衆議院

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第7号 平成26年11月12日(水曜日)

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平成二十六年十一月十二日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 西川 京子君

   理事 冨岡  勉君 理事 萩生田光一君

   理事 福井  照君 理事 義家 弘介君

   理事 中川 正春君 理事 鈴木  望君

   理事 浮島 智子君

      青山 周平君    池田 道孝君

      池田 佳隆君    石川 昭政君

      石原 宏高君    大岡 敏孝君

      金子万寿夫君    神山 佐市君

      菅野さちこ君    木内  均君

      木原  稔君    工藤 彰三君

      熊田 裕通君    小林 茂樹君

      桜井  宏君    新開 裕司君

      末吉 光徳君    野中  厚君

      馳   浩君    藤丸  敏君

      宮内 秀樹君    宮川 典子君

      山本ともひろ君    菊田真紀子君

      松本 剛明君    笠  浩史君

      遠藤  敬君    木下 智彦君

      椎木  保君    中野 洋昌君

      田沼 隆志君    中丸  啓君

      中山 成彬君    西田  譲君

      柏倉 祐司君    宮本 岳志君

      青木  愛君    吉川  元君

      山口  壯君

    …………………………………

   文部科学大臣

   国務大臣

   (東京オリンピック・パラリンピック担当)     下村 博文君

   内閣官房副長官      世耕 弘成君

   文部科学大臣政務官   山本ともひろ君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山崎 重孝君

   政府参考人

   (内閣官房2020年オリンピック・パラリンピック東京大会推進室長代理)

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        久保 公人君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 菊地 和博君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 塩川実喜夫君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     岡本 全勝君

   政府参考人

   (文化庁次長)      有松 育子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           福島 靖正君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    藤井 康弘君

   文部科学委員会専門員   行平 克也君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十一日

 辞任         補欠選任

  比嘉奈津美君     藤井比早之君

  宮内 秀樹君     星野 剛士君

同日

 辞任         補欠選任

  藤井比早之君     比嘉奈津美君

  星野 剛士君     宮内 秀樹君

同月十二日

 辞任         補欠選任

  熊田 裕通君     大岡 敏孝君

  桜井  宏君     石川 昭政君

  比嘉奈津美君     金子万寿夫君

  宮内 秀樹君     末吉 光徳君

  椎木  保君     木下 智彦君

  田沼 隆志君     中丸  啓君

  中山 成彬君     西田  譲君

同日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     桜井  宏君

  大岡 敏孝君     熊田 裕通君

  金子万寿夫君     藤丸  敏君

  末吉 光徳君     宮内 秀樹君

  木下 智彦君     椎木  保君

  中丸  啓君     田沼 隆志君

  西田  譲君     中山 成彬君

同日

 辞任         補欠選任

  藤丸  敏君     池田 道孝君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     比嘉奈津美君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 原子力損害の補完的な補償に関する条約の実施に伴う原子力損害賠償資金の補助等に関する法律案(内閣提出第二七号)

 原子力損害の賠償に関する法律及び原子力損害賠償補償契約に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)

 平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法案(内閣提出第二九号)

 平成三十一年ラグビーワールドカップ大会特別措置法案(内閣提出第三〇号)


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     ――――◇―――――

西川委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、原子力損害の補完的な補償に関する条約の実施に伴う原子力損害賠償資金の補助等に関する法律案及び原子力損害の賠償に関する法律及び原子力損害賠償補償契約に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 両案は、去る五日質疑を終局いたしております。

 これより両案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。宮本岳志君。

宮本委員 私は、日本共産党を代表して、原子力損害の補完的な補償に関する条約の実施に伴う原子力損害賠償資金の補助等に関する法律案、原子力損害の賠償に関する法律及び原子力損害賠償補償契約に関する法律の一部を改正する法律案の両法律案に反対の討論を行います。

 本二法案は、原子力損害の補完的な補償に関する条約、CSCの締結に当たり必要となる国内原子力事業者からの負担金の徴収、条約の規定との整合性をとるための国内法整備を行うものです。

 CSCの締結は、日米共同で原発の新増設を計画、検討中のアジア地域に原発輸出を推進するための法的基盤整備がその目的です。アメリカは、日本が締結すれば条約の発効要件を満たすことから、日本の参加をこの間強く働きかけてきました。

 CSCは、原子力損害について原子力事業者の無過失責任と責任集中を定めており、相手国がCSC締結国であれば、原発輸出に際し、当該国で事故が発生しても、その賠償責任は、過失の有無を問わず、事故発生国の原子力事業者のみが負うものとしています。原発事故の賠償責任を原子力事業者に集中させ、原発機器メーカーには製造者責任が及ばないようにすることで、訴訟、損害賠償金支払いによるリスクを負わずに原発輸出を進める環境が整備されます。

 現に、日本の原発メーカーは、海外への原発輸出に弾みがつくこの条約を歓迎しています。今後、日本が原発輸出を推進する上での環境整備を行うための法整備であるとともに、日本が加盟することで、条約を発効させ、途上国に加盟を促し、事業者責任集中主義の原子力賠償制度の法整備を諸外国に普及することがその狙いです。CSCは、損害内容等を我が国の原子力損害賠償法よりも限定しており、今後、被災者への賠償内容や除染の賠償範囲が狭められることも懸念されます。

 原発輸出は、相手国及び周辺国に回復不可能な人権侵害、環境問題をもたらすもので、行うべきではありません。質疑で指摘したように、国内の事故での賠償もまともにできておらず、原発輸出を加速させることを前提とした条約の締結は認められません。その実施のための負担金の徴収、国内法の整備も同様です。我が国が優先すべきは、福島第一原発事故の被害者に対する完全な賠償であり、廃炉・汚染水対策であることを指摘し、討論を終わります。

西川委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党・市民連合を代表し、原子力損害の補完的な補償に関する条約の実施に伴う原子力損害賠償資金の補助等に関する法律案及び原子力損害の賠償に関する法律及び原子力損害賠償補償契約に関する法律の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論を行います。

 反対理由の第一は、被害者保護と原子力産業の発達を同列で目的とし、事故における原子力機器メーカーの免責、金融機関や株主の責任の不明確さなどの問題を残す原子力損害賠償法の抜本改正が先送りされている点です。福島原発事故から三年半以上が経過しているにもかかわらず、問題を放置したまま、国際条約加盟にかかわる部分だけを改正することは大きな問題です。

 反対の第二は、CSC条約自体の問題です。条約に加盟したとしても、加盟各国の拠出額を加えた損害賠償額が、福島原発事故が与えた損害には遠く及ばないばかりか、原賠法で規定された賠償措置額一千二百億円にすら届きません。

 やがて、CSC条約に合わせ、原発事故に伴う損害賠償規模が縮小し、原賠法の無限責任が有限責任へと変質していく可能性も払拭できません。

 また、CSC条約は、原賠法同様、原発事故の際、原子力機器メーカーの責任が免除されることにより、結果として原発輸出を促進する役割を担うことは否定できません。

 未曽有の原発事故に見舞われている我が国が行うべきは、原発輸出を後押しすることではなく、福島原発事故の収束と被害者への完全、迅速な補償、そして原発に依存しないエネルギー政策を確立することにあります。

 以上の理由から、政府提出二法案に反対いたします。

 最後になりますが、東京電力は、福島県浪江町並びに飯舘村蕨平の損害賠償請求案件で、原発事故ADRが示した和解仲介案の主要部分を拒否しております。これは、原発事故ADR、ひいては原子力損害賠償のあり方そのものの信頼を損ねるゆゆしき事態です。原発事故ADRを所管する文科省として、東京電力が被害者の方々に誠実かつ迅速な対応を行うよう強く指導していただくことを求め、私の討論といたします。

西川委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

西川委員長 これより採決に入ります。

 まず、内閣提出、原子力損害の補完的な補償に関する条約の実施に伴う原子力損害賠償資金の補助等に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

西川委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、原子力損害の賠償に関する法律及び原子力損害賠償補償契約に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

西川委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

西川委員長 ただいま議決いたしました両案に対し、冨岡勉君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、維新の党、公明党及び次世代の党の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。中川正春君。

中川(正)委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    原子力損害の補完的な補償に関する条約の実施に伴う原子力損害賠償資金の補助等に関する法律案及び原子力損害の賠償に関する法律及び原子力損害賠償補償契約に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、今後、次の事項について特段の配慮をすべきである。

 一 原子力損害賠償制度に係る国際的枠組みが、各国及び我が国の国民の福祉の向上に資するものとなるよう、我が国は、近隣諸国を含む国際社会に対し、原子力損害賠償に関する条約への加盟を促す等不断の働きかけを行うこと。

 二 政府は、原子力損害の賠償の負担が適切に分担されるよう、原子力事業者と関連事業者との契約関係の適切な在り方に留意すること。

 三 政府は、東京電力福島第一原子力発電所の事故に係る損害賠償の現状を踏まえ、充分かつ迅速な賠償が行われるよう、原子力損害賠償制度について、その抜本的見直しも含め、更なる総合的な検討を行うこと。

 四 政府は、原発輸出に関し、必要以上にその道を開くことにつながらないよう、両法の慎重な運用に努めること。

以上であります。

 何とぞ御賛同くださいますようお願いを申し上げます。

 ありがとうございました。

西川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

西川委員長 起立多数。よって、両案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。下村文部科学大臣。

下村国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

西川委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

西川委員長 次に、内閣提出、平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法案及び平成三十一年ラグビーワールドカップ大会特別措置法案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として、内閣官房内閣審議官山崎重孝君、内閣官房2020年オリンピック・パラリンピック東京大会推進室長代理兼文部科学省スポーツ・青少年局長久保公人君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長菊地和博君、警察庁長官官房審議官塩川実喜夫君、復興庁統括官岡本全勝君、文化庁次長有松育子君、厚生労働省大臣官房審議官福島靖正君及び厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長藤井康弘君、以上の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。菊田真紀子君。

菊田委員 おはようございます。民主党の菊田真紀子でございます。

 法案に関して質疑をさせていただく前に、大臣に、通告しておりませんけれども、ちょっとお聞かせをいただきたいと思いますが、けさの朝刊各紙一面に、衆議院解散が報じられております。中には、十四日あるいは二十一日投開票ではないかと具体的な日程まで報じられているところもございます。今、この永田町には強烈な解散風が吹いているわけでございまして、私は非常に唐突だなというふうに思っております。

 この法案も、大臣を一名増員するということで規定をしているわけでありますが、オリンピック成功のために強化をしていくこと、これは重要だと思いますけれども、それに伴って、今この時期に大臣を一名増員するというのが出てきた。これは非常に何か唐突な感じがあるなと正直思っておりました。

 この二つの唐突感の中で、我々この審議を今やっているわけでありますけれども、来週、もし安倍総理が本当に解散をしたら、この法案は廃案になってしまいます。そしてまた、ほかの委員会でも大変重要な法案が審議をされているわけでありますが、これらもみんな廃案になってしまいます。安倍総理がもともとこの国会の目玉と言っていた地方創生であるとか女性活躍であるとか、これらもみんな廃案になってしまうわけであります。

 私は、非常に納得がいかない、何でだろうという思いなんですけれども、大臣、ベテランの政治家であられますから、どんなお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。

下村国務大臣 御承知のように、政治の世界は一寸先は闇でありますし、また、特に衆議院は常在戦場でありますから、いつどんな状況があったとしても対応できるような態勢を、心の準備も含め、つくっていく必要があるのではないかと自分自身に言い聞かせているところであります。

 しかし、御指摘のように、本委員会に提案されている閣法は、これはぜひ成立をさせていただきたいというふうに思いますし、また、私の望みでもあります。

菊田委員 それでは、法案の審議に入ってまいりたいと思います。

 オリンピック・パラリンピックは、単に世界からスポーツ競技者を招いてメダルの数を競う場でないということは言うまでもありませんし、いわんや、国威発揚の場ではありません。

 オリンピック憲章に規定されているとおり、オリンピックムーブメントの精神は、スポーツを通じて世界の平和と繁栄に貢献することにその本質があると考えます。

 十月三十一日、国連総会は、教育、健康、開発及び平和を促進する手段としてのスポーツという決議を全会一致で採択しました。その中で、オリンピックムーブメントは、平和と開発を促進するユニークな手段として位置づけられています。国際オリンピック委員会と国連が本年四月に了解覚書を結び、協力を強化することとしたのは、まさにそのあらわれであります。

 発展途上国の若者、女性、そして障害者がスポーツを通じて能力を強化し、社会への参画を強めることは、持続可能な開発を実現する上で極めて重要であります。

 こうした国際的な取り組みを支援することは、二〇二〇年にオリンピック・パラリンピックを主催する日本の重要な責務であると考えますが、こうした観点について、大臣の認識をお伺いいたします。

下村国務大臣 二〇二〇年大会の東京招致に当たりまして、昨年九月の国際オリンピック委員会、IOC総会におきまして、安倍総理が、スポーツを通じた我が国政府の国際貢献策であるスポーツ・フォー・トゥモローの実施を約束されたところであります。

 スポーツ・フォー・トゥモローでは、二〇二〇年までに、開発途上国を初めとする百カ国一千万人以上を対象に、あらゆる世代の人々にスポーツの価値とオリンピック・パラリンピックムーブメントを広げていくことを目指しております。

 具体的には、スポーツ指導者の派遣、スポーツ施設整備、器材供与、学校体育カリキュラムの策定支援など、諸外国のスポーツ環境の整備への支援を行うこと、また、国際的なスポーツ界で活躍が期待される人材の受け入れ要請を行うこと、さらに、国際的なアンチドーピング推進体制の強化支援、この三つの柱で構成されております。

 このプログラムの中で、開発途上国の若者、女性、障害者に対しても支援を行い、スポーツを通じた社会参画、地域の開発を一層進めることは大変重要であると考えます。

 二〇二〇年東京大会を契機として、スポーツの力を国内外に発信し、オリンピック・パラリンピックムーブメントを広げるとともに、二〇二〇年大会が、世界じゅうの多くの人々が夢と希望を分かち合える歴史に残る大会とする。

 そして、これはまさに御指摘ありましたが、スポーツ・フォー・トゥモローは、普通、日本的な精神でそれだけのことを支援するということは、日本のメダルが減るかもしれない、つまり、競技だけではなくて、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックを通じて、世界全体の、御指摘の若者や女性や障害者も含め、一層の促進をするということは、まさにフェアプレーの、そして、日本の共生の精神そのもののあらわれがスポーツ・フォー・トゥモローにもあらわれていると思います。

菊田委員 ありがとうございました。

 このスポーツ・フォー・トゥモローですけれども、文部科学省と外務省の共管で今年度からスタートしたということでありますが、今大臣が御答弁されたように、やはり国際社会における日本の存在感を大いに示す機会であるというふうに思いますし、私も期待をしておりますので、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。

 続きまして、本法案の第二条に規定するオリンピック・パラリンピック推進本部は、第十三条に従い、基本方針を作成し、閣議決定を経ることとなっていますが、この基本方針には、スポーツを通じて世界の平和と繁栄に貢献すること、なかんずく、途上国の若者、女性、障害者に対するスポーツ支援についても含めるべきだと考えますが、大臣の見解をお聞きします。

下村国務大臣 特別措置法第十三条におきまして、大会の円滑な準備及び運営に関する施策の総合的かつ集中的な推進を図るための基本方針を策定し、その中で、政府が講ずべき措置に関する計画などを記載することとされております。

 これまで、内閣官房オリンピック・パラリンピック東京大会推進室と各府省庁との意見交換を通じまして、スポーツを通じた国際貢献、障害者スポーツの普及促進、若者や女性も含めた地域スポーツの推進等、スポーツに関する施策も大会に向けた重要な柱として位置づけているところであります。

 基本方針の策定に当たっては、御指摘のように、これらの内容についても推進本部において十分検討してまいります。

菊田委員 世界の平和と繁栄を実現する上でNGOが果たす役割は非常に大きいと考えます。法案第八条は、推進本部がさまざまな団体に対して必要な協力を依頼することができる旨、定めていますが、NGOの意見にも耳を傾け、協力を依頼すべきだと考えますが、大臣の見解はいかがでしょうか。

下村国務大臣 御指摘のように、特別措置法第八条におきまして、本部は、その所掌事務を遂行するために必要があると認めるときは、関係行政機関、地方公共団体等に対して、資料の提出、必要な協力等を求めることができることとされているほか、これら以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができることとされております。

 今後、推進本部における基本方針の策定に当たっては、当規定を活用し、関係機関との緊密な意見交換とあわせて、パブリックコメント等を活用しながら、NGOも含め、広く国民の意見に耳を傾けてまいりたいと考えます。

菊田委員 どうぞよろしくお願いいたします。

 国務大臣の数を一名増員可能にする附則の第二条について質問いたします。

 法案提出の直前に急遽盛り込まれたともお聞きをいたしますが、その経緯について御説明いただきたいと思います。

 この件に関しましては、オリンピックにかこつけたポストの乱発ではないか、あるいは、行革の流れに逆行するのではないかとの厳しい見方もありますが、御答弁をお願いいたします。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 オリンピック・パラリンピックは国を挙げての一大プロジェクトでございまして、その準備に当たりましては、サイバーテロへの対応、多数に上る来日外国人対応など、多岐にわたる関係府省、地方公共団体、関係団体との連携、調整が必要となる複雑かつ困難な課題が山積しております。

 このため、大会の開催までの限られた期間内にこれらの事務を迅速かつ的確に推進するため、政府内におきましてはどのような方策があるのか、担当大臣や本部を置くことの可能性も含めて、事務的に検討してきたところでございます。

 こうした中、十月三日でございますが、東京都議会におきまして、国務大臣を一名増員して、オリンピック・パラリンピック担当大臣を専任とすること等を含む意見書が全会一致で可決されたことを踏まえまして、同日総理から、内閣官房等関係省庁に対しまして、専任の担当大臣の設置及び推進本部の設置その他の必要な措置について今臨時国会に所要の法案を提出するよう指示がございました。この指示を踏まえまして、政府内ではさらに検討を重ねまして、本法案の提出に至ったところでございます。

 なお、大臣の増員につきましては、御指摘の行革の観点も踏まえまして、時限措置であることを明確にしているところでございます。

 以上でございます。

菊田委員 昨日の連合審査会でも、この担当大臣の権限が曖昧であるというような御指摘があったかと思います。

 例えば、この担当大臣には勧告権がなかったり、総理への意見具申もなかったり、あるいは副大臣、政務官もつかない、そしてまた予算権もはっきりしない、職員体制も非常に少ない、今三十五人ということでありますから、そんなことで本当に大丈夫かなという感じがいたしておりますし、今お話を申し上げたような、結局、大臣ポストが一つふえたけれども中身はちっとも変わっていないではないか、あるいは、行革の観点、行革の精神が失われているのではないかといった批判が出ないように、しっかりとお取り組みをいただきたいというふうに思います。

 七日に会計検査院が、日本オリンピック委員会に加盟する十一の競技団体に対しまして、二〇一二年度までの二年間で国庫補助金を受けた事業に約二億六千二百万円に上る不適正な経理処理があると指摘をしました。

 文部科学省の来年度予算の概算要求案では、スポーツ関連予算が、今年度の二倍以上の五百三十一億円を計上しています。

 JOCや日本パラリンピック委員会に補助する選手強化費の倍増を目指しているということでありますが、国からのこうした強化費を増大させるのはよいとしても、会計検査院が指摘したような国費の無駄や不祥事、これは到底国民の理解を得られません。

 大臣の見解をお伺いし、文部科学省としてどのように対応するおつもりか、お聞きをいたします。

下村国務大臣 民間スポーツ振興費等補助金における日本オリンピック委員会への補助金におきまして、JOCが委託した協議団体で不適切な経理処理が行われていたということは、まことに遺憾であります。

 文科省としては、十一月七日付でJOCに対し、補助金の適正な執行について指導通知を発出するとともに、速やかに不適切な補助金の返還手続を進めているところであります。

 なお、JOCにおきましても、既に本事業に対する再発防止策を講ずるとともに、来年度から競技団体の事務支援体制を整備することとしておりまして、文科省としても、引き続き指導してまいります。

