衆議院

メインへスキップ



第3号 平成13年2月27日(火曜日)

会議録本文へ
平成十三年二月二十七日(火曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 鈴木 俊一君

   理事 棚橋 泰文君 理事 谷畑  孝君

   理事 森  英介君 理事 吉田 幸弘君

   理事 大石 正光君 理事 鍵田 節哉君

   理事 福島  豊君 理事 佐藤 公治君

      遠藤 武彦君    奥山 茂彦君

      上川 陽子君    鴨下 一郎君

      木村 義雄君    北村 誠吾君

      熊代 昭彦君    田中眞紀子君

      田村 憲久君    竹下  亘君

      西川 京子君    林 省之介君

      松島みどり君    三ッ林隆志君

      宮腰 光寛君    宮澤 洋一君

      森山 眞弓君    山口 泰明君

      吉野 正芳君    荒井  聰君

      井上 和雄君    大島  敦君

      加藤 公一君    金田 誠一君

      釘宮  磐君    古川 元久君

      三井 辨雄君    山井 和則君

      青山 二三君    江田 康幸君

      樋高  剛君    小沢 和秋君

      木島日出夫君    阿部 知子君

      大島 令子君    中川 智子君

      小池百合子君    川田 悦子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       坂口  力君

   厚生労働副大臣      増田 敏男君

   厚生労働副大臣      桝屋 敬悟君

   厚生労働大臣政務官    奥山 茂彦君

   厚生労働大臣政務官    田浦  直君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 高橋 恒一君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  中尾  巧君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長

   )            日比  徹君

   政府参考人

   (厚生労働省職業能力開発

   局長)          酒井 英幸君

   厚生労働委員会専門員   宮武 太郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十七日

 辞任         補欠選任

  田村 憲久君     山口 泰明君

  家西  悟君     井上 和雄君

  水島 広子君     荒井  聰君

  阿部 知子君     大島 令子君

同日

 辞任         補欠選任

  山口 泰明君     田村 憲久君

  荒井  聰君     水島 広子君

  井上 和雄君     家西  悟君

  大島 令子君     阿部 知子君

    ―――――――――――――

二月二十七日

 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)

 平成十三年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律案(内閣提出第二三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件(労働行政について)




このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 本日は、主に労働行政について質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として法務省大臣官房審議官高橋恒一君、法務省入国管理局長中尾巧君、厚生労働省労働基準局長日比徹君及び職業能力開発局長酒井英幸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷畑孝君。

谷畑委員 おはようございます。自由民主党の谷畑孝でございます。

 本日は、厚生労働委員会として、一月の六日から省庁再編がスタートいたしまして、初めての委員会でございます。とりわけ、坂口厚生労働大臣におかれましては、連立政権の非常に重要な一翼を担っていただいておりまして、非常に敬意を表すとともに、また、お医者さんでもあり、とりわけ、厚生労働行政におかれましては非常に洞察も深く、またすぐれた、立派な大臣である、このように私も心強く思っておりまして、今後ともまた御指導をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 さて、この厚生労働委員会がスタートしたわけでありますけれども、旧労働省におきまして、とりわけKSDの問題におきまして、この国会における非常に重要な疑惑問題としてあるわけでございます。私も、ぜひひとつ厚生労働委員会が、さらにきっちりと行政政策ができる中におきまして、そのスタートを切りまして、このKSDの問題について少し、旧労働委員会に残された課題でもありますけれども、また同時に引き継がれていかなきゃならない問題でもある、このように実は思っているわけでございます。

 まず、坂口厚生労働大臣にお聞きをいたしたいと思います。

 ことしの一月の十六日に東京地検特捜部によりまして、受託収賄容疑ということで、小山前参議院議員が逮捕されるという事態になりました。また、引き続きまして、昨日は村上前参議院議員が議員を辞職する、こういう異常事態が起こっておるわけでございまして、私どもも、政治家の一人として非常に悲しい出来事でもあり、また、この問題をしっかりとやはり解明して、国民に対する信頼を得なきゃならぬ、こういうように私自身も決意をしておるところでございます。

 つきましては、厚生労働大臣はこの問題につきましてどのような認識でおられるのか、所見をお伺いいたします。

坂口国務大臣 ただいま御指摘になりましたように、小山前議員、そしてまた村上前議員と申し上げた方がよろしいんでしょうか、二人の議員の人がおやめになるという大変異常な事態を起こしましたこのKSD問題でございます。私も、この任につかせていただきまして、この問題をやはりきちっと解明して、そして国民の皆さん方に御理解をいただけるようにするということが一番大事なことであるというふうに思っております。過去に起こったことではございますけれども、私がこの席に着かせていただきました以上、すべての責任は私にあるというふうに思っておりまして、やはり私の責任においてこの問題を解決しなければならないと思っているところでございます。

 いずれにいたしましても、現在までの状況というものを十分に把握して、そして、その状況を把握した上で新しい対策というものを打ち立てていかなければならないというふうに思っております。そうした意味で、この問題を風化させることなく、全力を挙げてこの問題の解決に当たりたい、そういう決意を持っていることをまず申し述べさせていただきたいと存じます。

谷畑委員 ただいまの坂口厚生労働大臣の、この事件に対する解明をしっかりしていくということと、また国民に信頼されるよう行政機関としてもその先頭になってやっていくんだと、非常に心強い決意をいただいたところでございます。

 次に、増田副大臣にお聞きをしたいと思うんですけれども、このケーエスデー中小企業経営者福祉事業団というもの、これは私自身、古関前理事長が元労働省の基準監督官であったということもあり、その仕事の経験から、とりわけ日本における中小企業、いわゆる企業の中における九九・三%が中小企業である、それから、その中小企業の雇用者が七〇・九%を占めておる、だから日本におきましてはこの中小企業をどのようにして活性化するかということも非常に大事な仕事である、このように実は思っているわけであります。ところが、中小企業におきましては、大企業に比較しますと、もちろん雇用保険におきましても、また労災保険におきましても、非常に不備なものでもありますし、また、福利厚生におきましてもたくさん不備な問題があろうかとも思います。

 そういう意味では、この古関前理事長さんがKSDを設立して、中小企業に光を当てていこう、福利厚生に対して力をしていこう、こういう趣旨につきましては、私自身、悪くもなければ、これはどんどんやっていくべき問題だ、このように私実は思っておるわけでございまして、とりわけこれは、増田副大臣におかれましても、このKSDの背景といいましょうか、その役割というもの、そのことについてまたどのように考えておられるか、少し意見がありましたらお聞きをしておきたいと思います。

増田副大臣 谷畑先生の御質問にお答えをしてまいりたいと思いますが、先生の御質問をお聞きいたしまして、私、零細企業の出身者なんですが、先生も中小企業の姿、実態はよく御案内のとおりだな、こういう印象を持って実は伺いました。御指摘のように、日本経済を支える重要な役割を担っており、同時にまた我が国の景気回復にも不可欠な役割を果たしていく、私はこういうとらえ方をいたしております。

 そして、経営者の福利厚生については、お話もございましたが、おっしゃるとおり、労働災害の発生率が中小企業はどうしても高うございます。その労働者のみならず経営者も一緒になって中小企業は働いている方が多うございますから、災害防止や災害補償のための事業がどうしても重要であるというような一面もあります。また、中小企業においては、さまざまなイベントや旅行へのあっせん等、みずから実施をするというだけの人数がおりませんから困難であります。したがって、連携、連動をしながら、福利厚生の取り組みをしてきた、その支援を行う事業、これはもちろん有意義だと考えております。

 そしてまた、以上申し上げましたような関係から、経営者や労働者の災害防止や災害補償、福利厚生を行う目的として設立されたのがKSDだ。スタートはそういう目的だったと私も承知をいたしております。

 そこで、過去の責任を明確にした上で、公益法人としての適切な運営が図られるように、厳正な指導をしてやはり私は対応していこう、こういう考え方に立っております。

 以上でございます。

谷畑委員 今増田副大臣がおっしゃいましたように、このKSDの生まれてくる背景といいましょうか、また、KSDが取り組んできたことについては、私ども非常に、評価は評価としてすべきだ、このように実は思っているわけであります。

 しかし、いわゆる公益法人である限りは、やはりそれなりの信頼性というものも大事ですし、また、公益法人であるがゆえに、労働災害保険に入ろうか、そういう気持ちになっていくわけですから、しかもまた、税制上も、公益法人であるがゆえに優遇されていくわけですから、やはり社会的責任は重いのではないか。とりわけ、労働省の許認可された公益法人だということだろうと私は思うんですね。

 そこで、日比労働基準局長にお伺いするわけですけれども、このKSDに初めて立入検査したのが九三年、こう言われています。この中身を少し簡単に、時間がありませんので、まず、一番最初の九三年の立入検査は何の課題で、問題点があって立入検査をしたのか、それを少しお聞きしておきたいと思います。

日比政府参考人 ただいまお尋ねの九三年、平成五年の件だと存じますが、平成五年につきましては、災害補償共済事業の事務処理面の適正化ということでございまして、災害補償事業につきまして、やや業務処理につきまして改善すべき点があったというふうなことでやりました。

 その際、まず立入検査につきましては、平成五年三月に立入検査をいたしまして、その結果、災害補償の事務処理要領を定めるとか、福利厚生事業の実施の考え方の整理等を見てまいりまして、その旨の指導をいたしております。

谷畑委員 ということは、九三年の立入検査においては、公益法人、財団の私物化というのか、古関前理事長がこのKSDに対して私物化をしておる、そういうところにまで、まだ九三年の立入検査ではその課題が主力ではなかったという、今の話ではそういうように理解をしていいわけだと思いますね。

 それで次に、九四年になりまして、口頭で三回、文書で一回、この中身が、先ほど言いましたように、公益法人の財団の私物化、それから、監督官庁幹部に対する、高額の贈答品を贈ったり、そういうことに対して口頭と文書で行っておるということなんですね。

 問題は、それから六年間、実は立入検査をせずに、そして二〇〇〇年の五月になって初めて立入検査をする。この空白の六年間が、労働省として一体何をしておったのか、ここが、私自身、国民から見て、やはりKSDの、労働省しっかりとしろ、こういう批判である、こういうように私は実は思っているわけであります。だから、ここらを、旧労働省でありますけれども、厚生労働行政の中でやはりしっかりと引き継いでいただいて、私は、やはり省もこのKSDの問題についてしっかりと分析と方向性を明らかにしないといかぬのではないか。

 私ども政治家も、もちろん与党におきましては今逮捕を含めて出てきておるわけですけれども、私自身は、一円の資金提供ももらっておりませんし、パーティー券一枚も買ってもらったわけではございませんけれども、しかし、政治家の一人として、やはり私自身も国民に対してしっかりと、これは申しわけないと実は思っておるわけでございまして、これは与野党ともどもだと思います。与党だけがけしからぬということではなくて、野党だってパーティー券百枚以上買ってもらったり、民主党も買ってもらっておるわけでありますから、ここは与野党ともどもに、この問題はやはりしっかりとしていく問題だ、私はこのように思っておるわけでございます。

 これについて、時間がありませんので、日比局長、ひとつ私の問題意識といいましょうか、やはりこの六年間の空白は一体どういうことなのかということが批判にさらされておるんだということの認識について発言を求めます。

日比政府参考人 ただいま御指摘のように、指導あるいは立入検査というものが、平成五年以降、口頭指導数回とかいろいろございましたけれども、いろいろなこういう事態を招いておるということにかんがみますと、結果として指導が十分徹底していなかったと非常に遺憾に思っております。

谷畑委員 やはり、九三年に立入検査をして、九四年に初めて私物化という問題で口頭で三回やっており、そういうことでありますから、それ以後きちっと検証して、立入検査をするなり、そのことに対してしっかりと指導しておるならば、ひょっとすれば今日のような事態に至っていないということであったのかもわからない、このように実は思っているわけであります。

 今後ともぜひひとつ、厚生労働省として引き継がれていくわけでありますから、公益法人、たくさん抱えておると思いますけれども、今後ともまたしっかりと、国民に納得されるような指導のあり方を強く求めておきたいと思います。

 もう時間が本当になくなってあれなんですけれども、次に行きたいと思います。

 このKSDの疑惑の中で、大筋、二つ大きい問題があったのではないかと思うんです。その一つは、いわゆる外国人労働者の受け入れということについて、従来二年間の研修であったものが三年に延長された、この問題が一つ。それと二つ目は、ものつくり大学における政治家の関与、あるいは行政自身がそういうものに影響されずに、ちゃんと行政としての形で処置をされてきたのかという、ここにあるのではないか、このように実は思っているわけであります。

 私、もう時間が迫ってきましたので、それも含めて質問をしたかったわけですけれども、もう後の皆さんに、与党の皆さんに引き継ぐということで、あと二つだけ少し質問をして終わりたいと思います。

 その一つは、私は、ものつくり大学というのは、そのもの自身は、私自身もKSDがこういう事件ということを知らなかったものですから、ものつくり大学そのものは本当にすばらしいことだ。本当に、物をつくり上げて、それに対して喜びを感じたり、また、物をつくることによって人々を幸せにする、このプロセスほど、人間としても生きる力を与えてくれるものではないか、このように実は思っているわけであります。

 しかし、残念ながら、こういうKSD事件で、こういうものつくり大学のきっかけからそういうことになったと思うんですけれども、これで一回労働省の方で、ものつくり大学、もう開校されたと思いますけれども、今後、さらに補助金を含めて助成をしていかれるのか、今後どういう点にされていくのか、この点、少しお聞きをしておきます。ちょっと気がかりになるものですから、今後のことについてお聞きをいたしておきます。

    〔委員長退席、森(英)委員長代理着席〕

坂口国務大臣 御指摘のように、ものつくり大学は、その趣旨そのものは、私も決して間違っていなかったというふうに思っております一人でございます。ただ、その間にいろいろなことがあったものですから、何となく手あかがついたようなふうになってしまいまして大変残念だというふうに思っておりますが、ことし、試験もようやく終わりまして、そしてスタートをいたします。そして、新しい、KGSその他を排除した形でこのものつくり大学がスタートをいたしますので、その新しい執行部の中で、私立大学としての執行部の中で、今後どういうふうな方針でいくかという方針が決定されるというふうに思っております。

 その方針に従いまして、それに我々が協力できることはぜひ協力をしていきたい、そういうふうに思っている次第でございます。

谷畑委員 ありがとうございました。

 もう時間だ、こういうことで紙が回ってきましたので、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。

森(英)委員長代理 次に、小池百合子君。

小池委員 保守党の小池でございます。

 早速ではございますが、引き続きKSD関連の質問をさせていただきたいと思いますが、その前に、坂口大臣も、先ほどもございましたように、医師としての御経験を踏まえてこれまでも厚生大臣として御活躍をいただいたところに、今回は、省庁再編ということで、厚生労働大臣ということに御就任をされたわけでございます。その矢先にこのKSD問題に直面されて大変御苦労なさっているということを改めて、頑張ってくださいと言うしかないわけでございます。

 しかし、これはもう、この問題は、非常に伝統的なと申しましょうか、日本の抱えている構造的なと申した方がいいかもしれませんが、まさに政官財の癒着の典型的なパターンでございます。業という部分が公益法人ということでございますけれども、このパターンからどうやって脱却するかというのは非常に重要な問題でございますし、また、政治の信頼を取り戻すという点でも、今後、この問題の解明というのは非常に大きな意味を持ってくるものと考えているわけでございます。

 先ほども御質問の中にございましたけれども、九四年ごろから、このKSDについて、その業務に非常に問題があるのではないかという認識のもとに、認可されておられる、また監督官庁であります労働省が検査等をやっておられるということですが、結果がこれでございますので、これまでいろいろと注意などをやってきたと言っても、結果責任とすれば、これは大きな責任から免れることはできない、単に遺憾でございますで済ますわけにはいかないのではないかというふうに思うわけでございます。結局、温床として、やはりこれまで旧労働省から、また労働省のみならず関連した関係省庁、よく見ますと非常にパーフェクトにそろえておられるなと思うわけでございますけれども、やはり旧労働省からの天下り先であったということは否めない事実だと思います。

 現在の時点で、ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団、KGS、財団法人国際技能振興財団、そしてアイム・ジャパン、またそのほかにも古関前理事長の御子息が役員を務めていた関連企業など多々あるわけでございますが、ここは、最初に申し上げた三つの団体に絞ってお伺いいたしますと、前労働省出身のいわゆる天下りの方々というのは累積して何人おられるのか、まずその数字をきっちりとお伝えいただきたいと思います。

    〔森(英)委員長代理退席、委員長着席〕

日比政府参考人 平成二年四月以降の累積数、この十年間の累積数でございますが、KSDに再就職した者が二十六人、KGSに再就職した者が八人、それからアイム・ジャパンに再就職をした者が二十七人ということでございます。

 なお、KGSの八人につきましては、ものつくり大学設立準備財団が発足するとともに、実は準備財団に現在五人おりますが、これはKGSの八人のいわば内数でございます。

小池委員 天下り先とすれば非常に安定した受け皿であったのだなというふうに思います。また、安定した受け皿ということであるならば、労働省側とすれば、やはり大事にしておきたいという気持ちがあったのではないか。これは、人間一人、今後、職を離れた後のその行き先という点では、ここのKSD関係をやはり大事にしておきたいという気持ちが無意識の中にあったのではないかというふうに私は思うわけでございますが、その結果として、検査、監督が甘くなったということを指摘されてもしようがない。また、報道によりますと、頭を下げるのはむしろ労働省側であったというふうに報じられているわけでございますけれども、それについて意見があるならおっしゃっていただきたい。

日比政府参考人 委員御指摘のように、新聞報道もされておりますし、0B受け入れ問題が、手ぬるいことあるいは甘さにつながったのではないかというような御報道もいただいておるところでございます。

 私どもとしてはそういうことはなかったと信じておりますけれども、ただ、現実にこういう事態を招いておるということは、私どもの指導の問題自体反省すべき点があったと思っておりまして、今後に向けてこの反省を生かしたいと思っております。

小池委員 反省を生かすというのは具体的にどういうことを指すのでしょうか。例えば許認可を取り消すであるとか、それから今後天下りはやめてしまうとか、そのあたり、具体的にお聞かせください。

日比政府参考人 私ども、従来、指導自体が十分徹底しなかったということにつきまして、どういうことであったろうかということもいろいろと考えまして、私を含めてでございますけれども、その公益法人の指導監督に当たる職員として、一つには力量の問題。公益法人の指導監督というものは、やはり公益法人のそもそも論から始めまして、いろいろと肝に銘じておかないといけないこと、これはあろうかと思います。そういう意味で、職員の資質の面なり、また職員の使い方というとあれですが、動員の仕方といいますか、そういうような面で、指導監督体制という面で見ますと反省すべき点がある。

 したがいまして、私ども、今後におきましては、職員の研修なり、あるいは指導の前提となります検査につきましてもチェックリストをつくる等いろいろな工夫を重ねてまいりたいと思っておるところでございます。

小池委員 今のはお答えになっておりません。今後、認可の取り消しであるとか天下りをやめるとか、そういうことはあるのですかということでしたが、今のお答えでは、指導が十分でなかったということでございました。指導が十分じゃないから、じゃあもっとふやして入れようということなんでしょうか。

坂口国務大臣 御指摘のいわゆる天下りの問題につきましては、私たちも今真剣に検討しているところでございますが、内閣全体といたしましても、公益法人に対する天下りをどうするかということを今年中に検討し、そして結論を出すということでございますので、我々もそれに従いたいというふうに思っております。

 我々自身、旧労働省といたしましても、今まで多くの人たちが入って天下りをしてきた、そのことが、今日までのさまざまな検査をするということに手心を加えるというようなことに果たして影響してこなかったのかどうかということの明確な解析というのはきちっとしなければならないというふうに思っておりまして、今さまざまな検討をさせていただいておりますが、そうしたことも踏まえまして私たちも結論を出したいと思っております。

小池委員 続きまして、ものつくり大学のことについて若干お伺いをしたいと思います。

 二点ございます。

 まず最初に、佐渡で建設されるというふうな方向で進んでいたのが、結局、埼玉・行田市の方で今進んでいるということでございますが、それについて労働省の方にまず相談があったのかどうか。

 それからもう一点が、最初はたしか東工大学の野村先生で学長一人で決まっていたと思いますけれども、その後になって哲学者の梅原先生が総長という形で追加されている。これに対して、この変更そして追加ということについて、労働省の方には、認可している公益法人である、また財団法人KGSのところから相談があったのかどうか。もしくは、佐渡から埼玉へ、そしてまた総長を加えるということについて、これは労働省の意向なのかどうか、その点について明確にお答えいただきたいと思います。

酒井政府参考人 先生御指摘のように、当初佐渡でこの大学の話を計画しようというお声があったところでございますが、この話が具体的に煮詰まっていく過程におきまして、地域における、この大学を支える地域の財政力あるいは交通事情、あるいは全国的な視点からいった立地の諸条件、そういうものが話し合われまして、ただいま先生がおっしゃいました行田の方に最終的に決まった。

 決まる過程におきましては、これは大学を進めておりましたところの今おっしゃいましたKGSが中心になって決めていったものでございまして、そのKGSが決める過程において、KGSも行田市と御相談をし、それを聞きましたところの旧労働省も、当時予算要求を開始しておりました関係で、横からこれをサポートしていくというようなスタンスであったわけでございます。

 それからもう一点、大学の総長等の関係でございますが、大学の総長につきましては、かなりあらかじめの段階から人選をしていくものだと聞いておりまして、関係者の間で結論的にはどういう先生がよかろうかということであったわけでございますが、学長と総長、総長につきましては、今先生御指摘があったところでございますが、必ずしも具体的な教育研究を行うということではございませんで、いわば大学の顔ということで、教学面にすぐれた有識者でもありますとともに、広く影響力といいますか、そういう方を選ぶのが望ましいということで、これは文部省においてもいろいろなお知恵を出されたというふうに聞いておりますし、最終的には、これを進めておりましたところの国際技能振興財団と総長あるいは学長になられた先生との間でよくお話しをいただきました上で、また、私どもにも情報提供がございましたけれども、最終的にはそういう当事者の間でお話しの上決まった、こういういきさつでございます。

小池委員 どうも御答弁いただく際にいつも主語が抜けるんですね。だれがという部分が明確でなくて、そしてあらかじめ人選したとか関係者がとか、関係者がの部分は主語になるんでしょうけれども、そういった非常にあいまいな御答弁が多いので、この後野党の御答弁のときはもっと大変だろうなというふうにもお察しするわけでございます。

 私が伺いましたのは、やはりネームバリューのある人が欲しい、その気持ちもわからないでもないけれども、ツルの一声で決まったということを聞いております。それは参議院の実力者だということで、そのことを、私がものつくり大学なるものの説明をずっと労働省の方から受けている際に、担当者がそのようにざっくばらんに言っておりました。

 ということで、そういったことも踏まえて、結局これはだれがつくってだれが何を求めていたのかというのが、求めている部分は明確ですけれども、そこに至るデュープロセスは非常にグレーであると言わざるを得ないと思います。

 それから、もう一点明確にお聞きしておきたいんですけれども、今問題になっておりますのは、やはりKSDと、それから政治献金、政治資金の問題でございます。KSDが政治献金の任意団体をつくっていたと。任意団体だから知らぬということなのかもしれませんが、これほどの大きなお金が動いたとうわさされておりますKSDの監督官庁として、自民党に対しての政治献金、自民党関係者といった、そしてまた民主党も入っているんですね。それから、当時のさきがけも入っております。こういったことに対して、労働省は全く察知していなかったのかどうか。

