衆議院

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第15号 平成18年4月21日(金曜日)

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平成十八年四月二十一日(金曜日)

    午前九時三十一分開議

 出席委員

   委員長 遠藤 乙彦君

   理事 小渕 優子君 理事 大前 繁雄君

   理事 小島 敏男君 理事 西村 明宏君

   理事 松浪健四郎君 理事 藤村  修君

   理事 牧  義夫君 理事 池坊 保子君

      秋葉 賢也君    井脇ノブ子君

      飯島 夕雁君    小川 友一君

      岡下 信子君    加藤 紘一君

      川条 志嘉君    倉田 雅年君

      近藤 基彦君    佐藤  錬君

      坂本 剛二君    鈴木 俊一君

      永岡 桂子君    丹羽 秀樹君

      西本 勝子君    萩生田光一君

      福田 峰之君    藤田 幹雄君

      馬渡 龍治君    山本ともひろ君

      吉野 正芳君    奥村 展三君

      末松 義規君    田中眞紀子君

      高井 美穂君    松本 大輔君

      山口  壯君    横山 北斗君

      笠  浩史君    西  博義君

      石井 郁子君    保坂 展人君

    …………………………………

   文部科学大臣       小坂 憲次君

   文部科学副大臣      馳   浩君

   厚生労働副大臣      中野  清君

   文部科学大臣政務官    吉野 正芳君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          田中壮一郎君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          銭谷 眞美君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        素川 富司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           白石 順一君

   文部科学委員会専門員   井上 茂男君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十一日

 辞任         補欠選任

  飯島 夕雁君     丹羽 秀樹君

  岡下 信子君     倉田 雅年君

  佐藤  錬君     萩生田光一君

同日

 辞任         補欠選任

  倉田 雅年君     岡下 信子君

  丹羽 秀樹君     飯島 夕雁君

  萩生田光一君     佐藤  錬君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律案(内閣提出第五八号)


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     ――――◇―――――

遠藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律案及びこれに対する高井美穂君外一名提出の修正案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省生涯学習政策局長田中壮一郎君、初等中等教育局長銭谷眞美君、スポーツ・青少年局長素川富司君及び厚生労働省大臣官房審議官白石順一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡下信子さん。

岡下委員 おはようございます。しばらくぶりに質問席に立たせていただきましたので、小坂大臣、ひとつよろしくお願いいたします。

 就学前の子供に関する教育、保育の総合的な提供を推進しようとするこの法案は、急速に進む少子化に対応して家庭や地域を取り巻く環境の変化に伴い、子育て支援にも柔軟に対応しようとするものであることは十分理解できるし、幼稚園と保育所が一体的に設置される認定こども園なる制度を設けることは、就学前の子供が健やかな育ちを確保するため工夫された法案であるとの認識もいたしております。今日、女性の社会参加が急増し、家庭での教育や保育も十分に満たすことがままならないのが現状ですが、教育と保育を一体的に提供してもらえるならば、保護者は安心して働ける条件が整い、子育て支援を享受できるならば、第二子、第三子を産み育てる希望が持てるというふうになる。そういう意味で、少子化対策にも十分資するものと考えております。

 そこで、幼児期における教育、保育、子育て支援に対する基本的な考え方をお聞かせいただきたいと思います。文科省と厚労省にお答えいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

小坂国務大臣 ありがとうございます。岡下委員には、文部科学行政、いつも大変御熱心にお取り組みをいただいていることを感謝しております。

 御質問賜りました幼児期における教育、保育、これについて基本的にどのように考えているのかということでございますが、まさに、日本のことわざ、三つ子の魂百まで、そのとおりでございまして、人間も動物でございます。動物というのは、生まれてから幼児期と言われるような時期に、その人生全体を通じての生きる力を培っていく大変重要な時期だと思っております。そういった意味で、幼児期における教育、保育というものが、その人の人生を左右するような、そういった影響を与える時期でございますから、国としても、そして地域、家庭、学校、あるいは幼稚園、保育園、こういう機関と地域と家庭が連携をしながら、幼児期においては特に家庭がその基本的な場でありますけれども、第一義的な責任は保護者が負うということになってまいりますけれども、それを地域、社会全体で支援をしていくという体制が必要であろうと考えております。

 そういった意味で、教育、保育の充実を図ることが必要でございますから、幼稚園、保育園がそれぞれの役割に従って機能を発揮していくこと。また同時に、子育てに対して今日的な大きな課題は、保護者であるお父さん、お母さんが働く環境というものについても、家庭を取り巻く環境というものについても、働き方というものについて、やはり見直しを行っていくことが必要なんではないかというふうに考えております。また同時に、地域の子育て支援という機能を充実してお母さんやお父さんを応援してあげなきゃいけない。

 そういった意味のことを踏まえて、そういった基本的な考えに立って、厚生労働省を初め関係各省と連携をしながら、文部科学省としても、幼児期における教育、保育の問題に真剣に取り組んでまいりたいと考えております。

白石政府参考人 大臣のお答えに何らつけ加える点はございません。全く同じ考えでございます。厚生労働省といたしましても、保育所における教育、保育の充実、あるいは働き方の見直しという御指摘もございました、それから地域の子育ての支援、こういう点について、文部科学省を初め関係省庁と連携をして取り組んでまいりたいと考えております。

岡下委員 ありがとうございます。

 そうするならば、認定こども園は地域の実情に応じてできるだけ広まってほしいものと考えております。そのためには、幼稚園や保育所の設置者に、認定こども園になるメリットをお示しするというか、こういうメリットがあるんだよというふうなお示しをする必要があると思いますけれども、それはどのように対応していただくのでしょうか。

馳副大臣 認定こども園となることによっての施設にとってのメリットをお示しすることは大変重要なことと考えております。以下のようなメリットが六点あるということをまず申し上げさせていただきます。

 一つ目は、認定こども園の名称は認定を受けた施設のみ使用できることとすることにより、教育、保育機能及び子育て支援機能が確保された施設である旨を地域住民に対して示すことができるということ。

 二点目は、幼稚園と保育所とが一体的に設置されている施設について、学校法人が単独で運営する場合は、保育所部分については、保育所の運営費補助に加え、新たに施設整備費が補助され、社会福祉法人が単独で運営する場合は、幼稚園部分については、幼稚園の運営費及び施設整備費が補助されるということ。

 三点目は、認定こども園として幼稚園と保育所とが一体的に設置される場合には、幼稚園または保育所の認可定員の引き下げ等の基準の弾力化を図ることとしており、幼稚園、保育所の双方の認可を有するこうした一体化施設の運営を行いやすくなること。

 四点目は、幼稚園型にとっては、子育て支援の充実や適切な基準のもとにおける長時間保育の実施を地域住民に対して示すことができるということ。

 五点目は、保育所型にとっては、直接契約となることでより多様な保育サービスを提供できるようになること。

 六点目は、少子化が進行している地域における公立幼稚園、公立保育所の統合を容易にし、運営の効率化を図ることができるということ。

 こういったメリットをしっかりと周知し、制度の普及を図っていく必要があると考えております。

岡下委員 ありがとうございます。

 実は、私は、この質問をするに当たって、現場の設置者の御意見も聞いてまいりました。メリットはたくさんあるということも、まだそう詳しくは知っていないみたいなんですけれども、問題点がございます。それは、現場の設置者は、幼稚園のみの設置者、あるいは保育所だけ、それから幼保一貫の保育園をやっている、その三者から伺ってまいりましたけれども、この法案に原則は賛成でございます。

 しかし、懸念される点が何点かございまして、そのことをちょっとお伺いしたいんですが、まず第一に、認定こども園を構成する保育所では直接契約が導入されます。そして、自由に保育料が設定できるために、園児確保に有利な大規模保育所が中心になり、そして地域に根差した小規模保育所が淘汰されて、きめ細やかな保育ができなくなるのではないだろうかという、第一番がその懸念でございますが、それについてはどのように歯どめをかけていただけるのでしょうか。お答えいただきたいと思います。

白石政府参考人 認定こども園となります保育所について、確かに、家庭や地域とのつながりを保ちながら運営するということが、子供さんの健やかな育ちという点では重要でございまして、御指摘のように、今回認定を受けます保育所が出た場合には、その保育料は施設が定めることになります。

 法律案文上は、保育サービスの提供コストを勘案して定めるということになっておりまして、園児獲得を目的として、例えば、コストを無視した過度に低い保育料を定めたりというふうなことになりますと、それは市町村による変更命令の対象となり得るものと考えております。

 もう一つ、認定こども園になります保育所の運営費負担金につきましては、一般の保育所同様に、お子さん一人当たりの補助単価というのを設定するわけでございますけれども、小規模な保育所、二十人からでございますけれども、ほど高く設定をするという形を一律にやりますので、規模が小さくとも適切な保育が行えるようにという配慮は行ってまいりたいと考えております。

 ちょっとつけ加えますと、保護者によります保育所の選択というのは、利用料金というものだけではなくて、保育の内容とか自宅からの距離など、いろいろ判断の材料があると思います。いずれにしても、地域に根差した保育所の運営の確保に今後とも努めてまいろうと考えております。

岡下委員 二点目でございますけれども、所管が文科省と厚労省の両者にまたがることから、内部の組織が大変複雑でございます。そして、補助金の申請とか種々問い合わせをするのに、もう少し簡素化できないものだろうか、そういう御意見が三者三様にございました。そのことについては、各省はどのように対応していかれるのでしょうか。

銭谷政府参考人 認定こども園制度の四つの施設類型のうち、いわゆる幼保連携型、幼稚園型、保育所型につきましては、それぞれ現行の幼稚園に対する私学助成や保育所に対する運営費負担金などの補助制度を活用する仕組みとなっております。

 これは、現行の幼稚園と保育所と同様の補助制度でございまして、必ずしも複雑なものとは考えていないわけでございますが、事務の執行については、いろいろと私ども工夫をしていく必要があると思っております。

 例えば、国におきましては、文部科学省と厚生労働省の両省において、幼保連携推進室を設置して協力して事務を行う、あるいは、地方公共団体におきましては、法律案の中にも連携協力義務を規定しているわけでございますけれども、補助金の申請窓口の一本化の実現の促進を図る、さらに、申請手続等につきましても、見直すべきは見直して事務の簡素化に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

岡下委員 今のお答えは、厚生省と文科省に同じような事務局を設置するということで、どちらに聞いても同じお答えが返ってくるというふうに理解してよろしいでしょうか。

銭谷政府参考人 そのように御理解いただいて結構でございます。

岡下委員 第三番目でございますけれども、認定こども園の実施に当たっては、国は、都道府県が適切な指導監督体制をとるように促すとともに、責任を持って実施状況についてしっかりと適切なフォローアップをしてもらいたいということでございます。

 これまでは、最初は見ていただいているんだけれども、だんだんと時がたつにつれて監督が行き届かなくなってくる、そういうことは大変困るんだということを懸念されておりますが、それについてはどのように……。

白石政府参考人 認定こども園におきます指導監督のお尋ねでございます。

 認定あるいは認定の取り消しを行います都道府県知事が、認定こども園の運営状況を的確に把握することがまず第一でございますので、その設置者に対しまして、毎年の報告義務を課すということを考えております。さらに、都道府県知事は、設置者に対して、必要に応じて運営に関する報告を求めることができるということにいたしまして、都道府県によります適切な指導監督が可能な仕組みをとっておると考えておりますが、さらに、文部科学、厚生労働両省によります指導もきちんと行いまして、その適切な運営に努めてまいりたいと思っております。

 また、今回の制度は、就学前の教育、保育にかかわる新たな仕組みであるということを踏まえまして、特に、実施後の状況についてはよく把握をして、さらに検証していかなければなりません。私どもにとっても初めてのことでございますので、両省に、先ほど局長の方から御答弁申し上げましたように、幼保連携推進室を設けまして、緊密な連携をとり、自治体の関係者あるいはそれぞれの施設の設置主体等々との協力も得ながら、適切な対応に努めてまいりたいと考えております。

岡下委員 今のお答えを伺いまして、設置者が安心してといいますか、認定こども園に早くできるような、そういう手だてを今考えていてくださると思うんですけれども、ぜひともこの懸念を払拭するような制度にしていただきたいと希望しておきます。

 それから、次は、これは私案でございますが、平成十四年の十一月に自民党に食育調査会が設置されたそのとき以来、人間力の根本である食育が我が国の未来にとって重要な課題になるとの認識のもとに、真剣に私は取り組んでまいりました。平成十五年に政策提言をいたしまして、六月の骨太の方針に組み込まれて、平成十七年七月に食育基本法の成立を見ました。我が国の未来を担う子供たちが健全な食生活を実践し、生涯にわたって健全な心身と豊かな人間性をはぐくんでいくための食育推進運動をこれから展開していくことになりました。

 食育は、体だけではなくて心も育てます。毎日食べるものへの感謝の気持ちや、食事前後のあいさつ、正しいはしの使い方など、日本の食文化を伝えていくものでもあります。近年、生活時間の多様化等とも相まって、家族や友人たちと楽しく食卓を取り囲む機会がだんだん少なくなりつつあります。心豊かに生活していく上では、できるだけこのような機会を持つよう心がけることも大切であります。

 そこで、文科省が家庭教育支援に重きを置いて、「早寝早起き朝ごはん」を提唱するのであるならば、私の提案を聞いていただきたいと思います。

 それは、少子化が進む現在、兄弟姉妹の触れ合いがない子供が多くなっていると思います。認定こども園では、幼稚園児、保育園児に、完全給食は無理としても、せめて週に一、二回でも、ともに食卓に着く機会を設けてはいかがなものでしょうか。そして、こうしたことによって、年長の子は小さい子を思いやり、そしていたわって世話をします。また、小さい子供は、お兄さん、お姉さんと触れ合う場を得て、家庭では味わえない楽しさや喜びを実感することによって、家庭へのよき波及効果をもたらすことも期待できるのではないかと思います。

 しかし、幼稚園には給食の設備がございません。また、保育所においては、調理室の設置義務を廃止すべきではないかという声さえ多く聞かれるようになっております。こうした状況を踏まえれば、食育基本法ができたにもかかわらず、就学前の子供に対する食の問題は、安易な規制緩和論にのみ込まれようとさえしております。

 食育の重要性にかんがみ、認定こども園においては調理室の設置を求めるべきではないでしょうか。せめて離乳食等の対応が必要な低年齢児については、温かくきめ細やかな給食が提供できるよう調理室の設置を義務づけるべきではないでしょうか。このことについてお伺いいたします。

白石政府参考人 若干長くなりますが、先月末にまとまりました総合施設モデル事業評価委員会におきまして、どのような議論があったかということを紹介させていただきます。

 今先生御指摘のように、乳幼児の食事につきましてはきめ細やかな対応を図り、食育を推進する観点から、調理室についてはその設置が望ましい、全く先生と同じ御指摘をちょうだいしております。また、その一方で、既存施設が総合施設になる場合には、調理室を整備することは困難な場合もあるということが実態としてあることから、モデル事業を実施した施設の中には外部搬入による給食というふうなことをやっているところもあった、しかし、そういう中の一部においては子供の年齢に応じた給食の提供等の面できめ細やかな対応が行われていないという状況も懸念があったということもあり、子供の育ちに悪影響がないような十分な配慮が望まれるとされております。

 したがいまして、仮に外部搬入をとるというふうに認める場合であっても、調理機能、栄養面、衛生面、個々の子供の年齢、発達、健康状態に応じた対応につきまして、一定の条件がやはり課せられるべきであるというふうな御指摘がございます。

 これを踏まえまして、文部科学、厚生労働省で検討いたしまして、認定こども園における食事はやはり子供さんの発育、発達に欠くことのできない重要なものだという認識のもとで、離乳食であるとか、あるいはアレルギーをお持ちのお子さんの食事など、子供さん一人一人の状況に応じたきめ細やかな対応はやはりできなければいけない。それから、楽しい家庭的な雰囲気の中でおいしく食事ができるということも大事だということから、基本的に調理室の設置は望ましいんだ。

 とりわけ〇―二歳につきましては、三歳から五歳児に比べまして今申し上げましたような離乳食などよりきめ細やかな対応が必要だということ、それから体調が変化しやすいというふうなことを考えますると、小さいお子さん、〇―二歳の給食については、外部搬入を認めることは適当ではないというふうに考えております。

 その一方で、三―五歳につきましても、今のような原則は踏まえつつも、食物アレルギーをお持ちのお子さん、体調不良のお子さんへの適切な対応を行うこと、あるいは給食の外注にすべてをゆだねてしまうのではなくて、自分のところで例えば刻み食をするとか配ぜんをするとか、何か主体的に施設がかかわることで、そういう食事に関するいろいろな取り組みができるような仕組みを整備すること、それから、当然のことながら、衛生面の対応がちゃんとできるというふうな、ある程度一定の条件を付した上で給食の外部搬入を認める場合もある、大体そのような形で今両省では話し合っておるところでございます。

岡下委員 なるべくそのような方向で、一日一回でもいいからみんなで食卓を囲む、保育園でそういう機会を与えてほしいと切にお願いをしておきます。

 私たち、先日、文科委員の先生方とある保育園を視察いたしました。これは、地域と保護者と保育園が一体となって教育、保育を行っている、そういう園を視察してまいりました。大人に見守られながら伸び伸びと生活している園児の姿にほとんどの先生は感銘したことと思います。この園は完全給食で、ちょうどお昼どきでございまして、ほのかに給食のにおいが漂っておりました。これは非常に理想的な保育園でありますが、認定こども園もこのようになってほしいなという思いを抱いて帰ってまいりました。

 私の質問はもうこれで終わりなんですけれども、新しい制度ができて、そして運用していくには、それに伴って必ず費用も今よりもかかると思います。真剣に一貫した教育、保育を考えるのならば、最初が肝心だと思いますので、文科、厚労省には、我が国の将来を切り開く子供の健やかな育ちをしっかりと支えていくために、両省一致協力して思い切った施策を講じていってもらいたいと要望をしております。

 ひとつ大臣に食育の観点についてお伺いをさせていただいて、私の質問を終わります。

小坂国務大臣 岡下委員にもお取り組みをいただいております食育は、児童生徒の発達にとって、それから生活のリズムを正す面においても、そして地域文化の継承、また地産地消の観点から地域の農業に対する理解を促進し、また農業の発展に資するという観点からも、非常に幅広い、有意義な取り組みになると考えておりまして、幼稚園、保育園の取り組みの中からも、幼児期においてもそういった食育の観点からこの運動を進めていくこと、そして生活のリズムのしっかりとしたものを培っていくこと、これは非常に重要だと考えて、国民運動として「早寝早起き朝ごはん」、そういう中から生活のリズムを正した、規則正しい生活の中で力強い体力も充実した日本人の育成に努めていく、そんな観点からも取り組んでまいりたいと存じます。

岡下委員 お時間がちょっと早いですけれども、これで質問を終わらせていただきます。

 さまざまな種々の質問に御丁寧にお答えいただきまして、ありがとうございました。

遠藤委員長 山本ともひろ君。

山本(と)委員 おはようございます。自由民主党の山本ともひろです。

 きょうは、いわゆる認定こども園ということに関しまして、大臣を初め副大臣、政府参考人の方々に幾つか御意見をちょうだいいたしたいと思っております。

 まず第一に、この認定こども園ということに対してさまざまな議論が今までもあったと思うんですが、認定こども園というのは、では、一体何なんだろうかと私なりの認識を述べさせていただきますので、それに対して大臣から、それはどうも違うんじゃないか、あるいはそういう認識で正しいですとか、そういうようなお答えをちょうだいいたしたいと思います。それとまた、私の疑問に対してもお答えいただきたいなと思っております。

 この認定こども園でありますが、今まで言われていた、いわゆる幼保一元化という議論から始まっているんだと思います。聞くところによりますと、この幼保一元化の議論は実は大正末期からあると。私はその大正末期の議論というのはつぶさにはわからないんですが、今の議論からいきますと、これは私の認識ではありますが、幼稚園と保育所というものがある、それぞれ別の組織であり、また、目的も違ったり、受け入れる対象年齢も違う、保育をやったり幼児教育をやったりと。

 ただ、一般的に解釈をする、あるいは、語弊があるかもしれませんが、誤解を招いているところは、小さいお子さんを預かって教育をする場だから基本的に一緒じゃないかというような認識をされている人もいる。

 そういった中で、この幼保一元化というのは、保育あるいは幼児教育、そういったものを一貫して同じ場所で受け入れられるのであれば、子供たちの負担も軽減されるでしょうし、また、預ける親、保護者もそういった一貫したサービスがあれば便利だろうということで、そういう施設も必要じゃないかという議論から、こういった認定こども園なるものが出てきたんだと思っております。

 今政府がお考えである認定こども園というものは、従来ある幼稚園と保育所のそれぞれいいところをあわせて、そして総合的に保育であり幼児教育を提供しようというような、従来ある幼稚園と保育所をグレードアップ、レベルアップ、パワーアップさせたような施設なんだろうと私は私なりに理解をしておるところであります。

 この議論の中で、私も文部科学委員という立場としていろんな人とお話をするんですが、そこでやや大きな誤解といいますか、そういったものを少し感じるんです。それは何かといいますと、従来ある幼稚園と保育所が、認定こども園ができることによって、近い将来、あるいは遠い将来でも構わないんですが、保育所と幼稚園が全部なくなってしまって、日本じゅうが認定こども園になってしまうんじゃないかというような話も聞くんです。

 私は、いや、それは違うでしょうと。もともと保育所と幼稚園というものがあって、それはその地域独自のニーズがあったり、あるいは目的が違ったり、そういった中ですべてが認定こども園になるというのは、私はあり得ないと思いますし、それは親のニーズにも合わないでしょうし、子供のためにもそれは合わないと思っているんです。ですから、いや、それは違うと思いますと私はいろんな人と議論をするときに話をしているんです。

 以上、まず、私の認定こども園についての、保育所と幼稚園、いいところをとって、よりよいものをつくるんだという認識、それと、世の中の保育所、幼稚園がすべてなくなって認定こども園になってしまうんじゃないかという疑問に対して、大臣、御答弁よろしくお願いいたします。

小坂国務大臣 山本委員の御指摘の正しい、正しくないという観点もそうでございますけれども、まずもって幼稚園があり、保育園があり、それぞれがそれぞれの機能を発揮しているということについて御認識をいただいていることは、非常に正しいことだと思うわけです。

 また同時に、幼保一元化という議論の中からこの認定こども園が出てきたかといえば、ある意味ではその部分もありますが、もう一つは、待機児童というものがあって、保育所に通いたいけれども行けない、そういった待機児童の解消ということも頭に置いていろいろ考えた中から、この認定こども園はそういった面からも出てきているということで、単に一つの話ではないということ。

 それから、委員が御指摘のとおり、幼稚園、保育園にかわる第三の類型としての認定こども園というものが出てきた、これも違うという御認識は正しいと思うわけでございます。幼稚園は、幼児に対する幼児期の教育を担当する機関として設立をされましたし、保育所は、本来家庭でなされるべき保育が、保育に欠けるという形でそういった環境が提供できない家庭に対して、それにかわって幼児の保育を行う場所として保育所というものが出てきたわけでございます。

 しかし、今日的な要請としては、保育所においても幼児期の教育的な機能を持ってほしい、また幼稚園に対しても、近くに保育所がない場合には、そういった保育に欠ける子供たちも預かってほしいというニーズが出てきている。これらに着目をした上で、また、親の働き方というものの多様化が出てきて、例えばパートに勤めていらっしゃるお母さんがいらっしゃるとして、パートに勤めていらっしゃる間は保育に欠けるという状態になりますので、その間は保育所に通うべきということになりますが、パートをやめて家庭に戻られたときには、その保育所を引き払って、今度は幼稚園に入れなきゃならないという状態になる。しかし、また働き始めると、再度、今度は保育所に預けなきゃいけないという状況になる。同じお子さんを保育所に通わせたり幼稚園に通わせたり、また戻るというようなことになりますと、非常に安定しないという弊害も出てくるでしょう。

