衆議院

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第5号 平成18年3月10日(金曜日)

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平成十八年三月十日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 遠藤 乙彦君

   理事 小渕 優子君 理事 大前 繁雄君

   理事 小島 敏男君 理事 西村 明宏君

   理事 松浪健四郎君 理事 藤村  修君

   理事 牧  義夫君 理事 池坊 保子君

      阿部 俊子君    秋葉 賢也君

      井脇ノブ子君    飯島 夕雁君

      小川 友一君    岡下 信子君

      加藤 紘一君    川条 志嘉君

      近藤 基彦君    佐藤  錬君

      坂本 剛二君    鈴木 俊一君

      鈴木 恒夫君    永岡 桂子君

      西本 勝子君    福田 峰之君

      藤田 幹雄君    馬渡 龍治君

      山本ともひろ君    吉野 正芳君

      奥村 展三君    北橋 健治君

      末松 義規君    田中眞紀子君

      松本 大輔君    山口  壯君

      横山 北斗君    笠  浩史君

      西  博義君    石井 郁子君

      阿部 知子君    保坂 展人君

    …………………………………

   文部科学大臣       小坂 憲次君

   文部科学副大臣      馳   浩君

   文部科学大臣政務官    吉野 正芳君

   文部科学大臣政務官    有村 治子君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房長) 玉井日出夫君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      大島  寛君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          田中壮一郎君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          銭谷 眞美君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            石川  明君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         金森 越哉君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        素川 富司君

   政府参考人

   (文化庁次長)      加茂川幸夫君

   文部科学委員会専門員   井上 茂男君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十日

 辞任         補欠選任

  保坂 展人君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  阿部 知子君     保坂 展人君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第一六号)


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     ――――◇―――――

遠藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治財政局長瀧野欣彌君、文部科学省大臣官房長玉井日出夫君、大臣官房文教施設企画部長大島寛君、生涯学習政策局長田中壮一郎君、初等中等教育局長銭谷眞美君、高等教育局長石川明君、高等教育局私学部長金森越哉君、スポーツ・青少年局長素川富司君及び文化庁次長加茂川幸夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤錬君。

佐藤(錬)委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の佐藤錬であります。

 与えられた時間はわずか三十分のみ。九問用意しましたので、前段はもう省いて、簡潔に質問しますから、どうぞ、とんとんとんとんとテンポよく進みますように、答弁も結論を簡潔にお願いをしたいと思います。

 実は、有村治子政務官、大変公務御多端の御様子なものですから、順番を変えて、最初に、いつもさわやかな、大好きな有村政務官に質問をいたします。

 放課後における子供の居場所についてであります。子供といっても、就学後の児童生徒の居場所についてであります。

 御案内のように、厚労省では放課後児童健全育成事業というものを行っておりますし、文科省では地域子ども教室推進事業というのを行っておりまして、来年度、十八年度で三カ年計画が終了すると聞いております。

 そこで、就学後の小学校の生徒でありますから、あくまでも教育的な責任を持った上で、教員や、必要であれば保育士や地域の人々の協力を含めた新規の事業を厚生労働省と連携して実施すべきであると考えます。決して今の厚労省の放課後児童健全育成事業がすばらしい状況にあるとは思えません。そういったことをぜひ新規事業として立ち上げてもらいたいと強く要望しますが、有村政務官の決意を伺います。

有村大臣政務官 日ごろから信念と哲学を持ちながら教育問題に取り組んでいらっしゃる佐藤錬先生に心からの敬意を持ちながら、心して答弁をさせていただきます。また、十時から参議院の本会議がありますものですから、質問の答弁の順番を前後していただきました御配慮、御協力賜りましたことにも改めて感謝を申し上げます。

 文部科学省では、平成十六年から十八年まで、地域で子供を育てるという観点から、学校などを活用して、大人、地域の方々のボランタリーな精神に大変にお助けいただきながら、子供たちが放課後や週末に安全かつ安心して活動ができる居場所づくりを支援するために、地域子ども教室推進事業に取り組んでいるところでございます。

 このため、本事業を実施してきた市町村や都道府県の関係者からの御意見も踏まえつつ、厚生労働省との連携について、鋭意十九年以降も検討してまいりたいと存じます。特に今御指摘がありました、放課後の厚生労働省と文科省の連携ということは、これからもますます重要になってくると思いますので、その点は心して取り組んでまいりたいと思います。

 また、これは数々の子供を取り巻く事件が起こった後に、十六年から十八年まで暫定的に新規で取り組まれた施策でございますものですから、平成十九年度以降も、やはり私たちにとって子供の安全、安心というのは譲れない、かけがえのない価値であるというふうに思っております。

 この信念をしっかりと大事にして、居場所づくりの充実は今後も大切で、この三年の事業が終わったからということではないというふうに思っておりますので、家庭、地域の教育力の向上について審議を行っている中央教育審議会生涯学習分科会の議論を踏まえ、やはり国としても、地域と学校と家庭をしっかりとつなぐという本質的な課題に取り組んで、また、結果もできれば出していきたいなというふうに思っております。ぜひ御協力賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

佐藤(錬)委員 ありがとうございました。

 それでは、次に、刑事処分を受けた教員の処分問題について質問します。

 過ぐる二月八日の予算委員会におきまして、我が党の宮路議員が、山梨県政連政治資金規正法違反事件で有罪となった教員、山梨県教組財政部長の処分問題について尋ねた。その際、小坂文科大臣は、厳正な措置をとるよう求め、県教委の対応を厳しく見守ってまいりたいと答弁をなされました。あれから既に一カ月が経過しております。当該教員の処分がどのようになったのか、お尋ねします。

 あわせて、再三にわたる処分見直しなどを求める文科省の指導を山梨県教委が拒否し続けている理由や、山梨県教組において資金カンパが半強制的に教員に対して行われた背景など、その実態を明確に示していただきたいと思います。

銭谷政府参考人 山梨県における教員の政治的活動に係る問題につきましては、これまで再三にわたり県教委に対して指導を重ねてきたところでございます。昨年十二月二十七日に四項目について指導通知も発出し、厳正な指導を行っているところでございます。

 この通知を踏まえまして、山梨県教委としては、四項目のうち二項目については既に是正措置を講じているところでございます。

 最初に御指摘のございました山梨県教職員組合の財政部長長田氏の件につきましては、指導通知の四項目のうちの一つとして取り上げて、今指導を行っているところでございます。これは、長田氏を含む在籍専従中の教職員十六名を対象として、山梨県教委で現在、勤務実態に関する調査を行っておりまして、その中で事実関係の確認が進められていると承知をいたしております。まだ処分等は行われておりませんが、これを踏まえ、今年度中には山梨県教育委員会として調査結果を取りまとめ、在籍専従の許可の取り消しも含めた適切な措置がなされるものと考えているところでございます。

 それから、この問題全体についての背景等についてのお尋ねがございました。

 今日の山梨県の問題は、教育公務員による政治的行為に係る問題に端を発しているものでございます。すなわち、教育公務員が政治団体から資金カンパの要請を受け、政治団体に届ける行為等を行ったのが問題の発端でございます。山梨県教育委員会は、一昨年十二月に資金カンパ等に関与した校長等十九人に対して訓告等の措置を行ったわけでございますが、明らかに違法な政治的行為に関する処分として適切なものとは言えないと私ども考えております。教育委員会において教職員の政治的行為の制限に対する認識が十分でない、ここが問題の背景にあると考えております。

 文部科学省といたしましては、山梨県教育委員会において、事実関係の調査の結果を踏まえて、速やかに厳正な対応をとるとともに、将来においてもこのような違法な政治的行為が行われることのないよう、引き続き厳しく指導してまいりたいと考えております。

佐藤(錬)委員 次に、山梨県教組問題は、一昨年の十一月に新聞報道があって以来、文科省と県教委の間で押し問答が繰り返されているだけで、事態は一向に前進していません。県教委は指摘された数々の問題点について、ひたすら、調査を行うという発言を繰り返すのみ。また、文科省も文科省で、厳正な措置を求め厳しく見守っていると繰り返すのみであります。一体、こんなことをいつまで続けるおつもりなのでしょうか。そもそも県教委は本当に事態を解明するための調査を行っているのだろうかという疑問がわきます。我々が入手した県教委の調査資料を見ても、極めてずさんであります。恐らくこの先も口先だけの調査を延々と続けていくつもりなのだろうと思います。

 先日も、県教委が実施する調査に対して山梨県教組がつくった想定問答が出回っているという新聞報道もありました。私たちのところにもそのメモ書きが送られてきております。山梨県教組が教員に対し異動希望調書の提出を指示し、県教委の人事に介入していることが文書によって裏づけられております。

 このように、教組が人事や施策に介入し、教組が県教委の教育行政を操っているというような実態は、ほかにも全国に見られるのではないか。一定のイデオロギーに偏向した政治活動や一党一派に偏した選挙運動など、政治的中立を保つよう義務づけられている教育公務員の実態はどうなのか。こうしたことが実際に行われているとするならば、まさに日本の教育は茶番劇であります。

 この件について、文科省は実態を把握しているのか。文科省は、県教委が行う調査方法について細かく指導すべきではないのか。もし県教委が文科省の指導を無視するのであれば、また指導に限界があるのであれば、文科省が現地に入って末端から本気に調査を始めてみてはどうか。御答弁を願います。

銭谷政府参考人 まず、山梨県教育委員会が、人事に関して異動希望調書の提出を教組に求めていた、この件についてでございますけれども、文部科学省として、マスコミ報道があった直後より山梨県教育委員会に問い合わせたところ、山梨県教育委員会が県内の各教員に対して提出を求めている人事に関する異動希望調書について、山梨県教職員組合が各組合員に対し、その写しを教職員組合にもあわせて提出するよう求めていた事実があったことが確認されたところでございます。

 山梨県教育委員会としては、このような教職員組合の指示は不適切であり、極めて遺憾なことと認識をしていることから、既に県内の各市町村教育委員会及び山梨県教職員組合に対して即刻中止するよう指導したところでございます。あわせて、既に山梨県教職員組合に提出をされていた異動希望調書の写しについて、そのすべてを回収するように求め、既に完了したところであると承知をいたしております。今後このようなことがないように、厳しく指導したと聞いているところでございます。

 また、こういったことが全国的にどうかということでございますが、私ども、こういうことはあってはならないことでございますので、現在までのところ、他県でこういう状況については承知をしていないところでございます。

 なお、この山梨県の問題につきましては、先ほども御答弁申し上げましたが、やはり教育公務員の政治的行為について山梨県教育委員会が十分に認識をせず、この問題に対して厳正な姿勢がとられていないということが問題の核心でございます。文部科学省としては、再三にわたる指導に加え、現地調査も実施をした上で、昨年十二月に四項目について指導通知を発出したところでございます。現地調査等において、どういう点が調査の内容としてこれから県教委において必要かということも指導しているところでございまして、先ほど申し上げましたように、その山梨県教委の調査に基づく対応について引き続き厳しく指導してまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。

佐藤(錬)委員 さて、もう来月からは学校も新年度を迎えることになります。県教委は、一昨年の調査結果の発表以降、新たな事実が発覚し、当然厳正な処分を行っていなければならないにもかかわらず、何らそれを行っていません。本来懲戒処分を受けるべき者あるいは懲戒処分を受ける可能性がある者、こうした者は新年度から一体どのような処遇となっているのか。文科省はそれを確認しているんでしょうか。

 一昨日の八日、山梨県教組の新役員、新体制が決まったようであります。仄聞するところによると、新委員長と新書記長ともに在籍専従者であり、県政連の役員に名を連ね、県政連の支部総会や資金カンパ集めに積極的に関与していたと聞いております。何ら処分を行わず、事件が風化することをねらっているとしたら、言語道断であります。文科省の考えを承ります。

銭谷政府参考人 私どもといたしましては、昨年十二月二十七日の通知以降においても、山梨県教育委員会の教育長等に対し、引き続き指導を行っているところでございます。文科省としては、今山梨県教育委員会が改めて調査を実施しているその調査結果を取りまとめ、今年度中に処分も含めた厳正な対応を行うよう指導しているところでございます。私どもとしても、その結果を早く県の方から報告をいただきたいというふうに思っているところでございます。

 なお、在籍専従の教職員が教職員組合の委員長になるということは通常あることではございますけれども、その在籍専従の者が政治的行為にどのように関与していたか、これも今山梨県教育委員会の方で調べているわけでございまして、十六名在籍専従の者がいるわけでございますが、私ども、その調査結果も今年度中にいただきたいということで、引き続き厳しく指導しているところでございます。

佐藤(錬)委員 それでは、文科省の権威にかけて、厳格な御指導を期待しております。

 それでは、ここからいよいよ義務教育費国庫負担制度に入ります。

 義務教育の水準をしっかり守るには、私の得意なイングリッシュで言うと、プラン・アンド・ドゥー・アンド・チェック・アンド・アクションということであります。PDCA、このサイクルがきちんと確立されていることが重要だと考えます。

 このPDCAのうち、プランに国は大きな責任を持っております。国は、我が国が目指す義務教育の水準を明確にした上で、それを達成するために必要な条件整備などについてもしっかりした基準を持って取り組むことが重要だと考えます。中教審答申では、プランに続くドゥーの部分は地方にできるだけ任せるということになっておりますが、地方に任せれば必ず今よりもよい教育が行われるという保証はあるんでしょうか。大臣の御見解を伺います。

小坂国務大臣 佐藤委員の御指摘のとおりでありまして、義務教育は、一人一人の人格形成と国家社会の形成者である有為な人材の育成、それを担うものでありまして、国家社会の存立基盤とも言えるものであります。

 したがいまして、義務教育は、その水準を確保し、機会の均等、無償制を保障することが国の大きな役割でありますが、その実施に当たって、いわゆる目標設定に当たりますプラン、この部分をしっかりと国が担い、そしておっしゃるように、ドゥーの部分は、それぞれの地域、そしてそこにはぐくまれた地域文化やそういったものを背景とした中で、それぞれの地方自治体、市町村、そして学校現場が創意工夫を生かしてそれに取り組んでいただくことがやはりこれからの時代には必要だと私どもは考えております。

 しかしながら、水準がしっかり確保できるようにそれをチェックし、そしてさらには、それに対応したアクションを行うということが国の責務であろうと思っておりまして、そういったPDCAのサイクルをしっかりと組み込んだ中で、教育現場の権限と責任を拡大する分権改革を進めるとともに、その結果を検証できるようなシステムを国が責任を持って構築すること、これが義務教育の改革を進める上で極めて重要なことだと考えております。

 今後とも、そういった意味で、国がしっかり責任を持ちつつも創意工夫のある教育現場をつくっていく、こういうことを御理解賜りまして、委員の御支援を賜りたいと存じます。

佐藤(錬)委員 大臣にこれからチェックとアクションのことを聞くつもりでございましたので、これは再度私からも言わせてもらいますが、今日の義務教育行政における最大の課題は、チェックがしっかりできていないことであります。文部科学省は、指導助言の権限で、通知はよく出されているようですが、それだけしかできません。このため、例えば山梨県教組のような問題が起こって、その後もだれもこれを是正することができないでいます。まずは、義務教育におけるチェックのための制度を早急に整備すべきと考えます。

 昨日、実は東京都の教育長から、元気がない、志がない、使命感がない、質が高くない、子供が好きでないという教員がかなりおるという話を聞きました。PTA対応に疲れて五月病に陥る教員も多いそうであります。

 このような学校評価や教員評価については、まずは児童生徒と保護者の評価、そして学校、教育委員会など、それぞれにおいて行われる評価が重要であります。しかし、やはり最後には、国が責任を持つ分野である以上、国主導でしっかりとチェックができるような仕組みをつくらなければ、全国で均等な教育の確保はできないと考えます。

 あわせて、国主導のチェック体制と深く関係するのがアクションです。どんなに立派な基準が設定され、立派なチェック体制が確立されても、最後にこれを是正できる手段と権限がなければ何の意味も持たないことになります。イギリスにおいても、是正指導とともに学校を閉じる閉校措置があると聞きます。義務教育の水準維持のために、国による是正手段を制度化すべきである、このチェックの制度とアクションの制度を確立すべきであると考えますが、大臣の見解やいかに。

小坂国務大臣 佐藤委員の御指摘の部分は、今日的な教育現場の課題として、やはりシステムを確立しながら、保護者、生徒の意見も踏まえた上で、それぞれの学校に対して評価を下し、また学校評価とともに教員に対して評価をしていく、そういった一つの枠組みをつくっていくことが必要ではないか、こういう御指摘だと思っております。