 もしくは、これもありがちなパターンなんですけれども、往々にして、関係の政治団体の方の支援に絡んでパーティー券をむしろ役人が一緒になって売ったりとか、そういったこともこれまでも普通にあったわけでございましたけれども、この件につきまして、労働省はどれほどあらかじめ知っていたのか、そしてまた知らなかったのか、なぜ知ろうとしなかったのか、これについて御担当の方から伺いたいと思います。

日比政府参考人 ただいまの点でございますが、いわゆる政治献金につきまして、これは既に報道もされておりますが、豊明会から自民党豊明支部への政治献金、年間約数千万でございますが、この点につきましては、平成十年秋に東京都の選挙管理委員会に行って確認をしたことがございます。そのとき以降は承知をいたしております。

 なお、現在、政治資金規正法上きちんと報告されている、そういうものではない形でのものがいろいろと報道されております。現在捜査当局によって捜査も行われていると承知しておりますが、そういう意味のいろいろな、報道等では党費の肩がわりとかいろいろ言われておりますが、そういうようなものについては従前把握いたしておりませんでした。

 その点につきましては、先ほども申し上げましたように、政治資金規正法上の報告のあるもの、これにつきましては、政治献金問題につきましてある政党の議員からも当時御指摘を受けたことがございますし、いろいろな形で豊明会というものの財政について関心を持ったことがあって調べたわけでございますが、政治関係につきましては、いずれにしましても、現在は非常に報道もされておりますが、当時といたしましてこのようなことがあるとは到底想定できないわけでございますので、そういう意味で事実としても把握もできなかったということでございます。

小池委員 これまでも、累積での天下りの人数も教えていただきました。そしてまた、想定しないことが起こっていたんだということで今お答えがあったわけでございますけれども、それはすなわち、労働省が、認可公益法人であるところのKSD、またそれに関連した企業に対しての監督責任を負う力がないということを言っているに等しいわけでございます。

 ですから、私は、先ほど大臣の方から、いろいろと調査した上で結論を出したいとおっしゃっていますけれども、生半可な結論を出すことは、労働省、今の厚生労働省の今後にとってもよくないということ、そしてまた、これは政治の側も、そして役所の側も、本当に、いま一度こういったシステムが日本そのものに対してのクレジビリティーを下げているということをよく肝に銘じた上で、一番、最もふさわしい決断をお願いしたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、福島豊君。

福島委員 公明党の福島でございます。

 大臣、両副大臣、また両政務官、連日の国会での御質疑、まことに御苦労さまでございます。

 私ども公明党は、このKSDの問題につきましては、明らかにすべきことは明らかにし、そしてまた、正すべきことは正さなければならない、国民に納得をいただける決着をつけることが必要である、このように終始主張をしてきたわけでございます。大臣におかれましても、国会での御答弁も含め、また省内での調査ということも含め、この問題の解明のために陣頭に立って御努力していただいておりますことに、心より敬意を表する次第でございます。

 本日の質問におきましては、行政として、このKSDの問題、またものつくり大学の問題等々にどのように関与してきたのかということ、そして、今後どのように対応していくのかということを中心に御質問させていただきたいと思っております。

 まず初めに、大臣にお尋ねをしたいわけでございますが、谷畑委員、そしてまた小池委員からも御指摘ございましたけれども、今般このような問題を起こしたということは、まさに旧労働省による指導監督が不十分であった、どのように言い繕ってみてもやはり不十分であったと考えざるを得ないわけでございます。

 国会におきまして、大臣としましてもその責任についてさまざまに御発言をしていただいておりますけれども、まず初めに、監督官庁として、その責任をどう受けとめ、そしてまた、今後どのような措置をとるのかということにつきまして、大臣の御決意を承りたいと思います。

坂口国務大臣 今御質問をいただきましたように、結果から見ますと、旧労働省の監督が不十分であったことだけは間違いがないわけでございます。

 これは、なぜこういうことが起こったのかということにつきましても、私は私なりにいろいろ考えてもいるわけでございますが、一つは、やはり平成五年ぐらいから、KSDと関係のありますある人からいろいろと内部のことの告発がございました。そうしたことが何回か続いておりましたけれども、そのことに対して、やはりもう少し謙虚にそれを受け入れて、早く手を打っておればこのようなことはなかったのだろうというふうに思いますが、いわゆる、古関理事長との間の人間関係が非常にこじれた人の話だったものでございますから、個人的な問題として片づけてきた感じがございます。そうしたことが一つは問題ではなかったかというふうに思っております。

 それから、もう一つ。平成五年そして平成十二年と、二回立入検査をしているわけでございますが、先ほど谷畑先生のときにもお答えがございましたとおり、平成五年のときには業務内容についての問題でございました。

 しかし、この平成十二年も含めまして、旧労働省の立入検査というのは、やはり、いわゆる労働省としての業務、労働省が監督する業務のことにつきましては、専門でございますから、かなり厳しくやってきた。ところが、会計検査というのは、なれていないということもあったのか、卓越した能力を発揮することができ得なかった、こういう反省点があるのではないかというふうに思っておりまして、これらの点を踏まえながら、そして体制も十分ではありませんで、どこかでもお答えを申しましたとおり、きちっとした体制ができておりませんで、いわゆる専門家が一人もいなかったというようなこともあったものですから、最近でございますけれども、五人の専門官を置いて、そして体制を整えるというようなことを今やっているようなわけでございます。

 そうしたことがあったということを念頭に入れながら、しかし結果としては、大変国民の皆さん方に御迷惑をかける、お騒がせをして御迷惑をかけるという結果になった、このことに我々は深く反省をしなければならないというふうに思っている次第でございます。

福島委員 ただいまも大臣から御説明がございましたが、平成五年そしてまた平成十二年に立入検査をいたしておるわけでございますが、その間、口頭指導というのが何回かなされております。この時点で、口頭指導にとどまらずに立入検査というものを再度繰り返しておくべきではなかったのか、そしてまた、その検査の結果にのっとりまして民法に基づく改善命令や過料といった措置をとるべきではなかったかというようなことが指摘をされるわけでございます。

 この点につきまして、政府参考人から御説明をいただきたいと思います。

日比政府参考人 今御指摘のように、立入検査、あるいは民法に基づくものとしての改善命令、過料は確かにございます。これは、当時としてということになりますが、立入検査につきましては、一つは、当時としましては、定期検査、これは立入検査もしくは書類検査ということになりますが、これを三年に一度程度やろうということにいたしておりまして、現実には三年に一度というふうにはとてもまいらない状況、極端に言いますと、その当時三つずつほどやっておりましたが、そういうことでは、正直申し上げまして十年に一遍になるというような状況がございました。

 また、改善命令、過料というものにつきましても、ステップを踏むというと変ですが、これはある程度の指導をしつつ、重ねて、言うことをなかなか聞いてくれない、あるいはもっと重大なこと等として、はっきりしたものにつきましては改善命令を出す。ただ、改善命令自体、これは、当時の労働省もそんなに数はございませんでしたが、私ども、ある質問主意書の関係で政府全体のある期間のものを、もうこれは公表されておりますので承知しておりますが、全体としても、改善命令というのはなかなかそうとっていない手段、そういうようなことがございまして、どこまでも当時としてのことを申し上げますと、そういうことで改善命令、過料というような措置に至っていなかった。

 ただ、冒頭申し上げました立入検査の点等につきましては、先ほども申し上げましたが、今後におきましては定期的に検査をする、これは三年に一度きちんとやろう、またそれに基づきまして、指導というものは期限も付して文書指導をやろうということで今後当たってまいりまして、そういうこととの関係では、今後におきましては、改善命令というものも十分念頭に置いて指導に当たってまいりたい。今としては、当時のことをひたすら反省するのみでございます。

福島委員 監督につきましての責任、そしてまた今後どうするのかということについて、大臣、参考人から御説明をいただきましたが、KSDの事業そのもの、そしてまた関連の事業そのものについて、この事件が起こりました後どのような変革が行われているのか。

 そしてまた、こうした事件が発生をしたというのも、共済事業につきましても加入者に対して十分な情報公開というものがなされていなかったということも一つの原因だと思いますし、そしてまた、KSDの運営そのものについて適切にこれをチェックするための評議員会というようなものも当時設置をされておらず、その役割を果たすこともできなかったということも指摘されるわけでございますが、今般、この評議員会も新たに設置をされたようにも伺っております。

 このKSD、また関連事業につきまして、今後どのように対応していくのかということにつきまして、副大臣から御説明いただきたいと思います。

増田副大臣 福島先生のお尋ねにお答えを申し上げていきます。

 KSDの事業につきましては、公益法人として一から出直す覚悟で改革を行うべきところであります。

 現時点において、例えば、霊園開発事業から撤退、またゴルフ会員権やKSD会館その他の不動産については売却を進めているところであります。

 また、その他の改善した点としては、昨年十二月二十八日に寄附行為の改正を行い、収支計算書等の財務関係書類等を一般の閲覧に供するとともに、本年一月三十一日に、先生の御発言にもございましたが、理事等の執行機関を客観的立場から牽制するための機関として評議員会を設置したところでございます。

 しかしながら、改善はまだ十分ではなく、今後、KSDが社会的な信頼を回復できるよう、理事会に対し積極的に提言を行うと決議した評議員会の機能を生かし、また、会員の声を反映して適切に事業が実施されますように指導してまいりたいと考えております。

福島委員 事件は事件として厳正に決着をつけると同時に、今後の対応というものも極めて大切だと思います。何とぞよろしくお願いをいたします。

 続きまして、ものつくり大学に関しましてですが、国際技能振興財団、KGSの職人大学構想について、いつごろからどういう理由で国として支援をするようになったのかという経緯、また、先ほど大臣からも御説明ございましたが、物づくりというものが危機に瀕している我が国において、決してこの大学の構想自体が、当時も含め、その重要性というものが否定できるものではないという御意見につきましては、私も全く同感でございますが、大臣のお考えも含め、御説明いただければと思います。

坂口国務大臣 そもそもの話をいたしますと時間が長くなりますから簡潔に申し上げますが、この問題が取り上げられましたのは、一九九〇年、当時のSSFというフォーラムができ上がりまして、これはいわゆる製造業、それから建設業、建築業と申し上げた方がいいのでしょうか、学者、大学の先生方あるいは現場の企業の社長さん方、こうした皆さん方の中から、このままでは大変だというお話が出てそれがつくられたのがスタートでございました。

 そして、途中でそれがKSDの古関理事長の方に支援を求めるという形に、一九九四年ぐらいにそういうふうになっていくわけでございますが、国といたしましても、平成六、七年ごろというのは非常に円高で大変な時期でございましたし、日本の国の中におきましても、いわゆる大きい企業だけではなくて、中小企業までが海外に次から次へと出ていってしまう、このままでは日本の国の中の物づくり技術、技能というのが大変だ、そういうことが満ちあふれていた時代でありました。

 そうしたことから、旧労働省といたしましても、そうした問題をぜひひとつ労働省の政策としても取り上げなければならないというので取り上げた時期でもあった。こういったことの中から、旧労働省が取り上げておりました政策とものつくり大学の方向性というのは、同じ方向、ベクトルの方向が同じであったというようなことからだんだんと接近をしていったというふうに私はずっと経過を見ましてそう考えております。そして、このものつくり大学というのは、技能、技術を磨くだけではなくて、いわゆるマネジメントもできる大学にしようということになって、それが今日に発展をしてきたというふうに思っております。

 したがいまして、技能、技術を持つだけではなくて、マネジメントも兼ね備えたそういう立派な人たちをつくり上げていくということ自体は、私は必要なことではないかというふうに思っているわけでございますが、不幸にいたしましてKSDとの関係がありましたので大変イメージが悪くなってしまいましたけれども、このものつくり大学は今後関係者の努力によって立派に成長していくだろうというふうに思っております。それに対しまして、労働省といたしましても、これは全面的な御支援をしなければならないのではないかというふうに思っている次第でございます。

福島委員 また事実関係の確認でございますけれども、平成十二年度の予算の増額、ものつくり大学の補助ということで、その増額に当たりましては、その財源を捻出するために雇用関係の予算を削ったという御説明がなされております。しかしながら、当時、大変に厳しい雇用状況のもとにおきまして、こうした予算は守るべきであって、なぜわざわざ削ってこのものつくり大学に回さなければならなかったのかという指摘もあろうかというふうに思います。そしてまた、KGSが要請するままに国が助成するということではなくて、国立大学を活用したりとか、また別の私立大学に対して補助をするというような別の選択肢もあったのではないかというような指摘もできるのではないかと思っております。

 この点についての政府参考人からの御説明をいただきたいと思います。

酒井政府参考人 先生おっしゃいましたように、当時、雇用の状況は大変厳しいものがございました。雇用を確保するということと、この大学の問題をどう解決するかということでございましたが、十二年度の予算に立てたものの一部を、むしろ雇用の状況が厳しいことにかんがみまして十一年度の第二号補正予算の中に取り込んで、取り込んだものの一部は実は十二年度も使えるように措置をとるといったような対応をした。その他につきましては、一部、緊急性、必要性を極めて厳密に判断をせざるを得ないと考えましてその財源を出したということで、トータルとしては雇用も大変重視をした決断をしたということでございます。

 それから、先生もう一点おっしゃいました、KGSの言うままに国が助成するということではいかぬじゃないかということでございますけれども、これは今大臣がおっしゃいましたように、この大学につきましては、従来のタイプのものと違う、物づくりについての技能、技術の双方に通じた人であって、かつマネジメントができる人ということで新しいタイプの大学ということを目指しておったものですから、従来の国立大学等ではなかなかこれを吸収できないということで、しかも、厚生労働省としても、省の政策の必要性からも重要であるという判断で助成をしたということで、単にKGSの言いなりということではなかったかというふうに思っておるところでございます。

福島委員 大臣からの御説明もございました。また、政府参考人からの御説明もございましたけれども、このものつくり大学というのはこの四月からスタートするわけでございます。何としてもこれは成功させなければならないというふうに思います。KSDの問題について反省すべきことは反省しつつも、同時に、この新しくスタートした大学については、それが本当にうまくいったということをもって、今回のこの問題についての国民の皆様の御理解もいただける一助になるのではないかというふうに私は思っておる次第でございます。

 ただいまも政府参考人から、今までの大学とは違うあり方を目指すんだという話がありました。私は、開かれた大学づくりを進めるべきだと思っております。国際的にも開かれていなければならないし、社会的にも開かれていなければならないし、そういう中で本当の日本の物づくりというものを支えていく情報の発信センターになるような大学にしていかなければならないのではないか、そのように思っているところでございます。

 そこで、最後に副大臣に現状と今後の見通しについて御説明いただきたいと思います。

増田副大臣 お答えをいたします。

 御発言にもございましたように、私たちにとっては、大臣の御発言のとおり、将来にかけた期待の大変大きい大学であります。

 そこで、本年一月五日からは学生募集を開始しました。二月十三日には一般入学試験が行われ、A日程が現在進められております。校舎等の施設につきましては三月中の竣工を目指しまして、これも御発言にございましたが、本年四月の開学に向けて準備が進められております。

 同時に、先生がおっしゃいましたように、厚生労働省としては、同大学が適正に運営をされまして、その建学の精神を十分に発揮し、社会から期待される有為な人材を多数育成、輩出し、我が国の産業基盤の強化を支える一翼を担うものとなるように期待しているところであり、御発言の意を体して鋭意努力を進めてまいりたいと思います。

福島委員 持ち時間が終わりましたので、以上で質問を終わります。どうもありがとうございました。

鈴木委員長 次に、加藤公一君。

加藤(公)委員 民主党の加藤公一でございます。引き続きまして、KSDの問題について御質問を申し上げたいと思います。

 まず、せんだっての所信表明にもございましたが、坂口大臣は、このKSDの問題は極めて遺憾だというふうに御認識をされていらっしゃるということでありますが、この問題、事実をすべて解明して国民の皆さんに明らかにしていく、その義務を負っていらっしゃると言っても過言ではないと思います。その決意について簡潔に御答弁をいただきたいと思います。

坂口国務大臣 加藤先生から御指摘をいただきましたように、このKSDの問題は、多くの国民の皆さん方から注目をされている問題でございます。先ほどからお話が出ておりますように、政治とのかかわりもある問題でございまして、どうしてもここはきちっとしていかなければならない、その責任の重大さを痛感しているところでございます。

 そして、このKSDそのものにつきましては、今後、一からスタートする、もう一遍一からつくり直す、それぐらいの覚悟でと申しますか、そういう姿勢でもう一遍出直しをすべきであるというふうに私は主張しているところでございまして、KSDの役員の皆さん方が新しく間もなく決定されるであろうというふうに思いますが、その皆さん方には、そうした立場で本当に信頼をされる事業をしてほしいということを言うつもりでおります。

 過去の問題につきましては、私が責任を持ってやらせていただきたい、こう思っております。

加藤(公)委員 それでは、過去さまざまな場面で議論が出ておりますが、まだ明らかになっていない点がございますので、そこから御質問をしたいと思います。

 一月十九日の閣議後の記者会見におきまして、労働省の幹部の皆さんがKSDが設けた宴席に出席をしていたという問題について、厳しく調査をすると大臣がお答えになっていらっしゃいますし、また、その後の今月の予算委員会でも、現在調査中だとお答えになっていらっしゃいます。旧労働省職員の方の中で、古関前理事長あるいは小山、村上両前議員などとしばしば会食をされていた方がいらっしゃるという情報がございますが、この方々の氏名、そして当時のお役職、公表をしていただきたいと思います。

坂口国務大臣 現在まさしく調査中でございます。

 先日も予算委員会でもある程度お答えをしたところでございますが、その担当でありました人の人数が約数十名に及んでいます。これは、その役職、ポジションにいた人の数でございますが、そうした皆さん方に全部聞き取り等をやっております。

 過去のことでございますので記憶のそれぞれ違うところもございますので、そうした皆さん方の記憶を一致させるようにクロスチェック等もやっているところでございまして、少し手間、時間をとっておりますが、間もなく結論が出るだろうというふうに思っておるところでございます。

加藤(公)委員 引き続き調査中ということですが、いつまでもこのままずるずる行っても、国民の皆さんの怒りはどんどん大きくなるだけだと思いますので、ぜひこれは、坂口大臣のお力をもって、名誉にかけても大至急調査、公表していただきたいと思うんですが、いつまでにその調査を完了されるおつもりか、ぜひこれをきょうここで明確に御答弁いただきたいと思います。

坂口国務大臣 なかなか明確にも言えないわけでございますが、本当はこの二月中に何とか結論が出ないかと私は言っていたわけでございますけれども、先ほど申しましたような理由で、おやめになった人もたくさんいるわけでございまして、そうした皆さん方にも聞かなければならないということもあって、殊のほか手間取っているようでございます。

 そうしたこともございますので、少なくとも三月の上旬か真ん中までには結論を出したい、十五日までには結論を出したい。それ以上は延ばしてくれるな、こう言っておりますから、多分そうしてくれるであろうというふうに思っているところでございます。

加藤(公)委員 いや、大臣なんですから、そうしてくれるであろうじゃなくて、ぜひそうしてください。今ここで三月の中旬以降の言葉はありませんでしたから、三月の中旬までにはこれはすべてはっきりさせていただくということは、大臣とのお約束というふうに認識をさせていただきたいと思います。

 引き続いて、同じく大臣の所信の中で、KSDについては過去の責任を明確にしたいというお話がございましたが、だれのどういった責任を明確にするのか、この点簡潔に御答弁をいただきたいと思います。

坂口国務大臣 その責任は、先ほども申しましたとおり、私が今厚生労働大臣をさせていただいたわけでございますから、過去のことではございますけれども、全責任は私にあるというふうに思っております。

 そして、その責任のとり方をどうするかということでございますが、それはやはり、過去に犯したことを再び起こさないようにどうするかということが一つの大きな課題であり、過去の問題に対してどうけじめをつけるかということがもう一つの課題であるというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、全容をもう少しやはり明らかにしないといけない。現在の表面に出ております問題だけではなくて、旧労働省がどのようにかかわったのか、それは責任があったことなのか、なかったことなのか。もう少し明確にした上で結論を出したいと思っているところでございます。

加藤(公)委員 今非常にいいお話をいただきまして、労働省がどうかかわったか、表面に出ていないところまで含めて全容を明らかにしたい、けじめをつけたいというお話でしたが、まさにそのとおりだと思います。これからまた各論で少しお話を伺いますが、詰めれば詰めるほど、これは旧労働省の監督責任というところにも話が及ぶわけでありまして、ぜひその気概で大臣には事実解明に当たっていただきたいと思います。

 各論でちょっと質問をいたします。

 平成六年の段階で、KSDがもう既に私物化をされているんじゃないか、古関理事長がどうも公益法人を私物化して、これはよろしくない状態にあるということはわかっていたわけでありまして、当時審議官でありました伊藤庄平氏が古関前理事長を呼んで口頭指導をしているわけであります。

 しかし、国民の一般的な感覚からいたしますと、公益法人を私物化するという状態にあると言われている人を呼んで、責任者を呼んで、口頭で注意をした、これが本当に効き目のある話なのか、あるいはその程度の指導でいいのかどうか。これは、当時の事実ではなくて、今振り返って、大臣としてそれが十分だったとお考えになるかどうか、お答えをいただきたいと思います。

増田副大臣 私の方からお答えをいたしたいと思います。

 御指摘の口頭指導につきましては、昨年の臨時国会における伊藤次官の答弁後に調べたところ、その時期は平成六年一、二月ごろとのことでございました。当時、古関理事長といさかいのあった人物が、古関理事長が関連会社をつくって一族を役員に入れ、KSDと特別な取引をしていること、二番目として、信用金庫の業務範囲を超えた形の会員募集があること、三番目として、労働省幹部等にお歳暮がなされていることを指摘したので、古関理事長に対して、そうしたことのないように指導した、これが実態の姿であります。

 それから、先ほど大臣の御答弁にもございましたが、三月中旬中旬と、がちっと先生がたがをはめようとなさいましたが、実際、一生懸命取り組んでみまして、強制力がありません。数十人の方ですから、いろいろ話を合わせていくのに、人間というのは私を含めてそうなんでしょうが、記憶がなかなか定かでないようであります。しかし、報告をするときには、その人の人格識見がすべてそのことで公開になってしまいます。したがって、プライバシー等を考えながら、私も大臣を補佐して一生懸命やりますので、がちがちっというたがだけは、ぜひ御理解をいただきたいと思います。全力を尽くします。

加藤(公)委員 では先にそのお話をしますけれども、私も長いこと民間企業におりましたので、締め切りというのは必ずあるんですね、世の中には、仕事には。もうおわかりのとおりですが。

 いついつまで、いやちょっと厳しいからまた先送り、こんなことをやっていたら仕事なんか進むわけないんで、三月中旬なら中旬で、わかったところまで発表してください。一〇〇%じゃないのなら、なぜ一〇〇%じゃないか、あと何日かかるか、こうやって発表すればいいわけで、三月中旬にそこまでわかったことを発表していただく。これは国民の皆さんに対する義務だと思いますので、ぜひこの点はお約束いただきたいと思います。

 それから、今の御答弁だと私の質問の答えにはなっておりませんで、私も、口頭指導したということはわかっています。ただ、それで十分だと思うんですかと。ほかにもいっぱい指導監督をする方法はあるのに、KSDを私物化しているということがありながら、口頭指導でよかったのかということを聞いているわけです。

 もっと言えば、この後、平成八年そして九年には、KSD会館、ここも完全に私物化が明らかになって、それから補助金の使途が不明朗になっている、こういう話まで出てきて、ここもまた口頭指導で終わっているわけですよ。

 本人を呼んで、口頭で注意をして、それで改善をされる、そう思っていらっしゃったのかどうか。つまり、平成六年に口頭で指導したのに、二年三年たって何も変わっていない。また呼んで、また口頭で指導をした。これが十分だったとお考えかどうかということを伺っています。大臣の御認識をお願いします。

