衆議院

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第4号 平成13年10月26日(金曜日)

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平成十三年十月二十六日(金曜日)

    午前十時一分開議

 出席委員

   委員長 鈴木 俊一君

   理事 棚橋 泰文君 理事 谷畑  孝君

   理事 森  英介君 理事 吉田 幸弘君

   理事 鍵田 節哉君 理事 釘宮  磐君

   理事 福島  豊君 理事 佐藤 公治君

      奥山 茂彦君    上川 陽子君

      鴨下 一郎君    木村 義雄君

      熊代 昭彦君    左藤  章君

      佐藤  勉君    七条  明君

      田村 憲久君    竹下  亘君

      西川 京子君    野田 聖子君

      林 省之介君    原田 義昭君

      平井 卓也君    松島みどり君

      三ッ林隆志君    宮腰 光寛君

      宮澤 洋一君    吉野 正芳君

      大島  敦君    加藤 公一君

      金田 誠一君    土肥 隆一君

      古川 元久君    細野 豪志君

      三井 辨雄君    水島 広子君

      山井 和則君    山花 郁夫君

      青山 二三君    江田 康幸君

      樋高  剛君    小沢 和秋君

      木島日出夫君    阿部 知子君

      中川 智子君    井上 喜一君

      川田 悦子君

    …………………………………

   議員           鴨下 一郎君

   議員           田村 憲久君

   議員           津島 雄二君

   議員           根本  匠君

   議員           山花 郁夫君

   議員           青山 二三君

   議員           江田 康幸君

   議員           福島  豊君

   厚生労働大臣       坂口  力君

   厚生労働副大臣      南野知惠子君

   厚生労働大臣政務官    佐藤  勉君

   政府参考人

   (人事院人事官)     小澤 治文君

   政府参考人

   (人事院事務総局勤務条件

   局長)          大村 厚至君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長

   )            日比  徹君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児

   童家庭局長)       岩田喜美枝君

   厚生労働委員会専門員   宮武 太郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十六日

 辞任         補欠選任

  北村 誠吾君     平井 卓也君

  野田 聖子君     七条  明君

  家西  悟君     細野 豪志君

  三井 辨雄君     山花 郁夫君

同日

 辞任         補欠選任

  七条  明君     野田 聖子君

  平井 卓也君     左藤  章君

  細野 豪志君     家西  悟君

  山花 郁夫君     三井 辨雄君

同日

 辞任         補欠選任

  左藤  章君     北村 誠吾君

    ―――――――――――――

十月二十五日

 児童福祉法の一部を改正する法律案(津島雄二君外八名提出、衆法第二号)

同月二十四日

 安全で行き届いた医療・看護実現のための国立病院・療養所の看護職員増員に関する請願(小沢和秋君紹介)(第二号)

 同(木島日出夫君紹介)(第三号)

 同(中林よし子君紹介)(第四号)

 同(保坂展人君紹介)(第九号)

 医療費負担引き上げの中止に関する請願(志位和夫君紹介)(第五号)

 介護保険の緊急改善に関する請願(志位和夫君紹介)(第六号)

 乳幼児医療費無料制度の創設に関する請願(志位和夫君紹介)(第七号)

 同(植田至紀君紹介)(第一四号)

 同(山村健君紹介)(第一五号)

 同(川田悦子君紹介)(第一七号)

 同(家西悟君紹介)(第三四号)

 同(北川れん子君紹介)(第一一九号)

 社会保障の拡充に関する請願(松原仁君紹介)(第八号)

 男性助産婦の導入反対に関する請願(土肥隆一君紹介)(第一一号)

 総合的難病対策の早期確立に関する請願(横路孝弘君紹介)(第一三号)

 国民医療及び建設国保組合の改善に関する請願(今川正美君紹介)(第一六号)

 同(東門美津子君紹介)(第三五号)

 同(山内惠子君紹介)(第一〇一号)

 同(日森文尋君紹介)(第一二〇号)

 小規模作業所等成人期障害者施策の拡充に関する請願(石井一君紹介)(第一九号)

 同(達増拓也君紹介)(第三六号)

 同(鈴木淑夫君紹介)(第六四号)

 介護保険制度の緊急改善に関する請願(大畠章宏君紹介)(第二〇号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第三七号)

 同(石井郁子君紹介)(第三八号)

 同(小沢和秋君紹介)(第三九号)

 同(大森猛君紹介)(第四〇号)

 同(木島日出夫君紹介)(第四一号)

 同(中林よし子君紹介)(第四二号)

 同(不破哲三君紹介)(第四三号)

 同(阿部知子君紹介)(第一〇二号)

 あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律第十九条の改正に関する請願(赤松広隆君紹介)(第二六号)

 同(鹿野道彦君紹介)(第五三号)

 同(奥田建君紹介)(第一二一号)

 同(今野東君紹介)(第一二二号)

 同(鳩山由紀夫君紹介)(第一二三号)

 同(牧野聖修君紹介)(第一二四号)

 医療費負担引き上げ中止と介護保険の緊急改善に関する請願(大森猛君紹介)(第二七号)

 同(山口富男君紹介)(第二八号)

 介護保険の改善に関する請願(中林よし子君紹介)(第二九号)

 介護保険の改善、高齢者の医療費負担増の中止に関する請願(穀田恵二君紹介)(第三〇号)

 介護、医療、年金制度の拡充に関する請願(家西悟君紹介)(第三一号)

 同(植田至紀君紹介)(第五四号)

 同(末松義規君紹介)(第六五号)

 同(中津川博郷君紹介)(第六六号)

 同(吉田公一君紹介)(第七六号)

 同(阿部知子君紹介)(第一〇三号)

 同(保坂展人君紹介)(第一二五号)

 同(山花郁夫君紹介)(第一二六号)

 患者負担の再引き上げ中止、安心してかかりやすい医療に関する請願(中林よし子君紹介)(第三二号)

 食品の安全を確保するための、食品衛生法の改正と充実強化に関する請願(藤井裕久君紹介)(第三三号)

 野宿生活者自立支援法制定に関する請願(植田至紀君紹介)(第四九号)

 同(鍵田節哉君紹介)(第五〇号)

 同(今田保典君紹介)(第五一号)

 同(藤村修君紹介)(第五二号)

 同(中村哲治君紹介)(第六七号)

 同(前田雄吉君紹介)(第六八号)

 同(山井和則君紹介)(第六九号)

 同(桑原豊君紹介)(第七七号)

 同(水島広子君紹介)(第七八号)

 同(井上和雄君紹介)(第一二七号)

 同(大谷信盛君紹介)(第一二八号)

 薬害ライ症候群後遺症に係る医薬品機構障害年金者認定に関する請願(山名靖英君紹介)(第六三号)

 マッサージ診療報酬の適正な引き上げに関する請願(水島広子君紹介)(第七五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、第百五十一回国会閣法第三六号)

 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律案(山花郁夫君外五名提出、第百五十一回国会衆法第四一号)

 児童福祉法の一部を改正する法律案(津島雄二君外八名提出、衆法第二号)




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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 第百五十一回国会、内閣提出、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律案及び山花郁夫君外五名提出、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として人事院人事官小澤治文君、人事院事務総局勤務条件局長大村厚至君、厚生労働省労働基準局長日比徹君及び雇用均等・児童家庭局長岩田喜美枝君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。林省之介君。

林(省)委員 おはようございます。自由民主党の林省之介でございます。

 最初に、まさに我が日本では予想だにし得なかったBSEの発生、あるいはアメリカにおけるテロ事件を受けた炭疽菌騒動、私たち厚生労働の委員会に大いに関係する事案が発生をいたしました。坂口厚生労働大臣を初めとする関係各位の皆様方の御努力にまず感謝を申し上げるものでございます。どうぞ大臣、御自愛いただきまして、国家国民のために頑張ってくださいますようお願いをまず冒頭にいたしておきます。

 ところで、今我が国は、少子高齢化というまさに世界に例を見ない大変急激な人口変動が起こっております。平成十二年度、出生率は一・三五と聞いております。御案内のように、これはある一定の人口を維持するための最低限の要件であるところの二・〇八を大きく下回る。大変大きないろいろな問題がここから発生することも、皆さん御案内のとおりでございます。

 ただ、我々、この少子化問題あるいは介護問題を考えるいろいろな研究会でありますとかあるいは討論会、あるいは私などの国会報告会で、いわゆる教育問題が出てまいりますと、いろいろな意見が出てまいります。その中の重立ったものを二、三まず御紹介を申し上げようと思うのですが、例えばこんな意見があるんですね。

 これは総じて、子育てを終えられた、どちらかというとお年を召した方に多い御意見でございますが、例えば、自分たちは、あの終戦直後の食うものもろくに食えないような状況の中で、母親は子供を背負い、あるいは子供を抱え、一生懸命仕事をしてやってまいりました。それに比べれば、今は随分と先生、恵まれているんじゃないですか。にもかかわらず、いろいろな少年犯罪あるいは少年が引き起こすいろいろな社会問題、こういうことを見ていると、我々は信じられないというわけですね。どうして、手厚い補助がいろいろとなされているにもかかわらず、こういう少年事犯が頻繁に起こるんであろうか、先生、どこに問題があるんでしょうねというような御意見。

 あるいは、これはちょっと極論に過ぎるのかもしれませんけれども、人間の子供を牛の乳で育てて、そして乳飲み子を人に預けて、いい子供が育ちますかねというような御意見も出てまいります。

 あるいはまた、三つ子の魂百までというのは、やはりきちっと親に、言うならば扶養の義務をもっと明確にするべきではないですか。これは極端なまた論になってくるわけでございましょうけれども、どうしても乳飲み子を施設に預けて働かなきゃ飯が食えない、こう言うんだったら、むしろその金を親御さんに渡したらどうですか。そして、あなたは責任を持って、ある一定の年齢になるまで子供の養育に専念をしてください、そのかわりに、万一この子供に何かがあったら、あなたも一緒に責任をとってもらいますよ、それぐらいな強い覚悟で親の子供の養育義務というものを求めていったらどうでしょうというような意見も出てまいります。

 まさに、今いろいろとこれまた問題になっている幼児虐待、これがどこから起こってくるかという、その原因の一つに、どうも幼児虐待をする親というのは、幼いころに愛情豊かに育てられていない、そこに一つの原因を見出すというような考えも最近は出てきているように聞いております。

 まさに、日本の将来、今いろいろな問題があります。しかし、このいろいろな問題を引き起こしている、その最ももとになっているのは、私は人間であろうと考えます。コンピューターがやったわけではありません。バブル崩壊にしても、現在のこの不況にしても、あるいは今いろいろと問題になっている国際紛争にしても、すべて人間のしわざでございます。

 その人間を育てる日本の教育に大変な問題があるのではないか。こんなことで我々の将来どうなるんでしょう。むしろ、そういうことを言うと失礼かもしれませんけれども、あと余命幾ばくもないと言ってもいいお年を召した方々が、そのことを大変心配しておられるんです。

 私は、そのときによく申し上げます。どうぞ皆さん、子育ての大先輩として、もっともっとしっかり後輩を指導してくださいよ、核家族だ何だかんだと言って、あるいは、孫を猫かわいがりしてきちっとしたしつけをしないというふうなことをせずに、ぜひ皆さんが、大いにもう一回、あの戦後の焼け野原の中から立ち直ってきた、あの力をもう一回かしてくださいというふうな御返答を申し上げたりすることもございます。

 大臣、こういう皆さん方のいわゆるちまたの声と言ってもいい声でございますけれども、あくまでも感想で結構でございます。今のようなお話に対してどういう御感想をお持ちになるか、お聞かせをいただきたいと思います。

坂口国務大臣 先生の大きな立場での、そして戦後日本の歩みました道を振り返りながらのお話でございますが、私も、どちらかといえば同世代、そしてそういう中を生きてきた人間の一人といたしまして、過去のそうした歴史を振り返る中で、日本のいい面、よき習慣、そうしたものがたくさんあったことは紛れもない事実でございます。

 その当時と現在とを比較いたしましたときに、どうも余りにも違い過ぎる、そして、どこがどういうふうになってこのようになったのかはなかなか説明のつきにくいところがございますが、明らかに人の生き方というものが変わってきているということだけは事実でございます。

 今、私たちが厳しいこの経済状況の中で、もう一度我々は立ち直らなければならない、そういうふうにお互いに誓い合っているわけでございますが、そのときに、やはり過去のそうしたよき時代、決してよき時代ではなかった、経済的には非常に苦しい時代ではありましたけれども、人と人とのつながりという面ではあるいは今よりももっとよき時代であったかと思いますが、そうしたことを振り返りながら、やはりもう一度過去のことも取り入れるべきものは取り入れていかないといけない。余りにも前を向いて進むだけではいけない、後をもう一度振り返って、そして過去のよきものは拾い上げていくという作業も同時に行っていかなければ、やはりこれからの日本が不安である。それは、高齢者の皆さん方だけではなくて、現在、この日本を支えておみえになります世代の皆さん方にも同様な御心配があるのではないかというふうに思っております。

 だんだんと少子化が進んでまいりまして、将来、この少子化というものが、ただ単に子供の数が減るというだけではなくて、そのことが非常に社会保障にも大きな影響を与えるのは当然でありますし、それから経済そのものにも大きな影響を与えてくることは事実でございます。

 そうした中で、この子育ての問題一つを取り上げましても、やはり、さまざまな生き方をベストミックスでかみ合わせながらやっていかないといけない、一筋縄でこれをやっていくというだけでは、これは行き詰まるところがあるのではないか、そんな思いで先生のお話を聞かせていただいた次第でございます。

林(省)委員 どうもありがとうございました。

 大臣が大変深く広いお心でこの問題について受けとめていただいているということを聞かせていただきまして、安心をいたしました。

 そこで、今回の法でございますけれども、少なくとも仕事と子育ての両立支援というのは、現在においてはやむを得ないことではあろうと思います。一方で、そういう気持ちを、心を大切にしながら、やはり子育て支援をしていかなければいけない、このことはよくわかることでございますが、ただ問題は、育児のための時間、これが十分にとれないという、それこそ大変忙しい現代社会に生きている親御さんの中にはそういう方もいらっしゃるわけでございますから。

 例えば、子育てのために、今回の法改正もそこに目を向けているわけでございましょうけれども、子育てのためのいわゆる時間を生み出すために、労働時間の短縮であるとか、あるいはフレックスタイムの導入であるとか、いろいろな方策が考えられるであろうと思います。

 それと同時に、現在、努力義務となっております小学校就学前までの措置ということについても、もう少し広く普及をしていくようなことを我々としては考えていくべきではないか、このように思っているわけでございまして、この小学校就学前までの勤務時間短縮等のいろいろな措置について、今後の前向きなお考え等がおありなのかどうなのか。この問題について、できれば南野副大臣にお答えをいただきたいと思います。

南野副大臣 先生の教育者としてのお立場、さらに今先生の哲学をお聞かせいただきました。

 本当に、優しい人づくり、国づくりというものが子育てという原点の中にあるのではないかな、本当に、そばにいてお世話をできる母親、父親は幸せでしょうけれども、社会の流れの中で、やはり女性も自己実現していく、その観点の中から教育と子育てと仕事というものを両立していかなければならないというふうに思っております。先生のおっしゃっているように、やはり人間だから人間らしくという問題がそこにあろうかなと本当に共鳴いたすところでございました。

 今先生の御指摘の、労働者が働きながら子育ての時間をできるだけ確保するようにということが重要であるということについては、本当に同感いたしているところでございます。

 このために、改正法案にも、小学就学前、先生御存じのように、養育する労働者が百五十時間を超える時間外労働をいたした場合に、その労働の免除ができるという仕組みを取りつけたところでございますが、労働時間の短縮などの措置義務について対象となる子供の年齢を引き上げたところでございます。

 また、小学就学前までの子供を対象とする労働時間短縮などの措置につきましては、従来から努力義務規定に基づいているところでございますが、平成十四年度の概算要求には、これは二億円とでもいいましょうか、そうした措置を奨励するための助成金を今要求しているところでございます。

 企業におきましては小学校就学前まで勤務時間の短縮などの措置の実現が図られますように、こうした施策も活用しながら、効果的な啓発、指導を積極的に展開してまいりたいと思っております。

 先生の御趣旨がちゃんと盛り込まれますように、我々も努力してまいりたいと思っております。先生のさらなる御指導もいただきたいと思っております。ありがとうございました。

林(省)委員 どうもありがとうございました。

 ちょうどきょう、これはけさの読売新聞の朝刊でございますが、「ゼロ歳保育四万人超す」という、私なんかにとっては信じられないような、これが現実だろうと思いますね。そういう現実を踏まえ、そして少し資料等を見ますと、やはり今回の育児あるいは介護の休業法の法改正というのは本当に必要なんだなということを痛切に感じるわけでございますが、ただ、我が国の将来として、これはどういう姿を我々は模索していくんだろうか。

 極端に申しますと、アメリカ型と言ってもいいような、アメリカあるいはイギリスといったような国というのは、どちらかといえば自己努力型の社会制度だと言っていいように思います。それに比べまして、少しよくなっているな、日本に比べてずっとこれはいいなというのは、私の手元にある資料では、ドイツだとかフランスというのはかなりそういう意味での福祉型社会になっているかな。さらに、これはすごいわというのは、スウェーデンでございます。確かにこれは税の問題もあろうと思いますね。大変高い税を取られているスウェーデンであるからこそ、これはできるんだろう。とてもじゃないけれども、今の我が国の税収状況でこんなスウェーデンのようなことをやろうとすれば、あれもこれもカットしなきゃいけないというような、恐らく大問題が起こってくるだろうと思うんです。

 問題は、今後の我が国は、いわゆるアメリカ、イギリス型を目指していくのか、あるいは、せめてドイツ、フランス、理想的にはスウェーデンのような完全な高福祉社会型を目指していくのか。どちらを大臣としては目標となさるのか、このことをお聞きいたしまして、私の質問を終わろうと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

坂口国務大臣 ここはさまざまな問題が絡んでいるというふうに思いますが、一つは、どうしてもやはり私は職業を持って働きたい、こういうふうにおっしゃる女性がふえていることも事実でございます。この人たち、やはり職を持って生涯社会で活躍をするんだという大きな希望をお持ちになっている女性の皆さん方にお報いをしなければならないというのが一つ。

 もう一つは、子育ての段階だけは、これは自分で育てて、その後はともかくとして、その間は自分で育てたいんだという方もおみえになりますけれども、しかし、それはなかなか経済状況の上からいって許さない。結婚をして、御主人だけの給与ではなかなか生活が十分でない、やはり自分も働かなければならないという方もおみえになるというふうに思います。

 私は、そうした両方の方をやはり抱えていける社会をつくっていかなければならない。とりわけ後者の方の、やはり働かざるを得ないと思われる皆さん方、この皆さん方が多いか少ないかというのは、これからの日本の経済の中で、日本がどういう経済のかじ取りをしていくかということと大きなかかわりがあるというふうに思っています。

 これは、アメリカ型、ヨーロッパ型という分け方をされましたが、この分野におきましても、いわゆるアメリカは、どちらかといえば幅広い仕事を抱えまして、そして別な言葉で言うならば、非常に賃金の高い職種もあれば、非常に開発途上国と同じようなものもつくられる、そうした低い賃金のものも取り入れていくという行き方でございますから、そういうふうな幅広いとり方をしていくということになりますと、日本もいろいろな働き場所がたくさんあって、特に女性の働く場所というのはふえてくるといったふうに思いますが、そうしますと、やはりその皆さん方の場所、お子さんをお預かりする場所といったようなことを十分にしていかなければならないということになってくる。

 それから、どちらかといえば、これもフランスやドイツのように、ある程度働く場所を絞り込んで、非常に他の国々がまねができないような、ほかの国の追従を許さないようなところに仕事の範囲を絞り込んでいくという行き方をしてまいりますと、そうすると、一方で失業率はふえますけれども、しかし働いている皆さん方の給与は高い給与をある程度維持できるといったことになります。

 そのどちらを選ぶかということによって、私は非常に大きな影響を受けるのではないかというふうに思っておりますが、いずれにいたしましても、現在の日本は、そういう方向を目指す、どの方向を目指すということを確定してやっているわけではないのでしょうけれども、何となくアメリカ型とヨーロッパ型の中間に定着しているような気がいたします。

 そうしたことを考えますと、やはり御自身で職を持って生涯立派な仕事をしたいと思われる皆さん方、そしてまた、そこまでは思わないけれども、しかしそうせざるを得ないと思われる方、その皆さん方に双方お報いをしていく体制を確立していかなければならない。そうした意味で、今回提案をさせていただいたような子育てに対しますさまざまな制度というのをひとつ構築していく必要があるのではないか。それが、先生から御指摘をいただきました最初の少子化対策にも大いに役立つのではないか、そんなふうに考えている次第でございます。

林(省)委員 終わります。

鈴木委員長 福島豊君。

福島委員 おはようございます。大臣、副大臣、政務官、連日大変に御苦労さまでございます。

 本日は、育児休業、介護休業法の改正案につきまして、基本的な事柄をお尋ねいたしたいと思っております。

 育児休業そしてまた介護休業の制度ができまして、着実に我が国に定着をしている、そしてまた、それを利用される方の割合もふえてきている、そのように認識をいたしております。しかしながら、現在におきましてもなかなか一〇〇%までいかないというのは、実際にこうした制度を利用して育児休業というようなことをした場合に、職場に復帰する場合のハードルになるんじゃないかというような状況がいまだにあることもまた事実だろうと思っております。そうしたハードルを取り除いていくということは極めて大切な作業でございますし、二十一世紀の我が国の姿を考えるときには着実にその取り組みを推し進めていかなければならない、そのように思っております。

 本法案では、この育児休業、介護休業取得者の不利益取り扱いの禁止ということが盛り込まれたわけでございます。大変大切な改正点であろうというふうに思っております。

 これにつきまして具体的にお尋ねをさせていただきたいと思っておりますのは、不利益取り扱いとされる事業主の取り扱いというものは一体どういう範囲に及ぶんだろうか、このことがまず一点でございます。そしてまた、不利益取り扱いを受けた場合に行政としてどのような対応というものをしていくのか、ここのところについて具体的なことをお聞きしたいと思います。

岩田政府参考人 育児休業の申し入れ、あるいは実際に取得をしたということを理由とした不利益取り扱いを今回明文をもって禁止をするということでございますが、具体的には、例えば、退職を強要する、本人が希望しないにもかかわらず正社員からパートタイムなどの非正規社員に身分を転換する、あるいは減給をしたり、退職金や賞与の算定に当たりまして、実際に休んだその期間を超えてペナルティー的な取り扱いをするといったようなことが想定されるというふうに思います。

 何が不利益取り扱いに当たるかということにつきましては、この改正法案が成立しました暁には、関係審議会でも御審議いただいた上で、厚生労働大臣が定める指針の中で、今申し上げましたようなことも含めて具体的に定めてまいりたいというふうに思っております。その指針の内容をよく周知をして、不利益取り扱いが起こらないように、予防のための周知ということが大変大事かというふうに思います。

 残念ながら、もし仮に不利益取り扱いということが起こるということになりました場合には、この育児・介護休業法は都道府県労働局で施行いたしておりますので、ぜひそちらの方に御相談いただきまして、労働局が調査をした上、不利益な取り扱いがあったということでございましたら、事業主に対して助言、指導、勧告ということをして是正をさせたいというふうに思っております。

福島委員 ただいま周知ということが極めて大切であるというふうに岩田局長からお話ございました。私もそのとおりだと思っております。

 そういう不利益な取り扱いということについては禁止をされているんだということについて、明確に働いておられる方に知っていただく必要がある、そしてまた、そういう場合にはちゃんと行政が対応するんだということを知っていただく必要がある。ぜひとも、お一人お一人の働く方に、改正がなされたんだということについて徹底するための取り組みというものを推し進めていただきたい、そのように思っております。

 そして、次にお尋ねしたいことは、看護休暇、看護休業のことでございます。育児休業、介護休業と並んで要望が近年大変高まっている、そのように思っております。

 子供さんが病気になられたときに、看護のためになかなかすぐに休めない、これは、仕事と子育てというものを両立するということを目指している方にとっては、大変なつらい思いをその時折にされているんだろうというふうに私は思っております。

 公明党としましても、看護休業制度というものをきちっと創設すべきであるということを提案してまいりました。今回の改正案におきましては、導入するよう努めなければならないということで、努力をしていただく、努力規定ということになっているわけでございます。

 これは、日本の企業風土の変化というものはなかなか一朝一夕にいかないということも当然ございます。着実に変化を推し進めていくということが大切なんだろうと思います。そしてまた、現実に対応ができないのに無理やり法律で定めるということも、なかなかそれはできないことであろうという御指摘もそのとおりかと思いますけれども、これは大臣にぜひお聞きしたいのでございますけれども、この創設に向けて今後着実な努力をしていただきたいと思っておりまして、大臣の御決意をお聞かせいただきたいと思います。

坂口国務大臣 御指摘いただきましたように、今回出しました法律は努力義務ということになっておりまして、今までのことを思いますと、一つの前進であるというふうに思いますが、見方によりましては、努力義務では物足りないという御意見もあるわけでございます。しかし、その目指します方向性といたしましては、これは間違っていないというふうに思いますし、この方向性を今後スピードをどう上げていくかということになってくるだろうというふうに思います。

 努力義務ということを、ただ単に努力義務ということにしましても、その内容をただ啓蒙するとか周知徹底するというだけではなくて、もう少し、より積極的にこの義務を果たしていただくような方策をやはり考えていかなければならないだろう。

 現在のところ、まだ看護休暇というのはおとりになっている皆さん方も非常にパーセントが低うございますし、やはりもっともっとこの必要性というものを理解していただかなければならないことも事実でございます。大きい企業はともかくとしまして、中小企業もたくさんあるわけで、数はこちらの方が多いわけで、その中で、中小企業の方にも御理解をいただいて、そして実現をしていただけるようなことを考えていかないといけない。

 やはり若干の時間がかかるのではないかというふうに思いますが、ただ、その時間をしかし浪費するのではなくて、与えられたこの努力義務の時間の間により積極的に、よりこれを有効にどう使って、そして次のステップにどう結びつけるかということが大事だというふうに思っている次第でございます。

福島委員 経済状況は大変厳しいわけでございます。その中で企業に負担ばかり求めるというのはいかがかという御指摘もございます。しかしながら、ワークシェアリングについて、経営者側そしてまた労働側が検討を始めたわけでございます。二十一世紀の労働のあり方の一つの大きな流れになっていくのだろうと思っておりますし、そういう大きな変化の中でこうした課題も着実に実現をしていくということで、ぜひとも今後とも努力をいただきたいと思います。

