衆議院

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第18号 平成16年5月14日(金曜日)

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平成十六年五月十四日(金曜日)

    午前十時一分開議

 出席委員

   委員長 池坊 保子君

   理事 青山  丘君 理事 伊藤信太郎君

   理事 遠藤 利明君 理事 渡海紀三朗君

   理事 川内 博史君 理事 平野 博文君

   理事 牧  義夫君 理事 斉藤 鉄夫君

      今津  寛君    宇野  治君

      江崎 鐵磨君    小渕 優子君

      奥野 信亮君    加藤 紘一君

      上川 陽子君    城内  実君

      岸田 文雄君    近藤 基彦君

      柴山 昌彦君    菅原 一秀君

      鈴木 恒夫君    田村 憲久君

      西村 明宏君    葉梨 康弘君

      萩生田光一君    馳   浩君

      早川 忠孝君    原田 令嗣君

      古川 禎久君    山際大志郎君

      大谷 信盛君    加藤 尚彦君

      城井  崇君    小林千代美君

      古賀 一成君    須藤  浩君

      高井 美穂君    土肥 隆一君

      鳩山由紀夫君    肥田美代子君

      牧野 聖修君    松本 大輔君

      笠  浩史君    富田 茂之君

      石井 郁子君    山本喜代宏君

      横光 克彦君

    …………………………………

   文部科学大臣       河村 建夫君

   文部科学副大臣      稲葉 大和君

   文部科学副大臣      原田 義昭君

   文部科学大臣政務官    田村 憲久君

   文部科学大臣政務官    馳   浩君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          銭谷 眞美君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          近藤 信司君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         加茂川幸夫君

   文部科学委員会専門員   崎谷 康文君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十四日

 辞任         補欠選任

  今津  寛君     葉梨 康弘君

  小渕 優子君     菅原 一秀君

  城内  実君     原田 令嗣君

  西村 明宏君     早川 忠孝君

  古川 禎久君     柴山 昌彦君

  山際大志郎君     萩生田光一君

  鳩山由紀夫君     大谷 信盛君

  横光 克彦君     山本喜代宏君

同日

 辞任         補欠選任

  柴山 昌彦君     古川 禎久君

  菅原 一秀君     小渕 優子君

  葉梨 康弘君     今津  寛君

  萩生田光一君     山際大志郎君

  早川 忠孝君     西村 明宏君

  原田 令嗣君     城内  実君

  大谷 信盛君     鳩山由紀夫君

  山本喜代宏君     横光 克彦君

 

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一二六号)

 文化財保護法の一部を改正する法律案(内閣提出第八七号)

 私立学校教職員共済法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四八号)


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     ――――◇―――――

池坊委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

池坊委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省生涯学習政策局長銭谷眞美君及び初等中等教育局長近藤信司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

池坊委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

池坊委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫でございます。

 まず最初に、質問をさせていただきます。

 これまで、いわゆる公立学校と言われるものはお上がつくるもの、こういう意識がございました。教育委員会、そして地方行政制度の中でそういう意識が培われてきたわけですが、今回の、我々、コミュニティ・スクール、コミュニティ・スクールと言っておりますけれども、学校運営協議会を設置するというこの内容は、ある意味でこれまでの公立学校の制度を根幹から変えるものと我々認識をしております。

 そういう意味で画期的な法案だと思いますが、まず、今回この学校運営協議会を設置するというこの法律の目的について、お伺いするものでございます。

 教育改革国民会議十七の提言の一つでありますし、また総合規制改革会議でも、国と地方における教育の役割という観点からも提言があるものでございます。そういう提言や答申との関連も含めて、今回の法律の意義、目的をまず最初に明らかにしていただきたいと思います。

原田副大臣 文部科学省といたしましては、これまでも、信頼される学校づくりに向けまして、学校裁量の拡大、校長のリーダーシップ強化、教職員の資質の向上、さらには開かれた学校づくり、こういう理念のもとに数々の改革に取り組んできているところでございます。

 一方で、社会環境が学校の改革を上回るスピードで変化をしております。また、保護者や地域住民の学校に対する要請、御意見等がこれまでになく多様化、高度化しているところであります。

 このような状況に的確に対応するために、公立学校教育に対する国民の信頼にこたえていくために、地域住民や保護者のニーズを学校運営により一層的確に反映させる仕組みが必要だ、こういうふうに考えているところであります。

 このため、先生御指摘のように、文部科学省といたしましては、教育改革国民会議、中教審、総合規制改革会議の答申等を踏まえて、地域住民や保護者等が学校運営協議会を通じて、一定の権限を持って学校運営に参加することを制度上可能とするための法律改正を必要とする、こういうふうに考えるに至ったところであります。

 今回の法改正を通じまして、校長と地域住民や保護者等とが共同して学校づくりを行うとともに、より透明で開かれた学校運営を進め、地域に信頼される学校づくりが実現されることを期待するものでございます。

斉藤(鉄)委員 我が党もそうですが、各党のいわゆるマニフェストの中にも、コミュニティ・スクールを実現するという内容が盛り込まれておりました。今回は、先ほどの法改正の目的でコミュニティ・スクールという言葉はありませんでしたけれども、いわゆる我々が言うところのコミュニティ・スクールだ、こういうふうに解釈をしてよろしいでしょうか。

原田副大臣 コミュニティ・スクールという外国の考え方があることを私ども伺っておるところであります。必ずしも概念がはっきりしないところもありますけれども、少なくとも学校の教育方針、さらには運営のあり方、これについて地域の住民、保護者等の考え方、参画、これをどれだけ積極的に取り入れるか、またそれを実際の運営にあらわしていくか、こういうところであります。

 恐らく一〇〇%そうしろという考えもあれば、従来の学校運営に対してできるだけそれを参考意見として取り入れる、いろいろな考え方があろうかと思いますが、今回の法律案は、少なくともそういうことを念頭に置きながら、現在の学校教育、公教育、これの中にできるだけいいところを取り入れていこう、こういう考え方から今回の法改正になったというふうに理解しております。

斉藤(鉄)委員 よくわかりました。コミュニティ・スクールに向けてのまず大きな第一歩、こういうふうに考えたいと思います。

 それで、このコミュニティ・スクールについて、平成十四年度から、九校のモデル校を指定して、新しいタイプの学校運営のあり方に関する実践研究がされてきたわけですけれども、このモデル校における実験、これをどう総括し、評価し、そして今回の法案にその総括が盛り込まれているか、この点についてお伺いをいたします。

原田副大臣 おっしゃるように、平成十四年度から、公募により全国七地域九校を指定しまして、そこで新しいタイプの学校のあり方について実践研究を行ったところであります。

 先ほど斉藤委員がお話しになりましたように、コミュニティ・スクールという概念はだんだんわかってきたにしても、私ども日本人にとってはこれは全く初体験でありますから、やはりしっかりと事前の研究といいますかテストをやっておくべきだ、そういう観点からこの実践研究になった次第であります。

 全国七地域九校を指定して、じっくりと検討を進めたところであります。各実践研究校におきましては、学校や校長の裁量権の拡大の問題、協議会などの推進体制の整備の問題、地域と学校の連携の推進の問題、教育課程の弾力化の問題などのそれぞれの個別のテーマに基づいて、しっかりと検討をしたところであります。

 そして、その成果といたしましては、校長の公募など地域住民の要望を踏まえた人事が行われ、学校運営に地域の支援がしやすいようにしたらどうかとか、教育課程への保護者等の要望の反映が容易になった、地域住民の協力により学校における外部人材の活用が進んできた、さらには、学校を拠点とした地域活動が活発になってきた、こういうものが、この二年間でありますけれども、だんだんわかってきたところであります。

 こういうような実践校での研究の成果、これを踏まえて、私どもは今回の法案提出に当たったわけでございます。

 その具体的な内容としましては、詳しくはまた後で法案の審議がなるわけでありますけれども、例えば学校運営協議会の機能、校長や教職員人事に関して、学校運営協議会が任命権者に対して意見を述べることができるような仕組み、学校運営協議会と校長の役割分担、こういうような制度設計を検討する上において、先ほどの成果を生かしてきた、こういうふうに考えております。

斉藤(鉄)委員 わかりました。

 それでは、今回の改正案、非常に短い改正案でございますので、ちょっと一つ一つやっていきたいと思います。

 最初の第四十七条の五、ここでは、「教育委員会は、」ちょっと中略をいたしますけれども、「学校の運営に関して協議する機関として、当該指定学校ごとに、学校運営協議会を置くことができる。」まずこれが最初の条文でございます。教育委員会は、学校運営協議会を置くことができる。

 まず、確認ですが、ここの教育委員会というのは市町村の教育委員会ということだと思いますが、その確認と、それから、置くことができるということは、置く学校と置かない学校が出てくるわけでございまして、置くことの指定要件というものがあろうかと思いますが、これも各教育委員会が独自に決めるということなんでしょうけれども、文部科学省として一定のガイドライン等をおつくりになるのかどうか、その指定要件についてお伺いします。

 それからもう一つは、私は、学校運営協議会の独自性、権限を強化するべきだという持論を持っておりますので、これから私が言うことはちょっとそれに一見矛盾しているようなんですけれども、置いたところと置かないところ、学校運営協議会は、先生の任用についても意見を言うことができて、それを尊重しなきゃいけないということが後で出てきます。そうしますと、学校運営協議会を置いている学校にはいい先生が集まって、置いていないところが吹きだまりになるというふうなことを心配する向きもあるわけでございまして、この点についても含めてお伺いいたします。

近藤政府参考人 お答えをいたします。

 先生御指摘の、まず第一点の第四十七条の五の第一項の教育委員会でございますが、市町村立小中学校につきましては、当然これは市町村の教育委員会ということになりますし、仮に県立の高等学校などを指定するというときには都道府県の教育委員会、こういうことになるわけでございます。

 それから、どの学校に学校運営協議会を設置するかについて基準とかガイドラインを示してはどうか、こういうお尋ねでございますが、この学校運営協議会の設置につきましては、各教育委員会におきまして、学校や地域の実態などを十分に踏まえ適切に判断されることが望ましい、こう考えておるわけでございまして、その設置の手続につきましては、各教育委員会において定めることにしておるわけでございます。

 今回のこの制度の創設に際しましては、各教育委員会に対しまして、学校運営協議会制度の円滑な導入に向けて必要な留意事項等を、この法案を成立させていただいた場合には施行通知などを出すことを予定いたしておりますけれども、そういった中で必要な留意事項等についてお示しし、また助言もしてまいりたいと思っております。

 それから、三点目の人事の問題でございますが、先生御指摘になりましたように、今回の法案で、学校運営協議会が人事について意見を言うことができる、こういう規定があるわけでございます。

 任命権者である教育委員会におきましては、学校運営協議会から出された指定学校の教職員の人事に関する意見につきましては最大限尊重をする、こういう必要があるわけでありますが、具体の任命権の行使に当たりましては、当然この任命権者は、その域内の学校につきまして教職員配置のバランス等についても考慮し、その任命権を行使するものでございまして、学校の指定にかかわらず、任命権者である教育委員会においてその適切な対応をしていただく、こういうことを期待いたしておるところでございます。

斉藤(鉄)委員 その最後の点に関しましては、後でちょっとまた質問をいたします。人事について意見を言う、その意見を尊重しなければいけないということと関連して、もう一度後で質問をいたします。

 次に、第三項ですけれども、指定学校の校長は、運営についての基本的な方針を作成し、そして「学校運営協議会の承認を得なければならない。」とあります。

 そうしますと、ここで校長がつくった基本的な方針が学校運営協議会の承認を得られない、対立するという場合も当然想定されるわけでございまして、その場合の調整の仕組みということも考えておかなくてはならないと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

近藤政府参考人 お答えをいたします。

 仮に、学校運営協議会と校長の意見が一致をせずに、校長が策定した基本的な方針案につきまして学校運営協議会の理解が得られない場合でありましても、まずは校長は学校運営協議会と十分議論を尽くして、修正等も含め、成案を得るように最大限努力をしなければならないもの、このように考えております。

斉藤(鉄)委員 それでもどうしても対立が解けないという場合もあり得ると思いますけれども、その場合はどうなんでしょうか。

    〔委員長退席、渡海委員長代理着席〕

近藤政府参考人 お答えをいたします。

 そういうことがあってはならないわけでございますが、御指摘のように、それでもなお例外的に、例えば基本的な方針について承認が得られない、そういったような場合は、これは学校運営の基本方針でございますから、やはり当該指定学校の運営に著しい支障が生じるのではないんだろうか、あるいは生ずるおそれがある、そういうことが認められる場合には、この法律案にもそういう規定があるわけでございますけれども、まず教育委員会は、実情を把握した上で必要な指導を行い、それでもなお著しい支障が解消されないということであれば、これは最後のあれでございますけれども、当該学校の指定を取り消し、学校運営協議会を廃止する、こういったことの措置ということも出てくるのではないかと考えております。

斉藤(鉄)委員 ここの校長の基本的な方針を学校運営協議会は承認をするという基本的な考え方は、今回のこの改正が校長の権限も強化するという柱もあるということから考えれば、学校運営協議会は基本的に校長と一体となって、もしくは校長をしっかり補佐するということだと思います。

 したがって、ここの基本的な方針の作成、そして承認を得るというのは、私の考えでは、ある意味では一体となってこの学校の基本方針を考え、そして、その段階ではいろいろな意見の対立もあるかもしれませんが、一たん決まったら、その学校運営協議会はしっかり校長を補佐する、こういう考え方だろうと思うんですけれども、それでよろしいでしょうか。

近藤政府参考人 先生御指摘のとおりでございます。

斉藤(鉄)委員 それでは、次に五項に行きたいと思います。「学校運営協議会は、当該指定学校の職員の採用その他の任用に関する事項について、当該職員の任命権者に対して意見を述べることができる。」第六項が、「指定学校の職員の任命権者は、当該職員の任用に当たつては、前項の規定により述べられた意見を尊重するものとする。」一番肝心なところかと思うんですけれども、学校運営協議会は、校長を含め学校の先生、これは事務職員も栄養職員も含まれるのかもしれません、そういう人たちの採用について意見を言うことができると。そして、指定学校の職員の任命権者、この任命権者というのは、ですから都道府県の教育委員会だと思いますが、意見を尊重するものとするということになっております。

 ここで、第六項の尊重するということの意味ですけれども、拒否することができるのかという点でございます。まず、尊重することの意味を聞きます。

近藤政府参考人 お答えをいたします。

 今回の改正案では、開かれた学校づくりの観点から、地域住民や保護者の要望等につきましてより一層の反映を図っていくよう、学校運営協議会が任命権者である教育委員会に対しまして、教職員の人事について意見を述べることができることとし、教育委員会はこれを尊重する、こういう規定を置いておるわけでございまして、教育委員会は、学校運営協議会が教職員の任用に関する意見を述べた場合には、できる限り意見の内容を実現するよう努める必要があるわけでございます。

 教育委員会は、各学校の実情やその域内全体のバランス等を総合的に判断しながら、学校運営協議会の意見と異なる人事を行う合理的な理由がなければ、基本的にその意見に沿った人事を行うものと考えておるわけでございます。

 なお、その意見と異なる判断をした場合には、どのような理由によるものか、当然、説明責任を果たすことが求められるものと考えております。

斉藤(鉄)委員 よくわかりました。合理的理由がない限りその意見を採用する、そして、採用しない場合は任命権者はその説明責任があるということ、明確になったと思います。

 それで、先ほどの質問にもう一度返るわけですけれども、学校運営協議会がある学校については、一人一人の先生について、採用について意見を言うことができるわけですから、どうしてもいい先生が集まりやすくなるというふうに思います。そういう意味で、私は今の答弁は非常に大事で、そこはもうぜひ死守していただきたいと思います。

 大事な点だと思いますが、先ほど申し上げましたように、学校運営協議会がない学校が、そういう発言権がないがゆえに、人気のない、評価の低い先生たちが集まりがちになる、こういう心配も片一方であるわけでございまして、もう一度この点についてお伺いいたします。

    〔渡海委員長代理退席、委員長着席〕

近藤政府参考人 今回、学校運営協議会から述べられる意見につきましては、繰り返しになって恐縮でございますが、任命権者である教育委員会におきまして最大限尊重する必要があるのでありますが、具体の任命権の行使に当たりましては、任命権者は、域内のすべての学校についての教職員配置のバランス等につきましても考慮し、その任命権を行使するということは当然でありまして、学校運営協議会を置く学校だけが特別扱いをされる、そういうことではないものでございます。

斉藤(鉄)委員 現実には、そのバランスというのは非常に難しいかと思いますけれども、経過を見てみたい、このように思います。しかしながら、学校運営協議会の発言を尊重するという基本的な姿勢については、これは本当に大事だと思っております。

 次に、この五項の中に、「学校運営協議会は、」「当該職員の任命権者に対して意見を述べることができる。この場合において、」中略「市町村委員会を経由するものとする。」当該職員の任命権者に対して意見を述べる、ですから都道府県の教育委員会に意見を述べる、しかし、その意見を言うときに、市町村の教育委員会を経由するものとするというふうに書いてございます。この経由の意味をお伺いします。

近藤政府参考人 お答えをいたします。

 今回の改正案では、地域住民や保護者の教職員人事に関する意向を任命権者に直接に伝えられるよう、県費負担教職員につきましては、任命権者は都道府県の教育委員会でございますから、都道府県の教育委員会に対し意見を述べることができるとしたわけでございますが、市町村立小中学校ということであれば、当然それは市町村の教育委員会が設置者でございますから、市町村教育委員会を経由する、こういうことにしておるわけでございます。

 これはあくまで手続的に経由するということでございまして、市町村教育委員会がその中身を変更するとかそういうことはなく、当該意見がそのまま市町村教育委員会を経由して都道府県教育委員会に伝えられる、こういう意味内容でございます。

斉藤(鉄)委員 ということは、とにかく市町村の教育委員会は、一切そこで自分の意見を言わずに、ただ右から左へということでよろしいんでしょうか。

近藤政府参考人 実は現在、地方教育行政の組織及び運営に関する法律では、都道府県の教育委員会は、市町村教育委員会の内申を待って、県費負担教職員の任免その他の進退を行うと。この制度はこの制度としてもちろん生かすわけでございますが、学校運営協議会から出された意見につきましては、市町村教育委員会を経由してそのまま都道府県教育委員会に伝えられていく、そして都道府県教育委員会は、そういった意見を総合的に判断し適正な任命権の行使を行う、こういうことでございます。

斉藤(鉄)委員 基本的に、それでは右から左へということだと理解をいたしました。

 それから、時間がなくなってきましたので、七項、八項を飛ばしまして九項、「市町村委員会は、」中略「第一項の指定を行おうとするときは、」学校運営協議会を設置する学校の「指定を行おうとするときは、あらかじめ、都道府県委員会に協議しなければならない。」市町村委員会は都道府県委員会に協議しなければならないという条項がございます。この協議の意味ですけれども、ここで県は反対をすることができるんでしょうか。

近藤政府参考人 これを設けた趣旨でございますが、市町村教育委員会の所管に属する小中学校について指定が行われる場合には、当該学校運営協議会は、指定学校の教職員人事に関して意見を述べることができ、任命権者である都道府県教育委員会は、当該意見を尊重して職員の任用を行う、こういうことになっていることでございますから、あらかじめ都道府県教育委員会としては、指定が行われる学校について知っておく必要があるであろう、こういうことで、都道府県教育委員会に事前協議を行うというふうにしておるわけでございます。

 結論的に申し上げますならば、同意を得るということを求めていないわけでございまして、学校運営協議会の円滑な運営のためには、市町村教育委員会と都道府県教育委員会のまずは事前協議が調うことが望ましいと考えておりますけれども、最終的に、事前協議が調わない場合でありましても、学校運営協議会の設置自体はできる、こういうことでございます。

斉藤(鉄)委員 明快になったと思います。その点も非常に大切な点だと思います。

 それでは、時間が少しありますので、七項に返りまして、教育委員会は、学校運営協議会の運営が著しく適正を欠く場合は、その指定を取り消さなければならないとございます。ここで、運営が著しく適正を欠くというのは、具体的にはどのようなことが考えられるんでしょうか。

近藤政府参考人 具体的なことでございますけれども、例えば一例を申し上げますならば、学校運営協議会の委員同士の意見が対立をして学校運営協議会としての意思形成が行えない状態が続くとか、あるいは学校運営協議会をせっかく設けたけれども、その活動の実態が全く認められない、あるいは校長と学校運営協議会の方針が著しく対立をし、結果として当該学校の円滑な運営に支障が生じている。

 これは、本来、学校運営協議会を設け、校長をサポートし、その学校が本当に活性化をしていくという趣旨に反するわけでございますから、そういったような場合が指定を取り消すべき場合に該当する、このように考えております。

斉藤(鉄)委員 時間が参りました。今回のこのコミュニティ・スクールへの第一歩の法律改正、私は非常に大きなワンステップだと思っておりますし、教育改革国民会議十七の提言のうちでも、この提言は最も大きなものの一つではないかと思っております。ぜひ、これからの教育をいい方向に変えていくための一つの大きな柱でございますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 終わります。

池坊委員長 宇野治君。

宇野委員 自由民主党の宇野治でございます。

 文部科学の委員会で初めての質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 本日は、提案されている法律の審査なのでありますが、その前に一つ、いろいろと今地元の方から話が来ております。独立行政法人になった関係で、今までの国立校で職員給与の給与表というのがあるわけですけれども、各都道府県また地方の教育委員会においては、この国立の給与表を参考にして給与をつくっている、そんな状況になっていたんですけれども、独立法人になったということからこれがなくなるわけで、そうすると、これから各教育委員会ごとにそれをつくらなきゃいけない。それがいいのか悪いのかあるわけですけれども、そういう弊害があるのではないかなということなんですが、それについて少しお伺いをしたいな、これから具体的にどんなふうになってくるのか。

 それから、これは今、一、二年の間はまだいいと思うんですが、これが十年、二十年たってくると、本当に各教育委員会ごとに職員の給与の格差が相当出てくるのではないかな、こんな心配もするわけでありますので、その辺をもお聞かせ願いたい。

 それと、さきにもう提案で通りました栄養教諭の関係なんですが、栄養教諭についてはスタートするのは来年からということで今の給与表にはそれが入っていないわけで、この給料がどういうふうになっていくのか、そんなこともちょっと心配をしておりますので、その点、まずお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

近藤政府参考人 お答えをいたします。

 公立学校教員の給与につきましては、地方の権限と責任を拡大する観点から、先生今御指摘になりましたように、平成十六年度の国立大学の法人化に伴いまして国立学校準拠制を廃止し、各都道府県が教職員の給与水準をより主体的に決定できるよう法改正を行ったところでございます。

 ただ、国立学校準拠制を廃止した現在におきましても、教員につきましては、一般の公務員給与水準に比較して優遇措置が講じられなければならないという人材確保法の規定が維持をされているということ、それから、教員の給与はその職務と責任の特殊性に基づき定めること、また、地方公務員一般の原則として、職員の給与は国や他の地方公務員の給与等を考慮して定めなければならない、こういうふうになっておるわけでございます。

 基本的には、教員の職務と責任の特殊性に基づく現行の教員給与体系の基本は維持されており、引き続き、全国的に優秀な教職員を確保し、義務教育水準を維持することができるものと考えておるわけでございます。

 ただ、国立学校準拠制の廃止は、地方分権という観点から、各県が地域ごとの実態を踏まえて教員の給料や諸手当の額を主体的に決定できるようにするものでありまして、その結果として、各県ごとに給料や諸手当の額に多少の違いが生じるということは考えられるわけでございますが、給与体系の基本が維持され、必要な水準は保たれるものと考えておりまして、その範囲の中での各都道府県ごとの差異はやむを得ないものと考えております。

 また、栄養教諭の給与につきましては、ほかの教職員と同様、各都道府県が条例により定めることとなるわけでありますが、栄養に関する高度の専門性と教育に関する資質をあわせ有する教育職員としての職務と責任の特殊性にかんがみまして、教育職給料表の適用が基本になる、こういうふうに考えておるところでございます。

宇野委員 ちょっと私も解せないのは、これは格差が広がっても構わないというような思いがあったようでありますけれども、ある程度のものは構わないと思いますけれども、東京都のようなところと山間僻地の学校の教員さんとの差が余りにも出てくるようなことであれば、やはり教育の平等ということで非常に問題が出てくるのではないかな、そんな思いをしております。

 そんな中で、これからまた十分に検討していただいて何らかの歯どめというものを考えていくべきではないかな。今までは国立学校の給与表を使っているということでまあまあ何とかできていたんだと思うんですけれども、これからは歯どめがないということから、その辺もお考えいただくようによろしくお願いを申し上げたいと思っています。

 それでは、学校運営協議会の関係の質疑に入らせていただきます。

 今回のこの学校運営協議会、本来、もう三年ほど前に、平成十二年からスタートした評議員制度をベースにしたと私は理解をしております。そういう学校評議員制度についての話もいろいろあるわけでございますけれども、その話はさておきまして、今回、運営協議会の権限が非常に大きくなるということ、権限というかその思いが大きくなる、それによって、校長先生は運営協議会のいろいろな思いを十分に精査しながら学校運営をしてくださいというのが大きな趣旨だと思います。

 そういう中で、当然、学校運営をする中でいろいろなことをやるに当たっては、どうしてもやはり予算、経費という部分が、お金の部分が入ってくる。そのお金の部分について、校長先生が独自に采配できる予算と呼ばれるものがどの程度考えられているのか。そういうことも当然出てくるのではないかな。

 運営協議会からいろいろなことをしろと言ったときに、それが本当にいいことであれば、当然やっていかなければならない。そのときにはお金が必ずかかる。それが一年後の予算で処置をするというわけにいかない。今やらなきゃいけないものもいっぱい出てくるのではないか。そんなことについてはどういうことを考えられているか、お願いします。

近藤政府参考人 お答えをいたします。

 学校運営協議会を設置する学校におきましては、予算についても学校の裁量が拡大をされるということが望ましいと考えておるわけでございまして、学校運営協議会を設置する場合には、教育委員会においても、学校裁量経費の導入ですとか拡充など、学校の裁量の拡大に積極的に取り組むということが期待をされているわけでございます。

 また一方、学校運営協議会は、教育委員会が定めるところによりまして、当該学校の予算に関して、例えば、学校裁量経費など校長の権限で執行できる予算の使途等について校長が基本方針を作成する、それについて学校運営協議会が承認を行う。

 こういったような場合には、校長はこの基本方針にのっとって具体的な事案について予算を執行していく、そういうことをまたこの学校運営協議会がバックアップし、あるいは教育委員会等にもまたいろいろな意見を述べていく、そういったことによって校長の学校運営を支援していく、こういったことも期待がされるんではないだろうか、こんなことを考えております。

宇野委員 この協議会が本当にうまく機能するには、やはり学校運営というのにお金がかかるというのはもう当然でありますので、この辺のところについても、私は、校長のポケットマネーと呼ばれるようなものを、やはり各教育委員会から何がしかのお金を与えて、その範囲をしっかりと校長が運営協議会と話しながらやっていただく、そういうことによって運営協議会のいろいろな思いがうまく、また速やかにできるんではないか、そんな思いをしています。

