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第5号 平成14年12月6日(金曜日)

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平成十四年十二月六日(金曜日)
    午前九時三十分開議
 出席委員
   委員長 古屋 圭司君
   理事 奥山 茂彦君 理事 鈴木 恒夫君
   理事 馳   浩君 理事 森田 健作君
   理事 山谷えり子君 理事 山元  勉君
   理事 斉藤 鉄夫君 理事 佐藤 公治君
      青山  丘君    伊藤信太郎君
      大野 松茂君    岡下 信子君
      岸田 文雄君    近藤 基彦君
      佐藤 静雄君    谷田 武彦君
      中谷  元君    林田  彪君
      松野 博一君    森岡 正宏君
      柳澤 伯夫君    大石 尚子君
      鎌田さゆり君    中津川博郷君
      肥田美代子君    平野 博文君
      藤村  修君    牧  義夫君
      牧野 聖修君    山口  壯君
      池坊 保子君    東  順治君
      黄川田 徹君    石井 郁子君
      児玉 健次君    中西 績介君
      山内 惠子君    小池百合子君
    …………………………………
   文部科学大臣       遠山 敦子君
   文部科学副大臣      河村 建夫君
   文部科学副大臣      渡海紀三朗君
   財務大臣政務官      田中 和徳君
   文部科学大臣政務官    池坊 保子君
   文部科学大臣政務官    大野 松茂君
   政府参考人
   (内閣府大臣官房審議官) 上原  哲君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房長) 結城 章夫君
   政府参考人
   (文部科学省生涯学習政策
   局長)          近藤 信司君
   政府参考人
   (文部科学省初等中等教育
   局長)          矢野 重典君
   政府参考人
   (文化庁次長)      銭谷 眞美君
   文部科学委員会専門員   柴田 寛治君
    ―――――――――――――
委員の異動
十二月六日
 辞任         補欠選任
  松浪健四郎君     小池百合子君
同日
 辞任         補欠選任
  小池百合子君     松浪健四郎君
    ―――――――――――――
十一月二十八日
 小中高三十人以下学級実現、行き届いた教育に関する請願(牧義夫君紹介)(第三三九号)
 すべての子供に行き届いた教育等に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第三四四号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第三四五号)
 行き届いた教育を進めるための私学助成の大幅増額等に関する請願(穀田恵二君紹介)(第三四六号)
 学校事務職員・学校栄養職員の定数改善と給与費等半額国庫負担の拡充に関する請願(牧野聖修君紹介)(第三七一号)
 同(後藤斎君紹介)(第三九二号)
 同(中津川博郷君紹介)(第三九三号)
 同(永田寿康君紹介)(第三九四号)
 同(山岡賢次君紹介)(第三九五号)
 同(山元勉君紹介)(第三九六号)
 同(阿部知子君紹介)(第四六〇号)
 同(植田至紀君紹介)(第四六一号)
 同(近藤昭一君紹介)(第四六二号)
 同(中西績介君紹介)(第四六三号)
 同(山内惠子君紹介)(第四六四号)
 同(横光克彦君紹介)(第四六五号)
 豊かな私学教育の実現のための私学助成に関する請願(荒井聰君紹介)(第四四一号)
 同(粟屋敏信君紹介)(第四四二号)
 同(井上和雄君紹介)(第四四三号)
 同(石毛えい子君紹介)(第四四四号)
 同(今川正美君紹介)(第四四五号)
 同(岩國哲人君紹介)(第四四六号)
 同(金田誠一君紹介)(第四四七号)
 同(川内博史君紹介)(第四四八号)
 同(川田悦子君紹介)(第四四九号)
 同(北橋健治君紹介)(第四五〇号)
 同(中津川博郷君紹介)(第四五一号)
 同(中西績介君紹介)(第四五二号)
 同(楢崎欣弥君紹介)(第四五三号)
 同(葉山峻君紹介)(第四五四号)
 同(松原仁君紹介)(第四五五号)
 同(松本龍君紹介)(第四五六号)
 同(山内惠子君紹介)(第四五七号)
 同(横光克彦君紹介)(第四五八号)
 子供たちの夢と希望をはぐくむ社会を実現するため、確かな学力・創造性の育成等に関する請願(柳本卓治君紹介)(第四五九号)
十二月三日
 私立学校の保護者負担の軽減、教育条件改善のための私学助成の充実に関する請願(町村信孝君紹介)(第五一六号)
 学校事務職員・学校栄養職員の定数改善と給与費等半額国庫負担の拡充に関する請願(大島令子君紹介)(第五一七号)
 同(赤松広隆君紹介)(第五五八号)
 豊かな私学教育の実現のための私学助成に関する請願(菅直人君紹介)(第五一八号)
 同(佐々木秀典君紹介)(第五一九号)
 同(城島正光君紹介)(第五二〇号)
 同(東門美津子君紹介)(第五二一号)
 同(日森文尋君紹介)(第五二二号)
 同(三井辨雄君紹介)(第五二三号)
 同(山内惠子君紹介)(第五二四号)
 同(山田敏雅君紹介)(第五二五号)
 同(山元勉君紹介)(第五二六号)
 同(小平忠正君紹介)(第五五九号)
 同(高木陽介君紹介)(第五六〇号)
 同(三井辨雄君紹介)(第五六一号)
 同(山内惠子君紹介)(第五六二号)
 同(山花郁夫君紹介)(第五六三号)
 同(横路孝弘君紹介)(第五六四号)
 同(五十嵐文彦君紹介)(第六二九号)
 同(小平忠正君紹介)(第六三〇号)
 義務教育費国庫負担制度の堅持と学校事務・栄養職員の配置に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六〇二号)
 同(石井郁子君紹介)(第六〇三号)
 同(小沢和秋君紹介)(第六〇四号)
 同(大幡基夫君紹介)(第六〇五号)
 同(大森猛君紹介)(第六〇六号)
 同(木島日出夫君紹介)(第六〇七号)
 同(児玉健次君紹介)(第六〇八号)
 同(穀田恵二君紹介)(第六〇九号)
 同(佐々木憲昭君紹介)(第六一〇号)
 同(志位和夫君紹介)(第六一一号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第六一二号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第六一三号)
 同(中林よし子君紹介)(第六一四号)
 同(春名直章君紹介)(第六一五号)
 同(不破哲三君紹介)(第六一六号)
 同(藤木洋子君紹介)(第六一七号)
 同(松本善明君紹介)(第六一八号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第六一九号)
 同(山口富男君紹介)(第六二〇号)
 同(吉井英勝君紹介)(第六二一号)
 教育基本法を変えるのではなく、学校や社会に生かすことに関する請願(木島日出夫君紹介)(第六二二号)
 日本育英会奨学金制度の廃止反対に関する請願(北川れん子君紹介)(第六二三号)
 同(中川智子君紹介)(第六二四号)
 同(山内惠子君紹介)(第六二五号)
 同(横光克彦君紹介)(第六二六号)
 私立大学の教育・研究の改善を図るために総経常費二分の一助成の早期実現と学費負担者の負担軽減に関する請願(児玉健次君紹介)(第六二七号)
 私立大学の充実を図るための経常費二分の一助成の実現と父母・学生の学費負担軽減に関する請願(児玉健次君紹介)(第六二八号)
同月四日
 学校事務職員・学校栄養職員の定数改善と給与費等半額国庫負担の拡充に関する請願(荒井聰君紹介)(第七〇三号)
 同(黄川田徹君紹介)(第七〇四号)
 同(重野安正君紹介)(第七〇五号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第七〇六号)
 同(中川正春君紹介)(第七〇七号)
 同(前田雄吉君紹介)(第七〇八号)
 同(石井郁子君紹介)(第七六五号)
 同(佐々木憲昭君紹介)(第七六六号)
 同(春名直章君紹介)(第七六七号)
 同(吉井英勝君紹介)(第七六八号)
 同(伊藤英成君紹介)(第八〇三号)
 豊かな私学教育の実現のための私学助成に関する請願(金子哲夫君紹介)(第七〇九号)
 同(海江田万里君紹介)(第七六九号)
 同(金子哲夫君紹介)(第七七〇号)
 同(鮫島宗明君紹介)(第七七一号)
 同(鈴木淑夫君紹介)(第七七二号)
 同(中沢健次君紹介)(第七七三号)
 同(金子哲夫君紹介)(第八〇四号)
 同(吉田公一君紹介)(第八〇五号)
 日本育英会奨学金制度の廃止反対に関する請願(今川正美君紹介)(第七一〇号)
 同(菅野哲雄君紹介)(第八〇八号)
 私立大学の充実を図るための経常費二分の一助成の実現と父母・学生の学費負担軽減に関する請願(石井郁子君紹介)(第七六三号)
 小中高三十人以下学級実現、行き届いた教育に関する請願(大島令子君紹介)(第七六四号)
 義務教育費国庫負担制度の堅持と学校事務・栄養職員の配置に関する請願(植田至紀君紹介)(第八〇六号)
 同(近藤昭一君紹介)(第八〇七号)
同月六日
 三十人学級、私学助成拡充に関する請願(小沢和秋君紹介)(第八五一号)
 同(楢崎欣弥君紹介)(第一〇〇八号)
 同(松本龍君紹介)(第一〇〇九号)
 学校事務職員・学校栄養職員の定数改善と給与費等半額国庫負担の拡充に関する請願(児玉健次君紹介)(第八五二号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第八五三号)
 豊かな私学教育の実現のための私学助成に関する請願(丸谷佳織君紹介)(第八五四号)
 同(吉田公一君紹介)(第八五五号)
 同(金子哲夫君紹介)(第九三五号)
 同(鉢呂吉雄君紹介)(第九三六号)
 同(金子哲夫君紹介)(第一〇一三号)
 同(中沢健次君紹介)(第一〇一四号)
 義務教育費国庫負担制度の堅持と学校事務・栄養職員の配置に関する請願(一川保夫君紹介)(第八五六号)
 同(土井たか子君紹介)(第八五七号)
 同(北川れん子君紹介)(第八九七号)
 同(佐藤敬夫君紹介)(第八九八号)
 同(中川智子君紹介)(第八九九号)
 同(山内惠子君紹介)(第九〇〇号)
 同(山岡賢次君紹介)(第九〇一号)
 同(川田悦子君紹介)(第九三七号)
 同(中津川博郷君紹介)(第一〇一五号)
 日本育英会奨学金制度の廃止反対に関する請願(菅野哲雄君紹介)(第八五八号)
 同(土井たか子君紹介)(第八五九号)
 同(菅野哲雄君紹介)(第九〇二号)
 同(土井たか子君紹介)(第九〇三号)
 同(中川智子君紹介)(第九〇四号)
 同(菅野哲雄君紹介)(第九三八号)
 同(土井たか子君紹介)(第九三九号)
 同(中川智子君紹介)(第九四〇号)
 同(土井たか子君紹介)(第一〇一六号)
 義務教育諸学校の学校事務職員・栄養職員に対する義務教育費国庫負担制度の維持に関する請願(中川智子君紹介)(第八九五号)
 同(山内惠子君紹介)(第八九六号)
 同(中川智子君紹介)(第九四一号)
 義務教育費国庫負担制度・教科用図書無償給与制度堅持、教職専門職としての教職員の待遇改善に関する請願(田野瀬良太郎君紹介)(第九三一号)
 三十人学級の実現、行き届いた教育に関する請願(桑原豊君紹介)(第九三二号)
 同(一川保夫君紹介)(第一〇一七号)
 三十人学級の実現、教育予算の大幅増、父母負担軽減に関する請願(中村喜四郎君紹介)(第九三三号)
 行き届いた教育の実現に関する請願(漆原良夫君紹介)(第九三四号)
 育英会奨学金制度の充実に関する請願(中津川博郷君紹介)(第九七二号)
 教育条件の改善と教育予算の増額に関する請願(菅野哲雄君紹介)(第九七三号)
 同(日野市朗君紹介)(第九七四号)
 私学助成大幅増額と三十人以下学級の実現に関する請願(今川正美君紹介)(第九七五号)
 同(高木義明君紹介)(第九七六号)
 私学助成の大幅拡充、三十人学級の早期実現、教育費の父母負担軽減に関する請願(松野頼久君紹介)(第九七七号)
 私学助成の大幅増額、教育費の父母負担軽減、教育条件の改善に関する請願(原口一博君紹介)(第九七八号)
 私学助成の大幅増額など教育関係予算の拡充に関する請願(黄川田徹君紹介)(第九七九号)
 私学助成の拡充等行き届いた教育に関する請願(鍵田節哉君紹介)(第九八〇号)
 同(玉置一弥君紹介)(第九八一号)
 同(藤木洋子君紹介)(第九八二号)
 同(藤村修君紹介)(第九八三号)
 同(前原誠司君紹介)(第九八四号)
 障害児学校建設、障害児学級増設のための予算増等に関する請願(石井郁子君紹介)(第九八五号)
 小中高三十人以下学級の早期実現、私学助成の大幅増額に関する請願(原口一博君紹介)(第九八六号)
 すべての子供たちに行き届いた教育、心通う学校に関する請願(佐藤敬夫君紹介)(第九八七号)
 すべての子供たちに行き届いた教育を進め、心通う学校に関する請願(熊谷弘君紹介)(第九八八号)
 同(鈴木康友君紹介)(第九八九号)
 すべての子供に行き届いた教育を進め、心の通う学校に関する請願(粟屋敏信君紹介)(第九九〇号)
 同(中林よし子君紹介)(第九九一号)
 すべての子供に行き届いた教育を進め心の通う学校に関する請願(今田保典君紹介)(第九九二号)
 父母負担の軽減、私学助成の拡充に関する請願(伊藤英成君紹介)(第九九三号)
 同(大島令子君紹介)(第九九四号)
 同(小林憲司君紹介)(第九九五号)
 同(佐々木憲昭君紹介)(第九九六号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第九九七号)
 同(都築譲君紹介)(第九九八号)
 同(伴野豊君紹介)(第九九九号)
 同(前田雄吉君紹介)(第一〇〇〇号)
 同(牧義夫君紹介)(第一〇〇一号)
 行き届いた教育を進め、心の通い合う学校に関する請願(前原誠司君紹介)(第一〇〇二号)
 行き届いた教育を進め、心の通う学校に関する請願(五島正規君紹介)(第一〇〇三号)
 行き届いた教育を進め心通う学校に関する請願(石井郁子君紹介)(第一〇〇四号)
 同(藤木洋子君紹介)(第一〇〇五号)
 同(山内惠子君紹介)(第一〇〇六号)
 同(山元勉君紹介)(第一〇〇七号)
 私学助成の抜本的な拡充と三十人学級の早期実現に関する請願(川端達夫君紹介)(第一〇一〇号)
 小中高三十人以下学級実現、行き届いた教育に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第一〇一一号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第一〇一二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――
古屋委員長 これより会議を開きます。
 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りをいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官上原哲君、文部科学省大臣官房長結城章夫君、生涯学習政策局長近藤信司君、初等中等教育局長矢野重典君及び文化庁次長銭谷眞美君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
古屋委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山元勉君。
山元委員 おはようございます。民主党の山元勉でございます。
