衆議院

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第13号 平成13年5月23日(水曜日)

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平成十三年五月二十三日(水曜日)

    午前九時十五分開議

 出席委員

   委員長 鈴木 俊一君

   理事 棚橋 泰文君 理事 谷畑  孝君

   理事 森  英介君 理事 吉田 幸弘君

   理事 大石 正光君 理事 鍵田 節哉君

   理事 福島  豊君 理事 佐藤 公治君

      奥山 茂彦君    上川 陽子君

      鴨下 一郎君    木村 義雄君

      北村 誠吾君    熊代 昭彦君

      後藤田正純君    左藤  章君

      佐藤  勉君    田村 憲久君

      竹下  亘君    西川 京子君

      野田 聖子君    林 省之介君

      原田 義昭君    三ッ林隆志君

      宮腰 光寛君    宮澤 洋一君

      吉野 正芳君    家西  悟君

      大島  敦君    加藤 公一君

      金田 誠一君    釘宮  磐君

      古川 元久君    三井 辨雄君

      水島 広子君    山井 和則君

      青山 二三君    江田 康幸君

      樋高  剛君    小沢 和秋君

      木島日出夫君    阿部 知子君

      中川 智子君    小池百合子君

      川田 悦子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       坂口  力君

   法務副大臣        横内 正明君

   厚生労働副大臣      桝屋 敬悟君

   厚生労働大臣政務官    佐藤  勉君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 木村 幸俊君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長

   )            日比  徹君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  辻  哲夫君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  冨岡  悟君

   参考人

   (上智大学法学部教授)  堀  勝洋君

   参考人

   (経済団体連合会常務理事

   )            中村 芳夫君

   参考人

   (日本労働組合総連合会総

   合政策局生活福祉局長)  向山 孝史君

   参考人

   (労働経済研究所所長)  庄司 博一君

   厚生労働委員会専門員   宮武 太郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十三日

 辞任         補欠選任

  松島みどり君     後藤田正純君

同日

 辞任         補欠選任

  後藤田正純君     左藤  章君

同日

 辞任         補欠選任

  左藤  章君     松島みどり君

    ―――――――――――――

五月二十二日

 食品の安全を確保するための食品衛生法の改正と充実強化に関する請願(伊藤公介君紹介)(第一七一一号)

 同(伊藤達也君紹介)(第一七一二号)

 同(石井紘基君紹介)(第一七一三号)

 同(高木陽介君紹介)(第一七一四号)

 同(吉田公一君紹介)(第一七一五号)

 同(柿澤弘治君紹介)(第一七四六号)

 同(鮫島宗明君紹介)(第一七四七号)

 同(鳩山邦夫君紹介)(第一七四八号)

 同(不破哲三君紹介)(第一七四九号)

 同(山口富男君紹介)(第一七五〇号)

 同(宇田川芳雄君紹介)(第一八六九号)

 同(川田悦子君紹介)(第一八七〇号)

 同(鈴木淑夫君紹介)(第一八七一号)

 同(中津川博郷君紹介)(第一八七二号)

 同(長妻昭君紹介)(第一八七三号)

 同(八代英太君紹介)(第一八七四号)

 同(山花郁夫君紹介)(第一八七五号)

 中国帰国者の老後生活保障に関する請願(辻元清美君紹介)(第一七一六号)

 同(赤羽一嘉君紹介)(第一八七六号)

 同(大石尚子君紹介)(第一八七七号)

 同(川田悦子君紹介)(第一八七八号)

 同(福島豊君紹介)(第一八七九号)

 同(水島広子君紹介)(第一八八〇号)

 マッサージ診療報酬(消炎鎮痛処置)の適正な引き上げに関する請願(木島日出夫君紹介)(第一七一七号)

 食品の安全を確保するための、食品衛生法の改正と充実強化に関する請願(加藤紘一君紹介)(第一七一八号)

 同(津川祥吾君紹介)(第一七一九号)

 同(亀井善之君紹介)(第一七四〇号)

 同(釘宮磐君紹介)(第一七四一号)

 同(小泉俊明君紹介)(第一七四二号)

 同(筒井信隆君紹介)(第一七四三号)

 同(岩崎忠夫君紹介)(第一八五九号)

 同(岩屋毅君紹介)(第一八六〇号)

 同(大石尚子君紹介)(第一八六一号)

 同(木島日出夫君紹介)(第一八六二号)

 同(熊代昭彦君紹介)(第一八六三号)

 同(小坂憲次君紹介)(第一八六四号)

 同(後藤茂之君紹介)(第一八六五号)

 同(桜田義孝君紹介)(第一八六六号)

 同(松本和那君紹介)(第一八六七号)

 同(村井仁君紹介)(第一八六八号)

 男性助産婦の導入反対に関する請願(大畠章宏君紹介)(第一七二〇号)

 准看護婦等から看護婦等への移行教育の早期実現と看護制度一本化に関する請願(吉田公一君紹介)(第一七二一号)

 社会保障の拡充に関する請願(村上誠一郎君紹介)(第一七三八号)

 同(山本公一君紹介)(第一七三九号)

 無認可保育所への公的助成等に関する請願(小沢和秋君紹介)(第一七四四号)

 保育・学童保育予算の大幅増額に関する請願(小沢和秋君紹介)(第一七四五号)

 中小自営業の家族従業者等に対する社会保障の充実等に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一八一四号)

 同(荒井聰君紹介)(第一八一五号)

 同(石井郁子君紹介)(第一八一六号)

 同(石井一君紹介)(第一八一七号)

 同(小沢和秋君紹介)(第一八一八号)

 同(大幡基夫君紹介)(第一八一九号)

 同(大森猛君紹介)(第一八二〇号)

 同(奥田建君紹介)(第一八二一号)

 同(鹿野道彦君紹介)(第一八二二号)

 同(金子哲夫君紹介)(第一八二三号)

 同(鎌田さゆり君紹介)(第一八二四号)

 同(菅野哲雄君紹介)(第一八二五号)

 同(木島日出夫君紹介)(第一八二六号)

 同(北橋健治君紹介)(第一八二七号)

 同(玄葉光一郎君紹介)(第一八二八号)

 同(小林憲司君紹介)(第一八二九号)

 同(古賀一成君紹介)(第一八三〇号)

 同(児玉健次君紹介)(第一八三一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一八三二号)

 同(今野東君紹介)(第一八三三号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一八三四号)

 同(佐藤敬夫君紹介)(第一八三五号)

 同(志位和夫君紹介)(第一八三六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一八三七号)

 同(菅原喜重郎君紹介)(第一八三八号)

 同(瀬古由起子君紹介)(第一八三九号)

 同(筒井信隆君紹介)(第一八四〇号)

 同(土井たか子君紹介)(第一八四一号)

 同(土肥隆一君紹介)(第一八四二号)

 同(徳田虎雄君紹介)(第一八四三号)

 同(中林よし子君紹介)(第一八四四号)

 同(原口一博君紹介)(第一八四五号)

 同(春名直章君紹介)(第一八四六号)

 同(平岡秀夫君紹介)(第一八四七号)

 同(不破哲三君紹介)(第一八四八号)

 同(藤木洋子君紹介)(第一八四九号)

 同(松本善明君紹介)(第一八五〇号)

 同(松本龍君紹介)(第一八五一号)

 同(矢島恒夫君紹介)(第一八五二号)

 同(山内惠子君紹介)(第一八五三号)

 同(山岡賢次君紹介)(第一八五四号)

 同(山口富男君紹介)(第一八五五号)

 同(山元勉君紹介)(第一八五六号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一八五七号)

 小規模作業所等成人期障害者施策に関する請願(岩屋毅君紹介)(第一八五八号)

同月二十三日

 厚生労働省における家族労働問題・家族従業者の労働実態調査等の緊急実施に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一九六六号)

 同(石井郁子君紹介)(第一九六七号)

 同(小沢和秋君紹介)(第一九六八号)

 同(大幡基夫君紹介)(第一九六九号)

 同(大森猛君紹介)(第一九七〇号)

 同(木島日出夫君紹介)(第一九七一号)

 同(児玉健次君紹介)(第一九七二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一九七三号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一九七四号)

 同(志位和夫君紹介)(第一九七五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一九七六号)

 同(瀬古由起子君紹介)(第一九七七号)

 同(中林よし子君紹介)(第一九七八号)

 同(春名直章君紹介)(第一九七九号)

 同(不破哲三君紹介)(第一九八〇号)

 同(藤木洋子君紹介)(第一九八一号)

 同(松本善明君紹介)(第一九八二号)

 同(矢島恒夫君紹介)(第一九八三号)

 同(山口富男君紹介)(第一九八四号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一九八五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二〇五五号)

 社会保障の拡充に関する請願(石井啓一君紹介)(第一九八六号)

 同(斉藤鉄夫君紹介)(第一九八七号)

 同(金子一義君紹介)(第二〇八七号)

 同(松浪健四郎君紹介)(第二〇八八号)

 小規模作業所等成人期障害者施策に関する請願(石井啓一君紹介)(第一九八八号)

 食品の安全を確保するための、食品衛生法の改正と充実強化に関する請願(青山二三君紹介)(第一九八九号)

 同(石井啓一君紹介)(第一九九〇号)

 同(小沢鋭仁君紹介)(第一九九一号)

 同(大森猛君紹介)(第一九九二号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一九九三号)

 同(中田宏君紹介)(第一九九四号)

 同(堀込征雄君紹介)(第一九九五号)

 同(江崎洋一郎君紹介)(第二〇四三号)

 同(大幡基夫君紹介)(第二〇四四号)

 同(葉梨信行君紹介)(第二〇四五号)

 同(宮下創平君紹介)(第二〇四六号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二〇四七号)

 同(谷畑孝君紹介)(第二〇六八号)

 同(武藤嘉文君紹介)(第二〇六九号)

 食品の安全を確保するための食品衛生法の改正と充実強化に関する請願(阿久津幸彦君紹介)(第一九九六号)

 同(海江田万里君紹介)(第一九九七号)

 同(城島正光君紹介)(第一九九八号)

 同(保坂展人君紹介)(第一九九九号)

 同(石毛えい子君紹介)(第二〇五〇号)

 同(下村博文君紹介)(第二〇五一号)

 同(高橋一郎君紹介)(第二〇五二号)

 同(末松義規君紹介)(第二〇七〇号)

 同(菅直人君紹介)(第二〇九一号)

 同(手塚仁雄君紹介)(第二〇九二号)

 中国帰国者の老後生活保障に関する請願(阿部知子君紹介)(第二〇〇〇号)

 同(青山二三君紹介)(第二〇〇一号)

 同(武正公一君紹介)(第二〇〇二号)

 同(山井和則君紹介)(第二〇〇三号)

 同(古賀一成君紹介)(第二〇五三号)

 同(鍵田節哉君紹介)(第二〇七一号)

 中小自営業の家族従業者等に対する社会保障の充実等に関する請願(古賀一成君紹介)(第二〇〇四号)

 同(松本龍君紹介)(第二〇〇五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二〇五四号)

 ウイルス肝炎の総合的な対策に関する請願(岩屋毅君紹介)(第二〇四一号)

 年金・医療・福祉等の制度改革に関する請願(岩屋毅君紹介)(第二〇四二号)

 視覚障害者のパソコンと周辺機器・ソフトの購入への公的助成に関する請願(川田悦子君紹介)(第二〇四八号)

 同(田村憲久君紹介)(第二〇四九号)

 介護保険緊急改善に関する請願(中林よし子君紹介)(第二〇八四号)

 年金改悪に反対し、安心して暮らせる老後の保障に関する請願(中林よし子君紹介)(第二〇八五号)

 介護保険の改善と高齢者の医療費負担増の中止に関する請願(中林よし子君紹介)(第二〇八六号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(金子一義君紹介)(第二〇八九号)

 国立療養所香川小児病院の統廃合に関する請願(春名直章君紹介)(第二〇九〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 確定給付企業年金法案(内閣提出第三四号)




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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、確定給付企業年金法案を議題といたします。

 本日は、本案審査のため、参考人として、上智大学法学部教授堀勝洋君、経済団体連合会常務理事中村芳夫君、日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局長向山孝史君、労働経済研究所所長庄司博一君、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席を賜り、まことにありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 最初に、参考人の皆様方から御意見をそれぞれ十五分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、発言する際は委員長の許可を受けることになっております。

 それでは、まず堀参考人にお願いいたします。

堀参考人 ただいま御紹介いただきました上智大学の堀でございます。

 早速ですが、確定給付企業年金法案についての意見を述べさせていただきたいと思います。お手元にレジュメが配付してあると思いますが、これに即して説明したいと思います。

 まず最初に、結論から申し上げますと、本法案に賛成でございます。その意味で、本法案の一日も早い成立を望んでおります。

 次に、本法案の位置づけでございますが、現在、生活不安を国民は抱いておりますが、その大きな要素は年金不安であろうと思います。将来年金がもらえないのではないか、あるいは保険料に見合う年金をもらえないのではないか。これは、私は余り根拠のない不安だと思うのですが、そういう不安を抱いております。

 この不安の背後には、急激な少子高齢化による公的年金の財政に対する懸念と、近年の低金利によります私的年金の破綻、年金権の喪失に対する懸念があるのではないかというふうに思います。

 公的年金につきましては、昨年の改正によりまして、二十一世紀の二十年間、二十五年間ぐらいは維持可能となったのではないかと評価しております。もちろん改善すべき点は幾つか残されております。

 これに対しまして、私的年金については、昨年の改正で積み残されております。本法案は、国会に提出されている確定拠出年金法案と相まって、私的年金が抱える問題を解決し、もって国民の私的年金に対する不安の解消を図るものと評価することができるのではないかというふうに思います。

 こういったふうに、公的年金のみならず私的年金についても制度の安定が図られれば、国民の老後不安の大半が解消されるのではないかと思います。

 今後は、こういった公私両年金の改革のみならず、高齢者医療制度の抜本改革及び昨年施行されました介護保険の適正な見直しを行うことによって、国民の老後の生活、ひいては国民全体の生活の安定を図るべきではないかというふうに思います。

 次に、本法案の意義でございます。

 本法案について、二点、大きな意味での意義がある。

 第一点は、企業年金が確実に支給されるようになるというふうに評価しております。

 御承知のように、従来の税制適格年金は積み立て義務もなく、受託者責任、情報開示義務に関する明文の規定もない。そういう意味で、年金が確実に支給されるような仕組みであるとは到底言えないというふうに思います。本法案によりまして、このような税制適格年金は十年の経過期間をもって廃止される、受給権が保護された企業年金しか認められなくなる、そういう意味で年金が確実に支給されるようになるのではないかというふうに思います。

 本法案の意義の第二点目でございますが、企業年金に係る労使の選択肢が拡大されるということであります。

 従来より厚生年金基金の代行部分についてはいろいろな問題点が指摘されておりまして、代行部分を国に返上できるようにすべきではないか、そういう意見が強かったわけでございますが、この法案によってそれが可能となるというふうに評価できます。それから、この法案によって、代行給付を行う厚生年金基金と、代行給付を行わない基金型、それから受給権が確保された規約型の企業年金というものを設けることができるようになります。また、確定拠出年金法案が成立すれば、確定拠出型の企業年金というものを設けることができるようになります。労使は、これらの選択肢の中から最もふさわしいものを単独あるいは組み合わせて選択することができるようになるのではないかというふうに思います。

 それのみならず、従来は老齢給付しか認められなかったわけでありますが、この法案によりまして障害給付及び遺族給付も支給できるようになる、そういう意味で選択肢が広がった、そういうふうに評価できるんではないかというふうに思います。

 最後に、今後の課題でございます。これは何点か指摘させていただきます。

 まず第一が、公私両年金の役割の見直し、役割の明確化ということであります。社会経済が極めて大きく動いておりまして、それに対応して公的年金及び私的年金を常に見直していく必要があると思います。

 公的年金の役割でございますが、公的年金はスライドを行うことができるということで、老後の生活保障の柱であると思います。ところが、スライドを行い得るというのは、これは賦課方式でなければ非常に難しいということで賦課方式の要素を持たざるを得ないわけでありますが、賦課方式は高齢化に弱い、そういう面があります。今後の高齢化の進展を考えますと、世代間の負担の不公平というものを克服するためには、公的年金の保険料をできる限り早期に引き上げて、積立金の運用収入によって将来の負担というものを軽減させる必要があるのではないかというふうに思います。

 次に、私的年金でございますが、公的年金の上に、豊かな老後の生活を築くために不可欠であると思います。私的年金は積立方式で運営せざるを得ないわけですが、こういった積立金は今後の高齢化の進展による貯蓄率の低下の影響を緩和できる、そういう意味でも評価できるというふうに思います。

 公私両年金の関係でございますが、現在の公的年金の水準は極めて高いと私は評価しております。ところが、我が国の高齢化の程度は今後世界一の水準になるというふうに今推計されております。したがって、公的年金の水準を今後適正化していく必要がある、それに対しまして私的年金の役割というものを高めていくべきではないかと思っております。

 なお、厚生年金を廃止、民営化すべきである、こういう意見がありますけれども、これこそ年金不安を招いている最大の要因ではないかと思います。サラリーマンにとりましては、従前賃金にある程度沿った年金というものが不可欠でありますし、また保険料は賃金額に応じて払っておるということで、そういう、払った保険料に見合う年金というものも必要ではないかというふうに思います。

 今後の課題の二点目でございますが、年金課税の見直しということで三点ばかり述べさせていただきます。

 第一点目ですけれども、公的年金等控除の見直し、廃止縮小化ということですが、これもいろいろな政府機関なりで提言されておりますけれども、年金受給世代と高齢、若年の就労世代との間の所得税負担それから住民税負担に不公平を、あるいはそれが国民健康保険の保険料負担にも不公平をもたらしている、そういうことで、見直す必要があるというふうに思います。

 それから、二点目の積立金課税である特別法人税でございますが、これは今回の法案でも猶予は基本はありますけれども、やはり原則として課すというふうになっています。これについては、世界的にも例を見ないわけでございますので、公的年金等控除の見直しの際に廃止すべきではないかというふうに思います。

 税制の見直しの三点目でございますが、公的年金等控除を見直す、廃止縮小すると、退職一時金の課税が極めて有利になるわけですね。そういうことでは年金取得というのが進まないということで、年金を取得した場合と一時金として取得した場合の課税の中立というものを図る必要があるのではないか。例えば、退職金を十年有期年金とみなして年金税制を適用する、そういった形で中立化を図るべきではないかというふうに思います。

 今後の課題の三点目でございます。ポータブル化ということでございます。今後、雇用が流動化するというふうに考えられますけれども、そういった雇用の流動化というのはある意味では経済効率性を進ませるというメリットがあるわけですが、企業年金が不利になるとそういう流動化が進まないということでございまして、転職した者が企業年金に関して不利益をこうむらないように、確定給付の企業年金についてもポータブル化を図ることが望ましいというふうに思います。

 しかしながら、確定給付の年金をポータブル化するには極めて困難な面があります。退職一時金というのは長期勤めた人に有利になっておりまして、それが企業年金に反映されている、そこをポータブルにするとどうするか、そういった問題がありますので、極めて問題があると思います。いろいろな方法はあると思いますけれども、ある企業を退職した場合に、支給される脱退一時金を確定拠出型年金、これは個人型でもあるいは企業型でもよろしいわけですが、そういう確定拠出型の年金に移転可能にするということによって実現すべきではないか。その際、税制上不利にならないような手当てを講ずる必要があると思います。

 今後の課題の四点目でございますが、支払い保証制度の検討ということです。今回の法案によりまして、企業年金の支給は今までよりもより確実になると思います。しかしながら、やはり母体企業の倒産といったことによって予定した年金が支給されないということもあり得ますので、このような場合に備えて支払い保証制度を設けるべきではないか。ただ、これは、現在ある税制適格年金とそれから厚生年金基金とでは積み立ての度合いが異なる、それを一緒に支払い保証制度を設けるということは公平の問題で非常に難しい面があると思いますので、そういった問題をクリアしながら、将来的には検討を要するのではないかというふうに思います。

 それから、今後の課題の五番目ですが、今回の法案とは若干かかわりが薄いわけでございますが、現在公的年金の保険料の引き上げが凍結されております。そのため、厚生年金基金の免除保険料率及び最低責任準備金が凍結されております。

 基金というのは、御承知のように、完全積み立て、事前積立方式をとっております。こういう凍結措置はそれから外れさせるということで本来の姿ではないわけで、早期に凍結を解除すべきではないかと思いますが、それには公的年金の保険料の凍結解除というものが前提であります。公的年金の保険料の凍結を解除して、免除保険料率、最低責任準備金の凍結解除を行うべきではないかと思います。

 最後のその他でございますが、既存の税制適格年金には年金が積み立てられていない、資金が積み立てられていない、そういったものがあります。それがスムーズに移行されるようにする必要がある。

 それから、二点目は、確定給付型企業年金というのは公務員には適用されないというふうになっております。公務員には三階部分として職域年金部分があるわけですが、職域年金部分は、御承知のように、モデル年金でいえば一階部分、二階部分の八%程度にすぎない、そういう非常に低いものであります。ただ、公的年金の三階部分はスライドがあるとかそういった違いもありますので、今回の確定給付型企業年金、あるいは確定拠出型も同じですけれども、それと公務員の三階部分の年金が均衡がとれるようにする必要があるのではないかと思います。

 それから、最後でございますが、厚生年金基金の代行給付を認める、存続を認めるという形でございますが、やはり公的年金の代行というのは非常に難しい面があります。

 そこで、国の年金をかわりに基金が支給する、そういう形ではなくて、ここには、適用除外制度にしたらどうかということですが、適用除外というのは免除保険料率の範囲内で労使が自主的に年金を支給する、もう公的年金の代行という考え方はやめる、そういった形での解決ができるのではないか、こういったことを検討する必要があるというふうに私は思っております。

 以上でございます。(拍手)

鈴木委員長 どうもありがとうございました。

 次に、中村参考人にお願いをいたします。

中村参考人 経団連の中村でございます。

 本日は、確定給付企業年金法案につきましての私どもの考え方について説明させていただきます。

 まず、私どももこの確定給付企業年金法案につきましては賛成の立場でございます。一日も早い成立をお願いいたしたいと思います。

 さて、経団連はかねてから、他の経済団体とも連携いたしまして、この企業年金制度の改革を強く求めてまいりました。その際、企業年金のあり方につきまして三つの基本的な考え方を強調してまいりました。

 一番目は、企業年金制度を私的年金制度として明確に位置づけていく必要があるということでございます。

 日本の企業年金は、我が国に定着いたしました退職一時金制度をベースといたしまして発展してきたと思います。そもそも企業の退職一時金制度は、その水準なども含めまして、従来から労使合意を前提として運営されてきております。このような経緯を踏まえますと、退職一時金や企業年金といった退職給付制度につきましては、長期にわたる安定的な制度運営を必要とされます。したがいまして、それぞれ、企業固有の労使慣行や人事制度、あるいは給与体系のあり方を考えまして、労使間で十分に検討した結果が尊重されるべきものと考えております。

 このような点を考えますと、企業年金制度につきましては、公的な関与を最小限にとどめまして、民間の各主体が、自己責任原則のもとで、自由な発想とさまざまな工夫によって自立した運営を図るべきであると考えております。

 第二番目は、受給権の確保を図るために必要最低限の共通ルールを定める必要があると思います。それをもとに、労使の合意に基づきまして自由な制度設計を認めることでございます。

 今日、価値観やライフスタイルは多様化しておりまして、従業員それぞれが、必ずしもすべてが年金の終身払いを望んでいるということは限らないと思います。また、年金原資を積み立てる方法につきましても、企業がつくる経営戦略、あるいは従業員が持ちます考え方によって選択が可能となるようにしておく必要があると思います。

 企業年金がその機能を十分に発揮し、その存在価値を高めていくためには、可能な限り自由な制度設計を認めていただくことが望ましいと考えております。もちろん、その前提といたしまして、制度の設計と運営並びに資産の運用、受給権の確保などを定めました共通のルールを設ける必要があるということは申すまでもないことだと思います。

 第三番目は、企業年金を一層充実しまして、さらに普及させるためには、それを支援する措置を講じる必要があるということであります。

 少子高齢化社会が急速に迫っているということも考えますと、企業を退職した後の生活を支える制度としまして、公的年金が大きな役割を果たすのは当然であります。しかし、現在の厚生年金につきましては、多額の積み立て不足を抱えておりまして、制度の持続可能性を疑問視する向きもございます。

 この公的年金の問題を解決するためには、給付水準などの見直しが不可避であると考えております。こうした状況の中で、加速する高齢化社会を考えますと、国民が安心して豊かな老後を過ごせるようにするためには、公的年金に加えまして、企業年金制度の充実を促す必要があると思います。

 企業は、企業年金制度を導入して以来、労使が協調いたしまして、誠実に制度の運営を行ってまいりました。今日、経済社会の環境は大きく変化してきておりますけれども、企業年金制度は、今後も労使協調の関係を維持しながら、柔軟かつ健全な運営を行っていく必要があると考えております。

 この企業年金制度の一層の充実、普及を図るためには、企業の自助努力を促すような税制面からの支援策を講じることが不可欠であると考えております。

 これまで申し上げましたような点から現行制度を眺めますと、次のような問題点が指摘できるんじゃないかと思います。

 第一番目は、現行の企業年金制度におきましては、給付や拠出に係る制約や規制が多く、特に代行部分を抱えます厚生年金基金におきましては、その傾向が強いということでございます。

 第二番目は、適格退職年金から厚生年金基金への移行は制度上認められておりますが、逆の厚生年金基金から適格退職年金への移行は制度上認められていないということでございます。

 第三番目の問題といたしましては、さまざまな環境変化によって厚生年金基金の代行制度を続けるということが困難になった場合、その代行部分を返上しようといたしましても、その仕組みがないということでありまして、基金を解散するという以外に問題解決の方法がないということでございます。

 第四番目は、現行の適格退職年金におきましては、財政検証や積み立て義務に関します規定、また、加入者に対する情報開示の仕組みが整備されておりません。その点、受給権の保護ということから見ますと、必ずしも十分な制度ということは言えないということでございます。

 第五番目は、企業年金の積立金に対して課されております特別法人税の扱いなど、このような企業年金に関する税制が制度間によって大きく異なっているという点でございます。

 現在この委員会で御審議していただいておりますこの確定給付企業年金法案は、このような課題の解決に向けて大きく前進を図ろうとするものと解釈いたしておりまして、私どもはこの法案についての賛成の立場をとっております。企業経営を取り巻く環境の変化は目まぐるしく変化しております。この法案の一日も早い成立をお願いしたいと思います。

 次に、確定給付企業年金法案の主なポイントにつきまして意見を述べさせていただきたいと思います。

 第一番目は、この法案が成立すれば、経済社会の環境変化に対応しまして、より柔軟で多様な制度設計が可能となる点でございます。

 御高承のとおり、高度成長から低成長へと経済が移行するに伴いまして、企業を取り巻く経営環境は日増しに厳しくなっております。各企業は、生き残りをかけまして生産性の向上に努めております。その一環として、企業は、従業員のインセンティブを高めるよう賃金体系を総合的に見直しを進めておりますので、この企業年金制度もそれに合うように変えていただく必要があると思います。

 一方で、勤労意識の変化や個々人における価値観の多様化が進展しております。その変化に対応するため、企業は、多様な選択肢を用意することが求められております。

 このように、企業年金制度の改革に対します労使双方の関心は大きく高まっております。

 この法案におきまして、給付や掛金などは、一定の要件のもとで労使の合意に基づきまして作成されます規約で定めることになっております。こうした方向をお示しいただいたことは、企業年金が自己責任に基づく制度であるとの考え方に立ちまして、労使の自主性が認められたものと考えております。

 第二番目は、企業年金制度間の移行ルールが定められていることでございます。

 日に日に激しくなりますグローバルな競争に勝ち残っていくためには、企業は、産業構造や需要構造の変化にタイムリーに対応する必要があります。このため、合併や分割を初めとします企業組織の再編を迅速に行うことができなければ、企業は国際競争に敗れ、雇用機会も失われるということになると思います。

 しかしながら、さきに申し上げましたとおり、現在は年金の移行のルールが余りにも硬直的で、企業の組織再編に支障を来しております。この法案が成立すればこうした問題は解決されまして、企業活動の活性化が図られ、安定した経済成長の実現へということが期待されております。

 第三番目は、厚生年金基金の代行部分の返上が認められることでございます。

 代行制度が企業年金制度の普及に大きな役割を果たしてきましたことは衆目の一致するところであります。しかし、厳しい経済環境が続く中で代行部分の不安定性が顕在してきておりまして、制度を運営、維持していくことが困難となるケースが多くなっております。

 この法案では、制度の持続可能性を高めるために、代行部分を返上することを選択できる仕組みが設けられましたことは、企業年金の普及発展にとりまして画期的なことであると考えております。また、代行返上に当たりまして、有価証券の現物による返還が認められております点は、資本市場への影響を軽減する適切な措置であると存じます。

 この法案が成立した後に関係政省令を可及的速やかにお示しいただきまして、厚生年金基金が早期に代行返上を行うための準備作業に入れるようにしていただきたいと存じます。

 第四番目は、従来、適格退職年金に導入されておりませんでした非継続基準による財政検証を毎年行うということ、また、加入員に対しまして情報公開を行うことを規定している点でございます。

 この結果、年金財政の健全化に向けて労使で努力していく仕組みが導入されます。このようなルールを備えていれば、受給権の保護に十分な配慮がなされていると私どもは考えております。

 さらに、十年以内に他の企業年金制度に移行することとされております既存の適格退職年金契約につきまして、スムーズに新制度に移行できるようにとの観点から、この法案の附則で、円滑な移行のために必要な措置を講ずるということが盛り込まれた点でございます。私どもは、この点も高く評価いたしておりまして、所要の措置を早期に講じていただければと考えております。

 第五番目は、支払い保証制度に関する点でございます。

 この支払い保証制度の最大の問題点は、健全な財政運営を行っている企業が、破綻した企業年金の損失を埋めなければならないというおそれがありますので、モラルハザードを引き起こすことになる点でございます。

 受給権の確保の基本は、積み立て基準に従いまして企業が確実に積み立てを行うことであると存じます。まじめに積み立てを行っていこうという意欲を失わせるような制度はいかがなものかと考えております。

 また、支払い保証制度を強制的に義務づけますと、本来は不必要な企業間の所得移転などの問題も発生すると思います。企業年金はあくまでも私的年金であるということから、その運営は自己責任原則を貫いていくべきであるというふうに考えておりまして、支払い保証制度の導入はすべきでないと存じます。この法案で支払い保証制度が導入されていないということは、まことに適切であると考えております。

 第六番目は、特別法人税の問題についてでございます。

 この法案では、基金型、規約型と、新たな企業年金の積立金に対しまして特別法人税が課税されることとなっております。平成十四年度までは、租税特別措置法によりまして課税停止としていただいておりますが、特別法人税の課税は大きな問題点でございます。

 私どもは、年金税制のあり方につきましては、拠出時、積み立て時は運用益、積立金とも非課税といたしまして、受給時に課税すべきであると考えております。特別法人税の撤廃をこれまで要望してまいりました。今般の法案の作成段階で、新たな基金型、規約型の企業年金制度の積立金につきまして、当初は、厚生年金基金制度並みに一定水準まで非課税とするとの考え方が検討されたと伺っておりますが、最終的に積立金全額に対して特別法人税が課税されるということになりましたことは、非常に残念なことであります。

 この特別法人税の課税は国際的にも例がなく、企業年金制度の拡充発展を阻害するものと考えております。ぜひとも撤廃する方向で今後御検討いただければと思います。

 また、あわせまして、世代間の税負担の公平を図るという観点から、公的年金等控除につきましては、縮小の方向で見直すべきであると考えております。

 第七番目といたしましては、ポータビリティーの確保についてでございます。

 既に職種によりましては、相当程度、労働市場の流動化が進んでいる現状を考えますと、離職しました従業員が年金資産を転職先の企業年金または確定拠出年金に移換できる仕組みが必要でございます。この法案には、ポータビリティーについての規定が残念ながら盛り込まれておりませんけれども、今後の課題として、ぜひとも御検討いただきたく思います。

 最後になりますが、確定給付企業年金法案と確定拠出年金法案とは、企業年金改革におきましてどちらも欠かせないものであると考えております。

 確定拠出年金は、雇用の流動化に対応したポータビリティーが確保されておりまして、中小企業やベンチャー企業にとりましても導入しやすい制度であるということは言えると思います。

 本日は確定給付企業年金法案についての意見を述べさせていただきましたが、これに引き続きまして審議入りが予定されております確定拠出年金法案につきましても、ぜひ今国会で成立させていただきたいと強く要望いたします。

 以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

鈴木委員長 どうもありがとうございました。

 次に、向山参考人にお願いいたします。

向山参考人 おはようございます。日本労働組合総連合会生活福祉局の向山です。

 連合は、すべての労働者にとって老後生活を支える柱はあくまでも公的年金であり、一部の企業に限られた企業年金や任意加入の個人年金はそれにかわり得るものではなく、私的年金として公的年金を補完する性格のものであると考えております。

 自己責任という美名のもとに公的年金の水準を引き下げ、企業年金、個人年金などの私的年金を手厚くしようとする動きが最近特に強まっております。そのことが公的年金への不信を高め、多くの労働者の老後不安を一層強めるものとなっています。まじめに働く者の老後生活に安心と信頼を保障することは政府と経営者の共通の責任です。まず、このことを強調しておきたいと思います。

