衆議院

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第16号 平成15年6月4日(水曜日)

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平成十五年六月四日(水曜日)
    午後一時一分開議
 出席委員
   委員長 古屋 圭司君
   理事 奥山 茂彦君 理事 鈴木 恒夫君
   理事 馳   浩君 理事 森田 健作君
   理事 鎌田さゆり君 理事 山元  勉君
   理事 斉藤 鉄夫君 理事 佐藤 公治君
      青山  丘君    伊藤信太郎君
      小渕 優子君    大野 松茂君
      岡下 信子君    岸田 文雄君
      近藤 基彦君    佐藤 静雄君
      谷田 武彦君    谷本 龍哉君
      森岡 正宏君    柳澤 伯夫君
      井上 和雄君    大石 尚子君
      鳩山由紀夫君    肥田美代子君
      平野 博文君    藤村  修君
      牧野 聖修君    松原  仁君
      山口  壯君    池坊 保子君
      黄川田 徹君    石井 郁子君
      児玉 健次君    中西 績介君
      山内 惠子君    松浪健四郎君
    …………………………………
   文部科学大臣       遠山 敦子君
   文部科学副大臣      河村 建夫君
   文部科学副大臣      渡海紀三朗君
   文部科学大臣政務官    池坊 保子君
   文部科学大臣政務官    大野 松茂君
   政府参考人
   (内閣官房内閣参事官)  加藤由起夫君
   政府参考人
   (内閣府政策統括官)   大熊 健司君
   政府参考人
   (文部科学省高等教育局長
   )            遠藤純一郎君
   政府参考人
   (文部科学省研究開発局長
   )            白川 哲久君
   政府参考人
   (気象庁次長)      増井 健人君
   文部科学委員会専門員   柴田 寛治君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月四日
 辞任         補欠選任
  松野 博一君     谷本 龍哉君
  大石 尚子君     井上 和雄君
同日
 辞任         補欠選任
  谷本 龍哉君     松野 博一君
  井上 和雄君     大石 尚子君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 独立行政法人日本学生支援機構法案(内閣提出第九三号)(参議院送付)
 独立行政法人海洋研究開発機構法案(内閣提出第九四号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――
古屋委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、参議院送付、独立行政法人日本学生支援機構法案及び独立行政法人海洋研究開発機構法案の両案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官加藤由起夫君、内閣府政策統括官大熊健司君、文部科学省高等教育局長遠藤純一郎君、研究開発局長白川哲久君及び気象庁次長増井健人君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
古屋委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤村修君。
藤村委員 民主党の藤村修でございます。
 私は、ただいま議題になっております二法のうち、特に集中的に独法日本学生支援機構法、さらにその中の、日本育英会が今回この独法の機構になるという、この点について幾つか御質問を申し上げたいと思います。
 まず、法律ができるわけで、そういう意味では、過去、日本育英会、大日本育英会、昭和十九年から考えますと、延々ともう五十年、半世紀以上に連なる、日本の国が管理監督する奨学事業というのが大変有効に働き、重要な役割を果たしてきたということは言うまでもございません。
 昭和五十九年でしたか、このときには日本育英会法の全面改正ということが起こりまして、ここからいわゆる有利子の奨学金、基本的に無利子の奨学金が続いたのですが、有利子の奨学金ができてきたということで、それが第二の大きな転換であったと思います。
 そして、今回、二十一世紀を迎え、新しい独法という一つの大きな流れの中で、日本育英会も、今までの特殊法人から、ある意味では政府から法人としては独立をし育英事業、奨学事業を行っていくという、第三の大きな転換、そして、これはやはり二十一世紀の非常に重要な役割を果たしてもらわねばならないという期待を持って転換をさせないといけないな、そのように考えております。
 そんな中で、ですから非常に基本の問題でございますが、目的がどうあるのかということでございます。私は、きょうはとにかく日本育英会の奨学事業に絞ってお尋ねをしてまいります。
 目的、いろいろあるわけですが、その他のことを少し省略して、この日本育英会の部分については、例えば、先ほど言いました、昭和十九年、大日本育英会法によれば、これは難しい言い方ですが、「大日本育英会ハ優秀ナル学徒ニシテ経済的理由ニ因リ修学困難ナルモノニ対シ学資ノ貸与其ノ他之ガ育英上必要ナル業務ヲ行ヒ」、この先なんですね、「以テ国家有用ノ人材ヲ育成スルコトヲ目的トス。」こういう書き方であります。非常にシンプルであったと思います。
 五十九年八月に全面改正された日本育英会法によっても、前文をほとんど省略いたしますが、その最後の目的部分でいうと、「国家及び社会に有為な人材の育成に資するとともに、教育の機会均等に寄与することを目的とする。」こうございました。
 さて、今回、第三の転換、機構になるということでございますが、今回の法律では、機構の最初の目的規定は、これは独法のこれをつくるということで、むしろその中身の、特に育英部分がどうなるかというと、これは第三条だと思いますが、大変長い目的になっております。そして、こんな言葉が加わっているんですね、目的の一番最後の方の締めの部分ですが、「もって次代の社会を担う豊かな人間性を備えた創造的な人材の育成に資するとともに、国際相互理解の増進に寄与することを目的とする。」最後の、後半部分はどっちかというと国際の方ですから、育英事業本体でいえば、「次代の社会を担う豊かな人間性を備えた創造的な人材の育成に資する」、こううたっておるわけで、大変言葉はいいんですが、それならば、それに見合い育英事業が飛躍的に拡大するのかというところも問われます。
 まず、この目的が、今回私が言いましたのは、大日本育英会、そして五十九年の日本育英会法全面改正、そして今回の、機構に変わる、ここにおいて、この育英奨学事業の目的は、今読んだとおりなんですが、大きく飛躍したと言えるのか、いや、そんなには変わっていないんですよと言えるのか、どちらでございましょうか。お答え願いたいと思います。
河村副大臣 藤村委員、今、日本育英会の創立以来の歴史をたどりながらお話をいただきまして、今回の機構改革といいますか、日本学生支援機構ということによってこの育英会そのものが変わっていくのかというような御指摘も踏まえながらの御質問だと思います。
 大日本育英会ができた当初の基本理念といいますか基本的な考え方、その奨学の部分、いわゆる教育の機会均等といいますか、貧しい方々、たとえ財政的に苦しくても学問をきちっとできるような仕組みをつくっていかなきゃいかぬ、この奨学のあり方、そしてさらに、やはり人材育成といいますか育英の考え方、この基本理念は今回の学生支援機構においてもきちっと貫かれていかれるものであろう、こう思っておるわけでございます。
 それによって、飛躍的にと言われますと、私も、これは飛躍的に、大いにひとつこの際思い切って予算もふやしてという思いは十分あるわけでございますが、御存じのような財政状況でございます。しかし、この基本理念を大切にしながら、できるだけ多くの皆さんに奨学金が渡るようにという思いでこれからも取り組んでまいりたい、こう思っておるところでございます。
 また、理念の中で、「創造的な人材」といいますか、そのような言葉を使いながら、この理念が非常に広くとらえられておるわけでございます。今日の社会、非常に多様な価値観がございまして、そういうものを許容した新しい価値をつくっていく、創出していくというような観点、それから、みずから考え主体的に判断をしていく人材、そうした資質というものが求められておるわけでございますので、規定も、そういうことを含めながら、今回の日本学生支援機構の人材育成という考え方を少し広げた形で表現いたしておるものでございますが、その根底に流れている理念というもの、創立以来培われてきたもの、それはずっと生きている、このように考えております。
藤村委員 何より、もちろん今回の法の第三条にも書かれてはいます、「教育の機会均等に寄与する」と。それは、前の日本育英会の目的の、まさに「寄与することを目的とする。」と。多分、ここは基本的に変わっていないという今のお答えであろうと思いますし、育英事業、奨学事業としての基本が変わりない、そういうお答えであったと思います。
 そこで、私、育英事業に関しては過去何度も質問をしている中で、育英か奨学かという議論を相当させていただきました。その中で、確かに、まだ戦前の昭和十九年から始まり、そして戦後の昭和五十九年の大改正の範囲の中では、社会情勢からいっても、非常に経済的に困難で優秀な人に高等教育を受けてもらう、私は今大学の奨学金について中心に申し上げますが、そういう目的で、やはり育英、奨学という両立をしてやってこなければならない、それはずっと一貫しておっしゃっていたことなんです。
 ただ、時代の流れとともに、五十九年大改正のもとで、第二種、有利子の奨学金ができた。有利子は奨学金と言わずに教育ローンと言うべきだと私は思いますが、そういう新しい制度ができて、経済的な部分とか成績の部分なども相当緩和をして、割に広く貸せるようにした。ここから、特に第二種、有利子貸与の奨学金については、私は、奨学的部分あるいは奨学的意味というものにより重きを置いて発展させてきたのではないかと思いますが、この考え方はいかがでございましょうか。
河村副大臣 委員御指摘のとおり、有利子の制度ができまして、そういう意味では奨学という面が重視されてきたということは言えると思います。
 基本的には、無利子の第一種、これに基本を置きながら、さらに、できるだけ多くの皆さんに奨学金制度の恩恵にあずかってもらいたいということで、学生を支援するということから有利子奨学金の方も力を入れて今日まで来て、現状は委員が御指摘のとおりになっておるということでございます。
藤村委員 現状がなっておるということで、つまり奨学的部分に相当重きを置いてきたはずなんですね。国会の議論も、あるいはその他のいろいろな関係のところの議論もそうであったと思います。
 ところが、今回の法改正を見て法を見るときに、第十四条の学資の貸与という部分でありますが、そこに、第一種は「優れた学生等であって経済的理由により修学に困難があるもののうち、」「特に優れた者」、「著しく修学に困難」と。だから、第一種を育英という部分でさらにまた厳しく縛った。また、第二種はと第三項に書いてあります。第二種はそれ以外の者で云々、しかし、やはりもう一回書き直しておるわけですね、つまり「経済的理由により修学に困難がある」、そして「優れた者であって」と。
 これは何も変わっていないじゃないか。私は、第二種は奨学的部分を相当強めていく表現に当然なるんじゃないかなと思っていたら、この法からいうと、むしろ育英奨学という思想をより強固にし一種に当てはめ、二種には、それ以外だけれども育英奨学だ、そういう法の書き方です。私は、やはり考え方として、奨学事業にできるだけたくさんの人に、まさに教育の機会均等、高等教育の機会均等を与えるんだという、これは答弁で答えておいてもらわないと、この法に縛られると何か育英奨学がもっと強くなるんじゃないかというイメージがありますので、お答えを願いたいと思います。
河村副大臣 まだ経済的理由というのも残っておりますし、現実に、第二種におきましてももちろん、親の年間の所得でございますが、これも制限をつけざるを得ない現況にあるということで、こううたっておるわけでございます。しかし、現実に今五十万余が育英会で奨学金を受けておられる現状を見たときに、育英奨学が強化されたというよりも、その考え方がもっと広がってきたというふうに私は考えておるわけでございます。
 これは法律事項でございますから、これが完全になくなるというと、今、全部に適用しなきゃいけないということが現実に不可能であるということもあって、この規定を残さざるを得ない状況にあるわけでございます。しかし、流れとしては、私がいつも申し上げているように、できるだけ多くの皆さん、できるなら希望される方には全部という思いもこの中には実はあるわけでございますけれども、規定としてはこうなっているというふうに御理解をいただいて、さらに財政的な面を我々確保して、多くの皆さんに奨学金を受けていただく方向に持っていきたい、このように考えておるわけでございます。
藤村委員 河村副大臣はそういうお考えで、ただ、法律でこう書くと、何か、より育英奨学のまさに原点に回帰して、その部分を第一種で強め、第二種でそれを若干弱めたという、今までの範囲より何かちょっと縮みの思考ではないか、この法文の書き方から見るとそう思えるので、そうではない、より広げていくんだというお考えはお聞きしたと思います。
 そこで、私、育英奨学ということからちょっと外れるかもしれませんが、これは社会のあり方ということに近いんですが、高等教育を受ける、大体十八歳以降になろうと思います。この場合には、五年前にもこの委員会で当時の大臣と議論もいたしましたが、五年前もそうでしたし、それ以上前からも、大学まで大半がどうも親の負担で、まさに親のすねかじりで、そして大学へ行って、余りそのありがたさもわからず勉強もしないような風潮もいっときあったし、本当にそれでいいんだろうかという議論をいたしました。当時、町村文部大臣は、やはりある程度、十八歳以上になれば、例えば自分で働いてためて学校へ学費を払うとか、それから、奨学金を受けて親にほとんど経済負担を与えないでというやり方も必要だというお考えも示されました。
 ここで、私はもう一度現時点で、遠山大臣と河村副大臣に、これは社会の一つ、ライフワークの中で人はどの辺から自立すべきか、あるいは高等教育を受ける場合にはやはり今までのような丸々親抱えでいいのか、すねかじりでいいのかという考え方について、それぞれの御所見を伺いたいと存じます。
遠山国務大臣 高等教育機関に学ぶ学生たちはもとより、私は、日本の子供たちすべて、これからは、自立的な精神のもとにみずから学び、みずから考え、そして上級の学校に行きましたときには、みずからの責任において必要な学費、貸してもらえるものであれば借りて、それをしっかり返しながら自立していくという経済的な自立も含めて、そのような子供なり若者たちというものを育成していくというのは大変大事だと思っております。
 昭和十九年から始まった育英の制度の当初から、日本の奨学金制度は、奨学金を借りて返す、その循環の中においてまた次代の人たちが借りられるということで、自立を促してまいったと思います。これからは、先ほど委員がおっしゃいましたように、奨学という精神がこれまで以上に生きてくる、そういう時代に入ると思いますけれども、それであればこそなおかつ、自立ということを前提としたこの制度をしっかり継続し、あるいは発展させていくというのが大変大事だと思っておりまして、そういう国民により構成される我が国というものがあって初めて活力ある国になるというふうに私は考えます。
河村副大臣 今日、大学の進学率、短大も入れますと五〇%を超える時代でございまして、親の立場になって考えますと、まずは高校までは何としても親の力で、そして大学ということになると、経済状況もありましょうが、少しは自分もアルバイトをしながらでもやったらどうかという家庭も多かろうと思います。私は、アルバイトに余り精を出し過ぎて勉学がおろそかになっては困るなと半分は思いながらも、一般的にそういうふうな時代になってきております。また、今日、親の教育費に対する負担感といいますか、私は、これは塾とかなんとか入れて、そういうものも含めてのものだからと思いつつも、かなりそういう思いがあるようでございまして、少子化時代の一つの原因に、教育費がかかるというのが必ず出てくる。
 そういうことを考えまして、親の皆さんといろいろな話をしてみても、やはりこれからは奨学金が充実して、子供が自分で、自立してそれを借りて自分で返してくれるということは大賛成であるし、大いに進めてもらいたいという声が圧倒的に多いことを考えますと、これからは、大学においてはみずから借りて自分の責任において返すという方向へ持っていく。
