衆議院

メインへスキップ



第21号 平成13年6月22日(金曜日)

会議録本文へ
平成十三年六月二十二日(金曜日)

    午前九時十分開議

 出席委員

   委員長 高市 早苗君

   理事 斉藤斗志二君 理事 鈴木 恒夫君

   理事 田野瀬良太郎君 理事 高橋 一郎君

   理事 平野 博文君 理事 藤村  修君

   理事 西  博義君 理事 都築  譲君

      岩崎 忠夫君    小渕 優子君

      岡下 信子君    河村 建夫君

      杉山 憲夫君    砂田 圭佑君

      谷垣 禎一君    谷本 龍哉君

      馳   浩君    林 省之介君

      増田 敏男君    松野 博一君

      水野 賢一君    森岡 正宏君

      大石 尚子君    大谷 信盛君

      鎌田さゆり君    葉山  峻君

      肥田美代子君    牧  義夫君

      松沢 成文君    山口  壯君

      山谷えり子君    山元  勉君

      池坊 保子君    斉藤 鉄夫君

      武山百合子君    石井 郁子君

      児玉 健次君    北川れん子君

      中西 績介君    山内 惠子君

      松浪健四郎君

    …………………………………

   文部科学大臣       遠山 敦子君

   法務副大臣        横内 正明君

   文部科学副大臣      岸田 文雄君

   厚生労働副大臣      桝屋 敬悟君

   文部科学大臣政務官    池坊 保子君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    五十嵐忠行君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房長) 結城 章夫君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策

   局長)          近藤 信司君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育

   局長)          矢野 重典君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長

   )            工藤 智規君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青

   少年局長)        遠藤純一郎君

   参考人

   (大阪教育大学長)    中谷  彪君

   文部科学委員会専門員   高橋 徳光君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月二十二日

 辞任         補欠選任

  谷田 武彦君     岩崎 忠夫君

  鎌田さゆり君     大谷 信盛君

  中西 績介君     北川れん子君

同日

 辞任         補欠選任

  岩崎 忠夫君     谷田 武彦君

  大谷 信盛君     鎌田さゆり君

  北川れん子君     中西 績介君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件(大阪教育大学教育学部附属池田小学校事件について)




このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

高市委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件、特に大阪教育大学教育学部附属池田小学校事件について調査を進めます。

 本日は、参考人として大阪教育大学長中谷彪君に御出席いただいております。

 中谷参考人におかれましては、大変お忙しいお体でいらっしゃいますのに、本日は国会までお出かけいただき、本当にありがとうございます。

 特に、幼い、大切な八名の命を奪います残忍な事件の後、学校といたしましても今一番お忙しい時期でいらっしゃると思います。

 このような悲しい、残酷な事件、二度と繰り返されてはならないと思います。

 私たち衆議院文部科学委員会委員一同、精いっぱい、今後、学校の安全管理、また児童生徒の安全確保、再発防止策、議論をしながら、対策を立てていきたいと思いますので、本日は、何とぞよろしくお願いをいたします。

 ありがとうございます。

    ―――――――――――――

高市委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局長五十嵐忠行君、文部科学省大臣官房長結城章夫君、生涯学習政策局長近藤信司君、初等中等教育局長矢野重典君、高等教育局長工藤智規君及びスポーツ・青少年局長遠藤純一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高市委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高市委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。林省之介君。

林(省)委員 皆様、おはようございます。

 あの大変痛ましい、忌まわしい事件は、今からちょうど二週間前に発生をいたしております。我々、委員会の最中にその事件の報を受けたわけでございますが、私たち委員会としても、お亡くなりになった方々の御冥福を祈り、黙祷もさせていただいたわけでございますけれども、きょうは、大阪教育大学の中谷学長がお見えでございます。私は、トップバッターとして、改めて、お亡くなりになった多くの児童、そしてその御遺族に対して、心より哀悼の意をあらわすものでございます。また、現在、大きな心の傷、体の傷を負って治療に当たっておられる方々、健やかな、速やかな回復を心よりお祈りいたすものでございます。

 この件につきましては、大変早く私は政府も対応していただいた。池坊大臣政務官がすぐに飛んでいただいた。岸田副大臣を本部長とする対策本部も設置をしていただいた。私の知る限り、政府の対応に対して今のところ大きな批判は出ていないと思っております。そして、教員を初めとする多くの関係各位の皆様方の大変な御努力、心より感謝を申し上げるものでございます。

 ただ、まだまだ十分ではない、親御さんの不満も私どもの方には届いておりまして、もう少し事件の様子を教えてくれてもいいんじゃないか、自分の子供がどういう状態で死に至ったのか知りたい。この親心もまた十分にわかるわけでございますけれども、大きな心の痛手を負っている、少なくとも現場の証人は子供たちでございますから、そういうことを十分にやはり保護者の方々にも御理解をいただかなきゃいけないんじゃないか。今まさに求められているのは、そういう関連する人々の心のケアの問題ではないかというふうに思っております。

 一昨日、大阪府、池田市、地元の、学校のあります池田市から、要望が出てきたというふうに聞いておりますが、どうもいろいろな声を聞きますと、国立の学校だということで、少し何か国の方と地元の自治体あたりでバリアがあるんじゃないかというふうなことも聞こえてくるわけでございます。

 きょうは、中谷参考人がお見えでございますので、まず、まさに当局者として、こういうことをぜひ国の方に要望したい、あるいはこういういわゆる人的な措置だとか、あるいは地元の自治体あるいは大阪府に対してもこんなことをお助けいただけたらいいんじゃないかというふうなことがございましたら、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。委員長、よろしくお願いいたします。

中谷参考人 失礼いたします。

 この場の一番最初に、八名の亡くなられました子供たちに対して御冥福を祈り、御遺族の皆さん方に弔意をあらわしたいと思いますとともに、今日もなお傷ついて入院されている子供たちの一日も早い回復を祈り、その家族の皆さん方に対しましてお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 去る六月八日に、日本教育史上恐らく未曾有の凶悪な殺傷事件が、本学の附属池田小学校で発生したわけでございます。八人のとうとい児童の生命が奪われますとともに、児童、教師十五名が重軽傷を負いました。その他多くの児童や保護者の方々が心に傷を受けましたことは、余りにも痛ましく、ただただ無念で、悔しい限りであります。犯人に対しては、憎みても余る気持ちでございます。

 本学といたしましては、事件発生後直ちに、大学対策本部を設置いたしますとともに、現地には現地対策本部を設置いたしまして、最善と思われる対応策をとってまいったつもりでございます。

 本学は、メンタルケアの支援チームによりまして、二十四時間体制のメンタルサポートホットラインを六月十日に設置するとともに、先生方とメンタルケアの専門家とが協力いたしまして、六月十一日から十六日の間、五日間の間に、全児童の家庭訪問を行いました。六百三十七家庭でございます。そして子供たち及び御家族の心のケアに努めてまいったわけでございます。今後とも、家庭へのケアは続けてまいらなければなりませんし、そういう努力を続けさせていただきたいと思います。

 また、本学の教員はもとより、国立の大学病院、厚生労働省を初めといたしまして、応援いただける機関、団体、本学卒業生等のいわゆるカウンセラーや教師の方々の御支援、御協力を得まして、メンタルサポートチームを発足させました。五十五名から成ったわけでございます。

 これらの精神科医や専門家のアドバイスを得ながら、御遺族や、身体的または精神的に被害に遭いました児童や保護者、それから教職員も非常に傷ついておりますので、それらの人々に対する心のケアに鋭意努めております。

 なお、安全確保の方策の検討を進めるとともに、附属学校・園の安全管理のあり方を見直しまして、当面の措置といたしまして、全附属学校・園の校門に警備員を配置いたしました。

 また、児童の保護者に対しましては、六月九日と六月十七日、二回にわたりまして保護者説明会を開きまして、本学の対応状況につきまして御説明をさせていただくとともに、児童や御家族の心のケアについてのパンフレットを配付し、説明をさせていただきました。もちろん、そのときに専門家のお話もしていただきました。

 さらに、学校の先生方の負担軽減のために、本学にはその他十一の附属学校・園が全体であるわけですけれども、他の附属学校・園が支援体制を組んで援護いたしております。

 本日でございますけれども、六月二十二日に、学校等における子供、児童等の安全対策緊急連絡会議、これは仮称でございますけれども、大阪府警察本部の呼びかけのもとに、大阪府教育委員会、大阪市教育委員会、大阪府の生活部、それから本学でございますけれども、大阪教育大学の関係五機関によりまして発足をいたしまして、今後、学校等におきまして子供や児童等の安全対策をより効果的に推進するために、いわゆる意思疎通を図っていこう、そして実効性のある安全性を確保していく、そういう対策を練っていく、こういう運びになっております。

 このたび被害に遭われました方々に対する治療、ケア、その他さまざまな御支援、御協力をいただいております皆様に対しまして、この席をおかりいたしまして厚くお礼申し上げますとともに、今後とも御支援賜りますよう何とぞよろしくお願いいたします。

高市委員長 林委員からの御質問、政府への御要望ということだったんですけれども、よろしいですか。

 林省之介君。

林(省)委員 どうも学長先生、いろいろと細やかな御対応いただいていること、よくわかりました。ありがとうございます。また後ほど、先生の方から御要望がございましたら、ほかの委員の質問の中でぜひお答えをいただきたいと思います。

 もう時間があと四分ぐらいしかございませんので、二点、では短く申し上げたいと思います。

 最近、この手の事件をまねたような、愉快犯的なものも含めて、大変多く発生をいたしております。宅間を名乗って子供を脅迫したとか、とんでもない事件が多く発生する。大変困ったことだと思っておりますが、こういうことを見聞きするにつけ、子供たちの、またぞろ、いやされていく、まさに傷が治っていくかさぶたがまたはがれては血が噴き出すようなことにもなりかねない。これはやはり長期にわたるメンタルケアが必要であろうというふうに思いますので、それについて文部科学省としてどのような御対応をお考えになっているのか、これが一点でございます。

 もう一つは、私も、こういう事件が起こりまして、少し改めて地域内の学校をずっと回ってまいりました。幼稚園、小学校、中学校。その結果、これは全部というわけじゃありませんけれども、おおむね言えることは、どうも子供たちの目線に応じた感じで、例えば門の扉がつけられている。幼稚園なんかの場合には非常に低いものになっている、小学校はそれよりも少し高い、中学校になるとうんと高くなっている。

 これは恐らく、子供のことですから、塀を乗り越えたり、僕らもそんな、子供のころにありました。何とかさくを乗り越えて外へ出ていくとか、そういうこともあるものですから、ある程度子供たちの発達、年齢に応じたものになっているんだろうという理解を、自分ながらにしたところでございます。

 いずれにいたしましても、今まさに地域に開かれた学校ということを目指そうとしている中で、高い塀で囲われてしまうというふうなことについては、私はやはり大いに問題があるとは思いますけれども、こういう事件が起こると、やはり安全管理の上でいろいろなことを考えなきゃいけないんじゃないか。そういう問題についても、これは文部科学省の方の御見解をぜひお聞きいたしたい。

 この二つをお聞きして、質問を終わろうと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

池坊大臣政務官 メンタルケアについては、今までいたしました心のケアは、学長が今お話しになりました。

 私は、むしろこれからが大切なのではないかと思っております。特に、夏休みになってまいりますので、例えばキャンプファイアをする、あるいはさまざまな善意のお申し出がございまして、Jリーグ観戦に招待するよとか、あるいはコンサートを開くよというようなお申し出もございます。今のところ整理ができておりませんけれども、私は、そういうことを積極的に取り入れていきたいというふうに思っております。

 御承知のように、阪神大震災では、兵庫県のトライやる・ウイークが、子供たちが再び生きるための大きな力になってまいりました。ですから、私は、やはり自然体験活動あるいはいろいろなものに参加することによって、薄紙がはがれていくように心の傷がなくなっていくと思いますので、積極的にさまざまな催しに参加していくようにしていきたいと思っております。

岸田副大臣 二点目の御質問でございますが、学校というもの、地域に対してもあるいは児童に対しても開かれたものでなければならないと考えています。しかし、従来の関係者が目指していた開かれた学校というのは、決して物理的に開かれた学校ではなくして、内容において開かれた学校だと認識しております。地域に理解され、また多様な学校活動が展開される、こういったことからも、これからも開かれた学校というものは内容において重要だと考えております。

 その一方で、物理的に安全管理を徹底するということ、これも重要なことだと思います。ぜひこれは調和させなければいけない、こういった考え方でしっかりと対応していきたいと思っています。

林(省)委員 一日も早い本来の姿に戻って、生き生きとした子供たちの育成ができることを心より祈念いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

高市委員長 西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 中谷学長におかれましては、大変お忙しいところ参考人としておいでをいただきまして、ありがとうございます。

 早速、初めに、今回の事件の状況について、学長から、わかる範囲でお答えを願いたいと思います。私ども、質疑時間が若干短いものですから、答弁を手短にできればと思います。

 今回の池田小学校の事件に関する文部省の報告資料をちょうだいいたしました。その資料によりますと、今回の事件、六月八日の十時十五分から二十五分の十分間の出来事だというふうにお聞きをしております。その通報を受けた警察が到着したときには、既に副校長ともう一人の先生の間でこの犯人を取り押さえておられた、こういうふうにお聞きしております。私自身は、大変迅速な対応を幸いにしてやっていただいたのではないか、こう思っております。しかし、この十分の間に被害者が二十三人、二人の先生を含めまして二十三人ということをお聞きしておりますし、八人の生徒さんが残念ながら亡くなられた、こういうことでございます。

 今後の学校の安全対策として重要なことだと思いますので、まずお伺いしたいのは、この大混乱の中で、現場から、例えば校長先生もしくは職員室に連絡があり、さらに警察への連絡がありというようなこと、犯人の経路は比較的よくわかっているのですが、学校側の通報体制、これがどうなっていたのかということをお伺いしたいと思います。

 また、新聞によりますと、放送室に逃げ込んだ児童が校内放送で知らせたといいますか、助けてという言葉があったというふうに報じられておりますが、このことについても、何かそういう特別な訓練とか何かがあったのかどうかということもあわせてお伺いをしたいと思います。

 通常は、十分で警察が到着するということは保証がほとんどないと思われますので、この間に事態をおさめてもこれだけの大事故ということは、非常に大きな衝撃的なことでございます。

 そういう意味では、学校内でそういうことがないようにまず体制を固める。あっても、何らかの対応を学校内で行う以外にないのかなというふうに思っておりますが、今回の事件を経験されて、早期の逮捕にどういうことが役に立ったのか。また、何が役に立つのだろうということを考えておられるのかということ。また、多くの反省点等もあるかと思いますが、学校の安全管理の面で最も悔やまれることがございましたら、たくさんあるかもしれませんけれども、代表的なことを手短にお伺いしたいと思います。

中谷参考人 お答えいたします。

 本件の事実解明は、現在、警察当局において進められておるところでございまして、まだ不明な点も多いわけでございます。二年西組の担任が、児童に逃げるように指示した後、事務室に走って一一〇番をしたということ、それから事務職員が一一九番に電話した。こういうことはわかっておりますけれども、詳しいことにつきましては、いわゆる子供たちはまだ傷を負っておりますので、生々しい状態の中でその事情を聞くというわけにもまだまいらない状態でございます。そのあたりにつきまして、若干今後の捜査を待ちたいと思います。

 それから、二番目の御指摘でございます。

 今般の事件におきましては、犯人をその場で取り押さえることができたわけでございますけれども、この際、本学の教員は二人、非常に大きな傷を負っております。今回の事件が前例のない凶悪な犯行であったこともありますが、学校側といたしましては、外来者の入校に際して無防備であったということ、それから校内における部外者に対する注意意識が足りなかったこと、こういうことが最も悔やまれているところでございます。

 今後、このようなことが繰り返されることがないよう、万全の努力をしてまいりたいというふうに思っております。

西委員 次に、学校の防犯の設備、安全対策の点についてお伺いをしたいと思います。

 この事件が起こって後のことですが、新聞に千葉大学の中村教授のインタビューの記事がございました。この中村教授は、犯罪者は人に見られるということを非常に警戒する、こういうことから、学校施設に関して職員室を全体が見渡せる位置にまず移すべきだ、そして、校庭の活動が外からも、一般の人からも見えた方がいいという考え方を、朝日新聞で述べておられました。

 外からも中からも見える、そういういわゆる物理的にも開かれたという形でしょうけれども、学校施設など、どのような学校施設が防犯に役立つか。こういうことをやはりこの機会ですから、文部科学省で研究を、学校施設のあり方の基本的な考え方の研究をぜひ進めていただきたい。あわせて、やはりいじめ等にも役に立つといいますか、対応できるためには、どういう施設を考えたらいいのかという研究を、これこそ文部科学省が進めるべきだということについてお考えをお伺いしたいと思います。