 年金制度につきましては、以上のような基本的な考え方を前提に、確定給付企業年金法案に対する意見を述べさせていただきます。

 まず、企業年金の性格と企業年金法の位置づけについてであります。

 現在、厚生年金の被保険者は約三千三百万人となっています。そのうち、厚生年金基金と適格退職年金の加入者は合計で約二千二百万人です。この中で、厚生年金基金と適格退職年金の両方の制度に加入している人を除きますと、厚生年金被保険者の約半数に当たるおよそ千六百万人がいずれかの企業年金に加入していると考えられます。

 日本の企業年金は、そもそも退職一時金を横倒しして、分割払い、つまり年金化してきたものでございます。その基礎となる退職一時金は、賃金の後払いの性格を持つものであり、労働の対価として重要な労働条件の一つであると思っています。退職一時金は、退職金規程に基づいて個々人の支払い額が確定するもので、金利や為替で変動するものではありません。そして、それを年金化しても、確定給付であるのは当然のことだと私どもは考えております。

 支払い形態が年金なのか退職一時金なのかにかかわらず、退職給付制度は、重要な労働条件として、本来、当該労使が自主的に設計すべきものです。その際、私どもは、制度運営上の基盤整備を図るため、包括的な法整備を行い、労働者の受給権保護を図ることが本来の企業年金法の趣旨であると考え、従来から企業年金基本法の制定を強く求めてまいりました。

 また、現行の企業年金に関して、厚生年金基金の代行制度、基金と適格退職年金との税制上の格差、適格退職年金における支払い保証制度の欠如など、問題の多いことを指摘し、その改善を図る意味でも企業年金基本法の制定を求めてきたところであります。

 その趣旨から申しますと、今回の確定給付企業年金法案において確定給付型の企業年金に共通する一定の法整備を行うことは、一歩前進であると考えます。しかしながら、今回の法案はまだまだ不十分であり、多くの問題を残していると言わざるを得ません。

 以下、具体的な意見、要望について述べさせていただきます。

 第一に、厚生年金基金の代行制度の廃止についてであります。

 今回の法案では、代行制度の存続を前提に代行部分を返上することができるとなっています。企業年金はあくまでも私的年金であり、公的年金制度との役割を明確に区分して、労使の自主的な運営にゆだねるべきものです。厚生年金基金の公私混同の問題につきましては、基金の創設当時よりILOから指摘されております。世界各国どこを見てもこのような不明確な年金制度はありません。また、再評価、スライド部分について、基金が負担せず厚生年金本体が負担する形をとっているのは、厚生年金の被保険者間の公平性の観点からも問題であると言えます。公的年金である厚生年金を一部代行するような公私混同した制度は存続させるべきではなく、現実的な対応としては、一定の経過期間を置いて廃止すべきと考えます。

 また、法案では、厚生年金基金の代行部分の返上に際し、有価証券による物納を認めています。しかし、この物納における損失責任と有価証券の評価基準については明確になっておらず、この点についても法律に明記すべきと考えます。

 第二に、支払い保証制度の導入についてであります。

 法案では、支払い保証制度については何の規定もされておりません。また、附則の第六条でも、検討事項として、法施行五年後、必要があると認めるときは、検討を加え、必要な措置を講ずるとされていますが、この検討項目の中に支払い保証制度が含まれているかどうかは、必ずしも明確になっておりません。

 先ほども申し上げたとおり、企業年金の受給権保護は、労働者にとって労働生活あるいは老後生活の安定化のために不可欠です。そのため、企業年金の運営において、定期的な財政検証、積み立て義務、支払い保証制度、この三つがセットで制度化されなければ、受給権保護は十分であるとは言えません。

 連合はこれまで、支払い保証制度について、ぜひとも法案に盛り込むよう求めてまいりました。しかしながら、経営者側の強い反対もあり、今回導入が見送られたのは大変遺憾であります。

 支払い保証制度は本当に導入の必要がないのでしょうか。今回の法案では、受給権保護のための措置として、将来にわたって約束した年金が支給できるような年金資産の積み立て基準、積み立て不足の解消、年度末の決算時における財政検証などが義務づけられることになっています。しかし、年度末には完全に積み立て基準を満たしたとしても、翌年の財政検証までの間、全く積み立て不足が生じないとは限りません。その間に経済状況が変化して、年金資金の運用に失敗するとか、企業が倒産しそうになるなど、予想外の事態というものが起こり得ます。

 積み立て基準について、具体的な算定方法は厚生労働省令で定めることとされており、まだ明らかになっておりませんが、そうした事態は十分想定されます。支払い保証制度は、労働者の受給権を保護するためのセーフティーネットとして必須の制度であります。労働者に、より安定的に、より確実に年金を支給していくために、強制加入の支払い保証制度は欠くことができません。労働者に対して約束した年金の支払いを最後まで保証するのは、経営者としての最低限の責務ではないでしょうか。

 厚生年金基金連合会の支払い保証制度、労働福祉事業団の未払い賃金立てかえ払い制度、さらには、アメリカ、イギリス、ドイツの諸外国での支払い保証制度など、既に実施されている例もありますので、今回の確定給付企業年金法案の中でぜひとも支払い保証制度の導入を図っていただくよう、重ねて要望いたします。

 第三に、運用時非課税などの税制措置についてであります。

 年金課税については、拠出時及び運用時の非課税、給付時課税を原則とすべきであると考えています。今回の法案では、規約型と基金型において、本人拠出分については生命保険料控除の対象となりました。この点について、厚生年金基金の本人拠出分は社会保険料控除の対象となっておりますので、厚生年金基金から基金型もしくは規約型への制度移行が行われる際、本人拠出分について新たに課税扱いとなる可能性があります。こうした厚生年金基金と他の企業年金との税制上の格差は即刻是正すべきです。

 また、法案では、運用時には特別法人税を課税することになっています。現在二〇〇二年度まで特別法人税は凍結されていますが、二〇〇二年度以降の扱いについては不透明です。先ほども述べたとおり、年金課税の原則にのっとり、このような税制は直ちに撤廃すべきです。

 第四に、確定給付企業年金間の移行、厚生年金基金との移行などに伴う受給権保護規定の明確化についてであります。

 法案では、確定給付企業年金間の相互移行が可能となっていますが、企業年金基金の合併、分割、規約型企業年金の統合、合併、基金と規約型との相互移行などについての必要な規定はすべて政令にゆだねられています。移行に伴う際に肝心な受給権保護の規定もありません。また、厚生年金基金と規約型及び基金型の企業年金との相互移行に関する規定も、同様に政令にゆだねられた形になっています。受給権保護の規定は、制度間の移行及び制度の終了という労働者を取り巻く企業年金制度の変更が行われる際には、労働者にとっても最も重要な意味を持つものと考えておりますので、政令ではなく法律に明記すべきであると考えます。

 また、今回は、労働者個人の転職に伴う企業年金の移換、いわゆる企業年金のポータビリティーについては制度上確保されないままとなっています。しかし、転職に伴い当該労働者の年金原資を転職先の企業年金へと移換し、転職先の企業年金に通算するか、転職者の個人ごとに別勘定を設けて、企業が一括して管理運用できる仕組みを設けることで企業年金のポータビリティーの確保は可能であると考えます。今後、ぜひこうした方策についても検討していただきたいと思います。

 第五に、受給権者の権利擁護の明確化についてであります。

 法案では、規約の変更、基金の解散などについて現役の加入者の賛同を前提としていますが、既に年金を受け取っている受給権者に関しては、年金減額や解散などについての不利益変更にかかわる規定は何ら明記されておりません。

 企業年金は積立方式が基本であり、年金受給権者の給付に必要な年金原資は最低責任準備金によって当然積み立ててあることが前提です。そのため、受給権者の不利益を伴う変更については、現役加入者の賛同だけで一方的に実施できるということが許されるべきではありません。退職年金は、労働の対価としての賃金の後払いとして、あくまで受給権者にとって固有の権利であり、企業や現役労働者の都合による変更は財産権の侵害に当たるものではないかと考えます。

 あわせて、こうした観点からも、現役加入者のみに義務づけられている報告書の閲覧や業務概況の周知などの情報開示について、受給権者についても同様な規定を設ける必要があると考えます。

 最後に、今回の確定給付企業年金法案は、法案の名称どおり、厚生年金基金、企業年金基金、規約型企業年金の確定給付型の企業年金に限定された法律となっています。本来、退職一時金、退職年金、中小企業退職共済年金など、どのような給付形態であれ、全体を包括する退職給付基本法の整備をして初めて、労働者の老後生活の安心と安定が確保されるものです。その意味でも、今回指摘した問題点を初めとして、特に支払い保証制度の導入は必要不可欠と考えておりますので、ぜひとも国会の場におきまして法案の修正をいただきますよう重ねて要望いたしまして、私の意見陳述を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

鈴木委員長 どうもありがとうございました。

 次に、庄司参考人にお願いをいたします。

庄司参考人 労働経済研究所所長の庄司博一です。

 私は、昭和二十七年、我が国で初めてアメリカの例を参考にした拠出制の企業年金が導入されたときから企業年金にかかわりを持ってきました。適格退職年金が発足した昭和三十七年前後、昭和四十年、調整年金と言われた厚生年金基金が発足した前後、企業から導入を提案された場合、労働組合からいろいろ相談にあずかってきました。また、問題点の指摘も行ってきました。したがって、私は、一貫して加入者や年金受給者の立場に立って企業年金の問題を考えてきた、その立場を最初に明確にしておきたいと思います。

 いただいた確定給付型企業年金法案の参考資料を拝見しますと、企業年金が現在のような事態になったのは、金利や株価が低下し、加入者が急激に高齢化したので財政悪化を来したと書かれています。しかし、もともと適格退職年金は税の優遇措置が主眼で、受給権の保護や支払い保証の点で欠ける点がありました。厚生年金基金はイギリスの適用除外の例を参考にしたものですが、厚生年金の代行部分を取り入れています。財政方式の異なる企業年金と公的年金を無理に結びつけたところに、そもそも出発点から問題がありました。やがて矛盾が露呈することは予見されました。

 完全積立方式の企業年金では、スライド制や年金額の再評価はできないので、それらの追加費用は厚生年金の本体の方で面倒を見てもらってきました。それでいて、代行部分の運用利差益は企業のメリットとして享受してきました。運用利回りの低下で代行が重荷になってきたから返上というのは、いささか虫がよ過ぎるのではないかという感じがします。

 私たちは、年金の実質価値を維持し、極力保険料の引き上げを抑えるために、利差益は給付改善準備金として確保するよう訴えてきました。しかし、厚生省は、利差益を福祉事業に充当せよと行政指導し、箱物づくりや祝い金など現物給付に活用するよう指導してきました。これが後に重荷になってはね返ってきています。基金の設立認可基準を次々に緩和し、保険の規模として成り立たない小規模の基金がたくさんつくられました。

 このような行政面に多々の誤りがあったことを棚上げにして、現状がこうだから改革はやむを得ないんだと言われても、はい、そうですかとなかなか納得できません。今後のためにも、過ちを犯した点があることをこの際総括しておく必要があるのじゃないかと考えます。

 今回の改定案で、加入者や年金受給者が最も心配をしているのは、従来の予定利率で計算される年金額と、低金利のもとで引き下げられた予定利率で計算される新たな年金額では大きな差が生じると考えられます。既得権はどのように保障されるのか。従来の制度と新制度との調整ということになれば、勢い従来の分の切り下げということになる可能性が強いということを心配しています。さらに、退職金との調整ということになりますと、退職金の一年当たりの支給乗率の伸び方の方が有利ですから、ここに焦点が当てられると結局退職金の改悪につながっていくのじゃないかということを危惧しています。

 代行部分を返上した基金型企業年金の場合、従来に比べて年金額は貧弱なものになります。そこで、退職金を年金化して上積みすることになり、やがて退職金制度がなくなるんじゃないか、そういうねらいが秘められているんじゃないかということも心配をしています。

 中小零細企業の場合、適格退職年金から脱落するところがこれから続出するのではないかという不安があります。その受け皿として確定拠出型年金が準備されているのではないか、自己責任に転嫁されるのは御免だ、こういうことを心配しています。

 発言権のない年金受給者については情報開示の項で加入者等と触れられているだけで、既得権は保障されるということが裏づけされていません。新しい年金の会計基準で、年金受給者の退職給付債務は確定し、確保されているのか。最近は企業の合併や分社化が進行をしています。その際、年金受給者の既得権は将来も保障されるのか、この点も心配の種です。

 年金受給者は、現在の労使関係の中で年金受給者の給付引き下げに手がつけられるのではないかということを心配しています。最近のリストラにも見られるように、労使の力関係は大きく変化をしてきます。労使が合意すればどういうこともできるということでは心配なところがありますので、労働者の権利保護の観点から不可欠の要件は、やはり法律や施行令、施行規則等で明確にしてほしいというのが労働者の希望だと思います。

 労働者が企業年金の基本法に期待したのは、受給権の保護、支払い保証制度の確立でした。しかし、肝心の支払い保証制度は先送りになっています。期待が裏切られたという感じがしています。

 確定拠出型年金、日本版四〇一kはアメリカの四〇一kを手本にしたと言われています。それならば、都合のいい部分だけつまみ食いするのじゃなくて、ERISA法に盛り込まれている受給権の保護、年金給付保証公社の仕組みなども取り入れないと、御都合主義のそしりは免れないのではないかと思います。企業倒産の件数はふえています。法律で支払い保証制度が裏づけされないと安心できません。

 委託者責任、受託者責任がうたわれていますけれども、しかし、これに違反したときの罰則規定がありません。企業年金が今日のような事態を招いた原因の一つは、こうしたところがあいまいにされていた点にも問題があったのではないかと考えられます。

 代行部分の返上や年金積立金の穴埋めに当たって、保有株式の現物拠出が認められています。変動の大きな株式の充当が果たして妥当なものなのか。これによって利益を受けるのは一体だれなのか。差損が生じたとき最終的にだれが責任を負うのか。積立金の不足の補てんに株式を充当した場合、積立金の運用に大きな制約を受けるのではないかということも危惧されます。

 代行給付の返上の際、代行部分相当額の責任準備金を返還すればそれで事は済むのか。代行部分の利差益は、企業のメリットとして容認されてきました。厚生年金の本体が得べかりし利差益に与えた迷惑といいますか、この点については免責されるのかということです。厚生年金の本体から抜け出した基金がメリットだけを享受するというのは、厚生年金に残った中小零細企業にしわが寄せられてきたということを示すものではないのか。こうしたことも明確にしておく必要があります。

 中小企業については、財政再計算等のために簡易な基準を設定すると言っている以外に特に触れられていません。中小企業に対する配慮、支援、助成がこの程度では、契約型企業年金または基金型企業年金の導入はおろか、適格退職年金からの脱落も防止できなくなります。そうであるならば、むしろ、不十分ながら国庫負担のある中小企業退職金共済制度を充実させる方が労働者のためになるのではないかと考えます。

 今回の改定案では、企業年金を従来からの厚生年金基金、契約型企業年金、基金型企業年金の三つのタイプに交通整理することになっています。これらについていけないところは面倒見切れないということなのか、中小零細企業の切り捨てを意味するのではないか、そういう見方もされます。これらについて十分配慮していただきたいということです。

 繰り返しになりますけれども、今回の企業年金法案は、肝心の受給権の保証、支払い保証制度が欠落しています。これでは仏つくって魂入れずになると思います。規制緩和を理由に政府が手を抜くのではなく、国の制度として、先進国のような支払い保証制度の確立を最後に要望しまして、意見陳述を終わります。(拍手)

鈴木委員長 どうもありがとうございました。

 以上で参考人の方々からの御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。棚橋泰文君。

棚橋委員 自由民主党の棚橋泰文でございます。

 まずもって本日は、堀参考人、中村参考人、向山参考人、庄司参考人の四名の参考人の皆様方には、大変お忙しい中お時間を差し繰りいただきまして、そしてまた、日ごろの高い見識に基づいた御意見の陳述をいただきましたことに心から敬意を表し、そして御礼を申し上げる次第でございます。

 さて、各党十五分という限られた時間でございますので、ポイントを絞って、もう一度参考人の方々からいろいろ詳しい御意見をいただきたいと思います。今御四名の参考人のお話を伺っておりました中で、基本的に、本法案に対して幾つかの御指摘がありましたが、特に意見の食い違いがございましたのは支払い保証制度についてではなかったかと思います。

 向山参考人がおっしゃるように、私も、できる限り私的年金であっても受給権の確保に心を配るべきだという観点は同意見でございます。しかしながら一方で、御承知のように、これはあくまで私的年金制度でございまして、中村参考人のお話にございましたように、もし支払い保証制度を導入するならば、きちんとまじめに健全な財政運営を行っている企業が破綻した企業年金の損失を穴埋めするような制度になるのではないか、また、それであるならばモラルハザードが起きるのではないかという御意見もございました。また一方で、これはあくまで私的年金でございますので、支払い財源等に不足が生じた場合に、公費の負担ということは大変考えにくい問題ではないかと思います。

 そこで、支払い保証制度の導入についてポイントとなるのは、受給権の確保という観点からすれば、これはまさに向山参考人がおっしゃったように、できる限り積極的に検討すべきだという御意見も私わからないわけではないのですが、今言ったような制度上の問題点があるのではないかと思います。

 そこで、堀参考人、中村参考人、向山参考人、庄司参考人に、今言ったような私の基本的な考え方も含めて、もう一度支払い保証制度についてお話をいただければと思いますので、それぞれ順次お願いいたします。

堀参考人 基本的には、私的年金というのは、倒産等のために支払われなくなる、そのために支払い保証制度が必要だと思うのです。問題は、モラルハザードの問題がありますけれども、これも確かにそのとおりです。しかしながら、保険の仕組み、支払い保証制度も一種の保険だと思うのですが、保険にはモラルハザードはつきものでございます。世の中に私的保険、公的な保険いろいろありますけれども、モラルハザードに対してそれを少なくする、皆無にするというのは難しいわけでございますが、それを少なくする方策というのはあり得るのではないかと思います。

 しかし、この法案によりまして、従来の厚生年金基金とそれから新しい税制適格年金から移行した年金がありますけれども、それは積み立ての度合いが違いますし、それを一緒に、こういう保険に掛ける、支払い保証制度にするというのは、やはり現在では無理な面があるのではないかと思います。ある程度、こういう制度が動きまして結果を見て、支払い保証制度について検討していくべきではないかというふうに思います。

中村参考人 やはり企業年金というのはあくまでも私的年金ということで、自己責任の制度だと私どもは思っておりまして、その中に強制的な支払い保証制度を入れるということは、いたずらにコストをふやすということと、かえって企業年金の健全な発展には阻害になるのではないかなと思っております。やはり受給権の確保というのは、毎年度行う財政検証によって、積み立て基準に従いまして企業が堅実に、確実に積み立てを行うことによって確保されるべきだと思っております。

向山参考人 先生から御指摘をいただいた、企業年金は私的年金、御承知のとおりでございますが、私的年金でありましてもやはり重要な労働条件であるということと、そういったための受給権保護というのは、やはり老後生活に不可欠なものであるということの認識は変わりはありません。

 ただ、企業や年金資金の運用を委託している金融機関等が倒産するような時代でもあります。そういった部分の中で、銀行や生命保険会社が倒産した場合の預金保険機構、ペイオフというような部分による預金者や生命保険加入者に対する保護制度というのも当然あるわけでございまして、当然、退職年金に対しても、従業員の年金権を保護するという観点からは支払い保証はぜひとも必要であろうというふうに私どもは思っております。

 モラルハザードのことにつきましては、先ほど経営者側からも話がありましたが、アメリカでも実際に企業年金の中で行われているように、積み立て不足の際にはやはり上乗せ保険料というものを課すというようなことで、積み立て基準に応じて保険料を徴収するというようなことで、モラルハザードは、完全ではないのですが、ある程度回避できるのではないか。支払い保証制度そのものがモラルハザードを起こすのではなくて、やり方によっては、その部分が十分回避できた中で支払い保証制度がつくれるのではないか、こういうふうに理解をしています。

庄司参考人 現在でも、厚生年金基金については、連合会の方の共同事業として、支払い保証の基金をつくってやっています。健康保険組合の場合も、そういう形で今までやってきています。今回つくらないということは、既存の厚生年金や健保組合がやっておったこともやめるということにするのか、その辺とも関係があると思います。

 それから、企業年金といっても今まで法的にはきちっと位置づけされていなかったわけですけれども、今回は企業年金についての基本法をつくろうということですから、この点については、受給権の保障の問題等、支払い保証制度の問題は法律できちっと位置づけて明確にする必要がある。諸外国、先進国でもやっていることですから、日本でもできないことはないというふうに考えます。

棚橋委員 どうもありがとうございました。

 本日は、法案審議に際して、四参考人の御意見陳述の中で、公的年金と私的年金のあり方についても本質的な御議論がございました。

 そこで、せっかくの機会でございますので、もう一点、公的年金と私的年金のあり方について御意見を御開陳いただければと思います。

 と申しますのは、公的年金の水準、これから少子高齢化社会の中で、まず、どういう形で見直していくべきか、また、いわゆる国民年金、基礎年金相当部分と厚生年金のあり方の問題、そしてまた、公的年金の水準を当然引き上げていくならば、その財源の議論がございます。その点について、それぞれ参考人が今将来像としてどういうものをお考えかということをお教えいただければ幸いでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

堀参考人 最初の報告のときに申し上げましたように、スライドができる公的年金というのは、老後生活の基本というか柱であると思います。それの上乗せとして私的年金が重要であるというふうに思います。

 今後、高齢化が進みます。極端な最高の数字は、二〇五〇年で三二・三%ですか、三人に一人が高齢者、そういう時代では、今のような公的年金の水準というのはほぼ不可能ではないかと思います。したがって、公的年金というのは、ある程度スリム化をしていく必要がある。そういった場合には、私的年金の役割というものを高めていく。私的年金は積立方式でありますから、積立金による投資、それによる経済成長ということも考えられます。

 もう一点、厚生年金の廃止、民営化というのがありますが、これについても、厚生年金基金というのは、ある意味では公的年金を民営化するものであります。現在の厚生年金は賦課方式ではなくて修正積立方式といって積み立て部分があるわけですが、それが百三十兆円とか百四十兆円。余り私は国にそういった形で資金が積み立てられるのは好ましくないと思っていますので、厚生年金基金という形で民営化をして、民間でその資金を運用する、そういった形が望ましいのではないかと思います。

中村参考人 公的年金につきましては、それを補完する意味で私的年金があるというふうに考えております。

 ただ、今の公的年金、特に厚生年金につきましては巨額の積み立て不足があるということからも、やはり将来に不安が非常に高まっているということを考えますと、ぜひともこの公的年金についての改革をお願いしたい。私どもとしては、ある程度給付水準の引き下げということも念頭に置いて考えていっていただきたいと思っております。

 また、企業年金につきましては、労使合意のもとで自由に制度設計をさせて、自立自助、自己責任の世界で考えさせていただきたいというふうに考えております。

向山参考人 先ほども若干述べさせていただきましたけれども、やはり老後の柱は公的年金でございます。ただ、公的年金で十分老後生活を担保できるかというとそれができないものですから、それ以外の部分の企業年金なり私的年金でそれを補完していく、これが基本的な考え方であります。

 昨今、少子高齢化の社会の中で、この公的年金の部分の財政上の問題が非常にクローズアップされてきている、これも承知しているところでございますが、一方で、基礎年金の部分については、特に第一号被保険者の空洞化の問題も片方で出てきています。

 年金そのものが皆年金を維持するということであるならば、今後基礎年金に対して保険方式が重要なのか税方式が重要なのかということも十分議論をしながら、あと、全体の公的年金の水準についても、負担と給付というような問題もトータルに考えながら今後議論をしていかなければならない、このように考えています。

庄司参考人 今の基礎年金は、四十年満額掛けて六万幾ら、実際にもらっている年金額は三万から四万台ぐらいですから、これでは老後の生活保障になりませんので最低保障年金の水準を上げる。

 それから、今空洞化の話がございましたけれども、こういうことを来さないように、基礎年金については、国の負担で基礎年金の水準を上げて確立する。

 それから、働いている労働者については、その上に賃金に見合って保険料を徴収して上乗せする、そういう制度は今のまま残していくべきだというふうに考えます。

棚橋委員 どうもありがとうございました。

 法案についての特に四参考人の御意見の一番違うポイントと、それからこの法案に関して、年金制度のあり方について本質的な御議論をいただきまして、どうもありがとうございました。

 これで私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、山井和則君。

山井委員 四人の参考人の皆さん、本日は、大変お忙しいところ、雨の中をお越しくださいまして貴重な御意見をお聞かせいただきまして、本当にありがとうございます。これから、二、三点に絞りまして、四人の参考人の方々に御意見をお伺いさせていただきたいと思います。

 冒頭、貴重な時間なんですが、ほんの一言だけ、私はハンセン病のことについて一言御意見申し上げたいのですけれども、この午前中にでも、小泉首相が元患者の原告の方に会われると聞いております。これは、一首相、また一大臣の問題だけではなくて、この厚生労働委員会も問われていると思いますので、ぜひこれは控訴しないということになるようにしていきたいと思いますので、皆さんもよろしくお願いいたします。

 では、質問に入らせていただきます。

 まず、今回の年金法案についてですが、そもそも企業年金に対する基本的な考え方というのが、四人の参考人の方々においてかなり違ったり微妙に違ったりするような気がいたします。一番本質的なところですので、既に述べられたところと重なっている部分もあるかと思いますが、四人の参考人の方々、企業年金のあり方について御意見をお聞かせ願えればと思います。よろしくお願いいたします。

堀参考人 基本的に企業年金というのは、公的年金とは違って私的な企業年金ですから、労使の自由な合意によって行うというものではないかというふうに思います。役割分担としては、先ほど言いましたように、公的年金が柱であって、豊かな生活を保障するために私的年金、企業年金があるというふうに思います。

 ただ、そうはいっても、企業年金が私的なもので労使の自由といっても、やはり公的に、例えば税制上の措置を講じているとか、あるいは国民全体の老後の生活にかかわるものでございますから、完全に自由に任せるというわけにはいかないだろうというふうに思います。

 したがって、税制措置に見合うような年金であるかどうか、そういったような判断も必要でございます。規制はできるだけなくした方がいいというのは私は賛成ですけれども、そういった意味での最小限の基準といったものも必要ではないかというふうに思います。

 問題は、日本においては厚生年金基金という公的年金を代行する部分がありまして、これが企業年金に対する議論をある意味で混乱させている面があるのではないか。税制適格年金とかあるいは自社年金とか、それと公的年金は割と対比させやすいんですが、厚生年金という、これはイギリスの制度に倣ったものですけれども、イギリスは、当初は公的年金の一定部分をコントラクトアウト、適用除外した年金についても支給しなさい、こういう要件をした。代行ではないんですが、ある程度、代行的な考えもあったわけですね。しかしながら、その後、もう労使の免除保険料率内で労使が自由にやっていく、そういうふうなことに変えたというふうに考えております。

 したがって、日本の公的年金も、公私の役割を明確にするということなら、厚生年金基金のメリットも生かしながらそういう形にするということは、やはり国の公的年金を代行するという形ではなくて、免除保険料率という形で、ある意味で民営化をして、民営化した年金についてはもう公的年金ではありません、これは労使の自治によってやっていく、自主的にやっていく。しかし、その場合には二階部分の公的年金部分も支給できないという事態も生じ得るんですね。だから、それはもう労使がそれを合意で選択したんだ、そういった意味で、労使の責任にしてもいいんではないか、そういった形で厚生年金基金の代行を適用除外年金に将来はしていくべきではないか、そういうふうに考えております。

中村参考人 公的年金は退職した方々の老後の生活を支える制度で、非常に重要な制度だと思っております。ただ、今巨額の積み立て不足があるということで、持続可能性に対して疑問が投げかけられている。そういう意味におきまして、私的年金としての企業年金の役割はそれを補完する意味が非常に高まっていると思います。

 ただ、この企業年金は、あくまでも私的年金ということでありますので、やはりある一定の、最低限の共通ルールを定めた上で自由な制度設計をしていくということが必要でありますし、特に国民の最近の価値観やライフスタイルが多様化している中で、この企業年金、私的年金の役割は高まってきているというふうに考えております。

向山参考人 先ほども述べましたとおり、老後の生活保障の柱というのはやはり公的年金であろうというふうに思います。そういう中で、企業年金や任意加入の個人年金というものについては、公的年金に取ってかわるものではなくて、あくまでもそれを補完するものという位置づけで考えております。

 最近、グローバル化を背景に、自己責任とか市場原理主義とかいうものが横行しておりますけれども、世の中にはやはり自己責任でできない人たちが数多くいるという中で、やはりそういったものをどう位置づけていくかということも一方では必要でありまして、そういった面では、自己責任というものを中心に私的年金を拡大をして、そして公的年金を削減しようというような話は論外な話だというふうに考えています。

 また、今日の企業年金は退職金以外の要素も加わって若干複雑化はしておりますけれども、そのベースになるのはやはり退職一時金であるというふうに認識しておりまして、そのベースとなる退職一時金は労働条件の一つの柱でありまして、退職金規程に基づいて個々人の年金額が確定するものでありますから、それを年金化するということであれば、先ほども申しましたように、確定給付でやるのは当然であろうというふうに思います。

 そういったことを前提にしながら、現行の企業年金制度には、公私の峻別が明確でない厚生年金基金、それと積み立て基準や情報公開というものがきちっと明文化されていない適格退職年金、こういったものの現行のものを見直す中で、あわせてそういった受給権保護のための、先ほど申しましたように、支払い保証制度なんかが組み込まれた包括的な企業年金基本法というものを早期につくるべきだろうというのが連合の企業年金に対する基本的な考え方というふうに思います。

庄司参考人 老後の所得保障の基本はやはり公的年金でやるべきだと思います。

 それから、企業年金の実態は、今も話がありましたように、退職金を取り崩して年金化した部分が非常に多いということです。

 それから、老後の所得保障の問題で、企業年金のほかに、まだ個人年金もあわせて老後の所得保障を考えろという格好をされていますけれども、最近の週刊誌なんかを見ましても、個人で投資して失敗した例なんかも非常にありますし、個人年金の場合は、予定利率の引き下げなんかも、もう生命保険会社の都合でどんどん予定利率を引き下げられる、そういう不安定なものですね。それから、企業年金についても、一定の基準はありますけれども、今言ったような形で、実態は退職金の分割払いだ、そういうこともあります。

 自助努力で労使で決めればいいということですけれども、そうしますと、やはり今ある大企業と中小企業の格差がどんどん開いていくことになりますから、やはり土台になる公的年金の水準を高めて、その余力があるところは企業年金でやるという方に持っていかないと、そっちの、自助努力部分があるんだからということで公的年金の水準をどんどん低く抑えていくことには反対です。

山井委員 ありがとうございます。

 自己責任、あるいは選択の自由、あるいはリスクをなくす、安心感、それぞれのお立場の価値観によって論調も異なるなということを感じさせていただいております。

 それで、さまざまな問題点、今までからも御指摘いただいているんですが、ぜひここで一点、最もこのことに関する問題点はどの点だと思われるかということと、そのことに関して、今すぐにとは言いませんが、将来的にどのように改善していけばよいかということを、できれば一点か二点に絞って述べていただければと思います。よろしくお願いいたします。四人の方々に。

堀参考人 公的年金あるいは企業年金に通ずる問題として最大の問題というのは、やはり税制ではないかというふうに思っています。

 この確定給付型の企業年金につきましても同様でございますが、基本的には年金には税金がかからない、拠出段階でもかからないし、それから給付段階でもかからない、こういったような税制は世界にも余りないと思いますし、それから拠出しているというのですか、被保険者、現役の世代の所得税負担、それから住民税負担と、年金受給者の所得税、住民税負担が非常に不公平になっている。それだけではなくて、国民健康保険の保険料の算定基準にもこういう年金所得というのが算定、その際に公的年金等控除が入りますから、その面でも非常に不公平になっております。

 例えばの話でございますが、アメリカは年金に課税をして、課税をした財源を年金財政に繰り戻しする、こういうことをやっております。なかなか年金受給者から所得税を徴収するというのは難しい面があろうかと思いますけれども、そういったような形で了解を得ることはできないかなというふうに思います。

 それとの関連で、先ほど申し上げましたように、特別法人税の廃止だとか、あるいは退職一時金と年金との取得した場合の課税の中立性というものを是正していく必要があるのではないか。

 これが私は今一番大きな問題点ではないかと考えております。

中村参考人 私も同じ考えでございまして、税制でございます。

 やはり、年金税制につきましては、拠出時、運用時非課税、給付時課税の原則をぜひ貫いていただきたい。そのためには、特別法人税は撤廃していただきたいというのが最大のポイントだと思います。

 もう一つあえて挙げれば、ポータビリティーが果たしてあるのかないのか、ポータビリティーの確保ということもぜひお願いしたいと思っております。

向山参考人 先ほどの意見陳述の中で述べたものがすべてなんですが、連合としてこの法案の中で問題点として八項目を実は挙げております。その中で、特に我々として問題として指摘しておきたいのは二点ありまして、特に厚生年金基金の代行が廃止されなかったこと、返上はできるんですが、廃止されなかったということについて大きな問題というふうに考えています。

 第二点目については、受給権保護のための支払い保証制度がこの法案に盛り込まれなかったこと、これが問題だというふうに思っています。

 特に、日本は非常にアメリカを好きでありまして、そのアメリカでもこの受給権保護については、一九七四年にERISA法で支払い保証制度というものが創設をされている。そういったアメリカでもこれは強制適用に実はなっているわけでございまして、確定給付の場合は強制適用になっております。このように、市場主義や自己責任の理念が非常に尊重されるアメリカでも、受給権の保護措置として支払い保証制度は不可欠だ、こういうふうに言っているわけでございますので、十分、日本の確定給付企業年金でも支払い保証は盛り込むべきだというふうに考えています。

