衆議院

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第6号 平成28年4月27日(水曜日)

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平成二十八年四月二十七日(水曜日)

    午前八時三十分開議

 出席委員

   委員長 谷川 弥一君

   理事 青山 周平君 理事 池田 佳隆君

   理事 石田 真敏君 理事 木原  稔君

   理事 山本ともひろ君 理事 太田 和美君

   理事 長島 昭久君 理事 浮島 智子君

      赤枝 恒雄君    安藤  裕君

      石原 宏高君    岩田 和親君

      尾身 朝子君    大見  正君

      門山 宏哲君    神山 佐市君

      菅家 一郎君    工藤 彰三君

      小林 史明君    櫻田 義孝君

      下村 博文君    田中 和徳君

      谷川 とむ君    豊田真由子君

      福井  照君    船田  元君

      古川  康君    宮路 拓馬君

      逢坂 誠二君    菊田真紀子君

      郡  和子君    坂本祐之輔君

      鈴木 義弘君    平野 博文君

      松田 直久君    笠  浩史君

      國重  徹君    吉田 宣弘君

      大平 喜信君    畑野 君枝君

      伊東 信久君    河野 正美君

      吉川  元君    松本 剛明君

    …………………………………

   文部科学大臣       馳   浩君

   国務大臣

   (東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当)       遠藤 利明君

   文部科学副大臣      冨岡  勉君

   文部科学大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    豊田真由子君

   政府参考人

   (内閣官房新国立競技場の整備計画再検討推進室総括審議官)         中川  真君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      山下  治君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          小松親次郎君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            常盤  豊君

   政府参考人

   (文化庁次長)      中岡  司君

   文部科学委員会専門員   行平 克也君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十七日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     菅家 一郎君

  鳩山 邦夫君     田中 和徳君

  古川  康君     岩田 和親君

  古田 圭一君     宮路 拓馬君

  松田 直久君     鈴木 義弘君

  笠  浩史君     逢坂 誠二君

  伊東 信久君     河野 正美君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     赤枝 恒雄君

  菅家 一郎君     神山 佐市君

  田中 和徳君     鳩山 邦夫君

  宮路 拓馬君     古田 圭一君

  逢坂 誠二君     笠  浩史君

  鈴木 義弘君     松田 直久君

  河野 正美君     伊東 信久君

同日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     古川  康君

    ―――――――――――――

四月二十六日

 国立大学法人法の一部を改正する法律案(内閣提出第三五号)(参議院送付)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国立大学法人法の一部を改正する法律案(内閣提出第三五号)(参議院送付)

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

谷川委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房新国立競技場の整備計画再検討推進室総括審議官中川真君、文部科学省大臣官房文教施設企画部長山下治君、初等中等教育局長小松親次郎君、高等教育局長常盤豊君及び文化庁次長中岡司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

谷川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。菊田真紀子君。

菊田委員 おはようございます。民進党の菊田真紀子でございます。

 きょうは朝八時半からということで、委員長を初め両大臣、そして委員の皆様、大変御苦労さまでございます。

 まず最初に、平成二十八年熊本地震災害に関して質問いたします。

 震災対応、被災者支援に与党も野党もありません。主義主張を超えて、全党一丸となって迅速に対応していかなければならないと考えます。我が党は、先週、現地に視察団を派遣するとともに、二十三日の土曜日には岡田代表が現地を視察し、被災地の現状をつぶさに把握するとともに、被災された多くの方々から切実な要望をお聞きしました。我々は、政権与党としてあの過酷な東日本大震災を体験し、さまざまな経験、教訓がありますので、一日も早い被災地の復旧復興のために政府への協力は惜しみません。

 昨日、我が党の岡田代表を初め、野党八党の党首が総理官邸で安倍総理と面会をしました。安倍総理から、今回の地震に対しては補正予算で対応したいという話があったと聞いております。岡田代表は、熊本地震に対応する補正予算案の成立に協力することを表明した上で、特に、避難されている方々で、高齢者、子供、妊婦などへの対応を最優先でお願いしたいと要望しました。

 今後、我が党として具体的な提案をしていくことになりますが、政府としてしっかりと受けとめ、対応していただきたいと考えます。

 これは通告にございませんけれども、馳大臣の見解をぜひお聞かせいただきたいと思います。

馳国務大臣 改めて、犠牲になられた方また被災者に、お悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。

 こういう緊急の事態でありますから、協力をして、私も大臣という立場で、被災地の実情をお聞きしながら、速やかな対応をしていきたいと思います。また、補正予算の編成等に当たっても、また御協力を賜りますようにお願い申し上げます。

 以上です。

菊田委員 ありがとうございました。

 昨日の新聞報道では、熊本市の幼稚園や学校などを対象に熊本市が実施をした応急危険度判定で、千二百六十七棟の建物のうち百三十四棟の校舎などが危険と判定されたと報じられています。被害の大きい地区におきましては、全ての校舎が危険と判断され、校舎全体が使用禁止となった学校もあるとの報道でした。

 文科省はこれまで学校施設の耐震化を推進しており、昨年四月一日現在の熊本県の公立小中学校の耐震化率は九八・五%、耐震化率の全国順位は十二位と、全国平均よりも上位になっていました。

 耐震化工事が完了していたのに危険と判定され、使用禁止になってしまった学校施設は熊本県内に何校あるのでしょうか。どのように分析されておられるでしょうか。まだ全体については把握できていないとは思いますが、わかる範囲でお答えいただきたいと思います。馳大臣にお伺いします。

馳国務大臣 熊本市が行った応急危険度判定において危険とされた百三十四棟の学校施設のうち、構造が原因で危険と判定されたものは六棟であります。残りの百二十八棟は、落下物の除去や一部通行どめ、一部教室等の使用禁止などの応急措置を講ずれば、学校施設全体は利用可能であると聞いております。

 また、今般の熊本地震において、震度七クラスの地震二回を含む九百回を超える余震が続く中、今なお校舎や体育館の倒壊や崩壊が一棟も出ていないことは耐震化の成果であったと考えております。そうはいうものの、天井やガラスなど建物の一部に破損が生じるなど、物的な被害の報告を受けておりますので、文科省としては、今後とも、構造体及び非構造部材の耐震対策に努めてまいりたいと思います。

菊田委員 熊本県内では、十万人を超える児童生徒が現在授業を受けられない状況にあるとの報道がありました。子供たちも相当心身ともにストレスや不安が募っていると思いますし、ぜひ安全を確保した上で、一日も早く児童生徒が学校に通えるように、授業が再開できるように全力を尽くしていただきたいと要望いたします。

 続きましての質問でございます。

 きょうは資料を配らせていただいております。お手元の資料をごらんください。

 これは、NHKのニュースウエブサイトにある「二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック関連ニュース」のトップページをコピーしたものであります。四つ段落があります。一から三段落までは誰が見ても事実だと思うんですけれども、四番目の段落は事実かどうか。

 読んでみます。「五年後のオリンピック・パラリンピックに向けて組織委員会が準備や運営に必要な費用を試算したところ、およそ一兆八千億円と当初の見込みの六倍に上り、組織委員会の財源だけでは大幅に不足することが分かりました。」こういうふうに堂々と書いてあるわけでございます。

 先週の当委員会で、私は東京オリンピック・パラリンピックにかかる経費について質問いたしましたが、遠藤大臣は、「現在、組織委員会において、東京大会成功に必要な業務の全ての洗い出しを行っているところ」であり、「現時点において、東京大会全体に係る経費についてお示しすることがまだできません」と答弁をされました。

 遠藤大臣、NHKのこのウエブサイトについて承知をされておられたでしょうか。この内容は事実ではありませんよね。事実でないことを公共放送であるNHKがこのように掲載することについてどう思われるのか、抗議ないし削除要請されましたでしょうか、お聞かせください。

遠藤国務大臣 お答え申し上げます。

 御指摘のウエブサイトに掲載されております記事は、昨年十二月にNHKが報道した内容であると受けとめておりますが、当時、組織委員会は、NHKの報道に対し、現在、二〇二〇年の大会に向けた経費の精査を行っている最中でありまして、現時点で確たる数字を我々は持ち合わせておりませんと発表をしております。

 開催費用については、現在、今委員御指摘のように、組織委員会において、東京大会成功に必要な業務の全ての洗い出しを行っているところでありまして、大会開催経費の見直しについて、ことしの夏ごろにはIOCと調整できるよう作業を進めているところであります。

 今御指摘のNHKにということでありますから、それを精査して検討してみたいと思います。

菊田委員 東京オリンピック・パラリンピックの全体の経費、予算が一体どれぐらいかかるのかということは、国民にとっても、また私たち国会にとっても大変重要なことであります。慎重に、でたらめな数字が表に出るようなことがあってはならないというふうに思うわけでありますけれども、遠藤大臣、十二月二十五日の記者会見で、既にこのことを記者さんから質問されておられます。

 そのときに大臣は、今おっしゃったように答弁をされております。ちょっと読んでみますけれども、「今回、どこからその数字が出てきたか分かりませんが、少なくとも組織委員会できちんと精査して出した数字ではないということでありますから、そのように思っております。」というふうに記者会見の中で述べられているんですね。それが十二月二十五日。今、一体何月何日でしょうか。

 こういうものがやはりひとり歩きするのは私は非常にまずいというふうに思っていますし、これを見れば、あれ、もしかしたらこの数字が本当なのかなというふうに誤解を招くと思います。すぐに対応すべきだというふうに思います。いかがでしょうか。

遠藤国務大臣 今御指摘いただきました、このきのうのウエブサイトを私は見ておりませんでしたが、今御指摘がありましたので、すぐ検討させていただきます。

菊田委員 ありがとうございました。

 聖火台について伺います。

 オリンピックの灯火が遠くギリシャから継走を重ねてメーンスタジアムに到着し、最終走者が聖火台に火をともす情景というのは、誰もがなれ親しんだ感動の瞬間です。それなのに、なぜ聖火台の設置が新国立競技場の建設計画に入っていなかったのか、私は理解に苦しみます。

 遠藤大臣がこのことを知ったのはいつでしたか。馳大臣はどうでしょうか。

遠藤国務大臣 新国立競技場に設置される聖火台について、従前計画においては、二〇一九年ラグビーワールドカップまでに完成する前提でありましたので、聖火台を含め二〇二〇年東京大会のために必要な追加工事、いわゆるオーバーレイ工事と申し上げますが、これを組織委員会が検討し、実施する方針でありました。したがって、ザハ案時には、従来の計画でありますが、ザハ案時には聖火台に関する計画、予算積算は措置しておりませんでした。

 白紙撤回後の新整備計画では、当初は二〇二〇年春の完成見込みであったために、二〇二〇年東京大会時に必要な追加スペックを、組織委員会からの要望に基づき、設計段階から盛り込むこととしたために、例えばオリンピック時のカメラ取材の場所となるモートなどについては、事業者からの技術提案にもしっかりと含まれることとなっておりました。

 しかしながら、聖火台については、開・閉会式のセレモニーとも密接に関連する事柄であったために、セレモニーの内容が決まっていない設計段階では対応困難との理由などにより、事務的にはいろいろな議論はしておりましたが、技術提案の要求水準に盛り込むことは見送られ、後日検討する課題として整理されてきたものであります。

 ですから、私たちも、そうした事務的な議論についてはされていることは承知をしておりますが、少なくとも、将来のこのセレモニーの内容が決まっていない段階で明示することは難しいということで判断をしておりました。