 そういったことから、この認定こども園制度は、その地域に幼稚園があるけれども保育所がない、しかし待機児童がいらっしゃって、できればその幼稚園でちゃんと預かれるようにしてほしい、そういう制度的な裏打ちは何かできないのかという御要請、あるいは保育所に対して、保育に欠けない、すなわち働いてはいないけれども自分の子育てを支援してほしい、そういう意味で、保育所であるいは幼稚園でこれを支援してもらえないか、あるいは保育所に対して、保育に欠けない、すなわち働いてはいないけれども通わせてもらえないだろうかといった御要請、こういったものに対応するために、そういった地域のそれぞれのニーズに合った形で認定を行って、そして保育所機能をあわせ持つような形の中で認定をし、幼稚園型の認定こども園にする。あるいは、両方の人数がそれなりに充実して、保育所と幼稚園両方の認可を持っているので、いわゆる併設をされた連携型のものになる。あるいは、保育所が保育に欠けないお子さんを預かって、そして幼稚園にかわる機能を有した保育所として認定を受けて、保育所型の認定こども園になる。あるいは、両方とも認可は取得できていないけれども、地域型の認定こども園になるといった類型をつくって、それぞれの地域に応じた選択をしていただいて、その幅広い選択肢を皆さんに提供することによってそれぞれの地域ニーズにこたえていこうということで、この制度を導入させていただいた。

 したがって、将来、それではこれは全部そういうふうになるのかといったら、やはりそれぞれの機能がありますし、その機能に対する要求というものもそれぞれの地域にあるわけでございますので、それぞれの地域に合った形でそれぞれが存続するということを否定いたしませんから、当然そういった、全部が一つの方向に向かうというものでもないことを御理解賜りたいと思っております。

山本(と)委員 ありがとうございます。

 従来ある保育所も幼稚園もなくなるわけではなくて、新たに認定こども園という選択肢がふえる。そういった意味合いでは、子供もそういった保育や幼児教育を一貫して受けられる、サービスを受けられる環境が整う。あるいは、保護者、親も、安心して子供を預けるという場所、園という選択肢が広がるという意味合いでは、私はこの認定こども園というのは極めていい制度だと理解をしております。

 ただ、我々自身も、この議論、審議をする際に注意しなければいけないなと思うのは、こういった議論の際に、従来ある幼稚園の利益になる、あるいは保育所の利益になる、または文部科学省の省益になる、あるいは厚労省の省益になるというようなことではなくて、一番大事なことは、やはり園に通う子供たちが楽しくて、安心して、そういった保育であったり幼児教育を受けられる、そして親も安心してそこに子供を預けてそういったサービスを受けられるということを我々はしっかりと認識して、この審議、議論をしていかなければいけないなと思っております。

 次の質問でございますが、今大臣がおっしゃいました待機児童を減らすことが極めて大事であるということは、私も大賛成であります。

 そういった意味合いでは、確かに地域ごとに、例えばAという地域に幾つか幼稚園があった、しかし、その地域にはもともと保育所に通うようなニーズが、理由はどうあれ、その地域にはなかったというところには、改めて認定こども園をつくったとしても、そもそもその地域にはニーズがないわけですから、施設投資をして新たな保育所を呼んできて、その幼稚園が認定こども園になったとしても、全くニーズもありませんし、そのサービスを提供する意味もありませんから、そういった地域は当然、幼稚園が幾つもあったとしても、その地域は多分変わらないんだと思います。

 そういったケースはまた別として、そういった認定こども園というニーズがある地域に保育所なりあるいは幼稚園が認定こども園の認定を受けて新たにできた。その際に、保育に欠ける子供たち、いわゆる親が共働きであって家で子供を面倒を見る、保育することができない、保育に欠ける子供たちは認定こども園に入っていきます。従来の保育所でも入っていきます。ただ、従来の保育所と認定こども園がどこが違うのかといえば、大臣の御答弁にもありましたが、保育に欠けない子供たちも認定こども園には入れる。つまり、保育に欠けない子供たちというのは、お父さんなりあるいはお母さんなりが家にいて子供と接することもできる、保育をできる家庭環境にある、そういった子供たちが認定こども園にも入れる。

 ここで、私は、先ほどと同じですが、いろんな人とお話をしている際に、これも一つ大きな誤解を生んでいるなと思うことがあるんです。

 それはどういったことかといいますと、この保育に欠けない子供たち、要するに、家で両親どちらかが面倒を見られる、そういった保育に欠けない子供たちが認定こども園に入った際に、普通の今まであった保育所のように、毎日こども園に子供が通園するというような認識を持っている人たちが結構いらっしゃる。私は、いや、それはちょっと違うんじゃないんですかと。家でちゃんとお父さんでもお母さんでも子供の面倒を見られる、保育ができる家庭環境にある場合に、毎日認定こども園に子供を預けてしまうというのは、これは私見ではありますが、それは親の保育の放棄と私は思うんです。ですから、保育に欠けない子供が毎日認定こども園に通園するということは私は適切ではないと思います。週に数日、大臣もおっしゃったように、親もいろんな労働環境があります、月水金だけパートに行っているとか。ですから、保育に欠けない子供たちというのは、毎日通園するんじゃなくて、適宜、週二回なり三回なり通園するんだろうというふうに話をしているんですが。

 この認定こども園、今のところ、政府としては、保育に欠けない子供を毎日通園させるという考えはあるんでしょうか。

馳副大臣 年齢によっての区分ということをぜひ御理解いただきたいと思います。

 認定こども園は、三歳児から五歳児にかけては、保育に欠ける欠けないを問わず、一体的に教育と保育に関するサービスを提供する、プラス子育て支援機能も有する。ところが、〇歳児から二歳児については、山本委員おっしゃるように、これは保護者がいるわけですから、愛情たっぷりに御家庭においてしっかりとお育ていただきたい。つまり、恒常的に長時間認定こども園で預かるということは想定しておりません。

 ただ、しかしながら、そういった〇歳児から二歳児のお子さんをお持ちの保護者に対しても、やはり子育ての不安というものは当然お持ちですから、そういった子育てに関する相談を受け入れたり、親子集いの広場というような形で、そういう事業を展開して、親子がともに認定こども園に行って子育てについて理解を深める、知らないことを知る、あるいは不安を取り除く、そういった機能は当然認定こども園の機能として必須の要件にしているわけでありますから、保育に欠けない子供も恒常的に長時間受け入れるというわけではありませんということは御理解いただきたいと思います。

山本(と)委員 馳副大臣、ありがとうございます。

 私も全く同感でありまして、保育に欠けない子供たちが、長時間、毎日恒常的にこども園に通うということであれば、それは子供にとっても親にとってもいい環境とは全く言えないと私は思いますので、保護者にしても、いろいろな心配があるからこども園に行って同じ保護者同士で話をして悩みを解決する、あるいは小さな子供たちも、同じ背格好の子供たちと接する機会がふえるということは大変いいことだと私は思いますので、そういった制度でこの認定こども園が運営されていくことを強く望みたいと思います。

 さて、次の質問でございますが、新たに認定こども園というものをつくりますと、従来ある保育所と幼稚園の職員の配置基準というものが、では、一体新たな認定こども園ではどういった形になるんだろうか。

 保育所であれば、〇歳児は三人に一人の職員が当たる、一―二歳児は六人に一人が当たる、三歳児は二十人に一人が当たる、四―五歳児には三十人に一人が当たる。幼稚園であれば、三十五人以下の一クラスに一人の職員が当たる。それで子供たちをケアしていく、サポートしていく。

 それで、この認定こども園では、〇―二歳児までは保育所と同じような形態をとる。これは私は重要なことだと思います。認定こども園になったからといって、そのサポート力が落ちても困りますし、これはぜひ維持をしていただきたいと思います。

 一方で、三歳から五歳の子供たちは学級単位で職員を配置するということになっておりますが、そういうことでありますと、従来の保育所の、三歳であれば二十人に一人、四―五歳児であれば三十人に一人という基準と少し変わってしまうのかな、そういった場合、子供たちはどういったケアを受けるんだろうか、サポートを受けるんだろうか、少し手薄くなってしまうんじゃないだろうかというような疑問を抱くわけですが、そのあたりはいかがでしょうか。

銭谷政府参考人 認定こども園における教育、保育に従事をする職員の配置につきましては、ことし三月に出されました総合施設モデル事業評価委員会の最終まとめを踏まえまして、文部科学大臣と厚生労働大臣が協議をして定める国の指針において規定することといたしております。

 ただいま先生からお話がございましたように、具体的には、〇歳から二歳の子供については、保育所と同様の職員配置とすることといたしております。また、三歳から五歳の子供につきましては、まず学級を単位として、学級ごとに職員を配置します。そして、長時間利用児につきましては、保育所と同様の職員を確保して、個別対応が可能な体制とするということを考えているところでございます。

山本(と)委員 ありがとうございます。

 従来の保育所である、〇歳児であれば三人に一人、一、二歳児であれば六人に一人を堅持する、維持するというお答えで、また、他の年齢においても状況によって個別にしっかりと対応していただけるということですので、ぜひそのところは、これからも審議があるとは思いますが、しっかりと堅持をしていただきたいなと思います。

 次に、認定こども園の入園を内定する時期に関してお伺いしたいんですが、認定こども園の入園の内定時期が大体秋ごろを予定されている。これは、従来の幼稚園も秋に内定をしている。一方で、従来の保育所は春に内定を行う。ということは、従来の保育所と幼稚園は、そもそも対象年齢が違いますから、秋に内定をする、春に内定を出す、これは特に問題はないと思うんです。ただ、認定こども園は、保育所の年齢も幼稚園の年齢も全部引き受けるわけですから、認定こども園が秋に内定を出してしまえば、従来の保育所は春に内定を出すわけですから、これは事実上の、認定こども園がその対象年齢の子供たちを囲い込みをしてしまうんじゃないかと。

 私が学生のころにも、就職協定が話題になっていました。企業としても、優秀な人材を先に内定を出して囲い込む、これと同じようなたぐいの話が起きないだろうかというような不安を感じるんですが、そのあたりはいかがでしょうか。

白石政府参考人 御指摘のように、認定こども園の認定を受けた保育所の場合、その利用について、直接契約となりますと、一般の幼稚園と同様に、やはり秋口から翌年四月の入所児童の決定をするという傾向になっていくというふうに考えられます。

 この場合、通常の認可保育所よりも、御指摘のように、入所児童の決定時期が早くなるわけでございますけれども、利用者の方から見ますると、入所決定時期だけではなくて、保育の内容とか自宅からの距離とか、いろいろな要素で利用施設の選択を行いますし、また、認定こども園の入園が先に決まっていても、ほかに希望する通常の認可保育所への入園が決まれば、辞退をして、そちらの別の認可保育所の方に行くということも可能であるということでございますので、認定こども園になっていない通常の保育所の方が、先に囲い込まれて著しく不利になるということはないだろうなというふうには一応考えてはおります。

 なお、早期の入所決定ということは、育児休業から職場に復帰する時期の見通しが立ちやすいので、それは助かるなと。ぎりぎり三月まで入所がどこになるか決まらないよりは、早く決まりたい、早く安心したいということで、先に、若干遠くても認定こども園の方に手を挙げて、そちらに先に行くというふうなことも御指摘のとおりあろうかと思います。

 したがいまして、私どもとしては、今回の認定こども園の制度化を契機に、そういう認定こども園が近隣にあるような一般の保育所につきましても、入所決定の時期が可能な限り早くなった方がそろいますので、そういう方向で、各自治体の方に、認定こども園をもし置かれるような場合には、その近隣の保育所についても、三月ぎりぎりまでということではなくて、もっとなるべく早くするというふうな方向で合わせるというふうなことが行政上求められていくだろうなと思います。

 また、その一方で、年度末というのは急な転勤とかいうことがございますので、全部十月で、もう枠外に締め切って、三月になって転勤が決まって、転勤先の近所の保育所を探しても、もう全部埋まっているというわけにもまいりません。そこら辺はいろいろ自治体の方で知恵を絞らなければならないことだとは思いますけれども、御指摘のように、十月、十一月ごろに認定こども園の方が先に決まるということになれば、その地域は前倒しをするというふうな形で対応するのが望ましいと考えております。

山本(と)委員 ありがとうございます。

 明らかな不公平感が出ないように、しっかりと検討をしていただきたいと思います。

 最後に一つだけ質問をさせてください。

 先ほど、大臣も、預ける親もいろいろな悩みもあるからというような話がございましたが、こうやって幼稚園と保育所が新たに合体をして、よりよい総合的な仕組みができるというところにおきまして、では、子供はしっかりとしたサービスは受けられるでしょうけれども、そこで、何か親に対する、あるいは保護者に対する学習の機会といいますか、学びの機会といいますか、そういったカリキュラム、プログラムというのは想定をされているんでしょうか。

銭谷政府参考人 お話がございましたように、認定こども園におきましては、家庭や地域の教育力、子育て力を高める観点から、子育て支援を必須の機能といたしております。この点につきましては、総合施設のモデル事業評価委員会の最終まとめにおきましても、親の育児をただ肩がわりするのではなく、親への支援を通して親自身の子育て力の向上を積極的に支援することが必要と提言されております。この提言を踏まえまして、例えば、子育て相談、親子の集う場の開催をすることなどについて、国の指針として定めたいと思っております。

 また、保護者へのいわゆる教育プログラムということにつきましても、今文部科学省では、実は家庭教育手帳というものを乳幼児を持つ全国の親に配付をしているわけでございますけれども、こういったものの活用とか、あるいはモデル事業で幼稚園における子育て支援事業の実施などを行っておりまして、こういった成果を踏まえまして、保護者への教育プログラムのようなものについてもしっかり研究してまいりたいと思っております。

山本(と)委員 子供たちだけじゃなく、ぜひ保護者、親にも強力な支援、サポートをよろしくお願いいたします。

 本日はありがとうございました。

遠藤委員長 池坊保子さん。

池坊委員 公明党の池坊保子でございます。

 この認定こども園も長時間審議されてまいりましたから、同じ質問の繰り返しになることもあるかと思いますけれども、私もまだ不透明なところがございますので、幾つか質問していきたいと思っております。

 これは、骨太方針、二〇〇三年閣議決定の、

  近年の社会構造・就業構造の著しい変化等を踏まえ、地域において児童を総合的に育み、児童の視点に立って新しい児童育成のための体制を整備する観点から、地域のニーズに応じ、就学前の教育・保育を一体として捉えた一貫した総合施設の設置を可能とする(平成十八年度までに検討)。

  あわせて、幼稚園と保育所に関し、職員資格の併有や施設設備の共用を更に進める。

を受けてできたものだと思うんですね。ですから、まずは総合施設の一本化というのが先に進んで、内容がまだ定まっていない、不透明な部分もあるのではないかなというふうに思うんです。

 例えば、幼稚園が保育所の機能をあわせ持つ場合にも、御存じのように、今幼稚園は、もう預かり保育を六割から七割、二時、三時までいたしております。当然のごとくに、預かり保育の助成も出ております。これと、では今度新たにやるものとどういうふうに違うのか。

 ただ保育所機能をあわせ持つだけでは、当然のごとく、厚生労働省からの助成は出ませんよね。これを、きっちりと保育所機能をあわせ持つということによって、今まで幼稚園が預かり保育をしていた場合には不規則でしたね、二時でも三時でもいい、土曜日はやらないとか、夏休みはやらないとか、あるいは月決めに決めているという幼稚園もありましたが、これが完全に土曜日も夏休みもやる、あるいは五時、六時まで預かるということになっていくのかどうか。

 そうなるとしたらそれは意義があると思うのですが、それをやるとしたらさらなる私学助成ということも必要なんじゃないか。その私学助成の強化ということも必要だというふうに思いますので、ちょっとあわせて伺いたいと思います。

銭谷政府参考人 お話のございました、いわゆる預かり保育は、幼稚園の教育時間の終了後に、希望する者を対象に行う教育活動でございまして、地域の実態や保護者の多様なニーズによりまして、先生ただいまお話がございましたように、さまざまな実施形態が見られるところでございます。

 一方、いわゆる幼稚園型の認定こども園では、幼稚園の教育時間終了後、その幼稚園に在籍している子供のうち、保育に欠ける子供に対する保育を行うということになっているわけでございます。

 このため、保育に欠ける子供への適切な処遇を確保する観点から、既存の幼稚園が認定こども園に認定されるためには、預かり保育につきまして幾つかやはり要件があろうかと思います。

 一つは週六日の実施、それから教育課程による教育時間と通算をして八時間程度の実施、長期休業期間中の実施、保護者にかわる家庭的な場の確保といったようなことが要求されるわけでございまして、保育所に準じた実施形態と実施体制が求められると考えております。その意味で単なる預かり保育とは異なるものがあると考えております。

 文部省といたしましては、こういった幼稚園の預かり保育あるいは今後の長時間保育というものに対する私学助成の充実ということは大変重要なことだと認識をいたしておりまして、これまでも、預かり保育の補助単価の見直し、四時間を超える預かり保育についての単価の加算、土曜日や長期休業日における預かり保育への補助等の改善を行ってきたところでございます。

 今後とも、預かり保育に対する私学助成の充実に努めてまいりたいと思っております。

池坊委員 小坂文科大臣、御存じでいらしたでしょうか。一人の同じ子供を送迎する場合にも、保育所の送迎バスは非課税です。ところが、幼稚園の送迎バスは課税なんですね。給食も課税です。保護者から見ますと、これは何かおかしい、どうして同じ子供なのにという思いがいたします。

 これは、文科が随分財務省ともかけ合っているようですが、なかなか許可がおりない。これは、私はやはり政治家の決断なんだと思うんですね。多分小泉総理もこれをお聞きになったら、これは非課税だよとおっしゃってくださるのではないかと思いますので、これは大臣、何かこんなばかげたことが平気で通常あるということはおかしいことだと思いますので、ぜひこれに対して御意見と御決意を、これを改めるよ、絶対財務省を説得するよと言っていただきたいと思いますが、いかがでございますか。

小坂国務大臣 御指摘のように、保育所のバス、給食費というのは保育費の中に入っておりますから、そういう意味では非課税になっております。幼稚園につきましては、これを徴収して課税扱いになりますので、そういう意味では、御指摘のとおり、本来それを一緒に、同じような保育所、幼稚園、それぞれの取り組みは違いますが、やっている送迎と給食ということについては同じではないか、費用としてかかるなら同じ性質のものではないか、非課税扱いにすべきだという点については、御指摘のように、こういった制度を詰める中で財務省と非常に熱心に精力的にかけ合ってきたわけでございますが、まだ課題として残されております。

 今後、御指摘のような点も踏まえまして、これからの消費税論議、いろいろな税制の論議の中で引き続き検討課題として、私どもの立場としては、同じように非課税扱いにしてほしいということを要望して、何とか聞き入れられるように努力はいたしたいと思いますが、ぜひとも与党の皆さんの力強い御支援をいただいて、そういった中で検討を進めるようにしてまいりたい、このように思っておるところでございます。

 ただ、消費税の非課税扱いという問題につきましては、これは非常に特例的なものというのが、本来の消費税の限定的なものということでやっているわけでございますので、その限定的なという枠組みの中でどうとらえるかという点について十分な議論をしていきたい、こう思っております。

池坊委員 今回の答申の副題には、「子どもの最善の利益のために」と書かれてございまして、私はこの根本理念を大変大切に思っておりますので、子供の最善の利益を考えるならばやはりこれは非課税にすべきと思いますので、私も頑張りますが、大臣もよろしくお願いしたいと思います。

 では、保育カウンセラーについてお伺いしたいと思います。

 昨年一月の中央教育審議会答申の中に、「子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の在り方について」では、「特別な支援を必要とする幼児に対する教員等へのアドバイス、子育てに不安を抱える保護者へのカウンセリングなどに関し、地方公共団体等が教員と保護者を支援する「保育カウンセラー」を導入し、活用しやすくなるような方策を検討する必要がある。」と提言されております。

 スクールカウンセラーは、私ども公明党が提案いたしまして、今、全中学校に必ず配置されておりますし、カウンセラーが十分に配置されている学校は不登校児も減っているというような実証もございます。

 今、障害を持ったお子様方も多くなっておりますが、障害によっては、一刻も早くと言われているぐらい、早い段階から発見し、そして治療したならば、本当に大幅に改善するというお子様方もいらっしゃいます。

 私は、スクールカウンセラーは保育カウンセラーとなって、親と教師の細やかな連携と、そして、アドバイスをしてくださる専門性を持った方との連携ということがこれから必要になってくると思っておりますけれども、保育カウンセラーの配置ということは必要と思いますが、どういうふうに考えていられるのか。また、保育カウンセラーを考えるときにどのような人を想定していられるのか。スクールカウンセラーの場合には臨床心理士が多いですけれども、そういうことも踏まえてちょっとお伺いしたいと思います。

銭谷政府参考人 ただいま先生からお話がございましたように、中教審の答申におきましては、幼児教育を支える基盤等の強化のための方策として、保育カウンセラーの導入ということが提言をされているところでございます。

 文部科学省では、この答申を踏まえまして、平成十七年度から幼児教育支援センター事業を実施しておる中で、保育カウンセラー等の専門家から成る幼児教育サポートチームを教育委員会等に設置をいたしまして、地域の関係機関と連携を図りながら、域内の幼稚園等の教員や保護者に対して必要なアドバイスやカウンセリングを実施しているところでございます。

 まだこの事業、規模が小さいのでございますけれども、この事業における保育カウンセラーは、指定地域内の幼稚園、保育所に派遣をされているところでございますし、今後、指定地域内に認定こども園が設立されれば、同じく対象として派遣をするということを考えております。私ども、この事業はモデル事業として実施をしておりますけれども、この事業の成果を踏まえながら、広く保育カウンセラーの普及が図られるように努めてまいりたいと思っております。

 この保育カウンセラーには、やはり幼児教育に精通した、あるいは幼児の心理、あるいは親子関係とかそういうことに精通をした方が任用されるべきである、こう考えておりまして、この幼児教育支援センター事業におきましては、保育カウンセラーにつきましてはスクールカウンセラーの資格要件に準じた方にお願いをいたしております。すなわち、財団法人日本臨床心理士資格認定協会の認定に係る臨床心理士、あるいは精神科医、あるいは心理系の大学教授等の専門家の方に保育カウンセラーをお願いしているところでございます。

池坊委員 認定こども園における指導要領の進学先の小学校への送付について伺いたいと思います。

 幼稚園は小学校との連携が大変密になっておりまして、これは学校教育法施行規則でも決められておりまして、幼稚園における子供の生活習慣、あるいは集団生活が苦手だとか、ハンディを持っているお子様だとか、健康状況とか、そういうことはきちんと小学校の学校長に送付することというふうになっております。

 これは、私は大変大切なことだと思うんですね。そこの子供がぽっと小学校に入ってきてしまっても、それぞれ個性を持っておりますから、事前にその子供の個性を把握しておくと、やはり指導もしやすいんじゃないか。それから、変な誤解を招いて先生方がパニックになったり子供が負担を持つということを減らすことにもなると思いますので、私はこの連携というのをぜひこれからも続けてほしいと思いますが、これは保育所にはこういう規定はないのかどうかということと、これからもそれをなさるおつもりがないのかということと、それから、認定こども園においては引き続きこういうことを行っていくのかどうかということもあわせて伺いたいと思います。

白石政府参考人 御指摘のように、保育所におきましては、幼稚園におきます指導要録と同様な書類の作成義務というのはございません。したがって、それの小学校への送付義務ということもない、法律上求められていないというのが実情でございます。

 ただ、その一方で、義務はないものの、多くの施設におきまして、当然、氏名、住所等の児童票あるいは健康診断の記録、出席簿などの児童に関する記録はございますし、それから、指導計画、保育日誌、保育の経過記録、家庭との連絡帳あるいは行事記録などの処遇に関する記録など、幼稚園の指導要録の内容に相当する内容のさまざまな書類は作成されておりますので、本年三月の総合施設モデル事業評価委員会におきましても、その最終まとめにおきまして、就学前の教育、保育と小学校教育との円滑な接続のためには、すべての幼児につきまして、そういう子供の育ちを支えるための資料の小学校への送付ということによる連携が必要だというふうにされておりますので、私どもといたしましては、認定こども園につきましては、そういう小学校などとの積極的な情報の共有、相互理解というのは必要になるというふうに考えております。

馳副大臣 池坊先生が今御指摘いただいたことは極めて重要な問題点というふうに認識しております。

 私も、一昨年、発達障害者支援法の提案者として議論したときに、小学校一年生の担任をする先生にとっては、保育所から来たお子さんも幼稚園から来たお子さんも同じクラスで預かって対応していかなければならないとなったときに、やはり子供たちがどういう状況でどういう反応を示すのかということの情報が一元的にわかっていた方がいいに決まっているわけでありますから、今厚生労働省の方から御答弁もいただきましたけれども、できる限り、保育所から来るお子さんも幼稚園から来るお子さんも、また、今般、制度上認定こども園として、そこから来るお子さんも、同じような情報が入ってきてそれに基づいて対応ができるような、こういった連携に関しては、より一層踏み込んで議論をして、一元的に対応していけるように努力をしなければならないと考えております。