 そして、藤村委員よく指摘されますように、やはり自分に、みずからに投資するという気持ち、そういうものも非常に大切な要素ではないか、こう考えておりますので、私は、ただ親のすねをかじっておけばいいというものではなくて、みずから育英資金を求めて、そして自分の力で返していくというやり方、そういうことによって育英奨学というものがまさに循環をしていくということが望ましい、こう考えております。
藤村委員 その方向性、同じように私も考えます。
 遠山大臣がおっしゃったように、奨学金の精神というのは、大事なのは、自分がそうして必要なときにお金を借りて勉強できた、これは、ある意味では社会に対する御恩というもの、ちょっと言い方は古いんですが、そういうもののありがたさを感じるという意味では非常に重要だと私は思うんです。かつ、それをきちっとまた返していくことで後輩たちにまさに社会の恩恵を継続させていく、この精神というのは非常に大事だと思うんですね。
 私は、給付がもちろんいいんですが、日本は当初からそうでなかったものですから、今いきなり全部給付にしろなんて言いません。やはり、奨学金の制度、仕組みというものの中でそういう部分があるということ、それから、河村副大臣がおっしゃったように、自分で自活してやっていく、それでその中に奨学金制度が貢献できればいいということだと思います。ですから、奨学金制度がやはり拡充しないとというか充実しないと、あるいはそれにこたえないといけないということが我々に問われているんだと思います。
 今、副大臣のお話で、親の負担とおっしゃったので、先週も山口委員から出ておりまして、山口委員いわく、一千万かかる、だから子供二人で二千万、三人目だと三千万でとてもというお話がございました。本当にそのとおりであります。
 特に後半の高等教育に金がかかることは、これは最近の調査で、いわゆる自宅外で子供を私学にやる場合、まさに入学の年にかかる費用が三百十二万円という数字が出ております。一人の子供に三百十二万円、入学の年にです。その翌年からおおむね二百万円かかるわけですね。これは大変な額、もう大学だけで一千万ですよね。ある意味では、それを四十代ぐらいになる親が、すねかじりであれば、全部何とか出していく。まさに親の家計というか一家の家計というのは火の車になるわけです。二人いたら、もし双子でいたら六百万かかるというのは、考えられないわけであります。
 家計が崩壊するような今の教育費に対して、考え方として、一つは、十八歳以上は自立、自活して、あるいは自分で奨学金を受けて、そのかわりそれを返していくという、まさに自分に投資する考え方、これをできるだけやはり浸透させねばいけないと思いますし、一方で、またそれにこたえられる奨学金制度をつくっていかねばならない、そのように思うわけでございます。
 それで、私、今度はもう少し奨学金の中身のことで、第一種と第二種というお話、先ほど来、歴史的なことも申し上げました。昭和五十九年から有利子、第二種ができた。それから、平成十一年からですか、同じ有利子貸与のきぼう21というプランで新たに拡充をされた。
 これはこれで評価をいたしますが、第一種は無利子で、さっきの規定からいうと、優秀で困難で、それも特に優秀で著しく困難という限定がこの法はあるんですけれども、これと、それから、第二種は少しそれを緩和して、できるだけ広くと言っているんですが、現時点で文科省はどういうふうに把握されるんですか。第一種、第二種あわせて考えるときに、奨学生、貸与を希望する学生については、数の面でまず大体足りているのか、それから、金額の面では多分足りているとはおっしゃらないと思いますが、金額の面と、その二つについてお答えを願いたいと思います。
河村副大臣 奨学金事業でございます。これの拡充をこれまで図ってきたところでございまして、特に、有利子を含めて考えた場合においては、高額所得世帯の子供を除いて、勉学意欲のある者、先ほどの法律の中に「特に優れた者」それから「優れた者」というのがありました。このすぐれた者の意義の中には、いわゆる成績だけじゃなくて、成績を見るというよりも、勉学意欲のある者だというふうな認識でございますので、広がったというふうに考えておるわけでございます。それで、いわゆる勉学意欲のある者については、貸与基準を満たす希望者はほぼ全員を採用している状況になっていると言っていいのではないか、こう思っております。
 大学生を持つ親の年収を見ても、いわゆる有利子の場合には、このたび一〇%上限を上げまして、千二百十二万から千三百四十万になっているわけでございます。それは、大体九割の学生をカバーしているということになっておるところでございます。
 あとは貸与月額の問題でございますが、学生生活費も確かに上がっておるわけでございまして、無利子奨学金については、今年度も二千円の増額を月額で行って、大学学部で、国立の自宅外で五万円、私立の自宅外が六万三千円となっておるわけでございます。また、有利子奨学金については、学生が希望によって三万円から十万円まで選べるようになっておるわけでございますが、有利子奨学金の平均貸与実績を見ますと、大体六万円が実績ということでございますから、無利子奨学金の貸与月額についても、ほぼ学生の希望に対応したレベルにあるのではないか、こう考えております。
 しかし、実績等々を見ていっても、ではこれで完全かと言われると、まだまだ、もっと借りやすくすれば希望者はふえるであろうと私も思っておりますので、これからも、勉学意欲と能力のある学生をしっかり支援していくという面では、さらに奨学金事業の一層の充実に努めてまいらなきゃいかぬ、このように考えます。
藤村委員 次に、質問通告書で八番目の項目にちょっと飛びます。関連があるもので、こっちからいった方がいいと思うんですが、今、一種と二種という区分で、二種が最近ふえてきたという話でございます。
 ちょっと、資料をお配りいただくように理事会で許可いただいたかと存じますが、回っておりますか。
 私、二種がそれなりに拡充してきていることを評価いたします。ただ、過去、日本育英会の問題をテーマにして国会でやれば、これは必ず、育英奨学事業は無利子貸与を根幹とし云々という附帯決議がいつもつけられます。つい先般の参議院でもこれはついてきましたよね。参議院でも「無利子奨学金を基本としつつ、奨学事業全体の一層の拡充に努めること。」と。これは常に言われてきたし、大日本育英会当初の、とにかく無利子だから奨学金と言えるので、利子をつけたら、これは今、〇・二%ぐらいですか、利子が安いからといってみても、本当にちょっとでも利子をつけるというとこれはローンでありますから、奨学金というからには、まさに無利子貸与、今で言う一種が基本であります。
 それで、ちょっとこのところの様子を今資料でお配りして、これは数字がたくさん並んでいますので、口で言ってもわかりにくいんですが、一番右端が平成十五年度でございます。ここの無利子貸与部分の事業総額、Aですよね、これが二千二百七十六億ですか。有利子貸与の事業総額、これはCの部分で、平成十五年度だと三千四百四億。今やこんなに二種が、有利子が大きくなったんですね、事業で。
 これはいつ転換したかというと平成十三年で、十二年の場合は、事業総額でいわゆる無利子が二千百九十八億、有利子が千九百五十二億だったのが、平成十三年になって、無利子が二千二百八十五億――十四年で転換したんですか、十三年で転換したんですね。つまり、この前の日本育英会法では、多分平成十年の審議でありました、あのときももちろん、無利子を基本とし、あるいは根幹とし、それで有利子が、二種が補完的なはずだったのが、平成十三年からは逆転いたしました。主従逆転、主客転倒になったのではないかと思います。
 そこで、もう一度この表をよく見ていただきますと、私、ちょっとこれで発見したのは、返還金充当額というのは相当大きい部分を占めますね。特に、無利子の部分で返還金充当額というのが年々上がってきております。つまり、返還金が金額的にもふえているということであります。
 返還金充当額というのは、例えば五年前、平成十年で見ると千百十三億で、無利子貸与事業の総額の五五・六%。それが、次の年は五三・六、次は五四・二、去年は五八・五、平成十五年は六三%。返還金の充当額というのはまさに返ってくるお金ですから、これの比率が上がってきているということは、国はそれだけ負担が軽くなっているんじゃないか。
 上を見ますと、事業総額で見ても、実はしかし、平成十三年度が事業総額で金額的には一番多い。十四年は減っている。十五年は、十四年よりはふえたけれども十三年よりは少ない。
 だから、過去、我々は国会で附帯決議を何度もし、無利子貸与が根幹である、あるいは基本である、有利子は、二種は補完的であるといいながら、どうもこれは無利子貸与の部分を減らしているんじゃないか。一方で、無利子貸与の方は返還金がふえているんですよ。ということは、まさに無利子貸与の部分に対する国の支援はより減っているんですよ。これはちょっと方針としてはおかしいのではないですか。
 この表を見て御感想を。
遠山国務大臣 無利子奨学金をその事業の根幹とするというのは今日でも変わっていないわけでございまして、昭和五十九年の法改正の際の附帯決議におきましても、「無利子貸与制を根幹としてその充実改善に努めるとともに、有利子貸与制度は、補完措置とし財政が好転した場合には検討すること。」ということでございまして、私は、今日のこの数値はまさに日本の財政状況を反映していると思います。
 しかし、この制度の根幹には無利子貸与というものがありまして、その数値というものはほとんど減になっていないわけですね。しかも、それは貸与人員の増員あるいは貸与月額の増額ということで、必ずしも十分ではないかもしれませんけれども、私どもとしましては、財政措置の厳しい中にありながらできるだけやってきているというふうには思っております。
 他方で、意欲と能力があって、経済的な理由で学べないというような人たちをできるだけ救おうということで、有利子貸与の方に少し力を入れてまいっておりますが、それはいずれも伸ばしているわけです。伸ばすときに、近年やや有利子の方を多く伸ばしているということでございますが、それはむしろカバーする率を高くするということでございます。
 そういうことで、いずれも、二つの育英と奨学を柱としてきた、その考え方は変わらないわけですし、根幹において無利子というものを置いているという点は今後とも維持すべきだというふうに私は考えております。いろいろな事態の変化、それから学生たちの要求、さらには財政状況というものを勘案しながら今日の状況になっておりますが、今後とも、奨学金制度の重要性にかんがみまして、私どもも、むしろ委員の先生方のお力添えを得ながら、これについては充実をしていきたいというふうに考えております。
藤村委員 財政事情ではなくて、育英会の奨学事業の無利子貸与総事業の中での事情からいえば、財政事情はよくなっているんです。つまり、返還金がふえているわけですね。返還金がより多くなってきている。でも、その部分の規模は大きくしていかない。それに対して、政府貸付金がありますね、政府貸付金を若干減らしています。
 だから、本当は、政府貸付金をイコールにしてくれば、返還金がふえた部分だけ実は総事業はふやせるんですよ。にもかかわらず、こっちが、返還金がふえたことをいいことに政府貸付金を減らしている。これはむしろマイナス方向に動いているのではないかと見えるんです。
河村副大臣 この部分ですが、特に平成十四年が減ってしまったということ、これも、私も初めにこの数字を見たときにおやっと思ったんですが、実は、特殊法人改革で一〇%のシーリングがかかった経緯がございましてこういうことになったわけでございまして、十五年はまたそれをもとにして予算を要求するものでありますから、それからまたふやしていったということでございます。
 返還金が返ってきてだんだん多くなれば、それに連れてこちらをふやしていくという方針、これには変わりはございません。ただ、残念ながらそういう経緯があったということであります。
藤村委員 それからもう一点指摘したいのは、財政事情というのはまさに政府の支出の部分ですね。政府がどれだけ支出しているかというと、この無利子の部分で政府貸付金、これは十五年度だと九百五十億、それから有利子の方に対しては利子補給金、これが百四億。ですから、一般会計負担額、BプラスDとありますね、ここが平成十五年度でいうと千五十四億だと。千五十四億を高等教育の奨学金に政府が出していると見ると、なかなか大きい額だと思うんですが、実はそうではありません。
 実は、無利子のところに出しているのは貸付金であります。貸付金というのは政府がお金を貸しているわけです。だから、政府の純粋たる支出ではないわけですね。となれば、実はどれだけ出しているかというと、有利子の部分の利子補給金の百四億なんですよ。百四億しか出していない。
 これはなぜ、しかと言うかというと、例えば初等中等教育における義務教育費の教科書無償は、毎年まさに消費的支出として政府が、今年度だと四百億円強でありますか、これだけ教科書無償を出していますね。日本育英会というか、まさに高等教育を担う、高校以上を担う育英事業に、貸付金は確かに一千億近く出しているけれども、実負担額というのは百億ちょいですよ。これは政府、ちょっと少な過ぎるのではないかということを一つ指摘しておきます。
 もう一つは、私、まだ二つ、三つあるんですが、もう一つに絞って言わないとしようがないですね。
 先日のこの委員会で、同僚の山口委員から提案がありまして、私はいい提案だと思うんですが、あの際に考え方として、今の一種、つまり無利子の貸与のところに、今指摘しましたように政府貸付金が、今年度でいうと九百五十億円、平成十三年度だと一千億円を超していましたが、政府が貸し付けるんですね、それを奨学金に貸与する。この政府貸付金と似たような形で、この一種の部分で厚生年金基金、先般厚生省から来て答弁されました。百四十四兆円という大きなお金の中で、政府が今第一種の奨学金部分に政府貸し付けで出している一千億円と同程度の規模、つまり一千億円ぐらいですね、というのは、あっちは百四十四兆円で一千億なんというのは、それは比率でいったら非常に小さい比率であります。
 そのことで、これはここで議論する話ではありませんが、年金の積立金というのは、まさに老後のためのお金でもあり、しかし、それを掛けるのは若い人たちで、その若い人たちを育てていく。だから、年金の大きな基金の中で本当に一部、わずかではあるけれども、若い人たちの奨学金に出ているんだよということは非常に意味があることであろうと我々は思うわけであります。
 だから、ぜひとも次世代育成の観点からも、私は、第一種奨学金の部分に今の政府貸付金、現時点で約一千億弱ですが、それと同等ぐらいの額を入れていく。これは年金にとっても、貸し付けですから、何も消費するわけではありませんから、減らないんですね。減らない。まあ利子分ぐらいは減るわけですけれども、しかし、それの効果というのは非常に大きいと思うんですね。
 まさに次世代、将来年金を払う世代、あるいは大学生であれば払い始めている世代、そういう人たちに一部奨学金として貸与できれば、これは年金の考え方の中でも非常に大きな、宣伝効果と言うと言葉は違うんですが、意味があるし、それが百四十四兆円ぐらいの中の年間でいうと一千億円ぐらいを、貸し付けるんですから、返ってきますから、そういう考え方について、私は本当に積極的にこれは検討が必要と思います。
 こっちの文科省の側のあるいは今回の機構の側の奨学事業にとって、そのことはどういう問題点があるのか、今ちょっと整理してお答えを願いたいと思います。
遠山国務大臣 この問題は、先般もお答えいたしましたけれども、現在、社会保障審議会年金部会で審議されているところでございまして、現段階におきましては、その中でも肯定的な御意見、そして否定的な御意見があるようでございまして、まだ一定の方向性が出ているわけではないと承っております。
 仮に年金資金を日本学生支援機構の無利子奨学金の財源として活用する場合、問題点を整理しろということでございますが、例えば、長期かつ安定的な財源化が可能であるかどうか。それから、老後のお金ということで預かっているわけでございますから、やはりその運用はプラスになっていかないといけない性格であるかもしれませんので、そうなりますと、有償資金とならざるを得ないのではないか。それから、回収できない奨学金の償却は可能であるのかどうか。私どもが整理いたしましたところでも、幾つかの問題点があることは確かでございます。
 ただ、この問題につきましては、さはさりながら、委員御指摘のような角度も大事だと思っておりまして、しっかりとメリット、デメリットを考える必要がございまして、今後の社会保障審議会年金部会での検討状況あるいは取りまとめなどを踏まえながら、今後厚生労働省ともよく相談をして対応していきたいというふうに考えます。
藤村委員 ぜひ積極的に推進いただきたい。と同時に、何か年金基金をうまく運用してあげるという発想は、私はやめた方がいいと思うのです。それはあくまで年金側の考え方ですが、まさに貸し付けて、もとはおおむね返ってくるのですから、運用ではなしに、ただ、この奨学事業にそれだけ年金から出していますよということの宣伝効果というのは、私は非常に大きいと思いますので、だからむしろ、二種で利子つきなどと考えずに、一種の方に、まさに政府貸付金と見合いの形で入れていくことを提案しておきたいと思います。
