衆議院

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第9号 平成27年4月24日(金曜日)

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平成二十七年四月二十四日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 古川 禎久君

   理事 神田 憲次君 理事 土屋 正忠君

   理事 藤井比早之君 理事 御法川信英君

   理事 山田 美樹君 理事 鈴木 克昌君

   理事 丸山 穂高君 理事 伊藤  渉君

      井上 貴博君    井林 辰憲君

      鬼木  誠君    勝俣 孝明君

      國場幸之助君    柴山 昌彦君

      鈴木 隼人君    田野瀬太道君

      津島  淳君    中山 展宏君

      根本 幸典君    福田 達夫君

      藤丸  敏君    牧島かれん君

      務台 俊介君    宗清 皇一君

      山田 賢司君    大島  敦君

      玄葉光一郎君    古川 元久君

      前原 誠司君    鷲尾英一郎君

      伊東 信久君    吉田 豊史君

      斉藤 鉄夫君    宮本 岳志君

      宮本  徹君    小泉 龍司君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   内閣府副大臣       赤澤 亮正君

   財務副大臣        菅原 一秀君

   内閣府大臣政務官     越智 隆雄君

   内閣府大臣政務官     小泉進次郎君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 塩川実喜夫君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  池田 唯一君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    森  信親君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 金子  修君

   政府参考人

   (財務省国際局長)    浅川 雅嗣君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           山崎 伸彦君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   財務金融委員会専門員   関根  弘君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 金融に関する件(破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等に関する報告)

 財政及び金融に関する件


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     ――――◇―――――

古川委員長 これより会議を開きます。

 金融に関する件について調査を進めます。

 去る平成二十五年十二月十三日、平成二十六年六月二十日及び十二月十六日、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律第五条の規定に基づき、それぞれ国会に提出されました破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等に関する報告につきまして、概要の説明を求めます。金融担当大臣麻生太郎君。

麻生国務大臣 金融機能の再生のための緊急措置に関する法律第五条に基づき、平成二十五年四月一日以降平成二十六年九月三十日までの期間につき、六カ月ごとを報告対象期間として、その間における破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等に関する報告書を、それぞれ、平成二十五年十二月十三日、平成二十六年六月二十日及び十二月十六日に国会に提出いたしております。

 これらの報告に対する御審議をいただくに先立ちまして、その概要を御説明させていただきます。

 初めに、管理を命ずる処分の状況につきまして申し上げます。

 今回の報告対象期間中に、金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分は行われておりません。

 平成二十四年九月十日に解散をした日本振興銀行に関し、再生計画に基づき、同行の債権者に対して中間弁済が開始をされております。

 次に、預金保険機構による主な資金援助等の実施状況及び政府保証つき借り入れ等の残高につきまして申し上げます。

 破綻金融機関からの救済金融機関への事業譲渡等に際し、預金保険機構から救済金融機関に交付される金銭の贈与に係る資金援助は、今回の報告対象期間中に日本承継銀行に対する増額等が生じたことにより四十四億円の増額となり、これまでの累計で十八兆九千九百十七億円となっております。

 預金保険機構による破綻金融機関からの資産の買い取りは、今回の報告対象期間中にはなく、これまでの累計で六兆五千百九十二億円となっております。

 また、預金保険機構の政府保証つき借り入れ等の残高は、平成二十六年九月三十日現在、各勘定合計で二兆四千六百七十二億円となっております。

 ただいま概要を御説明申し上げましたとおり、破綻金融機関の処理等に関しては、これまでも適時適切に所要の措置を講ずることに努めてきたところであります。金融庁といたしましては、今後とも、日本の金融システムの一層の安定確保に向けて万全を期してまいる所存であります。

 御審議のほどよろしくお願い申し上げます。

 以上です。

古川委員長 これにて概要の説明は終わりました。

     ――――◇―――――

古川委員長 次に、財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁黒田東彦君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として警察庁長官官房審議官塩川実喜夫君、金融庁総務企画局長池田唯一君、監督局長森信親君、法務省大臣官房審議官金子修君、財務省国際局長浅川雅嗣君、厚生労働省大臣官房審議官山崎伸彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤丸敏君。

藤丸委員 おはようございます。自由民主党の藤丸敏でございます。

 麻生大臣におかれましては、私、古賀先生の書生をしておりましたので、十九のときから御尊顔を拝していたところでございます。よく、三十年前は、450SELで颯爽と登場されて、格好いいなというのが印象でございました。この場で質問させていただけることは、大変恐れ多いことでございます。よろしくお願い申し上げます。

 本日は、FRC報告及び経済について、二問質問をさせていただきます。一問目は、金融国会において公的資金が注入されております、その回収状況について、二問目は、日本経済の持続的成長について質問をさせていただきます。

 それでは、資料の一ページを、一ページというのは裏表紙になりますけれども、見ていただきます。これは、戦後七十年の経済を大まかに示しております。初めの十年は戦後復興、次の二十年は一〇%の高度成長、次の二十年が安定成長五%という時代であります。喫緊の二十年が低成長の経済でございます。

 麻生大臣は肌身で経験されておりますので、戦後の経済を振り返って、御感想をお聞かせ願えれば幸いでございます。

麻生国務大臣 さきの大戦敗戦後、約七十年を経ました日本ということだと思いますが、この表にもありますように、まず、日本は、経済政策を経産省がやり、そして大蔵省で金融、財政の傾斜配分等々をやって、高度経済成長というのをやって、昭和三十年にはもはや戦後ではないという言葉が言われ、世界第二の経済大国になるに至っておりますが、当然、その後、経済が成熟、社会も成熟に伴って徐々に成長率が鈍化して、現在では、今、世界第三位ということになっております。

 また、一九九〇年代以降は、資産のバブル、資産のデフレーションによるいわゆるバブルの崩壊という一つの節目に、よく失われた二十年という言葉がここに使われることになって、総じて低成長率並びにマイナス成長にもなったということだと存じますが、政権がかわって約二年、このグラフの最後のところになりますけれども、きちんと成長を取り戻して、日本は再び世界の中できちっとした経済力を持った国として、デフレ不況からの脱却というものと経済の再生というものに取り組んでいく必要があるであろう、そういうように考えております。

藤丸委員 ありがとうございます。

 バブルのとき、地価税が導入されたとき師匠の古賀先生が建設部会長をやっておりまして、平成十年の金融国会のときに国対委員長でありましたので、その脇で見ておりまして、深夜国会、深夜の交渉でありました。時は、小渕総理、宮沢総理が総理を終えて大蔵大臣になっておられまして、麻生先生も総理を終えて今財務大臣でございますが、谷垣先生が政務次官をやられておりました。交渉は、津島先生のおやじさんが交渉に当たられておりました。

 やっと一問目に入らせていただきます。

 公的資金の回収状況についてお教え願えればと思います。

森政府参考人 お答えいたします。

 預金保険機構におきましては、初めて公的な資金援助を実施した平成四年四月から平成二十六年九月末までに、預金者等の保護のために実施した金銭贈与として十八・九兆円、破綻金融機関等からの資産買い取りとして九・八兆円、金融システム安定化等のための資本増強として十三・〇兆円、その他六・三兆円の資金援助等を実施しております。

 これに対する回収でございますが、回収状況につきましては、この間、資産買い取りについて十・一兆円、資本増強について十三・六兆円、その他について五・〇兆円を回収しております。

藤丸委員 ありがとうございます。

 二問目でございますが、経済の再生と持続的成長をなし遂げるための政策であります。

 私、個人的な意見といたしましては、二年ぐらいは低金利、それから為替の安定、百二十円を維持すべきと考えております。これからアメリカの出口戦略が来たとしても、準備をしておく必要があると思います。

 今、アメリカは、QE1、QE2、QE3、クオンティテーティブイージングという量的緩和をずっとし続けてきております。そして、もうQE3も大体、データを見ると、終わって、買いをやめてきておりますので、これから、金利をどれだけ、いつ上げるかが課題になってくると思います。

 そこで、私見でございますけれども、低金利を維持するためには、今、日本国債は年百七十兆発行しております。この四ページを見てもらえばそれがわかりますが、百七十兆。ちょっと見ると百五十兆になっていますけれども、結果的には百七十兆発行しております。

 片や、日銀がマネタリーベースをふやしてきております。黒田総裁が二年間で倍にするということで、倍になって、これからまた新たに年八十兆買ってくれる予定であります。

 まさに売り手市場でありますので、十年、二十年、三十年の国債の種類のバランスを工夫して発行することによって低金利を維持すべしと考えております。とはいうものの、世界のマネーはドルが約四〇%ぐらいを占めておりますので、そう簡単では、ドルが動けば、アメリカが動けば全体が動くということはやむなしとは思いますけれども、そういうふうに低金利を維持すべしと考えております。

 次に、為替の安定の件でございますが、百二十円が上下しそうならば為替介入も辞すべきではないと考えております。

 為替の方も一番後ろにつけております。四ページに、外貨準備高と為替介入額というのをつけております。

 G7の申し合わせで、市場に任せるというのがあるように聞いておりますけれども、できるだけ出口戦略、九月から十二月と言われておりますが、それに準備して、国債発行の工夫と為替介入というか、そういうことをすべきではないかと思っております。

 いずれにしても、経済の再生と持続的成長をなし遂げなければなりませんので、その政策について、麻生大臣にお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 安倍政権においてやはり日本経済の再生と経済の持続的成長というものは極めて重要な目的でありまして、それはなぜするかといえば、何といっても、デフレ不況からの脱却、経済成長というのがその主たる目的であります。

 そのために、大胆な金融政策、また機動的な財政政策、そして民間投資を喚起するための成長戦略、俗に言われる三本の矢という政策を一体的にこれまで推進してきたんですが、その結果として、企業の経常利益は四半期で過去最高、企業倒産件数も九千七百件で一万件を切っておりまして、月割り八百ぐらいになっておりますので、そういった意味では、かなり状況がよくなってきた。

 有効求人倍率の一・一五というものも、これだけ高いのは二十二年ぶりということになっておりますので、そういった意味においても、極めて高い数字を示しております。

 賃金におきましても、本年の賃金引き上げ率というのは経団連調査で二・五九%、過去十六年間で最高と言われた昨年の水準を上回る勢いになっておりますなど、経済は確実に好循環が生まれ始めておりますというのが、結果として、今の段階で申し上げられることだと思います。

 為替の水準につきましては財務省の立場としてコメントできませんけれども、引き続き、企業が、デフレマインドというものに陥っている状況から抜け出て、去年の三月で三百二十八兆円の内部留保がたまっているはずですが、内部留保を賃金の引き上げとか国内の設備投資等々に活用できるよう変革を促していくということが極めて大事なものだと思いますので、そういった意味では、政府としては、コーポレートガバナンス、いわゆる社外重役の例を引くまでもなく、そういうコーポレートガバナンスの効果に加えて、法人税の改革をやり、イノベーションの推進などを一体的に進めて、いわゆる企業の稼ぐ力というものを高めていくことが必要であろうと思っております。

 加えて、今、地方というものを考えた場合に、地方創生の実現に向けて創設をいたしました地方拠点強化税制を活用していただくことや、また経済界において、取引企業の仕入れ価格の上昇、円安のおかげで海外輸入品は仕入れ価格が上昇しておりますので、その価格転嫁とか、また支援、協力に取り組んでいただくということで政労使会議においてもこの話を取り上げさせていただき、確実に今実行されつつあると思っております。

 いずれにしても、経済の好循環というものを各地において広げていくことを目指して経済財政政策を運営、推進してまいりたいと考えております。

藤丸委員 ありがとうございました。

 これで質問を終わらせていただきます。

古川委員長 次に、斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫でございます。

 私、きょうの質問の問題意識は、これまで、デフレ脱却、経済再生を目指してさまざまな施策を行ってまいりました。その中で、特に税制が大きいかと思いますけれども、デフレ脱却と、片一方で格差を固定化させることをどう防いでいくかという二つ、このバランスをどうとるかということが非常に重要だと思います。そういう問題意識できょうは質問をさせていただきたい、このように思います。

 それを直接聞きますとそれだけで終わってしまいますので、それに至るまで、二、三質問させていただきます。

 デフレ脱却、経済再生を目指して金融、財政そして税制改正をやってきたわけでございますけれども、まだ道半ばだと思います。このデフレ脱却を目指してまだ道半ばだというところで、まず大臣の所感、お考えをお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 第二次安倍内閣におきましては、今、藤丸先生からの御質問にも同様のことをお答えしておりますが、やはり日本は一九九〇年代からというのが多分、後世、歴史家はそう言うんだと思いますが、当時、株は三万八千九百十四円でしたかをつけて、これが史上最高値なんですが、それ以後ずっと下がってきております。株という名の動産、資産がデフレーションを起こし、九〇年から同様に今度は土地も下がって、資産のデフレーションによる不況という、戦後、日本ではやったことがないものをやったのがこの二十年間、三十年間の実態であったろう、私どもそう思っております。

 これから抜け出るためにどうするかというので、いわゆる三本の矢というようなものをやらせていただいた結果、先ほど申し上げたように、経常利益が最高になってみたり、倒産件数が大幅に減ってみたり、有効求人倍率も〇・幾つが一・一五まで上がったりということになっておりますし、税収も大幅にふえております。

 また、賃金も明らかに政労使会議等々の答えで上がってきておりますので、形としては、二十年間かかって起きてきたデフレーションという状態を二年少々で確実に、今、デフレマインドが収束しつつあるところまであと一歩というところだと思いますし、一応、物価もマイナスからゼロまで来ましたので、デフレという状況からはほぼ抜け出つつあるところまで来たと思っております。

 では、気持ちとしてどうかというと、二十年続いたデフレマインドというものがそんな簡単に二年やそこらで脱却できるはずもなく、まだなかなかいま一つというところが続いておりますので、私どもとしては、デフレ状況ではなくなったと思っておりますけれども、まだ気持ちの上ではなかなか景気、景況感といったものまでには戻っていない、道半ばというところだという認識でおります。

斉藤(鉄)委員 では、デフレ脱却を確かなものにするために今後こうしていくべきだ、またこうしていきたいというお考えがありましたら、大臣、お伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 デフレ脱却をさらに進めていくということに関しては、三本の矢というものの特に三番目の矢を積極的に進めていくことなんだと思います。

 日本銀行においても、今後とも二%の物価目標というものの達成に向けて金融緩和を着実に実行されることを期待いたしておりますが、政府としては、四月九日に成立させていただきました平成二十七年度の予算というものを円滑かつ着実に実施に移していくことがまず第一番だと思っております。

 また、民需主導の持続的な経済成長の実現というのが一番あれでございまして、私どもは、税制においてもいろいろな政策をこれまで二年間にわたって、民間のそういった活動が活発に行われやすいように、法人税であってみたり、また投資減税であってみたり、一括償却であってみたり、数え上げれば幾つもありますけれども、そういったものを実行してきております。それに応えて民間がどう受けて立つかというところが一番大事だと思っておりますので、成長戦略を確実に実行していくにはこの第三の矢が一番の問題だ、私どもはそう認識いたしております。

斉藤(鉄)委員 デフレ脱却とともに、今、財政再建という大きな、また非常に重要な目標がございます。この構造改革を推し進めていかなくてはならないわけですが、基本的な大臣のお考えをお伺いいたします。

麻生国務大臣 第三の矢の結果ということでいろいろ経済が成長していくのは非常に大きなところなんですが、私ども、経済を成長させていきやすくするためには何といっても需要というものの喚起がない限りはなかなかということで、政府としては、いろいろな形で需要を喚起させる意味で、税金を減税してみたり償却を大幅に認めてみたりいろいろした結果、財政としてはそういった面に出動した形になっている、いわゆる第二の矢を使っております。