菊田委員 せっかく日本国民が期待をし、そしてまた国際社会においても、日本が東北の被災地の復興も兼ねてどんなオリンピックをやるんだろうかということで期待をしているわけですから、こういったことが再発しないように、しっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。

 新国立競技場の建設工事に関して質問いたします。

 この建設工事費の概算額は、平成二十五年七月時点の単価で千六百二十五億円、現競技場の解体工事六十七億円を加えますと、改築工事費は千六百九十二億円となっています。

 しかし、昨今の建設資材や労務単価の高騰により、建設費はふえるのではありませんか。さらに、消費税率が一〇%に引き上げられれば、それに伴う増額が当然見込まれます。今後の設計作業において見直しがあるのかないのか、見解を伺います。

久保政府参考人 新しく整備いたします国立競技場の総工事費につきましては、現在、独立行政法人日本スポーツ振興センターにおきまして、実施設計作業の中で、経費縮減の観点から、さらなる精査を図っている状況であると承知しております。

 仮に消費税率が一〇%になった場合の総工事費の概算額は、単純計算でいきますと千七百二億になるわけでございますけれども、現在、JSCが実施設計作業の中で、建設資材や労務の価格高騰あるいは消費税率の引き上げに伴います増額要因とともに、低コスト化に伴います減額要因を勘案しながら、総工事費を現在の概算額におさめられるよう精査しているところであると承知しているところでございます。

菊田委員 現在精査をしているということでありますけれども、国会そして国民に対してきちんと説明責任を果たしていただきたいというふうに思います。

 それでは、間もなく時間が参りますので、最後に、ラグビーワールドカップについて伺います。

 ラグビーワールドカップ大会の招致活動のプレゼンテーションにおきまして、日本は、国内の九会場のほかに、シンガポール、香港、この二会場を加えた十一会場を使用する開催計画を示しました。そして、アジアで初の開催、ラグビー伝統国以外で初の開催、これを訴えて招致に成功いたしました。しかし、招致の決定後は、国内会場のみを使用することになりました。

 何といってもアジアで初めての開催でありますから、アジア各国と連携協力して、アジア地域におけるラグビーの認知度あるいは人気を高め、アジアからの集客を図る取り組みが必要だというふうに思いますが、大臣の見解を伺います。

 また、日本国内におけるラグビー人口は年々減少していますが、これをふやしていく、底上げしていく取り組みが必要ではないかと考えますが、大臣にお答えいただきたいと思います。

下村国務大臣 二〇一九年のラグビーワールドカップ大会は、御指摘のように、アジアで初めて開催されるものであるため、日本ラグビーフットボール協会では、アジアのためのワールドカップを理念として掲げ、選手や指導者を派遣したり練習用具を供与するなど、アジアにおけるラグビーの普及、強化に取り組んでいるところであります。

 国内での普及に関しては、ラグビーの認知度を高めるため、小学校の学習指導要領の解説に例示として記述されているタグラグビーを活用して、ジュニア期を初め幅広い層への普及に取り組んでおります。

 具体的には、タグラグビーの導入ガイドブックを二十四年度から二十七年度までの間に全ての小学校に配付する予定であります。また、来年度から、全国五カ所で指導者研修大会を開催することとしております。

 このほか、中学生年代の競技者の拡大を図るため、ラグビーの専門的指導者を派遣し、平日の放課後にラグビーに親しむことができる放課後ラグビー教室の開催や、女性指導者の育成にも取り組んでいるところであります。

 二〇一九年のラグビーワールドカップ大会がアジアを初めとする世界から注目をされ、日本国内でも国民的な大会として盛り上げるよう、幅広い普及と機運の醸成に努めてまいりたいと思います。

 失礼しました。先ほどのラグビー、これは、タックルのかわりに、接触プレーを一切排除するために、プレーヤーは腰にベルトをつけ、ベルトの左右にマジックテープで二本のタグ、リボンをつける、そういうものでありますが、来年ではなくて今年度から全国五カ所で指導者研修会等を開き、そして、タグラグビーも二十七年度までには全ての小学校で配付するということであります。訂正いたします。

菊田委員 質疑時間が参りましたので、これで終わります。

 ありがとうございました。

西川委員長 次に、笠浩史君。

笠委員 おはようございます。

 私も含めまして、本当に多くの委員の皆さん方を含め、党派を超えて、昨年、この二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの招致を成功させ、また、その後の、これは超党派の推進議連やあるいはスポーツ議連の中でも、何とかこの大会を成功させようということで取り組んでまいりました。

 ただ、なかなか、日がたつにつれて、国民の皆さんの間でも、期待をされている方、あるいは、いろいろな十分に理解をされている方がおられる反面、まだまだ、なぜオリンピックなのかということで、いろいろな疑問を持っておられる方や、やや、いろいろな意味で、個別、さまざまな批判の声というものもあることは、私も真摯にやはり受けとめておかなければならないことだというふうに思っております。

 やはり政府としても、今回のこの特別措置法、確かに六四年大会のときに比べれば、大臣の設置も含めて、非常に早い取り組みというような気がしますし、そのことについては、具体的に何をやるための競技大会推進本部の設置なのかということを、しっかり丁寧に説明をしていただかなければならないと思っております。

 これまでの質疑の中でも、当時と、五十年前とは大きく状況が変わっているというような中で、新たな課題が山積し、そして省庁横断的に取り組みを進めていかなければならないということは繰り返し説明されているわけでございますけれども、改めて、今回、専任の担当大臣を、前回は専門の大臣を置いたのは開会式の約三カ月前だったと思うんですけれども、今回、五年以上前に置く必要性について、下村大臣からわかりやすく御説明をいただきたいと思います。

下村国務大臣 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会まで残された期間はもう六年を切り、国の支援に関する関係省庁の総合調整などの準備活動はこれから本格化していくことが見込まれます。

 今回の東京大会は、前回のオリンピック時とは比較にならない規模で、来日外国人やパラリンピアン等への対応が必要となる。一九六四年のとき、外国人観光客は三十五万人でありましたが、二〇二〇年には二千万人を見込んでいる。また、パラリンピック競技大会、東京大会、一九六四年のときは三百七十五人の参加でありましたが、さきのロンドン大会は四千二百三十七人というふうに非常に規模が大きくなってきている。さらに、前回には存在しなかったサイバーテロ対策や文化プログラムの実施、これは、東京だけではなく日本全国で、なおかつ、できましたらリオ・オリンピック・パラリンピックの終わった二〇一六年から各自治体、地域の協力を得てスタートしていきたい。こういうような課題、極めて複雑化、高度化、多様化しているという状況があります。

 このような背景を踏まえ、限られた期間に開催準備を政府として適切に推進するためには、速やかに東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部を設置して、万全の体制をとる必要があると考えているところであります。

笠委員 下村大臣はこれまで、兼務という形でこの担当大臣を務めてこられました。そのみずからのこれまでの経験、あるいは、これから、今おっしゃったようなことを進めるために、専任の大臣を置かなければこれは難しい、なかなか兼務ではやれないというような、そういう御自身の今の置かれているお立場からの思いというもの、もう少し兼務でやっても大丈夫じゃないか、あるいは、やはりここはこういうことがあるからどうしても専任の大臣を置いてほしい、そういったことがあれば、少しお話を伺えればと思います。

下村国務大臣 昨年の九月から兼務をさせていただいておりまして、決してあっぷあっぷの状況だとは私自身は思っておりませんが、ただ、例えば文部科学大臣も、八月にインドに行ったとき、私の所掌事務に対応する大臣はインドでは四人もいるんですね。教育大臣、スポーツ大臣、文化大臣、科学技術大臣。四人というのは多い方ですが、しかし、どこの国に行っても大体二人か三人、最低二人は、日本の文部科学大臣の仕事を諸外国では複数の大臣が担当しているというのが世界の常識ですから、私が教育、文化、スポーツ、科学技術担当大臣だと言うと、どこの国に行っても驚かれる。文部科学大臣だけでも相当、ほかの国に比べて所掌事務が多い、まずそういう部分があります。

 なおかつ、教育再生担当大臣もしておりまして、教育再生実行本部との連携で行っている。さらに、オリンピック・パラリンピックの担当大臣ということで、今まではそれなりにやってきたつもりは、自負はありますが、先ほど申し上げましたように、これから日本、東京オリンピックは二回目ですから、今までのような高度経済成長型のハード中心のオリンピック・パラリンピックということではなくて、ソフトを含めて、それから、先ほどもお話がありましたが、世界じゅうにムーブメントを起こしていく、ソフト的な部分。

 また、二回目のオリンピックですから、日本はオリンピック憲章にのっとって、例えば、柔道、剣道、茶道、華道というふうに言われていますが、その道の精神といいますか、本来の、オリンピック憲章にうたわれているようなものも含めてやっていくということを考えると、先ほどの文化も含めて、相当これは、やりようによっては物すごい分野に広がる部分があります。

 それを、ぜひ二〇二〇年、成功させることによって、日本そのものをターゲットイヤーにしていく、新しい、その先の日本をつくっていくために。同時にそれは、世界に対するスポーツにおける貢献によって、ある意味では、スポーツから人類の意識を向上させる、平和とか共生とかそういう視点から。

 それを考えると、物すごい付加価値の高いオリンピック・パラリンピック担当大臣としての仕事がこれからあるのではないかということを考えると、分けることが、単独で置くことが望ましいというふうに私自身も考えております。

笠委員 私も、担当大臣を置くことについては、必要性は十分に理解をしているつもりです。

 ただ、今回、きのうの連合審査等々の中でも指摘があったように、なぜ今なのか。あるいは、では、本当に五年以上、六年近くかけて今から取り組まなければならない課題が山積をしているというのであれば、単に大臣を専任で置くということだけではなくて、やはりそのもとでの事務局の体制もあわせてスタート地点から強化をしていく、充実をさせていくということがセットで行わなければ、これはなかなか機能しないというふうに思うんです。

 そこで、きょうは、お忙しい中、世耕副長官、ありがとうございます。世耕副長官の方にもお伺いをしたいんですけれども、実際、担当大臣を専任で置きまして、果たしてどういう業務量というか、どれくらいこの大臣が忙しく、あるいは事務方も含めて、もう任命されたときから実際仕事をしていくことになるのか、この担当大臣の所掌業務は具体的にどういったことになるのかということを御説明いただきたいと思います。

世耕内閣官房副長官 なかなか、まだ業務量を量的にあらわすのは非常に難しいと思いますが、まず一つは、この担当大臣はオリンピック・パラリンピック推進本部の副本部長として、本部の所掌する事務であります基本方針の案の策定、基本方針の実施の推進、そして大会の円滑な準備及び運営に資する施策で重要なものの企画立案、総合調整といったことにまずイニシアチブをとっていただくことになります。

 さらに、もう少しブレークダウンして具体的な施策を申し上げますと、先ほども下村大臣がおっしゃいましたけれども、前回の一九六四年の東京オリンピックでは考えられなかったようないろいろな業務が想定されます。

 例えばサイバーセキュリティー、これはロンドン・オリンピックで約二億回のサイバーアタックがあったと言われていまして、これに万全を期する必要があります。

 あるいは、前回と比べて、恐らく爆発的に増加するであろう来日外国人の円滑な入国手続ですとか、あるいは、特に外国人にニーズの高い無線LANなどの通信環境の整備ですとか、あるいは感染症対策、テロ対策、各種インフラ整備など、いろいろなことをやらなければなりません。

 そしてまた、このオリンピック・パラリンピックを契機にして、地域の活性化にもつないでいかなければなりませんし、海外との交流も強化をしていかなければなりません。

 これらのことを、もう六年を切った中で行っていかなければいけないですし、今申し上げたテーマというのは、多分に省庁横断的な課題ということになりますので、こういったものに迅速かつ的確に対応していくということになりますので、担当大臣は相当複雑で困難な業務にフル回転で取り組んでいただく必要があるというふうに思っております。

笠委員 今副長官おっしゃったように、フルタイムでということですけれども、先ほど指摘しましたように、これは大臣が一人いてもなかなかできる話じゃないんですね。それで、これから基本方針等を定める、あるいはそれを実際に実行していく、そういったことの、もちろん総理が本部長としての最終責任者ではあるわけですけれども、その総理を助けるということで、官房長官とこの担当大臣が大きな責任を担っていくことになるというふうに私は思っております。

 そのためには、これまでの質疑の中でも、なかなか本部のこの事務局体制、私が伺っているところでは、現在の推進室を、そこが中核となりながら、恐らくはそれを充実させていくというような形になっていくかと思うんですけれども、専任の大臣をこの時期に置くということを、内閣官房としても、先ほどもありました、都議会のいろいろな議決もあったということもありますけれども、総理の強いリーダーシップのもとに、今回この時期にということでございますけれども、であるならば、やはり専任の職員を、スタート段階として推進室は現在三十五名ですよね、常駐あるいは非常駐含めて。そこを最初の段階からかなり拡大していく、拡充していくというお考えがあるのか。その辺はどういうことを検討されているのかをお伺いできればと思います。

世耕内閣官房副長官 現時点でちょっと人数は、まだ明確にお答えできる段階ではありません。

 ただ、現在三十五名体制で行っているわけでありますけれども、この東京大会の準備業務が適切に推進できるような体制をしっかりと整えていきたいというふうに思っております。一定の拡充は必要だろうというふうに考えております。

笠委員 ちょっと事務方の方で構いませんけれども、今、例えば専任で置かれているという、これはオリンピック・パラリンピックとはまた違いますけれども、地方創生担当大臣というのが置かれました。そのもとで今専任の職員というのは何人置かれているのか。また、復興大臣のもとの復興庁の体制というものはどれぐらいの陣容で今運営されているのかを事務的にお答えいただければと思います。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 まち・ひと・しごと創生本部事務局、現在、常駐の職員が五十三名、非常駐の職員が四十六名となっております。

岡本政府参考人 復興庁の直近の職員数でございますが、本庁の常駐職員が約二百八十名、そのほかに非常駐職員が同じく二百八十名おります。さらに、出先の復興局を含めますと、総数で常駐職員が約七百名、そのほかに非常駐職員が約四百名おります。

笠委員 復興庁は、これは本当に東日本大震災からの復興ということで、現地を含めてやはりかなりの人数ということがよくわかるわけでございますし、それと比べるわけにはいきませんけれども、今、まち・ひと・しごと創生本部でも約百人近いスタッフが、そしてその半数以上が常駐しているというような状況の中で、今のオリンピック・パラリンピックの東京大会推進室は、常駐がわずか十一人で非常駐が二十四人。その中でも、副長官補付というんですか、この方々が非常駐の中でも約半分という、ちょっとこれは、担当大臣のもとに置く規模としてはやはり非常に心もとないなというふうに考えております。

 特に、先ほど来、テロの対策やサイバーセキュリティー対策、あるいは防災という観点や来日する外国人への対応、こういったことを、これからどういうふうな対策をしっかりと講じていくのかということを検討しなければならないということでございますけれども、現在、常駐スタッフは、文科省、国交省、農水省、厚労省、経産省しか常駐させていないんですね。少なくとも警察庁、あるいは、ある時期からは外務や法務等々、他の省庁からもやはり常駐をさせるということが私は必要だと思うんですけれども、その点について副長官の御見解をお伺いしたいと思います。

世耕内閣官房副長官 議員と全く問題意識は共有をしております。

 特にオリンピック・パラリンピックの準備というのは、まさに全ての省庁にまたがる案件だというふうに思っておりますので、広く関係省庁の協力をいただきながら、しっかりと必要な体制を整備していきたいというふうに思っております。

笠委員 それは本当によろしくお願いしたいと思います。もちろん、スタート時からというのは、やや増員をしてというところから、その段階段階があろうかと思います。

 それともう一点、私は、このパラリンピック大会を成功させるということが物すごく大きな使命であり、やはり日本の共生社会に対する揺るぎのない思いを世界に発信もしていかなければなりません。それで、今度リオの方もあるわけですけれども、二回目の東京でやる意義というものを発信することができるかどうかは、まさにこのパラリンピックの成功にかかっているんだと思います。

 そういう意味においては、私は、もう少し厚生労働省からも、パラリンピックというのは、単にスポーツだけではなくて、やはり医療も伴う、さまざまな観点から、選手あるいは応援する障害者の皆さん、世界じゅうから来るでしょう、そういった皆さん方に対するサポートをどのようにしていくのかということで、これは本当に課題が山積していると思います。

 ですから、特に厚労省からは、私は、積極的に職員を派遣させるというようなことをぜひ、副長官、内閣官房として、これこそ縦割りを超えて、出したがらないですよ、しかし、やはりこれは出してもらわなきゃいけない、それをぜひお願いしたいんですけれども、いかがでしょうか。

世耕内閣官房副長官 まさに委員御指摘のとおり、パラリンピック大会成功へ向けた準備、これももちろん重要なんですけれども、それに加えて、今回のこの大会を契機として、バリアフリーを推進するとか、あるいは障害者スポーツの環境を整備していくという課題にしっかり取り組んでいかなければいけないと思います。

 そしてまた、新しい課題として、やはり感染症対策といったような問題もあるわけでございますので、こういった施策が非常に大きな比重を占めるというふうに考えておりまして、内閣官房オリパラ室においても、特に厚生労働省とは一層緊密に連携をしながら取り組んでまいりたいと思いますし、今、こういった観点を今後事務局の体制整備の中で反映をさせていきたいというふうに思っております。

笠委員 ぜひお願いしたいんです。それは、今回の法案の第九条で、「本部に関する事務は、内閣官房において処理し、命を受けて内閣官房副長官補が掌理する。」となっています。

 ですから、きのうも議論になりましたけれども、担当大臣をせっかく置いたけれども、本当にその権限がしっかりと発揮できるのか、権限を持ってしっかりとした仕事ができるのかと非常に不安なんですね。

 ですから、官房副長官補付の方々というのは非常駐でおられますけれども、やはり、大臣のもとにしっかりと常駐をさせて、各分野、省庁の縦割りを超えた対策がとれるような体制にしていただかないと、大臣がどなたになるかわかりませんけれども、いざ就任したのはいいけれども、単なる挨拶要員とか、海外に行って、よろしくお願いしますというような、そういう役割だけになるというのは、これは非常に残念なことになりますので、やはり力を発揮していただけるだけのサポート体制はしっかりと内閣官房の方でおとりになるようにお願いをさせていただきたいと思います。

 副長官、結構でございます。ありがとうございました。

 それでは、下村大臣にあと幾つかお伺いをしたいんですけれども、スポーツ庁との関連ですね。

 私どもも、実は超党派のスポーツ議連で、スポーツ庁は、オリンピック・パラリンピックの招致が決まったことも受けて、本来だったら、早く、この臨時国会にも法案をというようなことで、提言もさせていただきました。

 ただ、残念ながら、今いろいろな準備の段階で、大臣の御発言だと、来年の通常国会で法案を提出して、秋ぐらいには何とか設置を目指したいということですけれども、これは、一番おくれている、あるいは法案提出へ向けた難しい折衝というか、どこあたりが理由になっておくれているんでしょうか。

久保政府参考人 スポーツ庁の創設に関しましては、文部科学省のスポーツ・青少年局をそのまま庁に格上げするのではなく、各省庁からスポーツに関する事務を移管することなどによりまして、スポーツに関連する施策を総合的に実施できる体制を構築することを目的といたしまして、来年度の機構・定員要求でスポーツ庁の設置を要求いたしますとともに、各省の業務、定員の要求について、かなり折衝を図っておるところでございます。

 当初は、この折衝を早く終えて秋の臨時国会にでも法案をと思っておりましたけれども、やはり、機構・定員の問題になりますと、年末の調整の中で、総合的でないとなかなかできないということで、これが時間がかかっている状況でございますので、これを十二月末までに調整を終える、その後法案を提出するという流れで、若干時間がかかっているところでございます。

