衆議院

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第12号 平成22年4月16日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十二年四月十六日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 田中眞紀子君

   理事 奥村 展三君 理事 首藤 信彦君

   理事 松崎 哲久君 理事 本村賢太郎君

   理事 笠  浩史君 理事 坂本 哲志君

   理事 馳   浩君 理事 富田 茂之君

      石井登志郎君    石田 勝之君

      石田 芳弘君    江端 貴子君

      大西 健介君    大西 孝典君

      川口  浩君    城井  崇君

      熊谷 貞俊君    後藤  斎君

      佐藤ゆうこ君    瑞慶覧長敏君

      高井 美穂君    高野  守君

      中川 正春君    浜本  宏君

      平山 泰朗君    牧  義夫君

      松本  龍君    湯原 俊二君

      横光 克彦君    横山 北斗君

      吉田 統彦君    遠藤 利明君

      北村 茂男君    塩谷  立君

      下村 博文君    菅原 一秀君

      永岡 桂子君    松野 博一君

      池坊 保子君    宮本 岳志君

      城内  実君

    …………………………………

   文部科学大臣       川端 達夫君

   総務副大臣        内藤 正光君

   文部科学副大臣      中川 正春君

   文部科学副大臣      鈴木  寛君

   文部科学大臣政務官    後藤  斎君

   文部科学大臣政務官    高井 美穂君

   文部科学委員会専門員   芝  新一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十六日

 辞任         補欠選任

  熊谷 貞俊君     浜本  宏君

  牧  義夫君     大西 健介君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 健介君     大西 孝典君

  浜本  宏君     熊谷 貞俊君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 孝典君     牧  義夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、北海道教育委員会及び札幌市教育委員会における調査の状況について政府から報告を聴取いたします。後藤斎文部科学大臣政務官。

後藤大臣政務官 お手元に「北海道教育委員会及び札幌市教育委員会における調査の状況について」という資料を配付させていただきました。

 今般の北海道教職員組合をめぐる事案において、文科省としては、これまでの報道や国会において指摘をされたことに関し、北海道教育委員会や札幌市教育委員会に対し、事実確認を行うよう指導を行ってまいりました。

 この間、北海道議会における審議、卒業式、人事異動等もあり、現場の対応に時間を要していること、まず委員の皆さん方に御理解を賜りたいと思います。

 本日は、その事実確認に係る北海道教育委員会及び札幌市教育委員会における調査の状況について御説明申し上げます。

 配付の資料の一にございますように、二月十六日に北海道教育委員会及び札幌市教育委員会に対し、報道で指摘されたことに関し、公務員である教職員が政治的行為の制限に違反する等違法な行為を行っているかについて事実確認を指導して以降、2から6のとおり、国会等におきまして馳議員、義家議員から提出された資料に関し、事実確認を指導しております。

 またあわせて、7にありますように、二月二十五日以降随時、北海道内におけるこの春の卒業式等での国歌・国旗の取り扱いに関する指導状況について事実確認を指導しております。

 これに対して、配付資料の二にございますように北海道教育委員会は、道議会での議論も踏まえ、特定管内の小中学校五十五校の教職員を対象に、市町村教育委員会による校長からの聞き取り等により、勤務時間中の組合活動等の事実確認等について調査を実施中でございます。

 また、これらの調査につきましては、四月末を目途に取りまとめる予定であるということでありますが、必要に応じ追加調査を実施する場合も想定しているということでございます。

 また、札幌市立を除く全道の公立学校千九百四十三校の教職員を対象に、道教委及び市町村教育委員会による校長からの聞き取り等により、組合活動、教職員の政治的活動及び学校運営等の実態について調査を実施中でございます。

 また、これらの調査につきましても、調査事項が多岐にわたること、対象校が大変多いこと、また、調査を進めていくうちに新たな調査が必要になる可能性も想定されることから、調査には一定の時間を要するということでございますが、できるだけ早く取りまとめたいという意向であるということであります。

 なお、現時点におきましては、本調査に関し、学校等から各教育局へ提出する期限を五月十四日、さらに、各教育局から道教委に回答する期限を五月二十四日に設定しているということでございます。

 札幌市教育委員会は、全市立学校の教職員を対象に、校長を通じ調査票を送付すること等により、組合活動、教職員の政治的活動及び学校運営等の実態について調査を実施中でございます。

 なお、現時点において、本調査に関しても、学校等から札幌市教育委員会へ回答する期限を五月十四日と設定しているということでございます。

 加えて、北海道教育委員会では、公立小中学校における今春の卒業式、入学式の国旗掲揚、国歌斉唱の実施状況について、三月四日付通知による調査を実施中でございます。また、札幌市教育委員会においても、国旗掲揚、国歌斉唱の状況について調査中でございます。

 これらの調査についても、できるだけ早く取りまとめる予定とのことでございます。

 なお、これに関し北海道教育委員会は、平成二十二年二月二十四日付、三月十八日付通知において、入学式、卒業式における国旗・国歌の適切な実施について、各市町村教育委員会等に対し指導を行っているところでございます。

 御説明は以上であります。

    ―――――――――――――

田中委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。笠浩史君。

笠委員 おはようございます。民主党の笠浩史でございます。

 きょうは、先般の水曜日、十四日の当委員会におきまして、公立学校の施設の耐震化等をしっかりと推進をしていこうということで、委員会における決議を全会一致でさせていただきました。

 そこで、きょうはこれに関連して質問させていただきたいと思いますが、まず、きょうの先ほど行われた閣僚懇の中で、鳩山総理から川端大臣に対して、この委員会決議を、参議院でも行われたと承知しておりますけれども、を受けて具体的な検討の指示があったということを伺っておりますけれども、まず、どういった内容であったのか、その点を大臣にお答えいただきたいと思います。

川端国務大臣 お答えいたします。

 御指摘のように、先般十四日には本委員会で御決議をいただきました。翌十五日には参議院で同趣旨の決議をいただきました。

 それも踏まえまして、本日午前八時十五分から開かれました閣議終了後の閣僚懇談会において、総理の方から、公立学校施設の耐震化及び老朽化対策事業については、子供たちの安全、安心の確保のためにも重要であり、これらの事業の多くが夏休みに行われることから、工事日程を勘案し適切に対応する必要がある。この点については、四月十四日の衆議院文部科学委員会及び十五日の参議院文教科学委員会でも決議が行われている。このような状況を踏まえ、公立学校施設の耐震化及び老朽化対策事業について、文部科学大臣におかれては、財務大臣と調整しながら、二十二年度予算の速やかな執行に努めるとともに、地方公共団体のニーズや検討状況を踏まえて早急に対応できるよう、予備費の活用も視野に入れた検討を始めていただきたいという御指示をいただきました。

 総理の指示に沿って二十二年度予算の速やかな執行に努めるとともに、この趣旨に沿った検討を進めてまいりたいと思っております。

笠委員 この二十二年度の予算の速やかな執行は本当にやっていただきたいと思いますし、同時に、当初、五千棟についての地方側からの要望があって、そのうち、この当初予算においては二千二百棟しか予算が確保できていないということで、残り二千八百棟を、何としても耐震化を行うためには予備費の活用というものが求められているところでございますが、私どもも、この委員会決議において、予算の執行をしっかりと、今総理の指示にもありましたように、多くの地方公共団体が夏休みの期間に予定をしているということでございますので、これは本当に早く執行していただかなければなりません。

 ただ、予備費の使用については、言うまでもなく、国会開会中においては、財政法第三十五条の規定に基づいて、財務大臣が指定する経費あるいは緊急の災害等々の対策などを除いては開会中は使用できないことになっているわけでございますけれども、今回の耐震化、この予備費については今後検討ということですが、実際にこの予備費が使えるのはこの国会が閉会してからになるということでよろしいでしょうか。

川端国務大臣 御指摘のように、予備費というのは、緊急に対応するためということで、国会開会中は国会で予算等々は議論して決めることができるという状況にあるので、原則的には、国会の予算審議権を尊重するという憲法の規定に伴って、国会開会中は基本的に予備費を使わないということが、一番直近で申しますと、平成十九年の四月三日の閣議決定で、「財政法第三十五条第三項但書の規定に基づき、財務大臣の指定する経費は別表のとおり」という中の三に、「国会開会中は、第一項の経費及び次に掲げる経費を除き、予備費の使用は行わない。」ということで、この項目はここに入っておりませんので、基本的には、閣議決定に基づいて、こういう例えば耐震化の費用は予備費では国会開会中はやらないということが決まっております。

笠委員 この国会は延長されるかどうかわかりませんけれども、いずれにしても六月まであるわけでございまして、夏休みにもしこの予備費を使って耐震化を進めるとすれば、やはり、地方の自治体においてはさまざまな準備を進めていただかなければなりません。

 どういった形でやっていくのかという公告、見積もり等々もございますし、実際に業者を選定する等々の入札等々も行わなければなりません。また、議会のそれぞれ承認というものも得る必要がございますので、実際にお金が出るのはこの国会が終わってからにしても、そういう地方の自治体の準備をしっかりと踏まえて、やはりその点を、出るんだよ、この国会が終わったら二千八百棟について対応するだけの予算の確保をしっかりしましたというような形で、何らかの、自治体へ向けたアナウンスをぜひ早く大臣の方にやっていただきたいと思いますが、その点についての今後の方針等々についてお答えをいただければと思います。

川端国務大臣 予備費は、国会開会中は、特定の項目、緊急の災害対策等々以外は使わないということは今御指摘のとおりでございます。一方で、総理としては、夏休みに間に合うようにやるべしということと同時に、地方のニーズをしっかり踏まえてやりなさいということであります。

 それで、予備費を視野に入れて、国会開会中に閉会後の予備費云々を断定的に申し上げることはまさに閣議決定の趣旨にも反することですので、視野に入れてという表現でのことでございますが、そういう意味では、地方の皆さんに、きょうこういう総理指示が出たということは、早速に私の方から地方自治体にはお伝えをすると同時に、今どういう希望を持っておられるのか、そして、その準備はどういうふうにされようとしているのかということも、意思疎通を図りながら、最終的な趣旨である学校の子供たちの安全、安心を確保するために、可能な分が夏休み中に工事ができるということの指示が実現できるように、いろいろな手当てを準備としてやってまいりたいと思っております。

笠委員 先般のこの決議を受けて田中眞紀子委員長からも、総理あるいは財務大臣に対しても、特にきょうは財務大臣に対してもということでございますが、やはり財政が厳しい中で、ともすると、財務省的には非常に後ろ向きというか慎重にならざるを得ないというような点もございますので、その辺は、この委員会の総意でございますし、大臣としてもリーダーシップを発揮していただいて、少しでも多くの耐震化がこの夏休みあるいは今年度中に促進されるように、ぜひお願いを申し上げたいと思います。

 そして、この委員会の私どもの決議の三項目めにございます。「公立学校施設の耐震化や老朽化対策等について、政府は学校施設全体の状況を正確に把握し、地方公共団体の要望を踏まえた計画的な実施ができるよう、平成二十三年度以降も十分な財政措置を講ずること。」ということで、まさに、来年度以降どのようにこの耐震化を進めていくのかということについて少しお伺いをいたしたいと思います。

 平成二十年の五月に中国の四川省で大きな地震が発生をして、子供たちが学校現場で犠牲になるという本当に痛々しい映像を目にするに、我々も、本当にこういうことがあってはならないということで、その翌月の六月には、議員立法で全会一致のもと地震防災対策特別措置法、これも改正をさせていただき、その後、かなりこの耐震化が促進をしているところでございます。

 ただ、本当に日本の場合は、阪神・淡路あるいは中越地震においても、たまたまというか、発生した時間が早朝であったりあるいは下校後の夕刻以降であったりということで、校舎等々の被害は受けたものの、まだ子供の命が奪われるというようなことは避けられたということで、ただ、これは本当に私偶然だと思うんですね。いつどこで本当に地震というのは起こるかわかりませんので、一刻も早く、今回、残り二千八百を予備費で仮に耐震化を進めたとしても、二万棟ぐらいはまだ残っているわけですよね。

 ですから、二万棟の耐震化が行われていないこの施設を、どうやって政府として、人の命を守る鳩山政権としてしっかりと促進をしていくのか。この辺の具体的な計画を、三年なら三年でしっかりとやるんだというようなものをつくっていただきたい。策定すべきと考えますけれども、その辺の準備あるいは今後の見通しについて大臣にお答えをいただきたいと思います。

川端国務大臣 前段、やはり今回、非常に厳しい財政状況の中での予算編成でございましたが、当委員会での議論を踏まえて御決議をいただいたということが先ほどの総理の指示にも大きくつながったという意味では、皆さんの御議論とこの委員会の決議に対して、改めて感謝を申し上げたいというふうに思います。

 加えまして、今御指摘のように、たちまちの、Is値が〇・三未満に関してのまさに緊急的な対応に関しては、何とか早急にという対応で今総理の指示も踏まえてやってまいりますが、御指摘のように、それよりも、Is値が〇・三から〇・五、あるいは〇・五以上という棟数で耐震化工事の必要なものはまだ二万棟以上あるということであります。これに関しては、地方の財政状況にもよります。

 そういうことで、地方の実態をしっかり把握する中で、しかし、そう長くない一定期間の中で計画的にこれを達成し終えるということはぜひとも必要だという基本的な認識に立っておりますので、これをどういうふうに計画をつくっていくかについては、しっかりと検討をしてまいりたいというふうに思っております。

笠委員 今度、平成二十三年度の予算、もう既にこの夏へ向けてまさにこれからその準備を進めていかなきゃならないわけですけれども、しっかりとした計画があって、その三年なら三年でやり遂げるんだというような基本計画、推進計画を策定した上で、その分の予算というものは何よりも優先してやはりこれは措置するんだということを、政府の中でも、あるいは財務大臣、財務省に対しても求めていっていただきたいと思います。

 それで、今大臣の方から、これは確かに、地方の自治体ごとで本当に比較的都市部等々はかなり進んでいるところが多いわけですけれども、なかなか財政力の厳しい自治体等々ではやりたくてもやれないというような状況もございますし、あるいはさまざまな理由から、予算は措置できるんだけれどもなかなか手を挙げていただけない、あるいはその準備が整わないというような、そういうそれぞれの自治体の事情というものもございます。

 今、大臣、きめ細かくそういったところもしっかり対応していかれるということですけれども、この三年なら三年で残り二万棟を仮に完了させるというためには、予算の措置以外に、財源を確保していく以外にどういった問題点があるというふうに認識をされているのか。そうした地方の声も含めて、文科省として検討していくというお考えがあるのかをお答えいただければと思います。

川端国務大臣 昨年度も、耐震化の予算を消化できなかったという自治体が発生をいたしました。

 それでいきますと、やはり幾つかあるんですけれども、一つは、先ほど申し上げましたように、地方自治体の負担という部分で大変厳しい財政状況に置かれているから、なかなかその負担ができない。国から補助をするといっても、自分たちの負担ができないという財政事情の背景にあるところがあります。

 それから、少子化時代の流れの中で、あるいは昨年度末までの平成の大合併等々を踏まえて、学校の統廃合計画というのが各地で見られます。その統廃合問題が整理をされないと、次の校舎をどうするのかということが計画が立てられないという事情があるところもございます。

 同時に、大きい市でありますと、対象の学校が多くて棟数が非常に大きいので、財政事情が非常に逼迫しているというわけではなくても、一度に全部やるというのには大変な負担があるということで、やはり順番にせざるを得ないということがあるというふうに承知をしております。

 そして、地方公共団体からはまた、「国の施策並びに予算に関する要望」ということで、全国都道府県教育委員長協議会それから都道府県教育長協議会から要望書をいただいていますが、そういう中でいいますと、こうした学校の施設整備に必要な財源をしっかり確保してほしい、これは当然のことでありますが、それと同時に、耐震診断に係る技術者の育成、人材確保についても応援してほしいと。要するに、耐震診断するのにまたちょっと人がいないというふうな状況もあるところもあるようでございます。

 それからもう一つは、やはり、今年度末で期限切れとなる地震防災対策特別措置法のいわゆる上乗せ補助部分、これが期限切れになるということで、この財政措置を延長してほしいというふうな具体的な要望が寄せられております。

 そういうニーズを踏まえながら、関係省庁ともまさに連携しながら、来年度の要求に向けてしっかりと実現できるように、耐震の取り組みを地方のニーズにこたえて支援できるように施策を講じ、予算の確保に努めてまいりたいと思っております。