 そういった意味では、我々としては、そういったものをやり続けることがずっとできるかといえば、第三の矢の効果が出てくることにならないと第二の矢に対するはっきりした答えではありませんので、そこのところが出てくるようにするためには、やはり財政がきちんとした方向で、我々、財政を健全化させるという意欲は政府として持っているということをはっきり内外に言わない限りは、市場の反応とか海外からの反応ということが大きな影響を与えまして、金利が暴騰してみたり国債価格がとかいったことになりますので、財政健全化という目標を、二〇一五年までにプライマリーバランス、基礎的財政収支の半分、比較いたしまして半分にするというのを目標にさせていただいて、一応、今年度の予算できちんといきますとそれができるところまで来ました。

 したがいまして、次は、二〇二〇年度に半分ではなくてゼロにしますという目標を掲げておりますので、これをきちんとやるという意思を示して、今、私どもが粗で計算したところで、緩目に見積もっても今のままではまだまだゼロまでいかない、まだあと一兆五千億円足りないという予想になっておりますので、それをきっちりやって、九兆四千億円のバランスの分をきちっと埋めるところまでやっていかねばならぬ、私どもはそう思っております。これができますと、初めて、今度は、プライマリーバランスという基礎的財政収支ではなくて、金利を含めたGDP比に対してという答えが出せる、目標を立てられるということになろうかと思います。

 そういったものをきちんとステップを踏んでやっていくということで、長い間かけて財政というものを我々が大幅に出動させてきた結果、たまりたまった借金というものが大きなものになっておりますので、それをきちっとさせていくという姿勢で我々は臨んでいかねばならぬという面も、両方やらねばいかぬ、経済成長と財政再建と両方やらねばならぬということははっきりいたしておると思っております。

斉藤(鉄)委員 どうもありがとうございます。

 そういう基礎的な議論のベースに立って、特に税制について我々も議論をしてきまして、デフレ脱却、経済再生のためにいろいろな手を打ってまいりました。

 例えば、住宅。特に、格差の固定化につながらないようにしなくてはいけないということで、住宅や教育等々についてもいわゆる世代間移転の税制を進めてきたところでございます。それらは、片一方で、この場でも議論がありました、また与党の中でもかなり激しい議論があったところですが、格差の固定化につながるのではないかという議論もあったところでございます。

 今、経済が再生していく中で、格差という問題も大きく議論になっているところでございまして、十二月三十日にまとめました税制大綱でも、「目下はデフレ脱却・経済再生に向けて税制を含めあらゆる政策資源を集中投入すべき状況にある。他方、税制は社会のあり方に密接に関連するものであり、今後とも、格差の固定化につながらないよう機会の平等や世代間・世代内の公平の実現、簡素な制度の構築といった考え方の下、不断の見直しを行わなければならない。」と一番初めの基本的考え方のところに書いたところでございますが、この問題について大臣はどのようにお考えかということをお聞きしたいと思います。

麻生国務大臣 社会保障並びに税制を通じて経済格差の固定化というものを防ぐことは、政府としては極めて重要な課題と思っております。

 したがって、近年の税制改正でも、例えば再配分機能の回復を図るために、平成二十五年度の税制改革で、所得税の最高税率を四〇%から四五%まで上げておりますし、また金融所得課税の見直しということで軽減税率の廃止をさせていただいて、一〇%までにしておったものを二〇%に上げております。

 また、相続税の見直しで、これまで五千万足す一千万掛ける相続人の数だったものを、三千万プラス六百万掛ける相続人ということで、額を下げさせていただいておりますし、最高税率も、五〇%だったのを五五%という形にさせていただいたりしております。

 給与所得控除の見直しもやらせていただいたりしておりまして、給与収入額の段階的引き下げということで、千五百万を千万までというように講じてきたところであります。その影響をまず見ていく必要があろうかと思っております。

 その上で、今後の税体系というものを考えていった場合に、まず、消費税というものが今後も増加する社会保障財源に充てられるというのは、少子高齢化が避けがたいという流れの中にあっては税体系の中で重要な役割を担うものであろうということは当然のこととして前提にしつつ、所得課税とか資産課税というのをどのように組み合わせていくかというところが問題なのだと思っております。

 いずれにしても、経済社会の構造変化というものを踏まえながら、こういった点をよくよく踏まえて検討していく必要があろうというように考えております。

斉藤(鉄)委員 非常に重要な観点だと思います。

 例えば、我が党も、実は緑の贈与という提案をさせてもらいました。これは、再生可能エネルギーや省エネ機器を家に設置するときに、贈与税がかからない形で子供や孫に贈与できる、資金を提供できるという制度。今回、住宅の制度の中でそれを実現することができましたが、そのときの議論も、確かに動かなかった金が動くようになってデフレ脱却には貢献するんだけれども、しかし、これは格差の固定化につながらないか、こういう税制をどんどん大きくしていっていいんだろうかという議論もあったところでございます。

 今、大臣の基本的な考え方のもと、今後進めていかなきゃいけないなと私も感じたところでございますが、その感想を申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

古川委員長 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 麻生大臣、菅原副大臣、おはようございます。

 三十分間質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 きのうなんですけれども、ホンダジェットの報道があって、久しぶりにいい報道を聞いたと思って感激しております。

 一九七八年の朝日ジャーナル、本田宗一郎と藤沢武夫という連載がありまして、この記事をずっと私は当時も今も時々読んでいます。やはり創業者のスピリット、精神がずっと創業者がやめた後も引き継がれて、八六年から開発を始めて二十九年たって百機を超えて受注されているという話を伺いまして、今の日本の企業の中でなかなかこういう会社は少ないと思っています。

 一つの事業を、私の地元に荒川の河川敷に本田飛行場というのがあって、河川敷の飛行場ですからジェット機は離着陸できません。ただ、セスナ機とかは離着陸できて、これは創業者のその思いがジェット機を開発する前から飛行場を持ってということで、今でもその飛行場を利用して、多くのアマチュアの方が大空に羽ばたいているわけです。今の日本の企業の中で、特に恐らくこのホンダは、国の資金には頼らずにこういう開発をしてきたと思うんです。ですから、そういう会社をどうやって多くつくるかということが私たちの国にとって必要だと思っていまして、今の、ここ二十年間の課題というのは、日本の失われた経営力をどうやって取り戻すのかが課題だと思っています。

 私自身、高校のときだと思うんですけれども、中公新書の「ハーバード・ビジネス・スクールにて」という本を読みながら、一番印象に残っているのは、ハーバードのビジネススクールの教授が、ビジネスは要は芸術である、クリエーティブな仕事であると書いてあって、やはりビジネスがクリエーティブでおもしろいというこの感じ、この感じを皆さんが持てなくなっているのが日本の最大の課題かなと思っているんです。

 ですから、やはりここをどうやって、私も財務金融委員会に初めて所属させていただいて、お金の話を主に聞いているんですけれども、確かに、成長資金の供給促進に向けた施策なんて説明を受けて、分析は非常によくできていますよね。家計が一千六百五十四兆円、それを間接金融、銀行を通して貸し出して企業へ。預金が八百七十兆円、そして直接金融だ。その企業のところには「稼ぐ力」向上と書いてあって、ここが最大のポイントだと思うんですよ。お金をどんなに緩和しても資金を借りて踊る人がいないというのが、ここ二十年間の私たちの国の最大の問題点、課題だと私は思っています。

 今から二十一年前ですから一九九四年、私がサラリーマンをしているときに、三枝匡さんが書いた「経営パワーの危機」というのがあって、要は四十代、三十代、四十歳前後の若手社員が関連会社の立て直しのために派遣されてそれを立て直すというストーリーで、それを読みながら企業経営はやはりおもしろいなと実感して、多分私も今、政治家になっていなければ自分でビジネスを起こしていた立場なんです。たまたま民主党が一九九九年に公募という記事を読んだものですから、応募して今はこういう立場なんですけれども、その記事を読んでいなければ、会社を一回転職していますから、その後、多分会社をつくって、ビジネスはおもしろい、そういう取り組みをしていたかなと思うんです。

 私が、一九九四年、丸の内の鉄鋼会社にいるときに、情報システム部でハイテクベンチャーの投資案件を見ていたんです。当時、二十億円の会社に投資をしたんです。アメリカのシリコングラフィックスという会社で、これは、「ターミネーター2」とかあるいは「ジュラシック・パーク」のコンピューターグラフィックスのワークステーションをつくっている会社。二十億円の会社に投資して、これが二千億円に化けて、そこのマウンテンビューでの株主総会に出たことがあるんです。株主ですから、皆さんに気を使っていただいて、英語ができないので、ちょっとニューヨークから先輩に来ていただいて、どんなことをしゃべっているのか伺いながら。

 そのときの風景、マウンテンビューですから、グーグルの本社と同じように、森の中にというのかな、大学のキャンパスのように平家の建物が幾つかあって、そこのカフェテラスを使って株主総会が行われるんです。大きな画面を見ながら、マックラーケンという当時の結構高名な経営者が会社の概要あるいは今後の経営について説明をします。

 私の左の前の方に、四十代ぐらいの白髪のまじった女性の方とネクタイを締めた小学生が二人おりまして、一時間ぐらいのプレゼンが終わった後に、質問はあるかと二千億円の社長が問うわけですよ。そうすると、この小学生が手を挙げて、おたくの会社のインディゴというワークステーションのマーケティング戦略を知らせろと聞いて、二千億円の社長はとうとうと、株主ですから、答えるんです。

 その瞬間に私は、日本の資本主義は負けたと思った。投資、そういうビジネスはサラリーマンの仕事じゃないと思っています。やはりファミリービジネス、いわば投資というのは。子供のころからのちゃぶ台での話が金利だったり事業だったりして、そうやって磨き抜かれてくるのが一つの人材として供給されるかどうか。

 ですから、日本は私が当選した二〇〇〇年から、今はもう、就業人口の中でのサラリーマンの比率がどんどんどんどん上がってくるわけですよ。サラリーマンが悪いとは言っていません。やはりサラリーマンは、私もサラリーマンでしたから、物すごく大切な仕事です。ただ、サラリーをいただいて仕事するのと、自分で投資して仕事してリスクをとるというのは全然違うことだと思っていまして、ここに書いてある目ききとか事業性を評価するというのは上から目線であって、ここの稼ぐ力をどうやって向上させるかというのが、ここ二十年間私も悩みながら暮らしている、本当の課題がここにあると思っているんです。

 大臣、その点の御所見について、お考えがあると思うので、ぜひ御答弁いただければと思います。

麻生国務大臣 教育というのは大きいですよ。僕はそう思いますけれどもね。

 やはり、自分のうちで、自営業で八百屋だ魚屋だという商店街は皆閉めたんでしょう。そして楽なところでというので、早い話がスーパーとかコンビニにみんな買われたんでしょうよ。そして皆、自営業をやめてサラリーマンをやったんじゃないの。僕は商店街を見ていて、いつもそう思いますよ。おやじさんたちを見ながら、あんたらは餓鬼の教育を間違えたんだ、だから後継ぎにならないんですよと僕は言い続けていましたので。

 この稼業に入りまして三十年になりますけれども、もうずっと前から同じ話をしていたんですけれども、このごろそういったおやじもだんだん、私より年が上なものですから大体もう近くなってきて、あんたの言ったとおりになった、俺の店もこれで終わると言うから、うん、しゃあないわねという話をするんですけれども。

 僕は、教育というのがすごく大きくて、やはり親は、俺の仕事はいい仕事だと思って堂々としていさえすれば、その背中を見ながら子供は育つんだと思うんだね、さっきのちゃぶ台の話じゃありませんけれども。それがないんですよ。それに比べてサラリーマンは楽そうでいいなという話をみんなしたんですよ。結果的にみんなそれに行ったというのが、僕は非常に大きな風潮としてあったんだと思うんですね。

 ところが、最近は少しそれが変わってきたかな、この数年はそう思わないでもないんです。どんどんどんどんデフレーションなんかになったものだから、ますますそういったものが助長されていった傾向はあるかなと思わないでもありません。

 いずれにしても、デフレで企業を解雇された人たちが、今度は自分でもう一回やるという気になるかですよ。なので、そこのところが、やはり先生、これは教育とか環境とか風潮とかいったものと非常に大きく関係するところです。

 では、日本人にその種の才能がないか。僕はそんなことは全然思わない。アメリカ人よりはるかに、イノベーションをやるとか新しいものを考える才能ははるかにあるように僕は思っているんです。問題は、そのアイデアに、おもしろいじゃないかといって金を投資する、貸すんじゃありませんよ、金を投資する風潮というものがこの国にはなかなか育っていないので、もっと安全パイなものをやっていった方が何となくという話になるから、何となく役人が一番安全だからとかいって、勉強ができたやつばかりが役人になりやがるから話がおかしいんですよ。

 もう少し、ちゃんと自分で仕事をやろうという気になるような風潮というのが、この間、ハーバードの、その今の同じ本を書いた人ですけれども、大学を出て企業に入るのはいいけれども、十年間同じ企業にいるやつは五%ですよと、あの本を読むと。残りの九〇%はやめて、そのうちの約八割は起業していますよ。やめて別の企業に行く人も十何%いるんですけれども、八割は自分で企業を起こすという風潮がやはり一番違うところかな。また、それをやらせるものがあるんだと私は思うので。ただ、問題は、それは金の問題とかいうけれども、金利がこれだけ安くて、ないんですからね。ということは、金の問題だけじゃない。やはり、その気になる本人の意欲の問題が一番問題かな。

 いきなりの質問でしたけれども、そう感じているところです。

大島(敦)委員 麻生大臣の御見識だと思います。

 私、今、海外にもできるだけ伺うようにしていまして、去年の九月でしたか、一人で、ヒューストンではシェールガスの現場から積み出しの予定地まで全部見せていただいた。アルバカーキ、ロスアラモス研究所、ここでは、福島の炉内がどうなっているのか、宇宙から降ってくる素粒子だったかな、それを当ててそれを見るような研究をされている方。そして、二十年ぶりにシリコンバレーを訪ねました。おもしろかったですね、ここは。

 当時、二十年前のベンチャー投資というのは、日本の大企業、非常に資金を持っているところ、あるいはエンジェルというのかな、非常にお金持ちの人たちが投資するというのが二十年前のハイテク投資だったと思うんです。ですから、鉄鋼会社にいたときも、さまざまなアメリカの会社から金を出してくれと言われて、金を一回出す。そうすると、現金燃焼率ですから、二十億円とか出したらそれがどんどん燃えてきて、燃え尽きそうになっても技術開発がまだ立ち行かないと、もう一回日本に来て、もうちょっと金を出してくれと言われた。現金燃焼率に技術開発がうまく間に合えば伸びていく、これが間に合わないとその投資はなくなる。

 ですから、当時私が見ていて本当に思ったのは、このハイテクベンチャーの投資というのはルーレットと同じだ、二倍から三十六倍まで。一年間を通して浮いていれば勝ちなのがこの投資だというのが当時の感覚です。

 去年の九月にシリコンバレーに行きまして、おもしろいところを見せていただいた。グーグルが三人の会社のときに、グーグルに社屋を貸していた向こうのアメリカ人が多分味をしめたんでしょうね、フィリップスの大きな社屋を買収して、そこをハイテクベンチャーに貸しているんです。そこを訪ねたときに、ピッチというイベントを見せていただいた。