 私は、先週、二十七日の委員会にも質問に立たせていただきました。引き続いてで恐縮でございますけれども、きょうは、実は、子供たちの安全のための地震に対する耐震政策について、私も責任者になって法案を提出しておりますので、その問題についてお尋ねをしようと思ったんですが、その前に、前回の委員会の後で大変気になることが幾つかありますので、もう一回、しつこいようですけれども、確認をさせていただきたいというふうに思います。
 一つは、三位一体という言葉が大臣からも何回も出ました。答弁の中でもあの委員会の中で出ましたし、そして小泉総理も、何かあれば三位一体だ、こうおっしゃっている。
 そういう三位一体、交付金や補助金あるいは交付税の縮減ということと、もう一つは税源移譲だ、これが三位一体だというふうに言われているわけですけれども、一体、今度の場合でこの税源移譲が明確になっているのかどうかということが極めてあいまいです。見通しが全然立っていないわけです。
 私は、あの質問のときに、各新聞がそろえて、税源移譲触れずとかあるいはなしとか、さまざまなことを見出しで書きまして、そのことを心配して申し上げたんですけれども、御答弁は、三位一体だ、こうおっしゃっていたんです。
 けれども、二十七日に質問が終わって、二十九日にまた新聞が出ました。今度も大きい見出しで、地方財政三位一体改革は迷走だ、小泉総理は三位一体が決まり文句というふうに出ているんですけれども、しかし、五千億円穴埋め難題、有力議員も参戦と書いてあるんです。自民党の大幹部の方も、「三位一体で考えるはずが、交付税制度をどうするかも具体的に俎上にあがらない時に、義務教育費の補助金を削るとは恐ろしいことだ」、こうおっしゃっているんです。だから、私の心配が当たっていて、自民党の大幹部、有力議員という書き方がしてありますけれども、おっしゃるわけですね。
 一体、大臣、この五千億というのは、これから三年ほどでやっていくわけですけれども、結局は、単年度五千億、五千億というのがどこまで続くかわからない。二年たったら一兆円になる。例えば、旅費や教材費が削られてから、なくなってから十何年たっているわけですね。五千億が十何年続いたら、今うんと言ったら五兆円も減ってしまうことになるんではないかというふうに思うんですが、いずれにしても、三位一体ということについて、大臣は確信を持っていらっしゃるのかどうか、そこのところをお尋ねしたい。
遠山国務大臣 義務教育費国庫負担金につきましては、これは、国が義務教育の水準を確保し、維持するという角度から、絶対に私どもとしてはその制度の根幹は揺るがさないという姿勢で臨んでいるわけでございます。
 三位一体論では不安であるというお話でございますけれども、その三位一体論といいますのは、別に私が言っているわけではございませんで、基本的には、国庫負担金、交付税、税源移譲を含む税源配分のあり方についてはそれを三位一体で考えていくべしというのは政府全体としての方針でございまして、総理も強く言っておられますし、財務大臣を初めとして関係閣僚はみんなそのように思っているわけでございます。
 したがいまして、税源の確保がなければ、この間の私どもの出しました五千億円の削減というのは心配だというお話ではございますが、あの案そのものは、とにかく負担金についてできるだけ縮減するようにということに対する、総理の宿題に対して、私どもとしては、誠心誠意、地方分権できることは地方分権しながら、制度の根幹を守るということで出した案でございます。
 したがいまして、私といたしましては、私の方の案というのは最大限協力できる額でございますし、今お話にございました五千億を何年もということでは全くございませんで、これから四年でございますかね、四年間かけて五千億ということでございますし、それ以上移譲するというようなことはないわけでございます。年次計画でそれをやっていくということでございます。
 それから、私の方も、国庫負担金の削減に伴います地方財源への手当ての配慮につきましては、当然その必要性を認識いたしております。そこで、政府全体として検討していく中で、私どもとしては、その必要性を今後とも申し立てていく必要があるわけでございます。
 国庫補助負担金の整理合理化に関しましては、十一月二十九日の閣議決定、平成十五年度予算編成の基本方針におきまして、適切な財源措置を講じつつ、補助負担対象範囲の見直しを図るとされているところでございまして、我が省の提示しております負担対象経費の見直し案につきましても、このような方針に沿って、今後政府部内で検討、調整を行っていく必要があるというふうに考えております。
山元委員 大臣、この五年間、その十五年度、この間大臣が出された資料でも合計四千九百二十八億円、およそ五千億円を順番、計画的にやっていくというんだ。けれども、計画が完成したら、それ以後の毎年の五千億も減るわけでしょう。だから、そういう恐ろしい額のものを、今、三位一体の税源のところの担保がきちっとなければやってはいけないというふうに申し上げている。
 もし、それがしっかりとこの予算編成の中で明確に見えてこなければ、大臣は責任を持って取り返してもらいたい、撤回をしてもらいたい。そうでなければ、私はこれはいいと言っているんではないんです。もともとは、私はこの一般財源化ということについては反対です。
 この間も申し上げたように、図書館図書費の例がよい例です。図書費として百三十億円おろしたけれども、どこかの道や橋になってしまっていて、学校には一割ほどしか出ていない。そういうような一般財源化について私は反対なんです。けれども、少なくともこの五千億については、きちっと税源が保障されていなければ、私は、大臣が責任を持って、それ以外のことがきちっと見えてくるまでは最低限、一般財源化としても、これはやはり約束をしてもらいたい、決意をしてもらいたいと思うんですが、もう一言で結構です。
遠山国務大臣 まさに先生が引用されました図書費に見られるように、義務教育費国庫負担金をすべて一般財源化すれば、その使途は全くどこに行くかわからない。したがいまして、制度の根幹を守るということでやっているわけでございまして、他方で、地方分権の重要性、そして国費の削減の宿題というものに対して誠実に答えたのがあの回答でございます。その回答を政府全体として了解していただくということには、それは税源についての配慮が必要だということを私どもも考えているところでございます。
 そのことにつきましては、我が省で胸を張ってやるというような仕事ではございませんで、関係省庁と十分調整しながらやっていく問題であるというふうに考えておりますが、政府全体として責任を持ってやっていく必要のある問題だと思っております。
山元委員 小泉総理が、二言目には三位一体だということをおっしゃって、歳出縮減を図ろうとなさっている。そのことで、今見えているのは、この間も片山総務大臣がおっしゃっている、文部科学省だけが五千億出したんじゃないか、こう言っている状況にあるわけです。
 ですから、その三位一体がきちっと担保されなければ、私は、大臣が責任を持って取り返してもらいたい、撤回をしてもらいたい、こういうふうに、今わかりましたということにはなかなかならぬかもしれぬけれども、大臣、そういうことだというふうに思う。
 これは、ことし一年、来年一年の問題と違うて、これから続く問題ですから、日本の教育をどうするか、日本の教育の基盤をどうするかという問題ですから、しっかりとそこのところは責任を感じていただきたいというふうにお願いを申し上げておきたいと思います。
 そのことについては、私がここで申し上げているだけではなしに、この間も六団体のことを言いました。知事会や議長会や市町村、悲鳴を上げているということを言いました。今各自治体が、教育のことや、あるいは教育だけではなしに福祉のことや環境のことや、課題が山積みになっていて、いいふるさとをつくろうという努力をしている。そのときに、一般財源化、あるいは税源がきちんと担保されない、大変だということで、知事さんや議長さん、騒いでいるというとおかしいけれども、悲鳴を上げているんです。
 あの質問をした後も、私は、たくさんの団体や、たくさんの自治体の人からも要請を受けました、頑張ってもらいたいと。自治体が大変だ、これは今おいでの党を問わずに、それぞれの地元が悲鳴を上げていることは御承知いただいているだろうというふうに思うんですね。そこのところを励ます、いいふるさとをつくりなさいよと励ます、そういうことでない。例えば、少人数学級の問題でも、これは文部省の調べでもあるわけですけれども、秋田県は三十人程度でとか、あるいは福島県は三十人以下で、鳥取もそうです。二十二県ですか、ずっと努力をしているわけです。苦しい中でやっているのを励ますどころか、こんなことをされたらたまらぬという悲鳴が今地方から上がってきているわけです。
 こういう地方の声、大臣も御承知だと思うんですが、いかがですか。
遠山国務大臣 この問題は、地方分権推進会議ですか、そこに議題になりましたのが二十兆円に近い国庫負担、補助金、そういったものをきちっと精査をして、そして、地方分権として一般交付税化できるものについては対応しろという宿題がおりたようでございます。これは私どもの省に直接おりた宿題ではございませんけれども、そのときに、何と二十兆もある中から三兆円の我が義務教育費国庫負担金にのみターゲットを当てて、すべてそれを焦点化して議論がなされていたわけです。
 その問題への対応、それは地方分権の会議のみならず、経済財政諮問会議におきましても、義務教育については地方へ地方へと大きな声があったわけでございますが、それに対応して、私どもとしましては、きちんと理論化もし、そして方法としていろいろ考えた末で、制度の根幹を揺るがさないで、そして、内閣の中にいる者として協力できるのは何かということで真剣に考えた上で出した数値でございます。
 したがいまして、そういう御批判をなさるのであれば、義務教育費国庫負担金にのみターゲットを当ててずっと何カ月もやってこられた、その関連する会議体の作戦上の問題であろうかと私は思っております。
 私としましては、義務教育ないし教育の問題に責任を持っている唯一の閣僚でございますから、その点について、譲れないものは譲らない、しかし協力できるものは協力するということでやってまいったわけでございます。今やるべきことは三位一体、では、交付税についてしっかりした改善の案が出ているんでしょうか。三位一体というのは、そういうことだと思います。
 私の省としてできることは、あの宿題に対して回答を出したこと、そして、今後その議論において、三位一体の中身において、しっかりと税源措置も行うべしということを主張するというのが私の立場でございまして、そのことについてはしっかりやっていく。それは、地方の方は、局限的に出てきたものだけを批判されるということはマクロが見えていないということでございまして、私としましては、そのことについてはしっかりとフォローをしながら、しかし、譲れないものは譲らないということでやっていきたいというふうに考えております。
山元委員 前のときも大臣は、この義務教育費国庫負担制度についてターゲットを当てられてきた、その作戦は間違いだ、こうおっしゃったんです。速記録に出ている。この作戦は間違いだ、ひどい目に遭ったという意味のことをおっしゃったんです。
 けれども、それやったら、私は文部科学省全省一丸になって、あるいはそれぞれの地方の実態を知っている議員が一丸になって、やはり大臣を守る必要があったし、大臣は徹底的に、これは古い言葉、古い人間ですけれども、むしろ旗を立ててでもとこの間も言いましたけれども、やはり守るべきだったというふうに思いますよ。だから、そこのところは、作戦に取り囲まれて協力したんだとおっしゃるけれども、協力していいこととよくないことがあって、私は協力すべきでなかったというふうに思えてならぬ。
 だから、これからもぜひ、地方の悲鳴がわかったというふうに変わっていくように、これは全省一丸になって頑張ってもらいたい。これはさっきも言いましたように、単年度の問題と違うんです。お願いをしたいと思います。
 そこで大臣は、根幹を守る、守るべきものは守る、こうおっしゃる、その根幹は何やと。教員の一般給与だけが根幹であって、そんなものむいて、むいていったら、鉛筆でいうたらしんだけ残って、それは鉛筆と違うんです。やはりしっかりとした形をつくっていなければ、私は根幹を守ったということにはならぬと思うんです。しんだけ残りましたといったって、しんが鉛筆の役なんてしませんよ。
 ですから、そこのところはしっかりと、根幹とは何やと言ったら、この間河村副大臣もおっしゃった、第七次定員計画については強い決意を持って、こうおっしゃる。私は拍手をしたいと思いましたよ。
 けれども、そういうことを、定員をふやしていくとか、あるいはいろいろの学校を直していくとなったら、地元負担というか自治体負担がふえるわけです。だから、しっかりと憲法にも書いてある、教育基本法にも書いてある、また義務教育費国庫負担法にも書いてある、維持向上を図るのは国の責任。だからその根幹をどんどんとしんだけにしてしまうような政策というのは、私はやはり歯を食いしばって頑張るべきだと思うんです。
 だから、根幹は一般給与だというふうに大臣は言い切られるのか、そのほかの退職手当だとか公務災害だとか児童手当だとか、今度削ろうとしているもの、根幹でないと言い切れるんですか。私は大事な教育の根幹あるいは基盤だというふうに思うんですが、いかがですか。
遠山国務大臣 義務教育費国庫負担金の対象経費につきましては、委員も御存じのように、国と地方の役割分担、費用負担のあり方等の観点から、昭和六十年度の旅費、教材費、そして平成五年度の共済費追加費用など、適宜見直しを行ってまいりました。
 今回の負担対象経費の見直し案につきましては、これは国として真に負担すべきものに限定するということで検討したものでございますけれども、それは何かといいますと、在職給与費以外の経費については、これは負担対象外としても、すぐれた教員を確保するという義務教育の水準の確保の責務に照らしまして、直接支障が生じないという判断をしたものでございます。教員が在職しているということに対して直接支払われる対価としての給与費でございまして、退職手当でありますとか、今回取り上げておりますようなことにつきましては、それは在職中に必要とされるものではないわけでございます。
 その意味で理論化もし、そして、しんだけとおっしゃいましたけれども、鉛筆として残したというふうに思っております。
山元委員 時間がありませんから、もう二分しかない、地震のことを言わなきゃならぬのですが。
 大臣、これは後の歴史が証明してくるだろうというふうに思うんですよ。一般給与だけ、給与だけを根幹だとして守ればいいということでは絶対僕はならぬ思うんです。
 地方の財政、地方が努力をする、それを支援するというのは、やはりナショナルミニマムとしてきちっと保障する、そういう行政の姿勢がなければ、鉛筆のしんだけが残っていいということにはならぬというふうに重ねて申し上げますから、どうぞこのことについては、また大臣、考えていただきたい、考え直していただきたいというふうに思います。
 最後の一分ですが、地震の問題です。
 これはこの間からずっとよく言われていますように、東海、東南海・南海地震がやってくるぞ、大きな新聞でも、迫りくる巨大地震と書いてある。
 この間イタリアで地震があって、幼稚園の子供が二十六人か死んだ、幼稚園一つだけで。これは大分古い幼稚園だった。だんと天井が落ちてきて二十六人の幼稚園児が死んだ。
 阪神・淡路のときには五時四十七分でしたか、早朝でした。ですから、子供たちは学校にいませんでした。学校が被害を受けたのは千六百億ほど、つぶれたというか倒壊した棟数は私は知らないんですけれども、大きな被害が出ました。けれども、五時四十七分という時間であったから子供は学校で押しつぶされなかった。
 けれども、東南海・南海地震、あるいはどこで起こるかわからぬ、北海道でも九州でも起こるわけですから、そのときに備えて今診断もし、改築もする。