 ぜひ予算編成についても、校長の思いを十分に理解できるような指導をこれからまたやっていただきたいな、そんな思いをしておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 それから次に、続きまして、職員の関係になるんですが、今、学校、大分よくはなってきたと思うんですけれども、やはり組合との関係というのが常に学校教職員というのはある。いろいろな問題を起こしているのもそこの部分になるわけですけれども、今回、学校運営協議会ができて地域の方々が入る、またその中の委員に教職員も何人か入るようなことになる。

 そんなときに、これを選ぶのは校長ということになるかと思うんですが、組合の方からの非常な圧力で、これを入れなきゃいけないというようなことになる危険性が私はあると思っています。こういうことになりますと、せっかくの運営協議会がある一人の教職員によって牛耳られてしまう、こんな大変厳しいことにもなるんではないかな、そんなことも考えられますので、この辺の任命について、また組合関係との関係について、この辺どんなふうに考えられているのか、よろしくお願い申し上げます。

原田副大臣 学校運営協議会の委員の構成、人数等は、この法律上は具体的に基準を示しておりません。何となれば、これはあくまでも開かれた学校、さらには地方分権、地方の自主、自立性、こういうものを目指した大きな改革でございますから、それは基本的には、県さらには市町村の教育委員会、またもちろん校長の指導力ということ、これにかかっておるんではないか、こう思っているところであります。ですから、人数とかどういう構成にすべきか、法律上は、地域住民、さらに保護者だけはそのメンバーの中にしっかり入れるように、こう書いておるところであります。

 今委員が指摘されたような組合のことも含めてどうするかは、あくまでも教育委員会が健全に判断をするということを国の立場からは期待しておる、こう思っております。

宇野委員 そういう性善説で考えて、立派な方が選ばれたらいいわけですけれども、中には何人かそういう過激なことを言う方が入ってくる、こういうことになるとすごく心配をするわけです。

 その場合に、協議会そのものの協議の場、この会議というものは一応公開になるのか。具体的に、公開にすると、そういうことがあればやはり抑えられるというか、地域住民の方々が見に来て、ああ、この人は変なことを言っているということで若干の抑えがきくのかなという思いもあるわけですけれども、この公開ということについてはどんな考え方を持っていますか。

近藤政府参考人 学校運営協議会の会議の議事の手続等につきましては、教育委員会の規則で定めることになっておるわけでございますが、この運営協議会の設置の趣旨が、やはりそういった外部の方々に入ってきていただいて、公正で透明な学校運営を目指していくんだ、それによって地域に開かれ、信頼される学校づくりをしていくんだ、こういったことからかんがみますならば、できるだけその会議は公開にしていく、情報はできるだけ積極的に公開をしていく、これが大切なことだろうと考えております。

宇野委員 これはすべて教育委員会の裁量によるわけなので、その辺の指導を文部科学省の方からぜひやっていただいて、しっかりとした協議会が運営できるようにお願いをしたいなということです。

 それから次に、一時騒がれました教科書の採択の関係になるんですけれども、こういう学校運営協議会ができたら、その中に、やはり私の思いとしては、教科書の採択についても運営協議会がいろいろと申し述べるということがあり得ると思います。

 しかしながら、今は法律関係で、教科書の採択については地区でやるということになるわけですけれども、将来的な展望でもいいんですが、教科書の採択について、やはり地域の父兄の方々、PTAの方々、また地域の方々、こんな教科書を使っているのはおかしいよというようなことは当然出てくると思います。

 そういう場合に、いや、これはもう全部教育委員会が決めていることなのでということで校長が逃げるというわけにいかない部分が出てくるんではないかなという思いがありますので、教科書の採択の関係についてはどんなふうに考えていらっしゃるのか、お願いいたします。

近藤政府参考人 お答えをいたします。

 公立の小中学校の教科書採択につきましては、大変教科書が多数である、小学校でいえば約三百点、中学校は約百五十点。ここから選んでいくということになりますと、その内容について十分な調査研究を行う必要がある、あるいは公正な採択を確保する必要がある、教科書を使用して行う教員の研修や共同での教材研究の円滑な実施を図ること、こういった理由から、先生今御指摘になりましたように、現在の仕組みとしては、市または郡を単位とする採択地区で共同して同一の教科書を教育委員会が採択をする、これは義務教育の教科書の採択制度でございますけれども、こういった制度をとっているわけでございます。

 学校運営協議会を置く小中学校につきましては、確かに地域住民等が学校運営に関する事項について関与する枠組みを設けるものでありますけれども、特別な内容の教育を直ちに実施するというものではないということとか、教科書につきましては、十分な調査研究あるいは採択の公正確保など、共同採択を行う必要性についてはほかの学校と変わるところがないんではないんだろうか、そういうことから、今回の法律案では、一般の学校と同様の取り扱いにしているところでございます。

 なお、高等学校につきましては、現在でも一般には、普通高校、総合高校、専門高校など学校によって異なる学科や課程が置かれておりまして、生徒の進路の状況、あるいは教育内容に対するニーズも多様であるということから、現行制度でも教育委員会が各学校の希望を踏まえ学校ごとに採択をする、こういうことになっているわけでございまして、今回は、そういう考え方で整理をさせていただいたということでございます。

宇野委員 なかなか難しい部分があるかと思います。

 ただ、私立学校を考えると、その学校単独でしっかりといっぱいある教科書の中から採択、選んでいるという実績もあるわけなので、そういうことを見ていくと、やはり各学校独自の採択ということもこれから考えていかなければいけないのかなという思い、特にこの運営協議会を持っている学校については、協議会の方からそういう話が出てきたときに対応をどうするのか、こんなこともしっかりと考えておいていただかなければいけないかなという思いであります。

 次に、また教職員に戻りますが、最近、教職員の中で不適格教員という言い方で、本当に教員として適さない方が大分ふえてきたというような話がございます。

 まず、不適格教員と呼ばれる、研修を受けたり退職をしたりというような現在の状況について少し教えてください。

近藤政府参考人 いわゆる指導力不足教員でございますが、児童生徒の指導に当たることがないように、教育委員会が速やかに必要な措置をとることが必要と考えておりまして、すべての都道府県、指定都市の教育委員会で人事管理システムを構築しております。

 平成十五年度で申し上げますと、全国で四百八十一人が指導力不足教員として認定されたところでございます。また、その中で研修を受けている方が四百四十三人、分限免職が五人、それから依願退職が八十八人。平成十五年度の数字で言えば、そういった状況でございます。

宇野委員 この数字が多いのか少ないのかという議論はさておいて、やはりこの四百八十人近くも認定される教員がいるということになると、まさに運営協議会の中で、その学校に一人ぐらいはそういう人が出てくるのかなという思いがあります。

 そういう中で、運営協議会としては、不適格な先生について校長に、この方はおかしいんじゃないかということを述べることができるわけで、校長はそれを受けて市町村教育委員会に上げる、また、市町村教育委員会からは都道府県教育委員会に上げ、任命権者という立場でそこに相談をする。そういうことまではささっといくんだと思いますけれども、具体的にそれを、やはり不適格だということで退職を迫るなりというようなことになると、教育委員会のガードというのはなかなか厳しい部分がある。こんなときに板挟みになるのは、校長先生がまさに板挟みになってしまうということになるわけです。

 これは確かに教育委員会の責任でもってということになるわけですが、この辺の運営協議会からそういう指摘をされた先生については、具体的にどういうふうにして、現状よりかこうなるんだ、今は、地域からの声がいろいろあっても、なかなか転校させたりすることができない。転校させるということは、要は、次の学校に行ったところでも同じことが起こるので、教育委員会としてはなかなかさせたくないというようなことがあるわけです。この辺についてはどんな考え方を持っているのか、お願いいたします。

近藤政府参考人 お答えをいたします。

 学校運営協議会から指導力不足教員に関する意見があれば、これを伝えられた都道府県教育委員会といたしましては、まずは、やはりその実態を任命権者としてしっかりと調査し把握するということが肝要であろうかと思っております。そして、その上で、当該教員の指導力が不足をし、指導が適切に行われない、これはもちろんきちっとした認定基準にのっとって手続を踏んでやるということが大事でございますが、そういった判断をする場合には、任命権者としての権限と責任におきまして、できる限り速やかに当該教員を指導から外すなどの必要な措置をとるものと考えるわけでございます。

 文部科学省といたしましては、教育委員会が学校運営協議会の意見をきちんと受けとめて、そして実態を十分に把握し、これを踏まえた上で任命権者としての権限と責任において適切な対応をとるように、各教育委員会に対して促してまいりたいと考えております。

宇野委員 今回の運営協議会のやはり一番の目玉というのは、そういう先生に対することを運営協議会として発言することができる、それを真摯に受けとめて校長が対応できるというところが私は一番大きなところなのかなという思いをしております。

 ただ、今の答弁を聞いていると、今までとさほど変わらない。運営協議会は言うけれども、言った後の流れというのはそんな変わらないというような感じを持つわけでありますけれども、そういうことではないようにしなきゃいけない。特にこの問題教諭というのは、問題を起こしてから早く対応してもらわないといけない、次の人事異動までに何とかしますよということではいけないわけでありまして、運営協議会から話があったときに速やかにその対応をするということを、ぜひともその指導をしていただきたいな、そんな思いをしております。

 そんな中で、例えば校長先生に対してもこういうことがあるわけですね。この校長先生はちょっとおかしいんじゃないかというようなことが運営協議会から出る。そういうときに、運営協議会の中で議論をするときに、当然校長先生も委員として入っている部分があるわけですけれども、こういうときは、当該教諭についてはそういう協議会の中には入らないということなのか。例えば先生の関係については、関係する当該教諭ではなくても教職員はその場を出て、運営協議会の他の一般のメンバーだけで協議をするというようなことも考えていいのではないかな。

 それはやはり人権の問題もあるかと思いますので、そんなことはどんなふうな考え方を持っていらっしゃるのか、お願いいたします。

近藤政府参考人 委員の構成につきましては、法律においては地域住民、保護者については必ず委員として含まれるようにしておるわけでございます。校長や教職員を委員に任命するかどうか、これは教育委員会の判断によることだろうと思っております。イギリスの学校理事会制度などでは、そういった校長、教職員も学校理事という形で入れておるという実態もあるようでございます。

 それからまた、もし仮に校長や教員が学校運営協議会の委員に任命されている場合、その委員の任用等に関することを議論するときには、その協議には参加をしない、外れていただく、これは当然であろうかと思っております。

宇野委員 ぜひその辺の、これはすべて運用になるかと思うんですけれども、各教育委員会がそういう今言われたようなことを十分理解して運営していただかなければいけないかなという思いを持っておりますので、ぜひともよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 それと、先ほど斉藤先生の方からもお話があるかと思って私は控えておったんですけれども、評議員制度とこの運営協議会の違いについて、もう少しお話をいただきたいなという思いです。

 評議員制度というものがスタートしてもう何年かになるわけですけれども、これでも大分実績が上がって、たしか全国の学校の六割以上が評議員制度というものを持っている、そんなことを言われております。

 そういう中で、評議員制度としてこういう問題があったからこの運営協議会にかえるのか、それとは全然別に運営協議会というのがあるんだということになるのか。まずその辺、評議員制度と運営協議会との関係をちょっとお知らせいただきたいと思います。

原田副大臣 宇野委員がお話しになりましたように、平成十二年にこの学校評議員制度が導入されました。そして、平成十五年度の段階でも、六割の公立学校が、開かれた学校づくりという名のもとに大きな役割を既に果たしているところであります。

 そういう意味では、この評議員制度も、地域の住民、また保護者の意見も学校運営にしっかり取り入れるという意味では非常に評価されているものでありますけれども、今回の学校運営協議会制度は、それを一歩進めて、より開かれた学校、さらには地域の自主自律の動きをより大きく取り入れよう、こういう形であろうと思います。あわせて、形式的には随分違ってきておりまして、さらに強化されております。

 そもそも評議員制度は、単なるといいますか、文部科学省の省令規則でできておりましたが、今回、それを法律的な位置づけにしておりますし、さらに、これは合議制の機関でありますから、従来の評議員は個人の意見を校長が参考意見として取り入れる、こういうことでありますが、もういろいろな意味でその中身が強化されている、こういうことだろうと思います。

 それで、委員が先ほどからいろいろ、例えば基準に達していない教員をどうするか。法律上は、はっきり書いておりますように、任用についてははっきり意見を言って、それを十分に参酌しなければいけない、尊重しなければいけないというようなことを書いております。しかし、この評価制度、運営協議会ができた以上は、やはりそういうものも含めていろいろな意見を出して、それをまた任命権者としての判断に取り入れるということも、今回の制度の趣旨からいって排除するものではない、私はそう考えておるところであります。

 全く新しい組織、私にとっては初体験のことであります。ですから、これはもうすべて地方の教育委員会の自主性、自律性に任せられているわけでありますけれども、やはりこれはそれぞれ地域の、ある意味では競争でもあると思うんですね。隣がこういうしっかりしたものをやっているから、私たちもやらなきゃいけない。これがうまく運営されるにしても、決してそうでないにしても、すぐれてその当事者である教育委員会また地域の教育関係者のやはり努力にかかっておるのではないか、こういうふうに考えております。

宇野委員 ちょっと基本的な話になるかもわかりませんけれども、運営協議会を指定するといった場合に、今の評議員制度をやっている学校が主体的になっていくのか、それとも評議員制度をやっていない学校がまず運営協議会をやるのか、そんな何か仕分けみたいなものを考えていらっしゃるのかどうか、それはいかがでしょうか。

原田副大臣 これは必ずしもどっちがどっちと言えないと思います。評議員制度があって、さらにそれを強めようという地域もあるでしょう。全くそれが行われていないけれども、今回新しい法律ができたから、これはやはりすぐれた制度だ、思い切って導入しようと。導入するのも、これは教育委員会が指定することでありますから。

 しかし、ただ、両方が併存するというのは余り論理的に考えにくいなと。そういう意味では、運営協議会ができた暁には、仮にそこで既存の評議員制度があれば、これは恐らく、屋上屋のような感じがありますから、それはなくなると思いますけれども、いずれにしましても、そのことも含めて地域がしっかり考えるということではないかと思います。

宇野委員 ありがとうございました。

 今、大臣、お着きいただきましたので、早速で大変恐縮でございますけれども、大臣に最後、質問をさせていただきたいと思います。

 要は、この学校運営協議会というのは、もう規制改革推進三カ年計画の中でいろいろと提言された中でできてきた、新しいタイプの公立学校を目指そうということを言っているわけで、俗にコミュニティ・スクールという言い方になっていますけれども、私はこの話を聞いたときに、アメリカのチャータースクールみたいなものをイメージしていたんですけれども、それよりもうちょっとまだ公立性が強い学校かなという思いもしております。そういう意味では、第一歩ということでいいのかもわかりませんが、こういう新しいコミュニティ・スクールと呼ばれるものが、新しい公立学校の管理運営ができるのかどうかということを一番心配するわけなんです。

 その辺の思いも聞かせていただかなければなりませんし、特に、今回、運営協議会が、いろいろと話が出てくると思います。そういうときに、地域の方々またPTAの方々、いろいろな話が出るということになると、ある意味では言いっ放しという部分が出てくるのかなという心配もあり、その部分での、ではだれが責任を持つのかというような話にもなってくる。

 そんないろいろな複雑な、これからの運営については大変難しい部分があると思いますが、ぜひ運営協議会というものはしっかりとしたものになっていただいて、新しい公立学校の姿というのを目指してもらいたいなと思いますが、大臣、最後の思いとして、この運営協議会に目指す決意を表明していただければということでお願いいたします。

河村国務大臣 おくれて参りまして、失礼いたしました。

 今、宇野委員から御指摘がございましたように、このたびのいわゆるコミュニティ・スクールと言われております地域運営学校のあり方、これはやはり学校が開かれたものであって、そして学校が皆さんから信頼されるものであってもらいたい、こういう思い、また国民の皆さんもそう考えておられて、また、これまでのように、学校はもう学校関係者だけに任せておけばいいという時代でもない。

 そういう意味で、やはり新しい学校のあり方を求めていこうというところで、いろいろな教育改革国民会議であるとか、中教審あるいは総合規制改革会議等々、そこで議論をいただいて、そうした答申も踏まえて今回の法案提出になっておるわけでございまして、一定の権限を持って学校運営に参加していただく、こういうことになるわけであります。

 そのためには、宇野先生御指摘のように、運営協議会というものがやはりきちっとしたものでなければなりません。おっしゃるように、言いっ放しでおしまいというものでも困る。やはり責任を持ってなってもらう。そのためには、やはり同時に、地域の教育力を高めていただく役割もあるわけでございまして、学校運営協議会制度というのは、きちっと理事会制度的なものにして、委員会制度、そういうものにして、責任を持って運営をしていただく。

 しかし、それなりの権限も持っていただく。きちっとした学校に、例えば教育課程に対する意見もおっしゃっていただく、あるいは人事についても進言をしていただく。また、それをきちっと教育委員会も重視して、認め合って、そして、本当によりよき学校を求めていく。

 これがこの学校のねらいでございまして、これによって、学校は校長先生が一番中心になりますが、校長先生とそれから地域住民、保護者、そういうものがしっかり協議の中で、より透明で開かれた学校運営を目指していただく、そして地域から信頼される学校づくりをやる、このことが突破口になってほかの学校にも大きないい影響を及ぼしていく、そういう願いもあるものでございまして、今回の制度改正というものは、そういう意味で大きな意義を持っている、このように考えておるわけであります。

宇野委員 もう時間でありますので、どうもありがとうございました。どうぞよろしくお願い申し上げます。

池坊委員長 土肥隆一君。

土肥委員 民主党の土肥隆一でございます。

 今回の地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案というのが提示されたわけでございますけれども、私は、この法案というのは、日本の戦前そして戦後、あるいは明治期以来、あるいは公教育が実施されて以来、最大の法改正ではないかと思っています。

 薄っぺらな法案、薄っぺらというのは内容じゃなくて、このもの自体が小さい法案でございますけれども、私は、これは日本の文化あるいは日本国民の物の考え方、特に教育にまつわる物の考え方を根本的に改めるものではないかというふうに思っております。そういう意味では、単に学校運営協議会をつくりましたよぐらいでは済まされない内容だと私は考えております。その点をこれから申し上げたいと思うのであります。

 コミュニティ・スクール論が英国あるいは米国で出てまいりまして、私どももあれこれ本を読んだわけでございますけれども、例えばアメリカのチャータースクールなどというのは、やはりアメリカ文化が生み出したものだろうというふうに思います。

 でも、今やもうチャータースクールを超えてプライベートスクール、もう学校に行きませんと。そういうプライベートスクールというのは、自分の家で子供を教育するわけですが、今、そういうテキストブックも立派なものができておりまして、そして、学習の認定も行政がちゃんとやる。学校に行かなくても学校教育が、学校教育というか家庭教育における学習が完結するという時代でございまして、実は日本にももう入っております。そして、盛んに地域で、自分たちで自分の子供を育てよう、教育しようという運動があるわけでございます。

 ですから、ここで言うコミュニティ・スクールの構想というのは、ずっと先を読んでいかないと、本当に国民が期待しているような教育が実践されないし、また、そういう運動が起きたときに、もう学校は要らないよ、自分でやるよというふうな子供ができたときに、その子をどうするかということも考えておかなければならない。そういう広い視野を持ってこの法案を審議しなければならないというふうに思っております。

 結局、日本の国は、牢固とした文部省行政のもとに義務教育が実施せられ、教育の機会均等などということもありますが、すべては法によって完結した、そして、一切国民の苦情は言わせないというシステムだと思うのであります。

 地方におきましても、教育委員会がいて、行政の教育長が指導して、そして、給与から、人員の配置から、学校のあり方、校長及び教職員の任免も含めて、全部完結してやるわけです。ただ一つあるのは、PTAだけだったと思うのでありますね。だから、国民は学校に子供を預けていても、ほぼ文句をつける余地はなかったわけでございます。

 四年前に学校評議員制度ができました。あるいは、今回学校運営協議会をつくろうというわけですが、これは公的な、全く公的な行政の仕事、行政行為に、地域を含めた有識者の民間人を入れて、そして学校に何らかの働きかけをさせようという法律でございます。じいっとこれを読んでいきますと、やはり学校の都合のいいような学校評議員制度ではないか。あるいは、今度の学校運営協議会でも、やはりこの定まった枠の中の、牢固として譲らない行政の枠の中のちょっとした、ちょっと語弊がありますが、ちょっとした意見を聞く会。

 私は、法的に、こういう公務員でない、教職員でない人材が学校の中に、評議員であれ協議会であれ、位置づけられて、そしてさまざまな意見を言い、法案を読みますと、相当な発言力があるし、相当な規制力も持っているわけでございまして、そういうことが法的に許されるのかどうかということです。それをまずお聞きしたいと思います。

近藤政府参考人 お答えをいたします。

 今回のこの学校運営協議会、先生御指摘になりましたように、現在の教育委員会制度、あるいは教育委員会と学校、校長の権限関係、こういったものを基本的に前提としながら、その中で、地域の住民でありますとか保護者の方々の意見を、ややもいたしますと、今の我が国の公立学校は学校運営が画一的ではないかとか、あるいは閉鎖的ではないか、こういう御指摘もあるわけでございます。

 そういった指摘にこたえて、もう少し外部のいろいろな声を学校運営に反映させていく。こういった形で法律の中に、学校評議員制度の場合には文部省の省令で定めておったわけでございますけれども、今回はさらに人事等につきましても一定の法的な権限を与えるわけでございますから、法律の中にはっきりと位置づけることによりましてその円滑な執行と申しましょうか、実施を図っていきたい、これは法的には何ら問題はないものと思っております。

土肥委員 それは、法律をつくってはめ込むのですから、問題はないかもしれませんけれども。

 例えば、ちょうどこの前の委員会で私学学校法の改正のときに、評議員でありますとか、監事でありますとか、理事だとか、そういう議論をいたしました。これは私学ですからね、大いに結構なんです。

 文部省の管轄する教育行政の中に評議員を入れる、学校協議会の委員を入れるということは、何かやはり特別な危機意識が、今、閉鎖的とか画一的とかおっしゃいましたけれども、そんなものであるならば自分でもっと広げたらいいわけですし、画一的なものは改めたらいいわけですけれども、民間を入れないとどうにもならないという危機意識があるんでしょうか。それは何なのでしょうか。お答えください。

近藤政府参考人 お答えをいたします。

 今言った、公立学校が抱える学校運営上のいろいろな諸課題、批判があるわけでございまして、これまで文部科学省といたしましては、学校裁量の拡大でありますとか、開かれた学校づくり、あるいは校長のリーダーシップの強化、教職員の資質の向上、いろいろな取り組みをしてきたわけでございます。

 今回は、そういった取り組みに加えまして、保護者や地域住民の意見が学校運営に直接反映されることを制度的に担保することによりまして、むしろ、保護者と学校が、学校の教育目標の設定でありますとか達成に共同で責任を果たしていく、あるいはいろいろな地域の方々の協力を得やすくする、そんないろいろなことを通じて、さらに一層公立学校が地域に開かれ、信頼される多様な学校づくりをしていきたい。

 私ども、この制度設計を行うに当たりまして、職員をイギリスにも派遣もいたしましたけれども、イギリスの学校理事会制度もまた長い歴史もあるわけでございます。もちろん、イギリスもいろいろ悩んでおるようでございますけれども、そういったものも参考にしながら、我が国の公立学校がさらにそういった意味でも地域に開かれていく、あるいは信頼されていく、こういった一助となれば、こういうことが今回の改正のねらいでございます。

土肥委員 よくわかりました。

 しかしながら、では、逆に、子供を預けている保護者であるとか地域住民がここに加えられる、学校の運営に直接というか、中に入っていってその学校の実態を知る。随分重い責任ですね。こういう責任を本当に果たすことができるかどうか。

 最近決まりました裁判員制度がそうでありますね。これは抽せんで選ぶんですね。選ばれたらもう文句のつけようがない。よほどのことがない限り裁判員にならなきゃいけない。選定の仕方についていろいろ条件があるようでございまして、校長さんに都合のいいとか何とか、嫌らしく考えれば、そういうことで委員が選ばれる可能性がある。

 しかし、本当に学校教育をどうするかということは、さまざまな問題があるんですね。不登校児もおるし、情緒障害もおるし、多動な子供もいるし、そしてまた、私は、養護教育の問題も根本的に改めなきゃならないと思っておりますけれども、いろいろな多種多様な子供がいて、そして到達度に届かない子供がまたたくさんいて、私、最近、中学生の四〇%が数学が理解できないという本を読みましたけれども、これはやはり教育が悪いんですね。数学から子供たちを全部ネグレクトしている、はじき出しているという実態があるわけでございます。

 ですから、地域の学校に行っている保護者たちは、やはり教育の、教育というよりも学習能力を上げるような、あるいはいい中学校、高等学校に行けるような、そういう第一義的な希望もあるわけでありまして、何かコミュニティーの学校なんだよ、コミュニティーとしてどうするの、学校をどう考えるのというようなことはなかなか難しい話だと思うのです。

 私が今住んでいるところは、花谷小学校というのです。私もそこの小学校区に住んでいるのですけれども、これが団地の中にできている学校でして、保護者の一人とて一戸建てに住んでいないのです。私も、だからその団地の中に住んでいるわけですね。だから、学校の役員の名簿は、何号棟の何室と、全部そうなっているわけです。

 団地というコミュニティーは人が育たないところなんです。子供が団地と団地の建物の間で野球をしていますと、うるさいから出ていけなんということを言う人がいるわけですね。普通は、子供がきゃあきゃあしていれば楽しい雰囲気ですよ。私は、何でそんなことに文句言うんだろうと思うのですけれども。猫を飼っちゃいけない、犬を飼っちゃいけない。そして、もう何というか非常にエゴイスティックと言ったらいいか、自分たちだけが静かに暮らせばいいんだ。そして、全部鉄の扉で、隣とは何の関係もないというふうなコミュニティーが私のコミュニティーなんですね。そこで、学校評議員でありますとか学校運営協議会の委員で選ばれたというときに、どうするんだろうなと。本当に心配の種は尽きないわけです。

 ですから、これを入れるというときには、先ほどから言っておりますように、日本の教育体制が今日まで築いてきた、言葉は悪いですけれども、文部省行政のいわば結論が見えてきて、どうもうまくいっていないんじゃないのかということが一つ。

 しかし、この法案をもって、これが将来のコミュニティ・スクールにつながるんですよと言われると、ちょっと待ってくれと言わざるを得ないのであります。これはもう教育文化論みたいな議論を徹底的にやらないと、こんなものは、学校の役に立つ間は使うでしょうけれども、いろいろうるさいねということになれば、取っかえ引っかえ、役所が、教育委員会が、任命権者が、あるいは校長が、顔ぶれを変えるんでしょうから。

 だから、この法案についての細かな議論はまた同僚がやりますので、私は今大まかなことを言っているわけです。つまり、今回、文科省が出した学校運営協議会なるものは、今私が申し上げたことの、つまり日本の教育文化、まさに文科省はそれの当事者、そして日本のコミュニティーを考えたときに、この法案はどうなるだろうかという私の問題提起について御意見があったら、大臣、もう感想で結構です。

河村国務大臣 土肥先生の御指摘、私も当たっておると思います。

 今の現行の教育を考えたときに、これでいいのか。特に公教育についてさまざまな指摘がある、これにやはりきちっとこたえていくにはどうしたらいいだろうというところから私は発しておると思いますね。これまでの教育改革国民会議の議論にしてもそうであります。