池坊委員 近々、特別支援学級も設置されるようですから、私は、保育所にありましても、今副大臣がおっしゃいましたような連携は不可欠と思いますので、ぜひしていただけたらと思います。

 教員資格のあり方についての将来的展望について伺いたいと思います。

 二〇〇三年の骨太方針の中にも、教員資格の併有というのがございました。併有というのはどういう意味なのか。有識者会議の中には、現状を御存じなくて、一本化しちゃえなどという乱暴な意見もございますけれども、現状を踏まえたとき、私はちょっとそれはまだ時期尚早というふうに思っております。

 例えば幼稚園にいたしましても、教諭の資格というのは三種類ございまして、短大を出た二種、大学を出た一種、それから修士を出た専修免許とございますし、また、保育士は国家試験というふうになっております。もし一本化するとしたら、例えば年金も、幼稚園教諭は私学共済ですし、保育士さんは厚生年金である。この年金も、いずれは一本化、将来的にはなりますけれども、それらを踏まえたとしても、まだクリアしなければならない問題はたくさんあると思うんですね、それが一点。

 認定こども園というふうになりますと、これから、〇歳から五歳までの子供を扱うから、経験等を踏まえて、新たなこういう認定こども園に適応するような教職員の免許ができるのか、新設されるのか、そういうお考えはないのか。将来的にどんなふうにこの教員資格について考えていらっしゃるかを伺いたいと思います。

銭谷政府参考人 幼稚園教諭の免許と保育士資格につきましては、満三歳からの子供を対象に一日四時間を標準とした教育を行う学校である幼稚園と、保護者の就労等の事情により保育に欠ける〇歳からの子供を対象に一日八時間の保育を行う児童福祉施設である保育所という両施設の目的、役割を踏まえたものとなっているわけでございます。ただ、現在、現職の幼稚園教諭の七割が保育士の資格を有しております。また、現職の保育所保育士の八割が幼稚園の教諭免許を有しているという状況にございます。

 そこで、現在、幼稚園教諭の免許と保育士資格の併有を促進するために、両資格の養成施設での必修単位の取得を促進したり、幼稚園教員による保育士試験受験の促進、あるいは保育士を対象とした幼稚園教員資格認定試験の創設、さらには幼稚園教諭の養成課程と保育士養成課程の見直しといったようなことを行ってきているわけでございます。

 最近卒業をされる方の併有率はさらに高まってきておりまして、もう八割前後まで来ているわけでございますけれども、ただ、認定こども園ができたから、その認定こども園のための教諭資格というのは、まだちょっと私ども考えておりませんで、基本的には、このような幼稚園教諭と保育士の両資格の違いを前提としつつ、教育、保育、双方の専門性を持って職務に従事できる職員がふえるように、両資格の併有を引き続き促進していくということが基本であるというふうに思っております。

池坊委員 私も、認定こども園のための教員免許が必要かというと、それは要らないなというふうには考えておりますけれども、幼稚園教諭と保育士の免許というのはなるべく近づけて、一緒に取れるようにするのがいいのではないかというふうに思うんですね。

 幼稚園教諭というのは三歳児からの子供を扱うわけですけれども、同じ三歳でも、限りなく二歳に近い子供もあれば、もう四歳に近い子供もある。だから、そういう意味では、同じ子供を扱うという点において、余り幼稚園教諭と保育士との区別というのはないんじゃないか、同じようなことを学ばなければならないのではないかと考えておりますので、その辺はよく文部科学省と厚生労働省が研究をして、そういう方向に持っていっていただけたらというふうに思います。

 認定こども園に対する外部評価システムの導入について伺いたいんですね。

 今、保育所では第三者評価というのを行っております。中学、高校も外部評価の導入というのを進めていると思います。答申には、地域との連携ということを随分書かれておりまして、認定こども園は地域との連携が必要なんだ。地域との連携を必要とするならば、やはり地域の方々とそれから認定こども園で働いていらっしゃる方、また保護者も取り込んだ外部評価というものが必要かなというふうに思います。

 そうすることによって、子供の視点に立った評価と改善を行い、質の向上を図ることができるとともに、地域との連携を、やはり情報公開いたしますと、地域の方々が認定こども園の存在をより身近に知って、ああ、こういうことをやっているのかという親近感を持つこともあると思いますね。そういうことも考えまして、何らかの形での、評価といかないまでも外部とのパイプというのは必要と思いますので、その辺についてちょっと伺いたいと思います。

銭谷政府参考人 幼稚園を含みます学校がみずからの教育活動の評価を行ったり、保護者や地域の方にその活動の状況をお知らせしたりする、こういうことは非常に大事なことだと思っております。

 平成十六年度で見ますと、幼稚園では、いわゆる教職員が行う自己評価を実施している割合は、公立幼稚園で八一・五%でございます。ただ、保護者の方とか地域住民の方が行ういわゆる外部評価を実施した公立幼稚園は四四・八%ということで、小学校や中学校、高等学校と比べますと取り組みはややおくれているという感じでございます。

 私ども、いわゆる学校評価を充実するに当たりましては、まずは自己評価を充実することが重要であると思っておりますが、さらに保護者や地域住民に対するアンケート調査を活用すること、あるいは保護者や地域住民の方が評価者となって行う外部評価ということは、自己評価の客観性を高め、教育活動の改善が適切に行われるようにしていくために、これもまた重要であると考えておりまして、外部評価もより充実する必要があると思っております。

 文部科学省では、今、義務教育の学校につきましては、学校評価ガイドラインというものを先般策定いたしまして、それに基づく評価の実践研究を行っていくこととしておりますけれども、それに準じて、幼稚園における外部評価システムの充実に努めてまいりたいと思っております。

池坊委員 私は、外部評価も大切ですが、まず自己評価が大切だと思うんですね。自己評価を最優先すべきと思うんです。外部評価ばかりを優先いたしますと、どうしても人気取りになっちゃって、外の目ばかり気にするということになりますから、まず自分自身のあり方をしっかりと見詰めるということから入っていってほしい、そういう評価であってほしいというふうに思います。

 この認定こども園が大きく育つことを祈って、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

遠藤委員長 笠浩史君。

笠委員 民主党の笠浩史でございます。

 きょうは認定こども園についての質問をさせていただくわけでございますけれども、先週来、これまでさまざまな論点においてのいろいろな問題の指摘、あるいは、先般は参考人の方々にもおいでをいただいて、いろいろな御示唆をいただきました。そうした中で、私自身が感じておりますことは、これまでの幼稚園あるいは保育所といったこの二元の体制というものでは、これだけ大きく、社会の環境、女性の社会への進出、あるいは核家族化、価値観も多様化、ライフスタイルも多様化してきた中で対応ができなくなっているということについては、これはもう党派を超えて、ほとんどの皆さんが同じ意識を持たれているのではないかと思っております。

 まず最初に、こうした点で少し基本的な問題から入っていきたいと思うんですけれども、これまで政府の中でも、この幼保の一元化という問題については、いろいろな形で長年にわたって議論をされてきた経緯がございます。一方、地方自治体レベルにおいては、むしろ政府の動きよりも早く、もう独自の、いろいろな形での取り組みをされているわけですけれども、なかなか肝心の中央で、政府の方での動きというものがちょっとおくれてしまったというか遅かった。

 私、その中には、むしろ一元化というのが、施設のあり方であるとか、例えば今の幼稚園をどうするのかとか、あるいは保育所をどうしていくのかとか、その施設が、今回のこの認定こども園も一緒ですけれども、総合型の施設というものがどういう形であればうまく運用するかとか、そうした議論がほとんどのような気がするんですけれども、大事なことは、その前提として、今文科省と厚労省に分かれている教育という部分、あるいは保育ということですみ分けがされている、やはりここの窓口をどうやって一元化していくのかという議論がもっともっと本来は行われるべきではなかったのかと思うんです。

 それで、最初に、冒頭に大臣に、こうした行政の、中央省庁の中での子供、我々民主党は子ども家庭省というものを創設していくということをマニフェストでも掲げさせていただいているわけですが、ここの窓口をしっかりと一元化をした上で、本当に子供のために、先ほどもお話がありましたけれども、最善の利益を求めていく体制をつくっていくということで、大臣と、きょうはちょっと残念ながら厚生労働大臣はお見えになっていませんけれども、副大臣、済みません、本当に両大臣で、そういう方向でやっていこうよというようなくらいのリーダーシップをぜひ発揮していただきたいと思うんです。

 最初に、その点についての決意というか、大臣自身がどのようにお考えになっているのかを小坂大臣からお伺いできればと思っております。

小坂国務大臣 笠委員にもこれまでいろいろな形で御質問いただいて、御理解をいただいていると思うわけでございますが、就学前の幼児教育という観点からすると、今の議論で、一元化というようなものが縦割り行政の弊害であってなかなか進まないんだろう、こういった見方も出てくると思うんでございますけれども、実際には、就学前の子供に関する教育、保育につきましては、小学校以上の教育行政、また地域の子育て支援などの福祉行政等、他の福祉行政との関係、また働き方の見直し、パートのあり方とか、あるいは育児休業を初めとしたいろいろな形でのそういった労働行政の上での問題、こういったものが一体的に推進されていく中で検討していかなきゃいけない課題でございまして、単に就学前教育の部分だけをとらえて子ども家庭省というような形を提言することは、必ずしも今の段階で適切であろうという判断には至っていないというふうに私どもは考えております。

 そういった点で、文部科学省と厚生労働省が密接に連携をして、これらの関連する分野についてきめ細かく対応していく、また、両省が協力する中で、事務的な一体性というものを整備して、対外的な窓口も理解されやすくするためには、幼保連携推進室というものを両省において設置してこれらの問題に対応していくというふうに考えておるわけでございまして、このような取り組みの方が、一気に子ども家庭省というような形で子供と家庭の問題についてはすべて一体的にやるんだと言っても、それでは労働行政のどの部分までがどうなのか、あるいは福祉行政のどこまでをそこにゆだねるのか、こういった点でまた新たな縦割り問題が出てこないとも限りません。

 そういった点は、慎重に検討してこういった議論を進めていくことが必要だと考えておりまして、今日的な要請に即応して考えていくには、今回、この認定こども園制度という形で対応させていただき、それぞれの機能に着目をし、そして、新たな選択肢としてそれぞれの地域ニーズに対応していくことが国民的な要請にこたえる最善の道であろうと現在考えているところでございます。

笠委員 大臣、私が今ここで、もちろんすぐ子ども家庭省的なものを設置するということは、それは来年つくれと言ってもこれは難しいと思います。

 ただ、単に就学前教育という位置づけということだけはなくて、まさに福祉、保育、あるいはそこには家庭教育、あるいは地域教育、本当にこの就学前の子供たちを教育も含めてどうやっていくのが一番いいのか、どういう環境をつくっていくことが子供たちのためになるのかということを、しっかりと総合的に判断をするような、将来的には、やはりそういう一本化というものが、例えば仮に、これはイギリスなんかでは、ヨーロッパ、北欧諸国なんかでは、割と同じような、二元化されていても、それをどちらかというと日本でいうと文科省、そこに一元化をしていくとか、それぞれさまざまな工夫があるわけですけれども、推進室のことは後ほどまたちょっと細かくお伺いをしたいと思っておりますけれども、今まで幼稚園と保育所の連携というようなことは、いろいろな形で議論がされてきているわけですね。

 しかし、同時に、より踏み込んで、例えば、子供のための文科省と厚生労働省の連携と今後の一元化に向けて、その先の体制がどういうものがいいのかは別としても、そのぐらいのやはり踏み込んだ、私はきっかけになるんじゃないかと、今回の認定こども園のような大事な議論をするときには。同時に、やはりそれぐらいの方針を打ち出していただきたいなと、すぐ子ども家庭省をつくるということじゃなくても。

 例えば、そういうふうな形でのもっと真剣な検討というものを私は進めるべきではないかと思っておりますけれども、大臣、短くて結構ですけれども、どうでしょうか。

小坂国務大臣 私ども大変真剣でございまして、もっと真剣にと言われても、御理解を賜りたいと言うしかないんですが。

 一方では、少子化担当大臣というものも設置をして、小泉内閣としては、そういった子供に、そして少子化問題にも特別に対応する体制もとっておるわけでございまして、先ほど申し上げたように、両省の関係であれば推進室というような形で対応していくことが、将来将来といっても、いつまでも先送りするわけにいきません、現実の問題に的確に対応していかなきゃなりませんものですから、そういった形で、今回、提言をさせていただいているところでございます。

笠委員 いや、実は、今私が申し上げたのは、将来将来といっても、それはやっていただかなきゃいけないんですよ。また、我々も、そのためだったら、またこれはいろいろな、また野党という立場でも、方向が、目指すところが同じであれば、幾らでも御協力はさせていただきたいと思うわけですけれども。

 なぜかというと、これまでの議論の中で、もうこれは本当に三十年ぐらい、古くはもっと古くから、この幼保一元化の話というのはあるわけですけれども、ずっと行きつ戻りつのこの議論が来て、この数年ですよね、今回こういう法案を提出されるに至っていった、まあ、機運が非常に盛り上がってきたというか。

 ただ、私は、先ほども申し上げたように、地方自治体では、既に待機児童の問題も含めて、切実な課題として、もう国を待つことなく、積極的な首長さんなんかおられるところでは、まさに選挙公約にもして、この問題は大きな問題ですから、そういったことでどんどんどんどん取り組みをされてきている。

 そういう中で、文科省と厚労省というものがこれまで窓口としてやってきたのであれば、何か規制緩和あるいは地方分権という内閣府の方針のもとに、これは今回の問題だけじゃないんですけれども、例えば義務教育の三位一体の改革もそうなんですけれども、ここのところの文科行政というかそういったものが、主体的にというよりは、何かそういった圧力というか大きな流れに、まあ仕方がないなというようなことで法案を出されているんじゃないかというような気がしてならないわけですね。そういう意味でのリーダーシップを今後ぜひとも発揮していただきたいということをお願いいたしたいと思います。

 それで、これからそういった形でいろいろと議論をさせていただくわけですけれども、私は、これまでの議論を聞いていて、この認定こども園というものについて、さまざま、いろいろな質問があったわけですけれども、先ほどもありましたけれども、いま一つどういうメリットがあるのか、そして、これを広げていこう、国としてはぜひ広げていきたいんだというものなのか。あるいは、いやいや、まあ、手を挙げてくれるところがあればいい、地方に、特に地方の裁量型についてはほとんど国が関与しないような形になっておりますので。

 そういう中で、将来的にはこれに一本化するということはあり得ない話ですけれども、幼稚園とそして保育園と認定こども園という三元化ぐらいの形の一つの軸となっていくようなものへ高めていこう、広げていこうという考えのもとで法案を出されているのかどうか、その点について確認をさせていただきたいと思います。

銭谷政府参考人 認定こども園制度は、再三お話を申し上げて恐縮でございますが、就学前の子供に対する教育、保育と地域における子育て支援を総合的に提供する機能を備える施設を認定こども園として認定する、こういう制度でございまして、選択の幅を広げる制度になっているわけでございます。したがいまして、今般の認定こども園制度は、地域の実情に応じて活用されるというものでございまして、認定の申請を行うかどうかは各施設の判断によるということになろうかと思います。

 したがいまして、どの程度の施設が認定こども園となるかということにつきましては、予測をするということは大変難しいわけでございますけれども、認定こども園の四類型のうちの三類型、幼保連携型、幼稚園型、保育所型という観点から現在の施設の状況を見ますると、幼稚園と保育所の共用化施設、いわゆる幼保連携施設が約三百六十施設ほどございます。それから、子育て支援事業及び預かり保育等が充実をしている幼稚園、つまり幼稚園型が約五百施設ほどございます。また、子育て支援事業が充実をするとともに、私的契約児を一定程度受け入れている保育所、いわゆる保育所型が約二百施設程度ございます。こういったことから、これらを合わせました約千の施設が認定の当面の対象の候補としてまず考えられるかなというふうに思っているところでございます。

笠委員 銭谷さん、この前も同じような答弁をされていたんですけれども、今、地域の実情に応じてということをおっしゃいましたよね。それは地域のニーズ、それをしっかりと文科省として把握して初めてこういう制度というのができていくことになるんじゃないかと思うんですけれども、これまで、こういう認定こども園の、確かに三十五の施設でモデル事業としてはやられました。しかし、それ以外に、例えば地方自治体であるとか、あるいは、今おっしゃった、例えば千の施設について、どれくらいの施設が具体的に、そういうところにアンケートとか調査とかして、こういう制度だったら使い勝手がいい、そういうふうなニーズというものをしっかりと調査されたんでしょうか、まず確認させてください。

銭谷政府参考人 私ども、今回の法案の提出に当たりまして、中央教育審議会、社会保障審議会の合同検討会議というものを設けまして、認定こども園の構想について議論をしてまいったわけでございます。

 その会議には、教育、保育の現場の関係者、地方公共団体の行政関係者などを委員に含みまして、こういった方々の意見も踏まえて議論を行ってきたところでございます。また、その後に行われました中央教育審議会の幼児教育部会における審議におきましても、幼保の連携施設等からの意見聴取を行ったところでございます。さらに、幼稚園団体、保育所団体等からいろいろな要望書もいただいておりまして、そういったことも踏まえて、この認定こども園の構想について考え方を整理してまいったところでございます。

 それぞれの地域、いろいろな事情がございますけれども、少子化によりまして、幼稚園、保育所、それぞれではなかなか適切な集団を形成して教育、保育をするということが難しい状況があるとか、あるいは親の就労が非常に多様化しておりますので、就労の変化によって入る園が変わるといったようなことは解消したいとか、いろいろな要望が出ておりまして、そういった要望を私ども踏まえた上でこの認定こども園の構想をつくったということでございます。

 したがいまして、私どももどのぐらい認定こども園の認定を受けるかということをいろいろな面から調査はしておりますけれども、構想が固まり、内容が明らかになったらぜひ検討したいという声も多数寄せられているところでございます。

笠委員 ちょっと簡単に答えていただきたいんです。

 ということは、先ほど例えば千あると言ったところに対するニーズの調査というものは具体的にしていないということですね。それをイエスかノーかで答えてください。

銭谷政府参考人 先ほど申し上げました千というのは、施設の類型、それに合わせた数字を申し上げたところでございます。

笠委員 質問にちゃんと答えてもらいたいんです。

 先ほど千が対象になり得るということをおっしゃいましたよね、局長。だったら、例えば認定こども園が当初のスタート段階では、対象となるのはそういう千ぐらいのところからだろう。だから、その中のどれくらいのところが手を挙げてくれるのか。あるいは、そういうところを広げていきたいと思えば、モデル事業と並行して、もう中間報告も含めていろいろな論点が出てきたわけだから、そういったことについて現場にそれくらいのことは、文科省としてやることはそんな難しいことじゃないですよね。中教審で意見を関係団体の代表から聞いているとかそういうことじゃなくて、現場の声ですよ、さまざまなんだから。

 もう一度お答えください。やっていないんですよね。

銭谷政府参考人 繰り返しになりますが、まず千という数は、現在ございます幼保連携施設、あるいは預かり保育等を実施している幼稚園、それから子育て支援事業が充実している保育所、この数を足し合わせて千という数を申し上げたわけでございます。

 それから、意向についてはいろいろ調査はかけてはみたんですけれども、まだ構想がはっきりしないということで、データとしてまとまるというところには至っておりません。

笠委員 構想もまとまらないから調査もかけられない、私は違うと思うんですね。これだけ大事な法案を提出するのであれば、まずそれくらいの、実は千だけじゃなくて、本当だったらもっともっと地方自治体を使ってお願いしてでもいいですよ。これは別にお金もそんなにかかる話じゃない。一つのフォーマットでもつくっていろいろと答えていただくことだってできるわけです。要は、真剣にその地域のニーズというもの、これは本当に地域差はありますよ。都市とまた地方とではこれは全然違う。そういったやはりきめの細かい形で、いろいろな形で使っていただけるような制度を私は目指していると思っているので、当然そういう声も聞いているんだろうと思っていたわけです。

 ただ、もうはっきりとそういった調査は、何か今やっているのかやっていないのかわからないけれども、少なくとも今現在ではまとまって出せるデータはないということですから、これからこの法案が成立をした場合に、その後、後ほどお伺いしますけれども、またガイドラインを国として定めていくという大事な仕事があるわけですね。そうしたら、やはりそのガイドラインを決めていく前にはしっかりとした調査を急いでやっていただいて、やはりそういう声も反映をした形でのガイドラインをつくっていく。そしてまた、そういう調査の結果をぜひ当委員会にも提示をしていただけるように、大臣の方から、ひとつその点御指導いただければと思います。

小坂国務大臣 笠委員との考え方の若干の相違があるのかもしれませんが、まずこの制度をつくった上で、この制度に乗っかって、認定こども園の認定を受けられようとする施設がどのくらいあるかということを調査の上でこの一千という数字が出てくるわけですね、これはそういった動きを既にしていらっしゃるところがこういう枠組みに入ってくるだろうということで。

 しかし、それ以外にどのくらいあるかということについて、全数調査を実施するという必要性及びそのときの回答がまた地域の事情変更によって将来的に変更されるということの可能性等を踏まえますと、まずもってこの制度を実施させていただく中でそれぞれの運用というものを認識していただいて、それぞれの保育所なりあるいは幼稚園がそういった制度の認識を正しく持っていただく中で、さらに自分たちはどうしようかと考えを明らかにしていただくことになってくると思いますので、まずもってこういった制度を実施させていただいた上で、それらの他の施設がどのような認識の上にどういった要望を上げていらっしゃるのかは、次の時点で把握させていただく方がよろしいんではないかと私は考えるのでございます。

笠委員 残念ながら、大臣、私はこの点はやはり納得できないんですね。

 制度というものは、スタートして、そして実際にやっていきながら進化をしていく部分もあるし、また、よりいいものになっていくということも、もちろんそれは当然のことなんですけれども、最初から完璧なものができるはずありません。しかし、少なくとも、こういう新しいモデル事業までやって、国としてきちっと予算もかけて、そしてやるわけですから、そんな大変な話じゃないですよね。

 私は別に、とりあえず千の例えば対象の中で、これが五百だからだめだとか三百だからどうだということではなくて、例えば千のところに聞いてみて、とりあえずそういったことを先行してやっているところに話を聞いてみて、あるいは文科省の方、厚労省の方が出かけていって、それで実情というものを聞いて、例えばこういう形の認定こども園だったら、総合施設だったら、自分たちはぜひそういう制度に移行したい、手を挙げてみたいというようなものをきちんと、それは大事な法案ですから、法案を出す前にやるのは私の感覚からすれば当たり前のことじゃないかと思うんですね。

 すべての幼稚園、保育園、保育所にということを言っているんじゃないんですよ。現に今スタートしてやっているわけですから、モデル事業の三十五カ所だけじゃなくて、そういったところの生の現場の声を聞くというのは、大臣、どうですか、これは普通やるものでしょう、いかがですか。

小坂国務大臣 そこが考え方が違うのかもしれませんがと申し上げたところでございまして、未来永劫調査をしないと言っているわけではございませんし、必要が生じれば調査はするわけでございます。

 しかし、制度の構築の前の段階ではモデル事業という形で実施をして、それによる制度の枠組みというものを決めさせていただいて、また、その枠組みを決める中で、現在それに類似する取り組みが行われているところの御意見も聞き、また、そういったものをある程度の数を把握した中で、その類型が成り立つということを、その必要性があるということを認識した上で類型をつくったわけですから、それに対して、実際には最終的に幾つになるだろうかということを今から予測するための調査を行う必要があるかといえば、現時点ではその必要性を感じていないというだけの話でございます。

 ですから、委員は、それは実施をする前に把握すべきだし、実施をしたら直ちに把握すべきだというお考えのようですが、私どもはそのような考えでは現在ないということを申し上げているにすぎません。

笠委員 今のお話を聞いていると、それはもう本当に考え方が違うのかもしれませんけれども、せっかくこういうものをつくるのであれば、なるべくたくさんの施設にやはり手を挙げていただけるようなものに、よりよいものでスタートをした方がいいんじゃないかということを私はお話をしているだけなんです。それが私はそんなに間違っているとは思わないし、当たり前のことかなと思うわけです。

 だから、これは本来は、大臣が言わなくても、普通は文科省と厚労省でいろいろと連携をしながらやっているというのであれば、そういったところで、それくらいのことは逆に大臣が言わなくてもやるぐらいのことが、だったらもう何でもかんでも中教審に全部任せておけばいいんですよ、極端な話を言えば。何のために文科省があるんですか、あるいは厚労省があるんですかと。

 だから、そういったことをより一体的に取り組んでいるというのであれば、普通に考えればそれぐらいのことを、きめの細かいきちんとしたニーズの把握、地域の実情、これはぜひともしっかりとやっていただきたいというお願いを改めて申し上げたいと思います。

