衆議院

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第2号 平成23年3月9日(水曜日)

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平成二十三年三月九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 田中眞紀子君

   理事 糸川 正晃君 理事 高井 美穂君

   理事 野木  実君 理事 松崎 哲久君

   理事 松宮  勲君 理事 下村 博文君

   理事 馳   浩君 理事 池坊 保子君

      石井登志郎君    大山 昌宏君

      奥村 展三君    笠原多見子君

      金森  正君    川口  浩君

      城井  崇君   菊池長右ェ門君

      熊谷 貞俊君    小室 寿明君

      佐藤ゆうこ君    笹木 竜三君

      瑞慶覧長敏君    高井 崇志君

      高野  守君    竹田 光明君

      土肥 隆一君    中屋 大介君

      浜本  宏君    平山 泰朗君

      村上 史好君    室井 秀子君

      本村賢太郎君    山田 良司君

      笠  浩史君    和嶋 未希君

      渡辺 義彦君    あべ 俊子君

      秋葉 賢也君    遠藤 利明君

      河村 建夫君    塩谷  立君

      田野瀬良太郎君    永岡 桂子君

      古屋 圭司君    松野 博一君

      富田 茂之君    宮本 岳志君

      城内  実君

    …………………………………

   文部科学大臣       高木 義明君

   文部科学副大臣      笹木 竜三君

   文部科学副大臣      鈴木  寛君

   財務大臣政務官      吉田  泉君

   文部科学大臣政務官    笠  浩史君

   文部科学大臣政務官    林 久美子君

   会計検査院事務総局第四局長            太田 雅都君

   政府参考人

   (公安調査庁次長)    寺脇 一峰君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          山中 伸一君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            倉持 隆雄君

   政府参考人

   (文部科学省国際統括官) 藤嶋 信夫君

   政府参考人

   (文化庁次長)      吉田 大輔君

   政府参考人

   (特許庁審査業務部長)  橋本 正洋君

   文部科学委員会専門員   佐々木 努君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月九日

 辞任         補欠選任

  石井登志郎君     高井 崇志君

  熊谷 貞俊君     渡辺 義彦君

  中屋 大介君     浜本  宏君

  松野 博一君     秋葉 賢也君

同日

 辞任         補欠選任

  高井 崇志君     石井登志郎君

  浜本  宏君     小室 寿明君

  渡辺 義彦君     笠原多見子君

  秋葉 賢也君     松野 博一君

同日

 辞任         補欠選任

  笠原多見子君     菊池長右ェ門君

  小室 寿明君     中屋 大介君

同日

 辞任         補欠選任

  菊池長右ェ門君    竹田 光明君

同日

 辞任         補欠選任

  竹田 光明君     熊谷 貞俊君

    ―――――――――――――

三月九日

 海外の美術品等の我が国における公開の促進に関する法律案(古屋圭司君外四名提出、第百七十六回国会衆法第一二号)

は委員会の許可を得て撤回された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 海外の美術品等の我が国における公開の促進に関する法律案(古屋圭司君外四名提出、

 第百七十六回国会衆法第一二号)の撤回許可に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件

 海外の美術品等の我が国における公開の促進に関する法律案起草の件


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 御着席ください。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として公安調査庁次長寺脇一峰君、文部科学省初等中等教育局長山中伸一君、研究振興局長倉持隆雄君、国際統括官藤嶋信夫君、文化庁次長吉田大輔君及び特許庁審査業務部長橋本正洋君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第四局長太田雅都君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。下村博文君。

下村委員 おはようございます。自民党の下村博文でございます。

 まず最初に、きょう、質疑が終了後に、海外美術品等公開促進法案の採決が委員長提案で行われることになりました。関係の皆様方に感謝を申し上げたいと存じます。

 これまでの経緯を振り返りますと、これは、我が党の古屋圭司議員が中心となりまして四年ほど前から、自民党の総選挙あるいは参議院選挙の際の公約にも掲げて、今まで我が党として進めたいと思ってきた法案でもございます。いよいよきょう、委員長提案で採決を迎えるに当たって、提案者であります古屋議員初め関係の皆様方にとっては、大変感慨もひとしおであるというふうに思います。

 各党会派で今回全会一致で合意をできるのではないかというふうに思いますので、これは、いわば車の両輪でもあり、既に提出をされております内閣の展覧会における美術品損害の補償に関する法律案、これとともに参議院においても一日も早く成立を期すべく、我々も努力をしてまいりたいと思います。

 本来であれば内閣提出でもふさわしいような法案であるというふうにこの公開促進法については我々は思っておりますが、議員立法で策定した大きな理由の一つが、日中共同声明に基づき非政府間の実務関係として維持されている台湾の取り扱いでございまして、政治的な問題が起きるのではないかという懸念があったからであります。本法律案を作成した当時は与党として提出する議員立法でありましたので、自民党の部会審議、外務省や法務省にも参加してもらいまして、この法案に対する意見調整、内閣提出法律案と同様に厳密に我々も行ってきたところでもございます。したがって、法案の対象として海外の美術品を指定する際には、文部科学大臣が外務大臣と事前に協議を行うということになっているわけであります。

 このような経緯から、法案が成立すれば、台湾の美術品を指定する際にも間違いなく法律にのっとった手続が進められるというふうに考えておりますが、念のため、高木文科大臣に確認をしたいと思います。

高木国務大臣 下村委員の御指摘でございます。いわゆる海外の美術品に我が国の国民に広く親しんでいただく、そういう意味では、非常に重要なことであろうかと思っております。

 今、各会派全会一致で御努力をいただいてきょうの提案の運びになったということ、これまでの経緯も含めて御紹介がございました。

 私どもとしましても、これを重く受けとめまして、外務省とも必要な協議もしながら、この法律が成立された暁にはしっかり執行していただけるように、こっちとしても取り組みを進めてまいりたいと思っております。

下村委員 よろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に北教組問題でありますが、北教組による民主党の小林千代美前議員の違法献金事件、これに端を発しまして、北海道教育委員会、札幌市の教育委員会が行った勤務実態調査によって、勤務時間中の組合活動など、数多くの違法行為の実態が明らかになりました。我が党はこれを厳しく追及し、給与の不正受給に当たるとして、会計検査院による会計検査の実施も決定をさせたところでもございます。

 大臣御承知だと思いますが、昨日、理事懇の中で笠政務官から、北海道教育委員会それから札幌市教育委員会からのこの勤務実態報告のその後の状況について事情をお聞きいたしましたが、これはクローズでございますので、改めて当委員会で、この北海道教育委員会、札幌市教育委員会のその後の対応について、御報告をまずお願いしたいと思います。

高木国務大臣 北教組の問題については、これまでの委員会でもたびたび御指摘をいただいておるところでございます。今、下村筆頭の方からのお話がございまして、私も承知をいたしております。

 この問題については、本日、北海道教育委員会及び札幌市の教育委員会の担当者を文部科学省に呼びまして、法令等の遵守、あるいは、アンケートへの無回答者への対応状況等についてヒアリングを実施することにいたしております。このヒアリングを踏まえまして、法令遵守違反の疑いなどがある者に対して厳正に対処するとともに、無回答であった者に対しても、毅然とした対応をとるように指導したいと考えております。

 また、御案内のとおり、統一地方選挙が近づいておりますことからも、教職員の服務規律確保の徹底に向けては、先日、教職員等の選挙運動の禁止等についての副大臣の通知を発出をしたところでございます。本通知の周知徹底状況についての調査を両教育委員会にも指導することを考えております。

 文部科学省といたしましては、教職員の政治的な中立を確保するとともに、行政の公正な運営の確保が図られますように、これからも引き続き両教育委員会の取り組みを注視をさせていただいて、必要な指導を行ってまいりたい、このように思います。

下村委員 今の大臣の答弁の前に、ほかの委員の方々は、この北海道教育委員会や札幌市教育委員会がどんな報告を文科省にしたかというのは御存じないのです。簡単に、笠政務官からでもいいですから、ちょっときのうの報告を改めて委員会で報告してください。

笠大臣政務官 今、御指摘ありましたように、昨日、理事懇の場で御報告した概要について、改めて当委員会に報告をさせていただきたいと思います。

 北海道教育委員会及び札幌市教育委員会が昨年それぞれ実施した教職員の服務規律等の実態に関する調査の結果を受け、その後の両教育委員会における主な対応状況については、北海道教育委員会では、実態調査の結果、法令等に違反する疑いのある行為については、その行為のさらに具体的な内容の把握、確認を行い、非違行為が確認された職員について、処分等に向けて必要な書類の精査、確認を行っているとのことでございます。

 なお、処分等の時期については、年度内を予定をしているということでございます。

 既に、勤務時間中の組合文書のファクス送信や組合会議等の出席が明らかとなった職員一名については、昨年十月に戒告処分を実施しております。

 そして、無回答者への対応については、法令等違反の疑いのある行為を見聞きしたことがあるという調査結果について、その具体的な内容を把握、確認する中で無回答者にかかわる事実が出てくれば、その本人に確認をし、非違行為の実態解明に努め、現在のところ、無回答者にかかわる非違行為など新たな事実は確認できていないとのことでございます。

 また、無回答者に対して今後どのように対応できるか、服務監督権者である市町村教育委員会と協議をしているということでございます。

 次に、札幌市教育委員会についてでございますが、法令違反が疑われる回答した者に対して、その内容に応じて、管理職から聞き取りあるいは市教委からの聞き取りにより具体的内容の把握、確認を行ったところであり、現在、その結果に基づき、該当者に対する対応を検討しているとのことでございます。

 無回答者への対応については、道教委と同じような形で、法令等違反の疑いのある行為を見聞きしたことがあるという結果について、その具体的な内容を把握、確認する中で無回答者にかかわる事実が出てくれば、その本人に確認をし、非違行為の実態解明に努め、現在のところ、無回答者にかかわる非違行為など新たな事実は確認ができていないということでございます。

 両教育委員会の対応状況は以上のとおりでございますが、文部科学省としては、先ほど大臣が答弁をさせていただいたような方針で加えて対処をさせていただくということでございます。

 以上でございます。

下村委員 先ほど大臣が、両教育委員会を呼んでいるということでございますので、これは厳しく対応していただきたいというのと、それから、ぜひ両教育委員会に対するフォローもしっかりと文部科学省としてしていただきたいと思うんです。

 一つは、今の報告でありましたが、道教委の報告でありますけれども、「無回答者に対して今後どのような対応ができるか、服務監督権者である市町村教育委員会と協議しているところ。」ということで、非常に当事者意識が欠けているんですね。

 道教委として、そもそも無回答者が結果的には罰せられない、わからないわけですから。それで、正直に申告をした人たちが処分の対象になるということでは、これはアンフェアなわけです。ですから、そもそも、道教委としてこの無回答者に対してどうするのかという姿勢が先ほどの報告では全然ないわけですし、いつまでに対応するのかということも明示されておりません。

 さらに札幌市教育委員会においては、これはサボタージュとしか思えません。無回答者への対応についても、全く市教委としてどうするかということが出ておりません。

 これについては、文部科学省として厳しく対応しながら、一方で、我々も北海道には何度も調査に行きました。私も北海道教育委員会の幹部の方々とは二回にわたって議論をいたしましたが、これをきっかけとして、北海道における教育の正常化をぜひ図りたい。しかし、なかなか北海道教育委員会で独自にやるのも限界のある部分もある。これについては、ぜひ文部科学省が、あるいは国会がバックアップをしてもらって、二階に上がってはしごをおろすようなことがないように十二分フォローアップをしてほしいということを、特に文部科学省に対して要望したいというのを北海道教育委員会の幹部の皆さんが口をそろえて言っておりました。

 ですから、これは北海道の教育委員会任せということではなくて、文部科学省として厳しく対処しながらフォローアップする必要があるというふうに思います。

 聴取をするということですが、その後の対応を受けて大臣としてどのようにこれから対応するおつもりがあるかどうか、お聞きしたいと思います。

高木国務大臣 今御指摘をいただいた厳しく対応してもらいたいということについては、私たちとしても厳しく対応してまいりたいと思いますし、また、フォローも当然ながら非常に重要でございますから、フォローもいたします。

 まずは、本日、両教育委員会に来ていただきますから、きっちり今この委員会で指摘されたことについても見解を求めて、私たちとしては今後の対応をやっていきたいと思っております。

下村委員 これは委員長に対しての提案でございますが、文科省としても両教育委員会に対してそのように対応されるということでございますが、これは文科省任せということではなくて、国会論議の中から出てきたことでもございますし、当委員会に参考人として両教育委員会の方をお呼びして現場の生の声を意見聴取をする機会を委員会としてぜひつくっていただきたいと思います。いかがでしょうか。

田中委員長 ただいまの件につきまして、理事会で協議いたします。

下村委員 よろしくお願いします。

 それから、会計検査院にお聞きしたいというふうに思います。

 こういうことで会計検査院が入るということは前代未聞のことだと思います。これは、義務教育費の国庫負担金の不正受給があるのではないかということから調査に入ったというふうに思いますが、もともと、小林千代美前議員の違法献金の原資と指摘をされる主任手当拠出金、これについて従来は、一たんは個人に対して支給されたものである、それを北教組に拠出しても会計検査の対象にはできない、こういう政府答弁だったんですね。我が党が、これはシステム的に主任手当の拠出が行われているんだ、個人個人の問題ではないということを指摘して、そして、会計検査院が検査の対象として検討すると国会で答弁をしてもらって現在に至っていると思います。

 新聞報道等によりますと、既に会計検査院が一月の下旬に北海道内の五つの小中学校を実地検査したことが報道されておりますが、主任手当に対する会計検査の方針それから会計検査の最新の状況について今どのような状況になっているのか、お聞きしたいと思います。

太田会計検査院当局者 お答えいたします。

 現在、北海道に対する検査につきましては、効果的かつ効率的に検査が行えるよう体制を整えた上で、北海道等が実施した調査結果において回答しなかった者が多い地域、これらを中心に、小中学校を抽出して検査しているところでございます。

 また、主任手当についてでございますが、現在、北海道に対する検査におきましては、さまざまな観点から検査の方法等について検討を行い、北海道等が実施した調査結果を踏まえまして、御指摘の主任手当も含めまして、会計検査院に与えられた権限を行使して検査を行っているところでございます。

下村委員 これは、勤務時間中の違法行為等もある中、この給与、義務教育費国庫負担金の不正受給に当たるという視点から、ぜひこの際、徹底して会計検査院においても調査をしていただきたいと思います。

 次に、大相撲の八百長問題に対する政府の対応についてお聞きしたいと思います。

 今般明らかになった大相撲の八百長問題、これは大相撲に対する国民の信頼を著しく損なわせる事態となっているわけでありまして、また、三月場所や巡業の中止等、地域経済にも大きな影響を与えていることも指摘をされているわけです。

 この八百長問題については、野球賭博問題での捜査の過程で明らかになったものであって、現在、日本相撲協会が調査を進めていますけれども、大相撲史上最大の汚点となる事件であることは間違いないわけであります。相撲協会挙げて事態の究明と改革に取り組み、真の再生を果たすことなくして再び国民の信頼を得ることはできないというふうに思います。

 しかし、二月十七日に、日本相撲協会の改革を目指して設置されたガバナンスの整備に関する独立委員会、これが改革案を答申しましたが、日本相撲協会の存続を前提としたものでありまして、この八百長メールの発覚前にまとめられた八百長相撲問題にも言及していないということでございます。

 大相撲はいわゆる国技と言われていますけれども、国旗とか国歌とは異なり、法律で国技と定められているわけではないわけでありまして、大相撲をめぐってはこれまでも数多くの問題が生じており、日本相撲協会は、国技とされることによってのおごりが今まであったのではないか。ですから、相撲をどうするかという問題と、それから日本相撲協会をどうするのか、分けて考える必要があるのではないかと思います。

 自民党においても、二回にわたって文部科学部会を開催して意見聴取をしてまいりましたが、ほとんどが、日本相撲協会そのものに多大な問題があり、今後政府において厳しい姿勢で対応すべき、こういう意見が圧倒的でありました。その中で、文化、伝統としての大相撲を守る必要はあるわけですけれども、それを日本相撲協会が担うのか、日本相撲協会が担うとして、公益法人である必要があるのか、日本相撲協会がその任にたえないのであれば新たな組織を考えるべきではないか、こういう意見も多く実際に出ました。

 国民の間においても、例えば毎日新聞が二月十九、二十日に実施した世論調査によれば、日本相撲協会を今後も税金の優遇を受けられる公益法人として認めていいと思うかとの質問に、認めていいと思わないとの回答が六五%を占めている。認めていいと思う回答は三一%で、二倍以上に達していて、日本相撲協会に対する厳しい声が多数を占めています。

 二年後に公益法人への移行が認められなければ、両国国技館の土地、建物を初め日本相撲協会が保有する財産の放棄が迫られ、いずれにしろ、協会は実質的に存続できなくなる。

 こういう中で、この日本相撲協会を監督する文部科学省は、改革に向けた最後の機会として、大相撲再生に向けた政府としての明確な方針、条件を出す、それが満たされなければ日本相撲協会の存続は認めないなどの、政府として、受け身ではなくて、断固とした姿勢で臨むということが国民目線から見ても問われているのではないかと思いますが、文部科学省のこの日本相撲協会に対する姿勢についてお聞きしたいと思います。

笠大臣政務官 今、下村委員から御指摘がありましたように、本当に今、この相撲協会の体質あるいは組織そのものに対する不信が、国民のみならず、広く私どもももちろんそうした声も受けてしっかりとした改革に取り組んでいかなければならないというふうに考えております。

 もちろん、この人事等々については協会が主体的に判断すべき事柄ではございますけれども、先ほどからありましたように、八百長問題のほかにも、力士の暴行死事件、あるいは大麻の所持事件、そして、このきっかけとなった野球賭博問題など、近年不祥事が相次いでいる相撲協会の体質を考えれば、力士中心で運営をする現在のこの体制にはもう限界があるということが明らかだと考えております。

 このため、理事の大半、今、十二人中十人の方を力士出身者が占めているというこの現状を見直して、そして、外部の意見が協会運営に反映される体制づくりを行うとともに、この執行部を監督する評議員に親方が就任している現状も抜本的に改革をする必要があるというふうに考えております。

 これらは、先ほどありました相撲協会の外部有識者で構成されるガバナンスの整備に関する独立委員会の答申でも指摘をされているところであり、文部科学省としては、相撲協会に対し、このガバナンス改革に取り組むように、引き続き強く指導をしてまいりたいというふうに考えております。

下村委員 これは、文科省としても具体的な条件を日本相撲協会に提出する必要があると私は思います。

 今後のこの日本相撲協会のあり方について、三つのパターンが考えられるんですね。

 一つは、新公益法人制度に移行して公益財団法人化する場合でありまして、法人の解散はありませんので国技館などの財産はそのまま保有でき、新公益法人として税制優遇措置を受けることが可能というパターン。

 二つ目には、新公益法人制度へ移行したときに一般財団法人化する場合です。この際も、法人の解散はありませんので国技館などの財産はそのまま保有できるが、新公益法人としての税制優遇措置を受けることができない。ただし、一般財団法人に対する税制優遇措置が適用されるということです。

 そして三つ目のパターンとしては、これはもう解散して、公益法人でなくなるという場合です。この際は、国技館などの財産は、解散後の普通法人、例えば株式会社とかいうふうなことに移行するということにもなってくるわけでありまして、公益法人としての税制優遇措置は受けられないというパターンなわけです。

 日本相撲協会の生き残り策として一番ベストの公益財団法人化が認められなくても、一般財団法人にして国技館などの財産を保有し続け、一般財団法人に対する税制優遇措置を受ける方法があるわけですけれども、しかし、この一般財団法人となっても、その後要件を満たせば公益財団法人になることもできるわけでありまして、必ずしも、二番目のパターンというのもそう最悪のパターンではないわけです。

 いずれにしてもこの日本相撲協会に対しては、抜本的な改革なくして、公益財団法人としては当然、一般財団法人としても存続させることが本当にいいことなのかどうかというところからゼロベースで見直していく。相撲そのものについては、日本相撲協会に頼らなくてもこれは再生、再建することは可能だという新たな道も考えながらやっていかないと、これは、今後の国民の信頼、相撲ファンはたくさんいますけれども、やはり本来の国技としての相撲ということを考えた場合に、果たして今の日本相撲協会が本当に自己改革できるのかということについては、文部科学省が相当なてこ入れといいますか、指導もあわせてしていかなければ、非常に中途半端で終わってしまう可能性も一方であるのではないかというのを我々は危惧をしております。

 ですから、単なる生き残り策とか、それから改革逃れの逃げ場になってしまうようなことを結果的に文科省が許してはならないというふうに思うんです。それはぜひ国民目線から対応する必要があると思いますが、その辺についていかがでしょうか。

鈴木(寛)副大臣 一義的には、今の三つのパターンの中で、公益財団になるのかあるいは一般財団になるのかを御判断されるのは日本相撲協会でございます。しかしながら、今までのところ、日本相撲協会は公益財団法人を目指すということで伺っております。

 その際には、私どもといたしましては、先ほど笠政務官からも御答弁申し上げましたけれども、相撲協会の外部有識者で構成されておりますガバナンスの整備に関する独立委員会の答申、ここを最大限取り入れて、今御指摘のように抜本的に法人のあり方を変えていくということが、公益財団法人をすぐ目指すにしても、あるいはいずれ目指すにしても、そういう判断をされるときはこれは大前提、こういうことになるというふうな認識を持っているところでございます。

 本日の御議論も踏まえてしっかりと対応してまいりたいと思います。

下村委員 ぜひ、ガバナンスの整備に関する独立委員会、期待をしたいと思いますが、先ほど申し上げたように、八百長メールの発覚前にまとめられたものでもありますし、その後の対応については、なれ合い的な形で存続ありという前提では国民目線と違った結論になると思いますから、そういう部分で文部科学省の、きちっとした、姿勢を正しながら進めていくということが必要になってくると思います。

 それから、同じような不祥事といいますか、大学入試におけるインターネットの質問サイトの件なんですけれども、これも非常に問題だというふうに思っております。

 一青年といいますか、受験者の問題でもあったわけですけれども、しかしこれを看過することはできないということで、文部科学省でも、今後行われる各大学の試験において会場に携帯電話の持ち込みを禁止するなど再防止策を求めるということ、また、大学関係者や情報技術に通じた専門家らで構成する監督方法の改善に向けた検討会議を設置する方針であるということで、あらゆる手だてをするということは当然のことであるというふうに思います。

 ただ、情報通信技術は日進月歩で本当に進んでいて、ちょっと我々が想像できないような新たな技術をマスターして、結果的に不正の手法が生まれている。今後もそういうことというのはあり得るわけです。

 実際、今回の入試問題の漏えいも、韓国で同じように二〇〇四年に事件が起きている。我が国は七年おくれで発生したとも言えるわけでありまして、今後、この対策についても、イタチごっこあるいは後追いになる可能性もあるというふうに思うんです。

 こういう中、文部科学省として、といいますか我々自身も考えていく必要があると思うのは、そういう入学試験のあり方ですね。そもそも、このような、インターネットの公開の掲示板に記載されてすぐ回答が得られるような入学試験のあり方が、これからのあるべき人材育成に我が国の将来においてそぐわないのではないか。ある部分はそういうような暗記なり、あるいは解答が一つしかないという入学試験もあるでしょうけれども、しかし基本的には、そもそも入学試験のあり方をこういうことをきっかけとして考え直すときに来ているのではないかというふうに我々は思っております。

 例えば、実際にこれまでも行われているわけですけれども、東大、京大などの後期試験では、小論文が中心で、思考力や論理構成能力が問われている。例えば平成七年の東大文科一類の後期試験では、ドイツにおける闘う民主主義に関する論説文を読んだ後に自説を千二百字で述べる、こういうふうな、インターネットサイトで回答がすぐ得られそうもないような、本当の意味での実力が問われる、こういう入学試験があるわけです。

 自民党も、参議院のさきの選挙の公約の中で、大学全入時代の大学入試のあり方そのものを検討すると。例えば東京大学において、現在の入学試験とともに、世界のリーダーたる人材の養成を前提とした入学試験、一割程度は今の入学試験以外の試験制度で、本当に世界で通用するリーダーをどう育てるかという部分から、暗記とか記憶とか中心でない入学試験のあり方を目指すべきではないか。とりあえず、国立大学の最も象徴的な東大でそういう新たな別の入学試験の選抜をすべきではないかということを選挙公約にも盛り込んでおりますけれども、文部科学省としてもそういう時期に来たのではないか。

 不正な技術では対応できない論理的な思考力などを養う入試、こういう改革にまさに国家戦略で文部科学省として取り組むというのが、不正をいかに防げという通達も必要ですが、それ以外に新たな入学試験のあり方について考えるべき、あるいは先導すべきときに来ているのではないかと思いますが、いかがですか。

鈴木(寛)副大臣 お答え申し上げます。

 大変重要な御指摘だとは存じますが、委員も御承知のように、大学入学者選抜は、それぞれの大学が、アドミッションポリシー、入学者受け入れ方針に基づいて公正かつ妥当な方法で実施するということを基本といたしております。

 文部科学省は、現在、毎年五月、昨年の場合もそうでありますが、大学入学者選抜実施要項というものを各大学に示しておりまして、能力・適性等の判定に当たっては、高等学校段階で育成される学力の重要な要素、基礎的・基本的な知識・技能、思考力・判断力・表現力等、学習意欲を適切に把握するように要請しているところでございます。

 これに基づいて各大学がさまざまな工夫を行い、入学者選抜を実施しておりまして、委員御紹介いただきました東京大学も、後期試験においてはそのような対応を大学の御判断でしていただいているところでございます。

 こうした枠組みでこれまでやってまいりましたけれども、きょうも大変重要な御指摘もございますので、今後とも、各大学の入試の改善の取り組みを促してまいりたいというふうに思っております。

下村委員 鈴木副大臣は以前から教育について大変関心を持っておられて、政治活動の中でも中心的に教育問題を、だけではありませんが、教育問題を中心的に御自分のテーマとして活動されているということについては、私は敬意を申し上げたいと思うんです。

 そういう中で申し上げるんですが、民主党の教育政策というのは、そもそも理念とか哲学がないと思うんです。例えば高校無償化法案においても、あるいは今回の小学校一年生から三十五人学級のための先生の配置にしても、では、その先どういう教育をしていくのか、あるいはどういう人材育成をしていくのかというものがない。ですから、結果的にはばらまきだけで終わってしまっているんですね。ですから、ぜひそれをつくっていただきたいと思うんです。

 そういう中で、それは個々に大学がもちろん判断するということではありますけれども、やはり文部科学省なわけですから、それで文部科学省の政務三役であるわけですから、これは、あるべき我が国の教育における国家像、国家戦略としての教育のあり方、日本が繁栄、発展をしていくために教育はどう貢献すべきか、そのための人材育成をどうするか、その中ででは大学入試のあり方はどうなのかということについて、結果的には各大学がそれは判断するにしても、何にも文科省はありませんということでは、これはまさに海図なき航海、もうそのまま漂流しているそのものの象徴でもあるのではないかというふうに思うんです。

 三十五人学級の問題は、これから法案が出てきたら詳しくまた議論していきたいと思いますが、教員をふやすということでは、御承知かと思いますが、アメリカのオバマ大統領は一般教書演説の中で、「未来の勝利のために」ということで、やはり教員をふやそうということを演説の中で表明しているんです。しかし、ただふやすということではなくて、十年で十万人の教育者ですが、こういうふうに言っているわけですね。

  研究と技術革新における米国の指導的立場の維持が、米国の成功にとって重要だ。未来に勝利するには、子供たちを教育する競争に勝たなければならない。我が国の数学・科学教育は、多くの国に後れをとっている。米国は、大学の学位を有する若者の割合の多さで(世界で)九位に落ちた。

  韓国では、教師は「国家の建設者」として知られる。米国でも、教育者に同じような尊敬の念を持って接する時だ。次の十年、科学、技術、工学、数学の分野で十万人の新たな教師を整備したい。

こういうまさに国家戦略として教育に取り組んでいるという姿勢が明確なわけです。

 ですから、同じように、小学校一年生から三十五人学級にするために新たに四千人、実質は三百人にしていますが、四千人の教員増ということについて、国民の皆さんから、文科省のどういうメッセージがその中にあるのかということが一緒になければ、それは、ただ学校現場は少人数学級と言っていますね、何のための先生増員かということが問われてくるのではないかというふうに思います。

 私は同時に、では、今いる先生方が、今の学校の教師が本当に皆さん満足できるような教育をしてくれていると父母の皆さんや子供たちが思っているのかということについても、あわせて考えていかなければならないのではないかと思うんです。

 私は、最近、文部科学省の方が持ってきた資料を見て愕然としたんです。それは、「英語が使える日本人」育成のための行動計画の目標達成ということで、平成十四年度に策定された「英語が使える日本人」育成のための行動計画で、中学校の英語教員それから高校の英語教員、この英語教員が備えておくべき英語力の目標として、英検準一級、それからTOEFL五百五十点、TOEIC七百三十点程度が設定されているそうなんです。しかし、この基準というのは、一般企業の大卒の新卒の基準とそもそもほとんど同じなんですから。

 実際、英語教員がTOEFLとかTOEIC、この五百五十点、七百三十点程度の設定についてどの程度目標が達成されているのか、今の状況をお聞きしたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 文部科学省が平成十五年に策定をいたしました「英語が使える日本人」の育成のための行動計画では、今委員御指摘のとおり、英語教員の英語力として英検準一級、TOEFL五百五十点、TOEIC七百三十点程度以上を求めておりますが、その達成率は、中学校におきまして二四・二%、高等学校において四八・九%でございます。まだ不十分であるというふうに認識しております。

下村委員 直近の週刊ダイヤモンドの資料によりますと、「採用の際、TOEICを考慮するか」で「考慮している」というのが五一・九%、それから、「考慮していないが、将来は考慮したい」というのが二二・二%で、七〇%近くが既に考慮しているか考慮したいという中で、実際に採用の際、TOEIC、採用基準として今の七百三十点以上とっていなければ新卒採用で合格しないというのが、ソフトバンクは七百三十点以上なんですね。それから住友不動産、野村不動産は八百点以上、それからNTTコミュニケーションズが八百五十点以上、新卒採用ですよ。

