衆議院

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第4号 平成28年2月17日(水曜日)

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平成二十八年二月十七日(水曜日)

    午後一時五十五分開議

 出席委員

   委員長 宮下 一郎君

   理事 うえの賢一郎君 理事 神田 憲次君

   理事 藤井比早之君 理事 古川 禎久君

   理事 松本 洋平君 理事 木内 孝胤君

   理事 古川 元久君 理事 伊藤  渉君

      井林 辰憲君    池田 佳隆君

      越智 隆雄君    大岡 敏孝君

      大野敬太郎君    勝俣 孝明君

      金子万寿夫君    國場幸之助君

      斎藤 洋明君    助田 重義君

      鈴木 隼人君    田野瀬太道君

      高橋ひなこ君    竹本 直一君

      中山 展宏君    根本 幸典君

      野中  厚君    福田 達夫君

      古川  康君    宮川 典子君

      務台 俊介君    宗清 皇一君

      山田 賢司君    若狭  勝君

      落合 貴之君    玄葉光一郎君

      鈴木 克昌君    前原 誠司君

      宮崎 岳志君    鷲尾英一郎君

      上田  勇君    斉藤 鉄夫君

      宮本 岳志君    宮本  徹君

      丸山 穂高君    小泉 龍司君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   財務副大臣        坂井  学君

   財務大臣政務官      大岡 敏孝君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 井野 靖久君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 籠宮 信雄君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 高橋 俊之君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 時澤  忠君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       武田 博之君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   美並 義人君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    佐藤 慎一君

   政府参考人

   (国税庁次長)      星野 次彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉本 明子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           堀江  裕君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           谷内  繁君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           石田  優君

   財務金融委員会専門員   駒田 秀樹君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十七日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     宮川 典子君

  助田 重義君     池田 佳隆君

  務台 俊介君     古川  康君

  山田 賢司君     若狭  勝君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     助田 重義君

  古川  康君     務台 俊介君

  宮川 典子君     高橋ひなこ君

  若狭  勝君     山田 賢司君

同日

 辞任         補欠選任

  高橋ひなこ君     斎藤 洋明君

同日

 辞任         補欠選任

  斎藤 洋明君     金子万寿夫君

同日

 辞任         補欠選任

  金子万寿夫君     井上 貴博君

    ―――――――――――――

二月十七日

 消費税の増税反対に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第三五三号)

 所得税法第五十六条の廃止に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第三五四号)

 同(青柳陽一郎君紹介)(第三六〇号)

 消費税増税の中止に関する請願(宮本徹君紹介)(第三七〇号)

 消費税率を五%に戻し、増税中止を求めることに関する請願(清水忠史君紹介)(第三九八号)

 消費税の再増税を中止し、生活費非課税・応能負担の税制を求めることに関する請願(本村伸子君紹介)(第四七八号)

 同(清水忠史君紹介)(第四八六号)

 同(畑野君枝君紹介)(第四八七号)

 同(宮本徹君紹介)(第四八八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法及び財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)

 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)


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     ――――◇―――――

宮下委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法及び財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の一部を改正する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官井野靖久君、大臣官房審議官籠宮信雄君、大臣官房審議官高橋俊之君、総務省大臣官房審議官時澤忠君、情報流通行政局郵政行政部長武田博之君、財務省主計局次長美並義人君、主税局長佐藤慎一君、国税庁次長星野次彦君、厚生労働省大臣官房審議官吉本明子君、大臣官房審議官堀江裕君、大臣官房審議官浜谷浩樹君、大臣官房審議官谷内繁君、国土交通省大臣官房審議官石田優君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

宮下委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。勝俣孝明君。

勝俣委員 自由民主党の勝俣孝明でございます。

 本日はまず、復興財源確保法と特例公債法の一部を改正する法律案について御質問させていただきます。

 この法案は、復興財源確保法と特例公債法の双方を改正するものでありますが、まずは、特例公債法と我が国財政をめぐる課題について、トップバッターでございますので、比較的全体的な質問からさせていただきます。

 まず、特例公債法の複数年度化に至る経緯でございますが、当初予算で初めて特例公債を発行したのは今からちょうど四十年前の昭和五十一年度、ちなみに私が生まれた年でもございますけれども、三木内閣のときでございます。特例公債を発行した当初は、昭和五十五年度特例公債脱却目標や昭和五十九年度特例公債脱却目標などがあったように、近い将来には特例公債からの脱却が現実的に見込まれたこともあって、単年度での立法とされてきました。

 それ以来、特例公債を発行しなかったバブル経済の一時期、これは平成二年度から平成五年度を除いて、特例公債法は当初のやり方を踏襲し、単年度での立法により対応をしてまいりました。しかしながら、近年は財政状況がさらに悪化してまいりまして、残念ながら、当面の間は特例公債なしでは財政運営ができない見通しにもなっております。

 こうした状況を鑑み、民主党政権時代の平成二十四年度に、民主党側からの、予算と特例公債法を一体的に処理するルールをつくるべきという御提案がありまして、自公民の三党で議論をしました。

 そして、二〇一五年度のプライマリーバランスの赤字半減目標を踏まえ、安定的な財政運営を確保する観点から、平成二十四年度から平成二十七年度までの四年間にわたる特例公債の発行を認めるという議員修正を行いました。現行の複数年度化した特例公債法の枠組みは、まさにこの財金委員会で決まったわけでございます。

 そして、現安倍内閣では、経済再生と財政健全化の両立に真摯に取り組んでおります。二〇一五年度プライマリーバランス赤字半減目標を達成する見込みでございます。

 また、平成二十八年度予算におきましては、平成二十四年度当初予算と比較いたしましても、特例公債の発行額を十兆円も減額させているわけでございます。

 しかし、この平成二十八年度予算においても二十八・四兆円の特例公債の発行を見込んでおり、少なくとも、二〇二〇年度、平成三十二年度でございますけれども、までの間は引き続き特例公債を発行せざるを得ないという状況でございます。内閣府の中長期試算を見ても、そうした財政見通しにあることは、残念ながら明らかでもございます。

 国債残高が八百兆円を超えるという我が国の厳しい財政を踏まえれば、毎年度の予算編成において特例公債の発行額を最大限圧縮していく取り組みは不可欠でありますけれども、現実には、少なくとも二〇二〇年度までの間は、財政法の例外である特例公債法が必要となってくるわけでございます。

 政府は、今回、こうした財政見通しを踏まえ、平成二十四年度にまさにこの財金委員会で決めた現行法の枠組みを今引き継いで、二〇二〇年度までの五年間の特例公債の発行根拠規定を設ける法案を提出したというふうに私は認識しております。

 初めに麻生大臣より、この特例公債の発行期間を五年間とした考え方について御説明いただければと思います。

麻生国務大臣 今、勝俣先生の御指摘のありましたとおりに、現行の特例公債法というものは、平成二十四年十一月の民主、自民、公明三党の確認書に基づきます議員修正によりまして、二〇一五年度プライマリーバランス赤字半減目標というものを踏まえまして、発行期間を二〇一二年から二〇一五年までの四年間にしたと承知をいたしております。

 今回の特例公債法の改正案は、少なくとも二〇二〇年度まで、おっしゃるとおりに、引き続き特例公債を発行せざるを得ないというようなことが見込まれる財政状況にもありますので、三党でお決めをいただいた現行の枠組みを引き継ぎ、二〇二〇年度プライマリーバランス半減ではなくて、黒字化の目標に向けて財政健全化に取り組んでいくということであります。

 安定的な財政運営を確保するという観点から、特例公債の発行期限を、二〇二〇年度までの黒字化目標のときにあわせて五年間にするということにさせていただいたというものであります。

勝俣委員 ありがとうございます。

 いずれにしましても、どのような財政運営を行ったとしても、少なくとも、繰り返しになりますけれども、二〇二〇年度までの間は特例公債を発行せざるを得ないという見込みでありますから、今後五年間、特例公債が必要であるということ自体は明らかなことであります。

 さて、今後の財政規律や財政健全化への取り組みの中で特例公債の発行を複数年度化すると、政府の財政規律や財政健全化に向けた努力が緩んでしまうのではないかという懸念の声があることも事実でございます。財政健全化を進めていくためには立法措置が必要だ、こういった議論もあることは確かでございます。議論もあります。

 しかし、現実問題として、安倍内閣のもとでは、特例公債の発行を複数年度化した現行の特例公債法のもとでも財政健全化は着実に進んでいると私は認識しております。また、立法措置がなくても、経済・財政再生計画では三年間の一般歳出の目安、こういったルールも設定しているわけでございます。

 現内閣では、法律がなくても、この目安に沿って財政規律ある予算編成を行い、財政健全化を進めていくことができると私は考えていますけれども、御所見をお伺いできればと思います。

麻生国務大臣 今、勝俣先生おっしゃるとおりに、現行の特例公債法でも、二〇一二年から一五年ということで、四年間にわたる、いわゆる複数年度の発行根拠というものを設けられておりますのは御存じのとおりです。

 安倍内閣におきまして、経済再生と財政健全化を着実に進めていくということをやらせていただいておりまして、少なくともこの三年間で一般歳出の伸びを約一・六兆円程度に抑制をさせていただき、この間の税の収入増の約十五兆円と合わせまして、平成二十七年度、今年度のプライマリーバランス赤字の半減目標をほぼ達成できる見込みであります。

 同時に、この平成二十八年度予算でも、新規国債発行額を、新たに発行いたすものを十兆円減額をいたしております。

 こうした成果を踏まえまして成長戦略というものを着実に実施する。引き続き経済再生に取り組む。この経済の再生がないと財政健全化目標を達成できにくくなろうと思いますので、経済と財政再生計画で示されておりますように、目安がありますので、これの改革工程表に基づきまして歳出改革をきちんと実行させていただき、二〇一八年度、今から約三年後ですけれども、三年の時点で、その進展ぐあい、進捗状況というものをよく評価をさせていただいて、その段階で、さらに必要とかこれは不必要とかいろいろなことがあろうと思いますので、歳出歳入の追加的な対応というのを検討させていただいて、二〇二〇年度のプライマリーバランスの黒字化というものの目標に取り組んでまいりたいと思っております。

 これらを踏まえまして、今回の特例公債法改正案でも、特例公債の発行の抑制に努めるということが規定をされておりますので、経済財政計画のもと、今、勝俣先生御指摘のありましたとおりに、目安に沿って毎年度の予算編成を行わせていただくなど、財政規律を堅持して、同時に、財政健全化というものを確実に進めてまいりたいと考えております。

勝俣委員 ありがとうございます。

 今、大臣御説明があったとおりでございます。本当に、経済成長あっての逆に言えば財政再建だというふうに思っております。財政健全化につきましては、まずはその一里塚として、二〇二〇年度におけるプライマリーバランスの黒字化を達成しなければいけません。

 この点、先月公表された内閣府の中長期試算を見ますと、成長戦略を進め、経済再生ケースを実現したとしても、二〇二〇年度においてマイナス六・五兆円の赤字が残ると見込まれています。この中長期試算を見ると、政府はみずからプライマリーバランス黒字化を達成することができないと言っているようなものではないかという疑問の声もあり得るんですけれども、そこをちょっとお聞きしたいんです。

 二〇二〇年度プライマリーバランス黒字化目標と、中長期試算におけるマイナス六・五兆円の赤字が残るとされた試算との整合性について、お伺いしたいと思います。

井野政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたとおり、本年一月に公表いたしました内閣府の中長期試算の経済再生ケースにおきましては、二〇二〇年度の国、地方の基礎的財政収支は六・五兆円の赤字が残る姿をお示ししておりますけれども、これは、二〇一七年度以降の期間につきまして、歳出が物価上昇率などによって増加するという一定の想定のもとでの試算結果でございまして、昨年六月に閣議決定をいたしました経済・財政再生計画に基づく歳出改革等の効果を織り込んだものではございません。

 したがいまして、実際には、今後、経済・財政再生計画に基づきまして、歳出改革等の取り組みを着実に進めてまいります。

 経済再生と財政健全化を両立させながら、二〇二〇年度の財政健全化目標であります国、地方の基礎的財政収支の黒字化の実現を目指してまいりたいと考えております。

勝俣委員 ありがとうございます。

 次に、経済・財政再生計画についてお伺いをしてまいります。

 経済成長を遂げて税収を伸ばし、財政再建をして歳出を減らしていくということでプライマリーバランスを黒字化していくということは、企業経営に例えると、売り上げを伸ばして経営の効率化を図る、コスト削減をしていくことで収益を上げて企業を成長させていくと同じようなことで、国家を発展させていくということだと思います。

 要は、これを両輪でやっていかなければならないんですけれども、まずは改革工程表について少しお伺いしていきたいと思います。

 二〇二〇年度プライマリーバランス黒字化目標に向けては、政府が掲げる経済・財政再生計画を具体的にどのように実行していくかが課題となります。政府におきましては、改革工程表を決定し、改革の具体的なスケジュールを公表しているところでございますが、特に、最大の歳出項目である、三分の一と言われていますけれども、社会保障費ですね、社会保障改革をどのように進めていくかということがやはり私は鍵になるというふうに思っております。

 経済・財政再生計画や改革工程表において社会保障改革を具体的にどのように進めていく方針となっているのか、お伺いいたします。

高橋政府参考人 お答えを申し上げます。

 プライマリーバランスの黒字化の実現につきましては、委員御指摘のとおり、歳出の大きな部分を占めます社会保障分野につきまして着実に改革を進めていくことが必要でございます。

 そのため、昨年末に策定いたしました経済・財政再生アクション・プログラムの改革工程表におきましては、社会保障関係では四十四項目の事項を掲げておりますが、具体的には、例えば、地域差の分析など、医療、介護の実態を徹底的に見える化しつつ、各都道府県において地域医療構想を二〇一六年度までに策定して医療提供体制の改革を着実に進めるということですとか、個人や保険者へのインセンティブの付与により、疾病予防や後発医薬品の使用等を推進することなどを盛り込んでおります。

 また、負担能力に応じた公平な負担、給付の適正化につきましても、実施検討時期や改革の方向性等を明確化しているところでございます。

 また、医療費の適正化等に向けた保険者や個人の自発的な取り組みを着実に進めていくためのKPIでございますとか、後発医薬品の使用割合を二〇一八年度から二〇二〇年度末までのなるべく早い時期に八〇%以上に引き上げることなど、意欲的なKPIを設定いたしまして、改革の進捗管理を行うこととしているところでございます。

 今後とも、関係省庁と連携しながら、実効的なPDCAサイクルを構築し、改革工程表に基づき、改革を着実に進めてまいりたいと考えてございます。

勝俣委員 ありがとうございます。

 先ほど申しましたように、両輪でやっていくわけでございますので、やはり忘れてはならないのが経済成長でございます。名目三%という高い経済成長をなし遂げることが、先ほど大臣からもありましたように、逆に言えば、財政健全化の前提にもなってくるわけでございます。

 そこで、昨今、個人の金融資産、これは今一千七百兆円を超えたと言われているわけでございます。私が当選させていただいた三年前に一千三百兆から一千四百兆と言われておりましたので、それを考えると、本当に毎年百兆円ふえているような、そんな勢いでもございます。日本は特に間接金融の文化でございますので、そういう部分で、この一千七百兆のほとんどが預貯金で占めているわけでございます。

 こうした中で、経済成長の部分では、経済の六〇%を占めていると言われている個人消費を活発にしなければならないわけでございまして、賃金の上昇ですとか、またボーナスの増加、この増加分が、逆に言えば、貯蓄に回ってしまう、預貯金に回ってしまったらこれは意味がないわけで、やはり、しっかりとこれを消費に回していくという活動が私は大変重要になってくるのかなというふうに思っております。

 昨今の報道にもありますけれども、メガバンク初め各金融機関の住宅ローン、自動車ローンといった金利の低下が呼び水となって、こうした大型消費が個人消費の活発化につながるのではないかなというふうに私は期待しているんですけれども、その辺の御所見をお伺いしたいと思います。

籠宮政府参考人 委員から個人消費についてお尋ねがありました。

 議員御指摘のとおり、我が国のGDPの六割は個人消費でございます。GDP六百兆円経済の実現に向けまして、消費の増加が大変重要と考えております。

 政府といたしましては、消費がしっかりと拡大していくように、まずは、賃上げや最低賃金の引き上げに向けた環境整備を進めてまいりたいと考えております。

 賃金につきましては、経団連の春闘の方針におきましても、昨年を上回る賃上げという前向きな方針が示されておりまして、政府といたしましては、こうした方針に沿った産業界の取り組みに期待したいと思っております。

 また、最低賃金につきましても、二〇二〇年ごろに向けて六百兆円にGDPを増加させていくという中で、年率三%程度を目途に、最低賃金を引き上げて全国加重平均で千円を目指すということとしておりまして、こうした最低賃金の引き上げに向けて、中小企業などの生産性向上のための支援、取引条件の改善などを図っていきたいと考えております。

 また、住宅ローンについても御指摘がありましたけれども、日本銀行が先般導入いたしましたマイナス金利つき量的・質的金融緩和のもとで、日本銀行でも、これによりまして貸出金利を含めて全体に金利が下がって、消費や投資を刺激し、経済の拡大にプラスに影響するというふうに説明しておりますし、実際、議員御指摘のとおり、既に住宅ローン金利の引き下げなどの動きも見られているところでございます。

 今後とも、雇用の改善、賃金の上昇、経済の好循環継続など、アベノミクスの成果を国民の皆様に一層実現いただけるよう、しっかり取り組んでまいりたいと存じます。

勝俣委員 いずれにしましても、デフレマインドの払拭というのが非常に大事だと思いますので、よろしくお願いいたします。

 続いて、復興財源確保法の改正についてお伺いをしたいと思います。

 今回の法案では、昨年六月に閣議決定した、平成三十二年度までの総額三十二兆円の復興財源フレームに基づき、復興債の発行期間を五年間延長するなど、必要な法律上の措置を講じています。