 努力をしてもらっていることは承知しています。けれども、私どもが出した法案は、時間が来ましたからあれですが、診断は全部強制して全部がやる。五十六年以前の古い校舎については全部強制的にやらせて、それは国が持ちましょうと。二百四十億ほどですか、そして五年計画くらいで本当にノーと出たところは建て直しなさい、改築しなさい、補強をしなさい、その補助率はかさ上げをしましょう。今までのところに、三分の一だったところは二分の一、二分の一だったところは三分の二を補助をするから、援助をするから。
 自治体はようやらないんです。今診断もやらない。何でや。危ないと出たら、金がないいうて、子供、しゃあないがな、危ないところにということにならぬわけです。だから、それぞれの自治体はよう診断もしないわけです。そして、文部科学省が調べたのでも五〇%ほど、内閣府が調べたのでも五〇%の校舎が危ないと出ているわけだ。
 急ぐ責任があると思うんです。地震というのはいつ来るかわかりませんけれども、どんどんどんどんと学者の皆さんは近づいているというふうにおっしゃっているわけです。そのことに対する責任というのは、文科省、非常に大きいというふうに思いますが、最後一言だけ、今状況、どうなっているのか。
河村副大臣 山元委員御指摘のように、確かに公立小中学校、四三%相当のものがまだ耐震上問題があると推定をされております。そして、昭和五十六年以前の旧耐震基準によって建てられた建物、約七割がまだ耐震診断も行われていない。
 私も、やはりこれは非常に問題だ、こう考えておりますので、これは早急に耐震化のために進めていかなきゃならぬ、こう思っておるところでございまして、特に、補正予算も含めて、思い切ってこれからのふやす予算はすべてそれに充てるという方向で急いでまいりたい、このように思っております。
山元委員 終わりますが、本当に、これは来たときに後でじだんだを踏まぬよう、我々もそうです、我々にも責任がありますけれども、文科省として本当に真剣になって努力をしていただくようお願いをして終わります。
 ありがとうございました。
古屋委員長 大石尚子君。
大石(尚)委員 民主党・無所属クラブの大石尚子でございます。
 きょうは、従来から追っかけております旧石器発掘捏造事件の問題につきまして、これは平成十二年の十一月五日でございましたか、毎日新聞のスクープで、その当時、東北旧石器文化研究所の副理事長であった藤村新一さんによる旧石器発掘が捏造であったということがスクープされた。その直後でございました民主党の国対におきまして、この問題は何とかしなければならない、そして、当時、国対並びにこの文教常任委員会におりました私が担当させていただいて今日に至っております。
 これは、前回申しましたように、日本列島における人類史が塗りかえられてしまった、特に日本民族の命を狂わせてしまった事件でございます。
 これは文化庁の記念物課の主任調査官、今まではお名前は伏せておりましたが、これはもう公になっていることでございますので、岡村道雄さんの著書、これは「日本の歴史」のナンバー1として講談社から出版されたもの、その事件発覚直前に出版されたもの、それがついこの間改正されまして、改訂版が出たのでございます。
 その中身を拝見いたしましても、この問題に関しては、決して意図的ではなかったけれども、文化庁みずからがこの問題を見抜くことができずに、そして拡大推進に加担してきてしまったという、大変ずさんな、実にずさんな文化行政であった、そう言わざるを得ないと思うのでございます。
 まず最初に、この藤村新一旧石器発掘捏造事件というものを、これは莫大な損失、被害を各地方自治体にも与えてしまったことでございますゆえに、どう総括しておられるのか。文化庁並びに、できましたら、統括される文部科学省としてのお立場からも御発言いただきたいと存じます。
銭谷政府参考人 まず、藤村新一氏による旧石器発掘捏造の件につきまして、その状況を御説明させていただきます。
 平成十二年の十一月に文化庁が都道府県の教育委員会を対象に行った調査によりますと、藤村氏が関与した遺跡は百八十六遺跡でございます。そのうち、実際に発掘調査を実施したのは三十三遺跡でございます。昨年、平成十三年の十月の日本考古学協会の大会におきまして藤村氏が捏造をしたと告白したことが明らかになりました遺跡は、百八十六遺跡のうち二十六遺跡でございます。実際に発掘調査を実施した三十三遺跡につきましては、そのうち十六遺跡について捏造を告白いたしております。
 なお、都道府県教育委員会によって把握されていなかった発掘現場というのがほかにございまして、それについては十六遺跡について捏造したというふうに告白をいたしております。
 したがいまして、藤村氏が捏造を告白した遺跡は、教育委員会調べの二十六遺跡に加えまして、それ以外の十六遺跡と合わせて、四十二遺跡ということになっております。
 この問題が発覚して以来、地方公共団体や日本考古学協会などによりまして、この関係遺跡について石器の検証や再発掘調査などが行われているところでございます。
 それから、国の指定した遺跡はこの中で一つでございまして、これが座散乱木遺跡というものでございます。これは昭和五十年代に藤村氏がかかわって発掘調査を行いまして、平成二年に文化財保護審議会の方から史跡指定の答申が出ておりまして、平成九年七月に実際の史跡指定が行われております。
 この遺跡につきましては、日本考古学協会、文化庁、それから関係の都道府県、市町村などがいろいろ協力をいたしまして、発掘調査を行いまして、先般、これは史跡としての価値が認められないということで、文化財分科会の方から史跡指定解除の報告をいただいております。近く史跡指定解除の告示をする予定にいたしております。
 私どもといたしましては、このような発掘捏造事件を見抜けなかったということについて、文化財行政担当者としては極めて遺憾に思っております。
 なお、私どもといたしましては、この座散乱木遺跡の指定解除も含めまして、文化財行政に対する国民の信頼を回復すべき最大限の努力を今後とも続けてまいりたいと思っております。
大石(尚)委員 今お話ございましたように、この宮城県の座散乱木遺跡を国が史跡指定していたということの事実、これは前回も御指摘申し上げましたように、ここの捏造が世の中に認められたこと、これがスタートだったわけでございます。それで、そのスタートの捏造を見抜けずに、そしてこれを国指定した。
 そして、もっと私が本当に返す返す残念でならないことは、この捏造の発掘責任者その方が、この著書の著者でございます岡村道雄さんで発掘の現場責任をしておられた。そして、その成果によってでございましょう、後に文化庁に招かれて、先ほど申しましたように、文化財部記念物課の主任調査官としてずっと十数年、二十年弱でしょうか、お勤めになっておられた。そして、その間に国の指定の手続がなされた。その指定の手続をする資料を作成されたのはやはり岡村さんであったと私は聞いております。
 そして、今まで百五十国会並びに百五十四国会の文教並びに文部科学常任委員会の質疑の中でいろいろと、学界と行政、文化庁とのつながり等々にも触れられておりますけれども、ここで本当に、学界云々というその学界にその情報を発信した発信基地がやはり文化庁にあったということ、これは、そういう中にあって、文化庁の文化行政としての責任をどういうふうにとらえ、どういうふうに関係者に謝罪していったらいいのか。
 これは、やはり前回も前々回も、当時の大島大臣もまた遠山大臣もそして銭谷さんも、文化行政の今後の改革について、改善していかなければいけない、これを教えとして、糧として、この体験を生かして今後改革していかなければならないと触れておられますけれども、この岡村さんの改訂版を読まれた私の地元の考古学愛好者の方から御意見が寄せられてまいりました。
 そして、この中で岡村さんは、藤村さんの件を早期に見抜くことができなかったことを悔やむということ、それから誤った情報を提供し続けてしまったということを深く反省するということ、それから座散乱木のその指定に関しても、座散乱木の捏造を見破れずに大変遺憾に思い、重い責任を感じているということがこの中にも書かれているのでございますが、その市民の方は、何か弁解がましくて、そして根本的な原因の追求も甘く、本当に謝罪する気持ちがおありになるのだろうかという意見を寄せてこられました。
 これらのことを考えますと、文化行政を担ってこられた文化庁として、そしてそれを統括してこられた文部科学省として、この責任をどうやってけじめをつけようとなさっていらっしゃるのか、どうやって国民に、あるいは関係者に、あるいは、これは広く世界の考古学者からも大きな関心を寄せられている問題だけに、謝罪していこうとしていらっしゃるのか、そのなさり方を伺わせてください。
銭谷政府参考人 座散乱木遺跡につきましては、ただいま先生からお話がございましたように、第三次にわたる調査が行われて、その結果に基づいて史跡の指定を行ったわけでございます。
 その調査に参加をした者が後に文化庁職員に採用されたのは事実でございまして、具体的には、昭和六十二年四月に文化庁の文化財保護部の調査官になっております。その者が、平成二年の座散乱木遺跡の史跡指定に係る資料についても、調査官として、審議のための資料作成にかかわっております。
 先ほど、本人の著書のお話もございましたわけでございますが、本人も、当時その捏造を見抜けなかったということについて、力不足を感じて責任の重さを痛感しているということをその本の中では述べているわけでございます。
 私ども文化行政を担当する者といたしましては、今回のケースは、多くの考古学研究者が直接的にかかわり、調査員、作業員も多数参加する発掘現場で捏造が行われ、それが学界で相応な評価を得ていたという極めて特異な事例であると認識をいたしておりますが、文化財行政が学問の成果の上に成り立っていることにかんがみれば、このような事態は本当に遺憾な事態であるというふうに思っております。
 このたび行おうとしております座散乱木遺跡の指定解除は、学問と行政のあり方に一つの問題をやはり投げかけておりますし、結果として文化財行政に対する国民の信頼を著しく損ねたものと私どもも思っております。
 私どもといたしましては、今後このような事件が再び起こることがないように、平成十二年十一月に、事件が発覚した直後、文化庁長官名によりまして、埋蔵文化財の発掘調査に関する事務の改善について通知をし、その後も継続的に周知徹底を図っているところでございます。
 それから、去る十一月の指定解除の答申に際しましても、文化審議会文化財分科会で、今後の旧石器遺跡の審議に当たりましては、出土遺跡の十分な調査、理化学分析等の活用、関連分野や異なる学説を持つ研究者の意見聴取を行う旨決定をいただきまして、再発防止を図ることといたしております。
 それから、文化庁長官から私ども文化庁関係職員に対しまして、調査結果やそれに対する学界における評価について、より慎重な検討を行うよう、当日御指示をいただいたところでございます。
 私どもといたしましては、全力を尽くして文化財行政の信頼回復に努めてまいりたいと思っております。
大石(尚)委員 最後に、大臣にかわって副大臣からお考えを伺わせていただきたいと存じますが、その前に、これは十一月四日の読売新聞、「「書類だけ」では危ない!? 史跡指定 現地調査も」という見出しで記事が載っておりました。この中を見ますと、前回御紹介申し上げました永仁のつぼ事件というのがございましたが、その教訓は生かされていなかった。
 そして、これも記事によりますと、当初から人類学や地質学の専門家などの中からいろいろと異なった意見が出ていたという記事も新聞の中にございましたし、何か、今後大いに改善していかなければならないということを文化庁もお認めになり、そしてみんなで、関係者で英知を絞っていただけることになるとは思うのです。
 例えば考古学者自体の養成課程についてもやはり今の日本の現状でいいのかどうか、これを問題提起していらっしゃる方がございました。東京都立大学の人文学教授の小野昭先生、「ヨーロッパの旧石器と研究教育体制―ドイツの例で考える―」こういう論文を拝見いたしましても、これはむしろ、今の日本の考古学者の養成課程で、周辺の隣接科学を学べる大学のシステマチックなカリキュラムを用意できていないというようなことが指摘されてございます。
 それで、私もちょっと自分のところで計算してみたのですけれども、日本の大学の傾向は、考古学というものが人文系に属しておりまして、理系の学部に所属している考古学関係の講義が行われている大学というのは、これはわずか七大学。そして、文系、人文系が百八十三大学でございました。大学院もそのような傾向でございます。ところが、アメリカにおける考古学関係の講義がどういうふうに行われているかと思いますと、それはちょうど逆でございまして、理系が二百四十八校、そして文系が三十校、ちょうど比率が逆転いたしております。
 ですから、こういう、これから研究者を養成する、それから大学人を養成する課程においてもいろいろと問題点があるのではないか。ここら辺のところは、直接関与はなされないかもしれませんが、やはり、日本のこれからの大学改革の中で大いに検討していかなければならない問題ではないかと思います。
 大変時間が、あと一分か二分、最後に副大臣の御意見を伺わせていただきたいと存じます。
河村副大臣 このたびのこの事件は、本当に文化行政を預かる者としてもざんきにたえないことでございまして、これは、どういうふうに謝るかというのは、なかなか、こう謝ったら納得いただけるというようなものではございませんけれども、あとは、いかに信頼を回復するかということであります。
 これは、文化行政を預かる者総力を挙げて取り組まなきゃいけない課題でございますし、今御指摘のように、こうした、特に旧石器時代の遺跡等においては、この指定の審査というのは、その真正性をきちっと確保するための努力をもっとしなきゃいかぬ。御指摘のような科学的な検査といいますか、そういうものをもっと導入しなきゃいけませんし、また、大学における研究等についても、考古学協会中心に、アカデミズムの責任において十分な検討をしていただきたい、こうも思っておりますし、今の学科の編成等々についてもさらに研究の余地がある、このように思っておるところでございます。
 今後、こうした問題を再び起こさないということで、総力を挙げてこの問題に取り組んでいくという姿勢が非常に大事だろうというふうに思っておりまして、大変大きな教訓を与えられた、このように自覚をしておるところでございまして、御指摘の点についても十分踏まえて、これからの文化行政に、特に史跡の指定に当たりましては、最大の注意を払いながら皆さんの期待にこたえるようなものをつくり上げていくという努力をしていかなきゃいかぬ、このように思っておるところでございます。
大石(尚)委員 ありがとうございました。
古屋委員長 牧義夫君。
牧委員 民主党の牧義夫でございます。
 きょうは、科学技術、芸術文化の振興及びその土台となる高等教育のあるべき姿について、若干の質問及び問題提起をさせていただきたいと存じます。
 ことしは、特にノーベル賞の受賞がダブル受賞、お二人が受賞されるという本当におめでたい年だったわけで、まさに、昨年三月ですか、閣議決定された第二期科学技術基本計画に、今後五十年間で三十人程度のノーベル賞受賞者を出すんだ、そんなようなこともうたっておりますけれども、さい先のいいスタートになったと思うわけでございます。
 そんな中で、五十年で三十人という数字が出ておりますけれども、この目標を達成するための具体的な施策というのはどんなものなのか。また、その三十人というのを、例えば具体的にもうリストアップされているような、そんな方がいるのであれば教えていただきたいと存じます。
