衆議院

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第15号 平成15年5月30日(金曜日)

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平成十五年五月三十日(金曜日)
    午前九時二分開議
 出席委員
   委員長 古屋 圭司君
   理事 奥山 茂彦君 理事 鈴木 恒夫君
   理事 馳   浩君 理事 森田 健作君
   理事 鎌田さゆり君 理事 山元  勉君
   理事 斉藤 鉄夫君 理事 佐藤 公治君
      青山  丘君    伊藤信太郎君
      小渕 優子君    大野 松茂君
      岡下 信子君    岸田 文雄君
      近藤 基彦君    佐藤 静雄君
      谷田 武彦君    中谷  元君
      林田  彪君    松野 博一君
      森岡 正宏君    柳澤 伯夫君
      大石 尚子君    鳩山由紀夫君
      肥田美代子君    平野 博文君
      藤村  修君    牧野 聖修君
      松原  仁君    山口  壯君
      池坊 保子君    東  順治君
      黄川田 徹君    石井 郁子君
      児玉 健次君    中西 績介君
      山口わか子君    松浪健四郎君
    …………………………………
   文部科学大臣       遠山 敦子君
   文部科学副大臣      河村 建夫君
   文部科学副大臣      渡海紀三朗君
   文部科学大臣政務官    池坊 保子君
   文部科学大臣政務官    大野 松茂君
   政府参考人
   (文部科学省初等中等教育
   局長)          矢野 重典君
   政府参考人
   (文部科学省高等教育局長
   )            遠藤純一郎君
   政府参考人
   (厚生労働省年金局長)  吉武 民樹君
   文部科学委員会専門員   柴田 寛治君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月三十日
 辞任         補欠選任
  山内 惠子君     山口わか子君
同日
 辞任         補欠選任
  山口わか子君     山内 惠子君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 独立行政法人日本学生支援機構法案(内閣提出第九三号)(参議院送付)
 独立行政法人海洋研究開発機構法案(内閣提出第九四号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――
古屋委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、参議院送付、独立行政法人日本学生支援機構法案及び独立行政法人海洋研究開発機構法案の両案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省初等中等教育局長矢野重典君、高等教育局長遠藤純一郎君及び厚生労働省年金局長吉武民樹君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
古屋委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馳浩君。
馳委員 おはようございます。
 時間の関係上、独立行政法人日本学生支援機構法案についてのみお聞きいたします。
 まず、今回の日本育英会等の独法化で最も重要なことを冒頭にお聞きします。それは、独法化によって、奨学金を受ける学生の人数や受け取る額が減ったりしないかという心配です。つまり、独法化で育英奨学事業等の事業費は拡充していくが、一方、人件費や管理費等は合理化していく、こんなイメージを描いてよいのでしょうか。副大臣にお聞きします。
河村副大臣 おはようございます。答弁させていただきます。
 馳委員御懸念の点、私どもとしても、その点がなきようにということで、委員が御指摘のようなイメージで進めていかなきゃいかぬと思っております。
 これまでも、学生支援機構に移るまでの段階についても奨学金を拡充してきたこと、御案内のとおりでございまして、毎年充実を図ってきたわけでございまして、現時点でも、この十五年予算を見ても、前年度比で六百二十四億円増、五千七百九十億円という事業費でございますし、六万八千人ふえてきた、こういう実績も持っておるわけでございまして、そして無利子奨学金についても、月額の増額を二千円でございますが図ってきた、こういうことで実績を持っておるわけでございまして、これはひとつしっかりこれからも、独立行政法人日本学生支援機構となっても引き継いでいかなきゃならぬ、こう思っております。
 特に、奨学金というものが、教育を受ける意欲と能力ある学生が経済的な面で心配なきよう勉学にいそしめるということ、これが大事なことでありますから、ぜひ進めてまいりたいし、同時に、独立行政法人の機構の本来のねらいでもございますが、効率的な業務を遂行するという点で、人事費、管理費等についてはできるだけ合理化に努める、そういう委員の御指摘のとおりのイメージでやっていきたい、このように思っております。
馳委員 今、副大臣はこうおっしゃったんですね、これまでの事業規模を引き継いでいく。この答弁は大いに不満があります。いいですか、平成十五年度貸与人員が八十六万六千人、事業費総額が五千七百九十億円。昨今の経済事情等を考えれば、さらにこれを拡充していくと副大臣として答弁しなければならないのではないでしょうか。
河村副大臣 ちょっと答弁の仕方が悪かったようで、申しわけございません。
 気持ちとしては、当然、これまでの実績をさらに拡充しながらやっていくんだ、こういう意図でございます。
馳委員 そろそろ概算要求に向けて、文部科学省としても、そして我々議員としても大いに文部科学省をバックアップしていく態勢をとらなければなりませんので、引き続き副大臣にはその職にとどまって今の答弁に責任を持っていただくように、強く強くお願いを申し上げておきますが、しかし、財政難の折、問題は財務当局との折衝であり、来年度予算がやはり心配であります。財務当局が削減を要求してくることは十分予想がつきます。
 そこで質問ですが、今回の独法化でどのくらいの人件費や管理費等の削減効果があるのか、この点をぜひお示しいただきたいと思います。
遠藤政府参考人 日本学生支援機構の具体的な組織や予算等につきましては、十六年度予算で決まるということになりますけれども、一つには、理事長を含む常勤理事についてでございますけれども、統合される五法人、合計で十五人おりますが、日本学生支援機構ということになりますと五名以下となるわけでございます。それが一つでございます。それから、職員につきましても、統合される五法人の合計六百四十六人のうち、機構に移行するのは四百五十名程度ということでございます。それから、高校奨学金の都道府県移管に伴いまして日本育英会の都道府県支部を廃止するということなど、相当合理化が図られると考えておるわけでございます。
 具体的な数字、全部どうなるかというのはこれからでございますけれども、例えば二百人程度の定員削減ということになりますと、年度予算で約二十億円程度、これは目の子でございますけれども、二十億円程度の削減になるだろう、こう思っております。
馳委員 今具体的に二百人程度の人員削減とおっしゃいましたが、それを上回る削減をできるように、遠藤局長、努力をいただきたいと思います。
 参議院での議論を見ておりますと、育英奨学事業は無利子貸与の第一種奨学金が基本で、有利子の第二種はその補完でしかありません、ですから無利子をもっとふやせ、将来は有利子をなくせという議論が多く目につきました。
 しかし、有利子といっても年率は〇・二%。百万円借りたとしたら、利子は年間で二千円でしかありません。これをほかの教育ローン制度と比べると、例えば、国民生活金融公庫の利子が年一・六%ですから、百万円借りたとしたら一万六千円、民間銀行だと固定金利で三・五から六・五%ですから、同じく三万五千円から六万五千円となります。いかに〇・二%が安いか、わかると思います。
 そうであるならば、財政難の折、第二種の財源である財政融資資金の方が第一種の財源の一般会計からの貸し付けより借りやすいという事情であるならば、現実の運営としては、一人でも多くの学ぶ意欲のある学生に奨学金を貸与すべきであるということからして、第二種の有利子貸与の方が増加しても仕方ないと私は考えます。
 しかし、問題は、この〇・二%という低利を今後も維持できるかどうかであります。この〇・二%は財政融資資金と連動しての数字と思いますが、もしこれが高くなった場合、どう対処するのか。例えば利子補給金を別途入れていくつもりなのか、お聞きしたいと思います。
遠藤政府参考人 現在、有利子奨学金の学生に対する貸与利率でございますが、在学中は無利息、卒業後が年三%を上限となっておりまして、また、有利子奨学金の貸与原資でございます財政融資資金の調達利率が年三%に満たない場合には、この調達利率、現在、御指摘のように〇・二%となっておりますけれども、これと同率とするということを政令で定めておるわけでございます。
 現在、在学中の無利息分や、死亡等による返還免除や返還猶予に係る利息負担分につきましては一般会計予算より利子補給を行っておりますし、仮に財政融資資金の調達金利が年三%を超えた場合につきましても、その超える部分の利息負担分につきましては利子補給を行うということになっておりまして、この仕組みは独立行政法人化後におきましても維持をしてまいるところでございます。
馳委員 こういう制度は奨学金だけの制度であり、高く評価したいと思います。しかし、三%は、現在の〇・二%に比べたら相当高いと思います。将来の経済状況にもよりますが、一%くらいを上限にできないのか、文部科学省としても政府全体に働きかけてほしいと思いますが、いかがでしょうか。
遠藤政府参考人 利息の上限を年一%に引き下げてはどうか、こういう話でございますけれども、貸与原資でございます財政融資資金等の調達利率が上昇した場合に、先ほど申し上げましたように、調達利率と貸与利率の差額である政府の利息負担が大きくなるわけでございまして、利子補給金の新たな財源確保が必要となるということでございますので、現下の厳しい財政状況のもと、継続的に適切に事業規模を確保するという観点からも、この点については慎重に検討しなくてはならない、こういうふうに考えておる次第でございます。
馳委員 今の慎重に検討するは、前向きに検討するというふうに理解いたしますよ。これは、金を貸してもうけるというふうな筋合いのものではなくて、やはり学生の学ぶ意欲、そして教育の機会均等という大きな目標があるわけでありますし、そのために組織も見直して合理化しようというわけでありますから、その点、しっかりと押さえておいていただきたいと思います。
 次に、機関保証制度について質問いたします。
 今回、保証人、連帯保証人が見つからない学生のために、保証料さえ払えば保証機関が保証人になってくれる制度が新設、予定されておりますが、問題は、どこがその保証機関になるのか、保証料は幾らか、支払い方法は毎月なのかなどが最大の関心事だと思います。
 この点、参議院の質疑では、保証機関は公益法人が適当で、保証料は、収支バランスを基本に学生の負担状況も踏まえて設定したいと答弁しておられます。しかし、これだけの答弁では納得できません。もっと詳しい内容がわからなければ、立法府に対して、まるで省令に白紙委任してくれと言わんばかりであります。
 例えば、保証機関は公益法人が適当であるならば、候補となる法人も特定されているでありましょうし、そことの下交渉なども当然行われていると思います。そうであるならば、保証料も大体はわかっているでしょうし、この点をしっかり委員会の場で示すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 関連して、どこまで省令でこの機関保証の仕組みを縛るのか。支援機構と保証機関の間で自由に取り決められる契約事項は極力少なくして、第三条の「教育の機会均等に寄与する」という目的を最大限生かすようにすべきではないでしょうか。したがって、保証料なども省令事項にして、保証料が高くならないような縛りをかけるべきではないでしょうか。
 また、もし省令にできないのなら、保証機関選定に当たっては、この事業にふさわしい資格があることを前提にしつつ、入札等を導入して競争原理を働かせて、少しでも保証料が安い機関を選定できるようにすべきではないでしょうか。
遠藤政府参考人 日本学生支援機構が実施します奨学金事業は教育施策の一環として行うものでございまして、その保証業務につきましては、利益を得ることを目的に実施するのではなくて、収支のバランスがとれているということを基本にして、学生の負担状況を勘案し、奨学金事業にふさわしい安定的な制度とすることが必要である、こう考えております。
 保証料を含め、機関保証制度の具体的な制度につきましては現在検討を行っているところでございますが、保証料につきましては、国または日本学生支援機構が徴収するものではなく、民間の保証機関が徴収し、保証業務を実施するものであるということなどで、省令で定めることにはなじまない、こう考えております。
 機関保証制度の実施主体でございますが、業務利益を見込まないほか、主務官庁でございます文部科学省の監督のもとに、継続的、安定的に業務を行うことが可能であるという観点も踏まえまして、公益法人とすることが適当だ、こう考えておる次第でございます。具体的な公益法人の選定に当たりましては、機構が行う奨学金事業との連携を十分に図ることができるということとともに、より安い保証料を設定することができるという観点から行ってまいりたいと考えておるところでございます。
 保証料の水準はどうなのか、こういうお尋ねでございますが、これも、安いところでやっていただいての話として、一つのシミュレーションとして申し上げますと、制度への加入割合とか代位弁済率等によってこの水準は変わってくるわけでございますので、これだということが言えないわけでございますが、仮に約半数の方が加入したとしまして、返還完了までの保証期間、これは最長二十年でございますが、毎年の債務額について、年率約〇・五から〇・六%程度の保証料になるんじゃないか、こう考えております。今の国民生活金融公庫の教育貸付制度における保証料は年率一・一%、こうなっておりますので、こういうシミュレーションでいくと、〇・五から〇・六%程度の保証料になるのではないか。
 これをまた単純に計算しますと、貸与総額が例えば二百万円の無利子奨学金の場合でございますと、返済期間は十四年以内、こうなりまして、保証料の年率が仮に〇・五%ということになりますと、保証料は全体として約七万四千円程度になる。これを奨学金をもらっている大学四年間で支払うということになりますと、一年で約一万九千円、これは月々ということになりますと千七百円、こんなようなシミュレーションでの仮の計算ができるということでございます。
馳委員 今の答弁はきっちりと議事録に残りますので、こういった範囲を超えないように、声が大きくなりましたが、超えないように。局長、笑っている場合じゃないですよ。本当にこれは、学生さんあるいは御家族の立場を考えると、しっかりとその辺は踏まえてやっていただきたいと思います。
 最後の質問になりますが、大学院生に対する返還免除制度についてお聞きしたいと思います。
 これは、特にすぐれた業績を上げた大学院生に対する卒業時返還免除制度でありますが、ここにはスポーツや文化活動で業績を上げた者も含まれていますね。この場合、例えばオリンピックでメダルを獲得した大学院生などが対象になると思いますが、もし高校生や大学生の場合は、返還免除の対象にならないことになります。これはとても不公平だと思います。また、スポーツの場合、すぐれた業績を残す選手は、大学院生は少数で、高校生や大学生の方が圧倒的に多いはずであります。そう考えると、スポーツにも門戸は開いているようで実態は形だけにすぎないと言っても過言ではありません。
 そこで、スポーツや文化活動の場合は特例を設ける必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
遠藤政府参考人 大学生や高校生のスポーツや文化活動についても返還免除の対象にすべきではないか、こういう御指摘でございます。
 これは、一つには、厳しい財政状況のもとで奨学金事業の充実を図るためには、できるだけ返還金の確保を図り、資金の効率的運用に努める必要があるということが一般的にございますし、大学及び高等専門学校における返還免除制度は平成十年に廃止をされた、こういう経緯がございまして、こういう状況を踏まえますと、御指摘の点につきましては将来の研究課題かなというふうに考えておる次第でございます。
 また、高校奨学金につきましては、今回の法案によりまして都道府県へ移管するということとなっておりまして、その返還免除制度につきましても各都道府県において検討されるべき課題である、こう考えておる次第でございます。
馳委員 大体、そういうしゃくし定規なことを言っているから役所はだめなんですよ。遠藤さん、いいですか。今、私は特例として言いましたけれども、スポーツもそう、文化芸術活動もそうですが、学校に学んで、それだけの能力を身につけて発揮した、これは国家にとっても、というよりも、非常に教育効果の上がった成果ではないんですか。そういったことを評価できないような政府はいかぬなと私は申し上げて、質問を終わります。検討してください。
古屋委員長 斉藤鉄夫君。
斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫です。
 時間が十分ですので、早速質問に入らせていただきます。
 今回、日本育英会その他の組織が発展的になって、日本学生支援機構と。私は、この育英という言葉がなくなったということをまず評価したいと思います。