庄司参考人 四〇一kもこの確定給付も、問題が出てきたのは、年金積立金の不足問題、そこから出発してきているわけですね。だから、過去勤務債務の伴わない、それから積立金不足の生じない確定拠出であれば、企業は資金運用の免責もされますし、それから、後の費用がかからない。そこからそもそも出発してきているのが四〇一kであり、今回の年金の改定案だと思うんですね。だから、そこのところをきっちりさせておく必要が一つあると思います。

 それからもう一点は、何回も申しますけれども、今回の法律の中では、やはり受給権の保障の問題と支払い保証制度の点については非常に欠落しているところがあるから、企業年金の基本法というのであれば、そういうこともきちっと加味させないと、欠落したままいくと、後々また問題を非常にたくさん残していくんじゃないかというふうに思います。

山井委員 ありがとうございました。

 時間になりましたから終わらせていただきたいと思いますが、二十一世紀、やはり老後の安心が一番この国にとって大切だと思いますので、安心感のある年金制度にしていくために頑張りたいと思います。

 本日は、本当に貴重な御意見ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、青山二三君。

青山(二)委員 公明党の青山二三でございます。

 きょうは四人の参考人の皆様には、大変雨の中を、またお忙しい中をお出かけいただきまして、いろいろと貴重な御意見を伺わせていただきまして、本当に心から感謝を申し上げております。短い時間でございますので、早速質問をさせていただきたいと思います。

 堀参考人からは、社会保障不安の最大の要因は年金不安である、将来年金がもらえなくなるのではないか、こういう不安がある、また、今納めている保険料に見合う年金がもらえるのかどうなのか、こういう心配があるけれども、これは根拠のない不安であるとおっしゃっていただきました。

 また、もう一つ不安がありますのは、今回の確定給付年金法案で公的年金の上乗せ部分であります企業年金制度が整備されることによりまして、全国民共通の基礎年金、また比例報酬部分の厚生年金とか共済年金などの公的年金の縮小や水準の切り下げなどが行われるのではないかという国民の不安の声も聞かれるわけでございます。もちろん、政府は、そのようなことは決してないと明言をしているわけでございますけれども、今回、企業年金制度を整備することに伴いまして、公的年金に与える影響がどうなのか。

 また、賃金額に応じた保険料を納める以上は、賃金額にある程度応じた年金を支給する必要があると堀参考人おっしゃっていただきましたけれども、今、現役世代の手取り収入の約六割を確保しております現在の公的年金の給付水準について、御見解を伺いたいと思います。

 まず堀参考人から始まりまして、四人の参考人の皆様方にお聞きしたいと思っております。

堀参考人 お尋ねは二点あろうかと思います。

 一点目は、この確定給付企業年金法案が成立すれば、それが公的年金に対してどのような影響を与えるかということでございます。

 私は、年金に対する不安というのは要するに両方ある、公的年金に対する不安もあるし、企業年金に対する不安もある。どちらかといえば公的年金に対する不安が多いと思います。

 昨年の改正によりまして、私は、二十一世紀、今後二十年あるいは二十五年は維持可能になった、そういうことがなかなかマスコミにはあらわれておりませんけれども、そういったこと。

 それで、今回の改正というか、今回の新しい法案によりまして私的年金、企業年金が安定をするということになれば、公的年金に対する信頼も出てくるんではないか。年金に対する不安というのはやはり両方あって、公的年金に対する不安が私的年金に、私的年金に対する不安が公的年金に。そういう意味で、今回の法案は、公的年金に対する信頼を増すのではないか。それより以上に、公的年金が大丈夫だということを政府としてはもう少しPRする必要があるんではないかというふうに思います。

 それから、二点目の公的年金の給付水準でございますが、給付水準のとり方は非常に難しゅうございます。今おっしゃいましたのは、サラリーマンに対する給付水準、これはモデル年金で、片働き世帯で四十年間平均賃金を得ていた、それに対する代替率が手取り年収で六割ということでございます。これが昨年の改正によって定められた。これが続くということでございます。

 私は、この昨年の改正は、二〇二五年、高齢化率が二七%というものを前提にした改正ではないかと思います。しかも、それは幾つかの前提がありまして、高齢化の程度がどうか、あるいは金利がどうか、あるいは少子化、そういういろいろな前提に基づいております。その前提が昨年の財政再計算どおり進めば、二〇二五年までは公的年金財政は大丈夫だと思うんです。その意味で、この給付水準の六割というのはそれでいい。

 しかしながら、現在の推計によりますと、二〇五〇年には高齢化率が三二・三%になる。そういうふうに進むかどうかわかりませんけれども、それが進むとなると、今の公的年金制度ではもたないんではないかと思う。給付水準についてもう少しスリム化していく必要があるんではないか。

 そういった場合にどういう方法があるかということでございますが、いろいろ、昨年の改正は、単なる給付水準の引き下げではなくて、支給開始年齢を引き上げたり、スライド制度を改正したり、そういったこと。それに向けての給付水準の適正化は、私は、女性の就労というものを高めて、夫婦でもらえる年金を高めていく。そういったことによってその水準というものを適正化して、あるいは若い世代が負担しやすくなるようにしていく必要がある、こういうふうに考えております。

中村参考人 公的年金におきましては、基礎年金部分は充実させていく必要があると思います。やはり物価スライドをここには導入して、基礎的な生活を支えるという意味で基礎年金は重要だと思います。

 ただ、報酬比例部分につきましては、今後を考え、巨額の積み立て不足をどうやって埋めていくのか。保険料を上げることに耐えられるのか。もしも高い保険料に耐えられなければ、どうしても給付水準の見直し、給付開始年齢の見直しというところに改革をしていかなければ、公的年金そのものの持続可能性というのは失われてしまう。やはりここは国民に選択を迫られているのではないかなというふうに考えております。

 また、今回の企業年金法案というもので企業年金というものが充実されれば、やはり企業年金に対する信頼性も高まると同時に公的年金に対する信頼も高まってくるということで、相互補完的な関係にあると思っております。

向山参考人 御指摘の二点についてお答えをさせていただきます。

 公的年金に対する国民の不安ということについては、昨今いろいろな改正等で、給付乗率が千分の十からずっと下がってきていまして今は七・一二五という形になっておりまして、給付水準は下がるわ、保険料は上がるわということで、その部分で非常に不安になっているということで、給付というものがきちっと確保される中で必要な負担はやむを得ないという部分はあるかもしれませんが、給付も下がり負担も上がっていくということで非常に不安が高まっている現状の中で、やはり年金だけではなくて社会保障全体としてどういう理念というか役割が必要なのかというものをもう少し整理する必要があるだろうという認識を持っています。

 二点目の、公的年金の給付の水準ということでありますが、連合としましては、所得代替率、ネットネットで五五%の確保というふうに考えております。そうなりますと、前回の年金改正で賃金スライドが廃止をされましたので、やはり賃スラを復活させていただくということでないと所得代替率はどんどん下がっていくというふうに考えておりまして、そういった面では、所得代替率、ネットネットで五五というのを基本的に考えています。

 もう一つは、一階の部分の基礎年金でございますが、現在、基礎年金には国庫負担三分の一が入っておりますが、そこを早急に二分の一まで引き上げる、これもしかも一般財源で引き上げるということで、その部分については、基礎年金はそれである程度カバーしていくという基本的な考え方で臨んでいきたいと思っています。

庄司参考人 企業年金があるから公的年金はほどほどでいいんだということにはならぬと思うんですね。やはり一番問題は、基礎年金の水準を上げていく。そうしませんと、今厚生年金の場合でも女性の場合は男性の六割ですし、それから、モデル年金で出される金額と実際受け取る年金の支給の実態が違いますし、それから、国際比較をやられる場合も、日本はモデルでやって、それから今の為替相場で標準を出しますと非常に高く映るということですけれども、私たちの生活の実態からいって、今の年金の水準は、特に国民年金の水準は非常に低い。だから、これをやはり上げていくことに重点を置くべきだというふうに考えます。

 それから、企業年金の問題については、これはますます個人の自助努力の方に持っていかれていくといいますか、先ほど言いましたように、もともとは退職金の年金化なんですけれども、それだけじゃなくて、今度労働者にも拠出をこれから求めてくる。水準を引き上げたいんだったらあんたたちも応分の負担をしろという格好で、今は全額企業主負担の部分が多いわけですけれども、それをまた労働者にも拠出させよう、そういう方向に持っていかれる心配があるということです。

青山(二)委員 大変ありがとうございました。

 この法案で一番問題になっておりますのが、やはり先ほど来お聞かせいただきまして、支払い保証制度ではないかと思います。堀参考人の方からは、今は無理であるけれども今後は、将来的には検討を要するのではないかという御意見でございました。また、向山参考人は、絶対に必要だというお答えでございました。庄司参考人からは、これが盛り込まれなかったことは大変残念だ、仏つくって魂入れずになっている、諸外国に見習って導入すべきと、四人お見えになりました参考人の中でこのように意見が分かれました。

 こういう点につきまして、中村参考人の御意見をもう一度お伺いしたいと思います。

中村参考人 何度も申し上げますけれども、やはりこれは私的年金ということで、自己責任の世界であるというふうに考えております。健全に運営している企業年金が、運営を間違った、あるいはふまじめな運営をやったということから破綻した年金を助けるということでは、やはりこれは私的年金の自己責任の世界から逸脱するものではないかと考えております。

 先ほどから、外国ではよくやっているということでありますが、アメリカでも支払い保証制度は確かにありますが、これはモラルハザードとの戦いの歴史であると思います。やはりいかにモラルハザードが私的年金、企業年金制度にとって大きな問題かということでありまして、悪い例は見習わない方がいいというふうに考えておりまして、絶対に日本では導入すべきではないというふうに考えております。

青山(二)委員 それでは、最後になりますけれども、向山参考人にお伺いをしたいと思います。

 今、中村参考人からはそういうお話がございました。支払い保証制度につきましては今国会のこの法案ではちょっと厳しいのかなという気もするわけですけれども、その後に盛り込まれております受給者保護という観点から、積立金を積み立てる義務を課すこと、それから関係者の責任に関する規定を設けること、また情報開示に関する規定を設けることなどが盛り込まれておりまして、これはかなり前進ということで受けとめていいのかと思いますけれども、これらの規定につきましてはいかがお考えでしょうか。

向山参考人 先ほども若干申し上げたと思いますが、今回の法案の中には、受給権保護という立場の中では、積み立て基準とか受託者責任、さらに情報公開といったことについては記載をされております。

 しかし、それで十分なのかということを考えたときに、先ほど申しましたように、やはり支払い保証というものが、三つの制度が十分かみ合ってこそ受給権保護が達成できるものだという認識を持っております。また、情報公開においても、現役の加入者の人たちにはかなりの情報公開が義務づけられていますが、既に年金を受給されている方、要は受給権者についてはそれで十分だというふうには読み取れませんので、その辺の部分について明文化すべきだというふうに考えているところでございます。

青山(二)委員 四人の参考人の皆様には、大変貴重な御意見をありがとうございました。時間でございますので、終わらせていただきます。

鈴木委員長 次に、佐藤公治君。

佐藤(公)委員 自由党の佐藤公治でございます。

 きょうは、お忙しい中私どものために時間をとっていただきまして、本当に心から御礼を申し上げます。また、時間が少ないので、簡単、端的に四人の方々に御質問をさせていただき、先生方には大変失礼でございますけれども、お一人頭三分以内ぐらいでお答え願えればありがたいかと思います。特に、堀先生、庄司先生の本は大変わかりやすく読ませていただきました。そういうことも私もある程度見ているということを前提にお答え願えればありがたいと思います。

 確定給付企業年金法案を私ども党内でも議論しておりますと、根本的な、先ほどから出ております公的年金の基礎年金の部分、ここの議論がやはり常に出てきてまいります。御存じのように、私どもは、税方式、保険方式といういろいろな方式の中で、税方式、特に消費税の福祉目的税化という中での社会保障制度、基礎年金、老人医療、介護といった三つをこれで賄っていこうという目的税化ということを主張してまいっております。こういう部分を各先生方、また理事の方、局長、皆さん方が聞かれて、これに対して、言いにくいかもしれませんが、いろいろな前提があると思います。前提を踏まえて、いいのか悪いのかというか、賛成か反対なのかということを一つずつ、それにおける理由も聞かせていただければありがたいと思います。

 またもう一点は、やはり今の私どもは、なぜ政府・与党というか政府自体がこれに余りにも、先ほどからお話が出ていますように、不安をこれだけ与えることが問題だと。やはり財源的な問題という部分があるにもかかわらずということがあるのですが、なぜこだわり続けるのか。簡単簡潔に、何か理由というかわけがあれば教えていただけたらありがたいかなと思います。

 そんなことで、お一人ずつ、大変失礼ですが三分以内ぐらいで御説明、御答弁をいただけたらありがたく、お願い申し上げます。

堀参考人 御質問は、公的年金のうちの基礎年金について、現在の社会保険方式から税方式、私はもう少し学問的には社会保障方式と言っておりますけれども、そういう自由党の方針に沿った形にどうしてしないのか、あるいはそれについての理由ということでございます。

 この問題について言いますと、三分どころか三十分くらい必要でございます。基本的には社会保険方式と社会保障方式はどう違うかというと、社会保障方式というのは、これは歴史を見ますと救貧法で、困っている人に対してお金を支給するということですね。それについては、ミーンズテストがあるとかあるいはスティグマというレッテル張りがあるとか、大変大きな問題が生じました。それで出てきたのがビスマルクの社会保険方式。これは事前に保険料を払う。事前に保険料を払うのだから、権利として給付を受ける。事故に遭った、貧困に陥っているということではなくて、老齢とか障害とか死亡とか、そういう客観的な事項が起きた場合に給付を支給する、そういう仕組み。それは年金についても同じでございます。我々は二十歳から働き始めまして六十あるいは六十五になると年金を受けるわけですが、事前に備える余裕、時間的余裕もあれば経済的余裕もある。それが、六十になると途端に国家から六万七千円支給する、それはどういう制度だろう。基本的な問題だと思います。

 社会保険というのは、二十歳から六十歳まで保険料をせっせと納める。これは老後のためなのだ、納めた結果それがもらえるのだということで、これは自助努力であり、かつ、長命の者を短命の者の保険料で賄うという相互扶助。理念的に社会保険方式というのは社会保障方式よりもすぐれている、むしろ自由主義の理念に沿っているのではないかというふうに私は思います。

 それ以外にもさまざまな理由がありますけれども、二十歳からずっと老後のために備えるのだ、そういう趣旨の社会保険方式の是非。

 税方式というのは、むしろ、若いときに何もしない、老後に備えない、保険料も納めない、それで老後になると途端に毎月毎月六万七千円。そういう制度が果たしていいのか。それ以外にも、果たして税金として消費税が上げられるかとかさまざまな問題がありますけれども、私はこれが基本問題だと思います。

 ちょっと私、失礼しましたけれども、何か二つ目の質問があったかと思うのですが、ちょっと趣旨がわからなかったので……。

佐藤(公)委員 今大体で、もうそれで結構でございます。わかりました。ありがとうございます。

中村参考人 私どもは、やはり基礎年金部分は税方式の割合を高めていくべきだというふうに考えております。今の基礎年金部分、国民年金にしましても、空洞化が非常に進んでいるということを考えますと、これは世代間の争いが起きているのではないかということであれば、やはり広く薄く国民全体で基礎年金部分を賄っていくということで、消費税による負担をふやしていくということが必要であると思います。

 ただ、ここで目的税化についてはまだはっきりと、それは自信がありません。ただ、今特定財源の問題がありますけれども、硬直化の問題もありますし、やはり消費税でもってそこは賄っていく。目的税にするかどうかは、まだその辺はわかりません。

向山参考人 基礎年金のお話でございますが、要は、国民皆年金を今後ともやはり維持していくかということの観点から考えたときに基礎年金をどう考えるかというふうな視点で考えてみますと、先ほども若干空洞化の話をさせていただきましたけれども、先日十一年の国民年金被保険者実態調査が出されました。その中で、特に第一号被保険者の未加入が九十九万人、それで二年間保険料を払っていない未納者が二百六十五万人、それと免除者が二百七十一万人ということで、全体の一号被保険者の約三割が保険料を納めていない、こういう形になっております。また、雇用労働者の中でも五人未満の人たちは任意加入の形になって、だんだんそういったところが適用漏れが多くなってきている。

 こういう実態を考えたときに、基礎年金は税方式か保険方式か、どちらかなのだろうかということを考えてみた場合に、やはり将来的には税方式を目指すべきだろうということで、連合としては、とりあえず今の国庫負担を二分の一に一般財源で引き上げて、その残りの部分については、今後いろいろな考えられる財源はあると思いますので、その部分については今連合でも議論をしているところでございます。将来的にはそういった税方式を射程に置きながら持っていって、皆年金という形で、それもミーンズテストつきではなくて、やはり普遍的な基礎年金にするべきだということで無年金者をなくしていくというようなことが必要であろうという考え方に立っています。

庄司参考人 我が国の場合、社会保険料にしても労使の負担割合を見ましても、被保険者負担が多い。だから払っている保険料に対して給付として還元される分が少ないということが、国民年金の空洞化の問題もそうですよ、保険料を納めても本当に戻ってくるのか、そういうことなので、その点が一点。

 もう一点は、我が国の場合、年金にしても社会保障の財源にしても、年金積立金の運用収入を財源に充てている。これは人のふんどしで相撲をとっておるようなものですね。積立金の運用利子でそれを財源にしようという、これは世界にも例がない。だから、五年分も六年分も年金積立金を持つ必要があるのかということですね。諸外国ではせいぜい一年か二年、短いときは半年ぐらいの運転資金程度で運用しているところだってあるわけですから、五年分も六年分も積立金を本当に持つ必要があるのかどうか、この点も考える必要があります。

 それから、今言った基礎年金についての国庫負担の引き上げについては、連合さんの方も今、二分の一は一般財源で負担しろ、それからさらに引き上げていく努力をするということ、この点は労働組合では意見が一致しているわけですから、国の方は、どうやって財源をいつ見つけるかというようなことではなくて、これは即刻二分の一に引き上げる、そういうことを早急にやっていただきたいと思います。

佐藤(公)委員 皆さん早く答えていただいたので時間が少しございますので、各先生方とお話をさせていただければと思います。

 中村常務理事にお伺いいたしたいのですけれども、この法案自体、実際問題、この確定給付企業年金法案が、先々そういう私どもの主張なり税方式を考えてやっていくということに際して、足かせになるような法律となり得るのかどうか。または、逆に今後のことを考えていけば、こういうことをきちんと整えて整理をしていくことが、やはり基礎部分を変えていく、考えていくに際しては非常に段階的に必要かということに関して、いかがお考えでしょうか。

中村参考人 企業年金法案と公的年金の基礎部分の関連性はちょっと私はわかりませんが、やはり企業年金というものは公的年金を補完するという意味で、このようにこの法案で企業年金の受給権を確保していただくということは、国民の将来に対する安心感を高めるという意味で、公的年金と企業の私的年金と相まって非常に国民の生活の安定には寄与するものというふうに考えております。

佐藤(公)委員 ありがとうございます。

 庄司先生にお聞きしたいのですけれども、先ほどのお話を十五分間聞いている中で、実際この確定給付企業年金法案については不十分だというお話だったかと思います。結局のところ、不十分ということは、多少いじることによって賛成というか、いい方向に行くということなのか、さもなければ、この法律自体がやはり今後において間違った方向に行く可能性があるからこれはやめた方がいいというのか、その辺ははっきりした御意見としてはお持ちでしょうか。

庄司参考人 現実に企業年金があるわけですよね。だから、これはやめてしまうというんだったら、現実に制度としてはあるわけですし、それから、労働者の中にも、先ほども話がありましたけれども、厚生年金の被保険者の半分はこれにかかわりを持っているわけですね。だから、これを撤廃するということであればまた別ですけれども、現状でいくんであれば、きちっとした法律で企業年金の基本法をきちっと位置づけされないと、見切り発車でやられるんじゃ反対だということです。

佐藤(公)委員 堀先生にお尋ねしたいんですけれども、先ほどの消費税の福祉目的税化ということに関しまして、その一つは、おっしゃられることはコスト意識の問題ということがあるかと思いますけれども、実際問題、消費税の目的税化ということを考えた場合にも、それは保険方式ほどコスト意識というものがなかったにしても、それなりのコスト意識というものは存在する、もしくはあり得ると思いますけれども、その辺はいかがでしょうか。

堀参考人 しばしば経済学者も、目的税も社会保険料も同じだ、こういうふうに議論をするわけですが、私はそれは間違っていると思います。というのは、財源だけを考えれば、特定の目的のための財源、それは同じなんですね。ところが、財源を全部税にすると、これは社会保険方式から社会保障方式にする。

 社会保険の保険料と目的税とどう違うかというと、二点違うんです。一つは、毎月毎月払った保険料の見返りに権利として年金を受ける、そういう権利が生ずるわけですね。消費税を払ったとしても、これは何ら年金を受給する権利に結びつきません。国民年金の保険料であれ厚生年金の保険料であれ、毎月払った分は、確実にその分は年金権に結びつく。それから二点目は、払った消費税の額は年金額に全然反映されません。ところが、厚生年金の保険料は高ければ高いほど二階部分の年金に反映される。その二点で、目的税とそれから保険料とは違います。

 その二点の違いが、年金の受給権というのか、年金権というんですか、それに対する国民の考えに影響を及ぼす。したがって、保険料についての増税の合意は得られやすい、そういうふうに結びついているからですね。ところが、消費税は結びついていない。しかも、年金だけに使われるというならまだいいですけれども、ほかに使われるかもわからない。公共事業とかそういったものに使われるおそれもあるということで、そういう意味で私は違うと思っております。

佐藤(公)委員 ありがとうございました。

 時間になりましたので、これにて終わらせていただきますが、本日は本当にありがとうございました。もっと本当は議論したいんですが、またの機会ということでよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、木島日出夫君。

木島委員 日本共産党の木島日出夫です。

 四人の参考人の皆さんには、大変貴重な御意見、ありがとうございました。

 今回、確定給付企業年金と確定拠出年金いわゆる日本型四〇一k、こうした制度設計が出されてきた基本的背景の問題についてお伺いしたいんですが、その背景は、やはり現行の厚生年金基金と税制適格年金の積み立て不足問題、いわゆる財政破綻の懸念の問題が根本的に背景にあるだろうと思います。

 この問題では、四人の参考人の皆さん方のうち、庄司参考人から、結論的にいえば、運用利回りが予定利率よりもはるかに高かった時代がずっとバブルの時代に続いてきたではないか、その利差益を給付改善準備金としてきちっと保全しておかなかった、そして箱物などに使ってしまった、そういうツケが今日に至って噴き出してきているんではないか、そうしたことを放任、推進した厚生省の責任を棚に上げてしまって、そして今回、財政上の理由から仕組みを改編して給付水準や受給権の後退をさせるようなことはいかがなものか、そういうふうな意見の開陳があったと思うんです。

 私的年金だから自己責任の世界だという理由だけでは済まされない問題がやはり背景に、根本的に、一番大事な部分にあるんじゃないかと思いますので、この問題について堀参考人、中村参考人、向山参考人はどういう認識をしているのか、まずお伺いしたいと思うんです。

堀参考人 御質問の趣旨は、厚生年金基金について、予定利率あるいは免除保険料率の基礎となったものが五・五%で、昭和四十一年の制度発足以来それを上回る利差益を得ていたのではないか、その問題を抜きにして代行返上とかそういう問題は論じられない、こういう趣旨だと思うんですが、私は先生のおっしゃるとおりだと思います。過去の利差益分についてどうするかということについて十分な議論が必要ではないかというふうに私は思っております。

 ただし、過去の利差益と現在の利差損とがどれぐらいの割合になるのかということですが、利差益が出てきた期間は確かに長いですね。利差損が出た期間は短い。しかしながら、当初の積立金というのは非常に少ないんですね。現在の積立金は極めて、何百億とか何千兆とかになっているわけで、その場合の計算がどの程度になるのか、そういうことが一つ指摘し得るのではないか。

 それから二点目ですが、基本的には、そういう制度をそもそもつくった、当然利差益も出るということを前提にする、あるいは死差損というんですかね、死亡率が低くなっていると基金としては損が出る、そこのところも関係すると思います。

 最初、こういう基金制度をつくったということで、しかも解散することがあり得る、解散した場合にはそこの代行部分の積立金だけ返せばいい、そういう前提でずっと三十年来た後に、利差益も含めて返せということが果たして契約の観念あるいは公的な法律の解釈としてできるのか、そういったことが問題になるんではないかというふうに私は思っております。

中村参考人 御質問、私の理解は、今回の背景はどういうふうに考えているのかというふうに理解してもよろしゅうございますか。もしもそういうことであれば、公的年金、厚生年金と、私的年金、厚生年金基金、適格退職年金というふうに分けられると思いますが、やはり私的年金である企業年金そのものに私的年金としての位置づけが不明確であったということで、今回の企業年金法は私的年金と一時金を明確にしていただいた、そういう背景があった、そういうふうに私どもは認識しております。

 また、利差損、利差益の問題につきましては、先ほど堀先生からお話がありましたけれども、利差益は確かに長い間あったと思いますが、利差損の谷は非常に深いということで、私どもといたしましては、利差益と利差損というのは相殺しているのではないかなというふうに考えております。

向山参考人 先ほどもお話ししましたが、我々、もともと厚生年金基金発足当時、ILOから問題も指摘をされまして、代行制度そのものを持つこと自体がおかしいという認識がありました。当時、代行部分を持つことによって積立金の部分が大きくなりますから、運用利回りが非常にいい時代は当然それが全体として収益に上がってくる。そして、今度、昨今の状況の中では利差損が発生してくる、また、国際会計基準等の部分があって、財政のバランス等を考えますと企業に相当の負担がかかるというようなことで、これを返上したい。経営側の非常に理屈だというふうに我々としては見ています。

 したがって、もともと代行制度を持つ厚生年金基金そのものがおかしかったというふうな理解のもとでおります。だから、この代行制度は廃止せよというのが基本的な考え方であります。(木島委員「かつての放漫経営についての責任をどうお考えか」と呼ぶ)それは、放漫経営であったことはまことに遺憾というふうに思っていますし、そういった部分についてはやはり正すべきものは正していかなければいけない。

 それと、今回の法案の絡みにおいては、適格退職年金、今までの企業年金の中には、給付型の企業年金だけは基金と適年があるわけですが、適年は、御案内のとおり、積み立て基準が明確ではないし、情報公開もされていないというようなことからすれば、そこの部分が、受給権保護ができるような形の中の今回の新しい企業年金法という部分は非常にいいというふうに評価はしているのです。ただ、今まで、そういった利差益、利差損というような部分の中の、全体の積立金の運用の部分についての代行制度の持つ仕組みそのものがおかしかったというふうに考えています。

木島委員 それでは、庄司参考人にお伺いいたしますが、今回の制度設計変更に至る経過の中での現行年金制度の持つ問題、原因と責任について三人の参考人の皆さんからの意見の開陳がありました。それを受けて、利差損と利差益がほぼ相殺してしまっているのではないかというような指摘もありましたので、この問題についてさらに追加陳述することがありましたら庄司参考人にお述べいただきたい。

 もう一つ、庄司参考人には次の質問をさせていただきたいと思います。

 いわゆる移行の問題でありますが、確定給付企業年金法案の提案理由の中に、「確定給付企業年金相互や、厚生年金基金、確定拠出年金との間での移行ができること」とあります。恐らくこれは、現行の厚生年金基金や税制適格年金から二つの新しい企業年金、確定給付企業年金と確定拠出年金への移行を想定しているものと思いますが、現実にはどういう方向で動くと考えられるか、また、この移行制度を本格的に持ち込んできた政府や企業のねらいはどこにあると参考人は考えているのか、お聞かせいただきたい。

 さらに、そのような移行がされた結果、年金受給権とか年金期待権とか、そのような働く皆さんの労働の対価としての性格を持つ受給権がどのような影響を受けると見ておるのか。三点になりますが、御意見をお聞かせ願いたい。

庄司参考人 利差損と利差益がパーになる、ちょっとこれは厳密に計算してみないとわからないですけれども、制度が始まって三十年以上予定利率を上回って運営された時期があったわけですね。金額でいったらパーかもしれませんけれども、そのときの金の値打ちと現在の金の値打ち、それをどう評価するかということで、とても私たちはパーにはならないと思うのですけれども、これは厳密にやってみる必要があると思います。パーになったって、それだけで、ああそうですかと私たちは引き下がるわけにいかぬということが一点です。

 それからもう一つは、今回の法案が出てきた一番の発端は、先ほど言った積立金不足をどう解消するか、それから、企業の責任をどうやって免責するか、そういうことに重点があると思うのですけれども、例えば適格年金をやっているところ、これは中小零細企業が多いわけですけれども、今回新しく三つのタイプがつくられても、中小零細企業で適格年金をやっているところは、今回出された三つの方に移行するか。とてもその負担には耐えられないから、もう適格年金をやめちゃおうか、そういう方向に進むケースの方が多くなるのではないか。あるいは、そうでなければ、今回ここに示している三つのタイプではなくて、確定拠出、四〇一kの方に進んでいくのではないかというふうにも考えます。

 それから、現在、基金型をやるといっても、規模の小さいところは基金をつくる力量はありませんから、結局契約型の方へ入っていくという格好になってきます。だから、基金型をつくるといっても、これは相当規模の大きなところでないと基金はつくれませんから、基金型にはならない。それから、現在の厚生年金基金を、基金型または契約型など、逆に今よりもバックさせる形の方に進むケースが出てくるのではないかということです。

 だから、適格年金の解約がふえるか、あるいは四〇一kの方へ進むか、できたとしても契約型の方に行くのじゃないか。むしろ、数が減ってくる、制度をやめたというところが出てくることの方が心配だと思います。

木島委員 それでは、時間も迫っておりますので、最後に向山参考人に一言お聞きしたいのですが、私も、支払い保証制度を最後の安全弁、セーフネットとしてつくるのは当然だというふうに思いますが、今庄司参考人からお話がありましたように、全体的な流れとしては、適格年金をやっている中小企業の皆様も、新しい制度では持ちこたえられないからやめてしまうのではないか。あるいは、完全に自己責任、一〇〇%自己責任の分野である日本型四〇一k、確定拠出型年金の方に流れ込んでいくのではないか。

 そうしますと、働く皆さんの労働賃金の事後支払いとしての性格を持つこの制度の根本的な受給権が脅かされてしまうのではないか。そうしますと、労使の合意でどれか選択できるのだという理屈の基礎のところで、受給権がやはり脅かされるのではないかと思うのですが、その辺のところはどうお考えなのか、御開陳願いたいと思うのです。

向山参考人 確かに、今回の法案の中では、適格退職年金については十年の経過措置を設けてそれぞれ移行するという話の中で、新しい規約型なり基金型に本当に適年が移行できるのか、特に中小で厳しいところについては私も実は非常に危惧をしております。

 ただ、そういった中で、確定給付企業年金法の中で、受給権保護という部分の中で、支払い保証制度は絶対事後のセーフティーネットとして、事前のセーフティーネットとしては受託者責任というのがあるでしょうけれども、事後のセーフティーネットとしてどうしてもこの支払い保証制度というものは必要であろうという認識を強く持っておりますので、そこが今回の法案に盛り込まれなかったというのが非常に残念でもありますし、大変憤慨をしているわけでございます。

 そういった面では、やはり労働等の対価としての賃金の後払いという部分のこの退職金の横倒しですから、少なくともそういった面についてはきちっとした保証がなければこれはいかないというふうに思っておりますので、その辺については同様な認識を持っています。

木島委員 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、中川智子君。

中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。

 きょうは、本当にありがとうございました。質問が最後の方ですので、重複するところもあると思いますが、お許し願いたいと思います。

 やはり議論になりますのは支払い保証制度の問題でございまして、検討の途中ではこれが盛り込まれていたのに、結局これが一切入らなかったということで、非常な不安を覚えております。

 お四方に伺いたいのですが、この支払い保証制度、私は経営者の責任というものを回避したのではないかというふうに受けとめているのですが、支払い保証制度に対しての御意見、先ほどの陳述の中で、もう一言という形でお願いしたいと思いますので、堀参考人、中村参考人、向山参考人、庄司参考人にお願いいたします。

堀参考人 支払い保証制度につきましては、私は、必要である、こういうふうに申し上げております。

 私的なものだから、労使の自由だからということで否定する御意見もあるわけですが、私的なもの、私的年金であるからこそ必要ではないか。公的年金は政府がやるわけですから、それが支払われなくなるということは考えにくい。国会での合意があれば別ですけれども、基本的には考えにくい。私的な保険というのは、基本的にはこれは私的責任でやるわけですから、必ず倒産だとかのために支払われないことが起こり得る。したがって、それに対する保険である支払い保証制度は必要ではないか。ただし、私的なものであっても、例えば自賠責、自動車の損害賠償とか、そういったものについても、保険、モラルリスクもありますし、それから自賠責については再保険というような形のものもあります。

 だから、モラルリスクの問題があることは確かなわけですが、これについてもそれを解消できない方法はないと思います。例えば、積み立て基準が違うところについては、積み立て基準が低いところの保険料率は高くする、こういうふうなことも考えられる。ただし、現在厚生年金基金から移ってくるところは積立額がかなり十分ある、片や税制適格年金から移ってくるところは余り積み立てがない、そこで、例えば積み立て基準に応じての保険料率を違わせると、むしろ中小の税制適格年金から移ってくるところの方が保険料率が高くなる、そうすると移行しにくくなる、そういう面もあるわけですね。