笠委員 今大臣のお話しあった中で、確かにまだ数%、九六、七までいっているんですかね、まだ耐震化の診断すらができていないところが恐らく数%残っていると思うんですけれども、そういったところは、それが危険なのかどうなのかもわからないという、私も何度もこれは委員会でもあるいは予算委員会でも取り上げてやってきているんですけれども、やはりそういったところは少し特別に何らかの、その事情が理解できるものであれば、少し変わった何かほかの、横並びの形ではなくて、国としての政策を何か手当てをするようなことをぜひやっていただきたいと思っております。

 それと同時に、私も川崎の方でございますけれども、都市部なんかでは、逆に耐震化をさっさとやっちゃった。しかし、そのために今度は、老朽化、この点が非常に大変な状況で、これは多分多くの都市部がそうだと思うんです。あるいは、まだ耐震化も老朽化対策もできていない。

 そういうところは、これは別々にやると本当に効率悪いですよね。まず耐震化をやって、さらにその先で老朽化というのは、できれば一緒にやれれば、効率・コスト的にもあるいは期間的なものについてもかなり効率よくやれるというような要望や、いろいろな、給食室であるとか体育館であるとか、こういう本当に老朽化という問題が非常に深刻な中で、そういうことを考えますと、ある意味では、平成二十三年度は、補正頼みということではなくて、しっかりとやはり本予算の中で財政措置をぜひとっていただきたい。

 そして、もう少しいろいろなことが、今例えば地デジ対策でぜひ補助金を欲しいであるとか、あるいはエコ、そういう改修もしていきたいとか、いろいろなことがありますので、ぜひ、基本計画をつくると同時に、少しこの施設費にかかわる運用についても今後文科省としても抜本的に検討していただきたく思いますけれども、いかがでしょうか。

川端国務大臣 冒頭御報告いたしましたきょうの総理の閣僚懇の発言の中でも、公立学校施設の耐震化及び老朽化対策事業ということで、耐震だけではなく、老朽化もしっかりやりなさいという指示でございます。

 そういう中で、先般来の当委員会の議論でも、耐震化は地方の自治体として最優先でやって、ほぼやり終えた、次は老朽化だと思っていたら、今度の予算は、耐震化に特化をしたからということになったら全然予算がないという御指摘もいただいております。

 当然ながら、老朽化等の対策、例えば、耐震化に加えて地方公共団体からは、先ほど申しました、合併等に伴って生徒がふえた、だから増築をしたいというふうな新築、増築の要請、あるいは老朽化での大規模改修等のニーズがたくさん出ていることは事実でございます。

 そういう意味で、教室不足への対応や老朽化への対応というのも耐震と同様に大変大事なことであるという認識をしておりますので、二十三年度概算要求においては、しっかりその実態を踏まえ、先ほど計画的な予算を組めということでありましたが、そのことの対応をしてまいりたいと思いますと同時に、鳩山政権としては、まさに二〇二〇年までに二五%温室効果ガスの削減という大きな目標を立てておる中で、学校の施設がいわゆる二酸化炭素排出を減ずるという意味でのエコ化ということと同時に、例えば太陽光パネル設置等々は、子供たちにとって、あるいは地域の住民の皆さんにとっても、環境に優しい技術というものはこういうものである、そしてそれがしっかり大事なことやという教育、啓蒙を含めた教育としての素材としても大変大事なことでありますので、それも含めて、学校の施設に関しての耐震化、老朽化対策、そしてエコ化対策というのは、総合的にエコスクールの問題も組み合わせて、しっかりとした二十三年度の予算になるように、概算要求で御指摘のような観点に立ってまとめてまいりたいというふうに思っております。

笠委員 ぜひよろしくお願いをいたしたいと思いますし、我々もバックアップをしていきたいと思っております。

 ただ、耐震化やあるいは老朽化対策というものが、ともすると、この財政事情が厳しいときに、本当にお金がかかって大変だなというようなことを当然思うわけですが、しかし、これは別にお金がかかるということだけではなくて、私、いい公共事業ではないかなと思っています。今、本当に地域においては、大変厳しい経済情勢の中で中小企業の皆さんも本当に御苦労されているし、ある意味疲弊しております。

 そういう中で、この耐震化、例えば当初予算の二千二百を除いて残り二万二千八百ということになってくるわけですけれども、それぐらいの残った耐震化を進め、さらには老朽化も進めていくというようなところで、経済効果あるいは雇用効果、そういったものを算出して、しっかりそういう面でもこれはある意味では成長戦略に位置づけるぐらいの形でのPRというか、そういう効果の面の前向きな話も、しっかりとやはり大臣にぜひそういうメッセージも送っていただきたいと私は思うんです。

 その点を今文科省として試算をされているようであれば、ちょっと御報告をいただきたいと思います。

川端国務大臣 ありがとうございます。

 文科省がそのものずばりを試算しているということではないんですが、一つは、経済波及効果で申しますと、総務省がホームページで公表しています。ちょっと古いですが、平成十七年度の産業連関表ということで、こういう学校の建築部門に財を投じたときの効果という係数は、投資の約二倍程度の経済効果があるというふうに一般的に言われているということでございますので、大まかではありますが、この部分でも、公立学校の耐震化のいわゆる設備投資をするということは、投資額の約二倍の経済効果、波及効果があるだろう。

 同時に、雇用の問題でありますが、これは総務省でありますが、情報通信統計データベースでありますと、いわゆる建設部門でいいますと、百億円の投資で一千人程度という目安が出ておりますので、百億使えば千人ぐらいの雇用効果が生まれるということでありまして、そういうことの効果は間違いなくあるということでございます。

 そして、先ほど来のお話で、二十二年度までで、執行した後で約二万二千八百棟、二万棟以上あるというときに、これはまさにいろいろなんですね。本当に建てかえないかぬものから補修するもの、増築するものということで、それぞれによって異なって、トータルの数字がまだ調査で把握できておりませんので、それと、時期が一度にやるというわけではありませんのでという意味で、全体としてこの辺の経済効果、波及効果、あるいは雇用における影響というのは、数字として今ここで申し上げる数字は把握をしておりませんが、大まかに言えば、投資額の二倍の経済波及効果、百億に対して一千人程度の雇用の問題ということでありますので、当然ながら、耐震化と老朽化、エコ化はそういう効果がしっかりあるという意味で、この六月にまとめる予定の新経済成長戦略、当然ながら二十三年度予算にもつながるものとして、学校関連においては、その位置づけをしっかりとして主張していこうということの前提に数字を詰めているところでございます。

笠委員 今、残りのものをやると多分約一兆円ぐらいの国費の投入、地方自治体の負担も含めますと、恐らく二兆五、六千とかそういう数字になってくる。今の大臣の、総務省だということでございましたけれども、約五兆円ぐらいの経済効果と四、五十万人の雇用が見込める。もちろん、いろいろな形のこの工事はさまざまでございますので、そのままかどうかは別といたしましても、ぜひそうしたことも含めて検討していただいて、そして、特に耐震化等々の工事は、何も用地を今から取得しなきゃいかぬとか周辺対策にお金がかかるとか、そういうことではございませんので、ある意味では本当に即効性のある公共事業ではないかと私は思いますので、私どもの政権、公共事業は減らしていくということですが、いいものはやった方がいいんですよね。ですから、そういった点ではぜひ成長戦略の中にも盛り込んでいただいて、そして最後に一点、私はお伺いをしたいんです。

 この六月に、仙谷国家戦略担当大臣のもとで、昨年十二月に出した基本方針のもと新成長戦略をまとめるというふうな作業が今進められていると思っておりますが、文科省として、こうした耐震化あるいはエコ対策を含めてどういったものをこの目玉としてここに位置づけていくのか、盛り込む予定なのか、その辺を大臣にお伺いをいたしたいと思います。

川端国務大臣 文部科学省の分野で新経済成長戦略に盛り込む事項はたくさんありますけれども、その中で、今御指摘の部分でいいますと、公立学校の施設の整備という観点だけで申し上げますと、一つは耐震化、これは、子供たちの学びの場の安全の確保と地域住民の避難の場所ということになっているという意味で、今言われたような経済効果を含めて、早期の耐震化の達成を目指すということをしっかりと成長戦略の中で位置づけたい。それから、もう一つの老朽化対策とエコ化も、計画的に学校施設の再生整備を促進して良好な教育環境の確保を図ることということも、成長戦略の中にしっかりと位置づけてまいりたいというふうに今考えております。

笠委員 時間が参りましたので終わらせていただきたいと思いますけれども、ぜひ、当委員会での決議あるいは参議院の文教委員会での決議を踏まえて、滞りなく、予備費を活用しての耐震化が進められるように大臣のリーダーシップを改めてお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、城井崇君。

城井委員 民主党の城井崇でございます。

 本日二人目ということで、きょうは、現場の声をしっかり聞きながら改めるべきは改めるということで、建設的な質疑、議論をさせていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 今、委員部の方からお手元に資料をお配りさせていただいておりますので、ごらんいただきたいと思います。

 まず一つ目は、学力テストの入札についてであります。

 学力テストをめぐりまして、二〇〇八年度そして二〇〇九年度と民間委託のための入札をしてきたわけですが、その特に中学校分の学力テストの事業の予定価格を、小学校の分と比べて五億円以上高い約二十三億円に設定していたというふうに報じられている新聞記事をお配りしておりますので、ごらんいただければと思います。

 記事の内容を簡単に申しますと、要は、文部科学省が、それぞれ単独で入札に参加していた二社の企業から事前に提出された見積書をもとに予定価格を決めていた。しかも、小学校の分の事業と、そして中学校の分の事業と、対象になる生徒と児童の数はそれぞれ百二十万人とほぼ同規模であり、また、中学校は学校数でいうと約半数という状況にもかかわらず、予定価格は五億も違う。この差の大きさというところは極めて問題だというふうに思っておりまして、しかも、それぞれに一社の入札で毎年落札している。この一社応札の状況については、お配りした資料の裏面につけておりますのでごらんいただければと思いますが、そうした状況であります。

 この報じられている部分は、大臣、事実でしょうか。お答えください。

川端国務大臣 表現はいろいろあると思いますけれども、実態としてほぼ同じような規模で入札価格が五億円の差があったことと、それから、裏にありますのはこれは当省のデータでありますので、結果として、最近の分でいえば、実施事業に関しては一社応札であったということは事実でございます。

城井委員 一社応札で適正に仕事していただいていたら何にも言わないわけですけれども、実際にその落札額の中身というところを検証していった場合には、例えば、採点や集計のシステムに使っているサーバーのレンタル料が、同じ製品を仮に購入した場合、買った場合の価格よりも高い金額、買えば一億四千八百万のところを、借りれば一億八千九百万というあべこべな状況があり、また、採点のアルバイトの時給についても、小学校分の事業をしている企業の見積もりよりも二六%も高いのに見逃されているという事実があったわけであります。

 この一社応札の中で明らかに高い見積もりになっているこの部分の理由、そもそも一社応札になっている理由が何なのか、ほかに対応可能な企業がなかったのかということであります。

 私は、この件を調べまして考えましたところは、たくさん対応可能な企業はある。例えば、全国規模のテストをやっている予備校だってありますし、あるいはテストの専門業者もありますし、さまざまな情報システムを扱っているところもある。そういうところがたくさんあるにもかかわらず、なぜ入れていないのかということであります。

 ことし二月の入札の説明会で、競争入札への参加を検討している業者が、これまでの全国テストをやっている間に国費を投じて開発された採点・集計システムを見たいということを新規の参入業者が要望いたしましたときに、文部科学省から答えがありましたのは、このシステムを使っている二社の意向を理由に断っていたということも、この点報じられているところであります。

 新規参入を希望する業者からは、システムを見られないと具体的な技術提案書が書けないということが二月の説明会でも声が上がっていたというふうに聞いているわけでありますが、こうした状況を見ましたときに、実質的に文部科学省そのものが一社応札を後押ししてきた経緯があったんじゃないかというふうに思うわけですが、この点、一社応札になっている理由、そして、ほかの対応可能な企業が入れていない部分について、大臣の御見解を伺いたいと思います。

川端国務大臣 この入札の経緯を私も調べましたところ、一番初めにやるときには、十九年度のときには、いわゆる公募型企画競争、こういうやり方でやりたいという企画競争ということで、それにパスしたものと契約するということですから、形式的には随意契約ということからスタートいたしました。その翌年の二十年度からは総合落札方式による一般競争入札ということになって、十九年度のときには、ここにも数字があるんですかね、小学校調査七社、中学校調査が六社から提案があって、二十年度からは入札がそれぞれ一社になってしまった。そして、そのことで、より透明性あるいは周知をして競争が行われるようにということのいろいろな工夫を当時としてはされた中で、準備委託事業に関しては複数社が先般は手を挙げてきた。

 これは、準備の仕事は年度末、テストは年度当初ということで、ここに境目ができてしまうということで、これも問題でありまして、準備の仕事を応札してとった人が準備をして、次に一般の試験をするのはまた入札をすると違う人なんていうのは基本的に考えられませんから、そういう意味では、そういうやり方を含めて一社になってしまった背景も私はあるのではないかというふうに思います。

 それと、先ほどの一部報道で、知りたいというときに拒否されたということでありますが、正確な状況までは私自身把握していませんが、説明会のときにすぐに見せてほしいということに関しては、いわゆるセキュリティー上立ち入りできないというコードがある場所であるということと、やはり、それを今までやってきたところのシステムが動いているというと、営業上、その社のいわゆるノウハウにかかわる部分というのをどこで仕分けするかというのが即座に対応できなかったということがあったんだというふうに思います。

 そういう意味では、一社入札は正当な競争が行われているのだろうかということに関しては、やはり改善の余地は随分あるということは事実でありますので、収支の問題と同時に、先ほども言いました年度をまたぐ問題はクリアをして、一括して一緒に仕事が受けられるようにというふうに改善をしたい。

 同時に、入札に関してのいろいろな情報は、セキュリティーにかかわらない、あるいは、そこの社の独自の知的財産にかかわるもの以外は公開できるようにということを含めて、今回のいろいろな指摘の反省を踏まえた入札に変えていきたいというふうに思いますと同時に、いろいろこれは、例えば民間企業、あるいは、例えば建物を建てるといいますと、このスペックでこの品質保証をするのに幾らでやりますかということで済むんですが、どうも、こういう委託をするという仕事自体は仕組みが相当違っておりまして、それにかかった費用を精算をして払うみたいなことになりますので、御指摘のように、サーバーを持っている持っていないで、持っていることのメリットが何も感じられない仕組みになっている。持っていなかったらレンタル料まで計上できるというふうなことは普通の入札とは仕組みが違い過ぎるので、そこも含めてしっかりと一度検証する中で、国民の皆さんからも納得できるような形にしっかりと変えていきたいとは思っております。

城井委員 改善の方向でぜひ臨んでいただきたいと思いますが、一点申し上げるならば、今回のこの委託の事業の肝の一つは、いわゆる採点・集計システムであります。この部分を国費を投じて開発しているということであります。この道具を使わないとこの仕事ができないということがありまして、この道具の中身の詳しいところを入札に参加するほかの企業は知れないということだと、実質、これは参入規制と同じであります。しかも、この採点・集計システムの著作権はだれにあるかということであります。

 大臣、この採点・集計システムの著作権はどこにありますか。

川端国務大臣 文部科学省が持っているものがありますが、全部ではないんです。

 そういう意味で、先ほど申し上げましたように、情報開示あるいはシステム開示をするときに、そこを切り分けないといけないという部分があって即座に対応できなかったということでありますし、ただ、御指摘のように、この開発をしていく過程で、文部科学省が持っている権利と、それを一緒に一回目からやってきた業者が持っている部分がふくそうしているという部分がありますので、しっかり整理をして、業者が固有に持っている権利を侵すことはできませんが、文部科学省が持っているものはひとしく国民に開示されるべきものであると思っております。

城井委員 もう一点伺いますが、二〇〇八年度、二〇〇九年度、続いて連年一社応札をしているこの二社の企業には、文部科学省からの天下りはいますか。

鈴木副大臣 この二社につきましては、再就職している文部科学省の出身のOBがいるということは承知をしておりません。

城井委員 ありがとうございました。

 今回の問題は、いわゆる一般競争入札だから公正な形が保たれているという世の中のイメージを崩すかもしれないという、大変大きな問題だというふうに思っています。既にこれまでにも、最近も航空自衛隊の一般競争入札において、一般競争入札であるにもかかわらず談合を行っていたという事案があって、しかも、その企業の中に今回一社応札をしている企業も入っているわけであります。

