衆議院

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第2号 平成14年2月26日(火曜日)

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平成十四年二月二十六日(火曜日)
    午後零時十二分開議
 出席委員
   委員長 河村 建夫君
   理事 斉藤斗志二君 理事 鈴木 恒夫君
   理事 田野瀬良太郎君 理事 増田 敏男君
   理事 平野 博文君 理事 山谷えり子君
   理事 斉藤 鉄夫君 理事 武山百合子君
      小渕 優子君    岡下 信子君
      近藤 基彦君    高市 早苗君
      谷垣 禎一君    谷田 武彦君
      中野  清君    馳   浩君
      林田  彪君    二田 孝治君
      松野 博一君    松宮  勲君
      宮本 一三君    森岡 正宏君
      大石 尚子君    鎌田さゆり君
      中津川博郷君    中野 寛成君
      藤村  修君    細野 豪志君
      牧  義夫君    牧野 聖修君
      山口  壯君    山元  勉君
      池坊 保子君    西  博義君
      佐藤 公治君    石井 郁子君
      中西 績介君    山内 惠子君
    …………………………………
   文部科学大臣       遠山 敦子君
   文部科学副大臣      青山  丘君
   文部科学副大臣      岸田 文雄君
   文部科学大臣政務官    池坊 保子君
   文部科学大臣政務官    加納 時男君
   文部科学委員会専門員   高橋 徳光君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十六日
 辞任         補欠選任
  杉山 憲夫君     宮本 一三君
  鎌田さゆり君     細野 豪志君
同日
 辞任         補欠選任
  宮本 一三君     杉山 憲夫君
  細野 豪志君     鎌田さゆり君
    ―――――――――――――
二月二十六日
 教育条件改善特別助成など私学助成の大幅増額と小中高校三十人学級の早期実現に関する請願(菅野哲雄君紹介)(第三二一号)
 同(大石正光君紹介)(第四四二号)
 三十人学級、私学助成拡充に関する請願(古賀一成君紹介)(第三二二号)
 私学助成の大幅増額、教育費の父母負担軽減、教育条件の改善に関する請願(原口一博君紹介)(第三三六号)
 小中高三十人学級の早期実現、私学助成の抜本的拡充に関する請願(原口一博君紹介)(第三三七号)
 学校事務職員・学校栄養職員の定数改善と給与費等半額国庫負担の拡充に関する請願(阿部知子君紹介)(第三七五号)
 私学助成の抜本的拡充等行き届いた教育に関する請願(家西悟君紹介)(第三七六号)
 育英会奨学金制度の充実に関する請願(石井郁子君紹介)(第三七七号)
 同(児玉健次君紹介)(第三七八号)
 私学助成拡充と三十人学級の実現に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第三七九号)
 私学助成の拡充と三十人学級の実現に関する請願(伊藤英成君紹介)(第四四三号)
 すべての子供に行き届いた教育、私学助成大幅増額に関する請願(大森猛君紹介)(第四五六号)
 同(田中慶秋君紹介)(第四五七号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――
河村委員長 これより会議を開きます。
 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
 この際、文部科学大臣から所信を聴取いたします。遠山文部科学大臣。
遠山国務大臣 第百五十四回国会におきまして各般の課題を御審議いただくに当たり、私の所信を申し上げます。
 我が国の社会経済情勢は、かつてなく厳しい状況の中にあり、あらゆる分野で二十一世紀を見通した抜本的な改革が求められております。今後、我が国が真に豊かで成熟した国として発展し、世界の平和と繁栄に貢献していくためには、国家百年の計に立ち、人材・教育・文化大国と科学技術創造立国を目指した改革を進めることが極めて重要です。