 それは極めて重要なことでありまして、外国においては、ただいま御指摘のように、イギリスにおいて学校評価というのは大変厳しい標準を課しておりまして、その標準を維持できなければ、二年続けて水準に達していない学校に対しては廃校措置も辞さないというような大変厳しい指導体制を持っております。

 御指摘のように、教育の成果を検証するシステムを国が責任を持って構築することは構造改革を進めていく上で大変重要であるとの認識を、先ほど申し上げたように持っておりますので、まずもって、では現状のところはどうだということにおきまして、学校評価につきましては、平成十六年度において、公立学校の実施率は、自己評価が九六・五%、外部評価が七八・四%となっておりまして、国としては、今年度中、すなわち十七年度中に学校評価のガイドラインを策定し全国に周知することとしておりまして、学校評価の充実改善を促すことにしております。

 またさらに、学校に対する第三者評価につきましても、この四月以降の十八年度に、国が委嘱する専門家による第三者評価を試行すること、すなわち一つのモデルのような形でトライアルをさせていただき、それを通じて適切な学校評価システムというもののあり方を検討させていただきたい、このように考えているところでございます。

 また、教員評価につきましても、平成十五年度から十七年度まで、文部科学省として、各都道府県教育委員会等に対しまして、教員の評価に関する調査研究事業を委嘱いたしました。

 これを受けて、平成十七年度中に九割以上、六十一のうちの五十五ということでございますが、の教育委員会で新しい評価システムの取り組みが行われておりまして、この取り組みの事例を取りまとめ、それを現場にまたフィードバックをするパンフレットも作成いたしておるわけでございます。こういったものもつくりながら、そういったものに対応して、来年度におきまして、学校の組織運営に関する調査研究の一環としまして、各都道府県、指定都市の教育委員会における新しい教員評価の取り組みを支援し、教員の評価が配置や研修等の現場での処遇に反映されるように促していきたい、このように考えているところでございます。

 また、御指摘の、アクションの部分はそれではどうなるのかということでございますが、学校の設置管理者であります市町村がその実施に一義的な責任を負っていることは御指摘のとおりでございます。また、都道府県が教職員人事権を適切に行使していくということによりまして、それを担保していくという形になっておるわけです。

 それでは、御指摘のように、国がちゃんと責任を持っているのか、それをどうやって担保するんだ、必要な指導、助言、援助のあり方はいかにということでございます。法令違反などの是正が必要となるような状況が生じた場合には、国は個別に指導を行ったり調査を行ったりして、都道府県、市町村みずからの改善を促すという形をやってまいるわけでございます。

 そういった中で、それではイギリスのような制度は大臣は考えていないのか、こういう御指摘もございました。それにつきましては、学校設置管理者であります市町村がその一義的な責任を負う中で、また都道府県が人事権を適切に行使していく中で適切な是正が行われるというふうに私どもは指導を強化し、そのような今日的な流れの中で、さらにその認識をそれぞれの現場に持っていただくことで、それを進めてまいりたい。

 したがいまして、今日、是正手段の制度化ということにおいて、これは今日のその流れの中でさらに慎重に現場の動きを見ながら検討していく必要がある、このように考えているところでございます。

佐藤(錬)委員 とにかく、現在の義務教育をめぐる諸課題は、責任のあいまいさから発生しているのではないかと考えます。国と県と市の役割、教育委員会、教育長と首長の役割など、義務教育制度全般に内在するこのあいまいさを正し、最終責任者である国の権限と責任を明確にすべきであると考えます。

 大臣、時間がないので、一言御答弁を、大臣の見解を聞かせてください。

小坂国務大臣 先ほど申し上げましたように、機会均等、水準確保、無償制という義務教育の根幹をしっかりと守って頑張ってまいります。

佐藤(錬)委員 それでは、最後になりました。

 先ほどPDCAと申しましたが、これはBが抜けているんですね、Bが。何かなと思ったら、これは武道であります。一昨日、武道振興大会がありました。大臣、副大臣、政務官出席の上、決議もされました。

 知徳体ということを教育の大事なものといいますが、すべてその上に気力というものがなければ、知識を得ても、徳を得ても、体力を得ても、気概というか、そういうものがなければ、人間生きていけません。そういった気力、この現代社会に蔓延する無気力感を打開するためには、国として、もっと義務教育等においても武道を奨励し、振興し、凜とした気概に満ちた日本社会構築のために、武道は大きな力となります。馳副大臣に御見解を求めて、終わりたいと思います。

馳副大臣 武道が我が国固有の身体文化であるということは論をまたないところでありまして、競技性ばかりではなく、礼節を重んじる、他者へ、とりわけ敗者に対する思いやり、また、武道には形というのがありますよね、そういった美しさを追求する、こういったところの精神的な文化論というのは、非常に有効な教育的な役割を果たすと認識しております。

 中学、高校では、柔道、剣道、相撲と明示をいたしまして、授業や部活動で推進しておりますが、今後とも、より一層推進していくことをお誓い申し上げまして、答弁とさせていただきます。

 御支援よろしくお願いします。

佐藤(錬)委員 御答弁ありがとうございました。

遠藤委員長 池坊保子さん。

池坊委員 公明党の池坊保子でございます。

 義務教育費国庫負担制度については、前中山大臣のときから、この問題が起こりましたときから、たびたび委員会で質問し、注視し、そして勉強会も私なりに重ね、そして行動も起こしてまいりました。一政治家としては、もう悔いないほどきちんと行動してきた思いでございます。このことに関しては、私は、いつも外圧に弱いと言われていた文部科学省も、よく局長、課長、頑張ったのではないかと思っております。それは、省益ではないんですね。未来の子供たちのために、どういう教育がいいのか、何をしなければならないかというその責任で私は頑張ったのではないかというふうに思っております。そういう意味では、今回の二分の一から三分の一になったことは、私は大変遺憾にも残念にも思っております。でも、私の教育に対する主張というのは、本会議でもはっきり申し上げましたし、小坂大臣にも質問させていただいたので、重複するから割愛させていただきます。

 でも、学校の設置者である市町村が担うべき義務的経費を国と都道府県が半分ずつ協力し合って、助け合って、分かち合って、教育をしていきましょうというのがこの制度なんですよ。お金ではなくて、子供に対してより確実な教育の方法である、そして、教育というのは真の子供の幸福の追求にあるんだ、そのためにどうしたらいいかという、この制度だったんだというふうに私は思っております。

 今回の措置は、そういう教育的な理念というのが欠落していることを私は大変残念に思っているんです。でも、最終的に国が関与することになったことに私はほっと安堵し、そしてまた、政治家としての良心を皆様方がお見せになったのではないかと思っております。平成十七年十一月三十日の政府・与党合意では、義務教育費国庫負担制度については「その根幹を維持し、義務教育費国庫負担制度を堅持する。」としっかりと書かれております。

 先回の委員会、私、聞いておりましたら、閣議決定がされていないからどうのこうのとか、その文言が残ってないよというような質問も出ておりましたが、閣議決定というのは政府内の手続です。あくまでも大切なのは、この政府と与党、つまり、政府と国会が合意したということが私は重要な重みを持つのではないかというふうに思っておりますので、文部科学大臣に再確認をさせていただきたいと思います。これが最も重い決議であるということを、前段、後段は結構ですので、そうであるかないかだけをしっかりとちょっとお答えいただけたらと思います。

小坂国務大臣 前段は抜きとおっしゃいましたけれども、この問題は、平成十四年末の総務、財務、文部科学、三大臣の合意において「改革と展望」の期間中、十八年度末までに国庫負担金の全額の一般財源化について所要の検討を行うとされて以来、ずっと続いてきた問題でございまして、この間、池坊委員におかれましては、ただいま御自身でおっしゃったように、大変真摯にお取り組みをいただいて、また、御熱心な議論に参加をしていただく中で、信念を貫いて御主張賜りましたこと、敬意を表したいと思っております。その結果として、昨年末の政府・与党合意において、初めて義務教育費国庫負担制度は堅持するということが明記をされました。

 私は、十月三十一日に就任をいたしまして、各方面の皆様の意見を聞き、教育現場、PTA、そして政府・与党、いろいろな皆さんの、中教審の会議、もちろんでございますが、御意見を聞いてくる中で、教育に携わる皆さんの中に大きな不安が広がっている、早くこの問題を決着しなきゃいかぬ、こういうふうに思っておりました。そういった意味で、今回、このような決着がなされたこと、すなわち、これまでの義務教育費国庫負担金をめぐる議論は、今回のこの政府・与党合意においてすべて決着をした、このように考えられると思っております。

 また、平成十八年度までの三位一体改革に係る政府・与党合意及び累次の基本方針を踏まえて、平成十八年度予算編成の基本方針が十二月の六日に閣議決定をされております。

 こういったことを踏まえて、今後しっかり取り組んでまいりたいと存じます。

池坊委員 堅持されたのだという、これは力強い御答弁だと受けとめておりますので、安心いたしました。

 きょうは、総務省の瀧野財政局長にも来てもらっているので、幾つかの、総務省の方に、私、総務省の考えがわからないので、ちょっと聞きたいので、決して詰問するつもりではありませんので、教えてほしいと思うんですね。

 財政局長も、運悪くこういうところにめぐり合わせたから、こういう方針をとられたのかもしれないけれども、私は、ここに教育理念があるのかなとずっと不審に思ってまいりましたけれども、義務教育費国庫負担制度があるから地方分権が進まないと地方六団体の代表の方がおっしゃっているし、またそういうことをおっしゃる方がございます。総務省の局長はそれと同じ認識をお持ちなのか。もしお持ちでいらっしゃるならば、どういう点が地方分権を妨げているのか、それを具体的に、抽象的ではなくて具体的に私に教えていただきたい。

瀧野政府参考人 地方分権の考え方についてのお尋ねでございます。

 国のあり方といたしまして、いろいろな事務がございますけれども、内政にかかわる分野につきましては、国と地方がそれぞれ分担して適切に役割を果たしていくというのが今後の我が国の発展のために重要であろうというのが、まず我々の基本的な考え方でございます。義務教育についても、内政の重要な課題でございますので、基本的には同じではないかなというふうに考えております。

 その場合に、それじゃ、国と地方、どういう考え方で役割を分担するのかということになりますが、国は、国民に対して、全国どこでも一定水準の教育環境を保障するということで、教育内容あるいは学級編制のあり方など、この大枠を法律で担保するとともに、その所要財源は確実に保障する、こういうのが国の役割ではないか。一方、地方の方は、この国が定めます大枠の基準を満たした上で、その地域ごとの創意工夫を生かして、自主的、主体的に取り組みを行う、こういうことが大枠ではないかというふうに考えておるわけでございます。

 その中で、具体的にそれぞれ、現在御質問でございます義務教育負担金なども考えていくということになると思いますが、今御質問でございましたように、昨年十一月、政府・与党合意で、根幹を維持する中で、今後、義務教育とかあるいは高等学校教育のあり方も含めまして、国、都道府県、市町村の役割について引き続き検討するというようなことになっておるわけでございますので、教育分野におきますこの国、地方の役割分担という観点から、今後とも幅広く検討していく必要があるというふうに考えております。

池坊委員 具体的にどう地方分権を妨げているのかということへのお答えはなかったように思います。今のお答えを簡潔にまとめるならば、国のあり方として果たすべき役割分担の一つには、大枠にいろいろなことを決めることが必要なのだ、それが国の役割である、それなら当然、義務的経費の人件費というのは国が果たすべきだというふうにおっしゃったように私はとれますけれども、余り地方分権を妨げていない、余りどころか全然妨げていないという御答弁のように私は解釈いたしました。

 では、次に進みます。

 やはり地方六団体の代表である県知事は、もしこれが全額一般財源化されたならば、地方公共団体が当事者意識を持って弾力的な学級編制、教職員配置や外部人材の多種多様な活用が可能になり、地方の自由度が拡大するということを述べていらっしゃいます。でも、平成十六年から総額裁量制でこれらのことは可能になってまいりましたね。

 では、総額裁量制ではできない弾力的な学級編制、教職員配置、外部の人材の多様な活用というのは具体的にどういうようなことをいうのかというのをお聞かせいただきたいと思います。

瀧野政府参考人 義務教育国庫負担金について、それを一般財源化することによってどのように裁量権が拡大するか、こういうお尋ねかというふうに思います。

 基本的には、義務教育国庫負担金、これは給与費を対象としているものでございますので、ほかの裁量的な補助金と比べまして直ちに大幅に裁量が拡大するというものではないということは、そうだろうというふうに考えております。

 ただ、一昨年以来の議論の過程におきまして地方公共団体が主張しておりますことは、国からは、標準法によります学級編制とかあるいは教員の配置基準に加えましてこの国庫負担金によります関与を二重に受けているということに問題意識を持ちまして、少なくとも財源面につきまして地方の自由度を拡大する観点から、義務教育国庫負担金の一般財源化を提案してきているということが、まず第一点、あるかと思います。

 それに加えまして、一般財源化いたしますと、学級編制とかあるいは教員の配置に関します国の基準を満たした上で、地方団体が当事者意識を持って、地域の教育環境とかあるいは児童生徒の実情に応じまして、弾力的な学級編制あるいは教職員の配置、これは可能になるかと思いますし、補助負担金が地方税などの一般財源になりますと、税でございますので、それぞれの地方団体が、税収を充実しよう、税源を涵養しようという努力の余地が生ずるわけでございます。それぞれの地域が財源の充実に努力するということになります。

 その一方、地方の住民からいたしますと、それぞれの地域の税収で行われる部分が多くなるわけでございますので、地方団体の住民の方々もそれぞれ説明責任を求める、今以上にこういうことにもなるわけでございまして、そういう地方団体の側の努力、それから住民の側の意識、双方から教育の充実についてさらに取り組んでいくというような方向性になっていくのではないかというふうに考えておるところでございます。

池坊委員 当然、瀧野局長は御存じで言っていらっしゃると思います。総額裁量制ですべての学級編制、外部の人間の任用というのはできるわけです。今でもきちんとできるんです。だから、それ以上というのは、ある意味で、ある知事がおっしゃいました、今うちの県は大変財政が大変なんだ、だからほかにもっと使いたいことがあるんですと。御存じのように、地方交付税の学校図書費、これは使われていないんですね、ですから私はいつも、市会にも県会議員にも、これを使ってください、子供たちのために使ってと申し上げないとならないんですよね。これが現状だということは、教材費もしかりです。もう当然御存じの上での答弁だというふうに私は思っております。

 それでは、地方六団体と総務省というのは同じお立場なんだと思いますけれども、これが二分の一から三分の一になりますと、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、静岡県、愛知県、大阪府、兵庫県を除く三十九道府県が、二分の一から三分の一になったことによって教職員の給与費が今までよりも下回るというふうに出ております。もちろんそういうふうに答弁もなさったことがあると思いますから、これはきちんと出ているんです。

 このような格差が生じることは地方の特色なんだからしようがないと考えていらっしゃるのか。それからまた、いや、それは地方交付税で補てんするよとおっしゃりたいのでしょうが、三位一体改革というのは、一つの大きな柱が地方交付税を削減しますということではないかと思うんですね。それで、不足分を地方交付税で確実に担保されるという保証を総務省は持っていらっしゃるかどうかをちょっと伺いたいと思います。

瀧野政府参考人 三十九の道府県で税源移譲の額が今までの負担金の額を下回るのではないかというような前提でのお話でございますけれども、今回の三位一体改革におきましては、全体としていろいろな補助負担金の見直し、それを総体として三兆円の税源移譲というふうに考えてございますので、個別に集計してどういう上下になるか、なかなかそこのところは推計の難しいところはあろうかと思います。そういった前提の上で、実際にそれぞれの団体で税源移譲の額と今まで配付されていた補助金の額に差異が生ずるということは事実だろうというふうに思います。

 そういった中で、我々といたしましては、先生御指摘のように、税源移譲の額を踏まえた上で、交付税できちんと調整をしていきたいというふうに考えておるわけでございますけれども、それでは、交付税の額が総体として減っていく中でそういうことが可能なのかと、こういう御心配はもちろんあろうかと思います。

 しかし、我々といたしましては、交付税の中でいろいろ積算する経費、いろいろなものがございますけれども、少なくとも、この国庫補助負担金の中で義務教育のような地方団体が法律上義務づけられて歳出しなきゃいけないものについてはきちんと財源保障していくということは、交付税制度がどういうふうに変容しようとも必ずしなければいけないものだというふうに考えているわけでございます。