笠委員 大臣、スポーツ庁が設置をされた場合に、もちろん、これは今文科省の外局としての設置になるわけですから、文科大臣が所管をされるということが、これは普通に考えればそういうことになると思うんですけれども、一方で、オリパラ担当大臣も設置をされる、置かれるという中で、またこの分担、協力体制というのが、やはりこれは、なかなかいろいろとすみ分けが難しいんじゃないかと思うんです。

 例えば、パラリンピックに関しては、今、厚生労働省から文科省の方にパラリンピックの部分については移管し、恐らくスポーツ庁がそれも所管をしていくということになろうかと思うんですけれども、障害者スポーツ全体の場合は別ですけれども、例えば、パラリンピックの部分というのは、この大会まではむしろオリンピック・パラリンピック担当大臣のもとに集中をさせていく、そういったお考えはあるのかどうかということを含め、そこの役割分担というものについての大臣のお考えをお伺いできればと思います。

下村国務大臣 オリンピック・パラリンピック担当大臣は、東京大会の円滑な準備、運営に関し、個別の事務事業を実施する各府省庁から離れまして政府全体として東京オリンピック・パラリンピックに関する基本方針を作成するとともに、関係省庁間の施策の総合調整を行うという立場であります。

 一方、文部科学大臣は、東京大会に向けたアスリートの競技力向上など、文部科学省が所管するスポーツ振興や競技水準の向上などの個別の事務事業を担当するということになっておりまして、さらに、現在、文科省の外局として設置することを検討しているスポーツ庁ができれば、これらの事務事業を担うということで、すみ分けを考えているわけであります。

笠委員 時間が参りましたので終わらせていただきたいと思いますが、最後に、先ほど、増員要求をするんだ、このスポーツ庁、単にスポーツ・青少年局だけではなくて、そこに増員もしていくということですけれども、一方で、オリパラ推進本部にも人を集めることになるわけですから、私は、本来、スポーツ大臣というものがあって、そのスポーツ大臣がオリンピック・パラリンピックの担当もする方が非常にわかりやすいとは思うんですけれども、なかなかそういう状況にない中で、ぜひ今度、スポーツ庁の体制が手薄になることがないように、予算折衝を含めて全力を挙げていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

西川委員長 次に、木下智彦君。

木下委員 維新の党、木下智彦でございます。

 昨日の合同審査に続きまして、本日、機会をいただきまして、ありがとうございます。

 昨日、私の方からは、オリンピック・パラリンピックについて主に聞かせていただきましたので、きょうは、ラグビーに関連する方について主に聞かせていただきたいと思っております。ぜひともよろしくお願いします。

 まず最初に、そうはいいながら、オリンピック・パラリンピック、それからラグビーと、両方とも法案が、これは二本分一つで審議がされている、それだけ関連性が高いということだというふうに理解をしております。

 というのは、二〇一九年にラグビーのワールドカップが日本で開催され、それから二〇二〇年にオリンピック・パラリンピックが東京で行われるといったときに、二〇一九年にまずラグビーワールドカップが行われることで世界に発信をし、そしてそれが二〇二〇年につながっていくというふうに理解しているんですけれども、政府が考えられているこのオリンピック・パラリンピック、ラグビーワールドカップとの関連性、それから、どういう形で大会を盛り上げていこうというふうに考えられているのかといった、まず大まかなところからお話をいただきたく、よろしくお願いいたします。

下村国務大臣 世界三大スポーツイベントと呼ばれるラグビーワールドカップとオリンピックを二年続けて開催することは、我が国の魅力と大会開催能力を世界に発信する絶好の機会となるものであると思います。

 ラグビーワールドカップが開催される二〇一九年から、東京オリンピック・パラリンピックが開催される二〇二〇年にかけては、世界から外国人観客、スポーツ関係者、スポーツメディア等が集中して来日することが予想され、地理的表示の外国語案内、無線LANの通信環境の整備など、外国人受け入れの体制は両大会が連携して取り組むことが必要であると考えます。

 また、大会開催期間中、集中する観客等の大規模な交通需要に配慮しつつ、選手団や大会関係者を会場等に円滑に輸送するための交通円滑化の方策を検討する必要がありますが、両大会はいずれも、新しく建設される新国立競技場をメーン会場としているため、ノウハウや情報を共有することにより効率的に検討を進めることができます。

 政府としても、両大会の成功に向けてしっかりとサポートを行い、日本が世界のスポーツの中心となるよう、この機会を最大限生かしてまいりたいと考えております。

木下委員 ありがとうございます。

 国際的に我が日本がこういったスポーツイベントをどんどんとやっていって、ああ、日本っていい国なんだなということを世界に発信していくことにつながれば非常にうれしい話だと思っているんですね。

 ただ、私は、きのうもちょっとお話しさせていただきましたが、長年ラグビーにかかわってまいりました。きょうはちょっとラグビーのことをお話ししたいんですけれども、今のお話をしていながらも、やはり我が国日本のラグビーの人気が相当落ちてきている。今回、ワールドカップがされることによって、何とか盛り上げていこうというお話になるんだと思っているんですけれども、まだまだどうしても人気に陰りがあって、何とかしなきゃいけない、そういう状況にラグビー自体が陥っております。

 もう少しお話ししますと、オリンピック・パラリンピックについては、皆さん御存じのとおり、東京がノミネートして決まったといったときにどういう過程だったか、私が理解しているかといいますと、東京がオリンピックの受け皿として、こういうふうな施設を、競技場はこんなものをつくりますとか、選手村はこういうふうにします、練習なんかはどういうところでやりますとか、そういうことをある程度、ある程度というのか相当しっかりと計画して、それでノミネートしたという形になっています。

 ただ、ラグビーのワールドカップについては、私が聞いている範囲では、そんな準備がなされた状態で日本でワールドカップを開催するということが決まったわけではないんですね。

 というのは、この十月に、まずラグビーのワールドカップの競技大会の場所、どこで決勝が行われるのか、決勝はある程度決まっていましたけれども、どこでどういう試合がされるのかということ、それから各チームの合宿地、練習地はどこであるのか、そういったことは全く何もない状態の中で、ラグビーのワールドカップを今度二〇一九年には日本でやるということが決まっています。IRB、国際ラグビーボードに対して、聞いているところによると、相当のお金を積んだ状態で、日本でやりたいというふうな話をして決定したということなんですね。

 それからもう一つ、では、今度二〇一九年にラグビーのワールドカップがなされたときに、日本の中で収益源になるのは何か。

 主な収益源というのは、お客さんに競技場に来てもらって、その入場料収入だけが日本の、ラグビー協会等々の収入になる。例えばグッズであるとかテレビの放映権、世界的な放映権というのはIRB側に全て帰属している、こういう状態なんです。オリンピックも相当厳しいそういう制約がありますけれども、ラグビーも相当制約がある。

 これは少し難しい部分なんです。というのは、日本だけで決められる話ではなくて、国際的なラグビーのボードと折衝を重ねていかなければならないところなんですけれども、どうしても、日本から発信するというふうにいっても、お金がなかなか生まれないものに対しては誰も寄ってこないという部分があるんじゃないかなと私は思っています。

 先日、そのラグビー、IRBのCEO、ブレット・ゴスパーさんという方が来日されまして、その際に、議連の方に来られましたので、私、少し意見というのか、させていただきまして、やはり国際的なテレビの放映権が高過ぎると。

 ですから、今、日本の国内で、地上波でラグビーの試合というのはほとんど流されていない。二十年前、三十年前は、お正月になったらラグビーの放送が、NHKであるとかテレビ東京であるとかtvkであるとか、いろいろなところで放送されていました。あのときはすごい人気があったんですけれども、テレビの放映権料が高くなってしまったこと、それから、国内の試合についても人気がなくなったことで、どんどんどんどん競技人口も減ってきているという状態に陥っている。その中で、どうやってワールドカップを盛り上げていくかというのが一番大きな課題なんだろうというふうに思っております。

 きょうは、ちょっと大臣、御答弁いただくというよりも、ほとんど私の方からお話をさせていただいて、最後に御見解をいただければいいと思っているんですけれども。

 一つは、今出ましたIRB、国際ラグビーボードのCEO、ブレット・ゴスパーさんという方は、今、マッキャンエリクソンという世界的な広告会社のヨーロッパのCEOをされています。その前はUSAの、アメリカの社長をされているという現役ばりばりの広告マン、そういう方がCEOになられているんですね。

 きのうもちょっとお話しさせていただいたんですけれども、オリンピック・パラリンピックの場合は、大臣、私の方からは、民間人も考えていただきたいというふうな話をしたんです。

 そこと関連しまして、今のラグビーのワールドカップの会長、これは元キヤノンの会長の御手洗さんがやられておって、副会長に森喜朗先生がなられている。事務総長は元総務省の事務次官の方がやられているという形で、組織委員会の中にも、いろいろ財界人の、だあっと名前が入ってはいます。でも、私が見る限りにおいて、ほとんど、その地位というのか、何か名誉職みたいな形になってしまっているんじゃないかなと。本当にばりばりにラグビーを何とか発信していくような、そういう人たちが実務に携わっていかなければならないんじゃないかなというふうに私は感じている次第です。

 お手元に、ちょっとこういった写真というのか、ポスターのカラー刷りを出させていただきました。資料です。これは二十六年前ですかね、一九八八年に全国の高校に配られた大きいA1のポスターです。

 ここは何かというと、改装前の花園ラグビー場。キャパシティーが、大体一万二千人ぐらいのキャパシティーだったと思います。この試合のとき、ちゃんとした正確な数字は出ていませんけれども、会場の中に入れたのは二万、二万人を超えていたというふうに言われています。ですから、キャパシティーを超えて、見ていただくとわかると思うんですけれども、このグラウンドの手前、タッチラインという白線のぎりぎりのところまで観客を入れております。その上、会場に入れなかった人は、表の玄関のところにわざわざテレビを引っ張っていって、そこで観戦をしたというふうに聞いております。

 これ、実は、私が言うのもなんですけれども、この右側は私なんです。済みません。

 なぜこういうふうな話をしたいかというと、これ、実は一九八八年一月一日です。高校ラグビーの決勝は、その当時、一月七日に行われていました。これはまだベスト十六。ベストエイトを決める三回戦の戦いだったんですね。なのにこんなに人が来ていた。当時、私の高校のラグビー部は、一番多いとき、八十人ほど部員がおりました。今は三人しかいないというふうに聞いています。そんな状態なんです。

 なぜそうだったかというと、この試合に出たメンバー、それからあとは全国大会に出場したときには、ラグビーマガジンというところにラグビーを始めたきっかけというのが出てくるんですね。何かといったら、八割方の人が何と答えたかというと、「スクール・ウォーズ」というドラマがありました、それを見てラグビーをしたいというふうに思った人が八割いたということなんです。

 この赤い方のジャージを着ているところは、その「スクール・ウォーズ」の題材になった伏見工業、こちらが地元というのか、私が大阪で、彼らが京都だったということで、三回戦だったのにこれぐらい来た。ほかの試合も相当たくさんの観客が来ていたという状態です。それが、二十六年たった今は、テレビでもほとんど放送されないという状況になっている。

 これはなぜかというと、普通にテレビで試合をするしないというのもそうなんですけれども、そういう「スクール・ウォーズ」とかそういうドラマとか、そういう影響は相当大きかったと思っているんです。

 それで、先ほどのブレット・ゴスパーさん、CEOのお話に返るんですけれども、日本もやはり、そういう実行委員会もしくは組織委員会と言われたところに、名誉職という人たちも、名誉職といいながらも、各省庁間の予算のやりとり、例えばラグビーの場合は、今、総務省管轄の宝くじ、それから文科省管轄のサッカーくじ、ここから何とか予算を引っ張ってきて競技場を整備したいという話があるんですけれども、競技場を整備するのは何でかというと、キャパシティーを多くして入場者をたくさん入場してもらえるようにしないと、なかなか日本のもうかるお金はない、だから整備するんです、こういう理由になっているんだと私は思っています。でも、それじゃだめなんじゃないかなと思うんです。

 というのは、宝くじを買う人は誰かというと、日本の国民なんですね。だから、日本の中でお金がぐるぐる回っているだけで、外からお金をもっと取れるように、当然のことながら海外からもたくさん人が来てもらわなきゃいけないので、そういうことも必要なのかもしれませんが、そういうことをしっかり考えられる人というのは、やはりそれなりの実践を積んだ人である必要があるんじゃないかなと私は思っています。

 これは言葉だけで言っても意味はないと思っているので、きょうは御本人に名前を出しますよということをちょっと言っていないので非常に申しわけないんですけれども、各界を代表される方なのでお名前を具体的に挙げさせていただきますと、例えばローソンの今の社長、新浪社長から今社長になられた玉塚元一さん。この方は、そこに宮川先生がいらっしゃいますけれども、その大先輩になられる、慶応大学のラグビー部の先輩なんですけれども、ばりばりのラグビーマンだったんです。ただ、ラグビーには全然かかわっていなくて、今、ローソンの社長をやられています。こんな方がそういう組織委員会に入るというようなこととか、まだまだいるんです。

 例えば福沢克雄さん。この方は、皆さん多分御存じだと思います、あの「半沢直樹」というドラマをつくったTBSのディレクターの方で、あとは映画で「私は貝になりたい」というような、そういうドラマというか映画をつくられた方です。こういった方の頭というのが私は必要なんじゃないかなと。

 もう一人お話しさせていただきますと、立花陽三氏。これは私の同級生なんですけれども、これも慶応のラグビー部、蹴球部というふうに言いますが、今、楽天の球団社長をされています。あのマー君がニューヨーク・ヤンキースに行くときに相当な契約交渉をされたと。

 こういった方々は今、ラグビーにほとんど、趣味ではかかわられていると思うんですけれども、ラグビー協会で下からずっとやってきたような方、そういう人たちも必要かもしれないですが、外に出てしっかりとしたビジネスをやってきたような人がこういう組織委員会に入ることというのは、私は非常に重要だというふうに感じているんです。

 ですから、まだこれからでも遅くないと私は思っているんです。名誉職と言われる人も必要かもしれませんけれども、民間人の中でも、本当に、いわば全権を委任してもいいぐらいの人たちはたくさんいるんです。そういう人たちがどんどん、当然、御本人たちは非常にお忙しい仕事をされていると思いますけれども、そういう人たちの登用についてもしっかりと考えていく、それを政府からも後押しする、そういうことを考えていただきたいと思うんですけれども、大臣、御見解をいただけますでしょうか。

下村国務大臣 ここで具体的な人事の話が出るとは思いませんでしたが、二〇一九年のラグビーワールドカップ大会の成功のためには、御指摘のように、広く官民の力を結集し、まさに二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの招致もそうでしたが、オールジャパンで、これからもワールドカップラグビーも取り組んでいくことは必要であるというふうに思います。

 大会の準備、運営に当たるのは大会組織委員会でありまして、その理事会や事務局には多数の民間の方々が既に参画をしております。組織委員会の会長が御手洗日本経済団体連合会名誉会長であるほか、理事にはラグビー競技のトップリーグに参画している企業の経営者も就任をしておりまして、民間企業のノウハウが反映できる体制となっております。

 先ほど御指摘の副会長、森喜朗日本ラグビーフットボール協会会長、森副会長はオリンピック・パラリンピックの組織委員会の会長でもありますが、御自身が、慶応ではありませんが、早稲田のラグビー部であったということもあって、ラグビーについては相当思い入れと、またそれなりのネットワークを非常に持っておられますし、また、御手洗・森体制の中で、今の御懸念については今の体制でも十分クリアできるのではないかとは思いますが、せっかくの御指摘でありますから、国会でそういう話があったということは、私の方からも伝えさせていただきたいと思います。

木下委員 ありがとうございます。

 なかなか無理くりのお話で、私の方から押して申しわけございませんけれども、ぜひともそういったことを考えていただきたいなと思っているんです。

 それから、まだ時間がありますので、もう少しお話をさせていただきますと、ラグビーなんですけれども、これはやはりどうしても、今というのはワールドカップを目がけて、ワールドカップをどういうふうにして盛り上げていくかというところに物事が集中してしまいがち。今のその組織委員会で話されていることもそういう形になっているんですけれども、実は、それではまだまだ事足りない。

 これはラグビーに限ったことではなくて、ほかのスポーツでも同じだと思っているんですけれども、やはりそれは競技人口をどうやってふやしていくか。どうしても、今回は大会についてなので、そちらの方に資源も人も集中していくんだと思っているんですけれども、例えば高校、それから大学、今はトップリーグというのがあります。社会人のリーグです。それから、国際的な試合についても、国際的な試合をする一つのチームに日本がなろうというような、そういうことも企画はされているんですけれども、そこがどうしても、段階的に下からちゃんとした組織にまだなり切れていないんじゃないかなというところが一つ指摘できることなのかなと。

 というのは、やはりトップリーグはトップリーグ、それから大学ラグビーは大学ラグビー、高校のラグビーは高校のラグビーという、日本独特の、何かしら、例えば組織の線引きがされてしまっている。これによって、どうしても、選手が育成されるということが少なくなっているという現状があるようです。

 例えば、ラグビーだけじゃなくて、今問題になっているところでは、バスケットボールのリーグは、プロが入ったリーグと、それから、ただの、ただというか社会人中心のリーグというのが、二つリーグがあることによって、国際的なバスケットボールの連盟から、日本が二つリーグがあることを指摘されていて、一つにしないと国際試合にはなかなか参加できないよというようなお話もあります。

 こういう線引きを何とかなくしていくというのが、何かこれは日本独特の伝統文化のようになってきているようなこと、それから、どうしてもそこにずっといる人たちは、もうこれは政府の省庁と私は同じだと思っていて、何かその縦割りというのか、何かしらの自分のテリトリーというのをつくってしまうという、これはよくない状況にあると思っております。

 こういうことも直していかなければ、なかなか、日本の全体的な、ラグビーだけじゃない、スポーツの本当の意味で国際レベルの普及というのはなされないんじゃないかなというふうに思っておりますので、このために何かアイデアはないかなと思っているんですけれども、実は、私もどうしたらいいものかと悩んでおります。

 下村大臣、今うなずきながら聞いていただいているので、何かアイデアはないかなと思うんですけれども、そういったところについて何か御意見等ございますでしょうか。

下村国務大臣 特にスポーツ界は、政府が、あるいは政治が介入するということについては物すごい拒否反応がありますし、また、安易に介入すべきことではないと思っております。それぞれの競技団体、競技団体なりの歴史の経緯の中で現在があるということでありますので、やはり自助努力の部分があると思います。

 ただ、一つだけ、今御指摘があったバスケットボールは、このままの状態ですとオリンピックそのものに日本男子が出られないかもしれない、そこまで当事者間の調整能力が限界に来ているという部分がありますので、これは久保スポーツ・青少年局長に指示をして、国が乗り出して、一本化に向けた仲裁なりをしていかざるを得ないだろう。それについてはしっかりフォローアップしてまいりたいと思っております。

木下委員 ありがとうございます。

 当然のことながら、余り政府が介入することというのはよくないんだ、文化とかスポーツというものはそういうスタンスで政府が向かうというのは、私は共感できるところだと思っております。

 そうはいいながらも、何とか日本全体のスポーツを通じた世界への発信ということを考えたときには、いろいろな形で支援、サポートというのが政府からもできるというふうに思っておりますので、これから先も大臣にリーダーシップをとっていただきまして、ぜひともどんどんと進めていっていただければと思います。

 以上でございます。ありがとうございます。

西川委員長 次に、鈴木望君。

鈴木(望)委員 維新の党の鈴木望と申します。

 それでは、まず最初に、国立霞ケ丘競技場の建てかえ問題について質問をさせていただきます。

 この件につきましては、去る十月十七日の文科委の一般質疑でも質問をさせていただきました。オリンピック・パラリンピック、言うまでもないことでありますけれども、国民がこぞって待ち望む大会でもありますし、成功を期待している、ある意味では希望の源的な大会であります。そのオリンピック・パラリンピックに水を差す問題が、大会のメーン会場となる国立霞ケ丘競技場の建てかえ問題ではないのかなというふうに思います。