 また、今全国でたくさんの、この対応についての対策が練られているわけですが、佐世保市の教育委員会の報告がございました。市内の幼稚園、小中学校の校長先生を集めて研修をされて、必要な安全対策に対するアンケートをとった結果、施設としては、多い順番から、まずインターホンをつけてほしい、それから非常ベルをつけてほしい、扉を設置してほしい、そして監視カメラの設置、これが順番のようでした。さらに、監視員、警備員の配置、こういう要求があったわけですが、さっきの中村先生は、プロの警備員や監視カメラよりも、来訪者と対話のできる校務員をその地域のお年寄りにお願いして、そして、あいさつをしたり、激励をしたりということも兼ねてやった方がいいのではないか、こういう意見もございました。

 事件を受けて、現在、全国各地で学校の安全対策が行われています。警察庁によると、全国の学校、幼稚園の侵入事件、これはすべてこういう事件ではございませんで、何らかの別の要件で入って、警察ざたになったということを含めてのことですが、昨年で千三百五十五件。学校にそういう不法侵入が年々ふえているというデータもございます。学校の防犯上何が効果的か、また侵入者が入ってきた場合に何が有効なのか、こういう安全対策についても、実証的な研究を今こそ文部科学省は進めていくべきだ、こう思いますが、御答弁をお願いいたします。

池坊大臣政務官 今まで日本の場合には、学校は安全だという神話があり過ぎたのではないかと思っております。私も、小さいときは校門にいる校務員のおじさんにおはようと声をかけるところから学校生活が始まってまいりました。

 今、このような問題が起きて、防犯カメラとか警備員の配置とか、非常ベルをつける等々が言われておりますが、私も、千葉大学の中村教授がおっしゃるように、まずみんなが見渡せるということの配置も必要ではないかと思っております。

 そして、殺傷事件が校庭で起こりました京都の日野小学校では、改造いたしまして、教員室から校庭が見られる。そうすると、子供たちが何をしているかが先生方が見ることができますから、これは乱入者ももちろん防げますけれども、先ほどお話がございましたように、いじめなどもわかりやすくなるというようなことがあると思います。

 今まで、余りにも、そのようなことに対しては研究がされてこなかったと思います。私は、建築家とか警察の方、あるいはPTAの保護者の代表とか、さまざまな見地から、いろいろな英知を競い合って研究することが必要と思っておりますので、文部科学省といたしましても、これからそのような対策も考えていけたらというふうに思っております。

 また、校務員、用務員の方をお願いすることができなかったら、あるいは、PTAのお母様方にお願いするというようないろいろな方法があると思いますので、各学校と連携をとりながら、私どももいろいろな方法を研究してまいりたいと思っております。

西委員 ありがとうございます。

 ぜひこれを機会に、学校の施設が大きく見直された、こう言われるような研究をお願いしたいと思います。

 次に、心のケアについて少しお伺いしたいと思います。

 先ほど、中谷学長からも、特に大学そのものが教育大学でございますので、そういう専門家もたくさんいらっしゃると思いますし、積極的な展開をなさっているという御報告がございました。

 お聞きしておりますところでは、元村先生、元村教授を代表とするメンタルサポートチームというのが結成されて、約六十人の皆さん方が参加をされておるというふうにお伺いしております。先生と二人一組で、先ほど御報告がありましたように、全児童約七百人、六百数十人でしたか、約七百人の家庭訪問を続けて、遺族、入院中の子供たちを訪ねるという積極的な活動が報道されております。

 これを見まして、今までやや見過ごされてきた感があります、このさまざまな事件、事故、災害などで心に大きな傷を受けた子供たちへのケア、これがいかに大切かということを、私たちは思い知らされた気がいたします。えひめ丸事件のときも、それは大変な恐怖の中で高校生が生還された。そういう事態もございましたし、それ以外にも、交通事故で、目の前で家族が亡くなったことを経験された子供たちもいるでしょう。

 そういうことが、一つ一つ、我々が、どれだけ子供たちにとって大きな傷になっているかということを余り理解していなかったのではないかなということを、私自身も感じております。

 阪神大震災では、これもまた話題になりましたが、震災直後、メンタルケアの専門家が被災地に集まって、ボランティア活動を行っていただきました。そのときの経験から、精神医療の専門家は、まず精神のバランスを崩している素因をもって症状がはっきりとあらわれた人に対して、救急的に医療を施していく、こういうことがありました。

 しかし、やや時間がたってから襲う心の災害、これは精神保健が必要であって、その担い手は、常に地域に密着している医療機関、現場現場の医療機関だとか、また保健婦さんが長期にわたって活躍されたということを聞いております。そのことが報告されております。

 今回の事件でも、事件直後と時間がやや経過したときに、心のケアのあり方、今ボランティアの皆さんを中心に頑張っていただいているのですが、何カ月かすれば、それでいいということにはなかなかなりにくいと思いますので、その辺のことについても考慮をいただきたいと思います。

 こうした経験を踏まえて、重大な事件事故が発生して、多くの被害者が心のケアを必要としている、そんな場合には、政府の対策本部長、今回の場合は岸田副大臣が大変尽力されているわけですが、この本部長が、地域医療の協力を得られるように、厚生労働省など関係者と十分協議をしていただいて、そして長期にわたって、どこどこの場所には池田小学校の児童が住んでいるということをそれぞれの自治体に御連絡をいただくとかという形で、きちっと地域と連携がとれるようにお願いをしたいと思いますが、御見解をお伺いいたします。

岸田副大臣 先生御指摘のように、心のケアの重大性、痛感しております。今回の事件における対策の中の大きな柱の一つであるということ、言うまでもないわけであります。

 その中にあって、まず、心のケアというものについて、やはりいろいろな関係者、幅広く御協力をいただかなければいけないということから、政府におきましても、私自身、副大臣会議でこの事件について御説明を申し上げ、各関係省庁の協力を訴え、そうした体制を整えていただくよう、お願いをしておるところであります。

 そして、その関係者の中に、御指摘がありましたメンタルケアの支援チームを見ましても、大阪教育大学はもちろんのこと、厚生省、大阪府、兵庫県、大阪府警、大阪府臨床心理士会など、幅広い関係者の方々に御協力をいただいております。

 こうした幅広い協力をいただきながら、また、今先生から御指摘がありました、心の傷を負った方々、今回多くの方々が心の傷を負ったわけですが、特に、大きな傷を負った当事者が児童生徒、一年生、二年生の小さな児童生徒でありますので、同じ心の傷もその当事者の表現能力の関係で、後からこうした現象があらわれてくる、こういったことも予想されるわけであります。御指摘のように、長い目でこうした心のケアを考えていかなければいけないと考えております。

 これから、準備期間を経て、夏休みに入るわけであります。こうしたさまざまな状態においてどのような心のケアが必要なのか、こうした細心の心配りの中で、長い目で心のケアに努めていくよう努力したいと思いますので、ぜひ御指導いただきますよう、よろしくお願いいたします。

西委員 どうもありがとうございました。

高市委員長 松浪健四郎君。

松浪委員 保守党の松浪健四郎でございます。

 まず、質問に入らせていただく前に、亡くなられた児童の皆さんに御冥福をお祈り申し上げたい、こう思いますし、御父母の皆さんに対してお見舞いを申し上げたいと思います。そして、いまだ治療のために入院されております児童並びに先生の御回復をお祈りいたしたいと思います。

 時間が短いので手短に質問させていただきたいと思いますが、今回の事件の責任は国にある、私はこのように思っております。したがいまして、当日は委員会が開かれておりました、そしてまた教育三法がずっと審議され、今も参議院で行われておるわけでありますが、私は、遠山大臣におかれましては、速やかに大阪に行かれてお見舞いを行うべきではないのか、こういうふうに思っておりますが、遠山大臣、どういうふうにお考えでいらっしゃいますか。

遠山国務大臣 あの事件については、本当に心の痛むことでございまして、私といたしましては、直ちにとるべき手をとりまして、まず池坊大臣政務官、そして九日には我が本部長を現地に送りまして、私は全体の作戦を練るといいますか、ヘッドクオーターとして機能した方がいいということで残っておりましたが、現在は、もし国会の状況とそれから現地の状況がうまく都合が合えば、本当にいつでも行きたいと思っているところでございます。

 ただ、私が参りますことでいろいろなこともございましょうから、その辺は現地とよく相談をして行きたいと思いますが、私としては、打つべき手を着々と打っていくということも第一の任務かと思っておりますが、気持ちとしては、ぜひ現地に行ってお見舞いをいたしたいと思っております。

松浪委員 ぜひ、大臣にそのことをお願いしておきたい、このように述べておきたいと思います。

 次に、小学校二年生、これは歴史的な、前代未聞の大変な事件が起こったわけであります。当然のことながらマスコミは殺到します、マスコミも戦争しているわけですから。となりますと、小学校二年生にインタビューをする、また取材をするというようなことになります。これは、私は事が事だけに、あの生々しい現場のことを聞くというのは、取材をされるマスコミの皆さんにとっては当然のことであろうとは思いますけれども、やはりいろいろな配慮があってしかるべきだろう、こういうふうにも思います。

 もっとも、かつてなかった事件でありますから、いろいろな問題があったのではないのか、こういうふうに思っておりますけれども、その現場ではどのような混乱があったのかなかったのか、そのことをまず学長にお尋ねしたいと思います。

中谷参考人 お答え申し上げます。

 今回の事件によりまして我が子を失った御遺族や身体に傷を受けられた方々の心情は、非常に、表現できないものがあろうかと思います。それにもかかわらず、今まで、その子供たちや保護者の方々にマイクやカメラを向けたり、また、亡くなったお子さんの写真を御遺族の方々に無断で掲載したり、そういうことがありまして、お子さんや保護者の心をさらに傷つける、そういう事態がございました。

 そういうことを踏まえまして、私たち、学長と当該の学校長でございますけれども、連名で取材の自粛をお願いしたり、それから、記者会見のたびに校長は、行き過ぎた取材活動を自粛してほしい、こういう形で申し上げてまいりました。

 そのためか、昨日でございますけれども、在大阪民間放送報道部長会というところから、今後、本件にかかわって報道、取材のあり方については御相談したい、こういうふうな申し入れがございましたので、今後最大限の配慮をいただけるものというふうに期待いたしております。

 どうか、一生懸命心の傷を治し、立ち直ろうとしている子供たち、家族のために、温かい目で見守っていただきたい、こういうふうに切にお願いする次第であります。

松浪委員 関連するわけですけれども、事件の解明は急がなければなりません。そして容疑者が逮捕され、それを立証していかなければいけないわけですね。となりますと、当然のことながら、事情聴取をしなければなりません。しかし、相手は小学校二年生、再三心のケアの問題について言われておるわけでありますけれども、この事情聴取をどのような形で行うのか、十分な配慮が必要である、こういうふうに思います。

 特に、南組は先生がだれもいなかったのです。となりますと、子供たちに聞かなきゃいけない。これは警察としても非常に難しいだろう、私はそう思いますし、その配慮がなきゃいけない。これをどのようにして警察はやっていかれるのか、刑事局長にお尋ねしたいと思います。

五十嵐政府参考人 大阪府警察におきましては、事件認知後、臨床心理士等の資格を有する警察職員を含む総勢五十六名の体制で特別被害者支援班というものを組織いたしまして、被害児童等に対して被害者支援要員を個別に指定して要望や困り事の把握等に努めるとともに、先ほど来話が出ております、小学校に設置されましたメンタルサポートチームへ参加して、関係機関、団体等との連携のもと、被害児童等の精神的被害の軽減のための支援活動を行うなど、精神的な面を初めとしたさまざまな活動を現在行っているところであります。

 お尋ねの事情聴取につきましても、被害児童等の精神的な面に十分配慮しながら行うこととしておりまして、現在、大阪府警察におきましては、ただいま申し上げました被害者支援要員と緊密な連携のもと、被害児童等の心理状態等を慎重に見きわめながら事情聴取を行っているというところであります。

 また、事情聴取に当たりましては、被害児童や保護者等の要望などを十分にしんしゃくして日時や場所を選定しているほか、聴取に際しましては、保護者の同席や被害者支援要員の付き添いの措置をとるなど、被害者の心情に十分配慮した捜査を現在行っているところでございます。

松浪委員 警察におかれましても十分な御配慮をお願いしたい、こういうふうに思います。

 それで、保護者の間からは、学校側の情報、説明、これが十分でないという不満もあります。文部科学省としては、保護者に対して懇切丁寧に、また現状についていろいろ説明していく必要がある、私はこういうふうに思いますけれども、その中で一番大事なことは校舎のあり方である、私はこう考えております。

 あれだけの事件が起こりました。児童にとりましても、保護者にとりましても、地域周辺の住民にとりましても、あの学校でこんな事件が起こった、つまり、学校自体がその忌まわしい事件のモニュメントになってしまっておる。としたならば、私は、建てかえというものを考えなきゃならない。

 冒頭申し上げましたように、この事件の責任は国にあります。そのことを国が考えたときに、一部の校舎を建てかえるというようなけちくさい話じゃなくて、この事件を、子供たちの心のケアの問題、そして保護者の不満、国の責任、そして地域住民の皆さん方の、私は、あの忌まわしい記録を消すためにも全面的に校舎は建てかえるべきだ、そして、それは国の責任として国民にはっきりと明示する、声明を出す、発表をされる、この必要がある、このように考えております。

 それで、対策本部ができて、岸田副大臣は一生懸命やられております。そして、それらについてちょこちょこ語られておるわけでありますが、この場ではっきりと、校舎の建てかえはどうするのかということを岸田副大臣にお尋ねしたいと思います。

岸田副大臣 児童の心のケアを最重視するということからも、また保護者の方々の心情を考えたときからも、その事件のあった校舎において授業を再開することは適切でないと考えております。これは、私も現地を訪れた際に申し上げたとおりであります。

 そして、今校舎について御質問がございました。仮校舎については今手続を進めているところであります。そして、現校舎につきましても、今後大学側の意向を最大限尊重した上で、もちろんその予算の問題等関係者の御理解をいただかなければいけないと思ってはおりますが、文部科学省としましては、建てかえの方向で検討していきたいと考えております。

松浪委員 文部科学省に、検討というのではなくて、今の言葉で私は、建てかえをしてもらえる、こういうふうに理解をいたしました。その方向でぜひお願いしたいと思いますし、我々もそのために協力をさせていただきたい、こういうふうに思うものであります。

 次にお尋ねをしたいのは、今回の事件で亡くなられた児童、そして被害に遭った児童や教員に対する補償の問題であります。

 これは、日本体育・学校健康センターの災害共済給付ということになっております。これだけで果たして事が足りるのか。もちろん、補償をたくさんしたから保護者の皆さんにお許しを願えるというようなものではありませんけれども、この額は大したことはありません。私は、再三繰り返しますけれども、この事件の責任は国にある、だとしたなら、国が国として特別なことを考える必要があるのではないのか、こういうふうに考えるものであります。この補償の問題についてお尋ねをさせていただきます。

池坊大臣政務官 今委員から御質問がございましたように、今回の事件は学校の管理下でございますから、被害に遭われた児童は、日本体育・学校健康センターの災害共済給付制度による給付の対象となってまいります。この災害共済給付は、医療費の支給として、保護者の自己負担分全額に治療に伴って要する費用を加算した額を支給し、また、児童生徒に障害が残ったり死亡した場合には、障害見舞金、死亡見舞金の支給を行うこととなっております。

 今委員から、それでは不十分なのではないかというお話でございました。それにつきましては、今はっきりここで私としてはお答えすることはできませんが、そういう御意見があることもしっかり受けとめてまいりたいというふうに思っております。

 また、今回の事件で負傷された教員については、一般職の国家公務員であるため、公務上の災害として、国家公務員災害補償法に基づく療養補償が行われることになっております。なお、被災職員に障害が残った場合には、障害の程度に応じて、障害補償年金または障害補償一時金が支給されることになっております。

 これらは、ともに大阪教育大学からの申請を待って給付を行うこととなっております。これらのことは、大阪教育大学とまた検討しながら、考えていきたいと思っております。

松浪委員 今回の事件は、国が十分に対策を講じてこなかった、そこで生じた。したがって、国が真摯に受けとめて責任を全うするようにお願いをしておきたいと思います。

 前向きな、真摯な御答弁を賜りました。このことに御礼を申し上げて、時間が参りましたので、質問を終わります。

 ありがとうございました。

高市委員長 山谷えり子君。

山谷委員 民主党の山谷えり子でございます。

 ちょうど二週間前、事件が起きましたその日に、私も池田市に参りました。痛ましさに言葉を失いました。二週間たって、いろいろな問題点をまた感じております。犠牲になられましたお子様の御冥福を祈り、被害に遭われた方々の一日も早い心身の回復を祈るものでございます。