 時間がほぼ終了しましたが、では一点だけ最後に申し上げるだけ申し上げて、終わります。
 これは、文部科学省の調査で、学生生活調査の中で数字として出していただいた新しいものですが、先ほど河村副大臣は、一種と二種で、大体今、金額の面ではまだ不足かもしれない、数の面では足りてきているとおっしゃいましたが、こういう数字がございます。
 大学だけで言いますと、大学学生数二百五十万ぐらい。そのうちの、日本育英会を含み奨学金を受けている人は七十一万七千人ぐらい。それ以外の人で、実は申請したが不採用というのが六万九千九百人、七万人ぐらい。希望するけれども、しかしいろいろな事情で申請していないというのが四十三万二千人。現時点で、大学だけでいっても、実は五十万人程度はあれば借りたいなと思っているわけですから、この潜在需要あるいは潜在的な必要性、必要とする学生たちのことを必ず念頭に置いて、この人たちにできるだけたくさん貸していく、そういう制度の前進をお願い申し上げまして、終わります。
 ありがとうございました。
古屋委員長 平野博文君。
平野委員 民主党の平野博文でございます。
 与えられました時間、質疑をしたいわけでありますが、私も、奨学金の学生支援機構法案の質疑というのは非常に重要でありますから、その部分についても質疑をしたいわけでありますが、これは二法案あるものですから、海洋研究開発機構法案についても非常に重要な法案と思っています。こういう重要な法案を二つひっつけて審議をするというのは、全然違う法案ですから、委員長、ぜひこれからは一委員会一法案という考え方に立って審議をいただくことがいいのではないか、このように申し上げまして、海洋に関する質疑に入りたいと思います。
 先ほど同僚議員の藤村さんからもお話がありましたが、私も子供が三人いたときには、いたときというか今もいるのですが、教育費の問題で大変苦労いたしましたから、本当に身に迫る思いだと思っております。そういう意味では、奨学金というのはこれからの日本を支えていく子供さんのためにあるわけでありますし、そのことが結果的には国の繁栄につながることになるわけですから、ぜひ思い切った充実の法案にしてもらいたいな、こんな期待をしておるところであります。
 さて、私の与えられました時間は、海洋研究開発機構の独法化、こういうことなんですが、この独法化に至りましては、もともと認可法人海洋科学技術センターというのがありまして、これを独立行政法人にする、こういうことでありまして、独立行政法人にするときに、東大の船を二個ひっつけてしまおうか、平たく言えばこういう形態になっているのですが、改めて私、そういう事柄でありますけれども、持っている意味合いは非常に重いものだと思いますので、そんな視点で質問をしたいと思います。
 まず、認可法人からなぜ独立行政法人に変えるのか、この点について御質問したいと思います。
渡海副大臣 平野先生、経緯はよく御存じだろうというふうに思っておりますが、今回のさまざまな改革というものは、基本的には特殊法人等整理合理化計画の一環として行われております。
 海洋科学技術センター、従来、認可法人ということでございますが、認可法人という形はとっておりましたが、運営上の問題等々は特殊法人に非常に近い運営をされておりましたから、そういった意味で同じくこの対象として検討をされまして、基本的には、国のさまざまな研究機関それから特殊法人等で似たような業務がある場合には、できるだけ統合できるものは統合する、また、より効率的、合理的な組織にしていくというのが基本的な考え方であろうというふうに思っております。
 今回もその決定に従いまして、船の運航という意味では一元化した方がより効率的になるという観点。また、独立行政法人という形態をとりましたことについては、これはほかの法案でも議論されておることでございますが、より効果的、効率的に運営をするために国家の関与のかかわり方を変えていこうということですね。もちろん国がかかわるわけでありますが、変えていこうと。さらに、この法人の意味ということをあえて特殊に取り上げましたとするならば、やはり研究開発機関という性格の科学技術センターと純粋に学術研究の機関でありましたこの二つの組織がどういうふうに整理をされるのか。そのことがより整理をされることによって、運航を一元化し、なおかつ、研究とそれから研究開発、こういった分野をそれぞれこれからより強力な体制としてつくり上げていこうということであろうというふうに理解をいたしております。
平野委員 今の御説明は御説明として理解はいたしますが、研究開発機関というものを組織再編するというときには、もともと設立した趣旨というものが、大義があるわけであります。なぜ認可法人にしたのか。これは民間の出資もしている機関であります。それを今度独法化するということは、一面、いいか悪いかはわかりませんが、目標設定などより所管大臣の監督強化をする、こういう意味合いに私はとるのでありますが、その点は間違いないでしょうか。
渡海副大臣 確かに独立行政法人という形態は、御案内のように、中期目標を所管官庁がつくりまして、大臣がそのことをしっかりと与えた上で中期計画を承認していく、こういう計画になるわけでございますから、ある意味、形の上ではそういう印象もお持ちだろうと思います。
 ただ、実態として、これは私見も入っておりますが、従来、認可法人という形はとっておりましたけれども、ある意味、この海洋科学技術センターは、運営上の問題としては限りなく特殊法人に近いような形で運営をされておりまして、そういった意味からも、平野委員がよくお話しになります、要するに国策に基づいたさまざまな研究というものを中心としてやってきたわけでありますから、これが独立行政法人に変わったからといって、監督権が強くなるとか、そういうことには運営上もならないというふうに私は理解をしておるところでございます。
平野委員 ですから、行政の執行機関と横並び方式で、独法化という制度ができたからといって横並びで、同じように似通っているものは全部独立行政法人化しようという発想に、私、ついついこれは見えるものですから、だから前回にも質問いたしましたが、それは違うでしょうと。もともと設立したときの趣旨、目的、戦術戦略があって設立している研究機関でありますから、国家戦略に基づいてやるならば、僕は直轄でもいいと思っています。だから、そもそも認可法人として起こしたわけですから、それを改めて独法化する、このところが、ほかの横並びで、近いところは全部独法化しろという考え方はいかがなものかということが一つ。
 今、渡海副大臣が言われたように、そうはいいながらも、特殊法人の形態をとっているからそんなに違わないんですということであれば、置いておけばいいんです。違うようになるからするのであって、違わないのであれば置いておけばいいんです。わざわざ変えることもないんですよ、変えたら名刺まで変わるんですから。中身が一緒だったら、実態的に変わらないんだったら置いておくというのが私の主張なんです。変える以上は、何かの国家戦略があって変えるんでしょう。特に、研究開発というのは未来への投資でありますから、そういう視点で、私、今回、何か安直にやり過ぎているんじゃないか、こう思ったところであります。
 それで、そういう視点で研究開発という観点から見ますと、私、前回の質問でも少し触れさせていただきましたが、ちょっと質問がし足らずなところがございましたので、一点、海洋という意味では、大陸棚の調査について御質問したいと思うんです。
 先般の質疑の中で渡海副大臣は、やっとというのか、関係省庁と連絡調整会議でしょうか、昨年の六月につくって積極的にやり始めたということなんですね。ところが、これは二十年前に着手しているプロジェクトであります。関係省庁が寄り集まって、どういうふうに対処しようという方針を出されたのか、この点、この前十分聞いておりませんでしたので、簡単にお聞かせをいただきたいと思います。
加藤政府参考人 御説明申し上げます。
 先生おっしゃいましたように、大陸棚の画定というのは、我が国の国益にかかわります重大な課題でございます。そういうことで、大陸棚の画定のために必要な措置について万全を期したいということで、内閣に大陸棚調査に関する関係省庁連絡会議を設立したところでございます。そして、各省が一緒になって、それぞれの役割の中で一致団結して調査を推進しているところでございます。
 また、一方で、先に申請を行いましたロシアの審査状況から、どうやら国連において高度で詳細なデータを要求しているということが最近判明いたしました。したがいまして、現在、関係省庁連携のもとで、大陸棚調査の内容、調査体制等について再検討を行っているところでございます。そして、期限までに必要な調査が完了できるよう一生懸命調査を行っていきたい、かように考えているところでございます。
 以上でございます。
平野委員 そこで、海洋科学技術センターというのは今まで大陸棚調査にも協力をしてきた、こういうことですが、例えばどんな協力をセンターとしてはしてきたのでしょうか。
渡海副大臣 全体の業務の詳細なことまでは今お話は避けさせていただきたい。別に何も隠しているわけではございません、長くなりますので。
 しかし、海洋調査というのは、委員も御指摘のように、さまざまな要素があるわけでございまして、例えばプレートの測定であるとか海洋資源の問題とか、そういった問題の中で、これまでも蓄積してまいりましたさまざまな技術につきまして、技術といいますかデータといいますか、それを海上保安庁の方に適宜提出をし、協力いたしておりますし、また海上保安庁と協力をして研究をやるということでは、画定調査の一環として、深海調査船「かいれい」及び海上保安庁の測量船昭洋を用いたフィリピン海のプレートの地殻構造に関する研究を昨年度、四月、五月にわたって行っております。
 今後の方針は、今、内閣府がお話しになりました合同連絡会議ですか、省庁連絡会議等の御議論も踏まえながら、先生おっしゃるように確かに得意分野でございますから、科学技術センター、今度は機構になりますけれども、大いに頑張っていただいて、そして国益にかなう仕事に対して積極的に役割を果たしていきたいというふうに考えておるところでございます。
平野委員 ただ、今まで海洋科学技術センターは大陸棚調査に協力はしているんですが、センター自身が研究するテーマとして公募をし、それに応じたものだけしかセンターとしての協力度合いはない。ということは、逆に言いますと、研究の利害が一致しているところについては協力するけれども、それ以外については別に協力もしていなかった、センターは。
 ところが、先ほど内閣府が言ったように、また副大臣が申されたように、「かいれい」という深海調査船があるわけでありますから、これは研究のテーマではないんです。国策として、作業としてやらなきゃならないテーマなんです。そういう公募をして研究の利害が一致しないものはやりませんという発想から、国益のために「かいれい」を積極的に使うという発想で物事を指示し、やっていかなきゃならないと思いますし、私は強くそのことを求めますが、御答弁はどうでしょうか。
渡海副大臣 当然、そういったことで内閣で御議論をいただいておるというふうに認識いたしております。そのことに我が省も最大限協力をしてまいりたい。
 あと一点だけ、これは余分な話かもしれませんが申し上げますのは、私は、前回の委員会で先生から御指摘をいただきまして、少し勉強させていただいたんですが、どうも、これは大国ロシアが現実に出してはねられたという事実一つ見ましても、国連の中でのハードルというものが、従来非常にあいまいであったものが、実は現実にやってみると非常に高くなってきた、そういう一面もありますので、十分それで対応していきたいというふうに考えております。
平野委員 そこで、また少しテーマを変えますが、「ひまわり」の問題と、「しんかい二〇〇〇」と「かいこう」の問題について、少しお聞きしたいんであります。
 これは、海洋とはちょっと違いますが、空のことでありますけれども、同じ科学技術という視点で、特に昨今、新聞をにぎわしておるものですから、こんな状態だったのかと、私、実は驚いているわけであります。
 「ひまわり」というのは、まさに気象衛星のことでありますし、国民の立場から見れば、公共サービスとしてメディアを通じてデータがきれいに発信され、我々の生活においても欠かせない気象予報の基礎データになっているわけであります。
 ところが、「ひまわり」はだめになってしまって、米国の、もう廃棄寸前のゴーズ九号にとりあえず助けてもらっている、今こんな実態になっていると思いますが、なぜ代替機が打ち上げられないのか。これがもしだめになったとき、日本の国民にとってどんな状態になるのか。これは、当事者であります気象庁として、「ひまわり」がもしだめになったとき国民の生活に対してどんな問題が起こるのか、気象庁の次長さんにお越しいただいていますから、ちょっと。
増井政府参考人 御説明申し上げます。
 気象庁では、気象衛星による観測の重要性にかんがみまして、先生御指摘のとおり、台風あるいは集中豪雨の監視のために欠くことのできないものとして、その安定的な運用の確保ということに取り組んでおるところでございます。
 これまで運用してまいりましたひまわり五号の後継機としまして、運輸多目的衛星新一号の打ち上げを本年度予定しております。また、先生御指摘のとおり、運輸多目的衛星新一号の運用開始までは、ゴーズ九号によるバックアップを実施しているところでございます。
 気象庁といたしましては、こうした措置によりまして、安定的な観測の確保に万全を期していきたいと考えているところでございます。
平野委員 ゴーズ九号はいつまでもつと気象庁はお思いなんですか。向こうは廃棄している衛星ですよ。
増井政府参考人 ゴーズ九号につきましては、五月二十二日に運用を開始したところでございますけれども、衛星本体には問題を生じておりません。私ども、米国からこの衛星をお借りするに際しまして、米国側におきましても、担当の省庁、それからNASAあるいは大学等々で十分な技術評価を行っておりまして、この衛星は十分もつだろう、こういう評価をいただいております。
 しかしながら、運用開始直後に、地上システムのふぐあいなどのために、短時間、一部の画像が得られないなどの障害が発生しまして、申しわけない、こう思っております。現在は、日米双方の万全の体制によりまして安定した運用が確保されているところでございます。
 気象庁といたしまして、ゴーズ九号の安定運用のために、引き続き米国海洋大気庁と緊密に連携、協力を行ってまいる所存でございます。
平野委員 次長、大体どのぐらいもつんですか。ずっともつんですか。
増井政府参考人 私どもといたしましては、米国側の評価もあるところでございまして、先ほど申し上げましたように、運輸多目的衛星新一号が運用されるまでの間のピンチヒッターでございますので、それまでの間はもつというふうに思っております。
平野委員 新聞では、「装置障害で「寿命寸前」 余力二―三週間」と出たんですね。これは、衛星は大丈夫でも、装置障害ということですから、結果的にはデータが送られてこないということになる。
 それともう一つは、運輸多目的衛星というのは、H2で前回失敗をした、これが非常にきいているわけです。ですから、本来、次の部分が今春に打ち上げる予定だったんです。これが打ち上がらないから私は言っているわけで、とにかく今、いろいろな意味で、そういう国民の公共サービスという意味でいったら危機的状況になるわけですから、何をおいても優先して気象衛星を打ち上げるべきだと私は思うんですが、どうでしょうか。
増井政府参考人 先生御指摘のとおり、この運輸多目的衛星新一号につきまして、遺憾ながら遅延が生じたところでございますけれども、私ども、できるだけ早く、また万全な形で打ち上げられるよう、最善を尽くしてまいりたいと思っております。
平野委員 これは多目的にするから高いので、気象衛星単体にすればそんなにコストはかからないと思うんですよ。多目的という運輸の通信回線も含めた、航空管制を含めたシステムにするから高い。それ用にといったら大変なので、気象という国民の、我々の生活という観点から見ると、もう少しコストを安く、僕は半額ぐらいになると思うんですが、安くして打ち上げられるんじゃないでしょうか。
 そういう発想は、これは気象庁なのか文部科学省なのかわかりませんけれども、どうなんでしょうか。早く打ち上げないと、これは何にも映らぬようになりますよ。台風が来るけれども映らなくなるんですが、そんなときはどうするんですか。
増井政府参考人 運輸多目的衛星の関係でございます。
 これは、先生御指摘のとおり、航空関係のミッションと、私どもの気象関係のミッションとあわせ持った衛星でございます。私ども、この航空関係と気象との関係で費用を適切に配分いたしまして、そういう意味では、ある意味では安価なコストで利用ができるというふうになっておりますけれども、いずれにいたしましても、先生御指摘のように、万全の体制で臨んでいきたい、こういうふうに思っております。
