衆議院

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第8号 平成27年4月10日(金曜日)

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平成二十七年四月十日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 古川 禎久君

   理事 神田 憲次君 理事 土屋 正忠君

   理事 藤井比早之君 理事 御法川信英君

   理事 山田 美樹君 理事 鈴木 克昌君

   理事 丸山 穂高君 理事 伊藤  渉君

      赤枝 恒雄君    井上 貴博君

      井林 辰憲君    大串 正樹君

      鬼木  誠君    勝俣 孝明君

      小島 敏文君    國場幸之助君

      柴山 昌彦君    鈴木 隼人君

      田野瀬太道君    津島  淳君

      中山 展宏君    根本 幸典君

      福田 達夫君    藤丸  敏君

      務台 俊介君    宗清 皇一君

      大島  敦君    玄葉光一郎君

      古川 元久君    鷲尾英一郎君

      渡辺  周君    伊東 信久君

      吉田 豊史君    岡本 三成君

      宮本 岳志君    宮本  徹君

      小泉 龍司君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   財務副大臣        菅原 一秀君

   会計検査院事務総局第五局長            平野 善昭君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局総括審議官)          三井 秀範君

   政府参考人

   (財務省大臣官房総括審議官)           迫田 英典君

   政府参考人

   (財務省主税局参事官)  田中 琢二君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    中原  広君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    北川 慎介君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 吉田 正一君

   参考人

   (株式会社日本政策投資銀行代表取締役副社長)   柳  正憲君

   財務金融委員会専門員   関根  弘君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十日

 辞任         補欠選任

  竹本 直一君     小島 敏文君

  牧島かれん君     赤枝 恒雄君

  山田 賢司君     大串 正樹君

  前原 誠司君     渡辺  周君

同日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     牧島かれん君

  大串 正樹君     山田 賢司君

  小島 敏文君     竹本 直一君

  渡辺  周君     前原 誠司君

    ―――――――――――――

四月七日

 消費税の増税の中止に関する請願(宮本岳志君紹介)(第七七一号)

 消費税率を五%に戻し、増税中止を求めることに関する請願(宮本岳志君紹介)(第七七二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 株式会社日本政策投資銀行法の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)


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     ――――◇―――――

古川委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、株式会社日本政策投資銀行法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として株式会社日本政策投資銀行代表取締役副社長柳正憲君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として金融庁総務企画局総括審議官三井秀範君、財務省大臣官房総括審議官迫田英典君、主税局参事官田中琢二君、理財局長中原広君、中小企業庁長官北川慎介君、防衛省大臣官房審議官吉田正一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、会計検査院事務総局第五局長平野善昭君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古川委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田美樹君。

山田(美)委員 自由民主党東京一区選出の山田美樹でございます。

 本日は、質問のお時間をいただき、ありがとうございます。

 春は始まりの季節です。ことしは八十九万人の方々が新社会人として四月一日を迎えられたそうです。

 十九年前、私が社会人になった一九九六年は、東京銀行と三菱銀行がそれぞれ別々に新卒を採用した最後の年でした。金融ビッグバン構想、そして晴れて社会人になったその年に住専問題が勃発し、翌年には、長銀が破綻、国有化されました。

 あれから二十年、今も同じ名前のまま残っている銀行はほとんどありませんが、そこで働く方々の思いや組織のDNAは、会社の名前は変わっても、志は変わらずに受け継がれていくのだと思います。

 今回の法改正の一番の懸念は、完全民営化を果たした後の政策投資銀行の姿について明確なビジョンがあるのかどうか、どこまで完全な民営化を追求するのか、小泉・竹中改革から始まった一連の改革の着地点を政府はどのようにイメージしているのかという点です。

 危機対応業務については、指定金融機関の仕組みを見直すとしても、しょせんは民間の方がリスクに対してシビアであり、将来、指定金融機関が続々とふえて、政投銀がワン・オブ・ゼムになるとは想像しがたいです。また、特定投資業務が終了した後の政投銀固有の本来の業務も、政投銀法の定めによれば長期の事業資金に係る投融資機能が根幹であり、通常の預金金融機関とは性格が異なります。

 政策投資銀行は、よく消防団に例えられます。消防団は、町の人たちの善意の上に成り立っていますけれども、維持が難しくて、危機的な状況にあることは御承知のとおりです。

 金融の世界も、大義があれば収益率が上がるというものでもありません。政投銀は、完全民営化後もある程度公的な機能を持った組織になるのでしょうが、現行の法体系に当てはまるものはなく、銀行法など一般の金融関係法令の適用を受ける会社法上の株式会社が、果たしてどこまで純然たる民間がやりたくないハイリスクを担い切れるのか、疑問が残ります。

 政府による財政資金融資や株主コントロールがなくなった後、どのような業態を選択するのかも含め、完全民営化後の政投銀にどのような役割を期待するのか、麻生財務大臣のお考えをお聞かせください。

麻生国務大臣 とてもいい質問だと思います。

 日本政策投資銀行の完全民営化後のビジネスモデルというものにつきましては、その時点における経営陣とか株主が判断をされるべき、これがまず基本だと思いますが、その上であえて申し上げさせていただければ、現在果たしていただいている、企業の成長を支えるいわゆる資本性の資金、優先株とか劣後ローンとかいろいろありますけれども、そういったものの供給とか、リーマン・ブラザーズの破綻とかオイルショックのときというような国際的な金融における非常時の資金供給とか、それからインフラ整備が今からいろいろな形で必要になってくる。日本の場合は補修の話もありますし、海外におけるいろいろなものも出てくるんだと思いますが、長期資金の供給などについては、今後とも、日本の経済にとって極めて重要な要素であろうと思っております。

 したがいまして、政府としては、完全民営化になりました後、政投銀においても、長期の事業資金というものに係ります投融資機能の根幹というものを維持していただけるということが一番期待されているところではないかと存じます。

 重ねて申し上げますが、これが完全民営化されました後は、経営者もしくは株主の判断というのが一番肝心なところだと存じます。

山田(美)委員 ありがとうございます。

 今回の改正が、単なる先送りではない、焼け太りの民業圧迫でもない、正しい改革に向けたプロセスの途上だと今お示しいただいたかと思います。また、かつての霞が関改革でも同じでしたが、働いている当事者にとっては、どのように改革されるのか先が見えないというのが一番つらいものです。そうした意味でも、ぜひ目指すべき姿を明確にしていただければと思います。

 次に、完全民営化後のビジネスモデルについて、資金調達と収益確保の両面から、政投銀の方にお伺いします。

 まず、資金調達についてですけれども、今回の法改正で、株式売却の期限が明記されなくなりますが、完全民営化の方針は維持するとしております。現在、要調達額の半分が財投資金、三割が財投機関債、二割が民間借り入れですが、法律上、完全民営化まで財投資金が使えるとはいえ、近い将来、自前で資金調達できるめどをつける必要があります。しかし、ハイリスクな投融資への自由度を考えますと、預金取り扱いに手を出すのは難しいですし、かつての長期信用銀行のような金融債での調達も難しいことを考えると、一〇〇%自己調達は現状では正直厳しいのではないかと思っています。

 一方で、早ければ数年以内に株式売却が始まるのではという臆測も出始めていますけれども、買収リスクへの対策や、ほかの政府保有株の売却のタイミングとの兼ね合いはもちろん、そもそも将来のビジネスモデルが決まらなければ株に値がつかないですし、純粋な民間金融機関にはとれないリスクをとることの合理性を民間株主にどう納得させるのかという問題もあります。

 自前での資金調達の実現に向けて、政策投資銀行がみずからできる手を尽くした上で、政策当局に対してどのような期待がありますでしょうか。

柳参考人 お答えします。

 当行は、民営化決定以降、社債発行の拡充でありますとか、あるいは地域の金融機関からの借り入れの導入でありますとか、自己調達の規模拡大あるいは手段の多様化に取り組んでまいりました。

 今御指摘のございましたように、フローでは、必要調達額のおおむね半分を自己調達できている状況でございます。また、努力という意味では、新規の商品として、日本で初めての本格的なグリーンボンドを発行いたしましたり、そのほか、債権の流動化でありますとかシンジケートローンの強化など、努力に努めているところであります。

 しかしながら、今お話のございましたように、このような調達構造というのは、もともと社債市場は非常にボラティリティーが大きい上に、当行自身の資本がこれからどうなるかというようなことが、外部格付を受けるというようなこと等によって、非常に市場環境によって左右される面があるということに留意する必要があると考えています。

 したがって、当行としては、その時々の金融環境のもとで、特に中立性が一番重要だと思っておりますが、そのようなものを保持しながら、市場から評価される経営に努めて、健全な財務基盤を維持しながら、引き続き自己調達の充実に向け努力する所存でございます。

山田(美)委員 株式でより多くの資金を調達しようとしますと、収益性が高く、期待が持てるビジネスモデルを提示していく必要があります。

 近年の政策投資銀行は、日本航空や電力会社など、日本経済を揺るがす経営破綻の救い主でもありました。実際にかかわった方からは、難しい案件をやると金融マンとして鍛えられるというお話を伺いましたが、政治の立場としては、そうした政投銀の方々のプロフェッショナリズムに甘えることなく、再びあのような経営破綻が起こることがないよう、コーポレートガバナンス改革を着実に進めていく必要があると思っています。

 最近の政投銀は、大型研究開発の支援ですとか金融の地産地消、PFIからPPPへなどなど、新たな可能性を広げていると伺っています。政府による成長ファンドへの出資を二〇二五年に卒業して、リスク投資を行う民間のプレーヤーがふえた後に、政策投資銀行固有の業務、独自の業務として、どのような分野にポテンシャルがあり、収益の柱になると考えていらっしゃいますでしょうか。

柳参考人 元来より当行は、その特色の一つであります産業調査等のナレッジ機能というのを活用しながら、産業でありますとか地域の課題を前取りして適切に把握しながら、例えて申しますとプロジェクトファイナンスでありますとか再生ファイナンスでありますとか、あるいは現在注力しております出資等のリスクマネーの供給など、常に先駆的な取り組みを行うことを是としまして、時代のニーズや期待に応えながら業務を推進してまいりました。

 今後とも、リーマン・ショック後の金融危機時の経験とか、あるいはその後の環境変化をも踏まえつつ、引き続き、投融資一体型の金融サービスの提供を通じて、産業や地域などの期待に的確に応えながら、特色のある機関であり続けられるよう、リスクマネーを含む長期資金供給機能を発揮してまいる所存でございます。

 いずれにせよ、今般の特定投資業務を金融界の各プレーヤーと協力して成功すること、あるいは危機対応業務を含めた世の中の期待に適切に応えることが、完全民営化後のビジネスモデルへの道筋としては極めて重要だと考えております。

山田(美)委員 お話を伺いますと、政策投資銀行の目指す方向性は、政投銀みずからの御尽力と政府の努力が相まって初めて実現するように思います。

 これまで長きにわたって、政府は、金融の複線化を目指してさまざまな手を尽くしてきたはずです。でも、思うように進まない。欧米並みの水準を目指すというけれども、なかなかそうはならない。政府の成長資金供給による呼び水効果に期待しているだけでは、日本のリスクマネー供給市場の成長は実現できないと思っています。

 また、市場の成長とともに、個人の成長も重要です。私がコロンビア大学のビジネススクールに入学したとき最初にショックを受けたことは、アメリカ人の同級生が、金融機関の出身かどうかに関係なく、日本だったら中学生レベルの連立方程式を解くのに苦労しているのに、期待収益率や配当の計算になると関数電卓やエクセルで瞬時に計算してしまう、肌感覚で金融を知っているということでした。子供のころに受けた教育が違う、これでは太刀打ちできないという実体験がありました。今自分がこの国会の場で発言できる立場をいただいて、日本の子供たちの未来のために、お題目ではなく、日本にも金融教育が必要だと切に訴えたいと思います。

 政府の取り組みについてお聞かせください。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 民間資金によるリスクマネーの供給が促されるような、こういった環境を整備していくことが大変重要な政策課題であるというふうに認識してございます。

 そのために、まずは、豊富な家計資産が成長資金に向かう、こういう循環を確立していく必要がありますし、またその循環の担い手であります資産運用業の強化、あるいは金融資本市場の魅力を向上していく。このために、例えば顧客のニーズに即した金融商品の多様化なども図っていく必要があります。また、資金を受け取る側でいいますと、企業の中長期的な企業価値の向上を通じた競争力の強化といったものにつながっていく、こういう形で資金循環が実現していく必要があろうかと思います。

 このため、それぞれのフェーズにおきまして、例えばNISAの普及促進やその拡充、あるいは、担い手の中ではさまざまな施策がございますけれども、投資型クラウドファンディングの利用促進に向けた環境整備、制度改正、またその受け手であります企業のコーポレートガバナンス・コードあるいはスチュワードシップ・コードの策定やその普及に取り組んできたところでございます。

 二つ目の金融リテラシー、金融経済教育でございますけれども、このために、最低限国民が身につけるべき金融リテラシーの内容を項目別あるいは年齢別に具体化、体系化いたしました金融リテラシー・マップを取りまとめさせていただきまして、これに基づきまして、例えば大学での授業を実施しておりますし、高校や大学への講師派遣をこれらの関係の団体の方々と連携して行っております。また、高校へパンフレットや資料なども配付して、こういったものの教育現場での活用や取り組みを行うよう、さまざまな取り組みを行っているところでございます。

 引き続き、金融経済教育を通じました金融リテラシーの向上、民間部門におけるリスクマネーの供給促進に向けて、各般の施策を着実に実施してまいりたいと存じます。

 以上でございます。

山田(美)委員 ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。

古川委員長 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉です。

 続きまして、政投銀法の一部を改正する法律案について質疑をさせていただきます。

 今回の議論のポイントは、今の質疑の中でもございましたとおり、我が国における公的金融と民間金融のバランスはいかなるものがいいのか、しかもこのバランスはその時々の状況によって変化をするように思いますので、私は、それぞれの機能を常にフレキシブルに活用できるような体制を維持していくことが極めて重要ではないか、こういうふうに思っております。

 一方で、時によっては公的金融機関が民業を圧迫するのではないか、こんな意見も出てきたりします。また、そもそもの財投改革の中では、公的金融機関のガバナンスというものをどう担保していくのか、こんなこともここ十年来議論になってきたと思います。

 また、目下の状況を見ますと、我が国は、金融を緩和し、お金が、経済の好循環を生むようなところに適切に融資なり投資なりがされていかなければならないというふうに思います。これも、巷間よく言われておりますとおり、お金は、事業性とか経営者、つまり金融機関の目ききということがこれからまた極めて重要視をされてくる、そんな状況にあろうかと思います。

 まず冒頭は、非常に感覚的な問い方で恐縮なんですけれども、大臣のイメージされる民間金融と公的金融のバランスといいますか、今申し上げたとおりこれは常に変化をしていくもののように思いますので、あるところにきちっとはめ込むことが正しいのかどうか。私はその点も極めて懐疑的な思いできょう質疑に立たせていただきましたが、大臣が今お考えになる民間と公的金融機関のバランスについて、御所見をお伺いできればと思います。

麻生国務大臣 伊藤先生、危機対応業務におきましては、それ以外の分野でも同様ですが、公的機関の役割というものは、民業の補完というのが基本的な理念であろうと存じます。

 その理念に基づいて危機対応制度の創設をいたしましたのは、リーマン・ショックですから平成二十年、二〇〇八年だったと思いますので、民間機関の参加があるという前提で制度設計が行われたんですが、その後、残念ながらそういった状況にはなりませんで、民間金融機関からこのときの参加は得られなかったというのが実態であります。

 これは、リーマン・ショック等々によって金融の環境というものが大きく変化した、著しく変化したということがその背景だと思いますので、必ずしも公的機関の存在があったから民間金融機関が出てこなかったというような、参加を阻んでいたわけではない。これは、当時、いろいろお目にかかっても、みんな腰が引けておられたというのが実態だったと記憶します。

 今回の改正案では、こうした現状を踏まえて、現実的な対応としては、当分の間、政投銀に対して危機対応業務を義務づけるということをしておかないと、もしものことがあった場合に、リーマンのときと同じようなことになるということが避けがたいので、そういったところを義務づけることにさせていただいております。

 その上で、民間による危機対応業務が十分に発揮できることが見込まれるようなことになればその段階で速やかに義務づけを廃止するというのがいいのであって、まさに公的金融機関は民業の補完という点に徹することであって、今先生がおっしゃるように、きちんとはめておくのではなくて、そういった形で柔軟に対応できるようなことを常に考えて対応すべきだと思っております。

伊藤(渉)委員 今、危機対応業務のことにもお触れをいただきまして、まさに一つ重要な役割は、そうした危機対応業務をきちっと行っていただく、これは政投銀の大きな役割だろうと思います。

 今も大臣の御答弁の中にありましたけれども、政投銀が完全に民営化していくためには、民間の金融機関が危機対応業務を十分にできる状態、その状態になって初めて完全民営化ということが可能になるというようなこれまでのやりとりでしたけれども、民間の金融機関によって危機対応業務が十分に確保されると見込まれるような状況というのもこれまた非常に判断の難しい、日本語で書くことはできても、それを判断するのは非常に難しいように思うわけです。

 これも、きょう現在において、大臣、このような状況というのはどういうような状況かということを、少し御所見をお伺いしたいと思うんです。

麻生国務大臣 おっしゃるとおり、書き方としてという話ですけれども、政府としては、民間金融機関が自主的にいろいろ対応されるに当たって、例えば財政基盤が強化されていないと、とてもできるものではありませんので、ある程度余裕があるとか、それから、リスクを相互に分担できるような形で金融機関等、同じような業種の間で緊密な連携をきちんと持っているとかいうようなことを進めていかれることを期待しているんですが、その結果、思い切ってリスクをとる経営判断というものが行えるようになりますと、指定金融機関として危機的なときの対応業務に参加するようになっていただきたいがなと思っております。だけれども、余裕があっても、それを決断できる方がちゃんとそのときにその銀行の責任者としておられるかおられないか、それによって対応が全然違いますので、なかなか難しいところだとは思います。

 いずれにしても、現時点では、民間金融機関が十分に危機対応業務というものを行えるようになる時期がいつになるかと言われると、具体的に今、時間はこれぐらいまでにということを申し上げるような状況にはないので、そういった環境というものを整えていくために、民間金融機関が指定金融機関になるための申請手続というものを簡素化するとか、業務の実施要領のひな形なんというものをうまいことつくって公表するなど、指定金融機関が行うべき業務内容を明確化するというようなことが運用改善につながっていくのではないか、今、現段階としてはそのように考えております。