 また、これを中教審に諮問していろいろ御意見を伺ってみても、やはりこれからの学校というものが、ただ閉鎖的なものではなくて、そして地域の御協力をいただく、また御意見をしっかり取り入れる、そして同時に、やはり校長がもっとリーダーシップを発揮しやすいようにすべきである、こういう声も非常に大きいわけでございまして、それにこたえる学校づくりというのを考えていこうということであります。また同時に、私立学校が持っているよさというものをやはり学ばなければいかぬ。その運営協議会的なあり方も学ばなければいかぬと思うのですね。

 だから、そういう意味で、今回の法案をお出ししたということは、ある意味では、これは全部一律に変えるわけではありませんけれども、この一つの突破口を開いていくという意味においては私は大きな改革の一つだ、こういうふうに位置づけております。

 それぞれの地域によって、そうしないとうまくいかないという地域も私はあると思うのですね。例えば、世界じゅうにあります、八十九校たしかあると思うのですが、日本人学校なんというのは、これはもう立派な学校ですけれども、その日本人社会がちゃんと理事会をつくって、きちっとした運営をやっている。こうせざるを得ない状況もあるわけであります。

 私は、それによってうまくやっていることを思いますと、やはりこういうことを取り入れることによって学校が変わる、そして教育も変えることができる、その一つになり得るだろう、こう思っておるわけであります。

土肥委員 お言葉ですが、私は、今の文科省の教育行政もみずから変わらなきゃいけないし、あるいは、地方の教育委員会制度とは一体何なの、本当に機能しているのかということも含めて、そして、学校長とおっしゃいますけれども、学校で校長になるということが最高位になるわけですけれども、学校自体、校長自体、そして、いわば教職員も、すべて本当に意識が変わらないと、こんなものが入ってきて面倒だねという話に必ずなりますよ。

 ですから、これは文科省が押し込むという話ではなくて、単なる手挙げ方式でもなくて、よほど頭の切りかえをしないと、コミュニティーを抱えた学校だよ、コミュニティーに支えられている学校だよ、子供は人質じゃないのよ、言葉は悪いですけれども、そういう観点から本当にダイナミックな運動にしないと、国民が本当に期待するような――そして国民も変わらなきゃいけませんね。単に自分の子供が学習能力が上がればいいだけで済まされない。

 居場所づくりなんというのを始めておりますけれども、居場所づくりなんて、何でつくらなきゃいけないのと思うのですね。おるところがないなんということは子供にはあり得ない話なんですよ。それはもう小学校から、学童保育というものもありますけれども、その上に居場所づくりなんというのをやって、これは高校生、中学生も今それがはやっておりまして、何かもう日本の国は、子供がどこへ行ったらいいかわからないような状況である。

 コミュニティーに生きることが子供の生活なんですね。ですから、コミュニティ・スクールだよ、スクールやるんだよというときに、この学校協議会制度というのは本当に、この法案が通ったから、さあ、上から下にやりなさいということでは到底成功しない、こう思う次第でございます。

 そういうイメージと、そして、今回の法案を見てまいりますと、この法案を読んだ限りでは、どう考えても、いわゆる英米型のコミュニティ・スクールなんというのは想像ができないのですよ。だからここまで行くのかなと思うわけでございまして、どうかこれを壮大な国民運動でもしない限り、この学校運営協議会制度というのはうまくいかない。

 だから、相当な批判に、国民の、地域住民の批判に耐えられるような協議会にならないといけないわけでありまして、人選についてもよほど、慎重じゃなくて、相当混乱を前提にしてこの運営協議会をつくらないと、あの人うるさいねというような話になるとよくない、このように思います。

 だから、どういう人を選ぶのかとか、運営協議会の皆さんがどういう定例的な集まりでどういう議論をするのか。校長が一年に一回集めて、運営協議会でございます、こう言って、何か御意見はありませんかで終わるという可能性だってあるわけでございまして、その辺の決意をもう一度、河村大臣にお聞きしたいと思います。

河村国務大臣 この法案を提出させていただくに当たりましては、既に指定校もつくっておりまして、それぞれの取り組みもいただいておるところでございます。

 そういう学校の実例等をお聞きいたしましても、やはり人を得た理事会制度あるいは委員会制度を設けておられまして、その中には保護者の代表の方も当然入っておられますし、また地域の経済人も入っておられるし、地域にいろいろ貢献をされている方々も入っておられる。そういう方々が真剣になって、しかしその最終目標は、やはり子供たちにとってこれがよき制度にならなきゃいかぬわけでありまして、地域のために学校がもちろんあるのでありますけれども、子供たちのために学校があるんだという意識に立ってもらう。

 そうすると、今の学校教育で何が欠けているかというようなこと、例えばしつけのこと、あいさつのこと、そういう日常生活に取り入れなければいけない第一歩から学校にも求めていこうという動きもその中にあらわれておりまして、そして、やはりその地域、地域が持つ特性とか、地域の伝統とか文化とか、そういうものも当然入ってくる。また、そういうことをよく知っておられる方々が入ってこられる。というのは、学校の先生というのはどんどん異動していきますから、その地域性を全く持たない人たちもおります。そういう方々にその地域性をしっかり意識していただく、こういう効果も出ておるようでございます。

 と同時に、最近は学校選択制ということになってまいりまして、東京都あたりが盛んに取り組んでおります。やはり保護者の皆さん方もいい学校をという思いがございますから、そこで成果が上がっているとなると、そっちに目が向くわけです。そうすると、その周りの学校は、これは大変だという意識で、自分たちの学校もどう変えていこうか、こういう意識も生まれるようでございまして、教育委員会もその中に入って、そういうことも踏まえながら対応していっていただいておるわけでございます。

 そういう意味で、コミュニティ・スクールといったって、新しい別の、今の学校と全然違うものをつくるものでない。アメリカのチャータースクール的なものというのは、今ある学校とまた全然違う学校ができておりますが、日本はそれとちょっと違うわけですね。そういう点もございますので、今の学校制度の中でつくっていただくという意味もございますので、そういう意味で、やはり地域が全体で学校づくりをするのに参加するという新しい視点がその中に入ってきたという意味で、私は一つの意義がある、こうふうにとらえておるわけであります。

土肥委員 私、チャータースクールもつくっていいと思うんですよ。しかし、公教育の中でコミュニティ・スクールをつくろうというのが今回の志でございますから、大変難しい課題ですよということを言いたいわけです。

 私、アメリカに住んだことがあるんですけれども、ある学校の、高等学校でしたけれども、子供のけんかで一人死んだんですね。そして、警察がそれを処理したんですけれども、警察の処置も悪かったということで、地域住民が集まって集会をやっておりました。私、大変興味があったので出席したんですけれども。結論は、学校の中のそこここにいすを置いて、地域の住民が監視のために座るんですよ。何と警察にもそれをするんですね、警察がどういう青少年の扱いをしているかということで。私、びっくりしましたと同時に、やはりすばらしい文化だなと。

 例えば、荒れた学校があって、果たして学校運営協議会の人が学校に出かけていって、いすを置いて、日常的に学校の教師がどんな指導をしているのか、どんなふうに荒れているのか、子供が何をしているのかというようなことを見せるような学校になるだろうか。むしろ、運営協議会の委員だけではなくて地域コミュニティーの人が、今学校が荒れているというけれどもどうなっているのというようなことも含めて、そういう柔軟な対応がなされるべきだと私は思っております。

 そういうことからいうと、日本の学校の中に、保護者がいすに座って監視しているなんという図は到底想像できないわけでありますけれども、このコミュニティ・スクールということを突き詰めていけば、コミュニティー全体で学校を支えようと。

 アメリカでは、例えば遊具のペンキを塗るとか、庭の木をきれいにするなんというのは全部地域がやる、地域のお年寄りたちがやるんですね。お年寄りだけではなくて、ちょっとそういう技術を持った人がやるので、学校の教師は教師としての仕事をするわけですが、今私が挙げましたように、コミュニティーというものが日本に一体あるのかということから始めなきゃならないというふうにも思うわけでございまして、これでコミュニティ・スクールができますよとはなかなか言えないなと思っております。

 それにしても、質問を先に進めさせていただきますけれども、この前の義務教育費国庫負担のときもそうでありましたけれども、経済財政諮問会議がこう言った、ああ言った。今回も、御承知のように総合規制改革会議が一番物を言っているわけですし、中教審は何か出おくれているという感じもしますね。そして、いろいろな協議会や諮問会議の間に閣議を入れまして、閣議決定をいたしまして、そして最後は文科省が引き取る。そして、これが、いわば今回出てきた学校運営協議会法でございます。

 私は、何か順序が違うんじゃないか。むしろ中教審なり文科省がいろいろなアイデアを出して、現場を一番よく知っているわけですから。そして、例えば総合規制改革会議などに出たとき、これは文科大臣が出られるとは限りませんけれども、コミュニティ・スクールの法制化をしなさいとか、新しいタイプの公立学校を制度として導入しなさいとか、これは中教審でございますね。

 それから、コミュニティ・スクールの閣議決定、十六年三月十九日の閣議決定では、十七年四月の開校に向けてコミュニティ・スクールの設置手続をやりなさい、こうあるんですが、どうでしょう、これは閣議決定ですけれども、十七年、来年の四月にできるんでしょうか。お聞きいたします。

近藤政府参考人 お答えをいたします。

 今回、この法律案を成立させていただきましたならば、各都道府県教育委員会にこの趣旨を徹底いたしまして、各都道府県教育委員会でも準備をしていただく。そして、小中学校であれば、市町村の教育委員会が委員を任命する、あるいは学校を指定するということになるわけでございますけれども、私は、早ければ十七年度からこういった取り組み、例えば既にもういわゆる実践研究校があるわけでございまして、そういった学校では、こういった制度ができ上がればその制度の中に乗っていきたい、こういう希望がある学校もあるわけでございます。

 私どもとすれば、そういう準備を進めることによって、平成十七年度四月からでもこういった指定学校あるいは学校運営協議会制度が円滑にスタートできたら、こんなことを期待をしているわけでございます。

土肥委員 五つや六つはできるかもしれませんけれども、本当にコミュニティ・スクールであり得るかということは課題として残ると思いますね。

 先ほど宇野先生も御質問なさっていらっしゃったんですけれども、学校評議員制度がもう既にあるわけです。四年たっているわけですね。私は、評議員制度をなぜ本法に入れてしまったのか、政省令でよかったんじゃないか。そして、可能ならば学校運営協議会に一本化して、私の理解で言えば、学校評議員制度というのは、御意見を聞かせてください、何か御意見はありませんかというような程度で、ところが、学校運営協議会というのは相当な仕事をしなきゃならないわけでございまして、もうおやめになって、その経験も生かして新しい学校運営協議会に収束していくということはお考えになっていないでしょうか。

近藤政府参考人 先生御指摘のように、学校評議員制度は平成十二年四月に創設をされたわけでございまして、私ども、この制度はそれなりの成果を上げてきていると思っておるわけでございます。

 ただ、今先生が御指摘になりましたように、学校評議員制度は、校長の求めに応じて学校運営に関する意見を述べる、特に校長や教育委員会の学校運営に関して直接関与したりあるいは拘束力のある決定を行ったりするものではない、個人として意見を述べる、こういうことでございまして、むしろこういった制度は、もちろん、制度としてもう少し権限を付与する形で新しい制度を設けてはどうか、こういう意見もあるわけでございますし、中央教育審議会でもこういったことを十分に議論もしたわけでございます。

 また、イギリスでも学校理事会、イギリスの場合には、さらにその学校理事会が最高意思決定機関と非常に強い権限を持っているわけでございますけれども、今の日本の状況からいたしますならば、イギリスの制度をそのまま取り入れるということもなかなか現状においては難しいのではないだろうか。

 そういうことから、こういった学校運営協議会、保護者ですとか地域住民、こういった方々が学校運営に一定の範囲で参画していく、こういう性格を与えていく、それによって校長を支え、学校がさらに地域に開かれ信頼されていく、こういうことを目指したわけでございまして、学校運営協議会は学校評議員をさらに発展させた仕組み、こういうふうにとらえることができるんだと思っております。

 学校運営協議会制度そのものも、これは今回は任意設置であるわけでございまして、一律に全部を必置でやると、これもまたいろいろな議論があるわけでございますから、そういう任意設置にしたわけでございますし、また、教育委員会の判断で従来の学校評議員制度でもいい、あるいはうちは学校協議会、この新しい制度を採用したい、これはまさしく教育委員会が選択できる、そういう仕組みで考えたわけでございます。

土肥委員 教育委員会が選択できる、あるいは学校長の努力によっていろいろな人材が集まるということでございましょう。

 学校に出入りする市民、地域住民というのは大体決まっておりまして、どこにも同じような人が出てくるんですね。私も子供の小学校のPTAの副会長をしたことがありますけれども、大変なんですわ。飲み食いから始まって、あらゆる会に引っ張り出されて、とんでもない話だということを思い出すわけでございます。

 それから、地域のいろいろな自治会でありますとか老人会、婦人会にいたしましても、大体金太郎あめみたいな、いや御苦労さんですねと、我々がそういう人に会うと、そう言うんでございますけれども、私は、地域に非常に有能な人材がいらっしゃると思うんです。ちょっとオーバーな言い方ですけれども、学校の先生よりもすぐれた教育者もおりますね。そういう実践をしていらっしゃる方もいるし、尊敬できる会社員もいるし、同時に、大きな会社を経営していらっしゃる方もいる。いろいろな人材があるわけですから、何か人材をどう集めるかということは、大変私は気をつけなきゃいけないと思います。

 本当を言うと、例えば、当該学校の保護者会で選挙して、三人選んでくださいとか、選挙のできるところは選挙をやったらどうかとも思ってみたりもするんですけれども、なかなかそうもいかないだろうと思うわけでございます。

 ですから、どういう人を集めるかということは、よほど覚悟しないと、結局、自分の都合のいい人だけを集めるということになりますが、その辺はどんなふうに考えていらっしゃるんですかね。

近藤政府参考人 おっしゃるように、学校運営協議会の委員の人選、これは大変重要なことである、これは先生おっしゃるとおりだと思っております。

 したがいまして、今先生がおっしゃったように、その地域に有為な人材がいる、ぜひそういった方々を教育委員会で発掘し、選んでいただいて、この委員に任命をしていただきたいと思っているわけでございます。ぜひ、学校の管理運営を改善し、学校の活性化あるいは教育活動の充実を図る、こういう学校運営協議会の趣旨を十分に理解していただきまして、それを担える人物、それを教育委員会が責任を持って人選をしていただく、これがこの制度の要諦であろうかと思っております。

土肥委員 学校運営協議会というのは、何か定期的な協議の場を設定するとか、あるいは人選についての一定のガイドラインとか、そういう具体的な選び方。それから、地域ですけれども、当該学校区だけの人材を集めるのか、そこを超えた教育委員会独自の判断の人材選定もございますが、そういうエリアだとか、あるいはその学校に最もふさわしいというか必要な人材をどう得るかということもあるわけですね。ですから、そういう何らかのガイドライン、指針みたいなのがあったら、この機会に教えていただきたいと思います。

近藤政府参考人 確かに、地域というものをどう考えるかということもあるわけでございますが、確かに学校運営協議会を通じまして、地域に開かれ、あるいは支えられた学校づくりを進める、こういう考え方からすれば、例えば一つの学校の通学区域程度の範囲、こういったことが通常は想定をされるんだろうと思っておりますけれども、私はそれに必ずしも限定をしなくても、それはその教育委員会の判断なのではないだろうか。もう少し例えば範囲を広めるということも、またこれはあってしかるべきであろうかと思っております。

 これもまた、私どもこの法案を成立させていただいた暁には、当然この制度の趣旨あるいは必要な留意事項を施行通知等でお示ししていくわけでございますが、一方、先ほど来委員が御指摘になっているように、余り文部科学省がまた瑣末なことを、ひな形をつくって、それをまた各県でやれと、これもまたいかがかということでもございましょう。

 そこらをどういった形で、しかし、制度の趣旨は全国にしっかりと御理解もいただきたい。どういう留意事項にするか、これはまた、今回のこの国会での御審議も十分に聞かせていただきながら、施行通知にどうやって盛り込んでいくか、また検討させていただきたいと思っております。

土肥委員 結局、一番大事なのは、だれが責任を持つかということで、行政がやりますと、大臣から始まって、この法令でいえば文科省の担当局長など、そして現場でいえば教育委員会あるいは学校の校長ということになりますね。

 それで、だれが責任をとるかということはどこの社会でも必要なんですが、相当な判断あるいは相当な配慮をしてやらないといけないと思うのであります。公務員がやるというのは、これは非常に限定された人材なんです、学校長であっても教育長であってもそうでありますが。公務員の枠をどこまで外せるか。

 例えば、私、民間の福祉法人の理事長をしております。政治家は無給であれば理事長ができるようでございますので、やっておりますが、この前、私の預かっている知的障害者が電車に飛び込んだんですね。自殺しちゃったんですよ。もうそのときは本当に、私の責任のすべてをかけてこの問題を解決するようにということで、いつも腹を切る覚悟でいるわけです。理事長というのは全くのボランティアですからね。

 結局、そういう者が組織の管理者、運営者でないと、それはもう絶えず自分の権限にバリアを張って、そこから中へ入っていくのはみんなはじき出すというようなことになりかねないわけでございまして、ここは一工夫も二工夫もあって、公務員というのは石橋をたたいても渡らないとか、あるいは、とにかく得点主義じゃなくて、減点にならないようにするというような風土があるわけですね。それを超えるぐらいの気持ちでないと、特に校長先生は運営協議会のリーダーシップはとれないというふうに思うんです。

 これは意見として聞いていただいて結構でございますが、どうか、やはり修羅場をくぐってでもやるよというふうなリーダーをぜひ学校に、今度管理者の規定が変わって、教師でなくても校長になれるとかいうふうな制度もできておりますので、それはそれでいいと思うのであります。

 さて、今度は逆に、学校運営協議会の委員になったときのすさまじい仕事ぶりを見ますと、大変だなと思うんです。

 例えば、教育課程に関する基本的な方針について、学校は学校運営協議会の承認を得なければならないとか、あるいは、学校運営協議会は、教職員の採用その他任用に関する事項について任命権者に意見を述べることができ、そして、任命権者はその意見を尊重されなきゃならない。言ってみれば、悪く言えば、あの教師がいいの悪いのという話もこの学校運営協議会の中に上ってくるわけですね。

 これは、ある場合には悪用、乱用される場合もあるだろうし、ある場合には非常にいい成果が得られると思うのでありますが、こういう任命権者が持っている人事権に対して、先ほど不適格教師の話が出ておりましたけれども、まさに外部の者が、学校運営協議会の委員がそこまで言っていいのか、それは問題になったときにどうやって解決するんだろうか、その辺のお考え、局長、よろしくお願いします。

近藤政府参考人 お答えをいたします。

 今回の法律で、学校運営協議会は、指定学校の人事につきまして、任命権者に対して意見を述べることができるとしているわけでありますけれども、これは、例えば若手の教員が欲しい、こういった一般的、抽象的な意見の場合もあるでありましょうし、あるいは、個別具体の人事に関する意見を言うこともできるわけでございます。

 教育委員会は、基本的にその意見を尊重して任用する、こういうふうになっておるわけでございますが、最終的には任命権者としての権限と責任において人事を行うわけでございまして、任命権者がその判断で人事を行うという地方公務員制度の枠組みをこれは変えるものではないわけでございまして、その枠組みの中でそういった意見をできるだけ反映させていこうということでございます。

 また、先生御指摘になったような、恣意的な運用を認めるというような趣旨のものではないわけでございまして、あくまで教育委員会が、学校運営協議会の意見を尊重しながら、最終的には任命権者としての権限と責任において人事を行うもの、こういうふうに御理解をいただけたらと思うわけでございます。

土肥委員 大変難しい話ですね。今までは、もう教育委員会は勝手にやっていたわけですから、どんな人事が行われているかというのは全く国民は知らないわけでありますけれども、事前に異動の教師の名簿が回ってくるとか、今度はあそこからこんな教師が来るよなんというような話が伝わるのかどうか知りませんけれども、学校の先生もよほど覚悟しないと、いわば教師の評価制度を導入したようなものでございまして、大変問題のあるところだなというふうに思います。

 学校の教師が本当に胸を張って教育に当たり、仕事に当たる、そこにある種の誤解が生じたり、変なうわさが蔓延したりするようなことがあれば、校長がちゃんと責任を持って説明できるとか、校長間同士であの教師が欲しいとか要らないとかいうようなことは、事前に異動のときにやっているとは思いますけれども、そういうことも含めて、学校運営協議会の皆さんがどこまで踏み込むかということは大変難しい課題だと思います。

 しかし、私は、コミュニティ・スクールというのでありますから、それはやはりちゃんと、抑え込まないで、遠慮しないで言ってもらうということも非常に大事なことだというふうに思いますので、きょうはこの程度で抑えておきたいと思います。

 それで、この四十七条でございますけれども、七項、八項ですね。教育委員会は委員を、つまり協議会の委員を解任したり、学校の指定を取り消すことができるとされております。

 結局、ここに行政としての、言ってみれば強権的な、しかし管理責任者として、ある場合にはやらざるを得ない場合もあるかもしれませんけれども、現場でいろいろなトラブルが起きたり、あるいは意見の調整がきかなかったり、大問題になったりするときにどう処理するかということは、物すごく難しい話だと思うんですね。そのときに、学校運営協議会そのものをつぶすことができるわけでありますし、委員の解任もできるということになっております。

 これなど、どういうふうに認識したらいいんですかね。どういう基準でとか、どういう方法で行われるんでしょうか。現場の意見を聞きたいと思います。

近藤政府参考人 お答えをいたします。

 私ども、もちろん学校運営協議会が設置をされた趣旨にのっとって適切な活動が行われることを期待もしているわけでございますけれども、どうしても、例えば、ある委員が出席をしても協議に参加しない、あるいはその運営や合意形成を阻害することによって、学校運営協議会が所期の目的を果たしていくことができない、こういったような場合には、教育委員会は委員を解任する、あるいはできる、こういうことになるんだろうと考えております。

 先ほども申し上げましたように、この学校運営協議会は指定学校の管理運営の改善を図るために設置されているものでありまして、しかし、結果としてその活動が学校運営に著しい支障を生じている、そういったような場合には、これはそのねらいに合わないわけでございますから、指定を行った教育委員会がその責任のもとに指定を取り消しをする、こういったことを行うということになるわけでございます。

 いずれにいたしましても、教育委員会は、解任や指定の取り消しに至る前に、十分その実情を把握し、必要な指導助言を行うなどに万全の努力を払っていただきたいと思っておりますし、また、具体的にどのような場合が解任や指定の取り消し事由に該当するかをあらかじめ教育委員会規則で明確にしていく、また関係者の意見もあらかじめ聴取をする、こういったことが大切だろうと考えておるところでございます。

土肥委員 いや、大変なことだと思いますね。

 これは、委員に任命、職についてもらう場合には、どんな手続で、例えば任職の辞令か何かをお出しになるんでしょうか。そして、今度は解任のまた辞令をお出しになる。しかも、何ですか、行動費みたいなのは出るんですか。それから、これは私的契約でありますから、私的契約と言っていいのかな、ある種の契約でありますから、その辺の運用上の規則だとかなんとかをやはり前提にしていらっしゃるんでしょうか。

 つまり、雇用しているならば解雇というのが可能なわけですけれども、お願いしておいて、あなたは不適格だからやめてというのはなかなか難しい話だと思うんです。

近藤政府参考人 今回の法律で、この運営協議会の委員には、一定の、しかも重たい権限を与えておるわけでございますから、この委員につきましては、各地方公共団体の非常勤の公務員として任命をされる。したがいまして、委員に対しましては、基本的には、各地方公共団体の条例に基づきまして、報酬でありますとかあるいは交通費、こういったものが実費として支払われることになる、また解任をするときには解任の辞令を出す、こういうことになるわけでございます。

土肥委員 そうですか、非常勤職員になるんですね。なるほど。これは法律には書いてありませんね。書いてありますか。ちょっと確認します。

近藤政府参考人 今回、法律で、第四十七条の五の第二項で、学校運営協議会の委員は、これこれこれの者について教育委員会が任命をする、こういう規定があるわけでございまして、地方公務員法の特別職の非常勤という形で、こういった規定で整理をさせていただいておるものでございます。

土肥委員 それならば、やはりちゃんと対価を払っている、まあ幾らかはわかりませんけれども。それで、解任が可能だろうなとは思います。ボランタリーな委員ではないということですね。

 では、ちょっと確認しますけれども、学校評議員はどうなっているんでしょうか。

近藤政府参考人 学校評議員の場合には、多くは委嘱という形でお願いをしている。もちろん、非常勤の公務員としてお願いをしている場合もあろうかとは思っておりますが。

土肥委員 ちょっと待ってください。対価を払っているんですか。

近藤政府参考人 無給でやっている場合もございますし、報酬としてお支払いをする、あるいは委嘱謝金という形でお支払いをしている、ケースはさまざまであろうかと認知をしております。

土肥委員 四年間されていて、ケースはさまざまだと言われると、ちょっと困っちゃうんですけれども。やはりちゃんとしておいた方がいいと思いますね。払うなら払う、払わないなら払わないということが必要だと思います。

 学校運営協議会の場合は特別職だということでございますので、今のはちょっと認識を新たにいたしました。これはやはり、相当の責任を持って選び、また選ばれた人は仕事をしなければならないということでございまして、重要な仕事につくんだなというふうに思う次第でございます。

 学校の実態からいいますと、学校があって、子供がいて、保護者がいて、教師がいる、そしてPTAというのがございますね。このごろPTAも、全国組織でいろいろな提言もしていらっしゃるし、非常に活発に活動がなされているわけです。これは民間の全く自主的な団体でございますが。そこへ評議員が入ってきて、学校運営協議会委員が入ってきて、何か学校の中に違った市民団体の組織が潜り込んでくる。これはPTAに対して、評議員制度あるいは学校運営協議会の制度について説明は十分していらっしゃるんでしょうか。

近藤政府参考人 お答えをいたします。

 中央教育審議会には日本PTA協議会の代表の方も委員としてお加わりをいただいておりますし、全国組織でございますけれども、十分お話はさせていただいておるところでございます。

土肥委員 ある意味で何か別の、異質の人が学校の運営にかかわっているんだなということになってくると、当該学校に子供が通っている一般の親御さんも含めて、PTA協議会、あるいは単PといいましょうかPTAの皆さんと、いい交流があれば、いい意見交換があればなおさらいいですけれども、PTAをやった経験のある者からすると、何かちょっと違った人が学校の校長室にいつも陣取っているとか、いわゆる何か別の管理者がいるというふうな心配もしないではありません。

 最後に、私は、コミュニティ・スクールというのは、冒頭申し上げましたように、本当に大きな実験でございます。これは文科省、腹をくくってやらないと、身もふたもない制度になってしまうということを十分心配いたします。

 私は、特色ある学校づくりというようなことも含めて、私立学校法の改正のときにも質問いたしましたが、やはり本当に熱意のある教師が、ある特別なテーマに基づいて、これのために自分は教師になったんだと思うような教師集団がコミュニティ・スクールのある種のところに集約されて、一般教育とは違った熱心な取り組み。今の教師の皆さんは、だれがやっても同じ感じなんですね。どんな努力をしようとも、あるいは四時ごろにさっと帰られる教師も、みんな同じような感じでやっているわけで、これがやはり活力をなくすんじゃないかと思っております。まあ賃金の問題はきょうは申し上げませんけれども。