 私は、教育、科学技術・学術、文化、スポーツの振興を未来への先行投資と位置づけ、施策の一層の充実を図り、国民の大きな期待にこたえていくことが、今、文部科学省に課せられた使命であると考えております。
 このような認識のもと、以下のような事項についての施策を総合的に展開してまいります。
 我が国が明るい未来を力強く切り開いていく、その担い手は、まさしく人であります。日本人としての誇りと自覚を持ち、新たなる国づくりを担うことのできる、創造性や豊かな人間性に富んだ人材を育成することによってこそ、初めて我が国は二十一世紀に活力ある国家として発展し、世界に貢献していくことが可能となります。このため、私は、人材・教育・文化大国の実現が我が国の存立基盤の構築にとって極めて重要な課題であるとの認識に立って、初等中等教育の充実や大学の構造改革を初めとする教育改革に取り組むとともに、文化やスポーツの振興を通じ、心豊かで活力ある社会の構築に努力してまいります。
 教育は国の根幹であり、一国の将来は教育にかかっていると言っても過言ではありません。新しい世紀を迎えた今日、世界の多くの国々が真剣に教育改革に取り組んでいるのは、まさにこのような認識によるものであると思います。
 我が国ではこれまで、二十一世紀教育新生プランに基づき、学校がよくなる、教育が変わることが実感できるような教育改革を実現するため、必要な法改正等を行うとともに、各般の施策を講じてまいりました。これにより、それぞれの地域、学校等においてさまざまな取り組みが展開されてきておりますが、引き続きその推進に努めてまいります。
 また、昨秋、教育振興基本計画の策定と教育基本法のあり方について中央教育審議会に諮問したところですが、今後、教育の目指すべき姿とその実現のための施策や新しい時代にふさわしい教育基本法のあり方について、国民的な議論を一層深めてまいります。
 国民の学校教育への信頼にこたえ、教育改革を推進していくためには、子供たちの確かな学力の育成と心の教育の充実が極めて重要です。
 本年四月からは、全国の小中学校において新学習指導要領が全面実施となります。確かな学力の向上のためには、少人数授業や習熟度別指導などきめ細かな指導により、基礎、基本やみずから学び考える力を身につけさせるとともに、発展的な学習により一人一人の個性等に応じて子供の力をより伸ばすこと、学ぶことの楽しさを体験させ学習意欲を高めること、また、学びの機会を充実し学ぶ習慣を身につけさせることが大切です。あわせて、確かな学力の向上のための特色ある学校づくりの推進が必要となります。こうした観点に立って、本年一月に学びのすすめと題するアピールを公表し、新学習指導要領のねらいとする確かな学力の向上のための取り組みを学校等にお願いいたしました。
 各学校や教育委員会においては、それぞれの学校段階の特性や学校、地域の実態を踏まえ、創意工夫を生かした取り組みを進めていただきたいと考えております。文部科学省としても、そのような取り組みを積極的に支援する観点から、新しい教職員定数改善計画を着実に推進するとともに、発展的な学習への支援や総合的な学習の充実、学力向上フロンティア事業や学校いきいきプランの活用を初め、読書活動の推進、教育の情報化等の各般の施策に取り組んでまいります。
 次に、子供たちの豊かな人間性の育成を目指し、心の教育の一層の充実を図ってまいります。子供たちに、善悪の判断や社会のルールを守るなどの基本的な規範意識を身につけさせるとともに、他者を思いやる心をはぐくみ、主体的に判断できる力を備えさせることは、子供たち個人の人生にとって不可欠であるばかりでなく、秩序ある心豊かな社会の実現のためにも重要であると考えます。このため、心に響く道徳教育の充実に努めるとともに、ボランティア活動など社会奉仕体験活動、自然体験活動等の豊かな体験活動の推進、家庭や地域の教育力の活性化、完全学校週五日制の実施に向けた子供たちのさまざまな活動機会や場の拡大などに取り組んでまいります。
 また、スクールカウンセラーの配置の拡充など子供たちの問題行動等への適切な対応を図ります。さらに、青少年の健全育成のための施策や、心のケアなど健康教育の一層の推進、厳しい就職状況を踏まえた進路指導の強化、幼児教育や障害のある児童生徒に対する教育の充実を図ってまいります。