 いろいろな御意見があるんですけれども、育英奨学金というのは、英才を育てる奨学金。一部、対象がごくごく、もっと言うと国家に役立つ英才を育てる奨学金という意味合いが強かったと思うんですが、私たちは、この奨学金制度、育英奨学金ではなくて教育奨学金、つまり勉学意欲のある人をすべて対象にする教育奨学金制度にしていかなくてはいけない、このように主張しておりますが、今回、その趣旨で育英という名前がとれたんだと思います。
 その点は評価したいと思いますが、一部に、育英会がなくなるので奨学金制度が後退するのではないか、こういう心配がありますが、そうではないんだ、いよいよこの奨学金、教育奨学金として充実させていくんだということを、まず副大臣にお伺いしたいと思います。
河村副大臣 大事な御指摘だというふうに思います。
 奨学金事業、これまでも、意欲と能力がありながら経済的に恵まれないというようなこともあって進学が阻害される、そんなことのないようにというような経済援助を行う面、そして、そういう観点から教育の機会均等の実現を図るいわゆる奨学的な意味の観点、同時に、学業にすぐれて、そして次代を担うすぐれた人材を育成する人材育成、こういう二つの観点、理念で行ってきたところでございますが、特に近年は奨学の側面を重視して、有利子奨学金の貸与基準の緩和を図る等々、奨学金事業の充実を図ってきておるわけでございます。
 今後、日本学生支援機構におきましても、独立行政法人としての管理運営面の合理化を図りながら、奨学金事業自体については、これまでの無利子奨学金、そして有利子奨学金の仕組みをしっかりと維持しながら、教育の機会均等の理念、この実現のためにさらに充実を図ってまいりたい、このように考えております。
斉藤(鉄)委員 次に、法科大学院の奨学金についてお伺いします。
 来年四月には、いわゆる初めての専門職大学院である法科大学院がスタートします。しかしながら、授業料は年間二百万円を超えるのではないかというふうに言われておりまして、このままではお金のない人は法科大学院に進学できない、このようになってしまいます。
 法曹界を見ておりますと、若いころ苦学をして司法試験に受かった人が人情弁護士になって大変すばらしい仕事をしているという例も見られるわけでございまして、こういう本当に経済的資力のない人にも門戸を開かれた法科大学院でなくてはならない、このように思います。
 いわゆる専門職大学院、これから出てくると思います。社会人も多く入ってきます。家庭を持った人も多分これから学ぶような、そういう専門職大学院になると思います。そういうことへの奨学金制度、これはどのようにお考えでしょうか。
遠藤政府参考人 法科大学院についてでございますけれども、法科大学院は、実務家教員の確保や少人数による双方向的、多方向的授業などが必要とされまして、その整備には多額のコストを要するということが予想されるわけでございます。そして、何よりも、我が国の三権の一翼を担う法曹の養成という重大な使命を帯びるものでございまして、国として多面的な支援を検討する必要がある、こう認識しておる次第でございます。
 奨学金につきましても、各大学の授業料や入学定員等の設定状況をもあわせて勘案しながら、経済的な理由により進学することが妨げられることのないよう、来年度の概算要求に向けまして、貸与人員、貸与月額の水準についてさらに具体的な検討を進めてまいりたい、こう考えております。
斉藤(鉄)委員 我々も注目して発言していきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 次に、海外の大学へ留学する人への奨学金でございます。
 日本人が日本の大学へ進学した場合奨学金制度があるわけですが、海外の大学へ行った場合奨学金の制度はありません。しかし、今や、国際化時代、海外の大学も選択肢になっているという時代でございます。海外留学をした人への日本政府からの奨学金、これも私は今後考えていくべきだと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
遠藤政府参考人 昨年十二月に取りまとめられました新たな学生支援機関の設立構想に関する検討会議の報告におきまして、意欲と能力のある日本人学生が海外留学に挑戦することが一層容易となるような奨学金のあり方について検討が必要である、その旨提言されておるわけでございます。
 厳しい財政状況のもとではございますが、日本人学生の海外留学を一層推進するという観点から、新たな奨学金制度の必要性につきまして、今後具体的な検討を行ってまいりたい、こう考ております。
斉藤(鉄)委員 今後具体的な検討を行っていくと。そうしますと、海外に留学した学生さんについても、この学生支援機構の枠組みの中でやっていく、こういう理解でよろしいでしょうか。
遠藤政府参考人 そういう方向で具体的な検討を行ってまいりたい、こう考えております。
斉藤(鉄)委員 これもしっかり検討をお願いしたいと思います。
 それでは、最後に、ことしから導入されました、入学金を対象とした奨学金、これはいわゆる有利子のきぼう21プランの中の一つの枠として、三十万円掛ける二万五千人という、入学金を対象とした奨学金が創設されました。このこと自体は、我々提案をした者として非常に評価をしているわけですが、しかし、実際の運用では、国金にいわゆる教育ローンを申し込んで断られた人が対象になるということでございまして、窓口では大変な混乱が生じているというふうに聞いております。
 そもそも、国民金融公庫の教育ローンは親を対象にしたものでございます。奨学金は学生本人を対象にしているものでございまして、そもそも制度そのものが違う。それを、国金に断られた人だけを対象にして奨学金の枠をつくるという考え方そのものが私は間違っていると思いますけれども、この現在の混乱にどう対応し、今後どのようにしていこうとされているのか、この点についてお伺いします。
遠藤政府参考人 入学時に必要な学校納付金や教科書購入費等の準備で借り入れを必要とする家庭に対して、従来から、御指摘のように国民生活金融公庫の教育貸し付けが用意されておるわけでございますが、家計の収入が少ないなどの特別の理由のため、この教育貸し付けが受けられないという人がいるわけでございます。日本育英会の入学時増額貸与奨学金制度は、これらの国民生活金融公庫の教育貸し付けを受けられない人たちを対象としまして、その資金需要に対応するため、国の施策の一環として、有利子奨学金の入学直後の基本月額に三十万円を増額して貸与する新たな制度といたしまして、今年度から設けられたものでございます。
 本制度につきましては、これまでも、学生や大学等の奨学金事務担当者等に対しまして、制度の趣旨や具体の取り扱いについて周知を図ってきたところでございますが、制度導入初年度ということもございまして、本制度の貸与条件などにつきまして、学生等への周知が十分でないとの御指摘をいただいたところでございます。このため、学生が学校の窓口で混乱することなどがないよう、さらに各学校に対しまして制度の周知徹底と奨学金希望者に対する申請期限の弾力的取り扱い等を要請しますとともに、新たに学生向けのリーフレットを作成しまして各学校を通じて配布することといたしまして、この点、五月の九日付で日本育英会から各学校あての文書を出しまして、各学校における丁寧な周知と指導の充実に努めているというところでございます。
 今年度につきましては、既に事業が進行しているということもございまして、引き続き運用面で万全を期してまいりたい、こう考えておるわけでございます。また、来年度以降の取り扱いにつきましては、特殊法人改革や財投改革によるさらなる事業の整理合理化等が求められている状況ではございますが、厳しい財政状況等を踏まえた資金の効率的活用の観点にも留意しながら、今年度の利用実態等を分析し、事業対象のあり方等を含め、文部科学省としてどのような対応が可能か、財政当局とも十分相談しながら必要な検討を進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
斉藤(鉄)委員 この入学金を対象とした奨学金、文部科学省も、抵抗する財務省と闘ってかち取られた、その過程で、妥協せざるを得ないこととして、この国金との関係でそういうことになったというのはよく理解できるものでありますし、文部科学省の闘いも非常に評価するものでございますが、ぜひ来年からは、国金とは異なる制度ということで、すっきりした形にしていただきたいということを要望して、質問を終わります。
古屋委員長 山口壯君。
山口(壯)委員 おはようございます。山口壯です。
 きょうは、日本学生支援機構法案の質問をさせていただきます。
 奨学金の制度ですから、これは我々の日本の唯一の資源とも時に言われる人材をどうやって生かしていくのか、そして、我々がこの経済が非常に苦しい中で、唯一あしたにつなげられる将来の人材を、どうやってすべての人にチャンスが与えられるように確保していくのか、大事な話だと思うんです。
 そういう意味で、この学生支援機構についていろいろ伺う中で、奨学金制度全体についての話、あるいは、さらに今の枠組みを越えていろいろな新しい発想の考え方があり得るのかどうか、その辺についてきょうは一緒に議論させていただければと思います。
 先ほど馳議員の方からもお聞きになられましたけれども、まず、この日本学生支援機構ができることによって、今までの育英会の行っていた奨学金事業、このことに何か変わりがあるのかどうか、基本的には独立行政法人に移すということとしてとらえていいのかどうか、この辺についてまずお伺いできますでしょうか。
河村副大臣 山口委員も御案内のとおり、日本育英会の奨学事業、意欲と能力のある学生の支援のためにということで、これまで毎年充実を図ってきておるところでございます。十五年度予算も五千七百九十億円の事業費で八十六万六千人の学生等に奨学金が貸与されているということでございます。
 そして、いよいよ日本学生支援機構に転換をしていくわけでございますが、二点ほど、大学院生の返還免除職制度といいますか、教育・研究職についたら免除するというあの制度が考え方を変えたということと、それから高校奨学金、これを県に移管する、この二つが大きな変化でございますけれども、基本的な奨学金事業の根幹というものはこれからもしっかり継続をし、維持し、発展をさせていく、それから貸与条件等についても基本的に従来と同様にしていくということで、これまでやってきた育英奨学金事業をきちっと継続し、さらに拡充していくという方向でやってまいりたい、このように考えております。
山口(壯)委員 非常に前向きの答弁をいただいたと思うんですけれども、他方、我々の知っている育英会の事業でもって十分かどうかという話はやはり残ると思うんですね。今、この十五年度の奨学金の額、これは例えば無利息の方で見てみますと、大学について、国公立の場合に、自宅から通っている人が四万四千円、自宅外でも五万円。例えば国立大学で授業料が幾らだろうかということを見た場合、私のときは月三千円だったのが、今何か五十二万八百円になったそうで、これは十二で割ると一月当たり四万三千四百円ですか、もう十四倍とか十五倍まで膨れ上がって、この四万三千四百円の授業料が要るときに、四万四千円の無利息貸与の奨学金。したがって、生活費にはほとんど回らないというような状況なわけですね。
 そういうことを考えると、この現状のあり方というもので果たしていいのかどうかという議論がどうしても残ると思うんです。多分、学生支援機構を今度おつくりになるときには、その辺の議論はまだされていなかったと思うんですけれども、まず最初に、今のこの制度についてどこか変えたいというようなことを御議論されているのであれば、そのことについてお教えいただけますでしょうか。
河村副大臣 奨学金の考え方、これまでいわゆる教育の機会均等の観点と、そしてあわせて優秀な人材を育成するという両面があって、これからの方向としてはできるだけ機会均等といいますか、奨学という意味で、そういう方向へ持っていこうという考え方、この基本理念に変わりはないわけでありますが、私は、奨学金はできるだけ多くの人に、希望される方はできるだけ受けられるようにという方向をもっと拡充していかなきゃいかぬと思っております。これは、財政事情というものがございますから、どうしてもその制約をある面受けざるを得ないわけでございます。
 十八歳以上のいわゆる自立型社会の形成といいますか、あるいは自己責任、意欲と能力のある学生が経済的に自立してみずからの意思と責任で学ぶ、やはりその方向で事業を拡充していくということが必要ではないかな、こう思っておるわけでございまして、限られた財源でありますけれども、無利子奨学金の充実、この方向はやはり強めていかなきゃなりませんが、同時に有利子奨学金もさらに活用しながら、全体の奨学金制度が拡充される、そしてできるだけ多くの方々に奨学金が行き渡るという形がこれから望まれる姿ではないかな、私はそう考えておるわけであります。
山口(壯)委員 財政事情の話というものを一番先にどうしてもお考えになっておられる、これもよくわかるんですけれども、今、我々自身がどうやってこの閉塞感を打破しようとしているかというときに、やはり何か新しい発想というものがどうしても求められていると思うんです。
 ちなみに、今私は国立大学、公立大学の額を言いましたけれども、私立の場合には、国公立が四万四千円だったものが五万三千円、そして自宅外の方は六万三千円、こういうふうになっているわけですね。他方、授業料から見てみると、国立大学が今五十二万八百円。私立の平均をとった数字、一つの数字でいただいているのが八十万四千三百六十七円、これは十二で割ると六万七千三十円余りですね。六万七千円授業料がかかるときに、無利息でいった場合には、もう授業料も払えないという状況で、ましてや生活資金までカバーできない、こういうことですね。
 今、河村副大臣が、無利息だけじゃなくて有利子のものを、きぼう21プランというものですか、これがあるからと。他方、副大臣、この額を見てみましても、三万、五万、八万、十万の中から選択できる。一番上のものがとれたとしても十万円。果たしてこれで、言ってみれば、非常に厳しい生活事情の家庭の子弟が私立の大学に入った場合に十分だろうかということを考えた場合に、やはりこれは何とかしなきゃいけないんじゃないかなと思うんです。
 今、文部科学省と例えば財務省、こういう関係だけ見ると、言ってみれば資金の話というのも前年度比何%ふやしたかというようなことに落ちついてしまうと思うんですけれども、だけれども、我々、後でお聞きしますけれども、厚生省の持っているような年金積立金というような話もいろいろ念頭に置くことができるんじゃないかなと思うんです。
 ちなみに、我々が今の仕組みについて一つ広げ得る話、今斉藤議員の方からも、意欲のある人すべてにチャンスが与えられるようにということを御主張なさっているという話もありました。その趣旨でいくと、例えば、今のシステムは成績がいい人にしかこの奨学金というのは渡らないようになっているわけですね。あるいは親の収入の基準というものもあるわけですね。そういうことについて今回は検討をされたのかどうか、あるいはされなかったのかどうか。その辺についてはいかがでしょうか。
河村副大臣 これは、有利子の場合には特に財投との兼ね合いもあって、有利子の場合の財務当局との話も、この部分については話が早いわけですね、有利子でやりたい、これをふやしたいということについては。そこで、御案内のように、今まではこれにも成績は三・二以上とかいうのがあったんですけれども、これはもう外そうと。それから家計基準も、千二百十二万だったものをさらに一〇%緩和して千三百四十一万という数字。こういうことをいたしますと、大体の学生は希望すれば奨学金をもらえるという方向に行くんではないかということであります。
 ただ、もちろんこれについても、まだまだこの制限にかかっている方もおられるようでありますから、こういうものも本当はもう取っ払うべきものなのか、あるいは、裕福な家庭については、本当は奨学金というのは困っている方に多くしたいから、そういう家庭はむしろ自分でちゃんと払っていくべきではないか、こういう二つの考え方があります。
 それはもちろん、その家が裕福であろうとどうであろうと、自立して自分の責任で先をやることなんだから、それとは関係なしにやるべきだという議論もありまして、そこのところはまだ、私としてはそれはもう外すべき方向ではないかと思うのでありますけれども、財政当局との話し合いの中で、どこかに基準を設けないと、これはもう、全学生が希望した場合には、今の奨学金を五倍か六倍ぐらいにふやしていかなきゃできなくなる、だから需要に応じ切れなくなるということもあって、今そういう制限を設けておるわけでございます。
 この奨学金は後返ってくるものでありますから、実際にふやす部分というのはそんなに大きな金額ではありませんので、努力してふやすことによってできるだけ多くの皆さんが奨学金を受けられる。もちろん、利息も払わなくていい部分も同時にふやしますけれども、この根幹を守りながら、多くの皆さんが奨学金を受けられる方向に行くということで、成績の基準、親の収入、かなりそういう議論はいたしながら、今、家計基準のところが一つの条件になっているというところでございます。
山口(壯)委員 今、河村副大臣の方からは、私は前向きな答弁がいただけたと思うんです。成績基準による学生選別、これを廃止したらどうかという議論がおありだという答弁でしたね。
 確かに、将来の例えばノーベル賞をとりそうな人、こういう人が必ずしも成績優秀者じゃないわけですね。御自分で言っていた話ですからいいと思うんですけれども、小柴昌俊さん、成績が優秀じゃなかったという話ですから、そういう意味では、成績が優秀であるから、では奨学金という話は余り説得力を持っていないと思うんです。あるいは親の収入いかんによって言ってみればスクリーンにかけられる人が出てくるというのも、これも今副大臣がおっしゃったように、親から自立できない大学生、入ってしまえば本当に勉強しているのかなという状況になるようであれば、日本の高等教育の実態というものはまだまだ改善していかなきゃいけないなということになるわけですね。
 河村副大臣にもう一度お伺いしますけれども、この成績基準あるいは親の収入基準、こういうものは取っ払った方がいいというふうに思っておられますか。