 来月には東日本大震災の発災から五年が経過いたしますが、政府は、平成二十八年度以降の五年間について、被災地の自立につながり、地方創生のモデルとなるような復興を実現していくという観点から、復興・創生期間と位置づけております。被災地の復興が新たなステージを迎える中、引き続き復興のための財源を確保し、被災地の皆さんの努力をしっかりサポートしていかなければなりません。

 復興財源の確保については、今回の法案の附則にも規定が置かれておりますけれども、一般会計の財源と密接にかかわることに留意が必要であります。すなわち、復興特別税収や税外収入を十分に確保できないといった事態になると、一般会計からの過度な繰り入れに頼らざるを得なくなり、財政健全化の取り組みについても影響を及ぼしかねません。

 財政健全化を進める中での復興財源の確保について、お考えをお伺いしたいと思います。

大岡大臣政務官 勝俣議員にお答えをいたします。

 先ほどお話しいただきましたとおり、復興財源につきましては、昨年六月に閣議決定をいたしまして、スタート二十三年度から三十二年度まで、合計三十二兆円を必要というふうに見込んでおります。

 一方で、これは少し計算が難しいので簡単に御説明申し上げますと、最初の五年間は二十六・三兆円を見越していましたが、実際に使ったのは二十五・五兆円。残り、つまり三十二兆までは六・五兆円、開きがございます。

 これに対して、不用額であった部分の〇・八兆の財源が確保できております。さらに、二・五兆円ほど、景気がよくなったということ等で税収がふえておりますことから確保できております。

 残り三・二兆円をどうするかという部分で、そこには、税外収入が〇・八兆円、そして一般会計からの繰り入れ二・四兆円を見込んでおります。

 このように、復興財源の確保と財政健全化によってしっかりと財源を捻出していくということは極めて重要な課題で、かつ密接に関係をしておりますことから、二〇二〇年度のプライマリーバランス黒字化目標とこの復興財源の確保との両立を進めるべく、しっかりと対応してまいりたいと考えております。

 こうしたことをも含めて、委員から御指摘いただきましたとおり、今回の法案の中には、復興財源の確保は財政健全化との整合性に配慮しつつ行うという旨の規定をしておりまして、これも含めて御審議をいただきたいというふうに思っております。

 引き続き、復興と財政健全化の両立をしっかりと図りながら適切な経済財政運営に取り組んでまいりますので、どうか引き続き御指導、御支援賜りますよう、お願いを申し上げます。

 ありがとうございます。

勝俣委員 ちょっと時間がございませんので、最後、ちょっと一個飛ばして、税制の質問を一つさせていただいて終わりたいと思います。

 最後になりますけれども、外国人旅行者向けの消費税免税制度の拡充についてお伺いをしたいと思います。

 近年大幅に増加している外国人旅行者による消費も大変大きな経済効果があると考えております。外国人旅行者の訪問先は、東京や大阪など大都市圏から、おかげさまで、私の地元の静岡県屈指の観光地でもございます伊豆半島も大きな広がりを見せております。二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの自転車競技も、伊豆開催がおかげさまで決まりました。

 また、麻生大臣の福岡県でも、大変大型のクルーズ船が、有数の港を持っていますけれども、いよいよ私の地元の下田港でも、四月四日に初めて大型のクルーズ船が入ることが決まりました。

 こうした本当に多くの外国人の方々が、この日本に今押し寄せてきていただいております。

 こうした中で、こうした広がりを外国人旅行者の地方での消費拡大にもつなげていく必要があるのかなというふうに考えております。

 今回法案に盛り込まれた外国人旅行者向けの消費税免税制度の拡充は、まさにこうした大きな意義があるのかなというふうに考えておりますけれども、改めて、その内容と狙いをお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 御指摘のありましたとおりに、観光によります収入というものは、これは経済成長の一つの大きなエンジンになり得る、私どもはそう思っております。

 安倍内閣では、それに合わせまして、いわゆるビザの発給条件を緩和させていただいたり、免税制度というものをいろいろ拡充させていただいたり、CIQという、税関と入国管理と検疫、この三つ、急にふえましたものですから人が全然足りない。静岡に飛行機なんかおりたって、そんな設備なんかなかったでしょう、こんなに外国人が来る予定じゃないから。えらい騒ぎになっていたと思いますので、こういったところは急激に人をふやさないととても対応ができませんので、私どもとしては、税関の役人を一挙に三桁単位でふやさせていただいたり、いろいろさせていただいております。

 いずれにしても、外国人の訪日数が、二〇一二年のときの約八百万人から、昨年、二〇一五年は一千九百七十四万人というので、猛烈な勢いで千百万人以上ふえておりますので、当然のこととして、使っていただいている額も、約一兆円程度だったものが今は計算で三兆四千七百億と約三兆五千億ぐらいまでに大きくなっておりますので、そういうことになりますと、この流れをさらに強化して、もっと今はリピーターがえらくふえているというのも事実でもありますので、そういった意味では、我々としては、いろいろな課題に取り組むということを考えております。

 消費税の免税制度というものにつきましては、地方の、今は静岡の例を引きましたけれども、商店街では、東京と違って、大きな額じゃない、少額な販売が多いというために、免税になります下限額を引き下げてほしいという陳情というものがよくあっておりましたので、私どもとしては、外国人旅行者による旅行消費の経済効果を地方にもということを考えて、これを拡充するということにいたしております。

 具体的には、外国人の旅行者が、消耗品以外のいわゆる一般商品、家電とか医療品とかいうものを購入する場合、これまで一万円を超えたものにいたしておりましたけれども、消費税の免税の下限額を五千円以上ということにさせていただいて、いわゆる消耗品と言われます飲食料品とか化粧品とかそういうものと同様に、五千円以上で免税となるように下限を引き下げるということにさせていただいておりますので、いろいろな意味でそういったものの影響が、徐々にではありますけれども、確実に広がってくるものと期待しております。

勝俣委員 質問を終わります。ありがとうございました。

宮下委員長 次に、神田憲次君。

神田委員 自由民主党、神田憲次でございます。

 本日、二十分という短い時間ですが、麻生大臣におかれましては、予算委員会を初め、公務御多用の中で御答弁をいただき、深く感謝申し上げます。

 私からは、特例公債法について質疑をさせていただきたいと考えております。

 本日配付しております資料なんですが、特例公債発行の始点となった昭和五十一年五月十二日の衆議院大蔵委員会の会議録でございます。

 当時は、オイルショック後の景気悪化で税収の極端な落ち込みが発生いたしまして、財政上極めて困難な局面に差しかかっているという背景がございます中で、民社党の竹本委員の、もはや赤字財政に入ったのではないか、公債発行が前提の予算編成を考えていく時代ではないかという質問に対して、時の大蔵大臣でございます大平正芳先生が以下のような御答弁をされております。それが、今資料提出させていただきました、この大平国務大臣の四角く囲んだ部分でございます。

 ちょっと読み上げさせていただきます。

  異例中の異例の措置でございますので、ここ当分の間特例債の発行をお願いするというような形で国会の御承認を得るということは、どう考えてみても政府の姿勢としては許しがたいと存じまして、これが五年かかり七年かかる、仮にそうでありましても、当分の間お願いをするというようなことではどうも気が済まないわけでございます。いわんや私ども、五十年代の前半にはどうしても脱却を図りたいということで、五十一年度をピークといたしまして五十二年度以降漸減をしてまいりまして、前半には特例債からの脱却財政に持っていくというかたい決意でやっておることも、国会に毎年、毎年御審議を通じて決意を申し上げて、御了解を得ながらまいっていくことが行政府の正しい姿勢ではないかと存じておるわけでございます。

これが時の国務大臣大平先生の答弁でございます。

 当時、政府としても、苦渋の決断の中で特例公債の発行が始まったこと、それから、あくまで特例公債の発行は例外で時限的なものと考えていたことが、この発言、臨場感を持って示すものと考えております。

 結局、その後も公債発行は続いていくわけですが、大臣、当時の大平先生のこの御発言をお読みになられまして、大臣のお感じになることを忌憚なくお話しいただきたいと思いますが、いかがでございますか。

麻生国務大臣 ちょうどそのころ、私は当選したすぐだったので非常に記憶のあるところでもあるんですが、財政健全化を進めなければならぬという思いは、大平先生、福田先生等々、財政にお詳しい、当時の大蔵省OBの方々でおられましたので非常に強かったと思っておりますし、そういった、健全化はさせねばならぬという気持ちは、私も同様に強い思いがあります。

 特に、昭和五十一年で当たられたときには五兆円だったんですけれども、特例公債の発行残高が今や五百兆というものを超える水準となっておりますので、将来世代のことを考えますと、これは大きな責任を感じるところでもあります。

 政権交代以降、経済再生というものを進めながら財政健全化に取り組むということで、平成二十八年度予算では、二十四年当時の当初予算に比べまして特例公債の発行額は約十兆円減額には成功しておりますが、しかし、依然として二十八年度も二十八・四兆円の特例公債というものをお願いすることにいたしておりますので、財政健全化はまだ道半ば、そういうぐあいな感じが強くいたしております。

 昭和五十五年度脱却目標というものを、大平大蔵大臣の掲げられた財政健全化なんですが、現在はこれに及ばないながらも、二〇二〇年度までには、いわゆる金利によります増加がないという、プライマリーバランスをゼロにする、いわゆる黒字化目標を掲げて今走っておるところなんですが、この目標に向けてまずはということで、今年度、一応二〇一五年度は半減というところまで成功をほぼできたと思っておりますので、これを確実に進めて、さらにいろいろ努力をさせていただいて、一歩一歩着実に財政健全化というものを進めていくという姿勢をきちっと持ち続けていないと、これは、市場の信用もなくしますし、国際的な信用もなくすということになりかねませんので、そういった決意を持って臨んでまいりたいと思っております。

神田委員 大臣、まことにありがとうございます。

 先ほど申し上げました昭和五十一年の質疑にもございましたけれども、私も、公債発行は本来厳格に、抑制的にあるべきだというふうに考えております。

 今、大臣のお話の中にございました、実際の公債発行額でございますが、民主党政権時、平成二十四年にはかなり大きな金額で、何と四十七・五兆円、それが、現在審議中の二十八年度予算案では三十四・四兆円ということでございますから、約十三・一兆円ほどの減額ということの結果が出ております。

 これも大臣を初めとして財政当局の御努力のたまものであるわけですが、日ごろ大臣からは、至極当たり前のことですが、国民の将来にわたる負担を新たにふやしてはならないという思いを伺っておるわけでございます。

 財政法第四条という縛りがある中で特例公債発行を前提とした予算編成をしなくてはならない現状に対する率直なお気持ちと、今御回答の中にもございましたのですが、いま一度、二〇二〇年度までのプライマリーバランス健全化への財政再建の道筋を改めてお示しいただけたらと存じます。

麻生国務大臣 御存じのようにこの特例公債というのは、いわゆる建設公債と違いまして、将来に資産を残すものではありません。負担のみが先送りされているということでありますので、これはできるだけ減額をさせるというのが重要なところであります。

 このような観点から、今般の特例公債も発行抑制ということに努めることを想定しておりますが、しかしながら、二十八年度予算でも二十八・四兆円の発行をせざるを得ないという状況にあることを踏まえますと、これを一挙にゼロということにするのには、残念ながら現実的ではないと考えております。

 そうした中で、財政健全化は、経済再生とあわせまして一歩一歩を確実に進めていくべきものだと思っておりますので、まずはプライマリーバランスを半減ということでほぼ達成をさせていただくことができ、次に、プライマリーバランスのいわゆる黒字化というものを達成することが重要だと思っておりますので、まずは、経済成長をきちんと着実に実施することで引き続き経済再生というものに取り組みながら、経済・財政再生計画で示されております目安に沿いまして、改革工程表に基づく歳出改革というものをきちんと実行をしていくと同時に、途中であります二〇一八年度におきましてその発展状況、進捗状況をきちんと評価をいたしまして、その段階で必要なものであるならば、さらなる歳出の削減なり歳入をどうかするなり、いろいろなことを、追加的な対応は検討せねばならぬと思っております。

 いずれにいたしましても、二〇二〇年度にはプライマリーバランスを黒字化するんだということに対して強い意思を持って臨んでまいらねばならぬと思っておりますので、特例公債の発行というものはできる限り低く抑えるというのを、我々としてはきちっと腹におさめて頑張らねばならない一番大事なところだと思っております。

神田委員 大臣、まことにありがとうございます。

 本来、公債発行というのは、先ほど来申し上げていますように、厳に慎むべきものであります。

 世の識者の中には、日銀がマネタリーベースを増大させれば、引き受け手も不足しない、むしろ需要過剰の状況である、金利も上がらないからほぼ際限なく国債を発行できて、国の借金は無尽蔵にできるといったような、うがった見方をする方もおられることもまた事実です。

 こうした論調がメディアなどに載りますと、国民の目には、金融政策とあわせて、政府が公債を無節操に発行しているように映るおそれがありますので、この点においてはきちっと説明を果たさなければならないところだろうと思います。

 ですので、改めて、公債発行額の膨張原因、これを明らかにし、抑制的な予算執行に努めていることを示す必要があると考えますが、大臣は、昭和五十一年以降、公債発行が小泉政権時代を除いて膨張をし続けている主因、何であるとお考えになられておるのか、私見をいただけませんでしょうか。

麻生国務大臣 今、神田先生御指摘になりましたように、昭和五十一年に初めて国債が発行された以後、平成二年度に、小泉内閣のころでしたか、一旦発行からは脱却をいたしておりますが、いわゆるバブル等々いろいろなおかげもあったんだと思いますが、脱却をしております。

 この平成二年から平成二十八年末までの二十六年間で見ますと、国債残高の増加要因を見ますと、歳出面の要因、約三百七十八兆円の多くというものは、これはもう社会保障関係費の増加です。これが約二百五十一兆円ということでありまして、また、歳入面の要因でいきますと、やはり景気の悪化やら、また、減税をいたしておりますので、それによる税収の落ち込みやら等々が重なっておりますので、これらが主因となっていると考えております。

 なお、先ほど言われましたように、日銀がお金を刷り増しても、それはマネタリーベース、業界用語ですけれども、マネタリーベースとして市中銀行までお金は行きますが、そのお金が市中銀行からいわゆる市中に出るには、マネーサプライ、これまた金融用語ですけれども、そこから市中に出ていくということは、こちら側に需要がないとその金を使う人がいませんから消費はふえぬということになりますので、ただお金を刷ればどうにかなるなんというようないいかげんな話というのは昔はよく聞かされましたけれども、そういったことは、極めて経済が、現実がわかっておられぬ方なんだと私はそう思っております。

 したがいまして、日本銀行において大胆な金融緩和というのをやっていただいて、マネタリーベースがふえていることは間違いありませんけれども、市場にいわゆる財政ファイナンスではないかという疑念を抱かれるというようなことが、国際的な世界においても、また市場におきましてもそういった疑念を抱かれるということがありますと、これまた全然別の悪い影響が出ますので、そういったことを考えながら、日本銀行との間に共同声明というのを二〇一三年に結ばせていただいておりますが、そういったところにきちんと明確にさせていただいておりますように、金融緩和いかんで財政規律を緩めるというようなことは全く考えておりません。

神田委員 御答弁まことにありがとうございます。

 やはり今大臣がおっしゃいましたように、社会保障関係費の増大ということ、これは大変困難な課題でございまして、その社会保障費の増大ということに対して正面から向き合うことを避けては通れない今、我が国の現状が財政運営を圧迫しているという中で、さらに、日本国、我が国が少子高齢化時代を迎えるわけです。

 特に、団塊世代が後期高齢者に差しかかる二〇三〇年には、中位の人口予想で一億一千六百六十二万人、はっきりとこれらの人たちが減少のベクトルに向くことが予想されており、これはやはり、今よりも深刻な厳しい財政運営が見込まれるわけでございます。

 現在、政府・与党として、中期財政計画で二〇二〇年度までのプライマリーバランスの健全化という大きな目標を掲げておりますが、今回の法改正の出口であるところの二〇二〇年度以降の財政運営について、大臣の私見をお伺いできればと存じます。

麻生国務大臣 今御指摘のありましたように、いわゆる団塊の世代と言われる方々が、二〇二〇年の半ばには全員後期高齢者、私と同じ七十五歳以上になられるということなんですが、いわゆる超高齢化社会とかいろいろな表現が使われていますけれども、したがって、社会保障関係費の伸びはさらに大きくなるということを私どもは腹におさめておかないと、財政とかそういったものは組めないんだと思っております。

 そうした中で、二〇二〇年代の初めまでに何としても強い経済というものを実現させていく、六百兆とかいろいろな表現をしておりますけれども。同時に、受益と負担のバランスというもののとれた社会保障制度というものを構築しておきませんと、いわゆる歳出というか、経費の支出というのが一方的にふえていくということになりかねませんので、私どもとしては、二〇二〇年度に我々の目標を達成されました後は、借金の債務残高とGDPが、どれくらい伸びているかにいたしまして、そのGDP比が安定的にその比率は低下していくという持続可能な財政というものを確立していかねばならぬのだ、そういうぐあいに思っております。

 これに向けまして、まずは、二〇二〇年度までのプライマリーバランスの黒字化という当面の目標の実現を目指して経済と財政再生計画というものを一歩一歩着実に進めていく、確実にそれを達成させていくというのが、当面やっていかねばならぬ大事なところだと思っております。

神田委員 私からの質問は以上でございます。

 本日は、麻生大臣、宮下委員長を初め、まことにありがとうございました。

宮下委員長 次に、鈴木隼人君。

鈴木(隼)委員 自由民主党の鈴木隼人です。

 政府は、もはやデフレではないと表明をされています。他方で、国と地方の長期債務残高は、平成二十八年度末には千六十二兆円にも達する見込みであります。そういった意味で、経済成長と財政再建はいまだ道半ばということであります。かかる観点から、本日は、特例公債法に関連して質問をさせていただきます。