 それで、今の話にも関連するんですが、このモデル事業というのは昨年の四月からですよね。そして半年、中間報告があって、先般、評価委員会によるその最終的な取りまとめがあったわけですけれども、これもやはり本当はもう少し、ちょっと拙速な気がするんですね。手続としてはいいと思うんです。これはいろいろと特区なんかでも先行してやってきた。新たに、この制度、認定こども園をにらんで、このモデル事業をスタートさせた。ただ、本当に一年ぐらいでいいのかな、どうなのかなという疑問をちょっと私は感じております。

 それで、今後のことについてお伺いをしたいんですけれども、ガイドラインですね。今後、この法案が仮に成立をしたとして、今度は総合施設モデル事業評価委員会による最終まとめをもとにしてガイドラインを国として作成する。そして、それに準ずる形で今度は都道府県がそれぞれに条例を定めて、実際には都道府県が窓口となって認可をしていくということになるわけですけれども、このガイドラインというのは大体いつごろ作成をされるんでしょうか。教えてください。

銭谷政府参考人 先ほどお話がございましたモデル事業の評価委員会によりますことし三月の最終まとめに基づきまして、今、私どもの方でいわゆる指針の検討をこれから進めていくことになるわけでございます。

 文部科学省、厚生労働省が連携をいたしまして、この評価委員会の最終まとめに基づきまして、法案成立後になるわけでございますけれども、できるだけ速やかにガイドラインというか指針を作成して、それを各都道府県等にお示しをしたいと思っております。そんなに何カ月もかけるというものではなく、法案成立後できるだけ速やかに、できますれば一、二カ月の間に指針をつくっていきたいというふうに思っております。

笠委員 あわせてお伺いしたいんですけれども、大事な部分、今現場の施設の方々、あるいは私もまた幾つかの自分の地域の皆さんともいろいろな話をしてきたんですけれども、ほとんどイメージがわいていないんですよね、この認定こども園というのができることは何となく聞いているけれども、何がどう変わってという。

 それはなぜかというと、今この国会でもその点がいろいろな議論になっているんですけれども、すべて肝心なことがこれからつくるガイドライン、これにゆだねられているわけですよね。だから、これは先般、私ども同僚の小宮山議員からも指摘をさせていただいたんですけれども、完全に固まったものじゃなくても、やはりある程度具体的に、こういうふうにするんだよというような、この職員の部分でありますとか資格の部分だとか、あるいは設備のこととか職員の配置のこととか、そういったことも少しは本当は出していただいて、やはり国会で審議をしなければ、ちょっと何となく総論ばかりで。

 そこで確認したいんですけれども、これまでも具体的なこのガイドラインで定める事項について、各委員からもいろいろな質問が出ていますけれども、これは当たり前のことですけれども、国会で大臣なり副大臣が答弁をされた方向性に沿って間違いなくまとめられるということでよろしいですよね。

馳副大臣 当然です。

笠委員 ありがとうございます。

 それではもう一点、この最終まとめについて、ちょっと幾つか具体的に確認をさせていただきたいと思います。

 まず、職員の配置についてなんですけれども、〇―二歳児については「保育所と同様の職員配置とすることが望ましい。」あるいは職員の資格について「〇―二歳児については、保育士資格を有する者が従事することが望ましい。」あるいは三歳から五歳児について、このモデル事業の、「他方の資格のみを有する者を排除することのないよう」、要するに両方の資格を持っていない方ですね、「排除することのないよう配慮することが望ましい。」とか、あるいは施設整備についても、すべての施設整備が一体的に設置されることが望ましいとか、これは大体望ましい、望ましい、望ましいというのがずっと出ているんですね。しかし、恐らくは、そうするとなっていない、これはやはり例外規定みたいなもの。

 これはガイドラインを作成するときには、そういう望ましいではなくて、こうするんだというふうに極力まとめられるわけですか。今はこれはまだ最終報告の段階なので、これは今度これを受けて政府が決めるわけですよね。

馳副大臣 施設整備については、最終的にこの法案をお認めいただいて、各都道府県、条例によって基準を決めてやっていただく、職員数の配置とか施設整備の基準とか。

 今まで大臣も私も答弁してきておるのは、御質問をいただいたことに関して望ましいという方向で申し上げておりますが、当然、一定の要件、条件のもとに、保育所型、幼稚園型それぞれに欠けるものに関して一定の条件のもとに認めるという方向でそのガイドラインをまとめるのが妥当であるというふうに考えておりますので、その辺も御理解をいただきたいと思います。

笠委員 今馳副大臣がおっしゃったんですけれども、確かに一定の条件をつけることが必要と考えるという一文で、これが恐らく例外規定になっていくと思うんですけれども、これが結構混乱するんですよね、この部分が。恐らくこの部分の解釈をめぐって、では地方自治体が、都道府県が実際にどういった形での条例を定めていくのか、そういったところについては、かなりこれは明確にしていくこともやっておかないと。

 例えば、いい方向に解釈をしていただければいいんですけれども、その一定の条件をつけることというのが安易にコストの削減につながったり、あるいは特に保育なんかの部分で、それの機能をちょっと悪く、劣悪な環境をつくっていくようなことにつながりかねないという懸念もあるので、こうした点についての、一定の条件と今はなっておりますけれども、ここあたりは当然、一定の条件というものはどういうものなのかということは、やはりある程度具体化をされるということでよろしいんでしょうか。

馳副大臣 これは笠委員、やはり考え方というものはあると思うんですよ。

 保育所型、幼稚園型それぞれで、では認定こども園にしていこうというときに、わかりやすい言葉で言えば、幼稚園型の場合には調理室の設置は義務づけられていませんよね。では調理室を設置するときにどういう形がいいのか、あるいは外部搬入方式で認めるときにはという、こういう意味での一定の条件というふうに御理解いただきたいと思いますし、当然、今まで大臣も私も答弁してきておりますが、今より職員が排除されないようにという配慮をしっかりするようにと。

 こういったことを踏まえた上で、実際に認定こども園にしようというときに、幼稚園の経営者、保育所の所長さん方はどういうふうな形にすればよりよいのか。これを詰めていくときに、言葉は悪いんですけれども、安かろう悪かろうじゃだめなんですよね。やはり子供の利益にとってよりよい方向で認定こども園として設置をしていけるような方向というものは、おのずと、それは地域の実情にもよるでしょうし、それを踏まえて、条例をつくる以上は各都道府県の議会を通していただかなければいけないわけですから、そこにおいて十分要件が緩和されることもあるだろうし、こういう要件でやってくださいという議論が議会でなされるべきとも考えておりますし、そういったときの判断に資するように、我々としても、ガイドラインを設置し、また、御質問等があれば、それに誠意を持って対応していく。ここに関しては、厚生労働省も文部科学省も、幼保連携推進室を設けて、丁寧に対応していくというつもりでやっておりますので、御理解いただきたいと思います。

笠委員 今の部分は当然現場の混乱を招きかねないというちょっと危惧があることと、本来は、要するに望ましいとされているところは、本当はそれを満たしてあげられる環境をつくるべきなんですよね。

 当然ながら、大体こういうふうに出てきているところというのは、それなりに、例えば今の調理室の話にしてもやはりお金がかかるんですね、幼稚園が改めてそういう調理室を一律に義務づけることになると。そうすると、なかなか認定こども園にはと。あるいは、やはりそういう形に、いいんだけれども、例えば、今、預かり保育もやっているけれども、その上に今回の認定こども園までになると、かえっていろいろと財政負担がふえていくというような部分がすごく多いと思うんです。

 だから、本来であれば、そこあたりは国が、これは保育所とか幼稚園とか関係なく、しっかりと子供たちのために財政支援をもっともっと行っていくんだというような、やはりそういう意思がなければ、なかなか私はこれは難しいと思うんです、こういう制度をつくったとしても。

 ですから、そういうことで言うと、先ほど私が、今回どれぐらいの数を見込んでいるんですかという話とも、これとも関係をしてくるんですけれども、本来だったら、この認定こども園というものをことしからスタートさせるというために、やはりそれなりのお金をしっかりと国が責任を持って出していこうというような予算編成が行われるべきじゃなかったかと私は思っているんです。

 この財政支援というのも、旧来の、それぞれ文科省と厚労省の幼稚園あるいは保育所に対する支援の、補助金の枠の中での対応ということで、特に、これは幼保連携型はいいんですけれども、仮に、幼稚園型にしろ保育所型にしろ、そこにプラスアルファの部分とそれぞれの保育所の機能あるいは幼稚園の機能の部分、そして、さらには、地方裁量型の部分については、結局は助成というのはないわけですよね、国から、その部分については。

 そこがやはり、何のメリットがあるのか、あるいは、なぜそこに移行をしていかないといけないのかが、非常にこの制度というものがわかりにくくなっているし、何が変わるんだろうなというような、むしろ本当に推進、促進していこうと思ったら、その財政支援というものを国がある一定額は面倒を見るんだ、ここまでは国がしっかりと責任持ちますよというような裏づけをしてあげないと、なかなかこれは厳しいものがあるんじゃないかと思うんです。

 地方自治体も、今、大変です。お金のあるところはいいですけれども、そうじゃないところもたくさんある。そういう格差を改めて広げていく危険性だってあるわけですね。そういう点についてのお考えを聞かせていただければと思います。

馳副大臣 一義的に見れば、この認定こども園ということについて新たな財政措置というものはございませんが、恐らく、今、笠委員が御指摘いただくことは、しっかりとした財政の支援をやるようにという、激励という意味での御質問というふうに受け取りました。

 御指摘いただいたように、例えば調理室や運動場の問題にしても、ハードとソフト、両面からやはり課題というのはあるのじゃないですか。例えば運動場にしても、それは保育所の敷地内にあるのがベストでしょうし、隣接するのもベターかもしれません。しかしながら、隣接するところにそういった運動場が設けられない場合には、では、どの程度歩いて、連れていけばということになると、子供たちにとっての安全管理の問題になってまいります。

 幼稚園の場合に、調理室のことを考えると、これは、基本的に言えば、衛生管理という問題、栄養士さんの配置の問題等々、ハード、ソフトの面での課題というのはどんどん出てくるわけなんですね。であるからこそ、今、現状の中で、幼稚園型、保育園型を認定こども園として認定しようというときの認定基準について、最終的な詰めをしているところであります。

 基本的には都道府県の判断を尊重しながらも、こういう場合にはどうしたらいいんだろうというふうなことに対する対応、相談をしっかりできるように、文科省と厚労省として連携しながら進めて、できる限り、認定こども園として望むというところに、できるような方向で指導するのが望ましいというふうに考えております。

笠委員 私は、本当に応援だし、これは激励ですよ。多分、恐らく、ここの委員の皆さんも、党派を超えて、子供の政策支援ということに対してはもっともっと予算をしっかりと、先般の議論の中でも高齢者の十七分の一しか子供に対する支援が行われていないという、これは先進国、主要国の中では、ある意味ではもう信じられないような状況ですよね。

 各国が、今、子供たち、そして人づくりというものに対して、逆に予算をどんどんふやしていこうというような取り組みをされている中で、先般の参考人の方々の御意見の中にも、非常に日本はお金のかけ方が低いレベルである。だから、そこはまさにぜひしっかりやっていただきたいと思うし、それに見合った制度というものをつくっていかなければならないし、何よりも子供たちが、自分が育った環境とかで、本来受けるべき保育の部分であるとか、あるいは就学前の教育の部分で格差を生むようなことがあっては絶対にならない。それは、ある意味では、もちろん、やり方は多様に、地方自治体に任せてもいいんですけれども、やはり国としてしっかりと責任を持って、財政的な基盤というものはきちんと保障してあげるというような方向にかじを切っていかなければならないんじゃないかと思っております。

 そういう中で、あとお伺いをしたいことが、先ほどの推進室。ちょっと確認ですけれども、これは、法案が成立をしたらすぐにこれが発足をするということになるんでしょうか。ちょっと事務的なことをお伺いしたいと思います。

銭谷政府参考人 法案成立後、速やかに設置することを考えております。

笠委員 この幼保連携推進室というのは、ちょっとお伺いをしたいんですけれども、どれぐらいの人数を想定されて、はっきりとしたあれじゃなくていいですよ、大体の。どれぐらいの人数で、どこに置くんでしょうか。これは文科省に置くんですか、厚労省に置くんですか。それとも、何か違った形で、どこか別に内閣府に置くんですか。

銭谷政府参考人 規模、体制、それから執務場所等につきましては、今、両省で検討中でございます。

笠委員 要するに、検討中とおっしゃいますけれども、当然ながら文科省の方と厚労省の方が一緒になって、どこかで一つの部屋になって推進室、電話番号、直通は当然一つ、そういうイメージですね。

銭谷政府参考人 とにかく、この幼保連携推進室につきましては、両省が緊密に仕事を進めていく必要があるわけでございますので、今お尋ねの点も含めて具体的に検討しているところでございます。

笠委員 いや、そういうこともまだできていないのか。あえて言わないのか。これは本当にまだ検討中だったらもうおかしな話ですよ。

 今は、例えば文科省と厚労省と、それぞれに一緒に連絡をとりながらという方々がおられるわけですよね。こういう方が、恐らくは今度はより緊密に対応していかないといけないので、これは当然一緒になるわけですよね。まさか、文科省にも幼保連携推進室、厚労省にも幼保連携推進室というのがそれぞれにできて、今までと同じような形でやるということですか、そこだけお答えください。

銭谷政府参考人 組織の話でございますので余り確定的なことは申し上げられませんが、両省にそれぞれ幼保連携推進室をまずつくりまして、それらが緊密にあるいは一緒になって仕事ができるような体制をどうつくっていくかということで、今検討しているということでございます。

笠委員 先般の審議の中で銭谷局長はこうおっしゃっているんですよ。利用者や施設の立場に立って、これは地方が、あるいは地方自治体を含めて、市町村も含めて混乱することがないように、利用者や施設の立場に立って窓口事務等の一本化を図っていくことが重要だ、厚生労働省と協力して地方公共団体に窓口の一本化を促していく、そういうふうに地方には促していくということをおっしゃっているわけですよね。

 促していくところが二つもあったら、それは全然。推進室というものを、これは大臣も先ほどもおっしゃったように、今後の取り組みとしては、この窓口を推進室にしてやっていくんだということをおっしゃいましたよね。だから、それぐらいは決めているわけでしょう。要するに、どっちの省にあったっていいですよ。

 ただ、そこでやはり一緒に顔を合わせて、当然ながら、例えば、施設の方が電話をされるときに、文科省と厚労省それぞれに番号があって、こっちに聞いていいのか、いや、これは厚労省なのか、そんな混乱をさせて、地方自治体におたくだけは窓口一本化しなさいという指導ができますか。当然、できないですよね。

 では、そこは、大臣ぜひとも、副大臣でも結構ですけれども、ここはやはり一つの部屋できちっとやっていただいて、常にコミュニケーションがとれて、教育とか保育とかそういう縦割りではない、本当に一体となって子供たちのために考えていくという支援をする体制、その窓口をつくっていただけるようにお願いを申し上げたいと思いますが、お約束をお願いいたします。

小坂国務大臣 先ほど私も申し上げたとおり、笠委員のおっしゃっていることはよくわかりますが、両省の中に推進のために責任を持つ人たちをつくることがまず第一ですね。その人たちが、自分たちが幼保連携を推進するんだ、認定こども園に関しては私どもが窓口になるんだということが一つですね。

 そして、おっしゃったように、できれば電話番号は統一して一本にした方がいい。ですけれども、最近電話もいろいろなやり方がありますから、どちらに入ってもどちらに転送することもできるんでしょう。ですから、物理的にどこか一つの部屋にいなきゃいかぬということは必ずしもそのとおりではない。要するに、それぞれの両省の中に関係部門もあるわけですから、窓口がそことちゃんと話をして取りまとめができればいいわけですので、今後の検討の中で、どういった形が、組織的にも、それから業務推進体制としても一番いいのかということを考えて決めさせていただきます。

 いずれにいたしましても、委員がおっしゃっているように、子供たちの側から見て、あるいは保護者の側から見て使いやすい制度になるように、また認定こども園の側から見て相談しやすい体制になっているようなものをつくっていくことは考えとしては一致している、こう思っておりますので、取り組ませていただきたいと思っております。

笠委員 ぜひ、今御答弁いただいた方向でやっていただきたいと思います。

 我々は、繰り返しになりますけれども、将来的には本当に子ども家庭省というようなものが必要じゃないかと。それで、当面は内閣府のもとにそういう部局をつくって運営をしていく、窓口を置いていくということを修正案の中で先般私も提出者として出させていただきました。

 あわせて、先ほどの財政支援、やはりこれは、今年度の予算というものはもう審議が終わっておりますので、恐らくこの十月から施行されても、現実としてはやはり来年度からどういうふうになっていくのか。ですから、来年度の予算編成に当たっては、総合施設というもの、子供たちのための予算というもの、これは今の幼稚園や保育所のことも、何もこの認定こども園だけということではなくて、子供施策のために、教育的にもあるいは保育の視点からもしっかりとした予算を国として責任を持っていく。そのためにも、将来的には一元化をした窓口というものをつくっていかなければならないんじゃないかと考えております。

 それで、ちょっと時間が迫ってきたんですけれども、もう一点確認をさせていただきたいんですけれども、今回、無認可、認可外の施設をどうしていくのかということを我々は考えていかなければならないんだと思っております。

 それで、先般参考人の方からも御指摘がございましたけれども、やはり文科省が認可外の施設についての綿密な調査をやっていない、把握をしていない。要するに、どういう状況なのかという把握ができていないという参考人からの御指摘があったわけですけれども、そういう指摘を受けて、これからそういう問題についてどのように取り組んでいくのかについての方針を教えていただきたいと思います。

白石政府参考人 的確なお答えになっているかどうかちょっとわかりませんけれども、認定こども園、いかなる類型でありましても、基本的には法律に基づく基本的な機能があるものでございまして、その上で、先ほど来議論のありましたガイドラインに基づきまして、それを参酌して定める条例で、いろいろな職員の配置、施設設備の具体的な認定基準というものができていくわけでございます。その認定基準の設定に際しましては、都道府県の議会による審議の過程でいろいろな検討がなされる、こういうことでございまして、したがって地方裁量型のものといいましても、一定の質が確保されるというふうなことはできるものと考えられております。

 なお、こういう保育所の側から見たらば認可外の施設になるものも、地方裁量型のものあるいは保育所型のものではあり得るわけでございますけれども、それにつきましては、従来から、認可外の施設に関しましての指導監督基準というものがございます。これに基づきまして施設の届け出あるいは調査を定期的に行うということにしておりまして、保育に関するサービスに関しましては児童福祉施設の最低基準を満たすようにというふうな形でまず認可保育所を押さえる一方で、認可外のところにつきましても、なるべくそのレベルに行くようにというふうな形での指導を行っているというところでございます。

笠委員 私、認可外、無認可の保育所でも本当にいい保育をされている施設も、頑張っておられるところもたくさんあるのは承知しておりますし、ただ一方で、先般も御指摘ありましたように、どうしても認定の施設よりも事故が結果として多かったりというようなことも、だから逆に、そういったことも含めて我々はきちんと把握をして、いいところはいいんですよね。ただ、一部でもそういった中でちょっとこれはいかがかなというようなところがあれば、やはりその評価というものを、あるいはチェック体制というものをしっかりとやっていかなければならないと思っております。

 今回、特に、認定こども園についても、地方裁量型というのはほとんどそういうケースになっていくわけで、もちろん、当然認定をされる側が責任を、一義的には都道府県にあるんだと思うんですけれども、やはり制度をつくった国として、そういうことで第三者機関的な、これは別に地方裁量型だけを対象にするものではございませんけれども、我々民主党としては、やはり違った形での第三者機関というものを、評価をする仕組みというものを何か考えていかないといけないんじゃないか。そういったことで、これからまた、保育所型から、市町村ではなくて園との個人契約になっていくような部分もあるわけですから、だから、そういったところでしっかりと評価あるいはチェックをしていく仕組みというものを何か一工夫した方がいいんじゃないかなと思っておりますが、その点についてお答えをいただければと思います。

銭谷政府参考人 この三月にまとめられました総合施設モデル事業評価委員会の最終まとめにおきましても、「総合施設では、自己評価・外部評価など子どもの視点に立った評価と改善を行い、その結果の公表を通じて教育・保育の質の向上に努めることが望ましい。」とされております。

 認定こども園の評価につきましては、こうした最終まとめの方向性を踏まえて、充実に努めてまいりたいと考えております。

笠委員 評価というのは何も中身がいい悪いとかじゃなくて、ちゃんと当たり前のことがしっかりと、きちんと行われているかという、ある意味ではこれがセーフティーネットにもなっていくということになると思いますので、ぜひその点については今後の検討課題として取り組んでいただきたいと思います。

 また、認定こども園が、今度十月にスタートへ向けて、施行へ向けて、その後進化をしていくということになると思うんですけれども、きょうも幾つか指摘をさせていただいたんですが、やはり私は、先ほどもおっしゃった地域の実情に本当にきちんと合った形で子供のための最善の環境づくりというものをするためには、何よりも財政的なしっかりとした裏づけと、そしてその財政的な裏づけをやっていくためにも、将来的に、改めて、ちょっとしつこいくらい言わせていただきますけれども、子供の政策を預かる中央省庁の一元化というものもそろそろ本気になって検討をしていく時期に来ていると思います。

 またこの点についても議論をさせていただく機会もあろうかと思いますけれども、その点において、改めて小坂大臣とぜひ中野副大臣におかれましても、川崎大臣とともに、縦割りの行政の懸念、ここを突破するのはやはり政治家の政治力しかないわけですから、ぜひリーダーシップというものをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

遠藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時八分開議

遠藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。横山北斗君。

横山委員 民主党の横山北斗です。

 午前中に質問された委員と多々重なる部分もあろうかと思います。それだけ論点が絞られてきているということだと思います。改めての御答弁をお願いいたします。

 まず、認定こども園に関します認定要件の緩和についてお尋ねいたします。

 認定こども園の中の地方裁量型、これが認められることによって、これまで認可外であった施設も認可が可能となるわけですが、そうすると、現在の幼稚園の設置基準、児童福祉施設最低基準に示された規定、例えば、施設の広さであるとか、職員数であるとか、防災管理、衛生管理、保育所なら給食設備など、これまでは何を基準につくられたものであったのか。規定ができた当時の規定づくりの根拠は何に基づいたものであったのかについて、幼稚園、保育所、一緒でも別々でも構いません、教えていただきたいと思います。

銭谷政府参考人 幼稚園設置基準について御説明を申し上げます。

 幼稚園設置基準は、昭和三十一年に制定されたものでございます。教職員の配置、園舎等の面積、備えるべき施設設備等に関しまして、必要な最低の基準を示しているものでございます。この設置基準は、幼稚園関係者や学識経験者等による調査研究や各都道府県教育委員会等、各方面からの意見を踏まえて作成をされたものでございます。

 若干の経緯を申し上げますと、かつて幼稚園基準というものがございまして、これに基づきまして、昭和二十九年ごろから、幼稚園基準の実施状況や問題点等につきまして、ただいま申し上げましたような、教育委員会等に対しまして、意見をいろいろとお聞きし、その結果、昭和三十一年に幼稚園設置基準として制定をされたというものでございます。

 なお、幼稚園設置基準につきましては、園舎及び運動場の面積につきましては、昭和三十一年以降、変更はされていないところでございます。教職員配置につきましては、平成七年に、一学級当たりの幼児数を四十人以下から三十五人以下に引き下げたことにより、変更されているところでございます。

白石政府参考人 保育所の方でございますけれども、児童福祉施設最低基準、これは昭和二十三年来のものでございますけれども、当時のいろいろな資料を読ませていただきますと、社会事業研究所というところに原案を委託してつくりまして、民間施設関係者あるいは学識経験者らを委員として作成委員会をつくり、原案を作成、それを中央児童福祉審議会で諮問をする、こういう形をしてつくられたものだというふうに聞いております。

 いずれにいたしましても、児童の身体的、精神的及び社会的な発達のために必要な生活水準の確保という児童福祉法の観点に基づき定められておりまして、例えば、現在のお子さんの各年齢ごとの保育士の配置基準につきましては、処遇の適正化あるいは職員の労務管理の合理化という点も踏まえまして、各種の研究あるいは実態調査等々を踏まえまして、昭和三十七年あるいは昭和四十三年に意見具申を経て改正をしているという経緯がございます。