坂口国務大臣 結果から見れば、不十分であったと私も思っております。

 ただしかし、うまく言い逃れる人というのは随分うまく言うものでございまして、何回か指導をいたしました。そのときには、もうわかりましたと、あすにも改革をするようなことを言って帰るということがあった。そうしたことを何度か何度か続けたというところに、旧労働省としても反省をしなければならないところがあるわけでございます。

 旧労働省にも結果として見ますと不十分であった点はございますが、しかし、それを何遍か言われても聞かなかった相手の手口というのも大変なものであったと私は思っておるわけでございまして、ここをどうしていかなければならないのか、そのときにどうすべきであったのか、我々、そこは反省点の一つだというふうに考えております。

加藤(公)委員 今振り返って結果的にと言えば、それは全部そうなってしまうんですが、さらに一歩進めますと、平成八年の九月二十日には閣議決定で、公益法人の設立許可及び指導監督基準というのが決定をされているわけです。

 これは昨年秋の臨時国会でも、私、質問のときにこのお話をさせていただきましたが、これでは具体的に、例えば理事の報酬とか退職金の問題、これが高額過ぎる場合とか、あるいはKSDの場合は大きな欠陥、もっとわかりやすい欠陥で言えば、評議員会がなかったわけですね。先ほど答弁で最近つくったという話がありましたが、当時全くなかった。これを経過措置で三年以内にこの監督基準に適合させなければいけないということになったわけです、閣議決定で。

 本来は、平成八年の九月二十日以降に新設される公益法人については、この基準を満たさない限り認可をしないということになっていたわけですから、この三年間というのは随分な経過措置をとったわけですよ。つまり、平成十一年の九月二十日までにこれを改善させる、その監督基準に適合させるという監督指導というものを発する義務があったんじゃないか。それを全くしなかったわけですね、結果的に。

 今から振り返って、結果的にしませんでした、どうも盗人たけだけしいからうまくいきませんでしたじゃ話にならないわけで、これは先ほど申し上げた平成六年あるいは八年、九年の、古関前理事長を呼んで口頭で注意したというのとは、明らかに質が違うわけです。なぜ閣議決定に違背してそういう指導ができなかったのか。大臣、どうお考えでしょうか。

坂口国務大臣 平成八年の九月二十日に、公益法人の設立許可及び指導監督基準というのが閣議決定された。それを受けて労働省は、同基準を守らなければならないということで、KSDを含みます所管の公益法人に対しまして通達を出した。ここまではきちっとしているわけでございます。また、その指導監督基準におきましては、平成十一年の九月が改善の期限とされていたところでありまして、十一年九月までに改善をしなければならないということは、KSDも含めまして厳重に言っているわけでございます。

 御指摘の理事の報酬の問題につきましては、これも言いますといささか言いわけがましくなるわけでございますが、KSDの会長をしておりました古関さんという人は、旧労働省に勤めた人ではありますけれども、二十歳代のときに四年三カ月勤めただけの方でございまして、いわゆる局長ですとか部長さんだとかということになってから行った人ではなかった。言ってみれば、自前でKSDをつくり上げた人であったということでございまして、すなわち、いわゆる局長クラスの人がもう一遍どこかに勤めるという意味で勤めた人でなかったというようなところから、そういう人に対してまで同じように言うのかどうかということで議論があったと聞いているわけでございます。

加藤(公)委員 いいですか。平成十一年九月二十日までに、閣議決定された指導監督基準に合わせなきゃいかぬ、適合させなければいかぬということになっていたにもかかわらず、その間、平成九年の七月にはKSDから寄附行為の変更の申請が来て、その段階で評議員会は設置されていなかったんです。平成八年九月二十日に閣議決定されて、評議員会を置かなきゃいけませんよということが決まって、三年後までにそう改善をしなきゃいけないというふうに経過措置はあったものの、その後の平成九年七月にKSDから寄附行為の変更の申請があったんです。その段階では評議員会は置かれていなかった。だけれども、労働省としてその寄附行為の変更を許可しちゃったわけですよ。

 本来であれば、その段階で、寄附行為変更をするんだったらちゃんと評議員会を置いてこいと言えばいいものを、すんなり通しちゃった。これは結局、何も指導していないのと同じなんですよ。ずるずる、平成五年、六年から口頭で注意しました、あるいは三年間の経過措置の間に何とかなると思っていましたと言っているうちに、ここまで大きな問題になっちゃったわけです。

 結局、この問題というのは、だれが悪い、かれが悪いの前に、百七万人とも言われる中小企業の経営者の方を中心とする会員の方の会費がどんどんその意思に反してむだ遣いをされた、自分の気持ちと関係ないところにお金が流れた、ここに問題があるわけですよ。当然、皆さんの周りにも会員の方はいらっしゃると思うし、私の周りにもいますが、この事件発覚以降、かんかんになって怒っていらっしゃる。何のために毎月二千円払ってきたんだ、そのお金を返してほしいぐらいだ、こう言っていらっしゃる方は大変多くいらっしゃるわけです。退会者もふえている、当然のことだと思います。

 そういう事件を起こさないためにこそ、本来はここできちんと、もっと強い命令を発するべきだった。口頭の指導、注意じゃなくて、命令を発すればよかったわけです。

 さらに言いますが、平成十年の秋口、十月から十二月ごろにかけてでありますが、私ども民主党の一部のスタッフが、既にその当時、KSDの問題について察知をいたしておりまして、当時の労働省に対して、これは大きな問題がある、疑惑があるから解明してほしい、立入検査をして指導すべきじゃないか、こういう要請をしたわけであります。

 その中には、KSDがKSD豊明会を通じてどうも政治献金をしているぞ、このお金の流れが怪しいぞ。あるいは、古関前理事長が相変わらず私物化しているぞ、このままでいいのか。あるいは、本業の災害補償共済、これは約三〇%しか支出をしていない。本業が三割で残りが福利厚生事業だ、こんなことで本当にいいのか。確かに寄附行為の一部には福利厚生事業というのも書いてあるかもしれないけれども、本業はあくまでも災害補償のはずです、この団体は。さらに、基本財産とかあるいは補償準備積立金までも、どうもこの運用が怪しい。本当に抜き打ちで立入検査をすれば、これが準備されているかどうかすら怪しい、経理が怪しい、こんなところまで指摘をしていたわけです。

 しかし、こうした指摘に対しても全く適切な対応がなされなかった。

 当時の労働基準局からはお返事をいただいておりまして、その中には、さらに指導の強化に努めてまいりたいという文言も入っております。そして、KSDの補助金の使途が明確でないことに問題がある、平成十一年度から補助金とそれ以外の収入を区分処理する、別勘定にするように指導しますということも書いてある。そして最後には、特に問題がある場合には監査等を行い、適切な指導に努めるということでこの文書はまとめられているわけです。

 いいですか。そこまで返答をしておきながら、一切その厳しい適切な指導監督が行われなかった。

 さらに言うと、KSD豊明会から政治家に、そして政治団体にお金が流れているという事実がございます。

 平成十年は、KSD豊明会から自由民主党東京都豊明支部に対して、五百万、一千万、一千万、五百万、二月、四月、六月、八月とずっと寄附が行われていました。二カ月ごとに行われてきたこの寄附、二十六日もしくは二十七日でそろっていますから、ちょうど二カ月ごとに寄附をしてきたのでしょう。しかしこれが十月には、私ども民主党から今申し上げたような点を指摘したものだから、それ以降ぱたっと寄附がやんでいます。ところが、翌年になりますとまたこれが、ちょうど一年たってほとぼりが冷めたとでも思ったのでしょうか、平成十一年の十一月二十五日、そして十二月二十五日、合わせて四千万円が自由民主党東京都豊明支部にKSD豊明会代表古関忠男さんの名前で寄附がされているわけです。

 このように、指摘をされて、改善をしてほしい、立入検査をしてほしい、こういう要望をしたにもかかわらず、そしてまた閣議決定があったにもかかわらず、適切な強制力のある命令というのが行われてこなかった。これは、振り返って反省していますではやはり済まないんじゃないか、厳しくここは責任を追及していく必要があるんじゃないかと思いますが、この点、大臣の御認識を伺いたいと思います。

増田副大臣 一部、経過について私の方から御答弁申し上げます。

 まず、指導監督基準が閣議決定された関係でありますが、これは、十年七月二十九日に寄附行為の変更の認可をとったところであります。その内容は、常務理事の数を二名から五名以内に改めるというものであります。

 この際、この寄附行為の改正内容には評議員会の設置が含まれていなかったところでありますが、評議員会の設置については、先ほど申し上げたとおり、指導監督基準への適合について三年間の猶予期間が設けられていたことから、猶予期間内に評議員会を設けるよう指導を行ったところであります。したがって、九年七月と私はお聞きをしたのですが、十年七月でございます。

 それから、次のお答えの方ですが、平成十年十月から十二月に民主党の議員さんから、先生の御発言のとおり、質問がございました。KSD豊明会が自民党東京都豊明支部へ政治献金をしていること、それから、専務理事は古関理事長の息子であり、KSDの私物化につながること、それから、災害補償共済事業に会費の約三割しか充当していないこと、次に、基本財産、補償準備積立預金が積み立てられているか疑問であること、これらにつきまして指摘されたところであります。

 これらの指摘については、まず一としまして、KSDによれば、政治献金の財源は自前収入であるとの説明であったこと、当時の話です。二として、専務理事については、理事会において専任されていること、三、会費の約三割を災害補償共済事業に充当することについては、事業開始前に金融当局からの指導に従ったと聞いていること、四、基本財産は監事が把握しているものと認識していること、補償準備積立預金は、金融機関の残高証明により、積み立てられていることを確認したこと、さらに、特に問題がある場合には監査等を行い、適切な指導に努めること、以上のように御説明をしたと聞いております。先生のおっしゃるのと同じだと思います。

 そこで、今国会の衆議院予算委員会におきまして坂口大臣から御答弁を申し上げているところでありますが、まず、一の政治献金については、最近入手した資料によれば、KSDの説明内容をもう一度検討し直さなければならない、それから、二の約三割の点については、KSDからそういう説明があったというだけであり、本当にそういうことがあったという記録が現在なく、必ずしも確認できていない状況です。結果として、その当時の説明は十分でなかったものである、このように私としてはとらえております。

 以上でございます。

加藤(公)委員 いや、今の説明だと、要は、当時こういうことがあったけれども、かくかくしかじかこういうわけで、手ぬるい指導しかしませんでしたという言いわけを後からくっつけたような話であって、そんなのじゃ話にならぬわけですよ。

 いいですか。そもそも、民法の六十七条第二項、ここで命令という項目があるわけですよ。これは後から追加をされたわけじゃないですか。昭和五十四年に法改正をされた。つまり、口頭で指導しても言うことを聞かない財団があるから、そこには強制力を持った命令という方法をとろうじゃないか、法的拘束力をここに持たせようじゃないか、こういうことで法改正をされたわけです。

 実は、これは昨年、質問主意書で確認をさせていただいておりますが、過去に労働省から二件のこの命令が発せられているんですね。民法の第六十七条第二項に基づいた命令が二件、社団法人君津労働基準協会と財団法人労働福祉衛生会。ここに、「業務の改善について 民法第六十七条第二項に基づき、下記について改善を指示する。」こういう書類もある。この中身を見ると、明らかにKSDの問題よりもこっちの方が軽微なんですよ。指導している内容は、事業計画の年間スケジュール表を作成することとか、変更登記を行った場合には遅滞なく本職へ届け出ることとか、この程度ですよ。これで命令を発している。これには法的拘束力があるわけじゃないですか。

 なぜKSDは、平成五年からこれだけ大きな問題になっていたのに、何度も何度も口頭指導だけなんだ。たまに文書を出したり、それだけじゃないですか。しかも全部言うことを聞いてこなかった。そんな財団に対してどうして文書で命令を出せなかったのか。坂口大臣、いかがですか。

坂口国務大臣 全部が全部言うことを聞いてこなかったわけではないというふうに思います。平成五年のときには、先ほどから申しますように、これは事業内容についての監査でございました。これに対しましては、KSDの方も改善をしてまいったところでございます。

 しかし、今御指摘の政治献金絡みのいろいろのお話等につきましては、これは、大体平成九年から十年ぐらいにかけて顕在化してきたと申しますか、わかってきた問題でございます。八年、九年、したがいまして十年、こう口頭でやってきたわけでございまして、特に、先ほどからお話がございましたとおり、古川先生にここで御発言をいただいたそれ以降、問題提起としては大変大きかったというふうに思っておりまして、旧労働省も、KSDを呼びましてかなり厳しくそこは言っているわけでございます。しかし、かなり厳しく言っておりますが、十一年に、それはきちっとやりますという約束であったけれどもやらなかったものですから、十二年に調査に入った、こういうことでございます。

 少しテンポが遅かったということは否めませんけれども、しかし、そういう経過をたどってやっているわけでございます。

加藤(公)委員 はっきり言っちゃえば、当時坂口さんがその責任者であったわけじゃないのにこんなことを言われて、自分も災難だなぐらいに思っていらっしゃると思うし、私も大変かわいそうな思いをするわけですが、しかし大臣ですから、先ほど最初になぜ僕が決意を聞いたかといえば、この事実を明らかにして公開する、それこそが国民の皆さんに対する信頼を回復するすべだという御決意であったわけですから、やはりここが、なぜこうした軽微なところに対して命令が発せられていて、KSDは何年も言うことを聞かなかったのにほったらかしだったのか、この点をやはり厳しく追及をしてほしいわけですよ。国民の疑惑というのはそこにあるんですね。

 結局、お二方、参議院議員の方が疑惑でおやめになりました。それとて、結局裏の資金が回って、そこから圧力がかかったものだから、KSDだけ難を逃れてきたんじゃないか、国民の皆さんはそういう疑いの目で見るわけですよ。それが政治不信につながっていく。これこそが今の日本の問題を生むわけですから、ぜひ、バランスを考えたら、どう考えても筋の通らない話がここに明らかにあるわけですから、これは大臣のお力で事実を明らかにしていただいて、一体どこがどういう構図で指導監督が不十分であったのか、そして法的拘束力のある命令が発せられなかったのか、この点は解明をした上で公表をしていただきたいと思います。

 そしてまた、先ほどは宿題をお願い申し上げました。これも三月の中旬に楽しみにいたしておりますので、ぜひ国民の皆さんが納得いくような調査結果を公表していただきたい。

 時間になりましたので、この点をお願いして、質問を終わりたいと思います。

鈴木委員長 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 民主党・無所属クラブの大島敦です。加藤公一委員に引き続き質問します。

 昨年の第百五十臨時国会の労働委員会で、私は、KSD、そしてその関連の財団法人中小企業国際人材育成事業団、通称アイム・ジャパン、それからものつくり大学について質問させていただきました。その中で、吉川前労働大臣は、KSDのような事件は聞いたことがない、つまりそれくらい重大な事件であるという認識があるという答弁がありました。実際に、その後の報道、そして小山孝雄前参議院議員の逮捕、村上正邦前参議院議員の辞職というように、このKSD問題は政官業癒着の構造的汚職事件であることがはっきりしてきました。

 例えば、信用金庫とか信用組合が行っていたKSDの代理業務の違法性を昨年の質問で私は指摘しましたが、会員増強を積極的にやるとなると違反の可能性が出てくるという趣旨の答弁を当時の宮本金融再生委員会政務次官がなさり、その後、改善命令が出て是正されたと記憶しております。

 それからアイム・ジャパンについても、これについては、研修生そして実習生の手当の中から毎月二万円をインドネシアに強制的に送金されていたという非常に常識外れな事実もあり、そのことについて当時の労働委員会を通して労働省の方に求めたところ、この送金について労働省の方から、ここにありますとおり、インドネシア本国送金の実態に関する結果報告書ということで結果が報告されております。これを見ますと、インドネシア本人の口座の残高証明書、これは本当は毎月とるべきなんでしょうけれども、年に一回とか二回とか、やっていないという非常にずさんな管理がわかりました。

 そして、特にアイム・ジャパンについては、茨城そして福島の元労働基準局長が役員として入っている。前回の国会で、野寺元労働基準局長の答弁の中で、どういう基準で労働省は人を出すのかと私が伺ったところ、かくかくしかじかの能力がある人を紹介してくれないかとの要望に沿って、適当と思われる人を紹介すると伺っている、そのように答弁されております。これは、こういう、前回も指摘しましたけれども、非常に労働基準法違反に近い、あるいはやってはいけないようなことをしている方を平気で出してしまうのが労働省なのかなと。これまでの加藤公一さんの質問を聞いても、非常に確信犯だったのかなという実感がしておるところでございます。

 今回、内閣改造で公明党の坂口厚生労働大臣にかわりました。庶民の党、福祉の党の公明党からの厚生労働大臣ですから、当然、このKSD問題のように、まじめにこつこつ働いている庶民の信頼を裏切るような事件は徹底的に解明なさるはずだと確信しております。

 そして、前回の労働大臣、ほとんどみずからの言葉が発せられませんでした。特に、一昨年成立した国会審議活性化法という法律で、国民の皆さんに、今後は政治主導でやっていくんだということが決まっているにもかかわらず、私の質問に答えようとして吉川労働大臣が手を挙げると、後ろから官僚の方がその手を下げて、ペーパーを差し出して読むような風景が非常に見受けられました。本当にこの国会というのが機能していないなと実感しているところでございます。

 今回、先ほどの大臣の答弁にもありましたとおり、非常に期待しております。そして、大臣自身の言葉で、特に政治家の信念の言葉で答えていただければと私は切に希望いたします。

 まず第一問なんですけれども、やはりKSD、アイム・ジャパン、ものつくり大学について、大臣の認識を伺いたいと思います。これは簡潔にお願いいたします。

坂口国務大臣 大島議員は既にこの委員会で御質問をいただいているようでございますから、この問題に関しましては私よりも大島議員の方が先輩でございます。私の方が駆け出しでございますけれども、一生懸命今取り組んでいるところでございまして、やはり、先ほどから申しますとおり、これだけKSDの問題、そしてアイム・ジャパンの問題、そしてまたものつくりの問題等が国民の皆さん方から注目をされ、中には政治との関係におきまして、議員の辞職といったようなことにまで結びついているわけでございますから、その責任の重大さということは、これは言語になかなか表現しがたいほどのものがあるだろうというふうに思っております。

 したがいまして、全力を挙げてこの解明に取り組むというのが私に課せられた任務であるというふうに思っているところでございます。

大島(敦)委員 一月三十日なんですけれども、労働委員会が、閉会中審査ということで開催されようといたしました。坂口労働大臣にはこの場にいらしていただき、そして各野党の皆さんも出席したんですけれども、与党三党が欠席したために開催ができませんでした。特に、政治の透明性が求められております。これだけ世間を騒がせている事件ですから、一日でも早く審議を進めて、真相を明らかにするのが政治家の責務ではないかと私は考えます。

 自民党、公明党、保守党の与党三党が出席しなかったために流会となってしまった、このことについて、政治家坂口先生の見解を伺いたいと思います。

坂口国務大臣 議会のことあるいは委員会のことは、それぞれ議会あるいは委員会でお決めをいただく問題でございますから、私がとやかく申し上げる筋合いのことではないというふうに思っております。

 しかし、先生がおっしゃいますところの、この重要な問題を一日も早くやはり議論し、そして解明して国民の皆さん方の御期待におこたえをしなければならないというその御趣旨につきましては、私もそのとおりと思っているところでございます。

大島(敦)委員 二月九日の予算委員会なんですけれども、社民党の横光議員の質問で、公明党が連立に参加してから約一年、この間、不祥事が絶えたことがない、ますますひどくなったのではないか、その意味で、自民党は変わったというお考えを持っていますかという趣旨の質問がありました。坂口大臣は、自民党はまさしく変わりつつある、そう思っておりますという答弁をなさいました。私も予算委員会の傍聴に出ておりまして、非常に不思議な感じがいたしました。

 自民党はどう変わったのか、坂口大臣の見解をお聞かせください。

坂口国務大臣 予算委員会におきましても、とっさの質問でございましたから、とっさにそういうふうにお答えをしたわけでございますが、私は、連立政権の中に入らせていただいて、そしてじっと拝見をさせていただいておりますが、例えば、政治献金等の問題につきましても、企業献金を禁止するというような問題も、自社さ政権のときにはそれがなかなかまとまりませんでした。まとまらなかったことが自社さ政権、連立が崩壊した原因とまで言われているわけでございますが、そうした問題が一つ一つクリアされているということは、私は、自民党も一生懸命変わろうと努力をなさっているその証拠であるというふうに思っているわけでございます。そうした意味で私は申し上げたわけでございます。

大島(敦)委員 今まで、公明党は、政治汚職とか政官業の癒着の問題、こういう問題には非常に厳しい姿勢をとっていらっしゃったかと思います。そして、特にKSDの問題というのは、私も床屋さんに行って、大島さん、もう五年間も月々二千円納めてきたのだけれども、このお金はどうしちゃったんでしょうねということで、一人一人ごく普通の人たちがだまされてしまった事件なんです。このような自民党政権と一緒になっていることについて、違和感をそれほど感じていらっしゃらないのかなとお見受けいたしました。

 それで、次の質問に移りたいと思うのですけれども、昨年の十一月に私が質問させていただいたときに、アイム・ジャパンの研修生、実習生の中に、研修とは名ばかりの実態に嫌気が差して、逃げ出して行方不明になってしまったという事実がある、それについての見解を質問しました。答弁に立った法務省の町田政府参考人は、アイム・ジャパンが派遣した研修生の中に失踪、行方不明者がいるのは大変遺憾である、また、そのことに関しての指導も過去行ってきたという答弁がありました。

 改めて、その後どのような施策を行ってきたのか、御説明いただければ幸いでございます。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 その後も、私どもの入国管理局の地方入国管理局を通じまして、アイム・ジャパンを含めまして各受け入れ機関におきまして失踪者があるかどうかということを調査し、私どもの方に遅滞なく報告するようにということを徹底しております。

大島(敦)委員 それでは、アイム・ジャパンの研修生、実習生の問題なんですけれども、前回、野寺元労働基準局長は、実習生について労災の事件がなかったということでしたけれども、再度確認させてください。

日比政府参考人 ただいまのお話は、昨年十一月の労働委員会におきまして、五島委員のお尋ねに答えたものだと思います。そのとき確かに、技能実習の方に移行した研修生に関します労災保険給付というのはございませんとお答え申し上げました。その点につきましては、これは把握していないというふうにお答えをすべきでございまして、大変申しわけないと思っております。

 実態として申し上げますと、私ども、労災の保険給付を受けた者につきまして、技能実習生ということで特掲しては実は調べておりません。それから、技能実習生について、たまたま承知するということは別としまして、そのためにわざわざ調べておりません。

 ただ、JITCOで事業主からのアンケート調査という形で統計をとっておりますものを見ますと、平成十一年でも五十数件の業務上と見られる報告が上がっておりますので、これはアンケート調査ということでやっておられますので、そこを突っ込んではなかなか調べるわけにまいりませんが、労災の保険給付は相当出ておるだろうと思っております。

大島(敦)委員 皆さんの中で、このアイム・ジャパン経由で派遣されているインドネシアの青年の人とお会いした人はいらっしゃいますでしょうか。いらっしゃらない。

 私、せんだって、きょう当委員会に見えていらっしゃる井上和雄委員と一緒に、アイム・ジャパンのインドネシアの青年の人たち数人とミーティング、話し合いを持つ機会がございました。インドネシアの若者は、非常に温かくて、控え目でまじめな青年なんです。恐らく余り疑問を差し挟まないで、朝から晩まで、そして研修生も実習生も夜遅くまで残業してまじめに働いている、そういう思いが非常に強くなりました、そして感じました。今回のアイム・ジャパンの事件というのは、そのようなインドネシアの若者に悪乗りしてしまった、日本として非常に恥ずかしい事件であると私は考えております。