 交付税の中では、そのほかにいろいろ裁量的なものもございますし、投資的なものもございます。最近交付税がある程度削減されてきておりますのは投資的な経費の部分でございますので、そういうことでは、こういった義務的なものについては、我々といたしましては、そういう投資的経費とはまた別の観点からきちんと財源措置をしてまいらなければいけないというふうに考えておるところでございます。

池坊委員 推計が難しいということですけれども、教職員給与費が不足するか否かというのは大切な問題なんですから、これは総務省だってきちんと推計をしていただかないと困ると思います。そういう推計を基礎にしてこういう問題が起こってくるのだというふうに思います。

 それから、義務的経費はきちんと財源を確保するとおっしゃるけれども、これを欲しい欲しいとおっしゃったわけですよね。二分の一から三分の一にしてまでも欲しい欲しいとおっしゃったのは、そこに裁量的な余地があるから欲しい欲しいとおっしゃったんで、そういうようなことを考えますと、私は、これはちょっと心配だなというのを払拭することはできません。

 それと、これも局長は御存じだと思いますけれども、市町村の三分の二は、今地方の財源が少ない、だから二分の一から三分の一になったら教育費確保が困難だというふうに言っているんです。三分の二は堅持してほしいよと言っている。これについてはどういうふうにお考えですか。

瀧野政府参考人 それぞれの団体におきまして、この義務教育国庫負担金制度についていろいろな意見があるということは当然のことだろうというふうに思いますが、我々、個々の御意見、それを個別に把握しているわけではございませんけれども、地方自治の中で、それは当然いろいろな御意見はあろうかというふうに思います。

 ただ、地方六団体といたしましては、この義務教育国庫負担金につきまして、平成十六年八月でございますけれども、第二期改革を地方団体は要望しておるわけでございますけれども、この分権の全体の改革が完成するまでには全額を税源移譲の対象にしてもらいたいと。それから、第一期、これが今回一応めどがつきました、十八年度まででございますけれども、第一期改革においては、この中学校教職員の給与費に係る負担金を税源移譲の対象補助金としていただきたいというような国庫補助負担金改革案を取りまとめられたということは事実でございますし、こういった取りまとめに当たりましては、それぞれの団体が正式な手続を経て機関決定されたというふうに承知しておるところでございます。

池坊委員 御存じのように、小学校、中学校というのは、直接かかわっていくのは市町村なんですね。市町村の三分の二の代表たちが堅持をしてほしいというのは、これは個々の意見ではなくて全体の総意だというふうに受けとめていただきたいと思います。

 それから、総務省は、都道府県も大切でしょうが、市町村もやはり大切にしていただかないと、都道府県だけの意見を聞いたらいいわけじゃないんです。やはり一人一人のそこに生きている人たちの声をしっかりと受けとめるということが私は大切ではないかと思っております。

 今、小学校では、例えば標準法があるからいいんだと。でも、それは最低なんですよね。今、小学校では二十六人、中学校では三十人になっております。でも、こうやって教職員給与費が不足いたしますと、やはり非常勤教員とか臨時教員の配置が多くなるのではないかと思うんですね。

 それから、僻地や離島では二つの学級を一つに統合するとか、あるいはまた、中学校というのは教科担任制ですけれども、そうでなくて、一人の先生が二つ、理科と体育を教えるなんということにもなっていくのではないかというふうに心配しておりますけれども、そういうことはないんですね。ちょっとこれも、時間がないから、そういうことまでも考えていらっしゃいましたか。

瀧野政府参考人 それぞれの地方公共団体におきましてどういうような教員配置をしていくか、それについては、標準法の枠組みの中で、それぞれ、実際に、水準をさらに上げていくために教育委員会等で御議論されるということだろうというふうに思っております。

 我々といたしましては、全体として、標準法に定められた水準の財源保障を最低限する中で、できるだけそれを一般財源化という形に持っていく中で、税源の涵養もし、住民の方々の教育に対する熱意というようなものもさらに上がるようにするということが必要ではないかということで、我々、個別にそういった実際の配置まで、財政を預かる者として、立ち入っていくという気持ちを持っているわけではございません。

池坊委員 もう総務省の質問はこれで終わりますけれども、財政だけじゃないんですね、その中身をどうするかということが問題なんですから、個別には僕たちはタッチしないじゃ困るんです。個別の人たちは一人一人の国民なんです。ですから、そのことをきちんとやはり考えていただきたいと思います。法律というのは何のためにあるのか、それは、国民を幸せにするためにあるんだと思うんですね。そういう根本的なことを私は忘れていただいては困るなというふうに思います。

 では、今度は文部科学大臣に。第八次定数改善計画が見送られましたね。これは、私、大変に残念に思っているんです。私は、勉強会を重ねましたときに、一番いいシステムというのは少人数教育システムだと思うんですね。昨日も中学生の悲しい事件が起きました。今、地域や家庭が担っていた問題が担えなくなっている。学校がやはり担わなければいけない、先生方が担わなければならないというのが、今、今日的な問題ではないかというふうに私は考えております。

 来年度から実施される特別支援学校、これは法律も出されるようですけれども、こういうのだって、やはり、細やかな指導をしていくためには多数の先生が必要だというふうに思っておりますけれども、十八年度ですと三百二十九人しか加配されていないわけですね。これを考えますと、私は、栄養教諭も、十八年度はもうちょっとふやしますが、十七年度は四カ所しか配置されていないわけです。

 これらのことを考えまして、やはり、次期定数改善計画の策定とか実施について、強い御意思を持って当たっていただきたいと切に希望しておりますので、その辺を伺いたいと思います。

小坂国務大臣 本年度、十七年度を最終年度とした第七次の定数改善計画、これを踏まえて、公明党さんの方からは次期定数改善計画を策定すべしという御提案もいただき、また、中央教育審議会答申におきましても、早急に次期定数改善計画を策定する必要があると。これによって、少数指導あるいは学習、特別支援教育、養護教諭の充実、また栄養教諭、外国人児童生徒への支援等々御指摘がありまして、その意味からも策定せよというお話でございましたけれども、今回、十二月の大臣折衝におきまして、今後の特別支援教育そして食育の推進、こういったものには配慮をして、配員の維持、増を認めるという財務大臣との折衝の中で、今年度を初年度とする第八次の定数改善計画というものの策定につきましては、これはそういった合意の中から見送りますと。しかしながら、今後とも、今そういった御指摘もありました、また中教審の答申にもありますような教育環境の充実のために、引き続き定数の確保、改善につきましては検討を重ねて、また強い意思を持ってこれに取り組んでまいりたいと存じます。

池坊委員 私たち公明党が長らく力を注いでまいりました子供の安心、安全、その第一になります耐震化、これは、他の公共施設に比べて学校の耐震化が一番おくれております。これについて伺いたいと思っております。

 学校施設整備のための交付金というのが今回の法案には上がっております。今、学校施設の耐震化は、本会議でも申し上げましたけれども、公共施設で緊急のときにみんなが寄るよりどころでもありますし、また、安心して授業を受けるというのは、もうこれは最大にして最低の守るべきことというか、私たちがしてあげるべきことなのではないかと私は思っております。

 地方公共団体において学校施設の耐震化にどのように取り組まれていくのか。特に、今度地方交付金になりますね、そのことについてもちょっと言及していただけたらと思います。

馳副大臣 子供の安全、安心を守るという観点から、学校施設の耐震化を進めるということは本当に重要な、喫緊の課題だという認識は持っております。

 今回の対応ということは、文部科学大臣が、施設整備の基本方針を定めて耐震化の目標を設定し、それに対して自治体の方から施設整備計画を作成してください、それに従って計画的に耐震化の取り組みを進めてください、こう促すものでありますから、当然各自治体の判断によりますが、これはやはり、耐震化を進めるべしという場合には、自主的に施設整備計画を定めて、それに従って耐震化を進めるというインセンティブが働くものというふうに理解しております。それぞれの自治体の首長さんや議会にそういったことを求めていきたいというふうに考えております。

池坊委員 耐震化を進めるためには、それに必要な予算をしっかりと確保しなければならないと思います。しかし、耐震化、耐震化と言われている中にあっても、現実はどうかといいますと、マイナスシーリングのもと、公立文教施設費の予算の確保が大変厳しい状況になっているのが現実ではないかと思います。地方財政が厳しい中で、ただかけ声で耐震化しましょうと、今、計画を策定するんだということでございましたので、きっとそれに伴って地方からそれぞれ計画表というのが出てくると思っておりますけれども、子供たちの安全を守るため、全国的に耐震化を進めるためには、必要な額を国の責任でしっかりと確保していくことが必要だと思うんですね。

 これに対しての文部科学大臣の強い御決意、これは文科だけでは限界があると思うんです、やはり国土交通省とか、いろいろな、財務省を説得するとかいうことが必要だと思いますので、ぜひ小坂大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

小坂国務大臣 池坊委員御指摘のとおりでありまして、地域住民の応急避難場所にもなる学校というのは、子供たちがその生活の大半を過ごすだけでなく、大変重要な拠点でございますから、この耐震化促進につきましては最優先で取り組んできたところでございます。そういった意味で、予算の確保につきましても、公立文教施設整備費の、このうち、十七年度におきましては、五百八十八億のうちの二百七十七億を耐震化関連として確保し、また、十八年度におきましては、千百三十七億円のうちの千九億円をこれに投入する等、重点的に取り組んでいるところでございます。

 御指摘のように、私どもの予算だけでは限りがございまして、耐震化の診断をする予算も、そういう意味では十分に確保できないという状況にありますので、これにつきましては、北側国土交通大臣の御理解を得まして、大臣同士でお話し合いをする中から、それではやりましょうと大変御英断をいただきました。私どもの方にも住宅建物の診断予算がある、これを使ってくださいと、大変ありがたいお申し出もいただきまして、それでは、十八年の末までに全部診断だけは済ませようじゃないかと。そして、その中から、設計とか環境等を踏まえて、この改修方式も、建てかえ方式から耐震強化改修方式に重点を移して、早急に耐震化というものを確保しよう、こういうことで、お力をかりながら、私どもとしても、迅速に対応を完了するように努めているところでございまして、必要な予算の確保に今後とも最大限努力をいたしまして、早期の耐震化完了へ向けて努力をさせていただきたいと思っております。

池坊委員 教育というのは、みんな表面的にはいろいろな意見をすぐにおっしゃるんですけれども、では一般国民がどれだけ具体的に熱心にかかわっていくかというと、なかなか私はかかわっていない、特に財政的には手薄になっていくのが教育の分野ではないかと思うんですね。

 最後に、市区町村が独自に教職員を任用できるという法律も、今国会、これと一緒に提出されておりますね。市区町村といっても、財政力の豊かなところはできるけれども、そうでないところはできない。それから、首長さんが熱心なところはこういうのはすごくやるんです。私が住んでおります京都では、市長が人材育成に強いリーダーシップを発揮しておりますので、「京の人づくり推進特区」として、今まで特区で八十七名を任用してさまざまな物づくりなんかをしているんですね。

 私は、これからは、首長のリーダーシップ、首長がどういうふうに教育を考えていくかによって地域にいる子供たちに多大な影響を与えていくと思いますので、ぜひ大臣には、タウンミーティングとか、さまざまな機会をとらえて、教育の大切さというのを力説していっていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

遠藤委員長 北橋健治君。

北橋委員 おはようございます。民主党の北橋健治です。

 提案された法案の中身につきましては、同僚委員よりるる質問をされたところでございます。

 きょうは、限られた時間でございますが、私は、義務教育の個々の諸課題につきまして、特に、中教審の初等中等教育分科会、中教審答申を受けまして、今、具体的な今後の改革目標について、教育課程部会で審議をしておられます。こういったものをよりどころといたしまして、これから政府の見解をただしてまいりたいと思います。

 まず一番目に、道州制という答申が地方制度調査会から最近出されました。地方分権の推進というのは、我が国にとりましては、絶対に後退させてはならない重要な国家目標であると思っておりますが、それでは、義務教育のシステムにおいてどうか。国、県、市町村、それぞれ役割分担がありまして、法令を見ると、あるいは答弁を聞くと、みんなそれなりに教育のことを思って一生懸命やっているわけでありますが、肝心の学校現場におきまして最も苦しんでいる教師や保護者、子供たち、その諸課題に対しまして、権限が集中されておりません。そのために、あるときは教育委員会、あるときは文部科学省、そのように責任の所在が不明確でありまして、その点がこれまでも指摘されているところであります。

 今回の中教審の経過報告を見ると、一つの方向性が出てきているように思います。国の仕事は何だ、それは目標を設定することだ、そのためのインフラを整備することだ、そして、そのプロセスは地方、教育現場に任せる、その結果の検証も国の仕事であると。そうやって教育の分権改革を進めるというわけでございますが、大臣は、この国、県、市町村の役割分担を今後どういう方向で変えていこうとするのか、まずお伺いいたします。

小坂国務大臣 北橋委員がただいま御指摘をいただきましたとおり、昨年の中央教育審議会の答申におきましては、国が目標を設定するんだということを明確にしていただいております。

 申すまでもなく、義務教育においては、水準の確保、そして、これを地域にそれぞれ、機会の均等を図っていくこと、そしてまた無償制を保障するということが言われているわけでございますが、これを実現するために、その財源を保障し、そして、今インフラとおっしゃっていただきましたその基盤整備を国がしっかり行った上で、市町村、学校の現場において、その地域の地域文化やあるいは環境というものをしっかり踏まえた上での分権という意味で、地方が主体性を持って、現場の創意工夫をもって取り組んでいただく、それがいわゆる分権改革ということになりますので、これを進めながら、しかしながら、それによって地域がばらばらになっては困りますので、その結果をしっかりと国が責任を持って検証していくというシステム、そして、それによって、検証して得られたその変化に対して、義務教育の根幹原則に基づいて、国がしっかりとしたアクションをとっていく。プラン・ドゥー・チェック・アクションというこのサイクルをしっかりと確立すべきということが今回の中教審の答申の趣旨であろう、このように受けとめまして、私も、その方向に従いまして、今後とも取り組んでまいりたい。

 そういった意味で、学校設置者や教育現場の責任と権限をこれまで以上に拡大しつつも、この検証そしてアクションという点において、これまでの義務教育の取り組みをさらに進める形で、国が責任を持って水準と機会均等、そして無償制というものをしっかりと担保してまいりたいと存じます。

北橋委員 補完性の原理という言葉があります。この補完性の原理という言葉は、地方分権のキーワードであり、核心であります。

 私は、よく地方の議員の方から、国会議員というのは防弾チョッキを着ていていいなということを昔聞いたことがあります。国会が荒れていることを言っているのかなと思ったら、そうではございませんで、国会議員は東京で仕事をします。つまり、地元の有権者と離れたところで仕事をすることが多い。しかし、県会や市町村議員というのは、いつも朝から晩まで有権者の目線にさらされている。もしこの地方議会に権限と予算というものが集中された場合には、それはもう大変な、有権者の目線の中で地方議会、そして首長は、それにたえながら頑張っていく。

 ということは、身近なところに予算と権限があれば、恐らくその英知の結集によって、最もその資源配分、あるいは教育のあり方も含めて、国民の目線に立った、一番近いところで解決がされていくであろう、その過程においては、全国一律の、共通の基準ということが少し修正されるかもしれませんが、それは切磋琢磨によって、失敗したところは失敗から学ぶ、成功した市町村の教育についてはそれを全国に広める、そういう形で、私は、補完性の原理をしっかりと、これからの分権、教育の分権についても、それを核心に据えていくべきだと思うのでありますが、その点、どうでしょうか。

小坂国務大臣 御指摘のことを踏まえて、私の今後の取り組みについても、今述べたつもりでございますが、御指摘のように、近いところで監視の目が光っているということは、迅速な対応にも資するでしょうし、また方針が民意とずれたときにそれを是正する力にもなると思うわけでございますけれども、しかし、義務教育は、先ほど申し上げたように、国としてその目標設定をし、そして機会の均等と水準の維持というものがありますから、これはやはり国が俯瞰的に全国を見て調整をする必要がある。そこの分権と、それから、維持発展ということのそのバランスをどうとるかということでございますので、その辺に注意をして、ただいまおっしゃったようなほかの原則もしっかり踏まえて、取り組んでまいりたいと存じます。

北橋委員 きょうは答弁を求めませんけれども、具体的な事例を踏まえて議論すると、この問題は明快になってくると思います。

 ある地域の遊び場で、いつも一緒に遊んでいる子供たち、そして見守っている母親たちがいた。ところが、小学校に入学するときに、二つの学校に分かれて行くことになってしまった地域があります。私は、二十年前、文教委員会で、その校区制限の緩和を求めたわけでございますが、今大臣おっしゃったように、全国のいろいろな考え方がある、法制がある、だからそれは難しいという答弁でありました。今どうしているかというと、校区制限は弾力的にされていると聞いております。