 次に、転勤の問題でございます。

 転勤に当たって配慮を求めております。この配慮というのはなかなかに難しい言葉でございまして、どのような対応をすればいいのか、この点について御説明いただきたいと思います。

岩田政府参考人 子供を養育したり、親を介護したり、そういうことを行っている労働者にとりましては、住居の移転を伴うようないわゆる転勤は、仕事と家庭生活の両立の負担を著しく増す、あるいは、場合によっては仕事の継続それ自体が難しくなるといったようなことも起こり得るのではないかというふうに考えております。

 そのために、今回の育児・介護休業法の改正案におきましては、育児や介護を行う労働者については転勤について配慮してほしいということを明記したところでございますが、この配慮というのは、一律に、すべてのケースについて配置転換を行ってはいけない、転勤を行ってはいけないということではございませんで、事業主が転勤命令を出すかどうか、どこに転勤させるかあるいは転勤させないのか、そういうことを検討する際に、それぞれの労働者、育児や介護を行っている男女の労働者でございますが、それらの方々の育児や介護の状況ですとか、考えられる転勤の負担ですとか、そういうことを十分熟慮した上で決定してほしいという考え方を明らかにしたものでございます。

福島委員 ぜひ現場での適切な対応がなされるように、この法改正後、状況がどのようになったかということについてフォローアップをしていただければというふうに私は思います。

 次に、男性の育児休業の取得に向けての取り組みについてお尋ねをしたいと思います。

 私も子育ての最中でございまして、育児休業をとれればいいなと思いながら、なかなか思うに任せず今に至っておりますけれども、まだまだその普及というのは不十分であると言わざるを得ないというふうに思います。これは意識の問題もございますし、そしてまたみずからの昇進というようなことも、当然、男性の場合というのは大変大きなハードルになるのだろうというふうに私は思っております。企業風土も変えていかなければいけません。多面的な取り組みが必要だと思いますけれども、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

坂口国務大臣 私もこの問題に答える資格が実はないわけでありまして、本当に自分の子育ては、小学校に行っております間はいつ学校に行ったのか全然記憶にない、気がついてみたら中学生になっていたというのが私の過去でございますので、余り大きな声で、ここで男性の育児休業についてのお話を申し上げる資格はないというふうに思っております。

 しかし、平成十一年度で見ますと二・四%、この数字が高いと見るか、低いと見るかでございます。まだ二・四%しかないんですよと局長さんなどはおっしゃるわけでございますが、しかし、私から見れば、それでも二・四%までふえてきたかという気もするわけでございます。

 これから、どんどんとこの数字がふえていかなければならないことは事実だというふうに思いますが、これも先ほど御指摘になりましたように、企業の中の風土というものも、やはり意識改革もしていただかなければならない。企業がだめだからとれないというのもそれはあるかもしれませんが、それだけではなくて、全体にどうもとりにくい。言葉は悪いですが、男のくせにとかというようなことをすぐに言われるような風土、そこを直していかなければならないわけでありますから、その辺の意識改革を、どう直していくか、より積極的にここは取り組まないといけないというふうに思っています。

 仕事と家庭の両立できる社会ということを言っております以上、ここはこれからの一番大事なところだというふうに思っておりますが、非常に努力を要する部分でもある、これは予想外に努力を要する部分だというふうに思っています。人間の社会のすべての行き方に全部かかわってくる話でありますから、そこを全部、やはり一つ一つ変えていくということが大事でありますので、その努力をしていくアクションプログラムをどうつくるかということにかかってくるというふうに思っております。

 私も、過去を振り返ると、どうもそれを言うだけの自信はありませんけれども、しかし一生懸命にやりたいと思っております。

福島委員 こうしたことは経済の面からも私は大切なのではないかというふうに最近思っております。

 日本の経済が戦後高度経済成長をしましたのは、単純に言うと効率の追求だったのではないかというふうに思います。ですから、働いて働いて働いてということでございます。二十一世紀の日本の経済は、効率の追求ではなくてイノベーションこそが必要だ、創造こそが必要だという状況に入っているのだと思います。ですから、ゆったり働く、働くときは集中的に働く、そして創造性を発揮する、そういう働き方そのものを変えるというような契機がないと日本の経済そのものも成長しないのではないか、そんなような思いもいたしておるところでございます。

 次に、保育士の資格制度についてお尋ねをしたいと思っております。

 これは今般、児童福祉法の改正案、議員立法で提出させていただきました。その中で、保育士の名称独占の問題についても取り上げさせていただきました。

 現場で保育士の方にいろいろとお話をお聞きしますと、地域における子育て支援というような役割というものが、保育士が担うべき役割として新たに出現している。そういう中で、例えば児童虐待のような病理現象もあるわけでございます。こうした幅広い問題に対応するためには、保育士としての専門性というものをもっと獲得しなければいけないのではないか、そしてまた、さまざまな知識というものを修得するようなことも必要だろうという指摘がございます。その中で、四年制というような大学の課程でより専門的な知識というものを修得する、そういうコースもつくってはどうかというような御指摘もございました。この点についてお考えをお聞きしたいと思います。

岩田政府参考人 今先生おっしゃいましたように、保育士は、保育所の中で実際に子供の養育に当たるということだけではございませんで、地域のすべての家庭の子育てを支援するという重要な役割が近年高まってきております。そういうようなことから、保育士の資質の向上がますます求められているというふうに思っております。

 これまでも現職の保育士に対しまして、政府といたしましても研修を実施してきておりますし、また、児童虐待その他児童を取り巻く環境が大変厳しいものに変わってきているということもございますので、それらも考慮しながら保育士の養成課程、カリキュラムでございますが、これを見直し、また、それと連動したような形で保育士試験のあり方も見直しをしたところでございまして、平成十四年度からは新しい課程で実施をすることといたしております。

 お尋ねの、四年制の大卒者についてでございますが、現行の保育士、大半の方は短大ですとか専修学校で二年教育を受けた方でございますが、これとは別の資格を付与するということがいいかどうかということについては、保育の現場にどういう影響が出てくるかとか、保育士の養成体系にどういう影響が出てくるかといったようなことについても検討をしなければいけないというふうに思っておりまして、今後の検討課題とさせていただければと思っております。

 議員立法で御提言いただきました保育士の国家資格化は、保育士のステータスの向上、資質の向上に大変大きないい影響があるというふうに私どもも評価をしているところでございます。

福島委員 あと一点お尋ねをさせていただきたいのは、待機児童ゼロ作戦でございます。十四年、十五年、十六年と、五万人ずつ入所枠というものを拡大していこうという話でございます。

 しかしながら、今後も少子化の傾向は進むであろうというふうにも言われておりますし、これをどういうふうな形で実現するのかということは極めて大切だと思います。箱物ばかりふやせばいいということでは決してなくて、既存のものを活用しながら、そしてその中で、財政も大変厳しい状況でございますから、弾力的な運営によってこれを実現していくということも、当然その中で検討されるべきだろうと思います。

 定員枠につきましては、これは規制緩和ということで弾力化が進められておりますけれども、こういうものをこの中で上手に活用していくということが必要だろうと思っておりますが、この点についてのお考えをお聞きしたいと思います。

岩田政府参考人 待機児童ゼロ作戦ということで、おっしゃいましたように、十四年度から毎年五万人程度子供さんの受け入れの枠を拡大していく、これは、大変厳しい財政状況の中で大きな仕事でございます。そういうことから、新設をしていただける自治体にはもちろん補助をいたしますけれども、保育所の新設整備とあわせまして、既存の施設の活用ですとか、それから受け入れの子供さんの定員の弾力化、これも進めてまいりたいというふうに思っているところでございます。

 従来から、定員の弾力化について努力をしてまいりました。その状況を見てみますと、定員の弾力化の効果を見てみますと、例えば定員の充足率、定員に対して実際お子さんが何人入っているかということですが、これは近年目覚ましく上昇しておりまして、弾力的な受け入れということが進んでいることのあかしだというふうに思っておりますが、それでも、平成十二年の四月現在で、全国平均で見ますと充足率が九三%ということでございまして、まだまだ受け入れ、特に年度途中の弾力的な受け入れが十分ではないというふうに思っております。

 こういうことから、本年度もさらに定員の弾力化を図ることといたしまして、特に短時間勤務保育士の活用をさらに進めるための規制緩和を行ったところでございます。

 また九月には、地方自治体に文書を出しまして、これまで進めてきました規制緩和の目的、具体的な内容、それをよく自治体に周知をして、私どもの問題意識と自治体の問題意識がよく合うように、問題意識をシェアできるようにということで、周知をさせていただいたところでございます。

 もちろん、認可保育所の最低基準を守り、良質な保育サービスを確保するという観点での、その中での話でございますけれども、定員の弾力化という手法も使いながら、待機児童の解消に全力を挙げてまいりたいというふうに思っております。

福島委員 以上で、時間が来ましたので質問を終わります。ありがとうございました。

鈴木委員長 井上喜一君。

井上(喜)委員 井上喜一でございます。

 育児休業、介護休業等の育児とか家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律、こういうような法律が提案されるようになりますということは、育児でありますとか、介護でありますとかが大変切実な、今日的な問題になっているということだと思います。

 そこで、しかし、そうはいいますものの、例えば育児休業の取得なんかの状況を見ますと、育児休業をとっている人というのは六〇%ぐらいということになっているわけですね。これは一体どういうことなのか。例えば、育児をしてもらう家族がいるとか、あるいは共稼ぎの場合は夫婦どちらかが休めばいいわけだから、必ずしも一〇〇%にならなくてもいいということなのか。あるいは、何かの事情で育児休がとれないということなのか。この数字をどのように理解をしておられますか。

岩田政府参考人 育児休業の取得率が六割で、十分ではないんではないかという御指摘かと思いますが、これでも着実にふえてはきております。平成八年では四四・五%でございましたが、平成十二年には、先生おっしゃるように五六%を超えまして、六割近くになっております。

 育児休業を取得したいという女性はもちろんたくさんおいででございますけれども、すべての女性がそれを希望しているということでは必ずしもございませんで、仕事に早く復帰をしたいというふうに思っておられる方も少なからずおられます。

 それでは、育児休業を利用したいんだけれども利用しにくかった、あるいは利用できなかったという方がどういう状況であるかということを見てまいりますと、育児休業を取得しなかったその理由ですが、職場の雰囲気から育児休業がとりづらかったという方がその四三%で、これが一番多うございました。その次には、収入減となり、経済的に苦しくなるというお答え、これが四〇・二%でございまして、職場の雰囲気と経済的な苦しさ、この二つが大きな理由でございました。

 これらのうち経済的な問題についてでございますが、これは、従来は雇用保険の枠組みの中で、休業期間中は賃金の二五%を給付するということでやってまいりましたけれども、ことしの一月からそれを四〇%に引き上げるということで、改善を図ったところでございます。

 もう一つの、職場の雰囲気の問題でございますけれども、やはり、家庭生活よりは仕事を優先すべきであるといったような、職場優先の企業風土は根強いものがあるというふうに思います。そういうことで、育児休業の取得について十分な理解が得にくい、そういうこともあろうかというふうに思っておるところでございます。

 このために、今回の改正法案におきましては、職業生活と家庭生活との両立が重要であるということ、そういうことを広く国民一般に働きかけたいと思っておりますし、また、事業主や職場における上司、同僚の理解を進めるための意識啓発が必要であるということで、国が先頭に立ってそういう意識啓発をするといった条文も設けさせていただいているところでございます。

井上(喜)委員 多少この育児休業の取得率も上がってくるだろう、それなりの手当てもしている、こういうお話だったと思うんでありますが、いずれにしましても、育児がきちっとできるということが大切かと思います。

 そこで、今日本は少子化が大変問題になっておりますが、この少子化の原因は何なんだ、それに対する対策は何だと、ずっとこれは議論をし続けてきておりますけれども、なかなか有効な対策というのがない現状だと思うんですね。確かに、保育所をつくるとか、あるいは児童手当を出すとか、あるいはファミリーサポートセンターみたいなものをつくっていくということであります。それはそれなりに効果がありましても、必ずしもこれは少子化と結びついているという状況じゃないと思うんですね。

 役所の人に聞きますと、どうして子供が少ないかといいますと、要するに晩婚化の傾向がずっと続いてきているということ、あるいは結婚をしない人がふえてきている、こういうことを言うわけですね。したがって、こういうことに対する直接効果のあります対策でなければ、いろいろなことをやりましても結局は大した効果はない。その対策はその対策なりに効果はあるけれども、どうもやはり少子化を解消していくようなことにはならないんじゃないかと思うんですね。

 昔は、全国的にそうだと思いますけれども、私どもの方では仲人を一生懸命やってくれる人がいたわけですね。本当に無償でやってくれた。ところが、最近はそういう人も少なくなってきて、仲人をやるような人は大体金もうけでやるわけですね。ですから、余りそういうところへ近寄らないというようなことにもなってきている、こんな状況なんですね。

 そういうことで、商工会議所なんかが中心になりまして、一年に一回ぐらい地域の未婚の男女をどこか旅行に連れていって、お互いに交流するような機会をつくるなんということをやっておりまして、これは結構効果を上げているようにも思うのでありますが、何か少子化対策というようなことで、やはり新しい考えのもとに、ある種の企画、政策というんですか、そういうことを考える時期に来ていると思うんですね。従来の手法ではもう限界があると私は思うのでありますが、この点について、厚生大臣どんなお考えですか。

坂口国務大臣 子育ては人生最大の事業であるという言葉がございますが、そうした思いで皆さんがお取り組みをいただくことを願っているわけでございますけれども、今御指摘をいただきましたとおり、現実はそれとは逆の方向に向かってきているような気もいたします。

 今いろいろの理由をお挙げをいただきましたとおり、晩婚化が進んでおりますし、そして、結婚をしない人もふえてきていることも事実でございます。そうした皆さん方に対しまして政治が何をなすべきかというのは大変難しい問題でございまして、子供をつくるとかつくらないということは政治家がとやかく言う話ではない、こう言われてしまうとそれはそのとおりでございます。しかし、産みたいけれども、それに対して現状が整っていないから、社会のシステムが十分にでき上がっていないから産めない、こう言っていただく人に対してどうお報いをするかということなんだろうというふうに思います。そこに絞ってやはり我々はこの体制をつくる以外にない。

 結婚する気持ちがないという人に対して何をなすべきかというのは、手だては私も持ち合わせておりません。子供を産みたい、もう一人産みたい、しかし現状が、もう少しここがこうだったら私は産みたい、そういう人がありますならば、その人におこたえをしていくということ以外にないのではないかというふうに思っております。

井上(喜)委員 子供をつくりたいんだけれどもいろいろな状況でつくれないということは、これはある程度、対応で不可能でないわけですね。問題はそうじゃないと思うんですよ。

 結婚したくないというのはそれはそれでいいんですけれども、結婚したいんだけれどもなかなか結婚できない、これが今の現状なんですね。だから、ここをやはりもう少し考えて、これに焦点を当てて私は取り組んでいかないといけないと思うので、これはなかなか難しい問題でありますが、ぜひ役所を含めて私はお考えをいただきたい。

 これは確かに、結婚なんというのは当事者の問題だから当事者に任せればいいじゃないかという考えもあると思うのでありますけれども、日本の少子化というのは、そこまでやはりよく考えないといけないようなところまで来ているんじゃないかというふうに私は思います。

 次に、この間、私、厚生労働省の方から資料をいただいたんですが、出生する子供、あるいは六歳ぐらいまでの子供の発育状況の資料を見ました。身長とか体重とか胸囲、いずれも最近ずっとマイナスが立ってきているんですね。身長は低くなる、体重は軽くなる、それから胸囲ですかな、これも小さくなる、こういう傾向なんですね。これはどうしてこういう傾向が出てきているのかということですね、それが一つ。それからもう一つは、こういうことはいい傾向なのか、やはり憂うべきといいますか、注意を要する傾向なのか。この二点についてお伺いいたします。

岩田政府参考人 御質問の乳幼児身体発育調査は、乳幼児の身体発育の状態を全国的に調査しまして、これをもとに我が国の身体発育値を定めまして、乳幼児の保健指導の改善に役に立てるということで、昭和二十五年から十年ごとに実施をしてきております。

 平成十二年度に実施した調査結果が先般まとまりまして、その調査結果のことを先生はおっしゃったわけでございますが、二十年前の昭和五十五年、そして十年前の平成二年と比較いたしますと、生まれてくる赤ちゃんがやはり少しずつ小さくなっているという、軽度ではございますが減少傾向が認められております。

 この原因ですけれども、断定的なことはなかなか申し上げられないのですが、いい要素、悪い要素、いろいろまざっているのではないかというふうに思います。

 一つは、妊娠中毒症の予防をするためには妊婦が余り太り過ぎちゃいけないという教育をしておりまして、そのために妊婦の体重増加を適切にコントロールできるようになってきている人がふえてきているということ。これは安全な出産につながるわけでございますからいいことだというふうに思いますし、また、医療技術の進歩によりまして、未熟児の生存率が非常に良好になってきているというようなことも平均の赤ちゃんのサイズを小さくしているという要因であるというふうに思います。

 懸念される要因といたしましては、妊婦の喫煙率の上昇でございまして、特に十代の母親、二十代の母親の妊娠中の喫煙率は最近上昇傾向でございます。これは出生時の体重の減少と無関係ではないというふうに思っております。

 今回の調査結果に基づきまして、深刻な健康問題として新たに何か手を打たないといけないというようなことは必ずしもないというふうに思っておりますけれども、今申し上げました妊婦の喫煙、これについては警鐘を鳴らしていきたいというふうに思っております。

 健やか親子21というものを昨年策定いたしました。これは母子保健について、今後十年間、関係者、関係機関が取り組むべき課題と取り組み方をまとめたものでございますけれども、この健やか親子21の中におきましても、十年後には妊婦の喫煙をゼロにするという目標を掲げて取り組んでいるところでございます。この喫煙問題については、引き続きやらないといけないというふうに思っております。

井上(喜)委員 そうしますと、小さな子供が生まれるということ自身はどうなんですか。余り悪いことじゃないんですか。あるいはいいことなんですか。それとも、どちらとも言えないということなんですか。

岩田政府参考人 十年間の体重の減少が百グラムということでございますから、そして今の赤ちゃんの大きさを考えますと、そのこと自体は心配することではないというふうに思っております。頭囲などは変わっておらないようでございますので、しっかり発育していただける赤ちゃんが生まれているというふうに思っております。

井上(喜)委員 次に、保育所のことについてお伺いしたいのでありますけれども、私は、特に問題として取り上げなくちゃいけないのは、公立の保育所なんですね。これは公立の保育所がありますとなかなか社会福祉法人の保育所を認めたがらないというか、その設立を抑えるわけですね。しかも、それでは公立の保育所はどうやっているんだというようなことになりますと、なかなか延長保育だとか、そういった手間がかかるといいますか、規定を超えるようなそういうことについてはなかなかやらないわけですよね。

 私は、公立の保育所については抜本的に運営の仕方を変えていく必要があるんだろうと思うんですよね。これは相当な決意を持って厚生労働省の方でお取り組みいただきたいと思うんでありますけれども、いかがですか、厚生大臣。

坂口国務大臣 保育所の経営形態もかなり多様化をしてまいりましたし、また我々の方も多様化するように心がけているわけでございますが、確かに、地域によりましては、そういう公的な保育所がございますと、一つの地方自治体の方針としましても、何となくそのほかの分野にそれを広げることにちゅうちょするといったことも、今まで私も聞いてまいっておりますが、これから、しかし、そういうことではなくて、もう少しやはりオープンにいろいろのところができるようにしていかないといけない。

 今まではかなり規制も厳しかったものですから、一つはできにくかったということもあります。しかし、経営形態を非常に多様化してもいいということにしてまいりましたから、これから少しそういうふうになってくるんだろうというふうに思いますが、これはしかし、地方自治体のやはり関係者の皆さん方もそういう気持ちになってもらわないといけないということもあるだろうというふうに私は思っております。

井上(喜)委員 なかなかそうは言いましても自治体というのは言うことを聞かないんですよ。というのは、そこのやはり職員の力というんですか、強いものですから、そう簡単に自治体が、こうしたいからといってすぐには変わらないわけですよね。よほど腹を据えて改善していくということをしないと変わってこないと思うんでありまして、これからも、ぜひ強力なる取り組みをお願いいたしたいと思います。

 それから、最近、社会福祉法人がやっております分野で民営化の議論が出るんですね。確かに、民営化することによりますいいところも出てくると思うんですね。非常に効率的にやっていくというようなことで、非常にいいんですが、また、片や民営化に伴うマイナス面もあると思うんですね。ですから、一概に民営化がいいとも言えない。

 そこには、何か民営化を取り入れるにいたしましても一定のやはり枠のようなものがあると思うんですね。民営化というのは、例えば株式会社なんということになりますと、要するに金をもうければいいじゃないかというようなことになりますとこれはまた問題でありまして、その辺、民営化をするにいたしましても、一定の限界というんですか、歯どめというんですか、それが必要だと思うんでありますけれども、この点についてはどういうぐあいにお考えですか。

岩田政府参考人 保育所につきましては、待機児童を解消するというような観点から、多様な経営形態のものに参入してきていただきたいということでございまして、昨年の三月に設置主体についての制限を撤廃したところでございます。

 先生おっしゃいますように、経営主体がどういうものであれ、質のいい保育サービスを提供していただかないといけないというのは大原則でございます。

 そこで、認可保育所の設置のいかんを問いませず、設備、例えば子供一人当たりどのくらいの広さの保育施設が要るかとか、あるいは運営面ですと、子供の数に対して保育士の数が何人要るかといったような基準でございますが、これは株式会社も含めてすべての設置主体の認可保育所共通の基準として遵守を義務づけているところでございます。

 また、社会福祉法人の場合は、設立のときに人的な面あるいは財産的な要件について十分審査がされておりますけれども、それと同様に、社会福祉法人以外の設置主体が保育所を設置する場合には、認可時にそれらの設置主体の人的あるいは財産的要件についてもしっかりチェックをいたしております。

 このように、多様な経営主体が入ってまいりますので、利用者が保育内容を十分把握して、安心して選択できるというようにすることが大変大事かというふうに思っておりますので、保育所についての情報提供、利用者への情報提供ということを今進めておりますし、あわせて、公正かつ専門的な第三者による評価システム、これも導入したいということでただいま検討中でございまして、来年度から実施できる見込みでございますが、こういうようなことも通じまして、経営主体の多様化を図りつつ、しっかりいい保育をやっていただけるように努力してまいりたいというふうに思っております。

井上(喜)委員 終わります。

鈴木委員長 水島広子君。

水島委員 民主党の水島広子でございます。

 本日の質疑の中にも出てまいりましたが、子育てに関しましては、いまだにさまざまな偏見がございます。特に、子供が三歳になるまでは母親が二十四時間そばにいないと子供の発育に悪影響が及ぶという、いわゆる三歳児神話は、既に学問的には否定されているにもかかわらず、いまだに多くの大人たちがそれに縛られておりまして、それが親たちを追い詰め、親たちに不本意なライフスタイルを強要し、そのストレスが子供の虐待へとつながっていくということはだんだんと知られるようにはなってまいりましたけれども、本日の質疑を伺いまして、まだまだ国会では知られていないという事実に驚いているところでございます。

 さて、私は、子供たちの心の病を診てきた立場といたしまして、また私自身、ゼロ歳と三歳の子供を抱えて働く母親という立場といたしまして、親が自分らしく社会にかかわることで心の健康を保つこと、そして、父親も母親も、親としての責任をしっかりと果たせるだけの環境を提供すること、それが子育てにおけるかぎだと思っております。仕事と家庭の両立を支援する施策はその一つの重要な柱であり、今回の政府の改正案は一歩前進するものとして評価できます。でも、まだまだ十分なものではないため、私たちは民主党案を提出いたしまして、よりよい方向性を示しております。

 以下、質問に入りますが、根拠のない偏見でますます親たちを追い詰めることのないよう、厚生労働省には、ぜひ啓発活動に努めていただきたいとお願いを申し上げます。

 さて、今回の法改正では、子供の看護休暇が当然請求権化されると思っておりましたが、努力義務規定にとどまっておりまして、大変失望しております。これはほとんどの働く親たちが同じ気持ちだと思います。

 一九九九年の旧労働省委託調査の勤労者家族問題研究会報告書によると、仕事と育児の両立のために必要だと考えられる対策の第一位が、子供のための看護休暇となっております。また、年次有給休暇の取得理由では、小学校入学前の子供の病気が六五・〇%と高く、自分の病気五三・三%よりも高くなっております。

 ILOの第百六十五号勧告におきましても、子供の看護休暇を認めるよう勧告が行われておりますし、子供のための看護休暇はぜひとも請求権化すべきであると考え、私たちは民主党案に盛り込んでおります。まず、今回請求権化が見送られた理由を大臣にお答えいただきたいと思います。

坂口国務大臣 お答えを申し上げます前に、水島先生にはお子様がお生まれになったそうでございまして、心からお祝いを申し上げたいと存じます。

 ただいまお話がございました請求権化の問題でございますが、方向性として、民主党がお出しになっております方向性、私たちも十分に理解をしているところでございます。そして、将来的にはこの看護休暇というものがそうした方向に進んでいくことを私たちも期待をいたしておりますが、現在のところ、この看護休暇制度を利用している人の数はまだ八%でございまして、非常に低い。低いから何とかしなきゃいけないんじゃないかという御意見があるわけでございますけれども、もう少し皆さん方に、この必要性というもの、そしてこれをとっていける環境というものをもう少しやはり整える必要があるというふうに思っております。

 それをそんなに長くとるというのではなくて、しばらくの間、そうした期間をとりながら、そしてだんだんとこの目的が完全に実施されるような方向に向かっていくように努力をしたいと考えているところでございます。今後ひとつ、引き続きましてこの問題につきましては努力をしたいと思っております。

水島委員 大臣も御承知だと思いますけれども、子供の病気については、子供だけでの対応が不可能でございます。また、予測が難しく、頻度も高く、病状の急変も多いという特徴があります。さらに、伝染性のものがありまして、家庭での療養が必要な場合が多いことも重要な点でございます。これらの事情を考えますと、子供の看護休暇は、子供を持つ人には必要性が非常に高い制度であると言えまして、現在の普及率云々と申しましても、今子供を育てている人間にとっては、まさに待ったなしの問題であると思います。