 そうした部分があるという、この国民の視線から見ても大変厳しいところ、特に、文部科学省と応札企業の癒着が疑われるようなことがこれっぽっちもあってはならぬ問題だというふうに思っておりますので、この点含めて改善を求めてまいりたいと思います。

 もう一点伺いますが、ちなみに、文部科学省の事業で一社応札となっているものがほかにどれぐらいあり、また、そこに天下りはいるか、いないか。この点についても確認しておきたいと思います。

鈴木副大臣 平成二十年度の状況で申し上げますと、一社応札企業は百八十五法人ございます。そのうち、平成二十年度分の百八十五法人の中に文部科学省のOBが在職しているかどうかは直ちには把握しておりません。

 ただ、平成十一年八月以降ということで申し上げると、十四法人あります。しかし、今その人が在職しているかしていないかということについては、今把握をしていないということでございます。

城井委員 大臣、今の状況であります。つまり、法人数はわかっても、天下りまで把握できていないというのが状況であります。

 先ほどのこの学力テスト入札だけにとどまらない問題がはらんでいないかどうかをこの問題を機にチェックする必要があると思いますが、この点について大臣の御決意を伺いたいと思います。

川端国務大臣 仕組みとして、一社応札にとどまらず、入札している社に天下りがいるかどうかが直ちにわかるようなシステムに今なっていません。そういう意味で、今鈴木副大臣から申し上げましたように、平成十一年以降に退職してそういう入札した企業に行った人は、延べで言いますと三十八人いるけれども、その人が今何人残っているのかはわからないというのが今の現状であります。

 そして、一社入札、例えば平成二十年度ですと、一般競争入札が六百三十八件で、一社入札がちょうど半分の三百二十件、額にすると総額百七十億円のうちの百二十五億円で、件数としては半分で、額としては七四%ということで、やはり、本当の競争が行われていないというのが実数としては出ております。そこへ天下りの実態がどうかはわかりません。

 したがいまして、これは、内閣全体としての課題も含めて、やはりこういうことをより透明に、そして説明責任が果たせるように、そしてそれが、結果としては適正な価格という意味で税金が無駄に使われないということで大変大事な課題であるというふうに認識をしており、内閣全体で取り組んでいるところでありますが、文部科学省においても、この問題は委員御指摘のようないろいろな側面から課題が多くあるということで、省内においてもしっかりと具体的に取り組んでまいりたいと思っております。

城井委員 税金の無駄遣いを正すことは、我々の国民との大きな約束の一つであります。厳格な運用の改善を求めて、次の質問に参りたいと思います。

 次に、文化庁の所管の発掘調査についてお伺いさせていただきます。

 この発掘調査、不動産業を営む多くの皆様の中で大変困っている問題、お客さんから苦情を言われるベストスリーに入る問題ということでこの発掘調査のことがよく言われております。

 具体的にはどうかと申しますと、不動産業で物件の売買をする際に、市町村の教育委員会で対象地域かどうかを調査をしてもらって委員会から指示を待つわけでありますが、その中で、掘って簡単な調査をして、見つかったら、遺跡が出ましたとなりましたら発掘の専門業者に委託をするということでありますが、この発掘の専門業者が扱うときの金額が問題であります。発掘費用もなかなかまちまちで、高額で、しかも土地の所有者が負担をするということであります。

 文化庁の方に伺いましたら、いわゆる相見積もりは可能だということでありましたけれども、とても残念なことに、徹底をされておりません。私が調べたところ、現場の声を聞いたところでは、相見積もりをとらせてくれと言うけれども、どうしても応じてくれない自治体が、私の地元であります福岡県内にもあるということであります。

 こんな例があります。地方では、例えば安い土地、売っても二百万円だというような土地があった。その土地を売ろうかなと思って調査をかけたら遺跡が出た、調べなきゃ、費用の見積もりを聞きました、百五十万円。こういう、ちょっと見たときにどうなんだろうかというケースもあるわけであります。所有者に負担をかけ過ぎてはいないかなというふうに思うわけであります。

 この発掘物というのは国の所有物になるんじゃないか、公の所有物になるんじゃないかというふうに思うわけでありますが、公の所有物になるのであれば、調査費用は公が、国が持ってしかるべき部分があるんじゃないか。現状は個人負担であります。補助金の運用の変更で対応できるんじゃないかというふうに考えますが、この点の見解をお聞かせいただきたいと思います。

中川副大臣 御指摘いただいたように、各都道府県の教育委員会に対して平成十二年に、この積算のいわゆる基準といいますか客観化といいますか、そういうことに対して通知を出しているんですが、必ずしもそれが徹底されていない、あるいはまた現場に対して説明を十分に果たしていないということ、これがあるんだと思います。そういう意味では、改めてこのことについて対応していきたいというふうに思っています。

 地方公共団体が実施する場合には、国はその経費の二分の一を補助をしているわけでありますが、あとの分については、開発事業者にその負担あるいは理解と協力を求めていくということに今の制度ではなっております。

 これは、考え方としては、いわゆる受益者負担といいますか、そこから出てくる発掘のその事業について、そこの活用をしなければならない、活用していきたいというところのいわゆる受益者に対して負担をしてもらうということ、このことで基本的な考え方をまとめて、その負担を問うているということであります。

 これは、過去にそれによって裁判にもなりまして、そこのところは国が全額負担すべきじゃないかということ、そういう議論もあったんですが、裁判の結果では、現状の制度が認められてきた、それでいいんだという結果になってきました。

 ただし、国が史跡として特別に認めるところについては、根っこから国の方がいわゆる買収をしていくといいますか、史跡保存の地域として指定をして国が買い上げているということもありまして、その史跡の重要性といいますか、そういうものの基準に基づいて支援のあり方というのを考えている、これが今の制度であります。

城井委員 ありがとうございました。

 国の二分の一の補助については私も存じておるわけですが、ただ、肝心の、例えば地元の不動産業界の団体なんかがあります。そこの支部の役員の方に、私が文部科学省、文化庁からいただいた資料をお送りをして読んでいただいて、御存じですかということで尋ねましたら、この国の二分の一補助ということを御存じありませんでした。

 つまり、ルールや基準としてはあっても、その周知徹底や運用というところが届いていなければ意味がないんじゃないかというふうに思いまして、つまり、周知の徹底とそしてルールの厳格な運用というところ、見直しも含めて取り組む必要があると思いますけれども、この点いかがでしょうか。

中川副大臣 御指摘のとおり、必要は私もあるというふうに思っています。先ほど申し上げたとおり、過去に通達を出しているんですが、それによってアリバイづくりみたいな形になっているんじゃないかなという懸念もありまして、改めてこのことについては通知をしていきたいというふうに思っています。

城井委員 改めての徹底をお願いして、次の質問にさせていただきたいと思います。

 次に、不登校対策についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 いわゆる不登校そして登校拒否というものが問題化されて、大変久しくなっております。しかし、小中学校に目を向けてみますと、全児童数は徐々に減っているものの、不登校の児童数は、この五年間見ただけでも、小学校で大体二万三千人前後、そして、中学校で十万人前後から減っていないのが現状です。つまり、これまでの施策では、不登校の減少どころか、相対的には事実上の横ばいあるいは増加という状況であるというふうに見てとれると思っております。

 その意味では、この不登校児童の減少に向けて、数値目標の設定等も含めて抜本的な不登校対策の見直しを行う必要があるというふうに私自身は思っております。

 そこでお伺いをいたします。これまでの不登校対策、最大の問題点の一つだと私が思っておりますのは、その不登校の状況にある子供たちの欠席の状況の把握が足りないということであります。この欠席状況の把握を徹底する必要があるというふうに思っています。

 なぜこのことを言うかと申しますと、文部科学省から我々に示されている毎年の統計の中で不登校関連のものがあります。その中で、不登校のきっかけ、理由は何ですかという趣旨のデータがあります。その中に、「その他本人に関わる問題」、「その他」、「不明」、こういう項目があります。例えば親御さんとか、あるいはクラスで問題があったとか、そういうほかの項目があるわけですが、それを除いた「その他本人に関わる問題」、「その他」、「不明」というこの三つだけで何人はまっているかというと、約十二万人の不登校生徒のうち、この三項目だけで六万数千人の小中学生がこの三つの中に入ってしまっています。つまり、理由がわからぬと書いているのと同じなんじゃないかというふうに思っています。

 つまり、原因特定が困難でこういうふうな分類をしてしまっているものが約半数に上っているという現状を考えましたときに、この部分の研究、対策、究明というところが必須だというふうに思うわけでありますけれども、この点、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 不登校の問題は非常に背景が複雑であり、なかなかうまくいっていないという現状であることは、先生御指摘のとおりだと思います。

 私も改めてこの問題でこのデータを精査いたしましたところ、私も全く同じ認識を持ちます。「いじめ」とか「いじめを除く友人関係」とか、「学業の不振」とか「クラブ活動」とか、いろいろなことがきっかけとなったという調査なんですが、最後に、「その他本人に関わる問題」、「その他」、「不明」というので恐らく半分以上の数字ということは、この調査は何なんだろうというふうに思われるのは、そうだと思います。言いかえれば、それだけ非常に難しいということは事実だと思います。

 そういう意味で、こういうものがより詳しく調べられるかどうかというのには一定の限度があるとは思うんですが、やはり、不登校に不幸にしてなってしまったその児童生徒に対していかに日常的に頻度高く接触できるかということを個々にやらないと、これは解決できない。例えば七割ぐらいが、いじめとか、あるいは、全然これは関係ないですが、家庭の経済的事情とか、そういうのが非常に多くあるのであれば、そこは横断的に、集中的に手を打つということは可能なんですが、どうもそうでないというこの問題の難しさは、基本的に非常に多いけれども、学校に来なくなった子供と現場の先生が個々にどれだけ頻度多く接して対応できるかにかかっているなと改めて認識をいたしました。

城井委員 大臣、おっしゃるとおりなんです。学校の教員の方々を中心にいかに触れていくかというか、大変大事だというふうに思うわけでありますが、その部分の取り組みがまだ足りないというふうに思っております。

 例えば、家に閉じこもっている子供たちに今先生方が会いに行くか。最近、生徒指導提要というのを文部科学省がつくられました。生徒指導に対してのイロハのイが書いてあるというものだと思います。しかし、その中に家庭訪問についての言及はないというふうに承知をしております。

 また、先ほど申した約半数以上の子供たちがふだんどこにいるか。例えばフリースクール、適応指導教室、そういういわゆる中間施設と言われるところにいた場合に、学校の教員の方々からすると、その子たちが何か元気になったりそういう状況が改善して学校に戻ってきてくれるものと思って、ああよかったと手を離しているケースが多い。そういう中間施設と言われるところに子供たちが行った場合に、言葉は悪いですが、子を捨ててしまった山、子捨て山のような状況にもしかしたらなってしまってはいないか。学校の先生、ちゃんと見ていますか。このあたりの部分は取り組みが大変足りないというふうに思っております。

 このフリースクールの状況を、今、学校の先生方が残念ながら把握ができていない。中間施設の部分も含めて、やはり、学校に子供たちが戻ってきてもらってともに過ごすというところを目標にする。温かく見守るということだけではなくて、かかわっていく、登校刺激も含めての取り組みというところ、こうした中間施設の部分に手が届いていない状況について改善していくべきというふうに考えますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。

川端国務大臣 一番基本は、先ほど申し上げましたように、生徒ときめ細かく接して対応していくということが一番大事であり、そのときに、その子供たちが例えばフリースクールにお世話になっているという実態があれば、そことの連携、中身をというふうに、まずそこが一番にないと、何かフリースクールのおかげで元気になってきたらああよかったなで終わるというのでは、本来の機能を果たせないという部分では、原点としては、接触を密にするということ、そして連携、ネットワークを大事にするということ、それともう一つは、教育現場の先生がそのことに対応できるという時間的なのがなくなってきているのではないかということ、それから、非常にきめ細かい対応ですので、経験と専門的知識が必要という意味のスクールカウンセラー等々やっているわけで、そういういろいろな仕組みの要素がたくさんありますが、そういう環境条件を整備して、より接触を強め、連携を強化するということが極めて大事であるというふうに認識をしております。

城井委員 ありがとうございます。

 今大臣がおっしゃったように、対応する先生方にもある意味で数が必要になってきますし、能力を高めていただく必要もある。そのための、例えば実践的な研修というところの充実も必要かというふうに思っております。

 いずれにしても、そうやってある意味で専門的な人材の力をかりるけれども、最終的には、教育のプロである教員の方々がアンテナを働かせて、三十人前後の子供たちにしっかり向き合ってその変化をつかみ取ることができる、ここまでやはり持っていくということが大事だというふうに思っておるわけであります。

 そう考えますと、この不登校生徒の義務教育ということについて国の責任として指導を行っていくべきというふうに考えるわけでありますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。

川端国務大臣 義務教育で特にあります。そして、家庭の義務と国の義務、両方あると思います。その部分は、当然ながら、押しつけ合うということがあってはいけない。子供がしっかりとその義務教育期間中に学び、育っていくということがまさに国に与えられた責務であるというふうに思っておりますので、しっかりといろいろな方法、なかなか難しいという今までの経験も含めてありますが、その責めは国に大きくあることは間違いないというふうに思っております。

城井委員 引き続き、その欠席状況の把握とそして取り組みの改善について注視をしてまいりますので、精力的な取り組みをお願い申し上げまして、私からの質問を終わります。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、湯原俊二君。

湯原委員 おはようございます。民主党の湯原俊二でございます。

 では早速、質問に入らせていただきたいと思います。

 文部科学行政における地域主権の改革の方向性についてお伺いしたいと思います。

 現在、義務づけ、枠づけの見直しである地域主権推進一括法案が参議院で先議、審議がなされているところであります。この中には、学校教育法関係や地方教育行政の組織及び運営に関する法律などの一部改正、そのほか幾つかの点において、法改正がこの地域主権改革の推進で盛り込まれていると私は承知しております。

 そこでお伺いしたいのでありますけれども、そもそも論として、文部科学省として、教育におけるナショナルミニマムを確保するということ、つまり、大切な次世代の育成について国として最低限責任を持つべきことと、一方で、この地域主権の流れの中で、地方の自治体、現場に権限や財源を持ってもらう。つまり、地域の裁量、自由度を高めていく。こうした地域主権の考え方との折り合いについて、このすみ分けについて、考え方をお聞かせ願いたいと思います。

川端国務大臣 御指摘のように、教育は国の根幹にかかわる大事業であります。そういう意味で、特に義務教育は、言葉どおり義務として課せられているものでありますが、国と地方の、特に、地方主権ということで、地方分権という国と地方が分担し合うというのを超えて、地方は地方の責任と権限において一定の部分はしっかりとやっていただくというのが私たちが目指す地方主権の大きなコンセプトでありますが、そういう中で、教育における地域主権というのは、基本的には、学校運営を行うということに関しては、地方公共団体がみずからの責任のもとで行っていただきたい。

 しかし、国としては、教育の機会均等、教育水準の一定の維持向上、それから環境整備、財源確保に関しては国が責任を負わなければならないというふうに思っております。

 これは、そういう意味で、国の責任を果たしながら、地方がそのみずからの権限と責任において学校を運営していただくというふうに整理をして今までやってきまして、これからもやっていこうというふうに思っております。

湯原委員 先ほど大臣の方から、我々が進めている地域主権の関係で、教育の分野においては、学校運営の部分に関しては地方の責任ということの御答弁があって、国としては、機会均等、教育水準、環境整備、あと財源の確保という言葉があったと思いますけれども、こういうことですみ分けをされたいということでありました。

 さてその次で、この点で、先ほどあったように国の責任のところでありますけれども、国は、ナショナルミニマム、最低限責任を持つところ、この基準、標準を示していき、そのほかは、先般も報道が若干なされたところでありますけれども、教育一括交付金という報道もあるわけですけれども、この教育一括交付金のまとめ範囲も含めてどのようにしていくのか、予算関係について御答弁いただきたいと思っております。

 また一方で、教育一括交付金化によって地域の現場の裁量が増すことは私も大変いいことだと思っておりますが、新たな教育の行政需要がどんどん出てきた場合に、一括交付金が増額すればいいのでありますけれども、抑制される、そのままの水準であった場合に、今までと比べた場合、結果として削減になりかねないという危惧もあるわけですけれども、この辺について御答弁いただきたいと思います。