 希望と誇りを次世代につないでいくために、我々世代のツケを先送りすべきではないと考えております。このため、本法第四条の趣旨には大いに賛同をするものであります。

 そこで、政府参考人にお尋ねいたします。

 本法で規定する「持続可能な財政構造」の定義について答弁をお願いいたします。

美並政府参考人 お答えいたします。

 今委員の御指摘のあった文言は、議員修正により追加された特例公債の発行額の抑制に関する規定の文言でございます。

 この「持続可能な財政構造」について、政府としては、国、地方のプライマリーバランスの黒字化を達成し、その債務残高対GDP比が安定的に低下するような財政の状況を意味していると考えております。

鈴木(隼)委員 ありがとうございました。

 次に、大臣に御質問をさせていただきます。

 政府参考人の答弁からも明らかなように、財政健全化の目標として、プライマリーバランスの黒字化では不十分であります。債務残高対GDP比の引き下げに加え、債務残高自体の引き下げ努力も重要だと考えております。

 ここで、財政健全化に向けた大臣の御見解と意気込みをお聞かせください。

麻生国務大臣 安倍内閣におきまして、いわゆる経済再生というか経済成長と財政の健全化、昔は上げ潮派とか財政健全派とかどっちかみたいな話がまかり通っていた時代が多かったんだと記憶しますが、これは両方やらねばならぬのだと、私どもは基本的にそう思っております。

 したがいまして、平成二十七年度は、まずはいわゆる基礎的財政収支の目標をほぼ達成できると思っておりますので、引き続いて今回、平成二十八年度の予算でも、新規国債発行額というのを三年前に比べて約十兆円減額ということになっておりますので、着実な実績は私どもとしては上げてきている、そう思っておりますし、事実、税収も伸びておりますので。

 そういったわけで、財政健全化に向けた取り組みというのは着実に進んでいるとはいえ、まだプライマリーバランスも黒字化目標の半分というところしか達成されておりません。したがいまして、健全化の目標として債務残高自体の引き下げというのは当然重要なのは、全く御意見も同じなんだと思います。

 日本の財政状況というのを考えますと、やはり持続可能な財政構造というものを確実にしていくということにしておかないと、特例公債というのは、先ほども申し上げましたように、建設公債と違って資産が残るわけではありませんので、借金しか残らぬということになるのが一番問題なんだと思っております。

 したがいまして、歳入増と歳出の抑制とあわせてやっていくというのが必要なのであって、先ほどの社会保障関係のものが、毎年一兆円伸びるであろうというものをこの三年間で見ますと約五千億、したがいまして、三年間で三兆と言われたものが約一兆五千億というようなことに抑制することに成功しておりますので。

 引き続きこういったものをきちんとやると同時に、経済・財政再生計画によって目安を立て、一応改革工程表もつくり上げてきておりますのでそういったものをきちんとやって、二〇一八年度でその途中経過を見ながら、私どもとしては、二〇二〇年度までにそれを達成し、同時にその後、GDPと借金の比率というものをだんだんバランスさせていくという方向を目指してきちんとやっていかないと、達成したら単に全て達成した、それは全然違うのであって、借金はまだ現実に残っておりますので、それに向かって歳入の部分になります税収を伸ばすのは当然です。

 そういった意味で、経済全体が伸びることによってバランスをさせるということを目指さないと、何となく、借方、貸方でいえば、片っ方だけ多ければそれでいいというものじゃありませんので、私どもとしては、きちんとした対応をやっていかなならぬ、そこのところはきちんとしたものを持って臨んでいかねばならぬと思っております。

鈴木(隼)委員 ありがとうございました。政府には財政健全化に向けて適切な対応を講じることを求めまして、次の質問に移らせていただきます。

 財政健全化において、社会保障費の適正化は不可欠であります。特に、国民医療費は毎年一兆円程度増加をしており、看過できるものではありません。

 そこで、政府参考人にお尋ねをいたします。

 国民医療費の適正化に向け、どのような対応を講じておられますでしょうか。また、それによって国民医療費がどの程度抑制できているのか、定量的な答弁をお願いいたします。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 医療保険制度を将来にわたりまして持続可能なものとしていくためには、医療費適正化は重要な課題でございまして、国、都道府県、保険者など、さまざまな関係者がそれぞれの立場で取り組みを進めることは大事だと考えております。

 これまで国及び都道府県におきましては、医療費適正化計画を策定して、特定健診、保健指導の実施率、平均在院日数の短縮などにつきまして目標を定めまして、その達成に向けた取り組みを実施してきたところでございます。また、保険者におきましても、加入者の予防、健康づくりの推進、後発医薬品の使用促進等の取り組みを進めてきたところでございます。

 定量的な医療費抑制効果というお尋ねでございますけれども、平成二十年度から二十四年度までの第一期医療費適正化計画におきましては、計画策定時には、医療費適正化前のいわば自然体の二十四年度の医療費を三十九・五兆円、平均在院日数の短縮の効果を織り込んだ医療費適正化後の二十四年度の医療費を三十八・六兆円と見通しまして、〇・九兆円の適正化効果を見込んでおりました。

 実際に平成二十四年度の医療費の実績が出た際には、先ほども述べました医療費適正化後の医療費の見通しよりもさらに〇・二兆円低い三十八・四兆円となっているところでございます。

 さまざまな要素が作用しておりますので、具体的な影響度までは明確ではございませんけれども、医療費適正化計画による一定の効果があったものと考えているところでございます。

鈴木(隼)委員 ありがとうございました。

 一定の効果があったということで、引き続きこういった取り組みをしていただきたいと思いますが、今後さらに国民医療費の適正化に向けてどういった対応を講じていくお考えかということについても答弁をお願いいたします。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 医療費適正化に向けました今後の取り組みでございますけれども、まず、先ほど申し上げました医療費適正化計画、また、次期計画につきましての基本方針につきましては今年度中に策定する予定でございまして、それにつきましては実効性のある計画の作成につなげていきたいというふうに考えているところでございます。

 また、医療費の適正化に向けまして、引き続き、予防、健康づくりを推進することは重要でございます。医療保険者によるデータヘルス計画や糖尿病重症化予防事業などの先進的な取り組みの横展開などを通じまして、さまざまな主体が予防、健康づくりに積極的に参加するような取り組みを行っていきたいと考えております。

 さらに、昨年十二月に経済財政諮問会議で策定されました経済・財政再生計画改革工程表におきましては、負担能力に応じた負担、給付の適正化を図る観点から、入院時の光熱水費相当額に係る患者負担の見直しや、外来上限や高齢者の負担上限額のあり方などの高額療養費制度の見直しなどにつきまして関係審議会などにおいて検討して、その結果を踏まえて必要な措置を講ずるというふうにされているところでございます。

 いずれにしましても、今後も増加すると予想されます医療費の財源といたしましては、公費と保険料と自己負担の三つしかございません。これをどう賄っていくのかにつきましては、我が国の財政状況や関係者の意見などを踏まえながら、不断の検討を行っていく所存でございます。

鈴木(隼)委員 ありがとうございました。

 政府には持続可能な医療制度の構築に向けた聖域なき改革を求めまして、次の質問に移らせていただきます。

 政府の推計では、介護分野に係る歳出は二〇一二年から二〇二五年にかけて二・三四倍に急増するとされています。

 そこで、政府参考人にお尋ねいたします。

 介護給付費急増の原因をどう分析しておられますでしょうか。また、歳出改革に関するこれまでの取り組みについても御説明をお願いいたします。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、平成二十四年三月の推計によりますと、介護給付費は、二〇一二年度から二〇二五年度にかけて八・四兆円から十九・八兆円、二・三四倍に増加すると見込んでおりますけれども、これは、高齢化の進展に加え、一定の経済前提のもとに、将来の介護サービスの提供体制の改革等を踏まえて必要となるサービス量を推計したものでございます。

 厚生労働省といたしましては、高齢化が進展する中で、なるべく要介護状態とならずに、住みなれた地域で自立した生活を過ごしていただくことができるよう介護予防の取り組みを進めてきたところでございます。

 また、介護給付費の増大が見込まれている中で、負担能力に応じた御負担をお願いする観点から、平成二十六年の介護保険法改正におきまして、一定以上の所得がある方の利用者負担につきまして一割から二割に引き上げたところでございます。

 また、特別養護老人ホーム等の入所者のうち低所得者につきましては、食費、居住費について軽減措置を行っておりますけれども、この軽減措置の判断基準といたしまして、所得に加えまして、資産を勘案するなどの給付の重点化、効率化を行ったところでございます。

 さらに、介護保険制度をより持続可能なものとするとともに、より利用者のニーズに応じたサービスの提供を推進するため、平成二十七年度の介護報酬改定におきましては、介護職員の処遇改善、物価の動向、介護事業者の経営状況、地域包括ケアの推進等を踏まえ、マイナス二・二七%の改定を行ったところでございます。

鈴木(隼)委員 ありがとうございました。

 政府参考人に重ねてお尋ねいたします。

 それでも急増する介護給付費について、今後はどういった対応を講じていくお考えか、答弁をお願いいたします。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 今後介護給付費の上昇が見込まれる中で、軽度者に対する生活援助サービスのあり方、利用者負担のあり方、要介護認定率や一人当たり介護費等の地域差の分析、保険者である市町村による給付費の適正化に向けた取り組みの一層の促進などにつきまして、骨太の方針二〇一五や昨年十二月の経済・財政再生アクション・プログラムの工程表におきまして、今後の検討事項とされたところでございます。

 このため、本日から開催されます社会保障審議会介護保険部会におきまして、こうした事項も含めて関係者に議論を行っていただきたいというふうに考えております。

 介護保険制度の持続可能性を高めるため、高齢者の有する能力に応じ自立した生活を目指すという制度の趣旨も踏まえつつ、今後とも給付の重点化、効率化に取り組んでまいりたいと考えております。

鈴木(隼)委員 ありがとうございました。

 ぜひ、介護給付費の要素分析を行っていただいて、きめ細かく抜本的な歳出改革を行っていただきたいと思います。

 ここまで、財政再建に向けた質疑を行ってまいりました。他方で、費用対効果の高い成長戦略を講じていくことも極めて重要であります。女性やシニアの活躍はその最たるものであり、実効的な対策に期待をしております。

 そこで、政府参考人にお尋ねいたします。

 女性やシニアの活躍に関してどのような施策を講じておられるか、御説明をお願いいたします。

吉本政府参考人 お答え申し上げます。

 生産年齢人口が減少する中で、労働力人口を維持しまして持続的な経済成長を支えていくためには、女性や高齢者の力を十分に生かしていくことが重要な課題だというふうに考えております。

 まず、女性の就業促進でございますが、女性がその能力を発揮しつつ働き続けられる環境の整備が重要だと考えておりまして、そのために、仕事と育児あるいは介護といった家庭責任、これらを両立して働き続けることができますように、育児休業、介護休業、あるいは短時間勤務制度、そうしたものがきちんと利用できますように、育児・介護休業法の履行確保を図りますとともに、ことしの四月から全面施行されます女性活躍推進法に基づきまして、一定規模以上の企業に対しましては、女性の活躍に関する状況把握、課題分析、またこれらを踏まえた行動計画の策定、それから、女性の活躍に関する情報公表といったことを義務づけるといったことなどの取り組みを進めているところでございます。

 また、高齢者の就業促進でございますが、これにつきましては、高年齢者雇用安定法に基づきまして、企業における六十五歳までの雇用確保を図りながら、さらに、六十五歳以降につきましても働き続けられる環境を整備していくこととしております。

 具体的には、六十五歳以上の方への雇用保険の適用拡大、またハローワークにおきます再就職支援の強化、さらに、シルバー人材センターなどを活用いたしまして、地域における多様な就業機会の確保などに取り組むこととしております。

 これらによりまして、女性、高齢者が活躍できる環境整備に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

鈴木(隼)委員 女性やシニアに適した働き方として、みずからスモールビジネスを起こすケースもふえております。こういった流れを後押しすることも重要かと考えております。

 最後に、経済成長と財政再建の両立に向けた政府の力強い取り組みを求めるとともに、与党の一員として責任感を持って臨むことをお誓いし、私の質問を終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

宮下委員長 次に、務台俊介君。

務台委員 自由民主党の務台俊介です。

 きょうは、特例公債法そして消費税について伺わせていただきます。

 まず、公債の大量発行についてはさまざまな弊害が指摘されているところでございます。しかし、理論と実際は異なるという局面もあろうかと思います。現実には、国債発行によるメリットというものも確かにある。千六百兆円とも千七百兆円とも言われる個人金融資産がこのように膨大にある中で、この資産を政府が有効に活用するというのも一つの考え方であると思います。

 これだけ大量発行の国債の累積にもかかわらず、なぜ国債の金利が上がらないのか、円の価値が保たれるのか、これまでは幸運にもそのリスクを免れてきたにすぎないのか、そろそろ限界域に達しているのか。ここら辺についての合理的な解説を多くの国民は知りたいというふうに思っていると思います。

 財務省はかねてより国債の累積に常に警鐘を鳴らしてきましたが、依然として国債に対する信認の高さを考えるときに、何かオオカミ少年のような、そういうふうに聞こえている国民も多いのではないかというふうに思います。

 麻生大臣は、国債は政府の債務であり国民の借金ではないという話をされておられますが、まことにそのとおりで、国民は政府に対する債権者だという位置づけがあろうと思います。将来にわたり債務償還が可能であると国民が判断する限りにおいては、債権者である国民は安心して政府に貸し付け続けると考えていいのか、そういう理解でよいのか、お伺いしたいと思います。

 そして、そうであるとすれば、例えば欧州の付加価値税の標準的な税率と比べて、我が国の消費税の引き上げの余地は少なくとも一〇%程度はあると言う方もいらっしゃいます。その引き上げ分で赤字国債は十分カバーできると考えていいのか。

 そういう観点も踏まえて、マクロ的な観点から大臣の公債観といったようなものを伺えればと思います。

麻生国務大臣 お役人さんだとやはり格調高いですな、質問が。

 まず最初に、いわゆる国債というものは政府の借入金であって、当然のこととして、貸方、借方でいえば、貸している人がいるはずです。借りているのが政府であって、貸しているのは間違いなく国民。しかも、これは自国通貨で発行しておりますので、ほかの国と違って、今自国通貨だけで国債発行している国は日本とノルウェーとスイスとアメリカぐらいですかね、あとはないと思いますけれども、ユーロでやっておられますので。自国通貨だけでやっているのはその四カ国だと思います。

 自国通貨だけで多額の借金があるのは事実でありますが、同時に、言われましたように、先ほど鈴木さんの御質問でしたか、個人の金融資産だけで一千三百五十兆を超えるいわゆる個人金融資産を持ち、かつ、そのうちの八百五十兆から八十兆ぐらいは現預金ということになっておりますので、それはかなりの額をいわゆる債権者側は持っておるということを意味しております。

 そういった意味では、こういったことをちょっと見ていれば、ああ、まだ十分にと思われるから、これだけGDPが全然ふえないのに借金だけがどんどんふえれば当然のこととして金利が上がるのが我々が習った経済学なんですけれども、今全くそういう経済学が通用しなくなりまして、逆に借金がふえればふえるだけ、十年物国債で言えば、昔は六%が一%になり、ついに〇・一になり、〇・一も切って〇・〇五ですから、ちょっと正直申し上げて、私どもの習った経済学では全くわからぬような状態になるほど今の状態というのはこれまでのものとはかなり大きく違っているんだと思います。

 その上で、私ども、今後、財政の持続可能性というのを考えていった場合に、確かに今までのところ、家計のいわゆる金融資産というものが非常に潤沢にあるということでありますので、国債が低い金利水準で国内消化されてはいます。これはもう間違いなく現実としてはそうですけれども。

 今後のことを考えますと、少子高齢化という流れは避けがたいということになろうかと思いますので、足元で貯蓄率というものが低下をしていくであろうと思われます。

 そういった中で経済再生と財政健全化というものをしっかりやっていこうと思いますと、いわゆる国債というものは大丈夫なんですかという信頼、今は間違いなくございますが、それの部分をきちっとやっておかないと、いわゆる国際社会から、また市場というマーケットからいずれも信頼を失っていく。

 ということは、同時に国債が買われないということになりますとその分だけ必然的に金利は上がるということになりますので、私どもとしては、高齢化が進むことを考えますと、財政の健全化というものはきちんとした体制なり姿勢なり方向性というものを示しておかないと、そういった不測の事態を招きかねぬと思っております。

 私どもとしては、そういった意味では、今後とも、GDPに占めますいわゆる借入金の債務残高というものの比率を確実に、今、簡単なことを言えば五百に対して千というような感じになっておりますから、それをだんだん、こっちを上げ、こっちは下げというような形にしていくということにしないといけない。

 借入金をゼロにという話は、別に会社でも借金をゼロにする必要もなく、資産があればそれだけ借入金が持てるのは当然ですから、そういった意味で、ゼロにする必要があるとは全然思いませんけれども。

 少なくとも、そういったものの安心感があるようなものを与えておくということが大事なことなのであって、成長戦略というものをきちんとやって取り組んでいくというのが私どもにとっては最も大事なんで、まずは、二〇二〇年までにプライマリーバランスを黒字化にするという財政健全化と、経済成長としては、今、簡単に言えばGDPでいえば六百兆とかいうものを私どもとしては目標に置いておりますが、だんだん時代が変わってきておりますので、グロス・ドメスティック・プロダクトじゃなくて、今はグロス・ナショナル・インカムというような国民の総所得という考え方というものもあわせて考えておかないと、物をつくって売ったお金だけではなくて、これまで投資した金の配当、貸した金の金利、特許料、そういったようなものが入ってくる。

 国全体としては、グロス・ナショナル・インカムとしては大きなものがだんだんこのところふえてきておりますので、そういったものもあわせて考えておく必要があろうかと考えております。

務台委員 ありがとうございます。今大臣のおっしゃった話をしっかり私なりに整理して、選挙区でも使わせていただきたいというふうに思います。

 今大臣のおっしゃった理念というのは、財政法の基本的な視点として貫かれていると思います。非募債主義というのが財政法の建前だというふうに思います。

 なぜ財政法で非募債主義をしっかり書いているのか。私は、戦時中の公債が非常に多くなったということで、その反省を踏まえて財政法ができたのかなというふうにも思っているんですが、簡潔にその歴史的経緯について教えていただければと思います。