 だから、当面は、いろいろなタイプの確定給付型年金について、受給権がしっかりした制度にまずはしていく、その後で、そういったモラルリスクの回避方法を具体的に考える中で支払い保証制度というものを具体化していくべきではないかというふうに思っております。

中村参考人 やはり最大の問題点はモラルハザードだと思っております。健全な財政運営をやっています企業年金が、破綻したような企業年金の損失を穴埋めしなきゃいけないというのは、どうしてもこれはモラルハザードになるというふうに考えております。

 やはり受給権の確保というのは、積み立て義務、財政検証によってそれを行っていくべき、そういうことによってこの企業年金が健全に普及し発展していくものというふうに考えております。

向山参考人 支払い保証につきましては、基本的には私的年金の企業年金だからこそ必要だという私は認識をしております。

 そういった中で、今回の法案の中に、経営者側がよく言われます、積み立て基準はきっちりしている、盛り込まれているんだ、こういうふうに言われていますが、先ほど申しましたように、毎年度ごとの検証の中で、その一年間にどんなことが起こるかわからない、そういった部分の中できちっと積み立てられないというケースも出てきます。そういった中で企業倒産とか経営悪化ということが十分考えられるということが想定をされますので、では、そういった部分をセットで考えなきゃいけないというようなことを思えば、支払い保証制度というのは実質の受給権保護のためには必要だ、こういう認識でおります。

 モラルハザードについては、先ほど言いましたように、やり方によっては、健全に積み立て基準を守ってやっている、法律どおりにやっている。しかし、それを怠ったところがおかしくなったからそこに補てんをしなきゃいけないというのは、これはモラルハザードになるんだというふうになっていても、いずれきちっとやっていても、基本的に企業経営がおかしくなることがありますので、それはトータルとして支払い保証制度をつくった中で、例えばアメリカでやっているような、積み立て度合いがある一定の水準を下回るような状況であれば、それは上乗せ保険料としてメリット保険料みたいな形でさらに追加をする、ペナルティーを科す、そういったことによって保険料を徴収すれば、決してモラルハザードにはならないというふうに私は思っているのです。

庄司参考人 モラルハザードはやはり言いがかりのような感じがして仕方がありません。というのは、現在、健保組合もやっておりますし、基金連合会もやっているわけですね。では、今度、今やるのが悪いということだったら、その制度もやめるのかという格好になってくると思うんですね。

 ですから、今もお話がありましたように、ここのところの倒産、連鎖倒産とか思わぬところで倒産することも出てきますから、やはり中小零細企業のことなども考えれば、そういう保証の制度をきちっとつくっておかないと労働者は安心して働けない、そういうことがあります。

中川(智)委員 ありがとうございます。

 向山参考人に伺いたいのですが、今回、代行返上に際して一定の条件で有価証券などによる物納が認められていますが、私は非常にこれは危険だというふうに考えておりますが、それに対して御開陳をお願いしたいと思います。

向山参考人 先生からの御指摘のとおり、今回の法案の中で厚生年金基金が代行を返上する際に物納を認めておるという問題についてちょっと心配するんだがというような意見ですが、有価証券による物納制度というのは証券取引法に規定する有価証券指数の変動と一致する運用のものという条件があるわけでございますが、こういった条件があったとしましても、株価の下落時には当然運用リスクというものが伴いまして、物納後、厚生年金本体に損失が生じるという可能性もありますし、そうなりますと、厚生年金加入者が不利益をこうむるというおそれも当然あるわけでございます。したがいまして、厚生年金側のリスクをできるだけ回避するという意味でも、厚生年金側に物納を受け入れるかどうかの選択権というか、そういった選択をできる措置を設ける必要があるだろうというふうに考えています。

 また、物納に際しては、有価証券の評価基準、例えば評価額なり評価法、時期というようなものについては法律に明記されておりませんが、こういうものについてもきちっと明記すべきであろうというふうに考えています。

中川(智)委員 再び四人の方に伺いたいのですが、この間、おととしの年金の改正というようなことから始まりまして、堀参考人を初め、やはり年金の不安ということが国民の消費を冷やしている。これは本当にいろいろな方々とお話をしていると、もうもらえないのでしょうとか、受け取れないのでしょうということが当たり前のように語られているほど、今年金に対してのいわゆる不信というのが高まっているように思っております。

 こういうふうに三階部分の話よりも、一階をしっかり固めて、それからというふうに思うわけですけれども、政府の方は二分の一というのを先延ばし先延ばしにいたしまして、二〇〇四年、財源の確保がつけばということで、いわゆる公的な一番の基礎の部分に関して財源の確保云々というふうな形で、国民の不安も、この基礎年金の一番の基礎の部分なわけなんですけれども、そこの一番基本的なところに対して政府の今の姿勢、財源が確保できればということに対しての一般的な質問になりますが、四方からぜひとも一言ずつ御意見をちょうだいしたいと思います。

堀参考人 公的年金の基礎年金の国庫負担率は現在三分の一でございますが、それを二分の一に引き上げる、これは改正法の附則にも明記されております。問題はその財源ということでございますが、財源についてはなかなか私どもが言うのは難しい面がある。

 引き上げの必要性は私はあると思います。というのは、引き上げないと、特に第一号被保険者、自営業者の保険料額が負担できなくなるほど高くなる。ちょっとその正確な数字は忘れましたけれども、第一号被保険者の保険料額、現在一万三千三百円ですが、引き上げないと二万四千円か五千円、二人分で月五万円ということになる、現在の価格ですね。これはなかなか負担できない。二分の一にすれば月一万八千円ぐらいで済む。

 それから、国庫負担が三分の一から二分の一になれば、保険料の未納とか制度未加入ということに対してもいい影響を与えるのではないか、そういうふうに思います。

 財源ですけれども、消費税の引き上げしかないとは思いますが、消費税の消費需要に対する影響の問題とか、それから、私は税方式に反対する一つの理由は、今、国家財政が非常にひどい状態になっているわけですね。来年度末で六百六十六兆円の長期債務がある。その中で、財政再建の財源としては消費税しかないと私は思っているんですね。そうすると、消費税を年金なりあるいは高齢者の医療なり介護なりの財源に回すということは現実的ではない。そういった中でどうするかというのは非常に難しい問題で、消費税しかないとは思いますけれども、ほかの財源で手当てするということも考える必要があると思います。

中村参考人 この基礎年金部分については、公費の割合を引き上げていかなきゃいけないとは思っております。

 ただ、この基礎年金だけではなくて、やはりあらゆる社会保障の問題、さらには地方財政の問題、税制の問題含めまして、財政構造改革のグランドデザインをぜひ示すべきだと思います。今すぐやるということではなくて、将来こういうふうにやるべきだと。その中には当然消費税の引き上げということも出てくると思いますが、やはりそれを国民に示すことによって、国民に将来こうなるんだという明確な道筋を示すべきだと思っております。

向山参考人 今のお話のように、これは年金だけの問題ではなくて、やはり社会保障全体の問題の中に、年金、医療、介護、そういった福祉関係、トータルで国民に今後どういう姿を示していくのかという、給付水準なり負担のあり方なり、そういった部分をやはり示すべきだろうというふうに思っています。

 そういったものがなし崩し的に、取りやすいところから取り、削りやすいところから削ってきたというような今までのパッチワーク的な改正が大きな問題を引き起こしているということで、根本的な部分を大きくトータルビジョンとして国民に示すべきだろうというふうに考えています。

庄司参考人 今も、ゼネコンや商業、サービス部門その他にどうやって公的に資金を投入するか、そこへ出てくる話は、十五兆円、三十兆円とかで救済するという非常にでかい話で、片一方、基礎年金の財源引き上げの問題、これについてはなかなか財源が見つからない、見つからない。片一方の言うこととこっちの言うことと全然つじつまが合っていないような感じがします。

 それからもう一つは、私たちが納めている税金が給付になってどうはね返ってきているのかですね。国民負担率、高い高いということを言いますけれども、私たちが計算した国際比較を見ましても、納めた保険料や税金が実際社会保障の給付となってどれだけ還元されているかといいますと、我が国の場合、非常にその率が低い。これがやはり、今の国民年金の空洞化の問題なんかもそんなところに一つの原因があるんじゃないかと思います。

中川(智)委員 どうもありがとうございました。

鈴木委員長 次に、小池百合子君。

小池委員 保守党の小池百合子でございます。

 本日は、参考人の皆様方、大変ありがとうございます。私が最後の質問者でございますので、よろしくおつき合いのほどお願いを申し上げたいと存じます。

 まず最初に、皆様方が御指摘になられました点でございますけれども、最近の日本経済の情勢、そしてまた、これから進んでまいります例えば緊急経済対策などを考えましても、雇用ということが大変大きなポイントになってくるわけでございます。特に、不良債権の処理ということをいたしますと、昨日も竹中大臣の方も、数十万人の失業者が出てくるであろうということも数字を挙げて、明確ではないですが、漠たる数字を挙げておっしゃっておられました。そういった意味で、年金というのも一番将来に対してのつえと申しましょうか、一人一人にとって非常に大きな安心につながるものであるということは言うまでもないと思います。

 そして、皆様方、何点かの御指摘、御批判もございましたけれども、基本的には、今回のこの確定給付並びに続く確定拠出、この私的年金についての構造改革といいましょうか、仕組みを変えていく必要性については、お話の中で受けとめられたと思っております。

 その中で、お三方に共通していた御指摘でございますが、ポータブル化でございます。この後で審議に入らせていただきます確定拠出は、まさにそのポータブル化ということの特徴を持っている企業年金のシステムでございます。雇用が流動化する、一人一人の勤め先が、終身雇用で一つの会社で勤め上げるということから、あちこちの会社を転々とする、それがこれまでのようなマイナスのイメージではなく、もしくは現実的にそうせざるを得なくなるというような状況になっている中で、年金のポータブル化ということは大変重要なポイントであると思います。

 ただ、本日、特にお二方でしょうか、堀参考人、向山参考人の方から、確定給付のポータブル化ということで御指摘がございました。私は、これはシステムの、制度の設計上なかなか難しいのではないかと。よほど新しい、例えば納税者番号制ではございませんが、そういった形のものを明確なものにしていかないと、A社からB社に移る際に確定給付まで持っていくというのはなかなか現実には難しいのではないかと思います。

 幾つかそのための方策もお示しをいただきましたけれども、この確定給付でのポータブル化について、もう一言お二言、お二方にお話を伺いたいと存じます。

堀参考人 基本的には、ポータブル化というのは、御指摘のように、今後の雇用の流動化を踏まえると極めて重要なことではないか。従来のような確定給付型の企業年金が通算できないということは、これは転職を非常に困難ならしめる、そういうことも指摘されておりました。確定拠出年金ができれば、そういうポータブル化が可能になるわけですが。確定給付型というのは、それぞれの企業で基準というか、資格とかあるいは拠出とか給付が違っておりますので、それをポータブル化するのは非常に難しい面があると思います。

 聞くところによりますと、アメリカではIRAという個人年金に移す、退職した会社の脱退一時金をそこに移すというような形で年金権につなげる、そういうふうなことが可能であるように聞いております。

 日本におきましても、確定拠出型の個人年金なりあるいは企業年金ができれば、脱退一時金をそこに移すという形で、今までのように一時金をもらってそれを使うという形ではなくて、そこに移して、それを年金につなげていくという形でポータブルを図る、これは、実際上は確定給付型のポータブル化ではないんですが、年金権につなげるという意味では一種のポータブルではないか、そういった形で可能にさせる必要がある。

 その場合に、税金の問題、脱退一時金をもらうときに税金がかかるとか、かかったもので再度年金化するとまた問題が起こりますので、その辺の手当てをする必要があるんではないかと思います。

向山参考人 今、就業構造なり産業構造の変化に伴いましてそういった転職ということがこれから多くなってくる場合に、やはり年金のポータブルというものは必要だろう、御指摘のとおりだというふうに認識をしています。

 その中で、確定拠出型年金、四〇一kがそういったものには最適だ、こういうような御指摘もありますが、四〇一kでも行った先に四〇一kがなければポータブルはできないわけでございまして、そういった面では相手先にあることが条件という部分は事実であります。確定拠出だからといって必ずポータブルができるかということはないわけでございまして、そういった面ではやはり行った先にその制度がなければ意味がないということをまず御指摘しておきたいと思います。

 それともう一つは、確定給付の中でポータブルというのは非常に難しいという御指摘なんですが、これは御指摘のとおりだと思うんです。

 やり方としては、先ほどもちょっとお話ししましたように、一たんそこで退職したときに個人勘定として持って、一応そこで新しい会社に行くわけですが、その期間を通算するという形と、幾つかの人たちが新しい会社に来たときに、従来の従業員とそうでない転職で来た人のグループを別勘定をつくってやる。それが十分かどうかというのはわかりませんが、そういったやり方も幾つか検討すれば確定給付でもポータブルはできるのかなというふうにも思っております。

 ただ、税制上の問題については別途措置を講じなきゃならないというふうには考えています。

小池委員 それから、年金の御専門の堀先生にもう一度別の観点からのお話を伺いたいのでございます。

 今は政府も宣言をするほどデフレ状態でございます。やはり、年金の設計というのは経済がずっとインフレの状態の中でいろいろと設計をしていくものでありましょうが、デフレにあるということとそれから年金の設計、これは確定給付にしろ公的年金にしろ、また全然別の話で年金そのものの考え方でございますけれども、そのあたりは一体どのように考えていけばよろしいのでしょうか。

堀参考人 経済との関係というのはなかなか難しい問題で、経済学者によってもいろいろ考え方が違うということです。年金だけではなくて社会保障全体は景気を安定化させる機能がある、そういうふうに言われています。ビルトインスタビライザー。

 年金で申し上げますと、例えばインフレであろうがデフレであろうが、恒常的に年金を支出する。支出した年金というのは購買力に回る。そうすると、それは購買力がある程度確保される。だから、デフレのときには購買力が縮小するわけですが、年金を支給することによって高齢者が恒常的に支出をすることによって経済のサイクルを安定化させる、そういう機能があるというふうに言われています。

 ただ、デフレだとお金の価値が高まるということでございますから、物を買うよりもお金として持っておく。そうすると、年金受給者も買わないで持っておく、そういうマインド、インフレマインドに対してデフレマインドができると、なかなか経済に対してもいい影響を与えない。その根底にはやはり生活不安というか、雇用不安なりあるいは社会保障不安、金融不安、生活不安があるというふうに思います。

 そこで、いろいろなことが考えられるわけですが、将来に対しても年金は確実に支給されるんだ、あるいは老後は医療も介護も保障されるんだ、そういう保障を与えることによって、物を買う、今買っても大丈夫だと。

 何か話によりますと、きんさん、ぎんさんは老後に備えて貯蓄をした、こういうことを言われておりますけれども、そういうような、デフレというお金の価値が高まるということじゃなくて、消費をしても将来は安心だ、そういうことが必要で、年金制度もそういうことに対して寄与をする必要があるのではないかというふうに思います。

小池委員 年金は非常に長い年月の中でのシステム設計でございますから、ただ、今がデフレで、ひょっとしたら今後どうなるかわからないわけでございます。

 また、先ほどきんさん、ぎんさんのお話をされましたけれども、年金が貯蓄に回る唯一の国が日本であるというふうに言われております。年金というのは将来の生活を支援するためのお金であるわけでございますが、それが貯蓄に回って個人の資産形成の支援に回っているということで、いろいろな意味で、先ほど財政構造改革の必要性の御指摘がございましたが、日本における年金ということも実は冷静に考えていく必要もあるのかなというふうに私は思っております。

 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。

鈴木委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 参考人の皆様方におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時六分開議

鈴木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 午前に引き続き、内閣提出、確定給付企業年金法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として財務省大臣官房審議官木村幸俊君、厚生労働省労働基準局長日比徹君、年金局長辻哲夫君及び社会保険庁運営部長冨岡悟君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北村誠吾君。

北村(誠)委員 自由民主党長崎四区の北村誠吾でございます。

 確定給付企業年金法案について質問をさせていただくわけでありますが、その前に一言お礼と今後のお願いをさせていただきたいと思います。

 先日来、職業能力開発局を中心として、坂口厚生労働大臣のもと、IT化に対応した総合的な職業能力開発の施策の推進のために、全国でIT化能力開発支援センターというものが展開されております。このセンターが全国各地で受講の希望者を募集しましたところ、予想以上に、私の出身県長崎など、これまでパソコンの保有率が全国四十三位などという非常に悲しい数字であったところ、有職者、在職者の方々も、ぜひこの制度によって訓練を受けたいというふうな方が大変ふえました。

 もともとの予算及び計画数の二倍に余る応募者があって、一時の混乱はありましたけれども、関係当局の適切な対応によって受講がかなうようになった。また、次の年度に向けて非常に国民、県民の期待が大きいという状況でありますので、今年度及び来年度も引き続き、この労働力の流動化、ミスマッチの解消のために、坂口労働大臣を中心として、ぜひ厚生労働省の皆さん方の御奮闘をお願いしたい。お礼もあわせて、お願いを申し上げる次第であります。

 さて、法案についての質問でありますが、確定給付企業年金法案と確定拠出年金法案は相互に密接に関連をしておると考えるところから、本来、確定拠出年金法案は本法案と一括して早期に審議するべきだと私は考えておるものであります。残念ながら、両法案はそれぞれ別々に審議することになり、今日に至っております。しかし、確定拠出年金法案は二十一世紀に対応した企業年金の構築のために不可欠な制度であり、早期に審議入りした上で、今国会において必ず成立させるべきものであると私は存ずるものでございます。

 さて、今回の法案によります制度の改革についてお尋ねをするわけでありますけれども、二十一世紀を迎えた我が国は、他の国に例を見ないスピードで少子高齢化が進んでおると言われ、現在は人口全体に占める六十五歳以上の人口の割合が約一七%であるのに対し、二十一世紀の半ばに至るまでにはその割合が三〇%をはるかに超える見込みであると言われております。

 近年、離職、転職がふえ、雇用の流動化が進むなど、社会経済情勢も大きく変化をいたしております。今年一月に厚生省と労働省が統合され、新たに厚生労働省が誕生したところでありますが、医療、介護、雇用、年金といった分野は相互に関連しており、世界に類例を見ない少子化、高齢化に対応するため、これらを総合的、包括的に改革し、統合のメリットを発揮することが求められております。

 三月三十日には社会保障改革大綱がまとめられ、政府・与党として今後取り組む改革の方向性が示されたところでございます。政府として、社会保障改革大綱を踏まえて、社会保障制度全般について、今後、具体的にはどのように改革を進めていくお考えか、まずお尋ねをいたします。

坂口国務大臣 社会保障制度改革につきましては、三月の末でございましたか、政府・与党社会保障改革協議会におきまして社会保障改革大綱が決定されたところでございます。

 改革の理念でございますとか基本的な考え方をこの中で明らかにいたしておりますが、具体的に、年金、医療、介護を初めといたしました社会保障の今後のあり方、具体的な問題は、いよいよこれからプロジェクトチームをつくりまして、そこで練り上げていくというのが現在のところのスケジュールでございます。

 恐らくことしの年末までにその大綱が示されるだろうというふうに思いますが、とりわけ医療の方は、来年の通常国会におきまして医療改革の法律案を出さなければならないということがございますから、最も急がれているわけでございます。したがいまして、ことしの秋には大体の方向性が決定をされて、そして具体化をしていくということがなければ間に合わないわけでございますので、医療改革を優先させながら、年金の問題も介護の問題もそれにあわせて具体化されていくものというふうに思っている次第でございます。

 そうした状況でありますことをまず御報告を申し上げておきたいと思います。

北村(誠)委員 年金の制度にはさまざまな制度が並立してあるというふうに多くの国民は受けとめており、大変複雑でなかなかわかりにくいというのが現状であると思います。

 公的年金は、国が責任を持って適切に運営している限り、予算委員会で、ちょうどこの場で小泉総理大臣も申されたように、適切に運営している限り公的年金はつぶれることがないということに対し、企業年金はあくまで企業の責任で行うものであり、きょう午前の参考人に対する質疑の中でも大方の参考人が述べられたように、企業年金は私的年金であるというふうなことであり、基本的に役割が異なるものであると考えるわけであります。

 この両者が、ややもすると混同されたり、年金制度全体に漠然とした不安感が広がっておるというふうなことはまことに残念であります。このような不安感を払拭するためにも、いわゆる三階部分の年金制度である企業年金については制度改革を行うことが必要である、言うまでもありません。

 そこでお尋ねしますけれども、午前の参考人の質疑の中で、我が棚橋委員も参考人の方々にそれぞれお尋ねになったわけでありますが、公的年金と私的年金がどのように役割が異なるのか、整理の意味も兼ねて改めて政府にお尋ねをいたす次第であります。よろしくお願いします。

 それともう一つ、時間がないので済みません。今回の法案で現行の企業年金は具体的にどのようによくなるというふうに言えるのか、私たちが地元に帰って説明ができるように、できれば平たく教えていただきたいなと思うのでありますけれども、本法律の制定の基本理念と位置づけに関する考え、これもまたあわせてお尋ねをしたいと思いますので、お願いします。

桝屋副大臣 二点についてお尋ねをいただきました。

 最初は、公的年金と私的年金。今回の企業年金は私的年金という整理をされてのお尋ねでございます。

 国民年金それから厚生年金などの公的年金、これは、国民の老後を支えるため社会全体で世代間扶養を行う仕組みでございまして、高齢者の生活の基本部分を終身にわたり確実に支えるということをその役割としていると考えております。

 具体的には、老後生活の基礎的な費用を賄う基礎年金を全国民共通の給付として保障するとともに、被用者に対しましては、退職後に賃金収入がなくなることに配慮いたしまして報酬比例の年金を保障するというものでございまして、被用者の場合、両者合わせて現役世代の手取り年収のおおむね六割を確保するということを目標としているわけでございます。

 一方、企業年金などの私的年金につきましては、個人や企業の自己努力に基づきまして掛金を積み立てて運用し、そこから給付を行うということでございまして、公的年金と相まって、多様化する老後のニーズにこたえて、より豊かな老後生活を実現するものでありまして、少子高齢化が一層進んでいく中で、私的年金の充実がますます求められているというふうに考えているところでございます。

 そこで、委員お尋ねの、では今回のこの確定給付の法案でどういうことがよくなるのかということでございます。

 確定給付型の企業年金といたしましては、厚生年金基金とそれから税制適格年金、二つあるわけでありますが、近年の経済環境のもとで企業倒産の際に年金資産が十分に確保されていないという事例も出てきておりまして、受給権保護のための制度整備が必要となっているという認識でございます。

 したがいまして、この法案におきましては、積み立て義務の設定、それから受託者責任の明確化、さらには情報開示などの措置を統一的に定めて、これにより年金の受給権の保護がきちんとなされるものであります。それから、厚生年金基金の代行返上を可能とするということで、企業年金相互間の移行を可能といたしまして、企業合併などにも企業年金は柔軟に対応できる、こういう体制を目指すものでございます。

 このように、企業年金の受給権保護を確保することによりまして、公的年金と相まって、国民の老後の所得確保の一層の充実が図られるとともに、我が国経済の構造改革にも資することができるようになるというふうに考えているものでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

北村(誠)委員 次に、年金税制についてお尋ねをします。

 私たちの国の企業年金の税制につきましては、企業年金の掛金が全額損金の扱い、そして非課税となっています。一方、運用時には特別法人税が課せられており、積立金の一%を毎年納税するということになっております。また、給付時には公的年金等控除があるため、実質的には非課税に近い扱いとなっております。

 しかし、午前中の参考人の御意見にもありましたように、この企業年金の積立金に課せられる特別法人税の負担はかなり重いのではないかなというふうに思います。現在、特別法人税については、今般の企業年金の運用の低迷に配慮して、平成十四年までの暫定措置として課税が凍結をされている状況にございます。それから先のこと、これは今後検討することというふうになっておるわけでございます。これは、一つの認識としてとらえておきます。

 そして、企業年金についての税制のあり方については、給付時の課税をどうするかなど、あわせて検討すべき大変困難な課題があるということも承知しておりますが、いつまでも二年ごとに暫定措置を繰り返していくというわけにもいかないと思います。やはり、特別法人税を初め、拠出時、運用時、給付時を通じて、年金税制全体の見直しは避けられないというふうに思うわけですけれども、政府全体として、今後この年金税制をどう見直していくおつもりか、今後どう検討していくおつもりがあるか、答えられる範囲でお答えをいただきたいと思います。

辻政府参考人 今御指摘ございましたように、特別法人税は、法人税法上、新たな確定給付企業年金に対しまして本則としては課税されるということになっておりますが、御指摘のとおり、大変低金利であるといった状況のもとで、今凍結されているところでございます。

 今後の見通しでございますが、平成十五年以降の特別法人税のあり方を含めまして、年金税制全体のあり方につきましてはさまざま既に議論が行われておりまして、今後、政府税調等各方面におきまして、御指摘ございましたように、運用だけではなくて、拠出、運用、給付、各段階を通じた負担の適正化へ向けた総合的な検討が行われるというふうに私ども承知しておりまして、このような動向を踏まえつつ対応してまいりたいと考えております。

北村(誠)委員 次に、適格退職年金から新しい制度の年金へ円滑な移行をするための措置についてお尋ねをいたしたいと思います。

 この法案では、適格退職年金は、受給権保護の仕組みが不十分な制度であるので、十年間を期限として廃止することとなっています。このため、現在、適格退職年金を実施している企業は、それまでの間に、すなわち十年の間に、受給権保護の制度が整備された新しい企業年金などへ移行し、今後は積み立て基準に従って積み立てを行うことが必要になるとなっております。

 しかし、積み立て不足を抱えている企業年金が数多く存在すると言われる今日、またこの非常に厳しい経済状況の中にあって、余裕のある企業であれば何とか対応できるかもしれませんけれども、厳しい経営を強いられておる状況にある中小企業等では、積み立て不足を埋めるための資金的余裕がない企業も多いのではないかというふうに思われます。またそういうことも聞いております。

 そこでお尋ねをするわけでありますけれども、適格退職年金はこれまで中小企業を中心として広く普及定着をしてきており、適格退職年金から新企業年金への移行を円滑に行うための措置が不可欠であるというふうに考えるわけでありますけれども、中小企業などに対してどのようなことをやろうとなさっておるのか、まず一つお尋ねをします。

 さらに、午前中にもるるお話がありましたが、企業年金制度が確立してから四十年近くが経過しております。いまだに、民間サラリーマン、おおよそ三千二百万人と言われるそうでありますが、約二分の一しか企業年金でカバーをされていないということでございます。そのカバーをされていない企業の多くが中小零細企業ではないか、私の調べではそういうふうに考えられます。そこで、中小零細企業への企業年金の拡大を今後どのように図っていかれるおつもりか、お尋ねをします。

 これで私の質問を終わるわけですが、御答弁をお願いします。

辻政府参考人 まず、御指摘のように、十年間の経過措置、経過期間を設けて移行を図るということでございます。これが中小企業に対しましても円滑に進みますように、そのような配慮といたしましては、一番大きな問題は、積み立て不足を解消するという問題があるわけでございます。

 これにつきましては、この十年の経過措置があるということを踏まえまして、今、厚生年金基金では最長で二十年ぐらいかけて積み立て不足を解消するということになっていますが、この十年というものも踏まえまして、最長で三十年間、ゆっくりとしかし確実に解消していただくというような猶予を置き、そして着実に対応できるようにするといった配慮。

 あるいは、特に中小企業に対しましては、これからは、積み立てという意味では財政再計算という新たな仕事も加わるわけでございますから、これにつきましては簡易な財政再計算等の方法を示して、あるいは給付設計に関しては、適切な、かたい、新たな受給資格期間を付加することを一定の要件のもとに軽減する。こういったようなさまざまな配慮を行い、なるべく中小企業に対しまして、より新たな企業年金が及ぶように配慮をいたしております。

 また、多くの中小企業は確定給付の企業年金そのものが今入っていないんではないかと御指摘がございました。

 これにつきましては、冒頭から御議論の中で、企業年金の多様な選択肢として、確定拠出年金を導入するための法案というのを提出させていただいております。確定給付は難しくても、この確定拠出は、中小零細企業などには非常に普及しやすい、あるいは、転職の際の年金資産の移しかえ、すなわちポータビリティーが十分確保されて、労働移動に対応しやすいといった特徴がありまして、中小企業の関係者の期待に沿うものだと考えております。

 このことを含めまして、企業年金が中小企業により及びますように努力をしてまいりたいと考えております。

北村(誠)委員 少し時間がありますので、質問はしませんが、特にお願いをしたい点だけ申し上げさせていただきます。

 今局長より答弁がございまして、よくわかります。特に、午前中の参考人の四人の方々の御意見や識見を承ることで感じましたことは、働く人々に、それぞれが会社とともどもに自由な設計で自主的に自己責任で掛けてきて、それが、いかなる事情であれ、最後に受給権が守られないというふうなことは悲しいことだというふうに思いますから、経営者側も、あるいは働く人も、それぞれが一定の政府の決めた仕組みに基づいて誠実に積み立てをして、その努力を重ねた場合には、やはりきちっと受給権が守られるというふうなことで進めていただけるようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

鈴木委員長 次に、江田康幸君。

江田委員 確定給付企業年金法案の審議も既に三回目となり、議論も大分深まってきております。

 申しおくれましたが、公明党の江田康幸でございます。質問させていただきます。

 本日は、確定給付企業年金法案の持つ意義について確認をさせていただいて、また、この法案の目指す企業年金の受給権の保護がしっかりと図られるために必要なこと、さらに、一緒に提出されております確定拠出年金法案との関係について質問をさせていただこうと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、現在、景気の低迷が長引いており、国民は将来に対して強い不安感を抱くようになっております。それが消費の低迷の一因となってさらに景気の回復をおくらせている、そういう悪循環にある。この将来に対する不安のうちで最も大きなのはやはり老後に対する不安であろうかと思います。その中でも、介護、医療に関する不安に並んで、退職した後の生活費、この問題は、程度の差こそあれ、ほとんどの人が抱えている大きな不安だと思われます。

 こうした中で、今回の法案は、確定給付型の企業年金について確実に年金がもらえる受給権の保護を強化するための法案ということであり、この法案が成立し、企業年金がしっかりともらえるようになれば、老後の不安の大きな部分である生活費に関する心配の解消にも大いに役立つもの、そのように思われます。

 午前中の参考人質疑にも論議されておりましたが、老後の年金は企業年金だけで賄うわけではもちろんなくて、厚生年金など公的年金がしっかりと下支えしていく、それがあってこそのものだと思います。そのためにも、公的年金はこれからも国がしっかりと支えていくんだという姿勢が大前提だと思っておりますが、基礎年金の公費部分を二分の一に引き上げるとか、副大臣はその点についてどのようにお考えでありましょうか。

桝屋副大臣 今議題になっております確定給付、いわゆる企業年金ではなくて、そのベースにあります公的年金、この部分のお尋ねでございます。

 おっしゃるように、坂口大臣は、年金、医療、介護という三つを並べまして、そのベースはやはり年金ではないか、特に老後の所得保障という観点から年金の持続的な運営ということが極めて大事だと常々申しておりまして、特に先般、社会保障改革大綱、与党三党それから政府合わせまして議論をしまして、大綱を取りまとめました。その大綱の具体的な推進方策を今議論させていただいております。

 そうした中で、当面の課題は医療保険制度でありますけれども、当然ながら、年金それから医療、介護と、社会保障全体の姿として議論させていただこうということで、今鋭意取り組みをさせていただいております。その中で、国庫負担の二分の一についてはできるだけ早くという大臣の思いもありまして、そうした意も踏まえまして、しっかりとワーキングチームの中で議論をしていきたい、このように思っているところでございます。

江田委員 本法案の前提となりますのはやはり公的年金のしっかりとした構築にあるというのは、午前中の参考人の論議でも行われておりました。しっかりとそのように支えていかれることを強く要望いたします。

 まず、本法案の中身につきまして、受給権の保護、一番大事なことであるかと思いますが、これを強化するという趣旨についてはもちろん大賛成でございます。しかし、まだ多少不安な点もございますので、具体的に検討させていただきたいと思います。

 まず、受給権の保護のための措置についてでございますが、今回の法案では、受給権保護のために、積み立て義務、受託者責任、そして情報開示、この三つが大事であると。その中で、積み立て義務と情報開示につきましてはこれまでも多く論じておりますので、今回は、受給権保護のもう一つの柱であります企業年金の運用にかかわる人の責任、すなわち受託者責任についてお聞かせいただきます。

 この受託者責任につきまして、法案では、事業主など企業年金の関係者の加入者等に対する忠実義務などの責任を規定するとともに、利益相反行為の禁止など行為準則を設けております。

 確かに、この受託者責任の規定を置くことによりまして、企業の経営者など大切な企業年金を預かる立場の人の責任が明らかになり、その自覚も高まると考えられます。しかし、幾ら立派な規定を設けたとしても、企業の経営者や従業員といった企業年金の関係者が受託者責任の具体的な内容を十分に認識しなくては意味がないと考えます。そのため、法案が成立した後には、受託者責任の理念及び内容を普及定着させることが非常に大事かと思いますが、政府はこれに対してどのように対処するおつもりなのか、お聞かせいただきます。

辻政府参考人 まず、受託者責任そのものについて、この法律の体系を御説明申し上げたいと思います。

 受託者責任は、事業主、いわば企業年金の原点である事業主、そして運用を行う場合の企業年金基金の理事、そして企業年金基金が運用を委託する具体的な運用機関である運用受託機関、こういった各般にわたりまして受託者責任というものをこの法律によって設けております。