 池坊政務官も、あの日現地に行かれたわけでございますけれども、どのような思いをお持ちになられましたでしょうか。

池坊大臣政務官 山谷えり子委員と同じく、私も一人の子供の母でございますから、大変に痛ましいと思いました。たくさんのお話ししたいことがございますが、時間がございますので、その中から、まず、けがをなさいました児童の御両親から、この嫌な忌まわしい記憶を取り戻すその校舎で二度と授業をさせないでくださいというお話でございましたので、私もまた廊下が血塗られていた現場を見ましたので、全力でそのようなことをしないように努力してまいりますとお答えいたしました。それからまた、けがは治ります、でも心の傷は治りませんので、手厚いケアをと言われました。それに対しても、文部科学省として全力でケアをいたしますとお答えいたしました。

 また、亡くなりましたお子様方のお父様から、これは社会病理です、それが弱い子供たちの上にかかったのです、子供の命はもう戻りませんが、この八つの幼い命がむだにならないようにしてくださいと言われまして、私は、政府の一員であるとともに議員でございますから、みんなが安全に生きられるような社会をつくっていくためにはどうしたらいいかということをきっとみんなで検討し、施策に反映してまいりますとお答えいたしました。

 手を合わせた、二つの検視を終えた袋に包まれたお子様方の姿を私は今でも時折思い起こし、必ずこれからの学校教育の中にそういう痛ましい事故が報われるような、そのようなことをしていかなければいけないという思いを持っております。

 また同時に、遺族の方から、残された妻や幼い妹や弟がおります、また再び力を持って生きていかれるようにケアをお願いいたしますというお話もございました。それらのことをきちんとやっていくことが、今私たちに課せられた務めだというふうに思っております。

山谷委員 そして九日、岸田副大臣は、緊急対策本部長として保護者の説明会に御出席後、授業を再開するに当たっては、今の校舎を使うような無神経なことは許されない、校舎を建てかえる覚悟もあるというふうにお述べになられました。また遠山大臣は、十五日、できれば校舎を建てかえたいと思っているというふうにおっしゃいました。ところが、二十日、報道によりますと、文部科学省は、校舎の全面建てかえを前提としたものではないというふうにトーンダウンしていらっしゃる。

 先ほどもお答えになられましたけれども、予算の関係、関係者の声、もろもろあるわけでございますけれども、次の日にこのような発言をなさって、そして今揺れているという、この辺の経緯を、副大臣、お答えいただきたいと思います。

岸田副大臣 そのトーンダウンしたという部分につきましてはちょっと詳細を存じておりませんが、建てかえにつきましては、以前も申し上げたように、事件があった校舎において授業を再開するようなこと、こんなことは決して許されないと考えております。そして、授業再開に向けて、今仮校舎の準備を進めており、そして予算の措置を講じているわけであります。

 現校舎につきましては、予算とそれから関係者の理解をこれから得なければなりませんが、大学の意向も伺いながら、ぜひ文部科学省としては建てかえをしたいと考えております。

山谷委員 文科省は、係長と係員、二人を小学校に置かれましたけれども、指揮がなっていないというふうに言われております。十七日にそれも引き揚げておられる。

 大阪府知事は十九日、国を批判して、今の体制ではだめだ、代替教員の配属、これは池田小学校で教えておられた先生たちがOBになっていらっしゃる、学校に詳しい方がいらっしゃる、その方たちが助けに行きたいというふうに声を上げておられる、また空き教室の提供なども申し入れているけれども、反応が鈍かったと。

 あるいはまた池田市、私は、市長、議会の方々、いろいろお会いしました。施設の利用で協力したいと申し出ておられます。近くの小学校には空き教室がたくさんございます、体育館、プール、特別教室を使ってほしいと。

 日常が断絶されたからこそ日常生活を続けることがとうといのではないか。子供たちは子供たちと会いたがっている。勉強したい子には勉強、スポーツ、体を動かしたい子には思いっ切り体を動かしてもらう。また、阪神大震災のときには、音楽でどれだけの子供たちが心をいやされたか。そういうふうに、日常生活を続けることが困難なときだからこそ、日常生活を続けることのとうとさ、その意思を私たち大人は持っていくべきだというふうに思います。

 そしてまた、池田市は、具体的にこのようなスペースを、このような人たちがいるんだということを申し出ているわけでございます。けれども、これに対しても反応はなかった。連絡調整係として、池田市として人員を対策本部に派遣しようと申し出ましたけれども、これも断られた。

 私は、おととい、二十日、大阪府、池田市、関係者の申し入れをいろいろお聞きしまして、現場が非常に混乱していて極限状態だ、だれの指揮下でやっているのか全く不明、きちんとした対策本部をつくってほしい、現在、対策本部が多過ぎて全く機能していない、国、大学、小学校、PTA、ケア本部など、さまざまな対策本部が四つも五つもあって錯綜していると。国と大学、小学校は一応一体なのでありましょうけれども、現場の方がおっしゃるのですが、池田市とかあるいはPTA、ケア本部、横のネットワークが十分には機能しておられないと。とにかく、今からでも遅くないから、対策本部の機構図をつくってほしいということを今ごろになってまだ、二週間たっているのですが、要望しておられるのですね。先生の方も、一つになっていない、チャンネルを一つにしてくれというような声がございます。この辺のことは、文部大臣、いかがお考えでございますか。

岸田副大臣 後ほど大臣からも発言があると思いますが、詳細につきまして、事前にお話をさせていただきたいと存じます。

 まず現地の対応でありますが、文部科学省にも対策本部があるわけですが、おっしゃったように、現地にも対策本部があります。そして対策本部の対応ですが、きょうお越しの中谷学長先生を初め現地の皆さん方、全力で取り組んでいただいていると考えております。大変な疲労の中、心の傷を負いながら、大変な御努力をいただいているというふうに思っています。そして、心のケアとかあるいは安全管理において、まずもって被害に遭われた方々の対応において大変な御努力をいただいていると思います。

 その中で、今先生から御指摘がありましたように、多くの方々から援助の申し出が来ております。全国から殺到しておるわけであります。今考えますに、この援助の申し入れに対する対応、整理の部分で不十分な部分があるということ、我々も、関係者から聞いて感じているところであります。

 ただ、援助の申し出につきましても、いろいろ中身がありまして、例えば心のケアの部分についての申し入れということになりますと、子供たちに対する対応、やはりできるだけ人がかわらない方がいいとか、それから継続していかなければいけない、そういったことから、だれでもかれでも参加してもらえば、マンパワーが多ければいいということでもないわけでありまして、そのあたり、大変難しい面もあるようであります。

 しかし、御指摘がありますように、援助の受け入れの面で大分混乱を来しているということを感じておりますので、週末に、文部科学省の対策本部の事務局長でありますが、専門教育課長を現地に派遣しまして、その辺の話を聞き、ぜひ大阪府や池田市とも連絡をとって、援助の受け入れ体制について整理をしたいと思っております。その整理の中で、こうした貴重な志をしっかり受け入れられるように努力したいと思っております。

 ということで、ぜひ努力をしていきたいと思っておりますので、御支援のほど、よろしくお願いいたします。

遠山国務大臣 今副大臣からお話ししたとおりでございまして、あの事件をめぐっては、各地元でありますとかいろいろなところからの御協力の申し出があったことを、私は、大変ありがたいと思っております。そういった助力の申し出をきちんと受けとめて、そして、説明すべきことは説明しという対応が必要であったかと思います。

 ただ、大混乱ということで、必ずしも十分でなかった面があったかもしれませんけれども、一番大事なのは、被害に遭った子供たちないし教職員、それらの心情も考慮しながら、学校としてどうありたいかということをきちんと我々もその主体性を尊重しながら、私どもとその学校とはかなりきちんと意思疎通ができておりまして、その面では対応は十分であったと思っております。

 ただ、関連の地方公共団体とかの方々に、助力を申し出ながら十分対応してもらえなかったというような心情が残るとすれば、これはまた大きな問題でございますので、このことにつきましても、明後日、日曜日、派遣いたします、すべて判断をできる担当課長が参りますので、今御心配の点についてもきちんと対応してまいりたいと思います。

山谷委員 文部大臣は、国立大学附属といえば最高責任者でございますし、それから、十九日の保護者会でも、大臣に現地にいらしてほしい、現場を見てほしいという声もございます。タウンミーティングには出席していらっしゃるのにどうして現場にいらっしゃれないのかという声もございますので、早くに現場にいらっしゃいまして、それから、命令系統をきちんと、対策本部のさまざまなポジション、一つにしていく、すっきり機構図としてつくり上げていくということも、今ごろは本当に遅いんでございますけれども、そのようなことで対応のまずさがやはり混乱を長引かせているということはあるというふうに思いますので、御努力いただきたいというふうに思います。

 中谷参考人、御苦労さまでございます。本当に、お休みもなくお働きになられているというふうに伺っておりますけれども、ただ、中谷学長の方も、六月二十日、電話で池田市長と初めてお話しになられた、これも私は遅いんではないかというふうに思っております。

 授業再開は二学期から、いろいろな検討を重ねてこのような時期にお決めになられたんだろうとは思いますけれども、今働く母親が多うございまして、なかなか家庭で子供を朝から晩まで一日じゅう抱き締めてやるということも難しい状況でございますし、また、子供たちも子供同士で遊びたいということを言っているわけでございます。

 池田市は、先ほども申しましたように、空き教室の申し入れをしております。報道によれば、キャンプとかなんとかとか、そのようなイベントは考えていらっしゃるようでございますけれども、七月、八月、授業再開までに、日常的にそのようなスペースを確保して、子供たちが子供たち同士で出会える場所というものをおつくりになられるというお考えはございますでしょうか。七月、八月の御計画をお聞かせいただきたいと思います。

中谷参考人 お答えいたします。

 混乱の中で、いろいろな御援助の受け付けが非常にまずかったということをおわびいたしたいというふうに思います。それに引きかえまして、多数の方々からの御援助の申し出、ありがたくお礼を申し上げたいと思います。

 本学といたしましては、一刻も早く学校を再開いたしたいわけでございます。しかしながら、学校を再開するということが今の子供たちにとってどういう反応を起こすか、そういう前例というか研究がないわけでございます。メンタルサポートチームからはそこを非常に心配されておりまして、私たちは慎重に授業再開に向けての努力を続けているわけでございます。

 現在、学校の再開につきましては、準備期間というふうな名前をつけまして、六月二十五日から七月六日までの間、学校生活と学習活動に向けて準備をする、いわゆる本格的な授業ではありませんで、まさに準備をしたい。来てもいい、来なくてもいい、それから子供たちの状況に応じてプログラムを組んでいく、そういうふうな形で考えております。

 夏休みのプログラムでございますけれども、七月九日から八月二十六日、これは準備期間の状況を見ながら、どのようなプランをつくっていくかということを専門家の意見も聞きながら策定をしようというふうに思っております。八月二十七日、月曜日が二学期の開始、こういうふうに計画をいたしております。

山谷委員 研究がないというふうにおっしゃいましたけれども、教育者であるならば人間観というのは当然お持ちだろうというふうに思っておりますので、その人間観から、やはり日常生活を継続することの大切さ、それによって子供たちの心がいやされていくというそのことを貴重なものとしてお考えになって、視点としてお持ちになられて、七月、八月、子供たちの立場に立ったプログラムを考えていただきたいというふうに思います。

 それから、日本の学校には安全に対する意識がこれまで乏しかったわけでございます。真剣に取り組む必要があるということを多くの人が感じているわけでございますけれども、地域、学校に、建物の構造によってそれは一つではないというふうにも私は思っております。

 先ほど委員がおっしゃいましたように、例えば、モニターだとか、インターホンだとか、非常ベルだとか、門のいろいろなリフォームとか、いろいろなことをやはりそれぞれの学校で考えてこれからいくんだろうというふうに思うわけでございますが、公立文教施設整備費補助金というのがございます。小中学校、今年度の予算が千六百億円。しかしながら、これはたしか大規模改修にしか使えないということになっておりますけれども、このようなことが起き、そして、安全の管理をもっとしっかりしなければいけないという、多くの国民が、すべての国民が思っている現在、この整備補助費を来年、安全面に使うことができるのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。

岸田副大臣 文部科学省としましては、今回の事件を踏まえまして、校舎内外の通報設備、防犯設備の設置、あるいは敷地境界部の整備、あるいは教室や管理教室の再配置など、こうした学校施設の防犯対策についてどのような対応が可能か、新たな補助制度や地域財政措置、これを検討していかなければいけないと考えておりまして、そして、総務省とは既に財政的支援を行う方向で検討をしております。こうした検討をぜひ進めていきたいと考えております。

山谷委員 そうしますと、公立文教施設整備費補助というのは、大規模改修のみにしか使えない、総務省で、地方交付税に上乗せする形で使っていくということでございますか。

岸田副大臣 具体的な形を含めて今総務省と検討をしております。ぜひ財政的な支援を行う方向で協議したいと思っております。

山谷委員 経済財政諮問会議の骨太の方針が出たわけでございますけれども、そこに、投資するものとして、人づくり、教育関係というのが挙がっております。米百俵の小泉総理でございますので、来年度予算で、概算要求も八月でございますけれども、どのようなスケジュールで、どういう話をしていらっしゃるんでしょうか。

遠山国務大臣 骨太の方針は、昨日まとまったとおりでございます。その中に、人づくりに関するいろいろな政策を今後の重点分野として挙げていただいたことについて、私は大変評価をいたしております。

 来年度以降の予算のあり方については、これから概算要求基準というものがいずれつくられてまいって、それにのっとって要求をしていくということでございますが、平成十四年度の予算の重点分野の中にも科学技術の関連と人材育成ということが明確に入っております。

 今回のことは、来年度のあれももちろん待つわけでございますが、今年度もできるだけのことが何かできるかどうかということも考えながら、そして、そういう本格的な人づくりのための予算の項目については今後考えなくてはならないと思いますが、安全点検につきましては、むしろもう少し日常的な、先生がおっしゃった日常的な非常に大事なことでございますので、そういった中にどんなふうに含めるか、あるいは、もっと別途の緊急的なものとして考えていくか、そういうことも含めながら、関係各省とも今連携をとりながら考えているところでございます。

山谷委員 阪神大震災が起きましたときに、しばらくの間、耐震あるいは地震にまつわって、建物のいろいろなリフォームが必要な部分を特別な予算としてつけるような方向で動いていたというふうに思うんですけれども、今回もそれと同様な動きを私はすべきではないかというふうに思っております。

 この文部科学委員会で、与野党ともに、みんなの総意として、そのような予算の上積みを要求したいというふうに思っておりますが、大臣はいかがお考えでございますか。

遠山国務大臣 その方策については、今検討中でございますけれども、いずれにしましても、ぜひ先生方の御支援をいただいて、この問題に対して私どもとしては全力を挙げて取り組みたいと思っておりますので、御協力方をお願いいたします。

山谷委員 今の大臣のお気持ちの後押しをしたいものでございますから、例えば、委員長の決議として、与野党総意で、文部科学委員会としてそのような要求をしていくということを決断していただくことはできますでしょうか。

高市委員長 今の予算面の件も含めまして、私自身は前向きに検討したいと思いますが、理事会に諮らせていただきまして、いいお答えができるようにさせていただきます。

山谷委員 理事会でぜひ諮っていただいて、前向きの答えをつくっていきたいというふうに考えております。

 続きまして、メンタルケアのことについてでございますけれども、例えば黒磯の、ナイフで先生が刺されたときのことでございます。カウンセラー三名がチームになって九十日間、延べ二百五十人が相談をした、拒食とか不眠とかさまざまなこと。それは、生徒だけではなくて、先生や保護者も含まれていたわけでございます。

 今、このようなことがありますと、やはりスクールカウンセラーを特別補助事業ではなくて、定員、全国の小中高校に一人ずつカウンセラーを置く。そうしますと、日常的に子供と接することができるわけでございますし、それから、これからのスクールカウンセラーというのは、体験学習の推進もございますので、ただ子供の心の悩みの相談だけではなくて、地域の中にどのようなキーパーソン、キーグループがあって、どういうふうにネットワークすれば、どうコーディネートしていけば、そこで行動することによって心の悩みが解消していくか、そこまでできるようなプロフェッショナルな方が、人材育成が求められているというふうに思うのでございます。