 教育の成否は教師にかかっております。このため、教員免許制度の改善や十年経験者研修制度を創設するための法改正を初め、養成、採用、研修を通じた教員の資質向上を図るとともに、優秀な教員に対する表彰制度についての調査研究を推進します。一方、適格性等に問題がある教員については、分限処分や懲戒処分、教員以外の職への転職措置等を厳正に適用するよう、各教育委員会に対し強く求めてまいります。
 また、保護者や地域住民の信頼にこたえ、地域に開かれた特色ある学校づくりを推進するため、学校における自己評価システムの確立や小中学校の設置基準の明確化等を行うとともに、学校の取り組みを支え、地域に根差した教育行政が展開されるよう、教育委員会の一層の活性化を図ります。さらに、学校の安全管理の徹底等に努めてまいります。
 今後の我が国経済社会の発展を図るとともに、人材・教育・文化大国と科学技術創造立国を実現するには、知の創造と継承の拠点である大学の役割が極めて重要であります。
 既に一九九〇年代以降、各大学において大学改革への努力が着実に進められてきておりますが、その流れをさらに加速し、我が国の大学が、それぞれの特徴を生かしつつ、教育や研究等の上で、より活力に富み国際競争力のあるものになることが強く求められています。そのような前提に立って、昨年、大学の構造改革なくして日本の発展と再生はないとの認識のもと、大学の構造改革の方針を明らかにいたしました。このうち、国立大学の法人化については、専門家の会議における検討結果を待って速やかに対応するとともに、国立大学の再編統合については、各国立大学における検討状況を踏まえつつ対応を進めてまいります。また、第三者評価により国公私を通じた世界的教育研究拠点の形成を支援してまいります。
 さらに、この方針でお示しした施策にとどまらず、これまで講じてきたさまざまな大学改革のための方策を引き続き推進するとともに、各大学の自律的な取り組みを支援しつつ、教育研究基盤の整備や教育機能の充実、法科大学院についての検討、育英奨学事業など学生への支援、私学助成の充実等のさまざまな課題にも、積極的に取り組んでまいります。
 人々が生涯にわたり自己実現を図っていくためには、生涯のあらゆる時期に学習機会を選択して学ぶことができ、その学習の成果が適切に評価される生涯学習社会の構築が重要です。このため、生涯学習の環境整備や大学、専修学校等における社会人のキャリアアップのための教育を推進します。また、男女共同参画社会の形成、環境教育や人権教育の充実に努めます。
 文化は、人々に感動や生きる喜びをもたらし、人生を豊かにする上で大きな力となるものです。昨年成立させていただいた文化芸術振興基本法等を踏まえ、文化を大切にする社会の実現に努めてまいります。このため、新たに文化芸術創造プランを推進し、世界トップレベルの文化芸術の創造、世界に羽ばたく新進芸術家の養成や子供の文化芸術体験活動の充実を図ります。また、国民が文化ボランティアなどによりみずから積極的に文化芸術活動に参加し、文化芸術を創造することのできる環境の整備や、地域における文化芸術の振興、伝統文化の継承、発展や文化財の保存、活用、国語施策の推進等に取り組みます。著作権制度については、情報通信技術の発達や国際的動向を踏まえつつ、その改善を進めてまいります。
 明るく豊かで活力に満ちた社会を形成するため、国民のだれもが身近にスポーツに親しむとともに、競技者がスポーツに打ち込むことのできる環境を整備するべく、スポーツ振興基本計画に基づき、生涯スポーツ社会の実現や我が国の国際競技力の向上、学校の体育・スポーツ活動の充実に努めます。
 また、五月三十一日から、日韓共催による二〇〇二年ワールドカップサッカー大会が開催されます。これは、アジアで初めての大会であり、世界じゅうから大きな注目と期待を集めているものであり、ぜひとも成功させなければなりません。政府を挙げて、その準備に万全を期してまいります。
 続きまして、科学技術創造立国の実現についてであります。
 科学技術は、日本経済の成長を支え、希望ある未来を切り開く原動力です。知の世紀と言われる二十一世紀において、高い科学技術水準は国力の枢要な源泉であり、我が国の将来の盛衰を決するかぎとなるものでもあります。