河村副大臣 有利子、無利子の問題がございまして、無利子の方については、まさに成績は頑張っているんだけれども経済的に豊かでない人たちを優先したい、そういう人たちを奨学金で優先してやる、やはり国家の財政を使うわけでありますから、そういう考え方でこれまでも導入されてきたし、その考え方は底流にあると思いますね。
 だから、それは確かに、優秀というのは一体何なんだということで、大器晩成ということもありますから、今たまたま点数が〇・一以下だったような人が先がないか、そんなことはありませんけれども、どこかに基準を設ければまあそういうことだろうということで、これまでやってきております。
 無利子と有利子というものがございますから、まず皆さんは無利子を希望される、そのときの基準をどうするんだということで、今それを置いておるわけでございまして、私は無利子については若干そういうものが残ることは今の段階ではやむを得ないと思いますが、有利子の方についてはもう完全にそれはなくす方向でいくべきであろう、こう今思っております。そうすると、もうどんと希望者が来たときに対応できないので、どこかに歯どめをかけてくれというのが今の財政当局とのといいますか、我々そのものがこれは受ける責任がございますから、私も、自分の気持ちとしてはこれはもう全部外したらいい、こう正直思っております。
 ただ、それを言いますと、皆さんの方から、希望的観測、希望を述べるだけじゃだめだ、実現しなきゃ、こうなりますから、こっちから言いますと、これはまた責任がある問題で、そうやって皆さん応じられたけれども応じ切れないということでは成り立ちませんから、残念ながら今それを残しておりますが、さらに拡大するなりしながら、あるいは家計によっても、一人の子供のところと兄弟がみんな行っているところとかありますわね、そういうところも全然また負担が違いますから。
 そうしたきめ細かな対応も考えながら、できるだけ応ずるように、我々としては最大の努力をするということで向かっていきたいと思っております。
山口(壯)委員 河村副大臣は、自分としては外した方がいいと思うという話です。横で大臣が、本当に言っちゃっていいのみたいなお顔をされていますけれども、ぜひそういう方向で行っていただきたいと思うんです。
 参議院の議事録を読んでいましたら、河村副大臣に対して、私がいつも一緒に仕事をさせてもらっている佐藤泰介議員の方から厳しい言い方をしていますね。
 成績要件やそれから収入要件撤廃すべきだと、河村大臣、強く言われました。何で新しい機構に行くときにそこまで検討しないんですか。それが望ましい望ましいと先ほど来言っておったですよ。だったら、何でこの新機構にするときにそこまで踏み込んだ検討、現在は駄目だ、これぐらいになったらできると、そこまでやっぱり検討すべきじゃないですか。方向性としては正しい、希望者全員受けるべきだと。答弁だけは何でもできますよ。具体的にやらにゃいけない。
と厳しいことを言っていますね。
 ぜひ、河村副大臣が今思っておられるようなことをどうやったら実現できるのか、それを私はきょうは、これからの後の議論でいろいろさせていただきたいと思うんです。
 そして、今お話しになった、すべての希望者に果たして渡せるかどうかという中で、適格者数という概念と、実際にその中でどういう割合で採用になったかという話があると思います。
 きょう、私は、細かい数字は全部自分で言いますから。そのためにきょう大臣と副大臣のみというふうにさせていただいたので、でもせっかく局長さんがおられますから、もし万が一間違っていたら、目で合図していただければ。
 この適格者数という話、例えば大学で見た場合に、八万八千四十五人の人が適格であろう。他方、実際に採用になったのは四万二千九百五十八人。半分以下ですね。
 全部数字を見ますと、高校の場合には、この適格者数と採用者数が一〇〇%完全に一致している。三万一千二百九十一人の人が適格者で、なおかつ、その人たちすべてが採用になった。
 短大の場合でもやはり開きがありますね。一万一千七百三人の人が適格なのに、採用になったのは七千四百二十三人。
 大学院の修士、博士についても、どうしても開きがある。修士の場合には二万四千三百二十人が適格者だけれども、採用になったのは一万六千七百人。博士課程の場合にも、七千七十人の人が適格だけれども、採用になったのは六千六百五十三人。
 高専の場合には、二百十五人の人が適格で、二百十五人が採用になっている。
 そういう意味で、適格者数と採用者数の間にどうしても開きがあるんですけれども、今、河村副大臣の言われたような、できるだけいろいろなスクリーニングの基準を撤廃しようと考えているし、現実にはかなり撤廃してきている。そういう意味では、この適格者数と採用者数の間のギャップの話、このことについては、どういうふうにお考えでしょうか。
河村副大臣 参議院の議論でも、この点の御指摘があったように覚えておりますが、これは第一種と第二種で、結局、格差がある方は、やはり条件がついている。成績と財政と両方ついている。特に成績がひっかかるのではないかと思うんです。
 高校までは親が見る。今、高校進学率が九七%ぐらいまでいっていますから、親の方も高校までは見るよということですから、どうしても必要だという方々がかなり限局されて、採用数が大体ぴしゃっと、数が多くありませんから、こちらもそれに応ずるだけの用意ができたわけであります。
 大学の場合には、適格者との間に半分の乖離がありますが、これはやはり成績等々で振り分けますものですから、どうしてもそういう問題が起きておると思います。これを外せばかなり詰まるだろうとは思いますけれども、無利子の数に限度があるということ。
 それで、この方々は今度はこっちの第二種へ回ってくるわけです。第二種で見ますと、有利子で見ますと、大学でも八万三千のうち七万一千ということですから、もちろんこれでも一万二千も外れるんですけれども、かなり希望に近い数字になってきておると思います。
 私は、少なくとも、一種の方で残念ながら外れたという人は、その後、第二種に回れば全員が受けられるような格好、この数字で見る限りは、あと一万二千ですから、そのためにやはり予算をもっととるということ、これは我々が努力をしなきゃいけない、また皆さんの御支援もいただかなきゃならぬ点だ、こう思っておるわけであります。
山口(壯)委員 今、河村副大臣、成績でひっかかるからおっこったんじゃないかというのは、多分、これは理解が若干違うんじゃないかなと一瞬、後ろで戸渡課長が心配されています。私も中国大使館で一緒に勤務していたものだから、よくあれなんですけれども。
 成績の基準も合っているし、親の云々も合っている、これが適格者というふうに言うんじゃないでしょうか。だから、適格者というのは、そもそも成績の基準もクリアした人じゃないんでしょうか。
河村副大臣 失礼いたしました。
 結局、これは予算上の問題でこういうふうになったというのが正しい、私は認識を間違っておりましたが。そういう方々を第二種で救済する形に今のところなっているということですから、これはその数が確保できるように、あとは予算といいますか、枠をとっていくしかない課題だな、こういうふうに思っております。
山口(壯)委員 そういう意味では、今の現状の基本的な姿勢、育英会がやっておられる方針というのは日本学生支援機構にも受け継がれて、したがって、今回はその枠をはみ出ることなく、枠をはみ出るというか、そこから一歩ぐっと前に出ることなく基本的には、確保される予算の量によって対応という話が今の現状の議論ですね。
 ちなみに、今回、独立行政法人という格好にこの機構がなるわけですから、そういう意味では、これからは日本学生支援機構が、奨学金の事業規模あるいはそのやり方、例えば、先ほどのスクリーンのかけ方も含まれると思いますけれども、そういうことについて、今度は日本学生支援機構がやることになるのかどうか。この点はいかがでしょうか。
河村副大臣 独立行政法人になるわけでございますが、独立行政法人の基本的な概念というのは、政策の企画立案機能は主としていわゆる中央省庁側にといいますか、そして実施機能は可能な限り独立行政法人に分離するという基本概念が行政改革会議の最終報告にあり、その方向がまとめられたわけでございます。
 これも、奨学金の事業規模、方式等々の問題については、これはやはり国の責任で政策的に決定をしながら、そして必要な財源をとるというところも我々の責任でございますが、独立行政法人学生支援機構は、国が決定した事業規模とか貸与方式、そのもとで効率的で透明性の高い法人運営をしていくということで、まさに適切な業務執行をこの機構がやるということになるわけでございますので、今の、どの範囲まで適格者をさらに現実に合わせていくかという基本的な考え方は、これはやはり国の責任で決める、これが今の基本概念にあるわけでございます。
山口(壯)委員 奨学金の事業規模とかあるいは方式は、独立行政法人になった学生支援機構じゃなくて、国が決める、こういう答弁ですね。
 そうなってくると、今、適切な業務執行が可能になるように、透明性を確保するために今回の独立方式でやるというふうに言われますけれども、育英会の今までの話がそれほど適切でなかったとも私には思えないんですけれども、その点、どういうメリットがあるというふうに考えて、今回、独立行政法人にされるのでしょうか。
遠山国務大臣 今回、独立行政法人になるということで、これは御存じのように、今また河村副大臣から御説明いたしましたように、そもそも国がやるべき事業であるけれども、その実施については、外の事業体、組織でやった方がいいのではないかという部分の実施についてだけは独立行政法人にしていくということでございます。
 今回、特に育英会につきましては、冒頭の御質問にもあったわけでございますけれども、奨学金事業そのものの大枠はそのまま引き継いでいくということでございまして、そこは揺るがないわけでございますけれども、今回お願いしております独立行政法人化の場合には、奨学金事業というのを中心にしながらも学生を支援するという角度でさまざまな仕事があった、それらのことを統合してやっていこうということでございます。
 したがいまして、育英会のあり方そのものといいますよりは、そのことについては先ほど答弁したとおりでございますけれども、さまざまな学生を支援していく、特に留学生の問題なども含めてしっかりした窓口をつくっていく、実施主体をつくっていく、もちろん御存じの上での御質問とは思いますが、そのことが、学生支援の総合的な実施というために今回独立行政法人にしていくという大きなねらいであるということについて、御理解をいただきたいと思います。
山口(壯)委員 育英奨学事業を引き継ぐということになると、例えば今まで回収されていない額というものが時々議論になっている、これをも回収していくのかどうか。例えば千五百億あるんじゃないかという話もありますね。「日本育英会」という資料によると、返還を要する債権額、十三年度末のものについて延滞債権になっているものが千五百六十二億、多分このことだろうなと思いますけれども。他方、回収状況の中で出てくることしの要回収額のうち未回収額は三百五十六億円。
 私もその辺ちょっと頭が整理できないんですけれども、実際問題、育英事業によって奨学金を今まで貸し付けた、このことの回収状況というものを文部科学省としてどういうふうに評価されているのか、これから新しいスキームを考えていく場合にその辺が非常に大事だと思うので、お聞かせいただけますか。
河村副大臣 せっかくの奨学金ではありますが、やはりこれは返していただきませんと、次の方のためにということでありますから、回収というのも大事なことでございます。
 それで、数字を見ましても、平成十三年度末現在で滞納額は三百五十六億円あるわけでございます。そして、これまで、要回収累計額一兆七千六百三十一億円に対して、未回収率は二%、回収率九八%、こうなっておるわけでございます。これは、返還日を一日でも過ぎたものに対してすべての額を集計したものでありますから、すべての額が回収不能になるというものではない、数字がこういうふうなあらわれ方をしております。
 平成十三年度、単年度だけで見ると、未回収額三百五十六億円が、ずっと今まで累積したものも含めて残っておりますから、十三年度だけで返ってくる金は千七百三億円でありますから、それで見ると三百五十六という数字が大きくて二〇・九%、ですから約八割弱ということになっておるわけでございます。
 どう見るか、見方はいろいろございますが、しかし、いずれにしても、この貸付資金をまた原資の一部として活用しなきゃなりませんので、滞納はやはり事業を円滑に進めていく上で重大な支障を来すものですから、このことについては、機構に移ってからもさらに、電話請求業務等々で外部委託などをして、もちろんいわゆる高利貸しみたいな格好になっては困るわけでありますが、そういうものではない、適切な債権の管理をするということで努力をしていく。その点は今後機構の方でいろいろ工夫をしていただかなきゃならぬと思っております。
 もちろん、今育英会が持っている未回収債権もそのまま学生支援機構が引き継ぐわけでございますので、返還業務については機構でさらに工夫をしていただいて、できるだけ回収がうまくいくようにということを考え、さらに、今度は保証機関の制度、これはまた議論があるかもしれませんが、そういうことで、代位弁済制度まで考えるというような方向へ今進んでおるのもその一つではないか、こう思っておるところであります。
山口(壯)委員 今の御議論だと、九八%は返ってきているから、しかもその二%の未回収額の中でも、一日おくれただけでも入っているものもあるから、そういうことですね。ということは、実際、我々がイメージをしているよりもずっとよく回収されているんじゃないのかな。言ってみれば、例えば財投の話がいろいろ議論されている中で、あるいは何か株価維持政策なんというのもちまたで言われておりますけれども、株を買っても小泉さんになってから半分になっちゃって結局おっこちてしまったななんということよりも、回収する割合としては極めていい成績なんじゃないかなという気がするんです。
 今おっしゃった、育英会の方で今までの取り立てが五時まで、あるいは休日はやらないとかいう話も、できればおうちに帰っている夜、あるいは休日にもやったらどうかななんという気持ちで多分言われたんじゃないかと思いますけれども、そういうことも含めながら考えると、回収率というのはひょっとしたら一〇〇%にほとんど近いところまでいくんじゃないかなという気がするんです。
 そうしてくると、さっきからいろいろ議論があるような、この学生支援機構で、今までの枠は変わらないけれども、何か新しい発想さえあれば、例えば原資、そういうものが一体どこにあるんだろう。きょうは厚生労働省の吉武局長にも来ていただいておりますから、私自身、ちょっとお伺いしたいことがあるんです。
 それは、例えば、額的にも生活費もカバーできるようなもの、例えば社会人になって奥さんがいて子供がいる場合にも大学で勉強してみたいという話になったときに、十万円あるいは四万四千円云々じゃ、とてもじゃないけれどもどうにもならないと思うんです。そういうときに、例えば月二十万借りようと思えば借りれるような、そういうことを可能にしていくためにはどうなんだろうと。
 厚生労働省の管理されている年金の積立額、今、幾らぐらいありますでしょうか。
吉武政府参考人 お答え申し上げます。
 平成十三年度末でございますが、その時点の年金積立金の額でございますが、簿価で申し上げますと百四十七兆三千四百二十四億円でございます。
 ただ、市場運用を実施いたしておりまして、特に平成十一年度は市場が非常によかったわけでございますが、十二年、十三年と、特に国内株式、外国株式を中心としまして非常に市場が悪いという形がございまして、評価損が三兆ほどございまして、これを含めた時価評価をいたしますと、百四十四兆三千三百十億円という形でございます。年間の給付の大体四年から五年分ぐらいを保有しているという状態でございます。
山口(壯)委員 百四十四兆円の年金積立金があると。
 そうした場合に、例えば年金のこれからの支え方という話で、若い人が年金世代を支えるということが今の賦課制度のあり方ですから、そういう意味では、年金が高齢者だけにしか役に立たない制度であるよりも、国民全体の役に立っているというあり方であって初めて、若い世代もこの年金を支えていこうという気持ちになると思うんです。年金が老後の蓄えの一部であるというだけでは、なかなか納得されないと思うんです。特に、若い世代で年金を納めない、おれ関係ないんだから、おれが六十五になったとき、七十になったときにはもう年金なんてどうなっているかわからないんだから、おれ納めないよという人さえ今出てきている。
 そういう中で、若い人にこの年金の積立金、百四十四兆円ある、しかも回収率はほとんど一〇〇%だということであれば、これを何とか使えないものかどうかという話があり得ると思うんです。これは新たな法律の制定を要する話ですけれども、そういう意味では、今の吉武局長の話の中でも、株式の運用をやったがために三兆円の評価損。何か、本当に三兆円で済んでいるのかなという気が一瞬しますけれども、これだけ小泉さんになって株価が半分になったという中で、三兆円で済んでいればいいぐらいですね、首をつっている人がいっぱいいるわけですから。
 そういう意味では、三兆円できくのかなという気はするにせよ、百四十五兆円あるいは四兆円という額があるのであれば、これを奨学金に充当し得るかどうか、そういう議論は厚生労働省の方ではありますでしょうか。
吉武政府参考人 平成十六年の年金制度改革に向けまして、年金資金を活用した教育資金については検討をいたしております。
 幾つかの視点がございまして、非常に大きな視点から申し上げますと、昨年の十二月に厚生労働省で御提案申し上げましたが、いわばたたき台として御提示申し上げたものの中に、保険料固定方式というのを選択肢の一つとして御提言申しております。
 例えば、将来の保険料率を二〇%で固定するという形にいたしますと、今の厚生年金の水準で、現役の方が男性で、ボーナスも月割りにいたしまして大体四十万ぐらいの給与をもらっておられまして、これに対しまして二十四万弱の給付が出るということでございます。所得代替率というふうに申しておりますが、これは五九%という状態でございます。