 やはり、特色ある学校をつくることがコミュニティ・スクールの使命だとも思っております。ぜひとも、単に公教育の中にコミュニティ・スクールをつくるのではなくて、そのほかにさまざまなテーマを持った子供たちがいるわけです。そして同時に障害児がいるわけです。したがって、養護教育の中のコミュニティ・スクールというのは一体何だろうかということを、僕も今考えておるわけであります。

 そうした、子供たちがどういう状況にあっても、セーフティーネットといいましょうか、預かってくれる居場所といいましょうか、学校があって、その子なりの発達に応じて、本当に熱心な教師がその子供たちの問題に取り組んでくれるような学校像を私は描いているわけでございまして、最後に河村大臣のコミュニティ・スクールの、単に公教育の中の話ではなくて、そういうテーマ別の、あるいは問題別の教育も担うということについてのお考えを聞きたいと思います。

池坊委員長 質疑者の質疑時間はもう既に終了しております。でも、せっかくの質問でございますから、簡潔に、河村文部科学大臣、御答弁をお願いいたします。

河村国務大臣 御指摘いただきました点、大事な点でございまして、地域の運営協議会がどのような形で取り組まれるか。そこでお出しになるいろいろなテーマ、それはやはりちゃんと学校運営に生かす、そして特色を出す、そういうことが非常に私は大事だ、このように認識しております。

土肥委員 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

池坊委員長 次に、内閣提出、文化財保護法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本案につきましては、去る十二日質疑を終了いたしました。

 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、文化財保護法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

池坊委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

池坊委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、遠藤利明君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。松本大輔君。

松本(大)委員 民主党の松本大輔です。

 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    文化財保護法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。

 一 文化的景観は、地域住民の生活と密接に関わるものであることから、住民の自主性を尊重し、適切な配慮を行うとともに、市町村や都道府県に対する支援措置の充実に努めること。また、景観法に基づく地域以外の文化的景観の保護の在り方について検討を進めること。

 二 民俗技術などの民俗文化財の保護に当たっては、生活の発展に伴う変遷・変容が著しいことにかんがみ、次世代への継承を図るため、保護団体への支援などによる適切な保護に努めること。

   また、指定の対象となり得る民俗技術について、その実態や変遷といった基礎的情報の全国的調査をさらに進めること。

 三 新たに登録制度の対象となる、建造物以外の有形文化財、有形の民俗文化財及び記念物について、登録を円滑かつ着実に行うとともに、修理に対する補助等支援措置の充実に努めること。

   また、登録の対象となり得る文化財について、その所在や保存状態といった基礎的情報の全国的調査をさらに進めること。

 四 文化財の保存・活用の充実を図るため、地方公共団体における文化財保護の体制の整備を行うとともに、税制上の優遇措置などの支援の充実に努めること。また、国民が文化財に親しめる機会を拡充するため、国及び地方公共団体における有形・無形の文化財の総合的な情報システムの整備、博物館・美術館等の充実やボランティア活動の奨励・支援に努めること。

以上であります。

 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。

池坊委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

池坊委員長 起立総員。よって、本案に対して附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。河村文部科学大臣。

河村国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

池坊委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

池坊委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

池坊委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時四十四分開議

池坊委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 内閣提出、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古賀一成君。

古賀(一)委員 午前中に引き続きまして、本題に戻りまして、民主党の古賀一成でございますけれども、私の方から、地方教育行政の組織、運営に関する法律の一部改正案、質問をさせていただきたいと思います。

 まず冒頭に、近藤初等中等局長にお伺いしたいのでありますけれども、本改正案提出に至る経緯ですね。先ほど土肥委員の方から、総合規制会議が先行し、後追いだったんじゃないかというような懸念も一つ表明されました。私は、教育をめぐっては、地方分権あるいは地域主権主義、あるいは開かれた学校にすべきだとか地域特性に合った教育をもっと徹底しろとか、いろいろな要請が渦巻いておると思います。また一方で、教育の荒廃というものも指摘されている。

 いろいろな教育をめぐる期待というか潮流がある中で、今回、こういう形で学校運営協議会ということを骨子とします制度が導入される。この法案提出に至る流れといいますか、そういうものを再度ひとつしっかりと御教示いただきたい、かように思います。

近藤政府参考人 お答えをいたします。

 公立学校に対しましては、いろいろな意味での、さまざまな方面からも批判があるわけでございます。午前中も御説明申し上げましたように、教育が硬直的で画一的であり、変化に対する柔軟性に乏しいのではないか、あるいは、地域社会、保護者との連携が十分ではないんじゃないか、こういった公立学校教育に対します国民のいろいろな批判、あるいは逆に言えば国民の信頼にこたえていくためには、地域住民や保護者のニーズを学校運営により一層的確に反映させていくということが必要だと考えております。

 私ども文部科学省といたしましては、これまでもいろいろな改革を進めてきたわけではございますが、平成十二年の教育改革国民会議の提言を踏まえまして、平成十四年度から、全国七地域九校で新しいタイプの学校運営のあり方に関する実践研究を実施してきているところでございます。

 さらに、昨年十二月の総合規制改革会議の答申でありますとか、それから中央教育審議会におきましても、公立学校の運営について御審議をいただき、この三月に答申をいただいたわけでございまして、そういった答申等を踏まえまして、地域住民や保護者等が学校運営協議会を通じまして一定の権限を持って学校運営に参画することを制度上可能にするために、今回、法律を改正しようということで、この国会で御審議をいただいている、こういう経緯でございます。

古賀(一)委員 この法案はコミュニティ・スクール法案と言ってもいい法律なのかもしれませんけれども、今まで、どちらかというとコミュニティーと縁が薄かった学校というところで、今度コミュニティーと、ほかの行政課題よりもある面ではいち早くかかわっていこうというのは、何か皮肉にも思えるし、面白いとも思うのであります。

 コミュニティーの最小単位というのは、私は家庭だと思うんですね。その家庭を見ましても、まず父母は共働きで帰宅が遅く、子供は塾通い、これがある面では典型的な家庭の像になっております。家に戻ってきても、子供たちはそれぞれの部屋に引きこもって、自分のテレビを見る、あるいはコンピューターでテレビゲームを遊ぶ。そういう意味で、家庭という最小単位のコミュニティーもコミュニティーの様相をなしていない、こんな状況が当たり前になっている昨今の状況でございます。

 そういうことで、私自身は、このコミュニティーの破壊というのが今のいろいろな社会現象、介護の問題であれあるいは非行の問題であれ、いろいろな事象を起こしておるんだと思いますけれども、そういう面で、今度学校にコミュニティーの知恵を入れ込んでいくというこの法案というのは、先ほど土肥委員からもありましたけれども、大変な可能性を持つ画期的な制度にもなり得るものだ、私はこう評価を、あるいは期待をいたしております。

 しかしながら、この制度を見たときに、後ほどるる申し上げますけれども、一言で言うならば、顔は、心は新しい方向を向いている、いわゆる柔軟性に富む学校教育をコミュニティーとともに知恵を出し合ってやっていこう、そういう方向を向いている、しかし、体というかそういうものは半身の構えで、まだ半分、四十五度ですね、従前のままという批判があってもおかしくない法制度になっておりまして、そこら辺をきょうはしっかり、本音のところをどうお考えなのかを聞いてまいりたいと思っております。

 さて、第二問。今のお話はわかりました。これも事務的な話でありますから近藤局長にお伺いしますけれども、この法律が今国会を通りまして、施行されて、どういうタイムスケジュール、タイムテーブルで作業が進んでいくのか。恐らく教育委員会の規則の改正、あるいは規則の制定、学校指定の準備作業、そして指定校の選定、今度は委員の候補者探しも大変な作業であろうと思います。任命もあります。こういった一連のこのシステムが稼働していくそのプロセス、ちょっと頭にイメージとしておきたいものですから、どういうタイムテーブルで行われていくかをまず御説明いただきたいと思います。

近藤政府参考人 お答えをいたします。

 この改正法案施行は公布後三カ月ということにいたしているわけでございますが、私どもとしてはできるだけ早くこの制度を導入していきたいと考えているわけでございまして、本制度を導入しようとする市町村教育委員会は、今先生からも御指摘がありました、またこの法律の中にも規定があるわけでございますけれども、学校運営協議会を置く学校の指定でありますとか、指定の期間、あるいは委員の任免の手続、学校運営協議会の運営に関し必要な事項について、教育委員会規則で定めることになるわけでございます。

 その後、必要に応じまして、都道府県教育委員会と協議を行った上で、その指定する学校ごとに学校運営協議会を置き、それぞれの委員の任命等の手続を行う、こういうことになるわけでございまして、私どもといたしましては、できれば平成十七年四月にも学校運営協議会の設置が可能となるように、教育委員会に対しましてこの制度の趣旨等について十分な説明を行ってまいりたいと思っておりますし、各教育委員会におきましては、その制度の趣旨を踏まえて、迅速かつ適切な対応を行っていただきたい、このように考えておるところでございます。

古賀(一)委員 今のお話で、平成十七年度、年度当初から稼働させたいというお気持ちはわかりました。

 それで、この中で、私は、大変重要なものは、後ほどもるる申し上げますけれども、やはり学校の指定だと思うんですね。そして、その次に来るものは委員、どういう委員をどういうプロセスで得るか、ここら辺を間違えますと、せっかく設けられたこのコミュニティ・スクールの仕組みというものは、スタート時点で何だこれはという逆の評価を受ける危険性も持っていることだろうと私は思います。

 そして、そういう危険性を排除し、この制度が本来目指そうとしているものをよりよく発揮していくための要諦は、私はやはり広報だと思うんですよ。今までのように、文部省から、初等中等局から県の教育委員会に通達を出す、あるいはそれを経由して市町村の教育委員会に通達を出す、研修あるいは会議を通じて先生方に徹底をする、これでは済まないんですね、今度の制度は。

 地域の皆さん方に、父兄の皆さん方に、あるいは地域におられる有識者の方々に、こういう制度があって、地域が、市民が参加して、今度学校教育にかかわっていくんだというものを知らしめねばならないという意味では、今までの通達行政では済みません。これも余り今まで文部科学省はやったことのない分野であるゆえに、私も大変心配もするんですけれども、あえてここで広報の重要性というものを指摘したいと思います。

 そこで、そういう意義は当然わかっておられると思うのでありますが、この制度、法律が通った後、公布され、施行されるに当たって、文部科学省として今までとは違った、地域へ、国民へ、市民へとこの制度を広げなきゃならぬ、その広報について、どういうお考えを今の時点でお考えでありましょうか。

近藤政府参考人 お答えをいたします。

 もちろん役所として施行通知をしっかりとお示しし、都道府県の教育委員会の関係者に対しまして、会議等でその制度の趣旨を正確に御理解いただくべく努力もしていくことは当然でございますけれども、先生おっしゃいましたように、従来、やはり文部科学省は少し広報が下手くそであったかなという感じも正直私も持っておりますけれども、やはり今の、パンフレットでありますとか、あるいはホームページを使うとか、いろいろなやり方がまたあるんだろうと思っております。どうぞ先生、いい知恵を私どもにまたお示しをいただけたらと存じます。

古賀(一)委員 文部科学省は広報が下手であったのかなとおっしゃいましたけれども、下手だったと思います。

 これは大変小さい法律改正のように思いますけれども、国民にとっても大変これは、知らされれば夢を持つ、あるいは学校に積極的にかかわっていく、そういう可能性を持った、ある面ではとんでもない仕掛けになり得るものなんですね。

 そういう面では、私は、今ホームページとか会議とかいう話がありましたけれども、政府広報予算の予算枠だってあるわけでありますから、私は、これは本当に、新聞で全面広告を打っていく、お金はかかります、私は、そんなことをやっても、今の国民の皆さん、教育現場、あるいは生徒さん、父兄、PTA、そういう人たちが、今教育に新しい風を求めている、新しいシステムを求めている、もやもやとしたいろいろな問題が噴き出している、どこでその突破口が開けるんだろうと思っている、そこに、これはコミュニティー法案ですから、名前もいい、私はひとつこれを、今までとは違った迫力で、あるいは予算をつけて政府広報で金使ってでも、全面広告でもやるというようなことがあってもおかしくないテーマだと思いますけれども、大臣いかがでございましょうか、ひとつ。

河村国務大臣 このコミュニティ・スクール、法案を通していただきましたらしっかり宣伝をせよ、こういうことでございます。

 先ほど近藤局長の方からも答弁したように、文部科学省としてとり得る方法で周知徹底しなきゃいかぬと私も思っております。これは地域によってどういうふうに取り組んでいただくかということがあろうと思います。

 それから、やはり教育委員会も、学校がもっとオープンに開かれた、信頼されるものにするための努力をしてきておりますけれども、それの行き着くところ、究極の一つの形だろう、こう思いますから、これは実際に運営をしている学校現場がやはりこのことをしっかり理解していただくということが必要だろうと思います。

 今の古賀先生の御指摘があったような形も含めて、どのような形をとれば効果的か、内部でもしっかり検討させたいというふうに思います。

古賀(一)委員 私は、よく友達あるいは地域の人たちと酒を飲みながらとか、あるいは座談会でとか、小集会でいろいろ語ります。教育の問題も結構出ます。その中に、やはり本当におもしろい教育論を持った人が、元教育長とかそんなのではなくて、元学校の先生ではなくても結構いるんです。結構いるんですよ。

 私は、そういう人たちが、こんな制度ができたのか、それなら私は手を挙げてみよう、自薦。あるいは、こんな制度ができたなら、我が恩師、今引退しているけれども、あの先生は昔本当に子供のことを思うユニークな教育論で私たちを鍛えてくれた、あの先生になってもらおうじゃないかとか、やはりここの情報だと思うんですよ。

 こういうのが伝わらないと、この制度は、仕組みはコミュニティ・スクール、地域とともに、そう言っていても、そういう情報が市民の皆さんの中に広く広がらなければ、これは、今までの教育委員会が人選をする、今度何かできたらしい、でも、地域では全然話題にもならない、いい人材も集まらない、結局そうなるんです。これほどいい可能性を持った仕掛けを生かす要諦は、法律の中身だけではありません。私は、そういう面で、国民の皆さんに知ってもらう、この点が一番ある面では重要な点ではないかと思っておりますので、ひとつ、これはアドバイスでありますけれども、真剣に文部科学省の方で考えていただいて、大臣に案も提示していただいて、予算を分捕ってくる話は大臣がやる、こういうことでぜひ進めていただきたいと思います。

 それでは、今度の法律の核ともいうべき、本質ともいうべき学校運営協議会につきまして、何点か御質問をさせてもらいたいと思います。

 先ほどの土肥委員の質問に対して、局長は、任意設置ですというような答えがございました。それはそのとおりでありますが、私は、任意設置というのも二つのやり方があると思うんです。学校そのものが任意につくるかつくらないかを決める。しかし、今度の制度は、教育委員会が任意でつくるという仕組みになっているんです。

 私は、この仕組みは、今の法律の仕組みではなくて、すべての公立学校に学校運営協議会を置ける、任意ですよ、強制じゃないですよ、やろうと思えばすべての公立学校で学校運営協議会ができるという仕組みに持っていった方が、インパクトも強いし、時代のニーズにも合うのではないか、かように思いますけれども、なぜ教育委員会が指定する学校に絞るというスキームにされたのか。この点は非常に私は重要なポイントだと思いますので、お伺いをいたしたいと思います。

河村国務大臣 この学校運営協議会を設立ができるようにお認めいただく、これを全国津々浦々にということ、当然視野に入っているわけでございますけれども、今回は、やはり学校運営についていろいろな御議論があるし、国民の皆さんの期待があるし、特に、学校が開かれたもので、身近なもので、信頼できるものでと、こういう声、それにどういうふうにこたえていくかということで、やはりその学校運営のあり方の選択肢を広げていくという一つの方法です。

 だから、これは本当に、それぞれの地域がみんなやろうとおっしゃればできることでありますが、これを全部やってくれというよりも、むしろ、地域の特色とか学校の実態とか、それから保護者、地域住民の方々の御意向、やはりそういうものを踏まえて教育委員会がその地域によって判断をして、この学校をそういうふうな形に持っていく方がいいんじゃないか、うまくいくんじゃないか、こういうような判断をしていただく。これによって、規則に、手続を踏んでいただきますから、上から、こう決めたから全部やりなさいというよりも、やはりどうしてもこれは地域の参加がなければできない仕組みですから、そういうものの熟度を見ながらやっていくということが大事じゃないだろうかということです。

 研究開発校というのを九校しか指定してやっていませんけれども、それをやって見ていると、地域の盛り上がりというものもやはり必要だなということもわかってきておりますので、一律に導入というんじゃなくて、その成り行きを、状態を見ていって、そうすると、これが盛り上がってきて燎原の火のようにずっと広がっていくということを我々は教育改革の一環として望むところでありますが、そこに至るまでには、やはり導入については地域を重視した形のものをとらせていただこう、こういうことで考えておるわけであります。

古賀(一)委員 それでは、大臣、スタート当初は、今大臣がおっしゃったような気持ちというか、それを受けての仕組みでやるという気持ちはわかりました。

 では、構想としては、スタートはこうだけれども、将来は全公立学校でこの方式を広めようという戦略、思いの中でスタートしておられるんですか。そこら辺はどうなんでしょう。

河村国務大臣 今御答弁申し上げた中にありましたように、学校運営のあり方というのはやはりいろいろな形のものがあるのです。例えば、一方では私学もあるわけですね、義務教育でも私学でやっているところもある。そういうことでありますから、その選択肢の一つとして考えていくということであります。

 結果的にやはりこれでいくべきだということに全部なったからといって、いや、あれはまずいんだ、そういうものじゃなくて、それは、これだって子供たちにとってうまくいくということになっていけば大いに奨励すべきものの選択肢の一つだとは考えております。しかし、地域によっては、いや、今までの学校でこの地域はこういうことでちゃんとやっている、PTAも一環となってうまくいっているんだというところは、それで、今あります、これまで導入してきた学校評議員制度、これを校長先生が立派に活用されて、リーダーシップのもとできちっとやれているという学校は、私は、それはそれで、それをどうしても地域運営学校に変えなきゃいけないんだということではないのではないか、こう思っております。

古賀(一)委員 これはささいなことのようにも見えるかもしれませんが、私は、この制度は本当に広く浸透して、先ほど来の評価のように、ああ、公立学校が変わってきた、数年後、公立学校がよみがえった、本当に楽しげで、地域と密着して、父兄も物すごく公立学校の運営に関心を持って、教育というものが、こういう初等中等教育が再び健全化し、評価を受けるということになるかどうかの、場合によっては変わり目になる、転換点になるかもしれないポイントだと思うのですよ。

 いいですか、今までは、どちらかというと、先ほど言いましたように、コミュニティーとか市民、住民の声とは離れて、上意下達で文部省が通達を出す、中教審からの答申があった、今度はこうするぞと県の教育委員会に指示をする、県を通じて今度は市に行く、学校現場でまだすり合わせができていないところに混乱が起こる、そういう、父兄とか地域抜きに、縦からこう来て教育が進められてきたという、まず確立したイメージがあるんですね。

 そこに、いいですか、すばらしい制度なんですけれども、教育委員会が規則を決めてそれにのっとって指定しますよという学校運営協議会を設置する学校、そして将来は委員を決める。そうなれば、今までの流れからいえば、普通だったら、ああ、また何か新しいものをやっているということで、学校そのものも、ましてやその地域の人から見れば、これで、公立学校の教育に新しいこういう仕組みが出てきて、手を挙げれば、我々も参加しようという仕組みにはならぬと思うんですよ。

 教育委員会が決めるんだと、私は、それをもっと具体的に言いますと、むしろ、教育委員会の学校指定ではなくて、すべての公立学校に少なくとも設置する門戸は開かれているという仕組みにして、そして、うちの学校はついていけない、うちの地域はそんなニーズはない、うちの学校は問題がない、そういうところは出さなくていいんですよ。今のように教育委員会が指定した学校というスキームじゃなしに、どこでもやれますよと。全部一律に強制はしない、しかし、やりたいところは全部やれるという、その仕組みにしたときこそ、初めてこの制度が、コミュニティ・スクールだ、地域と学校の連携だ、こういう話にわっと一気にいくと私は思うんですよ。

 今までどおりの、うちの県で三校ぐらいしか指定しないんじゃないか、そういうところはよくわからぬ、要するに指定だ、教育委員会のイニシアチブだという仕組みだったら、そういうせっかくのこの思想が途中で絞られてしまうんではないかという懸念を私は持つんです。

 したがって、私は、では、ここで聞きましょうか。では、ある県の教育委員会が、市でもいいですよ、うちは積極的にやろう、すべての小学校、中学校でやってもらおう、そのために全部一回指定してみようという話になったとき、これはよろしいんでしょうか。

近藤政府参考人 市町村の教育委員会の判断でそうしたいということであれば、結構でございます。

古賀(一)委員 そうなりますと、先ほどの、この制度を国民みんなして育てていこうという気になるような、やはり広報、通達にとどまらないPRというか、そういうものが私は非常に重要な意味を持つと思います。

 今までの文部行政は、やはりそういう流れで来たし、そういうイメージを持たれておりますから、そのイメージと教育委員会の指定、こういう制度の絞りによって、これがせっかく、わっと世の中に出ていって、本当にいい委員が将来集まるとか、そういう可能性を持っているわけですよね、それがその二つの絞りによって、結局、鳴り物入りで出てきた制度だけれども余りぱっとしなかったなということにならないように、私は、その制度の広報を含めて真剣にしっかりとお考えをいただきたい、強くこれは注文をしておきたいと思います。

 それで、ちょっとくどいようでありますけれども、このもとになりました中教審の答申がございます。今後の学校の運営管理のあり方についての答申がございました。ここに、「地域が参画する新しいタイプの公立学校運営の在り方について」という記述がありまして、第一節に、「地域が公立学校の運営に参画することの意義について」ということで、大変高らかに、地域運営学校というネーミングですが、その学校の意義をうたってあります。

 しかし、第二節になりまして、「制度化に当たっての基本的な考え方」ということになりますと、一律に求められるものではない、そういうふうな評価がありまして、したがって教育委員会の適切な判断というふうに、一律につくる必要はない、教育委員会の適切な判断、つまり、今言いましたような指定というものに逃げた記述になっておるんです。

 これは、いいですか、一律に求める必要はないと思います。しかし、再度言いますけれども、公立学校の自主的な判断に任せるというやり方で、今度一律につくらなくてもいいと思うんですよ。そこら辺ひとつ、今後、運営に当たっては、学校のあるいは現場の意思というもの、期待というものが出てきたときは全部受け入れるというような、広げていく、そういう発想でこの制度を運営していただきたいと強く、くぎを刺すというか要望しましてこの質問を終わりたいと思いますが、局長、そういう方向は可能ですね。

近藤政府参考人 お答えをいたします。

 この学校運営協議会は、法律によりまして公立学校の運営等に関与する一定の権限を有するものであるわけでございますから、どの学校を指定するかは、学校の管理運営の最終的な責任を有する教育委員会の責任において行われる必要があるわけでございます。

 この学校運営協議会を設置する趣旨は、やはり地域住民やその保護者の意見を直接反映させることで学校運営の改善を図ろうとする、こういうことでございますから、そういったニーズがないにもかかわらず指定が行われたとすれば学校運営が混乱をする、こういうようなこともかんがみまして、一律の指定ではなく任意の設置にしたわけでございますが、その市町村の教育委員会が、その市町村においてはすべての学校においてこういうニーズがあり、問題がないんだという御判断を下されるならば、その市町村のすべての学校を指定するということも論理上できるということでございます。

古賀(一)委員 それでは、次に移ります。

 もう一つ、この学校運営協議会の機能にもかかわることなんですが、法律は、校長がつくる学校運営の基本的な方針についてこの協議会が承認をする、こういう仕組みになっていますね。校長先生が、学校運営の基本方針について、今度学校運営協議会ができた、示さなきゃならぬと、校長先生がその案をつくって、一つの案文を、もちろんタイプで打って、会議を開いて、皆さんこれでいいですかと諮る仕組みになっているんですね。それよりも、本当を言うと、案をつくる前に校長先生が、皆さん、何でもいい、今までの皆さんの経験から、あるいは地域の声を代表して、忌憚のない意見を一回フリーディスカッションしましょう、情報のかきまぜをしましょう、いろいろな多様な意見を交換しましょう、ここが私は一番重要ではないかと思うんですね。

 ところが、法律の仕組みは、校長先生が案をつくって、そこで承認をいただく。何か今までどおりのかた苦しい、何か審議会のような、そういうような仕組みに、せっかく広げたのに、何か会議の実際のやり方は、あるいは協議会の任務は、今までのようなかたいお仕事になっているように思うんです。それじゃ、いかにももったいないと思うんですが、私は、この案作成段階での協議というか、そういうものに重点を置くべきじゃないかと思うんですけれども、この法律制度でそういう運用はできるんでしょうか。

近藤政府参考人 お答えをいたします。

 この承認という趣旨は、具体的には、校長が作成した原案についてただ賛否を問うというだけではなくて、校長が示した基本的な方針の原案をもとに協議会で活発な御議論をいただき、場合によってはさらにそれが修正をされ、結果として成案という形を得て運営協議会の承認を行う、こういうことも当然あり得るんだろうと思っております。

古賀(一)委員 今ちょっと思い出しましたけれども、この法律をつくるに際して、先ほど来話がありました、今いわゆる実験校でやっていますね、あるいはやっていた事例、あるいは現場の学校の校長先生あるいは教育委員会、そういう方々にこの法案のスキームというのを一回提示をして、こういうことにしたい、教育委員会が指定するんだよ、学校運営協議会は校長の案を承認するんだよ、もっといい知恵はないか、皆さんどう思う、そういうようなヒアリングはやられたんですか、現場の声。

近藤政府参考人 お答えいたします。

 私ども、これにつきましては、中央教育審議会でいろいろな関係団体から御意見を聞いたわけでございますし、それから、この実践研究校の関係者の方々ともこれまでも意見交換も行ってまいったところでございまして、そういった案も、私どもの法律案もお示しもし、意見交換も行ったという経緯はございます。

古賀(一)委員 本当にそれはやられたんですね。というのは、私も昔役人やっていましたからわかるんですが、最近、文部科学省だけじゃないんです、各省庁の今の現役の人に聞くと、本当に、地方自治体の長とゆっくり話したことがない、腹を割って話したことがない、部外の人と話したことない、そんな話ばかりなんですよ。本当に驚くほどそう。今の、法律をつくる、政策をつくる、予算を積み上げる、役所の皆さん方は本当に腹を割った地方の声、現場の声、企業の声、そういうものをほとんど実際聞いていませんよ。だから、こういうコミュニティ・スクールという法律をつくるんだから、そのコミュニティーの意見を法律をつくる前に当然聞くべきだと思う。ところが、霞が関の今の行動原理からいうと、そんなこと本当に今やっているのかなと危惧せざるを得ない。