 ピッチというのは、投資を仰ぐ側の三分間スピーチなんです。投資を仰ぐ側が三分間のスピーチをして、投資家が十人から二十人、百人いて、二十人だったら六十分間、それをずっと、三分間スピーチを積み重ねた後で、投資家が話す、要は投資しようかどうか決めていく。ピッチのそういうイベントの場に投資家が行くのも、ただじゃないんです。十万とか五十万とか払ってそういう場に参加をして、投資をする。

 三分間というのは、いい時間だなと私は思いました。三分間で自分の事業モデルを、要は投資家。今のアメリカ人というのは恐らく二十年前とは違って、結構普通の人でもお金を持っている方が多い社会に違いないなと。一千万とか一億とか投資できる人たちが多い社会。ですから、そこで投資していくわけですよ。だから、そういう環境を見ると、私も、恐らく英語ができて二十代で若かったら、あちらの方がおもしろそうだなと実感はしました。

 だから、そういうような環境を、これはアメリカだからできることなんです、やはり規制がない社会だから。規制がなくて、さまざまなビジネスモデルを自分のアイデアでできるし、そのアイデアに対して、例えばユーチューブとかは今でも、民間、自家用車のシステム化というのはスマートフォンで、あれはウーバーというのかな、そういうビジネスもちゃんとそれを守ってくれる弁護士がいて、著作権とかあるいは行政に対してしっかりと抗弁してくれる弁護士がいてデファクトスタンダードをつくっていくのがアメリカの社会で、これをそのまま日本に移植するのは難しいと思っています。

 恐らく小泉政権のときのイデオロギーとしては、規制緩和というイデオロギー、要は規制緩和をしてビジネスチャンスを多くふやすというイデオロギーがあったのかなと思うんです。ただ、今の我が社会を見ると、規制緩和よりも規制を強化する方向にさまざまな施策が移っていっているのかなという感じがするんですよ。ですから、まずそこのところが一点あると思っています。

 ですから、規制強化も必要だけれども、ビジネスにはやはり規制を緩和してできるだけ参入できるようなことが、そういう土壌をつくるという一つの考え方も必要かなとは思っているんですけれども、その点について大臣の御所見を伺わせてください。

麻生国務大臣 新しいものを聞いたら、まずは大体怪しげなものですよ。もうかると思ったら、みんなやるんだから。

 だから、人の思いつかないことを考えるといったら、大体それは怪しげなものが九割と思っておかないかぬのですが、でも怪しげなものの中から化けていくという話で、例えば私らの世代でいけば、セコムなんという会社、私が学生のときに、あれが何だかわかった人なんか一人もいませんよ。学校がたまたま同じだったから、何をやっているんだろうなと思いましたね。でも、今はアジアでも、セコムといったら同じ意味を意味するんですよ、あれはちゃんと英語になりましたから。そういった意味では、初めにやるというのはそういうものなんだと私なりに思います。

 さっきの、本田さんの話から最初にスタートしておられますけれども、本田宗一郎という人だって五反田のオートバイ屋さんですよ、あの人は。そのオートバイ屋に、おまえ、あそこに行った方がいいじゃないかと近所の奥さんがそれを褒めたんだけれども、息子は東大を出たばっかりにNHKと文部省に入って、そして結果的に文部省に入ったんですが、あのときあのオートバイ屋に勤めておけば俺は今ごろ社長だったんだとその文部省に入った役人が嘆いていたのを今でも忘れられませんけれども、私は本当にそう思いますね。

 だから、そういった意味では、やはり今言われたように、そういった新しいものにかけていくだけの余裕が、少なくとも日本人が初めてフローじゃなくてストックで物を考えられるような事態が今来つつあるわけでしょう。一千六百九十兆円という金はそういうことを意味します。現預金の八百九十兆円もそういうことを意味するわけです。そういったものに対して我々は今、規制をということで、特区というものを認めようとしているのはそれの一端なんですけれども、そういったものの中でいろいろ実験して、成功すれば全国に広めていけばいいじゃないかと思っていますけれども、最初にやる場合はこれはえらく抵抗の多いものであることも事実なものですから、私どもとしては今いろいろなものを生み出していく一つの手段として特区というものを使ってみたりしておりますが、私どもとしては、大事な試みとして、そういった意欲を持っているということだけは確かに申し上げられると存じます。

大島(敦)委員 ありがとうございます。

 それで、どうやって日本の大企業に対して揺らぎを与えるか。ちょうど去年の四月に法務委員会で会社法の改正案の審議をしまして、そのとき、社外取締役を一人は必置、ちゃんと置けという法案を私たちは出していたんですよ。これはガバナンスですから二つの意味があって、企業統治のガバナンスは、余り経営が暴走しないように、しっかりと社外取締役が入って、要は統治をするという考え方が一つ。

 もう一つは、当時、議事録を読み返してみると、私はそうじゃないんだと。日本の丸の内、大手町の皆さんは、私も勤めていましたけれども、どうしても上を見ながら仕事をするんです。上を見ながら仕事をして、大体覚えめでたい人が社長まで行くというのが日本のシステムでして、これは結構強固なんです。物すごく強固です。ですから、多分、法務省の審議会でも物すごい抵抗があって、一人も置かなくていい、置かない場合だけ説明責任を果たせということで、これは義務化できなかったんです。これはやはり経営者から見れば、要は余計な人が自分の会社に入ってくることは芳しくない。

 特に、米国のように、指名委員会等設置会社といって、半分以上が社外取締役の指名委員会であなたを社長にするということを決めるコーポレートガバナンスはなかなか日本の風土には今のところなじまないんだけれども、そのくらいのことをしっかりやって、もしも雇用法制を緩和するというふうに考えるんだったら、自分の経営もとことん緩和して、経営者が半分が社外取締役の指名委員会で選ばれるぐらいの覚悟を持って雇用法制も緩和してくれと言うんでしたら私も非常にわかりやすいんですけれども、自分は守って、こちらだけというのはちょっと違うかなと思っている。

 でも、今回の六月一日から始まるコーポレートガバナンス・コードの原案を読ませていただくと、二人置いてくれと書いてあるんですよ。二人置いてくれ、置かない場合にはしっかりと説明してくれというふうに書いてあって、この点につきまして、経緯とか目的について参考人から御答弁いただければ助かります。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、コーポレートガバナンス・コードが策定されるに至りました経緯でございますけれども、この策定は、昨年六月に閣議決定されました「日本再興戦略」改訂二〇一四においてそうした策定をすることが盛り込まれたところでございます。

 そして、その狙いということでございますけれども、この「日本再興戦略」改訂二〇一四では、日本企業の稼ぐ力、すなわち中長期的な収益性、生産性を高め、その果実を広く国民に均てんさせるために、まずはコーポレートガバナンスの強化により経営者のマインドを変革し、グローバル競争に打ちかつ攻めの経営判断を後押しする仕組みを強化していくことが重要であるという考え方が示されているところでございます。

大島(敦)委員 日本再興戦略の中で、今局長から答弁いただいたとおり、攻めの経営をするために社外取締役を入れて、ちょっと取締役会あるいは会社に対して揺らぎを与えるのが目的かなと思うんですけれども、このことは私は高く評価します。

 ただ、局長に伺いたいんですけれども、今対象となっている例えば上場企業に二人以上、この社外取締役を配置というのかお願いするとして、どのくらいの人材が必要なんでしょうか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 東証の一部及び二部の上場企業全社が独立社外取締役を二名選任するとの仮定を置きまして、現時点での独立社外取締役の人数との差し引きに基づいて機械的に試算をさせていただきますと、追加で必要となる独立社外取締役は延べ約三千人ということになります。

大島(敦)委員 日本の課題として、その三千人をどうやって確保するかの課題、私は、とはいっても、社外取締役は多くしていた方がいいと思っています。やはり違う考え方、要は会社の中でどうしても上司に引き上げられるという風土、これも確かに必要だと思います。ホンダのように二十九年間しっかりと一つのビジネスをやり遂げるというのは、安定した経営があればできることも確かです。

 ただ、今の日本の会社を見ると、よく言われている三百兆円ですか、会社としては、使うんだったら投資に使うというのもあるわけですよ、新しい研究開発投資。私も、時間があると、日本のさまざまな研究所も一人で訪問して、日本の最先端がどこにあるのか自分で見たいなと思って、さまざまな研究所に行っています。なかなか、これはという、大きく伸びそうなのもありそうなんですけれども、もう少しそこに対して重点的に国として予算を配分してもいいのかなと思います。

 それで、大臣に伺いたいんですけれども、このコーポレートガバナンス、そして日本の大企業の閉塞感。人材が多く集っているのが私は日本の上場企業だと思っています。日本の上場企業、霞が関かもしれないんですけれども、霞が関の場合には皆さん日本の統治を担う人ですから、これがすぐに商売には向かないかもしれない。ですから、やはり日本の民間で特に大企業に集っている方たちをどうやって自分で起業できるような風土に持っていくのかなと。その前提としてコーポレートガバナンス・コードの強化というのが必要だと思うんですけれども、その点についての御所見を最後にいただけることをお願いします。

麻生国務大臣 有能な経営者に上り詰めたのが今さら新しく会社をやる度胸なんかなかなかないですよ、自分一人でやれるなんというのは。それは、会社がバックアップして、金を出してくれるというのなら別よ。そんなのは普通はないですな。見ていて、自分でもやっていたからよくわかりますよ。うちの会社で、出ていって自分で起業をやって、自分で成功したというのは二人いますけれども、いずれも若いときに出ていっていますよ。確かに言うことはユニークだった。課長になる前でしたからね、ユニークでしたよ。

 おまえの言っていることは、こことここが欠けておる、経理が全然わかっていないじゃないか、おまえのアイデアはいいけれども話にならぬと言って、ちゃんと若いやつで経理に詳しいのがいましたので、うだつが上がっていなかったから、あれと組め、それで会社を出ていけ、そっちの方がよっぽどもうかると。本当にもうかりましたよ。俺はあれに今考えたら投資しておけばよかったなと思うぐらい、本当にもうかっていますな、あいつのところは。

 だから、そういう自分の実感がありますので、私どもは、やるならと思いますけれども、やはり五十になって取締役にもなろうなんといったら、それはとてもじゃないけれども女房、子供がいて無理なものですから、そういった意味では、若いのが少しずつ出ていけるような雰囲気というのが今、少しできつつあるかなという感じはしております。

大島(敦)委員 大臣、ありがとうございました。

 日本の課題、特に稼ぐ力をつけるということ。私は、労働政策にずっと携わってきたものですから、職業教育訓練の中に営業という訓練があるかどうか聞いたことがあるんです。ないんですよ、営業という科目が。

 私、もともと営業マンですから、営業って結構楽しいと思っている。共産主義になくて資本主義にある仕事が営業という仕事なんです。日本の稼ぐ力、営業力をどうやって我が国の中でもう一回つくるのか。金利の安い、低いじゃなくて、もっと配当の高いビジネスをつくる。今これだけビジネスチャンスがある時代だと思っているので、その点につきましても今後ぜひ議論させていただきたいと思います。

 ここできょうは終わります。ありがとうございました。

古川委員長 次に、鷲尾英一郎君。

鷲尾委員 おはようございます。民主党の鷲尾でございます。

 きょうは、日銀総裁にお越しをいただきまして、幾つか質問させていただきたいのと、その後、AIIBについて質問をしていきたいと思います。

 早速でございますが、黒田総裁にお越しをいただいております。

 現下の日本経済の状況というところでございますけれども、この間の内閣府の月例経済報告等を見ていても、物価については横ばいでありますけれども、緩やかな回復基調だということでございます。問題は日銀としては物価なわけでございますが、二%の物価安定目標を実現すること、これを目標にしてやっておられると思うんですけれども、物価については依然横ばいの状況であるというところであります。

 黒田総裁として、デフレギャップの状況はほぼ解消し、景気の状況としては順調に回復しているとお感じになっているかどうかについて、コメントをいただきたいと思います。

黒田参考人 御指摘のとおり、景気につきましては、企業部門、家計部門ともに所得から支出へのいわゆる前向きな循環メカニズムが作用しておりまして、景気全体として緩やかな回復基調を続けているという判断でございます。

 特に、企業部門では、収益が過去最高水準まで増加しておりまして、設備投資も緩やかな増加基調にある、それから家計では、失業率が構造失業率付近で推移しておりまして、賃金も緩やかに上昇している、こうしたもとで、個人消費についても、やや長引いていた駆け込み需要の反動の影響も収束しつつありまして、全体として底がたく推移しているのではないかというふうに思っております。先行きにつきましても、同様に、所得から支出への前向きな循環メカニズムは持続するというふうに考えております。

 御指摘のデフレギャップにつきましては、単一のはかり方、定義があるわけではありませんので、特に政府の方ではかっておられるデフレギャップは日本銀行が推計しているものよりも若干大きいようでございますが、それにしてもデフレギャップは縮んできておりまして、日本銀行の推計による需給ギャップというものは、おおむね過去平均並みのゼロ%程度まで改善している、先行きも改善を続けていくというふうに考えております。

鷲尾委員 今、総裁から御発言があったとおり、デフレギャップは解消しておりますし、景気も先行きまで含めてかなり底がたいものが見えているという状況でございます。

 そういう順調な回復というか、順調な状況にある中で金融緩和はずっと継続している、さらに異次元の追加緩和を行ってきているわけです。そういう順調な状況にある中における今の追加緩和の状況、これを行い続けることの意味ということを改めてお聞かせいただけませんか。

黒田参考人 これは、委員も御指摘のとおり、日本銀行は、できるだけ早期に二%の物価安定の目標を実現するということにコミットして、そのために必要な政策として量的・質的金融緩和を導入したわけでございます。そして、この量的・質的金融緩和は、二%を安定的に持続するために必要な時点まで継続するという方針でございます。

 先ほど申し上げましたように、景気が緩やかな回復基調を続けるもとで、需給ギャップが改善する、さらには中長期的な予想物価上昇率が全体として上昇しておりますので、これらに規定される物価の基調というものは着実に改善してきているというふうに思います。

 ただ、これも委員御指摘のとおり、足元の消費者物価の前年比は、エネルギー価格の下落の影響から消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースで見ますとゼロ%程度、横ばいということになっておりまして、二%の物価安定の目標への道筋という意味ではまだ道半ばでございます。

 したがいまして、今後も二%の物価安定の目標の実現を目指して現在の量的・質的金融緩和を着実に推進していくということが重要である、もちろん、その際には、さまざまな経済の状況を十分見きわめながらこういった政策を着実に推進していくことが必要であろうというふうに考えております。

鷲尾委員 今の御発言にもあったんですけれども、今、原油価格が非常に低調である、下落している。日銀も今後の見通しとして緩やかに上昇していくとは想定されておられますけれども、それでも低い、以前に比べると大分低い水準で推移するとごらんになっていて、原油の価格要因を除いたその他の物価について、先ほど総裁は道半ばとおっしゃっておられましたけれども、今後の見通しも含めて、もう少し詳しくコメントをいただけますか。原油以外の物価について。

黒田参考人 御指摘の点は、実は、日本のみならず、各国の中央銀行も、原油価格の下落の影響についてはいろいろな観点から非常に注目しているわけでございます。

 我が国の場合、石油はほとんど一〇〇%輸入しておりますし、ガスについても同様でございますので、この価格が下落するということになりますと、足元で物価上昇率が下がるという一方で、経済成長にとっては非常にプラスでありますので、中長期的に見れば、原油価格の下落ということは成長率を押し上げ、物価も将来的には押し上げていくということになろうと思いますが、足元ではどうしても大きく物価上昇率を引き下げるということになるわけでございます。