 賦課方式でございますので、最大はやはり今後の経済の発展、それから、それの一番基盤となります少子化、人口構造に影響を受けますので、私ども今推計をいたしますと、現在の中位推計で、二〇三〇年ごろに二〇%で固定をいたしますと、今の五九%が五二%ぐらいになるだろうというふうに推計をいたしております。これはなかなか難しいわけですが、高位推計で推計をいたしますと実はそんなに下がらなくて、五七ぐらいだろうというふうに言われています。日本の高位推計は、実は、フランスでありますとか、イギリスでありますとか、あるいはスウェーデンでありますとか、アメリカもそうでございますが、そういう国に比べまして、むしろ若干低いぐらいの状態が日本の高位推計。
 今回の年金制度改革の御議論の中で非常に私も大事だなというふうに思っておりますのは、年金制度を安定化させるということは非常に大事でありますけれども、その一番基盤となります将来の人口構造を日本の経済社会の中でどう考えていくかということを同時に御議論していただく必要があるだろうということで、実は、年金制度改革の御議論と一緒に、次世代育成支援をどういうふうにして考えていくかということを、厚生労働省はもちろんその相当部分を担当いたすと思いますが、政府全体で考えていただきたいということでやっています。
 そういう視点から申し上げましたときに、次世代育成支援というふうに考えましたのは、実は、今の状態で子育てをされる方々の、例えば、子供をおつくりになるかどうか、あるいは、お一人子供を持っておられる方が、では二人目の子供さんをおつくりになるかというときに、女性の方は、御自分の仕事の仕方と育児の問題、育児支援を中心として、この問題が最大の事項だというふうに認識しております。男性の方は、むしろ教育費が最大の検討事項だというふうにされています。そういう流れの中から、年金資金を活用して教育資金を検討できないかということ。
 これはもちろん、前提としましては、この委員会でも御議論を今いただいているように、奨学資金そのものの充実なり、それは最大の前提でございまして、私どもは何も奨学資金にかわってやらなければならないという立場ではございません。ただ、年金の立場で検討することがあるだろうということでございます。
 この点につきましては、そういう意味で、これを大いにやっていいだろうという御意見もございますし、ただ、年金財政は非常に厳しい状況でございますので、年金の必要な原資はすべて年金給付に充てるべきであって、そのほかのことは一切やるべきではないという御意見も非常に強うございます。その両方の御意見を社会保障審議会年金部会でも御議論をしていただいている状態でございまして、まだもちろんそういうことで結論を得る状態には至っておりません。
山口(壯)委員 年金の積立金だから年金にしか使うべきでない、よくわかる議論ですけれども、他方、現実に株価に流れているわけですね。だからそういう意味では、下がる株価を買うよりも、これからの次世代を育てるためにという方が、私には、ずっと年金を納めようかなという気になると思うんです。
 現実に、この奨学金という話、これを充実させていくとどういうふうになるか。今、吉武局長がおっしゃっていただいた中にも二つ大きなポイントがあると思うんですね。
 一つは少子化対策。
 今、女性の合計特殊出生率が一・三五と言われていますけれども、実際には夫婦が二人ですから、これは二以上ないとどんどん人口が減ってしまう。詳しく言うと、二・〇八ないと人口が減ってしまう。今一億二千六百万人の日本の人口が、このまま二一〇〇年になると半分になって六千万になる。この順番でずんずんいくと、二二〇〇年には三千万、二三〇〇年には千五百万、二四〇〇年には七百五十万、二五〇〇年には三百七十五万、兵庫県の人口より少ないのが日本の人口になってしまう。これは大変なことですね。そのうち、世界全体から日本人というものがいなくなってしまうんじゃないかという冗談まで出てきている。
 そういう意味では、奨学金の持つ意味というのは非常に大きいと思うんです。
 私も今娘二人ですけれども、三人目をつくるときに教育費のことがどうしても気になる。調べてみると、大学までやらせると一人一千万かかる。私、絶対二千万も払えないなと思ったけれども、ましてや三千万なんてもっと払えない。私は、しようがない、二人でとめているんです。だけれども、教育費さえうまくいけば、日本の少子化対策には本当は極めて役に立つんじゃないかなというふうに思うんです。
 特に、今、デフレ対策という点も吉武局長がお触れになりました。今、例えば四十代、五十代で大学生の息子さん、娘さんがいる人、あるいは今高校生で大学に行こうかというふうに控えている人、この人たちはお金を使わないですね。教育に何百万もお金が要るようであれば、それはお金を使わないですよ。小泉さんが幾ら元気な日本と言っても、教育費で余りにもお金がかかり過ぎちゃって、直接に助成するという奨学金の話、これがきっちりいかないと、私は、四十代、五十代の働き盛りのお父さん、お母さんがお金を使わなくて当たり前というふうに思うんです。そういう意味では、今、少子化対策にも役に立つ、あるいはデフレ対策効果もある。
 この辺を考えると、どうしても新しいスキーム、今、吉武局長は、別に今までの奨学金の事業のフレームワークを乱すつもりは全くないというふうな御答弁もありました。そういう意味では、これこそまさに省庁の壁を取っ払って、一つの目的のために、使えるものは何でも使うということができる一つの大きな例だと思うんです。
 そういう点について、遠山大臣、どうでしょうか。
遠山国務大臣 まず、奨学金はぜひとも充実していかなくてはならないと思っております。
 現段階では六千億近い予算でやっておりますけれども、先ほど来御議論のように、本当にそれで十分な奨学金かといえば、まだまだという感がいたします。しかし、現在の財政状況でいきますと、国の一般会計予算の投入額というのも、限られた範囲の中で考えざるを得ないということでございます。ですから、奨学金制度というものを充実していくことの重要性については、私も本当にそう思っている一人でございます。
 同時に、少子化対策ということも大変大事でございまして、やはり若い人たちが子供を産んでもしっかりと育児ができる、そして義務教育はまさに無償で十分やってもらえることから始まって、できるだけ教育費についても心配ないようにしてあげるということが大変大事な政策だと思っております。
 その絡みで、さらに、年金を自分たちも支えていくというような意識というのも大変大事でございまして、そのような角度から、今、厚生労働省で年金の活用の仕方について御議論をしているというふうに承っております。
 私としましては、やはりその中でいろいろな賛否両論があるということでございますので、大いに御議論をしていただきまして、この問題についても、私どもも胸襟を開いて、将来のことについて前広に両省で考えていく、そのような大事なテーマであるというふうに認識しております。
山口(壯)委員 吉武局長、遠山大臣からもそういう言葉もありましたので、ぜひ、文部科学省あるいは厚生労働省、一つの大きな目的を追い求めていく気持ちで大きなスキームをやっていただきたいと思うんです。
 財務省の今の持ち枠の中で、なかなか、対応できる部分、できない部分、できない部分の方が今多いですね、これだけ経済が厳しくなってくると。でも、ひとつ見方を変えれば、そこに百四十四兆円、例えば今、毎年二百万人の人がいる、詳しく言えば、三百万人の新しい入学者がいるわけでしょうけれども、希望する人全部ということで、例えば二百万人という数字を想定したとしても、この人たちに二十万円全部配ったら、月に四千億ですね。四千億は一年で四兆八千億。四兆八千億を順番にずっと積み重ねていって、二年なり四年たてば返還が始まる。そのことを、例えば、今の二十年とか十六年じゃなくて、三十年にたとえ延ばしたとしても、累積で必要な額というのは、この百四十四兆円よりずっと少ない額なんです。
 だから、そういう意味では、ぜひ、年金を支えるという若い人の気持ちもかき立てると同時に、年金の使い方として、株に回すよりずっといいな、そういう面もあるような気がしますし、そういう意味では、どれだけの部分を年金の運用でカバーできるかということは、これから政府部内でしっかり議論していただきたいと思うんです。
 そしてもう一つ、特にこれは質問しませんけれども、先ほど馳議員からもお聞きになっておられた機関保証制度の導入。今までは保証人と連帯保証人がなければどうにもならないという話が、大体この奨学金を欲しいという人はお金に困っている人が基本的に多いわけですね。要するに、授業料にも満たない額だけれども何とかしてくれということですから、そういう家庭が厳しい人というのは、大体、親も連帯保証人とか、あるいはおじさんも保証人になりにくい人が多いと思うんです。そういう意味で、この機関保証制度、ほかの公益法人なりで実際に保証するから、保証人、連帯保証人が見つからなくても奨学金の道が開けますよという制度というのは、私は非常に大事だと思うんです。
 先ほど、遠藤局長から千七百円というシミュレーションの話、これはたまたまシミュレーションですということではありましたけれども、もしも、その辺の額にとどまる、あるいは場合によってはもっと低くなるのであれば、これは大いに、例えば年金を運用する際にもやはり一番安全だ、ほとんど一〇〇%近い回収率というものがそこで確保されるわけですから、私はぜひとも、この連帯保証が機関保証に変わったということもあわせて、両省で御議論をいただく場合に、前向きの議論をする一つの大きな材料にしていただきたいと思います。
 そして、今度、学生支援機構になった場合に、特にすぐれた業績を上げた大学院生に対して卒業時に返還が免除される、こういう新しい制度が入るということで、確かに、考えてみたら、私も、世界じゅうのスカラーシップ、奨学金を研究してみると、いわゆる与えっきり、渡しっきり、給費というんですか、こういう制度がないのは今日本だけですね。第一種が無利子、それから、きぼう21というのが有利子、結局貸しですね。どうぞという渡しっきりじゃない。
 そういう意味では、ほかの国で給費制度がどういうふうになっているか、どの国がこういう給費制度のシステムを持っているのかどうか。どうでしょうか。
河村副大臣 御指摘の点でございますが、諸外国、その事業の規模、貸与金額、さまざまでございますが、高等教育における進学率、学生数の違い、費用負担のあり方、考え方、いろいろ違うようでございまして、一律の比較というのはどうかという点もございますけれども、先進国の中で給費制の奨学金を実施している国としては、返還の義務のない給費制と貸与制の両方を制度としてやっているアメリカ、それから給費制のみのフランス、それから半額給費、半額貸与、これはドイツということで、それぞれの国がそうした給費制度を持っておるということは間違いございません。
    〔委員長退席、鈴木(恒)委員長代理着席〕
山口(壯)委員 アメリカ、フランス、ドイツと、こういう給費のシステムを持っている。先進国の中でそういうシステムを持っていないのは我が日本だけということですから、これは、お答えを最初に馳議員あるいは斉藤議員に対してされているのをお聞きして、もうお答えはわかっていますからいいんですけれども、結局、できるだけ幅広い人に行き渡るように、とりあえず今は給費制度の話というものは将来の課題として考えるというお考えですけれども、ぜひともこの点も、先ほどの話とあわせて、突破口を見つけていただきたいと思うんです。もしも、大学院の話ではありますけれども、この返還免除という話が、その考え方、哲学として一つの突破口になるのであれば、私はこれは、どういう人が一体優秀なんだという議論はあるにせよ、一つの考え方かなという気はします。
 ちなみに、アメリカなんかでよくありますけれども、どういう奨学金をもらったか、これによって、ああ、それすごいねという話になるわけですね。例えばローズ・スカラーというのがアメリカにありますけれども、ローズ・スカラーに選ばれたというだけで、その人のレジュメの中で、履歴書の中で、ああ、こいつはローズ・スカラーだと、一生その人の勲章として生きてくるわけですね。そういう意味では、しっかり勉強する大学生あるいは院生に対して、それに対する、言ってみれば前向きの評価、評価の仕方は難しいとはいえ、私はそれは、これからの高等教育のあり方を活性化していく上では非常に大事なことだと思うんです。
 今、企業がどういう大学生を選ぶかという場合に、成績は一応見ますけれども、優が乱発されているらしいんですね。それはそうです。うちの大学から行った卒業生にはいい会社に入ってもらいたいという教授の親心ですよ。そうしたら、会社の側としては、成績が余り役に立たない。見ても、どうせいい成績が並んでいるんだったら、実際にどこを見るかといったら、結局、入ったとき、入学試験の段階で見ちゃうわけですね。どこの大学を出ているかということ、結局は一番それが客観的だということになってしまう。
 そうすると、受験勉強が一番のネックになって、小中高の勉強も、結局、受験のための勉強あるいは試験のための勉強、全部ずうっとつながっていってしまうわけですね。だから、そういう意味では、大学受験をなくしていくということも非常に大事なことだと私は思う。その中で一つの議論は、奨学金のあり方について、給費奨学金というものを、例えばローズ・スカラーというのを一つの例として挙げましたけれども、この人はこういう奨学金をもらったんだと。例えば、会社に就職を頼みに行くときにも、私は何々奨学金をもらいましたというのが一つの大きな前向きの勲章になるというような仕組みを、これから我々、日本の国の中で大いに議論していっていい話だと思うんです。
 河村副大臣の地元に視察に行かせていただきましたね。山口大学に行って、私、名前が好きだったので行ったんですけれども。この山口大学で、既にアドミッションオフィスというものが開かれて、そして、一発勝負の筆記試験じゃない、面接を重ねながら入学選考をしていくというシステムをお聞かせいただきました。非常に大事な話だと思うんです。そういうものが可能になっていくと、大学受験という今の小中高の勉強のあり方で一番のネックになっていると思うそれが、だんだん変わってくると思うんです。
 そういう意味で、河村副大臣は多分、この山口大学方式というものが、できればどんどん広がっていけばなと思っておられると思うんですけれども、その辺について、いかがでしょうか。
河村副大臣 入試制度でアドミッションオフィス制度というのはもっと進んでいい。山口大学にその後伺っても、残りの教授連中との相当葛藤があって、あの規模が広がらないという話も聞いておりますが、ぜひ頑張ってもっと枠をふやすようにと、今奨励をいたしておるところでございます。
 今の給費の問題も、どういう給費をもらってきたか、スカラーシップなんというのもありますが、ああいうのをもらってアメリカへ行ったとかなんとかいうと、すごいねということになっておりますが、結局は、今の状況の中で、予算との絡みもありますが、確かに私はそういう制度を設けることそのものはいいことだと考えておるんです。
 ただ、問題は、どういう選び方をするかということが今度問題になってくるだろう。今のアドミッションオフィスのあり方もありますが、そういうしっかりとした形で、どういう人物で、もちろん成績もしっかり頑張っているが、こういう経験もしてきて、将来こういう夢を持っているすばらしい青年だというような形のきちっとした基準ができるかどうかということをしっかりやっていきませんと、結局、成績だけでぱっと見て決めざるを得なくなってきて、給費をもらうために、またそれの勉強しなければいけないようなことになっては意味がない、こう思っておりますので、その点も含めて、これは日本としても検討する必要がある課題だというふうに私は思います。
 ただ、予算面がありますから、今それをすぐ導入するということになりますと、どういう形でやるのかということでかなり問題が出てくるんじゃないかと私は思いますが、しかし、その中の、いわゆる無利子の中の一部をそういうふうに変えていく、今大学院だけ考えておりますが、その幅を広げるかどうかということであろうというふうに考えます。
山口(壯)委員 河村副大臣には、いつも前向きの答弁をいただくものですから。でも、さっきの佐藤泰介さんが言った言葉をぜひ忘れないようにお願いしたいと私は思うんです。
 そして、今ローズ・スカラーの話とか、いろいろさせてもらいましたけれども、大学入試というもののあり方が小中高の勉強のあり方の非常にネックになっている。受験のための勉強あるいは試験のための勉強にどうしてもならざるを得ない。そんな中で、例えば就職するときにも、大学の成績よりも、どこの大学を受けて通ったかということがどうしても判断の基準に一番客観的になってしまっているという皮肉な事態がある。
 これを変えていくためにはどうしても大学入試の話に行ってしまうんですけれども、ちなみに、一発勝負の筆記試験の大学入試がある以上、例えば去年から始めた総合学習、幾らいいと思っても、総合学習をやっている暇はあるんでしょうかと親御さんはつい思ってしまう。先生、うちの子供は受験は大丈夫でしょうか、総合学習なんかやっている間に補習をやってくださいよ、土曜日まで休みにされちゃって、私立とすごく差があいちゃうんじゃないでしょうか、うちの子供だけは何とか先生お願いしますよという声が非常に高まっているわけですね。
 私も、地元百五十四校、公立の小中学校があって、百二十六校まで一校一校、一時間ずつもらって、いわゆる教職員組合の先生と懇談しているんですけれども、先生方もいろいろ悩みを持っている。その中で親御さんの悩みも先生を通じて聞くわけですけれども、この総合学習というものについては決して評判がよくないと思うんです。そして、土曜日の休日制度、これはいろいろなとらえ方はあると思うんですけれども、今のところ、現場の先生方というのはむしろ、月金に負担が全部集中して、しわ寄せして、先生はどうか知らないけれども、子供たちは極めて疲れているというところが、私が百二十六校回って例外なしの百二十六校の意見ですね。だから、そういう意味では、大学入試というものがそこにある以上、どうしても、総合学習が幾らいい試みであっても、それが上のそらの話になってしまう。