 それから、面積につきましては、冒頭申し上げましたとおり、昭和二十三年当時から変更されておりません。おりませんが、その後の研究におきまして、基準を大幅に下回る場合は、環境衛生であるとか、あるいは子供の精神の安定などの観点から好ましくないという研究もありまして、現在まで当初の基準が維持されてきておる、こういう経緯でございます。

横山委員 そういたしますと、保育所は、昭和二十三年。戦争が終わったのは昭和二十年ですね。その今の規定につきまして、さきの参考人の意見陳述においても、帝京大学の村山教授が、敗戦後の混乱状況の中でつくられたものだ、したがって、よりよいものにつくり直していかなければならないはずだという趣旨のことを述べておられたと思います。

 その間、さまざまな専門家の意見をというようなお話も今ありましたけれども、今度、こういう、今までの基準がより緩やかな方に合わせてつくられるということであれば、村山教授に言わせれば、戦後の混乱期の中で、仕方のない状況の中でつくられた基準が今なお存続していること自体が問題であるのに、それがさらに、基準が甘くなるという問題点を指摘されている先生がおられるわけですが、この点については、一言でもよろしいので、どなたかお答え願えないでしょうか。

白石政府参考人 あるいは似通ったお答えになるかもしれませんが、認定こども園、四つの類型がございますが、いかなる類型でございましても、その基本的な機能というものは法律の定めでできるわけでございます。

 その上で、職員配置それから施設設備等の具体的な認定基準につきましては、都道府県が地域の実情を考慮して条例で定める、そのための一定の基準の指針を国が定めるというやり方をとるわけでございまして、またさらに、この認定基準を定める場合には条例によるということで、都道府県議会の審議の過程を経るわけでございます。質の確保の観点からも十分な検討がなされるものというふうに考えております。

 なお、先ほど私のお答えの中で舌足らずだったと思いますけれども、保育所の最低基準の方でございますが、一人当たりの面積の基準というのは変わってはおらないわけでございますが、人数につきましては、例えば乳児の場合、六対一の配置を三対一に改善する等々、長い間に、より充実する方向での基準の改定がなされているということをつけ加えさせていただきます。

横山委員 わかりました。

 それでは、次の質問に行きます。

 認定こども園のモデル事業についての質問になりますが、国は、二〇〇五年度に総合施設モデル事業という名称で、全国で三十五カ所、認定こども園のいわば実験校という理解でよろしいと思うんですが、実験校をつくりまして、そのテストケースとしてやってきた。それをモデル事業評価委員会という委員会が検証し、その設置基準、職員配置、利用料など、話し合いが持たれたということを聞いておりますが、恐縮ですが、今この場で、その評価委員会の評価の概要というものを、どなたか教えていただけないでしょうか。

銭谷政府参考人 認定こども園につきましては、昨年度、全国三十五カ所でモデル事業を実施いたしまして、その実施の状況について、有識者による評価委員会を設置して評価、検証を行ったところでございます。

 三月の最終まとめでは、職員配置、職員の資格、施設設備、教育保育の内容、子育て支援などにつきまして、実施された三十五園ではどういう状況であったかということをまず検証した上で、認定こども園として、今後の方向をこういうふうに考えたらいいという評価を示しているところでございます。

 まず、職員配置につきましては、〇―二歳児については、認定こども園においては、保育所と同様の配置が望ましい。三―五歳児につきましては、四時間程度の共通の時間については、学級を単位とし、担任を配置することが適当である、長時間利用する子供については個別の対応も必要であるとされているところでございます。

 次に、職員資格につきましては、〇から二歳児につきましては保育士資格保持者が望ましく、三歳から五歳児につきましては、幼稚園教諭免許と保育士資格の併有が望ましいが、学級担任には幼稚園教諭免許の保持者を、長時間利用する子供には保育士資格の保持者を原則としつつ、他方の資格のみの者を排除しないよう配慮することが望ましいとされているところでございます。

 次に、施設設備につきましては、基本的には、幼稚園、保育所のいずれの基準も満たすべきだが、調理室及び運動場については、既存施設が総合施設になる場合、これを確保することが困難な場合もあることから、給食の外部搬入方式や近隣の公園等の利用を認める場合には、一定の条件を付することが必要とされております。

 教育保育の内容につきましては、幼稚園教育要領及び保育所保育指針の目標が達成されるよう教育、保育を提供する必要があり、また、施設の利用開始年齢の違いや利用時間の長短の違いなど、総合施設に固有の事情に配慮する必要があるとされております。

 最後に、子育て支援につきましては、総合施設がみずから取り組むべき必須の機能とすべきであり、例えば、子育て相談や親子の集う場を週三日以上開設するなど、保護者が利用したいと思ったときに利用可能な体制の確保が必要であるとされております。

 概略でございますけれども、評価委員会の最終まとめは以上のような内容でございます。

横山委員 どうもありがとうございました。

 評価委員会というのは、そういう専門知識を有した人たちが集まって検証したわけですから、その答申といいますか、大いに尊重されるべきだと思います。

 私たちも、この間、幼保園の視察に行きました。こういう言い方はどうか、あれですけれども、私たちよりはるかに専門知識を持った人たちが、その現状を見ていろいろな基準を決めたわけですが、今のお話ですと、この認定こども園の発足に対して疑問を呈している人たちが考えている部分、つまり具体的なその制度面ですね。何度も何度も言われますが、その所管が文科省なのか厚生労働省なのか、今それぞれにある法律はそのまま残すのかすり合わせるのか、そういう制度面での議論や評価が、この評価委員会の中でもなされてはいないということになります。

 つまり、実態を見て、その中から、こういうところを整備していった方がいいんじゃないかということであって、国としてどういう制度を定めるかという、そういうもっと根幹の部分、つまり本来であればそちらの方が先になければいけない部分がないという点の指摘、それによって不安や疑問の声が上がることは当然だと私は思います。この点、さきの法案提出に対して、十分な配慮が必要なのではないかと私は思っております。

 その上で、では、次の質問に移らせていただきます。

 認定こども園のいわゆる施行期間についてです。この施行期間につきまして、法案を見ますと、施行から五年経過後に見直すとされています。こういうのを見ますと、認定こども園というのが当初から何か実験校的な意味合いとして発足するのかなというようなイメージを持たれても仕方がないかもしれません。しかし、あらゆる制度は、始まったときには、当初、三年とか五年後に見直しの条項を設けるというのは通例だと思いますから、これはこれで構わないんですが、それでは、なぜ五年という期間なのかなと。例えば何で三年ではいけないのかなと。この五年とした根拠について、また改めてですが、お伺いしたいのですが、よろしくお願いいたします。

銭谷政府参考人 ただいま先生からお話しございましたように、この法律案には、附則において五年の見直し規定がございます。これは、法律により新たな制度を創設して規制の新設を行うものについては、当該法律に一定期間経過後、その見直しを行う旨の条項を盛り込むとの平成九年三月の閣議決定を踏まえたものでございます。

 その上で、お尋ねの見直しの時期を五年経過後としているのは、認定こども園は〇歳から就学前までの五年間程度の期間の育ちを支える施設でございます。新たな制度の普及、その定着の状況を踏まえた的確な検証を行うには五年程度の期間の経過後が適当と判断したものでございます。したがいまして、本制度の十分な検証のためには、三年後の見直しでは期間として不十分ではないかと考えているところでございます。

横山委員 これはちょっと意見なんですけれども、国立大学を独立行政法人化して、その最初の見直しが五年だったと思います。そのとき、大学の先生たちは、今の理由であれば、学生は入学して四年で卒業していくんだから、あるいは医学部、薬学部であれば六年なんだから、四年とか六年という基準の方がより成果がわかるんじゃないかというような声があったわけですよね。今の、一歳から入って五歳で卒業していくから五年だというのは、それとの、整合性などという言葉は大げさかもしれませんけれども、やはりうまく理解できないなという部分がございますので、やはり期間は、早ければ二年で出ていく子供たちのことを考えますと、もっと短い方がいいという意見は述べさせていただきたいと思います。

 その上で、また次の質問に移らせていただきます。

 次は、認定こども園を通じての子育てのコミュニティー形成ということについて御質問いたします。

 認定こども園の認定に関しまして、地域における子育て支援の実施、これが一つの要件となっています。子育ての支援ということでいえば、私は、就学前の子供の教育もさることながら、就学前の子供を持つ親たちの教育というのも極めて重要だろうというふうに思っております。

 私が、以前、幼稚園の教育実習の実習生の指導に伺ったときに、そこの幼稚園の先生が、幼稚園で園児が教材をなくしてしまった、その親に電話をして、はさみか何かなくしてしまったみたいだから、あしたもその教材を使うから持たせてあげてくださいと親に連絡を入れたら、その親から、なくしたのは幼稚園内ですね、では先生の責任ですね、先生買ってくださいと。今やはりこういうのが、実際、方々であるということを聞いております。

 ですから、子供を育てる親の責任というのも非常に重要で、私は、認定こども園の発足を一つの契機として、この間視察に行きました区立の幼保園では、地域で子供を育てる環境づくりという点でかなり力を入れているようでしたけれども、先ほどの質問とも重なりますが、改めて、地域で子供を育てる環境づくりを奨励するという点について、どのようなお考えがあるのか、お聞かせ願えればと思います。

田中政府参考人 地域コミュニティーを通じた子育て支援についてのお尋ねでございますけれども、先生御指摘のように、子供たちが各地域で健やかに育っていくためには、地域社会が子育てを支援していくことが大変大切だと思っておるところでございまして、文部科学省といたしましても、これまでも幼稚園を中核といたしました子育て支援、あるいは地域の子育てサポーターの養成、さらには各種子育て講座の開催、そして平成十六年度からは子供の居場所づくりなどを通じまして、大人の方々の連携協力による子育て支援の充実に取り組んできておるところでございます。

 具体的には、幼稚園が地域のNPO等と連携いたしまして、地域の幼児教育センターとしての役割を担っていただくための幼児教育力総合化推進事業を推進しておりますし、また、地域の大人たちの協力を得て、学校の余裕教室や校庭で、子供たちが放課後あるいは休日に、安全、安心に活動できる活動拠点、子供の居場所づくり等も実施しておるわけでございます。

 また、この居場所づくりにつきましては、これまでは小中学生を主として対象にしてきたところでございますけれども、本年度からは幼児もその対象にするということで、その拡充を図っておるところでございます。

 また、本年度からは、新たに子供たちに、早寝早起き、あるいはきちんと朝御飯を食べるといったような基本的な生活習慣の確立のために、新たに学校、家庭、地域等が連携いたしました子供の生活リズムを向上させるための取り組みもスタートさせたところでございます。

 今後とも、新しい制度がスタートすることも踏まえまして、その有効活用も踏まえて、地域社会の大人たちがさまざまな形で連携協力をして子育て支援を推進していくことを充実させていきたいと考えておるところでございます。

横山委員 ありがとうございます。午前中の銭谷局長のお話も含めまして、そういう取り組みをこれからしっかりやっていくというお気持ちはわかりました。

 私は、特に今の質問で強調したいのは、認定こども園の発足を一つの契機として、子育てをする親の教育ということをより前面に押し出していく必要性を感じているということです。

 といいますのは、単純にとらえれば、これまで、八時ちょっと過ぎぐらいにバスがやってきて、そこで子供を乗っけて、昼ちょっと過ぎにはもうその同じバスが来て子供を受け取る。それが、認定こども園ができれば、五時、六時まで預けておいてもいいというような誤解が広がれば、ますます子育てに対する親の、これも不適切な表現かもしれませんけれども、責任放棄みたいなことが広がっていく可能性もあります。ですから、認定こども園というのはそういうものではないんだ、より親の責任が重要視されるんだよというイメージを、この園の発足に伴い、持たせていく必要性を私は感じておりますので、何とぞその点、よろしくお願いいたします。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 認定こども園の職員の資格につきまして、職員は、保育士の資格と幼稚園教諭免許の両方を持つことが望ましいとなっております。片方しかなくても排除するものではない、研修などを通じて対応していくと。この間の小坂大臣の答弁にも、今、両方持つ者も少なくないんだというのがありました。私も不勉強で、午前中の池坊委員の質問で聞きましたら、幼稚園では実に七割、それから保育士では実に八割の方がもう一方の免許も持っていると。もうほとんどだったんだなということで私も驚いてしまいました。

 ただ、この場合、そもそも、幼稚園の免許取得までの流れ、保育士の免許取得までの流れ、つまり、七割も八割も取れるほど容易に取れるような免許なんでしょうかということで疑問を感じております。その点、それぞれ別に、幼稚園免許取得までの流れ、保育士免許取得までの流れという点についてちょっと解説願えればと思います。

銭谷政府参考人 それでは、まず幼稚園教諭の免許状取得につきまして御説明を申し上げます。

 幼稚園教諭の免許の取得に当たりましては、学士の学位等の基礎資格を得るとともに、教員養成課程におきまして、教科及び教職に関する科目等の所定の単位を修得し、その上で、免許状の授与権者でございます都道府県教育委員会に申請をするということになっております。

 幼稚園教員の免許状には専修免許状と一種免許状と二種免許状とあるわけでございますが、取得者の数の多い二種免許状、短大卒業程度でございますけれども、この二種免許状を取得するためには、合計三十九単位の修得が必要となっております。これは、短大の卒業単位数の中に当然この三十九単位が含まれるわけでございますけれども、専門の教科に関する科目を四単位、学校教育活動に直接資する教育実習等の教職に関する科目を二十七単位、一般教育科目等を八単位、この単位を履修するということになっております。

 なお、このほか、平成十七年度から新たに、保育士資格を有する方のための幼稚園教員資格認定試験制度というものも創設をされておりまして、従来の大学等における養成に加えて、試験により免許を取得できるということにもなったところでございます。先ほど先生からお話がございましたように、現在、幼稚園の教諭では、現職全体では六八%、新規卒業者では八二%が保育士の資格を併有している状況にございます。

 それで、実際に短大等の教員養成課程を見ますと、例えば、幼児教育学科という学科がございますけれども、そこでは幼稚園教諭の免許状と保育士の免許状、両方取れますよということで講座を開いているというケースが多いように思います。ちょっと例を申し上げますと、幼稚園教諭免許を取得できる短期大学、これが二百九校ほどございますけれども、その中で保育士資格も取得できる短大というのが二百校ほどあるということでございまして、少し頑張れば両方取れるということになっております。今の数は平成十六年の四月一日現在の数でございます。

横山委員 今、銭谷局長は少し頑張ればと言われましたが、本当に少し頑張る程度で取れるものなのかなと。卒業もおぼつかないような学生は別にして、試験に合格するのに随分学生たちは苦労していたはずなんですが、二つの免許を今の大学のカリキュラムの中にもう編成しているところも非常に多いということですが、そうすると、ではほかに、独学の人も中にはいるということなんでしょうか。いずれにしても、随分数が多いということに驚きを感じました。

 私は、そういう状況であるにしても、今両方の資格ということはありましたけれども、やはり将来的には、大学のカリキュラムとして、卒業後にはどっちの免許も取得できているようなカリキュラムを教育学部なりなんなりの中で再編していく必要性はあると思います。

 といいますのは、視察しました区立幼保園の場合は別にして、素朴な疑問なんですが、同じ施設の中で幼稚園の先生と保育士というのは何かうまくやっていけるのかなという気もしています。というのは、どこでも、一つの組織の中に違う資格とかいうことでやっていくと、大体仲が悪いんじゃないかなと思います。だって、法学部で法律学科と政治学科の先生とか、余りうまくいっていないような気もしますね。不適切な発言だったかもしれませんけれども。

 だから、そういう点で、同じ気持ちで一つの目的に向かってやっていくときに、片方はこういうタイプの人たち、片方はこういうタイプの人たち、それぞれの持ち味を生かしてというようなこともよく言いますけれども、今後幼保一体化ということも前提に考えて、大学のカリキュラムも統一して、先ほどちょっと頑張ればということを言われましたけれども、普通に大学の課程を卒業していれば両方の免許状が取れるような制度に変えていくという必要性は感じております。また、そういう制度が始まるときには、ぜひとも急な要求ではなく、そういう通達の期間といいますか、ゆっくり置いてほしいなという気もいたします。

 実は、学校の先生になるという点では、たしか小学校でも中学校でも、今、介護実習なんというのが義務づけられておりますね。田中先生の議員立法であったとお聞きしておりますが。学校の先生には、そういうハンディキャップを持った人や御老人に対して優しい気持ち、福祉の気持ちを持てる人になってもらいたいという意味で、私はそれ自体は非常にすばらしい制度が発足したと思います。

 ただ、私もその当時教育学部の教員でしたから、これを現場でやるということになったときに、どこの老人ホームに学生を何人配置する。百五十人ぐらいいる学生を市内だけでは当然さばけません。車の免許を持っている人はどこに行ってもらう、あそこに行ってもらうとか、それから、養護学校にも二日ぐらい行かなければいけなかったわけですよね。そして、それは休みのときを利用してやりましたので、新しい免許を取るために、幼稚園だ、保育所だということでの研修とかいうことになったときに、受け入れの場合の、教育実習なんかでの混乱というのはあるわけです。

 実際、教育実習生が来ると、迷惑がるといいますか、多くの学生を受け入れてくれない学校というのは今たくさんあります。自分たちもまた教育実習を経て先生になっていたのになと、教える側、教育学部の先生たちは思うんですけれども、実際、学生が来ると、その間学生の指導も含めて大変だから、うちの学校は去年教育実習生を五人受け入れていたけれども、ことしは二人にしてくれとか、そういうところが非常に多いんですね。将来的にはこれは制度といいますかカリキュラムを一本にして、どちらの免許も取れるようにしていただきたいし、また、そういうふうな方向になっていくと思いますので、その際には、その点の御考慮をお願いいたしたいと思います。

 その上で、また次の質問に移らせていただきます。

 改めて地方裁量型の認定こども園についての質問ですが、これは大臣にお聞きいたします。

 この地方裁量型の認定こども園という構想を見ましたときに、何となくといいますか、まさに地方にできることは地方でというか、小泉政権の路線に沿った、就学前の子供の教育に対する規制緩和の一つの形であるようにも感じました。小泉政権が進めているところのプライバタイゼーション、民営化、規制緩和、民間委託、こういうものとの関連で、新たに構想されている地方裁量型認定こども園をどのようにお考えなのか、大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、お願いいたします。

小坂国務大臣 横山委員にはいろいろと御質問いただきましたけれども、先ほどの免許の問題にしても、これから、それぞれの機能に着目して今回こういう制度にしておりますけれども、子供を扱うという点においては、どのような免許であっても、子供に対する理解を深めていくという点では一致しているわけです。それで、卒業後どういうところに就職するかというときに柔軟な対応ができるように、今委員の御指摘のようなことは今後とも考えていきたい、こう思っているところでございます。

 ただいま御質問いただきました地方裁量型の認定こども園につきましては、東京では既に認証保育所というような扱いで、保育所でもないし幼稚園でもない、かといって無認証でもないということで、独自の規格によって就学前の教育、保育を行う施設を設置している地方自治体もあるわけでございます。それはすなわち、それぞれの地域に応じたニーズがあって、それに対応した、現行の法律の枠組みでは設置し得ないようなものを地方として対応したいというあらわれだと思うのでございます。

 今般の認定こども園につきましては、こういった地方の独自のニーズというものにも、多様なニーズに対応できるように、規制改革や地方分権の流れも踏まえた上で、こういった新たな取り組みを促進したいと思うところでございまして、地方独自の施設についても認定対象としているわけでございます。

 一方で、こうした地方裁量型についても、認定こども園としての基本的機能は、この法案の規定に基づいて確保する必要がございます。そして、職員配置や施設整備等の具体的な認定基準について、国は一定の指針を示して、そして、国の定めた一つの認定基準について、都道府県が基準を定める際にはこの指針を参酌していただくということをやはり規定しているわけでございまして、都道府県は条例によってその認定基準を定めるということから、条例を定めるということは、すなわち、地方も議会に諮って条例を定めるわけでございますので、そういった意味で、都道府県議会のしっかりとしたチェックも受けられるということでございまして、教育、保育の一定の質が確保されて、そして地方のニーズに対応できるような形になる、このような考え方から行ったものでありまして、地方にできることは地方でというものとはちょっと違いますけれども、機能面で地方のニーズにちゃんと対応できるようにしたということでございます。

横山委員 どうもありがとうございます。

 今の大臣の御答弁を聞けば、何の問題もないと思いますけれども、地方にできることは地方でというのとはちょっとニュアンスが違うというようなお話もされました。

 今いろいろな形で規制緩和が小泉政権のもとで進められている。こういう教育の問題に対して、その一環として、ある場合に、こういうこともやはり国の責任という問題。ですから、地方の自主性を重視した結果として、国の全体的な目といいますか、広い視点からだけでは見えてこない地方の独自のニーズが生まれる、それが非常にいい教育で、またフィードバックされて国の政策にも反映されてくるとか、さまざまな試みが期待できる点で、それはすばらしいと思います。

 しかし、いかに民営化推進といっても、国防、外交、そして基礎教育、こういう面については国がきちんと責任を持ってやる。これは小沢先生の「日本改造計画」にもしっかり書いてありました。小泉政権も同じ考えであると思いますので、きちんと規制する部分は規制していく必要性を感じております。

 その上で、次の質問に移らせていただきます。

 この法案には、子供たちが健やかに育成される環境の整備に資することを目的と書いてありますが、規制が緩和されることによって子供集めのための競争が激しくなること、これは先ほども指摘されていましたが、その際に、英語とかコンピューターとかの先取り学習の導入、外注傾向に拍車をかけないかということも一つ懸念されるところだと思います。親の心理として、ほかの子におくれてはならない、あそこの学校ではもう園児の段階でコンピューターをやっているということになると、ついつい、うちの子もそういうふうにしなきゃいけないのかなという気になるのは、仕方のないところだと思います。しかし、それが果たして本当に科学的に子供の教育についていいことであるのかどうなのかわからない段階でそういうことを行われることで、本来必要な教育、保育がおろそかになるのではないかという心配もあろうかと思います。

 このことにつきまして、どのような対策を考えておられるのか、どなたか教えていただければと思います。

銭谷政府参考人 先ほども申し上げました総合施設のモデル事業評価委員会の最終まとめにおきましては、認定こども園における教育保育内容について、「受験などを目的とした単なる知識の早期獲得や、特別な技能の早期獲得のみを目指すような、いわゆる早期教育となることのないように配慮する必要がある。」と提言をされているところでございます。

 先生御案内のように、幼児期の教育につきましては、幼児同士のかかわりを基本に、幼児の自発的な活動としての遊びや、さまざまな体験活動を通して成長していくように指導を行うということが重要でございます。

 認定こども園におきましても、そういう観点からの教育活動が行われるわけでございますので、受験目的あるいは特別な技能の早期獲得を目指したような、いわゆる早期教育ということを、こども園として想定をしているというものではないわけでございまして、幼児期に真に必要な教育、保育が軽視されることのないように、必要な措置を講じてまいりたいと思っております。

横山委員 済みません。そのことに関連してもう一つ。

 では、そういうことに規制をかけるのは、どこが規制をかけるんですか。お答え願えればと思います。

銭谷政府参考人 認定こども園のいわゆる三歳から五歳の四時間の教育につきましては、基本的にこれは幼稚園教育要領等に基づきまして実施をされるわけでございまして、まず、この幼稚園教育要領の基本的な考え方、これが、環境を通して、環境をつくって、その中で子供たちにいろいろ遊びや体験活動をさせて、そして教師が適切な支援、指導を行うことによって子供の成長を図るという基本的な考え方でございますので、まず、この幼稚園教育要領に従った教育活動をしていただくということになります。

 そして、その点につきましては、今後、文部科学省と厚生労働省で作成をいたしますいわゆる指針の中で、あるいは通知の中で、適切にまたお知らせしていくということを考えております。

横山委員 ありがとうございました。

 どうしても子供集めという観点から、そういう教育あるいは過度な値下げ競争みたいなことも可能性として考えられます。そのあたりの御指導はよろしくお願いいたします。

 それでは、また次の質問に移らせていただきます。

 認定こども園の発足による財政支出についてちょっと伺いたいんですが、この認定こども園に関する特例措置として、幼稚園と保育所が一体化した認定施設については、設置者が学校法人、社会福祉法人のいずれであっても経常費及び施設整備費を助成する、こうされていますが、非常に大まかな質問で申しわけありませんが、端的に言って、この認定こども園の発足というのは国の財政支出をふやすものなのでしょうか、減らすものなのでしょうか。そういうことはまだ、そんなことはやってみなきゃわからないというものなのでしょうか。できれば大臣、ちょっとお伺いしたいと思います。