伊藤(渉)委員 非常に答弁しづらい内容をお聞きして大変恐縮ですが、まさに、そういう意味では、公的金融機関が危機対応業務を担っていただいている間は、民間金融機関がそうした業務にあえて取り組みたいというインセンティブもなかなか働きにくいのではないかとも思いますし、私も、民営化ということそのものは、極めて慎重な議論、全体のバランスとして金融機能が維持をされるような、常にそういう念頭でこれからも議論していただきたい、こういうふうに思います。

 今回の法改正では、特定産業投資も政投銀の仕事として盛り込まれております。こちらになってくると、先ほど冒頭申し上げたとおり、いわゆる民業の圧迫というような批判が常につきまとうわけですけれども、この点について、当然、法改正に当たってさまざまな団体からヒアリングをされておりますので、政府参考人から、今回の特定投資業務に政投銀が出ていくに当たって、民間機関等のヒアリングの状況はどのようなものであったか、御答弁をお願いいたします。

迫田政府参考人 お答えをいたします。

 昨年の秋に開催をされました政府の成長資金の供給促進に関する検討会で、全銀協あるいは地銀協からそれぞれ意見を伺っております。

 全銀協からは、民業補完の原則は不変であるとしながら、官民が適切に協働した諸課題への対応は必要であるということで、政投銀に求める役割としては、具体的には危機対応、長期の資金供給、それから出資やメザニンといったリスクマネーの供給というようなものが挙げられているわけでございます。

 また、地銀協からは、出資あるいはメザニンといった資金供給手法につきまして、政府系金融機関等との連携を通じまして組織的にノウハウの蓄積を図っていく必要があるというような御指摘もございました。

 今般、政投銀に対しまして、成長資金の集中的な供給というもの、先ほど先生御指摘の点でございますけれども、これを時限的に行わせるということは、こういった全銀協、地銀協といったものの認識と整合的ではないかというふうに考えているわけでございます。

 また、ことし二月、法案提出後、両協会からプレスリリースが行われておりますけれども、その中でも、全銀協からは、民業補完の原則の重要性とともに、今後も官民が適切に協働した諸課題への対応は必要であるという認識が示され、また地銀協からは、政投銀や商工中金の役割が民業補完にあることを確認するとともに、官民の意見交換あるいは業務に対する外部有識者を活用したチェックが適切に行われることへの期待が示されているわけでございまして、今後とも、政投銀におきまして、定期的な意見交換の活用等、メガバンクや地銀を初めとする民間金融機関との適切な協働関係が確保されていくことが必要であろうというふうに考えているところでございます。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 まさに、政策金融改革が始まって約十年の経過の中で、少なくとも現時点においては、それぞれの金融機関がそれぞれの特徴を生かして、いいバランスになっているというのが今の状態かなというのが私の認識の一つなんです。

 私は愛知県出身ですけれども、愛知は、御存じのとおり、航空宇宙クラスター形成特区というものがございまして、いよいよ、久しぶりの純日本製のMRJもロールアウトしたところです。この航空宇宙産業を育てるに当たって、実は政投銀は非常に大きな役割を果たしていただいております。三十年間の長期にわたってずっと融資をして、この産業を育てるために支えてきていただきました。

 そういう意味でいくと、まず、ちょっと時間の関係があるので、いずれも政投銀にお聞きをいたします。

 長らく投資そして融資で支えてきてくださった航空宇宙産業が今どういう状況になりつつあるのかということと、また、これから非常にマーケットも大きいこの航空宇宙産業に出ていくに当たって、当然のことながら、大きな重工メーカーのみならず、自動車もそうですけれども、それを支えている中小企業がたくさんございまして、よく言われておりますとおり、自動車以上に航空機は部品点数が大変多いものですから、たくさんの中小企業がこの航空宇宙産業をこれから支えていくことになります。

 政投銀さんは、この航空宇宙産業の支え手である中小企業を資金面でもしっかりサポートするために、一つ一つの中小企業ですと融資ということがなかなか難しいケースも散見をされるということで、中小企業全体を一つのクラスターとしてみなして、そこにお金を供給していこうというようなことも今研究、取り組みをしていただいている。これは大変すばらしいことであろうと思いますし、今、政府全体として取り組んでいる経済の好循環に向けて、やはり何事においても、一番現場で支えていただいている中小企業への金融ということも視野に入れて取り組みをしていただいているというふうにも承知をしておりますので、この点もぜひ積極的に推進をお願いしたいというふうに思います。

 質問は、これまで航空宇宙産業に融資を続けてきていただいて、今どのような結果につながりつつあるのかということと、それを支えていくために、それを支えている中小企業を、一社一社じゃなくて集合体を一つのクラスターとみなしてそこに融資していく、この取り組みも私はぜひ積極的に進めていっていただきたいと思いますが、現在の状況についてお伺いしたいと思います。

柳参考人 お答えいたします。

 航空機産業というのは巨額の開発資金が必要、かつ投資回収に超長期を要するということで、当行は、今御指摘のように、三十年以上にわたって長期資金を供給してまいりました。さらに深化いたしまして、最近は、重工メーカーが一部エンジンの部門を切り出すようなところに共同投資をするところまでに至っております。

 さらに、クラスターでございますが、今御指摘がありましたように、自動車以上に部品数が多い、したがって、裾野が広くて、その担い手の大半が中小企業ということであります。したがって、今後、MRJ初め、仕事量が非常に増加してくる。日本の重工メーカーも、自社のみで対応するのではなくて、地元の協力企業と協力しながら、いわゆる産業クラスターを組成していくことを目指しております。

 当行としましては、これらの動きを支援する、あるいはどういう適切な資金調達スキームが必要かというようなものを重工メーカーとともに検討いたしまして、いずれにせよ、今後とも、金融面を含め、多面的な支援を航空業界あるいはその傘下の中小企業に行っていきたいと考えております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。

 以上で終わります。

古川委員長 次に、鷲尾英一郎君。

鷲尾委員 民主党の鷲尾でございます。

 六十五分という時間をいただいておりますが、前半は政投銀を主に聞きまして、後半は少し違った質問もさせていただきたいなと思っているところでございます。まずは、政投銀法の改正案につきまして質疑を行いたいと思います。

 ちょっと喉が調子悪くて本当に申しわけないんですが、地元で声を張り上げているということで御容赦いただきたいなと思っておるんですが、ちょっとお聞きづらいところは大変申しわけありません。あらかじめお断りしておきたい、また御容赦いただきたいと思っております。

 この政投銀法の改正案でございますが、先ほど来委員の先生方からも御質問があったとおりでございますが、今回は、期限を決めずに完全民営化を先送りするという大きな方向転換を行っているわけでございます。この方向転換を行うに当たって、危機対応業務と特定投資業務というのを法律上位置づけて、そういった機能を法律上明記して、政投銀に強化させていこうという話でございました。

 危機対応業務というのは、この後の質疑でも幾つか質問させていただきたいと思いますけれども、常識的にはうなずける話でございまして、それがどう明確化されていくかというところだと思います。

 また、特定投資業務なんですけれども、最近よく成長資金、成長資金というんですけれども、ふと思ったんです、成長資金って何だろうと。ふと思いますよね、成長資金。言葉はぱっと耳に入ってくるんです、耳に入ってきますけれども、それってどういう定義なんだろうな、成長資金というのは。これをふと考えてみると、成長資金と対になる言葉って何だろうなと思うと、運転資金、ちょっとわからないんですね。これはまた別の機会に質問したいと思いますけれども、質問に値するかどうか自信がなかったのでここでは質問しませんが、こういう言葉も、常識的に耳に入ってきますけれども、一度深く考えておかないといけないんじゃないかなと感じているところでございます。

 それで、早期に完全民営化するという方針を維持しながら完全民営化の実現はされないということですから、事実上の棚上げということなんですよね。この議論なんです、議論の方向性。

 先ほど来、委員の先生方からも御指摘がありましたけれども、学識者の中にはいまだに、いまだにというか当然なんでしょうけれども、完全民営化を早く実現すべきだ、当初のスケジュールどおりやるべきだという議論もあります。その点、この政投銀について、こういう完全民営化をしていくんだという議論をそもそも続けていくということなのか、当局のお考えをお聞きしたいと思います。

麻生国務大臣 この改正法案では、いわゆる政投銀、日本政策投資銀行につきましては、危機対応などの役割を求めていく必要がなくなった時点で完全民営化を行うということにしてありまして、そうした見直しを行うための検討条項というのを設けておられます。

 今後、この検討条項に沿って、危機対応業務のときの運用状況とか、それから金融情勢を初めとした社会経済情勢の変化にしっかりと目を配って、適時適切にこの銀行の完全民営化の検討を行っていこうではないかということでありますが、今御指摘にあったとおりに、どんな状況になったらそんなふうになるんだねと言われると、これは極めてまだ未知の世界でありまして、今から検討していくというのが正しい現実の状況だと存じます。

鷲尾委員 そうしますと、これまで完全民営化路線を言ってきたけれども、今回新たにその機能を明確化する、機能を明確化するに当たっては、当然、危機対応業務は民間で、やらせるんだという言い方をしたらおこがましいかもしれませんが、やってもらうんだ、こういう話でした。

 そこなんですよね。今大臣がおっしゃったように、民間の金融機関に危機対応をやってもらおうとしたんだけれども、これまでやってもらえなかったという要素を少なくとも分析できているからこそ、ここで法律上その危機対応業務というのを政投銀に位置づけたということだと思うんです。であるならば、そこの分析はある程度されているわけで、今後、これからもちろん詳細は御検討されるということでしょうけれども、では、民間の金融機関が危機対応を行うに当たって障害となっている要素、これはどういうものなのか。これはそこそこ明らかになっていると思いますけれども、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 鷲尾さん、基本的に、民間はもうからないことはしないんですよ。もうからないことに手を出したら、それは株主に対して明らかに、ちょっと問題なんじゃないのということになりかねませんから。

 したがって、大規模な自然災害とか急激な景気変動とかいうものにおける投融資につきましては、通常のリスクをとってリターンを得るというような分析でははかり切れない、また、同時にそういったものが起きたら、これは各地域というわけじゃなくて、多分、世界じゅうで起きたら日本にどんと来ますから、日本じゅうで全国一斉に対応することが必要になりますので、こういったことから、とてもではないけれども民間の金融機関で対応するのは難しいんじゃないかということの指摘があるということが一番大きなもとだったんだ、私はそう思っております。

 事実、二〇〇八年のときにたまたまそういう立場にいたんですが、中小零細企業はともかくとして、進出企業、海外にあります大企業はそこそこ自己資本でどうにかすることができたんですが、その中間ぐらいにいる大きな企業というところは本当に、たった一本の糸でつないで、うまいこと逃げ切ったと思っていますけれども、あれがなければアウトだったと思っています。

 そういった意味では、今回の改正案では、当分の間、政投銀に危機対応業務を義務づけるということにしております一方で、民間における危機対応というものが十分に確保されることが見込まれるということになると、新たに規模も大きくなるということなんですが、この義務を廃止するという方針でして、政府としては、民間企業が自主的に財政基盤というものを強化して、そしてリスクの負担というものを相互に分担できるというような金融機関同士の密接な連携等々を進めていかれることを期待しておりますが、では、果たしてふだん競争している銀行がそういうときだけ一緒に手を組むかねと言われると、それはそのときの状況においてなかなか難しいんじゃないかなと思っております。思い切ったリスクをとれる経営判断というものは、仮にそれだけの資金の余裕があっても、それができるかできないかというのは、そのときの執行部のあれにかかっておりますので。

 そういったことを考えますと、危機対応業務に参加するようになっていただきたいという期待もある程度ありますけれども、そういったような状況というのはしょっちゅう起こる話でもありませんので、今申し上げたような、民間でするにしても、いろいろなことを考えていかないとなかなか対応ができない。事実、こういったことが起こるであろうなんという話は大した話じゃないので、全然考えられないことがぼんと起きるから非常に大きな問題になりますので、そういった意味では、ぜひ指定金融機関としてその対応ができるようになっていただきたいという希望を込めてこれは書いておるというように御理解いただければと存じます。

鷲尾委員 大臣がおっしゃったように、やはり民間はもうからなきゃしようがないですから、そうすると、危機対応ということになると相当、その危機自体、金融危機という場合もありますから。リーマンのときは今大臣がおっしゃったように金融機関が比較的、日本の場合はある程度健全であったというところでしょうけれども、その前の金融危機のときは日本の金融機関は青息吐息だったわけで、そんなときに金融機関が危機対応業務をできるかというと、それはできないと思います。

 ですから、おっしゃるとおり、いろいろな状況を想定しなければいけないし、そんなことは今からわからないと言われてしまえばそうなんですが、であるならば、今大臣がそういう危機対応業務を民間がやるということを希望も込めておっしゃっているということで、そもそもなかなかこれは難しいんじゃないかなというところを、今のやりとりを私はさせていただきながら、もう既に感じているところでございます。

 そこでなんですけれども、大臣がおっしゃった希望を込めるというところに付随して、何らかの政策的な手当てを行うかどうかなんですね。民間に指定金融機関として危機対応業務を行ってもらいたい、そこは希望する、では、それに対して政府として政策的な手当てをするかどうか。いかがですか。

菅原副大臣 鷲尾先生がおっしゃるように、民間の金融機関が指定金融機関として危機対応を行えるようにする、これをしっかり政策的に進めていくことが大切だと思っております。

 例えば、参加を促すためには、地銀等の指定申請手続、これは今、現状、財務局と本省の二つの審査を通らなければいけない、今回これを本省のみの審査とするということや、あるいはウエブサイト上に危機対応業務に関するQアンドAを公表したり、あるいは民間金融機関が作成する、本来必要とする実施要領等のひな形をウエブサイト上に公表して、いわば業務の明確化ということを措置することによって促進していきたい、このように考えております。

鷲尾委員 今の副大臣の御答弁をお聞きしまして、効果があるかなというところも正直、もしかしたら、いや、こういう効果があるんですと、もっと深い効果があるのかもしれないですけれども、今お話を聞くだけだと、では指定を受けますという金融機関は出てくるのかな。出てくるかどうかというのは、これからまた見ていきたいなと思いますけれども、ちょっと厳しいんじゃないですかね、率直に言って。ということは、政投銀さんがこうして法律上の危機対応業務を行うという明確化と相まって、事実上危機対応業務は政投銀さんが行うということ、そういうメッセージなのかな、今の答弁を聞いてもそんな感じを受けてしまうわけであります。

 もう少し言いますと、ちょっと質問が後先になって恐縮なんですけれども、危機対応業務というのはこれまでいろいろなときに発動されていますが、その発動されていることを踏まえて、民間の金融機関も、どういう場合に自分のところは指定を受けようか、危機対応業務を行うかというところは、政府側がどういう場合に危機対応業務をしますよという、ある程度、どの指標を見て危機対応だとして危機対応業務を発動するかということも深くかかわっているんじゃないかと思うんですね。どういう指標を見て危機対応だという話をしていくか、これをもう少し明らかにするということも大事なポイントだと思いますが、いかがですか。

迫田政府参考人 お答えをいたします。

 民間金融機関を活用した危機対応制度についてでございますけれども、内外の金融秩序の混乱または大規模な災害、テロリズムもしくは感染症等の危機による被害に対処するために主務大臣が発動するわけでございますけれども、その場合には、一般の金融機関が通常の条件により貸し付け等を行うことが困難であるということが一点、そして指定金融機関が危機対応業務を行うことが必要であること、こういった場合に認定をするということになっているわけでございます。

 具体的にどのような危機が危機対応制度の発動の対象になるかということについて、法令上は今言ったようなことになるわけでございますけれども、やはり危機というものは、個別の事態が生じた場合に、危機の実態や被害の状況等を踏まえて主務大臣が個別に判断をしていくということになるんだろうと思っておりまして、制度上は、先ほど申し上げたような場合に危機認定を発動するということになっているということでございます。

鷲尾委員 ですから、これは難しいですよね。普通の金融機関がやれと言われても、なかなか難しいところだと思いますね。ぜひ、そういう意味もあるので、政投銀さんにはここでしっかりと、危機対応業務が法律上位置づけられますから、そこはなかなか民間でできない、そういう役割分担の中でしっかりと対応していただくということが大事かなというふうに思っております。

 それで、特殊法人、先ほど伊藤先生からも質疑の中で発言がありましたけれども、特殊法人のガバナンスという点で、これも忘れちゃいけない。完全民営化というところが逆になくなるわけですから、そうすると、特殊法人としてのガバナンスのあり方というのは逆にこれまで以上に重要性を持つわけだ。今までは宙ぶらりんの状況だったわけですから、ここでしっかりと位置づける中で、ガバナンスを今後どうしていくかという方向性も政府に問いたいと思います。

麻生国務大臣 政策投資銀行、政投銀につきましては、完全民営化の方針に基づいて、民間のノウハウというものを活用しつつ、そして業務運営を効率的にとり行うためには、おっしゃるとおり、やはりガバナンスの強化というのは絶対必要だ、私どもそう思っております。

 したがいまして、この銀行では社外重役とか社外監査役というのを積極的に受け入れる、これはまず絶対。それから、外部有識者によるアドバイザリーボードの設置をするなどというようなさまざまな自主的な、これまでもそれなりにとり行ってきたとは思っておりますが、今回の見直しにおいてもこういったガバナンスの確保の基本的なあり方に変更はなくそのまま、政府としては、完全民営化の方針のもとでさらなる取り組みが進められていってしかるべきものだ、私どもそう思っております。

鷲尾委員 大臣も御承知だと思うんですけれども、特殊法人としての事業計画だとか事業報告書、これは政投銀さんは特に公開されているというわけじゃありませんが、やはりこれを一般へ積極的に公開していく、こういう方向性もあると思うんですね。そのことについて、今のガバナンスと一体のものであるわけなので、ちょっとこれも質問が後先になって恐縮なんですけれども、そこもあわせてお聞きしたいなと思います。

迫田政府参考人 政投銀の事業計画、事業報告書の一般への公開のお話でございます。

 いろいろ調べてみますと、政投銀を含みます特殊会社の事業計画や事業報告書は、所管大臣が業務運営の健全性や会社の目的との整合性を確認するために作成を義務づけているということで、必ずしも一般公開が現時点で求められているというわけではないわけでございます。