 先ほどの大臣の御答弁、大臣がもし現在子育て中の立場でございましたら、どう思われましたでしょうか。

坂口国務大臣 もう孫が育っておりまして、子育ての時代は終わったものですから、すっかり今、過去のことになってしまいましたが、しかし、今の状況を見ておりますと、やはり子供が病気をしましたときに、母親が勤めている勤めていないにかかわらず、現在はそれに対して適切にアドバイスをしてくれる人たちが周辺にいないということもあって、これはやはり制度的にもつくり上げていかないといけないなという気持ちを持っております。特に、お勤めになっております場合に、病気をなすったお子さんをどうするかというのは大変な問題だと思います。

 最近、病院の中で、病児看護というんですか、その制度ができ上がりまして、そして、でき上がりましたところは非常に多くの皆さん方が利用されて、そして、もっとやはり数が必要だということが言われているそうでございます。先日も、始められた病院の方にお聞きをしたところでございますが、一度何かの病気が流行し始めますと、とにかくもうベッドが足りない、どうするかということになるというようなお話をお伺いいたしました。

 したがいまして、その辺のところはこれからも充実をさせていかないといけませんし、そして、気持ちよくそうした休暇がとれるという、そのことが大事でございますから、そこをやはり力を入れていかなければならないというふうに思っております。

水島委員 おっしゃるとおり、親に看護休暇がないために、現実的な問題といたしましては、病気であるのに家に一人で放置されてしまう子供も、今この看護休暇とまた病児保育がどちらも進んでいない現状では、実際に存在しているわけでございます。子供の福祉、人権という観点からも非常な問題だと思っております。親としての責任を果たせるような制度をつくることは、社会的な要請であると思います。

 公明党でも、選挙政策の中に、年間十二日の看護休暇を掲げられています。例えば、年間わずか五日でもよいですから、まずは今回の改正で請求権として確立するのが急務ではないでしょうか。普及率が高くなれば実施するというのでは、私は政治家など要らないと思います。大臣の政治判断として、まず、本当に少ない日数でもいいから、始めてみるということができませんか。もう一度お答えいただきたいと思います。

坂口国務大臣 子供が病気やけがの際に労働者が休暇を取得しやすくしますためには、将来的には看護休暇を請求権とすることが望ましいという点につきましては、私も議員と同じ認識でございます。

 しかし、先ほど申しましたように、現在のところ、事業所におきますところの看護休暇制度の普及率というものが非常に低い段階にある。一足飛びに請求権というのでは、特に、大きい企業はいいんですけれども、中小企業の場合など混乱が生じる可能性がございますので、もう少し全体にそういう環境が整うということが大事ではないかというふうに思っております。

 我々も趣旨は十分に理解をしながら、しかし、その方向に向けて一歩を踏み出して、そして着実に前進をさせていきたいというふうに思っているところでございます。

水島委員 小泉総理は、仕事と家庭の両立のために待機児童ゼロ作戦などとアピールされているわけですが、子供の看護休暇も請求権化できないようでは、私自身小さな子供を育てながら働いている立場としましても、どうも小泉総理はその本質を理解されていないのではないかと思わざるを得ません。

 坂口大臣は、ハンセン病の場合を見ましても、私たちが心から願ったことは実現してくださる温かい方であると思っております。今からでも遅くはありませんので、ぜひもう一度考え直していただきまして、看護休暇の請求権化を盛り込んでいただけますよう、働く親を代表いたしまして、心からお願いを申し上げます。

 さて次に、この法律の適用対象に移らせていただきます。

 法第二条におきまして、「日々雇用される者」と「期間を定めて雇用される者」が育児・介護休業の適用を除外されておりますが、まず、その理由をお答えください。

岩田政府参考人 育児休業制度は、長期雇用を前提といたしまして、育児を理由として仕事を中断する、仕事が継続できないというようなことがないようにということで設けられている制度でございます。そういう趣旨からいいますと、日々雇用ですとかあらかじめ雇用期間が定められております期間雇用者をその対象にするということは難しいというふうに思います。

水島委員 では次に、期間雇用者の実態についてお尋ねします。

 パート、契約社員など、名称はいろいろございますが、その実情について、昨年九月に、有期雇用契約の反復更新に関する調査研究会報告が公表されました。同報告は、一九九八年の労働基準法改正の国会審議の際に行われた衆参の労働委員会等の附帯決議を踏まえて検討されたものです。労働契約が反復更新されており、実質上期間の定めなく雇用されている人が多いという実態が示されています。

 この結果を受けて、今まで厚生労働省としてどのように対処してこられましたでしょうか、また、今後対処されるおつもりでしょうか。

日比政府参考人 御指摘の報告書でございますが、その中では、いろいろなアンケート調査、実態調査その他やっております。

 その結果として、数字的に申し上げますと、余り細かいことは省かせていただきますが、調査対象となった労働者、これはもともと有期の契約者でございますが、その方々の過半の人たちが更新をしたことがあるという実態でございまして、更新をした方々に限ってその更新回数を見ますと、平均で六回強ということになっております。

 そのような数字の問題と、また、この報告書では、数十件の裁判例、この裁判例といいますのは、有期契約のいわゆる雇いどめが争われた裁判例でございますが、その数十件の裁判例について分析いたしまして、その結果、雇いどめがいわば有効であるとされたものもそれなりにあるけれども、その実態等を見て、雇いどめが認められない、つまり更新しなければいかぬという判断が出たものもあるというような分析をした上で、やはりトラブルを未然に防いでいくためには、いろいろな措置を行政としてやるべきであろうというような提言をされているところでございます。

 これを受けまして、昨年十二月二十八日でございますが、行政として有期労働契約の締結等に関しまして指針を定め、その中では、やはり有期労働契約の締結時、あるいは更新もしくは雇いどめ、それに当たって一定の説明事項あるいは手続等について明確にするように、その他のことも指針化しておりますが、そのようなことを定めまして、その後は、パンフレット作成等によりまして、この点の周知を図るための活動を現在行っているところでございます。

水島委員 坂口大臣は六月八日の本会議で、期間を定めて雇用されている者であっても、特段の事情がない限り当然に更新されることとなっている場合には、実質上期間の定めなく雇用されている者として育児・介護休業の対象となると答弁されております。まず、大臣、これは言葉どおり受けとめてよろしいでしょうか。

坂口国務大臣 そのとおりお受け取りいただいて結構でございます。

水島委員 女性少年問題審議会の建議「仕事と家庭の両立支援対策の充実について」では、期間雇用者について、「育児休業の対象とすることは困難であると考えられるが、労働契約が反復更新される等により実質上期間の定めなく雇用されていると判断される者が育児休業の対象となることは当然であり、その取扱いを具体化することが適当」とございます。

 今の大臣の御答弁にもございましたけれども、厚生労働省では、これらを受けまして、期間雇用者の扱いを指針で明確にする方向と聞いております。問題はその指針の具体的な内容ですが、「実質上期間の定めなく雇用されていると判断される者」というのは、具体的にはどのような者をお考えでしょうか。大臣にお答えいただきたいと思います。

岩田政府参考人 労働契約が形式上期間を定めて雇用されている者であっても、その契約が実質的に期間の定めのない契約と異ならないという状態になった場合には、育児休業そして介護休業の請求ができるということでございますが、どのような者がそれに該当するかということについての判断の基準がこれまで明確でなかったという問題がございます。

 そして、先生今おっしゃいましたとおり、関係審議会の建議にもございますので、この改正法が成立した暁には、もう一度審議会での御議論も経て具体的な判断基準を指針で定めることといたしておりまして、今ここで具体的にその内容を御説明できるだけの検討が進んでいるわけではございませんが、有期労働契約に関しまして裁判例も多数ございますので、そういうものも参考にしつつ、どういう場合がこれに該当するかということをできるだけ明確なものになるように努力をしてみたいというふうに思っております。

水島委員 今のところまだ明確なお考えがないということではございますけれども、裁判例における判断の過程を見ますと、主に、業務の客観的内容、契約上の地位の性格、当事者の主観的態様、更新の手続・実態、他の労働者の更新状況などを評価しているということが、有期労働契約の反復更新に関する調査研究会報告でも述べられております。指針においてもこれらのことが判断の基準として記されるのでしょうか。

岩田政府参考人 これもまさにこれからの検討でございますが、今先生おっしゃいましたように、私どもが勉強しました裁判例の中でも、仕事の内容が恒常的なものであるかどうか、あるいは契約の更新がどの程度の回数なされているか、また、更新の手続が実質的な判断をしているのか、相当形式的なものか、そういったようなところが勘案されているようでございますので、そのこともしっかり勉強をさせていただいているところでございます。

水島委員 ぜひ、指針をつくる際には、厚生労働省の専門家の方でなくてもわかるものが指針であるべきだと思いますので、せめて一々訴訟を起こさなくても理解できる、取り扱いのできる指針をつくっていただきたいと思っております。

 また、今の御答弁にもございましたように、実質上期間の定めなく雇用されていると判断される期間雇用者というのは、その要件が厳しく、今まで十分に検討されていませんでした。雇用継続の期間や反復更新の回数によって、一律の基準をこの際設けたらどうかと思います。具体的には、反復更新し一年を超えて継続雇用された者は対象とすべきではないかと考えますけれども、大臣はいかがお考えになりますでしょうか。これは大臣のお考えをお願いします。

岩田政府参考人 申しわけございませんが、まず、私の方からお答えさせてください。

 先ほど申し上げましたように、実質的に期間の定めのない契約になっているかどうかという判断をするときには、やはり少なくとも複数の観点が要るんではないかというふうに思いますので、例えば、契約の更新の結果、一年を超えたというそのことだけをもって、これが実質的に期間の定めのない雇用になったというふうに判断するのはなかなか難しいんではないかというふうに思います。

 例えばですけれども、業務の完了の見込みが一年ぐらいであるということで、一年契約で雇用したとします。そして、業務の進展の結果、それでは終わらずにもうしばらくかかるといったときには、その契約期間は更新されるわけですけれども、そのときには、次にいつ業務が終了するかということを念頭に置いて更新されるということだというふうに思いますので、一律に、一年を超えればそれで雇用期間の定めのない形態に変わったというのは、なかなか無理があるんではないかというふうに思います。

 ですけれども、先生がおっしゃるように、厚生労働省の専門家だけがわかる、あるいは裁判で争って初めて決着するということでは困りますので、私どもの第一線の職員がわかることはもちろんですけれども、当事者である企業の方、働く方、その方たちにもわかるように、なるべく具体的なものを、難しいですけれども、勉強して検討したいと思っております。

坂口国務大臣 雇用形態が非常に多様化をしてまいりまして、今までになかったような雇用形態も出てまいりますので、少しこの辺は整理をして、そして、さまざまな法案に対しましても、その対応を決めていかなければならないというふうに思っております。御趣旨もよく尊重しながら、これからひとつ対応してまいりたいと思います。

水島委員 今の御答弁を聞きましてもわかりますように、本当にこれは難しい議論でございまして、従来よりずっと同じ議論が続いております。どこかで政治判断として割り切らないと永遠に終わらない議論なのではないかと思っております。この際、大臣に割り切っていただきまして、この問題を一歩前進させるべきときが来たのではないかと思っております。

 指針をつくられる際には、本当にこれだけの難しい問題をどのように指針にまとめ上げられるのか、私も大変楽しみにしておりますので、ぜひ、だれが見てもわかる、そして、一々訴訟を起こすことは普通の人にはできないわけですから、一々訴訟を起こさなくても判断できるような指針を必ずつくっていただけますように、お願いを申し上げたいと思います。

 そして、有期労働契約の反復更新に関する調査研究会報告によりますと、期間雇用者の約三分の二が契約更新を希望しております。また、期間雇用で就業している具体的な理由として、正社員として働ける職場がないとしている人は、全体の二六・七%、長時間パート労働者に限ってみれば四一・二%に上ります。正社員として登用してもらいたいや、別の会社で正社員として働きたいとしている人は、全体で見れば一三・九%、長時間パート労働者に限ってみれば二一・七%となっております。

 一方、期間雇用者を雇用する理由としては、人件費節約のためが全体でも最も多いですが、長時間パート労働者においては七一・〇%と、最も高くなっております。

 これらより、期間雇用者、特に長時間パート労働者においては、正社員として働きたいけれども、事業主側の事情によって期間雇用者とされており、その契約が反復更新されているという実態が浮かび上がってまいります。

 この実態、つまり、本人は正社員として働く希望を持っており、実質上期間の定めなく働いているけれども、身分が期間雇用者であるという理由のみによって育児休業の恩恵にあずかれないという実態を踏まえて、厚生労働省といたしましては、今回指針を定められるのと同時に、今後どのような取り組みをされていく予定でしょうか。

南野副大臣 まず初めに、御出産おめでとうございます。

 今のお答えを申し上げますが、その前に、先ほど、看護休暇のお話がございました。働く者の看護休暇につきましては、この前、フレンドリーサービスの企業の方々といろいろお話ししまして、四十一人しかいない企業でもその努力を企業主がしているということも、ちょっと申し添えたいと思っております。

 さらに、今の御質問でございますが、育児休業制度の中では、育児を理由とする雇用の中断、これを防ぎたい、そういう、自分の仕事を継続するということの目的からしておられる場合でございますので、雇用期間をあらかじめ定めておられる方の場合には、これはなじまないものであろうというふうに思います。

 さらにもう一つつけ加えますならば、形式上期間を定めて雇用されている方であっても、労働契約が反復更新されるなどによって常用雇用者と一緒だと見られる人に限っては、それは当然であろうというふうに思っているところでございます。どのような者がそれに該当するかはできる限り明確な指針を定めるということにして頑張っていきたいと思っております。

 以上でございます。

水島委員 雇用保険料も支払っていながら、雇用継続給付をもらえないのは不公平だという声も上がっております。もちろん、雇用保険制度との整合性には検討の余地もございますけれども、不本意ながら期間雇用者とさせられている人たちの率直な不平等感を受けとめていく必要があると思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 そして、現在、期間雇用者やパート労働者、派遣労働者など、いわゆる不安定労働者がふえていますし、今後さらに増加する見通しでございます。このような時代の流れに対して、法律の整備が追いついていないというのが現状だと指摘されております。坂口大臣も先ほどの御答弁でそのような認識を示されていたと思いますけれども、今後、労働形態にかかわらず、あらゆる労働者に関して職業生活と家庭生活の両立を支援する法整備をする必要があると思っておりますけれども、それについての大臣のお考えを最後にお聞かせいただきたいと思います。

坂口国務大臣 それは、御趣旨は私もそのとおりというふうに思っております。

 非常に労働環境は多様化されてまいりましたし、そしてまた働く場の方も大変多様化されてまいりました。そうしたすべてのことに多様化されております中で、今までの法律が合わなくなってきているところもあることも事実でございます。

 そうしたことも見直しながら、そして、多くの労働者の皆さん方にできるだけこの網の目がかかるようなことをやはり考えていかなければいけないというふうに思っている次第でございます。

水島委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 そして次に、不利益取り扱いの禁止についてに移らせていただきたいと思います。

 今回の改正で、不利益取り扱いの禁止規定が明文化されたことは、とても意義のあることだと思います。ただし、不利益取り扱いが何を意味し、実際にどのような手続がとられ、どのようにして実効性が担保されるのかが明らかにされなければ、まさに絵にかいたもちになってしまいまして、せっかくの規定が何の意味もなくなってしまうということにもなりかねません。

 六月八日の本会議において坂口大臣は、労働者が育児休業や介護休業を申し出または取得したことを決定的な動機として、例えば、休業から復職後は正社員からパートタイマーに変わる等の身分変更を命ずるといったような扱いと答弁されています。

 女性少年問題審議会女性部会における公益委員からの補足説明でも、育児・介護休業の申し出や取得を直接の理由として不利益に扱うもの、例えば、休業したことで正規職員からパートへ身分を変える、休業により著しく給料を減額、昇給をとめる、降格させるなどで、休業以外の合理的理由がないケースとされており、政府が想定しているのはどうも極端な例ばかりではないかと思います。

 正職員からパートに切りかえるなどというのは、労働契約違反そのものではないでしょうか。問題は、だれが見てもわかることではなく、一見そのようには見えないけれども問題があることを指摘する意味からも厚生労働省の指針を作成するのではないでしょうか。

 まず、不利益取り扱いに相当するもので、都道府県の雇用機会均等室が相談を受けた事例で代表的なものにはどのようなものがあるかを教えていただきたいと思います。

岩田政府参考人 雇用均等室にどういう相談があるかということについて、私どもも調査をいたしました。

 幾つか例をお話ししたいと思いますが、まず、本当に代表的な例ですが、休業復帰後、身分変更を命ぜられた事例。これは正社員からパートタイマー、あるいはパートタイマー以外の非正規職員ということもあると思います。

 それから二つ目の事例としては、休業復帰後、配置転換を命ぜられた事例でございます。配置転換がすべて不利益取り扱いになるということではないと思いますけれども、雇用均等室で扱った事例の中には、休業前は事務職であった方が復帰後は配送業務に転換した、あるいは遠隔地への配置転換の内示を受けた、過去には正社員が配置されたことがなかったような部署への配置転換を行われたといったような相談がございました。

 また、もう一つの事例では、休業復帰後、降格された例でございまして、休業前は役付であったのが復帰後は一般職員へ降格された、このような例がございました。

水島委員 民主党案では、業務復帰したときに原職または原職相当職に復帰させることを義務として明文化し、さらに、雇用管理等に関する措置といたしまして、賃金、配置、昇進等に関する処遇について、同一の事業所、同種の労働者との均衡を失することがないようにすることを努力義務として明文化しております。政府案の指針にもこれ以上に明確に書いていただきたいと思います。

 今の御答弁にございました事例に相当するものも含みまして、まず、休業の取得を理由として、解雇のみならず、減給したり、不利益な配置転換をしたり、降格をしたり、退職金や賞与の算定に当たり休業期間を超えて働かなかったものとして取り扱うことは不利益取り扱いと考えますが、よろしいでしょうか。

岩田政府参考人 先生の御指摘のとおりだと思います。

水島委員 今の事例のようなことは指針に具体的に書き込んでいただけるというふうに考えてよろしいでしょうか。

岩田政府参考人 はい。指針にはなるべく具体的に書きたいと思います。

水島委員 その指針の中に、原職または原職相当職への復帰を明記していただけないでしょうか。

岩田政府参考人 実際には、復帰後、原職、あるいは原職相当職にかわっておられるということが多いようでございますし、そういうことは働く人たちにとっては大変よろしいことだというふうに思います。

 しかしながら、そうではないケースについて、人事管理上の必要性、あるいは本人のキャリア形成の必要性上、それ以外の配置転換ということもあろうかというふうに思います。

 そして、その場合に、何が不利益な取り扱いに当たるかといったようなことについても、配置転換の前後で賃金やその他の労働条件がどういうふうに変化しているか、あるいは変化していないかとか、通勤事情がどういうふうになるかとか、そして当人の将来のキャリア形成にどういう影響があるかといったようなことを総合的に比較考量して、不利益取り扱いに当たるかどうかというようなことを判断することになるのではないかというふうに思います。

水島委員 今おっしゃったようなむしろ望ましい配置転換、原職に戻らないでもっといいポストにつけてもらうというようなものは、そもそも本人が不利益と感じないわけですから、不利益取り扱いとして申し立てられることもないのではないかと思いますので、この際、そういう事例があるので原職または原職相当職ということが書けないというのは、私はちょっと理屈としてはおかしいのではないかと思います。

 まず、ぜひ、不利益な配置転換ということで具体的な指針を示していただくことももちろん本当に必要なことでございますけれども、大原則といたしまして、原則としてという表現つきで結構でございますので、原職または原職相当職への復帰とする、そのように指針に明記していただくということはかなり大きな前進になるのではないかと思いますけれども、大臣のお考えはいかがでしょうか。

坂口国務大臣 例えばこのようないろいろの事情がありました場合に、通常の人事異動ルールからは十分に説明できない配置の変更は、不利益取り扱いに該当する可能性が高いというふうに思います。

 育児休業をします場合に、その前にどういう職場にいたかということによりまして、中には、その後の復帰をしましたときに、それは都合が悪い、そういう職場も中にはあるだろうというふうに僕は思うんですね。だから、そういうときにはそうした職場の方に転換するということもあるだろうというふうに思いますので、そこは少し幅を持って考えないといけないというふうには思いますけれども、大きな意味での御趣旨というものは理解をしながらも、しかし、今申しましたように、配置の変更は、不利益な扱いに該当する可能性が高いもの、そうしたものにつきまして我々としては考えている、こういうことでございます。

水島委員 私は、原職と言っているのではなくて、原職または原職相当職と申し上げております。

 この原職相当職というのは、解釈通達によりますと、個々の企業または事業所における組織の状態、業務配分、その他の雇用管理の状況によってさまざまであるとされておりますけれども、一般的に、職務内容、職制上の地位等の事情について原職と総合的に比較考量の上判断するものであることと、まさに今御答弁の中でおっしゃっているようなことが解釈通達に書かれておりますので、原職または原職相当職と書くことには何の不都合もないのではないかと思いますけれども、何で書けないんでしょうか。

 そこまで慎重に答弁されてしまうと、こういうことをむしろ認める方向に進まないんじゃないかとこちらも何か疑いたい気持ちになってきてしまうんですけれども、どうしてだめなんでしょうか。

岩田政府参考人 先ほども申し上げましたように、御本人が希望するのであれば、原職あるいは原職相当職に戻していただくというのは望ましいことでございますし、多くの事業所はそういう努力をしてくださっていると思います。

 ここで法律で規制したいというふうに思っておりますのは、やはり何が不利益取り扱いかということを明らかにした上で、その不利益取り扱いは絶対やらせない、そのための具体的な指針をつくるということでございますから、先生の議論を反対方向からアプローチするというんでしょうか、ねらっていることは同じだというふうに思いますが、何が不利益取り扱いであるかについて、なるべく具体的にお示しをする方向で検討したいと思います。

水島委員 育児休業をとっている立場というのは、本当に不安なものでございます。戻ったときにちゃんと自分の仕事があるだろうか、どんなふうに受け入れられるだろうかということを、そんな不安な気持ちのままで育児をさせないように、ぜひわかりやすい、安心できる指針を書いていただけますように、そして原職または原職相当職という言葉をどうしても使いたくないとおっしゃるのであれば、その裏側にきちんと寄り添うような、全く同じことを意味するような指針を書いていただけますように、それをお願いしたいと思います。

 さて、不利益取り扱いの内容についてさらに質問をさせていただきたいと思いますが、例えば、ボーナスの支給要件として一定以上の出勤率が必要とされている場合に、育児休業を取得し、それが欠勤扱いとなってボーナスが日割り分以上にカットされるというようなケースについては、不利益取り扱いになりますでしょうか。

岩田政府参考人 不利益取り扱いに当たると思います。

水島委員 また、育児休業をとって職場に戻ってみたら、解雇や減給という目に見える不利益はないけれども、精神的な嫌がらせを受けるという事例もございます。

 育児休業などとって仕事を何だと思っているのだと上司から嫌みを言われたり、育児休業をとったせいで、ほかの社員が不公平だと言って、職場のモラルが低下して困っていると言われたり、君みたいな人はやめてもらいたいくらいだと言われたり、あるいは仕事を与えてもらえない、あるいは一人だけ特殊な部屋に置かれるなど、精神的な苦痛をこうむるような扱いを受けることが実際にございます。

 不利益取り扱いという場合に、このような精神的な苦痛についても配慮されるのでしょうか。

岩田政府参考人 育児休業を理由とする不利益取り扱いは、一般論としましては、経済的な不利益だけではございませんで、例えば職場におけるいじめなど、精神的な苦痛を与えるということも含まれるというふうに思っております。

 それを指針でどういう形で書けるかというのはなかなか工夫が要るところかと思いますが、審議会でも御議論いただいた上、検討してまいりたいと思います。

水島委員 指針でどういう形に書けるかというふうに今おっしゃったんですけれども、とにかくそのような内容を指針に書いていただけるということは、そういうふうに了解してよろしいんでしょうか。

岩田政府参考人 先生も例に出しておられましたけれども、仕事を与えないなどといった職場の処遇といいましょうか職場でのいじめ、そういった精神的な苦痛の問題について、何らかの形で指針に書きたいと思います。

水島委員 また、育児休業をとったことを直接の理由としてといいますけれども、その直接の理由というのは、どこまでいうのかということをお伺いしたいと思います。

 例えば、上司の方が、私は育児休業をとったのは構わないと思うんだけれども、ほかの従業員から不公平だと苦情が出ているというような理由で不利益な取り扱いを受けてしまったという場合は、一見直接ではないように見えますけれども、このような事例は含まれますでしょうか。

岩田政府参考人 育児休業をとったこととの因果関係があるかどうかということの事実の判断をしていくということだと思います。人の言葉をかりて自分のことを主張しているということもございますので、事実関係をしっかり確認していくということだと思います。

水島委員 その事実関係の確認というのも非常に難しいことだとは思うんですけれども、例えば、それが、上司本人が直接自分の考えをその言葉で語らせているということを本当に証拠としてうまく見つけることができるのかというのは非常に疑問なんですけれども、それをどうやってやるつもりかというのをひとつお伺いしたい。

 また、ほかの従業員からの苦情を処理できずに、それを直接当人に言ってしまうというのは、育児休業を当然の権利として定めた法の趣旨を事業主が理解していないということにもなると思いまして、こういったことは厚生労働省からの指導の対象にはなりますでしょうか。

岩田政府参考人 都道府県労働局雇用均等室の方にそういう事例が相談として寄せられましたら、労働局の方では、御本人からしっかり話を聞くということだけではなくて、企業の責任者あるいはその関係者から話を聞いて、不利益な取り扱いと育児休業を取得したということとの間に因果関係があるかどうかということを確認していくということだと思います。

水島委員 実際にどのような手続でということは、また後ほどもう少し詳しく伺いたいんですけれども、まずここでお伺いしたいのは、不利益取り扱いの禁止規定に実効性を持たせるためにどのような取り組みをされるかということをお伺いしたいと思います。

 そのような指導をしていったとしても、はいはい、わかりましたと言うだけで、それで終わってしまうのでは実効性を持つとは言えないと思いますけれども、それはどのようにお考えでしょうか。

南野副大臣 本当にいろいろな状況に応じては不安なことがいっぱいあるだろうというふうに思いますが、今先生御質問の不利益取り扱いの禁止規定の実効性というものを確保するためには、法案が成立した暁にはというようなことを言わせていただきたいんですが、不利益取り扱いの判断に当たっての考え方、また厚生労働大臣が定めます指針、この中で明らかにしていく。さらに、各事業所におきましての育児休業等を理由とした不利益な取り扱いということを行わないように、十分指導または周知をしていきたいというふうに思っておりますので、少しでも不安を取り除いていきたいと思っております。