 そういうことで、本当にそうかと今から聞いてもむだなことですから聞きませんけれども、やはりこれは現場ですよ、審議会の先生、それはPTAだ何だ、全国組織のトップということで、果たして本当の意味での現場の声といいますか、地域の声、まさにコミュニティ・スクールがねらおうとするそういう現場の声というものが反映されているかどうか、私は非常に疑問に思います。

 今後は、私は、しっかりそういうところを聞いて、法制度がこうなっておっても、運用上、このコミュニティ・スクールのいわゆる趣旨が減殺されないように、本当に生かされるように、運用をぜひ図っていただきたい。

 これは下手をすると、私は、名前はいい、法案はできた、しかし物事が大して変わらず動くということになりかねない危険性がこの二点に私はあると思いますので、強く申し上げておきたいと思います。

 それでは次に、この学校運営協議会の最後の問題でありますけれども、委員の任命はどういうふうになるんでしょうか。

 聞くところによりますと、横浜市は、横浜市が管理する公立学校は五百以上あるそうで、五百以上で、百なり二百なり三百の小学校、中学校がこの運営協議会をつくりたいとなれば、委員が一人ということはありませんから、それだけでもうん千人のこの協議会の委員が必要になる。こうなってきますと、横浜市教育委員会で手に負えるんだろうか、こういうことを心配するわけです。

 そうしますと、先ほど言ったように、あまねく市民に知らしめて、関係の皆さんに知らしめて、自薦他薦でいろいろな人が手を挙げてくる、その中から選ぶというふうな仕掛けでもない限り、横浜市の教育委員長が、極端に言えばですよ、三百の小中学校の運営協議会の委員を選んでいくという作業に取りかからぬといかぬ。それは、実際無理だろうと思うのですが、公募制というものはこれは採用できるのでしょうか。

近藤政府参考人 学校運営協議会の委員につきましては、地域住民、保護者はもとよりのことでありますけれども、その他、適切な人材を幅広く求めて任命するということが重要であろうかと思っております。

 その際、教育委員会といたしまして、これは教育委員会が最終的に判断するわけでございますけれども、当該指定学校の校長の意見を聞いたり、あるいは今先生御指摘になりましたような委員の公募制を採用する、いろいろな方法によって委員の任命を行うということは可能でございます。

古賀(一)委員 わかりました。各学校あるいは教育委員会、地域の知恵に期待をしておきたいと思います。

 それでは、この制度の発端というか、検証事例になったと思われます、平成十四年、九校を対象にしてやられました新しいタイプの学校運営の在り方に関する実践研究、これについてちょっとお聞きしたいのですが、研究がどういう段階で、得られた成果あるいは評価というものがどういうものだったのか、ひとつ局長、評価をお聞かせいただきたいと思います。

近藤政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど少し答弁が足りなかったのでありますが、この四月に、実は、この七件九校の学校の校長先生あるいはその教育委員会の関係者にもお集まりをいただきまして、ざっくばらんな情報交換を行い、その後は大臣とも意見交換をさせていただいたわけでございまして、これまで大変熱心なお取り組みをいただいたわけでございます。

 十四年度からまだ途上であるわけではございますけれども、例えば、成果といたしましては、民間人校長を公募する、そして地域の住民の要望を踏まえた人事が行われるなど、学校運営に地域の支援が得やすくなったとか、あるいは、地域住民の協力によりまして、そういった学校協議会の中に地域の住民の方々が入ってくるものですから、いろいろな学校でのボランティア活動、こういったものに地域の方々の協力が今まで以上に得られやすくなったとか、あるいは学校を拠点とした地域活動が活発化した、こんなような事例の御報告もいただいたわけでございます。

 ただ、やはり課題といたしましては、これはやはり協議会の組織、協議会の委員に対する、いろいろな方々が入っていらっしゃるものですから、その研修を実施してきちっと理解を得ていく必要があるのではないんだろうかとか、あるいは、その運営委員会と校長先生との役割分担、整理の問題、それから、新しい取り組みでございますから、評価の方法をどうやって確立していくのか、そういったところがまだ試行の段階であるとか、いろいろな課題も、また提言を受けたわけでございまして、私どもは、そういったことも参考にしながら、こういった問題に引き続き取り組んでまいりたいと思っております。

古賀(一)委員 それで、私は、一つの提言でありますけれども、公立学校で地域のいろいろな意見を聞いて取り入れていこうというシステムですね。現場を見よう、現場優先、あるいは地域優先の教育への挑戦、こう言っても過言ではないと思います。

 そうしますと、我々は、この永田町で議論をしているのですけれども、まさにこの実践研究の事例があるものですから、ひとつ、この法案の日程に組み込むのは何か皆さん大変だとおっしゃるかもしれぬけれども、でも、近いところであれば、いずれ近いうちに、私は、足立区の区立五反野小学校の事例も資料でもらいましたけれども、近周りですから、本当にそこに行きまして、学校の先生、あるいは協議会の委員の先生、あるいはコミュニティ・スクールの実践をして学んだこと、問題点、そういうものを一回、法案を審議する我々が、近いうちにこの正規の委員会としてぜひ行った方がいいんじゃないかと思います。

 これは別に大臣にお答え願うことじゃないので、ひとつ委員長、日程のタイトさというのもあるかもしれませんが、理事会でひとつ検討していただきたい、かように思います。それは、理事にも話してありますけれども、皆さんにもこの提案をぜひさせていただきたいと思って、申し上げます。

 それでは、次に移りたいと思います。

 大臣にお願いを申し上げたいのですが、今度の改革も、ある面では教育改革という一環に堂々と位置づけられる法制度の改正だと思うのですが、私は、これまでのいろいろな教育論あるいは教育改革論、教育の問題論というのは出ていますけれども、断片的というか、一部には入試の問題があったり、学力低下があったり、体力低下があったり、非行の問題があったり。それに対応しまして、受験科目を今度減らすとか、ゆとり教育だ、いや、今度はゆとりも行き過ぎた。何か現象を追って、どっちの方向が正しいかわからないのに、いろいろな制度を、カードを変えてみたり動かしてみたりというような感じに見えるのですね。それは、恐らく一般論として、国民の皆さんも、父兄の皆さんもそう受けとめているんじゃないかと思うのです。

 そこで、やはり今後、いろいろな教育改革論が出てくると思います。現場においては、今のようなこの法律の制度が出てくると思うのですけれども、今後、私は現場からいろいろな提案が出てくると思うんですね、この制度で。そうしたときに、それをやはり、ある県でこういうことをやっている、あるところではある先生が百升計算をやって物すごく効果があった、それをまた、ではどこでもやろう。そういう事例の積み重ね以前に、私は、教育の改革というか、あるいは教育改革の体系論というか、それを一回しっかり議論すべきじゃないかという感じがしております。

 私も教育の専門家じゃありませんから、教育改革の体系論というのを私が正確に言うことはできないのですけれども、でも、まず根底には、私はまず人間学というのがあるんじゃないか。日本の教育をどう変えていくんだというときに、人間とは何ぞや、人間の能力、あるいは脳生理学ですね。子供のときはこういうことをやればここまで対応できる。それは百升計算から陰山方式もそうですけれども、私も感ずるところはあるのですよ。そういう人間学、生理学まで含めた、そういったものをやはりしっかり押さえてかかるべきだろうと思うのです。

 二番目は、教育の制度論の前に、では、それを踏まえて、教育の本質論ですね。教育というのは本当は何なんだと。三歳ぐらいで英語を覚えさせるのが本当の教育なのか。本当の意味で教育というものは、その成長過程で何が一番求められる成長であるかという、いわゆる教育の本質論というのが、言葉はちょっとまずいかもしれませんが、あるんだろうと思うのですよ。

 三番目に、教育の制度論。そういうのを踏まえて、ではどういうそれを生かす制度にしたらいいかという制度論が三番目にあると思うのです。

 そして、その制度、枠組みの中で、では、どういう内容を教えるかという教育の内容論というのが議論されるんだろうと思うのです。

 それで、それとともに、最後には、そういう内容、制度の中で、余り大げさに言われておりませんけれども、先ほどの百升計算じゃありませんけれども、私は、教育の方法論というのもしっかりと重要な課題としてあるんじゃないか、こう思っています。

 私は、そういう中に立って、今の教育で起こっている問題、一つ一つ、不登校の問題あるいは受験戦争の厳しさ、いろいろな事象がありますよ。そういうものを教育改革の論の中で組み合わせて、では、これとこの分野で改革をしなきゃならぬというシナリオが初めて整理されて出てくるんだろうと思っております。私は、そういう体系立った教育改革論というものが示されていない、どこに問題があるんだろう、そういう感じを我々も国民も持っていると思うんです。

 大臣、大臣になられて長くもないけれども、ずっと国会答弁をされて、今の教育改革論というものについての何か感ずるところ、今私が申し上げたような意見に対してひとつ所見はございませんでしょうか。

河村国務大臣 古賀先生がおっしゃるとおり、今回のこの新しい学校運営のあり方、新しいタイプの学校をつくろうというのも、やはりこれは教育的効果を求めておるわけでございます。

 教育は百年の大計、人づくりだ、こう言われておりますから、それに尽きるのでありますけれども、今回、私は就任に当たって、特に総理からの指示で、私もこれだなと思ったのは、やはり、これまでの知育、徳育、体育、さらに食育という問題も出てまいりましたけれども、そういうものを一つにして重視しながら、まさに人間力を高める、人間力向上の教育改革だ、こう言われておりますから、そういう切り口でこれからの教育のあり方を考えていったらどうだろうか、私はそう思って、今の、これからの教育のキャッチフレーズはどうあるかと言われたときには、人間力向上のための教育改革だ、こういうふうに答弁をすることにしておるのであります。

 既に、遠山前大臣のときにも人間力向上のための人間力戦略ビジョンというのもあったわけですね。やはり、これから二十一世紀に向かって、次代を担う子供たちが人間として自信を持って、誇りを持って生きていく、その力をこの教育の中で学んでいく、つけていく。それはまさに、幼児教育から始まって生涯教育にずっとつながっておるわけでありますけれども、その都度その都度の教育を受けるわけでありますから、その中でしっかりとした学びをする。

 言葉にしてしまうと、自己実現を目指す自立した人間であるとか、あるいは知の世紀をリードする創造性に富んだ人間であるとか、公共の形成に主体的に参画する日本人、あるいは、伝統文化を重んじた、今の国際化時代に対応できる教養ある日本人、こういう言い方になるし、これはまさに、これからの新しい、二十一世紀にふさわしい教育を求めた中央教育審議会の答申にもそういうことが書いてあります。その中には、教育の根本法である教育基本法というものから根本的に考えていくべきであるということ。

 最近では、さっきも議論になっておりましたが、現場を見たときに子供たちの居場所というのがなくなっているんじゃないかというような指摘。そうすると、子供の居場所づくりというようなこと、そして地域の教育力、それから家庭の教育力をいかに高めるかというようなこと、こういうことが言われておるわけであります。

 ただ、やはり教育というのは、しつけとか人間力を高める中には、一義的には家庭の教育力にあるわけでありますけれども、いわゆる知識を蓄えそれを自分の生活の中に生かせる、その能力は学校にあるわけであります。そして、それを授けるといいますか、その教育がうまくいくかどうかは、まさに教員に大きくかかってくるわけであります。

 そういうことを考えますと、やはり学校が活性化して、学校が信頼できて、学校教育というものがその期待にこたえるものでなければならぬというところに行き着くわけでありまして、それが今回、新しい学校運営のあり方を求めた今日のまさにコミュニティ・スクールと言われるもの。それは、もちろん、学校が活性化するためには、しかし考えてみたら、やはり地域の教育力と相まっていかなきゃならぬ時代になっておりますから、ちょうどそれを一緒に求めたような形で、今日、このコミュニティ・スクールのあり方、新しい学校運営のあり方を求めていこう、こういうことになっております。これが、古賀先生も言われるように、これがうまくいけば大きな変革、新しいものを生み出すんじゃないか、こう言われるゆえんだろうと私は思っております。

 しかし、今日の多様な価値観の中で、いろいろな考え方があるし、教育については皆さんいろいろな思いを持っておられます。一つに集約して、これでやれば間違いないんだという道というのはなかなか容易じゃありません。

 私も、今回、大所高所からそういうことを議論していただく場を設けようというので、文部科学大臣の私的諮問機関でありますが、これからの教育を語る懇談会というのも設けまして、実際の学校の現場を知っておられる方とか、いわゆる経済的、社会的にもまさに第一人者と言われる方々まで含めて、いろいろな議論、お話を聞いてみよう、こう思ってそういう会を設けました。また、この場での議論もまさにそういうものだと私は受けとめながら拝聴しておるわけであります。

 やはり日本がこれから世界の中において、世界から信頼される、いわゆる評価される国づくりというのは、やはりこれは人にまつしかないんです、最終的には。そう思っておりまして、そういう意味で、この新しい時代を切り開いていくような、もちろん物の豊かさと心の豊かさを一緒にあわせ持ったような日本人をつくっていくということに主眼を置いて、まさにそれらをひっくるめていろいろな取り組みを、まさに人間力向上の教育改革という名のもとに努力をしていきたい、このように思っておるわけであります。

古賀(一)委員 最後に近くなりましたので、ちょっと私の結論じみた思いを申し上げますと、この制度はある面では新しい教育改革の突破口になり得る可能性を持っていると思います。しかし、いろいろなところ、いろいろな学校、いろいろな教育委員会、いろいろな地域に、いろいろなアイデアが、こうしてほしい、あそこでやっているこんなことをやってほしい、私は昔はこういう勉強をしたから、今の学校もこうすべきだ、いや、そうじゃないと。結局、アイデアは山ほど出る、しかし収拾がつかない、場合によっては委員同士のけんかが始まる、学校との対立が起こる。こういうことも十分考えられるんですよ。

 やはりそこで必要なのは、私は、先ほども言いましたように、教育とは何ぞや、教育の改革論の本当に大きいフレームの中での哲学というか戦略というものをしっかりと教育委員会が持っていることだと思うんですよ。それなしにみんなが言いたい放題言ったら、本当に委員同士のけんかになると私は思うんですよ。だから、それは本当に、この制度をつくられた文部科学省が、あるいは大臣が、強烈にその思い、理念、そういうものを発信していくことだとは思います。

 そこで、私は、方法論、先ほど、一番枝葉末節のように思われる教育の方法論について、これは実はいろいろな意見があります。英語教育についてもあります。英語教育について、学習指導要領が間違ったと私は思っています。したがって、今でも英語はろくにしゃべれません。したがって、私は、毎日CDで聞いています。物すごい速いスピードの英語を今聞いています。三十時間もすると、最初は全然わからなかった英語がわかるようになりますね。本当にそうなんです。なるんですよ。

 私は、大学時代、フランス語を勉強して、フランス語は大したものだったんです。NHKのラジオ講座で聞いて、フランソワーズ・モレシャンさんが、あなたのフランス語ほど美しい発音はないと言うぐらい美しい発音で僕はしゃべれるんです。それはラジオなんですよ。だから、結局、方法論も極めて重要、そう思って疑いません。

 その中で、私は非常に、幾つも言いたいんですけれども、漢字教育について、私は今の教育のあり方は大変不満を持っております。これは、教育の本質論にかかわること、日本の文化の本質にかかわるものでもあると思うんですね。

 実は、きのう、大臣にある本を差し上げましたけれども、私、たくさん持っておったので、ぜひ大臣に読んでいただきたいという本で、お渡ししました。白川静先生、京都にお住まいでございますけれども、いわゆる今文、古代文字の世界的権威であります。九十四歳になられながら、今、二時間立ったまま講話をされる。私も何度も聞きました。本当に心を打たれる、すばらしい日本のインテリジェンスだと思っておりますけれども、その方とよく、中国に行って語らい、京都で語らったりするときに、本当に先生の九十四の体にむち打って、命をお捨てんばかりな情熱で日本の漢字教育復活に邁進しておられることに私は感激をするんです。

 ところが、その思いとは別に、漢字教育に関する学習指導要領を見ました。もうくどくど言いませんけれども、一言で言えば、学年ごとに漢字の配当表、割り当て表ですよ。はい、一年生のとき八十字、小学二年生は百六十字。覚えるべき漢字の脈絡もなければ、要するに漢字を教える真髄、文化的意味、そういうものが全くなしに、ただ八十文字、百六十字と配当してある。配当というのも、何か株式配当みたいにお金を配るみたいで余りいい言葉じゃないと思うんですけれども、私はこうじゃないと思うんですよ。

 私は、この一月に文化審議会国語分科会の最終報告書が出て、今までとは違った国語教育、漢字教育というものに明かりが見えてきたようにも思えますが、漢字というものは日本の文化そのものでもあるし、今のような教え方ではなくて、幼児でも、漢字のつくり、そして生成の過程、そういうものを教えれば、難しい漢字でも子供たちは覚えていくんです。そういう新しい日本文化の教育、その土台となる漢字教育の新しい道を探るべきときだろうと思いますけれども、ことしの一月から新しい動きも出たような気もいたしますが、今後の文部行政としての漢字教育充実への道というものはどうお考えでありましょうか。大臣、お伺いいたします。

河村国務大臣 古賀先生から白川先生の「常用字解」をいただきまして、もう一冊先生の本もいただきまして、これは本当にすばらしい本で、白川先生はたしか今、文化功労賞もお受けになった方であります。

 最近、確かにそういう意味で、漢字をどうするかという問題、いわゆる文化審議会の中の国語部会というんですか、ここの中でも、やはり子供たちはもっと漢字を覚える必要がある、そして日本語をもっと大事にしようということですね。

 そこで、ちょっと話題にもなりましたけれども、一応、当用漢字というのがあって、学年でどのぐらい習うという基準がありますけれども、それを超えるような場合でも、漢字をちゃんと書いて、仮名を振って、絶えず目に触れてそれを覚えるようにさせていく。これは、まぜ書きで変な、わざわざ平仮名にせずに、漢字を書いて平仮名をつけてやって覚えさせるということ、私もそれは大賛成でありまして、そうして覚えていったらいいと思いますね。

 それから、これは、小学校一年の教科書の中にも、漢字には、簡単な絵のようなものから始まったんだ、山の姿から山という漢字ができたとか、水の流れる様子から水という漢字ができましたということをちょっと学ぶんですね。やはりそういうことにして漢字は大事にしなきゃならぬ。この白川先生のには、それぞれの漢字の由来が全部書いてある。大した研究だと思います。

 ちょっと余談でありますが、時間がもうあれかもしれませんが、先般APECの、アジア太平洋の経済機構の中の教育大臣会議に行きまして、中国の副大臣と韓国の大臣と三人になって話したんですね。それで、漢字の話になって、もともと漢字は中国から来たんだけれどもあなたのところは何だ、あれは今本当の漢字じゃないよ、韓国は何ですか、ハングルはいいけれども漢字を全然使わないじゃないか、今日本が一番漢字をやっているよ、もう一度原点に返ってもっと漢字を使うようにしたらどうだと言ったら、そうだな、二人ともそう思うと言っていました。中国はあんな変な略字を使わないでもとの字に戻せ、そうしたら我々と共通のことになるじゃないかという話もしたぐらいでありまして、実は今この漢字を一番ちゃんとやっているのは日本じゃないか、こう私は思っておりまして、先生の御指摘、非常に貴重な御指摘として受けとめさせていただきます。ありがとうございました。

古賀(一)委員 時間が来ましたのでもう質問しませんけれども、今、日中韓の話が出ました。

 実は、日中国交回復二十五周年のときに、実は白川先生は中国に行ったことが一回もなかったんですけれども、やはり漢字の発祥の地中国で、北京大学の先生なんかとひとつ漢字交流、古代文字の交流から文字交流をやりました。白川先生の「字通」「字統」「字訓」をあちらにプレゼントした。中国の学者の方が、今略字表記にどんどんなっていますから、白川先生あるいは日本の文字学のレベルを見て本当に中国の方が、我々は恥ずかしい、そう思われました。

 やはり表意文字が持つ意味というものは、本当に重要な意味を持ちますし、私もこれは一つのライフワークとしてやっていきたいと思いますので、ひとつ大臣にも御支援のほどをよろしくお願いします。

 これで終わります。

池坊委員長 笠浩史君。

笠委員 どうも御苦労さまです。民主党の笠浩史でございます。

 けさほどからの活発な議論の中で、私自身も、このコミュニティ・スクールというもの、やはり教育の分権、地方に任せていくものは任せていこう、あるいはしっかりと公立の学校というものを、今ともすると、非常に硬直化して、あるいは画一化しているというような批判にさらされている中で、どうやって魅力ある学校づくりをしていくのかということで大変重要な、そして大きなテーマであると思います。

 ただ、一つ、きょうの議論を聞いていましても、この後また御指摘させていただきますけれども、果たして本当にこの法改正で、学校運営協議会の設置で大丈夫なのかなというような感じもちょっと持っておりますので、その点について御質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、今回の学校運営協議会を設置できるというような法改正なんですけれども、これは政府として、ことし三月十九日の規制改革・民間開放推進三カ年計画、この閣議決定をして、今年度じゅうにコミュニティ・スクールの法制化を行うということなんですけれども、平成十七年の四月一日を目指してということなんですが、一つ確認をしたいんです。

 大臣、このコミュニティ・スクールの法制化、これは、平成十七年四月一日の開校を目指しての要するに法整備というのは、この法案だけということになるんでしょうか。

河村国務大臣 この法案だけでございます。これに基づいて、あとは教育委員会がそれぞれ規則をつくったりしていくと思います。

笠委員 ということは、本当にこの法案が大変重要であると。しかし、それで、今改めてお伺いをしたのは、だからこそ、これはこの委員会でまだ審議は続きますけれども、しっかりと今回の法改正の問題点、そうしたものを幾つか指摘して、また議論を深めていく中で、先ほどから話を聞いていますと、今後、教育委員会の判断だということが多いわけですね。確かに手続的にはそうでしょう。しかし、文科省としてどういうふうな姿を描かれているのか、イメージをされているのかをこの委員会の場ではっきりとさせておかなければ、やはりここはまずいのではないかと思います。

 特に、これは運用を間違えますと、せっかくの法律も形骸化してしまって、どこの学校もなかなか、いや、こんなことではやっても意味がないなということになると、恐らく趣旨とは全く違っていく方向になってしまうので、その点を私も頭に入れながら質問させていただきたいんですけれども、かなりの問題点がはっきりしてきているわけです。

 ちょっと細かいところを幾つかまず質問させていただきます。先ほども古賀委員の方からも指摘があったんですけれども、どうやったらこの運営協議会が設置できるのかというところで、学校が希望をした場合には、これはもう一度確認なんですけれども、基本的には問題がなければ認められるということでよろしいんですね。

河村国務大臣 そうあるべきものだと考えて法案をつくっております。

笠委員 これは、仮に教育委員会の方でなかなか――先ほどちょっとお伺いしたところ非常勤の準公務員というようなことですけれども、これはお金が当然発生するわけですね。そのところをちょっと御確認したいんですけれども、報酬というかこのお金、負担はどこがするのか、その点を御答弁をお願いできますか。

近藤政府参考人 学校運営協議会の委員につきましては、地方公務員法に定める特別職の地方公務員と位置づけられるものと考えておりますから、その場合には、当然教育委員会において報酬が支給される、こういうことになるものでございます。

笠委員 負担は当然地方自治体の方で、都道府県の方でするということでよろしいかと思うんですけれども、そうすると、数が多いところは、これはお金がないから余り積極的にはやりたくないというような、そういう可能性というものは考えられないんでしょうか。

近藤政府参考人 お答えをいたします。

 委員に対する報酬の額につきましては、地方公共団体において地域の実情等に応じて定められるということでございますが、基本的に、この学校運営協議会の委員につきましては、地域の住民あるいは保護者、もちろんそれ以外の方も選ばれることがあるわけでございますけれども、学校運営協議会の機能からいたしますならば、そんなに多額の経費を要する、こういうことになるとは想定をしていないものでございます。

笠委員 先ほどありましたけれども、今回、この法整備をする中で都道府県、各地方自治体、そうしたところからのヒアリング等々あるいは要望等々の中で、その負担ということについての何か文科省に対する要望とか、そういう声というものはなかったということでよろしいでしょうか。

近藤政府参考人 学校評議員の場合にも、委嘱謝金でありますとか報酬が出ているわけでございますけれども、そのときも特段国において予算措置という要望はございませんでしたし、今回のこの制度化に当たりましても、特にそういった、この運営協議会の委員の報酬等の経費について予算要望、こういう話はなかったと承知をいたしております。

笠委員 私、これで都道府県によって、あるいは市町村によって、積極的に進めていこうというところとなかなかそうじゃないところとやはり差が出てくることが、非常にこれはあってはいけないことだな、やる気がある学校があったとしても、なかなかそれが教育委員会が首を縦に振らないというようなことであると、これはやはり文科省として指導もしていかないといけない、今後のガイドライン、通達等の中でそこあたりというものはやはりしっかりとした方針を示していただくことが望ましいと思うんです。

 これもちょっと事務方で結構なんですが、例えば、想定ですけれども、学校側がやりたいと。けれども、教育委員会が、いや、これはだめだというような、認めない、指定しないというような要するに想像できるようなケース、どういう場合にそういうことが起こり得るのか。その点を、もしおわかりになれば聞かせていただきたいんです。

近藤政府参考人 余り想定がされないのでありますけれども、学校のやはりいろいろな事情、その学校運営をめぐっていろいろな事情があって、例えば、緊急に、早急に指定しても、いわゆる学校運営協議会の委員が、適切な委員が発令できるであろうか、そういったような場合があろうかと思うわけでございますけれども、今直ちに、そういう事例については思いがよらなかったところでございます。

笠委員 いや、そういうのはないと言えばいいんですよ。要するに、きちんと学校側が整えて、そして、地域の方々も参加して、こういうふうなコミュニティ・スクールをしっかりとやっていこうというような場合には、もうこれはそういうことはあり得ないんだということをやはりこういう場でしっかりとお答えいただいて、もちろん学校側に何らかの手続の瑕疵があったり、そういったときは別ですけれども、少なくとも、やろう、やる気を持ってコミュニティ・スクールをつくっていくんだというようなことでその条件も満たしたときには、やはり教育委員会というものはどこであれこれは認めるというようなことが望ましいんだということを、そのことをメッセージとしてぜひ大臣にこの場でお答えいただきたいと思います。

河村国務大臣 これは地域運営学校という言い方をしておりますが、やはり地域の盛り上がりによって、学校側とそれからPTA等も含めて、新しいタイプのはやはり必要だ、条件さえ整えば、おっしゃるとおりこれは本来、教育委員会がそれについてどうこうじゃなくて、むしろ、よく認可と認証ということを言いますけれども、もうこれは認証制度に近い形でやるべきものだろう、私はそう思っています。そういう形で進めるべきだ、こう思います。

笠委員 ありがとうございます。

 といいますのも、これは今回、二〇〇〇年にスタートしました学校評議員制度がございますね。これは四年間たっているんですけれども、このコミュニティ・スクールへ向けてこれをバージョンアップさせたものだ、そのような私は認識をしているわけです。この学校評議員制度自体も、四年たつわけですけれども、導入しているところ、あるいは導入していないところ、これは都道府県によってもそうなんですけれども、かなりばらつきがある。

