衆議院

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第2号 平成22年10月27日(水曜日)

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平成二十二年十月二十七日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 田中眞紀子君

   理事 佐藤ゆうこ君 理事 高井 美穂君

   理事 松崎 哲久君 理事 村上 史好君

   理事 本村賢太郎君 理事 下村 博文君

   理事 馳   浩君 理事 池坊 保子君

      井戸まさえ君    石井登志郎君

      石山 敬貴君    磯谷香代子君

      大山 昌宏君    奥村 展三君

      金森  正君    金子 健一君

      川口  浩君    熊谷 貞俊君

      小室 寿明君    笹木 竜三君

      瑞慶覧長敏君    田村 謙治君

      高野  守君    津村 啓介君

      土肥 隆一君    中屋 大介君

      野木  実君    藤田 大助君

      向山 好一君    室井 秀子君

      柳田 和己君    笠  浩史君

      あべ 俊子君    遠藤 利明君

      河村 建夫君    塩谷  立君

      永岡 桂子君    古屋 圭司君

      松野 博一君    富田 茂之君

      宮本 岳志君    城内  実君

    …………………………………

   文部科学大臣       高木 義明君

   文部科学副大臣      笹木 竜三君

   文部科学副大臣      鈴木  寛君

   財務大臣政務官      吉田  泉君

   文部科学大臣政務官    笠  浩史君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  木村 茂樹君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          山中 伸一君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            磯田 文雄君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       合田 隆史君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            藤木 完治君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        布村 幸彦君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  大谷 泰夫君

   文部科学委員会専門員   佐々木 努君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十七日

 辞任         補欠選任

  川越 孝洋君     石山 敬貴君

  田島 一成君     小室 寿明君

  浜本  宏君     向山 好一君

同日

 辞任         補欠選任

  石山 敬貴君     金子 健一君

  小室 寿明君     田島 一成君

  向山 好一君     藤田 大助君

同日

 辞任         補欠選任

  金子 健一君     川越 孝洋君

  藤田 大助君     柳田 和己君

同日

 辞任         補欠選任

  柳田 和己君     井戸まさえ君

同日

 辞任         補欠選任

  井戸まさえ君     浜本  宏君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官木村茂樹君、文部科学省初等中等教育局長山中伸一君、高等教育局長磯田文雄君、科学技術・学術政策局長合田隆史君、研究開発局長藤木完治君、スポーツ・青少年局長布村幸彦君、厚生労働省医政局長大谷泰夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石井登志郎君。

石井(登)委員 おはようございます。民主党の石井登志郎でございます。

 まずは、高木大臣、そして三役の皆様、御就任おめでとうございます。

 本日は、先般高木大臣からございました所信に対しまして質疑をさせていただきたいと思います。

 ことしは国民読書年ということでございまして、まずその切り口から質問させていただきたいと思います。

 きょう、この二冊の本を持ってまいりました。一つが、これは委員長と外山先生の対談の本で、「頭脳(あたま)の散歩 デジタル教科書はいらない」というような本でございました。購入をさせていただきました。それからもう一冊が、田原総一朗さんの「デジタル教育は日本を滅ぼす」、「便利なことが人間を豊かにすることではない!」という副題でございます。

 この二冊、両方ないしいずれか、大臣はお読みになられましたでしょうか。もしお読みになられておるのであれば、御感想などもしあれば、お聞かせいただければと思います。

高木国務大臣 おはようございます。

 石井議員にお伝えをいたします。

 今御指摘になられました二つの本は手元にございまして、私としても熟読をしたいのですが、なかなか政治家そんなに時間ございませんが、それなりに目を通させていただきました。

 表題は極めて厳しく、「デジタル教育は日本を滅ぼす」あるいは「デジタル教科書はいらない」、このようになっております。私も同感する部分はあるのです。特に教育、学習というのは、フェース・ツー・フェース、人間と人間が顔を突き合わせて、そしてお互いに語り合いながら、説得をし、説明をし、そして理解を得る、こういうことが私は基本だと常々思っておりました。

 そういう意味では、日本人が読書をしたり、そして、本来大事にすべき日本語、そういうものをしっかり学ぶ、このことが何よりも重要であろうと思っております。

 ただ、このデジタルの点について、私も先日、情報ひろば、文部科学省の一階に展示場がございまして、拝見をいたしました。しかし、この中で私はある意味では感心したのは、そういう情報時代の中で、新たなる一つのあくまでもツールとして、よりわかりやすく、そしてまた早く物事を教えることができるならば、これは私はすばらしいものではないかと思っています。

 特に、理科の天体の科目がございましたが、私たちが習ったときの時代と違いまして、三次元にわたって月や地球の動き、惑星の動きを表示されておりました。これは、教える方も、また学ぶ方も非常にイメージ的にわかりやすい、そういうことを感じました。

 したがって私は、大事にすべきは、やはり人対人との対話が基本です。それを基本としながらも、やはり時代の最先端を行く情報機器というものは、その効果をより生かすために使われるツールだと、基本はそのように思っております。

 以上です。

石井(登)委員 ありがとうございました。

 もう私も大臣と全く同じ認識でございまして、私が申し上げたいことを全部言っていただいたようなそんなところでございますが、その中で、これは本当は委員長がもしかしたら何かおっしゃりたいのかもしれませんけれども、これはぜひ私の方から委員の皆様方に共有をしていただきたいんですが、やはり、この田原総一朗さん、そして何よりも田中委員長、外山先生、大変影響力の強い方々がこの本の副題に、デジタル教科書ないしデジタル教育は日本を滅ぼすというようなことになると、本をじっくり読むという方よりは、広告を見て、ああ、これは教育の情報化ということは悪いことなんだというような間違ったメッセージがもしかしたらあったらいけない、そのようなことを危惧をいたします。

 この本をしっかりと読めば、今、高木大臣がおっしゃられたような、何というんでしょう、基本はフェース・ツー・フェース、そして人と人とのコミュニケーション、そして、情報機器というのはもちろんあくまでツールであって、それは目的ではないというようなことがよくよくわかるわけでありますが、ここで大臣の方からそうしたメッセージを発していただきたいと思いまして、あえて取り上げさせていただきました。

 この二冊に共通しているメッセージというのは、機械的にマル・バツの正解を求めるような学問はだめだ、そして、深い思考力をつけるためにはデジタルは不向きだというようなことだと思います。

 そこで、この田中委員長の対談の本にも、このヘッドカバーのところに書いてあることが次のようなことです。「本を読むことがいかに大切か、十分な議論なく教科書の電子化が進んでいることへの危惧などに関して、知見豊富な二人が存分に語り合う。」というような本でございます。

 「十分な議論なく教科書の電子化が進んでいることへの危惧」ということでございますから、私の考えは、今大臣がおっしゃられたように、使えるところは本当に使えるところがございます。それぞれの子供に沿ったカリキュラムをつくっていくとか、もしくは、この学びの部分だけでなくて、学校の情報化という意味では、子供とそして先生が向かい合う時間をつくっていくために、校務を効率化することによって子供と向かい合う時間がふえるとか、そうしたいい部分というのはさまざまな先端事例で見られますが、一方で、何が効果が出て何が効果が逆にマイナスなのかというようなことが、いま一つ整理されていない部分が多いと思います。

 これまでの教育の情報化といえば、学校にLANが整備をされたとか、何人のうち何台パソコンが整備されているかというそういう機械的な側面でありましたけれども、学力の向上、そして校務の縮減、そして教師の学ぶ力の養成、こうしたものにどれだけ効果があるかというようなことについてしっかりと議論をして、そして、ある意味、統計もとって進めるべきは進めていただきたいと思います。

 それに付随をしていくのが、これまた政策コンテストの中で、来年、予算を文部科学省としてこの分野に関して今これから政策コンテストで求めていかれるというふうに聞いておりますが、私が申し上げたことにつきまして、同時に、来年のこの政策コンテストで情報化に関する実証研究等々をやっていきたいというようなことを文部科学省の方で考えておられることと思いますが、そのあたりにつきましての御決意等をお聞かせいただければと思います。

高木国務大臣 私も、御指摘のありましたように、あくまでも人対人へのコミュニケーション能力を強めるということは大事であります。

 したがって、先ほどの本の題名は題名としながらも、議論なくして安易にこのことが進んでいくということは私は注意しなきゃなりません。やはり、デジタル教科書についても高度情報機器についても、何のためにどういうことで使うのかというのはしっかりお互いに検討、議論をしていく、これがある意味では前提だと思っております。

 その上で、私どもとしましては、先ほども御指摘ありましたように、教師が本来教室で子供たちと向き合う時間、学習する時間、こういうことを助けるために、例えば、校務のいろいろな付随的な仕事がございますが、こういうことについては、できるだけそのような情報機器あるいはコンピューター等も大いに活用することは、その役割は大だと思っております。

 私どもとしましては、平成二十三年度の概算要求におきまして、こういったデジタル機器等の新しいツール、学びのイノベーション事業として、デジタル教科書等についての実証研究などを行うための経費を要望しているところでございます。

 既に私どもとしましては、元気な日本復活特別枠要望に関しまして、ユーチューブによる紹介、また、ホームページにおけるサイト、そして、熟議カケアイサイトという熟議の展開が、広く国民の皆さん方の理解が得られるように努力をしておるところでございます。

 これからも、学びのイノベーション事業の実現に向けまして最大限の努力をしてまいりたいと思っております。

石井(登)委員 ありがとうございました。

 デジタルとアナログというような文脈で一つちょっと私の方から紹介をさせていただきたいんですが、きょうはこういうものを持ってまいりました。

 私は、我が党における伝統和紙を推進する議員連盟の、会長は奥村先生で、私が事務局を預かっております。私の地元は兵庫県の西宮市というところで、名塩和紙という、金箔を延ばすような和紙をつくっております。これは名塩の和紙ではございませんけれども、これは普通の絵をインクジェットでプリントアウトしたもので、普通のインクジェット紙だと大体三年ぐらいで色あせてしまうようなものなんですけれども、なぜだか和紙だと何十年もきれいなまま残っている。この手ざわり感なんかも大変すばらしいわけであります。

 そうした中で、これは一つ御紹介なんですけれども、私の西宮市では、この名塩の近隣の三校で、和紙を子供に直接すかせて、そして自分ですいて卒業証書にするという事業を、四十数校あるうちの三校だけなんですけれども、やっております。こうした取り組みは、山梨もしくは那須とかそうしたようなところでも和紙に縁のある地でやっているようでございますが、大臣の所信の中でも、文化芸術が人々を引きつける魅力や社会に与える影響力、すなわち文化力が国の力だ、そして文化芸術を国家戦略として振興していくんだ、そして自然体験学習、社会体験学習を充実させるとおっしゃられております。

 私はもうまさにそのとおりだと思いますが、今、デジタルで進んだものは、いい部分はどんどん進めていくべきだ、一方で、アナログのよさ、それぞれの日本のよさというようなものも、これもしっかりと子供たちに手と手を通じてじかに触れさせていく機会をふやすべきだというふうに思っております。

 これは通告をしておりませんのでちょっと一方的なあれになりますけれども、ぜひこうした日本の伝統、ただ、産業としては大変厳しい状況に置かれておりますので、こうした点も勘案しながら、国として、一つの事例でありますが、こういった取り組みをサポートしていただければと要望させていただきたいと思います。

 それでは次の点に移らさせていただきたいと思いますが、次は、過去いずれも私が取り上げております外国語教育、外国語活動ですね。来年からスタートするということであります。

 以前、鈴木副大臣から御答弁をいただきました。やる気のある自治体では、金沢を初めどんどん進んでいるということでございました。私自身もいろいろなところを見に行きました。

 ただ、外国語活動が進んでいるところを見に行くと、ああすごいな、こんなにカリフォルニアから先生が来てというようなことを見るんですが、逆に、外国語活動を見に行くと言わずに、外国語活動をやっている現場があればちょっと見せてくれと言うと、つまり普通のところを見に行くと、必ずしも感心するような現状ではない。一言で言えば、小学校の先生というのは、英語を教えるスキルというのを習得せずにそのまま教壇に立ち、そして、英語ノートというのを持って教えておられるわけです。

 これは、そうしたある識者の方とお話をしていましたら、来年から外国語活動が必修化されるというのはこれは無理があるのかもしれない、ここはひとつ考え直してみて、中学校は三時間から四時間になるけれども、小学校の教える態勢というのが整っていないところにまで無理やりやらせる必要はないんじゃないか、そのようなことを言われました。私もそうかなと。

 ぜひこの点に関しては御所見をお伺いしたいと思いまして、いっそのこと、中学校で四時間と言わずに、五時間、六時間、そこであれば、英語の教授方法をしっかりとマスターした先生がおります。小学校に関しては、一部を除けば、英語の教授方法に関して、十分その教授方法を習っていない先生が教えるというような現状になっているところが散見をされます。

 これを、中学校五時間、六時間、いきなりできるかどうかはさておき、方向性として御所見をお伺いできればと思います。

鈴木(寛)副大臣 この議論は、もう導入のとき以来大変な御議論がございました。しかしながら、今御指摘のような方向で当時国会でも議論があり、そして、各学校現場においてさまざまな準備がもう既に始まっております。

 そういうことでございますので、もちろん政権はかわったわけでありますけれども、そうした教育内容といいますか教育活動については、現場の混乱というものは極力最小限にしていかなければいけないということでございますので、既定路線は既定路線としてきちっとやっていきたいというふうに思っております。

 ただ、小学校で外国語活動をやっていく態勢が十分かという御指摘については、これはおっしゃる御懸念というのは非常にあるわけでございまして、そういう意味では、特に外国語活動を指導できる教員の態勢といったことにつきましては、これまでも、平成十九年に、まず指導主事を対象といたしました指導者養成研修を独立行政法人教員研修センターで行い、平成二十年度から全小学校の代表教員を対象とした中核教員研修を行い、そして平成二十年度から二十二年度にかけまして、各学校の全教員を対象とした現職教員研修を行ってまいりました。

 これによりまして、現在では、全公立小学校のうち九九%が実施はいたしております。

 しかしながら、このような研修だけで十分にこの外国語活動を指導できるかどうかということを問われれば、この研修活動は、例えば現職教員研修につきましては二年間で約三十時間程度、こういうことでございますので、これは外国語活動でございますけれども、それで英語を指導できるようになればこんないいことはないわけでありますけれども、三十時間ではなかなか厳しいということも率直に認めざるを得ないと思います。

 ここは、そうした教員の養成もさらに充実してまいりますし、あるいは、それを補完するためのさまざまな教材、例えば今般の補正予算案におきましても、二十一世紀を生きる子供たちに求める力をはぐくむ教育ということで、英語を初めとした先導的なデジタル教材の研究開発等々も盛り込みました。

 特に、発音というものはそうすぐには習得できるものではございませんから、そうした十分な指導力といいますか、発音ができない教員の発音を小学校の時代から聞くということは必ずしも適切ではないということで、そうしたネーティブの発音をデジタルの教材等々に入れてヒアリングをしていくようなことも含めて、小学校の外国語活動が円滑に実施できるようにさらに努力を重ねてまいりたいというふうに考えております。

石井(登)委員 ありがとうございました。

 大変さまざま議論があるということだと思いますが、一つ関連してお願いをさせていただきたいと思います。

 これは、中教審で議論をして三年ぐらいたって、それから公示をして、そして学習指導要領が実際に変わっていく。大体五年、十年のスパンでございます。ただ、十年といえば小学校五年生が成人をするまでで、子供たちの成長は我々の議論以上のスピードでございますから、ぜひこうした議論があると中教審に諮問をしていただいて、このあり方で正しいのかどうかというようなことを識者に議論をゆだねていただければと思います。

 最後に、時間が参りましたので簡潔に申し上げます。

 胸躍る話題で締めくくりたいと思いますが、ワールドカップの誘致について、今までは二〇一八、二二と言っておりましたが、今回、所信ではもう二〇二二単枠明記でございます。見込みと勝算と御決意をお聞かせいただければと思います。サッカーのワールドカップについてでございます。

鈴木(寛)副大臣 招致委員会の副委員長をいたしております鈴木寛でございます。

 この件につきましては、国会におきましても超党派の大変な後押し、御支援、御指導をいただいているところでございます。十二月二日のFIFAの理事会において決定されますけれども、最後の最後まで、全身全霊をかけまして、ワールドカップ招致推進議員連盟の先生方と一緒に最大限の努力をしてまいりたいと思います。御支援のほど、よろしくお願い申し上げます。

石井(登)委員 ありがとうございました。終わります。

田中委員長 次に、川口浩君。

川口(浩)委員 民主党の川口浩でございます。

 先日、大臣の所信演説を拝聴させていただきまして、高等教育卒業後に夢を抱きにくいこの経済状況の中におきましても、キャリア教育、各種団体との連携、またリーディング大学院構想など、国民の皆様に希望と夢を抱いていただけるものだと確信をいたしまして、これを即時に実行するべきことが最も重要なのかなと感じております。

 さて、私は、歯科医師、介護支援専門員として長年現場で生活をしてまいりました。二十年の在宅歯科診療そして介護施設への訪問診療を通じて感じましたことは、人はだれでも最後まで自分の口から食事をしたいと強く願っているということです。そして、寝たきりにさせないためには、歯科診療は不可欠であり、それが介護者の負担を軽減すると考えます。

 現在も議員活動の合間に診療を続けさせていただいておりますが、私も高齢になるにつれまして患者さんも高齢となり、寿命を全うされる方もふえてまいりました。治療途中の患者さんの御家族の方から、向こうの世界に行って食事に困らないように、預けてある入れ歯を早く一緒に持たせてあげたいというような御連絡もちょうだいいたします。御本人そして御家族の食に対する思いの重さを感じ、現在も診療を続けております。

 そこできょうは、疲弊が著しいとされます歯科界の状況について質問をさせていただければと思います。前段は御意見としておとめ置きいただければと思います。

 まず歯科技工士に関してでございますが、我々がとりました型をもとに、入れ歯、継ぎ歯、詰め物、矯正装置の作成、修理や加工をする仕事を彼らは担っております。ところが、その歯科技工士は、資格取得後、二十五歳未満では何と七九%、二十五歳から二十九歳の間では七四・九%の離職率となっております。

 これは、歯科技工士養成校において実施されているカリキュラムに弾力性を持たせ、実技の修得はもとより、歯科医学の概論、生理、細菌、歯科保存学等の知識を盛り込んだり、また、技工の作業のIT化は国際的にも加速度的に進んでおりまして、CAD・CAMなどの工学的要素を加えるなど、若者が夢を抱けるように、海外市場をも視野に入れた国際化の対応や、魅力のある業務のあり方に関する検討が必要だと思います。

 また、歯科技工士国家試験のあり方にも検討が必要ではないでしょうか。歯科技工士の国家試験は、国家試験といいながらも、実技試験があるために、昭和五十九年から当分の間、地方自治法の第一号法定受託事務として、各都道府県で個別の日程、内容で行われておると聞いております。歯科技工士の全国統一国家試験の早期実現、それに伴う教育年限等の見直しの検討が必要と考えております。

 また、反対に歯科衛生士は、平成十九年度、五千七十二名の就職者に対し求人は何と六万一千百六十九人であり、求人倍率は十二・一倍に達しております。有資格者を掘り起こし、再度研修を行い、生活スタイルに合った多様な働き方ができるような、さまざまな方面での基礎調査が必要ではないでしょうか。

 歯科衛生士は、平成十七年度より三年制以上の教育となり、生活習慣予防、在宅療養、摂食・嚥下等の認定研修プログラムが加わり、在宅医療、介護施設などでの活躍が期待されております。人員基準等に歯科医師、歯科衛生士を明記し、職域を広げていただくことを検討すべきではないかと考えております。今後、掘り下げて検討をしていただければと思います。

 さて、今も私は在宅高齢者の診療を行っているというお話をさせていただきましたが、寝たきりの方々をつくらず、最後まで自分の口から食事をするという観点からも、このように、歯科衛生士、歯科技工士の確保は大変重要だと考えております。歯科医療を支える歯科衛生士、歯科技工士に対して、在宅歯科医療サービスを実施する上で国としてどのような対応を実施しているのかをまずお聞きしたいと思います。

大谷政府参考人 お答え申し上げます。

 高齢化の進展に伴いまして、高齢者などへの在宅歯科医療や口腔ケアの重要性が増しております。これに対応できる歯科衛生士及び歯科技工士の養成、人材確保を行っていくことは極めて重要というふうに考えております。

 このため、歯科衛生士につきましては、平成二十年度から、在宅での歯科医療や口腔ケアの対応について、歯科医師や歯科衛生士を対象とする講習会事業を実施いたしまして、平成二十二年度からは、歯科衛生士養成施設の教員を対象とする講習会の事業というものを実施しております。

 また、歯科技工士につきましても、平成八年度から、高齢化の進展の中で多様化する歯科補綴物の作成に対応できる歯科技工士を養成するために、歯科技工士養成施設の教員を対象とする講習会事業を実施してきたところでございます。

 これらの事業を通じまして、今後一層、在宅歯科医療のニーズに合わせた歯科衛生士及び歯科技工士の養成あるいは人材確保に努めてまいりたいと考えております。

川口(浩)委員 次は、需給問題についてお尋ねをします。

 まず、医師数の不足解消のために、現在、医学部の学生数を増員して対応している状況について質問をさせていただきます。

 医師不足が叫ばれておりますが、その一方、原因は、医師の地域の偏在、診療科目の偏在が問題であるとの御指摘もあります。また、医学部の新設は、法科大学院、そして、過剰が指摘されております私ども歯科医師と同じ状況を招くという懸念もございます。平成二十年度から医学部の定員増が行われてきており、先日の発表では、来年度も九十名程度の増員が見込まれるということですので、来年度以降も毎年千三百人を超える入学定員増が行われるということになります。これは、学校にしてみれば十校から十三校分になるのではないかと思います。

 医師不足対策としての定員増は、研究枠、地域枠そして歯学部からの定員振りかえ枠で対応しつつ様子を見ることとし、むしろ、偏在対策や医師派遣のシステムに力を入れる時期に来ているのではないかと考えます。

 このような中、医学部の新設が認められるかのような報道もなされてはおりますが、たしか、過去に二度の閣議決定で医学部、医科大の新設はしない方針が打ち出されているはずでございます。この医学部新設は認めないという方針は現在も変更されていないとの認識で間違いないのでしょうか。

 医学部新設に対してどのように考えているのか、文部科学大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。

高木国務大臣 歯科医師の立場から、かなり詳しい現場の状況についてもお話がございました。

 今お話がありました件については、医学部の新設の件でございます。今の深刻な医師不足に対応するためには、政府の医師確保対策に基づきまして、平成二十年度より医学部の入学定員の増員を図ってきております。来年度につきましても、厚生労働省の必要医師数実態調査の結果や新成長戦略、これは平成二十二年六月十八日閣議決定をされておりますが、これらを踏まえて、今年度と同様の枠組みで増員を図る予定であります。

 医学部の新設につきましては、閣議決定、これは昭和五十七年でございますが、抑制方針がございます。これに基づき約三十年前から認められておらずに、医療界、大学関係者にもさまざまな意見があると私は承知をいたしております。

 いずれにいたしましても、本件については、今後の医師養成に関する取り組みについて検討する中で、さまざまな御意見を伺って、厚生労働省の調査の分析や、あるいは医療提供体制に係るグランドデザイン、この論議を見据えながら慎重に検討してまいりたいと考えております。

川口(浩)委員 一方で歯科医師の需給問題がございまして、現在、一律二八%の入学定員の削減を推進されておりますが、国民から信頼される確かな臨床能力を備えた歯科医師を養成するためには、将来的な統廃合も視野に入れつつ、すぐれた入学者確保が困難な大学、国家試験合格率の低い大学などの定員見直しが必要ではないでしょうか。

 そこでまずは、すぐにできることとして、一律の削減ではなく、調査結果を国民の皆様方に幅広く公開し、国民目線に立った解決策を早期に打ち出すべきと考えますが、大臣のお考えをお聞かせいただけますか。

高木国務大臣 歯学部の入学定員につきましては、昭和五十七年の閣議決定を受けまして、ピーク時の昭和六十年度と比較しまして二八%削減を目標に、平成二十二年度までに二二・八%減の七百六十九名の削減を図ってきました。

 さらに、確かな臨床能力を備えた歯科医師を養成するためには、今の歯学教育という観点から、平成二十年の七月には、歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議を立ち上げております。平成二十一年一月には、入学定員を充足できない歯学部等については入学定員の見直しを検討することを提言する、第一次の報告を取りまとめられたところでございます。

 私どもは、これを受けまして、今後、第一次報告の対応状況に関するフォローアップを行いたいと思います。今年度末を目途に、その結果を、御指摘ありましたように、国民に公表する予定であります。