美並政府参考人 お答えいたします。

 今先生おっしゃいました非募債主義でございますけれども、これは財政運営の基本原則を定める財政法の第四条において定められております。国の歳出は原則として租税等をもって賄うとするということでございます。

 この財政法でございますけれども、昭和二十二年に制定されたものでございます。その際、公債をむやみに出して財政の基礎を危うくすることを防ぐために非募債主義というものを定められたものというふうに聞いております。

務台委員 済みません、簡潔と言ったら本当に簡潔にお答えいただいて。あとは、別途もうちょっと聞かせていただきたいというふうに思います。

 現代世代の負担で現代世代の支出を賄うというのはとても大事な財政上の矜持だというふうに思います。しかし、現在その矜持が全く形骸化している。

 先ほど来、昭和五十一年の大平大臣の御説明もありましたけれども、最初、昭和四十年度に特例公債が発行された。このときに、時の大蔵大臣の福田赳夫先生は、公共事業の範囲内で、場合によっては建設国債も発行できたにもかかわらず、税収の落ち込みに対する措置なんだから、主観的にこれは特例公債なんだということで単年度の特例公債を発行された。これも非常に厳格な態度で、立派だというふうにも思います。

 五十年度以降の特例公債が単年度として発行される中で、先ほど二十四年度からは複数になったというお話がございましたけれども、私の目から見ると、ねじれの中で与党が追い詰められた結果、どうしても複数年度ということになったように見えるんですが。

 そこら辺の議論が実際はどうだったかということを伺いたいのと、そのときの議論の中で、複数年度にわたる国債の発行を認める手法のほかに、国会法の改正などにより予算と財源措置が同時に決まる仕組みづくりの提案、あるいは特例公債法案に予算と同等に衆議院の優越を認める、これを両院協議会の運営で慣例化するという提案もあったというふうに承知しておりますが、当時、そういう提案ではなく、四年間特例公債を認める、そういう方式をあえて採用した背景を改めて教えていただきたいと思います。

坂井副大臣 お尋ねの平成二十四年当時の議論ということでございますが、当時は民自公の三党政党間における御議論でございました。

 まずは、当面の間、特例公債なしでは財政運営ができないんだという状況があるんだということを前提に、民主党側から、予算と特例公債法を一体的に処理するルールをつくるべきとの提案がなされ、三党がそれを前提に御議論いただいて、二〇一五年度プライマリーバランス赤字半減の目標がある、その目標がしっかりあるということを踏まえて安定的な財政運営を確保する。

 つまりは、政争の具にはしないということから特例公債の発行期間を二〇一五年度までの四年間とすることと決めたということを承知いたしております。よろしいでしょうか。

務台委員 ほかの幾つかの提案もあったとは思うんですが、それは政府の中ではしっかり議論されなかったという理解でよろしいんでしょうか。

坂井副大臣 いろいろと有識者の方々からの御提案があったということでございまして、これらも含めて議論いたしましたが、とにかく財政法第四条の考え方がございまして、それを一方では尊重する、それをしっかり踏まえるということであれば、恒久的な形でこれらの法制度を設けることは適当ではないのではないか、こう考えております。

務台委員 理屈としては通っていると思いますので、私もその考え方で結構だと思うんですが、これからやはり、先ほどの大平大臣の単年度に対する思い入れ、矜持というこの仕組みを入れた当初の考え方に立ち戻って考えるとき、予算と財源措置が同時に決まる仕組みというものについてもこれからしっかりと御検討いただく、そんなことも必要かなというふうに思いますが、いかがでしょうか。

坂井副大臣 今、一定の限度、期間を区切って、今回五年で法案を出させていただいておりますが、五年間、しかも、一応プライマリーバランスの目標をしっかり掲げ、その目標を達成するということをお約束をしながらということでございますが、こういったことも含めてこれらのこともまた考えていかなければならないのかなと思っております。

務台委員 平成二十四年度の特例公債法の成立がおくれたために、当時、政府の予算執行の抑制が行われたというふうに伺っております。実際に予算執行がどのくらい通常ペースに比べておくれて、当時の日本経済にどの程度の影響があったのか。恐らく定量的な議論というのはないと思うんですが、今から振り返ってあのときどうだったのかというのをお教えいただきたいと思います。

坂井副大臣 平成二十四年度におきまして、特例公債法が成立していない状況のもと、四月以降、一つは、支払い計画の承認期間を通常の三カ月から一カ月に短縮をする、また、一般会計から特別会計への繰り入れにつきまして各特別会計の資金繰りの許す範囲で繰り入れの時期を調整するなどの予算の執行管理というものを実施いたしております。

 また、九月以降、関連法令の規定や国民生活、経済活動への影響を踏まえつつ、各経費の支払いの緊要性を再点検いたしまして、可能な限り予算の執行を後ろに倒すこととして、政府部内の行政経費、庁費でありますとか旅費、またいろいろな形での謝金、諸謝金等につきましては、毎月、予算額の五〇%以下に支払いを抑制する、道府県分の普通交付税につきまして、通常は三カ月分を一括交付するところを月割りで交付する、また、裁量的補助金につきましては原則新たな交付決定は行わないなどの予算の執行抑制というものを実施いたしてまいりました。

 こうした経験を踏まえますと、行政運営への支障が生じませんよう、本法案の年度内成立をお願い申し上げているところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

務台委員 ありがとうございました。

 国債管理政策についてちょっと伺いたいと思うんです。

 当初、特例公債については借りかえを認めない考え方がとられていたというふうに承知しております。これが昭和五十九年に借りかえを認めるやり方に転換しています。

 これは、長期的な国債管理政策の中ではやむを得ない措置であるというふうに認識しますが、仮に借りかえを認めないとどんな事態になっているのか、この点について御教示いただきたいと思います。

美並政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、昭和五十年代に特例公債を発行した当初は、法律上借換債の発行を行えないこととされておりましたけれども、昭和五十九年度において、特例公債についても借換債の発行を認める制度改正が行われたものでございます。

 この際の考え方は、過去に発行した特例公債の本格的償還を迎えるに当たり、厳しい財政事情のもとで、その全額を現金償還しようとすると、極端な歳出カットや極端な負担増が不可避となり、経済や国民生活に好ましくない影響を及ぼすおそれがある、そういう考え方でございました。

 今、借りかえを認めない場合にどうなるかという御質問でございますけれども、平成二十八年度予算では、過去に発行された特例公債に係る借換債の発行が八十五兆円予定されております。これを発行せずに全額現金償還するというのはなかなか現実的ではないというふうに考えております。

 したがって、引き続き借換債を発行せざるを得ない状況ではございますけれども、今般の法案も含めまして近年の特例公債法には、発行した特例公債の速やかな減債に努める旨の規定が設けられておりまして、これを踏まえ、速やかな減債に努力してまいりたいと考えております。

務台委員 今の国債費の推移を見させていただくと、定率繰り入れを主体とした債務償還費は毎年ふえ続けておりますが、利払い費がふえていない、場合によっては減っている、そういう不思議な状況があります。こうした状況が今後はどうなるのか、御認識を伺いたいと思います。

大岡大臣政務官 務台議員から御質問をいただきました。

 国債費につきましては、議員から御指摘いただきましたとおり、国債残高が累増をしておりますので、国債償還費は増加をし続けております一方で、利払い費につきましては、近年の低金利の傾向を受けまして、微増または横ばいといった状況でございます。

 こうした状況は、負債を負う政府の側にとってみるとコストが抑制されている面があるのは事実でございますが、一方で、この金利というものは、景気の動向、あるいは市場における需給によって変わり得るものでございますので、今後とも同じ状況が続くとは言い切れないところがございます。

 したがいまして、政府としましては、今後とも国債の安定的な消化が確保されるように、適切な国債管理政策、これをちょっと具体的に申し上げますと、市場とよく対話をしまして希望に合った長さの国債を出すですとか、毎月安定的にしっかりと出していくですとか、そうした努力に努めますとともに、引き続き財政健全化の取り組みを着実に進めて、国債に対する信認を確保していくことが重要だと考えております。

 以上でございます。

務台委員 国債の格付について伺いたいと思います。

 今、日本国債は、中国、韓国よりも低い格付という、そういう格付会社もありますが、今後の国債大量発行のもとで日本国債の格付が低下するおそれがある、そういう指摘があると思います。

 今回の公債特例法の延長で、場合によっては、財政規律が緩んだと理解されて格付が下がるという懸念もあり得ると思いますが、どのようにお考えでしょうか。

大岡大臣政務官 お答えを申し上げます。

 まず、民間の格付会社がさまざまな格付をしておりますが、これはそれぞれ評価、分析をされての上でのことだと思いますので、逐一コメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 その上で、財政規律につきましては、現内閣では、特例公債の発行を複数年度化した現行の特例公債法のもと、経済再生と財政健全化を着実に進めてきておりまして、三年間で一般歳出の増加を一・六兆円程度に抑制をし、その間の税収増も含めまして、今年度末においてはプライマリーバランスの赤字半減目標を達成する見込みとなっております。また、現在審議をいただいております二十八年度予算におきましても、新規国債発行額は十兆円の削減をさせていただいております。

 したがいまして、今回の特例公債法を改正することにおいても、特例公債の発行抑制に努める努力、これはもう引き続き進めてまいりますので、そして、二〇二〇年度にプライマリーバランスの黒字化目標に向けてしっかりと財政規律を堅持しまして、財政健全化を進めていく方針は揺るぎませんので、財政規律が緩んだという疑念を生じさせることはないというふうに考えております。

 以上でございます。

務台委員 ぜひ、そういうメッセージをしっかり発信していただきたいと思います。

 過日、機関投資家のトップの方に今回のマイナス金利政策の影響を伺う機会がありましたけれども、日本の金融機関にマイナス金利という状態に備えたシステムができてはいないのでその影響をどういうふうに考えたらいいか、そういう準備ができていないというちょっと深刻な状況を伺いました。

 マイナス金利については、劇薬であり、これが長期化することは避けなければならないと思いますが、特例公債も全く同様であると思いますので、早期にこの依存する状態から脱却する、それをしっかりとやっていただきたいと思います。

 最後に消費税の問題。時間がなくなりましたから、一つだけ伺いたいと思います。

 先週、確定申告の激励に松本税務署を訪問した際に、そこにおられた税理士の方から、最近消費税の滞納が目立っているというお話を伺いました。昨年度は三千五百億円もの滞納残高が消費税で、あるというふうに承知しておりますが、足下の滞納の状況はどうなのか。

 消費税については、これが預かり金であるということから、税金分についてはしっかりと分別して特別の管理を行い、キャッシュの口座を別にし、自動的に納税義務者の口座から当局に振りかえられる、そういう仕組みをそろそろ考えてもいいんじゃないかというふうに思います。

 税率が引き上がり、預かり金がふえると、今後新規の滞納がふえるおそれが十分あると思いますので、税務当局の滞納整理の負担軽減も図るということも必要だと思いますので、さらなる制度的対応を考えるべきではないか。これについてのお答えをいただきたいと思います。

星野政府参考人 消費税の滞納状況についてまずお伺いがございましたので、事実関係を私から答弁させていただきます。

 直近、平成二十六年度末の消費税の滞納の計数を申し上げますと、新規発生の滞納額、これは三千二百九十四億円でございまして、前年度から四百八十億円、一七・一%増加しておるわけですけれども、滞納の整理済み額、これが新規発生滞納額を上回る三千三百八十億円でありましたので、滞納残高としては、先ほど先生がおっしゃいました三千四百七十七億円ということで、前年度よりも八十六億円減少になっております。

 それから、同年度の消費税の申告などによりまして課税されたものの全体額でございます徴収決定済み額、これは大きくふえておりまして、対前年度比で四四%の大幅な増額となっております。

 これに比べれば、先ほど申し上げた新規の滞納発生額の増加一七・一%、相対的に小さなものとなっておりまして、こうしたことを踏まえますと、滞納の未然防止が図られているものと考えております。

 いずれにしても、消費税の滞納については、引き続き未然防止及び滞納整理に努めてまいりたいと考えております。

坂井副大臣 制度的対応を検討すべきではないかという御質問もございました。

 委員からは、年十二回申告の対象者をふやすなどしたらどうかというような御提言なども実はいただいているところではございますけれども、いずれにいたしましても、この消費税の滞納につきましては、制度の周知徹底など滞納の未然防止のための取り組みを引き続き行いながら、滞納の発生状況、これまで行ってきた制度改正の効果、事業者の方の御意見等を踏まえつつ、どのような対応が考えられるか、引き続き検討させていただきたいと思っております。

 ありがとうございます。

務台委員 質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

宮下委員長 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉です。昨日の本会議に引き続きまして、委員会で質問させていただきます。

 きのうもある普通の主婦の方とお話をしていたわけですが、例えば、物を買うに当たって、今だと消費税は八%ですから、千円のものが千八十円と記されているのと千円プラス税と書かれているのとでは、実際にお買い物をする際の感覚というのは随分違うんだという話も聞きました。

 また、実際に小売事業者として事業を営んでいる方に伺っても、その表記の仕方自体で現に売り上げにも影響が出るというようなお話を聞きますと、やはり税というものの存在の大きさを痛感いたしますし、今回、軽減税率という形で、ある一定のものについては、税を一〇%になった際も八%に軽減をするということは、経済活動においても非常に大きい影響を及ぼすであろう、こういうふうに思います。

 まず初めに、この軽減税率の対象範囲ですけれども、酒類及び外食を除く飲食料品、そして一定の新聞の定期購読料とされたわけでございます。

 加工食品を含む食料品が対象となったことで、日々の買い物において、今申し上げたことも含め、多くの国民が痛税感の緩和を実感することができますし、また、逆進性の緩和対策としてもより効果的な制度となっていると考えます。

 この点の議論は、これまで予算委員会でも、またきのうの本会議質問でも、さまざまな議員の方からやりとりがあったかと存じます。

 また、外食を除くとしたことについては、その線引きというのがこれから極めて重要になってくると思います。食生活も多様になってきておりますし、消費をめぐる商品やサービスの提供のあり方も日々変化をしています。日々、その中身も変わってくることもまた事実だと思います。

 こうした実情を踏まえて、さまざまな変化の中にあっても、定義が揺らいでは、それこそ恣意性が入る余地が出てきてしまいますので、租税法定主義の根幹が揺らぐようなことになってはいけません。よって、定義をしっかりと踏まえながら、客観的な基準を明確にすること、これが極めて重要であると考えます。

 そこで一つ目の問いでございますが、軽減税率の適用品目についての判断基準をどのように示していくのかについて、財務省にお伺いをいたします。

坂井副大臣 お答え申し上げます。

 今般の制度案におきましては、軽減税率の適用対象品目を、酒類、外食を除く飲食料品及び一定の新聞の定期購読料といたしまして、それぞれ、法令上明確に定義づけをしております。

 しかし、具体的に当てはめていく当てはめの際、適用していく際には、実際の個別の状況はそれぞれでございますので、その都度個別に判断をしていかなければならないものと考えております。その上で、消費者及び事業者にとりまして軽減税率の適用範囲をわかりやすいものとすることが重要であります。

 今後、その具体的な当てはめにつきまして、通達でありますとか、それからQアンドAなどを通じてわかりやすくお示しすると同時に、事業者からの相談等への対応を丁寧に行うように努めてまいりたいと考えております。

伊藤(渉)委員 副大臣、ありがとうございます。

 まさに丁寧な対応をしていくことで、現在はまだまだ心配をいただいている声もあるのも承知をしておりますので、そういう声が小さくなっていくことを、ぜひとも取り組みを進めていきたい、こう思います。

 今ありましたとおり、実際に商品の販売をするときなどに、当てはめという意味で、適用する消費税を、軽減税率の八%なのか、あるいは標準税率の一〇%なのか、そうはいっても、あまたある当てはめの中で迷うケースというのは出てくるのであろうと思います。

 それを、今副大臣おっしゃっていただいたとおり、丁寧に対応をすることによって現場の不安感が払拭をされていくと同時に、そのさまざまな問い合わせに対応することによって、いろいろなノウハウの蓄積も、それを実施する財務省サイドにもたまってくるとも思いますし、そのことが今後のこの軽減税率の運用においては極めて重要な資源になるというふうに思うんです。

 そういう意味からも、今おっしゃっていただいた相談窓口あるいはサポート体制、この充実ということは非常に重要な観点だと考えておりますけれども、財務省について、この点の考え方をお伺いしたいと思います。

大岡大臣政務官 伊藤議員にお答えを申し上げます。

 個別具体の飲食料品の提供が軽減税率の適用対象となるか否かについて疑問がある場合は、原則として、所管の税務署にお問い合わせをいただくことになります。

 という答弁を御用意いたしましたけれども、実際に事業者からすると、現場を回っておられる先生方はもう御案内のとおり、一番電話したくないところが税務署でございます。あわせて、特に飲食料品の提供は、税務署が閉まっている時間、夜ですとかあるいは土日ですとかにたくさんの取引が行われますことから、これは原則ではございますが、事業者あるいは消費者の問い合わせに適切に対応するためにどうするべきか。これは、引き続き、先生方の御意見も伺いまして検討を重ねてまいりたいと思っております。

 政府としましては、軽減税率制度の導入に当たりまして混乱が生じないよう万全の準備を進めることが重要と考えておりまして、もちろん、政府側に必要な体制を整える、それから、事業者の準備状況等を検証しながら、軽減税率制度の円滑な導入及び運用に資するための必要な対応を行うこととしておりまして、それにつきましては、法施行の前であっても、事業者からの相談に丁寧に対応してまいりたいというふうに考えております。

 その一環としまして、予備費及び補正予算におきまして、中小の小売事業者等が複数税率に対応するための必要なレジの導入、それから、システムの改修等につきまして資金的に支援をしてまいりますとともに、説明会の開催や相談窓口の設置などのための予算を確保しておりまして、この着実な執行を通じて、事業者及び消費者にしっかりとした対応を行ってまいりたいと考えております。

