活動していく中にあって、当然、例えば事務所を借りる、あるいは物品を購入するとか、これは全て一般の契約のところの話に入っていくわけです。ですから、そういうものとしての主体になっているのかどうなのかということを、改めて個別の事例で確認しなくてはいけない。こういうこと自身が、本来の、商売でいうと、当然、商売をする場合は法人、会社というものは登記をして、具体的に言えば法人の実印も印鑑登録してとか、こういう形できちっと見える形にすることによって、それが契約の信頼につながっていく、これが当たり前のプロセスだ、こういうふうに思うわけです。

 私が今、政党支部を特に問題にしているのは、あるいは政治団体でもよろしいですけれども、こういうようなものが実際に備わっていることが当然にして必要なものじゃないかなと私は思う部分があるので、今確認させていただきました。

 もう少し進めますけれども、今度は、政党支部とか政治団体が実際に一般の金融機関から融資を受けることが現時点で可能となっているというふうに判断できるのか、それについてお答えいただきたいと思います。

森政府参考人 今委員から御指摘のあった、政党支部や政治団体に対して銀行が融資を行うことにつきましては、先ほどの、そうした団体が契約の主体となり得るかどうかという私法上の問題はあるかもしれませんが、そこをクリアできましたら、金融関連法上それが禁止されているものではございません。

吉田(豊)委員 ありがとうございます。私もそうだろうと思います。

 そういうときに、それでは、実際に政党支部なりあるいは私の政治団体が金融機関にお金を借りたいということを言ったときに具体的にそれが進むのかどうなのかというと、実は先週の私は進まなかったわけですね。これは、でも、笑われますけれども、当然そうなっていくだろうなという部分が幾つもあるわけです。

 きょうの午前中の委員会の鈴木先輩と大臣との最後のやりとりのところに、国同士でお金を貸すときだって、それはやはり信頼というか信用というものが基本になって、それがないことには何をやるにしたって始まらないんだよという、非常にわかりやすい御説明があったと思うわけです。

 こうなったときに、それでは、私が今申し上げている政党支部あるいは政治団体に対する、お金を貸すということは、当然それは、貸す側は貸される側に対する信用があるかということについての判断に入っていくわけですから、そうなったときに現実としてこれがどうなのかというところが私は大きな問題点ではないかなというふうに思っています。

 次に、何でお金を借りることにこだわるかというと、私は、政治家というものは、何をするにしたって活動するときは当然軍資金が要るわけですから、お金が必要だろうといって集めるときに、この国、あるいは世の中は全部そうかもしれませんけれども、基本的には、それが企業であれ団体であれ個人であれ、寄附を募って、そしていただいて、それをもとにして活動していく、こういうことが基本的なルールなんだろうと思います。

 それはそれでやり方だと思うけれども、私は、必ず、そういうふうなやり方の中には、出される側の思いというものがお金に乗せられているだろうと。現実、思いがない人がお金を出すということはあり得ないので。こういうところを考えていくと、出していただいた側の政治家もやはりその思いを受けとめて、そしてそれに応えていくというところが政治家とすれば当然のことだし、でも、これが変な意味での政治家自身を縛るものであったり問題を起こすものであったりとか、こういうことがあると思うんですね。

 ですから、私は、スタートするときのお金こそ、特に、色がついていないといえばいいか、負担に思わなくていい、思いが余り乗っていないお金というものがあったり、あるいは政治活動をするときにもそういうものがあった方が本当の意味でスムーズにいくだろう、こういうふうに思うわけです。

 そうすると、では、私にしたって、政治活動をするときに、自分の友達や親戚にお金を借りるよりは、やはり金融機関に借りて利息をつけてお返しする、こういうことが当たり前のようにできれば、それが一番オープンだしクリアだしというところかな、こういうふうに思うわけです。でも、これが団体とすれば厳しいという状況の中で、今度は、私が政治家個人として政治活動にかかわる資金融資を行うということは金融機関からすると問題があるかどうか、これについて改めてお聞きしたいと思います。

森政府参考人 銀行が政治家個人に対して政治活動にかかわる資金融資を行うことは、金融関連法令上禁止されているものではございません。したがって、銀行が融資を行うか否かの判断は、各行における一般的な融資の原則に基づきまして、融資の収益性とか回収可能性など、こうしたものを総合的に勘案して行われているものと理解しております。

吉田(豊)委員 そうすると、方法とすれば、例えばやはり団体であれ個人であれ、結局のところは信用にかかわってくる問題だろう。これが具体的に個人の場合は、例えば自分が個人の担保として地面を持っているとか、あるいはそういうものがあるということがあった上でこれを進めていくことは可能なのかなと思うんですけれども、それについては御判断があるわけでしょうか。

森政府参考人 先ほどの答弁と同じになるわけでございますが、これは銀行が融資を行うか否かという経営判断になりますので、融資がちゃんと返ってくるか、それから借り手の状況はどうか、そういうものを勘案して、経営判断として行うものと理解しております。

吉田(豊)委員 おっしゃるとおりだと思います。

 そういう意味では、どこであれ金融機関の窓口に行ったときに、政治の言葉を出した瞬間にシャットアウトではなくて、例えば具体的に吉田豊史に対する信用がないから進めることができない、こういうような対応であれば、まあそうかなと。でも、そうなっていないのも現実ですので、ここら辺についても少し考えていく部分があるかというふうにも思います。

 もう一つだけ、細かいことでお聞きしますけれども、こういう日々の活動をしていく中にあって、お金を何に使ったか、誰がどのように使ったかというところについては、今、例えばクレジットカードですとか、借りた人が誰であって、誰が何に使ったということが明らかに見えてくるという方法があるわけです。そうすると、私なんかからすると、例えば自分のスタッフに対して、あるいは買い物をする一つ一つの事務所に対して、そういうものがクレジットカードで処理されていけば、最終的にこれを見ていただければ明々白々といえばいいか、そういうことが言えると思うんです。

 利便性のことを考えても、クレジットカードを私の政党支部だったり政治団体だったりでつくれればいいなというふうに思うんですけれども、これは可能かどうかということをお聞きしたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えさせていただきます。

 クレジットカード取引に関係する規制といたしましては、割賦販売法というものがございます。

 割賦販売法上は、契約の主体を制限する規定はございません。

 しかしながら、御質問の政党支部や政治団体が法人格を有しない場合には、先ほど法務省の方から御答弁がございましたように、原則として、契約の主体となることができませんので、当該政党支部等自体がクレジットカード発行に係る契約の主体となることは困難ではないかと考えております。