平野委員 私、これは要望ですが、国民生活にやはりもろに直結しますから、多分、予算がないから打ち上げられないんだということだろうと思うんですね。だから、何を優先して予算をつけるかという視点に今度はかかわるわけですから、私は、やはり、もし気象のデータ衛星が全くなくなったら国民がパニクると思いますよ。そのときになって、いや、予算がありませんでしたからという理屈にはならないと僕は思いますから、そういう意味の危機管理を関係省庁含めて、やはり科学技術は大事なことですから、何を優先させるか。僕は予備機を打ったっていいと思うんですね。予備機がないところが一つ問題だと僕は思いますし、予備機まで打つだけの予算がないわというのであれば、問題が起こったときにはすぐ代替でき得るような体制をしいておくことが大事だと思いますので、これは強く要望しておきたいと思います。
 さて、本論に入っていませんので、「かいこう」の事故について一、二分で聞きたいんです。
 これはなぜか、有索式の無人探索機「かいこう」のビークルがケーブル切断してどこかへ行っちゃってわからない、こんなことに今なっておって、回収が非常に困難になっている、こういうことなんですが、今現在の事実関係はどういう状況にあるかだけ、簡単に教えていただきたいと思います。
大野大臣政務官 大変御心配いただいておりまして、ありがとうございます。
 御案内のとおり、海洋科学技術センターの持っております無人探査機「かいこう」は、世界一の潜航性能を持っておりまして、一万一千メートルまで潜航することが可能でございます。これまで、マリアナ海溝の最深部における微生物の採取だとか、あるいはまた深海底におけるところの熱水噴出活動の発見などに大きな成果を上げてまいりました。
 この「かいこう」が、五月二十九日に、室戸岬南東沖の海底において、地殻変動の状況を調査するため、海底の掘削坑内に設置されたセンサーからデータを回収する作業を行っておりました。作業を終了して、引き揚げようとしたその際にケーブルの切断が発生いたしまして、「かいこう」のビークル部分が行方不明になっているものでございます。今、海洋科学技術センターにおきましては、これまでに船舶と航空機を用いてその捜索に全力を挙げておりますが、現在のところ、御指摘のように、発見されていないわけであります。
 このことに対しまして、六月二日に、大臣から海洋科学技術センターの平野理事長に対しまして、船舶や航空機を動員した捜索を迅速かつ集中的に行い、ビークル部分の発見に向けて全力を挙げて取り組むよう指示をいたしました。あわせて、海上保安庁にも捜索の協力をお願いしているところでもございます。
 今後とも、この「かいこう」のビークル部分の発見に向けまして、全力で捜索を行ってまいりたい、こうかたく決意しているところでございますので、よろしくお願いいたします。
平野委員 ちょっと、みっともないといえばみっともない、ケーブルが切れちゃったからどこへ行ったかわからないわと。科学技術の先端を行っている海洋の無人探索機が、ケーブルが切れちゃったからどこへ行ったかわからない。四キロ範囲しかあれが出てこない。多分、切れたときには浮き上がるようなシステムになっているのにもかかわらず、どこへ行ったかわからない。飛行機を呼んで捜している。しかし、これはちょっと不細工な話で、切れるはずがなかったんだろうというふうには思っているんですけれども、早く捜してくださいよ。これだけ、強く要望しておきます。貴重な機材ですからね。ぜひ捜してください。報告は要りませんけれども、ぜひ捜してくださいよ。
 それで、本題に入りたいと思います。
 まず、このセンターの独立行政法人化ということで、業務の効率化、合理化ということがどれだけ一元管理をしてやれるか、こういう視点で少し聞きたいのであります。
 今まで政府の関与が少ない認可法人の割には、結構天下りの役員が多いんですね。これは参議院の審議の中にもその指摘がありましたから、私、深くは申し上げませんけれども、その理事長は、私は一切縁戚ではないんですが、平野さんというんですわ。縁戚関係はありませんから私はあえて言うんですが、五人のうち四人までが天下っておられるということと、もう一つは、特に海洋センターの職員というのは、課長以上の管理職はほとんどが霞が関から天下っておられるということなんですね。そういうことから考えますと、当然、天下れば下るほど、もとの給与体系で維持をしていくという発想からすると、非常にコストが上がってくる、人件費のコストアップにもなってくる。
 元来、海洋センターというのは、これは私、非常にいいなという一面もあるものですから言いますが、関係職員数が大体千数百名おられるんですね。ところが、予算定員は二百五十名なんですよ。非常にフレキシブルに運用している認可法人なんですね。天下りは多くても、要は、すべて公務員化していないということで、非常にフレキシブルな対応。その理由は、理化学研究所と一緒で、研究員の契約期間を含めた、そういう対応をしている。政府系の機関にしては珍しく、非常にフレキシブルな対応をしてきていると僕は思うんです。だけれども、このごろずっと予算の定員数がふえてきておるわけでありまして、今回、東大の海洋研が合体をいたすときに、これがどういうふうになるのかというのが、私は非常に疑問でなりません。
 そういう意味で私は質問をしたいわけでありますが、少なくとも、今回の改革の目玉であります研究船二隻、東大海洋研から移管をするんですが、海洋センターと海洋研はともに研究船を運航しているわけであります。私は、決して合体するということを否定するつもりはございません。しかしながら、なぜこのときに合体をするか、旧来の文部省と旧科学技術庁の垣根があったために、ばらばらに東大、片やセンター、こういうふうに言われておったのが、やっと今回垣根が取れたのかな、こういうふうに思っているんです。
 ただ、ここで問題なのは、海洋センターは、船の運航は全部アウトソーシングしている。今度、東大の船二隻が来るんですが、この船二隻とともに乗務員が約六十名こちらに移ってくるというわけですが、運航管理の部門を海洋センターに移すということでもなくて、船だけを移す、乗組員を移す、運航管理は東大で持っていますよ、こういう形態をとっているんです。そうすると、どうなるんですか。海洋センターは、海洋センターの船の運航管理をアウトソーシングしている。東大から来た船の運航は、これは東大というところでやっていくのか、海洋センターで東大用の二隻の船だけを運航オペレーターを改めてするのか、この点がちょっとわかりにくいので、ここは教えてもらいたいと思います。
渡海副大臣 経緯とか詳細は平野先生よく御存じですから細かく申し上げませんが、今回移りました二隻の船の運航に当たっていただくスタッフの皆さんは、従来の東大海洋研からおいでをいただいた皆さんに当たっていただくということを考えております。
 それから、全体の中で、一元化してさまざまな効率アップまた合理化をしなければいけないということに関して言えば、七隻という、これまでよりもやはり全体のスケールが大きくなるわけでありますから、例えば燃料等の物品購入等において、それからあとはメンテナンスの外注、こういったさまざまな部分につきましては、スケールメリットが出てくるのではないか。
 あと、先生が今おっしゃいました運航という意味、それからある意味での、運航管理ですね、管理という意味からしますと、運航の管理は、陸上部門は一体化してやっていく。従来の東大の部分の陸上部門というものは今回廃止をして、一体化してやっていく。しかし、研究にかかわるさまざまな、プログラムを組んだり運航計画をつくったりという点では、従来の東大海洋研の先生方にもその能力、今までのノウハウ等を発揮していただいて、そして文部科学省の中にも会議を設けまして、海洋科学技術センターの運航部門また東大の方の運航部門といいますか研究者、要するに、どうやれば一番うまくこの七隻の船を使えるかということを考えながら、より有効に機能をさせていきたいというふうに考えておるところでございます。
平野委員 ちょっとそこはあいまいなんですが、要は、私が質問しているのは、従来、五隻ある海洋センターの船の運航管理、オペレーションというのは外注で、アウトソーシングしているんですよ。それで、同じアウトソーシングしているような機能を、今度東大の二隻については機構の中で抱えるのですかという素朴な質問です。抱えませんということであればいいんですよ。
渡海副大臣 運航という意味で、陸上部門の運航というのがありますね。それは多分、いろいろな意味での連絡をするセンターであるとかそういった部分については、東大の部門は今回廃止をする。そして、従来ありましたところで、科学技術センターの側で一元化してやる、これはアウトソーシングしている部分はありますが。そして、オペレーション、船を動かす船員さんたちについては、従来の形の中で船と一緒に来ていただいて、その運航にかかわっていただくということを計画いたしております。
平野委員 そうすると、ちょっと質問の仕方を変えますが、では、二隻の乗務員およそ六十名はどこの所属になるんですか。
渡海副大臣 もちろん、来ていただくわけでございますから、新しい機構の所属に変わっていただきます。
平野委員 そうすると、その方は、先ほど言いましたように、定員内の職員として遇するんですか。要は、定員管理の中にはまる六十名として遇するんですか。外部委託しているのがほとんどですよ、同じ仕事をしているのでも。それで、二隻にかかわる人だけは定員内職員の位置づけで移管をするんですか。その辺はどうですか。
渡海副大臣 定員内職員の考え方で新たな職員になっていただくということでございます。
平野委員 そうすると、何を効率的にやろうとしているのかが非常に不透明になってくるわけですし、二隻の乗務員を抱えるために改めてこの給与テーブルをまたつくるわけですか。
白川政府参考人 事務的に御説明をさせていただきます。
 先生御指摘のように、現在、海洋科学技術センターは、保有する船舶の運航につきましては、民間の会社に外部委託をしております。東大海洋研の方から二隻の船舶を移管するわけでございますが、これらの運航に伴う乗務員につきましては、機構の職員として雇用いたしまして、引き続き、移管した二隻の船舶の運航に従事をしていただく、そういう予定でございます。
 それから、給与の点について御質問がございましたけれども、それにつきましては、先ほど副大臣も御答弁申し上げましたが、現在、文部科学省の中に、東大海洋研と海洋センターも参画をしていただきまして、研究船の移管協議会をつくっておりまして、この中で、お移りになります船員の方の処遇の問題を含めまして、具体的な移管のあり方について検討をしておるところでございます。
平野委員 それはおかしいんですよ。ちょっと曲がっていますよ。もっと素直にやったらどうですか。
 もっと聞きましょうか。では、六十名の人は、もともと東大の職員で国家公務員だから、これは共済制度はどうするんですか。そのまま東大の共済制度で引きずってやるんですか、この職員は。
白川政府参考人 お答え申し上げます。
 共済制度につきましても、実はこの法律の中で手当てをしてございまして、いずれにしても、東大海洋研の海事職の職員の方、移籍をされるわけでございますが、そういった方々が不利益をこうむらないような、そういう形での手当てをしておるところでございます。
平野委員 不利益ということと国益を損なうことと、これはどうなんですか。職員の不利益を、守ることは大事ですが、本来の趣旨、目的で、統合をしていく中での国益という視点はどこへ飛ぶんですか。
 私は、決して合理化ではない、法人化のつけかえに伴う人の異動によって従来の発想を守るとしたら、こんなもの、わざわざ変える必要も何にもない。この変える際に、しっかりと人の異動もする、しかし、不利益は、過去におられた給料が下がるとかそんなことのないようにはしてあげなきゃならぬけれども、同じ公務員の共済に入っている、こんなばかなことがあって、本当にドラスチックな改革というものができるのでしょうか。そういうところはちょっと別なんです、形だけは変えます、こんなやり方は、やはり統合するなら、きちっとそういうベースもしっかりと整理をして統合というのが本来あるべきで、形だけして中身は一個も変わっていないという統合に聞こえるじゃないですか。
 したがって、私は、しっかりとそういうところについては議論をしてもらわないと、何か、これで聞くと、同じ仕事をしているオペレーターは、一方海洋センターは外注、アウトソーシングの職員でやってもらっています、二隻の、同じような中身については国家公務員で運営をします、これはちょっと、国民の皆さんから見たら、納得性がないのではないでしょうか。まして、定員枠の中に入れる、こういうことですから、そこをやはりしっかりとやってもらわないと困るというふうに私は思うのであります。
 もう時間が参っておりますけれども、最後に、少し、これだけは聞いておきます。
 海洋センターの研究ということなんですが、これは、海洋センターといいましても、一義的には地球というレベルでとらなければだめなんだろうなというふうに私は思うんですね。
 この法案の海洋機構の目的というのは、海洋に関する研究と書いてあるんですが、私は、海洋センターというのは、海洋だけではなくて、環境変動であるとか地殻変動であるとか生命活動であるとか、そういう非常に広範な研究を意味するセンターの位置づけなんだろうと思うんです。海洋に関する研究となっていますが、これは狭い意味で、海に制限をする、こういうふうにとっているのでしょうか。そういうことじゃなくて、地球というもっと大きなあらゆる研究、予算の規模がありますから制限はあっても、この組織機能としては海に限定をするということではないというふうに理解をしてよろしいのか。その辺をお聞かせいただきたいと思います。
白川政府参考人 お答え申し上げます。
 今先生御指摘の点でございますけれども、新しい海洋研究開発機構は、海洋に関する科学技術を担当するということになっておりまして、今先生御指摘の、海洋だけではなくて、海洋の周辺、それから海洋の上にございます大気、そういうことを含めましたグローバルな研究を担当する予定でございます。
平野委員 時間が来ましたので、質問を終わりたいと思います。
 最後に、大学法人化に伴う、言葉は悪いですが、厄介者の押しつけをしているんじゃないかなというふうな気がしてなりません。私は本当に、海洋センターというのは非常に大事だと思っておりますし、やはりもっとしっかりした理念と国策でもって進めていく統合でなきゃならないと思います。先ほど言いましたように、人も移すのであればその人の身分もしっかり移すということでなければ、真の組織として育っていかないと思いますので、そういう視点の改革をぜひお願いしたいと思います。
 大臣、最後に、何かございましたら御発言をお願いいたします。
古屋委員長 遠山大臣、簡潔にお願いいたします。
遠山国務大臣 一つだけ、極めてホットニュースでございますが、昨日までフランスのエビアンで開催されましたG8サミットで、持続可能な開発のための科学技術に関する行動計画が取りまとめられたわけでございますが、その中に、全地球規模での観測に関する国際協力の強化ということがうたわれておりまして、まさに今、海洋科学技術センターが持っている地球シミュレーター、これは世界最強のものでございますが、これを利用しての地球観測、それ以外の、深海掘削なども含むわけでございますが、この海洋科学技術センターが改組されて大きな機構となっていく、このことに伴って、日本が、海洋国家である日本が世界に貢献していく大きな羽ばたきの出発になると私は考えておりまして、そのために努力をしたいと思います。
平野委員 ありがとうございました。終わります。
古屋委員長 佐藤公治君。
佐藤(公)委員 自由党の佐藤公治でございます。
 きょうは、いつもの委員会の会場とは違いまして、大変近くに大臣、副大臣を目の前にし、若々しい姿がはっきり見え、また、お疲れなのかなというようなことも目に見える、感じ取れるような距離で、非常に親近感のわくような議論になるかなと期待をしておりますので、何とぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 先般から、入り口のところ、なぜ奨学金、育英会、こういったものがあるのか、そのそもそもの基本的な考え方において、副大臣とは議論をさせていただいております。自助、自主、自立、こういったことを考えていくことも大事だと思いますけれども、そういったものを余りこの制度に押しつけていくことは、私は決していいとは思いません。
 私たち自由党及び私の考え方、今までのここに至る経緯というのは、まず、やはり特殊法人、独立行政法人、こういった構造改革のやり方に、私たちは政府に対して反対をしている。やり方が、もっとドラスチックに、大胆にやるべきだということにおける反対。そしてまた、その中でも、文部科学関係というのは、独立行政法人関係にはなじみにくい、そぐわない形ではないか、こういった部分で、かなり厳しい意見であり、また反対をしている部分があるということを前提に御理解をいただけたらありがたいかと思います。