 このような認識のもと、文部科学省としては、国の科学技術関係予算の六割強を所管し、政府における研究開発の中核を担う立場にあることを踏まえつつ、科学技術創造立国の実現に向け、精力的に取り組んでまいります。
 昨年の三月には、第二期科学技術基本計画が閣議決定されました。本基本計画の柱は、基礎研究の推進や国家的、社会的課題に対応した研究開発への優先的資源配分などの科学技術の戦略的重点化と、すぐれた成果の創出、活用のための科学技術システムの改革です。
 文部科学省としては、この基本計画の方針を踏まえながら、科学技術及び学術の振興のため、創造性に富んだ世界最高水準の成果を生み出すための研究と開発を総合的に推進してまいります。
 昨年、名古屋大学の野依教授がノーベル化学賞を受賞されました。一昨年に引き続き二年連続で日本人がノーベル賞を受賞し、我が国の基礎研究が世界から高く評価されたことは、大変喜ばしいことであります。
 研究者の自由な発想に基づく基礎研究は、あらゆる分野の基盤となる重要なものであり、その成果は、新たな知を切り開くとともに、社会発展の基礎となるものであります。このため、大学等における基礎研究費の充実を図るほか、大学共同利用機関等を中心とした天文学、加速器科学等の先端的、独創的研究を着実に推進してまいります。
 また、我が国が直面する国家的、社会的課題を解決し、経済や産業の活性化による経済発展を達成していくためには、重点分野への積極的、戦略的な投資を行うことが重要です。知的資産の増大や経済的、社会的効果への寄与が特に大きい、ライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料等の重点分野の研究開発を積極的に推進するとともに、その成果の社会還元を図ってまいります。具体的には、たんぱく質の解析研究における激しい国際競争をリードし、その成果を新しい薬の開発に活用していくためのタンパク3000プロジェクトへの着手や、産学官の研究活動をより効率的に行うためのナノテクノロジー総合支援プロジェクトの創設などに取り組んでまいります。
 我が国の科学技術活動を高度化し、その成果の社会における活用を一層促進するためには、科学技術システムの改革を行うことが重要です。競争的な研究開発環境の醸成を目指して、科学研究費補助金を初めとする競争的資金の改革と拡充、研究開発に係る評価システムの充実を図ります。大学発のイノベーション創出を促進し、大学における創造的な研究成果を広く社会に役立てていくための産学官連携の抜本的強化、研究開発能力の拠点づくりを目指した知的クラスター創成事業など地域における科学技術の振興についても強力に進めます。また、国立大学等施設緊急整備五カ年計画の着実な推進を初めとする大学などの研究施設の重点的整備にも努めてまいります。
 さらに、科学技術の進歩を支えるすぐれた研究者、技術者の養成確保に努めるとともに、広く国民に科学技術に関する理解を深めていただくために、科学技術・理科大好きプラン等を通じた科学技術・理科教育の充実、昨年開館した日本科学未来館の活用などを図ってまいります。なお、生命倫理などの課題についても、適切に対応してまいります。
 安心、安全で、質の高い国民生活を実現していくためには、国の存立にとって基盤的な分野における研究開発についても、積極的に推進していくことが必要です。
 宇宙開発については、昨年八月のH2Aロケット試験機一号機に続き、去る二月四日に試験機二号機を打ち上げました。これにより、人工衛星の打ち上げを確実に実施するための技術基盤を獲得できたものと考えます。引き続き、実績を一つ一つ積み重ねながら、信頼性のさらなる向上を最優先に、ロケット開発を着実に進めてまいります。また、国際宇宙ステーション計画など種々のプロジェクトを推進するとともに、宇宙開発事業団等いわゆる宇宙三機関の統合により、宇宙の研究開発を一段と効率よく効果的に行う体制を構築してまいります。
 原子力については、大強度陽子加速器等の大型加速器の先端的な研究開発を引き続き精力的に推進してまいります。高速増殖炉及びそのサイクル技術の研究開発についても、安全確保を大前提に、国民の皆様の理解と協力を得つつ進めてまいります。ITER計画については、核融合エネルギーの実現に向け、密接な国際連携のもと、引き続き積極的に取り組んでまいります。