 例えば事業主につきましては、法令はもとより、厚生労働大臣の処分及び年金規約を遵守して、加入者等のため、あるいは加入者等のためのみにという意味でございますけれども、その業務を遂行しなければならないという忠実義務がありまして、あわせまして、第三者の利益を図る目的を持って資産運用管理契約を締結することなどを禁じております。

 それから、企業年金基金の理事につきましては、基金に対する、いわば基金のためのみの業務遂行という忠実義務、そして、自己ないしは第三者を利するための行為は一切してはならず、またその任務を怠った場合には損害賠償義務が生じるといったこと。

 そして、年金資産の運用及び管理を行う受託機関につきましても、加入者あるいは基金のためのみに業務を遂行しなければならない、こういった非常に厳格な規定が各般にわたって入っております。

 この理念、内容につきましては、まさしく関係者が十分認識して初めて実効あるものでございますので、私ども政府といたしましても、経済団体、運用機関関係団体などを通じまして、この受託者責任の理念や内容が十分周知され、普及されるように努力をいたしまして、その定着を図り、企業年金の受給権保護に万全を期するようにしてまいりたいと考えております。

江田委員 私も受託者責任はこの法案の大きな柱であると思います。情報開示の規定とも密接に関係するかと思います。しっかりと普及させていただくようによろしくお願いいたします。

 次に、適格退職年金からの移行について伺わせていただきます。

 法案では、現在、中小企業などで多く導入されております適格退職年金につきまして、一定期間の後に新たな企業年金に移行させることとされております。しかし、現在、適格退職年金には一千万人近い加入者がおり、これをすべて移すということは非常に大変なことだと思います。それでもなお適格退職年金をやめて新たな企業年金に移す理由を改めて聞かせていただき、また、適格退職年金から新しい企業年金に移ることについて、加入者にとってどのようなメリットがあるか、これらを、改めてになるかと思いますが、お聞かせ願います。

辻政府参考人 まず、あえて移行を図るということでございますけれども、確定給付型の企業年金としては、厚生年金基金あるいは今御指摘の適格退職年金があるわけですが、近年の厳しい経済環境のもとで、企業倒産の際などに年金資産が十分に確保されていない、いわば約束どおりの給付ができないといった事例が生じてきておりまして、この背景といたしましては、適格退職年金については積み立て義務はないといった、受給権保護のための規定整備が必要となってきているということでございます。

 適格退職年金につきましては、根拠が税制上の制度でございますので、現行の税法の体系の中では受給権保護のための措置を講ずることは困難であるということから、新制度に基づく受給権保護がかかるようにするという措置をとるものでございます。

 今御指摘ありましたように、積み立て義務を設定するとともに、受託者責任といったものを明確化いたしまして、また情報開示も義務づける、あるいは努力していただくといったような統一的な措置がとられることによりまして、受給権の保護が図られるというメリットが具体的に加入者に生じると考えております。

江田委員 今御説明されましたが、つまり、適格退職年金は受給権の保護のための措置が不完全である、そのために、受給権の保護が図られた新しい企業年金をつくって、そこに徐々に移していくということであるかと思います。適格退職年金を新たな企業年金に移すことは、それが皆さんの大切な年金の受給権を保護する観点からベストだということがよくわかりました。

 しかし、適格退職年金を行っている企業が本当に新企業年金にちゃんと移れるのか、その点が心配でございます。当委員会におけるこれまでの議論では、新企業年金に移行せずに企業年金そのものをやめてしまうような企業が出ないように適切な措置を講ずるということでございましたが、どのような措置を講ずるのか確認をいたします。また、特に適格退職年金を多く採用しております中小企業の皆さんにとって、新制度への移行が負担になるようなことがないのか、これについて副大臣にお願いいたします。

桝屋副大臣 委員も今お話しになったとおり、適格退職年金は、一定の期間の間に受給権保護のための措置のある新制度に移行していただくということを基本としている。そして、緩やかにというお話をいただきましたけれども、十年間の移行期間を設けるということにしているわけであります。ただ、この十年間の間に相当な配慮をしなければ、御指摘のように中小企業ということになりますので、その辺を配慮しなければならぬだろうということでございます。

 具体的には、先ほども議論がありましたけれども、積み立て不足の解消については原則として二十年という線でありますけれども、適格退職年金から移行してくる新企業年金につきましては特例としてさらに十年ということで、合わせて三十年というようなことも考えているわけでありますし、中小企業を対象とした簡易な財政再計算等の方法をお示しするということも考えております。それから、移行時に既に加入している人については、従前の受給資格期間をもとに給付設計を行うことなどを考えているところでございます。

 あわせまして、移行先については、企業の実情に応じて、新制度のほか、これから議論していただきますが、確定拠出年金や中退金への移行も可能としているということでございます。

 これらの措置によりまして、委員御指摘のように、企業に過重な負担がかからずに、適格退職年金からの円滑な移行が図られるものというふうに考えておるところでございます。

江田委員 せっかくいい制度でございますので、どうぞ円滑な移行が進むように、しっかりとした対策を講じていただきたいと思います。

 さて、現在、日本経済はグローバル化が進んでおります。企業は世界レベルでの競争に巻き込まれるようになってきております。この中で生き残るために、企業は、ほかの企業を買収したり、また合併や分割をするといったことが普通になってきておりますが、一つの企業がずっとそのままで続いていくというわけではなくなっている状況であります。

 こうした企業再編の動きが活発になる中で、企業年金もそれに対応した柔軟な仕組みが求められていると思いますが、今回の法案では、このような企業再編に対しどのような対策を講じておられるのか、お伺いいたします。

辻政府参考人 まず、これまでの企業再編等に関連します制度の状況でございますけれども、厚生年金基金から適格退職年金への移行というものは認められておりません。したがいまして、厚生年金基金を実施している企業と適格退職年金を実施している企業が合併しました場合、合併後の企業は厚生年金基金しか採用できなかったということでございます。

 今回の法案では、適格退職年金を新企業年金に移行させることを含めまして、確定給付型の企業年金につきまして統一的な枠組みを設けた。具体的には、これによりまして、新企業年金と厚生年金基金は、一方通行ではなくて相互で移行が可能である。あるいは、新企業年金や厚生年金基金から、現在法案を提出させていただいております確定拠出年金への移行もできるという形をつくる。

 これによりまして、異なる種類の企業年金を実施している企業が合併した場合でも、企業年金制度を容易に統合することができるようになりますので、企業合併に柔軟に対応できるようになる、このようなメリットが生ずるものと考えております。

江田委員 ありがとうございます。これもまた本法案の新たな企業年金制度の大きなメリットの一つであるかと思います。

 さらに、現在、労働市場の一部では、これまで一般的でありました終身雇用制が徐々に崩れてきております。人々が今よりもいい仕事を探したり、企業も中途採用で必要な人材を集めたりする、いわゆる雇用の流動化が進んでいると思われます。

 確定給付企業年金法案と一緒に提出されております確定拠出年金法案は、転職をしても、もとの企業年金の持ち分を転職先の企業に持っていくことができるというものでございまして、長期勤続を前提とすることが一般的な確定給付型の企業年金に比べて、雇用の流動化に対応しやすい企業年金と言うことができるかと思います。

 また、確定拠出年金は、新たな産業が円滑に必要な人材を確保する上で重要な役割を担うものであり、国際競争に勝てる日本経済の再構築に必須のものとも考えます。

 両法案が成立しますと、確定給付型の企業年金と確定拠出型の企業年金の両方が併存することになります。この二種類の企業年金それぞれにも多くのメリットがあると思いますが、それだけではなく、二つがそろうことで新たなメリット、いわば相乗効果といったようなものも生まれてくるのではないかなと考えます。

 確定給付企業年金と確定拠出年金の役割分担、そして、この二つのタイプの企業年金がそろうことによるメリット等について、副大臣にお伺いいたします。

桝屋副大臣 確定給付と確定拠出、この二つのタイプの役割についてのお尋ねでありますけれども、まさに今委員が質問の中でおっしゃったとおりでありまして、確定給付については、将来支給される給付が決まっているという意味では、老後の生活設計がより容易だということでございますし、長期間同じ職場に勤務する方々にとって適しているなということでございます。

 それから確定拠出年金、これから審議をいただきますが、個人単位でいわゆるポータビリティーが確保されているということでありますから、転職の多い職種や企業に適しているという性格づけについては、今お話をいただいたとおりであります。

 この二つをあわせて体制を整備することによってどういうメリットがあるのかということでありますが、場合によっては一つの企業であわせて実施するということも可能でありますし、まさに、各企業の実情、あるいは多様化する雇用形態の中で最適な企業年金のプランづくりということが可能になるのではないか、このように考えているところでございます。

江田委員 ありがとうございました。両法案とも、雇用構造とかライフスタイルが今後大きく多様化する中で、より豊かな老後を送るようにするためには非常に重要な法案であると思いますので、早期の成立を望みます。

 最後に、確定給付企業年金法案、そして拠出年金法案を早期に成立させることにつきまして、大臣の強い御決意をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

坂口国務大臣 ただいまお話をいただきましたように、確定給付企業年金法案、そして確定拠出年金法案、名前がよく似ておりますので間違えそうでございますが、この二つの法律ができ上がることによりまして、現在でき上がっております公的年金にプラスしてこれらができ上がることにより、年金全体が非常に充実するであろうというふうに思っております。

 先ほどからお話ございますように、かなり雇用形態が変わってまいりまして、そして、生涯同じ職場で働くという人が、これからもそういう人もお見えだというふうには思いますけれども、少なくなってまいりました。いろいろな職場を経験されるという方もふえてくるわけでございますから、そうしたこれからの生き方というものに対しましても適応していくような年金でなければなりません。そうしたことも踏まえまして、この二つの年金法案というのは非常に大きな意味を持っているというふうに考えている次第でございます。

 そうした意味で、きょうも熱心に御審議をいただいて感謝を申し上げておりますが、どうかひとつ、御議論をいただき、一日も早く成立をさせていただきますことをお願い申し上げる次第でございます。

江田委員 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、小池百合子君。

小池委員 保守党の小池でございます。よろしくお願いいたします。

 今大臣の方から、今回の確定給付企業年金、そしてこの後審議に入らせていただくことを期待しております拠出年金というのは、非常に間違いやすいというお言葉がございました。

 前にもどなたかがその点でも御質問されていたのですけれども、これは、後にもちょっと無年金者のことなども伺おうと思っているのですが、やはりみんなが年金に対して漠然たる不安を持っているということが、貯蓄に走るというか、個人消費にもつながらないというようなこと。広く大きな意味で考えますと、何か年金はようわからぬ、将来不安だということがどんどんマイナスのスパイラルになっている。

 今回、このように新しいシステムに移行するわけですね。そうするとますますわからなくなるんじゃないかなと思うのですけれども、このネーミングをちょっと工夫されたらいかがでしょうか。大臣、お願いします。

坂口国務大臣 御指摘をいただきますように、年金という言葉ですべてを国民の皆さん方はごらんになる傾向がございます。

 その中には、いわゆる公的年金もありますし、企業年金も含まれております。ただし、それが公的年金であれ企業年金であれ、年金という名前がついていれば、その中のどれか一つが倒産をしたりということになりますと、最近の年金というのは非常に不安定なものだなということでごらんになるという傾向があることも事実でございます。それらの点をもう少しやはり一般の国民の皆さん方がわきまえてと申しますか、わきまえてというのは言葉が悪いですね、国民の皆さん方が識別をちゃんとしていただけるようにこちらが提示するということがやはり大事なんだろうというふうに思っています。

 専門的な意味での法律の名前はこれでもいいかと思いますが、皆さん方に提示するときにはもう少しわかりやすい名前で、わかりやすく提示することが私も大事だと思っております一人でございます。

小池委員 法案の名前を変える必要はないと思います。しかし、一般の方々にはやはりわかりやすく工夫をして、何が変わって、だからあなたの生活はこうなるんですよというふうなガイダンスをしっかりとしていただきたいというのがこの法案成立を見込んでのお願いでございます。

 そしてまた、今回の企業年金の法改正でございますけれども、やはり企業の倒産が相次ぐ、そして最新の完全失業率も四・七%、このところ四・八、四・九と高どまりでございます。そしてまた、これから実際に行ってまいります不良債権処理、このオフバランスなどをいたしますと、きのうも経済財政担当の大臣も数十万人と、中には民間のシンクタンクでは三百万人というような数字まで挙がっているわけでございます。その意味で、これからの企業倒産を考えますと、今回の企業年金の改正ということで少しでもそういった痛みを和らげるという方向につながってほしいものだ。その意味を込めまして、一日も早いこの法案の成立を願っているところでございます。

 そこで、今、無年金者のことについてちらっと単語を挙げさせていただきましたが、年金は、今回の私的年金にせよ公的年金にせよ非常に重要で、かつ一般的にわかりにくいという部分ですが、公的年金の方で、国民年金の加入者の最近の動きがせんだって厚生労働省の方からも発表されたわけでございます。いろいろと担当の方は、だから年金は大丈夫なんですというふうに強調されておりましたが、現実には、この二年間で未納者が全体の一六%を占めるということで、年金の未納者の数がふえているわけでございます。それとともに無年金の方も出てきているということでございますけれども、このあたり、どういうふうに大臣はお考えになっておられるんでしょうか。

桝屋副大臣 大臣もまた後で申し上げるかもしれませんが、年金の無年金の問題につきましては今委員がおっしゃったとおりでありまして、私も常日ごろから心を痛めておる部分であります。特に、御指摘がありましたように未納者がふえている、未加入者がふえているという最近の調査結果もありまして、この問題はずっと続いている問題であります。

 ただ、無年金の方については、特に二十歳前後の部分だろうと思うんですね。それで、二十歳前の障害についてはもう障害年金は受給できるという状況になっておりますし、それから、学生の部分については相当制度を改善したという経緯があるわけであります。ただ、それでもなおかつ無年金になっておられる方があるわけでありまして、私も何度もそういう方々とお話し合いをしてきたところでありますが、いかんせん、社会保険制度の根幹ということがありまして、この問題は容易に解決できる問題ではないだろうというふうに思っております。

 今までも、特に障害年金の部分については、障害者プラン等で、この問題については福祉的な措置も含めて総合的に検討するという事態がずっと続いているわけでありまして、この大きな問題があるということを認識しながら、なおかつ社会保険制度の根幹も容易には変えられないというところで今もあるということをどうぞ御理解いただきたいと思います。

小池委員 今、実情をお話しいただいたかと思います。特に無年金障害者、全国で十万人おられるという数字があるようでございますけれども、年金についての知識が足りなかった、もしくはその辺の理解が足りなかったということで、年金に加入しなかったところが、二十歳を過ぎてある日突然、これは自分で望んでなるわけじゃない、障害者になってしまったということで、ある制度のすき間に入り込んじゃった方々であります。

 裁判といいましょうか、法的にもいろいろと今働きかけをやっておられるようですが、根幹を変えていくのは大変難しいというお話であるならば、次善の策としてさまざまなことを考えていただきたいし、また、この方々はたまたま不幸にして障害者になられたけれども、実はもっと多くの若い方々で、無年金というか、入っていない方は多数おられるわけですね。

 学生さんに対してのこういったPRなどもホームページなどを通じて働きかけておられるようですが、私も二十歳そこいらで自分の年金のことを考えたかといったら、ほとんど考えていないですね。自分だけは年をとらないとみんな思うものでございます、そのころは。ですけれども、やはり年金という、みんなが参加してみんなで支えていくという精神であるならば、このあたりのところをもう少しPRにお努めいただかなければならないと思うのでございますけれども、年金教育の徹底ということについての態度を大臣の方から伺いたいと思います。

冨岡政府参考人 初めに私の方から、現在PRしております教育等について御説明申し上げます。

 先生御指摘の国民年金の私どもの実態調査結果がございましたけれども、その結果によりますと、やはり若い方に未加入の方が多いといったことがございます。そういったことから、やはり無年金者を将来出さないという点からも、若い方に対するPR、本当に将来とも安定した運営で、年金というものは掛けたものが国庫負担がついて返ってくるんですよといった非常に基本的なこと、そういったことからPRする必要性を感じております。

 最近、学生の方に対する具体的な点につきましては、昨年の四月から、在学の方につきましては、在学中は納めなくても、後に十年間にわたって、出世払いというんでしょうか、納められますよという制度も始まりました。こういうことで、大学に赴いたり、それからインターネット、そういったものでPRに努めておりまして、大分普及して利用される方も多くなっております。(小池委員「どれぐらいですか」と呼ぶ)大体二百三十万人ぐらい対象の学生さんがおられるんですが、今のところ百六十万人ぐらいの方がこの制度を申請したというふうに私ども推計いたしております。こういう手続をすれば、障害になられても無年金にならないといったことにつながるわけでございます。

 そういった努力をしておりますし、それから、もうちょっと若い世代から、高校、中学のときから、各都道府県の教育委員会それから学校の先生とも連携しまして、副読本をつくって、また先生や生徒さんに直接御説明する、そういった努力もいたしているところでございます。こういった努力が本当に重要だなと思っておりまして、展開を図ってまいるところでございます。

小池委員 最近、株式市場への個人投資家の参加の促進などということでやっておりますけれども、どうも教育で日本の場合はなかなかそういった根本のことを教えていないような気がいたします。ですから、やはりみんな気になるのは自分自身のことでありますから、それぞれ一人一人がどういうふうになるのかといったような教育の仕方をぜひ心がけていただきたいと思うところでございます。

 それからあと、きょうの朝日新聞にたまたま出ておったんですけれども、「年金空洞化進む恐れ」ということで、地方分権一括法でもって市町村から国への事務移管というのを確かに私どもやらせていただいた、しかし、そうなるとかえって、国の方に集約してしまうと、きめの細かい市町村のこれまでのやり方が、きめがむしろ粗くなってしまって、それこそ無年金者などをまたつくってしまうおそれもあるという指摘でありました。

 確かにそういった点も考えなくてはならないなと思うんでございますけれども、これはいかがでございましょうか、どういう対応でしょうか。

冨岡政府参考人 お答え申し上げます。

 本日報道されました市町村から国への移管という点でございますが、これにつきましては、来年の四月から被保険者の届け出といったことは従来どおり市町村に行うわけでございますが、保険料の収納事務は社会保険事務所が一元的に行うこととなります。

 それで、私ども来年を目指しまして現在準備を進めておりますが、現在国民年金の保険料の納付の実態を見ますと、実は八五%の方が金融機関を通じて納付しておられます。私どもは、そういうことから、まず、現在口座振替を行っておられる方はもちろんのこと、行っていない方についても、その一人一人にそれを勧誘してお勧めする。それから、口座振替じゃなくても金融機関に振り込みに行くという方も多いわけでございますから、まず振り込みができる金融機関をふやすということが重要だと思っております。例えば、現在は市町村の指定金融機関といったところに限定されておりますが、これを、全国の銀行はもちろんのこと、農協、漁協、信用組合、それから全国の郵便局を使えるようにということで、現在国会で関係の法律改正も審議されているところでございます。

 こういったところで、まず場所をふやす。それから、納付されない方につきましては、今必ずしも市町村によってばらばらでございますが、二カ月に一回は納付の勧告の文書を差し上げて注意を促す、そのときには年金制度の重要性も含めまして通知し、また電話でも督促を開始しよう。そういったことで、回数とそれから場所をふやして、きめ細かい体制をつくることを現在検討中でございます。

小池委員 無年金者を出さないということは重要なことでございますし、きめの細かさというのも求められる。でも、お話を聞いていますと、随分コストのかかる話ですね。私どもは、やはり社会保険方式でいくべきではないかということを、道路の特定財源がどうのこうのというのならば社会保障こそ特定財源としてやっていくべきではないか、そうすると無年金者も出ないというような方向を考えなければならないんじゃないかなと改めて主張させていただきたいと思います。

 ところで、話は全く変わるのでございますが、この間一般質疑ができませんでしたので、最近の代理母のことについてちょっと法律的にも伺ってみたいと思っているのでございますけれども、今回、長野県のお医者さんが、不妊に悩む御夫婦の求めに応じて、代理母に出産させたということでございますけれども、母親の定義というのは、法律、民法になろうかと思います、どのようになっているのか、よろしくお願いいたします。

横内副大臣 お答えいたします。

 民法上は母の定義というのはないのでありますけれども、解釈といたしまして、分娩をした女性がその生まれた子供の母であるというふうに解釈をされております。

 具体的には、最高裁判所の判例の昭和三十七年四月二十七日判決というのがありまして、母と子の関係は分娩の事実によって当然発生すると言っておりますので、分娩をした女性が子供の母親になる、そういう解釈になっております。

小池委員 最近は無痛分娩というのがあるようでございますけれども、とにかくおなかを痛めた人が母親であるということだと思います。今回はこのようにして、奥さんの妹さんかお姉さんかのおなかでもってはぐくまれてということでございますけれども、これ、どうなさるんですかね。

 私は、中にはこのニーズもあると思うんです。実際にアメリカまで行って代理母を探すという方々はおられるんですね。少子化、少子化と対策を言うけれども、しかし本当にお子さんを欲しい御夫婦の方がたくさんおられて、もういろいろなことをやっていらっしゃる。そして、不妊治療についても、実は基本的な部分で保険の適用もされていない。人工授精、AIHというんでしょうか、これも二万円強でしょうか、それから体外受精、IVFで五十万から百万、なおかつ成功率が非常に低いということで、本当に望んで子供さんを持ちたいという方々にはいろいろな意味でバックアップをしてさしあげるということが、我が国の抱えている今最大の問題の少子化ということを極めて現実的に解決していく方法ではないかと思うんでございますが。

 この代理母についてはこれからしっかりと検討もされることでございましょう。大臣のお考え、そしてまた、この不妊治療への保険の適用ということをもっと考えるべきではないかということについて、大臣のお考えを伺わせてください。

坂口国務大臣 昨年の十二月でございましたか、厚生科学審議会がございまして、そこで、この生殖補助医療というのですか、こうした生殖にかかわります医療につきましての考え方をまとめていただきましたのと、それから産婦人科学会におきましても大体同様なお考え方をまとめていただきました。

 そのときに、この代理母というのはいけないということで、これにつきましては将来法律をつくって禁止をするという方向で決めていただいたわけでございます。大体三年をめどにしてということで、今その具体的な対策について検討を進めているところでございますが、三年と言っておりますうちに赤ちゃんの方が先に生まれてしまったわけでございまして、一体これをどうするかという問題でございます。

 しかし、今は何ら法律はないわけでございます。先生御指摘をいただきましたように、中には、私の知っている方でも、医療ミスで過って子宮を除去された人がいるわけであります。そうした人は産みたくても自分で産めない。そういう人もいるわけでございますから、そうした人を一体どうするかというような特殊なケースも私はあるというふうに思っておりますが、しかし、一般的に言いますならば、これは禁止をするというのが建前ということに決定をしていただいておりますし、私も建前としましてはそういうことではないかというふうに思っております。

 それから、そのほかの不妊治療につきましての問題につきましては、不妊治療も内容がさまざまでございまして、いろいろあるわけでございます。中にはかなり効率の高いものもありますし、そして既に保険で認められている部分もございますが、全く認められていない部分も多いわけでございます。その中には、確率の非常に低いもの、それから、今お話も出ましたように、倫理上いかがなものかというものも中には含まれておりますので、それらのところをよく分離しながら、不妊治療の中でどこを認め、どこをこれからもっと検討していくかという、その立て分けというのをもう少ししていかないといけないのではないかというふうに思っている次第でございます。

横内副大臣 代理母の法律の問題につきまして、ちょっと法務省の考え方を簡単に御報告をさせていただきたいと思うんです。

 さっき、母というのはそういうものだというふうに定義をしましたが、代理母の場合にそのままそれを適用していいかどうかということにはなりませんでして、やはり最高裁の判例も、この場合のように卵子を提供した人と分娩した人が異なる場合まで適用するわけには必ずしもいかないということがあると思います。

 この問題はまだ法的に未決着な点がありまして、したがいまして、法務省としては、ことしの二月に法制審議会に、代理母も含めた生殖補助医療に伴う親子関係の法律問題というのを諮問しておりまして、現在、法制審の中に部会をつくって検討中でございます。大体三年ぐらいをめどに、その辺の法律関係を整理したいというふうに考えております。

小池委員 もうこれで前例ができてしまっているわけでございますから、三年と言わず、みっちりと内容の濃い審議をしてもらいたいというふうに思っております。ただ、不妊治療のことについてはもう少し積極的にやっていただくようにお願いをいたしまして、質問を終わります。

鈴木委員長 次に、古川元久君。

古川委員 民主党の古川元久でございます。

 本日は、年金の質問に入る前に、坂口大臣に、ハンセン病訴訟の一審判決に対します政府の態度についてお伺いをしたいと思います。

 報道によりますと、きょうの午前中、小泉首相そして福田官房長官と坂口大臣がお話しになられたそうでございますが、この一審判決に対する政府の態度というものは決まったんでしょうか、大臣。

坂口国務大臣 本日、朝九時から、これは官房長官と法務大臣と私と三人での会談でございます。初めてでございますが三者会談をさせていただきまして、率直な意見交換をさせていただいたところでございます。

 そして、そこでは意見の集約を見るに至りませんでしたので、もう一度きょうお昼から、もうお昼でございますが、多分夕方になる、この委員会が終わってからというふうに思っておりますが、もう一度三者会談を持つということになっている、そういう現状にございます。

古川委員 そこで大臣はどのような御意見を表明されたんですか。

坂口国務大臣 今経過中でございますから、内容をつまびらかに申し上げることはできませんけれども、三者の話し合いの中で話がまとまらなかったというのは、大体私がどういうことを申し上げたかということは御理解をいただけるというふうに思います。

古川委員 けさの新聞にも、大臣は、控訴するということを政府が決めるのであれば辞任も辞さずというかたい決意で臨んでおられるというお話が出ているわけでございます。

 この問題は、私は、政治家として、そして政治家の前に一個の人間としてどういう判断をするかということであります。これこそ大臣のお考えのとおり、そして大臣が所属していらっしゃる公明党も控訴はしないということでまとまっておられるようでございますから、ぜひともそこは体を張ってでも、私ども応援をしておりますので、しっかりとした、最後まで妥協することなく、小泉首相も小泉内閣では妥協なき構造改革をやるという、これなんかも今までの発想の法律の枠内とかそういうものじゃなくて、まさに政治的な決断が求められている典型的な例だと思いますから、これ一つを見ても、小泉内閣というものが本当にそういう妥協のない政治をちゃんと行うのかということが明らかになることじゃないかと思います。

 そういった意味では、ぜひ大臣にも、今お話をされようとしたその含意をしっかりと内閣の中でも示していただいて、私どもが納得するような、そして大臣もみずからの意に背かないような結論を出していただきますように切にお願いしたいと思いますが、一言決意を聞かせていただければと思います。

坂口国務大臣 せっかくの機会を与えていただいたわけでございますから、一言だけ申し上げておきたいというふうに思いますが、私は、医療の場におりました人間でございますので、このことに対します罪の意識が人一倍強いということでございます。

 これは前回も申し上げたことでございますが、昭和三十三年といいますから、私は三十五年に医学部を卒業しておりますので、そのまだ前でございます、大分前でございますけれども、昭和三十三年に、日本におきまして、東京で国際らい学会、らい医学会というんでしょうか、開かれたわけでございまして、そこでいろいろの国から、隔離政策ということはもう必要がないという報告があり、そして、社会分科会というのがあって、そこで、いわゆる強制隔離をしている国々に対しては、もうその政府に言ってやめさせようというような決議までした、こういう経緯がございます。

 しかし、そのことが日本ではオープンにならなかった。医学的にもオープンにならなかった。これは、日本の医療あるいは医学と言ってもいいのかもしれませんけれども、閉鎖性と申しますか、あるいは封建性、封建的な一つの側面が出たというふうに私は思いますけれども、そこがオープンにならなかった。医療行政上もそこに変化が起こらなかった。しかし当時、沖縄は、琉球政府は、これは別でございましたけれども、琉球政府の方は、その直後に開放政策に転回をしたわけでございます。

 こうしたことを考えますと、私は、医療の場に携わった一人として、やはりこれは、心からおわびを申し上げると言うだけではなくて、この償いを私たちはやらねばならないという思いが非常に強いということでございまして、そうした率直な私の思いを、けさ官房長官にも申し上げたところでございます。

古川委員 その思いをまずやはり示す第一歩が控訴を断念することだと私は思います。

 そういった意味では不退転の決意で、政治家の中には不退転の決意と言ってすぐ後から変わる人が多いので、とにかく今度こそは、坂口大臣、不退転の決意で取り組んでいただきたいということをお願い申し上げて、年金の方の質問に入らせていただきたいと思います。

 私の方からは、今回の法案を含めた年金税制全体につきまして、まずお伺いをさせていただきたいと思います。

 年金税制でございますけれども、一般的にといいますか、ちょっと財務省とは違うかもしれませんが、ちまたのところで一般的にこういうやり方がいいんじゃないかというふうに言われているものとしては、まず、課税の原則をはっきりすべきじゃないか。

 これは、拠出時、運用時そして給付時という三段階があるわけでありますけれども、その段階でどのように課税していくかについては、基本的に、拠出、運用のときは非課税、そして給付のときに課税するという、この大原則をまずきちんと確認すべきではないかという議論が多いと思いますし、私自身もそう思いますけれども、そこの基本原則のところは、今政府としてはどのように考えていらっしゃるんでしょうか。

    〔委員長退席、谷畑委員長代理着席〕

木村政府参考人 お答えいたします。

 今、古川先生の方から、年金課税についての原則を打ち立てるべきではないかというお話がございました。

 これは先生よく御承知の問題でございますが、年金に係る所得につきましては、公的年金等控除や老年者控除等によりまして、課税ベースからほとんど除かれている。したがって、給付時におきましては実質的には課税がされていないというような状況になっております。また、本人が支払う保険料につきましては、社会保険料控除等によりまして所得控除されているということでございます。

 このような仕組みから、全体として見ますと、我が国の年金に係る税負担というのは、拠出段階から給付段階を通じまして、主要国と比べても極めて低い水準になっているということはよく御承知のとおりだと思います。

 これからこれをどう考えるかという問題がございますし、その際どういうような原則を考えるべきかという問題がございますが、これは、諸外国で見ましても、例えばアメリカでございますと、拠出段階では所得控除なしで、給付段階につきましては軽減措置、実質的に非課税だというような、各国いろいろな制度になっていると思います。

 年金税制、それからさらに広く言えば高齢者に対します税制につきまして、これは抽象的で恐縮でございますが、高齢化の進展のもとで年金受給者が増加している、それから高齢者の所得水準の上昇に伴い生活実態が多様化している、そういった点を勘案しながら、世代間の公平を初めといたしまして、公平、中立、簡素、これは申すまでもなく租税の基本的な原則でございますが、そういった観点から、拠出それから運用、給付を通じた負担の適正化に向けての検討を行っていくという必要があると考えているところでございます。

古川委員 今の御答弁ですと、公平、中立、簡素というのは私が大蔵省にいたときにも耳にたこができるほど教えられましたけれども、やはりそういう一番ベースの発想があって、そしてどういう形の課税のあり方がいいかが出てくると思うんですね。

 ですから、年金についても、先ほどお話があったように、今のはそういう原則のところが余りはっきりしていないものですから、だからこそそれぞれの部分で何かおかしな形の課税がされていたり、あるいは課税漏れしていたりというようなことがあるんじゃないでしょうか。

 そういった意味では、しっかりとした大原則、公平、中立、簡素に、年金税制のところでいえば拠出と運用は非課税、そして給付でしっかりちゃんと課税するという大原則を立てた上で、その上で、それぞれのところの取り扱い方、給付のところ、では今のあり方がいいのかどうか、やはりそういう一番大もとの部分、原則を立てなきゃいけないと思いますが、いかがですか。

木村政府参考人 今、先生のお考え、それが違うということを申し上げるつもりはございません。

 ただ、あくまでも、申し上げておりますのは、今現在、年金課税を取り巻く環境から見まして、拠出、運用、給付を通じて、どういう課税、どういう形で税負担を求めるのが一番いいのか、これは恐らくいろいろな考え方があろうかと思っております。そういったものにつきまして、税制調査会等いろいろな場で御審議いただいて、今後一番あるべき年金課税のあり方を考えていく必要があるということを申し上げているところでございます。

古川委員 大臣はどう思われますか、この年金税制の基本原則。これは、財務省に任せるだけじゃなくて、厚生労働省としても基本的にはこういう大原則を考えて、その中で財務省との協議なんかもやはりやっていくべきだと思いますが、いかがですか、大臣のお考えは。

坂口国務大臣 これは、古川先生と議論をしては私が負けに決まっておりますが。

 以前から年金と税制ということを勉強しましたときに、やはり、拠出及び運用時期に課税をして、給付のときに非課税の国と、逆に日本のように拠出それから運用時に非課税で、給付時に課税という、国によって違いがあるということをやったことがあるような気がいたします。

 大枠の方向では、先生がおっしゃることを、私もそうではないか、そのとおりだというふうに思っております。しかし、それにしてはそこここが違うではないかということをこれから御指摘になるんだろうというふうに思いますが、大枠の方向としては私もそうだというふうに思っております。

 本人が拠出をします保険料につきましては、その全額が社会保険料控除によりまして課税対象から除かれておりますし、受給します年金につきましては課税対象でありますが、公的年金等控除がたくさんあって、あるいは老年者控除等がありまして、相当部分が課税対象から除かれているというようなことがある。だから、これはかなり複雑になってきているということだろうと思います。

 こうした点も見ますと、大分大原則から離れているのかなという気がいたしますが、これらの点をトータルで見れば、やはりもう少し整理をし、見直しをしていくことが私も必要かなというふうに思っておりますが、各方面からの御意見もここはちょうだいをして、そしていろいろの意見を集約していかなければいけない、こんなふうに思っております。