渡海副大臣 今回のノーベル賞のお二人の方の受賞というのは、国民の皆さんに大変明るいニュースといいますか、日本じゅうがあのときは、一瞬とは言いませんが、明るい話題を提供していただいた、そんな思いがしておるわけでございまして、我々としても大変喜んでおるところでございます。
 先生も御指摘をいただきましたように、第二次科学技術基本計画の中で、五十年の中で三十人のノーベル賞の受賞者を輩出する、こういうふうに書いてあるわけでございますが、これはやはり基礎研究を重視する、要は、この二十一世紀の初頭、日本が将来に向かって科学技術創造立国を実現していく上での一つのわかりやすい指標、わかりやすい目標として提示をされたものというふうに思っております。
 そういった中で、我が省といたしましても、さまざまな取り組みをいたしておるわけでございますけれども、ノーベル賞の受賞ということを考えてみますと、やはり独創的な発想、こういったものが大変大事であろう、また、これまでなかったさまざまな新しい発見、また新しい理論といいますか、そういったものをつくり出していく、こういったことが高く評価されているようでございますから、そういった意味では、先ほど申し上げましたように、基礎研究を重視していく、このことをやらなければいけないということの一つの意思表示だというふうに認識をいたしております。
 第二次科学技術基本計画の中で、基礎研究の重視、そして、これはよく御承知のことでございますが、重点四分野、ナノ、それからライフ、環境、IT、こういったものを戦略的に研究開発を進めていく、こういうふうな課題。また、やはりやっていく中でいろいろな問題がございますから、評価等もありますが、このシステムを進めていく。時間を気にされておるようでございますから簡単に申し上げますが、そういった戦略的な研究開発の体制をこれからつくり上げていかなければいけない。
 同時に、大学の施設というものは、これはもう十数年前から随分老朽化して、実は非常に危険な環境にある、こんな指摘もあったわけでございまして、この間、重点的に整備を進めていくといったようなこと。同時に、競争的資金を倍増していく。要は、自由な発想に基づいて提案をしていただいて、正しい評価のもとでいい研究をしていただく、こういったことを重点的に進めておるところでございますし、若手の育成等にも留意をして政策決定をしていきたいというふうに思っておるところでございます。
 また、次の質問でございますけれども、把握をしているかということでございますが、当然、今回の受賞、これは、我が国の基礎研究というものは世界水準にあるということを実証したものでございまして、そういった意味で、日ごろから我が省も、研究者の皆さん、また研究内容等を十分確認し、またウオッチをしておるところでございます。
 小柴先生につきましては、記者会見でも、皆さんテレビでごらんになったとおりでございまして、十数年前より、ことしは来るか、ことしは来るかと、そういう意味で、ニュートリノ天文学の開拓者として我々も常にウオッチをしてきたところでございまして、ことし受賞をされたということを大変喜んでおるわけでありますけれども、残念ながら、田中さんの方は、実はそういう意識は余りなかったわけでございます。
 しかし、ノーベル賞の選考過程というものが一切非公開でありまして、そういった意味では、なかなかちょっとわかりにくいところもあった。しかし、これからは、よりさまざまな分野で、一層、今回の経緯等も踏まえ、さまざまな研究者の方々の御努力というものを日ごろからよく見ていくというふうに努力をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
牧委員 今、渡海副大臣のお話で十分説明は足りると思うんですが、みずからおっしゃったように、田中さんについてはノーマークだったということでございます。ダブル受賞ということで、この閉塞感漂う日本の今の現状の中で非常に明るいニュースだったわけでもありますし、まだまだ日本も捨てたものじゃないな、そういう意を強くしたところもあるんですけれども、まさにこれがノーマークだったというのも、一方では、外国ではもう既に高い評価を得ていたというお話もありますから、その辺が残念でならないわけでもございます。
 また、今、特殊法人の整理合理化計画の中でいろいろ、科学技術振興事業団ですとか、あるいはそういった研究助成する団体の整理統合ですとかあるいは見直しの話も進んでいるんだと思うんですけれども、本当にそういう中で、全国の至るところのあらゆる研究についてもっと緻密なデータベースをつくって、むだのない、そして効率的な政府としての投資というものもぜひこれを機に見直して考えていただきたいなと。私は、決して、こっちの法人とこっちの法人をただくっつければいいというような安易な考え方はいたしておりませんけれども、なおさら、それだからこそ、そこら辺のところをきちっとむだなくやっていただきたい、そのことを申し上げさせていただきたいと思います。
 時間の関係もございますので、次に進めさせていただきたいと思います。
 今度は、芸術文化の振興の方でございますけれども、ことし六月にチャイコフスキー・コンクール、これは一九五八年に第一回がございまして、四年に一回開催されるんですね。ことし六月に日本の方が一位に入賞されている。上原彩子さん、ピアノ部門第一位ということでございます。このピアノ部門で女性初、日本人初ですね。同じくこの第十二回チャイコフスキー・コンクール、バイオリン部門でも一位なしの二位に川久保さん。事実上、両部門で日本人がトップになったわけでございます。
 このお二人について、さっき田中さんはノーマークだったという話もありますが、このお二人については事前に、もうひょっとしたらこういう世界的なタイトルをとるんじゃないかという御認識があったかどうか、まずお聞かせいただきたいと思います。
河村副大臣 御指摘の上原さん、それから川久保さんですか、もう日本ではいろいろな賞もおとりになっておられました。ただ、だからといって、そのチャイコフスキーでは一位になられるだろうとか、その予想をしておったわけじゃございませんけれども、しかし、こうした世界的なコンクールで優勝されたというのは、日本のそうした芸術といいますか、その水準が高いんだということを示したことで、私ども非常に誇りに思っておるところでございます。
牧委員 非常に簡単な御答弁をいただいたんですけれども、この上原さんという方は、前回第十一回の四年前のコンクールにおいても、十七歳という史上最年少で第二次予選まで通過したということで、当然これは文部省及び文化庁としても注目をしている方であるべきだったなと私自身思います。
 というのは、このチャイコフスキー・コンクールというのは、一九五八年第一回のピアノ部門優勝者はヴァン・クライバーンといいまして、この方が優勝されたときの様子というのは、多分国会図書館、調べていただくとわかるんですが、昔ライフという、今の日本の写真週刊誌より一回り大きい雑誌がアメリカにございまして、薄っぺらいものですね、あれでも、何月号かわかりませんが、ヴァン・クライバーン特集といって、もう全面その記事が載っておりました。大統領アイゼンハワーが空港まで出迎えて、オープンカーでニューヨークの町をパレードして、ホワイトハウスで祝賀パーティーを開く、こういう騒ぎと言ってはなんですけれども、これだけの価値のあるタイトルをとったということで、アメリカ、当時の国民は熱狂をしたわけでございます。
 ことしの六月、日本人が受賞した。非常に対照的な様子だったなと私は思うわけで、この六月はまさにワールドカップで、日本じゅうがもうサッカー一色だったと思うわけでございますけれども、この辺のところ、何か寂しいなと思わずにはいられない。もう一度ちょっとその辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
河村副大臣 牧先生、芸術文化、特に音楽に造詣が深いと伺っておりまして、そういう思いを持たれる、私も同じような感じを抱きます。
 スポーツのような熱狂的なそれとまた違って、文化芸術、音楽あるいはそういうものに対する国民の関心度といいますか、熟度の問題だろうと思います。文化芸術振興基本法をつくりまして、日本が文化立国としての位置を高めていこう、国民的な盛り上がりをつくっていこうという一つのねらいもあったわけでございますが、私は、やはりこうしたものに対して、国も行政として支援できることについてはもっと支援をしながら、文化芸術、特に音楽に対する国民の熟度を高めていくということは大事なことだろうというふうに思っております。
 そういう意味で、文部科学省としても、こういう才能のある方々を、特にこれからさらに顕彰制度をもって高めていこうというようなこともやっておるわけでございまして、この方について今どうこうということではありませんけれども、芸術選奨ですか、文部科学新人賞とか、そういうものを差し上げながら人材育成にも努めておるわけでございます。
 また、これから、そういう立派な賞をおとりになった例えば上原さんのような方々が日本でももっと活躍できるような場をもっとつくっていく、そのような環境づくりといいますか、支援事業といいますか、そういうものをもっと充実していくことによってそうした音楽に対する国民の高まりというのがもっと高まっていくだろう。
 今の御指摘を踏まえて、これはもっと進めていくべき課題であるなというふうに受けとめさせていただきました。
牧委員 ありがとうございます。
 子供たちがワールドカップだといって騒いでみんながサッカーをやってもしようがないわけですから、ぜひこういう人材を生かして、やはり頂点が高ければ高いほどすそ野も広くなるわけで、いろいろなところで日本にはそういうすばらしい人材がいるわけですから、そういう人材を本当に文部科学省としてもスターとして育てていただきたい、そんなことをお願い申し上げたいと思います。
 次の質問をさせていただきます。
 いよいよ来年、通常国会に教育基本法の改正案も出されるようでございますけれども、私自身、教育改革というものをやはりその本質から掘り下げて議論すべきだと思いますし、そういった意味で、根本的なこの国の教育の現状を改めるためにはやはり基本的な法律から見直していくということには大いに賛成なわけでございます。
 しかしながら、それだけでもって、文部科学省が提唱している、みずから学びそして生きる力をはぐくむ教育が、本当に実効性があるそういう教育が実現できるのかどうなのか、そこら辺のところは甚だ疑わしいところもあるわけで、もうちょっと別の観点からもいろいろ掘り下げて教育のあるべき姿というものを議論すべきではないかと、私なりのいろいろな発想もあるわけでございます。
 これは多分これまで余り議論されたことがない話だと思いますけれども、あえて一つの逆説を投げかけるという意味で若干の質問をさせていただきたいと思います。
 今、例えば国立大学に進学すると、平成十四年度入学者は四年間で大体二百二十六万九千二百円、私立大学だと文系で三百万円強、理系だともっとかかるんでしょうね。医学・歯学系に至っては、六年間で二千万円以上かかる。これらは親が負担するというのが、そういうケースが多いと思うんですけれども、この場合の税法上の扱いというのはどういうふうになっているのか。これは親から子供に対する贈与という見方も私はできると思うんですけれども、税法上の扱いについてお聞かせいただきたいと思います。
田中大臣政務官 お答えをいたしたいと思います。
 我が国では、民法上で家族間の扶養の義務がうたってあることは、委員も御承知のとおりだと思います。
 さらに、相続税法の第二十一条の三の規定によって、御指摘の件は、親子間などの扶養義務者間において教育費に充てるための資金として贈与されたもので通常必要と認められるものについては贈与税は課税されない、このようになっておるわけでございます。
 この場合の教育費は、被扶養者の教育上、通常必要と認められる入学金や授業料などの学資、教材費あるいは文具費などを言っておりまして、義務教育費に限られておらない、こういうことでございます。
牧委員 念のために伺います。
 文部省も大体同じ考え方ですか。
河村副大臣 もちろん同じでございます。
牧委員 私、何が言いたかったかというと、これはやはり親の扶養の範囲内だ、それは税制上おっしゃるとおりだと思います。ただ、やはり教育の観点からすると、これはまたちょっと違った見方をしてもいいんじゃないかな。初中教育と高等教育と一緒にしてこれを全部親の扶養の範囲内だという、そういう考え方そのものがこの国の高等教育の貧困さの中に潜んでいるものじゃないかなと私は思うんです。やはり、みずから学ぶということのためには、自分のコスト負担感覚というか、そういうものも非常に重要だと思うわけでございます。
 そういう中で、いろいろさっきも申し上げました特殊法人改革なんかのお話もございますけれども、これからの奨学金制度、日本育英会の見直しのお話もありますけれども、どういう方向でお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
河村副大臣 御存じのように、日本育英会を独立行政法人化する方向で今進んでおるわけでございますが、御指摘の奨学金制度については、現在持っております無利子そして有利子の制度、これはきっちり継続をしていかなきゃいかぬ、こう思っております。
 特に、奨学金については、本年六月に閣議決定をされております経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇二においても、その充実をしろということが示されておりまして、厳しい財政状況下にございますけれども、教育を受ける意欲と能力のある学生が安心して学べるという方向でやってまいりたいと思いますし、先ほど御指摘がございました点を踏まえますと、やはり十八歳で自立をしていくという考え方をもっと進めていく必要もあろう、このように思っておるわけであります。
牧委員 私が思っているのは、やはり学費というのは本来学ぼうとする者が払うべきもので、みずから学ぼうとする姿勢がなければ、ただ大学に通っても成果は上がらないわけで、その辺のコスト意識が働けば学ぶということも真剣になるでしょうし、また、親の負担を減らすことで消費にもお金が回ると思いますし、また教育費の負担が減ることで少子化対策にもなるんじゃないか。
 昔は、大勢子供がいて、そのうち一人か二人、上の学校まで上がる。上の方の子供は実家の商売を継いで、下の方は継ぐべきものがないから教育でも受けさせるかと。これは、教育というのは一つの財産だと思うんですね。
 そういった意味で、自分なりにそういう自分の生きる道をみずから模索しながら必要な勉強をするという姿勢がなければ、本当の意味での高等教育というのは中身のあるものにならないんじゃないかということで、私は、今すぐこれを税金の対象にしろと言っているんじゃなくて、まさにそういう意識こそが大切じゃないかなということを思った次第でございます。
 ぜひとも、例えば奨学金制度についても、これは、親の収入によって給付の制限があるとか、そういう形じゃなくて、給付を受けたいという学生、これはお金持ちの子であろうが何だろうが、みずから学んで、自分で社会へ出て返す、あるいは、企業が優秀な学生であれば奨学金はこっちで持ってやるよというようなシステムをつくった方が、実際に学生が大学で真剣に学ぶ、そういう環境ができるんじゃないかな、そう思った次第で、あえて提言をさせていただきました。
 時間を過ぎてしまいましたので、これで終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
古屋委員長 佐藤公治君。
佐藤(公)委員 自由党の佐藤公治でございます。
 本日は、大きく二つのことについて聞かせていただきたいかと思います。
 そのうちの一つは、これはいつものお話ですけれども、小泉内閣の、今の政府の国のあるべき姿ということがきちんと明確に私ども伝わってこない、よくわからないというような話は、もう平行線のままになっているかと思いますけれども、その小泉総理がおっしゃる中で、構造改革ということ、これは私たちも言葉として使わせていただいております。
