衆議院

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第13号 平成28年4月19日(火曜日)

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平成二十八年四月十九日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 宮下 一郎君

   理事 うえの賢一郎君 理事 神田 憲次君

   理事 藤井比早之君 理事 古川 禎久君

   理事 松本 洋平君 理事 木内 孝胤君

   理事 古川 元久君 理事 伊藤  渉君

      井上 貴博君    井林 辰憲君

      越智 隆雄君    大岡 敏孝君

      大隈 和英君    大野敬太郎君

      勝俣 孝明君    神山 佐市君

      小林 鷹之君    國場幸之助君

      鈴木 隼人君    田野瀬太道君

      竹本 直一君    中山 展宏君

      根本 幸典君    野中  厚君

      福田 達夫君    宮崎 政久君

      務台 俊介君    宗清 皇一君

      山田 賢司君    落合 貴之君

      玄葉光一郎君    鈴木 克昌君

      前原 誠司君    宮崎 岳志君

      鷲尾英一郎君    斉藤 鉄夫君

      吉田 宣弘君    宮本 岳志君

      宮本  徹君    丸山 穂高君

      小泉 龍司君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   財務副大臣        坂井  学君

   防衛副大臣        若宮 健嗣君

   内閣府大臣政務官     牧島かれん君

   財務大臣政務官      大岡 敏孝君

   経済産業大臣政務官    星野 剛士君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官付参事官)           池田 泰雄君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   美並 義人君

   政府参考人

   (財務省国際局長)    門間 大吉君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           伊原 和人君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           長谷川 新君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 鈴木 敦夫君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 谷井 淳志君

   政府参考人

   (防衛装備庁装備政策部長)            堀地  徹君

   参考人

   (株式会社国際協力銀行代表取締役総裁)      渡辺 博史君

   財務金融委員会専門員   駒田 秀樹君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十九日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     大隈 和英君

  助田 重義君     宮崎 政久君

  務台 俊介君     小林 鷹之君

  上田  勇君     吉田 宣弘君

同日

 辞任         補欠選任

  大隈 和英君     神山 佐市君

  小林 鷹之君     務台 俊介君

  宮崎 政久君     助田 重義君

  吉田 宣弘君     上田  勇君

同日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     井上 貴博君

    ―――――――――――――

四月六日

 消費税率を五%に戻し、増税中止を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一三三二号)

 同(池内さおり君紹介)(第一三三三号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第一三三四号)

 同(大平喜信君紹介)(第一三三五号)

 同(笠井亮君紹介)(第一三三六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一三三七号)

 同(斉藤和子君紹介)(第一三三八号)

 同(志位和夫君紹介)(第一三三九号)

 同(清水忠史君紹介)(第一三四〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一三四一号)

 同(島津幸広君紹介)(第一三四二号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一三四三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一三四四号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一三四五号)

 同(畠山和也君紹介)(第一三四六号)

 同(藤野保史君紹介)(第一三四七号)

 同(堀内照文君紹介)(第一三四八号)

 同(真島省三君紹介)(第一三四九号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一三五〇号)

 同(宮本徹君紹介)(第一三五一号)

 同(本村伸子君紹介)(第一三五二号)

 消費税の増税反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一三五三号)

 同(大平喜信君紹介)(第一三五四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一三五五号)

 同(清水忠史君紹介)(第一三五六号)

 同(島津幸広君紹介)(第一三五七号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一三五八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一三五九号)

 同(堀内照文君紹介)(第一三六〇号)

 同(真島省三君紹介)(第一三六一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一三六二号)

 同(本村伸子君紹介)(第一三六三号)

 消費税増税の中止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一三六四号)

 同(池内さおり君紹介)(第一三六五号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第一三六六号)

 同(大平喜信君紹介)(第一三六七号)

 同(笠井亮君紹介)(第一三六八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一三六九号)

 同(斉藤和子君紹介)(第一三七〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第一三七一号)

 同(清水忠史君紹介)(第一三七二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一三七三号)

 同(島津幸広君紹介)(第一三七四号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一三七五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一三七六号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一三七七号)

 同(畠山和也君紹介)(第一三七八号)

 同(藤野保史君紹介)(第一三七九号)

 同(堀内照文君紹介)(第一三八〇号)

 同(真島省三君紹介)(第一三八一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一三八二号)

 同(宮本徹君紹介)(第一三八三号)

 同(本村伸子君紹介)(第一三八四号)

 消費税の再増税を中止し、生活費非課税・応能負担の税制を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一三八五号)

 同(池内さおり君紹介)(第一三八六号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第一三八七号)

 同(大平喜信君紹介)(第一三八八号)

 同(笠井亮君紹介)(第一三八九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一三九〇号)

 同(斉藤和子君紹介)(第一三九一号)

 同(志位和夫君紹介)(第一三九二号)

 同(清水忠史君紹介)(第一三九三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一三九四号)

 同(島津幸広君紹介)(第一三九五号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一三九六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一三九七号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一三九八号)

 同(畠山和也君紹介)(第一三九九号)

 同(藤野保史君紹介)(第一四〇〇号)

 同(堀内照文君紹介)(第一四〇一号)

 同(真島省三君紹介)(第一四〇二号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一四〇三号)

 同(宮本徹君紹介)(第一四〇四号)

 同(本村伸子君紹介)(第一四〇五号)

同月十五日

 消費税の増税反対に関する請願(真島省三君紹介)(第一五三四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 株式会社国際協力銀行法の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)


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     ――――◇―――――

宮下委員長 これより会議を開きます。

 議事に入るに先立ち、委員会を代表して一言申し上げます。

 このたびの平成二十八年熊本地震により亡くなられた方々とその御遺族に対し、深く哀悼の意を表します。また、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げますとともに、負傷された方々の一日も早い御回復をお祈り申し上げます。

 ここに、亡くなられた方々の御冥福を祈り、黙祷をささげたいと存じます。

 全員御起立願います。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

宮下委員長 黙祷を終わります。御着席ください。

     ――――◇―――――

宮下委員長 内閣提出、株式会社国際協力銀行法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として株式会社国際協力銀行代表取締役総裁渡辺博史君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府政策統括官付参事官池田泰雄君、財務省主計局次長美並義人君、国際局長門間大吉君、厚生労働省大臣官房審議官伊原和人君、国土交通省大臣官房審議官長谷川新君、防衛省防衛政策局次長鈴木敦夫君、地方協力局次長谷井淳志君、防衛装備庁装備政策部長堀地徹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

宮下委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木内孝胤君。

木内(孝)委員 民進党、木内孝胤でございます。

 冒頭、熊本での地震の犠牲になられた方々の御冥福をお祈り申し上げます。また、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。

 まだ余震等も続いておりますし、きちんとした形で避難できていない方、本当に厳しい状況が続いております。震災対策に与党も野党もございません。しっかりと国会財務金融委員会でもできることを着実に進めてまいりたい、その決意でございます。

 きょうは国際協力銀行法の質疑でございますが、ちょっと最初に、震災関連について一、二、お伺いをさせてください。

 当然のことながら、今、迅速な対応ということでいろいろ準備を進めて対応しているわけですし、準備を進めているわけでございますけれども、財務金融委員会としても今一つできることは、迅速な財政措置が求められていると思っております。

 まだ被害の全容が全くわからないといいますか、そういう状況で把握はできていない中ではございますが、一つ報道でもございましたが、激甚災害指定にされるか否かというのが、やはりこの財政措置にも大きな影響を持つと思います。

 この激甚災害指定については、場合によっては来週中にもというような話もありましたし、一般的には一カ月ぐらいかかるのではないかというようなことでありますけれども、これは今どんな状況なのかということを、この激甚災害指定の認定状況についてお聞かせをいただければと思います。

池田政府参考人 御回答申し上げます。

 激甚災害の指定に当たりましては、地方財政の負担軽減等の観点から、被害見込み額などを用いた基準が設けられております。

 現在、できる限り早く被害状況を把握し、早期に指定できますよう、取り組んでいるところでございます。

木内(孝)委員 これまで激甚災害に指定された主な災害には、九四年の三陸はるか沖地震、九五年の阪神・淡路大震災、九八年の台風五号から九号による暴風雨災害、そして二〇〇四年の新潟県中越地震、〇七年の台風五号による暴風雨災害、そして一一年の東日本大震災などがございます。

 こうした災害を比較するのはどうかとは思うんですが、規模的な面から見ると、新潟中越地震というのが一つ一番近い規模になるのではないかと思っております。

 現在、予備費が三千五百億円ございますけれども、今後の緊急の対策費、この予備費を既に活用するということを官房長官ほか記者会見等でもおっしゃっておりますけれども、ここら辺の緊急的な対策費の準備状況といいますか、財政措置としての状況を教えてください。

美並政府参考人 お答えいたします。

 今先生からお話にあった予備費でございますけれども、二十八年度予算において三千五百億円計上しております。先般、総理から指示がございますように、これを必要に応じて活用し、機動的に対応していくこととしております。

 被災者の支援や復旧復興に向けて必要な施策は、政府として責任を持って実行していかなければならないと考えているところでございます。

木内(孝)委員 野党としましても、こうした迅速な対応、財政措置に大いに賛成の立場でございますので、ぜひ積極的に活用いただければと思います。

 それと、もう一つ別の財源の可能性があるかなと思っておりますのが、国債を発行する際の、当初の想定される金利と実勢相場の差額分、これは過去六年程度を見ましても、一番多いときでは一兆一千七百七十二億円、少ないときでも三千二百三十九億円、これが不用額として数字が、余っているという言い方が適切かわかりませんけれども、財源として活用される可能性があるのではないかと思っております。

 本年度につきましては一・六%ということでございますし、ことしに関してはまだ予測不能でありますけれども、昨年の分に関しては、六月になると、どの程度が決算されて、どの程度が不用になったかというのが明確になろうかと思いますけれども、これを財源としてこの震災対応に充てるものとして使えるのかどうか、これをお伺いいたします。

美並政府参考人 お答えいたします。

 今、先生からおっしゃられたように、国債の利払い費につきましては、積算金利と実際の金利の差額によって、決算において不用が生じることはございます。

 例えば、平成二十五年度決算では四千八百五十九億円、平成二十六年度決算では二千九百五十九億円でございます。二十七年度決算については、まだ精査中なので、この金額は幾らになるかというのはわからないところでございます。

 この利払い費の不用がどういうふうに使われるかということを過去の例から一般論として申し上げますと、まず、この不用は、ほかの歳出額の不用とともに決算の剰余金の一部を構成することになります。この剰余金につきまして、財政法において、二分の一以上は国債の償還に充てられることになります。残額については、最近の例を見ますと、翌年度補正予算の財源となるものでございます。

木内(孝)委員 ぜひとも、あらゆる財源を使って迅速な対応ということでお願いできればと思います。

 それと、ちょっと消費税の増税の条件ともかかわるんですが、今までの答弁で、リーマン・ショックあるいは東日本大震災級の出来事がないと消費税は予定どおり上げるという答弁を毎回いただいております。

 昨日のTPP委員会でも安倍総理が答弁なさっているようですけれども、今回のこの熊本における地震というのはこれに該当するケースと言えるのか否か。もし可能であれば、財務大臣に御意見をいただければと思います。

麻生国務大臣 今般発生した平成二十八年度の熊本大地震では、いわゆる重大事態なのかということだと思いますけれども、政府といたしましては、災害本部等々を設置して、目下、災害の応急対策に全力を尽くしているところでありますが、まずは被害の全容を把握することが先決でありまして、お尋ねのような、現在お答えする段階ではありませんし、今余震が続いておるというのもかなり大きな問題でして、亡くなられた方の数だけをよく比較されておられますけれども、広島の土砂災害の方が亡くなられた人の数は多かったでしょ、私の記憶では。

 したがって、今まだ申し上げるような段階ではない、そう思っております。

木内(孝)委員 わかりました。

 いずれにしましても、震災の対応を迅速にということで、繰り返しになりますが、野党の立場でも一生懸命お支えをしたい、そのように思っております。

 国際協力銀行法についてお伺いをいたします。

 昨今、インフラ輸出を強化するというのは、ずっと続いておりまして、一定の成果も出始めていると思っております。その中で国際協力銀行が果たす役割というのが非常に大きくなっている。とりわけ他国は、こうしたインフラを輸出する際にきちっとしたファイナンスをつけるということを案件獲得の売りとしておりまして、そういった意味からも、国際協力銀行の果たす役割は非常に大きくなっていると思います。