 その中で、先ほど労働基準局長の方から、労災があるという御答弁がされました。私、これまで、労災はないという答弁があったものですから、本当にあるかないかというところを調べておりまして、私が本人から聞いたところでも確かにございまして、一九九八年に日本に見えた研修生、今実習生なんですけれども、パワーショベルが頭に当たって二メートル飛ばされて、二日間集中治療室にいて、二週間入院された。しかしながら、いただいた保険というのが九十七万円で、三十万円会社に治療費としてとられて、六十五万円しかもらえなかった、そういう事実がございました。これは恐らく、労働災害の適用がなく、健康保険で処理してしまった事例だと思います。詳しくは、ここに会社名とかあるんですけれども、ちょっと言えませんので、これは控えさせてください。

 今後、労働省としては、研修生あるいは実習生のこのような事件の防止をするために、どのようなお考えなのか聞かせてください。

    〔委員長退席、森(英)委員長代理着席〕

酒井政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生が今おっしゃった事柄につきましては、私どもも深く感じながらお聞きをしておったところでございますが、私どもとしましても、これまでアイム・ジャパンに対する指導が十分とは言えなかったということで、大臣からも、厳しく、実習生の立場に立って事業が進められるよう立ち入りを行い、必要な措置をとるようにということで、先般この立ち入りを行いまして、かつまた先週、いろいろな業務の面で改善を要するところを私どもも確認をいたしましたので、改善勧告をしたところでございます。

 その中でも、かなりいろいろなことを言わざるを得なかったところでございますが、先生が最初に御指摘になった失踪の方々について、どうしてそういうふうになっているのか、その分析が甘いということを言いつつ、これを究明するようにと。究明してどのような対策をとればいいのかも含めて当然即対応すべきではありますが、あわせて私どもに一カ月以内に報告せよということをいたしたりしたところでございます。

 その他のいろいろな経理的な側面も含めまして私ども今般指導をいたしたところでございまして、ぜひともこの仕事が研修生の立場に立って適正に進められるようにということで、しっかりやるようにと。アイム・ジャパン側は重く受けとめると言っておりました。おりましたが、私どももしっかりおのれの責任を果たしつつ、またアイム・ジャパンの指導もしっかりやって、悲惨な事故あるいは悲しい思いができる限り少なくなるよう一生懸命努力をしていきたいというふうに思っているところでございます。

大島(敦)委員 また、前回の質問に引き続いてなんですけれども、平成十一年の十一月にアイム・ジャパンの研修生の死亡事故がございました。通常、労災に関しては労働基準監督署が司法権を持って調査をして厳しく追及するはずでございます。研修生の場合には、このような死亡事故が行われたとしても、そのような権利を守るというような行為、あるいは国が権利を守るようなことはするのでしょうか。

日比政府参考人 お尋ねが、技能実習移行前の研修生ということでございますと、これは労働者に当たらないということで、現在、労働基準法あるいは労災保険法ともに適用されていない。したがいまして、監督機関といたしましては、特に保護措置というような意味の監督指導等は行っておりません。

大島(敦)委員 このような実態の場合に、確かに研修生、労働者ではございませんから、たとえ死亡事故が起きたとしても一切構わないよというのは、おかしいと思います。

 特に、死亡事故というのは危険作業をしていての死亡事故でございますので、研修ではなくて実習あるいは労働という実態に非常に近いケースもあるわけですから、労働基準監督署あるいは労働省としては、このようなアイム・ジャパンからの報告があった場合には、一応その実態について基準監督署等が出向いて、本当にその実態が研修中なのか、あるいは研修を通り越してもう業務中の災害なのかというところは調べるべきであると私は考えますが、坂口労働大臣の御意見を聞かせていただければ幸いでございます。

坂口国務大臣 十分に事務局の意見を聞いているわけでもございません。今、御質問をいただきましたのでお答えに立ったわけでございますが、研修生の方に労災等がないということにつきましては先ほど局長が答弁をしたとおりでございますが、今後の、これは国際的な問題でもございますから、現状のままそういう危険なところに働かせておいていいのかということもあると思います。

 したがいまして、事故というのは、どんな易しい仕事をしておりましても起こることは起こるわけでございますから、易しい仕事をしているから起こらないとは言えませんけれども、しかし、研修の場合にそういう適用が何らないということであるとしましたならば、そういう研修生の皆さん方には余り危険な作業には従事させないとかなんとかの歯どめが必要なのかな。あるいは、もしもそういうこともしてもらわなければならないのであれば、それはそれなりの対応もしなければならないのかなという、私、個人的見解で恐縮でございますけれども、そんな思いで聞かせていただきました。

 ただしかし、そうはいいますものの、交通事故で亡くなるということだってあるわけですから、一概にそういうことをなくしたらそれで死亡事故が皆無になるとは言えませんけれども、やはり今申し上げたような何らかの方法というのはこれから大変検討に値するという気持ちでございます。

大島(敦)委員 今回、アイム・ジャパン、この財団の設立の経緯というのが、まさにKSDの疑惑の発端だったわけであります。一九九〇年に豊明会の中小企業政治連盟が結成されて、外国人の研修生を受け入れよう、受け入れる機関をつくろうという動きがございました。一九九一年にアイム・ジャパン、中小企業国際人材育成財団ができました。九二年に外国人研修制度の大幅な緩和というのが村上大臣のときにございました。そして、九三年に外国人技能実習制度が村上大臣のときにスタートいたしました。

 まさに、今答弁を聞いていまして、非常に矛盾が多い外国人の研修制度であると私は考えます。国会で、外国人の労働者の問題、あるいは研修生、実習生の問題について深い議論がされたかと思い調べたところ、それほどされておりません。

 今後、労働行政として、今は非常に失業者が多い時期でございます、四・八%、三百万人。しかしながら、生産年齢人口はもう数年前から減り始めております。将来的には労働の需給というのは非常にタイトになってくると考えるわけです。そこで、今後このような議論というのを大臣のお立場としてもう一度やり直した方がいいのではないかと考えておるのですけれども、大臣のお考えを聞かせていただければありがたいと思います。

坂口国務大臣 労働情勢が今後タイトになっていくということ、そのことにつきましては私も同感でございまして、そういうことにならざるを得ないというふうに思いますが、そのときに、外国人の問題をどうしていくかという問題が大きな問題になってくるだろうというふうに思います。そのときに、単純労働の問題をどうするかということもまた問題になるだろうというふうに思います。知的な部分だけは認めていくけれども、単純労働はだめですよという現在の行き方が、それで済むのかどうかということも、これから議論をしていかなければならないことになるんだろうというふうに思いますが、私は、この研修制度というのは、一つの方法ではあるというふうに思っています。

 これは、日本のためといいますよりも、諸外国、とりわけ東南アジアにおきますところの開発途上国が、これから発達をしていきます上で必要な人たちをやはり日本でぜひとも研修をさせてほしいという願いがあるとするならば、それは日本としても受け入れていくべきだというふうに思っています。その国際環境が変わってくればこれは別でございますが、そういう国々のそういう気持ちがあるということであるならば、やはり私は国際的にも必要ではないかという気がいたします。

 ただ、そのときに、受け入れをしましたときに、その皆さん方が日本でいろいろなことを研修していただいて、そしてその皆さんが帰っていただいて、そしてそれぞれの国におきましていろいろのお仕事をしていただく、そして親日家になって日本に対しても温かい目を持っていただくということにならなければ意味がないわけでございまして、そこのところをやはりきちっとしなければならないという問題意識につきましては、私も同感でございます。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

 今後とも、このKSDの問題あるいはその疑惑の問題というのは、今本当に必要なのは政治の透明度を高めることだと考えております。二〇〇一年を迎えて、これから新しい政治、ただし、この国に残された時間というのは非常に少ないと思っております。人口についても、百年前は四千二百万でした。一九四五年の日本の人口が七千五百万、昨年国勢調査がございまして、一億二千六百九十万人が日本の人口です。これが二〇〇七年から減り始めます。ここ十年間の間にしっかり国づくりをしておかないと、私たちのこの日本というのが今までどおりにはいかなくなってしまう。ですから、できるだけ早く政治を変えなくちゃいけないと私は考えております。

 ですから、本来であれば政策論の話を十分したいところなんですけれども、その前提に立つ政治の透明度を高めることがまず必要であると思いますので、私どもも、坂口労働大臣にもこのアイム・ジャパンの問題は徹底的にうみを出し切ってほしいと要望させていただき、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

森(英)委員長代理 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三分開議

鈴木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。荒井聰君。

荒井(聰)委員 民主党の荒井聰でございます。

 坂口厚生労働大臣に、KSD問題についてお聞きしたいと思います。

 この問題は随分大きな問題になりました。政府の、行政の不信感を日本じゅうにばらまいたのではないだろうか。その意味で、この信頼感を取り戻すということは、私は大変な努力が行政の面からも政治の面からも、これからも必要だと思います。

 特に、その母体であった厚生省は、三年前になるでしょうか、厚生省の事務次官が不祥事で逮捕される、著しく厚生行政の信頼を失墜したわけでございます。さらにもう一つの母体である労働省も、十年前のリクルート事件で、かつてほとんどこれと似たような事件でトップの事務次官が逮捕されるという大きな不信を招いたわけであります。

 二つの省庁とも、かつてこのような事件を起こして大いに反省をし、また行政の改革もしたと思うんですけれども、にもかかわらず、今度の労働省を中心とするこのような大きな不祥事というのは、私は、大変な担当大臣の決意がなければ解決、解明できないと思うのでございますが、大臣の御所見をまずお聞きしたいと思います。

坂口国務大臣 御指摘をいただきますように、今回のこのKSD問題は大変大きな問題であり、我々に大きな衝撃を与えていることは間違いがございません。

 今まで、今御指摘をいただきましたように、厚生省におきましても労働省におきましても過去に大きな問題を起こしておりますだけに、二度と再びそうしたことを起こしてはならないはずであったわけでございます。旧労働省がすべてを起こしたわけでは決してございませんけれども、しかし、旧労働省が監督官庁であったことだけは間違いがないわけでありまして、結果から見ましたときに、その監督が不十分であったことは免れないわけでございます。

 この時期に厚生労働省が発足をいたしまして、そして、揺りかごから墓場まで、本当に国民の皆さん方に大変密着をしました、関係の深い省庁が誕生したわけでございますし、この新しい省庁ができましたこの時期を一つの切り目といたしまして、やはり国民の皆さん方に安心をしていただける省庁にしなければならないと決意を新たにしているところでございます。

 そのためには、やはり極力情報を公開して、そして皆さん方に何事もわかっていただけるような省庁にしなければならないというふうに思いますし、そして、厚生労働省はやはり国民の皆さん方に親しく接して、各種団体の皆さん方の御意見を直接に聞く、そういう姿勢をとり続けていかなければならない、そういうことを今幹部の皆さん方に申し上げているところでございまして、そうした決意でこれからいきたいと思っているところでございます。

荒井(聰)委員 今厚生労働大臣の御決意を聞かせていただいたんですが、実は私、前の現職のときに、その当時さきがけという政党に所属しておりましたけれども、そのときの自社さきがけ政権をつくる政党間協議というのがございました。その政党間協議のときに、私たちさきがけとしては、当時社会問題化してございましたエイズの問題を解決する、自民党はその解決をすることに全面的に協力をする、決してそれを隠し立てしないということを条件にして、自社さきがけ政権という連立政権をつくりました。このエイズ問題の解決、解明をしていくうちにわかったことは、歴代の厚生大臣が自民党出身の大臣であるということから、後輩の大臣は、先輩の大臣のそごといいますか、あるいは連続性といいますか、そういうものをおもんぱかってなかなか大胆な切り込みができないということもわかってまいりました。

 私は、今回、厚生労働大臣に公明党の坂口衆議院議員がおつきになったということは大変なチャンスだと思います。あの厚生省のときに、たまたま菅さんという自民党ではない国会議員が厚生大臣に就任をされ、それまでの幾つかのさまざまなしがらみということと関係なく厚生行政の再整理ということをやることができたわけでございます。その中心になっていたのもやはり情報公開でございました。

 その意味で、私は、この事件には自民党の国会議員がたくさん絡んでおりますから、なかなか自民党の方がこの問題の解決に当たるのは非常に難しい、いろいろな方の顔が見えてきたりして難しいんだろうと思うんです。その意味では、厚生労働大臣の、公明党に所属しておられますから、連立の条件とするぐらいで、この問題の解決に自民党も努力するべきだ、そういうことをはっきりお示しになりながら解決をしていくべきだ、また、そのぐらいの決意がなければこの問題は解決できないんではないかというふうに私は思いますが、大臣いかがでしょうか。

坂口国務大臣 既に連立政権はでき上がっているわけでございますから、改めて云々ということではないだろうというふうに思いますが、いずれにいたしましても、ここで決意を新たにしてやらないといけない、それだけはもう間違いがないわけでございまして、これから先の問題をどうするかという問題もございますが、やはり過去の問題は過去の問題としてけじめをつけなければならないというふうに思っております。

 その問題を十分に調査しながら、そして、どのようにそれに対処するかということをこれからきちっとやらなければならないと思っているところでございます。

荒井(聰)委員 連立の可否をかけてでも、この問題はぜひ大臣の手で解決をしていただきたいと思う次第でございます。

 ところで、この事件をたどってみますと、古関さんという極めて個性の強い人と、そして、昨日やめられましたけれども、村上さんという大変実力のある方ではありますが個性の強い方が、さまざまな形で労働行政の中で、その労働行政の公平さとか公明さとか、そういうものをどんどんねじ曲げていった、そういう歴史だったのではないだろうか。それに労働省の村上さん人脈がさまざまな形でそれを後押しする、そのような形をとっていってますます深刻化させていった事件なのではないだろうか、そんなふうに思うわけでございます。

 そのきっかけになったのが、九二年に村上さんが労働大臣に就任をされております。そして翌年、九三年に古関さんが藍綬褒章を受章されております。藍綬褒章というのは一体どういう褒章なのか。そして、そのとき労働省はどのような形でこの藍綬褒章の推薦をされたのか、その経緯をお聞かせください。

坂口国務大臣 KSDの古関忠男前理事長は、平成五年の十一月に藍綬褒章を受章しております。主な業績は、多年にわたり労働関係団体にあって、労働災害の防止に努め労働福祉の増進に寄与したことである、こういうふうになっております。

 古関KSD前理事長がこの褒章を得るに至りました経緯というものを、私も当時いなかったわけでございますので定かにそこをたどることができ得ませんけれども、今申しましたようなことを中心にして古関さんが選ばれたということでございます。

荒井(聰)委員 古関さんというのは、昭和六十年に理事長に就任をされていますね、八五年のこと。そして九三年にこれをもらっているわけですから、必ずしも長くないんですね。しかも、KSDという財団法人は、設立の当初は自民党のある有力国会議員、参議院議員だと思いますが、その方の尽力によって設立された財団法人で、また、その方の政治力が大変高かったこともあって、中小企業金融社に働きかけてKSDの会員を募集していった、そういう経緯がある財団であります。

 そして、昭和五十六年に労働省に移管をされています。この移管の過程の中でも、この財団法人というのが極めて政治的な財団であり、かつ、この財団の会員を募集する経緯というのは、普通の財団法人と大分違うという認識が既に労働省の中にあったと私は思うんですが、いかがでございましょうか。

日比政府参考人 昭和五十六年当時のことでございますので、私も十分承知いたしておりませんが、特別変わった団体だったということを私は聞いてはおりません。

荒井(聰)委員 それは、私は調査不足だったのではないかなと思うんですね。東京都の財団法人を労働省に移管するわけですので、移管に当たっては、どういう形で全国団体として認可するかということについてはかなりの調査が行われたんだろうというふうに私は思います。それが普通の財団だという認識だということであるならば、私は当時の労働省の担当官の勉強不足だったのではないかなというふうに思います。

 ところで、九五年ごろに、厚生省所管の財団法人、医療関係の食品を病院に供給している財団法人、その財団法人の経営が乱脈である。具体的には、その理事長の年収が、たしか五千万円ぐらいだったと思いますけれども、大変多額だ、当時の事務次官よりもその報酬額が大きいということが社会問題化し、厚生委員会で随分議論をした経緯がございます。当時、そのことについて労働省としては知っていましたか。

日比政府参考人 御指摘の問題につきましては、新聞報道等もされておりましたので、当然、当時知っておったと思って差し支えないと思っております。

荒井(聰)委員 それがよく理解できているならば、それを契機にして、労働省所管の各財団法人についても役員報酬を調査するべきではなかったですか。私は多分したと思うんですけれども、いかがですか。

日比政府参考人 御指摘の問題というのは、日本医療食協会の理事長の報酬のことだと思いますが、この財団法人につきましては、当時、新聞報道等もされておりますが、医療保険における医療用食品制度の指定検査機関でありましたけれども、その業務につきまして、一九九六年、平成八年四月に、公正取引委員会から独占禁止法違反の行為に対する排除勧告を受けたもの、これで随分にぎわったものと思っております。その当時、監督官庁である旧厚生省の元局長であった理事長の報酬が高額過ぎるとして批判されていたものと聞いております。

 ところで、KSDと比較いたしますと、一つには、KSDにつきましては、指定検査機関とかそういうような法律に基づく指定法人などではございませんでしたし、また国から補助金等も一切受けておらなかったこと。それからいま一つには、KSDの理事長といいますか、時期にもよりますけれども、問題となるのは古関理事長だったとしますと、古関理事長というのは旧労働省に確かに勤務はいたしておりましたけれども、二十代のときの数年、いわゆる公務員の再就職問題として考えるケースではない。そういうふうなことを踏まえまして、その当時、KSDの理事長の報酬額等の調査を行わなかったというふうに聞いております。

 なお、当時の話でございましたけれども、昨年の秋の国会でも問題となりました際、KSDの古関前理事長の報酬、これは高額に過ぎるのではないかというようなことで、厚生労働省といたしましても、本年一月二十三日に、坂口大臣の御指示もございまして、公益法人の役員の報酬に関するガイドラインというものを定めまして、今後は個別の役員の報酬につきましても必要な指導を行ってまいるということにいたしておるところでございます。

荒井(聰)委員 私が言いたいのは、役員報酬を調べさえすれば、その財団法人がどのぐらいしっかりとした経営をしているのか、あるいは公益法人として適正な存在なのかということがある程度わかるということです。

 七千万も八千万も理事長が役員報酬としてもらっているような財団法人が公益法人としてふさわしいかどうかということは、それはすぐわかるのじゃないですか。役員報酬を一番最初に調べて、この法人は適正な経営をしているのかどうか、公益性という意味で世の中にしっかりとした認識をしてもらえるのかどうか、それがわかるメルクマールだったはずなんですね。なぜしなかったのですか。私はさっきの説明では全く納得できないですね。

坂口国務大臣 かなり過去のことであり、私がその辺のところをつぶさに知っているわけでは決してございません。しかし、今先生が御指摘になりましたように、厚生省におきまして、事件と申しますか、非常に多額の報酬を得ているというような問題が一方で起こっていたやさきでありますから、当然のことながら、全体にその辺のところの見直しはやはりすべき問題ではなかったかというふうに思います。

 しかし、その辺のところが、されなかったのか、あるいはされたんだけれども、今局長から述べましたように、いわゆる国から補助金が出ている団体ではない、あるいはまた天下りをした理事長ではないといったようなことで大目に見られたのか、その辺のところを私も今十分にお答えすることができ得ませんけれども、結果からして見ますならば、その辺のところをもう少しきちっとそのときにしておけばこんな状況にならなかったのかもしれない、そういう気はするわけでございます。

荒井(聰)委員 KSDの最近の立入検査は平成十二年ですが、その前はいつされていますか。

日比政府参考人 平成五年の三月でございます。

荒井(聰)委員 平成五年三月二十五日に労働省はKSDに立入検査をしてございますね。それから十二年まで七年間していないのですね。そして、その間に村上さんが労働大臣に就任をされ、古関さんが藍綬褒章を受けられている。どうもこの間、村上さんの影響力がどんどん労働省の中で強くなっていって、検査やあるいは監督といったものに手心が加えられていった、そういうことじゃないのですか。

坂口国務大臣 実は、平成五年八月でございますが、細川政権になりまして、そして私はその後、村上労働大臣の後を受けて労働大臣をやらせていただきまして、八月九日から、翌年の四月二十八日だったと記憶いたしておりますが、その辺のところまで実はやらせていただいたわけでございます。

 その当時、それではこのKSDの問題が問題になっていたかといえば、皆目、KSDのKの字も、その当時は省内でも問題になっていなかった。その関係するところで私が関与したのはあるかと思ってずっと私も調べてみたわけでございますが、平成六年の三月でございましたか、中小企業経営危機突破大会というのが実はございまして、これは当時の大蔵大臣、官房長官、あるいは通産大臣等々と私、そこにあいさつに行ったことになっております。今、本当にそのときにどうだったかということをなかなか記憶をたどれないわけでございますけれども、そういうかかわりが一遍ございました。

 そうしたことがある以外はその当時はなかったわけでございまして、村上大臣がなられた後、そういうときもあったわけでございまして、それからずっと村上大臣のお声がだんだんと大きくなっていたとも思えないわけでございますが、それから後、時々、旧労働省の皆さんともお話をする機会もありましたけれども、そこまでは聞いてはいなかったわけでございます。

 しかし、全体の流れを見ますと、平成八年、九年ぐらいのところから、KSD等の問題あるいはものつくり大学等の問題等々が大きなかかわりになってきている。そして、ものつくり大学に対する雇用勘定からの支出をするといったことも、九年あたりのところの予算でそれが決まっていくというような流れになってくるわけでございまして、そんなに遠くの話ではなくて、せいぜい八年、九年あたりのところからいろいろの問題が起こってきたのかなという気がいたしております。

荒井(聰)委員 大臣は平成八年とおっしゃいましたけれども、私はもうちょっと前だと思いますね。平成七年に小山さんが比例区で当選されていますね。これを全面的に支援したのがKSDでございますから、平成七年のときには既に小山さんや村上さんとKSDとの関係というのは極めて深い関係になっていたと見るべきだろう。そして、その端緒になったのが、九二年、九三年に、村上さんが労働大臣になり、古関さんとどういう形でお知り合いになったのか、藍綬褒章という大変高い褒章をお受けになった、そういうことが契機になったんだろうというふうに私は思ってございます。

 ところで、KSDと似た財団法人で、日本フルハップという財団法人が大阪を中心にあるというふうに聞いておりますが、この日本フルハップについてはちゃんと検査をしているんでしょうか。それをお聞かせください。

日比政府参考人 日本フルハップにつきましては、平成八年三月に立入検査を実施しております。

荒井(聰)委員 私は、労働省主管の財団法人というのは幾つあるのかわからないのですけれども、五年おきに立入検査をする、そういったような形なんですか。普通の省庁ですと、ほとんど全部、原則毎年やるというのが本当なんじゃないですか。いかがですか。

坂口国務大臣 最近は若干数は減っているようでございますが、旧労働省時代に公益法人六百二十一あったそうでございます。六百二十一。その中には、中央で把握をすべきもの、それから地方ですべきものも含まれておりますけれども、六百二十一の約半分ぐらいはやはり中央でやらなければならないものであったというふうに聞いております。

 その当時、年に大体三カ所ぐらい調査をしていたということでございますから、そうすると、全部やるのにはかなり時間がかかるということになってしまうわけでございます。

 だから、今御指摘をいただいておりますような体制にも問題があったというふうに思います。きちっとした専門の、公益法人の検査をする人たちがいなかった、それぞれの仕事を持ちながら自分の分野に所属するところについて片手間でやっていた、片手間と言うとえらい語弊がございますけれども、やっていたというようなことでございまして、専門としてやる人たちがいなかったというようなことがあったわけでございます。