 文部科学省といたしましては、大学間での入学定員の充足率あるいは国家試験の合格率に格差が生じている状況を踏まえ、質の高い歯科医師養成の観点から、個々の大学に応じた入学定員減への対応を促してまいりたいと思っております。

川口(浩)委員 この問題は、長年言われておりますが、なかなか解決のめどがつきにくい問題でございますので、ひとつよろしくお願いを申し上げます。

 最後に、ネグレクトの問題について若干お尋ねをさせていただきます。

 長年にわたり学校医として歯科健診に携わってきた経験から、児童虐待を早期に発見するのは歯科医師の役割だと常日ごろ思っておりました。私の診療所でも、親の脱いだスリッパを素早く片づける子供とか、全く子供に話をさせない親が訪れた際には、ちょっと注意をして観察をしております。

 平成十四年に東京都の児童相談所、乳児院に措置されました虐待児百四十七名について歯科健診を行いましたところ、一般児に比べ、二歳児の平均虫歯数は七倍、十一歳では二・七倍でした。特に治療率が低かったとの報告があります。一方、ある調査では、虐待の疑いがある子供を診た経験を持つ歯科医のうち、通報に至ったのは一割弱との報告もございます。

 原因の一つには、児童虐待防止法に歯科医の文言が明記されていないため、通報するべきとの思いに至らず、疑念を抱きつつも通報をしないのではないかと考えます。

 歯科医が、児童虐待、特にネグレクトの早期発見に果たす役割は大きいと感じております。歯科医師会との連携を図り、また、児童虐待防止法等の改正にてその重要性を訴えてまいりたいと思っておりますが、だれもが平等に教育を受ける権利を有する、未来ある子供たちの虐待を未然に防ぐための教育政策について、文部科学大臣のお考えをお聞かせいただきます。

高木国務大臣 まず、子供たちの虐待を防止するための学校における対応につきましては、まず一番目に、学校の教職員は、職務上児童虐待を発見しやすい立場にあることから、その早期発見、対応に努める必要があります。児童虐待の疑いがある場合には、確証がないときであっても、早期発見の観点から児童相談所等の関係機関へ通告すること、これがまず第一。

 二つ目には、児童虐待に係る通告を行った児童生徒について、通告後に、市町村または児童相談所に対して出欠状況等の定期的な情報提供の適切な運用に努めるとともに、新たな虐待の兆候や状況の変化等を把握したときは適宜適切に情報提供または通告をすること、これについては、ことし三月二十四日に文部科学大臣政務官通知を出しておるところでございます。

 特に、先生御指摘のように、改めて学校歯科医の役割を認識をしております。健康診断等において口腔の疾病、異常の有無を検査しており、例えば口腔内に不自然な外傷があるかないか、こういったものをチェックをするなど、虐待の早期発見に努めるなどの取り組みを行っておるところでございます。

 私どもとしましては、学校及び学校の教職員の果たすべき役割は極めて大だと思っております。これまでも、教職員用の研修教材「児童虐待防止と学校」のCDを作成をいたしまして配付するなど、取り組んでおります。

 今後とも、関係機関の連携を強化しつつ、学校における児童虐待防止の取り組みの向上を図ってまいりたいと思います。

川口(浩)委員 この問題はなかなか根が深い部分がございますので、ひとつよろしく御指導をお願い申し上げます。

 最後に、平成二十二年四月三十日に医政局長から都道府県知事あてに出ております「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について」という通達の中に、薬剤師、リハビリテーション関係職種、管理栄養士、臨床工学技士、診療放射線技師以外の、「医療スタッフ以外の職種(歯科医師、看護職員、歯科衛生士、臨床検査技士、介護職員等)」と明記されております。

 これは、歯科医師、歯科衛生士は医療スタッフではないという誤解を受ける内容であり、各医療機関の連携とともにチーム医療を推進していこうとしている歯科界にとってはちょっと納得できかねる内容でございますので、早急に訂正を御検討いただけるようにお願いをさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、本村賢太郎君。

本村委員 民主党の本村賢太郎でございます。

 高木大臣、所信表明を受けまして大変感銘を受けました。私どもも、田中委員長を中心に、党派を超えて子や孫の世代に誇れる国づくりを進めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それではまず一番目の質問といたしまして、スポーツ基本法について御質問をさせていただきます。

 鈴木副大臣に四月の委員会でも、この必要性とそして進捗状況についてお伺いをしてまいりました。それを受けまして、政府の方からスポーツ立国戦略がことし八月二十六日に提出をされまして、生涯スポーツの充実を柱にした、その中でも、総合型地域スポーツクラブを活用し、運動ができる環境を整えるなどの方向性が打ち出されたわけでありますけれども、また、副大臣に前回お聞きしたときには、私見ということでありましたが、来年の通常国会を目途にこのスポーツ基本法を提出していきたいというお話も伺っております。

 これは既に自民党、公明党さんからも議員立法として提出をされている案件でありますし、私どもも、野党の皆さんの御意見もよく聞きながら、党派を超えた形でこのスポーツ基本法を成立させなきゃならぬと思っておりますが、このスポーツ基本法の検討の状況と、また、法案の提出の時期などおわかりでしたら、副大臣の御所見をお伺いいたします。

鈴木(寛)副大臣 お答えを申し上げます。

 今御指摘をいただきましたように、この八月に、文部科学省といたしましてはスポーツ立国戦略を取りまとめました。これも御承知のように、現行、スポーツ振興法ということになっておりますけれども、スポーツ基本法というものが必要である、こういった認識のもとにこうした取りまとめを行ったところでございます。

 現在、この立国戦略が正式に文部科学省として出ましたので、文科省といたしましては、この戦略の方向に沿って、いつでもこの法案が提出できるように、そのための準備と検討をしっかりと行っているという状況でございます。

本村委員 準備に関しては理解できましたが、四月の段階でお聞きした際に、副大臣、来年の通常国会を目途にしたいというお話もありましたが、それに関しての御答弁をお願いいたします。

鈴木(寛)副大臣 通常国会を目途に準備はいたしておりますが、私は閣僚でもございませんし、法案の提出は閣僚全員の同意によって閣議において決定をされるものでありますから、しかしながら、次の通常国会にきちっとした議論ができるよう、そのための準備については、これは万全を期して行ってまいりたい、このように申し上げているところでございます。

本村委員 ぜひまた、鈴木副大臣を中心に、すばらしい法案を提出いただければというふうにお願い申し上げます。

 続きまして、日本相撲協会の指導についてお伺いいたします。

 昨今、相撲部屋における力士の暴行事件や力士の麻薬使用問題、さらには暴力団との関係や野球賭博といった、本当に相撲を愛する私も一人といたしまして、国民の期待を踏みにじる結果となっているのは大変遺憾なことであります。相撲協会自身も暴力団排除宣言をされたり、ガバナンスの整備に関する独立委員会が提言をしたり、さらには協会自身の研修会を行ったり、自助努力も認めておりますけれども、しかしながら、昨今のこの相撲協会に関して、大臣の所管する文部科学省といたしまして、今後、私自身厳しくまた指導が必要ではないかと思います。

 これに関して継続的に強化する必要性があるという私の考えなんですが、大臣の所見をお伺いしたいと思います。

高木国務大臣 御指摘の日本相撲協会の件でございます。

 暴力団等排除対策については、公益法人として最低限の対応である、協会の改革そのものは緒についたばかりであると認識をしております。協会においては、運営のあり方の見直しを初め、今お話がありましたように、抜本的な改革に取り組む必要があろう、このように私は考えております。

 協会においても、外部有識者から成るガバナンス独立委員会により、協会のガバナンス強化、力士の養成のあり方、運営の抜本的見直しが行われております。先日、相撲協会の理事長が私のところに参りまして、そのような報告がございました。

 文部科学省としても、議論の推移を見守るとともに、必要な指導と助言は行ってまいりたい、このように思っております。

本村委員 ことしの夏の名古屋場所で、NHKの中継がなかったり観客数も減ったり、また、満員御礼も四日間であったり懸賞金も減ったり、さらには天皇賜杯、内閣総理大臣杯などもなかったりしたことから、横綱の白鵬さんも、この国の横綱として、力士の代表として、賜杯だけはいただきたかったと涙ぐんで記者発表もされておりますけれども、私たち国民一人一人の関心が高い国技でありますので、ぜひ今後とも、大臣の強いリーダーシップをお願いしていきたいというふうに思います。

 次に、この相撲協会に関しまして、きょうお配りの資料の中にございますけれども、木村林之助さんという行司の方が奥様とお子様に暴力を振るわれて、傷害罪などで懲役一年四カ月、執行猶予三年の判決を受けたわけであります。

 一連の不祥事がある中で行司の方まで残念ながらこうした事件を起こしていて、夫婦げんかとDV、暴力は違うわけでありますし、しつけと児童虐待は違います、指導と体罰も違うわけでありまして、こうした事件を受けて放駒理事長は、新聞の取材に対しまして、一連の不祥事の原因に社会人としての分別を挙げられました。しかし、理事長自身に社会人の分別があるのかどうか大変私も疑問に思う部分であります。

 相撲界は多くの方が未成年のころから入門され、新弟子が毎年百人から入門しております。そういった状況下の中で、傷害致死で起訴された元時津風親方は十三歳でありましたし、先日、DVと児童虐待の罪で有罪となった木村林之助さんは十六歳で入門されました。親方も先輩力士も幼くして入門し角界しか知らないのではないかなと私は思っておりまして、社会人の分別を未成年にちゃんと教えずしてスポーツと呼べるのか、ここの部分は非常に大事な部分だと私自身考えております。

 今回の放駒理事長の単なる夫婦げんかと発言したことについて、所管官庁としての見解をお伺いいたします。

高木国務大臣 多くの国民一人一人が相撲の振興を望んでおる、私もファンの一人としてそのように思っております。

 そういう立場に立っても、御指摘の件について日本相撲協会に確認をいたしましたところ、放駒理事長が記者会見において今回の虐待事件を単なる夫婦げんかだと発言をした事実はないと聞いております。

 報道の方でそのような受けとめ方をしたのではないかと私は思っておりますが、しかしそうであるならば、なおさら協会は、現在信頼回復が強く望まれておられますので、このことを認識した上で、本件の報道後に理事長発言の趣旨を丁寧に国民の皆さん方に、社会に対して説明すべきであろう、私はそのように考えております。

 協会はさらに緊張感を持って協会の運営に取り組んでほしい、このように考えております。

田中委員長 ちょっと速記をとめてください。速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田中委員長 速記を起こしてください。

 どうぞ質問。

本村委員 今、大臣からもお話しいただきましたけれども、いずれにしても、木村林之助さんの今回起こしたDV、児童虐待は大変大きな問題だと思いますし、また、配偶者暴力相談支援センターにおけるDV相談件数が二十一年度七万二千七百九十二件、児童相談所における児童虐待の相談件数が二十一年度四万四千二百十一件と、本当に今、喫緊のこうした大きな問題でもありますので、ぜひ所管官庁として今後とも日本相撲協会の指導をしていただき、国民から愛される大相撲となるように期待をしていきたいと思います。

 次の質問に入らせていただきます。高校実質無償化について御質問をさせていただきます。

 高校無償化に関しましてはさまざまな御意見がこの委員会でも出ておりますけれども、昨今、高等学校就学支援金の支給に関する検討会議から、指定に関する基準について八月三十日に案が示されました。

 私ども民主党からも、玄葉政調会長そして松崎座長を中心にその基準案についての見解を示してきたわけでありまして、大臣は、就任された直後、記者の皆さんにこの今回の基準に関して、できるのは十一月上旬ごろを目標にしたいというお話と、さらには、指定に関しては年内を目途にしていきたいというような発言がありましたが、今でもそのようなお気持ちで変わりないでしょうか。

高木国務大臣 高等学校の授業料無償化に関する御指摘がございました。

 高等学校の課程に類する課程を置く外国人学校の指定に関する審査基準につきましては、既にお話がありましたように、検討会議の報告、これはもう既に出ております。今後、それに対する民主党の見解なども踏まえ、あるいは同時に、これまでの国会における議論、こういったものを総合的に勘案しまして、私の権限と責任において、できる限り、今御指摘のように、スケジュールで決定をできるように努めてまいりたいと思っております。

 その後、決定された基準などを踏まえて具体的な審査を行い、当該審査結果に基づき、最終的には、これまた文部科学大臣が個々の学校について就学支援金の支給対象として指定するかどうか、これを判断することになる、このように考えております。

本村委員 私ども民主党からの見解でも意見を付記しておりまして、その検討会議の基準案、民主党の見解でも大きな問題となっておりますのが、この助成金が本当に子供たちのために授業料減額だけに使われるのか国が直接監視できるよう求めているわけでありますけれども、今まで、各種学校については都道府県が監督をされておりました。国が直接監督した例はこれまでございませんが、外国人学校を指定する場合は、国が直接監督するように基準に含まれると理解してよろしいでしょうか。

高木国務大臣 先日、十月二十二日に、検討会議の報告に対する民主党の見解として、検討会議報告における基準等についてはおおむね了とするとの意見をいただいたところでございます。この中には、経理の透明化、教育内容に関する民主党の意見も出ておりますので、これらの意見も踏まえて、審査の基準については現在次のように考えているところであります。

 まず、経理の透明化については、検討会議の報告の内容に加え、就学支援金が適正に使用されていることを示す書類の提出を求めることを検討しております。また、財務関係書類だけではなくすべての資料について、三年置きではなく毎年提出を求め、基準に適応しているかどうかを確認することを検討しております。

 次に、教育内容については、民主党の意見も踏まえて、教育内容については懸念する御意見があり、何らかの形で注意する必要がある、こういう意見が出ておりますので、いかなる対応が適切であるか、このことについて検討をしていきたいと思っております。

 また、検討会議の議事要旨や会議資料の公開時期についても、民主党の意見を踏まえ、個々の学校の指定についての決定の前の審査の基準決定時に公開する方向で検討したい、このように考えております。

本村委員 考え方は随分理解できたと思うんですが、各種学校については、もう一度再度質問ですが、今後国が直接する方向という形でとらえてよろしいでしょうか。

鈴木(寛)副大臣 就学支援金に関する事務につきましては、これは文部科学大臣が行いますが、学校教育法あるいは学校教育法等に基づく一般的な監督というのは引き続き都道府県知事が行う、こういう法律上の整理になります。

本村委員 よく理解できました。

 高校無償化も大分大詰めになってまいりまして、大臣を初め皆さんは大変お忙しいと思いますが、私も慎重にすべきという意見は今でも変わらないんですが、私は民主党の一員であります。皆さんと一緒に、すべての子供たちに教育の機会をしっかりととれるように大臣にはまた頑張っていただきたいことをお願いして、質問を終わりにいたします。

田中委員長 次の質疑に入る前に、笹木副大臣に伺いたいと思います。先ほどはあえて速記をとめましたけれども、なぜゆえに長期に席を外されたのか。何のこちらに通告もありませんでしたけれども、他の委員会にお出かけだったんでしょうか。こういうことは大変困るんですけれども。

笹木副大臣 今は案件について役所の方から説明を聞いておりまして、それが長引いてしまいました。今後、ないように気をつけたいと思います。

田中委員長 事前にしっかりと委員長におっしゃってください。それから、委員会の重さ、それから副大臣という職の重さ、そういうものにかんがみて、今後、今のようなことが絶対ないようによろしくお願いいたします。

笹木副大臣 はい、わかりました。

田中委員長 秘書官も補佐をよろしくお願いしたいと思います。新しい体制ですけれども、余り緊張感がないように感じております。

 次の質問者に移ります。次に、下村博文君。

下村委員 自民党の下村博文です。よろしくお願いいたします。

 まず、高木大臣にお伺いしたいと思いますが、今回、北海道の補選がございましたが、応援に行かれましたか。

高木国務大臣 下村委員にお答えいたします。

 行ってはおりません。

下村委員 なぜ行かなかったんでしょうか。

高木国務大臣 文部科学大臣としての職務、多忙をきわめておりましたので、行っておりませんでした。

下村委員 忙しかったから行かなかったんですか。理由はそれだけですか。

高木国務大臣 はい、そういうことでございます。

下村委員 非常に文科大臣としての認識が甘いと思いますね。

 今回の北海道の補選はなぜ行われたかというのは御承知でしょう。北教組の裏金献金が小林千代美前衆議院議員に渡ったという政治資金規正法違反の責任をとって議員辞職をし、そして今回補選が行われたわけであります。

 また、この北教組については、今までの国会の再三の議論の中で、これは、北海道の教育委員会、それから札幌市の教育委員会、改めて、すべての小中学校の先生方三万八千人、服務規定が守られているかどうかという調査を徹底的にやったという、いまだかつてないようなことをしているんですね。

 またさらに、職務専念義務違反をしているのではないか、税金がきちっと使われていないのではないか、このような観点から、初めて会計検査院が北海道に入って、そして学校現場の状況について調査する、こういう中での選挙でもあるわけであります。

 ですから、これは行けるはずがないわけでありますし、そもそも見識がある文科大臣であれば。それが、忙しかったから行かなかったというのは、それは文科大臣としての基本的な認識が欠如しているんじゃないですか。どうですか。

高木国務大臣 任命権者たる北海道教育委員会、あるいは札幌市の教育委員会、私どもとしては必要な指導助言は行っておるところでございます。

下村委員 全然答弁していないじゃないですか。いや、そうじゃなくて、あなたは、行かなかったという理由について、忙しかったから行かなかったと言っていたけれども、その程度の認識を文科大臣としてお持ちなんですか、文科大臣として認識が甘いんじゃないですか、そういうふうにお聞きしているんですよ。

高木国務大臣 私としては、教育上、十分な関心を持っております。したがいまして、先ほど申し上げましたように、北海道教育委員会あるいは札幌市教育委員会に助言、指導をしておる。したがって、その中で調査も行われた、このように認識をしております。

下村委員 いや、全然答弁が合っていないですね。質問をしっかり聞いてくださいよ。そういうことを聞いているんじゃなくて、選挙の応援に行かなかった、これは私は見識だと思ったんですよ。そうしたら、そうじゃなくて、忙しいから行かなかったと。その程度の認識なんですかということですよ。

 そもそも、北教組の問題があって今回の補選になったわけですから、そのことについて、二度とこのようなことが起きないような形で文科大臣がどう対応するかということが大切であって、そもそも、選挙の応援に行けるような状況じゃないでしょう。それは、あなたはまだ文科大臣になって間もなくかもしれませんが、しかし、文部科学省の最高責任者であるわけですから、行政というのはずっと継続性があるわけですから、この中で、やはり高木文科大臣も、この北教組の問題というのは大きな問題としてとらえていただきたいと思うんですね。それを考えたら、選挙の応援なんか行けるはずがないじゃないですか。それをただ、忙しいから行けなかったということで済ますという、その大臣答弁が認識が甘いと言っているんですよ。いかがですか。

高木国務大臣 私は、みずから与えられた職務に専念する当然義務がございますし、特に国会中でもございますので、私の判断として行かなかったということでございます。認識は、私は十分持っておると思っています。

下村委員 認識を持っていても、忙しいから行かなかったというのは、認識がないと言っているのと同じです。まあ、こればかりくどく言っても仕方ありませんが。

 しかし、選挙が終わって、とにかくこのような結果になった。このことについてはどうお考えですか。この選挙の結果ですね。選挙の結果、このような結果になった。自民党の候補が勝って民主党の候補が負けた、こういう選挙の結果ですね。この結果についてはどんなふうにお考えですか。

高木国務大臣 これは、選挙の結果は結果として、私は厳粛に受けとめております。

下村委員 厳粛に受けとめるということであれば、こういうふうな問題が北海道の教育現場で起きている。

 これは予算委員会でも申し上げましたが、今北海道は、本当に多くの道民が心配している、北海道の教育について。小学校六年生の学力テストの結果は全国で最下位、体力も最低のところ、子供の虫歯率も最悪、こういう状況の中で、何とかこの北海道の教育を正常化、改善をしてほしい、こういう思いを持っておられるんですね。

 一度、文科大臣として北海道に行かれて、よく道教委や市教委の意見を聞きながら、国としてどうフォローアップができるかということをぜひ直接聞いていただきたい。

 また、北教組ですね。我々は、北教組に会って意見交換をしたい、公開質問状を事前に出して、事前にいつ行くからぜひ会っていただきたいとお願いをしていたんですが、門前払いを食いまして、会っていただけませんでした。

 しかし、高木文科大臣であれば多分喜んで会っていただけるんじゃないですかね。ぜひ北教組の幹部にも会っていただいて、しっかりと国の立場というのを話をしていただきたいと思いますが、いかがですか。

高木国務大臣 先ほども申し上げましたように、まさに北海道教育委員会、当該の教育委員会、具体的には札幌市の教育委員会、まさにこのところについて我々は適切な指導を行うように強く指示をしておりますので、今のところ、私はその努力について見守っていきたい、このように思います。

下村委員 もうちょっと大臣としての危機感とそれから意欲を持って対応していただきたいですね。

 大臣の大臣あいさつの中には、この北海道の教育問題、北教組の問題、一言も触れていませんでしたね。これも非常に残念です。今まで衆参の文科委員会で相当な議論がされていたということを改めて議事録等でぜひ精査して勉強していただきたいと思います。

 その大臣所信ですが、「今年度実現をした高等学校の授業料実質無償化を着実に進めるとともに、」という文言が入っていますね。この「着実に進める」というのはどういう意味ですか。

高木国務大臣 御指摘については、御承知のとおり、本年三月に成立をいたしましたいわゆる高校無償化法案、これに基づいて公立学校に係る授業料の不徴収及び私立高校の生徒等に対する就学支援金の支給を着実に執行する、家庭の状況にかかわらずにすべての意志ある高校生が安心して勉強に打ち込める社会をつくるという本制度の趣旨を改めて私は社会全体に周知徹底をすることによって、この制度が円滑に実施されることであろう、そして定着を図っていくことが私の一つの大きな仕事であろう、このように認識をいたしております。

 なお、朝鮮学校については、今後、審査基準の決定で、具体的な審査、こういったことを進めて、必要な検討を今当面しておるところでございます。

下村委員 今みずからお触れになりましたし、先ほども質問が出ていましたが、朝鮮学校の問題も大変大きな問題として議論されたにもかかわらず、大臣所信には、大臣あいさつには一言も入っていなかった、これも非常に大臣の認識としては問題である、甘いというふうに思いますね。今みずから触れておられましたが。

 それについてはこれからお聞きしたいと思いますが、その前に、私学については今後どんなふうにされようとしていますか。

高木国務大臣 私学につきましても、引き続き就学支援金の充実について取り組んでまいりたいと思っています。

下村委員 具体的にお聞きしたいと思うんですけれども、この法案採決に際しての附帯決議の中で、公私間格差がさらに広がる可能性がある、公私間格差が残るわけですね、今回は公立高校の授業料の無償化ですから。私学においてはその相当額が支援金として支給されるということで、私学そのものについては授業料がなくなるわけではありません。ですから、我々は委員会で何回も指摘をしましたが、結果的には公私間格差がさらに拡大するのではないか、こういうことを危惧しております。そういう危惧の中で、この附帯決議の中で、今後さらに私学助成などの充実を図るべきである、これを掲げたわけですね。

 具体的に公私間格差の是正に対して、今後、来年度の予算も含めてどう取り組む予定がありますか。

笠大臣政務官 下村委員が御指摘のとおり、私も委員会に所属しておりましたので、この就学支援金の議論に際しては、そうしたさまざまな懸念が示された中でも、公私間格差、本当にこれが縮まっていくのかというようなことが再三御指摘あったところは受けとめているところでございます。

 特に私学については、低所得世帯の私立高校生については、少なくとも公私間格差は、今この支援金の支給を一つの契機に縮小してきたということは考えておりますけれども、まだまださらに私学助成の充実ということをしっかりと図っていきながら、私どもとしては格差是正に努めていきたいというふうに思っております。

 来年度の予算についても、私学助成も含めて、我々、コンクリートから人へという、教育についてしっかりと予算が獲得できるようにしっかり頑張っていきたいと思っておりますので、また委員の皆様方の御支援もいただければというふうに思っております。

下村委員 公立学校は授業料が無償化になった。私立学校は相当分が引かれた、しかし残りの授業料が残っている。ですから、結果的には、私学に通っている保護者の方々にとっては、軽減はされたけれども、しかし公私間格差はなくならない。今まで一対四ぐらいだったんですね、授業料の、学費の比率は。今度はゼロ対三ぐらいですから、結果的には広がっている、親の意識としてはこういう思いを持っておられます。ですから、具体的にぜひ来年度に向けてさらなる公私間格差の是正に取り組んでいただきたいというふうに思います。