 こうした中で、今回の改正は、現地通貨建てのファイナンスを可能にするとか、あるいは、一定の範囲のリスクをきちんととって、さまざまな貸し出しの中でも、リスクの軽いもの、やや重目のもの、いろいろありますけれども、トータルでのリスクとしてみなすということで、私どもは、これは非常に前向きな法改正だというふうに考えております。

 一方で少しだけ心配というか、気になる点について一、二、お伺いをしたいと思います。

 私も以前銀行にいたものですから、当時の輸銀さんのローンを幾度となく利用させていただいたこともありますし、そのときの審査能力とか、あるいは業界分析の判断とか、今もって、すばらしい方々がいらしたなというふうに思っております。

 そうした中で、今回の高目のリスクをとるということは、その分、当然貸し倒れ率が高まるということにほかなりません。インフラを受注する際に、他国が、かなり高いリスクの状況でもその国の事情で大胆なリスクテークをしてきた場合、日本も、国際協力銀行さんもそれに追随してやった場合、当然貸し倒れが発生してしまう。それをどのように歯どめをかけたり、どのようにこの審査を進めていくのか。

 このリスクとリターンの関係から、何となく、ハイリスクをとっていくとなるとちょっと心配になるところはあるんですが、そこの審査体制についての状況をお聞かせいただければと思います。

渡辺参考人 お答え申し上げます。

 まず、JBICに対しまして非常に温かい激励をいただきまして、ありがたく存じます。

 今委員御指摘のように、特別業務の実施に当たりまして何を注意するかということになりますが、まず、全体として世界じゅうの資金の流れが窮屈になっている中で、やや無理をしてでも売ってくる国がある、あるいは売ってくる会社があるという中で、それに共連れになってはいけないというのは、まさに委員御指摘のとおりであります。

 したがいまして、私どもの方も、昨年から、質の高いインフラをどうやって進めていくかという流れの中でこの作業を進めさせていただいているわけでありますけれども、そういう中で、実際に行ったときにどういう状況になるかということについて、今までよりもより広くアンテナを上げるということと、それから、分析を広くするということをやっていきたいというふうに思っているわけであります。

 特に今回の場合、中央政府そのものではなくて、地方公共団体、日本でいえば例えば大阪府を対象とするといったようなローンについての御希望等もございますので、それについては、例えば今までにそういうことを行っている国際金融機関のやり方、あるいはそこでの分析手法といったものも参考にしながら踏まえていきたいというふうに思っているところであります。

 それから、そうはいいましても、マクロ経済全体がうまくいっていないと、中央政府の保証があってもなくてもうまくいかないというところはありますので、やはり、そういうマクロ経済の分析の中で何が実際に起こりそうかということについて、そういう兆候を早くとるために、いわゆる、各国のGDPも含めました経済分析についても積極的に手を伸ばしていきたいというふうに考えているところでございます。

木内(孝)委員 例えばインドネシアに新幹線を輸出するというようなケースの場合、どうしても貸出期間というのもかなり超長期になる可能性があるというふうに理解をしております。

 期間が長期になることに加えて、カントリーリスクの問題、さまざまな問題がある中で、まさにそこが国際協力銀行さんの今まで培ってきたノウハウが凝縮されている強みだと思いますが、一方でもう一つ心配になりますのが、やはり、最後、こういう競争になるとどうしてもぎりぎりのリスクをとりに行かざるを得なくなる。私も銀行で営業をやっていましたので、審査の人に働きかけをして、普通であればこれしかリスクはとれないけれども、もう一歩二歩進んでくれ、それでも言うことを聞かないと、もっと上の人から言ってもらったり、あらゆる政治力を使って通してもらう努力というのは、当然、営業の立場とすれば、する。

 国対国が大きなプロジェクトをかけてとりに行った場合、四十年のリスクテークというのは、ある意味、経済合理性というか、最後はえいやで判断せざるを得ないところがどうしても出てくると思うんです。

 そのときに、当然、国際協力銀行のバンカーの皆様は、そこら辺はバンカーとしての矜持があるということを承知していますし、そこは理解した上で、やはり政治的な圧力で、わかりませんが、例えば、総理がインドネシアへ行って最後この案件をとりに行くか行かないかというような状況のときに、どうしても政治的圧力をかけてしまうような人が当然いると思いますし、私が逆に営業の立場であればかけたくもなるし、そこをどういうふうにはねのけるかという政治との距離感、とりわけ、人事権から何からいろいろ持っている立場でやられた場合、それをはねつける仕組みというか、どのようにそれを回避しているのかということをお聞かせいただければと思います。

渡辺参考人 お答え申し上げます。

 今のように、総理から指示されたのにおまえは抵抗するのかという類いの質問をされるとなかなかお答えしにくいところはありますけれども、やはり、よその国あるいはよその会社が無理をしている中でもここら辺まではとれるというリスクと、それに比べて日本の企業等が少し慎重になっているかなという、そこの差みたいなのはあると思うんですね。

 ですから、全部その差を埋めてまでリスクをとろうということになりますと、一部の国においては、ほとんどギフトという感じで、もう相手に上げてもいいんだというぐらいのことでやっている国と我々の金融とが競合するということは無理だと思いますけれども、今申し上げたような若干の差のところをどこまで埋めていけるかということについては、先ほど先生の御指摘にありましたように、バンカーの矜持として見きわめて、それで最終的な決定をしていきたい、そういうふうに考えております。

木内(孝)委員 国際協力銀行の昔からの一シンパとして、ぜひ、この法改正をうまく生かしてインフラ輸出等を積極的に進めていただければと思います。

 少し関連する質問として、AIIBについてお聞きかせをいただければと思います。

 昨年の三月に英国がある意味非常にサプライズ的な形で参加表明をしてから、一年一カ月ほど時間が経過しております。

 その後、AIIBに関する問題点というのがいろいろございますけれども、大きく言うと三つの点が指摘されているところです。一つはガバナンス、二つ目は環境、社会への影響、そして三つ目が審査能力、この三点だと思っております。

 ガバナンスにつきましては、いわゆる中国の拒否権、出資比率、こうした問題等から、今の状況で日本政府としてこのAIIBに参加するというのは、当然、国民の税金を使って参加するということになるでしょうから、私は到底認められるようなガバナンスではないというふうに思っております。

 そして、環境、社会への影響とか、これも、AIIBの総裁と理事会の役割分担とか権限とか、ここら辺もまだ不明確な部分がございますので、この点からも、なかなかまだ問題点はクリアされていないのではないかと。

 一方で審査能力については、かなり経験豊富な方が、固有名詞でこういう方が入っているというのも聞いていますし、ヨーロッパ系の金融機関から経験豊富な方がきちっと働き始めているというような報告もありますので、一定程度進展はあるのではないかというふうに思っております。

 こうした中で私が一つ思っておりますのは、今入れないという判断をしていることは支持しているものの、より深く見るために、例えば、国際協力銀行さんの持っているノウハウ、職員の方を、先方が受け入れてくれるか否かという問題はございますけれども、これをむしろ送り込んで、日本も参加できるようないい国際金融機関にするという努力、あるいは、入るか入らないかというのは結局外からではどうしても限界があると思いますので、何とか人を派遣する努力というか、もう少し前向き姿勢で加入の可否の検討をしていただけないか、そのように思っておりますけれども、人を派遣するということに関して質問したいと思います。

麻生国務大臣 AIIBというのはまだ業務をスタートさせておりません。まだ審査も何も、どの物件を何をするという話は、うわさにはこの半年ぐらい聞いておりますけれども、まだ一つも物は進んでおりませんので、今の段階で私どもとしては、今既にあります、例えば世銀とかアジア開銀とか、既に既存の国際機関がありますので、そういった機関と一緒にいろいろやられるというような取り組みからスタートされるべきなんだろうなとは思っておりますし、向こうの総裁という人も知らないわけじゃありませんから話をしますけれども、まだそこまでとてもじゃない、具体的な段階に行っておるとはとても思えないと正直思っております。

 しかし、傍ら、インフラの需要というのはアジアにおいて極めて大きな需要がありますし、それに対する資金というものをどうやってということになりますと、さっき言われましたように、貸し出しのガバナンスの程度によって、そこに貸すことによってその金が返ってくるという保証というものを考えてリスクをとるわけですから、それを私どもとしては、この国にはこれ以上は無理と世銀なりADBなりその他がそう思っているところに後から来てぽんと貸して、結果的にその国が運営が難しくなって返せなくなった。それは、後から貸してきたAIIBだけが取りっぱぐれるならいいですよ。こっちが、まともに貸している我々の方まで取りっぱぐれの巻き添えを食ったら、ばからしくてやっておられぬ。

 私は基本的にそう思いますから、だからそういった意味では、その種のところに関しましては、一緒にやっていくということを最初から考えられないと、もともと審査能力があるとはとても思えませんから、協力の仕方としては、そういったところをまずはやって、その上での話だと思いますが、それを向こうがまずやる気があるかないかもよくわかりませんから、今の段階でまだお答えできる段階にはないと存じます。

木内(孝)委員 最近、AIIBが、世銀とか、あるいはアジア開発銀行との協調融資という話をしていますが、アジア開発銀行と協調融資をする場合は、これは明らかな利益相反の問題もありますので、アジア開発銀行の一番最大の貸出先が中国でありインドでありという状況の中でAIIBと協調して貸し出しをするというのは、どう考えても、制度そのものに問題が生じているというふうに、利益相反の問題があると思わざるを得ませんので、協調融資であれば場合によってはいいんじゃないかみたいなトーンがございますが、これもひとつ慎重に御判断をいただきたいポイントかと思います。

 いずれにしましても、輸銀さんのノウハウを使って、アジア開発銀行さん、そしてAIIB、私は、繰り返しになりますけれども、今は参加するべきという話をしているわけではありませんが、何とかいい形で取り込めるような仕組みに頑張ってするというのも一つの選択肢ではないかと思っておりますので、あと一年、二年、いろいろな融資が立ち上がってどういう状況になるかというのを見きわめてからということになるかもしれませんけれども、AIIBの役割等については、引き続き注視をしていただければというふうに思います。

 次の質問、パナマ文書の問題についてお伺いをいたします。

 パナマ文書、いろいろ問題がございますけれども、これは幾つかの問題が分かれておりまして、一つ一番大きな問題は、これがもし本当の資産隠しとか非合法の取引といった場合は、もうこれは物すごく大きな問題というのは、当然のことながら一つ言えると思います。

 ただ、もう一つ大きな問題、これはオバマ大統領もおっしゃいましたが、要するに、こういう割と簡単、安易な節税が合法的にできてしまうということが非常に問題なのではないかと思います。

 三年前のサミットにおきましても、世界的な大企業が合法的に節税をうまくやり過ぎているということが話題になり、議題に取り上げられました。

 その後、OECD・BEPS等いろいろな議論が進んでおりますが、今回の問題というのは、やはり世界じゅうで格差の問題が非常に注視されている中で、多くの国々の首脳あるいはそれに近い人たちがお金を入れていたということで問題になっているわけですが、この間、菅官房長官が、これに関してどうするのかといったときに、ちょっと答弁の内容、多分そういう真意ではないのかとは思いますけれども、何かそんなに積極的にこれは調べなきゃいけないというより、これは慎重に調べなきゃいけない、やや後ろ向きにも聞こえる答弁だったというふうに記憶をしております。

 この件の調査の仕方、あり方、今後の進め方等について、今、財務当局としてどういうふうにお考えになられているのか。それについてお聞かせをいただければと思います。

麻生国務大臣 大企業とか富裕層と言われるところのいわゆる課税逃れという形になりますと、これは課税の公平性というのを損ないますので、そういった意味では、納税者の信頼を揺るがす極めて大きな問題になる。はっきりしております。