 ちなみに、これは遠山大臣にお聞きできればと思いますけれども、現場の教師の人たちからは、総合学習というのは一体いつまで続くんだろうという意見もあるんですけれども、文部科学省としていかがですか。
遠山国務大臣 これは私は、今非常に大事な転換期だと思っております。日本の子供たちがこれまでのように受験勉強、記憶中心、受け身の勉強であった、そのことが今の閉塞状態につながっているという考え方もあるわけでして、ここで今踏ん張って、非常に大事な時点でございますので、私は本当の意味の確かな学力を身につける時代だと思います。
 確かな学力というのは、これは今の新しい学習指導要領でねらっている、基礎、基本というものをしっかり学んだ上で、自分でさらに学び、自分で考える力を身につけるということでございます。今私どもがやっておりますのは、新学習指導要領に基づいて確かな学力を身につける。これまでの、授業時数をたくさんとって、教える中身をたくさんやって、そしてそれを記憶して受験にも臨むという、その体制では日本の未来はないわけでございます。したがいまして、基礎、基本を大事にしっかり身につけるには、これは訓練でございますので、かなり時間をかけなくてはならない。そこは各学校で、今の標準的な授業時数以外にもどうぞ工夫しておやりください。
 考える力、みずから学ぶ力などは、本当は大変難しいんですね。でも、基礎、基本をしっかり身につけた上で、いろいろな体験学習をさせる、あるいは自分で課題を見つけてそれを調べさせて発表させるなどの、そういう指導の仕方というのは非常に大事でして、その意味で、私は総合的な学習の時間というのをうまく活用しているところ、これは私は幾つもの学校を見ておりますけれども、本当にうまく使っていますね。先生の県下の学校についても、総合的な学習の時間の有効な使い方についてぜひ御指導していただきたい。ではどういうふうにしたらいいかというのは、データベースもあります、指導資料もあります、それから学力フロンティア事業ということで、センターとなる学校がいろいろないいモデルをつくっております。
 ここは本当に踏ん張りどころでございまして、受験がもちろん大事とはいいますけれども、まずその認識も、大学側も非常に変わっております。アドミッションオフィスをつくり、一片の試験だけでは採らないで、高校時代のいろいろな活動もよく見てやろうという動きになっておりますし、それから、入試センター試験では基礎的な学力を見ますから、それをベースにした上で面接とか論文とかでやろう。これは、先生とか私どもが受けたような受験の時代と随分変わっておりまして、企業の側も、そうした大学で選別あるいは成績で選別という時代から、今もう大分前から変化をいたしております。
 その意味で、私は、これは連動して、小学校から大学まで、あるいはその先の生涯学習のあり方まで、今非常に大事な時期でございまして、決して従来型の、受け身の、記憶型のというのではよくないと思っております。
 ただ、いわゆるゆとりとか五日制というのが緩みのように考えられていてはいけないと思いまして、そこはしっかりと、基礎、基本を身につけさせるということにおいては、各学校なり先生が自由に、それこそ創造的な工夫によって対処できるようにということで今制度を運用しておりますし、また、授業時数のあり方も含めて、中央教育審議会に義務教育のあり方ということで先般諮問したところでございまして、十年に一回の学習指導要領改訂というのを待たずに、必要があればそこは必要な見直しをしていくというようなスタンスでございます。ここはぜひとも御理解をいただきたいと思います。
山口(壯)委員 最後の質問にしますけれども、きょうは、渡海副大臣、済みません、もうずっとおつき合いいただいて、この質問のためにおつき合いいただいたんですけれども、ナノテクノロジー、今教育の話をずっとさせてもらって、例えば私が、三・一四でなくても三でもいいという円周率というのはどうも、ナノテクノロジー、十億分の一を争うのとはちょっと方向が違うななんという気持ちをつい持っているものですから、そういう意味で、ナノテクノロジー、十一月に私がここで議論させてもらったときには二百四十二億円が四百九億円にという話で、ああそうか、それだけ気合いが入っているんだったらちょっとは違うかなと思って、何だ、ふたをあけたら二百四十二億円が二百四十六億円になっただけ、四億円。もうぜひこれは反省の弁を聞きたいなと思いまして、済みません、よろしくお願いします。
渡海副大臣 山口議員、勘違いという言い方は失礼かもしれませんが、三月に一度同じ趣旨でお答えをしたと思います。平成十四年度の補正予算というのは、実は十五カ月、経済対策も含めてということで、その中でかなり十五年度分の手当てをしております。これが百七十二億円ありまして、二つ足しますと、数字でいいますと四百九億円。要は、七〇%増を目指して七三%増でございますし、他の重点分野、ライフ、IC、それから環境等に比べましても、伸び率も非常に伸びております。
 それよりも何よりも大事なことは、やはり現場の皆さんがこれでやれることがやれるかということをちゃんとその後も検証いたしましたが、現時点での計画には差しさわりがない。ただし、先生の認識と全く同じでございます。私は、ナノは日本が大変強い分野だし、他の科学技術の基盤技術ですから、しっかりと来年度に向けても頑張っていきたいというふうに考えております。
    〔鈴木(恒)委員長代理退席、委員長着席〕
山口(壯)委員 ありがとうございます。
古屋委員長 佐藤公治君。
佐藤(公)委員 自由党の佐藤公治でございます。
 本日の質問、参議院からずっと続いているわけでございますけれども、本当に個々における問題点というのがかなり浮き彫りになっていることは事実だと思います。例えば、保証制度の問題、返還請求業務の外部委託、合理化、外部委託の件ですね、免除制度、有利子、無利子の問題、給与・給付制か、貸与、貸し付け制か、あと職員さんの今後の状況等々、個々の分野ではかなり浮き彫りになっている部分があると思います。しかし、それにおける答弁というのが、非常に不明であったりはっきりされていない部分が多い、また多かったという部分、きょうの審議の中でも出てきたかと思います。
 ただ、こういった個々のことを考えている中で、私もつくづく毎回のように申しておりますけれども、やはり、基本の哲学というか理念というか、まさにこの国のあるべき姿、そして日本人のあり方、そして、そこにおける教育というもの、そこにおける奨学金というものが、どういう位置づけによって、どういった基本の考え方を持ってやられているのかというのがよくわからない、わかりづらい部分がたくさんあると思っております。
 まず基本的なことで大臣、副大臣に、奨学金というのは今のこの国にとってどういう形であり、どうあるべきなのかという、非常に基本的なことですけれども、確認をさせていただけたらありがたいかと思います。当然、いろいろなこと、資料も見せていただき、また参考人の方々からのお話も聞かせていただく中、改めて大臣、副大臣にお聞きをいたします。
遠山国務大臣 佐藤委員は、いつも議論の前提に哲学、考え方というのを問い直して考えようよという御指摘といいますか御提案で、敬意を表したいと思います。
 日本の未来を考えますと、本当に資源のない日本にとっては人しかないわけでございます。しかもそれは、ただ平穏に平和に健康で生きていく、そういうマジョリティーの人たちももちろん、その人たちの幸せというのが大事でございますけれども、日本が今後、世界の中で生き残っていきますには、本当にそれぞれの人々がみずからの潜在的な能力を十分に発揮していく。
 そして、その中には芸術文化に向かう人もあり、あるいは科学技術に向かう人もあり、あるいはその他のいろいろな活動の場面があると思いますけれども、私は、伸びるあるいは学ぼうとする意欲のある人がすべてみずからのその能力を発揮できるように、学校段階であればその学校段階を活用し、また、生涯学習の世代になれば生涯学習のいろいろなチャンネルを通じてみずからを伸ばしていく。その人たちの活躍によって、例えば科学技術創造立国であり文化立国でありということが可能になるわけでございまして、その基盤を支える教育というものは非常に大事だということはもう言うまでもないわけでございます。
 奨学金制度というものは、そうした学ぶ意欲のある、あるいはそれぞれの異なった能力を持っている人が、存分にみずからのその学習意欲を満たして、さらに伸びていただくために援助をするということでございます。
 育英会制度というのは昭和十九年にできたわけでございますが、そのときには、育英ということで、英才に注目をして制度が始まったわけでございますけれども、近年は、本当に、すぐれた、学業のすぐれたというだけではなくて、学習の意欲のある人に、できるだけ多くの人に必要な援助をして、そして学ぶチャンスを活用していただこうということでございます。
 そういう意味で、育英ということから主として奨学へという大きな変換点があるわけでございまして、今回の新たな独立行政法人への移行も、そうした大きな流れを背景にしながら、奨学事業というものを中核にして、さらに学生支援という大きな国としての事業を一括して遂行できるような組織をつくっていこうというふうに考えているところでございます。制度設計のもとには、私はそうした考え方が底流にあるというふうに思っております。
佐藤(公)委員 今大臣が御答弁になられました、そのできた状況、背景ということも含みながらのお話だったと思いますけれども、当時、本当に大学に行きたくても行けない状態、経済的理由ということが非常にあった。そういう中で、大学へ進みたいという意欲と能力のある者にとって大学に進むことが困難であるということは、経済事情によって困難であるということは、ほとんど今あり得なくなっているとお思いになるのかならないのか、ここは非常に大事なところだと僕は思うんです。
 僕が言いたいことは、やはり基本の考え方、哲学論的な部分になるかもしれません、そこと、やはりこの法律を皆さん方が議論する上での前提の食い違い、何か今回の、ずっとこのたびの法案を見させていただく中、また議論を聞いていく中、その基本と前提というのが非常に違っていたり、また別個のものが同じテーブルで議論されている、そんなふうに私は見える部分があります。
 そのうちの一点として、まさに今経済事情によって困難であるということはほとんどあり得ないと大臣、副大臣、お思いになるのか、まだまだそういう部分は多くあると思うのか、この辺、いかがでしょうか。
河村副大臣 それは、戦後この制度が出たときのいわゆる育英という考え方の当時と、確かに時代は変わってきていると思います。しかし、現実に今の時点で考えてみたとき、先ほども、少子化の話でございましたが、一・三四、あるいは最近の統計でも、いわゆる新婚の若夫婦も二を超えていないという実情、その中に教育費ということが出てきておる。ということは、やはり国民の思いの中に、生活水準も確かに上がったけれども教育費も高いという思いがあるわけでありまして、そういうものを奨学制度というものによってきちっとその中を取り持っていくといいますか進めていく、いわゆる奨学の勧めといいますか、それはこの奨学金制度の基本概念になければならぬ、こう思っておるわけでございます。
 そういう意味では、その奨学の中の育英の部分と、いわゆる教育の機会均等の部分と人材育成の部分、この二本の基本概念というものは、これからもこの奨学制度の中で貫いていかれるべきものであろう、このように思います。
佐藤(公)委員 副大臣、私の聞きたかったことは、その基本概念というものがあることは、これは当然だと思います。今の社会状況、この日本を見たときに、当時のような経済的なことで大学に進学ができないということはもうほとんどなくなっているんじゃないかというふうにお思いになるのか、いや、その量は当時に比べたら少なくなっても、まだまだそういう方々はたくさんいると思うのか、またそうとらえているのか、そこの部分をどう思われているかということなんです。
河村副大臣 まだまだいらっしゃるというその規模をどう見るかということでありますが、私は、大学までやるには大変だと思っておられる国民は、やはり日本の中にはまだ相当数いらっしゃる、このように思います。
佐藤(公)委員 副大臣、まだまだいらっしゃると。僕もそう思うんですね。
 でも、参議院での参考人の方々の議事録、全部読ませていただいておりますけれども、この中で、これを決められた座長の奥島先生がはっきり言っていることは、僕がさっき言ったことをそのまま実は奥島さんがおっしゃられているんですね。「大学へ進みたいという意欲と能力のある者にとって大学に進むことが困難であるというのは、経済事情によって困難であるということはほとんどあり得ないと私は考えております。」と。
 今、現状というのは、いろいろな制度もたくさんできているし、昔に比べたら豊かになっている、そういう部分、この社会状況を考えたら、困難であるということはもうほとんどあり得ないと私は考えておりますというように言っているんですね。
 これは前提として、考える上で全く違う方向に行ってしまうと僕は思うんですね。副大臣はそういう部分が多くあるというふうに思っている部分、また奥島さんの方は、経済的困難というのは今もうほとんどなくなっているんじゃないかというようなことを言っているんですが、いかがですか。
河村副大臣 奥島先生がおっしゃったのは、私は、今の日本の制度、本当に困っているなら、奨学金制度もあるし、それから、国の奨学金制度を使わなくても、各大学も持っている。私は早稲田も持っていると思うんですが、私の母校の慶応大学はちゃんとしたのを持っておりますから、そういう方々にも別途支給体制がありますから、そういうのを活用して、本当に意欲があって、意欲があるということはしっかり勉強しているだろうから、これは奥島先生のことだから、成績もいいはずだ、こう思っておられるかどうか確認はしておりませんが、そういう思いで私はおっしゃったんだと思います。
 今のそのままのストレートの形でどうだと言われたときに、その制度を活用できなかったらやはり難しいと言われる家庭はまだある、それをネグるというわけにはいかない、こういうふうに思います。
佐藤(公)委員 では、副大臣は奥島先生が、まあ、これは実際、副大臣がおっしゃられたように、いろいろな制度が今充実して数も多い。まさに、民間団体等による育英奨学事業の概要ということで、これも文部科学省から聞いておりますけれども、すべてを合わせれば、これは種別がいろいろとございますので細かくは言いませんが、今三千以上のいろいろな奨学事業がある。これが、今の世の中、これだけの中でいろいろなことを活用していけば、またやっていけば、昔のように経済的に困難で大学に進めないということはないだろうというふうに、では副大臣もお思いになられるんですか。
河村副大臣 私も、大筋では、その制度を活用しながら、トータルで見ればかなり経済的な理由というのは薄められたと思います。それでもなおという思いの方はいらっしゃるだろうなとは思いますけれども、私は大筋でそういう時代になってきたと。しかし、まだこの奨学金制度だってこれで十分とは言えませんから、そのすき間に入っていく人たちというのはあり得ると思います。
佐藤(公)委員 ここの部分というのは、私は、今後議論していく上で、とらえ方の問題、意識というか、非常に大きく変わってくるというふうに思うんです。
 だとするのであれば、では、そういう中でまさに国の事業というもの、この役割分担というのは、民間も含めてですけれども、副大臣にとって、どういう役割分担の中でこの奨学事業というものを国全体としてとらえているのか、考えているのか。いかがでしょうか。
河村副大臣 役割分担と言われましたけれども、やはり国が奨学金、奨学事業制度については根幹として責任を持っていくというのが今回の機構の考え方でありますから、日本で学ぶ人たち、国民を初めとして皆さんが、意欲を持って勉学をしたいと言われる方については、やはり国がそれに対して最大限応じていく、これが奨学金制度、奨学事業の根幹だ、こう思っております。
 しかし、国の財政の中でやることでありますから、いわゆる教育の機会均等の考え方、そしてさらに次の時代を担う優秀な人材を育てるという概念、これをやはり基本としながら、学びたいと言われる方には国が責任を持ってこの事業を進める。そういうことで、国としては、その根幹を守るというのが国の役割でございます。
 ただ、今、私も佐藤さんの質問を聞きながら、三千ものそういう奨学金制度がある、それをどういうふうに活用されているのか、その部分が、民間の部分、それから国がやるべき部分、それはやはりこれからのあり方として、ダブってやっている面もあるんじゃないかというような指摘があれば、そういうものは精査しながら、国の財政を動かすことでありますから、できるだけ効率化を図っていかなきゃならぬ面も出てくるだろう。
 そういうことで、今回の機構というものは、やはりそういうものも視野の中に入れながら運営をしていく必要はあろう、このように思います。
佐藤(公)委員 内閣府大臣官房政府広報室が出している月刊世論調査五月号、こういったものがございますね。ここで今回出ているのは、子育てのつらさの内容、苦しさの内容という調査が出ています。何でつらいかと思う部分、感じる部分というのは、子供の将来の教育にお金がかかること、つらいと思う人たちの半分以上がそこの部分を指摘している、意識としてある。
 本当に、こういった不安があることが、実際いろいろなことを引き起こしている。極論から言えば、家庭崩壊があったり、家庭不仲があったり、幼児虐待等々の心理状況、ストレス状況もあったりなんかする。教育に関して、山口委員もおっしゃられましたけれども、今いろいろな調査を見ていると、子供たちにお金がかかる、ここの部分というのを非常に問題視した指摘というのが多いと思います。
 そういう中で、まさに大学、高校等々における奨学金というものが、非常に今、実は社会に大きな安心感というものを与える大事なところなのかなと私はずっと考えている部分があります。この奨学金というか育英ということが、いかに日本の根幹の考え方から出ているのかということが本当に大事になってくるというふうに私は思います。