 ですから、これでいうと、中学校の教師の得点だけで言えば、合格できるのは四人に一人しかいない。中学校の英語の現役の教師が四人に一人しかいない。それから、高校では二人に一人しかまず基準にも達していない。これは何なんですかね。

 もともとは優秀なんでしょうけれども、しかし、やはりこれは、世界に通用しない英語を、日本だけで受験勉強だけの英語をしている。それが実際は国際社会の中でもあるいは一般社会の中でも通用しないという、まさに今の日本の教育の問題点ではないでしょうか。

 ですから、ただ先生たちが現場で頑張っているということじゃなくて、こういうことこそ戦略を持って文部科学省が、では、あるべき英語教育のあり方とは何なのかと。そもそも、新卒の最低基準にも満たないような現役の英語教師が四分の三もいて、それがよしとするような、これは一人一人の英語教師に対する批判ではなくて、私はシステムの問題だというふうに思うんです。こういうような英語教育現場を放置し続けることが、我が国の国際競争力なりあるいは人材力をどんどんさらに低下させることにつながっていくのではないかと思うんです。

 ですから、これは今の民主党を批判しているわけではなくて、今の教育そのものの問題ですから、これは党派を超えての問題ですけれども、このことについては、本当に抜本的に、世界で通用する教育、特にここで言えば、世界で通用する英語教育、英語教師のあり方、これをこのまま放置していったらこれは子供たちに影響してくるわけでありまして、このデータを見て大臣としてはどうお考えになりますか。

高木国務大臣 今御指摘のまさに英語力について、現状の極めて厳しい、しかも国際社会の中で、特に企業においては、まさにその採用基準の中にかなり高いハードルを抱えておることは承知をしております。

 私も、今、グローバルな世の中で我が国が今後とも世界の中で存在感を示し、そして役割を果たせるそういう人材が求められておるわけですが、その中での語学力というのの重要性というのは、認識をしております。

 したがいまして、私どもとしましても、子供のころからそのような語学に親しむ、また、特にその指導者たる教員の資質については、これまで以上に我々は研さんをしなきゃならぬと思っております。

 いろいろな考え方、方策はありますけれども、海外留学をさらに進めたり、あるいは、もちろん今の英語教育についてのある意味ではきちっとした検証をしながら、粘り強い、しかも、これは喫緊の課題であろうと思っております。

 そういう意味で、今委員御指摘の点については重要な課題としてとらえておりますので、我々としても、最善のまた検討もしてまいりたいと思っております。

下村委員 大企業の社長さんたちに会うと、もう半分以上は外国人を採用したいと言うんですね。日本人では、英語力だけではないんですが、国際競争力の中でもう太刀打ちできない。日本企業ですよ、日本企業の大企業であっても、外国人を半分以上入れないともうグローバル社会の中で対応できない。それだけ今の日本人といいますか日本教育というのが、本当に世界の中で埋没しつつある。

 ですから、先ほどのオバマ大統領の一般教書のようなメッセージというのが、では菅総理にあったのか、あるいは申しわけないですけれども、高木大臣の所信表明演説の中でそういうのがあったのか。残念ながらなかったですよね。それが、今我が国の教育の中で欠けている部分だと思うんですよ。

 鈴木副大臣はそういうことについては理解をされておられると思いますので、具体的になんですが、やはり学校の教師についても、TOEICとかTOEFLとか、いつまでもほかの基準で判断をするのはいかがなものかみたいな内国主義的な発想ではなくて、こういう基準を我が国の例えば大学にも入れながら、実際、海外に留学するときはこういうことが基準になりますよね、日本国内で余り基準にするところは少ないですけれども。こういうところを入れながら、やはり今までの学校教育のあり方というのを、つまり、受験英語でないあり方というのを抜本的に改革をしていく必要があるんじゃないですか。

 そのために文科省省内でも対策室をつくるなりしていかないと、本当にこの国は人材育成が埋没してしまうというふうに思いますが、どうですか。

鈴木(寛)副大臣 おっしゃるとおりだと思います。

 今、文部省では、昨年の十一月に外国語能力の向上に関する検討会というのを開催をいたしました。きょう御議論になっております英語教員の英語力、指導力の強化についても議題にしております。

 これまでは、どちらかといいますと、まさにインナーコミュニティーで議論をしてきたということはあろうかと思います。御指摘のとおりだと思います。この検討会では、例えば商社でお勤めになっていた方とか、あるいは、プロスポーツの世界で英語を使いながら世界で転戦されていた方、そういった新しい視点も入れながら、今御指摘ありましたような、真に通用する英語教員を養成していきたいというふうに考えております。

 今、大臣も御紹介申し上げましたけれども、平成二十三年度予算案では、新規に、日本人の若手英語教員米国派遣事業というのも計上いたしております。それから、これまでも英語教員の集中研修や海外派遣研修などの取り組みもしてまいりましたけれども、要するに、既に入って教えておられる先生方の研修ということでありますが、新規採用については、各人事権者であります都道府県教育委員会でいろいろな御対応が始まっております。

 ただ、今ちょうど教員も世代交代の時期でございますので、この機に、きょうの御議論も踏まえてきちっと対応し、そして教員養成、採用、研修の中できちっと対応してまいらないと、おっしゃるとおり、我が国は本当にこのグローバル社会の中についていけない、こういう危機感を持って頑張ってまいりたいと思います。

下村委員 皆さん方の責任に押しつけるつもりはありませんけれども、先ほどの答弁で大臣も、今、副大臣も、例えば学校の先生に対する留学施策を予算に入れている、入れます、必ずそういう答弁をされますけれども、そもそも大した人数じゃないわけです。では、そんなので本質的に先ほどのような問題を解決できるのかといったら、まさに大海の一滴みたいなもので、全く本質的な政策対策にはなっていないわけですよ。

 ですから、それをそのまま言うことによって何となく何かやっているみたいな気持ちだけで、実質的には何の変化も起こせないということではならないと思いますので、これはぜひ我々も協力をしたいと思いますし、この国を沈没させないように、ぜひしっかりと教育立国として対応を考えていただきたいと思います。

 時間がなくなりましたので、朝鮮学校の無償化問題について大臣に確認を幾つかさせていただきたいと思います。

 朝鮮学校の無償化手続停止について、平成二十二年度分の支出が事実上困難となった朝鮮学校の高校無償化適用について文部科学省が、平成二十三年度に適用を決定し、前年度分と合わせて二年分の就学支援金を学校側に支払う救済策などを検討しているというのが朝日新聞や産経新聞で報道されているんです。

 二月十日の朝日新聞では、高木大臣が閣議後の記者会見で、朝鮮学校の無償化適用決定が来年度にずれ込んだ場合でも、本年度分の就学支援金の支給を検討する必要があるとの認識を示したと報道されているんですが、これは事実なのかどうか、確認をいたします。

高木国務大臣 今、朝鮮学校の件で、年度をまたいで支給をするのかということでありましたが、この年度をまたいだ就学支援金の支給については、今後、今の状況を見ながら検討することとなっております。

 下村委員も予算委員会で朝鮮学校の問題については取り上げられておりますが、今、先般の状況によって審査手続を停止をしておるという状態でございます。この停止の状況はいつ解除するか、今の状況では判断に及ばないところでございまして、現時点では来年度のことも含めて検討はしておりませんので、今後、状況を見て考えていきたいと思っております。そういうものの検討は行っておりません。

下村委員 いや、一番最初の発言では検討していますがと言ったんですよ。では、検討していないということを明確に言ってください。最初は検討していますがとおっしゃいましたよ。

高木国務大臣 来年度も含めた支給については検討しておりません。

下村委員 当然のことですよね。

 それは私が予算委員会で取り上げましたが、二月九日の予算委員会で、これは枝野官房長官が、我が国において不測の事態が生じる可能性が砲撃以前に低下すること、つまり、朝鮮半島における緊張緩和というのが前提だということを言っているわけで、これがまだはっきりしないのに、何か二十二年度分を二十三年度まで一緒に入れて検討しているということ自体が一体何なのかということが問われるわけで、この報道は事実ではない、間違いだということをもう一度確認したいと思いますが。

高木国務大臣 これは事実ではありませんで、私たちとしては今検討しておりません。

下村委員 それでは確認をいたしますが、この再開の条件が整ったときにもう一度再スタートするということだと思いますけれども、この朝鮮学校の無償化手続再開の条件、先ほど申し上げましたように、これは朝鮮半島における緊張緩和前提ということですね。これを、いつ、だれが、どのように、緩和された、つまり、不測の事態が生じる可能性が砲撃以前に低下したということを判断するわけですか。

高木国務大臣 手続の再開については、今御指摘のように、不測の事態が生じる可能性が北朝鮮による砲撃以前の状況に戻ったと総合的に判断できる場合などです。総理を初めとして、関係の閣僚と協議をしながら、文部科学大臣として適切に判断をしてまいりたいと思っております。

下村委員 結果的に、予算委員会のときもまさに詭弁そのものでしたけれども、この朝鮮半島における緊張緩和、不測の事態が生じる可能性が砲撃以前に低下することというのは、極めてこれは外交問題なわけですよ。

 実際、日本政府が、あるいは総理が判断するにしても、これは、砲撃事件の被害者である韓国が実際どうなのか。韓国の意見を考慮する必要というのはこれは不可欠なわけです。我が国に対する砲撃じゃないわけですから、北朝鮮が韓国に対しての砲撃だったわけですから。そういう意味では極めて外交的な問題なわけですよ。

 それをずっと、いや、この朝鮮高校に対する授業料を対象にするかどうかは外交的問題じゃない、教育内容も問わないということを言ってきたこと自体が破綻をしているんですね。

 このことについては、無償化の対象にする判断は高木文科大臣がやるということでしたけれども、実際は高木文科大臣ができないということを今答弁されているんですよ。総理の判断でしょう。総理が砲撃前の以前の状態になったというふうに判断したときに、支給できるかどうか判断をその後高木文科大臣ができるということなわけで、やはり、総理がまず判断をするということですよね。

高木国務大臣 総理と十分相談をして、最終的に私が審査をするかしないか、この判断をしてまいりたいと思っております。

下村委員 これは大局観でぜひ物事を考えてもらわないと、袋小路の中の議論のようなことをしていたら、関係者に対して本当に結果的にはもてあそぶことになると思いますよ。大局観の中で、今の朝鮮半島の状況、それから六カ国協議、あるいは日本とそれから北朝鮮の二国間の関係、それから拉致問題、核の問題ということを無視してこの手続の再開をすることは、これはあり得ないことだと思いますから、それを、あたかもそういうことを前提としないで、何か二十二年度の新聞報道がそれは誤報であったということであれば、そういうことであるということを私も今の大臣の答弁については了解をし納得をしますが、ただ、そういうようなメッセージがいろいろなところに行くということ自体が結果的には関係者をもてあそぶということになってしまうわけでありまして、これは我が党としては、そもそも、教育内容も問わないで、外交問題も配慮しないで授業料の無償化対象にするということ自体が反対の立場でずっと終始来ているわけですけれども、ぜひ結果的に何かぶれたようなことにならないようにしていくためには、最初から結論ありきの、我々にとっては結論ありきのことでありますけれども、翻弄することがないように注意を喚起させていただいて、質問を終わります。

田中委員長 次に、馳浩君。

馳委員 おはようございます。自由民主党の馳浩です。

 まず、小学校一年生の三十五人以下学級について、教育論と財政論、両面から見解をお伺いしたいと思います。

 平成二十三年度予算の概算要求で、一律一〇%削減のシーリングがかけられましたが、これは義務教育費国庫負担金についても適用されましたか。

山中政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十三年度の概算要求につきまして、二十二年の七月二十七日に閣議決定されました予算の概算要求組み替え基準におきまして、義務教育費国庫負担金についても対前年度予算額を一〇%縮減するという一方で、元気な日本を復活させるための施策、この予算の重点配分を行う仕組みとして、人材養成等に特に資する事業について、元気な日本復活特別枠による要望ができるということにされていたところでございます。

馳委員 文部科学省の歴史上、今まで義務教育費国庫負担金について、一律シーリングがかけられたことはありますか。

山中政府参考人 文部省時代を含めまして、過去すべての年度についての義務教育費国庫負担金の、一律シーリングがかけられたかどうかというところまでは承知していないところでございますけれども、文部科学省となりました平成十三年度以降の概算要求におきましては、昨年度を除きまして、義務教育費国庫負担金につきましては、義務的経費として一律削減のシーリングは適用されていないというところでございます。

馳委員 平成二十二年度予算における義務教育費国庫負担金の金額は幾らですか。その金額に一〇%シーリングをかけた金額は幾らになりますか。

山中政府参考人 義務教育費国庫負担金の平成二十二年度の予算額は一兆五千九百三十八億円でございまして、一〇%削減のシーリングを行った場合、一兆四千三百四十四億円、減が千五百九十四億円ということでございます。

馳委員 平成二十三年度に現行制度の四十人学級のまま概算要求をしたら、その金額は幾らですか。その金額に一〇%シーリングをかけた金額は幾らになりますか。

山中政府参考人 委員の御指摘のような、仮に小学校一年生を含む小中学校全学年四十人学級とした場合、この場合の義務教育費国庫負担金に係ります平成二十三年度所要額は一兆五千六百十六億円でございまして、これに一〇%削減のシーリングを行った場合の金額は約一兆四千五十四億円ということになります。

馳委員 その差し引きは幾らになりますか。

山中政府参考人 差し引き千五百六十二億円の減ということになります。

馳委員 そもそも、三十五人以下学級という重大な教育論を元気枠で要求したのは、財務省の一〇%シーリングへの対抗措置ではなかったのですか。一〇%シーリングでは現職教員の義務教育費国庫負担金総額を確保できなかったからではないんですか。

鈴木(寛)副大臣 平成二十三年度の概算要求におきましては、今御議論になっております平成二十二年の七月に閣議決定をされましたこの組み替え基準において、一部経費を除いて前年度予算の一〇%に相当する額を縮減するということと、あわせて人材育成などの元気な日本を復活させるための施策に必要な予算の重点配分を行う仕組みといたしまして元気な日本復活特別枠による要望ができる、この二つのことが盛り込まれた組み替え基準になっております。

 この組み替え基準に従いますと、義務教育費国庫負担金についても一〇%削減の対象になったわけでありますけれども、一方で、文部科学省では、強い人材の実現のためには未来への投資が極めて重要でございまして、世界最高水準の教育力を目指すということが新成長戦略の中でも盛り込まれております。そのためには、教員が子供と向き合う時間の確保による質の高い教育を実現することが必要であるということで、元気な日本復活特別枠による小学校一、二年生の三十五人以下学級の実現を要望し、概算要求時点では、この要望、要求を合わせて必要額の要求を行わせていただいたということでございます。

馳委員 財務省は、平成二十四年度も一〇%シーリングを義務教育費国庫負担金に適用するつもりですか。

吉田(泉)大臣政務官 二十四年度予算につきましては、まずは、予算編成の基本理念、それから経費の性格、こういうところに留意しつつ、中期財政フレームと整合的な概算要求枠を設けたい、こういうふうに思っておりますが、その具体的な内容については、今後検討するということでございまして、現時点では決まっておりません。

馳委員 小学校一年生の三十五人以下学級で必要となる純粋増の人数とその金額を教えてください。

山中政府参考人 小学校一年生の三十五人以下学級実施に伴い必要となる教職員定数というのは四千人でございますけれども、純増としては三百人、そしてそれに係る純増分の経費としては六億円というものを見込んでいるところでございます。

馳委員 六億円でよろしいんですね。(山中政府参考人「純増分ですか」と呼ぶ)純増分は。その数字の根拠を教えてください。

山中政府参考人 小学校一年生の三十五人以下学級実施に伴い必要となる教職員定数四千人でございますけれども、このうち、純増分三百人を含む二千三百人、これを定数改善ということで行いたいと思っております。また、千七百人につきましては既存の加配定数で、小学校の一年生の少人数等の相当分、千七百人の加配定数の振りかえ、これを活用するということによって措置したいと考えております。

 また、それに要します予算額でございますけれども、四千人の定数措置に係る予算額は約八十七億円でございますけれども、うち二千三百人の定数改善に係る予算額が約五十億円、その中で、先ほどの純増三百人に係ります純増分の予算額が約六億円という状況でございます。

馳委員 今お示しいただいたその数字は、平成二十四年度以降、ふえるんですか、減るんですか。見通しと理由を教えてください。

山中政府参考人 平成二十四年度以降につきまして、小学校二年生以上でございますとか、こういうものの学級編制の取り扱いというものにつきましては、学校教育を取り巻く状況でございますとか財政状況、これらを総合的に勘案しながら、引き続き、来年以降の予算編成において検討するということとされているところでございます。

 先生お尋ねのように、これ以降の小学校二年生以上の三十五人学級をどのように実施していくかというのは、これから検討されることでございますけれども、仮に、小学校二年生以上について三十五人学級を実施した場合に必要となる教職員定数の増というのと、それから、今後、子供の数が減少いたしますので、それに伴って教職員定数が減になるということ、両方を比べますと、三十五人学級等を実施していった方の教職員定数の増の方が自然減というものを上回る場合が多いのではないかというふうに考えております。

馳委員 文部科学省は、小学校一年生の三十五人以下学級を二年生以降も定数改善の対象にするおつもりですか。それとも、財政が厳しいので、今年度の一年生限りということで店じまいをするおつもりですか。

高木国務大臣 少人数学級の推進については、教育上大変重要な政策の一つとして取り組みを進めていきたいと思っておりますし、願わくば、小学校と言わず、中学校まで少人数学級を進めていきたいものだとは思っておりますが、現下の財政状況を考えますと、そういうわけにいきません。

 私どもとしましては、二十三年度の予算の策定に当たっては、小学校一年生の三十五人以下をまず実現するという必要な経費を計上したところでございます。

 なお、小学校二年生以上の取り扱いにつきましては、学校教育の状況、あるいは財政状況などを見ながら、引き続き、来年度以降の予算編成において検討するということを考えております。

 なお、今般提出をしております義務標準法の改正案においても、学校教育の状況や、国、地方の財政状況等を勘案しつつ、小学校二年生以上の学級編制の標準を順次改定すること等についての検討を行い、その結果に基づき、法制上その他の必要な措置を講ずる、このような規定を盛り込んだところであります。

 今後、小学校二年生以上の教職員定数の改善についても、私どもとしては、政府としてしっかり取り組んでまいりたい、このような考えであります。

馳委員 今までの質疑のちょっとおさらいをすると、最初、概算要求で一律一〇%のシーリングがかけられたときに、大臣は、これは困ったなと思ったんじゃないんですか。

高木国務大臣 当然、そのように思いました。

馳委員 そして、財務省から来ていただいた吉田政務官、あなたは、平成二十四年度以降について、基本理念が大事だというふうにおっしゃいました。まさしく、我が委員会でもこの基本理念というところの議論をしないといけないと思っているんですよ。これなくして、財政状況という議論だけで少人数学級の議論をしては、ちょっと十分ではないと私も思います。

 吉田政務官、今回の文部科学省の概算要求そして予算要求に至る過程において、財務省の顔色を随分とうかがいながら、まずは現職教員の給与の総額を確保するとともに、少人数学級についての一つの道を、アリの一穴といいますか、そこを開いていきたいという、本当に綱渡りのような予算編成の過程だったと思うんですよ。こういう現状について、このままでいいと思いますか、それとも、基本理念について財務省は文部科学省とちゃんとやはりすり合わせをしながら今後の対策を考えなければいけないと思っていますか、どちらでしょうか。

吉田(泉)大臣政務官 お尋ねは、その一〇%シーリング枠を義務教育国庫負担金、こういった経費にも来年度以降適用すべきかどうかという趣旨……(馳委員「プラス三十五、今後」と呼ぶ)プラス三十五、その二つですね。

 二十三年度につきましては、政府の方針として、大胆な予算の組み替えを政権としてやっていこう、こういうことに基づきまして、社会保障とか地方の交付税とかを除いた約二十五兆円の経費を対象にして一〇%削減の要求をしていただいた、こういうことでございます。

 今後につきましては、中期財政フレームで七十一兆円の経費枠は守ろう、こういうことに来年度もなっておりますので、それを守りながら、概算要求の基準については、今後、二十三年度と同じような格好がいいのか、改善すべき点はないのか、検討してまいりたい、こういうふうに思います。

馳委員 私の所感を申し上げておきますが、義務教育ではない高校教育の無償化予算は所得制限をして、義務教育である、国家として責任を持たなければいけない義務教育の段階においては着実に少人数学級を一年生から中学生まで継続していく、そういう中期財政フレームですか、そういう計画や見通しを立てていくということについて、財務省のやはり前向きな理解というものを私は求めたいと思っています。

 これは私の見解ですので、大臣は何かおっしゃりたいような感じでありますが、次の質問に移ります。

 さて、三十五人学級の法律が成立をしても、一年生だけが対象のままでは、一年生から二年生へのクラスがえが来年必要となります。そのとおりかどうか、お伺いいたします。

鈴木(寛)副大臣 クラスがえをするかしないかは学校長の判断でございますが、仮に、二年生の定数改善が、三十五人以下学級の導入がなされなければ、学級の規模が変わってしまいますから、結果としては、二年生の進級時にクラス規模に伴うクラスがえというのが生ずるということが予想されます。

 したがいまして、私どもとしては、順次改定の検討の中で、二年生以降の三十五人以下学級についてもきちっと対応していきたいというふうに考えているところでございます。

馳委員 今、鈴木副大臣がおっしゃったように、学校長の判断、あるいは設置者である市町村の教育委員会の判断、人事権を持っている都道府県の教育委員会の判断、どちらになるんですか。

鈴木(寛)副大臣 クラスがえをするかどうかは、学校長の判断でございます。

馳委員 では、次の質問に移りますが、小学校一、二年生で、現状、クラスがえをしていない学校は全体のどの程度の割合でありますか。

山中政府参考人 小学校一、二年生でクラスがえをしているかどうかということについて、文部科学省では全国的な状況は調査をしていないんでございますけれども、全国の連合小学校長会が本年の一月に、全国的な状況はどういう傾向にあるんだろうということで、一部の自治体につきまして、県とか市につきまして抽出で行った調査によりますと、小学校二年生の進級時にクラスがえを行っていない、一年生がそのまま持ち上がる、そういう学校が多い県としては、岩手、山形、東京などがありまして、ここが、サンプルでやったところでは九割以上がクラスがえを行っていないという状況でございました。

 ただ一方、地域によってかなりばらつきというか傾向がありまして、小学校二年の進級時にクラスがえを行う、一年から二年になるときにはクラスがえをやるんだという学校が多い県としては、例えば大阪府とか山口県などもございまして、ここでは九割以上が進級するときにクラスがえを行っているという状況でございます。

 かなり地域によっての傾向というものがあるのではないかというふうに思っております。

馳委員 ここは大臣とちょっと議論したいんですが、一年生から二年生へのクラスがえをやった方がいいのかな、やらない方がいいのかなと。今、山中局長がおっしゃったように、地域によってちょっとばらつきがあるようですね。

 まず第一点として、ちょっとこういうのは児童心理学上も、あるいは義務教育のスタート時点の子供の状況にかかわる問題なので、一度全国の実態調査をしてみたらいいなと私はまず思います、これは一つ目。二つ目として、やはり人間関係をつくり上げるのに一、二年生は一緒にしておいてあげた方がいいのかなという議論があるということですね。大臣はどのように思われますか。

高木国務大臣 みずからのことを思い出しても、一年、二年どうだったかな、恐らく一年、二年はクラスがえはなかったのではないかなと思っておりますが、我が子のことを考えますと、これはまたどうだったかなと思っております。

 御指摘のとおり、クラスがえをした方がいいのか悪いのか、いろいろ専門的にもあろうかと思っております。今局長から答弁させましたように、地域においてもいろいろばらつきもあります。それはそれで、それぞれの教育的な見地から、あるいは地域の状況に応じて学校長が決めておられると思っております。

 この点についても、私は、今後ともちょっと研究をしてみたいな、このようには思っております。

馳委員 これは鈴木副大臣、地域においての事情というのは私もそうかなと思いますし、副大臣、先ほど学級編制については学校長の判断がやはり優先されるというふうな、当然だと思いますね。保護者との関係、またこの地域の子供たちをどういうふうに育てていくかという、学校長としての、公立学校であってもやはり経営理念があるでしょう、教育方針があるでしょう、その方向にやはりゆだねられていくのが必要だなと思いますが、所見をお伺いいたします。

鈴木(寛)副大臣 クラスがえをする、しないは、まさに学校長の判断でありますし、学校長は、しない理由としては、まさに同じクラスで持ち上がった方が人間関係が維持される、そしてさらに深まる、こういう、特に小学校一、二年生という人間関係形成力が未熟な段階でありますから維持が望ましいという観点があります。それから、大体そういうところは、小学校を三段階に分けまして、低学年、中学年、高学年、二年単位で学習計画なりなんなりをしているんだというふうに思われます。

 一方で、二年生のときにクラスがえを行うのは、児童の人間関係を広げるということと、それから、幼稚園、保育園からクラス編制の際に、児童の事前情報を得ながらやっているところもあるわけでありますが、そこが若干偏りなどがあって、児童間に問題を生じやすいというようなことが一年生である程度わかってまいりました場合には、二年生のときにクラスがえをする、こういうことだと思います。

 ポイントは、そういったことは、まさにそれぞれの地域ごとに、学校長が状況を見て、クラスがえを必要だと思えばする、このままいった方がいいと思えばしないということは学校長が判断すべきことだ、この基本路線は変わらないと思います。

 ただ、要するに、クラスがえを強いるような、せざるを得ないような状況に追い込むことは、我々としてはなるべくその自由度を確保するということが重要だ、やるやらない、どちらも自由でありますけれども、その自由度を、ひとえに学校長が最もベストだと思われるような御判断ができるような環境整備ということに努めるというのが、我々、制度設計を、そして制度を運用する者の役割だというふうに思っております。

 そういう観点から、二年生において、その自由度を確保するために、行政上の理由といいますか予算上の理由から何かそうしたことの自由度を減ずることのないように、きちっと、順次改定に向けて努力をしてまいりたいというふうに考えております。

馳委員 吉田政務官、聞いていましたか、今のを。今、鈴木副大臣は、私にしゃべりながらあなたに対してしゃべっていたんですよ。

 つまり、クラスがえをせざるを得ないような状況になってはいけないなということは、これは二つの要素があると思うんですよ。都道府県の教育委員会からやれという圧力がかかることが一つ。同時に、まさしく今回、この後、来週以降でも審議されようとしている少人数学級法案ですよ。一年生だけだ、二年生以降の見通しが立たなかったら、財政上の観点からも、やはりちょっと二年生に上がるときにクラスがえをしてくれ、せざるを得ない、こういう状況に追い込まれることになってしまうんです。

 だから、基本理念、中期財政フレームの中で、教育現場の環境により配慮するように、学校長の判断に弾力的な判断を、許容範囲を与えてあげることができるような議論をしてほしいんですよ。政務官、いかがですか。

吉田(泉)大臣政務官 クラスがえについてはいろいろ問題があることを、今よく認識しているところでございます。

 ただ、二十三年度予算については、先ほど高木大臣からもお話がありましたが、財務大臣と文科大臣の間で合意ができまして、小学校一年生についてのみまず実施をする、小学校二年生以降については順次検討する、こういうことでございます。

馳委員 合意ができましたと型どおりのことをおっしゃいましたが、では、大臣に聞きますよ。喜んで合意したんですか。

高木国務大臣 私の思いとしては、馳委員とも同じものがあろうかと思っております。できれば中学まで少人数学級を進めたいという理念は持っております。そういう中でありますが、予算編成の最終段階において、そういう意味で協議をして、やむなくこういう状況になったということでございます。

馳委員 吉田さん、帰ったら野田大臣にちゃんと言っておいてくださいね。やむなく、涙をのんで、嫌々合意したんですよ。

 さて、次の質問に移ります。

 そもそも、文部科学省は、概算要求では一、二年生の三十五人以下学級を出していたのではありませんか。

山中政府参考人 文部科学省の昨年度出しました平成二十三年度概算要求におきましては、その初年度分といたしまして、小学校一、二年の三十五人学級の実現に必要な経費というものを盛り込んで要望させていただいたというところでございます。

馳委員 その純粋増は何人で、金額は幾らでしたか。

山中政府参考人 小学校一、二年生の三十五人以下学級実施に必要な教職員定数として八千三百人、児童生徒の減少に伴います教職員の減、マイナス二千人、これを合わせまして、教職員定数の増は六千三百人、これに係る予算額が約百四十億円というものでございました。

馳委員 改めて伺いますが、どうして財務省は一年生だけの少人数学級しか認めなかったんですか。その査定の理由を教えてください。

吉田(泉)大臣政務官 小学校一年生については、二年生にはない特殊な事情がある。それは、例えば、幼児教育との接続の問題、それからいわゆる小一プロブレムと言われておりますけれども、なれない集団生活の中で学習に集中できないとか、それから先生のお話が聞けない、授業が成立しない、そういう状態がある、存在しているということを踏まえて、特に小学校一年生について三十五人学級化の必要性が高い、こういうふうに判断したところでございます。

馳委員 文部科学省は、二年生以降の三十五人以下学級を平成二十四年度に要求するつもりかどうか、今の吉田政務官の査定理由を踏まえて、文科省としての姿勢を明確にしていただきたいと思います。

高木国務大臣 改めて申し上げますが、昨年度の予算編成過程において、小学校二年生以上の取り扱いについては、引き続き、来年度以降の予算編成で検討するということになっております。

 このたびの義務標準法においても、学校教育の状況や国、地方の財政状況等を勘案しつつ、小学校二年生以上の学級編制の標準を順次改定すること等について検討し、その結果に基づき必要な措置を講ずるとする規定を盛り込んでおりまして、これについて、我々としては最大限の努力をし、政府全体の中でしっかり取り組んでまいりたい、そういう思いを改めて申し上げたいと思います。