 ただ、これは、合法ということになりますとこれまた全然話は別になっているので、これは三年前のバッキンガムシャーのG7の会議でこの話は出て、これは日本から提案して、この種のものは問題なのではないかというので、日本からの提案でBEPSと言われるものが、ベース・エロージョン、プロフィット・シフティングと言われるこの通称BEPSというものがスタートをさせていった最大のもとですから、したがって、そのときの反応と今とを比べますと、随分これに賛成する人がふえてきて、昨年の十月、アメリカを含めてG20は全員これに乗って、施行されるという形になったというところまで来たんだと思っておりますが、これは少なくとも国際的な連携をとってきておりますので、G20のプロジェクトにおいても、多国籍企業の租税回避を防止するための対策が講じられて、今一番わかりやすいものでいえば、非居住者にかかわるいわゆる金融口座情報というものを、各国の税務当局間でこちらの照会がなくても自動的に出すという、交換をするための国際基準というものが今でき上がりつつあるというところでありまして、先日行われました、アメリカで十四、十五で行われたG20の財務大臣・中央銀行総裁会議においても、このパナマ文書に関連して、課税逃れとか不正資金の流れの対抗策についてこれは御議論が行われました。

 パナマほか四カ国だか何カ国か、このあれに乗っかっていない国がたしか四つあります。そういったところの一つだもんですから、こういった意味では、より多くの国々がこの自動的な情報交換に着実に参加すること、しない場合は国際社会から排除されます、情報が入らなくなりますよということをはっきりさせてというようなことでやり始めておりますので、これは日本が今議長を務めておりますので、そういった意味では、今後ともこの種の話に関しましては、これは合法的であるという話になりますと、何で合法的なのかというところが一番問題なんですが、合法的に租税逃れという話ですから、そうではなくて、これはそうじゃないんですよ、皆公平にということをやるためにはちゃんときちんとした法律をつくらないかぬということだと思っておりますので、これは国際法になりますので、一カ国だけでできるわけではありません。

 したがって、まずはG20ということでスタートさせていただき、OECDにそれをさらに攪拌しつつあるというところまで今行きつつあるという段階だと思っております。

木内(孝)委員 先日のG20もそうですが、恐らく、次の伊勢志摩サミットでもこのパナマ文書にかかわることは議題になるのではないかと推察されますが、今、麻生大臣がおっしゃいましたとおり、困るのは、ある意味きちんきちんと合法的な手続にのっとって節税をしている場合はどうするのかということかと思います。

 一つの国では非課税、一つの国では、例えば日本でいえば相続税が五五%という場合があったとすると、そうすると、合法的に非居住者になって、日本でも何年か前に、ある消費者金融のオーナー家が、息子が非居住者になって資産を贈与して、そうしたら日本の税務署が負けたというあの判例もございましたけれども、ああいうことがある意味合法的にできてしまうということが、今、世界じゅうの問題だと思っております。

 では、多くの国があって、その一つだけでもこれが合法的にできてしまうということになると、結局そこで課税逃れができてしまう。そのBEPSの仕組みを導入しても、どこでどういうふうに網かけができるのか。あるいは、その三年前のバッキンガムシャーのとき以来、そのBEPSをやって、一部は進展があるのかもしれません。これが今きちんと機能しているというふうにお考えなのかどうか。

 あるいは、これの実効性を持たせるための、伊勢志摩サミットにおけるリーダーシップの発揮の仕方、具体策、ここら辺について、この間のG20でも話された内容等で、何か具体的な、これなら機能するのではなかろうかというような、そういうお話はございませんでしょうか。

麻生国務大臣 G20における会議に出る前に、昨年十一月のいわゆるG20のサミットにおきましてこれが正式に各国合意ということになっておりますので、今やっとスタートしたばかりですから、これがどの程度今から行くかということは今からの話ですけれども、まず、自動的な情報交換、非居住者の自動的な口座の交換というものは、これは極めて大きな意義がありますので、そういった意味では、これがどれくらいの国でどれくらい作動するかというのを見た上でというのがまず第一歩になろうかと思いますが、こんなものをそんな簡単にあしたからきれいに全部できるなんてことはあり得ないのであって、少しずつ少しずつ確実にやっていくしかほかに方法がない、そう思っております。

 しかし、これを送金するのはほとんどアメリカの銀行のいわゆる送金網を使いますので、そこが動かなかったらあとは現金輸送しかありませんから、そういったところになると効果は極めて大きいものだと思っておりますけれども。

木内(孝)委員 日本にいる超富裕層が資産を運用する場合は、そういう資産運用の専門家に、資金、それが例えば十億なのか二十億なのか、人によっては百億、二百億という場合もあると思います。これを預けた場合、その資産運用の専門家が、例えばケイマンを使うのかパナマを使うのか、こうしたことまである意味資産家というのは、恐らくほとんどこだわりなく資産運用を任せるケースというのがあると思います。

 したがいまして、ある意味、日本の超富裕層というのは、本人はそういう意識もなく、パナマを利用し、ケイマンを利用し、今後、そういう事例というのが、五月に文書が公開された場合、私は出てくる可能性があると思っているんです。本人は全く悪意もなく、悪気もなく、私も金融機関にいましたので、例えばこっちの法人を使えば税金がこれだけ安くなってキャッシュフローがよくなるよということを、私も当時、証券会社とか銀行にいたときに悪意もなくいろいろ提案をしていた立場でもございます。ただ、今後これが公開されたときに、やはりいろいろな影響が出てくると思います。

 ぜひこれは前広に、どういう情報が今パナマ文書の中に隠れているのか、これは、税務当局も含めて、早目にぜひ入手していただく努力をしていただければと思います。

 そしてなおかつ、その上の網かけですね。例えば、送金する場合に、全部それを記録をとってすぐ税務署が入るとか、そういうのはもう既に大分進んでいるというふうには理解しておりますけれども、ぜひそこの御努力を続けていただければと思います。

 伊勢志摩サミットでは、これは日本がリーダーシップがとれる分野だというふうに考えておりますので、ぜひ、麻生財務大臣にそこの部分のリーダーシップを期待申し上げております。

 最後に、若干これは財務金融委員会の分野とずれる部分もございますが、公的年金基金、GPIFの情報開示の日についてお伺いをしたいと思います。

 二〇〇七年度から直近の八年間、今まで年度の情報開示をしたのは、一番早くて六月三十日、一番遅くて七月十日というふうになっております。もちろん、その七年前より先、二〇〇六年度以前は七月末ぐらいに情報開示をしていたときはございますけれども、恐らく、そういう管理手法とか開示できるタイミングがもっと早まったということで、安定的に七月の第一週ぐらいには今まで情報開示ができていた。

 昨今報道されているとおり、恐らくこのGPIF、公的年金基金は、二〇一五年度、昨年度は、恐らく五兆円から六兆円程度の損失を出していることは明らかでございます。私は、この損失を出していることをどうこう言うつもりもありません。その前に利益を出している年もたくさんございましたし、これは長期的な視点で見なければいけないからということで、単年度で損を出したから批判をする気は毛頭ございません。

 しかしながら、七月の第一週には開示できるものを、なぜことしだけ七月二十九日という、三週間程度おくらせて発表しているのかというのは、邪推するに、ことしは七月十日ごろに参議院選挙があるかもしれません。その三日前、四日前に六兆円のロスという報道が出てしまうと選挙にマイナスだから、これを政府にそんたくしたのか、政府が指示をしたのか、どっちかわかりませんけれども、ここ数年、七年程度、七月十日が一番遅かった開示日、なぜ、これをことしは七月二十九日に発表すると決めたのか。この点、お聞かせいただければと思います。

伊原政府参考人 お答え申し上げます。

 GPIFの運用を含めました業務概況書につきましては、昨年までは、GPIFの年度計画におきまして七月末までと明記した上で、実際に公表の準備ができた段階で、公表日を決めて発表しておりました。しかしながら、こうした仕組みですと、公表日が直前までわからず、市場の臆測を呼ぶという懸念がございました。

 こうしたことから、ことしからは、GDPなどの経済指標の公表例を参考にしまして、一年間を通じた公表日をあらかじめ事前に決定し、周知することとしたというふうに承知しております。

 その際、二十七年度の業務概況書につきましては、GPIFが発足してからちょうど十年となりますので、その歩みを振り返っての分析を行うほか、関心がございます個別保有銘柄の開示についての検討を行う、こうした作業をすることとしておりまして、今まで以上に公表内容の充実を考えてございます。

 こうしたことから、開示の準備期間を考慮しまして、七月二十九日にGPIFにおいて決定したと聞いております。

 このように公表の日付を七月二十九日といたしましたのは、あくまでもGPIFの作業日程により決められたものでありまして、政治的な日程などを勘案した事実はないと承知しております。

木内(孝)委員 ちょっと今の説明を聞いていても、合理的な説明だというふうには感じることができません。

 これは所管外かもしれませんし、お答えしづらいかもしれませんけれども、今の説明を聞いて、こうした開示タイミングをずらすのは、私は、これは非常にずるい、インチキ、こう言わざるを得ないやり方と思っています。

 麻生財務大臣、今の説明を聞いて、これが合理的で仕方がないなとお考えなのかどうか。財務大臣としての御所見をお願いいたします。

麻生国務大臣 ずるいとかインチキとか、あなたの感情論はわからぬ。あなたの気持ちを言っておられるのはそれは自由ですけれども、僕は、こういったことに関して、人様の所管のところにインチキだとかずるいとかいうようなことを言える立場にありませんので、申し上げられません。

木内(孝)委員 GPIFは、百三十兆円であり百四十兆円であり、基本ポートフォリオで株の割合をふやすと言っただけで日経平均株価を上げられる、それぐらい大きな力を持っているものです。これだけ三週間も開示タイミングをずらすというのは、もう選挙対策以外何物でもない。こうしてガバナンスが機能していない百三十兆円、百四十兆円のファンドに私どもの年金をお預けするというのは、私は物すごく抵抗があります。

 私は、今回のこのGPIFの開示タイミングのおくれ、あるいは、選挙直前に基本ポートフォリオを変えた二〇一四年十月末、こうした問題については、引き続き厚生労働委員会等でも取り上げたいと思いますけれども、本当にこれはひどい話だと私は思っております。

 感情的にと言われましたけれども、感情的になりたくもなるようなひどい開示の仕方だと私は思っておりますので、今後、GPIFの開示につきましては、選挙があろうとなかろうと適時開示を徹底していただきたく、これをお願い申し上げて、私の質問とかえさせていただきます。

 ありがとうございました。

宮下委員長 次に、落合貴之君。

落合委員 民進党の落合貴之でございます。

 九州で大きな地震が起きました。被災された全ての方にお見舞いを申し上げるとともに、亡くなられた方々に哀悼の念をささげさせていただければと思います。

 政府だけでなく、国会も復旧のために全面的に動いていかなければなりません。本日はまず、この地震関連の質問をさせていただきます。

 今、十一万人もの方々が避難をしているということです。一時は二十万人にも及びました。各所、復旧に全力を尽くしている状況だと思います。

 そこで、財務省、金融庁に関係する点ですが、まず政府系金融機関の震災対応についてでございます。

 財務省所管でこの件に対応する政府系金融機関は、日本政策投資銀行、それから日本政策金融公庫があると思いますが、それぞれどのような対応を行う予定でしょうか。

坂井副大臣 政府系金融機関における対応ということでお尋ねがございました。

 災害救助法の適用の決定を踏まえて、十五日に、熊本県に係る被災中小企業、小規模事業者、農林漁業者への対応といたしまして、窓口における親身な対応、また、資金の円滑な融通等を要請する通知文書を財務省、それから厚生労働省、農林水産省、そして中小企業庁の連名で、日本政策金融公庫等に対して出したところでございます。

 さらに、同十五日に、日本政策金融公庫からの信用の供与を受けて、指定金融機関、この指定金融機関は今現在、日本政策投資銀行と商工中金になりますが、これらが行う危機対応業務の対象として今般の地震の災害を追加いたしまして、これも財務省、中小企業庁、そして農林水産省の連名で、指定金融機関に対しまして同内容の通知文書を出したというところでございます。

 これらの措置によりまして、各政府系金融機関におきましては相談窓口を設置しております。既に、被災中小企業、小規模事業者、農林漁業者からの融資の相談に関しましては、迅速かつ柔軟に対応することが可能となっております。