 なお、当該政党支部等が法人格を有しない場合であっても、議員御本人が個人事業主としてクレジットカード取引に係る契約の主体となるということは可能でございます。

吉田(豊)委員 幾つか大事なことをおっしゃったと思いますが、一人の人間が、当然政治家であり、あるいは会社を持っていて経営者であるということもあるでしょうし、それから政治団体ということであれば、自分が代表者であるという場合もあるでしょうと。

 いろいろなことがある中で、何で法人という概念があるかというと、それは、個人というものと、会社なら会社でやっていることを区分するため、もともとそういうために法人というのは存在するわけです。ですから、政治家としての活動をする中にあっても、自分が自分の家族を養う、その生計のことの部分があったり、あるいは会社の代表であったり政治家であったり、こういうことというのは本来きちっと区分されていく。

 そのために、私はたまたまクレジットカードという例を出しましたけれども、政治活動をすることに対してのきちっとした法人格というものを、私のイメージでは、法務局には会社については登記簿謄本があり、印鑑証明があり、そういう形で、契約していくときには必ず実印をついて、そしてその証明書があって契約していくわけですね。こういうことを政治活動をしていく中にあっても明らかにするような仕組みができてくると、いろいろなことがオープンになって、もっと安心して進められる部分もあるのではないかな、こういうふうにも私は思うわけでございます。

 ちょっと幾つか、具体的な小さい例だったものですから、大臣はもしかしたらぴんとこられぬかったかもしれませんけれども、私の思います政治活動の資金の調達という部分についての考え方について、御感想を頂戴したいと思います。

麻生国務大臣 まず、政治活動に金がかかるということに関しては、これは全く意見には同意します。

 それで、自分で商売したという話をしていた、たしか豆腐屋だと言ったね。その話だったので、今、金を借りて豆腐屋をという話を言っていたけれども、金を借りた。しかし、ほかに人からお金をといったときには借りる以外に方法がある、それはなぜなら、あなたに投資してくれること。

 ちょっと横道にそれるけれども、日本の場合はほとんどの会社は金を銀行から借りるんですよ。ヨーロッパとかイギリスとか、ドイツは違うから戦勝国と言った方がいいんですかね、特に第二次大戦の戦勝国の方は、総じて借入金よりは投資の方が多いんですよ。麻生、俺に投資しろと吉田さんが言うわけですよ。それとも、吉田さんが鈴木さんに向かって、俺に金を貸してくれと。

 金を受け取るという行為自体は同じだけれども、投資と貸付金では意味が違う。なぜなら、会社法によれば、投資は、あなたが返そうと思った場合は、それは間違いなく、あなたが利益を生んだ会社の運営をやって、それを配当で返す以外に方法がない。しかし、借入金の場合は経費で落ちるから、少なくとも、会社は赤字でも、会社がずっとそのまま存続することは可能。だから、借入金で金利だけ払っていれば、貸している人が文句を言わなきゃそれでいいかなということになるから、日本の場合は総じて借入金で会社をやっている人が多いから、バブルのときでも赤字法人が五〇%でした。その背景はそれですよ、もともとは。

 翻って、政治家に行く場合は、俺は政治家をやるから俺に投資してくれというのと、俺は政治家をやるから金を貸してくれというのでは意味が違うよ。僕はそう思いますね。

 銀行の話をしていらっしゃいますけれども、銀行というのはしょせん金貸しですから、人から預かった金をあなたに貸すわけだから、したがって、その金があなたから返ってくるという保証がない限りは、預金者に対して返せないから、だから安全なところを探す。信用ができないといえば、だから担保というんだけれども、本来は担保というのは、あなたのやる事業に関して信頼が置けないから、失敗したときの担保というのが筋であって、最初から担保を目当てに金を貸すなんというのは、金貸しとしては、道としては本筋ではないね。言っている意味は商売をしているからわかるだろうけれども。

 したがって、今のあなたの場合も、政治家としてやろうとした場合は、やはり俺に投資してくれと言って皆さん方から金を集めるというのが本来であって、それが主ですよ、多分。従が、金を借りるということなんだと思います。

 僕は、銀行を例に引かれましたけれども、少なくとも政党支部というので、その政党は、名乗れば政党なんというのが、いろいろわけのわからぬ政党を名乗っているところがいっぱいありますから、そういった意味では、政党というものは全国で五人の国会議員をもって何とかというきちっとしたルールがちゃんとあるでしょう、それに基づいて富山の何とか党の支部というものはきちっとできますから、法律に従って。そうすると、その政党支部が主体であって、その政党支部がコピーをつくりました、印刷物をつくりましたというのは、その政党支部が政党としてお金を払うということになるのであって、そこの関係はあなた個人がやっているのではない。寄附も、政党に寄附が行く。あなたに寄附が行かないのであって、政党に寄附が行くということは十分にあるんだと思うんですね。だから、維新の党富山一区支部に寄附が行きますということは、それは十分に可能な話なんだと思います。

 そこのところをちょっと整理しないと、何か一人で余り思い込んでも、相談する相手も余りいないみたいだから苦労しているんだろうけれども、もうちょっと、さっきみたいな話は、きちんとした話なんですけれども、なかなか、俺たちが聞いていても、こんなに難しく言わなくてもいいだろうにというけれども、易しく言える方法を知らないから無理なんですよ、そういう立場にないから。だから、私らの場合は若い人たちにそう言って、こうやってやるのよということを我々は先輩から習ってきたし、また今度は教える立場になっていますから、いろいろ話をするだけなのであって。

 ぜひ、そういった話をできるような、上に偉そうな顔をしているのはいっぱいいるだろうから、そいつらにちょっと聞いてみたら、そいつらがいかに無知かわかるかもしらぬけれども、同時に教えてくれるかもしらぬし、そういった話を聞いて、それからいろいろ習っていった方が、よりわかりやすくていい。お役人に正面から聞いたって、話はどんどんどんどん難しくなって、どんどんわからなくなるのが落ちだなというふうに思いながら、ちょっと出てきました。ぜひ頑張ってください。

吉田(豊)委員 大臣、ありがとうございます。

 一つだけお言葉を返しますけれども、私も先輩に恵まれておりまして、いろいろな御指導をいただきながらやっている中にあって、それで、おっしゃった投資と借金というのは……

古川委員長 吉田君、もう時間を過ぎていますので。

吉田(豊)委員 はい。

 本当におっしゃるとおりでして、そこをまた考えて、出てまいりたいと思います。

 ありがとうございます。

古川委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 維新の党の丸山穂高でございます。

 続きまして、私からも一般質問、質疑させていただきたいと思います。

 まず、本日は、日銀の総裁にお越しいただきました。お忙しいところ、ありがとうございます。来週、政策審議委員会があるということで、今週だったら来ていただけるかなと思いました。お話を伺いたく思います。