馳国務大臣 遠藤大臣と同様であります。

菊田委員 従来の答弁ですよね。新国立競技場の建設計画に入っていなかったのは承知をしていて織り込み済みだった、こういうことであります。

 JSCは、昨年九月の競争入札の際に、競争加入業者から次のような質問を受けていました。これは資料としてお配りをいたしております。「新しい聖火台は必要でしょうか。」という質問をしているわけであります。それに対して、JSCは、「新しい聖火台工事は本事業の対象外です。」と回答しています。

 JSCは、なぜ聖火台工事を本事業の対象外としたのでしょうか。先ほどの答弁になると思うんですけれども、対象外とすることについて、誰の判断で決めたのか、組織委員会に確認をしたのか、この二点について確認をさせてください。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 聖火台の取り扱いにつきましては、先ほど遠藤大臣及び馳大臣から御答弁があったような整理になっておりましたので、今お尋ねの質問を事業者から受けました際も、このような整理に基づいて、JSCにおいて、聖火台工事は本事業の対象外というふうに回答したものでございます。

 なお、この回答内容につきましては、回答するに際しまして、組織委員会にも事前に確認をしているところでございます。

菊田委員 組織委員会に事前に確認をしたということであります。

 この件に関して最初に報道があったとき、組織委員会の森会長は、一番悪いのは馳浩、資金を集めて住宅をつくったら家の中にトイレや風呂がなかったということと、責任転嫁のような発言をされました。

 しかし、JSCは、昨年九月の時点で組織委員会に確認をとったと今御答弁がありました。聖火台については、確認をとった上で対象外としたのです。そして、先ほどの両大臣の答弁でも、聖火台の設置が整備計画に入っていなかったというのはもとより承知をしている、織り込み済みだったということがわかりました。

 ならば、なぜ組織委員会の森会長はこのようなコメントをされたんでしょうか。

馳国務大臣 菊田委員も、森会長と私の関係を御存じだとは思いますが、やはりJSCを所管しているのは文部科学省であり、文部科学省の馳大臣が、要はこの聖火台を今後どうしていくか、しっかりとグリップしておくべきだ、こういうふうな思いで、独特の言い回しでこういう主張をされたんだと思っております。

 したがって、私も遠藤大臣も聖火台の問題についてはもちろんよく知っておりましたが、今後の進め方において、やはり後からマスコミ等で問題とされないように早目早目に事務的に物事を詰めていくべきではないか、こういう問いかけが真意でありますが、それを森喜朗流に言うとこうなる。

 以上であります。

菊田委員 時間が来ましたので、残念ながらこれで質問を終わりますけれども、とにかく、よもやお粗末なミスで国民負担がふえるようなこと、あるいは計画が変更されるようなことがないように、しっかり対応していただきたいというふうに思っております。

 冨岡副大臣、また時間がなくなって済みませんでした。また改めてお願いをさせていただきたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

谷川委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 本日は、代替教諭の確保等々について質問をさせていただきたいと思います。

 まず初めに、現在、公立学校教職員の中で病気等々で休職されている方の数、恐らく八千人を超えているんだろうというふうに思います。加えて、育休あるいは産休を取得されている教員の方々もいらっしゃると思います。これら比較的長期にわたる病気休職者や産休、育休を取得する教諭のかわりに代替教諭の確保が必要になるというふうに思います。

 そこで、まず数字をお伺いしたいんですけれども、状況をお伺いしたいんですけれども、適正にこれは確保されているのかどうか、現状についてお聞かせください。

小松政府参考人 教員の配置につきましては、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律に基づいて教職員の配置が行われております。この標準を踏まえまして、任命権者がその権限と責任において、適材適所ということも含めまして、その観点から教員人事上の措置を講じているというふうに考えております。

 ただ、実際のそれぞれのケースにおいては、代替教員の配置に時間を要するというようなケースが生じるというふうなこともあり得ると考えております。その場合、校内での時間割り調整や、管理職や教務主任による授業代替などの取り組みが行われていると理解をいたしております。

吉川(元)委員 実際、そういうことがたくさんあろうかというふうに思います。

 それで、関連して、もう一つ確認させていただきたいんですけれども、教員で定年退職、あるいは定年前に退職される方もいらっしゃるかと思いますが、現在、免許は更新制ということになっております。免許の有効期間が終了した場合、あるいは旧免許状の場合には修了確認期限の過ぎた場合には免許は一体どうなってしまうのか。実際にそれによって免許を、失効といいますか、定年前に、あるいは定年でやめられて、免許が失効されてしまった方は毎年どのぐらいいらっしゃるんでしょうか。

小松政府参考人 御指摘のとおり、教員免許更新制におきましては、現職教員が更新講習を受講して修了しないまま修了確認期限を経過いたしますと免許が失効することになります。

 これによりまして免許状が失効した現職の教員の数、把握しております最近の三年間で申し上げますと、平成二十四年度で百二人、平成二十五年度で六十人、平成二十六年度で四十七人となっております。

吉川(元)委員 なぜこういうお話を聞いたかといいますと、先ほど、それぞれ時間のかかるケースがあるというお話がございました。実際、非常に時間のかかる、もう代替教員が見つけられないという事態が実際に起こっております。

 特に今、学校教育の現場においては、いろいろな長時間労働が問題になっております。部活の問題が最近いろいろ話題になっておりますけれども、そういう中で、過労によって倒れる方もいらっしゃいます。その後、教育委員会で一生懸命探すんですけれども、見つからないことが結構あるんですね。これは小中高いずれもです。

 そうなりますと、これは現場の教員から見ますと、やはり一人欠けてしまうと物すごく大変になりますから、自分たちでも探すんです。自分たちで探す場合には、それは教育委員会のように名簿を持っているわけではありませんから、かつての同僚、一緒に働いた同僚、あの先生、たしか定年前、あるいは退職してすぐで、恐らく今は何もやっていないから、あの先生にちょっと声をかけてみようということで声をかけたところ、いや、ごめんなさい、免許が実は切れちゃっているんだという話が、実際にこれはケースとして存在をいたします。

 そうなりますと、結局、欠けたままの状態、非常勤講師のような方に入ってもらう場合もありますけれども、やはり代替教員ではありませんから、時間の持ち分だとか、あとはクラスの担当、クラスを持つ、持たないということも含めまして、残った先生方に物すごく過重な負担がかかって、それがまたさらに、過労によって教員が倒れる、こういう悪いドミノ倒しのようなことも実際に起こっております。

 そう考えた場合、いわゆる免許の更新制、私自身は免許の更新制自体、反対ではありますが、少なくとも、退職をされた方についての、先ほど数のお話も聞かせていただきましたが、このあり方について、何らかの検討が必要なのではないかというふうに私は思います。

 実際に、定年前でやめられた方というのは、ベテランの方がたくさんいらっしゃいます。そういう意味では、生徒指導も含めまして十分な経験を持っておられる方が、免許のこの制度によって戻ってこれない。それは生徒にとっても、子供たちにとっても不幸なことなのではないかというふうにも思います。

 このあたりの、免許の更新のあり方について、何がベストなのかというのは、私自身も、これがベストだというものがあるわけではありませんけれども、何らかの検討というのはやはり必要なのではないかと思いますが、大臣のお考えをお聞かせください。

馳国務大臣 私は、免許更新制度は免許更新制度、そして、おっしゃるように、代替教員を確保するのは、これは人事上の問題でありますので、これは人事上の問題として、少し次元を分けて整理する必要があると思っています。

 それで、具体的にお伝えいたします。

 現在、各自治体などにおいて、各地域の実情を踏まえて、教員確保のためのさまざまな工夫が講じられております。三つほど申し上げます。多くの都道府県においては、公立学校における臨時講師などの任用希望者をあらかじめ登録する仕組みを設けているということ。二つ目は、幾つかの都道府県私立中学高等学校協会においては、私立学校の教員採用希望者をあらかじめ登録する仕組みを設けていること。あるいは、ほぼ全ての都道府県で、定年退職後の再任用の基準を設け、再任用を希望する教員を募っていること。

 こういった工夫が、現場で日々起こるさまざまな状況に対応できるように、適切に運用されることが重要であると考えております。

 文科省としては、こういった全国それぞれの取り組みを情報として共有できるように、さまざまな機会に周知を図ってまいりたいと思います。

吉川(元)委員 適切に運用されていれば、先ほど言ったような事例は発生しないんですね。実際に発生をしてしまっている。この点については、私は、やはり何らかの検討が必要なのではないかということを指摘させていただきます。

 次に、教員の方々の生活、業務にかかわる問題ですけれども、異動の問題であります。

 最近は広域の異動も小中でもふえてきておりまして、しかも、これはそれぞれの県の教育委員会、市の教育委員会によって違うのかと思いますが、異動の直前にならないと内示が出ない。

 しかも、若いうちにいろいろな教育現場、大規模校から小規模校を含めまして、いろいろ経験することは必要だと思いますし、また、僻地や離島での教員の確保ということも必要でありますから、一定の異動というのは当然あろうかというふうに思います。

 ただ、最近はなかなか教員、大学を出てすぐ通るところもありますし、通らないところもあります。何年も臨時をやりながらようやく教員になれた、そのときはもう二十代の半ばを過ぎている。その後にあちこちに異動するとなると、結婚して、出産をして、子育てをするといったときに、例えば、保育所の問題が最近いろいろ議論されていますけれども、どこの保育所に入れていいのかがわからない。

 そういうことも含めまして、やはり教員の異動というのが教員のワーク・ライフ・バランスにいろいろな影響を与えているというふうにも感じております。実際に私が聞いたところでは、やはり出産、子育てに非常に支障が出てきているというお話も実際の教員の方から伺いました。

 これらの点についてどのような認識をされているのか、大臣に伺います。

馳国務大臣 まず結論から先に申し上げますけれども、この人事配置については、任命権者である各都道府県の教育長に対して、適切な配置ができるように、状況に応じて配慮するように伝えていきたいと思います。

 現状を、ちょっと四例ほど申し上げます。

 北海道は、育児休業から復職する職員については、一般的には所属校が家庭の状況等を理解していることから、原則としてもとの所属校に復帰させる。育児休業から復職する教職員が異動を希望した場合には、病院や保育園がある地域への異動となるように配慮している。

 東京都は、管理職選考の合格者のうち、育児や介護などの事情がある者については昇任猶予期間を設定する。

 鹿児島県は、妊娠がわかった場合に、母体保護の観点から異動をとめることもある。また、離島への異動についても、本人がみずからの希望する病院や保育所などがあるかどうかを確認し、その上で本人の意見を聞いている。

 どうも、やはりそれぞれの都道府県で、教育委員会では、事前にも事情を聴取し、また、妊娠等は急に判明することもまあまあありますから、その時々に応じて意見を聞いた上で配慮しているということでありますので、こういう事例を、各都道府県で取り組んでいるということを全国の都道府県教育委員会に周知をしてまいりたいと思います。

吉川(元)委員 ぜひ、全国の都道府県の教育委員会の方に、今の事例も含めまして、周知の方をよろしくお願いしたいというふうに思います。

 私、総務委員会にも所属をしておりまして、総理に質問する機会がありました。その際に、同一労働同一賃金について質問させていただいた際に、民間についてはそうだけれども公務員については別物というような答弁が実は総理の方からされて、大変がっかりしたわけですけれども、政府は、女性活躍あるいはワーク・ライフ・バランスの必要性、大変指摘をされております。だとすれば、民間や公務員、大企業と中小企業、あるいは正規と非正規、こういう垣根はもうなくして、働く人全てに適用されなければ私は意味がないのではないかというふうに思います。