水島委員 実際に雇用均等室に相談をされるケースであっても、今の職場で働き続けたいから職場には言わないでほしいとおっしゃいまして、実質的に泣き寝入りする例が多いと聞いております。それを職場の方に言われてしまうと、自分の立場がいよいよ悪くなって、仕事の環境がますます悪くなるということだと思いますけれども。

 ですから、それだけのリスクを冒して申し立てるわけですから、申し立てが妥当なものである場合には、決定的な打撃を事業主側に与えるくらいでないと実効性は保てないのではないかと私は考えておりますが、例えばそのような事実を公表するくらいは必要なのではないでしょうか。これは大臣のお考えをお聞かせいただきたいのですが。

岩田政府参考人 まず私の方から御説明させていただきます。

 今の育児・介護休業法の中には、違反事業主の氏名の公表をするといったような仕組みはございませんで、地方労働局が助言、指導、勧告、広く行政指導と言っていいかもしれませんが、それぞれ強さが違うということで、助言、指導、勧告という段階を踏みながら指導をしていっております。

 これまでも、先ほど申し上げましたように、育児休業に関する働く女性、男性からの相談はございまして、そういう場合には労働局の方で助言、指導、勧告をしているわけでございますが、今までのところ、法違反があるというケースについては、ほとんどのケースは助言で解決いたしますし、助言というのは口頭で指導するわけですけれども、それで改善されない場合には、次のステップとして、指導ということで指導書を交付して指導いたしておりますが、この段階でこれまではすべて改善を見ておりまして、勧告にまで至るようなケースはございませんので、今法律が持っております助言、指導、勧告というこの仕組みをフルに使いまして、法違反の是正をさせていくことが十分できるというふうに思っております。

水島委員 それが十分できる、できないということを今後さらにきちんと検討していただいて、どうしてもこの枠の中ではできないようなケースが出てきたら、公表というような手段も当然考えに入れていただけるということでいいんでしょうか。これは大臣の判断をお聞かせいただきたいと思います。

坂口国務大臣 これは個々のケースによりまして大分違うと思いますから、そこはなかなかお答えしにくいところでございますね。

 これはケース・バイ・ケースによるというふうに思いますが、すべて公表すれば解決ができるというわけのものでもございませんし、その皆さん方の御要望というものが、どのようにしてそれが実現できるかということになるんだろうというふうに思いますから、公表ということだけにこだわるとうまくいかないこともあり得る。しかし、すべてのことに公表というのを除外するとまでは我々も考えておりませんけれども、そこはよく、ケース・バイ・ケースで考えて対応しなきゃならない問題だというふうに思っております。

水島委員 公表ということだけを考えているわけではなくて、助言、指導、勧告という枠組みのさらにその先に公表がある。公表されることによって、それまでは全く聞く耳を持たなかったけれども、企業イメージの問題などもあって、そこで初めて聞く耳を持つというようなことがセクハラの事例なんかでもあると思います。そのような現実を考えまして、今後きちんと、今の枠組みの中で解決できるのかどうかをしっかりと監視をしていただきまして、必要なときには公表という手段もお考えいただけますように、今の御答弁であれば、それもきちんと視野に入れていくということでございますので、ぜひお願いをいたします。

 次に、実際の手続をちょっとお伺いしたいんですけれども、不利益取り扱いの申し立てがあった場合に、厚生労働省としてはどのような扱いをされるのかをお伺いしたいと思います。

 例えば、今私が不利益取り扱いを受けたと申し上げるとします。そうしましたら、具体的にどのような手続を経ながら対応していくのでしょうか。これは法律を全く知らない素人でもわかるように説明してください。

岩田政府参考人 複雑な手続は何もございません。

 働く方が都道府県労働局雇用均等室に出頭していただきますと、電話の御相談も多いですけれども、深刻な事案ですとやはり来室していただいてじっくり話を聞かせていただいた方がいいというふうに思いますが、申し立てる方からよく事情を聞きます。そして、やはりこれは問題があるのではないかというふうに思われる場合については、次に事業主の方に事情を聞くということになります。これも、できるだけ呼び出して事情聴取をしましたり、関係する資料を提出させるといったようなこともさせながら、事実関係を確認していくということでございます。

水島委員 そのときに、申し立てている人間と事業主との言い分が違うということが往々にしてあると思いますけれども、その場合、立証責任というのはどちらにあるんでしょうか。

岩田政府参考人 申し立ての内容が異なるということについては、私どもの方としましては、事実関係がどこか、事実がどこかということを確認するということで最大限の努力をするということでございますので、必ずしも事業主が言っているとおり、あるいは労働者の方が言っているとおりということで進めることではございませんで、行政の責任で事実関係を把握して、これが事実だというふうに判断できれば、しかるべく措置を講ずるということでございます。

水島委員 行政の責任で調べて判断していただけるということなんですけれども、どういうふうに調べられるんでしょうか。

 例えば、私はこういう不利益な取り扱いを受けた、いじめを受けたというようなときに、事業主がそんな事実は全くないと言った場合に、例えば同僚がそれを証言してくれたりとか、そういうこともあると思いますけれども、そういったことも行政側できちんと調べられるということなんでしょうか。

岩田政府参考人 そうでございます。実は、セクシュアルハラスメントの相談事案が今大変全国的に多いわけですが、それを通じて私どももいろいろな行政的な手法を学びつつございます。

 使用者と労働者の言い分が違うときに、事実関係を確認するために、もちろん同僚の方の証言を得るということはあり得ますし、また、御本人が、いつどういうことがあったということを克明に記録なさっている方もありまして、その記録が信憑性があるということであれば、そういう事実があったというふうに強く推測できますので、それに基づいて指導するということもございます。

水島委員 くれぐれも、こういうときに申し立てをしている労働者というのは、やはり一般的に弱い立場に置かれていますし、先ほど申しましたように、かなりのリスクを背負って申し立てるということもございますし、事業主が言っていることが間違っているんだというようなことを労働者側が全部証明しなければいけないというような構造にはしないでいただきたいのですけれども、それはきちんと証拠をそろえることを労働者側に要求するような構造にならないのかどうかを一つ確認したいことと、あと、このようなものがそろっていれば非常に手続がスムーズになりますというようなことを、労働者側に広くわかりやすいように、指針か何かに書かれる予定はあるでしょうか。

岩田政府参考人 先生のお話を伺う前にはちょっと考えておりませんでしたけれども、そういうことが必要かどうか勉強してみたいと思います。

水島委員 そうしますと、では、申し立てを行うと、それぞれから事情を聞いて、さらに必要であれば周りの人間からも事情を聞いて、それで最終的に行政の責任において不利益取り扱いがあったかどうかを判断されて、そしてそれに基づいて事業主側に助言、指導あるいは勧告を行う。そのような構造になっているというふうに理解してよろしいでしょうか。その中心を担う窓口になるのが、それは雇用均等室ということでよろしいんでしょうか。――はい。

 では、私も、今最後に御質問しましたことは事前通告もしておりませんで、今お話を伺っている中で、ではこれはどうなるんだろうというのを思ったようなところでございます。私が今思いついたくらいですから、かなり基本的なことなんじゃないかと思いますので、ぜひ、そのことも含めてわかりやすく対応していただけますようにお願いいたします。

 さて、その不利益取り扱いにも関連するのですけれども、次に、ちょっと個々の条文に移らせていただきたいのですが、第二十一条の育児休業等に関する定めの周知等の措置が、これは今回の改正でも変更なく努力義務にとどまっておりますけれども、これは私は義務にすべきではないかと思います。不利益取り扱いを禁ずる以上、本人への周知を義務づけるのは当然なのではないでしょうか。

岩田政府参考人 育児休業中のさまざまな条件について、あるいは復職後のさまざまな条件について、あらかじめしっかりそれを定め、周知をするということは大変大事だと思います。

 と申しますのも、働く方たちが育児休業をとるべきか、とるのをやめようかとか、どのくらいとろうかといったようなことを選択するときにも必要な情報だというふうに思いますし、また、復職した後の労使間のトラブルを未然に防止するという観点からも必要なことであるというふうに思っております。

 先生の御発言の趣旨は、現行の努力義務を強化すべきではないかということかと思いますけれども、このあらかじめ定めて周知をしておくようにということで求められております事項が幾つかございますが、その中で賃金とか労働時間などに関することもございます。これらについては、一方、労働基準法の中で定めがございまして、常時十人以上の労働者を使用する事業所においては、あらかじめこれらの事項については就業規則という形で定めてそれを周知させなければいけない、そのことを罰則をもって担保するという法制になっております。

 このために、育児休業等に関する定めの周知を義務化するということになりますと、これらの常時十人以上の労働者を使用している事業所については、既に規制のあることでございますので、二重規制になるということがございますし、一方では、逆に十人未満の事業所については、労働基準法の取り扱いと均衡を失するという問題も出てきまして、過剰な規制になるということにもなりますので、この育児・介護休業法の中で今の規定を義務化するというのは、措置義務とするというのは法制上難しいのではないかというふうに思います。

 ただ、先生のおっしゃる趣旨はもう全く同感でございまして、あらかじめ諸条件を定めてそれを関係者によく周知するということ、そのことがしっかりやられるように、私どもも啓発、そして、具体的に何か問題がありましたら個別の指導もしっかりやっていきたいというふうに思います。

水島委員 ほかの法律との整合性ももちろんなんでしょうけれども、やはりこの法律だけで見ましても、不利益取り扱いを禁ずるという、そちらの方は義務規定という強いものになっているのに、それの前提となる定めの周知というのが努力義務になっているというのは、この法律の中で見ましてもおかしいのではないかと思いますので、現実的にきちんと対応していただきまして、実質的には本当に義務と同じくらいに運用できるように、そうして初めてこの不利益取り扱いの禁止ということが意味を持ってくるのではないかと思っておりますので、今の質問の趣旨をぜひ御理解をいただきまして、そちらの方向で御検討をいただけますようにお願いをいたします。

 そして、次に、第二十八条についてお伺いしたいのですけれども、「厚生労働大臣は、第二十一条から前条までの規定に基づき事業主が講ずべき措置及び子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべきその他の措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るための指針となるべき事項を定め、これを公表する」とございます。

 二十四条までの部分に関しましては既にあるところでございますけれども、その残りの二十五条から二十七条までのそれぞれについて、新たに指針を定められるのでしょうか。

岩田政府参考人 今のところ、厚生労働省としては、それらについて特段指針に盛り込むべき事項があるというふうには考えておりませんけれども、関係審議会の審議の中で労使の御意見も聞きながら、必要なものがあればまた検討してまいりたいと思います。

水島委員 確認させていただきますと、今の段階ではそれぞれについての指針をつくるおつもりはないというふうに受け取ってよろしいのでしょうか。――わかりました。

 次に、第二十九条についてお伺いしたいのですけれども、事業主は職業家庭両立推進者を選任するとありますけれども、この新たに定められた職業家庭両立推進者というのは、どのような仕事をする存在であって、どのような基準で選任されるのかを教えていただきたいと思います。

岩田政府参考人 このたびの改正法案で盛り込みました職業家庭両立推進者は、企業の中におきまして事業主を補佐する立場で、育児・介護休業法で求められております措置を確実に実施をする、あるいは仕事と子育てや介護が両立できやすいような職場の雰囲気、環境を率先してつくっていくといったような、そういう役割を担っていただく担当者でございます。

 例えばですけれども、法律上措置をとることが義務づけられている、あるいは努力するように求められているような事項についてでございますが、育児休業制度について就業規則を作成するとか、それを社員にしっかり周知するというお仕事ですとか、勤務時間の短縮などの制度についても制度の設計をしたり、それを周知したりするような仕事ですとか、あるいは子供の看護のための休暇制度を導入するために企画をしましたり、運営を実際にするといったような仕事もあろうかと思います。

 また、法律にもその必要性がうたわれておりますけれども、職業生活と家庭生活との両立が重要である。遠慮なく育児休業、介護休業の取得ができる、また戻ってこられる、そういう職場の雰囲気といいましょうか、そういう企業の社風づくりといいましょうか、そういうことにもぜひ活躍していただきたいというふうに思っております。

 選任の基準については、具体的な資格などを設けるつもりはございませんけれども、職業家庭両立推進者のただいま御説明いたしましたような業務を遂行していただくために、必要な知識経験を一定程度お持ちの方というようなことで選任していただくことになるのではないかと思います。

水島委員 その知識や経験をどのように判断するのでしょうか。研修か何かを通して、それをきちんと終えた人がその職業家庭両立推進者として選任される資格を持つとか、そういった形にはされないのでしょうか。

岩田政府参考人 先生が今おっしゃったような形にはならないと思います。ただ、本当に専門性が必要と思われますので、選任された方たちに、例えば二十一世紀職業財団に広報啓発のための事業をお願いするということを考えておりますけれども、その事業の一環としましてこういう責任者を集めてしっかり研修していただくというようなプログラムも考えてまいりたいと思います。

水島委員 では、そうしますと、最初に選任する段階で事業主側にもそのような知識が余りないようなときに選任するのだとすると、余り正しい選任が行われないかもしれないわけですけれども、その後の研修を通して、またいろいろな指導を通してきちんと成長していただく、そのような考え方と理解してよろしいのでしょうか。

岩田政府参考人 これまでも、例えば雇用均等推進を図るためには雇用均等推進責任者を設置していただきましたり、また、パートタイム労働者の処遇の改善などを図るために、パートタイムの雇用管理責任者を設置したりいたしております。

 それらの経験から言えますことは、企業の方は、やはり従業員の中からこういう人事管理、特に仕事と子育ての両立の分野についてしっかりした経験のある方から選任していただけるというふうに思っておりますし、選任された暁には、さらにその資質の向上を図るというような観点から、先ほど申し上げましたような研修もやってみたいと思います。

水島委員 今回、職業家庭両立推進者の選任というのが新たな事項として加わったわけでございますけれども、今回からこれが加わったその理由だけ、一言教えていただけますでしょうか。

岩田政府参考人 大きな理由を申し上げますと、仕事と子育ての両立ができるような職場をつくっていく、私どもはそれをファミリー・フレンドリー企業というふうに呼んでおりますけれども、そういう職場をつくっていくためにはやはり相当、企業の風土といいましょうか、社風を変えないといけないということがあると思います。

 制度の整備ですとそれは事務的にできることかもしれませんけれども、実際に制度を導入し、運用し、男女の労働者が使いやすいようなものにしていくためには、職場の雰囲気づくりというものが大変大事だと思いますので、そういうこともあり、今回、責任者を必ず選任していただいて、その方が先頭に立って職場の雰囲気を変えていくというふうなことをお願いしたいと思っております。

水島委員 一歩前進していくために、企業の雰囲気を変えていくために新たにつくられた制度であるということでございますので、ぜひ、これが単に形骸化してしまわないように、だれかが片手間にやって、余りまじめにやっていないなどということにならないように、しっかりと指導していただきまして、実効性を持たせるように工夫をしていただければと思います。

 そしてまた、同じく新たに加わりました第三十三条でございますけれども、職業生活と家庭生活の両立に関する理解を深めるための措置を国が講ずると新たに定められておりますけれども、今回これが新たに加わった理由は何でしょうか。

岩田政府参考人 国の広報活動についての法律上の規定を新たに設けた理由でございます。

 これも先ほどの答弁と重なりますけれども、子育てをしながら働きやすいような職場をつくっていくためには、経営者、管理職の方はもちろんですが、働く方々すべてを含めて、やはり相当マインドを変えていただかないといけないというふうに思っております。例えば、子育ては女性の仕事だというような男女の固定的な役割分担についての意識、これは我が国には非常に根強いものがあるというふうに思っておりますし、多少家庭生活は犠牲にしても仕事で頑張るんだといったような、過度な職場優先の風潮も根強いものがございます。

 そういうことで、育児休業、介護休業その他の措置も含めてでございますが、そういうものを本当に利用しやすくするために、そういった人々の意識や企業の風土を変える必要があるというふうに思っております。特に男性が、こういうせっかくの制度があってもなかなか利用しづらいということがございますので、そのことを考えても、その必要性は非常に高いというふうに思っているところでございます。

 そういうことから、国民一般に働きかけるということもございますし、企業の経営者、管理者、働く男女の労働者、そういう方たちに、広く広報活動を通じまして働きかけをしていきたい、そのための根拠の規定を設けていただいたと思っております。

水島委員 意識を啓発するための広報活動ということでございますけれども、かなりこれは戦略的に行わないと、ただ広報物だけが出て、いつまでも人の意識が変わらないという結果に終わってしまうのではないかと思います。

 どのような手段、どのような措置が有効だと思われているか。人の意識というものを変えるためにはどのような手段が有効であるのか。この例ではなくてもいいのですけれども、何かデータはお持ちでしょうか。

岩田政府参考人 データはございませんが、私どももさまざまな取り組みをしてまいっております。たまには人を褒めることでその努力を促し、たまには、そういうことであっては困るということで指導することによって是正をする、さまざまな手法でやってきているわけでございます。

 例えば、先ほどファミリー・フレンドリー企業という概念を少しお話しいたしましたけれども、ファミリー・フレンドリー企業にすべての企業がなっていただくように、例えば一年に一度、先駆的な、ほかの企業にとってモデルになるような企業を大臣表彰、あるいはそれぞれの地域で労働局長が表彰するといったようなこともやっております。また、好事例を集めて、こういうふうにすればうまくいっている企業があるといったようなことを労使に情報提供していくということもそうだというふうに思います。

 また、新しいこととして今年度着手したいと思っておりますのは、仕事と子育ての両立指標、企業がどの程度達成できているかというようなことをはかるための指標を開発したいというふうにも思っておりまして、例えばそういうものを使って企業の方にみずから自己点検していただくといったようなこと。それ以外にもさまざまなやり方があろうかと思いますが、なかなか一朝一夕にまいりませんし、この方法だけがいいというようなものもございません。さまざまなことを組み合わせながら、できるだけやっていきたいと思っております。

水島委員 今お話しになったようなことも、もちろん企業に対して有効なところもあるとは思いますけれども、目が企業を向いている限り、大企業はやるかもしれないけれども、中小はなかなかそういう余裕がなくてというようなことにもなってまいります。

 私は、やはり社会全体の風土といいますか、意識が変わっていくことが大前提として必要であると思います、それこそが一番難しいところであるとは思いますけれども。先ほど冒頭に申しましたような三歳児神話に関するデータでございますとか、実際に両立した人の方が、スムーズに両立できた人の方が仕事の能率が上がるですとか、そういったデータをぜひとっていただきまして、せっかく厚生労働省と、一つの省になられたわけでございますので、厚生分野でこれがストレスにどうなっているとかそういったことを、いろいろな知識をすべて総合した上での啓発活動をぜひしていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 そして、社会全体の意識が変わるということに関しましては、例えば、かなり意識変革に成功してきている北欧の例などを見ますと、やはり女性の政治家がふえて、制度が変わってから意識が変わってきたというような側面もございます。意識が変わるのを待つ前に、政策で誘導しないとなかなか意識というのは変わらないのが実態ではないかと私は思っております。そう考えまして、民主党案ではパパクオータ制などを導入して、制度が意識を引っ張っていくというような構造をとらせていただいているわけです。

 そのように政策で誘導していくということに関しまして、大臣はどのようにお考えでしょうか。

坂口国務大臣 それは両方あるだろうというふうに思います。制度で誘導するということも大事だというふうに思いますし、それでは制度だけでいくかといえば、制度だけでいかない部分もある。やはり全体の意識改革というのは制度だけで進まない部分もあるわけでございますから、そこは両方相まって進めていくということが大事だろうというふうに思います。

 制度の改革は、比較的簡単という言葉は当たらないかもしれませんけれども、できると思うのですが、やはり意識改革というのをどう進めるかということが大変大事で、それは先ほどからお話しになりますように、さまざまな情報をやはり提供して、これは決して、長い目で見れば、大きな目で見れば、そのことがいかにプラスかということを経営者にもわからせなければならないだろうというふうに思います。そうした幅広い努力がやはり要求されている法律であるというふうに考えております。

水島委員 今大臣は、まさに制度を変えていける権限を持っていらっしゃるわけでございます。ほかの人がそうしたいと思ってもなれないポストにいらっしゃるわけでございますので、今は、意識を変えるというのは、いろいろなところで、民間レベルでも工夫していきたいところではございますけれども、制度を変えられる立場にいらっしゃる方といたしまして、ぜひ、政策で引っ張る、そちらの方に力を尽くしていただきたいと思っております。

 本日私が質問してまいりましたことは、今までもずっと指摘されていながら、わずかずつ進んではいるのかもしれないけれども、いまだにずっと同じ壁にぶち当たっているというようなテーマのものが多かったと思います。その中で日々苦しんだり、またストレスをため込んだりしている労働者の方たち、そしてそのもとで育てられている子供たちのことを考えますと、この壁は本当に早く突破をして、この国会での審議も、もっと上のレベルの審議ができるべきではないかと思っております。その壁を突破していくためには、私は大臣のリーダーシップがあればそれで十分ではないかと思っております。

 何度もお願いを申し上げますけれども、本当に本日の質問の趣旨を御理解いただきまして、いろいろなところで制度が少しでも前に進んでいくような御英断をいただけますように改めて心よりお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

鈴木委員長 午後一時十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十五分開議

鈴木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。山花郁夫君。

    〔委員長退席、谷畑委員長代理着席〕

山花委員 民主党の山花郁夫でございます。

 育児休業法等の改正について、何点か御質問を申し上げます。

 午前中も質疑がございましたけれども、男女雇用機会均等対策方針、これは平成十二年の七月の十四日に発表されたものでございます。

 これによりますと、「仕事と育児・介護の両立が図られるためには、女性だけでなく男性も含め、育児・介護休業を取得しやすく、また、就業しつつ子どもの養育や家族の介護を行いやすい職場環境づくりを促進することにより、男女労働者とも育児・介護について家族の一員としての役割を円滑に果たすことができるようにすることが重要である。 このため、固定的な性役割分担意識の解消や職場優先の組織風土の是正に向けて、広く意識啓発のための広報活動を実施するとともに、各種助成措置の効果的な活用を図る等により、仕事と育児・介護の両立に向けた労使の取り組みを支援する。」というふうにされております。

 これは、ホームページなどでも掲載されているようでありますけれども、平成十二年度から平成十六年度までの五年間を運営期間とする、雇用における男女の均等な機会及び待遇のための施策の基本方針を示したものとされております。

 また、これは先ほど来何度も出てきております女性少年問題審議会の建議と言われているものですけれども、平成十二年七月に女性審は女性部会というのを設けまして、十二月二十二日に坂口当時労働大臣あてに、こういったものを出しております。

 この中に、六番目の項目のところでございますけれども、「固定的な性役割分担意識の解消や職場優先の組織風土の是正を図るため、国民一般に広く働きかけることはもとより、事業主や職場における上司、同僚の理解を高めるための意識啓発を積極的に行う必要がある。その際、男性の育児休業の取得率が低い現状にかんがみ、男性の育児休業の取得が促進されるよう配慮することも重要である。また、各事業所における仕事と家庭の両立のための取組に係る実施体制を明確化することとし、これらの仕組みを法律の中に盛り込むことが適当である。」こういったことが建議に書かれております。

 さらに、ちょっと資料のあれが続いて申しわけございませんけれども、平成十三年六月十九日に発表されました、男女共同参画会議、これは内閣官房の方で設置されているものでありますが、仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会の報告という、結構ページ数のあるものであります。

 こちらの方を拝見いたしますと、「両立ライフへ職場改革」というしゃれたタイトルのものがございまして、この中で幾つか、「具体的目標・施策」あるいはその前の、四つほどポイントが書いてございますけれども、こうした中にも、「育児休業制度ならびに出産休暇の十分な活用を求める。」とりわけということで、「とりわけ男性の育児休業取得を奨励するとともに、父親の出産休暇の全員取得をめざす。(「父親の産休五日間」)」ということがうたわれております。

 「具体的目標・施策」のところで、下のところになりますけれども、「育児休業制度の広報を一層積極的に行い、男性の育児休業取得を奨励する。また、配偶者の出産時における父親の出産休暇について、育児休業の制度を活用して取得が可能であることを広くPRする。」というふうにされております。

 これは専門調査会の報告書ということで、これを受けまして、本年七月六日、閣議決定ということですから坂口大臣もこれに参加しておられると思いますが、今言ったような内容を含みます仕事と子育ての両立支援の方策についてということが閣議決定をされております。

 この調査会の方の所見について一言申し上げておきますと、確かに、女性については出産休暇というものがございますけれども、パートナーの方には出産休暇というものは現行法上ございません。ただ、この調査会の中で出てきた意見としては、男性に、男性の方でも育児休業をとれるわけですから、育児休業を活用してせめて出産時には休みをとったらどうかという提言だと思うんですが、ただ、本来、育児休業というものは、むしろ退院してからの方が大変だと思うわけでございます。

 私ごとで恐縮ですが、私も現在五カ月ちょっとになる子供がおりますが、夜は泣きますし、できるだけ自分も、両立支援という法案を提出いたしておりますから言行不一致にならないように、ミルクを与えたりおむつをかえたりということぐらいしか、時間のあいているときにしかできないのでありますけれども、そういうことをやるようにしております。また、大学時代一人で下宿をしていたものですから、炊事とか洗濯は、苦にならないわけではないですが、それなりに努力をしているつもりでありますが。

 ところで、午前中から、二・四%という数字が何度かお話に出てきておりますけれども、これは平成十一年度の女性雇用管理の基本調査から出てきている数字だと思います。ただ、この数字でありますけれども、育児休業取得者に占める男性の割合ということですから、男性、女性のうちで育児休業をとった人の中で男性が二・四%ということであります。同じく、同じ資料によりますと、配偶者が出産した男性労働者という形で、これを母数にしますと、実に〇・四二%しか育児休業を取得していないというのが現実なわけであります。

 この問題については今までも議論されてきていたことだと思いますし、それなりのPR活動も、つまり女性だけが育休をとれるわけじゃありませんよというようなこともやってきたとは思うんですが、私はこの育児休暇の取得率は大変低いのではないかと思っております。もちろん、価値観が多様化している現代の社会でありますから、働きながら子供を育てたいという女性もいれば、私は、専業主婦というのもそれはそれで立派な生き方だと思いますし、また一方で、双方本当に合意があった上で、男性の方が働いて女性だけが育児というのでそれでいいんだという価値観ももちろんあり得るとは思いますけれども、それにしても少し低過ぎると思うんです。