 特に、二十七日に総務省の方から消費者物価指数、二月分が発表されまして、見ておりますと、前年同月より二%増ということで、消費税の上乗せ分が大体二%ということでございますので、つまり、前年から見れば横ばいの状態の物価であると思います。よく、いろいろなエコノミストの皆さん、また恐らく日銀の審議委員の先生方からも幾つか出ているのは、やはり想定外の原油安と、あとは需要面が思ったより伸びないという面はすごく言われているところだと思います。

 このあたりを踏まえて、いつも、総裁にお聞きすると必ず最後に、一五年度を中心とした時期に目標の達成をする、そのためにあらゆる手段をとるというのはもちろんわかります。ぜひやっていただかなければいけないんですけれども、率直にお伺いしたいんです。今、物価の二%目標の不確実性は以前より高まっているんじゃないかなと。もちろん高まっているからこそしっかりやっていただかなければいけないと思うんですけれども、このあたり、不確実性の高まりについてどのように捉えられているか、お答えいただけますでしょうか。

黒田参考人 確かに、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、昨年の四月、消費税引き上げの月ですけれども、その月に、消費税引き上げの直接的な影響を除くベースでプラス一・五%まで改善していたわけでございます。その後、消費税率引き上げ後の反動減の影響が長引くもとで御指摘のように需要面の弱目の動きが見られたということ、さらには昨年の夏場以降原油価格が大幅に下落したということを背景に伸び率が鈍化しまして、御指摘のとおり、直近の二月はゼロ%になっております。

 もっとも、消費税率引き上げ後の反動減に起因する下押し圧力については収束しつつあるというふうに考えておりますし、原油価格の下落についても、やや長い目で見れば経済活動に好影響を与えて物価上昇要因となるというほか、前年比で見た物価押し下げの影響はいずれ剥落するということであります。

 また、最も重要な需給ギャップあるいは中長期的な予想物価上昇率といったものに規定される物価の基調的な動きというものには変化がございませんで、今後、基調的な物価上昇率はやはり着実に高まっていくというふうに見ております。

 こうしたことを踏まえますと、確かに、当面、消費者物価の前年比は、エネルギー価格下落の影響からゼロ%程度で推移し、あるいは一時的にマイナスになることもあるかもしれませんが、今後、原油価格が現状程度の水準から先行き緩やかに上昇していくという前提、これは原油価格についての先物市場等の動向からそういう前提を置いているわけですけれども、そういう前提に立ちますと、原油価格下落の影響が剥落するに従って消費者物価の上昇率は今後上昇していく、総合的に見て、二〇一五年度を中心とする期間に二%に達する可能性が高いのではないかというふうに見ているわけでございます。

 したがいまして、不確実性という意味では、常にあると思いますし、特に原油価格の大幅な下落が今下げどまった形で少しずつ上昇はしておりますけれども、今後の動向というものは極めて不確実でございますので、そういう意味では不確実性があるということは御指摘のとおりでございますけれども、見通しの一種の中央値、ベースラインとしては、先ほど申し上げたようなことでよろしいのではないかというふうに思っております。

丸山委員 総裁はいつも、お話をいただく中で、原油安が予想外にというのはお認めになっている。これが極めてキーになっていて、特に、二〇一五年度を中心とするとすると、先ほども先物の数値等を見られて原油安は徐々に剥落していくという表現をされましたけれども、もう一五年度が来てしまいますので、そういった意味で、一六年度になってしまっても、中心としたといったら、少し遠過ぎると思うんです。

 どれぐらいの時期にこの剥落が、きちんと原油安というのが解消されていくのも含めて、と思われているのか、その辺、タイミングについてお伺いします。

黒田参考人 原油の動きにつきましては、現時点で、各国の中央銀行関係者も含めまして、一番不確実性の高いところでありまして、いろいろな国際会議でもそれが大きな話題になるわけでございます。

 先ほど申し上げたように、私どもの物価見通しは、基本的には、ドバイの原油が五十五ドル程度の水準から緩やかに上昇していって、二〇一六年度の終わりまでに七十ドルぐらいに上がっていくという前提をとっております。

 これは、先ほど申し上げたように先物価格の動向から前提を置いているわけでありまして、実際にそうなるかどうかという点は、確かにまだわからないわけであります。

 一方で、いろいろな地政学的リスクから、一時的ですけれども石油価格がやや上がったこともあります。他方で、米国におけるシェール石油等の生産水準がなかなか落ちないということから、米国内の石油の在庫が積み上がっておりまして、こうしたことからまた逆に石油の価格が下がるといった局面もありまして、今のところ微妙で、わからないわけですが、一応、緩やかに二〇一六年度にかけて七十ドルに向けて上昇していくという前提に立ちますと、原油価格の大幅な下落というのは昨年の夏ごろから始まりましたので、秋になりますと、先ほど申し上げたように、どんどん下がっていくのではなくて、今後緩やかに上昇していくという仮定に立ちますと影響が剥落してきますので、一方で景気にはプラスということで経済の回復が進んでいくという両方から、二〇一五年度の後半には物価上昇率は上がっていくだろう。

 これは、日本について言っているだけではなくて、実は欧米でも同様なことが言われておりまして、ヘッドラインインフレーションでいいますと、ヨーロッパもそしてアメリカもマイナスになっているわけです。日本の場合はちょうどゼロなんですけれども。そういう中で、あちらの中央銀行も、今年あるいは来年度の後半にかけて物価上昇率はまた再び上がっていくだろうという見通しをとっておりますので、私どももそういうふうに見られるのかなと思います。

 いつも申し上げます二〇一五年度のCPIの上昇見通しの中央値というのが一%、再来年度が二・二%になっているわけですが、来年度に一%という見通しは、先ほど申し上げたように当面ゼロぐらいでいきますので、年度の後半にかなり上昇していくということがインプリシットに考えられているんだと思います。

 ただ、委員は、年度内の見通しは全く出しておりませんので、一定の推測ですけれども、そういうことからいっても、原油価格がどんどん下落していくということがなければ、やはり年度後半からかなり物価上昇率は加速していくだろうというふうに見通しております。

丸山委員 そういった意味で、欧州の話が出ましたけれども、ギリシャのいわゆる金融支援の問題というのは一つのリスクであると思うんです。

 今、六月末まで四カ月間延長されて、欧州で努力をされているところだと思いますが、もし破綻ということになれば日本にとっても非常に影響があると思うんですけれども、このあたりのリスクについて総裁はどのようにお考えですか。