川端国務大臣 今まさに、民主党政権の地域主権をそれぞれの分野でどう実現していくのかというときに、国と地域の役割をどう持つかということと同時に、財源をどうするのか、この二つがまさに最重要であることは当然でございます。その意味で、政府全体として、予算のいわゆるひもつき補助金等々をやめて一括交付金化していこうという大きな方針は、マニフェストの基本的な考え方を貫いている精神であります。

 そういう中で、とはいえ教育に関しては、先ほど申し上げましたように、すべての部分を一括交付金化して、その中で教育に関しても自治体の自由に、教育に使うのがいいのかほかに使うのがいいのか、一括的な自由裁量ということまでやるという考えは今我々としては考えておりませんで、教育分野に関しては、先ほど申しましたように、国の一定の水準の維持や機会均等、環境整備等々の財源手当ての中で、教育一括交付金という枠で一定の教育に関する費用の水準は国が責任を持つべきであろう。そういう意味で教育一括交付金という表現をしておりまして、それを検討していきたい。

 政府全体として一括交付金をどうするかというのは今まさに議論が始まったところでありますので、その中で、教育に関しては、先ほど申しましたように、国としての一定の水準を維持するというので、それに伴った必要な財源を手当てをし、これは、だから、今やっておりますいわゆる補助金という制度で教育の部分で地方自治体に渡している部分と、それから、いわゆる交付税の措置としてトータルとしてこういう費目という積算根拠はあるけれども、使い道としてはもう自治体に完全に任されている仕組みになっているものと、両方今現にありますので、それをトータルとして教育一括交付金という概念を導入するときにどう整理していくかはこれからの課題だというふうに思っていますが、その精神としては、国が一定水準の維持と機会均等を図るという責務を果たせるような枠をお渡しをして、それはその枠の中での自由度を地方自治体に持っていただきたいというふうに考えて、今、どういう形が具体論としていいのかを検討を進めていこうという緒についたところでございます。

 いろいろな御意見をまた賜れればありがたいというふうに思っています。

湯原委員 ありがとうございます。

 今大臣から、民主党政権の方向性として、ひもつきの補助金を一括交付金化の流れ、その後で、今現在、これから検討をされようとしているということであったのですけれども、丸投げのように何でもかんでも全部自由裁量で自治体に渡すんじゃなくて、あくまでも教育の分野において一つの枠をはめて、教育の分野に関しては枠の中で、その中で自由裁量をということであろうかと思います。

 これからの検討に任されるわけでありますけれども、個人的に私の私見でありますけれども、今、ひもつきの補助金から交付金化の流れの過渡期でありますので、確かに大臣がおっしゃるように、これが機会均等とか一定の水準を確保するためには必要であろうかと思いますけれども、あくまでも過渡期ということであって、最終的には自治体が、いろいろな成熟した、いい意味での教育問題に関してもっともっと意識が高まればまた変わってくると思いますが、あくまでも過渡期ということで私もその点は、枠をはめるということは了解したいと思います。

 いずれにしても、これから地域主権の戦略会議が設置されて地域主権推進について政府としても議論されるわけでありますし、各省庁においてその中で消極的な姿勢が見られるときは、最終的に総理が勧告をして地域主権を推し進めていくというふうにも聞いておりますので、先ほどお伺いしたナショナルミニマムの保障の部分と地域主権の折り合いの部分について、いろいろ御議論はあろうかと思いますけれども、私としては実りある議論を求めていきたいなと思っています。

 次に、この地域主権の流れの中で、専門分野の人材確保についてお聞かせ願いたいと思います。

 まず、地方においてですけれども、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーといった専門の人材が現時点で十二分に確保されている状況と言えるかどうか、御所見を求めたいと思います。

高井大臣政務官 平成二十一年度における専門的な人材の配置について、全国に配置されているスクールカウンセラーのうち、臨床心理士とか精神科医、それから大学教授などの資格を持つ、いわゆる専門性を持つ人は約八〇%というふうになっています。

 御指摘のとおり、地方間でばらつきが見られまして、東京や大阪など大都市圏では一〇〇%となっているものの、五〇%を切っている、こうした人材を確保するのに苦労している地方公共団体もございまして、おっしゃるとおり、地方において専門的な人材確保ができていない状況にございます。

 スクールソーシャルワーカーにおいても、約六〇%が社会福祉士などの資格を有しているものの、事業を実施している地方公共団体においてスクールソーシャルワーカーの方でも専門的な資格を有する者の割合に差が見られ、両面において御指摘のとおりだと思います。

 我々といたしましても、やはり、できる限り専門性を有する人材の確保を促して、学校における教育相談体制の充実強化を図ってまいりたいというふうには積極的に考えておるところです。

湯原委員 ありがとうございました。

 今、高井政務官からありましたけれども、実は私、出身といいますか選挙区は鳥取なんですけれども、スクールカウンセラーの制度が始まったのは幾分前からでありますけれども、先ほどお話があったように、まだ残念ながら我が鳥取県もそんなに高くない状況でありますし、臨床心理士といった専門の人材が配置されているのが高くない状況でありますし、スクールソーシャルワーカーも近年始まった制度でありますので、まだまだその専門的な人材が張りついていないという状況もあろうかと思います。

 そして、先ほど御指摘があったように、地域間の格差が、簡単に言うと、東京とか大阪、いわゆる都会と言われるところは臨床心理士がスクールカウンセラーに一〇〇%ぐらい配置されていますけれども、地方において自治体によっては、お話のように、四〇%台のところがまだまだたくさんある、過半数にもいっていない自治体が幾つもあるという状況であります。

 そこで、文部科学省の今日までの御努力は認めつつも、制度としてどうなのかなということをちょっとお伺いしたいと思っているわけであります。

 現在、スクールカウンセラーは、臨床心理士など専門の資格を有する人材であります。しかし、非常勤職員が国庫補助の対象でありますし、これを常勤職員で国庫補助の対象にしなければならないと考えております。そうしなければ、結果的になかなか地方において専門的な人材の確保ができないと私も考えております。

 もう一つは、スクールソーシャルワーカーについてですけれども、先ほど話がありましたように、社会福祉士で専門的な人材、なおかつ、社会福祉士という資格さえ持てばそれで務まるかというと、現場の声を聞きますと、やはり、学校というもの、学校制度というものをある程度熟知した方でないとなかなか務まらないという話を聞いております。

 この辺について改めて聞きたいのでありますけれども、現実的にはスクールカウンセラー等も、専門的な人材がいないために、結果として学校長のOBが受けていらっしゃるという地方の現実も見受けられておりますので、この辺のところで、文部科学省の制度として、専門的な人材が確保できるように国を挙げて養成し、そして偏在がなくなるように、地方においても常勤で雇えるように国庫補助の対象にして支援をすべきと考えますけれども、この点について御答弁いただきたいと思います。

高井大臣政務官 制度としては、湯原議員が御指摘のとおり、地方公共団体がスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーを非常勤として配置するための経費という形で補助をしておる現状でございます。その専門性を向上させるためのいろいろな研修会などを実施する経費も三分の一補助という形ではしておりますが、確かに、地方においてのこの偏在性、我々も、高い人材確保、養成をやはり一生懸命支援していかなくてはならないというふうには思っているところです。

 とりわけスクールカウンセラーにおいて、将来的に公立の全小中学校への配置を進めていきたいと私どもも強く願っておりまして、二十二年度予算におきましては、公立の中学校は全部配置が予定される。そして小学校の方ですが、一万校分ということで、約四五%配置が見込まれるということになっております。

 また、スクールソーシャルワーカーにおいても全市町村の約六割に配置可能な経費を計上しておるところでございますが、こうした状況を進める中で、臨床心理士とか社会福祉士以外の資格を持つ方の任用も含めてやはり教育相談体制の充実を図っていくために、まずは積極的な任用についての検討を行ったり、現在の仕組みの中での予算措置を努力した上で、地域や学校の実情に応じた配置とか効果的な活用をさらに努力していきたいというふうに思っています。

 確かに、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーが配置されたとしても、その方々に任せるということになってもいけませんし、学校の先生や校長先生なり管理職の方々なり、やはり協力をしながらその相談体制に当たっていくということが大事でありまして、ぜひ委員にも御支援なり御指導なりいただきながら、頑張ってまいりたいと思います。

湯原委員 私が思うのは、語弊があるとあれですけれども、昔ですと、やはり学校というもの、都会と地方でもいろいろな意識の差があって、地方においては、田舎であればそれなりにネットを張ったりとかいろいろあったと思いますけれども、今は、地方における都市化という問題で、状況は一緒の中で、人材が結局地方では張りつかないという、抱えている問題はそれぞれの学校が同じでありながら人材確保できないという状況であろうかと思いますので、先ほど来お話がありますように、ぜひ前向きに進めていただきたいなというふうに思っています。

 これと関連して、地域主権の流れとも絡みますけれども、もう一方で過疎化の自治体があるわけでありまして、私の出身のところもそうでありますけれども、その中でですけれども、教育委員会等の共同設置についてちょっと所見を求めたいなと思っています。

 今は専門の人材の確保の話をさせていただきましたけれども、地方自治法の改正が今審議されていると先ほど申し上げましたけれども、成立すれば、地方公共団体の自由度の拡大を図るための措置として、行政機関等の共同設置を行うことが今まで以上にできるようになります。

 もちろん、現在でも教育委員会の自治体間における共同設置は可能であります。例えば、全国で一カ所だけでありますけれども、岐阜県において、二つの町が共同して一つの教育委員会を持っています。このほかにも、一部事務組合として九十三、広域連合として二つ、教育委員会があります。

 ただ、今まで以上に地域主権の流れの中、あるいは過疎化が片一方である中で、中山間地域の自治体が主であろうかと思いますけれども、小学校等の合併が進められて、小学校がその自治体に一校だけ、中学校が一校だけというそういった自治体もだんだんふえてきている状況であります。

 確かに教育委員会は、学校の教育だけじゃなくて生涯学習とかいろいろな分野もあるわけでありますけれども、大きな流れとして、一つの自治体に一つの教育委員会でこれから先も対応できるのか。先ほど申し上げているように、専門的な人材が求められる、地域主権の問題が求められる、権限、財源がその自治体に任される、教育委員会に任されるという大きな流れの中、そして片一方では過疎化が進み、人口減、少子高齢化で子供たちも少なくなっていく。こういったアンバランスな状況の中で、この教育委員会の共同化ということを考えなきゃいけないのかなというふうに思っております。

 一般の行政においても、近隣の市町村と共同化があったり、教育委員会ではなくて一般の行政でありますけれども、県と市町村とのいろいろな事務の共同化があるわけであります。

 私は効率を目指すという意味での共同化を推し進めるという立場には立っておりませんけれども、いたし方ない状況の中でそういったことも考えていかなければならないのかなというふうに思っています。

 全国の過疎地域の自治体の中には、私のところもそうでありますけれども、教育委員会に数人しか職員がいなくて、幾つも役割を持っています。ですから、五、六人で一つの教育委員会の事務局を持っていて、一人当たりが幾つもの事務。都道府県の県庁所在地、その都道府県の全部の自治体の何々の担当の職員は集まってください、会議をやりますというと、自治体から離れるわけですね。例えば鳥取で言うと、中山間地域の自治体の職員が幾つも担当を持ちながら、県庁所在地の鳥取市で会議がありますよというと、離れなきゃいけない。会議に行かなきゃいけない。そうすると、そのときはもうその自治体の業務がストップしてしまう。こういう状況さえ今見受けられているわけであります。

 地域主権の大きな流れの中で、片一方で先ほど申し上げているように過疎化が進む中で、自治体における教育行政の事務の共同化、また、そして繰り返しになりますけれども、先ほど来申し上げている専門の人材の確保についてどのような見解を持っておられるのか、所見を求めたいと思います。

川端国務大臣 全体にわたってやはり少子化、高齢化、そして過疎化というのが、その少子化、高齢化が一部の地域の過疎化に輪をかけているという中で、いわゆる市町村の合併も、ある意味では、そういう観点も含めた住民サービスの低下を招かないで効率化しようという動きがあったというふうに思うんですが、先生御指摘のように、やはり小規模の町村、特に町村ですね、市町村において教育委員会が非常に脆弱な体質になってきていることは現実起こっております。

 そういう意味で、特に一般管理事務みたいなものはある程度共通的にできる部分があるんですが、専門的な、例えば指導主事とか社会主事とか、そういうふうな人材は専門性が求められますので、そういう人は幾つもの仕事を兼務してというわけにはいかない。しかし一人を置くというほどの能力がないということで、いろいろな工夫をしていただくことをせざるを得ないというために、先ほども御紹介がありました一部事務組合、これは九十三ありますけれども、ということで、指導主事を共同設置する、共有ですね、というふうに進めている教育委員会もあります。

 それから、平成十九年には地教行法を改正いたしました。市町村は、近隣の市町村と協力して教育委員会の共同設置等の連携を進め、地域における教育行政の体制の整備、充実に努めるという規定を盛り込みました。すなわち、近隣と協力をしてその組織を一体化していけるという法律も、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正をいたしました。

 そして、先ほどお触れになりましたように、今の地方自治法の改正でも、教育委員会事務局の共同設置がこの法律においても可能となるということで、方向としては、共同で持ちましょうということの法整備は随分改善をされてきているのではないかというふうに思います。

 現状のところ、その方法で規模の小さいところは、連携をしながら、協力をしながら、あるいは共同をしながら、そういう専門性の強い役職に関しては、教育委員会全体を一緒にするなり協力するなりという形を進めることで対応していくというのを基本的な姿勢として考えておりまして、今、そういうことでの充実をそれぞれにお願いをしているところでございます。

湯原委員 ありがとうございます。

 大臣から御答弁いただきましたけれども、この一連の地域主権の流れの中での教育、文部科学行政における、特に地方における体制、あと、専門の人材の確保について先ほど御答弁ありましたけれども、今後ともぜひ注視していただきまして、大臣が冒頭おっしゃったように、教育の機会均等、教育水準の維持、環境の整備、財源等の国の責任の分野として、特に先ほど申し上げたところ、危惧するところにぜひ御注視していただきたいなというふうに思っております。私からお願い申し上げたいと思います。

 そして次に、審議会等の男女共同参画についてお伺いしたいと思います。

 内閣府で平成十八年に一定の本部決定ということで出されておりますけれども、審議会等の数値目標が出されております。文部科学省でもこれに従って、法律に基づく審議会に対しては、平成三十二年で四〇%、つまり、男女比、片一方の性が四割を下回らない、ほぼ同数ぐらいということでありますけれども、三十二年で四〇%の目標を持っています。現在、途中経過として、平成二十二年末で三三・三%の中間目標を掲げられておりますけれども、文部科学省としては、現在三二・八%であります。

 文部科学省、どこの省庁もそうでありますけれども、法律に基づく審議会等のほかに、大臣決定のもの、局長決定のもの、幾つもあるわけでありますけれども、私は、これからの意思形成過程の場であるこうした会議においても、多様な声を酌み取る意味でも、性別において片一方の性が非常にウエートを大きくするんじゃなくて、やはり、片一方の性だけではなく両性で同数に近づける、つまり四割以上をどんどんと推し進めていくべきと私は考えておりますけれども、この点について御所見をお伺いしたいと思います。

高井大臣政務官 お話しございましたとおり、平成三十二年までに、男女のいずれか一方の委員の数が「十分の四未満とならない状態を達成するよう努める」という最終目標を今政府として掲げておりまして、御指摘どおり、当面の目標として、平成二十二年末までに「女性委員の数が少なくとも委員の総数の三三・三%となるよう努める」というふうなことが目標として設定されておりまして、我が省の二十一年度九月末においては三二・八%という御指摘は、もうそのとおりでございます。

 もうおっしゃるとおり、我々としても、今後ともこの政府の方針に従って達成の目標を目指しつつ、この審議会等への女性委員の登用等を推進していきたいと思います。

湯原委員 御答弁いただきました。

 大臣、御答弁はいいですけれども、一つ私の意見を申し上げたいので、ちょっと聞いてやってください。

 平成十八年に、これは男女共同参画本部の決定で、平成三十二年までに四割を目指すということであります。平成三十二年というのは、今から十年かけてそこまで目指すということであります。平成十八年というのは、もちろん前政権下であります。今は政権がかわって、やはりこうした多様な意見を聞くために、我々民主党連立政権として、十年先に四割を目指すというよりも、我々の思いとしては、次の審議会等でも、まあそれは、充て職でなっているものもあるでしょうからなかなか難しい部分は承知しておりますけれども、十年後に四割と目指すんじゃなくて、次の審議会のメンバーをかえるときには可能な限り四割にしていこうという、政権交代をして、我々の政権としてはそうした姿勢をぜひ目指していただきたいな。私としてもお願いしたいと思います。