 今ほど、公立学校の定期的な異動のお話もさせていただきましたが、教員の方々にもワーク・ライフ・バランスはしっかりと適用されるべきだというふうに思いますが、この点についての大臣のお考えを伺います。

馳国務大臣 私の地元石川県は、育児などになるべく支障が生じないように自宅から通勤可能な範囲での異動となるよう配慮とか、夫婦共働きの教員の場合には同居が可能な地域への異動となるよう配慮、あるいは夫婦同時異動の場合もある、こうありまして、本当に、ワーク・ライフ・バランスに人事権者が配慮しなければ働き続けられませんよ。ましてや、八時、九時、十時と業務が多い中で、たまったもんじゃありません。

 したがって、こういう事例を実際にやっているということを踏まえて、このよい事例を全国の教育委員会、人事権者に伝えていきたいと思います。

吉川(元)委員 時間が来ましたのでこれで終わりますが、しっかりと周知の方、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

谷川委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 おはようございます。民進党の鈴木義弘です。質問の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。

 時間が少ないので、すぐに質問に入りたいと思います。

 最近はほとんど聞かなくなったエンゲル係数という言葉があるんですけれども、生活が豊かになるにつれてエンゲル係数が下がっている現状の中で、最近では、家計の支出の割合で、ウエートを占めているのが、居住費と教育費が高いというふうに言われています。

 文部科学省のホームページでも、「家計負担の現状と教育投資の水準」と題した資料の中にも、家計負担の現状が示されています。かかりますね。幼稚園から大学まで私立を卒業すると約二千三百万、全て公立でも約九百四十万ぐらいかかるというふうにホームページで文科省が出している。私も、高校、大学は私立だったので、親のすねをかじって大きくなったんですけれども、子供の将来の教育にお金がかかること、四五・八%、少子化対策で特に期待する政策、子育てや教育にお金がかかり過ぎるから、八三・五%という、アンケート、世論調査の結果が掲示されています。

 日本の教育にかかわる基本の考え方を変える時期が来ているんじゃないかと私は思っています。

 十八歳に選挙権が付与されたのですから、今、現行で九八%を超える中学卒業生が高校に進学している状況ですし、高校までは親が面倒を見るとしても、しかし、大学、大学院以上は、親が資金提供して面倒を見るというふうな今の風潮を、個人が自己責任において教育を受ける制度に改めていった方がいいんじゃないかということですね。親がお金を出すことから、本当に勉強をしたい、勉強するために大学に進学する制度につくり直す、そのためにさまざまな環境を整備していった方がいいじゃないかという考え方です。

 今、奨学金を拡充する話が話題に上がっていると思うんですけれども、これも、過去に都道府県でも奨学金を出している制度があったんですけれども、それは、都道府県は都道府県で、高校もしくは中学に関しては都道府県の教育委員会が主体になって奨学金の制度をやってほしいと。こういうふうにばらばらにする制度じゃなくて、やはり奨学金なら奨学金で一元化して、管理のしやすさとコストの縮減を図る制度の見直しをしていった方がいいんじゃないかということです。

 私は、埼玉県で県会議員でお世話になりましたけれども、文教の委員長をやらせてもらったときに奨学金の制度を拡充して、月謝の減免措置をやるよりも、奨学金を拡充していった方がいいという考え方です。それで、減免措置をとっているときは五百人ぐらいしか対象者がいなかったんですけれども、奨学金制度になったら五千人、六千人、ふえたんです。もう十年ぐらい前の話です。今はもっとふえているんだと思うんです。

 ですから、高校生でも、親の低所得によって進学ができない、断念してしまう、私立には行きたくてもお金がない、だから公立に行くんですけれども、そのお金すら払えない、では、そこのところをどうやってお金を捻出するか。

 それまでは、ほとんど、直貸しという言い方で、直接県がお金を貸し付けていたんです。でも、制度融資自体は、今どこの都道府県も、少しずつ直貸しをやめて、債権管理は民間の金融機関に任せるんですけれども、利子補給をする、そのかわり、債権を譲渡するのは認めないというような形で条例化することによって、過度な取り立てをさせないようにするとか、財政の持ち出しを少なくして、利子補給で、効率のいい、また、広い範囲で子供を対象にする、そういう考え方を取り入れてやっていると思うんです。

 それを、やはり国が一元化することによって、直接直貸しをする必要はないと思うんですけれども、日本学生支援機構みたいなところをもっと活用してやっていくという考え方です。

 そのときの時代のニーズのある職種に就職した場合、今話題になっている介護だとか保育、幼稚園の先生、そういったところに就職して勤務勉励の者に奨学金の減免制度を導入するとか、工夫の仕方は幾らでもあると思うんです。ただ低所得のパートだとかアルバイトでどうしても奨学金を返せないということが話題になって、では減免すればいいじゃないかと単純にするんじゃなくて、やはり社会と時代のニーズに合ったところで仕事をしてくれているところに誘導するような方策も一つの考え方じゃないかということです。

 それと、高校や大学が、単位制を導入しているところが大半なんだと思うんですね。単位ごとに授業料を明示して、今みたいに年間で百万なら百万、私立でも、高校でも同じだと思うんです。県立は今、国が無償の補助金を出していますから多少は楽だと思うんですけれども、大体百三十万から百五十万ぐらい、生徒一人当たりに換算すればかかっていると思うんです。それをもう少し細分化することと、なおかつ、義務教育じゃありませんから、単位を取らなければ卒業できない制度になっているにもかかわらず、単位に応じた授業料にして、百三十五単位だとか何単位とかという大学もあったと思うんですけれども、それに必要な単位数を積算して授業料を払う制度にするとか、なおかつ成績が優秀であれば授業料を減額して支払う制度に改める。

 それをすることによって、高校や大学側の教員も授業に対して真剣勝負になるんだと思うんです。教える側も教わる側も適度な緊張感を持たせるということが大事なんだと思います。大学に行って、高校や中学校の授業を教えているようではもうナンセンスだと思うんです。

 もう一つ、税金や民間資金でどんなに優秀な人材を育てても、自国でなく他国で就職できてしまうんです。今は職業選択の自由があります。一昨年だったと思います、青色発光ダイオードでノーベル賞を受賞した中村教授、安倍総理が三人の日本人がノーベル賞をとった、すばらしいことだと発言したら、中村教授は私はアメリカ人だと発言したんです。それが端的にあらわしているんじゃないかと私は思います。教育は国家に帰属する時代ではなくて個人に帰属すると考える人がふえているんじゃないかというふうに思うんです。だから制度を見直していかなければならない。

 御所見をまず初めにお尋ねしたいと思います。

馳国務大臣 御所見ということをお尋ねいただきましたが、今、鈴木委員がお示しをいただいたお考え、制度論というのは、民進党という政党において固められた政策でありましょうか、ありませんでしょうかと問えば、恐らく鈴木委員としての持論だというふうに思います。

 最初に私の所見を言えといえば、大臣としてというよりも国会議員としての持論は、やはり、児童生徒、そして学生、高等教育に学ぶ者が、家庭の経済力に左右されることなく、やはりしっかりと教育を受けて、そして社会人として社会に貢献する姿になってくれることが望ましいと思っていますし、そのためには、私は、消費税を次の段階で上げるときには少なくとも一%ぐらいは教育のために使うという合意を持って、できるだけ負担を軽減することが好ましいと一国会議員としてはまず思ってはいるということを申し上げて、次に大臣として、改めて、今の先生の具体的な御指摘でありますので、申し上げたいと思います。

 まず、奨学金の一元化及び民間委託についてでありますが、全国的な教育の機会均等を実現するために、日本学生支援機構において大学等奨学金事業を実施しております。加えて、地方公共団体においても、地域の人材育成のため、それぞれの実情に即して奨学金制度を設けているものと承知しております。

 また、機構の奨学金は、返還金を次の世代の奨学金の原資として活用する循環的制度として実施しております。委員御指摘のように民間委託をした場合には、利子補給金は返還されない財政支出となることから、慎重な検討が必要であると考えます。

 就職の状況に応じた奨学金の返還免除については、委員御指摘のように就職後に職種や勤務状況に応じて奨学金の返還免除を行うことについては、当該者が既に就職先での処遇によって評価されているものと考えられることから、慎重な検討が必要であると思います。

 文科省としては、意欲と能力のある学生が在学中の業績が優秀であるなどの教育の観点から評価され、恩恵を受けられる制度が望ましいと考えております。このため、現在では、大学院において無利子奨学金の貸与を受けた学生で在学中に特に優秀な成績をおさめた大学院生に対して、貸与した奨学金の全額または半額を免除する制度を設けております。

 次に、単位ごとの授業料設定についてでありますが、御指摘の授業料を単位ごとに設定することは、一つの考えではあり、現に放送大学や通信制の大学などにおいて導入していると承知しております。他方、通常の課程の場合、卒業要件となる単位数や、学年や学期ごとの履修科目群が定められておりまして、単位ごとに授業料を設定することがなじむかどうか、意欲と能力のある学生がより多くの科目を履修することの妨げになるのではないかなどなど、慎重に検討する必要があります。

 また、成績優秀者への授業料減免についても、単位ごとの評価によるのか、学年ごとの成績によるのか、授業以外の卓越した活動実績を評価するのかは、各大学において、事務コストの面なども含め、それぞれが検討するものであります。

 文科省としては、今後とも、意欲と能力のある学生が家庭の経済状況にかかわらず高等教育を受けられるように、教育費の負担軽減に努めてまいりたいと思います。

鈴木(義)委員 民進党にお世話になってまだ一カ月たっていないんです。民進党も幅が広い政党ですから、自民党に負けず劣らずぐらいウイングが広いんです。ですから、私の発言に対しては許容してくれると思っております。

 今大臣がお述べになったんですけれども、質問通告を幾つも出してあって申しわけないんですが、時間がもうないので。

 ところで、大学は学問の府、意欲と能力がある人には一生懸命サポートしますと言うんですけれども、今七百七十の大学があって、大学入試、一覧表を大臣はごらんになったことはありますか。これもオープンになっています。面接だけで入学を認めちゃう大学があるんですよ、論文を書くだけで認めちゃうところもある。それで、意欲があるんだといって、大学に本当に入るだけの一般教養を持って入ってきているのかといったら、そこは問わないで大学に入れちゃう。

 では、大学に行ってちゃんと勉強してくれればいいですよ。

 ゆとり教育が見直されて、全国学力テストを小学校、中学校でやっていますよね。高校以上は義務教育じゃないからやっていないんだと思うんですけれども、そのデータの解析や対応策も、パンフレットなどをつくって、こういうやり方をしたらもっと学力が上がるんじゃないかというのは小中学校で配付されて、次の学力テストに備えて、平均点が低い学校ほど一生懸命力を入れてやっているわけです。

 では、大学や大学院の学力が向上したのかというふうに、資料を出してほしいと文科省に尋ねたら、ありませんと言う。それで、今大臣がお述べになったように、意欲があって成績が優秀な人はどんどんサポートするんだと言っても、日本の大学の学力が上がっているのか下がっているのか、それすらもわからないのに何をやっているのかという話なんです。