 今後も、同災害が激甚災害の対象に追加された場合等にも備えまして、万全の対応を行ってまいりたいと考えております。

落合委員 無駄なく、効率的かつ効果的に支援が進むように、東日本大震災の事例も踏まえて、ぜひ御対応いただければと思います。

 次に、地域金融機関についてなのですが、特に信用金庫、信用組合というのは、店舗が特定の地域に限定されていることが多い、取引先も特定の地域に限定されていることが多い。今回の地震で、店舗が物理的に損害を受けたり、それから、かなり大きな割合の取引先の財務状況が一気に悪くなって、それで金融機関自体の財務状況が急に悪くなることも懸念されます。

 以前質問でも取り上げさせていただきましたが、大都市圏以外の金融機関、地域金融機関では、地域経済の屋台骨をそういった金融機関が支えているものの、収益性ももともと低くて、財務状況も平均すると余りよくなかった。

 こういった中で今回の地震があったわけですが、特に熊本ですとか大分ですとか、そういった地域金融機関への支援措置、どのような措置をとる計画をされていますでしょうか。

牧島大臣政務官 熊本地震におきまして被災された皆様にお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。

 金融庁に対しての御質問をいただきました。

 現状を御報告いたしますと、十八日月曜日十五時時点で、被害を受けている金融機関は十四機関、信金、信組は三信金、一信組の計四支店という状況になっています。そのうち、機器類の故障や建物の被災などによりまして、三金融機関、九支店、出張所が業務停止になっておりますが、現状、信金、信組はこの中には入ってございません。

 もちろん、地域経済を支える屋台骨として役割を果たしていただいているところでございますので、今後も情報収集はしてまいりたいというふうに考えております。

 金融庁としては、四月十五日に、熊本県内の信用金庫、信用組合を含む関係金融機関等に対して、九州財務局長及び日本銀行熊本支店長の連名によって、預金の払い戻し時の柔軟な取り扱いなど、被災者の便宜を考慮した適宜的確な措置を講じるよう要請なども行っております。

落合委員 物理的な被害についての把握状況について主にお答えいただきましたが、これから地域の金融機関の取引先の財務状況の悪化に伴って金融機関自体の財務状況が悪化する可能性がある、こういった問題に対しても的確に対応していくということでよろしいですね。

牧島大臣政務官 現状において、我が国の金融システム全体ということでは影響は及んでいないというふうにも認識があるところではございますが、もちろん、今御指摘ございましたとおり、地域の金融機関の皆様と情報収集をとりながら取り組んでまいりたいと思います。

落合委員 それから、今回、大きな地震ですので、生損保についてですが、保険金の方の支払いの手続ですとか、それから、保険料の支払いが滞ってしまう、支障を来してしまう事例が多く出てくるものと思います。これらに対して各保険会社がどのように対応していると把握しているか、それから、金融庁として何か対応を行っていくのか、これについてお伺いできればと思います。

牧島大臣政務官 先ほど御紹介いたしました四月十五日に九州財務局長及び日本銀行熊本支店長の連名により発表した金融上の措置において、保険会社に対しては、迅速な保険金の支払い、保険料の払い込みの猶予など、被災者の便宜を考慮した弾力的、迅速な対応に努めるよう要請をさせていただいております。

 これを受けまして、生損保協会において、それぞれ保険料の払い込みの最長六カ月間の猶予、保険金などの簡易迅速な支払い、家屋の喪失などにより保険契約に関する手がかりを失った方の照会窓口の設置などの対応を決定しています。

 さらに、生保会社は各社、地震による免責条項を適用せず保険金を支払うことを決定しています。損保各社は、コールセンターの増員、調査員の派遣など、地震保険等の迅速な支払いのための体制の強化を行っているなど対応を進めております。

 もちろん金融庁としても、被災者の支援に万全を期する観点から、引き続き、保険会社各社の震災対応の状況について注視を行いながら適切な対応を促してまいりたいと考えています。

落合委員 そこで、来年引き上げる予定の消費増税の件について御見解を伺えればと思います。

 今回、一時二十万人も避難するような大地震が起こった、これは大震災並みと考えることもできると思います。

 それから、先週十二日だったと思いますが、IMFが最新の世界経済見通しを発表しました。そこで来年二〇一七年の日本の成長率が主要国で唯一マイナス成長になるという予想でございました。その理由は、四月から消費増税を行う影響とのことです。

 そして、先週末、新聞には中国の景気減速も伝えられました。一―三月期が六・七%成長、これはリーマン・ショック以来七年ぶりの数字でございます。

 これらから判断すると、来年の消費増税は少なくとも凍結するという判断を下された方がいいのではないでしょうか。御見解を伺えればと思います。

麻生国務大臣 足元においては間違いなく、海外要因を主たる要因として世界的なリスク回避の動きが金融市場に見られているということはもう間違いないので、その中において日本の市場にも変動が見られるのは事実であります。

 この点、今回のワシントンのG20の会合において、世界経済の見通しについては、下方リスクとか、また不確実性とかいうものを残しつつも、しかし、少なくとも世界経済は回復が続いているとコミュニケに、共同宣言にもきちんと書かれていると思いますが、世界経済の回復が続いているという認識を改めて示されているのは御存じのとおりだと思っております。

 日本につきましても、実体経済を見た場合は、これは間違いなく企業の収益というのは過去最高水準を維持していることは間違いありませんし、有効求人倍率という景気に一番かかわり合うところですけれども、ここも間違いなく二十四年ぶりの高水準となるなど、いわゆる経済のファンダメンタルズと言われるものは確かだということはもうはっきりしていると認識をいたしております。経常利益でも六十四兆六千億でしたかね、二〇一四年度で出ております。

 そういった意味で私どもとしては、来年十月の一〇%の消費税の引き上げというのは、もともと社会保障制度、いわゆる少子高齢化等々の人口構成を考えて将来を考えたときは、次世代に今の社会保障制度をきちんと引き継いで、引き渡していくということを考える。同時に、国際社会においてこれはきちんとやるということを国際的にも発言をしておりますので、そういったことを考えました場合は、総理もたびたび答弁されておりますように、重大な事態が発生しない限り、確実に実施する、基本的にそう考えております。

落合委員 重大な事例が発生しない限りということで、世界経済も回復基調にある、そして、日本経済、国内のファンダメンタルズ、大臣が挙げられた数字もいい傾向であるというような御見解でございました。

 私は、増税でマイナス成長になるような政策はそういったタイミングで打つべきではないというふうに思います。これは慎重に御判断をいただければと思います。

 では、残りの時間、JBICの法案、株式会社国際協力銀行法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。

 私は、政府系金融機関の存在意義、民業補完としては意義はあると考えています。

 まず初めに、確認の意味も込めまして、国際協力銀行の存在意義、趣旨、目的について改めて伺わせていただければと思います。

坂井副大臣 政策金融とは、公益性が高く、民間金融機関のみでは適切な対応が困難な分野におきまして、金融的手法によって政策目的を達成するものでございまして、平成十七年の政策金融改革の基本方針の中では、原則といたしまして、政策金融は三つの機能に限定をし、それ以外は撤退をするということで整理がされております。

 三つありますが、一つが「中小零細企業・個人の資金調達支援」ということでございまして、二がJBICに当たるわけでありますが、「国策上重要な海外資源確保、国際競争力確保に不可欠な金融」、これが二番目で、三番目が「円借款」ということでございます。

 この国際協力銀行、JBICは、今申し上げましたような国策上重要な海外資源の確保、競争力確保に不可欠な金融分野を投融資の対象としております。

 こうした分野は公益性が高い一方、民間金融機関のみでは適切な対応が困難であることから、JBICは政策金融機関としてこうした業務を担っているということでございます。

落合委員 それで、この二十年ぐらい、政府系金融機関についての改革というのが行われてきました。十七年前に、この国際協力銀行の前身の日本輸出入銀行が、OECF、海外経済協力基金と合併をしています。そしてその九年後、また分離して政策金融公庫と合併して、そしてまた、公庫と分かれて今の組織ができています。

 この十七年間で、くっついたり離れたりしているわけですが、まず、なぜ十七年前にOECFと合併したのかが一点目。それから、なぜ短期間でまた分離して今度公庫と合併したのかというのが二点目。そして三点目、なぜ、またその合併した公庫と分離したのかという理由についてお聞かせいただければと思います。

坂井副大臣 このさまざまな流れは、まさしく試行錯誤、そのときそのときの情勢に応じて一番いい形、一番いい制度を目指すための試行錯誤だったんだろうと考えております。

 初めにお尋ねの、海外経済協力基金の統合に関しましてですが、平成十一年、御指摘のとおり、国際金融業務を行う日本輸出入銀行と円借款業務を行う海外経済協力基金を統合いたしまして国際協力銀行を設立したその当時は、両方ともに対外的な貸し付けを行う機関であったことを踏まえて、一緒になる、統合することによって、金融機関としての審査や債権管理といったノウハウを共有することができて、業務が効率的に遂行できる、こういう判断があったことや、また、政策目的に応じて国際金融業務と円借款を有機的に連携させる、こういうことで機動的、効率的な対応を可能とする、こういうような狙いがあって一緒になったということでございます。

 その後、政策金融改革ということで検討された結果、JBICは、政策金融機関は一つにして、いわば簡素で効率的な政府という観点から、原則、国内金融を扱う三公庫と合わせて一つの機関に統合することとされた、こういう経緯でございます。

 他方、援助の効率的実施及び顔の見える戦略的なODAという観点から、それまでJBICが行っていた円借款業務につきましては、もともと海外経済協力基金が行っていたものに関しましては切り離して、新しいJICAに統合されて、技術協力及び無償資金協力とともにシームレスに取り扱われることになったということで承知をいたしております。

 また、動きがございまして、政策金融公庫から国際協力銀行が分離独立したということがございました。

 平成二十年の政策金融改革におきまして、機関を統合することで管理部門等の業務の一元化や支店の統廃合、リスク管理等の共通の課題についての連携した取り組みなどの効果を上げることが想定をされておりました。

 しかし、その後、海外で膨大なインフラ需要が見込まれて、個々の案件も大型化する中、民間だけでは必要な外貨調達を行うことが困難となるとともに、受注に向けた国際競争も激しさを増してまいりまして、世界的な環境の変化、今申し上げたような世界的な環境の変化でございますが、これらが認識をされるようになった。

 こちらに重点を置くべきだというような変化がありまして、JBICがインフラ案件を初めとする大型案件に注力していった場合、海外における巨額案件を中心とするJBICと、国内向け多数の小口融資、もともと国民金融公庫等が担っていた小口融資を主とする公庫の国内部門とでは対象となる顧客の層も違う、また、リスク管理の手法も違う。これらがますます異なるものとなっていくということが予想されましたので、これらを踏まえて、JBICを公庫から分離した方が業務の機動性、専門性等の観点から見てメリットが大きいと考えて、これが平成二十四年四月に分離独立という形になったということでございます。

落合委員 個別に理由を伺えば、それなりに理由があるなと思うんですが、十七年間くっついたり離れたりしているうちに、結局、今、十七年前の輸出入銀行と実質的に同じような組織に戻っている。

 一番最初、OECFと合併したときは、円借款の連携ですとかそういうことを理由に挙げられていたわけですが、その機能は今JICAが持っているわけでして、これはそもそも、十七年前の輸銀とOECFの合併、この時点に戻すのではなくてその前まで戻しているわけですけれども、OECFと輸銀の合併というのは、これも間違いだったんでしょうか。

坂井副大臣 間違いであったかどうかということよりも、やはり環境が大きく変わってきたということが一番大きいと思いますし、また、政策金融に求めるものや、これらODAの考え方、もしくは、日本がどれだけ、どんな形のODAを求められてくるかといったような変化等もあったかと思います。

 先ほど、単に十七年以前に戻ったのではないかということですが、例えばOECF、海外経済協力基金が担っていた有償資金協力の分野でございますが、この分野は今、新しいJICAが担っております。つまりは、これを単独で以前のように海外経済協力基金がやっているということではなくて、ODAの関連やそれらはJICAで一まとめでさまざま連携をしながらやっていこう、見ていこう、こういう方向性も、世界を取り巻く環境を見ながら国際環境に合わせて変化をしてきたその結果だというふうに私は考えております。

落合委員 もともと二十年近く前から省庁ごとに縦割りだったこういった機能を、総合的に、機動的に動けるような組織をつくっていこうということで合併が進められていったのだと思います。今、だんだん細分化してきているわけですが、本来の行革の意味も失わないようにぜひ見ていただきたいと思います。私も注視をさせていただきたいと思います。