馳委員 という高木大臣の決意でありますが、財務省もその方が望ましいと思っておられますか、それともいませんか、いかがでしょうか。

吉田(泉)大臣政務官 繰り返しになって恐縮ですけれども、今後とも小学校二年生以降についても引き続き検討する、義務標準法改正法案にも盛り込まれているということを承知しております。

 その際のポイントが四つある。一つは、規模三十五人学級になれば学習成果とどのぐらい関係があるのかという相関性の問題。それから、財政上の後年度負担に耐えられるのかという問題。それから三つ目は、公務員人件費改革、二割削減と言っておりますが、それとの整合性がとれるのかという問題。それから四つ目に、国と地方の役割分担、もう既に地方の自主的な措置で三十五人学級が相当普及しているわけですが、その国と地方の役割分担。こういう観点から引き続き議論を深めていく必要がある、こういうふうに思っております。

馳委員 そんなことを言われると私はここで大いに反論していきたくなるんですが、ただ、きょうは一応所信質疑という段階でありますので、今の四点は議事録に残りましたので、吉田政務官のこの発言を踏まえて、法案審議のときにねちねちと質問をしたいと思います。

 さて大臣、少人数学級という純粋な教育制度論を元気枠に当てはめて政策コンテストにさらしたことは、教育論として異常だとは思いませんか。

高木国務大臣 私どもとしましては、まさに我が国が将来ともに成長し、そして世界の中で人材として貢献できるためには、未来への投資として、財政状況が厳しいというのはもう重々わかりながらも、やはり二十年、三十年、いや五十年先の、国家百年の大計と申しますが、人づくりは国づくりだ、そういう思いを持って、私どもとしましてはしっかり教育費の確保について取り組んでまいりたいと思っております。

 そういう意味で、政策コンテストの話が出ましたが、政策コンテストについては、いわゆる予算編成の見える化という意味では、一つの一定の意義があろうかと思っております。無駄をしておるわけではありませんが、時においていろいろ精査をするということも、これはこれで大事なことだと私は思います。

 ただ、やはり、教育、人づくり、これについて、OECDの主要先進国の中でも我が国の教育費への公的投資が必ずしも多くはないという現実がございますから、我々としては、これからもこの点については力を注いでまいりたい、政府全体の中でそのようなことをしなきゃならないと思っております。

馳委員 財務省も義務教育の少人数学級の教育的な必要性は認めているのではありませんか。見解をお伺いしたいと思います。それとも、現行四十人以下学級制度のもとでの加配措置や総額裁量制で十分対応できていると考えているのですか。お聞かせください。

吉田(泉)大臣政務官 繰り返しになってしまいますけれども、小学校一年生については三十五人学級が実現する。二年生以降については、順次、財務大臣と文科大臣を中心に、対応を引き続き協議していくということでございます。

馳委員 これはちょっと肩の力を抜いてお考えいただきたいんですが、最近の報道にあったと思うんですが、義務教育の教職員、非常勤講師の割合が過去最高になったというふうな調査結果が出ていたと思います。この問題について私は報道ベースでしか知らないので、多分そうだったと思いますが、副大臣、それでいいですか。

鈴木(寛)副大臣 基本的にそのような方向で各都道府県において対応がなされておりまして、これは万やむを得ない中で、それぞれの都道府県教育委員会が、都については正規教員がされておりますが、各県で少しでも教育条件を、よりよい教育を提供したいという中での御対応だというふうに思います。

 私どもとしては、やはりきちっとこの三十五人以下学級の実現も含めて実定数を改善して、そして正規教員がきちっと確保されるということが望ましいというふうに思っております。

馳委員 ここを、私は財務省と文科省、また我々国会議員も議論すべきところだと思うんですよ。

 つまり、これは私たち自民党、公明党の責任でもあるわけですよね。いわゆる小泉構造改革のときに、義務教育費国庫負担金を二分の一から三分の一に引き下げた、教員の確保という観点から総額裁量制にした。そして、今副大臣もおっしゃったように、現場では人の数はやはり欲しいわけですよね、いろいろな教育的な課題に対応するために。そうすると、非常勤講師の割合が徐々に徐々にふえて、私が知っている報道ベースでは一五%だったと思います。

 非常勤講師が教育現場に一五%もいるとどうなるか想像できますか、吉田政務官。この想像力を働かせていただかないといけないんですよね。非常勤講師と正規の教職員と同じ職場にいるんですよ。子供たちから見たら同じ先生なんですが、どう考えても、給与だけではなく、いろいろな意味での処遇が違いますよね。どうなると思いますか、吉田政務官。

吉田(泉)大臣政務官 馳委員おただしの件は、非常勤講師とおっしゃいますけれども、常勤講師の問題も非常にある。先生方と、正規の方と同じ仕事をしながら、待遇もほとんど同じながら、身分が違う、大変ゆゆしい問題だと私も思っております。

馳委員 ゆゆしい問題の、やはり中身の問題なんですよね。

 実は、私も教員として現場に少しおりましたので、職員室の空気というのは非常によくわかります。職員室の空気は子供たちや保護者にもすぐに伝わりますよね。ああ、あの人、非常勤だ、常勤であろうと講師なんだ、正規の職員と身分が違うんだというところで、子供たちや保護者から見ても、教職員に対する差別、峻別、区別という見方がされるんですよ。

 私も、実は、教員になって二年目に、夏休みの間に退職することが決まっていたので、一気に担任を外されて、非常勤の職員のところに自分の机を移動させられたんですよ。その瞬間から子供たちの私を見る目が変わりましたよね。意味わかりますね。先生に対する信頼感、教職員の中での信頼感、それから非常勤の職員は、私の場合にはやめてプロレスラーになることが決まっていましたから、これは自分の問題なんですが、現在いる、一五%もいる非常勤講師の皆さんは、来年の契約大丈夫かな、自分の人生設計できるかな、そういう不安を抱えている人が教育現場にいたときに、そしてもう一つ、研修の問題があるんですよ。

 非常勤の職員は、多分年に一回か二回ぐらいは研修を受けてもいいですよなんですよ。受けてもいいですよと。もちろん初任者研修なんて受けられないんですよ。研修は受けてもいいですよ、自分の責任でどうぞと。でも、正規の職員はどうですか。あり過ぎるぐらい、もう勘弁してくれよというぐらい研修がいっぱいあって、そして意欲のある教職員はそこで一生懸命勉強し、よりよい教育環境をつくるために、知識も習得するために頑張るんですよ。

 どう考えても、職員室の中にいびつな関係性が生まれてくるということは容易に想像できるんですよね。そうならないように何とか工夫していかなければいけないだろうねと。まずは、三十五人以下学級を含めて、正規の教職員の数の確保。やむを得ない非常勤や、臨任でもそうですよね。常勤講師がいたとしても、教職員の間柄、職員室の中にいびつな差別、区別、峻別が伴わないようにしていかなければいけないし、それをリードするのが学校長の役割であり、バックアップするのが教育委員会の役割でもあり、そう考えると、基本的な教育環境の整備をするには、義務教育においてはやはり国の責任がありますよね、こういう議論をしなければいけないと思うんですよ。私は、財務省にこそ、この議論を十分理解した上での対応を求めたいと思っているんです。

 吉田政務官、もう一度答弁を求めたいと思います。

吉田(泉)大臣政務官 実は、私も個人的にこの問題は大変大きな問題だと思って、委員会で質疑に立ったことがございます。地方公務員法の趣旨に反するのではないかということも問うたことがございます。

 いずれにしても、財務省としては、この予算定数、七十万人の予算定数に見合った予算を措置しているわけでございますので、何とかこの定数の中で、極力正規の先生方でやっていただけるような何か工夫をしていただきたいと思います。

馳委員 改めて申し上げたいと思うんですが、クラスの人数の、きょうは上限の話をしていますけれども、下限の話をしようと思えばできるわけですよ。つまり、今回法律が通れば、三十五人学級、一年生ですが、三十六人になったら十八と十八に分けなければいけないのかなという問題もそうですが、そんなことを言ったら、過疎地域は、我が党の橋本聖子参議院議員、義務教育の段階で、一学年たった一クラス、二人ですよ。そんな環境で育っても、あんな立派な人としてお育ちでありますよ。つまり、教育に関係する議員、我々も、文部科学省の皆さんも、そうすると、多人数であろうと少人数であろうと、過疎地域であろうと、やはり教職員の指導力にすべてゆだねられているんだなと。

 そうなると、吉田さん、養成段階、採用の段階、研修の段階、人事異動を含めた人事権の行使などを通じて、一体的に教職員の能力向上のために配慮していかなきゃいけないんだなと。この予算措置の大元締めが、やはり財務省になってくるんですよね。

 吉田さんは、先ほどからおっしゃったように、地方公務員法に照らし合わせて、教職員の身分問題について、そういうアングルでのお話をされました。そういう観点もよろしいと思いますが、私はあえて、文部科学省の応援団として、やはり、教職員の身分とともに、能力向上、資質向上、そういう人材をより確保し、同時に、常に自己の能力を研さんし、高めていく努力をし続けなければいけない、こういう姿勢で臨まなければいけないと思っているんですね。

 最後に、この議論は法案審議のときにもまたさらに深めてさせていただきますが、ちなみに、現在、小学校一年生の三十五人以下学級は、全体の学級数のうち、どのくらいありますか。実数と割合を教えてください。

山中政府参考人 小学校一年生の単式学級のうち、一学年の人数が三十五人以下学級である学級の数でございますけれども、三万九千百三十学級でございます。小学校一年生の単式学級が四万一千百九十学級でございますので、約九五%に相当するというところでございます。子供の数では、約九三%程度でございます。

馳委員 ということで、これは吉田政務官もおわかりのように、都道府県は、総額裁量制や加配などをうまく使いながら、九五%の学級、対象児童の母数のうちの九三%ですから、ほぼ三十五人以下学級になっているという実態を見れば、やはり、順次、二年生、三年生、四年生、五年生、六年生、中学生まで含めてこの方向性に導いていくというのは、ある部分、社会的な要請だと思うんですよ。そのことを改めて申し上げて、次の質問に移らせていただきます。

 朝鮮学校の無償化問題について、改めて大臣の見解等を伺いますが、無償化の手続停止について伺います。

 内閣法では、第四条に「内閣がその職権を行うのは、閣議によるものとする。」とあります。第六条には「内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基いて、行政各部を指揮監督する。」とありますが、間違いはありませんね。

鈴木(寛)副大臣 間違いございません。

馳委員 文部科学大臣の権限は文部科学省設置法で定められていると思いますが、朝鮮学校の無償化手続も文部科学大臣の権限であることに間違いはありませんね。

鈴木(寛)副大臣 法律におきましては、各種学校のうち、制度の対象となる高等学校の課程に類する課程を置くものの指定は文部科学省令で定めることとしておりまして、朝鮮学校の指定に関する事務についても、文部科学大臣の権限でございます。

馳委員 内閣総理大臣が無償化手続を停止させることはできないはずだと思いますが、いかがですか。

鈴木(寛)副大臣 内閣総理大臣は、流動的で多様な行政需要に遅滞なく対応するため、少なくとも、内閣の明示の意思に反しない限り、行政各部に対し、随時、その所掌事務について一定の方向で処理するよう指導助言等の指示を与える権限を有するというふうに最高裁判例でも解されております。

 今般の手続停止の指示も内閣総理大臣の権限の範囲内であるというふうに考えられます。

馳委員 そもそも、手続停止について閣議決定をしていますか。拉致担当大臣や外務大臣の了解を得たものでしょうか。

鈴木(寛)副大臣 閣議決定はいたしておりません。なお、拉致担当大臣、外務大臣とは相談をいたしております。

馳委員 なるほど、閣議決定はしていないとなると、概観して見ると、内閣総理大臣による文部科学大臣の権限に対する侵害、こういう言葉を使うと大げさですか、越権行為といいましょうか、そういうふうには思いませんでしたか、大臣。

高木国務大臣 先ほども鈴木副大臣から申しましたとおりに、判例におきましても、内閣総理大臣は、閣議決定が存在しない場合においても、流動的で多様な行政需要に遅滞なく対応するために、少なくとも、内閣の明示の意思に反しない限り、行政各部に対し、随時、その所掌事務について一定の方向で処理するよう指導助言等の指示を与える権限を有する、こういう解釈でありまして、今般の手続停止の指示についても、内閣総理大臣の権限の範囲であろう、私としては、権限の侵害には当たらないと思っております。

馳委員 これは、指導助言を聞かなくてもいいんじゃないんですか。

 大臣、頭の中に、ちょっと、教育的な問題だから、私が最終的に判断する、下村さんとの予算委員会でのやりとりでも、最終的には私が判断するとおっしゃっていましたよね。大臣からこれを言われたときに、一時停止について、指導助言でありますから、私の判断で決めるんだから、指導助言があったとしても、それを聞かなくてもよかったんじゃないんですか。

高木国務大臣 これは、ただいま申し上げていた中での総理大臣としての重要な指示だと私は受けとめております。

馳委員 指導助言と指示は違うと思うんですね。

 大臣は、本当は、総理のおっしゃることの気持ちはわかるけれども、決めるのは私なんだから、教育的な観点から決めるのであって、一時停止に従わなくてもよいと思ったんじゃないんですか。それとも、当時、私や下村さんからやいのやいのとつつかれていて、渡りに船とばかり、一時停止にしたんですか。いかがでしょうか。

 これは、国会の議論というものはやはりそういうものだと思っているんですね。あのときの大臣の判断に何が要素として与えられたのかな。あれほど教育の問題だとおっしゃっておられたのに、急転直下、一時停止をされた。何でなのかなと、私はいまだに大臣の心中が推しはかりかねているんですね。いかがでしょうか。

高木国務大臣 このことについては何度も申し上げておりますように、北朝鮮の砲撃が我が国の安全にかかわる事態であって、国内において国民の生命と財産を守るために、内閣において情報収集をしながら万全の態勢を整える、こういうことから、総理の判断として、いわゆる内閣の最高責任者でありますが、総理の判断としてそういう指示があった、私はそのように受けとめております。

馳委員 高木大臣は、記者会見で超法規的措置と発言しています。内閣総理大臣としての超法規的措置なのですか、文部科学大臣としての超法規的措置なのですか、どちらですか。

高木国務大臣 私が以前の記者会見において超法規的という表現を使ったことについては、今の一たん停止をするということについて比喩的に私の考え方を述べたのでありまして、誤解があれば、表現としては超法規的ということについて適切ではなかった、このようなことを思っております。

馳委員 では、記者会見で超法規的措置と発言された言葉は撤回されますね。

高木国務大臣 それは、取り消させていただきます。

馳委員 となると、もう一度先ほどの話へ戻ると、総理大臣からの指示とおっしゃいましたよね、これは法律的にも指導助言ですね。これはやはり、指示に近い命令のように、そういう重大性をもって高木大臣は当時受けとめられたのですか。

高木国務大臣 私としては、そのように受けとめております。

馳委員 さて、手続の再開に当たっては、閣議での意思決定を図る必要があると私は思います。なぜか。あのときは、緊急事態という、内閣としても、政府全体、日本の国全体としても、これは大変なことが起こったなという緊張感がありました。ただ、時間がたって考えてみると、砲撃事件と朝鮮学校の現場とどう結びつくのかなというふうにも思いました。

 そこで、手続の再開についてという、この次の段階をどう考えたってシミュレーションしなきゃいけないんですね。大臣、手続再開に当たっては閣議での意思決定を図る必要があると私は思いますが、いかがですか。

鈴木(寛)副大臣 これは、そもそも法律上は省令事項についての事務ということになりますので、手続の再開については、内閣総理大臣を初め、関係閣僚との相談というのは必要だと思いますけれども、文部大臣が行うものであり、閣議決定は必要ないというふうに解しております。

馳委員 ここが何かポイントのような気がしましたね。

 私は、閣議決定した方がいいと思っているんですね。そして、その際には、拉致担当大臣や外務大臣の了解を含めて、全会一致が必要だと思っています。私は、そういう手続が行われるのが筋だと思っています。ただ、これは私の考えですので、今、鈴木副大臣がおっしゃったように、今のところ文科省は閣議決定は必要ないと思っておられるんですね、今のところ。改めて大臣に伺います。

高木国務大臣 そのように考えております。

馳委員 では、そもそも再開の基準はどのような具体的な基準だと考えておられますか。

鈴木(寛)副大臣 手続の再開は、不測の事態が生ずる可能性が北朝鮮による砲撃以前の状況に戻ったと総合的に判断できた場合など、状況の変化に応じ判断するものであると解しております。

馳委員 高木大臣は、砲撃事件について、昨年十一月二十四日の下村博文委員の質問に対して、「正常な教育を揺るがす、ある意味では平和を揺るがす、その根底にかかわる問題」と答弁をしておられます。正常な教育を揺るがす我が国への影響とは、いかなる事態を想定して発言をされたのですか。

高木国務大臣 先般の北朝鮮の砲撃は、今おっしゃられましたように、私としては、正常な教育や平和を揺るがすといったようなことも含めて、国家の安全にかかわるような事態である、このような事態について私は述べたものでございます。

馳委員 これは、大臣や政府側からは言えないと思うんですけれども、やはり外交に絡む問題なので。

 そうか、砲撃事件があったら、それに連動して、日本の国内で何かテロに近いような不穏な動きが起きるのかなとか、治安を揺るがすような事態になるのかなという想像をたくましく働かせてしまうんですよ。それほど政府当局の発言というのが国民に対して重く受けとめられているというふうに、私は大臣に認識をしていただきたい。だから、具体的にというふうに今聞いているんですね。

 時間がございませんので、次の質問を最後にさせていただきます。

 政府は、我が党の義家弘介参議院議員の質問主意書に対して、今回の「北朝鮮による砲撃は、我が国を含む北東アジア地域全体の平和と安全を損なうものであり、政府を挙げて情報収集に努めるとともに、不測の事態に備え、万全の態勢を整えていく必要がある」と答え、「指定の手続を一旦停止」したと答弁しています。

 朝鮮学校に対する無償化手続を停止することが、どうして「不測の事態に備え、万全の態勢を整えていく」ことになるのか、大臣が想定をする朝鮮学校がかかわる不測の事態とは具体的にどのような事態なのかをお答えください。

高木国務大臣 不測の事態というのは、何度も申し上げておりますように、国民の生命財産の安定ということであります、それが脅かされる事態と。

 したがって、例えば、もう少し具体的なことを言いますと、あのときの状況を思い起こしていただければよくわかると思いますが、審査をする、そういう仕事についても、ああいう状況の中で果たして正常な議論ができるのかということの懸念もございました。そういうことも一つの事態でございます。

馳委員 終わります。ありがとうございました。

田中委員長 次に、池坊保子君。

池坊委員 公明党の池坊保子でございます。おはようございます。

 大臣の今回の所信、拝読いたしまして、余り先回と変わらないな。教育というのは継続も重大課題ではありますから、継続なさることは大切だとは思いますけれども、斬新的なもの、目新しいものは何一つない。文章を見比べましたら同じような文章の羅列だったというような感じがいたしますけれども、その中にあって、今国会は三十五人学級を何よりも高く掲げたいと思っていらっしゃるのだと推察いたします。私も、三十五人学級、法案を本当にきめ細やかに読ませていただきました。その中で、これでは足りないのではないかと思うものも幾つかございました。

 直接法案そのものに入ります前に、前段として、大臣の教育にかける目標とか理念とかそういうものを、ちょっとそれも伺ってまいりたいと思います。

 公明党は、昨年、マニフェストとして三つ掲げました。一つ目は、「子どもたちの学力向上を図るため、教員が子ども一人ひとりに向き合う環境をつくります。そのために教職員等の増員や資質の向上に取り組みます。」二つ目、「少人数学級やチームティーチングの導入など学校の実情にあった学級編成ができるようにします。」三つ目、「将来のわが国を支える人材を育成するために、子どもの理科離れ対策に取り組みます。実験や観察に必要な設備などを充実させるとともに、外部人材を活用した魅力ある授業の実施など理科教育を充実します。」もちろんもっとたくさんございます。公明党は教育の党、私は十五年間、一度も離れることなくこの文部科学委員会に属してまいりました。

 これをお聞きになって大臣はどう思われるか、ちょっと伺いたいと思います。続いて副大臣にも伺いたいと思います。

高木国務大臣 ただいま池坊先生から、公明党のマニフェストの一部の御紹介がございました。私も読ませていただいて、まさに、教育の当面する課題、これからの目指すべきもの、これが記載されておると思っておりまして、私たちとしても、字句や用語の使い方は別にしても、そう変わらないものだと思っております。

 私たちとしましては、特にその中で、先ほども私の所信についての見解もいただきましたが、政権交代をして一年半でございます。高校の無償化あるいはその他の点についても、大きな制度改革もございました。そしてまた、いろいろな考え方や、検討委員会等も立ち上げております。メニューはもう出尽くした感がございまして、私としては、それらの一つ一つ花を咲かせることが私の今の当面の使命であり責務だと思っております。

 その上で、私としては、子供たちが、健全で、そして社会の一構成員として義務と権利をしっかりわきまえ、そして、助け合いの精神、思いやりの精神、これをはぐくんで、そして我が国をしっかり支える人材となっていただくような、そういう意味でよく言われますが、知育、体育、徳育、こういった総合的な観点から豊かな子供を育てていかなきゃならぬ、こういう思いでございます。

 そういう意味で、少人数学級はその中でも大変な一つの取り組みだと思っておりますし、やはり何といいましても、教育の質の向上といいますか、子供たちに先生がしっかり向き合う時間を確保する、そういう意味で、私たちとしてはこの少人数学級についても、公明党のマニフェストについても考えは同様であろう、私もそのように考えております。(池坊委員「両副大臣、一言で。時間がございません」と呼ぶ)

    〔委員長退席、松宮委員長代理着席〕

笹木副大臣 経済が成熟段階になってきますと、やはり新しい挑戦とか新しい創造が必要なわけですから、少人数学級、この方向は正しい、やっていかないといけないとそう思っています。

鈴木(寛)副大臣 公明党の掲げておられます教育関係のマニフェストは、理科離れ対策も含め今の三点は、今の学校の現状、教育の現状を的確に踏まえた大変適切なものであるというふうに理解をいたしております。

池坊委員 笹木副大臣が新しい取り組みとおっしゃったので、三十五人学級、決して新しい取り組みではないのですよということも、ちょっと現状を十分に御理解いただいた上での発言だと思いますけれども。

 先ほど山中局長からも説明があったように、現在、小学一年生の学級規模は、三十五人以下学級が七一・三%、地方独自の措置で二一・六%、要するに、合計九二・九%がもう三十五人以下なんですよ。ですから、新しい取り組みでは全然ないんですね。小学校全学年では、三十五人以下学級が七一・三%、地方独自措置で一〇・七%、合計八二%が三十五人以下なんですよ。そして、公立小学校の一学級当たりの平均生徒数は二十七・九九人、これが現実です。

 私たち公明党は、子供たちの個性を大切にし、きめ細やかな教育を実現するために、少人数学級というのを今までも大いに推進してまいりました。そのような推進の中で、この三十五人学級というのはもう既に九三%まで実現している。私ども公明党はこれを言い続けて実現してきたということを、これを事実としてわかっていただきたいと思います。現場では、今さら、もうできているよというのが現実なんですね。

 それで、この法案で教員の純粋な増員というのはわずか三百人ですね。これで三十五人学級が実現しましたよと主張なさるというのは、私はすごく違和感をむしろ持っているんですね。このような法案を今お出しになる意味というのは何なんでしょうか。大臣、時間がございませんので、ちょっと簡潔にお願いいたします。

高木国務大臣 今御指摘のありましたように、既に九三%の児童が三十五人学級で勉強しておるという事実もあっております。

 私どもはこれの制度化について今回取り組むわけでありますが、これは、国が財政措置を行うことが可能になるということで、既に少人数学級を実施しておる都道府県であっても、他の学年に活用することも可能になっていきますので、これをもってさらに少人数学級への、ある意味では今回はスタートですから、しっかりそれが取り組めるのではないかとこのように思っております。

 しかし、これですべてではありません。やはり、できれば二年生、そして義務教育の中学校の三年生までそういうことについてやっていきたい、このような思いは強く持っております。

池坊委員 弾力的にできるんだよみたいなお話でしたので、それは後で詰めてちょっとお話ししたいと思います。

 教育予算というのは、量の拡大というのももちろん大切ですけれども、私は、やはり質を上げるということが大切なのではないかというふうに思っております。

 私、新政権で大変危惧いたしておりますのは、この質というのが時に片方に追いやられて、量というものばかりに注目されているのではないか。それの典型が私は子ども手当だと思います。子供に現金をする。同時に、やはり現物のいろいろなサービス、待機児童もたくさんいるんだ、だから、一人で子供と向き合っている大変な親たちの子育て支援とか待機児童の解消とか、そういうこともバランスよくしなければならないと私は思っているんですね。

 文科においては、特に私はこの質ということが問われるのではないかと思います。この二十年間、子供の数は減る一方でございます。小中学校の児童生徒一人当たりの公共費負担というのは、支出は一・五倍以上、職員数は一・三倍以上となっております。

 今回の法改正が学校教育の質向上にどのようにつながるというふうにお考えでしょうか。

高木国務大臣 今回の三十五人以下学級においては、今さら申し上げるまでもなく、教師が一人一人の子供たちと向き合う時間を確保する。そういう意味では、きめ細かい指導が可能になる、このことは質の高い教育につながる、このように確信をいたしております。

 同時に、今回の改正の中にも、都道府県教育委員会の関与を見直す制度改正も行っております。学校の設置者である市町村教育委員会が、みずからの判断と責任で、地域や学校の実情に応じた、より弾力的な学級編制が可能になるようにもなっていきます。これも質の向上に大いに貢献をする、このように思っております。

池坊委員 御存じだとは思いますが、OECDの統計によりますと、一学級の児童生徒数は、小学校が平均二十八・一人、中学校が三十三・〇人で、それぞれ、国際平均の二十一・四人、二十三・四人を大幅に超えております。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスの主要国はいずれも二十六人以下で、やはり日本の学級規模は大きいと言わざるを得ないと思います。

 しかしながら一方で、教員一人当たりの児童生徒数は、他国の平均並み、小学校が十九・〇人、中学校が十四・八人で、米、英、独、仏とほとんど変わらないのが実情でございます。要するに、教員一人一人が行っている週当たりの授業時間数は少ないことになるんです。

 単純に教員をふやせばいいのかというのが私の疑問でございまして、いい教員の育成、確保も同時に必要だと思いますから、これは先生の養成などでまた別になるんだと思いますけれども、こういうことも念頭に入れていただきたいというふうに考えます。

 それで大臣、小学校一年生の三十五人学級を実現するために加配定員を削減するのは、これはいかがなものですか。単なるこれはつけかえと思いますけれども、お答えいただきたいと思います。

    〔松宮委員長代理退席、委員長着席〕

鈴木(寛)副大臣 これも委員御承知のことだと思いますけれども、小学校二年生以降の加配については、昨年と同数を確保した予算になっております。今回は、小学校一年生で既に少人数学級に活用している人数相当分の千七百人をむしろ定数化することによって、加配というのは毎年々の予算査定の中で変動いたします、削減をされる可能性もございますが、これが基礎定数に法律で位置づけられるということになりますと、それは確実に手当てをされる。そのことによって計画的な定数配置、定数改善ということに資するということで、このような対応をしているところでございます。

 その他の通級指導であるとか研修等の定数も、昨年度と同数の加配を確保しているところでございます。

池坊委員 それでは、今加配のことをお話しになりましたので、教員採用に対して今の副大臣の答弁に私質問したいんですけれども、今回は予算案の形成過程で小一だけが三十五人学級になりましたね。それ以外の学年は今後検討するということになりました。しかし、今年度のように十二月の予算案の閣議決定まで具体的に決まらないことが毎年続くと、今後の都道府県、政令都市などの採用計画や採用後の配置に影響を与えるのではないかと私は懸念するんです。現在でも、教員の資質、能力の総合的な向上方策について中教審の特別部会で審議が行われておりますし、また、公立小中学校の教員の採用を担う都道府県や政令都市などでは、すぐれた教員をどのようにして採用するか、さまざまな工夫をし、計画的な採用を行っております。

 今後の教員採用については、平成二十三年一月三十一日の中教審の特別部会の審議経過報告において、「今後十年間に、教員全体の三分の一、二十万人弱の教員が退職し、経験の浅い教員が大量に誕生することが懸念されている。」と指摘しており、退職する教員を補充するために多くの新人教員を確保しなければならないとともに、新人教員が多くなることによる教員の質の低下を防ぐ必要性が生じることになります。大量に教員が退職する都道府県、政令都市などにおいては、綱渡りのような、緻密な教員の採用、また採用計画を実施することが求められていると思うんです。

 そこでお伺いしたいのは、小学校第一学年以外の学級編制の標準の引き下げの調整が毎年毎年年末まで難航するようであれば、都道府県、政令都市の採用計画に支障が生じるとお考えになりますでしょう。その結果は、現場の教員に対するしわ寄せは当然のことながら、子供たちが実際に影響を受けていくのではないかと思います。学級編制の標準の引き下げについて中長期的な今後の見通しを政府として持っていらっしゃるのでしょうか。

 例えば、次期教育振興基本計画の改定の際などに、前回の教育振興基本計画の策定の際盛り込まなかった定数改善計画等の数値目標として明記することなどが考えられますが、それについて、大臣あるいは副大臣の御見解を伺いたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 御指摘のとおり、義務標準法で明確になっている分については、これは安心してといいますか、きちっとした法的な保障をもって定数が確保されておりますから、各都道府県教育委員会は、それに基づいて、その分については安心して教職員の確保ができるわけであります。

 それをさらに今改善しようということになってございまして、私どもの立場から申し上げれば、より確実な形でそうした方針を示すことが望ましいというのは、委員御指摘のとおりでございます。

 したがいまして、今回の附則等においても順次改定をするということは入っているわけでありますけれども、一方、毎年々の予算編成の中で、例えば来年の予算編成の中で、十二月までに、さらに申し上げれば、予算案が確定するのは、国会における審議を経てとこういうことになりますので、御指摘のことはそのとおりの部分もあろうかと思います。