 先ほどの質問に戻るんですけれども、この「高等教育の社会経済的効果と費用負担」というレポートを目にしたんです。次のように述べられている。

 「教育費負担はきわめて重要でありながら、わが国ではあまり正面切って論じられることが少ない問題である。この背景には、子どもの教育は親に責任があり、親が学費を負担するのが当然という根強い教育観がある。そのため、教育費の公的負担に対する関心を削いできたと言えなくもない。」こういうふうに述べているんです。

 さらに、「高等教育の費用負担は、公的負担、親負担、私的負担に三分される。それではなぜ、そもそもなぜ教育費について公的負担が必要か」というと、「教育の外部効果と公共財という観点が重要である。」と述べているんです。

 「外部効果は、効果の中でも市場を通じないで効果を及ぼすものを指し、価格に含まれない。このため、外部効果が存在する場合、その効果に対して、恩恵を受ける個々人や社会は対価を支払わないので、税金を徴収し公的に負担することが必要となる。ほとんどの国で義務教育が無償なのは、この理由による。」というふうに言われているんです。でも、「教育段階が上がるほど外部効果は弱くなると考えられる。」というふうにこのレポートでは述べているんですね。

 だから、教育の外部効果そのものの検証が重要であるというふうに考えるんです。先ほども申し上げましたように、大学、大学院の学力が上がったのか上がっていないのか、何がどうなっているのかをきちっとデータとしてとっていないんです、日本の教育制度の中では。だから、今申し上げましたように、高校も何となくふわっと義務教育化しているような社会風潮になっているんですけれども、では、外部効果が上がっているのか上がってないのか。では、中学卒業して働いている人はどうするんだ、専門学校に行っている人はどうするんだというのをきちっと検証しないで今までずるずるやってきているんです。

 だから、そこが問題じゃないかというふうに考えるんですけれども、大臣の御所見をいただければと思います。

馳国務大臣 大学への進学に関する費用と便益の関係については、平成二十四年度に国立教育政策研究所において試算を行ったものがあります。その試算によると、学部・大学院在学期間中の学生一人当たりの公的投資額に対し、税収増加や、失業による逸失税収の抑制などによって、投資額の約二・四倍の便益を社会全体にもたらす効果があるという結果が示されております。

鈴木(義)委員 今は学生の外部効果の話ですけれども、先ほど前段でお尋ねしたものはどういうふうにお考えになっていますか。

馳国務大臣 改めて、これも下村前大臣のときに、大学教育とはどうあるべきか、そのために、まず高校教育はどうあるべきか、そして、高大接続のプログラムという形で、入試のあり方はどうあるべきかというふうな一つの結論をお示ししておりますし、そのプログラムを実際に実行に移していく段階、システム設計の段階に今入っている現状をまず申し上げたいと思います。

 ちょっと長くなるかもしれませんが、なかなか、やはり学部が違う、そして、大学生の学力が現状がどうで、どう上がったかということを評価する指標としては、まさしく大学に対する評価機構の結論をしっかり待たなければいけないんですが、それを相対的に比べるということにどこまで意味があるのかということ。過去はどうで、現状はどうで、将来どうあるべきかということの議論と、総合的にチェックしていく必要があるとまず思っております。

 そういった中において、これは私の先ほどの答弁の最初に戻りますが、やはり、家庭の経済力に応じて進学を断念したりすることのないように、まさしく能力を評価する。その能力を評価するスタートの地点はやはり入試の段階の問題だ、こういうふうになってくると思っています。

鈴木(義)委員 もともと古くから言われているんですけれども、大学のあり方は、入学しやすいけれども卒業はしにくい方向に向けていかなければ、これは解決できないと思いますよ。

 だって、今、自分の子供が単位が取れないで卒業できないというと、大学に乗り込んできて、何でうちの子供に単位を与えないんだと食ってかかる親がいるんだというんですよ。もうそんなことを聞くようでは、やはり根本を直さないとそれは無理だと思いますよ。

 そこのところを全般的な制度の見直しをしない限り、だって、大学の進学率が五〇パーを超えている国ですよ。だから入試のあり方も、先ほど申し上げましたように面接だけでもとっちゃう大学があるんです。そこをもう一回精査してもらって、方向を示していただければなと思います。

 答弁いただければ最後にお願いして、終わりにしたいと思います。

谷川委員長 時間がありません。急いでください。

馳国務大臣 はい。

 委員の御指摘、お考えには賛同する部分も多々ございますが、現状の制度を踏まえて、常に制度改善に向けては取り組んでいきたいと思います。

鈴木(義)委員 どうもありがとうございました。

谷川委員長 次に、逢坂誠二君。

    〔委員長退席、山本(と)委員長代理着席〕

逢坂委員 民進党の逢坂誠二でございます。

 きょうは、文部科学委員会で質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。委員長を初め理事、委員の皆様に心からお礼申し上げます。

 それでは、早速質問に入らせていただきますが、きょうは、世界遺産について幾つかお伺いしたいと思っております。

 まず、世界遺産条約というものがございますけれども、世界遺産条約というのは一体どういうものであるのかということと、あわせて、世界遺産に登録する際に必要なこととは何かということを簡潔に御説明いただけますか。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 文化遺産や自然遺産は、一国にとどまりませず人類全体にとって貴重な、かけがえのない財産でございます。これらが損壊あるいは滅失することになれば世界の全ての人々にとっての損失になるということから、国際社会全体の任務として保護を図っていくため、一九七二年に、ユネスコ総会において世界遺産条約が採択されたところでございます。

 この条約に基づいて設置されました世界遺産委員会が定めます作業指針によりますと、条約の目的は、顕著な普遍的価値を有する文化遺産及び自然遺産を認定し、保護、保全、公開するとともに、将来の世代に伝えていくこととされております。

 この条約につきましては、一九九二年に私どもとして締結しているところでございます。

 この要件でございますけれども、一般的に、世界文化遺産の登録に当たりましては、世界的な視点から顕著な普遍的価値を有すること、また、将来にわたり保護するための管理体制があるということの二つが重要とされてございます。

 世界遺産委員会が定めました作業指針によりますと、顕著な普遍的価値を有することにつきましては、この指針に示す基準を一つ以上満たすということに加えまして、オリジナルの状態を維持していること、また、顕著な普遍的価値をあらわす要素が過不足なくそろっていることを証明することが必要だとされております。

 一方、保護するための管理体制も重要でございまして、構成資産の保全措置が適切であること、周辺の緩衝地帯の保全措置が適切であること、また、構成資産を保護する管理体制が整っていることなどを証明することが必要となってございます。

 以上でございます。

逢坂委員 ありがとうございます。

 私自身も、この世界遺産というのは本当に大変重要なものだと思っております。

 現在で千余り世界遺産が登録されている、そのうち日本は十九、世界遺産に登録されているということで、世界でトップはイタリアの五十一だというふうに承知をしているんですけれども、日本も、世界に誇るべきものについては、顕著な普遍的な価値のあるものについては、これからも世界遺産として登録をして後世に伝えていくということが非常に大事だろうというふうに思っております。

 その上で、これから日本が世界遺産に登録をする日程といいましょうかプロセスといいましょうか、それについて御説明いただけますか。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 平成二十八年度の世界遺産登録への推薦を希望する自治体からは、本年三月末までに四件の推薦書素案等の提出がございました。

 今後の予定でございますけれども、文化審議会における審議等を経まして、政府において世界遺産登録への推薦候補を一件選定し、推薦候補として選定された案件につきまして、ユネスコ世界遺産委員会の事務局に対し、本年九月三十日までに推薦書の暫定版を、翌年二月一日までに、閣議了解を経まして推薦書の正式版を提出することとなります。

 その後の予定でございますけれども、ユネスコの諮問機関でございますイコモスによりまして、書類審査や現地調査等を経て勧告がなされます。この勧告を受けまして、最終的には、平成三十年のユネスコ世界遺産委員会において世界遺産登録の可否が決定される、そういう段取りになっているところでございます。

逢坂委員 参考までにお伺いしたいんですけれども、現在四件、三月末までに全国から世界遺産に登録してほしいというような申し出があったということですが、どことどこになっていますか、教えてください。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの平成二十八年度の推薦を希望されている案件でございますけれども、北海道・北東北の縄文遺跡群、これが一つでございます。二つ目が、金を中心とする佐渡鉱山の遺産群、三つ目には、百舌鳥・古市古墳群、四つ目には、長崎の教会群とキリスト教関連遺産、以上四件でございます。

逢坂委員 今四件御紹介いただきましたうちの、私自身の地元にもかかわることでありますので、ひとつ例として教えていただきたいんですが、北海道・北東北の縄文遺跡群に対して、これまで、一体、さらにどういう事項について検討すべきかとか、どういう課題があるかといったことについて御紹介いただけますでしょうか。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の北海道・北東北の縄文遺跡群につきましては、昨年七月に文化審議会で審議がされておりまして、文化審議会の方から、検討を深める必要がある事項として複数の課題が示されているところでございます。

 例えば、北海道・北東北地域を縄文文化の代表地域としていることのわかりやすい説明や、構成資産の保護に影響を及ぼす道路計画等の課題への対策とその説明といったものがございます。

 これらの課題に対しまして、関係自治体を中心に検討が進められているところであると承知しておりますが、文化庁としては、自治体からの求めに応じまして、引き続き、技術的、専門的見地から助言を行ってまいりたいというふうに考えております。

逢坂委員 今、二点について御紹介いただいたわけでありますけれども、そのほかにも幾つか、「更に検討を深めるべき事項」というふうに指摘をされていると承知しておりますけれども、そのほかについても簡潔に御紹介いただけますでしょうか。

中岡政府参考人 少し詳細にわたって大変恐縮でございます。

 三つ目でございますけれども、先ほど申し上げました二つ以外にも、北海道・北東北の縄文遺跡群が主張いたします定住の達成あるいは自然との共生という、極めて普遍性のあるテーマでございますけれども、それを、各構成資産との関係に基づきまして、縄文遺跡群特有の顕著な普遍的価値として主張できる論理の明確化を図る。

 また、個々の構成資産につきまして、全体としての顕著な普遍的価値への貢献及びこれをもとにした構成資産選択のあり方の学術的なさらなる検討ということ。

 四つ目には、完全性の観点からの史跡の追加指定ということ。

 五つ目には、一部の構成資産に係ります緩衝地帯の範囲、保全の方針、方策の再整理ということ。

 また、関係自治体間の協力体制、全体としての管理体制のあり方でございます。

 また、全ての構成資産について保存管理計画を完成させることと、全体としての整合性を確保するための包括的保存管理計画の改善をすること。

 最後に、九つ目でございますが、来訪者管理戦略、資産全体としての価値の伝え方の戦略の精緻化というような項目がございます。

逢坂委員 子細に御説明いただきまして、ありがとうございました。

 その中で、改めてお伺いをしたいんですが、今回登録するに当たって、今、全部で九点の御説明があったかというふうに思いますけれども、特に課題だなと思われているようなものはございますでしょうか。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 一番は、先ほどの答弁の中でも申し上げましたが、北海道・北東北の縄文遺跡群が主張いたします顕著な普遍的価値のわかりやすい表現といいますものを求められておりまして、これにつきましてきっちりと説明をしていくということが必要だと考えております。