 これも、全国三万八千六百二十三校一人ずつ配置して、三百八十六億二千五百万円でございます。今これだけ子供たちのことが心配な時代に、この予算というのは私は認められる範囲だというふうに思っておりますので、この方面にもぜひ私たちは声を上げていかなければならないと思っております。

 たまたま島根県の高校からちょっとお話を聞きましたらば、県立高校にスクールカウンセラーの予算がつかなくなって、五十七校中四十八校がどうにかしてくれと再導入を求めているわけですね。普通高校でカウンセラーに相談したいという該当者が一〇%はいるということで、非常にそのような方たちの存在というのが必要になってきているわけでございます。

 その辺の、スクールカウンセラーに対するもっと踏み込んだ決意というものを、どういうふうに感じていらっしゃいますか、大臣、お答えいただきたいと思います。

岸田副大臣 こうした児童生徒の心の問題、ストレスや不満を抱えているような児童に対してどう対応していくか、こうしたことに対しましては、従来の指導的な側面のアプローチだけでは不十分でありまして、外部の専門家等の協力を得ながら、悩みや不安を受けとめて相談に当たる、こうした姿勢が大切だと考えております。

 そういった認識から、文部科学省としまして、これまで、心の専門家ということでスクールカウンセラーの配置を充実するよう努力をしてきたところであります。ちなみに、平成十二年度で、公立小中高合わせて二千二百五十校に配置をしているわけです。

 そして、こうした心の専門家ももちろん大切なんですが、児童が気楽に相談できるということから、地域の人材等を心の教室相談員という形で中学校に配置する。全国公立中学校七千七百校で実施しておりますが、こうした専門家のみならず、地域の人材、いろいろな人材を心の教室相談員として活用する、こういった方策を講じること、あるいは、教育委員会等で教育センター等の相談員を活用する、こうしたさまざまな形でこうした児童生徒の心のケアに取り組んでいるところであります。

 このスクールカウンセラーの活性事業補助、その事業として本年度四十億円の計上ということになっているわけでありますが、この心のカウンセラーの予算も含め、そして、先ほど言いましたさまざまな形において、その充実を図っていかなければいけないと思っております。財政事情厳しい中ではありますが、努力をしたいというふうには思っております。

山谷委員 三万八千六百二十三校中二千二百五十というのは、やはりいかにも少ない数字だというふうに思っておりますので、ぜひ定員の中に含めるということをそろそろ決断していい時期ではないかというふうに思っております。

 それから、これまで学校は、防災訓練というのはあったわけでございますが、防犯訓練というようなものはなかった、余りしなかったわけでございますが、十九日、香川大学教育学部附属小学校では不審者侵入を想定した避難訓練が行われた。今すぐにやるというのは、また子供の心に動揺を起こすので、時期はともかく、やはり防災訓練とともに防犯訓練というような視点をこれから学校教育の中に持っていくということも一つ大事なことではないかなというふうに思っております。

 私、一九七〇年代にアメリカにおりましたときに、子供たちを暴力や犯罪から守るプログラムというのがございまして、いきなり何かされそうになったとき、子供たちというのは、もう茫然としてしまう。逃げることすらできない。そういうときは逃げなさい、きゃあと言うよりも助けてと言いなさいと具体的に教えているのですね。そういうことも大事だというふうに思います。

 あるいは、人間というのは、特に先進国になりますと、さまざまなストレスやひずみが起きてくる、ストレス社会になってきております。人間というのは、そうでなくても、暴力とかねたみとかひがみとか、さまざまな心を持っているものでございます。その心を直視して、例えばアメリカでは中学生たちに、犯罪を、暴力行為を犯した犯罪者が、こういうふうに自分はできなかったけれども、こういうふうにコントロールすればいいんだよというようなことを話したりとか、それがそのまま日本に持ってきていいプログラムかどうかはわかりませんけれども、そのようなプログラムの研究というのもこれからしていく必要があるのではないかなというふうに考えております。

 それから、私がPTAの会長をやっておりましたときに、子ども一一〇番の家というのがありまして、さまざまな方たちとお話ししたことがございました。今、通学路、子ども一一〇番の家、全国で百五万千五百カ所ある。今回の痛ましい事件で、恐らくもっと協力者はふえていくというふうに思っております。

 ただ、シールを張るだけではなくて、子供たちというのは、大丈夫よ、安心よという、何か体感的なものが必要なんですね。ですから、学校によっては、子ども一一〇番のおうちのおじちゃん、おばちゃんが学校にずらっと並ぶ、駐在所さんのお巡りさんがずらっと何人も並ぶ、そして、この辺は君たちをみんなで、このおじちゃん、おばちゃんたちが守っているんだよというメッセージを、お話をしてあげるだけで、大分雰囲気が違うんですね。

 いろいろなことで安全神話が崩れて、警戒感を持たなければいけない時代であります。そして、その部分を教えることも必要でありますけれども、一方で、あなたたちを守ってあげるという大人たちの思いをしっかりと伝えていくことも大切だというふうに思いますので、そのようなきめ細かい行政をこれからしていかなければいけないというふうに思っております。

 どうも皆様、中谷参考人はこれからまだまだ大変なことが続くというふうに思いますけれども、きょうはありがとうございました。

 質問を終わります。

高市委員長 大谷信盛君。

大谷委員 民主党の大谷信盛でございます。

 質問をさせてもらう前に、私、この池田小学校の地元の選挙区から選出をさせていただいております国会議員でございます。今松浪さんの方から言われましたが、国の責任だというようなことをしっかりとおっしゃいましたが、私自身は、何か自分自身も責任があってこんなことになってしまったのかな、そんな気持ちで、きょうは授業の再開ということを中心にして御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず最初に、本当に亡くなった八人の児童の御冥福を心から祈るとともに、また御遺族の心痛、少しでもこれからの人生の中で新しい生きがいというものを見つけられるように、ぜひとも立ち直れるような、そんなサポートをしていただきたいというふうに思います。

 私自身お通夜に参加をさせていただいて、何名かのお亡くなりになった、犠牲になった児童の方を見ました。そのとき、その子がこう言ったように思うのです、私の死をむだにしないでと。地域の子供を守っていく、そんな役割をしっかりとこれから果たしていかなければ、何か自分がお通夜、お葬式に行ったことがパフォーマンスになってしまうのではないか、そんな気持ちで真摯にこの問題について取り組んでいきたいというふうに思いますので、ぜひとも真摯に、今御努力いただいていることに敬意を払いますが、具体的にこの二十五分間で詰めさせていただきたいというふうに思います。

 まず、私、授業再開に向けての中身の質問をしたいのですけれども、その前に、体制について質問させていただきたいというふうに思います。

 今、山谷議員の方からもございました。その質問に対して、課長さんが現地に行っていろいろなところから、これをやってあげよう、これをやってあげようという申し入れのさばき、調整をしていくというような御回答が副大臣からございましたが、僕はそういう話じゃないと思うのですよ。

 今、僕の手元に対策本部、国の対策本部、大学の対策本部、現地の学校の対策本部、これは何も対策本部をつくらなくたって、例えば本部長でしたら学長がおやりになって、その下に副学長がおられて、その下に担当の教師がおられるという、普通の、平時の体制と何も変わらないというふうに僕は思うのですね。要するに、地域にあるのでしたら、やはり地域のそれなりの人が入っていかなければいけない。そして開かれた学校というのだったら、もちろんそれは先生も生徒もみんな入っているのですけれども、この中にPTAさんの名前もなければ父兄代表のお名前も入っていない。そう思うと、これはただの普通の学校の体制じゃないかと。

 確かに極限状態での体制でしたから仕方がないのかと思うのですが、これからはある意味復興という段階に入っていく中、やはりそれなりに、開かれた学校というならば、地域の教育力を高められるような、そんな体制があってこそ初めてしっかりとしたケアとかというものが長期的に維持できる、そんな体制になるのではないかというふうに思うのです。

 課長さんが行かれて何をしていただくつもりなのか、もう一遍ちょっとはっきり教えていただけますでしょうか。

岸田副大臣 先生御指摘のように、この対策において地域の理解や協力が大切だということ、おっしゃるとおりだと思います。

 そして、現地に行って何をするかということでありますが、まず明後日、保護者に対する説明会がございます。この説明会において文部科学省としての対応、これをはっきりとしっかり説明させていただき、また御要望を聞かせていただかなければいけないと思っております。

 加えて、先ほど、支援に対する苦情がいろいろあるという御指摘がありました。それに対応して、大阪府ですとか池田市、こうした関係者と接触をいたしまして、今後の受け入れ体制について意見交換をさせていただきたいというふうに思っております。

 もちろんその際に、心のケアのメンタルサポートチームの関係者ですとかあるいは学校関係者からの要望もしっかり受けとめなければいけない、そういった機会を持つように努力するよう指示をしたいと思っています。

大谷委員 これから、例えば心のケアのあり方についてだとか、また夏休み中のレクリエーションとか、いろいろと心のケアに関連した取り組みなんかがされていくわけですけれども、これは、だれがその内容を決めていって、だれが運行をしていくことになるのですか。

 もちろん僕は学校を中心として決めていくということではあるかと思うのですが、そのときに、学校の先生、二十数名現場におられます、また大学がございますから、専門の学者、経験者の先生方もたくさんおられます。しかしながら、この期間の中で疲労こんぱいであったり、また学校の立て直しであったりとか、いろいろ考えると、やはり足りないというふうに僕は思うのですね。それなりに、例えば副担任制度というようなものを授業再開に向けて持っていくとか、ある一つのチームみたいなものをつくっていって、全体で決めていかなければいけない。その全体は、学校の職員さん、関係者、専門家だけでなくして、地域の人も入るとかしていく必要があるというふうに思うのですね。

 要するに、何をするというふうに決めるのはどこで決めることになるのですか。対策本部で決めるのですか、それとも、それは学校が決めて、学校が対策本部に上げて、ああそうしよう、じゃあこれができるねという形になるのか。どんな組織図になるのかというのが少しわからないのですけれども。

中谷参考人 御指摘ありがとうございます。

 大学といたしましては対策本部を立ち上げておりますし、それから現地では現地対策本部を立ち上げております。私たちは、一番大切にしたいのは子供たちの心でございます、それから御遺族の御意思でございます。傷ついた子供たち、それからお父さん、お母さんたちの気持ち、そこを一番大事にして教育を進めていきたいというふうに思っております。

 したがいまして、大学がこうしろとかいう形では進めておりません。むしろ先生方それからメンタルケアの先生方、その方々が子供たちの心を酌みながら教育を進めていく、それから再開を計画していくということでございます。基本的にはそういう形でやらせていただいております。

大谷委員 それでは、どうやって子供たちや父兄の方々の御意見というものを、どんな場で、どんな会議で集約されていくのですか。

中谷参考人 お話しいたしましたように、すべての家庭をメンタルケアの専門家それから担任の先生が訪問しているわけでございます。その中の聞き取りとかそれからコミュニケーションの中で、子供たちが何を願っているか、どういう問題があるか、親たちは何を願っているか、そういうことを酌み取って判断をするわけでございます。

 先ほども御指摘がございましたように、むしろ教育の現場に携わっている者だから、また子供たちの精神について専門的に研究している人々のいわゆる意見を総合的に判断して方向を定めてまいりたいということでございます。

大谷委員 これから準備期間であったり、夏休みであるような期間の中、心のケアというものを中心にしたレクリエーション体制みたいなものを組んでいく、その中から子供の気持ちやまた親御さんの思いというものを酌み取っていくということだというふうに理解させていただいていいと思いますので、今、首を縦に振っていただいているので、そうさせていただきます。

 あと、中身について教えてほしいのですけれども、そのレクリエーションや、またそういう心のケアを中心にしたもの。また反対に、例えば高学年と低学年の子供、親御さんによったら思いがまた違うわけですね。五年生、六年生の人は次、中学校に行かなければいけない。この学校から私立に行こうと思っている方もおられたら、反対に、上の中学校に入れてもらおうと思っている方もおられる。また反対に、この学校から普通の公立に戻る、戻りたくないけれどももう戻ることになってしまうのかなと思う子もいろいろといると思うのです。そういう意味では、学力というか、勉強の場というものを心配する。子供自身も心配しているし、親も心配している。

 また反対に、小さな低学年の子になりますと、心の部分、友達とのつながりとかということがないことによって余計に不安になったりするようなことが出てくるかというふうに思うのですが、具体的なメニューは、何か現時点で大きな方向性だけでも考えておられるのでしょうか。また、どこら辺でそれを検討して、考えておられるのでしょうか。親の意見とかいうようなものは、最初の、上流の計画、構想段階の中でどこで酌み取っていただけるのでしょうか。

中谷参考人 お答えいたします。

 先生方のいわゆる子供たちとのコミュニケーション、それからメンタルケアの先生方のコミュニケーション、そういうものを総合いたしましてプランを立てているわけでございます。

 例えば、この場合に、本学では、一年生、二年生、とりわけ被害の大きかったクラスでございますけれども、ここではむしろ池田市内の公共施設を借用して、カウンセラーを中心にした形で小集団による指導をする。それから、三年生以上は、そんなに大きな被害はないというふうに思われるのですけれども、家庭訪問した限り、上級生の中にもいろいろな症状が出てまいっているわけでございます。したがいまして、一概に早期に授業再開とはいかなかった理由はそういうことがあるわけでございます。

 したがいまして、先生御指摘のように、学年ごとに応じた、または六年生になりますと若干進学のこともございますし、そういう意味では、その学年、また個々の子供たちの状況に応じた形の指導を今後してまいるつもりでございます。

大谷委員 済みません、どこでそのお話をこれからまたやっていくのですか。一巡、その家庭訪問は終わっていると思うのですが、あれは極限状態での家庭訪問だったというふうに思うのです。またもう一回家庭訪問をおやりになるのか、それとも、集めるのだったらどこに集めるのか。それは多分池田市の施設であったり、まさか柏原の大学の本校までお呼びになることはないというふうに思うのですよね。それはどうなのですか、物理的なところで考えると。

中谷参考人 家庭訪問は、今後も必要な子供に応じて、つまり個人個人に応じて続けます。したがいまして、現在五十五人の体制でございましたけれども、第二期目で人数の減少が若干ございますけれども、長期にわたって体制を組んで続けてまいるという予定でございます。これは、一カ月、二カ月ということの短期の計画ではなくて、一年または五年ないし十年、こういうふうなスパンで私たちは考えております。

 したがいまして、授業の再開とか、それから計画につきましては、いろいろな側面、それから御意見を参考にしながら、無理のないような形で進めていきたい、と同時に、逆に言うと、一部の皆さん方の希望も無視しない、いろいろな配慮はさせていただきたいとは思います。

大谷委員 今、五年、十年かけてでもやっていかなければいけないというお話でしたが、これはぜひ副大臣、御理解いただきたいのですけれども、学校をプレハブでつくって、とりあえずその後に新しい校舎をと、それをどこにしていくかという議論はこれからまだ、後でちょっとそれも質問したいのですけれども、それなりに心のケアをするような建物も、教室や給食室や図書館とはまた別にしっかりと考えてつくっておく必要があるというふうに思うのです。それは、仮校舎の話でももちろんそうですし、新しい校舎が数年後にできるようなことになっても、心のケアのできる場所というものをしっかりとつくっておく必要がある。場所というのは、そのシステムですよね、体制ですよね。

 これは例えば、今児童のお話ばかりになっているのですけれども、私の友人もこの先生の学校の父兄の中にいます。自分の娘が刃物を見た、恐ろしい光景を見たのかと思うと、自分の子供が刺されそうになったのかと思うと、自分の子供を心配する余り、その数日後、何日か続けて自分自身が刃物を持った男に追われているような夢を見ると。子供を心配する余り、自分も同じような夢を見てしまっている。学校の先生だってもっともっと恐ろしい経験をされたわけですし、その後、責任問題だとか、父兄会でもそうだったと思うのですけれども、学校の先生はそのときどう対応したのだなんというような質問も出てくる中、きっと心の傷というものが大きいと思うのですね。

 これは、保護者そして学校の先生にもそれなりの心のサポートというものを、ある意味長い時間をかけてやっていくような、長い時間をかけなくても治ればいいのですけれども、そんな長い時間をかけてでも見てくれるような体制を用意しておくことが早く治るようなことにつながるのじゃないかなというふうに僕は思うのです。

 ぜひとも副大臣におかれましては、授業再開の中には、普通の授業、日常にというふうに今山谷さんはおっしゃいましたが、その日常に早く戻るためにもそんな心のサポートをするという、口だけではなくして、物理的なものをどんと置いて、そこに人も、要するにそれはお金、予算的、財政的措置もということなのですけれども、しっかりとこのプレハブ校舎を建てていくというときにはセットにしていただきたいなというふうに思っています。