 それから、先ほど本村委員から質問がありましたが、大臣ははっきり答えられませんでしたね。これは大臣が実際に記者会見で、新しい基準、新たな基準ですね、朝鮮高校に対する、高校授業料無償化対象にするかどうかという新たな基準、これを十一月の上旬に発表したい、こうおっしゃったんじゃないですか、記者会見で。しかし、先ほどはできるだけ早くとおっしゃいましたね。これはどうなっているんですか。

高木国務大臣 御指摘のように、記者会見で十一月上旬ということを申し上げました。したがって、先ほどの委員からのお尋ねは、具体的に十一月上旬ということのスケジュールかと問われましたから、私としてはそのようなスケジュールで努力をしたい、こういうふうにお答えをしておりますので、今御指摘のとおりだったと私は思っています。

下村委員 そうすると、もう一度確認ですが、十一月上旬に文科大臣が新たな基準を決める方針、それを示したということでよろしいわけですね。

高木国務大臣 そのようなスケジュールで考えております。

下村委員 菅総理が二十一日のぶら下がりで、党が一定の方向を出したというのは、これは記者の質問だったんです。これは、政府もこれを認める方針かという質問に対して、政府もこれを認めるという方針のところまではいっていないと思います、ただ、一定の方向が出されたということで、今後、それを一つの参考に文科省でさらなる検討が行われると思っていますので、その検討を待ちたいと思います、こういうふうに総理が述べているんですね。

 この新たな検討というのは、今文科大臣が言われた、十一月上旬に新たな基準を発表するということだと思うんですが、それでよろしいですね。

高木国務大臣 一定の党の考え方が示されましたので、この党の考え方、そしてこれまでの国会の議論、こういうものを踏まえて、私の方で十一月上旬めどに基準の決定を行いたい、こういうことでございます。

下村委員 大臣は、内閣一体ですからよく御承知だと思いますが、来週補正予算が出てきますね。国会審議を政府としては一日も早くやってほしいということですから、もしかしたら今週出るんですか、来週早々から国会審議を政府としては求められていると思いますよ。与党としても、今そういうふうな交渉をしています。国会審議の中で、補正予算がこれから国会の中でメーンの議論になってくると、これは御承知のように、本会議、予算委員会がこれから始まりますから、当委員会は、この十一月の上旬前に、委員会でその新たな基準についてその前に議論するということは事実上もう不可能なんですよ。

 ですから、きょう出してください、新たな基準を。今発表していただけますか。

高木国務大臣 今検討中でございますから、きょうここで答えを用意はしておりません。

下村委員 検討中ですというのは無責任ですよ。国会軽視も甚だしい。今申し上げたように、十一月上旬に出されるということを明確に言われたわけですね。その前に委員会に出していただかなかったら、この委員会で議論しようがないでしょう。

 では、いつ出していただけますか。

高木国務大臣 いつ出すかというのは、十一月上旬をめどに考えております。したがって、検討の結果によることでございますから、今、それをいつ出すかという明確な日時までは申し上げられません。

下村委員 十一月の上旬に新たな基準を発表する、その新たな基準について、こういう方向になるということを委員会で出してほしいと言っているんです。これは早急に出していただかないと、委員会軽視も甚だしいですよ。国会軽視も甚だしいですよ。事前に、新たな基準について、方向性としてはこういう方向性として今考えているということを文科省として出してください。

高木国務大臣 これまでの御議論があっておりますし、多くの国民の声も寄せられております。このことを踏まえて、今検討中でございます。

下村委員 そんな答弁は認められません。今まで実際に新たに検討していて、新たな基準について今つくっている最中なわけですから、わかる範囲内で具体的に話をしてください。ただ検討中だけでは、それは審議に応じられないです。

高木国務大臣 今私が申し上げましたように、民主党の見解を踏まえて、今検討をしております。

 ただし、いろいろな意見が述べられておりますので、この懸念を解消するために、特に、経理面の報告をどうしていくのか。あるいは、就学支援金が適切に、適正に使用されておる書類の提出についてということをどうしていくのか。また、財務関係諸表のすべての資料について、三年置きではなく毎年提出され、これをチェックすること。なお、重大な法令違反があり指定を維持することが適当でないと認められるときに、指定の取り消しができることの規定を設けること。こういったことを今検討しております。

 また、民主党の見解を踏まえ、教育内容の基準につきましても懸念する意見があり、このことについて何らかの形で注意する必要がある、こういう意見もあることから、いかなる対応が適切か、これまた今検討をしておるところでございます。

下村委員 非常に大臣は不誠実ですね。先ほど与党にはそういうことを答えられていたじゃないですか。今、再三再四言って、検討中ですということで、今具体的に言われた。最初からそういうふうに言われればいいじゃないですか。非常に答弁が不誠実ですよ。

 そもそも、この検討会議の中の留意事項というのがありますね、留意事項。今のお話は、その留意事項にものっとった、民主党の両部門会議の中でおおむね了承の中の付記事項も含めて、それにのっとっての今検討だというふうに思いますが、その中で、例えば教育内容については、さらに踏み込んで、どんなふうに検討を今している最中ですか。教育内容を含むか含まないか。

高木国務大臣 我が国の政府の見解と異なる部分がある、このことについて、どのように注意をし、そして、それを手直しすることの対応ができるかどうか、こういうことを検討することも一つでございます。

下村委員 大臣は、十月十六日の「閣僚に聞く」という記事の中で、新聞報道ですが、今の内容ですが、「朝鮮学校の教育内容は問わずに判断するという議論もあるが、国民がよく分かる(判断な)のか、ということも考えなければいけない。東京や大阪でも議論になっており、地方の声も大事にしたい。」こういうことを述べられておりますね。この中で、例えば大阪でどういう議論になっているのか。「地方の声も大事にしたい。」地方の声のどういうところを大事にしたいと思われているのか、お答えいただきたいと思います。

高木国務大臣 今申し上げたとおりに、大阪においても、知事がこのことについて見解を述べておられます。我々はそれも十分念頭に置いておりますが、その多くは民主党の検討の中でも出されておりますので、そういうものについて、先ほど申し上げましたように、どういうことが適切な対応をとれるのか、こういうことを今考えておるところでございます。

下村委員 いや、大阪や東京の知事は、民主党の付記よりは相当踏み込んで、明確に答えていますよ。

 具体的に、大阪の知事がこのことについてどう言っているのかということをちょっと答えていただきたいと思います。事務方でもいいですよ。

鈴木(寛)副大臣 現在、大阪府におきましては大阪朝鮮高級学校の教育活動の確認ワーキンググループというのがございまして、大阪朝鮮高級学校の教育活動に関する提言というものが行われているところでございます。これはちょっと一々は申し上げる時間がございませんけれども、そういうのがあるということは我々も承知をいたしております。(下村委員「いや、一つ事例を出してください」と呼ぶ)はい。

 事例を申し上げますと、例えば現代朝鮮史等々については、日本の学習指導要領上の教科ではなく特別活動として位置づけることが適当と考えられる、生徒たちには、政治、社会、文化など、さまざまな観点から近現代世界における合理的な批判的精神を培い、多角的で柔軟な見方ができるよう、異なる見解のある歴史的事象については両論教えることが望ましい、こういったこととか、あるいは北朝鮮指導者の個人崇拝につながる教科書記述は見直すべきといった、例えば、今の点で申し上げると、政治的中立性の観点から特定の政治指導者に対する敬称は用いられておらず、こうした点を十分に考慮することが望まれるといったこと等が指摘をされているところでございますが、この程度でよろしいでしょうか。必要があればまた。

下村委員 端的に申し上げれば、大阪府は、補助金適用に当たり独裁者崇拝教育の見直しなど改善を求める具体的な提言を、今幾つか御指摘をされましたが、されていて、そして橋下知事が、これが受け入れられない限り補助金は支給しないと明確に言っているわけですね。東京も同じですよ。

 こういうことについて東京や大阪でも議論になっており、地方の声も大事にしたいことを大臣は言われたということでよろしいんですね。

高木国務大臣 そのことについても念頭に置いております。したがって、このことについては既に民主党の検討委員会報告に対する議論の中でも、民主党の中でもそういう御意見が出ております。したがって、当然そのことも頭に入れて、では、それに対してどういう対応をしていくのかということを今検討しておるところでございます。

下村委員 民主党、民主党とお話をされますが、民主党だけでなく、政務三役の中でも、例えば笠政務官は同じような懸念を持っておられるというふうに聞いておりますが、笠政務官は、この現代朝鮮歴史の中で発言もされていると思います。どういう教育内容について懸念を持っておられるのか、具体的に話をしていただけないでしょうか。

笠大臣政務官 私も今御指摘のあった教材の日本語訳されたものを拝見させていただきました。これは政務官に就任する以前に、当委員会の筆頭理事を務めていたときでございますけれども、その中で、大韓航空機の爆破事件に対する記述であったり、あるいは私も党派を超え取り組んでまいりました北朝鮮による拉致問題等々に対する記述については、私は一人の政治家として、明らかにこれは間違っているというような記述があることは、今も変わらずにその懸念を持っております。

 ただ、こうした一つの教材の中身についてまで支援金を支給する基準として、例えばこれを改めなければお金が出せないのかどうなのか、日本の学習指導要領に沿ってチェックをするということはできませんので、こうした懸念について、先ほど大臣からも発言がありましたように、これは当委員会でも、あるいは党による議論の中でも、こうした懸念、私と同じような思いを持っておられる方はたくさんおられますので、それについていかなる対応ができるのかということを今大臣を中心に検討しておるというところでございます。

下村委員 いや、笠政務官、今まではできませんでしたよ。しかし、先ほど、文科省としては新たな基準をつくると言われていましたね。政務三役なんですから、新たな基準の中に、反日教育をしているかどうか、判断材料に入れるということは十分できることだと思うんですよ。どうですか、これから。

笠大臣政務官 基準の中にそのことを具体的に盛り込むかどうか、盛り込むことができるのかどうか、その点は慎重に今検討しているということでございます。

下村委員 笠さん、そんなことを言っていたら政治生命が終わっちゃいますよ。今まで言っていたことと今の答弁は全然違うじゃないですか。自分の主張は自分の主張できちっと通してくださいよ。政務官として、最終的には文科省、文科大臣が新たな基準をどうつくるかということは、それは協議の上でしょう。しかし、今までのあなたの政治主張や政治行動や政治発言からして、政務三役の中で、新たな基準の中に、このような判断基準に反日教育の是正をきちっと求めるということを主張しなかったら、今まであなたが言っていたことは何だったのかと問われますよ。どうですか。

笠大臣政務官 どういう形で求めていくのかということを含めて、しっかりと対応していきたいというふうに思っております。

下村委員 いや、全然答弁になっていないですね。政務三役でしょう、新たな基準をつくるについてはあなたも当事者じゃないんですか。大臣が一人でつくるんですか。これは政務三役はどうかかわるんですか。

 大臣、どうですか。大臣が一人でつくるんですか、新たな基準について。

高木国務大臣 御指摘のとおりに、民主党だけではありません、民主党の党内の意見も当然踏まえます。同時に、これまでの国会論戦の中で各党の御意見も承知をしております。そういう中で最終的には私が決めることになりますが、四月の制度導入以来、今日まで経緯がたっております。検討委員会の中でも大変複雑な問題を持ちながらの検討課題でございましたので、それだけに賛否は相当あるわけでございまして、それをどの方向で収れんしていくのか、いい基準をつくるにはどうしたらいいのか、こういうことを今熟慮しておるところでございますので、最終的には私の方で決断をさせていただきます。当然、政務三役の議論も踏まえてまいりたいと思います。

下村委員 一番最後に質問についてのお答えがありましたが、政務三役の意見を聞くと。

 笠さん、はっきり答えてくださいよ。あなたの今までの政治行動からして、やはり判断基準に反日教育の内容が入っているかどうかについてきちっと、これについては注文するというのは当然のことなんじゃないですか。大臣に主張しなかったら、政務官をやっている意味がないですよ。どうですか。

笠大臣政務官 注文をするということ、私がこれまで主張をしてきたこと、そして先ほどもこの委員会で私が答弁をさせていただいた私自身の思いというものはしっかりと主張をさせていただいておりますし、これをどういう形でまとめていくのか、まさに今その議論を一番大きな課題の一つとして政務三役の中でもやらせていただいているということでございます。

下村委員 いや、今も具体的じゃないですね。さっきが抽象的だからもう一度聞いているんであって、まだはっきり答えていない。しかし、これは政務三役できちっとよく議論をしていただきたいと思います。

 そして、これは鈴木副大臣にお聞きした方がいいのかもしれませんが、参議院の文科委員会、十月の二十一日に、高校授業料無償化の対象となるかの判断基準が決定された際の文科省の新たな権限、それから新たな省令をつくることについて答弁されておられますが、この新たな基準に、検討会議の中の留意事項というのがありまして、この留意事項というのは、先ほどの民主党の部門会議の付記にも重なっている部分があります。

 確認のために四つ申し上げますと、一つは、財務状況や教育課程を初めとする学校情報を積極的に提供すること、二つ目に、教員の質の確保に引き続き取り組むこと、三つ目に、就学支援金を授業料に確実に充当するとともに経理を透明化すること、四つ目に、我が国社会や国際社会の担い手として活躍できる人材の育成に努めることとありますが、これは文科省の中で新たな判断基準をつくるのであれば明確に入れるべきだと思いますが、これについてはいかがですか。大臣か鈴木副大臣。

鈴木(寛)副大臣 基準、手続を含む規程というものをつくるということになっております。それで、規程の中でそうした留意事項を、どういう留意事項になるのかというのは、先ほど大臣が申し上げましたように、今のような御議論も踏まえてこれからきちっと検討しますけれども、そうしたことを付記するといいますか、基準と手続と留意事項の付記、こういった規程をつくっていくということが一つ考えられる、まだ議論中でございますけれども、考えられるというふうに思っております。

下村委員 ちょっと改めて確認しますけれども、朝鮮学校は高校授業料無償化の対象とするかの判断基準が決定された際、今まで文部科学省は、先ほどの答弁でもありましたが、朝鮮学校は所管ではなかった、しかし、法律を根拠とした明確な権限が今度は具体的な新たな省令によって文科省に付与される、こういうことでよろしいわけですね。確認します。

鈴木(寛)副大臣 学校教育法上の各種学校でございます朝鮮学校、これは都道府県知事によって認可をされておりますので、引き続き都道府県が学校教育法上の各種学校についての所管権限は有し続けます。したがいまして、所管がかわるわけではございませんが、就学支援金の支給ということを今議論しているわけですけれども、その法律があるわけでありますが、その支給の対象ということになりますれば、それは基準があって手続があって指定ということになるわけですけれども、なりますれば、その学校に対しては、基準の適合を確認するための書類の提出であるとか、基準に適合しなくなった際の指定の取り消しだとか、あるいは留意事項に関するいろいろな状況の聴取だとか、そうした権限が、現在検討中の規程に基づく具体的な権限として文部科学省に付与されるというふうに想定をいたしております。

下村委員 そうすると、新たな省令の中に判断基準が入るということでよろしいんですね。

鈴木(寛)副大臣 正確に申し上げますと省令等なんですけれども、省令及び省令に基づく告示または大臣決定、これは告示にするのか大臣決定にするのかということはリーガルに詰めておりますが、その中には、基準、審査の手続、そしてその後の審査、指定の際のさまざまな、これは先ほど大臣が申し上げましたように、まず、財務関係諸表についての提出ということはこれまでも言っていたわけでありますが、それを含めたすべての書類の提出というのは毎年行うということにはしようと思っていますから、そういう提出を含める。

 それから、これも先ほど大臣が申し上げましたけれども、重大な法令違反があり、指定を維持することが適当でないと認められるような状況が生じた場合には指定を取り消すことができるという規定を設けることがふさわしいのではないかなというふうに思っておりますので、指定あるいはその指定の取り消しに関係する状況の聴取といったことの根拠は、この規程の中で盛り込んでいくということがあり得ると……(発言する者あり)あり得ると。今検討中で、そのことを検討中であるというふうに思っております。

下村委員 あり得るとか今検討中では、それは答弁じゃないですよ。だって、十一月上旬に新たな基準を発表するんでしょう。十一月上旬に新たな基準を発表する、そして、新たな基準にのっとって、省令等の中にその基準を明確に入れて、その基準に合っているかどうかで判断する、そういうことでしょう。

 だから、基準が明確でなかったらそれは判断しようがないわけだから、それは毎年のたびに透明な経理が行われるかどうかということと同じように、例えば反日教育が行われているのかどうかというようなことも含めた、そういう具体的な項目を今つくられているわけでしょう。少なくとも十一月上旬には具体的な項目については発表できる、あるいはそういう前提で今作業を進めているということでいいわけですね、もう一度確認しますけれども。

鈴木(寛)副大臣 きょうの御議論も踏まえて、今検討している基準案をつくっていきたいというふうに思っておりますが、今の御指摘の点についても、何らかの形で注意をする必要があるという御意見もございます、きょうもございましたというか、今いただいておりますので、いかなる対応が適切なのかということは、この規程づくりの中でしっかり検討していきたいと思っております。

下村委員 いや、そんな答弁、だめですよ。

 大臣、新たな基準をつくる、文科省として、文科大臣のもとで、なおかつ十一月の上旬に発表すると言われたわけでしょう。この新たな基準にのっとって、省令等でそこに明記をして、そして、それに当てはまるかどうかということについて、個々の朝鮮学校が適合するかどうかをチェックするわけでしょう。その中に、新たな基準に何が入るかどうかということも明確に答弁できなかったら、それは国会答弁じゃないですよ。

高木国務大臣 今御指摘のとおりなんですよ。私たちも早く基準を決めたい、そのめどは十一月の上旬と私は申し上げた。したがって、きょうも議論があっております、きょうも貴重な御意見です。したがって、先ほど申し上げましたように、いわゆる財務諸表あるいは会計等々、あるいは教育の内容等についてどういう基準をつくったらいいのかというのはまさに検討中、したがって、私は今スピード感を持ってこれをしておるというのが今の現時点でございます。御理解いただきたい。

下村委員 いや、スピード感って、この問題が、ほかの学校は四月一日から始まっているのにもかかわらず、いまだに議論がされているということ自体問題なんですよ、そもそも。

 それで、具体的に私は先ほど提言したわけですけれども、検討会議の中の留意事項ですね、留意事項。四点申し上げましたね。これは、今度の新たな検討事項の中に明確に入れて、そのもとで、それがきちっとなされているかどうかということを事前チェックの検討事項に入れる必要があるんじゃないですかということを申し上げたんです。それについてはどうですか。

高木国務大臣 四点の留意事項もございますし、委員の御意見もございます。したがって、そういうものについて、どういう形の方がいいのかということを今真剣に議論しているんです。現実、まだ発表するに至っていない。したがって、そのことについては御理解をいただきたいと思っております。

下村委員 大臣、波静かであれば、当委員会はあさって、二十九日にこの問題を含めた集中審議をすることになっているんですよ、国会として。来週になると補正予算等が入りますから、文科委員会が開かれるのはその後になってしまいます。

 ですから、十一月の上旬に新たな基準を発表するのであれば、大体こういう方向で今議論しているというのを、改めて二十九日までにこの衆議院の文科委員会に事前に出していただかないと、今まで議論したことを含め、大臣もあるいは総理も、国会や国民の議論によって、あるいは、今回の大臣あいさつの中でも熟議ということもおっしゃっていましたし、これは、公正公平な立場から国民にわかる形で、適用するのかしないのか、適用させるとしたらどういう基準なのかということを平場できちっと議論する必要があるんじゃないですか。

 ですから、二十九日の委員会までに、とりあえずの中間報告でも結構です、それを出していただきたいと思いますが、いかがですか。

高木国務大臣 四月に制度が導入されて、朝鮮学校のことについては懸案課題になっておったことは御承知のとおりです。その件については、専門家会議をつくって検討され、八月のエンドにそれが報告をされた。

 その上で、菅総理から、党の中でも、政調会が改めてできたことだし、なおこのことについて議論をした方がいいではないかということを受けて、党としてもそのような手続に入ったわけでございます。これで、党の検討会議から報告を受けたのが先週でございました。

 したがって、それからきょうまでのことを考えてみますと、あした、あさってでこれを、中間報告といえども出すというのは、私の判断では、それは無理ではないか、このように思っております。しかし、十一月上旬のめどのスケジュールを決めたいということについては、それは私たちはできるだけ努力をしていきたい、このように思っております。

下村委員 委員長、大臣の答弁は非常に不誠実だと思うんですね。

 十一月上旬というのは、つまり来週ですよ。来週に大臣が新たな基準を明確に出すと言っていて、今週中に中間報告も含めて、今までの議論の中で、委員会にも出せないと。これは、当委員会軽視そのものじゃないですか。

 これは、委員長としてぜひ、大臣にしっかりと委員会の要求については誠実にこたえてほしいというふうに委員長に求めますが、いかがですか。

田中委員長 ただいまの件につきましては預からせていただきます。

下村委員 いや、預かるというのはどういうことですか。

田中委員長 よく議論を聞いておりますので。ですから、理事会で諮るというふうなことではなくて、もう一回よく話をしてみたいと思います。

 理事会でもう一回やりますか。

下村委員 いやいや、委員長の言っている預かるというのはどういう意味ですか。

田中委員長 預かるという意味は、ですから、両方の意見はよくわかっておりますので、よく考えて、そして結論を早く導き出した方がよかろうと私も思っておりますので、そのように取り計られるように努力したいという意味です。

下村委員 いや、ですから、明確に大臣に指示してくださいよ、委員長として。

田中委員長 委員長の立場で大臣に指示をするわけにはいきませんけれども……(下村委員「お願いしてください」と呼ぶ)ですから、話をいたしますということです。

 質問を続行してください。下村博文君。

下村委員 では、委員長が改めてこのことについては文科大臣に対してお願いするということでよろしいわけですね。というふうにお聞きしましたが、よろしいわけですね。確認します。

田中委員長 お願いをするかどうかですね。話をいたします。

下村委員 話をするというのはお願いするということじゃないんですか。指示するということですか。

田中委員長 かどうか、わかりませんね。(下村委員「依頼をするということですか」と呼ぶ)

 持ち時間も限られていますので……(下村委員「いやいや、委員長に確認しているんですよ」と呼ぶ)

 はい、しっかりと話をいたします。

下村委員 では、委員長の見識に期待をしたいと思いますが、改めて、これは、委員長から理事会でぜひその結果を踏まえて問題提起をしていただきたいというふうに思います。

田中委員長 はい、いたします。

下村委員 それから、もう一つの確認の経理の問題ですけれども、これは、参議院の文科委員会で大臣が、就学支援金は受給者である生徒個人に支給するものであるから、北朝鮮政府の対応と生徒の支給は別の観点から考えるべきだという趣旨で答弁したというふうに、議事録を読んで、見ました。

 しかし、公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律、この第八条で、「支給対象高等学校等の設置者は、受給権者に代わって就学支援金を受領し、その有する当該受給権者の授業料に係る債権の弁済に充てるものとする。」としてあるんですね。つまり、代理受給、代理受領できるではなくて、代理受領するとあるわけです。

 すなわち、支給対象高等学校等は就学支援金を代理受領することが決定されている。つまり、代理受領は、任意制度ではなくて、生徒には直接就学支援金が支給されているわけではないわけです。就学支援金の実質的な受給権者は朝鮮学校なんですね。ですから、労働新聞、これは北朝鮮の労働党の機関紙ですね。この労働新聞は、朝鮮学校に対する支給問題と位置づけて運動しているんですよ。

 ですから、実際は、学校に対する支給になってしまうんですね。この辺の経理をどんなふうにチェックできるんですか。これについてどうお考えですか。

鈴木(寛)副大臣 あくまで就学支援金の受給権者は生徒でございます。ただ、代理受領をするといった点については御指摘のとおりでございます。

 したがいまして、先ほども大臣から御答弁を申し上げましたけれども、これまで検討会議が言っておりました経理面についての報告案の内容に加えて、就学支援金が適正に使用されていることを示す書類の提出を求めることを検討いたしております。

 なお、この就学支援金が受給権者である生徒に渡らなかった場合には、授業料の弁済に充てられなかった場合には、これは、就学支援金の横領とか詐取とかといったことが構成されるというふうに我々は理解をいたしております。

下村委員 きょうの新聞報道によりますと、中井前拉致担当大臣が、高木文部科学大臣から朝鮮学校無償化の方向性について報告があったことに触れ、これは最近の話だと思いますよ、支援金が北朝鮮に行かない保証はない、どんな権限でチェックするのかと苦言を呈した、高木大臣に対してですね、こういうふうに報道で中井前拉致担当大臣が発言したというふうに言っています。