 さきに菊田委員の方からも質問が出されました。私も、ここら辺で、そろそろこの問題について、この問題はもう乗り越えたんだ、だから前の方に、オリンピック成功に向けて準備が進んでいるんだというふうになりたい、なってもらいたい、そういう観点で質問をさせていただきます。

 当初、totoの売り上げの一部を建設資金に配分をするとした法案審議の際には、工事費は千三百億円でありました。そして、千三百億をどのように賄うのかという議論を、この文科委の場でもさせていただいた記憶がございます。

 また、千三百億は、JSCが国際コンクールを実施した際の工事費の概算金額であります。それがいっとき三千億円という数字が出回って、これはどういうことなんだということが最初の、この問題に耳目が集まった発端ではないのかなというふうに思います。

 昨年十一月に示された案では、概算工事費額千八百五十二億円、これはJSCの国立競技場将来構想有識者会議の数字であります。そして、ことし六月に示された案では、同じくJSCの国立競技場将来構想有識者会議の基本設計案の額千六百二十五億円。これでおさまったのかなと思ったら、これではおさまらずに、二千五百億円かかるというような報道がなされているところであります。

 文科省、JSCは、現状を、どの程度の費用が実際かかるというふうに思っておられるのか、また、どうしてこのように数字が、また試算が揺れ動いたのか。そこら辺をもう一回総括して、顧みて、そして今後はぜひ、数字は揺れ動くということではなくて、まだ解体工事の入札も不調に終わっているという記事も流れておりますけれども、そのような問題も含めて、前に前にとぜひ進んでいただきたいという観点で質問をさせていただきます。

久保政府参考人 国立競技場の総工費の概算額につきましては、先生御指摘の、一時、理想の姿でいきますと三千億までになるということからスタートいたしまして、文部科学大臣が縮減すべきだという指示を出し、さまざまな見直しを行ってまいりまして、昨年末までに、競技場建設費約千三百八十八億円、周辺整備費約二百三十七億円、合計千六百二十五億円に縮減を行いまして、この概算額を設計条件の一つとして今まで進んできているところでございます。

 事業主体であります独立行政法人日本スポーツ振興センター、JSCでは、この概算額を含めまして、新競技場に求められる条件に基づきまして基本設計を本年五月に完成させまして、本年八月からは、工事の実施及び工事費の内訳明細書の作成ができる段階まで明細化を行う実施設計に着手しているところでございます。

 試算の過程の中でなかなか額が確定してこないという点につきましては、一般的には、設計段階の進捗に伴いまして、より精緻な試算になっていくという事柄と、他方で、契約に至るまでの間において、さまざまな事情によって経費の増減が生じてきておりますことについて、御理解いただきたいところがあるわけでございます。

 いずれにいたしましても、新しく整備いたします国立競技場の総工費につきましては、JSCにおいて、実施設計においても引き続き経費縮減の観点からさらなる精査を行いつつ、適切な建設にいち早く取りかかれるよう、万全の準備を行ってまいりたいと考えているところでございます。

鈴木(望)委員 ありがとうございました。

 いろいろと数字が揺れ動くというのは、私は、今御説明がありましたけれども、いたし方ないことじゃないのかなと思います。しかしながら、基本がはっきりしていて、基本はぶれない、その基本の範囲内でぶれていくということはいたし方ないと思っているんですが、どうも、一般国民の方々には、基本までぶれちゃっているんじゃないのかという認識が広がっているんじゃないのかな、ゆゆしきことだなというふうに思うんですね。

 というのは、本体の形そのものまで変わるんじゃないかとか、形は変わらなくても機能が変わるんじゃないのか、額を一定の額におさめるために。そこら辺についてはどうでしょうか。もう一回お答えいただきたいと思います。

久保政府参考人 国立競技場は、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックのメーン会場にもなりますし、前年のラグビーワールドカップの決勝会場にもなりますし、招致の段階でも、世界に誇れる競技場として、八万席、全天候型、可動席を擁した近代的な競技場、それから、見る観客にとっても優しい、夏、冬でも安心して見られるような建物とするということで打ち出しております。

 その辺の、そういう意味での基本的な概念は変えずに、十分なおもてなしが期待できる機能を整えた競技場をつくりたいということは変えないでつくっていきたいと考えているところでございます。

鈴木(望)委員 施工予定者に関する質問もしようと思っていたんですが、ちょっと時間の関係で、今の久保局長の御答弁で、いわゆる全体の基本スタンスは変わらない、それに伴う工事費も変わらない、もちろん、当然、さまざまな事情が変わることによって額がその範囲内で、大体許容する範囲内でぶれるということはあっても変わらないというふうに答弁をされたというふうに理解しますけれども、それでよろしいですね。

 それで、大臣の方にお尋ねさせていただきたいと思いますけれども、今言ったようなことで、過去の事実経過としては、工事額の見込みが二転三転している、また、解体工事の入札においてもやり直しや不調が続いているということで、オリンピック・パラリンピックの前にラグビーワールドカップが開かれるわけですけれども、ラグビーのワールドカップに間に合うのか、現在の解体、建設工事の予定期間に変更はないということが言えるのかどうか、そこら辺のところをぜひ明確にお答えいただければと思います。

下村国務大臣 国立競技場の改築につきまして、事業主体である独立行政法人日本スポーツ振興センターにおいて事業を今進めているところであります。

 その中で、解体工事の調達に際し、手続にミスがあったことなどによりまして調達をやり直すこととなり、解体工事の着工が十二月中旬ごろにおくれることとなったというふうに承知をしております。

 しかしながら、全体のスケジュールとしては、工事手法等を工夫して、建築工事は当初の予定どおり来年十月に着工し、二〇一九年春の竣工に向けて万全を期してまいりたいと思います。

鈴木(望)委員 ぜひ、そこら辺が揺れ動いてしまうと、せっかくの国民全体の希望である大会に水を差すということにもなりかねませんので、よろしくお願いいたします。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。障害者スポーツの所管の問題について質問をさせていただきたいと思います。

 障害者スポーツが、スポーツということで、今年度から厚労省から文科省の方に移管をされたということで、私も、いつまでも障害者スポーツは障害者がやっているからということで保健福祉の枠内にとどめておくというのは余りよくないなというふうに思っていた者の一人であります。そういう意味で、スポーツを所管する文科省の方に移った、それは一つの判断でもあるし、私は、方向性としては正しい判断じゃないのかなというふうに評価をしているものであります。

 一方で、障害者スポーツはリハビリと密接に結びついておりまして、そして発展をしてきたという歴史的な経緯があるわけであります。

 最初は、障害者スポーツ大会に出場するのも、これは歴史の正しい認識という意味で、使うべき言葉ではないんですが、こういう委員会の審議ということで、こういう歴史認識が過去に、歴史認識というか事態認識があったんだという意味で、歴史の一端を言わせてもらうわけでありますけれども、かたわをさらしものにするのかというようなことが、障害者の方が障害者の大会に出場をするというときには言われていたということも、これも歴史の事実として厳然としてあったわけであります。かたわなどという言葉は決して使うべき言葉ではありませんが、そういうふうに言われていた歴史がありました。

 それを、障害者の方のリハビリにも役に立つ、スポーツは必要なんだということで、障害者スポーツというものを、昨日の連合審査のときにも言わせてもらいましたが、障害者スポーツの父と言われる中村博士が提唱して、車椅子マラソンを実施する、そして現在のような姿になってきたということ、そういう歴史的な事実があるわけであります。リハビリとともに発展をしてきたという歴史的事実もありました。

 また、まだ市町村レベルにおきますと、障害者スポーツ、何か大会を開くというときには、その主催団体というのは、社協であるとか、福祉保健関係の団体が開いているというのがほとんどじゃないのかなというふうに思います。

 そういうことを考えますと、障害者スポーツの所管は、全国レベルでは文科省ということで誰も異存はないと思うんですが、だんだん都道府県、市町村レベルになってきた場合に、市町村レベルでそれが果たしてちゃんと機能するのかどうなのか、また、その目的が、スポーツというよりも、リハビリだとか保健福祉という側面から行われているということがあるんじゃないのかなというふうに思います。そこら辺については、どのように仕分けをし、どのようにこれからやっていこうとしているのか、お尋ねいたします。

久保政府参考人 平成二十三年に施行されましたスポーツ基本法の中で、障害者スポーツ推進の理念が規定されたわけでございまして、この四月から、障害者スポーツが文部科学省の所管になったわけでございます。

 具体的には、厚生労働省で実施されておられた事業のうち、パラリンピックなど競技力の向上に関する事業、全国障害者スポーツ大会など障害者スポーツの裾野を広げる事業など、スポーツ振興の観点が強い事業を文部科学省に移管しますとともに、関連予算を大幅に拡充して事業を実施しているところでございます。

 一方で、先生御指摘のように、障害者の社会参加やリハビリテーションの観点から行います地方公共団体等が実施する障害者スポーツ大会への支援、国立リハビリテーションセンターにおける選手に対するメディカルサポート体制等の事業については、引き続き厚生労働省が担当することになっております。

 そういう意味で、今後とも、両省の連携を図りながら障害者スポーツを推進していくことが大事だと思ってございます。

 この日曜日に、大分で車椅子マラソン大会に私も出てまいりまして、スターターもやってまいりましたけれども、そこでは、地方の教育委員会と保健福祉部局の方、両方が出て大会を盛り上げておられましたので、そういう意味で、まだまだ連携が今後とも一層必要じゃないかということを実感して帰ってきたところでございます。

鈴木(望)委員 ありがとうございました。

 今、いわゆる末端レベルと言うと言葉がちょっと問題があるのかわからないんですが、市町村レベルにおいてどうなんだということをお尋ねさせていただきましたけれども、実はリハビリの側面というのは、パラリンピック出場者の、全国レベルのそういう選手にとっても重要な話であります。

 例を挙げますと、例えば、ロンドン・オリンピックで百メートルを優勝した南アフリカの義足の選手は、あれだけの記録が出るというのはリハビリの一環でもある補装具の進化に大きくよっているということが言われております。

 そういう意味で、体の欠けた一部を補って、それをうまく活用していく、それを補助するというリハビリであるとか、広い意味での補装具も含んだリハビリというのは、一流の選手にとってもこれは必要であるというふうに思います。

 いわゆるパラリンピックにとっても、また、パラリンピックに出場するような一流の障害者スポーツの選手にとっても必要なものでありますので、その障害者スポーツに、市町村、都道府県レベルだから福祉とか保健の要素を入れるというんじゃなくて、トップレベルにおいても、先ほどちょっとお答えがありました国立リハセンター、所沢のリハセンターの機能をうまく活用するとか、そこら辺の調整をぜひ図っていただきたいと思いますが、これについては、文科省と厚労省の両方にお尋ねをしていきたいと思います。よろしくお願いします。

久保政府参考人 障害者スポーツは、先生御指摘のように、リハビリテーションの手段の一つとして始まった経緯もございます。また、障害者がスポーツへ参加する重要なきっかけの一つでもありますので、リハビリテーションの観点も含め、障害者スポーツを推進することは極めて重要であると考えてございます。

 このため、例えば、国立障害者リハビリテーションセンターにおきまして、総合的なリハビリテーションの取り組みの一環として行われております障害者スポーツの支援事業など厚生労働省が行ってきておられます取り組みにつきまして、文部科学省でもそのノウハウを活用しますとともに、引き続きその支援を得ながら連携をしていくことが必要であると考えているところでございます。

 また、今後、文部科学省におきましては、各地域における障害福祉関係者とスポーツ関係者とが連携して障害者スポーツ推進の取り組みを実施する実践事業も検討しているところでございまして、引き続き、厚生労働省と連携を図りますとともに、地域におきましても障害福祉団体との連携を促して、障害者スポーツを強力に推進していきたいと考えているところでございます。

西川委員長 藤井社会・援護局障害保健福祉部長。

 なお、質疑時間が終了しておりますので、手短にお願いいたします。

藤井政府参考人 お答えをさせていただきます。

 私ども厚生労働省におきましても、先生おっしゃっていただきましたように、障害のある方々が社会復帰を目指して取り組みますリハビリテーションにおきましては、スポーツが有効な手段の一つであるというふうに認識をしてございます。また、スポーツができるようになるということは障害者の目標にもなるものというふうに考えております。

 こうした認識のもとで、国立障害者リハビリテーションにおきましては、設立の当初から、障害特性を踏まえました運動療法などを実施してまいりましたし、また、平成二十二年には、国リハの病院の方に健康増進センターを設置いたしまして、健康づくりプログラムの作成事業を実施しておりまして、生活指導あるいは栄養教育に加えまして、運動療法士による運動指導を行って、生活習慣病対策などを行っているところでございます。

 今後とも、そういった事業につきまして適切に実施をしていく考えでございます。

鈴木(望)委員 終わりますけれども、ぜひ、スポーツは楽しい、障害者にとっても生き生きとスポーツを楽しんでもらいたい。と同時に、身体機能の向上のためにも役立ってほしい。パラリンピックがきっかけとなって二つの要素がともに達成できることを願って、質問を終わりにしたいと思います。

 ありがとうございました。

西川委員長 次に、田沼隆志君。

田沼委員 次世代の党の田沼隆志でございます。

 きょうも、大臣ほか皆様、御質問の機会をいただきましてまことにありがとうございます。

 早速、昨日の連合審査に続けてまた幾つかお尋ねをさせていただきたく思いますが、昨日も少し食いかかったといいますか、競技施設の整備計画についてでございます。

 この基本計画は二月提出なのに、舛添知事は全面的に見直すと言われていることに危惧をしているということはお伝えさせていただきましたが、きのうの御答弁ですと、まだ不安が払拭できませんでした。来週、IOCと協議するという答えでございましたけれども、それはただの経過であって、私は間に合うかどうかを心配しているんです、いろいろなぶつかり合いがある中で。

 なので、もう少しその道筋が示せるのかどうか、改めてお尋ねします。

久保政府参考人 今の御質問は、主として東京都あるいは組織委員会が整備される施設の見直しを踏まえて、二〇二〇年に間に合うのかどうかという御懸念だと思います。

 繰り返しになって恐縮でございますが、整備する施設自体は、東京都は十施設、組織委員会が十一施設ございまして、これらについて今見直しを進められている状況でございます。

 具体的には、予定としましては、ことしじゅうに具体的な見直しを行い、来年の大会基本計画に間に合うように、さまざまな関係団体と調整を続けておられます。

 個別個別の事情がございますので、トータルでどうかというのは言いにくいわけでございますけれども、適宜、大きな方針を立てる調整会議に御報告をいただきながら、今調整を組織委員会と東京都を中心に進めてございますので、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックに間に合わすための見直しでございまして、これは必ず間に合わせる、そのために来年の基本計画に反映するということが前提で進めておられると承知しているところでございます。

田沼委員 経緯の御説明は了解しましたが、私は、二〇二〇年というよりも、まず二月に間に合うのかということを気にしています。各自治体も、きのうの質疑にありましたけれども、そこがやはり大きく変わってくるからでありまして、舛添知事の発言だと、大失敗するまで言っているので、ゼロから見直すというような発言もされています。

 今の局長の御答弁だとまた同じ答えが来ちゃうかもしれないので、例えば民間の力を使うと知事は言っています。例えばディズニーランドを運営しているような能力のある人が入るかどうかで全然違うというような言い方をしていまして、民間を入れてやり直すと断言されていますけれども、これはそういう方向で体制を組み直すんでしょうか。はいかいいえでお答えください。

久保政府参考人 大変恐縮でございますが、そのあたりの細かい事情について現在どういう検討状況になっているかまではまだ私どものところに情報が上がっておらず、詳しくは承知いたしておりませんけれども、中間段階で、調整会議等でそのあたりの具体的な報告がなされるんじゃないかと思っているところでございます。

田沼委員 民間を入れてゼロからやり直すということが細かい状況なんでしょうか。間に合うか間に合わないかという質問で頑張りますという御答弁はありましたけれども、でも実際の状況はわかりませんというふうに聞こえます。それで本当に大丈夫なんでしょうか。

 決してとめたいとか言っているんじゃないんですよ。大事なことですから、ただ、打つ手が具体的になっているかが心配なものですから。

 では大臣。

下村国務大臣 舛添知事の発言については私が答える立場ではないんですけれども、二〇二〇年に向けた取り組みとしては、今局長から答弁がありましたように、東京都が整備する施設が十施設、それについて舛添知事が見直しについて表明されているんですね。

 それ以外、組織委員会が整備する施設が十一施設、そして、国が整備すべき施設が国立競技場一施設ということでありますが、今までも何度か調整会議、今もお話がありました、これは、オリンピック・パラリンピック担当大臣である私と、組織委員会の森会長と舛添都知事、それからJOC会長、JPC会長が出席して、この場で調整会議を行いながら、舛添知事やあるいは森組織会長から経過状況についてお聞きしております。

 随時聞いておりますが、必ず、IOCの調整委員会の委員長が来日したときに会場見直しの検討状況についても了解を得られる、そういう形で準備をしているということでありますので、大胆な見直しはするにしても、IOCの了解が得られる範囲内で、日程的には必ず間に合うようにするというふうに聞いております。

田沼委員 わかりました。今の御答弁でしたらかなり納得ができます。大臣もその調整会議の一員であられますので、力強くぜひ推進をお願いいたしたいと思います。

 では、次の項目で、先ほどのどなたかも言われていましたけれども、国立競技場の建てかえがいろいろ御苦労されているとこれもお見受けするんですが、建築家の方から随分きつい異論が出たりもしておりますね、もうあれだと全然だめだみたいな。そういったことを一々取り上げる必要はないのかもしれませんが、トラブルが続いているようにもやはりお見受けいたします。

 これは、二〇一九年までに間に合わなくちゃいけないということもあると思いますので、やはりかなりスケジュール的にはタイトになってきているのかなという感じを受けますが、この国立競技場建てかえの感じておられる今の問題点、そして、これからの開催に間に合うのかという展望についてお聞かせいただければと思います。

下村国務大臣 国立競技場の改築につきましては、事業主体である独立行政法人日本スポーツ振興センターにおきまして事業を進めております。

 その中で、解体工事の調達に際し、手続にミスがあったことから調達をやり直すこととなり、解体工事の着工が十二月中旬ごろにおくれることとなったというふうに承知をしております。

 しかしながら、全体のスケジュールとしては、工事手法等を工夫しまして、建設工事は当初の予定どおり来年十月に着工し、二〇一九年春の竣工に向けて万全を期してまいります。

田沼委員 万全を期すという言葉に力強く感じました。責任を持ってやられるということだと思いますので、もちろん主体はスポーツ振興センターでしょうけれども、監督をぜひお願いいたします。

 次に、通告の次の項目で、ラグビーの方に移りたいと思います。

 先ほど木下議員も質問されていましたけれども、私の親友が大変に盛り上がっていまして、非常にうれしい、二〇一九年、絶対成功させたいんだと一人で盛り上がっているんです。

 まずちょっと不思議に思ったのが、開催都市についてです。十一月五日にワールドカップの開催都市立候補地が発表されましたけれども、そうすると十四の都市が立候補された。今の新国立、ほかにも幾つかいろいろあっていますけれども、これでちょっと不思議なのは、秩父宮ラグビー場が候補地になっていないのはちょっと何だか不思議というか寂しい気もしますけれども、オリパラ組織委員会として、こういった各地での開催、そして、ラグビーワールドカップ成功に向けてどんなふうに連携を密にしていくのか、お答えいただければと思います。

久保政府参考人 ラグビーワールドカップは二〇一九年、東京オリンピック・パラリンピック競技大会は二〇二〇年、続いてございますので、両組織委員会としても、いろいろな意味での連携を密にしていっていただく必要がございます。