小坂国務大臣 御懸念の部分ですけれども、認定こども園につきましては、幼稚園や保育所が円滑に移行ができるように、幼稚園と保育所が一体的に設置されている施設については、その幼稚園及び保育所の設置者が学校法人である場合、この場合には、私立幼稚園施設整備費補助が出ているわけでございますので、それについてはそのままそれが出るように、また、保育所の設置者が社会福祉法人である場合、これは次世代育成支援対策施設整備交付金が出ているわけでございますので、これによって対応することとしているわけでございますが、学校法人、福祉法人いずれであっても特例的にこれが出るようにするということで、こうした考え方によりまして、幼稚園及び保育所の施設整備費の予算につきましては、認定こども園の認定を受ける幼保一体型の施設も含めまして、これらのニーズの状況を踏まえた適切な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。

 また、ふえるのか、減るのかということでございますが、今申し上げたような、そのニーズをしっかり把握した上で適切に対応する。すなわち、厨房といいますか給食施設を新たに必要として、それが申請をされて、保育所としての機能の面から、従来は幼稚園だったけれども今度は新たに保育所の認可もしっかりとって、そして給食施設もやった、併存をさせてやっていきたいという、連携型の場合にはそれらの予算を確保できるようにするということになりますので、その部分は、そういうものが多ければ、厚生労働省としては次年度の予算申請でそれに対応していくということになると思います。

横山委員 わかりました。

 この制度が発足することによる一つの不安として、先ほど午前中の御指摘の中にもありましたが、この認定こども園が二〇〇三年のいわゆる骨太方針、国庫補助負担金整理合理化方針の中から出てきた、この中から新しい児童育成のための体制の整備として出てきたものであるという点から考えて、もともとこれは財政赤字を削減するためにこういうものをつくったのではないかなという心配が多くの人から、多くの人からといいますか、この制度を認めないという人からは出ているわけですね。

 ですから、例えば制度にしても、幼稚園と保育所、より低い基準の方に合わせてつくっても、それを設置を認めるよとか、みんなそういう懸念を持っているんですが、今の大臣のお話ですと、そういうことよりも、やはり適正に判断していくということになりますが、そのような理解でよろしいのでしょうか。改めてお答え願えればと思います。

銭谷政府参考人 大臣からもお話がございましたように、幼稚園及び保育所の施設整備費の予算につきましては、認定こども園の認定を受ける幼保一体型の施設を含めまして、それぞれこれらのニーズの状況を踏まえて適切な予算の確保を図ってまいりたい、こう考えている次第でございます。

白石政府参考人 厚生労働省としても同じ考え方で対応してまいりたいと考えております。

横山委員 どうもありがとうございました。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。認定こども園、幼稚園、保育所の共存ということに関してです。

 午前中の山本委員でしたか、質問の中にもありましたが、私たちも視察に行きました幼保園で、高井委員が最後に、こういう制度が発足したら認定こども園に手を挙げますか、挙げませんかという質問がありました。そのとき、それに答えてくださった方が、この制度が発足すれば、幼稚園はかなり手を挙げてくるだろう、しかし保育所ではないのではないかなというお返事があったわけです。

 これはつまり、今現在保育所で働いておられる人たち、またそこに子供を預けている親たちが、漠然とした不満、不安を持っているということのあらわれだと思います。その中でも、特に、午前中の山本委員の質問の中には、この制度が発足すれば保育所がなくなってしまうと思っている人さえいるんだという声もありました。あるいは、保育所が組織としてはなくならないまでも、その存在価値がなくなるとか。

 そういうものではないんだと。民主党は幼保一体化ということを言っておりますが、今の政府案の中では、三つの組織はきちんと共存していくのである。そして、現在ある保育所は存続するし、不利な扱いを受けることはない。就学前の子供の保育、教育に関しこれまで以上に重要な役割を保育所は、もちろん幼稚園も含めて、担っていくんだという点について、政府としてしっかりとしたPRをしていかなければならないと思います。現段階においては、それがかなり誤解されている部分があります。その点について、最後に両大臣、お一言ずついただければと思います。

小坂国務大臣 委員からも、そういう方がいらっしゃったら今後説明していただけるように、しっかりと説明をし、御理解をいただきたいと思いますが。

 いろいろ具体的な事例を申し上げるならば、ある町のある場所で、そこには保育所はあるけれども幼稚園はない。そういうところに、保育に欠けるお子さんは比較的最近は少ない。そうじゃなくて、普通は逆なんですけれども。でも、たまたまその地域はそうだと。逆に、保育に欠けない、すなわち、幼稚園に行くべきお子さんはたくさんいる。このままいくと、保育園は十分な園児が確保できなくて、保育所としての存立、経営基盤が若干弱くなる。これを機会に、保育に欠けない子供も預かることによって経営基盤もしっかりさせて、また、集団の教育的な、保育、教育のニーズをしっかり充足させたいという場合には、保育園であっても認定こども園の申請をされるだろうと思います。

 また、この逆の場合はもっとわかりやすいわけでございますが、保育に欠ける子供がいて、幼稚園しかない。そして、そこに保育園をつくってほしいけれども、保育園にするには人数が少な過ぎてだめだという場合には、幼稚園型の認定こども園になるだろう。

 それからまた、お母さんの側からすれば、自分がパートで働いているときには保育園に預けられるけれども、パートをやめた途端に幼稚園に切りかえなきゃいけない。でも、その地域には幼稚園がなかったりする。また働くようになると、また保育園に入れなきゃいけなくて、幼稚園と保育園を行ったり来たりする。こういうことは非常にお母さんの側から負担も多いし、子供にとってもよくないということでございますから、この認定こども園というのはそれぞれのニーズに対応できる。

 また、そういった意味でいえば、それでは従来の保育園は要らなくなるのかといえば、保育に欠ける子供がいる以上、保育園の施設は必ず必要でございますし、また、保育に欠けないお子さんは保育園に通えないものですから、やはり幼稚園は幼稚園として必要でございますので、それぞれに必要な地域に必要なものが設置される。そして、その地域のニーズで認定こども園が必要な場合にはこの制度を選択していただいて、そういった意味の選択肢がふえてくるということで御理解をいただいて、この制度の的確な運用に私どもも努力いたしたいと思いますので、何とぞ御理解と御支援をお願い申し上げたいと思います。

中野副大臣 横山委員の御質問にお答えします。

 まず、待機児童の今一番多い世代というのは、一歳から二歳が多いんですよ。そういう意味では、今言われたいろいろな御心配について、大臣からいろいろと御答弁いただきましたけれども、基本的には、やはり今の小坂文部科学大臣の御答弁で、私どもも同じような考えでございます。

 しかし、せっかくでございますから、もう少し論理的に申し上げますと、認定こども園制度というものは、現在の幼稚園や保育所の機能や役割を軽んずるものではなく、むしろ、こうした既存の施設と相まって、地域の実情に応じた、利用者のための、ニーズにこたえた新たな選択肢を提供しようとするものであって、これは委員も御承知のとおりでございます。

 ですから、厚生労働省といたしましては、地域に根差した幼稚園や保育所につきましては、おのおの伝統と実績がありますから、これまでと同様にそれぞれの役割を発揮していただきたいと当然考えておるわけでございまして、例えば地方自治体とか、また幼稚園とか保育所の団体とか、いろいろな会合とか、研修会とか、あらゆる機会をとらえましてPRをさせていただくということをしたいと思っております。

横山委員 どうもありがとうございました。今働いている人の不安を解消するような措置を、何とぞよろしくお願いいたします。

 私、子供が三歳でして、本当は、自分の家庭事情を話して、どこに入れたらいいか大臣にトップセールスしていただきたいと思っていたんですけれども、ちょうど時間が来ましたので、これで終わりにします。十月から始まるということですので、何とぞよろしくお願いいたします。

    〔委員長退席、池坊委員長代理着席〕

池坊委員長代理 奥村展三君。

奥村委員 民主党・無所属クラブの奥村でございます。

 大事な子供の夢をはぐくむいろいろな施策の中での認定こども園の質疑が行われているさなかでございますが、先日の委員会でも質問をさせていただきましたが、きのう、おとつい、いろいろと報道されておりますtotoの問題について、大臣に所見をお伺いいたしたいというように思います。

 二百二十五億に及ぶ借金を五年間でつくって、そして新たな体制でスタートをしようというやさきに、りそな銀行から、経費の圧縮分等を免除して、約百四十四億の返済を求められてきたわけであります。このようなことが報道なされたわけでありますが、何か、五月になると、最終督促をするとか、いろいろなことが報道されたわけでありますが。

 もともと私は、前回の委員会でも申し上げましたとおり、根本的に見直していかなければこのtotoの問題は大変なことになりますよということを申し上げてもきました。きょう、この委員会のさなかになると思いますが、三時過ぎから与野党超党派のスポーツ振興議員連盟の中でもこの問題が話題になりそうであります。

 こういうことを考えますと、スポーツを振興していくためにtoto制度をつくられた。しかし、親方日の丸的な感覚のもとに五年間進んできて、借金をつくってしまった。国民の税金を使ってスタートさせて、あげくの果てに二百二十四億の赤字を出して、そして百四十四億の返済を求められる、督促をされる。大変情けないことだと思うんです。本来のスポーツの振興からいけば、こういうことはあってはならないことであり、totoのそういう制度によって、サッカーを通じて、サッカーくじとして進められてきたことについて、非常に残念に思うわけでありますが、大臣の所見をまずお伺いいたしたいと思います。

小坂国務大臣 奥村委員の御指摘でございますけれども、スポーツの振興のための財源を求めてtotoがスタートをして、二〇〇一年に販売が開始されましたtotoでございますけれども、一期目の実績が思わしくなく、負債が残っておって、ただいま御指摘のように、平成十五年度及び十六年度におけるりそな銀行に対する委託料の未払い分約百四十四億円の返済につきまして、りそな銀行から返済を迫られている、催告を受ける、督促を受けるというような状況になっていることは、まことに遺憾でございます。

 現在、日本スポーツ振興センターが、平成十八年度以降のくじの売り上げの中から返済することを基本にいたしまして、りそな銀行と協議をいたしているというふうに承知をいたしております。

 両者間の協議が早期に調いまして、円満な形で解決されることを私としては期待をしているところでございまして、スポーツ振興くじの事業につきましては、くじの種類の多様化、販売方法の工夫など、さまざまな取り組みを懸命に行うことによって売り上げを回復させて、スポーツ振興くじの目的を達成することが喫緊の課題であると認識をいたしておりまして、このことについて、私としては、当面は全力を尽くすべきであろう、このように考えているところでございます。

奥村委員 確かに大臣の立場からはその答弁だと思うんですけれども、実際にtotoの運営をなされている方々の意識、そしてPRとかいろいろな問題があるわけなんですが、私は、ずさんなやり方がこういう結果になってしまった、本当に真剣に物事を考えていただいているかなということで、楽しみを持ちながらサッカーくじを買って、夢を持って買っている方もおられる、そういうことを考えますと、どうも、このサッカーくじのシステムそのものが根本的に間違っている、そして、これだけの赤字を積み重ねてきた、ここのところを転換しないといけないと思います。去年だけでも百四十九億しか売り上げができていません、それを今度は二百四十億を目標に挙げられているわけなんですが、そんなことで本当にできるかなというような思いをいたしております。

 きょうは、このことが本題ではございませんので、まず指摘をしながら、一日も早く、せめても期限を切って早く処理をされないと、今後、税金を投入していかなければならない、あるいはひょっとすると、以前も申し上げたように、国民の財産である代々木の陸上競技場だとか、あるいは、先日視察に行きました国立スポーツ科学センターだとか、ああいうものを全部担保に入れて、そしてりそなに返していかなければならないような事態になってしまうのではないかということで、大変危惧をいたしておりますことを申し上げ、この質問は終えたいというように思います。

 先ほど来、ずっと各委員の方々が御質問をされてきたわけでありますが、小坂大臣もよく三つ子の魂百までということをお使いになっておられます。だれしもが思うことは一緒だなというように思っているわけであります。

 私どもが生まれ、育ってきた地域は、田舎だったものですから、こんな、保育所だとか、もちろん幼稚園も、隣の町にはキリスト教の方の経営なされているところが一カ所ありましたけれども、私は寺の託児所、時にはお宮さんの託児所に行ってこいと言われて、そこで遊ばせてもらったことを思い浮かべているわけであります。そうした保育所、あるいは幼稚園には行かなくても、やはり、地域の皆さんのおかげで、あるいはいろいろな方々の支えによって、今日こうして生意気なことを言わせていただける立場に置いていただけたなという喜びも感じているわけであります。

 池坊先生御存じだと思いますが、京都教育大学に蜂須賀先生という学長がおられたと思うんです。あの方とお話をしていたときに、胎教というのが大事なんだ、生まれてからいろいろ教育をする、それも大変大事なことであるけれども、胎教というのが大事なんだ、もっともっとそこに教育の原点を置かなければならないと思って、自分はきょうまで教育を進めてきたんだということをおっしゃいました。

 私は、女性じゃないですからわかりませんが、女性のいろいろな苦労もあろうと思いますが、やはり、そこに結びついて胎教というものが大事である。そして、世に出て、その人生の中でいろいろとみんなが支え、みずからが努力して、教育を受けて、成長していくものだというように思います。ですから、こういうこともやはり大事ではないのかなというように思います。

 保育所や幼稚園、これは乳幼児あるいは園児が初めて集団生活に入るわけであります。そういうことを考えますと、大変大事な時期である。だから、大臣も三つ子の魂百までということをいつもおっしゃるんだなと、私は聞いております。

 それと、やはり親の正直さが子供の心を育てるということも、この蜂須賀先生はおっしゃいました。まじめに、正直に子供を育てたら、そのように育ってくるんだ、やはりそういうことが一番教育で大事なんだよということを、もう数十年前に教えられたわけですが。

 大臣に、ちょっと失礼なことを聞いてよろしいでしょうか。お孫さん、おられますか。(小坂国務大臣「おりません」と呼ぶ)おられません。

 私は、今審議をさせてもらっている法律案一つ考えましても、やはり孫の顔、姿、そして、自分の子供が保育所や幼稚園へ行っている姿を思い浮かべながら、確かに苦労いただいている方々の立場で先ほど来答弁をいただいていますが、これは机上の議論にしかすぎないんです。本当に、心を持って、愛を持って子供たちを育てていこうという気持ちでやはり法案を審議していかなければ。

 私は、この教育論だけじゃない、ほかの問題でもそうです、汗して働く人たちが本当に頑張っておられる。しかし、どんどんどんどん格差社会が今生まれている。小泉政治、本当に私は国民にしっかりとしたものを考えてやっておられるのか、パフォーマンスだけで政治が行われていいんだろうか。心からその場面、その場面を思い浮かべながら、政治というものは生き物ですから、進めていかなければならないという思いでおります。大変生意気なことを申し上げましたが、そんな思いで実は質問もさせていただきたいし、大臣あるいは関係の皆さんからの答弁をいただきたいというように思うものでございます。

 まず、制度の面からお伺いをいたしたいというように思うんですが、地域におけるすべての子供の育つ権利を保障していく、保育制度の改革がまず私は必要だというように思います。ですから、就学前の子供の教育、保育、この一体化と、この法案を出されてきたわけでありますが、将来像を含めて理念等、小坂大臣の御所見をお伺いいたしたいというように思います。

小坂国務大臣 奥村委員は、今のお話だと、お孫さんがおいでなんだと思います。そういう意味で、お孫さんのかわいい育ちを考えながら、これからの社会で、どうやってみんなで子供を守っていこうか、こうイメージして御質問いただいているんだと思います。

 私は、残念ながら、まだ孫はおりませんが、保育園や幼稚園の入園式や卒園式へ行きますと、もう本当に見ていてかわいくて、本当に御苦労されている中で、しばらく預かれるものなら一人ぐらい預かって帰りたいといつも思うわけでございまして、そういう意味では、本当に私は子供が好きでございます。そういった気持ちの面においては、奥村委員と同じような立場に立ちたいと思って答弁をさせていただきたいと思っております。

 今、蜂須賀先生というお名前も挙げて、御意見を賜りました。三つ子の魂百までと言うが、その三つ子の前の前の胎教のところから影響があるんだという蜂須賀先生の意見をお引きになりましたけれども、お聞きしておって、私も、ああ、なるほどなと思いました。

 いつも私は、人間も動物ですから、三つ子の魂百までと言いますが、動物はおぎゃあと生まれ落ちたときに、まあ、動物の場合おぎゃあと言うかどうかわかりませんが、生まれ落ちたときにもう既に外界にさらされて、天敵その他にさらされるわけですから、おなかにあるうちにそういった自然界への適応力あるいは外敵に対する注意力等をある程度は持って生まれていないと生き残れないという厳しい自然の世界だと思います。

 そういう意味で、胎教というのは、そういった部分で、いわゆる生物学的に言えばDNAとか、いろいろなものが持っている、継承してきた、長い人類の歴史の中で培われた防御本能とか、そういうものが伝承されるんだと思いますが、胎教の重要さというのは、そういった意味で、本当に幼児期の教育同様に大変重要な部分なんだなということをイメージさせていただきました。

 幼児期の教育につきましては、同様に、その幼児期において人生全体を通じての生きる力を養うということとともに、先生が御指摘になりました、生きる上での心を育てる大変重要な時期だと思います。

 保育、教育については、幼児期にあっては、一義的にはもちろん保護者が持つものでございますけれども、その保護者を地域と国が、社会が、みんなが支援して、そして国の宝である子供たちの保育、教育の環境をつくっていくことが必要だ、こうした考えのもとに、幼稚園や保育所における教育、保育の機能を一層充実させてまいりたい。また、働き方の見直しなど、社会全体で子供の育ちを支援をする体制をつくっていかなければならない。そして、家庭や地域社会の教育力、子育て力を向上させるための施策を次から次へとやっていかにゃいかぬ。

 そういった意味での制度づくりということが、この就学前の子供の教育、保育制度について一つの理念として持っておくことが必要だろうと思っておりまして、今後とも、就学前の子供の育ちを社会全体で支援するという観点に立った、厚生労働省を初めとした関係省庁との連携において、文部科学省としての取り組みを進めてまいりたいと存じます。

奥村委員 後ほどいろいろと質問させていただきますが、それぞれ思うことは一緒、質問することは一緒ですから、できるだけ簡単に、ある意味では、もう何度も聞かれたところはカットして進めたいというように思います。

 実は、私は、長男が保育園へ行きましたときに、たまたま地域の保育園のPTAがあるわけなんですが、そこの会長をお預かりしたときに、これだけ親ができないことを保育士さんが一生懸命、何十人、三十人近い子供を一人で教えていただき、守りをしていただき、頑張っていただいているんだということで、ある意味ではそれに感銘を受けました。後に県議会に進ませていただいたときに、当時の町長さんが、町は保育所で運営をするから、何とか幼稚園をつくってくれぬか、就学前教育が非常に大事な時代になってくるからちょっと力を貸してくれと言われて、昭和五十八年に、実は私は学校法人を立ち上げました。その後、地域にブロック別にどうしてもと言われて、現在三カ園を運営しております。私は教育のことはわかりませんから、学園長初め園長に任せておりますが。

 そういう流れを思いますと、今回のこの認定こども園を、それでは、私どもの幼稚園で受け入れをさせてもらってやってみようかということで、園長と学園長と職員なんかと相談をしてきました。まず園舎から直さなければならないですねというような話が出てきました。バリアフリーなんです。そして、先ほども出ておりますように、やはり給食センターの受け入れだとか、いろいろな施設の整備をやっていかなければなりませんし、もちろん教室、乳幼児をお預かりする、零歳から三歳までの子供さんをお預かりする場所もつくっていかなければならない。そして、まず職員の体制を整えなければならない。ありとあらゆる問題を一遍書き出してくれといって、書き出させました。それを見て、私も上京するとき新幹線の中でそれをずっと読み上げてみたんですが、ああ、こんなこともこんなこともと、もう恐ろしいほど出てきます。ですから、これは受け入れ側としてはやはり大変なことになるわけであります。

 しかし、先ほど来ずっと大臣の答弁の中で、おっしゃっている中で、従来の保育所はそのよさがあったからそのままなんだ、幼稚園はそれなりの流れもあったからそれも大事なんだ、しかし、今回の認定こども園は、幼保一体化的な、一元的な、こういう形で進めていく、こう考えても三元化という形になるんですが、こういう認識でいいんですか。

小坂国務大臣 奥村委員も御承知をいただいているとおり、今おっしゃったとおり、幼稚園は、幼稚園としての機能がある、そのニーズのあるところに今後とも存在をする。保育園も、保育園としての、保育所の機能を重視するところにそれは存在している。

 しかしながら、その地域にいらっしゃるお母さん、例えば働きに行っていらっしゃる。ところが、働いていらっしゃったところをおやめになった途端に、保育所を引き払って、今度は幼稚園に入れなきゃいけない、またその逆があるということでは、非常に安定しない。お子さんが大変だし、お母さんもお父さんも、いわゆる保護者が大変だということになります。

 そういったニーズに対応する必要性も一方にあって、また、地方自治体が独自に、国の定める、厚生労働省あるいは文部科学省が定める保育所、幼稚園の規格に合わないけれども、独自の規格で就学前の幼児教育をあるいは保育をする機関をつくりたいというような考えをお持ちのところもある。例えば東京都の認証のような形を言うわけでございます。

 そういったものを見たときに、国の制度の枠組みをある意味で少し柔軟化することによって、地域の選択肢をふやしていこうということでこれを導入するわけでございますので、施設として、保育所あるいは幼稚園にかわる第三のものをつくるというのではなくて、あくまでも地域の要請に応じて保育機能を持った幼稚園をつくって、待機児童の解消に役立てたいとか、あるいは、保育に欠けない子供の子育て支援をする意味で、そういった機能を持ったところを、幼稚園でも保育所でも持ってもらうような形で認定こども園になっていただいて、そういう機能を充実させるというような意味合いでございまして、それぞれの機能に着目した上でこの枠組みをつくったものですから、新たに第三番目の分類として認定こども園というものをつくるのではなくて、それぞれ保育所、幼稚園というものを基軸に考えながら、この認定こども園という制度の枠組みをつくっていったというふうに御理解をいただければ幸いでございます。

奥村委員 よくわかるんです、今おっしゃったことは。しかし、これは先生方の都道府県の地元のシステムをお考えいただければわかるんですが、幼稚園は、県の部局からいけば、私立の場合は総務であります。そして、保育所の場合は大体厚生関係なんです。今回のこの認定こども園、一体どこが窓口になって、どのように県として、これはもう県の裁量によっていろいろ進めるわけでありますから、これは都道府県自身も迷ってしまうのではないかな、どういう受け入れをしたらいいのかなということで戸惑いが私は出てくるというように思うんです。

 ですから、やはり子供たちを中心に考えて、子供の保育をしていくその最低の基準が形骸化されないかなということも実は心配の一つなんです。あいまいな基準になってしまったり、いろいろなことになってしまって、そのしわ寄せが全部子供たちあるいは保護者に行ってしまったら、これは、一体何のためにこれをつくった、認定こども園というような制度をつくってしまったんだなんというようなことで、かえって私はマイナスになるのではないかなというような思いをするものですから、今指摘をしておきたいというように思います。

 こういうことを考えますと、きょうの質問の中で、我が党の笠委員のときに、我々民主党は子ども家庭省なるものを創設していくということを掲げておりますが、それは無理だろうというような大臣の答弁があったわけなんですが、さりとて、今回のこの法律を見ましても、国の担当ですら文科省と厚労省、こういうような形で、本当にこれ、先ほど来、推進室をつくっているつくっているとおっしゃっていますけれども、その連携がうまくいっているのかな、現場の実態、これから進めていったときに、本当にこれがそのように進むだろうか、今日まで縦割り行政でずっとやってきたことが、ここでどんなボンド、接着剤があったのかわかりませんけれども、いきなりそれがうまくいくんだろうかなと。私は不思議でなりません。ですからこういうことを申し上げているんですけれども。

 小坂大臣、垣根を乗り越えて、子供を中心にあるいは保護者を中心に物を考えていく。確かに文科省のあるいは厚労省の一つのまとめをもって推進室をおつくりになっていますけれども、今の段階では大臣としては言えないかもわかりませんが、やはり、小坂大臣のときにこの認定こども園という制度が法律化されてスタートしたんだ、しかし、行く先には、やはり縦割り行政の弊害を及ぼしてはならない。いずれは行政の一元化を図るべきであるというようなことをしっかりと今ここで私は明示をいただくことが、子供たちあるいは保護者たちにとって、安心して保育所や幼稚園や、あるいはこの法律によってできる認定こども園にお預けになって、夢を持ってはぐくんでいけると思いますが、いかがでしょうか。