 なおかつ、もう一つ申し上げると、ここで挙がっているのは、審議会、つまり法律で定められた審議会等のメンバーに対しての目標数値であります。先ほど申し上げておるように、法律で定められた審議会以外の、大臣決定のもの、あるいは局長決定のもの、いろいろな会議があるわけでありまして、ぜひお願い申し上げたいのは、その法律で定められた審議会等以外でも、意思形成過程において多様な声を聞くという思いを持って、他の会議においても、数値目標云々関係なしでも、可能な限り男女比の四割以上、同数ということですけれども、目標にしていただきたいなというふうに要望を申し上げたいと思います。

 時間の関係で、最後一点だけ質問をしたいと思いますけれども、特別支援教育の就学奨励制度の対象範囲の拡大について質問させていただきたいと思います。

 一括交付金化とかいろいろ申し上げてまいりましたけれども、特別支援教育の就学奨励制度は、特別支援学校や特別支援学級に通う児童生徒の保護者の経済的負担を軽減する制度でありますけれども、これは、補助の対象が法律によって厳密に定められていると私は認識をしております。

 しかし、いろいろな自治体あるいは現場から声を聞きますと、この厳密に法律で定められているよりもう少し幅広に対象にしてもらえないかと、現場に出ていないとわからないような声もいろいろ出ています。

 例えば、点字の習得が難しい、中途で失明した子供に対して、教科書という本の形態ではなく、テープ等による録音図書を購入する費用、あるいは、高等学校に進学した視覚障害のある生徒が拡大教科書を購入する費用、あるいは、中山間地域で公共交通機関が発達していない地域での特別支援学校のスクールバスの運行費用など、一部、地方交付税で認められているものもあるとは聞いておりますけれども、こうした実際に現場で特別支援学校、学級に通うお子さんの保護者の負担を軽減する、一見それほど大きな問題ではないと見られるかもしれませんけれども、実際当事者になってみれば非常に大きな問題でありますので、この点について、就学奨励費のこの制度について、都道府県や市町村といった現場の声を聞いて幅広に拡大をする見直しのお考えがあるかどうか、時間になったようでありますので、質問をして終わりたいと思います。

高井大臣政務官 御指摘ごもっともだと思います。特別支援学校への就学奨励に関する法律に基づいて、予算措置をしたり、さまざまなことを保護者などの経済的負担軽減のために援助を行っておるところでございますが、補助対象について、この法律に定められた教科用図書購入費、それから通学費、学用品購入費などに加えて、昭和二十九年以来ずっと、それこそ現場の意見を聞きながら累次の見直しを我々も重ねているところでございます。

 予算措置として、先ほど申し上げたことに加え、交流学習費とか校外活動費、それから職場実習宿泊費等、さまざまな経費を対象として、都道府県との連携のもと助成支援の拡大を図っているところでございまして、実際の運用においても、本の形態でない録音図書については学用品購入などに含めるなどして、できるだけ柔軟な対応を現在図っているところでございます。

 まさに委員御指摘のことを踏まえて、やはり現場の意見をよく聞いて、できるだけ適切な、また、広げていける運用に努力をしていきたいと思います。

湯原委員 ありがとうございました。終わります。

田中委員長 次に、石井登志郎君。

石井(登)委員 民主党の石井登志郎でございます。

 きょうは委員会を傍聴していただいている方が大変多いんですが、委員長、大臣、これは兵庫県の民主党の政治スクールの方々が、ちょうどきょう東京に、国会に見学に来ると。政治の門をたたいて、政治家になろうかどうか、ちょっと今揺れている方々でありまして、私と大臣の質疑が、あんなのだったらやめようかなと思うかもしれませんし、あんなのなら自分でやろうかなと思うかもしれませんし、いずれにせよ、そうした将来政治にかけようかというような若い方々が聞いていただいているというようなことでありますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 それでは、質問に入りたいと思います。

 まず、薬学部の受験者数が大変減っている、こういう問題についてお伺いをしたいと思います。

 平成十五年の規制緩和によって、それまで抑制をされていた薬学部の新設が認められるようになりました。結果として、平成十四年時点では四十五大学で薬学部があったものが、平成二十一年までに七十二大学まで一気にふえました。資料をお配りしているところでございます。

 定員数ももちろん増加をいたします。平成十四年に八千二十人であったのが、平成二十一年には一万三千二百三十四人。一方で、薬剤師の合格者数は、平成十四年には九千九名、そして平成二十一年には一万一千三百人となっております。

 合格者数、これもふえて一二五%の増加ですが、定員はそれよりもさらにさらにふえて一六五%の増加です。もちろん、平成二十一年に受けた人は平成十七年の入学ですから、そういう意味では、今私が言った数字は全く当てはまるわけではありません。平成十七年の定員は一万一千四百名ですから、ある意味、平成二十一年の合格者数一万一千三百人と大体いい数字になっておるんです。

 ただ、この薬学部が六年になったのもありました。この質疑がされたのがちょうど六年前、平成十六年の四月であります。私は、今回初当選でありますから、そのとき質疑の場に立っておらないわけですが、しかし、この委員にも、ちょっと今離席されておられますけれども、富田先生や横光先生の当時の議事録を読みますと、薬学部の新設の規制緩和と薬学部は四年制から六年制になるということ、この大きな波が一気に来て大変なことになるんじゃないかというようなことを当時の与党、野党問わず指摘をしてきた。

 一方で、それにもかかわらず十分な措置を講じてこなかった。その中で、平成十六年、七年の時点で四年制最後の駆け込みの受験者数が十五万人を超えました。一方で、これは昨年のしかありませんが八万六千名。ことしはこれより少ないのかもしれませんけれども、もう大方半減しておるところでございます。

 その中で、特に西日本に多いんですけれども、一つの学校ではなくて複数の、多くの薬学部で定員割れを起こして、大変てんやわんやしている。これは文部科学省として想定をしてきたことなんだろうか。まさに薬学部を経営される方々、その人たちの代弁というわけではありませんけれども、文部科学省の平成十六年の議事録を読むと、そうした懸念はないことはないが、最終的に薬剤師の調整というのは厚生労働省だという言い方をしているわけです。

 まさに省庁縦割りの弊害、そして、まさにこうした状況を放置したこととして、六年前に懸念されたようなことが今日あらわれているんじゃないか。もちろん、六年制の卒業生はまだ出ておりませんので、その質が下がった上がったというようなことはまだ判断できる段階ではありませんけれども、この現状に関して、まず大臣の御所見をちょうだいいたしたいと思います。

川端国務大臣 私、家が代々薬局でありまして、父も兄も含めて周りに薬剤師が山盛りおりまして、この部分には私自身も非常に関心があります。

 一つは、特に医薬分業の時代の中で薬剤師の求められている社会的責務の重さからいえば、非常に高度な知識と専門的な知識と経験が必要であるという背景から六年制に移行をして、ことしが始めて五年目という状況に入ったという背景があったことは承知をしております。

 一方で、やはりその部分で、六年かけていくということは、学生にとって、経済的負担を含めては非常に重いものがあることは事実であります。そして、それが果たして六年たってキャリアアップしたというときの社会的な受け皿としての位置づけが、それに相応した経済的報酬が得られるということはまだ未知の世界でありますから、そういう意味を含めて、多分私は、いろいろな背景の中で、そういうことも大きな背景として受験者数は減ってきたんだというふうに思います。

 同時に、やはり最終的には薬剤師の試験がありますから、国家試験があるという部分では、質をしっかり保証しないと合格率は悪くなる。そのときに、定数をふやした中で、一方で市場原理といいますか、これは医学部も一緒なんですけれども、昔の答弁で厚生労働省にあると言われたのは、いわゆるそういう医学界における医師や歯科医師や薬剤師のどれぐらいのニーズが要るかという部分が、ややもすると国家試験の部分に、そこで調節するみたいに作用が働くことも事実です。

 そうしますと、私学においては、受験生をたくさん受けてもらって人気を高くして、そして質のいい生徒をとるということが至上命題であるにもかかわらず、環境の変化の中で受験者数が減り、結果として合格しやすくなるということで学力の低下を招く。そうすると、受験者の薬剤師への試験の合格率が悪くなる。そうすると、この大学は合格率が悪い大学だということで余計受験者が減るという悪循環を招いているという部分が、これは法科大学院も含めて、最近、長くしっかり専門性を持って勉強してもらおうという試みの中でやられたところにこういう現象が起きていることは私は事実だというふうに思っております。

 そういう意味で、本来の目的は、質のいい専門性の高い人材をしっかりと世の中で支えてもらうというのが本意でありますので、歯学部それから法科大学院で、今これは動き出しておりますので、しっかりと制度の検証を今取り組んでいるところでありますが、御指摘のように、薬学部に関してはいよいよ五年目に入るというところでありますので、注視をしながら、問題意識はしっかり持って対応してまいりたいというふうに思っております。

石井(登)委員 質の高い学生、そして質の高い薬剤師を供給するというのがこれの本来の趣旨でありまして、そこで、きのうもちょっとホームページを調べておったら、平成十六年、十七年のころの各薬学部の偏差値よりも、この三年、四年は、偏差値ですから、しかし一つの指標で、大体すべての大学が偏差値が大体三つ四つぐらい下がっておるんです。

 そういう中で、大変、大臣も私と懸念を共有いただいておるということですから、そこは厚生労働省ですからというところもありますけれども、そこはぜひ、長妻大臣と乗り越えて、そして頑張って、私も頑張りますのでよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、次に移りたいと思います。

 同じく専門職大学院ということで、これから議論されることになろうと思います教職の養成課程、これも高度専門職で、そして質の高い教育をということに関しては私も当然だと思っております。これからそうした法案も降ってきますからそのときにしっかりやりたいと思いますが、きょうは、高井政務官、昭和四十六年組でありますが、高井政務官とは、政界を引退した後に、もう引退のことを話しておるんですけれども、それぞれの田舎で小学校の教壇に立ちたいね、そんなことを先日ちょっとお話しいたしました。

 そうした中で、これから教員の質を高める、これは重要なことです。もう一方で重要なのは、まさにバラエティーに富んだ教員を供給する、そのことによって質も高めていくということは重要であろう。

 そこで、私も文部科学省にいろいろお伺いをしますと、私も今からちょっといろいろやれば教員になれないことはないのでありますが、その説明をきょうるるしに来たわけでも聞きに来たわけでもありませんが、一つの例として、免状を持っている人が、さっきの薬剤師の裏の資料にありますけれども、社会人特別選考ということで、各都道府県なりで一次試験、筆記試験をやらなきゃいけないかわりに論文を書いてパスをするというようなことがある。

 その他にも、免許に関しても採用に関しても、いわゆるよく言われるような、大学の教育学部を出て、そして教員採用試験を受けてというようなことだけでないのは言うまでもありません。

 ただ、現実問題、公立の小学校の新規の採用者の中で、その占める割合というのは一%か二%です。これは下の神奈川県、そして上の埼玉県、こういうのを配りますと日本全国にこういう例があるのかなと思うんですが、日本全国の例、私、今ここにありますけれども、全部足しても百名か二百名です。一万人、そして一万数千人のうち百名か二百名であります。

 これを、これから大量退職の時代にもなりますし、そして高度専門職にするというふうになれば、もしかしたら薬学部と同じような傾向で志願者数が減ってしまうかもしれない。それは十分留意をしなければいけないんですが、高井政務官、ちょっと道を広げていただきたいんですけれども、まず、そうした思いについて共有をいただけるか、そして、道を広げていただきたいという私のお願いに関して御見解をお聞きしたいと思います。

高井大臣政務官 私も全く思いは同じでございまして、正確に言うと、引退したらでなくて落選したら、私ですよ、私が言ったのは、落選したら早く小学校の先生になりたいというふうな思いもありまして、私も残念なことに教職免許は持っていないですので、今、高度専門人材と言われる先生という立場において、多くのいろいろな経験がある方を採用して門戸を広げていくというのは本当に大事なことだと思います。

 そうしたことも含めて、教員養成課程の見直しを今鋭意やっているところでございますが、現実的に今、委員が御指摘がございました幾つかの制度がございます。特別免許状制度といったものや教員資格認定試験制度、こうしたものを受ければ、大学で教職課程をとらなかった者でも教員免許を取得する道が現在ございますし、そのほか、多くの都道府県などにおいて、社会人経験者を対象とした特別選考というのを実施しているというふうにも私どもも聞いております。

 さらに、教員免許を有しない社会人を非常勤講師として登用したり、教科の領域の一部を担任させたりする特別非常勤講師制度というのも活用も可能でございまして、まさに抜本的な教員の資質向上のための見直しに着手しているところでありますので、多様な人材の活用のあり方も含めて、まさに御指摘のとおり、いろいろ検討してまいりたいと思います。

石井(登)委員 高井政務官、能動的に、落選せずとも、国会議員よりも小学校の教壇に立って国をよくしたいというような道もあろうと思いますから。それはちょっと蛇足でありますが。

 いずれにしましても、思いは共有していただいたことと思います。社会人の、普通の学部を出て、そしてそうした枠を広げる、一万人のうち千人、二千人がそうした枠で先生になっていく、そういうようなシステムをぜひつくっていきましょう。

 次に移らせていただきたいと思います。

 内藤副大臣、お忙しいところありがとうございます。ここで二度ほど質問させていただきました、いわゆるICTを活用した教育に関するものでありますが、平成二十二年度、総務省、これは原口大臣と内藤副大臣の強烈な思いがあって、新たな事業としてフューチャースクールの推進事業というのが立ち上がるわけであります。

 私は、きょう内藤副大臣、お忙しいので、お役人の方でというふうにおっしゃられたんですが、しかし、文部科学の委員の我々が、副大臣のこのフューチャースクール事業というものに関して、もしかしたら聞いたことあるなという程度かもしれません、これは総務省の事業かもしれないけれども、文部科学省と一緒にやっていく、文部科学委員も一緒にやっていく、そして、日本全国の学校で、心ある学校が手を挙げてやっていくという重要な事業でありますから、まず、この事業に関して、きょうは宣伝をしていただく機会を設けさせていただいたつもりでありますので、ぜひ概要と進捗状況についてお聞かせいただきたいと思います。

内藤副大臣 機会をお与えいただきまして、ありがとうございます。では、お答えをさせていただきたいと思います。

 そもそも、私どもの問題意識の原点はどこにあるかといいますと、二年前、原口当時のNC担当大臣と私とでシンガポールの学校を訪問したところにあります。

 そこで見た光景は、ふだん我々が見なれているような、先生がいて、生徒が三十人、四十人いて、一方通行の教育ではなく、生徒すべてが例えばタブレットPCを持ち、そして前にはインタラクティブホワイトボードというものがある、それらがすべて無線LANでつながれている。

 具体的にどういう授業が行われていたかといえば、例えば少人数で、タブレットPCを通じて生徒たちが互いの考え方を共有し合いながら、議論し合いながら、よりよいものをつくり上げていく、そして最終的には、一番前面に出されているホワイトボードに映し出して、代表者が皆の前で理路整然と説明を行っていく、そういった授業風景でございます。

 そういったものを見ながら、我々としても、これからの日本を育て上げていく、人材を育て上げていくためには、やはり教育のあり方を変えていかなければいけないんじゃないか、そんな思いで今回フューチャースクール推進事業として総務省の予算、これはもちろん文科省の副大臣にも相談をさせていただきながら進めているところではございますが、計上させていただいた次第でございます。具体的なことを申し上げるならば、全国にまず十校を選定させていただき、実証研究を行っていき、ICT教育のよりよい姿を求めていく、模索していくというものでございます。

 そして、今の進捗状況をついでに申し上げさせていただくならば、今、WTOの一般競争入札のルールに従って行っておりますが、今月中におよそ仕様書の確定ができます。そして、ゴールデンウイーク明けをめどに、入札の前に三十日間の公示期間というものを設けなければいけません。そしてその後、五十日間の入札期間を設けるということで、およそ七月の末ぐらいに、参加をしていただく事業者を確定させていただきます。