 これは私どもの若干腰だめの試算でありますけれども、原油価格の昨年の夏以来の五〇%以上の下落ということによって、消費者物価の上昇率を二〇一五年度でいえば〇・七%とか〇・八%程度押し下げているというふうに見ております。ただ、足元はゼロなので、押し下げ効果なかりせば物価は〇・七か〇・八上がっていたというふうにはなかなか言えないわけでして、非常に複雑に経済が絡んでいますので。

 ただ、おおよそのオーダーというか大きさとしてはそういうような形でありまして、物価の基調というのは着実に改善してきてはおりますけれども、原油価格の下げどまりあるいは緩やかな上昇というもとでも、二%に達するためにはやはり現在の量的・質的金融緩和を継続していく、そして二%の物価安定の目標を安定的に実現できるというところまで現在の政策を続けていく必要があるのではないかというふうに思っております。

鷲尾委員 今の総裁の発言を聞いていますと、やはりまだ安心できないという感じが発言の中に含まれているなと。まだ安心できない、だから続けるんだと。では、安心できるようになるのはいつなのか。当初はこの二〇一五年という話でありましたけれども、中心とする年度という形で、変わったようでございます。

 そこで、結局、今、潜在成長率を上回るGDPの増加をしていますよと。デフレマインドの脱却というところまでいっているかというと、そこは見方が当然あるんでしょうけれども、少なくともこの異次元の金融緩和というのはデフレマインドの脱却を目的として、期待インフレ率二%というアンカー、これへのつなぎとめを目的としているんだと。そこにちゃんとつなぎとめられているという意識が共有されていれば、先ほど私が申し上げた安心感が出てくるということなんだと思います。

 ただ、それが今の異次元の金融緩和の目的とするならば、これまでの議論を踏まえると、期待インフレ率が二%ないことだけが問題なのかなという気もしてくるわけでございます。

 仮にという形になるんですけれども、期待インフレ率二%がしっかり安心感を持って確立されたとするならば、現在のいわば特殊な金融緩和はしなくて済む、そういう認識でよろしいんでしょうか。

黒田参考人 御指摘のように、期待インフレ率が十五年続きのデフレのもとで低位にあった、それを、二%の物価安定目標の近傍に期待インフレ率自体も引き上げていく、そこにアンカーするということが極めて重要だと思っております。

 この点は、実は米国も二%の物価安定目標を持っておりますし、ユーロ圏も同じでございますが、米国の場合はかなり長きにわたって実際のインフレ率も二%前後で推移してきておりまして、期待インフレ率も二%の近傍でかなりアンカーされている。こういうこともありまして、足元では、原油価格の下落によって、実は米国でもいわゆるヘッドラインインフレーションというのはマイナスになっているわけです。それでも、米国の場合は追加的な金融緩和をしませんでした。

 それに対して、ユーロ圏と日本は、原油価格の下落によって足元の物価上昇率がどんどん下がっていくときに、期待インフレ率自体も下がってしまうということを懸念して追加的な緩和をしたわけですけれども、ここに見られますように、やはり期待インフレ率というものが物価安定目標の近傍にアンカーされるということが極めて重要であるというふうに思います。

 今後の物価上昇率の動向を見る上では、委員御指摘の需給ギャップと、もう一つ、期待インフレ率、この二つの要素がどのように動いていくかということによって中長期的に見た実際の物価上昇率がどのようになるかということが決まってまいりますので、足元で需給ギャップは縮んできておりますけれども、今後、潜在成長率を上回る成長が続くことによって需給ギャップはさらに改善する、それとともに期待インフレ率も二%に向かって上昇していき、そしてその近傍にアンカーされるといった両方の要素を通じて二%の物価が安定的に、きっちり二%になるということは実際問題として難しいわけですから、その二%の前後で安定的に推移するようになるというふうに思っておりまして、その意味では、御指摘のように、予想物価上昇率を二%にアンカーするということは極めて重要だと思っております。

鷲尾委員 総裁、そこで、その極めて重要な二%にアンカーできた、そういう安心感を得られたときに、こういうある意味異常な異次元の金融緩和というものは、アンカーされればこの異常事態というのが解消されるということなのかどうかというところについても、御発言をいただけたらと思います。

黒田参考人 その点は、基本的にそのとおりだと思います。

 基本的に、需給ギャップと物価上昇期待、この両者が相まって実際の物価上昇率が決まってくるわけですので、二%の実際の物価上昇率が安定的に推移するという時点では、基本的に、物価上昇率に対する期待も二%程度にアンカーされ、かつ需給ギャップも改善した状況になるということであろうと思います。物価上昇期待が二%にアンカーされるということは必要ですけれども、必ずしも十分条件かどうかという点についてはいろいろな議論があると思いますが、私どもの見るところではこれはいわば最も重要な要素であるというふうに思っておりますので、今言ったような条件が満たされて、二%の物価上昇率が安定的に持続しているもとでは、当然、今のような異次元の金融緩和というのは必要がなくなっているというふうに思います。

鷲尾委員 ありがとうございました。

 今ほど来の総裁の御発言にもありますように、異次元の金融緩和の主たる目的というのは、需給ギャップの話ももちろんございましたが、期待インフレ率の問題だ、こういうことでございます。

 この異次元の金融緩和ですけれども、緩和し過ぎることによって、これは我が党の議員も予算委員会等でさんざん議論していると思いますけれども、その副作用、コスト、デメリットといったものが出てくるのではないかと思うんです。

 そこを、総裁として、当然、ターゲットとしては期待インフレ率というのはあるんですけれども、そのターゲットに絞って異次元の金融緩和をすることによって、その他の部分で出てくるデメリットがあると思います。また、その時々の状況によって何が強く出てくるかというのも異なると思うんです。現下において認識されているもの、これについてコメントをいただけたらと思います。

黒田参考人 御案内のように、日本銀行は、物価の安定と金融システムの安定という二つの重要な目標がございます。

 現下の日本経済の状況は、十五年にわたるデフレに苦しんできたわけですので、金融緩和で金融システムにどういった影響が及ぶかということには十分配慮しつつ、二%の物価安定の目標の実現に向けて量的・質的金融緩和を継続していくことが何より重要であるというふうに考えております。

 その上で、今申し上げたとおり、物価の安定そして金融システムの安定という二つはいわば車の両輪なわけですが、現在の量的・質的金融緩和を進めるに当たりまして、単に経済、物価の見通しというだけではなくて上下双方向のさまざまなリスク要因を点検しておりまして、それは展望レポートにも記されておりますし、それから年に二回、日本銀行が提出しております金融システムレポートにおいて、金融システムがどういった状況にあるかということをかなり詳しく示しております。その両者とも、現時点では、金融システム、特に資産市場とか金融機関の行動で、過度の期待の強気化等、何か問題が起こっているというふうには見ておりません。

 ただ、先ほど申し上げたように、金融システムを含めて、さまざまな上下双方向のリスク要因というのは今後とも十分注視してまいりたいというふうに思っております。

鷲尾委員 今、過度の期待という御発言がありましたけれども、そういったいわゆるデメリットが少ない、あるいはないという状況であれば、この二〇一五年度までと言わず、これから先もずっと逆に異次元緩和を行い続けるという選択もあると思うんですね。それはどうでしょうか。

黒田参考人 量的・質的金融緩和は、あくまでも、できるだけ早期に二%の物価安定の目標を実現する、そしてこれを安定的に持続する、それが必要な時点まで継続するということでございますので、そういったことが達成された後にも異次元の緩和を続けていかなければならないということはないと思います。そういう際には、それに応じた最も適切な金融政策を行っていくということになろうと思います。

鷲尾委員 最後に、総裁に、ちょっとこれは通告していなくて申しわけないんですけれども。

 岩田副総裁が、二年前に、二%の物価目標達成なかりせば最高の責任のとり方は辞任だという旨の発言をされていますが、総裁を補佐する副総裁のこの発言について、総裁はどう思われますか。

黒田参考人 岩田副総裁自身がおっしゃったことは、金融政策についてまず十分な説明責任を果たさなければならない、その説明責任が果たせないときには、最終的には最高の責任のとり方というのは辞任であろうということをおっしゃったということは存じておりますけれども、岩田副総裁自身の個人の心情について私から何か申し上げるつもりもございませんけれども、日本銀行の政策委員会のメンバーは皆、このデフレから脱却し、二%の物価安定目標を実現させることによって日本経済が持続的に発展する基礎をつくることに最大限の努力を払っているということは申し上げられると思います。

鷲尾委員 それでは、総裁に対する質問はこれにて終わりにしたいと思いますので、どうぞ離席していただいて結構でございます。

 続きまして、AIIBについて質問をしたいと思います。

 IMF、世銀は基本的に欧米が主導権を握る組織である、日本の出資額の増加すら認められなかった、こういう経緯もあるわけでございます。もちろん、中国、ブラジル、新興国も同様で、IMFは特に今、改革が全然進まないよ、こういうフラストレーションが新興国を中心にかなり根強くあるのではないかと思っております。

 AIIBに我々が参加するかどうかということはともかくとして、IMFを初めとする欧米が主導し過ぎているという側面につきまして、我々日本としてもしっかりと改革に積極的に取り組んでいく、コミットしていく、もっと前向きな姿勢を見せていく、これは極めて重要だと思うんですけれども、いかがですか、大臣。

麻生国務大臣 世界的な国際金融機関としては三つ、世銀、IMF、ADBだと思っております。世銀はアメリカ、IMFはヨーロッパ、そしてADBは日本。多分、その三つがそれらの組織の肝心なところを握っているというのは事実だと思います。

 ただ、時代が随分変わってきているとは思います。今、世銀の副総裁は日本人。ほかにも、石井菜穂子とか、昭和五十六年ぐらいの入省のところが偉いところにいるんですよ。そういうのがおりましたり、それから、前の財務官だった古沢というのが今度、この間言いましたけれども、それがIMFの副専務理事というのでおりますし、また、今答弁しておられました黒田さんも、日銀総裁なんというのは主計局上がりがほとんどだと思いますが、この人は国際局、財務官、ADBの総裁から日銀総裁なんて、考えられませんわな、本当に。今までの常識では、あそこは主計局以外は全然出世しないところかと思っていたら、そうでもないのがいっぱい上がってきているというのが最近だと思いますね。木下というのも主計局長になる前が国際局長ですから、時代が随分変わりつつあるんだと思っておりますので、そういった意味では、今言われている点は、随分活躍しつつある、それが一点です。

 もう一点は、今回のAIIBの話は、わかっていない人がいっぱい書いているのは、暇潰しに読まれるのはいいと思いますけれども、一番の肝心の背景というのを見たときには、やはりアジアの国においては、特にインフラストラクチャーに対する資金需要というのが高まっているんですよ。それに応えるだけの金がどこにあるかというとその三つということになるんですが、増資でやるということで、二〇一〇年、今から五年前、私が総理だったときに、そのころからざっとやっていて、結果的に二〇一〇年に比率を決めたんですよ。ところが、それはアメリカものんだ、世界じゅうみんなのんだ、すごい論議がありましたけれども結果的にのんだのが、五年たって二〇一五年、いまだに実行されない。なぜか。理由は簡単です。アメリカの議会がそれを認めないからです。

 あの国は、国際連盟を自分でつくって自分は入らなかったというような国ですから、それは別に驚くような話ではありませんけれども、五年ですから、ほかのところにとってはフラストレーションがたまりますよ。何をやっているんだ、このやろうということになっているのは当たり前の話。私らもそれは言いますから。おかしいじゃないかと言うけれども、議会を通らない。やはりこれは、我々も民主党にいろいろ、議会を通らない目に遭いました経験が私らもありますので、わからぬことはないなと思いますよ。

 だけれども、現実問題として通らないという状況が今続いておるのが、ほかの国にしてみれば、中国やら何やらが、俺たちは自分らでやるという話が出てきたりなんかするようになっていった背景の一つ。それが全てとは言いませんけれども、その背景の一つにあったろうなという感じはします。

鷲尾委員 今の大臣の御答弁ですと、日本はもう積極的に取り組んでいるんだと。言っているんだけれども、アメリカの議会がということでございますね。

 確かに、アメリカの議会というのは厄介なんだろうなと思います、日本よりも。日本は今、ねじれていないですから。日本はすっと通るけれども、アメリカの議会は本当に今大変なんだろうな、TPPの議論とかを見ているとそう思います。

 積極的に取り組んでいるかどうかという質問に対しては、積極的に取り組んでいる、こういうことなんだと思います。ただ、その上で、今大臣も御答弁がありましたけれども、日本の有為な人材が国際機関にも行っているよというんですけれども、副総裁とか、やはりナンバーツーどまりだったりするわけです。ADBは違いますけれども。

 私は、国際機関全体の職員に占める日本人職員の割合というのはしかるべき割合を占めていなきゃいけないと思うわけです、出資もしているわけですから。そういったところで、リーダーシップをちゃんと発揮できているかどうかというところをはかる尺度の一つだとも私は考えるわけです。

 その点、大臣がおっしゃっているとおり、日本としては積極的にコミットしているんだというところは、御発言があって、それはわかるんですけれども、では実態としてどうなんだ、こういうことをちょっと聞きたいなと思うんです。

浅川政府参考人 お答え申し上げます。

 IMFの方でございますが、IMFの現在の我が国の出資比率は六・六%である一方、二〇一四年でとりますと、二〇一四年のIMFにおける日本人の職員の割合は二・六%ということでございます。

 一方、世銀の方でございますが、世銀の現在の我が国の出資比率は七・二%である一方、二〇一四年の日本人の世銀における職員の割合は三・一%ということでございます。

 日本がこうしたIMFや世銀といった国際機関でリーダーシップを発揮するためには、両機関で、第二位の株主でございますので、投票権を有する日本の株主としての立場を有効に利用しまして、日本政府が両機関での政策の議論に積極的に参画していく、知的あるいは財政的な貢献をしていくということが基本的な対応かと考えますが、委員がおっしゃいましたように、さらに日本人職員をふやす努力も行ってまいりたいと思っております。

鷲尾委員 出資比率で見たという切り口ですけれども、もっと多くたっていいじゃないかという議論がやはり成り立つわけですよね。これが実態なわけです。

 ですから、これは見方があって、私も財務省とレクチャー、やりとりしている中であったんですけれども、日本人自身が内向きになっている。先ほど大島委員との大臣の答弁を聞いていても、やはり何となくリスクをとらないという風潮があるのかもしれません。そういう内向きになっているがゆえに外に行きたがらないという、現下の日本人のメンタリティーというのはあるのかもしれません。そういった面が一つある。

 もう一つは、もっと積極的に政府自身が人材育成をちゃんとプログラムを組んでやっていく。先ほど、日銀総裁は主計局からしか出ないんだと。逆に、国際機関はもしかしたら、どこどこに行った人は必ずその国際機関、そういうルートがあるのかもしれませんけれども。もっと、もう少し人材の幅を広げ、育成をしていく、こういう政策を実行していかなければ、先ほどの、日本の影響力をふやしていく、存在感をふやしていく、リーダーシップをとっていくというところに及ばない、こういう認識なんです。大臣、いかがですか。

麻生国務大臣 今答弁した浅川は、ちょっとこれは極端な例だと思いますね、この人の場合は。少なくともOECDの中で選挙で、例のよく財務委員会で話題に出るBEPS、租税委員会の委員長は浅川が選挙でとったわけですね。これは、ほかにやり切れるやつがいなかったわけです。選挙でやっていますから。こういう特殊な例を見てちゃんとインターナショナルになっているじゃないかなんというのは、特別な例を一つだけ見て結構いるんだなんというのは全然違います。ここが特殊、ほかがそうじゃない。それを一点申し上げたい。だから、鷲尾さんの指摘が正しいですよ。