 一方で、今回の改正案では、政投銀の事業計画や事業報告書に、他の事業者との間の適正な競争関係の確保、いわゆるイコールフッティングの確保でございますけれども、そういうふうなことに係る方針、あるいはそれに基づく取り組み状況というものを記載するということになっておりますので、同行の業務が今後とも厳に民業圧迫を生じさせないように、これらの内容を広く明らかにした上で取り組むことが適当というふうに私どもは考えておりまして、今後、同行の事業計画それから事業報告書を適切な形で公表することとしたいというふうに考えているところでございます。

 公表の具体的な方法につきましては、今後、政投銀と調整をしながら検討してまいりたいというふうに考えております。

鷲尾委員 いいですね。やはりそういう形でしっかりと公開をしてもらいたいと思います。

 今、迫田さんに先に言われちゃいましたけれども、大臣も記者会見で、適正な競争を確保するための措置をちゃんと事業計画に盛り込んでいくんだ、こういう話をされていましたから、それをちゃんと公表していくということはすごく大事だと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。

 政投銀さん、どうですか、せっかくきょう来ていただいているので、その点もコメントいただけますか。

柳参考人 お答えいたします。

 今お話のございましたように、当行の事業計画、事業報告書は今まで公表しておりませんでした。今後は開示をしていく所存でございます。

 具体的な開示のあり方については、主務省と今後相談をして、調整をしてまいりたいと考えております。

鷲尾委員 ほかの特殊法人の中で既に公開しているところもありますから、それ以下であってはならない、当然ですけれども。特段の意味もありますので、ふさわしい開示のあり方を、またこれも質問しますけれども、ぜひ聞かせていただきたいなというふうに思います。

 続きまして、特定投資業務について、先ほど成長資金云々という話を冒頭申し上げましたけれども、質問したいと思います。

 特定投資業務というところの中で、今回、政府から貸し付けじゃなくて出資が入るということになりますけれども、これは単純に考えたら貸し付けよりも出資の方がリスクが大きくなるわけですから、出資に変えたというところのメリット、デメリット、出資に変えた経緯について少しお聞かせいただけますか。

菅原副大臣 御指摘のとおり、政投銀は、従来、政府による産投貸し付けを受けて、平成二十五年三月に設立いたしました競争力強化ファンドを通じた成長資金の供給を進めてきたわけなんです。これまでのこのファンドの直近の二年間の実績を見てみますと、企業の資金需要が例えば劣後ローンなどの貸し付けよりも優先株などの出資に集中していた、こういったことによって、政投銀から企業への資金供給は出資が中心となってきた経緯があります。そこで、今後も企業からの資金需要につきましては引き続き出資が中心となる、こういう見込みがございまして、特定投資業務による政投銀から企業への今後の資金供給も出資が中心となる、このように見込んでいるところでございます。

 また、政投銀が出資を行う際には、民間の金融機関と同様のリスク管理によって財務の健全性を維持するということが必要なために、それに見合う同行資本への積み立てが必要となってまいります。政府からの貸し付けでは、これをバランスシート上で見ますと資本への積み立てに充てることはできない、こういう考え方によりまして、これまでの産投貸し付けではなくて、同行資本に充当できる産投出資に切りかえる必要がある、このように考えたことが経緯となってございます。

鷲尾委員 そこは政投銀のリスク管理ということを徹底して、しっかりと主務官庁としてもモニターしながらということでリスク管理は十分だ、そういうお話なんだと思いますが、実際そこはリスクが大きい、常識的に言えば、率直に言えばそうなので、より責任も重いんじゃないかなと思っております。これから出資比率も下げていく中で、しっかりとそこは、任せるところは任せながら、しかしリスクが大きくなってくるという部分もありますので、難しいと思いますけれども、しっかりと監督をしていただきたいなというふうに思うところです。

 あわせて、この出資なんですけれども、企業の競争力の強化、収益性の向上に資する取り組みと、地域の活性化に資する取り組みという形で今回は位置づけられます。

 この二つの位置づけについて、先ほど来委員の先生方から御指摘があったとおり、民業補完というよりは圧迫につながるのではないか、これも巷間随分言われてきているところでありますので、呼び水効果という言い方をするのは簡単でありますけれども、ちょっとこの点、私も少し不安があるんですね。

 というのは、呼び水ということになりますと、つまり、政投銀がおつき合いする、民間の金融機関とセットして、政投銀がおつき合いしてリスクマネーを供給していく。しかし一方で、先ほど山田先生が御指摘されたんだと思いますけれども、では、リスクマネーの供給ということを考えたときに、政投銀がいつまでも関与するよということになれば、民間のリスクマネーの供給の市場というのはそんなに拡大する方向性にはなりません、ずっと公的な部分が関与するということになりますから。

 そうすると、呼び水は呼び水でいいのかもしれませんけれども、そっちのリスクマネー市場ということを考えますと、これは本当にずっと続けていく話なのかなという思いもあるし、そういう意味で、それこそ民間がやらなければならないところにあえて政投銀が政府の出資を受けて関与することによって圧迫につながるんじゃないかという見方ができるわけです。この点、いかがでしょうか。

迫田政府参考人 まず、呼び水効果という部分でございますけれども、それぞれ金融機関には得手不得手みたいな部分があるんだろうと思います。それは、基本的には資金の調達の仕方に起因する部分があるんだろうと思います。

 例えば、先ほど来から出ております成長資金、ある意味では資本性資金と申し上げてもよろしいかと思いますけれども、まさに出資であるとかメザニンであるとかいう部分についてある意味では政投銀が出ていくわけでありますけれども、企業のサイドから見ますと、そういう性質のお金と、あるいは普通の融資、両方がセットで欲しいという場合もあるわけでございまして、そういうふうな場合には、まさに資本性の資金というものを政投銀が担うことによって民間もそのプロジェクトに参画ができて、全体として量的にも質的にも十分な資金が企業サイドに回っていく、こういうことが一つの呼び水効果と申し上げてよろしいんだろうと思います。

 今回法律で指定をいたします特定投資業務の前身でありますところの競争力強化ファンドでも、数字上もそういう部分が見てとれるわけでございまして、まさにそういうふうな形で政投銀が呼び水となるというところが非常に現時点においては意味があるということだろうと思いますが、一方、この特定投資業務の部分につきましては、危機対応業務と比べましてはるかに民間の方に近しい分野でもあるわけでございまして、逆にいつまでもこういった特定投資業務を政投銀が担うということもいかがなものかという部分もあるわけでございます。

 したがいまして、今回、法律の中でも政投銀の特定投資業務におきましては具体的な年限を明記する形になっておりまして、できるだけこの期間に集中的に政投銀はプレーヤーとして役割を果たす、できれば民間からどんどんそちらの分野にも参画をしていただきたい、そういう思いで今回の法律をつくっているということでございます。

鷲尾委員 競争力強化というところの側面は、その断面は私はまだ理解しやすいかなと。今おっしゃったように資本性資金の話がありますから、まだ理解しやすいかなと思うんですが、今回新たに位置づけられています地域の活性化に資する取り組みというところ、この点については、聞こえは非常にいいんですけれども、ちょっとやはり論点は幾つかあるんじゃないかなと思っています。

 まず、地域の活性化に資する取り組みというところで、政投銀さんが出資をする案件というのはどういうものかというのは正直なかなかイメージできないなと。これまでの政投銀が行ってきたこととは少し毛色が違ったものをやっていくということになるんじゃないかなと思っております。

 これは、政投銀さんに質問しますけれども、どういう体制で行っていくのかなと。つまり、地域の活性化ですから、地域に入っていかなきゃいけない。地域に入っていった中で、投資先というのは今、地域の金融機関が血眼になって探している状況です。お金がなかなか銀行から出ていかないのが今の日本の問題点なわけで、それは地域が特に厳しい状況の中で血眼になって探しているんですけれども、そこに政投銀さんがどう関与していくのか、また、政投銀さんが主体的に取り組んでいくということであるならば、どういう体制でやっていくのか、これがちょっと想像できないんですね。

 政投銀さんにお聞きしたいと思います。

柳参考人 お答えいたします。

 当行は、前身が開発銀行と北東公庫ということでございます。この時代から地域開発に注力をしてまいりまして、重要な地域の顧客層とかリレーションを構築して、現在も維持している。したがって、実際に当行の顧客の半数が地域の企業であります。また、営業部門の人員についても、半数を全国の十の支店に配属して、地域を重視している体制ということでございます。

 具体的には、二〇〇八年の株式会社化以降、地域金融機関からの借り入れを実施しておりますが、そのような関係を通じて、地域金融機関との共同ファンドの設立等を通じて連携が強化されている。実例で申しますと、東北三県、岩手、七十七、東邦銀行さんと震災の復興、あるいは最近では第二号目の成長のためのファンドをつくりました。今の御質問のように、我々だけでやるのではなくて、地域の金融機関と連携してやっていくということで、むしろ非常にそこを求められているという状況だと考えております。

 さらに、それを強化するために、昨年の九月に、社長を本部長といたしまして、行内に地域みらいづくり本部というのを設置して、今申し上げた資金供給だけではなくて、いろいろな意味でのナレッジ面からのサポートを含め、地域の金融機関と連携して、引き続き地域活性化に貢献していきたいと考えています。

鷲尾委員 確かに、新潟支店もありますから、存じておりますので、そういう意味では地域と連携をうまく、そういう需要をしっかりともう既にお感じになっていて、かつ積極的にやっていける体制にある、その延長線上でのことだということであれば、私も安心です。そういう方向性で取り組んでいただくということであるようですので、そこは私自身も腑に落ちたところでございます。

 その次に、言ってみてしまえば、政投銀さんのこれまでの競争力強化ファンドの案件というのは、かなり大型案件も多くて、私が気になったのは、規模感としてはかなり大きいところが多くて、小さいところもあると言われましたけれども、レクチャーのときにそうお話を聞きましたけれども、かなり大型案件なのかなと思っておりまして、これは、地域活性化ということになったときに、そういう大型案件のみではなくて、むしろ、副社長御承知のとおり、そこはもう少し規模感としては小さくなってくるのかなと思うんです。そこら辺の想定はどうお感じになっていますか。

柳参考人 行内の体制といたしまして、今般の特定投資業務については、今お話のございましたように大型の案件が中心となるとは考えておりますが、極力、地域活性化の観点から地域の小規模な案件にも力を尽くすようにということで、各支店長ほか地域担当の役員等にも今指令を出しておりまして、地域の経済界の皆さんあるいは地銀の皆さんと相談をしておるところでございまして、ぜひここは重点を置きたいと考えております。

鷲尾委員 そこでなんですけれども、政府系金融機関でいきますとあと商工中金がございますけれども、今度は逆に、そっちの規模感とかぶってくるところがあると思うんですよね。ここはどうお考えになっていますか。

柳参考人 必ずしもバッティングするというふうには考えておりません。むしろ、必要であれば、商工中金さんとも連携しながら一緒にやっていけばいいのかなと。

 一番理想的なのは、我々は、どちらかというと新しい金融手法を使って、ほかの金融機関とは違う側面からの支援に努力するようにしていきたいと考えております。

鷲尾委員 地域の中でいろいろな選択肢があってもいいと思うんですが、右を見ても左を見ても政府系という形にはならぬようにしてもらいたいなということを、大前提として申し上げたいというふうに思います。

 実は、ちょっと私が地域の活性化で気になったところは、一つ、政投銀さんが、競争力強化ファンド六百五十億円、概算要求の時点ではないわけですよ。ないんですよ、概算要求では。途中で六百五十億とどんと来て、今、二十七年度予算になっています、成立しましたけれども、六百五十億。私は、こういうところで政府の非常に強い意思を感じたわけです。

 概算要求の時点ではなかった。しかし、今の政府の予算には六百五十億が入っている。唐突に入ってきたわけですよね。だから、そもそもこの六百五十億ということは、政投銀さんが概算要求の時点でお話しになっていたことじゃないんだろうなと思うんです。

 感想はいかがでしょうか。

柳参考人 当行は、もともと、平成二十七年度の財政投融資の要求において、我々の第三次中期経営計画の重点分野を中心とした一層のリスクマネー供給に必要な措置の要求を別途検討するという要望は出させていただいておりました。これは、当行自身が、地方の経済界あるいは自治体の意見を踏まえて、地域活性化に資する取り組みをさらに強化していきたいということでございました。

 その後、先ほど言及がございましたが、政府の成長資金の供給促進に関する検討会の中間報告取りまとめ、あるいは地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策が出されまして、当行としては、先ほど申しましたように、検討していた取り組みの趣旨にも合っておりますので、特定投資業務の創設が検討されるということで、改めて必要な産投出資の改要求を提出したということでございます。

鷲尾委員 何にしても大きな金ですからね、六百五十億。そう答えるしかないんでしょうけれども、理解したとしか私も言いようがないんですが、こういうところも気にしていますので。六百五十億、責任重大ですから、よろしくお願いします。

 それでは、政投銀法の質疑を中断いたしまして、まだ少し時間がございますので、ちょっと違う話題をさせていただきたいと思います。

 外国口座税務コンプライアンス法というのがあるんですよ。略称FATCAと申します。これは米国の国内法でして、この米国の国内法が世界に重大な影響を巻き起こしているわけでございます。

 これはアメリカ人が海外口座やオフショア投資を使って租税回避を行うことを防止するための法律なんですが、米国外の金融機関にも当然影響が出てくるわけです。アメリカの歳入庁に当たるIRSとFFIと呼ばれる契約を締結しまして、アメリカ人の口座の情報を提供する仕組みとなっています。その顧客、金融機関の中に情報提供に同意しない者がいた場合は、非協力者として三〇%の源泉徴収、三〇%ですからすごいですね、非協力口座の閉鎖、かなり強い権力を行使する、そういう法律が米国国内法として成立したわけであります。

 こういったことを調査、報告する、協力者として、国内の金融機関、我が国だけじゃありません、世界じゅうの金融機関に調査、報告する義務がかけられてくるわけであります。これは相当大きな負担を金融機関に負わせることになるのではないかという指摘が当初からなされていますし、かなり強引であるという指摘もあわせてされております。

 こういったことを踏まえまして、FATCAによって我が国の企業や銀行が過度な負担を負うことになってはいないか、また、このFATCAが、これは米国国内法ですから、米国だけを一方的に利するものになってはいないか、こういう観点で、以下、少し、残された時間、質問をさせていただきたいなというふうに思っております。

 このFATCAのもとで我が国の金融機関が行う情報提供、これがどういう法的義務に基づくものなのかというところを、まずスタートの質問としたいと思います。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 米国の外国口座税務コンプライアンス法、FATCAでございますが、米国人による外国金融機関の口座を利用しました脱税を防止することを目的としております。外国金融機関に米国人が保有する口座の残高、利子、配当等の受取額等の情報を米国内国歳入庁に毎年提供することを求めた米国の法律でございまして、二〇一〇年三月に成立、二〇一三年一月から施行されております。

 この法律は、外国金融機関に対し、米国人の口座情報を米国内国歳入庁に報告すること、口座保有者が情報提供に応じない場合にはその口座を閉鎖すること等を求めております。これらを履行しない外国金融機関が受け取る米国源泉の支払いに三〇%の源泉課税を行おうとするものでございます。

 日本の金融機関も、この米国の法律への対応を求められたわけでございます。その際、情報提供に同意しない口座保有者の口座情報を提供すれば、個人情報保護法上の問題が生じる、あるいは、他方で、口座を閉鎖すれば訴訟となるというリスクがございました。こうした事態を受けまして、日本の金融機関が保有者の同意を得ていない口座の情報を米国内国歳入庁に対し直接提供しなくてもよいこととするため、日米当局間で協議を行ったものでございます。

 その結果、国税庁から日米租税条約上の情報交換の枠組みを用いまして情報を提供することにつきまして、二〇一二年六月に大枠で合意し、さらに二〇一三年六月に共同声明、この共同声明の名前は、ちょっと長いんですけれども、国際的な税務コンプライアンスの向上及びFATCA実施の円滑化のための米国財務省と日本当局の間の相互協力及び理解に関する声明という声明におきまして、実施の具体的な方法を公表したところでございます。

鷲尾委員 では、情報提供というのは法的義務に基づくものであるかどうかというところを端的に言うと、いかがでしょうか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 義務という言葉の定義にもよりますけれども、日米租税条約の第二十六条で情報交換規定が求められております。その情報交換規定を受けました租税の実施特例法というのがございまして、この第九条で質問検査権というものが規定されております。

 したがいまして、米国から日本の国税庁に協力をしない口座に関して調査の要請があれば、この条項に基づいて質問検査権を金融機関に対して行いまして、その情報をアメリカの国税当局にお渡しするという形になっておりますので、これはある意味では法的な枠組み、租税条約上の情報交換の枠組みを採用させていただいているというところでございます。

鷲尾委員 租税条約上の義務に基づくということですね、今の御答弁ですと。

 では、FATCAの対象となる金融機関の定義というんでしょうか、FATCAが要求する対象としている金融機関の範囲、これは明確であるかどうか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げました二〇一三年六月に公表いたしました声明の中で、金融機関は、保管機関、預金機関、投資事業体または特定保険会社と定義されております。

 具体的に対象となる金融機関は米国の法律に基づき解釈されますが、典型的な例としましては、銀行、証券会社、保険会社等が挙げられるものというふうに理解しております。

鷲尾委員 その米国国内法の解釈というところで、グレーなところはないかどうかというところなんですね。

 いきなり適用対象になる、思ってもみなかった、こういうことがないようにしてもらわなきゃいけないし、そこは大丈夫ですか。もう一度。

田中政府参考人 現在、金融機関にFATCAの実施についての御協力を求めるということもしております。その中で、日米間の合意が先ほど申し上げた声明という形であらわれておりまして、現在、その実施においてそごが生じているというふうには考えておりません。

 以上でございます。(鷲尾委員「そごが生じている」と呼ぶ)いえ、生じておりません。

 ありがとうございます。

鷲尾委員 では、こういった例もあるんですね。

 FATCAでは、米国籍保持者や米国事業体だけではなくて、米国に居住する者や、米国人が二五%を超える議決権、価値を有する事業体、法人等も対象とされます。

 日本から米国に派遣されている駐在員等のケースでは、アメリカでの滞在日数が直近三年間で百八十三日以上であれば、居住者の定義を満たすことがあるわけですよ。前年がたしか三分の一だったか、その前々年が六分の一だったか、それを直近の年度と合わせて、三年間で百八十三日以上だった場合は居住者の定義に入っちゃうということですから、みずから自覚しないうちにFATCAの対象になっている、かなり重い報告義務だとか源泉徴収のリスク等も負わなきゃいけなくなる。そういうケースもあるわけで、政府として、こういうこともあり得るという認識なり対策というのは考えておられるんですか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員がおっしゃられた方は基本的に米国居住者の定義に入りますので、これにつきましては米国国内法における課税権の問題と理解しております。