 こういった大変低い育児休暇の取得率をどのように分析されておられますでしょうか。

岩田政府参考人 先生がおっしゃいましたように、育児休業の取得者に占める男性が二・四%というのは極めて低い数字だというふうに思います。その原因は、先生の御発言の中にもありましたけれども、やはり子育ては女性の仕事というような価値観がまだ根強く残っておりますし、それから、仕事を犠牲にしてまで家族のことをやるということに対する抵抗も職場に大変強いものがあるというふうに思います。そういった、私どもの、人々の意識、あるいは企業の中の風土、雰囲気、そういうものが原因であるというふうに思っております。

山花委員 恐らくそういう答えなのかなと思っておりましたが、月刊世論調査というのがございまして、内閣府大臣官房政府広報室が編集しているもので、平成十三年、ことしの二月号ですけれども、この調査によりますと、この月刊世論調査でいいますと三十ページ目のところにありますけれども、男性が育児休業や介護休業をとることについてどう思いますかというアンケートがございます。

 その中で特に、男性が育児休業をとることについてどうですかという調査で、とった方がよいとする割合が実に六八・四%になっております。積極的にとった方がよいというのは二一・七%、二割強ですけれども、どちらかといえばとった方がよいというのが四六・八%ですから、七割近くの方が一般論としてはとった方がいいんだというふうな、もう意識としてはそこまでいっているということは申し上げておきたいと思います。

 特に、これは当然かなと思いますけれども、二十代、三十代の方が数値が当然高くなっております。やはり現実に今子供を育てて大変な思いをしているとより切実にそう思うのだと思いますけれども、二十代、男性女性を問わず、もう七割を超える人たちが、育児休業は男性であってもとった方がよいと、これは内閣府のこちらで出している世論調査の方で出ているわけであります。

 七割の人がとった方がいいと言っていて〇・四二とか二・四とかそういうことですから、これは私、先ほどいろいろな価値観があると申しましたけれども、みんながみんなやはり今の状態がいいとは思っていないのは、これは間違いないことではないかと思います。

 いろいろ外国の例などを少し調べてみましたところ、午前中の質疑で、どなたでしたか、大変スウェーデンなんかは進んでいるというお話が出ておりましたけれども、ただ、スウェーデンでも、二〇〇〇年現在でOECDのエンプロイメントアウトルックという調査がありますけれども、これによりますと、スウェーデンでは二〇〇〇年で三六%、男性が育児休業を取得している。三六%ですが、あちらの方ではちょっとまだ低いんじゃないかというような議論があるようです。

 ただ、ノルウェーにいきますと、ちょっと制度が違うので単純に横並びで比較はできないと思いますけれども、ノルウェーですと出産休暇に近いものがあるようですが、それも含めた数字だと思いますが、実に八〇%近くという数字があります。これは九九年の数字です。デンマークは、これはかなり低くて一〇%前後ということですが、日本に比べればはるかに高いような感じであります。

 最近でも海外でのいろいろ動きがございまして、今ドイツでも、男性の育児休暇というか、男性の親期間という呼び方に改めたようでありますけれども、こういったものが二〇〇〇年から導入されるようであります。大変興味深い考え方だと思いました。育児休暇という用語については、育児というのはこれは仕事であるから休暇と呼ぶのは不適切であるとかねてからドイツでは議論があって、親期間という形に改められた。こういった議論があったようですので、ちょっと御紹介を申し上げます。こういった制度になっていたり、あとはイギリスの方でも、ブレア首相のもとでいろいろとお取り組みがなされているわけであります。

 こういった各国でも、この分野に関しては非常に進んでいる国でも、いろいろどんどんと取り組みがされておりますし、また、今申し上げましたように、イギリスとかドイツとかでも取り組みがあるわけであります。

 後ほど看護休暇その他のことについても申し上げたいところはあるんでありますが、男性の育児参加、あるいは休暇をとることだけがイコール育児参加ではないと思いますし、また時短という方策もありますし、いろいろな方策はあると思います。ただ、それにしてもちょっと、数字を見る限りは日本のピッチというのは少し遅いんじゃないかと感じる次第なんでありますけれども、今までの厚生労働省ないしは労働省として、旧労働省ですね、どういった取り組みをされてきたんでしょうか。

岩田政府参考人 この問題は、人々の意識やそして職場の雰囲気を変える話でございますから、やはりさまざまな工夫をしながら広報活動、啓発活動を重ねるということが中心になるというふうに思います。

 毎年十月を仕事と家庭を考える月間というふうに厚生労働省として定めておりまして、関係機関、自治体の御協力をいただきながら、この月を中心に大きなキャンペーンの活動をやっております。毎年その月間のためにポスターをつくっておりますが、昨年策定いたしましたポスターは、二・四%というのをポスターの真ん中に大きく書きまして、そして、我が国の場合には男性の育児休業の取得率が低い、低過ぎるというような問題提起もさせていただいたところでございます。

山花委員 やはり、今お話に出てきましたけれども、なかなか人々の意識がというのが最初に出てきてしまうんですが、一般論として言えば、もうかなりの人がとるべきだということは考えているというぐらいの意識にはなってきているんではないかと私は思っているんです。ただ、問題は、一般論としてはそうなんだけれども、具体的に、例えば職場で、あの人が休むなんという話になったときに、あるいは自分の立場になったときに、ちょっとどうしようかというようなところで低いのかなというように感じます。特に職場の理解ということが私は重要なのではないかと思います。

 今の局長のお話にもございましたけれども、やはりどう考えても取得率が低過ぎると思うわけでありまして、少し抽象論になってしまいますが、もう既に制定されております男女共同参画社会基本法の理念からいくと、この現在の実態というのは余り好ましくないのではないか。つまり、やはり固定的な性役割分担というような形になっているような気がいたしております。ですので、こちらのPRみたいなことを言うようですが、積極的に広報活動、啓蒙活動をやっていただくのももちろん大事なことだと思うんですけれども、今回法案を提出させていただいておりますけれども、何らかの形で制度的に取得促進を仕組む必要があるのではないかと考えております。

 また、午前中の質疑でも、大臣からは、制度的に仕組むということになると、急に仕組むというのはちょっとどうでしょうかね、意識の問題とかいろいろあるからというような御答弁があったように思うんですが、ただ、制度的に積極的に仕組むこととともに、今あるものでちょっとひっかかる条項がございまして、これは民主案だと削除すべきだという主張になっているところなんですが、いわゆる育介法の六条の一項の二号であります。

 条文自体は少々長いので読み上げませんが、要するに、専業主婦が、専業主婦と言ってしまうと限定されてしまいますね、パートナーのうち片っ方が仕事についていないで子育てに従事しているようなケース。わかりやすく言えば、一つの例が、専業主婦がいるようなケースでは、労使協定によって育児休業を取得しないようにしても構わないという条項が入っているわけであります。

 労使協定でありますから、これは労使の合意によってだからいいではないかというのも一つの価値判断だとは思いますが、そもそも、こうした六条一項二号、法律は別に専業主婦という言葉はもちろん使っていないですが、実態はほとんどのケースが専業主婦がいるケースになるわけで、そうだとすると、これは事実上やはり固定的な性役割分担を前提とするもののような感じがするわけでありまして、私の所見、あるいは民主党案の主張としては、こういったものは幾ら労使協定によるものであったとしてもなくしていった方がいいのではないかというふうに感じております。

 先ほど午前中、水島議員からもるるお訴えがございましたけれども、積極的に何か制度をつくっていったりとか、あるいは今までのところで少し問題となることを手直ししていったりということが必要な気もするんですけれども、厚生労働省として、男性の育児休業取得の促進についての今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。

岩田政府参考人 まず、先生が御指摘の条文についてでございますけれども、育児休業は何が目的の制度かと申し上げますと、副次的な効果もあるかもしれませんが、メーンの目的は、仕事と子育てを両立できる、子育てのために仕事を休まなくても、仕事をあきらめなくてもいい、長期継続ができる、そのための制度であるというふうに理解をいたしております。

 また一方、事業主にとってどうかといいますと、この休業制度は最大一年間ということで長期間に渡りますから、そのことを受け入れることについての負担があることも否めないというふうに思っております。

 そういうことを考えますと、配偶者が専ら育児に専念できるような状況の場合には育児休業を認めないということについて、労使が合意して、それを書面で協定を結ぶというようなケースについては、育児休業の対象から除外をしてもいいんではないかということで今日の法制ができているというふうに理解をいたしております。育児休業の必要性、非常に高いケースから、相対的にはそうではないケース、いろいろあろうかというふうに思いますが、育児休業の必要性の度合いと、そして企業の負担のバランスを考えましたときに、現行では今のような仕組みが妥当ではないかというふうに思っております。

 育児休業を男性がもっととりやすくするというお考えについてはそのとおりでございまして、先ほどからの話とも重なりますけれども、啓発活動はしっかりやっていきたいというふうに思っております。そのためにも、今回の改正法の中で、国が広報活動をしっかりやるという条文も入りましたので、従前以上に努力をしたいというふうに思っております。

山花委員 制度的なところに関しては、もちろん政府案と民主案では大きく違うので、こちらの思うとおりというわけにはいかないのは理解はいたします。しかし、今までも広報活動をそれなりにやってきて、なかなか上がってきていないわけでありますから、より一層広報はやっていただきたいとは思いますけれども、それ以上のことが何か必要なのではないかなという気がいたしているところでございます。この点については一応これぐらいにしたいと思います。

 ちょっときょうは人事院の方に来ていただいておりますけれども、今国会で、公務員の方でも育児休業制度の関連の法案を提出される予定だと聞いております。こういった問題については、憲法二十八条の勤労者は、別に公務員は入らないという議論はもちろんないわけでありまして、対価をもらって生計を立てている者が勤労者であるということですから、公務員でも同様の問題があるわけでございます。

 男女共同参画基本法における基本計画などで公務の社会的役割の重要性が定められておりますし、また、ことしの人事院の報告、これは報告そのものではなくて、ちょっときょうは人事院月報を持ってきていますが、それに出ておりますが、ことしの報告の中でも「人事院としても、公務における男性職員の育児休業取得について積極的な促進が図られるよう努める。」と書いてございます。

 こうしたことを踏まえて、男性職員の促進策について人事院としても積極的に御検討されるべきではないかと考えますが、この点についてはいかがお考えでしょうか。

小澤政府参考人 国家公務員の場合ですが、育児休業制度につきましては、男女別なく適用されているわけであります。ただし、取得状況を見ますと、男性の育児休業をとっている数というのは極めて少ない。したがいまして、育児については、女性がかなりの責任を負っておるというのが現在の状況であります。

 人事院といたしましては、男女共同参画社会、これを実現するためには、男女双方で家庭の責任を担うということが重要であると考えております。こういう考え方から、ことしの六月の、公務組織における男女共同参画の取り組みについてという中で、男性が育児休業をとる必要性を指摘しております。さらに、先生先ほど御指摘ありましたように、八月の報告におきましても取り上げているわけであります。

 いかに男性の育児休業をとる率を高めるかということなんですが、当面は、育児休業制度というのを周知させる、さらに、各省庁に対しまして、育児休業を積極的にとるように今後とも働きかけていきたいというふうに考えております。

山花委員 先ほど来、厚生労働省の方からも、職場の意識ということが何度か出てきておりますけれども、何といってもやはり、役所ですらだめだということになると、民間になると大変厳しいわけですので、ぜひとも御努力いただきたいと思います。

 厚生労働大臣にお伺いをしたい、お伺いというか所見をお尋ねしたいと思います。当然、お立場からいいまして、民主党案への所見といっても答えられる範囲には限界があるんでしょうけれども。

 私どもが考えた一つのやり方としては、対象、取得できる期間については小学校就学までと少し広くとった上で、その中で、男性が七カ月、女性が七カ月取得できて、ただ、一カ月は固有の期間として持っているので、相手方に譲り渡すこともできますが、譲り渡せるのは六カ月だけ。ですから、専業主婦に全部やらせてしまえという人は十三カ月で、双方がとるのであれば十四カ月とれるという仕組みを仕組んだ上で、このやり方についてはいろいろ議論があろうかと思いますが、少なくとも制度的に男性の取得促進にはつながるのではないだろうか。

 つまり、観点を変えていえば、男性の側がとれればカップルで十四カ月とれるのに、男性がとらないと十三カ月に減っちゃいますよというような仕組みになっているわけでありますし、論点はもう少しほかのことにいってしまうかもしれませんけれども、最低二回の分割取得を可能とするというような形で仕組んでございます。

 これは、育児という概念をどこまでと見るかにもよるんですが、少し広く見たときに、御経験ある方も与党の方、野党の方問わずいらっしゃると思いますけれども、子供が小学校に入るぐらい、あるいは学校に入る前とかになると、学校の手続をいろいろしたりとか、細かい話ですけれども、自分がなさっていなかったとするとパートナーの方がやっているのを見ていたんじゃないかと思いますが、夜遅くまで文房具にちっちゃい名前をシールか何かに書いて張ってとか、そういう負担が出てくる時期もあるわけで、本当に新生児のころの手がかかる時期とは別に、直前にやはりそういう手のかかる時期というのがあるわけで、そうすると、分割取得ということを可能にした方が使い勝手がいいのではないかというようなことも考えたのでありますけれども、こういった点について、大きな方向性という観点で結構ですから、御所見をいただければと存じます。

    〔谷畑委員長代理退席、委員長着席〕

坂口国務大臣 民主党のお考えになっております方法も一つのこれは方法だというふうに私も思っております。

 先ほど御紹介いただきましたように、皆さん方の思いとしては、とってもいいかどうかと言われれば、それはもうとった方がいいよ、とるべきじゃないかという、かなり積極的なお気持ちはお持ちになっている方がかなり多い。しかしながら、現実問題としては、とられた方の二・四%ですから、割り算いたしますと、女性が四十四人おとりになるごとに一人とるぐらいな程度になるんじゃないかというふうに思いますが、そのぐらいしか男性はとっていない。

 ですから、人事院の方の先ほどのお話もございましたが、やはり公務員でもなかなかそんな状況でございまして、私の方も、だれかとっている人あるかと言いましたら、前に担当の課長さんが一人おとりになったという話でございまして、それではちょっと厚生労働省としても肩身が狭いな、こういうことを言ったわけでございますが、やはり、それはそのとおりだというふうに皆思いながら、しかし、一番先にそれじゃ先んじてやってみるぞという、そこの勇気がなかなか出ないということもあるのではないか。

 むしろ、上司との間の問題、あるいはまた経営者との間の問題もございまして、そうした問題も大きな壁であることは私も認めているところでございますが、しかし、それだけではなくて、同じ友達の間の中で、おれが先に一遍とるぞという、そこが何かがあれば、私は、だっと雪崩を打つように皆さんが、よしおれもやるぞということになるのではないかなという気がいたしておりまして、しかし、機はそこまで熟しているというふうに認識をいたしております。

 したがいまして、民主党さんの案のように、そこまで我々の方の、政府の方の案は踏み込んではおりませんけれども、この法案によって一歩前進させれば、もう少し、そこをもう一押しすれば、そういう事態は開けてくるのではないかというふうに思っております。そこをもう一つ民主党さんの場合には踏み込んでおみえになるわけでありますから、それも一つの方法ではあるというふうには私も評価をしつつ、しかし、政府としては、そこまでまだやるちょっと勇気がない。

 といいますのは、大きい企業だけではなくて、中小企業も、民間のそうしたものも抱えているものですから、そうしたところにもう少しそういう雰囲気をやはりつくっていって、そしてその次にという我々の気持ちがあるものですから、そこはいささか我々はちゅうちょせざるを得ないという状況にございます。

山花委員 先ほど公務員のということで人事院の方にはお願い申し上げましたけれども、その中でも特に厚生労働省の方の御指導をいただければと思います。また、役所がどうのと言っているだけではなくて、我々議員の側も、積極的に啓蒙できる機会があれば、やっていかなければいけないのかなと思っております。

 実は私、五月十日に娘が生まれたとき、本会議に欠席届を出しまして、かなり辛口の御批判もいただいたところでありますけれども、午前中、福島議員が、なかなか踏み切れないようなお話がございましたけれども、頑張っていただきたいと思う次第であります。

 話を看護休暇制度の方に移していきたいと思います。この点については午前中にも少々質疑がございましたけれども、少し数字を出してお話をしたいと思います。

 労働組合の連合というのはもちろん御存じだと思いますけれども、連合の総合男女平等局というのがございまして、ここで「子ども看護休暇に関する調査報告書」というものをまとめております。昨年の五月に公表されたものですけれども、この連合の総合男女平等局が発表した報告書によりますと、いろいろ数字が出ているんですけれども、その中で、ちょっと、やはりこれは気になるという数字がございます。

 過去一年間であなたは有給休暇幾らもらいましたかという統計があって、例えば看護とか予防接種、定期健康診断で自分が休まざるを得なかった日は何日かとか、こういうものがいろいろ出ているんです。余り細かい数字をすべて取り上げませんが、ただ、この調査によりますと、母親は実に年次有給休暇の七割を子供の看護のために仕事を休んでいるという実態がございます。また、それだけではなくて、加えて、子供の看護のために平均すると二・八日欠勤をしているということです。

 そして、この調査報告書にも注がついてありますけれども、こういった統計も、例えば、まだこれは恵まれている方じゃないかと。つまり、子供が病気がちで親が休む日数が多ければ多いほど退職に追い込まれているようなケースがあって、これはそういったケースは入ってこない、出てこない数字ですから。

 そうすると、有休の七割プラス二・八日を子供の看護のために費やしているというのが実態であります。

 私の、私ごとでまた恐縮ですが、ついちょっと前までは民間の研究所にいたんですけれども、やはり同じようなケースを間々、友人であるとか見てまいりました。考えてみると当たり前のことなんですけれども、幼い子供を持っている世代というのは比較的若い世代、若い勤労者に当然多いわけです。若い勤労者に多いということは、昔に比べれば随分よくなったとは思いますけれども、有休の日数もそんなに余っていない。もうそれこそ勤続十年、二十年になれば余っていて使い切れないという人はたくさんいますけれども、若い世代だと、まだちょっとそんなに潤沢にはない。そういった中で、今申し上げたような数字が出てきているわけであります。

 また、もっと考えてみれば、本来、年次有給休暇というのは勤労者のリフレッシュのためにあるわけであって、子供の看護を、まあそれに使ってはいけないということはもちろんないですけれども、それに使うということではないはずでありまして、むしろリフレッシュのために制度上設計されて用意されているものが、そういったかえってストレスがたまるようなこと、ストレスがたまると言っては表現が適切ではないかもしれませんけれども、そういったことに使われているという実態があるわけでございます。

 また、坂口大臣はよく御存じだと思います、釈迦に説法だと思いますけれども、学校伝染病というのがあって、それにかかると、学校に出ていってはまずいですよね。言葉をかえて言えば、国の側が、そういうときには子供は学校に出ていかないで家にいなさいという仕組みになっているわけであります。一方でそうやっておきながら、子供を看護する親の方に休暇を認めていないというのは、私は、ちょっとこれはバランスを欠いているのではないかなと思いますけれども。

 ですから、努力義務にとどめる、今回は努力義務ということで入ってきました、半歩前進くらいの評価はしてもいいのかもしれませんけれども、請求権化ということをぜひとも検討していただきたいと思うのでありますけれども、この点については、改めてお伺いしますが、いかがでしょうか。

坂口国務大臣 確かに、そういうことはあると思います。

 私も若いころに経験をいたしておりますが、小児科におりまして、そして多くのお子さんが入院をされておみえになります。伝染性の病気も中にはございますし、法定伝染病でありませんでも、例えばおたふく風邪でありますとか、あるいは普通のインフルエンザでありますとかそうした問題でありましても、もうお子さんは症状がなくなりましてよくなりましても、学校の方は大体五日間ぐらいはひとつおうちに置いておいてくださいということになるわけでして、そういたしますと、家に連れて帰るとだれかが見ていなきゃならない。それで、お勤めのお母さん方は、私は勤めているものですから、もう症状はなくなったかもしれないけれども、もう二、三日、済みませんが、この病院に置いていただけませんかといったようなお話があったことを記憶いたしております。

 確かに、そういうことでお母さん方は悩まれるんだろうと思うんですね。まあ小学校に入ってからぐらいのお子さんでしたら、一人お留守番ということだって、それはあり得るとは思いますけれども、三歳、四歳のお子さんを一人置いていくというわけにはいかない。

 そういう事態は起こっておるものですから、病児保育といったようなことをスタートさせまして、そういうお子さんを一時的にお預かりをするようなシステムをつくったりしているわけでございまして、徐々ではございますけれども、一歩一歩前進はさせているつもりでおります。

 そうしたことを考えますと、やはり介護休暇というものが大手を振ってとれるようになれば、それはもうかなり解消するわけでございますので、それに向けて、一日も早くそういう状況になりますように、ただ単に努力をしてくれと言うだけではなくて、かなり積極的な要請、企業に対する要請、PRだけではなくて要請をしていくということを我々もしていかなきゃいけないというふうに思っている次第でございます。

山花委員 PRだけではなくてより徹底した要請をということで、力強いお言葉だと思いますけれども、私どもの法案としてはもうこれは請求権として規定しておりますが、一日も早いこういったことの実現ということを考えていかなければいけないと私も思っている次第であります。

 ところで、民主党案の方でも、この看護休暇についてなんですが、基本的には、請求権として規定しているのは、子供のための看護休暇という形で規定してございますが、ただ、私どもの考え方としては、全体的な枠組みとしては、家族のための看護休暇という枠組みがあって、ただ、ここは割と、先ほど来の大臣と同じようなトーンになってしまうんですが、いきなり家族のためのというのはちょっと難しいということで、せめて子供のためのという形で検討をしてきたわけであります。外国の例を見ますと、家族のための看護休暇というふうな制度になっているところも幾つかございまして、やはり家族看護という発想も必要なのではないかと思うんですが。

 そこで、先ほど、前いた職場で私と同じ世代のという話をちょっとさせていただきましたが、今度はちょっと違ったケースがまた身近にあったものですので、私はこの問題についてはすごくこだわりがあるんですけれども、私よりちょっと上の世代で、四十、五十で、すごく一生懸命やっていらっしゃる世代の方なんかですと、本当に個別の例で、ちょっとこの話をすると具体的に顔が浮かんできちゃうんですが、そういう方で、割と早い時期にパートナーの方が亡くなられてひとり身の方で、中高年というか、中年という言い方はよくないかな、壮年の一生懸命ばりばりやっている方なんですが、ただ、御両親というか、こちらも片方が割と早い時期に亡くなられて片方の親だけ残っておられるんですが、足が悪いんですよ。

 日本の法制の中では介護休業という制度がありますけれども、介護というのは、これは割と長い期間を想定していて、寝込んでしまったりとかそういうケースだと思うんですが、これの適用とはちょっと違うのかなというケースで、今言ったような割と年齢の高い方で足が悪い方ですと、それで時々ちょっと病気がちなところがあるので病院に行くというので、私の上の人だったんですが、有休を消化して送り迎えがやはり必要になってしまうんですね。

 子供のための看護ということと違って家族まで広げちゃうとという議論の中では、大人になれば一人で病院にも行けるし、薬を自分で判断して飲めるし、家族まで広げるとどうかなという議論の中で価値判断としてはそういうのもあったんですが、一方で、今申しましたように大人という範疇でくくったとしても、介護までには至らない、しかも要介護認定もないというぐらいの人であったとしても、お年になれば足が悪いとか腰が悪いとかいろいろなケースが出てくるわけで、やはり一人で動くのがかなりきついケースだってあるわけですよ。

 これから高齢化社会というか、もう既にやってきていますけれども、こういうケースというのは、私の身近にいたからこうやってお話ししているんですけれども、結構あるんじゃないかというふうに思います。

 ただ、こういうことを言うと、実際、数値として上がってきていないじゃないかとか、あるいは運動体として上がってきていないじゃないかというような議論もあろうかと思いますが、私が知っているケースで言えば、さっきの若い世代の話とは違って、私の知っているその方は、それこそもう年齢がそこまでいっていますから、有休なんというのは二年たってどんどんなくなっちゃうぐらい持っている人なわけですよ。その上、ある程度のポジションにいますから、自分で仕事の都合をつけて休んで行けるということがあるものですから、そういうケースだと切実感もないのかもしれないけれども、実際はそういうケースだって、必ずしも数字に出てきていない、運動になっていないからといって、少なくはないのではないかと思うわけであります。

 そういうことを考えますと、家族のための看護休暇というものも将来的には検討していくべきではないかと思うのですが、また、介護休業制度ですらあるのにという言い方はちょっとどうか、そう言えるかどうかは別ですが、今のケースですと、一回使い切りのであるとか、要するに一日行って送り迎えしたりとかそういうケースですので、余り企業としても負担感がないように思うんですけれども、こういった方向性については、つまり、子供のための看護休暇というのをもう少し大きなフレームの中の一部分としてとらえるという考え方についてはいかがお考えでしょうか。

岩田政府参考人 子供以外の家族の看護についてでございますが、先生のお話の中にもありましたが、子供の場合はなかなか、もちろん自分で身の回りのことができませんし、ましてや病気やけがのときはできれば親がついていてやりたいということもございますが、それと比べましたら、相対的な問題ではございますが、大人の場合は自分で対応できるということもありますでしょうし、家族でなくても有料でサービスを買うとか、あるいは地域の互助活動ですとかボランティア的な活動のお手伝いをお願いするといったようなさまざまな対応でやれるケースもあるのではないかということで、必要性の度合いから見て、今回は子供を看護するときの休暇を初めて我が国の法制上、努力義務ではございますが、導入をしたいということでございます。

 将来的には、もちろん育児・介護休業法は常に見直しをしていくわけでございますから、将来的な検討を排除するわけではございません。その時々のさまざまな検討課題の中で何が最も優先順位が高い課題なのか、何が最も切実なニーズなのかといったようなことで検討されることであると思っております。

山花委員 家族看護休暇ということについて排除することではないというお話でしたので、ぜひとも検討をしていただきたいということを申し上げて、次の質問に移っていきたいと思います。

 ちょっと条文等前後いたしますが、今回の政府案によりますと、二十三条によって、勤務時間の短縮等の措置に係る事業主の義務ということで、対象となる子の年齢を一歳未満から三歳未満まで引き上げられております。