 したがいまして、文部科学省といたしましては、これも既に御指摘いただきましたように、中教審によって計画的な定数改善についての提言を得ておりますけれども、これを、政府全体で、あるいは国会としてどのように続けていただくかということは、きょうの御議論も踏まえて、教育振興基本計画での扱いも含めてこれから検討してまいりたいというふうに思っております。

池坊委員 きっちりとやはり明記するとかされませんと、場当たり的に現場が困るんです。私、やはり現場を大切にしなければいけない、それから、現場というのは、それはまさしく私たちが向かい合う子供たちですから、子供たちのためにもいい方法はどういうことかということを考える必要があるのではないかと思うんです。

 私、財務省の吉田政務官、もういらっしゃらなくなって残念なんですけれども、さっき、小学一年生というのは、小一プロブレムでなかなか学校になれなかったりして大変だ。確かにそうですよ、いろいろなところで今小一プロブレムと言われておりますから。皆さん一般的には知っていらっしゃる。でも、同時に中一ギャップというのもあるんです。御存じでいらっしゃいますでしょう。だから、小学校一年生だけでやったらいいということではないと私は思うんですね。

 言うまでもなく、平成二十四年度には、中学校において新しい学習指導要領が実施されることとなっております。それへの対応も求められておりますよね。中学において、授業時数の増加、理数教科の充実などへの対応のほかに、保健体育の中で必修化される武道、ダンスなどが条件整備されなければならなくなってまいります。武道場の整備や指導者の確保なども進められていると思うんです。

 ですから、昨年の八月に文部科学省において作成された新教職員定数改善計画では、これは案ですけれども、平成二十六年度から中一の三十五人学級の実施としておりますが、今、この教職員定数改善計画どおりの実施がなくなっちゃいましたよね。案がなくなりました。

 小学校段階のように、中学校でも、新しい学習指導要領の完全実施とともに学級編制の標準の引き下げなどの見直しを行おうというお考えはあるんでしょうか。そういうことは全然考えていらっしゃらないのか。もしそういうお考えがあるならば、私は、早急に教員採用などを計画的にするように指示しなければいけないと思うんですけれども、いかがですか。そういうことは全然考えていらっしゃいませんか。中一ギャップ、御存じだと思います。

鈴木(寛)副大臣 中一ギャップのことも含めて中教審で御議論がされて、委員御指摘のような提言がなされているわけでございます。

 先ほど来、大臣も御答弁申し上げておりますように、文部科学省といたしましては、小一から中学校三年生、普通教育段階すべてにわたっての少人数学級化ということが必要だという認識を持っております。

池坊委員 副大臣は教育全般に対して前々から非常に深くお考えだと思いますので、もう今既にでき上がっているような九三%の配置が行われている三十五人学級を、ただ単にこれをやろうやろうと言うのではなくて、それなれば、中学一年生がさまざまな問題を起こしている、これもやるべきではないかと。総合的に教育というのは見なければ、これは見たことにはならないと思うんです。

 私、細かいことに入っていきたいと思います。先ほども申し上げましたように、三十五人学級、もう私ども公明党が頑張ってやってまいりました。さっきも大臣がおっしゃったように、教師が真摯に子供と向き合い、子供一人一人に対しきめ細やかな対応をする、これは教育の基本的な方向だと私は思っております。

 ですから、このことに対しては私は可とするものではございますが、単に小学校一年生についてのみ画一的に三十五人学級を実現しよう、それはちょっとおかしいんじゃありませんか、不備な点もたくさんございますよということを申し上げたいのです。

 都道府県教育委員会が教職員の定数設定権限を有する現状において、市町村教育委員会の学級編制にかかわる自主性を形式的に強めたにすぎないのではないか。つまり私が申し上げたいのは、現場においては、実態としては、市町村教育委員会は都道府県教育委員会の意向を踏まえなければならないという現状に変化はないのではないかというふうに思っているわけです。だとするならば、教育の質の向上にはつながらないのではないか。

 まず第四条に、今までのところからこれは「標準」になさいました。これとどう違うのかということを私は伺いたい。学級編制に対して、現行法での「従い」というのを改正案では「標準」として、これはどう違うかをちょっと端的にお話しください。

鈴木(寛)副大臣 現行法の場合は、拘束力が強く、必ず適合しなければならない基準というふうに解されます。今回の改正案においては、標準としての基準ということになっております。

 これは、都道府県教育委員会の基準により市町村教育委員会が学級編制をすることを原則としつつも、個別の学校ごとの実情に応じて、児童生徒に対する教育的配慮が必要な場合は弾力的な運用がより一層可能となるという解釈になります。

池坊委員 より一層弾力的な学級編制が可能である。確かに。だけれども、現場においては、これは通達か何かでなさるんだろうと思いますけれども、これだけでは、現場において市町村は、さっきも申し上げたように、やはり都道府県教育委員会の意向に沿うわけですよ。

 学級編制は、その地域や学校における子供の実態、教育上の諸条件、いろいろな事情において私はさまざまであるべきであると思っております。それは先回も大臣に質問いたし、大臣も、それに対しての制度設計が必要であるというお答えをいただいたと思います。

 画一的に三十五人学級とするのではなく、地域や学校の実情に応じた柔軟な学級編制ができるよう法律上措置すべきであると考えておりますが、いかがでしょうか。

鈴木(寛)副大臣 標準とするという書きぶりは、まさにこれは、法律で明記をしているわけでありますからその方向になるわけでありますが、委員御承知のように、今回の義務標準法の改正は、結局、国の義務教育国庫負担金をどのような考え方で算定をしていくのかということにかかわる問題でございまして、さらに三分の二については、都道府県がその分については負担する。加えて、都道府県の地方単独での予算措置によって教員の人件費というのは構成されているわけであります。

 その運用が、今回の書きぶりによって、先ほどの繰り返しになりますけれども、地方の自主性というのは確保されるというふうに理解をしていただいていいわけでありますけれども、さらに、きょうの御議論も含めてそのことをきちっと周知徹底をしてまいる必要はあろうかと思いますので、そのように努めてまいりたいと思います。

池坊委員 周知徹底を省令などでなさるのではなくて、きっちりとやはり法律に、書いてはいけない、書いちゃ困るということは何もないように思いますが、副大臣いかがですか、支障が何かございますか。

鈴木(寛)副大臣 その点は、立法府での御議論にゆだねられるべき問題だと考えております。

池坊委員 私どもは、これからこのようなことも細やかに修正できるのではないかということを考えていきたいというふうに思っております。

 例えば、地方公共団体の教育委員会による学級編制の弾力的措置について、例外規定を明記して、より実効性のある仕組みを私は構築すべきであるというふうに考えております。なぜかといいますと、何度も何度も申し上げますが、現場に行くと、やはり法律に書かれておりませんと、通達だ何だと言っても、なかなか力が弱いです。

 学校長の意向を踏まえた市町村による弾力的な学級編制をより行いやすくするために、地方公共団体の教育委員会が当該学校の児童生徒の実態や生徒児童数の実情などを考慮して、本改正案で規定した基準、一学級の児童生徒数を上回る学級編制、例えば三十六人以上四十人以下の学級編制を弾力的に措置する必要があると認められる場合については、例外とする趣旨の規定を私はぜひ第四条に追加してほしいと思っておりますので、そういうことは私どもが考えるとしても、政府の方でもそのような配慮をぜひ私はしていただけたらというふうに思っております。

 なぜかといいますと、では、三十六人、三十七人になった、十八人と十九人、三十五人というのが書かれまして、現場では、法律に書かれませんとなかなかこれは実現しないというのが現状ですので、副大臣ちょっと、私はそのように御提案いたしましたが、いかがでしょうか。

鈴木(寛)副大臣 現行でも、先ほど来御議論になっておりますように、総額裁量制ということなどの時期から、かなり弾力的な運用ができるということになってはございます。

 それを受けて、東京都などの区、市等々においてはかなり自主的な取り組みもございますが、そのことをさらに全国津々浦々に理解を深めていく、こういう御趣旨だと思いますので、その御趣旨については私どもも理解はいたしておりますが、法制的に申し上げれば、今のことでも十分可能ではございます。あとは、それをどのような形で現場に周知をしていくかということだと思います。

池坊委員 そうなんです、副大臣、可能は可能なんです。だけれども、現実に行われないというのが現状だということは、副大臣はよく御認識いただいていると思います。

 大切なことは、今、津々浦々とおっしゃいました。これが大切なんだと思います。一部の人間だけがそれを知り、そしてそうするのではなくて、すべて津々浦々、全国の市町村が理解しながら、そうなんだと納得しながら行っていくことができるような法律をつくっていくのが私どもの責任です。とともに、それをやはり政府の方々も御理解いただく必要があるのではないかと私は切に申し上げたいというふうに思います。

 それで、都道府県教育委員会が教職員の定数設定権限を有する、今現実にはそうですよね。現状においては、幾ら市町村教育委員会において学級編制に係る自主性を強めたところで、市町村教育委員会は、何度も申しておりますけれども、都道府県委員会の顔色を伺わなければならないというのが現状なんですね。だから、結局変わらないんじゃありませんかということを申し上げたいんです。

 それで、市町村教育委員会が弾力的な学級編制を行った場合には、都道府県教育委員会は、市町村教育委員会の意見をしっかりと踏まえた上で教職員定数の配分を決めるべきことを、通達によってではなく、法的に担保する。そしてそれは、義務標準法の四条、五条、六条だけでは私は足りないというふうに考えております。それをバックアップすることも必要ではないか。

 ということは、地方教育行政組織運営法第四十一条にもしっかりとそういうものを書いて、バックボーンがないとそれが実行されないというふうに思っておりますので、その辺、現状を踏まえていらっしゃる副大臣はどのようにお考えでしょうか。

鈴木(寛)副大臣 法律の運用に当たって、どんな法律でも幅があります。そういう中で、委員御指摘の検討の重要性といいますか、津々浦々にそのことをさらに徹底をしていくという御趣旨の御議論だというふうに思います。

 もう少し申し上げますと、結局、教職員の人件費の財源負担の問題、財源確保あるいは財源増の問題と、それから、その財源によって割り当てられた人員をどのように現場に応じた形で配置をしていくのか、この両面が相まって決まっていくことでございます。

 前者のことについては、これは、財源の話、財政の話、国の財政、そして都道府県の財政、さらに、今できているところについては、市区町村の財政が比較的豊かなところが取り組んでいるということもございます。この点は、財政状況厳しい中でございますが、財源の議論をしていただくということだと思います。

 後者の点については、今御指摘のことも踏まえて、私どもの出した案もそれを可能にはするわけでございますけれども、立法論としてはさらにいろいろな可能性はあるというふうに私ども思っております。

 地教行法につきましては、今の案も一つの具体的な案だというふうに思いますけれども、私どもの整理で申し上げますと、まず初年度は高校の無償化、二年目はこの少人数学級への着手、三年目といいますか、フェーズ3で地教行法全体についてのありようということを議論していきたい。

 地教行法改正ということになりますと、多くの皆様方の御意見も伺わなきゃいけませんので、そういう検討の場を経た後に、地教行法の改正をするのであればやっていくというのが筋かなと思って、今回は義務標準法の改正ということにとどめたわけでございますけれども、ここは、国権の最高機関であります立法府においてさまざまな御議論がなされる、それの結果に私どもも決まりましたならばきちっと従ってまいるという立場であろうかと思っております。

池坊委員 先ほども、加配が三十五人学級によって削減されて、それはつけかえではありませんかということのときに御答弁になったように、現実にはどういうふうになっていくかというと、三十五人学級実現のために加配教員が削減されるようなことになっていくと思うんです。そういうことを防ぐためにもそれは必要ではないかというふうに私は考えております。

 次に、市町村教育委員会による弾力的な学級編制が可能であるとしても、小学校一年生の三十五人学級実現のために、特別支援教育、少人数指導、習熟度別指導などを担ってきた加配教員を削減することは問題だと先ほども申し上げました。

 学校現場のニーズに応じて、真に必要とされるこれらの教育のために必要かつ十分な数の教職員を確保すべきと私は考えておりますが、これに対してはいかがでしょうか。

鈴木(寛)副大臣 おっしゃるとおりだと思います。

 その方針で、財政状況厳しい中でございますが、ことしの予算におきましては、今御指摘の点については昨年と同数の予算を組ませていただいたところでございますが、おっしゃるとおりだと思います。

池坊委員 私は、ニーズに応じていろいろなメニューをつくらなければならないと思います。加配のメニューは今これで十分であるというふうにお考えですか。私は、加配をもっと弾力的にしなければならないと思います。

 つまり、何度も何度も申し上げますけれども、その場の実情において子供たちは一人一人個性があるとともに、地域によっても個性がございます。私は、この現行法上の加配事由に対する事柄に対して政府はどのように認識していらっしゃるのかということを伺いたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 御案内のように加配については、ある目的というものに従ってそれぞれこの加配定数というのを決めているわけでございます。

 もちろん、今挙がっております加配項目については、重要な項目でありますし、これまでの国会の議論を踏まえてそうした項目が設定され、それについての確保がなされてきたということでございますが、本来は、教育現場のニーズというのは非常に多様であります。多様なニーズに対して弾力的に対応をしていくということが重要でありますから、基礎定数で確保できれば、そこで確保いたしました定数というのは、あらゆる目的に活用することができるわけでございます。もちろん、市町村教育委員会あるいは都道府県教育委員会の判断ということでございますが。

 そういう意味では、加配はもちろん減らすことなく、基礎定数を拡充をしていく、改善をしていくということが重要であるというふうに思っております。

池坊委員 私ども公明党は今定着しておりますスクールカウンセラーをずっと言い続け、そして今や政党だけでなくて、保護者、並びに学校の先生、うつ病が多いと言われております中で大きな助けになりました。

 今、私は、メンタルフレンドというものも強めて推進していきたいというふうに思っております。引きこもりの子供たちあるいは不登校児、こういう子供たちは、上から構えて来なさいよ来なさいよと言っても、来ないんですね。ところが、大学生、自分と余り年代の変わらない子供が手を差し伸べると、不登校がやまってということもございます。このようなことも私はしていきたいというふうに思っております。

 私はまた、特別支援教育、少人数指導、習熟度別指導などについては、学校現場からニーズが非常に高いものと聞いております。これらの教育に充てられる教職員の加配措置については、さっき申し上げた義務標準法上その事柄が限定されておりますが、さっき、政府はこれでいいと思っていらっしゃいますかということを伺いましたら、やはり現場を大切にしてというお答えがあったというふうに思っております。

 特別支援学校全般や特別支援学級において特別の指導を行っている場合、小学校において専科教員が必要とされる場合などについても加配措置を認めるべきというふうに私は考えております。これは例えばですけれども、第十五条に追加してこういうことを入れる必要があるのではないかというふうに考えておりますが、いかがでしょう。

鈴木(寛)副大臣 まず、必要性についての御議論はそのとおりだというふうに思います。あとは、それを単に予算上確保するのか、さらにそのことを法律上位置づけるのかと、こういう御議論だというふうに思っております。

 もちろん、法律上位置づけるということであれば、法律というのは、まさに法律でありますので大変な拘束力があるわけでございます。そういう意味では、より確実な手当てということで申し上げるならば、法律に位置づけられるということは、一般論として申し上げれば、その施策の確実な実施、要するに、その時々の予算の編成の変動を一定の方向できちっと抑えながら、要するに、拡充の方向によりきちっと法律上の位置づけがあるということは、その施策の着実な実施に大変プラスになるということはおっしゃるとおりだと思います。

池坊委員 今副大臣がおっしゃったことは極めて重要と私は理解いたしました。

 つまり、法律というのが絶対であって、これが拘束力を持っているんだ。そしてそれは、より確実な実施をしていくための基礎であるわけですね。土台だと思います。そして、どのような時代にあろうとも、普遍的に教育上守らなければならない、あるいは変えてはいけない、そういうものが確実に実施されるようにされなければならないと私は考えております。

 障害を有する児童生徒、その他の教育上の特別な配慮を必要とする児童生徒に対する対応に係る加配というのは、こういうものではないかというふうに私は考えております。

 と同時に、小学校において専門性の高い教育を行うための特別な配慮を必要とする事情に対応する、そういう加配も、これからの五年後、十年後を見たときに、必ずや時代にかかわりなく大切である、重要であると考えております。

 法律というのは、もちろん法改正ができるわけではありますけれども、やはり、土台になるもの、基礎になるものですから、これがしっかりとフィックスされていないと、現場はどうしてもぐらぐらしてしまいます。そういう意味では、私はぜひこれを入れていただきたいというふうに思います。追加ですね。

鈴木(寛)副大臣 委員御承知だと思いますが、特別支援学級については、現行でももちろん加配措置をやっておりますが、その大前提として、特別支援学級数に応じてその基礎定数が法律上明記されているということになっておりますので、そこは、本来でありますならば、この特別支援学級に対する実教員数の確保というこうした枠組みに現行なっております。

 この枠組みが大変大事な枠組みだと私どもは思っておりまして、その枠組みとの整合性といいますか、加配を法律上位置づけるということは、どういうふうにしていくのかということについては、いろいろな御議論があろうかと思いますが、その御議論が、せっかく本則の、本体の核心部分として位置づけられています特別支援学級に基づいた教員の確保ということにマイナスのことにならないようには配慮をしなければいけないなというのが、今の御指摘の私の個人的な印象といいますか感想でございます。

 ただ、目指すべきところは基本的に同じでございますので、あとは、そこはいろいろと、法技術上あるいは法制度設計の議論の中で私どもも勉強してみたいと思います。

池坊委員 伺いたいんですけれども、市町村や各学校の判断で特別支援学級に教員を配置するなど弾力的に対応できるようにするということに関連しまして、本予算案の特別支援教育関係予算を見ますと、特別支援教育総合推進事業という施策がございます。これは具体的にどのような事業なのでしょうか。

鈴木(寛)副大臣 お答え申し上げます。

 御指摘の特別支援教育総合推進事業でございますけれども、全国の特別支援教育の体制整備等を推進するためのモデル事業や調査研究事業でございます。

 この事業によりまして、現在までに多くの公立小中学校におきまして、校内委員会の設置や特別支援教育コーディネーターの指名などが行われておりまして、特別支援コーディネーターの指名は、平成二十一年度で申し上げますと九九・九%の学校、校内委員会についても、九九・九%のレベルまで体制整備が行われております。この事業の成果だと思っております。

池坊委員 そのような大切な事業であるならば、今年度は三億を超える予算が計上されておりましたにもかかわらず、来年度の予算案では二億五千三百万程度に大きく削減されております。今御答弁がございましたように、発達障害を含むすべての障害のある幼児、児童生徒を支援するための事業です。外部専門家による巡回指導、各種教員研修、学生支援員の活用また交流、及び、住んでいる人たちの学校と交流するなどの共同学習を推進する事業をしております。これは特別支援教育の充実にとって極めて私は重要なものだと位置づけております。にもかかわらず、これが現実にはこのように大幅に、そのときの予算、どなたがなさったかは存じませんけれども、削減されているのが現実なんですね。

 ですから、障害を持った方々に対する加配というのはしっかりと確保を法律でなされる方がいいのではないですかと私が提案申し上げましたのは、現実にはこうやってそのときぱっと予算がついた。極めて重要じゃありませんか。今、副大臣も極めて重要だとおっしゃった。これが二億五千三百万になったのはどうしてだかということを、私はその理由を伺いたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 繰り返しになりますが、特別支援教育コーディネーターの四百一名の確保というのは、昨年と同数を確保しております。そのことによって九九・九%を維持しているわけでございますけれども、それはまさに加配の予算の方の話でございますが、この事業につきましては、御指摘のとおり総合的ないろいろなメニューを含んでおりますけれども、厳しい現下の財政事情等々も踏まえて御指摘のような減額の対応になっていることは、御指摘のとおりでございます。

 ただ、この議論と加配の議論とは、もうよく御承知のことだと思いますが、また別の御議論でございまして、したがって、そのための人員をどういうふうに確保していくのかということは、加配と、それから本体の特別支援学級に対する措置と今あるわけでございますが、法律上どのようにさらにそれを位置づけていくのかということについては、さまざまな方法といいますか対応策はあろうかと思いますので、この御議論は私どももきちっと勉強してまいりたいと思っておりますし、立法府での御議論を深めていただく中でいろいろと御指導賜ればというふうに考えております。

池坊委員 確かに加配とこの事業とは別個のものではありますけれども、私はやはり、別々に存在しているものというふうには考えません。だって、同じような障害を持ったお子様が受けていらっしゃるのですから、対象は一緒なんです。子供にどういう影響を与えていくかということを考えましたら、事業は別であっても、加配とそれとは、やはり、受ける子供たちの立場からいえば私は同じであるというふうに考えております。

 私どもは、現場と地方の議員さんと国会議員と連携をとりながら、そこに生きている方たちがより快適に生活できるように、きょう、この文部科学委員会においては、教育がよりよいものになっていくようにということに心を配っておりますが、こんな意見も聞かれております。

 軽度発達障害の子供が普通教室に入学するケースがふえている一方、教員確保や施設整備に教育委員会は頭を抱えています。それを支える支援体制が全くと言っていいほど不十分なんです。現実にはそうなんです。

 ですから、ちゃんと加配をと申し上げたのは、どうしても目が行かないんです。目が行かないところにしっかりと目が行けるようにする、そして実効性を持たせるということが、私は、こういう問題に向かい合っている私たちの責任ではないかというふうに考えております。

 また、同時にこんな声もございます。

 財政難で小学校新設が白紙になりました。三年前に六教室を増設し、ことしの春のために五教室のプレハブを増設しました。さらに今回、三十五人学級に対応するには二教室足りないので、プレハブを長期リースで対応することになりました。必ずしも三十五人でなくてもよいのではないかと思うけれども、市の教育委員会は、小学校一年生は三十五人学級が必要とされておりますということなんですね。

 こういうのは市がやっております。直面する問題は市がやらなければいけない。このプレハブをつくりますのも、多分これは市の負担ですね。現場が本当に混乱している、本当に困っているんだという現状を私はぜひ御理解いただきたいと思います。

 ですから、この小学校一年生の三十五人以下学級の実現に対しては、本当に弾力性を持ち、そしてその現場が困らないように、それから、しっかりと学校現場も市町村と連携をとりながら運営できるようにということを私はぜひお願いしたいと思いますので、このことに関して大臣と副大臣の御意見を伺いたいと思います。

高木国務大臣 池坊委員が少人数学級に取り組む熱意を改めて感じております。

 今御指摘の特別支援学級の加配措置についても、我々としては、今回の制度改正によってその制度上の確保がしっかりできていくものだと思っておりますし、これからもひとつ、一人一人の児童と向き合う教師の時間をとるということ、これは教育の質の向上に大変重要なことでありますから、今御指摘の点を踏まえて前向きに取り組んでまいりたいと思っております。

鈴木(寛)副大臣 今お挙げになりました事例などは、まさに、これまでは「従い」ということでありましたが、これからは「標準」ということでございますので、三十六人学級のままでいいですよ、しかし、それをこれまでは一人の教員でやっていたのを、例えば二人分はきちっと手当てをしますということなのでございますけれども、今のように、その趣旨がまだ十分に伝わっていない。

 これまでだとそれはなかなか市の判断でできなかったわけでありますが、この法案が成立をした暁には、市町村が現実的な御判断をいただいて、現行の施設の中で、しかし人的な体制は強化されるというようなことができるような改正にはなっておりますけれども、それを単に可能とするだけではなくて、もっときちっと周知できるようにと、その方法論についてと、きょうはそういう御議論だったと思います。私どもも、きょうの御議論を踏まえてさらにきちっと勉強、検討をしてまいりたいと思っております。

 以上です。

池坊委員 少人数指導の重要性は、私ども公明党がずっと一貫して言ってまいりました。ですから、このことに関しては、私どももたくさんの意見もございますし、また勉強も研究も重ねてまいりました。

 今、大臣や副大臣がおっしゃったように、目指すところがもし同じであるならば、何度も言うようでございますが、これをよりよいものにしていくためには、やはり、よりよい、きめ細やかな制度設計そして法律こそが大切なのではないか、それが基本になっていくというふうに私は信じておりますので、政府がお出しになったもの、私はいろいろと長年考えてそれこそ熟知してまいりましたから、それを必ずやこの法律にも反映できるように、私どもは立法府です、行政府の方もお考えいただき、子供たちの幸せをともに考えていけるようでありたいと思います。

 そのことに対しては御異存はないと思います。大丈夫でございますね。

鈴木(寛)副大臣 大丈夫でございます。

池坊委員 それでは、大丈夫ですというこの言葉を伺って、ということは、よりよいすばらしいもの、私どもの意見もしっかりと聞きながらしていくというふうに受け取らせていただいて、終わります。

 ありがとうございました。

田中委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。宮本岳志君。

宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。

 きょうは、臨時教員問題について質問いたします。

 大臣は所信で、「子供一人一人の能力を最大限に伸ばす上で、教員の質と数の充実が最も重要であることは論をまちません。」こう述べられました。ところが、質や数以前の問題として、教員が確保できず、教育に穴があくという信じがたいことが学校の現場で起こっております。

 一月の十日付朝日新聞は、「教員が産休・育休や病気・介護休暇に入った際、代わりの教員が間に合わないケースが、各地の公立小中学校に広がっている。」と報じました。朝日新聞が全都道府県、指定都市の教育委員会に取材したところによると、昨年度八百件に上り、手当てのつかないこまを自習にするなど、現場に混乱が起きているというものであります。大変な事態だと思うんですね。

 こうした教育に穴があくという事態について、文部科学省は状況をつかんでおられますか。

高木国務大臣 宮本委員にお答えをいたします。

 今御指摘の新聞報道にありましたように、代替教員が間に合わずに一定期間欠ける実態があるということについては、幾つかの教育委員会から聞いております。

宮本委員 私の地元大阪では、二〇〇九年度に三十六の市町で三百八十一件、二〇一〇年四月、五月に二十市で七十一件、こうした事態があったということです。

 そこで、私も、この間教職員から直接聞くなど、調査をしてまいりました。東大阪の中学校では、一昨年十月、数学の先生が突然死で亡くなるとともに、養護教諭、三年生の理科を担当する教諭が病休になりました。かわりの先生を探してもなかなか見つからず、そのため、三年生の理科の授業を一年生の理科担当の先生が行い、一年生は新たな先生が来るまで理科の授業ができず自習になってしまいました。結局、一年生は理科の授業を三月までに終えることができず、二年生になって穴埋めをしたということであります。さらに、四月になっても理科の正規教諭がおらず、やっと臨時の先生が来たのは何と六月になってからだったということでありました。

 教育委員会に、かわりになる臨時、非常勤の先生をお願いしても、講師登録者の名簿は底をついていると言われ、学校では、校長先生を初め、すべての教職員があらゆる知り合いを探してやっと確保しているのが現状だとお伺いをいたしました。

 こうした状況について、大臣はどのようにお感じになりますか。

高木国務大臣 子供たちに適切な教育を行うとともに、他の教員の勤務負担を軽減する観点等からは、必要に応じて代替措置が行われることが重要であります。各教育委員会においては、適切に対処をしていただきたいと考えております。

 例えば、今御指摘にありました大阪府の教育委員会の取り組みのための聴取をしたところ、増加する退職教員のうち、再任用を希望しない者について、しっかりとつなぎとめて代替教員としての協力を呼びかけるよう市町村に指導しておる、こういうことをやっております。

 いずれにいたしましても、任命権者である教育委員会において、きっちり対応をするようにお願いをしております。

宮本委員 先生が配置できずに授業ができないなどというのは、あってはならないことだと思うんですね。ところが、こういう信じがたいことが現場で起こっているわけです。

 マスコミの報道でもこれだけ深刻な事態が指摘されているわけですから、幾つか聞いていると大臣はおっしゃいましたけれども、この際、やはり文部科学省として、全国的にきちっと実態をつかむ調査を行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。

高木国務大臣 教職員の配置につきましては、御承知のとおり、任命権者である教育委員会がその職務、責任のもとにおいて人事管理をする問題である、したがって、各教育委員会において適切に地域内の実態を把握して対応していただきたいと思っております。

 いずれにいたしましても、さまざまなケースがあるわけでありまして、ぜひ関係の市町教育委員会でしっかり対応していただきたいと思っております。

宮本委員 いや、適切に対応できていないから、今申し上げたような事例が起こっている。新聞報道でもそういう指摘がされているわけですから、適切になっていたら問題ないんですよ。穴があくというような事態まで起こっているわけですから、ぜひ調査をしていただきたいというふうに思うんです。

 さて、なぜこんな事態になっているのかということを私たちも調べてみました。その背景にあるのは、昨日の毎日夕刊に大きく掲載された、非正規教員の激増ということがあるというふうに思います。

 私は、先日、横浜市の先生たちから現場の状況もお伺いをいたしました。横浜では、昨年五月の一日現在、小学校では病気休暇の代替が見つからずに、六十一日間、三十九日間、十四日間と三件の欠員が続きました。また、産休代替が見つからず、三十五日間、二十五日間と二件の欠員が続いたとお聞きしました。中学校でも長期の欠員が三件も発生をしております。

 その原因は、本来、正規の教員で埋めるべき定数内教職員を臨時の教職員にお願いしていることから、代替の臨時教職員の待機名簿がなくなってしまった。先ほど底をついていると言いましたけれども、既にもう全部、待機名簿者全員に当たり尽くしてしまったと。横浜市では、今年度で三百四十六人もの臨時教員を定数内教員として任用しております。

 毎日の報道では、「非正規教員 最多一五%」という見出しが躍りました。文部科学省の調査結果を報じたものでありますけれども、早速その調査結果も、私、昨日いただきました。

 正規教員が五十八万八千七百九十四人で、常勤講師、つまり臨時的任用教員が五万九千百五十人、非常勤講師が実数でいうと四万九千八百三十五人、その他、再任用短時間勤務者等というのが千七百八十八人、正規教員以外の非正規教員を足し合わせると十万八千九百八十五人となります。昨年五月一日現在の公立小中学校の教員数は約七十万人でありますから、実に一五・六%を非正規教員が占めている、これがこの報道でありましたけれども、これは、文科大臣、間違いないですね。