 いずれも、新たに建設される新国立競技場がメーン会場でございます。したがいまして、セキュリティー・テロ対策、外国人要人対応、訪日外国人顧客の安全かつ円滑な輸送手段の確保等、共同した取り組み、情報の共有など、両大会の組織委員会の連携が大変鍵になっているところでございます。

 両大会の組織委員会は別組織ではございますけれども、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の御手洗名誉会長がラグビーワールドカップの組織委員会の会長であり、オリンピック・パラリンピック組織委員会の森会長がラグビーの方の副会長、さらに、JOCの竹田会長は両組織委員会の副会長を務めておられるなど、連続して開催される大会の成功に向けまして、実質的な情報が共有されるなど連携が密に保たれておりまして、一体性は確保されていると思っております。

 加えまして、両大会は、招致に向けた閣議了解あるいは広範囲な政府保証を行いますなど、オールジャパン体制で支援が行われてきておりまして、政府としても、両大会の情報を共有しつつ、両大会の組織委員会がより一層密接な連携を図られますよう促してまいりたいとも考えているところでございます。

田沼委員 ラグビーは、競技人口もすごく少なくて盛り上がりがまだまだ十分でないと認識しておりまして、ですので今の質問があったわけですので、ぜひ全国的な動きにしていっていただきたいと思います。

 ちょっと、さっき一人と言いましたけれども、仲間自体はこのラグビーワールドカップに非常に熱いメンバーがたくさんいて、彼らからの提案で、ラグビーワールドカップは世界三番目の規模らしいですね。オリンピックの次がサッカーのワールドカップで、その次の、世界のイベントとしては非常に大きな規模だということ。余りそれが知られていないんですけれども、これだけ大きなイベントですから、それが二〇二〇年の前に来るということですから、ぜひこれも、東京五輪も復興の象徴にという言葉もありましたけれども、この二〇一九年のラグビーワールドカップも復興の象徴にしてもいいんじゃないかという提案を受けて、私もそうだなと思いました。

 彼らの言うには、開催候補地の中でも、特に東日本大震災で非常に大きな被害を受けた釜石の鵜住居地区でワールドカップの試合を開催することができれば、震災からの復興を世界に非常にアピールすることができるし、被災地の皆さんにも非常に元気を与えられるのではないか、ラグビーの釜石ですから、という御提案がありました。

 なかなか具体的には、宿泊施設も少ないとか交通の便がそんなによくないとか、フィージビリティーにはいろいろあろうかとは思いますけれども、震災復興の象徴という意味合いにおいては非常に説得力を感じた次第であります。

 その辺のまず御見解があられればお答えいただきたいと思うんですが、局長さん。

久保政府参考人 具体的なラグビーワールドカップの地方での開催の自治体につきましては、来年の三月、国際ラグビーボードが組織委員会の意見を聞いた上で決定することとなるわけでございますけれども、今おっしゃられたように、東日本大震災からの復興の象徴として釜石でワールドカップの大会を開催したいという関係者の願いがあることは事実でございます。超党派の議連でも、そのあたりをサポートするという動きもございます。

 文部科学省といたしましては、スポーツ施設の整備について、新設事業に対する国庫補助や芝生の整備に対するスポーツ振興くじ助成がございますので、これらの助成制度を有効に活用されますように、地元からのニーズをしっかり聞いていきたいと思っております。

 また、県や地元のスポーツ団体、財界からの幅広い支援も受けられるように、地元でのラグビーの普及、大会の機運の醸成についても支援してまいりたいと思っております。

 いずれにいたしましても、最終的に開催都市決定に至りますまでにさまざまな課題がございますので、それを乗り越えていただく、必要に応じて文科省としてもいろいろな御相談に乗ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

田沼委員 ずばりここで局長が釜石ですとは言えないでしょうけれども、十四都市の中に入ってもおりますし、あと、近くに仙台もあったり、やはり被災地には特段の配慮というか、象徴としての震災復興ワールドカップだというふうに位置づけることも私はありではないかと思いますので、それはぜひ御検討をいただければというふうに思います。

 関連して、今度は七人制ラグビーの方なんですけれども、七人制ラグビーはオリンピックの正式種目になるということで、日本では非常にまだまだ歴史が浅いということで、正式種目なのに歴史が浅くて、これ自体もちょっとお尋ねしたいぐらいではあります。

 そもそも、ラグビー、この中にもやられた方もおられるかもしれませんが、私も高校のときに入部しようかと思ったぐらい好きなんですけれども、競技人口が非常に少ない。それで、けがが多いというイメージがどうしても強いですね。

 この間も、羽生君もフィギュアスケートでけがを押しての出場とかされていましたけれども、脳しんとうというのは、選手生命が一発で終わってしまうかもしれないという非常に危険なものだということで、あれで判断がよかったのかはわかりませんが、安全性をやはり広く啓蒙していく必要が、特にラグビーワールドカップ、オリンピックもそうでしょうけれども、重要であると認識しております。

 私もサッカー部だったんですけれども、学校の部活動なんですが、学校の部活動で、その他でも結構なんですけれども、どのような事故が起きているか、それで、それを横断的に正しく把握するための仕組みなどは文科省としてあるんでしょうか。お尋ねします。

久保政府参考人 学校での部活動、特に体育系の活動につきましては、重大な事故に発展することもあるということで、これにつきましては、現在は、そこでけがをした場合の医療費等を支給する日本スポーツ振興センターが、支給した給付金の中身を文部科学省にフィードバックいたしまして、具体的にどういう事故がどれぐらい起きているかというのを、文部科学省と日本スポーツ振興センターで共有しております。

 それから、どういう事故がトータルとして多かったかというデータなどは全てJSCが持っておりまして、その中で、例えば集団系の、ボール系のスポーツはやはり事故が多いというようなことがデータとして上がっているところでございます。

 これを踏まえましていろいろな対策を講じてきているというような状況でございます。

田沼委員 質問の趣旨は、もちろんそういったデータを踏まえた上で安全性の教育、普及ということにぜひ打ち込んでいただきたい。それがひいてはラグビーの活性化にもなると思いますので、これは学校教育の現場での連携も必要でしょうけれども、ぜひお願いをいたしたいというふうに思います。

 それで、もう残り時間が短いのでちょっと幾つか割愛させていただきまして、通告でいうと六番、警備体制について警察庁さんにお尋ねしたいと思います。

 昨日の質疑でも、サイバーテロに対しての備えが必要だ、だから専任大臣が必要だという御答弁もありました。二億件でしたか、これは大臣だったか菅長官か忘れましたが、物すごい巨大な件数、規模のサーバー攻撃が来たというお話でありましたし、もちろんテロ対策も必要であります。

 やはりこういったことに対しての備えが必要でありますけれども、組織委員会などの職員として警察庁からの派遣というのは当然あるのかなと思うんですけれども、組織委員会に派遣するという今回は法案ですけれども、質問を整理すると、まず、こういったテロ対策やサーバー攻撃に対する対策はどうなっているのか、それから、組織委員会への職員派遣の中に警察庁さんは含まれているのかをお答えいただければと思います。

塩川政府参考人 お答えします。

 二〇二〇年に東京で開催されるオリンピック・パラリンピック競技大会は、国際的に最高度の注目を集める行事で、テロの格好の攻撃対象となるおそれがあり、開催国としての治安責任を果たす必要がございます。

 警察としては、オリンピック・パラリンピック東京大会におけるテロなどの未然防止を図るため、情報収集、分析を強化し警戒警備を徹底するなど、大会組織委員会や関係機関と緊密に連携しつつ、諸対策を推進することとしております。

 とりわけ、今委員御指摘のサイバー攻撃対策になりますけれども、ロンドン・オリンピックでは、開会式を狙ったサイバー攻撃が行われましたが、的確な対策が講じられたことにより、被害が未然に防止されたものと承知しております。

 このように、オリンピックなどの大規模スポーツイベントはサイバー攻撃の格好の標的になるおそれがございます。こうしたことから、警察では、大会組織委員会を初めとする関係機関と協力して、大規模スポーツイベントを標的としたサイバー攻撃に関する情報の収集、分析、大会の運営に関する重要インフラ事業者との連携の確保などのサイバー攻撃対策を推進することとしております。

 こうした対策をとることにより、大会の安全の確保に向けて万全を期してまいりたいというふうに考えております。

 また、大会組織委員会への警察関係者の派遣ということでございますけれども、これは、所要の者とか必要な者をしておるところでございますし、今後さらにしていくことが必要であるというふうに考えております。

田沼委員 万全をお願いいたします。

 最後に文化交流なんですが、ちょっと時間がないので一問。

 きのうの御答弁で、スポーツと文化の祭典と位置づけてやっていくという力強い御答弁ではありましたけれども、一つ、文化庁さん、「重点施策2:文化プログラムに向けた環境整備」ということで、日本の文化の多様性を示すということで国立のアイヌ文化博物館というものを二〇二〇年に開館する。ここに二十七年度の概算要求で三億円余りの予算計上がされるようです。

 これは何ですか。アイヌの文化博物館というのが日本の文化の多様性を示す、そうかもしれませんけれども、日本に来るなら、やはり日本の正式な、京都だとか、オーソドックスな日本本来の文化をまずは外国の方は関心を持つと思うんですけれども、何か急にここにだけこの博物館が開館というのは非常に違和感があるんですけれども、これは必要なんでしょうか。必要性をもう少しはっきりお答えいただきたく思います。

有松政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の中にございました国立のアイヌ文化博物館、仮称でございますが、この件につきましては、従来から、日本の文化の多様性を示すものでございますアイヌ文化の振興に文化庁は取り組んでまいりましたけれども、せんだって、さまざまなアイヌ文化振興の中で、国立のアイヌ文化博物館を整備する、そのことについては二〇二〇年の開館を目指すということが閣議決定がされております。

 ちょうど二〇二〇年という時期に開館を目指すべく準備を進めるために、平成二十七年度はその基本設計や設置準備を行うという年度に当たりますので、そのための経費を文化庁が要求しているものでございます。

 委員御指摘のとおり、地域のさまざまな、全国津々浦々の特色ある文化の催しを実施して、日本の文化をオリンピック、パラリンピックで日本にいらっしゃる外国の方々に体験していただくということが大変重要なことでございますので、前回御説明申し上げましたとおり、さまざまな地域の魅力ある文化振興の取り組みなどの支援をもちろん力を入れてやっていきますけれども、この閣議決定で二〇二〇年開館ということになっておりますアイヌ文化博物館についても、それに間に合うように二十七年度から取り組むということで概算要求に計上させていただいているものでございます。

田沼委員 時間ですのでやめますが、ちょっとそれは説明になっていないというか、閣議決定したからやりますというのは、それじゃなくて、内容がどうして必要なのかを聞きたかったわけですよ。

 これは環境整備で三十億ちょっとですか、それは大体多言語環境整備ですよね。物をつくるのはこれだけということですよね、違うのかもしれませんけれども。一割余りをこのアイヌ文化博物館に使って、あとは大体言語対応ということでしたら、そこまで物をつくる必要があるのかというのは私ちょっとまだわかりません。また改めて勉強させていただきたいということを最後に言いまして、私の質問とします。

 ありがとうございました。

西川委員長 次に、柏倉祐司君。

柏倉委員 みんなの党の柏倉でございます。よろしくお願いいたします。

 きのうに引き続きまして、オリパラ関連の法案を質問させていただきます。

 昨日は、いろいろレガシーという言葉が何回も出てきたと思います。我が党の三谷英弘議員からも、レガシーの真髄は何かというような質問が出たかと思いますが、これはやはり、この大会の一つの大きな目玉としてレガシーをつくっていくんだ、このオリパラでレガシーをつくるということがうたい文句になっているわけです。

 ただ、このレガシーの意味というのは何なのかというのを再度熟考してオリンピック・パラリンピックを進めていかなければいけないというふうに思います。

 と同時に、では、この事後評価をどうやっていくのか。ちょっと気が早いんですけれども、事後評価をどうやっていくのかというところも含めてしっかりとこれは議論、検証をすべきというふうに考えております。

 このレガシーの客観的な評価をどういうものにすべきなのか。これはいろいろ各人議論が分かれるところですが、私は、都市ランキングというものを一つ大きな検証材料として使えるのかなということがございます。

 世界ランキングの都市ランキングでございますけれども、これはロンドンが今一位でございます。ロンドン・オリンピック後に連続して一位になっている。やはりロンドン・オリンピックというものを契機に、非常に合理的な都市整備が進んだということ以上に、もう一つ存在価値が上がったと言えるというふうに思います。

 世界ランキングというと、いろいろ大学ランキングなんというのが、これは客観的な評価なのかどうかということは非常に意見が分かれますけれども、ただ、このレガシーを検証する場合、やはり物差しが必要だということで、私は、この都市ランキングというのをしっかりと見詰めていく必要があるというふうに思っています。

 世界の主要国ランキングについては、日本の森記念財団都市戦略研究所というのが毎年出しております。東京は四位でございます。一位は先ほど申しましたロンドン、二位はニューヨーク、三位はパリなわけですけれども、この世界の都市総合ランキング、これをやはりどんどんどんと上げていくことを、私は、このレガシーの検証に使うべきだというふうに思っております。

 そういったことも含めてどのようにこれを検証していくのか、そしてこのロンドン大会が、ロンドンが国際都市ランキングで一位になったということはかなり大きいというふうに政府は認識しているのか、その両方をまず伺いたいと思います。

    〔委員長退席、義家委員長代理着席〕

久保政府参考人 御指摘のとおり、この森記念財団の行われました調査でロンドンは二〇一二年からずっと一位を続けておられますが、この調査自体は、経済、研究・開発、文化・交流、居住、環境、交通・アクセスなど各分野における評価を積み重ねた結果で順位を出しておられるわけでございます。

 ロンドンは、文化・交流それから交通・アクセスの二分野で一位の評価でございまして、二〇一二年で一位になった要因として、オリンピックに向けた国際会議や関連イベントの開催、宿泊施設の整備や海外旅行者の誘致に取り組んだことなどが挙げられてございます。

 ロンドン大会におきましては、レガシーを大きなコンセプトで捉えて、大会の準備段階からさまざまな観点で戦略的にプランニングを行った最初の大会でございます。スポーツ参加率の向上やボランティアなど社会参加の推進に加えまして、東ロンドン地域の再生やオリンピックパークの整備など、都市としてのレガシーもしっかりと残されております。

 一方で、一九六四年の東京大会におきましても、新幹線や首都高速道路などの交通インフラ、ホテルの建設、スポーツ少年団の結成など、さまざまなレガシーが現在でも残っているところでございます。

 したがいまして、二〇二〇年の大会に向けましては、ロンドン大会のように、大会の準備段階からレガシーを意識して取り組むことが重要と考えてございまして、本年九月に開催されました関係閣僚会議におきまして、下村大臣から全閣僚に対しまして、レガシーを次世代に引き継ぐことを重視しながら、着実な大会準備について協力を依頼したところでございます。

柏倉委員 今、ロンドンの文化・交流と交通・アクセスで一位ということが非常に大きい、このロンドン・オリンピックを契機に進んだものの代表として挙げられておるわけでございますが、東京は経済面では一位ということに今なっていますが、交通・アクセスは十位ということで、ロンドンに比べて非常にそこの部分は劣っているということでございます。居住が十七位ということでございますので、やはり、東京オリンピックを意識した整備、交通、居住、こういったところを重点的に計画をしていただいて、そしてわかりやすく我々にも、特に東京にお住まいの方には御協力をいただくということをやっていただきたいと思います。

 東京オリンピックを負の遺産にしないということを常に意識をされて進められているということですけれども、このロンドン大会に負けないというファイティングスピリッツが必要なわけでございます。

 そこで、これはもう総論になりますけれども、この東京オリンピック・パラリンピック競技大会の位置等々含めまして、当大会を東京の都市の発展として総括的につなげるために、具体的な構想、計画、そして御決意のほどを聞かせていただきたいと思います。

久保政府参考人 現在、東京都及び組織委員会におきまして、大会後のレガシーの観点も含めまして、会場計画全体の再検討は行われているところでございます。

 先般、東京都知事もロンドンを訪問されまして、オリンピック・パラリンピックのレガシーを視察されて、会場の跡利用計画の検討に生かしていくとおっしゃられたと聞いております。

 また、東京都では、世界一の都市・東京を目指す将来像を示します東京都長期ビジョンを策定することとしておられます。

 ビジョンの中間報告では、誰もが安心して過ごせるバリアフリー環境の構築、二点目として、世界に開かれた住みやすい国際都市、三点目として、おもてなしの心で世界じゅうから訪れる人々を歓迎する都市の実現など、世界のどこよりも上質な生活ができる都市を実現するとしておられます。

 こういった観点も踏まえながら、現在行われております競技会場の再検討も含め、東京都としてのオリンピック・パラリンピック開催のレガシーの検討が進められるものと承知しております。

 大会組織委員会では、東京都のみならず、日本全体にレガシーを残すことも重視しておりまして、二〇二〇年大会を東京一極集中を加速させるものとせず、大会の効果を全国に波及させるために、日本全体が活性化する取り組みにつきましても、関係府省庁と一体となって取り組んでいきたいと考えております。

柏倉委員 東京を一極集中化しないというふうなことでございました。

 当然、選手村等の誘致において関東近県に経済波及効果をもたらすという意味でも、それは包括的なところは必要だと思いますけれども、やはり、これは東京オリンピックですから、日本の首都たる東京がこの国際都市ランキングで一位になるんだというところを、客観的な指標を据えて具体的に進めていただきたいというふうに思います。

 では、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 次は、ノーマライゼーションに向けての取り組みについてお伺いします。

 ノーマライゼーションというのは、釈迦に説法になりますけれども、デンマークの社会福祉省から提唱された概念で、一九五九年にはデンマークで立法化も行われておるわけです。

 わかりやすく言えば、障害の有無にかかわらず、分け隔てられることなく、一緒の社会環境の中でともに生きる社会、共生社会の実現ということになると思います。

 我が国においても、このノーマライゼーションの理念が一九八一年の国際障害者年の年においてもフォーカスされまして、これを契機に、この実現に向けての取り組みが加速されているというふうに認識しております。

 このノーマライゼーション、オリンピックがあるなしにかかわらず、当然、我々、時代の要請としてこれを加速していかなければいけないわけなんですけれども、ただ、やはりこのパラリンピック、オリンピックというところで、ある意味、その集大成をこれはもう総括しなければいけないというふうに思います。全ての設備をバリアフリー化する、これは当然のことですけれども、もとは、これが気づかなかったというようなところまで検討、実施というものがやはり求められるんだというふうに思います。

 例えばなんですが、細かいところをお伺いしますけれども、この東京パラリンピックの開催に向けて障害者さん専用のトレーニングセンターが必要なんじゃないかというようなことを専門家は常々指摘しているということです。

 この設備状況、計画、これは今どうなっていますでしょうか。

久保政府参考人 パラリンピック選手専用のトレーニング施設の必要性につきましては、パラリンピック協会の関係の方々からも強く要請をされているところでございます。

 文部科学省では、この点に関しまして、ナショナルトレーニングセンターや国立スポーツ科学センターの機能強化を図るためという観点から、本年五月に、日本オリンピック委員会や日本パラリンピック委員会を初めとする外部有識者から構成される有識者会議を設置し、八月に中間報告を取りまとめたところでございます。

 この有識者会議では、パラリンピック競技者はナショナルトレーニングセンターやJISSの利用希望が高いという調査結果を踏まえ御検討いただいた結果、オリンピック競技とパラリンピック競技におけるトレーニング方法、指導方法についてさまざまな相乗効果が期待されるとともに、効果的な施設活用の観点から、同じトップアスリートとしてオリンピック競技とパラリンピック競技がナショナルトレーニングセンター等を共同利用することでその機能強化を図るとされたところでございます。

 また、中間報告では、今後の利用者数の増の中で、ナショナルトレーニングセンターのより拡充整備を図ることがパラリンピック選手の競技力の向上のために必要だという提言がなされてございます。

 この中間報告を踏まえまして、平成二十七年度概算要求におきまして、ナショナルトレーニングセンターの拡充整備に必要な基本設計料等に要する経費を計上しているところでございます。