 それも大変おくれた理由の一つになっているというふうに思っておりまして、最近でございますけれども、私、ならせていただきましてから、その辺のところを、これもわずか五名というのは、それでできるのかと言われますと、本当に大変でございますけれども、五名の専門官をそこに置いた。もちろん各部局の皆さんとも協力をしながら、その人たちを中心にしてより積極的に検査をしていくという体制をとったところでございます。

荒井(聰)委員 今大臣は、体制が整っていなかったので検査ができなかった、そういうお話をされましたけれども、私は逆だと思うのです。管理監督ができないほどふやしてしまったということだったのではないだろうか。むしろ、こんなに公益法人をふやすこと自体をもっとセーブしていく、あるいは統合していく。あるいは、役割の終わった公益法人については民営化するとか、あるいは廃止するとか、それが私は行政だと思うのです。全く監督ができなくなるまで野放しに公益法人の数をふやしてしまった、これは私は行政ではないと思います。いかがでしょうか。

坂口国務大臣 先ほど御答弁を申し上げた中で、数字を少し間違えました。三つと申しましたけれども、三十だそうでございまして、それでも十年はかかるということでございますから、年間大体三十ぐらいはやっていく目標を立てていたようでございます。

 しかし、今御指摘のように、それだけたくさんの公益法人を抱えていたわけでございますし、これからまた公益法人がふえていく可能性もあるわけでございますが、そうしたときに、それではそれらを全部本当にその省庁が把握をできるのか、検査をしていけるのかという問題がつきまとってくるわけでございます。

 したがいまして、今御指摘になりましたように、今までありますものも含めて、これはやはり、新しくつくるものはつくるものとして、しかし、そこで整理をするものは整理をするということもなければならないのだろうというふうに思っております。その辺のところは、今後に課せられた大きな課題ではないかというふうに思います。

荒井(聰)委員 KSDの将来も含めて、この整理、統合、合理化、それについては、ぜひ労働省全体として見直しを進めていっていただくようにお願いをいたします。

 ところで、問題になりそうな、あるいは社会的に大きな影響力を持っている財団法人については、もっときめ細かな検査なり指導をするべきだと私は思います。特に、KSDについては九六年に内部から告発があって、労働省の主管担当官もそれを承知していた。

 さらには、午前中同僚の加藤公一さんから御質問がございましたけれども、九八年のときに、私たちの議員から、このKSDについては極めて公益法人として不穏当な活動をしているということを指摘させていただいたわけです。しかし、それであっても、具体的な、効果的な検査なり行政活動を行ったというふうには私は見えないのですけれども、その陰には何があったのでしょうか。どういうような事情で、このKSDの検査というものについて極めてあいまいな形で終始してしまったのか、それについて御見解をもう一度伺います。

坂口国務大臣 外部からのいろいろの御忠告は平成五年ぐらいから時々あったというふうに聞いております。しかし、平成五年のときには、きょう午前中にも御答弁を申し上げましたが、それは業務内容を中心にするものでございまして、その点につきましては立入検査をし、それに対してそこがある程度改善されましたことも間違いはないわけでございます。

 しかし、それ以後、政治献金の話でありますとか、あるいは豊明会というところに年間二十億、三十億というお金が補助金として出ている、そしてその使い道が明確でないといったようなことについての問題点、そういう指摘がされるようになってまいりましたのは、御指摘のように八年、九年、その辺のところではなかったかというふうに思います。あるいは、その以前にもあったかもしれません。

 そうした問題を、旧労働省内で古関前理事長を呼んでその点を徹底的に忠告をしていたこともこれは事実でございますが、その忠告に対してはきちっとやりますということを繰り返しながら、結果的にはやらなかった、そしてだんだんと時間がたってしまって平成十二年に再び立入検査をする、こういうことに結びついていくわけでございます。

 今から経過を振り返ってみますと、非常に、毎年忠告をしていながらそれが整理をできずに十二年までほっておいたのは怠慢ではないかという御批判を受けるわけでございますが、確かに今から振り返ってみると、それはいささか遅過ぎた、もう少し迅速にと申しますか、手を打つべきであったというふうには私もそう思うわけでございますが、しかし、結果は十二年までされなかったということでございます。

荒井(聰)委員 平成五年から平成八年、九年、十年と古関さんが大変政治力を使っていく、あるいは政治力の影響を高めていく時期であります。KSDの検査に関して特定の政治家からのさまざまな形での圧力といいますか、そういうものはなかったのですか。

日比政府参考人 KSDの指導監督に関し、特別何かあったということは聞いておりません。

荒井(聰)委員 局長は聞いていないのでしょうけれども、国民はそれでは納得しないだろうと思います。

 ところで、村上さんと大変親しいと言われている山中さんという方が局長になられたのは何年ですか。

日比政府参考人 御指摘の山中秀樹という人物であれば、旧労働省におきまして局長職になったのは、平成八年の夏のことだと記憶いたしております。(荒井(聰)委員「何の局長ですか」と呼ぶ)職業能力開発局長に就任したのが平成八年の夏だったと記憶しております。

荒井(聰)委員 この方は、村上議員たちと一緒に欧州視察に行かれておりますね。その経緯についてお答えください。

酒井政府参考人 若干補足でございますが、山中さんが局長になったのは、平成八年七月十二日でございます。

 今の欧州視察でございますけれども、平成八年度のドイツマイスター制度視察ということで、自民党国際技能工芸大学設立推進議員連盟とKGSのメンバーで、大学設立を推進するに当たりまして、国際的に評価の高いドイツの教育訓練システムを勉強しよう、こういうことで平成八年九月九日から十五日までの日程で実施されたものと承知しておりまして、当時、労働省は、議員連盟から、一緒にドイツの関係者の話を直接聞いて認識を共有すべきではないかというお話を事前にいただいたというふうに聞いておりまして、議員連盟が予定されたうちの三日間につきまして同一視察先を訪問したということでございました。

 当時の労働省といたしましては、円高に伴ういろいろな製造業分野の問題、空洞化の問題、若年者の技能離れの問題、そういうものが出ておったということで、こういう分野の物づくりの基盤強化を図るということが大変重要課題になっていた、そういうこともありましてこれに参加をした、こういうふうに伺っております。

荒井(聰)委員 山中さんの出張報告書、ございますか。あるいは、この方の出張旅費というのはどこから出ているんですか。

酒井政府参考人 費用につきましては、雇用促進事業団においてこの経費の支出を必要な手続をとって行ったということでございます。

 報告につきましては、平成八年でやや時間がたっておりますものですからちょっと確認をしなければいけないかと思いますが、主催者側であるところのKGSの方ではこの視察の報告書はまとめておられるというふうに聞いております。

荒井(聰)委員 旧労働省では、自分の監督をしている特殊法人の予算を使って本省の局長クラスが出張する、そういう例はよくあるんですか。普通、こういうことというのは財政法上では制約をつけている。それをやれば本省の局長はどこでも出張できますからね。そういうのは厳に慎むべきことだというふうにされているんじゃないですか。

酒井政府参考人 当時、ただいま申し上げました手続で出張をいたしましたのは、この雇用促進事業団の事業として職業訓練指導員の海外派遣研修ということをやっておったわけでございまして、その事前調査ということで関係国政府の担当官と意見交換を行う、こういう趣旨でございまして、それがドイツでございまして、先ほどの広い意味でマイスター制度視察団の視察地と重なる、意味のある部分があった、こういう判断でその負担で行ったというふうに理解しております。

荒井(聰)委員 本省の局長が本省行政のために行くのであるならば、労働省の予算を使うべきであって、雇用促進事業団の予算で海外出張するというのは、それは規律違反あるいはモラルハザードだと私は思います。よく調べてみてください。

 ところで、この欧州旅行が一つの契機になって、ものつくり大学設立に向けて労働省が大きくかじを切ったときではないかと私は思います。もともとものつくり大学の設立構想というのは、近藤元次さんが佐渡に離島振興事業の一環として職人大学を設立しようということでその運動が始まったんではないだろうか。そして、その構想を受けて、労働省の中では、ずっと職人大学校といったような、職人さんをつくっていこう、あるいはそれにステータスを与えていこう、労働省のさまざまな研修センターやそういうものを利用した構想が中心だったんではないかと思います。それが、山中局長が来られ、海外出張をされて、私立大学構想に大きくかじを切ったというふうに理解できるんですが、いかがですか。

酒井政府参考人 これは、先ほども若干述べさせていただきましたけれども、当時の諸情勢といたしまして、製造業分野における物づくりを担う人材の確保、育成ということが大変重要な課題というふうに労働省では考えておりまして、ものつくり大学に対する国の支援は、そうした状況を踏まえて、物づくりに関する人材育成を進めなければならないということでございまして、必ずしも、ドイツ・マイスター制度に参加したことがこのものつくり大学に対する支援の発端になったというふうには考えていないところでございます。

荒井(聰)委員 なぜ私立大学構想に労働省が走り出したのか。私立大学というのは、一般的に、憲法の条項の中でも、国の補助金、国のお金を使うことを禁じられており、これに例外的な大学がたった二つしかない。しかも、その法律、その大学については、特別な法律をつくってそれを実施している。それなのに、職人さんに、さきのような、今局長の答えたようなそういう制度をつくるのであるならば、何も私立大学でなくてもよいし、あるいは工業大学や専門大学をそのような形に改編していく、そういうことで十分だったのではないですか。なぜこんなに無理をして新しい大学、私立大学をつくろうとしたのか、そしてわざわざ佐渡から、首都圏の大学の数がたくさんある行田にまで持ってきて、この私立大学構想というのを進めようとしたのか、これは全く理解できないですね。いかがですか。

坂口国務大臣 けさも、午前中にもお答えをある程度申し上げましたが、一九九〇年ごろだったというふうに思いますが、いわゆるSSFというフォーラムができまして、大学の先生や、あるいはまた建設関係の方々、あるいはまた製造業の皆さん方が集まられて、そのときに、職人大学構想ということでございましたが、どうしてもやはり物をつくるということを日本の中でもっと定着させなければならないという動きが起こったことは事実でございます。そして、そのことが、一九九四年になりまして、KSDの古関前理事長に依頼をすると申しますか、手伝いを依頼するということになっていくわけでございますが、そうした中で、KGSが生まれましたときにも、御存じのとおり、それはKSDとそれからSSFが半分ずつ資本を出してつくり上げた、こういう経緯もあるわけでございます。

 したがって、KSDが絡んではおりますけれども、一方において、この物づくりということがぜひこれは大事だ、どうしてもこれはやらなければならないという動きがありましたことも事実だというふうに私は思います。その皆さん方の思いというのは、やはりどこかに大学をつくりたいということであったんだろうというふうに思います。

 行田になぜ行ったかということにつきましては、また担当官の方からの話もあるというふうに思いますが、いずれにいたしましても、そういう大学をつくり上げて、それは単に技能、技術を身につけるというだけではなくて、いわゆる経営能力みたいなものも一緒に勉強するような大学にしていこうではないかということがそこに持ち上がっていたことも事実でございます。

 そのときに、その財源を何によって財源とするかといったようなことにつきましては、当時の連立政権、当時も連立政権だと思いますが、そのときのやはり意向として、そういう、雇用勘定から出すということが一つの方法として考えられていたのではないかというふうに認識をいたしております。

酒井政府参考人 行田に移った経緯ということでございますけれども、ものつくり大学は、ただいま大臣からもありましたように、当初は別の地域が議論されておったわけでございますが、職人大学構想と関係者の皆さんがおっしゃっていたときでございますけれども、それをものつくり大学ということで実際に具体化していく段階で、建設候補地の自治体の財政的な負担能力であるとか、あるいは交通の利便性、学生、教員の確保の可能性等のさまざまな条件を勘案して検討が行われた結果、行田に建設地を決定したというふうに聞いております。

荒井(聰)委員 私は、行田に移った経緯というか、行田に移した瞬間に、この大学の性格あるいはこの大学自体が不幸にまみれていくその経緯になったんだろうというふうに思います。

 ところで、平成十二年度予算について、小渕総理の施政方針演説の中にこのものつくり大学設立の話が入ってきますが、平成十二年の一月の段階で、労働省は労働政策について施政方針演説にこうこうこういうようなことを書いていただきたいということを挙げていると思います。それが官邸の第一読会、第二読会を経て最終段階では、皆さんの中からものつくり大学は一切計上していないにもかかわらず、第三読会でものつくり大学の推進という言葉が載ってございました。

 私は、役所の中は必ず第二読会か第三読会で、最終局面になれば、これで文章がいいかどうかということを労働省にバックされると思うんですけれども、そのバックされた労働省が見たときに、このものつくり大学が載っていることについて、不思議だな、あるいはだれかがその相談を受けたというようなことがございますか。そのあたりの経緯について説明ください。

酒井政府参考人 これは先生の方もおっしゃいましたように、施政方針演説に労働省から盛り込んでもらいたい希望というものの中に提出はしておらないわけでございますが、これまた先生おっしゃいましたように、最終の段階で、もうこれで決まりという段階では、各省、私らの言葉でてにをはチェックという段階では、拝見させていただいたわけですが、その時点ではもう決まった話でございます。

 その時点での私どもの受けとめ方は、先ほど来申し上げておりますような、このものつくり大学を含めます物づくり対策の対応を私どもとしては進めておるわけでございますので、何といいますか、ちょっと表現が非常にしにくいわけでございますけれども、そういうものは私どもは希望を特段しておりませんけれども、希望といってもたくさん出せるわけではございませんし、希望しておりませんけれども、入ったな、こういうふうに思ったんだろうと思います。そういうものが入ること自身は、結果的にありがたいことだなというふうに思ったということだと思います。

荒井(聰)委員 労働省所管の新規事業はたくさんあったと思うんですよ。その新規事業の中でこれだけが個別案件として、個別事業としてぽんと出てきた。きのう額賀さんと政倫審で話をしましたときに、額賀さんは、官邸では骨太の、いわば一般的な幅の広い、そういう施政方針演説をつくろうとして努力していたという話をされておりました。

 そういう中で、厚生関係の全体的な施政方針の中で、この個別の案件だけぽっと出てくるということについて、よかったというお話ですけれども、逆に、ほかの案件がそれでは要らないのか、労働省としてかえってマイナスなのではないか、そんなふうに思いませんでしたか。

酒井政府参考人 先生、大変恐縮でございますが、ただいま詳細な資料を持っておらないのでございますが、私どもが希望させていただいたもののストレートでは必ずしもないにいたしましても、私どもの希望した趣旨の政策課題につきましても別のパートで入れていただいておりますので、それに加えてということでしょうか、私どもとしては、結果的にそのような、先ほど申し上げました感情を持った、こういうことでございます。

荒井(聰)委員 余り納得できないんですけれども、追加予算要求というのは極めて異例なことですね。九月に概算要求を出し、そしてその後よっぽどの事情がない限り追加予算要求というのはやらない。そして、追加予算要求をするときには大体が大蔵省の了解を得ているはずですよね。非常に異例なんですが、いろいろな形で政治のさまざまな関与があったと言われていますが、そのあたりはどうですか。

坂口国務大臣 今御指摘いただきましたのは平成十二年度予算のことだというふうに思いますが、その前に、この大学に対する予算がつき始めましたのが平成十年からでございます。十年、十一年、十二年と三年続いてきたわけでございます。

 それで、行田市並びに県、埼玉県並びに市から約六十億、民間から六十億、そして国から六十億というのが初めの構想だったようでございますが、三年目になりまして、その……(荒井(聰)委員「大臣、経緯はいいです。異常だということだけ」と呼ぶ)だから、そこが異常になりましたのは、民間からのお金が集まらなかった。それで、民間から集まらなかった分を国が埋めたというのがこの平成十二年の最後の話ではないかというふうに思います。

荒井(聰)委員 これは私立大学で計画を発足させたわけですから、もちろん私人が、あるいは民間人がこういう大学は必要だ、ぜひこういう大学をつくりたい、そういう発議があって寄附金を集めるというのが私立大学の一般的な設立の理念だと思うんです。ところが、民間からの資金は全く集まらなかった。逆に言うと、こういうものつくり大学を私立で、私で、民間には必要がないということを意味しているんです。あるいは、寄附金を集める計画が極めてずさんだ、この大学自体の計画がずさんだということを意味しているんじゃないでしょうか。その意味で、私は、民間の金が足りなくなったからといって安易に国のお金を出すというこのこと自体が大きな問題だということを指摘しておきます。

 ところで、時間がなくなりましたので最後の質問になろうかと思いますけれども、平成十二年の五月の十七日から十八日まで立入検査をされていますね。この立入検査の結果を担当の局長はだれに報告されましたか。特に、官邸に報告しましたか。

日比政府参考人 お尋ねがもし、平成十二年五月の立入検査の結果を官邸に報告したかということでございますと、私は、その点については承知いたしておりません。官邸に報告したという話は聞いておりません。

荒井(聰)委員 それでは、大臣には報告しましたか。

日比政府参考人 私自身その件について存じませんので、調べる時間を与えていただければと思います。

荒井(聰)委員 このKSDの検査結果がどこまで上がっていったのか、報告されていたのかというのは極めて重要な案件だろうというふうに私は思います。特に、官邸がこれを知っていたのかどうか。官邸はその知る機能として、このKSDの問題というのが極めて大きな政治的な課題、問題になろうとしていた、そういう問題ですから、官邸も関心を持っていたのではないか、あるいは、その可能性があると大臣が判断すれば官邸に報告していたのではないだろうか、私はそういうように思います。その当時の官邸の担当の副長官は額賀さんであり松谷さんであることを最後に申し添えて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に井上和雄君。

井上(和)委員 民主党の井上和雄でございます。本日は、KSDの問題に関連して、外国人の研修事業を行っておりますアイム・ジャパンに関してお伺いいたします。

 実は、私の選挙区は東京の墨田区でございまして、KSDの本部があるところです。国会から行きますと、京葉道路を抜けまして隅田川を越えますと、KSDという大きな看板が見えてきます。毎日、KSDの看板を見ながら暮らしているわけです。そして地元の皆さんも、KSDの会員の方が非常に多いわけですから、皆さん大変怒っておられるのが現状です。そんなわけで、一刻も早く真相を解明していきたいということで、私、本日質問を行いますので、大臣また副大臣、皆さんよろしくお願いいたします。

 午前中に、私の同僚議員である大島敦委員がアイム・ジャパンに関して質問をいたしました。大島議員の質問にもありましたように、まさしく外国人の研修生問題というのが今回のKSD事件の発端となり、KSDと村上正邦元参議院議員との癒着、自民党との癒着の中で外国人の受け入れが広がっていくわけです。私は、この癒着の構造というのは、さらにインドネシア、またインドネシア政府をも巻き込んでいるんじゃないかというふうに思っているんですね。

 私の手元に、インドネシア研修生とインドネシア労働省の誓約書というのがあるんです。

 これは、原文はインドネシア語なんですが、翻訳を見ますと、その内容というのは、研修生は、インドネシア労働省に、自分が卒業した学校の卒業証明書の原書、原本を、日本への研修プログラムに参加するための保証として預託することを誓約する。そして、もし規則違反によってこのプログラムを去った場合には、この卒業証明書を取り戻すためには、研修プログラムの参加のための費用、これはアイム・ジャパンが払っているんですね、例えばインドネシアとの往復のチケット千七百三十七ドル、また選考及び事前研修の研修費六万円、職業訓練学校での研修費四万四千五百円、合計幾々らを払わなければいかぬよということが書いてあるわけです。

 私、これをちょっと見まして、非常におかしいと思ったんですよ。なぜかと言いますと、まず、この旅費とか研修費用を払っているのはアイム・ジャパンですよ。インドネシア政府じゃない。そして、もしその研修生が研修を中断するとか途中で帰っちゃった場合に、当然、アイムに費用を弁償することになるわけですね。ところが、そうさせないためにインドネシア労働省が研修生の、まあ普通恐らくインドネシアではこの卒業証書というのは、原本で、オリジナルコピーというらしいんですが、最も大事だ。それがなかったら恐らくは就職とかそういう活動ができないんでしょう。それをインドネシア労働省に預けさせている。つまりそうやって、この研修プログラムの規則違反がないように、また途中で抜けないようにということをやっているわけですね。

 しかし、こんな制度というのは、KSD、つまりアイム・ジャパンとインドネシア政府との関係がよっぽど密接じゃなければできっこないんですね。この誓約書の最後に、「この誓約書は私が認識と責任を持ち、そしていかなる強制もなく作成されたものである。」といって、その下にサインさせるというような、そんなことまで書いてあるわけですね。

 私は、個人的な話になるんですが、当選する以前、十二年間国連の職員をやっておりまして、開発途上国で仕事をしていたんですね。これだけのシステムをつくるというのは、よっぽど相手国に食い込んでなきゃできませんよ。私は、これほどの密着した関係をKSD、アイム・ジャパンが単独でできたとは到底信じられないんですね。日本政府または労働省が何らかの形でインドネシア政府との橋渡しをしたんじゃないかというふうに思うんです。

 そこで、坂口大臣にお伺いいたしますが、旧労働省として、インドネシア政府に、外国人研修生の受け入れに関して、特にKSDのためにこれまで何らかの働きかけをした事実があるかどうか、お伺いいたします。

    〔委員長退席、吉田(幸)委員長代理着席〕

坂口国務大臣 今先生が御指摘になりましたことの内容全体を、私、その全体像が把握できているわけではございません。

 少し違ったことを申し上げるかもしれませんが、先生が今御指摘になりましたのは、それは、いわゆるインドネシアの国内における、学生といいますか一般の青年たちとインドネシア政府との間の約束事でございましょうか、インドネシア政府とアイム・ジャパンとの間の契約の話でございましょうか。

井上(和)委員 そうだと思います。つまり、一公益法人である、財団であるアイム・ジャパンのために、インドネシアの労働省が研修生の学校の卒業証書を預かっておく。そして、もし規則違反があればそれを返しませんよ、つまり、アイム・ジャパンが払った費用を弁済しなければそれは返しませんよということを誓約させているわけですね。そして、まさしくこれは強制なく作成したものであるということまで書いてあるわけですよ。当然これは、もし強制ということになれば大変な問題になるからだということだと思うんですね。

坂口国務大臣 そうしますと、それはインドネシアの青年たちとインドネシア政府との間の契約というふうに理解させていただいてよろしゅうございますか。

井上(和)委員 もう一度繰り返しますが、「この誓約書は私が認識と責任を持ち、そしていかなる強制もなく作成されたものである。」と書いてあるので、これはやはり強制がないというふうに書いてあるわけですから、契約というふうにはとれないんじゃないかと思うんですね。

 ただ、この問題は事前通告をしていなかったので、今大臣にはっきり御答弁いただくのは無理と思うので、先ほど私がお伺いしたように、質問通告してありますように、旧労働省としてインドネシア政府に橋渡しをしたかどうかということに関してお答えいただけますでしょうか。これは質問通告してありますので。

増田副大臣 お答えをいたしますが、旧労働省関係部局において、旅行命令簿やあるいはパスポート申請書類について調べてみました。(発言する者あり)そうですか。

 初めの方の関係は、私どもの調べた限りではわかりません。

井上(和)委員 それでは別の形でお伺いしますが、一九九一年から一九九三年ごろ、つまりアイム・ジャパンによってインドネシア研修生の受け入れが始まる時期に、旧労働省からインドネシアに出張したお役人はいらっしゃいますか。これは質問通告してありますから。