 しかしながら、それでもなぜ二つの学校に分かれていってしまうのか。土曜日、日曜日の受け入れ、子供たちを大切にはぐくむということにおきましては、同じような教育、学校の現場にいるということがふさわしいんですが、なぜそういうことが行われているかというと、子供さんが少なくなって、小学校の統廃合にみんな教育関係者はおびえているわけであります。したがって、一人でも生徒さんがいないとだめだということで、これは学級編制の権限というものがあって、そして、年度途中においては弾力的ですが、そうでない場合には難しいと聞いております。

 こういった問題を具体的に考えたときに、私はやはり、目標を設定すると言っていますが、その目標の中身は、これは非常に要注意だと思っておりまして、ここの問題について私は問題提起をいたしますので、例えばそういった具体的なときに、地方自治体、学校現場がその地域の方々とよく相談をして、そういった問題を解決していけるようにすべきではないかと私は提案をしておきます。

小坂国務大臣 ただいま委員の御指摘は、学校選択制の自由度をもっと増すべきだという観点において、地域の要望も強く、また、今回の規制改革の意見としても、私ども文部科学省に寄せられているところでございます。

 私はこれに対して、まずは、弾力的運用というものを行う場合に、一回、それぞれの地域の保護者の皆さん、すなわち児童がどういう権限を持っているかということを知らす必要がある。すなわち、皆さんが特別な事情があって学校選択をしたい場合には、原則というものは原則でありますけれども、そこには裁量というか、自由度があるんですよということを通知しなさいということを私は指示いたしておりまして、今後省令を改正する中で、例えば、自分はサッカーをやっているけれども、自分が本来指定される学校よりも隣の学校の方がサッカーに重点を置いてやっているから、そこへぜひとも就学したい、こういうような事情があった場合に、それを聞く余裕を持たせるということを考えまして、そういったことが可能なような取り組みをできるように指示をしたい。また、自分は指定された学校までは三十分以上かかってしまう、しかし、すぐ五分のところに隣の区域の学校がある、こういった場合の選択が可能であるということも指示をしたい。

 そういうものは、具体的な指示の中、変更の、選択の理由に当たるんだということを明記しなさい、その具体的事例を明記することによって現場の判断がしやすいようにしなさい、こういう指示を出して、柔軟性をさらに進めてまいりたい。このように指示を、もう既にしておりますが、やっているところでございます。

北橋委員 具体的な諸問題について、分権改革という観点から、これからいろいろなチャンスに政府の見解をただしてまいりたいと思います。

 さて、私は教育の問題を考えるときに、それは教育だけ独立ではありません。産業や経済、いろいろな問題がありますが、その中で、最近、日本の総合的な競争力がどんどん低下をしてきているということが、各方面の調査によって明らかになってきております。その中で、産業の競争力は今でも世界のトップでありますが、官庁あるいは企業のシステム、あるいは教育、総合的に見て、日本が物すごく低下しているという調査があります。

 このスイスのIMD、国際経営開発研究所の調査は、各方面から非常に高く評価をされているものだと聞いておりますが、それによると、日本は一九八九年から九二年までは世界の一位でありました。そして、二〇〇五年で二十一位になりまして、九八年から八年連続で二十位台に低迷しております。これは三百項目を超えるいろいろな項目について詳細に調査をした積み重ねの数字であるわけでございますが、その中には教育の分野も若干含まれております。

 まず、政府はこういった調査に対して、教育の分野に限って、日本の競争力、それがどんどん落ちてきているという指摘に対して、どう評価されているでしょうか。

田中政府参考人 IMDによります国際競争力の国際比較についてのお尋ねでございますけれども、二〇〇五年度の国際教育力のランキングで、教育の項目につきましては、我が国は全六十カ国・地域中二十八位となっておるところでございまして、個別の項目では、中等学校在学率、高等教育進学率、あるいは経済的リテラシーなどに関しては上位にあるわけでございますけれども、外国語力でございますとか教育制度、大学教育等に関しましては、順位で見ますと厳しい評価がなされておるところでございます。

 このIMDのランキングは、教育に関しましては、企業経営幹部に対するアンケート調査を含みます十四項目によってランキングをなされたものでございまして、この結果のみで教育のすべてを評価することは難しいと考えておりますけれども、このような国際比較が出ましたことを一つの結果として受けとめまして、教育改革の一層の推進とさらなる充実に努めてまいる必要があると考えておるところでございます。

北橋委員 これは教育を正面から論じたものではないわけでございますが、しかし、OECDの調査や各科目ごとの世界の学会の調査によりますと、特に理数系を中心に非常な学力低下が懸念され、指摘されてきたところでございます。

 そういった意味で、例えば数学者の藤原正彦さんが、最近「国家の品格」という本を出されまして、日本として志を持って高く生きていくということで、非常に示唆に富んだ著書を発表しておられますが、それを見ても、数学の現場でアメリカと日本を比較してみても、この間の学力の低下というのは大変に、怖くなるほど比較がされているわけでございまして、私も、外国に滞在された経験の方に聞きますけれども、日本の学力低下、ゆとり教育に対する懸念というのは、いろいろな方々から、外国との比較においてしばしば聞くわけでございます。

 先ほど私が、総合競争力において二十位台で低迷しているということは、資源がない、国土が乏しい我が国の将来が本当に大変な危機的な状況になりかねない、そういう危機感を私は議員も政府も持つべきだと思うのであります。教育もその例外ではない。そういった意味において、こういった学力の低下という問題に対して、率直にどうしていこうとされているのか、何が原因だったと考えているのか、それは政治家のお言葉で答えていただけるとありがたいと思います。

銭谷政府参考人 ただいま学力の低下についてのお話がございました。

 先生お話しのように、国際数学・理科教育動向調査では、数学、理科につきましては、我が国はかつては一位ないし二位であったわけですけれども、直近の二〇〇三年度の調査では三位ないし五位、六位と、低下傾向にございます。その背景でございますが、やはり同じ調査で、数学、理科の勉強が楽しいと思う児童生徒、あるいは好きだと思う児童生徒の割合が、国際的に見ると低い状況にございます。やはり、子供たちの学ぶ意欲、あるいは日常の生活態度、こういうところにも、私たち、課題があると思っております。

 私どもは、この結果を真摯に受けとめまして、現在、知的好奇心を刺激する理数教育や習熟度別指導などの充実を通じまして、理科、数学の確かな学力を確実に定着させるよう努めているところでございます。最近の文部科学省の調査では、現場の先生方の御努力によりまして少し回復傾向が見られるという調査結果もございます。また、現在、学習指導要領の見直しの作業を進めているところでございますけれども、この中でも、科学技術の土台である理数教育の充実に向けて、今検討を進めているところでございます。

北橋委員 いろいろな調査の中で、私が一番気になりますのは、勉強が楽しいと答えている子供たちが学年が高くなるにつれてどんどん落ちていって、今や世界最低レベルだということです。今の答弁を聞いておりますと、それぞれの科目ごとに縦割りの行政があるんだと思います、関係者がいるんだと思いますが、もっと総合的にしっかりと認識をされて、反省というものがなければ前には進みません。トライアル・アンド・エラーでございます。私は、学力が著しく落ちたということは、資源のない日本として教育立国で来た、あるいは科学技術力で生きていくしかないということで、戦後六十年余、みんなが頑張ってきた成果だと思うのであります。そういった意味におきまして、もっと危機感を持って、大変な事態になっている、何に原因があったのか、どこに責任があるのか、果たしてゆとり教育はどうであったのかという根本的な反省がなければ前に進むことはないと指摘しておきたいと思います。

 さて、私は、もう一つ、体力の面から見てみたいと思うのであります。学力だけじゃありません。読書時間が少なくなるとか、夜更かしが多いとか、テレビ、ビデオの時間が長いとか、いろいろな指摘がされているわけでございますが、学力のみならず、体力の衰えというものを気にせざるを得ないわけでございます。

 数字によると、この十年ぐらいの推移を見ても、例えば五十メートル走であるとか、種目で見ていきますと、余り心配要らないものもありますが、持久力の千五百メーター走でありますとか立ち幅跳びとかそういったところ、あるいは低学年での体力低下、これは時代とともにどんどん落ちてくるということであります。危険信号であります。こういったときに、この体力の衰えということも、やはりこれからの大きな教育現場の課題になってきていると思うんですけれども。

 その意味で、ひとつお尋ねをいたしますが、これは子供だけの問題じゃない、大人の問題でもある。子供は親の背中を見て育つわけでございますから、もう一度この問題を中心に、大人も含めて、スポーツあるいは武道、礼節や忍耐やあるいは精神力が錬磨されていく、こういったものについて、本気になってカリキュラムから何から、あるいは町を挙げて、国を挙げてということにしなければならないと思うのであります。

 その場合に、学校でのクラブ活動というのは非常に重要でございますが、みんなのレベルを上げていくために、あるいはますます励みになるためには、地域には大変すばらしいエキスパートがいらっしゃいます。土曜日、日曜日についてもそれを受け入れ、子供たちを預かるということは、もしけがをしたら大変でございますから、大変なことだと思います。だれから給料をもらうわけじゃない、国から予算をもらっているわけじゃない。しかし、その地域のボランティアによって子供たちは今救われていると思うわけであります。

 そういった意味で、外部の指導者をいかにして学校教育の現場にお迎えしていくか、大胆にその門を広げるかどうかというところに、私は体力という面から見ても大きな課題があると思うんですが、明確に方針を示されてはどうでしょうか。

小坂国務大臣 まずもって、先ほど政治家の言葉でというお話もありましたので、前の御質問についてもあわせて答え、そして、体育の問題につきましては、馳副大臣の方からしっかりと答弁をさせていただきたいと思います。

 先ほどおっしゃったように、教育立国、科学技術立国の実現を目指す上で、資源の少ない我が国が、人材は国の宝だ、すなわち国家社会存立の基盤であるということにおいては、私も全く同感でございます。そういった意味で、人格形成、人材を育成するということにおいて、確かな学力、そして豊かな心の育成、そして信頼される学校づくり、こういったものの推進をすることは私どもの責任でありまして、担当の大臣としてしっかりそれに取り組みたいと思うわけでありますが、それに当たっては、フィンランドとかあるいはイギリスとか、皆さんがよく引かれるような国の事例、そしてその他の国の事例もしっかり踏まえて、そういった外国の事例もさらに勉強する中で研究を進めて、しっかりとしたシステムの構築と制度の維持に努めてまいりたい、まず、このように決意を述べさせていただきます。

 そして、体力の問題につきましては、昔と遊びの質が変わってしまった。昔は、近くに木があったり森があったり、そして川があったり、そういう中で木登りをしたり、遊びの中から体を養うということがありました。そういったことが今日には欠けてきていると思いますし、また、そういったものの達人というものが地域におったものでございます。そういった人の指導も仰げた。そういうものがだんだん欠けてきた、これは非常に大きな問題でございますし、そういう中から、若者の体力が減少しているということは将来の日本人の体力が落ちるということを示唆しているわけでありますから、これは問題意識を持ってしっかり取り組まなきゃいけない課題と思っております。その点につきまして、副大臣及び事務方の方から答弁させていただきます。

馳副大臣 体育、スポーツを充実させる必要性というのは私も非常に感じています。

 子供の運動会に行ったら、真っすぐに走れない子供が多いんですね。びっくりしました。何なんだろうなと思って、冷静に考えると、場所、施設、指導者、これはやはりどう考えても課題であろうと考えられますよね。そうすると、今度は二つの課題が出てきて、学校教育で考えると、体育の授業とそれから放課後の部活動、これをいかに充実していったらいいのかなと考えます。というのは、スポーツクラブに通いなさいよという問題でもないというふうに私は考えるんですね。

 とりわけ小学校の先生、ちょっと高齢化が出てきたのかな。私の地元金沢では、まさしく市町村費負担の教職員として、ボランティアとして、五十代の担任の先生が体育の授業をするには体力がないので子供についていけないから、二十代、三十代の指導員を雇うとか、そういったことで実はフォローして、子供たちに大変喜ばれております。

 また、それも考えていきますと、放課後の部活動にも、中学校で大体三分の二、高等学校で三分の一ぐらいしか参加していないわけですよね。そうすると、どうしても、公的施設である学校で、場所があり、指導員が充実していて施設も充実している、ここにやはり資本も投下し人材も投下していく。学校の先生だけで足りないのであるならば、地域の指導者も活用し、特別非常勤講師制度なども活用していく、こういった取り組みが求められているんだろうなというふうに感じております。

北橋委員 副大臣からお答えいただきましたが、副大臣は武道についても造詣が深いと思います。

 この問題については、超党派の国会議員の議員連盟がございまして、そして一昨日、武道議連の決議をいたしたところであります。武道というのはスポーツの中の一分野でございますけれども、礼節あるいは精神といいますか、そういったものを非常に大事にして、子供たちが本当に健やかに育っていくように、武道の奨励というのは極めて重要な意義を持っていると議員連盟の各位は確信を持っております。

 この点で一点、ちょっとお伺いしたいと思います。

 文部科学省は、既に、武道を広めるためにいろいろな予算措置を講じ、そしてまたパイロット事業ということで、地域を選んで、いかにしたら武道というものが地域で普及されるか、いろいろと支援事業を行ってきております。

 私が聞きたいことは、一体何年間そのモデル事業が続くのであろうかということです。剣道にしても柔道にいたしましても、もう本当にすばらしい、オリンピックにも出たような方も地域にはやはりいるわけでございまして、そういった方々が小さな教室を苦労して支えながら、子供たちを教えているわけでございますが、学校現場に門戸を開いて、大々的に武道を学習指導要領でもしっかりと位置づけして、そして外部の方々に資格を持っていただいて、教員免許を持っていらっしゃらなくてもお迎えをして、そこで子供たちに、例えば武道、それはサッカーでも野球でもいいわけでございますけれども、例えば武道なんかについて、モデル事業をもう打ち切って、それを全国に一気に広めるという段階に来ているのではないかと思うんですが、その点についてはどういう認識をお持ちでしょうか。

馳副大臣 まず、モデル事業、平成十八年度で小学校における武道指導実践研究等ございますが、何年もやればいいものとは私は思いません。できれば、一年、二年で効果を見きわめて、全国的な事例として紹介し、推進をしていくという姿勢がまず私は必要だと思います。

 それから、先ほど私申し上げたんですけれども、特別非常勤講師制度というのがあるわけですから、とりわけ柔道などは国際的に活躍する選手も多い、剣道は町道場あるいは警察の方々あるいは愛好者と多いわけですから、そういった方々に学校教育の中に参加していただくということも十分可能であると思っておりますから、モデル事業はモデル事業として、いいものは紹介していきながらも、全国的に展開していくことが私は必要だというふうに考えております。

北橋委員 全国的な展開に着手することが必要という答弁をいただきました。

 これに関連して、学校の中で、部活でありますとかあるいは武道の専門家を招くとかいうことについて、なぜ全国に展開がされないんであろうか。部活についても、教育活動には位置づけておりますけれども、重要な意義は認められていても、学習指導要領にどう位置づけるかは、今まさに審議されているところだと聞いているんです。いろいろな理由があると思うんですけれども、部活の実態調査もされておるんですが。

 私は、例えば部活という一つを見ますと、学校の先生、教員の負担も大変だろうと思います。試合があって、それを励みにしてみんな一生懸命ですから、土日出勤というのも結構あるでしょう。それから、仕事が終わった後、子供たちを預かって、スポーツや部活を見守るというのは、これは責任を負っておりますから、教員の負担というのも大変であります。

 聞いてみると、そういった部活で一生懸命な先生というのは、特にペイというものがほとんど支払われていない。ボランティアでございます。しかし、ボランティアもやはり限度があると思うのであります。そういった面で、予算面は私は一つあると思っているんですが。

 もう一つは、もし何か事故があった場合に、学校の責任を問われるということがあると思います。この点を解決しなければ、例えば武道の専門家を招いて武道をさらに一層やるとか、あるいはスポーツでもそうでございますが、このハードルを越えなければ、いつまでたっても、この責任という問題、この亡霊に取りつかれたままでは、なかなか有為な人材を学校の教育現場に集めるということは難しいと思うのでありますが、その点を乗り越えていく考えがあるんでしょうか。