高木国務大臣 毎日新聞の記事にあります平成二十二年五月一日現在の公立小中学校の教員数については、誤りはありません。

宮本委員 同時に、非正規教員の比率は年々増加をしてきたということであります。

 二〇〇五年度からの六年間で、正規の教員は何人減ったか、これが一つですね。そして、非常勤講師を換算数でなく実数で足し合わせた場合のいわゆる非正規教員、つまり臨時的任用教員及び非常勤講師、さらには再任用短時間勤務者等の合計数と、全教員数に占めるその率を、二〇〇五年度から二〇一〇年度まで、年度ごとに答えていただきたいと思います。

高木国務大臣 平成十七年度の正規教員の数は約五十九万七千人、平成二十二年度の正規教員の数は約五十八万九千人となっております。六年間で、約八千人減少しております。

 また、全教員に占める非常勤講師を含む非正規教員の割合については、平成十七年度一二・三%、平成十八年度一三・二%、平成十九年度一三・八%、平成二十年度一四・三%、平成二十一年度一五%、平成二十二年度は一五・六%となっておりまして、なお、これは各年度、五月一日現在の非正規雇用の教員などの数であります。

宮本委員 大臣、数はおっしゃいませんでしたけれども、二〇〇五年度八万四千三百五人だった非正規教員が、その後ふえ続けて、十万九千という先ほどの数にふえているわけですね。それで、率も一五・六%、今や公立小中学校の教員の六人から七人に一人が非正規教員になっております。

 まず、現状認識を聞くんですけれども、このように多くの身分不安定な非正規教員によって運営されている学校教育の現状を大臣はこれでよいとお考えになりますか。

高木国務大臣 学校教育を適切に行っていくためには、教育活動の状況あるいは地域の実情に応じて、各教育委員会において、正規教員や臨時的任用教員、非常勤の講師を適切に配置していただくことが必要であると考えております。

 また、文部科学省といたしましては、今国会提出の義務標準法の改正案によって、小学校一年生については、三十五人以下学級に基づく教員定数が児童数に応じて自動的に配置されることになるために、計画的な教員採用が行いやすくなる、このように認識をしております。

宮本委員 また適切という言葉を口にされるわけですけれども、適切な状況になっていれば、こんな一五・六%になるわけないので、私はこれは適切とは言えないんじゃないかとお尋ねしたつもりなんですが、大臣、もう一度お答えいただけますか。

高木国務大臣 適切な状況について、各都道府県教育委員会ともに、私どもは努力をしていかなければならないと思っています。

宮本委員 本当に今の状況というのは、先ほど言ったように穴があくような事態まで現場で起こっているわけですから、ぜひともしっかりつかんでいただいて、そして、やはり本当に適切になるように努力をしなければならぬと思うんですね。

 私は、きょうただしたいのは、常勤講師、つまり臨時的任用教員、いわゆる臨時教員の問題なんです。

 今回の文科省調査によると、各都道府県の教職員定数に対し正規教員数だけで定数を上回っているのは財政に余裕のある東京都だけであり、他の道府県はすべて、正規教員数は定められた定数にも足りていない。つまり、もとから定数を正規教員でない臨時採用で埋めなければ成り立たないという状況に東京以外の道府県がなっているということが毎日の報道でも書かれております。

 埼玉県のある市立小学校では、教職員四十八人中臨時教職員が十九人で、全体の何と四割を占めております。二十八学級のうち七学級は臨時教員が学級担任を引き受け、正規教員と全く同じ仕事をしております。全体の四割、学級担任の四分の一もが臨時教員というのでは、もはや臨時でも何でもないわけですよ。常時教員と言わなければなりません。

 そして、定数内臨時採用などといって臨時教員を常時の教育に使ってしまっているから、冒頭紹介した、朝日が報じたように、病休代替、産休代替など、本当に臨時教員の出番だというときに、もう臨時教員が残っておらず穴があくという事態になっているわけです。結局、そのしわ寄せを受けるのは子供たちだと言わなければなりません。

 そして、子供たちと同じく、臨時教員の先生方もつらい思いをしています。臨時的任用の教員は、正規教員と同じように学級担任を持ち、授業をし、日々子供たちと接しています。しかし、任期は長くて一年、次の四月からどうなるかわからない。

 私が直接お話を聞いた中でも、学級崩壊を立て直して、保護者からは来年も担任にと言われたけれども、一年限りの任用で別れなければならないとか、高校の臨時教員の方からは、離任式の日に子供から、先生がいてくれたから学校やめぬと来てたのにと告げられ、本当につらいという話も伺いました。

 この臨時教職員制度の改善を求める全国連絡会が出版した「教育に臨時はない」という本の序文に、次のような短歌が掲げられております。「指を折り 春休み待つ 子どもらに その日が別れと 今日も言えずに」。終業式が終われば直ちに離任式。保護者とあいさつをする間もなく、次の学校へ。まさにこの三月を、子供たちも臨時教員もそんなやるせない思いで過ごしているわけであります。

 今や、学校現場に欠かせない教育の一端を担っているのが非正規、臨時の教員の人たちでありますから、学級担任など必要な教員はやはり原則的に正規で雇用されるべきではないか、私はまずそう思うんですけれども、大臣の御答弁をいただきたいと思います。

高木国務大臣 例えば学級担任が産休とか育休の場合、その代替として臨時的任用教員が採用される場合もありまして、学級担任に正規職員を充てるか、臨時的任用教員を充てるか、先ほど委員もいみじくも原則としてという話がございましたが、その学校の状況等に応じて校長が適切に判断していただくことが必要である、このように考えております。

宮本委員 私がきょう問題提起しているのは、適切でない現状があるということを申し上げているんですね。先ほど紹介した学校で、そうしたら、学級担任の四分の一がみんな妊娠しているわけでもなければ、病休なわけでもないわけですよ。事実上、臨時教員によって正規の授業が支えられている。そもそも、定数よりも正規教員の数が少ないという状況が現場で広くあるんだ、これは異常ではないか。やはり正常な、学級担任などの本来の教育業務は正規教員によって担われるべきだということを指摘しているわけです。

 それで、この「教育に臨時はない」という本を読ませていただくと、新潟県で臨時教員をやっている方の文章が出ております。そんな一年とか二年とかという話じゃないんですよ。二十年、三十年、臨時教員でやられている方がいっぱいいるわけです。

 一九七五年四月から二〇〇五年三月まで、三十年間の臨時教員生活は、辞令百十四枚にも及んでいる。その間赴任した学校は、小学校十四校、中学校四校、高校四校、特殊学校四校であり、その他に事務員や寄宿舎指導員、予備校講師も勤めてきた。そのうち、在宅、つまり失業期間は千百八十六日、夏休みと任期切れが重なったときもあった。臨時教員として同じ学校にいた経験、同じ学校でずっと臨時教員をやった経験も、特殊学校で十一年、小学校で四年間やったこともある。リアルに体験を語っておられます。この方は三十年やっているんですね。

 しかし、それでも任期が一年で区切られ、次の仕事、任用の保証がない。来年どうなるかわからない。だから、管理職や教育委員会に盾突くかのように見られたくないから、なかなか言いたいことも言えないという状況もあると聞きました。時には、一年の任用を約束されていても半年で雇いどめに遭うこともある。さらには、臨時の先生の臨時はないわけです。つまり、臨時教員が妊娠したり、まさに出産ということになると、その臨時というのはないんですね。そのときはやめるしかないんですよ。かわりの人に来てもらうときはやめなければならない。だから、たとえ病気をしてもけがをしても、無理をして、休むことなく働くのが臨時教員の姿だと臨時教員の方はおっしゃっていました。

 これは非常勤講師の例でありますけれども、非常勤の講師の状況はさらに深刻です。

 横浜市の場合、教科指導、生徒指導、学校サポートなどの非常勤講師は、週六時間勤務で年収五十五万円、週二十二時間勤務で百八十万円。こういう低賃金ですね、年収ですよ。そして、埼玉県では、生活保護を受けながら非常勤講師を続けている方もおられると聞いております。こんなひどい低賃金で教育活動を担わせている、まさに安上がりに教育を行うことではないかと言わなければなりません。身分の不安定、劣悪な賃金、労働条件など、教育活動上の力を発揮する上で大きな制約となることはもう明白です。

 大臣、こういう状況を放置しておいていいのかと私は思いますが、大臣、そう思われませんか。

高木国務大臣 非常勤講師というのは、言うまでもなく、時間当たりで報酬が支払われるわけでありますので、その勤務時間によっては収入が低い場合があるということは承知をしております。

 なお、非常勤講師の授業一こま当たりの地方交付税上の単価は二千六百五十円となっております。非常勤講師の報酬や労働、勤務条件については、労働基準法に基づいてこれまた適切な対応をすべきものだ、このように思っております。

宮本委員 本当に適切なものになっていればいいんですけれども、適切にしていただきたいと思うんですね。

 それで、臨時教員や非常勤講師の任用や雇用の根拠ですけれども、臨時教員の任用根拠とされるのは地方公務員法二十二条二項であります。臨時的任用が許される条件として、緊急の場合、臨時の職の場合、任用候補者名簿がない場合の三つに限定しております。さらに、臨時的任用の期間は六カ月以内としており、現状のような定数内臨時採用教員の根拠になり得ないことは明白だと思います。

 また、非常勤教職員の雇用根拠とされるのは地方公務員法第三条三項三号でありますけれども、その職の例として、臨時または非常勤の顧問、参与、調査員、嘱託員及びこれらに準ずる者と限定的に列挙しており、主たる収入が別にある者を想定しているわけであります。言うまでもなく、教育基本法第九条「教員」の二項では、教員の身分の尊重、適正待遇が明記をされております。

 少なくとも定数内採用については、臨時採用ではなく正規教員を配置するのが法の趣旨だと私は思いますが、これは大臣、お認めいただけますでしょうか。

高木国務大臣 正規教員をどのように配置するかは各都道府県教育委員会において適切に判断をされるべきものだと思っております。そういう中で、今国会提出の義務標準法の改正案によっては、小学校一年生については、三十五人以下学級に基づく四千人の教職員定数が児童数に応じて自動的に措置されることになります。各都道府県においては計画的な正規教員の採用が今以上に行いやすくなる、このように考えております。

宮本委員 何度も言いますけれども、地方において適切になっていないからこそ、国がしっかり実情をつかんで、国のイニシアチブを発揮すべきだということを私は申し上げているわけですね。

 しかも、このように臨時教員が激増してしまったのは、その原因を単に地方の責任に転嫁できるものではありません。原因は、文科省がさまざまな制度改革、改編でいわゆる定数崩しを可能にしたことにあります。

 二〇〇〇年以前の臨時教員の配置事由は、産休、育休、病休の後補充の臨時教員、高校の時間講師と限定的なものでありました。それが、二〇〇〇年以降、非常勤、短時間雇用の臨時教員が小中学校に広がってまいりました。それは、学級編制の標準、教職員定数の改善が長年据え置かれ、義務教育費の国庫負担率が二分の一から三分の一へと切り下げられ、義務教育国庫負担金制度に総額裁量制を導入することによって定数崩しというものが行われ、そして低賃金の臨時、非常勤教員の配置が拡大されてきたからにほかなりません。

 そもそも、総額裁量制の導入については、当時、この委員会でも大きな議論になりました。私ども日本共産党は、当時から、非常勤の教職員をふやすことになるのではないかと問題点を指摘していましたし、民主党も、教育の質の低下につながるのではとの指摘をしておられました。

 私、ここに平成十六年三月十七日の本委員会の会議録を持ってまいりましたが、民主党の城井崇議員の質問に対して、当時の河村文部科学大臣は、「安易に安い非常勤講師をどんどんふやせばいいとか、そんなことによって教育の質が下がるのではないかという懸念、そういうことは懸念としてある」と認めながらも、地方に適切にやっていただきたいと言うのみで、デメリットはないと言い切っておられます。大臣と同じように、地方に適切にやっていただきたい、このときも大臣はそう答弁をされました。しかし結果はどうだったか。

 昨年七月の中教審初等中等教育分科会の提言「今後の学級編制及び教職員定数の改善について」でも、「近年、学校に配置される教職員のうち、臨時的任用職員や非常勤講師などが増加する傾向がある。」と指摘した上で、「いわゆる非正規の教職員については、研修などによる中長期的な資質向上の取組が不十分となるなどの課題が指摘されている。」と述べ、正規教職員の配置促進を中教審も提言しています。

 結局、当時指摘された懸念が現実のものとなっているわけですよ。この総額裁量制というもの、そもそもそれを見直しすべきだと私は思いますが、大臣の御所見をお伺いいたします。

高木国務大臣 正規教員や臨時的任用教員、非常勤講師をどのように配置するかというのは、申し上げておりますように、各都道府県教育委員会で、地域あるいは学校の事情によって判断されるものと私は考えております。

 ただいま指摘がありました総額裁量制の導入前で調査結果がある平成十四年度以降からも、非正規教員が増加傾向にあったことを考えますと、この制度の導入が非正規教員増加の直接の要因になったということは必ずしも認識をしておりません。問題意識としては私もそのように持っております。

宮本委員 それは、地域は財政的に大変な状況でありますからね。このときの議論でも、こういう制度を入れればそういう方向に向かうんじゃないかということが随分議論されているわけですよ。

 それで、子供の教育に臨時はない、まさにこの本の表題どおり、教育に臨時というものはありません。子供の発達にも臨時というようなものはないわけでありまして、教師と子供との関係にも臨時というものはないわけであって、にもかかわらず、専ら財政的な観点から、本来正規教員で充てなければならない仕事を臨時採用教員で充てるから矛盾が生じるわけであります。学校現場は、そのことによって子供たちの小さな胸を痛めつけ、臨時採用の先生たちにもつらい思いをさせているわけです。

 先ほど紹介した中教審の昨年七月の提言では、「必要な教職員が確実に学校に配置されるよう、その財源を国の責任で担保することが極めて重要」として、義務教育費国庫負担制度の堅持とともに、国庫負担率の二分の一への復元を検討するよう求めております。

 大臣、義務教育国庫負担の二分の一への復元、これはやるべきではありませんか。

高木国務大臣 国庫負担率の引き上げについては、国、地方の役割分担、税財源配分のあり方に極めて大きな影響を与えていくために政府全体として検討すべき課題である、このように私は認識をしております。

 現在の義務教育費の国庫負担制度は、義務教育費の大半を占める教職員給与費について、国と地方の負担によりその全額を財政措置するものであって、教育の機会均等などとその水準の維持向上を図るという意味では、義務教育制度の根幹は維持されておるもの、このように私は考えております。

 一方で、最近の厳しい地方財政と相まって、教職員数は確保されているものの、国庫負担の限度額まで教職員給与費を確保できていない県が増加傾向にあるなどの課題があるものと認識をしております。

 文部科学省としましては、平成二十二年の七月の中教審の提言、御指摘の提言でありますが、これなどを踏まえて、国庫負担率のあり方について今後とも議論を深めてまいりたいと思います。

宮本委員 正規教職員の配置促進というのは中教審が求めているものでありますから、これを受けて、臨時教員の解消を図るとともに、非常勤教員の賃金や労働条件の改善を図ることを求めておきたいと思うんです。

 例えば、オーストラリアの例を御紹介申し上げます。オーストラリアでは、非正規教員の賃金は同一労働同一賃金を基礎とした均等待遇になっておりまして、週三日勤務ならば、賃金、休暇、退職金も五分の三を保障しております。また、六カ月の契約を四回繰り返した後には事実上正規雇用化する、こういうルールになっているわけですね。

 日本でも、私たちは問題が多いと見ている現状の労働者派遣法でさえ、三年も同じ仕事を続けた場合にはその仕事はもう臨時でも一時的でもない、こうみなされて、直接雇用の申し出義務が課されているわけでありますから、これは道理ある話でありまして、臨時教員の場合、年度末に必ず一日契約期間に間をあけるようなことをやっておりますけれども、これは一種の偽装派遣みたいなことになるわけですよ。

 そんなやり方は改めて、臨時採用を一定年数繰り返せば、やはりこれは一時的でも臨時的でもないということで正規教職員とする、せめてこれぐらいのことは検討すべきだと思うんですが、大臣、いかがですか。

高木国務大臣 現行の地方公務員制度においては、正規任用と臨時的任用等の非正規の任用では、その採用の仕組みが異なっております。非正規の任用で一定年数を繰り返したとしても、正規任用とはなりません。地方公務員法の二十二条の中にもありますが、「臨時的任用は、正式任用に際して、いかなる優先権をも与えるものではない。」という条項もございますが、御指摘のような仕組みを検討することは、公務員制度を含む労働法制全体にかかわる事柄でありますので、文部科学省だけの判断で直ちに回答することは困難と考えております。

宮本委員 現状の制度がそういうふうになっているということは重々わかって聞いているわけでありまして、しかし、まさに政治のリーダーシップということも言われているわけですから、現状がこうなっている、現に担任も持ち、定数内の仕事を担っておられる、しかも三十年の長きにわたって本当に全く一般の正規教員と同じ仕事をやっている臨時採用教員がいらっしゃる、そういうことをしっかり踏まえて、やはり制度設計を再検討することは当然だと私は思います。

 次に、教員免許制度について、残った時間で聞きたいと思います。教員免許更新制ですね。

 この教員免許更新制が実施されて二年目に入りました。教員にとって大切な時間が割かれ、しかも余り効果がないということをこの間も私は指摘をしてまいりました。

 まず聞きますけれども、そもそもこの免許更新制導入の目的、これはどういうものでありましたか。

高木国務大臣 教員免許更新制の目的は、その時々に教員として必要な資質、能力が確実に保持されるよう、定期的に最新の知識、技能を身につけること、これにより教員が自信と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得るようにすることである、こういう目的でございます。

宮本委員 では、免許更新制が今おっしゃったその目的を達しているかが問われるわけですね。

 文部科学省は、昨年、教員免許更新制の効果検証に係る調査を実施いたしました。その調査結果では、教員としての自信と誇りの高まりについて、効果がとてもある、あるいはややあると答えた教員は合計で何%だったか。また、効果が余りない、全くないと答えた教員は合計で何%だったか。

 さらに、社会からの教員に対する信頼、尊敬の念の高まりという項目について、今度は保護者の回答で、効果がとてもある、ややあると答えた保護者の合計は何%だったか。また、同じく、余りない、全くないと答えた保護者は合計で何%だったか、お答えください。

高木国務大臣 御指摘の調査は、平成二十一年四月から、制度導入から一年経過した時点で、教員免許更新制の効果について、更新の時期にはない教員や、学校長、保護者等も含め、幅広くアンケート調査を行ったものであります。

 その結果においては、教員免許更新制の効果として、教員としての自信と誇りの高まりがとてもある、ややあると答えた教員の割合は一五・三%であります。また、余りない、全くないと答えた教員の割合は六三・三%となっております。

 また、教員免許更新制の効果として、社会からの教員に対する信頼、尊敬の念の高まりがとてもある、ややあると答えた保護者の割合は三一・一%であります。また、余りない、全くないと答えた保護者の割合は四二・八%、このようになっております。

宮本委員 教員が自信と誇りを持つことを目的とするというんですけれども、効果がないという回答が、教員で半数以上いる。社会の尊敬と信頼を得るといいながら、保護者からも、効果がないという回答が、効果があるよりも上回っているわけですね。全然目的を達していないことは明らかです。

 先ほどの調査でも、免許更新制の課題として、多忙な中で参加しにくい、講習の受講時間が多い、受講費用が高いとかの課題が言われております。免許失効の不安があることも三割近くの人が挙げています。しかし、効果がなければ、受講させられる教員には徒労感しか残らないわけであります。免許失効でおどし、受講させるようなことはやめるべきだ、今の制度をそのままにすることはすべきではないと思うんですね。

 大臣、受講する、しないで教員免許失効につなげることは私はやめるべきだと思いますが、そうお考えになりませんか。

高木国務大臣 教員免許更新講習を実際に受講した教員による評価は、平成二十一年度、二十二年度とも、受講者の約九割が、講習内容に対して、よい、大体よいとの好意的な評価をしております。教員免許更新制はその目的に沿った運用がなされていると考えられます。

 また、御指摘の教員免許更新制においては、更新講習を受講、修了しないまま修了確認期限を経過した場合は、免許は失効することになります。このため、第一グループの教員については本年三月三十一日に修了確認期限を迎えることから、一昨年以降五度にわたり、特に第一グループの教員については、更新講習を修了し、本年一月三十一日までに都道府県教育委員会に更新の申請を行う必要があることを周知しておりますし、関係者に適切な対応をお願いしているところでございます。

宮本委員 時間ですので、また追ってこれはやりたいと思いますけれども、それは、受けた先生が高評価をするということはあると思うんですね。しかし、大体保護者が、効果がないというのが上回っている。つまり、子供たちの親御さんの中では歴然と、効果がない方が上回っているということも見る必要があると思うんです。

 大体、民主党は、マニフェストで教員免許更新制の抜本的見直しを公約したんですよ。その公約した政権のもとで、見直しを行わないまま免許失効者が出るような事態だけはあってはならないと私は思います。せめて、免許失効者が出ないように、直ちに救済策を講じるべきだということを申し上げて、私の質問を終わります。

田中委員長 次に、城内実君。

城内委員 無所属の城内実でございます。お時間をいただきまして、ありがとうございます。

 まず、きょうは、朝鮮高級学校に対する就学支援金の支給の問題、そして、さらに時間があれば小学校における英語教育の実施、さらには幼保一体化の問題について、大臣に御質問させていただきたいと思います。

 その前にまず、実は私、きょう午前中、法務委員会で同じ質問を江田法務大臣にもしたんですが、外国人からの献金を前原前外務大臣が受けた、それで辞任をしたわけですけれども、大臣は、この外国人の献金の問題についてどのような認識をお持ちになっているのかということと、在日外国人に対する地方参政権の実施については賛成か反対か。ちなみに、江田法務大臣は在日外国人の方には参政権を与えるべきだという答弁をされましたが、これについてお尋ねしたいと思います。

高木国務大臣 外国人からの献金についてどう考えるかということでございます。

 御承知の政治資金規正法第二十二条の五においては、「何人も、外国人、外国法人又はその主たる構成員が外国人若しくは外国法人である団体その他の組織から、政治活動に関する寄附を受けてはならない。」とされております。私としては、この趣旨を尊重し対応すべきものだ、このように考えております。

 なお、在日外国人の地方参政権の件でございます。これは、我が党の中でもいろいろ議論がありました。私としては、かねて予算委員会でも発言をしておりますように、在日外国人の参政権は賛成だという意向を述べました。ただし、私としては、特別永住者について賛成だということで考えております。

城内委員 朝鮮総連の立場は、韓国居留民団、いわゆる民団と立場が違って、在日外国人の地方参政権には朝鮮総連は反対ですが、もし仮に大臣は賛成ということであれば、朝鮮総連の幹部を含めた朝鮮総連の関係者にも参政権を与えるべきだという御認識でしょうか。

高木国務大臣 現状は今述べられたとおりでございますが、もしという話です。私としては、その状況について今頭にありませんので、差し控えさせていただきたいと思います。

城内委員 それでは、朝鮮高級学校に対します就学支援金の問題について質問させていただきます。

 これまで高木大臣は各種委員会で、はっきり言うと、非常に私としては理解しにくい答弁をされております。常に、北朝鮮による砲撃の事態は、我が国など北東アジアの平和と安全を損なう事態であり、国を挙げて情報の収集に努めた、不測の事態に備えた緊急の対応で、総理の指示で手続を停止したということを繰り返し答弁されております。

 もう既に何度も質問を受けていると思いますが、この不測の事態というのは具体的にどういうことを言うんでしょうか。

高木国務大臣 不測の事態というのは、我が国の国民の生命財産にかかわる事態、国の安全保障の観点から、国内において国民がそういうものに脅かされる、そういう事態だと思っております。

城内委員 国民の生命財産、これは要するに日本国民ということですね。そうしますと、日本国民の生命財産が具体的にだれによって脅かされる事態を想定しているんでしょうか。

高木国務大臣 昨年の十一月二十三日、あの事態を改めて想起してみますと、まさにあの砲撃という事実は、我が国にとっても一体これからどうなっていくのかという、まさに我が国の安全についても大きくかかわる事態だ、私たちはそういうふうに考えておりました。

城内委員 今の答弁から推測すると、日本国民の生命財産が、北朝鮮の砲撃に呼応して、在日の、いわゆる北朝鮮系の在日の、いわゆる朝鮮総連系の方が決起して日本の国民の生命財産を何か脅かすことを想定したかのような、私は逆に言うとこれは、北朝鮮系の方にすると、何か言いがかりだとか人権侵害じゃないかというような、そういう、私はてっきり誤解していたんです。

 生命財産というのは、朝鮮高級学校に通っている生徒の皆さんが、北朝鮮はけしからぬという右翼的な人たちによって何か攻撃を受けたりする可能性があるから、あるいは右翼の人がわあわあ騒いで、何をやっているんだと、あるいは右翼の人だけじゃなくても、一般的な常識を持っている国民の皆さんから、何をやっているんだと当然批判を浴びるわけですよね。それを避けるために就学支援金の、一時停止した、外交的配慮によって政治判断をしたというふうに私は勝手に解釈したんですけれども、今の答弁によりますと、日本国民の生命財産が脅かされる、これはだれか主体がないと脅かされるわけがないんですが、それはだれなのか教えていただきたいんですけれども。

高木国務大臣 それは、北朝鮮という、韓国に対するあの砲撃、これはまさに我が国に対しても、あくまでも近隣でありますから、そういう事態も安全保障としては当然考えられることでありますから、国内において国民の生命財産に対する影響を考えて、その事態に対してこういう措置をとったわけであります。

城内委員 いや、北朝鮮の砲撃事件というのはありましたけれども、南北朝鮮の緊張関係というのは別に何も今始まったことではなくて、時々突発的に起きているわけですから、何で急に、国民の生命財産の安定を脅かす事態になった、だから朝鮮高級学校に対する就学支援金を停止した、何か全然、因果関係がよくわからないんですけれども、そこを具体的にもう少しわかりやすく答弁いただきたい。

高木国務大臣 改めて、何度も答弁をしておりますが、先般の北朝鮮の砲撃は国家の安全にかかわる事態であり、このため、国内において政府を挙げて情報収集に努めるとともに、不測の事態に備えて、国民の生命と財産を守るため万全の態勢を整えるという見地から、例の手続を一たん停止したわけであります。そのような事態を私たちは想定したわけであります。

城内委員 大臣初め官房長官、押しなべて、外交的配慮をしたわけではない、朝鮮高校に就学支援金を支給するしないは教育的内容で判断する、これを一貫して答弁されております。今でもこの答弁を変更するつもりはありませんね。

高木国務大臣 いわゆる朝鮮学校に対して審査をし、指定するか、こういうことに当たっては、外交上の配慮ではなくて教育的観点から客観的に判断をする、この考え方は変わっておりません。

城内委員 しかし、国民の生命財産の安定を脅かす事態というのは、外国の行為があってのことですから、当然、これは広い意味での外交的配慮というものであるわけであって、まさに大臣初め関係者の皆さんの答弁というのは、詭弁、強弁、方便、最近こういうのがはやっていますけれども、民主党政権ですね。まさに詭弁、強弁、方便だと私は理解しております。

 まさに文部大臣は教育を担当しておられる大臣なんですから、最初は教育内容で判断するというふうに判断したけれども、考えてみたら、やはり北朝鮮というのはひどい国であるし、使っている教科書の内容も、私も何度もこの文部科学委員会で紹介させていただきましたけれども、戦争を美化したり、あるいは大韓航空機撃墜事件が捏造であるだとか、はっきり言うと、こんな教科書を使っている学校に、我が国国民の血税を、しかも反日教育ですよ、これはもう一般の国民の認識からすると、とても考えられないような状況なんです。

 大臣、学校で例えば生徒が間違ったら、済みません、間違えました、これからは改めますと言うのが学校の教育で行われていることですから、いや、最初は教育的内容で判断したけれども、余りにも北朝鮮のやっていることがひどい、教育の中身がおかしい、だから北朝鮮については外交的配慮をしますよともう言った方が、そんな詭弁、方便、強弁をする必要はないわけですから、これはぜひともここで答弁を変更していただきたいと思いますが、どうでしょうか。

高木国務大臣 審査、指定に当たっては、政治、外交的配慮ではなくて、あくまでも教育的見地に立って判断をするということについては、変わっておりません。

 ただ、思い起こしていただきたいのは、あの昨年の十一月二十三日の当時の状況、我が国、我が国民の思い、これを考えると、まさに事態としては深刻でありました。そういう状況の中で正常な審査ができるかどうか、こういうことも当然、一つの懸念としてあります。したがって、総理の判断も含めて、今の、このような審査の手続を一たん停止した、こういうことでございます。

城内委員 だから、まさに外的な要因ですよ。北朝鮮が韓国を砲撃したというのは、まさに外交ですよね。広い意味での外交問題ですから、そういう外交的判断をしたと言えば済む話なのに、何か不測の事態がどうだ、こういう何か本当に詭弁というか、一般の国民が聞いても何だかよくわからないんですね。

 ですから、まさに教育の現場では、最初はこういうふうに言ったけれども私の誤解でした、ごめんなさいと言うのが、そういうふうに教えているはずですよ。間違っていたら間違っていました、あるいは、考えを変えたんだから考えを変えましたと言うのが、私は教育の現場で行われている実態だと思うんです。

 文科大臣であればこそ、最初はこういうふうに言ったけれども変えましたと言うぐらいの、別に私、謝罪をしろと言っているんじゃなくて、答弁を変えるぐらいのことはしていただかないと、だれも納得できないと思います。だから、方便、詭弁、強弁の民主党というふうに言われちゃうわけです。私は別に、今は自民党でもなく無所属ですから、あえて言えば、そういうところから変えていかないと支持率は上がりませんよということを言っているんですよ。

 ですから、ぜひ、本当に素直に謙虚に、私は立場は違いますけれども、もし本当に教育的内容の見地からだったら、もう絶対支給してくださいよ。戦争を起こそうが何だろうが教育的内容で判断して、支給を一たん停止なんかしないで堂々とおやりになればまだ、立場は全く違いますけれども、ああ、さすが信念を貫いているなとなりますけれども、ころころ何か状況に応じて、詭弁、方便、強弁をされているから、納得できませんよということで、いろいろな委員の先生方が同じような質問を何度もするわけですから、一回大臣が、やはり間違っていましたと言えば、もうそれで済む話なんですよ。