 また、自然災害に強い社会を目指すため、地震、火山噴火等の防災対策に関する研究開発の充実強化を図るとともに、海洋、地球、環境に関する研究開発を推進し、多様な資源、空間のさらなる活用や、気候変動のメカニズムの解明を図ってまいります。
 我が国が世界の平和と安定の確保のため積極的な役割を果たし、日本人の心の見える国際協力を推進する等の観点から、国際教育協力懇談会の提言を踏まえた開発途上国への教育協力、日韓、日中を初めとする国際文化交流の推進、留学生交流の拡大、科学技術の国際協力活動の展開、アフガニスタン復興支援など各分野の国際協力や国際交流を推進します。
 以上のほかにも、特殊法人等改革、公益法人改革、規制改革等の行政改革や地方分権の推進など重要な課題が山積しております。国民の強い期待を真摯に受けとめ、文部科学行政全般にわたり誠心誠意取り組んでまいる決意ですので、委員各位におかれましても、特段の御理解、御協力を賜りますよう心よりお願い申し上げます。(拍手)
河村委員長 次に、平成十四年度文部科学省関係予算の概要について説明を聴取いたします。青山文部科学副大臣。
青山副大臣 平成十四年度文部科学省関係予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 平成十四年度予算の編成に当たっては、厳しい財政状況のもとではありますが、我が国が本当の意味での豊かな国として発展し、世界の平和と繁栄に貢献していくためには人材・教育・文化大国と科学技術創造立国を目指し、教育、科学技術・学術、文化、スポーツの振興を重点的に推進していくことが不可欠であるとの観点から、文部科学予算の充実に努めたところであります。
 文部科学省所管の一般会計予算額は、六兆五千七百九十八億一千五百万円、国立学校特別会計予算額は二兆七千八百二十八億七千九百万円、電源開発促進対策特別会計予算額は一千五百三十九億五千六百万円となっております。
 以下、平成十四年度予算における主な事項について、御説明申し上げます。
 第一は、確かな学力の育成や豊かな心の育成などを図る初等中等教育の改革と充実についてであります。
 子供たちに基礎、基本を確実に身につけさせ、みずから考える力を育成するきめ細かな指導を目指す第七次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画を着実に推進することとし、その二年次分として五千三百八十人の改善を行うこととしております。
 また、新たに学力向上フロンティア事業などを実施し、すべての子供たちに確かな学力の育成を図るとともに、幼児教育などの充実に積極的に取り組むほか、スクールカウンセラーや心のせんせいの配置、サポートチームづくりなどの生徒指導の充実や、社会奉仕・自然体験活動を推進することにより、心の教育の充実を図ることとしております。
 さらに、学校運営の改善や教員の資質向上を推進するほか、公立学校の施設整備について、老朽化した校舎の改築、改造や安全管理対策施設の整備などを行うとともに、学校における安全管理の徹底に取り組むこととしております。
 第二は、地域、家庭の教育力の再生と生涯学習の推進について、完全学校週五日制の実施も踏まえ、放課後や週末における子供の活動支援を行うとともに、学校内外を通じた社会奉仕体験活動などさまざまな体験活動の推進体制を整備するほか、子育て講座の全国展開など家庭教育支援の充実を図るとともに、青少年の健全育成を推進します。
 また、高等教育機関において、キャリアアップを目指す社会人の受け入れ体制を緊急に整備することとしております。
 第三は、大学の構造改革の推進と二十一世紀を担う人材の育成についてであります。
 我が国の大学が国際競争力を有する大学となるためには、大学の構造改革を一層進めることが重要であり、国立大学の再編統合を進めるほか、第三者評価による国公私を通じた世界的教育研究拠点の形成のための重点的支援を行うこととして、百八十二億円を計上しております。
 また、専門大学院の充実など、大学院を中心とする教育研究基盤の強化に努めることとしております。
 さらに、育英奨学事業については、教育を受ける意欲と能力がある人が確実にこれを受けられるよう、事業費総額で四百三十四億円の増額を行い、貸与人員で四万五千人増員するなど、一層の充実を図ることとしております。