 そして、もう一言だけ申し上げさせていただくならば、その際に決めるのは一社ではありません。二社決めさせていただきます。正確に申し上げるならば、二社というよりも、二グループを決めさせていただきます。グループというのは、もちろん、底辺でタブレットPCだとかインタラクティブホワイトボードを提供する事業者も当然なんですが、これはクラウドコンピューティングで行いますので、その辺の事業者、さらには教育コンテンツを提供する事業者、これらがグループを形成していただき、そしてそれを二社選定させていただく。

 なぜ二社かといえば、一社だけだと、そこに安住してしまって努力をしていただけない。二社を競合させます。そして、その競合させる仕組みとして、教育工学などを専門とする方々にお集まりをいただき、研究会を設けさせていただきます。その研究会を二カ月ないし三カ月に一度の割合で開かせていただき、そしてその都度、現状を報告していただき、専門家の方々から御指摘をいただきながらよりよいものをつくっていく、こういう仕組みをあわせて考えているところでございます。

 以上でございます。

石井(登)委員 ありがとうございました。

 教育の情報化で、今、そうした中で私が一番問題と思っているのは、結局、成果はどこにあるんだ。まさに今、内藤副大臣おっしゃっていただいた、インタラクティブな、つまり、はい、はいと先生に対して大きな声で言う生徒だけじゃなくて、内気な子までも先生と直接つながっていくとか、私、内藤副大臣の後を追っかけて、この一月、シンガポールに行ってきましたけれども、いわゆる深いコミュニケーション、ディーパーコミュニケーションをなし遂げる。

 ただ、それだけでなくて、いろいろな例がやはりあると思うんです、目的が。シンガポールのほかの学校では、インディペンデントスタディー、つまり、公文式のような形で、一人一人がどこまで到達するか、パソコンを使ってどんどんグレードが上がっていくというようなことをやっていくのを目的にしていた。もしくは、クレセント第一中学校というところでは、これは特に理数系の物理の実験は毎回できませんから、物理の実験を、パソコンの上で大方動いて、つまり、気体が破裂するみたいな実験はできませんから、それを何度まで温度を高めたら何かが破裂するみたいなことをやっていました。

 結局、学力向上のためなのか、もしくは学びの効率化のためなのか、もしくは深いコミュニケーションのためなのか、そのことによって、ITはあくまでもツールでありますから、そのツールを使ってどうやって子供の能力が高まるのかということを、ぜひ一緒に考えていきたいと思っています。

 そこで、おとといまでパブリックコメントで、締め切られたということでありますが、私、ちょっと二日おくれでございますけれども、パブリックコメントで内藤副大臣にコメントしたいと思うんですけれども、そういう意味では、コンテンツは文部科学省だということで仕切りをされているように私は感じるのでありますが、やはりコンテンツの開発というのは極めて重要だと思います。

 そこで、端的に申しますと、今ちょうど英語が小学校五年生、六年生から始まるんですね。この英語ノートというのがあります。また今度持ってきますけれども。これは小学校五年生、六年生から、大方、この平成二十二年に始まって、平成二十三年から全部の学校で始まる。とりあえずある教材としては、とりあえずあるということですが、先進的な例えば港区とかそうしたところには、これでなくて、もっといいものを自分たちで開発をしているわけです。

 しかし、やはり、このレベルのものもあってもいいですけれども、より進んだものを、先進的なものを使えるようなところは、まずこれを国が提供する。コンテンツの開発に関しては国の責任でやって、使いたい自治体は使いたい自治体の裁量で使う。

 コンテンツの開発については国が責任を持って指導するというのはどうかなと思ったりもするんですが、そんな話を平素より鈴木副大臣とはしておるんですけれども、内藤副大臣にこれはちょっとお願いして、そうしたことを今回のフューチャースクールの事業に絡めることは可能か。可能であれば、私もぜひ微力を尽くしたいと思っておるんですが、御見解をお聞かせいただきたいと思います。

内藤副大臣 これは本当に、コンテンツの重要性についての認識は、石井委員と全くもって同感でございます。コンテンツが余りにもいいかげんなものであれば、そこにあるのは単なるパソコンであり、単なる通信網だけにすぎない。これでは何の意味もないわけでございます。そこで、先ほど、冒頭も申し上げさせていただきましたように、やはりコンテンツの充実についても、文科省さんとも相談をさせていただきながら、そこはしっかり押さえていきたいと思います。

 そして、これは、今の予算の単年度主義の限界から、何かことし一年間の、一年度の事業のように見えてしまうんですが、私たちの思いとしては、三年間かけてしっかりとICT教育のあり方に対するすばらしいガイドラインを策定していきたいと思っております。

 ですから、今、研究会の中でこれから有識者のいろいろな御意見を伺っていくわけですが、そんな中で、当然のことながら、コンテンツをもっと充実させていくべきだ、そういった意見が出てくるかと思います。そういった意見を踏まえて、次年度の予算づくりのときにしっかりと反映させていただきたいと思いますが、その際にぜひとも石井委員の御意見もしっかりとお聞かせをいただきたいと思います。

 ありがとうございます。

石井(登)委員 ありがとうございました。

 きのう、鈴木副大臣の旗振りで、文科省にも学校教育の情報化に関する懇談会が立ち上がって、文科省の方も本格的に動き出します。そういう状況でありますので、私も引き続き微力を尽くしてまいりたいと思います。

 内藤副大臣、お忙しいところありがとうございました。

 それでは、次に移りたいと思います。

 今ちょっと触れましたけれども、今度は英語教育について。前回もさわりを触れまして、一度国会で質疑をいたしますと、大変ありがたいことに、各界の皆様方からいろいろな御意見をいただく。

 その中で、私、恥ずかしながら存じ上げなかったんですが、平泉・渡部論争というのがあると。きょう資料の二でお配りをいたしました。

 昭和四十九年に、自由民主党政務調査会、国際文化交流特別委員会副委員長、参議院議員平泉渉先生が「外国語教育の現状と改革の方向 ―一つの試案―」というのを出され、その後、大変大きな論争になって、今、「英語教育大論争」というような本になって、当時私は三歳でありますからその当時を覚えているはずもないのでありますが、今日に至っている。

 そこで、大臣にお伺いしたいんですが、私は、平泉先生の提言を読んで、すばらしいな、しかし、三十五年たってもすばらしいなと思うのはどういうことなんだろうなと思ったわけでありますが、大論争になった、つまり、平泉先生は英語の徹底的な実用化を図れ、そして、渡部先生は英語はまさに一つの国民の教養だというような、そうしたある意味極端なものであったわけであります。物事三十五年もたてば答えは出ているかなと思うのでありますけれども、どちらに軍配が上がったのかということについて、川端大臣の私見をお聞かせいただければありがたいと思います。

川端国務大臣 行司をするというものではなくて、やはりそれからの日月の経過でいえば、英語というものの日本人の中での状況はさま変わりをしたことは事実だと思います。

 先ほどのように、義務教育の中に英語を学ぶような状況ができたということは、昔でいえば考えられない状況であったというふうに思いますし、言葉としてだけではなくて、ビジネスにおいては、企業の中で英語ができなければ役に立たない部署もいっぱいできております。そういう意味で、教養なのか実用なのかということの両先生の大論争のいずれの機能も、やはり随分進歩はしたことは間違いない。

 しかし、振り返ってみますと、基本的には中学校で三年間、高校で三年間、大学でもまた何年間か、これだけしっかり大学を卒業するまでに英語を学ぶ国民も、人数からいったら、たくさんの人が学ぶ国も少ないと思うんですが、卒業してもほとんど話せないというのがいっぱいいる。ジャパニーズイングリッシュというのは、ハリウッドでは独特の話し方というので映画で定着しているようであります。

 そういう意味では、機能としては両方とも進歩したことは間違いない。そして、ニーズとしていえば、例えば、これは聞いた話なんですが、韓国の某最先端電子機器メーカーにおいては、入社試験がTOEICが九百点だという話を聞きました。信じられない話でありますが、現実だと伺いました。そうすると、世界でも冠たるその超一流企業に入ろうと思えばその英語能力が求められるということであれば、やはり学生のそのことに取り組む姿勢はさま変わりをする。そういう意味では、例えば企業の受け入れの問題や社会の必然性等々がやはり後押しというか受け皿としてないと、なかなか、現実に、普通に暮らしているのであれば常識程度に知っていればいいということと裏表だというふうに思います。

 そういう意味では、私は、この平泉・渡部先生の大論争の指摘から随分の年月がたった中で、日本の社会における英語の必要性が格段にふえたのに応じた進歩をしたということであって、それをさらに強制的に進めるというよりは、そういう世の中の動きにつれて自然にこうなったんだろうと思います。

 ただ、これから日本が資源のない国として国際的にもっと大活躍するという方向を目指すならばという意味での英語教育のあり方は、いろいろな課題をいっぱい抱えていることは事実だと思っております。

石井(登)委員 ありがとうございました。

 どちらに軍配が上がりましたかとちょっと意地悪な言い方をいたしました。おっしゃるとおりで、こういう話は、どちらかに軍配が上がれば大論争になっていないわけでありまして、そういう意味では、本当にどちらの面でも大切だ、まさにおっしゃるとおりであります。

 ただ、今しつこく前回と似たような角度で質問いたしますのは、私は、小学校で英語が始まって、地域で両方の声を聞くんですね。いいことだということと、それから、週に一時間、これのために時間を使って、忙しいのに子供が大変だ、一時間じゃ物にならないだろう、この両方の意見を聞きます。

 私自身は、どちらかといえば、これはもっともっと、どんどんどんどんというような立場なんですけれども、しかし、それを示すのは私というよりは国全体の方針であろうと思います。このまま英語教育がとりあえず始まってよかったよかったというようなことで終わらせたくないなというのが私の思いでございます。

 現実問題として、今、海外に、私も留学をしておりましたが、韓国は人口が半分以下でありますけれども、韓国の方が今アメリカの留学生の数が多くなっています。そして、韓国、中国の方が、TOEFL、TOEICの点数は万単位の平均でかなり上がってきております。

 そうした現状の中で、今回私は平泉先生の論争で大いに覚せいをされましたので、無理のない形でさらに日本の英語力を高めるように頑張ってまいりたいと思いますので、ぜひ御指導よろしくお願いいたします。

 時間が参りましたので、以上、終わらせていただきます。ありがとうございました。

田中委員長 次に、石田芳弘君。

石田(芳)委員 石田芳弘です。

 私は、鳩山内閣の一丁目一番地と言われております地域主権というテーマのもとに、義務づけ、枠づけの御質問と、それからもう一つは文化財行政の御質問を申し上げたいと思います。

 まず、義務づけ、枠づけの御質問をする前に、私の個人的な思いを申し上げたいと思います。

 私は、地方で政治と行政を二十四年間やってまいりまして、還暦を過ぎましてから衆議院というチャンスを与えられまして、よし、立候補してみようと思ったのは、地方という現場の声を国に伝えることができるならと思って頑張ってみました。

 物の細部に真理が宿るとか、現場に神宿るとかいう言葉がありますが、私は、国と地方の関係、ガバナンスの現場である地方にこそ、やはり真実があるという思いです。その立場から、義務づけ、枠づけの質問をしたいと思います。

 私は、市長職をやっておりますときに、毎日、とにかく市長として決裁をする。朝まず役所へ行きますと、書類の山です。その多くが、中央から地方へ来るいわゆる通達行政なんです。通達という言葉は地方分権の中からなくなって、通知と言っていますが、内容は通達です。要するに、国から地方への関与ですね、関与行政なんです。通達行政が徹底されていますね。

 ちょっと例えが不適当かもしれませんが、昔、中国では、足が大きくならないように纏足という習慣があったんですよ。今、地方は脳が纏足されちゃっているんです。ほとんど自分で考えることができなくなる、そういう状態です。それをぶち破っていくのが地方分権だったんですね。中央の権限を地方へどんどんおろしていこう。

 忘れもしませんが、平成七年の五月に地方分権推進委員会というのが発足しまして、その会長は諸井虔さんという人でした。この方が全国をずっと回られまして、私もお話を聞きまして、この地方分権というのは明治政府以来の大改革なんだ、今まで国と地方の関係は上下主従関係、それを全く並列の関係にするんだ、横の関係にするんだ、対等の関係にするんだ、こういうお話を聞きまして、私も地方で仕事をやる、行政をやる者として、本当に太陽のような輝きを持ったんです。これから日本は変わってくるぞ、こう思ったんですね。実はそういう思いがあります。

 ところが、この地方分権は、機関委任事務をなくしたり法律を変えたりして確実には変化していますが、遅々としています。それはやはり、私の実感では、官僚主導をどうしても抜け切れない。国の官僚が地方を、さっき言いました通知通達行政ですね、関与が強過ぎるということ。それを少しずつ破っていくということですね。

 それで、去年の秋ですか、地方分権改革推進委員会の丹羽会長から鳩山総理に、義務づけ、枠づけの見直しという勧告があったわけですが、そこで質問ですが、文科省に義務づけ、枠づけの対象になる事業は一体どのくらいあるか、この勧告の中から義務づけ、枠づけを取っ払おうという事業は一体どのくらいあって、どういう事業だということをお教えいただけませんでしょうか。

川端国務大臣 地方行政に長年本当に先進的に実績を残してこられて国会へ来られた部分のお話は大変含蓄がありました。

 私はかねがね地方分権三原則と言っておりまして、権限と財源と人間だと。そのときに、どうしてもやはり、長年の中央集権の中では、地方に任せたら心配だ、何するかわからない、余りいい言葉ではありませんが、どうなるかわからないということで、やはり国がしっかり見なければいけないなというふうな部分と、地方は地方で、ある意味イージーにやろうと思えば、国から言われたメニューを淡々とこなしていけば予算もついてやっていけるというのを結果として生んだ部分もあったというふうに思います。

 そういう中で、本当に地域主権で、地域が独自にしっかりと生き生きとしてやるということを我々は国づくりとして目指そうではないかという中で、先般、いわゆる義務づけ、枠づけということでありますが、法令として申し上げますと、第三次勧告で、文科省として義務づけ、枠づけに該当するとされたものは、小学校、中学校等の設置基準、公立義務教育諸学校の学級編制基準や教職員定数の標準、それからもう一つが市町村立幼稚園の設置、廃止等に係る都道府県教育委員会の認可などであります。

 そういう意味で、学校の設置基準等は、やはり私たちとしては、先ほどの議論にもありましたけれども、一定の教育水準を維持するという観点からは、大きな基準はやはり必要ではないかと。最低限の基準ですね。それよりもしっかりともっと充実させていくということに関しては、もちろん今でもそういう市町村は幾らでもあるわけですけれども、今四十人学級というのが長年、昭和五十五年以来変わっていない基準をやはりもう少し少なくしようということが地方の声として、今文科省でも議論していますが、こういう部分は一定の関与が必要ではないかという部分もあります。

 ただ、積極的にやはり見直していこうということで、審議中の今の地域主権一括法案に盛り込んだものでいいますと、僻地学校等の指定基準、僻地手当の支給に係る基準の条例への委任、市町村立幼稚園の設置、廃止等に係る都道府県教育委員会の認可制を届け出制に移行、学校運営協議会を置く学校の指定に係る市町村教育委員会から都道府県教育委員会への事前協議の廃止等々、事実上、地方の自主性に任せる要素に関しては、第三次勧告を受けて前向きに取り組んでいるところでございます。

石田(芳)委員 今具体的におっしゃったのは三つ程度ですけれども、私はそれではとても分権というものに消極的な印象を受けてなりません。

 それで、今大臣も、地方分権の考え方の中に、地方をなかなか信頼できない、地方は何をするかわからないというような考えもある、それは大臣のお考えじゃないかもしれませんよ、もちろんです、あるということなんです。

 これは歴史学者のトインビーの言葉ですが、自己決定できない組織は必ず衰亡するという歴史の原則を言っているんです、トインビーは。ですから、日本の自治体が自己決定できない、本当に身近なことでも簡単なことでも自己決定できない今の状態を続けるということは、地方が衰亡します。どんどん格差が広がっているという大変な重大な問題をはらんでいますけれども、やはり地方が衰退していくということは、自己決定できないんですよ。

 さっき、ちょっと過激な纏足のイメージを言いましたけれども、私はやはり、地方に信頼して分権をしていく。分権をしていくことによって、地方の脳が成長するんですよ。ですから、ここは思い切って、政治主導という言葉を使わせていただきたいんですが、政務三役が思い切って文部官僚の反撃をはね返していただきたい、こういうふうに思っています。