 これはハードの話を今お願いしているのですけれども、もうちょっとだけ、中身の方の、ソフトの方に戻りたいのですが、今後、例えば池田市もしくは大阪府内の何か施設を使ってレクリエーションをやるだとか、心のケアにかかわることをやるとき、やはりそれなりに何か地方自治体の方からの連携がないとできませんよね。僕は、やはり開かれた学校の対策本部はそれなりに地方自治体の方から入っていただく、地域のNPOさんとかボランティア活動さんの方からも入っていただく、その上での対策本部があってこそ、末永く質のいいものがつくれるというふうに思うのです。のど元過ぎれば何とやらで、これは半年もたったら報道がなくなり、気がついたら文部省の方も担当の課、局以外は忘れてしまっているようでは、僕は質のいい心のサービス、ケアというものはできないというふうに思うのです。

 学長自身は国の方ではある意味あられるのですけれども、どんな体制というものを今頭の中に描いていらっしゃるでしょうか。この対策本部、学校の、自分の今の仲間だけではなくて、広げてやる方がいいものだというふうにお考えでしょうか。

中谷参考人 お答えいたします。

 混乱の時期に多数の機関から御援助があったときに、それにつきましてうまく対応できなかったというふうに先ほど申しました。実はそのときは、混乱の中で、学校が、また先生方が、家庭訪問をしたり子供たちとの接触を大切にしたいというふうに思ったわけでございます。したがいまして、そのときはその申し出を受け入れる余地がなかったわけでございます。その意味で非常に心外な気持ちを持たれた、これは非常におわびいたしたいと思います。

 むしろ授業が、準備期間からぼちぼち助走期間に入り、本格的に再開になってまいりますと、ますます外部から、また地域の人々からの御援助が必要になるわけでございます。したがいまして、開かれた学校と申しますのは、むしろ学校と地域、またいろいろな団体との協力のもとで教育を進めていくということでございますので、これにつきましては、小学校長を中心とした形で運営してまいりたいと思いますので、今後とも多数の御支援、御協力をお願いいたしたいと思います。

 大学といたしましてもそのような部署を設けましたので、今後スムーズに展開していくというふうに考えております。

大谷委員 復興期に入ると思いますので、御苦労が多いかと思いますが、ぜひともそんな維持力、サステイナブルな、長いこと続くような体制でぜひとも頑張っていただきたいというふうに思います。

 あと、夏休みの過ごし方について教えてほしいのですが、これは普通の夏休みではないですよね。お父さんもお母さんも働いて、昼間おうちにおられない家庭も先生の学校の中にはおられます。普通の夏休みだったら、おばあちゃんが来てくれたり、地域の子と遊んだり、また、電車に乗ってお友達の家に行ったりということがあるかと思うのですが、ほっておけませんよね、この状況の中での夏休みは。その夏休みの過ごし方みたいなものはどんなふうに考えていらっしゃるのでしょうか。それなりに、場所みたいなものも要るのだったらこれは考えていかなければいけないし、ある意味、要望的なものも言っていただけたらというふうに思うのですが。

中谷参考人 夏休みのプログラムにつきましては、二十五日から始まります準備期間の中でその進行状況を見ながら判断するということでございます。これは先ほどお答えさせていただきました。

 それから、本学にも附属がたくさんございますので、そこからもいろいろな交流とか場所の提供がございます。大学にも来ていただきたいと思いますし、天王寺には、大都会の中でございますけれども、大きなスペースがございます。それから、本学では、ボランティア活動の申し出を受けまして、約七百名という組織が立ち上がってきております。したがいまして、今後は夏休みの行事の中でいろいろなものが工夫できるというふうに思っております。

 したがいまして、今どうこうするということは具体的に申し上げることはできませんけれども、学校また専門家のいろいろな意見を組み入れながら、夏のプランを考えていく、そういう計画をしております。次の二十四日の説明会には、そのことも説明させていただく予定になっております。

大谷委員 家庭によって環境は違いますので、なるべく父兄さんの御意見というものも取り入れるような形で、平場でごっととるだけじゃなくして、何かクラスごとに集まってとっていただいたりとか、ぜひとも御工夫をいただきたいというふうに思います。

 夏休みが終わって、二学期が始まっていって、プレハブで授業が始まっていく、そんな中、やはりそのプレハブの学校の安全とかを父兄さんはまた心配されているというふうに思いますし、さっきも言ったように、心のケアのための物的な一つの部屋をつくって、そこに人も財政も入れて、しっかりと長期にやっていくというようなことが必要じゃないかなというふうに思っているということを訴えさせていただきました。

 これは副大臣にぜひともお答えいただきたいんですが、校舎建てかえの方向で検討中ということでございますが、どこに建てかえるんですか。今の学校のところに建てかえるんですか、それとも、プレハブが建つ、教育大の分校のあった跡地に建てるのか。

 僕は、ぜひともここは、大臣、災いを幸に転じるようなぐらいの気持ちで、今これから、この事件での心のケアとかというものももちろん大事ですけれども、今この日本全国の中で、子供たちの心という部分についての問題がたくさん出てきているというふうに思うんです。そこをぜひとも解決できるというか、そこに何とか問題を前に進められるような施設的なものをここで一緒につくっていく。それが結果的に、ここの、附属池田小学校の児童たちの心のケアも、質のいいものを長いこと続けていける。そんな両立できるような施設みたいなことを考えて何か校舎を建てかえるという発想なのか、ただただ、今、つぶして新しいものを建てるというだけなのか。ぜひとも、その心意気みたいなものを、この校舎建てかえに向けて、訴えていただきたいんですが、教えていただきたいんですが。

岸田副大臣 先ほども申し上げましたように、関係者の理解を得て、ぜひ建てかえをしたいと思っておりますが、具体的にどこに建てかえるのかということでございますが、それも含め、そして今先生が御指摘されましたさまざまな点、ぜひ、学校、保護者、関係者の皆さん方の意向もしっかりと聞かせていただいて決定すべきものだと思っております。

大谷委員 もちろんそのとおりだというふうに思うんですが、ただ、こっちからこっちまでいろいろな意見が出てくるというふうに思うんです。例えば、この校舎を、私は又聞きをしただけですが、ある方は、残して、ある意味記念館的なものにしたらどうだなんというような意見があるというふうにも聞きます。また、反対に、そんなものはもう見るだけで嫌だという意見もあります。

 これはもう右から左、百八十度違った意見が今出ているような状況なんですから、一生懸命、学校の方向性というものを尊重しながら、父兄さんを尊重しながら、学校の中で決めていただくというのがベストの意思決定だというふうに思いますが、国としては、政府としては、どんなことになろうとも、しっかりと人的、財政措置も含めてやりますよ、校舎の建てかえ検討中というだけではなくして、どんなことになろうとも、学校が父兄さんと児童とそして地域の中で決めてきたことをしっかりと応援できますよというような心構えみたいなものは、しっかりと今打ち出しておく必要があるんではないかというふうに思うんです。

 それは、ただ単に今の校舎をつぶして新しいのを建てかえるというものから、また反対に、今プレハブ校舎が移る、大きな大きな国の持っている土地のところに、心のケアを中心にした、その附属池田小学校、それプラス教育大の施設のようなものが、心のケアの部分を研究できる機関みたいなものをつくれるぐらいの、何かそんな、どっちに転んでもしっかりできるぞというような心構えだけは、しっかり政府としてはここで明言しておく必要があるんではないかというふうに思うんですが、副大臣の心意気はおいかがでしょうか。

岸田副大臣 ぜひ、文部科学省としては努力していきたいと思っております。そのために、財政当局初めその関係者の理解をお願いしたいと思っていますし、そのために、委員の先生方、関係者の皆様方の絶大なる御支援を賜りますよう、心からお願いを申し上げます。

大谷委員 本当に、この問題に与党、野党なんてあるはずもなく、しっかりと連携させていただいて、頑張っていきたいというふうに思います。

 最後に、時間がなくなったんですけれども、委員長、一つだけ確認させていただいていいですか。

 今後、課長さんが今週末行かれて、その後、何か窓口的なものができるというふうに理解しておいていいんでしょうか。その窓口は、それなりに、報道を通じて、もちろん自治体にはそれなりの連携のパイプを通じて、発表があるというふうに考えていいんでしょうか。

 というのは、今三つ対策本部があります。その中で、例えば僕だったらどこにしたらいいのか、自治体の役所だったらどこにしたらいいのか、非常に困っておるんですが、どこに窓口みたいなものをつくるのかだけはっきりさせておきたいというふうに思うんです。

岸田副大臣 ぜひ、関係者と綿密に接触を図った上で、例えば大阪府、池田市、関係者の皆様方との窓口的な体制を、組織をつくりたいと思っております。

大谷委員 ぜひよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

高市委員長 都築譲君。

都築委員 自由党の都築譲です。

 六月八日、教育改革関連三法案の審議をしておりまして、午後の一番バッターということでしたが、あのとき、正午のニュースを拝見いたしまして大変びっくりいたしました。あのときの時点では亡くなった児童は四人ということでございましたが、その後の事態の悪化といいますか、判明した状況の中で、八人の児童が亡くなったということでございました。

 改めて、亡くなった児童の御冥福をお祈りすると同時に、御家族の皆様に心からお悔やみを申し上げたいと思います。また、被害に遭われた児童や教職員の皆さんに、お見舞いと、一日も早い回復を心からお祈りいたしたい、こんなふうに思っております。

 そしてまた、きょうは、大変お忙しい中を、中谷学長先生にはわざわざ委員会にお越しをいただきまして、本当に御苦労さまでございます。ぜひ、子供たちが本当に健やかに、これから回復をし、伸びていくように御尽力をお願い申し上げたい、このように思っております。

 この事件は本当にやりきれない思いがするわけでございます。やりきれないというのは、最近の異様な、犯罪というのが本当に無関係な人、何の落ち度もない人、そしてまた無抵抗な人、弱い人、こういった人を標的にして平然と行われるようになってきてしまったところに、どうも今の日本の社会の病弊があるのではないか、こんなふうに思うわけであります。

 今回の事件をいろいろな報道で拝見いたしますと、これだけ残忍、凶悪な犯人が、公然と犯罪を犯すんだという覚悟を決めて、そしてねらいをつけて、準備をしたら、一体どうやって逃げられるんだろうか、防ぐことができるんだろうか、そんなことを思うと、それこそ世も末の、本当にやりきれなさを思うわけでございまして、この事件に巻き込まれてしまった皆さんに心からお見舞いを申し上げたい、こんなふうに思うわけであります。

 ただ、政治の立場は、国民の全体の安心や安全や豊かさをどう守り育てていくのか、それが政治の役割ですから、やりきれないと悲嘆に暮れているわけにはいかないわけであります。幾つかの点を、私自身は実は、教育の専門家でもございませんし、また心理学の専門家でもありませんし、そういった意味で、今、文部科学省、そしてまた大阪教育大学、あるいはまた地元の皆さん、父兄の皆さん、さまざまな方たちが一生懸命お話しになられて取り組まれていることを、ぜひ、子供たちのためによかれと願うばかりでありますが、全体の教育行政の運営のあり方、あるいはまた、今回の事件でも心のケアの問題、さらにまた、今新聞でも報道されておりますが、こういった触法精神障害者、あるいはまたそれを偽装するような犯罪者の問題についてはぜひしっかりとただしていかなければいけないのではないか、こんな思いで、きょうは法務省、それから厚生労働省の方からも副大臣にお越しをいただいておるわけでございまして、恐縮ですが、また後ほど御見解を承りたい、こんなふうに思っております。

 まず第一点として、学校の安全性の問題、そして同時に、学校の開放性の問題について、お伺いをいたしたいと思います。

 学校は、本当に安心で、そしてまた子供たちが伸び伸びと成長できる場所として考えられるべき場所であります。だからこそ、いろいろな取り組みの中で、学校をオープンスクールにするとか、いろいろな地域の人たちが参加をして盛り立てていくのだ、こんな取り組みが行われてきたと思います。

 ただ、一方で、犯罪の動向、そういったものを見ますと、随分不安な状況も進展をしてきたわけでありまして、最近の事件でいきますと、京都市の日野小学校で児童が殺害をされるという事件もあったわけでございます。そういったことを考えると、過去十年間ぐらいを見渡してみて、全国で学校における、例えば不審者等が侵入してきた、あるいはまた学校で凶悪な事件が起こった、こういった状況というのはどういうふうになっていたのか、どういうふうに御認識をされておったのかを、まずお伺いをいたしたいと思います。

岸田副大臣 これは警察庁の統計資料でありますが、学校を発生場所とする刑法犯、過去十年間という御指示でございますので、平成三年と十二年を比較いたしますと、その間増加傾向にありまして、平成三年が二万七千件、平成十二年は三万六千件となっております。そのうち、住居侵入に該当する件数、これも増加傾向でありまして、これは平成三年に八百五十八件、これが平成十二年は一千三百五十五件となっております。

都築委員 ちょっともう一度、その平成十二年の約三万六千件と言われる数字、これは具体的にはどういう内容ですか。先ほど西議員からもたしか紹介があった、外部からの侵入事件として一千三百五十五件というのがありましたが、今副大臣が言われた平成十二年、三万六千件、これはどういう数字ですか。

岸田副大臣 この数は、学校を発生場所とする刑法犯の総数でございます。

都築委員 私が聞いておりますのは、そのうち平成十二年で、それこそ幼稚園、小中学校、高等学校、あるいはまた大学も含めて、凶悪な犯罪が七十五件、殺人事件が未遂も含めて約九件、そして強盗事件が八件、強姦事件が二十七件、あるいは放火が三十一件、こんなふうな状況と聞いております。

 そうすると、その三万六千件、学校を場所として発生した刑法犯の数、これについては、実際にはどういう態様になっておるのか。そしてまた、今の外部からの侵入事件ということを一千三百五十五件というふうに考えますと、ちょっと数字の状況が余りにも格差があり過ぎるのではないのかなと。そこら辺のところはちょっとどういうふうに――おわかりになりますか。

岸田副大臣 申しわけありません。これは、御質問を受けるということで警察庁から資料を取り寄せたのですが、その詳しい資料まで手元にありませんので、また確認いたしまして改めて御報告いたします。

都築委員 済みません、ちょっとそういった状況を確認したかったのですが。

 刑法犯の発生件数ということでいきますと、警察に通知をしない状況の中で、恐らく教職員の皆さん方が既に問題を解決してしまって事例としても上がってこないものもあるだろうということを考えると、実は膨大な数が発生をしている今日の状況だろう、こう思うわけであります。

 ただ、実際に本当に大きな問題は、私自身思いますが、先ほどから議論を聞いておりますと、学校の安全を守るためには、それこそ門扉を狭くするとか、あるいは高くするとか、塀を築くとか、さまざまな議論があります。銀座のど真ん中にたしか小学校がありました。以前ふらふら歩いておりましたら、もうあの銀座の小学校は十分高い塀と門で囲われて、そしてまた運動場はコンクリートで固まっているという状況で、都会の子供はかわいそうだな、こんなふうに思っておったのであります。ただ、現実に今の日本の社会がどんどん都市化が進んでいるという状況を考えると、恐らくあの銀座の状況に近いような問題が起こりつつある学校というのは、全国に相当数ふえてきているのではないのかなと。ところが、相変わらず今までと同じような社会全体に対する信頼、あるいはまた人間に対する信頼、こういった上で、実は十分な対応がとられていなかったのではないか。そんなところに警鐘を発したのが日野小学校の事件ではなかったのかな、こんなふうに思うわけでございます。

 先ほども、その予算の問題についてまで踏み込んで説明がありましたけれども、では、本当に学校の開放性についてどうするのか、そしてまた子供たちの安全を守るためにどうするのか。遠山文部科学大臣が新聞の記事でお話をされているのを私も見たのでありますが、やはり学校はみんなに開放された場所であってほしいという願いも申し述べておられるようでございまして、そこら辺のところをどういうふうに、本当に子供たちの安全を守りながら、しかし本当に地域の中に溶け込んで、健やかに子供たちが発展をしていくように取り組んでいかれるのか。そこら辺の文部科学省の御見解をちょっと聞かせていただきたいと思います。

遠山国務大臣 開かれた学校ということの大切さは次第に各地の学校でも認識されておりまして、そのこと自体は、私は大変重要なことだと思っております。

 学校が閉鎖的に地域の中にぽつんとあるのではなくて、地域社会の中で、子供たちを預かり、そこで専門的な教育をするという専門機関でございますので、地域の方々の理解と協力を得ながら、また、学校自体の姿勢としても、地域に開かれた、あるいは協力を得るという姿勢を持ちながら、これからの学校運営をしていくということが非常に大事だと思っております。