 二つ目は、国際語というのは今、何だかんだ言いながら英語が主力になっているんですが、日本の場合は、中、高、大と八年英語をしゃべって、英語がどれぐらいできるかというと、顔を見たら大体わかりますでしょうが。ほとんどしゃべれないわけですよ。ところが、ほかの国では、そんなにやらなくてもしゃべれる。何でなんだといえば簡単で、英語教育が間違っているんですよ、日本の場合は。はっきりしていますよ。八年もやってできないんだから、どう考えてもおかしいでしょうが。

 それは英会話ができないんですよ、僕はそう思いますね。ディス・イズ・ア・ペンなんて、生涯一回も使わないセンテンスをずっと覚えるわけでしょう。みんな学校で覚えたろう、やったでしょうが。一回も使ったことないと思うよ、僕は。僕はつくづくそう思っていますよ。

 だから、財務省に限りませんけれども、今後、日本の役所というものは、来年から採用試験に当たってはTOEFL、TOEICを採用しますということを人事院が決めたんですよ。これなんかは大変な成果だと思いますけれどもね、僕に言わせれば。

 私は、局長に、全部受けろと。どの程度のレベルにあるか思い知るから、新入社員よりおまえらの方が低いんだということを証明してやるよ、国際局以外は全部受けろと言ったら、受けた人が一人いたんですけれども、それはちゃんと通っていましたな。だけれども、ほかに受けた人もいるはずなのにみんな報告しないのは、きっと通らなかったんだ。僕にはそう見える。

 だから、ちょっと極端な例を言って恐縮ですけれども、なれの問題ですから、語学なんというのは。こんなのは頭のよしあしは全然関係ありませんよ、なれの問題ですから。だから、そういった意味では、ぜひこういったものにどんどん出ていけるような、普通にしゃべれるようなものにしてやりさえすればいいんだ。こっちにとっては外国語なんですから、外国語をしゃべってやっているんだから、向こうのネーティブとは違うんだから、当たり前ですよ。俺たちだって、おまえらの下手な日本語を黙ってわかったような顔をして聞いてやっているだろうが、同じですよという態度がないんですな、全然。英語の方が日本語より進んだ学問かと思っているような間違った人もいっぱいおられますから、全然違いますよ。

 こういうところを、やはり鷲尾先生、これから日本人の意識として変えていくことにならないといかぬと思うんです。いろいろな英語のおもちゃが今やたら出てきたし、NHKも籾井さんになったら英語の番組を海外なんかでも随分ふやしてきていますから、あれは結構いい傾向だなと思って私は見ています。ぜひ少しずつ、英会話とか、聞けるとか話せるという部分をふやしていく必要がある、私にはそう見えます。

鷲尾委員 もう時間も来てしまいましたので、最後、コメントだけしたいと思いますが、大臣の御見識、御披露ありがとうございました。

 AIIBで、今、スタッフを急速に拡充しようとして、世銀からも引き抜きをしている。そういう人たちは横のつながりがあるわけですよ。そこの人材のプールに日本人がコミットしておかないと、日本だけがやはり、それは何人か特殊な人たちはいますよ。そうじゃなくて、もっと日本が影響力をふやしていくためには、英語教育を含めて裾野を広げることもそうですし、そういった人材プールにちゃんと日本人がどんどん出るという環境を、政府として、財務省として、しっかりとイニシアチブをとっていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

古川委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 維新の党の伊東信久でございます。

 本日は、二十五分間という短い時間ではございますけれども、よろしくお願いいたします。

 それでは、内閣官房の方にも来ていただいていますので、まず冒頭、一昨日発覚いたしましたドローンの落下事件についてです。

 報道ベースによりますと、日本の中枢機関とも言える総理官邸の上空が全く危機管理されていない状態であったことが明らかになりました。さらに、ドローンが落下した屋上には約一カ月間にわたり人が立ち入っていないことが明らかになりました。

 この辺の危機管理に甘さを感じているんですが、まずは、この事件について今後の対応策を教えてください。

塩川政府参考人 お答えします。

 御指摘の事案につきましては現在警視庁において捜査中であり、官邸などの警戒警備についても、その捜査結果などを踏まえつつ、随時必要な見直しを行ってまいりたいというふうに考えております。

 なお、警察としては、本事案の発生を踏まえ、官邸周辺空域に対する警戒監視を徹底するとともに、周辺エリアにおける検索を強化するなど、警戒警備に万全を期しているところでございます。

伊東(信)委員 まあ通り一遍の答弁だと思うんですけれども、このドローンに、放射性物質が含まれた、正確に言うとセシウム137が入っている液体がプラスチック容器の中に入っていたということなんですけれども、毎時一マイクロシーベルトということで、直ちに人体に影響がない程度ということなんです。

 かかるいろいろな状況を今調査中だと思うんですけれども、人体に影響がない程度のもの、しかしながら放射性物質というような危険なものがそこに存在していたというのは事実でございまして、これは、こちら側のことではなくて、向こうが人体に影響がない程度のものを設置していたのか、たまたまそれぐらいの程度のものだったのかわかりませんけれども、逆にこれが非常に危険なものであったらどうするのかということも踏まえて、今後の対応策を、具体的にどうすべきかということについて、もう少し詳しく教えてください。

塩川政府参考人 お答えします。

 私、警察庁からでございますので、警察の方だけでお答えできる話ではないとも思うんですけれども、現在、ドローンというものについては法規制がない状態でございます。こういったことについては、政府として検討していくことになっているというふうに承知しております。

 そういった観点で、現実に起きたことでございますので、今後対策が検討されてまいると思いますし、また、今御説明したとおりでございますけれども、警察としても、できる範囲のところで万全を期すように現在措置をとり、実際に警戒警備の体制なども既に見直したところでございます。

麻生国務大臣 これはちょっと警察だけで答弁ができないと思うので。

 これは規制の話ですが、このドローンというのはよくできています。小さいものから大きいものまで見たことがありますし、大きなメーカーも知らないわけじゃありません。これは昔から研究していましたので、現場を見に行ったことがあります。農薬をまいたりするのにすさまじくこれは便利なもので、省力化になりますし、いろいろな意味で使えるし、工事現場でもカメラをつけて使えたりします。ダムの建設現場を含め、物すごく使い道が広いということでこれは開発されつつあったものです。

 使い方によってはという話はよくある話で、医者をやっておられたので、同じニトロでも、心臓にも効くけれどもダイナマイトにもなるというわけですから、それと同じ話で、これは両方使えます。これを警察だけに任せておくと、とにかく規制、規制で、何だか知らないけれども、いきなり、将来大きなものを生みそうなものまで潰されかねませんから。

 そういった意味では、これはいい面で使えばちゃんと使えるという部分と、国家の、例えば財務省なんてあの辺では一番低いビルですから一番落としやすいところでしょうけれども、ああいったところやらをきちんと守るという話と全然別に考えないといけない。

 きちんとそういったものを総合的に考えていくべきだとは思いますが、考えようによっては、ほら、こういうこともやられるんですよ、おたくの警備はこれだけ手薄なので、今の近代化されたものには警察の対応力では全然無理よということを教えてくれた親切な人がいたと考えたらどうだと。これはアメリカ人が言ったせりふなんですけれども、ああ、こいつらは俺たちと発想が全然違うやつだなと、僕はきのう、そいつとしゃべりながらつくづくそう思ったんです。

 ぜひ、そういったいろいろな意味で、これはいい面と危険な面と両方見て対応していく必要があろうと存じます。

伊東(信)委員 麻生大臣、ありがとうございます。

 この後私が言いたかったのもそういう意味で、ドローン自体は、大臣の御答弁にもありましたけれども、災害にも工事にも使えますし、もちろん医療の現場でも活躍しております。私、特別委員会が科技特でございまして、ドローンも、無人の操作になりますけれども、災害におけるロボットとしての有用性も今後いろいろ検討できる、そういったポテンシャルを持っております。

 ですので、いい面と悪い面というのもあると思うんですけれども、一つ今回明らかになったのは、大体十万円台でGPSもついたそこそこのものが買える。ということは、製作とかのコストもそれ以下になる。一番安価なものになると、一万円以下でもある。ただ、一万円以下のものの性能はどうかということもありますけれども、いずれにしても、悪い方の面でいくと、それが武器になるとすれば、安価なところで武器がつくられるというところも、今回、危機管理の面では教訓になったと思います。総理官邸は日本の中枢ですので、ぜひともしっかりとした対応策をとっていただきたく、お願い申し上げます。

 続きまして、社会保障と税の一体改革に関連した質問をさせていただきます。

 社会保障と税の一体改革により、消費増税により増収した収入全てを社会保障費に充てることが決まりました。

 消費税率が一%上昇すると、国は二兆円の増収になると試算されています。一方で、社会保障関係費は年間一兆円規模で自然増していくと想定されています。となると、単純な計算ですけれども、消費税を一%上げれば二年分の社会保障関係費を補充できる計算になります。

 消費税が八%に上がったのは二〇一四年四月で、一〇%に上がる予定は二〇一七年四月になっています。五%から一〇%に直接上がった場合は増収が約十兆円と見込まれ、社会保障の観点からすると、十年の増加分には耐えられるということになります。二〇二四年までは何となく何とかなるという、単純な計算ですけれども、そういった計算になります。しかし、二〇二四年まで何とかなるというのは、二〇二四年まで財政状態が現状維持できるということでありまして、財政再建にはつながっていません。

 私自身は、民主党政権時に自公と三党で社会保障と税の一体改革が成立したことに対しては、国会議員になる前でしたので、一人の医師としてそのこと自体は喜ばしいということを感じていましたが、中身自体、単に、増加する社会保障の負担をどこに強いるか、国民に強いているだけで、抜本的な改革ではないのかと失望しております。

 厚労委員会におきまして、持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険等の一部を改正する法律案に対して、私、一昨日質疑させてもらいましたが、こちらも、負担のツケ回しに終始しているだけで、抑制策ということは全くと言っていいほどありませんでした。

 せっかく社会保障と税の一体改革で社会保障費の増加分をカバーするということであるのならば、この数年間で、これもモラトリアムと言えるのではないかと思うんですけれども、モラトリアム期間とも言えるこの期間で社会保障費の抜本的な改革を進めるべきではないかと考えております。

 せっかく社会保障と税の一体改革によって社会保障関係費の抜本的改革に着手できるチャンスに恵まれた安倍内閣だと思うんですけれども、厚労委員会の話になるんですけれども、今回の持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険等の一部を改正する法律案は、今申し上げましたように、負担のツケ回しに終始しているだけで、医療費抑制には全くと言っていいほど踏み込めていないことに関して、副総理としての感想を聞かせていただきたい。

麻生国務大臣 社会保障と税の一体改革は、消費税を五から一〇に上げるのに三と二、いろいろな形になりましたけれども、そのときの大前提というのは、今後、日本の国家として、少子高齢化の流れは当分の間はちょっと変わらぬだろう、そうすると、いわゆる団塊の世代が後期高齢者だ何だということになっていくときにはとても対応ができないと。

 そういうときに当たって、今のように、ほっておくと医療費というか社会保障関係費が毎年一兆円ずつ伸びますというような状況にしておいたままやれば当然財政はもちませんから、国民皆保険だなんてとんでもありませんよということになるというので、三党で真剣に検討された結果、こういった形で三党で合意をした。税の値上げを与野党で合意したなんという国は、先進国ではなかなかない例なんです。そういった意味では、大したものだと思うんです。

 その結果、今、医療費の改正とか社会保障全体の改正というのを全部やらせていただいて、例えば今の段階でも、ことしの予算では、去年の八月の概算要求の段階で社会保障関係の値上げが約八千億円だったと記憶しますけれども、実際には四千億円前後でおさまるところまでいろいろなものをやらせていただいたんです。

 例えば、紹介状なしで大学病院を受けるというのは、先生なんかは詳しいところでしょうけれども、定額負担など、医療サービス利用者の行動の適正化ということをやらせていただいたり、医療費適正化計画の実効性ということにおいては、保険者機能の強化といったことをやらせていただいて、具体的なことを言った方がいいのかどうか存じませんが、後期高齢者の保険料の特例軽減の見直しとか、それから入院時の食事代の引き上げ、また所得水準の高い国保組合の国庫補助金の見直し等々、幾つかありますけれども、こういったようなことをやらせていただいて、我々としては努力をさせていただいております。

 これまで決定されたものというのは、先生、簡単に言えば大枠の制度、社会保障と税の一体改革ということで全体の枠が決められただけですから、細目について、保険者や被保険者などが医療費の適正化というものに双方で取り組んでいかないとどうにもなりませんので、詳細なルールとか設計というものは行政によって周知をさせないと、ある日突然に変わったりしてもあれなので、きちんと周知させることが重要だということははっきりしていますので、引き続き、病院はもちろん診療所等々いろいろなところにきっちり働きかけていくということが大事であろう、私どももそう思っております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 大臣の財政再建への熱意は重々承知しております。しかしながら、厚労省と麻生大臣の熱意にちょっと温度差があるようにも私自身感じております。

 現役の医師みずから積極的に医療費の抑制に取り組むというのは、本当に、身を切る改革じゃないですけれども、余りないことなんですね。ただ、社会保障と税の一体改革で大切なことは、大臣はこれからとおっしゃいますけれども、やはり医療業界の方に医療費抑制の文化を根づかせることでありまして、性善説で任せておいても医療費削減にはつながらないと思うんですね。

 現実は、監督省庁である厚労省が率先して医療費抑制を指導するべきだと思うんですけれども、言い方は悪いですけれども、ここは財務金融委員会なので財務省にいいことを言っているわけじゃないんですけれども、財務省が幾ら頑張って財源をふやしても、厚労省が負担をふやしている感じもします。

 再三申し上げているように、ジェネリック医薬品の使用率の向上やバイオシミラーの積極的な使用促進など、他国で当たり前のように取り組んでいることが日本では大きく取り残されているんですけれども、いま一度、本当に、副総理である麻生大臣が音頭をとって医療の現場に医療費自体の削減を言及してほしいのですけれども、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 先生はお医者さんだったのでおわかりと思いますけれども、例えばジェネリックの話にしても、新薬というものを一番開発しているのは間違いなくアメリカ、特許の数を見ても圧倒的にアメリカだと思いますし、次にスイス、フランスというところが続いてくるのかなと思いますが、アメリカでは、後発の薬の使用というのは九割を超えていますものね。一番新薬をつくっているアメリカで、後発のものの使用が九割なんですよ。日本は四割。ですから、これを詰めるだけでウン千億違うと思います。これは毎年ですからね、先生。

 だから、そういった意味で、一つの現場の話としては幾つもあります。そういったものを数え上げるといろいろあるので、保険給付の範囲とか医療費の適正化とか、いろいろな役所用語はいっぱいありますけれども、現場に言わせれば、今申し上げたような小さな小さな話。でも、これは皆保険ですから、数からいきますと物すごい量、イコール巨額な予算になります。

 そういったことで、私どもとしては、患者負担というものについて、例えば、何歳というのは知っているけれども、昔の何歳と今の何歳は見てくれは全然違うぐらい、今の人は平均寿命も全然違います。昔は五十五歳で高齢者だったんですから。今は、とてもじゃない、七十五歳でこの程度ですから、まだ働けそうなのはいっぱいおりますので、働ける人はやはり働いてもらうという方向で考えないと。働ける人は働いてもらって税金を納めてもらう方が、働けるのに働かないで、何となく暇潰しに病院なんかに来られたら迷惑だといって医者がわんわん怒るのは僕も無理ないなと。私は、自分で病院をやっていますから、よくわからぬわけじゃありません。