 ちょっと一つ確認なんですけれども、今現在、公立学校でこの制度を導入しているところというのの割合というんですか、それを教えていただければと思うんです。

近藤政府参考人 お答えをいたします。

 一番新しいデータでは、この学校評議員につきまして、昨年の七月現在で全国で約六二%の公立学校に設置をされているところでございまして、平成十四年度の四七%から一五%、一五ポイントほど上昇してきている、こういう状況でございますが、先生おっしゃいましたように、若干、都道府県ごとにはばらつきがございます。例えば、県立学校で一〇〇%設置をしている都道府県もあれば、残念ながらゼロ%、こういう若干ばらつきがあるのは実態でございます。

笠委員 私、県別の手元に持っておるデータですと、公立の例えば小学校だと、全国で、これも平成十五年七月現在なんですが、六六・七%の学校がこの制度を導入しているんですね。そうするとその中で、例えば岐阜県とか山口県とか、大臣のところですね、山口県は。佐賀県なんというのは一〇〇%なんですよ。それで一方、富山なんというのは五%、山梨一一・三%、鳥取、島根それぞれ一六%とか一七%とか、これは本当に差が出ちゃっているんですね。この要因というものについてはどのように分析をしておられるか、お答えをいただけますか。

近藤政府参考人 お答えをいたします。

 学校評議員制度は設置者の判断により置くことができるものでありますから、設置をするか否かは、地域の実情、学校の状況等を踏まえまして各教育委員会が判断すべきものではございますが、私ども、導入が進んでいない都道府県に対しましては、ヒアリング等で個別に今理由を聞いているところでございます。

 例えば、これはある県の事例でございますけれども、以前から学校評議員とは異なる方法によって住民の意向を把握する取り組みがある、そんなことで、学校評議員制度を導入する必要性を感じていないとか、これはまたいかがかと思いますけれども、他地域の状況を見きわめた上で導入したいと考えているから今は少し進んでいない、これも、いつまでもそういうことではいかがかなと思っております。

 若干、そんなようなことでばらつきがあるわけでございますが、そういったおくれている県につきましても、今、設置に向けて前向きに御検討をお願いしているところでございます。

笠委員 これは、制度が導入されてもう四年たつんですね。四年たって、まあ多少であればいいですね、多少であれば。しかし、一方で一〇〇%やっているところがあって、一方で五%。これは、みんなが導入していなければ制度そのものにすべて欠陥があるということで恐らくは総括ができるんでしょうけれども、やはり取り組んで、導入してやっているところもある。一方で言うと全く――それはもちろん教育委員会なり学校設置者の判断ということで。

 ただ、そういったところは、なぜこれを導入しないのか、要するに、逆に言うと、どういうふうな改善をすればやってみたいな、あるいはこれじゃ意味がないんだ、そこあたりをもう少し御説明いただかないと、ただこの県はこう言っていたとかどうこうということじゃなくて、これを母体にしてバージョンアップさせた形なわけでしょう、今回の制度は。であるならば、やはりこの四年間の試みの中で何が足りないのか、あるいは何はうまくいっているのか、当然そこあたりの分析があってしかるべきだと思うんですけれども、その辺、いかがでしょうか。

馳大臣政務官 まず、学校評議員制度の効果について、今いただいておる報告の中からお伝えさせていただきたいと思います。

 まず、プラスの面に関して申し上げたいと思いますけれども、大きく四点ございます。

 まず、保護者や地域住民の意向が反映されるようになった。具体的には、学校に誇りを持った人材を育成するべきとの指摘を受けて、校歌の指導や入学時宿泊研修を充実するようになった。

 二点目は、教育活動への地域住民の協力が得られるようになった。具体的には、社会体験学習、ボランティア活動、総合的な学習の時間などについて、評議員の協力によって、地域住民に講師を依頼して実施したりして、協力を得られるようになった。

 三点目は、開かれた学校づくりが行われるようになった。具体的には、評議員の指摘を受けて、学校公開週間の実施や地域向けの学校広報誌の発行を開始するようになった。

 四点目としましては、教員の意識改革につながった。これは、教職員の服務規律を徹底すべきとの指摘を受けて、教職員を対象とした研修会を実施して、具体例を示して規律保持を徹底するようになったというプラスの効果がございます。

 マイナスの点というふうに考えておりますけれども、これは、学校評議員制度そのものが校長の求めに応じて意見を述べるものであり、また、その意見は校長の参考にとどまることという制度上の観点から、やはり参加していただく学校評議員の皆様にとっては、せっかく意見を申し上げたのに十分に本当に学校運営の中に担保されて行われているのかどうか、こういったところが一つの疑問点あるいは不満として残っているものではないかと思っております。

 また、笠委員先ほどから御指摘いただきました、制度が始まって四年たった、そして、導入している都道府県とそうではないところがあるということは、これは実態に応じまして、やはりせっかく制度として導入しました以上は、こういうプラスの面をお示ししながら、各都道府県の教育委員会にも、より効果的に学校評議員制度が学校の運営に活用されるように進めていくのが我が省としての姿勢であるというふうに考えております。

 また、この学校評議員制度の導入と、もう一つ、年に何回会合が開かれているかということから、数値を調べてみましたところ、年に一回から三回の会合の開催回数が八三%なんですね。これは、その会合の中身にもよりますけれども、せっかく学校評議員制度を導入し、四月の入学から三月の終業まで、ちょっとこの回数の頻度として、一回から三回が八三・〇%であるという数字は、やはり今後改善の余地は十分にあるというふうに考えております。

 以上です。

笠委員 今まさに、私、次に指摘しようと思ったんですけれども、導入しているところでも一回から三回というところが八三%ということは、数字上は一〇〇%というようなところでも、実はこれは置いただけで、機能しているところがないとは言いません、あるんでしょう、けれども、やはり実態としては、これもつくった趣旨に沿ったような実績がなかなか上がっていないんじゃないかなという疑問をどうしても感じてしまうわけです。

 それで、今回、学校運営協議会、先ほどのマイナス面というところで、せっかく意見を申し上げたのに何の担保もされないんだ、そこの点を含めて、これはまさにバージョンアップをされている制度であると私は認識をしているんですけれども、これはできれば大臣にお答えいただきたいんですけれども、この評議員制度とはまた違いまして、学校の運営協議会というものは、先ほど大臣、全国津々浦々にできれば広げていきたいんだと。

 これは、そのように各都道府県なり市町村なりの教育委員会も、積極的に導入していこうというように自信を持って言えるような制度なのかどうか。これまでのそういった評議員会、評議員制度なんかの反省点も含めて、そこあたり、文科省としてどのように徹底をしていくおつもりがあるのか。これは何も、やりなさいと押しつけるということじゃなくて、やはり積極的な地方自治体とそうじゃないところがある、それによって差が出てくるということを私は一番不安に感じておりますので、ちょっとその点について、大臣が何か御所見があれば、ぜひお伺いをしたいんです。

河村国務大臣 私も、学校評議員制度を全く適用していない県もあるということを聞いて、ちょっとびっくりしたんですね。

 それは一つは、やはり校長のみの評議員だという点が、校長によっては、必要ないんだ、おれたちでやるんだと言われたらもうそれまでですから、そういう面もあるのかな。それから、そういう県では、校長会で集まって、これは我々でやろうというふうになったのか。私もその辺もちょっと聞いてみたいと思っております。

 今回、おっしゃるように、まさに学校運営協議会というのはそれをバージョンアップしたもので、今度は、校長のリーダーシップもぜひ発揮してもらうけれども、地域全体が学校づくりに参加するという形の中で、この取り組みを今からやろうというわけですから、それなりに運営協議会は、委員会制度をとるなり理事会制度をとるなり、学校によっていろいろあろうと思いますが、かなりの力を持ってくるわけですね、そこらは。

 例えば、人事にも関与できる。私が視察に行ったところでは、まさに校長を民間から出したいというようなことを要望する、それを受け入れる、そういう形ができていく、そういうこと。あるいは、学校の教科のあり方についても物申すことができるというように、かなり学校づくりに参加できる、学校を変えることができる。

 しかし、それは、やはり子供のためになるということを皆さんが考えておやりになる、これがやはり理想の学校づくりだ、こう思いますので、そういう意味で、これが広がっていくということが、私は、学校が変わる、教育が変わるという意味でも非常に大きな意義があるのではないかと思います。

 また、そこまでいかないにしても、そういうことによって刺激を受ける学校がたくさん出てきて、それぞれの学校の活性化につながっていくだろう、こう思うわけでございまして、今回、まずはこのことを導入して、まあ改める点があればそれは改めなければなりませんけれども、まずこれをスタートさせてみて、そういった取り組みを見ながら広めていくということが大事じゃないか、こう思っております。

笠委員 そこで、やはり今ある制度の分析、問題点の把握、そういったことと同時に、一つちょっと大臣にお伺いしたい。

 大臣、先ほど古賀委員の方も、委員会でも視察しようということでしたけれども、足立区の五反野小学校、たしか先般視察を。

 そこで、余りいいところは手短で結構なんで、要するに、逆に、今後そこからコミュニティ・スクールを広めていこうという中で、大臣自身が感じられた問題点というものを中心に、何か感じられたことがあれば、ぜひ御披露いただきたいんです。

河村国務大臣 私が感じたのは、余り問題点は感じませんでしたが、しかし、恐らくかなり、それに取り組まれようとする理事の皆さん方は相当御努力をされている、やはりそういう相当意気込みのある方々が集まらないとうまくいかないんではないかと思いました。これまでに九回集まった、こう言っておられましたが、かなり自分の労力をその方に向けていただかないとできないという点が大変だろうな、こう思います。

 しかし、皆さんが話をされて、そしてやはり校長との連携がうまくいかなければいけないんだなと思いました。五反野はそこに行くまでに校長を毎年かえていったと言うんですね。そういうこともあったと言うんです。だから、そこで、教育委員会もやはり皆さんの考え方を、意図するところをしっかり酌み取っていただかないと、さっき議論の中で心配されたように、教育委員会との間がうまくいかないということがあるといけません。この辺が非常に、私は、これからの一つの大事なポイントではないか、こう思っております。

 私がこう言うとあれですが、五反野は非常にうまくいっているから私が行ったのかもわかりませんけれども、しかし非常にモデルとしてふさわしいんではないか、こう思わせていただきました。

 しかし、教育委員会との関連、この辺はこれからやはり一つのあり方だろうと思いますね。これは意思の疎通を欠くようなことがあると問題があるし、教育委員会は教育委員会で、さっき、原則として認めるけれども、問題点が余り大きければ教育委員会はこれをやめさせる権限も持たせておりますから、その辺のことも含めて、これからの導入についてはその辺がポイントになってくるのかな、こういうふうに思いました。

笠委員 これはやはりモデル校ですから、教育委員会も自由にやらせますよ。これは常に注目されていますから、マスコミも含めて。しかも、文科省がやりなさいと奨励をした。だから、今まさに、私、大臣大事なことをおっしゃっていたと思うんですよ。これは、関係する方々も大変な労力が要ると。そしてまた校長先生、ここがいかに権限を持ちつつも、どうチームワークを持って一生懸命皆さんと考えていい運営をするか。また、校長が何度かかわったというように、やはりそういった自主的な中からいい制度というものが、あるいはこれが根づいていって本当にあるべきコミュニティ・スクールの姿というものが生まれてくるということで、だからこそ、私、今からちょっと幾つか御指摘を、また確認もさせていただきます。

 やはり変な形で教育委員会が口を挟んだり、あるいは逆に言うと何もやらない、ぜひそういったことがないようにしていかなければ、あくまでこのコミュニティ・スクールというものは、自由に自主的にいい学校をつくれるように、そして地域の方々とも話して、校長を中心にいい運営をしていく、新しい公立学校というものをつくっていくということで、教育委員会に権限を渡すということではないと私は思っていますので、そこを、幾つか確認も含めて質問をさせていただきます。

 先ほどもちょっと出ているんですけれども、協議会の委員について、これは法案の中で、「当該指定学校の所在する地域の住民、当該指定学校に在籍する生徒、児童又は幼児の保護者その他教育委員会が必要と認める者について、教育委員会が任命する。」となっているわけでございますけれども、教育委員会が必要と認める者というのは、具体的にどういう方々になってくるんでしょうか。

近藤政府参考人 お答えをいたします。

 私どもが想定をいたしておりますのは、その学校の校長や教員でありますとか、あるいは大学の先生など、教育行政あるいは学校教育に識見を有するいわゆる有識者でありますとか、地域の社会教育の関係の方々とか、あるいは地域の商工会の方でありますとか、そういった方々が委員として考えられるのではないだろうか、そんなふうに理解をいたしております。

笠委員 要するに、これはあくまでやはり自主的に、どういうメンバーを、どういうような人たちを、逆に入ってもらって、委員になってもらって、それはやはりニーズもまたそれぞれ違うわけですね。だから、どうしても、教育委員会が必要と認める者というのは、逆に学校にしてみれば大きなお世話なんですよ。これは、例えば教育委員会が必要と認める者みたいな、要するに必要と言っても、現場の学校が、いや、その人はちょっと御遠慮願えないか、必要ないよと言ったときには、これは断ることは当然できるんですね、いかがでしょうか。

近藤政府参考人 委員の任命は当然教育委員会が決めるわけでございますから、ただ、当然その場合には、あらかじめいろいろな学校との関係で事前にお話をしたりして、その教育委員会としてどういった方々がその学校の運営協議会の委員としてふさわしいのかということをあらかじめ定めておく、そういったいろいろな工夫をしていくことが大事なんじゃないかと思っております。

笠委員 いや、私、いいんですよ、一応手続上教育委員会がやはり任命すると。これは例えば学校設置者が任命するのか、知事がどうなのか、教育委員会なのか、それはいろいろな議論があります。

 ただ、あくまでも自主的に皆さんがきちんと皆さんで選べるんですよ、それで、よっぽどこれは不適格者だ、こういう人を委員にしたときには、それはちょっと大丈夫ですかというようなチェック機能としては教育委員会があってもいいんでしょうけれども、何かこの法案を読んでいますと、もうすべて教育委員会、教育委員会、教育委員会と。教育委員会がまともだったらいいんです。私は全然そういう立場に立っていないのでそう見ちゃうんでしょうけれども。

 ただ、やはりこの本来の法律、コミュニティ・スクールの導入をしていくという、先ほども大臣も何度も御答弁されていますけれども、やはりその意気込みというものがしっかりと伝わっていくというのは、またこういう法案も非常に大事だと思いますので、幾つかちょっと確認を。

 教育委員会によっては本当に、逆に言うと、変に人事に口出しをし過ぎるようなところも、特に市町村なんかになってきますとあるやにも聞いておりますので、よろしくお願いをいたします。

 それと、一つは、この協議会の位置づけについてちょっと確認をさせていただきたいんですけれども、この目的自体は私大きく二つあると考えております。一つは、校長先生が作成する学校運営の基本的な方針についての承認を行うと。そして、もう一つは人事ですね、先生の任用について教育委員会に意見を述べることができて、教育委員会はこれを尊重すると。

 そこで、確認なんですけれども、例えば運営方針について校長と協議会が激しく、めったにないでしょうけれども、対立をしてしまった。そのときに、これは協議会が承認できないと言ったときには、校長は方針を変えなければいけないというような読み方でよろしいわけでしょうか。

近藤政府参考人 基本的には、運営協議会と校長が十分にお話し合いをしていただくということが大前提であろうかと思っております。

 ただ、ぎりぎり詰めていった場合に、校長には学校運営の責任者として校務をつかさどるという権限があるわけでございますから、これはまた具体の事例で判断をしなければならないかと思っておりますけれども、最終的には、校長が学校運営の責任者として学校運営を展開していく、こういうことになるんだろうと思っております。

笠委員 それともう一つ、人事についてなんですけれども、これは非常にやはり大事なことですね。やはりいい先生に来てもらいたい、あるいは、これは当然ながら問題を起こすような先生がいた場合には、教育委員会にきちっとかえてもらうということもやらないといけないんでしょうけれども、一方で、尊重するという言葉が出ているんですけれども、これは、原則として教育委員会は協議会の意見に従うというような意味合いなのか、それとも、いや、あくまで参考にする程度ですよ、御意見は御意見として承りますよというようなレベルなのか、これは、私、非常に大事だと思うんですよ。どの程度の権限を委員の方々が持たされるのか、そのことによって委員の方も、これは責任重大だぞ、ただ単に自分の思いを、意見を言うだけじゃ済まないぞと。

 そこあたり、やはり少し明確に、これは二つの大きな目的の一つですから、そこあたりの御答弁をお願いいたします。

近藤政府参考人 今回、学校運営協議会の制度の中で、学校運営協議会が、やはり学校の教育活動の基盤となるのは教職員でございますから、その任用に関して直接任命権者に意見を述べることを可能にしたわけでございまして、そして、それを任命権者である教育委員会は尊重すると法律に書いたわけでございますが、この場合、任命権者である教育委員会は、学校運営協議会の意見を基本的に尊重しながら、各学校の実情あるいはその域内全体のバランス等を総合的に判断をした上で、当該意見によりがたい合理的な理由がない限りは基本的にその意見に沿った人事を行う、こういうことでございます。

笠委員 これは本当にできるんですか。例えば、要するに、人気のある先生とか、非常に生徒にも父兄の方にも評判のいい先生というのばかりであれば、もちろんそういうことはないんでしょうけれども、逆にやはり今、先生たち、教師の中でも当然差があるわけですね。そうしたら、やはり同じように評判のいい先生は、どこの学校もあの先生がいいと、特定のやはり一部の偏った先生たち、逆に言うと、あの先生は嫌だという人も、これもまた両極端なケースが出てくるんですけれども、そんなに今の教員の人事というのはもっと硬直化しているもので、今、私、そこまでの答弁をいただいて驚いたんですけれども。合理的な理由がない限りは。これは、もう一度確認しますけれども、それでよろしいわけですね、今の御答弁で。

近藤政府参考人 合理的な理由がない限り、やはり最大限尊重するというのがあれでございますから。

 ただ、問題は、おっしゃるように、例えば指定学校が非常にふえていったときに、指定学校から、先生がおっしゃったように、ある特定の先生にそういった希望が集中するといったような場合、例えば、確かにその市町村の域内全体のバランスを欠く、結果として協議会の意見どおりにならないといったような場合、これはこれで合理的な理由ということも言えるのではないんだろうか。

 したがいまして、それは個々、ケース・バイ・ケースに応じてやはり判断をしていかざるを得ないんだろうと思っております。

笠委員 だから、やはりここはなかなか、特にたくさんの学校を抱えているような、たくさんの教師の方々の人事異動を定期的に、僕はそれ以前に、今の異動のあり方というのは非常に問題があると思うんですよ。けれども、余りこういうところは、いや、本当にそのように教育委員会に対してきちんと指導するんだと。

 これは、でも、普通の人が見ると、やはり尊重するというと、自分たちがいろいろ考えて、しっかり運営協議会としてこれをよろしくお願いしますよと言えば、それは時期は別としても、定期異動のときにはそのようになるんだろうと。けれども、これは失望しちゃいますよね、いつもいつも、ああ、結局は言ったって変わらないじゃないか。それがやはり怖いんです。そうすると、制度が形骸化していくんですよね。

 だから、やはり今の実態というものを考えて、この法案の表現というものは少しお考えいただかないと、それは、こういうことを言うとなんですけれども、かつて小泉総理も、道路公団民営化の問題で、答申について最大限尊重する、尊重すると国会で何度もおっしゃっていましたね。けれども、結果、まあちょっと尊重はされなかったというようなことですから、この尊重という言葉に、私はそういうふうにとればいいのかなぐらいに思いますけれども、やはり普通に素直に読めば、この尊重するという言葉、自分たちが真剣に、常に前向きに考えてそのことをお願いすれば、そのことはしっかりとやってもらえるんだというふうに受けとめるのが私は普通であると思うので、むしろこれは、少しそういうところは、今の教育委員会の実態というもの、そのことも考えてちょっと御判断をいただきたいなと私は非常に思っておるわけでございます。

 それと、先ほどもちょっと申し上げたんですけれども、やはり学校協議会が、今の人事も含めてなんですけれども、果たしてどの程度権限があるのか。私は、これを委員の方々に、その責任の重さ、しっかりと認識をしてもらわないといけない。要するに、単なる助言機関なのか、それとも協議会の決定というものが何よりも重いものになるのか、これはやはり相当重要なことだと思うんです。

 やはりどれくらい責任が重大なのかということを、もちろんはっきりと示すというのは難しいにしても、もう少し踏み込んだ形で、今後のガイドラインなりでわかりやすくしてあげないと、例えば、委員をやりたいなと思う人、あるいはどうですかと学校から声をかけられるケースもあるんでしょう、こういう人が地域の方で非常にいい方だから。でも、自分はとても仕事が忙しくて、やはりなかなかそういうふうな、先ほど大臣がおっしゃった、労力も要るわけですよ、そういうところは無理だなとか、そこにまた権限というものがどの程度あるかによって、では、そのレベルだったら私は引き受けてもいいだろうとか、あるいは、いやいや、そこまで重大であればちょっと自分は荷が重いなと。

 やはりそこのところを、私は、もう少し何か今後しっかりとわかりやすいように、これから学校側でいろいろと運営していく地域の方々も、どういうものなんだろうと、その点についてぜひ大臣にお願いをしたいんです。

河村国務大臣 非常に大事な御指摘だと私も思います。

 先ほども御指摘をいただきましたが、任命権者である教育委員会は、尊重というのはかなり拘束を受けるんだ。ということになると、この学校運営協議会でつくっているコミュニティ・スクールのある地域の教育委員も、これはぼやぼやしておれぬわけですよ。それは変な判断をしてもらったら困るわけですから。相当教育委員会も緊張感を持って担っていくだろう、こう思っております。

 そういう意味で、おっしゃるように、ある面ではわかりにくい点はきちっとさせた方がいいですけれども、五反野の例でいいますと、授業そのもの、例えば、やっているところはやっているのかもしれませんが、五反野では、指定する前から、授業を始める前に、まずきちっと級長が声をかけてよろしくお願いしますと先生に言う、授業が終わったらありがとうございましたと言う。

 これを父兄がやろうやろうと何度言ってもなかなかできなかった。協議会ができて、それで理事会で決めて、全部やるようになったというんですね。そのぐらいやはり教育に対してもきちっとした、やるべきことだということになれば、父兄の皆さんがそうだと言えばそういうことはできるようになりますから、かなり力を持ってくるわけですね。

 そういう意味での、学校を変える、教育の中身をいい方向に引っ張っていただけるという期待もこれに、ああいう指定研究開発校を使ってやってもらってみると、ああ、そういうことができるのかということがだんだんわかってまいりますから、恐らく、そういういい点についてはこれは今後開示していきますが、全国にもそういうことが及んでいくというふうになっていくだろうと思います。だから、ある程度わかりにくいところは明確にする必要があります。

 それから、習熟度別教育、少人数教育、盛んに言われますけれども、そういうこともきちっとそういうところで位置づけがちゃんとできていくようになりますね。その取り組みを見て、ほかの学校が考える。また、東京都のような場合に、選択制になってまいりますから、そこで効果が上がってくるとなると、子供はそこへやりたいということになると、周辺の学校も、これは大変だということになっていくだろう、こういう効果も期待できる、こう思っておりますから、今の法案の中でわかりにくい点は、やはりきちっとすべき点はきちっとしなければいかぬだろう、こういうふうに思います。

笠委員 ぜひともよろしくお願いをいたします。

 確かに、一気に最初からすべての学校がこの制度を導入するということは、もちろんなかなか難しいかもしれません。しかし、やはり先行してやっていく意気込みのあるようなそういう学校、条件の整う学校がどんどんやはり成功例を出していく、すばらしい学校だなというようなものでやはり認知されていけば、当然、今大臣おっしゃったように、周りの学校だって、これじゃもうだめだ、自分のところに仕方なく生徒は来るけれども、いや、隣の学校の方がいいよ、うちの学校は何なんだ、うちの先生は何なんだと言われては、これはやはり真剣に頑張っていかないといけないということにもなるでしょうから、そのためにもやはり、教育委員会任せじゃなく、もちろん運用の部分はいいんです、ただ、やはりそういう大事なところ、基本的なところについては、しっかりと文科省で教育委員会に対して指導をしておくということが私は大事じゃないかと思います。

 それで、今せっかく、私、最初の話に戻るんですけれども、この教育委員会のことで少しちょっと大臣にもお伺いをしたいと思うんですけれども、今回のこの学校運営協議会の目的は、まさに地方に任せていけるものはどんどん任せていこう、そして公立学校を活性化していこう。父兄の皆さん、地域の方々、そしてそこに生徒も加わった形で積極的に参加して、いろいろな知恵を出し合って特色ある学校をつくっていこうじゃないかということがもちろん目的だと思うんですけれども、やはりこの法案を見る限り、本当に教育委員会に口を何となく挟もうと思えば幾らでも挟めるような法案にちょっと見えてしまうんです。

 それで、やはり大臣自身、今教育の分権、いろいろ言われているからというのもあるでしょう。けれども、やはりそれは大臣としても必要だということで前も御答弁なされていたので、真っ先にやるべきことは、私はむしろ、それをやってから本当はこの法案改正、学校運営協議会の設置の方が本来は手順だと思っていたんですけれども、教育委員会のやはり抜本的改革ですね。これについて、大臣が三月に中教審に対して教育委員会のあり方について諮問されていますね。これについて、例えば、どれぐらいのめどでこの答申を受けて、具体的にいつごろこの改革をきちんと法整備含めてやられるのかというところの大臣の今のお考えを聞かせていただけるでしょうか。

河村国務大臣 三月四日に諮問をさせていただきまして、今いろいろ御議論を始めていただいているところでございます。一年をめどにということでお願いをいたしておりまして、こういう時代になってきて、まさに教育委員会制度がいろいろ問われているわけでございます。

 特に、また今合併も進んでおりまして、これによったまた再編成があるものでありますから、それも見なきゃならない面もありますが、今まで余りにも細切れでやっておった、しかし、教育は、全体の人事なんかというのは広域でやっておりますから、そういう点はどうなのか。

 それから、首長と教育委員会の関係で、首長側からもいろいろ御指摘がございます。教育を全部任せろという意見がある、しかし、教育の中立性をどうやって担保できるんですかという議論もあります。そういう議論もちゃんとしていただく。まさに首長と教育委員会との関係はどうあるのが理想なのか、そういうことで、役割分担はどうあるべきかということもやってまいりたい、こう思っております。また、市町村にも教育委員会がある、都道府県にもある、この関係はどうあったらいいのかというようなこともあります。

 それから、学校と教育委員会の関係、特に、こういうコミュニティ・スクールをつくりますとそのことが特に大事になってまいりますから、そういうことも今、学校と教育委員会の関係と、学校がどういうふうに自主性を持っていくのか、自律性をどういうふうに確立するかというような問題もありますので、今、そういうことも含めて議論をいただいておるところでございます。

笠委員 これはちょっとあれですけれども、ことしじゅうぐらいには答申はいただけるような見通しなんでしょうか。

河村国務大臣 年内から年明けと思いますが、途中で一度中間報告をいただくことになるのではないか、このように思っております。

笠委員 これは、どうしても地方分権を教育の分野で進めるときには、今回のコミュニティ・スクールでもそうですけれども、教育委員会のあり方、これはやはり急がないと、来年のせめて常会ぐらいでは、やはりこれもできれば年内に答申をいただいて、来年の通常国会ではしっかりと議論ができるぐらいにしないと――この教育委員会もしっかりしていればいいんですよ。首長さんの中には、もう全く要らないという人もいます。でも、果たして全く要らないかというと、何かかわるものは必要なんだから、これはやはり抜本的な改革をすれば何かと、非常に私、今回の改正案というものを見ていても、例えば文科省がありますよ、そして都道府県の教育委員会がある、そして町村の教育委員会がある、学校がある。