柏倉委員 ありがとうございます。基本的に共同利用するということですね。

 障害者さん専用のトレーニングセンターを別個につくるというよりは、障害者さんに対する補助員ですとか補助具、こういったものをしっかり充実させるということだと思うんですが、やはり、けがのないようにしっかりと注視をしないといけないというところもあります。これはやはり、身体的に御不自由な方がトレーニングをやるというのは、なれていても、いろいろなストレスでけがをすることもあるわけですから、これは、気を抜かず、しっかり見守る体制というのをぜひつくっていただきたいと思います。

 それはアスリートの方なわけですけれども、ただ、これは外国の方がいろいろ来られるわけです。観光としても来られる。そういった方の中には障害をお持ちの方も当然おられる。これは、邦人にかかわらずおられるわけです。そういった方のための宿泊施設等々の整備、これもしっかりと必要になっていくということ。

 特に通信分野、これは公共交通機関だけじゃなくて、画像配信、動画配信に係るテレビ、ネット視聴の障害者さんへの配慮、これは、拡大ディスプレーの整備とか、そういったものもぜひ省庁横断的に、この領域は多分総務省さんだと思います。オリンピック、その所轄の大臣ができましたら、省庁横断的にこれは御尽力いただきたいというふうに思います。

 施設設備の普及だけじゃなくて、ノーマライゼーションを考えた場合、心のノーマライゼーションというものもあるわけです。

 具体的に、我が国では、一九九三年に障害者対策に関する新長期計画、及び一九九五年の障害者白書というところで、四つの除去すべき障害というものが指摘されております。

 物理的な障害、そして制度的な障害。物理的というのは、段差、そういったもの。制度的というのは、資格、免許、こういったものですね。三番目が文化、情報面での障害。先ほど申しました、音声案内、点字、手話通訳、字幕放送、こういったもの。そして四番目に、心ない言葉や視線。障害者を庇護されるべき存在として捉える等の意識上の障害、心の壁、心のバリアということです。

 この心のバリアフリー、要は差別意識をなくせということでございますが、なかなかこれは、各人各人の心持ちというものと直結しますので、政策として打つというのは非常に難しい。教育として反映させるということがまず一義的なのかもしれません。

 ただ、東京オリンピック・パラリンピックというものを控えて、これをどういうふうに政府は意識しているのか、そして、具体的にどこまでこの心のバリアフリーというのを普及させ浸透させるのか、政府の考えを聞かせてください。

久保政府参考人 バリアフリーの都市づくりを進めるだけでなくて、今おっしゃられたように、障害の有無にかかわらず、誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う共生社会を実現することは大変重要でございまして、これは、関係各省全てが認識し進めることだと思っております。

 東京大会の開催を機に、スポーツを通じて障害者の自立と社会参加の促進を図りますとともに、パラリンピックの価値や理念、障害のある人々への理解を深めるためにも、パラリンピアンと子供たちの交流の機会の一層の拡大や、パラリンピック競技の体験など、学校や地域における取り組みもその必要な一つと考えてございます。

 二〇二〇年に向けていろいろな具体的な施策を検討し実行してまいりたいと考えているところでございます。

柏倉委員 なかなか具体的な施策というのは打つのは難しいと思います。広報活動に徹するというところが具体的なやり方なのかもしれませんけれども、ぜひ、教育の場というところでもこれは充実をさせていただきたいというふうに思います。

 それでは最後なんですが、今度は、オリンピック・パラリンピックにおけるメディカルスタッフ、医療の問題について、現状と対策を伺いたいと思います。

 現状でも、当然、地方に行きますと医師不足というのは問題になっています。東京オリンピック・パラリンピックの開催ではどうなんだろう。アスリートないし会場に来られた方々のメディカルケア、メンテナンス、こういったものに関して、やはり微に入り細にわたったフォローアップが必要になるというふうに思います。

 もうJOCさんは情報・医・科学専門部会というところのスタッフをしっかりと確保していて、医療のレベル、エマージェンシー対応というのは非常にすぐれているということは仄聞しております。特に、東日本大震災のときにJOCの呼びかけでそういった方々が現地に行ってボランティアをやったというのは、有名な話でございます。

 充実はしているというふうには思いますけれども、改めて、この医療チーム、どのように機能させていくのか、スポーツ担当の文科省だけじゃなくて、厚生労働省も含めて政府全体としてどのように検討しているのか、聞かせてください。

下村国務大臣 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会における医療サービスとしては、大会組織委員会の医事本部に、医師会等の医療関係団体や都立病院を初めとする医療機関の協力を得て、必要な人員の確保を行うこととなっております。

 また、開催時には、選手村や競技会場にスポーツ専門医を配置するとともに、専用の救急車の待機、救急救命士の配置を行う計画ともなっております。

 さらに、医療従事者を対象とした外国語などの講習会や、非常事態をシミュレーションした訓練、各種マニュアルの整備を行うこととしております。

 このような大会組織委員会の取り組みに対し、国立大学医学部や附属病院を所管する文部科学省及び国立医療機関、医療関係者を所管する厚生労働省も、必要な連携協力を行いつつ、政府全体として支援をしてまいりたいと考えております。

柏倉委員 御答弁ありがとうございます。

 スポーツというのは、華やかですけれども、ある一面、体を酷使している、その最たる現場でございます。たまに、サッカー中にプロのサッカー選手がいきなり亡くなったりというようなニュースも聞くことがございます。そこまで極限に体を追い詰める、そういったところ、メディカルサポートというのはやはり大切だなと常々思っているわけでございます。

 私ごとですが、高校時代、私もちょっとラグビーをやっておりまして、いろいろけが等々はしたんですけれども、私のレベルでさえそういうことですから、本当にトップアスリートというのは体が何個あっても足らないんだなというふうに痛感するわけでございます。

 しっかりとこれはもうほぼ万全の体制がしかれているというふうに確信をしておりますが、最後に、これは当然いろいろな、アスリートだけではなくて、外国人観光客が都内に満ちあふれるわけでございます。そうなりますと、そういった方々の救急対応もしなければいけない。一方では、やはり日本の患者さん、通常外来、通常の患者さんに対するサービスもしっかりと維持をしなければいけないわけです。

 かなりの外国人の観光客の人数が見込まれておりますが、その外国人に対しては通常医療をしっかり提供できる体制になっているのか、そして日本人に対する医療が手薄になることはないのか、ここのところを最後にお聞かせください。

福島政府参考人 お答えいたします。

 オリンピック時の外国人の方に対する医療の問題でございますけれども、外国人の方に安心して安全に医療を受けていただくために、七年間で環境整備を進めていこうと考えております。

 厚生労働省では、現在、医療通訳育成のためのカリキュラムそれから標準的なテキストを作成して、ことしの九月に公表をいたしております。また、今年度からでございますけれども、医療通訳や外国人向け医療コーディネーターを配置した拠点病院の整備事業を進めていくということにしております。

 こういう取り組みを通じまして、外国人の方に安心、安全に日本の医療を受けていただくようにしていきたいと考えております。

 また、救急医療、特に東京オリンピック・パラリンピックの期間中に、外国人の方だけではなくて、もちろん日本の方も東京に集まられるわけでございまして、そういう状況におきます救急医療の適切な提供というのは重要なことだというふうに私どもは考えております。

 東京都を中心に救急医療体制の整備はまず行っていただくわけでございますけれども、私ども厚生労働省といたしましても、東京都、東京消防庁、あるいは医師会、関係学会等と連携しながら、十分な救急医療体制を確保できるように支援してまいりたいと考えております。

柏倉委員 ありがとうございます。

 救急医療の部分、これはもう現場が最初から疲弊のきわみでございます。私も、数カ月だけですけれども、墨東病院で救急の医療をやったことがございますが、本当に死ぬほどつらかったです。そういったところにまたいろいろな負担が重なりますと、やれることもやれないという状況になりますので、しっかりとしたスタッフの充実、政府の支援をお願いして、質問を終わりにします。

 ありがとうございました。

義家委員長代理 次に、宮本岳志君。

宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。

 昨日の連合審査に引き続き、ラグビーワールドカップ特措法案並びに東京オリンピック・パラリンピック特措法案について質問いたします。

 まず冒頭、先日のフィギュアスケート中国杯の最終日に、公式練習で羽生結弦選手が中国選手と激突して頭部などを負傷したにもかかわらず、それを押して競技した件について聞きたいと思います。

 幸い、帰国してすぐに受けられた精密検査では脳への異常は見つからなかったようでありますけれども、この件をめぐっては、羽生選手の競技への執念についてはともかく、それをとめられなかったスケート連盟や指導者の対応に、スポーツ関係者から疑問の声が上がっております。

 陸上競技でオリンピック出場経験もあるスポーツコメンテーターの為末大氏は、脳しんとう後の演技は命にかかわるほどの危険があると言い、スポーツの現場では、強制的にでも、選手の将来に危険があるときは中止させるべきだと指摘をしております。また、ラグビー元日本代表の大八木淳史氏は、本人が決めたことだとは思うけれども、誰かがとめなあかんと指摘しています。

 私はかねがね学校における柔道事故を取り上げて、加速損傷やセカンド・インパクト・シンドロームの危険性を指摘してまいりました。

 既に脳しんとう問題に早くから取り組んできた日本ラグビーフットボール協会では、国際ラグビー評議会、IRBの規定に倣って「脳震盪ガイドライン」というものを定めております。IRBのガイドラインでは、選手に脳しんとうが疑われる場合、プレーを続けてよいことになっているか、また、選手の競技への復帰はどのように定められているか、スポーツ・青少年局長、お答えいただけますか。

久保政府参考人 国際ラグビーボード、IRBが定めております「脳振盪ガイドライン」におきましては、「脳振盪の疑いがあるアスリートはすべて、適切な救急対応の手順に従って、ただちにプレーをやめさせること。」となっております。また、受傷した競技者について、プレーをやめさせた後、「その日は」「復帰させてはならない。また、医学的な評価を受けるまで復帰させてはならない。」としております。

 プレーへの復帰については、成人の場合は最低二十四時間の絶対安静、子供の場合は、症状がなくなってから最低二週間はプレーまたはコンタクトを伴う練習を休止することなど、具体的に明示されております。

 さらに、医学的な評価の必要性や競技への段階的復帰プログラムの適用など、慎重な復帰のための方向が定められております。

 また、日本ラグビーフットボール協会におきましては、このIRBのガイドラインに基づきまして、脳しんとうや脳しんとうの疑いがある競技者への対応を適正に行っているものと承知しているところでございます。

宮本委員 IRBの「脳震盪ガイドライン」、ここに持ってきましたけれども、これでは、「脳震盪は、極めて深刻に取り扱われなければならない」、「脳震盪を起こした疑いのあるプレーヤーは、プレーから離れ、その試合に再び参加してはならない。」と明確に定められております。

 私も高校時代、ラグビーをやっておりまして、私の時代などは、魔法の水などと言って、脳しんとうを起こしても、やかんの水をかけてもらうというようなことをやっておりましたが、今日ではそんなことはもう許されない。とうの昔にそんなことはやられていないわけです。

 柔道事故はもちろんでありますけれども、今、羽生選手のこの件をめぐって、学校の部活動などで、羽生選手を見習えというような空気が生まれてこないか心配だという声も寄せられております。

 脳しんとうなど頭部損傷事故の危険性について、スポーツ医学の最新の知見に立って各スポーツ団体に周知徹底すべきだと私は考えるわけですが、スポーツ・青少年局長、その取り組みの状況はどうなっているか、お答えください。

久保政府参考人 スポーツ事故等による脳しんとうの危険性については、関係者も広く一般的には認識しているところだと考えております。

 文部省におきましても、国立スポーツ科学センター、JISSの研究員やドクターなどを含みます有識者会議を設置いたしまして、平成二十四年七月には学校における体育活動中の事故防止に係る報告書を取りまとめまして、その中で、脳への衝撃に対する安全の確保上のポイントや脳しんとうに係る症状等についても言及しているところでございまして、これにつきましては、ことしの三月に映像資料化も行っておりまして、関係団体等に対する周知等も行ってきているところでございます。

 各競技団体に対する脳しんとうの危険性や対策等の周知に関しましては、それぞれが国際団体との連携を図って対策をとってきておられるものという前提で今まで進めてきておりましたけれども、今後、この国立スポーツ科学センターの知見を活用しながら、JOCや日本体育協会とも連携しながら、どういう形の周知が必要か、十分検討していきたいと思っております。

    〔義家委員長代理退席、委員長着席〕

宮本委員 もう一つ、この衝突事故をめぐっては、公式練習の安全対策が後退させられたという指摘があります。

 国際スケート連盟は、グランプリシリーズの公式練習の滑走者を、二〇一一年から三年間、安全上の配慮から一組五人の十人としておりましたけれども、今期から二人ふやして十二人に戻しました。一組六人で滑る分、衝突の危険性が高まったと指摘をされております。

 過去、日本人選手が衝突した事例は、いずれも一組六人による公式練習中でありました。二〇〇八年の全日本選手権では安藤美姫選手と村主章枝選手が接触して転倒、二〇一〇年のグランプリファイナルは高橋大輔選手と小塚崇彦選手が激突いたしました。

 そこで大臣にお伺いするんですが、これ以上の事故や悲劇を生まない、当然でありますけれども、各競技団体に、やはり選手の安全対策を決して後回しにしないように改めて要請すべきだと私は思いますが、大臣の御見解をお伺いいたします。

下村国務大臣 国際競技大会の舞台でこのような事故が起きたことは大変残念であります。

 スポーツ事故の防止に関しては、一義的には各競技団体において注意を払うべき事項でありますが、文科省としても、これまで、スポーツによる脳損傷予防等について、関係団体に対し通知を発出するなど、注意喚起を行ってきたところであります。

 スポーツ事故の防止に向けて、JOCや日本体育協会等とも連携しながら、関係団体等に対する要請等についても検討を行ってまいります。

宮本委員 しっかりとお願いをしたいと思います。

 さて次に、二〇一九年ラグビーワールドカップ大会についてお伺いいたします。

 ラグビーワールドカップは世界の人々から高い社会的、文化的な評価を獲得しているスポーツ大会であり、その活動を国が適切に支援していくことは当然であります。

 とりわけ二〇一九年日本大会は、全四十八試合、九月六日の開幕戦と十月二十日の決勝戦が新国立競技場で行われるのを初め、全国各地の十から十二スタジアムで試合が開催されます。来年三月の開催都市の決定を目指して、現在、東京都を初め十四の地方都市が開催都市に立候補しております。

 その立候補都市の一つに、私の地元大阪の花園ラグビー場があります。正式名称近鉄花園ラグビー場は、大阪府東大阪市の花園中央公園に隣接する日本初のラグビー専用スタジアムであり、一九二九年に開場いたしました。現在は近鉄が所有し、社会人ラグビーリーグであるジャパンラグビートップリーグに所属する近鉄ライナーズのホームグラウンドであります。全国高等学校ラグビーフットボール大会の会場としても有名で、西の花園、東の秩父宮と並び称されてまいりました。

 私も幹事を務めさせていただいているラグビーワールドカップ二〇一九成功議員連盟では、ことし一月二十九日、花園ラグビー場を今後の活動の西の一大拠点とし、ラグビーワールドカップ試合会場とすることを求める決議を行いました。

 そこでお伺いしますけれども、二〇一九年ラグビーワールドカップ大会に向けての近鉄花園ラグビー場の整備計画はどのようになっているか、スポーツ・青少年局長、お答えください。

久保政府参考人 ラグビーワールドカップ大会の試合会場としてラグビーワールドカップ二〇一九組織委員会に対しまして各自治体がどういう開催申請書を提出されたかというその内容については、承知していないところでございます。

 しかしながら、競技施設を所有しておられます近鉄レジャーサービス株式会社から東大阪市が花園ラグビー場を譲り受けることで合意したということについては、組織委員会から伺っているところでございます。

宮本委員 近鉄から譲り受ける、こういう話でありますけれども、実は、無償譲渡は上物だけでありまして、土地は実勢価格で買い取るという計画になっております。

 具体的に土地は一体幾らで買い取るのか、それから、必要とされる耐震補強の費用がどれぐらいになるのか、その後のワールドカップラグビー開催のための整備にどれだけの費用がかかるのか、二〇一九年ワールドカップ大会以降のランニングコストが一体どれぐらいになるのか、このような計画の全容は今明らかになっておりますか。

久保政府参考人 ラグビーワールドカップ大会の試合の開催に向けてさまざまな整備が必要なケースもあると承知しておりますけれども、立候補されたそれぞれの自治体が所有される競技会場の施設に係る経費につきましては、承知していないところでございます。

宮本委員 実はこれは、当の東大阪市議会でも具体的な額というのは明らかになっておりません。

 我が党東大阪市議会議員団は、市が示した花園買い取り案に反対の立場をとりました。しかし、それはラグビーワールドカップ日本大会に反対したわけでもありませんし、花園ラグビー場への誘致に反対したわけでもありません。我が党東大阪市会議員団は、議案への反対討論の冒頭、「我が党は、本市が二〇一九年に開催されるラグビーワールドカップ日本大会の試合会場を花園ラグビー場に誘致することには賛同するものです。」とはっきり述べております。

 しかし、敷地の購入代金や耐震補強や整備の費用、ランニングコストも明らかにならないまま、先に購入を約束するというやり方に対して、到底市民の理解が得られないという理由で反対をいたしました。

 確かに、国会のラグビーワールドカップ成功議連は、国立競技場を東の拠点、花園ラグビー場を西の拠点として整備が必要との決議を行いました。しかし、東大阪市に花園ラグビー場を買い取れとか、所有、運営しろと決議をした覚えはありません。

 そこでスポーツ・青少年局長に聞きますけれども、西の花園、東の秩父宮と並び称されるわけでありますが、東の秩父宮ラグビー場は一体どこが所有し運営しておりますか。

久保政府参考人 秩父宮ラグビー競技場は、独立行政法人日本スポーツ振興センターが所有しているところでございます。

宮本委員 東の拠点と言われる新国立競技場、そして、今答弁のあった秩父宮ラグビー場もまさに国立の組織、国立霞ケ丘競技場の施設ということになります。

 このような巨大な施設を政令市でもない一地方都市が抱え込んだらどのようなことになるか。その典型例が、愛知県豊田市が所有する豊田スタジアムであります。

 豊田スタジアムは、二〇〇二年日韓サッカーワールドカップに向けて愛知県が一九九五年に開催都市に立候補し、豊田市がスタジアムを建設する計画を立てました。しかし、九六年の選考で愛知県は敗れ、誘致に失敗をいたしました。ところが、豊田市はその後もスタジアム建設計画を推し進め、スタジアム単体の建設費だけで三百四十億円もかけて、四万五千人収容、開閉式の屋根までついた豊田スタジアムを建設いたしました。

 しかし、現状は市にとって大変なお荷物になっているということをお伺いいたしました。市の平成二十四年度決算によりますと、スタジアム本体の利用状況は、一年間にサッカーのプロの試合が十一日です。アマチュアの試合が十五日です。年わずか二十六日しか使われておりません。当然赤字でありまして、毎年九億円を超える市財政からの補填が行われ続けております。

 スポーツ・青少年局長、このような実態を承知しておりますか。

久保政府参考人 今おっしゃられたような事態それから経緯につきましては、承知しているところでございます。

宮本委員 経緯は大体承知しておられると。

 それで、ワールドカップを招致してもこのような事態を生み出したのでは、何をしているかわからないと言わなければなりません。花園ラグビー場の計画も、きちんと内容が公表され、しっかり吟味しなければ、この豊田スタジアムの二の舞になるおそれも否定できません。

 私は、豊田スタジアムのような巨大スタジアムは、政令市でもない一地方自治体の市営競技場ということではやはり荷が重過ぎると思うんです。それは、維持、運営に係る費用負担が市町村の財政規模に比べて巨額になるからであります。