 今回の法改正、これはインフラ輸出などを主に、一層の後押しをしていくということでございます。そのために三つのポイントを変えるわけですけれども、一つ目は、リスクをとる特別業務を勘定をつくって別に行うようにする。それから二つ目に、現地通貨建ての融資を拡大させていく。三つ目に、手法を多様化させていく。こういったことでJBICの機能を強化、多様化させていくということでございます。

 この目的であるインフラ輸出、これは、調べてみるといろいろな政府の機関がやられていまして、例えば、官民ファンドで海外交通・都市開発事業支援機構、これもインフラをうたって平成二十六年に発足をしているわけですが、こういった機関との競合、これはどうなんでしょうか。

坂井副大臣 今お尋ねの株式会社海外交通・都市開発事業支援機構、略してJOINということで通っているようでございますが、このJOIN、平成二十六年にスタートしたということでございますが、日本企業の参入を促進するため支援を行うというのがJOINの目的でございます。

 JBICは、日本の産業の国際競争力の維持及び向上等の観点から、海外交通や都市開発といったような、事業を限定せずに支援を行っているという違いが一つございます。

 もう一つは、例えば、同じ案件がJBICとJOIN双方の支援対象となり得る場合、案件の性質や事業者からの要請、それは現場現場での対応になりますが、その対応に応じまして、例えば、JOINは出資、JBICは融資という形で、異なる手段によって支援を行うというようなことも想定をしております。

 JOINは、支援対象の事業に関しまして、ノウハウを生かして、役員また技術者などの派遣を通じた事業参画による支援を行う、より事業者に近い形で支援を行う一方、JBICの方は、財務面でのアドバイス等を行う等の形で協働する、一緒に協力をしていくということが考えられると思っております。

 いずれにしましても、JBIC、JOINそれぞれが、日本企業の海外インフラ産業を支援する上では、事業者の資金需要等に応え、必要に応じてそれぞれの役割また強みを生かしつつ力を合わせていくということが重要であると考えております。

    〔委員長退席、神田委員長代理着席〕

落合委員 参考までに国交省に伺いたいんですが、この今挙げたファンドの実績、一年半ぐらいあると思いますが、実績を教えていただければと思います。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 JOIN、すなわち株式会社海外交通・都市開発事業支援機構につきましては、民間企業の海外インフラ案件への進出を促進するため、金融支援のみならず、経営参画、人員の派遣などを含めて総合的に支援する組織として設立されました。

 このJOINにおきましては、昨年十月から十二月にかけまして、ベトナムの港湾事業、米国テキサスの高速鉄道事業及びブラジルの都市鉄道事業の三事業につきまして、総額約百十七億円の支援決定を行ったところでございます。

落合委員 百十七億円。今、私の資料でも、三つ案件を実行しているということです。

 予算を見てみますと、政府出資の枠というのは二年間で七百億ぐらいあると思います。その中で、七百億のうち実績が百十七億ということで、そんなに案件が多いわけではない今の現状です。こういった中で、JBICもインフラ輸出に参画する。

 それから、私、経済産業委員も務めさせていただいていますが、貿易保険もどんどん業務を拡大していっています。貿易保険もインフラ輸出に対して保険を積極的につけていく、保証のような形でもつけていくというふうに業務を拡大しています。

 国交省のファンド、それから財務省のJBIC、そして経済産業省の貿易保険、これがそれぞれどんどんインフラ輸出に向かって拡大をしていく。これの競合が行われないのか。そして、暴走することがないか。全体的な統制は大丈夫なのか。これは見ていかなければならないポイントだと思いますので、私も、ほかの委員会でも取り上げさせていただきたいと思います。

 それでは、JBICの財務状況等について入らせていただければと思います。

 JBICの財務資料を見させていただきました。直近の平成二十六年では千二百六十二億円も純利益が上がっていまして、そのうち半分、六百三十七億円、国庫納付をしている。私、政府系金融機関の財務資料、かなりいろいろなものを見てきましたけれども、その中でもかなりJBICはいい財務状況だと思います。

 今、このいい状況で、国庫にも納付をできているぐらいな状況なのにもかかわらず、ここでハイリスク・ハイリターンの業務に手を出すということでございます。

 財務状況が今はいいですが、ハイリスク・ハイリターンの業務を行うことで、もちろんリスクが高まるという認識はしっかりされているということで、総裁、よろしいですね。

    〔神田委員長代理退席、委員長着席〕

渡辺参考人 お答え申し上げます。

 今回の特別業務を始めましたときにも、これまでの業務自体の部分と今度の新規の部分は、経理上は別に行いますので、仮に特別業務の方で損益が出たからといって、一般業務の方の損失になる、あるいは利益が小さくなるということではないというふうにまずお考えいただければと思います。

 それから、特別業務の方も、損を出してまでやるということではなくて、やはり収益がきちんととれるようにしながらそれをやっていくということが必要だというふうに思っております。

 それから、先ほどのJOINと私どもとそれからNEXIの関係でいえば、やはり最近のインフラ事業ですと、最初のところで、出資金等で初期コストを下げたいという意向を持っているスポンサーが結構多いので、それに対してはJOINのような形での出資というのがきくというふうに思っております。

 それから、私どもが融資をする場合にも、うちが単独で一〇〇%融資をするということはできないという今仕組みになっておりますので、民間の金融機関と一緒に行く。その民間金融機関のところにNEXIが付保をしていただけるという形での構成になっておりますので、競合というよりは協調というふうに我々は思っておりまして、三機関の中の連絡もよくさせていただいております。

落合委員 先ほど木内理事の質問にもありましたが、政府は、総理を筆頭に、どんどんやれというような姿勢である。一方で、金融機関ですので、もし大きな失敗をすれば国民負担も発生し得るという状況でございます。その金融機関としての独立性、採算の考え方、これはしっかりと持っていかなければならない問題だと思いますので、私もここをポイントに見させていただければと思います。

 では、最後に一問。今回、全部この新旧の対照表を拝見させていただきました。その中で、この新旧の最後の方、今回の法改正に伴いまして、駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法も改正をされます。

 そこで質問なんですが、二〇一二年九月末に、米軍基地のグアム移転に関してJBICの駐留軍再編促進金融業務は終了していて、同年十一月末にはその勘定も廃止をされています。なぜ、それにもかかわらず、今まで法律にはJBICの業務として残っているのかという点が一点目と、それから、今回法改正するにもかかわらず、勘定が廃止されているその業務がまだ業務として法律上は残るということです。これはどうしてなんでしょうか。

谷井政府参考人 お答えいたします。

 平成十八年の再編実施のための日米ロードマップにおきまして、在沖米海兵隊の速やかな移転の実現が可能となるよう、我が国は米国とともに、グアムにおける施設及びインフラ整備のための負担を行うことといたしました。

 経費の分担に当たりましては、我が国の財政出動をできるだけ少なくするということを考えまして、直接的な資金提供のほかに、海兵隊の家族住宅及び電力、上下水道の基地内のインフラ整備につきまして、民間活力を導入し、JBICを活用した出融資を利用することといたしました。

 この業務を行うために、駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法において、国際協力銀行の業務の特例として、駐留軍再編促進金融業務を追加いたしました。

 その後、先ほど御指摘いただきました平成二十四年四月の2プラス2の共同発表におきまして調整されました再編計画におきましては、グアムに移転する海兵隊員の人数及び構成の見直しを行いました。その結果、インフラ及び家族住宅の所要減少が見込まれ、事業規模の点におきまして出融資等による措置が適切でないことから、直接的な資金提供のみとなり、出融資等のその他の形態での財政支援は利用されないこととなりました。

 これにより、駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法における関連規定は不要となりましたが、同勘定が廃止されれば事実上業務を行うことができないことから、その後、適切な機会があれば所要の改正を行うことといたしております。

 今回の国際協力銀行法の改正におきましては、国際協力銀行に一般業務勘定及び特別業務勘定を設置すること等に伴い必要となる技術的な改正を行うこととしたものでございます。

 一方、駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法における国際協力銀行の駐留軍再編促進金融業務に係る規定につきましては、駐留軍の再編の円滑な実施に資するものとして、その他の措置とあわせて包括的に議論する必要がございますので、本年度末、平成二十九年三月三十一日に期限切れとなる同特別措置法に関する検討の中で議論することが適切であるというふうに考えております。

落合委員 質問以外のこともお答えいただいておりますが、適切な法改正の機会の一つが今回だったと思います。なぜなら、駐留米軍の業務についての条文も今回書きかえているからです。それなのに、法律上はこの条文を残す、この業務を残すというのはどうしてなのかなと。

 ほかの委員会では、業務が実質的に終わった場合は、法律で文言を削除する法案も今までも出てきています。それなのに今回やらない、これはどういう意味なのか、そこについてお伺いしたかったんですが、時間が来ましたので、本日は、ここで終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

宮下委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 まず初めに、熊本、大分の大震災で亡くなられた御遺族の皆様に心からお悔やみ申し上げます。そして、被災された皆さんにお見舞いを申し上げるものでございます。

 質問に入ります。

 国際協力銀行法の改正案ですが、本法案は、さらなるリスクを伴う海外インフラ事業向けの貸し付けを行えるようにするものになっております。現在課されている償還確実性の要件を外したら、特別業務勘定が赤字になることもあるんじゃないでしょうか。

麻生国務大臣 特別業務におきまして、JBICによります積極的なリスク提供を促すという観点から、案件ごとに償還確実性原則ということは免除するということにいたしております。

 しかしながら、JBICの財務の健全性というものを確保するという観点からは、特別業務全体として収支相償原則を求めるということにいたしておりますし、案件ごとに信用リスクに応じた適切な金利などの条件を設定するということも投融資の要件とさせていただいております。

 したがいまして、このような特別業務全体として大幅な赤字というものが発生することがないよう、制度的な対応を行っているところであります。

 実際の業務運営におきましても、JBICの財務の健全性というものが損なわれることがないよう、政府としてもしっかり監督をしてまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 麻生大臣の答弁でも、大幅な赤字になることがないようというふうにおっしゃるわけで、逆に言えば、大幅じゃない赤字にはなり得る、そういうリスクを伴うものだというふうに思います。

 私は、やはり原資は国民の財産ですから、こういう国民の財産をリスクにさらしていくことは認められないというふうに考えています。

 そして、この特別業務勘定が何に使われるのかということですが、政府のインフラシステム輸出戦略では、二〇二〇年度の海外受注額の将来推計は、エネルギー分野で九兆円、原子力分野では二兆円、こう推計されておりますが、原発輸出に当たってこの特別業務勘定は使われるんじゃないですか。

坂井副大臣 今般の機能強化は、質の高いインフラパートナーシップ等を踏まえ、海外におけるインフラ事業に対してJBICがより積極的にリスクマネーを供給できるようにすることを目的としたものということでございまして、案件に関しましては海外のインフラ事業ということでございまして、特定の案件を念頭に置いたものではないということは申し上げたいと思います。

宮本(徹)委員 つまり、特定の案件は念頭にはないとは言いますけれども、排除はされていないということであります。ですから、原発は一旦事故が起きれば巨大なリスクを伴うものでありますが、結局、これについてもこの特別業務勘定でやっていくことが可能な仕掛けになっているわけですよ。

 私は、福島の事故原因が究明もされていないもとで、本当にこういう枠組みまで使って原発輸出を進めていくことは到底認められないということを重ねて申し述べておきたいと思います。

 そして、政府のインフラシステム輸出戦略は、「公的金融による支援強化」を掲げ、その中で、「公的信用付与の条件の一つとなる原子力関連の十分な安全確認制度を早急に整備」、こう記されております。しかし、日本の原子力規制委員会は、輸出する原発については安全の確認にはタッチしないということになっていると思います。

 総理は、この間の国会の答弁ではこう言っています。安全基準自体が我が国の安全基準と同様のものであるかをチェックして、そうでないとなれば輸出しない、こう言っているわけですが、この規制基準自体は、事故原因が究明されていないもとで安全とは言えないということを先般も大津地裁から厳しく批判されたわけです。