 そういう話をよく聞くにつけ、やはりこれは全部で少しずつやらないといかぬというか、現場の話をやるのが一番大事なこと、そして加えてレセプトのIT化とか今いろいろなものがありますけれども、こういったものをやることによってコストがどんと下がりますので、そういった努力というものをみんなで、あちらこちらでやっていく必要があろうか、私どもはそう考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 みんなで考えていくというところに大臣の熱意をやはり感じられましたので、今後も、麻生大臣に音頭をとっていただいて、こういった問題に取り組んでいただければ幸いです。

 時間もあと五分となってきましたので、もう一問ぜひともお聞きしたいことがございまして、財政再建の新指標に債務残高対GDP比を用いることについての質問を最後にさせていただきます。

 債務残高対GDP比の指標を用いること自体は、私自身、反対ではありません。ただ、この数値を、以前の質疑にもありましたけれども、プライマリーバランス、PBよりも優先的に掲げてしまいますと、歳出削減をしなくても財政再建が進んでしまうという誤解を国民の皆さんに与えてしまうのではないかという心配があります。

 安倍政権になってから経済成長が続いていますので、隅々までは行っていないと私も思うんですけれども、株価を含めての経済成長が続いているので、この指標を用いたい気持ちは重々承知しているんです。この債務残高対GDP比の指標は、先ほどの社会保障の話じゃないですけれども、歳出削減の手を緩めてしまうのではないかという一抹の不安も覚えております。

 さて、この指標を用いるにしても、プライマリーバランス、PBの黒字化が一番手で、第二の目標として債務残高対GDP比を用いるべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 時間もあれなので、答えはそのとおりです。これで十秒で終わるんですけれども。

 基本的に、プライマリーバランスという、プライベートブランドと間違えた人もいっぱいいるような単語がある日突然に政府から出てきたんですが、基礎的財政収支ということですが、基礎的財政収支は御存じのように金利が入っておりませんから、したがって、PBバランスをゼロにします、半減化しますといっても金利はそのまま残っておりますので、金利がどんどんふえていけば国債のあれは累積していくことになります。

 したがって、今言われたように、きちんとした目標というのを、二〇二〇年度に仮にゼロを達成できた、その後は債務残高対GDP比というものにしますと、金利もその中に入ってまいりますので、そういったものを次の目標として掲げるというのは決して間違っていない、私も全くそう思いますが、その前のPBのバランスまでもいっていないわけです。まずはそこまでやるところからスタートさせていただいて、それを達成した次に今言われたような目標をきちんとやるべきであって、やるに当たっては、歳出削減もやらないかぬ、税収を伸ばすこともやらないかぬ。全てやらないとこれはとても達成できる話ではありませんので、やはり長いことかけてこれだけ赤字をやってきておりますので、そんな簡単に一年や二年で、はいと直るはずもありませんので、きちんとした努力を各項目にわたって全部やり上げていかぬと、さっきの医療費の支出も含めまして、大事なところだと思っております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 最後、医療費のことも含めておっしゃっていただきました。我々医師というのはインとアウトというのを常々考えていまして、例えば何ミリからの血液を流したら、そこに同じだけの水を入れるだけではだめで、中に含まれている塩分とかミネラルも考えなければインとアウトのバランスがとれないということで、だったら出血しないようにしようよと考えるのがまず外科医の発想で、入れることばかり手をかえ品をかえしてもだめなわけでございます。

 この歳出削減に関してというのが財務金融委員会に来させていただいた私の目標でございまして、医療業界というのは残念ながらまだ既得権益というのが残っております。余り言い過ぎると医者の友達が減ってしまう可能性があるんですけれども、安倍総理の三本目の矢において農協改革を断行されてきましたので、ぜひとも医療改革の方も断行してほしいということを結末にいたしまして、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

古川委員長 次に、吉田豊史君。

吉田(豊)委員 きょうは二十五分いただいております。質問させていただきます。

 今回は、アジアインフラ投資銀行、そしてその関連のところについてお聞きしたいと思います。

 私自身は、この質問に当たりまして、あしたのために、その一、アジアそして世界の胴元になるために、胴元という言葉がいいかどうかわかりませんけれども、そういう思いで始めさせていただきたいと思います。

 きょうは、改めて、財務金融委員会の方に所属させていただいて本当によかったなと思います。一瞬たりとも気を抜けない大事な話がどんどん出てきまして、そして、何よりも前向きに話を進めようとしている姿が本当にうれしいと思っております。

 今回は、私なりに、何遍か前から比べると勉強しました。そして、アジアインフラ投資銀行のことについては、やはり根本として、我が国においてこれからどうなっていくかという大きな戦略や危機感、こういうものがあった上でのこれからの判断だろうと思っています。

 そこをやはりお聞きして、連休に入ると、私も地元に戻って国政報告会なるものを初めてやります。そのときには、財金委に所属して、このAIIBについてどうなっているのと言われて答えられないわけにいかないので、改めて、わかりやすく御答弁いただきたいと思います。

 危機感ということを申し上げました。もうちょっとだけ私がしゃべらせていただきますけれども、先ほど、うちのところの伊東委員の方でドローンの話が出ました。私も宿舎からいつも歩いて通うんですけれども、そこに事案のあった大切な官邸があるわけですね。平生歩いているときと、ドローンが落ちておったという話の後で、僕は、慌ててでもいいから、やはりきちっと対応がなされているべきだと思うんですね。それが日々と変わらない姿では危機感の欠如だろう、私はこう思います。いつもは角々にしかいない方々が今回は十人、百人並んでいるとか、そういう見てわかる姿、危機感を持って対応しているんだ、こういうこともぜひお示しいただきたいな、これが私の思いですので、受けとめていただければと思います。

 質問に入ります。

 先ほど藤丸委員の質問から入ったと思いますけれども、アジアインフラ投資銀行、そういうようなものに並ぶものとして、まずは世界銀行、それからIMF、そして我が国が中心になってやっているアジア開発銀行、こういうものが世界の三本柱だろう。

 ここなんですけれども、まず初めに、AIIBを比べる手前の話として、アジア開発銀行、ここは我が国が中心であるならば、これについて理解をしていきたいと思います。この概要について確認させてください。

浅川政府参考人 お答え申し上げます。

 アジア開発銀行、ADBでございますが、これは、アジア太平洋地域の途上国に対する開発支援政策の実施を目的といたしまして、一九六六年に設立された国際開発金融機関、国際機関でございます。

 アジア開発銀行には、実は二つ勘定がございます。一つは中所得向けの融資を行う通常資本財源、よくOCRと申しておりますが、と呼ばれる勘定と、それから低所得向けの融資、グラント、したがってこれは金利がより低く、あるいは無利子ということなんですが、を行うアジア開発基金、ADFと呼ばれる二つの勘定がございます。

 二〇一三年のデータとしては、通常資本財源の方の総授権資本は一千六百二十八億ドル、これは円に直しますと大体二十兆円の規模でございます。こちらの融資残高は五百三十一億ドル、円建てで六・三兆円ということになってございます。

 他方、低所得向けのアジア開発基金の方でございますが、こちらの勘定の資本金は三百四十九億ドル、円に直しますと約四・二兆円。こちらの方の融資残高は二百八十六億ドル、円建てで約三・四兆円ということになっているところでございます。

吉田(豊)委員 今ほどの御説明を聞きますと、中所得国そして低所得国、この二つの国の経済規模によって物事を分けていくという考え方が入っていると。

 出資のシェアを見てみますと、例えば今対象としている中国とかも出資している。要は、このADBの中には中国という国、それから今回いろいろなかかわっている国も当然入っている、これが大前提という理解でよろしいですか。

浅川政府参考人 お答え申し上げます。

 ADBの出資比率を見ますと、トップシェアをとっておりますのは日本とアメリカでございますが、例えば中国は第三位でございますし、インドは第四位ということで、今回のAIIBの交渉に参加した国の多くはADBの加盟国でございます。

吉田(豊)委員 そうすると、特に私は今回、中国にこだわって考えてみたいんですけれども、中国もこのADBという中で当然供与されているといえばいいか、それを利用している、そういう国であるということで間違いないでしょうか。

浅川政府参考人 お答え申し上げます。

 中国の場合には、先ほど申し上げましたADFという低所得国向けの勘定からの融資はございませんが、OCRという中所得向けの勘定からの融資残高はございます。

吉田(豊)委員 そして、このアジア開発銀行というのが、ディベロップメントバンクということですから、開発する、そういうときに、きょうの大臣の答弁の中ではやはり三つの大枠があるという歴史的な経緯だけれども、アジアの地域においては特に今まで考えられない規模の大きな需要が出てきているところが、条件が大きく変わってきているという話だと思うんです。

 それで、現時点で、アジア開発銀行、せっかく我が国が中心になってやっているこの仕組みはアジア地域のインフラの需要に応えられている状況なのか、それとも、幾らかの問題点というか、これからの展望が必要だということを考えているか、それについての認識をお聞きします。

浅川政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員がまさにおっしゃいましたように、アジア地域のインフラ需要は膨大なものがございます。ちなみに、このアジア開発銀行、ADBが試算をしておりまして、彼らの試算によりますと、二〇一〇年から二〇二〇年までの十年間の試算でございますが、約八兆ドル、円建てで九百六十兆円ぐらいのインフラ需要があるとされているところでございます。

 これに対して、アジア地域では、もちろんアジア開発銀行のみならず世界銀行等々の国際開発金融機関がかなり積極的に融資活動を行っているところでございますが、到底量的には八兆ドルという需要を充足するようなものではないということは事実でございます。

 こうしたインフラ需要に対応するためにADBとしましてもいろいろな取り組みを行っておりまして、先ほど申し上げた、ADBには二つの勘定、通常融資勘定と低利の融資勘定がございますが、この二つを統合する、そうしますとADB全体の資本が厚くなりますので、このことによって融資可能額をふやす取り組みを今なさっておられるところでございまして、日本としてもこうした取り組みを例えば全面サポートしている。

 それから、そもそもこうした膨大なインフラ需要に対するファイナンシングとしてはいわゆる公的資金だけでは到底不可能でございまして、いかに民間資金を有効にこの地域に呼び込んでくるかということが不可欠な要素だと思います。

 ADB、アジア開発銀行としましても、そうした民間資金をいかに動員できるかについても真剣に検討を行っておるところでございまして、例えばアジア地域におけるPPPのインフラ案件の組成準備を支援するための新たな基金の、去年の秋でしたが、設立を決めたところでございますし、それ以外にも、ADBが行っております融資のプロジェクトの実施にかかる期間を、今長いというような御指摘がございますので、できるだけ短縮化する試みですとか、あるいはADBは現地事務所を二十九ぐらい持っているんですが、本部ではなくて現地事務所に権限を移譲するような試みをすることによって、できるだけ使いやすくするような国際機関になろうという努力をしているところでありまして、日本としてもそういう努力をサポートしていきたいと思っているところでございます。

吉田(豊)委員 そういう我が国が中心になって行っているアジア開発銀行に対して、今新たに出てきているのがAIIB、アジアインフラ投資銀行ということだと思うんですけれども、そうすると、端的に、アジアインフラ投資銀行というのはどういうものなんでしょうか。

浅川政府参考人 お答え申し上げます。

 AIIBでございますが、これは中国が二〇一三年の秋に提唱されたものと理解しておりますが、基本的には、今議論に出ましたアジアのインフラ資金需要を背景に、アジア地域におけるインフラ整備と経済発展を支援するために、中国により提唱された構想だということだと思います。

 AIIBは現在、まさに、交渉参加国は今五十七カ国ということらしいのですが、五十七カ国の間で設立協定を交渉している最中でございますので、なかなか今の時点で細部にわたって全てクリアになっているということではございませんが、少なくとも、中国側の説明によりますと、資本規模は、授権資本が一千億ドル、日本円にして大体十二兆円、そのうちの払い込み資本が二百億ドル、二兆四千億円という規模で発足したいということのようでございます。

 それ以外に、具体的にオペレーションが始まった後の融資規模はどのくらいになるかですとか、格付がどうなるのかとか、あるいは融資条件、金利がどうなるのか、あとガバナンスのあり方がどうなるか等については、設立協定の交渉中でございますので、今のところまだ不明だということでございます。

吉田(豊)委員 これは中国が主導してということだそうですから、中国は中国なりの自分たちの戦略があってこういうことを考えているんだろうとは思います。

 全体の姿としては、世界的には、アジア地域においてインフラについて一千兆円近く、そういうような大きな規模でお金が必要となってくるだろうということは、当然我が国も読んでいるわけだと思うんです。

 こういう中で、改めて、このタイミングで中国が主導してアジアインフラ投資銀行というものを提案してくることを我が国とすればどのように捉えているか、これを確認させてください。

浅川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども出てきましたように、AIIB、アジアインフラ投資銀行は、例えば二〇一〇年から二〇年までの間において八兆ドルと言われるようなアジアのインフラ資金需要を背景に、アジア地域におけるインフラ整備、経済発展を支援するための構想ということで中国から提唱されたものと承知してございます。

 日本といたしましては、こうしたアジア地域に高いインフラ需要があるということは事実でございますし、そうした背景がこのアジアインフラ投資銀行のバックにあるということは、認識としては共有してございます。

 ただし、このアジアインフラ投資銀行に関しましては、当然、公正なガバナンスを確保しなくてはいけない、それから借入国の債務の持続可能性といった点を十分に考慮した貸し付けを行わなければならない、あるいは環境や人権、社会問題に配慮した貸し付けを行わなければいけない、さらには調達ポリシーが透明でなくてはいけないという、幾つか、当然、通常、国際機関にふさわしいスタンダードが導入されるかどうかというところに関しまして、先ほど申し上げましたように、ちょっとまだ設立協定が交渉中ということもあり、まだ今の時点でははっきりしないところでございまして、その点につきまして、日本としては中国側にかなり積極的に働きかけを行っているところでございます。

吉田(豊)委員 そうすると、我が国の戦略といえばいいか、考え方からすると、このアジアインフラ投資銀行というものは、我が国がもともと主体として持っているアジア開発銀行に対して対立する存在というふうに捉えていることになるんでしょうか。どうでしょうか。

浅川政府参考人 お答えします。

 アジア開発銀行とアジアインフラ投資銀行の関連でございますが、多分一つ言えると思いますのは、先ほど申し上げたインフラ需要というものが余りにこの地域において膨大なものですから、世銀、アジ銀、それから今回おできになるアジアインフラ投資銀行等幾つ銀行ができても、恐らくそれらだけで八兆ドルにも及ぼうとするインフラ需要を全て充足することはもとより不可能だろうと思うんです。

 そうした観点から、基本的にはこうした膨大な資金需要がバックにありますので、需要自体がどんどん膨らんでいきますので、そういう意味で、AIIBとADBが競合する、AIIBが貸し付けたからADBの貸し付けがはじかれるとか、その逆であるというようなことには多分ならないものだろうというふうに思っております。

 いずれにしましても、AIIBは国際機関になるわけでございますから、その融資に関しましては、これまでの世銀やADBを初めとする既存の国際機関のように、質の高いルールそれから公正なガバナンスのもとでこれが行われることが何よりも重要だと思っているところでございます。

吉田(豊)委員 そうしますと、それは、言葉は悪いですが、仕切る側といえばいいか、用意する側の考え方だと思うんですね。

 これを、今度は、借りる側というか、どっちにしようかなと思う側からすると、やはりここでというのは、比べられる、単純に言うと比較されるということだと思います。

 そういう意味で、我が国が中心になるアジア開発銀行の強みについては幾つか説明されましたし、私もやはり経験を積んだ上での部分だろうなと思うんですが、現時点で、今、先行きがどうなるかわからない、見えてこないと言っているAIIBについて、お金を貸すということになれば、当然、いつも大臣が私に教えてくださっている、投資ということになれば目ききだよというところで、物事を見る、そして判断するという一番大切な、融資であれば必須の審査能力といえばいいか、物事を判断していく、そういうものを備えているというふうに我が国は見ているんでしょうか。