 以上でございます。

鷲尾委員 いや、それはそうなんです、今のは定義をオウム返しに言っていただけで。要するに、例えば駐在員の人で、日本に戻ってきている、ところが、気づいたら米国の居住者となっていた、こうなったときに報告義務が課されちゃいますという話ですから、これは、ともすれば、かなり金融機関に徹底しながら、そういうケースもあるんだぞということを政府としても考えなきゃいけないんじゃないですかという質問だったんですよ。

 定義のオウム返しをされても困るんですが、どうですか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 そういう特別なといいましょうか各事情が、これからいろいろ出てくることになろうかと思います。

 実際、このFATCAの施行は、金融機関からのまず第一回目の米国国税当局への報告が本年の三月三十一日でございまして、その後いろいろな情報交換の要請が来ることになるんじゃないかと思います。

 したがって、その中で日本の国税当局がその要請に応じてどのように対処させていただくのかというのは、もちろん租税条約上の誠実な義務がございますけれども、その個別の事情に応じてしっかりと対応していきたい、その旨、また先生の御意向といいましょうか、問題意識をお伝えしていきたいというふうに思っております。

鷲尾委員 これは資料としていただいたんですけれども、全銀協が、「「米国人等」に該当するお客さま」という形で、かなり詳しく、要件に該当するかどうかという資料をつくっているわけですね。こういった法律が成立したんだということとあわせて、そういう顧客向けに広くそういったものを周知していく、こういうことを民間と連携してやっていったらいいんじゃないかという答弁を期待していたんですけれども、そういう方向でお願いしますね。現場は混乱しちゃいますから、お願いします。

 続きまして、我が国のケースに限って話をしますけれども、先ほど参事官から話がありました共同声明によりますと、我が国金融機関は直接アメリカのIRSに情報提供を行うんじゃなくて、国税庁からIRSに情報提供を行うという仕組みになっています。それは、先ほどおっしゃったように、個人情報保護等々の関係もあってですね。

 この情報提供の枠組み自体は、先ほどおっしゃったように、租税条約上の情報交換と異なったものなのかどうなのか、これも法的側面からお答えをいただきたいと思います。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、結論から申し上げますと、租税条約上の取り扱いと異なるものではございません。同じでございます。

 具体的に申し上げますと、二〇一三年六月に公表されました日米の枠組みでは、米国内国歳入庁に情報を提供することに同意した米国人の口座情報と同意しない口座情報に分けまして、情報を提供することに同意しなかった米国人の口座の総数及び総額につきまして、日本の金融機関が直接米国内国歳入庁に情報を送付することになっている。日本の金融機関から情報を受領しました米国内国歳入庁は、日米租税条約の情報交換規定に基づきまして、国税庁に対し、情報を提供することに同意しなかった米国人の口座情報の提供を要請するわけでございます。要請を受けました国税庁は、租税条約等実施特例法に基づきます質問検査権を行使しまして、日本の金融機関からその情報を入手し、米国に提供することになっております。

 このように、FATCAに対応するために行われる国税庁から米国内国歳入庁への情報提供は、既存の日米租税条約の情報交換規定を根拠として行われるものでございまして、通常日米で行われている要請に基づく情報交換と、法的性質の面におきまして何ら異なるものではございません。

 以上でございます。

鷲尾委員 これまで、IRSのインストラクションが、結局、去年の六月まで公表されなかったりしたわけですよ。要するに、重要な事項、さまざまな事項、このFATCAに関していろいろなわからない事項が徐々に明らかになりつつあるわけですが、今の時点で、主要な未確定部分、まだ明らかにされていない部分というのはあるんですか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 FATCAへの日本の対応につきましては、共同声明において既に枠組みを確定させているというふうに認識しておりまして、現在、主要な未確定部分に当たる事項はないというふうに理解しております。

鷲尾委員 具体的な書式だとか、結局、それは、先ほどおっしゃったように、質問検査権に基づいて国税庁から米国のIRSに話が行くというところで、逆に、金融機関としてどういう書面を準備したらいいかとか、これは金融機関の実務対応としては下手したら膨大なものになるわけで、早く教えてほしいというのが今の状況だと思うんですけれども、そういう点はちゃんと明らかになっているんでしょうか。この点も確認したいんですけれども。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 書式につきましては国税庁のホームページでも公表しておりまして、統一的なフォームで、米国への報告といいましょうか、それをするようにさせていただいております。

 以上でございます。

鷲尾委員 決まっているなら、もうちょっとばしっと言っていただいていいんじゃないでしょうか。何かちょっと自信なさげに答弁されると、どうなっているんだろうなと。決まっているということでよろしいんですか。

田中政府参考人 決まっております。

 ただし、それが何らかの規則で決められているということではなくて、そこがやや曖昧なお答えになっているところがあるかもしれませんけれども、金融機関が米国当局に提出するフォーマットにつきましては、こういうフォーマットで出したらいいですよということを国税庁でお示ししているというところでございます。

鷲尾委員 その報告が、当局間のやりとりが今度またあるわけですよね。それを参照しながら、また精緻なものにしていくということなんでしょうか。ただ、これで大丈夫だといいながら、またこれも、またこれもという話になりますと大変ですから、そこはちゃんと押さえてください。

 それでは、続いての質問ですけれども、我が国の金融機関がFATCAにおいて一方的にIRSに情報提供するものではなくて、先ほど、相互情報交換条約に基づいてということでありますから、相互に情報交換がなされると聞いております。つまり、日本からもアメリカにそういう情報を要求することができると聞いております。

 共同声明によりますと、「米国は、日本の居住者が米国金融機関に保有する口座についての情報を既存の所得に関する租税条約に基づき収集し交換することにより、進んで日本と協力することを確認する。」とされております。

 これを踏まえまして、米国財務省ないしIRSは、米国の金融機関に対して口座検出等を含む一連の作業を実施させるということになるのでしょうか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 日本のFATCAへの対応は、申し上げたとおり、日米租税条約の情報交換規定に基づいて行われております。

 租税条約の規定は双務的な内容となっておりまして、日本と米国に同じ義務が課されていることから、国税庁が米国内国歳入庁に対して同様の要請を行う場合には、米国側が実施することとなる作業は、米国内国歳入庁の要請を受けて日本側で行われるものと同様の内容となるというふうに理解しております。

鷲尾委員 済みません、同様の内容になっているということの中で、つまり、米国の金融機関に対して口座検出等を含む一連の作業を実施させるということになるか、このことについてはどうですかということなんです。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 その口座検出ということがどこを指されているのかというのが具体的には明確でありませんが、やはり非常に日本の当局がこの口座について情報を知りたいということがあれば、それを租税条約上の要請に基づきます情報交換に載せて、米国側に調査等を要請するという手続になります。

 以上でございます。

鷲尾委員 では、それに基づいてIRSが米国の金融機関に対してやるということですね。そういうことなんだと思います。

 それで、アメリカの金融機関が実施することになる作業がございますね。アメリカの国内の金融機関が実施することになる作業というのとFATCAに基づいてアメリカ以外の国の金融機関が求められるもの、これは相互情報交換という話ですけれども、アメリカの国内でIRSがやれという話と我々が求められるものはどう違いますかという質問なんです。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 他の諸国の金融機関がFATCAへの対応として実施する具体的な作業につきましては、他国の当局と米国の当局との取り決めの内容にもよりますところ、その詳細を知り得る立場にはございませんが、税務当局の調査権限により情報を収集するか、あるいは法令に基づいて情報を収集するかの違いはございますものの、金融機関に口座情報の提供を受け、租税条約の情報交換規定に基づいて情報提供するということについては、他国から米国に対する情報提供という意味では同じだというふうに思っております。

 米国内における非居住者、例えば日本の方の口座情報をどのように情報交換に載せるかということにつきましては、日本の場合は日本側からの要請に基づいて行うという形になっておりまして、その違い、アメリカとの対応の違いといいますのは、委員御承知のとおり、協力者か協力者でないかというところを見定めるということは日本からはやっておりませんけれども、アメリカはそこのプロセスを含めてFATCA法に載せているというふうに理解しております。

鷲尾委員 今の質問が一つの象徴なんですけれども、本当に相互で同様のものなのかな、米国側が租税回避を名目にしてかなり強力な力を行使してきているんじゃないかなと。そこで不均衡があってはならない。

 日本は、これまでの議論のように、共同声明も行っておりますし、比較的うまく対処していると思っています。ああいう国ですから一方的に言ってくる、そこで、日本国内の状況に鑑みてうまく対処されているんじゃないかというふうに思っています。

 ところが、日本のみならず各国政府との間で合意されているIGA、これは各国の事情に応じた実施規定だ、政府間協定だと聞いているわけであります。日本はかなりうまくやっているだけで、実はこれはアメリカがかなり強権的に、自国領土外の私人たる金融機関に対してかなり強力な力を行使しているんじゃないか、こういうふうに思うわけですけれども、こういうことというのは国際法上根拠があることなのかどうか、最後にこのことをお聞きしたいと思います。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 各国税務当局は、国外において調査権限を行使し情報収集をすることができないという制約がある中で、租税条約の情報交換規定に基づいて相互に情報提供を行うことで国外にある情報の入手に対応しているというのが基本的な根拠になっております。FATCAへの対応も租税条約に基づく情報交換の一環として行われているというのは、今申し上げたとおりでございます。

 また、外国金融機関を利用しました国際的な脱税及び租税回避は、米国だけでなく世界共通の課題となっております。これに対処するため、昨年、OECDは、非居住者に係る金融口座情報を各国税務当局間で自動的に交換するための国際基準を策定いたしました。G20財務大臣会合及びサミットにおいて承認されたところでございます。

 平成二十七年度税制改正では、この国際基準を実施するため、日本の金融機関に対しまして非居住者が保有する口座の情報につきまして国税庁への報告を求める制度について御審査をいただき、先月末に法律が成立されたところでございます。

 今後、金融口座情報の交換は、米国との間だけでなく多くの国との間でグローバルに行われることになりまして、国際的な脱税及び租税回避に効果的に対処するということが期待されているところでございます。

 以上でございます。

鷲尾委員 最後もちょっとかみ合っていなかったですけれども、時間なので、質問を終わります。

 ありがとうございました。

古川委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 維新の党の伊東信久です。

 本日は、株式会社日本政策投資銀行法の一部を改正する法律案に関して、三十分間という短い時間でございますが、質問させていただきます。

 安心してください。本日は、バイオシミラーを初めとする社会保障制度でなく、純粋に政投銀に関する質疑をさせていただきます。

 ただ、一点だけ御報告なんですけれども、三月二十六日にバイオシミラー使用促進議連が無事に立ち上がり、何と河村建夫先生にもお越しいただき、最高顧問に就任していただきました。

 バイオシミラーの使用促進は必ずや麻生大臣の掲げる財政再建に寄与しますので、どうかバイオシミラーへの興味、そして使用促進への御理解を賜りますように、よろしくお願い申し上げます。

 質問に移ります。

 ちょうど二週間前の報道ステーションにおきまして古賀茂明さんが、キャスターの古舘伊知郎さんと激しい議論を行い、爆弾発言を連発しておりました。ほんの一瞬ですが、本日議論されております株式会社日本政策投資銀行、いわゆる政投銀と、商工組合中央金庫、いわゆる商工中金についてフリップも出ておりました。そこには、政府系金庫機関トップに天下りが続々と復活、政投銀と商工中金の完全民営化を先送りとありました。

 ただ、実際見てみますと、政投銀の現在のトップは橋本徹氏、うちの代表と同じ名前なんですけれども、この方は富士銀行の出身でございます。その前は室伏稔氏で、こちらは伊藤忠商事出身でありますので、実は政投銀のトップは二代続けて民間出身なので、古賀氏が指摘しておりました、トップに官僚が天下りというのは必ずしも合っていないような気がしますが、政投銀は財務省から、商工中金は経産省から天下りがあるのは事実であります。

 一九九九年に日本開発銀行と北海道東北開発公庫が統合されて旧日本政策投資銀行が設立されましたが、二〇〇五年に当時の小泉内閣により完全民営化する方針が決定され、二〇〇七年には政策投資銀行法が成立して、二〇一五年をめどに政府が保有する株式を売却することが決定しておりました。

 しかしながら、先ほど質疑、答弁が繰り返されていましたけれども、二〇〇八年のリーマン・ショックと二〇一一年の東北大震災などの日本の危機的な状況に対して民間の金融機関が対応できないといった理由から、政府保有株式の売却の延長、すなわち完全民営化が二度にわたり延期され、このたびは三度目の延期が決定されたんです。

 ここでまずお尋ねしたいのは、株式会社日本政策投資銀行は政府系の金融機関として日本の発展に寄与してきましたが、改めて株式会社日本政策投資銀行の役割についてお教えください。

菅原副大臣 昭和二十六年に日本開発銀行から始まった政投銀であります。今、伊東先生がお話しのとおりの歴史、経緯を踏まえた中で、戦後の復興から高度成長、安定成長、この間には金融の再編、石油ショック、円高不況、あるいは今お話があったように、阪神・淡路大震災、東日本大震災、そしてまたリーマン・ショック等々、さまざまな金融経済史を経過しながら、そこで国家的な危機に対応する、こうした政府金融としての役割を担ってきたわけであります。

 いわば投融資一体型の金融ノウハウ、そして、これまでの経験を経て、その目きき能力を生かして、企業が新事業開拓などの成長に向けた大胆な取り組みを行う際に必要な資本性資金の供給、そして我が国経済の基盤となる電力あるいは鉄道、こうしたインフラ整備のための長期の資金供給、そして企業が安心して活動できるための必須の環境整備であるいわゆる危機時の資金供給、こうしたことを通じまして日本経済の重要な役割を担ってきた、このような役割を果たしていると考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 菅原副大臣の、目ききの能力が政策投資銀行にあるんだということと、危機的状況に対応していくんだということは今までのお話の中でもある程度理解しているつもりなんですけれども、これに関連しまして、今回のポイントでもあるんですけれども、政投銀と民間の金融機関とのかかわりについて、政府の方から教えてください。

迫田政府参考人 お答えをいたします。

 政投銀の役割につきましては、ただいま副大臣から申し上げたとおりで尽きておるわけでございますけれども、民間金融機関との関係ということで申し上げますと、昨年開催されました政府の成長資金の供給促進に関する検討会において、民間金融機関から、民間のみによる対応は困難であるとして、政投銀に期待する役割というものとちょうどオーバーラップをするようなものでございます。それは、一言で申し上げますと、民間に対する補完的な機能ということになるわけでございます。

 もう少し具体的に申し上げますと、政投銀におきましては、現行の中期経営計画でも、金融機関等との適切なリスクシェアというふうなことで、民間金融機関との協業を基本的なビジネスモデルにしておるわけでございまして、例えば民間金融機関では供給が難しい出資あるいはメザニンといった資本性資金を供給することによって民間金融機関の融資を呼び水となって引き出す、こういう一つの民間との関係もございます。

 あるいは、企業の事業再編におきますノンコア事業の切り出しといったようなもの、これは大変仕組み方が難しい案件が多いわけでございますけれども、ここに、これまでの金融ノウハウを生かしまして適切な金融スキームを構築することで民間金融機関の参加を引き出す、こういった民間金融機関との関係もあるわけでございます。

 いずれにいたしましても、多くの民間金融機関と連携をしながら実績を上げてきているということでございます。

伊東(信)委員 補完機能に関しての御答弁もありましたけれども、このことについても御質問していきたいわけなんです。

 先ほどから御答弁がありますように、政投銀は、民間金融機関ではできないようなリスクの大きな融資ができると。具体的な事例としましては、東京電力福島第一原子力発電所の事故後に、東京電力の資金繰りが悪化したときに政投銀が巨額な融資を実行したり、泊原発の稼働停止が長引き、北海道電力の経営が悪化したときは北海道電力の優先株を引き受けたりと、民間金融機関では実現できなかったであろう投資を実現しております。

 しかし、ややもすれば、政投銀や商工中金の存在が民間金融機関の業務を圧迫してしまう、いわゆる民業圧迫が起きているという指摘もございます。政府系の金融機関の存在が民間金融機関の範囲を侵食してしまうという側面があり、二〇〇五年の小泉政権時に、民間でできることは民間でという合い言葉のもとで政投銀の完全民営化が決まったわけですね。

 民業圧迫防止の観点から、附則第二条の二十一関係の適正な競争関係の確保において、他の事業者との間の適正な競争関係を阻害することのないよう特に配慮しなければならないこととすると明記されております。

 私も、医療法人眞愛会というところの理事長でありまして、経営する立場であります。その医療法人の経営者である私の観点からすると、やはり本法案の一番の肝はここにあると考えております。絶対に民業圧迫というのはあってはならないことなんですね。

 現実、医療法人眞愛会において伊東くりにっくというクリニックを立ち上げたんですけれども、その際は、民間の金融機関に助けてもらいまして、育てていただきました。

 政投銀や商工中金を初めとする政府系の金融機関の意義は認めております。しかしながら、政府系の金融機関が民間の金融機関の領域といいましょうか守備範囲を侵してはならないと考えております。

 本年の一月二十六日に行われました第十五回の行政改革推進会議において提出されました財務省の資料の中で、「民業圧迫を招かないための対応策」、「民間金融機関・有識者によるチェック」の項目で、「政投銀は、民間金融機関の代表者を含む外部有識者の参加の下、適正な競争関係や民業補完の状況についての検証等を行う機関を同行内に設置し、その結果を事業計画及び事業報告書へ適正に反映する。」とありますけれども、本改正案を検証させていただきましたところ、私にはその対応策が盛り込まれていないように感じます。

 先ほど政府からの御答弁に補完機能の話もありましたけれども、ここで麻生大臣にお尋ねしたいのは、民間金融機関の代表者を含む外部有識者の参加のもと、適正な競争関係や民業補完の状況について検証などを行う機関の設置は考えておられるんでしょうか。教えていただければ幸いです。