増田副大臣 先ほどお答えいたした関係になると思いますが、旧労働省関係部局において、旅行命令簿やあるいはパスポート申請書類について調べてみました。何分にも昔のことでありますから、書類の保存期間も経過をしているため、確認できなかったところであります。参考に、切れてから三年ということになっていますので、そういう形になって確認ができませんでした。

井上(和)委員 それでは別の形でお伺いしますが、在インドネシア日本大使館には旧労働省出身の方は勤務されてきているんでしょうか。

増田副大臣 旧労働省は、昭和五十一年四月以降現在に至るまで、在インドネシア日本大使館に継続的に職員一名を出向させてきたところであります。

 御指摘のアイム・ジャパンが外国人研修生を受け入れ始めた平成四年六月当時、同大使館に旧労働省出身者は一名在籍しております。

井上(和)委員 平成五年にはアイム・ジャパンが視察団というのをインドネシアに送っているんですね。大使館に労働省のアタッシェがいれば、KSDと労働省の関係を考えても、当然接触があったというふうに私は推測いたしますし、また、そういった橋渡しがなければ、私が先ほど申し上げたように、KSDがこれだけのインドネシア労働省との関係を築くことはまず不可能だったというふうに私は思うんですね。

 この件に関しては、私どもなるべく早く現地調査を行って、実態を明らかにしていきたいと思います。

 次の問題に移りたいと思います。

 私は、昨年の十一月の内閣委員会におきましても、このアイム・ジャパンの問題に関して質問をいたしました。その際に、アイム・ジャパンの経理の問題に関して、非常に不明朗であるということを指摘いたしました。そして労働省に対して検査を要求いたした次第でございますけれども、今回、厚生労働省としてアイム・ジャパンに対して立入検査を行って、改善報告書をいただきました。この件に関してちょっとお伺いしたいんですけれども、これは質問通告していなくて恐縮なんですが、坂口大臣、お答えいただけますでしょうか。

 私、改善報告書をいただいたんですが、立入調査の報告書というのはまだ見せていただいていないんですけれども、これを見せていただくことは可能であるでしょうか。これは質問通告していないので、もしお答えできればでいいですが、よろしくお願いします。

酒井政府参考人 これは、改善、いろいろな形での資料でございますので、数字をお出しするのを御容赦いただきたいと思います。

 それで、改善の勧告書には、先ほどちょっと当方から、舌足らずでございましたけれども、先生がおっしゃった違約金の問題等につきましても、これは改善するように、インドネシア政府にまで当たって改めるように、そういうことも実は盛り込んで、できるだけまずいところを早急に改めさせるというようなスタンスでやっているところでございます。

井上(和)委員 ぜひ報告書を見せていただきたいと思うんですが、今回、会計に関して幾つか指摘されているわけですね。公益法人会計基準に基づいて会計処理に関する規程を作成せよというふうに勧告している。つまり、現在、または以前は基本的な会計制度がなかったというわけですね。公益法人としては相当ひどい会計をやっていたんだというふうに思いますね。そこからお金が一体どうなっていたのかというのに非常に興味があるんですが、それは恐らく検察の問題だと思います。

 積立金に関して、今回いろいろコメントをされていますが、ちょっとその件に関して短く説明していただけますか。

酒井政府参考人 積立金につきましては、まず集合研修施設建設のための積立金、平成十一年度残高で四億七千万、それから事業調整準備積立預金、これが同じく残高五億五千五百万、それから福利厚生基金積立金、残高で一億五百万という積立金を積んでおります。これが、私どもの勧告書でも言っておりますけれども、かなりの金額である、しかも、その使途、積み立て基準、取り崩し手続が明確とは言えないということを判断いたしまして、そのあり方を見直すということを早急にやりなさい、そのあり方の結果、企業が支払う経費の適正化にも場合によって結びつけるということをやりなさいというのが、勧告の内容の一つでございます。

井上(和)委員 私は、昨年の委員会で、大体アイム・ジャパンが六千人の研修生を持っているということで、年間五十五億のお金がアイムに入っているということを指摘したんです。また、内部情報によりますと、大体研修生四千五百人で収支がとんとんになる。つまり、現在約六千人研修生がいるわけですと、大体約十億円は余計なお金を集めている。今お伺いした積立金ですけれども、これはちょうど十億幾らになりますね。大体恐らく私の推測していた数字とほとんど合っているんですね。

 今回こういった会計上の問題点が出てきたわけですが、まだ背任とかそういう問題じゃないとは思いますが、この会計の職務権限というのはどの理事が持っていらしたんですか。もしその理事が職務権限を持っていれば、当然アイム・ジャパンの経理の責任を負うということになりますね。どなたでしょうか。

酒井政府参考人 アイムの経理の担当の役員は、専務理事の柳沢氏でございます。

 以上でございます。

井上(和)委員 専務理事の柳沢さんは、元労働省福島労働基準局長ですよね。つまり、もし不明金とかそういう問題が出てくれば、労働省のOBである柳沢さんの責任になると私は思います。

 それで、先ほどの十億余の余剰金というか、使う目的がはっきりしないというお金の件なんですが、済みません、これは質問通告をしていなかったのですが、もしこのお金が、使う目的がなければ、これは本来どうするべきものなんですか。例えば、返すとか。お答えできますか。

酒井政府参考人 この積立金は全く目的がないわけではございませんで、例えば集合研修施設建設積立預金、先ほど残高四億七千万と申し上げましたものは、これは、研修生を受け入れた際に集合合同研修、座学の合同研修というものをやっておりますけれども、そういう場所を、いろいろなところを借りてやっている現状にございます。こういうための研修の施設を一つ持ちたい、こういうことでございます。

 ただ、先ほど申し上げましたように、それにしても、では、どういう計画で、どの程度のものをつくるのか、そこのところがはっきりしないではないか、こういうことで、私どもとしては、その辺を明確にしなさい、こういうことでございます。

 ですから、ほかにも二つございます積立金につきましても、これは全く無目的ではないのでございますが、その内容が問題だ、内容が重要だぞということを言っているということでございます。

    〔吉田(幸)委員長代理退席、委員長着席〕

井上(和)委員 その辺の認識が私は非常に甘いと思うのですよ。このアイム・ジャパンの問題の根源というのは、要するに、外国人研修生を使ったピンはねをしている、そういう構図だと私は思っているのです。だから、こういった外国人を使ってピンはねをするようなことに関しては、政府は厳しく考えていかなきゃならないと私は思うのですね。

 私、先日、大島委員と、インドネシアの研修生とお話しする機会もあったのです。先ほどもお話に何回も出ているのですけれども、研修とは名ばかりで、実態はもう本当に単純労働であるという場合が多いようです。研修生の場合は残業ができないということです。しかし、多くの研修生が残業をしていると言っているのですね。ところが、研修生というものには、研修目的で、残業手当を払っちゃいけないということになっている。そうすると、研修生はただ働きさせられているということなんですよね。

 要するに、研修ということで日本に入って、ところが実態は、研修を受けたいと皆さん思っている、外国人、インドネシアの方が思っているのに受けられない。実態は全然違っている。こういう状況に関して、法務省はどういう見解をお持ちですか。

中尾政府参考人 法務省といたしましては、研修生の在留・入国管理という観点から、委員御指摘のような事態が相なりましたら、それ自体は研修としての本来の目的に沿わないわけでありますので、そういったことのないように、私どもの立場でそれなりの対応を、そして適正な研修が行われるよう対処していきたいというふうに考えております。

井上(和)委員 私がもう既にいろいろな方とお話をしているし、きのうもNHKのテレビでやっていたのですね。実態はもう本当に単純労働であるということがわかっているわけなんで、今どういう体制で法務省としてこういった問題に対処しているのか、もう一回御答弁いただけますか。

中尾政府参考人 法務省といたしましては、研修生の在留資格の研修の更新あるいは技能実習への移行の段階で、従来の研修が実質上ちゃんと行われているかどうか、そういうことを評価した上で次の処分をしておる状況でございますけれども、議員のおっしゃるようなことで第一次受け入れ機関の方におきまして研修生に研修計画に定められた計画にのっとって研修が行われていないというようなことはゆゆしき問題でございますので、当該研修の第一次受け入れ機関におきましてしかるべく管理、検査の実施等をやるように、その責任を果たすように指導をしていきたいというふうに考えております。

 この関係につきましては、議員も御案内のとおりだと思いますけれども、財団法人国際研修協力機構というものがその研修につきまして支援、指導ということをしておりますので、そういう機構等をも活用しながら、研修生受け入れ機関への指導監督を適切に実施、あるいは実態調査等も実施して、円滑かつ適正な研修の実現に対処したいというふうに考えております。

井上(和)委員 JITCOに関しては、本来はそういう研修を監督するはずなのに、こういう事態になっているわけですね。だから、JITCOにやらせるということでは全然問題は解決しないので、ぜひ局長さん、立入検査を法務省としてもアイム・ジャパンに行っていただきたいのですが、どうでしょうか。

中尾政府参考人 法務省として、しかるべく、必要に応じて適正な実態調査等を実施しておるところでございますし、平成十一年二月に研修生及び技能実習生の入国・在留管理に関する指針を策定、公表いたしまして、その指針に従って適正な研修生の受け入れ等について周知徹底を図るように指導していきたいというふうに考えております。

井上(和)委員 官僚的な答弁で、私のお願いしているアイム・ジャパンへの立入検査を行っていただけるかどうかということに関しては、はっきり御返事いただけなかったのですが、こういうふうに国民的な関心のある問題ですので、ぜひよろしくお願いします。

 最後に、大臣にお伺いしたいのですが、アイムの場合でもKSDの場合でも、非常にいろいろな問題点が出てきた。そして、本来は理事としてKSDなりアイム・ジャパンを監督する立場にある天下りしてきた役人の方がたくさんいる。ところが、その方がどうもちゃんとした職務を果たしていない。私も内部の人に聞いたところ、要するにただ座っているだけですよというお話も聞いたんですね。こういった理事の無責任な人たちを当然かえるべきだと思うのですが、監督官庁としてどういうふうにお考えになるでしょうか。

 そしてまた、今回の事件をかんがみて、外国人の労働者の問題とか研修制度に関して、大臣の御見解を最後にお伺いしたいと思います。

坂口国務大臣 公益法人に対する職員の問題は、これは幅広い問題でございまして、KSDやアイム・ジャパンだけの問題ではございません。トータルとしてこれからどうしていくかということを検討しなければならないというふうに思いますし、そのときには、今回のKSDやそれからアイム・ジャパンにおきまして起こりましたこと、そうしたことを踏まえて、今後検討をしていきたいというふうに思っております。

井上(和)委員 わかりました。

 それでは最後にもう一言、外国人労働者問題、研修問題について大臣の御見解をお伺いできますでしょうか。

坂口国務大臣 外国人の研修問題につきましては、開発途上国の皆さん方が、日本に行って本当にいろいろの技術を身につけたいというふうに言っていただく、そのことがなくならない限り、これはやはり私は継続してよろしいのではないかというふうに思っております。

 ただ、その皆さん方の思いと、日本に来ていただいて、それを受け入れて、そして日本の中で研修をすることとの格差が大き過ぎるということがあってはならないわけでありまして、その格差を、あるとするならば、それをどうしてなくしていくかというものが緊急の課題であるというふうに思っております。

井上(和)委員 大臣、ぜひよろしくお願いします。

 質問を終わります。

鈴木委員長 次に、佐藤公治君。

佐藤(公)委員 ただいま御紹介に預かりました、自由党の佐藤公治でございます。

 大変、マスコミでも予算委員会でも、本当に大臣を含め皆さん方にはいろいろな議論がされてきているかと思いますが、私自身、余り細かい議論をするつもりはございません。お聞きしたいことは、大臣としての考え方もさることながら、やはり政治家坂口力先生としての全体の考え方を聞かせていただければと思います。

 先ほどから、一から出直すとか、大臣所信にもございました、きちんと明確にするとか、トータルとして検討していく、すべて私の責任だということを大臣がおっしゃいましたが、私は、そういうことをおっしゃられる大臣の根本的な、やはりこの問題がなぜ起こったのかということを大所高所から考えた場合に、先ほど一番最初の方にもございました、小池先生が構造的問題点だということを指摘されておりましたが、そういう部分も含めて、本当に大臣の、どうしてこういう問題が起こってしまっているのか、また繰り返し起こるのかという、やはり社会全体も見据えた上での御見解、お考えをお聞きしたいと思います。

坂口国務大臣 十分にお答えができるかどうかわかりませんが、このKSDの問題をずっと見ておりまして思いますことは、やはり、行政と立法府とのかかわり方の問題、ここをきちっと我々はもう一度見直していかなければならないのではないかというふうに思っております。

 政治家でありますから、政治家はいろいろの問題を抱えておりますから、行政の方に対しましていろいろの注文をつけることもございます。しかし、それは、個々の問題でありましても、あるいはそれが一つのまとまった問題であるにいたしましても、そこにはやはり限界がある。やはり立法府とそして行政府という立場で物を処理していかなければ、いわゆる政治家と役人という個々の人間関係において処理をすると、物事がゆがんでしまう。その辺のところをお互いにどうけじめをつけることができるかということが一番大事なことではないかというふうに、私は今回のことを中心にして思っている次第でございます。

 したがいまして、私は、これから先のKSDの解決の方法にいたしましても、それらの点を踏まえながら解決をしていく、どういうふうにこれを見ていくかということを決めていかなければならないのではないかというふうに思っておるところでございます。

佐藤(公)委員 今大臣がお話しされました、やはり行政とか立法府のあり方ということのお話がございました。まさに、人間関係を最優先したことで物事を進めていくと、行政含め政策、政治というものが大変ゆがんでしまうということが出てきているかと思います。今大臣がおっしゃられた中で、けじめをつけるという部分、一言で言えば本当に簡単な言葉で、けじめということで済まされる部分になってしまうと思いますが、具体的にその辺のあたりは、やはり大きい部分でもっと大臣がお話しくださっても結構でございます。

 正直言いまして、政治自体にお金がかかること、選挙制度の問題、業界の利益誘導的な部分、政治に関しての国民の意識の問題、いろいろな社会現象、社会状況、環境が、そういうものをいたし方なく、しようがなくさせている部分というのが、僕は多大にあると思います。

 今いろいろなことが、KSDを含めて、本当にこの社会、政治において投げかけられていますけれども、私どもの自由党党首もよく私どもと話をする中、今本当に問われていることは、KSDでもなければ教育問題でもなければ、大人、私たち一人一人、大人社会の仕組み、そして、やはりその長たる国会であり政治というもの全体が問われている、こんなことを話をすることがよくございます。

 そういう意味で、もう少し広い範囲での大臣のお考えと、あとはそれに対する具体的なものがどうあるべきなのかということを、多少抽象論になるかもしれませんが、お聞かせ願えればありがたいと思います。お願いします。

坂口国務大臣 話がだんだん大きくなりますと、わけがわからなくなってまいりますので、限定をして申し上げたところでございますが、広い意味で言うならば、私たちがかかわっております政治のあり方の問題に結局のところは戻ってくるんだろうというふうに思っております。

 したがいまして、政治が一体どういう手順でふだんから物事を進めていくかということについて、例えばKSDならKSDの問題を例にとりましても、それが一つの政党の、あるいはまた時の連立政権の意思として労働省にこういうふうにしてほしいということを言ったというのと、それから、そうではなくて、一個人としてこういうふうにしてほしいと言ったのとでは、全然意味が違うというふうに思っております。

 そうした意味で、私は、ものつくり大学の問題がKSDの問題とあわせて一緒に論じられてまいりますが、ものつくり大学の問題につきましては、私は平成八年、平成九年ぐらいからだんだんとこれは連立政権としての意思という形になってきたというふうに理解をいたしております。

 もしそれが連立政権としての意思でありましたならば、省庁がそのことに耳を傾ける、そのことを取り入れていくということは、私は当然のことではないかというふうに思うわけでございまして、その辺の、個人としての意見というものと、それから政党としての意見というものと、あるいはまた連立政権としての意見というものと、そこには違いがある。その辺のところをきちっとわきまえながらやっていくというその折り目、けじめが、やはり政治というものには大事ではないか。そこが漠然としているところに、いろいろの疑いが起こったりすることもあるのではないか、そう思っている次第でございます。

佐藤(公)委員 まさに大臣のおっしゃられたこと、私も同感だと思います。

 そういう意味で、大臣が予算委員会等で御答弁されているのを何回か聞かせていただく中、やはり、ものつくり大学という考え方、目的、これはすばらしいものがあります。それとスキャンダラスな部分とが一緒に報じられ、いつも一緒になっていることに対して、やはりそれは区別して考えるべきだという大臣の御答弁を聞かせていただく中、まさにそのとおりだと思います。

 しかし、今の政治のあり方において、ものつくり大学の考え方もいい、目的もいい。では、なぜこういうことをしなければこういうふうなことができないのかという疑問がふとわいてくるわけです。

 詰まるところ、いい目的であり、いいものであるのだったら、みんなほうっておいてもそれがどんどんわき上がってくる、どんどん政策として、事業として展開されていくのが当たり前だと思いますが、そういうことをしなくては前に進まない。これは、どこに問題点があるのか、欠点があるのか、欠陥があるのか、これを今本当に問われているんじゃないかと思いますが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

坂口国務大臣 まさしく佐藤先生が御指摘になったとおりだと、私も実は思っているわけでございます。

 ものつくり大学の必要性というものにつきましては、非常に広い範囲の国民から支持をされた部分がございますし、国会の中におきましても、ものづくり基本法、正式な名前はちょっと忘れましたけれども、そうしたものが議論をされたこともございまして、そのアクションプログラムの中には、ものつくり大学のことも書かれているといったようなことがございます。

 時代の方向としては、その方向にあったと思うんですね。経済も非常に混沌とする中で、日本の企業が外国へ外国へと出ていってしまう。そうした中で、日本の中で物づくりの技術というものが高く評価をされていれば、もう少し日本の中に企業が残ってくれるのではないか、そうした思いも相まって、あるいはまた、円高やそうしたことも、当時としては、平成六年、七年ぐらいにはあったというふうに思いますが、そうしたものも重なって、ぜひ日本の中にこの大学をつくっていきたいというようなことがございました。

 みんなのそうした思いがあるにもかかわらず、KSDの古関前理事長がなぜ、私がこれをやらなければというので出てきたのかということが、私にも理解が十分にできないわけでございます。この人が出てこなくてもこの問題は進んできたと思いますし、時間的な差は多少あったかもしれませんけれども、これは確かに進んできたというふうに思っておりますが、そこをなぜ古関前理事長が、あれほどまでにも自分が前に出て、そして政治家にも、あるいはまた社会全体にも働きかけながら、これを私がやるんだという意思表示をされた理由は一体何なのか。そこが私には十分に理解ができておりません。

 そういう私の整理の仕方でございます。

佐藤(公)委員 まさに大臣が今おっしゃられた、そこの部分が理解できないという、そこを根本的に変えていく、わかっていかないと、同じような問題というのは再度起こってくるんではないかという心配をしております。ただし、大臣の今までの御答弁の中で、それを解明し、強化、指導をきちんとしていく、より一層力を入れてやっていくという御決意は伝わってくるものがございます。

 私自身、実際問題、大臣にこの後、省内ではどういう調査をし、現時点で何がわかっているのかとか、今後問題解明に向けてどのような調査を引き続きし、また新たにするのか、具体的にお聞きはしたかったんですが、これは聞くことはやめさせていただきます。きょうの委員会の委員の方々の質問に対してもこういうことにもお答えになって、今までも答えられておりますので、どうか、そういう大臣の根本的な考え方を持って、大きな形で、トカゲのしっぽ切りにならないような状況を考えて、行政指導、リーダーシップをとって厚生労働関係をやっていただきたいと思います。

 ですが、そういうことを考えていくと、同じような事件、ことが、今はKSDばかりが議論されておりますが、ほかにもあり得るんじゃないかという疑いの目で見ざるを得ないと思います。

 厚生労働関係、特に旧労働省関係、いろいろな事業をずっと見させていただく中、ふと目についたのは、勤労体験プラザ私のしごと館という事業が、大変大きな事業で今進められているということが目につきました。勤労体験プラザ私のしごと館、機構によって行われていることでございまして、今私が知り得ているものでは、平成十一年から十四年、一応これが開かれるということで、四年間で四百億を超える事業ということで聞いております。

 これに関して、ちょっと一つの例として、抽象論じゃなくてこの話に入りたいと思いますけれども、ただ、断っておきますが、ものつくり大学、勤労体験プラザ私のしごと館、目的とか考え方は非常にいいものがあります。これは私は否定するつもりはございませんし、その事業推進に対して、今足を引っ張るとかどうのこうのということはございません。ただし、先ほど大臣がおっしゃられたような、全体の、なぜこういう問題が起こるのかということを考えたときに、ふと疑いの目で見たくなってしまうものかなというふうに私は思います。

 これは行政の分野とは違いまして、政治、政治家の分野になりますが、実際問題、小山前議員そして村上前議員、こういう事態になる中、私自身、政治家、政治としていろいろなものを見たときに、ものつくり大学に関して、今までも指名業者、入札関係が三十二社以上が決まっております。こういう中で、村上大臣に献金をしたのはこの中で四社以上、百五十万以上が現実にございます。ただし、これはどこの企業が献金をしたかということは、ここでは申させていただくことは控えさせていただきます。というのは、献金した方々が本当に善意を持って村上さんの考え方に共感、共鳴して寄附をしているということもあり得ますので、それは変な誤解を生みますので、そういうことは避けさせていただきますが。

 やはり同じような一つのケーススタディーとして考えられることは、こういう大変な大きな事業、勤労体験プラザ私のしごと館、考え方はいいですけれども、果たしてこの事業に四百億を超える費用が必要なのかどうか。フランスやなんかでも、ビレットという同じようなケース、これはこれの三倍、四倍、五倍というお金をかけてやっていると聞いておりますけれども。

 担当局長にお伺いいたします。これのできた経緯、経過を御説明願いたいと思います。

酒井政府参考人 御説明を申し上げます。

 御指摘の、私のしごと館は、若い人たちに対する職業意識の啓発推進、職業情報の提供という観点から、その施策の必要性について実は平成元年度より議論を始めてきておったものでございます。平成四年度におきましては、若者等が職業を理解し体験できる総合的な拠点構想を持とうということで、それまでさまざまなレベルの懇談会あるいは有識者の会議をやってまとめてきたところでございます。

 その後、第八次雇用対策基本計画に職業総合情報拠点としての開館準備を進めることが明記されるとか、あるいは関西文化学術研究都市建設促進法に基づく建設に関する基本方針に情報提供施設として位置づけを明記されるとか、さらには、平成十一年度に第九次雇用対策基本計画に設置推進を明記されるなどの経過を経て、平成十二年二月に建設着工をしたものでございまして、これは、ただいまも申し上げましたように、展示・体験機能、あるいはライブラリー機能、さらには研究・創造機能、この三つを一つの結びつきの中で若い人たちを中心に勤労体験をしていただく、実際にそこで勉強もしていただく。そういう場が今こそ必要である、こういう皆様方の意見の結果、こういうような規模のものを関西につくることに相なったと承知しているところでございます。

佐藤(公)委員 今ざっとの御説明の中で、これが、土地取得関係が平成六年の三月から始まっておりますが、計画自体は平成五年、四年、さかのぼれば元年ぐらいから始まっているというふうに聞いている部分がございます。当然、坂口大臣が前、一回目の労働大臣をされているとき、こういうような仕事も流れていたかと思います。

 同じような視点で見ることは悪いこともございます。でも、今これだけKSDの問題がいろいろなことになっている中、こういう事業に関して再度いろいろな、仕事を進める部分は構いません、しかし、その経緯、経過について、坂口大臣が先ほどまたは前もお話ししておりました、KSDだけにとらわれず、今後こういうことがないように、これは公益法人、いろいろな分野での労働行政、そういう中で、こういうものをきちんと進んでいるかどうかチェックをなさったことは、KSDの問題が発生した後ございますでしょうか。