浅川政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員もおっしゃいましたように、アジアインフラ投資銀行は国際機関でございますから、何よりも、質の高い融資能力、グローバルスタンダードを十分に考慮に入れた質の高い審査能力を備えることが極めて肝要かなというふうに思っております。

 アジアインフラ投資銀行というのは、早ければ年内に業務を開始したいと中国はおっしゃっているわけですが、今現在ではまだ設立協定の交渉中なものですから、これから設立協定が発効し、そこから人材を世界各国から集めていく。

 私の理解では、アジアインフラ投資銀行の人材というのは、加盟国だけではなくて非加盟国からも優秀なスタッフを集めたい、こうおっしゃっているようでございますので、恐らく世界各国からこうした国際機関にふさわしい人材が今後登用されていくことになると思います。

 したがって、今時点でAIIBの融資業務に必須の融資能力が備わるかどうかというのは定かではないわけですけれども、日本としましては、AIIBが既存の国際機関と全く遜色のない質の高い審査能力が備わるように、引き続き、関係国とも連携したいと思いますし、中国側に対して働きかけを行っていきたいと思っているところでございます。

吉田(豊)委員 改めて、我が国は今回、AIIBに対する参加を交渉の手前のところから見送っているという、合っていますか、様子を見るという形で、交渉に入る手前のところで既に我が国とすれば参加しないという形にしておるわけですけれども、これを見送った理由を確認させてください。

浅川政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員がおっしゃいましたように、今はまだ交渉進行中でございますので、今回、三月三十一日というのが交渉の期限だったようでございますが、交渉に参加するという意思決定は日本としてはしなかったということでございます。

 今申し上げたように、やはり我々としましては、AIIBが国際金融機関、国際機関ということになりますと、この融資につきましては、既存の国際機関と遜色のないガバナンスの確保、それから理事会の役割も重要でございますし、環境社会配慮も重要だろうと思います。

 日本は、域内国として中国に次ぐGDP第二位の経済大国でございます。したがいまして、日本がもしこのAIIBに最初に加盟する、参加することになりますとすると、それはAIIBの信頼性、クレディビリティーを極めて向上させることになると思います。そういう観点から、中国も恐らく、日本の加盟を歓迎したいというふうにおっしゃっているところでございます。

 そうした中で、これは交渉術の話になるわけですけれども、日本としましては、中国に対してその日本の懸念を、今までも働きかけを行ってきまして、これからも協議をしていきたいと思っているわけでございますが、そうした交渉をするに当たって、域内第二位の経済大国たる日本は、あくまでも交渉の外からAIIBに働きかける方が交渉能力が高まってレバレッジが高まるという判断をして、とりあえず交渉団には入らないという決断をさせていただいたところでございます。

吉田(豊)委員 今ほどの説明は、非常に明快といえばいいか、そのとおりですし、私自身も支持する考え方なんです。

 それで、こういう物事を進めていくときに、やはりマスコミの報道ですとか世論がどういうふうに反応しているかということも当然重要といえばいいか、きちっと把握していかなくちゃいけない中で、私がこの委員会に入ってすぐのところでこの話が進んでいく中で、大臣としてきちっと確固とした道を示していらっしゃっていて、それがそのとおりに進んでいるので、そういう意味で、私は一つ安心しています。

 けれども、例えば報道の中で、イギリスが参加することになったら、何かそれは想定していなかったとか、そういうばかな話が出てきてみたりとか、一つ一つ不安にさせるなと思うんですね。

 そうじゃなくて、いや、そんなことは織り込み済みだし、もしアメリカが後から入るといったって、我が国は我が国の考え方で全部突き切るんだからと、ここまではっきり示していただいてこそやはりこういう話というのは、中国は入ってくれればいいと思っているといったって、仕切る側と仕切られる側というのは全然立ち位置が違うわけですから、これについては、いやいや、何を言っているのということなんだと思うんです。

 これをやはり我が国として言っていくためには、きょう最初に御説明があったGDP一つをとっても、ずっとこの二十年間頭打ちになっているとか中国に抜かれてしまったとか、こういうような状況が現実としてあるわけだから、これについても、きちっと先の作戦を練って、それで、言葉は悪いですけれども、今に見ておれということぐらいの、我が国として、やはり経済できちっとした国際的な地位を占める、その作戦ができているんだぞといって安心させていただきたい、こういうふうに思うわけです。

 ぜひ大臣から、今回のAIIBに対する一貫した姿勢、これは私は大きく支持します、それからこの先どうなっていくのか、このことについてもイメージをお伝えいただきたいと思います。

麻生国務大臣 二年ぐらい前からこの話が出てきたんだと記憶しますけれども、少なくとも私どもの姿勢は、ずっと同じことしか言っておりません。少なくとも、お金をこういったもので貸す、アジアという以上は、アジアの地域になりますと日本と中国が一番大きな力を持ちますので、そこの中で一番出資はせいと。イギリスが出てくるのは、大体あれはヨーロッパの話ですから出す金は少ない、アメリカもあれですから少ない、常識的にはそういうことになろうと思います。そうすると、日本の場合は、出すけれども発言権はどうだろうかというのが一点。

 二つ目は、お金を出す、貸すということは必ず返してもらうという前提ですから、銀行として融資をするわけですから、融資をするに当たっては、その企業、この豆腐屋は大丈夫かと向こうは審査するわけですね。その審査能力がおたくにありますかといえば、シャドーバンキングを見ても余り、ちょっと大丈夫かとみんな思っている。

 だから、私どもとしては、税金ですから、何千億も預かっておるお金を、下手したら焦げつくかもしれないようなところに、わけがわからぬところにずっと預けっ放しでは、ちょっとそれはとなりますから、きちっと理事会を開いて、常設してくださいと。ところが、理事会は常設しないとおっしゃるから、理事会を常設しないと、誰が決めるんですかということになると、事務局がという。それはちょっと偏ることになりますので、私どもとしてはということを申し上げてきておるのがこれまでの経緯です。

 ひとつその点を頭に入れて、引き続ききちっと関係国と連携して対応してまいりたいと思っております。

吉田(豊)委員 おっしゃるとおりでして、AIIBは今後あちらのやり方で進んでいくんでしょうけれども、それをチャンスとして、我が国は我が国としての姿があって、それをぜひ比べてくれ、そしてどっちが本当の意味で頼れるのかというところまでの比較に入っていただいて、その上で、その先はやはり最終的に力を合わせて進んでいかなくちゃいけないということは間違いないので、ぜひ我が国のスタンスをきちっと強く主張していただいて、そしてまた国民に対しても、私も帰って言いますけれども、そういうメッセージをまた改めて強く折々に出していただきたい、こういうふうに思うところでございます。

 きょうはありがとうございました。終わります。

古川委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 きょうは、日本銀行の異次元の金融緩和政策と、GPIF等、公的年金の資金運用問題について質問をいたします。

 最初に、年金積立金の運用について聞きます。

 GPIF運用委員長の米沢康博早稲田大学大学院ファイナンス研究科の教授は、昨年十二月に、不動産証券化協会のARES年金フォーラムの集会で、GPIFの運用方針の変更について基調講演を行いました。「今回のポートフォリオの変更にあたっては、まず、国内債券を可能な限り減らしたいというのが第一の命題でした。なぜ減らしたいかというと、デフレ経済を脱却し、政策としてもインフレを目標にしているためです。インフレが生じれば、多少のタイムラグはあるとしても金利の上昇が想定されるため、金利上昇リスクを一番恐れたというのが実際のところです。」と語っております。

 つまり、ポートフォリオ変更の第一の目的について、政府のデフレ脱却、インフレ政策により金利上昇が起こるので、リスクを恐れて国内債券を減らすことだと語っているわけでありますが、これは厚生労働省、政府も共有する認識でありますか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の基本ポートフォリオの見直しは、新しい財政検証等を踏まえ、GPIFにおいて、経済、金融等の学識経験者から成る運用委員会の意見を踏まえ、資金運用に関し一般的に認められている専門的な知見に基づき、慎重に検討を重ね、実施されたものでございます。

 具体的には、現在の基本ポートフォリオは、デフレからの脱却、適度なインフレ環境への移行など長期的な経済、運用環境の変化に即し、国内債券だけでは実質的な年金給付を確保することが困難となるという想定のもと、被保険者の利益のために最適な運用について専門家に検討していただき、策定されたものでございまして、その結果、これまでよりも国内債券比率が下がり、株式比率が上がったものと承知いたしております。

宮本(岳)委員 その検討を行った専門家、まさにGPIF運用委員長がそう語ったわけですからね。

 去る三月十三日、当委員会において、私の質問に対し西村副大臣は、GPIFの資産運用方針の変更は、デフレ環境からインフレの環境へと変わってくる、我々はそれを目指して今政策を推進しておりますので、したがって、債券として持ち続けるよりも、成長してインフレに応じて投資をしていくという答弁を行いました。これは、政府もデフレからインフレになることを前提として運用方針の変更を行ったという説明であります。

 しかしながら、なぜ、政府の政策に左右されず客観的な市場予測により決められるべき年金資金の運用方針が、政府の目標であるデフレ経済の脱却の成功を前提とするものになっているのか。デフレを脱却してインフレになるかどうかは、まだ未知だと言わなければなりません。

 実際、二年前に黒田日銀総裁が異次元の金融緩和政策を打ち出した際には、二%の物価安定目標を、二年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現するというのが公約でありました。

 しかし、二年後の現在、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースで見ればゼロ%程度ということであります。黒田総裁も、二〇一五年度を中心とする期間に二%程度に達する可能性が高いと、大幅に下方修正をしております。

 つまり、インフレも起こらず金利も上昇していないというのが今の現状、既に運用方針のこの前提条件は崩れていると言えるのではありませんか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 年金積立金の管理運用は、厚生年金保険法等により、専ら被保険者の利益のために、長期的な観点から安全かつ効率的に行うこととされておりまして、基本ポートフォリオにつきましても、GPIFにおいて、基本的には五年に一度の財政検証に合わせて見直すこととされております。

 この基本ポートフォリオ策定に関する経済前提につきましては、専門家により慎重に検討する必要があり、昨年の財政検証に用いた年金財政における経済前提については、経済、金融等の専門家から成る社会保障審議会年金部会年金財政における経済前提と積立金のあり方に関する専門委員会において、マクロ経済に関する長期の試算を踏まえ、また幅の広い経済前提にも対応できるものとして検討を重ねて示されたものでございまして、昨年三月に専門家により妥当な前提が設定されたものと理解しているところでございます。

 また、現在の基本ポートフォリオは、デフレからの脱却、適度なインフレ環境への移行など長期的な経済、運用環境の変化に即し、新しい財政検証等を踏まえ、GPIFにおいて、経済、金融等の学識経験者から成る運用委員会の意見を踏まえ、長期的な観点から検討され、昨年十月末に見直されたものでございます。

 なお、GPIFは中期計画に、市場動向を踏まえた適切なリスク管理等を行い、定期的に基本ポートフォリオの検証を行うほか、策定時に想定した運用環境が現実から乖離している等必要があると認める場合には見直しの検討を行うと定めておりまして、長期的な観点から、策定時に想定した運用環境から現実の運用環境が乖離している等必要があると認める場合には、GPIFにより基本ポートフォリオの見直しが行われるものと承知いたしております。

宮本(岳)委員 各専門家において検討した、そういう答弁ばかりが続くんですが。

 今、出ましたね、社会保障審議会年金部会でも検討したと。それで、これは三月十八日付のブルームバーグですけれども、ここにこういう報道がありました。

 昨年三月、今回のポートフォリオの変更の前提となる年金財政検証に用いられた経済指標、経済前提条件が公表されたときに、社会保障審議会年金部会の委員でもある日本総研の西沢和彦氏は、その決定過程について、GPIFの運用目標は経済的に理論的に導かれた結論というより政策判断だ、リスク資産での運用拡大を求める圧力もあり、それが市場で材料視される中での判断だったと指摘し、安倍晋三内閣はGPIFを株価対策の道具と見ている印象だとはっきり語っております。

 安倍内閣が日本再興戦略にGPIFの変更を盛り込んだのは、GPIFを株価対策の道具と見ているということではないか。これは小泉政務官にはっきりお答えいただきたいと思います。

小泉大臣政務官 宮本先生御指摘のとおり、日本再興戦略、これは昨年六月ですけれども、この改訂二〇一四において、GPIFの運用について、デフレからの脱却、適度なインフレ環境への移行など長期的な経済、運用環境の変化に即し、年金財政の長期的な健全性を確保するため、適切な見直しを行うものとされています。

 運用の改革は、国民年金法そして厚生年金保険法の中で、運用の目的に書いてあるとおり、被保険者の利益のために行うものとされていますが、同時に、こうした運用が結果的に成長への投資、ひいては日本経済に貢献して、経済の好循環実現につながることも期待をされていますので、成長戦略の一環として位置づけられている次第です。

宮本(岳)委員 前回も、全く同じ答弁を西村副大臣から聞いたわけですよ。しかし、社会保障審議会年金部会の委員でさえ、安倍内閣はGPIFを株価対策の道具と見ているとまで語っているわけですから、これは言い逃れできるものではないと思うんですね。

 国民にとってさらに理解できないのは、金利上昇リスクを恐れて国内債券を減らし、国内株式や外国債券、外国株式の比率を拡大することであります。前回の質疑でも、株の比率が高まったらその分だけ危なくなるじゃないかというのは正しいと麻生大臣も御答弁になりました。

 当然、リーマン・ショックのような事態となれば、多額の損失が出る可能性があります。為替が円高に揺り戻れば、四〇%を外国債券と外国株式で運用しているんですから、少しの円高でも多額の損失が発生するのではないか。国債の保有よりリスクは高くなるんじゃありませんか、厚生労働省。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 年金積立金の運用につきましては、将来の安定的な年金給付に向けて、デフレ脱却後の経済、運用環境に対応し、年金財政上必要な利回りを最低限のリスクで確保することが必要でございます。

 また、年金積立金の運用は、単年度の振れ幅、標準偏差のみを見て判断すべきではなく、年金積立金の性格に即し、長期的な観点から評価すべきものでございます。リスクにはいろいろなものがございまして、多面的かつ長期的な観点で考える必要があるわけでございますが、将来の年金給付をしっかり確保するためには、年金財政上必要とされる積立金額を下回るリスクをできる限り抑制することが重要でございます。

 今回の変更後の基本ポートフォリオは、デフレ脱却、適度なインフレ環境への移行など長期的な経済、運用環境の変化に即し、株式等への分散投資を進めたものでございます。その結果、単年度の収益率の振れ幅は大きくなりましたが、年金財政上必要な積立金を下回るリスクは小さくなったものと理解しているところでございます。

 なお、変更後のポートフォリオで、リーマン・ショックを含む過去十年間、平成十六年度から二十五年度まででございますが、運用したと仮定いたしますと、従来のポートフォリオよりそれぞれの年度の収益の振れ幅は大きくなるものの、この十年間を平均いたしますと名目の運用利回りは四・三%という計算になるということでございまして、これを従前のポートフォリオで同じ計算をいたしますと三・二%ということで、一・一%、新しいポートフォリオの方が高くなる計算になるということでございます。