古川委員 今大臣から、いろいろな方面からの意見をとありましたので、もう少し具体的な話に入っていきたいと思います。

 いろいろな方面からの意見でほぼ一致しているのが、運用段階でかかっている特別法人税。これを廃止すべきであるというのは、多分、財務省の主税局と、主税局におつき合いしている厚生労働省以外はほとんどみんな、どこからの要望もこれは廃止すべきであるというふうになっていると私は認識をしております。ですから、そういう意味からすれば、言ってみればもうこれだけ皆が、役所は除いて一致している。

 しかも、この特別法人税は、ここのところ三年、最初二年の凍結だったのがまた二年延長されたというような状況ですよね。そうなりますと、かつて私も取り組んで今や事実上運用停止になりましたけれども、地価税のような、では来年までこれを凍結して、それからまた凍結解除するのと。普通から考えると、何のために凍結という形でずるずる引き延ばしているのか。

 今回この国会でも、年金、特に企業年金の部分について、確定給付とそしてまた次に審議になるであろう確定拠出というもの、そういう大きな枠組みを考えるときに、やはりこういう問題については処理をしていくということが必要なんじゃないでしょうか。それが、今回の法案でもこのままになっている。また、これだけじゃなくて、確定拠出の方でも特別法人税はそのまま形としてはかかる。これは、一般の認識そして一般の要望とお役所の意思が余りに大きくずれているような気がいたしますが、いかがですか。

木村政府参考人 お答えいたします。

 特別法人税についていろいろな議論があるのはそのとおりでございます。ただ、これは古川委員よく御承知のことだと思っておりますし、また御理解いただけるんだろうと思っておりますが、税の考え方からいいますと、これは、従業員の年金のために事業主が負担する掛金等につきまして、支出時には従業員に対する所得課税は今行っておりません。基本的には、そこで経済利益が生ずれば課税するのが基本でございますから、そこで所得課税を今行っていない、年金受給時まで課税を繰り延べるわけです。したがって、その遅延利息相当分の負担を求めるということでこの特別法人税をお願いしているわけでございますから、税の理屈としては御理解いただけると思っております。

 ただ、今委員御指摘ございましたように、現在の低金利の状況を考えまして、さらには企業年金の財政状況等を踏まえますと、この一%という特別法人税について課税するのはどうだろうか、そういった現在の問題としてございますので、臨時的な措置として現在はその課税を停止しているというところでございます。

 ただ、この問題は、先ほど私の方も、給付時における公的年金等の控除、それから拠出時におきます社会保険料控除、そういう中で今度は運用時における特別法人税ということがございまして、まさに年金に対する課税としてどういうふうに考えていくか。それは、拠出、運用、給付を通じて負担の適正化を行っていく必要があるだろう、それについてどう考えるかというその中で検討する問題だと考えておりますので、特別法人税については引き続き、現在は一時的に課税を停止しておりますけれども、基本的には年金税制全体の中で考えていく問題だと考えております。

古川委員 財務省から今のような御説明があったんですが、大臣、これはどうですか。やはり早く、これについては凍結というだけじゃなくて何らかの方向性をちゃんと示すというのを、厚生労働省としてもちゃんと協議するべきじゃないですか。どうですか、大臣のお考えは。

坂口国務大臣 税金の問題でございますから、厚生労働省で先に結論を出すというわけにもいかないんだろうというふうに思いますが、税制はまた独特の税の論理というのがありまして、今木村審議官のお話を聞いておりましても、なかなか難しい論理だなというふうに感心しながら聞いていたわけでございまして、こういう難しい論理も踏み越えながら我々はやっていかなきゃならないわけでございます。

 厚生労働省としましては、しかし、年金のことを国民の皆さん方にちゃんと理解をしていただきますためには、やはりおくれてはなりません。早くここを結論を出さなきゃならないことは御指摘のとおりでございますから、早く結論が出るように私たちは努力をしなければならないと思っております。

古川委員 税の論理というのがありましたけれども、これはやはり年金というところで考えていかなきゃならない。もちろん税の一般的な論理はあります。しかし、どんな所得についてどういう形で課税をするかというのは、当然また別のところからの視点もあるわけです。

 しかも、これはやはり、年金、特に企業年金部分、公的年金を補完する部分として、できる限りここは自助努力の中でやってもらえるところはやってもらおうという気持ちでやられるんでしょうから、そうしたら、やろうとする人たちがやりやすいような、そしてやろうという気になるような形に厚生労働省としては強く押さなければ、そこを税の論理に負けていてはいけないわけでありまして、そこはやはりしっかりと、そうしたきのうからの論理というものをちゃんと卒業して、一日も早くこの問題については明確な凍結後の方針、できればもう凍結というんじゃなくて、廃止なら廃止という方向でしっかり示すことが、今後、新しい今度の企業年金というものをやろうという人たちにとっても、予想がつかないというのが一番困るんです。税金が取られるのか取られないのかわからない、今のままだと何となく税金がかからないかなと思いながら、やってみたら突然税金がかかってきたら、これは不意打ちみたいなものです。

 やはり税にとっては、もう木村審議官は一番御存じだと思いますけれども、安定性というのは非常に大事だという話を私は聞きました。そういう意味では、非常に不安定になっている状況を長く続けるというのはやはり好ましくない。しっかりとした方向性を一日も早く示していただきたいということをお願いしたいと思います。

 次に、もう一点、最初の年金課税の基本原則からいえばというところで、給付のところなんです。

 この公的年金等控除、これは最初の木村審議官の御答弁でもございましたけれども、今の公的年金控除は、事実上、かなりの年金受給者は課税されていないに等しいぐらいの大きな控除を受けているというわけですよね。そのために、現役世代と比べると課税最低限が格段に高くなっているという状況があります。

 年金の給付に対する税のあり方というものは、不公平税制の中のかなり大きなものの一つじゃないのかなというふうに思っています。特定財源の見直しをされるのももちろん結構で、どんどんやっていただきたいと思いますけれども、国民受けのする目立つところだけやって、こういう不公平なところ、それは年金受給者の人たちからすると文句が出るんじゃないかなというようなところは一切伏せてやらないというのは、いいとこ取りだけするような論理でありまして、それは先ほどからのお話にある税の論理からすると合わないのではないかというふうに私は思うわけでありますけれども、公的年金等控除の現状についてどのように考えていて、どうすべきだというふうに考えていらっしゃるのか、まず財政当局の方からお答えいただきたい。

木村政府参考人 お答えいたします。

 私の答えようとすることはもうすべて古川先生が今おっしゃっていただいておりますので、繰り返しになるかもしれませんが、公的年金等控除というのは、現在、高齢者の生活におきまして公的年金等が大きな役割を果たしていることなどから設けられております。非常に高水準の最低保障額を設けながら、定額控除、定率控除の組み合わせによりまして、大きな控除となっているわけでございます。

 したがって、このような仕組みから、公的年金収入によっている方の課税最低限は、例えば六十五歳以上で夫婦の方、老人配偶者の適用のない方でも約三百四十万円ぐらいになっておりますし、老人配偶者控除の適用がある場合には三百五十四万となっておりまして、一般の給与所得者に比べて課税最低限が非常に高くなっております。その結果といたしまして年金は実質的に課税対象から除かれているのは、まさに御指摘のとおりでございます。

 公的年金控除というのは非常に大きな検討課題の一つだと思っておりますが、先ほど特別法人税の話もございました、それから、繰り返しになりますが、社会保険料控除と拠出段階の課税はどうするのかという議論。できるだけ繰り返しは避けたいと思っておりますけれども、まさに年金税制全体をどういうふうに考えていくか、これは非常に避けられない検討課題だと思っております。その中で、こういった問題、非常に大きな問題でございますが、負担の適正化に向けまして検討を行っていく必要があると考えているところでございます。

古川委員 これは大きな問題だからこそ、聖域なき構造改革というものを掲げるわけですから、しっかりとそれは示していただきたいということを要望して、時間がありませんので、次の質問に移りたいと思います。

 年金税制、先ほどから全体のあり方というものも話になっておりますけれども、今回の法案の確定給付型企業年金の年金税制のあり方を見ますと、三階部分の企業年金部分、これについての課税のあり方というものは基本的に統一されるべきじゃないかというふうに私は思うわけです。なぜかといえば、三階部分でどれを選択するかというのはまさに企業側とそして雇用者の意思によって選択できるような、そういう形を目指しているはずですから、そうであれば基本的に同じ取り扱いでなきゃいけないと思います。

 ところが、今回の確定給付型企業年金は、本人拠出掛金については、厚生年金基金や次に審議に入ります確定拠出型年金は掛金がすべて所得控除の対象になるのに対して、確定給付型企業年金の場合には生命保険料控除の適用しかない。生命保険料控除というのは五万円ですから、ほかの保険料も入ったら事実上適用はないということになるわけですね。これは十年後にはなくなることになる適格退職年金と同じ取り扱いなんですけれども、しかし、なくなるものがそうだからといって合わせても、では十年後の姿を考えてみますと、三つあって、厚生年金基金と確定給付と確定拠出があった場合に、事実上、確定給付だけが本人拠出があった場合には所得控除が受けられないということになってしまうわけですね。

 そうなりますと、これは選択肢としてあるべきなのに、そこにそういう税制上の違いがあったら、意図的にそれこそ確定拠出の方を選択させるように誘導しているというふうにもうがった見方をすればとられてしまうと思うんですが、やはりこれは同じような形で課税の取り扱いをすべきなんじゃないですか。

木村政府参考人 お答えいたします。

 今回の確定給付の関係で、生命保険料控除の適用しかないのはおかしいじゃないかというお話だったと思います。

 まず、これも委員よく御承知のとおり、年金について加入に強制性があるのかないのか、任意の制度なのかどうかという問題。それから年金と貯蓄との関係。年金と貯蓄は経済的に見ますと類似している。一方で、貯蓄についてはみずからの所得の処分でございまして所得控除は認められていない。そういった貯蓄課税との関係等も考えていただく必要があるんじゃないだろうかと思っております。

 したがって、一概に年金と申しましても、やはり仕組みとか年金制度の位置づけが異なっていることを考えますと、本人拠出という面だけをとらえて課税上同様に取り扱うことは適当ではないのではないかと考えているところでございます。

古川委員 余りよくわからない回答だったのですが、でもこれは、三階部分という意味では同じですよね、確定拠出も確定給付も厚生年金基金も。厚生年金基金は厚生年金の代行部分があるからというものの、しかし代行部分を除いた部分では、三階で、ある意味でこの三つの中から先ほども言ったように選択するということになっているわけですから。

 やはりそこは本来は同じ取り扱いにすべきだと思いませんか、大臣。

坂口国務大臣 私にとりましては最後のこの質問が一番難しいわけでありまして、何度聞きましてもなかなか私も十分な理解が得られないほど込み入った話でございます。税の論理というふうに先ほど申しましたけれども、これは一つの税の論理で立て分けられているんだろうというふうに思います。

 厚生年金基金それから適格退職年金、それともう一つは、今挙げられましたのはいわゆる確定拠出年金だと思うんですが、その中の確定拠出年金が、加入者拠出のところは本当は非課税にならなきゃならぬということを先生は言われているんでしょうかね。

古川委員 今のこれは、基金と確定拠出は所得控除になって、そして今回の、今やっている確定給付の方は生命保険料控除しかない、だからそれがおかしいんじゃないのと。

桝屋副大臣 大臣が申し上げたかったことをそんたくいたしまして、それで、今委員の方から厚生年金基金と確定拠出年金、それから確定給付、今回の今の法案ですが、三者を同じ扱いにすべきだという御主張でございますが、これはやはり、年金制度における位置づけとか、それから加入者拠出が任意なのか強制なのかということもやはり総合的に勘案をしなければならないのではないかというふうに私は思っております。

 すなわち、厚生年金基金というのは公的年金の一部を代行しているということで掛金が強制拠出ということがありますし、それから、確定給付、新企業年金における個人の拠出というのは私的年金における任意の拠出という位置づけ、ここを税の論理を乗り越えろというお気持ちはよくわかるわけでありますが、そこはやはり違うんだろうというふうに理解をしております。

 それからもう一点、確定拠出年金の個人型年金との比較も言われるわけでありますが、これは、まさに従業員が拠出する掛金が企業にかわって拠出されたというふうにみなすという理解も必要だろうということでございまして、事業主拠出と同様に拠出時非課税となるように、その全額を所得控除の対象としているということでございまして、三制度における加入者が拠出する掛金、やはりそれぞれ性格が異なるということは押さえなければならぬのではないかということでございます。

谷畑委員長代理 もう時間ですので、お願いします。

古川委員 はい。

 制度が異なると言われましたけれども、最後だけを申し上げますけれども、三つの年金は、前の大臣とのやりとりの中でも、選択肢としてあるんだと。選択肢としてあるんだったら、それはやはり同じ取り扱いにすべきが、それが選択する方から見たら自然なわけであります。

 かつまた確定拠出も、今副大臣がおっしゃいましたけれども、今回のは確かに個人型と企業型しかないです。しかし、将来的には企業と本人が拠出するようなマッチング型もあり得るわけです。もしそのときには、ではそれは、今のお話でいくと、そこの部分については生命保険料控除になって、個人拠出の場合には所得控除になるというおかしなことが起きてくるんじゃないか。だから、そこはしっかりと統一していただきたいということを最後にお願い申し上げます。

桝屋副大臣 一点だけ、御指摘の最後のマッチング型の話も、確かに議論としてはあります。したがいまして、委員がきょう最初から言われていますように、拠出の段階、運用の段階、給付の段階、この中でどう考えていくかということは政府としては検討しなければならぬという認識でありますから、委員の御指摘も踏まえてしっかり議論していきたいと思います。

古川委員 ありがとうございました。

谷畑委員長代理 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 民主党・無所属クラブの大島でございます。

 今回のハンセン病の判決を見まして、一番思い出したのが「砂の器」という映画でございました。一九七四年、今から二十七年前です、私が高校生のときに見た「砂の器」。冒頭のシーンが、ぼろぼろの服を着たハンセン病のお父さんと子供が海岸を歩くシーン。そして、療養所に隔離されるために連行される、そしてそれを追いかける少年のシーン。この「砂の器」という映画、その冒頭に、ハンセン病は完治する病である、そういうテロップが入っていたのを今思い出しております。二十七年間、そして五年前に裁判が始まるまでの二十二年間、私、今回、政治という世界に入りまして、どうしてほったらかしになってしまったのかなというところを非常に反省し、そして私の教訓にしております。

 坂口厚生労働大臣に伺いたいんですけれども、どうしてこういう長い間このようなことがほうっておかれたのかというところにつきまして、御所見を伺えれば幸いでございます。

坂口国務大臣 先ほど委員も述べられましたように、戦後、プロミンという特効薬的な薬が出現をいたしまして、そしてハンセン病というのは完治し得る病気であるということになってまいりました。その完治し得るというふうに断定できるのが三十年なのか、あるいは三十五年なのか、あるいは四十年なのか、それは人々のとり方によって若干の違いはあるだろうというふうに思いますけれども、しかし、そうした時代に大体そういうことがわかってきたことは間違いないというふうに思います。

 先ほども御紹介をいたしましたとおり、日本におきます国際らい学会、らい学会議と書いてありますか、らい学会議が開かれましたのが三十三年でございましたから、その時期にそうした状況でございましたから、そのときには多くの国々で開放政策がとられていた。そのいわゆる医学的事実というものが医療行政になかなか生かされなかったということだろうと思います。

 先ほど申しましたように、一つは日本の医学界におきます封建制とか閉鎖性というものも私はあったというふうに思います。一人のだれかが、特に権威と言われる人が右だと言えばすべての学者が右を向いてしまう、左だと言われれば皆が左を向いてしまうといった、そういうところが残っていたことも事実でございまして、そうしたこともあった。あるいは、諸外国においてもう当然、当たり前のことになりましたことが、日本の国の中で議論をされましてもそのことがオープンにすらならないという閉鎖性、そうしたものもやはり残っていた。やはりこうしたことが医療行政にも反映したのではないかというふうに思っております。

 そうした意味で、私は、医療の世界に入らせていただいた一人として、罪の深さというものを非常に重く受けとめている次第でございます。

大島(敦)委員 今回のハンセン病の事件、解決まで長い間ほっておかれたというのは、隔離政策ということだと思います。やはり人間は、隔離されてしまって外の世界から出ていったり入ってこられない、そういうことが、なかなか、「砂の器」という映画に取り上げられても解決まで時間がかかったことだと思います。

 この国において、そのような隔離政策、あるいはそのような事件が今でも起きていないことを願っているものでございます。今後とも、坂口厚生労働大臣そして厚生労働省の方には、このような事件がほかにもないことをもう一度チェック、確認していただければ幸いと思いますけれども、大臣の御所見はございますでしょうか。

坂口国務大臣 やはり何にもまして人権というものを重要視していかなければならない。いかなる病気にかかった人であったとしても、そういう病気にかかった人であればあるほど、その人の人権を、あるいはその集団の人権というものを大切にしていかなければならないということであろうというふうに思います。

 したがいまして、このハンセン病の問題は、いわゆる精神病医学あるいは精神病治療等におきましても大いに関係することでございまして、そうした分野におきましても、あるいはまた高齢者の医療、福祉におきましても最も大事なことでございますので、同じような過ちを繰り返さないように注意をしていかなければならない、そこを一番大事にしていかなければならない、それが今の私の気持ちでございます。

    〔谷畑委員長代理退席、委員長着席〕

大島(敦)委員 非常に重い御答弁、ありがとうございました。

 政治という仕事は、経済が強い者のためにあるとすれば、やはり弱い者の立場に立って考えるのが政治であると私はいつも考えておりまして、ただいまの大臣の御所見は非常に重く受けとめさせていただきます。

 そして、これから確定給付企業年金の法案の質問に入りたいと思うのですけれども、その前に、私は、今回のこの年金法案、そして年金を支えるためには、それをお支払いしていただく企業なりあるいは従業員がまずあると思います。

 そして、今回小泉首相になりまして、聖域なき構造改革という言葉がひとり歩きしているような感じがしてなりません。その構造改革には痛みが伴うというところがなかなか見落とされがちなのかなと考えております。

 そして、昨年の自殺した人は三万三千人、十年前が二万二、三千人ですから、一万人ここ十年間でふえております。ことしはさらにふえるおそれもございます。地元に帰って、私の友人の会社の経営者の方も、その御友人の遺書か何かお預かりになっているようなこともございまして、今この日本の社会というのが非常に不安定になっている思いがしております。

 その不安定というのは、今、三百二十万人ぐらいの失業者数。これは私が今通常国会の雇用対策基本法のときに若干触れたのですけれども、失業率と犯罪の発生率、自殺者の数というのは大体ほぼリンクしておりまして、きょうの新聞報道、昨日の予算委員会で竹中経済担当相は、さらに数十万人失業者がふえるようなお話をされております。

 小泉首相は、総裁選では、今の基本手当を二倍にふやすアイデアもお話しされていたと私は記憶しております。そして、坂口厚生労働大臣が所属していらっしゃる公明党さんも、勉強することに関しては二年間サポートするような政策を掲げられております。

 私ども民主党も、私はずっと選挙公約で雇用対策を訴えてきたものですから、一応時限立法で二年間に限って、能力をつけていただくための費用とか、あるいは最低限の生活保障はしようではないか。日本人というのは、生活が保障されないと落ちついて子育てとか仕事とか勉強とかできないわけなんです。

 今回の総理の所信表明、そして大臣の今回のごあいさつを受けても、従来どおりの厚生労働省としての見解で、さらに突っ込んだ、さらに踏み込んだ御意見というのがなかったかと思うのですけれども、今後の聖域なき構造改革を踏まえて、改めてそのような抜本的な対策を打つ腹づもりがあるかどうかというところを伺わせていただければ幸いでございます。

坂口国務大臣 不良債権の処理を含めまして、構造改革をさらに進めるということは、なかなか、言うはやすくして実行するのは大変な作業であろうというふうに思っています。

 それで、現在言われておりますように、二年ないし三年をかけて本当にこれが行われるというふうにしたら経済状態は一体どういうふうに変わってくるのか、その中で我々の関係いたしますところの雇用の問題というのが一体どうなるのか、私も日夜頭を悩ますわけでございます。その規模やスピードによりましてその大きさは違うのだろうというふうに思っておりますが、正直なところ、現在、どれくらいのスピードでそれが進められるのかということも定かではありません。

 しかし、それに対して準備をしなければならないことだけは間違いがありません。これは、し過ぎることはないだろうというふうに思っております。ですから、雇用対策として、今まで打ってきました雇用対策にプラスして、新しいことが何ができるのかということだろうと思うのです。

 一つには雇用保険の問題も御指摘のとおりあるだろうというふうに思っておりますが、ただ、ただ単に、単純に雇用保険の期間を延長するだけではやはり意味がないのだろう。雇用保険を受けておみえになる皆さん方が、もう少しこういう勉強をしたい、こういう能力を身につけたい、そういうふうに思われましたときに、その皆さん方にひとつその能力を身につけていただきます間、プラスアルファをどれだけできるかといったようなことを、今までもやっておりますけれども、もう少しそこをできやすいようにして皆さん方におこたえをするといったようなことが、これから一つとしては大事になってくるのだろうというふうに思います。

 それからもう一方におきまして、新しい分野での雇用の創出というのも、これも言われて久しいわけでございますけれども、そんなに多くの雇用が生まれてくるということはなかなか難しいわけでございますから、この新しい雇用の創出に向けまして、今まで言ってまいりました問題以外にどんなことがあるのかということを整理しなければならないというふうに考えているところでございます。

 今そんなことで、いろいろ整理をいたしておりますが、これもそのうち皆さん方に、こうした新しい分野のことで、こういうふうに今考えておりますということを間もなくお示しができるようになるというふうに思いますが、今しばらくお時間をいただきたいというふうに思っています。

大島(敦)委員 一点、先ほどの「砂の器」の冒頭のところで、テロップでは完治という言葉があったのですけれども、私の考え方としては、完治する、しないにかかわらず、隔離政策というのはやはり見直すべきであろうと思いますし、隔離ということは基本的人権の本質に触れるものですから、これは国の方向として、そういうところは改め、今後ともそのようにしなければいけないなと私は考えます。

 そして、今の雇用対策の問題なんですけれども、この社会は非常に振れやすくなっているような感じがしておりまして、これから失業者がふえると本当にこのままこの秩序が守れるのかなと私は非常に危惧しておりますので、先ほどの坂口大臣の対策をもう一度いろいろと考えていただいて、表ではなくてもいいのですけれども、省内でもあるいは政府の中でも御議論していただきたいと考えております。

 次に、税制適格年金なんですけれども、いろいろと調べてみると、税制適格年金から今回の確定給付企業年金の方に移行できる、中小企業の方は、こちらの方の確定給付の年金に移らなくても、大体、税制適格年金からもう一つある中小企業退職金共済制度の方に移ればいいというお話がございました。この中小企業退職金共済制度なんですけれども、こちらの制度というのは、よく調べてみると結構穴があったりもするわけなんです。

 まずは、税制適格年金の方からちょっと話をします。

 税制適格年金についての論点として、この間も話をしたのですけれども、今現実に三割の積み立て不足があるという話をしました。ですから、七割しか税制適格年金は積み立てられておりません。七割しか積み立てられなくて、退職する時期によって満額受け取れる人と満額受け取れない人が出てきてしまうんです。

 これは現在、地域に帰って、いろいろな中小企業がございまして、結構皆さんリストラをされているところも多いわけなんです。そうしますと、まず、要は会社を退職された方からこの税制適格年金の責任準備金、財源が支払われていきますので、後の方に退職されると財源がなくなってしまうというところがございます。そのようなところは今後ともどうにかならないかなと思っていまして、新しい企業年金制度である今回の確定給付の企業年金の方に移行したら、そこのところは直るのかなと思っていたのですけれども、やはり同じようなことが起きるらしいということを聞いたものですから、そこのところを確認させていただければ幸いでございます。

辻政府参考人 御指摘のような、これまでリストラの結果、残った方々の年金にしわ寄せがあるといったことが事実としてございます。

 このたび、まさしくこのような事態を回避するために新企業年金法を導入しているわけでございますけれども、具体的には、仮に制度が終了した場合でも、それまでの加入期間に見合う給付が支払えるかどうかということをあらかじめ定期的に検証し続ける。そして、定期的に検証し続ける中で、資産が足りない場合は、一定期間内に必要な資産を確保することを義務づける。

 そしてさらに、このようなことはあってほしくございませんが、新たな措置として、企業年金基金も含めまして、終了時、いわば解散時において積み立て不足がある場合は不足額を一括して拠出していただくようにしている、もちろん資産があればでございますけれども。

 また、いわばこのようなことを常識にする中で、労使による企業年金の財政健全化に向けての努力を常時期待し、また厚生年金基金と同様に、行政といたしましても決算報告を受けましてモニタリングを行う。こういったことで、あらかじめ企業年金の大切さ、従業員をお雇いになるときにはこういうことをきちっとして頑張っていこう、こういったようなことを前提とするような、そして公平に加入者の方が扱われるように目指すわけでございますけれども、仮に御指摘のような退職者が大量に発生して、一時金払いが急増して資産の急速な減少を招くような場合には、退職する方と引き続き勤務する方の公平の観点から、最後の道として企業年金の終了を指導することもあり得ると思います。

 そのように極力公平というものを目指したいと思いますが、いずれにいたしましても、これから優秀な従業員とともによい企業をつくっていくという意味では、平素から企業年金のあり方について、この新法に基づく運用というものを心がけ、このようなことがなくなるようにというような気持ちで私どももこの法の運用、指導に当たりたいと思います。

大島(敦)委員 今、皆さん、企業内ではLANが走って、非常に企業内での情報流通というのが速くなっているのです。会社の中で、一人一台パソコンがあって、Eメールを使うことによって、関係各部署からいろいろな情報が流通し始めているのです。それは社外からもそうですし、今回、新しい年金制度の中で、確かに今どのくらい資産があるとか、あるいは準備状況はどうだとか、そのような情報の開示をするということは、それに対して皆さんアクセスして、それが瞬時に会社の中を駆けめぐるという時代になっているわけなんです。そうすると、結構よくウオッチされている従業員は、そろそろうちの会社はまずいのじゃないのかなというふうになって、積立金があるうちにやめ始めるようなことが起き得るのです。

 確かに私が聞いたアメリカの会社の例でも、IBMだったかと思うんですけれども、年金制度で、一人の従業員がおかしいと言って、みんなで情報交換をしながら結構会社の制度が変わったりするような、そういう時代になっております。そして、私は今四十四ですけれども、若い二十代、三十代は、余り一生最後まで会社にいなくて、十年とか、早い人ですと三年から五年で次の職場に移ってしまうような、会社というものが永遠じゃないかもしれない。

 そうすると、この辺のことは、確かに情報開示をしたりするのも必要なんですけれども、一定の法的な整備が必要じゃないのかなという気持ちもするのですけれども、その点、御所見がありましたら伺えれば幸いでございます。

辻政府参考人 今御指摘のようなことはこれからの情報化時代には十分考えられるわけでございますが、そうであればこそ、自由競争の中で、自治的にといいますか、企業の責任において、労使でこの制度をおつくりいただくわけでございますけれども、優秀な職員がやめてしまわないように、そういった競争が起こる中でこの企業年金というものがむしろ積極的によくなるようにというような形を私どもまずは期待いたしております。

大島(敦)委員 次の質問に移りたいと思います。

 中小企業退職金共済制度について若干確認いたしたいのですけれども、今回の税制適格年金をやめることによって、十年のうちには恐らく結構の会社がこちらの方に移行するかもしれない。これから移ろうとする確定給付企業年金、そして現行の税制適格年金というのはあくまで確定給付であって、将来受け取れる金額は決まっているわけなんです。これは決まっています。

 いろいろと役所からいただいた資料とか、こちらの方に中小企業を入れますよということなんですけれども、この中小企業退職金共済制度というのは、制度として、受け取る金額がありきなのか、あるいは確定拠出のように積む金額ありきなのか、そこのところ、教えていただければ幸いでございます。

日比政府参考人 中小企業退職金共済制度でございますが、確定拠出か確定給付か、どちらか整理をつけるとしますと、確定拠出であろうと思います。

 ただ、確定給付的要因もございまして、従前、制度改正をいたしまして、金利情勢等に見合った給付額を設定する際、経過措置を講じまして、既に掛金として納付した部分に係るものの給付額については維持をする。そういう意味で、完全に変わってしまうものではないけれども、遠い将来、現実に受け取る額があらかじめ完全に確定しているわけではないという意味では、確定給付ではないということになろうかと思います。

大島(敦)委員 ここのところ、結構ポイントでございまして、今までは受け取る金額ありきだったものですから、積み立て義務は会社側にあったわけなんです。こちらの中小企業退職金共済制度の方に移りますと、払った金額ありき。

 確かに、今、日比局長おっしゃったとおり、例えば、今回移りました、企業がこちらの方の共済制度に支払った金額が一千万だとしましょう。そのときの金利というのはずっと動かないで一千万でふえていくんだけれども、その後毎月毎月納めていく金利、今だったら二%とか一・五%だとすれば、この水準というのは将来見直されるわけですね。

 ですから、これはちょっと見てみると確定給付かもしれないけれども、基本的には確定拠出に当たるものですから、そうすると、企業の退職金のあり方として、今の税制適格年金というのは一応、労使間、あるいは会社の中ですと就業規則で給付水準が定められておりますから、これをこちらの中小企業退職金共済制度に移すときには、もう一度そこで企業内の退職金規程なり労働協約を見直すべきと私考えるんですけれども、その点はどういうふうに考えればよろしいでしょうか。

日比政府参考人 中小企業退職金共済にそもそも入るときの問題としましては、当然各企業の判断でございますが、その際、従業員の意見等も聞くという仕組みになっております。

 今後、適格年金から中小企業退職金共済制度にいわば移行する際の問題といたしましては、当然のことではございますけれども、やはり各企業で従業員の意見というものも十分しんしゃくし、また、先生御指摘のような仕組みであることも十分押さえていただいた上での御判断ということになろうかと思います。また、そういうふうにしていただけるように私どもとしても制度等については周知を図りたいと思っております。

大島(敦)委員 ありがとうございました。そこのところを、なかなか隠れているところなものですから、十分、従業員の方が不利益にならないようにしてほしいと思います。

 特に今回、今までの適格年金の方からいろいろな制度に移るわけなんです。そうすると、従業員の方というのは余りその辺のことは、将来のことで身近な問題としてとらえられないものですから、労働条件が不利益になってしまうのかなというおそれもございますので、そこのところ、ぜひ留意して取り組んでいただけると幸いでございます。

 最後にまた中小企業退職金共済制度で、これも一つ確認と、今後見直す必要があるかどうかだけ伺いたいのです。

 企業で、懲戒免職等で企業にある程度損失をこうむらせてやめる場合には、退職一時金を支払わないことがあります。今回の確定給付の企業年金法についても、企業としてその支給をストップできるかどうか。あるいはストップしたとしても、その責任準備金は別勘定、企業の勘定内でおさまっていますから、それは考え方として容認できるのかなと。

 ただ、現行制度である中小企業退職金共済制度というのは、ストップはできるんです。従業員の方が非常に会社に対して迷惑かけた場合に、払わないでくれということは企業側は制度の方に言えるんですけれども、例えば、企業が五百万なりずっと掛け金を納めていた、そのお金はどこに行ってしまうのかというと、企業には戻らないんです。共済制度の中でプールされてしまって、ほかの会社の従業員の方に支払われるケースがあるわけなんです。

 今回の確定給付の場合ですと、別勘定ですから、企業ごとの勘定内でやっていますから、この人に納めなくていいよといった場合には、それは同じ会社のほかの従業員に行くから、会社としての損失といったら語弊があるかもしれないけれども、それは許される、納得感はあると思うんですけれども、中退金の場合ですと、その辺の納得感が若干私としてはまだ納得できないものですから、今後どのようにするのか、そこだけ伺わせてください。

日比政府参考人 御指摘のような問題があることは事実でございます。支給件数一万件当たりで二件あるいは三件というふうな率で減額支給というケースが出ております。

 これにつきましては、もう先生も今お話しされたとおりでございますが、社内での退職金制度がいろいろある中で、中小あるいは零細企業の場合、個別退職金制度が持ちにくい。そういうことを踏まえて共済制度というものを設け、これは全体の企業の壁を取っ払った制度であるとともに、なお企業内の退職金制度の特徴も生かすという苦しいやり方であろうと思います。

 そのときに、減額分の財源をどう使うか。確かに、それぞれの企業に残留させて、同じ企業でも他の従業員の分もございますから、企業単独方式というのもあろうかと思いますが、従業員の数が極めて少ない場合とかいろいろなケースを想定いたしますと、一般的に退職金額の上乗せといいますか、他の加入者のために使うという選択を現在のところはいたしております。

 先ほど申し上げましたように、支給件数一万件のうち二件もしくは三件ということでございますので、それが大きな財源になっているということは現実にはございませんけれども、考え方としては、今は共済的考え方でそのようにしておりまして、財源規模その他から見ますと、とりあえず今のところはそういう考え方でよろしいのではないかというふうに考えておるところでございます。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

 今後とも、坂口厚生労働大臣の方には、ぜひハンセン病の問題、そして雇用対策の問題等、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、金田誠一君。