 大きい話ですけれども、小泉内閣の一員として大臣、副大臣いらっしゃるわけでございますけれども、小泉内閣における構造改革というのは一体全体何を指しているのか、どういうことを言っているのか。それをもとに、各省庁が、また各担当大臣、副大臣がそれに沿って構造改革に尽力されているというふうに思いますけれども、小泉総理の構造改革というのは一体全体何なのでしょうか。
遠山国務大臣 小泉内閣におきましては、内閣発足以来、日本の持続的な経済成長を取り戻すために、経済再生を目指して、経済、財政、行政、社会の各分野における構造改革に取り組んできていると思います。
 総理御自身の所信表明演説などの中で述べておられます小泉構造内閣、これが目指す社会につきましては、御存じのように五つの目標を提示されております。第一は努力が報われ、再挑戦できる社会、それから始まりまして、第五が子供たちの夢と希望をはぐくむ社会ということで、五つの目標を立てているわけでございます。
 そうした目標のもとに、これまでさまざまな改革が進んでまいっていると思います。特殊法人の改革、規制改革、構造改革特区の取り組みといった形で着実に推進されていると思っておりますが、特に経済につきましては、今は正念場と考えておりまして、構造改革をさらに強力に進めるために、これからまた補正予算の編成あるいは来年度予算の編成、税制改革等に取り組んでいるところでございます。
 我が省といたしましては、その構造改革の中に目標とされております人間力をより強め、また技術力もより活性化していくということで、人間力戦略あるいは技術力戦略という分野を真正面から担っている省といたしまして、その問題について私どもの戦略を立て、ぞれぞれの分野においてしっかりと構造改革に取り組むという姿勢で協力をしていっているところでございます。
佐藤(公)委員 皆さん、おわかりになりましたでしょうか。
 では、大臣、もう一度聞きます。
 では、その中の構造改革、どこに問題点があって、どこを変えていこうということになるのか。はっきり、今の御説明だとちょっとわかりにくいんですけれども、よろしくお願いいたします。
河村副大臣 今大臣から、特に文部行政を中心に答弁があったと思うんでありますが、佐藤委員御指摘の、日本の構造改革をどういう視点でとらえていくかということだろうと思いますが、これは、小泉総理がこれまでずっと言われてきたことを私なりに理解した中では、これまでの日本社会というのは、一つは、やはり官依存型であって、中央集権依存型であったということ。これを民にできるだけ移していく。そして、それをまたつなぐもの、例えばNPO法人なんというのが新しく出てまいりました。
 そうした、社会をもっと成熟社会、それから柔軟な社会につくっていこう。その中には当然、規制でがちがちになっている、規制をかけておく、そして官に依存しておれば物事がうまくいく時代はもう今の時代では通用しないんだということ、これは欧米型の社会を見てもそのとおりでありますが。そのように移転をしていくためには、当然、中央集権から地方分権、地方主権へと移していく必要もあろう。そして、官と民の役割をはっきりさせていく。
 それから、個人社会においても、これは司法改革で言われていることでございますけれども、当然自己責任においてやっていく。そして、当然、スタート時点においてはまさに自由にやっていただいて、自由経済社会の中で自由にやっていただきながら、しかし事後チェックというのはきちっとやりましょうというようなこと。
 あるいは、お役所の中にといいますか、国がやっていることの中に税金のむだ遣いがあるんではないか、特殊法人はどうなんだ、そういうものを改善していこうということでありまして、やはりこれは国民の視点に立って、国民が自由に、濶達に、そして日本の社会がもっと活性化に向かっていくために持続的な経済成長、もう低成長時代に入ってきておりますけれども、そういうものを持続するためには、今の現状を変えていくという方向はやはりどうしても必要だと言われているわけでございまして、そのことについては国民の皆さんが支持をしているということが小泉内閣の高い支持率になって生まれてきているんだ、私はこのように理解をいたしております。
佐藤(公)委員 今聞く限りですと、もう私の考えとほぼ同じかなというふうに思います。
 官から民へ、中央から地方へということをおっしゃったんですけれども、ではこの二点だけに絞らせていただきますと、官から民へなぜやらなくてはいけないんでしょうか、そして中央から地方へなぜしなきゃいけないんでしょうか。副大臣、どう考えられますか。
河村副大臣 これはさっき申し上げましたように、日本の仕組みというのがやはり中央集権の形でこれまで来た。しかし、これはやはり戦後の経済復興の上には大きな役割を果たしてきたと思うわけでありますが、その中には当然規制というものもあったわけですね。その中で、国民が何かやろうとするとそれに引っかかってなかなか自由に事が運ばないということが出てきた、それを変えていこうという一つのあらわれだと私は思いますし、当然その流れの中には、地方がもっと自由にいろいろな仕事ができるようにということだろうと思いますよ。
 例えば文部行政にいたしても、できるだけ各首長さん方が自分たちの発想に基づいてやれることはないだろうかと思っておられる。それをどうやってその受け皿として、そのかわり、もちろん受け皿としての強化をお願いしなきゃいけないということもございますが、できるだけ自由濶達にやれるような仕組みをつくっていこうという、そういうことで、官と民、あるいは中央から地方へという流れをつくっていくことによって日本社会が活性化していくということにつながっていくというふうに私は考えております。
佐藤(公)委員 まさにそこら辺も私たちと同じ考えかなと思います。
 そういう中で、今副大臣がおっしゃいました規制ということがございます。この規制を絡めた一つの大きな日本社会の構造的問題点というのは、まさに政治と官僚と業界や団体の企業、言葉はよくないかもしれませんけれども、政官業の癒着構造というのが一つの日本社会の大きな問題点であり、これを変えていく必要が私たちはあると思います。
 ただ、これは全部癒着という言葉で言うと悪いことばかりになってしまうし、まあその部分を指摘しているわけですが、戦後、日本の社会というのは、政官業の癒着というよりも、団結だったと私は思います。しかし、とあるときからその目的が、一部の人たち、一部の業界、一部の人たちによるための規制であり利益というもの、そういったものがいつからかなってしまったのかな、もしくは昔からあるかもしれませんが、バランスというものが崩れてしまったのかな、こんな感じがいたします。
 そういう部分で、悪いところを政官業の癒着構造と言わせていただければ、今、ここが日本社会の非常に大きな構造的問題点と言えると思いますけれども、副大臣、いかがでしょうか。
河村副大臣 一口に政官財の癒着という言葉、よく使われますが、佐藤委員も特に言葉を選んで、一部のと、こういうお話でございました。
 私は、大方といいますか、全体の流れとしてはそれぞれの立場をわきまえて努力しているというふうに思いますけれども、一部のそういう考え方をさらに、自己中心的になった政治家も逮捕されたとか、そういう例でわかるように、そういうこともあるわけでありまして、我々はそういうことに対してはみずから戒めながら、国民が考えておられることに対してきちっとその役割を果たしていくということになれば、そのような指弾があってはならない、私はこう思っておるわけでございまして、やはりそれぞれ政治家には政治家の果たす役割がありますし、また官僚には官僚の果たす役割がある。それぞれのつかさつかさの役割をきちっと果たしていけばまたそういうことは起きないし、またその視点を、できるだけ国民中心に物事を考えていくというふうに考えておる限りはそういうことは起きないはずである、私はこのように考えておるわけであります。
佐藤(公)委員 私が聞いているのは、政官業の癒着構造というのが、今、日本社会のやはり大きな問題点になっているんじゃないかということで、副大臣がそのとおりですと言うのか、いや、問題には全然なっていないと言うのか、そこら辺、もう少し具体的に、はっきりお答え願えればありがたいと思いますが、いかがでしょうか。
河村副大臣 政官財といいますか、産業界等々も、それぞれの業界も、みずからの努力とあわせて発展を図っていこうという努力をされる。そうした中には、これまで行ってきた国の行政の中でやれるべきことの支援を強く求められるということはやはり当然起きるだろうというふうに思うわけです。
 しかし、私も、御指摘のような、その中に人間の弱点というか弱さというか、そういうものをいかに戒めながら、公正なといいますか、そういうことがやれるかということだろうと思います。しかし、つかさつかさのそれぞれの役割を持った人たちがそのために努力すれば、みずから努力していく中でそういう摩擦が出てまいる、それをいかに調整するかということが、これは政府でいえば内閣がこの調整役を果たしていく、あるいは総理のリーダーシップでそういうものを果たしていくということがやはり必要になってくるんではないかなと思っておりまして、私は、佐藤先生指摘の点については、今の現状を見ていると、そういうことが問題になっているということは我々はやはり深く自覚をしなきゃいかぬ、こういうふうに思います。
佐藤(公)委員 副大臣もなかなか言葉を選びながらお話しされていて、言いにくいのかもしれませんけれども、今のお話ですと、やはり問題点だろうというふうに私は理解させていただきたいかと思います。
 そういう中で、幾つかのその政官業の癒着構造という中、まさに先般から特殊法人、独立行政法人等々の議論があるんですけれども、公益法人ということに関して、この政官業の癒着構造になり得る、もしくは疑われるような部分でもあり得ると思うんですけれども、この公益法人について少しお聞きしたいと思います。
 文部科学省所管の公益法人というのは全部で今幾つあるんでしょうか。
結城政府参考人 ことしの十一月現在でございますが、千九百五十法人ございます。これは、国全体の所管の公益法人が七千六百ほどございますが、その約四分の一になっております。
佐藤(公)委員 千九百五十。大臣、副大臣、大変な数です。この公益法人の中で、幾つかの点がありますけれども、そのうち二つの点、その人事という面についてとらえてみていただきたいと思うんですけれども、実際問題、平成十二年から十三年に対して、この公益法人の公務員出身者、公務員出身の方々の数もしくは法人数というのはふえているんでしょうか、減っているんでしょうか。また、数というのがわかりますでしょうか。
結城政府参考人 お答えいたします。
 所管の官庁の出身者のいる法人の数でございますけれども、例えば、平成十年ですと三百二十ございましたが、十一年は三百四、平成十二年度は三百三というふうに、法人の数は減っております。
 また、その時期の役員の数でございますけれども、平成十年は五百二十九名、十一年は五百一名、十二年は四百七十六名ということで、少しずつ減っておる傾向にあるかと思います。
佐藤(公)委員 今は所管の文部科学省なんですけれども、全体の役所における、文部科学省の所管の公益法人の中での元公務員の方々の数。
結城政府参考人 ただいま御紹介申し上げました数字は、文部科学省所管の公益法人に限って申し上げたものでございます。なお、政府全体の数字もございますが、必要であれば御紹介したいと思いますが。
佐藤(公)委員 私の方だとふえているように思えるんですけれども、全体の公務員出身ということであればふえているように思えるんですけれども、では、それはちょっともう一回突き合わせをさせていただきたいと思います。
 そういう中で、実際、千九百五十法人のうち国からの補助金、委託費を受けている法人は全部で幾つありますでしょうか。
結城政府参考人 平成十三年十月現在の数字で申し上げますと、国から委託費、補助金を受けております文部科学省所管の公益法人は、全部で二百十七でございます。
佐藤(公)委員 では、この補助金、委託費を受けているところの二百十七に聞かせていただければありがたいんですが、またこの人事面で、この中で、現職の国会議員が理事もしくは監事をしているという方、何人いらっしゃって、何団体ありますでしょうか。
結城政府参考人 ただいま申し上げました二百十七の公益法人のうち、理事に国会議員が就任しているものが十一法人ございます。その合計の国会議員の数は、合計数値は二十一名でございます。いずれも非常勤の理事でございます。
佐藤(公)委員 監事も入れると何人になりますでしょうか。
 わかりました。監事が四人ですので、二十五人になります。
 それで、僕が言いたいことは、この中で、皆さん、本当にまじめにやられている方々もいらっしゃいますし、きちんと仕事をされている方々もいらっしゃるから、私は名前とかそういうことを今ここで言うつもりはございません。
 ただし、やはり今政官業の癒着構造が問題というのであれば、これは法律的には問題がない、特に報酬はもらっていないということも確認しておりますので、名前で仕事をする、こういうことも今までも当然のようにあったことですけれども、やはり国から補助金や委託費を受けている公益法人というのは、議員という方々は、それはまじめにやられている、必要なこともあるかもしれませんが、今の時節柄、やはりそれは辞退した方がいい、もしくはある一定の線引きを決めた方がいいと思いますけれども、副大臣、いかがお考えになられますでしょうか。
河村副大臣 委員も御存じだと思いますが、今公益法人の理事に我々国会議員が就任する場合には、国会の議決があって、行為規範というのがございまして、議長へ届け出るということになっておりますから、手続上これは問題ないというふうに私も思っております。
 ただ、議員がそうしたものに入っていく、国から支援をもらっている、それの役割を果たすことが期待をされているというとらえ方をする場合にどうであろうかということでありますが、ただ、公益法人というのは、まさにNPOに近い状況に、ほとんど同じだと言っていいと思うんですが、まさに利益を求めてやっているわけではありませんので、そのことによって、私は、必要性といいますか、今までのいろいろなそういうことに対する活躍とか、事実、例えばオリンピック経験者がそうしたオリンピック委員会等々で世界に対しても発言力を持ってもらいたいというようなケースもあろうと思いますから、私は、これは一概にそれを全部否定してかかるというものでもないし、我々が望んでどんどんどんどんそういうところへ入っていっているかというと、そうではありません。
 そういうことを考えますと、今の現状、これだけ国会議員がいる中で、二十人、三十人の方が請われて、私は、こういうところでまさにそれぞれの活動にとって有益な活動をされておる、まじめにやっている方もおられるという御指摘もありましたが、私はそういうことでやっておられると思いますから、国会規範に、今のところ我々の行為規範にのっとってやっておられることを、それをとがめるべきものではないのではないかと私はそう今感じておるんですが。
佐藤(公)委員 確かに、副大臣のおっしゃるように、まじめにやられている方々を見ればそう思うんですけれども、私は、この中でも幾つか疑わしいかなという部分を、私自身、推測のレベルですけれども、感じる部分があります。
 政官業の癒着構造の問題点というのは、業界や団体が、一つの既得権益を守ってもらうために、また自分たちを有利な方向に導いてもらうために、政治家等にやはりお願いをし、そして官僚との間での話、官僚からその規制を守ってもらう。口きき行為と言われるものもあると思う。それによって業界や団体や企業というものが利益またはいい方向に進む。それにおける、そこからが問題なんです、政治家に対してのやはり選挙であったりお金であったりするというものが、直接じゃなかったとしても間接的に入ってくる、こういうことが政官業の癒着構造。そして、政治家はやはり官僚における、言葉はよくないかもしれません、天下りというような状況で、官僚のいいような状況のことをつくり上げていく、これが政官業の図式構造だと思うんです。