 西の花園を一大拠点にと言うのであれば、やはりこれは、高校ラグビーのレガシー、まさに歴史的な遺産でありますから、秩父宮のように、やはり国立で国が責任を持つというのも一つの考えではないかと思うんですが、スポーツ・青少年局長、いかがでしょう。

久保政府参考人 先生のお考えは一つのお考えとしてはわからないでもございませんですけれども、今現在、国立競技場の建てかえ、それからナショナルトレーニングセンターの拡充等さまざまな事業を行っている。この財政状況が厳しいという中でさらに新たな国立の競技場施設を持つということは、難しいと考えております。

宮本委員 確かに、私も国立競技場の建てかえ問題もわかっておりますから、財政的に余裕があるというふうには簡単に思っておりません。

 しかし、レガシーとしてこれを守っていくという点で、私は、これまでの一鉄道会社の所有というだけでもなかなか厳しいというふうに思っておりまして、いかに国が支援するか、国がやはりそういうレガシーを守っていくかというのは、真剣に考えなければならないと思うんです。

 昨日、私、大臣と議論を連合審査でいたしました。二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会等に関する閣僚会議、ここで安倍首相から指示があったということを議論しましたが、この場では安倍首相は、ラグビーワールドカップ二〇一九についても、我が国にとって大きな意義を有するものであり、政府一丸となって準備を進めていく必要がある、こういう御指示があったと聞いております。

 国立にするかどうかは別として、このような自治体の負担をできるだけ減らすために、やはり国が責任を持って支援すべきだと私は思いますけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

下村国務大臣 四月二十二日の第一回閣僚会議で総理が発言されたとおり、ラグビーワールドカップ大会の成功に向けて、政府一丸となって最大限努力していく必要があると考えます。

 試合の開催地は来年三月に決定されることとなっておりますが、候補案は組織委員会が作成することとなっております。

 花園ラグビー場は、開催都市に立候補した大阪府、東大阪市が試合開催会場候補として予定しているところでありますが、まずは、開催地としての要件を満たすよう準備を進めていただくことが重要であります。

 仮に試合会場として選定された場合には、所有自治体東大阪市の要望を伺い、国の厳しい財政状況を踏まえながら、どのような支援が可能か、検討してみたいと思います。

宮本委員 ぜひ国の支援が必要だと思うんです。

 それで、先ほどの豊田スタジアムも二〇一九年ラグビーワールドカップの開催都市に立候補しております。前回の二〇〇二年サッカーワールドカップのときとは違って、今回はもうでき上がっているわけでありますから、有効活用することに私も異論はありません。

 ところが、ワールドカップ組織委員会は、十月十七日、試合が開催されるスタジアムの地元自治体に総額三十六億円の分担金支出を求めるということを発表いたしました。十から十二カ所の開催地を予定していることから考えれば、三十六億円といえば、平均して一カ所三億から四億の負担となります。スポーツ・青少年局長、これは事実でありますか。

久保政府参考人 この七月に開催されました組織委員会の理事会におきまして大会全体の収支計画案が提出されまして、その中で、開催都市分担金として、開催都市に対して総額三十六億円の拠出をお願いすることが承認されたと承知しております。

宮本委員 我が党の豊田市議団からは、自治体が分担金を負担しなくてはならないのなら、今になって告知するのではなく、立候補を募る前に言うべきだとの声が寄せられております。

 これは確認するんですが、この分担金、これは立候補の条件になっているのか、それとも、あくまでお願いベースのことなのか。青少年局長、いかがですか。

久保政府参考人 これは条件になっているわけではございません。

 ただ、昨年十月に組織委員会が公表されましたガイドラインの中で、大会運営のための財務的支援を求めることがあるということを記載されているという状況でございます。

宮本委員 既に豊田スタジアムの建設費に三百四十億円注ぎ込まれております。毎年九億円もの赤字補填が必要になっている開催都市にさらに三億も四億も分担金というのは、確かに大変な負担となります。

 最後に大臣にお伺いするんですが、今回の二〇一九年ラグビーワールドカップはできるだけ開催都市の住民に負担をかけないようにしなければならないと私は思いますけれども、最後に大臣の御所見をお伺いいたします。

下村国務大臣 基本的には、今回の開催都市については手挙げ方式でありますから、それぞれの自治体が責任を持って対応していく必要があると思いますが、しかし、それぞれの自治体が住民の理解を得ることについて、その自治体の責任において適切に対応する必要があるというふうに思います。

 国としては、それぞれの自治体からいろいろな御要望等あれば、それぞれの自治体に応じて、可能な範囲内で、対応できるところはきちっと対応してまいりたいと思います。

宮本委員 ラグビーワールドカップ特措法案は、寄附金付郵便葉書等の特例発行や、国家公務員を組織委員会に派遣することによって、二〇一九年ラグビーワールドカップ大会の準備、運営に資金や人的な面で支援しようというものであり、我が党は賛成であります。

 しかし、その開催計画は適切なものでなければならず、地元自治体に過大な負担を押しつけて、仮にも負のレガシーを残すようなものであってはなりません。しっかりと国として支援するとともに、くれぐれも住民合意のもとに進めることを求めて、私の質問を終わります。

西川委員長 次に、青木愛君。

青木委員 生活の党の青木愛でございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 まず、東京オリンピック・パラリンピック、この招致母体は東京都、そしてラグビーワールドカップは日本ラグビー協会と承知をいたしておりますが、政府はことしの四月に、内閣総理大臣を議長として、全閣僚から成ります二〇二〇年オリパラ東京大会等に関する閣僚会議を設置し、ラグビーワールドカップとの一体的な準備に配慮をしつつ、その円滑な準備に資するよう、行政各部の所管する事務連絡調整を行う協力体制の確立を図ることになりまして、両大会への国の関与が明確になったというふうに承知をいたしております。

 そこで、今後、政府と東京都、そして組織委員会及び日本体育協会やJOC、各種競技団体、また地方自治体等の役割などを明確にしていくシステムの構築が必要だというふうに思われますけれども、現況はどのようになっていますでしょうか。

久保政府参考人 東京都及びJOCは、国際オリンピック委員会から委任を受けまして組織委員会を設立して、大会の準備、運営を進めていくことに責任を有しております。その活動を支えますために、大会組織委員会の基本財産を拠出し、その所属職員を大会組織委員会に派遣しているというのがまずございます。

 大会組織委員会は、東京都、JOC及び国と連携しながら、国際オリンピック委員会、IOCから直接指示を受けまして大会の準備、運営を主体的に進める責務を有している、これが基本でございます。

 政府は、大会の招致に際しまして、国際オリンピック委員会、IOC及び国際ラグビーボードに対しまして広範囲な政府保証を行っておりまして、国としても大会の準備及び運営が円滑に進むように最大限の支援を行いますとともに、スポーツの振興や国際交流の推進といった大会開催の効果を日本全体に波及させていく役割を担っているところでございます。

 このほか、競技団体は、それぞれの競技の実施について、競技施設や競技日程について、大会組織委員会を助けながら国際競技連盟と連絡調整を行いますほか、日本体育協会は、オリンピック・パラリンピックムーブメント推進の役割を担ってございます。

 このような形でさまざまな運動団体、自治体が、すき間なくオリンピック・パラリンピックあるいはラグビーワールドカップの実施に向けた準備をする体制をつくっているところでございます。

青木委員 ありがとうございます。

 それぞれがやりづらくなったり、また、無責任にならないように、適正なシステムの構築をお願いしたいと思います。

 そして、内閣に大会推進本部が置かれまして、基本方針案の作成や基本方針の実施の推進等を所掌事務とすることとなっております。そのために組織委員会の方に国の職員を派遣できるということになっておりますが、ある意味、民間的発想の組織委員会と行政的な派遣職員の皆様との間のコンセンサスを図っていくことが大変重要だというふうに思っております。

 それぞれの立場を対等に尊重し合える、そうしたテーブルに着くという意味から、力強い連携が図れる組織になることを切望しておりますが、そのあたりについての懸念等、何かございますでしょうか。

久保政府参考人 組織委員会への国の職員の派遣につきましては、組織委員会から派遣要請があった場合に、派遣の必要性などを勘案して、職員の同意を得た上で、任命権者が職員を派遣することができるという仕組みになってございます。

 その際の職員の派遣による不要なトラブルを避けますためにも、御指摘のとおり、派遣元である任命権者と派遣先である組織委員会の間で事前に派遣内容に関する合意をしていくことは、極めて重要であると認識しております。

 このため、職員の派遣に当たりましては、派遣職員の組織委員会における勤務時間、報酬その他の勤務条件、業務の内容、派遣の期間、職務への復帰に関する事項等につきまして任命権者と組織委員会の間であらかじめ合意をし、取り決めを行うこととしているところでございます。

青木委員 次に、両大会の競技施設、また、地方への配慮についてお伺いをいたします。

 私の地元であります東京北区にはナショナルトレーニングセンターがありまして、国内のトップアスリートが日々練習に励んでおります。

 ただ、残念ながら北区民と選手との間の触れ合いがほとんどないという状況にありまして、赤羽の商店街や板橋の商店街などでまれに選手に出会えるというお話も聞きますけれども、競技によっては外出禁止になっているところもあるようで、なかなかお会いする機会がありません。

 ことしの九月に開催されましたアジア大会に日本代表として出場した選手の中には、大会会場で多くの観衆や、また、テレビカメラを向けられたということで緊張を否めず、実力を出し切れなかったという声も聞いておりまして、常時開放することもないとは思いますけれども、年に一回、二回とか、観衆が見ている中で試合をしたり演技をしたり、こうしたことも必要なのではないかと考えております。

 このナショナルトレーニングセンターにおける練習公開ですとか、あるいは施設開放など、プレーヤーとサポーターが一体となり得る環境づくりが必要ではないかと感じてはおりますけれども、こうした各競技団体の選手ですとか役員の方からまずは意見を聞いていただきたいというところからお願いをしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

久保政府参考人 ナショナルトレーニングセンターの施設開放につきまして、これまで、競泳プールですとかテニスコート、レストランなどについて、支障のない範囲内で地域の方々への一般開放などを行ってきております。

 ただし、他方で、NTC自体がトップアスリートがメダル獲得に向けて集中的、継続的にトレーニングを行う場所でございますので、JOCを初めとする競技団体の意向を踏まえまして、現時点では選手の練習公開などは実施していないところでございます。

 しかしながら、他方で、JOCとしては、北区主催の小中学生を対象としたアスリートによるスポーツ教室に協力したり、あるいは、体育の日にスポーツ祭りを開催する中で、北区や板橋区、周辺自治体と連携してアスリートとの交流の場を設けているところでございます。

 さらに、現時点で、ナショナルトレーニングセンターの今後の拡充整備方策について検討しております中間報告の中では、拡充整備に当たりまして、トップレベルの競技者のトレーニング環境を見学するツアーの受け入れなどを想定した動線の確保についても工夫すべきと提言されているところでございます。

 このような提言を受けながら、今後、環境整備を図っていくに当たりまして、競技団体等の意見も聞きながら、競技団体等と協力して、周辺自治体との連携にも配慮した形での整備を図っていきたいと考えているところでございます。

青木委員 ありがとうございます。

 ぜひそのような前向きな姿勢でお取り組みをお願いをしたい、まずは意見集約をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 そして、今、国立競技場の建てかえが実はさまざまな波紋を広げておりまして、競技場が建てかえ中、ほかの競技場で各種団体の大会開催をしなければならないという状況があって、そのために、大会開催の日程の変更ですとか、あるいは調整ですとか、種目によっては使用制限などがあって、なかなかスムーズにほかの競技場で大会の開催ができないという声が上がっておりまして、今、利用するスポーツ施設の課題は大変多様になっていると認識をしておりますけれども、その点についてはどのように把握をされていますでしょうか。

久保政府参考人 国立競技場は、これまでさまざまなスポーツ大会や文化イベントの会場として利用されてまいりました。改築のため、本年五月末をもってその稼働を休止したところでございますけれども、かつ、稼働休止の一年半前から日本スポーツ振興センターは、相当前広に、文書によりまして、施設利用者にこういうことがあるということを周知してきておりました。

 その結果、これまで国立競技場で開催されておりましたスポーツ大会等につきましては、各主催者で代替会場をいろいろ検討されておられます。

 例えば、サッカーの天皇杯の決勝は日産スタジアム、ラグビーの全日本選手権決勝は秩父宮ラグビー場、日本学生陸上競技対校選手権、インカレは熊谷スポーツ文化公園陸上競技場など、それぞれの開催会場を確保しておられると承知しているところでございます。

 各主催者の皆様には、しばらくの間は御辛抱いただくことになりますけれども、新しい国立競技場を利用することを目標にさらに頑張っていただきたいと思いますし、もし本当に困っているというようなことが何かおありになれば、文部科学省といたしましても、何らかの対応を検討したいと考えているところでございます。

青木委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 この数年の間で各競技団体の不都合にならないように、ぜひ文科省としてもお取り組みをお願いいたします。

 次に、この両大会に対しまして、これから、地方へのキャンプ地の誘致ですとかプレ大会の開催などさまざまな施策が考えられると思いますけれども、現在の地方財政の現況を考えたときに、新規の建設ですとか建てかえですとか、あるいは運営費など国の財政援助がやはり不可欠だというふうに考えますけれども、具体的にどこの予算を充てていかれるのでしょうか。

久保政府参考人 二〇二〇年東京大会の効果を日本全国に波及させるためには、各国代表選手団の事前合宿あるいは各地域でのスポーツイベントなどのさまざまな取り組みが全国津々浦々で行われることが重要であると考えてございます。

 地域におけるスポーツ施設をその際に整備するに当たりましては、国庫補助あるいはスポーツ振興くじ助成により支援を行ってきております。

 また、国際スポーツ大会や地域のスポーツ大会の開催に当たりましては、スポーツ振興くじ助成あるいはスポーツ振興基金助成により支援しているところでございまして、各地域におきましても、これらの助成、援助を積極的に御活用いただくことを期待しているところでございます。

青木委員 さらに、日本スポーツ振興センターのBIGやtotoの振興くじによる助成も問われてくるかというふうに思うんですけれども、totoの申請システムといいますか申請から決定までの期間など、現況のシステムでいいのかどうか、地方からなかなか使い勝手が悪いという声も上がっておりまして、totoの今後のシステムの再構築についてどのように考えておられるか、伺います。

久保政府参考人 サッカーくじ、スポーツ振興くじの助成につきましては、いろいろな御要望があれば、それを踏まえて新しいあり方なり手続なりを委員会で考えたりはしてきているところでございます。

 具体的に一つ問題があるとするとその時期じゃないかと思いますけれども、国の補助金の場合、予算が通ってから申請を受け付けて交付いたしますので時期が少しずれたりいたしますけれども、スポーツ振興くじの場合は、四月からすぐに事業に使えるようにしております。その反面、前年の十一月から一月まで、少し早目に事業募集を行っておりますので、それを行った上で、外部有識者で構成される委員会の審議を経て翌年四月に交付しておりますので、少し時期が早いので申請が間に合わないというような実例があるかもしれないと思っております。

 したがいまして、こういった通常の手続に加えまして、スポーツ団体等の要望も踏まえまして、平成二十五年度からは、この年度における追加的なニーズに対応できるように、二次募集を七月に行いまして、十月に交付決定が行えるような新たな制度を導入したところでございます。

 今後とも、関係者の意見もよく聞きながら、スポーツ振興くじ助成が団体や自治体にとって使いやすい、よりよいものとなるように努めてまいりたいと考えてございます。

青木委員 ありがとうございます。

 これまでは一月の半ばの申請で決定が四月であったがために、なかなか申請しにくいという声がありました。今のお話では、まずは追加的にということではございますが、七月の申請で十月の交付決定となれば、そこで使えるということでありますでしょうから、まずは前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 続きまして、舛添要一知事が記者会見で競技場等に対する見直しを行う旨の考え方を示しておりまして、オリンピックレガシーとして、ロンドン・オリンピックのその後についても言及されておりました。

 オリンピック終了後のことを踏まえまして、イニシャルコストあるいはランニングコスト、そして施設の活用方法など、今後、オリンピックの終了後にそうした施設をまずはイニシャルコストは国が持つのか地方が持つのか、ランニングコストについてはどうなのか、あるいは指定管理になるのか等々、ある程度の見通しを明確にしていかないとなかなか地方は対応し切れないのではないかというふうに思いますけれども、その辺の見通しはある程度たっておりますでしょうか。

久保政府参考人 オリンピック憲章におきましては、IOCの使命の一つとして、「オリンピック競技大会のよい遺産を、開催国と開催都市に残すことを推進すること。」が挙げられてございます。

 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会のために新たに整備される恒久的な施設につきましては、その施設が大会後も都民、国民の貴重な財産として有効活用されるのかどうかをしっかり検証する必要があると考えております。

 このためには、国内の各競技団体と緊密に連携協力しながら、大会後の利用計画も視野に入れた整備内容としなければならないわけでございます。

 現在、東京都及び組織委員会におきまして、コスト面、大会後のレガシーの観点から会場計画全体の再検討が行われているところでございまして、利用形態等に応じた適切な施設管理体制も考慮をしながら検討が進められるものと考えているところでございます。

青木委員 そうですね、やはり適正な規模の施設ということもあるでしょうし、その後のやはり維持ができるかどうか、また心配の向きもありまして、ぜひ、地方が見通しを持って計画を立てられるように御配慮いただきたいと思います。

 国のスポーツ振興政策として捉えたときに、大会開催がゴールではなくてスタートという意識を強く持つことが大切だと思っておりまして、ぜひ、国策としてのスポーツ振興あるいは生涯スポーツの確立につなげていただきたいと考えております。

 今回の来年度の概算要求の中でレガシーを構築するような予算が見受けられなかったのでございますけれども、二〇二〇年、この大会終了後も見据えての年度ごとの予算づくりということも今後必要になってくるのではないかというふうに考えます。

 例えば、以前にも質問いたしましたが、総合型地域スポーツクラブなど、青少年からトップアスリート、またマスターズ世代まで幅広くスポーツを楽しめる施設環境の充実につなげていくことなど、それぞれの地方また地域が、民間の知恵も取り入れながら、具体的な計画案を事業として提案、実現できるように、政府としても今から考えて取り組むべきだというふうに考えておりますが、その点については何かお考えございますでしょうか。

久保政府参考人 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック、あるいはその前年の二〇一九年のラグビーワールドカップが成功し、あるいは、そのためのいろいろな整備がレガシーとして残ることを考えていろいろな準備をしていく、予算措置をしていくことは大変大事だと思ってございます。

 今後、年度を追ってより具体的な事業を展開していくことになるとは思いますけれども、現時点では、来年度概算要求におきまして、オリンピック・パラリンピック・ムーブメント推進事業ですとか、スポーツによる地域活性化推進事業、あるいは、戦略的スポーツ国際貢献事業、スポーツ・フォー・トゥモロー、こういった事業をスポーツのレガシーとして、箱物というよりはシステム、あるいは世界への貢献という意味でのレガシーを残そうということでとりあえず要求しているところでございまして、引き続き、いろいろなレガシーとなるような事業を検討していきたいと考えているところでございます。

青木委員 最後の質問になりますが、昨年暮れに和食が世界文化遺産に登録をされました。日本の文化のよさが発信されたわけですが、この二つのビッグイベントには世界じゅうから多くの外国人が来日されることと思います。この大会は、日本の文化や芸術、また、物づくりも含めて日本のわざを多数の外国人に知ってもらって、そして理解を深めてもらう絶好の機会にするべきだと考えております。

 大会に合わせた各種イベントの開催や、また、地方にも広く参加を呼びかけて大会を盛り上げる施策をぜひ講じていただきたいと思いますが、最後に下村大臣の御所見をぜひ伺わせていただきたいと思います。

下村国務大臣 おっしゃるとおり、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会、東京一極集中を加速させることなく、また、スポーツと文化の祭典とすることによって、全国津々浦々、今までの伝統行事等を含めて活性化することによって、世界じゅうの人々を日本の文化で魅了するような準備をしていく必要があるというふうに思います。