 中井大臣がどう言ったかというのはともかくとして、中井前大臣に対して朝鮮学校無償化の方向性について高木大臣から報告したということは事実ですか。

高木国務大臣 中井大臣は、御承知のとおり、前の拉致担当大臣でございました。拉致問題については大変な情熱を持ちながら取り組まれた方でございます。

 私としては、この朝鮮学校の高校無償化の件について、担当として今検討をしております、検討結果についてはまだ今からなんですけれども、そういう動きのことについてお話をいたしました。

下村委員 再三再四この場でも発言をしておりますが、我々は民族差別をするつもりはさらさらないんですね。ですから、朝鮮学校についても、外形的な要件として我が国の学校法人になる要件はもう整っているんですよ。ですから、韓国の学校のように、昔は韓国も民族学校としてありましたが、私学、学校法人に変わったというのが相当あります。同じような形で日本の教育下において共生していこう、日本の文部科学省なりあるい都道府県の学校法人の認可をとって、日本の教育の中で一緒に共生していこうということであれば、これは高校授業料無償化の対象だけではなく私学助成金も得られるわけですから、これは子供たちにとってもその保護者の方々にとってもはるかに経済的にはバックアップ状況があるんですね。にもかかわらず、それをとってこなかった。それは、朝鮮学校がみずから民族教育をしていく、そういう趣旨の中で今までやってきたことなんです。

 ですから、今回、結果的に、竹に木をつなぐようなことをすることによって禍根を残すようなことがあってはならないわけで、もっと本質的な意味でどうあるべきかということを政治的な判断で大所高所からきちっとやっていく。そして、ぜひ朝鮮学校については、我が国の教育の中で一緒に共生する、そういう大局的な大きな方向転換をしてもらえばこれは解決することなんですね。それをぜひ文科大臣としてはそういう立場からも考えていただきたいということを改めて申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、馳浩君。

馳委員 自由民主党の馳浩です。

 今の下村委員の質疑の内容をちょっとつないでお聞きしますが、まず、高木文部科学大臣は平成十八年度に成立をした教育基本法に賛成をいたしましたか。

高木国務大臣 今の教育基本法の国会議論の中でこの法案に賛成したか反対したかという御指摘でございます。

 私は当時の状況を正確には記憶をしておりませんけれども、私は、あの議論はもっと国民的な議論を続けるべきだ、審議不十分だという我が党の方針に基づいて、私たちはこの採決には参加をしておりません。

馳委員 という歴史的な経緯がありますが、今、大臣として、現行の、平成十八年度に改正をされた教育基本法に従って、教育行政のリーダーとして進めていくという決意をお誓いください。

高木国務大臣 私は現在行政の長でございますから、今の法律に基づいて仕事をすることだと思っております。

馳委員 そうするとおかしいんですね。改正された教育基本法第十四条、皆さんも御存じだと思いますが、政治的な中立性をうたっております。そして、あなたは今、これに基づいて、高校無償化法案、朝鮮学校に支援金を支給するということを決定した場合には、日本の教育行政の中心である教育基本法に基づかない決定をすることになるおそれがあるということを今は私は指摘せざるを得ないんですね。だから、先ほどからの、法的根拠という問題について厳しく詰めて議論をしているんです。

 十月二十一日の参議院の文教科学委員会で鈴木寛副大臣は、新たな判断基準をつくればそれが法的根拠になる、権限となる、法律に授権をされた省令ができれば、これが朝鮮学校に対する文部科学省としての権限になると答弁をされておられます。それでよろしいですね、鈴木さん。

鈴木(寛)副大臣 改正教育基本法に基づいて、学校教育法に定める各種学校であるいわゆる朝鮮学校に対して都道府県知事がその教育行政を行っているというふうに、改正教育基本法成立後もそのような状態が続いているというふうに、私も、そして文部科学省も理解をしております。

 したがいまして、現在の都道府県知事において行われております、しかも、我が国の法律によって認可された各種学校である朝鮮学校に対して適正な都道府県知事の行政は行われているというのが、恐らく我が国の定着した解釈だというふうに思っております。

 そして、今お尋ねの件は、先ほども御答弁申し上げましたけれども、引き続き、学教法に基づくその認可、監督ということは、都道府県知事が教育基本法も含むすべての法令に従って適正に行われてきたと私は信じておりますし、これからも行われていくというふうに思っておりますが、新たに就学支援金を交付するという観点からこの今規程をつくっておりまして、その中で基準ができ、手続が定められ、そして指定がなされた場合には、当然、その指定対象者に対して、その就学支援金交付という趣旨にかんがみて、文部科学省が直接に、これまでは直接にコンタクトすることが権限としてございませんでした、しかし、今後はその規程に基づいて、まさに高校無償化法案という法律に授権された省令及び、さらに、省令に基づく大臣決定になるのか告示になるかはこれからですが、いずれにしても、その諸法令に基づいて直接に文部科学省がその観点からコンタクトすることが可能になる、指定された場合にはですね、ということでございます。あるいは指定を望む申請が行われた場合にはと、こういうことでございます。

馳委員 そこまでの流れで私もいいと思っているんですよ。だから、下村さんもずっと指摘したように、その判断基準の規程の中身について、やはり詰めた議論をこの委員会の場においてもしなければいけないんですよということになってきたわけですよね。そのときにずっと議論になっているのが、その教育内容について問うか問わないか、ここの部分もやはり詰めた議論をしなければいけないと思うんです。

 私たちもこの間、朝鮮学校を視察したとき、朝鮮総連の幹部が同行していましたよね。非常に私たちも心配だなと思ったんです。

 保護者の皆さんからいただいた意見を私もこの委員会で言いました。何人が朝鮮籍から韓国籍に国籍を変えているか御存じですか。あるいは指導者親子の肖像画、これはやはり民族教育とは違う分野の意味がありますから、これを撤去してくださいと言っているか。民族教育といいながらも、特定の思想教育、また、先ほどからもありますように、大韓航空機爆破事件の、事実とは違うような内容の教育が行われていることに対してやはり懸念を持っている。こういうことを踏まえて国会でもお決めいただきたい。

 ただ、子供を通わせている親とすれば、就学支援金をぜひもらえるようにしてほしい。ここの部分を乗り越える努力をするのが、文部科学省であったり我々であったり、最終的に政府としての判断だと思って我々も議論をしているんですよね。

 そうすると、やはりどう考えても、省令の中に、規程なのか告示なのか、どういうふうな書きぶりかわかりませんけれども、明確に判断基準を書いた場合に、まあ十一月上旬には書くんでしょう、申請を受け付けて審査をした場合に、その判断基準に従ってその申請は受け付けることができませんという判断もあなたたち政府としてはできるということでいいんですね。

鈴木(寛)副大臣 まさに、どういったものが適切なのかということを検討をしているということでございますが、馳委員、先ほどもお話にございましたように、先ほどちょっと御紹介申し上げた大阪朝鮮高級学校の教育活動の確認ワーキングでも、専修学校の設置基準は満たしている、あるいは、履修、卒業に必要な単位数もおおむね満たしている。あるいは理数系科目については、高等学校と、類するではなくて同等の教育が行われているところまで行っております。文系については、特定の指導者に対する敬称があって、ここは考慮することが望まれるといった議論がずっとなされておりまして、そしてまた、語学教育や民族教育は大阪朝鮮高級学校の特色ある教育として大きな成果を上げており、さらに伸ばしていくことが望まれる。また一方で、開かれた学校づくりの取り組みも一層進めるべきである。非常にいろいろな観点からの御報告が出ておりまして、これも大いに参考にするべき議論があろうかと思います。

 まさにその規程づくり全体の中で、何を基準にするのか、何を留意事項に入れるのか、そしてそれをどういうふうに担保していくのか、あるいは開かれたものに情報公開していくのか。まさに、その精緻な制度設計をどうしていくのか。

 一方で、これはもう馳委員よく御存じのことでございますけれども、これまで、私立学校あるいはそれを準用している各種学校、専修学校に対して行政庁である都道府県知事とのこの距離感というものは、大変微妙な、そして、それこそこれまでの多年の議論の積み重ねがございます。

 そうしたことにも十分配慮をしていかなければならないといった中で、きょうの議論も含めて、しっかりとした検討をしてまいらなければいけないというふうに思っております。

 それで、この民族学校も、まさに学教法に基づいた各種学校という選択をされて、そしてその申請をされて、東京などは昭和三十年に認可されて、そしてそれ以降、都道府県と学校との関係が、十校でありますけれども継続している。こういう実態も考慮しなければいけない。

 本当に、さまざまな観点からきちっと検討を詰めていきたいというふうに考えております。

馳委員 後段の部分をもう一回言いますね。

 したがって、もしかしたら本当に我が国で戦後初めてというか、文部科学省がダイレクトに朝鮮学校に対して、省令に基づく規程によって、その基準に合致するかどうか、申請が上がってきたらそれを審査をすることになるわけなんですよ。

 これは私も三月十日の委員会で申し上げました。今、現行の法令で朝鮮学校がどういう教育課程を持つか、本国においてどういう教育機関に位置づけられるか確認できますか。川端大臣は確認できませんとおっしゃいました。その後、私は三回ぐらいしつこく、確認できるようにした方がいいんじゃないんですかと申し上げたら、そのことはやはり検討すべきだとおっしゃって、一つの流れになってきていると思うんですよ。

 そうすると、いよいよ煮詰まってきました。省令に基づく規程ができたとして、申請を受け付けたときに、その規程内容に従って申請を却下する、あるいは差し戻しをする、出し直しをしなさいという指導をすることはできるようになるんですよ。それでいいんですねということを私は聞いているんですね。

鈴木(寛)副大臣 三月以来の御議論を踏まえて、まさに、申請が上がってくれば、文部科学省はダイレクトに、これまでコンタクトできなかったいわゆる朝鮮学校とダイレクトにコミュニケーションができるようになります。

 そして、その指定のプロセスを通じて、当然、申請書類が出てまいりますけれども、指定をされるということであれば、その申請書類をいろいろ確認をし、それについていろいろな問い合わせあるいは確認といったことをやり得る立場になるということでございます。

馳委員 そのことを確認したんですよ。

 つまり、省令をつくったからはい出しますよというんじゃないんですよねということの確認をし、今後とも、この法律、授権を受けた省令、省令の規定に基づいて審査をし、審査に基づいて出しますよということが、まさしく透明なプロセス、法律に基づいたプロセスによってなされないと、これは朝鮮学校に今出していませんけれども、多分二億ちょっとでしたよね、税金を使うということについての信頼はやはり得られないんじゃないんですかということなんですね。私は、このことはやはりきっちりしなきゃいけないと思っているんですよ。

 先ほど、大臣は賛否あるというふうなおっしゃり方をしたんですが、これはちょっと違うと私は思うんです。みんな出してやりたいし賛成なんですけれども、賛成して出してやれる状況にないでしょう、法律の権限が今ないですよねという意味と、もう一つは、北朝鮮本国、朝鮮総連を含めて朝鮮学校側の姿勢も、下村さんがおっしゃったように、学校法人になろうと思えばなれる外形的なものを持っているわけですよ。

 こういうことを言うとなんですけれども、朝鮮学校の子供たちの教育というのは、日本の外国語教育が学ぶべきところはいっぱいありますよ。あの子供たちは、小学校一年生から朝鮮語と日本語と英語と始めて、中学生ぐらいになったらぺらぺらしゃべれるんですから。あれを見たら、日本の教育は何をやっているんだと恥ずかしくなりますよ。

 そのことはさておき、学校法人になろうと思えばなれる。けれどもそれを拒否しているのは、朝鮮学校、朝鮮総連、共和国本国ですよ。

 こういうことを踏まえたときに、本当にこの支援金を出す判断基準というものを、明確な基準のもとに、そして私は何度も言いますけれども、教育内容も含めないと、教育基本法に基づく対応ということにはなっていかないという指摘をまずしておきたいと思います。多分、私がこう主張していることと鈴木さんが今から言おうとしていることは余り考えに相違がないと思いますので、答弁は求めません。

 つまり、この問題については金曜日に集中審議をする予定でもありますので、改めてこの問題についてはそのときに送りながら、私はきょう質問項目をたくさん出しておりますのでほかの問題に入りたいんですが、鈴木さんしゃべりたそうだから、どうぞ。

鈴木(寛)副大臣 事実関係だけ申し上げます。

 朝鮮学校には学校法人を取得しているところもございます。あとも、法律上の準学校法人ではございます。

 先ほどの御議論は、私立学校になるかならないかという話でありますが、今回の就学支援金は、私立学校に加えて専修学校高等課程も対象にしようということに踏み込んだわけですね。そこからこの議論が始まっております。

 それで、専修学校高等課程をとってもらえばいいんですけども、それは、結局、学校教育法上、いわゆる外国人学校はそもそもなりたくても専修学校高等課程になれない、専修学校になれないというところからこの議論が始まっているということはもう十分御承知だと思いますが、事実関係だけ申し上げておきます。

馳委員 私の大ざっぱな議論の中身を埋めていただいて、ありがとうございます。

 でも、ほかの外国人学校はすんなりと決まったんですね。では、なぜこの朝鮮学校は決まらなかったかという経緯、これはやはり内閣の中で統一した方がいいですよということを高木大臣にはお願いをしたい、こういう議論なんですよ。

 この問題はきょうのところはここまでにしておいて、実は宇宙基本法に関する問題でちょっとだけ、藤木局長も来ていただいておりますので。

 これは実は大臣、こういうことなんですよ。宇宙基本法に基づく行政のあり方について、去年の民主党のマニフェストのインデックスでは見直しについて言及しているんですね。そもそも、宇宙基本法の附則の第二条、三条、四条については、一年を目途にした見直しということについて、JAXAを含め機能の見直しということになっているんですよ。

 ところが、もうあれから一年以上過ぎておりまして、文部科学省が、宇宙行政、司令塔も含めて、開発も含めて、これに極めて後ろ向きではないのかなという指摘が今されております。

 これはまず、民主党のインデックスに基づいて、こういう方向で、はっきり申し上げれば、宇宙庁を内閣府のもとにつくり、その中にJAXAも置いて、宇宙開発戦略本部も、それから開発、運用等についても対応すべきではないかというふうになっているんですが、大臣、去年のマニフェストに基づいての対応をすべきというふうに考えておられますか。

高木国務大臣 御指摘の、宇宙庁などの、宇宙基本法を含めてどのように取り組むかという御指摘でございます。

 もちろん、民主党のマニフェストというのは、十分我々が訴えてきたことでございますから、この実現については努力をしていくことは当然でございます。

 その上で、宇宙基本法の附則で定められております宇宙開発戦略本部事務局の内閣府への移管、また、宇宙航空研究開発機構や宇宙開発利用を推進する行政組織のあり方に関しては、今、宇宙開発戦略本部を中心としてこれは検討が行われておる、私はそのように承知をいたしております。

 文部科学省としましては、これまで宇宙開発担当大臣等の関係閣僚とも議論を行ってまいりました。また、専門家、有識者の皆様方の検討会において、当省が担っておる詳細な説明もしてきたところでございます。

 宇宙庁という話でございましたが、宇宙庁も含めて、私は、省庁全体のまさにガバナンス、国として戦略的に検討する課題ではないか、このように思っています。

馳委員 附則の第三条をちょっと読みますね。こういうことなんですよ。「政府は、この法律の施行後一年を目途として、独立行政法人宇宙航空研究開発機構その他の宇宙開発利用に関する機関について、その目的、機能、業務の範囲、組織形態の在り方、当該機関を所管する行政機関等について検討を加え、見直しを行うものとする。」とあるんですが、あのインデックス二〇〇九には抜粋でこういうふうにあるんですね。「わが国の宇宙開発利用を強力に推進していくために、二〇〇九年度中に各省庁の宇宙関係セクションと宇宙航空研究開発機構(JAXA)企画部門を内閣府のもとに再編一元化するとともに、将来的にはJAXAを含む独立した組織の創設を検討します。」とあるんですよ。

 この方向性の議論として、大臣は今協力をしておられますかということが私の質問の趣旨です。改めてお伺いします。

高木国務大臣 もちろん私は、協力をしておる、こういう立場でございます。

馳委員 大臣は今就任されたばかりなので、これまでの経緯また今後の見通しということも含めて、参考のために藤木局長にお伺いしたいんです。

 大臣は協力しますとおっしゃっておられるんですから、それに従ってあなたも対応しなければいけないんですが、今までの議論の整理をちょっとお伝えいただきたいと思います。

藤木政府参考人 それでは、これまでの検討の経緯と事実関係を御説明させていただきたいと思います。

 今御指摘ございましたように、宇宙基本法、平成二十年に成立いたしましたので、その後、宇宙開発戦略本部ができ、その宇宙開発戦略が、司令塔機能として今後の宇宙開発利用推進体制についてもその検討をさまざま積み重ねてきておられるというふうに承知しております。

 具体的には、宇宙開発利用戦略本部の中に宇宙開発利用体制ワーキンググループという有識者の会合を設置されまして、鋭意さまざまな御検討をされたというふうに承知しております。

 その中では、幾つかの今後のあり方につきまして選択肢が示されているということであると。その中には、現状の総合調整機能を強化する案、あるいは再編一元化で全部を一体化する案、そういった幾つかの案がその中の選択肢として含まれているというふうに承知しております。

 その後も、宇宙開発戦略本部を中心にこれの議論が閣内で進められておりまして、先ほど大臣からお話しありましたように、閣僚レベルでのさまざまな議論が重ねられ、また事務的にも、文部科学省の役割等につきまして宇宙開発戦略本部にさまざまな御説明をするといった形の御協力をしてまいっているところでございます。

 全体の経緯としてはそういう事実関係であると認識しております。

馳委員 これはもうやめようと思ったんですが、これは副大臣の方に聞いた方がいいかもしれませんが、このやはり民主党のインデックスにおいて、要は、JAXAを文部科学省の所管から引きはがして独立した組織の機関の中に入れてしまって、宇宙政策の一元化をしたらどうかという方向性なんですよね。ここが非常に大きな議論のあるところだと思うんです。JAXA法では多分平和利用ということはできないかもしれませんが、宇宙基本法に従って宇宙政策の一環として平和利用もできるようになっているはずです。

 今後のJAXAのあり方にもかかわる問題ですし、御党におかれましても、細野豪志さんが宇宙基本法をフォローアップする協議会で大変議論を進めておられます。

 それを踏まえて、これはやはり最終的には政治判断、政務三役の判断になってくると思うんですよ。副大臣で結構です。

笹木副大臣 いろいろ議論があることは承知しております。

 一つは宇宙の研究のあり方、そういうことについてさらに総合的に取り組んでいく、そういう問題意識で始まっているということも承知をしております。

 今、総合科学技術会議の改組などを含めて全体的な体制とか、個別の分野だけじゃなくて、どういう対応をしていったらいいのか、そういうことを全体的にも検討している、そういう状態です。個々の案件まではまだ議論が及んでいるわけじゃありません。

馳委員 まさしく与党ということを考えると、河村建夫先生は今隣におられますが、座長として議論しておりまして、御党では、樽床さんや細野さん、岸本さんなどが議論に積極的に参加されておられます。やはり、政府と民主党というのは足並みをそろえて進んでいかないといけないと思っておりますので、大いにひざを突き合わせて方向性を議論し、宇宙基本法の附則では一年を目途にというふうになっておりますし、あなた方のインデックスにもこういう方向性が出ております。

 そうすると、大臣も、検討はいいんですけれども、どこかでやはり決断しなきゃいけない問題になりますし、ましてや宇宙基本法というのは、超党派の議員立法で成立した法案でもありますので、この進め方というのはやはり政務三役の指導力が問われると思いますので、こういうことの指摘を踏まえて、大臣、最後に一言お願いしたいと思います。

高木国務大臣 宇宙基本法の件についても私は承知をしておりますし、その国会議論も経過もございます。また、我が党が示したマニフェスト、さきに触れられましたマニフェストに記載をされておることについて、私たちはその実現に努力をすることは当然でございます。そういう意味で協力という言葉を私は使わせていただきました。

 ただ、もうこれは十分おわかりの上での御質問と思いますが、この宇宙開発利用推進体制のことについては、やはり整備すべきことがたくさんあろうかと思っております。

 それから同時に、今日、我が国のこの宇宙開発利用の実績、これまで多くの方々が大変な御努力をいただいてここまで来た。特に、「はやぶさ」やあるいは宇宙飛行士の活躍、また、準天頂衛星打ち上げの成功、あるいはロケットの成功率など、私はかなりの成果が今上がっておると思っております。

 したがって、内閣や内閣府の企画立案機能、各省の担う実施機関、実施機能、JAXAもそうですが、そういうあり方については、やはり総合的に検討することが何よりも重要であろうかと思っております。

 そのために、現在、総合科学技術会議の改組なども含めて、科学技術行政全体の強化という議論の中でこのあり方についても検討していくべきもの、私はこのように考えておりますので、念のために申し上げておきたいと思います。

馳委員 大臣、最後は答弁書を見ながらしゃべったでしょう。それが私たち実は一番心配しているんですよ。総合的なと言っちゃうと、海洋とか、そのほかの最先端の研究領域とともにJAXAは文科省にないとだめですよと言外に言っているように聞こえるんですね。そういう観点はあるかもしれませんけれども、今まで宇宙基本法の理念で進めてきた方向性というものに協力をするようにしてくださいよというのが、私や隣にいる河村さんの一つの願いでもあるということ。この議論はまた時間をとってしっかりします。

 同時に、これはちょっと蛇足の話ですが、この間、JAXAの相模原センターに行ってまいりました。本村さんの選挙区で、ポスターがいっぱい張ってありましたね。私も、テレビで見たあの管制室に入ってびっくりしたんですよ。何か、十年かそれ以上前のコンピューターを後生大事に使っているんですね。これで「はやぶさ」のコントロールをしていたのかというと、正直言って、この設備であれだけのことをなし遂げた英知の結集、すさまじいなと思ったと同時に、もうちょっと何とか最新の設備をつくってやれないのかよということも言いました。

 職員の皆さん方は、いや、私たちは大事に大事に使っておりますから、こういうところまで予算が削られておりますので回っておりませんから、できればいいものがあるにこしたことはないけれども、これで私たちは頑張りますというふうにおっしゃっておられまして、いやあ、ちょっとこれは余りにもと思ったことをつけ加えて、大臣の耳の中にちょっと入れておいてください。もし行かれることもあると思いますから、管制室をごらんになって、一回行かれましたか、まだ行っていないですね。では、行って一度ごらんになってみてください。そのことだけで結構です。

 さて、次の課題に入りますが、実は私、国会閉会中にモスクワとロンドンに行ってまいりました。自腹で行ってきました。レスリングの世界選手権の日本チームの団長として、まずはモスクワは世界選手権、ロンドンは、オリンピックの直前合宿等の拠点であり、スポーツ政策・医科学等についての研究を共同して進めておりますラフバラ大学に視察に行ってまいりました。

 そのときに、私も久しぶりに強化の現場の声を聞いたり、それからJISSの職員も、マルチ・サポート事業なんでしょうね、ビデオ撮影に来て、その日のうちに加工して現場に出してくれるというすばらしい働きをしておりました。そのJISSの職員の皆さん方からも、また、NAASHのロンドン事務所の高橋さんという所長さんともお話を伺って、こうした方がいいんじゃないかなというふうな思いを持って帰ってまいりましたので、ちょっとこれについて集中的に質問させていただきます。

 まず一つ目の心配は、マルチ・サポート事業を拡充していくつもりは今後ございますか。ロンドン・オリンピックが終わったらやめたとか、財政が厳しいから、財務省から厳しく言われたので縮小になりましたとか、そういうことを言ってほしくないんですよね。マルチ・サポート事業の重要性というのは重々わかっています。その上で質問しているんです。

 政務三役、できれば鈴木副大臣に、まずマルチ・サポート事業、これを今後も拡充し定着させてスポーツ界に安心感を与えるためにも、この政策は重要なんだということをやっていくおつもりですか。

鈴木(寛)副大臣 全力を挙げてマルチ・サポート事業の充実に取り組んでいきたいと思います。

 御承知のように、平成二十二年度で六倍にさせていただきました。そして、来年度、二十三年度概算要求では、本年が十九億円ですけれども、二十七億円の要求をいたしております。

 ぜひ、委員の御支援も得て予算の確保に努めたいと思いますし、ロンドン以後も、こうした体制、せっかく今一生懸命本当に総合的なチームができております、ネットワークもできておりますので、こうしたことをさらに拡充、充実をしていきたい、こういうふうに思っております。