 そういう中で、今議論を、大臣、副大臣の答弁を聞かせていただきますと、副大臣は、所得要件もしくは経済的要件というものを取っ払って、だれでもが、意欲のある人が自主自立によってお金を借りて、そして自分の借りたお金で、自分のお金で高等教育を受け、そして返していくという、まさに自主自立ということをよくおっしゃられます。
 そして、先般の奥島座長を含めた参考人の方々もそういったことを強く主張している部分があるんですけれども、私は、本来、今回の奨学金とか育英に関して、この制度に関して、自主自立、全部それを否定するわけじゃございません、大事なことです。でも、それは、あくまでも義務教育、高等教育の今のあり方、自主自立、まさに義務と責任を踏まえ権利を大事にするようなそういった日本人になるべくという教育を怠ってきて、そのままでもうどうしようもなくなっている中、制度的な部分でそれをまたカバーしていく、押しつけていく、変えていくという議論に聞こえるんですね。一回、全部議事録を、また副大臣、時間があったら読んでいただけたらありがたいと思いますけれども、それとこれとは別だと思うんですよ。
 例えば、参考人の方がおっしゃっている部分、今の大学というのは、どういった位置づけになっているかというと、まさに、いいところに就職するためのパス、パスポートみたいなものだ、こういうふうに今大学生も親もみんな考えている。だから、いいパスポートを得ればいい就職ができる、こういう大学の見方をしている。こういったところに問題点がある。
 そして、大学生が自主自立をしていない。まさにこの参考人の方がおっしゃられたように、
 君はどうして今この大学のここに座っているのかというような質問をした場合、多分はっきり答えられないだろうと。じっと考えてみたら、子供のころから、いいところに就職するためにはいい大学にということで、それがずっと順に来て、小学校のときからそういう動機付けはされていると。しかし、何をやりたいか、何を勉強したいかというのは分からないままに来てしまうと。
自主自立、つまり今の大学が本当は、高等教育ということでありながら、非常にそういうていをなしていない。
 まさに、もう御存じのように、ヨーロッパとかアメリカに比べたら、全くキャリア形成というか、大学に入るときに、将来何をしたいのか、そのためにこの学校に行って、この学部に行って勉強したい、よりよいところでやりたい、そういった目的意識が大学に行くに際してある、それが一つには自主自立の基本だと思うんですね、でも今の大学生というのはそれがなかなかできない。ここが一つの大きな問題点だと思います。幾ら教育指導をいろいろとしても、なかなかそうはなっていかない。
 私は、採用という面でこれが変わっていく可能性があるというふうにも、前に委員会でも言ったんですけれども、そういう部分で変わるかもしれない。でも、それを何とか自主自立の方向にするために、今回の育英というか奨学金を、お金、制度を使ってあえてそういったところに追い込もうというような考えが、私としては感じられるんです。それとこれとは別だと思うんですね。
 副大臣はそういうおつもりで使っているわけじゃないのかもしれませんが、やはりそこで制度というのが、この国の教育の基本ということがどういうことかということを僕は問いただしたい、もう一回考えて議論していく必要があるんじゃないかと思ったんですが、いかがでしょうか。
河村副大臣 佐藤委員の言われた、今の大学入試を初めとする一連の教育の仕組みの中、私も、しっかり勉強したら、いい就職ができて、いい給料がもらえてという時代、これは本当はもう過ぎていると思うんです。しかし、まだ国民の意識はなかなかそこから抜け切れないというところに問題があるし、それはやはり制度である程度変えていく方向というものをどういうふうにとっていくかということをこれから考えていかなきゃならぬ。例えば、大学の門戸を広くして、しっかり学ばせて卒業させる。出口をもっと厳しくしろ、これはいつも言われていることでありますが、それをどういうふうにこれから具体的に進めていくかという問題。
 しかし、現実の今の日本の経済の状況を見たときに、ああした企業倒産、よく引き合いに出されますけれども、北海道拓殖銀行の例等々を見ても、北海道で、北大に行って拓殖銀行へ行けばもうこれは御の字だというふうに言われていた、その夢が崩れた。そのことを考えてみても、もうそういう時代は過ぎ去ったと思わなきゃいけない。そのことをどういうふうに意識改革するか。
 先ほど総合学習の話もありました。そういうところでそういうことを本当に学んで、自分の目標を見出していくということがその中にも込められていると私は思うんですね。自分が何を学ぶかということ、やはりその目標を持たせないから学習意欲も生まれてこない。そういうことで、私は、そういう仕組みを入れていくことが必要であろう、こういうふうに思います。
 しかし、奨学金制度というものは、その中でも必ず、前言として意欲とプラス能力、意欲ということを強くうたっているのもまさにそこにあるわけですから、漫然と、とにかくパスポートにするために大学に行く人にそんな国の大事なお金を使ってもらいたくないという、そのぐらいの気持ちで奨学金制度というのはあってしかるべきだ、私はこういうふうに思います。
佐藤(公)委員 僕は、副大臣のおっしゃられていることはわかるんですよ。ただ、今回のこの制度の部分を、制度を使って意識改革をしていくという方法論は実際あります。ただ、教育の分野でそれを今ここで使っていくことは、僕は決して正しいとは思わないんですね。
 小泉総理の一月三十一日の所信表明演説で、奨学金のこと、もしくは奨学金のその前にどんな話をされたか、副大臣は覚えていらっしゃいますか。
河村副大臣 奨学金に至る前段は、申しわけないんですが、覚えておりません。要するに、奨学金制度が極めて重要であり、これを充実されると言われたことは覚えておりますが、その前段はどういうふうに言われたんですか、私、ちょっと今かちっと思い出せません。
佐藤(公)委員 一月三十一日の小泉総理の所信表明演説の中で大変な言葉を使っているんですね。「「必ず邑(むら)に不学の戸なく、家に不学の人なからしめんことを期す。」明治五年の太政官布告は、すべての国民に教育の機会を保障すると宣言しました。現在、意欲があれば、みずからの意志と責任で、だれでも教育を受けることができます。」ちょっと中を飛ばして「時代にふさわしい多様な教育機会の整備に努めてまいります。あすを担う人材が勉学の機会を失うことがないよう、奨学金制度の充実に努めます。」こういうことをおっしゃられました。まさに充実に努めると。
 今回が果たして充実と言えるんでしょうか、副大臣。
河村副大臣 奨学金の充実については毎年重ねてきておるわけでございます。即、この機構改革に伴って、これをがんと大幅に充実させるために機構改革をやる、それだけではありませんので、そういう意味で、機構改革になったから充実なのかと言われると、もちろん、これまでの議論もありますように、機構改革することによってメリットはいろいろあるわけでありますから、それは当然機構改革の中で入ってくるわけでございます。しかし、方向としては、今までもやってきた充実の方向というものを緩めるわけではございませんで、この機会にさらに充実してまいりたいという思いでおることは間違いありません。
佐藤(公)委員 副大臣、充実という言葉は、足りない点や欠陥がなく、十分に備わっていること。つまり、逆に言えば、今までの奨学金制度というものの、例えば有利子、無利子、さっき山口委員からもお話がありましたが、給与・給付制とか、いろいろな体系を備えて、やはりいろいろな状況において対応していく、また足りない部分をふやしていく。そういう形になっていけば、まして保証制度とか免除制度とかいうことも今回出てきておりますけれども、この一連を見ても充実とは言い切れないというふうに僕は思いますけれども、それでもこれは充実されているというふうにおっしゃられるんでしょうか。
河村副大臣 金額だけの問題ではなくて、機構改革といいますか、これを行うことによって学生全体を支援していくんだ、留学生も含めて広く進めていこうということ。こういう意味では、学生にとって我々の支援機構ができたという意味でも、単なる金額的なものだけじゃなくて支援をする、私は、学生にはわかりやすい、充実した支援がこれで行われるんだというメッセージにはつながっているというふうに思います。
 できるだけ広く薄くということも考えながら、まあ薄くではいかぬわけでありますが、広く充実させないかぬのでありますが、今までの免除制度というのも、職によって縛られるということではなしに、もっとすぐれた業績とか本人の本来持っているものに対して免除制度もやっていく。あるいは、高校の奨学金制度については、地方が一番そのことについてわかっているわけでありますから、地方へ今回移すというようなこともやりまして、できるだけ今の時代の変化に応じられるように、そういうことによってまたこの制度そのものも効率よくやろうということでありますから、トータルで見て質的な充実といいますか、つながっている、私はこう思うのでありますが、いかがでしょうか。
佐藤(公)委員 何か随分つらい答弁のような気がいたします。
 では、副大臣、そうおっしゃるのだったならば、五年後、十年後、この奨学金制度、また今の制度をどういう方向に持っていこうとお考えになっているんでしょうか。できれば具体的にお願いします。
河村副大臣 ずばり申し上げれば、奨学金をもらうためのいろいろな条件がついておりますが、これもできるだけ緩和する、場合によっては全部取っ払う。そして希望する方は、自己責任において全額、全額といいますか、今三万から五万、十万まで持っておりますが、そういうもので受けられるようにするという方向がこれからの方向だ、こう思っております。これは財政投融資のこともありますから、そういうものをまずこちらにおけば、私は、その方向で進めていくべきであろう、こう思います。
 ただ、奨学金が簡単にもらえるということについて、確かに自己責任ということでありますが、一方では今度、返還という問題もありますから、若干モラルハザードを起こしてもらっても困るな、だから奨学金というものの理解をしてきちっと受けてもらわなきゃいかぬ、このことを念頭に置きながら、その方向で拡充していく、私はそう思っております。
佐藤(公)委員 もう時間が来ました。質問項目の一〇%も正直言ってできなかったような状況で終わってしまいました。
 でも、この入り口論がとても大事だと僕は思うんですよ。そして、河村副大臣、将来におけることですけれども、もっともっと僕が聞きたかったのは、有利子とか無利子とか、給付制、給与制とか貸与制を今後どうしていきたいのかとか、職員さんのこととかいろいろとあるんですけれども、将来の展望というものが、確かに副大臣のおっしゃられることもわからないでもないですけれども、それを制度で変えていこうという、ここに考えていくことは間違いであり、もっと基本的な教育のあり方、それこそ大学、義務教育、またはほかの部分で考えて、そういった人間を育てていくような改革の方が大事だし、先なんじゃないかなと僕は思います。
 この議論はまた引き続き楽しみにしておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
古屋委員長 石井郁子君。
石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。
 奨学金制度についての審議が行われますので、私は、初めに一点、ちょっと端的な御質問をさせていただきます。
 それは、現在の奨学金制度がどういう実態になっているのか、公正に運用されているのかどうかという問題で知りたいことがあるわけでございます。
 育英会奨学金の国公私立、各大学ごとの無利子、有利子奨学金の申請件数、また採択件数をぜひお示しいただきたいと思います。
遠藤政府参考人 各学校ごとの奨学金の申請件数、採択件数等の採用実績の問題でございますけれども、この点につきましては、大都市圏と地方都市在住者での親の平均所得の違い、あるいは文系大学と医学・歯学系大学での奨学金希望者の違い、学校独自の奨学金の充実度や民間奨学金等の受給状況の違い、各学校の学生に対する教育的配慮等のあり方の違い等々、さまざまな異なる事情の積み重ねの結果によるものでございまして、数字での単純比較になじまないものであるにもかかわらず、各学校ごとの採用者数を公表することによりまして、個別学校の評価や進学を考えている学生の動向の変化につながりかねないおそれがあるということがあるわけでございます。
 これは、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律の第五条におきまして、「公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」という規定がございますが、このいわゆる不開示情報に該当するものと考えられまして、この点、公開することについては慎重に考えておるところでございます。
 一般的には、行政情報の公開の重要性は十分認識しておりまして、今後とも適切に対応してまいりたい、こう考えておるわけでございます。
石井(郁)委員 今の御説明ですと、大学の採択の実態の数字にはいろいろな事情があると。だったら、そういう事情を、こういう事情があるんだという説明をつけて公表したらいいわけでしょう。今お話しのように、これは、当該法人の権利や競争上の地位を害することになるという、いわば法人側の理由が表に出て、しないと。しかし、国民の側から、学生の側から見て、当然これは知る権利があるわけですから、私は、公表すべきだ、当然だと思うんですね。なぜ各大学ごとにできないんですか。それは理由にならない。
 そういうことでこだわるとすれば、どうも採用枠が公正にいっていないかもしれないということが暗にうかがえるわけでありまして、そういう不信、疑念を払拭するためにも、私は、公正に運用されているということで、きちんと公表すべきだと思うんですね。
 それで、要求いたしますけれども、最近五年分について、大学別かつ第一種、第二種別の申請件数、採択件数、これをぜひ当委員会にお出しください。これは大臣、いかがでございますか。副大臣、御答弁ください。
遠藤政府参考人 私ども、先ほど申しました独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律第五条で、要するにそれぞれの大学、「法人等」と書いていますが、大学の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある、こういうふうにとらえておるわけでございまして、そういう観点から慎重にと考えておる次第でございます。
石井(郁)委員 私は当然、そういうことで納得できません。委員長、これはぜひお願いをしたいと思います。いかがでございますか。
古屋委員長 再度、遠藤局長において答弁をお願いいたします。
遠藤政府参考人 私どもは、この法律の規定に照らして慎重にあるべき、こう考えておる次第でございます。
石井(郁)委員 法律ということを持ち出されましたから、それはそれでまたきちんと議論しなきゃいけませんから、きょうはここまでにいたしますけれども、私は、この法律の解釈に沿っても、各大学別の奨学金の申請件数、採択件数ですから、これは何で公表できないんですか。それはおかしいですよ。要求したいと思います。
 それで、法案の中身の審議に入りますが、その前に、私、ちょっと審議に入ってしまいましたけれども、委員長、与党筆頭理事にもお願いしたいと思いますが、委員会、これは定足数、いかがでございますか。法案の審議で、これで進めていいでしょうか。委員長、いかがですか。
古屋委員長 両筆頭理事に申し上げます。
 委員の確保を至急お願いいたします。
 この間、質疑を続行いたします。
石井(郁)委員 委員長、なかなか強硬でございまして、審議続行ということですので、では委員長の指示どおりに進めていきたいと思います。
 法案に関連いたしまして尋ねるわけですが、今回、独法化によって奨学金制度がやはり変わると思うんですね。その一つが、免除職を廃止して、優秀者を免除する返還免除制度。もう一つは、連帯保証人を立てられない場合かわりに保証料を取る、本人が返済できない場合支払い機関がかわって返済をするという機関保証制度の創設というふうに言っていいと思いますが、確認をさせていただきます。これは大臣、ぜひお願いします。
遠山国務大臣 今回の法改正は、先ほど来御答弁いたしておりますように、奨学金制度の大枠については変更はしないということでございまして、制度の変更点といたしましては、今お話しの免除の件、それから、高校生については都道府県の方へ移譲していく件でございます。
 機関保証の制度につきましては、法律そのものの文言に出てくるわけでございませんで、これは現行の法制度上も導入することが可能でありますけれども、新しい機構の創設と同時にこういったこともやっていこうということで進めているところでございます。
石井(郁)委員 そういうことだと思うんですが、そこで、返還免除制度について最初にお尋ねをいたします。
 ちょっと具体的な数字を教えてほしいんですが、今、国立大学に進学をして四年間、そして修士課程、博士課程を終えたとして、無利子の奨学金を受けた場合、その貸与総額は幾らになりますか。
遠藤政府参考人 無利子で国立大学でということでございますけれども、今、国立大学の自宅通学者で月額四万四千円、それから大学院修士課程で月額八万七千円、博士課程で十二万一千円ということでございますので、大学四年、修士、博士に行くと総額では八百五十五万六千円となると思います。
石井(郁)委員 大変な数字ですよね。私どもの学生時代とは本当に比較にならない、驚くような数字だというふうに思います。
 大学院生、学生もそうですけれども、授業料を払う、そして生活もしていかなきゃいけない、もちろん無給ですね。それで奨学金貸与を受けた場合、これだけのいわば借金を負うわけですよ。だから、研究者になるということは、一般社会人になるよりももっといわば負担が大きい、非常にリスクを伴うような選択をせざるを得ないということになっているわけですね。私は、そういう点で、だから大学院生にとっては、研究を志す人たちにとっては、たとえ今の状況が不十分でも、この返還免除制度というのはやはり大変意味のあるというか、研究と生活を支える役割をしているというふうに思うんですね。