逢坂委員 北海道・北東北の縄文遺跡群が主張する顕著な普遍的価値のわかりやすい表現ということでありますけれども、もう少しかみ砕いて言うとどういうことになるんでしょうか。今の、北海道・北東北の縄文遺跡群が主張する顕著な普遍的価値のわかりやすい表現というふうに聞いても、なかなか一般の国民にはわかりにくいのかなというふうに思いますので、かみ砕いて説明いただけますか。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 少し専門的な説明になりまして大変恐縮でございますが、先ほどの事柄につきましては、要すれば、縄文遺跡群につきましては、これは北海道・北東北地域だけに限らず、さまざま広がっているものと認識しておりますけれども、特に北海道・北東北地域を縄文文化の代表的な地域として、そういうふうな形で御主張されておりますので、そういったことにつきましてのわかりやすい説明が必要だということでございます。

逢坂委員 繰り返しになりますけれども、全国に縄文遺跡群というのはあるんだ、だけれども、今回、あえてなぜ北海道・北東北の縄文遺跡群を世界遺産に登録するのか、全国と比較して特別すぐれていると言っていいのか特徴があると言っていいのかわかりませんけれども、その秀でている価値のようなものがあるということをもっとわかりやすく説明できるようにしてくださいというのが多分この北海道・北東北の縄文遺跡群については一番課題になるだろうという理解でよろしいでしょうか。

中岡政府参考人 御指摘のとおりでございます。

逢坂委員 そこで、また一般論に戻らせていただきたいのでありますけれども、本年の九月の末までには暫定版の推薦書をユネスコ世界遺産センターへ提出するということでありますけれども、この推薦書を提出するに当たって考慮すべき事項といいましょうか、一般論で構わないんですけれども、どういう点に考慮して推薦書というものは決定されるのか。今四件出ているわけでありますけれども、どんな点に留意して推薦書を出すのか、そのあたりについて御説明いただけますでしょうか。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど来、文化審議会の方で九つ余りの指摘があるということを御説明申し上げましたが、推薦案件の選定につきましては、各自治体から提出されました推薦書素案に基づきまして、先ほどの文化審議会が専門的見地から審議を行って、推薦可能な水準に達したと判断されたものを選定しておるわけでございます。

 したがいまして、その際には、昨年七月に文化審議会の方から示しております、検討を深める必要がある事項ということを先ほど申し上げましたけれども、そういったことにつきまして十分に対応されているといった観点が大変重要であるというふうに申し上げます。

逢坂委員 二つお話しいただいたかと思うんですが、一つは、専門的な見地から十分にちゃんとした説明ができる、検討するというような話、それからもう一つが、昨年七月に出されたこの意見、九項目先ほど御紹介いただきましたけれども、これにしっかりと対応できているかどうかというところがポイントになるんだというふうに理解をいたしましたけれども、改めて、それでよろしいでしょうか。

中岡政府参考人 御指摘のとおりでございます。

逢坂委員 私は、世界遺産については、いろいろなポイントがあって登録されるんだろうというふうに思っていますが、世界的に見て価値のあるものが国内にいろいろあったにしても、やはり地元の熱意というのも一つ大きなポイントだろうというふうに思っています。しかしながら、どんなに地元の熱意があっても、それは、学術的に見て、あるいは専門的な観点から見て十分なレベルに達していなければ、それはそれで世界遺産に登録されないものだろうというふうには思うわけであります。

 私は、今回の世界遺産登録というのは、それぞれ全国の地域が地域を挙げて、登録したい、登録してほしいというふうに多分思っているものだというふうには思うわけですが、その際に、何か、専門的な要素を排除してといいましょうか、専門性を超えて、ある種政治的に判断してこういうものを登録するなんということは決してあってはならないことなんだろうというふうに思うわけです。

 だから、世界に通用するような専門性というもの、あるいは専門的見地から見て、ああ、なるほどなと思えるようなところがやはり第一番なんだろうというふうに思うわけですが、こうした世界遺産の登録について、大臣、何か御見識、思うところはございますでしょうか。

馳国務大臣 逢坂委員とは長いおつき合いですが、文化行政に深い見識と関心を持っておられるということをきょう初めて知りまして、心から敬意を表したいと思います。

 また、平成二十八年のライバルは大変強力であります。先ほども申しておりますが、縄文遺跡群、これは北海道・北東北と地域を限っているということのポイントがありますし、佐渡鉱山、これは金山ですね。そして、大阪の百舌鳥・古市の古墳群、これは天皇陵が入っておりますから、大変な一つの課題もございます。そして、再チャレンジとなります長崎の教会群とキリスト教関連遺産、ここは、イコモスの指摘も受けて一旦取り下げて、さらに再チャレンジをしたという強力なライバルであります。

 私は、ルール上毎年一つずつと言われている中で、やはり熱意も必要ですし、専門的な見地からの評価も必要ですし、当然、評価した後の保存計画がどうなっているのかということに対する答えも必要でありますので、そういう総合的な観点から文化審議会において定められるもの、こういうふうに認識をしております。

 ぜひ、今回受かったところもそうでないところも、文化遺産というのは未来につないでいかなければいけない、そのためにユネスコが認定しているというふうなこの制度の趣旨を御理解いただいて、引き続き応援をお願いしたいと思います。

逢坂委員 考えてみると、大臣とこうやって委員会で話をするのは初めてかもしれないんですけれども、本当にいつもお世話になりまして、ありがとうございます。

 世界文化遺産に登録されるということは、私は、本当に国民としてこれは非常にうれしい、誇りに思うことだと思います。日本に、世界に誇るべき文化遺産がそのようにあるということは非常にいいことだと思う。

 ただ、その際に、専門性、あるいは地元がしっかりやるということを乗り越えて、例えば政治的恣意性でこれが決められるということになると、それはやはり世界遺産の価値をゆがめるものだというふうにも思いますので、大臣、ぜひこの点、しっかりそのあたりを踏まえて、よい選定になるように期待をしておりますし、私は、地元として、もう地域を挙げて頑張ってまいりたい、そのように思っております。

 それから、世界遺産の話は終わらせていただきますが、もう一点、これは質問ではございませんが、大臣からお話がございましたとおり、実は私、文科行政についてこれまで余り委員会では質疑をしてこなかったのでありますけれども、私自身の関心事は、社会教育、これに実はかつて文科省の皆さんと一緒にさまざま取り組みをさせていただいたこともありますし、国社研の時代に、国社研で講師としても幾度か足を運ばせていただいたこともございます。それからもう一つが図書館行政、これも私の大きな関心事でありまして、もちろん学校教育その他も大きな関心事でありますけれども、機会があれば、図書館行政とか社会教育とか、そのあたりも大臣と少し議論をしたいと思っておりますので、また委員長を初め委員の皆さんにもそんな機会をつくっていただければということで、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

山本(と)委員長代理 この際、暫時休憩いたします。

    午前九時四十分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時五十九分開議

谷川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。大平喜信君。

大平委員 日本共産党の大平喜信です。

 まず、熊本、大分両県を初め九州地方を襲った地震に関して質問をいたします。

 まず冒頭、今度の地震で犠牲になられた方、また、被害に遭われた皆さんへの心からのお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。

 私自身も、この日曜日に熊本市と益城町の方に伺いました。被害の現場や避難所を回りまして、益城町で出会ったある男性が、その道の先は地獄絵図だとおっしゃった言葉が印象的でした。言われる場所に行ってみますと、まさにそのとおりの光景で、私は言葉を失いました。震度七が二度続けて起こるという誰も経験したことのないその大惨事の一端を、被災者の皆さんが感じたであろう恐怖に思いをはせながら、しっかりとこの目に焼きつけて帰りました。

 改めて、何とか地震から生き延びた方たちが今後一人たりとも二次災害などで命が奪われることのないよう、私も全力を尽くす決意を申し上げたいと思います。

 避難所になっている熊本市東区の泉ケ丘小学校に伺いまして、詳しくお話を伺いました。

 地震直後から、教職員の皆さんが、みずからも被災されておられる中、文字どおり不眠不休で、子供たちのケアや学校での通常業務に加えて、避難所の管理運営にも奔走されておられました。本当に頭の下がる思いでした。この小学校を含めて、今、学校再開に向け、何よりも、あらゆる人員の確保が求められていると感じました。補正予算をとの議論がされておりますが、今こそ思い切って加配措置もして、大臣、教職員を配置していくべきだと考えますが、いかがでしょうか。

馳国務大臣 文科省としては、学校教育の復興のために、できる限りの支援を行ってまいります。教職員定数の加配措置についても、県の教育委員会と連絡をとり合っております。

 今後、要望を踏まえて、迅速かつ適切に対応してまいります。

大平委員 ぜひ、大臣のイニシアチブを発揮していただきたいというふうに思います。

 今度の地震では、多くの被災自治体で、避難所と指定をされていた小中学校で、耐震化が終わっていたにもかかわらず破損箇所が見つかり、そのうちの少なくない施設で、倒壊の危険があるからと避難者が追い出されるという問題も起きております。

 それ自身大問題であり、国と自治体の責任でそのかわりとなる避難所をきちんと確保する、我々も求めておりますが、同時に、先ほどの質疑の中にもありました、熊本市が実施した応急危険度判定では、二十五日時点で、学校関連施設百三十四棟が危険と判定されました。当然、こうした校舎では授業が行えません。学校の再開にとっても、また避難所としても、これは直ちに手を打つ必要があると考えます。

 文科省としてどのように考えておられるか。また、こうなってしまった以上、耐震基準の問題も今後どうあるべきか検証しなければならないというふうに考えますが、いかがでしょうか。

馳国務大臣 震度七クラスの地震二回を含む九百回を超える余震が続く中、今なお校舎や体育館の倒壊が一棟も出ておらず、熊本市が行った応急危険度判定において危険とされた百三十四棟の学校施設のうち、構造が原因で危険と判定されたものは六棟にとどまっております。

 当面は、避難所としての機能確保や、学校再開へ向けて、瓦れきや破片などの除去、立入禁止の措置などの安全確保等を行い、児童生徒の安全に万全を期しているところであります。

 また、二十二日には、学校設置者ができる限り速やかに学校教育の早期再開ができるよう、国の災害復旧事業の現地調査を待たず、早期に復旧整備に着手できる旨の通知を発出したところであります。

 文科省としては、被災した施設の早期復旧に向け、被災地への協力、支援に万全を期してまいります。

 また、耐震基準についての件でありますが、耐震改修促進法に基づいて耐震化を進めてきたところであります。このため、耐震基準の見直しの要否については、国交省において検討されるものと承知をしております。

大平委員 子供たちの命の問題、また、心のケアの問題に直結する課題であります。ぜひ早急に対応していただきたいというふうに思います。

 質問を続けますが、今、学生たちは就職活動の真っ最中です。そんな中、被災した学生は就職活動が思うようにいかず、不安と焦りを募らせております。幾つかの企業が避難学生への配慮策を講じ始めているようですが、ここは、大臣、大臣御自身が日本経団連あるいは企業などに配慮するよう求めていく、そうした行動を通じて、被災学生らの不安を拭っていくメッセージを発していただきたいというふうに考えますが、いかがでしょうか。

馳国務大臣 被災した学生については、今後の就職活動に大きな影響が生じ得ることも懸念されます。そのため、経団連を含む約四百五十の経済団体、業界団体に対して、広報活動や今後の採用活動について、学生の個々の事情を十分に勘案し、柔軟に対応していただくよう、既に文科省と厚労省の関係局長の連名によって、四月二十一日付で要請しております。さらに、国立大学協会や私立大学団体連合会からも同趣旨の要請が既に経団連などに対して行われております。