 もし仮に、ある国が我が国と同様の安全基準をつくったとして、この安全基準が守られているかどうかというのは誰がどうやって確認するんでしょうか。経産省、お願いします。

星野大臣政務官 宮本委員にお答えいたします。

 電力需要が急増する新興国を初め、地球温暖化対策から原発建設を進める先進国に至るまで、事故後においても我が国の原子力技術に対する期待の声は寄せられております。

 相手国の意向や地理的条件を踏まえながら、安全性や信頼性にすぐれた我が国の技術やノウハウを提供していくことは我が国の責務でありまして、世界からの期待でもあります。

 こうした国際協力につきましては、我が国としては、福島の教訓を世界と共有し、安全最優先で取り組んでまいります。

 他方で、原発の安全確保は原発立地国が行うことが国際的に確立をした考え方でありまして、相手国の体制が整備されることが極めて重要であります。

 このため、経済産業省としては、相手国に対して日本の経験を十分に説明した上で、安全最優先で臨むという相手国の姿勢を確認し、また、相手国などに対しては必要に応じて人材育成や制度整備面での支援等を行うこととしております。

 その上で、公的信用を付与する際には、内閣府が関係省庁の協力のもとに、昨年十月に原子力関係閣僚会議において定められた安全配慮等確認を実施いたします。具体的には、IAEAレビュー等を通じて、安全最優先の姿勢が相手国において現に措置されていることなどを確認いたします。

 これにより、福島の教訓を踏まえた安全最優先の考え方が担保されていると考えております。

 以上です。

宮本(徹)委員 いや、結局、内閣府でやるという話ですけれども、内閣府は、このインフラシステム輸出戦略でも原発をどんどん輸出しようという、ある意味推進機関なわけですよ。

 福島の事故の教訓の一つというのは、規制機関と推進機関を分けるということでもあったと思うんですよ。規制機関はこの問題ではかかわらない、推進機関の側が相手国に安全を守っているかどうかというのを教えていくという話になっているわけですよ。全く福島の事故の教訓を踏まえているものとは言えないじゃないですか。

 私は、こういう形で進めていくのは大変問題だと思います。福島の事故の教訓を生かすと言うんだったら、原発輸出などせず、原発の危険性こそ訴えていくのが日本政府の役割だということを厳しく指摘しておきたいと思います。

 経産省、きょうはここで結構ですので、ありがとうございました。

 次に、武器輸出について伺います。

 この間、JBICを活用して武器輸出を検討するということが何度もメディアで報道されております。

 安倍政権が積極的な武器輸出政策に転換したもとで、防衛省の防衛生産・技術基盤戦略は武器輸出についてこう言っています。財政投融資などを活用した支援策を検討し、必要な措置を講じる、こう言っているわけです。そして、一昨年ですか、防衛装備・技術移転に係る諸課題に関する検討会というのが始まり、この検討過程の中では、「JBICが行う融資スキーム」というポンチ絵の資料まで出されて検討がされてきました。

 JBICにお伺いしますけれども、この間、防衛省から武器輸出の問題でどんな働きかけがあったんでしょうか。そして、防衛省の検討会の資料の中でJBICが名指しされていることについて、JBICとしての見解をお伺いしたいと思います。

渡辺参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の防衛装備・技術移転に係る諸課題に関する検討会を開催するということで、そこに出席してほしいということを防衛省の方から御依頼がありました。それを受けまして、一般的な金融スキーム全体について御紹介をするということを趣旨として参加をさせていただいたところであります。

 それから、防衛省の書類の中、あるいは今御指摘の書類の中にJBICが名指しされていることについて、私の方から特に見解を申し述べる立場にはないと思っております。

宮本(徹)委員 見解を申し述べる立場にないというふうにおっしゃいますので、法律に沿って麻生大臣にお伺いしたいと思いますが、JBIC法の第一条では、先ほど坂井副大臣からも紹介がありましたけれども、JBICの目的が書かれております。「我が国及び国際経済社会の健全な発展に寄与する」という目的で、四つの分野での金融業務が書かれているわけですね。一つは資源の開発、確保だ、二つ目に我が国の産業の国際競争力の維持向上、三つ目は地球環境の保全、四つ目に国際金融秩序の混乱の防止ということになっています。

 私は、この四つの目的に武器輸出というのはどれも該当しないというふうに思いますが、これは該当し得るものがあるというふうに大臣はお考えでしょうか。

麻生国務大臣 防衛装備の移転については、これまでJBICが支援をしたという実績はありません。

 その上で、株式会社国際協力銀行法上、JBICは、日本にとって重要な資源の海外における開発及び取得の促進、また、日本の産業の国際競争力の維持及び向上、そして、地球温暖化の防止などの地球環境の保全を目的とする海外における事業の促進、また、国際金融秩序の混乱の防止またはその被害への対処をもって、日本及び国際経済社会の健全な発展に寄与することを目的としているとされております。

 したがいまして、JBICによる支援の可否というものにつきましては、この上記の目的に沿った支援であるかどうかということを個々の案件ごとに、これはケース・バイ・ケースで判断するということになるんだと思いますので、お尋ねの点につきましては、これは一概に申し上げることは今できないと思っております。

宮本(徹)委員 おかしな答弁ですね。ケース・バイ・ケースといったって、武器輸出が国際金融秩序の混乱の防止に当たりますか。当たらないですよ。地球環境の保全に当たりますか、資源の開発、確保に当たりますか。当たらないんじゃないですか。

 大臣、もう一度お答えください。

麻生国務大臣 重ねて申し上げるようですけれども、一概に申し上げることはできないと申し上げております。

宮本(徹)委員 私は、どう考えても当たらないというふうに思いますが、一概に当たらないということになれば、唯一読み得るというふうに考えるとしたら、国際競争力の維持向上、武器輸出で国際競争力を高めていくんだということを選択しない限り、これは当たらないというふうに思います。

 私は、武器輸出で国際競争力を高めていこうという考え方というのは、死の商人大国を目指そうということで、こういう道を選んでは絶対ならないと思いますよ。

 かつて鈴木善幸元首相が、「NHKスペシャル」の紹介では、イランやアメリカから武器輸出の要請があったときに断った。そのときの側近の証言がテレビで流れておりましたけれども、鈴木善幸元首相、こう言っていたそうですよ。「戦争が起きて武器が売れるといいなと思うような産業界の人をつくりたくない」と。私は、これは非常に自然なまともな考え方だと思います。

 軍事産業の国際競争力の維持向上、こういうのを目指すというのは、国の進む方向として私は間違っているというふうに思いますが、大臣はそう思いませんか。

麻生国務大臣 宮本先生の御見解としてはわかりました。今、私の立場は、先ほど申し上げているとおりです。

宮本(徹)委員 武器輸出三原則がかつてあったときは、日本は国連の中でも武器の管理だとか武器の規制ではリーダーの役割を発揮してきたというふうに思います。私は、憲法九条の精神を生かして、国際的な武器の規制、このことこそ日本政府がやるべき仕事だと思います。

 具体的な案件として経団連が支援を求めているのが、日本が今受注競争をしているオーストラリアへの潜水艦輸出についての支援です。昨年の九月の経団連の防衛産業政策の実行に向けた提言、この中では、オーストラリアへの潜水艦の輸出について、官民の役割やリスク分担を定めた仕組みの構築、政府による資金支援など広範な支援体制などを目指すべきである、こういうふうに書かれております。

 防衛省にお伺いしますが、このオーストラリアの潜水艦の案件で、JBICの活用というのはあり得るんでしょうか。

若宮副大臣 お答えさせていただきます。

 防衛省といたしましては、防衛装備や技術協力につきまして、JBIC等を含みます公的金融の活用につきましては、現時点で具体的な検討というのは行っておりません。また、もちろん、何ら方針を決定しているものでもございません。

 私ども防衛省といたしましては、これまでの平和国家としての歩みを引き続き堅持をした上で、防衛装備移転の三原則に基づきまして、防衛装備の技術移転、厳正にかつ慎重に対処していくことを当然だというふうに考えているところでございます。

宮本(徹)委員 方針がないと言いながら、実際はJBICの活用の検討を大枠としてはしてきているわけですよ。

 JBICにもお伺いしますけれども、この間、防衛省にも呼ばれたというお話でしたけれども、武器輸出のスキームについての検討というのは内部でやられているんでしょうか。

渡辺参考人 お答え申し上げます。

 JBIC当行といたしまして、武器輸出のスキームについて検討しているという事実はございません。

宮本(徹)委員 検討している事実はないということですから、私からは、ぜひ憲法九条の精神にのっとって、今後もその立場は貫いていただきたいということを強くお願いしておきたいと思います。

 そこで、この武器輸出三原則を安倍政権のもとで大きく変えて、防衛装備移転三原則で武器輸出ができるようになったわけですが、この政策変更はどこから出てきたのか。一つは、経団連が長年求めてきたわけであります。もう一つは、自衛隊の制服組が求めてきたのではないのかということであります。

 先週メディアで、統合幕僚学校の研究報告の中で、政府の政策変更を求めるさまざまな提言が出ていたことが報じられました。私もその資料を昨日お昼にいただきました。六百ページぐらいある報告書です。タイトルは、「平成二十三年度指定研究 「諸外国の最新の軍事戦略の動向に関する調査・研究」研究成果 平成二十四年三月三十日 統合幕僚学校」というふうになっております。

 この中身は、基礎研究と発展研究に分かれております。発展研究の方は、それぞれの章ごとに執筆者によって提言がつけられております。「ア 国家レベルの処置が望まれる事項」、「イ 防衛省・自衛隊への提言」とあります。

 この中身を見て私も大変驚いたんですが、「国家レベルの処置が望まれる事項」に書かれているものを幾つか紹介します。

 我が国においては、武器輸出三原則及び集団的自衛権の行使に関する憲法解釈を背景として、他国との間における装備品の共同開発、共同保有、共同運用、基地の共同運用等の防衛協力は大きな制約を受けている、国家として、これら他国との防衛協力の推進を前提とし、武器輸出三原則等及び集団的自衛権の行使についての検討が望まれる。これは安倍政権以前の話ですからね。

 ほかの方も、この集団的自衛権の問題、多くの方が提言をされています。日米共同協力の実効性を確保するために集団的自衛権の行使の容認が求められる、あるいは、我が国においても装備の国際共同開発に積極的に参画していくことが求められるということなんです。

 ほかにも、こういう提言もあります。我が国において、国家緊急事態法を整備し、有事において防衛省が他省庁などを活用して任務に遂行できる体制を整えることが望まれる。

 さらに、こういう提言もありました。米軍の東日本大震災における支援により、日本国民の日米同盟に対する信頼は最高潮となっているものと思われる。これを契機として安全保障の重要性を国民に周知徹底する必要がある。国民全体の安全保障観を確立するためには、まず公教育における周知に取り組むことが考えられる。一九七〇年から八〇年代のような盲目的戦争反対、成田闘争の正当化等、国策妨害を教育するのではなく、特定の思想、政党、意見に左右されない国際的視野に立った、北東アジア地域の情勢、日本の防衛について考える機会を提供することが望まれる。教育内容にまで口を挟む提言を出しております。

 もっといろいろたくさんあって紹介し切れないわけですが、これが出ているのは安倍政権が生まれる前ですよ、制服組の皆さんが、憲法解釈の変更や政府の基本政策の変更、さらには教育内容の変更まで国に対して求める提言を出していた。そしてその後、安倍政権のもとで一部実現されるということになったんですが、私は、シビリアンコントロールからいって大問題だというふうに思います。

 防衛省にお伺いしますけれども、この統合幕僚学校の研究というのは、誰の指示で、何の目的で行った研究なんですか。

若宮副大臣 今委員が御指摘になりました資料につきましては、また、この統合幕僚学校というものの存在につきまして、概括的にちょっと御説明申し上げたいと思っております。

 まず、自衛隊の統合運用に関します知識、それからまた技能を習得させるための教育訓練を行うとともに、基本的な調査研究を行うことを目的といたしております。これが統合幕僚監部の中に設置されている統合幕僚学校でございます。

 この学校におきましては、平素より、その所掌事務の一環といたしまして、さまざまな研究を行っております。いろいろ今幾つか御案内になりましたけれども、それ以外にもさまざまな分野、国際政治含め、あるいは国内の情勢含め、さまざまな事態に対応することも想定して不断の研究を重ねていかなければいけないだろうということで、勉強しているところでございます。