 今回のこの法律なんですけれども、全体として育児関係の年齢別に見ていきますと、まず、子供が生まれてから一歳に達するまでの間については、育児休業であるとか勤務時間の短縮等の措置の適用ということになります。一歳に達しましてから三歳に達するまでは、育児休業制度に準ずる措置、勤務時間の短縮等の措置から最低一つの適用義務というものが生じてまいります。そして、さらに三歳から小学校就学までの期間を見てきますと、育児休業に準ずる措置あるいは勤務時間短縮等の措置などの、これは今度は努力義務という形になっていくわけでありますが、方向性としては、こういった形でいくということには評価できる面があろうかと思います。

 ただ、特にこの勤務時間の短縮を求めるというケースで考えてみますと、これは、働きながら、ただ時間を短くしてほしいと希望する方というのはどういう方かといえば、例えば早く帰って子供に食事をつくってあげたいとか、あるいは保育園や幼稚園の送り迎えのために朝少し遅く出て、夫婦共働きの場合は、どっちかが送りに行って、迎える方はどっちかがやる、こういう使い分けをしたいというケースだと思うんです。

 そうであるとすると、せっかくこういった勤務時間短縮等の措置、メニューとして盛り込んだんですけれども、ニーズからいうと、これはやはり三歳ということではなくて、小学校就学の始期ぐらいまで上げるべきではないかと思うんですけれども、これはいかがでしょうか。何で三歳で切ってしまったんでしょうか。

岩田政府参考人 育児の実態を統計などで把握しておりますけれども、年齢が上がるにつれまして、やはり親が育児にかけなければいけない時間というのは少なくなってきております。ゼロ歳、一歳、二歳、このあたりは相当の時間がかかっておりますけれども、三歳を過ぎますと、例えば雇用されている妻の場合は一日五十一分。それまで、一歳、二歳ですと、一日一時間四十四分かけておりますが。こういうふうに、三歳というのが一つの発達の区切りかなというふうにも思うわけでございます。

 そういうことで、もちろん小学校就学前まで育児にかかる時間というのは相当ございますので、勤務時間の短縮などについても事業主に措置を講じていただくように努力義務を設けておりますから、それに沿って努力をしていただくよう指導したいというふうに思っておりますし、また、十四年度の概算要求には、そういう学校の就学前までの年齢についても勤務時間の短縮の措置などを講ずるように、努力義務になっている部分については努力をさらに促していただくような助成金制度についても財務省に要求したところでございまして、そういうことも使いながら、普及を図ってまいりたいと思っております。

山花委員 ちょっと局長、済みません、確認をしたいことがございます。

 通告をしていた話ではないんですけれども、午前中の水島議員から、三歳神話というのがかつてあって、三歳まではやはり親が、両親が手をかけて見ないとというようなのは、あれは神話であって実態とはちょっと違うんだ、学術的には違うんだという議論があるというお話が紹介されました。確認したいのは、私は三歳よりもっと引き上げてほしいと思うんですが、今回三歳という数字が出てきているのは、そういった今お話があったような統計に基づくものであって、別に三歳神話ということに引きずられたものではないということですね。

岩田政府参考人 そのとおりでございます。

 これは、我が国のケースも、そしてアメリカその他の諸外国のケースについても、科学的な実証研究、それも非常に長いスパンにわたって、十数年、子供を追いかけて調査をいたしておりますが、子供を保育所に預けて育てたケースと、母親が自宅で育てたケースと、子供の育ちに何か違いがあるか、問題があるかというと、そういうことはないということはもう科学的にはっきりしているわけでございます。ただ、親が育てようと保育所で育てようと、特に小さいときの保育の質が大事であるというのは言えるようでございますが、育つ場所が家庭でないといけないということはないというふうに、それは強く思っております。

 したがいまして、今回三歳というところで一つの区切りをつけましたけれども、これは、実際に育児にかかっている時間の負担、これらを見て考えたものでございます。

山花委員 ありがとうございます。

 厚生労働大臣、今の、勤務時間短縮等について、小学校就学までは育児にかかる時間というのは大変多くとられているけれども、特に三歳までのところが多いので今回は切ったというような御説明がありましたけれども、今後の方向性としては、もう少し、小学校就学後ぐらいまで引き上げていただいてもいいのではないかと私は思うのであります。恐らく今すぐは無理だというお話なんでしょうけれども、今後の方向性について何か御所見をいただければと思うんですけれども、いかがでしょうか。

坂口国務大臣 まずはスタートからということで、今回こういう形で始めさせていただきますが、こうしたことが社会の中でだんだんと取り入れられてくるということになってまいりました場合に、次のステップとして考える選択肢の一つというふうに思っております。

山花委員 ぜひ積極的にお考えいただきたいと存じます。

 それでは、次のテーマに移りたいと思います。時間外労働とか深夜業の制限についてでございます。

 時間外労働の制限でありますけれども、現行法のもとでは、事業主は、小学校入学までの子の養育であるとかあるいは常時介護を必要とする状態にある対象家族の介護を行う一定範囲の労働者が請求した場合においては、原則として、深夜において労働をさせてはならないこととなっております。十六条の二であります。

 これは、小学校入学までの子ということなんですが、時間外労働の制限というわけですから、先ほどの勤務時間の短縮とは違いまして、例えば、朝九時から午後五時まで働く、そのこと自体は構わないと思ってそれを選択したケースですね。これも、今までの育介法でもメニューがあって、これから少しメニューがふえるようですけれども、そのふえた中で、時間外労働の制限の方を選択するという人はどういう人だろうということを考えたときに、要するに、時短でなくてこれでも構わないというわけですから、例えば、五時で終わって、一時間もあれば、一時間以内ぐらいで家に着いて、家で御飯をつくってあげようというような人なのかなというふうに思うんです。

 ただ、これは小学校入学までの子ですから、御飯をつくることだけがすべてではないと思いますが、そういうケースを想定した場合に、小学校一年生ぐらいですと、まだまだ一人で御飯を食べるということは、ちょっと厳しいのではないかなと思います。小学校の中学年ぐらいになれば、おむすびを置いておいて食べればいいのよとか、電子レンジでチンしなさいというような指導もできるかと思いますが、小学校一年生ぐらいですと、親から勝手におやつを食べちゃいけないとかいろいろ言われている中で、なかなかちょっと難しいのではないかと思うんですね。

 政府案の方では、ポスト激変緩和との関係では、この時間外労働の制限ということが設けられたんですが、恐らくこの条文のつくりとしては、深夜業の制限に倣ったのかなと思われるところがございます。政府案では小学校就学前ということになっているんですが、せめてこれは小学校高学年とか中学就学の始期ぐらいまでに上げるべきではないかと思うんですけれども、この点はどういう考え方に基づいてつくられたんでしょうか。

岩田政府参考人 時間外労働の制限の対象となる子の年齢についての考え方ですが、まず、子供の発達の状況を見ておりますと、確かに、小学校一年生になったときに一人で御飯を食べるというのが若干心もとないところはあるかもしれませんけれども、子供が学齢に達するころには身の回りのことは一通りは自分でできるというふうに発達いたしますし、親が育児にかけている時間も、これは本当に格段に短くなっている。統計的にそれがわかるわけでございますので、親の育児負担が、子供が就学しましたら相当程度軽減されるということがあると思います。これが第一点目の理由です。

 また二点目は、現行の労働基準法において措置しております、いわゆる激変緩和措置との連続性のことでございます。

 時間外労働の制約のあり方については、現行の労働基準法の激変緩和措置との連続性を考慮すべきであるという趣旨のことを、平成十年の労働基準法改正の際の衆議院労働委員会の、たしか全会一致だったと思いますが、全会一致でつけられました附帯決議にもうたわれております。そういう検討の経緯もございますので、現在の激変緩和措置が小学校の就学の始期に達するまでの子供を対象にしているということもあわせ考えまして、小学校の就学前の子供を対象とした時間外労働の免除請求権というふうに、一定の時間を超える時間外労働の免除請求権を制度化したいと思っているわけでございます。

山花委員 先ほどから言おうかなと思って言っていないんですけれども、統計の読み方が、多分恐らく我々とはちょっと違うのかなと思うんです。

 小学校に入ると、親が子供に手をかける時間というのがすごく短くなるのは確かなんですけれども、それは、義務教育が始まるわけですから、小学校に通っている時間がどんと入ってきますから、そういった事情もあるんじゃないかと思うんですね。その上で、時間外労働とか時短とか、そういうメニューをそろえるときに、果たして親が勤めているとしたらどういったメニューが一番適切か、それに合わせた年齢というのはどれぐらいかという観点で考えるべきではないかと思うのですが、ちょっとここのところは見解の相違のようですので、我々はこういう考え方だということだけ申し上げておきます。

 副大臣にお伺いしたいと思いますけれども、この時間外労働の制限のところでありますが、深夜業の制限についても同様になっておりますが、これを請求し得るためには勤続期間として一年勤めていなければいけないというふうになっておりますけれども、勤続期間一年というのはいかがなものでしょうか。つまり、私は、半年勤めていればいいのではないかと思うのですが。

 と申しますのも、半年でいきなりかいというような御意見もあろうかと思いますが、もともと年次有給休暇も一年だったものが半年に短縮されてきたという経緯もあるわけでありまして、こういったこととの並びからいっても半年でいいのではないかと思うのです。今回の改正を機に半年にするということもあってもよかったのかなと思うのですが、この点についてはいかがお考えでしょうか。

南野副大臣 先生は、今五カ月の子供さんがおられるということで、大変手間がかかっておられるのではないかなと思いますが、いいパパをしておられるんだろうというふうに思っております。

 これから先のことも考えますと、今先生の御質問でございますが、時間外労働の制限の制度といいますものは、小学校就学前までという長期六年間にわたるものになっております。そういうことから、労働を免除するという長期にわたるものであるために、事業主の負担というものとの均衡を考えてみましたら、一年間の企業への貢献ということもやむを得ないのではないかというようなことを我々考えております。そのために、現行の深夜業、多分先生深夜業のこともあれだったと思いますので、その制限の制度と同様に、勤続一年未満の労働者を対象とすることから除外させていただいているというのが今の現状でございます。

 さらに、勤続一年未満という水準を見直すことにつきましては、育児休業制度や介護休業制度の権利発生ということとのバランス、これが一番大切であると思い、そこら辺、十分な検討が必要であると思っております。

山花委員 ここは価値判断ということになろうかと思いますので、ただ、方向性としてはぜひ今後とも検討していただきたいと思います。

 さて、時間外労働の制限のところですが、今回こういうのが激変緩和との関係で出てきたわけですが、少々気になる条文がございます。正常な事業の運営を妨げる場合は例外だというふうにされているのであります。

 こうした条項は、例えば民主党案にもあるじゃないかという御指摘もあろうかと思いますが、私たちもこういったことをちょっと議論してまいりましたが、ただ、深夜業の制限のときもそうなんですが、本来であれば存在しない方がいい条文だと思っております。ただ、どうしてもしようがない、やむを得ないような状況が生じたような場合の、念のために規定したというような我々としては位置づけでありまして、極めてこれは限定的に解釈すべきであろうと考えております。

 これは、深夜業の制限の規定が設けられたときにも、この「事業の正常な運営を妨げる場合」ということについては議論があったようでございますけれども、深夜業については、これはかなり厳格に解釈すべきであるという解釈通達が出されているものと承知いたしておりますが、このケースと同様に厳格に解釈するということで理解してよろしいのでしょうか。つまり、たまたまその日に翌日までの仕事をたくさん会社の方が受注したという、そういったケースでは足りなくて、本当にまれな例であるということでよろしいでしょうか。

岩田政府参考人 「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当するのがどういう場合かということについては、先生おっしゃいましたように、厳格に解して適用すべきというふうに考えております。

 具体的には、その労働者が所属をしております事業場の単位でまず判断をするということ、そして、その労働者が従事をしている業務の内容ですとか繁閑、そして代行者の配置がどの程度容易にできるかどうかといったような、そういう諸般の事情を考慮して客観的に判断されるというふうに思っております。例えば、同じ時期に、一時期に多数の専門性の高い労働者から時間外労働の免除の申請が集中しまして、代替要員を探すことが著しく難しいといったような場合が該当するというふうに思われます。

 事業主は、労働者の請求が実現されるよう、通常考えられる相当の努力をすべきでございまして、単に時間外労働が必要だからというようなことだけで拒むということは許されないというふうに思っているところでございます。

 こういうように、事業主がこの例外条項を乱用して労働者の権利の行使を妨げるというようなことがあってはいけないわけでございますから、そのようなことがないように運用してまいりたいと考えております。

山花委員 次に、深夜業の制限についてでありますけれども、深夜業の制限については、省令の方で、十六歳以上の同居の家族がいる場合は例外という形になっていますが、幼い子供の面倒を見る、しかも責任を持って面倒を見るというためには、せめて十八歳ぐらいが適当ではないかと考えております。法律事項ではないので、このあたり、いかがお考えでしょうか。

岩田政府参考人 深夜業制限の制度におきまして、これは深夜において小さな子供以外にだれも家にいないといったような状況を避けるという趣旨から設けられたものでございます。したがって、子供の面倒を見ることができる、保育することができる同居の家族がいる場合にはこの申請ができないというような枠組みになっているわけでございます。

 この場合の保育をすることができる同居の家族としまして、十六歳という基準を設けているわけでございますが、これは、法的に婚姻が認められている年齢、十六歳でございますので、そういうようなことも念頭に置いて決めたものでございます。

 深夜業の免除申請の制度は、平成十一年の四月から施行になっておりますけれども、まだ、これからしっかり定着させていかないとという状況でございます。当面は、現状の制度で定着を図るというところで頑張ってまいりたいと思います。

山花委員 次に、恐らく時間の関係で最後の質問になろうかと思いますが、転勤についての配慮義務のところをお伺いしたいと思います。

 午前中福島委員からも質問がございましたが、改正法案の二十六条ですが、労働者の配置に関する配慮ということが規定されております。

 この法文を拝見いたしますと、非常に似たものがかつてありまして、つまり、一九八一年に出されております、男女労働者特に家族的責任を有する労働者の機会均等及び均等待遇に関する勧告、いわゆるILOの百六十五号勧告の中で、その二十のところで、労働者をある地方から他の地方へ移動させる場合には、家族的責任及び配偶者の就業場所、子を教育する可能性などの事項を考慮すべきであるという条項に大変似たものだと拝見いたしまして感想を持ちましたが、恐らくこれを受けてのものであると考えられます。

 事業主に求められる配慮義務の内容についてどういうことを想定しているかということをお伺いしようと思ったのですが、午前中に福島委員から質問がありまして、恐らく同じ答えだと思うのですけれども、ただ、そのお答えを聞いておりまして、それだと、条文に書いてあることを、何か似たようなことを繰り返されたような感じを受けたのでありますが、もちろんこれは育児・介護休業法の改正なわけでありますから、育児や介護の状況を把握して、熟慮した上で検討してほしいというようなお言葉がございましたけれども、要するに、育児とか介護というその実態をしっかりと尊重した上で判断していただくという趣旨でよろしいのですね。

岩田政府参考人 そうでございます。

 先生がお引きになりましたILO条約、勧告でございますが、百五十六号条約を我が国は早い段階に批准いたしましたし、勧告そのものは拘束力があるわけではございませんが、今回の法制の検討に当たりましては、百六十五号勧告も十分勉強し、参考にさせていただいたところでございます。

 具体的な転勤の配慮の内容でございますけれども、午前中にも申し上げましたように、これで直ちに配置転換をしないとか、するとかということを結果として求めているものではございませんで、転勤命令を検討する際には、育児や介護を行っている労働者についてその育児や介護の負担の状況、それを十分配慮して決定していただきたい、そういう趣旨でございます。

山花委員 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、佐藤公治君。

佐藤(公)委員 自由党の佐藤公治でございます。

 午前中にもいろいろな質問がございましたので、その辺はできるだけ省かせていただきたいかと思いますが、本日質問させていただく一番最初に、この改正の中で、もしくはこの法律の中で、どういう目的でこの法律改正を行うかということを、もう一度基本的なことを確認し、そして大臣から御説明を、簡単に整理して順列をうまくつけて御説明を願えればありがたく、よろしくお願い申し上げます。

坂口国務大臣 うまく言えるかどうかわかりませんが、午前中にも申しましたとおり、一つは社会の中で男性と同等あるいはそれ以上に終生働きたい、こういう女性が多くなってまいりましたことは事実でございます。社会参加そして生涯における社会における活躍ということを主張される皆さん方がふえてきたことは望ましいことでございますし、また非常に大事なことだというふうに思っております。

 そして中には、しかし、子育ての間は自分の手で育てたい、子育てもしたいというふうに思われる皆さんもおみえでございますが、しかし、この中には、今日の経済状況の中でやはりそうもいかない、やはり共稼ぎをして、そして子供たちを保育所その他に預けながら働かなければならない、そういう皆さん方もおみえであろうというふうに思います。

 こうした皆さん方を背景にしながら、この皆さん方に男性と同じような環境の中で働いていただけるようにしていく、そういう社会を私たちは今つくり上げていかなければなりません。

 そういう社会をつくり上げていきますためには、お子さんの、あるいはまた御家族の介護といったものがついて回るわけでありますから、それは男女を問わず、そうした不慮の出来事と申しますか、緊急の事態に対して休暇がとれる制度というものをつくり上げていかなければならない。そうしたときに初めて今日的な雇用環境の充実というものが図られるものである、そういうふうに思っている次第でございます。

    〔鈴木委員長退席、吉田(幸)委員長代理着席〕

佐藤(公)委員 おっしゃられていることは何となくわかるのですが、はっきりよくわかりにくいところがございます。

 私もいろいろな厚生労働省関係のものを読ませていただく中、介護ということもございますが、やはりその大もとにあるのは少子高齢化、少子化ということが一つの基盤になり、その環境整備の中でこれが一つあり得るというようなとらえ方を自分はいたしました。まさに構造改革、確かに前々から言われていることですけれども、社会全体の構造が変わっていく中、それに立ちおくれている部分を直していく、こんな感じもする部分がございます。

 先ほど水島委員の方からもございました、坂口厚生労働大臣の、御出身というか御所属の公明党のいろいろな政策を読ませていただく中、やはりその中でも、働く女性支援の二十一提案とか、こういった内容のものが幾つかあり、まさにこういうものを読ませていただくと、政府案よりも、どちらかといえば民主党案の方が本当は坂口大臣のお気持ちとしては近いんじゃないかということを感じるのですけれども、実際問題、今やはり子育て、育児、介護というこの状況が、大臣いかがでしょうか、おくれていると思われるのか、ぼちぼち進んでいると思われるのか、全くおくれてはいないと思われているのか、その辺はいかがでしょうか。

坂口国務大臣 順調よく進んでいるとまでは言いませんけれども、しかし、着実に前進しているというふうに思っております。

 党は党としての考え方がございますし、そして、党の立場というものもあるわけでございますが、やはり厚生労働大臣という立場で物を言いますと、これは全体を眺めて、そして企業の状況を見ましても、大企業もあれば中小企業もある、大企業にお勤めの皆さん方だけスムーズにいけばいいという話ではありません。

 やはり、中小零細企業にお勤めの皆さん方の方が多いわけでございますから、その皆さん方も同じようにやはりその恩恵に浴する制度をつくり上げていかなければなりません。そうしたことを考えますと、やはり一度に、大上段に振りかぶりまして、そしてここまでというふうなことを申しましても、中小零細企業がそこまでついてこられるわけはございません。

 したがって、徐々に、着実に一歩一歩前進をしながら、その中でひとつ皆さん方にもその事の理由、事の次第というものをよく御理解いただいて前進をしていく、それがやはり大事ではないかというふうに考えている次第でございます。

佐藤(公)委員 大変ありがたい御答弁なんですが、今の御答弁を聞いていると、やはり今おくれている、おくれているけれども、一歩一歩前進しているかなというふうに大臣は思われているのかなと私はとらせていただきたいなというふうに思います。

 そういう中で、この法律、改正の、特に不利益取り扱い等に関しましても含めて実効性のポイント、そして周知徹底というものがどういうところにあるのか、簡単、簡潔に教えていただけたらありがたいと思います。

岩田政府参考人 改正法が実効性を上げるために、まずルールを明快なものにする、これから指針をつくっていくわけでございますが、そういうことをなるべく具体的、明快なものにするということ。そして二番目には、さまざまな機会を通じて周知を図る、そして問題が起こることの予防というのでしょうか、周知をすることによって予防を図るということ。そして三点目には、もし仮に違反するようなケースが出てきましたら、それは個別の企業に対してしっかり指導、勧告をする。

 こういったようなことに留意しながら、実効性を上げていくための努力をいたします。

佐藤(公)委員 今、不利益取り扱いに関してのお話が多かったようにも思えるのです。

 ところで、ちょうど十年前ですか、平成三年のときに社会労働委員会でこのもとが議論されたわけでございますけれども、そういう中で、ここの議論の中で、三つの問題点もしくは四つの問題点、育児休業中の経済的保障措置、そして二点目、不利益取り扱いの禁止、実効性、そして三番目に中小企業への適用の猶予の期間、こういう部分が議論になっていたかと思うのです。

 そういう中で、特にその不利益に関しては、当時の委員会の議事録を見ると、政府委員が、今は厚生労働省ですけれども、当時の役所の方が、「何が不利益であるのかの判断が難しく、ケース・バイ・ケースの問題でありますので、一律に法律で規定することは適当でないとしたところでございます。」当時こんな議論があって、不利益の件に関しては、ちょっと横にずらされたような状態があったかと思います。このときも、このほかにも、当時小里大臣ですか、大臣も同じような答弁を何回もされているのですけれども、何が不利益であるのかの判断が難しく、ケース・バイ・ケースの問題でありますと。

 当時わからないと言っていたのが、今回、こうやって出てきた。はっきり明文化された。これはどうしてですか。十年たって、その時間の中でいろいろなことがあったかもしれません。いかがでしょうか。

岩田政府参考人 そのとおりでございまして、先生が今御紹介されましたのは、育児休業法を最初に制定するときの議論でございました。

 その後十年ほど経過いたしまして、けさの御質問の中でも答弁させていただきましたけれども、全国の労働局雇用均等室に多数の相談事が寄せられまして、そういった個別の問題を処理する中から、何が不利益な取り扱いであるかというような判断基準を、私ども、もうつくれるのではないかというようなことに至ったわけでございまして、それが今回の提案になっているわけでございます。

佐藤(公)委員 私が思いますのは、先ほども指針をつくるということで幾つかのことを局長はお話しされましたが、それはもう既に十年前から僕は変わっているとは思えない。当時でもある程度わかっていた。だけれども、いろいろな様子を見るということで十年が経過してしまった。

 この十年間の間に、不利益な取り扱いを受けた人たちがどれぐらいいるかは私もわかりません。でも、そのときに、十年前にちゃんとそこら辺をきちんと押さえて明文化していたならば、不利益な取り扱いを受ける人たちというのはもっと少なかったようにも思います。

 同じようなことの意味で、今回は民主党さん案も出ています。政府案も出て、それをある意味で比較しながら私の方も見させていただいておりますが、請求権のことも、先ほどからも大臣が、請求権のことは今は混乱が生じる、いろいろな理由をおっしゃられて、今回はしないということをおっしゃられました。しかし、今しておけば避けられること、もしかしたら十年後に請求権がつくかもしれない、その十年間の間に不遇な状態もしくは不利益、不利益というのはこの場合違うかもしれませんが、そういったことが出てくるかもしれない。先をとって、先取りをして、やはりその辺は手を打っていくというのが政府の対応の考え方だと私は思います。

 賛否は別にして、その辺はきちんと考えていかなければいけないと思いますが、ちょっとここで、委員の皆さん方もきょういらっしゃる中、私は幾つかのことを、これは聞けばわかることですけれども、この場であえて幾つかの点だけを聞かせていただければありがたいと思います。

 請求権のことに関しては先ほど大臣もお話をされました。ですが、その辺の部分、十年を先取りして今しておくことが、この十年間、次に請求権ができるまでの間、やはり不遇な状態にならないように、また、そういう人たちが多くならないように、今手を打っておくべきだというふうに考えております。

 時間外労働、休日労働の制限、こういうことに関して、先ほど山花委員と局長の間でも、お話し合いというよりも議論がございました。片方では、民主党の案では小学校三年生、片方の政府案では小学校就学前というお話がこういうことであるわけですけれども、先ほどの御答弁を聞いていると、統計の読み違えみたいなようにも受け取れるところがございます。

 まず局長からで結構でございます。先ほどの統計の取り違えの部分に関して、山花委員のときは御答弁がございませんでしたが、局長、続いてそこの部分に対して、なぜ政府案で今小学校就学前ということで、ここで区切るのか。山花委員に対してのお答え、そちらより私の方が絶対にいいのですという御答弁をお願いします。

岩田政府参考人 時間外労働の制限の対象とする子供の範囲につきまして、先ほど統計を挙げまして、年齢の経過とともに育児のために要する時間が少なくなっているというお話をしましたところ、山花先生の方からは、統計の解釈の間違いではないか、解釈が違うという御指摘もございました。

 確かに、小学校に上がりますと、そのことによってうちにいる時間が短くなりますから、その結果育児時間が減るというのはそのとおりでございますが、例えば働いている親、保育園に子供を預けながらずっと働いてきた親の育児時間を見ましても、明らかに年齢によって、一つの区切り目が三歳程度、もう一つが就学前というところで育児時間の負担が明らかに、だんだん段階的に軽減をいたしております。

 そういうようなことを念頭に置きまして、どこに最もニーズが強いかといったようなことを考えましたときには、時間外労働の制限の対象とする子供の年齢といたしましては、就学前の子供を養育している男女労働者というふうに思っております。これはまた、現在、労働基準法の激変緩和措置の対象となっている子供の年齢とも連続をするということも先ほど申し上げたところでございます。

佐藤(公)委員 というふうに局長から聞くと、そっちの方が、小学校就学前でいいのかなと思ってしまいます。まあ、データもちゃんと見ていないからまだわかりません。

 山花委員、今のお話を聞いて、先ほどちょっと解釈が違うということの話がございましたけれども、なぜ民主党さんの方は三年生というので区切られるのか、簡単に御答弁を願えればありがたいと思います。

山花議員 今、時間外労働のお話でございますけれども、我が党の案は、いろいろなメニューに応じて対象年齢を変えてございます。

 例えば、子が小学校就学の始期に達するまでとしているのは、育児休業、看護休業及び一日の所定労働時間の短縮の制度であります。これは、子のそばに親がいてあげることが最も必要とされる時期が小学校就学の始期に達するまでと考えたからであります。

 対象期間、今お話が出ています小学校三年生という話ですが、小学校四年生に達する、第四学年の始期に達するまでとしているのは、時間外労働もそうですが、変形労働時間制における労働時間の制限、時間外及び休日労働の制限ということです。