 そういう部分でいうと、今公益法人の中で、まじめにやられている先生方もいるし、先生のおっしゃるようなことでそんなことはする必要はないと思うところもあるんですけれども、ちょっとこういうところはというところは、感じるところが幾つかあるところがあると思います。
 では、こういうところを具体的に調べていって、もしもその公益法人が政治家の方々のために活動している、選挙とかそういったことでの手伝い、関係が強く深くあった場合には、副大臣、どうされますか。
河村副大臣 確かに、御指摘の点が目に余るものがあって、それが問題を起こすというようなケースについて、では文部科学省がどこまで、それぞれの各団体の自主性を尊重しなきゃならぬ中で権限を持っているかと言われると、私は、その範囲というのは限られておるんだろうと思いますが、しかし、それによって国民が非常な迷惑をこうむるとか、本来のその団体が持っている活動の趣旨に大きくそれているというようなことについては、これはそれをよしとすることであってはならないなというふうに私自身は感じておるわけでございますが、これを今文部科学省として具体的にどうするということを、そうした規範的なものを持ち合わせているわけではございませんが、これは当然そういう問題が起きれば社会的な糾弾も受けるでありましょうし、また当然、そういうことが明るみになっていけば、この今の日本社会においては、マスコミもそう黙ってはいないだろう、そして是正されていくだろうと思っておりますが、役所側がそれについて強制力を発揮するという立場にはないというふうに思っております。
佐藤(公)委員 これは副大臣、マスコミがそんなことだったら騒ぐだろうとか、事が起こってからということになる前に、確認ができるところ、チェックするところがあればしておく必要性が私はあると思います。
 それが一点と、もう一つは、やはりこれはここだけの委員会の話ではなく、政治家の全体の、与野党を問わず、ここら辺を政治家としてみんなが考えていかなくてはいけない部分としてあり得ると思います。
 それで、私、この件に関してはこれでちょっと終わらせていただいて、もう時間がなくなっちゃいましたので、また問題等があった場合には次の委員会で全部指摘をさせていただきますので、そのときはひとつ副大臣、よろしくお願いをいたしたいかと思います。
 この前の一般質問のときに聞かせていただきましたADHDの件でございます。注意欠陥多動性障害というもの。四月に質問をし、そして前回も質問をいたしましたけれども、前回の質問の答弁の中で、何も指示等通達も出していないということの御答弁があったわけでございますけれども、約一週間たった今日、ADHDに関して文部科学省として、各地方、小学校、教育機関、行政に対して何かしたのか、またする予定なのか、答えていただけたらありがたいかと思います。
矢野政府参考人 ADHDに関する文部科学省としての取り組みでございますが、このことにつきましては、さきの当委員会におきまして御報告申し上げましたとおり、この十月に特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議の中間まとめが発表されたところでございます。私どもといたしましては、そうしたまとめを踏まえながら、今後ADHDに関する取り組みを進めてまいりたいと思うわけでございますが、その際、私どもとしては、そうした取り組みを進める上で強く意識している課題として幾つかあるわけでございますので、それについて御説明申し上げたいと思います。
 一つは、ADHDについての適切な指導や相談を行う者を育成すること、あるいは教員のこうした問題についての専門性を高めるといったようなこと、これは大変大事な課題ではなかろうかと思っているわけでございまして、このことにつきましては、国といたしましても、国立の特殊教育総合研究所の研修事業におきまして、教育相談を行う教員等を対象とした研修の中でADHDについても理解向上を図ってまいってきているところでございますけれども、今後、そうした専門的指導者養成のための研修事業の一層の充実を図っていかなければならない、かように考えております。
 また、この問題につきましては、教員や一般国民のADHDに関する正しい理解や認識を深めることが私ども大変重要であろうと思っているわけでございまして、このことにつきましては、同じく国立の特殊教育総合研究所におきまして、ADHDの子供たちに対してどのような対応をする必要があるか、どのような配慮が必要であるかといったようなこと、さらにはその指導方法も含めまして研究を行っているところでございまして、この研究成果を踏まえて、理解啓発資料を今年度中に作成して、全都道府県の教育委員会、学校に配付いたす予定でございます。
 さらに、もう一つの課題は、学校や地域における、こうした障害を持っている子供たちに対する支援のための体制づくりということであろうかと思っているわけでございまして、このことにつきましては、平成十五年度概算要求におきまして、総合的な推進事業という形で盛り込んでいるところでございまして、その中で、ADHDについての校内体制の整備あるいは教育委員会における専門家チームの編成、さらにはそうした専門家チームを巡回相談といったような形で学校に派遣する事業、そうしたことを盛り込んだ形での総合的な支援体制の整備に向けた取り組みをこの予算要求において盛り込んでいるわけでございます。
 こうした取り組みを通じまして、率直に申し上げまして、このADHDに対する我が国の取り組み、欧米に比べておくれているわけでございますけれども、今申し上げたような課題を中心に、今後ADHDについての取り組みに努めてまいりたいと考えているところでございます。
佐藤(公)委員 前回からずっと同じような答えなんですけれども、もう一刻も早く、大臣、副大臣、子供たちは時間とともに成長していきます。その間に、この前もお話ししましたように、非常に不幸な結果を生んでいるところもあります。
 先般もお母さん方と会ったときに、就学問題のことで相談しに行った相談者の方が、学区内において子供を受け入れていただけない、幼稚園の姿を見て、聞くと、うちの学校では見れませんということを言われたと。そして母親が言われたことは、育て方を間違ったようですねと言われた。ADHDの診断を受けているんですと言っても、そんなことは関係ないということを平気で言われている。これ、現実なんですよ。
 だったら一刻も早く何か手を打つべきじゃないですか。判断基準やなんかは日本にないんだったら、ではアメリカは何やっているんですか。判断基準もないんですか、アメリカには。海外にもないんですか。参考事例をとって、いち早くそれなりの、今現状の連携をとるなり、やはり啓蒙をもっと早くしなくてはいけないと私は思います。
 大臣、副大臣、聞いてください。僕は何でこのADHDを何回も取り上げるかといったら、やはり今教育分野で差別だのいろいろなことがある。歴史観だとか人種とかいろいろな問題がある。でも、同じ子供たちの仲間で、これは区別、差別になっちゃっているんですよ。これを本当に、身内の周りからそういったものをなくすことが本来の、差別意識をなくしたり、教育じゃないかなと僕は思います。
 こういうところをないがしろにして歴史観、人種、いろいろなことをやったって、そんなのわからないですよ、子供たちにはまだまだ。それよりも本当に、自分たちの同じ世代の同じクラスに入る同じ仲間が差別を受けるか受けないか、区別を受けるか、みんながそういう子供たちを受け入れられる気持ちを持てる、これが本当の僕は教育なんじゃないかというふうに思います。だから、身近なところでは、本当に大事なことですから、お願いを申し上げます。
古屋委員長 時間が終了しておりますので、手短にお願いします。
佐藤(公)委員 これにて私の質疑を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。
古屋委員長 児玉健次君。
児玉委員 日本共産党の児玉健次です。
 教育基本法と教育振興基本計画に関する中央教育審議会の中間目標、これを何回か読みました。そのことについて何点か尋ねます。
 まず最初に、この中間報告、場所は二十ページですが、教育基本法、それの具体的な見直しの方向について、「平和的な国家及び社会の形成者として有すべき徳目」、徳目と書いていて、「「真理と正義」「個人の価値」「勤労と責任」「自主的精神」が掲げられている。」こういうふうに叙述した部分があります。
 そして十一月二十七日、この委員会で文部科学省は、「第一条の教育の目的において、国民として備えるべきさまざまな徳目が列挙されておるわけでございます。」こうも答弁した。
 教育基本法第一条の「真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、」とそれに続く部分を科学省はいつから徳目の列挙としてとらえるようになったのか。重要な問題ですから、大臣の答弁を求めます。
遠山国務大臣 今の徳目という用語は、これは制定時におきます議会での答弁の中で明確に答えられているものでございます。
 今手元で探しておりますけれども、ちょっと申しわけございません。
 これは、昭和二十二年三月二十日、貴族院教育基本法案委員会におきます辻田政府委員の答弁の中で、「教育の目的の中には色々な徳目、或は掲ぐべき必要なことがあらうと思ひます、」ということでございまして、その教育の目的という条項の中にある、書かれているものは徳目であるということが明瞭にうたわれているわけでございます。
 したがいまして、恐らく中央教育審議会におきましては、制定時の用語を勘案しながら書かれたものだというふうに思っております。
児玉委員 それは貴族院の議論で、そしてしかも、その段階、残念ながら日本の政府や文部省はまだ教育勅語との併存について必ずしも明確な態度をとっていなかった、教育勅語の母斑を付したままそういう答弁があったものですね。
 遠山さんは文部省が長いからよく御存じだと思うけれども、昭和二十二年八月二十日に、文部省の当時の調査局長であった辻田力氏と、それから教育基本法制定そのものに深くかかわった東京大学法学部教授田中二郎氏、序文によれば、執筆をし、取りまとめたのは文部事務官安達健二君、こういう人たちが教育基本法のいわゆる立法者の意思について非常に重要なものを出しています。お持ちだと思う。
 その中で、今の点についてどういうふうに述べているか。「平和的な国家及び社会の形成者としていかなる資格が要求されるかを具体的に示したのが真理と正義を愛し以下の文章である。」平和的な国家及び社会の形成者としていかなる資格が要求されるか、こういうふうに立法者の意思として示されれば非常によくわかるんですね。
 これは徳目ではありません。少なくとも、この立法者の意思として、平和的な国家及び社会の積極的な形成者という言葉も当時使っている。そういう人たちに求められる資格としてこのように述べた。いかがですか。
遠山国務大臣 そういう資料があるということも承知をいたしております。まさに「平和的な国家及び社会の形成者としていかなる資格が要求されるかを具体的に示したのが真理と正義を愛し以下の文章である。」ということでございます。
 私が先ほど申し上げましたのは、こういう本、著作の中でということではなくて、議会における正式の答弁の中で、立案に携わった人の発言としてその内容が示されていた、その中で挙げられている言葉であるということでお答えいたしました。
児玉委員 こういう問題は、かなり言葉に、やはり言葉として厳格でなきゃいけない。
 使い方はいろいろあるんです。例えば、真理と正義で切り離してしまえば、それをある意味では徳目的なものと言えるかもしれないけれども、しかし教育基本法の第一条では「愛し、」と言っているんですよ。「真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、」そういって述べていって、そして、しかもこの衝に当たったあなたたちの大先輩が、立法者の意思として、今あなたも御存じだとわかってよかったけれども、国家及び社会の形成者として求められる資格、それを連ねたのがこの部分。
 それで、徳目ということに皆さんが固執する態度をもしお持ちであれば、それこそ先ほどの貴族院じゃないけれども、私はやはり教育勅語のことを想起せざるを得ません。
 私は、小学校の六年で戦争が終わった方だけれども、今でも覚えていますよ。「父母ニ孝ニ、兄弟ニ友ニ、」とずっとまさに徳目が列挙されて、それらの徳目は結局のところ、「一旦緩急アレハ、義勇公ニ奉シ、」ここに収れんするんですよ。そのことに対する痛切な反省から戦後の民主教育が始まり、教育基本法の議論も教育刷新委員会の皆さんたちの熱心な議論によって進められたんじゃありませんか。
 「真理と正義を愛し、」に続くところを平和的な国家及び社会の形成者としての資格ととらえるか、それとも徳目の列挙ととらえるか。徳目の列挙ととらえたら、この徳目が足りないからつけ加えればいい、こういう態度に結局つながっていく。これは単なる表現の問題ではありません。このことに絞って、大臣の答えをいただきたい。
遠山国務大臣 最初にお挙げになりました文章は、これは中央教育審議会において審議がなされまして、その結果を取りまとめて中間報告として出された内容であると思います。そういうことで、この中間報告の中に書かれているのは、徳目としてとらえ、そしてその淵源としては、恐らくは貴族院における議会答弁の中で述べられている説明というものを根拠にして出されたのだと思います。
 私といたしましては、中央教育審議会における審議そのものが非常に活発に行われており、かつまた真摯にこの問題について考えておられるということでございまして、その一語一語について私の方でコメントをするということは、この今の段階においては差し控えさせていただきたいと思います。
児玉委員 私がこの問題を今この委員会で取り上げているのは、中間報告が出された段階で、国会で一人の国会議員がどういう思いでそれを読んでいるかということを中央教育審議会の委員の皆さんたちに知ってもらおうという意思も含めてこのことを私は述べている。
 さらに議論を進めていきますけれども、やはり国家及び社会の形成者として問われている資格、そういうものとしてこれを私は文部科学省の皆さんにしっかり理解していただきたい。それがあなたたちの先達の残された道だという点を指摘しておきます。
 さて、そこで、中間報告では、これからの教育目標、ここでは目的という言葉を使わず、わざわざ目標と言いかえているわけですが、これからの教育目標を達成するために、現行の教育基本法では理念や原則が不十分なものなど幾つか挙げています。そして、その中に、例えば生涯学習社会の実現というのもその不十分なもの、または触れていないものとして挙げられている。このことに関して、これまでの国会議論との関連で私は取り上げたい。
 一昨年の二月二十五日、衆議院の予算委員会、当時の官房長官は参議院の青木さんだったから覚えていらっしゃる方もおいでだろうと思う。石井郁子議員が、一九九〇年に制定された生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律、長い法律ですね、以下生涯学習振興法と呼びましょう、これに触れて質問しました。
 石井議員は、教育基本法の中でこの法律、生涯学習振興法、この法律ができていると理解していいか、こう尋ねた。当時の中曽根文部大臣は、明確に次のように答弁した。委員がおっしゃいましたように、平成二年の六月にこの生涯学習振興法が制定されたわけでありますが、これは教育基本法の大枠の中で制定されたものと理解しております、こう答えていますね。これは重要な答弁だと思うんです。