 第四は、特色ある教育研究の推進など私学助成の充実について、教育研究条件の維持向上と修学上の経済的負担の軽減などを図るため、学術研究基盤の強化や教育改革の推進などに配慮しつつ、経常費助成を中心に総額で四千四百五十四億円を計上するなど引き続きその充実を図ることとしております。
 第五は、留学生交流など国際教育協力の推進について、留学生交流の推進のため五百四十四億円を計上するほか、アフガニスタン復興のための具体的な教育支援の検討も含め、開発途上国への国際協力体制の整備充実を図ることとしております。
 第六は、心身ともに健全な人材を育成するスポーツの振興について、総合型地域スポーツクラブを育成、支援する体制の充実を初めとする生涯スポーツ社会の実現、トップレベルの競技者の育成、学校体育の充実を図るなど、スポーツ振興基本計画を推進していくこととしております。
 第七は、文化芸術による心豊かな社会の実現として、文化を愛し、文化の香りに満ちた新世紀日本の建設に向けて、文化芸術創造プランの創設に百九十三億円を計上するほか、伝統文化、文化財の活用と次世代への継承、新たな文化拠点の整備などを図ることとしております。
 第八は、未来を切り開く基礎研究の推進として、大学や大学共同利用機関が行う独創的、先端的研究分野における基礎研究の推進に六百三十億円を計上しております。
 第九は、戦略的重要分野の研究開発の重点的な推進として、ポストゲノム研究の推進などライフサイエンス分野の研究に七百十七億円を計上し、また、先端的な情報科学技術の研究開発などに八百九十億円を計上しております。
 さらに、地球温暖化などに関する研究開発など環境分野に五百七十六億円を計上するとともに、経済社会の持続的成長への寄与などが期待されるナノテクノロジー・材料分野の研究に二百四十九億円を計上しております。
 第十は、国の存立基盤となる研究開発の推進についてであります。
 宇宙開発につきましては、宇宙関係三機関の統合に向けた連携協力のもとで信頼性の向上などを図りつつ、H2Aロケットの開発などを着実に進めていくこととしております。
 また、原子力の分野につきましては、大型加速器や核融合研究などの先端的研究開発を推進するとともに、安全確保と国民の理解を大前提として、高速増殖炉サイクル技術の研究開発などを進めていくこととしております。
 さらに、防災対策に関する研究開発を着実に進めていくとともに、海洋の多様な資源などの活用を目指した研究開発などを一層推進することとしております。
 第十一は、競争的研究開発環境の整備と科学技術振興基盤の強化についてであります。
 競争的資金につきましては、科学研究費補助金を初めとした各種制度を拡充することとしております。
 また、国立大学等の施設については、国立大学等施設緊急整備五カ年計画を踏まえ、重点的整備を図り一千四百六十四億円を計上したほか、すぐれた研究者、技術者の養成確保や科学技術・理科教育の抜本的な充実を図ることとしております。
 第十二は、新産業創出に向けた研究成果の展開として、産学官の共同研究の促進や大学発ベンチャーの創出など産学官連携の強化を図るため、一千八百八十億円を計上するとともに、大学等を核として研究機関や研究開発型企業が集積する拠点である知的クラスターの創成を図っていくなど、地域科学技術の振興に二百十二億円を計上しております。
 第十三は、情報化への対応として、高度情報通信ネットワーク社会の形成を目指し、情報化の影の部分にも配慮しつつ、学校の授業においてコンピューターやインターネットを活用できる環境の整備を進めるとともに、専門的かつ独創的な人材の育成や研究分野の情報化、情報通信分野の研究開発などを積極的に推進してまいります。
 以上、何とぞよろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
 なお、これらの具体の内容につきましては、お手元に資料をお配りしておりますので、説明を省略させていただきます。
河村委員長 以上で説明は終わりました。
 次回は、明二十七日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時四十二分散会


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