 そのそもそも論のところなんですけれども、こういって議論がいろいろと進む中、もう参議院でも議論が幾つも出ました。先般も、問題点の整理も大分されてきている部分もあるのかなと思いますが、そもそもの、歯車が合わない、平行線の部分というのがあると思うんですけれども、副大臣、こうやって議論をしてきて、この法案、この辺、もう少しこういうふうに変えた方がいいのかな、今後こういう部分を見直していった方がいいんじゃないかなということがあったら、お答えを願えたらありがたいかと思います。
    〔委員長退席、鈴木(恒)委員長代理着席〕
河村副大臣 奨学金のあり方の基本概念、奨学それから育英の基本概念、これはやはりこれからもその根底になければいかぬと思っております。
 佐藤委員とのやりとりの中で、私どもは、広く薄く、有利子の存在というものもあり得る、そして、その中には、みずから自立して、そしてこの奨学金を活用して、まさにこれから、みずからにも投資をしながら奨学金を生かしていくという方向、これもある面では非常に重要な面ではないか、こう申し上げておるわけでございますが、若干そのあたりが、制度としてそういうことがどうであろうかという指摘も受けておるところでございます。
 ただ、私はかねてから、これからの奨学金は、希望する学生が全部受けられるような姿が望ましいんだと考えておりまして、先ほど藤村委員のときに法案の議論の中で、「優れた」「特に優れた」という言葉は残っておるわけでございます。それは、いわゆる学習意欲を持ってやるという意味だということでありましたから、私は、そういう気持ちでこの法案がつくってあるということを承知しておりますが、強いて言えば、もうちょっとその辺が、指摘されるようなこともあればという思いもしないこともないのでありますけれども、基本的な概念としては、やはり奨学、育英、かねて大日本育英会以来ずっと持ってきた奨学事業の基本概念というものはこれからも生きていかなきゃいかぬ、こう思っておりますので、その点を特にと言われればあれでございますが、この法案でひとつお願いをしたい、このように思うわけです。
    〔鈴木(恒)委員長代理退席、委員長着席〕
佐藤(公)委員 私が言いたいことは、河村副大臣、やはり政治家主導型の基本理念、哲学をきちっと明確にしておくことがこれからとても大事だ。大変失礼ですけれども、官僚の方々が、副大臣がいなくなられた後、また違う副大臣の方がいらっしゃってくる、そこにおける本当に基本的な考え方というのをきちっと議論して明確にしておかないと、まさに官僚主導型と言われる部分になってきてしまう。そういう心配を私はしている部分があります。
 まして、その基本がきちっとしてこないことには、中期目標というのを立てていくに際して、これは参議院でも議論がございました。実際、中期目標で立てる事項というのは、もうこれは私が説明するまでもなく、中期目標の期間とか業務運営の効率化、国民に対しての提供サービスとか財務内容、その他業務運営に関する重要事項、こういうことで非常に効率性の部分を考えた中期目標になる。でも、そこには基本としてこういうものがあるから、ここを崩しちゃいけないんだよというところをはっきり示しておくことが必要なのではないか。そういう意味で私は今基本のところというのを副大臣とお話をさせていただいていることを御理解いただけたらありがたいと思います。
 そして、そういう中で、私が、幾つか副大臣のお話の中で疑問に思ったことなんですけれども、まさに返還免除制度というのを大学院においてやる、これは僕は形を変えたある意味での給与制度とも言えると思います。インセンティブ的な部分を非常にねらった返還免除制度ということなんですけれども、副大臣がおっしゃられるように、まじめにやる人間、できる人間、やった人間にはそれ相応の報酬というかそういったものがあってもいいという考え方は、僕はある一面すごく正しい部分があると思います。
 こういうところをほかの大学とか高校とかいろいろな分野でやっていくということは、僕は一つの考え方としてあり得ると思いますけれども、いかがでしょうか。
河村副大臣 委員も御案内のように、これまでの返還免除といいますか、これは、大学院を卒業して教育研究職という特定の職へということでやってきたわけでございますが、この点については、その職へつかなきゃもらえないのかというようなこともあって、もっと広く概念を持つべきだという観点から、この廃止に今回踏み切ろうとしておるわけでございます。
 その後の新しい考え方として、高度専門職業人、すぐれた研究者を養成するという観点で、しかも、これからの人材としては、やはり大学院への重要性というのが非常に高まっている、こういう観点もあって、大学院進学へのインセンティブに、こういう思いも込められておりまして、その方々が、在学中の勉学にいそしむ一つの大きな目標があるということ、そして、この制度を活用するということ、その方向へ転換をするわけでございますが、委員の、大学院ではなくて、大学生あるいは高校生も含めてこの制度を導入したらどうだろうか、こういうことでございます。
 今までの返還免除制度の設計がそういうものになっていなかったということがございますが、それに加えて、今回、財政が非常に厳しくて、そして、この厳しい中で、さらに多くの人たちにこの奨学金を受けてもらいたい、こういう観点から、この返還金の確保をもって資金の運用をしなきゃいけないということがますます高まってきておるということが一点ございます。それから、大学、高等学校職にも、かつては、平成十年に廃止されるまでは、やはり教育研究職、これは教職員について十五年たてばという、あの制度が導入された当時からいたしますと、教育研究職に対する処遇はかなり改善されておるものでありますから、だんだん人材の誘致という観点からもそれがなくなってきたということで、平成十年に廃止されたという経緯もございます。
 この返還免除制度というものが、我が国の将来の発展を図っていく上で重要な学校教育分野とか学術研究分野に優秀な人材を確保するための施策ということもありまして、もともと、高等学校の奨学金は返還免除の対象にもなっていなかった。今後、高等学校の方は、地方へ、県の方へ移管をすることにもなっておるわけでございますが、そういうこれまでの経緯、考え方を踏まえて、委員が御指摘される、大学生の方々にもそういうものがあって、それが励みになって、目標を持ってもっと勉強する、一つのまさにインパクトになりはしないかという御指摘、私も、それは理解はするし、そういうことができれば、それも一つのこれからの方法だと、委員の御指摘を受けてみれば、そういう可能性もあり得る話ではあるけれども、しかし、今の奨学金の現状で、返還金をもとにしてできるだけ多くの皆さんに上げるということになると、もうちょっと高い限度の大学院の人材をもっと持ちたいという、ここまでが今限界にある、こう考えておるところでございます。
 もちろん、今の御指摘については、我々慎重に考えなきゃいけない課題だなという思いの方が強いわけでございます。
佐藤(公)委員 実際、大学院の返還免除制度に関して、前回の委員会においても石井委員が指摘をいたしましたように、まさにこれの審査基準というものが不明確なまま、実際問題、参考人の方々も、もうこれはお読みになられていると思いますけれども、やはり絶対的な基準で評価というのはなかなか難しいということの話が多かったように思います。中には、基準というものをつくるということはさして困難ではないというふうに思っているという方もいらっしゃることも事実ですけれども、やはり現実問題、まして、国際社会における光ったものをそこで見出すという審査基準というのは難しいというふうには思います。
 思いますが、私はその審査基準というものが不明確なのじゃないかということをもう一回御指摘したいことと、あとは、もしもそれを大学院でやるのであれば、同じように大学やほかの分野でもやって励みにしていくべきなのではないかというふうに私は思いますので、今後、検討課題として持っていただけたらありがたいかと思います。
 そこで、こういったちょっと具体的なところに入ってしまったのですけれども、そもそも論にもう一回戻ります。
 総理は、所信表明演説でも奨学金の充実ということをおっしゃった。僕は、充実というのは、縦軸、横軸という考え方からすれば、一つは、予算規模を大きくしていく、これが一つの充実で、いろいろなことができます。そして、縦軸においては、制度の充実、この二つがあって初めて全体が総合的に充実をしてくることになると思う。実際、皆さん方の御努力でその予算規模というのはふえて、今までいろいろな方々がそれの恩恵をこうむりながら奨学金を受けていらっしゃる。その人数はふえているかと思います。ですが、やはり制度的にはまだまだ充実をしていないんじゃないか。予算も実は、先ほど来から副大臣は財政的な厳しさということをおっしゃいますけれども、何で大臣、もっとこの財政をとってこれないんでしょうかね。今までの大義名分を考えれば、文部科学関係でもっと予算を強くとれる状況に私はあると思いますけれども、何でそう弱気の御発言が多いのかなというふうに思うことが一点。
 それとあと、やはりそもそも論に戻りますと、今副大臣が大臣とともにやろうとしているこの法案がなぜ現行法の中で今までできなかったんでしょうか。この二点をお伺いしたいと思います。
河村副大臣 できなかったからというよりも、さらに進めようということでございますし、広く今までもこの育英奨学事業というのは拡充をしてまいりましたし、これからもさらに拡充し、しかし一方では効率的な運営という手法も入れなきゃいかぬだろう。そして、今回は、その育英奨学ではありますけれども、留学生のことも含めたいわゆる全体的な学生支援機構の中で考えていこうというふうに考えたわけでございまして、これは、これをきっかけにさらに拡充していく。
 今委員御指摘の、縦軸も横軸も拡充していきたい、こういう思いで今これに取り組んでおるわけでございまして、決して、これまでできなかったからこれをやるというよりは、これによってさらに拡充するんだという基本的な概念でやっていこうという思いで今法案を提出しているところでございます。
佐藤(公)委員 実際問題、参議院のときにも議論があったんですけれども、そもそもなぜ日本育英会を廃止するのかということを明らかにされていないわけですというような質問がありました。それに対して政府参考人の方からの話というのは、まさに「簡素、効率的、透明な政府を実現する行政の構造改革の一環でございまして」と。つまり、全体の流れの中でやらざるを得ないみたいなところがある。先ほど私が一番最初に話をしましたように、文科省というのは、独立行政法人とかこういった形が余りそぐわない、合わないというふうに私は思うんですけれども、副大臣、果たして本当にこれでいいんですか。僕はそこを、副大臣の本当のお気持ちをもう少し確認しておきたい部分があります。
 こんな全体の流れの中で、特殊法人、独立行政法人の構造改革のやり方、まさにうちの党が提案しているように、サンセット方式ということを出して、その上からか下からかというやり方になってきますけれども、そこの違い。その中でも、まさに文部科学の分野というのは、独立行政法人、今の政府の考え方からいったら、効率性とか合理性とか、そういったものを中心にした考え方に乗っちゃって本当にいいんですかというのを、もう一度副大臣、思いを語っていただけたらありがたいかと思いますが、いかがでしょうか。
河村副大臣 今回のこれも一つの大きな改革になるわけでございましょうが、奨学金事業を充実するという観点で育英会をさらに発展的に新しい学生支援機構にするということによって、この奨学事業が、これはどう考えてみてもこれではやっていけないということではなくて、もっと私は合理的なスキームに変えていくことができるのならば、この機会にひとつやっていこうという思い。
 いわゆる教育そのものを効率、経済論で縛る傾向がやや最近出ている、経済財政諮問会議の動きを見ても。これに対しては私も非常に遺憾に思っておりますし、この前も答弁をしたのでありますけれども、特殊法人のまさに改革の観点から、一〇%をカットしなきゃいけなかったために金額が落ち込んだというようなこと、そういう一律のそうしたものの枠の中にこの教育資金的なものを当てはめるというのは、これは私はいかがなものかと思うし、文部科学省としてはこれには、抵抗勢力と言われようと何としようと徹底的に反論し抵抗していかなきゃいけない。やはり教育をそうしたもので縛る、シーリングで縛るというようなことはとても認められない現状だ、こう感じながらも今日に至っておるわけでございます。
 そういうことでありますから、私は、確かに特殊法人等の整理の中の大きなスキームの中でこれが考えられたことを否定はいたしませんけれども、逆手にとって、これをうまく活用することによって逆に、もちろん当然それは合理的な面も必要でありますから、そういうことを活用しながらこの事業を充実させる方向、そしてやはり、委員会のやりとりの中でも、学生支援機構という形になったということは非常にわかりやすいし、一つの方向ではないかという激励もいただいたわけでございますが、そういう意味で、学生全体をこれによって支援していくんだという思いで、縦軸、横軸、強化をしていきたい、このように思っております。
 これによって後退をするならば、それは委員御指摘のように、何でこんなものをやるんだということになりましょうが、そうではないんだ、これを機会にさらに発展することができるんだということでいけば、御理解をいただけるのではないか、このように思うんです。
佐藤(公)委員 今のお話で、大変力強いお話だったんですけれども、その点で私が副大臣に疑いを持ちたくなるのは、そこから出てくる発想なんですね。やはり僕が思うことは、これを今見て、百歩譲ったというか、これがそのまま通るに際しても、今まで各委員からお話がありましたように、やはり無利子ということを基本にすべきであり、全部無利子が一番理想ですね、それから給与と言う方もいらっしゃいますけれども、この枠の中で言うと、無利子が基本ですべてを占める。そして、返還免除制度やなんかも多岐にわたったことを考える。そしてまた、機関保証制度というような、この保証制度の支払いというのは、これは発想的にちょっと僕はおかしいんじゃないかなと。だから、そこの基本を疑いたくなっちゃう。
 基本的な、学校が、教育が、こういったものが国の本当に大事な部分であり、米百俵の精神だとおっしゃるその哲学が本当に生かされるのであれば、僕は保証制度なんという発想が生まれてくるとは思えないんですね。だから、今副大臣は確かに力強いことをおっしゃっていただきましたけれども、出てくるものには疑いを持ちたくなる。
 僕は、副大臣は本当は違うことを思っているような気がする。官僚がみんな、これがいいだの、あれがいいだのと言うので何となく仕方なく乗っているように思える部分があるんです。だから、こういった発想がおかしいよというところを、そこは副大臣、強く思っていただけたらありがたいと思いますが、いかがでしょうか。
河村副大臣 委員の言われること、私も理解しないわけではございません。それは、そういうものがなかったら非常に学生の方も楽かもしれぬ、親の方も安心かもしれぬ。しかし、やはりこれは税金といいますか、国民のお金を活用していくわけでありますから、やはりどこかにきちっとしたその歯どめといいますか、それがどうしても必要になってくるだろうと思うんですね。やはりこれは金を借りるんですから、ちゃんと返さなきゃいかぬわけですよ。
 だから、逆に言えば、保証制度をつくることによって、これがあるから安心だということでモラルハザードが生まれるんじゃないかという御指摘もあったぐらいでありますが、しかし、できるだけいろいろな方々の要望に応じてこの奨学金を活用するとなると、この制度がなければ、保証人も一切なければいいんですけれども、やはり借りたものをきちっと返してもらわなきゃいけないというこのことを担保してもらうということはどうしても必要だろうということ。
 それから、私も当然、これは官僚の説明を聞いたときに、しかし、この保証制度を入れる、入れないのときに、保証人がどうしても見つけられ得ずして残念ながら断念したという例もなきにしもあらずだ、それは文部科学省まで来ないかもしれぬけれども、大学段階で必ずあったはずだと。そういう事実もあるんだから、そういう人たちを救済してこの制度を設けていくということ。そして、みずから自立、自活といいますか、そういうことを考えるなら、これを活用して自分でちゃんとやっていくということも、私は、それはこの奨学金制度の仕組みをもっと広げる意味で、一つの制度として取り入れることについては賛成いたしましたので、今回のこの法律になっておるわけであります。
佐藤(公)委員 私は、機関保証制度というものを考える場合には、学生に払わせるんじゃなくて、審査とか推薦とか、制度、支払い、いろいろな違う形で、ある意味で担保をとっていく方法はあり得ると思います。例えば、学校の先生方に、別に債権債務関係というものが発生しない状態の中で、やはりきちんとした推薦というものをいただければ、学生さんができるというような、いい形での仕組みが僕は考えられると思うんです。
 すぐ何か、お金を出せ出せというのは、まるで今の保険会社か銀行みたいなことを文部科学省でもやるのかなと思うと、ちょっと悲しくなる部分がある。僕はここは本当に慎重に考えるべき制度だったと思います。ただ、こういう形で出てしまって、与党多数によって推し進められるのかもしれませんが、僕はここは十分考えた方がいいんじゃないかという気がいたします。