坂口国務大臣 残念ながら、そこまでまだ進んでおりません。

 厚生労働省が抱えております問題の全体の把握に努めているところでございますが、現在進行中のこうした問題につきましても、今御指摘をいただきましたように、誤りがあってはなりません。国民の皆さん方から見てこれはおかしいと思われるようなことがあってはいけませんから、その辺のところは十分にひとつ目を光らせながら、今進行中でございますから、これができ上がりますときには、立派なものができた、これならば国民みんなが利用できる、国民全体のためになるというふうに言っていただけるものにしなければならないというふうに思います。

 この問題がKSDの二の舞になるようなことは絶対にあってはなりませんし、そうした方向にこの問題を持っていくようなことがあってはならないというふうに思いますので、ここは私もきちっと目を光らせていきたいと思っております。

佐藤(公)委員 では、私がこの場で少し具体的に確認だけをさせていただきたいと思います。

 酒井局長にお伺いをしたいと思いますけれども、この事業に関して、政治家もしくは政治家の先生等から、何かお話があったり御相談があったり圧力がかかったということはありますでしょうか。

酒井政府参考人 ちょっと突然であれでございますけれども、私も長くこの仕事をやっていなかったものでございますので昔のことは必ずしも把握をしておりませんが、そのようなことがあったというふうには聞いておりません。

佐藤(公)委員 相談とか圧力とか、いろいろな広い範囲でのお話をさせていただいて聞かせていただいているので、すべてが悪いとは私は思いません。ただし、いろいろと政治家と当然つながりもあると思いますし、やはりいろいろな政党との、考え方、意見交換、指導もしていくこととなりますけれども、御記憶をこの三十秒、二十秒、もう一度たどってみて、そういうことはなかったということでよろしいでしょうか。局長、お願いします。

酒井政府参考人 私、本年の一月から今の立場におりますので、私の時代においてはもちろんございませんし、今先生がおっしゃった期間にも、先ほど申し上げましたさまざまな非常に公の議論の中でこれが進められてきておりますので、しかも、先ほど申し上げましたような雇用の基本計画にも盛り込んで進めてきているということでございますので、まずないのではないかというふうに推測するところでございます。

佐藤(公)委員 今、私のしごと館、機構がやられておりますけれども、入札業者関係をきのうお話を聞く中、これは確定はできません、ですのでそういうお名前は避けさせていただきますけれども、その仕事にかかわっている企業と村上さんとの関係というのが見える部分があると思います。そういうものが見えてきた場合には、今こういうKSD事件や何かが起きている場合に、何となく疑わざるを得ない部分というのが、私自身考えてしまうところがございます。

 大臣、どうかこれを含めて、できる限り、先ほどお話しされていたような、今の仕組みや状況の中でもう二度とこういう問題が起こらないように最善の努力をするためには、やはり広い範囲で調査をしたり指示をしたり、そういうことがないかどうか徹底する必要があると思いますが、いかがでしょうか。

坂口国務大臣 最善の努力をいたします。

佐藤(公)委員 では大臣、そういうことは、今最善の努力をしていただけるということでございますけれども、やはり調査や何かをかけていただけるというふうに私ども理解してよろしいんでしょうか。

坂口国務大臣 現在進行しておりますその事業がどういう業界の皆さん方に支えられているかというようなことにつきましては、私は全然知りません。そうしたことが政治家とかかわっているというような話も聞いたことはございません。

 したがいまして、それらのことを調べるかどうかということも含めて我々は検討しなきゃならないわけでございますが、現在のところはそうしたことはない、純粋に現在の事業は進行しているというふうに理解をいたしております。

佐藤(公)委員 先ほど民主党の先生が、平成十一年のころKSDに関して指摘をしたと。この時点でもっと早くわかっていれば事件というものがもっと大きくならずに済んだかもしれない、いや、でも、これはもうとめようがなかったかもしれません。そういうことを考えれば、私たち委員がこういうところで言うということは、それなりのものがあるのではないかということをある程度思った上、考えた上言っている部分がございますので、そういう部分は、右から左に流すではなく、調査をしていこうという努力目標ではなくて、具体的に一つ一つお願いができればありがたいと思います。

 最後になりますが、私は本当に、今の政治行政のあり方、行政においてなんですが政治でもそうですが、こういう事業とか法律をやっていくに際して、これをつくったとき、でき上がったときの責任の所在というのが余りにもあいまい。いい事業、いい法律だと、おれがやったおれがやったというようなことで何となく聞く。悪い事業だと人のせい、あれは政治家がやった、いや、あれは何々局長がやった、補佐がやった、こんなことの話の押しつけ合いのように見えます。これはまさに本当に大人社会全体が問われている、そんな気がいたします。

 私自身思うことは、法律とか事業においてきちんと責任を持たせるための一つの具体策として、やはりそれにかかわった担当者または責任者を、きちんと名前をつけたような法律であり事業にしていくべきだ。そういうことによって、よかったらその人が評価される、でも、悪ければその人たちは評価されない、こういうふうなことになるような法律なり事業というものを考えていきたいと思っております。

 大臣、どうかその辺を考えてもらいたいと思いますが、大臣のお考えを聞かせていただけたらありがたいと思います。

坂口国務大臣 今、行政評価法が進行中でございますが、この法律あたりは、今議員が御指摘になりましたようなところも含めてでき上がっていくものというふうに私は思っております。

 だれが計画をし、そしてどのような効果があるかということ、それが後で実証される。そして、それが立派にでき上がったときにはその計画をした人が評価をされるというようなことになるだろうと思っておりまして、行政評価法の今後の進み方というものに大変関心を持っている一人でございます。

佐藤(公)委員 ぜひお願いしたいと思います。

 今の日本社会、本当に、国会の中、政治の世界、行政の中、サラリーマン、会社、学校、全部見ても、何でもかんでも人のせい、何かのせい、上司のせい、部下のせい、家庭に帰れば母ちゃんのせい、父ちゃんのせい、こんなことでやっている日本の私たちの未来は本当にどうなるんだろうかと私は心配しております。その最たる責任の所在をきちんと明確にしてやっていくということに関しては、これは諸外国でもございますが、きちんと責任の所在地をはっきりする意味で名前をつけて、いいものは評価され、悪いものは評価されない、こういうことを推し進めていただきますことをお願い申し上げたいと思います。

 なお、大臣におかれましては、本当に大臣はそれなりにやろうと思えばできます。私も秘書から代議士にならせていただきましたが、秘書時代から先生を見ていく中、まじめさとその誠実さは私も痛切に昔から感じております。

 どうか、国民、私たちを裏切ることなく、本当にリーダーシップを持ってだめなものはだめとはっきり大臣権限で言っていただき、進めるものは、大変申しわけございませんが、省庁、関係者の方々のけつをひっぱたいてやってもらうことをお願い申し上げまして、私の質問を終わりとさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

鈴木委員長 次に、木島日出夫君。

木島委員 日本共産党の木島日出夫です。本委員会はKSD問題の集中質疑ですが、私は、アイム・ジャパン、外国人研修・技能実習問題について質問をしたいと思います。

 KSDが豊明会とともに政治にかかわり出した直接の動機は、外国人労働者問題でありました。KSDが発行した三十年史、私はここに持ってきておるのですが、そこにその詳細があからさまに書かれております。いろいろ書かれた上で、こう書いてあります。

  このままでは、中小企業の存亡にもかかわる。国政に働きかけて、何とか外国人労働者の就労を認めてもらえないか。それが無理なら、せめて外国人研修生の活用を考えてもらえないだろうか――。そうした声が、豊明会内部からほうはいとして湧き上がってきた。

  国政を動かすには、国会議員を動かさなければならない。

  国会議員は、もちろん自らの政治的信念によって活動しているが、具体的な請願行動があると、「よし、それなら」と請願の実現に奔走する。その場合、請願者が少数ではパワーにならない。多数の人たちがまとまって請願して初めて、国会議員側も活動の大義名分が得られる。

  解決の道は、ただひとつだった。それは、豊明会とは別組織の政治連盟を結成する以外になかった。政治連盟であれば、大手を振って請願行動ができるからである。

ここにあるように、実際は請願行動というのは表のことであって、その裏では莫大な政治を動かす金が流されていたというのが、今日次から次へと明るみに出てきているいわゆるKSD疑獄、KSD問題であります。

 村上正邦前参議院議員が労働大臣だったときに、外国人技能実習制度が創設をされました。坂口大臣は、九三年、平成五年、細川内閣誕生に伴い、村上大臣の後を受けて労働大臣に就任しております。あなたが労働大臣の在任期間である九三年八月九日から九四年四月二十八日までの間、労働大臣であったあなたとKSDその他関連団体とのかかわりはどのようなものがあったのでしょうか。

坂口国務大臣 今御指摘をいただきましたとおり、私は、平成五年の八月九日から翌年、平成六年の四月二十八日だったと思いますが、それまでの間、労働大臣をさせていただきました。

 この時代にKSDという言葉は聞いたことはございませんでしたが、今振り返ってみまして、そうして、かかわりのあるものがあるかということを私も私なりに調べてみました。

 そういたしますと、平成六年の三月であったというふうに、ちょっと日まで記憶いたしておりませんが、中小企業経営危機突破大会というのがございました。このときに、当時の細川政権の中から大蔵大臣、通産大臣、経済企画庁長官、そして私、労働大臣が出席したということが残っております。

 記憶をたどるのですが、いつどういうところでどういうことであったのかということを思い出すことができないわけでございますけれども、確かにそういう記録が残っておりますので、それには多分参加をしたのであろうというふうに思っております。もしかかわりがあるとすれば、それだけではないかというふうに思います。

木島委員 このKSD三十年史は、そこの決起大会の場面が非常に詳しく出ております。

 九四年、平成六年三月二十三日、日比谷公会堂でKSD、豊明会、アイム・ジャパン三者主催の中小企業総決起大会が開かれ、あなたは労働大臣として出席し、あいさつもしておる。事前にどんな根回しがされたのか、その大会で何が中心的要求だったのか、記憶を喚起してもらえませんか。

坂口国務大臣 そこまで記憶をいたしておりません。

木島委員 二つの請願が中心的な柱になっていたようであります。一つは、中小企業の危機打開、もう一つは、国会に中小企業対策特別委員会を設置してくれと。この問題が、実は今日、参議院に中小企業対策の特別委員会がつくられ、そこで古関前理事長が発言をする、その背後でこの設置に関しても大きなお金の流れがあったということが大問題になっている。その問題、そういう要求が出てきた大会でもありました。

 実は、そのときの四カ月ほど前、前年、九三年、平成五年の十二月九日、もちろんあなたが労働大臣ですが、若林労働事務次官がアイム・ジャパンを訪れ、古関理事長と外国人研修生受け入れ事業の現状や今後の問題点などについて話し合っている。それも詳しくこれに書かれているのです。

 事務次官が一公益法人にわざわざ赴いて外国人労働の話をしたという、これはなかなかの問題だったと思うのですが、当時、労働大臣として報告を受けた記憶はないですか。

坂口国務大臣 記憶ございませんが、そういう記載があるということであれば、あるいはそういうことがあったのかもしれません。すべて大臣のところに報告があるわけでもございませんし、また報告があっても忘れてしまったこともあるというふうに思いますから、なかなか、三月の大会のことですら行ったか行かないか記憶にないような状況でございますから、次官がどういうことをされて、そしてそれに対する報告があったかどうかというところまで私は記憶にございません。

木島委員 KSD三十年史によると、先ほど私が披露しましたようなことがあるのです。それで、平成五年十二月九日、アイム・ジャパンを来訪した若林事務次官、古関理事長と会談し、外国人研修生受け入れ事業の現状や今後の問題点などについて話し合ったと、わざわざカラー写真まで入れて、握手をした写真が大きく載っています。

 私はなぜこれがちょっと普通じゃない、尋常じゃないかというと、実はその直前にKSDは労働省から立入検査を受け、事業のあり方の改善勧告まで受けているんですね。九三年三月三十一日です。村上労働大臣の時期ですよ。そんなことまでされた一公益法人に、事務次官がわざわざのこのこ出ていって、外国人労働問題でやはり突っ込んだ話をしたんでしょう、ちょっと尋常ではないですね。ということでお聞きしたのですが、明確な答弁はありませんでした。

 次に進みます。

 小山孝雄前参議院議員に対する受託収賄容疑は、外国人技能実習の滞在期間を二年から三年に延長することを要求し二千万円収賄したという問題であります。外国人技能実習制度は、九三年、平成五年四月に期間二年で始まりました。そして、九七年、平成九年四月に期間三年に延長されたわけであります。

 委員長のお許しをいただいて、私が作成をした資料、財団法人中小企業国際人材育成事業団、いわゆるアイム・ジャパン収支概要をごらんになっていただきたいと思うんです。

 これは、平成七年から平成十一年までは、アイム・ジャパンの決算書に基づく数字です。欄外に書いておきましたように、平成五年と六年分は厚生労働省に資料要求したんですが、保存年限を過ぎておって今厚生労働省にはないんだ、厚生労働省がアイム・ジャパンから聞き取った概数を記載したため入会金等は不明だという回答をいただいておりますので、平成五年と平成六年は生の資料じゃなくて厚生労働省からの聞き取りだということを付言しておきたいと思います。

 この一覧表からたくさんの重大な事実が読み取れます。

 一つ、九七年に、贈収賄事件まで引き起こすような形で滞在期間が二年から三年に延長されて、ごらんのように、アイム・ジャパンの財務は見違えるように好転をしております。わいろで政治を曲げた成果が露骨に出ていると言っても過言ではないと思います。

 二つ、九六年までは、主にKSDからの助成金で運営されていました。この資料のアイム・ジャパンの収入総額のうち、括弧して内助成金と記載しております。九三年は八億八千万、九四年は八億九千万、九五年は六億二千五百万、九六年が二億一千万、これはKSDからのアイム・ジャパンへの助成金という名義の金の流れであります。それが、物の見事に九七年以降はなくなった。KSDの助成金なしでもアイム・ジャパンは堂々と自立できるようになったということでしょうか。

 三つ、九七年からは、逆にアイム・ジャパンは莫大な利益を生み出している。

 ここに私が、内積立金と書いておきました。支出の中、これは四つぐらい内訳があるんですが、当然のごとく積み立てるべき退職給与引当金と減価償却積立金は除外しております。そして、まことに普通ではないんですが、集合研修施設の建設費、事業調整準備金、こういう名義で、莫大な金額が九七年からアイム・ジャパンに積み立てられるようになったということを示しているわけであります。九七年は二億、九八年は五億五百万、九九年は三億二千万。すさまじい金の蓄積が九七年から始まっているということをこれは意味するわけであります。

 そして四つ、九九年には、支出の内訳の中に協賛金という欄を私はつくっておきました。ごらんのように、九九年にけた違いでこれが増額をされているわけであります。一億一千六百万であります。それまでは、大体毎年三千万ぐらいの協賛金が支出として出ておりました。この一億一千六百万のうち、八千百万が、何とアイム・ジャパンからKSD本体に逆流をした金であると労働省もお認めになっておりますし、私ども野党四党の共同調査団がアイム・ジャパンに直接お会いして確認しているところであります。こんな状況になっている。

 それから、もう一つの特徴です。五番目、九六年から九八年の三カ年間でアイム・ジャパンの三億円の長期借入金はすべて返済されてなくなっている。

 こういう財務の状況が明らかになっているわけです。

 それで、労働省に確認しておきますが、この決算の中の内助成金というのは、全額、KSDからアイム・ジャパンへの金の流れですね。そしてもう一つ、内協賛金というものの内訳を具体的に報告してほしいんです。

酒井政府参考人 助成金につきましては、KSDからのものでございます。

 それから、協賛金の内訳でございますが、これは九四年度から申し上げますと、財団法人入管協会へ同キャンペーンに対する協賛金として六百万。九五年度が、入管協会への二千万円、それと財団法人国際研修協力機構、JITCOへのキャンペーンに対する協賛金として約一千万。それから九六年度は、入管協会へ二千万。九七年度、入管協会、三千万。九八年度、入管協会、三千万。九九年度が、入管協会へ三千五百万と、KSDへ八千百万。

 以上でございます。

木島委員 ありがとうございました。

 まことに特異なのが、九九年のアイム・ジャパンからKSDへの八千百万円の協賛金です。これは何ですか。こんなことが公益法人として許されるのでしょうか。

酒井政府参考人 この八千百万円につきましては、今回の立入検査を行いました結果の改善勧告書にも我が方としても指摘をしておりまして、これが手続的にきちっとした支出の方法をとっていないということについて、これも調べて報告をするように言っているところでございます。

 KSD側からは、国際的な人材育成関係の事業への協力をしてくれというような要請に基づいてKSDに出した、こういう経緯でございますけれども、今言ったように、適正な支出手続をとっていないという点について指摘をしているところでございます。

木島委員 この金がアイム・ジャパンからKSDへ行ったことは確からしいんですが、私はKSDの決算書を全部調べてみましたが、全然見えてこないんですよ、そっちの方の決算書からは。そうすると、こういう金が一体どこへ行ってしまうのか。まことに不明な金じゃないかと思う。そのことだけ指摘しておきたいと思います。

 それで、アイム・ジャパンの収支がこういうぐあいになったのは、そうした仕組みがつくられているからであります。端的に厚生労働省に聞きます。外国人研修生、技能実習生が一人入国して技能実習、研修をやると、アイム・ジャパンには幾ら年間入るのか、月間入るのか。そのことだけ答えてください。

酒井政府参考人 研修手当とかいろいろあるのですが、アイム・ジャパンに対しましては、アイム・ジャパンの実費的経費として、研修生指導管理費ということで、一年目の研修、月に三万円、それから二年目、技能実習三万円、三年目、技能実習二万円ということで、三年間で一人当たり九十六万円というものがアイム・ジャパンに入金になる、こういうことでございます。

木島委員 そういう数字をおっしゃいますが、私ども、外国人労働問題を深く問題視し、かかわっている人たちからのいろいろな調査報告も受けております。これは、これからおいおい時間を尽くして詰めておきたいと思うのですが、私どもの調査によれば、こういう数字になるんですね。単純に言いますよ。

 外国人研修生一人入ってきて、各中小企業に振り当てて、三年間まじめに働いてもらったらどうなるか。

 アイム・ジャパンには、大体、三年間で二百二十一万円が入る。全部利益じゃないですよ、管理費として入る。渡航旅費、帰るための旅費もその中に入ることは承知しています。

 一方、受け入れ企業、受け入れ中小企業が負担する経費は、大体、三年間で七百万になるというのですよ。七百万を超えるというのですよ。

 外国人研修生、技能実習生の手取りは、一年目は六万円、二年目は七万円、三年目は八万円だというのです。そうすると大体、三年間やっても、外国人研修生、技能実習生は、三年合わせて二百五十二万円にすぎない。

 現在どうかというと、一人入ってきて一カ月働きますと、その中小企業からアイム・ジャパンに十八万入るのです。研修生には八万しか行かない仕組みなんですよ。そういうからくりがあるのです。

 そこで、きょうはその論議をするつもりはありません。こうした枠組みの基礎となったのが、アイム・ジャパンとインドネシア共和国労働省との間で取り交わされた「インドネシア共和国研修生派遣・受入事業に関する合意書」であります。九二年十二月十日に旧合意書が締結されています。九三年十月十三日に修正合意書が締結されております。もちろん労働省は当時承知しておったと思うのですが、労働省はこれらの合意書の締結にどうかかわったのでしょうか。

酒井政府参考人 ただいまおっしゃいましたアイム・ジャパンとインドネシア労働省の一九九二年の合意書と、それから一九九三年の修正合意書、そういうものが締結されておりますが、この合意書につきましては、我が国の受け入れ団体が送り出し機関との締結をするものであるために、労働省は締結に際し関与はしていないところでございます。

木島委員 そんな答弁ですが、そんなこと信じられますかね。相手はインドネシアの政府の労働省ですよ。こちらは労働省所管の公益法人ですよ。しかも、受け入れることができるかどうかは入国管理法の改正が必要、入国管理法の実施が必要。その中心的な所管は労働省と法務省でしょう、入管法は法務省ですが。その基本を決める枠組みに当時労働省は関与しなかったなんという、とてもじゃないけれども私は信用できません。

 特に、修正合意書というのは、締結が九三年十月十三日であります。坂口さんが労働大臣のときであります。知らないはずはないと私は思うのです。物すごいエネルギーを費やして、社会的に大問題になってつくられた外国人の技能実習制度の導入、それを実現するための仕組みなんですからね。

 何が修正されたのか、私つまびらかではありませんが、一つは、技能実習制度の創設に伴う修正のようです。もう一つは、日本研修実施規則というのがこれに基づいてつくられているんですが、どうも読み込んでいくと、それまではアイム・ジャパンがつくっていた、しかし、修正合意書から、日本研修実施規則をインドネシア政府の労働省がつくるようにつくり手をかえたということまでどうも読み込めるんですね。そんな問題を労働省が知らないというのはおかしいと思うのです。

 では、次に聞きましょう。アイム・ジャパンが受け入れる研修生の行動規範、今言いましたこれに当時労働省はどうかかわっているんでしょうか。

酒井政府参考人 インドネシア共和国の研修生に係ります研修生規則は、日本における研修と技能実習が円滑に行われて十分な成果を得ることを目的として、研修生の待遇等遵守すべき事項について規定しているものでございまして、インドネシア労働省が作成したものでございます。

 日本の労働省としては、この研修生規則の制定にはかかわっていないものでございます。

木島委員 ここに、インドネシア共和国労働省日本研修実施規則があります。

 この規則の第一条には、この実施規則は、インドネシア共和国労働省労働者育成・労働生産性総局と中小企業人材育成事業財団、アイム・ジャパンとの間の取り決めに基づいて、インドネシア共和国からの研修参加者に対する技能実習研修プログラムが円滑に実施され、研修生が実りある研修成果を上げることを目的として作成されたと書かれております。しかし、この規則にとんでもない人権侵害の条項が入っているんですね。

 第三条「全ての研修生は、」いろいろ中略しますが、「研修規則を誠意を持って遵守しなければならない。」そのa「投票や集会への出席、政党への献金、日本のマスメディアや公けの場での発言など政治的な活動に参加することを禁ずる。」政党への献金を禁ずるのは当然です。投票できないことは当然です。しかし、日本のマスメディアや公の場での発言などを禁ずる。労働条件その他大変な問題が頻発しています。そういうことを発言することを禁ずるという意味ですよ。

 それから、三条のf「研修生が日本研修期間中に得たアイム・ジャパンおよび受け入れ企業に関する秘密を、当該研修生が日本を去る以前以降に関わらず、第三者に明らかにすることを禁ずる。」企業の内部秘密なんかは、これは出せないでしょう。しかし、自分の労働条件、待遇、十八万中小企業が払っているけれどもその外国人研修生には八万しか払われていない、うち二万はアイム・ジャパンによって強制貯蓄をさせられている、一万円は天引きされて直接にはもらえない、その研修生がインドネシアに帰った後インドネシアの方からもらうなんて、そんなとんでもない労働法上大問題になるようなことがまかり通っているんですが、そういう問題を表ざたにしたら、これに違反するというので、契約違反だ、退去強制だ、帰りの渡航の旅費まで自分持ちだ、そういうことがまかり通っているんです。こういう人権侵害の規則。

 私は、毎月二万円の積立貯金の強制、パスポートの企業による保管、違法な残業、こんなことを研修生に許されるはずがないんですが、残業がまかり通っています。旧労働省や法務省は、これは外国人労働じゃないんだ、研修、実習なんだと。ですから残業なんかできるはずがないんですが、そんなことがまかり通っている。それを野放しにさせる根拠にこれがなっている。こんなことの作成や成立に労働省は関与しなかったなどという態度が通るはずがないと思うんです。どうですか。