麻生国務大臣 伊東先生、まず、政策投資銀行、いわゆる政投銀につきまして、今、現状で民業を圧迫しているという状況にはない、基本的にそう思っております。

 また、今回の改正案でも、民間の対応が十分でない分野を補完する、例えば危機に当たってのとかいうことが主であって、基本的には民業圧迫につながるものではない、まず基本的にそう思っております。

 その上で、これは念のため取り組みとしてきちんとしておかないといかぬということになって、かつて開発銀行と言われたころ、昔、昭和二十年代はこれは復興銀行と言ったと記憶するんですけれども、復興銀行が開発銀行になって、今はこの銀行に名前が変わっておりますけれども、当時は、土地の開発なんかを派手にやっていたときには結構いろいろあったということもありましたので、民間との適正な競争関係、いわゆるイコールフッティングとかいろいろな言い方がありますけれども、配慮義務を確保する規定というものや、成長資金の供給業務について、民業補完の義務を果たすということを課しております。

 これらの法律上の義務を受けて、具体的な取り組みとしては、民間金融機関の代表者を含みます外部有識者の参加のもとで、適正な競争関係や民業補完といったような状況などを検証する機関というものを政投銀内に設置するなどの対応をとることにいたしておるのがこの内容であります。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 本法案におきます特定投資業務とか危機対応業務の重要性というのはよく理解しているつもりです。政投銀が政府系の金融機関として活躍する場面がまだまだあるということも理解しております。

 ただ、繰り返しになりますけれども、大臣は、政投銀が民間金融機関の業務範囲を現在は侵していない、民業圧迫というのはないとおっしゃいました。業務範囲を妨害してはいけない、この前提は共通だと思うんですけれども、政投銀は、本店を含む十一カ所支店がありまして、八カ所の国内事務所で運営されているようですが、日本には四十七都道府県あるので、国民の皆さんはもちろんのこと、中小企業者にもやはりなかなかなじみがあるものではないように思われます。

 一方で、同じ政府系金融機関である商工中金は百店舗あるわけですね。数においてもかなりの開きがあると思うんですけれども、私の周りの経営者の中でも、商工中金を利用しているという話を聞きます。その商工中金を利用している経営者のお話の中で、これはややもすれば民業圧迫に該当するのではないかなというお話もありましたので、それを挙げさせていただきます。

 ものづくり補助金や省エネ補助金の認定支援機関を商工中金にしてくれれば、補助金を受けられる採択率が高くなりますよ、企画の補助率が三分の二の場合、残りの三分の一の資金は商工中金で用意させてもらいますと。別の機会のようですけれども、商工中金の方から電話があって、民融機関よりははるかに安い金利を提示されると。これは、経営者にとっては金利が安いのはありがたい話なんですけれども、やはり疑問に思って、どうして当社はそのような案内をしてくれるのかと聞いたところ、お得意様にだけ破格の条件を出しておりますとの回答だったそうです。

 なぜ破格の条件を出せるのかというと、商工中金は、一定の割合で財政投融資で資金調達を行っており、財投は国債の一種である財投債などが財源になっているため、貸出金利が割安になるのは当たり前ですと。その経営者は、確かに魅力的な提案ですけれども、地域のために頑張っており、いつもおつき合いしている信用金庫に商工中金からの提案を伝えるわけですね。こんな条件があったから、同じ条件ならばその信用金庫から借りかえたい旨を伝えたところ、答えとしては、その条件では全く太刀打ちできない、悔しいですけれども商工中金から借りた方がいいとの返答があったそうです。

 これは商工中金の民間金融、民業圧迫に当たると思うんですけれども、政投銀は、先ほど述べましたように店舗数が少ないのでそもそもの借り入れの話も聞くことはありませんが、勘ぐってしまうわけです。耳に入っていないだけで、実は同じようなことが起きているのではないかとも思ってしまうんです。

 ここで、政府系の金融機関である政投銀と商工中金において、民業圧迫というのはどのような状況である、どのように捉えているかということを政府に教えてもらいたいと思います。

迫田政府参考人 お答えをいたします。

 政投銀の民業圧迫との関係で申し上げますと、一言で申し上げますと、先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおり、民業圧迫といったような状況にはなっておらないのではないかというふうに認識をいたしております。

 といいますのも、昨年秋に開催をされました政府の検討会におきましても、民間金融機関からのヒアリングに際して、政投銀が民業圧迫を生じさせているというような指摘はなかったわけでございます。

 このため、基本的に、そもそも、先ほど申し上げたとおり、金融機関等との適切なリスクシェアといったようなことで、民間金融機関との協業を基本的なビジネスモデルにしておりますので、政投銀において、政府関係機関としての地位を悪用するとか、あるいは不当な競争によって民業圧迫を生じさせているといったようなことはないというふうに考えているところでございます。

 一つは、政投銀の財務構造ということで申し上げれば、政投銀は、今、全調達額のうち半分以上が社債あるいは民間金融機関からの借入金ということで調達をいたしておる状況にございます。その調達した資金にみずからの利益を上乗せした上で投融資を行っているというわけでございまして、一方、預金、大変調達コストが低いわけでございますけれども、この預金で資金調達を行っている民間銀行との関係で、金利等々の条件面で極端な関係になる、市場をゆがめたりするということにはそもそもなり得ない、そういう財務構造になっているということもあわせて申し上げたいと思います。

 ただ、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、いずれにしても、民業圧迫というものは厳に回避をする必要がございますので、先ほど来申し上げているようなさまざまな検証する仕組み、あるいは民間金融機関との意見交換といったような対応策につきましては、きちっと講じてまいりたいというふうに考えているところでございます。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 商工中金についてのお問い合わせでございます。

 商工中金におけます民業圧迫、どういうことがあり得るかということでございますが、例えば金利等において、委員御指摘のように、有利な条件で融資したりするというようなことで金融機関の業務を妨げることが考えられるところでございますけれども、現在、私どもといたしましては、商工中金におきまして、全体としてはそのような民業圧迫の状況にはないというふうに認識をしております。

 具体的に、三点ほど申し上げたいと存じます。

 第一に、融資先のうち九六・六%がほかの民間金融機関との協調融資となってございまして、その前提といたしまして、毎年度の取締役会におきまして地域金融機関との連携、協調を経営方針として決定し、徹底するようにしております。

 第二でございます。民間金融機関におけます対応が現時点において事実上困難である危機対応、具体的には大規模な景気変動あるいは自然災害、こういった際の危機対応業務を担っておりますけれども、この結果、商工中金の融資先のうち約三〇%が要注意先となっておりますが、これは有力地銀の約三倍という水準になっているところでございます。

 第三に、危機対応業務以外を含めましても、民間金融機関との新規貸出金利を比較いたしますと、平成二十年度から平成二十六年度二月までの平均でございます、例えば貸出期間が一年以上の平均金利、これは国内銀行では約一・二%となっておりますが、商工中金では約一・七%と高いものになっております。

 このようなことから、商工中金が民間金融機関の業務を圧迫しているわけではないというふうに考えております。

 なお、現在御提案申し上げております商工中金法の改正案では、附則におきまして、商工中金は他の事業者との間の適正な競争関係を阻害することのないよう特に配慮しなければならないとしております。

 どうしてそういうことを申し上げているかと申しますと、商工中金の場合、資金調達のほぼ半分が市中からの債券調達ということになっております。残り半分が預金ということでございますので、その際に、政府が株式を持っていることによりまして有利な資金調達ができるのではないか、そういうような考え方も一方にありますので、改めて、そのような民業圧迫の蓋然性を高めることのないようにあえて法律で書いている、こういうことでございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 わからないことはないんですけれども、先ほどの私の事例なんですけれども、たまたま一人の経営者から話を聞いてそれをお話ししているということではないんですね。金利におきまして、やはり商工中金の優位さというのはあると思うんです。

 では、この経営者の事例というのは民業圧迫というのに果たして該当しているのかどうか、その感想を政府から聞かせていただきたいんです。

北川政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘がありました金利が著しく安いということでございますが、ほかの経営状況もいろいろあると思いますので、直ちにそれだけをもって一概に、今ここでそれは民業圧迫ですというふうなことはなかなか判断しにくいのではないかと思います。

伊東(信)委員 それは、一事例を捉えて、これはそうです、これは民業圧迫ですとなかなか言いがたいとは思うんですけれども、こういった事例もあったりするということなんです。

 このことに関して大臣には通告していないんですけれども、同じく麻生大臣にも、現実の商工中金の話も踏まえて、この民業圧迫の現実、経営者として感じていることなんですけれども、何か感想をいただければと思うんです。

麻生国務大臣 商工中金、中小企業金融公庫、政投銀、いろいろありますけれども、経産省所管の商工中金、中小企業金融公庫等々は主に、名のとおり、中小零細企業の対象が大きいと思っております。傍ら、政投銀の方は対象にしておりますものが、先ほど言われましたようにいわゆる非常時に当たってのとかいうような、本来の目的がかなり違っていると思っておりますので、民業圧迫というような話で、今先生が言われたような、小さなところの企業の現実性を帯びてくるのはむしろ商工中金、中小企業金融公庫の方がそういった確率は高いというような気がします。

 いずれも、金利も今、たしか民間より高くなっていませんかね。中小企業金融公庫は〇・一か二か高いと思いますので、そういった意味で、いわゆる金利を安くして民業圧迫というような昔よく言われた話は今は聞きませんし、そういった意識も今はないと思っております。

伊東(信)委員 通告がなかったのにもかかわらず丁寧にお答えいただいて、ありがとうございます。

 金利に関しては、現状はそうでありますけれども、そういった事例もあったということで捉えていただければありがたいと思うんです。

 繰り返しになりますけれども、政府系の金融機関の重要性というのは十分認識しております。完全民営化の時期が示されていない、天下りが広がる、本来ならば退出すべき企業への支援が続くなど、本改正案には議論すべきことがあるんですけれども、何よりも私が重視しているのは、結果として民業圧迫があってはいけないということです。

 ですので、現状がどうのとかいうよりも、きちんと民業圧迫の検証機関を設けチェック機能を働かせ、そして政投銀と商工中金は民間金融機関をまさに、先ほどから補完という言葉をおっしゃっていただいていますけれども、補完するという立場を徹底して、市場規律の尊重そして民間金融機関とのリスクシェアをきちんとすべきだということを強く訴えまして、本日の質疑を終了させていただきます。

 ありがとうございます。

古川委員長 次に、吉田豊史君。

吉田(豊)委員 きょうは、三十分もいただいております。一生懸命頑張ってまいります。

 まず初めに、中国に孔子という思想家がおりまして、いろいろな名言を吐いております。十有五にして学に志し、三十にして立つ、四十にして惑わず。不惑の四十というところでございますが、私ごとですけれども、きょう、誕生日でございまして、四十五になりました。不惑の四十のはずなんですが、四十五にして惑いだらけの私に、先般の質問の折、麻生大臣から、吉田君、政治は、借金じゃないよ、投資だよ、こういう大切なプレゼントの言葉をいただきました。かみしめて進んでまいりたいと思うところでございます。

 投資だよといって、お聞きしておりましたら、きょうのテーマが日本政策投資銀行についてということなので、ここについてしっかり聞いていきます。

 最初の質問は、日本政策投資銀行はどういう目的で設置されており、どのような経緯を経て現在に至っているのかとお聞きしようと思っておりましたが、今ほど副大臣の方からお話もありましたので、ここは私、割愛させていただいて、まず、政策投資銀行というのは、私たちの普通の暮らしにおいて具体的になじみがないんじゃないかな。そこをもう少し、どういう存在なのかということをまずお聞きしようというところから入ろうと思います。

 どういう組織で、例えばスタッフの数ですとか、中身がどうかとか、配置ですとか、そういうことについての概要をお聞きしたいと思います。

柳参考人 お答えいたします。

 当行の職員は、昨年三月末時点で千百八十九名ということでございますが、顧客に対して、できる限り高度な金融技術を駆使して、多様なニーズがございますので、最適なファイナンスを提供する必要がある。したがって、我々にとって大事な唯一の財産は人材ということでございます。その人材の確保、育成に努めている。

 その展開でございますが、十の支店それから八の事務所が全国各地域に、ブロックごとではございますが、ございまして、地域の金融機関あるいは経済界、産業界の方々と密接な連携を保って仕事をしておるということでございます。

 なお、蛇足でございますが、営業部門の人員の半分は支店に配置されているということでございます。

吉田(豊)委員 今ほどお聞きしますと、支店それから事務所とあって、ただ、支店が十カ所それから事務所が八カ所ということであれば、都道府県全部に一個ずつとかそういう存在でもないと思うんです。私、富山ですけれども、北陸でいうと、北陸支店が金沢にあって、富山があって、先ほど新潟の方にもあるねというお話でしたけれども、配置が均等ということでもないと思うんです。

 どういう経緯で日本の中に支店それから事務所があるのかということについてお知らせいただけますか。

柳参考人 前身であります開発銀行あるいは北海道東北開発公庫が、従前、いろいろな業務の中で地域開発に対するファイナンスあるいは知恵出しということに注力してまいりました。

 したがって、例えば北陸で申しますと、今御指摘のございましたように金沢に支店があり、富山に事務所を置きということで、ほかの例えば関東圏に比べると手厚い配置になっております。それは、今申し上げましたように、地域開発に力を入れてきた経緯だということでございます。

吉田(豊)委員 日本政策投資銀行、略すとDBJということですけれども、このDBJというのは何の略なんでしょうか。

柳参考人 ディベロップメント・バンク・オブ・ジャパンということで、英語名自身は昔の開発銀行の名前を引きずっております。

吉田(豊)委員 ディベロップメントということは開発というところで、名は体をあらわすといいますか、日本政策投資銀行という存在は、やはり開発、挑戦していく、そういうような姿勢を前面に出した存在なんじゃないかな、こういうふうに私は理解しておるんですけれども、企業理念ということについて、DBJの方からCSR・ディスクロージャー誌というもの、金融力で未来をデザインするという冊子をいただいて、少し勉強いたしました。

 その中に、企業理念として、四つの色でロゴをつくり、そしてそれは長期性、中立性、パブリックマインド、信頼性を表現している。特にパブリックマインドというところについては、これはどういう意味のパブリックマインドなのか、お知らせいただけますか。

柳参考人 御存じのように、二〇〇八年にいわゆる狭義の政策金融機関から我々は株式会社化して、民営化の道を歩みつつあるわけですが、そのときに、政策金融時代に培った公益性というDNAを忘れないようにしよう、したがって我々のモットーは公益性と収益性を両立させるんだということでございまして、そのような意味がパブリックマインドというところに含まれて、行員一人一人に浸透させるように努力をしております。

吉田(豊)委員 きょうの各委員の質問をお聞きしていましても、非常にここは大切なところで、最終的に今おっしゃったところのバランスをどうとりつつ役割を果たしていくか、これが非常に難しい問題なんじゃないか。そして、方向性を出していくところも、大臣からもお話をお聞きしていますけれども、なかなか明確にできることでもないというところが本質的な問題かなと私は感じております。以下、質問の中でそこもお聞きしていこうと思います。

 DBJの最近の活動というところで、第三次中期経営計画というものがあるということについても勉強させていただきました。これを含めて、最近のDBJの具体的な活動の事例、どういうところにお金を投資しているのか、融資しているのか、この部分について紹介いただきたいと思います。

柳参考人 今御指摘のございました第三次中期経営計画、今年度で二年目、三年間の計画でございます。

 その中で幾つかの柱を掲げておりますが、一つ、リスクシェアファイナンス。

 実は、顧客の資金ニーズというものは非常に多様でございます。例えて申しますと、地方銀行さん等民間の金融機関がシニアローン、一番普通の融資でございます、を担って、当行がリスクの深いメザニンとか、あるいは必要に応じてエクイティー、資本まで行うというような役割分担を実施しておるところでございます。

 そのうちリスクマネー供給においては、実例で申しますと、半導体の設計会社でございますが、二社から合弁の会社をつくるに当たって我々が応分の投資をさせていただきましたし、また重工メーカーの、例えば航空機のエンジンを切り出して他のメーカーと協力しながら事業再編をしていこうというようなものに対しても優先出資をいたしました。

 そのような観点で、競争力強化ファンドを使いながら、あるいは今後は措置されるであろう特定投資を使いながら、今後とも支援を継続していきたいというふうに考えております。

吉田(豊)委員 今ほどの答弁をお聞きしておりましてもそうですし、いただいたこの冊子を見ていてもそうなんですが、難しい用語が多いんです。

 最後に用語解説というものがあって、全部片仮名でして、今ほどおっしゃったシニアファイナンスの話ですとかストラクチャードファイナンス、デューデリジェンス、プロジェクトファイナンス、ハイブリッドファイナンス、メザニンファイナンスとか、これは明らかに、本当になかなか高度なことをおっしゃっていて、かなり技術的な専門的な用語なんだろうな、こう思います。

 そういうこと一つ一つを理解するのにはまだまだ勉強と思いますが、大ざっぱに理解する中にあって、出資と融資というものを一体的に行う、こういう手法をとっているというところがあったので、これについてだったら理解できるかと思うのです。

 これはどういう手法なのか。あわせて、金融機能の高度化ということについても言葉があるんですけれども、これらについてのわかりやすい説明をお願いしたいと思います。

柳参考人 個々の企業さんの成長戦略においては、その戦略を後押しする最適なファイナンススキームの組成というのが極めて重要であります。

 そのような観点から、当行では、民間の金融機関あるいはファンド等と連携しながら、今お話のあった、やや片仮名も含めた新しい金融手法を駆使して、繰り返しになりますが、出資、メザニン、融資まで切れ目なく対応するということが重要と考えております。そういうようなことを行いながら、円滑な案件組成と我が国全体の金融機能の高度化にも貢献、寄与することを是としております。

 今後とも、特に一般の金融市場では不足しがちなリスクマネーの供給というところに注力しつつ、いろいろな課題に貢献をしてまいる所存でございます。

吉田(豊)委員 今ほど概要をお聞きしておりまして、私の理解が正しいか確認してみたいんですけれども、そういうことからすると、日本政策投資銀行というところは、対象としている対象者のイメージは、やはり零細というよりは中小、そして中から大にまで向かって発展していこう、そういうところにある存在に対して応援していこう、こういう位置づけというふうに理解してよろしいでしょうか。