 一方で、今回のような本当に衝撃的な事件が起きまして、ただ開かれているというだけでは無防備でございます。そのことから考えますと、当然ながら、児童生徒を預かるという学校としては、安全確保が第一だと思います。

 したがいまして、今大変御心配をいただいて、御議論いただきましたようないろいろな角度からの案も参考にしながら、また各地の実情にも照らしながら、学校を安全に保つというのを第一条件にしながら、さはさりながら、学校が開かれた形で地域社会と連携をとっていくという姿勢、これも崩してはならないと思います。

 したがいまして、物理的にはきちんと、学校について不審者が入らないように、万一入ったときにはどうするかというような対策も十分とりながら、しかし、その活動の仕方においては、地元の地域社会との連携をとっていく、そのようなあり方について、抽象的にはそういうことだと思いますけれども、具体的に、ではどういうふうなことに留意をしながら開かれた学校の実態をつくっていくかにつきましては、私どもとしても、今後とも十分に検討してまいって、各地からのいろいろなケースでありますとか、専門家の意見も聞きながら、いい方途があれば、そういうことについて事例等を集約して、また各地にも指導助言してまいりたいと思っております。

都築委員 この事件の発生の後、類似の事件が起こり、杉並区の幼稚園で、これも点検が行われた結果、子供たちに被害が及ばずに済んだというケースもありますし、川崎市の取り組みといったものもラジオや新聞で報道されておるわけでありまして、ぜひ、そういったものについての取り組みを進めていっていただきたい、こんなふうに思うのです。

 先般、岸田副大臣、今回の対策本部の本部長から当委員会で報告をいただきました「大阪教育大学教育学部附属池田小学校事件への対応について」。「事件の概要」、「文部科学省の対応の経緯」、それから「事件への対応事項」ということで、この間出していただきました。

 ちょっと具体的な質問項目として掲げてなくて大変恐縮でございますが、この「事件への対応事項」の(5)で、「安全な社会のための政府全体の取組み」といったものが一番最後に掲げてございます。この「安全な社会のための政府全体の取組み」といったことは具体的にどういったものを念頭に置かれておられるのか。この間の、今申し上げたような川崎市の取り組みの例とか、さまざまな地域の取り組みの例もございますし、あるいはまた、ほかの関係の、役所との連携の問題もあるでございましょうし、いろいろなものがあるだろう、こう思いますが、具体的にどういった取り組みを進めていかれようとされるのか。何か今おっしゃっていただけるような項目がございましたら、ぜひ御説明を願いたい、こんなふうに思います。

岸田副大臣 この間の資料の中の「安全な社会のための政府全体の取組み」という部分についてでありますが、もちろん、文部科学省としましても、そのみずからの所轄する分野におきまして全力でこの安全対策に努力をしなければいけないわけであります。

 今回の事件に関しましては、学校現場、教育の現場のみならず、例えば触法精神障害者の医療措置ですとか刑事処分ですとか、こういったものがどうあるべきなのかとかいうような議論も起こっております。そうした学校以外の部分における社会の安全管理、こういったものもあわせて議論をしなければ本当の意味の対応にならないのではないか、そういった思いから、政府全体で安全な社会について取り組んでいかなければいけない、こんな問題意識を申し上げる意味で、この項目を挙げさせていただいた次第でございます。

都築委員 きょうは、法務省、それから厚生労働省の方からもお越しをいただいておるわけであります。触法精神障害者の刑法上の取り扱いについて、あるいはまた精神保健福祉法上の取り扱いについてどう対応するのか、大きく議論になっておりますし、小泉総理大臣からも検討の指示が出たという報道もなされておるわけであります。各論に入る前に、文部科学大臣に、この問題について閣議の中では実はどういうふうな議論が行われて、そしてまた、文部科学大臣として閣議の中の議論あるいはまた総理大臣への直接のお話の中でどんなことを要望されておられるのか、そこら辺のところを差し支えなければお話しいただけますでしょうか。

遠山国務大臣 閣議の中で直接この問題について議論されたものでは、ございません。ただ、この事件が起きました日の夕刻、経済財政関係の閣僚会議の後で、むしろ総理の方からのお話もあって、文部科学大臣と、それから国家公安委員長の三人がたまたま残りまして、この問題についていろいろ議論をいたしました。

 私としては、学校は一生懸命これからやるけれども、それだけでは十分対応できないというようなお話をいたしまして、個人的に、この社会の持っているいろいろな問題、特に残虐な事件が放置されてしまっているような問題でありますとか、いろいろ問題提起をいたしまして、そして安全な社会に向けてぜひとも取り組んでいただきたいというようなことをお話しいたしました。その流れで、今いろいろな、各省にもお願いしたようなことが起きていると思いますが、総理は大変この問題に強い関心を持っておられました。

都築委員 今大臣が言われたように、学校だけでは本当に対応できないような事件が起こっているんじゃないのかな、こんなふうな思いがするわけでございます。

 冒頭も申し上げましたけれども、触法精神障害者という名称で呼んでおりますが、むしろ本当の問題は、触法精神障害者を装って、偽装して、平然と犯罪を犯すような人が野放しになっていること自体が大変そら恐ろしいような状況ではないかと思うわけでございます。この点について、総理からの指示や、あるいはまた今までの検討の経過などを含めて、今、学校全体の安心、そしてまた、それが社会全体の安心につながっていく大きな課題であろうと私は思うわけでありまして、どういう御議論がそれぞれのお立場で行われているのか、法務省、厚生労働省の方から御見解をお伺いいたしたい、こんなふうに思います。

横内副大臣 委員の御指摘のように、大変に高い社会的な関心を集めている問題でございまして、この重大な犯罪を犯した精神障害者への対応につきましては、具体的な施策を早急に進める必要があるというふうに法務省としては考えております。

 まず、何といいましても、犯罪を犯すに至ったその原因が精神障害にあるわけでございますから、その精神障害を早期、適切に治療するということが基本でございますけれども、そのことを基本として、再び犯罪を犯すことがないように、精神障害に起因する不幸な事態が繰り返されないようにするための対策をとっていく。

 現在、厚生労働省と一緒に共同検討会というものを設けて、鋭意検討をしております。今後、各般の御意見を参考にしながら、国民に安心をしていただけるしっかりした仕組みをつくっていくように努力をしたいというふうに思っております。

桝屋副大臣 今回の事件、委員の方からはやりきれないという表現をされましたけれども、全く同感でございます。

 今回の事件の原因ということについては、これは私は捜査の推移を見守っていかなければならないというふうに思っております。一つは、今回の事件の本当の原因がどこにあったのかということ、これはこれできちっと見ておかなければならない、こんな思いでおります。

 その上で一般的なお話をいたしますけれども、精神障害者による犯罪、これが最近特にふえているかというと、それはそれで必ずしもそうではないと思っているわけでありますが、ただ、精神障害者によりますその犯罪が重大な犯罪になるということ、これもまた確かでありまして、このような事態というのは、被害者あるいは加害者、双方にとりまして大変不幸な事態であると考えております。

 この問題、随分いろいろなところで議論されております。私どもの大臣、坂口大臣がいつも言っておりますのは、私ども厚生労働省が所管をしております精神医療の世界、これはもう委員も恐らく御案内のとおりだろうと思いますが、ただいまの病状に応じて、いわゆる自傷他害、自分を傷つけたり他人を害したりということに対しては、それは措置入院でありますとか、あるいは同意を得て保護入院、医療保護入院でありますとか、そういう対応策はあるわけでありますけれども、ただ、犯罪を犯すかどうかというこの判断は、なかなか現在の精神保健福祉法の世界では難しいということが率直にあると思うんですね。

 そういう意味ではいろいろ、今回の事件の中でも議論されておりますが、法務省の施策と私どもの施策の間に谷間があるのではないか、こういう批判もあるわけであります。そういうことを考えますと、重大な犯罪を犯した精神障害者につきましては、治療を継続し、また犯罪を予防する、そういう観点から、司法との連携による適切な医療を確保するための方策あるいは治療の継続を確保するための方策、さらには地域でのケアの体制のあり方などについて、これはさまざまな角度から慎重に検討しなければならない課題であるというふうに思っております。

 ただいま法務副大臣の方から対応策をというお話がございましたけれども、現在、法務省と、それから私ども厚生労働省、一月から実はこの問題でずっと議論をしております。一つはこの議論をきちっと続けてまいりまして、できるだけ早期に一定の方向性を出していきたいというふうには考えているところでございます。

 以上でございます。

都築委員 ありがとうございました。

 伺うところによると、いわゆる精神障害者で措置入院を受けている方たちは、自傷他害のおそれがあるということで、ただそのほとんどは自傷、いわゆる自殺のおそれがあるということで措置入院をされているというふうなお話も聞くわけでありまして、そういった人たちに対していたずらな偏見を持つということは、かえって本当にいけないことではないか、こんなふうに思うのです。

 ただ、残された一部の人たち、あるいはまた、先ほどから申し上げているように、実は精神障害を装った、偽装した異常な犯罪者が、犯罪が発生をしたけれども、検察の段階で不起訴、措置入院、そして一カ月入院したら、もう治りましたということで野放しになってしまう。こういう状況こそが実は大変危険な状況をもたらしているのではないか、こんなふうに思うわけであります。

 検察官のお立場、これは私もよくわかりませんが、また文部科学委員会で言うような話ではないのかもしれませんが、検察官の段階で議論をとめてしまうのではなく、むしろ裁判まで上げて、正式な判断を裁判所から仰ぐような仕組みに変えていっていただくことの方が、より国民の皆さんの安全に対する期待といったものにこたえるのではないのかな、こんな思いがするわけでございます。少し度を越した意見かもしれませんが、ぜひお酌み取りをいただきたい、こんなふうに思っております。

 それでは、心のケアの問題について、もう時間がほとんどございませんが、ぜひ幾つかお伺いしたい、こう思っておりました。

 本当に、事件に巻き込まれた子供たちは悪夢を見たような思いで、その悪夢にまたうなされるというふうな状況も聞きますし、また家族の皆さんの心労も大変ですし、また同時に、子供たちと一緒にいた先生方、なぜ救い切れなかったのかという大変な後悔の念に実はさいなまれている方たちもたくさんおられるのではないか、こんなふうに思うわけでございまして、ぜひ、そこら辺の状況。

 それから、学校制度の矛盾と言ってはなんですが、学校制度としてはいかに効率的に子供たち全体をうまく、うまくというか、立派に成長してもらうように運営をしていかなければいけない。ただ、子供たちの発達年齢というのはそれぞれ異なっている。小学校二年生だったら、満八歳になった子もいればまだ満七歳にしかなっていない子供もいて、一年間のギャップが物すごく大きいわけでありまして、それぞれによってその対応も全然違ってくるのではないのかな、私自身こんなことを思うと、本当にその複雑さがある。しかし、だからといって、全部面倒を見て本当にきめ細かくやれるかといったら、とてもじゃないけれども、そこまではいけないところもあるのかもしれません。

 だからこそ、そういったところで、学校の対応として、ぜひみんなで、この被害に遭った事態、この状況をうまく乗り越えるような努力をしていっていただきたい、こんなふうに思うわけであります。

 そこら辺について、ちょっと抽象的な質問で恐縮でございますが、児童や家族の皆さん、教職員の皆さん、こういった方たちの全体としての取り組みと、それからまた、個別に特にケアを要する人たちがいずれ出てくるし、残っていくのかもしれない、そういうことを思うとどう御対応いただけるのか、そこら辺についてお話を聞きたいと思います。

池坊大臣政務官 今までの報告によりますと、専門家からの報告で、やはり症状は、現場にいた二年生、それから、見ておりませんけれども動揺を受けた三年生、それぞれが違っているというふうな報告もございます。それからまた、教員たちの、オーバーワークでもあるし、自分たちが何にもしてあげられなかったのじゃないかというような心の痛みがあったりして、人がそれぞれ抱えております悩みというのはまた違っております。ですから、それに応じた心のケアがこれからは必要になってくるのだというふうに思っております。

 先ほどもずっとお話がございましたように、今までは、五十五名体制の中で、教員と臨床士の先生が二人一組になりまして児童たちに対応してまいりました。でも、これからは、そうではなくて、それぞれ個別の状況に応じて判断することが大切と思います。心のケアは、むしろこれからこそが問題になっていくのではないかと思っておりますので、その辺はきめ細やかにやってまいりたいと思っております。

 また、地元の御支援をいただきますのも、むしろこれからではないかと思っておりますので、地元との連携をとりながら対応してまいりたいと思っております。

都築委員 ぜひしっかりとした対応をそれぞれお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

高市委員長 石井郁子君。

石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。

 中谷参考人には、大変な状況の中で当委員会においでいただきまして、本当にありがとうございます。また、御苦労さまでございます。

 突然の惨劇とはいえ、教室の中で子供たちの命、八人もの命が奪われました。また、周りの子供たち、傷を負った子供たち、本当に深い傷を与えたわけでございます。私は、こういう事件に、悲しみとともに、心からの憤りを抑えることができません。御冥福を祈りながら、関係者の方々、御遺族の方々へのお見舞いをまず申し上げたいと思います。

 私自身、もう十数年前にもなりますけれども、教育大に籍を置いた者といたしまして、同僚の皆さん方の御心痛、本当にお察しをしているところでございます。事件の夜、私も小学校を訪ねたところでございまして、その教室、そこに足を踏み込むことはできませんでしたけれども、本当に生々しさに胸が震えました。

 私は、まず最初に、何の罪もない子供たち、未来ある子供たちの命が失われた、犠牲になったわけですから、しかも、これは教育大学の附属で起こったという事件として、やはり国として関係者のあらゆる御要望にこたえるということは、第一にやらなきゃいけない当然のことだと思うのです。この基本姿勢について、大臣のお考えを伺っておきたいと思います。

遠山国務大臣 今回の事件に対する思いにつきましては、あの事件を聞きまして後の私の対応、それから、あの日の午後二時に開会されましたこの委員会で談話を発表いたしましたけれども、そのときに述べました気持ち、変わらないものでございます。

 文部科学大臣といたしましては、今回の事件については三つの立場があろうかと思います。一つは、設置者として、国立の大阪教育大学の附属学校で起きた問題についてどう対応するか、これについては、全力を挙げて十分に取り組む。そして同時に、全国における小中学校、高等学校も含めまして、学校の安全管理の問題についてもどうやるかということでございます。そしてまた、閣僚の一員として、日本の社会を安全にどう保っていくべきかというようなこと。

 第三につきましては、ただ要望するしかないわけでございますが、今お話しの、第一の点につきましては、これまでも十分できる範囲でやろうという姿勢でやってまいっておりますが、今後とも、学校からの要望あるいは大学からの要望も十分に踏まえて、保護者の方々のお気持ちも十分踏まえて、この問題について十全に対応してまいりたいと思っております。

石井(郁)委員 中谷参考人に伺いたいと思います。

 先ほどのお話の中でも、事件後さまざまな対応をしていらっしゃるということがよくわかりました。

 しかし、やはり現場はいろいろなことがあると思うのですね。教職員の皆さん、そして保護者の方々からいろいろな御要望もあるかというふうに思うのです。

 そういう御要望の中で、やはり国としてこういう点はもっと目配りしてほしい、あるいはこういう点を改善してほしいというようなことがあるかと思うのです。そういう点がございましたら、この席でお聞かせいただければと思います。

中谷参考人 こういう、あってはならない事件が起こったわけでございますから、学校も、それから保護者の方々も、非常に戸惑っているわけでございます。戸惑うというよりも、むしろ驚きが大きいわけでございます。それにつきまして、文部科学省は迅速な対応をしていただいたと私は判断いたしておりますし、感謝申し上げたいというふうに思っているわけでございます。

 事件の起こりました当日、池坊政務官が駆けつけてくださいまして、夕方から深夜までにわたりましてすべての病院を回っていただきましたし、それから、家族とともども涙を流していただきました。

 岸田副大臣には保護者説明会に来ていただきまして、文部省の御意向を伝えていただくとともに、御質問を受けていただきました。これは非常に好評でございました。

 遠山文部科学大臣には、即座に談話を発表していただきまして、文部省の姿勢を示していただきました。

 こういう迅速な対応のもとで、私たちも全力を尽くしたつもりでございます。しかしながら、保護者の方々はいろいろな要望を持っておりますけれども、私は、この二週間余りの動きを見ておりまして、学校の方針に対してほぼ納得というか、同意をしていただいているように思います。

 大学といたしましては、文部科学省が非常に心温まる措置をとっていただいたことについて感謝いたすわけでございますけれども、学校の再開とか安全な学校づくりのためには、幾つかのことをやはり要望しなければならないというふうに思っております。