 小さい新生児から、だんだん大きくなっていくに従って事実上手がかからなくなるのは、そのとおりだと思います。先ほど申し上げましたように、小学校に入った、まあ義務教育ですから、ほとんどすべての児童が小学校に入って義務教育になりますから、その時点でかなり親の手がかかる時間が減ります。

 三歳とか小学校就学前の段階であったとしても、例えば保育園、待機児童ゼロ作戦なんということがキャッチフレーズになっているところもあるようですけれども、すべての子供が保育園や幼稚園に行っているわけではないですね。ただ、行っている人もいるというところで、手がかからなくなる人もふえるという話でありまして、行っていない人のところは相変わらず子供に手をかける時間というのは大変長いということで、その辺で、単純に数字だけ見て年齢ごとに、一気に手がかからなくなるということではないのではないかなという所感を持っております。

 また、ちょっともう一つだけ言わせていただきますと、深夜業の制限については、子が小学校就学の始期に達するまでということで長くとっておりますが、特にこれは深夜業ですから、夜はやはり御両親がおうちにいてあげた方がいいのではないかなということで、年齢に応じた配慮というものを仕組んでいるわけでございます。

佐藤(公)委員 細かいことで申しわけございませんが、局長、今の御答弁を聞きまして、そういうことも一応考慮した上で私たちは小学校就学前ということで決めたということでよろしいんでしょうか。

 そしてもう一つ、これも年齢の一つの区切りですが、勤務時間の短縮等の措置ということで、民主党さん案は小学校就学前、そして政府案の方は三歳前ということになっているんですけれども、この三歳前も、先ほどもちょっとお話も幾つかございましたが、山花委員の方に、なぜ小学校就学前までということで、このあたりの三歳より上ということになられたのか、簡単にもう一回お願いいたしたいと思います。

山花議員 労働時間の話をしているんですか。(佐藤(公)委員「いいえ、勤務時間の」と呼ぶ)

 勤務時間の短縮ということでございますけれども、これは、勤務時間の短縮、つまり、例えば朝少し遅く出て、あるいは夜早く帰りたいというニーズがあるのはどういう家庭だろうかということを考えたときに、先ほど私がちょっと立場が違いましたが質問したときにも申し上げましたけれども、朝例えば保育園に送りに行く、幼稚園に送りに行く、あるいは夜に家に帰って御飯をつくってあげるというようなことがニーズなのではないか。せめて小学校就学の始期、そういったケースも考えますと、やはり政府案の方ではまだまだちょっと対象年齢が短過ぎるのではないかという思いから提案させていただいております。

佐藤(公)委員 ありがとうございました。

 いろいろと参考になりましたが、あともう一つ、民主党さんの方にお聞きしたいんですけれども、パパクオータというか、育児休業制度の改正の中で、七カ月、七カ月、計十四カ月、合わせて十三カ月とか、こちらがございますけれども、一年間の間に、もしも、A社に勤めていた、A社に勤めていたがその一年以内にB社に移ってしまったという場合の休暇の管理というか状況をどういうふうに管理しながらこういうのを運営していこうとしているのか、その辺を簡単に御説明くださいませ。

山花議員 いわゆるパパクオータ制というものを導入しようとしているわけでありますけれども、要するに休業期間中に会社をかわったようなケースというお話だと思いますが、休業期間中に会社をかわったとしても、育児休業取得までには勤続要件があるわけでございまして、当然、会社に入った途端に休んでいるというケースはないわけでございます。トータルで七カ月ということでありますけれども、ここのところについては、基本的には、既に使ったところは、もう消化しているわけですから、次のところではとれないという形になるわけであります。

 ただ、恐らく御質問の趣旨は、いや、そんなことは次の会社ではわからないんじゃないかとか、そういうことなんだと思います。ですが、その辺は、人事のあたりで問い合わせをしていただくとか、そういう形で、事実上、転勤をする際に、普通の会社であれば前に本当に在籍していたかどうかということを、私も電話を入れた覚えがありますが、そういう調査をしたり、そういったことについて調査をいたします。

 また、これは本当はあってはいけないことだと思いますけれども、仮に次のところで七カ月とってやろうとしたとしても、もともとが勤続期間その他すべての要件が整っていたとすれば、その会社に勤めているときに生まれたとしても、結局それは企業が受忍しなければいけない範囲なわけでございますから、その点についてはやむを得ないのではなかろうかと考えております。

佐藤(公)委員 まだ少し聞き足りないところがございますが、もう時間もあとわずかなので。

 最後に、これは審議会等でも、お話し合いでも出ているかもしれません。なぜ会社で育児、介護がとりにくいのか、いろいろと御研究されていると思います。いろいろなことも啓蒙啓発しようとしている、またしてきた。でも、私が考えて思うことは、それは確かに、育った家庭、環境、社会というものが大きく影響していることは事実だと思います。でも、就職、働くとき、このある程度の期間をとった場合に、一番問題なのは僕は採用時点だと思います。

 極端なことを言います。厚生労働省さん、僕を採用してくださいと言いに行ったときに、私は国家国民のため、そして厚生労働省のために家庭も犠牲にして働きます、こいつはよくやる、採用してやろうか、こういう思いになっちゃう。でも、これは現実なんですよ。では、例えば、その時点で、君は厚生労働省に入りたいのか、入りたいです、でもやはり家庭が第一番でございまして、そのとき家庭で何かあったときは家庭を優先する、失格。これが現実なんですよ。皆さんも多分それはわかっていると思う。でも、どこか忘れちゃっている。

 就職や何か、皆さん、衆議院の先生方もたくさん世話されていると思います。就職の面接へ行く前に何と言いますか。やる気を見せろ、情熱を見せろ、何が何でも入るんだという思いで行けということをよくおっしゃいませんか。僕はよく言います。そこの一部には、家庭を犠牲にしてもという何かそんな気持ちがどこかにあるような、また、そういうことをはっきり言ってしまう人もいるのも事実でございます。自分も、会社の人事関係を多少手伝う中、やはり採用のときに、いや、家庭のいろいろなことがどうのこうのとなると、何となくこいつ頼りないな、おれの部下として使うためにはすべてを犠牲にしてやる気になるような気持ちがあってもらいたいなというのが何となくあったことは事実です。

 だから、本当にこれは参考として聞いてください。これからも、民主党さんも政府も考えていただきたいのは、具体的にやる場合に、具体的に指示する場合に、採用の時点でそういうふうに言った、聞いた、何となく口頭同士での契約なり心理状況がここで働いちゃっているんですよ。だから、男性がとるのが少ない。いや、おれも何か犠牲にして働くことを約束しちゃったしなと。やはりその人たちがだんだん大きくなる、管理職になる、同じようなことを思って面接している、これが僕は現実だと思います。

 そういう部分をよく見ていただいて、僕は、採用の時点で、家庭が非常に大事だ、そこら辺のあたりのやはり見方、そういう考え方、こういうものを指示していただくこと、これが非常に具体的で効果があるのではないかと私は思いますので、どうか、大臣、その辺を見ていただいて、その辺における行政的指導ができるかどうかわかりません、わかりませんが、その辺のことを考えていただければありがたいと思います。最後に大臣、いかがでしょうか。

坂口国務大臣 今おっしゃいましたことは、あるいは何割かは本当のことだと私も思っておりますが、しかし、働く人というのは、一度入りますと労働権でこれは強くなるわけでありますから、入りましたらそれ相応の権利がそこに生まれることも事実でございます。

 したがいまして、いわゆる仕事をやる気、それと、やはり家庭なりなんなりに何かがあったときに休むということ、休暇をとるということと、これは私は両立する話でなければならないと思っている次第でございます。

佐藤(公)委員 大臣、まさに僕もそのとおりだと思います。やる気と、家庭を犠牲にする、それはまた違うことでございます。そこをちゃんと整理、区別した状態にしていかなきゃいけない。

 そうやって就職を毎年毎年している。幾ら社会全体、国、行政が一生懸命やっても、そういう人たちが毎年そういう面接を受けて会社に入る。そういう人たちが積み重なって、そういう人たちがどんどん押し込まれる。幾ら社会全体を変えようとしても、少しずつは変わるかもしれません、少しずつは変わるかもしれませんが、やはりそこの部分を変えていかないと、僕は大きく、本当に、まさに構造改革というよりも現場レベルでいったら構造革命に近い、意識革命に近いものになることがあると思いますので、その辺に対する大臣のリーダーシップを御期待申し上げたいと思います。

 以上でございます。ありがとうございました。

吉田(幸)委員長代理 木島日出夫君。

木島委員 日本共産党の木島日出夫です。

 本改正法案は、働く皆さんが仕事と家庭を両立させることをより容易にする、そのために、育児休業の取得や職場復帰をしやすい環境を整備するものでありますから、基本的には賛成であります。しかし、現在、出産した女性の育児休業の取得が五六・四%、男性についてはわずかに〇・四二%にすぎない。しかも今日、電機、通信など大企業の職場においてリストラ人減らしの合理化のあらしが吹きすさんで、完全失業率が五%を超え、史上最悪になっている。こういう背景、状況があるもとでは、私は、労働者が真に仕事と家庭を両立させるためには、率直に言って政府案、本改正の程度ではまだまだ不十分ではないかと考えております。

 以下、育児休業、介護休業の問題を、取得をより確実にするという観点から質問をしたいんですが、最初にその前提問題として、有給休暇の根本問題であります、労働基準法上でしっかり権利として確立している年次有給休暇の問題について質問をしたいと思います。委員長のお許しをいただきまして、二枚の資料も配付させていただきました。

 最近、我が国の労働者の年次有給休暇の取得率が過去最悪になった、初めて五〇%を割ったということが明らかになって、重大問題になっております。これまでの我が国労働者の年次有給休暇の取得日数、取得率、労働省が調査を開始したのが昭和五十五年以降だということで、それ以降、平成十二年までのすべての年度の付与日数、取得日数、取得率を皆さんにペーパーとして配付をしております。

 調査を始めた昭和五十五年、付与日数十四・四日。しかし、現実に年次有給休暇は八・八日しか取得できていない。取得率六一%でありました。それがどんどんどんどん減っていく中で、平成五、六年ごろはちょっとふえてはいるんですが、とうとう平成十二年には、付与日数が十八日、しかし現実に年次有給休暇の取得日数が八・九日、四九・五%に落ち込んだ。こういう数字が、これは労働省が出した賃金時間制度等総合調査の結果の数字、また、厚生労働省の就労条件総合調査の数字であります。

 年次有給休暇というのは、労働基準法三十九条で法定されている労働者の基本的権利であります。違反に対しては、百十九条一号による罰則の規定もあるんです。一九八七年、昭和六十二年には、わざわざ労働基準法百三十六条、これをつくりました。「使用者は、」「有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。」こういう追加条文までつくったわけでありますが、取得率が下がってきたわけです。

 なぜこんなに我が国では取得率が低いのか、どんな調査を厚生労働省はしているのか。簡潔にお答えいただきたい。

日比政府参考人 年次有給休暇の取得率が低い理由、事情でございますが、私ども、昨年、調査を外部のシンクタンクに委託して行ったものがございます。

 それで事情が正確にすべてわかるというわけではございませんけれども、その調査結果から推測できる材料というものを見つけてみますと、まず、労働者の方の年休取得に対する姿勢の問題が一つございます。できるだけ多くとるとする人、それから、年末のことを、病休を意識してだと思いますけれども、数日残してとるとする人。それから、年休をほとんどとらない、あるいは余り休む気がない。そして、そういう態度としましては、休もうとする傾向の方々というのはそう多くございません。

 そして一方、別途、年次有給休暇取得へのためらいというのをどの程度持っておるかということも調査いたしておりますが、ためらいを感ずるという方々が六八・六ということでございまして、そのためらいを感じる理由につきましては、みんなに迷惑がかかると感ずる、あるいは後で多忙になる、職場の雰囲気で取得しづらいというふうな結果が出ております。

 いずれも、これをもって客観的に言うわけにまいりませんし、また、全くためらいを感じないとする人たちについて取得率を調べてみますと、ためらいを感じないと言いつつ、一〇〇%取得をしている人は二〇%程度、逆に二〇%未満の取得率にとどまっている人も三割近くいる、こういうような状況でございます。

 したがって、決定的にどうだということは申し上げられませんが、私どもは、やはり職場の雰囲気、あるいは後で多忙になるというケースもございますので、専門職的でなければとりにくいとか、そういう職場の雰囲気の問題等がやはり相当大きいのであろうと。ほかにも要因はあろうかと思いますが、そういうふうに思っております。

木島委員 そうおっしゃいましたが、それでは、ヨーロッパ、アメリカの状況を聞かせてください。G5の諸国、米英独仏の同じような年次有給休暇制度があるはずでありますから、その取得状況、どうでしょうか。

日比政府参考人 私どもが把握しておりますところでは、アメリカでは年次有給休暇十三日、イギリスでは二十四日、ドイツで三十一日、フランスで二十五日付与されている。そして、取得状況につきましては、具体的な数値としては把握いたしておりませんが、ほぼ完全に取得されているという状況である、そういうお話のようでございます。

木島委員 おっしゃるとおりなんですね。欧米では、ほぼ完全に取得されている。私、統計なんかも調べてきたんですが、今答弁したように、米英独仏の統計の数字は付与日数しかないんですよね。取得率なんというのはないんですよ。付与日数。

 なぜ欧米ではほぼ一〇〇%、日本は半分と。大臣に聞きたいですね、これは。どうしたらいいか、なぜこんな状況なんでしょうか。厚生労働省の責務というのはどう考えていますか。

坂口国務大臣 これは、国民の物の考え方にもある程度よると僕は思いますね。小さいときから、学校は休まない方がいい、毎日行って皆出席が一番いい、そんな環境の中で大きくなってきた人が、やはり労働の場に行きましても、休まないのが一番いい、そういう思いを持たれるということも私はあるんではないか。それは、国民の一つの物の考え方として、私はあるような気がいたします。

 しかし、事労働のことでありますから、有給休暇というのは、そこでリフレッシュをし、そしてまたあすからの労働のためにそれは役立てるということでもあるわけであります。したがいまして、この与えられた有給休暇というのは、お互いに適時これをとって、そしてまたあすのための力を養おうということに、やはりそういう慣習と申しますか、そういう労働環境をつくり上げていくということは大事なことだというふうに思っている次第でございます。

木島委員 先ほど局長も労働者の姿勢の問題だとおっしゃる。労働大臣も労働者の物の考えだとおっしゃる。私は、その見方が根本的に間違っていると思うんですね。

 実は今、リストラ推進をしている電機大手の年休取得率、そして年間時間外労働時間の状況、リストラ人減らしの状況、調べてみました。そして、皆さんに一覧表を配付いたしました。

 もう実名を挙げております。今、大変な万単位のリストラ計画を発表しております電機大手、日立、富士通、NEC、東芝、三菱電機。ここの経常利益総額がどうか。内部留保がどうか。そして今後のリストラ計画、どんな状況か。そして五年間の人減らし、どんな状況か。年間総労働時間、どうか。年間時間外労働、何時間か。そして問題の年休の付与日数と取得日数、そして年次有給休暇取得率を、一覧表を出してみました。こういう状況であります。

 厚生労働省の調べによっても、大企業の方が取得率が高い。しかし、こういうところでも五四・六%、また、一番高いところでも、ここにあるのは八八・七%、こういう状況ですね。だから、一方では大企業ですらこんな状況。これは、私は、もう時間がありません。きょうは育児休業、介護休業の論議ですからやめたいのですが、労働者個人の問題じゃなくて、日本だけがこんなに年休が取得できないという根本には、大企業が、中小企業はもちろんでありますが、年休取得率を事実上抑えるような、抑えることを前提とした生産計画が現に立てられている。もう年休を労働者が、権利としてあるんだけれども、取得できないような生産計画にがっちりと組み込まれてしまっている。だから、労働者がそれを破って年休を取得しようとすると、職場の周りの皆さんに気兼ねをする、ためらいを感じるということなんじゃないでしょうか。

 ここの根本のところを、やはり厚生労働省が、大企業に対するきちっとした指導を、法的権利なんですから、これを徹底することなしに、私は、年次有給休暇の取得が欧米のようにならないと。そして、それを本当にやらなければ、過密労働、これをやめさせることもできない。そして、そんなのが放置されたまま、人が余っているなんていう理屈で、電機大手が、通信大手が莫大な人減らし、合理化をやるということは全く大義がない、理屈がないということだけ私はこの問題では指摘をして、以後この問題、徹底して私は追及していきたい、今後の厚生労働委員会で。予告だけをいたしまして、育児休業、介護休業の問題を質問したいと思います。

 最初には、不利益取り扱い禁止の問題です。

 今度の政府案でも大事なのは、不利益取り扱いを、解雇だけじゃなくて、解雇その他の不利益取り扱いをしてはならないと改めたことであります。前進です。賛成です。

 そこで聞きますが、もう既に他の委員からも聞かれておりますが、その他の不利益取り扱いとは具体的に何か。指針に書くと言っているようでありますが、一応きちっと簡潔に述べてください。

岩田政府参考人 育児休業などを理由とした不利益取り扱いに該当するものとしては、これから検討いたしまして厚生労働大臣が指針で明らかにしていくことになりますが、例えば、退職を強要すること、本人が希望しないにもかかわらず、正社員からパートタイム労働者その他の非正規の社員にするというような労働契約内容の変更を行うこと、減給したり、退職金や賞与の算定に当たり実際の休業期間を超えて働かなかったものとして取り扱うことなどが想定されているわけでございますが、できるだけ具体的に定めていきたいと思っております。

木島委員 一部だけを答弁されました。

 私、事前のレクチャーでいろいろ、今まだ案の段階なんでしょうけれども、既に同じような不利益取り扱いを禁止した解釈通達などがありまして、その中には、例えば、休暇取得を理由とする合理的理由のない賃金の意図的な減額という言葉や、長期間の昇給停止という言葉や、著しい精神的、経済的負担を伴うと考えられる配置転換等が、事前のレクでは、想定される問題としては言われたわけであります。

 きょうは、ここで細かい論争はしません。私は、これまでの、そういういろいろな分野での不利益取り扱い禁止の解釈通達の内容では著しく狭過ぎると思います。要するに、余分な修飾語がつき過ぎていると。例えば、合理的理由のない賃金の意図的な減額なんて、修飾語が余分だ。育児休業、介護休業をとったことを理由とする、相当因果関係がある賃金の減額はもう明白な不利益取り扱いじゃないか、そういうすっきりとした指針を出してもらいたいと要望だけはしておきます。

 そこで次に、では聞きます。

 こういう厚生労働省が明示する不利益取り扱いに該当して行われた違反行為、それに対しては法的な効力はどうなるのでしょうか。その救済方法はどういうものなんでしょうか。違反行為に対する制裁措置は何でしょうか。

岩田政府参考人 幾つかお尋ねになったかと思いますが、育児休業の取得などを理由とした何らかの不利益な取り扱いが行われた場合、まず法的な効果でございますが、この法律は、民事上は許されるものではなく無効と解されると思っております。

 また、是正のためのやり方でございますけれども、違反した事業主が判明いたしましたときには、都道府県の労働局長がこの事業主に対しまして、育児・介護休業法に基づき助言、指導、勧告などを行って是正を図ってまいりたいと思っております。(木島委員「制裁措置」と呼ぶ)

 申しわけございませんでした。

 育児・介護休業法は、子育てをしながら、あるいは家族の介護をしながら仕事を継続することができるように、そういう労働者のための福祉の措置を講じたものでございまして、法律全体として、先生おっしゃった制裁というのは、例えば刑事罰のことを念頭に置いておいでかと思いますが、そういうものは設けておりません。ですから、今の、労働局長の助言、指導、勧告で、これまではすべて問題は解決いたしましたし、これからも解決していけるというふうに思っております。

木島委員 罰則規定はない、そういう意味の制裁措置はない法体系でありますが、違反に対しては民事上無効だと御答弁されました。大変大事な答弁だと思うのです。

 そうしますと、やはりどういうものが不利益取り扱いかという、その概念規定が非常に大事になる。民事上許されない不利益取り扱いか、無効になる不利益取り扱いかどうかが決まる概念ですから。

 そうすると、さかのぼってもう一回、では、どういうものを不利益取り扱いとしようと今考えているか、もうちょっときちっと答弁いただけませんか。

岩田政府参考人 先生、これからの検討でございまして、先ほど申し上げましたように、これまで私どもの地方労働局が扱いました不利益取り扱いの事案の中から、ルールとして取り上げることが適当であるというふうに思われるものをなるべく具体的に、かつ網羅的に取り上げたいというふうに思っておりますが、ここでちょっとその全容をお話しできるほど検討が詰まっているわけではございません。お許しください。

木島委員 それでは、要望だけ出しておきます。

 これまで、いろいろな解釈例規の中で、合理的理由のない賃金の意図的な減額なんていうのを不利益取り扱いの一つの例として出しているようなので、ぜひそんな修飾語をやめて、賃金の減額、これは不利益取り扱いだというふうにしてほしい。

 長期間の昇給停止とあります。長期間なんていうことはやめて、育児休業、介護休業をとったことを理由とする因果関係さえあればいいのですから、昇給停止はそれはもう不利益取り扱いだ、そうしてほしい。

 それから、著しい精神的、経済的負担を伴うと考えられる配置転換等なんていう修飾語を全部ばっさり削って、育児休業をとったことを理由とする配置転換、こんなものは不利益取り扱いだという立場で、きちっとした指針や解釈通達を出してもらいたいということを篤と要望しておきます。

 それで、違反に対しては、民事上無効だ、裁判をやればそれはひっくり返せるということなんでしょうが、助言、指導、勧告で大体事足りているという答弁でありますが、そんな、事足りていないから取得率が五〇%台じゃないんでしょうかね。ちょっと手ぬるいんじゃないか。せめて違反事業者名を公表して社会的制裁のもとに置くぐらいのことをやられたらどうかと思うのですが、大臣、どうでしょうか。

坂口国務大臣 先ほども他の委員にもお答えをしたところでございますが、できるだけ企業に対しましても厳しく、そして指導監督を強化していきたいというふうに思っております。しかし、四九・五%しかそれをとっていないというようなお話は、一つにはそれは企業側の意見もあるだろう、影響もあるだろうと私は思いますが、しかし、働く側の人の物の考え方もあるということでありますから、その数字が低いからといって、だからそれはだめだと一概に言うこともでき得ない、私はそう思っております。

木島委員 どうも見解が違うんですが、今四九・五%と言ったのは年次有給休暇です。育児休業は、先ほど最初に私が言ったように、出産した女性の場合には五六・四と、半分ぐらいなんですね。やはりこれは一〇〇%で当然だと思うんですよ、法律をつくって権利として付与された以上は。もっと厳しい措置というのがやはり必要じゃないかと思います。

 次に、もう一つ大事な点であります労働者の配置変更に関する事業者の配慮義務についてお聞きいたします。

 今回の改正法で非常に重要なものとして、第二十六条、労働者の配置に関する配慮、そういう条文が入ってきたということだと思います。私は高く評価したいと思うんです。そこで、簡潔に聞きます。この条文で言う「就業の場所の変更」というのは何でしょうか。

    〔吉田(幸)委員長代理退席、委員長着席〕

岩田政府参考人 「配置の変更で就業の場所の変更を伴うもの」とは、例えば、ある地方の事業所から別の地方の事業所への配置転換など、場所的に離れた就業の場所への配置の変更を考えております。

木島委員 抽象的にはそうなんでしょうけれども、どのぐらいの場所の変更を伴ったら二十六条に反するのかということで具体的にお聞きしますが、その関係で、この二十六条には、「その就業の場所の変更により就業しつつその子の養育又は家族の介護を行うことが困難となることとなる労働者がいるとき」、そういう労働者に対しては配置転換に配慮しなさいという条文であります。

 そこで、就業しつつ子の養育、家族の介護に困難となることとなる労働者というのは具体的にどういう場合を指すのか、明確なる答弁をしてください。

岩田政府参考人 どういうケースがこの「困難」に該当するかというお尋ねかと思いますが、配置転換前にその労働者が行ってきておりました子の養育や家族の介護にどういう影響が出てくるかということだと思いますが、具体的には、配置転換後における通勤の負担、また、その労働者の配偶者、その他の家族がどういう形で子の養育や介護にかかわっているか、あるいは、かかわることができるかといったような状況、あるいは、配置転換の前と後での就業場所の近辺に利用可能な介護サービス等がどの程度整備されているかといったような諸般の事情をやはり総合的に勘案して、そして、個別のケースごとに判断していくということになると思います。

木島委員 個別のケースで判断する、そうすると、これは解釈通達など、あるいは解釈指針など出される予定はないんですか。

岩田政府参考人 今申し上げましたような基本的な考え方は通達その他で明らかにすることになるというふうに思いますが、また、それよりもさらに具体的な判断基準がつくれるか、あるいは要るかということについては、法律の施行をやりながら、また検討してみたいと思います。

木島委員 私はそれは最低限必要だと思います。といいますのは、第二十六条は、そういう子の養育や家族介護を行うことが困難となる労働者がいるときには、企業、事業主は配慮しなければならない、義務規定ですね。一体どういう場合かは、今明示しようと厚生労働省はしている。

 そうしますと、逆の立場から聞きます。そういう厚生労働省が明示をした条件にどんぴしゃり当てはまった、これは明らかに配慮義務違反だとなった場合に、その配置転換命令は、民事法上、労働法上、無効だということになりますか。

岩田政府参考人 大変難しい御質問でございますが、今般の規定は具体的に、例えば配置転換をやらせてはいけないとか、配置転換を逆にさせるべきであるといったような規定ではございませんで、そういった具体的な行為を義務づけているものではございませんから、こういう問題が例えば裁判で争われた場合を想定いたしますと、それで直接司法の判断を律するといいましょうか、司法の判断がそれで決定されるといったような関係にはないのではないかというふうに思っております。

 ただし、転勤命令が合理的なものかどうか、使用者が権利の乱用に及んでいないかどうかというようなことを裁判で判断するときに、この改正後の育児・介護休業法の配置についての配慮義務、これを事業主が行ったかどうかというようなことは、裁判所の転勤命令の効力を判断するときの要素の一つにはなるんではないかと思っております。

木島委員 それはちょっと弱いと思うんですね。二十六条は明文をもって、事業主は配慮しなければならない、義務規定になっているんですよ。

 御案内のように、我が国の裁判例を見ますと、一般的な配転について、育児休業その他と関係なく一般的な配転について、使用者の転勤命令権は無制限に行使できるものではない、これを乱用することはできないとして、有名な三つの要件を明示してきたんです。