金田(誠)委員 民主党の金田誠一でございます。

 今し方入りました情報によりますと、きょうの四時から、総理がハンセン病の患者さん、弁護団、代表の方にお会いをするというふうに伺いました。四時からわずか十分程度ということで、非常に短い時間であることは気にかかるわけでございますけれども、まずはそういう会見が実現をしたということは、坂口大臣の御尽力もあってのことと思うわけでございまして、感謝を申し上げる次第でございます。

 私は、直接こうした方々にお会いをしてその話をお聞きすれば、人間であれば一審で下された判決を当然認めることになる、控訴するなどという気持ちは到底起こり得ようがないと思っておりまして、この会見に大いなる期待を持っているところでございます。

 そういう立場から、本題に入ります前に一つ二つお聞かせをいただきたいと思うわけでございます。

 報道によりますと、政府部内では控訴した上で和解交渉に入る、このような方針が真剣に検討されているようでございますが、私には信じられないことでございます。

 と申しますのも、控訴するということは、国がその非を認めないということでございます。控訴した上で和解をするということは、一審判決を形式的には存在しなかったことにしてしまう。国は非を認めない、しかしお気の毒だから、かわいそうだからお金で解決をしようということにほかならないわけでございます。私は、これほど人の心を踏みにじる行為はないと思うわけでございます。

 原告は、金銭が目的でこの厳しい裁判を起こしたわけではありません。それは大臣、一番よく御承知のことと思います。名誉回復、人間回復、これが第一の目的でございます。控訴をするということは、それを国みずからが拒否するということでございます。控訴した上で和解をするということは欺瞞でございます。再度の人権侵害でございます。私は、人間の心がある方ならばそのようなことはできるはずはない、こう思うところでございます。

 そこで、前回も大臣に質問をさせていただいて、再三で申しわけございませんけれども、明確な回答を得られなかったものですから、もうここに来てタイムリミットでございます。今の段階で再度御質問をさせていただきます。

 大臣は、法務省からの上訴の要否についての質問、この質問状でございますけれども、これについて、いつどのように回答されるのか。今の時点であればもうお決まりになっていると思いますので、お聞かせをいただきたいと思います。

坂口国務大臣 先生の御質問にお答えする前に、先ほど大島先生の御質問に対しまして、先生の方からもちょっと訂正の言葉がございましたが、プロミンという特効薬的な薬があって、そしてそれが効果があったから隔離政策を解けるようになったというふうにもしも中で言ったとしましたら、私も誤りでございますので、訂正をさせていただきます。

 そして、今お話がございましたが、先ほどもここでお答えを申しましたとおり、けさ官房長官そして法務大臣とお会いをさせていただきまして、私の考えておりますことを申し上げたところでございます。

 私の考えておりますことは、先ほどここで申しましたとおり、医療に携わってまいりました人間として、やはりここは一般の方々よりも私の罪の意識はまことに大きい、重いものがある。ここは、いろいろのことがありますけれども、それは国会との問題もあるでしょう、あるいは除斥期間の問題もあるというふうに思いますが、しかし、それらにも増して人権問題というのはより重いということを申し上げて、私は控訴をすべきではないということを申し上げたわけでございます。

 そして、今御指摘のそのペーパーにつきましては、それは一応十六日というふうに書いてあったと思っておりますが、出しておりません。これは、きょうこの後もう一度三者会談がございまして、官房長官と法務大臣との間のお話し合いを行い、そしてまたその後、総理を含めたお話し合いがあって、そこで最終決着ということになるのであろうというふうに思っております。したがいまして、それが済みますまでの間はそれを出す予定はございません。

金田(誠)委員 大臣、形式的なことを申し上げて恐縮でございますが、このペーパーは法務省から厚生労働省に来たペーパーでございます。官職はそれぞれ局長名でございますけれども、その省の責任者は一方は大臣でございます。したがって、このペーパーにどう回答するかは大臣の御判断で回答ができるもの、私はこう理解をいたしております。総理の指示によってこのペーパーをどうこう回答しろという話ではないはずだ。大臣、信念のほどは先ほど来お聞かせいただいておりますから、その信念に基づいて大臣が回答する、ここまでは大臣の権限である、何物にも侵されない、私はこう理解しております。

 その権限で回答したものを法務大臣がどう受けとめるか、あるいは総理と協議してどういう結果になるか、これは別でございますけれども、このペーパーまでは大臣の権限である。信念に基づいて大臣が上訴を否とするという回答をされるというふうに私は受けとめておりますが、確認をしていただきたいと思います。

坂口国務大臣 正直申しまして、そこまで考えておりませんでした。いろいろのことがございまして、頭の中の整理はそこまで進んでおりません。率直に申しましてそこまでは考えておりませんでしたが、とにかく、今のところは、それぞれの大臣との間での話し合いを、いかにここを乗り切るかということが私にとりまして最大の課題でございます。

 それから後、その後のことは考えたいと思います。

金田(誠)委員 再度で恐縮でございますが、このペーパーに対する回答は大臣の権限ですることができる。ぜひ上訴は否とするという権限を行使していただきたいと思います。その上で、それが内閣全体の意思に反するということで罷免をされるというのであれば、それは人間として本望ではないでしょうか。それこそ政治家のかがみであると私は思います。ぜひそういう御決断をしていただきたい。

 少なくとも、このペーパーを出すに当たっては合議制ではない、大臣の御判断である。したがって、みずからの良心に基づいて、信念に基づいて否という回答を自分はする以外にあとの方法、選択肢はない。先ほど来のお話を総合しますとそういう御答弁になると思いますが、いま一度御確認をさせていただきます。

坂口国務大臣 十分に考えまして最終決断をしたいと思います。

金田(誠)委員 大臣の職責というものは非常に重いものであると私は思います。厚生労働省を預かるのは坂口大臣でございます。そういう権能を行使できるお立場にある。信頼をいたしておりますので、ぜひその権限を行使していただきたい、再度お願い申し上げておきたいと思います。

 そこで、大変恐縮でございます。今政府部内で取りざたされている、控訴をして和解するという、検討の途上でございますけれども、その件についてお聞かせをいただきたいと思います。

 控訴の理由は何になるんでしょうか。判決骨子を見ますと、一つは厚生大臣の違法性及び過失、次に国会の不作為、そして損害賠償額、除斥期間、四項目になっております。控訴するとすれば、この四項目のうちどれを不服とするということが今取りざたされているんでしょうか、検討されているんでしょうか。

坂口国務大臣 私が今申し上げておりますのは、各大臣間での協議が先行されるべき問題である、そして、それに従ってどうするかということを決定してほしい。先にいろいろの事務的な詰めがあって、そして最後に大臣の折衝があるのではない、そういうことを私は申し上げているわけでございます。したがいまして、私の手元にそうしたものは一切来ておりません。

金田(誠)委員 判決を不服として控訴をする、その上で、一方で和解交渉に臨むということが新聞紙上などではあたかも決定事項のように報道されているわけでございまして、かなり深く突っ込んだ検討がされているもの、こう推測して質問させていただいたところでございます。

 私なりに考えますと、厚生大臣の責任、国会の責任、損害賠償額、除斥期間、どれ一つとして不服として控訴しなければならないような内容は見当たらないと思うわけでございます。大臣、ひとつぜひこの中身につきまして十分御検討いただいて、大臣の信念はもう十分伝わっておりますから、万が一にも、控訴をして和解であるというような、人の人権を二度にわたって踏みにじるようなことを政府がとることのないように、報道によれば職をかけておられるということもございます。ぜひひとつその御決意で最後まで貫いていただきたいものと思います。

 繰り返しますが、法務省からの通知に対する回答は大臣の権限でございます。大臣がその権限を行使して罷免をするような総理大臣ではないということを私は信じたいと思いますし、万が一そういう事態があったとしても、それは国民が一番大臣を支持されるだろうということを申し上げておきたいと思います。

 時間がございませんので、本題に移らせていただきます。

 確定給付企業年金法案でございますが、厚生年金基金の代行制度の問題についてお聞きをいたします。

 厚生年金基金の代行制度にはもともと構造的な問題があった、このように考えております。その一つは財政方式でございます。厚生年金本体の方は賦課方式、これに対して厚生年金基金は積立方式でございます。基金が代行することにそもそも無理があった。木に竹を接いだような形になる。そもそも無理があったと思うわけでございます。日本のこのような制度は世界に例を見ないということからもそれは明らかだと思いますけれども、その辺について御見解を伺いたいと思います。

辻政府参考人 厚生年金の財政方式でございますが、御指摘のように、原理的には世代間扶養、賦課方式でございます。ただ、一方におきまして、少子化、高齢化を乗り切っていくという観点を含めまして積立方式を加味しております。そのような観点から、基金が代行している部分を含めた全体につきまして、ある程度の積立金を保有しつつ将来にわたり収支が均衡するよう財政方式は計画されております。

 このような財政方式のもとで、基金に対しては積立方式により代行分の給付を賄えるだけの免除保険料を設定しております。したがいまして、基金は代行制度を通じて厚生年金の積立金の一部を運用するという位置づけになっておりまして、このような形で本体の財政のあり方と矛盾するものではないと考えております。

金田(誠)委員 そのような御答弁を再三繰り返しても何の問題の解決にもならないと思うわけで、大変残念でございます。

 次の質問は、賦課方式の年金というものは年金一元化という方向に進まざるを得ないと思うわけでございまして、今国会にも農林年金の一元化ということが提案されているわけでございます。これに対して、代行制度による財政単位の分立、このことは一元化の方向に相反するわけでございます。分母を大きくしてリスクを分散していく一元化の方向に反するこのことについて、本来この代行制度というものはとってはならない方向であった、これはもう当然のことだと思いますが、重ねてお聞きをいたします。

辻政府参考人 先ほど申しましたように、厚生年金の財政は、基金が代行している部分を含めた全体につきまして、ある程度の積立金を保有しつつ将来にわたり収支が均衡するような計画で財政運営をしており、被用者年金の一元化を展望いたしますときに、厚生年金が一つの基軸となって再編成が進んでいるわけでございます。

 基金は、このような財政計画のもとで、厚生年金制度の枠内で給付の一部を代行する仕組みであるということで、整合のとれたものでございますので、したがって、代行制度であることをもちまして一元化の方向に反するという指摘にはならないのではないかというふうに考えております。

金田(誠)委員 辻年金局長の御答弁とも思えない大変残念な御答弁でございます。重ねてお聞きをいたします。

 代行制度のもとでは、メリットのある基金は存続をする、メリットがなくなればこれから離脱をしていく、こういうことだと思うわけでございます。きょうの参考人質疑の中でもありましたけれども、金利のいい時代には代行制度で利益を上げられて、そうでなくなれば代行返上だという形がこれからも続くことになる。金利の状態だけではなくて、基金の構成員、若いうちは代行制度があってもいいようでございますし、そういういいときには代行制度で存続をして、メリットがなくなれば離脱をする。まさにこういうのは、いいとこ取りというのでしょうか、モラルハザードそのものだと思いますが、いかがでございましょう。

辻政府参考人 確かに御指摘のように、今、代行返上という動きがあるのは事実でございますが、基本的に私ども、代行を含め企業年金を行うかどうかということにつきましては、再三御説明申しましたように、代行制度とともに行う企業年金というのは終身年金といった構成がとりやすく、またとらねばならないという形で、魅力のあるものになっておりまして、そのような制度を今後企業として労使で話し合って続けていくかどうかということはまず基本でございます。

 そのような観点から、私どもは、やはり代行を返上するかどうかということは、その時々の短期的なメリット、デメリット論ではなくて、あくまでも企業として、労使の、そのことを継続するかどうかという必要性に基づいて判断されることが第一だと考えております。

金田(誠)委員 制度全体の中で、このようなモラルハザードの制度を組み込んでおいていいのか悪いのかという問題について、きちんと考えていただきたいと思います。

 次に、厚生年金基金連合会の問題点についてお尋ねをいたします。

 まず初めに、連合会の平成十二年度における積み立て不足の状況、この金額をお示しいただきたいと思いますし、今後、積み立て不足がいつの時点で解消するのか、見通しをお聞かせいただきたいと思います。

辻政府参考人 まず、厚生年金基金連合会の積み立て状況でございますが、現在確定している最も新しい決算である平成十一年度決算におきましては、約二千億円の不足ということになっております。

 なお、御指摘の平成十二年度決算につきましてはまだ確定しておりませんが、率直に申しまして、国内株式市場が非常に悪化しておりまして、積立金の運用環境は大変厳しい状況にあったので、十一年度決算、先ほど申しましたものに比べてかなり厳しいものになるというふうに考えております。

 このように今厳しい状況であるのは事実でございますが、先ほど申しましたように、基本的にはやはり基金運営というのは中長期的に腰を据えて見ていくということでございまして、バブル崩壊後の時期でありましても、過去の運用利回りの実績は、平成七年度から十一年度の五年平均で八・一%、あるいは平成二年度から十一年度の十年平均でも五・三%というようなことで、直近の実績のみで今後の積み立て不足の状況を判断することはできない。

 したがいまして、そのような状況から見ましても、いつ解消できるというようなことは現時点で見通せないわけでございますけれども、今言いましたような長期的なことから見まして、今後経済状況が回復する中で積み立て不足は解消されるというふうに考えております。

金田(誠)委員 平成十二年度はもう三月に決算が終わって概略の数字は出ていると思うんですが、私はきょうで何回もこれを聞いたわけですが、いまだに数字が出ていない、おっしゃっていただけない。よほど悪いんだろうというふうに推測をさせていただきます。とても言われないぐらい悪いんだろうなということがよくわかりました。

 そこで、厚生年金基金の問題点でございますが、厚年基金であれば積み立て不足が生じたら企業が穴埋めをしてくれるという仕組みがあるわけでございますが、連合会の方は、積み立て不足に対応できない、だれも穴埋めしてくれません。したがって、いつ破綻しても不思議のない、非常に不安定な無責任な仕組みであるということを申し上げておきたいと思います。これを解消するためには、そもそも代行制度を廃止するというところに踏み込んで検討すべきものということを申し上げておきたいと思います。答弁は求めません。

 そこで、改革の方向について一つ提案をさせていただきたいと思います。

 厚生年金基金連合会は、現在、厚年基金が解散したり中途で退職したりしたときに、積立金の移換を受けて給付業務を行っているということでございます。しかし、新たにできる確定給付企業年金に移行した場合は、代行相当分の積立金は基金連合会ではなくて厚生年金本体に移換をされるというスキームになっているわけでございます。ということは、この仕組みを利用して、代行分の積立金を厚生年金基金本体に移換していくという仕組みをとれば、代行廃止ということが容易に可能になるんではないか。そういうスキームをつくって、厚生年金基金を放置するんではなくて、代行廃止というきちんとしたレールを敷くべきだ、これが私の提案の結論なんでございます。

 この一点、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。

辻政府参考人 今御指摘の代行廃止というお考えの前提は、厚生年金基金連合会が危機的な状況にあるという御認識かと存じますので、一点、簡単に一言、状況についての認識を申しますと、昨今基金が解散しております大きな理由は、経済環境の変動に伴う加入者の減少、つまり企業そのものが小さくなっているということでございます。ただ、厚生年金基金連合会はむしろ逆に、これから加入者が、いわば中途加入者が入ってくるという中で、加入者が減少するということではなくて安定しておりますので、より長期的、安定的な運用は可能であるということで、一概に現在の企業年金のさまざまな状況が基金連合会には当たらないと考えております。

 それにいたしましても、御提案の代行相当部分について、国に直接移換するということができるのであるから、厚生年金基金についても中途脱退者、解散基金加入員の代行相当分を本体に移換することは可能ではないか、こういう御指摘かと存じます。

 これにつきましては、なるべく簡単に申し上げますけれども、一つは、上乗せだけを今までの基金で行って残して、それで本体部分だけは厚生年金に持っていくということにつながるかと思います。ただ、上乗せにつきましては、現実には上乗せの部分だけを今の厚年基金で行うことは非常に煩瑣で難しい。逆に、一時金で分配してしまっては、せっかく年金を受けるという道を持っておったのを閉ざすことになる。そのようなことから、これをやはり廃止できない。

 そのときに、では上乗せと代行の関係をどう考えるかということでございますが、いわば法的には切り離すことは不可能というわけではございませんが、上乗せと代行部分が合体することによりまして、運用の効率、事務の効率ということでこのような厚生年金基金ができたというような今までの経過から見まして、これを切り離すということは現実問題として妥当な制度運営にはならないと考えております。

金田(誠)委員 確定給付企業年金法ではそういうスキームをつくったわけでございますから、厚生年金基金あるいは連合会に対する移換という中でもこれは手をつけるべきだったと思います。こっちを全く手つかずに新たなスキームに移行するというのは、やはり問題を残してしまった、問題を先送りしてしまった、これは禍根を残すことになると思います。早急に、厚生年金基金の代行部分についてのきちんとした対応策、それから連合会の対応策、あわせてしっかり示していただきたいという要望を申し上げまして、終わります。

鈴木委員長 次に、佐藤公治君。

佐藤(公)委員 自由党の佐藤公治でございます。

 本日、質問の前に二つのことを、大臣の方、また副大臣の方にお話しさせていただければと思います。

 まず一つは、坂口大臣、両副大臣ともに、このたびの御就任まことにおめでとうございます。本当に心からお喜びを申し上げたいと思います。前回の森内閣時代に多々失礼なこともあったかもしれませんが、お許し願いまして、これからもひとつよろしくお願い申し上げます。

 第二点目は、自由党としまして、このたびのハンセン病国家賠償訴訟に関しまして、原告団は国の政策の誤り、過ちによって一生を台無しにした辛酸を味わった。平均年齢が非常に高齢ということでもございます。形式的理由で控訴することは国としての真摯な謝罪の気持ちをあらわしていない、そんなようなことはやはり断じて許されないと思っております。大臣のお気持ちまた御意見、行動を私ども信じておりますので、何とぞよろしくお願い申し上げたいと思います。

 それ以上のことは私の方ではもう言いませんので、大臣を信じて、質疑に入らせていただきたいと思います。

 小泉内閣になりまして、いろいろと永田町も変わったのかなという気がいたしました。そういう中で、先般、小泉総理の所信表明演説を聞いても、厚生労働行政に関しての具体的な方向性というものが見えにくかったように思えます。実際、私が感じることは、小泉総理は厚生大臣もやられ、厚生行政に関してはかなり精通されているので、具体的なものが出てくる、聞けるということを思っていたんですが、やはりその辺が出てこない。変わったと言いながら、何か変わっていないのではないかという疑いの気持ちが強く思えるようになっております。

 このたび、小泉内閣になりまして、予算委員会等ほかの委員会でも御答弁をされているかもしれませんが、小泉総理と厚生労働行政につきましてどういう話し合いがあって、また指示があって、お互いの気持ちが一つになって今後やっていくことができるのか、するのかというあたりがありましたら、教えていただけたらありがたいと思います。大臣にお願いします。

坂口国務大臣 聖域なき構造改革に取り組むという総理の強いリーダーシップのもとに、現下の重要課題であります社会保障制度改革や雇用対策に全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに思っております。総理と基本的な考え方におきましては違いはないというふうに思います。

 総理から、厚生労働大臣を再び命じられましたときに、三点につきましてメモをいただきました。一つは、国民の将来不安を解消するため、将来にわたり持続可能な安心できる社会保障制度を構築すること。二番目に、構造改革を円滑に進めるため、雇用面のセーフティーネットの整備を図ること。そして三番目に、将来を担う人間性豊かな世代を育て、活力ある社会を築いていくため、少子化問題を克服すること。この三点につきまして全力で取り組んでいただきたいという指示がございました。

 総理からこういうメモをちょうだいするということは今までなかったことでございますし、感銘してこのメモをちょうだいをした次第でございます。

佐藤(公)委員 総理も、所信表明演説の中で、国民に対しての道筋を明快に語りかけ、理解と協力を得ていくというようなことの話がございました。その道筋というのはその三点というふうに理解してよろしいんでしょうか、大臣。

坂口国務大臣 厚生労働省に対します一番大きな柱としては、この三つというふうに考えております。

佐藤(公)委員 そういうことがあるのかと思いますけれども、後半の二つに関してはともかくとしまして、最初の、一番目のことでございます。

 私は五月三日の、たまたまというか、地元におりまして、新聞を見ましたときに、坂口労働大臣の、閣僚に聞くというのを見させていただきました。このときに、消費税を目的税化、坂口労働大臣、賛成ということで記事が出ておりました。私はこれを読んだときに、大変うれしく思い、本当に一つの方向性で協力ができるのであればという気持ちがあったことは事実でございます。

 この記事には、私は目的税化に賛成だというふうにお答えになられているんですけれども、前に私が委員会で質問したときには、そういう部分は考えていかなきゃいけない、検討していかなきゃいけないという御発言にとどまっていたんです。ここまで踏み込んでお話をされたというのは、小泉内閣になったから言えたのかなという気もするんですけれども、大臣、この辺のお気持ちとか経緯とかございましたら、お答え願えればありがたいと思います。

坂口国務大臣 消費税の目的税化につきましては、私は二つの意味があるというふうに思っております。一つは消費税で社会保障全体を賄うという意味と、それからもう一つは消費税のすべてを社会保障に充てるという意味と二つあると思っております。

 かつて、現在は保守党の幹事長でございますけれども、その前、自由党の大臣でございました野田毅大臣が自治大臣でございますときに、その当時、自由党の考え方はどちらですかということを私はその場に立ちまして質問をしたことがございました。そういたしましたら、その当時、自由党の考え方としては、消費税のすべてを社会保障に充てるという方だという御答弁があったように記憶をいたしております。それならよく私も理解ができますということを申し上げた経緯がございます。

 この消費税というものを目的税化をして、そしてそれを社会保障に充てる。しかし、それですべてを賄えるかといえば、すべてを賄うことはなかなか難しいので、社会保障の中には保険という一つの中心の行き方があって、それにプラスした税というものがあって、そして自己負担というものもあってというふうに私は思っているわけでございまして、この二番目の意味合いで、消費税というものの目的税、あるいは目的税化と言ったかもしれませんが、そういうふうに私はマスコミの質問に答えたというふうに思っております。

佐藤(公)委員 もう私どもの党としての主張は大臣よく御存じでございますので、そういう部分でいったらダブる部分もあり、また少しちょっと離れている部分もあるかもしれませんが、どうか私どもの主張もいろいろとまた聞いていただき、考えていただき、今後御検討願えればありがたいかと思います。

 ところで、私もこのたびの確定給付の企業年金のことでいろいろと質問をと思っていたんですけれども、ここのところ何週間の間、週刊現代という雑誌に年金のことが第一弾、第二弾、第三弾と三つ、また第四弾が出るようですし、いろいろと書かれております。

 私は本当に、今回はこの三階建ての部分ですけれども、本来の年金のあり方、そして厚生労働省のあり方、今までのいろいろなことがあると思いますけれども、ここまで、第三弾まで出るということは、かなりの、雑誌社の思いなり何があるのかなということを思いまして、あえてこれを取り上げさせていただきたいと思います。

 この記事に関しては、大臣、お読みになられましたでしょうか。

坂口国務大臣 私は残念ながら読んでおりません。

佐藤(公)委員 ぜひ読んでみてください。私、別に雑誌社と何の連絡も全くとっておりません、今日まで。本当に普通の一読者として見る中、マスコミがこれだけ取り上げるということは大変なことなのかなと思いながら、事実関係を確認する時間もございませんでしたので、この場で各局長さんにお答えを願えればありがたいと思っております。

 週刊誌、マスコミ、それがすべて正しいとは私も思いません。ただし、ここまで、これはもう大臣、見ていただければわかりますけれども、週刊誌、マスコミがこういうものだと言えばそういうだけになっちゃうんですが、何か巨額の流用とか、優雅に暮らす、掛金をむしばむ、年金利権、うそ、安心を食いつぶした、抜き取っているとか、こういう言葉が羅列してあるような状態の記事でございます。

 私の友人もこれを見まして、本当に厚生労働省はひどいところだねというのを何人にも言われました。ただし私は、ひどいところもあるかもしれない、でも、すごくいいところもある、こういう部分をきちんと、いいものはいいもの、悪いものは悪いものとしてただして、やはり確認をしてやっていく。そういう意味で、大臣、ぜひ読んでいただければありがたいと思います。

 この記事に関しまして担当局長にお尋ねしますが、もう時間も余りないんですけれども、第三弾まで出ております、この第三まで出ている内容が、一体全体どこまでが本当で、どれがうそで、どこがいいかげんなのか、この辺を簡単簡潔にお答え願えればありがたいと思います。

冨岡政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまの御質問の点につきまして、この週刊誌に書かれておりましたことを私どもなりに要約いたしますと、社会保険の事務費なり福祉施設に保険料が流用されているのではないかといった記事ではないかと理解しております。この点について、私どもの法律の根拠なり予算の根拠なりを御説明申し上げます。

 まず最初に、事務費でございます。

 厚生年金、国民年金の事務費につきましては、全国津々浦々実施しておる事業でございまして、従事する職員も多く、大変膨大な仕事量でございます。この事務費は、人件費なり、それから年金証書を印刷して送ったり、納付書をそれぞれ調べて送ったり、収納したり、その運送経費とか印刷経費とか、こういった非常に膨大な事務から成るわけでございます。

 まず人件費でございますが、これにつきましては、国が制度運営を行うという観点から、法律、厚生年金保険法、国民年金法に規定がございまして、予算の範囲内で国庫が負担するとされておりまして、この人件費につきましては国庫が負担いたしております。

 それから、事務費の中にも、被保険者の年金相談に応ずるために、例えばコンピューターで過去の何千万人の記録を管理して即座にいろいろな御相談に応じられるといったコンピューターシステムの構築とか、相談に応ずる人たちのコスト、こういった被保険者の福祉の向上に資するような費用につきましては、これも法律に根拠がございますが、従前から保険料を一部充てているところでございます。

 それからもう一点、例えば年金証書を印刷したり納付書を送ったり、こういった事務費があるわけでございます。これにつきましては、平成九年に財政構造改革の推進に関する特別措置法が制定されましたが、そのときに、あわせて厚生保険特別会計法それから国民年金特別会計法といったものが改正されました。その中身は、年金事業等の事務費に係る国及び地方公共団体の負担を抑制するために、平成十年度から平成十五年度までの間、社会保険事務の執行に要する費用の一部に国及び地方公共団体の負担以外の財源を充てることとされたところでございます。長々申し上げました。法律に書いてあるんですが、要は、この意味は、保険料を充てることができる、このように法律改正が行われました。

 以上のような根拠で、現在、人件費を除きます年金証書の作成とか納入に係るいろいろな事務費、印刷費、送料、活動費、こういったものは、先ほどの法律の根拠に基づきまして保険料財源を充当しているところでございます。

 次に、福祉施設関係について御説明申し上げます。

 これにつきましては、やはり厚生年金保険法、国民年金法に、被保険者や受給者、それからかつて被保険者であった人、こういった方の福祉を増進するための必要な施設をすることができる、このような根拠がございます。会計法の方にも根拠条文がございまして、このために保険料財源を繰り入れることができるとされているところでございます。

 このような法的根拠に基づきまして、私どもとしては、所要の経費を特別会計の予算に計上しまして、国会の議を経まして適正に執行しているところでございます。いろいろ週刊雑誌には書かれておりますが、適正な手続を経て執行されているということでございまして、こういった非難は全く当たらないものと理解しております。

 以上でございます。

佐藤(公)委員 大変丁寧な御説明ありがとうございました。

 では実際、ここに書かれていることは全部、うそだということ、本当だということ、どうなんでしょうか。もしくは法律的に問題があるのかないのか、その辺も含めてお願いします。

 そして、ここに書いてある言葉をそのまま使わせていただきますと、むしばまれた金額は四兆三千億円とありますが、これは本当なんですか。六一年から九八年の三十七年間に二千億円のかすめ取ったお金というのは本当ですか。そのほかに、いろいろな元厚生官僚の方々もインタビューに応じていらっしゃいます。こういう御発言は本当なんですか。

 こういうあたりを含めて、ここに書いてある記事が、どこまでが本当で、どこまでがうそで、どこまでが正しいことで言い過ぎなのかを、中途半端なところは別にしまして、厚生労働省としてはこんな書き方は最も許されないという部分があったら御指摘をください。お願いします。

    〔委員長退席、吉田(幸)委員長代理着席〕

冨岡政府参考人 三回にわたっていろいろ書かれておりまして、一つ一つ検証とかいうのもなかなかできないわけでございますが、ただいま先生のお話にございました四兆数千億円のという点について申し上げます。

 これにつきましては、実は、厚生保険特別会計の年金勘定なりの損益計算書上の数字をいろいろ過去足し上げたものではないかというふうに思っておりますが、実は、その損益計算書上に損失という項目がございます。これは実は、一般的な概念の損したという意味ではございませんで、こういった専門の会計関係の解説書によりますと、損益計算書の中で損失という表現を用いているが、損失という表現を用いていても本当に損失している意味ではなく、費用と言いかえた方が一般的にはわかりやすい、このような性格のもののようでございます。それで、例えば先ほど申し上げましたようないろいろな費用を年々ずっと足し上げて、そういったものが、一九六一年度以降ずっと何十年も毎年足し上げると、それなりの額になるわけでございます。

 それからもう一つは、私ども、確認できないものですからよくわからない点があるんですが、事業の失敗が二兆円という記述もあるようでございます。何が失敗と書いているのかわからない点がありますが、一つは、恐らく、年金福祉事業団が行っております資金運用事業の累積の利差損と申しましょうか、相場動向とか景気動向による変動の差みたいなもの、こういったものをいろいろ足し上げて書かれたんじゃないのかな、そんなような気がしております。

 先ほど、根拠法律、それからまた予算上の手続を申し上げましたが、私どもとしては、必要な手続を経て厳正に執行しておるものでございまして、流用といったことは全くございません。そういった意味で、ここの週刊雑誌に書かれている記事につきましては、私どもは根拠のない記事だと思っております。

 以上でございます。

佐藤(公)委員 ということは、じゃ、週刊誌に書かれていることはほとんど誤解であり、誤りだというふうに私どもは思ってよろしいんでしょうね。いかがでしょうか。

冨岡政府参考人 私どもは、先生御指摘のように、誤解、誤りだと思っております。

佐藤(公)委員 そうしたら、やはり、この週刊誌に対して何らかの抗議文なり訂正なりの意見を求めていく、またおわびをしていただくなどということを考えていらっしゃいますでしょうか。これはどなたでも結構でございます。

冨岡政府参考人 御指摘を踏まえまして、検討いたします。

佐藤(公)委員 もう時間もなくなり、この後大臣のスケジュールもあるということでございますので、私の方としては、きょうはもっともっと聞きたいこともたくさんございますが、一応これに関してはこれで終わりにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

吉田(幸)委員長代理 小沢和秋君。

小沢(和)委員 ハンセン病問題について最初に一言お尋ねをしたいと思うのです。

 大臣は先ほど、私は控訴に反対するとはっきり言われました。そして、法務省への回答もまだ行っていないということも言われました。私は、こういう大臣の態度は大変立派だと思います。この問題の直接の担当大臣がこういう態度でおる限り、首相といえどもそれを無視して控訴するということは、私は政治的にはできないと思うのです。私は、こういう大臣の発言は職を賭しての発言だというふうに聞きましたけれども、大臣はそういう決意でおられるというふうに理解してよいでしょうか。

坂口国務大臣 先ほど私が申し上げましたのは、私の現在の心情を申し上げたわけでございまして、これからまだお話し合いをするわけでございますから、その中でひとつ、私の思っておりますことをまたお聞きをしてもらいたいというふうに思っている次第でございます。

小沢(和)委員 私ども共産党は、控訴して和解するという考え方には断固反対であります。

 これまでの経過を見ますと、熊本地裁が政府と国会の責任を認めたのは当然だと思います。控訴することは、理由をどうつけようと、この責任を認めないということであります。原告たちは、国の責任をあいまいにしたままで幾らか金を出すとか処遇を改善するというようなことでは、絶対に納得することはないというふうに思いますし、世論もまた納得しないと思います。私は、控訴をすれば、これは小泉内閣に対する大きな失望が広がるに違いないと思います。今からでも遅くありません。ぜひ大臣が、控訴を断念すべきだということを、それこそ職を賭して小泉総理に言っていただきたいということを重ねて申し上げておきます。

 では、法案について質問をいたします。

 不況の長期化、深刻化の中で、厚生年金基金や適格年金、両制度に巨額の積立金不足が生じております。本来このような積立金不足はあってはならないことであります。この法案では、少なくても五年に一度財政再計算を行い、積立金不足があれば、三年から二十年でそれを解消するよう拠出の上積みを義務づけております。これまでの適格年金にもこの義務づけが及ぶことは、私は前進だと思います。そして、その不足が新会計基準で公表され、加入者にも財政状況が報告されることになった、これも前進だと思います。

 しかし、私が心配するのは、これが努力義務であるために、実際には経営が苦しいことを理由にすれば、拠出の上積みどころか、さらに積み立て不足が大きくなるというような事態もやはり起こりかねないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

    〔吉田(幸)委員長代理退席、委員長着席〕

辻政府参考人 今回の法案におきましては、受給権保護のために積み立て基準、受託者責任の明確化、情報開示等の措置を整備しているわけでございます。私どもといたしましては、このような措置につきまして仮に事業主が必要な掛金を拠出しない場合には、情報開示に基づきまして加入者によるチェックがなされるということで、労使間での適切な対応がなされる、あるいは必要に応じて、私ども、このような法的な根拠を持ちまして行政指導を行うといったことで、まずもってこの法案による受給権保護というものを追求することによりまして、その安全というものを守ってまいりたいと思います。

小沢(和)委員 今、情報を開示するとか、行政指導するとか言われたわけですけれども、実際に経営が苦しいということになると、最長二十年の間に埋めればいいんだからということでそれを先送りすることを、そういう程度の手段では食いとめることはできないんじゃないでしょうか。それで結局、気がついてみたら、さらに積み立て不足は大きくなってしまっておったということは考えられるのじゃないでしょうか。