 それは四つぐらいにまとめることができます。

 一つは、とりあえず学校の授業再開に当たりまして、仮校舎の建設が急務でございます。これにつきましては御努力を願っているところでございます。

 二つ目は、授業再開をするわけでございますけれども、心の傷を持っておりますし、先生方も傷ついております。その中で、一人一人の子供たちの心の動きを読み取りながらきめ細かな指導を行うためには、現在の教員の数では足りないということで、非常勤講師を複数配置していただかないといけないだろう、こういうふうな御要望がございますし、さらに、心のケアを必要とする子供たち、また保護者のためには、いわゆるカウンセラーを常設していただかないといけないだろうと。それから、心の傷を持ったり、いわゆる負傷している子供たち、それから恐らく健康上、体の不調を訴える子供たちがたくさん出るのではないかと思われます。したがいまして、養護教諭の増員配置をお願いしたい、こういう人的な御要望を二つ目にさせていただきたいなと思っております。

 それから三つ目は、何と申しましても現校舎等の施設を全面的に改築していただきたいということでございます。これにつきましてはいろいろと御努力願っていることでございますので、今後とも協議をさせていただきたいと思いますけれども、風紀を一新して、学校安全のモデル校にいたしまして世界に発信したい、これが本校の教訓でございますし、願いでございます。

 最後、四つ目は、これは世界で初めての事件、それから前例のない、いわゆるケアを長期的に必要とするケースでございます。したがいまして、本学にメディカルケアセンターなるものを設置して、このような不幸な事態は二度と起こってはならないのですけれども、しかし、不安な社会の中でまた起こり得るかもしれない、そういう事態にも対応できるような研究と、それから実践を兼ね備えたそういうセンターの設置、本学に設置して、本学が中心となって社会に貢献できる、そういう大学にしたいなというふうにも思っております。

 以上でございます。

石井(郁)委員 いろいろ具体的な御要望もいただきまして、ありがとうございます。そういう実現に向けて、私もぜひ努力をしたいという思いをいたしております。

 具体的にちょっと伺いたいのですが、今既に始まっているメンタルサポートチーム、五十五人で立ち上げていらっしゃるということですけれども、これについても、これはもう全面的に国の財政的な支援もあってされているというふうに理解していいかと思うのですが、そのことと関連して、やはり先ほど来出ておりますように、心のケアの問題というのは、今すぐというよりも、むしろ時間がたってからの問題もあるのだということですよね。だから、長期的にわたるというふうに思うのです。そういう点で、本当に国としてメンタルケアということをしていかなければいけないということ、そういう立場でしていらっしゃると思いますけれども、それを伺いたいことが一点。

 そういうことで言いますと、やはり今国が何をしているのかというのが必ずしも見えない状況も実はあるのですね、皆さん努力をされているのですが。例えば、池田市民の皆さんが、市民で基金を立ち上げて、そしてできるだけのことをしようという話が出ているのではありませんか。それから、教育大の学生がボランティアで何かしてあげたいというようなことで、これはきのうの新聞報道でしたか、あると思います。

 だから、そういう市民の、学生の熱意、また大学挙げてのいろいろな取り組みということからしますと、本当に国がもっともっと支援というものを、見える形で今しなければいけないのだと思うのですが、それがどうなっているのかということですね。特に、メンタルサポートチームということをずっと継続されていかれるのかどうかという問題で、いかがでございましょうか。今のは、参考人と両方出てお答えいただければと思います。参考人からもぜひお伺いしたい。

中谷参考人 今回の事件で本当に感動いたしましたのは、メディカルサポートチームの立ち上げの早さでございました。大阪府とか、それから池田市を中心としたグループが集まってくださいまして、そして五十五名という体制になりました。これは公的に派遣された方々もおられますし、それからボランティアの方々もおられます。それから本学の教員もございます。大きく三つに分かれておりました。

 当面はそういう形で立ち上げたわけでございますけれども、一期が終わった形で、今度は、中期ということ、または長期ということでございますので、本学の教官が中心となって計画を立てております。

 どのような形でボランティアとか、それからそういうメンタルケアに携わっている人々に対してお返しをするか、お手当てをするか、つまり交通費も含めて何か考えることができるかということでは、いろいろと向後考えていきたいと思うのですけれども、その意味では、基金とか、それからいろいろなそういう行動も出てきておりますので、それはそういう形で対応いたしたいというふうに思っております。

 数字的に申しますと、六百三十七件のうちの四分の一くらいに症状が出ているということでございますので、かなり後で出る、一年後にも出るというふうなこともございますので、このあたりは、今後長期的な形で見ていかなければならないということでございます。その意味で、本学の教官たちが中心となって今後計画を立ててまいりたいというふうに思います。

 場合によっては、文部科学省に対しても御要望をしなければならないのではないかというふうに思っております。

    〔委員長退席、鈴木(恒)委員長代理着席〕

岸田副大臣 長期的に対応していかなければいけないという御指摘、そのとおりだと思います。被害に遭った当事者が一年生、二年生、幼い児童生徒であるということを考えましても、そういった児童の年齢的なもの、表現能力の関係で、後からさまざまな現象、兆候があらわれてくる、こういったことは予想されるそうであります。こういった認識のもとに、長期的に対応したいと思っております。

 そしてその中で、先ほど中谷学長の方からの要望の中で、カウンセラーとか人的な常設支援の要望がありました。こうした人的な支援につきましても検討をしていかなければいけないと思っております。

石井(郁)委員 世界に例のないというか初めて起こった事件だということでございますし、それが我が国の国立学校で起こったという点でも、文部科学省としては、やはり関係者の御要望はすべてくみ上げて万全の体制をとるということで取り組んでいただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。

 さてそこで、少し具体でございますけれども、やはり今、学校の安全をどう確保していくのかということに緊急に体制をとらなければいけないというふうに思うのですね。先ほど来の御質問の中でも出ていましたけれども、昨年一年間に、幼稚園から大学まで、学校内で起きた凶悪事件が七十五件、そのうち九件が殺人事件だということでございます。また、侵入事件等々も相当あるという話でございました。だから、今日本の社会がやはりこういうところに来ているという、これはもう現実ですから、ここに立って考えなければいけないわけで、やはり、学校に安全点検を呼びかけるだけでは済まない、国としての抜本的な対策が求められているというふうに私は思うわけでございます。

 今回の事件に対しまして、大臣は緊急アピールを出されました。保護者や地域の人たちに学校巡回などを呼びかけたわけでございます。私たちも、開かれた学校づくりはもう前提だというふうに思います。その上で、学校の安全確保をどうしていかなければいけないのかと。いろいろ知恵も要るところだし、やはり信頼のできる大人を子供たちの周りにつくっていかなければいけない、保護者と地域の人たちの協力が必要なことはもう当然だと思うのです。学校の教職員も、そういう立場でいろいろな取り組みをされるというふうに思うのです。

 しかし、今やはり問題は、学校の職員が本当に子供たちに向き合えるのか、安全のための体制をとれているのかということなんです。学校の職員はずっとこの間、いわば行革以来、人が減らされてきたでしょう。公立小学校の警備員、校務員は一九八〇年当時、だから二十年前、それと比べますと、激減と言っていいぐらい少なくなっているんです。半減していると見ていいと思います。だから、いわば不審者に対してどう防ぐのかというのに人的な配置が非常にないという状況があるんじゃないでしょうか。

 私は、警備員だとか校務員は国庫負担の対象として考えるときにもう来ている、配置するようにすべきだというふうに考えますが、文部科学省、いかがでございましょう。

池坊大臣政務官 今石井委員がおっしゃいましたように、行政改革の一環として、国家公務員のうち技能労務職員などについては、昭和五十年以降、原則採用を行わないという政府全体の方針に伴い、国立の附属学校においても、用務員や警備員等の数は減少しているのが実情でございます。

 参考に申し上げますと、用務員は、昭和五十九年、二百八十二人だったのが、平成十二年、百三人になっております。警備員は、昭和五十九年、百三十二人だったのが、平成十二年、四十五人になっております。

 なお、参考までに申し上げますと、教員については、教員一人当たりの児童生徒数は、昭和五十九年の十八・六人に対して、平成十二年度では十七・三人と、逆に改善されているところでございます。

 ただ、これは安全管理から問題があるのではないかという御指摘でございますけれども、民間への委託によって警備員を派遣したり、あるいは防犯カメラを配置したり、あるいは地域社会との連携によって、PTAの協力を得て、警備や、子供たちを守るいろいろな、それぞれの事情に応じて小学校で対策を練っていただいております。私たち文部科学省といたしましても、これから、安全管理の徹底のために必要な支援はしてまいりたいと思っております。

 用務員は確かに減少されましたが、それが即安全管理の問題になるかと言われましたら、むしろいろいろな方法もあろうかと思っております。

石井(郁)委員 報道によりますと、防犯カメラの設置を地方交付税に盛り込むことも検討されているというふうに伺いました。しかし、防犯カメラがあっても、それを見る人がいなきゃ困るんです。そうでしょう。そういう人が果たして学校にいるのかどうかなんです。

 昨年一月に、これは旧文部省が、幼児児童生徒の安全確保及び学校の安全管理についての点検項目を出されました。ちょうど京都の日野小事件の直後でございますね。来校者の確認ということを挙げられているんですよ。でも、学校の方に聞きますと、今、教員、職員は本当に余裕がない。例えば、教員の皆さんというのは休み時間だって子供との対応をしているでしょう。次の授業時間の準備をしているじゃないですか。では、だれが来校者に応対するかというと、管理職の方になる。その管理職の方は、校長も教頭の方も出張が非常に多い。そうなんですよ、学校の現場は。だれが確認するんですか。確認する人がいない。だから、こういう点検項目を挙げられても実現が不可能だという声があるんですよ。

 私もその点検項目を見せていただきましたけれども、本当にこれは文部科学省らしいなと。先ごろ、教員のチェックリストのことが問題になりましたけれども、たくさん、細かく項目がございます。でも、本当にこれはできるんだろうか。できていない状況がいっぱいあるんじゃないですか。ですから、やはりちゃんとそういう具体的な体制、保障を伴わないと、こんなチェックリストを幾らつくったって対応できませんよ。

 それで、私は、警備員はぜひ置く、あるいは校務員などが必要ならば置くということを考えるべきだということが第一点であります。

 それから、具体的にですけれども、今回の事件からさまざまな教訓があるかと思いますけれども、やはり、今、学校がもう安全ではなくなったという状況があるんですから、非常ベル、回線電話、こういうものがぜひ欲しい、警報装置が欲しいという点では、これは直ちにつけるべきだ。教室と職員室とを結ぶ装置、あるいは教室から非常ベルでそこの危険を発信するというようなことで、最低限必要だと思うのです。

 この人的な面とそういう条件整備の面で取り組むお考えがあるかないか、これを文部科学省に伺っておきたいというふうに思います。

岸田副大臣 まず、人的な面について御質問がありました。

 昨年一月に文部科学省として、安全管理の点検項目を全国の学校に通知をいたしました。その三十九の項目につきまして今御指摘をいただいたわけでありますが、まずもって、今回の事件後、この安全項目の再点検を全国に指示したわけであります。

 この安全項目につきましては、最大限その確認をして実施をしていただくよう努力していただく、これは重要なことだと思っております。そういった努力によって、例えばこの間の杉並区の幼稚園におきましても、児童に危害が加わることを防げたというような評価もあるわけですから、まずもってこの項目の実施は努力をしていただかなければいけないとは思っております。

 しかし、そういった中にあって、今、現実、世の中も大きく動いている、この項目が果たして現実に適応しているのかどうか、こういった御指摘があるのも当然だと思っております。そういったことから、六月いっぱいでこうした点検項目を確認していただくと同時に、この安全点検につきまして全国の学校から意見をいただくよう、今努力をしております。その中で、この点検項目がなかなかできないとしたならば、どうしてできないのかという理由、さらには、この点検項目自体が本当に時代に合っているのかどうかというような意見、こういったものをしっかりと吸収していきたいと思っております。その上で点検をするわけですが、その中で、今御指摘がありました人的な面においても改善する必要があるかどうかの判断をしていかなければいけないとまず思っております。

 それから、物的な面につきましては、さまざまな設備につきまして補助制度や地方財政措置の検討を進めております。これにつきましては、こうした個別の対応における支援につきまして、総務省と財政支援を行える方向で今協議を進めているところでございます。

石井(郁)委員 もう時間もなくなりました。ぜひ、全国からのそういう御要望、実態を踏まえて、そして必要な手を打っていただきたいということを強く要望しておきたいと思います。

 国立大学の附属の実態も同時に今考えなきゃいけないんですね。今私が質問しましたのは、公立学校、一般校の話であります。国立大学の附属小学校がどういう実態になっているかというと、これまたひどく状況が悪いということがあるんですね。

 何よりも、クラスの人数が四十人学級で置かれている。これは私も驚きましたけれども、三十八人、三十七人。四十人のクラスもある。三十九人のクラスもある。池田の小学校、一学年三クラスですけれども。だから、四十人目いっぱいとらなきゃいけないというふうに国立はなっているんですよ。しかし、クラスの担任は、副担任は置いていない、一人です。それから、養護教諭がありません。先ほど参考人から、ぜひ養護教諭を置いてほしいという話がありました。教員の配置は国立なのに非常に手薄だ、これではやはり困るでしょうという問題があります。この点でも本当に、今定数削減などが行われていますけれども、そういう職員の削減、校務員の削減などはやるべきではないということをちょっと強く申し上げておきます。

 私は、本当に時間がなくて、きょうはこの話だけで終わりたくなかったのです。というのは、今回の事件を通して、今社会的に大変な不安が引き起こされています。子供たちの安全が守れない社会というのは一体どうなっているのかという問題があると思うのです。この事件についての真相解明はこれからですけれども、被疑者について言えば、やはり池田に進学したかった、それから、自分は常々エリートを自称して、いろいろな会社の社長とか病院の医師とかの名刺もつくっていたという、ゆがんだエリート意識がこの中にかいま見られるんですね。私は、この一連の問題で、なぜ子供がねらわれるのか、なぜ学校がねらわれるのか、これはやはり考えなきゃいけないことがある。つまり、今の教育の仕組み、そこにやはり一つの要因も見ておかなきゃいけないのじゃないかというふうに思うのですね。

 そういうことで、ぜひこれは最後に大臣に伺っておきたいのですけれども、大臣談話の中の最後に、これは大臣自身が手を加えられたというお話でございますけれども、「最近大人社会において、残虐な事件が頻発している風潮がみられ、学校だけでは対応できない事態に鑑み、社会全体でこうした卑劣な行為を断じて許さないとの思いを共有していただきたい」というふうなことでございます。まさに社会全体が取り組まなきゃいけないことはあるのですが、やはり教育の問題として見直すべきこともあるのではないか。子供たちが、青年が本当に十全に育っているのかどうかという問題、そして自立した大人として育っているのかどうかという問題があると思うのです。

 昨年は、十七歳の犯罪ということが相次いだわけでしょう。いずれも共通しているのは、自分には未来がないとか挫折感に打ちひしがれているだとか、そういう子供の姿があるわけでしょう。私はここに、やはり日本の教育がこのままでいいとは思わないわけです。これは、もうずっとこの委員会でも審議をしたとおりでございまして、そういう問題としても大臣にぜひ、文部科学大臣だからこそそういう問題にやはり向かっていただきたいというふうに思うわけでございますが、時間が参りましたので、御答弁をいただいて終わりにします。

    〔鈴木(恒)委員長代理退席、委員長着席〕

遠山国務大臣 そこに書きましたような問題意識、そして最終的にはやはり教育のあり方というものが見直されなくてはならないと思っております。

 この委員会は、いかに学校を、豊かな心、豊かな人間性を持ちながら本当の力を持っていく子供たちをどう育てていくかというようなことについて御審議いただいておりまして、私どももそのような気持ちを持ち続けながら、日本の教育のさらなる進展のために皆様と一緒に力を尽くしていきたいと思っております。

石井(郁)委員 終わります。

高市委員長 山内惠子君。

山内(惠)委員 社民党の山内惠子でございます。

 今回の事件は想像を絶する事件だっただけに、現地の皆さん、教育関係者の皆さんは本当に大変な日々を過ごされていると思います。きょうは、できれば小学校の先生のお声も実際にお聞きしたかったとは思いますけれども、お忙しい中、学長がいらしたということですので、学長に最初に質問をさせていただきます。

 メンタルケアのために多くの方たちが駆けつけてくださったというお話でしたので、精神科医その他、どんな専門の方が来られたかというのが一つ目の質問です。

 それから、この方たちで、継続していてくださるというような方たちもその中にはいらっしゃるのかが二つ目です。

 それから三つ目のところでは、この池田小学校は全市内から子供たちが通っているのではないかと思いますので、平均通学時間はどれぐらいの子供たちでしょうかということが三つ目です。