 非常に有名な最高裁判所の、昭和六十一年七月十四日、東亜ペイント事件の配転事件の判決であります。配置転換の権利乱用になる三つの要件。一つは業務上の必要性があること、二つは他に不当な動機、目的がないこと、三つは労働者に対して通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものでないこと。この三つが必要なんだ。これに一つでも該当すればその配転は無効なんだ。もう判例法体系が最高裁によって形づくられているんです。

 今度の政府案の育児休業法の第二十六条の配慮義務を育児、介護に持ってきた。こういう場合は事業主は配慮しなければならないんだと義務規定を持ってきたということは、私は、この最高裁判例の一般配転法の権利乱用の三要件に具体的なものを一つ持ち込んできたものだ、そういう意味で非常に大事な条文だと思うんです。

 そうしましたら、育児休業、介護休業に関して、配転することによってこういう配慮を尽くさなかったというのであれば、それはもう明白にそれは配転が無効だということにつながるんじゃないか。また、そういう立場で配慮義務違反に対する指導を強めていただきたいと思うんです。どうでしょうか。

 やはりこれは配慮義務違反に対しては、先ほどの不利益取り扱いと同じように、法律の四十八条、助言、指導、勧告、そういう中で動き出す、そういう条文でしょう。

岩田政府参考人 裁判所の判断との関係につきましては、私どもがそういうふうに見ているということでございまして、具体的には個々の事件ごとに裁判所の方で判断されることになろうかと思います。

 先生がお尋ねの最後の点、行政的にどうするかということにつきましては、働く男女の労働者の方からそういう御相談がありましたときには、個別の企業に対し、この配慮が行われていないということでございましたら、助言、指導ですね、なかなかちょっと一挙に勧告までいくかどうかはあれですが、少なくとも助言、指導をしっかりやりながら、個別の問題の解決に資したいと思っております。

木島委員 時間ですから終わりますが、私は、日本の労働者の年次有給休暇の取得や、こういう育児休業、介護休業の取得が、まことにお粗末、半分ぐらいしかいっていないというその根本的な理由には、せっかくこういう法律をつくり、事業主に義務規定までつくっておきながら、その運用、執行に関して厚生労働省が余りにも甘いということが背景にあるんじゃないか。

 それは、もう既にどんなに甘いかというのは、裁判所ですら、ああいう配転の三要件というのを明確に打ち出して、配転無効の判決を下している。裁判所ですらそこまでやっているんですから、せめて厚生労働省は、この法律の提案者として、そして運用者として、裁判所より以上に厳しいやはり運用をやっていくということが必要じゃないか。それが欠けているからこそ日本の労働者の休業取得が非常にお粗末、低いということになってしまっているんじゃないかということを指摘だけさせていただいて、きょうのところ、質問は終わります。

鈴木委員長 中川智子君。

中川(智)委員 社会民主党の中川智子です。

 まず、質問に入る前に、坂口大臣、ぜひとも、ちょっとお願いを兼ねて御答弁をお願いしたいことがあるんです。

 私も、土、日、月と韓国に行ってまいりまして、在外被爆者の方々と、約百六十人お会いしてきました。大臣も八月末にいらして、とても韓国では大臣が直接お見えになったということが話題にもなっておりましたし、そのときにきっちりと政府とのお話し合いの中で述べられたことに対して期待を持っていらっしゃいます。

 私は、やはり直接向こうに行ってお話を聞けてよかったなと思ったのは、特に在韓の被爆者の方々というのは、強制連行されて日本に連れてこられて、八月十五日、その日をもってもう日本人じゃないから後は勝手にということで補償は受けられませんでしたし、また、お国に帰られた後、日本帰りだということですごい差別を受けた。その上、被爆者であるということで、結婚も、また地域の中で生きていくこと、働くことすら大変な御苦労があったと。石を投げられて、ケロイドの上に石つぶてで血まみれになって、そんな悔しい思いをお一人お一人語られまして、本当に涙なくしては聞けなかった状況でした。超党派の議員で参りましたので、さまざまな立場はありましたけれども、思いは一緒でした。

 そして、皆様口々におっしゃるには、六月一日の郭貴勲さんの裁判で、ああこれで勝ったんだ、これで長い間の思いが実ったんだと思っていらっしゃって、私どもも本当に申しわけないと思ったんですが、やはり控訴に対して、そういうふうなことでまだ決着がついていないということを再び残念な思いで語られました。

 でも、坂口大臣の御英断で、やはりこれは人道的にきっちり解決していきたいということで検討会が今行われていまして、次は十一月八日になっております。やはり、どなたもおっしゃるには、また韓国の政府の方の思いも、被爆者は差別しないでほしい。広島だけでも二十万人でした。長崎、広島の被爆者を差別しないでほしい。同じように、援護法に基づいて同等に自分たちにもきっちりとした援助をしてほしいというのが心からの叫びのように聞いてまいりましたので、どうしてもやはりそれだけはこの場でお伝えして、今回、大臣がいらして、大臣のリーダーシップのもとでその検討会がされていることに対する期待をお伝えしたいということと同時に、韓国との問題では、教科書問題、靖国問題がありまして、今度の決着というのが一つの外交的な意味でも大きな力を持つと思います。

 ひとつ御答弁をお願いしたいのは、十一月八日の検討委員会に大臣は御出席していただきたいということと、大臣のリーダーシップを期待しているということで、簡潔に御答弁をお願いいたします。御答弁というふうに申し上げるのはいきなりで申しわけないんですが、大臣の御決意をお願いします。

坂口国務大臣 大変複雑な問題でございますので、もう一度研究会をつくらせていただきまして、今鋭意御検討をいただいているところでございます。立派な先生方にお入りをいただきまして、そして、その立派な先生方のその中での御議論、十分に踏まえさせていただきたいというふうに思っているわけでございます。

 したがいまして、周辺からまた余りいろいろのことを申し上げるのは大変失礼でございまして、この先生方のいろいろのお考え、御判断というものを尊重させていただきたいと思っております。

中川(智)委員 お願いしたいと思いますが、特に委員の先生方、本当に御立派な方々ですが、検討会の中で、参考人として語られた秋葉広島市長の訴え、そしてまた、当事者である在外のアメリカ、ブラジル、そして韓国の当事者の方々の訴え、その言葉に大臣が耳をかしていただきたいというのを、特にあわせてお願い申し上げます。

 それでは質問に入らせていただきますが、今回のこの法改正、いよいよ日本もここまで来たかなと思っております。一歩前進ということで評価しておりますし、そのような中身の充実に対して、やはり力を合わせていかなければいけないというふうに感じております。

 隔世の感があると思うのは、私、ちょうど三十年前に結婚いたしまして、そのときには、もう結婚したら退職するのは当たり前と。結婚して働き続けるということが、とてもそんなことをやる人は今までなかったし、またということで、歴史を少しでも変えたいと思って、働き続けたいと思ったんですが、愛する人が別の場所に就職してしまったので、会社をやめてちょっとそっちを追いかけてしまって、寿退社というのをしたんですね。そして、かの地に参りまして、兵庫の方に参りまして、今度は再就職いたしまして、妊娠いたしました。そうしたらば、おなかが大きくなるに従って肩たたきの力が、度が増すという形で、特に女性、そして妊娠して、育児休業なんかはそのときにはなくて産休しかなかったんですが、産休をとる人はリストラの対象という形で、私は子供を産んだのと同時に退職せざるを得ませんでした。

 そういうことから見ますと、やはり一歩一歩進んできているなということは思うんですが、現行法、そして、表になっているのを勉強しましたら、そして次に閣法、そして衆法が、議員立法のがありまして、この横に社民党案というのがあったんですが、書かれていないわけですが、出せないものですから。そんなことで、右に行くほどいいものになるんですが、左の現行法と比べれば、まあいいなという感じで、気になるところを幾つか質問をさせていただきます。

 働き続けるためには、まず保育サービスの充実というのがとても大事だと思います。現在、小泉総理が待機児童ゼロ作戦をおっしゃっているんですが、やはり必要な場所にあるということがとても大事で、ただ、一番やはり便利な、もう一分を争う形で出社する中で、やはり便利なところに保育所を充実した形でつくっていくということが大事だと思うんです。

 私、以前質問したときに、求職中の女性たちが、保育所に入れないがために再就職が非常に困難になっているので、求職中の女性に対して、その待機児童をちゃんとカウントしてほしい、それが自治体によって、今保育に欠けるというのが優先なので、そちらだけカウントしている自治体と、そして求職中もカウントをしているところでは、待機児童の数が物すごく違ってくるので、それをきっちりと一つにまとめて、国としての指導をしてほしいということをお願いいたしましたが、それに対して、今現在どのような形での対応がございますか。

岩田政府参考人 先生がおっしゃいますように、必要なところに必要な保育サービスが提供できるような体制整備を早急に図ることが重要な課題だと思っております。そのベースといたしまして、待機児童を正確に把握するということが大切であるということは、おっしゃるとおりでございます。

 従来は、市町村が独自の方法で把握しておりましたものを私どもの方に報告をいただいておりましたけれども、十一年に調査をいたしましたときに、厚生労働省として統一的な定義をつくりました。その十一年のときの定義は、求職中を理由としている場合については、保護者の状況を考慮し、一律に除外することのないようにすることという書きぶりでございましたので、先生がまさに今おっしゃったような問題があったわけでございます。

 そこで、御指摘を踏まえまして、十三年度の調査に当たりましては、求職中の取り扱いをより適切に明確にするということで、保護者が求職中の場合については、一般的には保育に欠けるというふうに該当するというふうに考えられるということを明らかにした上で、求職活動もさまざまな形態が考えられるので、求職活動の状況把握に努め、適切に対処してほしいというようなことを新たに定義をつくり直しまして、調査をしたところでございます。

 ことし四月に、待機児童の多い自治体、五十七の自治体を厚生労働省の方に呼びまして、待機児童の状況についてヒアリングを行いましたけれども、その結果を見ますと、今保育所の待機をしている状況の調査がわかったわけでございますが、四割の方は求職活動中というふうに出ております。

 ですから、先生御心配いただいた、求職中も保育所に入れるんだという定義、あるいは、そういうことが少しずつしっかり関係者に周知がされているということの一つのあかしではないかというふうに思っております。

中川(智)委員 わかりました。

 続いて、育休明けの当事者の方々にお話を伺いますと、例えば、育休が九月に切れたらば、四月から、保育所に次に入るまでにちょっと、九月から四月まで、保育所に入れるまでがうまくいかないで、その間にかなりお金を払って、ベビーシッターとか私立の保育所を懸命に探して、不便だけれどもそっちに預けたとか、その辺のところの配慮というのがなかなかきっちり行き届いていないようなんですね。特に公立保育所の場合はそのあたり、書面上は非常に厳しい。むしろ民間での柔軟な対応で助けられているというところもございましたが、その辺の配慮というのはしっかり、期間途中の場合ですね、どうなっていますでしょうか。

岩田政府参考人 年度途中からでありましても保育所に入りやすくするということは大変重要なことであるというふうに思いまして、保育所定員の弾力化という形で、規制緩和を何回か行ってきております。特に、都市部を中心といたしまして、乳児の年度途中入所が大変困難であるという状況がございます。

 そういうことですので、保護者が産後休暇が終わった後、あるいは育児休業が終わった後、速やかに保育所に入れるように、そこのところについては定員の外で受け入れることができるといった弾力化を平成十一年度からやっております。

 また、本年度につきましては、年度途中に子供が出入りする、特に入ってくる子供さんの方が多いわけでございますが、その結果、配置すべき保育士の数がふえるということがございますが、そのふえた部分については、短時間勤務の保育士でもよろしいという形の規制緩和をさらにやったところでございます。

 本年九月には、自治体に対しまして、待機児童解消のためにこれまでやってきましたさまざまな規制緩和を再度周知徹底するための文書も流したところでございます。

中川(智)委員 続いて、保育所のことでもう一点なんですが、海外をのぞいてみますと、企業の中に、会社の中に、ビルの一室を借りたりして、企業内保育というのがかなり進んでいるように見受けられます。

 午前中の質問の中でも、そういうふうにとりやすい雰囲気をつくるための工夫というのが述べられましたが、やはりモデル的には、企業の中にそういう保育所を、企業内保育所をつくって、今、公立の病院なんかは結構進んでいますが、民間企業の中で取り組んでいるところがどれぐらいあるのか。そして、そのことに対して行政としてはどのようにお考えか、積極的に推進すべきだと思うのですが、いかがでしょう。

岩田政府参考人 これまでの法案の審議の中に出てまいりましたけれども、今回、子供が三歳になるまで、事業主に勤務時間の短縮その他の措置を講じることを義務づけているということになっておりますし、子供が就学するまでは、努力義務ではございますけれども、同じような措置を事業主に講ずるように努めていただくということになっております。その中に幾つかのオプションがありまして、企業内の保育施設を設けるということもそのオプションの一つということで、法律上位置づけているところでございます。

 平成十一年十二月時点の数字でございますが、企業内保育所の数は、全国で三千八百三十一施設でございます。その一層の促進を図りたいというふうに思っておりまして、保育の質が担保できるある一定の要件を満たす事業所内保育施設については、最初に設置するときの経費あるいは運営をする経費、それらの一部を事業主に対して助成をする、そういった補助金もございます。

 そういうことでございますので、この補助金もぜひ活用していただきながら、事業所内の託児施設の整備も普及させていきたいというふうに思っております。

中川(智)委員 続いて局長にお伺いいたしますが、不利益取り扱いが生じたときの、その事後の申し立てのことで、ちょっとこれは質問通告していないんですが、伺いたいんです。これは均等室、都道府県にありますそういう相談業務の部屋とか、あと労働基準監督署、労働局でしょうか、どういうところに申し立てをしていくのか、そのシステムをちょっと教えてください。

岩田政府参考人 厚生労働省の地方支分部局としまして、各都道府県単位に労働局がございます。その労働局の中に雇用均等室というのがございまして、そこで男女雇用機会均等法の施行などとあわせまして、この育児・介護休業法の施行もいたしております。ですから、不利益取り扱いを受けたということで訴えたい、御相談されたいという向きがございましたら、この労働局の雇用均等室の方で相談にあずかるということになります。

 どこに相談していいかわからないということでございましたら、とりあえずは最寄りの安定所でも監督署でも、御相談いただきましたら、雇用均等室の方につながれるということになっております。

中川(智)委員 先ほど、午前中の答弁の中で、双方の言い分が違ったときには、きっちりとその事実を調べて、そしてきっちり公平な形で取り組んでいくとおっしゃったのですが、労働基準監督署などは、私も何カ所か行ったときに、もう全然人がいない。人的な配置がもうぎりぎりで、今さまざまな労働の相談業務や、また監督署でやらなきゃいけないものとか、すごく仕事はふえているのに、スタッフが少ないので、物すごいけんもほろろに言われて、もう行く気しないとかということ、結構今、特にホームヘルパーの現場とか、いろいろなところで出ているわけなんですね。

 人的なものというのはきっちりしていらっしゃると局長はお思いですか、そういう個別の事案に対応できるようなきめ細かな人の配置は。

岩田政府参考人 各都道府県単位に設置しております雇用均等室には全国で、正確な数字はちょっと覚えておりませんが、二百数十名の職員がおりまして、この者は働く女性の問題を専門に扱っているそういう職員でございます。数が少ないのは確かでございまして、増員の努力もさせていただいておりますけれども、なかなか需要に追いつかないということでございます。

 少ない人数ですけれども、非常に質が高い、モラルの高い集団だと私は自負しておりますけれども、引き続き資質の向上のためには意を用いてまいりたいと思います。

中川(智)委員 それと、都道府県に一つということですよね。やはり、遠いとか、働きながらいらっしゃる人が多いと思うんですね。そういうときに、やはり身近な、先ほど安定所でもどこでもとおっしゃいましたが、窓口の一本化と、また、そういうスタッフが配置されている場所をもっとふやしていくということが大事だろうと思いますので、要望としてつけ加えさせていただきたいと思います。

 復帰後の不利益の取り扱いの禁止というのは、私どもは、やはり育児、介護のみならず、時間外労働や深夜業の制限や、また勤務時間の短縮、これも不利益取り扱いの対象として広げるべきだというふうに考えておりますが、そこのところは、これも対象として入るという認識でよろしいんでしょうか。

岩田政府参考人 けさからずっと議論になっております不利益取り扱い、これを厚生労働大臣が指針で具体的に明らかにするということでございますが、これは、育児休業そして介護休業、この二つを申請した場合あるいは実際に取得をした、これを理由とした不利益取り扱いについてでございます。

 もとより、先生がおっしゃいますように、時間外労働の免除申請をしたり、深夜業についての免除申請をしたり、そういうようなことが理由で不利益な取り扱いを受けるということはあってはならないものでございますから、そのことは通達その他で明らかにして、そういうことがあれば指導はいたしますが、けさ以来議論になっております、法律に基づいて大臣が定める指針で扱うことにしております不利益取り扱いは、休業の申請、取得に係るものでございます。

中川(智)委員 ぜひとも、これからの施策として希望をいたします。

 次に、事業主の講ずべき措置についてでお伺いしたいんですが、看護休暇は、小学校就学までの子の看護休暇制度導入の努力義務ですよね。これがやはり、措置義務というか、努力規定では非常に難しい。どうしてかと申しますと、たくさんの育児休業をとられた女性に聞いてみましたら、頑張って本当に育児休業をとってよかった、そして職場も温かく受け入れてくれた、これからは迷惑かけないように頑張っていこうというときに、何しろ子供は病気をするもので、本当に、病気したときが物すごくつらい、そして、そのときにくじけそうになってやめてしまう事例はたくさんあると思います。

 看護休暇が努力義務、なぜここでとどまってしまったのかという理由を教えてください。

岩田政府参考人 おっしゃいますように、仕事と子育ての両立で最も難しい局面というのは、子供が病気になったときだというふうに私も思います。これを乗り越えていただくためには、子供が病気のときには仕事を休めるといった看護休暇制度を普及するということ、そしてまた、もう一方では、地域で病後児、病児を預かる保育所をもっとふやすということ、この両面作戦でやっていく必要があるというふうに思っております。

 そういう中で、今回、請求権あるいは事業主の措置義務とせず努力義務といたしましたのは、現状を見ますと、本当にまだわずかな普及率でございまして、普及率が一割もいっておりません。そういうことで、法律上の強制的な義務として一律に事業主に課す、中小企業も含めて一律に課すというのは、ちょっと当面は難しいというふうに思いまして、努力義務規定でスタートをさせていただきたいというふうに思っているわけでございます。

 あわせて、十四年度の概算要求では、これを普及するために、看護休暇制度を普及するために、導入企業には助成金を出すといったようなことも財務省に要求いたしておりまして、そういうこととあわせて、普及に全力を尽くしたいと思っております。

中川(智)委員 少子化が叫ばれて非常に長いわけですが、一人産んで、本当に子供はおもしろいな、かわいいな、大変だけれども産んでよかったなと思うけれども、もうこんな苦労は一人で十分と。そこがしっかりしていると、二人目を産んでみようか、三人目を産んでみようかというふうになっていくと思うんですね。やはり看護休暇は早急にお願いしたいし、また家族にも広げていただきたいということは思います。

 その看護休暇が、介護休業はあったとしても、ちょっとした病気をして、そして、もうこれはだめというところで介護休暇というのをとっていくわけですが、家族に看護休暇を広げるべき、子供だけではなくて、それも私どもは主張しておりますが、家族に広げるべきというのを質問していたらちょっと時間がなくなるので、それはまた次にいたします。

 労働者の配置に対する配慮についてなんですけれども、配慮の具体的中身、先ほど木島先生が伺いましたのですが、ここで、私も、経験なんですが、夫が転勤族で、転勤を拒否するというのは、一応サラリーマンの常識ではできないというところでスタートしていますね。もうそういうふうになってしまっている。転勤は、言われたらせざるを得ない。どんなに子供が受験で大変で、子供がどうあろうと、もう泣いて引っ越ししたくないと言われても、一緒に頑張るしかないんだよということで動いていくというのが、子供が小さいときは特に、高校生ぐらいまでは非常に深刻な問題です。それにあわせて、介護とかそういうのを抱えますともう大変なんです。

 ひとつ、これは、企業が三年ぐらいですよと言われて、ああ三年の辛抱かというので転勤するということ、結構あるんですね。でも、心の中では三年じゃ済まないなと思っていたら、案の定済まないんですよ。やはり、三年ということを企業が言ったらば、それに対して三年を守らせるということは、今回のこの配慮にあるんでしょうか。

岩田政府参考人 今回の法律の改正について議論しました経過では、むしろ、配置転換をさせるかさせないか、どこにさせるか、そのときの判断を事業主がするときに、子の養育や高齢者の介護の状況などを考慮してほしいということでございました。

 今、先生のお尋ねのように、当初の約束と違った、長期に及ぶ単身赴任の状況でしょうか、そういうことをどういうふうに考えたらいいのかというのは、私自身、ちょっと今、頭がよく整理されませんので、また勉強してみたいと思います。

中川(智)委員 ぜひとも、そのあたりもきっちり押さえていただきたいと思います。それだったら計画を立てることができるんですが、ただもう延ばされていくというのは非常に悲劇でございまして、そこは、勉強と今おっしゃいましたが、具体的にその辺、押さえた形で、中身の検討をお願いしたいと思います。

 最後に、私はやはり子供を産んだときにやめざるを得なかったわけなんですが、そのころはちょうど子育てで大変なとき、今二十五歳と二十二歳になりましたが、生まれてちょうど小学校低学年ぐらいまでは、残業時間というのが月に百二十時間ぐらいございました。月に百二十時間なんですね。土日はほとんど出ている。帰ってくるのも夜中。そんな中で一人で子供を母親が育てている。そしてまた、地域もなかなか交流が難しいということもございまして、地域で子育て専業でやっている特に女性たちへのサポートというのがやはりまだまだ足りない。

 私は、ぜひとも、育児ノイローゼという言葉がちょっと適切じゃないと思いますが、育児不安を抱えている親、また児童虐待、虐待などに走ってしまうその実態調査、原因というのがどういうものなのか、そして地域の子育て専業の親がどのようなことを望んでいるか、それに対する施策というのをしっかりあわせてやっていくこと、このことが非常に大事だと思います。いまだに企業戦士で会社に夫がとられている中で、地域の親の孤独が深まっています。

 最後にそれをお答え願いまして、質問を終わります。大臣です。休養していただいたんですが、最後によろしくお願いします。

坂口国務大臣 最後まで休ませていただきまして、ありがとうございました。

 近年の核家族化あるいは都市化の進行によりまして、母親の育児の孤立化と申しますか、今お話がありましたように、家庭におみえになりましてもなかなか周辺とそういうお話ができないといったような方もあるわけでございまして、家庭や地域の子育て機能の低下が言われているわけでございますから、こうした人たちに対します社会全体での支援というのは、これは大きな課題であるというふうに思っておりますし、また新エンゼルプランにおきましても、御承知のように、保育所入所児童へのサービスの充実をいたしておりますほか、子供を一時的に預かります一時保育でありますとか、保育不安についての相談、指導などを行います地域子育て支援センター、これもかなり整備をしてきているところでございます。

 それから、平成十四年度の概算要求におきましては、育児に不安や悩みを抱えている親などが気軽に交流できる場を提供するつどいの広場事業というのを創設を盛り込まさせていただきました。これは、今までにありましたもの、今までありました支援センターは保育所に併設をしてというような形でございましたが、今回のつどいの広場事業というのは、必ずしもそういうふうにしなくてもいい、もっと皆さん方がそこに集って、そしてお互いに子育ての勉強もできるし、またお話し合いもできるといったようなもの、もう少し理想的なものをつくり上げていこうというので提案をさせていただいたわけでございます。

 そうしたことをやりながら、皆さん方の御期待におこたえをしていきたいと思っております。

中川(智)委員 終わります。

     ――――◇―――――

鈴木委員長 次に、津島雄二君外八名提出、児童福祉法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。根本匠君。

    ―――――――――――――

 児童福祉法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

根本議員 ただいま議題となりました児童福祉法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 都市化の進行や家族形態の変容など児童を取り巻く環境が大きく変化している中で、近年、子育て不安の増大や児童虐待に関する相談件数の急増、認可外保育施設における乳幼児の死亡事故の発生などが大きな問題となっているところであります。こうした状況を踏まえ、地域において児童が安心して健やかに成長することができる環境を整備するため、認可外保育施設等に対する監督の強化、保育士の名称独占資格化、児童委員活動の活性化を図る等の措置を講ずることとした次第であります。

 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、認可外保育施設等に対する監督の強化であります。

 近年、認可外保育施設において発生した悲惨な事故等に対応するため、認可外保育施設について、都道府県知事への事業開始の届け出制を創設するほか、事業者による契約時の書面交付、都道府県知事への運営状況の報告等を義務づけるとともに、報告等により都道府県知事が得た情報を公表することにより、利用者が施設やサービスの選択を行うための情報提供を推進していくこととします。また、認可外保育施設等について、従来から規定されている都道府県知事による事業停止等の命令権限に加えて、改善勧告及びこれに従わない場合の公表等を規定し、認可外保育施設等に対する監督を強化することとしております。

 また、認可保育所について、保育需要が増大している市町村は、公有財産の貸し付け等の措置を積極的に講ずることにより社会福祉法人その他の多様な事業者を活用した保育所の設置運営を促進し、保育サービスの供給を効率的かつ計画的に増加させる旨規定することとしております。

 第二に、保育士の名称独占資格化であります。

 保育士とは、都道府県知事の登録を受け、保育士の名称を用いて、専門的知識及び技術を持って児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業とする者をいうものとし、保育士でない者が保育士を称することを禁止するとともに、守秘義務や信用失墜行為の禁止について規定を設け、保育士の資質の向上を図ることとしております。あわせて、都道府県知事による試験、登録の実施等に関する規定を設けるなど、必要な規定の整備を図ることとしております。

 第三に、児童委員活動の活性化であります。

 児童委員の職務を明確化し、また、主任児童委員を法定化して厚生労働大臣が指名すること等とするとともに、児童委員の研修についての都道府県知事の責務を定め、児童委員の資質の向上を図ることとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。ありがとうございました。

鈴木委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 第百五十一回国会、内閣提出、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律案及び第百五十一回国会、山花郁夫君外五名提出、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律案並びに津島雄二君外八名提出、児童福祉法の一部を改正する法律案の各案審査のため、来る三十一日水曜日午前十時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る三十一日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時八分散会




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