 加えて、文科省、厚労省連名で経済団体等に対して要請を行ったことは大学にメールで周知しており、さらに、国立大学協会及び私立大学団体連合会の要請文はそれぞれの団体のホームページに掲載し、大学などへの周知を図っております。

 今後、学生の不安解消のため、さらに関係団体と連携して、周知の徹底を図ってまいりたいと思います。

大平委員 文科省あるいは厚労省のさまざまな手だてが打たれていることは私も存じ上げておりますが、なかなかその手だてが被災学生のところに届いていないというのも、現地へ伺って感じたところです。

 先ほど大臣の答弁にもありました、事は若者たちの将来にかかわる重大な問題であります。ぜひ、目に見える形での大臣のアピールを重ねて求めたいというふうに思います。

 引き続き、日本共産党としても、被災者の救命救助、生活の基盤となる住まいの確保、一日も早い生活再建のために全力を尽くす決意を改めて申し上げ、次の質問に移ります。

 前回のこの委員会で取り上げた中学生の自死事件にかかわって、その背景となっている生徒指導のあり方について、きょうも続けて質問をしたいと思います。

 前回の議論の中で、馳大臣は、管理型という、上から抑えつけるような形で、児童生徒の意思や保護者の意見も全く取り入れずにやってよいと思ったらまさしく大間違いと述べておられます。私も本当にそのとおりだと思います。しかし、では現場が今どうなっているか、上から抑えつけるような形にはなっていないか、議論をしていきたいというふうに思います。

 改めて、前回も取り上げた広島県府中町の中学校の事案ですが、文部科学省は、今度の当該中学校の推薦・専願基準について、どこに改善すべき点があったと認識しておられますか。

小松政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省で設けましたタスクフォースで中間取りまとめをいたしまして、お尋ねのような点について整理をいたしております。

 文部科学省といたしましては、まず、生徒の将来に重要な影響を与える進路決定を行う際、一年生のときの触法行為のみをもって機械的に判断が行われたこと、それから、推薦の可否決定の直前の時期に基準の重要な変更が行われたこと、そして、当該変更に係る説明が保護者や生徒の方に対して行われなかったこと、さらには、変更後の推薦・専願基準が遡及的に適用されたことなどに課題があったと考えております。

 したがいまして、推薦・専願基準に関しては、今後、文言の明確化や適正化を図るといった基準の見直しを行うとともに、変更の手続や時期、周知の方法など、基準の運用プロセスの見直しを行うという必要がある旨も示しております。

大平委員 私は、率直に言って、今御答弁のありました文科省の課題の認識、そこにとどまっていいのかと思うわけですね。基準そのものの課題がなかったかと思うわけです。

 報告書を読んでみますと、当該中学校では、もともと、推薦・専願基準の中に、触法行為がないことという項目があるんです。私は、人格の完成を目指すという教育の目的に照らして、こうした項目が基準の中にあることそのものがふさわしくないのではないかと思うわけですが、大臣の御見解はいかがでしょうか。

馳国務大臣 進路指導は、生徒の能力、適性などを見きわめ、生徒が自主的に進路を選択して自己実現を図れるようにするために必要な能力、態度を育成することを目的としております。各学校の実情に応じて適切に行われるべきものと認識しております。

 今回の事案について、タスクフォースの中間取りまとめにおいては、「生徒の将来に重要な影響を与える進路決定を行うに際し、一年生時の触法行為のみをもって機械的に判断が行われたことが課題である」と指摘しております。

 一般論として申し上げれば、推薦に当たり、触法行為を判断の材料とすることはあり得ると思います。しかし、生徒が発達の途上であることを考えれば、三年間の学業や生活態度を考慮し、今後の成長への期待を加味し、総合的に判断することが重要であると考えております。

大平委員 馳大臣、一般論としてという話もありましたし、文科省の立場ということで答弁されたんだと思いますが、委員の皆さんは余り御存じないかもしれませんが、私の地元広島県を中心に発行されている中国新聞という地方紙があるんですけれども、そこで、四月二十二日付、馳大臣が独自のインタビューに答えられているという記事を私は見つけました。

 その中で、馳大臣はこのように述べておられます。触法事案そのものを推薦基準にすることに私は否定的だ、触法事案があれば、指導を通じて、反省し、二度としないという決意を芽生えさせるのが教育の一番の役割だと。

 私は、本当にそのとおりだと思って読みました。中学生という発達段階の中で、どういう生徒指導が、あるいは推薦の基準がふさわしいのか。私は、この馳大臣のインタビューの立場が今重要だ、そんなふうに思って読みました。

 しかし、私は、この大臣の御見解とはまさに反対の方向で進む中で今回の事件が起きたというふうに感じております。

 今回、当該中学校で推薦・専願基準を一、二年時の触法行為まで含むと決定するに至ったのは、当該中学校の報告書を読みますと、職員間の議論の中で、触法行為は一回でもやってはいけない、触法行為は社会的にも許されないなどの意見が出され、校長もそれに賛同してこの変更を決定したとの経過だったとのことでした。

 この触法行為は一回でもやってはいけないという姿勢は、その源流をたどると、ある文部科学省の通知に私は行き着きました。

 文部科学省の、二〇〇六年、平成十八年六月に発出された通知、「児童生徒の規範意識の醸成に向けた生徒指導の充実について」の中の「2.各学校における生徒指導の充実について」の(一)には何と書かれてあるか、紹介をしてください。

小松政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の通知におきましては、「学校内の決まり及びこれに対する指導の基準をあらかじめ明確化して」おき、その際、「「ゼロトレランス方式」にも取り入れられている「段階的指導」等の方法を参考とするなどして、体系的で一貫した指導方法の確立に努めること。」「指導に当たっては、全ての教職員間の共通理解を図った上で、一貫性のある、かつ、粘り強い指導が行われることが重要であること。」「児童生徒の規範意識の向上を図るための取組みと併せて、個々の児童生徒の状況に応じて、教育相談等を通じて、問題行動等の背景やそれぞれの児童生徒が抱える問題等をきめ細かく把握して対応することが必要であり、」「教育相談・カウンセリング機能の一層の充実に努めること。」などに留意しつつ、「各学校における生徒指導の一層の充実を図る」ようにというふうに示しております。

大平委員 先ほどの通知の中にありましたゼロトレランスという教育方針ですけれども、トレランスとは寛容という意味であり、直訳をすれば、ゼロトレランスとは寛容ゼロ、つまり不寛容という意味であります。

 この文科省の通知を踏まえて、広島県教育委員会は、各学校に対して、生徒指導に関する方針を示しております。

 二〇〇九年十月に発出された文書「児童生徒の規範意識を醸成するための生徒指導体制の在り方について」では、「児童生徒の問題行動や非行に対しては、各学校の生徒指導の基準となる生徒指導規程等をあらかじめ整備し、この規程等に基づき「社会で許されない行為は、学校においても許されない」という学校としての姿勢を明確に示すことが大切である。」まさに先ほどの文科省の通知そのものの内容で、この文書が示されております。

 つまり、こうした経過から見ましても、ゼロトレランス方式で進めてきた文部科学省あるいは広島県教委の生徒指導の方針と、今回、府中町の中学校が決定した推薦・専願基準の、触法行為は一回でもやってはいけないという姿勢は、大臣、これはまさに軌を一にするものではないでしょうか。御見解をお伺いいたします。

馳国務大臣 御指摘の通知においては、ゼロトレランス方式を参考として示した上で、同時に、生徒指導に当たっては、個々の児童生徒の状況に応じて、問題行動の背景や程度、それぞれの児童生徒が抱える問題などをきめ細かく把握し、そして対応するように求めているところであります。

 また、生徒指導は、一人一人の児童生徒の個性を踏まえて行われることが必要であり、そのためには、教員が児童生徒を共感的に理解し、信頼関係を築きながら指導に当たる必要があります。

 なお、現在、府中町教育委員会に設置された第三者委員会において、事実関係の正確な究明と事態の全容解明が進められているところであります。

 当該学校の調査報告書においては、規律維持を求める余り、抑えつける指導になっていたのではないか、過ちを犯した生徒や反抗的な生徒を排除するような指導になっていたのではないかとの指摘がなされております。

大平委員 先ほどの大臣の答弁にありました、個々の児童生徒の状況に応じて、あるいは一人一人の個性を踏まえて、そして児童生徒を共感的に理解しという御答弁でしたが、私が現場で伺った実態は、まさにその反対のような生徒指導の実践が行われている、そのことを私は指摘したいというふうに思うんです。

 このゼロトレランス方式で具体化された生徒指導規程に基づく指導が今現場でどのように行われているのか。当該中学校だけではなくて、広島県内各地の中学校で同じような生徒指導が行われております。

 今回は、広島県福山市のある中学校に子供を通わせておられるお母さんにお話を聞きました。実態を幾つか紹介したいと思うんです。

 例えば、同校の生徒指導規程には頭髪という項目があり、髪型のことですね、その中に、髪型の状態によっては散髪等改善の指導をすることがあると明記されており、実際にその方の息子さんは、ある日、ヘアワックスをつけてもいないのに、登校するや否や、先生に、おまえはワックスをつけているだろう、規程違反だ、すぐに洗ってこいというふうに疑われた、押し問答になった結果、結局、その生徒は保健室で無理やり髪を洗わされた、当然、ヘアワックスをつけていないわけですから、洗った後も同じ髪型だというわけです。先生に対する不信感だけが残ったとのお話でした。

 また、この生徒指導規程の中には、別室指導というものがあります。

 ある日、その子は授業中に友達とけんかをしてしまった、その後、すぐにその二人はそれぞれ別室に連れていかれ、夕方には保護者も呼ばれて経過説明を受けた、本人たちは反省しているにもかかわらず、決まりだからと言われて、翌日から別室指導となりました。別室指導の間は、他の生徒と接触してはならず、登校、下校時間もトイレ休憩も他の生徒とはずらした時間とされる、別室指導の内容は漢字練習で、二千字から四千字、漢字練習帳をノートに書き移すというものだというお話でした。

 大臣、まさにこうした生徒指導規程に基づく生徒指導の実態、一例ではありますが、先ほどの文科省の姿勢と全く違うんじゃないか。どのようにお感じになられるでしょうか。

馳国務大臣 問題行動を起こす児童生徒に対しては、その問題行動がどういう背景であり、実際にどういうことであるかということをしっかりと把握した上で、毅然とした対応をとり、粘り強く指導することは、児童生徒の規範意識を醸成し、校内規律を維持するために必要なことだと考えております。

 同時に、生徒指導に当たっては、一貫した方針と教職員間の共通理解のもとで、そして情報共有のもとで、児童生徒の個々の状況に応じたきめ細やかな対応をとることが必要であります。そのためにも、適切な児童生徒理解、これを基本に、学校全体が組織的に対応することが重要であると考えております。

 いずれにしても、文科省としては、府中町教育委員会が現在実施中の調査の結果なども踏まえつつ、生徒指導や進路指導の改善充実につながるような施策を推進してまいりたいと思います。

大平委員 ぜひ大臣御自身の御感想も聞きたいと思うんですけれども、先ほどの答弁にもありました、問題行動の背景をよく聞く、個々の対応をとることが必要だ、同時に組織的な対応が必要だ、そんな御答弁だったと思います。