 それから、続いて、時間の関係ですから、一括交付金のことについても。

 一括交付金、中央と地方の、国と地方の関係で補助金こそ諸悪の根源だと私は思っているんです。これを絶たないといけない。これを地方に税源化するわけですね。これが一括交付金の発想だと思うんですが、一括交付金について大臣はどういうお考えか、さっきの第一の質問と一緒にお答えいただきたいと思います。

川端国務大臣 先ほど申し上げて誤解があったらいけませんが、そういう今までの部分で分権が進まなかった中には、中央としては地方にやらせたら何をするかわからないという部分、何をするかというのはちょっと表現が悪いですけれども、一定の担保がとれないからできるだけ国がコントロールしようという要素があったことは事実だというふうに思います、考え方として。そこを打ち破らないと本当の分権改革はできないという意味であります。

 昔、御巣鷹山に日航機が墜落をした。災害対策本部は村に置くということで、そこの村長さん以下のところに対策本部ができて、物の見事に、大変立派にその責務を果たされました。そういう意味で、地方は、おっしゃるように、権限を与えられ責任を持った瞬間からみずからが行動するというふうに生まれ変わると信じております。

 そういう意味で、先ほど数が少ないなとおっしゃったのは、第三次勧告で三テーマと挙げられた部分に関連する分としてはこういうことだということでありまして、姿勢としては、まさに徹底して分権できるものをやっていきたい。

 そういう中で、一括交付金も、補助金等々ひもつきの部分はもう基本的に大ぐくりをして、自由にその部分はウエートも含めてやれるようにするのが基本だというふうに思っております。

 そして一方で、やはり交付税の措置として積算はしているけれども、交付税として地方の裁量に任せている部分がありますね。これも含めたときに、財政が今非常に厳しいという意味で、一般交付税化したものに関しては、積算はあるけれども自由裁量に任されていますから、やはりその部分で若干財政力によって差が出ているのではないか。

 そして、その首長の政治姿勢としての部分がはっきりと、そのことが主権者たる住民の選挙による選択としてしっかり評価されるというところにはまだ道半ばという状況があるという意味では、一定の枠を持った部分を、教育の水準の確保という意味で、教育の大ぐくりの一括交付金という段階を経るのが妥当であろうと今のところ考えて、検討しているところであります。

石田(芳)委員 そこが私の一番申し上げたいところでして、さっき湯原委員の御質問にもある程度明確に方針をお答えになった、文科省のパイの中で一括交付金化していくというお考えですね。

 それで、これは私が市長をやっていたときも、国土交通省が補助金を使いやすくする、使い勝手をよくするということで、まちづくり交付金というのがありまして、これは確かに、補助金行政の中では、ひもつきじゃなくて使いやすかったです。一定の効果は私は認めますが、王道を言いますと、やはり補助金はなくして、その分、地方に税源としておろしていくというのが、三位一体改革、地方の自立のための王道ではないかと私は思うんです。

 それによって地方が、ちょっと今大臣もお触れになりましたけれども、各省の補助金のパイが地方に一括して交付金でおりてくることによって、地方の住民たちが、それは教育に使うんだ、それは道路建設に使うんだ、医療だ、福祉だ、こういう選択をすることができますね。この選択というのがやはり自立を高めていくんですね。この選択するというときに考える、鈴木副大臣がよく言われる、民主主義の熟議のプロセスで、そこが大事だと思うんですね。そこが自立心を高めていくということだと思うんです。

 私は、文部省の予算のパイだけで一括交付金を考えられるのはいかがなものかというふうに思うんですが、もう一度、大臣、ちょっと政治主導でひとつ御発言をお願いします。

川端国務大臣 あるべき姿としては、私は石田先生の言われるとおりだというふうに思います。

 先ほども言いましたけれども、そのときに過渡的にと言いましたのは、要するに、首長の部分で、この町は道路は日本で一番いい道路にするけれども、ちょっとこちらの方は我慢してということは、当然まさに自立的な地方自治としてはあっていいと思うんです。それは住民が不断に評価するということになっていくべきだと思います。

 そういう中で、先ほど来申し上げておりますのは、教育の水準の一定の維持と機会均等の確保という観点での部分は、要するに、国の最低基準をしっかりと守るべき財源だけはないと、そこまで食い込んだ形でほかのことに回しますということはできない、してはいけないという部分の責めは文科省にあるんだというふうに、国の責務としてあるんだというふうに思っておりますので、それをどう担保する財源にするかということが、一括交付金ということの、ひもつきの部分でもう自由にたがを外してというときに、何でも使えるようにするかどうかということの部分が、私は、トータルとしては、過渡的な問題としては位置づけしていくのが一番妥当なのかなと。いや、市町村が自立的に進んでいくには、一気に全部外して、どかんといった方がいいのかというような議論があるところであることは重々承知をしておりますし、また、いろいろな議論をお聞かせいただきたいと思っております。

石田(芳)委員 一定の理解はいたしました。

 ただ、教育論の中に、教育は国が責任を持ってやるべきだ、こういう議論があります。それはそれで正論でいいと思うんですが、私の言いたいのは、国がやるのは、財源の措置で余りにも一々一々方針を中央の官僚が地方の教育委員会、地方の教育行政に、もう本当に細部にわたって言い過ぎるんです。これが問題でして、そこのところの議論をこれからももっと深めていきたいな、こう思っています。

 それはそれで、次の質問に移ります。

 文化財行政です。これも私の経験からいいますと、町という空間は実におもしろいんですね。私は、全市博物館構想だとか、町は生涯学習の教室だとか、こういうイメージで町づくりをやってきましたけれども、その町という空間で非常に決定的なものを持つのが構築物、建物なんですね。

 どこの町へ行きましても、一つのランドマークに古い文化財がなっている、こういう町は非常に外から見てイメージが見えやすいですし、非常に大事なことなんですね。この古い建物というのは、やはり建物というのは技術の集積でもありまして、こんなことを大臣に申し上げるのは釈迦に説法みたいな話ですが、日本は技術立国ですから、やはり建物を建てるためには非常に広範な技術の集積があるわけですね。そういう建物は町の記憶を語っていく。

 私は、以前、ボストンに行きましたときに、古い建物のない町は記憶を喪失した人生と一緒だ、こういう標語が掲げてありまして、なるほどとうなったんです。確かに、古い建物はその町の記憶を語ってくれるんです。こういうのが一つの町とか地域のランドマークになりまして、非常に文化財に値する建物は大事なものだと私は思っています。

 そこで、具体的な質問ですが、東京の小石川に通称あかがね御殿という重要文化財がありまして、私は、ある方に勧められまして見に行きました。重要文化財ですから、それこそ地域の記憶を語る文化財ですね。

 問題は、このそばに、隣地に十四階建ての高層マンションが今計画されておるわけですね。私は、これを見に行きまして、一瞬、今の、トキがテンに襲われたみたいなイメージを持ったんですよ。これはひどいです。法的に問題ない、こういうことなんですが、ちょっとその辺、私、これは文化行政としては大変に憂慮にたえないところですが、大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。

川端国務大臣 私自身も、古い古い歴史を持つ町と町並みの中に生まれ育ちましたので、そういうものの大切さということは人一倍思っているところでございます。

 このあかがね御殿も、そういう意味では、国の立場あるいは行政の立場でいえば、大事なものを重要文化財あるいは史跡指定等々にしてその保存に努めるということは、一生懸命やっていることは御理解いただいていると思いますし、このあかがね御殿自身も重要文化財という位置づけで、その保存維持に努めているところであります。

 そのときに、個々の建物というのと地域、ゾーンということでいうと、例えば歴史的景観の町並みの保全とかいうことで、町並み全体を指定するとかいうこともありますし、その地域によっていろいろな条例等々で建物の制限をしているところもあります。そういう意味で、今先生おっしゃったように、法的に問題がないというのは、そういう網には一切その土地建物以外がかかっていないということにおいては法的に問題ないんですね、この隣に何を建てようが。

 例えば京都市の条例では、大文字焼きの五山の見えるある指定の地域からは、視界を遮る建物はいけないという提起があって大論争になりました。だから、そういう意味で、私的な財産権、建物を建てるというものとの規制をどうするかというのは議論になるところでありまして、いろいろな観点で、この町全体を、あるいはこの通りを、あるいはこの建物をということの工夫をされている中で、あかがね御殿自体が、建物は重文だけれども、周辺に関して一切網がかかっていないという現実で、マンションを建てられることが進められていることを法的にどうこうすることが今根拠がないという現実があって、そういう意味では、こういうものの周辺を含めて、町という全体も含めて、どうあるべきかは大変大きな課題だというふうに思っています。

 少なくとも、今この問題に関しては、建てることによって景色は変わりますが、この建物に影響を与えるようなことは万が一でもあってはいけないという指導はしておるようであります。例えば工事で振動したら壊れてきたとか傾いてきたとかいうことがあってはいけないということは当然のこととしてあるんですが、隣地においての何らかの制限がかかっていないという現実にあることは、大変さま変わりしてしまうという意味では悩ましいことであることは事実だと思っておりますが、法的には問題ないかと言われたら全く問題ないと言わざるを得ない状況でございます。

石田(芳)委員 私も見に行きまして、重文の建物の壁が隣のマンション建設の振動で明らかに崩れていっているんですよ。それから、もう一つは風、やはりマンションというと絶対に風向きが、竜巻みたいなものが起こって、明らかにこれは物理的に非常な危険性があると思うんですが、そういう認識に対して大臣どうですか。

川端国務大臣 壁が破損した件については、平成二十一年十月二十九日、所有者から、工事中の振動により土壁が一部破損したとの連絡があったため、文化庁で直ちに現地確認を行った。報告のあった破損は土壁表面の粒土が少量落下しているもので、粒土の落下は工事以前よりあった小亀裂など経年劣化によるものが主たる原因で、必ずしも工事中の振動が原因と判断できないため、工事の中止を指示することは困難である旨、所有者に伝えたというのが、事実経過として報告を受けているところでございます。

 それと、風に関しましては、これはいろいろな場所でマンション風というのが問題になっております。そういう部分で、所有者が主張するマンション建設後の風環境の変化が及ぼす建物への影響については、所有者の求めに応じて事業者が行った風洞実験の結果や、これに関する専門家の意見を踏まえても、マンション建設後に風の影響が原因で建物が毀損に及ぶとまでは言えないと考えており、風に関して規制する法令や基準がない中、風に関する問題を文化財保護法第四十三条の「保存に影響を及ぼす行為」として取り扱い、マンション建設に関して指導を行うのは困難であると考えているということでありまして、風が起こることは間違いがない、しかし、そのことが原因で建物が壊れていくということには至らないというのが専門家の意見ということで対処しているというのが、経過として報告を受けているところでございます。

石田(芳)委員 今のその御答弁は、全部、前政権のときからの官僚の考え方です。これは池坊先生も前副大臣のときに見ておられるんですよ。私の言いたいのは、政権交代したんです。ここで私は、やはりこういう古いものを大事にするということが、そもそも日本は文化大国なんですよ。ところが、戦後のGNP信仰だとか数値、効率化のためにどんどん古いものをないがしろにしてきたんです。経済大国という光の部分の影として、古いものをないがしろにしてきた。政権交代がやはりそこを切りかえるというのが国民的な願いだと私は思っています。

 私は、これは東京都も問題がある、それから国土交通省も問題がある。しかし、そういう行政に対して、いわゆる数値にあらわれない、文化財に対する誇りだとか、そういう価値観を言うのが文科省だと私は思うんです。

 私がこんなに力んでもしようがないことで、ぜひ大臣の、政権交代という劇的な歴史的なドラマが起こったのをひっくるめて、ひとつ価値観の大転回、文化大国日本としての情報発信をしていただきたいと思っています。

川端国務大臣 御指摘の価値観の部分は、基本的に全く同じ価値観を持っているというふうに私個人としては思っています。

 そして、やはり政権交代をしたからということが、そういう価値観を非常に大事にするということの姿勢は、文化審議会にもいろいろな諮問をさせていただいておりますが、そういうことはしっかりと打ち出していきたいというふうに思っております。

 ただ、現行の法律の中での権利等々を、さかのぼって、価値観を変えたからだめだという法的根拠をつくることは、相当技術的には多分難しい問題があるんだというふうには思っております。

 そして、客観的、専門的な部分での風の影響とか土壁の工事の振動によるものというのは、その被害の問題は、まさに科学的、客観的、専門的な判断でするべきものであって、ただ、地域的にこの建物の周りをどこまで保存するべきなのかということは地方自治体にもかかわる問題でありますので、そういう方向性はしっかり持つ中で進めるように、これからも一生懸命考えてまいりたいと思っています。

田中委員長 石田芳弘さん、もう時間ですから。

石田(芳)委員 質疑の時間は終了しましたが、一言だけ言いたいことは、これは政治主導じゃなきゃ解決つきません。ですから、どうぞひとつ政務三役の皆さん、頑張っていただいて、よろしくお願いいたします。

田中委員長 次に、江端貴子さん。

江端委員 民主党の江端貴子です。

 予算委員会の分科会、そして本会議に引き続きまして、本日は、この文部科学委員会において、私、初めての質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 最初に私ごとから入らせていただきますけれども、この春、私の息子が高校に進学いたしました。私立の高校でございます。先週、学校から高等学校等就学支援金のお知らせが送られてきました。封筒の中には、受給申請用の手続資料と加算申請用の資料、そして東京都からの説明資料が入っておりました。

 この法案が本委員会で審議されましたときには、四月一日から始めるということに対する準備不足などを懸念する御意見もありましたが、執行が着実に進んでいるということで、文部科学省及び各自治体、そして学校関係者の方々の迅速な御対応、御尽力に一言感謝を申し上げたいと思います。

 さて、この高等学校の授業料の無償化を初めとする今年度の予算、鳩山政権ではコンクリートから人へを標榜し、国土交通省を中心とする公共事業予算、いわゆるコンクリート予算は一八・三%削減され、そして、人づくりである教育への投資は、文部科学省全体で五・九%、文教予算だけで見ますと八・一%増加いたしました。これは約三十年ぶりの高い伸び率であり、政権交代後わずか半年でこのような変革をなし遂げたということはまさに快挙であり、長年にわたる脆弱な教育への投資、そして、教育立国と言いながらも、OECD諸国と比較して低い水準で維持されてきた膠着状態を打破するためにも、画期的なものだったと言えると思います。

 そこで、本日は、これまでの政権における教育予算の問題について幾つか御認識を伺うとともに、今後の取り組みについてお尋ねしたいと思います。

 まずは、高等教育に関する予算についてお聞きいたします。

 自公政権下においては、国立大学法人化後の運営費交付金を削減し続け、平成十六年度から二十一年度までの約六年間の間に七百二十億円を削減いたしました。これは「法人化前の公費投入額を踏まえ、従来以上に各国立大学における教育研究が確実に実施されるに必要な所要額を確保する」として全党一致で議決した国立大学法人法の附帯決議とは随分かけ離れているといいますか、ある意味、ちょっと約束違反とも言える事態でありますけれども、こうした事態を文部科学省としてはどのように認識されているのでしょうか。

鈴木副大臣 お答え申し上げたいと思います。

 今御指摘のように、法人化の附帯決議、実は私も参議院でその附帯決議案の策定に佐藤泰介当時の理事とともにかかわったわけでありますけれども、当時の議論あるいは附帯決議の趣旨からいたしますと、今御指摘もございましたけれども、平成十六年度と平成二十一年度の予算を比較いたしますと約七百二十億円の減額ということに、国立大学法人への運営費交付金が削減をされておりますので、文部科学省としてはなかなか答えようがないんだと思いますが、私としては、これは当時の附帯決議にかなりもとる事態だというふうに認識をいたしております。

 現に、委員も大学の状況はよく御案内だと思いますけれども、教育研究の上でかなりの支障が生じている。例えば、図書館等の資料費が減少をいたしております。大学において図書館というのは、これはもうコア中のコアでございますが、そこに対する費用が、全法人で二百三十七億円ぐらいあったものが二百十七億円に減っております。

 あるいは、それぞれの大学は非常に特徴のある研究あるいは教育を行っております。例えば広島大学などは、原爆被害者のデータベースというものを持っております。これは大変貴重な研究資源であり、私どもの国の資源だと思いますけれども、そういったものの維持にもかなりの支障が生じているでありますとか、例えば東京外国語大学などでも、教員数を相当程度減らさなければいけない。これは別に外大に限ったことじゃありませんけれども、そうした支障が生じているところでございます。