黒田参考人 御指摘のとおり、ギリシャでは、先般、現在の支援プログラムのもとで四カ月の支援融資延長というのが決まりまして、現在、関係諸機関との間で、四月末を期限とする経済再建策の具体化交渉が進んでいるわけでございます。毎日のように欧州の新聞等で交渉状況が報告あるいは報道されておりますけれども、今のところまだその帰趨がはっきりいたしません。

 そういった交渉の帰趨がはっきりしないという不透明感に加えまして、報道されているところによりますと、ギリシャの税収が下振れているということで政府の資金繰りがかなりタイトになっているというふうに言われておりまして、そういうこともありまして、市場はこのところ神経質な動きが続いております。

 私どもといたしましては、今後とも、ギリシャ政府と関係諸機関との交渉の帰趨を含めて、ギリシャの金融経済動向が国際金融資本市場あるいは世界経済、ひいては日本経済に与える影響について引き続き注意深く見てまいりたいと思いますし、いろいろなチャネルで情報も常にとっておりますし、必要に応じて欧米諸国とも連絡をとりながら、今後の帰趨をよく見ていきたいというふうに思っております。

丸山委員 総裁は国際的にもお顔の広い方でございますので、これによって景気の腰折れが起きないように、緊密に連絡をとっていただいて、しっかりと目標を達成していただきますようにお願い申し上げます。

 本当はいろいろお伺いしたいんですけれども、この後AIIBの話も大臣の方にお伺いしたいので、このあたりで終えさせていただきます。お忙しいと思いますので、御退席されて構いません。ありがとうございました。

 大臣、午前中に鈴木委員からもありましたAIIBのお話を伺っていきたいんですけれども、きょうのお話で、もう初期の加入国には入らないというお話がありました。一方で、六月までに恐らく枠組みを決めていくだろうと中国の方が言っていて、合意していく。報道によると、年内までに日本も来ないかなみたいなニュアンスの報道も、本当かどうかは別にして、あるという意味で、このあたり、非常に国際的な駆け引きの舞台になっているなというふうに感じます。

 しかし、本当に中国という国はしたたかで、国際社会の中で戦略を描いているんだなというのを強く感じます。ブレトンウッズ体制、七十年以上続いているこの体制を崩していこうとしている中国がいて、その中で米国、オバマ政権が今なかなか外交上うまくいっていないなというのを感じる中で、この日本という国が、いかにこの国を守っていくために、そして国益を追求するためにやっていくかという点で、中国に負けてはいけませんし、かといって国益を損ねてはいけないという非常に難しい中でかじ取りをされていることに対して、本当に尊敬をさせていただきますし、絶対にこの国をいい方向に導いていただきたいんです。

 一方で、きちんと御説明いただかないと、今の感じだと、特にガバナンスの面でAIIBが不透明だから参加しないというのであれば、例えば一部の市場の方々からは、投資に関して、ほかの国からおくれをとるんじゃないかと。また、もう一つお伺いしたいのは、ADBの相対的、戦略的位置づけも下がってしまうんじゃないかとか、そのあたり、懸念の声があると思うんです。

 まず、期限について、六月までにある一定の方向性を出すという、財務大臣、お考えでいいのかということが一つ。そして次に、中国を含めた国際社会の中で国益をどうやって出していくのかというところについてお伺いしたいんです。

麻生国務大臣 まず、何で六月なんだかよくわからないんですけれども、本当は三月、きょうまでですから。だから、きょうまでに返事していないから、もう終わりよ、その話に関しては。

 だけれども、それでどうかなったかといったら、どうにもならないわけだから。では、次は何とかといって、次は六月ときて、そのときがだめだったらまた九月と、大体そういった話でしょう、こういう話というのは。そういうものがわかっている方じゃないと、何となく焦って、あしたにも日本がパンクするんじゃないかなんということを言って、全然関係ないですよ、そんなものは。

 別にこっちは中国からお金を借りているわけでもありませんので、今のままで別に、私どもが言っているのはけさほど鈴木克昌先生に御説明したとおりなので、私どもとしてのスタンスはずっと変わっていることはありません。

 少なくとも、金を貸すというのは、ADBと一緒になって金を貸すというのであれば、それはADBの融資の基準をまねるということですから、それなりにちゃんと返ってくる当てのあるところにある程度融資をする、また返せるように指導もするということをADBとかIMFとか世界銀行というのはみんなやり切るところですけれども、そういったことができていない。少なくとも未経験。国内の中においても、バブルになってみたりいろいろしている真っ最中ですから。ましてや海外、東南アジアというところで金を貸す、インフラで貸す。融資ですから、どうして返せるのという、ちゃんとその返済ができるという条件でないと金は貸せないというのは、これを審査する能力が開かれていないと、日本も出資してといって出資させられて、どこだか、理事会でもわけもわからず金を取られて、はい、なくなりましたと言われたって、こっちは税金ですからそんな簡単にはいかないんですよという話を私どもはしているだけですから、きちんと話をしていくということだと思いますけれども。

丸山委員 本当にしっかりやっていただけると信じています。本当に、いわゆる戦後七十年の国際金融の枠組みを変えようとしている流れの中で、この国がどうあるべきかということでございます。

 確認なんですけれども、今の大臣の御発言であれば、六月で区切ることもなければ、年内で区切るという、時間を区切って交渉を焦る必要はないというお考えでよろしいんですよね。それをお聞きしたかったんです。その必要はないと思うんですけれども。

麻生国務大臣 こういうのは交渉事ですから、どうなってくるかよくわかりませんけれども、例えばアメリカも一緒にということになると、これは出資するわけですよ。

 そうすると、アメリカは今、IMFの増資にも、五年前に決まっているんですよ、五年前にみんなで決めた、いまだに金が払えない。アメリカは議会が拒否なんですよ。国際連盟を自分でつくっておいて国際連盟に自分で入らなかった国ですから別に驚くことはないんですけれども、今回もといったって、TPPの話ばかり日本では出るけれども、TPAという、大統領にちゃんと交渉権を議会が渡してくれない限りは、間違いなくTPPなんか、サインしたってそのとおりにならないということだって十分にある国ですから。

 そういった意味では、今回も、少なくともちゃんと出資をすると決めても、出資をするという話も、IMFにもまだできないのにAIIBに出すかねと言われたら、なかなか議会はそんな簡単なものじゃなくて、今、共和党の方が強いアメリカでそれはないとなると、これは、アメリカを入れてもらいたい、日本に入ってもらいたいといえば、ずっと先に延びていく可能性というのは十分にあると思いますけれどもね。