 さらに紹介したいのは、そのお母さんに伺って私が耳を疑ったのは、ささいなことでも問題行動とみなされ、別室指導だということになり、別室指導に送られる子が多過ぎて、そのための空き教室が足らず、かつ対応する先生も足らないということで、別室指導の順番待ち、そんな状態さえ起きているとのことでした。問題行動を起こした子供が、数日後、数週間後に別室指導の順番が回ってきて、別室指導が行われるときにはもう既に時間がたち過ぎて、自分は何の件で別室指導になったのかわからなくなることもある、そんなお話でした。

 まさに、問題の背景をよく聞くとか、個々の対応をとることが必要だということでない実態が私はあるなというふうに感じました。

 こうした指導が、毅然とした対応、組織的な対応との名のもとに、子供たちや保護者の意見も聞かぬまま策定された生徒指導規程によって画一的に行われています。

 さらに驚いたのは、こうした生徒指導規程が、中学生はもとより、小学生に対しても一律に適用されております。

 先ほど紹介をした中学校と小中一貫校である小学校で、内容の似通った生徒指導規程が定められております。見比べてみますと、髪型などの項目はほとんど同じ内容で、先ほど実例を紹介した、髪型の状態によっては散髪など改善の指導をすることがあるという文言もそのままあったり、先ほど実例を紹介した別室指導という項目もあるのであります。

 きのう、おとつい入学してきた小学一年生に、来年には高校生にもなるような中学三年生と同じようなルールが同じように当てはめられて指導されている、こうした実態、重ねて、大臣はどのようにお感じになられますか。

馳国務大臣 委員は、現場の実態を、報告を受けたり事情を聞きながら、こうして質問しておられます。私自身がその場に居合わせていないという立場から、ちょっと言葉を選びながら申し上げたいと思いますが、根本的なことは、子供が学校に行きたくなくなるような人間関係を教師と児童生徒の間でつくることがないように配慮する必要があります。したがって、必要な指導は、なぜするのかということをかんで含めて指導するとともに、本人が素直に教職員の指導を受け入れることができるような環境というか空気づくりをする、これが本来の教職員の指導力というものであります。したがって、私は、今一般論でしか申し上げることはできませんが、まさしく子供たちに、また保護者に対して、不信感あるいは恨みなどしか生まないような指導のあり方や教職員の言動はやはり配慮する必要があると思っています。

 そういった観点から、総合的に対応するとともに、もう一つは、児童生徒は学校に行くことによって友達と良好な友人関係を築き、その輪を広げ、一体となって、例えば、運動会の練習に取り組んだり、合唱したり、あるいはダンスをしたり、こういうふうな活動を通じて、学校で友達とともに活動することが楽しい、そのために教職員から指導を受けることが非常に楽しいと思えるような学校づくり、学級経営をしていくことが重要だと考えています。

 重ねて申し上げますが、やはり反感を生むだけの、反発を生むだけの、恨みを生むだけの指導であってはなりませんし、また、教職員も管理だけを目的とするような指導であってはいけない、このように思っております。

大平委員 きょうは福山市のある小中学校の例を取り上げましたが、私が強調したいのは、文科省がこの間出してきた通知の忠実な実践によって、広島県内であちこちでこういう実態が起きていることです。

 先ほどの馳大臣の答弁の中にもありましたし、前回の質疑の中でも、大臣は、管理型という教育は、一方的に指導、管理さえすればよいというのは間違っているとおっしゃいました。

 私は、まさにそうした実態が文科省の指導の中で生まれているじゃないか、このことを訴えたいというふうに思うんです。そして、その指導の延長が、府中町の当該中学校の、極めて機械的で、また排除するような、校長先生自身もみずから猛省されているような、そういう進路指導、推薦・専願基準にもつながったのではないかと訴えたいと思います。

 前回も紹介をしましたが、府中町の中学校で亡くなった男子中学生が、どうせ言っても先生は聞いてくれないと保護者に話しておりました。今こそ、ゼロトレランス、不寛容という姿勢から脱却して、子供たちの成長を温かく見守っていく、そうした学校と教員集団へとなっていく、子供たちとの信頼関係を回復していくことが今度の事件の大きな教訓の一つであるということを私からも改めて訴えて、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

谷川委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 おおさか維新の会の河野正美でございます。

 私は、今現在、母校である愛知医科大学の客員教授を務めさせていただいております。そういった観点から、医学教育の現場で聞こえてきた生の意見をもとに、きょうは幾つかの質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 WHOの二〇〇〇年の調査によりますと、日本の保健医療制度は、国民皆保険等に支えられ、世界一の評価であったということです。アメリカは二十四位だそうです。日本の公的医療は、極めて安い価格、価格と言ったらおかしいですけれども、診療報酬で、超高度技術と言われることに加え、フリーアクセスというのが担保されています。全ての日本国民は、自分の意思で、高いレベルの医療が受けられます。

 一方で、日本人の医療満足度は、世界の先進国の中でも低いレベルにあるという調査結果がございます。例えば、二〇〇四年の日医総研の調査によれば、日本、アメリカ、フランス、韓国の四カ国で、自分の国の医療制度に満足しているかどうかを問うたところ、日本は二七・一%、韓国が二九・五%、アメリカ六四・五、フランス七三・六だったということであります。

 このように日本において医療制度への満足度が低い理由としては、国民が日本の医療のよさや世界一と評価されていることを知らない、マスコミが医療の暗い部分ばかり強調して、よい医療については余り触れられていないなどの理由が考えられるのではないかという意見があります。

 行政は欧米の医療制度を念頭に制度改革を模索する動きもあるように感じておりますが、実は日本の医療制度というのは、欧米側が参考にしたいようなしっかりとした制度であります。繰り返しにもなりますが、日本の医療は極めて安く、そして誰もがどこの病院にもかかることができます。

 我が国の医療制度について、担当は違うかと思いますけれども、馳文部科学大臣、どのように評価されているか、お聞かせいただきたいと思います。

馳国務大臣 一つ、資料を抜粋しながら申し上げさせていただきます。十二年前でありますが、平成十六年の厚生労働白書によりますと、日本人の健康の状況について、国際比較に見るデータが出ております。ここには、「健康の到達度と均一性、人権の尊重と利用者への配慮の到達度と均一性、費用負担の公正さ等から評価した保健医療システムの総合目標達成度」について、「我が国は当時の加盟百九十一か国中一位」となっております。

 こうした評価は、明治以来の大学での取り組みに始まり、その後の医学医療の発展に対応した医学教育の充実によるものと考えております。

 文科省としては、例えば昭和四十八年の無医大県解消構想などを踏まえ、長年、医師が全国的に養成される体制の整備にも努めてまいりました。近年においても、医学教育モデル・コア・カリキュラムなどの策定など、質の高い医師の養成に向けた取り組みを行っております。

 今後とも、我が国の医療制度を支える人材の輩出に向けて、質の高い医学教育の実現に努めてまいりたいと思います。

河野(正)委員 研究、教育に目を向けたいと思いますが、研究については、世界のトップ雑誌に掲載された各国の論文数を評価した場合、一九八〇年代までは、一位が米国、二位が英国で、三位、ドイツを初めとするヨーロッパ諸国があり、このあたりに日本もまじっていたというようなことであります。一方、一九九〇年代になりますと、日本が英国を抜いて二位になったということです。これには世界が驚いたという評価があります。

 なぜかといいますと、日本はアジアの小国で、資源も乏しく、大学教育者の給与等の待遇もよくない、そういった中で、さらに、GNPの医療費への分配比は世界で最低レベルと認識されていたにもかかわらず、こういった研究成果が出てきたということだったということです。日本の医療は世界一、医学は世界二位の地位を誇ったということであります。

 ヒラリー・クリントンさんがかつて日本の医療体制を見て、日本の医療制度は医療従事者がまるで聖職者のように自己犠牲によって行動することで維持されていると述べたということもあります。日本独特の医療人の自己犠牲、さらに勤勉で真面目な国民性により、さきに述べた快挙がなされたという評価もあります。

 こういった状況について、大臣がどのように受けとめられているか、伺いたいと思います。

馳国務大臣 大学の医学部附属病院について申し上げますが、教育、研究、診療の三つの機能を適切に発揮することが必要であると考えております。

 特に、最近の傾向として、国立大学の附属病院において診療時間が増加傾向にあり、教育研究時間が減少傾向にあるとの意見があることは承知しております。

 文科省としても、各機能がバランスよく確保できるように、適切な環境の整備に努めてまいりたいと思います。

河野(正)委員 先ほど来お話ししたように、日本の医療は世界でも誇れるような状況にあったということでございますが、以前、医局制度というのがいろいろな問題があるということで、卒後臨床研修制度が改革をされました。それによって医局制度が事実上崩壊しまして、いろいろ弊害はあったと思うんですが、離島に派遣される先生方がいなくなってしまうとか、地域の臨床で本当に地道に従事していく先生方がいなくなってしまう、そういった問題もあって、我が国の医療制度は極めて厳しい状況になったかと思います。

 そういったことから、大学離れが顕著となったことによって研究志向が低下し、そのため、一九九〇年代に世界二位の地位を誇っていた研究が、論文数で評価すると、二〇一〇年には世界三十位以下となってしまったということでもあります。

 教育では、東大医学部であるとか、私が今客員教授をしております愛知医大、あるいはハーバード・メディカルスクールを比較すると、学生数はほとんど同じであるということですけれども、常勤教員数を見ますと、東大も愛知医大も三百人程度で、それに対して、ハーバードでは八千人の教員がおられるということです。こういったことをしっかりと検証していくということが大事ではないかなと思います。

 補助は減らす一方で、改革という名で大学を締めつけていけば、大学に残る魅力がなくなり、いわゆる聖職者という人たちが日本から消えていくのではないか。大学を充実させるために国として何をなすか、今こそ真剣に考えなければいけないといった声も伺っております。

 今後の医科大学のあり方について、国として助成、補助金等も含めて、政府の考え方を伺いたいと思います。

馳国務大臣 医学部は、社会のニーズに応じた教育研究を行い、医療の発展に貢献するという重要な役割を担っていると認識しております。

 文科省としては、教育面での支援として、医学教育モデル・コア・カリキュラムを適時改訂し、研究面での機能強化として、研究マインドを持った次世代医療人材の養成拠点の形成や、大学附属病院における人材養成機能強化を支援する事業を実施しているところであります。

 こういった取り組みを通じて、今後とも、教育、研究、臨床面における質の向上に向けた支援を行ってまいりたいと思います。

河野(正)委員 二〇四〇年には日本の医師数が三万五千人ほど過剰になるという試算が厚生労働省から示されました。

 今、医学部新設というのが本当に数十年ぶりに行われているところでありますけれども、全く理解に苦しむという声も多数聞いております。医師数が多いということで削減に動いたのに、その後しばらくして、急に、逆にふやせというような状況になっています。

 医学部を新設することになれば、地域から、臨床医、本当に患者さんを地道に診ておられた市民病院の先生たちが、教授ポストがあるから、研究ポストがあるからということで、その場を去って大学に入ってしまうというようなことも考えられます。

 私は、定員増であれば、百人の学生を見ていた人が百五人、百十人を見ることができる、しかし、新しくつくれば、そのためにまた教員がたくさん臨床の現場から去っていかなければならない。もちろん、新設された大学では診療されると思いますけれども。そういった意味では、かなり非効率的なんじゃないかなと思いますし、やはり、医学部を新設しても、十年間は臨床医が育っていきません。六年教育を受けて、さらにそれから研修がありますので、十年間は巣立っていかないということを考えれば、こういった問題はどうだったのかなと思います。