 そこで今回、法案十六条は、この機構になって、大学院の学生について、「在学中に特に優れた業績を挙げたと認められる者」にその全部または一部の返還を免除するというふうに変わるわけでしょう。職の指定じゃなくて、今度は成績の優秀な者に限ったということなんですね。
 これは、すぐれた業績とはどういう業績を指すんですか。その業績を上げた者とはどういう者を指すんでしょうか。これは副大臣がお答えください。これは参議院でも大変議論になったところでございますので、ぜひ河村副大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
河村副大臣 新しい返還免除制度では、我が国であらゆる分野で活躍し、またその発展に貢献する中核的人材育成を図るということを目的にいたしておりまして、大学院で専攻する学問分野での顕著な成果、あるいは世界レベルでの発見、発明、それはもとよりでありますが、その該当する学問の分野において関係する文化芸術、スポーツ等におきましても目覚ましい活躍等を見せた、そういう者を、すぐれた業績を上げた大学院生、こう言っておりまして、その方々に卒業時に返還を免除する、こういう制度で、すぐれた業績というのは、まさにそういう形で見ておるわけでございますが、やはり、大学院での研究教育活動、あるいは学外における活動、多面的に評価しなきゃならぬと思っております。
 その中には、やはり修士論文や博士論文とか、あるいは授業科目の成績あるいは特定の課題についての研究成果、また、学会における活動、それから芸術文化等々考えられるのでありますが、国内外のコンクール等、あるいは展覧会等も含むかもわかりません。そういうものを含めながら、複数の項目によって、総合的な評価によって免除者を決定する、こういうことであります。
古屋委員長 石井郁子委員の先ほどの御質問、委員の確保の方につきましてでございますが、きょうは傍聴者もお見えになっておりますので、御説明申し上げます。
 両筆頭に委員の確保を要請いたしましたが、現在、八つの常任委員会が同時並行で審議が進められております。そういった関係上、どうしても委員の出席ができない場合もございます。できるだけ委員の確保には両筆頭に要請をしておりますので、どうか御理解をいただきたいと思います。
 それでは、質疑を続けてください。
石井(郁)委員 今の河村副大臣のお話の中で、私、気になった言葉があるんですね。
 世界的レベルの発明とか発見、コンクールの入賞者とか、こういうところが出てきているわけですけれども、大学院二年、三年の在学中に、世界的レベルの発明、発見というのは、どうなんでしょうか。たくさん出てほしいけれども、そういうことを現実にどのぐらいの数が期待できるのか。それは本当にまれなことじゃないのかというふうに思うんですね。そのことが一点。
 それと、もう一つは、大学院生時代にそこまでのことを果たして言っていいのかということなんです。
 これは、この間ノーベル賞受賞をめぐるいろいろなお話がございました。受賞者の方からのいろいろなお話があったでしょう。そういう中で、共通して、二十代の、あるいは二十代から三十代の若い時代の研究にその萌芽があるということがありまして、これは私も、だからあえてきょう御紹介させていただくのは、ノーベル化学賞受賞の野依先生なんですが、これは昨年の三月のノーベル賞の講演会ですね。ノーベル賞フォーラム講演会の中で言われている言葉が、私は本当にずしんと来ているわけです。
 それは、不斉カルベン反応の発見、一九六六年からもう三十六年たちました。三十六年前には、私どもは身が震えるほど興奮いたしましたけれども、だれもその学術的、技術的な将来を予測することはできませんでした。どんな学界の権威であっても、どんな経験を持った産業界の方でも、そしてこれを発見した私ども自身も、今日に至ることはまさに夢のまた夢でありましたと。
 こういうことだと思うんですよ、大体二十代の研究というのは。では、そのときに、こういう人は奨学金はもう免除枠外になるわけですね。ということになりますよ。ですから、河村副大臣、気楽に世界的レベルなんて私は本当に言ってほしくない。また、こういうことを言うというのは、結局は、そういう基準を満たした者はいないじゃないかということで、免除制度そのものを空洞化させる、形骸化させることになりませんか、数が少ないんだから。そういう人、そんな、本当にそれの基準に合うような人って少ないじゃないですか。そうしたら、本当に限られたものになっていくという問題があります。
 今もう一つ、河村副大臣からは総合的な判断という言葉も出ましたけれども、すぐれた業績ということについて、もう少し明確にしていただきたい。それから、その選定基準、手続などをやはりもっと明示的に出していただきたい。でなければ、この審議はちょっと難しいですよ。
河村副大臣 私も舌足らずであったかと思いますが、世界的なレベル等々はもとよりということでありまして、そういうものがあれば、それはもう当然のことなんだけれども、やはり目覚ましい活躍というものを考えておるわけでありまして、世界レベルに達しなきゃならないんだということでは決してございませんで、これによってこの免除制度というものが後退をするということのためにそれを申し上げたわけではありません。
 しかし、やはり、それが励みになって、そういうものを目指して大いに頑張っているという評価が得られた方にいたしたいということで、これまでの、どういう職についたらという縛り方ではなくて、意欲といいますか、学ぶ意欲、そしてその成果、そういうもので見ていこうというふうに考え方を変えたわけでございまして、今の石井委員の御指摘、杞憂であるように我々としても配慮しなきゃならぬ、このように思います。
石井(郁)委員 私も、学生、院生時代、ずっと奨学金の恩恵にあずかった者として、本当にどんなにそのことが研究生活を続ける上で必要だったかという思いも含めて、きょうは質問しているわけです。
 それではお聞きいたしますけれども、その予算総額なんですね。二〇〇一年度で、修士、博士合わせて二千四百三十八人、約五十一億円分が返還免除になっているということでよろしいですか。そして、その水準、この人数というのは維持されるでしょうか。
河村副大臣 委員御指摘のとおり、平成十三年度の免除実績は、人数で二千四百三十八人、金額で五十一億円、こうなっておるわけでございまして、その数字は間違いございませんし、これから新しい制度設計の中で具体的な形はどういうふうな形でとっていくかということでありまして、意欲と能力のある者に広く奨学金を貸与するという中で、特にすぐれた学生に対する大学院進学へのインセンティブ、そのためにも、この制度の中で、今の水準をどの程度、どういうふうに維持しながら進めていくかということをさらに検討したい、こう思っております。
 財政当局から言わせますと、特に、この制度というのは、職についた者という形で切ったものでありますから、これからは、そういう考え方でいけばどのあたりが一つの水準なのかということについてはしっかり考えてもらいたいという要請が来ておるわけでございます。どうしても、財政がこういうときでありますから、できるだけ多くの皆さんに、こういう形にいたしますと、それはもう返ってこないものでありますから、そこのところはという指摘もありますけれども、私どもとしては、せっかくこういう形で免除制度をやってまいりましたから、その水準というものを維持する方向で努力をいたしたい、こう考えておるところであります。
石井(郁)委員 今率直にお話しいただいて、やはり相当財政当局からの圧力がかかっているんだなということですけれども、やはりそこが心配なんですよ。だから、やはり免除制度、免除枠の縮小というところにこれは道を開いていくんじゃありませんか。
 今の御答弁だと、本当に文科省、ここできっちり、少なくとも今の水準は維持するという答弁はございませんでした。わずか五十一億円ですよ。こういう額がなぜ削られなければならないのかということなんですよ。
 私が申しましたように、やはり研究に夢を抱く若い院生、若手研究者にとっては、これは本当に、免除制度があることでずっと将来をやっていけるわけですから、ここは絶対に後退させてはならないというふうに私は思います。
 この点では、まだ質疑の中ですぐれた業績というのが何かもあいまいです。選考基準もあいまいだ、そしてこの予算額さえ確保できない、これでは奨学金制度の充実にならないじゃないですか。全然充実にならないですよ。私は、改めてこの内容をしっかり御答弁いただくように、次の委員会までに求めておきたいというふうに思います。
 次に、機関保証制度でございますけれども、これは昨年十二月、新たな学生支援機関の設立構想に関する検討会議が、奨学金制度に新しい保証システムの導入を提唱する、これまでの連帯保証人にかわって、一定の保証料を保証機関に支払うことにより返還の保証を受けることができるようにするというものだと思うんですが、この機関保証制度というのはどのような機関で実施されるんでしょうか。
 それから、保証料、きょうの冒頭、月額千七百円ということが一応の試算というふうに出されましたが、それは、加入者とそれから弁済率とで決まるということですから、変動するということですよね。それは、別の言い方をすれば収支バランスで決まっていくとも言われているわけですけれども、では、この保証料というのはいろいろ変わり得るということでしょうか。
 この二点、お願いします。
遠藤政府参考人 最初に、保証機関でございますけれども、奨学金事業が教育施策の一環として行われることにかんがみまして、日本学生支援機構が行う奨学金事業と十分連携していくことができる公益法人を実施主体とする必要がある、こう考えておるわけでございます。例えば、日本学生支援機構設立に際し同機構に継承されない業務を実施するために存続することとなる関係公益法人におきまして、日本学生支援機構との間で人事交流を行うなど、奨学金事業に関するノウハウを活用することを前提にして保証業務を実施させるということも視野に入れながら、具体的な点については現在検討をしているというところでございます。
 それから、保証料の問題でございますけれども、先ほど私はシミュレーションという形で説明をさせていただきました。保証料の水準につきましては、制度への加入者の割合とか代位弁済率、あるいはどこが実施主体になるかによって利益をどのぐらい積むかということもあろうかと思います。そういう意味で、いろいろな要素を幾つも仮置きをして、仮置きをしたらこうだ、こういうシミュレーションを申し上げたところでございます。
 仮に、そういう意味で利益を積まないという公益法人等で行って、これも選択でございますから、どのぐらいの加入率になるかはまだこれからやってみなきゃわからないところもあるわけでございますけれども、仮に約半々ということで加入したとしますと、返還完了までの保証期間における毎年の債務額について、年率約〇・五%から六%ぐらいの保証料になるのではないか、こういったシミュレーションができるということでございます。
石井(郁)委員 結局、奨学金は貸与して返還してもらうということで回転していくわけですけれども、奨学金はやはり一般の貸し付けと違いますから、そこでいろいろな猶予が必要だったり、期限、滞納等々についてどういう配慮をするのかとかいうことが出てくると思うんです。
 問題は、保証機関、今公益法人と言われましたけれども、この保証機関は本当にどういう考え方で回収に臨むのかというところがもう一つ明確じゃないんですね。だから、どのくらいの期間、例えば幾ら滞納すると保証機関が乗り出すのかとか、もう少しはっきりそこをお知らせください。あるいは返済不能というような場合はどう判断されるのか。これは、やはり奨学金という性格上そういうことがあるわけですから、ちょっと時間、簡単でいいですけれども、その辺がちゃんと御答弁できるかどうかということだけ確認させてください。
遠藤政府参考人 保証機関が返還請求業務を行うことになります場合でございますが、学生が大学等を卒業した後に一定期間以上延滞した場合に限られるわけでございますが、その場合におきまして、保証機関は返還請求業務を適切に行い、返還金の確保を図るということになろうかと思います。
 それともう一方、奨学金事業は教育の機会均等などを実施するための教育施策の一環として行っているものでございますから、保証機関における返還請求業務の実施に当たりましても、病気等で返還が困難となった場合の猶予あるいは死亡等による返還免除制度を設けるということになるわけでございます。
石井(郁)委員 時間の関係で、私はもっともっと突っ込みたいんですけれども、しかし、まだ不明確なんですよね、いろいろと。本当にどんなふうにこれが回収されていくのかという問題が、まだ考え方の基準も示されていません。
 ここで私どもの心配しているのは、今まで育英会が行ってきた回収事業と基本的に変わらないという答弁もありますけれども、奨学金は金貸し業とかサラ金みたいにはならない、そういう心配はないんだということを言われる人がありますけれども、もしそうだったら、本当に今後民間ローンのような取り立てにならないんだということを言えるんだったら、その担保は何なのか、そこをぜひ明確にしてください。
遠藤政府参考人 担保というのがどういうものを指すのかちょっとあれでございますが、先ほど私が申し上げましたように、返還請求業務をするに当たりましても、やはり教育施策の一環ということで、病気等で返還が困難となった場合の返還猶予や死亡等による返還免除制度、これはきちんと引き続きやっていく。これはいわば民間機関の回収じゃないということでございますので、そういうことはきちんとやっていきたい、こう思っております。
石井(郁)委員 では、ここで大臣にぜひ伺いたいと思いますが、今回保証料という考え方を入れたわけでしょう。先ほどからそれは自己責任とか自立とかいう言葉でも言われたりするんですが、保証料というのは明らかに学生に一定の負担をさせることですよね。そして、私たちは、やはり奨学金というこの制度は国の責任で行うことだという、そこが崩されていくんじゃないかと。また考え方として、こういう保証料などという考え方を入れること自身が、やはり奨学金の考え方を逸脱しているものではありませんか。そういう意味で、私は今回の考え方というのは本当に納得できるものではないというふうに思うんですね。
 しかも、今お話しのように、法律には明文化されない、どうなるかこれからまだわからないことがいっぱいあるという中で、これは本当に、学生にとって、あるいは国民にとって、親にとって、将来どんなふうになっていくのかということがあいまいなままで、審議することはできないと思うんですね。もっとしっかりしたデータもお出しいただかなくてはなりません。
 時間が来ましたので、最後に、今尋ねましたけれども、保証料を取る、こういう考え方が本当に奨学金制度の考え方としていいのか、その延長として考えられることができるのかということを、一点、お答えください。
遠山国務大臣 機関保証を新たに導入しようといたしますのは、今は人的な保証が必要でございますけれども、そういう人的保証というのは本人以外の人に保証してもらうということでございまして、なかなか頼みにくいということもある。その人的保証にかえて機関保証制度を活用することができる。活用するか否かは本人が任意に選べるわけでございます。
 今までのように人的保証でいきたい人は、それはそれでよろしいと。しかし、そういう人的な保証ということで、近親者とか親戚とかさまざまな人に迷惑をかけないで自分の責任でやっていこうという人は、この機関保証制度を利用してくださいということでございまして、これは適当な連帯保証人などを確保することが困難な人にも、この奨学金を利用していただく、そういうチャンスを開くわけでございまして、まさにそれしかやってはいけない、保証料を払わなくてはいけないという制度にするわけではございません。そこのところを十分に御理解いただきたいと思います。
石井(郁)委員 終わります。
古屋委員長 中西績介君。
中西委員 私は、時間が三十分という制限された中ですから、海洋研究開発機構についてもお聞きしたいんだけれども、できません。きょうは、支援機構のみについてお聞きをしようと思っています。
 まず奨学金制度でありますけれども、私は、育英会を廃止する理由が極めて不明だと思っています。なぜ支援機構に、このことがどうしても納得できません。というのは、六十年間、この現行奨学金制度で、不十分でありましたけれども、教育の機会均等を支えてきたという日本育英会、これを廃止して、採算、効率性重視の独立行政法人へと向かうわけであります。
 現行の日本育英会を廃止する理由、これは、もともと出てきたときには、二〇〇一年、石原行革担当相が二点挙げていますね、民業圧迫と滞納過多。しかし、民業圧迫と言うけれども、銀行、公庫の対象外の未成年者に貸与するわけでありますし、あるいは、滞納過多と言うけれども、先般大臣が答弁しておりましたように、先ほどもございましたが、六十年間三百五十六億、回収率九八%。したがって、石原行革担当相が言ったことは全部否定されてきているんです。
 もう一つ言わせてもらうならば、返還の滞った場合の回収の仕方だとか、育英会と変わらない免除、猶予もすると言っておるし、保証料は、先ほどシミュレーションで決まったかのごとく言っておりますけれども、こういうような状況の中で、そもそも育英奨学事業に担保は不要なんですよ。こういう点を考えると、廃止する理由というのはなくなるんじゃないか。
 これに対する反論があるんだったらおっしゃってください。
遠山国務大臣 今回の特殊法人改革、これは、重要な国家機能を有効に遂行するにふさわしい、簡素で効率的で透明な政府を実現するという行政の構造改革の一環でございまして、改革に当たっては、廃止、民営化を含めた見直しを行うこととされているところでございます。
 日本育英会につきましては、長い実績を持って、大変重要な役割を果たしてまいっているわけでございますが、奨学金の充実を図るという政府方針を前提とする一方で、より効率的、合理的なスキームへの見直しを行う、そして、これを廃止した上で、国の学生支援業務と統合をして、新たに学生支援業務を総合的に実施する独立行政法人を設置するということが、平成十三年十二月の特殊法人等整理合理化計画において閣議決定されたところでございます。