 もちろん、これに対して、この厳しい財政状況の中で、直ちにこの事態を解決するということにはなかなかならないわけでありますけれども、少なくとも骨太二〇〇六の方針に基づく削減方針は見直すということを決定させていただきました。

 そして、平成二十一年度の補正、平成二十二年度では、残念ながらまだマイナスではありますけれども、十五カ月予算ということで申し上げると二十八億円の減、マイナス〇・二というところにとどめさせていただいて、何とか、この委員会での御審議、御支援も得ながら、運営費交付金の拡充に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

江端委員 ありがとうございます。

 私は、二〇〇五年から二〇〇七年にかけて、東京大学において、大学本部の教員として大学改革及び大学の国際化に取り組みました。大学の法人化後、私のような民間出身の人材を入れて、経営組織の強化、事務の合理化、あるいはビジョンや戦略の策定というようなことを行ってきたわけですけれども、そのときに問題になりましたのが、やはりこの運営費交付金の削減であり、そして科学研究費の偏りでございました。

 科学研究費は研究者個人につくものであり、大学全体として当てにできるものではございません。そしてまた、その内訳を見てみれば、理工系、生物系に合わせて八五%の金額が行っているということになっています。そしてまた、民間企業からの共同研究、寄附などは、どうしても応用研究あるいは短期間で成果が出るものに偏りがちになってしまうということで、こうした状況を踏まえて大学内でも、ちょっと引き合いに出して申しわけないんですけれども、例えばインド哲学みたいなものはどうするのか、資金提供がつかないのであればやめるのか、でもやめてしまったら、それで本当に総合研究教育大学と言えるのかというような議論がずっと続いているわけでございます。

 先ほど、骨太方針は見直す、そういったお話もございましたけれども、ぜひとも、この運営費交付金が下がってきたことによってさまざまなところに悪影響が出ているという現実をおわかりいただければと思います。

 そしてまた、我が国では大学生の八割近くが私立の大学生であり、私立大学が高等教育の大きな役割を担っているということも否めません。しかし、私立大学に対する助成というのは極めて少なく、保護者の負担というものも重いものになっています。それにもかかわらず、私立大学への助成も、平成十八年度以降、毎年一%ずつ、計百億円近くが削減されてまいりました。

 この私学助成の削減についても、文部科学省はどのように認識されているのでしょうか。

鈴木副大臣 お答え申し上げます。

 今御指摘ございましたように、私立大学の経常費補助金も、骨太二〇〇六に基づきまして、毎年一%の削減が行われました。その結果、今百億円程度とおっしゃいましたが、九十五億円の減少。これは、早稲田大学一校分に対するものが、この十九年からで、なくなってしまったということで、大変な減少だというふうに思っております。

 その結果、私立大学の経常費に占める補助金額の割合は、ピーク時は三割弱ぐらいございましたが、一〇・九%にまで下がっております。そうした中で、私立大学の経営というのは大変厳しくなっているところでございます。

 そういう中で、とりわけ地方中小規模大学においては、平成二十年で申し上げますと、単年度赤字が四六・五%という厳しい経営状況に陥っているという、大変深刻な現状だというふうに受けとめております。

 この点につきましても、もちろん、厳しい財政状況でございますから、なかなか一挙に十分な措置というわけにはいきませんけれども、平成二十二年度予算においては、今申し上げました地方中小規模大学への支援の導入や経営改善に取り組む大学への支援などを四年ぶりに増額させていただいているところでございますが、まだまだこれでは足らないというふうに思っておりますので、委員会の皆様方の御支援と御理解を得て、さらなる私学助成の充実に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

江端委員 お金の話ばかりで恐縮なんですけれども、余りにもこの予算がどんどん削減されているという中で、大学病院関連の予算も実は下がっております。

 大学病院というのは地域医療の最後のとりでであり、ライフイノベーションの担い手でもあります。また同時に、将来の医療人の教育研修もその重要な責務となっているところでございます。

 しかしながら、自公政権のもとで、診療報酬も引き上げられない中で、毎年二%経営改善が図られるであろうという推定のもとに、病院の運営費交付金は削減を続け、平成十六年度から二十一年度のこの六年間で約三分の一にまで縮小してしまいました。

 平成二十二年度の予算においては、診療報酬の改定もございまして、何とかこうした削減に歯どめをかけたということなんだと思いますけれども、今後も引き続きこの医学部、大学病院に対する支援を充実させることが、地域の医療崩壊を防ぐためにもやはり大事だと思いますので、この点についての文部科学省の今後の取り組みについてお聞かせいただきたいと思います。

鈴木副大臣 この点もおっしゃるとおりでございまして、今、国立大学の附属病院のうち、病院収入だけでは診療経費でありますとか債務償還経費を賄えない病院に対しまして、病院運営費交付金というのを交付いたしております。

 しかしながら、この第一期の中期目標期間中におきましては、附属病院の運営費交付金を、病院運営の効率化を求める、そういう方針のもとで、平成二十一年度まで毎年二%の増収を図るということを一方的に求めて、そしてこの病院運営費交付金を削減し続けてきたところでございます。その結果、平成十六年にはこの交付金は五百八十四億円でありましたけれども、何と平成二十一年度には二百七億円、わずかこの五年間で三分の一程度まで病院運営費交付金が削減をされました。

 加えまして、診療報酬が減額改定ということになりまして、国立大学の附属病院の経営はこの五年間で極めて厳しくなりました。そのことが、委員御指摘の医療崩壊、地域医療の最後のとりでである大学附属病院の経営状況の悪化ということにつながって、医療崩壊を加速させたという御指摘はそのとおりだというふうに思います。

 加えまして、大学病院、附属病院というのは研究の拠点でもあるという御指摘、そのとおりでございまして、この間、医学系の論文というのは、世界全体で見ますと二・七%ふえているわけでありますけれども、国立大学の医学部におきましては論文数が一・三%マイナスになっているということで、我が国の医学研究のレベルも相当程度衰退をしてしまったということも事実でございます。

 こうした中で、恐らく平成二十二年度の予算編成において最も力を入れさせていただいたことの一つが大学病院の立て直しということだと思います。大学病院につきましては、教育、研究、診療機能の充実、いずれも非常に大変でございますので、充実。それから、大変に過酷な勤務状況に陥っております医療従事者の勤務環境の改善を図るために、附属病院への支援の充実を一挙に増額をさせていただいて二百八十億円の措置をさせていただきました。

 それから、今まで一方的に二%の増収を求めるという方針であったがために、国立大学の病院経営が非常にゆがんだものになってしまいました。大学病院のあるいは病院の使命である地域医療の維持あるいは研究といったことが効率化のもとになかなか十分にその機能を果たせなかったということがございますので、二%の増収を一方的に求めるという仕組みについては撤廃をさせていただきました。

 加えまして、平成二十一年度の第二次補正予算におきましても、救急医療のための最先端機器の整備に要する経費として八十二億円を措置いたしましたし、委員御承知のとおり、今回、四月一日から始まりました診療報酬改定におきまして、大学病院を中心といたします特定機能病院の入院費について大幅な増額をさせていただき、救急、小児、産科、外科については、特に外科などは一・五倍程度の点数の改定を初めといたしまして、今言った分野に集中的な診療報酬の引き上げの原資を充てさせていただくことによりまして、少なくとも、大学病院の崩壊というものが、もちろんこれからさらに改善をしていかなければいけないと思っておりますけれども、ここで何とか一定の歯どめはかかったのではないかなと。

 今まで、この五年間、一挙に減損していた病院収入は、恐らく今年度の措置で相当程度回復、またはそれを上回る改善がなされるというふうに思っておりますが、さらに引き続き、我が国の医療水準の向上のために、あるいはライフイノベーション、成長戦略のために、あるいは地域医療をさらに充実させていく。高齢化する日本社会の中で、医療崩壊というのは最も重点的にかつ早急に解決していくべき課題でございまして、その先頭に大学医学部、大学附属病院が立てるようにさらなる支援をしてまいりたい。

 とりわけ、債務償還の問題が引き続き大学経営を圧迫しているという事実はございますので、そうしたことも踏まえて、ぜひこの委員会での御議論を深めていただき、御支援をいただきながら改善、拡充を図っていきたい、かように考えているところでございます。

江端委員 力強い御答弁どうもありがとうございます。

 今まで、運営費交付金それから私学助成、病院運営費交付金についてお尋ねしてきましたが、そもそも我が国の高等教育への公財政支出は、長年の自民党政権、特に小泉構造改革後に教育投資が減らされ、今OECD諸国で、OECDの対GDP比率は平均一%ですが、日本の場合はその半分にしか満たないという状況になっております。

 こういった長年のツケを一気に、短期間で解消するということは大変難しいとは思いますけれども、コンクリートから人へということを標榜しております鳩山内閣としては、今年度の高等学校の授業料の無償化を一つの大きなステップといたしまして、今後はもう少し高等教育にしっかりと投資をしていかなくてはならないというふうに思います。

 まさにここは文字どおり成長戦略のための投資であり、小手先ではなく抜本的な投資の拡充が必要だと思われますが、この点について文部科学省としての御意見を伺いたいと思います。

鈴木副大臣 委員おっしゃるとおりでございまして、まさに日本の成長を担うのは人材であり、そして科学技術あるいは学術研究、トータルの大学が担っている研究であるというふうに思っております。

 そういう中で、委員御指摘もございましたけれども、高等教育に対する公財政支出は我が国は〇・五%でございます。OECDの平均が一・〇%でございまして、自由主義のアメリカにおきましても高等教育に対する公財政支出というのは一・〇%ということで、日本の二倍ございます。アメリカの場合は、さらに私費の負担も一・九%ということでございますから、GDPの三%がアメリカの高等教育の場合は投入されているわけであります。

 こうした国と伍していかなければいけないという現状に立ったときに、この〇・五%という公財政支出というのは、御指摘のように大変低い水準で、しかも長年にわたって据え置かれてきてしまった。このことが、特に知的社会、知価社会になったこの十年、二十年の日本の低迷といったものに直結をしているというふうに思っております。

 昨年十二月に閣議決定されました新成長戦略でも、そういう意味で高等教育の充実ということが明記をされたわけでございますけれども、この点も、まさに人と知恵というところの核心的な部分でございますので、委員の皆様方の御理解と御支援を得て何としてでも拡充強化をしていきたい、かように考えております。

江端委員 ありがとうございます。

 これまで予算、教育に対する投資ということで質問してまいりましたけれども、当然、公的な資金を入れるということでありますれば、ただお金を入れればいいという問題にはならないと思います。やはり大学の教育研究の質を向上させるために入れなくてはならないということで、大学の活動をしっかりと評価して、それを次の研究や教育の質の向上につなげていく、そういったサイクルが大変重要になってくると思います。

 しかしながら、今、一般の大学評価のほか、国立大学の法人の評価あるいは専門職大学院の分野別の評価、または競争的資金に伴うさまざまな評価がある中で、大学が評価疲れをしているのではないかという声もよく聞きます。また、そんな評価が単に事務作業で終わってしまってはならないということもございます。

 そういった中で、今、この大学評価が真に教育あるいは研究に有効となるよう、そのあり方について見直しが必要だというふうに思うんですけれども、この大学評価の改革についてどのようにお考えなのか、お聞かせいただければと思います。

鈴木副大臣 まさにおっしゃるとおりで、今大学が評価疲れを起こしているということは、本当に多くの関係者から指摘をされているところでございます。もちろん、評価は重要なわけでございますけれども、余りにもその種類と量が多過ぎる。本来の大学の使命である教育あるいは研究に、教員あるいは職員も一緒になって教育と研究をやっているわけでありますけれども、その教職員の時間とエネルギーが割かれているという声がございます。

 今御指摘のように、大学への評価については、制度上、自己点検・評価、外部評価、それから大学設置認可の審査と認証評価というのがございますが、さらに、国立大学法人につきましては、国立大学法人評価、これも年度評価と中期目標期間評価というものが求められております。

 さらに、国立大学法人評価については、総務省に置かれている政策評価・独立行政法人評価委員会が国立大学法人評価委員会に対して意見を述べることができるということになっておりまして、業務運営に関してさまざまな観点からのさまざまな多くの指摘がされておりまして、こうしたことに一つ一つ対応していかなければいけない。もちろん、この評価の重要性を否定しているわけではございませんけれども、その業務というものが過重になっているということは事実だと思います。

 加えまして、独立行政法人と同様に、教育研究面以外の財政面、運営面について関係省庁からさまざまなチェック等々が行われておりまして、例えば繰越承認時のいろいろな協議でありますとか、官民競争入札の上での調査だとか、それぞれ大事な評価だとは思いますけれども、評価をされる側からすれば、それに一つ一つ対応していかなければいけない、こういったある意味での合成の誤謬とも言える状況になっているというのが実態だという声が大変強く寄せられております。

 こうした状況を踏まえまして、今、文部科学省では、ことしの一月から国立大学法人のあり方に関する検証を行っているところでございまして、その一環として、国民の皆様や有識者の方々、各国立大学法人等から御意見を伺っておりまして、より適切な、評価は重要です、評価は重要でありますけれども、税金の無駄をなくすというのは当然でありますけれども、税金を最も有効に、真の教育研究に生かしていくという観点から、この大学評価についてもさまざまな検討をしていかなければならないというふうに考えているところでございます。

 こうしたきょうの御意見も参考に、これから文部科学省として取りまとめ案を夏ぐらいまでに出してまいりたいというふうに考えておりますので、よろしく御理解と御支援をお願い申し上げたいと思います。

江端委員 大学をやはり聖域としては考えてはならないわけで、税金の無駄遣いがないかとか、あるいは事務の効率化、こういったものはしっかりとチェックをしていかなくてはならない反面、やはり本質的に高等教育というのは社会あるいは産業、国を支える人材を育てるということで、そこにどれだけ資するかということが非常に求められていると思いますので、先進諸国に劣ることのない投資を考えていただきたいというふうに思います。

 次に、ちょっと時間が限られてまいりましたけれども、義務教育関連の負担についてお伺いしたいと思います。

 先ほど湯原委員それから石田委員からの御質問もありまして、国と地方の役割、あるいはあるべき姿と現実の両方を見ていかなくてはならないという中で、自公政権のもとでの地方分権、三位一体改革において、義務教育費の国庫負担金が二分の一から三分の一に引き下げられる、こういったことが代表するように、地方への財政負担というのがかなり深刻な状況になっております。

 こうした義務教育費国庫負担率の引き下げによって本当に地方分権が教育の行政において進んだのか、それによって日本の教育はよくなってきたのかということについて、文部科学省の御見解をお聞きしたいと思います。

川端国務大臣 御指摘のように、いわゆる三位一体改革でそれまでの二分の一の国の負担率が三分の一になったということでありまして、これは現実に何が起こったかといいますと、国の定める基準まで達する手当てができない地方自治体が出てきたということで、教職員の給与費が確保できない県というのが、国の定める基準まで教育費を確保できていない県、平成十七年度で七県が、十八年度から三位一体改革が行われまして、平成二十年度では十六県ということであります。要するに、教員の確保の費用が賄えないということであります。

 そういう意味で、私たちはまさに、コンクリートから人へというか、ハードからソフト、ヒューマンへということで、教員の数を今年度は四千二百人の増員ということで手当てをするということで、こういう事態を回避すること。それと同時に、これからの学級編制、クラスのあり方についても、二十三年度から一定の方針を決めようということでその作業に着手したところであります。

 いろいろな議論がされるときに引き合いに出されます事業仕分けにおいても、義務教育国庫負担金は、結論としては見直しを行うということで、意見の中には、一〇〇%国で持つように戻しなさい、あるいは、地方に全部任せていいけれども財源の手当てを本当にしっかりしないとだめだというふうな指摘がされております。

 この問題が地方の教育現場に非常に厳しい状況を起こしていることは事実だというふうに思っております。

江端委員 やはり義務教育の段階において、自治体の財政力やその自治体の議会あるいは首長の姿勢によって著しく教育環境に格差が生じるということがあってはならないと思いますので、こうしたことをしっかりと、現実とあるべき姿を見きわめながら、地方の主権の問題も取り組んでいただければというふうに思います。

 昨年末に発表いたしました新成長戦略の中において、人をどう育てていくのかということは非常に大きなテーマであり、また、来年度の予算は鳩山内閣として初めて最初から組み込む予算でございます。ぜひとも教育への投資を拡充していただきたいという私の思いを述べまして、私からの質問を終わらせていただきます。

田中委員長 次回は、来る二十一日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時八分散会


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