 以上でございます。

伊藤(渉)委員 政務官の非常に丁寧な御答弁をいただきまして、ありがとうございます。引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 次の質問は、こういうことを言われる方もいるのであえて聞くというところですけれども、この軽減税率の対象品目ということについて、公平公正に一義的に線引きをすることは難しい。結果としていろいろな業界団体の陳情合戦を招いて、癒着と利権の温床になることを心配する声も、私は余りそう思っていないんですけれども、そういう声もあるものですから、あえてここは麻生大臣に見解をお伺いしておきたいと思います。

麻生国務大臣 この軽減税率の対象品目の設定というものは、消費税率を一〇%に引き上げるに伴います低所得者対象という、低所得者への配慮という点が趣旨のもとでありますので、いわゆる日々の生活の中で消費とかいろいろ利用しておられる、活用しておられるような状況、また、消費税の通常いわゆる逆進性というものの緩和とか、法律できちっと言うような合理的な線引きとか、同時に考えないかぬのは、これをやり過ぎますと、肝心の社会保障というもののための財源として消費税というのを考えておりますので、そういったものに影響などなど、いろいろなことを勘案して今回のものを適用対象とさせていただいております。

 御指摘のあるように、今は伊藤先生いろいろ、自分は考えないけれどもそういう話もあるという話はよく聞かれる話でもありますので、対象範囲を類似品等々他の商品にも拡大をすべきだというようないろいろな業界からの陳情等々、そういったものに対する御懸念というものは、軽減税率対象品目を拡大するということにつきましては、これは、特定の物品とかサービスとかいうもののみを対象とする代替品のゆがみみたいなものが生じることになりかねませんし、また、こうしたゆがみというものを解消しようとすると、これは際限なく対象が広がって、いわゆる社会保障の財源のもととなっております消費税全体の税収そのものを減少させるというおそれがありますので、安易な陳情合戦というようなものを生じさせないためにも慎重であらねばならぬものだ、安易に拡大するということは慎重であらねばならぬと思っております。

 いずれにしても、税制というのは国民生活に直結するものでもありますので、そういった意味ではいろいろな御意見というのは今後出てくると思っておりますので、そういったものに丁寧に対応しながら、税制というものがゆがめられるというようなことにならないように配慮してまいらねばならぬと思っております。

    〔委員長退席、松本(洋)委員長代理着席〕

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。念のために確認で聞かせていただきましたので、よろしくお願いしたいと思います。

 これまでも議論になっておりますけれども、税制抜本改革法の中には、きのう本会議でも私申し上げましたけれども、給付つき税額控除というものも書かれていて、その中で軽減税率を採用するということを決めさせていただいて法案が出ているわけでございますけれども、この給付つき税額控除について二点ほどお伺いをしたいと思うんです。

 仕組み自体としては、一つの方法としては十分検討の余地があると私はもちろん思っておりまして、気になることの一つは、やはり給付つき税額控除というのは、当然のことながら、一旦は標準税率に従って税を払う。多分、それを年末なりの確定申告等で申請をして返してもらうということになると思いますので、一つは、お金を払うときの痛税感の緩和という意味では軽減税率より劣ってしまうのではないか。

 そしてもう一つは、この申告ということの難しさというものを思いまして、日本の国はやはり高齢社会でもありますので、ひとり暮らしの高齢者の方などもおります。現実的に申請自体を本当に皆さんができるのだろうかということも心配をするわけです。

 ちょっとこれは厚生労働省に参考までにお伺いをしたいんですけれども、消費税率を五%から八%に引き上げた際に、これも税制抜本改革法の中にあったとおり、当面の間として、簡素な給付措置というものを実施してきたと思います。

 これも申請をして給付がもらえるという仕組みだと承知をしておりますけれども、この臨時福祉給付金の申請率というものがどの程度だったのかということを厚生労働省にお伺いをしたいと思います。

堀江政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省では、臨時福祉給付金の支給の実務を担当してございます。本給付金の支給は申請に基づくものでございまして、平成二十六年度の支給決定者数、約千九百九十二万人でございます。

 お尋ねでございますけれども、支給対象者は二千二百万人と推計しておりまして、これを分母とし、支給決定者数を分子にして機械的に計算しますと、九一%になります。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 九一%ということだったと思います。これを多いと見るか少ないと見るか、これは人それぞれですけれども、軽減税率であれば、そもそも払いませんのでこれは一〇〇%に自動的になるわけですけれども、申請という行為を挟むことによって、今の数字でいきますとマイナス九%、対象者の人数でいうとどれぐらいの人数になるのか、ちょっとすぐ計算ができませんけれども、全ての人にあまねく痛税感の緩和という意味では、行き渡らない部分が出てしまうのではないか、こういうふうに思います。

 もう一つ、給付つき税額控除について関連してお伺いをしたいんですけれども、こういったことを実施しようと思うと、所得の捕捉というものをどの程度正確に行うのかということがやはり課題になる、これもよく言われているとおりだと思います。

 消費税が一〇%となる来年の四月の時点で、あわせて、今、マイナンバー制度の導入が進んでいるわけですけれども、現在よりもどの程度正確に個人の所得の捕捉が可能となるのか。

 また、特にこの給付つきの税額控除ということを、私がイメージしているものを形にしていこうと思うと、所得課税の課税最低限以下の個人所得というものもちゃんと捕捉をしていかなければならない、私がイメージしているものはそういうことになるんですけれども、ちなみに、所得課税の課税最低限以下の個人所得の捕捉ということは、今導入が進んでいるマイナンバー制度を使ってどのようになるのか。

 このことについて財務省にお伺いをいたします。

    〔松本(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 所得の捕捉についてのお尋ねがございました。

 番号制度の導入によりまして、申告書、法定調書等の税務関係書類に番号が記載されることになりますので、法定調書の名寄せ、申告書との突合がより効率的かつ正確に行えるようになりまして、所得把握の正確性が向上し、適正、公平な課税につながるものと考えております。

 ただ、他方、番号制度導入後におきましても、例えば、一般の消費者を対象とする小売業やサービス業などに係る取引情報の把握には限界がありますし、また、今先生が御指摘されましたように、課税最低限以下の方はそもそも申告義務がないことから、その所得については国税当局として把握できない状況になっておりまして、この部分については変わらないということでございます。

 したがいまして、国税当局において全ての所得を把握することは困難であると考えております。

 いずれにしても、新たに導入される番号を利用しながら、引き続き、あらゆる機会を通じて、課税上有効な資料情報の収集に努めて、適正、公平な課税の実現に向けて努めてまいりたいと考えております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。

 あくまでも、私がイメージする給付つき税額控除というものを形にするためには、こういった諸条件が整わないとなかなか難しいのではないかと考えておりましたので、きょうは委員会で確認をさせていただきました。またこの委員会での質疑に今後出てくると思いますので、しっかり確認をしたいと思います。

 続いて、法人税について一点お伺いをしたいと思います。

 これは、いわゆる学識者の方などとお話をしてくると出てくることですので、法人税の実務とどの程度関係があるのかということは少しおいておいて、その理論として一点お伺いをしたいと思います。

 御存じのとおり、法人税には従来より二つの考え方がございます。一つは、法人を自然人である個人と並んで独立した納税者であるとする考え方、実在説とよく言われます。もう一つは、法人は株主の集合体であり、独立した納税義務はなく、法人の所得に対する課税は個人の所得税の前払いであるとする考え方、これは擬制説とよく言われますけれども、この二つの考え方がある。

 我が国の法人税制は、歴史的に見ますと、一、つまり実在説の考え方を採用した時期もあったと聞いておりますけれども、基本的に二の考え方、つまり擬制説に基づいて、法人税と所得税の二重課税を一部調整をするシステムをとっているというふうに承知をしています。

 こうしたことから、実際にそうなっているのかどうかということも含めてきょうここで教えていただきたいと思って質問をするわけです。

 今後、ますます経済の変化のスピードというのは速くなってきます。そうした経済の動きに対応するためにも、法人税についても、今申し上げた一つ目、つまり実在説の考え方に立って、法人税率が所得税率の構造に依存することなく、機動的な改正を可能にするべきではないかという声を耳にするんです。

 これはつまり、所得税との関連があるために、実在説よりも擬制説の方が法人税率を変更するのに手間がかかるというふうにおっしゃる方が見えるものですから、実態としてそうなっているのだろうかということも含めて確認をさせていただきたいと思います。

 このことについては財務大臣に見解をお伺いいたします。

麻生国務大臣 この法人税に対する考え方は、今御指摘のありましたように、株主というのは独立した存在ということで、法人税は法人独自の負担であるという、いわゆる法人実在説と言われるものと、法人は株主の集合体ですからということで所得税の前取りであるというような考え方、いわゆる擬制説、基本的にはこの二つが大きくあると言われております。

 この点、我々、経済の実態というものを見ますと、法人の所得というのは、配当というような形で最終的には株主に帰属するということが見られるということですけれども、その一方で、多くの法人というものは、株主とは独立した主体として経済活動というのは行っておられる、特に日本の場合はそういう傾向が強いと思いますが。さらに、組織の再編などをよくやられますと、法人の形態というものは、絶えず合併したり離れてみたり、MアンドAであったりしていろいろな形で変化し得るということも踏まえますと、法人の所得というものを全て個人の株主に帰属するものだということで株主の配当所得だけで捉えようとするということが、必ずしも経済の実態というものを反映しているということではなく、また、執行面から見ても現実的ではないのではないかと考えております。

 こうしたことを考えますと、法人税と所得税という二重課税につきまして、配当所得の段階で一定の調整を行うこととしております今のいわゆる現行制度というのは、それなりの合理性があるのじゃないかなというように考えております。

 その上で今般の法人税改革について言わせていただければ、所得税の論議とはちょっと切り離して、法人税固有の問題として、いわゆるその法人税だけの問題として、課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げるということによりまして、稼ぐ力というもののある企業の税負担が軽減し、また、これによって企業がいわゆる収益力というものを高めて、引き上げたことによって賃金を払ってみたり、また、設備投資をしてみたりというようなことで、積極的にそういったものに取り組むように促すということを我々としては狙っております。

 いずれにいたしましても、税制のあり方については、これは、経済社会というものが構造変化をどんどんしておりますので、そういったものをよくよく踏まえながら、その時々、我々としては適切なものを対応していくという努力が必要であろうと思っております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。

 今回の税制改正では、きのうの本会議でも申し上げたとおり、実効税率三〇%を切ることについての道筋をつけて、これは経済界への大きなメッセージだと思います。ここは本当に繰り返して申し上げておきたいと思いますけれども、それはとりもなおさず、政府としては、そういったいわゆる減税の効果が賃金や投資に回って、経済の好循環を生むということが最大の眼目であると思います。

 このことについては、ぜひ大臣には、経営者でもあり、さまざまなことが総合的に理解をできる麻生大臣の方から、経済界に向かって事あるごとに発信をお願いしたい、こういうふうに思います。

 最後に、特例公債法案に絡んで、国債管理についてお伺いをいたします。

 足元の金融市場の動きは、不安定な要素も見受けられるわけで、注視をしていかなければなりません。そうした中で、国債の管理ということも極めて重要でございます。

 これはもう言わずもがなでございますけれども、日本銀行は、量的・質的緩和、今回マイナス金利も導入をしましたけれども、ベースとして年八十兆円のペースで国債の買い増しを実施、継続をしております。また、ここ昨今のマネーのリスクオフの動きの影響もございまして、安全資産と見られている円、そして日本の国債の需要が高まり、これもここまでの質疑の中でも出てきたとおり、流通利回りがマイナスとなることも見受けられるという状況になっております。

 こうした中で、平成二十八年度の国債発行計画では、国債の発行総額を前年度当初予算より八兆円減額をして、百六十二・二兆円としていると承知をしています。年代別で見ますと、四十年債を〇・四兆円ふやす。一方で、二十年債そして五年債は各一・二兆円ずつ、また、二年債は二・四兆円減額をしています。

 この計画は、財政への負担を減らすために、現状の低金利を活用して長期にわたり利払いを低く抑えようとするもの、こういうふうに承知をしております。財政再建という観点から国債発行総額を抑える一方で、目下のマーケットにおける中短期債の品薄感にもやはり目配りはどうしても必要になってまいります。

 そうしたことを踏まえて、政府の国債管理政策の考え方について、再び財務大臣に答弁をお願いしたいと思います。

麻生国務大臣 二十八年度の国債発行計画というにつきましては、これは今言われましたように、国債市場の環境を考えて、やはり年限の構成の見直しを行うということをやって、結果として国債の安定的な発行というものの確保を図ってまいりたい、基本的にそう思っております。

 すなわち、国債の市中発行をするに当たりましては、いわゆる中短期債と言われる五年物、二年物、一年物等々は、二年債の金利がマイナスで推移するなどの需給が逼迫しておりますので、市場の流動性の低下というものが懸念をされていることに配慮して、前年度に比べて六・一兆円に、また、減額幅を抑制して四・八兆円にすること等々を考えております。

 一方、四十年とか三十年とか超長期債のものにつきましては、生保とか年金などの長期運用や定期的購入のニーズがありますので、四十年債発行の隔月化、年五回発行を隔月ですから六回にするということ、及び、対前年度比プラスの約四千億円というものの増額を実施する。

 同時に、市場関係者から需給の緩みを指摘する声が聞かれたことなどを考えますと、二十年債を減額して、これは約一・二兆円、また、超長期債全体としては対前年度比で約八千億円減額ということといたしております。

 今後とも、国債市場の動向というのをよくよく注意深く見ながらこの国債管理政策というものを推進していかないと、不必要な疑念を生んでみたりいたしかねませんので、細心の注意を払って対応してまいりたいと考えております。

伊藤(渉)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

宮下委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 きょうは、まず消費税の問題についてお伺いしたいと思います。

 法案の前提となる今度の据え置きつき消費税増税で、一体、一人当たり幾ら増税になるのか、一世帯当たり幾ら増税になるのか。この額の問題がこの間変わってきたわけですが、予算委員会で私が当初聞いたときは一人当たり一万四千円、その後、参議院では税収見込みによる増税額は一人当たり二万七千円ということで、数が変わりました。

 私に対する回答は家計調査で答えたんだ、家計調査というのは消費の六割しか把握できていない、こういう話でした。これからは税収見込みからの算出が正しいんだというのが麻生大臣からあったというのがこの間の到達だというふうに思います。

 この税収見込みから一世帯当たり六万二千円、一人当たり二万七千円というのは、軽減税率の軽減額総額が一兆円だというところから来ているんだと思いますけれども、改めて伺いますけれども、軽減税率による軽減総額一兆円が正しい、こう言われる根拠は何なんでしょうか。

麻生国務大臣 税制改正に伴います減収の見込み額というものは、税収の実績に見合った見積もりで行う必要があろうと考えております。

 こうした考えのもとで、軽減税率制度の導入に伴う減収見込み額につきましては、家計が負担をいたします年率一%当たりの消費税収の見込み額を基礎として、家計調査から推計いたしました軽減税率の適用対象となる消費支出の割合を掛けまして、結果的に一兆円程度と見込んでおるということで、一%程度の税収から政府負担額を引きましたところに軽減税率対象の割合が二四%のものをそれに掛けて、軽減税率二%を掛けますと約一兆円というのが計算の基礎であります。

宮本(徹)委員 今お話しありましたように、私に対して答えたのは家計調査そのものから答えたと。今度は、税収見込みから一兆円というのを出したんだけれども、税収見込みから一兆円出す上でも家計調査を使われているわけですよね。一方では家計調査は消費支出全体の六割しか把握できていないといって一人当たり一万四千円は間違いだと言いながら、今度は同じ家計調査を使って軽減総額一兆円は正しいんだというふうに言われているわけですよ。なかなか理解できないんですね。

 参議院の議事録を見ていましたら、麻生大臣も、家計調査は、全部書いていられるかというと、書いていられないと、こう答弁もされています。ですから、全部書いていられない家計調査を使って、きょう改めて前回もお配りした資料を提出させていただきましたけれども、軽減税率の対象品目の割合は二三・九%だ、ここから軽減税率の額一兆円が出てくるという説明なわけです。

 一方で、家計調査が六割しか把握できていないということになりますと、この一兆円という額も正しいとは言えないんじゃないですか。

麻生国務大臣 家計調査につきましては今御指摘のあったようなことは重々承知しておりますけれども、家計調査というものは、この前も御説明申し上げましたとおり、約九千世帯の実際の消費支出をもとにした統計であります。家計消費の内容とか構造とか動向を示す統計としては最も信頼がありますので、ほかによりふさわしい統計も存在いたしていないと思っております。

 加えて、サンプル数が全国消費実態調査と比較したらという御指摘もありますが、消費全体に占めます軽減税率の適用対象となる消費支出の割合につきましては、ほとんどそのパーセントの差は変わらないということなどを踏まえますと、消費の構造、どういった形の構造があるかという、すなわち軽減税率の対象となる消費支出の割合というものを算出するに当たりましては、家計調査というものを活用することについては一定の合理性があるのではないか、私どもは基本的にそう思っております。

宮本(徹)委員 一定の合理性があるというふうにおっしゃいますけれども、ほかに、家計調査以外に使うものがないからということもおっしゃられるわけですよね。

 家計調査の対象は、先ほど言われたとおり九千世帯ですよね。実際、住民台帳に載っている二〇一五年の世帯は五千六百四十一万世帯だと。物すごい差があるわけですよね。この九千世帯で、しかも消費の六割しか把握していないと言われているものがなぜ正しいと言えるのかという説明には、今の説明はなっていないというふうに思います。

 なぜ、この九千世帯が五千六百四十一万世帯を正確にこの家計調査は反映しているというふうに言えるんですか。

麻生国務大臣 消費の内容、構造等々に関しましては、これにかわる資料というものは存在いたしておりませんので、基本的に五千六百万世帯というもののそのサンプルの中から私どもとしてはそれを参考にさせていただいて合わせるということでありまして、もっといろいろあるではないかと、私どもはもっとほかに資料があればそれを使わせていただきますけれども、それにまさるような資料は存在しておりませんというのも事実です。