 私は、今回の新たな機構の設置によりまして、現行の奨学金制度の大枠はしっかりと維持をしながら、学生支援関係の窓口が一元化されて、総合ネットワークが構築されるわけでございまして、これによって、学生、これは日本人のみならず外国の留学生も入るわけでございますが、学生にとってわかりやすく、しかも質的に充実をした支援が行われるということ、さらには、独立行政法人として弾力的、効率的で透明性の高い運営を行うことができるというふうに考えているところでございまして、今回の機構を新たに設置することによりまして、国民の期待あるいは社会のニーズに一層こたえられる法人となるように努めていきたいというふうに考えております。
中西委員 今の答弁を聞いていますと、反論にはなっていないですね。行政構造改革をするから、あるいは見直しをするからとか総合的だとか言っていますけれども、本当にあなたがおっしゃるようなことがあるなら、私たちが少しでも今のそれを変えさえすれば、何も問題はないと私は思います。そして、弾力的だとかなんとかいう、言葉でこれをごまかしちゃいけません。近ごろの答弁は非常にそれが多過ぎる。
 ですから、本当に奨学金制度そのものをやはり、先ほどからもう皆さんがずっと述べられましたから、私、ここでは時間がありませんから述べませんけれども、指摘をしてきたところですよ。例えば保証料の問題にいたしましても、あるいは数の問題にしても、たくさん問題があるじゃないですか。
 そこでもう一つ、今度は奨学金制度の理念が、先ほどから聞いておりましても、どうもぴしっと整理されていないのではないかという気がします。
 御存じのように、国際人権規約A規約について、一九七八年、十三条二の(b)及び(c)、これを留保して以来、一九九八年八月、第二回の報告、二〇〇一年八月、質問に対する政府回答、特に、この中にも述べられておりますけれども、留保の理由の中に、後期中等教育、高等教育にかかわる機会均等については、経済的な理由により修学困難な者に対する奨学金制度、授業料免除措置などを通じて推進している、したがって、規約の規定の適用に当たり、「特に、無償教育の漸進的な導入により」に拘束されない権利を留保するとまで言っていますね。特に、ここに挙げました修学困難な者に対する奨学金制度とか授業料免除措置、こういうことを推進しておるから、国際的なこういういろいろな指摘に対してこれを留保しておるわけですね。
 そして、二〇〇一年の九月におきましても、今度は留保を撤回することを要求するという問題まで出てきておりますし、最終的に、委員会としては懸念を表明するという状況まで出てきておるわけですね。
 そして、二年の十一月二十九日、最終見解に対する締約国の意見として、締約国の具体的な判断にゆだねられるべきであるということで、国際的にも大変問題になっています。
 途中省きましたから、わかりにくいかと思いますけれども、大体御存じだと思います。
 そこで、一九七八年以降の回答書に見られるように、給付廃止、有利子導入、このとき、ずっと私はかかわってきたんですけれども、物すごく問題になったんですね。教育の機会均等を保障する理念に財政的理由をして逆行しておるのではないかと私は思うんです。加えまして、諸外国に比較いたしまして、GDPに占める教育費の低さは目に余るものがあります。
 留保の理由に教育の機会均等を図るため奨学金支給事業を掲げるのであれば、負担の公平のみを求めるのでなくて、大臣が負担の公平を言うわけですから、これを求めるのみでなくて、さらに奨学金制度の、額の拡大、さっきも出ていましたね、あるいは給付、無利子制度、こういうものを含む充実をどう図るかということが今文科省に課せられた一番大きな問題ではないか。
 外国からの指摘もあり、それに対して慌てて答えて、その権限を留保するという理由の中に挙げておるものすらも、先ほども申し上げたように、給付から無利子になり有利子になる、こういう経過というのはあるわけですね。
 こういうところをちっとも反省もしていないし、矛盾と考えておられないなら、大体、奨学金制度をどのように位置づけられておるのか。この点についてお答えください。
遠山国務大臣 今、国際人権規約についてお触れになりましたけれども、この中で、高等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育を導入せよということでございますけれども、日本は憲法上、教育の無償が国の責務としてかかっておりますのは、これは義務教育についてでございます。
 それで、必要なことは、これを単純に批准するというようなことは、それはなかなか今日の日本の状況では難しいわけでございますけれども、同時に、我が方としましては、高等教育について、教育の機会均等ということで、奨学金の制度を十分にこれからも充実をし、やっていこう、そういう姿勢を述べて留保しているわけでございます。そういう中で、奨学金事業というのは大変大事だということで、国の大きな政策の中でもしっかりと対応してまいっているところでございます。厳しい財政状況の中で、奨学金の予算につきましては、逐次、増を図ってきておりますし、制度的にもさまざまな手当てをしているわけでございます。
 そういう中にありまして、教育費の全体の投入の額というのは確かに十分でない面もございます。私どもとしては、そうした政府全体の抱えている多様な問題の中で、教育への財政的な投入というものの重要性を常に主張をし、そして、それなりの成果を毎年の予算の中で示してまいっているところでございます。奨学金事業につきましても、そうした私どもの努力は今後ともしっかりと続けていく、そのような考えでございます。
中西委員 小泉総理は、米百俵問題を出しましたね。今の内閣というのは、少なくともそのような基本姿勢で臨むということが所信表明として出されておるじゃないですか。このことをお忘れじゃないと思いますよ。
 しかも、今までの経過の中で、私が指摘をしましたように、あれほど私たちが反対をしたにもかかわらず、無償が無利子になり、無利子が有利子になり、一時は有利子の方がさらに拡大をされて凌駕するという形になってしまった。ようやく今度は無利子との関係がタイになったという状況でしょう。そうすると、留保する理由の中にわざわざ挙げておるのに、それが充実されていないということにお気づきじゃないですかと僕は言っているんです。そうしたら、財政事情だ、こう言うでしょう。さっき申し上げたように、GDP比、比較をしますと、日本は教育費は半分じゃないですか。
 こういうこと等を考えると、教育というものに対する基本姿勢が本当にあるかどうかという問題じゃないかと思いますよ。そのことを私は言っているんです。
 ですから、先ほどから言うように、奨学金制度に対する基本的な理念というものを持った上で論議をしないと、なかなか皆さんとの関係はかみ合わないわけですよ。さっきから言われたような数の問題にいたしましても、あるいは額の問題にしても、あるいは返還問題等についても、いろいろ多くの問題が出されましたね。そういうことを私は指しておるんです。この点がわからなければ、これを語る資格がないと私は言うんですよ。もう一度お答えください。
遠山国務大臣 先ほど来お答えしているとおりでございます。奨学金の重要性については言うまでもない、そして私としては、この厳しい財政状況の中で最大限努力をしてまいっている、その姿勢を今後とも貫くということでございます。
中西委員 御本人が努力をしたから、それで私たちは押しつけられたんじゃかなわぬですね。御本人が努力をしたから、してきています、だから我慢をしろというのは、それじゃ私たちは納得するわけがありません。では、あなたたちがGDP比を押し上げるためにどのように努力をしたか。これはまた別の機会にやりますけれども、こういう基本的な問題が欠けておるから、こういうものをやすやすとのんでいくという形になるんですよ。
 もう時間がありませんから次に移りますけれども、それだけ指摘をしておきます。
 努力のないまま繰り上げ返還報奨金制度を廃止したり、猶予、免除と奨学金特有の制度があるのに、制度導入で銀行ローン化すべきでないと思いますけれども、効率化だとかいろいろなことを言うと必ずそっちの方に、なぜかというと、石原大臣が言いましたように、民業を圧迫しているということを指しているわけです。この点はどうなんですか。
遠藤政府参考人 奨学金制度でございますけれども、教育の機会均等の確保と人材育成を図るための教育施策として、経済的理由により修学が困難な学生を対象に経済支援をすることを目的にしております。
 制度面でいいますと、経済に困っている学生を対象に毎月貸与する、あるいは学力基準、会計基準により選考し、進級の際には教育的観点から学力等の適格認定を行う、無利子あるいは低利な有利子の制度である、返還期間が二十年以内と長期であり、かつ経済的理由による猶予制度や死亡等による免除制度を設けているといったことなど、営利を目的とする銀行の教育ローンとは趣旨及び制度が異なるものでございます。
 この奨学金事業につきましては、その趣旨を踏まえまして、意欲と能力のある学生を支援するため、引き続き充実に努めてまいりたい、こう考えております。
中西委員 では、そういう民業を圧迫しておるということで銀行ローン化はしないということを今言われたということで確認してよろしいですね。
 次に、評価委員会は何を基準にして評価するのか。単年度会計で回収率を向上するため数値目標を設定すれば、返せる人にしか貸さない制度になる可能性があると私は思いますけれども、この点、どうなんですか。
遠藤政府参考人 日本学生支援機構の業務の評価でございますが、文部科学省に置かれる独立行政法人評価委員会に、機構を担当する部会を設置して行うということになります。
 評価委員会における評価でございますが、各事業年度や中期目標期間における中期計画や中期目標の達成状況等を調査分析しまして、その結果を考慮して、業務の実績全体について総合的な評定を行うということになるわけでございます。具体的な評価基準につきましては、返還率などの定量的な目標のみならず、例えば申請手続の簡素化の状況など、奨学金事業の趣旨に即した定性的な目標設定のあり方も検討していくことが必要である、こう考えております。
 なお、返還率などの定量的な目標を定めた場合におきましても、奨学金事業は、人材育成及び教育の機会均等のために、経済的に修学困難な、実際に奨学金を必要とする者に対して学資を貸与するという事業の趣旨に変わりはないわけでございまして、引き続き適切に事業の実施に努めてまいりたい、こう考えております。
中西委員 内容的にはまだちょっと指摘をしなきゃなりませんけれども、この次の質問とのかかわりがありますから、これだけで終わっておきます。
 次に、高校奨学金の都道府県移管に際して、十年から十五年で二千億、目的交付金などと言っているようでありますけれども、十分な財源措置による予算配分、補助事業の一本化、各県格差問題を解消させていかなくてはならぬと私は思います。
 なお、選考基準については経済的な基準を重視すべきであると思いますけれども、この点はいかがですか。
河村副大臣 高校奨学金を都道府県に移管するに当たりましては、教育の機会均等の基本理念と、それから高校奨学金のセーフティーネットといいますか、そういう役割がある、そういうことを考えながら、都道府県において、現在の日本育英会における貸与水準はきちっと維持していただく、支障なく奨学金事業が実施できるようにということで、文部科学省としては必要な財政支援をきちっとやってまいりたいと考えておるところでございます。
 都道府県に対しては、一定の期間にわたって奨学金事業の実施に必要な資金交付をいたしておりまして、その規模としては、日本育英会における貸与水準を維持するに必要な額として二千億程度ということでございまして、高校についてはこれまで、要望された方についてはその全員にという体制が整っております。これを維持していかなきゃならぬと思っておりますし、高校に進むところについては、委員御指摘のように財政的な面というのは非常に大きな視点だと私は思いますし、そういう考え方でいくべきであろう、私もそう思っております。
中西委員 特に最後に言われたところあたりは、十分勘案をされてこれからも指導するべきであろうと思っています。
 それから、もう時間がなくなってきたんですが、機関保証制度について、大臣は、学生の負担状況を考え、奨学事業にふさわしい安定的な制度とすべく検討しておる、連帯保証人がない学生でも借りることができるなどとさっき答弁をしておりましたように、いろいろ言われておりますけれども、保証料については、先ほどシミュレーションをしたらしいんですけれども、先ほど私が指摘をいたしましたように、奨学金というものに担保をとるというこのやり方、これだけはやはり弱者救済に対するあり方として必要でないと私は考えますが、この点はどうなんですか。
遠藤政府参考人 現在、日本育英会におきましては、奨学金の貸与を行う際に、返還の確実性を高める、こういう観点で連帯保証人等の人的保証を求めているわけでございます。また、これとともに、返還に際しましては、病気や被災等により返還が困難になった場合には返還の猶予や免除も行っている、こういう制度になっております。
 また、今回、学生の利便性の向上を図るという観点から、機構におきまして、保証機関に一定の保証料を払うことによりまして、みずからの意思と責任におきまして奨学金の貸与を受けることが可能となる機関保証制度の導入を予定しているわけでございます。
 奨学金事業は国の責務である教育の機会均等を確保する観点から実施しておりまして、経済的困窮度の高い人ほど優先的に貸与することが求められる一方で、返還金を新たな貸与原資の一部として活用しまして、限られた財源の中で希望する学生に幅広く貸与するということが必要だということでございますので、やはりきちんと返還をしていただくことが大事でございますので、連帯保証人や保証人の確保、または保証機関への加入などを求めていくということは必要なことではないか、こう考えておる次第でございます。
中西委員 特に今言われました後半の部分を重視をしていかなくちゃならぬと思いますが、これはこれくらいで終わります。
 そこで、もう一点。機構法案附則十条、日本育英会の場合には一切の権利義務は機構に継承するということになっていますが、留学生公益法人の場合は、附則十三条によりますと、これを読んでみても、労働債権なりが確保されたという解釈が困難であります。文科省関係特殊法人と公益法人は労働条件がほとんど同じようなレベルで今まで推移してきた経緯があるわけですね。この点、差別がないようにするかどうか、お答えください。
河村副大臣 御指摘の点でございます雇用関係については、基本的に関係の公益法人と職員間の問題にはなるわけでございますけれども、国としても、従来、関係の公益法人を通じて留学生支援施策等をやってまいりました経緯もございます。これを踏まえながら、雇用の確保とそして職員の処遇、これは適切な処置をとられるように、今御指摘になったような差別とかそういうことのないように最善の努力をしていかなきゃならぬ、こう考えておるところでございます。
中西委員 現行公益法人の職員が独立行政法人と継承公益法人に雇用されるような内容になっておりますけれども、不安あるいは疑心暗鬼、こういうことのないように、格差が生じないようにしなきゃならぬと思うんです。
 例えば、私は、今までいろいろな特殊法人、統合だとか廃止だとかいうことをやってきたんですけれども、そのときに交流をしながら円満に、というのは、来年四月一日からこれは発足するわけですから、期間がありません、そういう中で強行していくわけですから、大変な重圧になっていくと思いますね。ですから、それを和らげるためには、交流なりなんなりを繰り返す中で、何年間かでそれを定着させていくという方法だってあるわけですね。こうした点をお考えになっておるかどうか。
遠藤政府参考人 この日本学生支援機構と同時に、いわゆるその他の業務を行います法人が一つできるわけでございまして、それにつきましては、当然、職員間の交流ということをやる中でそれぞれの業務が円滑に行われるということになろうか、こう思っております。
中西委員 それでは、残る時間を、文科省の参議院における答弁、あるいは私が聞いた説明について再確認をしておきたいと思うんです。
 この法案附則十三条で継承公益法人に移管される業務と基準について、文科省の答弁、説明の中に収入の上がる事業として幾つか挙げられているけれども、機関保証制度、この点については私はちょっと疑問があるんですが、この制度で別機関設立ということが見込まれておるようでありますけれども、こういうことも入るのですか。
遠藤政府参考人 機関保証の具体的実施主体については検討中ではございますが、その際、日本学生支援機構が行う奨学金事業と十分連携していくことができる公益法人を実施主体とするのがやはりいいのではないか、こう考えておるわけでございます。
 その場合、例えば、日本学生支援機構設立に際しまして、同機構に継承されない業務を実施するために存続することとなる関係公益法人におきまして、先ほど申しましたように、人事交流を行うなど、奨学金事業に関するノウハウを活用することを前提にして保証業務を実施していただくということも視野に入れながら検討しているということでございます。
中西委員 時間が終了しましたので、ちょっと残りだけ、宿題を与えておきますので、よろしいでしょうか。
 一つは、留学生関係の公益法人二百二十三人中、独法百五十人、継承公益法人四十から五十、その他大学等に残りを配置すると聞いておるけれども、これがどうなのかということ。
 継承公益法人は保証金がなくなるようになっておるから、補助金で運営が可能であったものが集合するので、側面支援をし、自立できるようにシミュレーションし、資産を配分すると説明を聞いておるけれども、将来不安のないよう、無責任なことにならないような措置をすべきと思う。この点について検討しておくべきだと思いますが、よろしいですね。
古屋委員長 答弁は、次回の質疑の際に求めるようにいたします。
 次回は、来る六月四日水曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時十一分散会


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