柳参考人 具体的には、もう少し広範でございます。

 何を申しているかというと、基本的に、例えば、先ほど実は航空機のエンジンについて御説明させていただきましたが、航空機業界は非常に広い協力企業があります。したがって、それらを全体としてクラスターのような形で支援する。そうすると、結局のところ、大企業だけではなくて中堅、中小まで支援が及ぶと思っておりますし、また別途、子会社でありますがベンチャーキャピタルの会社を持っておりまして、日本ではそれでなくても起業が足りないというところにベンチャーへの投資ということもやっておりますので、少し大げさな言い方ですが、本当に小さいところから大企業までフルラインでいろいろな寄与をさせていただいているということでございます。

吉田(豊)委員 事例として出していただいた中でクラスターというのが私は少し気になっていて、イメージがとれていないんですけれども、クラスターということは、全体、チームとして、その事業にかかわるところの中小から零細まで含めて面倒を見ていこうよと。

 そうすると、当然一つ一つは個別の会社なわけだと思うんですけれども、それがうまいこといく、いかないとかいうときについて、では、うまいこといかなかったときにはどういうふうに全体として対応していく仕組みになっているんでしょうか。

柳参考人 航空機業界の例で申しますと、やはり中核となる大企業がございます。それに中堅、中小と重なってクラスターということでございますが、今御指摘の、仮にどこかがうまくいかないというとき、実は核となる大企業、あるいは傘下の企業でも中核となる企業がございまして、そういうところが技術の支援とか経営の支援も行いながらというのがクラスターの精神でございますので、相まって総合的な力を出そうという仕組みでございます。

吉田(豊)委員 非常にいい仕組みだと思いますし、そういう形をとればとるほど、きょう、別の意味で話題にもなっている民業圧迫といえばいいか、民間のところができる形の応援とまた違う形でということをイメージとして思いますので、これは今新たにやっていく部分だということですので、私は経緯を見させていただきたいな、こういうふうにも思います。

 お聞きしていまして、日本政策投資銀行が果たす役割ということについては理解しつつあるんですが、そうすると、政府系金融機関というものについては、いろいろなものがあったのを今、現時点では四つぐらいにまとめつつある。そういうふうな中で、具体的に政策投資銀行、金融公庫、商工中金それと国際協力銀行、こういうのが私は思い浮かぶんですが、それぞれの役割の違いというものをここで改めて確認させていただけますか。

迫田政府参考人 お答えをいたします。

 日本政策投資銀行の役割につきましては今るる御説明があったところでございますが、あえて非常に簡略化して申し上げれば、長期資金の供給あるいは新金融技術の開発といったところに特徴があるのだろうと思います。

 以下、日本政策金融公庫の場合は、中小零細企業あるいは個人の資金調達支援というところに特徴があろうかと思います。

 また、商工組合中央金庫につきましては、フルバンク機能、単なる融資だけではありませんで、手形割引とかも含めたフルバンク機能による所属団体向け組合金融であるというところが一つの特徴であろうと思います。

 最後に、国際協力銀行でございますけれども、これは、海外における資源開発あるいはインフラ事業への金融支援といったようなものが特徴ということで整理ができるかと思います。

吉田(豊)委員 最後の国際協力銀行についてははっきりと立ち位置が違うというふうに思うんですけれども、最初の三つについて、これが扱う規模というところからすると、組織を区分けする側からは今の説明になるんでしょうけれども、実際に借り手側からすると、それはそれぞれはっきりと違う位置づけだというふうに認識されていると今判断されているんでしょうか。

迫田政府参考人 規模というのが一つの軸になる部分はあるかと思います。

 ただ、政策投資銀行につきましては、先ほど御説明がありましたように、必ずしも大きいところだけということではなくてというふうな御説明でございました。

 あと、商工組合中央金庫につきましては、組合員、所属の組合に向けての金融であるという、ここは非常に特徴があるんだろうと思います。

 また、政策金融公庫の場合は、やはり中小零細、個人の資金調達支援、幾つもの公庫が統合した日本政策金融公庫でございますから、これまでの経緯といったものも含めてそういう特徴が示されているということだろうと思っております。

吉田(豊)委員 今ほどのところは、借り手側からすると、実は非常に重要な問題だと思います。何かをするときに、まず資金をどこに相談していくのか、それからどういうふうな形で今後の応援をもらっていくのかということにかかわってくる。借り手側の規模と、それから貸し手側がどういうふうな貸し手、あるいは投資側がどこを対象に応援しようとしているか、ここがきちっと合致している、それぞれの位置づけがはっきりしているということが仕組みとしてわかりやすいことであり、必要なことじゃないかな、私はこう思います。ここについては、きょうではなく、今後の質問のところで詳しくまたお聞きしていこうと思います。

 今回の改正の中で危機対応業務という言葉が一つの焦点ですけれども、危機対応業務を行う責務を有するということにするのは、どうしてこうなったのか、どういう経緯からこういう判断をしているのか、ここについて改めてお聞きします。

迫田政府参考人 危機対応業務において一番重要なことは、まず、その担い手を確保することであろうと思います。

 そこで、こういうふうな判断に至った経緯でございますけれども、リーマン・ショックあるいは東日本大震災の際に危機対応業務に民間からの参加がなかったといった事実を踏まえますと、やはり担い手という意味で、当分の間は政投銀に危機対応の役割を担わせる必要があるというふうな判断から、責務を有するといったようなことで法律上書いているわけでございます。

 政投銀は、平成二十年十月に株式会社化した際に、危機対応業務を実施する指定金融機関として、法律的に言いますと、現行法ではみなし指定ということでございまして、実は、同法に基づきますと、届け出によりまして危機対応業務を廃止することが制度的には可能であるのが現状でございます。

 したがいまして、先ほど申し上げたような経緯から、担い手の確保という観点で、当分の間、政投銀に危機対応業務を行う責務を課す、要するに同業務を義務づけるというふうな対応をとったということでございます。

吉田(豊)委員 このDBJの資料でも、復興支援への取り組みということ、危機対応の中に当然大震災とかの問題というのはあるんだと思うんですが、復興支援ということで一・九兆円、東日本大震災に関して対応の融資を行った。先ほどお聞きした政府系の金融機関はほかにもあるんですけれども、こういう対応というのはほかの金融機関も基本的には行っているという理解でいいんでしょうか。

迫田政府参考人 いわゆる日本政策金融公庫が軸になって危機対応業務というのはオペレーションがされるわけでございますけれども、その先の指定金融機関としては商工中金と政投銀が、法律上、先ほど申し上げたみなし規定という扱いになっておりまして、実質的にも、例えばリーマン・ショックや東日本大震災のときにはその二つがメーンにワークをしたということでございます。

吉田(豊)委員 今回の改正についての説明をお聞きしている中で一番私が理解できなかったところが、説明の紙をいただいているんですけれども、指定金融機関ということなんです。

 何か、借りる側と出す側との間に指定金融機関をかませなくちゃいけない、その根本的な考え方についてもう一回御説明いただけますか。

迫田政府参考人 これは、いろいろな、例えばリーマン・ショックとか東日本大震災といったような大きなショックが来た場合に、日本の国内の事業者にどういうふうな対応をするかということで、ある意味では間口が広い方がいいわけでございまして、制度上は、繰り返しになりますけれども、政投銀と商工中金はみなし規定ですが、民間金融機関もどうぞ入ってください、民間金融機関も指定金融機関としてワークしてください、実はそういう法律上の仕立てになっております。

 要は、政策公庫だけでは全ての事業者に対応するというわけにまいりません。どうしても限界があるものですから、そこに指定金融機関というものをいわばかませて、なるべく間口を広げて事業者にいろいろ対応できるように、そういう発想から制度が構築をされているわけでございます。

吉田(豊)委員 政策金融公庫だけでは対応できない。そして、私の手前の質問のところでは、それぞれが独自に最終的な借り手とのつながり、直結を持っている部分もあるわけですよね。

 そういう中にあって、危機対応については、まず指定金融機関というものを設けて、そしてその中に、今ほど対象になっているDBJそれから商工中金、望むべきは民間の方々もというふうにしているというのは、なぜ直接、直接という形にしないのかというところをもう一回教えてください。

迫田政府参考人 これは、例えば危機に至る前の通常の取引で、どことおつき合いがあるかというふうなことは当然あるわけでございます。あと、実態論として言えば、企業のサイズでおのずと取引先の金融機関というものがある程度具体化していく、そういう面もあるわけでございまして、要は、指定金融機関というところがなるべく間口が広い方がより多くの事業者に接触することができるという意味で、公庫だけがそれを担うのではなくて、なるべく幅広く指定金融機関というものを介して事業者に対応していく、そういう発想であるということだろうと思います。

吉田(豊)委員 そこのところは、結局は、先ほど副社長の方にお聞きしましたが、パブリックマインドという部分とつながってくるという理解でよろしいでしょうか。

柳参考人 当行内ではそういう考え方で仕事をしております。

吉田(豊)委員 そうしましたときに、指定金融機関の民間金融機関というところを期待されて入ってくれということなんですが、この方々がやはりパブリックマインドというものをしっかりと持たないことにはここに入れないというふうに私は思ってしまうんですが、大臣、それはそういう考え方でいいんでしょうか。

 民間金融機関について、ここの指定金融機関というところに名乗りを上げてほしい、そこに入ってきてほしい、こういうふうな位置づけだと私は思うんですけれども、そのときに、こういう部分の危機対応についても担ってほしい、あるいは担うことが先々企業としての利益につながっていく、そういうような発想のもとで進めていくという理解でいいのか、教えていただきたいと思います。

麻生国務大臣 基本的には、もともとは、これは民間だけでできないであろうというところから、またできなかったという過去の実績に基づいてこの枠組みを考えておりますので、今先生がおっしゃったように、それに対してみんなでいこうというようになるのが最も望ましいのは確かです。

吉田(豊)委員 それでは、ここのところが変わってきますけれども、今回の改正のところで当分の間と言っておるんですけれども、期限を定めない対応というふうな理解になると思います。完全民営化の方針ということと、この当分の間というところについて、先ほど私の中でもバランスという理解だと言っておりますけれども、改めて、これをどう位置づけているのか、確認したいと思います。

迫田政府参考人 先ほど来から出ている議論ではございますけれども、重ねて申し上げますと、今回の改正案におきましては、民間による危機対応が見込めるようになる時期を見きわめることが現時点では困難である、そういう認識に立脚をいたしております。したがって、政投銀に対する危機対応業務の義務づけを当分の間という措置ということでございまして、裏から申し上げますと、危機対応などの役割をこの政投銀に求める必要がなくなった時点で同行を完全民営化する、そういう法律の仕立てになっているということでございます。

 政府としては、民間による危機対応が十分に確保されると見込まれるようになりますれば、速やかに政投銀に対する危機対応業務の義務づけを廃止するということでございまして、当分の間、危機対応業務を義務づけるということと、完全民営化の方針を維持するということは決して矛盾するものではないというふうに考えているわけでございます。

吉田(豊)委員 完全民営化と。民営化ということは、できることは民にというのが私の所属しておる党の考え方ですし、そのとおりだと思います。

 けれども、いろいろなことを経験していく中で、できること、できないことというのがあるという部分についてもやはりきちっとした理解をした上で、民営化できる部分についてはより民営化しやすくなるために、それから、危機管理等の公が担わなくてはいけない部分についてはそれをきちっと残す、それを区分けしていくという考え方がこの改正の中で私はまだ見えてこないな、こういうふうに思っておるところで、ここをもう少し整理していく必要があると思います。

 それで、改正のところで、今度は地方創生というところとかかわりがあるというふうに理解したんですけれども、地方創生に対する投資という位置づけ、具体的なイメージについて説明いただきたいと思います。

柳参考人 地方創生に対する当行の具体的な取り組み、先ほどから繰り返しておりますが、航空機エンジンの開発に当たって、クラスターというような形で我々は一部に出資をするというような取り組み、あるいは、三重県の例でございますが、地元の間伐材をバイオマス発電の燃料として活用するエネルギー地産地消型の取り組みに代表するような、地域の実情に沿った案件に取り組んでおるということでございます。これは個別ケースでございます。

 一方、地域の金融機関と共同して、東日本大震災で被害を受けた企業の復興復旧を支援するファンド、あるいは地域企業の円滑な事業承継支援を目的とする事業承継ファンド等、地域の中できめ細かい対応を行っているところでございます。

吉田(豊)委員 最後に、今の地方創生という言葉も含めてですけれども、私は、投資という言葉がいいなと思いますのは、前向きなイメージが出てくる。でも、そのかわり、やはりリスクも当然背負わなくちゃいけない。挑戦していくという姿が私は投資かなと思うんですけれども、この日本政策投資銀行、日本という頭がついた投資銀行の投資の方向性それから目的について改めて大臣のお考えをお聞きして、終わりたいと思います。

麻生国務大臣 日本の成長力、正式には潜在成長力を引き出すという意味において、企業活動というものの活性化のためには、ある程度の事業の再編とか新規事業の開拓とか、いろいろな意味の積極的な努力を行うことが多分必要なんだと思うんですね。何となく、今あるものをじっとそのままというわけにはいかないんだと思っております。

 そういった意味では、出資とか、今、メザニンファンドとかいろいろな表現、片仮名の言葉も出てきていますけれども、成長資金が必要であることははっきりしていると思っております、単なる運転資金とか融資資金とかいうんじゃなくて。日本において、成長資金の供給というものが十分ではない、また、金はあるんだけれども、それが成長するかしないかを見る目ききがないというようなところもあるんだと思いますので、そういった意味では、投資の機能を生かすとか目ききの才能、機能を生かすとかいうことが必要になってくると思います。

 今回の改正の中では、政投銀に主に集中して成長資金の供給というのを行わせることにしようとしておりますけれども、政投銀においては成長に向けた企業の資金需要というものに応えてもらわぬといかぬところなんですが、全くいいかげんなバッタ物かどうか見きわめる目きき、目ききというのは勝負ですから、これはすごく大事なところだと思っております。

 そういった意味では、我々としては、そういったものをきちんとして、今後の日本の企業の成長の呼び水となるようなものになることをこの銀行の将来に期待しておるというのが正直なところです。

吉田(豊)委員 終わります。ありがとうございました。

古川委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 まず最初に、日本政策投資銀行の基本的性格について、歴史的経緯も踏まえて確認をしたいと思います。

 政投銀の前身である日本開発銀行は、一九五一年に、戦後の日本経済の復興、そのための重化学工業などのいわゆる基幹産業の育成、その担い手である大企業へのてこ入れのために設立をされました。産業政策を担う政府系金融機関として、輸出入銀行とともに、産投会計からの出資を受けて、大企業向けに特別有利な条件で豊富な資金を提供してまいりました。

 一九九九年の日本政策投資銀行法案の審議の際には、当時の宮沢喜一大蔵大臣が、「開銀そのものが昭和二十六年から果たしてまいりました役割、当然、日本の戦後の産業のビルドアップということでございましたから、勢いそれは重厚長大といったような設備産業等々大企業を中心にした融資であったと思います。」と答弁しております。

 このときの法改正の際に、むつ小川原開発、苫小牧東部開発などの破綻処理のために、日本開発銀行が北海道東北開発公庫と合併させられ、日本政策投資銀行が創設されました。

 その後、二〇〇一年の財投改革、特殊法人等整理合理化計画、二〇〇二年の政策金融改革を経て、二〇〇五年当時、小泉内閣のもとで政策金融改革の基本方針が決定、この基本方針の内容が翌年提出された行革推進法案に盛り込まれ、政府系金融機関の統廃合や民営化などの具体的内容が法律化され、実施をされました。その結果現在の体制となったというのが、政投銀に関する大まかな政策金融改革の歴史的経緯だと思います。

 今日の株式会社日本政策投資銀行は、日本開発銀行と北海道東北開発公庫が合併してできた日本政策投資銀行を引き継いだものでありますけれども、一九九九年に宮沢大蔵大臣が国会答弁をした「勢いそれは重厚長大といったような設備産業等々大企業を中心にした融資であったと思います。」という基本的性格は今日の段階でも変わっていないと思いますが、大臣、よろしいですね。

麻生国務大臣 短くお答えしろということでしたので。変わっていないと思います。

宮本(岳)委員 そこで、政投銀の実際の融資について確認をしたいと思います。

 二〇一三年度の融資残高について、資本規模別に取引先件数と残高、融資残高の総額のうち資本金百億円以上の企業の残高の占める割合を、これは事務方で結構です、答えていただけますか。

迫田政府参考人 お答えをいたします。

 政投銀による二〇一三年度の取引先件数は合計で二千八百九件、貸出金残高は十三兆九千六百三十億円でございます。そのうち資本金百億円以上の企業につきましては、取引先件数で四百六十件、貸出金残高は十兆二千四百五十八億円。次に、資本金十億円以上百億円未満の企業につきましては、取引先件数は六百三十二件、貸出金残高は一兆二千三百八十八億円。次に、資本金一億円以上十億円未満の企業につきましては、取引先件数が八百十九件、貸出金残高は六千五百四億円。最後に、資本金一億円未満の企業につきましては、取引先件数は八百九十八件、貸出金残高は一兆八千二百八十億円となっておりまして、融資残高の総額のうち資本金百億円以上の企業の残高の占める割合は七三・四%でございます。

宮本(岳)委員 七三・四%ということでありました。

 十六年前、一九九九年四月二十三日の衆議院大蔵委員会で当時の小粥開銀総裁は我が党の矢島恒夫議員に対して、一九九八年三月末時点で融資残高合計が十六兆二千二百六十七億円、そのうち資本金百億円以上の層が十一兆八千二百九十九億円、割合で七三%と答弁しておりますから、資本金百億円以上の企業への融資割合は、十六年前も今も同じ七三%で推移をしております。

 そこで聞きますけれども、政投銀について、二〇〇五年の政策金融改革の基本方針では、日本政策投資銀行は政策金融から撤退するとして、完全民営化への道を決めました。その理由を、財務省、説明していただけますか。

迫田政府参考人 平成十七年の政策金融改革の基本方針では、日本政策投資銀行について、「大企業、中堅企業向け融資であり、国全体として資金不足であった高度成長期とは異なり、民間市場から貸付のみならず、社債や株式等様々な形態で資金の取り入れが可能であり、政策金融として行う必要がなくなっているため、撤退する。」とされております。