馳副大臣 乗り越えていく考えはあります。これはやらぬといかぬと思っております。と同時に、私も現場におりましたから、部活動、面倒を見ていて、一日数百円ですよ。遠征に連れていっても、千円ちょっと出るか出ないかですよね。これはもう持ち出しの方が多いに決まっているんです。ただ、指導者の方々に対しても、お金をこれだけたくさん上げますから頑張ってくださいというものでもないと思うんですよ。

 基本的に、北橋委員おっしゃった、これは保険の問題、学校保険のことはまた局長から答弁させていただきますけれども、安心して、特別非常勤講師としても、学校、教育現場で指導しても、何かあったときでもこれは安心だ、こういったことをまず整えてあげることが、参加しようという方々はいらっしゃるんですよ、探せば、どの地域でも。その入りやすい環境をつくるのが、これは文部科学省として決意だと思いますよね、取り組みたいと思います。

素川政府参考人 お答え申し上げます。

 外部指導者の方の働く環境を整備するということは重要なことだと考えております。特別非常勤講師のように正規の教員にならない場合の外部指導者につきましては、各地域におきまして、いわゆるスポーツ傷害保険のようなものに加入していただきまして、その外部指導者が勤務できる環境を整備するということに努めていただいているものと承知しております。

北橋委員 これから教育の分権ということを論じ、また進めるに当たりますと、例えばある自治体が、関係者の徹底した議論を重ねて、この地域の学校全体について外部から武道やスポーツの先生を、専門家を招いて、これからスポーツを通じて精神力や礼節を学ばせようというふうに決意したとします。そして、乏しい予算の中から捻出してやったとします。

 問題は、法令上、文部科学省が、学校の教育指導の観点から、規制といいますか、いろいろとガイドラインをお持ちだと思うんです。そのときに、もし何か事故があった場合ということは一つの懸念材料だと思いますが、そういったものを取り払うことが文部科学省の仕事だと思います。そうすれば、そのやる気のある地方自治体が、みんなで議論をして一つの方向性を出すでしょう。そして、それが成功すれば、全国にモデルとして普及するわけでございます。

 これまでみんなから言われ、政府の方も前向きに検討されてきた、外部からいろいろな先生を入れていく、そういうことがなかなか進まない事情についても、ぜひ一つの方向性をしっかりと示していただいて、自治体を後押ししていただきたいと思っております。

 さて、学力の問題で一つ戻りますけれども、日本の学力低下はすさまじいものがありますが、世界を見てみると、フィンランドという小さな国ではありますが、これがすばらしい成績を毎年おさめるわけであります。世界の一位はフィンランドとなっているわけでございますが、時間が限られておりますので簡潔にお答えいただきたいと思います。フィンランドが世界でナンバーワンの学力レベルになっている、それから何を学ぶべきか、項目だけでいいから教えてください。

銭谷政府参考人 フィンランドがPISAなどの国際学力調査で好成績を上げた要因として挙げられるのは、何点かございます。

 第一は、教員がすべて修士課程修了が要件となっているなど、教員の質が高く、また社会的にも教員に対する尊敬の念が強いこと。その際、教員の養成において、いわゆる実務的な内容の授業が頻繁に行われているということがあろうかと思います。二点目としては、国が定めるカリキュラムにおきまして、例えばすべての学習の基本であるフィンランド語、母語を大変重視して、読解力を高めるプロセスや目標を明確にしていること。三点目としては、児童生徒の読書習慣が身についている。逆に言いますと、図書館などの読書環境が整えられているということがあろうかと思います。最後に、四点目として、教員一人当たりの生徒数が少ない少人数教育ということが行われているということがあろうかと思います。これらはいずれも我が国にとって参考になることだと思っております。

北橋委員 大変示唆に富む分析だと思います。ありがとうございます。

 今、一つ、その中で読書というところに触れられたわけでございますが、最近は読書時間が物すごく減少している。そして、テレビやビデオや、そういったものに時間がかかり過ぎているという実態でございますが、同時に、図書館というのが日本は余りにも少な過ぎる。

 十万人当たりで、世界の図書館数の国際比較の調査があります。日本図書館協会の資料が手元にございますが、この数字を見て驚きでございます。十万人当たり、日本は二・三一であります。フィンランドはその十倍、二十二・二六であります。ドイツは十四・七八、七倍であります。これを見ると、この図書館という一つの問題で見ても、余りにも立ちおくれている。

 そういった意味で、先ほど大臣は、これからの教育行政というのは、目標設定という言葉を使われました。この図書館の充実について、それは学校図書館もそうですし、公立図書館もそうでございますが、目標値を設定して、これを強力に推進すべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

馳副大臣 数字を見ますと、都道府県立及び市立図書館、これは九八%で、まあまあですね。ところが、町村立が平成十四年度で三九%。

 昨年度、鈴木恒夫議員も提案者でございましたが、議員立法で、文字・活字文化振興法、これは、公立図書館には努力義務でしたね、設置について努力義務を。文部科学省として目標数字を決めたらどうかということになってくると、本来ならば、努力義務でありますから、ぜひ各町村はつくってくださいよとお願いしたいところでありまして、私も、これは一〇〇%を目指すべきであるというふうな認識を持っておりますけれども、実際には自治体の方で、設置するかどうかの自主的な、主体的な判断をしていただくものであるんですね。

 ただ、どう考えても、町や村に図書館が一つあるかどうかということは、これは文化の程度を示す国柄にも私はかかわってくると思いますから、今三九%であるならば、それは数年のうちに五〇%、六〇%を目指すというふうな、まずは都道府県の方からもそういった計画を、目標的な計画を立てていただくことが必要ではないかな。それを文部科学省としては後押ししていくというふうなあり方が、むしろ主体的な自治体の判断を促すという意味で必要ではないかなというふうに考えております。

北橋委員 ぜひ、ヨーロッパの諸国と比べて遜色のない程度にもう一度目標値を設定し直しまして、具体的な戦略を近く示されるように希望しておきたいと思っております。

 義務教育におきます私学の役割でございますけれども、高校、大学と比べますと少数派かもしれません。問題は教育の機会均等でありまして、親の、保護者の負担についても、これは一票の価値についてもよく憲法判断が示されますけれども、どれぐらいまで許容されるかという問題はありますが、基本的には、公立に通うか私立に通うかによって保護者の負担というものは、それはほぼ同じ程度を目指すべきだと私は思っております。

 そこで、一点お伺いしたいことは、大学、高校、義務教育過程、幼稚園における一人当たりの国家予算あるいは保護者の負担、その双方について、公立と私立の格差は過去十年間に縮小しつつあるかどうか、その一点をお伺いしたいと思います。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 教育費の公私間格差につきまして、保護者負担という観点から、例えば授業料や入学料など生徒一人当たりの初年度納付金の平均額を十年前と比較いたしますと、高等学校では公私の差が五・八倍から五・七倍に、また大学につきましては一・七倍から一・六倍に、いずれもわずかながら縮小しているところでございます。これをもう少し長い期間で見てみますと、例えば私立学校振興助成法が制定された昭和五十年度と比較いたしますと、当時は公私間の差が、高校十七・六倍、大学四・三倍でございましたので、これらと比較いたしますと、大幅に縮小しているというのが実情でございます。

 それから、予算額につきましては、例えば大学生一人当たりの予算額につきまして、国立大学の運営費交付金と私立大学の経常費補助金をそれぞれの学生数で割った額で比較いたしますと、十年前はその格差が二十五・一倍でございましたが、現在は十二・九倍になっているところでございます。高等学校につきましては、十年前は二・九倍の格差でございましたが、現在は三・〇倍ということで、ほとんど変化がないというのが現状でございます。

北橋委員 大幅に縮小しつつあるという趣旨だったと思うんですけれども、時間が限られてまいりました。これについては、具体的に数字をお示ししてしっかりと議論をする必要があると思うのでありますが。

 私立に通う子供さんの保護者がこの御答弁を聞かれたら大変残念に思うと思うんですね。今すぐにできないにしても、これは一票の価値の問題も同じなんであります。教育の機会均等が憲法でうたわれ、教育基本法でうたわれている、その中にあって、当たり前のように、私立に通うんだから、それだけ親が負担するのもやむを得ないだろう、それから、国の投資する予算についても、差があっても仕方ないだろうではだめなのであります。

 そういった意味では、小坂大臣のときに、やはり教育の機会均等という見地もあります。それから私立の果たしている役割は確かに大きいし、そして保護者の負担が、まだまだ大変な格差があります。予算にしても、二十五倍から十二・九倍に、まだそれだけの開きがあるわけでございまして、先ほど申し上げました目標値の設定はこれからの政府の重要な任務だという御答弁がありました。この格差についても、将来このように是正をしていくという、その将来の目標値をしっかり設定した強力な私学助成が必要であると私は思うんですが、大臣の御決意を聞かせていただきたいと思います。

小坂国務大臣 私も私学のよさというものは身をもって体験したものでございますし、これからの私学の助成についてもしっかりと取り組みたいと思います。また、そういった観点におきまして、公私の格差是正ということについて、委員の御指摘も踏まえまして、決意を持ってしっかり努力したい、こう思います。

北橋委員 時間が参りましたので、これで終わりたいと思います。

遠藤委員長 山口壯君。

山口(壯)委員 民主党の山口壯です。

 まず、義務教育費の国庫負担についてということで、今回、二分の一から三分の一に減ると。しかし、大臣、その前に、国としての教育に関する意気込み、一つのあらわれは予算でしょう。教育の予算に対してきちっと文部科学大臣としてどういうふうにお考えか、過去五年間ほどの趨勢も踏まえてお答えください。

小坂国務大臣 教育予算の充実については今後ともしっかりと取り組んでまいりたい、そう思っております。

山口(壯)委員 局長、数字をお答えください。過去五年間、教育の関係予算がどうであったか。

玉井政府参考人 数字でございますので、私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 過去五年間ということでございますので、文部科学省の一般会計で、十四年度は六兆五千七百九十八億でございます。十五年度が六兆三千二百二十億、それから十六年度は六兆五百九十九億、それから十七年度が五兆七千三百三十三億、それから現在御審議をいただいております十八年度予算案におきましては五兆一千三百二十四億でございます。

 ただし、これは既に資料として御提出申し上げておりますけれども、十六年度と十七年度にはNTTの無利子貸し付け償還時補助金等が入っているということでございます。

山口(壯)委員 今官房長がお答えになられたとおり、この五年間ずっと減っているわけです。二〇〇二年、これは小泉内閣ができて最初の予算編成、六兆五千億、その次が六兆三千、その次が六兆、その次が五兆七千、そしてことしは五兆一千、ずっと減っている。米百俵と言って、いいこと言ったなと思ったけれども、うそ八百ではないのかと私は思うわけです。

 大臣、いかがですか。大臣。官房長いいです。数字の話じゃないです。官房長要らない。官房長要らない。

小坂国務大臣 穏やかにお願いしたいと思いますが。

 数字が減っていることは事実でございます。そこの中には、今申し上げたように、NTTの資金の投入という部分があったり、あるいは少子化という一つの大きな数字の変化があって、そういう中で予算の配分というものが変わってくるということはあります。

 また、それぞれの教育の全体の中での投資というものが、先ほども耐震化のところで申し上げましたけれども、できれば建てかえをしたいというようなものが、財政的に大変厳しい中で、効率化というものをある程度考えながら、実質的にそういった目標が達成できるような方法を模索しながら、全体の国家財政の厳しい中で、教育の水準を落とさない、そこに重点を置いて、そしてむしろ地方の創意工夫とかそういうものを生かしながら、教育全体のかさ上げを図っていく、そういう意思はしっかり持ちつつこれに取り組んでいるところでございまして、数字の減少がすなわち教育の水準の低下、こういうことを来さないようにやっているということで御理解を賜りたいと存じます。

山口(壯)委員 政治は結果責任だと言います。現実に、小泉内閣ができてから順番にこの五年間を見たらずっと減っているわけです。そういう意味では、義務教育費の国庫負担が二分の一から三分の一に減る中で、これも国が教育にどういう意気込みを持っているかということになるから私は聞いているわけです。しっかりやってください。

 さあ、きょうの本題に入りましょう。資料を配ってください。皆さん行き渡りましたか。

 これは、私も本会議で、もう三年前になるかな、反対させてもらった国立大学の独立行政法人化にまつわる資料です。あのときも、私は、独立行政法人化と言っているけれども、独立じゃなくて、結局文部科学省の意図がすごく反映されてしまうんじゃないのかと。そしてまた大学について、あのときも言いましたけれども、例えば基礎研究、もうからないものは出しにくくなる、独立行政法人、もうからないものは成り立たなくなる、官から民へというのが入ってくるから本当にいいのかと。あのときも言いました、ノーベル賞をとった今までの人たち、これは決して一つの尺度でしかないけれども、残念ながらみんな国立大学なんだと。そういう意味では、基礎研究がしっかりしている日本から、もうかるものしかやらない日本に、薄っぺらくなってしまうんじゃないのかということが一つ。もう一つは、文部科学省の人事について質問しました。当時、河村副大臣とか遠山大臣がいろいろ答えられたわけですね。独立行政法人化というのは大学の自律性、自主性を高めるものだから、こういうことを言われていました。

 国立大学法人法の十三条、「理事は、」「学長が任命する。」となっている。そして十六条は、「政府又は地方公共団体の職員は、役員となることができない。」と。もちろんこれは、一回やめた格好をとってなるという役員出向の形があるわけですけれども、これはまさに偽装じゃないですか。官から民へとはこのことですか。冗談じゃないでしょう。

 順番に見ていきましょう、一つずつ。

 今お配りしているこの山形大学の池田大祐さん、四年の四月から十二月まで九カ月しかいないんです。この方はこの後、東京工大事務局長になられたと思いますけれども、そうですか。

玉井政府参考人 お答えを申し上げます。

 今、山形大学の理事についての御指摘でございますが、これは、国立大学の職員から、十六年四月に国立大学法人の職員に、委員御案内のとおり、法律をもって、国立大学法人法の規定をもって身分が変わってきたわけでございまして、そういう意味で、山形大学の理事としては確かに十六年の四月から始まっておりますけれども、その前、十四年の四月からこの山形大学の職員は事務局長として就任し、その間、十六年の四月に身分が切りかわっていった。そして御指摘のとおり、十六年の十二月三十一日でそこからかわって、現在は東京工業大学の事務局長になった、こういう経緯でございます。

山口(壯)委員 山形大学に行く前はどちらにおられましたか。

玉井政府参考人 今すぐ調べますけれども、委員からの資料要求に沿って山形大学を調べたものですから、山形大学の場合だけを、ちょっと手元に資料がありますので今申し上げたわけであります。

山口(壯)委員 文部科学省から行かれたということですか。

玉井政府参考人 お答え申し上げます。

 この者が直接文部科学省から山形大学に行ったのか、あるいはほかのところから行ったのか、今ちょっと手元に資料がございませんのでお答えをしかねるわけでございますが、ただ一つ御理解賜りたいのは、法人化の前は、国立大学の職員は文部科学省の職員であり、文部科学省の組織の一つという位置づけでございます。そういう上で人事異動が行われていたということは御理解を賜りたいと思います。

山口(壯)委員 文部科学省から行っているわけですね。事務方、ちょっと待って。このリストについて全部聞いていくから。どこから行ったか、ちゃんと今、調べておいてくださいよ。そして、東京工大事務局長として行っている。

 千葉大学、佐藤政夫さん。この方は、事務局長からこうなっている。それは官房長、言われるとおりだ。その前はどこから来たのか。そしてその後、どこに行ったか、お答えください。

玉井政府参考人 今の千葉大学の御指摘は、東京水産大学から千葉大学に行ったというふうに承知をしております。(山口(壯)委員「その前」と呼ぶ)東京水産大学の前でございますか。

 多くの職員は、事務局長等は、大学で採用をされ、そしてその中から文部科学省本省、いずれにしても文部科学省の職員でございますから、文部科学省の本省に来ていろいろ経験を積み、また国立大学の職員としても活躍してきている、こういう経緯があるわけでございます。

山口(壯)委員 佐藤政夫さんは、あずさ監査法人の顧問にこの後なっておられるわけです。事務局長から上がったからという今の理屈だったけれども、三カ月だけ理事をやって、その後あずさ監査法人に行っている。そして、その後に来たのが山根さん。申しわけない、私は全部調べているんです。山根さんは文部科学省のスポーツ・青少年局企画・体育課長だったんです。いいですか。