丸山委員 この話はしばらくずっと、財金委だけじゃなくていろいろなところでされると思いますので、ここで全てをお聞きすることはできないと思っているんですけれども。

 申し上げたいことは、最初からお話ししていることでございまして、つまり、アメリカも、議会のせいにしてはしごを外す可能性もあるということは大臣も重々御認識されている。それが国際社会の交渉であって、海千山千の大臣は一番わかっていらっしゃると思うんですけれども、これをきちんと国民の方に御説明できるようにお願いしていきたいですし、この委員会でもその話は伺っていきたいと思います。

 最後、今回の中国の国際社会での動きについての大臣の御感想を伺って、終わりにしたいと思います。

麻生国務大臣 アジア開銀は日本、IMFはヨーロッパ、世界銀行はアメリカで大体リードされているというところに、その一角に中国もというので、なかなかこれまで努力をしてきたんですけれども、全然そういったわけにいかなくなっちゃって、おたく、自分のシャドーバンキングの方の整理もできないで何を言っているんですかというような話になっちゃいますからね、どうしたって。みんな言わないだけで、そうみんな思っているわけですから。

 そうすると、もう自分でやりますという話に多分なっているんだと思いますよ。何せ金は、外貨準備高だけは、我々、外からよく数字が見えませんけれども、相当あるということを前提にしてやっておられるんだと思いますので、その金を貸してさらに利益をというのは、金融業をなりわいとしようと思えば当然考えられるんでしょうけれども、それは世界から見て需要があるけれども、その需要のあるところはちゃんと返せるというように、少しずつ少しずついかないと、こういった形で急成長はしませんから、こういうものは。

 だから、そういったようなことを考えて、ほかの国はインフラというのを少しずつ少しずつやって、間違いなくインドは道路なんかきれいによくなってきまして、よくなってきているんですよ。でも、さらにという話になったときにいきなりそこにぼんと百億ドルと言われても、それを返せますかという話になるんだと思いますので、やはり金を貸すというのは、ちゃんと返せる人に金を貸すようにしていかないとどうにもならぬということが基本的にわかっているのかなという感じはしますけれどもね。

丸山委員 質問を終わります。ありがとうございました。

古川委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 きょうは、待機児童の解消と園庭の確保、国有地の活用について質問いたします。

 政府は、一昨年打ち出した待機児童解消加速化プランで、二〇一七年度までの五年で四十万人の保育の受け皿をつくり、待機児童をゼロとするとしております。政府は過去にも、エンゼルプランなど、待機児童ゼロを目標とした子育て対策は数次にわたって行ってきました。

 しかし、この間、保育所の定員をふやしても、申し込みもさらにふえていくということで、待機児童が減らないということが続いております。これまで失敗してきた待機児童ゼロが今回は成功すると言えるんでしょうか。

橋本大臣政務官 御質問でございますけれども、女性の就業率が上昇していく中、待機児童の解消は喫緊の課題であると考えております。

 平成二十九年度末までにその解消を目指し、平成二十五年四月に策定した待機児童解消加速化プランに基づき、五年間で約四十万人分の保育の受け皿の確保を進めているところでございます。

 加速化プランは、これまでの計画と異なりまして、認可保育所の整備に加えて、加速化プランに参加した自治体は施設整備費の国の補助率がかさ上げされ、その分自治体の負担割合が減る措置、あるいは小規模保育や賃貸物件を活用した保育所の設置に対する支援もするようにする、あるいは認可を目指す認可外保育施設への支援、保育の量的拡大を支える保育士の確保といった多様な支援メニューにより、平成二十五、二十六年度の二カ年で約二十万人分の保育の受け皿を確保する見込みでございまして、これは加速化プラン開始前と比べて二倍のスピードの拡大量となっております。これまでは認可保育所の整備に対する支援しかしていなかった、それをもっと広げたということでございます。

 今後、平成二十七年度から三年間でさらに約二十万人分の保育の受け皿の確保を進め、待機児童ゼロの実現に向けて全力で取り組んでまいります。

宮本(徹)委員 これまでの二倍のスピードで整備が進んでいるということですが、しかし、計画以上に需要が高まって、待機児童がさらにふえているという指摘も出ております。

 これは東京新聞の今月の報道ですけれども、東京二十三区でいえば、昨年を上回る子供が一次選考で認可保育園に入れなかったということになっております。認可保育園の募集定員、東京二十三区で見ますと、二年間で三万六百六人から三万九千三百四十二人に九千人ふやしているわけですけれども、申し込みはそれを上回る一万一千人ふえているということになっております。

 ですから、認可保育園に子供を預けたい家庭の子供の数のふえ方が政府の想定を上回っているということなのではないでしょうか。

橋本大臣政務官 お答えをいたします。

 本年四月の保育所等の待機児童の状況というのは、今は三月でございますから、今後、市町村が自己の市町村内の待機児童を把握した上で、国がその状況を調査することで判明しますので、現時点においてはまだ把握できていない。

 そして、御指摘をいただきました報道がございました。これは保育所の四月入所に向けた第一次選考の状況を聞き取ったものと承知をしておりますけれども、市町村におきましては、第一次選考以降も、新たに市町村の認可事業となる小規模保育事業等の保育所以外の保育の受け皿を含めて、待機児童の解消が進められていくものと承知をしております。ですから、今後、この状況からさらに待機児童が減っていく、まだ見通しはあるということでございます。

 現在、先ほど申しましたとおり、待機児童解消加速化プランにより、加速化プラン開始前の二倍以上のスピードで保育の受け皿の確保を図っているところでございまして、今後はこれに対応し、待機児童も減少していくものと見込んでおります。

宮本(徹)委員 いや、私は、認可保育園に入りたいという家庭の子供のふえ方が政府の想定を上回っているんじゃないかと。

 これから、さらに、二次選考もあれば、いろいろなことで入っていく方がいると思いますけれども、ふえ方が政府の想定よりもふえているから、認可保育園に入れない子供が、こんなに一生懸命認可保育園をつくっているのに、またふえちゃったということじゃないかというふうに思うんですね。

 昨年十一月に厚生労働省が発表した資料があります。待機児童解消の目標年度である二〇一七年度で、ゼロから二歳の保育の受け皿が四万六千人分足りないということが明らかになっております。今の計画では待機児童ゼロが実現しないんじゃないでしょうか。