馳委員 この委託を受けているのは、応札の結果、JISSと、それから筑波大学が基幹校となって研究者をコントロールすることになっていますが、そうするとまず次の心配は、マルチ・サポート事業の予算が拡充されたのでJISSの予算を減らされるんじゃないかという心配があるわけですね。いかがですか。

鈴木(寛)副大臣 昨年、若干でございますけれども、皆さんの御支援でスポーツ予算をふやしていただきまして、一応過去最高ということになっております。

 トータルとしてやはりスポーツ予算をきちっと確保していかなきゃいけないと思っておりますし、JISSも大事な役割を担っていただいておりますので、必要な事業が確実にできるように、別に、マルチ・サポートをふやしたからJISSを減らす、そういうことではなくて、それぞれの大事な機能が最大限発揮されて連携できるように、そのように努めてまいりたいと思っております。

馳委員 いや、だから、今年度、マルチ・サポート事業は六倍にふえてよかったんですよ。その使い道についてはまた今から聞きますが、今年度、JISSの予算はふえていますか減っていますか。

布村政府参考人 お答えいたします。

 マルチ・サポート事業につきましては、十九億近くの額にふやしてございます。JISSにつきましては、基本的に、独立行政法人スポーツ振興センター全体としては若干減額になってございますけれども、競技力向上あるいはスポーツ予算につきましては、おおむね前年と近い形で措置しているところでございます。

馳委員 もう一回聞きますね。では、JISSの予算は昨年度は幾らで、ことしは幾らですか。

布村政府参考人 申しわけございませんけれども、今は正確な数字を持ってございません。後ほどまた御説明いたします。

馳委員 これは、スポーツ界というか、私もスポーツを応援する議員の一人として、マルチ・サポートがふえていく、その内容についてはこの後十分聞きますが、それによって今までやってきたJISSの予算が減らされていく方向性は、それはおかしいんじゃないんですか、そもそものJISSの役割があるわけですから。マルチ・サポート事業というのをJISSが委託を受けるだけでありますからね。この辺はやはり、先ほど鈴木副大臣が答弁されたように、JISSの運営費の予算は予算として守りながら、委託を受けているマルチ・サポート事業を拡充していく方向性ということを守ってくださいよということですから。これは布村局長が答弁する話じゃありませんので。

 次は、マルチ・サポートというのは一〇〇%国費じゃないですか。そうすると、スポーツ国際競技力強化の予算でいうと、注目を浴びるのが、JOCに補助している三分の一補助の部分なんですよ。ここが減らされるのではないかという不安を持っているんですね。なぜか。今まで計画的に強化を進めてきたのに、その強化ができなくなってしまうのではないかという。JOCの予算を減額された部分をマルチ・サポートが十分補い切れるのかというこのお見合いもあるんですよ。

 まずこれは鈴木副大臣にお伺いしますが、去年のJOCの強化補助予算と、平成二十二年度、ことしのJOCに対する国際競技力強化の予算と、ふえていますか減っていますか。そして、私が今指摘した、JOCが安心して国際競技力強化に今後とも臨めるような体制ですよ、そして予算ですよ、それを確保することをお約束いただけませんか。これは鈴木さんじゃなきゃ答弁できないはずですから。

鈴木(寛)副大臣 まず予算の増減については、同額でございます。もう十分御承知だと思いますが、何かの予算がふえたからこちらが減るという話ではなくて、それぞれに大事な役割と、そして事業目的がございます。そして、それが合わさることで効果が二倍にも四倍にも十倍にもなっていく、こういうことを目指して、JOCにもJOCの役割があって、そしてそれはこれまでも頑張っていただいていますし、これからも頑張っていただきます。

 ただ、マルチ・サポートで言うまさに医科学だとか栄養学だとか、そういった日本の総力を結集して日本の競技力を向上していこうと。

 例えば、この前の南アフリカのワールドカップで日本が九位ということで大活躍をしていただきましたが、あそこには、もともとは陸上競技のサポートをしておられた心肺機能の医師に帯同していただいて、特に高地と、要するに、海抜ゼロメートルと千三百メートルと一戦目、二戦目、三戦目と行ったり来たりする中で、そうしたサポートがあったおかげで特に大変厳しいコンディション管理ができたということもございますので、こういう形でそれぞれの競技力を向上していこう、それで共有できるものは共有していこう、こういうことでございます。

馳委員 そこで、次のスポーツ界の心配事は、国際競技力を高めていくために必要な要素として、スポーツ医科学や情報や栄養学とかそういうサポートチームが必要だということで、私はこれは大いにすばらしいことだし、全額国費でやれるんだからすばらしいと思っているんですが、そうすると、まず第一に来るアイデアとか国際競技力強化のための方策というものをどこがつくっているかというと、これはJOCがつくっているんですね。

 これは鈴木さんよく御存じだと思いますし、大臣もこういうことはよくわかると思いますけれども、今まで自分たちが国際競技力の強化のための情報を各競技団体から集めてきて、自分たちが練り上げて実行する、その三分の一予算を文部科学省、国からもらっていた、残りの三分の二を頑張って民間から企業支援とかで集めてきたという誇りと、自分たちこそはこのノウハウを持っているというのがあるんですよね。

 ところが、マルチ・サポート事業がJISSに委託をされて筑波大学と協力してやっていますけれども、そもそも、国際競技力強化のアイデア、それに取り組むおれたちの意見をまず聞けよというふうな、何となく感情的な問題になっているんですよ。そこが私はちょっと困ったなと。協力してせっかく一〇〇%補助でマルチ・サポートが来ているんだから、うまく連携してやればいいじゃないかと言っているんだけれども、結構すぐ頭に血が上る人が多くて、ちょっと困ったなということになっているんです。

 そうすると、鈴木副大臣、いかにこのマルチ・サポート事業を連携して進めていくかというためのアドバイザリーボードであったりコーディネートをする、そういう役割が必要になってきますよということを指摘したいんです。

 なぜかというと、JISSというのは、もともとスポーツ医科学、情報戦略等々の専門家が、特に研究者は任期制で入っているわけですよね。しかし、スポーツ政策について、競技団体やJOCや文部科学省や各大学や国際的な連盟や、そういった機関と連携をして、何がベストで、それを実行していこうとするコーディネート役を果たす人というのは今までいなかったんです。こういうコーディネート役をマルチ・サポート事業へ委託し、今後とも進めていかれるということですから、いいんですよ。せめて、その役職になる人を置く、そして、そういうコーディネートする人を育てていく、そういう姿勢がないと、来年二十七億近い予算要求を出していても、やはり、実をとってもそれが現場で生きてこないんじゃないのかなという心配があるんですね。

 お答えをいただきたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 基本的に全く同じ認識だと思います。ですから、そういう心配にならないように、選手のこと、競技のことをよく御存じのJOCの皆さんと、そしていろいろな科学的なことを御存じの皆さんが、まさにたて糸、よこ糸ががっちり組んだ形でやっていただきたいというふうに思っておりまして、そのために、例えば、JOCから国立スポーツ科学センターにこの七月から派遣をしていただいて、こういうのは、やはり現場の関係者同士が本当に通じているということが大事だと思いますので、そういったことを初めとして、やはりJOCの強化部門とそれぞれの主体が密接に日ごろから連携できるような体制に、きょうの御指摘も踏まえて、さらにきちっとフォローアップしていきたいというふうに思っております。

馳委員 これは私なりの提案ということを申し上げれば、やはり、コーディネート役をやるような人の役職をJISSの中に置いておいた方がいいと思うんですよ。

 あるいは、違う選択肢を言いますと、JISSの所長がNAASHの理事になって、したがって、NAASHの中において予算の、いわゆる権限ですね、責任体制を持つようにしておいた方がいいんじゃないかという提案が二つ目です。

 三つ目は、NAASHの理事とJOCの理事を兼ねることによって、お互い現場同士でそんなに権限争いとかお金の奪い合いとかアイデア争いとか、そういうのじゃなくて、最終的な調整をする役割は常にありますよということを整えておいたらいいんじゃないのかなと。

 何となく今は、JISSが委託を受けたので、JISSが最終的に何か決めないとすべて物事が進まないような印象があるんですね。それはやはりよくないなと私は思って、この事業推進の会議に、私、二回目にちょっと陪席したんですよ。ちょっとぎくしゃくしていたなと思いました。ナショナルトレーニングセンターで私もナショナルチームの合宿に参加したときにこのマルチ・サポート事業の推進会議の第二回目にちょっと陪席したんですけれども、ちょっとこのままだとうまく転がっていかないんじゃないのかなという不安も覚えました。

 その辺を踏まえて、この人事のあり方、調整のあり方についてリーダーシップを発揮してほしいんですね。いかがですか。

鈴木(寛)副大臣 三つ目の提案以外は、真摯に受けとめて大いに参考にさせていただきたいと思います。

 JOCとNAASHの役員が兼ねると、これは利益相反のちょっと可能性がありますので、そういう意味ではそこだけ留保をつけさせていただいたわけでありますけれども、ただ、これは、そういう人事の問題、それから、これからそういう関係を構築していくという今後の期待も含めて、いずれにしても、制度だけの問題では解決できない話もありますので、きめ細かく見てまいりたいというふうに思っております。

馳委員 前向きにとらえていただいてありがとうございます。

 本当にやはりJISSの役割が大きくなった、これからもなる。NAASHの中においての発言権、予算についての権限、やはり調整できるような人になってほしいし、NAASHの中でも、正直、大声を出してちゃんとやってほしいんですよ。それと、JOCとの調整をしたときに、最終的に、JOCの強化現場の声も聞いてやりますよというふうに、いわゆる交通整理をできる人がやってほしいんですね。

 高木大臣、この話を聞いていて多分おわかりになると思います。まさしく政党でいえば、国対委員長みたいな役割をちゃんと決めておいてねというふうな、こういう話なんですよ。

 さあ、それでは具体的に入っていきますが、この間、橋本聖子さんと話をしておって、馳さん、委員会質問するならぜひこれを聞いてと言われたのが、十二月にフィギュアスケートが中国で国際大会がある、ところが、昨今の外交状況からして、フィギュアスケートの女子は、怖くて行きたくない、嫌だ、何かされるかもしれない、怖い。まさしく不安に思って、国際大会、中国に行きたくない。それをなだめるというか相談に乗った上で、では、そういう不安のないようにスタッフを、あなたたちの競技に臨む宿舎においても途中においても競技場においても、選手のことを守るためのそういったスタッフをちゃんとふやすからと言ったら、最終的には、それならわかりましたというふうなことがあったんだそうです。そうすると、スタッフを派遣するときに渡航費、滞在費がかかるんですよ。これは想定外のやはり出費になるわけですよね。

 私はどういう言い方をしたらいいかわかりませんが、マルチ・サポート事業の中においてもそういうふうな、やはり、心理スタッフなのかあるいは支援スタッフなのか、サポートスタッフという言い方なのか、こういうことを弾力的につけてあげるようにしないと、選手自身が精神的に不安定なまま競技に臨む、あるいは行きたくないと言ったら、日本の代表選手が行かなくなるわけですよね。

 これについての見解をちょっとお伝えください。

鈴木(寛)副大臣 おっしゃるとおり、やはりメンタルというのは、このスポーツ競技、特にトップ競技との関係においては欠かすことのできない大変密接な関係のあることだというのは、御指摘のとおりだと思います。

 もちろん、この事業の趣旨、目的というものがあるわけでありますけれども、その目的に沿って、できる限りのそうした現場の声にはこたえてまいりたいというふうに思っております。

馳委員 さらに細かい話をしますが、私はモスクワの世界選手権の団長に自腹で行ったと言いました。私は自腹で別にいいんですよ。逆に、自分が行って勉強してくることにもなりますからね。

 ところが、現場に行ってびっくりしたんですけれども、レスリングというのは階級が五十五キロ級から百二十キロ級まであります。ところが、コーチングスタッフに重量級のコーチがいないというか、連れていけないんですよ。登録の問題もありますからね。

 そこで、四十九歳、元プロレスラー馳浩が着がえて、スパーリングパートナー、試合直前にコーチが、JISSのスタッフがよこしてくれたビデオ、その日のビデオですよ、相手は左構えだからこうしろ、右構えだからこうしろ、間合いをとって飛び込んでくるからこうやって守れというのの相手役を私がやったんですよ。

 これは、やはりJISSの方々が編集してくれたビデオは物すごく役に立ったんです。パソコンでDVDを焼き直して見たら、コーチが的確に指示する、しかし、それだけでは残念ながらだめなんですね。それを確認する、そして、トップレベルの選手は、見て確認して、その日のうちに修正をできるんですよ。

 だれだったかな、これは女子ですけれども、準決勝で負けて過呼吸で立てないぐらいに泣き崩れた選手が、そのJISSのビデオを見て確認作業をして、コーチから聞いて、そういう取り組みをちょっと自分なりにやって、三位決定戦で立ち直って銅メダルをとったんですね。ほかの国の監督、コーチ、役員、みんなびっくりしていましたよ。病院に運ばれるものだというふうに思っていたぐらい倒れ込んだ選手が、二時間後には立ち直ってきたんですね。

 そのときに現場から聞いたんです。今まではこうだった、ジュニアの代表をシニアの代表の練習パートナーとして連れてきていたと。そうすると、これはまさしく僕はマルチ・サポートの範囲に入らないかなと思ったのは、こういうことなんですね。

 試合直前にでもコーチの指示に従って動きを確認し、試合中にですら試合のペースをギアチェンジできるのがトップレベルの選手なんです。それを支えるためのスパーリングパートナー、ところが重量級は一人もいない。おじさんの馳浩が一生懸命汗を流してやっているという。これはそういう意味でいえば、対人競技ですよね、レスリングとか、柔道もそうですよね。強化のためには、やはりこういうスタッフの派遣、充実といったものも考えられていっていいんじゃないかなと思ったんですね。いかがですか。

    〔委員長退席、高井(美)委員長代理着席〕

鈴木(寛)副大臣 マルチ・サポート事業といいますのは、トップアスリートがメダルを獲得するために、科学を活用した多面的な、専門的な高度な支援を戦略的、包括的に行う、こういうことになってございます。

 したがいまして、こうした目的を踏まえて、今のことも踏まえて、できるだけ現場の御要望にこたえたいというふうに思います。

 改めて、そうしたことについて、担当といいますか御専門の現場から御意見を伺って検討させていただければというふうに思っております。

馳委員 私は言い忘れましたが、ジュニアの選手をああいうところに連れていくと、やはり雰囲気にのまれて、シニアの選手ですら初出場の選手や二回目ぐらいの選手はびびっちゃって、ふだんの動きが全くできない。夢遊病者のようになっているのを我々コーチや団長がリラックスさせる、やっとというふうなこういう状況もあるんですね。

 ぜひそういうスタッフの支援ということも、マルチ・サポート事業の中で、まさしくメンタルの部分でありますので、検討してほしい。

 もう一つは、なるほどなと思ったのは通訳です。それで、うちのレスリング協会の福田会長というのは、長年同じ通訳を使っているんですよ。この人は、ロシア語もできるしフランス語もできるし英語もできるし、もちろん日本語もできます。どうしてですかと聞いたら、同じ人間がそばにいて、各国の役員、つまり国際連盟の役員を知っていて、その家族関係まで知っていて、例えばアゼルバイジャンならアゼルバイジャンの国情まで知っていて、ドイツとかフランスのスポーツ政策のことまで知っていて、それで日本の役員、実は、福田日本レスリング協会会長は国際レスリング連盟の副会長なんですよ。そうすると、やはりいろいろな調整事があるんです。ルールもそうです、次の開催地をどこにするか、オリンピックに向けてどうするかという、まさしく、これがスポーツの国際性を発揮する上において大事なことだと思いますし、あのNAASHロンドン事務所の一つの役割でもあるんですよ。

 それぞれの国際的な協議機関、連盟、縦ぐし、横ぐし含めて人脈を持ち、そしてその中で日本人が主張し、それは外交的な問題もそうですし、スポーツの中にスポーツ政策を取り組んでくる、あるいは、ODAなど、青年海外協力隊の事業などを通じて日本の教育プログラム、体育プログラムというものを各国に伝えていく、あるいは各国のものを集約する、こういったことも国益に資する問題なんですね。

 そのときに、意思の疎通を図るためには毎回毎回通訳がかわっていてもだめなので、事情をわかった人が常にそばにいてやりとりをすることの重要性というのを、私、本当によくわかりました。

 その通訳の方はもう六十過ぎた女性の方なんですけれども、例えば、ロシアの会長の奥さんはこういうことが好きだとか、フィンランドのチームは今こういう状況だ、全部知っているんですね。それを的確に通訳をしながら、アドバイスもしながらするんですよ。

 スポーツの国際性という観点からも、マルチ・サポート事業の役割、これは、スポーツ医科学と情報、メンタルを含めてですね、その役割を考えたときに、ただ単にオリンピックでメダルをとればいいというだけの問題ではないなと、私はその現場を見て思ったんですね。常にこうやって日本人が主張し、政府を代表し、あるいは選手を代表して主張を続けていくということの役割というのは大事だなと思ったんです。

 ぜひこのこともマルチ・サポート事業の枠として検討していただきたいんですが、鈴木副大臣、いかがですか。

    〔高井(美)委員長代理退席、委員長着席〕

鈴木(寛)副大臣 まず、基本的にはよく検討したいと思います。

 今のお話を聞いていますと、情報学、情報戦略、まさに、マルチ・サポートの中ではやはりコミュニケーションというのがメンタルと同時に大変大事な要素というふうにも伺いましたので、いずれにしても、現場の皆さんとよく相談していきたいと思います。

馳委員 次の話題ですが、スポーツ振興基本計画が、十年計画が平成二十二年度で終わるはずなんですね。その評価をしていますか。しなければいけないはずなんですよ。なぜかというと、第二期スポーツ振興基本計画があるはずです。それをつくらなければいけないはずです。

 まとめてもうこれは鈴木さんに聞きますよ。平成十二年から始まったスポーツ振興基本計画、その評価をしっかりしてください、いいことも悪いことも。同時に、第二期スポーツ振興基本計画をつくるときにそれを生かしてください。そして、第一期をつくるときにはスポーツ振興法が一つの根拠だったわけですね。第二期のときには、政府も、我々超党派の議員連盟も鈴木さんもよく御存じの、検討中のスポーツ基本法をやはり根拠にしてほしいんですね、それは整合性の意味で。

 したがって、質問はこういうことです。スポーツ振興基本計画の評価をちゃんとやっていますか、それを第二期に生かすおつもりですかという当たり前の質問と、二つ目の質問が、第二期をつくるときには、昭和三十六年にできたスポーツ振興法じゃなくて、今検討中の、それも、数年間かけて検討中のスポーツ基本法を根拠にしてほしいので、この作業をやはりぜひ進めていただきたいということなんですよ。

 これはやはり副大臣よく御存じの話でありますし、我々は既に国会に自民党、公明党案を提出しておりますので、国会においてどのように処理をするかという問題とも絡んできますから、このお答えをいただいて私の質問を終わります。

鈴木(寛)副大臣 まず、評価ということでございますが、例えば子供の体力で申し上げると、目標は上昇傾向に転ずることを目指すということでありましたが、現状は、小学校高学年以上に緩やかな向上傾向が見えますが、しかしなお、ちょうど馳先生とか私ぐらいのときが一番日本の子供たちの体力というのがピークでありましたが、そこから比べるとまだ十分ではないということでございます。

 それからスポーツ実施率につきましては、目標は五〇%でございました。これは四五まで来ましたので、ここはかなり健闘をしているかなと思います。

 メダル獲得率は、夏季、冬季オリンピックを合わせまして目標三・五でございましたが、北京とバンクーバーで申し上げますと、二・四七というのが評価でございます。

 それから、スポーツ立国戦略をつくる上で、こうした数字にあらわれないさまざまな評価に対するコメントをいただいて、スポーツ立国戦略もつくらせていただきました。

 そして、当然これを次の計画に生かしていかなければいけないわけでありますけれども、これは、ぜひスポーツ基本法というものを国会の方で御議論いただいて、そして成立をさせていただいた暁には、スポーツ基本法に基づく基本計画として策定をしていくことが望ましいというふうに、期待、希望も強く持っております。

 私どもといたしましては、そのようなことになったときにきちっとしっかりとした計画がつくれるよう、万全の準備は行政府の責任においてさせていただきたいというふうに思っております。

馳委員 終わります。

田中委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。池坊保子君。

池坊委員 公明党の池坊保子でございます。

 まずは、高木大臣、大臣御就任おめでとうございます。

 私が平成八年に新進党で議員になりましたときに、高木大臣は先輩議員でいらっしゃいました。温厚で冷静で、そしてお優しくて。ごまをするわけではございませんが、その後は党を離れましたけれども、私は、頼りに思う先輩としてずっと接してまいりました。

 先日の大臣のごあいさつも、大変丁寧に、ちょっと丁寧過ぎるかなと思うほど丁寧にお読みになっていらっしゃり、私は、きっとこの文部科学行政に対してはきめ細やかに、そして丁寧に対処をしようとしていらっしゃる姿勢のあらわれではないかと好感を持って伺いました。

 私はちょうどデジタル教科書を質問しようと思いまして、用意をいたしておりましたそのとき、鳩山総理がおやめになって、流れました。ですから、今回も流れたらつまらないなと思っておりましたら、このように委員会が開かれるようになりましたことは、大変うれしく思っております。

 大臣は誠心誠意の方でいらっしゃると思いますが、この文部科学委員会だけが独自にあるわけではなくて、すべての委員会との連携の中にこの委員会も開かれていると思います。ですから、ほかの委員会もすべからく政権与党はどうあるべきかをどうかお示しになって、ほかの委員会でも誠心誠意で対処していただけたらというふうに私は思っておりますので、どうぞ、民主党にお帰りになりましても、閣議の中にあっても、そのことを言っていただきたいと私は切に希望しております。

 そして、思っておりますことは、私は十五年間文部科学委員に属しておりまして、教育行政、科学、芸術、スポーツ等をやってまいりましたから、この文部科学の当委員会に対する情熱というのは深くございます。高木大臣はほかの委員会に属していらした方だと思いますが、むしろ、その方が新鮮な視点がおありになるのではないか。私たち、ずっとここにどっぷりつかっておりますとわからない視点もあると思いますので、ぜひそれは、おかしいのかなとお思いになったことがあったら、果断にそれを主張し、そして直すべきところは直す、新しい風をこの文部科学委員会にも文部科学省にも吹き込んでいただきたいというふうに思います。

 例えば、当たり前と思っておりましたことで、天井の高さ。学校をつくりますときの天井の高さというのは、北海道も沖縄もみんな同じだったんです。でも、皆さん、おかしいと思いませんか。やはり、それぞれの地域の、それぞれの事情というのがあると思うんですね。今忘れましたが、それも古い古い前に決められた法律がそのまま残っていたんです。私どもの前々代表の神崎さんが、それはおかしいんじゃないかと総理におっしゃって、そうか、それならばということで変えられたんです。小さなことですけれども、そういうことがたくさんあると思いますので、ぜひそういう目で新鮮な風を吹き込んでいただきたいと私は思います。

 先日の大臣のごあいさつを受けて、私が極めて重要と思っております問題の幾つかを質問させていただきたいと思います。

 きょうは財務省からも吉田政務官にお出ましいただいていると思います。お忙しい中、ありがとうございます。文部科学省だけでなく、文部科学省の存在は財務省を抜きにしては語れないと思いますので、ぜひしっかりと政治家としての御答弁をお願いしたいと思います。

 民主党の目玉政策でもあり、マニフェストにも掲げられている少人数学級について伺いたいと思います。

 文部科学省は、義務教育諸学校の少人数学級を実現するため、平成二十三年度を初年度とする新しい教職員定数改善計画を立案し、来年度概算要求で、計画の初年度分として、小学校一年生、二年生の学級編制の標準を三十五人とする要望を提出していらっしゃいます。

 昨日は、少人数学級成立のための決起集会がございまして、高木大臣もいらっしゃいましたけれども、超党派で、そしてまたそれぞれの立場の人たち、日教組、またPTA協会、校長会、すべての方々がこれを実現しましょうという集会で、私は、平成十七年の義務教育費国庫負担金堅持の集会を思い起こしました。あれは、大きなうねりの中で、地方分権だ、教職員の給与は地方に任せようじゃないか、それが本当に主流だったんです。でも、違うんじゃないかと。教職員、つまり、学校の先生というのは生徒と向かい合う柱ではありませんか。その人たちの給与ぐらいは国がしっかりと、教育はしっかりと国が持つべきであると。そういうことで、私たちは、党派を超え、そして立場を超えて一致団結し、三分の一になったのは残念ではありますけれども、これを堅持することができました。