小坂国務大臣 奥村委員の、縦割り行政の弊害を除けという点については、私も同感でございまして、縦割り行政の弊害というのがなぜ起こるかといえば、それは組織的にはどうしても、どのような形をしても、全部が一つになることはないわけでございまして、省庁というものが幾つかできる。しかし、その省庁の中にいる役人あるいはその行政を担当している者が、省益にとらわれたり、自分の権限の範囲に限定してしか仕事をしないというときに初めて省庁の縦割り行政の弊害と言われるものが起きる。

 ですから、私は、この子ども家庭省という民主党さんの御提案というのもわからないではないですけれども、しかし、仮に子ども家庭省をつくったとしても、そうすると、それでは子ども家庭省で取り組まなきゃいけない問題の中に、働き方とか、親の働き方をどのように変えるかといえば、これは労働関係で、新たに今子ども家庭省になると、いわゆる厚生労働省の分野から児童、幼児の福祉の部分が抜けるのかもしれませんが、そういった意味では、労働をどうするか、労働行政の面でまたどこか連携しなきゃいけないところが出てくるということになりますし、私は、基本的に今の厚生労働省と文部科学省というものが存在しておっても、川崎大臣と私というものも、それぞれに相互にその役割を柔軟に協力し合うという体制をみずから進んで心がけ、予算面でもお互いに連携を図って、それを施策として実施するという気持ちを持って取り組むならば、縦割り行政の弊害は乗り越えることができると思っておりまして、そういう中から、今回の認定こども園の制度の運営をしっかりしていかなきゃいかぬという大前提を持っております。

 就学前の子供に関する教育、保育については、小学校以上の教育行政というものとの連携を全体的にやはり考えなきゃいけない。では、子ども家庭省はどこまでの範囲かということになれば、また、それじゃ何歳までかという、どこかで線を引けば、ここにまた縦割り行政の弊害というものが生まれるかもしれない。

 そういう意味で、小学校以上の教育行政についても、または地域の子育て支援などの福祉行政という点からいっても、今申し上げたように、保護者に対する福祉と子供に対する福祉の連続性を必要とする部分もありますので、幼児、児童の福祉は子ども家庭省だけれども、もう少し上になると今度は成人の方の福祉と一緒になるとか、そういう問題も当然出てまいりますし、働き方の見直しなどの労働行政、これも踏まえて、これらが一体的に推進していくという形になりますと、いずれにしろ各省庁間の連携は必要だ。

 したがって、現在の枠組みの中で一つの省庁に所管を一元化するのではなくて、文部科学省と厚生労働省が密接に連携をして、これらの関連部分をきめ細かく対応していくということがこの縦割り行政をなくすことの第一歩であり、また具体的な方策であろうと考えて、両省が連携してこれを推進するための幼保連携推進室を設けるということも厚生労働省と合意をしてやっておるわけでございまして、一体的な事務処理体制を整えて、そして利用者側から見て、利用者側の利便を第一に考えて、そしてまた設置者側の窓口としての連携機能を十分に配慮をした制度の運営を行っていきたい。

 なお、子供、子育てについての全閣僚による少子化社会対策会議や官房長官主宰の少子化対策推進会議等を通じて、子供の家庭についての総合的な施策の推進に努めてまいりたいと考えております。

奥村委員 いろいろ弊害があるわけですから、大臣が今おっしゃったこと、やはりある意味では政治的に判断をいただいて進めていただくことが大事であろうと思います。

 今大臣は、川崎大臣との連携もとおっしゃいました。けさほどの池坊委員の話も、私は質問しようと思ったら、先にもうやっていただいてありがたかったんです。確かに送迎バスの課税とか、給食を業者から入れているんですけれども、もう既にそこには消費税が乗っかっているんです。そして、保護者から給食費を預かっておりますが、その預かり金に対しても消費税を払えということで、課税対象になって払っているんです。二重課税なんです。こういうことが現場では起きているんです、現実に。

 ですから、ぜひ谷垣大臣とも、親しいといいますか、同じ小泉政権の中でありますが、こういう問題で本当に現場、それぞれの地域の幼稚園なんかでは困っておるんだぞ、こういうものをせめて免除すべきではないかということを、これはもう私のところの園だけじゃなくて、全国的な話ですから、私どもも送迎バスを持っておりますが、そういう問題だとか、あるいは先ほどの給食の話、本当に同じような思いで池坊委員も言っていただいたわけでありますが、ぜひこういう問題にひとつ前向きに、大臣、お取り組みをいただきたいと思いますが、いかがですか。

小坂国務大臣 先ほど池坊委員からの御質問にも答弁申し上げたとおり、保育費につきましては、通園バスそれから給食費、これらを含んでおりますので、これには課税をされない。しかしながら、幼稚園の場合には、御指摘のように、かかってくるし、またその給食の食材にはもう既に消費税がかかっているという御指摘でございますので、そういった意味の税制についての御不満があるということについては財務大臣にもしっかり伝えるだけでなく、与党内における税制論議の中にも反映していただけるように、関係方面にその旨をお伝えをし、また野党内におかれましては、先生が中心になってまたそういったことをお進めいただけるんだと思いますので、そのようにして、今前向きにとおっしゃいましたけれども、私もそういうものの改善に努めるという立場で頑張ってまいりたいと存じます。

奥村委員 ありがとうございました。

 それでは、もうほとんど重なる質問が多うございますので、担当の方々にお伺いをいたしたいというように思います。

 先日、おおやた幼保園、寄せてもらいましたけれども、これはもうびっくりしました。大臣も行かれたようですが、これだけの、全国に幾つかしかないと思われるような施設整備でありますし、体制であります。これはやはり、足立区の区長さん初め教育関係者、いろいろその思いを持って頑張っておられる。しかし、これを全国ベースで当てはめていこうとすると、これには大変な無理が出てきます。

 確かにモデル的にはすばらしいところでもありますし、特にあの環境、川を挟んで中川小学校があり、どんどん人口がふえていますから、中川東小学校ができた。しかしながら、一方では少子化になってきたから、教室があいたから、それを併用して、プレハブで、リースで借りてきた、そして園舎を建てて、こういうようにやっているんですよと言うておられた。

 確かに立派な施設であり、内容も充実もされていると思います。しかし、これを全国的に当てはめていこう、これがある意味では認定こども園の一つの布石のような形で我々も理解せよと言われても、ちょっとこれは理解をしにくいところもあるわけでありますが、まあ、あれはあれなりのやはり立派なものでありますから、その地域の子供さん、そして保護者の皆さんは幸せだなというような思いで私は拝見をいたしておりました。

 銭谷局長にお伺いしたいんですが、認定こども園の認定基準等が余り、余りといいますか、示されていないように思うんですけれども、やはり子供の発達権の保障にかかわることでありますから、内容をお聞かせいただきたいというように思います。

銭谷政府参考人 認定こども園の認定に当たりましては、各都道府県が認定基準をつくって、それに照らして認定をするということになるわけでございますけれども、その各都道府県がつくる認定基準につきましては、今後国が策定する予定の指針を参酌して認定基準をつくっていただくということになるわけでございます。

 したがいまして、現在、国におきましては、指針の具体的な内容について、総合施設モデル事業の評価委員会の最終まとめを踏まえまして検討をしているところでございます。

 現在までに、この最終まとめを踏まえまして検討するとしております内容は、幾つかございますけれども、一つが教員配置をどうするか、それから職員の資格をどういうふうにするか、三点目が施設設備についてどのように定めるか、四点目が認定こども園の教育保育の内容についてどのような定めをするか、五点目が保育者の資質の向上等につきましてどういうふうに指針を定めるか、さらに六点目といたしまして、認定こども園の必須の内容でございます子育て支援につきましてどういった内容をお示しするか、そして七点目としては管理運営等について一般的な方針等をどう示すかといったようなことが、内容として今検討しているところでございます。

奥村委員 今七点、これはもう基本的な、非常に大事なことでありますが、お述べをいただきましたが、やはりこれだけの法律をつくって子供たちを大切に考えていただいておるならば、私は、やはりこのガイドライン、指針というものは同時並行でどんどん進めていくべきだというように思います。法律が通ってから考えるんだ、また評価委員会で御検討いただくんだというようなことじゃなくて、先ほども一番冒頭にも言いましたように、やはり教育というのは政治と一緒で、生き物なんです。毎日毎日子供たちが夢持って頑張っているんです。はぐくんでいくわけですから、そういうことで、しっかりと、今おっしゃったこの七つの指針等を確立していただくことを強く要望しておきたいというように思います。

 そして、その次でございますが、きょうもずっと言われている中に、これは無認可だからモラルが欠如しているとか、そういう意味で私は申し上げるわけではないんですが、待機児童を何とか解消するために、いろいろ知恵を出されて、認定、こういうことになったと思うんです。実際に地域によって、全国さまざまなケース・バイ・ケースがあると思うんですけれども、これはもう一律でないわけであります。公立の幼稚園があり、公立の保育所があり、あるいは私立の幼稚園があり、そこに認定外の保育所もあるわけなんです。確かに、大都会になりましたら待機児童が多いかもわかりませんが、今本当に少子化の時代ですから、中核都市と言われるようなところでも、子供の、入園児の取り合いなんです。一生懸命勧誘をするために、特に私立の保育所なんかは、そのために東奔西走されるという姿もあるわけなんです。

 ですから、そういうことを考えますと、やはり組織のモラルといいますか、そういうものがしっかり維持されていくシステムが私は不可欠であるというように思います。これを進めていきますと、直接入所方式、保育料の自由設定、こういうことが進められていくと、自治体の保育実施責任の後退につながるのではないかなというように私は思うんですけれども、これは厚労省の白石審議官、どのように思われますか。御答弁をいただきたいというように思います。

白石政府参考人 御案内のように、認定こども園におきましては、直接契約ということで、施設による利用料設定が可能ということになるわけでございますが、その認定こども園が保育所の場合を御説明いたしますと、保育所である限りにおきましては、保育に欠けると市町村が認めたお子さんについては、正当な理由がない限りその入所は拒めないわけでございますし、また、サービスの提供に要した費用を勘案して、保護者の家計に与える影響も考慮して決めるとされておりますその利用料、自由に設定ができるものの、その考慮して決める利用料の設定が不適切であるというふうに市町村が判断した場合には変更を命じることができるというふうな形をとっておりまして、モラルハザードのようなことが起きないような仕組みにしているというふうに私どもは考えております。

    〔池坊委員長代理退席、委員長着席〕

奥村委員 そこの点はしっかりと進めていただかなければ、このモラルが低下していくようなことがあってはならないと思いますので、よろしくお願いをいたしたいというように思います。

 その次に、自治体の総合調整機能が大変大事だと思います。それはなぜかといいますと、障害を持つ子、外国籍の子、一人親の子、長時間保育を必要とする子、虐待されている子等、さまざまな問題を抱えていると思います。このようなことが、今申し上げた、ハンディを持つと言っていいかどうかわかりませんが、こういう子供さんたちが排除をされないように、それぞれの地域、自治体で総合調整機能が大変大事だと思いますが、両省のお考えをお伺いいたしたいというように思います。

白石政府参考人 障害をお持ちのお子さんであるとかあるいは母子家庭といった、特別の支援を要する利用者に対しましては、認定こども園を含みます市町村全体の保育の仕組みの中で適切な配慮を行われることが必要であること、先生御指摘のとおりでございます。このため、認定こども園全体を通じまして、まず保育に欠ける子供、欠けない子供、双方の受け入れ枠が設定をされなければならない。その上で、認定を受けた保育所につきましては、先ほどの御答弁と重複になりますけれども、保育に欠けると市町村が認めたお子さんに関して、保育所は正当な理由がない限りその入所は拒めない、あるいは、入所希望者が多い場合の選考については公正な方法によるべきであるということ。それから、母子家庭や、御指摘ございました児童虐待防止のための特別の支援を要するといった御家庭に対しては、一般の保育所と同様の配慮をする。

 これらのことは法律上規定をしているところでございますが、こうした措置とともに、認定こども園を利用できない、定員があったりとかいうことでどうしてもというふうなことがあり得る場合には、保育に欠ける子供につきましては、児童福祉法第二十四条に基づきまして、申し込みに応じ保育の実施責任をそこの自治体が負うわけでございまして、地域全体の中で、認定こども園に限らず一般の保育所等において、そういう何らかのハンディを負っているお子さんに対する適切な保護というものは行われるものだというふうに考えております。

銭谷政府参考人 認定こども園につきましては、これを最初に議論いたしました中教審それから社会保障審議会の合同の検討会議におきましても、審議のまとめの中で、「共働きやひとり親の家庭であって保育を必要とする場合など、配慮が必要な家庭が排除されないような何らかの仕組みを検討するとともに、障害児への対応についても配慮することが適当である。」とされているところでございます。

 ただいま白石審議官の方から御説明ございましたように、こういった点を今回の法案でも配意しているとともに、保育の実施義務を負う市町村において適切な配慮が行われることになると思っております。

奥村委員 よろしくお願いをいたしたいと思います。この点は本当に大事なことであります。一人の人間として、子供としての尊厳をやはり守っていくということから考えましても、大変この機能というのは重要であろうと思いますので、しっかりと進めていただきたいというように思います。

 先ほどとちょっと関連をするかもわかりませんが、認可外の施設の関係なんです。これはもちろん施設の安全ということが基本であるわけなんです。認可外施設でも認可をされている施設と大して変わらない、それ以上のところもあるかもわかりませんが、それはいろいろあると思うんですけれども、普通に考えますと、保育の質や、あるいはまた量的な充実も、今日話題になっていることなんですけれども、保育水準の低下につながっては困るなというように思うんです。

 そうなりますと、施設の整備やあるいは運営の基準そして危機管理、先ほども言いましたように安全対策、こういうことも含めてどのように、この認可外施設に、今度認定こども園もその中に入るわけでありますから、考えておられるのか、お伺いをいたしたいというように思います。

白石政府参考人 現在の認可外、今回の法律の中で、私ども、法律といいますか、御説明の中で申しております地方裁量型の保育水準に関するお尋ねだと思いますが、認定こども園につきましては、地方裁量型も含め、いかなる類型であっても、まず基本的な機能につきましては、法律の定めに基づき確保されるべきであると。その上で、職員配置や施設設備等の具体的な認定基準は、地方の方で地域の実情を考慮して条例で定める。

 ただ、その定めるときに国の方で指針を示すということによって一定の質の確保が図られるということを考えておりまして、また、認定基準を都道府県が定める際には、条例によるわけでございますので、きちんと議会の審議の過程の中でも検討がなされるというふうに考えておりまして、地方裁量型のものであるといえども、そこで提供される教育、保育について一定の質は確保されるものと考えておりますし、また、私どもも、どなたか別の御質問のときにお答えいたしましたように、指導監督基準に基づきまして、認可外に関しても指導をしてまいりたいというふうに考えております。

奥村委員 そう差をつけてはなりませんし、差を考えてはならないと思いますが、そこの点はしっかりと都道府県との連携をとりながら進めていただきたい。子供たちが不幸にならないように、お願いをしておきたいというように思います。

 いろいろお聞きをしようと思っておったんですが、もういろいろな委員の方々が質問されております。重なっておりますので、あと二点ほどに絞ってお伺いをいたします。

 特に学校教育法、児童福祉法等の制度によって進められていくわけでありますが、財政保障そして負担のあり方、これについてまずお聞きをしたいと思いますし、保育料が一元化されるわけでありますが、この適正な保育料と言っていいんですかどうかわかりませんが、この実現はどのようにお考えになっておるのか、まずお聞かせをいただきたいというように思います。

白石政府参考人 端的にお答えいたしますと、四つの類型があることは御承知のとおりでございますけれども、このうち、国の財政措置に関しましては、子供さんに対する教育、保育の質の確保の観点から、学校教育法それから児童福祉法に基づき認可を受けた施設に対して行う。

 具体的には、幼保連携型であれば幼稚園と保育所の双方からの補助の組み合わせ、幼稚園型は幼稚園の補助制度の活用、保育所型は従来どおり保育所の補助制度の活用、地方裁量型につきましては地方自治体の一般財源の対応というふうなことになろうかというふうに考えております。

 済みません、もう一つありました。

 お尋ねの中にありました保育料に関しましては、もともと幼稚園は施設が設定して、それで保育所は市町村が設定ということでございますが、認定こども園におきましては施設が料金を設定するというふうにするわけでございますが、これによりまして、幼保連携型施設におきまして、幼稚園と保育所の双方からの補助がなされるものの、施設の料金設定におきましては、市町村の就園奨励事業の所得段階などを踏まえつつ、両者の所得段階の区分の統一を図るなどのことが施設の判断によって行われるのではないかというふうに考えております。

奥村委員 白石審議官がつらつらとお述べになりましたが、文章ではそうかもわかりませんが、本当にこれは現場で考えてみたら大変なんですよ。この子は保育所関係の補助金の子や、この子は幼稚園のと。まあそれはたまったものじゃないですよ、現場では。

 だから、本当に実態を考えながら、いろいろなガイドラインをしっかりとつくっていただきたいと思います。そうじゃなかったら、本当にそのことばかりに費やされたら、本来の子供を育てていくことは置き去りになってしまうおそれがある。そんなことになっては困るから、私は申し上げております。

 みんなが一生懸命頑張るんですけれども、そういうようなシステムでは本来の子供たちを幸せにすることが私はできないというように思いますから、冒頭に申し上げたように、やはり一日も早く、本当に子供たちを中心とした一体化をするなり考えていかなければならないと思います。

 最後に、子育て支援についてお伺いをいたしたいというように思います。

 先日のおおやた幼保園もやっておられましたけれども、子育て支援についてであります。

 これは公立の場合はできるかもわかりませんが、私立は大変なことになるなというような思いをします。カウンセラーや事務職員や養護教員やあるいは栄養教諭ですか、こういう専門知識を持った人たちは各部署に置くことが望ましいというように思われるんですけれども。

 それに、一つは、最近私の地元でもそうなんですけれども、外国籍のお子さんが非常に多いんです。子供はすぐなれるんですけれども、職員から、そういう外国籍の子供に言葉が通じないという、非常に不都合なところがあるわけです。そういうことを通訳まで雇い入れてやるというのは大変なことなんですけれども、こういう子育てをひとつ考えていく場合に、やはり子供あるいは保護者との連携をしっかりとっていかなければならない、そういう支援についてどのようにお考えになっているのか。

 それと同時に、先ほど来地域の関係で子育てとおっしゃっていますけれども、私は、前回申し上げたように、これは、家庭があり、地域があり、学校がある、学園、保育所があるというように、ある意味では職場というものを考えないと、職場の理解もなければ子育てはできないんですよ。地域だけでこれはできませんし、もちろん家庭だけではできませんが。

 こういうことを踏まえて、銭谷局長から、子育てについて、人的な問題と、そして今申し上げた特に職員の研修等、やはり私はいろいろ進めていかなければならないと思うんですが、総合的にお答えをいただきたいというように思います。

銭谷政府参考人 認定こども園の子育て支援につきまして、多方面からのお尋ねをいただきました。

 やはり、子育て支援の円滑な実施のためには、一つには、認定こども園の職員に加えまして、カウンセラー、あるいはNPOの方、あるいは専門機関の方等々、さまざまな地域の人材、社会資源というものを生かしていくということが期待をされるというふうに思っております。私ども、そういう意味で、認定こども園が行います子育て支援におきまして、それぞれの園が地域の実情に応じた柔軟な対応がとれるということがやはり必要だろうと思っております。

 それから、特に指導に当たります幼稚園教諭あるいは保育士の方々に対しまして、さらには親に対しまして、いろいろなアドバイス、カウンセリング、こういうことを行ってくれる専門家を幼稚園に派遣したりするといったような事業も今後必要になってくるのではないかと思っております。また、そういう方々の力をかりまして、外国籍の子供を含みます多様な子供に対しましてきめ細かな指導ができるような、そういうことを考えていく必要があると思っております。

 その意味でも、最後になりますけれども、職員が研修等によりまして子育て支援に必要な専門性と資質を向上させていくというための応援といいましょうか、そういうことも今後の課題だと思っている次第でございます。

 なお、現在、特に私立の幼稚園につきましては、文部科学省として、幼稚園の子育て支援活動の推進事業ということで私学助成の中で補助を行っております。この経費につきましては、例えば十八年度予算におきましては、対前年度二億六千万円増の五億四千万円を確保して、こういった子育て支援活動を応援しているということでございます。

奥村委員 ありがとうございました。

 子育て支援政策では、子育てに喜びを持って、親の教育力を向上していかなければならない、そういう環境をつくっていくということがやはり大事であろうと思いますから、相談員、アドバイザーあるいはまたコーディネーター等の育成が大変大事だというように思いますので、しっかりとその指針もおつくりをいただきたいと思います。

 何はともあれ、ずっと申し上げてきました中に、私は、常に子供を中心に、次代を担ってくれる子供たちをしっかりはぐくんでいく政治の体制を整えていかなければならないということを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

遠藤委員長 保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 私は本案に入る前に、ここのところ新聞紙上で、toto、サッカーくじのりそな銀行に未払いの債務に対して大変厳しい局面が生まれているという記事について、一体どうなっているのか、訴訟等の法的手段で支払いを求められたときにどうするのかということをちょっと伺いたい。

素川政府参考人 お答え申し上げます。

 新聞で報道されましたけれども、日本スポーツ振興センターとりそな銀行の間では、現在、平成十五年、平成十六年度の未払い委託料の合計百四十四億円でございますけれども、これの返済について協議中であるわけでございますが、その返済方法につきましては、センターが平成十八年度以降のくじの売り上げの中から返済するということを基本といたしまして、現在、両者間で協議が進められているものでございます。

保坂(展)委員 これは、以前文教委員会と言ったこの委員会で、真剣な議論で、私は反対でしたけれどもね、各党それぞれの議員が長い議論を経ながら、相当議論してこのサッカーくじをつくったわけですね。

 ちょっと伺いますが、平成十七年の二月八日に日本ユニシスと契約を締結して二十五年の三月三十一日まで、かなり長い間契約をしているわけですね。この契約について、総額幾らだったのか、ことし幾ら払うんですかということをお答えいただきたいのと、こういった重要な契約をするときに、例えばこの委員会であるとか国会に対する報告、こういうのをきちっと行っているのかどうか。いかがですか。

素川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、契約でございますけれども、昨年の二月でございますけれども、日本ユニシスとセンターの間で七年間の、いわゆる第二期のくじの実施に関する基本的な契約、これは直轄でセンターが実施するということでございまして、その中で、個別の業務について契約するということでございますけれども、ユニシスはその中の一部でございますけれども、それにつきましては基本契約を締結したということでございます。

 基本的には、コンピューターシステムを含みます全体のシステムの構築、それからコンサルティングというような経営管理業務でございますけれども、七年間で、合わせまして百十三億ということでございます。これにつきましては、業務の実施に関する個別の契約でございますので、国会につきましては報告をいたしておりませんが、契約を締結しました際には、それぞれ、双方でプレスリリース等を行っているところでございます。

 今年度につきましてはまだ調整中でございますけれども、システムの関係につきましては、初期投資分を含みまして約四十億ということで見込まれております。

保坂(展)委員 これは、党派を問わず、本当に大丈夫なのかと。りそな銀行から、未償還のままだとりそなの方も困るわけですね。

 ということで、厳しい局面を迎えているのに、百十三億の契約締結をして、これは国会にも報告しない、ことしは四十億支払うと。いろいろ議論して、これではもうまずいからやめようということになったら、これはまたペナルティーを払わなきゃいけないわけでしょう。そこだけ確認、停止した場合、幾ら払うのですか。

素川政府参考人 これは契約のベースでございますけれども、先ほど申しましたように、一種の初期投資的な経費、これは百十三億円になっておりますけれども、これにつきましては、仮に途中で契約終了した場合には、その時点での未償還額、みなし額というものを両者が合意する条件で支払うということでございます。

保坂(展)委員 委員長に重ねてお願いしますけれども、資料をということでお待ちしているんですけれども、十日かけて三枚出てくるだけなんですね。やはり大変心配だ。そして、今りそなとの問題も抱え、百億の契約もしてしまった。やめれば違約金が必要になる。一体どうなっているのか、ぜひこれは当委員会で、関係する参考人招致も含めて、しっかり議論していただきたいというふうにお願い申し上げます。

遠藤委員長 理事会で協議いたします。

保坂(展)委員 では、法案の方に参ります。

 幼稚園と保育園を結合した認定こども園なんですが、これは、保育時間の長い保育園の基準でぜひやってほしいという声が、小さなお子さんをお持ちのお母さん方の間から私のもとにも届いております。