橋本大臣政務官 昨年十一月に、今後の保育の受け皿整備等に関する市町村事業計画の進捗状況を取りまとめたところでございます。

 これによりますと、ゼロ歳から二歳の保育が必要な子供の平成二十九年度の量の見込みは潜在的な需要も見込んで約百十六万人となっておりまして、国の加速化プランでは、これに基づいて保育の受け皿の確保を進めていくこととしております。

 一方で、同じ市町村事業計画に基づく確保方策の値を単純に集計しますと平成二十九年度で約百十一・四万人となっておりまして、それと差があるではないかという御指摘なんだと思いますけれども、これは保育の受け皿の確保に向けた取り組みが潜在需要に対応した十分な供給量を確保する水準に達していない市町村があるためと考えられておりますので、こうした市町村に対しては、量の見込みに見合った保育所の整備を促進するように強く今後も要請してまいりたい、このように考えております。

宮本(徹)委員 今の計画では足りないというお話でありました。

 私も東京二十三区の定員確保計画を少し見てみましたけれども、ある区で見ますと、二〇一七年度になっても、ゼロ歳児、三から五歳児も、利用希望者が入るだけの保育施設の整備が間に合わないということになっておりました。これは認可外も含めての話であります。

 政府の掲げる二〇一七年度までの待機児童ゼロを実現していくためには、施設整備の計画をさらに積み増していくことが必要なのは明らかです。ですから、自治体への支援もさらに求められるということだと思います。

 そして、政府が掲げている四十万人という数なんですけれども、自治体が行った潜在的需要も含めたニーズ調査と合致していると言いますけれども、この間の報道を見ていますと、例えば都内のある区では、二〇一五年の小学校入学前人口が予想よりも既に九百人多くなっているということも報道されております。さらに働く女性もどんどんふえ続けているということです。

 ですから、今後、現時点のこの四十万人という計画を上回って保育所のニーズがふえることも十分に考えられるのではないかというふうに思いますが、この場合は、加速化プランの目標の四十万人について上方修正することはあり得るんでしょうか。

橋本大臣政務官 待機児童解消加速化プランの整備目標についての御質問ですけれども、これは、保護者へのニーズ調査の結果を踏まえまして、女性の就労がさらに進むことによる潜在的な保育需要も見込んで策定した目標でございます。

 この整備目標を達成すると、待機児童が今一番多いのは一歳、二歳児でありますけれども、この利用率が三五・一%、これは平成二十六年四月の実績の値ですけれども、これが四六・五%まで上昇することが見込まれているということになります。これは、平成三十年度でそうなるかもしれないという想定で目標を立てているということです。

 この四六・五%というのは何なのかというと、三歳以上児の利用率が平成二十六年四月の実績で四四・五%ですから、それをもうちょっと上回って、一、二歳児の方も預かることも想定した目標になっております。したがいまして、保育需要を満たす十分な目標であると私たちは考えているところでございます。

 もちろん、目標は目標として、きちんとそれに対して施設整備は進めていかなければなりませんから、その実現に向けて全力で私たちは進めてまいりたいと思っております。

 以上です。

宮本(徹)委員 潜在的ニーズも含めて十分だというお話でしたけれども、先ほど言いましたように、既にニーズ調査をやった数よりも就学前の子供がふえている自治体もある、働いているお母さんたちも保育園の希望がふえている。ですから、もっと、これで足りるのかという検証をしっかりやらないとまずいと思うんですよね。

 それで、女性の輝く日本ということをさんざん安倍政権は強調されているわけですが、やはり女性の社会進出の支援には十分な保育所の整備が欠かせないということだと思います。今度こそ、本気で待機児童のゼロを目指す必要があります。ですから、四十万人にこだわらず、必要だったら上積みも含めて、待機児童ゼロに必要な保育の受け皿の確保のために、あらゆる手だてを講じていく必要があるというふうに思います。

 待機児童ゼロのために、でき得る限りの政策手段を使って保育所整備の支援をすべきだと思いますが、これは財務大臣として麻生さんにお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。

麻生国務大臣 今言われました、予定よりさらに待機児童がふえているというのは、宮本さん、それは景気がよくなってきて、みんなに働くチャンスが出てきたということも意味しますからね。何かいかにも悪いことのような感じがしますけれども、そんなことはないですよ。景気がいいのに、いかにも計画がなっておらぬみたいに聞こえるけれども、それは、予想以上に景気がよくなってきて、子供を預けてでも働こうという人がふえているというように考えて、待機児童に対応できるように私どもとしてもきちんとやっていかないかぬということなんだと思います。

 それぞれの自治体もいろいろ努力をしておられるんだと思いますけれども、待機児童というものは、私らの地域には待機児童なんていう言葉はありませんから、何を待機するんだかわかりませんよ、過疎地ですから。そういったところでは待機するほど子供はいないということにもなりますので、それは地域によって全然違うんですよ。

 だから、今、待機児童の問題というのは、非常に人口の多いところでそうなっているんだとは思いますけれども、それほど子供がいれば、こっちに引っ越してきたらと思っているのがこの辺にもいるんだと思いますけれども、私どもとしては、地域格差がありますので、地域によって不満、過不足というのはいろいろありますので、そういったものを全般的に見ながら対応していかねばならぬと思っております。

宮本(徹)委員 地域によって差はあるけれども、待機児童の問題に対応できるようにしなきゃいけないというお話が麻生大臣からありました。

 そして、待機児童を解消する上での一つの手だてが国有地の活用ということであります。

 今、保育園をふやす上でネックになっている問題、大きな問題はやはり保育士が確保できない、これが一つありますが、同時に、都市部では用地の確保が保育園をふやす上でのネックとなっております。

 今回、安倍政権が打ち出している加速化プランでも国有地の活用というのが一つの柱となっておりますが、この間、東京都内の自治体に何カ所の国有地を紹介して、そのうち幾つが保育園用地として活用されたんでしょうか。

飯塚政府参考人 お答え申し上げます。

 待機児童解消加速化プランなども受けまして、各財務局から地方公共団体に対しまして、公務員宿舎の跡地などの国有地の情報提供を行っております。

 東京都内においては、プラン策定後から昨年の九月末までの間に、合計百八十八カ所の廃止予定宿舎の情報を提供しております。また、物納財産等その他国有地についても、関東財務局から東京都等の地方公共団体に随時情報提供をしているところでございます。

 これらの国有地につきましては、都内の特別区や市町村のニーズに沿いまして、保育所だけではなくて、公園や学校、老人福祉施設等の公的な用途に活用いただいているところでございます。