 そういう中で、もう時間もないので、最後に一点聞かせていただければ。
 留学関係のいろいろなお話を聞いている中、また留学生の方々と話をする中で、日本では留学ビザと就学ビザというのがございます。これに関して、留学ビザというのは、もう御存じのように、高等教育機関における、かなりはっきりした形での目的を持って留学されている方々、就学というのはそれよりも枠が大きく広がったようなビザになるわけですけれども、これにおいても奨学金または住宅関係の一つの格差というものがあることは事実。これはいたし方ない部分もあるかと思います。ただ、いろいろなものを見ている中で、通学に関しての学割制度、せめてこれぐらいは僕は就学でも考えてあげるべきじゃないかなと。
 実際、もう時間がないので先にお話ししますと、JR等は、法人格を持った学校に対しては学割を出す、しかし、法人格のない学校、日本語学校、これに関しては出さないというふうに今なっております。ちゃんと財団法人日本語教育振興協会というのがございます。実際、三百七十幾つの会員の方々がいらっしゃり、そのうちの約二割七分、二七%、三〇%近くが法人格なんですけれども、ほかは法人格じゃないんですね。こういうきちんとした財団法人、私も日本語教育振興協会というのは余り知りませんでしたけれども、調べてみれば、役員の方々もみんな無報酬でやられている、しかるべき人たちがみんなつかれている。
 こういったきちんとした機関が認めているのであれば、これは法人格であろうがなかろうが、せめて、全部というのは無理かもしれませんが、範囲を広げてあげて、日本に留学している人たち、不法滞在、いろいろな問題があると思います、でも、本当にまじめに日本語を学んで上の学校に行こうとしている人たちもかなりいることも事実だと思いますので、そういう方々の生活の負担、経済的な負担というのは、やはり通学に関しての費用というのはかなりあることは、私も調査しましたら事実でございます。特に、お金が余りない中、住むのは地方に住み、学校は都市部に出てくる。その意味でいったら、通学というのは非常に大きな負担になっている。ここに学割制度を適用させてあげる。
 これは、文部科学省の副大臣、大臣、また局長として各業界団体に関して、ぜひともそういうことで認めてあげるようなシステムというか、奨励ということを推し進めていただければと思いますが、いかがでしょうか。
遠山国務大臣 御趣旨は大変よくわかっております。
 日本語教育機関に学びます就学生に対する通学定期乗車券の適用に関しましては、これは、旧国鉄が民営化されまして、それぞれの交通機関各社の経営方針にゆだねられているという状況でございまして、我が方が決める、あるいは国土交通省が決めるというわけにまいらないわけですね。
 その意味で、私どもも、間断なく関係省庁とも連絡をし、何とかということで努力を進めております。今後とも、そういう関係省庁とも連携をとりながら、交通機関各社の理解が得られますように努力をしていきたいというふうに考えております。
佐藤(公)委員 もう時間でございますので終わりにしますけれども、大臣がおっしゃられていることはわかります。これは文部科学省なり国土交通省で押しつけるべきことじゃなくて、民間が判断することだと。ただ、今回のこの法案を機会に、そういったことを各機関に受け入れていただくような方向でのお話なり通達をしていただけたらありがたいかと思います。
 きょうは本当に、顔の隅々まで見える距離で話をさせていただき、私もやる気を持って話をさせていただきましたが、またこれからこういう近い議論もいいのかなと思いますので、よろしくお願いします。
 以上でございます。ありがとうございました。
古屋委員長 石井郁子君。
石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。
 私は、初めに、海洋研究開発機構法案について、一、二点、確認をさせていただきたいことがございますので、お伺いをいたします。
 今回は、特別認可法人海洋科学技術センターと東大の附置研究所である東大海洋研の研究船運航組織を統合して独法化するというものでございます。
 それで、東大の海洋研の運航組織には海事職の方六十三人が在職だということでございます。この点では、参議院で、「現在の東京大学海洋研究所の二隻の研究船の船員の方々も新しい海洋研究開発機構の職員として継承される」という答弁がございますけれども、新機構に移行するのは海事職の六十三人であるということは確認してよろしいですか。
白川政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、今回の統合に当たりまして、現在、東京大学の海洋研究所は定員が百七十八名でございますが、その中で、移籍の対象になります白鳳丸と淡青丸の二隻の研究船、この研究船の運航に従事をされております海事職の職員の定員は、先生お話しのように六十三名でございます。この東大海洋研の海事職の方は全員、研究船とともに、新設されます海洋研究開発機構の方に移籍をしていただく予定でございます。
石井(郁)委員 次に、研究船運航の費用についてもお聞きをさせていただきます。
 文科省からもいろいろ資料をいただいているんですけれども、東大海洋研究所には二隻の研究船がある。その運航費が毎年約十一億円。それに対して、海洋科学技術センター所有の方は五隻でして、毎年大体六十五億円ぐらいかかるということなんですね。一隻当たりにすると費用が随分違うなという印象がありますので、それはなぜなのかという点が一点。そして、新独立法人になるに当たって、この船舶の運航費、合わせると約七十六億円程度というか、これはそのように推移していくのでしょうかという二点、いかがでございますか。
白川政府参考人 お答え申し上げます。
 今先生御指摘のように、東大海洋研の保有いたします白鳳丸、淡青丸、この二隻の運航経費は、平成十三年度の決算ベースでございますが、人件費込みで約十一億円でございます。それから、海洋科学技術センター、現在、「みらい」等五隻の研究船を保有しておりますけれども、これの運航経費は、平成十三年度の認可予算ベースで、人件費込みで約六十五億円でございます。
 それで、どうしてこういう違いが出るのかという御質問でございますけれども、まず、東大の二隻の海洋研究船のうち一つは淡青丸でございますが、約六百トンという非常に小ぶりの船舶でございます。片や海洋センター、五隻持っておりますけれども、一番大きいものは「みらい」と申しまして、八千七百トンという世界でも有数の非常に大型の海洋調査船でございます。こういう船舶の大きさの違いがございますので、単純に両方の運航費を比較するというのは難しいわけでございます。
 また、事実関係といたしましては、航海日数につきましても、現在、東大の海洋研の研究船はおおむね年間百八十日程度運航しておるわけでございますが、海洋科学技術センターの研究船は年間二百七十日から三百日ということで、航海日数が大分多いということもございまして、こういった違いがございますので、先生御指摘になりましたような数字の違いになっておるということでございます。
 それから、今後の運航費がどういうふうになるかという御質問でございますけれども、新設されます海洋研究開発機構、合計で七隻の研究船を保有することになるわけでございますが、これを一元的に運航していくわけでございまして、それに必要な運航の費用につきましては、運営費交付金という形でしっかり確保していきたいというふうに思っております。
石井(郁)委員 では次に、学生支援機構について質問をさせていただきます。
 機関保証の保証料の問題なんですね。前回、当委員会でもこのことが審議になりまして、保証料のシミュレーションということが出されたと思うんですが、このシミュレーションで回収率というのは何%で計算されているか、お聞かせください。
遠藤政府参考人 シミュレーションでございますから、いろいろな設定を仮にしておるわけでございまして、機関保証制度の加入割合、あるいは機関保証における代位弁済率、機構における回収率等によって変わってくるということで、例えば約半数の人が加入したというようないろいろな仮置きをしてという前提で、前回、保証機関における毎年の債務額については、約〇・五から〇・六%程度の保証料年率になるのではないか、こう申し上げたところでございます。
 この仮置きの中で、回収率でございますけれども、現在の日本育英会における回収実績を踏まえた実績の数字でやっておりまして、具体に言いますと、日本育英会における回収実績といいますのは、正常債権に係る当該年度に回収を要する額のうち当該年度に回収した額の割合ということでございまして、平成十三年度の実績でいいますと、無利子の貸与で九二%、有利子の貸与で九三・七%となっておりますので、今回のこのシミュレーションにおきましては、九三%という数字を使って計算をしたところでございます。
石井(郁)委員 わかりました。
 そのシミュレーションの中で、加入の人数、そして代位弁済率等々でいろいろ収支バランスというお話なんですが、私は、返還率とか回収率が一%違ってもやはり相当な違いになるんじゃないかということを、ちょっといろいろ計算してみましてそう考えているところでありまして、この返還率、回収率の問題というのは非常にやはり重要だというふうに考えているんですね。
 そこで、ちょっと回収率のことで伺うわけですが、独法化になりますと、評価委員会で一定評価されていくわけですから、単年度の回収率を上げるというようなことがやはり評価に求められるんじゃないのかという心配なんです。心配に終わったらいいのかもしれませんけれども。だから、そうなりますと、やはり取り立てということが非常に求められるということになります。その結果、担保力のない人には貸さないということが起こるかもしれない。
 そこで、回収率というのは評価項目に入るのか入らないのか、ここはちょっと明確にお答えいただきたいと思います。
遠藤政府参考人 奨学金事業の業務を実施するに当たりましては、業務の内容、性格に応じた適切な目標を設定するということが必要だと考えておりまして、奨学生からの返還金が次の世代を育成する資金として循環運用されているということを踏まえますと、回収率というのは大事な視点だというふうに考えておるわけでございます。中期目標の設定に際しましては、この観点からの検討が必要である、こう考えておる次第でございます。
石井(郁)委員 はっきりとそのようにおっしゃっていただいて、話が進むかもしれません。
 そこで、先ほどの回収率の計算方法なんですね。これはぜひ遠山大臣に伺いたいんですが、累積計算でやっていくと九八%、しかし、単年度計算にしていくと違うわけでしょう。この問題でいいますと単年度計算はなじまないという大臣の御答弁があったかと思うんですが、そうすると、これは企業会計にはならないんじゃないかというふうにも思うんです。しかし、事は奨学資金という教育の一環として行う問題ですから、回収率というのは、単年度計算ではなくて累積計算ということでおやりになるということでしょうか。
 しかし、前は、累積計算九八%という数字が出ていたんですが、今度は、きょうお伺いすると、それはどこかへもう消えてしまって九三%ということになっているんです。それは一体どういうことなんでしょうかということもお聞かせいただきたい。
 それから、中期目標に回収率が入るということですから、中期目標についてはやはり大臣が定められるわけですし、評価委員会の意見を聞いてということにもなるわけですから、ちょっとこれはぜひ大臣の御答弁をいただきたい。
遠山国務大臣 これまでの回収状況ということでございますと、累計による回収率九八%ということで、かなり高いなというふうに私も思います。ですから、その年度の中に返してもらわなきゃいけないのだけで比率を考えますと、それは低いわけでございますけれども、少し長い目で見ればちゃんと回収できているということで、そういうふうな運用ということの効果というのも考えていかなければいけないと思いますけれども、逆にまた、いつまで待っていれば九八%になるのかわからないというような状況でも困るわけでございまして、やはり返されるべきものは返されて、そして回転させていくということになりますと、短期的にもある程度その回収率というものを見込んでいかなくてはならない。
 委員の御指摘のような奨学金制度の問題もございまして、その辺は、今、クリアカットにいくかというふうなことを申し上げる段階ではないと思いますけれども、十分その辺も考慮しながら、しかし、努力目標としては、回収すべきものがある程度の期間に回収されるというふうな方向で考えていくというふうに思っております。
 ですから、それは、移行後におきましても、利用目的などに応じて長期と短期の回収率というものを適切に使いながら、返還回収業務を適切に実施していく、それは、考え方を今の段階で述べさせていただきます。
石井(郁)委員 どうもそれだと何かわかりにくいんですよね。長期と短期といったら、そうかなというふうには思いますけれども、一体、単年度主義でいくのか累積計算でいくのか、そこら辺は非常に重大な問題だということが一つと、それから、最初の九三%の回収率というのは、それがスタートの回収率の考え方になる、それはどっちのことで計算しているんですか。単年度ですか、累積ですか。
遠藤政府参考人 すべて返してもらった額についての率をやると、全部同じ回収率という言葉で言っているものですから、若干わかりにくいところがあるんですけれども、短期、長期のことでいいますと、絶対額の、いわゆる返還期日を一日でも過ぎた滞納している額という意味では、三百五十六億円というのは、長期でも短期でも実は一緒なんです。ただ、それを何と比べて回収率というかによって、大きな数字になったり小さな数字になったり、短期だ、長期だ、こういうことになるわけでございまして、それは、目的に応じて、こういう場合はこの数字を使った方がはっきり事の性格がわかるというようなことで、その数字というのをこれから使っていくというふうにしたい、こう思っておるわけでございます。
 それから、九三%でございますけれども、これも、要するに、シミュレーションする際の現実の動きをどうとらえたらいいかということで計算の仮置きの数字に使っておるわけでございますけれども、これは、当該年度に発生した債権といいますか、滞納債権について、回収額を要回収額で当該年度の分として計算をした、こういうことでございます。ここに数字があるのですけれども、言葉で言うとなかなか難しいものですから、そう言わせていただいております。
石井(郁)委員 この問題はやはり重要でしょう。だって、学生が借りる場合に保証料を払うわけですから、保証料が幾らなのかということにかかわるわけでしょう。前回のシミュレーションでは、二百万円借りた場合、保証金七万四千円と出た、それを年に割って月に割ったら千七百円だと。しかし、これが回収率によってどう変わるのか。そのときの計算方法、基準は一体どうなのかというのは、さじかげんで決められたら困るわけですよ。
 やはり、委員会にきちっと出してほしい。そうでしょう。そのことを言っているのは当然じゃないですか。だから、あなたは言葉で言うのは難しいと言うのなら、では表で出してください。数式、本当に表で出してください。こんなことでやりとりする時間はありませんけれども、それがわけがわからないでは全然困りますよ。どうやって学生にそれを説明できますか。説明できないでしょう。だから、それはきちっと出してください。その点では、とてもだめです。そして、単年度主義でもなければ累積計算でもなければ、何かわけがわからないという状況ですから、こんなことでは困りますよ。厳しく求めておきたいと思います。
 それから、そのことに関係してですが、だから、保証料というのはやはり変動するわけでしょう、収支バランスや回収率等々で。その場合に、ウナギ登りでも困るわけで、上限というのがやはりあると思うんですよ。それを示さなきゃいけない。どうですか。前回、上限についても省令にはなじまないということで法律事項に入らないことになっているわけで、そうすると、ますますここではっきりさせてもらわなくちゃ困るわけです。
 ですから、これは、ある私立大学に通う学生がこんなふうに言っています。僕の友達で親が自己破産している人がいる、自己破産というのはすべての信用がゼロになるわけですから、金を貸す人はいないと。だから、そういう人にとって奨学金というのは最後のとりでですよね。そういう人が機関保証を選ぶわけですよ。だから、もう連帯保証人もとれない。あなた方が言っているように、連帯保証ではない、人的保証じゃない、こういう制度がいいんだいいんだと言うけれども、では、こういう人にとってこれは救いの奨学資金になるのかどうかという問題でしょう。
 ですから、私は、保証料の上限というものをここできっちり示してほしい。示せますか。
河村副大臣 保証料の問題、私も、この制度を入れるについて、いろいろ議論といいますか話し合いの中で、どういうふうにこれから制度設計をするんだということで、ただ、基本的にこれを選ぶか選ばないかというのは学生の選択に任せているわけですね。ただ、今おっしゃったように、もうこの道しかないという方がおられる、それをどう救うかという意味があると私は思うのです。