 この少人数学級も、私は同じ思いでおります。

 人材育成と申しますけれども、私は、大臣、人材のザイというのは、資材の材ではないと思います。財産の財なんですよ。子供が持っている無限の可能性を伸ばし、そして育てていく。それは、個人の財産でなく、社会に還元される、社会の、国家の財産ではないかというふうに私は思っております。ですから、当然のごとく、基本的には少人数学級は了としております。

 でも、御存じのように、現在は、小学校のクラスは平均して三十名、中学校は四十名です。既に三十名になっているところも多いわけです。また、修学困難な、あるいは問題を抱えたクラスには補助教員もつけておりますし、スーパーティーチャーというのを設けているところもございます。

 この間は、スーパーティーチャーが暴力行為をして問題になったということもございますので、スーパーティーチャーの資質というのも問われるかとは思いますけれども、例えば、ADHDのお子様が一人いらっしゃる、そのお子様をしっかりと受けとめ、クラスメートと適応するためにきっちりと指導していく、そういうときには補助教員も必要だと思うんです。静かな学級だったら、何も三十五人じゃなくたって、四十人だっていいんだと私は思います。

 つまり、教育というのは、それぞれの環境、地域、事情によって全く異なっているのではないかと思います。

 いじめが全然ないところもあれば、いじめ問題で荒れている学校は三十五人にしてもだめだ、二十人ぐらいということだってあると思うんですね。学校によって、児童生徒の状況によって、より少ない学級編制が必要なところがあれば、それは柔軟性を持っていいのではないかと私は思っております。ですから、少人数学級の実施に当たっては、一律に三十五人の上限を押しつけるのではなくて、学校現場の自由な裁量が大事だというふうに思っております。それこそが、政治主導で私はやっていただきたいことなんです。

 今、設置というのは都道府県ですね。都道府県よりは、市町村の方がよりきめ細やかな配置もできるのではないか、人数などを変えることができる。だから、私は、市町村の裁量にすべきと考えておりますが、大臣、これに対してはどのようにお考えでしょうか。

高木国務大臣 池坊委員にお答えをいたします。

 先ほどは、長く本委員会に所属をされておられます池坊委員の御意見もいただきました。また、これまでも何かと御指導もいただいております。感謝を申し上げたいと思います。

 きのうも、子供たちと先生がしっかり向き合ってきめ細かな教育を行うという見地から少人数学級を進める集会がございまして、池坊委員も参加をされ、お話も聞かせていただきました。まさに人材のザイは財産の財ということをお聞きしまして、私も感銘をしたところでございます。

 ただいまの御指摘にありましたように、国の少人数学級はこれからの大事な政策の一つとして取り組んでおることであります。国の責任において、四十人学級を見直して少人数学級を推進することとしております。

 一方で、言われましたように、画一的な少人数学級を進めるということになりますと、市町村あるいは学校によって、学校規模が小さくなり過ぎたり、他の課題も残る、このように思っております。

 このため、現在、学級編制におきましては、市町村教育委員会が都道府県の同意を得た上で行うことにされておりますけれども、これについては、委員御指摘のとおりに、都道府県教育委員会の関与を緩やかにして市町村教育委員会の権限を拡大することによって、市町村や学校の実態に合った学級編制ができるような方向で制度改正を検討ししておるところであります。

池坊委員 大体、検討と言うときは長いスパンがかかるときに検討と言うのですが、そうではなくて、本当に近々の課題としてこれをやっていただける御決意があるかどうか、大臣に伺いたいと思います。もう一度、再度、しつこいようですが、これは大切な問題ですので。

高木国務大臣 次の通常国会で法案を出しまして、御指摘のとおり、それが反映できるように考えております。

池坊委員 ありがとうございます。次回の通常国会を楽しみにしております。

 鈴木副大臣も大学で今教えていらっしゃると思います。現場の声を十分にわかっていただいていると思いますので、副大臣の決意も伺おうと思いましたが、同じ決意でいらっしゃるので省略させていただきます。

 高木大臣、ぜひ現場の学校にも行って、現場の声を拾っていただけたらというふうに思います。それも優秀な模範の学校ではなくて、ごく一般的な普通の学校に行っていただけたらと希望しております。

 それでは、財務省の方、政務官も来ていただきました。少人数学級一〇%シーリングについて、財務省に伺いたいと思います。

 文部科学省は、三十五人学級のための義務教育費国庫負担金の増額を元気な日本復活特別枠で要望しております。その際、現行の小一、小二の教員給与の国庫負担金を全額削減した上で、新たに三十五人学級にした場合の小一、小二の教員給与の国庫負担金を全額要求するという、ややこしい方法ですが、これをいたしております。これは私は大変不自然なやり方ではないかと思うんです。

 文部科学省がなぜこのようなやり方をしなければならなかったかというと、財務省が義務教育費国庫負担金のような削減しようがない義務的経費にも一律一〇%削減のシーリングを課したからではないかと私は思うんです。

 財務省は本気でこのような義務教育経費の一〇%削減が可能だと思っていらっしゃいますか。この義務教育費国庫負担金は一律削減の対象から外すべきだと私は思っておりますけれども。

 どうぞ吉田政務官、財務省からはいろいろなことを言われていらっしゃるとは思いますが、しっかりと、今度は政治主導の政権与党と伺っておりますので、伺いたいと思います。

吉田大臣政務官 予算の組み替え基準のおただしだと思います。

 おっしゃるように、来年度の概算要求については、年金、医療等、さらには地方交付税等、これを除いたその他の経費について、前年度予算の九割に要求を絞ってくれ、こういうふうに求めたところでございますが、この目的は、府省を超えた大胆な予算の組み替えをしたい、こういう目的でございます。

 しかしながら、各経費ごとに一律に一〇%の削減を求めたわけではなくて、元気な日本復活特別枠と言っておりますが、これを活用すれば、前年度以上の要求及び要望、合計額も行える、こういう仕組みになっております。

 現実問題、文科省の概算要求、そして要望においては、この義務教育費国庫負担金、必要な分と思いますけれども、この所要の要求、要望が行われて、今、前年度を上回る概算要求、要望をいただいているということでございます。

池坊委員 確かに年金などは削減できません。同じように、義務教育費国庫負担金も、これは必要経費ですから、当然のごとく、これは削減できないところに入れるべきではなかったんでしょうか。いかがですか。

吉田大臣政務官 今回初めてこういう九割要求プラス要望という仕組みをとったところでございますが、議員おっしゃるように、いろいろ、まだこなれていないようなところもあると私は個人的には思っております。今回はこれでやらせていただきますけれども、一年後には、また少し、もっと精緻な概算要求の仕組みを検討したい、こういうふうに考えているところでございます。

池坊委員 私は、初めてだからこそ大切だと思うんですね。こなれていないからいいというものではないと思います。これは予算を受ける人間にしてみれば、これでさまざまなことが変わってくるのですから、きめ細やかじゃなかった、最初だからということではない。最初だからこそ必要なのですよということを私は申し上げたいんです。

 さっきおっしゃった、大胆な組み替えをするということは、私は大変にいいことだというふうに思っております。予算のあり方としては、国家戦略として最も大切なものには重点的に予算を組みますと政権与党になったときにおっしゃったんではなかったかと。何か約束の中にそれが入っていたんじゃないか、そして、国民もそういうことをよしとしたと私は思っているんですね。

 政治主導というのはどういうことかというならば、今までの財務省のやり方ではない、本当に大切な教育や文化やスポーツや科学技術、そういう、根岸さんも残念ながら日本を離れられました。科学技術の設備がやはりよくないからですよ。ですから、そうではない、ナンバーワンにならなければいけないんです。アメリカの力をかりて日本の方がナンバーワンになるということは悲しいことではありませんか。

 だから、こういうことはしっかりと、やはり大胆な組み替えをするということはそういうことだと思いますが、いかがですか。

吉田大臣政務官 従来は経費ごとにシーリングをつけていたわけですが、もっと大胆な組み替えをしようということで今回の仕組みをつくったところでございます。

 初年度ですので、先生おっしゃるようないろいろな点、問題が出ていることは承知しておりますが、また改善をしていきたいと思っております。

池坊委員 ぜひ根本的に改善をしていただきたいと思います。

 そういうときに国民は、ああ、やはり政権主導の運営をしているなということがわかるのだと思います。何が大切かということは、これは政治家が決めなければだれも決められないのですから、ぜひ、政務官、お帰りになりまして、そのことを強く、財務省の役人がいろいろ言いましても毅然とはねつける。この予算、私は思っているんですよ、いつも思いますことは、ここは、割と与野党の対立というよりも、この文部科学委員会の敵は財務省ではないかと。だって、予算をとるときに、いつも少ない予算、削るときは、割と教育をすぐ削るんです。ですから、ぜひ頑張っていただけたらと思います。

 では次に、高校生修学支援基金について伺いたいと思います。

 一昨年、御存じのように、リーマン・ショックに起因する経済不況がございました。それを受けて、家庭的に大変で、高校に行けない子供たちの数もふえてまいりました。

 私立高校等に在学している生徒が経済的な理由で高校修学を断念することのないように、その当時は麻生内閣で、自公でつくったわけですけれども、平成二十一年度補正予算で、高等学校授業料減免事業等支援臨時特例交付金というのを措置いたしました。この交付金によって、各都道府県に高校生修学支援基金を造成し、私立学校の授業料減免補助や奨学金事業に使おうというものです。総額四百八十五億七千万円です。

 そして、これは最初は授業料減免事業と奨学金事業でしたが、さまざまな声が現場から上がりましたので、平成二十二年四月一日に一部内容が改正され、入学料の減免補助にも基金の取り崩しを認めるようになりました。これは三年間なんですね。

 これに対して、私はお伺いしたいと思います。

 全国の各都道府県にそれぞれ基金が設置されていると思いますが、約四百八十六億円の基金のうち、どれだけの基金が取り崩され、利用されたのでしょうか。また、利用された基金は、授業料減免、奨学金事業、入学料補助、三つにどのような金額、割合で利用されたのか。細かいことは伺わなくて結構です。全国としてどれぐらいに、その数字だけ挙げていただきたいと思います。

高木国務大臣 御指摘の高校生修学支援基金は、厳しい経済環境の中で、高校奨学金事業そして私立高校生に対する授業料減免補助について、平成二十一年から二十三年度までの三カ年の緊急支援を行うために、平成二十一年度の補正予算によって各都道府県に設置されたものであります。

 本基金の各都道府県における平成二十一年度取り崩し額は五十億円でございます。基金総額の四百八十六億円の一〇・三%となっております。

 また、この支援基金の各都道府県における平成二十一年度の取り崩し額五十億円のうち、一つは授業料減免事業による取り崩し額が十七億四千万円、三五%、二つには奨学金事業による取り崩し額が三十二億七千万円、六五%となっています。また、三番目に入学料の減免事業、これについては、平成二十二年四月追加改正によるものでありますけれども、平成二十一年度の実績はない、このことが報告をされております。

 以上です。

池坊委員 今大臣から御説明がございましたように、つまり、使われているのは約四百八十六億のうちの五十億なんですね。四百三十六億が残っているんです。

 なぜ残っているかというと、使い勝手が悪いから残っているんです。これは、都道府県が二分の一補助しなければならないんですね。大阪の橋下知事は、基金なのになぜ一〇〇%補助じゃないのか、基金なのに二分の一補助するのはおかしいと。大阪府の要望書でも、時間がございませんから全部申しません、京都府からの要望書でも、新潟県の要望でも、すべて現場から、県からも、これはもうちょっと使い勝手をよくしてくれと。つまり、つくったけれども、全然使えないものをつくったってしようがないと私は思うんですね。

 これを例えば、これだけ、四百三十六億残っているなら、二分の一の補助じゃなくて全額、このようにしてもいいと思うのですが、これを取り崩すことはどういう問題があるんでしょうか、取り崩すことは可能なのでしょうか、財務省に伺いたいと思います。

吉田大臣政務官 高校生修学支援基金のおただしでございます。

 この厳しい経済情勢のもと、臨時特例的に三年間の基金をつくったわけでございます。

 この基金の使い方でございますが、平成二十年度の対象生徒数を超える、生徒数をふやす、これについては全額この基金でよろしいということになっておりますが、一人当たりの単価をふやす、補助額をふやすというときには、国と地方折半でやりましょう、こういうことになったわけです。そういう制度設計になっているというふうに御理解をいただきたいと思います。

 その分についても全額国費でどうだろうというお話だと思いますが、この点については、国と地方の役割分担のあり方、さらには、従来から自分の、独自の地方自治体の財源でやってきた自治体と公平に援助せねばいけませんので、従来からやってきた自治体は自分たちのお金だけでその分はやってきたわけですので、公平の観点、この二つの観点から、慎重な検討が必要だと考えております。

池坊委員 そういう制度設計になっています、それを私は踏まえて質問をしているわけですから、その制度設計を変えることはできないのですかということを伺っているのです。これは無理なんですか、取り崩すことは。なぜ無理なんですか。それは、今まで、わかっておりますよ、御説明いただかなくてもわかりますが、それを取り崩すことは無理なのですかと伺っている。

吉田大臣政務官 今、二つの観点、国と地方の役割の分担という問題と、従来からやっていた自治体との公平の観点、この二つの観点から、制度設計を変えるというのは大変難しいというふうに思っております。

池坊委員 役割分担とおっしゃいますけれども、地方だって、今、御存じのように地方は疲弊しているわけですよ。だから、必ず基金を半分出さなければお金を出せないよという財務省のお考えはおかしいと思いますよ。だって、私は思いますけれども、それでは、なるべく使わないでおいて、いろいろな縛りをかけて使う人が少ないようにして、これは国庫に入るんですよね。だから、財務省は国庫に返してもらうのを待っていらっしゃるのかと私は思うんです。

 次に、では、修学旅行費とか事務用品購入費などにも使えるということはできないのでしょうか。これは文部科学大臣の裁量でできるのでしょうか、それとも財務省の裁量なんでしょうか。大臣と政務官とお答えいただきたいと思います。

吉田大臣政務官 この基金を修学旅行等に使えないものだろうかという御提言だと思います。

 この基金の目的は、繰り返しになりますので省略を……(池坊委員「目的はわかっておりますから、おっしゃらなくても結構です。それを変えることはできないかと申し上げているんです」と呼ぶ)現在の制度でも、お金を貸すという貸与制の奨学金事業ができるわけですが、それについては使途は制限はございません。その借りたお金を修学旅行費に充てるということは可能でございます……(池坊委員「私はこの四百八十億のことについて伺っているんです。それでよろしいですか」と呼ぶ)その四百八十億の中に貸与制の奨学金も含まれておりますから、それについては使途に制限はございません。

 ただ、給付型、お金を渡し切りという事業については、授業料とそれから父兄が負担している施設整備費等、これに限定はしているところでございます。

 修学旅行については、高校ばかりじゃなくて、小学校、中学校はどうするんだという問題もございます。今までは全校種を、学校の種類を通じて自己負担を原則としておりますので、そういったバランスの観点も考える必要がある。慎重な検討が必要であろう、こういうふうに思います。

高木国務大臣 都道府県が本基金を活用して貸与制の奨学金事業を行う場合において、その使途については制限がない、修学旅行費に充てることも現状では可能になっております。

 また、平成二十三年度の概算要求、要望におきましては、低所得者の教育費負担を軽減するために、教科書等図書費相当額を給付する奨学金制度を創設すべく、九十二億円を要望しているところであります。

 修学旅行費等への支援のさらなる拡充については、教育費負担軽減に関する国と地方の役割分担などもありますから、この辺を十分勘案しながら検討していく必要があろう、私はこのように考えております。

池坊委員 二十三年度予算の中に計上していらっしゃることは私も存じ上げております。

 ただ、せっかく四百八十六億を獲得してあるんですから、これは十二分に使えるようにするのが学生たちの立場を考えた私は最もいい方法じゃないか。この四百八十六億、せっかくとっておきながら、全く使い勝手が悪くて使えないようにして、そしてそれを財務省にお返ししましょうよ、これは私は学生の立場に立っているというふうには思えませんけれども、大臣は今お答えでしたが、鈴木副大臣、いかがですか。ずっと教育行政をしていらしたと思いますので、学生の立場もよくおわかりだと思います。ちょっと御意見を伺いたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 委員御指摘のとおり、もともと地方における財政力といいますか、地方自治体ごとの財政力が違うものですから、制度導入時点でのばらつきというものがあったということは事実だと思います。

 その上で、地方の自主努力ということを促す制度になっているわけですが、確かに現場からは、今、池坊先生からお話のあったような声を大変強く受けているところでございまして、それを受けて、我々も財務省とは鋭意折衝をしているところでございますけれども、残念ながら、四百八十六億の基金がありながら、五十億の消化となっていることは、設立当初の趣旨から照らしますと、もっときめ細かい対応をしていかなければならないな。きょうの御指摘も踏まえて、さらに鋭意見直すべきところがないかどうか検討して、取り組んでまいりたいというふうに思いますが、二十三年度、そういうこともございましてこの給付型の奨学金の要求をいたしておりますので、まずはその要望、要求の実現、獲得に向けて頑張ってまいりたいというふうに思っております。

池坊委員 どうぞ委員の皆様方も、現場にお帰りになりましたら、いろいろな声を吸い上げていただきたいと思います。せっかくありますお金が学生たちのために使われないというのは、大変に不都合なことだと私は思います。困っている学生たちが修学旅行にもきちんと行けるように、そのお金が活用できるように、これは与野党を超えてぜひ協力していきたいと思いますし、財務省の方も、文部科学関係の予算に関係していただいている方は、ぜひ私は教育現場も見ていただきたい。そして、困っている学生たち、勉強したいけれども勉強できない、あるいは修学旅行にも行けない、そういう子供たちの身にもなって、将来どうあるべきかという国家戦略の中できっちりとした予算、制度設計をしていただきたいと思います。

 それでは、先ほど御答弁の中にもございました給付型奨学金について伺いたいと思います。

 自公のときに四百五十億私どもは要求いたしましたけれども、何か百二十二億の要求に減ったことがまず残念ではございますが、給付型の奨学金というのは、公明党が長いことこれを推進してまいりましたので、非常に関心を持っております。

 これなんですけれども、一、低所得世帯、つまり年収約三百五十万円未満の生徒で、約五十万三千人、九十二億円、二は、特定扶養控除見直しに伴って負担増となる生徒、定時制、通信制高校、特別支援学校高校生等が約十六万一千人、三十億円と伺っております。

 それで、私ちょっと情けなく思いましたのは、低所得世帯への支給額です。年間で一万八千三百円、教科書等図書費相当額となっております。せっかく給付型奨学金という画期的な制度を導入なさったのならば、一万八千三百円というのは、皆さん、月にしたら千ちょっとですよ。学生が二時間アルバイトしたら得られるお金です。もちろん、ないよりはあるにこしたことはありませんけれども、本当に教科書代にしかならないと思うんですね。それならば、高校生の教科書も無償化にしたらどうか、せっかく高校無償化になさったんだからというふうに私は思っておりますけれども。

 教科書等図書費相当額、これは何に使ってもいいんですか。教科書等というのが問題で、この等というのにはいろいろなものが含まれているのかどうか、ちょっと伺いたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 これは、子どもの学習費調査というのをやっているんですけれども、そこで、教科書及び教科書以外の図書費といったものをこの積算の参考にいたしておりますので、そういう言い方になっております。

池坊委員 では、等にはいろいろな含みがあると考えてもよろしいということですね。

 私、この給付型奨学金、とてもいい制度だと思っております。でも、しみったれていないかな、月に千幾らじゃと思って情けなくなったんです。皆様だって、お聞きになってそう思いませんか。高校生が、それはもらってうれしいけれども、これだと千幾らかになるんですよね。百二十二億じゃなくて、もっとばんと出していただきたかったなという思いがいたします。

 ぜひぜひ、来年度予算にはもう入っているようではございますけれども、これは世界的なやはり潮流だと思います。給付型奨学金をふやしていこうというのは、これは世界の教育行政から見て当たり前のことになっておりますので、ぜひ当たり前にしていただけたらというふうに考えております。

 ちょっと話はかわるんですけれども、現場の声として、補正で耐震で千百七十七億円つけていらっしゃいますね。私ども公明党は耐震にも大変力を注いでまいりましたので大変心強く思っておりますけれども、現場からはこんな声がございます。例えば、ことしの夏はすごく暑かった。倒れるお子様方もいらっしゃったんですね。空調などにこれを使うことができるのか、あるいは、トイレの改修とか下水道とかの修理とか、そういうことにも使えるのでしょうかという声もありましたので、ちょっとこれは奨学金と違いますけれども、現場の声として、大臣の御答弁をいただきたいと思います。

高木国務大臣 今般の補正予算案におきましては、早急に対応が必要な学校施設の耐震化、老朽化対策を進めることにしております。トイレの改修や建物の老朽化工事にあわせて実施する浄化槽の取りかえについても国庫補助対象としているところであります。

 また、今般の猛暑による空調設備、これもかなり大きな御意見、御要望をいただいております。子供たちの健康が大事でありまして、学習するには大変重要な環境整備だと思っておりまして、多くの要望が寄せられていると認識をしております。これらについては、従来より公立学校施設整備費によって対応したところでありますけれども、今般の補正予算においても、地方公共団体からの要望を踏まえ対応してまいりたいと思っております。

池坊委員 ありがとうございました。

 ちょっと、先ほどの私立の高校の話に戻らせていただきますと、先ほどからずっと公私間格差というのが問題になっております。私の所属しております大阪では、やはりどこでも地方というのは疲弊しているんですね、その中にあって、府の職員の給与を減らしたり、さまざまなことを縮減しながら、年収六百十万未満の人たちには私立高校は無償化ということにしております。

 この無償化水準というのは、国民生活基礎調査による子育て世帯の平均年収が約六百三万だそうなので、これを踏まえてそういうふうにいたしているそうです。これは、みんながそれぞれ工夫をしながら、子供たちを守ろうと地域でもやっておりますので、それを率先して国がやっていただけたらというふうに思っております。

 それでは、残されました時間、文化芸術についてちょっと伺いたいと思います。

 大臣は就任あいさつでさまざまなことを述べられておりますが、私がちょっと残念に思いましたのは、十月一日の衆議院本会議で菅内閣総理大臣は所信表明をなさいましたが、その中で文部科学行政の分野かなと思われるところは、何と、高校無償化を着実に実施、幼保一元化を含む法案を来年の通常国会に提出する準備、この二つだけでございました。どれだけ教育に対して菅内閣が、菅総理が見識がおありにならないか。余り考えていない。教育、これは国家戦略だ、国家戦略だと今までおっしゃっていたんじゃないんですか、菅総理は。にもかかわらず、これに対して、まず文化芸術なんて皆無ですよ。どこを探しても、何度読んでもこれは全然なかった。

 これに対して、菅内閣は高木大臣に、この文部科学委員会に対しては、短くて結構です、文化なんかを言及なさったのか、ちょっとお教えいただきたいと思います。

高木国務大臣 委員御指摘のとおりに、文化芸術は、ある意味では国の力を示す大きな国力だと私も思っております。そういう意味で、これは世界の共通認識の一つでもありましょうし、芸術文化が例えば地域の観光振興など経済活動においても新たな価値を生んで、それが大きな需要を生み出すということにもつながっておることは御承知のとおりであります。

 私どもとしましては、文化芸術を国家戦略の重要な柱として据えておりますし、まさにハードの整備からソフト、いわゆるヒューマンへの支援を重点的に置くことを考えております。今後とも我々は、成長戦略ではありませんが、この基盤は、何といいましても科学技術がそのプラットホームになることは当然でありますし、菅総理の所信演説の中には人材の育成ということが当然書かれておりますし、芸術文化、教育、スポーツ、まさに未来への投資として、私たちは、これからも必要な財政基盤といいますか予算は確保してまいりたい、このように思っております。

池坊委員 ぜひ高木大臣におかれましては、教育、文化、科学技術、スポーツに余り御関心がないだろう菅総理に、これこそが大切だということをこれから事あるたびに洗脳していただきたいというふうに思います。

 内閣府が昨年の十一月に行いました、文化における国民の世論調査がございます。それによりますと、国民の約六割が、物質的にある程度豊かになったので、これからは心の豊かさやゆとりのある生活をすることに重きを置きたいとしております。

 また、日常生活の中で、すぐれた文化芸術を鑑賞したり、みずから文化活動を行ったりすることを非常に大切、ある程度大切としている人が約九割いるんです。

 子供の文化芸術体験を重要であると回答した方は九割を超えております。また、子供の文化芸術体験について重要だと思う事項は、学校における公演などの鑑賞体験を充実させると回答した方が最も多く、約六割です。

 それからまた、文化芸術への支援と社会の活性化、経済振興との関係があると思うと回答した人が八割あるんですね。つまり、文化芸術というのは経済の活性化に極めて大きな力を持つということを私は認識していただきたいと思うんです。