 御指摘の文書につきましては、平成二十四年の三月に取りまとめられたものであるということは承知をいたしておりますが、この文書の肝心なのは冒頭の部分でございまして、委員も多分お読みになられているとは思いますが、当該調査研究の成果文書については、同文書にも記載されておりますが、オープンソース、これは誰でも一般において入手可能な公刊や公開資料をもとにいたしまして、統合学校の各研究員がそれぞれ個人の独自かつ自由な立場で分析、論述、あるいは論文として出したものもあろうかと思いますけれども、そうしたものでありまして、さらに、これは私ども政府とかあるいは防衛省の全体としての見解を示すものではないといった性格の文書になります。

 統合学校の各研究員が、これは今申しましたけれども、独自かつ全く自由な立場から、さまざまな観点の角度から、こういったケースはどうなるんだろうとか、こういった場合はどうなるんだろうかということを行ったものであるということでございまして、御理解いただければと思っております。

宮本(徹)委員 問題は、これは大学の研究者が研究している話じゃないわけですよ。国民の税金を使って、任務としてやられているわけですよ。本件は「平成二十三年度統合運用に係る研究の指針について(通達)統幕計第六四号」に基づき行ったものだというふうに書いてあります。将来の防衛諸計画策定の資とすることを目的として統合幕僚長に報告するものであるというふうになっているわけですよ。

 個人の立場だというふうに言いますけれども、仕事として制服組の皆さんが日本政府の見解と違うことを提言している、ここに大変私は問題があるというふうに思います。

 大体、この「国家レベルの処置が望まれる事項」というのが、各章にその項がついているわけですよ。ということは、国家レベルの提言をまとめよという指示があったということなんじゃないんですか。

若宮副大臣 今委員からそのような御指摘がございましたが、先ほども申し上げましたように、この文書の冒頭の部分で、一般において入手可能な公刊、公開資料をもとにして、それぞれが独自かつ自由な立場で分析、論述ということを申し上げたかと思うんですが、これは当然のことながら、このことで何らかの政策決定や意思決定を伴うものでもございません。

 それからまた、もちろん、その上で申し上げますと、組織の体制や改善のために、これはさまざまな可能性や視野を広げて、いろいろな状況というのをやはり考慮しておかなければ、万々が一の事態というのもさまざま想定され得ることはもう御承知のところだと思いますので、部内におきまして不断に検討を行っていくことは、これは必要不可欠なことではなかろうかというふうに考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、部内におけます研究成果を防衛省の施策として実行するということに当たっては、もちろん省内におきますしかるべき意思決定が必要でございますので、このことについては言をまたないところであろう、このように思っております。

宮本(徹)委員 いやいや、自衛隊の何らかの運用、内部の改善の話じゃないわけですよ。政府の憲法解釈の変更まで提言をしているんですよ。しかも、「国家レベルの処置が望まれる事項」というので、いろいろな研究者がその柱立てでやっているわけですよ。

 これは、国家レベルの処置が望まれる事項は何なのかというのを研究しろということを指示を出したんじゃないんですか。

若宮副大臣 そういった指示を出しているというわけではなく、これはあくまでも当の学校の各研究員がさまざまな立場から独自の、全く自由な角度でいろいろなことを分析あるいは論述をしたということでございますので、防衛省の政策に何かしら関与しているとか、そういったものではないということを御理解いただければと思います。

宮本(徹)委員 いや、自衛隊の内部の運用の話じゃなくて、「国家レベルの処置が望まれる事項」という見出しがそれぞれについているわけですよ。これは、それをまとめなさいということを指示しない限り、研究者それぞれの人が同じタイトルをつけるはずがないじゃないですか。

 そう思わないですか。

若宮副大臣 繰り返しで本当に恐縮なのでございますが、これは、その文書の冒頭にも記載されております、私も先ほど申し上げさせていただきましたが、オープンソースで、とにかく一般的に誰でもが入手可能な公刊や公開のされております資料をもとにして、統合学校の各研究員がそれぞれ独自かつ全く自由な立場から分析あるいは論述をしたものでありまして、あくまでもこれは、政府あるいは防衛省の見解を示すものではないということで御理解をいただければと思います。

宮本(徹)委員 これを見る限り、少なくとも、国家レベルの処置が望まれる事項についてもまとめよという指示がない限りできないような研究成果のまとめ方になっているわけですよ。

 ですから、防衛省の運用の話じゃなくて、内部の自衛隊の運用の話じゃなくて、それを上回って、時の政権が否定していることも含めて、これを変えろという提言を制服組がやっていた、税金で。本当に、シビリアンコントロールにとってこれほどの重大な問題はないと思いますよ。

 ちなみに、この指示には当時の大臣、副大臣、政務官というのはかかわっていたんですか。

若宮副大臣 そのときの、いわゆる今おっしゃられた政務三役が直接かかわっているということではございません。

宮本(徹)委員 つまり、政治家の皆さんが知らないレベルで制服組がまさにやっていたということになるじゃないですか。

 そして、この研究成果は統合幕僚長宛てに報告されました。これは腹の中にしまい込んだわけではないと思うんですね。この提言の内容で、本省だとか、当時の大臣や政務官、あるいは防衛族と言われる議員の皆さんなどに働きかけたということはあるんじゃないですか。

若宮副大臣 そういった事実はございませんで、これは情報公開で、今委員が御指摘になられました文書というのは公開をされておりますので、ある意味どなたでも、これを見たいという御希望があれば見ることができるわけでございます。

 ですから、冒頭より申し上げておりますように、さまざまな観点からさまざまな角度で各研究員が、こういったケースの場合はこうなるんじゃなかろうかという、それぞれの個人の意見というのはいろいろさまざまあると思います。

 宮本委員におかれましてもいろいろな御意見があろうかと思いますので、それはもうそれで、一人一人の意見ということでございますので、それが何かしら、政務の人間に報告があったりとか、これをこうした方がいいんじゃないかとか、そういったような発言、助言というものがあったというふうには承知をいたしておりません。

宮本(徹)委員 今の発言だと、ではこれは、幕僚長が報告を受けて幕僚長の腹の中に全部しまい込んだ、それだけのものだという話になるわけですが、そんな話は私はないと思いますよ。

 実際、この提言の中を見たら、本当にこんなものを税金で研究しているのかということを書いていますよ。アジアのある国についてその国の支配体制をどう揺るがすのか、内政干渉そのもののような提言もされています。他国の支配体制をどう揺るがすか税金で研究するというのが自衛隊・防衛省の仕事だということなんでしょうか。こういう暴走は私は絶対に許されないというふうに思います。

 先ほどの若宮副大臣の話では、いろいろな調査をやっている、それでいろいろな研究をやっているという話でしたので、この際、私たちはどういうタイトルで研究しているのかというのはわからないですから、資料の請求のしようがないですから、この間、統合幕僚学校でどんな研究をやって、どんな成果をまとめてきたのか、そのリストを私はいただきたいと思います。よろしいですか。

若宮副大臣 その全ての資料というのは、一体どういったものまで含まれるかというのは、ちょっと私、今現在、委員の御発言の趣旨というのは把握し切れませんものですから、具体的にまた御明示いただければと思っております。

宮本(徹)委員 これで時間になりましたから質問を終わりますけれども、明示しようと思っても、研究のタイトルが私たちはわからないんですよ。ですから、タイトルについてまずお示しいただきたい。そのことを強く求めまして、質問を終わります。

宮下委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 おおさか維新の会の丸山穂高でございます。

 私からもJBIC法改正について御質問させていただきたいと思いますが、まずは、今もなお余震が続いているということでございますけれども、さきの熊本の地震で多くの方がお亡くなりになられて、そして、今なお不安な日々を過ごされている多くの方がいらっしゃる中で財務省として何ができるのか。少し前の委員の御質問でもありましたけれども、そのあたりお伺いしておきたいんです。

 予備費の活用どうこうという話もありましたけれども、この地震対応、財務省としてもできることを全力でやっていかれるというお答えをいただけるともちろん思っているんですが、財務大臣、いま一度、この点、お答えいただけますでしょうか。

麻生国務大臣 まずは、このたびの熊本地震によりまして亡くなられた方々及び遺族の皆様方に哀悼の意を表するとともに、被害に遭われた方々の御遺族等々、心からお見舞いを申し上げる次第です。

 今御質問ですけれども、当然のこととして、総力を結集して現場主義で被災者の支援に取り組むことにいたしておりまして、その中で、予算関係でいけば、平成二十八年度予算において三千五百億円の予備費というものを既に計上いたしております。

 総理からの御指示も踏まえて、まずは必要に応じてこれを活用するということにいたしておりますが、食料品とか水等々の当面の避難生活に必要となります物資については、予備費によりまして必要な財源をしっかりと手当てをしてまいりますので、関係省庁の間で調査を行って速やかに対応してまいります。

 引き続き、被災地におけますいわゆるニーズの的確な把握ということになるのですが、まだ余震が続いておったりしてよくまだ全体像が見えてきているわけではありませんので、引き続きこの調査を行った上での話になろうかと存じます。

丸山委員 まずは予備費三千五百億あるということでございますので、しっかり活用いただいて、迅速に活用いただけますようお願い申し上げます。

 そういった意味で、きのうのTPPの委員会、財務大臣にTPPの委員会ではよくお会いするんですけれども、財務委員会は久しぶりでございますが、そのきのうのTPPの委員会で総理の御答弁で、我が会派の下地幹郎委員から御質問させていただいたのが、消費税の増税についての質問でございます。旧来から総理はこう答えられておりまして、リーマン・ショック級もしくは大震災級の出来事がなければ予定どおり消費税を増税する、延期することはないという御答弁でございます。今回の熊本の地震、非常に甚大な被害が出ていると思います。一方で、東日本級かというと、どうかという御意見もあると思います。

 そうした中で、財務大臣として、今回の熊本の地震と今後の影響も踏まえて、経済的な影響もあると思います、踏まえた上で、この消費税増税の延期の理由となり得るかどうか。その辺、財務大臣、御所見を伺えますか。

麻生国務大臣 まずは、来年四月の消費税の八%から一〇%の引き上げにつきましては、これはたびたび申し上げておりますように、国民生活において社会保障制度というものが今後とも信頼できる制度として次世代に引き渡していく責任を全うすることと同時に、マーケットとか国際社会間において国の信認を確保するということにおいては、私どもとしてはこれは極めて必要なものだと思っておりますので、これまで総理の答弁がされておりますように、いわゆる、リーマン・ショックとか大震災のような重大な事態が発生しない限り、確実に実施するということを申し上げてきております。

 なお、この熊本地震に関しては、これは政府として非常災害対策本部というものを設置して、現在も一丸となって応急対応に今は追われているところでありますけれども、まずは被害の全容を把握することが大切でありまして、今の段階でどの程度のものなのか、まだ余震が続いておったり、第一次より二回目の震源が近くのところで起きておって、浅いところで起きておりますので、場所が限られておるとはいえ大きい被害であって、七だ六だという震度になっております。

 そういった意味では、引き続きそれによって土砂災害が今まで緩んでおるところはさらに崩れるということが考えられますので、雨も降っておることもあり、今この段階でどれくらいの被害になるかということをちょっとお答えすることが難しいし全容把握もできておりませんので、したがって、今の御質問に、この場でこれぐらいの震災というふうに判断をできる状況にはないということだと思っております。

丸山委員 現時点では被害の全容が見えないからこそ、現時点ではわからないということでございました。

 つまり、裏返せば、今回の震災が総理や麻生大臣がおっしゃるような重大な事態に当たる可能性も、今後、全容が見えてきたら可能性もあり得るということでよろしいんですね。

麻生国務大臣 これはたびたび申し上げておりますように、この前の穂高先生の御質問だったかに、例えば来年の三月にいきなり、適当な国の名前を言わないとぐあいが悪いので、国の名前が言えなくて、しかるべき国がどこか破産したとか、えらい騒ぎになりましたとか、大震災が起きましたとかいろいろな言い方をしたと記憶しますけれども、そういった形で起きた場合はということが起きますので、それは何が起きるかちょっとまだ今の段階では申し上げるわけにはいきませんので、重大な事態ということだと思っておりまして、これがなり得るかどうかというのに関しましては、今判断できる状況にはありません。