 御承知のように、教育基本法第十一条(補則)「この法律に掲げる諸条項を実施するために必要がある場合には、適当な法令が制定されなければならない。」これに基づいて、教育基本法の制定の後、例えば地方教育委員会法だとか教育公務員特例法だとか、そういった法律が次々に出されていきます。
 そして、この第十一条は、さまざまな基本法ないしは基本法的な性格の法律の中で、こういう補則を持っている法律は、私の調べた限り、そして幾らかの法律専門家に調べていただきましたが、その人たちの調査の限りにおいて、教育基本法にのみ存在するものですね。
 この教育基本法第十一条に基づいて生涯学習振興法が制定されて、教育基本法法制の一翼を担っています。教育基本法に生涯学習の言葉がないからといって教育基本法を改める理由にならない。そのことが当時の中曽根文部大臣の答弁からも明らかではないかと私は考える。
 副大臣、どうでしょう。
河村副大臣 委員御指摘の点については、確かに十一条のことを念頭に置いて当時中曽根文部大臣は答弁されたと私も理解しております。私も当時総括政務次官であったわけでございますが、その大筋としては私はそうだと思います。
 ただ私は、だから、これがあるから、これで全部いろいろなことがあればそこでやっていけばいいのであって、教育基本法本体に手を触れる必要はないんじゃないかというふうにひょっとしておっしゃりたいんではないかと思いますが、それと今我々が教育の根幹を見直していこうではないかという議論とは、理屈としてはわかるわけでありますが、こうした今の教育情勢の中で、総体を見直していこうという考えの中で生まれたものでありますから、当然今の生涯学習振興法というものがあるわけでありますから、そういうものを踏まえた上で全体を見ていこうというふうに考えていくべきではないか、私はそう考えております。
児玉委員 当時の経過を副大臣は率直にお認めになった。中曽根大臣はそういう意図で答弁していますね。教育基本法の大枠の中でという言い方によくそれがあらわれている。
 そして、この議論はやはり非常に重要なので、私など最近この問題をもう一遍読み直してみて思いますのは、第九十回帝国議会で憲法の審議をしたとき、当時の田中耕太郎文部大臣は、教育基本法ないしは教育基本法的根本法について答弁をしています。これは皆さんよく御承知ですけれども、憲法に一章設けたらどうかということに対して、文部省において、教育に関する大方針及び学校系統の主な制度について、教育根本法というべきものを立案して、早急に議会の協賛を得たく、法律として制定するよう準備している。
 まさに根本法です。根本法ですから、あれこれ言い尽くす必要はありませんね。必要なものについては、先ほどの補則十一条が述べているように、必要がある場合には適当な法令が制定されればいいので、それを全体として教育基本法の大枠、その立場は今こそ極めて重要です。
 そして、副大臣が先を越しておっしゃったから、そのこととも関連してもう一つ問題がある。それは教育振興基本計画の問題です。
 中間報告では、新しい時代の教育目標、これを達成するためには、必要な施策を総合的、体系的に構成した教育振興基本計画を策定することが重要であり云々、こう述べていますね。
 それで、私は、盛り込むべき内容がずっと列挙されていますから、一つ一つについて議論したいんだけれども、きょうは時間がありませんから、ごく例示的に言いましょう。三十四ページに書かれている「少人数指導や習熟度別指導を可能とする教職員定数の改善」、こういう項目がある。これと、昨年我々が審議した公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の改正、これとはどんな関係があるでしょうか。
河村副大臣 ここに挙げてあるいろいろな例示がございます。それが今委員御指摘の面を想定してというか、関連を持ってここに挙げたという、私はそれがあるのでここに挙げたというものではなくて、今回の教育基本計画の中で、いろいろな考え方、どういうことを考えていったらいいだろうかということを、非常に基本計画のイメージというのをできるだけわかりやすくしていく必要がある。
 そうすると、当面今教育界でいろいろ問題になっているようなことを例示しながら、こうしたことを取り上げながら、具体的な教育の計画を立てていく上で、これを場合によっては数値目標にしなきゃいけない場合もありましょうし、そういうような形でこの中にずっと列挙をされたものであって、これは非常に広範にわたっているという御指摘もあるかと思いますけれども、私はやはりこれによって、基本計画を立てる場合のこれは一つの目標の例として挙がったわけでありますから、この中で広範な議論をしていただいてまとめ上げていただく、これが基本計画になっていくんだろう、このように理解をいたしております。
児玉委員 承っておきましょう。後からまた議論します。
 同じく三十六ページのところに、「不適格な教員に対する厳格な対応」というのがある。これと、昨年の地方教育行政の組織及び運営に関する法律案の関係、それともう一つだけ例に挙げましょう。大学改革の箇所で、「自己点検・評価、第三者評価の実施と評価結果の公表」、これはつい先日皆さんと私は随分重要な議論をしたと思うんですね。
 結局皆さんが振興計画に盛り込むべき中身として書いているものは、そのすべてとは言わないけれども、かなりの部分は、この間皆さんが提起されてきた教育三法だとか、それから教育公務員特例法だとか、そして学校教育法の一部改正、それらを抜き出してここに書いているんじゃありませんか。もちろん皆さんはこの後の発展性と言うだろうけれども、少なくとも皆さん自身がごく最近出してきた教育法、そして教育施策、それがここに書いてあるんじゃないんですか、どうですか。
河村副大臣 中央教育審議会においては、いろいろな教育に関する問題を自由に広範な中で議論していただくということになっておるし、また、そういう形で進めていただいておると思っておるわけでございます。
 今確かに児玉委員御指摘の面から、そういう形から考えると、既に法制化もし、現実に行われているじゃないかという部分がこの中になしとは私もいたしませんけれども、しかし、さらに児玉委員いみじくも指摘をされましたが、それを今後具体的にどういうふうに進めていったらいいかとかいう議論はやはりしていただく必要もあるわけでありまして、そういう意味も含めて、広範な議論をしていただくためにここへ出してきたということであって、それは議論の中で、これは法律があるからもういいじゃないかと言われれば、それは自然に落ちていくだろう、こういうふうに思うわけです。
児玉委員 私は三つを挙げただけなんですね。もっと挙げなきゃいけない。
 結局のところ、ここで列挙されているかなりの部分は、一昨年の十二月に当時の森首相の私的諮問機関にしかすぎなかった教育改革国民会議の報告、それに基づいておつくりになったのがこれですね。これも私たちはこの委員会で議論した。二十一世紀教育新生プラン、それから昨年六月のいわゆる骨太計画、ここに端を発する大学改革、それら政府・与党の現在における政策目標を並べたものが多数ですね。
 本来、教育の振興、私は今の教育を現状で放置することはできないと思う。これを本当に豊かなものにしなきゃいけないと考えるのなら、国民が教育の振興、豊かな発展に何を求めているか、そこのところを中央教育審議会の諸君は真摯に見る必要があると思う。
 何を求めているのか。それは、現在多くの道県、市町村で既に開始されている三十人以下学級を、それを国が全国的に年次計画で実現していって、いつまでにそれはやり遂げます、そういう計画。
 それから、十一月十九日の日本経済新聞が非常にわかりやすい図表を示して読者に説明をしておりましたが、GDPの中で教育関連支出が各国どうなのか、世界第一位はデンマークですね。アメリカが第五位、日本は四十三位、これを速やかに引き上げていく問題。そして、私学助成の経常費二分の一までの当面の達成、これは国会の意思でもある、それをいつまでに実現するか。そういった中身が今日の教育の振興の骨格にならなきゃいけない。大臣、どうですか。
遠山国務大臣 教育振興基本計画の中にどういったものが盛り込まれるべきかというのは、私はいろいろな考え方があると思います。
 現実にある教育の状況というものを前提にしながら、将来に向けて何をやっていくかということにつきましては、本当にいろいろな考え方があるわけでございまして、まさにそのことについて御議論を始めていただいているというのが中教審でございまして、私は、広くこれからも国民の意見も聞いていただき、一日中央教育審議会を初め、さまざまな意見をオープンに聞こうという姿勢でございますので、そういうのを前提にし、また有識者からも御議論を得て、これから考えていく、そういう段階であろうかと思っております。
児玉委員 端的に言いたいのですが、あなたたちが今考えている教育振興基本計画には、二つの役割、任務が背負わされていると思います。
 その一つ、それは政府・与党の今日的な教育政策、これは恐らく変幻、いろいろ変わっていくでしょう。今日的な教育政策を教育基本法に位置づけることでお墨つきをもらう、オーソライズドする、そしてより一層、それぞれの中身、さっきの不適格教員の問題にしろ習熟度別学習にしろ、これらについて加速し強めていく、そのために教育振興基本計画が今提起され、そして教育基本法に盛り込まれようとしている、これが第一の役割ですね。
 もう一つの役割は、教育振興基本計画を盛り込まなければならないからということが教育基本法改定の最大の理由づけになっている、そういう形で役割を負わされている。世論はどうでしょうかね。ある全国紙は、その社説で、いっそ教育振興基本計画をつくったらいいではないか、大体、基本法に書かなければ実現できない施策などあるはずがない、私はこれは一つの正論だと考えます。いかがですか。
河村副大臣 今日、教育基本法を根幹からといいますか、今の教育の現状、我々もそのことについて反省をしながら、今の時代に合った新しい感覚で物事を考えていこうという一つの視点に立っておるわけでありまして、そして、それを具体的に教育政策に移していくには、やはり基本計画が必要だというふうに考えておると思っております。
 まあ私もこういう立場にありますが、我が党でいろいろ議論したときに、具体的に政策をやろうとすれば、当然そうしたものの裏づけが要る。それは、今、児玉委員御指摘のようなテーマもありますし、それから予算の問題もある。やはりそういうものが裏づけに必要だから、文部科学省としては当然そういうものと一緒にこの際きちっとしてもらおうという意図があるのではないかという議論を我々サイドもいたしました。
 そういうことを私もなしとはいたしませんが、やはり具体的な施策をこれからやろうとするならば、基本計画あり、長期計画あり、そうした中で教育政策を進めていくという指標というものは必要になってくるであろう、私はこのように考えております。
児玉委員 この議論は続けますが、最後に言いたいのです。
 やはり、こういった種類の議論や、政府としての努力、審議会の努力には、国際的な観点が求められると思いますね。この半世紀余り、どんなものができていったか。一九四八年に世界人権宣言、五九年に国連児童権利宣言、九四年に子どもの権利に関する条約など、日本の教育基本法の目的、理念とこれらは見事に共鳴し合っていますね。本当に見事に響き合って、世界の子供と日本の子供の幸せに役に立とうとしている。
 皆さんに妙な資料をお配りしたので、ちょっと手にとっていただきたいのですが、これは子どもの権利条約、それを受け入れた国に対してそれぞれ出している国連子どもの権利に関する委員会の日本に対する最終所見です。伺ってみると、この重要な文書が中央教育審議会では配付されていない。私は耳を疑った。
 その中で、ごらんのとおり、「貴国における高度に競争的な教育制度、および、それが子どもの身体的および精神的健康に与えている否定的な影響」、それで、権利条約の三条、六条、十二条、二十九条、三十一条、これらに照らして、「過度なストレスおよび不登校・登校拒否を防止し、かつ、それと闘うための適切な措置」、闘う、コンバットという言葉を使っているところに委員会の真情が込められているように思う。
 皆さんたちが国際社会の一員としての自覚ということを言うのであれば、国連子どもの権利に関する委員会の日本政府に対する心のこもった勧告に対して誠実にこたえるべきです。
 その道は、国民の一人一人に、その発達の必要に応じた教育を受けることを保障した教育基本法の理念を、今日の日本の教育の現実の中で生き生きと発展させ、そしてそれを裏づけていく、この道しかないということを述べて、私の質問を終わります。
古屋委員長 中西績介君。
中西委員 私は、割り当てられた時間が極めてわずかでございますので、教育行政の基本にかかわる問題について、二、三お聞きをしたいと存じます。
 まずは、二〇〇三年度予算確定時期が迫っていますから、文科省の予算にかかわる基本的な姿勢についてお聞きをしたいと存じます。
 その例を定数改善問題について取り上げさせていただきたいと存じます。
 義務教育第七次、高校第六次の定数改善計画を当委員会で討論した際に、私たちは、前の国会で対案を提出して同時論議したときに、三十人以下学級を我々は主張をいたしました。ところが、町村文部科学大臣は、結果の平等まで追い求めることが多過ぎる、国立学校はどこの学校に行っても金太郎あめのように同じでなければならないとやってきたと。この三十人以下学級を我々が追求する際に、こういう言葉まで含んで、まだほかにもございますけれども、悪平等主義的なものとして評価をしたわけであります。
 文科省として、行政の継承性からいたしましても、現在もなおこの考え方が息づいておるかどうか、継承されておるか否かについてお聞かせいただきたいと存じます。
遠山国務大臣 昨年三月九日の町村大臣の答弁、これは、答弁の記録を読ませていただきましたけれども、今委員がおっしゃいました部分だけですといささか誤解が生じるのではないかと思いますが、そういうことではなくて、習熟度別指導について、これが競争原理の導入になるのではないかという指摘があって、それに対して、学校現場で過度に結果の平等を求めることを批判され、いい意味での競争が取り入れられる必要があるという趣旨で答弁がなされたものと理解いたしておりまして、私は、この御意見は基本的に同じと考えております。
 定数改善計画についてでございますけれども、これは、児童生徒の適性等に応じたきめ細かな指導を図るというためには、一律に学級編制を引き下げるよりも、算数、理科など教科に応じて二十人程度の少人数指導を取り入れる方が効果的であるという考え方に立って策定したものでございまして、その際には、各学校において、児童生徒の実情を踏まえて、個に応じた指導方法の一つとして、習熟度別指導の導入にも積極的に取り組んでいただきたいというふうに考えているところでございます。
中西委員 そのようにお答えするだろうということを私は思っていました。
 そこで、文科省は今なお、四十人学級維持のため、私に言わせると、今の言葉というのは詭弁に等しいと私は思っています。今まで認めなかった少数クラス学級編制等についても自由になったとか、地方分権ですから、地方がその選択性を自由にさせられるからということを盛んに言うわけでありますけれども、特定の学科目によっては、少数クラス編制を分権思想によって採択することは各自治体の裁量に任せると言っておりますけれども、現場の実態がその結果どうなっておるのか。例えば山形県の実態はどうなのか等々、私は、八県のそうした県の実態をお聞きしました。
 そこで、共通しておることは、そのしわ寄せのために、正規教員一人を非常勤講師に割り当てれば数名雇用することができるために、それを採用することによってやられておる実態が非常に多くなってきています。それに加えまして、今、小中あるいは高校におきましても生徒の数が減少をしておりますから、正規職員をそのまま温存しますと、最終的には余剰人員が出てまいりますので、その前段として、正規職員の数をそのように非常勤講師に切りかえて、後でこれはうまく処理ができるようにということで進めておるのとあわせて、大変な問題を生じておるということを御存じであるかどうか。私は、恐らく文科省にはそのことは入っていないと思います。