 現在の保育所よりも緩い認可外の基準、それは本意じゃないんだとおっしゃるかもしれませんが、認可外の基準で設置できる幼稚園型あるいは地方裁量型が保育の定員をふやしていく、こういうことになると、保育所の運営経費は一般財源化されているわけですね。そうすると、富裕でない自治体は予算減額のために、今一応しっかりやっている保育所への手当てよりは認定こども園に重心を傾けてしまうという心配をしているわけなんですが、この辺は厚生労働省はどう考えていますか。

白石政府参考人 認定基準に関します国の指針でございますけれども、例えば三歳から五歳児の職員配置につきましては幼稚園と同様に学級ごとに職員を配置しつつ、長時間利用する子供につきましては保育所と同様の職員を確保するというふうなことでございますが、すべてにわたりまして個別対応が可能な体制とすることとしまして、幼稚園、保育所双方の基準を満たすことが基本と考えております。したがいまして、言葉は適切かどうかあれですが、やすきにつくような形での認定ということにならないような基準というものは私どもは設定してまいりたいと考えております。

 一方、認定こども園につきましては、四つの類型があるわけでございますけれども、質の確保というふうな観点もございまして、保育に関する国の財政措置は保育所の認可もあるところに、それから幼稚園についても、同様に幼稚園としての認可があるところにのみ行うということにしておりますので、例えば、御心配のように、地方裁量型であっても、補助金が出るのであれば、ちょっと緩い基準の方に傾斜していくというふうなシフトは、少なくとも国の財政措置からはそういうインセンティブを与えないような形をとるというふうに考えております。

保坂(展)委員 認定こども園というのはどういうのですかというふうに聞かれて説明をしようとしても、これはなかなか難しいんですね。

 厚生労働省にもう一問聞きますが、例えば待機児が多い地域で、これは、認定こども園においては保育の部分も直接契約ですね。直接契約であるということで、一方では待機児童がいる、待機児がいる。では、認定こども園がない地域、そんな遠くから通うわけにはいかないという地域事情はありますでしょうし、あるいは、従来の保育所を希望する子供たちとの間で不平等などが実際に生まれてしまうんじゃないか、こういう声がありますが、どういうふうに考えますか。

白石政府参考人 認定こども園であっても、保育に欠けるお子さんの例で今お尋ねだと思いますけれども、保育所である限りにおいて、今までの保育所で求められているもの、例えば、欠けるお子さんが希望すれば、直接契約であったとしても、正当な理由がない限り拒めないとか、そういうことにおいて変わりはございませんので、御懸念のようなことはちょっと考えにくいんですけれども。

保坂(展)委員 直接契約で認定こども園に申し入れたときに、枠があれば入れる。他方で、認定こども園から離れた地域に住んでいる子供たちとか、従前の保育所を希望する子供たちにおいては、それは、もっと待ってくれ、こういう話になりませんか。

白石政府参考人 入所の決定の時期のお尋ねだとするならば、御指摘のように、直接契約ということで、一般の幼稚園と同様に、秋に募集をして直接契約をするというのが、認定こども園たる保育所の場合、容易に想定されることでございます。

 そうなりますと、おっしゃられますように、通常の認可保育所よりも早くそこだけ決まってしまうので、そこで何か、例えば、そこを希望していたけれども、ちょっと三月ぐらいまでわからないから漏れてしまうとか、いろいろなことがあり得る、そういう意味であるならば、確かに午前中の御質問の中にもそのようなお話がございまして、なるべく私どもとしましては、一般の保育所につきましても、入所時期というのは可能な限り前倒しをすることが、もしそこに認定こども園たる保育所があるならば、ほかの保育所の方もそういうことで心配がないようにというふうなことは、やはりやらなきゃいけないなというふうに思っております。

 その一方で、例えば、急に年度末になって引っ越しがあって転勤があってというふうなときの場合に、全部秋に決まっていると、そこもまた不都合が出てまいりますので、そこはいろいろな工夫がなされなければならないというふうに考えております。

保坂(展)委員 制度として提案する場合には、その工夫の具体的な中身も示していただきたいというふうに思います。

 それでは、民主党の修正案の提案者に伺いますけれども、今厚生労働省に述べたような保育の質の確保、これは本当に大事ですねという声が子育て最中のお母さん方からあります。修正案の提案者としては、この点にどのように考えを尽くされたかという点について伺いたいと思います。

高井委員 御質問ありがとうございます。

 私どもは、こども園は本来ならば幼保の双方のうちで厳しい方の設置基準を守ってつくられるべきだというふうに考えております。つまり、職員配置の基準であれば、四歳児、五歳児は保育所の方に合わせる、それから調理室の件であれば、できるだけ必置の方に合わせる、つまり、子供にとってよりよい方の基準に合わせてつくられるべきであるというふうに考えております。

 しかしながら、そのためには国の財政支援措置が欠かせないというふうに考えます。今回の政府案では、プラスアルファの財政支援措置は全くないというふうな、先ほど来からも政府の方の御答弁もございましたけれども、残念ながらそういうふうになっておる状態で、調理室等の設置を義務づけたとしても、やはり実態が伴わないことが懸念されると思います。

 我々は、修正案の中でまず、幼保それぞれの機能を拡充した部分について、補助が欠けているため、その行き渡らない部分について補助の特例を設けるように提案をいたしました。それとともに、その他の財政支援等も考えてまいりたいというふうに思っております。

 この附則第三条関係においては、その過程として、将来的に、その施設の設備及び運営に関する基準を子供にとってよりよい基準になるようにできるだけ統一していくというふうな方向で検討しております。

保坂(展)委員 では、次に馳副大臣に伺います。

 子供は、親を選ぶことができませんし、どこで生まれようということを決めることもこれはできないわけです。東京など財政力がきちっとしている自治体と、むしろ、そういう自治体は少ないわけで、地方はみんな四苦八苦、大変厳しい財政事情の中で予算カットのメスをあちこちにどうにかして入れよう、こう考えているわけです。

 地方裁量型がございますね。この認定こども園の地方裁量型で格差が出てしまうんじゃないかという声があるんですね。都道府県がそういった実態を踏まえて、この認定こども園そのものが乱立をしていくということも一方で心配がある。

 先ほど、厚生労働省のやりとりの中で、認定こども園という方が認可外なのでそちらにシフトしてしまうんじゃないか、こういった心配についてお聞きしましたけれども、都道府県が乱立を避けるための調整機能、またその設定の期間、これは保育所のみに適用されているけれども、幼稚園にも同様の有効期間の設定、あるいは見直しを行うというお考えはないのかという点についてお聞きします。

馳副大臣 基本的には、国が指針を示して、それに基づいて各都道府県では職員配置とか施設整備についての認定基準を設定して条例で決めていただく、条例の場合には、当然議会を通じて適正な対応をしていただくということになりますから、乱立するということは想定はしておりません。その地域事情に合った認定こども園が設置されていくものと期待しているところであります。

 また、保育所についての認定の有効期間についてですが、保育所本来の役割を踏まえて、認定を受けた保育所が保育に欠けない子供を受け入れることにより、地域における保育の実施に支障を及ぼさないように設けているということでありまして、幼稚園型を含む認定こども園の運営については、毎年の報告徴収を定めており、報告徴収を怠った場合には認定を取り消す場合もございます。また、認定要件を欠く場合には認定を取り消すこととしており、こうした仕組みにより適切な運営が確保されるものと考えておりまして、幼稚園型についてはそういう有効期間という考え方は持っておらないところであります。

保坂(展)委員 それでは、文部科学大臣にお聞きします。

 先日、この委員会でおおやた幼保園の方を見させていただきました。大臣の写真も張ってありまして、大臣も行かれたんだなということがわかりました。このおおやた幼保園の場合は、こういう施設はもう二度とつくれないでしょうね、パイオニア的な、とても力を入れている施設であって、我々も、こういうものができるのならとてもすばらしいなというふうに思いました。

 そこで、質問は、先ほどの地方裁量型における要するに財政事情の違いということで、やはり富裕な自治体のところには立派なものができて、他方で、そうでない地方においては甚だ十分でない施設と体制しかない、こういう格差が生まれてしまうんじゃないか。その場合は、我が国の憲法に定められた必要な保育や教育、こういうものを受ける権利が公平に保障されているという理念を損ねてしまうんじゃないか、こういうことを思うんですが、いかがでしょうか。

小坂国務大臣 御指摘の足立区のおおやた幼保園、私も拝見をしまして、御指摘のように大変に立派な施設でございますが、おおやた幼保園は、認定こども園として必要とされる機能を備えたモデル的な園であると同時に、小学校への接続や研修会の実施など足立区における百八十ある乳幼児保育、教育施設のセンター的な機能を果たしているということでございまして、こうした広域におけるセンター的機能はおおやた幼保園に固有のものであると考えておりまして、あのようなものがあちこちにできるというのはなかなか難しかろうと思っております。

 この地方裁量型の認定こども園は、東京都のような財政力のある自治体と厳しい財政力の自治体とではそれぞれ取り組みが変わるだろうという御指摘でございますけれども、就学前の教育、保育を行う施設としては、幼稚園、保育所のほか、自治体が責任を持って支援している地方独自の施設、東京都の認証保育所のような形、そういうものがありますけれども、今般の認定こども園につきましては、規制緩和改革や地方分権の流れにも沿った、それを踏まえた地域の実情に応じた多様なニーズに柔軟に対応できるということを意識してつくっておりまして、地方独自の施設についても認定対象とはしておるわけでございます。

 一方で、こうした地方裁量型についても認定こども園としての基本的機能は、この法律の定めにより確保し、また職員配置や施設設備等の具体的な認定基準について、国が一定の指針を示し、都道府県が基準を定める、その基準を定める際には、この指針を参酌する、そしてまた、条例によってこの認定基準を定めるわけですから、都道府県議会の審査も受けるということになってまいります。

 そういったことから、質として一定のものは確保できるということから、それより上向きのものとしての若干の差は、地方の自治体の考え方によって若干の差は出るかもしれませんけれども、基本的な質の確保ということにおいては、全国的に一定の水準を保たれるものと考えているわけでございます。

保坂(展)委員 本当にそこに格差が生まれないことを私も望んでの質問なんですけれども、そこらの懸念については、また引き続きお願いをしたいと思います。

 終わります。

遠藤委員長 石井郁子さん。

石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。

 私は、初めに、先月三月三十一日に規制改革の民間開放推進三カ年計画が閣議決定されておりまして、その中に認定こども園のことが出てまいりますので、その点でまず確認をさせていただきたいと思っております。

 この閣議決定のもとになったのは、昨年十二月二十一日、規制改革・民間開放推進会議の規制改革・民間開放の推進に関する第二次答申でございました。そこでは、認可保育所への直接契約制導入、利用者に対する直接補助への転換、既存の育児支援関連予算などを統合したものと保険料を財源とした育児保険を創設する、それから、認可保育所の保育料も利用者との契約に基づき自由に設定できる方式として保育料設定方式を変える等々、その検討ということが書かれているわけでございます。

 最初に、政府は、まずこれらの内容、事実そのとおりかどうかということと、昨年の第二次答申を受けた閣議決定では、最大限尊重するという文言がございますが、そのように尊重して、今後進めていかれるのか、この点を伺います。

中野副大臣 本年三月の閣議決定におきまして、いわゆる認可保育所への直接契約及び利用者に対する直接補助方式の導入につきましては、総合施設の実施状況等を踏まえ、その可否について長期的に検討するということとされてございます。

 これは、委員がおっしゃるとおりでございますが、導入を決定したわけではございませんので、御理解願いたいと思います。

 また、保育所における直接契約、それから直接補助方式の導入につきましては、低所得者や母子家庭を初めとする保育の必要性の高い者の利用を確保する必要がある、これは児童福祉の面から当然だと思いますけれども、そういう問題、それから、対象者やサービス給付の増大が予想されることから、給付に必要な財源を確保する必要があることといった課題があるということは、私ども認識いたしております。

 したがいまして、厚生労働省といたしましては、閣議決定の趣旨を踏まえまして、総合施設の運営状況などを勘案しながら、保育所一般について直接契約とか直接補助方式を導入することについては、その可否を含めまして長期的に検討することとしておりますので、御理解願いたいと思います。

石井(郁)委員 では確認させていただきますけれども、今の御答弁は、総合施設や認定こども園の実施状況を踏まえて、保育所において一体的に導入することの可否について長期的に検討と。これは、導入することを前提にした検討とも読めるし、導入するかどうかも含めた検討だというふうにも読めるんですか、もう一度、どちらですか。

中野副大臣 可否をということでございますから、後者だと思います。

石井(郁)委員 ただ、私は、やはりこういう重大な内容、いわばそれこそ保育制度の根本が変わるという重大な内容がもう閣議決定されているということに大変驚いているわけです。今、もう政府は閣議決定で、いわば何でもありで進んでいるという状況がありますから、この一つ一つの内容というのは大変重いものだというふうに考えるわけですが、そのことだけをやっている時間がありませんので先に行きます。

 それでは、これは大臣に伺いますが、この総合施設、認定こども園の実施状況を踏まえというのは、踏まえて、今後いずれにしても検討するわけですから、それでは今法案審議をしているこの認定こども園というのは、今後認可保育所で直接契約とか保育料の自由設定をするための、いわば先取り的にこの法案が行われている、こういうことになりませんか。

小坂国務大臣 本年三月三十一日の規制改革・民間開放推進三カ年計画につきましては、ただいま厚労の副大臣の方から御説明申し上げたとおりでございます。

 私ども、今回の認定こども園につきましては、平成十六年十二月の中央教育審議会、社会保障審議会の合同の検討会議の審議のまとめというところに、利用形態については直接契約が望ましい、利用料金設定については、その利用形態、直接契約を踏まえ、各施設で行うことが適当とされておったわけでございます。また、平成十七年三月の閣議決定におきまして、総合施設については、利用者が直接希望する施設に申し込み、当該施設が審査、決定する直接契約を導入するとともに、利用料は応益負担を基本とするとされているところでございまして、今回の法律案はこれらを踏まえて制度設計を行ったものでございまして、今委員が御指摘のような、本年の三月三十一日の閣議決定を先取りして行ったものではございません。

石井(郁)委員 しかし、いずれにしても、規制改革・民間開放推進会議の答申の方向と今回の認定こども園というのが、まあクロスしてというか、進んでいるということは言えると思うんですね。

 規制改革・民間開放推進会議が、現行の保育制度については、保育に欠ける子を対象として政府から与えられる福祉だ、保育サービスが提供される市場とはほど遠いという規定もされている。そして、認可保育所での直接契約制導入などの保育サービスを自由に選択できる環境づくりが必要だというふうに述べておりまして、現在、これまで推し進められてきた公的保育制度ということを大きく変えようとしている、そういう方向が打ち出されているということは間違いないと思うんですね。そこにあるのは保育に市場原理を持ち込むということでありまして、私は、この方向というのは、国の公的保育責任というのを放棄することにつながるという点で大変重大視をしているわけでございます。

 しかも、中には、今介護保険が実施されていますけれども、それと同じような仕組みを保育、育児の場にも導入したいという、育児保険という、ここまで具体的にもう挙がっているわけでありまして、これを三カ年計画で検討課題にしているという点でも、私、きょうはこれ以上の議論はできませんけれども、この問題では別の機会にきちんと議論しなければいけないというふうに思うところでございます。こういう保育や教育の分野に市場原理を持ち込むことには私はもちろん反対でありまして、いずれかの機会にきちんと議論させていただきたいというふうに思っております。

 さて、法案の中身で具体の問題でお尋ねしたいことがありますのは、やはり保育料の問題なんですね。認定こども園となった私立保育所については、これは第十三条五項でありますけれども、「保育費用を勘案し、かつ、当該保護者の家計に与える影響を考慮して当該児童の年齢等に応じて定めなければならない。」というふうになってございます。この設定の際の指針というのは、市町村が決めた保育料徴収基準というふうに理解していいでしょうか。

白石政府参考人 認定こども園の認定を受けました保育所の保育料は、御案内のように、市町村ではなく施設が決定するということになっておるわけでございまして、このため、市町村が定める、認定こども園でない一般の保育所の保育料と必ずしも同一のものになるものではございません。

石井(郁)委員 今のように、市町村は決めない、各園が決めるということになるわけですが、同時に、十三条五項に適合しないと認められる場合は変更を命ずることができるというのもあるんですよね。市町村として、これはいかがかということかと思うんですが、だからこのことは、やはり各園が自由に設定できる、しかし相当高い設定もあり得るということを想定しているんじゃないでしょうか。

 それでは、市町村の保育料徴収金額よりも低額だったりあるいは高額であったりという場合には、市町村の金額に合わせるような変更を命ずるというような理解ができるんでしょうか。

白石政府参考人 今御質問の中にもありましたように、認定こども園の保育料は、保育サービスの提供に要する費用を勘案するとともに、家計に与える影響を考慮して児童の年齢等に応じて定めるということでございますので、これに適合しない保育料は、市町村による変更命令の対象となるわけでございます。

 この保育料に関する考え方に適合する保育料といいますのは、市町村が認定こども園でない一般の保育所について定める保育料に限られるものではございませんということは先ほど御答弁申し上げたとおりでございまして、市町村が保育料の変更を命ずるという場合であっても、市町村と同じでないからということではないということです。

石井(郁)委員 この十三条五項というのは、保育費用を勘案する、あるいは家計に与える影響も考慮して、当該児童の年齢等に応じて、確かに二歳児と五歳児とでは保育内容が違うでしょうということぐらいしか書いていないんですよね。だから全く各園が自由に設定できるんですよ。これは大変幅の広い範囲が想定されるというふうに私は思うんですね。市町村では保育料の徴収基準というのを決めているわけでしょう。今おっしゃったように、必ずしもそこに合わなくてもいいということになりますと、本当にばらばらの保育料が設定されるということになりますよね。

 しかし、余りにもどうかという、この十三条五項に合わなければ市町村は変更を命ずることもできる。では、その市町村の変更命令というのは、命令というか変更を命ずるというのは、どのくらいの強制力を持つんですか。今の御答弁だと、それはもう園の決めたことですというような御答弁でしたから、市町村はどのような関与の仕方をするんですか。

白石政府参考人 私どもの方で今想定しておりますのは、どういう場合に変更命令をかけるかということで想定しているものはでございますけれども、例えば生活保護世帯から利用料を徴収するということであるとか、あるいは同一所得層の方なのに、例えばサービスの提供によりコストのかかる低年齢児の利用料を低くして、三歳児以上の利用料を高くするとか、そういうふうにコストシフティングみたいなことを極端にする場合。あるいは、実際にサービスの提供に要した費用よりも高いような利用料を設定することによって、結果として低所得者の利用を排除するというふうなケース。そういったケースについては変更命令の対象になるものだろうなというふうには考えておりますが、繰り返しになりますが、市町村の定める料金と同じでないからということではないというふうに考えております。

石井(郁)委員 大変重大な問題が含まれているというふうに私は思いますが、現在、既に保育園、幼稚園の保育料というのは、若い家庭には大変負担となっている。これはいろいろデータもあるとおりでございますね。

 私はたびたび引用していますけれども、東京の認証保育所の例であります。国は保育料の上限を決めていますけれども、その範囲内でということになっていますが、各施設ごとにもう保育料というのは設定しているんですよね。

 ちょっと調べてみましたら、二十三区内にある認証保育所A型というのは、企業が設置する駅前の保育所ですけれども、平均の保育料、〇歳で六万五千三百円、二歳で六万二千四百円です。三歳児で五万九千五百円なんですね。二十三区内の認可保育所、公立ですね、認証保育所の場合はどうかといえば、保育料最高額は、三歳未満児で五万七千五百円で、三歳児で二万二千六百円ですよ。三歳児で二万二千六百円ですから、約三万七千円もの差がついています。〇歳でも約八千円の差がついています。大きいですよね。

 東京都が二〇〇四年に実施した認証保育所の実態調査によりましても、利用者の半数が保育料の高さを不満と感じている。今後充実させてほしい点としては、保育料の値下げを求める、これは七六%です。だから、一応国の保育単価は上限があったとしても、今本当に保育料はばらばらです。子供を抱える家庭はもう既に大きな負担を抱えている。

 認定こども園の保育料設定もこのような事態が起こるのではないかと思いますが、どのようにお考えですか。

白石政府参考人 御指摘のように、東京都の認証保育所の保育料については施設が定めるわけでございます。認可保育所について国が定める基準の保育料の上限を上限としてやっておるというふうに承知しておるわけでございますが、いずれにしろ、地方裁量型の認定こども園の保育料は施設が定めるわけでございまして、今御指摘の東京都の例のように、これは自治体が責任を持って地方独自に支援してきた例でございますが、認定を行う地方自治体において適切な保育料の設定について対応されるものだと私どもは考えております。

石井(郁)委員 保育料の負担ということを申し上げておりますので、少しそのことにかかわっていきたいんですけれども、二〇〇五年版の少子化白書がありますが、二十代、三十代の若年層でパートやアルバイトで働く人がふえている、男性で三十四歳以下、女性では二十四歳以下の層では、他の世代よりも所得格差が拡大しているという問題がありますし、貯蓄ゼロ世帯も二十代で三七・四%です。三十代では二五・三%にふえているということが、これは政府の少子化白書で紹介されている中身でございます。

 それから、二〇〇五年版の国民生活白書でも、二十代、三十代の場合、子供のいる世帯では共働き率が低いなど、収入が少ない上に子育て費用が生じている。だから、子供のいない世帯よりも自由に使えるお金が少なくて家計状況が厳しいと、ここで指摘されている。

 今、政府は一方でこういう現実を指摘する、調査を発表する、そうしながら、政策的には、こういう認定こども園で保育料は自由設定ですよと、非常に矛盾しているんですよね。今後、本当に保育を必要とする人たちというのは、こういう世帯のところでどんどんふえていくわけですよ。これは、保育に欠ける子もふえていく。しかし、施設は払える保育料によって選ばなくちゃいけない、高いところの方がちょっと多くならざるを得ないということになると、どういうことになるのかということでございます。

 だから、自由設定の導入というのは大変問題があるんじゃないかというふうに私は思いますし、保育料が決して安くならないで、現状か、あるいはもっと高くなっていくという予想がされるのではないかという点ではいかがでしょうか。

白石政府参考人 認定こども園の保育料は、繰り返しになりますが、施設が定めるわけでございますけれども、例えば、そこが幼稚園の認可を有する場合には、一般の幼稚園同様、私学助成による財政措置とともに、就園奨励費というものもございます。また、保育所の認可を有する場合には、一般の保育所と同様に、運営費負担金による財政措置とともに、利用料は家計に与える影響を考慮して定めるということが法律上規定されているわけでございますので、適切な利用料金が設定されると考えております。

 また、今御指摘の地方裁量型につきましても、繰り返しになりますが、これまでも自治体が責任を持って地方独自に支援してきたわけでございまして、認定を行う地方自治体において適切な保育料の設定について対応がなされるものと考えております。

石井(郁)委員 もう時間が参りましたので、最後に大臣に一言御感想と、やはり国の責任でちゃんと保育費用、運営費、ふやすべきだという点での大臣の御決意を伺いたいなと思うんです、この法案にはそこがないというのが問題なんですけれども。

 実際、ある無認可保育所の園長さんにお聞きしますと、保育料が払えなくて、利用したいけれども控えている、こういう声がいっぱいあるんですよ。こういう状態を放置しておくのか。私は、やはり認定する自治体が保育料もちゃんと設定すべきだし、保育料という問題では、もっと公的負担をきちんと確保しなきゃいけないというふうに思うんですが、もう時間でございますので、いろいろな事例は申し上げませんけれども、保育料の引き下げあるいは幼稚園への運営費の補助等々、やはり政府としてきちんと行うということはぜひ言っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

小坂国務大臣 認定こども園の認定を受けた保育所の利用料ということを中心に、今回の法律の審議でございますから、御答弁申し上げたいと思います。

 これは、みずから定めることになるわけでありますけれども、低所得者の利用が排除されることのないようにという御指摘のように、利用料は、保育サービスの提供に要する費用が家計に与える影響を考慮して定めることとしておりますし、また、こうした利用料を市町村に届け出ることを義務づけております。そういうことから、市町村長が不適切な利用料についてはその変更を命ずることができるという規定をもって、これらをある意味の担保をして、そして家計に過大な負担をかけるような費用設定が行われないように見守ってまいりたい、このように思っておりますし、また、委員の御指摘の意味を私なりに心にとめて見守ってまいりたい、このように思います。

石井(郁)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

遠藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四十九分散会


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