 そのため、二〇二〇年に向けた、地方自治体等と連携して、全国津々浦々で魅力ある文化プログラムを史上最大規模で展開することを目指していきたいと考えておりまして、そのために、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックに向けた関連イベントであるというロゴマーク、これは来年二月にIOCで認証されれば使えるんですけれども、なおかつ、しかしそれは二〇一六年のリオ・オリンピック以降でなかったら実際使えないということですから、実際スタートできるのは二〇一六年のリオ・オリンピック・パラリンピックの後の話なんですけれども、例えば、来年から横浜はダンス・ダンス・ダンスというのを、これは二〇二〇年オリンピック・パラリンピックに向けた準備イベントとしてということで、ロゴマークがなければ独自に、それはそういうものを主張してされるのは全然問題ないわけです。

 そういうふうにそれぞれの自治体が二〇二〇年をターゲットイヤーとしてやりながら、今までの伝統文化行事、イベントが地域だけで終わっていない、国内からも、あるいは国外からも来ていただけるような、そして御指摘のように、和食を含め、あるいは世界遺産も日本にたくさんあります。こういうことと連動することによって、世界じゅうの方々がオリンピック・パラリンピックをきっかけに日本を訪れるような、観光立国、文化立国も目指してやっていきたいと考えております。

青木委員 そうした事前の取り組みも本当に大事だと思っておりまして、ぜひ、多方面からの御活躍を御期待いたしております。

 質問を終わります。ありがとうございました。

西川委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 最初に、法案とは直接関係はありませんが、また、先ほど少し話題にもなっておりましたが、日本バスケットボール協会の問題について質問をいたします。

 私自身も中学、高校とずっと学校の部活動でバスケットボールをやっておりましたので、この問題、大変危惧をいたしております。

 と申しますのも、国際バスケット連盟から日本のバスケットボール協会は、男子のナショナルリーグ、すなわちNBLとbjリーグが併存しているということで、十月末までに両者を統合するなどが求められております。しかし、残念なことであるんですけれども、両者の合意が得られずに、先日、会長が引責辞任をしたということも報じられております。

 今後、国際バスケットボール連盟は日本のバスケットボール協会に対して恐らく何らかの処分を科すのではないかということも言われておりますし、最悪の場合、どのような処分が予想されるのか、まずお答えいただきたいと思います。

久保政府参考人 今御指摘ございましたバスケット界をめぐる問題は、昨年、今から一年前、平成二十五年の十二月に、国際バスケットボール連盟のバウマン事務総長が日本バスケットボール協会の深津会長代行に対しまして、三点、JBA、日本バスケットボール協会のガバナンス強化、二点目といたしまして男子日本代表チームの強化、三点目として、バスケットボール協会の中にありますNBLと権限外にありますbjリーグが併存している男子リーグの統一、この三点についての課題を指摘されて、当初、ことしの六月までに回答するようにというところが、その後、十月末に延期され、とりあえず十月三十一日付で一定の回答が出されたと聞いてございます。

 ただし、その中身につきましては、満足を得られるものかどうかは疑問でありますゆえに、深津会長が今辞任されて、日本バスケットボール協会の会長が空席になっているという状況になってございます。

 今後、このことを踏まえた、FIBA、国際バスケットボール連盟において何らかの対応を検討されることになると思いますけれども、現段階において、どのような対応がとられるかは不明ではございます。

 ただし、このFIBAの定款等におきましては、仮に制裁を科すとした場合の制裁の種類としては、警告、戒告、資格停止処分等が掲げられてございます。仮に資格停止処分となった場合には、国際競技大会に出場することはできなくなるというわけでございます。

吉川(元)委員 今、資格停止になれば国際大会に出られなくなる、そもそもその資格を失うということになるわけです。来年夏にも始まるリオデジャネイロ・オリンピックの予選、それから二〇一八年のワールドカップ、さらには東京オリンピック・パラリンピックにまで影響が及ぶのではないか、そのような懸念をいたしております。

 これはあくまで国際バスケット連盟が科すものでありますから、予想するというのは難しいことだと思いますけれども、何らかの処分が出た場合に、これは男子のバスケットに限るものなのか、あるいは女子のバスケット、あるいは車椅子バスケット等々も影響が及ぶものなのか、この点についてお答えください。

久保政府参考人 バスケットボールの女子日本リーグは、日本バスケットボール協会、JBAの連盟として位置づけられておりますので、FIBAのコントロールが及びますので、制裁の対象とはなり得る団体でございます。

 他方で日本車椅子バスケット連盟は、国際車椅子バスケットボール連盟、IWBFに加盟しておりまして、FIBA、国際バスケットボール連盟には加盟しておりませんので、制裁の対象とはならないという状況でございます。

吉川(元)委員 合意が近づいている、三分の二ぐらいまで行ったというような話も伺うんですけれども、平成二十五年の一月ということでありますけれども、実は、この問題については大変根が深いのではないかというふうにも思います。

 どうも発端は、二〇〇六年に日本で開催をされた世界選手権、日本のチームは非常に頑張って、残り三分ぐらいまでは、決勝トーナメントに初めて出られるのではないか、私もテレビで応援をしておりましたが、結果的には残念ながら決勝トーナメントには進めませんでしたが、その際に大変大きな赤字を出した。これについて国際バスケット連盟から日本の協会の組織のあり方について不信感を持たれたのではないかというふうにも聞いております。

 さらに、今二つ目の課題としてNBLとbjリーグの統一問題、これ自体が提起されたのも実は二〇〇八年でありまして、今からもう既に六年前のことになっております。そういう意味でいいますと、協会のガバナンスといいますか統治能力、これが強く問われても仕方がないというふうにも感じます。

 先ほど少しお話がありました、最悪の事態にならないように頑張っていただきたいんですけれども、国際大会に出ることができないというふうになりますと、もちろん今現役でバスケットをやられている方も、bjリーグあるいはNBLでやられている方もそうでありますし、今まさに中学、高校で、将来東京オリンピックに出るんだということで部活動に励んでいるそういう子供たちにも、悪い影響、モチベーションの低下も含めて与えるのではないかというふうにも思っております。

 これはあくまで協会が行うということではありますけれども、一刻も早い解決が必要だと思いますが、今後の見通しといいますか、具体的にどのように対応されていこうとしているのか、お聞かせください。

久保政府参考人 この問題につきましては、これまで基本的にバスケットボール界が中心となって取り組んできたというのは事実でございます。

 しかしながら、男子リーグでの統一問題についての結論が出ずに、十月二十三日付でJBAの深津会長が辞任されて会長席が空席になるなど、二〇一六年のリオ五輪や二〇二〇年東京五輪に向け選手強化を図っていくべきこのタイミングに混乱が生じていることは、極めて遺憾に思っております。

 この問題をこのままバスケットボール界だけに任せていては、事態解決の糸口が見出せずに、男子の五輪出場が危ぶまれるのみならず、女子にも影響が及びかねない。日々練習に励む選手に深刻な影響が出ることを危惧してございます。

 この点、下村文部科学大臣も憂慮しておられまして、文部科学省としても、スポーツ界を挙げてサポートするように指示を大臣から受けたところでございます。

 したがいまして、これを受けまして文部科学省としましては、一昨日、今後の対応につきまして、JOC、日本体育協会、トップリーグ連携機構の責任者の方々と会合を持ちまして、情報交換をまず行ったところでございます。

 今後、バスケットボール団体の意見を聴取いたしますとともに、文部科学省として、国際バスケット連盟のバウマン事務総長とも会って、問題意識や改善の方向性について情報収集を行って、具体的な解決策の道筋をつけていきたいと思っております。

 本件の対応に当たりましては、文部科学省といたしましても、アスリートファーストの視点に立ち、JOC、日本体育協会、トップリーグ連携機構を初めとするスポーツ団体と連携しながら、オールジャパンで取り組んでいきたいと考えているところでございます。

吉川(元)委員 ぜひ早い解決を望みたいと思いますし、先ほども言いましたが、選手のみならず、バスケットをやっている子供たち、もちろん、バスケットというのは背の高さが結構大きな勝負の要因を分けるところでありますけれども、それでも、小さいながらでも頑張っている選手もたくさんいらっしゃいます。そういう人たちにとって、オリンピックあるいは世界の大会に扉が開かれているんだというのが、これがやはり大きなモチベーションにもなろうかと思いますので、ぜひ御努力をお願いをしたいというふうに思います。

 あわせまして、下村大臣に少しお聞きをしたいことがございます。

 今回、ナショナルリーグとbjリーグの統一問題が大きな問題となって出ております。これはやはり、企業型のスポーツとそれから地域密着型のスポーツ、これまでのスポーツのあり方が問われるような問題もあるのかなというふうにも思います。

 これは今回の問題ということではなくて、一般的に今後のスポーツのあり方について大臣がどのようにお考えになっているのかをお聞きしたいわけでありますけれども、これまでは日本のスポーツといいますのは、やはり学校での部活動、それからさらには企業、実業団といいますか、それが日本のスポーツを引っ張ってきたんだろうというふうにも思いますし、その意味ではさまざまな貢献があったということは間違いなかろうかというふうにも思います。

 ただ、学校を卒業してしまうとなかなかスポーツに触れる機会がなくなる、また、実業団でいいますと、やはりトップアスリートが入っていきますので、そうではない方々がなかなかスポーツに触れる機会がないというような問題も他方であったかというふうに思います。

 一方、最近でいいますと、サッカーのJリーグが典型だというふうに思いますけれども、地域の代表としてのチームを企業が側面から応援していく、そういう手法も広がりつつあるのかなとも思います。

 どちらもよい面があろうかというふうに思いますけれども、私自身は、やはり老若男女、年齢を問わず、体力に合わせた形での、手軽にスポーツに親しめる、そういう環境を地域の中でつくっていく、そういうことがこれからの行政に求められているのではないかというふうに思いますが、この点について大臣のお考えがあれば、お聞かせください。

下村国務大臣 御指摘のように、全ての国民が生涯にわたりスポーツに親しめる環境を整備すること、健康で活力に満ちた長寿社会の実現や地域社会の活性化につながることからも、大変重要な課題であると考えております。

 文科省におきましては、若者や高齢者、障害者といったそれぞれのライフステージに応じたスポーツ活動の推進、地域コミュニティーの核となる総合型地域スポーツクラブの育成、トップスポーツと地域スポーツの連携による好循環の創出などに取り組んでいるところであります。

 さらに今後は、スポーツ庁ができれば加速されることだと思いますが、地域における、スポーツを通じた健康増進の取り組みによる、超高齢社会の進展に対応した持続可能な町づくり、スポーツツーリズムなど、地域のスポーツ資源を活用した地域スポーツコミッションの活動等への支援を検討しております。

 今後とも、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会の開催も見据え、子供から高齢者、障害者までの誰もが、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツに親しむことができる生涯スポーツ社会の実現に向け、スポーツ立国として環境整備に努めてまいりたいと思います。

吉川(元)委員 ぜひお願いをしたいというふうに思います。

 それでは法案の方の質問に入りたいと思います。

 今回のオリンピック・パラリンピックにおける東京都、それから一般財団法人である組織委員会、そして国の関係についてどのようになっているのか、簡単に説明をお願いいたします。

久保政府参考人 まず、組織委員会は、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会の運営主体として、大会の計画、運営、実行に一義的な責任を持っております。

 また、東京都は、開催都市として、競技会場や選手村の整備を初めとする大会計画や運営準備における支援を行っているところでございます。

 国といたしましては、これらの取り組みを支援するために、セキュリティー、安全安心、輸送、外国人旅行者の受け入れなど、多数の府省庁にまたがります施策を総合的に推進することが求められてございます。

 このようなオールジャパンの体制が、東京大会の開催決定に当たり高く評価されたものと認識しているところでございます。

吉川(元)委員 なぜこのような質問をしたかといいますと、今回、総理を本部長とする推進本部が設置されるわけですけれども、法案の第二条の設置目的のところに、「大会の円滑な準備及び運営に関する施策を総合的かつ集中的に推進するため、」とされております。しかし、この目的に責任を負うべきなのは、国ではなくて、やはり大会を主催する東京都であり、また組織委員会なのではないでしょうか。

 国が円滑な準備や運営を支援する立場というのであれば理解できるのですが、なぜ、推進本部が大会の準備、運営に直接責任を負うかのような書きぶりになっているのか、この点についてお答えください。

下村国務大臣 二〇二〇年東京大会を一過性の行事にとどめることなく、日本全体を元気にし、さらなる発展を目指すための大きなチャンスとして捉えることが重要であると考えております。新たな日本の創造を果たしていくような総合的な対策をオールジャパンで推進していくことによりまして、東京大会の効果を日本全国へ波及させるべきであると考えます。

 今回の東京大会は、前回のオリンピック時とは比較にならない規模で来日外国人やパラリンピアン等への対応が必要となり、さらに、前回には存在しなかったサイバーテロ対策や文化プログラムの実施等、開催に向けて対応すべき課題が極めて複雑化、高度化、多様化しており、東京都や組織委員会からも国の対応が求められているところであります。

 このような背景を踏まえ、限られた期間に開催準備を政府として適切に推進するためには、国において速やかに東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部を設置し、万全の対応をとる必要があると考えているところであります。

吉川(元)委員 次に、組織委員会に今回は国の職員を派遣するということでありますが、従来、このようなケースの場合は一旦退職をして出向するという形だったと思いますが、今回、身分は国の職員としてそのままで派遣をするということになっております。これによってどのようなメリットが生じるのか、お聞かせください。

久保政府参考人 今回の制度設計に当たりまして、国家公務員の身分を有したまま組織委員会に派遣できるようにしたことによりまして、まず、大会の準備や運営を国が積極的に支援するという姿勢を示すことができるというのが一点でございます。

 二点目といたしまして、退職出向であれば、出向元と出向先の業務は全く関係なくても出向できるわけでございますが、今回は、組織委員会と政府関係機関とのより密接な業務であるからこそ、派遣できるという形を示すことによりまして、より密接な連携体制をシステム上も構築して、一体的に取り組むことができるようにすることを制度上も整備したわけでございます。

 また、派遣形式の場合のさらなるメリットといたしまして、国家公務員の身分を有したまま組織委員会の業務に従事することとなりますために、国家公務員法や国家公務員倫理法の適用対象となりますため、信用失墜等の行為を防止する観点から適当であること、さらに、東京都の職員は、退職出向ではなく、東京都の職員の身分を有したまま組織委員会へ派遣されておりますので、これとの制度の均衡がとれることなどもメリットとして挙げられるところでございます。

吉川(元)委員 関連してですが、組織委員会へ派遣される職員、法案を読んでおりますと、これは給与ではなく報酬を得ることというふうになっておりますが、この報酬について、「派遣前に従事していた職務及び組織委員会において行う特定業務の内容に応じた相当の額が確保されるよう努めなければならない。」要するに、派遣前の給与水準を報酬として確保するように努力してくださいという書きぶりになっております。

 同様に、手当についても派遣前の「百分の百以内を支給することができる。」という規定で、これも義務にはなっておりません。

 なぜ、派遣前給与水準の確保が義務ではなく努力義務、できる規定にとどまっているのかについての説明をお願いいたします。

久保政府参考人 今回の制度に当たりまして派遣職員の給与は、派遣を受けた側、組織委員会が支払うということが前提になっておりますので、この支払い義務を任免権者に課するというわけには制度上できなかったという点がございます。

 他方で、組織委員会自体に相当額の報酬の支払いを直接義務づけますことは、自主財源により運営される一般財団法人である組織委員会の自主性を尊重する観点から、適当でないとされたことがございます。

 したがいまして、直接給与を支給することが前提にならない任免権者の努力義務という形で規定いたしまして、組織委員会との間の取り決めにおいて、報酬額等の額を定める際に相当な額となることを確保するように努めることとしたところでございます。

吉川(元)委員 まだもう少し質問はありましたが、時間が来ましたのでこれで終わります。

西川委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

西川委員長 これより両案について討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。宮本岳志君。

宮本委員 私は、日本共産党を代表して、平成三十二年東京オリンピック競技大会・パラリンピック競技大会特別措置法に反対の立場から討論します。

 二〇二〇年の夏季五輪の東京招致について我が党は反対してきましたが、昨年九月七日にIOC総会で東京開催が決定した後はIOC総会決定を尊重し、スポーツを通じて国際平和と友好を促進するというオリンピック精神の実現に努めると同時に、東京招致については内外からさまざまな不安と疑問の声が出されており、無条件の信任ではないという立場で臨んできました。開催計画の見直し、新国立競技場の建てかえのありようなど、国民、都民の生活や環境と調和のとれた、簡素で無理のない取り組みとすることが強く求められています。

 本法案は、二〇二〇年の東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会開催のため、国家公務員の組織委員会への派遣、競技施設として使用する国有財産の無償使用などを可能にしています。この部分については、これまでもオリンピック大会、サッカーワールドカップ大会において同様の内容を特別措置法で定めており、大会への資金、人的、物的な支援として必要なことであり、特に問題とはなりません。

 ところが、本法案は、これまでの特別措置法とは違って、上記の措置に加え、内閣に全大臣が構成員となる推進本部を設け、基本方針を定めるとともに、内閣法を改正し、二〇二〇年度末、二〇二一年三月三十一日までの間、国務大臣を増員し、専任の担当大臣を置くとしています。

 安倍内閣は、既に閣議決定により全大臣が構成員となる閣僚会議を設置し、昨年九月から担当大臣も任命しています。質疑でも明らかにしたように、安倍内閣は、オリンピック開催を、世界に日本を発信する最高のチャンス、我が国が活力を取り戻す弾みとなると位置づけており、さらには、輸送手段の整備と称して東京外郭環状道路など三環状道路の整備を挙げ、オリンピックを好機として大型公共事業などを推進していくことが議論されています。

 本法案で、推進本部を設置し、基本方針の策定を法律で位置づけ、大臣を増員してまで専任の担当大臣を配置することは、オリンピックを名目とした都市再開発や大型公共工事の推進、投資など、成長戦略をより強力に推進する体制をつくろうとするものにほかなりません。

 オリンピックを成長戦略に位置づけるやり方は、オリンピック精神に照らしても、また、簡素で無理のない取り組みを求める国民や都民の声にも逆行するものと言わざるを得ず、賛同することはできません。

 なお、平成三十一年ラグビーワールドカップ大会特別措置法案については、大会準備、開催への必要な支援であり、賛同することを申し添え、討論を終わります。

西川委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

西川委員長 これより採決に入ります。

 まず、内閣提出、平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

西川委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

西川委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、冨岡勉君外六名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、維新の党、公明党、次世代の党、生活の党及び社会民主党・市民連合の七派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。菊田真紀子君。

菊田委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法案に対する附帯決議(案)

  政府及び関係者は、次の事項について特段の配慮を行うべきである。

 一 新設される東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当大臣(以下「担当大臣」という。)については、文部科学大臣等との職務分担が適切なものとなるよう留意し、大会の成功に向けて、政府全体の適切な連絡調整に努め、大会準備の着実な推進に向けて努力すること。

 二 担当大臣を置くことに伴い、東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部の体制整備に当たっては、行政改革の推進の観点から、簡素で効率的な体制とするよう努力すること。また、同本部の活動の必要性がなくなった場合においては、平成三十三年三月三十一日の期限を待たず、早期に活動を停止すること。また、専任の担当大臣を発令する必要性がなくなった場合においても、発令を早期に終了すること。

 三 新国立競技場の建設に当たっては、大会後の高稼働率が確保できるよう、来場者数の試算や施設利用計画の策定を客観的かつ具体的に行うとともに、周辺環境の整備に努め、建設工事に係る入札の透明性を確保することにより、その建設の必要性について、幅広く国民の理解を得られるよう努力すること。

以上であります。

 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。

西川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

西川委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。下村文部科学大臣。

下村国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

西川委員長 次に、平成三十一年ラグビーワールドカップ大会特別措置法案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

西川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

西川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十五分散会


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