玉井政府参考人 お答え申し上げます。

 今の千葉大学の理事の山根は、先ほど委員がおっしゃったとおり文部科学省のスポーツ・青少年局から行っているわけでございます。

 ただ、一つ御理解いただきたいのは、法人化の法案のときにも御答弁をずっと申し上げておりますけれども、大学法人の職員につきましては、各学長がみずからの考え方に基づいて幅広い分野から選考し任命を行うという権限関係になっており、そして学長から要請があれば、私どもとしては適材適所の観点からその要請におこたえをしているということでございます。

山口(壯)委員 官房長、今から私は奈良教育大学の例を言いますから、よく聞いてください。

 これは平成十七年一月二十六日の役員会です。議事について、「理事(総務)の辞任について」ということで、「議長から、二月一日付け文部科学省の人事異動により、金田総務担当理事・事務局長が一橋大学事務局長に異動、」何だ、これはと。この奈良教育大学金田正男さん、余り官房長、いいかげんなことを言われるから、私ちょっと先にこっちに行きますよ。奈良教育大学の金田正男さんの異動については、文部科学省の人事異動により、一橋大学事務局長に異動、何なんだ、これはと。言っていることが全然違うじゃないですか。希望があるからじゃない、その後こうなっているんですよ。

 「後任には国立乗鞍青年の家所長の堀江克則氏が事務局長として着任する予定であると説明があった。 続いて、学長から人事異動の経緯について説明があり、法人の役員の任期は二年となっており中期目標等年度計画の当初であるが、手続き上、当該理事から辞任の申し出を受けることとなり、役員理事・事務局長の人事異動を承認したと説明があった。 また、本来であれば理事規則第四条に基づき、二月一日付を以て直ちに理事を選考すべきところ、学長の判断としてやむを得ずしばらくの間空席とし、大学運営を行っていく考えであり、次回役員会において議題で審議を願う予定だ」と。

 要するに、これは学長としては願っていなかった。ところが、「文部科学省の人事異動により、」、こう書いてあるんだけれども、それによって一橋大学の事務局長に行った、こういう話がある。だから、学長が決めているというのはあくまで詭弁、偽装、実際には文部科学省の意向が非常に働いている、そこなんです。

 順番に行きましょう、もう一回。

 その次の東京医科歯科大学の川本幸彦さん。この方は、兵庫教育大学の方から来て、そしてその後、兵庫教育大学の副学長になられて、後任には入江さん、大分大学の方が来た。この川本さんと入江さんは、文部科学省の方ですか。

玉井政府参考人 お答えを申し上げます。

 途中の異動もございますけれども、基本的には文部科学省に勤務したことがある職員でございます。

山口(壯)委員 福井大学の飯田和郎さんは、事務局長から理事になられて、ほんの一年一カ月いて、前の川本さんなんというのは九カ月ですからね、そして、この後どちらに行かれましたか。

玉井政府参考人 お答え申し上げます。

 福井大学の者は、その後、ユネスコ・アジア文化センターに行っております。

 なお、先ほど申しました東京医科歯科の川本は九カ月とおっしゃいますけれども、これは兵庫教育大学からの大変強い要請がございまして、ぜひということがあったので、大変短うございましたけれども、東京医科歯科大学の方も御理解をなさって、また再び兵庫教育大学の方に行かれたわけであります。

山口(壯)委員 その取り次ぎはだれがしたんですか。

玉井政府参考人 法人化になった後の人事は、各学長の責任と権限のもとに、要請に応じてやっているわけでございまして、そしてそのときは、直接本人に要請したり、あるいは文部科学省に推薦をしてくれという、いろいろな中から、最終的にはルールにのっとってやっているわけでございます。

 そして、今の御指摘の東京医科歯科大学の場合には、本人に対して学長から直接の要請があったというふうに承知をしております。

山口(壯)委員 文部科学省として取り次いだわけですね。最後に、本人からあいさつは当然ありますよ、それは人間の社会ですから。そんな黙って、文部科学省に言われたから来ましたとある日あらわれるわけがない。大人の答弁を私は期待しています。

 この京都大学、本間政雄さんは、文部科学省から行かれましたね。この京都大学の本間さんは、二〇〇四年三月に文部科学省を退職という格好でとられて、その後行かれましたね。

玉井政府参考人 お答えを申し上げます。

 京都大学の者は、これは確かに文部科学省から行きましたけれども、それはたしか退職ではなくて出向という形であったと思いますが。

山口(壯)委員 余り余計なことを言わない方がいい。退職という形をとって役員出向ということが起こっているから今問題にしているんです。退職じゃなくて出向って、そんな詭弁だの偽装だのは使わない方がいい。実態を今明らかにしてほしい。

 そして、この本間政雄さんは、この後どちらに行かれましたか。

玉井政府参考人 お答えを申し上げます。

 京都大学の本間政雄は、十七年九月三十日まででございましたけれども、その後は大学評価・学位授与機構の方に行っております。

 私は、御質問があったことについてそれぞれお答えをしているつもりでございます。

山口(壯)委員 私は、質問に余り余計な答えは要らないと言ったんです。端的に答えていただいたら、それでいいんです、官房長。

 そして、この大学評価・学位授与機構国際連携センターのセンター長兼教授として行っておられるんです。これは文部科学省の関係のところだと私は思います。

 そして、その本間さんの後任の方、何て方がどこから来ましたか。

玉井政府参考人 文部科学省から木谷という者が理事として行っております。

山口(壯)委員 そうです。文部科学省の大臣官房審議官木谷雅人さんが行っておられるんです。文部科学省の役人が行っているんです。もうずっと続いているんです。しかも、期間が、この京都大学のおじさん、これは一年六カ月おられたのはいい方ですよ、半年、一年とぽんぽこぽんぽこかわっている。本当にこれは大丈夫なのか。文部科学省は、自分のローテーションで人事を、独立行政法人を使っちゃいけない。独立しているんでしょう。それまでは学生部長とか事務局長だったのが、今回、理事で行っているんです、役員で行っているんです。こういうのを焼け太りという。独立行政法人なのか従属行政法人なのかがわからない。

 この大阪教育大学の中岡司さんは、どこから来られて、どこに行かれましたか。

玉井政府参考人 お答え申し上げます。

 大阪教育大学の者は、御指摘の者は、文部科学省から行って、そしてまた今文部科学省の職員として勤務をしております。

山口(壯)委員 そうです。文部科学省のスポーツ・青少年局学校健康教育課長でよかったですね。私は間違ったことを言いたくないから、こうやって確認しているんですよ。自分が一生懸命調べたんだけれども、間違ったと言われると後でつらいから、それで一生懸命確認しているんです、事前にこうやってお伝えして。それで、細かいことは、確かに官房長、お答えしにくいでしょう。だから、私が今申し上げていますから、万が一これで間違っていたら、また後で教えてください。それは議事録を訂正させてもらいます。

 それで、文部科学省の、今度は高等教育局大学振興課長に、中岡司さんはその後帰っていっているんです。その間、大阪教育大学におられたのは一年と四カ月か、これはいい方なんですよ、半年、一年以上いるから。ほかの例をちょっとずっと見ていただいたらわかりますけれどもね。官房長、これは余り首を振らない方がいいんです。官から民へでいいんです。

 そして、大阪教育大学の後、香川大学の桐岡さんという人は、期間としては一年半で、まあまあ三角なんですけれども、この方はちょっと私の今のポイントしているところと当てはまらないかもしれないんです。ちょっとここは省略しておきましょう。だけれども、その次に行っている遠藤克司さんという人は、やはり文部科学省の方から来ておられるんですね。

 それで、神戸大学の阪内さん、この方は一年とちょっといただけだけれども、この後どちらに行かれましたか。

玉井政府参考人 お答えを申し上げます。

 神戸大学の者は、これは福島から行っております。

 それで、先ほど来御説明しておりますけれども、突然ではなくて、期間が短いという御指摘でございますが、それは、もともと国立大学の事務局長であったあるいは副学長であった者が、そのまま法人化によって、その当時、身分が切りかわってきたわけでございます。したがって、短いという御指摘ではございますけれども、例えば、京都大学の者でございましたら、平成十三年一月から行っているわけでございまして、これは四年九カ月ということでございますし、多くの者はやはり二年程度は行っているわけでございます。そこはひとつ正確に見ていただければと思っております。

山口(壯)委員 官房長、ということは、この後に行かれた方々については、そういう期間を考えておられるということですか。

玉井政府参考人 法人化したわけでございますから、人事はそれぞれの大学の学長のそれぞれの人事戦略といいますか、人事構想によって、各大学のそれぞれが考えられるわけでございまして、私どもは各大学の学長と御相談を申し上げながら、その要請に応じて、今、必要があれば、適材適所の観点からシフトを、文部科学省の職員は国立大学の法人の職員になることもあれば、逆に国立大学の法人の職員からまた文部科学省の職員になる者もあるということでございます。

山口(壯)委員 官房長は注意深く、ひっかからなかったけれども、独立行政法人ということだから、それは建前は貫かれている。しかし、現実にその意向が反映されているというのは、先ほどの奈良教育大学の例でも、余りにも一目瞭然というやつです。

 ちなみに、二年間の間に、例えば二つ大学の理事を務められている方もいるんです。これはずっとやっていると時間がなくなっちゃうから。和歌山大学におられた坂本邦夫さん、この方は、この後神戸大学の理事になっているんです。一年ちょっとの間、坂本邦夫さんは、その間一年二カ月、三カ月理事として、それまでは事務局長、それから理事だから同じじゃないか、これは文部科学省の意向でしょう。

 それは独立行政法人ということで、運営、管理、マネジメントのできる人ということで見つけてきたわけですから、それは全く役割は本来は違うんです。だけれども、それは文部科学省が便宜上そう言っているんです。そこで一たん切って、四年の四月からは本来独立行政法人として独立するんだから、文部科学省から行かせた者はみんな引き揚げます。これが本来の姿ですよ。だけれども、前からいたから、そんなにちょっとしかいたわけじゃないんだぞというのは、これは詭弁でしょう。

 この坂本邦夫さんという人は、二年の間に二カ所、和歌山大学と神戸大学の理事をされたという理解でよろしいですか。

玉井政府参考人 和歌山大学の者につきましては、そもそも十五年の一月に和歌山大学に行っておりまして、そこから二年二カ月後に神戸大学に行っているわけでございます。

 これは法人法のときにもずっと御答弁は申し上げているわけですし、またその後も御答弁申し上げておりますけれども、別に職員だけではなくて、当時の大学の副学長等も含めて、現にいる方々、つまり副学長や学長補佐、事務局長など、そういう学長を支えて大学運営を担ってきた、そういう方々がまず身分が切りかわり、かつまた法人化でございますので、各大学はみずからの人事戦略という中から、さらに経済界やあるいは私学関係者、あるいは高度専門職員など、幅広い分野から人材を得ようという努力をされているわけであります。

山口(壯)委員 それなら、官房長、この一橋大学のさっきのおじさん、金田正男さん、奈良教育大学の。文部科学省の人事異動によりかわって、しかも学長はその間、急な話だから大変だと。普通だったら、学長の意向だったら後任は決めているものなんですよ、だって補佐してもらわなきゃいけないんだから。だけれども、文部科学省の意向で一橋大学の事務局長に行くから、その後を決められずに学長が、先ほどの報告になるわけです。

 私は何も別に奇妙きてれつなことを言っているつもりじゃありません。世の中は普通はそうですよ。補佐となっている理事さんが、これは二人しかいないんでしょう、理事さんがかわる以上は、その後任を先に決めているというのが普通の姿でしょう。それをその間、この方の後、時間がかかったんだから、それはやはり文部科学省の人事異動のローテーションの中でやっているからそうなってしまうんです。ほかにも、ずっとこれは同じなんです。

 大臣、今私はずっと申し上げました、エビデンスをすべて明らかにしようと。これは一部だけです。私が調べたのは理事さんについて一部だけです。国立大学全部について、四年四月から今の時点まで、どこから来てどこに行ったか、これを全部明らかにするともっともっと図柄がはっきりする。でも、一部だけれども、官から民へ、独立行政法人だ、自由と自主性を重んじようと。大臣、そういう中で、この動きはどうお感じですか。

小坂国務大臣 山口委員のおっしゃりたいところ、すなわち、役人がわたりであちこち行って、そして税金の無駄遣いが起こっている。こういうことがもしあるとすれば、それは私も直していかにゃいかぬと思うし、そういう点においては与党も野党もありません。我々政治家は、今日的課題としてのそういった問題に一緒になって取り組んでいるわけですよね。ただ、残念ながら、私がちょっと勘が鈍いのか理解が不足しているのか、山口委員が今御指摘をされましたその問題について、どうも問題の視点が、私はちょっと理解できないところがある。

 例えば、山口委員は今、四年の四月から国立大学が独立行政法人化された、そのときには本来そこにいた人間は文部省へ全部帰るべきだ、こうおっしゃった。本当にそういうことが本来の姿なんでしょうか。(山口(壯)委員「それは逆だ、私が言っているのと」と呼ぶ)いや、さっきそうおっしゃいました。間違いなくそうおっしゃったんですが、その本来の姿とおっしゃる全部帰ることは、国立大学が独立行政法人化されたときに安定性を欠くということにもなります、継続性がなくなってしまうわけですから。

 そういう意味では、それは従来いた人間が、法人化に当たって、法人化というものの趣旨を踏まえて、すなわち、官から民へということよりも、この独立行政法人化の意図したところというのは、より効率的な運営をすることということで、国の機関として、すべての人事その他においても、これは文部科学省の職員として人事が行われるのではなくて、今後は大学が、独立法人としての独立した意思を持ってそういうものにも取り組めるような枠組みをつくるということに主眼があったものですから、そのときに全部入れかわってしまうということが本来の姿ではなくて、順次そういったことが行われながら、そういった趣旨を体せるような方向づけをしていくということが当初の考え方であった。

 それを担保するといいますか、そういった意味での附帯決議が衆議院、参議院でありましたよね。参議院における附帯決議として、「役員等については、大学の教育研究や運営に高い識見を有し、当該大学の発展に貢献し得る者を選任するとともに、選任理由等を公表すること。また、政府や他法人からの役員の選任については、その必要性を十分に勘案し、大学の自主性・自律性を阻害すると批判されることのないよう、節度を持って対応すること。監事の任命に当たっては、大学の意向を反映するように配慮すること。」また、衆議院においては、「役員等については、大学の教育研究や運営に高い識見を有し、当該大学の発展に貢献し得る者を選任するよう努めること。」

 すなわち、そういった意味では、これは別に文部科学省で経験を積んだ人間ではなくてももちろんいいわけでございますから、そういった方向の人選というものは今後行われてまいりますし、そういった者を排除もしていなかったと思いますが、しかし、それまでに国立大学が今日的評価をちゃんと得てこられたのは、そういった一つの今までの人事ローテーションはそれなりに貢献をしていたということもあるわけでございますから、そういった観点から、四年の四月にこれまでの人事を改定すべきかどうかという御議論も踏まえて検討が行われ、その後の人事異動というものが行われていると理解をしているわけでございます。

山口(壯)委員 今、私は文部科学省に、四年の四月の時点でけじめをつけて本来だったら帰るべきだ、これは確かに言いました。私がそんなこと言っていないよと言った趣旨は、こういう理事が終わったらみんな文部科学省に行くべきだと言っているものだととられたんじゃないかと思って、そうじゃないと。むしろけじめをつけて、例えば、今役員出向でたくさんの人が行っておられるわけですけれども、そういう方々が、例えば理事を退任して文部科学省に戻るか、あるいは役員出向を中止して、もう国家公務員を完全に、実質的にも退職して、国立大学法人の経営に理事として専念する、どっちかを、けじめをつけるべきだという趣旨で私は申し上げたんです。

 これに対して、今大臣から、私は理解していると思いますけれども、例えば、文部科学省の役人が行ったから効率的な運営ができたという趣旨で言われたんではないですね。

小坂国務大臣 御指摘のとおり、私はそういう意味で申し上げたわけじゃございませんで、ただ、文部科学省の中に求められる人材がいれば、それに協力をして出すということは当然行われることであろうと思いますし、それが独法としての大学の新しい姿だ、そう思うわけでございます。その人事権限はその独法の長にあるということでございますから、学長の自主性を生かせば、求められる人材を派遣することは否定するべきものじゃないと思っております。

山口(壯)委員 役人を私もやっていましたから、よくわかります。もう一回本省に戻ることを想定した場合に、独立ではなくて、どういうふうに覚えがめでたいかということは、人間ですから気にならないわけがない。そこが一番問題なんです。

 そういう意味では、今までは、最初の出だしだから今までどおりきっちり面倒見てやろう、それは私も全部今やめろとは言いません、確かにそういう面はあったでしょう。しかし、これからそういうことを改めようという趣旨で大臣はお考えですか。