宮本(岳)委員 つまり、資本市場の現状から考慮すれば、大企業向けの政策金融は必要ないという結論でありました。

 では、金融業界や財界の認識はどうだったか。

 この点について、経済財政諮問会議のワーキンググループで行ったヒアリングというものがありますけれども、ここで、「超長期資金については、金融技術の発達等を背景に、資本市場で代替できるのではないか。諸外国では政策投資銀行のような組織がなくても、超長期のファイナンスが成り立つのに、日本はどうか」という竹中平蔵経済財政政策担当大臣の質問に対し日本証券業協会と経済同友会はどのように回答したか、御答弁いただきたいと思います。

迫田政府参考人 平成十七年十月二十七日の経済財政諮問会議に提出されました政策金融改革ヒアリングワーキンググループ資料「政策金融改革ヒアリングの概要」は、あくまでワーキンググループの責任において整理したものであり、諮問会議としてまとめたものではないというふうなことは確認されておりますけれども、同資料に基づきまして申し上げますと、「長期資金については、資本市場では二十年債の発行実績もある。スワップ市場の拡大等によっても二十年を超えるものも可能である。」、これは日本証券業協会のコメントでございます。それから、「基本的には長期資金も資本市場で調達可能と考えている。どうしてもできない場合のみ、利子補給あるいは保証という形の支援をすべきである。現在は政策金融機関の長期資金ありきで、先に官を使って、その残り、足らない部分を民でという体制で、考え方が逆ではないか。」、これは経済同友会、というそれぞれのコメントが記載をされているところでございます。

宮本(岳)委員 つまり、十年前、二〇〇五年の時点では、既に政府も金融業界も財界も、大企業、中堅企業の長期資金、つまり成長資金は資本市場から調達できるという認識を持っていたということなんですね。

 ところが、今回の法案のベースともなった昨年十一月二十日の成長資金の供給促進に関する検討会の中間取りまとめでは、成長資金は不足しているという認識に逆戻りをしております。

 この中間取りまとめでは供給不足の要因についてどのように分析したか、これも財務省にお答えいただけますか。

迫田政府参考人 昨年十一月二十日の成長資金の供給促進に関する検討会の中間取りまとめでございますけれども、成長資金の供給不足の原因として、非常に短く言うと三つ挙げてあります。

 一つは、デフレ下における低金利環境、二つ目に、バブル崩壊以前の金融システムにかわる新しい資金供給システムの構築とその担い手の確立がおくれていること、三番目に、企業経営に対するガバナンスの機能不足のため収益力向上の取り組みが不十分であることといったような指摘がされているということでございます。

宮本(岳)委員 ここで大臣にお伺いするんですけれども、この中間取りまとめの認識は、十年前の二〇〇五年の資本市場の現状認識と全く異なっております。なぜ政府は認識を変えたのか、大臣、御答弁いただけますか。

麻生国務大臣 それは、世の中、二〇〇八年のリーマン・ショックに始まります一連の流れ、また九七年の金融危機、正確にはアジアにおける通貨危機等々で巨大銀行、最初が北海道拓殖銀行でしたかね、あのときはたしか。ちょっと正確な記憶じゃないけれども、三洋証券、山一が潰れて、翌年に長銀が潰れて、不動産銀行が倒産した。早い話が、あのころの興銀とか東海銀行とかは今何銀行と言っているのか知っている、言える人なんてほとんどいませんよ。ほとんどの銀行は合併しなきゃ生き残れなかったんですからというのが実態だと思うと、えらく世の中が変わったんだと思っております。

 状態が二〇〇五年の竹中経済財政担当大臣のころには、民間の自発的な活動を最大限に引き出すという観点から政策金融改革というのが行われたんですが、あの当時は今申し上げたように経済が安定したことははっきりしていますけれども、一九九〇年代後半ぐらいからの経済金融危機から我々は脱出しつつある時期だったと思いますし、あのころ、企業のMアンドAも、ファイナンスなどもえらい活発だったと思います。

 しかし、リーマン・ショック、続いて東日本大震災等々のあれを見ますと、やはり日本に限らず世界的に金融が不安定なものになりましたおかげで、民間の金融機関でも思い切ってリスクをとってやっていくというのが難しくなってきたんだと思っておりますので、状況は、二〇〇五年とは著しく変わった状況に置かれたということは確かだと思います。

 今回は、そうした状況の変化を受けて、成長資金の供給促進に関する検討会というものの中間取りまとめによって、成長資金の供給が十分でないという現状に合わせて今回の法案の改正というのを提出させていただいております。

宮本(岳)委員 一九九〇年代の山一とか長銀とかいうのは、二〇〇五年の時点ではもう済んだ後ですから。私は、二〇〇五年の認識ところっと変わっているじゃないかと申し上げたわけですから。リーマンは確かにありました。ただ、中間取りまとめが挙げた三点というのは、直接的にはリーマン・ショックと関係ないんですね。

 それで、きょうは、資料一に、昨日参議院予算委員会で我が党の大門実紀史参議院議員が配付した資料をここにも配付しておきました。五大大手銀行グループの合計純利益の推移というものでありますが、一見していただいてわかるように、V字回復いたしまして、リーマン・ショックから完全に立ち直って、二〇一三年度には史上最高益を記録しております。

 大臣、二〇〇五年当時と比べても金融業界には長期資金を供給する能力は今や十分にあると示されていると思うんですが、いかがですか。

麻生国務大臣 これはきのう拝見させていただきましたけれども、長期融資につきましては、二〇一三年度は、三つのメガバンクの貸出金のうち、五年超のものは三割にとどまっておりますのが実情です。五年超の割合は、スリーメガバンクでも三〇%であるのに対して、政投銀は実に五一%になっているというまず実態があります。

 政府の成長資金の供給促進に関する検討会におきましては、民間金融機関側から、みずからの長期資金供給には限界がある、また長期資金の受け手である事業者側からは、リーマン・ショックの後に民間金融機関による融資というものが全て短期化されて、長期のものが減って短期化されて、現状、民間金融機関だけでは十分な資金調達ができないということが指摘されたところであります。さらに、融資以外の出資とかメザニンファンド、いわゆる優先株といったものについて、資本性資金については供給が十分でないというのは明快だと。

 したがって、現時点では、事業者などの資金需要に対して民間金融機関によります長期資金の供給が十分でないということが今置かれている現状なんだということははっきりしているんじゃないですかね。

宮本(岳)委員 いや、民間の銀行が三割しか貸さない、政投銀が五一%貸しているというのは、お金はあるのにそういうところにきちっと融資していないということを示しているだけのことなんですね。

 大体、大企業は空前の内部留保をため込んでおります。昨年十月二十一日、先ほどの検討会にみずほ総研の高田創常務執行役員チーフエコノミストが提出した資料をきょうは資料二につけておきました。日本企業の財務体質は今や世界一となっております。日本の上場企業は半分近くが実質無借金となり、無借金企業比率では米国を上回る、こう指摘しております。

 資料三も同じ高田氏の提出資料でありますけれども、日本企業の内部留保は二〇〇〇年代後半より増加の一途で、今や内部留保総額は、昨日参議院で大臣も口にしておられましたが、三百二十八兆円、名目GDPとの比率で見ても約七割に達しております。つまり、企業の内部留保はたまりにたまっているわけですね。

 民間銀行はV字回復して、もはやリーマン・ショック前の利益を上回った、企業自身が三百二十八兆円にも上る史上最高の内部留保を積み上げている、大企業などが資金不足であった高度成長期とは異なり、政策金融として行う必要がなくなったという状況は、何も変わっていないどころか、二〇〇五年以上に明瞭だと私は思いますが、違うんですか。

麻生国務大臣 これは年に一遍しかやりませんので、おととしの三月、三百四兆円だった大企業の内部留保が、去年の三月で三百二十八兆円、合計二十四兆円増加した。私はもう何回もこれを申し上げたとおりなので、今おっしゃられた数字は確かです。

 そう言われた状況にありますのは間違いないんですが、我々として、特定投資業務において供給するというものは融資じゃありません、基本的には。これは、出資や優先株といった資本性の資金なんだと思っております。

 こういった資本性の資金というものは、受け手にとりましては、返済の義務がないとは言いませんけれども、融資と違いますので、安定した資金ですので、例えば事業の再編とか、そういった、企業が成長に向けて積極的な取り組みを行っていくときにはこれは一番必要な資金なんだ、私どもそう思っております。

 一方で、資金の出し手にとっては思い切ってリスクをとる経営判断というものが必要とされるんですが、現在の日本においてそういった判断というものは、残念ながら、この十数年、二十年近く続きましたデフレーションによる、正確には資産のデフレによる不況の中にあって、そういったことに対応できるようなものではない、私どもはそう思っております。

 したがって、企業の資金需要に応えるということになりますと、資本性資金の供給促進につながるという点におきましては、この政策投資銀行、政投銀が集中的に資金供給を行うということは、企業の成長にとって、日本の経済の成長にとって極めて大きな要素だと思っております。

宮本(岳)委員 いろいろ言いますけれども、結局のところ、大企業は内部留保を膨大にため込んで金はある、しかし、その自分の金をリスクにさらしたくない、リスクは政投銀からの投融資で背負ってくれというのが大企業の言い分なのではないかと私は思うんですね。

 そもそも政投銀は、株式会社化されても、その資金調達の半分近くが財政投融資によるものであります。そのほかの多くが、国一〇〇%出資の政投銀による財投機関債ということなんですね。

 資料四に財務省の提出した資料をつけておきましたが、今回の成長資金を供給するための新ファンド、この原資の半分は国の産業投資特別会計からの出資となっております。

 これは財務省に聞きますけれども、仮にこの新ファンドからの出資や融資に大きな損失が出た場合でも、この出資金は必ず全額返ってくるということが保証されておるんですか。

迫田政府参考人 出資でございますので、あらかじめ全額返還をされるということが保証されているものではないというのは一般論として申し上げてよろしいかと思いますが、要は、リスク管理の問題であろうと思っております。政投銀におきまして、適切なリスク管理等を行いまして、政府出資を毀損することのないように適切に特定投資業務が実施されるものと考えているところでございます。

宮本(岳)委員 それは、出資に保証などあるわけないんですね。

 我が党は、これまでも当委員会で、破綻したむつ小川原開発、苫小牧東部開発に対する旧北海道東北開発公庫の融資の問題等々を取り上げてまいりました。事実、この融資では、計千九百億円に上る融資の大部分が焦げつき不良債権となり、国民に多大な損失を押しつける結果となりました。

 結局のところ、大企業は内部留保を莫大にため込んでいて金がある、民間銀行もリーマン・ショックから立ち直って融資するだけの体力は十分ある、だが自分たちの金はリスクにさらしたくない、そういうリスクは国民からの財投資金に背負わせようということだと思うんですね。

 大臣は、大企業に向かって守銭奴というような言葉を投げつけるということもありましたけれども、そもそもこういう大企業や大銀行の身勝手な言い分こそきっぱりはねのけるべきであって、何で、特定投資業務などという仕組みをわざわざつくって、既に資金を持っている大企業や、また融資しようと思えばできるような大銀行をわざわざ優遇してやる必要があるのか。いかがですか、大臣。

麻生国務大臣 今、迫田が答えたのと基本的に答えは同じなんだと存じますけれども、我々としては、今の状況で、間違いなく、融資をいたします銀行、金融業務の内容が大きく変わってきていることは確かです。

 また、先ほどの数字を見ましても急激に回復してきていることは確かですが、やっと税金を払えるところまで来た程度です。これまで税金を払っていませんから。その程度ですよ。間違えないでくださいね。これはずっともうかっていると今のあれだけで見るけれども、その前はずっと税金を払っていないから。これが実態ですから。そういった意味では、やっと回復してきた程度のところなんですよというのが一点。

 また、企業として、内部留保を二十四兆円もためたけれども、それでこのままずっといけるのかというと、それに関しては、なかなか、円が安くなったせいじゃないかとか、いろいろなものがありますから、極めて不安定ということになります。

 隣の国も何だかいろいろ忙しくなってきた、中近東も忙しい、どこも何とかというと、国際的な安定を見ると、なかなかこれも不安定というようなことを考えれば、また何か起きるかもしれぬ、じっとしているのが最も正しい経営の仕方だと思います。

 それがデフレーションによる不況、資産デフレによる不況を長引かせた大きな背景だと思っていますので、今回、はい、変わりました、もう大丈夫ですよと、そんな簡単に気が変わるほど人間は簡単じゃありませんし、俺たちは全体主義をやっているんじゃないから、自由主義の国では、その金を出せなんて強制的に言える立場にはないんです。

 だから、そういった意味では、これはしばらく時間がかかりますが、傍ら、今、企業を伸ばしていかないかぬ、経済を成長させていかないかぬ、それで財政を再建するんだ、経済を成長させるんだというと、今要る資本性の資金というのは極めて大きいというタイムラグがありますので、そういった意味では、今というのが一番大事なタイミングなんだとも思っております。

宮本(岳)委員 呼び水効果とよくおっしゃるわけですけれども、それは、最もリスクの大きい部分は政投銀が担うからつき合ってくれというだけの話なんですよ。

 大銀行がこの間税金を払ってこなかったのは、それは損金の繰り越し処理などをやっていただけであって、私たちは、払えるだけのもうけは上がっていたはずだ、それは払うべきだったと考えております。

 それでは、本法案で新設される特定投資業務というのはどういうことをやるのか。現在の競争力強化ファンドを引き継ぐ形でやるんですけれども、この競争力強化ファンドの出融資額の現状について、件数と出融資総額を報告していただけますか。

迫田政府参考人 平成二十七年三月末時点での実績ということで申し上げますが、案件数が十案件、出融資総額は一千二百十三億円でございます。

宮本(岳)委員 配付資料五の十件というのが、競争力強化ファンドの現状であります。

 どれも日本の名立たる大企業が行う事業活動でありまして、ほとんどの企業が、みずからの信用力で資金を民間から調達できる大企業ですよ。しかも、日銀の異次元の金融緩和政策で資本市場には潤沢な資金があふれて、民間金融機関は貸出先を探している状態であります。日銀も成長資金の供給をしており、資金不足が起こるはずがないんですね。

 特定投資業務は、先ほども紹介したとおり、産業投資特別会計からの出資によってつくられます。

 そこで聞きますけれども、特別会計を律する特別会計法第五十条にはその目的はどう書かれておりますか、財務省。

中原政府参考人 お答え申し上げます。

 特別会計法第五十条には、財政投融資特別会計の目的として、「財政融資資金の運用並びに産業の開発及び貿易の振興のために国の財政資金をもって行う投資に関する経理を明確にすること」と規定されております。

 今般御審議いただいております法案に規定されております政投銀の特定投資業務への資金供給は、同五十条後段の投資に該当するものでございまして、五十二条に基づき設置されている投資勘定から出資が予定されるものでございます。

宮本(岳)委員 今答弁があったとおり、特会法には「産業の開発及び貿易の振興のために国の財政資金をもって行う投資」と定められておりますし、また財政融資資金法第一条には「公共の利益の増進に寄与することを目的とする。」、こう書かれているわけですね。

 ところが、資料五にある十の案件には、四番目、DのGraceA株式会社に対する出資、LIXILとの共同出資によるSPCを通じたルクセンブルクの企業への出資という案件も入っております。二十六年九月末の資料を見ますと、これはLIXILの一層の企業価値向上に貢献と書かれておりました。

 LIXILという一私企業の企業価値の向上が、我が国の産業の開発や貿易の振興あるいは公共の利益の増進に寄与すると到底思えないんですけれども、大臣、いかがですか。

迫田政府参考人 お示しいただきました提出資料の五、競争力強化ファンドでございますけれども、これは、国からの財源は産投からの出資ではありませんで、貸し付けでやっているわけでございまして、今までの御議論の流れの延長線上とはちょっと違うのかなというふうに思っております。

宮本(岳)委員 産投でなくたって、これは財政投融資でしょう。事実関係。

迫田政府参考人 財政投融資、出資それから貸し付け、両方あるわけでございますけれども、繰り返しになりますけれども、競争力強化ファンドにつきましては、産投からの融資でございまして、出資というわけではないということを申し上げたわけでございます。

宮本(岳)委員 いや、だから、これは先ほどの特会法そして財政融資資金法第一条に縛られている性格なわけですよ。LIXILの企業価値、一私企業の企業価値を高めるのがなぜそのような目的に合致するのか、それをお答えください。

中原政府参考人 お答え申し上げます。

 特定企業の企業価値云々というところ、私ども当局として直接関与していないところでございますけれども、いずれにしても、政投銀の行う事業が産投を含む財政投融資特別会計の目的、すなわち「産業の開発及び貿易の振興のために」というところに該当するという判断のもとに当該融資を行っているところでございます。

 なお、産投貸し付けにつきましては、先ほど言及がございました財政融資資金法に直接規定されるものではないということでございます。

宮本(岳)委員 時間が来ましたから終わりますけれども、二十五年三月のファンド立ち上げ以来、二十六年九月末現在で九件、千百九十億円という時点の財務省提出資料には、LIXILが水栓金具のグローバルリーディングカンパニーであるルクセンブルク・Grohe社を買収するために設立した特別目的会社に対して共同出資、Grohe社の総合的なブランド力活用によるLIXILの一層の企業価値の向上に貢献とちゃんと活字で書いているじゃありませんか。このようなものに国民の財投を投入するということは直ちにやめるべきだということを申し上げて、私の質問を終わります。

古川委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 政投銀法の一部改正案について質問いたします。

 本法案は、政策投資銀行に危機対応業務を法律上義務づけるものになっております。

 自然災害への危機対応という公益性の高い支援は必要ですが、この間政投銀が行ってきた危機対応業務については検証が必要だと思っております。

 リーマン・ショックの際、政投銀から大企業に対して大盤振る舞いと言える融資が行われました。公的金融を行うわけですから、融資に公益性、緊急性があるかについて厳格なチェックが必要です。

 政投銀の融資の実態は報道でしかわからないという問題もあります。この問題は後で取り上げますが、例えば、当時の報道では、大手自動車メーカー、日産、マツダ、いすゞ、富士重工、三菱自動車が政投銀から数百億円の融資を受けた、あるいは申請の検討に入ったというふうに報道されております。

 しかし、この時期、大手自動車メーカーは、御存じのように、非正規社員の大量の首切りを行いました。日産千五百人、いすゞ千四百人、マツダ千三百人、三菱自動車千百人、富士重工八百人、路頭に投げ出され、派遣村ができたわけです。そして、各地の派遣労働者らの組合ができて、雇用を求めた団交、そして裁判も闘われました。