宮本(徹)委員 結局、それにかわる資料がないということでありまして、この一兆円が正しいということにはならないわけですよね。

 これは参議院でも紹介があったわけです。国民経済計算があります。食料・非アルコール飲料、これを見ますと、平成二十六年度、二〇一四年では四十兆九千五百五十七億ということになっております。これに軽減分の二%を掛けたら八千億ということになるわけですよね。

 六割しか把握していない家計調査をもとにした税収見込みを使った一兆円と、そしてこの国民経済計算で、支出の目的で出てくる食料・非アルコール飲料から計算で出てくる八千億と、二千億の差があるわけですけれども、大分違うわけですよね。

 では、なぜこの国民経済計算から出てくる八千億じゃなくて、家計調査も使った一兆円の方が正しいんですか。そこがわからないですね。お答えください。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の軽減税率導入に伴います減収見込み額を計算する点につきまして、先ほど大臣から御説明申し上げましたように、まずベースといたしましては、家計が負担をいたします一%当たりの消費税収の見込み額をまず基礎にするということと、それが約二・一兆円でございますが、それに軽減税率の適用対象となります消費支出の割合を掛けまして、一兆円という数字を出してきているわけでございます。

 それで、計算の基礎として、まず消費税の税収を基礎として見積もっているということでございますが、それは消費税の税収そのものが実際の消費支出に対応して現実に負担されている金額でありますから、そこから計算されていくべきものであろうと。

 問題は、その中に食料品に当たる部分がどれぐらいの割合があるだろうか、そこの部分として参考的にどういう資料からどういう割合を持ってくるのが適当であろうかということで家計調査による割合を持ってきたということでございます。

 家計調査自体は、先ほどから御説明ありましたように、家計消費の中身とか構造とか動向とかというものをしっかりと把握するということを主たる目的としておりまして、家計の支出総額そのものをつかまえるという性質でないということをも十分勘案した内容でございます。

 それから、国民経済計算との関係の御指摘でございました。

 確かに、国民経済計算によりますと、食料・非アルコール飲料に係ります家計消費は四十一兆円程度でございますので、それをもとに計算をいたしますと〇・八兆円ということになりますけれども、子細に国民経済計算の中を見ますと、軽減対象となる商品でありましても、例えば、ホテルや旅館等の直営の売店で販売されるお土産とかお菓子、飲料の類いというのはその中に計上されないというふうな、これまた統計上の制約があるということでございます。

 したがいまして、その場合では、恐らく軽減税率の適用対象となる家計消費というのは、その四十一兆円よりも大きくなるということになるでしょうから、それに対応しまして減収見込み額も〇・八兆円よりも大きくなる、そういうふうな構造になっているんだろうと思っております。

 いずれにしても、消費税の減収額を求めるときには、基本的に、家計が負担をしている消費税そのものの負担のところをベースに計算するというのが最も実態に近いものであろうというふうに考えて計算をしているところでございます。

宮本(徹)委員 今のお話ですと、国民経済計算の中には、ホテルだとかの売店で売っているお土産代などが入っていないというお話でしたけれども、それが一体、十兆円もあるのかという話なんですよ。

 二千億円差があるということは、十兆円差があるということですよね。そうなりますよね。そんなに十兆円もあるということになるんですか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今、四十一兆円という飲食料品のところについて数字を申し上げましたが、それから、直接把握されていない部分の代表例として申し上げたところでございます。ホテルでの販売されているお土産とかレジャー施設での販売されているお土産であるとか、あるいは外食・宿泊の中に含まれているサービスであるとか、そういうものがいろいろ入ってまいりますので、そういう部分が狭い意味での四十一兆円の世界の外側にあるのではないかというふうに見ております。

 ただ、幾らかということは確認はできておりませんけれども、基本的には、それよりも大きな数字が現実に飲食料品の対象であるということは言えるんだろうと思っております。

宮本(徹)委員 国民経済計算を見ると、食料・非アルコール飲料以外に、外食・宿泊という欄がありますよ。外食・宿泊、全部合わせて十八兆六千七百八十億ですね。宿泊、全部ホテル代ですよ、お土産代の話じゃないですよ。ホテル代だとか全部含めて十八兆ですよ。

 ですから、レジャー施設でのお土産代だとかホテルでのお土産代が十兆円もあるという話には絶対ならないわけですよ。それはお認めになりますよね、十兆円はないと。それは、おっしゃるように、四十一兆よりは若干膨らむかもわからないけれども、五十兆にはならないと思いますよ。それはお認めになりますか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 国民経済計算上は、明確なのは、食料・飲料のところは四十一兆円ということでございますが、飲食料品として捉えるときに、今申し上げたようないろいろなところに、そういうものが複線的に入っているというふうに思われます。それ自体を取り出すことは恐らく困難だと思います。

 したがいまして、数字の突合というのは不可能だと思いますけれども、統計の性格上、そういうものがきちっと外側にあるということは事実でございますので、四十一兆円をベースにいたしました〇・八兆円という減収額よりも大きくなるということは言えるんだろうと思います。

宮本(徹)委員 四十一兆円よりは若干大きくなるということなんですけれども、五十兆にはならない。ですから、国民経済計算からいっても、軽減総額一兆円というのは根拠がないということになるんじゃないかというふうに私は思うんですよね。

 ですから、本当にこの間、財源をどう確保するんだという議論もさんざん予算委員会も含めてやられていますけれども、これが一兆円なのかどうなのかという議論の前提となる数字が極めて不確かな状態のままにあるというのが、きょうの議論の到達ということになるんじゃないですか、麻生大臣。

麻生国務大臣 私どもは基本的に、一兆円の減収になるというものを考えて、それに対応するべくいろいろな安定した恒久財源を探すということをやっておりますので、それより少なければそれはそれなりに結構かもしれませんが、それに対して足りなくなった場合のことをよく考えておかねばなりませんので。

 最初に申し上げましたような計算方法でいきますと、家計が負担する税率一%当たりの税収の見込み額というものを基礎として考えさせていただきました一兆円というものが私どもとしては最も信頼できる数字で、これを埋められるようなものを考えておかないと、後々のいわゆる財政なり予算というものが極めて厳しいことになるだろうと思っております。

宮本(徹)委員 結局、財源のことを考えたら大き目に見積もっておこう、こういう話ということじゃありませんか。

 それで結局、私、一番初めに言いましたけれども、この軽減総額が幾らなのかというのは、実は、今度の一部据え置きつき一〇%増税で一世帯当たりの負担増がどれぐらいになるのか、一人当たりの負担増がどれぐらいになるのか、ここに直結するわけですよ。国民の多くの皆さんは、今度の増税で暮らしがどれぐらい大変になるのかと大変心配しているわけですよ。

 そこの根拠になる数が、いや、財源のことにかかわるから大き目に見積もっておこうという話では私は済まされないというふうに思いますので、この一兆円の根拠について改めて精査していただいて、なぜこれが正しいと言えるのかというのを政府としての統一見解を出していただきたいと思います。

 委員長、本委員会にそれを出していただけるように協議をお願いします。

宮下委員長 後日、理事会で協議させていただきます。

宮本(徹)委員 もし国民経済計算をもとにした八千億だとしたら、それよりはもうちょっと大きいのかもわからないですけれども、一人当たりの増税額、一世帯当たりの増税額がどうなるのか、私自身計算しました。

 そうすると、一人当たりの負担増というのは二万八千八百五十六円、一世帯当たりは六万五千五百九十一円ということで、この間答弁されてきた数字よりもさらに大きくなるということになります。その分、家計への影響、日本経済への影響も、今まで政府が考えてきたよりも大きくなるということは指摘しておきたいと思います。

 続いて、次の問題に行きますが、今度、分厚いこの税制改正法案の一番最後の方にあります第百七十条について質問させていただきたいというふうに思います。

 これは予算委員会の審議のときにも、私、総理に質問させていただきました。自民党、公明党の軽減税率導入に当たっての与党合意の文言がそのまま、ほぼ同じ形で百七十条に入っています。その後段にこういう文言があるわけですね。

 財政健全化目標との関係及び基本方針二〇一五に記載された二〇一八年度の経済・財政再生計画の中間評価を踏まえつつ、消費税制度を含む税制の構造改革などなどについて検討を加え、必要な措置を講ずること、こういう文言があります。

 この意味について総理に私が尋ねたところ、予算委員会では、これは二〇一八年度以降の消費税増税も選択肢として含むということだ、含むということで、必ず上げることではない、こういう答弁があります。

 それを踏まえて、さらにこの文言の意味について聞きたいと思います。

 財政健全化目標との関係を踏まえつつということですので、先ほどの、総理から答弁があった二〇一八年度以降の消費税増税を選択肢として含むということは、当然、二〇二〇年度までに消費税増税をもう一度、さらに十数%に上げるということも選択肢として含むという意味でいいんですね、この法案の文言は。

麻生国務大臣 この条文の第一号の規定は、平成二十九年四月からの軽減税率の導入に先立って、安定的な恒久財源をしっかり確保するため、二十八年度末までに歳入歳出における法制上の措置等を講ずるということを示したものということであります。

 さらに、第二号の規定でいきますと、軽減税率制度が導入されました後、経済・財政再生計画に基づく三十年度の中間報告の際に、軽減税率制度の導入と安定的な恒久財源の確保という計画策定後に生じた新たな状況等を織り込んで、財政健全化目標の達成や社会保障と税の一体改革の実現に向けた検討というものを行って、その結果を踏まえて必要な措置を講ずるということを示したものであります。

 したがって、一号と二号とあわせて規定することによりまして、政府としては、軽減税率制度の導入に当たっての安定的な恒久財源の確保について揺るぎない姿勢というものを明確に示しているというように御理解いただければと存じます。

宮本(徹)委員 それは、姿勢を示しているのはそうなんですけれども、私がお伺いしたのは、財政健全化目標との関係ということを言っているわけですから、先日総理が答弁された、二〇一八年度以降、消費税のさらなる引き上げについて選択肢として含むというのは、当然、財政健全化目標は二〇二〇年度までの目標なんですから、そこまでに引き上げるということも選択肢として含むということですかということをお伺いしています。

麻生国務大臣 私ども、この文書を策定いたしましたときのことでいきますと、御指摘の消費税制度を含むとの文言につきましては、消費税制について軽減税率制度というものの導入といった重要な制度改革を行ったことから、このことは税制全体のあり方というものを検討する際に対して十分に踏まえるという必要があろうということを確認的に示したものだと思っております。

 いずれにしても、こうした検討に基づく具体的な内容につきましては、何らかの措置を講ずるか否かを含めまして現時点において決まっているわけではありませんので。

 本条を踏まえていろいろ御相談をさせていただきつつ、今後、歳入歳出両面にわたってしっかりと検討してまいりたいと考えておるのであって、一〇%超への引き上げというのを検討するということを今考えているわけではありませんで、現時点で私どもは具体的な案が頭にあるわけではありませんので、それ以上のお答えのしようがございません。

宮本(徹)委員 いや、現時点で頭にないんだったら、こういうことは書く必要は全くない文言だというふうに思うんですけれども。総理は明確に答弁で、議事録が残っていますけれども、二〇一八年度以降の消費税増税も選択肢として含むということはお答えになられました。でも、含むということで、必ず上げることではないと。当然、それは何も決めていない状態だということです。ただ、この文言の意味は、含むということだということをお答えになったわけです。

 文言の意味について私は聞いているわけですよ。何も考えていないと言いながら、二〇二〇年度までの話がこの法案に入っているわけですよ。財政健全化目標との関係、プライマリーバランスを黒字化することとの関係の文言がここに入っているから私は聞いているわけです。

 そうすると、これを素直に読めば、財政健全化、消費税増税の選択肢というのは、二〇二〇年度までに引き上げることを考えている、それも選択肢としてあるということになるんじゃないですか。

麻生国務大臣 今お話がありましたけれども、財政健全化目標の達成というものをこれは政府に義務づけるものではないのは、この文章から見てもはっきりしております。

 財政健全化目標というものはこれは基本方針の二〇一五において決定されたものなんですが、この条項で、軽減税率制度の導入に当たって、財政健全化目標との関係で必要な措置を講ずることは政府に対し義務づけるものであるということで、財政健全化目標との関係で必要であると合理的に判断される措置がとられた後、仮に、予見困難な事態の発生などやむを得ない事態等により、結果的に財政健全化目標が未達ということになるような場合にはどういったことになるか。

 これは、本条に違反しているではないかというようなことにはならないようにしておかねばならぬとは思っておりますが、今申し上げましたように、いろいろなことを考えた上で申し上げておりますので、今の段階でその辺のことを考えておるわけではないということだけははっきりしております。

宮本(徹)委員 いや、今の段階で考えていないんだったら、なぜこんな文言が入っているのかということになるわけですね。

 総理は、一八年度以降の消費税増税も選択肢として含むと明確に答弁をされました。そして、この文言というのは、財政健全化目標との関係ということで書かれているわけですから、それは当然、文言の意味でいったら、二〇二〇年度までということに普通に日本語を読めばなってしまう法案なんじゃないですか。この文章を誰がつくられたのかというのはありますけれども。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 この附則百七十条の趣旨でございますが、まず第一号に、先ほど大臣から御説明いたしましたように、二十九年四月からの軽減税率制度の導入に先立って、安定的な恒久財源をしっかり確保するということで、二十八年度末までに法制上の措置を講ずるということを示しているわけでございます。

 二号につきましては、軽減税率制度が導入された後、その後に、経済・財政再生計画に基づく平成三十年度に中間評価が行われるということでございます。その際に、この計画が策定された後に生じた事態として、軽減税率制度の導入、あるいはそれに伴う安定的な恒久財源を確保する、そういう新しい流れがあるということもきちっと織り込みながら、財政健全化目標の達成であるとか一体改革の実現といったものの所要の検討を行って、その結果、必要とあらば必要な措置を講ずるという形になっているわけでございます。

 基本的に、消費税について二十九年四月に軽減税率制度を導入する前後において、財政健全化について遺漏なきようきちっとした形で政府において検討するということをあわせて規定しているということでございます。

 その際、具体的にどういう措置を講ずるかというのは、それぞれの段階における検討に委ねるということでございますけれども、今、政府として具体的な案があるわけではないということは、常々申し上げているところでございます。

宮本(徹)委員 だから、ここには消費税を含むというふうにわざわざ書いているわけですよね、消費税を含む改革と。これは消費税増税も選択肢として含むということだと。今決めているわけじゃないけれども、選択肢として含む、そう言われた総理の答弁を踏まえれば、佐藤局長、これは二〇二〇年度までにとる措置のことを言っているわけですよね。

 財政健全化目標との関係というのはどういう意味ですか。

佐藤政府参考人 まず申し上げますと、「消費税制度を含む」というところでございますが、これは、念頭にありますのは、消費税制につきまして軽減税率制度の導入といった重要な改正を行ったということで、税体系に一定のインパクトを与えているということでございますので、今後、第二号に沿って検討するときでも、そういう大きな変更を行ったこともしっかり踏まえて検討するということをいわば確認的に書いているというのが基本でございます。

 一方、第二号の精神は、健全化計画の中で、中間評価をしながら財政の状況を見て、本当に必要なときには歳出歳入についての適切な処置を講ずるということでございます。

 健全化目標の二〇二〇年度の目標というものが前提となりながら財政健全化計画ができているということでございますので、そうしたスコープの中でこの問題の検討がなされていくということでございます。検討の位置づけが書かれているということでございます。

宮本(徹)委員 ですから、二〇二〇年度までに検討するということで間違いないわけですよね、この選択肢も。それは、やるやらないというのは今は何も決まっていないわけですけれども、二〇二〇年度までにやることを検討するということですよね。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 この第二号は、経済財政健全化計画というものをベースに考えておりますので、主としたスコープは二〇二〇年の黒字化目標ということでございますが、その中間年の二〇一八年度におきまして中間評価を行うというところがキーでございまして、その時点において、消費税制について軽減税率制度が導入され、必要な財源措置が講じられるということがあったというような変更も含めて、その時点での、二〇一八年度の段階でもう一度しっかりと中間評価をして、その時点の判断において所要の措置が必要であればやるというようなことを書いているということそのものでございます。

宮本(徹)委員 つまり、今の佐藤局長の答弁と前回の予算委員会での安倍総理の答弁を重ね合わせると、一〇%を超える消費税のさらなる増税も選択肢とした検討は、二〇一八年度の中間評価を踏まえて始まると。その視野は二〇二〇年度までだということでよろしいですね。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 この第二号におきましては、あくまでも二〇一八年度におきます中間評価、そのことにおいてさまざまな要因を総合勘案して検討しなさいというふうに政府に対して義務をかけているということでございますので、その中身についてはその時点で判断されるということだと思います。

宮本(徹)委員 つまり、義務をかけているということですよ。義務の中身の一つとして、総理は、一〇%超への消費税増税が選択肢として入っていると、そういう関係になるわけですよ。

 ですから、私は、わざわざこんな文言をこの法案に入れるというのはとんでもない話だと思いますよ。

 一〇%に上げていいのかどうかということを、今国会は本来だったら増税一年前の国会ですから、やらなきゃいけないですよ。こんな経済状況、国民生活が大変な中で、一〇%に上げることの是非を議論しなきゃいけないときに、その先の増税の枠組みまでレールとして敷いちゃっているわけですよ。わざわざ二〇二〇年度の財政健全化目標との関係で消費税だけを特記させ、数ある税制の中で消費税だけを、消費税を含むという形で書いてやっているわけですよ。

 実は、過去の税制改正の法案を私もひっくり返して見ましたけれども、同じような文言が入ったことがありました。二〇〇九年の所得税法改定案の附則百四条、こういう文言でした。「消費税を含む税制の抜本的な改革を行うため、平成二十三年度までに必要な法制上の措置を講ずるものとする。」こういう文言が入って、その後どうなっていったかというと、実際には消費税の八%、一〇%への二段階増税が決められるという経過になったわけですよね。