 そうすると、今まではこのラインだったわけですよ。教育委員会も追従していただけですよ、文科省の方針を。それに追われているという、その組織の問題もあるでしょう。人数を含めてあり方、これをやはりこれからやっていただかないといけない、我々もやっていかないといけないわけですけれども、こういうふうな形での規制緩和、地方分権というものでいろいろな制度が今、見た目は、表面的には任されていっているような感じなんです。

 けれども、実態は今の教育委員会に丸投げをしちゃうというようなことでは、やはりこれはかえってマイナスになってしまいますので、あくまでも学校に対して自由に、そして真剣にやってもらうというような制度、そういうふうな形にするためにも、私は、この教育委員会の本当に抜本的な改革というものは急務であると思っております。

 大臣、イメージとしては、例えば、今回の法案もそうなんですけれども、市町村の教育委員会、そして都道府県に対して、上にあるわけですね。こういう関係について、どうですか、もう独立させちゃったらどうですか。場合によっては、文科省から市町村にも行く。私、果たして都道府県のやつが必要なのかどうかというのが、非常に組織の形態のあり方として疑問に感じているんですけれども、いかがでしょうか。

河村国務大臣 知事さんなんかと話しますと、自分のところは県の教育委員会がきちっとしているので任せてもらって大丈夫だ、三位一体論の中でもそういう議論もあるんですね。

 しかし、これからやはり広域でやってもらわなきゃなりませんから、そういうことを考えると、今の段階では、一応県の教育委員会は県立のものを中心にやるんだという形にして、小中学校は市町村立ですから、そっちを市町村の教育委員会がやるんだという一応すみ分けはやっているわけですね。やっていますが、さはさりながら、文部科学省、県、市、この段階的なこと、同じような気持ちで県が市を見ておるという点もありますから、これでいいのかという議論もあるわけですね。

 今度、広域になって、合併もしたりしていますから、そこで一つの大きい組織的なものになってまいりますので、私は、その点も含めて、どうあったらいいかというのはやはり考えなければいけないんじゃないか。ましてや、もう政令都市はそういうことに進んでおるわけでありますから、それに匹敵するような広域になってまいりますと、そういうことも考えていく必要があるんではないかな、そういう問題も含めて今議論していただいてというふうに思っております。

笠委員 ひとつよろしくお願いします。

 またこの場でぜひ来年、私もこの委員会にいるかどうかわかりませんけれども、教育委員会のあり方についても議論をさせていただければと思います。

 ところで、ちょっとテーマは変わるんですけれども、これはもう当然ながら、今教育にかかわる大臣以下、きょう副大臣、政務官の皆さん、申しわけございません、おいでいただきましてありがとうございます。

 これはどこの政党のせいとかそういうことではなくて、まさに今、国会全体が、政治全体がこの国民年金の未納問題、未加入問題ということで大変な政治不信を生んでいます。これは私ども民主党にももちろん責任はあるわけです。もう政治全体の責任だと私は思っております。

 そうした中で、きょう、この後、この年金に関連するまた法案の審議というものもある機会ですので、ちょっとここで、大臣、副大臣、政務官、それぞれ国民年金の、義務づけられた一九八六年以降で結構ですので、ぜひとも、加入状況についてあるいは納付状況について、順次お答えをいただけるでしょうか。

河村国務大臣 私は、プレスからのお問い合わせがございまして、去る四月二十三日の記者会見において公表いたしておりますが、国会議員在職期間中、公的年金の加入状況については、未納は一切ございません。

稲葉副大臣 御質問の点につきましては、私も納めております。

原田副大臣 御質問の件につきましては、私も未納の期間はございません。

馳大臣政務官 義務化された一九八六年、私は、四月から九月まで未納の状況にございました。

田村大臣政務官 国会議員在職期間中は未納ございません。

笠委員 ありがとうございます。

 済みません、改めての方、あるいは馳政務官のように、もう事前に出されている方も。ありがたいですよ、ちゃんと正直に、恐らく今おっしゃったことは、全部正直に述べていただいた。それは、今やはり全国会議員がみずからきちんとこの際、すべてを正直に話をして、この問題に反省すべきは反省をして政治の信頼回復に努めなければ、制度の話どころか大変な政治不信だと私は思うんです。

 そこで実は、私も毎朝、平日、朝の駅頭に立っていて、よく小学生とか中学生に、うれしいことに声をかけていただけるんですよ。そうしたら何度も、何人もの人に聞かれたんですよ、笠さんは年金ちゃんと納めているんですかと。もちろん私は納めているんですけれども。

 これは大臣、子供たちも、生徒も見ているんですよ。もちろん大臣は文部科学大臣というお立場で、昨日小泉総理と安倍幹事長が話をされて、今、全政党出していますよ、自民党以外の政党。この際、全議員もうきちんと出すと。だって自民党の方もたくさん皆さん、正直に出されている方多いじゃないですか。一部の方が出されていないから、政治不信が残っちゃうんですよ。大臣、そういうことを子供が見ていますよ、生徒が。信頼されないですよ。

 そういうことで、そういうお立場からも、小泉総理に、ぜひ総裁として出そうというようなことをおっしゃっていただくというようなお考えはないでしょうか。ぜひ私はお願いしたいんですけれども。

河村国務大臣 これはそれぞれ、政府としてどうこうというよりも、これは各党の責任の問題でございますし、個人のそれぞれの自己責任でおやりになることだというふうに思っておりまして、これはそれぞれその政治家の良心に基づいておやりになるべきことじゃないかな、私はそう思っております。

笠委員 大臣、あえて言わせていただいているのは、もちろん大臣に権限があるとかそういうことじゃなくて、要するに、今まさに教育を預かっているその責任者のお立場として、やはり私は、そういう意味からもぜひ強く言っていただきたいんですよ。だって、生徒、子供たちは悪いことをしたら怒られるわけでしょう。何か間違ったことをしたときは隠しなさいという教育は、少なくともされませんよね。

 だからこそ私は、文部科学大臣だから、そのことをぜひとも、別に言うことを聞くかどうかわかりません、けれども、ぜひ次の閣議のときでも、閣議じゃないですね、閣僚懇のときにでも、ぜひとも小泉総理に言っていただけるでしょうか。

河村国務大臣 この問題は、ここで私がお約束するしないという問題ではないんではないか、私はこう思っておりますが、笠さんがおっしゃることは私も、まさに言わんとされることは、私も十分わかっておるつもりであります。

笠委員 今、どの委員会とかどうこうじゃなくて、確かにこれは我々も、民主党も三十三人いました、菅代表を筆頭に。そのことは私も申しわけないと思います。これは、私が払っているから済むという問題じゃありません。

 要するに、各党、それぞれおられるわけですよ。全議員がここでしっかりとすべてきちんと公表をして、そしてやはりこの問題にけじめをつけないと、どうしても、それこそどんな、年金の法案だけじゃないですよ、政治不信が高まっていたら、何で政治家がつくるような制度、法律をおれたちはそんなに守らないといけないのか、そういうことに本当につながっちゃいますよ。

 だからこそ、この文部科学委員会ということはまさに私は良識ある委員会だなと、非常にこの半年参加させていただいて忌憚ない意見をする中で思っておりますので、その点について、やはり大臣にひとつ改めてでございますけれども、個人的にでも、ぜひ子供たちのためにも、しっかりと子供の、本当に小学生、中学生、なりたくない職業ナンバーワンは政治家ですから、やはり私自身もこのことについては非常に情けないなと思っているわけでございます。

 最後になりましたけれども、この問題の締めくくりとして、これは答弁を求めるものではございませんけれども、委員長も、ぜひともみずから代表して、公党の責任をとって、我が党も五人、きのう委員長を辞任しております、そこのところ、けじめをつけていただければ大変、私はそのことを申し上げて、それは理事会ででも協議をしていただければ結構ですけれども、私の質問を終わらせていただきます。

     ――――◇―――――

池坊委員長 次に、内閣提出、私立学校教職員共済法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省高等教育局私学部長加茂川幸夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

池坊委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

池坊委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。須藤浩君。

須藤委員 民主党の須藤でございます。

 年金の私学共済に関する法案の質疑なんですが、今、同僚議員からありましたように、まさにこの年金の問題は、先般衆議院を通過いたしましたけれども、与党の皆さんからすると、予定どおり着々と進んでいるかなという感じがしないでもないんでしょうけれども、現実は、全国でこの問題がさらにさらに私は大きくなっているのではないかなというふうに思っています。

 この未納の問題も含めて、全国民が、本当にこれでいいんだろうかというような形で、さらに批判も含めて、見る目が厳しくなりつつあるのかなというふうに私は認識をしておりますけれども、大臣はそのことに関していかが考えられておりますでしょうか。

河村国務大臣 国民年金、年金の問題は、国民の皆さんはみんな関心をお持ちで、不幸にもこういうことが起きて余計に関心が高まったということを、私はまさに災いをもって福となさなきゃならぬ、こう思っております。

 もともと一元化の方向で、閣議決定等を見てもその方向で進んできた問題でありますから、そういうことで三党合意もできたと聞いておりますから、私は、まずはこの問題にどう対応するかということを今回法案としてやっておりますが、三党合意を重視して、その方向でまとめていただくことが国民の皆さんに安心感を持っていただけることではないか、このように認識をしております。

須藤委員 直接一元化ということに触れられましたけれども、私がもう少しお聞きしたかったのは、今の日本の国民が年金の問題に関してどう思っているかということに対する認識ですね。与党としては、当然、法案を出したわけですから、これを成立させてという話になるんでしょうけれども、いろいろこういった問題が出てきますと、やはり今の年金法案というものをただ成立させればいいのかということのそもそも論みたいな感触といいますか考え方、見方というものが全国に巻き起こっているんだと私は思います。

 報道、マスコミが世論調査をしてみても、やはり過半数の人が、これはちょっと待て、待ってもう一度じっくり考えるべきじゃないかというような調査結果も出ていますけれども、そういったことに関して大臣はどう感じられるか、考えられるか、お伺いしたいと思います。

河村国務大臣 今回の改正が本当の抜本改正につながっているかという議論はあろうと思います。

 これは、厚生年金、国民年金、この両方の保険料水準を固定しなきゃなりませんし、給付水準の自動調整の仕組みを導入することによって将来の負担の上限を決めていこうということでありますから、これは一つの考え方として、年金を支える力と給付のバランスが適切に図っていかれるということにつながる、我々はそういう説明を受けてきて、そして最終的に、いわゆる可処分所得といいますか、それを五〇%というのを維持しようという大方針のもとに今回の法案がつくられたわけでありますから、一つの方向だと私は思います。

 基礎年金の国庫負担率を二分の一に上げるための道筋も示されておるわけでございますが、しかし一方では、一元化の問題ということは、早くから言われておった問題はどうするんだということでありますから、そういう意味で、我々政治家が真剣にお考えになって三党合意の中でやっていこうということですから、この法案は一つの抜本的な改革として打ち出したわけでありますから、これをやりながら、さらによりよきあり方を求めていくということがこれまでの議論の中で行われてきたことであります。

 私は世論は、確かにおっしゃるような世論調査も出ております。政府としても説明責任がありますから、そのことを説明しながら、しかし、さらによりよき方法は何なのかという議論に対しては、三党で協議されたことにはやはり謙虚に取り組んでいかなきゃいけないのではないか。それによって皆さん方の不安を解消できるのではないか、私はそう思っております。

須藤委員 時間が大変少ないものですから先へ進みます。

 今答えられた一元化という問題、私たち民主党は最初から一元化をすべきだと。つまり、それにかかる時間というものは多少かかってもしようがない。これはさまざまな議論があるでしょうし、精細に物事を詰めていくためには相当な話し合い、あるいは時間がかかるということはあっても、それは一元化のためであれば、その準備にかかるものですから仕方ないと思うわけですね。今回の与党案は、一元化という問題に関してはある意味で先へ延ばして、その前に現行の法律の一部改正という段階に進んでしまったということです。

 この私学共済に関しては、平成十三年の三月十六日の閣議決定で公的年金制度の一元化ということが決められているわけで、その中で、国家共済と地方共済、こういったものの一元化を進めるということで、今からちょうど三年前ですね、進められています。その後の、つまりこの三年間の進捗状況と、それから私学共済におけるかかわり方、これについてお教えいただきたいと思います。

加茂川政府参考人 平成十三年三月の閣議決定に関してのお尋ねでございます。

 御指摘の閣議決定におきましては、私学共済に関する当面の対応として二点指摘されておるわけでございます。一点は、次期財政再計算時からの保険料引き上げの前倒しを行うことということでございます。またもう一点は、被用者年金制度における私学共済の位置づけ、この二点について検討しろということでございますし、その結果を踏まえて必要な措置を講ずること、こういう閣議決定があるわけでございます。御指摘のとおりでございます。

 これらの課題につきまして私ども検討を進めてきておりまして、具体には、加入者及び学校法人関係者並びに学識経験者で構成をいたします、名前が長くて恐縮でございますが、私学共済年金制度の在り方等に関する調査研究協力者会議、これを設けまして、ここでこの二つの課題について検討を現在も進めているところでございます。

 検討課題の第一点でございますが、すなわち保険料、長期給付分の掛金の引き上げの前倒しについてでございますが、その実施に関する具体的方向性がこの協力者会議でまとまりつつございまして、具体には、平成十七年四月からの掛金率の引き上げから対応する方向で今最終的な詰め、検討を行っているところでございます。

 もう一方の課題、被用者年金制度における私学共済制度の位置づけについてでございますけれども、これにつきましては、年金財政の将来見通し等を勘案しながら検討をする必要がある大きな課題でございます。このため、現在準備を進めております今回の年金制度改正を踏まえた財政再計算の内容、さらには財政見通しに大きく影響する保険料引き上げの前倒し、今の第一の課題でございますが、この結論を踏まえた上で具体的な検討をさらに進めなければならないものと認識をいたしておるところでございます。

須藤委員 そうしますと、私学共済における構成員の年齢の問題であるとか、あるいはさまざまな数値的な掛金の問題であるとか、そういったことの将来推計、見通しというものは、まだ出ていないということになるんでしょうか。

加茂川政府参考人 御指摘の私学共済の年金財政の見通しについてでございますが、今回の制度改正を踏まえまして、今後、事業主体でございます日本私立学校振興・共済事業団において制度改正による具体的な財政への影響、あるいは先生御指摘の将来の加入者数の推計、それに、各種基礎データの分析等を行った上で作成をするいわゆる財政再計算によって今後明らかになるというものでございます。

 このため、この財政再計算前で、現時点で具体的な細やかな財政見通しをお示しすることは困難ではございますが、今回の年金制度改正案をベースとした粗い試算を行っております。

 おおむね百年間を財政均衡期間としてとらえた上で、将来、加入者数が、新人口推計、いわゆる中位推計ベースでございますが、これによる学齢人口に比例して機械的に減少していく、こうしますと、平成六十二年、西暦二〇五〇年には現在より四割以上減少するという厳しい前提を置くことになりますけれども、この場合でも、毎年度〇・二七八%ずつ掛金率を引き上げていくことによりまして、平成五十二年、西暦二〇四〇年には、二〇・三五%を最終掛金として安定した財政運営が可能となるという一応の粗い試算を行っておるところでございます。

 冒頭申し上げましたように、詳しい分析につきましては、いわゆる財政再計算を行わなければならない、これを待たなければならないという状況にございます。

須藤委員 見通しとして百年間ということが、本法の方でもそうなんですが、言われていますね。これは、例えば給付率についても五〇%を割るだろうと首相みずから認めているわけですけれども、そういった推計そのものがこの審議中に、何といいますか、答弁といいますか数字が変わってきてしまうということは、どういう根拠の置き方、考え方で行われているか。しかも、国公共済あるいは市町村共済に準じてこの私学共済もそれぞれベースとしては出されている、あるいはほとんど全く同じという形で出されていますから、もとの方が変わってくると、恐らくこちらにも影響が出ると思うんですが、今の推計というものは、その辺の関連はどうなるんでしょうか。

加茂川政府参考人 お答えをいたします。

 厚生年金の給付水準についての推計見通しの変更等が私ども私学共済にどう影響するかということでございます。

 私ども、厚生年金の給付水準を、その指標として用いられているいわゆる所得代替率につきましては、厚生年金のモデル年金としては、例えば夫が四十年間厚生年金に加入し、妻は四十年間専業主婦であった、また夫の年金の算定基礎となる平均標準報酬月額を三十六万円、一方で、現役世代の平均的手取り賃金が三十九・三万円、こういうケースで試算をして、先ほど先生おっしゃいました厚生年金の受給開始時点での所得代替率が、二〇〇四年時点では五九・三%であったものが、二〇二五年時点には五〇・二%になる。また別な、時間の変更に伴ってこの数値も変わってくるのではないかという情報もあるようでございますが、これが厚生年金のモデル試算でございます。

 私どもの試算は、一応厚生年金と受給水準、同じものを前提にさまざま試算をしておりますけれども、例えば厚生年金モデルと同じ就労状況で、夫の年金の算定基礎額を私学共済の平成十四年度の男子の平均給与あるいは現役世代の平均的手取り賃金を前提に試算をいたしますと、私学共済年金の受給開始時点での所得代替率は、二〇〇四年時点で五六・八%、二〇二五年時点で四八・一%。私学共済の場合には、今の時点でも、二〇二五年を見ますと既に五〇%を切っておるわけでございます。

 所得代替率の比較を見ますとこういう数字になりますけれども、実際の受給額を見ますと、私学共済といたしましては、いずれの場合にも代替率は低くなっておりますけれども、実際には、受給額そのものを比較した場合には、いわゆる共済年金の場合には職域年金相当部分ということがございまして、これが加算されますと、現在、将来とも受給の金額としては厚生年金より高くなるという事情もございます。

 そういった事情の違いがあることも御了解いただければと思うわけでございます。

須藤委員 そうしますと、そういったそれぞれの年金制度の範囲内で違いがあるということですが、違いはあるけれども、国公共済あるいは地共済ともども、整合性といいますか、一元化へ向けての作業はできるというように私は今判断したんですが、この点はいかがでしょうか。

加茂川政府参考人 今申しました代替率でありますとか具体的な受給額等について言えば、共済、厚生年金間で若干の違いはあるわけでございますが、一元化に向けましては、その違いを踏まえながら、本来の制度が果たすべき目標を見据えて検討することは十分可能だと思っておりますし、私どもも、閣議決定、先ほど申し上げましたけれども、また今回の三党合意等も踏まえまして、真摯に対応しなければならないし、できるものと思っております。

須藤委員 そこで、次のことについてお伺いしたいんですが、第百三十一国会、この附帯決議で、「政府は、私学振興の見地から、都道府県からの助成について、その財源確保に努めるよう、特段の配慮をすべきである。」ということで、現在、国から私学共済に対する助成及び都道府県からも助成が制度上されているということになっておりまして、その中で、都道府県から私学共済に助成されているものというのは国の方で交付税として担保されるといいますか、支給されている、補てんされているというふうになっておりますが、それでよろしいんでしょうか。

加茂川政府参考人 お答えをいたします。

 昭和二十九年以来、各都道府県は、私学共済制度に対して長期給付掛金、年金掛金の一部、〇・八%を補助しておりまして、これが私学振興を図っている一つの要因になっておると私ども理解をしておるわけでございます。

 先生御指摘の附帯決議、第百三十一回国会、平成六年十月でございますが、この附帯決議でも、都道府県所轄である高校以下及び専修学校の学校を対象とする地方交付税について財源確保に努めるよう特段の配慮を求めるべきだという附帯決議があったわけでございまして、私ども、これも踏まえて交付税措置について要望をし、財源確保に努めているところでございまして、御指摘のように交付税措置がなされておるわけでございます。

須藤委員 それで、昨年、義務教に関して長期給付が一般財源化されていますね。これに伴って、さまざまな制度、制度は違うんですけれども、国共、地方共済とも準じてこの私学共済というものが制度維持を図られているという点から考えると、趣旨からいって、義務教に係るそういった長期給付の補助金が交付税化された、そしてこの私学共済に関する共済事業の補助金が交付税措置を事前にされているということ。地方分権の趣旨からいきますと、交付税措置をされているというのは、都道府県知事のいわゆる裁量でそれをどう使うかという方向に流れていくんですが、この部分に関しては、交付税措置で補てんされている部分に関してもやはり同じように都道府県知事の裁量の範囲、対象になってくるのかどうか、その辺についてはいかがでしょうか。

加茂川政府参考人 委員御指摘のとおりでございまして、地方交付税の積算でございますから、これを具体に各自治体における予算化に向けてどう取り組むかは各自治体の判断になるわけでございます。

 ただ、私どもといたしましては、先ほどの附帯決議にも、委員御指摘になりましたけれども、私学共済法の三十五条四項に都道府県補助の根拠規定が定められておるわけでございます。これは、私学共済法の制定時に議院修正により加えられたという経緯もございまして、法制定の経緯、委員御指摘の累次の附帯決議を考えますと、交付税措置、一般財源の措置ではございますけれども、私学振興の観点から申しますと、私どもは、引き続き都道府県がこの財政措置、財源確保をしてくれることを強く期待しておるところでございます。

須藤委員 恐らくこの時点でも、年金一元化ということで、調整といいますか、かなり議論の余地のあるところであって、私学助成に関する国の考え方というものがかなり私は重要になると思うんですが、最後に大臣に、その点と、そしてこの年金問題に関して、文科の責任者ということでありますけれども、その意味では教育行政におけるトップということで、学校でいえば校長先生の立場ですね。こういったことに関して、今行われている年金問題に関してももう一度大臣の考え方を聞いて、終了させていただきたいと思います。お願いします。

河村国務大臣 私立学校共済につきましては、非常に若年層の方もたくさん入っておられて、これまでこの共済制度の中では健全運営をやってきたという経緯もございますが、今のこうした国民の年金に対する関心の高まりというものを我々立法府の人間としてもやはりきちっと受けとめなきゃいかぬ、私もそう思っております。もちろん、私立学校の関係の皆さん方にとってもこの年金がどうなるかというのは大きな関心事だ、こう思っております。

 この年金制度の根幹をきちっと維持していかなきゃならぬわけでございまして、今回、先ほど申し上げましたように、法案はああいう形で、まだ参議院で今から審議があるわけでございますが、衆議院を通過した現状でございます。私も最終的には、閣議決定もされておりますが、年金の一元化の方向は一つの考え方だとずっと思ってきておりますから、その方向でさらに検討を加えていくということは、これからのよりよき年金を目指すという方向としては一つの方向だろう、私はこう思っております。

 いずれにいたしましても、これから長い年月をかけてこの制度をきちっと維持していくということが重要でありますから、そういう意味を込めて今回の改正案が出された、こう思っております。しかし、我々は絶えずよりよきものを求めていかなきゃならぬわけでありますから、三党でいろいろ真剣に話し合われたこと、これはやはり尊重していくべき課題だ、このように思っております。

須藤委員 終わります。

池坊委員長 高井美穂君。

高井委員 民主党の高井美穂です。

 続きまして、私学共済に関する質問の方よろしくお願いいたします。昨日通告はしておりましたけれども、先ほどの須藤議員と重なる部分に関しましては少し削除をさせていただいたりしたいというふうに思っています。

 まずは、大臣また副大臣に、先ほど笠議員からも質問がございましたけれども、未納問題に、未納、未加入の期間がないかどうかお答えいただきました。実際に多くの議員が未納であるということがわかっている現在の状況を、この未納問題自身をどのようにお考えになっておられるか、政治家としてお聞きしたいというふうに思っています。私は、つまり、制度に問題があるのか、事務に当たる社会保険庁や市町村に問題があるのか、そうじゃなくて個人に問題があるというふうにお考えなのか、御見解を伺いたいと思っています。

河村国務大臣 私自身が納めておるものでありますから、こういう未納の問題が起きたということを聞いて、いろいろ伺ってみると、やはり制度そのものがいま一つ確かにわかりにくい。

 私自身が気をつけて、これは本当に正直申し上げて、うまくやったんじゃなくて、私の周辺の方が、これは大事なことだからちゃんとやっておかなきゃいかぬと言われて、そういうものなのかと。年金とかなんとかで、国会議員というのは何かいっぱい引かれているから、その中で一緒にちゃんと払っているものだと私自身も思っていました。しかし、それはそうじゃないんだと言われてみて、ああそうかと。

 私にはそばにそういう人がいて注意をしてくれたからよかったわけでありますが、私もひょっとして、そう言われなかったら、こういう間違いを犯していたかもしれないなと思えば、やはり今の仕組みがもう一つ十分でないということも、皆さんがおっしゃることもわからないことはないと思います。

 ただ、この制度は自分だけよければいいというものではなくて、今払っている人たちは、次の、今年金をもらう時代に入ったそういう人たちのためにもなっているということを考えますと、やはりそれぞれ重大な責任を負っているので、みんなで助け合っていくというのがこういう共済制度、年金制度のあり方でありますから、そのことにいま一度思いをしなきゃいけないのではないか、このように思います。

高井委員 副大臣はいかがでしょうか。

稲葉副大臣 恐らく順次御指名があるんじゃないかと思いますので、私の方からも考えといいますか、今の御質問に対しまして、制度的なものというかこの仕組みについては今大臣がお話しくださいましたので、やはり複雑な仕組みについては簡便に、だれもがわかりやすいような仕組みにすべきなんじゃないかというところはあります。

 しかし、もう一つ踏み込んで、多くの方々が未納が明らかになってきているわけでありますし、また、その方々が過去にさかのぼって納めよう、納めなきゃならない、こういう御意思がおありになるにもかかわらず納めるすべがない、これがまた問題なんじゃないかと思います。したがって、こういう点につきましては、やはり全納できるような仕組みに改めていったらどうかな、このように私は思います。

原田副大臣 まずもって、実は、先ほどの笠委員の質問に対して、私は、議員に在職してからは未払いはない、こう答えたつもりでありますけれども、六十年以降、議員になる前に二カ月未納の時期があったということ、ちょっと質問を聞き違えていたものですから、そのことを訂正させていただきたいと思います。

 その上で、ただいまの御質問に対しましては、大臣、副大臣と余り変わらないわけでありますけれども、私も含めまして、うっかりと言うとあれでございますが、政治家として、国民として当然しっかりと注意を持ってそれに対応しなければいけなかったこと、反省をしておりますし、多くの議員がたまたまこれについて未納があったということは、あるいは制度的にも手続的にももう少しやはり工夫の余地があるかな、こういうことを感じます。

 以上であります。

馳大臣政務官 私も、昭和六十一年四月から義務化になりましてから、六カ月間払っておりませんでした。

 当時、私は日本におりませんでした。プエルトリコでプロレスラーとして修行中でありました。ですから、国民健康保険料と年金と、会社に任せて行ったわけですけれども、この六カ月間だけ、引き落としをお願いしてあったんですが払われておらなかった。

 後で伺いましたら、社会保険労務士の方から、海外在住の場合には届け出をすれば任意扱いになるんだよということも伺いまして、そういう制度であったならば、ちゃんとしておくべきであったという反省もいたしました。