 四つ目に、池田小学校のこの事件で教職員の皆さんも不眠不休で大変な日々を過ごされていると思います。火事場では大変な力が出るという言葉があるぐらい、本当に、自分の心の中の問題を考える暇もなく不眠不休の活動をしていらっしゃると思いますので、この方たちが計画的な休養、休日ということができるように、先ほどは十一の園があるとおっしゃっていましたので、その意味での休養の計画的なことも考えていらっしゃるのかということでお聞きできればと思います。よろしくお願いいたします。

中谷参考人 すべての御質問に対してちょっとうまく聞き取れなかったので、抜けましたところにつきましては、また後で説明させていただきます。

 メンタルケアチームの構成でございますけれども、精神科医、それから臨床心理士、それからいわゆるスクールカウンセラー、そういういろいろな方々で構成されております。

 それから、二番目は少し後でということで。

 通学範囲は、池田市の全市域、豊中、箕面、それから大阪市の淀川区でございます。それから川西市、伊丹市、宝塚市でございまして、学校が定めておりますのは、通学は一時間以内ということでございます。

 それから、今回の事件が起こりまして、先生方、教職員の方々、疲労こんぱいの状態でございます。本学といたしましては、六月十六日以降、本学に保健管理センターがございますので、そこの医師を現場に派遣いたしまして、四日間かかりましたけれども、全員の内科検診と、それから健康上のアドバイスをいたしました。

 それで、十七日には、事件対策に必要な最低の人数だけ残して、あとの先生方には強制的に、休みなさいという形で指示を出しました。十七日は日曜日でございますけれども、連日ずっと長時間勤務をいたしております先生方には、ぜひ休暇をとってもらいたいというふうに思っているわけでございます。

 しかしながら、先生方は、教師としての児童に対する責任感とか使命感、これが非常に強くて、この場において子供たちのいわゆるケアをできるのは自分たちだけだ、こういうような形で毎日過ごしております。なかなか休暇を申し出ない、出られない、そういうことでございます。

 私は、その精神はありがたいのですけれども、先生方も倒れられたら困るということで、その意味で、今後は、ボランティア等の協力も得ながら、また他の附属の先生方の協力も得ながら、先生方が健康を保つことができるような整備を図ってまいりたいというふうに思っております。

 二番目の質問、もう一度繰り返していただけませんでしょうか。済みません。

山内(惠)委員 どうもありがとうございました。時間の関係上、今のお答えで、ありがとうございます。

 学校の先生方、教職員の皆さんは、今おっしゃられたように申し出ることはしないと思います、大変な事件ですから。その意味では、計画的な休養ということをぜひ考えていただきたいと思います。

 今回のような事件があると、新聞報道にもありますように、心的な外傷後ストレス障害というのが、もう今、目の前でトマトジュースを見ると血を思い出して飲めないという子供たちの声なども出ているというふうにお聞きしていますだけに、このようなことは、例としては、サリンの事件とか大震災の後、直後よりも数年経てから出てきたということも出てきているだけに、このチームが今だけではないということが必要だと思います。

 今回のような事件が本当に二度と起きてほしくない。しかし、もう既に類似の事件が出てきている状況にもあるだけに、文部科学省に今度は質問いたします。

 この専門性を持っている、特に精神科のお医者さんの数は大変少ないと聞いていますけれども、国として、この対応できる組織、チームを発足させる計画があるのかどうかということと、あわせて、都道府県レベルでいえば、国立の医大があるわけですから、その大学の協力も得てこのようなチームをつくる必要があると考えていますが、いかがでしょうか。

遠山国務大臣 心のケアの問題の重要性につきましては、再三御質問もあり、また御答弁を通じながら、その問題の重要性について共有をしていると思います。

 いろいろな対応があり得ると思いますけれども、今当省でどういうことをやっているかということで御説明いたしますと、一応、心のケアということでこういう冊子もつくっておりますが、これはどちらかといいますと大震災後の状況に対応するためのケアでございました。今回のような、思いがけない事件でございましたけれども、あのような事件に対応して、そのストレスに対してどう対応するかということにも照らしながら、これをもっと充実したものにしていきたいということがございます。

 それから、今お話しのように、この心のケアの問題につきましては、それぞれの地域でかなり長期的に対応しなければならないということでございまして、どこかに国が何かつくって済むというような話ではございません。その意味では、まだ多々、これもいろいろ知恵を絞りながら今後考えていかなくてはならないと思っておりますけれども、それぞれの地域で心のケアに当たることのできる専門家のリストアップを常時してもらっておくとか、今後、いろいろな方途を探りながら、そのことに対応する方策について考えていきたいと思っています。

山内(惠)委員 今までこのような事件、こんなにひどい事件はなかったわけですけれども、大体は自治体が行うことで来たと思います。

 でも、このような社会ですから、このような事件が本当に二度と起こってほしくないという願いは強くありますけれども、心のストレスの問題のケアという意味では、精神科のお医者さんも少ないという状況にあるだけに、国としてこの対策をしっかり立てていただきたい、そして、各県ではどうあるべきかも考えていただきたいというのが強い要望としてありますので、よろしくお願いいたします。

 それから、こういう事件について特効薬はあるのかといえば、本当にあらゆることをやるしかないのが今当面かと思います。その意味の一つとして、先ほど石井議員も言いましたけれども、学校の中は、教職員がいなくなるときに警備会社と連動するかぎをかけて無人化というのが全国の学校状況だと思いますが、子供たちが遊んでいる、勉強している、そういう学校の場にはやはり人の目が大事だと思います。その意味で、これは教育的な視野に立って、正規の学校職員として配置をすることを大変強く望みます。

 その意味で、この学校職員としての配置を今後検討される気があるのかどうかをぜひお聞きしたいと思います。短くお願いいたします。

岸田副大臣 学校の警備員の話ですが、今、全国の学校に対しまして安全点検項目について意見を集めさせていただいております。こういった意見を踏まえまして、今後安全対策としてどうあるべきなのか、昨日省内に検討会議も立ち上げたところであります、こうした仕組みの中で現場の意向をしっかりと吸収していきたいと思っております。

 そういった中にあって、警備員の配置というのも安全確保のために一つの有効な方法だと思いますので、多分、その議論の中で検討項目の中には入り得るものだと思っております。そしてその結果、必要であれば財政措置の可能性も考えていきたいと思っております。

 ただ、今先生の御質問の中で、正規の公務員としてということでありました。正規の公務員としてということになりますと、現下の厳しい財政状況等を考えますと、極めて困難ではないかなというふうに判断しております。

山内(惠)委員 学校現場にはいろいろな職員がいます。給食を担当する方もいれば、草を刈ったりする方たち、いろいろな方たちがいるのですけれども、あえて、この警備という言葉で民間へということだけはぜひやめていただきたいと思います。その日その日に子供たちの顔を知らない人たちが来る状況こそ、もっと心配なことだと私は思います。

 今回、子供たちが給食のおじさんと間違ったという声が新聞報道にあったのですけれども、学校にいる職員の皆さんが、やはり学校の職員として位置して、職員会議の場に出席をして、それも、全員じゃなくてもいいのですよね、給食の方たちの代表者、栄養職員の代表者、いろいろな形で、学校が何をしているかをわかっていること、そして子供の命を本当に守ろうと思ってくれる警備員の配置が大変重要だという意味で、概算要求の段階に入ると思いますけれども、基本的には正規の学校職員としての配置が最大の問題として特効薬に近い意味があると思います。そのことはぜひ要望として、文部科学省としても概算要求に出していただきたいという意味で意見を申し上げました。

 もう一つ、四十人以下学級か三十人以下学級かという論議をしたこの間の委員会を思い出しますけれども、私は、あのとき安全の問題からも言っておくとよかったと思う体験をしています。

 大きな地震があったとき、戦後の教育でしたから、クラスの人数も四十人よりはるかに多かったと思いますが、そのとき、大地震で隣の中学校の集合煙筒が倒れるというような地震だったのです。そのときの担任は、みんなに廊下に出なさいと言った後に、六年生でしたけれども、しがみつかれて動けない状況にあった。その教室にはストーブもありましたから、その上に蒸発皿というお湯の入るのもありまして、後ろにいた私たちの友人と、必死にその揺れる蒸発皿をおろして閉めて出た記憶があります。

 こういう状況の中で一人の担任が子供を掌握できる数というのは、本当に三十人でもう限界だと思っています。行く行くは二十人学級の必要があると思います。

 それから、池田小学校は全市、池田市だけでないところからも通っているということを考えると、この子供たちの安全は、学校の中で門を高くし、かぎをかけ、カメラをつけてという安全では本当に対応できることではないと私は思います。事件は、例えばいじめ、不登校の問題だって大人社会の鏡だと言われている状況にあります。その意味で、このような形の教育のあり方がいいのかまでもしかしたら問われるのではないかということも含めて、あるべき学校開放を積極的に進めるというときに、特効薬ではない漢方薬としての論議もこれからは必要だと私は思っています。特に、子供たちを地域で支えるということが重要だと思います。

 その意味では、今回、実は川崎市が子どもの権利条例をつくっていたということで大変事件への対応も早かったのではないかと想像できます。今回の教育委員会が対応した文書を見せていただきましたら、似たような事件が起きては困るということもあってだと思いますけれども、この中で既に集中的に、実施期間を六月の十三日から七月の十九日までとして、川崎市内の百十四校を対象に、PTAのOBや教職員関係者のOB、または保護者、地域の方からの申し出を含めて、一日四人のパトロールということで、教育委員会としては一校当たり十万円の予算まで配置をして、一人一日八百円、半日の場合は四百円というふうにして、地域の皆さんの協力を得てパトロールを進めているということは大変大事なことだと思います。

 その意味で、文部科学省に私は子どもの権利条約のことを随分言いましたけれども、子供ということを考えるとき、学校の中だけの安全ではなくて、地域で子供を育てるのだという発想があって初めて通学の子供たちも、例えば小さな事件でも、このごろは余りにもあるので万引きなんかも、この子を注意をしたり学校に報告をするのも、忙しい状況にあって見逃される例まであるような状況もあるとお聞きしていますが、そういうような町づくりではなくて、町づくりはどうあるべきかにも、子供が参画をしてこの川崎市の条例はできたと聞いています。

 その意味で、文部科学省としては、子供を地域で守る発想で、子どもの権利条約を子供のものであり地域のものとする取り組みが大変重要だというふうに思いますので、私も質問したいことがいっぱいありますので、そのことをどのように考えていらっしゃるかをお聞きしたいと思います。子供を地域で支える意味の、地域の住民の連携強化の意味での安全対策をどう考えていらっしゃるかという質問です。

池坊大臣政務官 それぞれの地域によって、子どもの権利条約を生かされて、子供たちを地域社会、家庭が一体となって守っていらっしゃるのは大変好ましいことだというふうに思っております。

 私も、もはや学校だけで子供を守ることはできないと思います。そして、特効薬というのはなくて、子供たちを健やかに育てるためにはさまざまな漢方薬が必要であって、それによって子供たちは健やかに育っていくのだというふうに考えております。ですから、警察がパトロールするとか、あるいはPTAのお力をおかりするとか、またいろいろな方法で、各教育委員会との連携の中で行っていただきたいというふうに考えております。

 ただ、今はPTAのお力も、私どももPTAの方々にお願いいたしておりますけれども、働く女性が多くてなかなかそこまでは手が回らないよというお声もまたございます。今の現状に合わせたさまざまな支援状況というのが考えられていかなければいけないと思っております。

山内(惠)委員 ありがとうございました。

 子供たちを地域で守り、そして育てていくという発想の根本に子どもの権利条約を置いてほしいということが一つで、地域に任せるということではなくて、その意味での文部科学省のリーダーとしての御意見をいただきたかったのが一つ目です。

 それからもう一つ、お母さんたちが働き出してと言われますけれども、地域には、何もお母さんだけではなくて、たくさんの方たちが暮らしているわけですから、先ほど一つ言い忘れましたけれども、学校の警備員にしても、退職した先生方もたくさんいるわけですし、それから別な意味でPTAにかかわった方もいるわけですから、この警備員の採用に当たっても、そういう教育を考えられる方に来ていただきたいということを含めて、時間がなくなりましたので、ぜひ子どもの権利条約を文部科学省が地域に広げることも含めた、町づくりの視点で、子供の教育の視点で、地域の教育力の回復という意味でもそのことの視点が重要だということを言わせていただきました。

 最後に、時間がなくなりましたので、一つは大至急答えていただいて、もう一つ大きい質問があります。現行の日本体育・学校健康センターの災害共済給付制度の内容がどのようになっているかという点についてです。

 残念ながら今回亡くなられた方たちに対しての補償がどのようになっているか、あわせて、かつては年金分ぐらいの支給もできた時代の安全保障だったのですが、現状はどうだったかを、恐れ入ります、短い時間でお聞かせいただきたいと思います。

池坊大臣政務官 この災害共済給付は、医療費の支給として、保護者の自己負担分全額に治療に伴って要する費用を加算した額を支給し、また、児童生徒に障害が残ったり死亡した場合には、障害見舞金最高三千三百七十万円、死亡見舞金二千五百万円の支給を行うこととなっております。

 また、災害共済給付制度の内容については、これまでいろいろと改善を行っているところでございます。最近では、平成十一年度に改正を行っております。死亡見舞金二千百万から二千五百万にいたしました。障害見舞金は、六十一万円から二千八百三十万円を七十三万円から三千三百七十万円にしたところでございます。また、医療費の支給期間を五年間から七年間と、それぞれ大幅に改善を行っているところでございます。

 これからも、社会情勢などを踏まえて、随時改善が行われるように努力してまいりたいと思っております。

山内(惠)委員 時間の都合上、ここはわかりましたということで、次に行きたいと思います。本当に、時代、社会の状況に合わせて再検討も期待しています。

 最後の質問ですけれども、今回の事件の容疑者である宅間容疑者のことを報道されたときに、私は、先日の教育改革関連法案の中での問題行動を起こす子供の出席停止のことが、突然頭に思い浮かんだ問題でした。

 その意味では、私も今、報道を通してしかこの容疑者のことがわかりませんので、十分正確なことを質問することはできないのですけれども、一つは、佐賀のバスジャックの事件があったときに、あの刃物を突きつけられた方で証人に立った方の発言が忘れられないのがあるのです。

 刃物を突きつけられながら、自分はこの少年を殺人犯にしてはならないという思いで彼を見詰めていた、それは自分の子供が不登校であったからだと。結果として、彼女は証人に立って、少年法の罰則規定を強化する側には反対の発言をされました。

 私は、今回のこの青年が、この事件に至るまでの原因が何であったのかの究明を、警察だったり、厚生省もなさっていくことにつながっていくとは思いますけれども、これはやはり教育の視点から、この子供がなぜこのような生い立ちをしてきたのか、学校においてこの子はどうだったのかということも含めた原因究明は、文部科学省こそしていただきたい問題だと思います。

 こういうような事件を起こす子供を生まない社会のためにも、この原因究明は大変重要だと思います。この子が家庭でどうであったのか。小学校でのこの子の願いに対してどんな対応ができたのか。この子は、もしかしたら、もっと別な夢や希望を伸ばすことができていれば、この事件につながらなかったのではないか。

 そのときに報道の中にあったのは、エリート校に対する思い入れと恨みというふうに記事には書いてありましたけれども、このエリート校的な発想も、やはり文部科学省として今後考えなければならない問題を含んでいると思います。

 その意味で、原因究明についてお答えいただきたいと思います。

岸田副大臣 今、原因究明あるいはさまざまな事実の確認につきましては、各関係省庁、関係者が努力をされておられるわけであります。

 文部科学省としましてもまた、先生がおっしゃったような問題意識も持ちながら、その事実を把握すること、これは重要なことだと思います。

山内(惠)委員 子供たちが伸びたいとする芽を温かく支援する社会、大人社会をこそ希望するとしたら、子どもの権利条約が全国に広まり、大人たちが温かい目で子供の成長を支援する社会が望まれますので、ぜひ今回の事件をしっかりと分析していただきたいと思います。

 発言を終わります。

高市委員長 中谷参考人におかれましては、本日は大変貴重な御意見を賜りまして、委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。

 また、委員の皆様とともに、お亡くなりになりました児童の皆さんの御冥福をお祈り申し上げ、心身に傷を負われた児童、教員、また関係者の皆様に対しまして心からのお見舞いを申し上げます。

 そして、本日賜りました御意見を参考にしながら、私たちは、国会活動を通じまして、本日の参考人の御足労におこたえいたしたいと思います。

 まことにありがとうございました。

 次回は、来る二十七日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十九分散会




このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.