 また、仮に、この十年間、全額国内債券で運用した場合の収益率を計算いたしてみますと、一・八六%ということで、大幅に下回るという結果になるということでございます。

宮本(岳)委員 つまり、債券中心の運用では期待される運用利回りが確保できないから、リスクが高いがリターンが大きい資産運用の比率を高める、それだけのことなんですね。

 それで、三月十三日の質疑でも確認をいたしましたが、自主運用を開始した二〇〇一年度から二〇一三年度までの平均収益率は二・七%でありました。これは名目賃金上昇率を三・一六%上回っております。運用目標を上回ってきたわけであります。

 現在は金利上昇は起こっていないんですね。インフレ目標も達成していないわけですよ。だから、いつ上昇するかわからない金利上昇を前提にして、利回りが不足するから株式や外債などのリスクの高い資産で運用するというようなことは本末転倒だと言わなければなりません。

 五年に一度、年金財政検証をするんですから、実際に金利上昇などの影響が確認できてから資産運用の見直しをするべきじゃないですか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 年金積立金の運用は、厚生年金保険法等に基づき、専ら被保険者の利益のために、長期的な観点から安全かつ効率的に行うこととされておりまして、GPIFの基本ポートフォリオにおきましても、中期目標等に基づき、資産の管理及び運用に関し一般に認められている専門的な知見並びに内外の経済動向を考慮して、長期的な観点から設定することとされております。

 このため、物価や金利につきましても、長期的な経済、運用環境の見通しを踏まえて設定することが必要でございまして、物価や金利の時々の動きに応じて基本ポートフォリオを見直すのは適切ではなく、今回の基本ポートフォリオの見直しについても、そのような認識のもと、GPIFにおいて、被保険者の利益のために最適な運用について専門家に検討していただき、策定されたものと承知しているところでございます。

宮本(岳)委員 では、最適かどうかをこれから議論しましょう。

 GPIFは、ことし三月二十六日に、投資原則、行動規範というものを決めて、公表しております。どうしてこの時期に公表したのか。また、これはどういうものですか。

山崎政府参考人 お尋ねの投資原則は、運用委員会のガバナンス会議において昨年の十月以来検討いたしまして、GPIFが年金積立金の管理運用体制を強固なものとし、説明責任を果たしつつ、国民の皆様からさらなる信頼を得ていくために、三月二十六日、新たな中期計画期間に入るのに先駆けまして、運用委員会から理事長に建議されたものでございます。

 この原則を実行するために、GPIFは、その組織をさらに整備し、国民の皆様の負託に全力でお応えしていくことといたしております。

宮本(岳)委員 さらなる信頼を国民から得るために定めたと。

 「年金積立金管理運用独立行政法人の投資原則についてのご説明」という文書が同時についております。その中には、「株価対策や経済対策のために年金積立金を利用することは絶対にありません。GPIFは、専ら被保険者の利益のために運用することを誓います。」とわざわざ書かれております。

 ここで言う株価対策あるいは経済対策とはどういう意味ですか。

山崎政府参考人 御指摘の投資原則の御説明は、「株価対策や経済対策のために年金積立金を利用することは絶対にありません。GPIFは、専ら被保険者の利益のために運用することを誓います。」としておりまして、年金積立金は専ら被保険者の利益のために運用し、他事考慮をしないという原則をわかりやすく述べたものでございます。

 ここで挙げております株価対策や経済対策といたしましては、例えば株価維持のためや経済政策のために積立金を利用することというようなことが考えられるところでございます。

宮本(岳)委員 しかし、日本再興戦略には、GPIFの資産運用が成長戦略の一環と位置づけられております。

 先ほど、小泉内閣府政務官も、こうした運用が結果的には成長への投資、ひいては日本経済に貢献し、経済の好循環実現につながるということも期待されているという御答弁でありました。

 まさに経済対策そのものではありませんか、厚生労働省。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 年金積立金の管理運用は、繰り返しになりますが、法律に基づきまして、専ら被保険者の利益のために安全かつ効率的に行うこととされており、被保険者の利益以外の他事考慮をすることは法律で禁止されております。改訂日本再興戦略におきましても、運用の改革は専ら被保険者の利益のために行うものとされているところでございます。

 一方、同じ改訂日本再興戦略では、こうした専ら被保険者の利益のために行う運用が結果的に成長への投資、ひいては日本経済に貢献し、経済の好循環実現にもつながるとしておりまして、専ら被保険者のための運用と日本経済への貢献は両立するものとしているところでございます。

宮本(岳)委員 そういう言い逃れをしても、大体、市場はとっくに見抜いているわけですよ。日経平均が再び二万円を超えたことを報じる四月二十二日付日経夕刊は、日銀の追加緩和期待が金融株や不動産株の買いにつながっていると報じるとともに、東京市場は海外勢の積極的な買いが目立つ一方、下がった場面では年金基金や公的マネーなど長期保有する投資家が買い支える構図だと指摘をしております。

 各経済誌の特集も、日銀、GPIFが買ってくる、アベノミクス本当の勝ち組銘柄。あるいは、鯨GPIF、日銀ETFの賞味期限。これは東洋経済ですね。エコノミストでも、GPIFの株買いはいつまで続くなどの見出しが躍っております。

 株式投資の雑誌でも、GPIFなどの公的年金資金の運用が投資家に注目をされております。日経マネー六月号は、株価が下がれば年金積立金管理運用独立行政法人などの買いが入るため、下値は一万八千円前後と限定的かと書いておりますし、ネットマネー六月号は、異次元緩和拡大と地銀、GPIFの買いでJ―REIT相場は急上昇と見出しを打ちまして、J―REITのインデックスである東京REIT指数は日銀が昨年十月三十一日、量的・質的金融緩和、いわゆる異次元緩和を拡大した途端に急上昇、これに加えてGPIFや共済年金、かんぽ生命、ゆうちょ銀行などいわゆる官製機関投資家の膨大なマネーもJ―REIT市場に流入している、こうした多方面からの需要の急拡大が相場を大きく押し上げたのだと書いてありまして、その特集などは、今狙い目のJ―REIT銘柄ベスト三十、これを買えという話になっているわけですよ。

 日銀の異次元緩和とGPIFなどの公的マネーが株価を押し上げている、まさに株価対策、官製相場だというのはもはや世間の常識ではありませんか、厚生労働省。

山崎政府参考人 繰り返しとなりますが、年金積立金は、法律に基づきまして、被保険者の利益のために安全かつ効率的に行うものとされているところでございまして、今回の運用の改革も専ら被保険者の利益のために行うものでございます。

 その運用が結果的に日本経済に貢献するということはあろうかと存じますけれども、専ら被保険者のための運用と日本経済への貢献は両立するということを繰り返させていただきます。

宮本(岳)委員 私が参議院議員時代に、当時の郵政省を相手に行った議論を思い出しました。郵貯・簡保資金による指定単取引についての質疑であります。

 二〇〇〇年五月十八日の参議院財政・金融委員会で、私は、郵政省が一九九二年に行った郵貯・簡保資金による指定単の運用の増額が当時の経済対策閣僚会議で決定された総合経済対策に盛り込まれていたことを指摘して、株価の買い支えでないとしたら、なぜ指定単の増額が経済対策と言えるのかとただしました。

 当時の簡易保険局長の答弁は、あなた方とうり二つですよ。あくまで加入者及び預金者の利益を目的としたものだが、このことが結果として金融資本市場への資金の流入を通じて経済の活性化に資する面もあったと理解しているというものでありました。それに対して私が、理解できない、政府の経済対策というのは、何か別の目的を持ってやったことがたまたまそういう結果になったものを寄せ集めて経済対策と呼んでいるのか、こうただしますと、横で聞いていた当時の宮沢喜一大蔵大臣は大声を上げて笑いました。

 麻生大臣、平成の高橋是清はこれを笑うだけの見識をお持ちでありましたが、大臣はこの話をおかしいとは思われませんか。

麻生国務大臣 私は宮沢さんほど財政に詳しいと思ったこともありませんので、私は常識的に、先ほどの答えは正しいと思っております。

宮本(岳)委員 そういうことで国の財政運営をやっていると、とんでもないということは申し上げておきたいと思うんですね。

 では、次に、市場へのインパクトについて確認をしたい。

 GPIFについて資産の金額を確認したいんですが、二〇一四年十二月末の運用資産額は百三十七兆円とされております。基本ポートフォリオに収れんするとして、単純な計算をすると、今後、約何兆円の国内債券が売却され、株式の購入余力、外国債券の購入余力、外国株式の購入余力は何兆円になりますか、厚生労働省。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御通告いただきました数字といたしましては、二十六年十二月末の運用資産額と資産構成割合に基づきまして、仮に資産構成割合が基本ポートフォリオと同じだった場合、機械的に計算すると資産額はどのように変わるのかということで御通告を頂戴いたしておりまして、二十六年十二月末の運用資産額でございますが、先生が配付いただきました資料で百三十七兆円、こちらがGPIFの運用資産額でございます。このほかに特別会計で資金繰りのために持っております積立金が若干ございまして、合わせまして百三十八・一五兆円というのが積立金全体の総額でございます。

 これにつきまして、実際の運用資産額につきましては、まず、国内債券が約五十九・六兆円、国内株式が二十七・四兆円、外国債券が十八・二兆円、外国株式が二十七・一兆円、短期資産が約五・九兆円となっておるところでございます。

 一方で、平成二十六年十二月末の年金積立金全体の資産額で、お尋ねのとおり、仮に資産構成割合が基本ポートフォリオと同じだったとして機械的に試算いたしますと、国内債券が約四十八・四兆円、国内株式が約三十四・五兆円、外国債券が約二十・七兆円、外国株式が約三十四・五兆円という数字になるというところでございます。

宮本(岳)委員 いや、質問に答えていないんですよ。そんなことは聞いていない。どれだけ売却することになるか、変動することになるかを私は聞いたんですよ。

山崎政府参考人 今申し上げました数字それぞれについての差額を機械的にはじきますと、まず、国内債券につきましては五十九・六兆円が四十八・四兆円ということでございますので、差額が十一・二兆円。それから、国内株式が二十七・四兆円が三十四・五兆円ということでございますので、差が七・一兆円。それから、外国債券につきましては差が二・五兆円。それから、外国株式につきましては差が七・四兆円。このような計算になるというところでございます。

宮本(岳)委員 本年三月二十日には、国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合連合会、日本私立学校振興・共済事業団の三団体とGPIFが共同で、「積立金の資産の構成の目標(モデルポートフォリオ)」を公表いたしました。被用者年金制度の一元化に向けて、GPIFと同じポートフォリオで運用することを発表いたしました。

 ことし十月一日から一元化されれば、この三共済もGPIFと同じポートフォリオで運用されることになる、これは間違いないですね、厚生労働省。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十四年に成立した被用者年金一元化法では、一元化後も積立金の管理運用をGPIF及び共済組合等が引き続き行うこととされております。本年十月一日の被用者年金一元化法の施行後は、GPIF及び共済組合等は積立金基本指針及びモデルポートフォリオを参酌して定められる基本ポートフォリオに基づき運用を行っていくものでございます。

宮本(岳)委員 同じポートフォリオで運用するといたしますと、平成二十五年度決算で三つの共済の年金運用額は約三十兆円ですよ。これがモデルポートフォリオに収れんするとして試算したのが、お配りした資料の一の右側になります。八・一兆円の国内債券が売却され、株式の購入余力は三・五五兆円、外国債券の購入余力が一・八九兆円、外国株式の購入余力が三・九三兆円生まれることになります。

 そうすると、先ほどのGPIFの運用、これは資料一の左側につけておりますけれども、合わせれば、今後まだ約十九・三兆円の国内債券が売却され、約十・七兆円もの国内株式を購入することになります。これだけのリスク資産が株式市場に投入されると予測できれば、それは先ほど紹介した経済誌のように投資の呼び込みの条件にするのは当然で、これこそ官製相場そのものだと言わなければなりません。

 一方、国債の金利上昇リスクについて、バーゼル銀行監督委員会でも検討がなされております。報道によれば、金融機関に対し、金利が突然上昇して損失が出ても経営破綻しないように、十分な対策を求める新たな規制を検討していると言われております。これは金融担当大臣に聞きますけれども、どのような目的で、どのような内容が検討されているんですか。

麻生国務大臣 バーゼルにおきます銀行監督委員会におきまして、国債に限らず、銀行勘定で保有しておりますいわゆる資産、負債、全体の金利リスクの規制の枠組みに関する検討が行われているというところであります。

 ただ、これは引き続き国際交渉中の事項ですので、議論の方向性についてコメントすることは差し控えさせていただきますけれども、この記事にありますように、日本の銀行が資本の積み増しを迫られるような方向で固まっているという話は全くありません。

宮本(岳)委員 事前レクでもそういう話でありましたけれども、しかし、この報道にあるように、銀行勘定で保有する資産、負債全体を自己資本比率の分母に入れるということも検討の中に入っていることは否定されませんでした。そうなれば、国債や長期固定住宅ローンを多く抱える邦銀は資本の積み増しを迫られることになります。そして、資金にゆとりがない銀行は国債の保有比率を下げるために売却せざるを得なくなるという事態が生まれます。

 そこで、資料の二を見ていただきたい。長期国債の残高推移の表であります。

 GPIFなどの公的年金がこれまで大量の国債を所有してまいりましたけれども、このたびの運用方針の変更で債券の残高が減少しつつあるわけですね。仮に、報道どおりバーゼルの規制が行われ、国債の金利が上昇し始めた場合に、国内銀行や中小企業金融機関、保険などの大口の所有者のうち、銀行は国内債券の資産を減らさざるを得ないことになります。

 その結果、債券市場にあふれる膨大な国債は一体誰が引き受けるのか。私はそれは日銀しかあり得ないと思うんですが、黒田総裁、そうじゃありませんか。

黒田参考人 日本銀行は、御案内のとおり、二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するため、量的・質的金融緩和を進めております。そのもとで、長期国債について、保有残高が年間約八十兆円に相当するペースで増加するよう買い入れを行っております。

 午前中にも申し上げたとおり、この量的・質的金融緩和は、二%の物価安定目標の実現を目指し、それが安定的に持続するようになるまで続けるということでありますので、そういう状況になりましたら、当然のことながら、量的・質的金融緩和といった異次元の金融緩和ではなくて、そのときの経済状況に合った金融政策になっていくということであろうと思っております。

 したがいまして、私どもの金融政策は、あくまでも物価安定の目標を実現するために行っている政策ということでございます。

宮本(岳)委員 八十兆円ずつ国債を積み増していくと、既に三月末で、日銀の国債保有残高は合わせて約二百七十兆円にも及んでおります。これを続けていけば、来年は三百五十兆、その先には四百三十兆と、本当に膨れ上がるばかりなんですね。

 GPIFから三共済の積立金まで次々と株式購入の運用資産を拡大して株式市場を買い支えるなど、まさに官製相場だと言わなければなりません。それを支えるのが日銀の緩和マネーだという構図が明らかになりつつあります。このような目的のために国民の財産である年金を市場リスクや為替リスクにさらすなど、とても国民が納得するものではありません。

 八日の金融政策決定会合で、木内審議委員が、二%物価目標の早期達成にこだわらない政策運営を提案しました。否決されましたけれども、異次元の量的緩和を修正する案が出るほど、この政策の行き詰まりは明らかです。

 また、金利上昇が起こった場合、異次元の金融緩和をやめることができなくなるのは明白であります。金利が上昇すれば、国の一般会計予算の編成も難しくなり、債券市場の混乱も生じます。

 このような亡国への道は即刻やめることを求めて、私の質問を終わりたいと思います。

古川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二分散会


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