辻政府参考人 今回のこの新制度の導入によりまして、毎年度の決算を出していただく、そしてそのときに、それに基づきまして積み立て不足がどうかということにつきまして精査をする、そしてまた、そのことは常に加入者に対して公表される、私どもも指導させていただく、このことを定期的に繰り返していくわけでございます。

 そして、これはしみじみ思うことでございますけれども、優秀な従業員を得るために企業がこのような制度を導入し、また、それに対応して従業員も努力していくという中で、企業が労使によって自主的につくるのがこの企業年金でございますので、まずそのような形をもちまして安定、安全を図るということが基本であると考えております。

小沢(和)委員 今回、私は、アメリカの企業年金制度を少し勉強してみたのですが、いわゆるERISA法では、積み立て不足に対する政府の姿勢は、日本よりはるかに厳格であります。積み立てが九〇%未満になると、最低拠出義務に加えて、不足分の追加拠出が積み立て不足に比例して増加するように追加拠出が義務づけられます。同時に、不足分に一〇%のペナルティーが課税される。これは損金扱いできません。経営難で拠出できないと内国歳入庁が認めると、そのときの拠出は免除されますが、免除額に対する利息つきで五年以内に解消を義務づけられる。倒産でもしない限り、徹底して拠出を追求されるわけであります。これぐらい厳しくしなければ、本当に積み立て不足を解消できないのではないか。いかがでしょう。

辻政府参考人 米国におきまして、御指摘のような積み立て不足に関して課税する措置があるということは認識いたしております。これらのERISA法を背景としますような措置は、米国でかつて非常に大きな事件、結局、約束した企業年金をほとんど出せなかった、あるいはもう全く出さなかったというような事件を機に大議論が起こりましてそのERISA法の体系ができ、さまざまな仕組みが導入されたと認識いたしております。

 このような形でできた米国の仕組みを我が国の現状に照らして考えてみました場合、今御指摘のような措置が仮にあるとしましたら、事業主に対する積み立て不足解消のインセンティブになる面があるのは期待されるわけでございますけれども、逆に非常に厳しい措置であり、そもそも確定給付型の企業年金を続けていこうというインセンティブにマイナスに働くのではないか。あるいは、最も基本的な問題点でございますけれども、なぜ課税して国庫収入を取るのか、いわば、その企業の従業員や受給者との関係で積み立て不足が問題になっているのに対して、言ってみれば税の体系でこのような措置をとるということが我が国の現状に照らして可能なのか、こういった問題点があろうかと存じます。

小沢(和)委員 けさの参考人の皆さんの意見を伺っておりましても、企業年金は私的なものだから労使の間でやっていくのに任せるべきだというようなこともあります。しかし、本当に受給者あるいは加入者の権利を保護していくためには、そういう労使で自主的に決めたことでも、守らせるという点については、ある程度強制力が働くようなことも含めて、手段として考えていかなければならないんじゃないか、この点はもう一度申し上げておきます。

 次に、日本では、積み立て不足の追求が弱いだけではありません。この法案では、加入者の三分の二以上が合意すれば企業年金の内容を変更できることになっております。そうすると、こういう手続さえ踏めば幾らでも給付水準そのものを下げることができるということになってしまうのではないか。そうすると、給付水準そのものを大幅に下げる形で積み立て不足も解消するというようなことだって可能になるんじゃないでしょうか。

辻政府参考人 基本的に、まず、確定給付企業年金の給付水準をどの程度にするかということは、やはり自主的に労使で設定した企業年金というものについて労使で十分協議した上で決定する、言えば、民間企業における民間企業の労使の活動の延長線上にあるものであるという認識でございます。

 その中で、給付水準の引き下げ自体は、加入者や受給者等にとって不利益になるという意味では好ましいことではないと考えますが、ただ、そのような事態というものが、例えば、雇用環境の変化ということを見て、労使が話し合って退職給付をやめるといった動きも私どもはキャッチをいたしていますが、あるいは確定拠出に移行しようといった動きがある。そんな例に見られますように、退職給付制度全体をむしろ環境の変化に伴って見直すということに伴ったり、あるいは、母体企業の経営状況の悪化の際、企業年金の廃止という最悪の事態を回避するための策として、労使合意のもとでこれを行う。こういったことも、今申しましたような労使の話し合いによる企業年金の給付水準あるいは企業年金のあり方の一つの選択肢であると考えております。

 このように、給付水準の程度やその引き下げをどのようにするかという程度につきましては、そのときの状況に応じまして、あくまでも労使で十分に協議した上で設定すべきでありまして、給付水準のいわば引き下げの下限を設定するとか規制するといったことは考えておりませんが、給付水準については、幾らでも下がるというものではなく、おのずから労使のしっかりした話し合いによって、そこのところは合意が得られるものであると考えております。

小沢(和)委員 今のお話を聞いていても、結局これ以上下げてはならないという下限がないということはむしろはっきりしたと思うんですね。そうすると、どこまででも下げることができるということになってしまうのではないでしょうか。

 実際、政府が九七年に給付の切り下げを認める通達を出してから、どんどん切り下げが広がっているというふうに聞いております。昨年度までの切り下げ件数の推移を数字で示していただきたいと思います。

辻政府参考人 まず、厚生年金基金において給付水準を切り下げた件数を申し上げます。一九九七年、平成九年度で七件、一九九八年、平成十年度十六件、一九九九年、平成十一年度五十二件、二〇〇〇年、平成十二年度百七十七件でございます。

 また、これらのうち、加入者の将来期間分だけでなく過去期間分についても引き下げを行ったものがおおむね九割弱でございます。また、受給者等についても給付水準の引き下げを行ったものは五件にとどまっております。

 いずれにしましても、企業年金というものを長期的に守っていくために行われた苦渋の選択であろうと考えます。

小沢(和)委員 今のお答えでも、特にここ二、三年で急激に給付の切り下げ件数がふえてきているということははっきりしたと思うんですね。九九年が五十二件、そして二〇〇〇年が百七十七件というところまで大きく伸びた。そして、今のお話では、過去分についても切り下げが行われ、受給者、つまりもう既に年金を受け取っている人たちについても切り下げられるというのも五件あった、こういうお話だったと思うんです。だから、そういう意味で、切り下げというのが非常に急速に広がっていっている。

 私、またアメリカの話をして恐縮なんですけれども、アメリカでは、年金受給権が既に発生している分については制度上引き下げが許されないというふうに聞いております。だから、今三十五歳でも、何年働いたから六十五歳になればこれだけもらえるという権利が確定している。今回の法改正では、こういう計算上の権利を保護しようということは考えなかったのか。

 私が驚くのは、既に年金を受け取っている人についても、原則として給付引き下げの対象とはしないというふうに政府は言いながら、実際には真にやむを得ない場合という言い方で引き下げの手続まで決めている。全受給者の三分の二以上の同意で引き下げることができるということを認めている。アメリカに比べて受給権の保護が余りにも弱いのではないかということを私は痛感したんですが、いかがでしょうか。

辻政府参考人 米国では、先ほど申しましたように非常に大きな事件があったことから、その後さまざまな規制強化が行われて、一定の加入年数を経過するとそれまでの加入期間に基づく給付については原則として減額することはできない仕組みがあるのは事実でございます。

 しかしながら、そもそも各企業の任意で実施する企業年金における給付の切り下げにつきましては、先ほど申しました例を含めまして、雇用慣行や退職金制度等関連制度とのバランスなどを踏まえて、実態に即した取り扱いをすべきものであるということで、あくまでも労使の自主性を尊重するということを基本とすると考えております。そんな中で、給付の引き下げにつきましては、私ども、労使の話し合いというもののプロセスをきっちりと行っていただくという意味で、あえて手続を定めさせていただいているところでございます。

 そして、受給権保護が弱いとの御指摘でございますけれども、民間の企業年金制度への公的介入を強めてかえって確定給付型の企業年金が減少するということでは、結果的には従業員のためにならないおそれもあるというような今の社会実態の中で、私どもとしては、一歩一歩、企業の中で労使が話し合い、よりすぐれた企業年金が育つように精いっぱい努力をしてまいりたいと考えます。

小沢(和)委員 労使の自主性でということですべて逃げてしまうわけですけれども、しかし労使が自主的に決めたことであっても、それを運用していけば、そこで、さっきからお話ししているように、現在働いている人でも将来はこれだけもらえるということがずっと計算上積み重なっていく、あるいは既にお金を年金としてもらうような状態になっていくわけです。だから、そういうことについて国が公的な制度として保護をかけたって、これは労使の自主性を尊重することとは全く別のことじゃないですか。

 それをなぜアメリカ並みに、日本は何でもアメリカ並みということが非常に好きな国なんですけれども、だったら、こういうようなことぐらい大いにアメリカ並みにやったらいいんじゃないですか。

辻政府参考人 率直に私ども、アメリカの制度を勉強いたしまして、大変企業年金については厳しい規制が行われていると思っております。

 今の論点でございますけれども、結局、拠出義務というのは企業以外にないわけでございます。企業が拠出しなければ、これはあくまでも民間の企業の活動、経済活動の一環の営みでございますので、あくまでも企業が拠出をするという中で、その拠出について、労使が話し合うということを越えて国が強制的に何かをするというのはどのような意味を持つのか、我が国の現状においてどのような意味を持つのかと考えますと、私どもはこの制度の仕組みが現時点で最も適切であると考えております。

小沢(和)委員 それは、あくまで日本の現実に押し流されているんだということをもう一遍申し上げておきたいと思う。

 それで、給付水準引き下げでも年金を維持できなくなるというと、いよいよ解散に追い込まれるわけであります。その場合、企業そのものが存続していれば、積み立て不足を解消しなければ解散できませんから、加入者には実害は余りないと思うんです。問題は、企業が破産して解散する場合です。この場合、企業とは別の法人格を持つ基金であれば差し押さえの対象になったりしないのは当然でありますが、規約型だと、企業の外で年金資産を管理運用していても差し押さえられるという可能性がないのか、この点、念のためお尋ねします。

 差し押さえられないということになれば大変結構でありますし、そうなると、既に年金を受けている人のその後の支払いがどのように保証されるか。また、受け取っていない人も、確定した権利分について年金一時金などの支払いを受けられるはずだと思いますが、どうか。お尋ねします。

辻政府参考人 まず、お尋ねの規約型の場合でございますけれども、新制度の規約型企業年金におきましては、年金資産は信託銀行や生命保険などにより管理運用を行わなければならない。この運用先を法律で限定いたしております。そのような信託銀行、生命保険会社の場合には、預けられた資産は、それぞれの企業財産から完全に分離されておりまして、当該企業が倒産いたしましても、企業の債権者から年金資産を差し押さえられることは、法制上ない。すなわち、他の債権者からこの資産は差し押さえられることはございません。年金加入者のためのみにこれは保全されます。

 それからまた、いわば規約型年金のもととなる企業が確定給付企業年金を廃止し、終了した場合、その残余財産を企業が取り戻してしまえば加入者には行かないわけでございますけれども、そのようなことはできませんで、残余財産の全額を加入者、受給者に分配しなければならず、事業主に引き渡してはならないことになっておりますので、その資産が加入者、受給者に、それぞれの話し合いによって返されることになります。

 以上でございます。

小沢(和)委員 企業が破産して基金が解散した場合、どこでもかなりの積み立て不足になっていると思われます。こういう場合の支払いを保証するために、これまでの厚生年金基金では、任意の共済事業として、厚生年金基金連合会が積み立て不足分をカバーして一定の支払いを保証してきたわけであります。

 今回の法案にはそういう制度がない。私は、これは大きな後退ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

辻政府参考人 今回の法案に当たりましての支払い保証制度についての検討の過程を御報告申し上げたいと思います。

 そもそも、今回の法案に基づく新たな企業年金制度の対象というのは、これまで積み立て義務を課されていた厚生年金基金からの移行グループ、それから、積み立て義務がなく、各企業の判断に事実上どれだけ積み立てるかをゆだねられておりました適格退職年金からの移行グループ、大きくこの二つの移行グループがあるわけでございますが、当面、今までも資料でも御報告しましたように、それぞれのグループごとに企業年金の積み立て状況にかなりの違いがございます。

 そういうようなことから、この支払い保証制度、いわばグループのすべての企業年金があらかじめ拠出金を出して相互扶助するという制度でございますけれども、そのような、グループとしてかなりの積み立て状況の差がある中で、現時点で統一的な支払い保証制度を創設するということは公平の観点からも困難でありますし、全く合意の得られるものではございませんでした。

 また、支払い保証制度そのものにつきまして、むしろ積み立て不足を放置するようなモラルハザードを招くのではないか。倒れたとしても、いわば扶助制度から助けてもらえるというような形、倒産したとしても助けてもらえるというようなモラルハザードは起こさないのかというような基本的な異論というものもあるのが現実でございます。

 それから、強制の制度とした場合に、運営主体はだれか、そして保証された給付の債務の最終的な負担者はだれか。では、任意の制度としようという場合では、合意がなければできませんが、合意が得られるのか。

 こういったもろもろの問題につきまして答えが出ていない。こういったことから、今回盛り込めなかったわけでございます。

 なお、厚生年金基金の支払い保証はあるではないか。これは大切な御指摘だと思うのですけれども、厚生年金基金の支払い保証制度は、全基金の合意のもとの任意の事業でございます。したがって、確定給付企業年金で課題となっている強制加入の支払い保証制度とは性格が異なっております。

 では、任意でできるかといえば、今言いましたような、大きなグループ間の積み立ての相違がある、あるいは認識においてさまざまな異論があるということから、同様に任意で行うということはできなかったわけでございます。

 それから、厚生年金基金においては、代行給付と一体の上乗せ給付を必ず行うこととされておりまして、実は、厚生年金基金グループの給付には大きな共通性がございます。共通性があるグループだから、お互いに支払い保証制度も組みやすかった。こういった背景がある。

 そういうことである一方、逆に新企業年金におきましては、代行があってその上に共通のものを乗せるというものではありませんので、給付設計や水準もまちまちだということで、なかなか支払い保証制度の基盤となる前提がない、こういったことで、厚生年金が例になって今回導入するということはできなかったということでございます。

小沢(和)委員 政府の今回の法案作成の経過を見ますと、当初は、明らかに支払い保証制度に前向きであります。平成八年六月の厚生年金基金制度研究会報告書では、「受給権保全のため、すべての基金を対象とした支払保証制度を充実強化すべきである。」と書かれております。適格年金について検討した平成九年七月の大蔵省財政金融研究所の報告書も、同じように積極的姿勢を示しております。

 ところが、同年十二月、経団連が「企業年金制度の抜本改革を求める」との意見を発表し、その中で、支払い保証制度は不要であるばかりか、弊害をもたらすと反対を打ち出した途端に、平成十年十月の年金審議会の意見では、支払い保証制度は引き続き検討すべき課題に後退してしまいました。

 こういう経過を見ても、今回の法案に支払い保証制度を盛り込まなかったのは、財界の圧力に屈服したということじゃないんでしょうか。

辻政府参考人 先ほど私どもから説明させていただいたことは、いわば当初から存在しておった客観的事実でございまして、ある時点で状況が変わったというような事実関係ではなくて、この法案に取り組むに当たって検討してまいりました基本的な事実関係に基づく結論でございまして、そのような他の影響を受けてできなかったということはございません。

小沢(和)委員 時間も押し詰まってきましたから、今のは反論したいところですけれども、最後にもう一問質問したいのです。これは大臣にお答えをいただきたいのです。

 先ほどから私はアメリカの話をしているのですが、アメリカでは、倒産した場合でも、積み立て不足を減少させるために、可能な限りの拠出が義務づけられております。この義務を果たそうとしない場合は、年金給付保証公社は企業に対し、純資産の三〇%を上限に租税と同じ順位で先取特権を行使できる。この公社は一九七四年にERISA法によって設立されたものであります。

 アメリカでは、先ほどから述べたような仕組みで、企業が年金についてモラルハザードを起こさない厳しい仕組みをつくり出し、その上に立って支払い保証制度を実施しております。

 日本でもこういう制度の実現が全体として求められているのではないか。大臣の支払い保証制度についての所見をお尋ねしたいと思います。

坂口国務大臣 小沢委員から、アメリカに見習えというお話をいただいて恐縮いたしております。

 支払い保証制度の創設につきましては、先ほどから局長も答弁をいたしておりますとおり、これはどうしても検討しなければならない課題であるということは間違いないわけでございます。しかし、大事な問題だけに、さまざまな方面の皆さんの意見を聞きながら慎重にいかないと元も子もなくしてしまうというところがありますだけに、慎重を期した言い方をしていることは御理解をいただきたいというふうに思うのです。

 だから、私の言い方も、したがいまして慎重になるわけでございますが、引き続き検討していくことをお約束申し上げたいと思います。

小沢(和)委員 検討してどっちの方向に行くのかという方向が、今のでは見えないのですね。

 残念ながら、きょうは終わります。

鈴木委員長 次に、中川智子君。

中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。

 ハンセン病の控訴の期限というのがあさって二十五日に迫ってまいりまして、本当に日々祈るような思いでおります。それは本当に、今は坂口大臣に手を合わせるしかないという状況になっているように思います。

 四時から原告団そして弁護団お一人が官邸に入りまして、小泉総理と今お会いになっている。その結果がどうだったか連絡が来るのだったのですが、やはり必死の思いで総理にお話をされているような状況だと思います。

 私は、やはりこれは政治決着しかないのだろうと思っているのですけれども、九十年に及ぶ法のもとで強制隔離をされた例というのは、日本の歴史にもかつてなかったし、これからも起こり得ないこと、極めて特異なことだと思っておりますので、これは、ほかの裁判に影響を及ぼすとか、とりあえず控訴してその後和解というようなことをすることは、この国の決断として、立法府にいる私たちの決断でそれをしてしまったら、本当に取り返しがつかない。政治に対する不信、そして一人一人の声が見殺しにされる。そしてまた、一から必死の思いで闘っていらして、命を削るようにして裁判をしていらした方々に対して、矢尽きて刀折れる、そのような状況に私どもが手をかすということにほかならないと思っております。

 それに、特に、私は薬害ヤコブの裁判もこの間支援しておりますが、今までの裁判では、家族の援助、支援というのがずっとあって、皆さん元気で頑張ってこられました。でも、このハンセン病の裁判は、家族にさえ支援を受けられない、家族に対して顔を隠し、本名を名乗れずに闘っていらっしゃるのですね。子供さんもなく、産めない状況をつくられてきて、そして結婚していらっしゃる方は奥さんだけ、家族の支援もない、親戚縁者の支援もない中で、一生懸命、健康障害を抱えていらっしゃるのです。

 これで控訴となると、私はもうこれ以上大臣には言葉は必要ないと思っております。今、総理とお会いになって、原告の方々から二つのことを総理にお願いしているということです。一つは、控訴してからの和解はない、これは絶対受けない。そして、二番目に、会ってから決断してほしい。原告の話を聞いてから決断してくださるというのが約束だったので、会って原告の話を聞いて、そして森山法務大臣、坂口厚生労働大臣、官房長官、小泉総理を交えて最終的なそこでの決着。そのときに、坂口大臣に手を合わせてお願いするという、本当に大臣に対してのエールでございます。

 私は、今もしも衆議院の議場で党議拘束を外して採決すれば、過半数が控訴せずということに賛成してくださると思うのですが、それができないぎりぎりの状況の中で、私も運命の出会いを感じましたが、質問をするちょっと前ですが、廊下で神崎代表にもたまたま偶然お会いしました。神崎代表は、一生懸命頑張るから、控訴をせず、それで頑張るからねとおっしゃっていました。

 神崎代表と大臣とのお立場は今は違いますが、与党の一角、与党の大きな位置を占めていて、厚生労働大臣のそのお立場で、今の私は本当に言葉が出ないほど必死の思いなので、思いは十分酌み取っていただいたと思いますが、夕方からの話し合いに対しての大臣の思いを一言お願いします。

坂口国務大臣 大変大事な時期を迎えておりますので、冷静に判断をし、冷静な対応をしたいと今思っております。

 私の気持ちにつきましては、きょう既に皆さん方に申し上げたところでございますので、多くを申し上げることはないと思います。

中川(智)委員 厚生労働大臣、どうぞ御退席ください。

 続きまして、法案の質問に入りますが、先日の私の質問で非常に私がこだわっておりますのは、厚生年金の財政の見通しについて非常に心配をしておりまして、まずはこの質問をさせていただきたいと思います。

 局長の御答弁をお願いしたいのですが、厚生年金の財政見通しにおける積み立て度合いを見ますと、高齢化のピークの二〇二五年でも三・七、つまり三・七年分積立金があるわけですが、どうしてこんなにたくさん積み立てしておかなければいけないのか、これを聞きたいのですが、なぜでしょうか。

辻政府参考人 厚生年金は、基本的に世代間扶養、賦課方式の考え方に基づく財政運営を行っております。したがって、その時々の現役の保険料が受給者のところへ回るというのが基本でございますが、ただ、それだけで運営をいたしますと、大変急速に高齢化が進みますので、いわば現役の保険料水準が急速に上がってまいります。

 余りに急速な保険料上昇は現実問題としてついていけない、合意が得られないということで、徐々に上げなければなりませんけれども、それをなだらかにする必要がある。そのためには、積立金を持って、しかも、今の世代は将来の世代より負担は軽くて済む世代ですので、保険料を引き上げて、積立金を持って、その積立金の運用利子を充当しながら、いわば将来の保険料が高くなり過ぎるのを抑える、こういう財政方式をとっております。

 このたび、改正をいただきまして、将来の現役の保険料水準が労使合わせてボーナス込みでおおむね二割程度、労使折半でございますので、被用者本人負担は一割程度、このような程度の保険料水準にとどめるというような改正が行われたところでございます。

 では、そのようにとどめるためにどのような積立金を持っておればその積立金の運用収入でそれができるのかということを計算いたしまして、これは公表されておりますけれども、その計算に基づいて、いわば将来の負担水準をその程度にとどめるために必要な積立金を持つことにした、それが今御指摘の積立金の額でございます。

 ただ、額としては、例えば二〇二五年度で二百七十五兆円というふうに非常に大きな額でございますが、これは名目価格でございまして、その間に賃金が上昇したり物価が上昇したことによって膨らんでいく額でございますので、これを現在の平成十一年度価格に逆換算いたしますと、むしろ現在よりも少し上がって下がるということで、決して現在の規模から見てそんなに大きな額を持つというものではございませんが、しかし、これがなければ保険料が高くなり過ぎてしまうというような意味で保有をいたしております。

中川(智)委員 では、続いて伺いますが、年福事業団のことし三月の決算見通し、おわかりになれば教えてください。

辻政府参考人 十二年度の年金福祉事業団の運用状況につきましては、現在、年金福祉事業団から資産を承継した年金資金運用基金において集計中でございます。これは、例年の例によりましてまとまった時点に公表されますが、ただ、はっきりと申しまして、十二年度の運用状況は、十二年度の国内株式の下落が非常に顕著でありましたので、これを勘案すると、大変厳しいものになるということを見込んでおります。

中川(智)委員 非常に見通しが悪いというふうにお話しになりましたが、次の質問とあわせてのお答えで結構ですが、では、いつごろ決算の報告が出るのかというのが一点と、もう一つは、積立金の運用について伺いますけれども、その内訳がどうなっているのか、株や債券などの大まかな割合でいいので教えていただきたいと思います。

辻政府参考人 例年の例により公表させていただくことになると思いますけれども、大体六月ないしは七月でございます。

 それで、年金資金運用基金、年金福祉事業団から継承いたしました資金運用事業の資産構成割合でございますが、したがいまして、恐れ入りますが、十二年の三月末の時点の資産構成割合を御報告させていただきますと、まず総額は時価ベースで二十七兆五千億円でございます。そのいわば時価ベースでの構成割合を申させていただきますと、まず国内債券が約五二%、それから転換社債が約三%、国内株式が約二六%、外国債券が約五%、外国株式が約一二%、それから短期資産が約二%、以上のような構成でございます。

中川(智)委員 私も周りは株とかをやる人は余りいないのですが、株をやっている人は首をつって死んだり、かなり大変な下落で本当に深刻で、この間まで、私の親戚で、一人すごくお金持ちがいたのですけれども、非常に貧乏になってしまったぐらいの大変な状況がこの一年で続いておりますね。

 昨年三月末とことし三月末の日経平均の株価の変化についての御認識を伺いたいと思います。

辻政府参考人 十二年三月末の日経平均二万三百三十七円三十二銭、それから十三年三月末の日経平均一万二千九百九十九円七十銭、この間七千三百三十七円六十二銭下がりまして、三六・一%の下落でございます。

中川(智)委員 年金というのはみんなのお金で、それはいいときはいいでしょうけれどもリスクが非常に伴う、それにどんどん運用されては不安で不安でたまらない。そのことが、年金が将来受け取れるんだろうかというようなところも、これはもう当たり前の不安でございますが、そのかなり下がっているということに対してはどのようにお考えで、今後も同じようにその運用というのはなさるのでしょうか。

辻政府参考人 確かに、史上まれに見る大きな株式市場の谷に今あると思います。ただ、一言で申しまして、年金の資産運用は非常に長期的に行うべきものでございます。先ほど申しましたように、二〇二五年を予測し、実は二〇二五年だけではなくて、保険料水準のピークを維持するためには超長期間保有しながら運用するものでございます。そのようなことから、長期的に見れば、株というものはむしろ債券よりは収益率を上回る。

 ちょっと数字を御紹介させていただきますと、国内株式でございますが、これは国内株式をTOPIXという指標で見まして、国内債券はNOMURA―BPIで見まして、一九七一年から二〇〇〇年度までの三十年間、国内株式の収益率と国内債券の収益率を比べてみますと、三十年間で見ますと、二〇〇〇年度を含めてでございますけれども、株式の収益率は一〇・四二%、国内債券は七・三八%と国内株式が上回っております。それから、米国株式の場合を見ましても、これは一九七〇年から一九九九年の過去三十年で、米国株式は一五・八七%、米国債券は九・五五%、このように株式の収益性というものは長期的に、年金資金運用の場合は見るべきものだと考えております。

中川(智)委員 それでは、大臣が御退席ですので桝屋副大臣に伺います。

 厚生労働省は積立金があるからその運用益でピーク時でも保険料率をこれだけ抑えることができるというふうに、そして長期的にはそうだったということなんですが、私はこれから先の十年二十年というのは今までの十年二十年と全然違う経済の動き、さまざまなものがあると思います。特に、一年で二万円のものが約半分近くに下落するという状況の中で、同じような形でこの運用をしていっていいのかどうかということがあるのです。それで、本当に大損をすることだってあるわけですから、リスクも大きくなるというのは当たり前のことです。

 もし長期的に見れば損をしないというのであれば、そっちの方が何か伺っていたら不自然で、市場を操作しているのじゃないかと一方から見れば疑われるのじゃないかというぐらい、ちょっと懐疑的になってしまうんですが、株にどれくらい使われるのか明らかにされていませんが、年金以外にも郵貯や簡易保険なども含めると、国内株式市場の約一割ということを聞いていますので、相場の形成に与える影響も少なくないと思っています。

 でも、この年金というのは老後の生活を支える大切なものですから、国民はやはり堅実な運用を望んでいると思うんですね。おふろのお湯をためるのに、おふろの栓を抜いたまま幾らじゃあじゃあお水を入れたってなかなかたまらないし、いざ入ろうと思ったら空っぽなんということになってしまったら大変なんですが、それはそこまではならないと思うんですけれども、国民が望んでいる堅実な運用が年金に対する信頼というものを生むと考えます。

 リスクの大きい株でもうけることを期待しているというふうにはとても思えませんけれども、副大臣、今の年金局長のお話などを伺っていまして、どのようにお考えか、御所見をお願いします。

桝屋副大臣 その前に、大臣がちょっと席を外しておりまして大変申しわけありません。すぐ帰ってくると思います。

 中川委員の方から、年金の運用について、積立金の運用について、株に対して大変に御心配をされておられる。先ほどの局長の説明で、過去の三十年のデータの御説明もいたしました。確かに、短期的には株は大きな変動もあるわけでありますが、年金というのは数十年間というロングランで運用が可能なわけでありまして、そういう意味では、国内債券中心の資産構成とした上で、一定のルールのもとに限定的に株式を組み込む、そして安全、確実かつ効率的に運用していく。よく年金積立金の基本ポートフォリオという話を聞きますが、そういうことも可能だというふうに思っております。

 大臣も新しい体制の中でこの運用については一番心配しておりまして、社会保障審議会の年金資金運用分科会等におきまして十分な御審議をいただいて確立をした、そうしたルールといいますか、そうしたものを、これからも審議会のチェックを受けながら、客観性と透明性を十分に確保して運用に誤りなきを期していきたいというのが大臣の思いでありまして、一概に株は一切だめということではないんだろうというふうに思っております。私も株をやったことがありませんからよくわかりませんけれども。よろしくお願いいたします。

中川(智)委員 それでは、確定給付の問題で、午前中の参考人の方々のお話、とても勉強になりましたが、やはり四人の方の三人までが、支払い保証制度、これはやはりきっちりしておくべきだろうというお話がありました。

 検討の過程ではあったのにそれがなくなったというのは、きょうのお話を伺っていても、経営者側のモラルハザードの問題ということが大きなネックになったんだろうと思いますが、やはりこれをきっちりと保証していく、そこは実に大事なことだと考えますが、いかがでしょうか。

辻政府参考人 支払い保証制度につきましてでございますが、検討を私ども行ってまいりました。行う中で、やはり一番大きな事実というのは、いわゆる客観的な事実でございまして、今回の新企業年金というのは、厚生年金基金から移行するグループと適格年金から移行するグループがあるということで、資料でも御説明いたしましたが、この二つのグループには積み立て不足度合いに相当大きな格差がございます。この支払い保証制度というのは、皆があらかじめ拠出金を出して、いわば倒れたときをヘッジする仕組みでございますので、これは合意がなければできないわけでございます。この点で、現時点において到底合意が得られないという客観的事実というものが、私ども、この制度を導入できなかった一番大きな理由でございます。

 それにいたしましても、では、本当に強制というのであれば、強制した場合のいわば運営主体、最終的な負担者、こういったこと、これから大変大きな問題でございますけれども、その議論がございますし、そもそも、積み立て不足を放置するようなモラルハザードを招くのではないかといった基本的な異論があるわけでございます。

 そんな中で、まずもって、相当長期の経過期間をかけてでございますけれども、新企業年金のもとできちっと積み上げて、モラルハザードなどを起こさないできっちりと企業年金を守っていくんだ、そして積み立て不足というものが本当に解消されていくんだといったことをまずきちっと行っていくということがまず先であると考えております。

中川(智)委員 午前中のお話の中で、代行の廃止というのが連合の方からも強く言われておりました。やはり公的年金と私的年金のすみ分けというのはきっちりしなきゃいけないと思いますが、それが残ってしまった経過と、そして廃止すべきだという方向性についての御見解を伺いたいと思います。

辻政府参考人 厚生年金基金の代行制度の意義づけでございますけれども、基本的には、終身年金の厚生年金の代行部分というものがありまして、その上に企業独自の上乗せを一体的に行う、そしてそれは終身年金であるということが、代行とその上に乗った独自分を合わせた厚生年金基金の大きな意義でございます。そして、この意義というものは、いわば昭和四十一年の制度発足以来、加入者に大変な安心感を持たせ、これまで生かされてきたわけでございます。

 ここで、今大変経済環境が悪い中で、企業年金のあり方について議論のあるところでございますが、私ども、再三申しましたように、年金制度の運用というものは長期的に考えるべきものと考えます。

 そのような中で、やはり終身年金を持つ代行というものを今後とも維持するのか、新たな柔軟な制度設計に移行するのか、これは選択ができるということで労使の話し合いにゆだねたわけでございます。これは決して、何も代行をやりたくない人にやりなさいということを法律はどこも言っておりませんで、あくまでも労使の話し合いでこれは選択が可能という仕組みにいたしましたので、逆に、終身年金を持ち、また、沿革もあり、それから長期的には、代行部分というのは運用のスケールメリットもあるわけでございます。長期的に見まして、そのようなことを含めて、このような選択の形で厚生年金基金を残すことが妥当であると考えております。

中川(智)委員 それでは、最後の質問に入ります。

 受給権の保護、これがやはり明確ではないということに大変不安を持っております。これは、ちゃんと法律のここの部分でそういうことを内包しているんだよというところは、どこでしょうか。受給権の保護というところで、きっちり、どの部分で担保できるのかどうか、そこのところで明確な御答弁をお願いします。

辻政府参考人 具体的に申し上げますと、まず、将来にわたって約束した給付が支給できるよう、年金資産の積み立て基準を設定すること。それから、その積み立て基準に基づいて運用されます資産運用につきまして、企業年金の管理運営、特に資産運用にかかわる者の責任、行為準則を明確化する、すなわち受託者責任を法律的に明らかにする。そして事業主等に、年金規約の内容を従業員に周知していただく、そして財政状況等について加入者への情報開示を行う。こういった具体的な措置を法律で導入したわけでございます。

 これらの措置につきましては、情報開示による加入者のチェックというのは非常に大切だし、またそうあるべきだと私は思いますが、そのようなものはもとより、行政が適切な指導を行うということでこの受給権の保護の実効性が確保できるというふうに考えております。

中川(智)委員 ありがとうございました。

 坂口大臣、最後に、控訴をせずというニュースを待っておりますので、闘ってきてください。お願いします。ありがとうございました。

鈴木委員長 次回は、来る二十五日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時八分散会




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