丸山委員 くどいようですが、可能性になり得るかどうかという話を聞いているんですが、今の御答弁をそのまま裏返しますと、今回も、重大な事態がまだ見えないけれども、見えた段階ではもしかしたら重大な事態に入る可能性がある。可能性があるということでよろしいんですね。

麻生国務大臣 政府としては、非常災害対策本部というものを設置して今は応急対策をやっておる最中でもありますので、今、災害応急対策の最中の段階ですから、今の段階でどうということを、限定的なことを言えるという状況にはありませんので、まずは、現在ではお答えする段階ではないとしかお答えのしようがないと存じます。

丸山委員 余りこれを繰り返したいわけじゃないんですけれども、現時点ではないという御答弁は、裏返せば、今後全容が見えた場合には可能性があり得る、この重大な事態に入るんだ、可能性もあるんだということで、イエスかノーかでわかりやすいと思うんですけれども。

麻生国務大臣 イエスかノーかで答えるぐらい簡単なものじゃないから長々と答弁をさせていただいておるわけですから、今は引き続きまた震度が、七になってみたり八になってみたり、さらに大きくなってみたりする。とにかく阿蘇山が近くにあるんですから、そういった意味では、どういうことになってくるかよくわかりませんからというのが今のお答えであります。

丸山委員 余りこれを詰めてもあれだと思いますので。

 いずれにしても、しっかり全容把握をいただいて、経済的な影響も甚大になる可能性がありますので、見定めていただいて、もしこの重大な事態に当たるという判断をされる場合には、速やかに私は判断いただきたいというふうに思います。

 今回、JBIC法の質疑ということで、我が党としてはこのJBIC法、もっと早くどうして改正してこなかったんだ、速やかにやってほしかったという部分で賛成でございますが、一方で幾つか細かい部分でお聞きしておきたいところがありますので、その点だけ最後にお聞きしておきたいんですけれども、リスクの管理の部分でございます。

 今回、JBICが特別業務を行うということで、リスクを果敢にとっていくということは我々も必要だというふうに考えています。特に、中国を含めて、今、海外インフラプロジェクト全般においてかなり競争が激化していまして、特に中国なんかはすごく安い価格で来るものですから、相手国からしたら、日本のはいいかもしれないけれども、その品質よりは価格をとるんだよねということで、かなり苦境に立つプロジェクトが多いというふうに聞いています。そうした中で、今回、リスクをとっていくんだと、JBICも、そして政府も決断したということでございます。

 しかし、このリスク管理、リスクコントロールを誤れば非常に重大な事態も招くというふうに思いますけれども、今回、特別業務の指針を財務省としても公表して、そしてJBIC自身にも基本方針を出させて、そしてそれを大臣の認可制とする。ある程度リスクコントロールもされていくということでございますが、しかし、この辺、どのようにリスクコントロール、これだけで、ほかのこともやられるのかどうかも含めて、リスクコントロールの部分、財務省、御回答いただけますか。

門間政府参考人 お答えします。

 まず、財務大臣が定めます特別業務指針におきましては、特別業務において資金の貸し付け等を行うに当たって従うべき基準、あるいは、特別業務に関する財務の適正な管理に関する事項について記載する予定でございます。

 具体的には、まず、資金の貸し付け等を行うに当たって従うべき基準としましては、与信先の信用力や担保の価値などを踏まえまして適正な金利等の条件を設定すること、また、財務の適正な管理に関する事項としましては、与信対象のインフラ案件におけるリスクが仮に顕在化した場合を想定したストレステストを実施することや、外部有識者の活用を図ることなどについて記載することを考えております。

 また、そのほかにも、この特別業務の実施に当たりましては、新たに勘定を設けまして、従来からのJBICの勘定と区分をすることによって透明性を確保する、また、財務の健全性を確保する観点から、特別業務全体としての収支相償原則を求めることとしています。

 また、このように特別業務において大幅な赤字が発生することのないよう、さまざまな制度的な対応とあわせまして、実際の業務運営においてもJBICの財務の健全性が損なわれることがないよう、政府としてもしっかりと監督してまいりたいと思っております。

丸山委員 ぜひしっかりやっていただきたいんですけれども、もう一つ政府として、二〇二〇年に三十兆円まで、インフラの目標、達成する目標を立てていらっしゃるというふうに思うんです。

 この現状と、そして、今回、この法改正もこの目標達成に必要だからおやりになるんだという理解であるんですけれども、この改正によってどれぐらいこの目標に一歩近づくのか。この辺、数字で客観的にお伺いしたいんですけれども。

門間政府参考人 委員御指摘のとおり、政府は平成二十五年五月のインフラシステム輸出戦略におきまして、二〇二〇年に三十兆円のインフラシステムを受注することを目指すとしております。この目標は、公的金融による支援案件に限らず、民間が単独で受注した案件も含む金額でございます。

 このうち、JBICのインフラ向け出融資の実績は、毎年の案件形成の状況にばらつきがございますが、平成二十五年度から二十七年度、過去三年間、おおむね五千億円程度でございます。

 今般の法改正によりまして新たに設ける特別業務におきましては、平成二十八年度につきまして二千億円程度の出融資を行うことを想定しております。

 いずれにしましても、世界の膨大なインフラ需要に対応する観点から、このJBICが、一般業務、特別勘定双方を積極的に活用しましてリスクマネーの供給を行っていくことを期待しております。

丸山委員 事前に財務省さんに伺っていたら今の数字をお聞きしていたんですけれども、民間も含めて三十兆という目標を立てていて、JBICなり公的なものに関しての目標値はその中で定めていないんですよ。

 ここまで法改正もするんだったら、きっちり定めて、目標の経過の間も置いて、今達成できているのか、できていないのかも含めてしっかりチェックしていくべきだというふうに私は思いますので、これをしっかりやっていただきたいんですけれども、そこまではなかなかできないんですかね、財務省さん。

門間政府参考人 海外の膨大なインフラ輸出に対応していく場合に、民間単独もございますし、JBICのように民間銀行と一緒になって協調融資して進めていく場合、あるいは、本日議論もございましたJOINとか、さまざまな政府関係の団体において出資をしてリスクをとっていく、世界の膨大な需要がありまして、そのニーズに合わせまして政府のさまざまな機関一体となって協力してやっていくということが現実的な姿であろうと思っていまして、各機関ごとになかなか目標を設定するというのは難しいかなと。むしろ、全体でいかに協調して日本企業等の案件形成に資するよう努力するかということが重要ではないかと考えております。

丸山委員 財務大臣、お手を挙げられているので最後答えていただきたいんですけれども、私、これの法改正をやっていただきたいし、スムーズにやるべきだと思っているんですけれども、重ねて、目標をきっちり持っていくというのは大事で、政府と公的な部分も目標を持つというのは大事だと思っているんです。

 一方で、この先ももっと大事で、今回の法改正だけでは限界があると思っているんですね、中国が今申し上げたような状況なので。この先も見据えて財務大臣、目標も踏まえて、この先も踏まえてどのようにお答えになるか。最後、お答えいただいて終わりたいと思います。

麻生国務大臣 先生、これが一番難しいのは、我々としてやっていくときに当たって、今、銀行関係におられたのでよくおわかりのとおり、民間はかなり大きな資金が日本の場合は、余っているとは言いませんけれども、銀行の中でたまっておる。貸出先がない。簡単に言えば、融資する先がない。海外、当然目がつくところですけれども、海外は経験がない。しかも、それに対する、よく調査、審査する経験も余りないし、融資審査能力というのはあるかと言われれば、なかなか。

 そのときに、JBICがやります、うちがやりますと言ったら、では俺たちもやると言うと、こっちが十で残りが八で、全部で一つ、九のものができ上がるというようなことがJBICの果たす大きな役割かなと。私自身はそう思っておりますので。

 いずれにしても、民間のノウハウを生かしつつ、日本としては、どこかの国と違って、質の高いインフラストラクチャーというものをということで、これは今回のG20のあれでも、コミュニケに中に質の高いインフラという言葉が書き込まれて、ある国から嫌みったらしく、おまえらから何回も言われたおかげでこの言葉が入れられてしまったとか何か言っていましたから、よほどあの言葉が響いたんでしょうけれども、量だけではだめ、質が高くなければ意味がないということを言い続けましたので。

 そういった結果として私どもとしてはこれをやりますので、さらにこういったようなものができ上がると、我々としては、やはりきちんとした話は、日本は最初のイニシャルは高いかもしらぬが、結果として、長い目で見ると、日本と組んだ方がより自国にとって長期的に見て安心な社会資本が充実できるという評判を得るということは国益には資するんだと思って、辛抱強くやっていかないかぬところだと思っております。

丸山委員 質問を終わります。ありがとうございました。

宮下委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

宮下委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党を代表して、株式会社国際協力銀行法改正案に対し、反対討論を行います。

 反対する第一の理由は、リスクの高い融資を可能とする特別業務を創設することで、原発の輸出拡大のための公的な金融支援策がより一層拡充することです。

 安倍内閣は、インフラシステム輸出戦略で、原子力分野の輸出実績を約〇・三兆円から二〇二〇年度に二兆円に拡大する目標を設定しました。福島原発事故の収束も見えず、原因すら特定できない状況で、どうして原発が安全と言えるのでしょうか。原発輸出はもとより、原発輸出促進のための公的金融制度の拡充にも反対であります。

 第二の反対理由は、特別業務により拡充される輸出拡大や海外のインフラ投資への貸し付け等は、そのほとんどが大企業への支援であることです。

 二〇一四年度末の国際協力銀行の貸出金残高総額十四・四兆円のうち、中小企業者等へはたった一千七百三十億円です。多額の資金を必要とする海外インフラ投資を後押しする特別業務が大企業支援となることは明白です。また、経済成長目覚ましいアジアの国々へのインフラ需要への支援は、地域の経済的自立や住民の人権等権利保障を抜きに、できません。事業を進める日本の大企業の利益を優先し、現在、JBICが融資の検討をしているインドネシア・バタン石炭発電事業のような人権侵害が地元住民から訴えられているプロジェクトへの融資などは、あってはならないことです。

 第三の理由は、リスクを伴う海外インフラ事業向けの貸し付けを行う特別業務勘定では、これまで義務づけられてきた個別案件ごとの償還確実性要件を免除されるので、特別業務勘定が赤字となることも考えられる点です。巨額のインフラ投資は、失敗すれば損失も巨額となり、赤字となれば国民の財産が毀損します。JBICにさらなるリスクをとらせることは、国民の財産を危険にさらすので、反対であります。

 以上の理由から、本法案には反対の態度を表明して、討論を終わります。

宮下委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

宮下委員長 これより採決に入ります。

 株式会社国際協力銀行法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

宮下委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

宮下委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、うえの賢一郎君外二名から、自由民主党、民進党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。木内孝胤君。

木内(孝)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    株式会社国際協力銀行法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。

 一 国際協力銀行の財務の健全性を維持しつつ、我が国企業の海外展開を積極的に支援できる体制を整えるため、新たに創設される特別業務に係る勘定において十分な資本が確保されるよう、政府として必要な財政上の措置を講ずること。

 一 国際協力銀行は、市場を通じた安定的な外貨資金調達に一層努め、必要な場合には外国為替資金特別会計の外貨資金を効果的に活用することを含め、銀行等による外貨供給を補完しつつ、我が国企業の海外ビジネス展開を積極的に支援するよう引き続き、努めること。

 一 海外インフラ案件の高度化、環境・社会配慮問題に関する国際的な関心の高まり等を踏まえ、よりきめ細かい審査・調査を行いつつ、効果的かつ迅速な支援を実現するため、国際協力銀行における適切な人員の確保に努めること。

 一 質の高い海外インフラ事業に対するリスクマネーの供給を拡大するため、官民ファンド等リスクマネー供給を行う他の機関との適切な連携を図るとともに、専門的能力を有する人材の育成と海外ネットワークの強化を通じ、国際協力銀行における知見の蓄積と専門性の強化を進めること。

以上であります。

 何とぞ御賛同を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

宮下委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

宮下委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。財務大臣麻生太郎君。

麻生国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意してまいりたく存じます。

    ―――――――――――――

宮下委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

宮下委員長 次回は、明二十日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時十六分散会


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