 ですから、私たちが従来から主張をしておりましたように、三十人以下学級で定数改善を行うならば、四十人での正規の職員、三十人以下の場合の正規の職員、これを計算すると、我々すべての職員を計算すると、四十二万人違うんですね。これだけのものがありさえすれば、先ほどおっしゃる少人数学級編制の効果、そして、自由に採択をしてやるということがある程度可能だと私は思います。依然として四十人以下学級を主張する、今変わらないと言われましたので主張なさると思うんですけれども、何を根拠に置いてその道を選ぶのか。
 ですから、四十人学級しかとれないから、金がないからということで四十人学級。そのことを何とかして、とれなかったかわりにこういうものを少人数学級というものによって置きかえていっておることが、いかに現場の実態を危めておるのか。
 さらにまた、言わせてもらうならば、福祉学級の問題だって同じです。あるいは、非常勤講師が三校を受け持って走り回っておるという実態。非常勤講師が多くなったときに、学校の運営が本当にうまくいくかどうか。このような細かい現場の実態というものをつぶさに掌握をして今おっしゃるような答弁が出てくるのであれば、私は、文科省というのは要らない、むしろ邪魔になると思うんです。
 こうした点を考えますと、これからいよいよこれが始まるわけでありますから、そのときに皆さんがどういう姿勢で臨むかということを、特に何年か後には、これからは小学校一、二年の場合には外国並みに二十人以下学級だとか、あるいは三十人以下学級だとかいうことを想定してやらなくちゃなりませんから、絶えず今までは、この切りかえの時期には一年ないし二年は必ず空白を置いたんですよね。そうしたことを完全になくしていくと同時に、今言う考え方を変えて要求するところの姿勢を持っていただかないと、またぞろ財務省から押し切られてしまう、こういう結果にならざるを得ないと思うから、私は基本姿勢として聞いたわけであります。
 この点について、さらに私は、大臣、私が言ったことが間違いであればこれを否定していただき、それによって私は判断しますので、お答えください。いや、大臣でなきゃだめだ。私は大臣を指名している。
遠山国務大臣 現在の状況は、委員御存じのとおりでございまして、第七次定数の改善計画、第二年次目でございます。それは、大変長い御議論をしていただいた上で、しっかり立てた計画でありまして、それをしっかり実現していくというのが今私どもに課せられた課題でございます。
 いろいろな考え方があるというのはもちろんわかるわけでございますけれども、そういう定数改善計画の上に立って、あるいは、その定数改善計画において達成しようとしているのが、一つは、新指導要領に基づく教育というものが児童生徒一人一人の個性、適性に応じたきめ細かな教育ができるようにということで、習熟度別の授業でありますとか、あるいは少人数の授業ができるようにというようなことで立てられてまいった。今、大変大事な教育改革の一歩を踏み出したところでございますね。そして、しかもそれは激論の上で落着していることでございまして、私としては、今一番大事なことは、その計画を真摯に実現していくということでないかというふうに考えております。
中西委員 もう一つ申し上げますと、先進国中における教育予算のGDP比率は、日本の場合には、先進諸国に比べると二分の一にしかなっておりません。最低です。私は少なくとも、日本が先進国として、しかも、世界にこれから科学技術立国だとか、そして、たまたまノーベル賞学者が出ると、それを皆さん称賛をなさることは当然でありますけれども、そういう者が出る基盤というのは何なのかということなんです。
 例えば、遠山大臣が主張しておる、大学、トップサーティーですか、こういう選び方だとか、いろいろ今やっておられる。さらにまた、私が非常に不思議に思っておるのは、これから後、義務制においても、あるいは高等学校で、スーパーサイエンスハイスクール、理科大好きスクール、学力向上フロンティアスクール、こういうぐあいに、次々にできる子たちをできるだけ伸ばしていくという少数精鋭主義的なやり方をやっておるんですけれども、そのことが本当に日本のそうした教育向上を大きく促進をすることになるかどうかという問題であります。
 私たちはやはり、少なくとも、学力向上予算をこのように五倍にして、特定の学校を指定し、特定のところにこれを進めていくというやり方、いわゆるエリート主義を象徴するようなことをやっていくことが、今、日本が金がないからそうするということであれば、これはもう最低の政策だろうと私は思います。
 むしろ教育というのは、広く厚く、その底辺が厚いところにいろいろな人が生まれてくるということ、そのときに、我々が今まで主張してきました個性重視だとかこうしたもので自由にやらせるということをむしろ制約をしたのは文部行政であったんです。我々がやって、私、実際にやった結果、我々は処分されたんですから。学校教育法そして指導要領に違反をしておるということでやられるわけですよ。
 例えば、一つの学級を、四十人を二つに分けて、もう本当に最低に近い学力を持っておる子たちしか来ない学校、それをやった結果は、一年生の一学期に小学校課程、二学期に中学校課程、三学期から高等学校の課程をやったところが、これは指導要領に違反をしておるといって減給処分ですよ、かかわった者全部。これはうそではないんです。文部省から来た役人がちゃんと教育長だとかあるいは課長におって、やらせるんですから。
 僕は、ここに今の文部行政が、これから後触れたいと思うけれども時間がなくなりますが、この一番大事な教育基本法改正に当たって、そうした現場の実態を知らな過ぎる。もし私たちが言うようなことでやっておれば、今のような、本当に問題のある子たちが出るわけはないんです。なぜかといったら、中学校で疎外をされた子たちが、ちゃんとした子たちになるんですよ。
 だから、そこを幅広くそして層を厚くすることによってやることが今一番大事なのに、後でまた触れますけれども、こうした問題が依然としてやられていない、総括がされていない、反省がされていない上でやっておるところに問題があると私は思うんですね。これは言いっ放しにしておきます。
 そこで、そういう思想が残っておる文科省、金が不足するから、財政が厳しいということを理由にいたしまして、本質抜きに国庫負担削減をされる、こういう実態が起こり始めています。地方分権という言葉のみでごまかして義務教育国庫負担は現行どおり残すことは不可能と私は思います。
 先日の本委員会での討論からしても、五千億を譲るような形になるようでありますけれども、少なくとも、憲法、教育基本法からいたしましても、義務教育の基本理念からいたしましても、義務教育国庫負担法は、一九五二年、昭和二十七年から制定、公布されたと思いますけれども、今回まで文科省は、本格的にこの問題について機関での本質論議がなされたかどうか。
 同時にまた、このことを許すということになりますと、教育の機会均等は何なのか、教育制度の根幹は何なのかということをこの問題は問われておると私は思うんです、義務教育問題で。この点についてはどのように対処されるのか。
 そして、今まで、ここに資料もございますけれども、次々に減額され、制限され、消されていったという経過がありますね。もう今残っているのは給与費と共済費だけです。そして、今度は共済の年金から退職金までまた譲るわけでありますから、いよいよ、このたくさんございました共済費、恩給費、教材費、旅費、全部がなくなっちゃってここだけに残るわけでありますから、これをどのようにとらえておられるのか、お答えください。
遠山国務大臣 義務教育は、憲法上の要請によりまして、国としてすべての国民に一定水準の教育を無償で提供するということでございまして、私は、これは国が最低保障すべきそういう種類の制度であるし、またそれを可能にするための負担金制度というものを堅持しなくちゃいけないというふうに考えております。
 一方で、地方分権の推進あるいは歳出削減という観点から見直しについての宿題があったわけでございますけれども、私といたしましては、義務教育について、国と地方の経費分担のあり方というものをしっかり考えた上で、私どもとしましては、義務教育費国庫負担金制度の根幹はしっかりと守るという姿勢を貫いていこうと思っております。
 その地方裁量についてはどういうことが可能かということにつきましては幾つか考えておりまして、そういった地方の裁量の拡大も一方でやりながら、しかし、根幹的なものについては国庫負担金制度というものはしっかり守っていくべきだと私は思っております。
 先ほど各国との比較におきまして、日本の教育費のGDPの割合が低いというのは本当にそうでございまして、私どもは、いつもそのことを主張し続けて、教育についての費用の拡大について努力をしているわけでございます。しかし、そこは、GDPに対応する国費というものが一体どれくらいかということも前提にした上で議論をしないと、これは国際的な視野から見てもなかなか難しい面もあるわけでございます。
 しかしながら、私どもとしましては、教育についてしっかりやっていく責務を持っておりますので、委員がおっしゃった義務教育費国庫負担を初めとして、教育の充実のためにしっかり今後とも努力をしていく、そういう責務があるということは十分自覚をいたしております。
中西委員 少なくとも、もう時間がございませんから今私はすべてを示すことはできませんでしたけれども、これが一定の、義務教育国庫負担法として認められ、それがもう次々に打ち切られて、いよいよ最後の、わずかの項目だけが残っておる。その中でまた五千億という、こうした状況が出ておるからこそ私は指摘をするわけであります。
 したがって、これの復活をどうするかということと、同時に、私、もう一つ指摘をしたいと思いますのは、なぜ私がこのことを強調するかといいますと、GDP比二分の一ということとあわせて、義務教育をこのように阻害し、そして押し込められていく、こういう実態は、私は、日本の政府そのものの考え方の中に、教育改革というけれども、本質的なみずからの改革がなされておらないところにこうした誤りがあると思うんです。
 その証拠に、ほかにもたくさんあるんです。例えば、個人情報保護法案あるいは人権擁護法あるいは公務員制度改革の問題等、それから、先ほど同僚の議員が言いました子どもの権利に関する委員会からの問題。
 公務員制度改革などについては、あのように片山総務大臣が答弁をしておりますけれども、本当に恥ですよ、あれは。まさに、ILOとしては五段階の一番最低の勧告をしたんです。ところが、中間報告だからと言っているけれども、ILOの場合は、現段階における出てきた内容について勧告をしたのであって、それが最下位なんです。
 そして、今度出てきた最終段階にもう一度やるということまで言われておるけれども、日本の特殊事情だとか何だかんだ言いますけれども、基本的な労働基本権、憲法、こうしたことに保障されることが全部阻害をされていっているから言うわけです。あるいは人権擁護法だって、国連からこのことを指摘されておるじゃありませんか。もう全部が今そうなっていっているんです。
 これが世界に開かれた、そして先進国としてのあり方なのかということを問われるからこそ、私は声高に、この義務教育国庫負担法くらいは何とか守るべきではないかということを指摘しておるわけでありますから、ぜひこの点については、ただ単に文科省というところでなしに、政府全体の問題としてどう論議をし、そして予算措置をしていくか、こうした姿勢を示していただきたいと思うんです。特にまた、来年度予算、いよいよ迫りくるわけでありますから、こうした点について今後十分な御検討をいただきたいと存じます。
 時間がございませんから、一言だけ触れます。基本法改正についてです。
 先ほどからずっと続いておる、私なりに指摘をしてまいりました点からいたしますと、このように教育という問題を、教育の環境整備もせずに、制度的なものだけを改めていくというこのやり方です。それなのに、教育基本法改正をしなくてはならぬといって教育改革国民会議から文部省に指摘をされると、文部省は直ちにそれに応じてやるということになっています。時間がありませんからその経過については、やろうと思っておりましたけれども、省かせていただきます。
 私は、少なくともこれまでのこの経過を考えてみましても、なぜ教育基本法が憲法と一体的なものとして、準憲法的なものとして取り扱われてきたかということをもう一度想起していただきたいと存じます。教育のもたらす大きな力、そしてそのことが国の根幹をなすものであるということをぜひ理解していただいた上で、質問をしたいと思います。
 私は、皆さんからいただきました資料の中で、例えば、今回やるに当たって、もうすべて割愛しまして、最もわかりやすく、こういう概要というのをいただきました。この中に、教育の課題と今後の教育の基本方向についてということで、これからの教育の基本目標を、一ページ目の一番終わりの方に六点にわたって掲げ、これを基本にしてやるというような格好になっています。
 ところが、教育の現状と課題というのを、先ほど私が申し上げましたように、今までの教育行政のあり方の反省と総括、そういうものが本当になされておるかどうかということが疑わしくなるから言うんです。
 ここの、三点ありますけれども、国民の間での自信の喪失とモラルの低下、青少年の凶悪犯罪やいじめ、不登校、中途退学、学級崩壊など、現在の我が国社会と教育は深刻な危機に直面をしておるということを書いていますね。
 それでは、このモラルの低下、青少年の凶悪犯罪、いじめ、不登校問題等、どのように対応してきたか。今まで余りにも対症療法的なやり方だけしかしてきておらなかったのではないか。
 基本に触れる問題であります。憲法にある人権、例えばモラルの低下でいいますならば、学歴偏重社会あるいは偏差値教育ということが盛んに言われたし、そして、今盛んにやられようとしているのは競争社会における競争のできる人間ということで、この考え方を導入しようといたしています。ですから、結局、利益のためには手段を選ばないという体制が大きく拡大をされています。そのことが今度は、真の友情、個人の尊厳というものを徹底してやっておらないために、いじめやこういうものが平気で行われる、人間愛などということはどこを探してもなくなってしまう、こういう状況が出てくるじゃないですか。
 ですから、やはり憲法に沿ったこの教育基本法、これが本当に政策的に実行されなかった、ここに一番大きな問題があるのであって、このような改正をするという大綱なんですから、これをまた改めていろいろな問題を出してみて、今言われたようなことを出してみてやられたときに、ではどこに問題があったかということは、これから後またお聞きをしますけれども、私はぜひ考えていただきたい。
 最後に、委員長、ちょっとお願いです。
 私は、教育基本法を改正するに当たっては、日本の教育、これをどうするかということを決定づける最も大きな課題であろうと思っています。したがって、短時間、確かに中央教育審議会なりは二十六回やったといいます、しかし一般の皆さんに対するこれらの十分な認識というのは、八〇%の人が知らなかったというんですから。こうした問題とあわせ考えたときに、我々が国会でやはり、閉会中の審査でも何でもいいから……
古屋委員長 もう質疑時間が終了していますので、手短にお願いします。
中西委員 十分私は時間をとってやることをお願いしたいと思います。ぜひ理事会で賢明なる皆さんの御判断をいただきたいと思います。
 以上です。
古屋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時十分散会


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