 このごろ見ておりますと、デパートとか、それからスーパーなんかも、物を売っておりましたところが変わりまして、ネイルサロンだとか、健康食品とか、あるいはいろいろなイベントとかさまざまな、健康食品、きれいになること、おしゃれ、そういう、物を買うだけではなく、変化してきているんですね。それが今の国民の流れなんです。

 五割の方が、国民が、文化芸術振興のために国に力を入れてほしいことは、子供たちの文化芸術体験の充実なんです。国民が国に対して要望しているんです。

 そしてまた、ちょっとこれも後で申し上げたいんですが、一年間に文化芸術振興のための寄附をしたことがある人というのが一割弱なんですね、日本の場合は。寄附を促進するための改善事項として必要と思うことは何ですかといったら、寄附金の収支が明確になることというのが四割なんです。これは後で私、ちょっと質問させていただきたいと思います。

 一年間にホールや劇場、美術館、博物館に出向いて文化芸術を直接鑑賞したことがある国民というのは六割なんですよ。確かに、長谷川等伯展とか、いろいろな美術館で展覧会をしておりますと、満員です。それだけ国民はそうしたものを求めているんだと。この一年間にテレビ等により文化芸術を鑑賞した国民は八割以上です。つまり、申し上げるまでもなく、文化芸術は国家戦略としても大切なんです。国民が心の中からそれを望んでいるんです。

 吉田政務官、申しわけございません。どうぞ御退出いただいても、貴重なお時間ですので。気がつきませんで申しわけございませんでした。ありがとうございました。

 大臣の所信では、「グローバル化が進展し、知識基盤社会への移行が進む中で、資源の乏しい我が国が引き続き世界をリードしていくためには、人と知恵の力、いわばソフトパワーをより一層強化していくことが必要」であると述べていらっしゃいます。そしてまた、文部科学白書では、二十一世紀の国際社会では、文化芸術の魅力によって世界の国々を引きつけることのできる文化力、ソフトパワーが重要とし、文化力はソフトパワーとしてとらえていると思うのですが、人と知恵とか文化力、ソフトパワー、言葉で言うと何だかわかったようなわからないようななので、一体どういうことをイメージしていらっしゃるのか、ちょっと伺いたいと思います。簡単に、では具体にどういうことをなさりたいおつもりなんでしょうか。

高木国務大臣 小さなころから、物を見たり聞いたり、そしてしゃべったり、そういう触れ合いの中で子供は育ってまいります。地域における伝統行事やお祭り、こういった中で、例えば踊りや、また先生特に御関係の深い生け花やお茶や、そういった日本的な文化、伝統、こういったものを体験する中で人間的な形成がなされることは、私は相当なものがあろうかと思っております。

 特に、高度情報化社会とかあるいは少子高齢社会、こういう中で、ある意味では市場原理万能主義に陥る状況も内外ともに見受けられる中で、今こそ私は時代的な流れとして人間回復の時代に入ってきたのではないか、そういう意味での文化芸術の重要性は、今ほど重要なことはない、このように認識しておりますので、限られた財源でありますけれども、担当としましても大いにこの分野においての振興を図っていきたい、このように私は決意をしております。

池坊委員 御存じかもしれませんけれども、伝統文化こども教室、せっかくつくりまして、地域の子供たち、それから教える方々も大変活力を持って励んでいらっしゃいましたが、あっという間に、事業仕分けか何かで無駄だと言われまして、これが何で無駄なのか私は理解に苦しみますけれども、縮小、削減されることとなりました。それにかわりまして、今度、地域活性化事業というのができたから、ちょっとほっとするような思いがございますけれども。

 先ほどの世論調査でおわかりのように、子供たちにそのような、伝統文化だけでなくて、さまざまな美術とか文化芸術に触れさせる機会を多く持ってほしい、そのことのために国がそういう施策をしてほしいというふうに望んでいる国民が多いわけです。

 現実として、子供たちが学校や地域などの身近な場ですぐれた文化芸術に触れる機会を充実するためにどのような施策、もし具体的にこういうのは今度考えているというのがあったらお示しいただきたいと思います。

高木国務大臣 すぐれた文化芸術に触れ合うことは、子供たちあるいは多くの人々に心の感性あるいは創造性を生む大変極めて重要なことであろう、特に子供たちへの影響というのは大きなものがあるし、重要になっていくとも思っております。

 平成二十三年度の概算要求におきましては、芸術団体や芸術家によるすぐれた舞台芸術の鑑賞あるいは実技指導、ワークショップを行う、いわゆる次代を担う子どもの文化芸術体験事業について、いわゆる元気な日本復活特別枠ということで要望をしておるところであります。この中には、新たに地域のNPOなどが芸術家、芸術団体と学校との連携をつなぐという内容も盛り込んでおります。

 今後とも、子供たちの文化芸術の体験活動の充実に取り組んでまいりたい、このように思っております。

池坊委員 二十三年度の概算要求では、元気な日本復活特別枠として一兆円以上の予算が重点配分されるということを伺っております。概算要求では、この特別枠に百八十九の事業、額にして二兆九千億円がエントリーされているということですが、これらの事業は国民からのパブリックコメントや公開ヒアリングを行って決定して絞り込んでいらっしゃるということですけれども、私は、元気な日本復活、今本当に日本って元気ないんですよ。何か、経済もさることながら、すべてにおいてみんな沈んでおります。これからの日本はどうなっていくのか、民主党政権になって心配だよという声をたくさん聞きます。

 私は、別に自分が野党になったから申し上げるのではなくて、エールを送るつもりです。みんな国民のために、そうじゃない、安心してください、元気な日本をつくっていきますよということを、もっともっとメッセージをお送りにならないとだめだと思うんですね。その一つが、私は文化芸術の振興も元気な日本復活のためにあるのではないかというふうに思っておりますので、ぜひ頑張っていただけたらと思います。

 では、国の文化予算についてちょっと最後に伺いたいと思います。

 今まで、去年は一千二十億でしたね。これは、二十三年度の概算要求を拝見したら一千五十一億円。韓国、中国などのアジア諸国と比較しても国の文化予算の規模は本当に低いと言わざるを得ないと思います。私は、いつも文化庁の予算の獲得に、財務省を押し切って頑張って獲得してまいりました。

 先ほど私が申し上げた世論調査にもあるように、日本というのは寄附文化ではありませんので、文化芸術に対する寄附も極めて低いのですね。アメリカは、教育費、文化芸術すべて含みますけれども、GDPに占める割合で一・六七%です。日本は〇・一三%です。もちろん、アメリカというのは寄附文化が発達しているということがありますけれども、アメリカだけでなくイギリス、フランス、どこを見ても日本は最下位に等しいんです。

 これは一つには、私は寄附控除というのが余り徹底していないのではないかと思うんですね。まず寄附文化を醸成させるということが必要です。先ほどの世論調査にもあらわれていると思います。それとともに、寄附すれば控除されるという部分が極めて少ない、だから寄附しない。控除があったら個人でも、それから企業でも寄附するんだよとおっしゃる方は多いんですね。今のところ、公益増進法人ですか、しかそれは認められておりませんけれども、ぜひ大臣には寄附控除の幅を広げていただくことに力を注いでいただきたいと思いますが、御決意を伺いたいと思います。

高木国務大臣 御指摘のとおり、寄附については、各国のGDPに占める割合、アメリカが一・六七%ということでございましたし、またイギリスにおいては〇・七三%、我が国は〇・一%、こういう統計もあっているところです。したがって、我が国においても寄附の促進を図る必要がある。

 平成二十二年度の税制改正においては、個人が特定公益増進法人等に対して寄附を行う場合の所得控除の適用下限額ですね、二千円に引き下げたところであります。また、平成二十三年度の税制改正要望におきましては、個人からの寄附の税額控除の導入などを要望しております。

 今後とも、寄附文化の醸成のために、文化活動への寄附の促進、こういったものの取り組みを私の立場からも大いに進めてまいりたいと思っております。

池坊委員 寄附をしやすいように拡充を徐々にされております。それによって寄附も徐々にはふえていると思うんですね。だけれども、もっともっとする必要があるのではないかというふうに私は思っております。

 文化審議会の文化政策部会、この間、第三次基本方針審議経過報告というのが出されましたね。その中では、基本理念として文化省の創設も視野に入れているということを私は読みましたけれども、文化省になるといったって、一千二十億で文化省じゃないでしょうというような感じが私はいたしました。

 文化というのは、経済産業省、映画なんかそうですよね、それから国際交流基金だったら外務省、あとは総務省なんかもあると思います、テレビなんかで。幅広くいろいろな広範な範囲にわたって文化というのはある、存在しているというふうに思ってはおりますけれども、どちらにいたしましても、その中心になるのは私は文部科学省、文化庁だと思いますので、これからさらなる御尽力で頑張っていただきたいとエールを送って、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、宮本岳志君。

宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。よろしくお願いをいたします。

 きょうは文化について質問したいと思うんですが、まず冒頭、これはスポーツについて一問だけ聞いておきたいと思います。

 私は超党派でつくるサッカー議連の一員でもあり、先日結成された二〇二二年FIFAワールドカップ招致議員連盟のメンバーでもございます。大臣が冒頭の所信的あいさつで二〇二二年のワールドカップサッカー大会の招致を積極的に支援すると述べられたのは、心強い限りだと思っております。

 しかし私は、同時に、民主党の石森久嗣議員や本委員会の委員でもある遠藤利明先生とともに、国会議員ラグビークラブというものもやっております。ラグビーの方は、二〇一九年にラグビーワールドカップが日本で開催されることが既に決定済みであることは大臣も重々御承知のとおりだと思います。二〇二二年のサッカーの招致には触れて、その前に行われることが既に決定しているラグビーにお触れにならないというのはちょっとどういうわけかと、こういうふうに思って聞くんですけれども、もちろん、二〇一九年のラグビーワールドカップ日本大会の成功に関しても積極的に御支援いただけますね。

高木国務大臣 国会ラグビークラブのメンバーであります委員の御指摘でございます。

 サッカーはもとより、ラグビーも大変大切な競技種目でございまして、もう既に、二〇一九年にアジアで初めての、日本で開催されるラグビーワールドカップ、これは大変喜ばしいことで、国際親善あるいはスポーツの振興のために大変意義あるものと思っておりますので、これはこれとして力を注いでまいりたいと思っております。

 その上で、大会招致の中核である日本ラグビーフットボール協会におかれましては、早期の組織委員会の設立、あるいは競技会場の確定、収支計画の策定、こういった取り組みがこれから必要になろうと思っておりますので、文部科学省としても、十分協会とも連携をとりまして、大会の成功に向けて支援を努めてまいりたい、このように思っております。

宮本委員 近く、ラグビーワールドカップ二〇一九日本大会成功議員連盟というものも超党派で結成される予定で、私もその呼びかけ人の一人であります。ぜひ支援の方をよろしくお願いしたいというふうに思っております。

 さて、きょうは、日本の文化予算の拡充について大臣に質問をいたします。

 大臣はさきのあいさつでも、文化力が国の力であることは世界で共通した認識だと述べ、文化芸術を国家戦略として振興していくことが必要であり、文化芸術立国の実現を目指す決意を示されました。ところが、残念ながら現状は裏腹だと私は思うんです。

 俳優や、歌手、演奏家、舞踏家、演芸家、演出家、舞台スタッフなど実演家などの団体でつくる芸団協、社団法人日本芸能実演家団体協議会の皆さんは、今、文化芸術立国を実現するための請願署名というものに取り組まれております。

 きょうは、資料一にその署名の呼びかけ人の一覧をつけておきました。昨日、文化勲章の受章が決まった蜷川幸雄さんや、俳優の西田敏行さん、上方落語協会会長の桂三枝師匠など実に多彩で、第一線で活躍されている文化人や芸術家が多数名を連ねておられます。

 去る十月十七日には、人間国宝の野村萬さんやピアニストの中村さんなどが、みずから街頭に出て署名を呼びかけられました。これには大きな反響が寄せられたと聞いております。資料一の二枚目にその署名用紙をつけておきましたけれども、国民の実演芸術創造と享受の機会を拡充することや、あるいは、芸術組織がその専門性を発揮し、持続的に発展していける新たな助成制度をつくることなどとともに、文化予算を国家予算の〇・一一%から〇・五%へ抜本的な増額を求めております。

 それで、十月十九日には、この芸団協とそして音楽議連が共催して「文化芸術を国の政策の基本に」と題するフォーラムが開催され、ほぼ全党全会派がこれに参加をいたしました。芸能実演家や文化関係者の声をお聞きをいたしました。民主党は枝野幸男前大臣、自民党からは、きょうもこの委員会に参加されておられる河村元官房長官、公明党からは斉藤元大臣、我が党からは市田書記局長という、そうそうたるメンバーがこれに参加をしておりました。私も行っておりましたが、高木文部科学大臣も文化庁長官もこの場に参加をされておりました。

 あの場でも、芸団協の野村萬会長から、もう待てない、待っていられない、まさにせっぱ詰まった思いが出されましたけれども、大臣、こういう声をまずどう受けとめておられるか、御答弁を願いたいと思います。

高木国務大臣 今、宮本委員提出の資料の中にも、請願署名の資料もありますし、また、文化庁の調べの統計もあります。この中で、我が国の国家予算に占める文化予算の割合というのは、極めて寂しいものがあると私は思っております。

 今月の十九日の芸団協と音議連共催のフォーラムには、私自身も参加をさせていただきました。文化芸術の振興にかける関係者の切迫した思い、熱い思いを私は重く受けとめております。

 文化芸術の振興については、もう言うまでもなく、平成十三年に文化芸術振興基本法が制定をされまして、これまで、二次にわたる文化芸術の振興に関する基本方針に沿って関係施策の総合的な推進を行ってまいりました。

 私としては、文化審議会の審議を踏まえ、第三次の基本方針を本年度中に策定をしたいと考えております。来年度予算編成における必要な予算の確保とあわせて、文化芸術立国の実現に努めてまいりたい、このような決意をしたところであります。

宮本委員 一九六五年に設立をされた芸団協が、創立四十五年目にして今回初めて、請願署名という形で署名運動に取り組まれているんですね。私は、十月一日に国立能楽堂で開催された第八回ユネスコ記念能、こういう公演にも参加をさせていただきましたけれども、当日、お客さん全員にこの芸団協の署名用紙が配られて、公演後、アナウンスでこの署名への協力が呼びかけられておりました。私は非常に感動を持ってこの運動を受けとめたんです。人間国宝など著名な芸能実演家や文化人が、いよいよ署名集めという具体的な行動まで始めた。その背景には、文化予算の貧困に対する強烈な危機意識があるというふうに思うんです。

 芸団協のホームページには、各界の文化人、芸術家の皆さんの声が紹介されております。幾つか御紹介申し上げます。

 社団法人落語芸術協会の会長桂歌丸さん、「どんなに小さな落語会、音楽会、お芝居でも、そこにいるお客様の心を潤しているに違いありません。沢山の文化芸術が沢山のお客様に触れる機会を創れますように。」こう述べておられます。

 日本浪曲協会の会長澤孝子さん、「現在まで浮き沈みの流れの中で、一致団結浪曲を絶やす事の無い様、頑張って参りましたが、近年ほど厳しい社会情勢を感じることはありません。動けば出費が重なる。じっとして居れば芸が淀む、発表の場が欲しい!!」こういうことであります。

 社団法人日本喜劇人協会の会長橋達也さん、「昭和四十年頃から映画の斜陽と同時に実演劇場がことごとく少なくなっていました。一番大切なのは若手育成の思いだと私は考えます。」

 社団法人義太夫協会の会長波多一索さん、「人々の心の豊かさを取り戻すためには、身の回りに古典芸能に接することが出来る環境の整備が、何より必要だと存じます。 現在、古典芸能上演に必要な屏風、所作台など常備した安価なホールは激減の有様です。」等々ですね。

 今紹介したのはその一部ですけれども、これらの声を読んで私が感じるのは、これら芸術家の皆さんは、決してよくはないみずからの待遇の改善を訴えるよりも先に、何よりも国民に芸能や舞台芸術を届けたい、次世代に継承したいという願いをまず出しておられることなんです。このままでは日本の伝統文化や芸術が絶えてしまう、なくなってしまう、こういう強烈な危機感がここには示されていると思うんです。

 大臣、こういう思いを聞いてどういうふうにお感じになりますか。

高木国務大臣 我が国の文化芸術の振興に当たっては、委員が申されましたように、今、現地、現場では、この文化が衰退をしてしまうのではないかという危機感さえ持たれておられます。私も、全国でもそうですけれども、地域の中で最も大切なのは、そういう文化を伝承する人材育成、いかにしてそういうものを継承させていくのかということが重要であろうと思って、今の御指摘を重く受けとめております。

 文部科学省としましても、文化芸術の継承、発展、創造を担う人材の育成、あるいは伝統文化の保存、継承に取り組んでおるところでありまして、例えば平成二十二年度には、芸術文化、伝統文化に係る人材育成の支援、また、新進芸術家の海外での研修、子供の文化芸術体験活動の充実、あるいは、重要無形文化財等の指定及びその伝承者養成事業に対する支援をしております。

 今後とも、私としては、文化芸術立国、この実現を目指してその振興に一層の努力をしたい、このように考えております。

宮本委員 文化芸術立国というふうにおっしゃるわけですけれども、では予算の内容を詳しく見てみれば、残念ながら、これは裏腹の結果になっていると言わざるを得ないんですね。

 なるほど、文化関係予算全体は二〇〇三年に初めて一千億円を超えました。この間は毎年一千億を超えております。来年度の概算要求も、わずかでありますけれども、確かに増額で要求されております。しかし、文化関係予算の内訳を詳しく見るとそうは言えないんですね。

 きょうはお手元の資料の二に、文部科学省提出の文化関係予算の全体と分野別推移という、額について棒グラフにしたものを皆さんの手元に配付しておきました。見ていただきたいんです。

 なるほど、総額は若干ふえている。それは文化財保護の充実部分がふえているからであって、その下の網かけの部分、芸術文化の振興については、これは、実は二〇〇九年度にがくっと三百九十六億から三百六十六億に三十億円も減らされました。この当時は、自公政権の時代にこの三十億というのが減ったわけです。

 しかし、その後政権交代して民主党政権にかわりましたけれども、ことし二〇一〇年度の予算は昨年よりもさらに四億円ほど減って三百六十二億円というふうに、これもまた減っていますね。来年度概算要求でふやしたとはいうものの、三百六十九億ですから、まだ、二〇〇九年に減らされた分を取り戻すところまでもいかないわけですよ。

 これでは残念ながら、この棒グラフに歴然とあらわれているのは、ふやしてきたとは到底言えない。つまり、減ったまま推移している。事実はそういうことになるんじゃないですか。

高木国務大臣 平成二十三年度の文化庁予算の概算要求額は、御指摘のとおり一千五十二億円、また、分野別の内訳としましては、芸術文化の振興が三百六十九億円、文化財保護の充実が六百五十億円となっております。これは、既に示された資料のとおりでございます。

 このうち、芸術文化の振興の三百六十九億円のうち、これは元気な日本復活特別枠として、まず一つには文化芸術による次世代人材プロジェクト、これに六十七億円、クリエイティブ・ニッポン!発信プロジェクト、これに五・五億円、合計七十三億円を要望しているところであります。

 予算の増減の傾向は御指摘がございましたが、財政状況が厳しいといいながらも、私たちはその強い意思を持っております。昨年よりはとにかくふやしていく、こういう努力もしていかなきゃならぬ、このように思います。

宮本委員 そうなんですよね。これは概算要求で去年より七億円ふえているとはいうものの、そのうち、今大臣が御答弁になった六十七億プラス五・五億、合わせて七十三億円というのは、政策コンテストに係る特別枠なんですね。それで、文化関係予算全体で一千五十二億円というのも、このうち百五十八億円は特別枠なんですよ。そうですね。満額とれれば、なるほど、全体でいったら一千五十二億に三十億ほどふえますね、それから、満額とれればこの芸術文化の振興予算も七億ほどふえますねということですけれども、この七十三億のうち一割でも削られてしまえばとんとん、それ以上削られれば減る、こういう話になるわけですね。

 だから今、文化関係の方々が、ふやして概算要求しているからというだけでとても安心できない、とても納得いかない、本当に大丈夫かと声を上げておられるのは、ここにあると思うんですよ。

 これは政策コンテストをやってみなけりゃわからないという点では、それは事実ですね、大臣。

高木国務大臣 もちろん政策コンテストというプロセスを経ますけれども、私どもとしましては、これが満額実現するように、今最大限の取り組みをしております。

宮本委員 みんなそう言うんですよ。閉会中審査で取り上げた国立大学の運営費交付金のうち八百八十四億円というのも特別枠で、少人数学級の実施予算も特別枠で、それで満額とれるのかと聞いたら、みんな満額とるべく鋭意努力する、こうおっしゃるわけですね。しかしはっきりしているのは、すべてが満額とれることはない、とれるとちょっと予算の計算が狂ってくるということですね。

 先ほども少し池坊さんからも出ましたけれども、まず聞きたいのは、今回の予算概算要求で、特別枠、つまり、政策コンテストに係る枠として提出されている施策の合計が一体幾らになるのか、件数と総額を、大臣、お答えいただけますか。

高木国務大臣 政府全体の中で元気な日本復活特別枠として要望されておりますのは、百八十九事業、二兆九千四百四十五億円と承知しています。

宮本委員 百八十九事業、二兆九千億円というのがすべての合計ですね。それが結局予算でいえば、一兆三千億円、あるいは玄葉大臣はもう少しふやそうという発言もこの間されて、二兆という数字ももちろん出ておりますけれども、まだ決まっておりませんけれども、しかし、当初予定どおりなら、一兆三千億ふえたとしても、二兆というところへ二兆九千億が殺到するわけですから、もしも一兆三千億なら半分以下ですよ。たとえ二兆にふやされても、三分の二ということになるじゃありませんか。

 百五十八億やあるいは先ほどの七十三億がそういう形で削られれば、たちどころに昨年に比べても減ってしまうということになってしまう、こう言わざるを得ませんね。

 大臣、そうならないという保証がありますか。

高木国務大臣 この一律一〇%削減という厳しい概算要求基準の中での公募を担っていきますけれども、我々としては、パブリックコメントにあわせて、多くの国民に理解を求める、このことが何よりも大きなことだろうと思っております。前回の私が出ました芸術団体の集会の中のあのような熱い動きも、その一つじゃないかと思っております。

 ユーチューブによる映像を使っての紹介、あるいは要望をテーマにした熟議カケアイというサイトでの紹介、あるいはホームページでの紹介、こういったことを私たちは積極的に取り組んでまいりましたので、そういう情報発信の成果が私は実るものだ、このように考えております。

宮本委員 その政策コンテストに関してもやはり不安の声が出されているわけですよ。今回のこの政策コンテストなるものも、昨年の仕分けのような公開でのプレゼンテーションという手法が想定されております。

 それで、私たち日本共産党の国会議員団として、昨年の事業仕分けのときにも文化芸術団体の方々から声を随分お聞かせいただきました。文化芸術団体からは、仕分け人は国の責務を定めた文化芸術振興基本法を理解していないのではないか、こういう厳しい指摘もありましたし、文化芸術は非効率であり、効率ありきで無駄と言うのはおかしいなどの厳しい批判の声も出されたわけであります。

 十九日のそのフォーラム、この前の大臣も参加されたフォーラムに参加された枝野前大臣は、みずからは仕分け人だったこともあって、文部科学省や文化庁は定量的に効果を示すのが下手だというような言いわけをされておりました。しかし、私が文化関係者あるいは芸術団体の方々から聞くところによると、そもそも文化の効果を定量的に示すことなどできるわけがない、文化を短期的な効率で見ないでほしい、こういう声が圧倒的なんですよ。だから、そもそも定量的に示せというのが無理難題なんだというそういう思いも僕はあると思います。

 そこで、実はこれは確認なんですけれども、私はことし四月三十日に質問主意書を提出いたしまして、この問題を政府にただしました。その質問主意書への答弁では、政府も、「文化芸術の振興に関する施策については、文化芸術の特質を踏まえ、短期的な経済的効率性を一律に求めるのではなく、長期的かつ継続的な視点に立って展開する必要があると考えている。」という、至って当然の御答弁をいただいているわけであります。

 この答弁書は、今ももちろん変えるおつもりはありませんね。

高木国務大臣 質問主意書の件でございますが、言うまでもなく、文化振興に当たって、いわゆる短期的な経済的な効率性とか、一律でこういうものを求めることではないだろうと。やはり長期的、継続的な視点が大事だ。そういうことが必要であり、おっしゃられた方針は変わっておりません。