 その点の御見解をお答えいただきたいと思います。

高木国務大臣 改めて申し上げます。

 先般の北朝鮮の砲撃は、国家の安全にかかわる事態であって、このため、我が国の国内において、政府を挙げて情報の収集に努めるとともに、不測の事態に備えるために、国民の生命、安全を守るための万全の態勢を整えるということで、政府としてはこの手続を一たん停止をしたわけです。

 その上で、私、担当大臣としては、いわゆる審査とか指定するに至ったときには、そのときの判断は、外交的な配慮じゃなくて教育的な見地から判断をしたい、このことについては理解をいただけるものだ、このように考えております。

城内委員 民主党さんは、まさに政治主導ということをおっしゃっているわけですから、何か官僚がつくった、木で鼻をくくったような答弁はだれも聞きたくないんですよ。

 仮に総理の指示があったとしても、大臣として主体性を持って、やはり納得いくような答弁を我々にしていただけませんか。そこからやはり変えていかないと、老婆心ながら、民主党さんに対する評価というのは変わらないんじゃないかと思うんですね、余計なことを言って。

 ですから、ぜひそれを、きょうじゃなくてもいいですから、もう一度じっくり考えていただいて、次回から、御自分でも、こんな何か苦しい答弁をさせられて嫌だと思うんですよ。だから、政治決断をして、やはり間違っていたということを早目に認めていただきたいと思います。

 次の質問に移ります。(高木国務大臣「委員長」と呼ぶ)はい、どうぞ。

高木国務大臣 この件については、国会においても賛否両論、意見があったところでございます。

 その上に立って、私どもとしては、手続の規程を昨年の十一月五日に決めました。当時の状況は、それによって指定手続をする、そういう考え方がありましたけれども、思わぬ予想外のあのような事態になって、今のことになったわけです。

 私は、これは官僚のつくった文章を読んでと、そんなことはさらさらありません。私ども、政治家としてこの見解を述べておりますので、どうぞ御理解いただきたいと思います。

城内委員 別に官僚がつくったと、官僚がつくった答弁に似たような、何か詭弁、まさに中身が何だかよくわからないということを言っているわけであって、官僚だったら、もうちょっとましな答弁をつくるんじゃないかなと思いますが。

 最後に、質問をかえますけれども、小学校における外国語活動、英語を導入するということです。

 私は、基本的には反対なんです。なぜかというと、私は帰国子女で、外国にも十年いましたけれども、そんな週一こまだか二こま英語をやったからといって英語が身につくわけじゃなくて、中学校から始めれば十分だと思うんですね。

 しかも、いろいろ調べてみましたところ、これは単に、では、英語をやりましょうで済む話じゃなくて、一番目に、これはお金がかかる話ですよね、教員をどうするかと。

 二つ目に、では、ネーティブにやってもらうのか、それとも日本人の先生にやってもらうのか。では、英語がしゃべれる日本人の先生はいるのかどうか、こういった問題があるわけです。

 まず、質問は、どれだけこれは予算が年間かかるんでしょうか。平成二十二年度、二十三年度と、いろいろな教材をつくる必要があると思いますが、大体どれぐらいお金がかかるか、教えていただきたい。

高木国務大臣 小学校の英語教育については、新しい学習指導要領に基づいて、五年生、六年生、年間三十五単位の時間で外国語活動を平成二十三年度から導入することとしております。

 私どもとしましては、午前中も御議論がありましたように、これから我が国の世界における立場を考えると、やはり語学力の充実というのが大事だということについても、委員も詳しい、よく御承知だと思います。

 平成二十二年度の小学校の外国語に係る予算額は、平成二十三年度に使用する英語ノート等の印刷、配付に係る経費、約二億七百万でありました。

 また、平成二十三年度の予算案では、平成二十四年度以降使用する外国語活動教材について、いわゆるウエブ化も含めた新たな教材を整備する、こういう必要な経費として、約一億七千二百万円を計上しておるところです。

城内委員 全体の予算からいったら微々たるものかもしれませんが、やはりこれも国民の血税です。導入するからには効果がなければいけないと思うんです。しかし、いわゆるALT、外国語指導助手という肩書を持っている人たちが教えるのが当然一番ベストですよね、ネーティブに近いわけですから、あるいはネーティブそのものですから。しかし、ではその人たちが本当に中山間地域の奥の方にいるかどうかといったら、都市部の方にいるに決まっているわけですね。そうすると、地域間格差、都市部にはそういうネーティブスピーカーが学校に来て教えてくれるけれども、地方ではほとんどそういう人がいなくて、非常にどんどん格差が広がるということもあります。

 私は、実際は、英語の勉強をする時間があれば、学校では日本の歴史とか伝統文化、あるいは国語をしっかり教えて、私の子供は小学校五年生と三年生ですが、それでも英語を勉強したいと言っていますから、NHKの「基礎英語1」とかいうのがありますから、それを聞いていますけれども、私はそれで十分だと思うんですね。わざわざ国民の血税を使って、さあ、いざ教員を確保しようと思ったらいないというようなことが起きかねないんです。

 ですから、そういったことも十分勘案して、今からでも遅くありませんから、実際現場でどうなるのかということをよく調査した上で、私は慎重に対応していただきたいなというふうに思っておりますが、大臣の御答弁をお願いします。

高木国務大臣 御指摘の点はきっちり受けとめさせていただきます。

 あらゆる方策を練って、効果的な英語教育について、今後とも各方面の声も聞きながらやってまいりたいと思います。

城内委員 大臣、よろしくお願いします。

 以上、私の質問を終わります。

田中委員長 次に、松野博一君。

松野(博)委員 自由民主党の松野博一でございます。

 私は、本日、朝鮮学校に対する事前審査停止に関する質問主意書に対する政府の答弁書、各委員会における閣僚答弁、また、朝鮮高校からの異議申し立てに対する答弁書の内容に関してまず質問させていただきたいというふうに思います。

 私たち自由民主党は、朝鮮学校就学支援金等の支給に関しては反対をいたしております。なぜ反対かといえば、これは、北朝鮮当局や朝鮮総連からの不当な支配のもとにあるというふうな認識がありますから、支給には反対をしているわけであります。

 しかし、そこで学ぶ生徒の人権、教育を受ける権利、安全というのは、これはもう当然のことながら、しっかりと守っていかなければいけないという思いでありますが、その観点から、今回の、先ほど挙げました質問主意書答弁や朝鮮高校からの異議申し立てに対する答弁書等々の内容には余りにも問題が多いのではないかというふうに考えております。

 まず、予算委員会において枝野官房長官が、この政府答弁書、また閣僚答弁の中にある不測の事態の意味するところは何かという質問に対しまして、不測の事態の内容を答えることは、不測の事態を起こそうとしている者に情報を提供することになるので答弁できないというお答えをされました。これは、国内における特定集団が、何らかの反政府運動であったり、テロ行為とまで言っていいかどうかわかりませんが、そういうことが起こり得ることを想定しての答弁ですね。これはだれが聞いてもそういう答弁だと思います。

 また、前国家公安委員長の岡崎さんが、当時の衆議院の予算委員会の答弁において、「警察庁におきましては、事件の発生」、これは砲撃事件ですね、「を認知した直後から、外事課長を長とする情報連絡室を設置いたしまして、北朝鮮及び朝鮮総連等の関連動向に係る情報収集に万全を期し」、そしてあわせての答弁で、「重要施設等の重要な警戒警備を徹底して、テロ等の未然防止に万全を期すように警察庁を指導してまいる所存でございます。」という答弁をされています。

 このお二人の答弁というのは、高木大臣がその認識を共有するところでしょうか。

高木国務大臣 枝野官房長官が先日の予算委員会で答弁をいたしました。当然、私も内閣の一員でありますし、その場にも出席をしておりましたので、承知をしております。これは共有しております。

 ただ、私たちとしては、国内において情報収集をしながら、国民の生命、安全を守るための態勢をとるということに尽きるわけでして、今御指摘のようなことについては、さらさら我々としては念頭にはありません。あくまでも国民の安全を考えての対応でございます。

松野(博)委員 まだ指摘していないんですけれども、御指摘のようなとは、私のどの部分に対する指摘ですか。

高木国務大臣 今何か私の聞き違いかもわかりませんけれども、テロなんという言葉も使われたんじゃないでしょうか。(松野(博)委員「岡崎さんが使っていますね」と呼ぶ)私はそのことについて言及をしたつもりであります。

松野(博)委員 これは、私がというよりも、岡崎大臣が予算委員会において「テロ等の未然防止に万全を期すよう」というふうに答弁されているんですね。そのことに関して大臣は認識を共有されているかというふうにお聞きしたんですが、いかがですか。

高木国務大臣 これは前国家公安委員長が国会で答えた答弁でありますから、当然私もその場におりましたから、この点については、私は考え方、認識は持っております。

松野(博)委員 しかし、今、私の聞き違いがなければ、大臣は、テロ等に関することに関しては全く認識をしていない、意図していないという答弁の後に、岡崎大臣の「テロ等の未然防止に万全を期す」ことに関しては当然閣内にいる者として共有をしているというお話は、それは相反するお答えですが、これはどういうことですか。

高木国務大臣 私としては、先ほどのお話の中でテロが出てまいりましたからそれについて私は言及したわけでありまして、問題の本質は、私どもの国民の生命財産の安全のために朝鮮学校の手続の停止をしたと、こういうことを申し上げた、このことであります。

松野(博)委員 今の大臣答弁の、日本国民の生命財産の安全を守るために事前審査を停止をしたということは、これはちょっと今までの大臣の答弁と反する内容を含んでいると思います。また後々ちょっと聞かせていただきたいと思います。

 それでは、私が文科省に不測の事態というのは一体どういうような内容かとお聞きをしたところ、これは委員会答弁じゃありません、私の部屋に政府三役の方がいらっしゃって、また、文科省の幹部の方六、七名いらっしゃったと思います、その中で私がお聞きをしたところ、例えば事前審査をすると、教育内容や教科書の内容について事前審査をしたことによって、北朝鮮当局を刺激して、日本も攻撃の対象となり得る可能性がある、そういうことも含めてのことだという説明をいただきました。これはいただいたんですね。

 この質問をするに当たって私は、その場にいた複数幹部にきょうまでの間に複数回、そういう説明でしたよねという確認はとって、はい、そういう説明でしたという答えでしたが、このことに関して高木大臣も考えを共有されていますか。

高木国務大臣 今御指摘のとおりでございますから、それは事実関係だと思っております。

 私としては、あくまでも、昨年の十一月二十三日、あのことを頭に置いて今の状況がある、私はそのように思っております。

松野(博)委員 大臣、もう一度確認しますが、この説明を大臣も同じ認識ですか。

高木国務大臣 私はその考え方は持っておりません。(松野(博)委員「先ほど意見を共有しているという……」と呼ぶ)

田中委員長 松野博一さん、挙手してから発言してください。

松野(博)委員 先ほど、私が指摘をした文科省の具体的な例示内容に関して大臣は、共通認識を持っているのかということに関しては共通認識を持っているというふうにお答えをされて、今はそういう認識はないというお答えなんですが、もう一度整理してお願いします。

高木国務大臣 そういうことは承知をしておりますということを私は申し上げたつもりです。その後の答弁で、私はそういう考え方は持っていないということを考えた。

松野(博)委員 ということは、文科省が私に対して例示としてそういう説明をしたことは承知をしているけれども、その説明をした内容に関して自分はその意識を共有していないということですか。

高木国務大臣 そういうことでございます。

 その説明において、私はそういうことには及ばないということでございます。

松野(博)委員 そうすると、文科省の幹部職員も同席をした中で政府三役から直接説明を受けた内容が、大臣は、したことは知っているけれども、その内容は私の考えとは違うということであれば、私は一体だれの説明を聞いて質問を考えたり意見をまとめればいいのかわからないですよね。それで明らかにおかしいと思いませんか。

高木国務大臣 私は、これは、政務三役は、最終的には我々議論して決定するわけでありますが、意見が違う者はあってもおかしくないと思いますよ。議論は議論として、そして最終的には一つの方向にまとまる、こういうことでございますから、たびたび問題によっては見方、見解の違う場合はあってもおかしくはない、このように思います。

松野(博)委員 一つの政策を練り上げるまでに、それぞれ政治家として考えが違う中で、政府三役の方、また省内の意見を闘わせて答えをまとめていくという作業は当然あると思いますし、私も認めます。

 しかし、私は野党の立場として、衆議院の立場としてお聞きをしていることに関して、それぞれ三役の意見が別個であってもおかしくないじゃないかという答弁は、それは認められないですよね、共通責任ですから。いかがですか。

高木国務大臣 私は、今の状況は停止をしている状況ですから、停止をしているのは事実でございます。その間、いろいろな御意見がある中で、議論としては当然あっていいのではないかと思っております。

松野(博)委員 私たちがいろいろな意見があるのは当然ですよ、いろいろな意見があるのは。しかし、政府側の見解にいろいろな意見があるというのはおかしいじゃないですか。そう思いますか。(発言する者あり)

田中委員長 ちょっと静かに。ちょっと待って、ちょっと静かにして。

 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田中委員長 では、速記を起こしてください。

 副大臣から御説明をいたします。鈴木副大臣。

鈴木(寛)副大臣 もろもろの案件で松野先生のところにお伺いをさせていただいたいろいろな御意見交換の中で、この不測の事態についてどう考えるのかと。我が方の正式ないわゆる解釈ということではなくて、私から御説明申し上げたのは、十一月のあの砲撃というのは、北東アジアの安全保障に対して重大な状態だというふうに認識し得るのではないかと、それは私の個人的な見解も含まれておりますが、あの事態は北東アジアの安全保障に対する脅威だというふうに私は感じておりますということが一点。

 それから、これは昨年の二月あたりでございましたけれども、北朝鮮、朝鮮高級学校の取り扱いをめぐる国会での議論が当時の国連の人権委員会で取り上げられて、これが、その委員会ではですよ、差別的な取り扱いに当たる可能性があり得るという御議論が提起されたと。

 この二つの事実についてはそのやりとりの中で御紹介を申し上げたというふうに記憶しております。一々そのときにどのような表現をしたかは私も議事録的に覚えているわけではありませんが、その二つのことは、事実といいますか、国連の人権の委員会の中でそういったことは事実でありますし、それから、私の理解の中で、あの事態は北東アジアの脅威というふうな理解も成り立ち得るんじゃないかというふうな見解を申し上げたことは事実であります。

 この二つを事実にいろいろな不測な事態というのは考え得るのではないでしょうかと、このようなことを申し上げさせていただいたことは事実でございますが、いずれにしましても、不測の事態等々の政府としてあるいは文科省としての見解については、質問主意書等々でお答えをし、国会の場で大臣から御答弁をさせていただいているとおりだというふうに私も理解をいたしております。

松野(博)委員 先ほどそのまま申し上げたとおりの説明をされたんですよ。事前審査等々で入ったときに、日本側が教科書の内容や授業の教育内容に関して審査を実施すると、北朝鮮当局を刺激して、当時は砲撃直後でありましたから、日本も砲撃対象となるようなこともあり得る、そういった面も総合的な日本の安全保障の一環としては考えなければいけないというような説明があったんですね。これはでも、この説明はそうされましたよね、副大臣。

鈴木(寛)副大臣 あのときは議員会館でのやりとりでございますから、個人的な見解として、十一月の砲撃が北東アジアの安全保障に対する脅威であるというふうに私自身は感じておりました。また、そういう理解の可能性についても言及をしたことは事実でございます。

松野(博)委員 ちょっとわかりにくかったんですが、もう冒頭申し上げたとおり、これは委員会等々の答弁ではありません。私の部屋においでいただいたときにお聞きをしたときの具体的な例示としておっしゃったことですが、内容はそのことをお話しされたということでよろしいですよね。

鈴木(寛)副大臣 安全保障問題というのはいろいろな発展の形態というのがあり得るわけでございまして、いろいろな解釈が成り立つとは思いますけれども、先生に、これまでも、日本列島に対する、上空をミサイルが通過するという事案もございました。そうしたことなどもかんがみて、北東アジアの安全が脅かされる事態ということにエスカレーションするという可能性もあるという個人的な可能性について、そういう可能性もあるんではないかと認識しているということについて申し上げたことは事実でございます。

松野(博)委員 言ったということですが、僕は常々鈴木副大臣の教育に対する見識には敬意を表していますが、こういうときはごちゃごちゃ余り言わずに、例示が適切さを欠いたということであれば撤回しますと言った方がその後の展開はいいと思いますが、ちょっとほかのことも質問しなきゃいけないので、という事実関係があったということは大臣も御認識をいただいた上で、大臣は、その意識は共有しない、そういうことまでは想定していないという御答弁だったと思います。

 しかし、例えば文科省がそこまで朝鮮総連や北朝鮮当局と朝鮮高校の関係を、支配関係にある、不当な支配のもとにあるという御認識であるならば、もともとこれは教育基本法違反でありますから、就学支援金の支給対象にならないんじゃないですか、大臣。いかがでしょうか。

高木国務大臣 何度も申し上げますけれども、この不測の事態との表現はいろいろそれぞれの仕方があるかと思っておりますが、いずれにしても、北朝鮮の砲撃が端緒として国民の生命財産を脅かす、こういう事態を想定したものでございまして、これは今でも変わっておりません。

 その上で私どもは、この朝鮮学校の件については、まずは高等学校の生徒の皆さん方、日本で生まれ育ち、そういう方々にも、ひとしく学ぶ意欲、能力があればその機会を閉ざさない。そしてまた、家庭の経済的な状況によって修学が困難になるような状況をつくらないためにも、経済的な支援をする。こういう意味では、まさに国際人権規約、そういう流れに私たちは基づいたものでございます。

 ただ、四月からの実施は懸案になっておりまして、あれ以降、検討会議をつくり、そして検討し、そしてまた民主党の内部の議論をも踏まえ、あるいはまたさきの臨時国会の議論も踏まえ、私たちとしては対応してきたところでございます。

 私たちとしては、あのような思わぬ事態になったものですから今このような実態にある、このことについては御理解をいただけるのではないかと思っております。

松野(博)委員 委員長にお願いでございますけれども、お聞きをいただいたように、各大臣が言っていることも答弁書の内容等々も、それぞれ方向が違った観点をこの不測の事態という内容に関しては答弁しているんですね。ですから、不測の事態と朝鮮高校の関係について政府の統一見解をしっかり出していただきたいというふうに思います。

田中委員長 ただいまの件につきましては、そのように取り計らいたいと思います。

松野(博)委員 きょうの私の質問のこれからが実は本番なんですが、こういった流れの中で、各大臣の、テロと発言したまでの答弁もある、不測の事態をここで述べることは、起こそうと思っている人間に情報を与えるから答弁できないというような各委員会の答弁等々があった中で、今回、朝鮮高校からの異議申し立てに対する二月四日発行の文科省の答えは、「平成二十二年十一月二十三日の北朝鮮による砲撃が、我が国を含む北東アジア地域全体の平和と安全を損なうものであり、政府を挙げて情報収集に努めるとともに、不測の事態に備え、万全の態勢を整えていく必要があることに鑑み、」当該指定手続、朝鮮高校の事前審査手続を一たん停止するというのが、これが異議申し立てに対する答えであります。

 予算委員会やこの文科委員会、これまでの質問でも各委員からあったように、この内容を私の周りの人間に見せてこれは一体どういう意味だと思うかと聞いたところ、もうほとんどの人が、北朝鮮が砲撃をして、そしてそれに呼応して、朝鮮高校に起因するまたは関連する何らかの事態が起こるということが書いてあるんですかとみんな言うんですよ、周りの私が聞いた範囲においては。

 これも何回も文科省の方に指摘させていただきましたが、そうすると、いや、ここで読めますとか、ここは想定がこういう内容ですとかといろいろと言います。これは霞が関の読み方がいろいろとあるということを言いますが、しかし、一般の人は、これまでの委員会での議論やこの答弁内容を見れば、今回の事前審査の停止の内容として、不測の事態というのが、あたかも朝鮮高校関係者に起因したり関連したりするような内容かを想定させるんです。これは素直に読めばみんながそう読んじゃうんですね。

 であるならば、これは冒頭申し上げたとおり、私たちは就学支援金の支給には反対ですが、朝鮮高校に通う子供たちの人権侵害であったり社会的地位の排除につながったり、また、安全の問題もありますから、これらのことに関してぜひ一度今までの答弁や答弁書をせめて補充して上記の内容というのは明確に違うということを示さないと、これはそこに通う生徒の皆さんの人権に関して大変な影響を与えるというふうに考えますけれども、大臣、そういう行為を行うおつもりがありますか。

高木国務大臣 今、委員の御意見を静かに聞いておりまして、委員のおっしゃられたことについて、私としてはさらさらそういう考え方には立っていない、むしろある意味では大変なことを申されたなと、このように私は思っております。

松野(博)委員 まず、大臣がさらさらそういうことを考えているかどうかという問題よりも、この社会的影響は、この答弁書を読んだ一般の方々、国民がどういうような意識、イメージを持つかということが私は重要だというふうに言っておるんですね。

 大臣、いろいろな教育政策は各政党が違うのは当然ですし、その政策面に関してはそれぞれ意見をぶつけ合うべきだというふうに思います。しかし、そこで通う生徒、子供たちの人権の問題であったり安全性の問題というのは、これはまさに各党派を超えてしっかりと守っていかなければいけない問題でありますから、ここに誤解を生じるおそれがある、お考えはないというふうにおっしゃいましたけれども、そういう意見が多いということであれば、そういうことが起こらないように、ないように、よりわかりやすい、具体的な表現で、大臣がそんな思いはさらさらないんだということであれば、ぜひそれを表現されることが大事じゃないかと思いますが、いかがですか。

高木国務大臣 今のせっかくの御意見でございますが、それぞれそれは民主主義の世の中ですから、御意見はさまざまにあることは承知をしております。

 今、誤解を招く、そういう意見でございましたが、少なくとも私が知る限りにおいては、そういうことを聞いたことはありません。今個々の議論の場で初めて私は耳にしましたけれども、大方の方が、それぞれ意見を持っておりながらも、それはそれなりに理解をされておるのではないか、私はそのように思っております。

松野(博)委員 しかし、この問題に関しては、私だけじゃなくて、少なくとも先ほど質問された城内議員も、この不測の事態の読み方、主語、だれがだれに対するものかわからないという質問もされていました。恐らく多くの方は、ぱっと読んだらそういうことだと思いますよ。この文章を読んでどういうことを想定されますかと言えば。

 私が言っているのは、大臣がさらさらそんなつもりはないんだということをおっしゃるのであれば、しかし、多くの方々がよくわからない、主語もわからないし目的語もわからない、読み方はどうですかと聞けば、何か朝鮮高校に関連する不測の事態が起こるんですかと言う人もいるという中で大臣の本意が伝わらないのであれば、具体的に直されたらどうですか。その方がそれぞれにとっていいじゃないですかということでありますけれども、改めてお聞きしますが、いかがでしょうか。

高木国務大臣 私としては今申し上げたとおりでございまして、おっしゃられたように、人権問題とか、あるいはそういうことなんというのは非常に大事なことですよ。私としては、そんなことはさらさら考えておりません。率直な意味で不測の事態と申し上げてきました。

松野(博)委員 繰り返しになりますけれども、大臣が本当に子供たちの人権もしっかり守っていくんだ、当然だというお気持ちを誤解されるとまずいですよね。ですから、もっとわかりやすく、先ほど政府の統一見解をまとめましたから、例えばその中で、しっかりとだれが読んでもわかるような表現で答弁をしていただくこと、答弁書を出していただくことが大事だと思います。

 このことは、私も、ああ意見の相違ですねということでやめるわけにはいかない問題なんです。私も、子供たちの人権、安全に関しては教育の中で最も重要なことだというふうに考えておりますので、ぜひこのことは引き続き私も訴えてまいりたいと思いますし、ぜひ文科大臣が主導的に、大臣が言うところの誤解を解く努力をしていただきたいというふうに思います。

 以下、いろいろとまだ聞きたいことがあったんですが、以上で質問を終わりたいと思います。

田中委員長 次に、永岡桂子さん。

永岡委員 自民党の永岡桂子でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

 さて、先日、大臣が所信を表明されまして、その中で大臣は、新しい公共の実現ということをおっしゃっておられました。抜粋してちょっと読ませていただきます。「民と官が一体となって進める新しい公共は、今や我が国のあり方を変える大きなうねりとなっています。学校と地域等が連携する新しい公共の理念に基づく学校モデルの構築や、NPO、フリースクールなどを含めたあらゆる関係者が協働して子供を見守り育てる取り組みの支援など、引き続き、教育、文化、スポーツ分野における新しい公共の発展を目指して取り組んでまいります。」

 これは大臣の所信をそのまま申し上げたんですけれども、「我が国のあり方を変える大きなうねり」とまで形容していらっしゃいますこの新しい公共なんですけれども、ちょっと言葉だけ先行してしまって、どうも実態がよくわからないというようなことが私には感じられるんですね。

 新しい公共というからには、古い公共というのがあったのかなということも思ってしまうんですけれども、どういった公共政策、また社会のあり方を想定していらっしゃるのか。新しい公共、そういう言葉は知っていても、これを具体的に説明できるという一般の国民の方というのはほとんどいないのではないかと思いますので、これまでの延長線上の政策ではなくて、国のあり方を変えるというほどの新しい公共につきまして、ぜひ大臣に、具体的な例などを挙げていただいて、そのことを御説明いただきたいと思います。

高木国務大臣 永岡委員にお答えをいたします。

 新しい公共とは何か、こういうことでございます。平成二十二年の六月の四日に「新しい公共」円卓会議というのが開かれ、そこで決定された言葉が「新しい公共」宣言ということであります。

 その中で、新しい公共とは、支え合いと活気のある社会をつくるため、国民、企業、NPO等の事業体など、さまざまな当事者たちが自発的に協働する場、協働というのは、お互いに力を合わせて働くということで、協働する場であるということとされております。このような趣旨のもとに、官のみではなくて、さまざまな当事者がお互いに力を合わせて公共的な役割を担うものであれば、私は、広く新しい公共の実現をする取り組みになると思っております。

 今御指摘の古い公共なのかという話なんですが、私たちは、これまでの公共的な活動、例えばPTAなど、これについても積極的に評価をしなきゃなりませんし、先駆けをしてこられた成果を率直に我々は評価をした。その上で、改めて今のこの時代を考えてみると、官だけには頼らない、多くの方々がきずなというものを深める、こういう社会をみんなで築いていこう、こういう概念であると私は承知しております。

田中委員長 討論中ですが、ちょっと速記をとめさせていただきます。

    〔速記中止〕

田中委員長 速記を起こしてください。(発言する者あり)

 審議を続行いたしますが、ちょっと私語も多いようでございますので、少し静かに全員でいたしたいと思います。

 そして、今の永岡桂子委員は、大臣に対して直接質問をなさりたいそうですが、大臣は参議院の方にとられています。戻っていらっしゃる都合はありますけれども、時間が読めません。したがって、永岡委員の質問は、次のときの御自分の時間内で、あと約二十五分ぐらいあるようですから、それでやっていただく。そのかわり、本村賢太郎さんにすぐに質問に入っていただくということで、永岡さんもよろしゅうございますか。

永岡委員 はい、結構でございます。

田中委員長 いかがでしょうか。よろしいですか。本村先生もいいんですね。

 はい、わかりました。

 では、できるだけ静粛にお願いいたします。

 質問者、本村賢太郎君。

本村委員 民主党の本村賢太郎です。どうぞよろしくお願いいたします。

 きょうは、学校基本調査、そして相撲協会、ワールドカップ、世界遺産と、四つ質問させていただきます。

 まず、学校基本調査に基づく、一年以上居所不明の児童生徒についてお伺いいたします。

 きょう、配付資料にもございますけれども、保護者と連絡がつかないなどの理由で、住民票を残したまま行方不明になり、義務教育である小中学校に通えていない児童生徒の数は、学校基本調査の一年以上居所不明者数で把握されていると認識しておりますけれども、この調査方法に疑義があるとの報道がございました。それを受けて文科省が実態調査をしたと聞いておりますけれども、調査の内容と結果をまずお聞きいたします。

笠大臣政務官 ただいまの件でございますけれども、一年以上居所不明者数については、学齢簿と別に、一年以上居所不明者として簿冊に編製されている者の数を記入することとなっております。

 文部科学省として、一月下旬に、政令指定都市と一部の市教育委員会等五十四自治体に当該項目の計上方法等についてアンケートを行わせていただきました。このアンケートについては現在集計中でございますが、寄せられた回答によると、一部の地方自治体において、計上方法を誤って報告した例、五十四自治体中十一自治体になりますが、これが見受けられております。

 平成二十三年度調査においては、これは五月一日から始まるわけでございますが、学校基本調査のブロック別説明会の際に改めて注意喚起を行わせていただきました。さらに、この調査票の説明をわかりやすく工夫するとともに、通知を発出するなどして、正確な数値を報告するよう、今後、地方自治体にさらに周知徹底をしていきたいというふうに考えております。

本村委員 今、笠政務官から御答弁がございましたけれども、たしかこの調査は一月の十九日に五十四の教育委員会に文部科学省の方から出されまして、一月二十八日締め切りだったと思いますが、既に一カ月以上たっておりまして、アンケート調査、A4二ページでありまして、簡易な結果であります。いまだに調査結果が正確でないというのは、もう少しスピードを上げてお願いしたいと御要望を申し上げます。

 また、サンプル数が五十四ということで、五十四委員会でございますけれども、この五十四教育委員会の中には児童生徒数が三百二十三万人います。例えば、私の選出である相模原市の率でいいますと、政令市でありますので、五万八千人中、今回、二十二年度、居所不明者が十九名いました。この三百二十三万人の率から見ると〇・〇三%でありまして、相模原を基準にした場合、このサンプル数でいえば、九百七十名ぐらいの方々が居所不明に当たるというわけでありまして、今後もぜひとも解明に向けて取り組んでいただきたい。