酒井政府参考人 今先生が御指摘になっておられます部分につきましては、これは基本的には当事者同士でいいものをつくるということが基本であるわけでございます。しかしながら、ただいま先生も御指摘がありましたような違約金の問題であるとか、私ども、アイム・ジャパンを指導する立場から見て適切とは思えないものが実際にございます。

 これにつきましては、先ほど来申し上げさせていただいています先週出しました勧告書において、これを是正するように、先方と話し合いをするように指導しているところでございますし、それから、二万円の問題、あるいはパスポートの強制的な預かりといった問題につきましても、これを是正するように指導し、今回の勧告の中でもさらにこれをだめ押しして、徹底するようにというふうにやっているところでございます。

 私どもとしましては、この制度がぜひとも、確かに先生がおっしゃるような運用の面でいろいろ不適切あるいは不十分なところは結果的にあったと言わざるを得ないと思います。したがいまして、今後、こういうものを一つ一つ是正して、国際協力あるいは技能のこういう途上国の人たちへの転嫁というようなことに一層の努力をしたいというふうに思っているところでございます。

木島委員 私は、九〇年に国会に初めて来て、法務委員にずっと所属しておりました。この間、法務省は、外国人労働者の受け入れ、単純労働はいろいろ問題があるから認めないという態度をとり続けてきたんですね。日本の政府としてもそういう態度をとってきたんです。しかし、それがこじあけられた。そのこじあけられた背景には、今回明らかになったんですが、物すごい不法な金が流されていたという。それが今度の事件でしょう。

 こじあけられ、拡大をされ、研修から技能実習になり、技能実習が二年から三年になる。その背景には、こういうすさまじい、事実上、実習や研修の名による単純労働ですよ。そこで労働者に対する搾取もある。それだけじゃなくて、中小企業だって十八万も取られているということは、やはりそれが正しく労働者の方に金が行っていないということもあるわけですから、問題なんですね。

 それは、やはり国家と国家の関係で進んできた話ですよ。日本の国は制度を変えてきましたね。法律を変えました。事実上の外国人労働の受け入れの問題の制度が変わってきました。インドネシアの方は、もうまさにインドネシアの労働省が丸ごと関与した。そして、こういう枠組みの中でこういう仕組みが拡大してきているんでしょう。

 そういう中で今回KSD事件が発覚をして、日本の国内では莫大な裏金が流れたんじゃないかと指摘をされている。ある新聞報道では、KSDの古関前理事長は、KSD、アイム・ジャパンなどはインドネシア政府高官にも大きな金を渡したんじゃないかという疑惑が指摘されている。国際的な問題にもなりかねない問題なんですね。

 時間ですから終わりますが、坂口厚生労働大臣におかれましては、こういう問題ですから徹底的に、KSD関連団体の裏金の使い方、特にインドネシア政府関係に対してはどうだったのか、先日の答弁ではそんなのはないというような答弁をしたようですが、そんな立場じゃなくて、徹底的に、真相の全容を解明して、この委員会と国会と国民に報告すべきではないかと思います。御所見を伺って、終わりにしたいと思います。

坂口国務大臣 私の立場として検討しなければならない問題はかなりたくさんあるというふうに思っておりますから、私の立場は立場として検討を進めさせていただきたいと思っております。

鈴木委員長 木島君、質問時間がもう終了しておりますが。

木島委員 もう終わりますが、どうもそんな態度では、本当に日本の政治を正すことはできないということを感じたということを述べまして、時間ですから質問を終わらせていただきます。

鈴木委員長 次に、中川智子君。

中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。

 まず最初に坂口大臣にお伺いしたいんですが、私も、九六年に初めて議員として当選しましてこの国会に参りましたときは自社さ連立政権で与党で、びっくりしましたが大変でした。そして、いいことがあったら自民党の皆さんが手柄にされて、ちょっとでも悪いことがあったら社民党がいて何なんだと言われて、非常につらいつらい一年半を送ったことを記憶しております。

 坂口大臣も、公明党、本当に、社会保障そして人権、平和、そこに対してどこよりも懸命に取り組んでいる公明党として、今回の特にKSDの問題に対しましては内心じくじたる思いがいっぱいだということをお察し申し上げますが、連立を組んでいらっしゃる党として、大臣は、この間のKSDの問題を初めとした一連の状況をどのようにお考えになるか。あわせて、きのう政治倫理審査会で額賀代議士のお話を伺って脱力感にさいなまれたんですが、そこの感想もあわせて、大臣の、連立の一翼を組んでいる公明党としてのお考えをお伺いしたいと思います。

坂口国務大臣 今朝からお答えを申し上げておりますとおり、今回起こっておりますKSDの問題は、大変国民の皆さん方に対しても申しわけのない展開になってきております。どうしてもこの問題は解決をきちっとして、国民の皆さん方におわびをしなければならない問題だというふうに思っているわけでございます。

 過去の問題ではありますけれども、現在、厚生労働大臣の席に着かせていただきました私のすべて責任においてこれは処置をしなければならないと考えている次第でございまして、懸命にこの問題に取り組まさせていただきたいと思っているところでございます。

 KSDそのものにつきましては、一遍解散をしてはどうかというような御意見もございますが、御承知のとおり、いわゆる共済事業でございますので、掛金をしていただいた皆さん方に対する問題等もあるわけでございますから、きょう言ってあすからなくしてしまうというわけにもいかない。したがいまして、その必要性を認めておみえになる皆さん方もまた一方ではお見えになるわけでございますので、一から出直すようなつもりでひとつやり直しをしてほしいと今申し上げているところでございます。

 その他の、小山前議員やあるいは村上前議員がいろいろのKSDとのかかわりでおやめになったということを思いますときに、まさしくこの問題をきちっとしなければならないというふうに思っております。

 額賀先生のお話が出ましたが、私は予算委員会で張りつけになっておりますので、額賀さんの発言あるいはどういうやりとりがあったのかということを詳細に私は存じません。けさ、新聞を見る暇もなくこちらにまた飛び出てまいりましたので、そうしたことも十分に存じませんので、十分に知らない段階で評論をするということ、論評をするということは大変失礼だと思いますから、差し控えさせていただきたいと思います。

中川(智)委員 一からしっかりとKSDの問題、解体まではいかないけれども、必要なものに対してはしっかりやり、そして、このような不明朗なお金の流れ、そしてまたアイム・ジャパンに関しては、特に研修生が泣いている状況をきっちりとしていくという今後の決意だと受け取らせていただきました。

 続いて政府参考人に伺いますが、私は二月二十二日の予算委員会で、アイム・ジャパンの一連の問題に対して質問をいたしました。坂口大臣からは非常に前向きの答弁をいただきまして、実態調査、資料提出、できるものはきっちりしていくし、また資料も出していくというふうな御答弁をいただきましたが、私が実態調査を要求した中身そして資料、どのように把握し、現在どのような形で進んでいるかを御説明いただきたいと思います。

酒井政府参考人 まず、先生がお求めになりました契約書であるとか、これにつきましては、契約書も先生おっしゃったかと思いますけれども、そういうものにつきましては、やはり当事者としての相手国の了解をとるといったような手続はしなければいかぬかと思いますけれども、そういうことを踏まえた上でお出しをするという意味で、若干時間はいただきたいと思っていますが、できるだけ早くというつもりでございます。

 それから、指導ということでございますけれども、実態の把握ということにつきましては、私どもとしましては、JITCOが巡回指導で改善指導をやっているわけでございますけれども、これに一層の期待をかけるということと、それから、先生が御質問になった後、実はこの前の立入検査の結果の勧告書を出させていただいたわけでございます。その勧告書の中で、よく実習生、研修生の立場に立った運営がなされるように、適正な運営を図るようにといった形での指導をやっております。

 アイム・ジャパンは、毎月一回、先生の御案内の国際コンサルタントという人が現場へ出かけて相談をしたりしているところでございますけれども、この国際コンサルタントにつきましても、その勧告書の中で、よく制度の趣旨を踏まえて指導あるいは相談事業に当たるようにといった形で、そういう意味での実態を踏まえた対応ということを言ったところでございます。

中川(智)委員 コンサルタントも三十一名の社会保険労務士が回っているそうなんですね。社会保険労務士となりますとさまざまな問題よりも専門性がありますので、社労士だけではという声も現場からは聞こえてまいりますので、これに対しても再考をお願いしたいというのは要望としてお伝えいたします。

 ちょっと細かいところでの確認と御答弁をお願いしたいんですが、アイム・ジャパンに対して、事前研修において労基法や労安法、入管法上の権利告知を徹底するように指導すべきだと思うんですが、きょう私が資料として皆様に配付方お願いいたしましてお手元にあると思いますが、この最初、四ページ目の丸がついている上から三行目、「初年度は残業手当がないが、一、二、三年目は残業の義務がある。」これはアイム・ジャパンが研修生に説明している説明書なんです。これはおかしいですよね。「初年度は残業手当がないが、」一年目というのは初年度のことですね、「一、二、三年目は残業の義務がある。」これは明らかに違法行為ですね。そこの認識、イエスかノーかでお答えください。

酒井政府参考人 これは、残業させて残業手当がないということであればおかしいことでありますので是正が必要だと思いますし、先生御案内のように、研修の段階におきましては、これは研修でございますので残業させるのはよくないという立場でございますので、それは残業をさせるというようなことのないように指導をすべきものと思います。

中川(智)委員 続いてちょっと関連して、この資料というのはしっかり読まれたことがありますか。そして、残業の実態というのを私の二十二日の質問の後調べましたか。

酒井政府参考人 大変不勉強で申しわけないんでございますが、初めて見ました。どういう性格の文書かちょっとわからないところでございますが、先ほど申し上げましたのは、この記述内容につきまして、こういうことであればおかしいということを申し上げた次第でございます。

中川(智)委員 これは、アイム・ジャパンがすべての受け入れの研修生に渡しているインドネシア語を翻訳したものです。こんなのはもう見ていて当たり前だと思うんですけれども、御存じないということにかえって驚きました。

 また、関連して、残業をさせてはいけないのにさせていた実態で、これは証拠になると思うんですが、カラーコピーで資料としてお渡しした一番上のですが、インドネシアの実習生、これは大企業でありますクボタに働いていた実習生なんですけれども、赤いマークは三時間、青いマークは二時間、オレンジマークは休日出勤、年間五百時間、一年目した、有休も一日もとれなかった。こういうふうに研修生は、何かおかしいな、でも言われるんだから働かなきゃいけないなというのが実態です。

 どうして声が出せなかったかと申しますのは、先ほど木島委員が質問の中でるるお話ししたように、いっぱいの縛りがかかっていた。そして、何か文句を言うと本国に帰されてしまう、そのときには違約金も取られてしまう、さまざまなことで声が出せなかった、やっと帰ってから声が出せたというのが実態です。

 これが資料なんですが、その陳述書、二枚目、これもこの間、坂口大臣にも資料として、もっと十三人の陳述書があるんですが、法務大臣にもお渡ししたものですが、ここに実態があります。「クボタに着きました。研修生のはずでしたが、工場からの日程通り、年間五百時間の残業をしなければなりませんでした。しかも休日には日本人は休みなのに私たちだけが働かなければなりませんでした。もし私たちが嫌がる場合は「帰れ」という言葉が飛び出しました。」ということが書いてあります。

 この状況について質問をしたいんですが、これらのことに対してアイムからしっかり聞き取り調査をしたでしょうか。残業の問題、そしてその賃金はどうなっているか。端的に。

酒井政府参考人 そのクボタの件につきましては、これは現在進行中でございまして、事実関係の指示をしているところでございます。それからもう一つ、受け入れ団体や受け入れ企業、それから研修生を指導するJITCOでございますけれども、JITCOに対しても問い合わせをしているところでございます。アイムとJITCOに今問い合わせあるいは調査の指示をしている。

 調査もまだ途中でございますけれども、現時点においては、毎月一定程度の研修時間外における研修といいますか、ことが行われていた可能性が認められるところでございます。研修が時間外に行われることは、先ほどから申し上げておりますように、不適切でございますので、このようなことのないようアイム・ジャパンに対して改善の指導を行ったという状況でございます。今後、この研修の実態をさらに引き続き調査を進め、必要な対応をしていきたいというふうに思っています。

中川(智)委員 これは、私は、クボタの場合は代表的な例として出したもので、きのうはアイム・ジャパン長野の方に社民党の調査団も参りました。そして、インドネシアの研修生もその場に同席をして、実態調査に行ったわけですが、クボタだけではなくて、ほかの受け入れ企業でもそれをやっている。アイムが会員企業を募るときに、安い労働力があるよ、研修生として入ってくるけれども、文句も言わず、言葉もわからないし、そして反抗しないようにいろいろな形で契約書もとっているよということで、それでアイムが受け入れる研修生に対しては実態がわからないまま放置されて、やっと今表に出てきたというのが実態なんです。

 ですから、クボタだけではなくて、アイムが受け入れているもの、そしてまた、第一次の試験なんかをやるのも全部JITCOで、JITCOは五省共管で、経済団体四つもやって、これもまた責任がどこだかよくわからないんですが、JITCOを含めてこのような実態がないかどうか、違反していればそれに対してどのような処置をとっていくのかということもきっちりと報告をしていただきたいと思います。大臣、今のこの状況に対しての御見解をお願いいたします。

坂口国務大臣 直ちに調査をいたしまして、もしもこのようなことがありましたら、直ちにそれを禁止するようにいたします。

中川(智)委員 残業費の未払いに関しては、しっかりと支払いを求めます。

 そして、私が先ほどお示しいたしましたこのインドネシア語の説明書は、インドネシア労働省がつくったものだとアイムの方が主張しているんですが、確認をしているのかどうか。これは、イエスかノーかでお答え願いたいと思うんですが。

酒井政府参考人 結論的には、確認をしておりませんので確認をしたいと思いますが、インドネシア語の翻訳の文書かと思いますけれども、その内容も、やや、私どもの目からするとちょっとおかしいことを書いているなということがあるわけでございますので、その翻訳も含めまして確認する必要があろうかというふうに感じております。

中川(智)委員 今ちょっとおかしいなと思ったのは、初めてごらんになって、よくインドネシア語の翻訳がおかしいというのがおわかりになりましたね。

 そうしたら、ついでにちょっともう一つ。労働基準監督署に勧告書をお出しになったらしいんですが、きのう長野に調査に行きましたら、長野の労働基準監督署は勧告書がおりてきていないと言っていましたが、すべての労基署に勧告書はしっかりと届いているんでしょうね。その二つをお願いします。

酒井政府参考人 私どもの勧告書は、あれはアイム・ジャパンに対するものでございます。ですから、アイム・ジャパンがそれを携えて、携えてというか、よくかみしめて必要な措置をとれ、こういうものでございます。

 それから、先ほど舌足らずでございましたが、先生からいただいたこれが、抜粋、翻訳というふうに書いてあったものですから、それで翻訳かなと思いましたので、それで、しかも内容的にちょっと何か変なことが書いてあるな、これはこれの限りにおいてそんなふうな感じがしたということを申し上げたところでございます。

中川(智)委員 その勧告書というのは、労働基準監督署がやはり地域の企業、受け入れ企業なんかにしっかりと指導監督の責任があるんですから、労基署にもそういう勧告書というのは渡すべきではないんでしょうか。

 私は、武生の方に行ったんですが、中国人研修生の、武生の労基署は全然緊張感がないんですよ。事業主を集めて説明しておきましたと。事業主に問題があるのに、個別の働いている研修生の声というのは全く聞いていない。事業主だけに話を聞いて、そこに対して指導しているだけなんですね。これはいいですが、監督署の方にもちゃんと、厚生労働省としては、このような状況がある、このような問題が発覚して、そしてその外国人研修生に対してはこんなに問題があるので、労基署の監督はしっかりすべきというものを出すべきではないでしょうか。それに対してのお答えを簡単にお願いします。

酒井政府参考人 労働基準監督署は、従来から、労働基準監督署の立場において、技能実習になった段階での不適正な、労働関係規則に反するような取り扱いがあった場合には、過去平成十年の末からやりましたような一斉調査を含めまして対応をしているところでございます。それは、労働基準監督署の判断においてやっておるところでございます。

 私どものこれにつきましては、これはまずは私どもが指導監督の立場にあるところのアイム・ジャパン、これに対して、是正措置をすることが重要だということで出しているところでございますので、両々相まってこの制度がうまくいくようにやっていけばいいのかなというふうに思っております。

中川(智)委員 それでは、厚生労働省はアイム・ジャパンを認可した、許可した省ですので、アイム・ジャパンのきっちりやっているかどうかというチェック責任はあるということでよろしいですね。はい、わかりました。

 それと大臣、研修制度、そして技能実習生というのは、技術移転、国際貢献の中で、日本で技術を学んで母国に生かすということが本来の目的であろうかと思います。今回さまざま問題になっていますのは、本当にピンはねとかいろいろなことがあるわけなんですけれども、実習生が帰国した後の実態調査、これはこの間、私、予算委員会でも質問いたしましたが、先ほどその実態調査の中に含まれていなかったので再度お願いしたいんですけれども、途中で帰された青年は、反抗的だったとか、こういう仕事のつもりじゃないのにおかしいじゃないかということを言って、そして、じゃ帰れと言われて帰された人たちがいるんですが、実習が終わって母国に帰った後の実態調査というのがしっかりされていないと思います。これに関しては、今回の問題とあわせて実態調査をしていただきたいと思いますが、それが一点。

 それと、例えば塗装をインドネシアでもしてきたから、塗装の仕事をしたいといって希望を出す。ところが、実際は単純労働の板金だった。ところが、一年目、研修から技能実習生に移るときに、JITCOで試験をやります。塗装の試験をやるんですよね、板金やらされてきて。塗装の試験を一週間だけ勉強して、塗装の試験がおかしなことにパスしてしまうわけです。それで、再び実習生として働いているときはまた板金労働をずっとさせられる。そして、帰ったらば、塗装の資格は持っているのだけれども、実際塗装の仕事はほとんどやれなかったという実態があります。

 例えばクボタなら、十六名受け入れて、母国に帰って、インドネシアでクボタに勤めたのはたったの三人、あとの十三人はそこで就職ができなかった。そうしたらば、もう三人でいいのじゃないかと。戻ってからその学んできたことを本当に生かすならば、どうしてそんなにたくさん受け入れて実際就職はそれしかできないのかという矛盾が生じます。

 私は、やはり、帰ってからその実習生がどういうふうに日本での技能実習、研修を生かしているかという実態調査をぜひともしていただきたいし、途中で帰った青年はなぜ帰ったのかという調査をすべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

坂口国務大臣 日本で学んでもらった技術というものが母国で生かされなければならない、それはそのとおりだというふうに思います。

 日本から帰られた方がどういうふうになっているかという、そのそれぞれの国における、例えばインドネシアならインドネシアの国の中における問題というのは、日本の我々が行ってそれを調査するというのもなかなか難しい面もあろうかと思います。それはやはりその国で調査をしていただいて、その結論を私たちに聞かせていただくということが一番妥当な線ではないかというふうに思っておりますが、いずれにいたしましても、この制度を続けていきますためには、そうした本当にこの制度が役立っているかどうかということのチェック、それは当然必要なことだというふうに思っております。

中川(智)委員 ぜひともお願いいたします。

 それと、研修生のいろいろな声を聞きますと、苦情を言ったり希望と異なったことへの対応はインドネシアに帰すという理不尽なことをアイム・ジャパンがやり続けてきました。これが明らかになってきたのですが、アイム・ジャパンがやることは、希望とは違うと言われた場合、次なる受け入れ企業を探してあげる、本人の希望が違ったならば、帰すのではなくて、次なる受け入れ企業を、適切な企業を探すというのが本来のアイム・ジャパンの仕事だと思うのですが、ここは大臣、どのようにお考えでしょうか。帰してしまっているのですが。

酒井政府参考人 まずは、先生御案内のように、国を出る前に、研修生さんといいますか実習生さんには意向を聞くわけでございます。それで、その意向の、この前も先生がおっしゃっていましたように、必ずしも御本人の希望に沿わないという場合においては、これはウエーティングをしていただいて、その希望になるような分野の事業所のオファーが出てくるのを待つということも御本人の判断としてあるわけでございます。

 しかしながら、第二希望といいますか、第三希望、第四希望というところでいらっしゃった場合の中の一部の方は、日本に来てうまくマッチングしないといいますか期待外れであったといったようなこと等も、いろいろなトラブルといいますか行き違いの原因にもなっているのだろうと。

 そういう意味では、私ども、アイム・ジャパンにも事業所等にも働きかけて、できるだけ希望の職種、分野のオファーがあるように、研修生、実習生のニードに合うような、できるだけそれに近づけるような努力もしなさい、あるいは、国を出る前に実習生さんにもその趣旨をみずから十分お考えいただいて日本に来ていただくというような、両方が努力をしなさいということを、勧告書にはちょっと性格が違うものですから盛り込まなかったのでございますけれども、そういう御指摘もお受けしましたので、勧告書を渡すときにアイム・ジャパンに伝えたところでございます。

 今後とも、その辺も努力していきたいというふうに思っているところでございます。

中川(智)委員 よろしくお願いいたします。

 最後に、大臣、中小零細企業がやはり外国人研修生、実習生を受け入れる一つの大きな理由は、深刻な人手不足と深刻な中小零細企業の実態があると私も思うのです。ですから、ここで、このKSDに絡んで大臣の御所見を伺いたいのですけれども、中小零細企業の経営悪化、深刻な労働力不足、これに対して正面から取り組むべきだと思うのですが、中小零細企業の実態というのをどこまで厚生労働省が認識しているのかなと、今回のいろいろなことで調査をするうちにそれを実感いたしました。

 武生に行ったときも、そこの小さい零細企業の社長さんは、訴えるような目をして、なぜこうしなければいけないのかを知ってほしい、国の施策をもっと中小零細企業に厚くしてほしいということを訴えておられました。

 これに関して最後にお伺いして、質問を終わりたいと思います。

坂口国務大臣 現在、日本の中小企業の中で働く人たちが本当に不足をしているのかどうかということは、これはよく調べなければならないというふうに私は思っております。むしろ、働く人はいるのだけれども、しかし、高い賃金で雇うということは、それが製品にはね返るわけでありますから、それがなかなかでき得ない、雇いたくても雇えないという状況が中小企業の皆さん方の中にあるのではないか、したがって、できるだけ安い賃金でこの仕事をする人を雇いたいという思いがあるのではないか、そんな気がいたします。

 この外国人の問題は、これは日本の中の労働力をどうするかという問題よりも、外国の皆さん方のそれぞれの、開発途上国の皆さん方の、働く皆さん方が、技術をどう向上させ、それを自国に帰ってどう反映させるかというところに最大の課題があるのだろう、その点を中心にしてでき上がったものだろうというふうに私は思います。

 しかし、そのことが日本の中で行われます場合に、日本の中におきますところの労働力というものと非常に関係をしてくるということも紛れもない事実でございますから、その日本の中の労働力を今後どうしていくかという問題とあわせてこれは検討をしなければならない。

 しかし、何度か申し上げますけれども、現在の制度ができ上がっておりますのは、日本の中の労働力をどうするかというよりも、開発途上国の皆さん方の技術をどう向上させて、自国でそれをどう発展させてもらうかということの方により大きなウエートがあるということを私たちは考えなければならないのではないかというふうに思います。

中川(智)委員 どうもありがとうございました。

鈴木委員長 次回は、明二十八日水曜日午前八時二十分理事会、午前八時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時八分散会




このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.