 政投銀は、リーマン・ショック時の自動車メーカーに対する危機対応融資の実施に当たって、雇用を守るという条件はつけたんでしょうか。

柳参考人 条件はつけておりませんが、自動車業界そのものは、裾野が非常に広い産業という認識でございます。大手メーカーを支援することで、その傘下にあります関連産業の事業あるいはサプライチェーンの維持、あるいは関連事業者の雇用にも一定の効果があったものと考えております。

宮本(徹)委員 雇用を守る条件をつけていないということでした。

 公的支援を受けたいのなら雇用への責任を果たせと条件を課せば、雇用を守れた可能性があるわけですよ。自動車メーカーへの危機対応融資は、雇用を守るという社会的責任を果たさない大企業に無条件の公的支援を行うことに結果的になっており、問題だというふうに思います。

 次に、リーマン・ショック後、オリックスが政投銀から危機対応融資を受けたと報道されております。当時の月刊ファクタの報道によりますと、オリックスは、不動産投機が過熱する中、不動産関連事業にのめり込み、経営に失敗して、当時、有利子負債が五兆円にも膨らんでいたと報道されております。こうしたオリックスへの危機対応融資は、経営責任を曖昧にしたまま、公的資金で助けるものになっております。

 私は、公的な支援が大企業のモラルハザードにつながらないようにしなければならない、こういう問題意識を持っております。聞きますが、危機対応業務での公的な支援が大企業のモラルハザードにつながらないための担保措置というのは、この法案にはあるんでしょうか。

迫田政府参考人 まず、危機対応業務の対象要件をお話しすべきだろうと思います。

 この対象要件は、一般的に、災害の直接の被災者であるということ、あるいは、金融秩序の混乱や大規模災害等により一時的に業況または資金繰りの悪化を来しているものの、中長期的には業況または資金繰りの回復が見込まれることということでございまして、この要件は実施主体にかかわらず適用されるわけでございます。

 したがって、この危機対応業務といいますものは、特定の企業の個別事情による恒常的な経営悪化などを救済するということは想定しておらないわけでございまして、いわゆるモラルハザードといったものとは関係のない形での運用ということでございます。

宮本(徹)委員 個別企業の経営悪化を考慮するものじゃないと言いますけれども、実際、私が示したように、莫大な負債を抱えていたオリックスを救済するという、個別企業の救済につながったわけですよ。そして、法文には、先ほど答弁がありましたけれども、モラルハザードにつながらないための担保措置もないということになっております。

 そこで、この法案の附則第二条七にあります被害に対処するための資金を必要とする者というのは、この者というのはどういう事業者を指すんでしょうか。何らかの制約があるんでしょうか。

迫田政府参考人 これはまさに、先ほど申し上げたとおり、危機対応業務の対象になる者ということになりますので、ここで被害に対処するための資金を必要とする者というものは、一般的に、災害の直接の被災者、あるいは、金融秩序の混乱や大規模災害等により一時的に業況または資金繰りの悪化を来しているものの、中長期的には業況または資金繰りの回復が見込まれるものということでございます。

宮本(徹)委員 もう一点聞きますが、附則第二条の七で円滑に資金が供給されるようとありますが、ある大企業に対してメガバンクが資金援助を減らしている場合、あるいは拒否した場合、政投銀の対応はどうなるんでしょうか。

迫田政府参考人 例えば、この場合の円滑な資金供給ということについて申し上げれば、リーマン・ショックのような経済金融危機におきましては、実体経済の急速な落ち込みの中で、大小問わず企業の業績が著しく低下し、資金繰りが悪化をする、あるいは、その一方で、社債、CP等による市場からの調達の制約といったもの、さらには民間金融機関の財務状況の悪化により企業が融資を受けることが困難になるといったようなことが経済金融危機の場合には考えられるわけでございまして、こうした資金需給環境の悪化によりまして資金繰りに窮した企業に対して円滑な資金供給が確保されるよう、政投銀が危機対応業務により対応するといったようなことを想定して、こういう文言が入っているわけでございます。

 したがって、御指摘の例のように、民間金融機関からの資金調達の継続が困難となった企業についても、先ほど来申し上げておりますように、対象となる企業が危機により一時的に業況の悪化を来していること、中長期的に資金繰りの改善等が見込まれることといった、まさに危機対応業務の要件に合致する場合には、政投銀が必要な資金供給を行うということが考えられるわけでございます。

宮本(徹)委員 つまり、法律上この危機対応融資を受けられる者については何の制約もない、危機だということになれば、メガバンクが責任をとらないまま、政府が政投銀に出資して大企業に対して公的支援がどんどん行えるというものになっております。

 私は、今回、政投銀に危機対応業務の業務規程全文を提供してほしいというふうに求めましたが、公表できないということで応じていただけませんでした。

 公的資金を使って、場合によっては国民負担の可能性すらあるにもかかわらず、どういうルールで、どの会社にどういう条件で融資するのか、全く政投銀任せになっているわけですよ。そして、国民からすれば企業に対する融資の必要な理由というのが全く闇の中、こういうのは本当におかしいと私は思います。私は、この間の危機対応融資のあり方に無反省なままに危機対応業務を拡大することは許されないというふうに思います。

 次に、民営化について伺います。

 リーマン・ショックや東日本大震災での危機対応業務について、民間金融機関の参加がありませんでした。なぜ民間の金融機関は名乗りを上げられなかったのか、その理由について伺いたいと思います。

菅原副大臣 昨年開催されました政府の成長資金の供給促進に関する検討会等におきまして、大規模な景気変動や自然災害の際における投融資については通常のリスク、リターンの分析でははかり切れません、また、全国一斉に対応することが必要とされていることなどから、民間の金融機関では対応が容易ではないとの指摘がされております。リーマン・ショックや東日本大震災を初め、これまでの危機対応業務に民間金融機関の参加がなかったのは、このような認識に基づく経営判断の結果というふうに捉えております。

 一方、政投銀は、政策金融改革におきまして政策金融機関として培った経営資源等を有効活用する観点から、完全民営化までの移行期において指定金融機関とみなすとされております。

 その上で、実際の危機対応業務につきましても、従来から危機時に大きな役割を担ってきており、危機時の審査能力などのノウハウが蓄積していること、加えて、社債や借入金によって資金調達をしておりまして、預金金融機関としての規制下にある民間銀行よりも機能的にリスクをとりやすい財務構造となっていることから対応が可能であった、このように捉えていただければと思います。

宮本(徹)委員 民間は経営判断から手を挙げなかったということです。先ほど、その前の質疑の中で、麻生さんからは、民間はもうからないことをしないんだというわかりやすい説明もありましたが、そういう中で、結局、政投銀や商工中金が出てこざるを得なくなったということだと思います。

 今回、政策投資銀行、そして商工中金も、完全民営化を当分の間と期限をつけずに先送りする一方で、完全民営化というゴールは変えていないわけです。結局、この期限を延ばすという対応は、政府系金融機関はその役割が必要だということを示しているのではないでしょうか、麻生大臣。

麻生国務大臣 危機対応などの業務については、現時点においては民間金融機関による対応が簡単ではないといった指摘もありますので、今回の改正案では、当面、日本政策投資銀行はその役割を果たせるような手当てを行うということにさせていただきました。

 一方、政策金融改革で示された、民間の自発的な活動を最大限に引き出すという理念、これは現在も維持されてしかるべきものだと思っております。

 したがいまして、民間金融機関による危機対応などの業務が実施されるようになることを期待して、政投銀にそうした役割を求める必要がなくなった時点で完全に民営化を行うということにいたしておるわけで、時期の見きわめというのは極めて困難でありますので、あくまで将来的に完全民営化を行うという考えに変わりはありませんけれども、その時期を明示するのは極めて困難ということだと存じます。

宮本(徹)委員 時期は明示しない、明示することができないぐらいの事態なわけですよね。麻生大臣が言われたとおり、もうからないことは民間はやらないということなんです。ですから、この間のリーマン・ショックや震災というのは、公的な金融手段が必要だということを証明したということだと思います。そういうもとで完全民営化という出口だけ決めておくというのは、政府の公的金融の責任放棄だということを指摘しておきたいと思います。

 ここからは、主に政策投資銀行に伺いたいと思います。

 通常業務についてお伺いします。

 リニア新幹線の建設は、現在、JR東海が自己資金で行うと表明しております。ただ、自己資金だけでは資金繰りができなくなると指摘する識者もおります。

 政投銀の二〇一四年の中期計画の資料では、リニア建設は長期の資金が必要で、インフラファイナンス市場を育成することが必要であると書いてありますが、今後、政投銀はリニア建設に融資する可能性はあるんでしょうか。

 また、同じインフラにかかわって、今後、原発輸出企業に対する出資、融資の可能性はあるんでしょうか。

柳参考人 お答えします。

 リニアについては、報道等により、事業者が事業化の検討を行っているということでありますが、当行がファイナンスの検討を行っているという事実はございません。

 また、原発輸出そのものについて出融資等を検討している事実もございません。

宮本(徹)委員 次に、電力会社への融資について聞きます。

 二〇一一年三月末と二〇一四年九月を比較して、民間の金融機関と政投銀の東京電力への融資はどうなっているのか、会計検査院、紹介していただけるでしょうか。

平野会計検査院当局者 お答えいたします。

 会計検査院は、東京電力株式会社に係る原子力損害の賠償に関する国の支援等の実施状況について、参議院からの要請を受けて検査を行い、その結果をこの三月に報告しております。

 この中で、ただいま先生のお尋ねをいただきました東京電力の資金調達の状況についても触れているところでありまして、東京電力における民間金融機関からの資金調達は、平成二十三年三月末では借入金三兆五千百四十五億余円、二十六年九月末では借入金二兆四千百三十七億余円、私募債によるもの一兆二千二百十億余円などとなっております。

 また、政策投資銀行からの借入金は、二十三年三月末で三千六百十億余円、二十六年九月末で七千五百七十二億余円となっております。

宮本(徹)委員 今お話がありましたように、民間金融機関は、借入金をどんどん、取りっぱぐれないように、原発被害者への賠償よりも優先される一般担保つきの私募債に大きく切りかえているということになっております。その一方で、政投銀が融資を大きくふやして、政投銀が東京電力を支える構図となっております。

 大銀行や原発メーカーなど、原発で利益を上げてきた原発利益共同体に対して、最大限の責任と負担を求めることこそ政府は優先すべきだということを指摘しておきたいと思います。

 そして、政投銀の九電力会社向けの出資、融資の残高は、二〇一一年三月末に約一兆五千億円でしたが、二〇一四年三月末には二兆七千億円にまで大きくふえております。この間の電力会社への出資、融資は原発再稼働を条件にしているんでしょうか。政投銀は原発再稼働についてどういう態度をとっているんでしょうか。

柳参考人 電力向け融資に当たりましては、原子力発電所の再稼働を条件とはしておりません。また、原発再稼働について、当行として特段の意見はございません。

宮本(徹)委員 原発再稼働を条件にしない、当行としての考えはないということですが、実際は原発再稼働のためにどんどん融資しているわけですよね。

 一番新しい二〇一四年版のCSR・ディスクロージャー誌を私は見ましたけれども、九州電力への優先株式出資が記されて、その中で、九州電力では原発の新たな規制基準への対応などの対策を進めているというふうに書いてあるわけですよ。福島の事故原因も究明されていない中で、電力会社と一体になって原発再稼働を進めるべきではないというふうに思います。

 そして、政投銀のホームページでは、島根原発三号機への長期融資をアピールしております。島根原発三号機は、原発の新規建設の焦点と今なっている原発です。新しい原発の建設そして稼働を許したら、自民党自身が掲げている原発依存の低下という公約も絵に描いた餅になるわけであります。

 聞きますが、政策投資銀行の中国電力に対する融資残高は震災までの千九百五十五億円から二千四百七十七億円にふえておりますが、このうち原発対応の融資は幾らでしょうか。

柳参考人 中国電力向けの融資残高が震災以降増加しているのは事実でございます。

 資金使途については、むしろ、原発の稼働停止が続く中、代替電源確保のための燃料コストの増加、あるいは一般的な安全対策の強化が必要という観点から、当社からの資金ニーズに対応したものでございます。

宮本(徹)委員 島根原発三号機建設に向けた融資は入っていないということですか。

柳参考人 近時の融資の残高の増加については入っておりません。

宮本(徹)委員 この数年のものには入っていないということであります。

 私、財務省から、この間の政投銀の中国電力に対する融資の一覧、何年何月に幾ら融資したのかという資料をいただきました。その際に、政投銀が民営化される前までは、どの融資が島根原発三号機の建設のためのものなのかというのが示されておりました。ところが、二〇〇八年に政投銀が民営化されて以降、その内訳が全然出てこないわけでありますよ。情報開示が民営化されてから後退しているということを言わざるを得ないというふうに思います。これだけ国民的関心が高い問題ですから、明らかにすべきだというふうに思います。

 それからもう一点、政投銀はホームページで、核燃料サイクルを進める日本原燃への融資もアピールしております。ある研究論文によりますと、二〇〇六年の時点では政投銀は日本原燃に九千二百四十億円の融資を行っている、これは日本原燃への長期融資の実に八四%を占めると書いてありました。政投銀が破綻した燃料サイクルを資金面で支える役割を果たしているのではないかというふうに私は見ております。

 現在、政投銀は日本原燃に幾ら融資しているんでしょうか。

柳参考人 恐縮でございますが、個社個別の与信状況については、お答えすることは差し控えたいと思います。

宮本(徹)委員 個社個別のものは明らかにできないという話ですけれども、これだけ国民の関心が高い問題について明らかにしないというのは、こんなおかしな話はないですよ。

 今、ずっと見てまいりましたけれども、原発再稼働から原発の新規増設、核燃料サイクルまで、政投銀が政府の原発推進政策を支える打ち出の小づちになっているんじゃないかというふうに思います。まさに電力会社と運命共同体のような形に今なっているんじゃないのかと思います。

 公共の利益の増進どころか、原発を動かせば十万年先の世代にまで核のごみを押しつける、事故が起きれば取り返しのつかない甚大な被害を広げるというのを私たちは経験したわけであります。私たちは原発推進へ財政投融資を使うのはやめるべきだということを考えておりますが、政投銀も融資のあり方について立ちどまって考えるべきだということを申し上げておきたいと思います。

 そして、私、過去の国会の会議録を見ましたけれども、開発銀行の時代は融資先上位五十社のリストが資料で出されていたということがわかりました。政策投資銀行は、当然、政府の財投債で活動しております。しかも、政府が株を一〇〇%所有しております。巨額の融資については、どこにどれだけ、どういう条件で融資しているのか、説明責任を果たす必要があると思いますし、政府は政投銀に対してもっと説明責任を果たさせる必要があるのではないでしょうか。その点、麻生大臣にお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 政投銀は、これは政策投資銀行の前の話ですが、開銀時代を含めまして、これまで、個別企業に対し、企業名を公表する前提で融資契約を締結したことはありません。したがって、個別企業名を開示することは、金融機関の守秘義務の観点から困難ということだと存じます。

 ただし、債務者の了解が得られ、守秘義務が解除された場合など、一定の場合には個別企業の情報開示が行われていると承知をいたしておりますので、JALとかエルピーダとか、過去に例がないわけではないと存じます。

 いずれにいたしましても、政投銀の情報開示のあり方については、金融機関として、守秘義務を踏まえつつ、今後とも適時適切に判断されていかれるべきものだと考えております。

宮本(徹)委員 ということは、開銀時代は、融資先上位五十社というのは相手方の同意を得て開示していたわけですか。

麻生国務大臣 かつて開銀が作成したものは、あくまでも取引先が公表している情報をまとめたものにすぎず、開銀みずからの情報として公表したわけではないというように聞いております。

宮本(徹)委員 開銀時代は手だても尽くして、相手の了承も得て公表していたわけですから、引き続き、この政投銀の一〇〇%株主は麻生大臣なわけでありますから、さらに説明責任を果たすように、相手の会社にもこれは財投を使ってやっているんだから公表すべきだということを働きかけることも含めて、説明責任を果たさせるべきだというふうに思います。

 そのことを指摘しまして、質問を終わります。

古川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

古川委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党を代表して、株式会社日本政策投資銀行法改正案に対し、反対討論を行います。

 反対する第一の理由は、本法案で新たに特定投資業務として位置づけられる競争力強化ファンドは、公的資金である財政投融資資金をMアンドAや大規模公共事業など大企業の利潤追求のために活用するものであり、政策金融の本来のあり方に反するからであります。

 我が党は、政策金融について、中小企業や地域経済振興、国民生活、環境などの分野への公的融資を中心に行うべきであり、政投銀も大企業融資から転換すべきだと主張してきました。

 しかしながら、競争力強化ファンドの実績を見れば、住生活産業大手LIXILが行う企業買収に約五百億円出資するなど、大企業の利益、企業価値向上のためのものが大半であり、とても公益性が求められる政策金融の業務ではありません。

 第二の反対理由は、危機対応融資の拡大が、大企業優遇によるモラルハザードとなり、原発政策推進の打ち出の小づちとなる懸念があるからです。

 二〇〇八年のリーマン危機時に開始した危機対応融資は、不動産投機に失敗したオリックスの救済や、巨額の内部留保を抱える大手自動車メーカーへの数百億円融資など、大企業への大盤振る舞いに活用されました。

 災害時の危機対応業務など公益性の高い支援はすべきですが、社会的責任を放棄する大企業への支援はモラルハザードを起こすだけで、政投銀がすべき役割ではありません。

 また、東京電力を初め電力会社九社に対し、危機対応融資を含め総額二・七兆円もの融資を行っていますが、原発再稼働を狙う電力大手の救済のために、さらなる融資がなされることは許されません。

 以上の理由から、本法案に反対することを表明して、討論といたします。(拍手)

古川委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

古川委員長 これより採決に入ります。

 株式会社日本政策投資銀行法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

古川委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

古川委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、土屋正忠君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。大島敦君。

大島(敦)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    株式会社日本政策投資銀行法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。

 一 政府は、株式会社日本政策投資銀行に対する国の関与の在り方について検討を加えるに際しては、業務運営の公共性及び危機対応業務の重要性に鑑み、日本政策投資銀行等による危機対応の適確な実施を確保する観点からも検討を行うこと。また、日本政策投資銀行の長期的企業価値を高めていく観点から、人材育成など適切な措置を講ずること。

以上であります。

 何とぞ御賛同を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

古川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

古川委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。財務大臣麻生太郎君。

麻生国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえて配意してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

古川委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

古川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十七分散会


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