 また、このような具体的なニーズのないものにつきましては一般競争入札で売却を行っておるところでございますけれども、御指摘の保育所用地につきましては、都内において、現在協議中のものも含めて合計二十四カ所が活用される見込みでございます。

宮本(徹)委員 百八十八カ所のうち、保育所の用地としては、二十四カ所が協議中も含めて今進んでいるという答弁でありました。

 自治体が多くの待機児童を抱えながら国有地の活用に至らなかったケースもあるわけですが、その理由は何なのかということで、私、二十三区にアンケートでお聞きしました。きょう、提出資料ということで、記述欄の部分を抜き書きしてお配りしております。

 その場で保育ニーズがないと考えているケースや、土地の形状が保育園にふさわしくない場合もありますが、同時に、賃借料が高過ぎて活用に至らなかったというケースが幾つもありました。実際、東京二十三区の区長会や川崎市などから国有地の貸付料の負担軽減や無償貸し付けの要望書も出ているというふうに思いますが、国有地の活用が進まない理由の一つに賃借料が高いという問題があるんじゃないでしょうか。

麻生国務大臣 保育所の用地のために国有地における定期借地制度を活用する場合ということなんだと思いますが、これは基本的には借地権利金が不要でしょう。借地権利金が不要ですから、初期投資額がまず少なくて済むと思います。それから、貸付料につきましては、公的な施設に国有地を使用するため公租公課相当額を控除ということになっていると思いますので、一般の民有地の貸し付けの水準よりは相当程度低くなっているというように認識しております。

 そういったものはこの例とこの例とか具体的な例を言っていただいた方がいいと思いますので、調べてみましたけれども、少なくとも国有地の定期借地料として、ここに、片一方は年額の貸付料が千七百万円のものとありましたが、ほぼ同等の地域、同じ場所で別のところがやっているのは三千八百五十万円となっておりますので、大体半分ぐらいになっているかなという感じがしております。具体的な例を言っていただいた方が、そういったところが具体的にあれば、私どもとしては、そういったところに対応していった方が話が進みやすいと存じます。

宮本(徹)委員 具体的に例があればというお話ですけれども、民有地より安く国有地は借りられるのは事実ですけれども、それでも東京の土地は非常に高いわけですよね。

 これは、ある区ですけれども、国から借りて年間一千七百万ぐらい賃料を払っていますけれども、民間の事業者に先に貸しているわけですけれども、民間の事業者からいただけるのは、事業者の採算がありますから百万にも満たないわけですよ。ですから、一つの保育園に対して、土地の賃借料で自治体が年間一千数百万を持ち出しているということになっております。

 こういう高さから国有地の活用に至らないということで、今、園庭がない保育園が都内はどんどんふえているんですよ。保育園の園庭がないということになっております。そして、真面目に園庭つきの保育園をつくろうとしているところは、本当に財政的にも大変な状況になっているという状況があります。

 そこで、聞きますけれども、国有財産特別措置法第二条では保育所などの福祉施設への無償貸し付けが規定されておりますが、どのような理由でこの条文は盛り込まれているんでしょうか。

麻生国務大臣 お尋ねの条文というのは、もともと昭和三十三年の議員立法というもので例外的に認められた社会福祉施設の無償貸し付けを、昭和四十八年に国有財産特別措置法に吸収したものであります。

 この昭和三十三年の議員立法の趣旨説明においては、当時、地方自治体が社会福祉法人に事業を委託する際には所定の委託費を交付しておりましたが、施設に関する経費は交付しておりませんでした、したがって社会福祉法人に過ぎたる負担が生じているのではないかということから、国有財産の無償貸し付けを受け得る道を開くようにしたものだとされております。

宮本(徹)委員 社会福祉法人に負担が重いというのでつくられたというお話ですが、この中で普通財産は社会福祉法人や地方公共団体に対して無償で貸し付けることができるというふうに書いてあるわけですが、この無償で貸し付けることができるという最終的な判断は誰がすることになっているんでしょうか。

麻生国務大臣 御指摘の規定につきましては、昭和五十八年、国有財産審議会の答申において述べられておりまして、現在の厳しい財政事情や未利用国有地が偏在する中での地域間の公平性を踏まえ、極力適正な対価を得ることにより財政収入の確保を図ることが適当との考え方のもとで、部分的に無償貸し付けを認めている、一切活用していないというわけではありませんというのが正式な答えなんじゃないんですか。(発言する者あり)どの答えが。場外発言しないで、自分で発言して。

宮本(徹)委員 済みません、ちょっと通告していなかったものですけれども、無償で貸し付けることができるというふうに法律に書いてあるんですけれども、これは最終的には誰が判断するのかということをお伺いしたんです。法律上。

麻生国務大臣 これは御質問をいただいていなかったので、この中に書いていなかったので、僕は適当に申し上げたので、あなたの方で事前に質問はなかったというので、答えが違っていたんじゃなくて、私は全然別の話をしても御理解いただけるんだと思ってしゃべったんですけれども、どこが答えるかといえば、財務省理財局か。財務局。(宮本(徹)委員「財務大臣です」と呼ぶ)最終的に財務大臣まで行くのか、これは。まあ、各地方の財務局長ですな。違いますか。(宮本(徹)委員「法律上は、普通財産の処分は財務大臣……」と呼ぶ)

古川委員長 ちょっと、勝手にしゃべらないでくださいよ。大臣が今答弁していますから。

宮本(徹)委員 最終的には、法律上、普通財産についての処分は財務大臣が判断するということになっております。

 それで、先ほど次の質問にお答えがありましたので、麻生大臣のお答えがあったとおり、当時ですけれども、現在、実際にこの規定を活用して無償で貸し付けている保育所もあるわけです。昭和五十八年の答申以前は無償で貸し付ける、それがずっと続いている保育所もあります。この国有財産特別措置法を活用してということになっております。ですから、これは今でも有効な法律ということになっております。

 先ほど、適正な対価を得るのが適当だという答申があったというお話もありましたけれども、その昭和五十八年の答申の中ではこうも言っているわけですね。基本方針として、当面の国有地の管理処分については、基本的には公用、公共用優先の原則を維持しつつ、それを損なわない限度で極力財政収入の確保を図ることを基本的な方針とすべきであるというふうにその中ではなっているわけです。今は賃借料が高くて、公用、公共用優先の原則を損なって、自治体の側も借りたくても借りられないという状況が生まれているわけです。ですから、その昭和五十八年の答申に基づいて適正な対価を得るのがいいんだということにならないと思うんですね。