 特に、新聞記載等では、二十二年度三百二十六名の居所不明者でありますので、相模原市の例をとってみても、千七百七十八市町村教育委員会があるわけでありますので、ちょっと数と実態の数値が合っていないのかな、そして、さらに言えば、政務官からお話あったように、学齢簿とか学籍といった形で教育委員会の受け取り方が余り十分でないのかと思いますので、ぜひとも文科省として、学校基本調査、これからも活用いただけるように各教育委員会に周知徹底をお願いしていきたいと思っております。

 次の質問でありますけれども、何の事情でも学校に通えていない児童生徒がいることは重大な問題であり、一人でも減らす努力が必要なはずであります。基礎自治体では現在手に負えず、警察庁や児童相談所を抱える厚労省など、国の機関の連携が必要だと私は考えております。

 昭和三十年に文部事務次官、厚生事務次官、労働事務次官の三者の通達が出て以来、他省庁との連携について文書は発出されていないと認識しておりますけれども、その認識でよろしいでしょうか。

笠大臣政務官 御指摘のとおりでございます。(発言する者あり)

田中委員長 済みません。少し、打ち合わせは外で、私語は慎んでください。

本村委員 ぜひとも、文部科学省が中心となってほかの省庁とも連携をしながら、この一年以上居所不明の児童生徒について、すべての子供たちが学べる均等な機会というものをしっかり文科省として保障していただけるように、これからも他省庁との連携をお願いしていきたいと思います。

 次の質問に入らせていただきます。

 次に、相撲協会についてでありますけれども、相撲協会には、昨年十月の文科委員会でも質問させていただきましたけれども、今回また新たに八百長問題という大変残念な結果がございました。薬物、野球賭博、力士暴行死、DVなど数々のスキャンダルに見舞われまして、きょうも下村委員から御質問がございましたけれども、この八百長問題と夏場所の開催についてまずお伺いしたいと思っています。

 おととい、横綱審議会の委員長、そして昨日は運営審議会が夏場所をやるべきだという発言がなされております。相撲協会放駒理事長の文科省への説明では、本場所再開は八百長の全容解明と再発防止策がセットとなっていたと思っておりますけれども、文部科学省の認識は、同じ認識でよろしいでしょうか。

笠大臣政務官 私どもも、今委員御指摘のとおり、八百長問題の全容解明はもちろんのこと、再発防止へ向けたしっかりとした体制がとられること、これはセットであるというふうに考えております。

本村委員 再確認になりますけれども、放駒理事長がお話しされた八百長の全容解明と再発防止策がセットでなければ、この五月の夏場所の開催は、文科省としても、事業は厳しいと考えてよろしいでしょうか。

笠大臣政務官 もちろん協会が判断をするということではございますけれども、文部科学省としては、やはり今の二つの点においてしっかりとした国民の皆様方の理解が得られるような状況でなければ、開催は難しいのではないかと思っております。

本村委員 国民の大きな期待というか、国技として本当に国民の楽しみの一環でもありますし、一日も早い協会の浄化を、笠政務官を中心にお力添えいただきたいと願っております。

 次に、公益性についての質問をさせていただきます。

 枝野官房長官から、八百長が蔓延しているような法人ならば公益法人は難しいというお話がありましたり、さらには、公益法人改革を担当する蓮舫大臣が、公益法人の条件を満たしているとは思えない、現状では難しいのではないかというお話が出ておりまして、公益財団法人移行は現状のままでは難しいと発言をしております。

 公益法人認定の基準が今より難しいとはいえ、そもそも現状でも公益事業等をやっていると言えるのかどうか。特に、相撲協会の規約とも言える財団法人日本相撲協会寄附行為の「目的」、第三条には、「この法人は、わが国固有の国技である相撲道を研究し、相撲の技術を練磨し、その指導普及を図るとともに、これに必要な施設を経営し、もって相撲道の維持発展と国民の心身の向上に寄与することを目的とする。」と記載がされておりますけれども、私も、到底この目的から、今回の一連の不祥事を見ても公益法人としてふさわしくない団体ではないかと思っておりますし、さらに、これから公益財団法人を目指すというわけでありますけれども、かなりハードルも厳しいのではないかと思っております。

 ただ、やはり国民の大きな期待を背負っているわけでありますから、一日も早い浄化をやっていかなきゃいけないと思っておりますが、所管庁としての公益法人への見解をお聞かせいただきたいと思っています。

笠大臣政務官 きょう午前中の下村委員の質問に対して、鈴木副大臣も答弁をさせていただいておりますけれども、今、大相撲協会の方では、公益法人へ向けた取り組み、準備というものも進めておられるというふうには伺っております。

 しかしながら、今委員が御指摘のように、先般の相撲協会の外部有識者で構成をされておりますガバナンスの整備に関する独立委員会の答申でも、さまざまな抜本的な改革へ向けた具体的な提言がなされておりますので、こうしたことについてしっかりと真摯に、本当にもう一から出直すんだという信頼回復へ向けた協会の組織改革並びに再発防止へ向けた対策というものが、まずは前提になってこようというふうに考えております。

本村委員 今、政務官からお話ありましたガバナンスの独立委員会の答申でありますが、年寄名跡の問題や部屋制度の問題、理事の問題など、相撲協会にとっては厳しい指摘かもしれませんが、国民から見れば当然の指摘でありまして、この答申は当然クリアしなきゃいけないと私は思っております。

 そうした中で、もう一度お聞きしますけれども、今の相撲協会のこの現状で、笠政務官の見解ですけれども、公益法人として認められるかどうか、もう一度御答弁をお願いいたします。

笠大臣政務官 今の現状であれば、私の個人的な見解としてはなかなか難しかろうというふうに思っております。

本村委員 ぜひとも、国民の、本当に国技として親しまれている大相撲でありますので、公益財団法人への移行を目指しているということでありますので、この答申や、さらには八百長問題を調べている特別調査委員会の調査が終わり次第早急に、協会と協力しながら、また文科省としての御指導を協会の方にお願いしていきたいと思っております。

 次の質問でありますが、ドーピング問題について質問させていただきます。

 相撲協会というのは毎年百名近い新弟子が、未成年の子供たちが相撲部屋に入ってまいりまして、相撲漬けの毎日を送るわけでありまして、相撲協会の今の荒れた形が相撲協会の正しい形では全くありませんので、そういった意味で、新しい、夢を持った子供たちが入門してくるのにまだまだふさわしい状況じゃないということを私は強く思っております。

 そういった中で、薬物の乱用とか野球賭博といった、残念ながらあり得ない、スポーツマンシップとしては考えられない事件もございました。そうした中で、今回、ガバナンスの整備に関する独立委員会でドーピング対策を早急に進めるべきだという提言もいただいているようでありますし、平成十八年十二月にはユネスコの国際規約を日本も批准しておりまして、十九年五月には、文科省がガイドラインを通知したり、相撲協会としても自助努力としてアンチドーピング委員会を設立したりと、相撲協会としての取り組みも見受けられます。

 この相撲協会のドーピング対策はほかのスポーツと同じようなペースで進んでおりますけれども、未成年の子供たちを預かる特殊性から、ほかに先んじてドーピング対策が講じられてもよいのではないかと考えております。そういった観点から、文科省として相撲協会に要請等々をしているのかどうか、お聞きいたします。

笠大臣政務官 本村委員の御指摘、確かにもう十五歳から入門するということで、本当に大変重要な指摘ではないかと思っております。

 今お話ございましたように、我が国が平成十八年に締結をいたしましたユネスコのドーピング防止国際規約では、国がプロスポーツ団体に対しドーピング防止活動を奨励することが求められているため、文部科学省も、日本相撲協会を含めたプロスポーツ団体に対し、ドーピング防止活動の推進をこれまで指導してまいりました。

 現在、日本相撲協会では、外部有識者を含むアンチドーピング委員会を設立し、全力士等に対する教育啓発や、あるいは糖尿病等力士特有の病気に使用する薬物の調査を行うとともに、力士の大麻所持事件がございました、こうしたことを受けて麻薬検査を適時実施しているところでございます。

 先般、日本相撲協会のガバナンス独立委員会がドーピング検査の実施に向けてドーピング防止規程の早期制定等を提言したところでもあり、文部科学省としては、十五歳から入門する力士の健康を守るという観点からも、ただいまの御提言を踏まえてしっかりと対応してまいりたいというふうに考えております。

本村委員 ぜひドーピング対策の方もしっかりと、相撲協会、ゴルフ協会等々でも今ドーピングに対する対応が進んでいると聞いておりますけれども、とにかく若年層、未成年を預かる国技としての場でありますので、ぜひとも、文科省としてもドーピング対策の指導を徹底していただきたいと思っております。

 要望でございますけれども、今回、八百長に対する再発防止対策が不十分なまま本場所を再開したとすれば、指導よりも厳しい改善命令を出すくらいのことがあってもいいと私は考えております。文部科学省には強く監督をしていただき、相撲が、国民に愛され、そして国技として日本の誇りとなるように努めていただきたいと思っております。

 ぜひとも、国技の火を消さず、そして子供たちが安心してけいこに励むことができる環境をつくるために国の強い指導を要望して、この質問を終わりにします。

 次の質問に入らせていただきます。

 次は、二〇一九年、ラグビーワールドカップの日本大会の開催に関しての質問であります。

 これも以前、共産党の宮本委員さんも御質問しておりますけれども、ことし、国際ラグビー連盟、いわゆるIRBのベルナール・ラパセ会長が、四月から五月に日本に来られるということでありまして、我が国といたしましても、これから十年ぐらいで世界大会というのはこのラグビーワールドカップが唯一の大会であり、大変期待をしているところであります。

 ラグビー協会に対して、組織委員会の立ち上げや会場の検討など、さらには政府としての財政面での支援など、幾つか課題があると思います。

 特にまた、ことしは二〇一一年九月から十月にかけまして、ニュージーランド大会に日本チームが参加をされますし、世界は強豪でありますので、これまでの世界大会で、なかなか、まだ一勝という厳しい結果でありますけれども、ぜひ日本大会のときには選手の育成をしていただき、強い日本のラグビーチームとして発展してもらいたいな、そう願っております。

 そういった中で、今回、大体このワールドカップ、事業費で三百億円かかると言われております。その中で、財政面での支援で二千六百万ポンド、日本円で三十六億円程度、このIRBから政府に対しての財政支援の要請がありましたし、先般、ラグビー議連の西岡会長からも決議が鈴木副大臣に渡されたんだと認識をしております。二〇〇二年のサッカーワールドカップの際も、例えば宝くじや公営競技のお金を使いながら運営したということを記憶しておりますが、私としては、今回三十六億円の財政支援、大変今財政が厳しい情勢でありますので、スポーツ振興くじであるtotoなどを利用して、活用していったらいいのではないかと思っております。

 特にこのスポーツ振興くじは、最近は要件が緩和されまして、随分幅広く、地域スポーツの施設整備助成や、総合型地域スポーツクラブ活動助成、地方公共団体スポーツ活動助成、そして国際競技大会開催助成など、幅広いメニューがございますので、この財政支援として、もちろん宝くじや公営競技の財源も使わなきゃならないかもしれませんが、totoを活用するということをお願いしたいと思っておりますが、いかがでしょうか。

笠大臣政務官 ラグビーのワールドカップは、オリンピックやあるいはワールドカップサッカー大会と並ぶ大変大きな国際競技でございます。二〇一九年に我が国で開催をされるということは、スポーツの振興あるいは国際親善、地域振興等に大きな意義を有するものであるというふうに受けとめております。

 文部科学省としては、私も実はこの超党派の成功へ向けた議員連盟のメンバーの一人でもございますけれども、大会成功のために最大限の支援をしてまいりたいというふうに考えております。

 委員の今の具体的な御提言がございました。大変貴重な提言でございますので、今後、日本ラグビーフットボール協会の意向も踏まえながら、適切に、前向きに対応させていただきたいと思います。

本村委員 ぜひ、今はtotoの方も売り上げも大分上がってきていますので、御活用いただければと願っております。

 ぜひとも、文科省初め議連の皆さん、一致団結して、二〇一九年のラグビーワールドカップ日本大会の成功に向けて頑張ってまいりたいと思います。

 次の質問に入らせていただきます。次は、世界遺産についてお伺いいたします。

 現在、世界遺産は、平成二十二年八月現在でありますが、文化遺産七百四件、自然遺産百八十件、複合遺産が二十七件となっております。そして、我が国の世界遺産の一覧表記載物件は、文化遺産が十一件、自然遺産が三件、合計十四件が世界遺産に登録をされていると承知をしております。

 さらに、我が国の暫定一覧表記載物件でありますが、文化遺産が十三件、自然遺産が一件となっております。特に平成四年に政府から推薦がありました古都鎌倉、そして彦根城、平成十三年の平泉、さらには平成十九年以降公募によって挙がってきた富岡製糸場や富士山、国立西洋美術館や小笠原諸島など、文化遺産が十三件、自然遺産が一件と承知をしております。

 その中で、私も神奈川県選出でありまして、特に平成四年に政府が推薦いたしました古都鎌倉の寺院、神社ほかでございますけれども、これに関しましては、当初、政府といたしましても、奈良県の法隆寺地域の仏教建造物、さらには京都府、滋賀県の古都京都の文化財と並んで、神奈川県のいわゆる古都鎌倉の寺院、神社ほかという形で、三都のいわゆる世界遺産を目指していたというふうに記憶をしておりますし、奈良県、京都、滋賀県と異なりまして、神奈川県の世界遺産というものは侍の発祥の地、つまり武家の発祥の地でありまして、こういった点におきましても奈良県や京都府、滋賀県とはまた少し趣向が異なる部分もございます。

 この鎌倉、そして彦根城、平泉といった政府の推薦のリストがございまして、特に平泉と小笠原諸島は、今既に二十二年一月に推薦書をユネスコの方に提出していると伺っておりますけれども、きょうはちょっと一例としまして、神奈川県の古都鎌倉に関しての世界遺産の状況等々をお聞きしていきたいと思っております。

 まず、現在の鎌倉の世界遺産の現状をお聞かせいただきたいと思っています。

吉田政府参考人 世界遺産の登録審査におきましては、まず第一に世界遺産としての価値の証明、第二に万全の保護措置が構築されているかどうか、こういった二つの要素を中心にいたしまして、主に書類により行われております。

 お尋ねの鎌倉の件につきましては、先ほど申し上げました二つの要素のうち保護措置の構築という点につきましては、構成資産の文化財指定なども含めまして推薦のための準備が整いつつあるものというふうに認識をしております。

 一方、世界遺産としての価値の証明という要素につきましては、審査を行います外国人にもこの鎌倉の価値といったものが理解してもらえるよう、明確でかつ簡潔に説明した推薦書を用意するというところの課題が残っているかと思います。

 このため、日本人であれば当然知っている鎌倉あるいは武家文化、こういったものの価値につきまして、その知識のない外国人でもすぐ理解できるように、これまでの学術的な調査研究成果なども用いながら適切に説明していく必要があるものというふうに考えております。

本村委員 昨年十月に、私どもの神奈川県の松沢県知事や鎌倉の松尾市長なども高木文部科学大臣と面会をされ、さらには近藤文化庁長官も鎌倉生まれ、そして今もお住まいだということも伺っておりまして、元ユネスコ大使だということもお聞きしておりますけれども、御指導いただいたということを伺っております。

 きょうは鎌倉を一例にしましたけれども、日本の今暫定リストに挙がっている十四件、鎌倉を初め彦根城、そして平泉、富岡製糸場、富士山といったさまざまな物件がございますけれども、ぜひ文部科学省として、これから世界遺産登録に向けて、地元の地方自治体の御指導等々をしっかりとお願いしていきたいと思っております。

 広い見地でちょっと質問させていただきますけれども、この十四の物件でございますけれども、この物件に関しまして、これからどんなところが世界遺産登録に向けて大きな問題なのか、政府としての御見解をお聞きいたします。

笹木副大臣 十四の中で、その中で特に今お話があった武家の古都鎌倉については、海外の専門家の意見を聞くとか、推薦に向けた準備がかなり整っている、そういう状況で、正式にユネスコの世界遺産委員会に認められるように、そういう段階まで来ているということです。

 他の十三件については、事務方からお話をします。

吉田政府参考人 鎌倉につきましては、今、笹木副大臣の方からお話をさせていただいたようなことでございます。

 残りのそれぞれの候補案件につきましては、先ほど申し上げました価値の証明の問題、それから保全措置の問題、この二つの要素でそれぞれの地域ごとに抱えている課題が異なっておりますので、なかなか一概に、どこが有力だとかいうようなことは今の時点ではちょっと申し上げられないということで御了解いただければと思います。

本村委員 最後に要望でありますけれども、日本の誇りに当たる世界遺産でありますので、暫定リストに載っている十四案件、とても大事なものでありますので、ぜひとも、笹木副大臣を中心に、また、各地方自治体にも御指導いただいて、一日も早く、年間二件しか提出できませんけれども、順次、準備が整い次第、地方自治体からすばらしい推薦書を預かってユネスコに上げられるように御指導いただきたいと思っております。

 そのことをお願いして、私の質問を終わりにします。

田中委員長 次に、高野守君。

高野委員 民主党の高野守でございます。

 まず、学校の耐震化、幼保一体化の関連の中からちょっとお尋ねをしたいのでありますけれども、その前に、二月二十二日に発生をいたしましたニュージーランド・クライストチャーチ市における地震によって亡くなられた方々に心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災されたすべての皆様に心からのお見舞いを申し上げる次第でございます。

 きょうも、お昼ごろに東北地方で地震が発生いたしました。阪神・淡路の大震災もそうでありますけれども、日本も、地震国という中で、国民の皆様方が学校の耐震化については、これはもう共有の認識をされているというふうに思いますし、昨年は、予備費のことについてではありましたけれども、当委員会においても耐震化促進への決議もされております。この問題については、とにかくスピーディーにしっかりと進めていただきたいということを要望をさせていただきたいと存じます。

 そして、幼保の関連からなのでありますけれども、私の地元の自治体でも、これらの耐震化に当たって、これは公立でありますけれども、隣接の保育所と幼稚園の統合など、さまざまな計画や取り組みが行われているところでございます。ほぼ同一敷地内と言っていい隣接地区にあるところについては、これは、幼保連携型、いわゆる認定こども園として整備をしよう、これだったら問題なく整備できるだろうという判断でそうした計画も今進んでおります。

 また、個々に離れている地域については、それぞれ将来を見据えて幼稚園型、保育園型という整備の計画を立てておりますけれども、ちょうど幾つかの自治体で、同じ小学校区内の中に入っているところもあれば、ぎりぎりちょっと出るところもあるのでありますけれども、この際、保育園と幼稚園の統合ということで計画を持っている市町村が現にございまして、先般、地元に帰りましたときにちょっと話がございましたのですが、地方の議会の中で、政府の、いわゆる国の幼保一体化の議論の中でどのように計画を進めていくかということが地方議会で議題となったという事実もございます。

 私は、今の体制の中で、これは文科省だけの問題でありませんし、省庁連携といいますか、いろいろな対応の仕方を考えなくてはいけないと思います。特に問題になるということはなかろうとは思いますけれども、ぜひこうした市町村の計画等に支障が出ないような、出ないと思いますが、いろいろとそういった御配慮をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

林大臣政務官 高野委員の御質問にお答えをさせていただきます。

 幼保一体化については、現在、幼保一体化を含む子ども・子育て新システム検討会議のもとにございます幼保一体化ワーキングチームにおいて議論をさせていただいております。

 このワーキングチームには、学識経験者の方、あるいは幼稚園の代表、保育所の代表、さらには地方自治体の代表の皆様にも委員として入っていただいておりまして、まさに今現在、丁寧な議論を積み重ねさせていただいておるところでございます。

 委員御指摘のように、場合によっては、今のところこの幼保一体化というのは二十五年度からというのを私どもは目指しているわけですが、その前段階で、例えば老朽化に伴うとかいろいろな事情の中で、この際だから、そうした幼保一体の形でつくろうではないかという自治体があるというお話も伺っております。

 その場合につきましては、委員御存じかと思いますが、認定こども園への財政措置としてつくられております安心こども基金というのがございまして、例えばこちらを利用いただいてまずはスタートを切っていただく、二十五年度になった段階で、例えば幼保連携型認定こども園の場合には、できるだけ現場に負担をかけることなく、自動的にこども園に切りかえていただけるような対応をしていきたいということも考えておりますので、二十五年度まではそうしたものを、随分利用もしやすくなっておりますので、御活用をいただければなというふうに思います。

 とにかく、地方自治体の皆様に御心配、御迷惑をかけることなくしっかりと進めてまいりたいというふうに思います。

高野委員 かつて縦割り行政の中で、大分今は改善をされていて、今お話しいただいて安心をいたしましたけれども、やはり、地方自治体の中にはそういったかつてのイメージもございまして、計画を担当する担当者間にそういった心配であるとか、あるいは地方議員の方々にそうした情報の発信も含めて、これは省庁連携でぜひ対応をお願いしたいというふうに思います。

 次に、核不拡散・核セキュリティ総合支援センターのことについて、ちょっとこの取り組みについてお伺いをしたいと存じます。

 先般、二月四日でございましたけれども、私の地元でもあります東海村のリコッティに、これは主体は要するに原子力機構でありますけれども、核不拡散・核セキュリティ総合支援センターが設置をされ、二月四日に開所式が行われまして、笹木副大臣もお越しをいただきまして、私も同席をさせていただいたわけでございます。

 これは、二十二年の四月に開催された核セキュリティ・サミットにおいて、日本のナショナルステートメントの中でこれは鳩山総理が世界へ発信をしてそれが形になったものでありますし、そうした意味では、非常に意義のある第一歩であるというふうに思っております。

 この課題は、原子力発電というのは、これは私は必要なものであるというふうに考えておりますけれども、この原子力施設を私どもが持っておる限り、こうした問題にしっかりと取り組んでいかなければいけない。その姿勢の第一歩でありますし、これはずっと続いて頑張っていかなければいけない課題だと思っております。

 ただ、予算確保が非常に厳しい状況にあった中で、最小限の投資で最大限の効果を発揮するためということであったと思いますけれども、何分地元におりますと、リコッティというのは、もともと、バケツで臨界のジェー・シー・オーの事故等がございまして、住民の皆さんともうちょっとコミュニケーションをしっかり図っていこうというようなことがあって設立された建物であるという経緯がございます。

 私としては、世界に発信するその中核的役割を果たそうと、これはナショナルステートメントとしてやったわけでありますので、ぜひやはり、厳しい財政状況の中ではあろうかと思いますけれども、これは大事な課題でありますので、将来的にわたっての継続的なこの取り組み、そしてまた、私はやはり模擬訓練施設的なものがきちっと整備されるのが望ましいというふうに思っておりますが、この取り組みについての方向性といいますか、御見解をお伺いをしておきたいというふうに存じます。

笹木副大臣 今、高野委員が言われたように、先般のあの開所式のときにも委員も来られていました。あのときにも、新たに原子力発電所をつくろうと思っている海外からの方々がたくさん来られていました。

 今年度から来年度にかけて、IAEAの保障措置、あるいは核セキュリティーに関する研修コースを開催する。大体三十カ国から二百名を予定をしております。それで、今お話のあった模擬訓練施設、これはもちろんですし、バーチャルリアリティーを使った訓練システムの整備、こうしたものもしっかりつくっていく。もうそれは予定をしております。

 委員は、いろいろまだまだこういうこともできるんじゃないかという御意見があるんだと聞いております。ワンストップサービスと言っているわけですから、法律も、技術も、今言った核セキュリティー、核不拡散のいろいろなノウハウも、ワンストップサービスで相談に答える、それにふさわしい施設にしていく、そういう意気込みでやっております。

 ぜひまたいろいろなお気づきの点を教えていただけたらありがたいと思っております。

高野委員 ありがとうございます。さまざまなこれはもう第一歩でありますので、何だこんな施設かと言われないように、しっかりとした取り組みをしていただきたいというふうに思います。

 加えて、東海村は村長が大変に熱心でありまして、原子力センター構想というものを持っております。これは七月に大体まとめたものを発表するというふうに聞いておりますけれども、要するに、平和利用の象徴として頑張りたいんだというこれは地元の意気込みでございまして、こうした構想もございますので、こうしたものとの連携もひとつ考えていただければというふうに思います。

 教育は国づくりの根幹をなすものでありまして、国際社会をこれから日本がどう生き延びていくのか、そうした本当に重要なテーマを私たちは抱えているというふうに思っております。ですから、学力の向上、きょうもいろいろお話ございました。この取り組みはもちろん重要であることは言うまでもないわけでありますけれども、きょう、私は、不登校そして引きこもりの子供たちへの観点からちょっと質問をさせていただきたいというふうに思います。

 先般、二月六日に一橋記念講堂で子どもを見守り育てる「新しい公共」研究フォーラムが開催されて、鈴木副大臣も基調講演をされたというふうに伺っております。この方向性は非常に私は大切なものであるというふうにもちろん思っておりますし、教育の再生、将来を担う子供たちの成長という観点から、こうした考え方、価値観といいますか、どうしてもやはり根づかせていきたいというふうに願っている一人であります。

 今、学校現場で抱える課題というのは非常に多く、また複雑でありまして、学習指導、教科指導もそうです。そしてまた生徒指導、そしてさらに、障害を持った子供たちへの特別支援教育などさまざまな取り組みや、ある意味、分類という言い方はおかしいのでありますが、そういう形もあろうかと思うんですが、この生徒指導教育や特別支援教育については、きょうもちょっと質問がありました。まだまだもちろんこれも十分ではないというふうに思っていますけれども、少なくとも、教育関係者や私たちの中にこうしたものをしっかり受けとめようという心構えみたいなものはできていると思います。皆さんの努力でできてきたというふうに思います。

 しかし、この不登校、引きこもりについては、最近やっと理解が深まってきたのかなと思うんですけれども、どうしても、しっかりしろよとしりをたたいて頑張れよと言えば、どちらかというと情けない子たちだなとか、そういう感覚が少なからずやはりあったと思うんです。しかし、今現在、小学生で二万二千人ですか、中学生と合わせると十二万二千人以上の不登校児がいるという、これはいろいろなケースがあるから一概に言えませんけれども、こうした状況の中で、やはり現場の教師の皆さんも親も、どう対応していいかわからない、そんな親御さんや教師の皆さんからの声も私も直接聞いております。

 そうした中で、まず文部科学省としてのこの不登校児を支援する施策という点で、教育支援センターの取り組みとか指導要録のいわゆる出席に扱うとか、そういったことについては聞いておりますけれども、改めて、不登校児童生徒を直接支援する主な取り組みについて、簡単で結構なんですけれども、御説明をいただきたいというふうに思います。

笠大臣政務官 今御指摘ありましたように、不登校あるいは引きこもりの子供たちを含んでこの対応については、文部科学省では、今御指摘のような事業を初め、厚生労働省所管の社会福祉関係機関等々と学校との連携、調整を行うスクールソーシャルワーカーの配置等、教育相談体制の整備を支援することなどを取り組んでおるところでございます。

 また、今ちょうど御審議いただいている予算案の中に新規事業として計上させていただきましたけれども、やはり、現状をしっかりともっともっと把握、分析をしなければならない。そして、そこにいろいろなまた地域の皆さんの力もかりながらしっかりとした対策を立てていこうということで、よく、縦割りの弊害といいますか、もう少し厚生労働省とも、これまでも連携をしてきているところでございますけれども、しっかりやはり、もう総がかりできちっとした形で対応するようにという御指摘もいただきます。

 この調査研究事業については、厚生労働省とも、立ち上げのところから協力をしながら新規プロジェクトとしてまたスタートをさせたいというふうに思っております。

 こうしたさまざままた成果について、学校、保護者に対しての積極的な発信というものも大事ではないかというふうに思っておりますので、また高野委員の方からもさまざま御提言もいただければというふうに考えております。

高野委員 この問題は大変難しくて、今申し上げましたように、現場でも、一義的に子供と接するのは親、教師でありますけれども、スクールカウンセラーであったりスクールソーシャルワーカー、これは大変にすばらしい制度ができてきつつあるというふうに思いますけれども、どうしてもそこに先生方も頼りがちになってしまうという傾向があるんですね。専門的に扱うべきだというか、いろいろな議論がありまして、確かに、専門家のスクールカウンセラー等に相談することは間違いないわけでありますけれども、私はやはり、第一義的に接する教師自身が教壇に立つ前にしっかりとそうしたことを、ある程度、これはもう医者でもそうですけれども、経験は実際に踏まなきゃならないわけでありますので、知識でもいいですから、しっかりとした教職課程におけるそうした指導教育というもの、接する機会というものをつくっていただきたいと思っているんです。

 一応これは確認も含めまして、今、全国の国公私立大学も含めて四年制の大学等で、まだまだこれからの課題で難しい面はあろうかと思うんですが、こういった授業を教職課程でしっかりと例えば必修にしているとか、あるいは中身はどういうふうになっているのかといった観点から、ちょっと事例も含めてお聞かせをいただきたいというふうに思います。

笠大臣政務官 全国の国公私立大学等ということでございますが、教職課程においては、不登校などの生徒指導上の課題に対応するための指導力を身につけることは重要なことでございます。

 そのため、教員免許状を取得するための必修科目の一つとして、生徒指導や教育相談等に関する科目が位置づけられており、各大学においてそれぞれに特色のあるカリキュラムが編成をされております。

 例えば、福井大学においては、学生が不登校児童生徒の家庭や学校の相談室を訪問するなど、不登校児童生徒と直接接する機会を設けて、その活動内容を授業で発表あるいは検証している。また、京都教育大学におきましては、不登校傾向にある児童生徒の宿泊学習に学生自身が参加をし不登校問題への理解を深めたり、あるいは、学生が小中学校へ行って、相談室登校を続ける児童生徒の学習支援や実際に話し相手となるなどの活動をする中で、まさに将来教師になっていく人たちに、学生の段階からさまざまな現場で体験をしていただくというようなことが取り組みとしては行われているようでございます。

 今後とも、各大学において、不登校などの生徒指導上の課題について確かな指導力をしっかりと身につけていくことができるよう、さまざまな取り組みが進められることを期待をしておるところでございます。

高野委員 具体例を挙げていただいて、笠政務官、ありがとうございました。

 やはり、こうした実践的な経験というか、そういったことを四年制大学においても経験をする、実体験をしていただくということは、これはもう教壇に立つ前にぜひしていただきたいというふうに実は私は願っております。