 さらに、医師数が過剰になったからといって、今度は医学部をやめよう、廃校するということもかなり大きな労力がかかると思いますので、今後、厚労省の試算を踏まえまして、医学部の定員のあり方について議論が必要だと思いますが、文部科学省の見解を大臣に伺いたいと思います。

馳国務大臣 まず、医学部の新設については、東北は震災からの復興のための特例、特区は国家戦略特区法に基づき国際的な医療人材を育成するための特例ということで、それぞれ一校に限り認めているものでありまして、医師の需給を踏まえた従来の医学部とは趣旨が違います。

 一方、医学部の定員については、閣議決定を踏まえ、近年は地域の医師確保のための定員増等も進めるなど、これまで適切に定員管理を行ってきたと考えております。

 将来の医師需給については、現在、厚労省において検討が進められているところでありまして、その結果も踏まえ、適切に対応したいと思います。

河野(正)委員 私が学生だった時代と比べれば、今の医学生の方々は、非常に国際交流も盛んで、学生のうちから海外の大学に研修に行ったり、また卒後も、そういった意味で、海外の大学で研究したり就職される方もいらっしゃいますので、わざわざ一校つくってというのはどうなのかなというふうにも思うところであります。

 やはり、適材配置といいますか、診療科の偏在もありますし地域の偏在というのもありますので、しっかりとそういったことを鑑みた上で計画を立てていただけるといいのかなというふうに思います。

 話は若干かわりますけれども、来年、平成二十九年四月より、専門医の認定と養成プログラムを第三者機関が認定、評価する新しい専門医制度の実施というのが予定されております。

 既に実施まで一年を切っておりますけれども、医療関係団体からは、地域や診療科の間で医師の偏在を助長するおそれがあると根強い指摘が続いておりまして、制度が本当に動き出すのか、見通しが立ちにくいような状況にあります。大学病院でも専門医養成のためのプログラムなど準備が必要ですが、先行きが不透明で、現場に影響が生じかねないと思います。

 これは、専門医制度ですので厚生労働省の担当かとは思いますが、こういった状況をどのように捉えられているか、大臣の見解を伺いたいと思います。

馳国務大臣 新たな専門医の仕組みは、専門医の質を高め、良質な医療が提供されることを目的としていて、これまでの学会ごとの自主的な基準に委ねられていた専門医の認定を統一的に行うものであります。

 こうした卒後の専門性向上の取り組みを視野に入れて、卒前の学部教育や大学院教育のあり方を検討することが課題であると認識しております。

 文科省では、このような専門医の仕組みを含め、医師国家試験、臨床研修、生涯教育との一貫性を見据えた新たな医学教育モデル・コア・カリキュラムの検討を行っております。

 各大学においても、これらを踏まえた教育の充実を期待したいと思います。

河野(正)委員 御承知のように、医学教育、医学部教育というのは文科省が担当されていて、卒後は厚生労働省ということで、非常にいろいろ問題、弊害もあるかと思いますが、その辺は文部科学省もリーダーシップをとってやっていっていただきたい。地域の偏在化とかそういった問題がありますので、検討していただきたいと思います。

 時間もありませんので、薬学教育についてお話を伺いたいと思います。

 二〇〇〇年代に入って、我が国の薬学教育に大きな変化が生じております。二〇〇二年度まではおおむね四十程度の薬科大学・薬学部で、およそ八千人の定員だったのが、薬学教育六年制がスタートした二〇〇六年四月には、六十余り、約一万二千人と、受け皿が大きく広がりました。

 こうした薬学系大学の数と定員の推移、あわせて、なぜこれほど薬学教育の裾野が拡大したのか、その理由と文部科学省の評価を伺いたいと思います。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 薬学系大学数及び定員についてのお尋ねでございますが、平成十三年度は、四十六大学、入学定員八千十名でございましたが、平成二十七年度は、七十三大学、入学定員一万三千三十四名となっております。

 薬学系大学数及び定員が増加した要因でございますが、一つは、規制改革の推進に関する第一次答申等を踏まえまして、平成十六年度から、収容定員の増を伴う大学・学部等の設置認可に係る抑制方針を基本的に撤廃するということがございました。また、設置基準に定める大学としての要件を満たすものについては原則これを認める準則主義への転換ということなどが考えられるところでございます。

 薬学教育につきましては、平成十八年度に、今御指摘のように修業年限の延長がなされておりまして、その全体的な一概な評価というのはなかなか難しいところがございますが、六年制課程を卒業した薬剤師の資質につきまして、医療に関する知識水準、技能水準及び医療人としての心構えが旧四年制課程を卒業した薬剤師と比較すると高くなったという評価が就職先である病院や薬局からなされております。

 ただ、一部には、入学者における修業年限内での卒業生の割合が低い大学が見られるなど、教育の質の確保に向けた一層の取り組みも課題になっているというところでございます。

河野(正)委員 今、最後の方で触れられましたけれども、薬剤師の国家試験合格率の差が大学によって極めて大きい、著しく差があるというふうに指摘されておりますが、実情を簡単に伺いたいと思います。

常盤政府参考人 薬剤師の国家試験の合格率でございますが、平成二十八年の二月、ことしの二月に実施をされました第百一回の国家試験の結果でございます。平均が七六・九%、最も高かった大学は九八・七%、最も低かった大学は四四・四%でございます。

 こうした状況の中で、文部科学省でも有識者による検討会を設けておりまして、平成二十六年の十一月でございますが、薬学教育の現状、あるいは、その中での課題のある大学に共通する問題点などを整理した提言を取りまとめておりまして、その提言において、教育方法、教育体制強化などの具体的な課題が指摘をされているという現状でございます。

河野(正)委員 薬学部の学生さんが六年間学ぶための学費負担は少なくありません。国もさまざまな形で公費を投じ、すなわち税金を投じて学びを支えていることと思います。

 しかし、今お話ありましたように、残念ながら国家資格取得に至らない薬学部卒業生も少なくない現状を踏まえますと、専門的な薬学教育を受けた者の卒後の進路について何らかの対策が必要ではないかという声も聞いております。

 こうした公費負担の現状と、政府としてのこの問題の受けとめをあわせて伺いたいと思います。

常盤政府参考人 公費の支援でございますけれども、大学全体の教育研究に係る国立大学法人運営費交付金あるいは私立大学等経常費補助金が措置されているところでございます。この中で六年制の薬学部生に係る部分だけを切り分けて算定するということはなかなか難しいわけでございますけれども、大きく比較してみますと、やはり、例えば人文系などに比べますと、理系でございますし、工学系などと同じぐらいの水準での措置がなされているというような状況でございます。

 また、卒業生の進路の状況でございますけれども、卒業生全体の進路の状況については把握しているところでございます。その中で、具体的には、薬局に就職する方であるとか、病院、医薬品関連企業という就職先が全体の中で多くを占めるわけでございます。

 一方で、薬剤師国家試験に不合格の方の進路ということも問題なわけでございますけれども、これについては、数値ではなかなかちょっと把握をできておりませんが、大学関係者に聞いたところでは、国家試験に不合格となった卒業者については、就職、非就職にかかわらず、その次の国家試験受験に向けて勉強されているというような状況にあるというふうに伺っております。

 そして、そういう状況について、先ほども申しましたが、やはり先般の有識者による検討会では、こうした国家試験の合格状況などを参考にしつつ、各大学において教育方法あるいは教育体制の強化、こういうふうなことを、具体的な課題が指摘されているわけでございますので、文部科学省としては、そういう点での課題解決に向けた各大学の取り組みを支援してまいりたいというふうに思ってございます。

河野(正)委員 先日、熊本で大きな地震がありまして、熊本県内の公立学校の耐震化率は昨年四月の時点で九八・五%と高い水準にあったにもかかわらず、多くの被災も生じたというふうに聞いております。

 今後の学校の耐震化等について、一言、大臣に伺いたいと思います。

馳国務大臣 今般の熊本地震により被害を受けた学校施設は計八百十六件と報告を受けております。

 文科省では、耐震改修促進法に基づいて、大規模な地震に対して倒壊または崩壊する危険性を低くし、建築物の倒壊等の被害から生命身体及び財産を保護するため、耐震化を進めてきたところであります。その結果は今御承知のとおりでありますが、今般、震度七クラスの地震二回を含む九百回を超える余震が続く中、今なお校舎や体育館の倒壊が一棟も出ていないことは、これは耐震化の成果であると考えております。

 ただ、天井やガラスなど建物の一部に破損が生じるなど、物的な被害の報告も受けておりますので、今後とも、構造体及び非構造部材の耐震対策に努めてまいります。

河野(正)委員 時間が来ましたので終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

谷川委員長 次に、内閣提出、参議院送付、国立大学法人法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。馳文部科学大臣。

    ―――――――――――――

 国立大学法人法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

馳国務大臣 このたび政府から提出いたしました国立大学法人法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 我が国の知的基盤として全国に配置される国立大学は、新たな価値を生み出す知の創出と、それを担う人材の育成を通じ、複雑かつ高度化する社会の課題の解決やイノベーションの創出に貢献し、我が国社会の豊かさや国際競争力の向上に大きく寄与するものであります。

 一方で、今日、大学間の国際的な競争が熾烈さをきわめる中、諸外国との人材獲得競争におくれをとることなく、我が国におけるイノベーションの創出や社会的課題への対応を主導する人材を育成できるよう、世界最高水準の教育研究拠点の形成などを含め、我が国の国立大学の教育研究水準の一層の向上を図ることが求められております。

 この法律案は、大学運営に関する国際的な水準を踏まえた高い次元の目標設定を行い、卓越した教育研究活動を展開することで我が国の学術研究と人材育成を牽引する国立大学法人の形成を図るとともに、全ての国立大学法人等が、地域や社会からの期待に応え、高い付加価値を生み出す教育研究活動を実施することができるよう、所有する資産の有効活用を通じ、経営力の強化を図るための措置を講ずるものであります。

 次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。

 第一に、文科大臣は、申請のあった国立大学法人のうち、世界最高水準の教育研究活動の展開が相当程度見込まれるものを、国立大学法人評価委員会の意見を聞いて、指定国立大学法人として指定することができるものとし、指定国立大学法人の中期目標を定め、またはこれを変更するに当たっては、世界最高水準の教育研究活動を行う外国の大学の業務運営の状況を踏まえなければならないものとしております。

 また、指定国立大学法人について、研究成果の活用促進のための出資対象範囲の拡大、役職員の報酬、給与等の基準の設定における、国際的に卓越した人材確保の必要性の考慮等の特例を適用することとしております。

 あわせて、文部科学大臣は、大学の運営に関して高い識見を有する外国人を国立大学法人評価委員会の委員に任命することができるものとしております。

 第二に、国立大学法人等は、業務の遂行に支障のない範囲内で、その対価を教育研究水準の一層の向上を図るために必要な費用に充てるため、文部科学大臣の認可を受けて、所有する土地等であって業務のために現に使用されておらず、かつ当面使用されることが予定されていないものを貸し付けることができるものとしております。

 また、国立大学法人等のうち文部科学大臣の認定を受けたものについては、当該国立大学法人等が受けた寄附金を原資とする部分であること等の要件に該当する余裕金の運用方法を拡大するものとしております。

 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。

谷川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十五分散会


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