小坂国務大臣 私の理解が間違えていたら事務方からちょっと訂正してほしいんですけれども、独立行政法人としての大学に、出向するということは基本的にはなくて、学長等の役員で就任をする場合には、公務員を退職して就任するというふうに思っておりますが、違いますか。(山口(壯)委員「いや、それはもう聞いていません、大丈夫です」と呼ぶ)いや、それは御指摘の部分じゃないんですか。

 要するに、もとへ戻るとかなんとかという話ですが、私は、独法の学長とか副学長とか行くときは公務員を退職して行くんだという認識なんですが、間違いですか、これ。

遠藤委員長 ちょっと事務方答えて。

 ちょっと事務方に補足させます。玉井官房長。

玉井政府参考人 独立行政法人の役員に出向する場合に、退職しない、すなわち退職というのは、平たい意味じゃなくて、退職金を支払って行くという形ではなくて、また各省庁に戻る、そのときは退職金を通算する、その期間を通算するという形の役員出向は法律をもって認められておりますので、これは、別に国立大学法人だけではなくて、他の法人も含めて、それぞれの人材の適材適所、組織の活性化の観点からこういうことも行われているわけであります。

山口(壯)委員 今官房長がおっしゃっていることは私はよくわかるんです。退職金の二重取りにならないようにということで、一度退職という形をとって、そして国立大学の理事になり、帰ってきたときに、国立大学にいた分とそれから役所の通算の二重取りにならないように、一回一回けじめつけて行っている、これは公務員制度大綱で。

 だから、今官房長、ちょっと気になったのは、法律で認められているからこれからもやりますというふうに私には聞こえました。そうじゃないということを大臣、お答えください。

小坂国務大臣 官房長の説明、私も聞いておるところは、要するに、国立大学から独立行政法人に切りかわったときには身分が切りかわるので退職扱いになる、こう聞いておったわけでございますが、今の話を聞いていると、私の理解がちょっと悪いのかもしれませんが、身分停止であって退職ではないというようにも聞こえるんですよね。身分停止と退職は違うと思いますので、私もその辺はもう一度正確に把握をしたいと思いますが、今御指摘のところは、すなわち、そういった形でわたりのように行ったり来たり、その人事が文部科学省の采配によって行われるようなことを今後とも継続することはないようにしろ、こういう趣旨じゃないでしょうか。そうであれば、私は、全くそのとおり、そう思っております。

山口(壯)委員 いや、小坂大臣、本当に名答弁です。ありがとうございます。

 そして、当時、参議院の同僚議員の佐藤泰介議員から「現役の官僚が本省と国立大学法人の役員ポストを行き来するようではどうしても文部科学省の方を見てしまう、」これに対して遠山大臣、私も遠山さんとはばちばちバトルをやったんですけれども、このときの遠山さんはどう答えておられるかというと、大学の自主性、自律性についても配慮をしていきたいということ。その別のときに、河村当時副大臣は「文部科学省が学長の意に反して理事を割り振るというようなことは全くあり得ない」、こう言っておられるわけです。これはあるべき姿。

 しかし、今の奈良教育大学の話というのは、これをきっちり反転してしまうような話なんです。だから私は今こうやって一生懸命問題提起をしているんです。官房長、いいです。官房長の立場もよくわかるしね、それはよくわかっている。わかっているけれども、あるべき姿に持っていきたいから私はこうやってきつい議論をさせてもらっているんです。そして、今小坂大臣から言われたことの重みというのは大きいですよ。それはあるべき姿なんです、国民が納得する方向ですから。

 文部科学省からだれも行くなとは私は言っていません。しかし、たくさんある元国立大学、そこに一体今どれだけ行っているか、これは、委員長、資料提出を私は要求したいと思います。全部の元国立大学について、四年の四月から現在に至るまで、どこから来られた方で、どこに行かれたか、それを全部明らかにして提出をしてください。

遠藤委員長 その件は、理事会において検討いたします。

山口(壯)委員 よろしくお願いします。

 私は、質問主意書にしようかどうか迷ったけれども、質問主意書だとまた役所の人が大変だなと思うので、これは委員会提出ということにします。でも、きっちりつくってください。それが全貌はどうかということの把握につながるわけです。

 大臣、もしも何かあればどうぞ。

小坂国務大臣 今、遠山大臣また河村当時副大臣がおっしゃったことと今私が申し上げたことは、一致しているわけですよね。すなわち、独立行政法人になった後に、大学の意向を無視して文部科学省が人事において介入をして押しつけ人事を行うようなことはない、こういうことが言われ、そして私もそれを今、同じことを申し上げました。

 求められる人事は当然行いますよ、今も、それは先ほど申し上げたとおりでありましてね。大学法人の方から、こういう人材を派遣してほしい、そういう人材が全体的に見れば知見の多い文部科学省にいるので、それを派遣してくれということは今後ともあるし。

 それから、先ほどおっしゃった奈良の例も、それは当時の、先ほど読み上げられた文章、余りに速く読み上げられたので私も的確にはちょっと把握できなかったけれども、しかし、その中で私の受けた印象は、その時点で直ちに後任を選べるかといえば、なかなか選べないという状況にあったということをあの学長は申し上げただけで、その後押し込みをされたということは学長は思ってはいないし、むしろ、その後、こういう人材がいるがどうかと言われたことに対して、学長が求めて就任をしたというのが当時の事情じゃないかと、私は先ほど委員が読み上げられた文章の印象として持ちましたが、いかがでしょうか。

山口(壯)委員 小坂大臣も、お父上のときから私は遠くからかいま見て、御立派な政治家の家系だなと思っています。そういう意味では、余り役人にだまされることなく、政治家として見識を持ってやっていただければと思う次第です。

 そして、退職をしてから役員出向するという、偽装みたいなものです、平たい言葉で言ったら、別に偽装と決めつけないけれども。でも、そういう形をとって、公務員という立場を法律に書いてあるから一たん切って、そして役員出向という格好で行っているわけです。だから退職じゃなくて出向、それは言葉の遊びみたいなものです。実質はどうかと見抜くのが政治家ですから、形を整えるのが役人ですから。

 そういう意味では、小坂大臣、名ステーツマンとして、先ほどの答弁は非常に本質を得たと私は思っています、あの答弁でもってぜひこれからの国立大学法人を見ていってほしいと思います。

 終わります。

遠藤委員長 石井郁子さん。

石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子です。

 きょうは、まずお聞きしたいのは、第八次公立義務教育諸学校の教職員定数改善計画についてでございます。これは、昨年、平成十八年度概算要求として文部科学省が出されたと思いますが、その理由、内容をまず御説明ください。

銭谷政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省では、次期定数改善計画を策定すべきとの中教審の提言を受けまして、平成十八年度から二十二年度までの五カ年間の計画で第八次定数改善計画を策定することとし、その初年度分の改善を十八年度概算要求に盛り込んだところでございます。

 その内容は、今日的な教育課題に対応するために、少人数教育の推進あるいは特別支援教育の充実を図るための定数改善が必要であるということから要求したものでございまして、内容としては、五年間の計画期間中、総数一万五千人の改善を図ろうとするものでございました。

石井(郁)委員 五年間で一万五千人の増員をという計画と伺いましたが、しかし、その間自然減もあると思うんですね。自然減は幾らと見込んでいるんですか。

銭谷政府参考人 五年間で九千人と見込んでおりました。(石井(郁)委員「ことしは幾ら」と呼ぶ)平成十八年度につきましては、自然減が千人で、それで、改善増としては千人の要求をいたしておりました。

石井(郁)委員 わかりました。自然減が九千人あるということなんですね。

 十八年度の要求でいえば、千人の増員だけれども自然減が千人だと。では、差し引きゼロじゃないですか。十八年について言えば、何もふえないということにもなる。そして、全体でも、一万五千人というけれども、自然減を考えると結局六千人の計画にとどまるんですよね。こういう第八次計画がなぜ実施されなかったんでしょう。これは大臣、大変御苦労されたと思いますけれども、第八次計画がなぜ見送られたのか。

小坂国務大臣 これは、実施されないということではなくて、現実的な選択として、大臣折衝において財務省側から求められたものは、一つの今までの流れの中で、第八次というような五年の枠組みでそれを考えるのではなくて、総定員の削減、総定員費の削減という、費用の削減という観点からこの取り組みをまず考えてもらいたい。そういう意味で、そちらの、そちらというのは、すなわち文部科学省が要求している特別支援教育や食育等の充実のために必要な人員の確保ということには十分に配慮をしたい。

 したがって、この第八というような数字を冠したそういう定員計画というものをこの時点で作成するということではなくて、お互いに、求めるところに応じて私どもも対応するので、この話し合いを進めましょう、こういうことなので、では、現実的にその定員についての改善をしっかりお取り組みいただきたいと私どもから要求をし、そして、そのような形の中から、第八次という数字を冠したような五カ年の定数改善計画を今回は策定しなかったということでございます。

石井(郁)委員 今のお話を伺いますと、それでは、第八次五カ年計画というような形では、いろいろな問題を言われたということですが、では、今後もこういう形ではしないということに今聞こえるんですけれども、それが一点と、それから特別支援教育については、今後法案も審議にかかりますから、その人員措置、これは大変重要な問題なんですが、それは本当にあるのかといえば、これもまだ見えていないし、ほとんどないと言っていいぐらいの、私もきのうのレクでお聞きしましたけれども、そういう状況のように思うんですね。

 今後、こういう教職員増の計画というのは、それでは、どんな形で進められていくんですか。

小坂国務大臣 今後どうするかという御質問でございますが、今後、第八次という、まあ第八次という名前を冠するかどうかはともかくとして、五カ年レベルの中長期の定員計画を行わないのかといえば、これは今後の検討課題でありますから、今否定するものではございません。むしろ、特別支援教育やそれから少人数教育、また食育を初めとした今日的課題に取り組むための定員増というものはしっかり要求をし、それを確保することに全力を尽くしていきたい、こう思っております。

石井(郁)委員 私は、十八年度から始まろうとした、期待もしていた第八次の計画が見送られたということについては、大変遺憾だと思っています。そういう面では、もっと強い決意といろいろ計画を持って臨んでいただきたかったというふうに思うんです。

 今、現場がどんな状態か。本当に学校の中、教職員の実態というのは、大変な状況じゃないでしょうか。

 それで、少し申し上げたいと思うんですが、部活動、持ち帰り仕事があります。教職員の長時間過密労働というのは常態化していますね。それから、学力問題が大変社会問題ですから、ゼロ時間の導入、そして今、土曜補習、土曜授業ということがずっと各地でやはり取り組まれているということもありますね。それから、春休みとか夏休み期間が短縮するということが広がっています。ですから、こういう中からも、教職員の勤務条件というのはやはりどんどんと悪化していると言えると思うんですね。

 私ども、ずっとこれまでもいろいろ問題にしてまいりましたけれども、各県がこういう教職員の勤務状態、実態調査などを行っていますから、そういう中でも幾つか聞こえてくるわけですけれども、食事時間やトイレの時間も本当にままならないということ。教職員が一番苦しいのは、最もとりたい子供との対話、触れ合い、この時間がとれない。これは教職の仕事をしている者にとって、一番悩みだし、一番つらいことだと思うんですね。

 私は、そのことでまず伺いたいんですが、仕事上でストレスを感じている、あるいは多忙感を持っている、こういう実態について、文科省としてはどのように把握しているんでしょうか。

銭谷政府参考人 文部科学省としては、昨年からスクールミーティングを行ってまいりました。その際に、実際の教職員の方から勤務状況についていろいろお話を伺いました。それから、昨年、全国の教職員を対象に意識調査というものを実施いたしました。その結果を見ますと、いわば、忙しいあるいは長時間勤務に従事しているという教員は、常に忙しいと答えた方が六一%、時期によって忙しいと答えた方が三四%、大体九五%の教員が常に忙しいか時期によって忙しいというふうにこの意識調査ではお答えになっておられます。

 それで、スクールミーティングなどで勤務の状況について教員から出されましたのは、一人一人に応じた学習指導が以前より求められるようになった、あるいは生徒指導が必要な児童生徒がふえた、作成しなければならない事務関係の書類がふえたといったようなことを感じているといったことがスクールミーティングでは報告をされておりまして、教員の中には多忙感を感じている教職員が多い、あるいはそのことによるストレスというのを感じている教員が多いということは、私どもも認識をしているところでございます。

石井(郁)委員 大体そういう傾向だと思うんですが、高知県が行っている、これは高知県の教育委員会ですけれども、その勤務実態調査によっても、ストレスを感じる、やや感じるという方が八割ですね。同じく、三割の方がかなり多忙だと感じていらっしゃる、やや多忙と合わせると八割の方だと。今おっしゃったように、八割、九割の方がこういう状況、大変な状態だと思っていらっしゃるということですね。それから、青森県の教育委員会の調査を見たんですけれども、一日平均で一時間から三時間の超過勤務時間を行っている方が七五%を超えているというんです。重大なのは、この超過勤務時間、これは厚生労働省が出した過労死基準、一カ月八十時間以上の時間外労働をしている人が、教員で一六・七%なんですね。教頭で二八・二%、管理職の方はもっと大変だと。だから、過労死ラインを突破している、これは教育の現場で教職員の勤務という中で起こっているということがあるわけですね。

 そこで大臣、こういう現状についてはどのような受けとめをしていらっしゃるのか。また、その御所見を大臣に伺いたい。

小坂国務大臣 学校の先生方は本当に大変だと思うんですよね。私は、教員という仕事は、本当に、崇高なと言うと何か大げさに聞こえるかもしれませんが、その言葉を適用していい、そういう重大な使命を負った仕事だと思うんですね。期待も物すごく大きいんですね。

 先生方、まじめに取り組んでいらっしゃる先生ほど、熱心に、生徒と心の触れ合いを持ちたい、接触をもっとふやして生徒一人一人の性格とか傾向を把握したい、こう努める。一方では、地域との連携をもっと強化してほしいとか、それからもっと計画性を持ってやってもらいたいとか、もっと教材を充実して独自の教材を開発してやってもらいたいとか、こういうニーズも物すごく出てくるわけですね。まじめに取り組めば取り組むほどそれに時間がかかってしまう。

 そういう意味で、部活動、そしてまた課外の補充指導、それから学級担任としての仕事、そして学習の評価というものも最近は特に言われるようになった、こういったことが全部かぶってきて、まじめな先生ほど悩んで、多忙感を持っている。

 私どもとしては、都道府県教育委員会に対して、不必要な報告書を求めるとか、不必要なものはないんですけれども、その報告の求め方の簡素化を図るような形とか、そういうようなことで校務の軽減化が図れないか、そういったことも検討してほしい、こういうことは常日ごろから指導をしているところでございますが、現場の先生は本当に大変である。しかし、現場の先生が頑張ってくれなきゃ日本の教育はよくならない。そして、今日的課題である地域と家庭と学校の連携というものの核になるのはやはり先生なんですね。そして、家庭教育の教育力が落ちた分だけ先生の負担も多くなっている。

 しかし、その中で何とか頑張っていただいて、私どももそういったものをしっかり把握しながら軽減化に努力をいたしますので、ともに頑張りましょうというメッセージを私は送りたいと思います。

石井(郁)委員 大臣が長野県だということだからでもないんですけれども、もう一つ、長野県の高校教職員の勤務実態調査というのを私見てみまして、義務制ではありませんけれども、そこでも一カ月の時間外勤務が一人当たり平均三十七・二時間だと。平日に換算すると一日二時間のサービス残業になるわけですね。過労死ラインを超えている人が一割近くいらっしゃる、百時間を超えている人が何と四・四%だ、これは長野県の高校の教職員の実態であります。

 今、大臣から御答弁で、本当に、軽減のためにいろいろなことをしなきゃいけないというのはそうだと思うんですが、角度を変えまして、もう一つの実態の問題として、この間、精神疾患による長期療養者がふえていると思います。急増していると思うんですね。この実態についてもお示しください。

銭谷政府参考人 教職員の長期休職者の状況でございますけれども、平成十六年度で見ますと、公立学校の教職員で病気休職者の数は六千三百八人でございます。これは、在職者に占める割合は〇・六八%でございます。これは、いずれも過去最高の数でございます。そのうち、精神性疾患による病気休職者は三千五百五十九人でございまして、在職者に占める割合は〇・三九%、病気休職者に占める割合は五六・四%でございまして、これも、いずれも過去最高の数となっております。いずれも、年々ふえているという状況にございます。