 ですから、いつも、消費税を上げる前に次の増税に向けたレールを敷くような文言を法案の中にこっそり盛り込んでいる、こういうことなんじゃないですか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返し申し上げていますように、第一号、第二号、両方あわせまして、今回、軽減税率を導入することに伴う安定的な恒久財源をしっかり確保するという政府の姿勢をしっかりと示す、あるいは、それに対して法律において政府にその検討をきちっと義務づけるということでございます。

 しかも、それは、二十九年四月の前という段階と軽減税率が導入された後のさまざまな影響ということもしっかり織り込むということが、恐らく大きな制度変更ですから必要であろう。財政健全化等々あるいは一体改革等々、いろいろやるべき事柄があるわけでございますが、そういうものに対する影響をしっかりと勘案して検討しなさい、こういう趣旨でございます。

 それで、先ほども答弁申し上げましたが、「消費税制度を含む」というところをあえて書いておりますのは、繰り返しになりますけれども、今回の法案におきまして、消費税制について軽減税率制度の導入という大きな政策変更を行っている、制度の大きな変更を行っておりますので、そういうものが所得税とか他の税の税体系にもどういう影響を与えるかというようなことも十分考える必要があるだろう。

 例えば、消費税の軽減税率制度の導入を行うということを織り込んで、それでは税制全体としての再分配機能をどう考えたらいいかとか、そういうふうな問題まで事柄は発展していくわけでございますので、今回は軽減税率制度を導入するということを内容とする法案である以上、その趣旨を明確にするのが得策であろうということで御提案申し上げているところでございます。

宮本(徹)委員 そうでしょう。所得税だとか法人税だとか、そういうことを書いてないんですよ。消費税を特記して、軽減税率を導入したから標準税率をもっと上げようじゃないか、こういうふうにしかこの文言は普通に読んだら読めない文言になっているわけです。

 内閣府の試算では、名目成長率三%という大変甘々の試算でもプライマリーバランスの黒字化には六・五兆円足りない、ベースラインケースでは十二・四兆円足りないということに二〇二〇年度時点でなっているわけですよね。ですから、そういうものを、今の段階からそこに向かって消費税増税も選択肢にしてしまうような文言を法案に盛り込んでいくというのは間違いだ、やめるべきだということを私は厳しく指摘しておきたいと思います。

 それで、自民党の谷垣幹事長は、この間、ちょっと前ですけれども、自民党のインターネット番組で軽減税率の導入についてこうおっしゃっています。消費税の将来を考えたとき、インフラ整備ができたみたいなことじゃないか、こういうふうにおっしゃっていました。

 それから、きょうはもう退席されたんですかね、公明党の税調会長の斉藤鉄夫さんは東洋経済のインタビューで、「将来、消費税率は一三から一五%、ひょっとすると欧州のように二〇%になっているかもしれない。そのときでも食べ物は八%に据え置かれる。」「今回、たった二ポイントの軽減だが食べ物の税率を一ケタに固定したことは非常に大きい。」こういうふうに述べておられます。

 ということは、結局、今度の軽減税率というのは再々度の消費税の大増税に向けた準備だというのが与党の幹部の皆さんの認識なのかなというふうに私は思ってしまうんですけれども、その点、麻生大臣、どうですか。

麻生国務大臣 宮本先生の御見解はわかりました。

 私どもとしては、消費税の軽減税率制度というものにつきましては、税制抜本改革法の第七条に基づいて、消費税率の一〇%への引き上げに伴うときの低所得者への配慮として導入することであって、今の御指摘というのは少し違うのではないかと思っております。

 なお、ほぼ全ての人が毎日購入をしておられます酒類及び外食等々を除く飲食料品等の税率を八%に据え置くことによって、所得の低い方ほど収入に占める消費税負担の割合が高いという、いわゆる消費税率の逆進性というものを緩和するということであって、日々の生活の中で、買い物の都度、痛税感の緩和を実感していただくということが大事なものであって、いろいろ他に御意見はあろうかと思いますが、私どもはこの痛税感の緩和というのにより重きを置いております。

宮本(徹)委員 いや、麻生大臣はそうおっしゃるわけですけれども、さっきは私の見解を述べたというよりも、与党幹部の皆さんの発言を私は紹介したわけですよ。結局、軽減税率の導入で標準税率を引き上げるときの抵抗感を減らして、さらに増税しやすくしよう、こういう考え方が見え隠れしているということを言わざるを得ないと思います。

 ちなみに、今回の百七十条の文言と同じことを言っていた方がいらっしゃいます。経団連の榊原会長はこうおっしゃっています。二〇一八年度で一度中間的な再評価をする、消費税増税は選択肢としては二〇一八年時点では一つの可能性としては排除しないということで、何か百七十条の文言を説明しているかのような発言があります。

 昨年一月一日の経団連ビジョンを見ますと、法人税については、二〇一五年度から引き下げを開始して、早期に二九%にして、その後、二〇一八年度から一%ずつ引き下げて、二〇二一年度には二五%。それから、消費税については、二〇一七年度に一〇%まで引き上げ、一八年度に二%、一九年度からは二五年度にかけて一%ずつ引き上げ、最終的には一九%。こういう財政再建プランも試算的なものとして掲載されております。

 今回、法人税率の早期引き下げという点では経団連の要望を丸のみしていったわけですけれども、それに続いて、消費税増税についてこの経団連のプランを丸のみしよう、そういうことなんじゃないですか。

麻生国務大臣 これは、今のは経団連が平成二十七年一月に公表されておられましたいわゆる「「豊かで活力ある日本」の再生」というビジョンにおいて、「中長期的に持続可能な財政構造を確立するためには、消費税率を欧州諸国の水準にならい、二〇三〇年までに一〇%台後半に引上げる必要がある。」ということを書いておられる、このことを読んでおられるんだと。そういうことですね。

 政府といたしましては、中長期的に持続可能な財政構造を確立するということのためには、まずは歳入増と歳出の抑制を組み合わせて、二〇二〇年度までにプライマリーバランスというものを黒字化することを目標として掲げておりますのは、たびたび申し上げてきているとおりであります。

 成長戦略を着実に実施するということで、引き続き経済再生に取り組んでまいりますとともに、経済・財政再生計画で示しております目安に沿いまして、改革工程表というものに基づいて歳出改革というものを断行し、同時に、二〇一八年時点での進捗状況を評価し、必要な場合には歳入歳出の追加的な対応を検討するということといたしております。

 こうした具体的な方針のもとで、我々としては、二〇二〇年のプライマリーバランスの黒字化に取り組んでまいりたいというのは基本的な姿勢であります。

宮本(徹)委員 私もいろいろなところで総理や麻生大臣に質問してきましたけれども、いつも社会保障財源は消費税がふさわしいということをおっしゃるわけですよね。そういう姿勢をとっている限り、際限なく消費税が増税していくということになってしまいますよ。だから、ここの考え方を私は改めていただきたいというふうに考えております。

 低所得者ほど消費税というのは負担が重いというのは誰もが知っていることなわけです。そして、今の日本の経済の状況からいっても、本当に来年四月からの消費税増税というのはあり得ないと思います。

 きのう、家計調査が発表になりました。私もざっと見ました。二人以上世帯の勤労者世帯の消費支出は、名目で一・一%の減少、実質二・一%の減少ということでした。増税後、二〇一四年に消費支出が落ち込んで、二〇一五年、それよりもさらに落ち込むということになりました。

 麻生大臣は、消費がさらに落ち込んだというのは、原因についてはどうお考えですか。

麻生国務大臣 これは一概に消費税が上がったから落ちたとだけ、それだけ単純なほど経済というのはシンプルなものではありませんので、私どもとしては、いろいろなもの、複合的なものだということで、これをずっと説明するとえらい時間がかかると思いますので、それは避けられたいと思っておられると思いますのでそれを長々と申し述べるつもりはありませんが、一概にこれが答えですというような単純なものではないと存じます。

宮本(徹)委員 複合的にいろいろな要素はありますよ。将来不安の問題もあれば、いろいろな問題はあると思いますけれども、消費税増税の影響が長引いているのも一因だという御認識はありますか。

麻生国務大臣 消費税が上がったというのに関して、私どもとしては、これは間違いなくそういったものの影響というのは否定できないものがある。これは最初から、反動減とかいう言葉もありますし、駆け込み需要というものもありますし。いろいろなもので、こういった税というものをさわった場合、私どもとしては、直接、間接的な影響が出るということは確かだろうと思っております。

宮本(徹)委員 ですから、これは消費税を上げたことがやはり大きな要因になっているのは私も間違いないと思うんですよね。

 いろいろな指標はありますよ。名目賃金だとか実質賃金だとか、経済を見るいろいろな指標はありますけれども、生活する立場からすれば、手取りがふえているのか減っているのかということと、物価が上がっているのかどうか、この二つが、暮らし向きがよくなっているのか大変厳しくなってきているのかというのを感じるところだというふうに思います。

 家計調査を見ますと、実質可処分所得という点で見れば、若干マイナス、〇・一%ということになっております。中身を見ると、社会保険料はやはりずっとふえ続けていますよね。当然のことですけれども、この間引き上げてきましたので。収入に対する税と社会保険料の割合というのは、十年前一五・九%、二〇一五年は一八・七%で、三%近く上がっているということになります。さらに消費税も三%上がったということですから、実際の可処分所得は家計調査に出ている数よりももっと落ち込んでいるということになるというふうに思います。

 それから、家計調査を見て、あとエンゲル係数も出ておりました。勤労者世帯の収入五分位で、第一階級、一番所得が少ないところのエンゲル係数は、二〇一二年が二三・九、二〇一三年が二四・二、二〇一四年が二五・一、二〇一五年が二六・一ということで、毎年のようにエンゲル係数が上がり続けているということです。

 家計調査一つ見ても、低所得者ほど生活が厳しさを増しているというのは、私は一目瞭然だというふうに思います。ここに消費税一〇%に引き上げたら、暮らしに対しても、そして日本経済に対しても深刻な影響を与えるということになるんじゃないですか。

麻生国務大臣 私どもはたびたび申し上げておりますように、我々としては、長期的に見て、いろいろな意味で、まず一番超長期的には人口問題だと思いますが、少子高齢化が避けられぬという状況で、高齢者がどんどんふえる。二〇三〇年には団塊の世代も軒並み七十五歳ということになってくるというような事態になってくれば、それに対するいわゆる介護の話とか社会保障全体のことを考えれば、税と社会保障の一体改革ということを一番最初にこれは申し上げて、三党で合意してもともとはスタートしたんだと思っております。

 私は、与野党で合意してこの種のことができたというのは、世界の先進国の中では日本ぐらいのものだと思っていますから、そういった意味では非常に大きなものだった、そう思っております。

 加えて、それがきちんとすることによって、低所得者というところが一番それによってカバーされるところだと思いますので、この消費税の増税によって社会保障の部分が充実されていくというのが一番大きなところでありまして、その点を別にしていろいろなことが出てくるんだとは思いますが、一番ここが大事なところなのであって、私どもとしては、長期的に見てこの点が一番、我々として断固後世の人のために国民皆保険等々のお話をきちんと残しておく、それが我々の務めだと。その意味で、この消費税というのは非常に大きなものだと思っております。

宮本(徹)委員 いや、社会保障で低所得者を支えるためだということをおっしゃいますけれども、例えば非正規の若い世代に対しては、社会保障の充実のメニューというのはなきに等しいじゃないですか。年金生活者だとか低年金生活者の底上げとか、入っているものはありますよ。ですけれども、そこから漏れている人たちというのはたくさんいるわけですよ。そういうところには一方的に増税だけがやってくるということになります。

 ですから、本当に、黒字の大企業には減税をしていく、庶民からは消費税増税、こういうやり方は暮らしも経済も壊す絶対やってはならない道だということを申し述べまして、時間になりましたので、質問を終わらせていただきます。

宮下委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 おおさか維新の会の丸山穂高でございます。

 私からも今回の所得税法等の改正そして特例公債法について質疑させていただきたいんですが、まず最初に、時間も短うございますのでお伺いしていきたいのは、消費税の軽減税率の部分でございます。

 これは本会議でも少しお話しさせていただきましたけれども、ほんまにごっついけったいな話やなというのが正直なところですが、関西弁なので、これはおかしな話だなというのが、国民の皆さんが正直思っていらっしゃる部分じゃないかなというふうに思います。どこかといいますと、特に、新聞が今回の法律で軽減税率に適用されるということです。

 通常考えて、今回、軽減税率の適用は二つございます。一つは、外食や酒類を除く食べ物とか飲み物がまず軽減税率の対象。これは、低所得の方々とか、また、痛税感の緩和という意味では確かに一理あるなと思うところです。もう一つの部分がこの新聞。政治、経済、社会、文化等に関する一般的、社会的事実を掲載する新聞、しかも、一週間に二回以上発行する新聞に限る、また、定期購読契約に限るということでございます。

 なぜ新聞に対して軽減税率を適用したのか。特に、食品と来れば、次に普通は、痛税感という意味では、電気とかガスとか水道とか。また、インターネットで、手元のスマートフォンでニュースとか情報がすぐ手に入る時代に、どうして新聞の、しかも定期購読が軽減税率に入ったのか。

 財務大臣、もう一度詳し目にお伺いしたいんですけれども、お願いいたします。

麻生国務大臣 今、軽減税率八%の適用対象品目についてのお尋ねの中に新聞とガス、水道等々が入っているんだと思いますが、まず、一定の新聞の定期購読料というのは、これはどう考えても、広くインターネット等々を、我々は使える方ですけれども、使えない方の方がいっぱいおられますのは、ちょっと先生の選挙区を詳しく知りませんけれども、私どもの選挙区には圧倒的に多いので、こういったものが発達している、また、それを使いこなせるという方はそういらっしゃらぬので、私どもとしては、情報というものを極めて公平にとれるものとして定期購読の新聞というのはその占める比率は大きいし、また、低所得者層ほどその比率が高くなると思いますので、そういったものを考えさせていただいたところであります。

 また、定期購読二回以上というと、新聞というと、これはもう名前がついていれば学生新聞から何新聞からいっぱいありますので、新聞とか雑誌とかいうのはどこを定義するかというのは極めて難しいところだと思いますので、そういった中でどこかで線を引かねばならぬと思って、今申し上げたような制度をとらせていただきました。

 ガス、水道、これは、日々のサービスに不可欠であるということはもう間違いありません。しかしながら、御存じのように、これは認可によって料金が定められている公共サービスであるということが一点。もう一つは、飲食料品等に加えてこうしたガス、電気、水道、公共料金全体を軽減税率の対象としますと、これは丸山先生、何千億になりますかね、正直、巨額な額になるんだと思います。正式に計算させたことがありませんのでよくわかりませんけれども。

 したがいまして、社会保障の財源となっております消費税というものの税収全体をがたっと減少させるということはもうはっきりしていると思っておりますので、そういった意味では、社会保障と税の一体改革ということの実現にいわゆる支障を生じかねないと思うほどの大きな話だろうと思うので、そういった意味では、電気、ガス、水道というものについては、軽減税率の対象とはなかなかできないところだと思っております。

丸山委員 それまたけったいな話でして、そういう意味でいえば、では、なぜそれこそ新聞だけが入ってくるのかというのはみんな疑問に感じるところなんですけれども、それにお答えいただいていないんです。

 新聞の方が痛税感が緩和される、もしくは低所得者対策になるというお考えで、今回、全部を入れたら巨額の減税になるので厳しい、その中でも新聞の二百億だけ入れたわけですよ。なぜこれを入れたのか。そしてその理由として、電気やガスとか水道よりも痛税感の緩和になるというお考えで入れられたということでよろしいんですか。

麻生国務大臣 これは丸山先生御指摘のとおり、社会保障財源であります消費税収への影響といった判断材料というものを考えますと、こういったものに加えて、私どもとしては、日常生活におけます情報全体として、全国あまねくほぼ同質の情報を提供して、幅広い層に対して日々情報が流せる、読まれる、そういうことだと思いますが、この結果、新聞の購読料にかかわる消費税というものの負担は当然のこと逆進的になっているということなど、そういった事情を勘案いたしまして総合的に我々としては軽減税率の適用対象としたところでありまして、減収額の規模のみに着目したというわけではございません。

丸山委員 今の話だと、額のみに着目しただけじゃなくて、新聞が持つ公共性だとか情報を伝達する部分で重要だとお考えで入れたという御答弁です。

 一つ役所の御答弁をいただきたいんですけれども、では、例えばそういう意味では、NHKの受信料というものがございます。NHKはまさしく日本全国であまねく情報を、しかも新聞よりもより公平だ、公共電波ですからね。受信料、それに対して現在では消費税及び地方消費税がかかっていると思いますけれども、今回の法案では、NHKの受信料は消費税分上がるという理解でよろしいでしょうか。役所の方、お答えください。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の軽減税率につきましては、適用対象品目の考え方というのは累次答弁申し上げていますけれども、日々の生活の中でその利活用がどういう状況か。それから、消費税の負担が逆進的であって、それがどの程度の逆進の度合いがあるか。それから、明確な線引きができるか。それから、社会保障の財源でございますので、消費税収への影響がどうか。この辺を総合的に勘案しなければならないだろうということをまず考えたというのが基本でございます。

 その中で恐らく飲食料品については、やはり生活の極めて基本でございますので、これを基本的にいろいろなデータで基づきましても満たす部分が多いわけですし、線引き問題という面につきましても、食品の中に線を引くということになりますと、それは非常にまた類似品の問題が出ますけれども、今般は、食品表示法というものに基づきまして全体をカテゴリーとしてくくり出すという形で、極力そういう類似性の競合関係がない形にしたということでございます。

 そういう意味でいきますと、例えばNHKということでお尋ねでございますけれども、基本的に、飲食料品を中心とした形で今回導入をし、財源の可能性等々を考えまして目いっぱいの適用対象であろうということで、それ以後についてはさまざまな点で慎重に考えなきゃならぬという基本路線のもとで、NHKについて申し上げると、特に、例えばNHKの受信料を対象といたしますと、ケーブルテレビの接続料との関係をどうするかとか、その辺の関係をどう考えるかというのは、また新たな問題として生じてくるということでございます。