 そういうことを考えれば、ひとえにやはり、これは私は言いわけになると思いますし、個人としてしっかりと知識を得て、払うべきときは払っておく必要があると思います。また、今、稲葉副大臣がおっしゃったように、過去にそういう時期があったということがわかった場合にはさかのぼって払えるようにしていただきたいなという正直な気持ちもあります。

 また、公表に関して言えば、我々は、国会議員になれば資産公開、また政府の要人になれば、私は女房とは財布が別なのでありますが、女房の資産まで報告させられるというか、しなければいけない、こういう倫理上の問題もありますから、こういう保険料の支払いといった情報は公開することは当然のことなのではないかなと私は個人的には思っておりますが、私が個人的に思っているということでありまして、それだけ政治家にはやはり社会的な倫理性が求められるのではないかなというふうに思っております。

田村大臣政務官 システム的にどうかという御質問ですが、今回、国会議員の場合、いろいろな事例の方があられると思うんですが、一つは、やはり行政に入った場合、この場合抜けることがあると。勘違いという、これはやはりもう少しわかりやすい制度をつくった方がいいんじゃないかと思います。

 私も当選以来ずっと年金をやってきたものですから、これのみならず、一般の国民の方々の中での国民年金、厚生年金、ここら辺もわかりにくいですね。ですから、そこら辺のところをもう少し工夫する努力はしていかなきゃならぬのだろうなというふうに私は思います。

高井委員 ありがとうございます。

 それぞれに御見識の深い御発言をいただきまして、本当にありがとうございました。

 私も、本当にある意味同じ認識の部分はたくさんございまして、もちろん、御本人のミスや手続ミス、思い違い等あると思いますが、やはり制度自身にも問題があると。だからこそ、その制度にもある意味で問題があると皆さんがお認めになるようなこの年金の法案をなぜ強行採決までしてこの国会で通さなければならないのか、本当に私は残念な思いですし、疑問に思っています。いよいよまた参議院の方に移っておりますけれども、より深い議論を進めていっていただきたいというふうに思っています。

 今、文部科学省所属の先生方は大変深い御発言をいただきました、回答をいただきましたけれども、実は、十三日の毎日新聞の投稿で、自民党の小野衆議院議員という方が、何らかの思い違いや手続ミスでこの件は起きているのであって、批判の対象とすべきものではないというような投書が載っていました。

 ただ、私はこれもおかしいと思っています。というのは、厳密に言いますと、やはり法律違反だと思います、未納問題というのは。八五年の国民年金法の改正という法案、当時、中曽根内閣だったそうですが、その法案が通って国会議員も強制加入というふうになった以上は、やはり国民の義務としてちゃんと払っていなければ、厳密に言うと法律違反であるというのは、同じような認識でおられるんじゃないかというふうに思っています。

 また、昨日ですか、新聞を見ると、安倍幹事長が、こいつは払っている、払っていないという魔女狩りのごとくだというふうに発言したと載っておりましたけれども、これも私はちょっと違うんじゃないかと。

 つまり、広辞苑によると、魔女狩りというのは「異端分子と見なす人物に対して権力者が不法の制裁を加える」というような意味らしいんですが、不法の制裁どころか、やはり法律違反を犯しているのは未納の側の人なので、ここら辺は大変、ちょっと訂正というか、ちゃんと閣僚の方々としても伝えていただきたいと思いますが、いかがお思いになりますでしょうか。

河村国務大臣 ちょっと私はその今の魔女狩り云々をマスコミ等で見ておりませんでしたものですからあれですが、よく実質、本人はどういう意図で言われたのか、確認をさせていただきたいというふうに思います。

高井委員 ぜひとも御確認の上に良識ある御回答をお願いしたいというふうに思っています。

 先ほど河村大臣もお答えになっておりましたけれども、やはり今回の未納問題の本質というか、なぜ問題があるかということにおいては、前社会保険庁長官の堤さんがいみじくも朝日新聞の中で語っておられましたけれども、保険料を払っている人に保険料未納者や免除者が負担していない分をしわ寄せしている不公平は直すべきだ、つまり、日本の年金は賦課方式で、その時々に必要な給付を加入者みんなで支える方式なので、払っていない人の分も払っている人が負担するという形になっている以上、やはり大変問題がある、未納者に加えて免除者が負担しない分もサラリーマン等が肩がわりしているため、このゆがみを直さなければいけないというようなことを、まさに保険庁長官がおっしゃっていました。

 だからこそ今回の未納問題は本当に問題の根が深いのであって、やはり興味本位とかそういう意味ではなくて、真剣に議論していかなくてはいけないと思いますし、公表の方も真摯な気持ちでお願いしたいというふうに思っています。

 特に、副大臣でしたか政務官がおっしゃった、未納者は本人が希望すればさかのぼって払えるような仕組みをつくるというのは、まさに私はこれに大賛成をいたします。本当に、うっかりミス等で払っていない人に対して、希望すれば必ず払える仕組みを今国会でぜひすぐつくるべきではないかというふうにも思っていまして、ぜひとも閣僚の皆さん初め政治家の皆さんにも御賛同いただけたらなと思っていますが、いかがでしょうか。

稲葉副大臣 先生の御質問に私が自分の考えとして述べましたので、その発言の責任をとらなきゃならないんじゃないかということもありまして、お答え申し上げます。

 まさに、義務化されてからは、これはいわゆる形を変えた一つの税金、こういうような気持ちでおります。税金に関しましては消滅時効とかそういうような制度はないわけで、あくまでもどこまでも追徴されるわけでありますから、同じような性格のもの、制度とするなら、中身のものとするならば、やはり自民党の議員さんに限らず国会議員全員が、うっかりミス、納めなければならない、こういう責任に駆られて納めようと思われる方々がいっぱい存在すると思いますが、そういう方々が払うことができないこの制度には大きな欠陥があると言わざるを得ません。

 したがって、私も皆さんと一緒にこの制度改正に取り組んでまいりたい、そう思っております。

高井委員 ありがとうございました。私も本当におっしゃるとおりだと思いますので、どうぞ今後ともよろしくお願いします。

 それで、きょうの日経新聞の朝刊を見て私は驚いたんですけれども、年金未納者の罰金を上げると厚労省が考えているという取り組みの話がございまして、まさに今、稲葉副大臣もおっしゃいましたけれども、未納者が本人がさかのぼって払える仕組みを先につくることの方が大事で、罰金を科すような制度をつくろうと検討しているというのは、私はこれは大変にゆゆしき問題だというふうに思っています。

 というのは、今まで徴収の努力もせずに、積立金の運用の失敗の責任もとらないで、国民に罰金を科す制度をつくろうというのは、責任のすりかえも甚だしいというふうにこの件に関しては感じておりまして、ぜひ閣僚の一人としてもこれは厚労省の方にちゃんと言っていただきたいなと思います。お願いします。

河村国務大臣 罰金の前にやることがあるとおっしゃる、私も同感であります。

高井委員 ありがとうございます。

 そして、よく新聞の記事を読むと、何か厚労省は調査拒否に対する罰金も新たに導入をするということも書いておりますので、調査も拒否した、公表しなければ罰金を科されるかもしれないので、皆さんもぜひともお気をつけて、早く公表していただきますようによろしくお願いをいたします。(発言する者あり)大丈夫ですか。よろしくお願いします。

 文部科学の先生方の御理解も、御承認もいただきましたので、本来のこの法案についての審議に、少しですけれども移りたいというふうに考えています。

 今回、国立大学法人に移行してから、国立大学法人自体は共済はどこに入っておられるでしょうか。

加茂川政府参考人 お答えをいたします。

 国立大学法人の職員につきましては、いわゆる非公務員型を採用したわけでございまして、一般の非公務員型の独立行政法人と同様に国家公務員共済組合制度の適用を受けておるわけでございます。

高井委員 確認をさせていただきたいんですが、一般の非公務員の方々と同じ公務員共済なんですか。

加茂川政府参考人 言葉が足りなかったかもしれませんが、一般のと申し上げましたのは、一般の独立行政法人の中でも非公務員型を採用している独立行政法人と同じように国家公務員共済組合制度の適用を受けておる、こういう意味でございます。

 国立大学法人は非公務員型を採用したわけでございますけれども、非公務員型を採用しています独立行政法人が一般的に国家公務員共済制度の適用を受けておるということでございます。これに倣っておるということでございます。

高井委員 公務員ではないんですよね。私学と同じような形なんですか。非公務員型の一般、わからないんですが、ちょっともう一回お願いします。

加茂川政府参考人 このような制度がとられた制度設計の趣旨でございますが、これは、国立大学法人は、本来国が行うべき事務事業を実施する主体でございまして、さらに、各大学の役職員について見ますと、これまで国家公務員共済制度の年金制度の対象とされてきておったわけでございまして、公的年金制度は、職員が就職してから退職するまで加入をして、退職後の年金受給でありますとか遺族に対する給付まで相当長期間にわたって適用されるものでございます。

 こういった観点から、総合的に判断をいたしまして、適用制度の継続性について配慮する必要がございまして、今申し上げましたように、制度としては国家公務員共済組合制度の適用を受けておる、こういうふうになっておるわけでございます。

高井委員 もう少し端的に教えていただきたいんですけれども、普通ならば厚生年金等の方の形になるんじゃないかなというふうに思うんですが、なぜそうではないんでしょうか。

 また、私学共済の面に関しても、私学でありながら共済だけは、地共済等と同じ形になって共済になっているというのは、どういう理由からなんでしょうか。

加茂川政府参考人 まず、後の御質問でございますが、私学共済制度がなぜ存在をしているか、意義についてでございます。

 教員につきましては、全体の奉仕者であって、その身分は尊重され、その待遇の適正が期せられなければならないという教育基本法の規定が第六条にございます。この趣旨を踏まえまして、私学共済制度につきましても、国公立学校教員の共済制度、これとの均衡に配慮をして、これに準じた制度が必要であるという観点から現在の制度が創設されたものでございます。こういった私学共済制度は、国公立学校の教職員との均衡を図って設立されたということがそのスタートにございまして、意義もそこにございます。実際、その成果としても、私学振興の観点から申しますと、大きな功績があった、実績があったものと私ども評価をしておるわけでございます。

 先ほどの国立大学法人職員について申し上げますと、確かに法人化の前は、国家公務員としてそのまま国家公務員共済組合法の適用を受けておったわけでございます。これが法人化になりますときに、区分としましては非公務員型を採用したわけでございますが、制度設計としてはいろいろな法律論が可能であったかと思いますけれども、先ほど申しましたように、共済制度の趣旨でありますとか、あるいは職員の身分、遺族等に対する対応を安定的に図るための制度設計の選択として、この国家公務員共済組合法の適用をとったことになったと私どもは理解をしておるわけでございます。

高井委員 やはり、基本的には公務員に準じる発想といいますか、この間の独立行政法人になった目的は民間の経営発想を取り入れるためでしたよね。それなのに、年金だけを共済、国家公務員と同じように、準じる形で残していくというのは、本当に、普通に考えて、素直に考えたら何かおかしいんじゃないかなと思うんですが、特別扱いをしている理由は何なんでしょうか。

加茂川政府参考人 お答えをいたします。

 独立行政法人制度の基本にもかかわることかと思いますが、この独立行政法人制度の関連につきましては、平成十一年度に中央省庁等改革推進本部決定というのがございまして、独立行政法人制度の関連で人事交流のあり方等について確認をした部分がございます。身分、処遇関係についての制度的取り扱い、この中には退職手当、共済給付等々が含まれるわけでございますが、これについては人事交流の妨げにならないように措置するものとする、こういう事項がございます。これが、今申しました制度設計の一つの根底の考え方になっているのではないかと理解をしております。

高井委員 経過はわかるんですけれども、結果として見てみると、待遇のいい方に合わせたというふうにしかやはり見えないんですね。やはりこういうふうな、いろいろな制度がばらばらであり、年金の未納問題も生じている一つの原因でもあるのだろうと思うので、今後真剣に一元化の議論を進める中で、共済等の問題も一元化することを目指してやっていただきたいなと思います。そういうのをやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

加茂川政府参考人 委員御指摘の公的年金制度の一元化につきましては、先ほど御答弁申し上げましたけれども、平成十三年三月の閣議決定がございまして、これによりますと、財政単位の拡大と共通部分、費用負担の平準化を図ることを基本とした検討を進めることとされておるわけでございまして、この中には、いわゆる共済制度、私学共済もこれには含まれますし、国家公務員も含まれますけれども、共済制度も一元化の内容に含まれてくるわけでございまして、今回はこれに加えまして、さらにいわゆる三党合意があるわけでございますから、私どもとしましては、いろいろな背景もございますけれども、累次の閣議決定あるいは三党合意等を真摯に受けとめまして、一元化の問題に対応していかなければならない、こう思っておるわけでございます。

高井委員 やはり公務員共済に対して、年金の給付がどんどん低くなっていくほかの厚生年金等の皆さん等の不満は、強い部分が確かにございます。今回、私学共済でも、私学であるにもかかわらず、公務員と同じように職域手当というのがちゃんと上乗せされておりますし、また、いろいろな、そのような問題等もあろうかと思いますので、どうぞ、一元化を目指した議論の中でいろいろな問題等を調整しながら、本当に前向きに進めていただきたいなというふうに考えています。どうか大臣にも、何とぞよろしくお願いします。

 では大臣、最後に一言、その件に関してだけ伺って、終わらせていただきます。

河村国務大臣 公的年金一元化を展望して体系のあり方について検討を行うということが三党合意でなされておりますし、衆参の厚生労働委員会の小委員会、二〇〇七年をめどに結論を得るという方向もございます。今後、どのような形で一元化に持っていくかということの議論が行われるわけでありますが、こういう点でまだはっきりいたしませんけれども、年金制度の一元化というのは累次の閣議決定もやっていることでございますし、閣議決定、三党合意、これに基づいて設置をされる与野党の協議等の進展を見ながら、今後この私学共済のあり方、やはり適切かつ真摯に取り組んで対応していかなきゃいかぬ、このように考えております。

高井委員 ありがとうございました。

 やはり、過去債務の部分をどうするかということと、国民の年金に対する不信感をどう解消するかというのが一番大事な問題だと思いますので、どうか、長い時間をかけていくのももちろん大切なんですが、破綻が目の前に来ているような状況の中で、やはりできるだけ早目に一元化の議論を濃厚に進めていただけたらなと思いまして、質問の方を終わらせていただきます。ありがとうございました。

池坊委員長 石井郁子君。

石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。

 本日は長時間の質疑になっておりますが、最後になりましたので、よろしくお願いを申し上げます。

 提出の法案に関しまして、若干質問をさせていただきます。

 国民年金法は衆議院を通過して、参議院で本格審議が今始まったところでございますが、この法案によって厚生年金の保険料率一三・五八%が毎年〇・三五四%引き上げられて、二〇一七年には一八・三〇%にまで上がるということが言われてまいりました。ところが、参議院の審議に入りますと、その額にとどまらない、物価や賃金の上昇によって保険料が上がるということで、国民年金の保険料の上限がないということが今大変問題になっているわけであります。

 そこで伺いますが、私学共済年金の保険料率は一〇・四六でございますけれども、これも今回の法改正で上がっていくのかどうか、それはどういう計算で試算されるのかということでお答えいただきたいと思います。

加茂川政府参考人 私学共済年金の掛金率の将来的な見通し、今後どうなるのかというお尋ねでございます。

 今回の年金制度改正案を踏まえました私学共済の年金財政の見通しにつきましては、今後、日本私立学校振興・共済事業団において、制度改正による具体的な財政影響あるいは将来の加入者数の推計、さらに各種基礎データの分析等を行った上で作成をいたします、いわゆる財政再計算をもってしなければ、明確にお話をすることは現時点ではできないわけでございます。

 したがいまして、現時点では、その財政の見通しを具体的に確定的にお話をすることは困難だと残念ながら申し上げざるを得ないわけでございますが、先ほど申し上げました、今回の年金制度改正をベースとした、いわゆる粗い計算というのを私ども行っております。

 これによりますと、現在の一〇%に近い掛金率が、最終的な掛金としてはいろいろな要素を加味しなければなりません、特に加入者数が大幅に、少子化に伴って子供の数が減っていくことによって教職員の数も減っていく、それが一番厳しい場合には現在より四割以上減少するのだ、現在約四十万人の加入者があるわけでございますが、これが二十四万人強程度になるといった厳しい前提を置いて、その他の要素もございますが、計算をいたしますと、現在の一〇%程度の掛金率が最終的には二〇・三五%になりまして、これを最終掛金率として安定した財政運営が一応可能になるのではないかといった粗い計算をしておるところでございます。

石井(郁)委員 ですから、上限固定と言われてきましたけれども、実際は今お話しのように二〇・三五%だと。私は大変な数字だと思うんですね。現在一〇・四六ですから、倍になるということですね。

 私学共済の場合は成熟度が低くて、したがって保険料率が低いわけですね、一〇・四六という形になっているわけです。だから、それを結局横並び的に引き上げていくということは、私は大変ひとつ問題だという指摘をしておきたいと思います。

 では一方、給付水準についてですけれども、これも現行の五九%を五〇%水準にまで、そこで固定というようなことを言われてまいりましたけれども、これも五〇%水準で維持できないということが現在明らかとなっております。この給付水準についても、私学共済の場合もやはり横並びで引き下げていくということになるんですか、どうですか。

加茂川政府参考人 まず、先ほどの保険料率について少し補足させていただきたいのでございますが、厚生年金の場合には、今度の改正では一八・三%まで引き上げて、これを上限に設定をするという制度設計をいたしたわけでございます。私学共済の場合には、厚生年金のように掛金率の上限を設定するのではなくて、厚生年金等の給付水準見直しを横並びに見ながら、これと同じ給付水準を確保しようとした場合に、その私学共済における掛金をどう見直していくか。先ほどいろいろ要素を申し上げましたけれども、そうした場合に、最終的な掛金率として二〇・三五という数字を粗い計算ではじき出しますと一応安定をするのではないか、そういうアプローチをいたしております。事情が違いますことをひとつ御理解をいただきたい、補足させていただきたいと思います。

 また、給付水準につきましても、その現役世代の所得の給付水準割合について五〇%を確保できるかどうかといったことがいろいろ議論になっておるわけでございますが、私どもの私学共済におきましても、厚生年金モデルと同じ就労状況で、夫の年金の算定基礎を、私学共済の平成十四年度末の男子の平均給与四十五万三千円でございますが、この数字を前提とし、さらに現役世代の平均的手取り賃金五十一万円、これを固定して試算をいたしますと、私学共済年金の受給開始時点での所得代替率は、二〇〇四年時点で五六・八%、二〇二五年時点で、現時点での計算でも四八・一%となっております。ですから、この代替率は、私学共済についていいますと、既に五〇%を切っている厳しい数字も代替率の数字としては出てまいります。

 ただ、先ほど申し上げましたように、代替率ではなくて受給額を見ました場合には、私学共済としましては、いわゆる職域部分、職域年金相当部分がございますために、額としましては現在も将来も厚生年金よりも高くなっておる、こういう整理ができておるわけでございます。

石井(郁)委員 私学共済の場合は、現在でも五〇%を割っているということです。

 そこで、伺いますけれども、モデル世帯で現在五十五歳、四十五歳の受給の十年後、二十年後の現役世代平均賃金に対する年金の比率はどういうふうになりますか。それをちょっとお知らせください。

加茂川政府参考人 委員のお尋ねでございますが、現時点で申しますと、私学共済年金の受給開始後の所得代替率の変化について、詳しい試算ができておりません。ですから、御趣旨の答弁が現時点ではできないことをお許し願いたいと思います。

石井(郁)委員 私は、そういう計算がなぜできないのか、提出者としてやはりちゃんと示してほしいというふうに思いますが、今のところ答弁できないということです。

 次に伺いたいのは、厚生年金、国家公務員共済、先ほども議論になっておりますし、地方公務員共済、そして私学共済、それぞれがあるわけでございますけれども、その積み立て度合い、それをお示しいただきたいと思います。

加茂川政府参考人 積立金の積み立ての度合いについてのお尋ねでございます。先生御承知のように、積み立て度合いとは、前年度末に保有する積立金が実質的な支出総額の何年分に相当しているかということを示す指標でございます。

 平成十五年三月末現在の私立学校教職員共済制度の年金積立金の積み立て度合いは、九・八倍となってございます。積立金が約三兆円ございまして、実質的な支出総額が三千百億円余でございまして、この割り戻した数字が九・八となるわけでございます。

石井(郁)委員 他の共済についても伺ったのでございます。数字だけで結構でございます。

加茂川政府参考人 失礼いたしました。

 ちなみに、他の被用者年金制度における積み立て度合いでございますが、厚生年金の場合は四・七倍でございます。国家公務員共済年金制度が四・六倍、そして地方公務員共済年金制度が七・六倍でございまして、この比較を見ても、委員おっしゃるように、私学共済の場合には優良な積立金だということが言えようかと思います。

石井(郁)委員 ですから、共済と一口に言っても、それぞれ違うわけでございまして、一番健全なのが私学共済だと、そういう意味では言えるかと思うんですね。九・八年分あるということでございます。

 だから、私は、そういう共済にまで、保険料を上げる、しかし給付は下げるということが何で必要なんだろうか、それでは積立金額はたまっていく一方になるんじゃないかというふうに考えるわけですね、これは普通に考えて。

 ということで考えますと、今、横並びだからといって、私学共済も上げるというようなことがなぜ必要なのか。これは大臣にぜひ、基本的なお考えになりますので、保険料の値上げも必要もないし、給付水準の引き下げも必要ないんじゃないか、この私学共済に限ってですけれども、というふうに私は申し上げたいと思うんですが、いかがでございますか。

河村国務大臣 御指摘のとおり、現在の私学共済年金の財政状況というのは比較的健全である、こういう状況、若い方々の加入もいいということがございます。

 ただ、今後、年金受給者は次第にふえてまいりますし、これを支える現役の加入教職員も、少子化による児童生徒減等々もありまして減少する、こういう見込みでございます。このために、今後、適切な掛金率の引き上げ措置を行わなきゃならぬ、そして、やはり安定的な財政運営を目指し確保していくことが必要になってまいります。そこで、給付水準についても適切な見直しを行うことによって将来世代の負担を軽減していくという考え方を持たなきゃなりません。

 また、私学共済の年金給付に関しては、基本的に、国家公務員共済年金と同様の内容、水準になっておるわけでありますから、共済年金の給付水準については、公平性の観点といいますか、そういう点からこれまでも厚生年金に準じた見直しを行ってきた経緯もございます。

 以上のことを考えますと、私学共済年金につきましても、他の共済年金と同じように、今回の厚生年金の改正を踏まえた措置を講じていっている、こういう現状にあるわけでございます。

石井(郁)委員 この機会にもう一点伺っておきたいと思うんですけれども、私は、今申し上げてまいりましたように、横並びで、保険料は上げるし給付は下げるというようなことを私学共済に限って今やる必要はないということを申し上げているわけです。

 もう一点、年金の長期給付の積立金の運用なんですね。私学の共済の場合の貸付事業というのはどのようになっているか、ちょっとこれは簡単にお答えください。

加茂川政府参考人 私学共済の年金積立金の活用についてのお尋ねでございます。

 私学共済の年金積立金は、本来の積立金の制度は将来における年金給付の財源として保有しているものでございますけれども、十四年度末現在における積立金の総額は、先ほど申しました三兆一千三百六十八億円ございまして、運用に当たりましては、法令に従って、安全かつ効率的に行っているところでございます。

 この積立金のうち二兆四千四百四十六億円、約八〇%弱でございますが、預貯金等で運用を行っております。残りの二二%、七千億円弱でございますが、これは私学振興の観点から、私学事業団が実施する他の事業に貸し付け等を行っておるわけでございます。

 貸し付けの内容について申し上げますと、一つは、私立学校の施設設備の整備に要する財源として、助成勘定として活用をいたしております。また、私学事業団が運営する宿泊施設等の建設費でございますとか、私学共済加入者に対する住宅貸し付け等のための資金、いわゆる福祉勘定でございますが、こういった活用を貸し付けとして行っておるわけでございます。

石井(郁)委員 最後にまた大臣に伺いたいと思いますが、今お聞きいただいたように、私立学校においては、積立金の運用、いろいろ、一般施設、教育環境、また福祉関係等々に大変予算を組まれている、そういう貸し付けの実績もあるということのようでございます。これはやはり私学共済ならではのもので、そういう形で私学を非常にバックアップしているということにもなっているというふうに思うんですね。

 先ほど、一元化の問題、いろいろ議論されている、今後議論されていくでしょうけれども、私は、こういう実態を考えますと、慎重に対応すべきではないのかというふうに思うんです。だから、貸付制度などがこの一元化でどうなっていくのかという心配がございますので、そういう点で、簡単に一元化というようなことにならないんじゃないかと私は今のところ思っておりまして、最後に大臣に御見解を伺って終わりたいと思います。

河村国務大臣 年金一元化、平成十三年三月の閣議決定もございます。財政単位が拡大するから、共通部分の費用負担の平準化といったような基本方針も踏まえた適切な対応がされなきゃいけない重要な課題だと私も認識をしております。

 特に、私学共済制度は、先ほど来お話しのように、年金事業だけではなくて、民間の健康保険に対する短期給付事業やあるいは各種の福祉事業を一体的に運営しておりまして、年金積立金を有効に活用されておりますから、年金一元化を検討する場合についてはこのような課題にも十分配慮しなきゃいかぬ、こう思っております。

 こうした私学共済に関する課題についても多面的な議論が行われて、結果として私学関係者を含む全体的な理解が得られるべきであろう、このような期待を持っておるところであります。

石井(郁)委員 以上で終わります。

池坊委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

池坊委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がございますので、これを許します。石井郁子君。

石井(郁)委員 今回の私立学校教職員共済法等の一部の改正は、年金改革関連法案として提出されたものであり、保険料の引き上げと給付の削減を今後十数年間にわたって国会審議抜きに自動的に進める仕組みの導入は、国民無視の一方的な負担押しつけを制度化するものであり、反対するものです。

 保険料の引き上げと給付の削減による大幅な負担増は、小泉内閣の三位一体改革の一環であり、国民生活を圧迫し、消費不況の深刻化、長期化を招くものです。他の年金改正法案同様に、保険料の引き上げと給付の大幅な負担増は全く変わらず、給付水準も五〇%を割ることが明らかとなりました。私学共済年金の現状から見れば、保険料の引き上げも給付水準の引き下げも必要ありません。それを一律に押しつけるのは問題です。

 私学関係者の公的年金制度の一元化への抵抗は根強く、独立運営にこだわってきた経過もあります。安易な一元化には大きな問題があります。したがって、年金一元化の議論については、私学共済の場合、私学関係者の意見をよく聞き、慎重に対応し、十分時間をかける必要があります。

 また、次世代育成支援の観点から、育児休業中の掛金免除期間を三歳に達するまでの期間延長、また育児休業終了後の標準給与の見直しについての改正は、労働組合や女性団体の要望に沿ったものであり、賛成できます。

 以上の点から、今回の私立学校教職員共済等の一部を改正する法律案には反対することを表明し、討論を終わります。(拍手)

池坊委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

池坊委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、私立学校教職員共済法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

池坊委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

池坊委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

池坊委員長 次回は、来る十八日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十三分散会


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