 この上に立って我々は、さらに基本方針の策定に当たっては、このことを念頭に、一刻も早い文化予算の拡充について求めてまいりたいと思っています。

宮本委員 もちろん、当事者の団体の方々も国民の理解を得るためにそういう署名も含めた運動をされているわけですけれども、くれぐれも、政策コンテストの場でも、そういう短期的な経済効率性というようなものではかれないのだということをしっかりと主張していただいて、必ず満額獲得していただくということは当然です。

 同時に、この署名が、減らさないでくれとかそういう署名じゃなくて、やはり趣旨として、国家予算に占める文化予算の割合を〇・一一%から〇・五%にふやしてくださいという署名であるということをしっかりと見る必要があると思います。

 この点では、そもそもいかに日本の文化予算が諸外国に比べて貧弱か、世界から見て非常識とも言うべき少なさにあるかということをやはりはっきり認識をして事に当たる必要があると思うんです。

 資料三をおつけしてありますので、見ていただきたいんです。これも文科省から、文化庁から出た資料ですから、私が勝手につくったものではありません。

 この資料三では、諸外国と日本の文化予算及び寄附額の比較をしてあるわけですけれども、国家予算に占める文化予算の割合は、二〇〇九年で比較すると、フランスは〇・八一%、韓国〇・七三%、ドイツ〇・三九%、イギリス〇・二四%、これに対して二〇〇九年度は日本は〇・一二%、ことし二〇一〇年は、芸団協が言うとおり〇・一一%となっております。アメリカはなるほど〇・〇三%と低いんですけれども、一方で寄附が非常に多いというのが、下の方にグラフが伸びておりますのでおわかりいただけるかと思うんです。

 芸団協の署名が要求しているのは、国家予算に占める割合を〇・五%にということでありますから、フランスや韓国よりも控え目の目標と言えると思います。ドイツよりもちょっと多い。ですから、ここに示されたような、文化で先進的な役割を果たしている国々との関係でいえば、〇・五%という芸団協の要求、要望というのは、決して法外なものではない。

 もちろん、今の国家財政の現状その他考えればいろいろ大臣も言い分があるかと思いますけれども、ひとまず今の財政状況どうこうということを横に置けば、この〇・一一%を〇・五%にというのは、当然目指すべき方向としては一致できるかと思うんですが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

高木国務大臣 ただいまの、これまで御議論になっております資料のことであり、私も引用しましたけれども、国によって、文化行政の組織のあり方や、あるいは制度、また予算の範囲、こういったものがそれぞれ異なる部分があると私は考えておりまして、各国の国家予算に占める文化予算の割合を単純比較することは困難であろう、このように考えております。

 ただ、我が国の文化予算は諸外国に比べて少ない状況である、このことは、本年六月の文化政策部会審議経過報告の中でも、我が国の文化予算というのは「諸外国と比較して極めて貧弱」との認識を示されておりまして、この上に立って、支援のあり方、抜本的な見直しを図るための六つの重点施策が述べられております。

 もう具体的には割愛をしますけれども、私としては、文化審議会におけるさらなる審議をいただいて、文化芸術立国、これにふさわしい予算の確保に向けて最善の努力をしていきたい、このように思っています。

宮本委員 外国に比べて貧弱であるということはお認めになったわけですけれども、これからは大いに主張していただかなければなりませんので、比較が困難とおっしゃれば、これは文化庁が私のところに持ってきた説明資料ですから、このことを比較して少ないですよということをこれから主張していただかなければならぬのですから、ぜひちゃんと、比較は可能だ、そして少ないんだということをコンテストでも力説をしていただきたいというふうにまずは思うんです。

 そして、少ないという現状認識に立つならば、これはやはり、文化芸術立国の実現とおっしゃるならば、そこを目指して年次計画や期限を定めてしっかり財政的にふやしていくという努力が要ると思うんですよ。これはやはり役所任せではだめでありまして、それこそ政治主導でやるべきことだというふうに思うんですね。だから、政治家としてそういう決断をして、政府として思い切って進めていく必要がある。

 最終的には財源ということが問題になってくるんでしょう。財源というものは、それはやはり政治判断としてつくろうと思えばつくれるということも最後に指摘をしたいと思うんです。

 日本の文化予算は全体でも一千億余りでありますけれども、それに対して、日米安保条約上も、日米地位協定に照らしても別に義務でもない思いやり予算と言われるものは、ことしも千八百五十九億円出ているわけですよ。これを半減させるだけで文化予算は倍増できる計算になります。

 また、芸術文化振興予算は、先ほど言ったように三百六十億ほどですから、我が党以外の政党が毎年山分けをされている政党助成金三百二十億円をやめれば、この文化芸術振興予算は倍増することができます。

 こういう決断を本当にやれば財政は幾らでも回すことができるということも指摘をして、最終的にこれをちゃんと期限を切って進めるおつもりがあるかどうか、大臣の御決意をお伺いして私の質問を終わりたいと思います。

高木国務大臣 いずれにいたしましても、文化芸術立国にふさわしい予算を確保していきたい、まさに政治主導で頑張っていきたいと思います。

宮本委員 終わります。

田中委員長 次に、城内実君。

城内委員 城内実でございます。

 無所属、国益と国民の生活を守る会の私に対しまして三十分という長時間の時間をいただきましたこと、この場をおかりしまして御礼申し上げます。

 本日は、朝鮮学校無償化問題について質問させていただきます。

 実は私は、九月八日のこの文部科学委員会の閉会中審査の際にも同じ質問をさせていただきましたが、今回なぜまた質問をするかと申しますと、二つ理由があります。

 一つは、大臣が川端大臣から高木大臣にかわられたこと、そして政務三役の一部もかわりましたし、そして与党民主党の委員の方もかわった方がいらっしゃいますので、再度この問題について質問させていただきたいということと、もう一つは、聞くところによると、民主党さんの方で、無償化を実施する方向で何か検討しているというような情報も入っていますので、ぜひ、再度、思いとどまっていただきたいということで、質問させていただくことにしております。

 実は私は、ドイツに十年ほどおりまして、小学校はドイツの公立小学校に四年、そしてドイツの大学に二年通って、六年間、ある意味ではドイツの国民の血税で無償で教育を受けました。やはり教育というのは、日本人だとか外国人とかで差別するべきではなくて、国籍を超えてひとしく受ける権利があると思います。その意味で、私は、高校無償化法案に賛成しました。

 その直後、自民党の議員の親しい方から、おまえはどうしてあんな法案に賛成したんだと。私が申し上げたのは、今申し上げたとおり、日本人だろうが外国人だろうが、教育を受ける権利はあるんだから賛成しました。ただ、高校無償化については、私の親しい民主党議員が、これは決して通さないようにする、こんなことが通るわけがない、そのようにおっしゃったので、私はそれを信じて賛成して、今となっては、逆に反省しているんです。何だったんだろうなと裏切られた気持ちなんですね。

 何でこの朝鮮学校の無償化が問題なのかということを、改めて委員になられた方にも、私から再度説明させていただきたいと思います。

 まず、高木大臣に質問ですが、在日本大韓民国民団、いわゆる民団が、七月に朝鮮学校の無償化に関する申し入れ書を、文部科学大臣、当時川端大臣ですが、送っているんです。大臣、その内容について御存じでしょうか。

高木国務大臣 城内委員にお答えをいたします。

 委員のドイツにおける貴重な御経験をお聞きいたしました。私も参考にさせていただきたいと思っております。

 御指摘の在日本大韓民国民団からの文部科学大臣あての申し入れ書でございますが、これは本年七月に出されております。

 内容を申し上げますと、まず一つは、朝鮮学校高級部を就学支援金の支給対象に含めるかどうかについて慎重を期す必要がある。二つ目は、民族教育は当然保障されるべきであるが、問題は朝鮮学校そのものにある。朝鮮学校は北朝鮮政府のコントロール下にあり、日本社会の常識を超える教育が行われている。三つ目は、就学支援金の支給対象に含める場合、教育内容と運営に当局から特段の指導を講じることを条件につけるべき。就学支援金が実際には朝鮮総連への迂回支援につながることを憂慮するとの御意見をいただいておるところであります。

城内委員 まさに大臣がおっしゃったとおり、民団から、ぜひ慎重に対応してくれという文書が届いているわけです。

 民団と申しますと、私が承知している限りでは、与党民主党の友好団体といいますか、在日外国人の地方参政権をめぐる問題ついては、民団が積極的に与党民主党に働きかけをしている。それにこたえるべく、在日外国人参政権を進めようということも、民主党の一部の方は考えていらっしゃるというふうに私は承知しておりますが、事ほどさように、その友好団体とも思われる民団から、慎重にしてくれというような文書が来ているわけですね。

 こういったことについて、大臣は真摯に受けとめておられるんでしょうか。どうでしょうか。

高木国務大臣 もちろん、団体からの申し入れでございますから、これも一つの声として受けとめております。

 したがいまして、先ほどから議論もございましたし、今日までの国会の各議員の御発言、あるいは各党の御意見等々も十分に尊重するのは当然でありますけれども、近ごろといいますか、民主党の政調会での議論もお聞きをしました。もちろん、政調会の議論は、御指摘の大韓民国居留民団の声もある意味では代弁をされたことだろう、このように思っております。

城内委員 もう一つは、皆さんにも配付しておりますが、民団の文部大臣あての申し入れ書及び「文部科学委員会理事及び委員各位」へのコピー、これを配付させていただきました。そして四枚目に、民団から現代朝鮮歴史一、二、三という高校で使う教科書を送ってきまして、その中で、問題の記述は大変たくさんあるんですけれども、代表的なものを一部こちらの方で抜粋させていただきました。

 例えば、(四)―一というところですが、ここには、爆弾三勇士というのが戦前、日本で美化されたことがありましたけれども、爆弾を抱えて決死の覚悟で行った、そういう英雄視された爆弾三勇士というのがありますが、それもまさに、もう爆弾三勇士もびっくりするぐらいのことがここにも書いてあるんですね。

 ちょっと読ませていただきますと、一九五一年九月末、主席様、これは金日成ですね、主席様におかれては、零時をはるかに回った真夜中に現地の軍団長に電話をかけられ、高地で戦っている戦士たちの生活と健康をよく気遣うよう懇切に教示なされた、これに鼓舞された高地の戦士たちは、祖国の高地を生命をかけて最後まで死守する炎のような誓いを固めた、そして、まさに、李何とかという人は、自分の胸で敵の火口、砲弾の口の方に行って部隊の進撃路を開き、通信兵カン・ギュホは、切れた通信線を体でつないで部隊の通信を保障した。要するに、決死の覚悟で戦った軍人を英雄視されているという記述があります。

 また、(四)―三というところを見ていただきたいんですけれども、まさに、大韓航空機事件を、これは南朝鮮当局のでっち上げであるというようなことを堂々と、これは今使っているんですよ、こういうことを書いてあるんですね。

 さらには、(四)―二に、「米帝と南朝鮮統治者たちの犯罪行為」ということで、まさに、アメリカはヒトラーよりもひどい、「朝鮮でヤンキーたちはヒトラーさえも遥かに凌駕した」と。ヤンキーというのは、日本の同盟国のアメリカのことですよ。

 こういう記述を堂々と、この我が国の国土で使っているんですよ。

 最後には拉致問題です。拉致問題を反省するどころか、「二〇〇二年九月、朝日平壌宣言発表以後、日本当局は「拉致問題」を極大化し、反共和国・反総連・反朝鮮人騒動を大々的にくり広げることによって、日本社会には極端な民族排他主義的な雰囲気が作り出されていった。」民族排他主義的な雰囲気をつくっているのはどちらでしょうか。こういう非常識な、とても、これは日本人だからとか外国人だから、これはどこの世界の人が読んでも、こんな教科書を使って子供に、戦争へ行って死んだら英雄になれますよ、拉致問題なんか大したことないんですよ、こんなことを問題視する方がおかしいみたいな教科書を使っているところに日本国民の血税を賄うということは到底許されないと私は思っているんです。

 ですから、私は、与党民主党の委員の皆様の良心に、そして大臣初め政務三役の良心にきょう訴えたく、この問題を再度取り上げさせていただきましたが、大臣、そして副大臣、政務官それぞれから、この教科書の中身について率直なる感想を一言ずつお聞かせいただきたいと思うんです。

 これは国民みんな、衆議院の動画配信とか、インターネットでも配信されますから、ぜひ忌憚のない、思うところを一言ずつ語っていただきたいと思います。大臣、お願いします。

高木国務大臣 私は今、政府の一員でございまして、当然、これらの表現は我が国の政府の見解とは異にしております。そういう意味では、よしとしておりません。

笹木副大臣 そのお話についてですが、一つは、今回のこの公立の高校の無償化に伴って、いろいろなことをこちらとしてチェックできる、確認できる体制ができていく。これをきっかけにして、そうしたことについてもいろいろなことを把握し、注意をしていく。そういうことが必要になってきたんだろう、そう思っております。

鈴木(寛)副大臣 朝鮮学校におきまして、このような教材を通じて、我が国の政府見解あるいは国際社会の常識とはるかに異なる教育が行われていることは極めて問題だというふうに思っております。

笠大臣政務官 私も、今御指摘があったような記述については極めて遺憾であり、これは誤りであると。こうした教材を使うことは望ましくないし、こうしたことについてはしっかりと朝鮮学校において、今御指摘のあったようなところは訂正すべきであると思っています。

城内委員 ほぼ全員、記述内容は問題であるという御認識を示していただいたことは私は多といたします。したがいまして、この記述が少なくても改められない限りは、私は、無償化、就学支援金の支給の対象にすべきではないと。これは普通の心ある国民の感覚であるというふうに私は認識しております。

 次に、実は、これは産経新聞だったと思いますけれども、三月十二日付の産経新聞の朝刊に、朝鮮総連が高校授業料無償化の就学支援金を獲得するように指示した、そういうような報道があるんですよ。大臣、こういった報道については御存じですか。

高木国務大臣 私は、今直接、報道は見たことはありません。

 就学支援金というのは、受給者である生徒個人に支給するものである。仮にそれ以外に、もし検討結果が決まった後、他の目的で使用されていることが発覚した場合には、当然違法な行為であり、指定の取り消し等をとることが考えられます。

城内委員 この産経新聞の記事にもあるように、朝鮮総連の内部文書から、無償化の適用を訴えるよう運動をしろと。学校側のいろいろな活動、運動にまでも朝鮮総連が本国の北朝鮮の意向を受けて指示をしているんですね。ですから、そういう団体の指示を受けている学校が容易にその教育内容を変えるとも私は思えないですし、こういった点についてやはり非常に我々もわかりにくいところがあります。四月に本来、就学支援金を支給するべきところを今、今日まで至っているわけですから、何ら状態が改善されていない限りは、慎重のまま、別に未来永劫、支援金を支給しないと言っているわけではないわけですから、相手がどう出るかを見た上で、支給するしないと決めないことには、私はこれは国民が納得できないというふうに思っております。

 あともう一点、大臣にお聞きしたいんですが、この朝鮮学校に対する就学支援金、これは大体年額幾らぐらいになるか、御存じでしょうか。

高木国務大臣 もし仮に支給されるということであるならば、約二億円と承知をしております。

城内委員 二億円が、額が少ないか大きいと見るかということもありますけれども、私は二億円というお金は、これはまさに国民の血税でありますから、まさに今事業仕分けなどを行って無駄を省いているというところにあって、一億円、二億円の無駄遣いもしないように頑張っているわけですから、この二億円、たかが二億円ではないんですよ。

 これについてはやはり慎重に、何度も言いますけれども対応していただいて、教科書の内容、その他のいろいろな基準、検討会議の示した四つの基準もありますけれども、そういったものがもう十分に満たされた場合に限って支給対象にする。そうしないと国民の理解が得られないと私は思います。

 その点についての大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

高木国務大臣 既に、私どもとしましては、午前中から御指摘、御議論があることは十分踏まえて、最終的に私の方で結論を出させていただきます。当然、委員の御指摘の意見も参考にさせていただきます。

 そういう意味で、まずは基準について決めていって、もしこれが決まったならばこの基準に沿って審査をするということ、その審査がクリアされて初めて支給ということになりますが、まだまだそれは今のところ不明な状況でございます。

城内委員 尖閣諸島の例の船長逮捕、釈放の問題もありますが、この朝鮮学校の就学支援金支給の問題については、北朝鮮とは国交がありませんけれども、当然、外交問題にかかわる問題でありますけれども、大臣は特に外交的配慮はこの問題についてはしているんですか、していないんですか。

高木国務大臣 既に、委員長初め委員の皆さん方には、この法律案が審議されたときに所在をされ、真摯な議論があったと私は承知をしております。その中で、政府の統一見解として、外交的配慮は除く、こういうことがこの国会の中でも審議の中で出されております。そのような意味において、私もそのように解釈をしております。教育的な立場で議論をすることも大事ではないか。

 いずれにいたしましても、さまざまな意見があり、方針も決めなきゃなりませんので、鋭意その検討を進めていきたいと思います。

城内委員 まさに今、大臣、外交的配慮をしない、教育等の中身でと。これは本当に正論ですし、ぜひそうしていただきたいんですが、他方、尖閣諸島の船長の問題もそうなんですけれども、何か検察が外交的配慮をしたような形になって、すべてを検察におっかぶせているんですね。今回のことについても、外交的配慮をしないということをおっしゃいますが、何かやはり、文科省さらには検討会議がこういう結論を出したからこうだという、そういう責任をおっかぶせるような印象が否めないんですね。

 ですから、私はやはり、まさに政治主導ということをおっしゃっているわけですから、政治判断として、当面この朝鮮学校に対しては就学支援金を支給しませんということを、検討会議の結論云々と関係なしに、大臣として、この委員会もそうですけれども、これだけいろいろな問題があるというやりとりがあったわけですから、ぜひ早急に判断していただきたいですけれども、そういった政治判断を、十一月上旬に何か基準をということですけれども、その時点で大臣は、支援金を支給するしないという結論をお出しになるんでしょうか。

高木国務大臣 まず審査の基準をつくることが第一、その基準に従って審査をすることが二つ目、それで合致するならばそれは支給をできる、合致しなければ支給をできないというふうになります。

 したがって、その基準について、例えば財務諸表のテーマとかあるいは教育内容のテーマとか、そういうものがきちっと改善できるものなのか、あるいはそういうものが担保できるものなのか等々について今検討をしておるということが今の実情でございます。

城内委員 大臣の答弁を聞きますと、私は非常に善意に解釈すると、恐らく、その基準に照らして、教育の内容が変わらない限りは支給されないというふうに期待したいところなんですが、いずれにしても、いろいろな、民主党内の議論もありますので、ぜひこの委員会における議論もしっかりと受けとめていただきたい。その基準についても、やはりこの文部科学委員会でもしっかり議論をしていただいた上で、国会軽視と言われることのないように、十分この委員会で議論した上でこういう基準をつくって判断するというのをぜひやっていただきたいと思いますが、やっていただけますでしょうか、大臣。

高木国務大臣 国会の議論は議論として、重く受けとめております。

城内委員 大臣、重く受けとめるではなくて、ここに来ているのは官僚ではなくて国会議員ですから、国民の代表ですから、ここの委員会で、これは重要な案件ですよ、十分議論していただいて、やはり、みんなが納得しないでぱっと決めるんじゃなくて、みんなに納得していただいた上で最後に大臣が政治判断をする、そういう二段構えでやっていただきたいんですが、ぜひそうしていただけますでしょうか。大臣、お答えいただきたいんですけれども。

高木国務大臣 もう既に申し上げておりますように、いわゆる専門家による検討委員会の結果が一つ、また、民主党の党内による議論も一つ、そして同時に、きょうも含めて、これまでたびたび国会でも、この案件については、賛否におけるそれぞれの立場から議論がございました。私は、そのような議論を踏まえて、最終的には私が判断をしなきゃなりませんし、したいと思います。

城内委員 これだけいろいろな問題があるということを大臣御自身も十分承知していらっしゃると思いますけれども、国民はやはり納得しないんですよ、この問題については。ですから、ぜひ慎重に対応していただきたいと思います。

 次の質問に移ります。

 国民が納得していないというこの切り口ですが、文科省は、この高校無償化問題について、国民の世論、何か調査をして、国民の世論がどういう傾向にあるのかということを実際行ったのでしょうか。お答えいただきたいと思います。

高木国務大臣 これまでさまざまな方々からホットラインあるいはメールで御意見をいただいております。また、多くの団体からも陳情、要請を受け取っております。先ほど議論がありました韓国の要望もその一つでございます。

 なお、朝鮮学校高校無償化関係の主な要請、ことしの七月以降でございますが、要請は、お願いをしたいという要請が三十四件、そのうち無償化反対が四件、あるいは無償化賛成を求める署名が約十五万筆。文部科学省高校就学支援ホットラインへの問い合わせ約千三百件、賛成反対、これが三対二という状況も把握をしております。

 いずれにいたしましても、これらも一つの参考資料として検討を進めて、最終的には私の判断で決めなきゃならぬし、決めたいと思います。

城内委員 三対二ということは、恐らく三対二の三が慎重、反対だと思いますが、私の手元にある民間の産経新聞社とFNNの合同調査、これは八月末ですけれども、朝鮮学校への実質無償化適用について、適切とは思わないという回答が五七・一%、六割なんですね。

 ただし、先ほど冒頭、朝鮮学校で使っている教科書の中身をほとんどの国民の方は知らないわけですよ。こういう記述があるともしわかったら、世論調査をしたら、私は、多分一〇〇%近い人が、ほぼ一〇〇%近い人が反対すると思いますよ、本当に常識のある人だったら。

 ですから、本当にこれは真剣に受けとめていただきたいんです。三対二だからとか、よく大臣は、専門家会議とか検討会議とか、専門家が専門家がと言うんですが、専門家がどうのという以前に、大臣の良心として、これを無償化すべきではないという確信に立っていただきたいんですね。

 最近よく見られる傾向が、尖閣諸島の問題については検察が検察がとか、あるいは専門家の検討会議がこうだと。それは二次的なものであって、あくまでも政治主導、官邸主導、民主党主導でやるのであれば、こういう重要な案件については私たちが責任を持って政治判断します、批判は甘んじて受けますよ、そういう覚悟を持って、専門家会議はもう置いておいて、ばちっと判断していただかないと、私は国民は納得しないと思いますが、その点についての大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

高木国務大臣 委員の御判断は御判断、それぞれ政治家にも多くの判断があろうかと思っておりますし、国民の代表の一人として、常に国民の声も聴取をしております。そういう意味で、この問題については、賛成や反対、それぞれさまざまな意見があることを承知しておりますので、そういうことを私は踏まえて判断をしなきゃならぬ、このように思います。

城内委員 ぜひ、勇気と覚悟を持って適切な政治判断をしていただきたいと思います。

 最後の質問になりますけれども、この専門家会議なんですが、私がおかしいなと思うのは、このメンバーがだれなのか、そして議事の内容がどうなっているのかというのが全く公開されていないんですね。これを公開することはできないんですか。

高木国務大臣 時間も限られておりますけれども、改めて申し上げます。

 検討会議の議事要旨及び会議資料については、第一回のこの会合において議論されております。その中で、外部からの働きかけなどのない静ひつな環境のもとで、委員みずからの経験と見識に基づいた自由闊達な議論を行う、公正中立に検討するために、会議の検討が取りまとまった後に公開をするということが決定されております。

 なお、この公開の時期につきましては、国会の議論、基準の決定に際しては検討会議の議論についてできる限り公表すべきであるという民主党の見解も踏まえて、個々の学校の指定についての決定の前に、審査の基準の決定時に公開する方向で私は検討しております。

 委員の氏名につきましては、委員から、委員個人の生活や職業活動に支障が及ぶことについて懸念が表明されておりまして、この件についても、会議終了後、その公表時期について検討をしたい、このように思います。

城内委員 もう時間がないのでこれで終わりますけれども、それだったら、何かまるで密室でやっているみたいなんですね。情報公開法もあるわけですし、名前についても、では名前のところだけ黒塗りにして、だれかとわからない形で、どういう議論があったかということを、やはり国民の知る権利もあるわけですよ。国民がそれを知った上で、ああ、なるほどな、では無償化の対象にしましょうというんだったら、それはそれで私は尊重しますけども、全く密室で、どんな議論をしているかわからない。実際、もしかしたら、だれも何も議論していないかもしれないということはないとは思いますけれども、あり得ないと思いますけれども、でも、そういう疑いを、疑念を生じさせるような、こういう体質だとやはり私は国民は納得できないと思います。

 これで質問を終わりますが、ぜひ慎重に検討していただきたいということを良識あるこの場にいる皆さんに訴えて、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

田中委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二分散会


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