 冒頭申し上げました逆進性の緩和、消費の実態、それから明確な線引き、あるいは財源の状況、この辺をできるだけクリアできるようなものとして考えられるかどうかということで、NHKについてはそういう問題があるんだろうというふうに思っております。

 いずれにしても、そういうことを総合的に考えないといけないと思いますが、やはり適当ではないというふうに思っております。

丸山委員 入るのか入らないのかを伺っていたので、しっかり御説明いただくのはいいんですが、短目でわかりやすく御答弁いただきたいと思います。つまり、NHKの受信料は入らない、軽減税率の適用ではないというお答えです。

 なのに、そのNHKよりも公共性で劣っていると思われる新聞だけ入ってくるというのは本当におかしなことだと思うんですけれども、細かくどれが入っていくのか、いかないのかを、役所の方、端的に伺っていきたいんですけれども、同じ内容の同じ新聞であっても、駅売りや、例えば電子新聞というのは入らないということでよろしいんでしょうね。そして、ほかの書籍とか他の印刷物、出版物も入らないということでよろしいのか、お答えいただけますか。

佐藤政府参考人 今回は新聞が定期購読料ということになってございますので、駅売りであるとか、そういうものは通常はスタンドで売っておりますので、定期購読料ということになりませんので、それは一〇%というふうになります。

 雑誌、書籍の類いは新聞ではございませんので、それも一〇%対象という整理でございます。

丸山委員 では、なぜ新聞が入ったのかというお答えで、一つは逆進性の問題も考えて、そしてなおかつ低所得の方々に対するフォローという意味でということなんですけれども、例えば、新聞をどういう方がお買いになっているかという調査を民間の会社がやったデータがございます。二〇一二年にアサツーディ・ケイ、ADKがやられた調査で、新聞を購買されている購読者と非購読者の世帯年収と一カ月当たりの可処分所得がどう違うかという調査をされたものがあります。

 それによると、全年齢層で、どの年齢にせよ、十代の方であろうが二十代の方であろうが、六十代の方であろうが七十代の方であろうが、新聞を購読されている方の方が、購読されていない方よりも世帯年収というのが多い。可処分所得も多い。つまり、お金を持っていらっしゃる方の方が新聞を買われていて、お金を持っていない方は新聞を買われない傾向にあるのが新聞のはずです。

 でも、普通に皆さん常識的に考えていただければわかると思うんですけれども、通常、今の時代に、ネットで情報が入ってくる時代に、テレビで情報が入ってくる時代に新聞をわざわざ購読するという方は、恐らく、低所得者の方よりもある程度お金に余裕がある方がお買いになっているというのは、この数字から見ても、実際の感覚からしても通常だと思うんですけれども、それでも新聞が低所得者に対しての対策になるというふうにお考えなんですか。局長で構いません。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 軽減税率導入のときの一つの視点として、消費税負担の逆進性があるかどうかというのが一つのメルクマールだと申し上げました。

 家計調査、お使いされませんけれども、消費の構造がわかる統計でございます。その中に、書籍、雑誌、それから新聞について、五分位別にどれぐらい使っているかということがわかるデータがございます。それに基づきますと、カーブでいいますと、やはり、収入の低い人の方が負担率が高くて右肩下がりになるという形になります。すなわち、基本的な負担額というのが、余り所得が高くても低くても変わらない、似たようなものだということを反映しているんだろうと思います。

 恐らくそういう逆進的なものというのは、やはり蓄えのような、要するに、あまねく情報が媒体として届けられるという表現をいたしましたけれども、蓄えとかいうような状況もあるんだろうというふうに思います。

 先生が御指摘になったようなデータもひょっとしてあるのかもしれませんけれども、私どもとしては、家計の構造に対して信頼性のあるこの調査に基づきまして、そういう逆進的であることを一応確認した上でこの提案をさせていただいているということでございます。

丸山委員 その調査についてオープンにしていただきたいんですけれども、よろしいですか。

佐藤政府参考人 準備をいたします。

丸山委員 速やかにこの審議の間に見せていただくことが大事だと思いますので、この法案の審議の間にぜひオープンにしてください。

 そういった意味で、私だけじゃなくて多くの方は、新聞に軽減税率を適用されるというのはおかしいと、今お聞きになってお感じになった方も多いと思います。

 この点はやはり納得いかないところです。低所得者対策とおっしゃりながら、購読されている方の方が所得が高い方が圧倒的に多い状況、そして、皆さんに身近な水道やガスや電気やインターネットの通信料、そういったところは軽減税率を適用されないのに新聞だけされる、NHKですら受信料はされないのに新聞だけされる。しかもそれは、駅で売っているもの、電子書籍や、しかもほかの雑誌とかは適用されない。こんなおかしな軽減税率を今出してこようとされていることに対しては、今後の審議でもしっかりデータを出していただけるという話だったので、詳しくお伺いしていきたいと思います。

 そういった意味で、今回の軽減税率、かなり線引きがわかりにくい。わかりにくくないというのが今公明党の委員からお話しありましたけれども、正直わかりにくいという声が多うございます。

 そうした中で詳しくお伺いしていきたいんですが、まず、酒類を除いた理由と外食を除いた理由について、簡単に財務省、お答えいただけますか。

佐藤政府参考人 失礼をいたしました。

 酒類と外食が軽減税率の対象外であるということですが、考え方といたしまして、酒類につきましては、お酒でございますので、日々の生活の中で幅広い人に消費、利活用されているとは必ずしも言えないであろう、こういうことでございます。

 外食につきましては、これはやはり消費税の負担の逆進性というのが乏しい。いわば、手ごろな安い定食屋さんから立派なレストランまであるというような形で、非常にその外食の態様がいわばピンキリであるということを反映いたしまして、消費税の負担の逆進性が乏しいというふうな状態でございます。

 そういうふうなことを考えまして、今回はその趣旨に合わないということで外しているということでございます。

丸山委員 この外食というのがまた一つ線引きを難しくしているなというのが率直なところです。

 例えば、私もよくコンビニエンスストアへ行きます。コンビニエンスストアで、例えば何でも構いません、コーヒーを買ったとします。大体、今、その場で豆をひいて百円とかで買えるようなコーヒーを売っているコンビニ、ほとんど各チェーンで売っていますけれども、そのコンビニでこのコーヒーを例えば買ったときに、これを持ち帰ると言って買った場合には、もちろん外食ではなくて、外に持ち帰り、テークアウトなので、今回のこの法律が通りますと軽減税率の適用、八%の税がかかるコーヒーです。

 しかし、最近コンビニでは、イートインといって、中で食べられるところがあります。では、これを買うときに、このコーヒーをどこで飲みますかとお客さんに聞いて、外へ持って帰りますと言った場合は八%だけれども、コンビニの中のイートインで飲みますと言った場合は一〇%になるというのが今回の法案です。

 これは大きく今財務省の役所の方もうなずいていただいていますけれども、問題は、例えば、これを外に持って帰ると言って買ったけれども、途中でイートインで飲まれる方がいる。これはコーヒーだけじゃありません、あらゆるものが出てくると思いますけれども、こういったものに対しては、財務省は今の段階でどういう見解でいらっしゃいますか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 一般原則でございますが、軽減税率の適用対象になるかどうかというのは、販売時点で販売事業者が一義的にどうかと判断をするということになります。

 したがいまして、意思確認をして、例えば私はテークアウトですという場合と、イートインというか中で食べますということが意思確認されれば、それをもとに八と一〇を適用を仕分けるという形になります。その販売時点で決まりますものですから、例えば、その後気が変わって外へ持っていったといっても、事後確認まですることは極めて非現実的でございますので、その販売時点で適用関係は完結するという整理だと思っております。

 したがいまして、八で売った場合は八、一〇で売った場合、その時点で決まったままでございます。

丸山委員 つまり、その場で、お店で聞いていただく、これは持って帰りますか、そこで食べますか飲みますかと聞いていただいて、その時点で確定をして、もしその後、変わって、持って帰るとおっしゃったお客様が中で召し上がっていても、例えばハンバーガーをお買いになって、そのハンバーガーチェーンの中で召し上がっていても、コーヒーをお買いになってコーヒーをコンビニの中のイートインでお飲みになっていても、これを店側としては、おかしいやんかと言わなくていい、おかしいじゃないですか、残りの消費税分を払ってくださいねと言わなくてよい、そして、税務署もそれは後から言ってくることはないという理解でよろしいのか、お答えいただけますか。

佐藤政府参考人 御指摘のとおりでございます。

 ただ、事業者においては、そのあたり、紛れがないようにやはりきちっと意思確認をしていただくことであれば、問題ないと思います。

丸山委員 その意味で一つ線が明確になったと思いますが、今挙げた例だけじゃなくて、さまざまな点で非常にわかりにくいというのが正直なところです。

 何が適用になって何が適用にならないのか、お商売されている方々にとっては、かなりその売り上げも変わってくる、ライバル店との勝敗を分ける点にもなりかねないという非常に気になるところだと思うんですけれども、こういった迷いやすいと思われる事例について財務省の方でどれぐらい既にお考えで、その適用について、例えば今私は簡単に例を挙げましたけれども、ほかにも何か、迷いやすそうなのでこういう形にしてくださいという形のものをお持ちなのかどうか、財務省でお答えいただけますか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 法案としては、軽減税率の対象となる物品が一体何かということについては、法案上は明確に定義しているというふうに考えております。

 問題は、今先生御指摘ありましたように、具体的にその販売の現場で八か一〇かということを決めるということになりますので、それについては、先ほど申しましたような考え方、すなわちその販売時点でどちらかの適用関係が決まるということは、法令の解釈上出てくることでございますので、あとは個別具体の話ということになります。

 先生から今お話しあった話は一例だと思いますけれども、世の中は千差万別でございまして、どれだけあるかというのは、はっきり言って私ども把握はしておりませんのでよくわかりませんけれども、ただ、いろいろなケースが起こること、事業者の方、消費者の方は、新しい制度でございますから、よくわからないということが起こるんだろうと思います。

 その点については、できるだけわかりやすくなるように、どういう当てはめ方、八か一〇なのかというケースについてなるべく丁寧に説明できるよう、法案が成立をした場合には、通達であるとか、それから、お問い合わせに対するQアンドAのような形をなるべく早くお出しをして、混乱がないようにするということかと思っています。

 それで、例示を一つ挙げろということだったので、たまたま今週、予算委員会で幾つかのお尋ねがありまして、一例だけ紹介をさせていただきますと、ペットフードの話が出ました。お尋ねは、人の食べられるペットフードは八か一〇か、こういうお話でございました。

 一般論として言うと、通常、ペットフードというのは、人が食べられるものでありましても、販売する側は、ペットが食べるものだという前提で、食品表示法上の食品とは位置づけませんので、何ら表示をしないということになりますので、基本的には一〇%の対象になるということになると思います。

 ただ、飼い主も食べられるペットフードというのを開発をいたしました場合には、販売事業者の方の責任において食品として表示をするということであれば、それは普通の食品と変わりませんので、当然のことながら、まさに食品ということになりますので、八%になります。

 こういうふうなやりとりをしたことがございますので、一例として紹介をさせていただきます。

丸山委員 何が適用になって何が適用にならないのかというガイドラインなんですけれども、指針、今、通達でお出しになるということのお話がありました。また、法案が成立後というお話がありました。成立したタイミングからできるだけ速やかにやるのか、施行後までの中でやろうというお考えなのか。もしくは、多分、随時個別に出てくると思います。先ほど、税務署にお問い合わせくださいという御答弁がありましたけれども、ほかの方の委員の。その場合には通達で追加していくのか、それは政省令の場合もあり得るのか、それともホームページにQアンドAで書く場合もあり得るのか。パターンがあるのか、お教えいただけますか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 政省令であっても通達であってもQアンドAでありましても、まず、法案が成立をして、政府の側に授権をいただくことが前提でございます。いただきましたら、残り一年という短い期間でございますので、直ちにとまではなかなか言えませんけれども、ほとんど間髪入れない状態で通達ないしはQアンドAが出せるように準備をしていく必要があるんだろうというふうに思っております。

 それから、実際に、それが出ましても、先生御指摘のように、出せばそれで完成というわけではなくて、いろいろなまた疑念が恐らく千差万別ですから出てまいりますので、それは税務署にお問い合わせいただければお答えをいたしますし、そういうものを一つの知恵の蓄積として、それをまたQアンドAにまとめてお出しをするとかいうような形があるんだろうと思います。

 法施行の前でありましても、いろいろな形で、そういう相談それから情報発信ということは滞りなくやれるように準備をしていきたいというふうに思っているところでございます。

丸山委員 この軽減税率の話、まだまだお伺いしたいのはあるんですけれども、きょういただいた時間が短いということと、また、きょうは総務省さんと国交省さんにも来ていただいていますので、少しその話は触れるべきだと思いますので、その話にかえさせていただきます。また続きはこの委員会の中でやらせていただきます。

 まず総務省さんにお伺いしたいのは、今回、地方法人課税を変更する部分がございます。地方法人特別税の廃止に伴って市町村分の法人住民税が減収する、そこを補填するという形で、今回、都道府県から法人事業税の一部をその各都道府県内の市町村に振り分けていく、それは職員数だったと思うんですけれども、で振り分けていくという制度があります。どういう意図でこれをやったのか。

 一つは、もちろん減収分を補填するというのが意図なんですけれども、しかし、そのもう一つの意図に、各地方公共団体の独自性を発揮していくというふうに言われたんですけれども、私、これは逆じゃないかなと。むしろ、都道府県から自由にお金を振り分けるといった部分をなくしてしまうような、独自性を失わせる制度になるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、総務省として見解をお伺いできますか。

時澤政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、今回の地方法人特別税・譲与税制度の廃止に伴いまして、それを補填するために法人事業税交付金を市町村の減収分に充てるために交付するものでございますが、基本的にはその減収分の補填ということでございますが、この事業税交付金の創設によりまして、税収の安定化が図られてきております法人事業税の一部を市町村に交付するということになりますので、年度間の税収変動の安定化に寄与するというところが一つございます。

 また、交付金の交付基準を従業者数とすることによりまして、税源の涵養努力を反映させつつ、法人税割の税収の偏在性が是正される、そういった効果も期待しているところでございまして、私どもは、このような制度によりまして市町村の独自性が失われるものではないというふうに考えているものでございます。

丸山委員 ちょっと見解がそこは私違うんですけれども、そういう見解でやられているということで今お伺いしましたが、一方で、地方が自由に使える税源をどうふやしていくかというのは、基本的に地方分権において非常に大事な観点だと思いますのでまたここは議論していきたいと思いますが、まずは、総務省としてそういうお考えで今回の税制を組んでいるということですね。

 もう一つ、国交省にお伺いしたいのは、今回の税制で、いろいろな税制控除によって政策的に導いていこうというものが見られます。例えば空き家をなくしていくためにどうしていくか、もう一つは、三世代の同居の方をふやすためにどうしていくかという点で、例えば、空き家対策に対する特別控除もしくは三世代同居に対する住宅リフォームの税額控除という形で、政策的な目的があってとられている税制がございます。

 しかし、条件がいろいろついていまして、本当にこれは機能するのかなというのが気になるところです。

 一つ、空き家に関しては、昭和五十六年の五月三十一日までに建築された家屋に限定して今回はこの特別控除を認めるということなんですけれども、まず、これをなぜこの日付で限定しているのか。新しかろうが古かろうが空き家の問題が生じているところというのはあると思うんですけれども、そういう政策を解決していきたいのであれば、逆に言えば、年数を限定するべきじゃないんじゃないかというのが私の考えなんです。

 もう一つお伺いしたいのは、住宅のリフォームに関して、これは実際にその後同居するかどうかの確認をされずに、形式的な形でやられたものにも適用するということなんですけれども、残念ながら、三世代で住みますよと言って、その後、例えば民泊にお貸しになったり、例えばルームシェアされて結局三世代同居じゃなかったり、いろいろな現実面として政策的にずれが生じてくると思うんですけれども、そうした部分をどうして国交省さんは入れなかったんでしょうか。お伺いできますでしょうか。

石田政府参考人 お答えさせていただきます。

 まず、空き家の関係でございます。空き家につきましては、今回の空き家に係ります譲渡所得の特別控除、これの目的でございますが、周辺の生活環境に、放置されることによって悪影響が及ぶような、そんな事態を防止したいという思いでつくっているものでございます。

 そういった観点で、当省で行った空き家調査で見ますと、周辺に悪影響を及ぼしていたと周りが感じている住宅、この四分の三ぐらいは旧耐震でできた古い家でございました。また、空き家、つまり中古住宅の流通を考えた場合、旧耐震のものは、耐震性能を現段階で要求している水準を満たしていないものが多々ございます。そういうものが流通するということは、住宅政策の観点から見てやはり抑制をしたいという思いがございます。

 その二つの思いから、今回は、旧耐震基準で建築された住宅を対象に、耐震性を満たして流通させるか、もしくは、もういっそ建て壊していただいて更地にして流通いただくかということをしていただくことによって、一番最初申し上げました、耐震性を満たさない古い家が放置されて周りに悪影響を及ぼすという事態の防止を図りたいということで、その要件を設定させていただいたというものでございます。

 一方、三世代同居の関係でございますが、これにつきましては、具体的には、複数世帯が同居するためのリフォームで、通常整備をされますキッチンとか浴室、トイレ、玄関みたいなものの増設、これを行った上で、なおかつ二つ以上が複数箇所になるということを要件とさせていただいております。

 先ほどの世帯の居住の話でございますが、通常の典型であります親の世帯、子の世帯というようなパターンもございますが、世代間で子育てを支え合おうといった場合に、おじ、おばであるとか、いろいろなパターンが同居といってもございます。家族の構成とか間柄、そういったものについていろいろ要件を設定するというのは、なかなかプライバシーの問題等も係りますので、難しいかなというふうに我々としては思っているところでございます。

 したがいまして、先ほど申し上げました、複数世帯がお住みになる場合にリフォームをする、そのときに、典型的に行われる工事内容をもって今回要件とさせていただいたところでございます。

丸山委員 続きは次の委員会でお伺いします。

 ありがとうございました。

宮下委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十九分散会


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