 だから、この機関は、いわゆる公益法人的な、要するに、これで利益を上げるとかなんとかということは一切なしということでありますから、それで請求をしなきゃなりませんし、やはり利用しやすいようにしようとすれば、できるだけ抑えなきゃいけません。抑えなきゃいけませんが、その辺の制度設計は、これはやはり収支のバランスといいますか、マイナスでどんどんこれをやったために赤字になってやっていけないということでは困るわけですから、その辺のバランスはとってもらわなきゃなりませんが、この辺はやはり今度の新しいこの制度を入れるための保証機関でしっかり考えていただかなきゃならぬのではないかと思いますので、文部科学省の方で何%でどうしろというよりも、この制度設計をきちっとしてもらう。
 大体、計算していくと、どのぐらいの方が入ってこられるかによって決まっていくわけですね。それから、ある程度、代位弁済が万一起きる場合というのは相当先でありますから、その辺も見きわめていかなきゃなりません。これは私の私見でありますが、こういう保証機関というのは、基金があって出捐金があってというのが本来考え方の中になきゃならぬと思います、経済行為の一つになりますから。そういうことも今後考えていかなきゃならぬ。
 この制度設計をして、当面どのぐらいの方が必要とされるか、今後代位弁済がどうなるかということも踏まえながら、当面、まずこの機関を立ち上げておいて、利用の状況を見て、やはりこれは我々文部科学省も支援をしていかなきゃいけない制度だと思いますので、その時点でそれは考えていきますが、保証金が高過ぎてこれではとてもということにならないような制度設計は、これからできていくときに、もちろんその機関でしっかりお考えいただくことでありますが、これではというものが出てきた場合にはやはり我々も物申さなきゃいけない、こう考えております。
石井(郁)委員 保証機関というのができる、そしてそれは保証金で成り立っていくということですよね。そして回転して、資金を運転していくということなんですが、しかし、どうも、回収率のさっきの話を聞いてみると、私は、保証機関、いろいろ穴があくんじゃないのかなというふうに思わざるを得ないんですよ、少し計算してみたところが。
 それで、ちょっとその点の心配で伺うんですけれども、保証機関に債権が移る、しかし、その債権をさらに外部に譲渡するというようなことはありませんか。
 つまり、学生支援機構で処理できなかったから保証機関に移っているんだけれども、保証機関でも回収は学生支援機構と同じだというふうに今政府の方はおっしゃっているわけですけれども、だけれども、それはちょっと単純に過ぎるんじゃないか。それだったら支援機構でやればいいので、何で保証機関をつくるのかということになるわけですから。それで、結局、保証機関をつくっても回収が難しい、そうなったら外部へということになりはしないかなということはいかがですか。絶対ならないなら、ならないとおっしゃってください。
遠藤政府参考人 保証機関が返還請求業務を行うことになりますのは、学生が大学等を卒業した後に一定期間以上滞納した場合に限られまして、その場合、保証機関は返還金の確保を図るということが必要になってくるわけでございます。
 ただ、奨学金事業につきましては、教育施策の一環としてやるということでございますので、返還の猶予、免除といったような仕掛けもあるわけでございます。したがいまして、こういった奨学金事業の趣旨を踏まえますと、現在の金融機関等のように、回収のために外部に債権を譲渡するといったようなことは考えておりません。
石井(郁)委員 そこで、私、ちょっと角度を変えまして、そもそも奨学金とはということで一点伺っておきたいのです。
 今回、奨学金を借りるための担保として保証料という考え方を入れたと思いますが、そのいわば哲学というか考え方として、新たな学生支援機関の設立構想に関する検討会議、その報告の中で、十八歳以上自立型社会というようなことが言われていると思うんです。その座長の奥島さんが参議院で参考人として陳述をされまして、それを読んでおりまして私はちょっと驚いているんですが、こういうふうにおっしゃっていました。「この社会は」「自己責任型の社会でありますので、それに応じた奨学金システムということになりますと、基本的には給付ではなくて貸付けという形を取る必要がある」、それが公平だというふうにおっしゃっているんですね。
 私は、大学生が数百万円の借金を背負うことがどうして自立なのかということをまず単純に思いますが、こういう考え方は、経済的弱者への救済という奨学金の基本理念、経済的な心配をしなくて進学できる、それを公的に、国として教育の機会均等を保障するための奨学資金という考え方をゆがめるものではありませんか。その辺はぜひ副大臣にお答えいただければと思います。
河村副大臣 この考え方、今の時代、どう考えていくか。高い教育を受けたら高い収入があるとここにも書いてありますが、これが必ず約束されるかどうか、これは保証の限りでないと私は思いますけれども、しかし、やはり自分で、みずからそういう思いで、教育はみずからにかける自己投資だという考え方が私はこれからあっていいんじゃないだろうか、こう思うんです。
 奨学金も、確かに、おっしゃるように、本当に経済的に困っている方々、それで勉強したいんだ、そのために経済的な不足が勉強を妨げるということがあってはならぬというこの奨学の一番の基本概念、これはきちっとやりながら、しかし、さらにできるだけ多くの皆さんに奨学金を受けていただくという方向を考える点からも、この有利子の制度をつくっていく、そして、みずから、自分で借りたものは自分で返すんだという考え方を持っていくということ、そのことは私は決して悪いことじゃないと思います。
 保護者の皆さん方ともいろいろお話をする中で、非常に最近教育費が高いということ、あるいは、少子社会のアンケートをとると必ず教育費の話が出てくる。やはり奨学金をもっと借りやすくして、そしてそれは自分で払ってくれる、そういう考え方は非常に好ましいことだというのは親の方も考えておられるわけでありますから、そういうことで、十八歳以上自立型社会をつくっていくというそのものは間違っていない、私はこう思います。
 だけれども、そういうことができない、本当に困っておられる方々に対して支援をするということの考え方と、十八歳以上自立型社会をつくっていこうという考え方をこの奨学金の中に入れていくことそのものは、これはやはり奨学金制度というものを広げていく意味で有意義ではないか、私はそう考えておるんです。
石井(郁)委員 この問題はこれとしてきちっと議論しなければならないんですけれども、きょうはもう時間が迫っておりますので、ここまでにいたします。
 きょうは、もう一点、返還免除制度、前回もお聞きしましたけれども、法案では、「在学中に特に優れた業績を挙げた」人にという、ここまで書かれているわけですから、それはどういう選考基準になるのかということを明確にしていただかないと、これはもう審議の前提だと思うんですね。それが全然出されない。私は、こういうやり方というのは、法案審議として本当におかしいと思いますよ。そして、もしここで明確にできないんだったら、なおこれは恣意的な選考基準になると言わざるを得ません。
 選考基準について、これはもう時間がありませんので、私はペーパーでお出しいただきたい。支援機構がどういう選考基準で特にすぐれた者ということをやるのかということ、それはぜひペーパーで提出していただくように要求いたします。
 きょうはもう本当に時間ですので、最後の一点ですけれども、今回の法案というのは、戦前からある、もう六十年になろうとする日本育英会、これを廃止する、そして学生支援機構に統合するという法案なわけですけれども、なぜ今の日本育英会ではだめなのかということについては、私も今初めて問いかけるわけですから、審議で明らかにされていません。
 答弁の中では、奨学金制度は今までどおり継続をする、しかも充実をしていきたいということもおっしゃっておられるわけですね。そういうふうに言えば言うほど、なぜこれは廃止なのか、廃止の理由がないじゃありませんか。この一点、明確にお答えください。大臣にお願いします。
遠山国務大臣 今回の特殊法人改革、これは全体の政府の大きな方針のもとで動いているものでございまして、重要な国家機能を有効に遂行するにふさわしい簡素で効率的、透明な政府を実現するという行政の構造改革の一環でございまして、改革に当たっては、廃止または民営化を含めた見直しということで強く進められたところでございます。
 私どもといたしましては、日本育英会を廃止するなんというのはとんでもない、民営化にもなじまないということで、独立行政法人化の道を選んでおりまして、しかも、その機に、むしろ、これまでばらばらなところでやっていた学生支援のさまざまな仕事を統合して、窓口を一本化していく、その際に奨学金の充実を図るという政府方針を前提としているわけでございます。
 そのようなことで、政府全体の動きの中ではございますけれども、学生支援関係の窓口が一元化されて、その総合ネットワークが構築されて、学生にとってわかりやすく、質的にも充実した支援が行われるということをねらいとしているわけでございまして、独立行政法人化によって、弾力的、効率的で透明性の高い運営を行っていかなくてはならないと思います。
 その際、新しく移行しようとしている機構が、独法のメリットを最大限に生かしながら、奨学金事業自体は、これまでの無利子奨学金それから有利子奨学金はしっかりと維持して、国民の期待、ニーズにこたえていく、そのような姿勢で臨んでおります。
石井(郁)委員 もう一言だけですけれども、私は、学生の声に改めて耳を傾けたいというふうに思うんです。先ほども言いましたけれども、やはり、就職できないとか、これから自分の将来が心配だとか、いろいろなことで、申請したくとも申請できない、こういう人たちがこの中では救えないではないかという問題があります。日本の学費は世界一高いという中で、奨学金制度がいかに本当に学生にとっての命綱かということは、もう強調し過ぎることはないというふうに思うんですね。
 今回の制度というのは学生を借金漬けにしますので、これは奨学金の本来の姿をゆがめる。育英会を独法にするのではなくて、奨学金制度を充実すべきだということを申し上げて、きょうの質問を終わります。ありがとうございました。
古屋委員長 中西績介君。
中西委員 私は、海洋研究開発機構のことも思ったのですけれども、前回からの質問をずっと聞いておりまして、まだまだ多くの問題があるということで、この次に、同僚に譲るといたしまして、今まで討論されてきた内容等を含めまして論議をしたいと思います。
 先般、三十日の本委員会で、時間の関係から、答弁を本日求めるようにいたしておりました。この点について、二点申し上げておりますので、時間の関係もございますから説明はいたしませんが、お答えいただきたいと思います。
遠藤政府参考人 二点のうちの一点につきましては、四つの公益法人の職員二百二十三名の配置先についてのお尋ねが一点目だと理解しております。
 この点につきまして最初にお答えさせていただきますと、独立行政法人の日本学生支援機構の設立に当たりましては、留学生関係公益法人から業務が移管されるということに伴いまして、当該公益法人の職員が日本学生支援機構に移行するとともに、独立行政法人には引き継がれない業務を承継します公益法人にも一部職員が移行するということになっているわけでございます。
 具体的に申しますと、留学生関係四公益法人の職員二百二十三名のうち、日本学生支援機構へ移行する職員の数につきましては、約百五十名程度を想定しております。また、継承公益法人に移行する職員数につきましては、数十名程度と想定をしておりますが、法人の規模等が現時点でははっきりしていないということで、具体の人数については未定ということでございます。
 職員の移行に当たりましては、それぞれの法人に移管される業務との関連を踏まえながら、それぞれの職員が各法人で担当している業務、適性、勤務地及び本人の希望等を考慮して各法人において適切に対処することになると考えておる次第でございます。
 機構及び継承公益法人のいずれにも移行できない職員がおります場合には、大学等関係方面への雇用の働きかけを行うことによりまして、職員の雇用の安定に十分配慮してまいりたい、こう考えておる次第でございます。
 もう一点のお尋ねでございますけれども、継承公益法人の事業はもともと補助金によって運営されていたわけですけれども、今後はその運営で大丈夫なのか、こういうお尋ねかと思います。
 現在、留学生関係公益法人におきまして、補助金を受けて実施されております留学生宿舎の設置、運営業務、留学情報の収集提供業務等につきましては、これは日本学生支援機構の設立に当たりましてこの機構に移管するということにしておるわけでございます。
 それから、冠奨学金事業、あるいは学生教育研究災害傷害保険事業、日本語教育能力検定試験といった、独立行政法人で実施する必要性はないものの公共性、公益性が高い事業につきましては、その実施の必要性を検討した上で、一つの公益法人において引き続き実施されるということで関係法人の間で今検討が行われているということでございます。
 これらの事業につきましては、ほとんどが、従来から補助金を受けずに実施されてきたものや、検定料あるいは手数料収入があるということでございまして、継承公益法人におきましても、経営努力を図ることによりまして、補助金を受けることがなくても安定して事業の実施が図られるということになるというふうに考えておる次第でございます。
 以上でございます。
中西委員 そうしますと、シミュレーションによる資産の配分をするということを聞いておりましたけれども、今説明をしましたように、その分が収入のある部分として一つのシミュレーションをしていったということになると思います。ということになりますと、将来不安のない、責任ある体制というのは、これは論をまたないわけでありますから、この点について十分勘案するように措置をしていただきたい、こういう点について、よろしいですね。
 それでは次に、学生支援機構法案について、先般から基本理念の問題等について触れてまいりましたが、これまで、大臣の答弁なり、あるいは御存じのように検討会議における奥島座長発言なり、清成日本育英会評議員の発言なりなどを見てみまして、まだ私すとんと落ちませんので、この点についてお聞かせをいただきたいと思います。
 そもそも、十八歳以上の自立型社会を目指し、大学生が数百万円の借金を背負うことが自立なのかということを私は疑います。
 そういう視点から、先般、大臣は、国民の期待、社会のニーズに一層こたえられる法人となるよう努めたいと言っております。ところが、検討会議の奥島さんは、ちょっとピントが外れていると思うんですけれども、私が学生時代だった昭和三十五年当時から見れば、現代は奨学金制度も充実し、経済的な理由で進学が困難という事態はあり得ない、意欲と能力さえあれば進学できるという発言をなさっておられますね。随分これは時代的な錯誤があるんじゃないかという感じがするわけであります。
 そういう点とあわせ考えていったときに、ささやかれておるようでありますけれども、大学法人化により学費を最低三五%くらい値上げするんじゃないかという声が聞こえてくる。あるいは法科大学院の場合は年間二百万円以上の授業料などをというようなことが聞こえてくるわけであります。こういうことになってまいりますと、深刻な現不況下におけるアルバイトもないいろいろな諸条件の中、こうした状況で苦しんでおる学生の実態を全く奥島さんなんかは理解していない、こういう人たちが推進役になってこうしたことをやっていった。
 こういうことを考えますと、従前から私が指摘しておりますように、国際人権規約第十三条二の(b)及び(c)、これについて政府は回答をいたしています。今は言いません、時間がありませんから。それから、大臣は、先般、「教育の機会均等ということで、奨学金の制度を十分にこれからも充実をし、やっていこう、そういう姿勢を述べて留保しているわけでございます。」ということを答弁したんですね。ということを考え合わせてまいりますと、これは今まで推進をしてきた内容に大変な矛盾があり、しかも大臣の答弁は、こういう指摘がある中に日本政府の答弁の正当性を述べられておるわけであります。
 私は、少なくとも今もう少し考えるべきことは、一つは、学生支援組織は、先ほどもどなたかがやっておりましたように、最低五十万人も希望を出しておるんだということも含め、数をどう増加するかという問題、それから、私は給付を望むんだけれども、給付とは言わないけれども、無利子貸与の拡大。これは、十一年度から有利子がどんどん拡大していった。特に十五年度はその拡大は著しい。このことはもう御存じのとおりです。ですから、それとあわせ現行の免除・猶予制度の存続とをさらに拡大をしていくということが、国際的にも先進国の中で最低だと言われる我が国の奨学制度、これに努力をしておるということを示すことになるんじゃないかと思うんです。