 というのは、まじめな先生ほど一生懸命になり過ぎちゃってマイナスになったり、あるいは先生自身が悩んでしまったりとか、これは押しつけではなくて、教師を志した方にはぜひそうした、例えば、不登校や引きこもりの子供を抱えた親御さんからの話を直接聞くものを一つの講座にするですとか、そうしたことが大事だなと思います。

 また、出てこれる子供たちはまだいいんですね。初期対応が実は私は非常に重要だと思っていまして、私自身もそうした親御さんや子供たちと接しているのでありますけれども、やはり、初期対応がうまくできないがために、あとは二十歳以上になるまで、放っておくじゃないですけれども、事実上待つという、ですから、可能性としては最初の段階だというふうに思っておりまして、そういう意味で、教師のそうした力というものを、知識の習得でもいいですから、深く学ぶ機会を持たせるようなそういったことを大学教育において考えていっていただきたいというふうに思っております。

 時間がありませんので、教職大学院のことについてもちょっとお聞きしようかと思ったのでありますけれども、教職大学院も、よりそれを深めた人材を育てるという意味で設置をされている方向性は私はいいとは思っておりますけれども、これは中身が非常に重要でありますので、私自身偉そうなことを言えませんけれども、よりそうした実践的な面に対応できるように、学力の問題、今言われておりますけれども、昔は、昔はというか、勉強ができる人はできるんですよ。そういう言い方をしては終わっちゃいますのでそれ以上は言いませんが、要するに今大事なのは、意外とみんなが今まで意識していなかったこうした引きこもり、不登校、単に情けない子だとかそういう形で見ちゃいけないというふうに私は思うんですね。そこからやはり未来の日本を担うような人材というのは隠れているかもしれない。ぜひ、そういった視点を持って取り組んでいただきたいというふうにも思います。

 きょうはちょっと資料も用意したのでありますけれども、それで次に、厚生労働省とのこの問題についての連携という観点から、私はきょうは、厚生労働省はすばらしいとか、実は余りそうも思っていないのでありますけれども、提案という意味で、厚生労働省の資料を配ったら厚生省立派だよという意味で出したんじゃないんですけれども、取り組みをちょっと御紹介というか、共有をしたいと思って出させていただきました。

 ほかの資料はちょっと省きましたけれども、厚労省では、ふれあい心の友訪問援助・保護者交流事業という中で、児童相談所の児童福祉司やコーディネーター、コーディネーターというのは、児童相談所のOBとか引きこもりの子供を持っていた親御さんたちがコーディネーターというふうに位置づけられているんですけれども、そういった指導のもとに、学生等のボランティア、これをメンタルフレンドというふうに呼んでいるということでありますけれども、このメンタルフレンドの学生のボランティアさんが、引きこもりの児童の家庭を訪問したりこのような児童と触れ合うというような取り組みがなされています。

 この担当者に話を聞きましたところ、福祉系の学生が学部や学科でいうと比較的多いそうでありまして、教職系はどうなのかなといったことも感じました。こういったことについても連携して、こういったありますよということをもっともっとぜひ発信をしていただきたいということをちょっとお願いをしておきます。

 そのほかに、保護者を対象にしたペアレントトレーニングなどを設けて支援の充実を図ったりもしておりまして、また、自閉症などの発達障害の親御さんを、自身がそういった子供を抱えている親御さんが相談に乗るような形で、これはペアレントメンターというふうな名称をつけて、その先輩という言い方もおかしいですけれども、実際に経験をされてきた親御さんがペアレントメンターとなって、今抱えて苦しんでいる親御さんの心のアドバイザーといいますか相談役になっているというふうな制度も、これも聞いたところまだまだなのでありますけれども、しかし、制度としてそういったものをつくっております。

 そうした経験者の親御さんたちをこうしたアドバイザー、相談者として、この養成を発達支援支援推進事業の一つに厚生労働省としては明記をしておりまして、そうした相談技術を持った方々、経験者の方々を大事な資源として位置づけて取り組んでいこうという、これは担当者はなかなか意欲的でありました。課長さんたちでありましたけれども、大変一生懸命な方たちだなというふうな印象も持ちました。

 私は、これは文部科学省、直接いろいろなことに対して上から目線で言えない立場もあろうかとは思いますけれども、今のこの実態を見ますと、こういったことにもっと積極的な発信と取り組みというのを、笠政務官からいろいろなことを先ほどお聞きいたしましたけれども、やはりもっと力を入れてほしいというのが私の率直な気持ちでありまして、そういう意味では、ペアレントメンターというのは、それで聞いたところ、これは発達障害に限ってペアレントメンターと呼んでいるらしいんですね。ペアレントメンターというのはどういう子供たちやどういうところに対応するんですかと聞いたところ、これは発達障害だけというか、に一応限定をして始めているようなんです。

 そういう意味では、不登校者、引きこもりの親御さんたち、もちろん発達障害がそうなっている場合もあろうかと思いますけれども、私は、もっと不登校の経験者、親御さんたちにもぜひボランティアで参加していただいて、そういった人材づくりのネットワークみたいなものをつくっていく必要があるというふうに思っています。

 それは、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーの人数だけではとてもこの予算的にも早急な整備も難しいし、これは、一つの社会問題として対応していくためには、やはり私は、むしろ文科省が旗振り役をぜひしていただきたいというふうに思っております。

 ちょっと長くなって恐縮ですけれども、「ひきこもり地域支援センターの概要」ということで厚労省の資料をちょっと配らせていただきました。ここに、学校というのがちょうど真ん中にありますけれども、学校というのは、昔から学びの場だけではなくて、地域コミュニティーのやはり中心だったと僕は思うんですね。

 いよいよ新しい公共という、鈴木副大臣も基調講演もされておりますし、そういった方向性というのはとても大事だし、そういったことをこの引きこもり、不登校の問題へも踏み込んでいくというか、旗振り役というか、文科省は新しい公共のもっと中心的な役割をぜひ果たしていただきたいというふうに思っているんですけれども、いかがでしょうか。ちょっと御見解をお伺いをしたいと思います。

笠大臣政務官 今、本当に貴重なお話を伺ったと思っております。

 今、高野委員おっしゃるように、私どもも、この新しい公共という中で、これまでも鈴木副大臣等々を中心にしながら、例えばコミュニティースクールであったり、本当に学校がやはり地域の拠点である、この中で中心的な役割をしっかりと果たして、ある意味では地域の再生にもつなげていく、そんな思いで取り組ませていただいております。

 今、不登校児童生徒への対応などについても、不登校や引きこもりのお子さんを現に抱え、それを何とか克服をしさまざまな体験を持っておられる方や、あるいは大学等々、そういった学校があればそういったところの学生、将来教職員を目指す学生だけじゃなく、そこで学ぶ学生たちとの連携の中でボランティア活動をしていただく。メンタルフレンド等による支援も効果的であろうと思いますし、そうした拠点として学校が新しい公共の担い手の場としてしっかり連携協力ができるよう、我々文科省としても、さまざまな観点からの施策を推進していきたいというふうに考えております。

高野委員 私は、こういう取り組みということをすることによって、学校の先生方一人一人の心の負担軽減にもつながりますし、学校自体の負担軽減にも、負担という言い方は適当かどうかわかりませんが、軽減につながると思うんですね。ぜひこれを検討していただきたいと思います。

 厚労省の方の担当者も情熱的な方がいましたけれども、いろいろ話を聞いてみますと、やはりまだまだ実際には手探りなんですね、厚生労働省も。こうやってちょっと立派そうな概念図というのができておりますけれども、中身がまだ、二十以上の成年の引きこもりの人たちにちょっと対応は何とかできるようになるのかなという印象です、私が話を聞いた範囲では。小学校、中学校、高等学校、特に小中ですね、ここは文科省抜きに制度をつくっても、やはり実効性が伴わないというふうに私は実は危惧をしております。

 ですから、ぜひ厚労省ともこうした検討を加えて前に進めることによって、将来の日本を担う人材の子供たちのために私たち政治家も働いていきたいと思いますので、ひとつ、心からこのことをお願い申し上げる次第でございます。

 特に、厚労省の方も児童相談所とかいうのがありますけれども、実際聞いてみますと、この引きこもり、不登校に対応できる相談者が果たしてどのぐらいいるか。実態は、何でも適切に相談できる状況ではないような話も聞いております。というのは、相談案件が、非行であるとか、あるいは障害を持った子供たちの親御さんの相談というのがかつて中心だったんですね。ですから、そういった意味では、こういうことを扱える人が育っていないというか、非常に難しい課題であります。

 一番大事なのは、べらべらしゃべって申しわけないんですが、やはり、まず最初にその子供たちをそのまま受けとめる、そして見守り続けるという忍耐力というのは物すごく重要だと思っていまして、もうこの一言だけでもいいですから、書いてあるかもしれませんけれども、大学の教科書に書いていただきたいなと思うぐらいでありまして、ぜひこのことをお願いをしたい。

 個人的にも実は私もこうした経験を持っております。そしてまた、今も親御さんの相談に時々乗っております。みんな、例えば精神病かなと思って精神科に行こうとするんですね。ところが、精神科も扱える先生が実はいないんです。いないと言っては極端なんですが、各県に本当に数人いるかどうかです。そんな状況であります。

 私の友人の、鹿島病院の副医院長の高浜医師という精神科医がいますけれども、下手な精神科医だったらなかなか難しくて扱えないんだと。私もいろいろ昔から知っているんでありますけれども、獨協医大の学長も務められた大森健一先生という方がいらっしゃいます。やはり精神科でも扱えない。これが二十ぐらい以上になってくると何とか対応できるらしいんですけれども、どうしても小中学生、高校一、二年生というのは非常に難しい。

 ですから、地域の皆さんで協力して、また、厚労省とも連携をとってこうした人材のネットワークづくり、再度お願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

田中委員長 この際、永岡桂子さんの残余の質疑を行います。永岡桂子さん。

永岡委員 永岡でございます。

 大臣、参議院の予算委員会、どうもお疲れさまでございました。お待ち申し上げておりました。どうぞよろしくお願いいたします。

 先ほど、新しい公共についてお話しいただきました。昔からあるPTAも、その新しい公共という考えの中にあるのだというお話を伺いました。ああ、そうそう、そうなのかというふうに思います。

 新しい公共という言葉は、本当に民主党政権になりましてから公に出てきた言葉でございますが、中身は今までもあった。その中で、新しい公共という言葉でくくられるということですね、PTAという組織も。そうしますと、私もよくわからなかったので、すごくたくさん、何回も文科省の方にお聞きしました。

 総合型の地域スポーツクラブというのが今大分進められておりますけれども、そのお話を聞きましたときに、宝くじの補助金が出るから私はいいと思ったんですね。ちょっと聞きました。そうしましたら、地域の体育協会がありますね、そこと本当に全く同じことをやっていると。今はもう各地域に、体育協会というものはそれぞれ市町村にありますので、それとバッティングするんじゃないかと実は思いまして、大変心配いたしました。この総合型の地域スポーツクラブというものを是として、古い体育協会を非とするのかなと実は思ってしまったんですね。でも、そうじゃないという話を役所の方からも聞けたんですけれども。

 新しい公共という言葉を使いますときに、やはり新しい公共というその一つの言葉は、新しいがあるためにでしょうか、大変大変違った意味で、昔を否定してしまうという考えにもつながりかねませんので、どうぞそういうことを文科省の方でも、大臣の方でも、一々、いやこれは昔の組織も新しい公共なんだよということを、ぜひぜひ御指導のほどをよろしくお願いしたいと思っております。

 次に、学校の耐震化についてお聞きしたいと思います。

 先ほど、お昼前に地震がありました。あったんですよ。私も座っていて気がつかなかったんですけれども、参議院の予算委員会では随分揺れたようです。同じところにありながら、あちらはちょっと耐震の度合いが弱いのかなと実は思ってしまったんですけれども、三陸沖のところが震源地だそうです。マグニチュードは七・二ということですから、随分大きかったですね。津波の心配もされていたわけでございます。

 大臣は、子供たちが一日過ごす学校の現場にありまして、地域の方々の応急避難の場所にもなります学校施設の安全性というのは非常に重要であるということを所信でおっしゃってくださっております。

 きょうのこともそうなんですけれども、先月の二十二日、ニュージーランドで大地震が起きまして、クライストチャーチで建物が本当に崩壊いたしまして、邦人の方、まだ二十七名行方不明ということで、きのう第二陣の国際緊急援助隊も帰ってまいりましたが、そのかわり第三次の方々が今ニュージーランドに行っているという話も伺っております。

 これからもわかりますように、本当に地震というのはいつ何どき起こるかわかりませんし、ましてや日本というのは地震大国でございます。そういうことでは、世界一の防災対策を講じなければいけないと思いますし、万全の上にも万全を尽くすくらいの構えが欲しいということで、本当に、大臣の所信の発言でもそうなんですけれども、私も同じ思いでおります。

 この学校施設、学校の耐震化につきましては、大臣には本当にリーダーシップをとっていただきたいと思うんですね。発揮していただきたいと思うんです。けれども、所信の後の予算の説明において気がかりなことがございました。

 耐震化を進めるに係ります公立学校の設備整備費、平成二十三年度は、つまり来年度ですけれども、今予算がかかっておりますけれども、八百五億円が計上されているとの説明がありました。平成二十二年度の当初予算では千三十二億円が計上されておりますので、この差、平成二十三年度と二十二年度、二百三十億円も今回は減額されております。当初予算で見ますと、ここの五年間はずっと大体同額だったんですね。ところが、二割以上も平成二十三年度は削減されているということでありますので、大臣がおっしゃった耐震化の中身と金額のつけぐあいが大分違うのだとちょっと感じております。

 これは、学校関係者ですとか子供を預けます親御さんにしても大分不安じゃないか、ちゃんと自分の学校の耐震化はきちんとできるのかと不安に思うのではないかと思っております。この耐震化というものは大変急務でございますので、一番は予算の確保が重要なわけですね。予算の優先順位は本当に一番と言っていいものではないかと思うんですけれども、昨年もそうだったんですけれども、補正で予算がつけばいいというものではないと思うんです。やはり当初予算というものが大きく大臣なり今の文科省の姿勢が問われると思っておりますので、それの対策はどうなっているか、ぜひお聞かせください。

高木国務大臣 先ほどは失礼いたしました。

 永岡委員にお答えをいたします。

 きょうも地震があったことは今お話がありました。阪神・淡路大震災はもとより、我が国は大変地震の多い国でございます。海外においても、ニュージーランド、そして先般は中国の四川省、こういうところで、特に学校施設の被害が大変な状況を呈したところでございます。

 そういう意味で、学校施設の安全性というのはおっしゃるとおり極めて重要でございまして、私どもとしましては、ただいま指摘をされましたように、平成二十三年度の当初予算は前年に比べると額は減っております、ただ、平成二十二年度の補正予算そして予備費を活用しておりまして、それらを合わせますと、総額二千百四十二億円を確保したところであります。これによりまして、地方公共団体の事業計画をもとに概算要求をした二千百九十二億に対し、ほぼ同額、満額の予算を確保したところでございます。

 まずは、平成二十三年度の予算案の早期成立によりまして、大切な子供たちの教育施設の安全を確保したいと思っております。執行後は八五%になる。しかし、これでもまだまだ、今後一万八千六百棟残るわけでございまして、これからも引き続き耐震の強化に努めてまいりたいと思っております。

永岡委員 どうもありがとうございました。

 当初予算というものも重要だと思いますので、ぜひその点では、来年度の予算、頑張ってとってくるようにしていただきたいと思います。

 では、次に伺います。

 全国の公立の小中学校の平成二十一年度の正規教員の数というのは、大体五十九万人、六十万人ほどいらっしゃいます。これは臨時的任用というんですか、臨時の方、また非常勤の方を含めますと七万四千人の方が、つまり一五%を占めている方が非正規の雇用であると伺っております。責任あるきちっとした教育を子供たちに行うためには、教職員というのは正規の教職員が本来当たるべき姿ではないかと実は思っております。

 非正規職員の七万四千人の先生方の年齢構成は、文部科学省にちょっとお伺いしたのですがわからないということなので、わからないようでございますが、恐らく多くの方は教育に大変情熱を持った若い先生方が多いのではないかと思っております。この方々というのは、正規教員としての採用を期待して、日々学校で精進を重ねながら子供たちを教え、そして正規職員の方々と同様の職務を、愛情を注ぎながら一生懸命頑張って子供たちに接しているということだと思うんですよね。

 また、これも伺いましても定かではないということなんですけれども、この方々、つまり非正規職員の方々が次の年に正規職員の試験に合格する割合というものも、これはわからないんですけれども、大体が六〇%ではないかと言う関係者の方もいらっしゃいます、おっしゃっている方もいらっしゃるんですね、文科省の方ではちょっとわからないようなんですけれども。

 だとすれば、試験に落ちた方々、つまり四割の方というのは、正規の教員としては資質、資格がないということにもかかわらず前の年は子供たちを教えていたわけですね。それはちょっとおかしいなと思うんですよね。

 正規職員になりたいと本当に一生懸命頑張って、臨時教員と非正規職員、頑張ってやっていたわけですけれども、さっき馳先生の方からお話ありました、正規職員と非正規の方とでは職員室の中でも差別があるというお話を伺いました。これはそういう指摘があったんですけれども、私もそこまではちょっと伺っていなかったんですが。

 反対に、親の方の立場からしますと、正規職員に合格しないような先生が子供の担任に当たっていたということは、やはり親御さんからも不満が生じてくるのではないかと思うんですね。非正規職員を雇用するのであれば、必ず正規職員としての資質や、将来正規職員として採用する、またその能力を兼ね備えた人だけを非正規職員として採用していくのが本筋ではないかと実は思うわけなんです。

 教育は先生の力によって本当に大きく変わり得るわけですよね。ということは、つまり子供も物すごく先生の力量によって大きく変わるわけですから、このことにつきまして、大臣の御見解をお聞きしたいと思っております。

高木国務大臣 臨時的の任用職員などの正規に任用されていない教員については、当然のこととして、教員としての必要な資質並びに能力を有する者、これが任用されることは言うまでもありません。

 また、正規に任用されていない教員の数を減らすべきだ、こういう御指摘がございます。正規教員や臨時的な任用職員等をどのように配置するかというのは、各都道府県教育委員会において、地域の実情あるいは教育活動の状況に合わせて判断をされておるものと私は承知をいたしております。

 一方、私ども文部科学省としましては、今国会に提出中の義務標準法の改正によって、小学校一年については、三十五人以下学級に基づく教職員の定数が児童数に応じて自動的に措置をされるということになっていくために、計画的な教員の配置ができやすくなる、このように私たちは考えております。

永岡委員 どうもありがとうございます。

 三十五人学級は、まだ法案も出ておりませんので、ここではいろいろお聞きすることはしませんけれども、今まで加配で教えていた先生方というのは、いろいろ専門があったり、なかなかいろいろと、正規の方にはなじまないとかということがないように、きちんと対応していただきたいと思っております。

 それでは、次に伺います。教員の免許更新制につきましてお伺いいたします。

 今月の三十一日、修了確認の期限を迎える先生方というのは全国で八万五千四百八十七名となっております。昨年の八月末から九月の時点におきまして、文科省の調査によりますと、履修済みでない方は全国でおよそ五千百名いらっしゃるというふうに伺っております。

 この三月の三十一日に期限を迎える方については、一月の三十一日までに更新の受講を修了した上で免許管理者にあてて修了確認の申請を行うということが必要なんですけれども、延期を申請した方も、二カ月ということで、五月の三十一日までの延期でございますよね、これをしませんと、教員免許は失効してしまいます。

 民主党の一昨年のマニフェストには、この免許更新制についてはやめます、見直しするというようなことが書いてありましたので、私はちょっと心配しております。今のところは廃止する法案も出ていないし、このまま法律はきちんと、免許更新制はきちんと続いていると思っておりますけれども、この今の現状というものはどうなっているか。免許が失効いたしまして、やりたくても教えられないというような方が出てこないかどうか、ちょっとお聞きしたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 今、最終確認の状況で、現在集計中でございます。ただ、五千百人のうち、多くは、冬休みの期間を利用して履修の上、必要な申請を済ませておられるというふうに考えております。

 一昨年以降、五度にわたり、法改正を行われるまでは現行制度が有効であることを関係者に周知してまいりました。特に、昨年九月以降の通知では、いわゆる第一グループの教員につきましては、更新講習を修了し、本年一月三十一日までに都道府県教育委員会に申請する必要があることを改めて周知し、関係者に適切な対応を依頼しているところでございます。

 なお、第一グループにつきましては、昨年十二月末に更新講習を修了していない場合、今、申請により期限を二カ月間延期できる特例も設けておりまして、これについても、昨年十一月以降、二度の通知により周知をしているところでございます。

永岡委員 どうもありがとうございます。しっかりと対応していただきたいと思っております。

 それでは、次に伺います。

 学校の先生の病気による休職者のことについてお伺いいたします。

 平成二十一年度では全国で八千六百二十七名の方でございますが、これは休職された方の人数です。そのうち精神疾患でやむなくお休みをしている方というのが五千四百五十八名、病気による全体の休職者の六三・三%を占めております。平成十一年度では、この精神疾患による休職者というのは千九百二十四名でございましたので、この十年間で三千五百名ほどふえています。つまり、この十年間で三倍になっているんですね。全国の公立学校の教員の数、九十万人から見れば〇・五%に相当いたしまして、これは相当深刻な問題ではないかと思っております。

 いろいろ統計を見てみますと、私なんかは本当、若い先生が経験不足から病気になっちゃったのかななんというふうには思って見ていたんですけれども、平成二十一年度の統計では、二十代の方で精神疾患でお休みしているという方は六・七%です。三十代は一九・二%、四十代が三五・三%で、五十代は何と三八・八%でございました。つまり、精神疾患を患ってお休みになっている先生というのは、四十代、五十代の方が大変多いんですね。驚きました。

 また、あともう一つ、公立高校、小中高ありますけれども、学年によってはどうかなと思いました。高学年になる、つまり、高校に行くと、指導能力の問題などから先生が大変悩んで、ひょっとして精神疾患を病むのかというふうに思っていたんですけれども、違うんですね。小学校では、やはり平成二十一年、これは精神疾患で休職なされた方の四四・二%が小学校にお勤めの方。中学校は三〇%です、二九・七%の方。そして、高校は一五・六%で、高校の先生は小学校に比べると大分精神疾患でお休みする方が少ないんですね。

 男性の先生と女性の先生、これはほぼ半々でして、性別の区別はないということでございます。

 職種で見ますと、校長先生は一・一%です。あとは教頭先生が二・一%。一般の普通の先生が圧倒的、九〇%の先生が一般の先生でございまして、そういう方が精神疾患を患っているということです。

 そうすると、何が原因であるかというのはよくわからないわけなんですけれども、この十年間で三倍も精神疾患で休職者が増加しているということはやはり異常なことと考えざるを得ないと思うんです。本当に、社会状況が変化しているとか、学校の管理体制の変化ですとか、または先生同士のコミュニケーション、そういうものが変化している、いろいろな要因はあるとは思うんですけれども、学校教育というものは、学校の先生と児童生徒の触れ合いがもとで、それを通じて行われるものでありまして、学校の先生は本当に体も心も健全な状態で教育に携わるのがいいと思うんですよね。

 そういうためには、文部科学省としては原因究明ですとか、また適切な方策を講じることが急務であると思うのですが、文科省としての対策、どういうことをなさっているか、またこれからどういうことをするおつもりなのか、お聞きしたいと思います。

    〔委員長退席、松宮委員長代理着席〕

高木国務大臣 今、委員はそれぞれデータを踏まえての御指摘でございまして、私どもも憂慮しております。

 原因は何かということを我々も考えておりますけれども、教員の精神疾患として各教育委員会から聞いたところによりますと、長時間労働によるストレス、あるいは保護者や地域住民の要望や期待の多様化による負担、あるいは複雑化する生徒指導への対応による負担、職場における人間関係のトラブル、あるいは家庭の事情、こういうところが指摘をされておりまして、これらが複雑に関係をしてそのような状況を呈しておる、このように考えております。

 いずれにしても、非常に重要なことでございますので、文部科学省としては、まず第一には、教員のメンタルヘルスの保持についての通知を発出しておるところであります。例えば、学校の会議、行事をできるだけ効率化して事務の負担を軽減するとか、あるいはまたお互いに気軽に相談できるような学校の職場環境を目指すとか、あるいはまたカウンセリング体制を整備する、こういうことを考えております。

 また、メンタルヘルス対策としましては、これはそれぞれの全国各学校でも非常に成功事例等もございます。そういったところの事例集なども、教育委員会を通じて各学校にも必要な指導を引き続き行っていきたい。

 いずれにいたしましても、子供たちに対する教員の立場ですから、私たちとしてもしっかり認識をして取り組んでいきたいと思っております。

    〔松宮委員長代理退席、委員長着席〕

永岡委員 どうもありがとうございます。

 やはりこの中には先生の資質というものも含まれていると思います。やはりそれぞれ採用のときにはしっかりとした選別ですね、いや、そういう言い方はおかしいですね、試験を通してのその方の資質というものもよく見ていただければと思っております。

 では、次に移ります。

 次は、これは今度また学校の先生に関してなんですけれども、平成二十一年度の教職員にかかわります懲戒処分などの状況についての結果が昨年の十二月の二十四日に公表されました。

 それによりますと、懲戒処分を受けました教職員の数は九百四十三名となっております。訓告または諭旨免職まで含めますと七千九百八十一人にも上りまして、争議行為によります処分者を除きますと、前年度よりも三千九百六十一件増加しております。このうち、交通事故にかかわるものが二千四百二十二件と約三割を占めているわけですね。現代は車社会ですから、ある程度は事故というのもやむを得ないとは思うんですけれども、ただ、問題なのは飲酒運転、これを原因とするものが五十九名もおります。一般社会では飲酒運転というのは大変厳しい対応を義務づけられているわけですよね。先生がお酒を飲んで運転するなんということをしては、世の中にも子供たちにも親にも示しがつかないわけです。そういうことは未然防止に徹底した指導をお願いするわけなんです。

 問題は、実はちょっと言いにくいんですけれども、わいせつ行為ですね、これにかかわる懲戒処分の数です。これが実は飲酒にかかわるものよりも多いんですよね、百五十三人もおります。確かに、百万人を超えます先生方からの数から見たらば、本当に本当に少ないかもしれないんですけれども、もうごくごく少数であっても、先生ですから、こういうことが起こってはいけないんですね。懲戒処分にわいせつ行為が原因である、そういう方を出してはいけないんだと思うんです。

 児童生徒の信頼をなくしては、もう本当にただ物を教える人であって、生徒にとっての人生の師でもなければ、あこがれの教師にも絶対になり得ないわけですからね。先生は先生なんですから、我が国におきましても、国際社会においても、先生は本当に信用、信頼されて、尊敬される社会的地位を確保しているものと思いますので、本当にまじめな先生方にはお気の毒だと思います。ごくごく一部の先生方のために、つまり悪い人ですね、本当にふらちな先生のために学校の先生の信用が失われては決していけないと思いますので、これを未然に防止することが本当に重要だと思っております。

 これまでもいろいろと御努力をなさってきたとは思うんですが、こういう先生が出ないようにするためにどのような対策を講じていらっしゃるか、また講じるおつもりか、お考えをお聞きします。

高木国務大臣 平成二十一年度の懲戒処分を受けた教員の中で、わいせつ行為については百五十三名という状況が今お話がありました。

 文部科学省といたしましては、このようなことはあってはならず、厳正に対処しなきゃなりませんし、各教育委員会に対して改めて徹底した指導をお願いすることにしております。

 言われましたように、学校教育に対する国民の信頼という意味で非常に重要なことでございますので、引き続き機会をとらえて、こういうことがないように指導の徹底を図っていきたいと思っております。

永岡委員 大臣、どうもありがとうございます。厳しく厳しく、徹底的に御指導いただきたいと思います。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

田中委員長 この際、お諮りいたします。

 第百七十六回国会、古屋圭司君外四名提出、海外の美術品等の我が国における公開の促進に関する法律案につきまして、提出者全員から撤回の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

田中委員長 引き続き、文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 海外の美術品等の我が国における公開の促進に関する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、かねてより各会派間において御協議いただいておりましたが、先般来理事会等において協議いたしました結果、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得ました。

 本起草案の趣旨及び内容につきまして、委員長から御説明申し上げます。

 美術品等の展覧会は、あらゆる世代の国民に、すぐれた芸術作品や貴重な文化遺産に接する機会を提供する、極めて教育的、文化的意義を有するものであります。特に海外の美術品等の展覧会は、その国の歴史や文化の理解に役立つものであり、国際文化交流の振興の観点からも、海外の美術品等を借りやすくし、多様な海外美術品等の展覧会が開催できるようにすることが求められております。

 本案は、このような状況を踏まえ、海外の美術品等の我が国における公開の促進を図るために、海外の美術品等に対する強制執行等の禁止の措置を定めるとともに、国の美術館等の施設の整備及び充実等について定めることにより、国民が世界の多様な文化に接する機会の増大を図るものであり、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、我が国において公開される海外の美術品等のうち、国際文化交流の振興の観点から我が国における公開の円滑化を図る必要性が高いと認められることその他の政令で定める要件に該当するものとして文部科学大臣が外務大臣と協議の上で指定したものに対しては、強制執行等をすることができないものとすること、

 第二に、国は、海外の美術品等の我が国における公開を促進するため、国の美術館等の施設の整備及び充実並びに当該施設における鑑賞の機会の充実のために必要な施策を講ずるものとすること、

 第三に、国は、海外の美術品等の我が国における公開を促進するため、海外の美術品等に関する専門的知識を有する学芸員等の養成及びその資質の向上、民間団体が海外の美術品等の公開に関して行う活動に対する情報提供等の支援その他の必要な施策を講ずるものとすること、

 第四に、国は、海外の美術品等の我が国における公開を促進するために必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めるものとすること

等であります。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

    ―――――――――――――

 海外の美術品等の我が国における公開の促進に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

田中委員長 お諮りいたします。

 本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田中委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十六分散会


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