 大体、法律にあるとおり、無償で貸し付けることができる、そして決める最終判断者は麻生財務大臣ということに今なっているわけですよね。それで、これだけ今、保育所のニーズがたくさんあるということになっているわけですから、ぜひ麻生大臣が決断して、この法律に基づいて、保育所のために無償貸し付けに道を開いていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 そんな簡単な話じゃないと思うんですが、繰り返しになりますけれども、国有財産特別措置法の第二条の運用ということになるんだと思いますね、今のお話は。そうすると、物納財産や、国が施設の移転それから撤去経費などを負担した国有地以外は、土地の一部を時価で売り払い、残る部分を無償で貸し付けることを可能としているというところにのっとっておられるんでしょう、あなたの話は。そこまで読んでいないですか。(宮本(徹)委員「いや、読んでいます」と呼ぶ)読んでいますか。だったら今の意味はわかると思うんだけれども。

 したがって、そうすると、待機児童の解消に向けた国有地の活用に向けて、全てを無償提供すべきとの御指摘みたいに今聞こえますけれども、さらに無償または安くするということにつきましては、物納財産や、国が施設の移転経費などを負担した国有地というものにつきましては税収確保または費用回収を図る必要があること、また国有地が所在する地域と所在しない地域との間で享受できる利益に不公平が生じる、また国有地を利用する他の公的な用途との、例えば公園とか老人ホームとかいろいろあろうと思いますが、バランスをとる必要がある、そして保育所の運営や施設整備には運営費補助、保育所の新設また増築や賃料等の補助など相応の公的助成がなされていることなどを踏まえると、これはなかなかそういうぐあいに簡単にというわけにはいかないので、慎重に対処する必要があるだろうと存じます。

宮本(徹)委員 慎重に対処と言いますけれども、待機児童ゼロというのは安倍政権の最優先課題だということで掲げられていると思うんですね。そして、法律上の規定ではできるというふうになっているわけですよ。その法律よりも運用指針を上に置くというのはまたおかしな考え方だというふうに思いますので、ぜひ麻生大臣に待機児童ゼロのために決断していただきたいということを申し添えておきたいと思います。

 その上で、最後、もう一点、園庭の問題についてお伺いしたいというふうに思っております。

 この間、用地の確保が困難な中、都市部では園庭のない保育園が急激に広がっております。厚労省は、園庭のない保育園の数や、敷地に園庭がない保育園が急増していることでどんな問題が起きているかということをつかんでいらっしゃるでしょうか。

木下政府参考人 お答えいたします。

 認可保育所等の設備基準におきまして、保育所の園庭にかえまして付近の公園などを利用することは差し支えないとされているところでございます。

 都道府県等による認可の際には、これらの場所が適切に確保されているかを確認することによって、保育所において子供が外遊びする機会が確保されていると考えられていることから、保育所における園庭の有無、あるいは園庭がないことにより生じる問題等につきましては、国として統計的に把握しているものではございません。

 しかし、御指摘のとおり、例えば複数の保育所が付近の同じ公園を園庭にかえて活用しているケースなども考えられると承知しておりますけれども、各保育所におきまして、子供たちが必要な外遊びができる機会を確保するよう、公園以外の活用も含めてさまざまな工夫がなされるものと承知しております。

宮本(徹)委員 私たち東京都議団が調べましたところ、今、都内の認可保育所、認定こども園、認証保育所で、敷地に園庭がない、あるいは園庭だけでは最低基準を満たさないという施設が四割にまでふえております。麻生さんの御出身地では考えられないことかもわからないですけれども、そういう事態です。

 この五年間、東京二十三区で新しくできた認可保育園について、三百六十カ所ありますが、敷地内で基準面積の園庭を確保できたのは二六・九%しかないということになっております。だから、一生懸命ふやしたある区でも、ほとんどビルの中に保育園をつくる。園庭が確保できない中でも、さまざまな工夫をして、保育士さんたち、園長さんたちは子供の成長のために努力をなさっていますが、新しい課題がたくさん出ております。

 きょうお配りしている資料の裏面に、二十三区から寄せられた声を紹介しておきました。

 園庭の代替として公園を使うわけですが、園庭がない保育園が急増していますので、一カ所の公園を複数の保育園が使うということになっております。広い公園だったらいいですけれども、都会の狭い公園一つを三園も五園も使うということになるとどうなるかというと、後から来た園は使えないということで、ジプシーのようにほかの公園を探して回らなきゃいけない、あるいは遊具の使用時間を制限しなきゃいけないということも起きております。

 乳幼児期というのは体を思い切り動かして遊ぶというのが保育指針にも書かれているわけですが、それが保障できない事態が広がっているというのが二十三区からの報告にもありますし、私たちは各園からもかなりアンケートでお伺いしましたけれども、そういう事態が広がっております。

 ちなみに、麻生さんの今お住まいのお宅の、神山町の付近のお子さんが通う認可保育園も、敷地には園庭はありません。松濤公園に行って遊ぶわけですけれども、大きな池がありますよね。危ないですから、保育士さんの体制がとれない土曜日は、朝から晩まで子供たちは建物の中ということになっております。ですから、本当に保育指針にふさわしい保育が行えない状況が今起きております。

 そこで、最後、お伺いしますけれども、こういう園庭のない保育園が広がる中で……

古川委員長 宮本君、申し合わせの時間が来ております。まとめてください。

宮本(徹)委員 まとめます。

 こういう事態が広がっていますので、自治体と協力して実態調査を行っていただきたい。そして、どういう課題があるのか、ぜひ厚労省としてつかんでいただきたい。そして、外遊びをしっかり保障するためのガイドラインを作成することを初め、必要な対策をとっていただきたいと思いますが、これは最後の質問です。よろしくお願いします。

古川委員長 橋本大臣政務官、簡潔に御答弁願います。

橋本大臣政務官 お答えをいたします。

 御議論いただいたわけでありますけれども、外遊びの機会を含めて、保育所における保育については、保育所保育指針に加え、参考資料として取りまとめた保育所保育指針解説書などを踏まえて、各保育所において必要な配慮がされているものと考えております。施設基準に基づいて、自治体でも適正に対応されているというふうに考えております。

 要するに、園庭がなくても、それにかわるものがあるということでもよいことにしておりますから、その中で対応していただいていると思いますので、直ちに新たな実態調査をする、あるいはガイドラインをつくるということは考えておりません。

 日ごろからさまざまな課題があるということについては、ぜひ御意見をいただいて、今後も自治体と連携しながら適切に対応してまいりたい、このように考えております。

宮本(徹)委員 終わります。

古川委員長 次回は、明四月一日水曜日正午理事会、午後零時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十二分散会


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