 こういう状況をどう打開するかという将来的な展望というものを出していただければ、まだ私たちも、どういうふうな願いあるいは期待を実現できるんだ、こういうことを理解できるんですけれども、今の経済状態における不況の状況だとかいろいろなことを全部総合的に考えた場合、現状ではむしろマイナスになっていく、こういう感じがするわけですね。答えてもらいたい。
遠山国務大臣 いろいろなことをお話しいただきましたのでございますけれども、奨学金事業の重要さという点では、私どもも中西委員も同じ考えでございまして、しかし、白紙に絵をかいて全く新しい制度をつくったり、あるいは物すごく潤沢な予算があって何かするという状況でございませんで、これまで積み重ねてきたいろいろな努力を前提にしながら、今後どうしていくかという見通しを立てて、それを着実に実行していくという段階であろうかと思います。
 貸与人員の増加という角度から見ますと、これも毎年度充実を図ってまいっておりまして、本年度予算におきましても対前年度六百二十四億円増の五千七百九十億円の事業費、そして六万八千人増の八十六万六千人の学生等に奨学金を貸与するよう充実いたしました。
 奥島さんのことを引用されましたけれども、恐らく、以前でしたらなかなか借りられなかったけれども、今は手を挙げれば、ほとんどといいますか、かなりの人たちが借りられるようになっているという状況をお話しになったのではないかと思います。
 無利子奨学金につきましても、有利子奨学金につきましても、細かい数字は挙げませんけれども、少しずつ前進してまいっていると思います。無利子奨学金を根幹としながらも、有利子奨学金の場合には、一般会計といいますよりは財政投融資、財投を使えるというようなこともございまして、これは伸ばしやすい。
 ですから、私は、量的な意味でできるだけ手を挙げる人に貸すことができるということをやりながら、そして質的にもさらに貸与の金額を上げていくというような、その辺の政策的なうまいかじ取りをしながら、できるだけ大きな目標に向かって進めていくというのが今日の状況であると思っております。
 その意味におきましては、委員の主張されておりますこれを充実しようというお話と、私どもの努力とにおきましては、方向において私は同じことに向かってやっているというふうに思っております。
中西委員 ですから、財政的に大変困難な中で一生懸命やっているということをこの前からずっと言い続けておるわけでありますけれども、先ほどの同僚委員も財政問題等についても触れておりましたように、実質的にどうなんだということからいうと、少なくともやはり無利子貸与の拡大などということはもう当然過ぎる中身ではないかと私は思うし、ここは全部全く進歩はないんですね。ことしのあれを見ましても、昨年に比べてほとんど変わらないという状況にあるわけでありますから、こうした点を本格的にどうするかということをこれから追求する。そして、そのことが今、文部行政の中から今度は独法の中にどう継承していくか、この方針なり指針を示していかないと、やはり国が財政的には保障するわけですから、そこの前進を見ることができないということになってくるんですね。
 ですから、やはり私は、そうした点で、本当に皆さんが、これは大事だ、教育の機会均等だということを言う、そのことを皆さんがおっしゃらなければいいんだけれども、絶えずそのことについては言っているわけですから、それをどう実現していくか、その拡大というものがここには具体的に示されていない。むしろ有利子ばかりがふえている。こういう状況だから指摘をしておるところであります。したがって、この点、さらに私たちは追及をしていかなければならぬと思っています。
 時間がありませんので次に入りますが、保証機関制度の問題で、先ほどもちょっと問題になっておりましたけれども、保証料の制限、これはどうなっておるか。この前も私は申し上げましたけれども、もともと連帯保証人だとか保証料という担保は本当に必要なのかどうか。
 私がきのう質問をするということで聞いてみたところが、例えば人的保証について、連帯保証人と保証人、二人つけてやるということになるわけでありますけれども、その際に、返済させるのに、保証人あるいは連帯保証人に通知を出し、やらなければならなかった、本人でなしに。そういうことになってくると、その辺はほとんどありませんと、こうなってくる。累計すると九八%の返済があるということになれば、果たしてこういうものが必要なのかどうか。
 教育的なものから考えましても、さっきから言われる本人たちの自立、そう主張をなさるならば、そのことをどう私たちがこれから指導し、そして受給者が本当に自覚そして自立をしていくか、こっちの方に力点を置いていくべきではないかと思うのでありますけれども、この点についてどうなんですか。
 ですから、返済をする場合のあれがわからない。しかも、本人からそれは返されるというふうになっているわけですから。ここら辺はどうなんでしょうか。
遠藤政府参考人 本人から返してもらうということで、連帯保証人、保証人等の仕組みは要らないのじゃないか、こういうお尋ねかと思います。
 現在、奨学金事業でございますけれども、国の責務である教育の機会均等を確保するという観点から、経済的困窮度の高い者ほど優先的に貸与をするということ、それから、学生が卒業後、死亡、心身障害等で返還できない場合には返還を免除する、あるいは病気や被災等で返還困難な場合には返還を猶予する、こういったような配慮を行いながら、この奨学金事業を進めておるわけでございます。
 一方で、返還金を新たな貸付原資の一部として活用して、限られた財源の中で希望する学生に幅広く貸与する必要があるということでございますので、滞納が多いということになりますと、事業の円滑な実施に重大な支障を生ずるのではないか、こう思っておるわけでございます。
 したがいまして、連帯保証人、保証人の制度、あるいは今回新たに設けます保証機関への加入といったような仕組みにつきましては、やはり必要ではないかと考えておる次第でございます。
中西委員 この前から自信を持って大臣も言われているように、九八%の返済率ということですから、あなたが今御心配なさるようなことはほとんどない、こう考えて私は言っているんですよ。では、九八%が心配だと言うんですか。
 ですから、少なくともそれを言う以上、しかも、企業会計がなじまないとかなんとかいうようなことにあるように、皆さんがそういう気持ちであるならあるほど、九八%返済率と言うならば、あなたが今言われた答弁というのは、大変矛盾のある答弁をしておる、私はそう断ぜざるを得ません。ですから、この点はもう少し考えて、これから後やっていかなければならぬと思っているのです。
 それからもう一つ、保証料を〇・五%あるいは〇・六%とシミュレーションしたと言うんだけれども、二百万円借金いたしますと、七万四千円、月にすると千七百円ということになるのですが、この根拠ですね。もし効率化などということを言われるということになりますと、さっきあなたがおっしゃるように返済がどうだこうだということになってくると、返済率、成績が悪いというような指摘があると、これはもう直ちに引き上げるということになるのですか。
遠藤政府参考人 保証料、シミュレーションしていろいろな前提を置きますと、年率〇・五から〇・六%といったような数字を今出しております。国民金融公庫の教育ローンでいいますと、大体これが一%という数字になっておるわけでございまして、私どもの方は、こういう育英事業の趣旨にかんがみまして、できるだけその辺を低い水準でというふうに思っておるわけでございます。
 これはシミュレーションですから、いろいろな数字が変われば若干変動はいたしますけれども、一応私ども、いろいろな現状の数字をもとに計算をしますと、このような〇・五から〇・六%。そして、保証料が年率〇・五%であれば、今委員御指摘のように保証料は約七万四千円程度になりまして、大学の四年間でこれを支払うということになりますと、四年間で月々約千七百円の支払いになるというシミュレーションをしておるわけでございます。
中西委員 そこで、やはり関連で出てくるのは、九八%の返済ですね。ですから、国民金融公庫がどういう返済率をあれしているかわかりませんけれども、そこのいわゆる九八%という安定的なものがあるからこのように低率でということが言えるのじゃないかと私は推察するわけです。ですから、そうであればあるほど、さっきから言うように、連帯保証人あるいは保証人あるいはこの保証料という問題が問題になる、こういう指摘を私はしておるんですよ。
 ですから、そこは本格的に、もうちょっとあなたたちは、国民の皆さんが納得なさる、ここにおられる皆さんも納得なさるように、やはりちゃんとした根拠のあるものを出していかなければならぬと思いますよ。この点は、私はもう時間がありませんから、きょうはここで終わっておきます。
 次に、大学院の新たな免除制度について、この前質問が出ておりましたけれども、ちょっと私、聞き落としておりますが、免除の枠二千四百三十八件の五十一億円の現状水準、これは維持する、保障する、これは約束できるかどうか、これが一点。
 それから、評価の公平性について、今まで何回か論議してきましたけれども、私は、やはりこれは、短期間の研究成果と将来の結果、こういうものによって、評価そのものを短期間にやるということは非常に困難ではないか。ということになると、恣意的なものということにつながるし、あるいは文科省が考えておるものに沿ったものでなくてはならぬということになってくるんですね。これでは評価の公平性なるものが本当に保障できるかどうか。ここはもう少し、この評価のあり方というものについて皆さんが納得いくような答弁をいただきたいと思います。
河村副大臣 まず、新しい返還免除制度で、今、委員御指摘になりましたように、二千四百三十八人の約五十一億円、これを保障できるかというお話でございます。このとり方も、累計で見ると、既に免除を受けた方は九万人、全体の一九・七%、金額は約九百七億円で、全体の一二%でございますし、免除職に就職してまだ免除になっていない方で返還猶予、こういう方を加えますと、全体で十四万六千人、金額は二千五百十億円、こうなるわけでございます。
 そこで、これから新しい制度設計をやる、この検討をいたしておるところでございますが、この規模についてどうするかという問題、この厳しい財政状況の中で、限られた財源を有効に使わなきゃいかぬものでありますから、すぐれた学生に大学院へ進学していただく、このインセンティブをつける、こういうことにとって一番効果的なものはどうだろうかということで今進めておるわけでございます。
 ただ、財政当局から、こういう基本的な認識でいくと、やはり優秀なとか「特に優れた業績を挙げた」、こういうものが、例えば二千四百人、五十億円となりますと、約三割近いものになりますから、そんなにいるものなのか、大体、優秀というのはそこそこ一割じゃないかというような財務当局の話も、プレッシャーがかかってきておるわけでございます。しかし、これはやはり、せっかくここまでつくり上げた制度でありますから、我々の頑張りどころだ、このように考えておるところでございます。
 それから、返還免除を行う場合の評価の公平性、先ほど来からもいろいろ御指摘をいただいておるところでございます。これは、どのような項目にしていくかということを、基本的な手続事項等々、今、機構において検討いたしておるところでございますが、「優れた業績」、この判断に当たっては、大学院における教育研究活動とか、学外における関連する活動の状況、こういうものも多面的にひとつ評価できるようにという配慮が必要でございます。
 おっしゃるように、単に短期間で効果があるものだというだけではなくて、それぞれの研究分野の特性等を踏まえた評価になるように配慮が必要だ、このように思っておりまして、政令等を受けまして、機構において、より具体的な選考の基準等の実施に必要な細目を定めてもらうわけでございますが、大学関係者の意見を十分聴取する、そして公明性、透明性を確保できる、こういう点をしっかり留意した上で制度の設計をつけていかなきゃいかぬ。まさに公平なものになるようにという最大の努力を払う必要があるというふうに考えておるところであります。
中西委員 その点は、皆さんに公開して、だれからも本当に検討したということが評価されるように、我々側から評価されるようにしていただきたい、こう思っていますので、この点は十分注意してください。
 時間がなくなりまして、あと数点残っていますが、まとめてお聞きしたいと思います。
 評価委員会のこの評価によって、奨学金制度の教育的支援が大変困難になるんじゃないかという懸念がしてなりません。
 一つは、何と申しましても、先ほどもちょっと私、触れましたけれども、根拠は、単年度か累計で計算するかということになってくるんですが、大臣は、九八%の返還率で単年度はなじまない、こう発言しておりますが、局長からは、独立法人化後の企業会計になるのではというふうな答弁も出てきておりますから、統一的なものがないんですね。であればあるほど、また不安を覚えるということが一つあります。
 そういう状況にあるだけに、評価基準が不明であるということがまた大変な問題をここに醸し出しておる。固定的な数値目標は何を数値目標とするのか、一般的に考えられるのは返還率のみということになりはせぬかなと私は思うんですけれども、ほかにあるんですか。特に、そうなってまいりますと、滞納率が高いと指摘されると、それに対してではどういう対応をしていけばいいかということが大きな問題になるということが一つあります。
 それともう一つは、企業会計になってきますと、現状からすると、例のように七九%の指摘があったように、そして効率を目指せば担保力のない人には貸さない制度になってしまうという、さっきたまたまそれに近い発言が局長の答弁の中になされておりました。そういうことになってきますと、育英奨学金制度というものそのものを否定する中身になるんではないかということを、先ほどからも何回も指摘されているように、一番心配されるところはそこじゃないかと思うんです。
 特に、報奨金だとか繰り上げ還元制度なんかを廃止するということになりますと、こうすることによって、これは延滞金を取るときにセットで設置されたものなんですね。教育的な見地からということ等もありまして、そういう措置をしていったんです。ですから、この報奨金にしましても、繰り上げ還元金などは、先ほど言っておりましたように、資金としてこれが繰り上げてされるということはそれだけの収入があるわけでありますから、さらに十分な体制が整うということになりはせぬかと私は思うんですけれども、そうした点等についてお答え願いたいと思います。
遠藤政府参考人 お尋ねの点、多岐にわたりますけれども。
 最初に、中期目標でございますけれども、奨学金事業の中期目標につきましては、法人の自助努力による業務の効率化やサービスその他業務の質の向上、財務運営等の観点から、業務の内容、性格に応じた目標を設定することが必要でございます。
 定量的な目標としては、現在、考えられますのは、回収率ということが想定されるわけでございますけれども、このほかの、申請手続の簡素化、給付手続の迅速化、奨学生に対する指導状況、奨学金制度に関する広報の充実など、奨学金事業の性格に即した定性的な目標もあわせて設定するということによりまして、適切な中期目標となるよう検討していくことが必要だ、こう考えておる次第でございます。
 それから、もちろん回収率の目標を設定する場合におきましても、奨学金事業は教育の機会均等の観点から教育施策の一環として行っているものでございまして、そういった配慮も必要だというふうに考えておる次第でございます。
 それから、担保能力のない人に貸さないような形になるのではないかという御心配でございますけれども、この奨学事業については、むしろ経済的に困難な人を優先的に対象として奨学金を貸与するということでございまして、もちろん、これの返還金で事業が動いているということでございますから、返せる人には返していただくというのは基本でございますので、それはそれとして、そういう仕組みをしますけれども、貸すということにおきましては、経済的に困難な人を優先という、担保能力ということではない観点から貸しているのは、これまでと今後も同じだというふうに思うわけでございます。
 それから、報奨金についてのお尋ねでございますけれども、これにつきましては、地方公共団体の公租公課や電気代等の公共料金の取り扱いにおきましても廃止等の見直しが行われているということ、貸与財源として活用することによりまして奨学金事業の充実が可能となること、本来、返還は計画的に返済していただくことが基本であり、繰り上げ返還は健全債権の先取りとなるということなどから、将来の執行に不安定要因を残すことから、現段階においては、そのあり方についても廃止を含めて検討が必要と考えております。
 それから、繰り上げ返還につきましては今後とも維持する予定でございます。
 以上でございます。
古屋委員長 質疑時間が終了いたしております。
中西委員 まだ、今の答弁の中にもいろいろありますけれども、これで終わります。
古屋委員長 次回は、来る六日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時散会


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