石井(郁)委員 今の数字というか実態を伺いますと、本当に胸が痛むというか、こんな状態なのかというふうに思うんですね。長期療養者、しかも精神疾患の方が急増していらっしゃるということなんですね。平成七年度には三四・〇%ですが、今お話しのように平成十六年度で五六・四%ですから、すごいふえようですよね。

 私は、そういう実態がどうして生まれるかということでいうと、いろいろな要因があるでしょうけれども、やはりストレスが一番大きいということがあると思います。そのストレスというのは、やはり長時間労働からきているんだろうと、やはり休む暇がないわけですから。本当に心身ともに、やはり次の日のエネルギーをつくり出す、こういう余裕がないということだと思うんですね。やはり長時間の時間外労働をした人に精神疾患の発症が多いということは、これはもう厚労省などの調査報告からも、あるいはいろいろな検討会でも報告されているとおりでありまして、ですから、先ほど大臣は教職員の勤務の負担の軽減というのを図らなきゃいけないと言われましたけれども、やはり一番迫らなきゃいけないのは、こういう長時間労働の実態だろうというふうに思うんですね。

 そこで、これは文部科学省として、こういう教職員の勤務実態調査ということをきちんとやはりやるべきだと思うんですが、その点ではいかがですか。

銭谷政府参考人 本来、教職員につきましては、公立学校の教員に時間外勤務を命ずるということ自体、実習や学校行事などいわゆる超勤四項目に限ることとされているわけでございまして、今の状況を見ますと、この超勤四項目に該当しない自発的な時間外勤務も多いのではないかということが想像できるわけでございます。

 そこで、私どもといたしましては、もちろん教員の中には指導力不足の教員ということでいろいろ批判を浴びる教員もいるわけでございますが、多くの教職員の方が、先ほど大臣からお話しございましたように一生懸命子供のために教育をしていただいているわけでございますので、今の教職員の勤務の実態がどういうことであるのか、第一義的には、もちろん服務監督権者である各教育委員会が把握すべきものとは思いますけれども、私ども、今回教員の給与についてもいろいろ検討する必要がございますので、そういうこと等の中で、やはり教員の勤務態様について、私どもとしては把握に努めたいと思っております。今、具体的な把握の方法、調査方法について検討を進めているところでございます。

石井(郁)委員 本当に一日も早くそういう実態調査に着手してほしいということを私は強く申し上げたいと思います。

 今御答弁のように、これは経済財政諮問会議や財務省など、人材確保法廃止などへの対応策という形で出ているんだろうと思いますけれども、文科省が何らかの形で全国的なそういう勤務の把握をしなきゃいけないということをおっしゃったわけで、そのこと自身は、私はやはり大変前向きに受けとめたい。極めて重要な今取り組みをされようとしているというふうに伺っています。ぜひ、その中では、包括的、全面的なやはり勤務実態調査をやるべきだと思います。

 それで、教職員の、ちょっと申し上げましたように、やはり通常期と繁忙期とあるんですよ。一年、毎日同じじゃない。やはり忙しい時期というのはありますから、学校というのは。そういう時期なんかも分けてとらえるべきだと思いますし、やはり長時間の過密労働ですよね。この長時間過密労働というのがやはりどういう実態なのかということは、ぜひ的確につかんでほしい。また、その結果については必ず公表するという点では、いかがでしょうか。

馳副大臣 勤務実態調査というのは、局長申し上げましたようにやるべきだと思っておりますし、公表するのが当然だと思います。多分、私も教職の経験がございますから改めて申し上げますが、やはり大変な長時間を余儀なくされる、そういう教員もおりますし、逆に、そうではない教員も、また実態も明らかになりますし、その実態を踏まえて、教員の給与についての議論というものは国民的になされるべきである、こういうふうに私は考える必要があると思っています。

 昨年、政府の方から人確法の廃止も含めた見直しという文言が、非常に機微に触れる課題だと私は思っております。なぜならば、これは成立したときは議員立法という形で成立しましたから、自民党の中においてもこの議論がされているということも承知しておりますけれども、すべてを踏まえた上で、現在実態がどうなっているかということ、これも把握した上で答えを導いていくのが政策立案過程の必要なことだろうというふうに考えております。

石井(郁)委員 時間が参りましたが、ほんの少しの事例ですが、しかし本質的な事例だと思いますけれども、今教職員を取り巻く状況というのは極めて厳しいということは一定の認識がつくられたのではないかというふうに思っております。

 私は、やはり子供の教育というのは、学校があって、生き生きと働く教職員がいて、子供たちと本当にぶつかり合える、そういう環境をつくらなきゃいけないと思うんですよね。だから、ぜひこの問題では、最初に申し上げたように、文科省としてはスケールの大きい計画をこの際組むべきだと思うんですよ、押され押されで来ているわけですから、三十人学級もやりますと。そして、もっといろいろな教育についていい環境をつくっていくという点では、そういう第八次の計画を、来年はぜひ、文科大臣、頑張っていただきたいということを申し上げまして、終わりたいと思います。

 以上です。

遠藤委員長 保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 私は、この少子化時代にかえって教員が大量に不足してしまう、前回少し議論させていただきましたが、きょうは雑誌の論座という、これは去年の三月号ですけれども、苅谷剛彦さんの論考に使用されているデータを今お配りしていただいていますが、こちらのデータを見ながら議論をさせていただきたいと思います。

 なお、このデータは中教審に提出されたもので、文科省も協力をして作成をされたと聞いているんですが、これは初中局長、いかがですか。そういうことで確認してよろしいですか。

銭谷政府参考人 義務教育諸学校に係る教職員人件費の将来推計、これは東京大学の苅谷先生が行ったものでございますが、この苅谷先生の推計には文部科学省も協力をしておりまして、我々の認識も苅谷先生と同様であるということをまず申し上げておきたいと思います。

保坂(展)委員 今局長からそういう答弁をいただきました。

 では、続けて聞いていきますけれども、図一の方です。やはり四十五歳前後が二万五千人ですか、ピークになっています。この図二の方を見ると、これは給料、諸手当はあと六年ほどすると今度はマイナスになっていくんだと。ただ、退職手当等はなかなか減らない、十年ぐらい増加をしていくということです。

 平成十八年から三十年に向けて準備しなければならない教職員の人件費の総額は、局長、幾らぐらいなんでしょうか。

銭谷政府参考人 人件費の総額といいますと、給与、退職手当あるいは共済費の長期給付等、いろいろ合わさったものが総額になるわけでございますけれども、平成十七年度での人件費の総額というのは約五兆九千三百五十二億円でございます。これは、先ほどの苅谷先生のグラフを見ていただくとおわかりのように、今後増加をし続けまして、平成二十六年度がピークでございまして、その時点で六兆三千百七十九億円というふうに見込まれております。その後減少して、平成三十年度は六兆二千億程度と見込まれているわけでございます。

 そういたしますと、平成十七年度と比較をいたしまして、平成十七年度をスタート地点といたしまして平成三十年度までの各年度の増加額分を年度ごとに累計していきますと、大体約四兆円ほど累計で増加するということが見込まれているというふうに思っております。

保坂(展)委員 ちょっと質問予告が、私が聞きたかったのは、単純にこれは足し算すればわかる話なんですが、結局、来年度以降、平成三十年まで、このシミュレーションによれば幾らなのかなということを聞いたんですが、その数字はないですか。

銭谷政府参考人 大変恐縮でございますが、各年度の人件費を足し算すればよろしいわけでございますが、十七年度と比べての累計増加額ということで、私ども、今計算をいたしております。

保坂(展)委員 そうすると、十八年度から三十年度にかけて、教員の必要数というのは大体何人というふうに割り出されるのか。これも答弁お願いします。

銭谷政府参考人 教職員給与費の推計の際には教員数を見込むわけでございますけれども、教職員給与費の推計に用いました平成十八年度から三十年度までの十三年間の教員採用見込み数は、累計で約二十四万三千人というふうに推計をいたしております。

保坂(展)委員 この辺の数字を聞いたのは、特に教育の中で大きなウエートを占める教職員の人件費部分におけるしっかりした予測を立てていく必要があるんじゃないか、これは立てることができるんじゃないかということです。もちろん、給与水準の若干の変更であるとかいうことはあるかもしれませんけれども、これはしっかりやっていただきたいというふうに思います。

 次に、教員の大量退職は、既に首都圏、大都市圏においてはもう始まっている。これは図の三なんですけれども、大阪なんかはちょっと低いですよね。東京もそう高くない。それに対して、岐阜、長野、高知などは大変高いわけですね。

 聞くところによれば、大都市圏では子供がふえるのが早かった、したがって教員採用も早目にしていったので、今、確かに団塊世代の先生方というのは多くて、国庫負担があるうちに、何とか大量の、退職手当も含めて何とかやりくりすることができた。反面、地方、各県では団塊ジュニアが学齢期に達したあたりからとり始めているので、若干期間がずれている。期間がずれているということは、国庫負担が三分の一になって、三分の一のままでこれから大丈夫なのか、不安定化しないのかということを我々議論しているわけですが、そういう財政的に非常に厳しいときに負担をしなければいけない、こういうことだと思います。

 そこで、またデータをお聞きしたいんですが、各都道府県の賃金を比べてみて、平均賃金が高いところと低いところを、どこで、その差はどのぐらいなのかということをそれぞれ答弁お願いします。

銭谷政府参考人 教員給与の平均額の出し方というのはいろいろなやり方があるわけでございますが、一つのやり方として、平成十七年度の義務教育費国庫負担金の見込み額と教職員定数、この額を定数で除した平均額というので教職員給与の平均額を出すやり方がございますけれども、これでいきますと、最も高いところは東京都の七百六十万円、それから最低は沖縄の六百五十万円ということでございます。

 これは、ちょっと分析をいたしますと、教職員の年齢構成が、東京都が平均四十五歳、沖縄県が四十三歳ということで、東京都が二歳高いために東京都の給料が高くなっておって、この影響分が一人当たり約四十万円の差を生じさせているということがございます。それからもう一つは、東京都は物価等が高い地域に勤務する教職員に支給される一二%の調整手当が支給されておりますので、沖縄県はこの手当がないということで、こういった影響もあるということでございます。

 それからもう一つは、モデルケースを想定するのがありまして、例えば、大学を卒業して教員に採用される、二十二歳で採用されて現在四十歳になっている教員というのを想定いたしますと、その人たちのボーナスを除いた本俸、本俸というか本給ですね、これで比較をいたしますと、東京など十九県が本俸だけですと四百六十万円、沖縄県など二十八県が四百五十万円ということでございまして、モデルケースの四十歳の本給では、十九県と二十八県のグループに分かれますけれども、差は十万円程度ということでございます。

保坂(展)委員 私の手元にある教職員一人当たりの国庫負担金の額で、大阪が一番高くて四百三十三万円で、一番低いのは鳥取で三百二十二万円で、百万ぐらい開きがあって、となると二百万ぐらい違うんじゃないかというデータがあったのでお尋ねしたんですが、今お答えになったのは比較的差がないというようなデータで、それは後ほど精査して、お出しいただきたいと思います。

 次に、教員採用試験の競争率と採用数、例えば高いところで三つくらい挙げていただいて、採用数はどのぐらいなのか。低いところも同じように挙げていただけますか。

銭谷政府参考人 平成十七年度の公立学校教員採用選考試験における競争倍率ということで申し上げたいと存じます。

 まず、小学校でございますが、競争倍率が高かった都道府県でございますが、一位が高知県で二十二・三倍でございます。二位が島根県で二十・五倍でございます。三位が秋田県で十九・五倍でございます。逆に、小学校で競争倍率が低かった都道府県は、一位が大阪市で二・一倍、二位が千葉県で二・三倍、三位が東京都で二・四倍でございます。

 次に、中学校で競争倍率が高かった都道府県は、一位が香川県で三十・八倍、二位が高知県で三十・八倍、これは端数の関係で香川県の方がちょっと高くなっております。それから、三位が島根県で二十八・二倍でございます。逆に中学校で競争倍率が低かった都道府県は、一位が京都府で六・八倍、二位が茨城県で七・〇倍、三位が鳥取県で七・一倍という状況でございます。

保坂(展)委員 今数字を挙げていただいて、小学校だと、大阪だと二・一倍というような数字になっているということがわかりました。要するに、大都市圏を中心に大量退職の時代の今まさに渦中にあるということはこのデータからわかると思うんですが、そうやってその渦中というかピークをやり過ごして大都市圏の方がやや財政的に安定する中で、今度地方の方がこの直撃を受けるという話だと思いますが、教員不足が、今後三分の一にそれぞれの県で削減されて、不安定な状況の中でこういった人件費増がある。

 ここは小坂大臣にまた伺いたいんですが、地方格差、県の格差ですかね、そしてまた全体に教員養成課程を出る学生も少ない中で、いわば教員の引っ張り合いの中で、懐事情が豊かな大都市圏とそうでないところの、やはり熱心だというだけでは解決できない、懐事情でどうしても出せないというところで人材が偏向していく心配はやはりあるんじゃないかと思うんですけれども、その辺はどう考えますか。

小坂国務大臣 目指すところは、ナショナルミニマムというものはしっかり維持して、それで市町村、学校の裁量権を拡大する中で、また市町村任用というものも全国化する中で、その上積みの部分を地域の特色を生かしてやっていただきたいというのが私どもの考え方ですね。それを担保するものとして人確法というものが今日あるわけでございまして、人材確保法による給与の優遇措置、そして超過勤務の包括的評価をする教職調整額の支給、これが義務づけられておりますので、法律上の給与等の待遇面において、県費か市の費用かによって差が生じるというか設けられるようなことは想定はしていないわけでございます。

 ただ、任用される県や市の一般職の公務員の給与差というものは当然反映されてしまいますので、それが教職員の給与差となることはありましても、京都と岐阜という例を今私は手元に持っておりますが、これで比較いたしましても、二十万七千と二十万七百ということで、二十万のベースに対して七千円ぐらいの格差が生じておりますが、それ以上の格差にはならない。そういった意味では、そんなに大きな、このための調整も働くわけでございますが、大きな支障はないのではないか、こう思っております。

 いずれにしても、こういったことが円滑に行われるように、通知等によってバランスを欠かないように指導もしてまいりたいと思いますし、今後ともそういった意味で人材の確保について努力をしたいと考えております。

保坂(展)委員 では、馳副大臣に聞きたいんですけれども、先ほどデータをいろいろ確認していったのも、これは、教育は十年、十五年、まあ二十年ぐらいですかね、生まれた子がちょうど成人するぐらいまでのやはり見通しを最低限立てて、本当は百年とかなんでしょうけれども、しかし二十年ぐらいは、これから日本の教育にどのぐらいお金がかかるのか、そして教職員の給与、退職金、シミュレーションできるわけですね。若干の条件変更があったにしても、かかるものはかかる。それから、地方がこれは主にやっていくということなんですけれども、地方は地方で、過去に起債をした、いわゆる償還の時期、これはかなり厳しい、財政状況はさらに厳しくなっているということですね。

 ですから、去年の三位一体の議論を振り返ると、教育というのはこれだけかかるんだ、かかるものは減らせないよということをやはり文科省みずから示して、数字も出して、財政の方向からも、これはしっかり、またこの三分の一が不安定化するようなことがないように努力するべきじゃないかというふうに思うんですが、いかがですか。

馳副大臣 大臣も答弁されたように、教職員たる者が、地域によって、勤務する地によって教員給与に格差が大幅にあるということはやはりよくないと思います。

 これは憲法で保障している条件の整備ということから考えても、できる限り、東京で勤務していても北海道で勤務していても、基本的な給与の水準という意味からは、やはり必要な額は確保すべきでありますし、今後、義務教育ということを考えたら、少なくとも十五年後ぐらいは、出生率の問題は確かにありますけれども、基本的な平均値が出てくるはずですから、この程度の額は、義務標準法に基づく教員の必要数と今後退職されていく方々のために必要な経費等含めて、数字というものを国民にお示ししながら、これだけは国家として必要な義務教育にかかる経費ですと。教育にかかる経費というよりも、はっきりと、教員の給与です、人件費です、これがしっかりしていないとだめですということをやはり言えるような数値は出していくべきだろうなということは思います。

保坂(展)委員 ありがとうございました。

 それはまさに同感で、ぜひ、これだけかかるんだということを先行して出して、それは幾らか幅はあると思いますけれども、その幅は幅としてあったにしても、ぎりぎり、これからの教育にこのぐらいのお金がかかるんだと。当然ですからね、かかるのは。そのことについてはもう不安定化しない、確固として見通しを立てるということをぜひやっていただきたいということを申し上げて、終わります。

遠藤委員長 次回は、来る十四日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十七分散会


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